昭和39年3月に建設された
市役所本庁舎は築53年もたっており、著しい
老朽化や
耐震性の不足が急速に顕在化しております。これに伴い、
地震発生時における
本庁舎の
倒壊または損壊が強く想定され、このままでは
災害時における
行政機能の停止が現実化してしまうことを、私は日々危惧いたしているところでございます。
また、
平成18年3月には上石津町及び墨俣町と合併したほか、
地方分権改革による
権限移譲が進み、
行政サービスの
広域化、
多様化等に伴う
事務量の増加により、
本庁舎が狭隘化してまいりました。このため、
行政機能を
北庁舎、
東庁舎に分散させましたが、これにより市民の皆様に多大な御不便、御迷惑をおかけしております。加えて、
北庁舎、
東庁舎にはエレベーターが設置されていないなど、
バリアフリー化も著しくおくれている
状況でございます。
耐震性につきましては、
平成7年度に実施した
耐震診断において、建物の
耐震性を示す
Is値が
本庁舎で0.18、
東庁舎で0.33と著しく劣っており、大
規模地震で
倒壊または崩壊の
危険性が高いことが明らかとなりました。これを受け、
平成19年の9
月議会において、
本庁舎の
耐震補強についての
可能性や
補強方法などを調査した本
庁舎耐震改修基本計画を御報告させていただき、
防災拠点としての
本庁舎のあり方について、本格的な議論の端緒をつけさせていただいたところでございます。
一方、
平成21年の
市長選挙では、
拠点避難所で未来を担う
子供たちが集う小中学校の
耐震に最優先に取り組むことを公約に掲げ、
平成26年度にはこれらを達成し、現在は
保育施設の
改築等に
財政状況も勘案しながら適切に取り組んでいるところでございます。こうした安全・安心の
まちづくりを計画的に進める中、
平成23年3月11日、
東日本大震災が発生しました。その被害の
状況、
被災者の方々の様子を目の当たりにし、私は
市役所が果たすべき
災害時の復旧、復興の役割の
重要性を改めて認識するとともに、その
拠点である
災害に強い
庁舎の実現に強い決意を新たにせずにはいられませんでした。
このため、
平成24年度には2,000人の市民アンケートを実施するとともに、学識経験者や各種団体の代表者、公募市民らから成る新
庁舎建設市民懇話会を開催し、
庁舎に求める機能について市民目線から多くの御意見を頂戴いたしました。市民アンケートでは、
耐震性、
防災拠点機能の不足という懸念に加え、
庁舎が分散化している不便さに対する御意見が多くございました。こうした市民の皆様の生の声から、現
庁舎の狭隘化、
庁舎の分散化という
耐震性以外にも解決すべき大きな課題があることを改めて認識させていただき、
庁舎のあるべき姿として新
庁舎建設の方向性を確信いたしました。
私の4期目に当たります
平成25年の
市長選挙では、市民が利用しやすい新
庁舎、大
規模地震が発生しても市民の生命と財産を守る新
庁舎の建設について訴えさせていただき、市民の皆様から負託を受けたものと認識いたしております。その後、新
庁舎建設候補地につきましては、現
本庁舎敷地や競輪場駐車場敷地などを提案させていただきましたが、市民の皆様の御意見をいただき、人口重心に近く中心市街地に位置する現
庁舎敷地及び隣接地での建設が最適であると判断し、
平成27年3月には大垣市新
庁舎建設基本構想を策定いたしました。この間、市
議会において新
庁舎建設関連の予算案を提出し、また新
庁舎建設に係る取り組み
状況を逐次御報告するとともに、本
会議の一般質問におきましても市の考え方を真摯かつ丁寧に答弁させていただいております。そうした中で、議員各位におかれましては多くの時間をかけて慎重に御審議いただき、市民の代表である市
議会として、新
庁舎の早期建設について賛同の意思を明確にお示しいただいているものと考えております。また市民の皆様には、先述の市民アンケートや市民懇話会において市民目線での御意見を頂戴しているほか、市のホームページや広報おおがきなどでの情報提供、パブリックコメント、障がい者の方々との意見交換会、水門川護岸整備に係る水門川かわ
まちづくり市民ワークショップの実施など、あらゆる機会を捉え、
庁舎のみならず、中心市街地に位置する新
庁舎と
まちづくりをテーマとして積極的な協議を行い、御意見に耳を傾けてまいりました。このような経過を経て、現在の大垣市新
庁舎建設実施設計に至っているものでございます。
このたびの
条例の
制定請求は、現
庁舎を
耐震補強し、
庁舎の
新築を
延期することを求めるものでございますが、昨年4月に発生した熊本地震でも明らかになったように、大
規模地震とそれに引き続く大きな余震に対しては、
耐震補強では天井や壁の剥落、亀裂の発生、基礎ぐいの損傷などを防止することはできず、使用不可能となり、執務を継続することができませんでした。そのために熊本県の自治体では仮設
庁舎や代替施設で執務することを余儀なくされ、復旧、復興は遅々として進んでいない
状況を私は現地で見てまいりました。したがって、現
庁舎の
耐震補強ではなく、免震構造による新
庁舎の建設でなければ、大
規模地震に対する
防災拠点としての機能を果たすことができず、加えて、市民の皆さんの大きな要望である
庁舎の分散化の解消を実現することはできません。大
規模地震の発生が叫ばれている中、
災害対策本部機能である新
庁舎を建設し、行政と市民が一体となり
災害に強い
まちづくりを目指していくことこそが、将来の世代や
子供たちに対する私たちの責務であると考えております。新
庁舎の建設につきましては、私自身がその必要性を自覚しており、
市長選においても訴えるとともに、議員各位、さまざまな委員会や懇話会、そして市民の皆様の御意見等をお聞きしながら進めてまいったものでございます。これにより私は、
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例を制定する必要はないものと考えております。
以上が議第1号、
住民投票条例制定請求に関する私の意見でございますが、新
庁舎建設という大垣市にとりまして重要な事業を、これまでと同様に、議員の皆様を初め市民の皆様との協議を行い、御理解を得ながら進めてまいる所存でございます。何とぞよろしく御審議をいただき、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
4:
◯議長(
川上孝浩君)
これより
地方自治法第74条第4項の
規定により、
条例制定請求代表者の意見陳述を行います。
それでは、
条例制定請求代表者に入場していただきます。
〔
条例制定請求代表者
岡田章治氏、
繁澤多美氏 入場〕
5:
◯議長(
川上孝浩君)
意見を述べていただく
条例制定請求代表者は
岡田章治氏、
繁澤多美氏であります。
条例制定請求代表者に申し上げます。意見陳述の時間は15分以内となっておりますので、
発言時間をお守りください。
発言の内容につきましては、
発言された全文が議事録として公開されますので、個人のプライバシーを侵すおそれのある
発言や個人の尊厳を傷つけるような
発言をしないように十分に御配慮願います。
また、傍聴人にあらかじめ申し上げます。大垣市
議会傍聴規則の
規定によりまして、傍聴人は拍手をしたり
発言をすることは禁止されておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、初めに、
岡田章治氏の
発言を許可いたします。
〔
条例制定請求代表者
岡田章治氏 登壇〕
6:
◯条例制定請求代表者(
岡田章治氏)
皆さん、初めまして。私は大垣市
条例制定請求の代表をしております
岡田章治です。大垣市東長町で不動産コンサルタントを営んでおります。
まず、
小川市長には、日ごろ市政運営に御尽力いただき感謝申し上げます。私たちが
住民投票条例の
制定請求を求めて署名活動を行いました一番の理由は、大垣市民の皆さんに大垣市政をより近くに感じていただきたい、大垣市民の皆さんに自分のこととして、自分の家庭のこととして、大垣市政を見て考えていただきたいと思ったからです。
ことしから新
庁舎建設を開始し、
平成32年完成を目指すと広報おおがきに書かれていました。概算事業費は121億円と記載されています。広報おおがきの配置図では立体駐車場が明記されていましたが、概算事業費には含まれていないように思いました。立体駐車場の土地代と建設費で約6億円ほどかかると思います。総概算事業費は6億円を足した約127億円ぐらいになるのではないでしょうか。
新
庁舎の建設工事期間は、皆さん御存じの東京オリンピック競技場建設期間と完全に重なっております。東京では、新国立競技場、水泳会場、バレーボール会場、ボート・カヌー会場、それに大規模な選手村の建設が進んでおります。既存の施設を利用するにしても改修工事が必要と報じられております。その影響で、建設資材の高騰、人件費の高どまりが続いております。今、新
庁舎を建設するのが一番よい時期でしょうか。名古屋でもリニア新幹線の開業にあわせて、駅前再開発によりビルの建設が続いております。費用対効果を考えた場合、今、新
庁舎を建設することは得策ではないと思います。現
庁舎は
耐震性が不足しているようですが、
耐震・免震補強を実施することにより長寿命化ができ、今後約20年は使用可能になると思います。その費用は約27億円ぐらいだと思います。
私は、不動産コンサルタントとして最も心配なところがあります。それは大垣城ホールです。以前は各務原の飛行場にあった飛行機格納庫を移築したもので、
耐震基準は測定不能と聞きました。もし大地震が発生して、最初の揺れでは持ちこたえても、余震で
倒壊すれば、避難所となっている大垣城ホールで多くの市民の皆さんが負傷され、最悪、亡くなられる方が出るかもしれません。まずは市民の命を守ることを第一に考えていただきたいと思います。また、大垣市民会館など、
耐震補強できていない施設があると聞きました。本来完成されているべき地区センターや小学校の体育館が後回しになっていませんか。私が署名を集めていましたとき、若い市民の方が、選挙に行って投票しますが立候補者の名前を書くだけです。それは当たり前です。でも、住民投票であれば、その事柄について賛成か反対かを自分の意思で
選択できる。ぜひ住民投票してみたいと言ってみえました。確かにお金も手間もかかります。でも、長い目で見れば、住民投票を実施することは、市民の皆さんが市政を自分のこととして考えていただくことになり、決して無駄にはならないと確信しております。何とぞ市議
会議員の皆様方には
住民投票条例を制定していただきたく、重ねてお願い申し上げます。
住民投票の結果において、今年度より
新築した方がよろしいという市民の皆さんが多数でなれば、それは市民の総意ですから、私たちは反対するものではありません。もし、現
庁舎を
耐震・免震補強をする方がいいよという市民の皆さんが多数になれば、一度立ちどまって再考してください。
私からの意見を述べさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
7:
◯議長(
川上孝浩君)
次に、
繁澤多美氏の
発言を許可いたします。
〔
条例制定請求代表者
繁澤多美氏 登壇〕
8:
◯条例制定請求代表者(
繁澤多美氏)
条例制定請求を行いました、住民投票を実現する会、共同代表の
繁澤多美と申します。私の職業は医療施設で働くソーシャルワーカーで、高齢者の介護・生活相談を行っております。また、家に帰ると4歳になる子供と過ごす母親でもあります。そうした立場で
住民投票条例の制定を求める意見を述べたいと思います。
まず、今回の5,299筆の署名はわずか2週間で集めたものです。署名を集める方たちがこの問題をお話しすると、市
庁舎建てかえについて知らない方が圧倒的に多かったこと、市
庁舎建てかえの計画を知れば知るほど、少し検討をしたほうがいいのではないか、ほかの人はどう思っているのかなという反応がありました。
今日、確かに大震災が頻発している中で、現在の市
庁舎は古く、
耐震性の観点から一刻も早く何とかしなければならないということは明らかです。ただ、どういう方法で
市役所を守るのかということについては、今すぐ建てかえるということだけが
選択肢ではないのではないでしょうか。
耐震工事で強度を上げて過ごす自治体もあるそうです。なぜ今
新築なのか、市民はどう考えるのか、一度住民投票で問うてみる価値があると考えます。
次に、大垣市はお金が余っている、あるいは今建てかえるとこれだけの得をするという
状況なのでしょうか。家庭では家を購入するとき、費用をすぐに現金で調達できないときは住宅ローンを組むのが一般的です。ローンを組むときには、今の収入と支出のみならず、これから先の生活費やリスクを考えます。収入は減らないか、子供の教育費や親の介護のための費用が多くかかるかもしれない等です。これから起こるさまざまなことを総合的に判断して、
新築する時期を慎重に検討して大きなローンを組むでしょう。余りに無理をして住宅ローンを組んで、満足な食事や教育費、介護費用を捻出できないと困ります。古いままで少し不自由であっても、ある程度確実な見通しを持っていきたいと考えるのが堅実な家計運営だと思います。大垣市の財政はどうでしょうか。121億円で市
庁舎を建てかえるというのは今なのでしょうか。財源は豊富でしょうか。無理はしていないでしょうか。聞くところによると、
耐震工事が着工されていない保育園が複数箇所あるそうです。また、地域住民が集まる地区センターや震災時の避難場所となる建物の
耐震工事は間に合っていないようです。最優先にするお金ではないでしょうか。また今後、少子高齢化が進み、大垣市は人口減少が確実視されています。子供をふやし、高齢者が安心して暮らせる
まちづくりのためには、医療、福祉、教育のお金がかかります。こうした予算がしっかりと確保できているでしょうか。今後、ますます地方自治が重要視されてくると思います。地方自治体がこの地域の人たちの人口構造や生活様式に合わせて創造的に事業を行おうとするとき、どれだけ借金を持っていないかということは大切なことだと思います。大垣市には、ぜひ借金を減らしていただきたいと考えます。
最後に、今回のこの住民投票を行う意味を、地方自治のあり方や民主主義という観点から訴えたいと思います。
私は生まれて今まで、住民投票という機会に出会ったことはありません。高校の授業で住民投票の仕組みを学習したことを思い出します。そのときに、地方自治は民主主義の学校だと学んだことを記憶しています。国家レベルでは規模が大きく、民主主義を学ぶには地方自治の単位がちょうどいいということでした。きょう、この大垣市
議会の場で、今すぐ市
庁舎を建てかえるのかどうかという身近な問題を近隣の方たちと一緒に議論し、それぞれが意思表示をし、その声を市政に反映させてほしいということを訴える機会をいただきました。まさに市政のあり方は市民自身が決めていくというプロセスを目の当たりにし、地方自治が民主主義の学校であることを体感しています。一方で、市民はそのときの感情に流されやすいから、妥当な政治の結論が出せないという住民投票のデメリットも学んだことを思い出します。確かに、一市民には市の財政など、わからない部分がたくさんあるのも事実です。だからこそできるだけ丁寧に
議会では議論を重ねていただき、市民にその経緯と資料を知らせていただき、住民投票を行う機会をつくっていただきたいと思います。
直接民主主義が発展したスイスでは、地方自治において一定以上の予算執行を伴う事業の場合、住民投票を行うこととなっているようです。大垣市の民主主義がより発展することを切望し、
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例制定を求めます。
以上で終わります。
9:
◯議長(
川上孝浩君)
以上で
条例制定請求代表者の意見陳述は終了いたしました。
条例制定請求代表者に退場していただきます。
〔
条例制定請求代表者
岡田章治氏、
繁澤多美氏 退場〕
10:
◯議長(
川上孝浩君)
ただいま
議題となっております議案につきましては、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、担当委員会に付託して直ちに御審査願いたいと思います。
この際、暫時休憩いたします。
午前10時30分 休 憩
──────────────────
午前11時36分 再 開
11:
◯議長(
川上孝浩君)
休憩前に引き続き、
会議を開きます。
休憩前に付託いたしました議案につきましては、担当委員会において御審査願っておりますので、委員長から御報告を願います。
企画総務委員長
横山幸司君。
〔企画総務委員長
横山幸司君 登壇〕
12:
◯企画総務委員長(
横山幸司君)
企画総務委員会の委員長報告を申し上げます。
休憩中に企画総務委員会を開会し、本
会議から付託されました議第1号
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例について、審査いたしました結果を報告いたします。
本案は、
地方自治法第74条第1項の
規定に基づき
条例制定請求が行われたため、同条第3項の
規定により、
市長の意見を付して提案されたものであり、審査いたしました結果、賛成少数により否決することに決しました。
以上、企画総務委員会の報告を終わります。
13:
◯議長(
川上孝浩君)
以上をもって、委員長報告は終わりました。
この際、討論の通告がありますので、
発言を許可いたします。
18番
岡田まさあき君。
〔第18番
岡田まさあき君 登壇〕
14: ◯第18番(
岡田まさあき君)
ただいまより賛成討論をしたいと思います。
最初に、
市長の意見書に対して意見を述べながら、理由を述べたいと思います。
まず、今回の市
庁舎建設は、
平成24年度のアンケートにおいて、新
庁舎建設ありということでの市民懇話会やアンケートがとられ、スタートしております。
耐震補強か新
庁舎建設かを住民のアンケートをとったりするということではありませんでした。また、4年前の
市長選挙で新
庁舎建設を問うたと
市長はおっしゃいますが、財政規模や、どの場所に建設するのか、あるいは今後の財政計画の説明がなされていませんでした。ほとんど情報がないままの市
庁舎建設があるというような話でございました。アバウトなお話で、新聞社の議論の中の90億円だけが先行しておりました。また、私も昨年、熊本県を訪問しました。崩壊した市
庁舎や町役場を見学してまいりました。また、ゼネコンの竹中工務店の技術課長さんと東京の本社でお話をし、情報提供をいただきました。埼玉県熊谷市や東京都の区役所でも、液状化対策、免震化対策を行って
耐震補強だけでも十分だと。現在の日本の建設技術で、
耐震補強で免震、液状化対策がとられ、熊本大地震にも十分に耐え得るとのことでした。
議第1号
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例について、私はなぜ賛成かを申し上げたいと思います。
本日の企画総務委員会では、反対多数でこの
条例案を否決する旨の今報告がなされました。私は、企画総務委員会での議第1号
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例の否決には反対し、議第1号の
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例の制定を強く求めるものであります。
私は、この
住民投票条例の制定を求めるために、三つの理由を述べたいと思います。第1点は、そもそも、先ほどの
条例制定を求める代表者の
発言にもありましたように、地方自治は直接民主主義こそが自治の土台です。しかし、全ての問題や課題を直接民主主義で行うことは不可能です。だから、首長である
市長や市議
会議員を代表として選ぶ二元代表制を現在とっております。しかし自治体は、いざとなったら大事なことは市民が直接決めるという仕組みになっています。これを踏まえて、重要政策の決定にも市民の直接関与を広げているのが住民投票制度です。その
重要性を理解し、すなわち常設型の
住民投票条例を行っている自治体もあります。常設型
住民投票条例は、いつでも必要なときは、こういったような署名活動をしなくても、ある程度の連署があれば住民投票を行える、割と簡単な形での住民投票制度です。そういった自治体が全国で約30団体あります。
第2点目に、本市では公共施設等総合管理計画、すなわち公共施設の長寿命化や更新の費用や、橋、道路、上下水道などのインフラ、すなわち基盤整備の費用等をどうするのか、どういった年限でやっていくのかという計画や、その実施計画がまだ完成されていないということです。今日、少子高齢化社会という人口減少社会に急速に突き進んでいます。私は、本市の公共施設や橋、道路、上下水道などのインフラの費用が今後2倍に膨らむ試算が発表されています。新市
庁舎を建設した場合、現段階で約127億円以上の費用がかかります。公共施設等総合管理計画やその実施計画の中に、新市
庁舎の建設を位置づけて財政計画を立てることが将来の市政運営の必須条件と考えます。新市
庁舎だけを先に建てて切り離し、新市
庁舎建設は公共施設等総合管理計画及び実施計画の中に入れないということは問題があると思います。
第3点目に、今回の新市
庁舎建設において、市民に対して丁寧な情報公開がなされていないということです。例えば丸の内公園との借地等の交換については、市
議会には一切報告がありませんでした。また、交換した事実の報告もなければ、その適切な交換の妥当性の情報公開もなされていません。先ほど
市長が読まれたこの
条例案に対する
市長の意見書の中で、26行目の「
平成7年度に実施した
耐震診断において」と明記されていますが、その診断結果の正式版と実施したコンサルタント名は非公開となりました。その理由は不存在でした。すなわち存在しないということでした。また、29行目からの「
平成19年の9
月議会において、
本庁舎の
耐震補強についての
可能性や
補強方法などを調査した、本
庁舎耐震改修基本計画」と明記されていますが、
本庁舎耐震改修計画の正式版はやはり非公開でした。理由はまたも不存在、すなわち存在しないということでした。正式な診断結果書や
本庁舎耐震改修計画を根拠に新
庁舎建設の議論を始めたならば、その根拠となる診断結果や改修基本計画が存在しないならば、そもそも新市
庁舎建設の議論が根本から信憑性に欠けるのではないですか。書類やそれを裏づけるコンサルタント名もわからなければ、
市長の意見書の信憑性を疑わざるを得ません。そもそも、たとえ保存期間を過ぎていても、新
庁舎建設にとってはなくてはならない重要な書類であるはずです。
市長みずからがこの意見書で書かれているわけですから、意図的に非公開にしているのではないかと疑わざるを得ません。
情報公開は市政を運営する上での基本です。前提条件です。空気や水を飲むように、当たり前のように、市民に情報提供、情報公開し丁寧な説明をすべきです。それがなされていません。私は、
市長が丁寧な説明をし情報公開を徹底されて、そして市民に問うことが重要だと考えます。
以上、3点の理由により、議第1号
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例の企画総務委員会の否決案に反対し、
条例案の制定を強く求める討論を終わります。
15:
◯議長(
川上孝浩君)
1番 中田としや君。
〔第1番 中田としや君 登壇〕
16: ◯第1番(中田としや君)
それでは、議案、
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例について、賛成の立場で討論を行います。
2点について、その理由を述べます。
今回、大垣市で初めて
条例制定請求を目指して署名が集められ、有効署名5,299筆が集まりました。その趣旨は、代表の
発言にもありましたが、新
庁舎建設は市にとっての重要な一大事業、多額のお金がかかるビッグプロジェクト、だからこそ市民の財産である
市役所のあり方について意思を表明したい、考えたい、参画したいとのことでした。
ここで、市の市民参画についての考え方はどうなっているのでしょうか。あしたまでパブリックコメントを募集しております(仮称)大垣市未来ビジョン基本構想、その中では、ピース6、市民協働、みんなが主役のまちという未来のピースを掲げ、その文中には「市民一人ひとりが、大垣の未来を創るのは自分であるという意識を持ち、市民が主体的に
まちづくりに参画」とあります。住民投票は
まちづくりに参画することそのものではないでしょうか。
今回、市政に関心を持ち、情報を整理して考え、その意見を表明したいという方がこれだけの数いらっしゃいました。
市役所を考えるということは中心市街地を考えるということであり、大垣市の将来的な財政を考えるということでもあり、また、その未来を考えることです。
条例案の実現によって、市民的議論を経て住民投票による意思表示をすることができます。住民投票を行うことは市民が市政に関心を持って参画する大切な機会となると考えて、市民参画という観点から、本
条例、本議案に賛成します。
次に、2点目として、政策そのものとしての観点から述べます。
新
庁舎建設事業、それ自体については、今年度の予算の審議の段階で会派として反対の立場を表明してまいりました。現在も、時間のかからない
耐震補強を行うべき、
耐震化の必要な施設を含めた全体的な計画の中に優先順位をつけて位置づけられるべきと考えております。昨年は熊本や鳥取、茨城など、各地で被害を伴う規模の地震が頻発しました。この地方でも、私が小学生のころから大
規模地震は30年以内に起きると、そういうふうに言われています。喫緊の課題、つまり差し迫って重要な課題であるのだからこそ、
平成32年の完成を目指す新
庁舎建設よりも時間のかからない
耐震補強を行うべきと考えます。
またここで、国の動向はどうなっているでしょうか。新年度、2017年度予算案で、総務省は市町村役場機能緊急保全事業を新設する方針です。これは、熊本地震を教訓にして、
耐震化が未実施の自治体を支援するという事業です。この事業の対象となる要件には公共施設等総合管理計画に基づいて実施される事業であることとあります。この要件の趣旨は、まさに全体的な計画の中に位置づけるべきということではないでしょうか。本市はこの事業を活用できるのでしょうか。ちゃんと時間をかけて計画に位置づけて行うべきではないでしょうか。
大垣市は公共施設等総合管理計画(素案)を作成し、先月パブリックコメントを募集しておりましたが、その計画では基本方針が出されるまでで、どの施設をどのような優先順位をつけて行い、どのような財政措置をつけて行うということは、その中ではまだ述べられてはおりません。そのような中で新
庁舎建設事業が最速、最先で進められるということは、それが最優先順位ということしかわかりません。市民は市の将来を左右するような大事業について、それが適正なのかどうなのか判断できる情報の提供と、そして、それに対する市民の意思表示の機会の実現を求めていると考えます。
先ほどの公共施設等総合管理計画(素案)の長寿命化の実施方針には次のようにあります。「更新費用の削減と更新時期の平準化に努めます」とあります。また、
耐震化の実施方針には次のようにあります。「
防災拠点施設等を最優先に、計画的・効率的に推進します」とあります。私は、更新費用の削減並びに計画的・効率的
耐震化の実施が望ましいというふうに考えておりますが、それについて多くの市民の方の判断を問いたいと思い、政策としての観点から本議案に賛成します。
以上、市民参画、政策の是非、二つの観点から本議案に賛成し、私の討論を終わります。
17:
◯議長(
川上孝浩君)
以上をもって討論を終了いたします。
これより採決に入ります。
議第1号
市役所を
耐震補強し、
新築の
延期を求める
住民投票条例についてを挙手により採決いたします。
本案に賛成の諸君の挙手を求めます。
〔挙手少数〕
18:
◯議長(
川上孝浩君)
挙手少数であります。よって、本案は否決されました。
以上で議事日程を全て終了いたしました。
これをもって、
平成29年第1回
大垣市議会臨時会を閉会いたします。
午前11時55分 閉 会