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  1. 岐阜市議会 2017-03-01
    平成29年第1回(3月)定例会(第1日目) 本文


    取得元: 岐阜市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-06-06
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成29年第1回(3月)定例会(第1日目) 本文 2017-03-02 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 20 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(杉山利夫君) 8頁 選択 2 : ◯議長(杉山利夫君) 8頁 選択 3 : ◯議長(杉山利夫君) 8頁 選択 4 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 5 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 6 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 7 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 8 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 9 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 10 : ◯議長(杉山利夫君) 626頁 選択 11 : ◯市長(細江茂光君) 626頁 選択 12 : ◯議長(杉山利夫君) 649頁 選択 13 : ◯議長(杉山利夫君) 654頁 選択 14 : ◯33番(松原徳和君) 654頁 選択 15 : ◯議長(杉山利夫君) 655頁 選択 16 : ◯10番(原 菜穂子君) 655頁 選択 17 : ◯議長(杉山利夫君) 658頁 選択 18 : ◯議長(杉山利夫君) 658頁 選択 19 : ◯議長(杉山利夫君) 658頁 選択 20 : ◯議長(杉山利夫君) 658頁 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 開  会  午前10時1分 開  会 ◯議長(杉山利夫君) ただいまから平成29年第1回岐阜市議会定例会を開会いたします。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一 諸般の報告 2: ◯議長(杉山利夫君) 日程に入るに先立って諸般の報告を行います。  まず、さきに議決しました議員派遣のうち、浅野裕司君外3名の海外行政視察については、浅野裕司君が急遽欠席されましたので、谷藤錦司君、若山貴嗣君及び黒田育宏君の議員派遣について、岐阜市議会会議規則第165条第1項ただし書きの規定により、1月27日付で議長において決定したことを御報告申し上げます。            ─────────────────── 3: ◯議長(杉山利夫君) 次に、監査結果報告書及び岐阜市包括外部監査報告書並びに報第2号及び報第3号専決処分事項の報告については、お手元に配付しました報告書によって御承知を願います。            ───────────────────         監査結果報告書及び岐阜市包括外部監査報告書提出一覧                     平成29年第1回(3月)岐阜市議会定例会 例月現金出納検査結果報告書(平成28年10月分~平成28年12月分) 監査結果報告書 ・定期監査及び行政監査   (平成28年度4月~10月分 必要に応じて平成27年度分)  ・市民生活部  ・都市建設部  ・基盤整備部 ・定期監査及び行政監査
      (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  ・農林部  ・農業委員会事務局  ・教育委員会  ・子ども未来部  ・福祉部 工事監査結果報告書(平成28年度分)  ・ため池改良工事 岐阜市包括外部監査報告書(平成28年度)  ・岐阜市の債権            ───────────────────  検査の種類   例月現金出納検査  検査の対象   一般会計、特別会計、基金及び企業会計               (平成28年10月出納事務)  検査の期間   平成28年11月28日~平成28年12月16日 1 歳入歳出実績表及び試算表等の計数を各会計諸帳簿と照合したところ、正確であるこ  とを認めた。 2 月末現金預金現在高を預け入れ金融機関の残高証明書と照合したところ、正確である  ことを認めた。 3 その他証拠書類等を検査したところ、おおむね適正に処理されているものと認めた。   なお、軽微な事項については、別途指示した。            ───────────────────  検査の種類   例月現金出納検査  検査の対象   一般会計、特別会計、基金及び企業会計               (平成28年11月出納事務)  検査の期間   平成28年12月28日~平成29年1月27日 1 歳入歳出実績表及び試算表等の計数を各会計諸帳簿と照合したところ、正確であるこ  とを認めた。 2 月末現金預金現在高を預け入れ金融機関の残高証明書と照合したところ、正確である  ことを認めた。 3 その他証拠書類等を検査したところ、おおむね適正に処理されているものと認めた。   なお、軽微な事項については、別途指示した。            ───────────────────  検査の種類   例月現金出納検査  検査の対象   一般会計、特別会計、基金及び企業会計               (平成28年12月出納事務)  検査の期間   平成29年1月30日~平成29年2月20日 1 歳入歳出実績表及び試算表等の計数を各会計諸帳簿と照合したところ、正確であるこ  とを認めた。 2 月末現金預金現在高を預け入れ金融機関の残高証明書と照合したところ、正確である  ことを認めた。 3 その他証拠書類等を検査したところ、適正に処理されているものと認めた。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   市民生活部          (平成28年度4月~10月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成28年8月5日~平成28年8月19日及び          平成28年12月1日~平成29年1月17日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 国民健康保険料及び国民健康保険税の収納率の向上について   国民健康保険料及び国民健康保険税の収納率は、平成27年度決算において、73.  43%で前年度比1.23ポイントの増であった。   しかしながら、平成28年10月末現在の滞納繰越分に係る収入未済額は2,449,  744,306円である。   今後とも、滞納繰越分の早期回収に努めることはもとより、現年賦課分の回収につい  ても、滞納繰越が生じないように努力し、収納率の向上を図られたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   都市建設部          (平成28年度4月~10月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成28年12月1日~平成29年1月27日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 適正な財務会計事務の執行について   岐阜市会計規則第32条では、歳入を徴収するときは、納入すべき金額、納入義務者、  納期限及び納入場所等を調査し、直ちにこれを調定しなければならないとされている。   しかしながら、公文書公開の請求者が金融機関で納入した公文書複写代について、納  入義務者を誤って岐阜市出納員として調定していた。   今後は、岐阜市会計規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。 [意見]
    1 民有地緑化事業について   公園整備課では、市が指定した保存樹等の維持管理費用に対する補助金や張芝等に要  した費用に対する補助金等民有地緑化にかかる補助金の交付について、市民からの申請  書の受付、現地確認、補助金の交付決定、補助金の支出等の一連の業務を平成28年度  から岐阜市みどりのまち推進財団に委託している。   一方、地方自治法第243条では、普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令  に特別の定めがある場合を除くほか、公金の支出の権限を私人に委任し、又は公金の支  出を私人に行わせてはならない旨定められている。   そして、地方自治法施行令第165条の3において、同条第1項に規定する経費に限  り、支出の事務のみを私人に委託できる旨定められているが、補助金については含まれ  ていない。   このため、民有地緑化にかかる補助金の交付業務を岐阜市みどりのまち推進財団に委  託することについては、これらの規定に抵触する可能性がある。   民有地緑化事業は、岐阜市を緑あふれる都市とするために行われる重要な事業である  ことから、事業推進に当たり別の方法を検討されたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   基盤整備部          (平成28年度4月~10月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成28年12月2日~平成29年1月27日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 適正な事務執行について   岐阜市事務決裁規則別表第1では、使用料及び賃借料(土地借上料)の契約締結伺に  ついて、決裁1件にかかる金額が1,000万円以上の場合は、副市長の専決事項とさ  れている。   しかしながら、岐阜市土木機材倉庫敷地の土地賃貸借契約の契約締結伺について、決  裁1件にかかる金額が1,000万円以上であるにもかかわらず専決者である副市長の  決裁を受けていなかった。   今後は、岐阜市事務決裁規則を遵守し、適正な事務執行に努められたい。 2 未収金の回収について   道路占用料の収入未済額は、平成27年度末で100,226円であった。平成28  年10月末現在では、過年度未収金が24,980円である。   水路占用料の収入未済額は、平成27年度末で907,681円であった。平成28  年10月末現在では、過年度未収金が787,199円である。   道路占用料及び水路占用料の未収金の回収については、公平性を備えた対応をとると  ともに、今後とも、過年度未収金の回収に努め、現年度分の回収についても、滞納繰越  が生じないように努力されたい。 3 交通事故の防止について   平成27年11月から平成28年10月までの間に、公用自動車の後退時における事  故が3件発生した。3件の事故のうち1件は、職員が同乗していたにもかかわらず、降  車及び誘導をしていなかった。   後退時の安全確認の励行について指導されたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   農林部          (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成29年1月4日~平成29年2月10日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 適正な財務会計事務の執行について   公金の払込みについて、岐阜市会計規則第41条第2項では、「会計管理者、現金出  納員又は現金取扱員において納入者より直接徴収金等を収納したときは、納入通知書に  領収済通知書等を添え、即日(即日の払込みを困難とするものにあっては、指定金融機  関又は収納代理金融機関の翌営業日)指定金融機関又は収納代理金融機関に払込みしな  ければならない。」と規定されている。   しかしながら、ながら川ふれあいの森印刷物代金等について、最長で3週間以上経過  した後に払込みをしている事例が見受けられた。   今後は、岐阜市会計規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   農業委員会事務局          (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成29年1月4日~平成29年2月10日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。  なお、軽微な事項については、別途指示した。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   教育委員会          (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成28年8月3日~平成28年8月19日、          平成28年12月2日~平成28年12月20日及び          平成28年12月28日~平成29年2月10日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。
    [指摘事項] 1 適正な事務執行について (1)岐阜市立学校等の体育施設の開放に関する規則第8条第2項では、開放施設の使用   承認は、教育委員会が行う旨規定されている。そして、岐阜市教育委員会事務決裁規   程第7条第1号の規定により、教育委員会が所管する財産の目的外使用の許可は、課   長の専決事項とされている。    しかしながら、学校等の体育施設の開放にかかる使用承認について、市民体育課長   の決裁を受けていないものがあった。    今後は、岐阜市教育委員会事務決裁規程を遵守し、適正な事務執行に努められたい。    昨年度の定期監査においても同じ指摘をしたところであるが、措置が徹底されてい   ないため、再度指摘するものである。しっかりと対応されたい。 (2)公民館使用料の減免については、岐阜市教育委員会事務決裁規程において、免除の   一部を事務局長の専決事項とし、それ以外を社会教育課長の専決事項としている。    しかしながら、公民館使用料の免除の決裁について、事務局長の専決事項とされて   いるものについて、事務局長の決裁を受けていないものがあった。また、社会教育課   長の専決事項とされているものについては、免除について社会教育課長の決裁を受け   ていなかった。    今後は、岐阜市教育委員会事務決裁規程を遵守し、適正な事務執行に努められたい。    昨年度の定期監査における指摘事項を受け、規程の整備が図られたものの、運用が   不十分であるため、再度指摘するものである。しっかりと対応されたい。 2 適正な財務会計事務の執行について (1)岐阜市会計規則第32条第1項では、歳入を徴収するときは、納入すべき金額、納   入義務者、納期限及び納入場所等を調査し、直ちにこれを調定しなければならないと   されている。    しかしながら、電報の依頼者が金融機関で納入した私用電話料(電報にかかる電話   料)について、納入義務者を電報の依頼者とすべきところ、岐阜市出納員として調定   していた。    今後は、岐阜市会計規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。 (2)公金の払込みについて、岐阜市会計規則第41条第2項では、「会計管理者、現金   出納員又は現金取扱員において納入者より直接徴収金等を収納したときは、納入通知   書に領収済通知書等を添え、即日(即日の払込みを困難とするものにあっては、指定   金融機関又は収納代理金融機関の翌営業日)指定金融機関又は収納代理金融機関に払   込みしなければならない。」と規定されている。    しかしながら、以下の事例が見受けられた。    ア 学校保健課において収納した公文書複写代について、最長で3週間経過した後     に払い込んでいた。    イ 柳津公民館において収納した文書複写代について、1か月分をまとめて払い込     んでいた。    ウ スポーツ交流センターにおいて収納したシャワー代について、2か月分をまと     めて払い込んでいた。    今後は、岐阜市会計規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。 (3)公金の収納に関して、地方自治法第243条では、普通地方公共団体は、法律又は   これに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収又は収納の権限を   私人に委任し、又は私人をして行わせてはならない旨規定されている。そして、地方   自治法施行令第158条第1項において、同項に掲げる歳入については、私人に徴収   又は収納の事務を委託することができる旨規定されている。    しかしながら、各体育館の指定管理者は、収納事務を委託されていないスポーツ教   室受講料を収納していた。    今後は、地方自治法及び地方自治法施行令を遵守し、適正な財務会計事務の執行に   努められたい。 3 事故の防止について (1)平成28年6月2日、三輪中学校において、草刈り作業中の飛び石により、付近を   走行中の車両に対する物損事故が発生した。    また、平成28年6月10日、加納幼稚園において、作業していた校務員が高所か   ら転落し、重傷を負う事故が発生した。    作業前点検の周知を図るなど、安全管理を徹底されたい。 (2)平成28年8月22日、則武公民館において、案内看板が倒れ、敷地内に駐車して   いた車両に対する物損事故が発生した。    教育委員会が所管するすべての施設について、同様の事故が起こらないよう安全管   理を徹底されたい。 [意見] 1 適正な事務執行について   教育委員会においては、平成27年度の指摘事項に対する措置状況が不十分なものが  あったことから、それらについて再度指摘したところである。   さらに、次のように、過去に指摘事項又は指示事項とした内容が他の部署でもみられ  た。 (1)平成27年度、教育施設課において、課長が現金出納員でないにもかかわらず、課   員が現金取扱員に指定されて現金を取り扱っていたことから、指摘事項とした。本年   度、教育施設課においては改善されていたが、学校指導課と学校保健課において同様   の事例がみられた。 (2)平成26年度、学校保健課と市民体育課に対し、支出負担行為書の起案遅れについ   て指摘事項とした。平成27年度においては、図書館と学校指導課に対し、同様の事   例を指摘事項とした。本年度、これらの部署において支出負担行為書の起案遅れはみ   られなかったが、教育施設課において同様の事例がみられた。   以上のことから、監査で指摘又は指示をされた事項について、その対象となった部署  だけで対応するのではなく、教育委員会全体で適正を確保できるよう再点検されたい。 2 小学校における現金の取扱いについて   各小学校においては、放課後学びの部屋利用者が加入する地域活動総合保険保護者負  担金を徴収し、市に納入している。しかしながら、現状では小学校に現金出納員が置か  れていないため、岐阜市会計規則により小学校の職員が現金を取り扱うことはできない。   したがって、放課後学びの部屋利用者の保護者に負担を強いることなく、適正に財務  会計事務を執行できるよう検討されたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   子ども未来部          (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成28年12月28日~平成29年2月20日
     証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 未収金の回収について   保育所運営費負担金及び公立教育・保育施設使用料の収入未済額は、平成27年度末  で34,386,730円であった。平成28年11月末現在では、過年度未収金が3  1,112,980円である。   今後とも、未収金の早期回収に努めることはもとより、現年度分についても滞納繰越  が生じないように努力されたい。 2 適正な財政会計事務の執行について   岐阜市会計規則第41条第2項では、「会計管理者、現金出納員又は現金取扱員にお  いて納入者より直接徴収金等を収納したときは、納入通知書に領収済通知書等を添え、  即日(即日の払込みを困難とするものにあっては、指定金融機関又は収納代理金融機関  の翌営業日)指定金融機関又は収納代理金融機関に払込みしなければならない。」と規  定されている。   しかしながら、延長保育事業保護者負担金等について、各保育所では利用の都度現金  を収納しているが、指定金融機関等に払い込むことなく各保育所内で保管し、一月分を  まとめて現金の払込みを行っていた。   今後は、岐阜市会計規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。            ───────────────────  監査の種類   定期監査及び行政監査  監査の対象   福祉部          (平成28年度4月~11月分 必要に応じて平成27年度分)  監査の期間   平成29年1月4日~平成29年2月20日  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理されて いるものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改善に努め られたい。  なお、軽微な事項については、別途指示した。 [指摘事項] 1 適正な財務会計事務の執行について   現金出納員等の収納事務について、岐阜市会計規則第43条では、「現金出納員又は  現金取扱員は、歳入金を収納したときは、領収書を納入義務者に交付しなければならな  い。」と規定されている。   しかしながら、第三恵光入所者が利用した私用電話料及びワークス恵光入所者が生産  した物を販売して得た収入について、電話利用者及び生産物の購入者に領収書を交付し  ていなかった。   今後は、実情に配慮しつつ、適正な財務会計事務の執行に努められたい。 2 未収金の回収について   介護保険料の収入未済額は、平成27年度末で219,336,490円であった。  平成28年11月末現在では、滞納繰越分にかかる収入未済額が205,724,34  0円である。   後期高齢者医療保険料の収入未済額は、平成27年度末で47,217,100円で  あった。平成28年11月末現在では、滞納繰越分にかかる収入未済額が36,483,  000円である。   今後とも、滞納繰越分の早期回収に努めることはもとより、現年賦課分の回収につい  ても、滞納繰越が生じないように努力されたい。            ───────────────────             平成28年度 工事監査結果報告書 1 監査の対象   ため池改良工事   ※工事の概要は別紙のとおり 2 監査の期間   平成28年12月1日から平成29年2月20日まで 3 監査の方法   平成28年度において施工中の工事のうち、土木工事1件を抽出して、工事の計画、  調査、設計、仕様、積算、契約、施工管理、監理(監督)、試験、検査等が適正かつ効  率的に執行されているかについて調査するため、書類調査を行い、平成29年1月17  日に現場調査を行うとともに、関係職員に対して説明を求めた。   なお、工事技術面の調査については、公益社団法人 大阪技術振興協会との工事技術  調査業務委託契約に基づき、技術士の派遣を求め、書類調査及び現場施工状況調査を行  った。 4 技術士の「総評」「所見」の概要 (1)総評    本工事における計画、設計、積算・契約、施工管理・品質管理・安全管理及び施工   監理等の各段階における技術的実施状況について、重点的に調査した。    書類調査・現場調査の結果、全般的に良好な調査結果であった。 (2)所見   ア 計画     佐野ノ池は、農業用ため池として下流6.3ヘクタールの受益地に水を供給して    いる。堤体については、昭和60年から平成2年にかけてブロック張りへと改修が    行われたが、護岸については法面保護が行われていなかったため、波浪により法面    の浸食が進んでいる状況にある。法面の浸食が進むことにより、土砂流入による貯    水量の減少や隣接するポケットパークに影響を及ぼすことが懸念されるため、ため    池護岸の浸食防止工事の実施は必要不可欠と思われる。本事業の目的は妥当である。   イ 書類調査における所見   (ア)設計に関係する書類     a 設計方針・基準関係       再生砕石の使用等によるコスト縮減を図っており、県産品も積極的に適用し      ている。適切に設計業務が進められている。ただし、コンクリートブロック積      工の設計計算書(安定計算や木杭計算等)には、適用した基準名を記載してお      いた方がよい。     b 設計図書       工事請負業者において、設計図書の照査は実施しているとの報告を調査時に
         受けたが、照査報告書が提出されていなかった。施工精度の向上や施工上のト      ラブル防止等にも役立つため、照査報告書を提出させるのが望ましい。   (イ)積算に関する書類      積算は「農林水産省 土地改良工事積算基準(土木工事)」、「積算基準及び     歩掛表(岐阜県県土整備部都市建築部)」等に基づいて実施されていた。   (ウ)入札・契約に関係する書類     a 入札関係       指名競争入札を実施している。       入札参加者は10者(内4者辞退)       建設業法第20条第3項に規定されている必要な見積り期間(10日間)は      確保されていた。     b 契約書類関係       建設工事請負契約約款に基づき適切に作成されていることを確認した。       工事請負契約書(収入印紙確認)、履行保証関係、現場代理人・主任技術者      届、工事カルテ受領書、工事着工届、全体工程表、建設業退職金共済費納入、      施工体系図等の書類内容を確認した。     c 履行保証等       契約保証金は、建設工事請負契約約款第4条に従い、適切に処理しているこ      とを確認した。       前払い金は、建設工事請負契約約款第34条に従い、適切に処理しているこ      とを確認した。     d 工事保険等       工事保険の加入状況を確認したところ、土木工事保険や建設工事保険等に加      入していなかった。建設工事請負契約書第51条に工事保険に関する記載事項      がある。リスクマネジメントの観点からしても、これらの工事保険の加入が望      まれる。   (エ)施工管理に関係する書類     a 施工計画書       施工計画書で記載されている施工方法については、各施工項目を作業フロー      図にし、そのフローごとに技術的要点をまとめている。実作業の視点で作成さ      れ、理解しやすいように工夫している。     b 工程管理       実施工程表は適切に作成・提出しており、整備状況も良好であった。     c 環境管理       施工面の環境対策として、再生砕石の使用(二酸化炭素の排出抑制)、排出      ガス対応型建設機械の導入、低騒音型建設機械の導入等を実施している。現場      ではアイドリングストップに努めている。   (オ)品質管理・出来形管理に関係する書類     a 品質管理       材料承諾願いや品質証明に関する報告書等は、工事請負業者から市監督員に      適切に提出されていることを確認した。     b 出来高管理       本工事の出来形については、建設工事施工管理基準に定める測定項目及び測      定基準により、管理している。本工事の請負業者は、出来形管理基準値より厳      しい社内基準値を設定し、施工精度の向上に努めており、良好であった。   (カ)施工監理(監督)に関係する書類      検査チェックリスト(建設関係)や施工体制把握表を適用して監理・監督が行     われており、良好であった。   ウ 現場施工状況調査における所見   (ア)工事施工状況      現在、主に端部処理の作業が行われている状況である。      工事看板等の掲示物は、現場の見やすい位置に設置されており、取り付け状態     も良好である。      材料保管に関しては、現場に仮置きスペースを設け、適切に管理している。      出来栄えとして、コンクリートブロック積の目地部や玉石の施工状況を調査し     たところ、良好であった。   (イ)安全管理状況      日常の安全管理は良好である。安全巡視日誌、新規入場者教育、危険予知活動     (リスクアセスメント方式)等の安全管理活動を実施しており、実施報告書とし     てまとめており、良好であった。   (ウ)写真管理      近年、検査データの改ざんが問題になっているため、各種立会検査では市監督     員は数値等を確認するだけでなく、工事写真の中に入って写る必要がある。本工     事の立会検査では、市監督員が工事写真の中に入り、数値等を確認していること     が、工事写真で確認でき、良好であった。 5 本工事に係る契約事務 (1)契約の方法及び手続    本工事に係る契約は、指名競争入札により締結されている。本工事の設計金額から   すると、岐阜市一般競争入札等実施要綱第2条により、本工事に係る契約は、指名競   争入札によることができる。    岐阜市競争入札参加者選定要綱第8条によると、本工事には9者以上の指名業者が   必要であるが、指名業者数は10者であった。同要綱第7条には指名基準が定められ   ているが、指名された10者はこれに適合していると認められる。    本工事に係る入札は、電子入札により行われている。本工事に係る、入札、開札及   び落札者の決定は、岐阜市工事請負契約事務処理要綱、岐阜市電子入札実施要領、岐   阜市建設工事最低制限価格制度実施試行要領に基づき、適正に行われたと認められる。 (2)契約の締結    契約書には契約金額に応じた収入印紙が貼付され、消印されていた。その他関係書   類も整備されていると認められる。 6 一村総持(民有地)のため池に対する市による改良工事の施工   本工事の対象であるため池の面積の大部分の登記は、一村総持となっている。(別紙  「2 ため池の概要」参照)   本工事の対象であるため池は、昭和62年に岐阜県が事業主体となってため池等整備
     事業が行われており、その際に岐阜市がため池の管理主体となっている。したがって、  少なくとも昭和62年以降、岐阜市が本ため池の管理を行っている。   なお、その後、平成16年12月に岐阜市法定外公共物管理条例が制定されたが、本  ため池は、同条例第2条第2号の普通河川等(河川、水路、溝きょ、湖沼、ため池等の  うち河川法の適用又は準用がされず、及び下水道法第3章の規定が適用されないもので、  市が管理し、及び公共の用に供するもの並びにその附属物)に該当し、現在は、この条  例に基づき、岐阜市が管理している。   したがって、本工事は、岐阜市が管理し、及び公共の用に供しているため池の機能を  管理するために施工されていると認められる。 7 監査の結果   書類調査、現場調査並びに技術士の総評及び所見を踏まえ、監査を実施した結果、本  工事は、適正に執行されているものと認められた。 工事等の概要 1 工事の概要 (1)工事名   ため池改良工事 (2)工事場所  岐阜市雛倉1丁目地内 (3)工事内容    波浪により法面の浸食が進むことにより、土砂流入による貯水量の減少や隣接する   ポケットパークに影響を及ぼすおそれがあるため行うものである。    工事施工延長 L=64.0m    ・コンクリートブロック積       A=113.0m2(L=50.0m)    ・端部処理(玉石張り)        A=35.0m2 (L= 8.0m)    ・端部処理(コンクリートブロック積) A=17.0m2 (L= 6.0m) (4)設計業務  直営 (5)施工監理  直営 (6)工事費   請負金額 12,965,886円(消費税及び地方消費税を含む。) (7)入  札  平成28年9月26日          指名競争入札          (入札参加数 10者、うち辞退4者、入札回数 1回) (8)工  期  平成28年9月26日~平成29年2月24日 (9)受注者   有限会社 カワダ建設          現場代理人、主任技術者:遠藤 歩(資格:1級土木施工管理技士) (10)工事進捗率 計画出来高65% 実施出来高71%          (平成29年1月17日現在) (11)工事監督員 総括監督職員 農林部農地整備課 副主幹  福田 恒和          一般監督職員 農林部農地整備課 主任技師 岩松 昂志 2 ため池の概要 (1)名  称  佐野ノ池 (2)所在地   (主たる所在地)岐阜市雛倉字馬休137─1(全5筆) (3)築造年   昭和2年 (4)面  積  8,709m2 (5)規  模  貯水量15,100m3 堤高5.1m 堤延長125m 天端幅 3          m (6)所有者   下表のとおり    (登記名義人)  ┌─┬──────────┬───┬────────┬────┐  │ │  登記所在地   │地目 │ 地積(m2)  │所有者 │  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │1│雛倉字馬休137番1│ため池│8,092.00│一村総持│  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │2│雛倉字馬休137番3│ため池│   49.00│一村総持│  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │3│雛倉字馬休137番4│ため池│   79.00│一村総持│  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │4│雛倉字馬休137番5│ため池│  132.00│一村総持│  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │5│雛倉1丁目172  │ 堤 │  357.00│岐阜市 │  ├─┼──────────┼───┼────────┼────┤  │計│          │   │8,709.00│    │  └─┴──────────┴───┴────────┴────┘            ───────────────────                  平成28年度               岐阜市包括外部監査報告書                 平成29年2月                岐阜市包括外部監査人                弁護士 芝  英 則                  目   次 序章……………………………………………………………………………………………… 1  第1 包括外部監査の概要………………………………………………………………… 1   1 外部監査の種類……………………………………………………………………… 1   2 選定した特定の事件………………………………………………………………… 1   3 事件を選定した理由………………………………………………………………… 1   4 包括外部監査の方法………………………………………………………………… 3   5 包括外部監査の期間………………………………………………………………… 8   6 包括外部監査人及び補助者………………………………………………………… 8   7 利害関係……………………………………………………………………………… 8  第2 報告書の構成………………………………………………………………………… 9   1 全体の構成…………………………………………………………………………… 9   2 個別の構成(第3章から第5章)…………………………………………………10   3 巻末資料………………………………………………………………………………11 第1章 岐阜市の債権の現状…………………………………………………………………12  第1 本章の概要……………………………………………………………………………12
     第2 自治体の債権…………………………………………………………………………12   1 債権……………………………………………………………………………………12   2 自治体債権の定義……………………………………………………………………12   3 自治体債権の分類……………………………………………………………………12   4 まとめ…………………………………………………………………………………13  第3 岐阜市の債権…………………………………………………………………………14   1 定義……………………………………………………………………………………14   2 調査票による照会……………………………………………………………………14   3 調査票の回答結果からみる岐阜市の債権…………………………………………14  第4 決算からみる岐阜市の債権…………………………………………………………30   1 はじめに………………………………………………………………………………30   2 決算処理の概要………………………………………………………………………30   3 決算で用いられる用語の解説………………………………………………………31   4 岐阜市の決算状況(一般会計)……………………………………………………32   5 岐阜市の決算状況(特別会計)……………………………………………………38   6 岐阜市の決算状況(公営企業会計)………………………………………………39   7 岐阜市の決算状況と岐阜市の債権…………………………………………………42  第5 財務書類からみる岐阜市の債権……………………………………………………43   1 はじめに………………………………………………………………………………43   2 岐阜市の財務書類……………………………………………………………………43   3 岐阜市の財務書類と岐阜市の債権…………………………………………………45   4 今後の財務書類について……………………………………………………………45  第6 岐阜市の未収債権……………………………………………………………………45   1 「未収」の意味………………………………………………………………………45   2 債権調査票による照会………………………………………………………………45   3 債権調査票の回答結果(第2の2)………………………………………………46  第7 本章のまとめ…………………………………………………………………………48 第2章 岐阜市の債権にかかる事務(全体)………………………………………………49  第1 本章の概要……………………………………………………………………………49  第2 岐阜市の債権にかかる基本的な事務の流れ(本来)……………………………49  第3 岐阜市の債権にかかる事務の監査項目……………………………………………52  第4 債権の発生にかかる事務と監査項目………………………………………………52  第5 債権回収に向けた事務と監査項目…………………………………………………54  第6 債権回収の緩和に向けた事務と監査項目…………………………………………62  第7 債権の日常管理にかかる事務と監査項目…………………………………………65  第8 債権の消滅に向けた事務と監査項目………………………………………………66  第9 まとめ…………………………………………………………………………………69 第3章 強制徴収公債権………………………………………………………………………70  第1 本章の概要……………………………………………………………………………70  第2 市税……………………………………………………………………………………72   1 債権の概要(全体)…………………………………………………………………72   2 監査の重点及び監査手続(全体)…………………………………………………73  第2の1 個人市民税………………………………………………………………………74   1 債権の概要……………………………………………………………………………74   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………76   3 実地調査………………………………………………………………………………77   4 特別徴収義務者の指定………………………………………………………………78   5 減免……………………………………………………………………………………80   6 不服審査への対応……………………………………………………………………81  第2の2 法人市民税………………………………………………………………………82   1 債権の概要……………………………………………………………………………82   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………84   3 未登録法人の捕捉……………………………………………………………………84   4 均等割における従業員数の確認……………………………………………………85  第2の3 事業所税…………………………………………………………………………85   1 債権の概要……………………………………………………………………………85   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………87   3 免税点(従業員数)の要件の調査…………………………………………………87  第2の4 固定資産税………………………………………………………………………88   1 債権の概要……………………………………………………………………………88   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………89   3 償却資産税の申告拒否………………………………………………………………89   4 償却資産税の実地調査………………………………………………………………90   5 償却資産税の推計課税………………………………………………………………91   6 不服審査への対応……………………………………………………………………91  第2の5 都市計画税………………………………………………………………………92   1 債権の概要……………………………………………………………………………92   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………93  第2の6 軽自動車税………………………………………………………………………94   1 債権の概要……………………………………………………………………………94   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………94   3 免除申請の添付書類…………………………………………………………………95   4 第二次納税義務………………………………………………………………………95  第2の7 市たばこ税………………………………………………………………………96   1 債権の概要……………………………………………………………………………96   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………97   3 申告内容の確認………………………………………………………………………97  第2の8 入湯税……………………………………………………………………………97   1 債権の概要……………………………………………………………………………97   2 監査の重点及び監査手続……………………………………………………………98   3 課税免除………………………………………………………………………………99   4 立入調査………………………………………………………………………………99  第2の9 滞納整理……………………………………………………………………… 100   1 滞納整理の概要…………………………………………………………………… 100   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 104   3 滞納削減アクションプラン……………………………………………………… 104   4 納付相談…………………………………………………………………………… 105   5 督促状の発付……………………………………………………………………… 106   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 106   7 滞納処分…………………………………………………………………………… 108   8 保証人の徴求……………………………………………………………………… 109   9 死亡者課税………………………………………………………………………… 110   10 相続人に対する請求……………………………………………………………… 111   11 情報共有…………………………………………………………………………… 111   12 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 114   13 延滞金の減免……………………………………………………………………… 115   14 行政不服審査への対応…………………………………………………………… 116  第3 利用者負担額(保育料)………………………………………………………… 116   1 債権の概要………………………………………………………………………… 116   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 117
      3 督促状による督促………………………………………………………………… 118   4 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 118   5 滞納処分…………………………………………………………………………… 118   6 児童手当からの特別徴収………………………………………………………… 119   7 延長保育の制限…………………………………………………………………… 120   8 納付相談…………………………………………………………………………… 120   9 連帯保証人の徴求………………………………………………………………… 121   10 徴収活動の記録化………………………………………………………………… 122   11 民間保育所に対する滞納情報の提供…………………………………………… 122   12 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 123  第4 道路占用料………………………………………………………………………… 124   1 債権の概要………………………………………………………………………… 124   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 125   3 督促状の発付時期………………………………………………………………… 125   4 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 126   5 督促手数料及び延滞金の事前調定……………………………………………… 126  第5 水路占用料………………………………………………………………………… 127   1 債権の概要………………………………………………………………………… 127   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 128   3 督促状の発付時期………………………………………………………………… 129   4 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 129   5 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 129  第6 国民健康保険料…………………………………………………………………… 131   1 債権の概要………………………………………………………………………… 131   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 137   3 実態調査…………………………………………………………………………… 137   4 督促状の発付時期………………………………………………………………… 140   5 納付相談…………………………………………………………………………… 140   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 142   7 情報共有…………………………………………………………………………… 144   8 滞納処分…………………………………………………………………………… 146   9 相続人に対する請求……………………………………………………………… 147   10 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 147   11 放棄・減免………………………………………………………………………… 148   12 行政不服審査への対応…………………………………………………………… 150  第7 介護保険料………………………………………………………………………… 151   1 債権の概要………………………………………………………………………… 151   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 155   3 督促状の発付時期………………………………………………………………… 155   4 保険料の賦課……………………………………………………………………… 156   5 納付相談…………………………………………………………………………… 158   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 160   7 情報共有…………………………………………………………………………… 161   8 滞納処分…………………………………………………………………………… 163   9 複数当事者に対する請求………………………………………………………… 164   10 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 164   11 放棄・減免………………………………………………………………………… 165  第8 後期高齢者医療保険料…………………………………………………………… 166   1 債権の概要………………………………………………………………………… 166   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 170   3 督促状の発付時期………………………………………………………………… 170   4 保険料の賦課・調定……………………………………………………………… 171   5 納付相談…………………………………………………………………………… 172   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 173   7 コンビニ収納……………………………………………………………………… 174   8 情報共有…………………………………………………………………………… 175   9 滞納処分…………………………………………………………………………… 177   10 複数当事者に対する請求………………………………………………………… 177   11 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 179  第9 まちを美しくする条例過料……………………………………………………… 180   1 債権の概要………………………………………………………………………… 180   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 181   3 調定額の減少……………………………………………………………………… 182   4 督促状の発付時期………………………………………………………………… 183   5 納付書発行事案における収納率………………………………………………… 183  第10 産業廃棄物不法投棄弁償金(私債権も含む)………………………………… 184   1 債権の概要………………………………………………………………………… 184   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 191   3 財産調査…………………………………………………………………………… 191   4 行政代執行に要した費用………………………………………………………… 191   5 事務管理費用……………………………………………………………………… 194   6 不法行為による損害賠償………………………………………………………… 194   7 費用の回収状況の一覧…………………………………………………………… 195  第11 下水料金…………………………………………………………………………… 198   1 債権の概要………………………………………………………………………… 198   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 202   3 納期限の定め……………………………………………………………………… 203   4 委託業務の範囲…………………………………………………………………… 204   5 仕様書における業務対象の明示………………………………………………… 205   6 督促状の発付時期………………………………………………………………… 206   7 督促状における行政不服申立ての教示………………………………………… 207   8 滞納処分…………………………………………………………………………… 207   9 督促手数料及び延滞金の徴収…………………………………………………… 208   10 管理人への請求…………………………………………………………………… 209  第12 下水道事業受益者負担金………………………………………………………… 210   1 債権の概要………………………………………………………………………… 210   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 214   3 滞納処分…………………………………………………………………………… 214   4 督促手数料の徴収根拠…………………………………………………………… 216   5 延滞金の徴収……………………………………………………………………… 218   6 徴収猶予…………………………………………………………………………… 219  第13 不正利得返還金(介護保険課)………………………………………………… 221   1 債権の概要………………………………………………………………………… 221   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 222   3 不正利得を防止するための措置………………………………………………… 223   4 滞納処分…………………………………………………………………………… 223   5 納付相談…………………………………………………………………………… 223   6 分納誓約書………………………………………………………………………… 224   7 保証人……………………………………………………………………………… 225   8 督促手数料及び延滞金の充当…………………………………………………… 225
      9 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 226   10 情報共有…………………………………………………………………………… 226   11 債権管理簿………………………………………………………………………… 228   12 管理マニュアル…………………………………………………………………… 228   13 ケース会議の議事録……………………………………………………………… 229 第4章 非強制徴収公債権………………………………………………………………… 230  第1 本章の概要………………………………………………………………………… 230  第2 生活保護費返還金………………………………………………………………… 232   1 債権の概要………………………………………………………………………… 232   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 235   3 発生の防止………………………………………………………………………… 235   4 履行延期の処分と延納利息……………………………………………………… 238   5 第78条による徴収金の分割納付………………………………………………… 239   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 239   7 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 239   8 第80条免除の適用………………………………………………………………… 240   9 第77条による徴収金の検討……………………………………………………… 240   10 履行期限の繰上げ………………………………………………………………… 241   11 法的手続による請求……………………………………………………………… 241   12 第78条による徴収金の滞納処分………………………………………………… 242   13 管理回収マニュアルの作成……………………………………………………… 242   14 債権の管理方法…………………………………………………………………… 243   15 不納欠損の理由…………………………………………………………………… 243   16 消滅時効の起算点………………………………………………………………… 244   17 相続人に対する対応……………………………………………………………… 244  第3 老人保護措置費負担金…………………………………………………………… 244   1 債権の概要………………………………………………………………………… 244   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 246   3 督促状による督促………………………………………………………………… 246   4 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 246   5 相続人に対する請求……………………………………………………………… 247  第4 児童扶養手当返還金・子ども手当返還金・児童手当返還金………………… 247   1 債権の概要………………………………………………………………………… 247   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 255   3 不正利得の確認(児童扶養手当返還金、児童手当返還金)………………… 256   4 督促状による督促………………………………………………………………… 256   5 督促手数料及び延滞金の請求…………………………………………………… 257   6 管理回収マニュアルの作成……………………………………………………… 257   7 法的手続による請求……………………………………………………………… 257   8 履行延期の処分の決定審査(児童扶養手当返還金)………………………… 258   9 履行延期の処分と調定…………………………………………………………… 258   10 履行延期の処分と延納利息……………………………………………………… 259   11 履行期限の繰上げ………………………………………………………………… 259   12 不納欠損と消滅時効の管理……………………………………………………… 260  第5の1 住宅使用料…………………………………………………………………… 260   1 債権の概要………………………………………………………………………… 260   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 263   3 収納に関する業務委託(前提事実)…………………………………………… 263   4 法的措置対象者選定以前の回収措置…………………………………………… 264   5 法的措置対象者の選定基準(事務処理要綱第3条)………………………… 266   6 法的措置対象者に対する対応…………………………………………………… 267   7 連帯保証人に対する訴訟提起…………………………………………………… 268   8 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 268  第5の2 施設使用料…………………………………………………………………… 269   1 債権の概要………………………………………………………………………… 269  第5の3 駐車場使用料………………………………………………………………… 271   1 債権の概要………………………………………………………………………… 271  第6 レンタサイクル使用料…………………………………………………………… 272   1 債権の概要………………………………………………………………………… 272   2 監査の重点及び手続……………………………………………………………… 273   3 利用承認期間を超過した場合の負担額………………………………………… 273   4 督促状による督促………………………………………………………………… 275   5 督促手数料の請求………………………………………………………………… 275   6 徴収停止…………………………………………………………………………… 276  第7 し尿処理手数料…………………………………………………………………… 276   1 債権の概要………………………………………………………………………… 276   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 278   3 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 278   4 徴収停止…………………………………………………………………………… 279  第8 中央卸売市場施設使用料(水道、電気使用料を除く)……………………… 279   1 債権の概要………………………………………………………………………… 279   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 284   3 納期限の定め……………………………………………………………………… 285   4 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 285   5 保証金の定め……………………………………………………………………… 286   6 保証金の充当……………………………………………………………………… 289   7 施設の返還の申出………………………………………………………………… 290   8 督促状による督促………………………………………………………………… 290   9 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 291   10 分納誓約と監督処分……………………………………………………………… 292   11 合名会社無限責任社員…………………………………………………………… 293   12 使用料の減免……………………………………………………………………… 294   13 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 296  第9 国保資格喪失後受診返還金……………………………………………………… 297   1 債権の概要………………………………………………………………………… 297   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 299   3 不正利得・資格喪失後受診を防止するための措置…………………………… 299   4 不正利得との区別………………………………………………………………… 299   5 督促状による督促………………………………………………………………… 300   6 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 300   7 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 300   8 納付相談…………………………………………………………………………… 301   9 情報共有…………………………………………………………………………… 302   10 徴収停止…………………………………………………………………………… 303  第10 福祉医療費助成金返還金………………………………………………………… 304   1 債権の概要………………………………………………………………………… 304   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 308   3 資格喪失後受診返還金の発生を防止するための措置………………………… 308   4 納付相談…………………………………………………………………………… 309   5 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 309
      6 履行延期の処分…………………………………………………………………… 309   7 情報共有…………………………………………………………………………… 311   8 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 313   9 徴収停止…………………………………………………………………………… 313  第11 岐阜市立女子短期大学授業料…………………………………………………… 314   1 債権の概要………………………………………………………………………… 314   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 315   3 督促状の発付時期………………………………………………………………… 315   4 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 316   5 法的手続による請求……………………………………………………………… 316   6 保証人対応………………………………………………………………………… 317   7 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 318   8 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 318  第12 岐阜薬科大学授業料……………………………………………………………… 319   1 債権の概要………………………………………………………………………… 319   2 監査の観点及び監査手続………………………………………………………… 320   3 納期限の定め……………………………………………………………………… 321   4 督促状の発付時期………………………………………………………………… 321   5 行政不服申立ての教示…………………………………………………………… 322   6 法的手続による請求……………………………………………………………… 322   7 督促手数料及び延滞金…………………………………………………………… 323   8 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 323  第13 職員駐車場使用料(第二恵光・第三恵光)…………………………………… 324   1 債権の概要………………………………………………………………………… 324   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 325   3 使用料の未徴収…………………………………………………………………… 325 第5章 私債権……………………………………………………………………………… 326  第1 本章の概要………………………………………………………………………… 326  第2 食費等サービス利用料金(第二恵光、第三恵光)…………………………… 328   1 債権の概要………………………………………………………………………… 328   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 329   3 身元引受人の法的地位…………………………………………………………… 330   4 督促状による督促………………………………………………………………… 330   5 納付相談記録……………………………………………………………………… 331   6 分納誓約書の取得………………………………………………………………… 332   7 充当の順序………………………………………………………………………… 332   8 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 333  第3 福祉資金貸付金…………………………………………………………………… 334   1 債権の概要………………………………………………………………………… 334   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 335   3 保証人に対する請求……………………………………………………………… 335   4 催告の頻度………………………………………………………………………… 336   5 債権の管理方法と時効中断措置の実行………………………………………… 336   6 消滅時効と債権放棄……………………………………………………………… 337   7 管理体制の検討…………………………………………………………………… 338  第4 住宅建築資金貸付金・同和向個人住宅建設資金貸付金……………………… 339   1 債権の概要………………………………………………………………………… 339   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 341   3 保証人に対する請求、抵当権の実行…………………………………………… 341   4 催告の対象と頻度………………………………………………………………… 342   5 債務者・連帯保証人死亡時の回収……………………………………………… 343   6 遅延損害金の請求………………………………………………………………… 343   7 債権の管理方法…………………………………………………………………… 343   8 時効中断措置の実行……………………………………………………………… 344  第5 母子父子寡婦福祉資金貸付金…………………………………………………… 344   1 債権の概要………………………………………………………………………… 344   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 347   3 貸付審査の強化…………………………………………………………………… 347   4 督促・催告等のマニュアル作成………………………………………………… 348   5 訪問徴収・電話催告……………………………………………………………… 349   6 違約金の請求と調定……………………………………………………………… 350   7 消滅時効と債権放棄……………………………………………………………… 351  第6 育英資金貸付金…………………………………………………………………… 351   1 債権の概要………………………………………………………………………… 351   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 354   3 貸付審査委員会における審査基準の作成……………………………………… 354   4 督促・催告等のマニュアル作成………………………………………………… 355   5 訪問徴収・電話催告……………………………………………………………… 356   6 消滅時効と債権放棄……………………………………………………………… 356  第7 水道料金…………………………………………………………………………… 357   1 債権の概要………………………………………………………………………… 357   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 361   3 納期限の定め……………………………………………………………………… 362   4 委託業務の範囲…………………………………………………………………… 362   5 仕様書における業務対象の明示………………………………………………… 362   6 督促状における行政不服申立ての教示………………………………………… 363   7 岐阜市債権取扱規則の適用……………………………………………………… 363   8 遅延損害金徴収の検討…………………………………………………………… 364   9 取扱要綱に基づく給水停止の執行……………………………………………… 364   10 支払督促等の訴訟手続…………………………………………………………… 367   11 日常家事連帯債務の意識………………………………………………………… 368   12 管理人に対する請求……………………………………………………………… 368   13 消滅時効期間の満了と不納欠損処分…………………………………………… 369   14 債権放棄…………………………………………………………………………… 372   15 情報共有…………………………………………………………………………… 373  第8 病院医業収益……………………………………………………………………… 374   1 債権の概要………………………………………………………………………… 374   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 376   3 督促における納期限の定め……………………………………………………… 377   4 来院した未納者への対応………………………………………………………… 378   5 入院誓約書及び保証書…………………………………………………………… 378   6 納付誓約書(債務承認書)の取得……………………………………………… 379   7 岐阜市債権管理調整会議に提出するデータ…………………………………… 379   8 弁護士法人への回収業務の委託………………………………………………… 381   9 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 384   10 不納欠損処分の手続……………………………………………………………… 386   11 補論(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険法第42条第2項)      …………………………………………………………………………………… 387  第9 中央卸売市場(電気料・水道使用料)………………………………………… 390   1 債権の概要………………………………………………………………………… 390
      2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 393   3 水道使用料の分類………………………………………………………………… 393   4 保証金の定め……………………………………………………………………… 394   5 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 394   6 消滅時効と不納欠損処分………………………………………………………… 396  第10 土地建物貸付収入・使用損害金・弁償金(管財課分)……………………… 397   1 債権の概要………………………………………………………………………… 397   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 399   3 賃貸借契約の解除………………………………………………………………… 399   4 分納誓約書の取得………………………………………………………………… 400   5 連帯保証人に対する請求………………………………………………………… 401   6 延滞金(遅延損害金)の定め…………………………………………………… 401   7 延滞金(遅延損害金)の請求…………………………………………………… 402   8 土地貸付整理簿、建物貸付整理簿……………………………………………… 403   9 弁償金に関する時効中断の措置………………………………………………… 403  第11 土地貸付収入(住宅課分)……………………………………………………… 403   1 債権の概要………………………………………………………………………… 403   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 405   3 滞納事案における債権回収の工夫……………………………………………… 405   4 連帯保証人に対する請求………………………………………………………… 406   5 延滞金(遅延損害金)の請求…………………………………………………… 406  第12 公営住宅使用弁償金……………………………………………………………… 407   1 債権の概要………………………………………………………………………… 407   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 408   3 債権の発生時期…………………………………………………………………… 409   4 公営住宅使用弁償金の金額……………………………………………………… 411  第13 市営住宅退去修繕料……………………………………………………………… 411   1 債権の概要………………………………………………………………………… 411   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 413   3 催告の工夫………………………………………………………………………… 413   4 連帯保証人に対する請求………………………………………………………… 414   5 徴収停止…………………………………………………………………………… 414  第14 放課後児童クラブ事業実費負担額(学童保育料)…………………………… 415   1 債権の概要………………………………………………………………………… 415   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 416   3 利用決定の取消し………………………………………………………………… 416   4 督促の方式………………………………………………………………………… 416   5 催告文書の記載…………………………………………………………………… 417   6 納付相談記録……………………………………………………………………… 417   7 分納誓約書または債務承認書の取得…………………………………………… 418   8 消滅時効の管理…………………………………………………………………… 418  第15の1 第三者行為求償金(国保・年金課)……………………………………… 419   1 債権の概要………………………………………………………………………… 419   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 422   3 第三者行為求償事案の発見……………………………………………………… 422   4 請求書に記載されている過失割合……………………………………………… 423   5 納付相談記録……………………………………………………………………… 423   6 分納誓約書の記載事項…………………………………………………………… 423   7 法的手続による請求……………………………………………………………… 424   8 情報共有…………………………………………………………………………… 425   9 徴収停止…………………………………………………………………………… 426   10 債権放棄…………………………………………………………………………… 427  第15の2 第三者行為求償金(介護保険課)………………………………………… 428   1 債権の概要………………………………………………………………………… 428   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 430   3 第三者行為求償事案の発見……………………………………………………… 431   4 国保連との協議…………………………………………………………………… 431   5 国税徴収法による調査情報……………………………………………………… 432   6 給付免責…………………………………………………………………………… 433   7 債権管理簿………………………………………………………………………… 433  第15の3 第三者行為求償金(福祉医療課)………………………………………… 434   1 債権の概要………………………………………………………………………… 434   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 436   3 債権の根拠規定…………………………………………………………………… 436   4 納付相談記録……………………………………………………………………… 437   5 分納誓約書の記載事項…………………………………………………………… 437   6 情報共有…………………………………………………………………………… 438   7 国税徴収法による調査情報……………………………………………………… 439  第16 レンタサイクル条例に基づく損害賠償請求権………………………………… 440   1 債権の概要………………………………………………………………………… 440   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 441   3 使用料との性質の違い…………………………………………………………… 441   4 徴収停止の措置…………………………………………………………………… 442  第17 不法占用に基づく占用料相当額の不当利得返還金・損害賠償金…………… 443   1 債権の概要………………………………………………………………………… 443   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 445   3 情報収集と調査検討……………………………………………………………… 446  第18 斎苑の雑入(返還金及び弁償金)……………………………………………… 448   1 債権の概要………………………………………………………………………… 448   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 449   3 戻入・調定手続における納期限の定め………………………………………… 449   4 督促状による督促………………………………………………………………… 450   5 徴収停止…………………………………………………………………………… 450  第19 臨時福祉給付金返還金…………………………………………………………… 451   1 債権の概要………………………………………………………………………… 451   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 453   3 戻入・調定手続における納期限の定め………………………………………… 453   4 督促状による督促………………………………………………………………… 454   5 回収に向けた措置………………………………………………………………… 454  第20 成年後見手数料事務処理費用(高齢福祉課)………………………………… 455   1 債権の概要………………………………………………………………………… 455   2 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 455   3 徴収停止…………………………………………………………………………… 456 第6章 岐阜市債権管理調整会議………………………………………………………… 457  第1 本章の概要………………………………………………………………………… 457  第2 岐阜市債権管理調整会議の概要………………………………………………… 457   1 設置根拠…………………………………………………………………………… 457   2 設置経緯(「岐阜市債権管理条例の制定及び岐阜市債権管理プロジェ       クトチームの設置」)…………………………………………………………457   3 組織及び運営……………………………………………………………………… 459
     第3 監査の重点及び監査手続………………………………………………………… 462  第4 岐阜市の債権の把握……………………………………………………………… 462  第5 担当課及び取扱債権……………………………………………………………… 463   1 担当課及び取扱債権の実態(前提事実)……………………………………… 463   2 担当課及び取扱債権以外の未収金の存在……………………………………… 464   3 産業廃棄物処理手数料(環境事業課)………………………………………… 466   4 取扱債権の分類…………………………………………………………………… 466  第6 債権管理調整会議取扱債権のデータ…………………………………………… 467   1 データ(前提事実)……………………………………………………………… 467   2 データの問題点…………………………………………………………………… 468  第7 会議及び検討部会の実際………………………………………………………… 469   1 会議及び検討部会の開催状況及び議事内容…………………………………… 469   2 議事録の作成……………………………………………………………………… 472   3 督促手数料及び延滞金の徴収状況の検証……………………………………… 472   4 消滅時効管理の適正化に向けた取組み………………………………………… 473   5 事務手続根拠の情報提供・共有及び管理の適正化に向けた取組み………… 474  第8 研修………………………………………………………………………………… 476 終章 課題と提言…………………………………………………………………………… 477  第1 現状の課題………………………………………………………………………… 477  第2 提言………………………………………………………………………………… 477   1 提言の意味………………………………………………………………………… 477   2 岐阜市債権管理条例の見直し(「根拠」)…………………………………… 478   3 事務手続根拠・基準の明確化(「根拠」)…………………………………… 479   4 督促手数料及び延滞金、違約金の取扱い(「全庁的な運用」)…………… 484   5 債務者情報の取得・共有化(「全庁的な運用」)…………………………… 490   6 徴収の工夫(回収のノウハウ共有、徴収の一元化、民間委託の活用)       (「全庁的な運用」)……………………………………………………… 493  第3 最後に……………………………………………………………………………… 494 最終章 3年間の総括……………………………………………………………………… 495 巻末資料……………………………………………………………………………………… 496 序章 第1 包括外部監査の概要 1 外部監査の種類  地方自治法第252条の37第1項に基づく包括外部監査 2 選定した特定の事件 (1)外部監査のテーマ   岐阜市の債権 (2)外部監査の対象期間   原則として、平成27年度。ただし、必要に応じて他年度。 3 事件を選定した理由 (1)金額からみて債権が岐阜市の重要な財産であること  岐阜市債権管理条例により設置、運営されている岐阜市債権管理調整会議に おいて、取扱対象とされている債権の、平成27年度決算における合計の数値 は、次のとおりである(ただし、各取扱債権千円単位の集計の合計額)。 【平成27年度の決算データ】     (数値は岐阜市債権管理調整会議の資料による) ┌─────┬─────────┬────────────────────┐ │ 調定額 │1373億9335万8000円│調定(歳入を収入する場合になされる手続)│ │     │         │による決定金額             │ ├─────┼─────────┼────────────────────┤ │ 収入額 │1181億9757万7000円│調定額中、当該年度の出納閉鎖日(5月31 │ │     │         │日)までに収入された金額        │ ├─────┼─────────┼────────────────────┤ │     │         │既に調定された歳入が徴収できないと認定 │ │不納欠損額│ 16億0154万5000円│され、会計上の管理から外すこととなった │ │     │         │金額                  │ ├─────┼─────────┼────────────────────┤ │収入未済額│ 175億9423万6000円│出納閉鎖日までに収入されなかった金額  │ └─────┴─────────┴────────────────────┘  これらの数値は、あくまで岐阜市債権管理調整会議の取扱債権に関するもの で、岐阜市の債権全体を網羅したものではないが、それでも多額である。  金額からみて、岐阜市の債権が岐阜市の重要な財産であることは明らかであ り、本監査において、債権にかかる事務が適正に執行されているかを検証する 意義は大きいと考えた。 (2)岐阜市債権管理調整会議(全庁的取組み)に課題が見受けられたこと  監査テーマ選定の予備調査の段階で、岐阜市債権管理調整会議の事務局に対 するヒアリングを実施し、岐阜市の債権にかかる事務状況を確認することを試 みた。同会議が、市の債権に関する事務の状況を的確に把握するとともに、市 の債権を適正に管理するための体制を整備するための組織とされていたから である(岐阜市債権管理条例第5条、同施行規則第2条)。  しかしながら、同会議で取り扱う債権は、岐阜市の債権のすべてではなく、 岐阜市債権管理条例第2条が定義する「市の債権」(対象)が具体的に何を指 しているのか明確とならなかった。  ヒアリングで受けた率直な感想は、会議が単に担当課の報告の場となってお り、有効に活用されていないのではないかというものであった。岐阜市債権管 理調整会議の資料を徴求し、閲覧したところ、平成27年度に実施された3回 の会議中、議事録は1回分しか存在せず、会議での議論状況も不明であった。  債権にかかる全庁的な取組みである岐阜市債権管理調整会議に課題が見受 けられ、岐阜市の債権の事務実態を個別に検証することには意義があると考え た。 (3)自治体の関心が高い事務であること  少子化・超高齢社会の日本において、自治体では新たな自主財源の確保は厳 しい状況である。他方で、社会福祉費などの歳出の増加が避けがたい現状があ る。  その意味で、「債権」という財産を、いかに確実に回収していくかというこ とは、どの自治体においても重要な事項であり、自治体の関心が高い事務であ ると思われる。岐阜市も例外ではないであろう。  この点、内閣府公共サービス改革推進室(平成28年度より総務省公共サー ビス改革推進室)では、年2回全国各地の弁護士会と主催、日本弁護士連合会 と共催で、公金の債権回収業務に関する法務研修を実施している。平成27年
    度は山形県と徳島県で実施された。自治体職員が研修に参加するなど関心が高 く、平成28年9月には岐阜県で開催されることとなっていた(本監査報告時 には実施済み)。自治体側の関心という意味で、岐阜市の債権を取り上げる意 義は大きいと考えた。 (4)市民への信頼、公平感が特に必要とされる事務であること  地方自治法第10条第2項では、「住民は、法律の定めるところにより、その 属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担 を分任する義務を負う。」とされている。  自治体が、住民に役務を提供するにおいて債権が重要な財源であることから すれば、その財源について債務者(支払側)に公平に負担してもらうことがそ の前提として必要である。  適正な納税者や納付者からすれば、納期限まで納付しない者を不当に利する 結果、すなわち、「払わないもの得」を許すことができないということは素直 な市民感覚であろう。  岐阜市の債権にかかる事務において、公平な事務がなされているといえるか の検証が必要と考えた。 (5)過去の岐阜市包括外部監査との関係で意義があること  債権をテーマにするということは、自治体の「カネ」にかかる事務に、真正 面から着目することである。監査人が実施した過去2年の監査は、平成26年 度は、「岐阜市の外郭団体」という組織を軸として岐阜市の事務実態を横断的 に検証したものであった。また、平成27年度は、「岐阜市の生活保護」という 福祉が前面に出る事務を深く掘り下げて検証したものであった。  監査人の実施した過去2年の監査との関係で、最終年度の本年度は、「カネ」 に真正面から着目し、岐阜市の事務執行を横断的に検証することとした。  ところで、平成25年度以前の岐阜市の過去の包括外部監査においても、岐 阜市の債権については、様々な角度から検証がなされてきた。例えば、近いと ころでいえば、平成20年度では、未収金、貸付金及び債務保証が対象とされ ているし、平成25年度では、自主財源の確保に係る財務事務の執行及び管理 の中で、市税等の債権について検証がなされている。いずれも公認会計士監査 人の監査であるところ、本年度は、弁護士監査人からみた債権という観点から の監査であって、過去の包括外部監査とは視点が異なり意義はあると考えた。  そして、過去の包括外部監査との関係では、その措置状況について適切にな されているかを広く確認することができることになり、その意味でも意義があ ると考えた。 (6)結語  以上、主に5つの理由から、本年度は「岐阜市の債権」を監査テーマに選定 した。 4 包括外部監査の方法 (1)対象部署  本監査においては、全庁を対象とした債権調査票を利用しており、その意 味では岐阜市全ての部署となる。その中で、個別ヒアリングを実施したのは、 次の部署である。  ●債権管理調整会議担当課(21課)及び関連担当課 ┌────────────────────────────────────┐ │財政部 納税課(債権の発生面から、市民税課、資産税課、税制課にもヒアリン│ │       グ実施)                         │ │行政部 管財課                             │ │農林部 中央卸売市場                          │ │市民生活部 国保・年金課                        │ │福祉部 介護保険課                           │ │同   福祉事務所 生活福祉一課                    │ │同   福祉事務所 第二恵光                      │ │同   福祉事務所 高齢福祉課                     │ │同   福祉事務所 福祉医療課                     │ │子ども未来部 子ども支援課                       │ │同      子ども保育課                       │ │市民病院 事務局 医事課                        │ │自然共生部 循環型社会推進課                      │ │環境事業部 環境事業政策課                       │ │同     環境事業課                         │ │まちづくり推進部 住宅課                        │ │都市建設部 歴史まちづくり課                      │ │基盤整備部 土木管理課                         │ │上下水道事業部 営業課                         │ │市民参画部 人権啓発センター                      │ │教育委員会 事務局 青少年教育課                    │ └────────────────────────────────────┘  ●平成27年度未収債権存在課 ┌────────────────────────────────────┐ │福祉部 福祉政策課                           │ │自然共生部 斎苑                            │ │岐阜薬科大学 庶務会計課                        │ │女子短期大学 総務管理課                        │ │福祉部 福祉事務所 恵光学園                      │ └────────────────────────────────────┘  ●債権管理調整会議事務局 ┌────────────────────────────────────┐ │財政部 税制課(平成27年度担当)                    │ │同   納税課(平成28年度担当)                    │ └────────────────────────────────────┘  ●債権管理調整会議オブザーバー担当課 ┌────────────────────────────────────┐ │財政部 財政課(同課には財務書類の担当課としてもヒアリングを実施した) │ │行政部 行政課                             │ └────────────────────────────────────┘  ●会計管理者 会計課 (2)監査手続の概要  詳細は、個別債権の「監査手続」部分等に記載している。  ここでは本年度の監査手続の全体概要を示す。  以下の監査手続の流れを経て本報告書は作成されている。
    ┌──────────────────────────┐ │全体像把握目的のヒアリング・書類閲覧(全体像の確認)│ └──────────────────────────┘  まず、岐阜市の債権の全体像を把握する目的で、次のとおり、ヒアリングを 実施した。  平成28年6月16日:財政課(財務書類4表)、税制課(債権管理調整会議 事務局)  平成28年7月6日:会計課(決算)、国保・年金課、住宅課、上下水道事業 部営業課(債権管理調整会議担当課)  ↓ ┌─────────────────┐ │全庁的に調査票による照会(網羅性)│ └─────────────────┘  上述のとおり、全体像把握目的のヒアリングを実施したが、その結果、債権 管理調整会議担当課の顕出債権は、岐阜市の債権全体の全てではないことが判 った。  債権管理調整会議担当課以外の課で債権を管理している部署があるという ことであるが、債権管理調整会議担当課と比べて、債権管理について意識、研 鑽をする機会が乏しいのではないかと考えた。他課において、そもそも債権を 取り扱っているか否か、取り扱っているとして適切な管理がなされているかそ の事務実態を把握する必要があると考えた。  そこで、債権の組織、発生、管理にかかる事務等、調査項目を網羅した調査 票を作成し、平成28年7月29日、監査委員事務局を通じ、岐阜市の課、室単 位まで全てに対して調査票を送付し、全てから回答を得た。  なお、調査票の様式については、巻末資料3として添付した。  ↓ ┌──────────────────────────────────┐ │債権管理調整会議担当課及び関連課に対する個別監査          │ │債権管理調整会議事務局担当課に対する個別監査            │ │平成27年度未収債権存在課(債権管理調整会議担当課外)に対する個別監査│ └──────────────────────────────────┘  必要性に応じて、ヒアリングを実施し、あるいは、必要書類を徴求し、書類 監査を実施した。 ┌─────┐ │関係人調査│ └─────┘  地方自治法第252条の38第1項では、「監査のため必要があると認めるとき は監査委員と協議して、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、 若しくは、関係人の帳簿、書類その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有 する者等から意見を聴くことができる。」と規定されている。  本監査において、介護保険課の第三者行為損害賠償求償金との関係で、関係 人調査の調査が必要であると考え、平成29年1月5日、同債権管理の受託者 である岐阜県国民健康保険団体連合会に対して関係人調査を実施した。同調査 については、事前に地方自治法第252条の38第1項規定の監査委員協議を経 ている。この点についての報告は、「第5章 第15の2 第三者行為求償金(介 護保険課)」の項目で記載している。 ┌────────────┐ │債権管理調整会議等の傍聴│ └────────────┘  平成28年度開催された債権管理調整会議、検討部会、研修会を傍聴した。 ┌─────────────────┐ │過去の包括外部監査の措置状況の検証│ └─────────────────┘  平成11年度以降の岐阜市の包括外部監査中、債権の発生・管理にかかる指 摘・意見、措置状況を抽出し、必要に応じて検証を実施した。債権管理調整会 議担当課等に対するヒアリングで確認した。 (3)監査の観点  包括外部監査においては、事務実態を正確に捉えた上で、具体的な判断(指 摘・意見)を報告する必要がある。そのためには、予め、適切な監査の観点を もって検証することが重要である。  本監査における監査の観点は、次のとおりである。 ┌────────────────────┐ │適法性─事務執行が、適法になされているか│ └────────────────────┘  法律による行政の原理という言葉があるが、自治体は法令に従って事務執行 することが必要である。  地方自治法第2条第16項は、「地方公共団体は、法令に違反してその事務を 処理してはならない」と規定する。地方財政法第4条第2項は、「地方公共団 体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。」と規定する。  また、例えば、地方自治法第240条第2項では、「普通地方公共団体の長は、 債権について、政令の定めるところにより、その督促、強制執行その他その保 全及び取立てに関し必要な措置をとらなければならない。」と規定する。政令 とは地方自治法施行令である。  法律、政令に限らず、広く、自治体制定の条例、規則や内部規定である要綱 等を含めて、根拠に基づいて債権にかかる事務執行をする必要がある。  監査人が観点とする「適法性」は、かかる考えのもと、狭い意味の法令違反 に限らず、根拠違反と広く捉えて表現しているものである。  根拠に基づく債権の事務執行は、結果として最善の結果(「回収すべきもの を回収する」)につながるはずのものである。また、逆に根拠に基づかない債 権の事務執行をした場合、住民監査請求の対象となる可能性がある(地方自治 法第242条)。消極的な意味合いではあるが、そうならないためにも根拠に基 づく債権の事務執行が必要である。  債権の事務執行にあたっては適法性が何よりも重要であり、特にかかる観点 を強く意識して、適切に事務執行がなされているかを検証した。 ┌─────────────────────────────────┐ │有効性-事務執行が、所期の目的を達成しているか、効果を上げているか│ │経済性-事務執行が、より少ない費用で実施できないか        │ │効率性-事務執行が、同じ費用でより大きな成果を上げられないか   │ └─────────────────────────────────┘  外部監査は、地方自治法第2条第14項(住民福祉の増進、最小の経費で最 大の効果)及び同第15項(組織及び運営の合理化、規模の適正化)の規定を 達成するために必要と認める特定の事件について実施される(地方自治法第 252条の37第1項)。
     これらの規定に鑑みれば、債権の事務執行にあたっては、適法性を前提とし つつも、有効性、経済性、効率性といった各種観点も重要であり、かかる観点 から、適切に事務執行がなされているかを検証した。 ┌────────────────────┐ │公平性-事務執行が、公平になされているか│ └────────────────────┘  地方自治法第10条2項は、「住民は、法律の定めるところにより、その属す る普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分 担する義務を負う。」と規定している。  債権の事務執行でみれば、納付すべきものを納期限までに納付する市民が大 半であるところ、そうではない者と合理的な理由なく同様の扱いでは不公平で はないかという問題が生じる。  例えば、納期限までに納付しなかった者につき、延滞金の徴収など何らのペ ナルティーも課されなければ期限までに納付しても納付しなくても同じとい うことになるし、また、合理的理由なく納付をしない者がいる場合、自治体が 回収に向けた努力をせずに消滅時効にかけてしまうと、結局「粘ったもの勝ち」 ということになりかねない。  債権の事務執行にあたっては公平性という観点が重要であり、かかる観点か ら、適切な事務執行がなされているか検証した。 ┌─────────────────────┐ │透明性-事務執行の透明性が確保されているか│ └─────────────────────┘  市民の視点でいえば、自治体の事務執行手続が、「見える化」されているか は重要である(情報公開等)。そもそも、不適切な事務執行がなされにくくな る上、市民によるチェックも働くからである。  岐阜市においては、岐阜市住民自治基本条例が制定され、同市が制定する各 種条例等の土台たる位置づけとされているが(第3条)、同条例の第5条(基 本原則)では、岐阜市と市民の情報の共有がうたわれ、第6条では、市政に関 する市民の知る権利が認められ、同第8条第1項第2号では、岐阜市側は透明 性を高め、説明責任を果たすことが責務として定められている。債権の事務執 行は、住民自治、まちづくりとは無関係ではなく、岐阜市住民自治基本条例が 適用あるいはその趣旨が適用されるべきものである。  債権の事務執行にあたっては、透明性が確保されているかといった観点も重 要であり、かかる観点から、適切な事務執行がなされているかを検証した。 5 包括外部監査の期間  平成28年6月1日~平成29年2月17日 6 包括外部監査人及び補助者  監査人は、監査事務に際し、監査人補助者の補助を受けている(地方自治法 第252条の32第1項)。監査人を含め弁護士7名、公認会計士1名、税理士3 名の合計11名体制で監査を実施し、各専門による多角的視点による監査とし た。また、過去3年度の監査で最多の人数であり、各人の経験、知識を最大限 活かせるべく役割分担をした。  包括外部監査人 芝   英 則(弁護士)  同補助者    堀   雅 博(弁護士)  同補助者    和 田   恵(弁護士)  同補助者    竹 中 雅 史(弁護士)  同補助者    平 松 卓 也(弁護士)  同補助者    渡 辺 俊 介(弁護士)  同補助者    黒 宮 崇 宏(弁護士)  同補助者    後 藤 久 貴(公認会計士)  同補助者    後 藤   聡(税理士)  同補助者    米 津 覚 登(税理士)  同補助者    新 開   章(税理士) 7 利害関係  選定した特定の事件につき、地方自治法第252条の29の規定により記載す べき利害関係はない。 第2 報告書の構成 1 全体の構成  序 章  第1章 岐阜市の債権の現状  第2章 岐阜市の債権にかかる事務(全体)  第3章 強制徴収公債権  第4章 非強制徴収公債権  第5章 私債権  第6章 岐阜市債権管理調整会議  終 章 課題と提言  最終章 3年間の総括  巻末資料  第1章では、岐阜市の債権の現状を報告する。本監査における「対象」を明 らかにする部分という意味で重要と考える部分である。そもそも岐阜市の債権 とは何を指すのかということ及び調査票を用いて判明した岐阜市の債権の実 態を報告するとともに、岐阜市の決算や財務書類を紹介し、これらからみた債 権という観点でも報告する。  第2章では、岐阜市の債権にかかる事務の全体像を報告する。この章では、 まず岐阜市の債権の基本的な事務の流れを示し、債権の発生から消滅に至るま で、時系列に従い、事務ごとに具体的な監査項目を設定している。何について 監査をするのか、その意味はどこにあるのかを記載している。第3章以下で報 告する個別債権の検証につき共通した監査項目となる。  第3章から第5章は、個別債権の報告である。本監査のメインとなる部分で ある。第3章では強制徴収公債権を、第4章では非強制徴収公債権を、第5章 では私債権をそれぞれ報告する。債権の性質による分類ごとに報告するのは、 債権管理の事務手続が異なるからである。各章の冒頭に概要を設け、債権の分 類ごとの基本的な事務の流れを図で示した。  第6章では、岐阜市の債権にかかる全庁的な組織体制である債権管理調整会 議を報告する。平成23年度、岐阜市において適正な債権管理を実施する体制 として設置された会議であり、岐阜市の債権事務執行にあたり重要な位置づけ とされるべきものである。同会議の設置経緯、存在意義等や現状を報告し、事 務実態等の課題について意見を述べる。  終章は、本監査でみられた課題を踏まえた監査人の提言を報告する。  また、本年度の監査は、監査人として3年目、最後の年度であり、最終章に て、過去3年間を総括する。
    2 個別の構成(第3章から第5章)  本報告の中心部分である。概ね以下の構成で報告することとした。 ┌──┐ │概要│ └──┘  債権の内容、根拠、債権の性質、所管課、過去5年度(一部を除く)のデー タを掲載するなどし、債権を検証する前提として、可能な限り詳細な情報を記 載した。   ↓ ┌───────────┐ │監査の重点及び監査手続│ └───────────┘  当該債権ごとの実際の監査手続の詳細を記載した。なお、当該取扱債権の概 要を踏まえ、監査を実施するにおいて特に重視した部分が存在する場合には、 監査の重点を併せて記載した。   ↓ ┌───────────────┐ │事実関係の摘示(【事実関係】)│ └───────────────┘  監査において把握した事実関係を明記した。  事実関係は判断の前提となるものであることから、正確性を意識した。   ↓ ┌───────────────────────┐ │適用が問題となる法律等根拠類の摘示(【規範】)│ └───────────────────────┘  昨年度の監査でも用いた。判断の前提として、その事務について適用される 根拠類を可能な限り明示することとした。法律、条例、規則、要綱、要領、マ ニュアルなど多種あるが、表現としては、【規範】(よって立つべき基準の意味) とした。   ↓ ┌─────────────┐ │判断(【指摘】・【意見】)│ └─────────────┘ 【指摘】・【意見】の意義は次のとおりである。 ┌────┬─────┬───────────────────────┐ │ 指摘 │べきである│違法又は不当であり、是正・改善を求めるもの  │ ├────┼─────┼───────────────────────┤ │ 意見 │望ましい │違法又は不当ではないが、是正・改善を求めるもの│ └────┴─────┴───────────────────────┘ 【指摘】・【意見】の記載部分について説明する。  まず、過去2年度と同様に対象課を明示した。  昨年度同様、【規範】に反しているものは【指摘】方向という考え方を用い ている。【指摘】・【意見】の結論は、簡潔にすることを心がけたが、結論に至 る過程は、可能な限り具体的に記載した。また、併せて、可能な限り、積極的 かつ具体的な改善案も提案した。岐阜市は、監査の措置状況を監査委員に通知 し、監査委員はこれを公表する義務があるが(地方自治法第252条の38第6 項)、監査人において具体的に岐阜市が検討する契機となるものにしなければ ならないという意識が強くあるからである。  なお、本監査は、平成27年度の事務執行を対象としているものであるとこ ろ、岐阜市が、平成28年度中、自主的に、あるいは、本監査の過程を経て改 善を実施している場合には(改善報告)という形で明記した。 ┌──────────┐ │判断(【参考報告】)│ └──────────┘  監査人の過去2年度の監査では、判断において指摘・意見の記載をするのみ であった。要するに、対象課に向けた改善点のみを判断として報告していたこ ととなる。逆に、担当課が他の課の参考になる取組をしていると判断した場合 に、そのことを明示して、他課が意識することは有益なことではないかと考え た。そこで、監査人において、他課の参考になると判断したものは、「参考報 告」として明示することとした。 3 巻末資料  巻末資料1として「指摘及び意見一覧表」を添付した。一覧表のみで意味を とれることを意図し、指摘及び意見の欄の上部に、それぞれ指摘及び意見の対 象項目を記載した(【 】部分)。また,末尾に参考報告の一覧を記載した。  本年度は、全庁的に債権の調査を実施したことから、巻末資料2として「岐 阜市の行政機構図(平成27年7月18日現在)」を、巻末資料3として「調査 票」の様式を添付した。  その他、巻末資料4から11にて、本報告書で引用する根拠、様式を一部掲 載した。 第1章 岐阜市の債権の現状 第1 本章の概要  本監査は、「岐阜市の債権」をテーマとする。  そもそも、テーマの対象となる「岐阜市の債権」とは具体的にどのようなも のを指すのか。監査の対象を把握することは、監査の出発点であり大変重要な 事項と考える。  本章では、「第2」において、自治体債権に関する一般論を簡潔に説明する。  引き続き、「第3」において、岐阜市が認識している岐阜市の債権を紹介す る。また、一般市民が、岐阜市の財政状況を確認する際に、その材料としては、 決算及び財務書類があるが、「第4」「第5」において、これらから見た岐阜市 の債権という観点で報告する。  その後、「第6」において、各種債権管理措置を講じる必要性が高い平成27 年度の岐阜市の未収債権を紹介し、最後、「第7」において、本章をまとめる。 第2 自治体の債権 1 債権  債権とは、ある者(債権者)がある者(債務者)に対して、一定の給付を請 求することができる権利をいう(最広義)。
     債権は、金銭債権と非金銭債権に分類される。  金銭債権は、目的物が金銭である場合のものである。非金銭債権は、金銭以 外の財物や労務の提供を目的とする場合のものをいう。例えば、売買契約にお いて、買主が売主に対して、商品の引き渡しを請求する権利であるとか、雇用 契約において、使用者が被用者に対して労務の提供を請求する権利などである。 2 自治体債権の定義  地方自治法第240条第1項では、「この章において「債権」とは、金銭の給 付を目的とする普通地方公共団体の権利をいう」と規定している。 3 自治体債権の分類 (1)債権の性質による分類   自治体債権は、まず大きく、公債権と私債権に分類される。   公債権は、公法上の原因に基づいて発生する債権であり、私債権は、私  法上の原因に基づいて発生する債権である。   公債権は、滞納処分(自力執行)による徴収が可能か否かで、更に、強  制徴収公債権と非強制徴収公債権とに分類される。   強制徴収公債権は、地方税(地方自治法第223条)、国民健康保険料(国  民健康法第79条の2)、介護保険料(介護保険法第144条)など法律に滞  納処分ができる旨の規定があるもののほか、地方自治法第231条の3第3  項に規定される分担金(同第224条)、加入金(同第226条)、過料(同第  14条第3項)などがある。   非強制徴収公債権は、強制徴収公債権以外の公債権であり、行政財産の  目的外使用許可又は公の施設利用にかかる使用料(地方自治法第225条)、  特定の者のためにかかる手数料(同第227条)などがある。   私債権は、契約、事務管理、不当利得、不法行為などの私法上の原因に  基づいて発生する債権である。例えば、貸付金、損害賠償金などがある。 (2)その他の分類   上記以外に、自治体債権の分類としては、「決算の「財産に関する調書」  (地方自治法施行規則第16条の2)に記載されている債権」と「それ以外  の債権」という分類もありうる。「財産に関する調書」部分には、地方自治  法第237条第1項記載の「公有財産」、「物品」、「債権」、「基金」について  記載があるが、財産に関する調書記載の「債権」において、各種貸付金(私  債権)等の記載がある。 4 まとめ  以上の債権の定義、分類をまとめると次表のとおりとなる。  本監査の対象は、債権の中でも金銭債権に限るものであり、強制徴収公債権、 非強制徴収公債権、私債権のいずれをも対象とするということとなる。 第3 岐阜市の債権 1 定義  岐阜市債権管理条例第2条は、「市の債権とは、金銭の給付を目的とする市 の権利をいう」と規定している。  地方自治法第240条第1項は「この章において「債権」とは、金銭の給付を 目的とする普通地方公共団体の権利をいう」と規定しているのと同様の定め方 である。  岐阜市債権管理条例の対象とされる債権は、債権の中で金銭債権を指してい るという意味では限定されている。しかしながら、具体的にいかなるものを指 しているのかは、必ずしも明確ではない。 2 調査票による照会  平成28年7月29日付で、全庁的に調査票による照会を実施した(巻末資料 3で様式を掲載)。  調査票中、「第2 債権の把握」の項目において、1)平成27年度において債 権管理条例第2条で定義される債権を取り扱ったか否か。2)取り扱ったとすれ ば、取扱債権の名称及び性質による分類(強制徴収公債権、非強制徴収公債権、 私債権、判断に迷えば不明)を照会した。なお、監査人において、回答にあた り各課に事前にレクチャーすることはしていない。 3 調査票の回答結果からみる岐阜市の債権 (1)回答結果  全課より回答を得た。その結果は、以下記載の表のとおりであった。  担当課からの回答は、監査人側で修正することなくそのまま掲載している。  量が多いが、重要と考えるのですべて掲載する。 【調査票の回答結果】(調査票第2-1-1)、2)部分) ┌────────┬─┬───────────────────────────────────────────┐ │        │取│                債権の性質による分類                 │ │ 担当課    │扱├───────┬───────────┬─────────────┬─────────┤ │        │債│ 強制徴収  │  非強制公債権   │     私債権     │   不明    │ │        │権│  公債権  │           │             │         │ ├─┬──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │市│秘書課   │○│       │           │□資金前渡金       │         │ │長│      │ │       │           │□旅費概算払による過払金 │         │ │公├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │室│広報広聴課 │○│       │           │□賃金戻入        │         │ │ │      │ │       │           │□旅費精算        │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │企│総合政策課 │○│       │           │□新たな広域連携促進事業 │□企画費交付金  │ │画│      │ │       │           │費            │(国庫交付金)  │ │部│      │ │       │           │□公文書複写代      │□企画費補助金  │ │ │      │ │       │           │□国勢調査調査員報酬戻入 │(国庫補助金)  │ │ │      │ │       │           │金            │□企画費補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (県補助金)  │ │ │      │ │       │           │             │□企画委託金   │ │ │      │ │       │           │             │ (県委託金)  │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │政策調整課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │交通総合政 │×│       │           │             │         │ │ │策課    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │統計分析課 │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │財│財政課   │○│       │           │             │□地方特例交付金 │ │政│      │ │       │           │             │ 及び地方交付税 │ │部│      │ │       │           │             │□預金利子    │ │ │      │ │       │           │             │□市債      │
    │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │行財政改革 │×│       │           │             │         │ │ │課     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │税制課   │○│       │□証明手数料     │□原動機付自転車標識再交 │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │ 付弁償金        │         │ │ │      │ │       │□許可手数料     │□公文書複写代      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市民税課  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │資産税課  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │納税課   │○│□市税    │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │行│行政課   │○│       │           │             │□公文書複写代  │ │政├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │部│人事課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │職員育成課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │職員厚生課 │○│       │           │□岐阜市職員宿舎家賃   │         │ │ │      │ │       │           │□派遣職員用宿舎の敷金精 │         │ │ │      │ │       │           │ 算金          │         │ │ │      │ │       │           │□子宮がん検診検査費用助 │         │ │ │      │ │       │           │ 成金          │         │ │ │      │ │       │           │□乳がん検診検査費用助成 │         │ │ │      │ │       │           │金            │         │ │ │      │ │       │           │□保健事業自己負担金   │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │情報政策課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │競輪事業課 │○│       │           │□入場料         │         │ │ │      │ │       │           │□車検発売金       │         │ │ │      │ │       │           │□雑入          │         │ │ │      │ │       │           │□施設貸付料       │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │管財課   │○│       │           │□使用料         │         │ │ │      │ │       │           │□土地建物貸付料     │         │ │ │      │ │       │           │□使用損害金       │         │ │ │      │ │       │           │□弁償金         │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │新庁舎建設 │×│       │           │             │         │ │ │課     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │契約課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │東京事務所 │×│       │           │             │         │ ├─┴──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │工事検査室   │×│       │           │             │         │ ├─┬──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │商│商工観光政 │○│       │           │□雑入(公文書複写代等) │         │ │工│策課    │ │       │           │             │         │ │観├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │光│産業雇用課 │○│       │□雑入(岐阜市中小企 │□雑入(旧技能者会館土地貸│         │ │部│      │ │       │ 業融資保証料補填金 │ 付収入)        │         │ │ │      │ │       │ 返還金)      │□雑入(岐阜市勤労会館共益│         │ │ │      │ │       │□勤労会館使用料   │ 費負担金)       │         │ │ │      │ │       │□岐阜産業会館使用料 │□雑入(サンライフ岐阜自動│         │ │ │      │ │       │           │ 販売機電気料)     │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(平成26年度岐阜市 │         │ │ │      │ │       │           │ 勤労者ふれあいセンター │         │ │ │      │ │       │           │ 指定管理に伴う利用料金 │         │ │ │      │ │       │           │ 精算金)        │         │ │ │      │ │       │           │□サンライフ岐阜敷地占有 │         │ │ │      │ │       │           │ 料(電柱1本)     │         │ │ │      │ │       │           │□サンライフ岐阜敷地占有 │         │ │ │      │ │       │           │ 料(電話柱1本、支線1 │         │ │ │      │ │       │           │ 本)          │         │ │ │      │ │       │           │□サンライフ岐阜敷地使用 │         │ │ │      │ │       │           │ 料(自動販売機)    │         │ │ │      │ │       │           │□サンライフ岐阜使用料(物│         │ │ │      │ │       │           │ 品販売台)       │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜市事業者等住宅資金 │         │ │ │      │ │       │           │ 融資原資貸付金元金収入 │         │ │ │      │ │       │           │□事業者等耐震リフォーム │         │ │ │      │ │       │           │ 資金融資原資貸付金元金 │         │ │ │      │ │       │           │ 収入          │         │ │ │      │ │       │           │□勤労者耐震リフォーム資 │         │ │ │      │ │       │           │ 金融資原資貸付金元金収 │         │ │ │      │ │       │           │ 入           │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜市勤労者生活資金融 │         │ │ │      │ │       │           │ 資原資貸付金元金収入  │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜市勤労者住宅資金融 │         │ │ │      │ │       │           │ 資原資貸付金元金収入  │         │ │ │      │ │       │           │□中小企業金融調整貸付  │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜産業会館施設整備費 │         │ │ │      │ │       │           │ 県負担金        │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │企業誘致課 │○│       │           │□雑入(創業支援ルーム賃料│         │ │ │      │ │       │           │ 等)          │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │観光コンベ │○│       │□岐阜城城郭入場料  │□文化産業交流センター目 │         │ │ │ンション課 │ │       │           │ 的外使用料       │         │ │ │      │ │       │           │□長良川国際会議場目的外 │         │ │ │      │ │       │           │ 使用料         │         │ │ │      │ │       │           │□長良川国際会議場敷地占 │         │ │ │      │ │       │           │ 用料          │         │ │ │      │ │       │           │□長良川鵜飼伝承館敷地占 │         │ │ │      │ │       │           │ 用料          │         │ │ │      │ │       │           │□文化産業交流センター財 │         │
    │ │      │ │       │           │ 産貸付収入       │         │ │ │      │ │       │           │□長良川国際会議場財産貸 │         │ │ │      │ │       │           │ 付収入         │         │ │ │      │ │       │           │□文化産業交流センター雑 │         │ │ │      │ │       │           │ 入           │         │ │ │      │ │       │           │□長良川国際会議場雑入  │         │ │ │      │ │       │           │□道の駅柳津交流センター │         │ │ │      │ │       │           │ 雑入          │         │ │ │      │ │       │           │□長良川鵜飼伝承館雑入  │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜城城郭使用料    │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜城資料館使用料   │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜城雑入       │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │鵜飼観覧船 │○│       │□観覧船使用料    │□雑入(渡船運航協力金) │         │ │ │事務所   │ │       │           │□鵜飼観覧船待合所等施設 │         │ │ │      │ │       │           │ 使用料         │         │ │ │      │ │       │           │□物品売払収入      │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(鵜飼観覧船雑入) │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │農│農林政策課 │○│       │□証明手数料     │□基幹統計調査事務    │         │ │林│      │ │       │           │□農地中間管理受託事業委 │         │ │部│      │ │       │           │ 託金          │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(公文書複写代)  │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(土地利用計画図代 │         │ │ │      │ │       │           │ 金)          │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │農林園芸課 │○│       │□健康ふれあい農園使 │□東海自然歩道施設管理  │         │ │ │      │ │       │ 用料        │□雑入(造林事業収入)  │         │ │ │      │ │       │□ながら川ふれあいの │□雑入(健康ふれあい農園農│         │ │ │      │ │       │ 森使用料      │ 業体験料)       │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │□雑入(公文書複写代)  │         │ │ │      │ │       │□農林水産業費寄附金 │□雑入(岐阜県野生鳥獣被害│         │ │ │      │ │       │           │ 防止助成金)      │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(グリーンツーリズム│         │ │ │      │ │       │           │ 体験プログラム参加料) │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(スイーツ教室受講 │         │ │ │      │ │       │           │ 料)          │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(伊自良川河川敷貸付│         │ │ │      │ │       │           │ 収入)         │         │ │ │      │ │       │           │□雑入(ながら川ふれあいの│         │ │ │      │ │       │           │ 森印刷物代金)     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │畜産課   │○│       │□鳥獣飼養登録等手数 │□物品売払収入      │         │ │ │      │ │       │ 料         │□生産物売払収入     │         │ │ │      │ │       │□家畜診療手数料   │□雑入(予防注射技術料) │         │ │ │      │ │       │□家畜ふん処理手数料 │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │農地整備課 │○│       │□分担金(用水路整備)│□雑入(土地改良施設維持管│         │ │ │      │ │       │□分担金(揚水機整備)│ 理適正化事業交付金)  │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │中央卸売市 │○│       │□市場使用料(電気・ │□市場使用料(電気・水道使│         │ │ │場     │ │       │ 水道使用料除く)  │ 用料)         │         │ │ │      │ │       │           │□雑収益(預金利子)   │         │ │ │      │ │       │           │□雑収益(その他)    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │食肉地方卸 │○│       │□と畜場使用料    │□雑入(電気使用料)   │         │ │ │売市場   │ │       │□事務所等使用料   │□雑入(排水投入料)   │         │ │ │      │ │       │□冷蔵庫使用料    │□雑入(蒸気使用料)   │         │ │ │      │ │       │□内臓冷凍庫使用料  │             │         │ │ │      │ │       │□枝肉処理場使用料  │             │         │ │ │      │ │       │□食肉市場使用料   │             │         │ │ │      │ │       │□土地建物貸付収入  │             │         │ │ │      │ │       │□雑入(駐車場使用料)│             │         │ ├─┴──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │農業委員会   │○│       │□証明手数料     │□雑入(農業者年金業務委託│         │ │事務局     │ │       │           │ 手数料)        │         │ │        │ │       │           │□雑入(公文書複写代)  │         │ ├─┬──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │市│市民生活政 │×│       │           │             │         │ │民│策課    │ │       │           │             │         │ │生├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │活│防犯・交通安│×│       │           │             │         │ │部│全課    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │消費生活課 │○│       │□計量器検査手数料  │             │         │ │ │      │ │       │□特定計量器所在場所 │             │         │ │ │      │ │       │ 検査実費徴収金   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │柳津地域事 │○│       │□柳津いこいの家使用 │□公用車売却代金     │         │ │ │務所(旧柳津│ │       │ 料         │             │         │ │ │地域振興事 │ │       │□柳津生涯学習センタ │             │         │ │ │務所)   │ │       │ ー使用料      │             │         │ │ │      │ │       │□もえぎの里生涯学習 │             │         │ │ │      │ │       │ センター使用料   │             │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │             │         │ │ │      │ │       │□市有地職員駐車場代 │             │         │ │ │      │ │       │□もえぎの里自販機設 │             │         │ │ │      │ │       │ 置場所貸付金    │             │         │ │ │      │ │       │□柳津地域振興事務所 │             │         │ │ │      │ │       │ 施設利用負担金   │             │         │ │ │      │ │       │□旧佐波支所施設利用 │             │         │ │ │      │ │       │ 負担金       │             │         │ │ │      │ │       │□やないづもえぎの里 │             │         │ │ │      │ │       │ 施設使用料負担金  │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市民課   │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │      │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │
    │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │西部事務所 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │      │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │東部事務所 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │      │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │北部事務所 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │      │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │南部東事務 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │所     │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │南部西事務 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │所     │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │日光事務所 │○│       │□戸籍住民登録手数料 │             │         │ │ │      │ │       │□住民票等相互発行証 │             │         │ │ │      │ │       │ 明手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□住民基本台帳カード │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□個人番号カード等再 │             │         │ │ │      │ │       │ 交付手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□公文書複写代    │             │         │ │ │      │ │       │□証明手数料(税)  │             │         │ │ │      │ │       │□台帳閲覧等手数料  │             │         │ │ │      │ │       │ (税)       │             │         │ │ │      │ │       │□粗大ごみ手数料   │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │国保・年金課│○│□国民健康保険│□返納金       │□第三者行為損害賠償金  │         │ │ │      │ │ 料(税)  │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │福│福祉政策課 │○│       │           │□臨時福祉給付金返還金  │         │ │祉│※庶務   │ │       │           │             │         │ │部├──────┤ ├───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │・│福祉政策課 │ │       │□会議室使用料    │             │□電気使用料(自販│ │子│※福祉政策 │ │       │□自販機設置料    │             │ 機の使用に伴う │ │ど│施設    │ │       │           │             │ 電気代)    │ │も│      │ │       │           │             │□公衆電話使用料 │ │未├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │来│指導監査課 │×│       │           │             │         │ │部├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │介護保険課 │○│□介護保険料 │□介護報酬の不正請求 │             │         │ │ │      │ │       │ についての返還金・ │             │         │ │ │      │ │       │ 加算金       │             │         │
    │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │子ども政策 │○│       │           │□サンフレンドみわ駐車場 │         │ │ │課     │ │       │           │ 転借料         │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │子ども・若者│○│       │□行政財産使用許可  │□自動販売機電気使用料  │         │ │ │総合支援セ │ │       │ (自動販売機の設  │             │         │ │ │ンター   │ │       │ 置)にかかる建物使 │             │         │ │ │      │ │       │ 用料        │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │子ども支援 │○│       │□高等技能訓練促進費 │□岐阜市母子父子寡婦福祉 │         │ │ │課     │ │       │ 返還金       │ 資金貸付金       │         │ │ │      │ │       │□助産施設運営費負担 │□岐阜市育英資金貸付金(奨│         │ │ │      │ │       │ 金         │ 学資金、入学準備貸付金)│         │ │ │      │ │       │□母子生活支援施設運 │□ドリームシアター岐阜  │         │ │ │      │ │       │ 営費負担金     │ LANカラー複合機及びコ  │         │ │ │      │ │       │□児童手当返還金   │ ンピューター機器等一式 │         │ │ │      │ │       │□子ども手当返還金  │ 使用料         │         │ │ │      │ │       │□児童扶養手当返還金 │             │         │ │ │      │ │       │□子育て世帯臨時特例 │             │         │ │ │      │ │       │ 給付金返還金    │             │         │ │ │      │ │       │□小児慢性特定疾病医 │             │         │ │ │      │ │       │ 療費        │             │         │ │ │      │ │       │□自立支援医療(育成 │             │         │ │ │      │ │       │ 医療)費      │             │         │ │ │      │ │       │□養育医療費     │             │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │             │         │ │ │      │ │       │□ドリームシアター岐 │             │         │ │ │      │ │       │ 阜施設使用料    │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │子ども保育 │○│□利用者負担額│□広域入所負担金   │□土地等貸付収入     │□私立特定教育・保│ │ │課     │ │       │□敷地占有料     │             │ 育施設補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (延長保育事業 │ │ │      │ │       │           │             │ 補助)返還金  │ │ │      │ │       │           │             │□私立特定教育・保│ │ │      │ │       │           │             │ 育施設補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (延長接続補  │ │ │      │ │       │           │             │ 助)返還金   │ │ │      │ │       │           │             │□私立特定教育・保│ │ │      │ │       │           │             │ 育施設補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (一時預かり事 │ │ │      │ │       │           │             │ 業補助)返還金 │ │ │      │ │       │           │             │□私立特定教育・保│ │ │      │ │       │           │             │ 育施設補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (障害児保育事 │ │ │      │ │       │           │             │ 業)返還金   │ │ │      │ │       │           │             │□私立小規模保育 │ │ │      │ │       │           │             │ 事業(延長保育 │ │ │      │ │       │           │             │ 事業補助)返還 │ │ │      │ │       │           │             │ 金       │ │ │      │ │       │           │             │□私立特定教育・保│ │ │      │ │       │           │             │ 育施設補助金  │ │ │      │ │       │           │             │ (施設型給付  │ │ │      │ │       │           │             │ 費・地域型保育 │ │ │      │ │       │           │             │ 給付費)返還金 │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │保育所   │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │福│生活福祉一 │○│□生活保護法第│□生活保護法第63条に │□岐阜市福祉資金     │         │ │祉│課     │ │ 78条に基づく│ 基づく返還金    │             │         │ │事│      │ │ 徴収金   │           │             │         │ │務├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │所│生活福祉二 │×│       │           │             │         │ │ │課     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │障がい福祉 │×│       │           │             │         │ │ │課     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │恵光学園  │○│       │□障害者給付費負担金 │□施設職員給食費     │         │ │ │      │ │       │□恵光学園施設使用料 │□施設利用者給食費    │         │ │ │      │ │       │           │□施設実習謝金      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │第二恵光  │○│       │□障害者自立支援給付 │□食費等サービス利用料金 │□公衆電話使用料 │ │ │      │ │       │ 費負担金      │(生活介護・施設入所)  │         │ │ │      │ │       │□施設使用料     │□食費等サービス利用料金 │         │ │ │      │ │       │           │(短期入所)       │         │ │ │      │ │       │           │□食費等サービス利用料金 │         │ │ │      │ │       │           │(日中一時)       │         │ │ │      │ │       │           │□職員給食費       │         │ │ │      │ │       │           │□職員駐車場料金     │         │ │ │      │ │       │           │□実習生給食費      │         │ │ │      │ │       │           │□実習生謝礼       │         │ │ │      │ │       │           │□作業収入        │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │第三恵光  │○│       │□障害者自立支援給付 │□食費等サービス利用料金 │□私用電話使用料 │ │ │      │ │       │ 費負担金      │(生活介護・施設入所)  │         │ │ │      │ │       │□施設使用料     │□食費等サービス利用料金 │         │ │ │      │ │       │           │(短期入所)       │         │ │ │      │ │       │           │□食費等サービス利用料金 │         │ │ │      │ │       │           │(日中一時)       │         │ │ │      │ │       │           │□職員給食費       │         │ │ │      │ │       │           │□職員駐車場料金     │         │ │ │      │ │       │           │□実習生給食費      │         │ │ │      │ │       │           │□実習生謝礼       │         │ │ │      │ │       │           │□作業収入        │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │ワークス恵 │○│       │□障害者自立支援給付 │□利用者給食費      │         │ │ │光     │ │       │ 費負担金      │□職員給食費       │         │ │ │      │ │       │□施設使用料     │□作業収入        │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │ケアホーム │○│       │□障害者自立支援給付 │□光熱水費(利用者負担分)│         │
    │ │恵光    │ │       │ 費負担金      │□電話料(利用者負担分) │         │ │ │      │ │       │□家賃使用料     │             │         │ │ │      │ │       │□施設使用料     │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │日野恵光  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │高齢福祉課 │○│       │□老人保護措置費負担 │□雑入(成年後見登記手数料│         │ │ │      │ │       │ 金         │返還金)         │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │福祉医療課 │○│       │□福祉医療費助成に関 │             │         │ │ │(福祉医療 │ │       │ する返還金     │             │         │ │ │係)    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┤ ├───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │福祉医療課 │ │□後期高齢者医│           │             │         │ │ │(後期高齢 │ │ 療保険料  │           │             │         │ │ │者医療係) │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │福祉事務所 │×│       │           │             │         │ │ │柳津分室  │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │健│健康政策課 │○│       │□温泉占用料     │□土地建物貸付収入    │         │ │康│      │ │       │□敷地占用料     │□保健所電気使用料    │         │ │部│      │ │       │           │□岐阜市耐震補強工事に伴 │         │ │ │      │ │       │           │ う下水道料金      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │スマートウ │×│       │           │             │         │ │ │ェルネス推 │ │       │           │             │         │ │ │進課    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │健康増進課 │○│       │           │□柳ヶ瀬健康ステーション │         │ │ │      │ │       │           │ シャワー代       │         │ │ │      │ │       │           │□柳ヶ瀬健康ステーション │         │ │ │      │ │       │           │ 自動販売機設置賃貸料  │         │ │ │      │ │       │           │□柳ヶ瀬健康ステーション │         │ │ │      │ │       │           │ 自動販売機電気代    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │中市民健康 │○│       │□自動販売機設置使用 │□公文書複写代      │         │ │ │センター  │ │       │ 料等        │□がん検診料       │         │ │ │      │ │       │           │□健康運動教室参加費等  │         │ │ │      │ │       │           │□食生活改善推進員養成講 │         │ │ │      │ │       │           │ 座教材用食材費     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │南市民健康 │○│       │□敷地占用料     │□公文書複写代      │         │ │ │センター  │ │       │           │□がん検診料       │         │ │ │      │ │       │           │□健康運動教室参加費等  │         │ │ │      │ │       │           │□食生活改善推進員養成講 │         │ │ │      │ │       │           │ 座教材用食材費     │         │ │ │      │ │       │           │□南市民健康センター利用 │         │ │ │      │ │       │           │ 負担金         │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │北市民健康 │○│       │□自動販売機設置使用 │□公文書複写代      │         │ │ │センター  │ │       │ 料等        │□がん検診料       │         │ │ │      │ │       │□電柱等使用料    │□健康運動教室参加費等  │         │ │ │      │ │       │           │□食生活改善推進員養成講 │         │ │ │      │ │       │           │ 座教材用食材費     │         │ │ │      │ │       │           │□市民健康センター管理費 │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │衛生試験所 │○│       │□検査手数料     │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │健│保険医療課 │○│       │□岐阜市手数料徴収条 │□文書複写代等(実費)  │         │ │康│      │ │       │ 例に基づく各種手数 │             │         │ │部│      │ │       │ 料(保健医療課担当 │             │         │ │ │      │ │       │ 分)        │             │         │ │保├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │健│地域保健課 │○│       │□福祉医療助成に関す │□結核健康診断      │         │ │所│      │ │       │ る返還金      │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │食品衛生課 │○│       │□食品衛生法の施行に │             │         │ │ │      │ │       │ 関する事務手数料  │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │生活衛生課 │○│       │□環境営業手数料   │             │         │ │ │      │ │       │□狂犬病予防注射済  │             │         │ │ │      │ │       │ 票交付手数料    │             │         │ │ │      │ │       │□犬登録手数料    │             │         │ │ │      │ │       │□抑留犬返還手数料  │             │         │ │ │      │ │       │□飼養管理手数料   │             │         │ │ │      │ │       │□犬・猫引取手数料  │             │         │ │ │      │ │       │□動物取扱責任者研修 │             │         │ │ │      │ │       │ 手数料       │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │食肉衛生検 │○│       │□証明手数料     │             │         │ │ │査所    │ │       │□と畜検査手数料   │             │         │ │ │      │ │       │□食鳥検査手数料   │             │         │ │ │      │ │       │□食鳥処理事業許可  │             │         │ │ │      │ │       │ 申請手数料     │             │         │ │ │      │ │       │□確認規定認定申請手 │             │         │ │ │      │ │       │ 数料        │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │市│病院政策課 │○│       │           │□託児所事業託児料    │         │ │民│      │ │       │           │□治験受託料       │         │ │病│      │ │       │           │□病理組織診断等受託料  │         │ │院├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │事│病院施設課 │○│       │□施設使用料     │□電気使用料       │         │ │務│      │ │       │           │□水道使用料       │         │ │局│      │ │       │           │□電気使用料       │         │ │ │      │ │       │           │□財産貸付料       │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │経営企画課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │医事課   │○│       │           │□病院事業医業収益    │         │
    ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │市│看護専門学 │○│       │□看護師養成所入学料 │□看護師養成所寮費    │         │ │民│校     │ │       │□看護師養成所授業料 │             │         │ │病│      │ │       │           │             │         │ │院│      │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │自│自然共生政 │○│       │□墓地使用料、墓地占 │□寄附金         │         │ │然│策課    │ │       │ 用料        │             │         │ │共│      │ │       │□境界立会証明料   │             │         │ │生├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │部│地球環境課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │循環型社会 │○│□岐阜市まちを│           │             │         │ │ │推進課   │ │ 美しくする条│           │             │         │ │ │      │ │ 例過料   │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │自然環境課 │○│       │           │□事務管理費用償還請求権 │□循環型社会形成 │ │ │      │ │       │           │□文書複写代       │ 推進交付金   │ │ │      │ │       │           │             │□岐阜県浄化槽設 │ │ │      │ │       │           │             │ 置整備事業費補 │ │ │      │ │       │           │             │ 助金      │ │ │      │ │       │           │             │□公害対策施行事 │ │ │      │ │       │           │             │ 務費      │ │ │      │ │       │           │             │□許可申請手数料 │ │ │      │ │       │           │             │□更新登録手数料 │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │斎苑    │○│       │□斎場使用料     │□物品受払収入      │         │ │ │      │ │       │           │□雑入          │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │環│環境事業政 │○│       │           │□火災事故弁償金     │         │ │境│策課    │ │       │           │             │         │ │事├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │業│環境施設課 │○│       │           │□物品売払収入(公用車等売│□循環型社会形成 │ │部│      │ │       │           │ 却代金)        │ 推進交付金   │ │ │      │ │       │           │□雑入(公益財団法人岐阜県│□社会資本整備総 │ │ │      │ │       │           │ 市町村振興協会助成金) │ 合交付金    │ │ │      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │産業廃棄物 │○│       │□産業廃棄物許可申請 │□公文書複写代      │□廃棄物適正処理 │ │ │指導課   │ │       │ 手数料       │             │ 施行事務費   │ │ │      │ │       │□自動車リサイクル法 │             │□埋立等規制事務 │ │ │      │ │       │ 関係許可及び登録申 │             │ 費       │ │ │      │ │       │ 請手数料      │             │         │ │ │      │ │       │□埋立条例許可申請手 │             │         │ │ │      │ │       │ 数料        │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │環境事業課 │○│       │□産業廃棄物処理手数 │□公衆電話代       │         │ │ │      │ │       │ 料         │□不法投棄未然防止協力金 │         │ │ │      │ │       │           │□ビン缶売払収入     │         │ │ │      │ │       │           │□ペットボトル有価入札拠 │         │ │ │      │ │       │           │ 出金          │         │ │ │      │ │       │           │□再商品化合理化拠出金  │         │ │ │      │ │       │           │□ペットボトルキャップ売 │         │ │ │      │ │       │           │ 払金          │         │ │ │      │ │       │           │□使用済み小型電子機器等 │         │ │ │      │ │       │           │ の売却代金       │         │ │ │      │ │       │           │□物品売払収入(公用車等売│         │ │ │      │ │       │           │ 却代金)        │         │ │ │      │ │       │           │□ごみ処理施設使用料   │         │ │ │      │ │       │           │□敷地占用料       │         │ │ │      │ │       │           │□粗大ごみ処理手数料   │         │ │ │      │ │       │           │□一般廃棄物処理業    │         │ │ │      │ │       │           │□公益財団法人岐阜県市町 │         │ │ │      │ │       │           │ 村振興協会助成金    │         │ │ │      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ │      │ │       │           │□廃食用油売払代金    │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │東部クリー │○│       │□健康増進施設使用料 │□通信設備における消費電 │□廃棄物発電事業 │ │ │ンセンター │ │       │□ごみ処理施設使用料 │ 力相当費用       │ 特別会計繰入金 │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │□粗大ごみ選別金属売却代 │         │ │ │      │ │       │           │ 金           │         │ │ │      │ │       │           │□破砕磁性金属売却代金  │         │ │ │      │ │       │           │□有価金属類売却代金   │         │ │ │      │ │       │           │□粗大性金属売却代金   │         │ │ │      │ │       │           │□物品売払収入(公用車等売│         │ │ │      │ │       │           │ 却代金)        │         │ │ │      │ │       │           │□工事廃材等売却代金   │         │ │ │      │ │       │           │□公益財団法人岐阜県市町 │         │ │ │      │ │       │           │ 村振興協会助成金    │         │ │ │      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ │      │ │       │           │□夏休み親子リサイクル体 │         │ │ │      │ │       │           │ 験講座受講料      │         │ │ │      │ │       │           │□委託事業者事務所電気代 │         │ │ │      │ │       │           │□大杉最終処分場太陽光発 │         │ │ │      │ │       │           │ 電           │         │ │ │      │ │       │           │□拾得現金        │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │掛洞プラン │○│       │□余熱利用施設使用料 │□佐野最終処分場跡地敷地 │         │ │ │ト     │ │       │□ごみ処理施設使用料 │ 貸付料         │         │ │ │      │ │       │□敷地占用料     │□工場廃材等売却代金   │         │ │ │      │ │       │           │□公益財団法人岐阜県市町 │         │ │ │      │ │       │           │ 村振興協会助成金    │         │ │ │      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ │      │ │       │           │□委託事業者事務所電気代 │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │寺田プラン │○│       │□ごみ処理施設使用料 │□公益財団法人岐阜県市町 │         │ │ │ト     │ │       │□敷地占用料     │ 村振興協会助成金    │         │
    │ │      │ │       │           │□委託事業者事務所電気代 │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │※旧産業廃 │○│□行政代執行に│           │□事務管理費用償還請求権 │         │ │ │棄物特別対 │ │ 要した費用請│           │□不法行為に対する損害賠 │         │ │ │策課    │ │ 求権    │           │ 償請求権        │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │都│都市防災政 │○│       │           │             │□公文書複写代  │ │市│策課    │ │       │           │             │□防火防災訓練災 │ │防│      │ │       │           │             │ 害補償等共済制 │ │災│      │ │       │           │             │ 度てん補金   │ │部│      │ │       │           │             │□国・県の交付金・│ │ │      │ │       │           │             │ 補助金     │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │防災対策課 │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │消│消防総務課 │○│       │□土地建物使用料   │□自動販売機土地貸付収入 │         │ │防│      │ │       │           │□物品売払収入      │         │ │本│      │ │       │           │□自動販売機電気代    │         │ │部│      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │消防課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │救急課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │予防課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │指令課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │中消防署  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │南消防署  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │北消防署  │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │瑞穂消防署 │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ま│まちづくり │○│       │           │□物品売払収入      │□国庫交付金   │ │ち│推進政策課 │ │       │           │□公文書複写代      │□県交付金    │ │づ│      │ │       │           │             │□県補助金    │ │く│      │ │       │           │             │□委託金     │ │り├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │推│まちづくり │○│       │           │             │□屋外広告物手数 │ │進│景観課   │ │       │           │             │ 料       │ │部├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │開発指導調 │○│       │□開発行為許可等申請 │□公文書複写代      │□国庫交付金(社会│ │ │整課    │ │       │ 手数料(都市計画法 │             │ 資本整備総合交 │ │ │      │ │       │ の施行に関する事  │             │ 付金(宅地耐震 │ │ │      │ │       │ 務)        │             │ 化推進事業)  │ │ │      │ │       │□宅地造成許可等申請 │             │□県交付金(土地利│ │ │      │ │       │ 手数料(宅地造成等 │             │ 用規制等対策  │ │ │      │ │       │ 規制法の施行に関す │             │ 費)      │ │ │      │ │       │ る事務)      │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │建築指導課 │○│       │           │□公文書複写代      │□建築確認手数料 │ │ │      │ │       │           │             │ 等       │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │公共建築課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │住宅課   │○│       │□住宅使用料     │□公営住宅使用弁償金   │         │ │ │      │ │       │□駐車場使用料    │□市営住宅退去修繕料   │         │ │ │      │ │       │□施設使用料     │□土地建物貸付収入    │         │ │ │      │ │       │           │□敷地占用料       │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │都│都市建設政 │△│       │           │             │         │ │市│策課    │ │       │           │             │         │ │建├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │設│都市計画課 │○│       │□駐車場使用料    │             │□都市計画基本図 │ │部│      │ │       │□敷地占用料     │             │ 販売(雑入)  │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市街地再開 │○│       │           │□土地建物貸付収入    │         │ │ │発課    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │駅周辺事業 │○│□土地区画整理│□敷地占用料     │             │□公文書複写代  │ │ │推進課   │ │ 事業清算金 │□岐阜駅前広場使用  │             │         │ │ │      │ │       │ 料         │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │公園整備課 │○│       │□公園使用料     │□物品売払収入      │□公文書複写代  │ │ │      │ │       │           │□生産物売払収入     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │歴史まちづ │○│       │□レンタサイクル使用 │□損害賠償請求権     │         │ │ │くり課   │ │       │ 料         │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │区画整理課 │○│       │           │□土地建物貸付収入    │□公文書複写代  │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │基│基盤整備政 │×│       │           │             │         │ │盤│策課    │ │       │           │             │         │ │整├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │備│広域事業推 │×│       │           │             │         │ │部│進課    │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │土木管理課 │○│□道路占用料 │           │             │         │ │ │      │ │□水路占用料 │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │土木調査課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │道路建設課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │道路維持課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │河川課   │×│       │           │             │         │
    │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │水防対策課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │公共用地課 │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │上│上下水道事 │○│       │□土地使用料     │□不用品売却       │         │ │下│業政策課  │ │       │□建物使用料     │□ペットボトル販売    │         │ │水│      │ │       │□土地貸付料     │□コピー代金       │         │ │道│      │ │       │           │□電気料         │         │ │事│      │ │       │           │□郵送代         │         │ │業│      │ │       │           │□専用実施料       │         │ │部│      │ │       │           │□水道料         │         │ │ │      │ │       │           │□講師派遣料       │         │ │ │      │ │       │           │□退職金返納金      │         │ │ │      │ │       │           │□固定資産売却代金    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │営業課 ※ │○│□下水料金  │           │□水道料金        │         │ │ │料金徴収係 │ │       │           │             │         │ │ ├──────┤ ├───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │営業課 ※ │ │□下水道事業受│           │             │         │ │ │負担金係  │ │ 益者負担金 │           │             │         │ │ ├──────┤ ├───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │営業課 ※ │ │       │           │□水道メーター弁償金   │         │ │ │計測係   │ │       │           │□水道メーター筐鉄蓋代金 │         │ │ ├──────┤ ├───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │営業課 ※ │ │       │□設計審査及び検査手 │□取付管及び特殊受託工事 │         │ │ │審査検査係 │ │       │ 数料        │費            │         │ │ │      │ │       │□指定給水装置工事業 │□講習会受講料      │         │ │ │      │ │       │ 者指定申請手数料及 │             │         │ │ │      │ │       │ び指定工事店指定申 │             │         │ │ │      │ │       │ 請手数料      │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │上水道事業 │○│       │           │             │□配水管布設工事 │ │ │課     │ │       │           │             │ 負担金     │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │下水道事業 │×│       │           │             │         │ │ │課     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │施設課   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │水源管理室 │○│       │□土地使用料     │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │中部プラン │○│       │□土地使用料     │             │         │ │ │ト     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │北部プラン │○│       │□土地使用料     │□電気料         │         │ │ │ト     │ │       │           │□れんが規格品販売    │         │ │ │      │ │       │           │□その他れんが販売    │         │ │ │      │ │       │           │□りん酸肥料販売     │         │ │ │      │ │       │           │□不用品売却収益     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │南部プラン │○│       │□土地使用料     │             │         │ │ │ト     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │水質管理課 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │維持管理課 │○│       │□下水暗きょの目的外 │             │         │ │ │      │ │       │ 使用料       │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │市│市民参画政 │×│       │           │             │         │ │民│策課    │ │       │           │             │         │ │参├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │画│男女共生・生│○│       │□コミュニティーセン │             │□自販機電気代  │ │部│きがい推進 │ │       │ ター、生涯学習セン │             │□駐車場貸付料  │ │ │課     │ │       │ ター等使用料    │             │□講座受講料   │ │ │      │ │       │□市生涯学習センター │             │□施設利用水道代 │ │ │      │ │       │ 駐車場使用料    │             │□自販機等占用料 │ │ │      │ │       │           │             │□財産貸付料(自 │ │ │      │ │       │           │             │ 販機)     │ │ │      │ │       │           │             │□デイサービスセ │ │ │      │ │       │           │             │ ンター負担金  │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市民活動交 │○│       │           │□市民活動交流センター文 │         │ │ │流センター │ │       │           │ 書複写代        │         │ │ │      │ │       │           │□市民活動支援ブース使用 │         │ │ │      │ │       │           │ 料           │         │ │ │      │ │       │           │□ロッカー使用料     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │文化芸術課 │○│       │□文化会館使用料   │□雑入          │         │ │ │      │ │       │           │□文化会館自主事業収入  │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市民相談室 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │人権啓発セ │○│       │           │□住宅建築資金貸付金   │         │ │ │ンター   │ │       │           │□同和向個人住宅建設資金 │         │ │ │      │ │       │           │ 貸付金         │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │国際課   │○│       │           │             │□岐阜市国際交  │ │ │      │ │       │           │             │ 流・多文化共生 │ │ │      │ │       │           │             │ 推進事業業務委 │ │ │      │ │       │           │             │ 託の精算(戻入)│ │ │      │ │       │           │             │□旅費の精算(戻 │ │ │      │ │       │           │             │ 入)      │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │ぎふメディ │○│       │           │□使用料         │         │ │ │アコスモス │ │       │           │             │         │ │ │事業課   │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │薬│庶務会計課 │○│       │           │□薬科大学食堂使用料   │         │ │科│      │ │       │           │□敷地占用料       │         │
    │大│      │ │       │           │□証明手数料       │         │ │学│      │ │       │           │□特許権等貸付収入    │         │ │ │      │ │       │           │□特許権等売払収入    │         │ │事│      │ │       │           │□薬科大学研究受託事業受 │         │ │務│      │ │       │           │ 託金          │         │ │局│      │ │       │           │□本部駐車場利用料    │         │ │ │      │ │       │           │□三田洞キャンパス駐車場 │         │ │ │      │ │       │           │ 利用料         │         │ │ │      │ │       │           │□学位論文審査料     │         │ │ │      │ │       │           │□本部自動販売機電気料金 │         │ │ │      │ │       │           │□三田洞自動販売機電気代 │         │ │ │      │ │       │           │□薬学教養試験受験料徴収 │         │ │ │      │ │       │           │ 業務委託費       │         │ │ │      │ │       │           │□入退室カード再発行代  │         │ │ │      │ │       │           │□病院薬局実習料     │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │教務厚生課 │×│       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │薬│附属図書館 │×│       │           │             │         │ │科├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │大│附属薬局  │○│       │□講座受講料     │□調剤収入        │         │ │学├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │グリーンフ │×│       │           │             │         │ │ │ァーマシー │ │       │           │             │         │ │ │教育推進セ │ │       │           │             │         │ │ │ンター   │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │女│総務管理課 │○│       │□授業料       │□敷地占用料       │□公開講座受講料 │ │子│      │ │       │□入学検定料     │□施設使用電気料     │□大学入試センタ │ │短│      │ │       │□入学料       │□駐車場利用料金     │ ー試験実施経費 │ │期│      │ │       │□証明手数料     │□奨学寄附金       │□科学研究費補助 │ │大│      │ │       │           │             │ 間接経費交付  │ │学│      │ │       │           │             │ 金       │ │事│      │ │       │           │             │         │ │務│      │ │       │           │             │         │ │局│      │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │女│附属図書館 │×│       │           │             │         │ │子│      │ │       │           │             │         │ │短│      │ │       │           │             │         │ │期│      │ │       │           │             │         │ │大│      │ │       │           │             │         │ │学│      │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │教│教育政策課 │○│       │□幼稚園保育料    │□私用電話料金      │         │ │育│      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │委│      │ │       │           │□市町村教育委員会連合会 │         │ │員│      │ │       │           │ 事務受託金       │         │ │会│      │ │       │           │□臨時的任用職員賃金   │         │ │事│      │ │       │           │□太陽光発電に伴う売電収 │         │ │務│      │ │       │           │ 入           │         │ │局├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │教育施設課 │○│       │□行政財産の目的外使 │□普通財産の貸付金    │         │ │ │      │ │       │ 用における使用料  │□工事に伴う水道及び電気 │         │ │ │      │ │       │           │ 使用料金        │         │ │ │      │ │       │           │□契約保証金(現金納付) │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │学校指導課 │○│       │□敷地占用料     │□特別支援教育推進受託事 │         │ │ │      │ │       │           │業            │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ │      │ │       │           │□岐阜県清流の国ぎふ推進 │         │ │ │      │ │       │           │ 補助金(イングリッシ  │         │ │ │      │ │       │           │ ュ・キャンプ)     │         │ │ │      │ │       │           │□教育研究所使用料(自動販│         │ │ │      │ │       │           │ 売機設置)       │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │加納幼稚園 │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │岐阜東幼稚 │×│       │           │             │         │ │ │園     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │小学校   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │中学校   │×│       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │特別支援学 │×│       │           │             │         │ │ │校     │ │       │           │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │学校保健課 │○│       │           │□公文書の写しの交付   │         │ │ │      │ │       │           │□日本スポーツ振興センタ │         │ │ │      │ │       │           │ ー保護者負担金     │         │ │ │      │ │       │           │□学校給食会貸付金    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │商業高等学 │○│       │□授業料       │□自動販売機設置にかかる │         │ │ │校     │ │       │□パン類販売に伴う  │ 施設貸付料       │         │ │ │      │ │       │ 敷地使用料     │□廃棄車両売払収入    │         │ │ │      │ │       │□公衆電話設置にかか │□自動販売機電気料    │         │ │ │      │ │       │ る敷地占用料    │□複写機使用料      │         │ │ │      │ │       │□入学検定料     │             │         │ │ │      │ │       │□入学料       │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │社会教育課 │○│□敷地占用料 │□公民館使用料    │□図書、物品売上     │□各事業実施にあ │ │ │      │ │       │□公衆電話使用料   │             │ たる補助金   │ │ │      │ │       │□複写機使用料    │             │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │図書館   │○│       │□雑入(拾得物)   │□雑入(コピー使用料)  │□教育費寄附金(世│ │ │      │ │       │           │□物品売買契約における納 │ 界記録に挑戦! │ │ │      │ │       │           │ 入期限遅延に対する損  │ 本deドミノ実 │ │ │      │ │       │           │ 害金          │ 行委員会)   │ │ │      │ │       │           │□ぎふの木で学校まるごと │□元気なぎふ応援 │
    │ │      │ │       │           │ 木製品導入事業費    │ 基金(繰入金) │ │ │      │ │       │           │□ぎふの木育教材導入支援 │□図書館整備基金 │ │ │      │ │       │           │ 事業費         │ (繰入金)   │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │科学館   │○│       │□科学館使用料    │□科学館観覧料配分金   │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ │      │ │       │           │□講座受講料       │         │ │ │      │ │       │           │□科学館特別展受託販売手 │         │ │ │      │ │       │           │ 数料          │         │ │ │      │ │       │           │□科学館特別展預金利息  │         │ │ │      │ │       │           │□雑入 拾得物      │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │歴史博物館 │○│       │□歴史博物館使用料  │□公益財団法人岐阜県市町 │         │ │ │      │ │       │□歴史博物館分館使用 │ 村振興協会助成金    │         │ │ │      │ │       │ 料         │□歴史博物館観覧料配分金 │         │ │ │      │ │       │           │□複写機使用料      │         │ │ │      │ │       │           │□図書等売上代金     │         │ │ │      │ │       │           │□講座受講料       │         │ │ │      │ │       │           │□歴史博物館受託販売手数 │         │ │ │      │ │       │           │ 料           │         │ │ │      │ │       │           │□歴史博物館展覧会図録、物│         │ │ │      │ │       │           │ 販収入         │         │ │ │      │ │       │           │□工事使用水道料     │         │ │ │      │ │       │           │□拾得物         │         │ │ │      │ │       │           │□市内施設共通入場券販売 │         │ │ │      │ │       │           │ 代金配分金       │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │青少年教育 │○│       │□少年自然の家    │□放課後児童クラブ事業実 │         │ │ │課     │ │       │ 使用料       │ 費負担金        │         │ │ │      │ │       │           │□公文書複写代      │         │ │ │      │ │       │           │□少年自然の家自動販売機 │         │ │ │      │ │       │           │ 電気料         │         │ │ │      │ │       │           │□少年自然の家給食業務電 │         │ │ │      │ │       │           │ 気・水道料金      │         │ │ │      │ │       │           │□放課後学びの部屋保護者 │         │ │ │      │ │       │           │ 負担金(保険料)    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │市民体育課 │○│       │□敷地占用料     │□学校等体育施設夜間開放 │□西部体育館・西児│ │ │      │ │       │□市民体育館・市民プ │ 使用料、電気料     │ 童センター管理 │ │ │      │ │       │ ール・屋外体育施  │□複写機使用料、コピー機貸│ 経費      │ │ │      │ │       │ 設・交流センター使 │ 出料          │         │ │ │      │ │       │ 用料        │□スポーツ交流センター  │         │ │ │      │ │       │□公衆電話設置委託料 │ コインシャワー代    │         │ │ │      │ │       │           │□岐陽体育館電気料    │         │ │ │      │ │       │           │□自動販売機電気料    │         │ │ ├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │ │※中央青少 │○│       │□青少年会館使用料  │□自動販売機電気料    │         │ │ │年会館   │ │       │□敷地占用料     │□複写機使用料      │         │ │ │      │ │       │□公衆電話設置委託料 │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │会│会計課   │×│       │           │             │         │ │計│      │ │       │           │             │         │ │管│      │ │       │           │             │         │ │理│      │ │       │           │             │         │ │者│      │ │       │           │             │         │ ├─┼──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │議│議会総務課 │×│       │           │             │         │ │会├──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │事│議事調査課 │×│       │           │             │         │ │務│      │ │       │           │             │         │ │局│      │ │       │           │             │         │ ├─┴──────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │選挙管理委員会事│○│       │□土地改良区総代選挙 │             │         │ │務局      │ │       │ 執行経費      │             │         │ ├────────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │監査委員事務局 │○│       │           │□雑入(公文書複写代)  │         │ │監査課     │ │       │           │             │         │ ├────────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │公平委員会   │×│       │           │             │         │ ├────────┼─┼───────┼───────────┼─────────────┼─────────┤ │固定資産評価審査│×│       │           │             │         │ │委員会     │ │       │           │             │         │ └────────┴─┴───────┴───────────┴─────────────┴─────────┘ 【コメント】 1)取扱債権の有無  平成27年度において取扱債権が「有る」と回答した所管課は「118」、「ない」 と回答した所管課は「61」、「不明」と回答した所管課は「1」であった。  「不明」との回答は、債権発生後の手続である調定と調定以降の債権管理事 務の担当が異なる課があったことが要因と思われる。調定は債権が発生後、自 治体が債権を収入しようとするときに行う手続であって、監査人は、かかる事 務をしていれば、取扱債権はあるという回答になると考えている。この調査に おいて、調定と調定以後の債権管理が別の担当課になっている部署があること が明らかとなった。 2)取扱債権の抽出  精算金や返還金が発生しつつも取扱債権としてあげている課とない課、契約 の履行遅滞にかかる違約金が発生しているのに取扱債権としてあげている課 とない課、国庫補助金等の国庫支出金や県委託金など県支出金を取扱債権とし てあげている課とない課があった。  精算金や返還金は、戻入手続という調定手続とは別途の手続がとられている ことと思われるが、その場合に、債権としての意識を持ちにくかったのではな いかと推察する。契約の履行遅滞にかかる違約金については、契約違反に伴い 発生する債権であって、恒常的に発生する債権ではなく、課内でも通常債権を 取り扱う担当と異なる担当であるなどとの事情で回答票には出てこなかった のではないかと推察する。国庫支出金や県支出金については、その性質上、債 権と認定することに躊躇したのではないかと推察する。 3)取扱債権の分類  取扱債権の分類について「不明」とされている債権が複数見られた。国庫支 出金や県支出金、市債については、監査人においても、文献等で債権として性 質の分類をし検討がなされているものを発見できていない。公文書複写代や電
    話使用料、各種手数料について不明としているものも複数あった。公文書複写 代については、私債権として分類している課がほとんどであるが、一部、非強 制徴収公債権、不明としている課もあり、様々であった。強制徴収公債権とし て「敷地占用料」をあげていた課もあった。  債権の分類は、債権回収等債権の事務の流れが異なることから、その実益が あるところ、おそらく、上記債権は、本来的な意味での「未収」が生じにくい 債権であり、分類にこだわる意味はないのかもしれない。しかしながら、可能 な限り正確に分類できることが望ましいと思われる。 4)まとめ  以上が債権調査票による回答の結果である。  本調査は、担当課であるとか担当課職員の間違い探しをするものではなく、 あくまで岐阜市の債権の認識のありのままを把握するためのものであった。  かかる回答結果を踏まえ、今後、岐阜市において、全庁的に、各課の取扱債 権・分類を正確に把握することが望ましい。担当としては、平成28年度の債 権管理調整会議担当事務局である財政部納税課が考えられる。 第4 決算からみる岐阜市の債権 1 はじめに  岐阜市の当該年度の会計は決算という形で明らかとなる。  決算は、一会計年度の歳入歳出予算についてその執行の結果の実績を表示す るために調製される計数表をいう。  地方自治体の決算は、地方自治法第233条において、以下のように規定され ている。 ┌────────────────────────────────────────┐ │地方自治法第233条(決算)                            │ │1 会計管理者は、毎会計年度、政令の定めるところにより、決算を調製し、出納の閉鎖│ │ 後三箇月以内に、証書類その他政令で定める書類とあわせて、普通地方公共団体の長に│ │ 提出しなければならない。                           │ │2 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければなら│ │ ない。                                    │ │3 普通地方公共団体の長は、前項の規定により監査委員の審査に付した決算を監査委員│ │ の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。│ │4 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。       │ │5 普通地方公共団体の長は、第三項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつて│ │ は、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類その他政令で定│ │ める書類を併せて提出しなければならない。                   │ │6 普通地方公共団体の長は、第三項の規定により議会の認定に付した決算の要領を住民│ │ に公表しなければならない。                          │ └────────────────────────────────────────┘  地方自治体のような公的部門で行われている会計は、一般会計、特別会計及 び公営企業会計の3種類からなっている。岐阜市の債権の現況について、市民 が把握しようとする際は、まず、この決算から読み取ることとなろう。 2 決算処理の概要  決算は、会計年度の終了(3月31日)とともに予算の執行を停止し、出納 整理期間中に予算執行の結果による収入支出を整理し、5月31日をもって出 納が閉鎖される。  出納閉鎖後3ヶ月以内(8月31日)に会計管理者は決算を調製し、証拠書 類その他政令で定める書類と併せて、市長に提出しなければならない。  ここでいう政令に定める書類は、1)歳入歳出決算事項明細書2)実質収支に関 する調書3)財産に関する調書とされている。  岐阜市では、財務会計システムで収入・支出を管理しており、各担当課にお いて入力等が行われる。各債権についても各担当課においてシステムの入力等 が行われる。  決算調製は会計課で行われる。手続としては、当該システムからデータを抽 出し、各部の数値に誤謬等がないか会計課にて確認する。数値の内容について、 会計課から各部への問い合わせは基本的には行われない。債権科目も同様であ る。個別案件については支払審査をして決定をしているが、システムの数値に ついては各部で点検確認を行い、決算附属書類を作成し、市長に提出する。  市長は、これを監査委員の審査に付し、その審査結果である監査委員の意見 とともに、議会の認定を受けなければならない。さらに市長は、議会に付した 決算の要領を住民に公表しなければならない。 3 決算で用いられる用語の解説  岐阜市の決算から、特に債権の現況を把握するために必要であると思われる 用語について、若干の解説を以下に行う。 ┌────┐ │会計年度│ └────┘  会計年度は、毎年4月1日から3月31日である。 ┌──────┐ │出納整理期間│ └──────┘  会計年度の終了した時点において、その終了した年度に属する予算の執行結 果である収入支出の経理を完結して、その年度の一切の現金経理を閉鎖するこ とを出納の閉鎖といい、5月31日が閉鎖の期日とされている。  会計年度終了後の4月1日から、この出納閉鎖期日の5月31日までの期間 を出納整理期間という。この出納整理期間中には、終了した年度に属する収入 の調定、支出の負担行為を行うことが出来ない。なお、物品、歳入歳出外現金 及び基金の年度区分は、受払い又は出納を行った日の属する会計年度とされ、 出納整理期間がない。 ┌──┐ │収入│ └──┘  収入は、地方公共団体が法令又は公権力に基づき、あるいは使用の対価、反 対給付の対価として、現金(又は現金に代えて納付される証券を含めて)を収 入する行為をいう。収入の手続としては、地方公共団体の収入意思の決定(制 度上これを調定という)から出納機関の歳入金の収入までの一連の連鎖行為を 範囲とする。地方公共団体は、あらゆる資料に基づいて正確にその財源を捕そ くし、かつ、経済の現実に即応してその収入を算定し、適実かつ厳正に、これ を確保しなければならない。 ┌──┐ │歳入│
    └──┘  地方公共団体の一会計年度におけるすべての収入を歳入という。その主な内 訳として、市税、国や県からの支出金、地方債、使用料などがある。 ┌───┐ │調定額│ └───┘  調定とは,その歳入の内容を具体的に調査し、収入すべき金額を決定する行 為をいい、その決定した額を調定額という。 ┌────┐ │収入済額│ └────┘  当該年度に調定したもののうち、出納整理期間までに納入されたものをいう。 ┌─────────┐ │収入済中還付未済額│ └─────────┘  当該年度における返還すべき過誤納金のうち、当該会計年度末までに支払が 終了しなかったものをいう。 ┌─────┐ │不納欠損額│ └─────┘  既に調定した歳入が、督促等を行ったにもかかわらず納付されずに時効が到 来してしまった場合や、法令に基づいて債務を免除した場合などについて、損 失として処分を行った額をいう。 ┌─────┐ │収入未済額│ └─────┘  当該年度の歳入として調定した収入のうち、出納整理期間までに納入されな かった額をいう。当年度の収入未済額は、6月1日に繰越調定され、翌年度以 降も引き続き徴収に努める必要がある。収入未済額=調定額-(収入済額-収                    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 入済中還付未済額)+不納欠損額となる。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 4 岐阜市の決算状況(一般会計) (1)歳入金額の推移  一般会計は、地方公共団体の基本的な経理を中心としたものであって、会計 の本体をなしているものであり、特別会計に対比して用いられ、特別会計に属 しない歳入歳出全体を一般会計という。岐阜市の債権の現況について、歳入に かかる決算金額から調定額、収入済額(収入済中還付未済額を含む)、不納欠 損額、収入未済額に着目してみる。  これらの直近5年間の推移は、以下のとおりである。 (※)表中の実質収納率は、(収入済額-収入済中還付未済額)÷調定額によ り算出している。(以下、同じ。)  この表によると岐阜市の一般会計における歳入の現況は、年度ごとの増減は あるが、毎年4億円から7億円程度の幅で不納欠損処分をしながらも、収入未 済額が120億円から160億円超存在するということが判る。 (2)決算 歳入「款」の内訳  一般会計における平成27年度の「款」のデータは以下のとおりである。  「款」ごとの収入未済額に着目してその分布を示したものが以下のグラフで ある。  平成27年度において、全収入未済額に占める割合が多いものは、順に諸収 入(47%)、市税(33%)、国庫支出金(13%)などである。過去の状況を見る と、平成23年度の割合は市税(58%)、諸収入(32%)、国庫支出金(5%) であり、市税の割合が一番多くなっている。  収入未済額がある債権は、債権管理が必要となり、注意しなければならない 債権である。 (3)収入未済額の詳細 ┌──┐ │市税│ └──┘  収入未済額は、5,111,928,878円で、内訳は次のとおりである。                    (単位:円) ┌───────────────┬───────┐ │      項目       │ 収入未済額 │ ├───────────────┼───────┤ │市民税            │ 2,102,143,285│ ├───────────────┼───────┤ │固定資産税          │ 2,412,043,954│ ├───────────────┼───────┤ │軽自動車税          │  54,654,086│ ├───────────────┼───────┤ │市たばこ税          │       0│ ├───────────────┼───────┤ │入湯税            │       0│ ├───────────────┼───────┤ │事業所税           │  46,421,400│ ├───────────────┼───────┤ │都市計画税          │  496,666,153│ ├───────────────┼───────┤ │市税合計           │ 5,111,928,878│ └───────────────┴───────┘  市税の収入未済額のうち大半を占めるのは、市民税と固定資産税である。固 定資産税には償却資産が含まれる。また、市税の収入未済額のうち、滞納繰越 分が4,017,630,421円を占めている。 ┌────────┐ │分担金及び負担金│ └────────┘  収入未済額は26,874,134円で、内訳は次のとおりである。
                       (単位:円) ┌───────────────┬───────┐ │      項目       │ 収入未済額 │ ├───────────────┼───────┤ │社会福祉費負担金       │    565,414│ ├───────────────┼───────┤ │子ども未来費負担金      │  26,308,720│ ├───────────────┼───────┤ │分担金及び負担金合計     │  26,874,134│ └───────────────┴───────┘  分担金及び負担金は、市の行う事業の受益者から、その受益を限度として徴 収するものである。子ども未来費負担金(児童福祉費負担金)が大半を占めて いるが、これには保育園の保育料などが該当する。 ┌────────┐ │使用料及び手数料│ └────────┘  収入未済額は97,997,229円で、内訳は次のとおりである。                    (単位:円) ┌───────────────┬───────┐ │      項目       │ 収入未済額 │ ├───────────────┼───────┤ │子ども未来使用料       │   8,078,010│ ├───────────────┼───────┤ │道路橋梁使用料        │    100,226│ ├───────────────┼───────┤ │河川水路使用料        │    907,681│ ├───────────────┼───────┤ │都市建設使用料        │    43,400│ ├───────────────┼───────┤ │住宅使用料          │  86,482,960│ ├───────────────┼───────┤ │大学使用料          │    462,900│ ├───────────────┼───────┤ │環境事業手数料        │   1,909,252│ ├───────────────┼───────┤ │道路橋梁手数料        │      800│ ├───────────────┼───────┤ │河川水路手数料        │    12,000│ ├───────────────┼───────┤ │使用料及び手数料合計     │  97,997,229│ └───────────────┴───────┘  使用料及び手数料は、市の施設利用や特定の事務の受益者から、その受益に 対する負担として徴収する。住宅使用料が大半を占めているが、市営住宅の使 用料である。 ┌─────┐ │国庫支出金│ └─────┘  収入未済額は1,977,033,000円で、内訳は次のとおりである。表中の備考 には、それぞれの国庫支出金の目的となる事業を記している。                                 (単位:円) ┌─────────┬───────┬──────────────────┐ │   項目    │ 収入未済額 │        備考        │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │企画費交付金   │  19,500,000│トランジットモール導入推進事業   │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │市民参画費交付金 │  35,500,000│みんなの森ぎふメディアコスモス自主 │ │         │       │事業                │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │商工費交付金   │   2,500,000│長良川流域滞在型観光推進事業    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │道路橋梁費交付金 │  183,299,000│橋梁耐震補強事業ほか8件      │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │河川水路費交付金 │  31,158,000│幹線水路改良事業ほか1件      │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │都市建設費交付金 │  336,880,000│市街地再開発事業ほか1件      │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │公園費交付金   │  13,690,000│岐阜公園再整備事業         │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │小中学校費交付金 │  41,072,000│小学校トイレ改修事業ほか3件    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │特別支援     │  10,435,000│特別支援学校屋内運動施設改修事業  │ │学校費交付金   │       │                  │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │行政管理費補助金 │  33,650,000│情報セキュリティ強化対策事業    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │社会福祉費補助金 │ 1,255,349,000│年金生活者等支援臨時福祉給付金給付 │ │         │       │事業                │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │商工費補助金   │  14,000,000│岐阜駅構内観光案内所改修事業    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │国庫支出金 合計 │ 1,977,033,000│                  │ └─────────┴───────┴──────────────────┘  国庫支出金とは、国と地方公共団体の経費負担区分に基づき、国が地方公共 団体に対して支出する負担金、委託費、特定の施策の奨励又は財政援助のため の補助金等をいう。  国庫支出金は、使途がその特定の事業に限定され、その事業が会計年度内に 完了しない場合、収入未済額としてこれらが翌年度へ繰り越される。 ┌────┐ │県支出金│ └────┘  収入未済額は89,360,212円で、内訳は次のとおりである。  表中の備考には、それぞれの国庫支出金の目的となる事業を記している。                                 (単位:円) ┌─────────┬───────┬──────────────────┐
    │   項目    │ 収入未済額 │        備考        │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │都市建設費負担金 │  37,659,212│早田大通区域沿道整備事業      │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │社会福祉費補助金 │  14,222,000│介護保険施設整備費助成事業     │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │都市建設費補助金 │  37,479,000│市街地再開発助成事業        │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │県支出金 合計  │  89,360,212│                  │ └─────────┴───────┴──────────────────┘  県支出金とは、特定の事務事業に要する経費の財源として、県が市に交付す るものをいう。県支出金も国庫支出金と同様、その使途が特定の事務事業に限 定されるため、その事業が会計年度内に完了しない場合、収入未済額として、 翌年度へ繰り越される。 ┌────┐ │財産収入│ └────┘  市が有する公有財産、物品、債権、基金の貸し付け等の運用により受け取る 賃貸料、利息、配当金及び財産の売払い等による収入をいう。  収入未済額8,935,964円はすべて、土地建物貸付収入である。 ┌───┐ │諸収入│ └───┘  収入未済額は7,187,318,098円で、内訳は次のとおりである。                    (単位:円) ┌───────────────┬───────┐ │      項目       │ 収入未済額 │ ├───────────────┼───────┤ │延滞金            │     4,700│ ├───────────────┼───────┤ │過料             │    228,000│ ├───────────────┼───────┤ │社会福祉費貸付金元利収入   │   6,366,535│ ├───────────────┼───────┤ │市民参画費貸付金元利収入   │  24,801,585│ ├───────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄弁償金   │ 6,953,707,514│ ├───────────────┼───────┤ │粗大ごみ処理施設火災対応弁償金│  69,474,660│ ├───────────────┼───────┤ │公営住宅使用弁償金      │   9,205,500│ ├───────────────┼───────┤ │建物収去強制執行費用弁償金  │   2,398,870│ ├───────────────┼───────┤ │道路工事瑕疵弁償金      │   1,575,720│ ├───────────────┼───────┤ │総務費雑入          │    819,790│ ├───────────────┼───────┤ │民生費雑入          │  108,871,751│ ├───────────────┼───────┤ │衛生費雑入          │    671,281│ ├───────────────┼───────┤ │土木費雑入          │   8,881,202│ ├───────────────┼───────┤ │教育費雑入          │    310,990│ ├───────────────┼───────┤ │諸収入 合計         │ 7,187,318,098│ └───────────────┴───────┘  諸収入は、他の科目に含まれない収入をいう。  諸収入のうち96.75%を産業廃棄物不法投棄弁償金が占める。延滞金の収入 未済額が極端に少ないことに特徴がある。 ┌──┐ │市債│ └──┘  収入未済額は841,800,000円で、内訳は次のとおりである。                                 (単位:円) ┌─────────┬───────┬──────────────────┐ │   項目    │ 収入未済額 │        備考        │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │行政管理事業債  │  33,600,000│情報セキュリティ強化対策事業    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │道路橋梁事業債  │  106,900,000│岐阜駅城田寺線街路改修事業 ほか7件 │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │河川水路事業債  │  30,400,000│幹線水路改良事業 ほか1件      │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │都市建設事業債  │  169,400,000│歩行者用デッキ整備事業 ほか1件   │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │公園事業債    │  12,300,000│岐阜公園整備事業          │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │小中学校建設債  │  76,200,000│小学校トイレ改修事業 ほか3件    │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │特別支援学校建設債│  20,500,000│特別支援学校屋内運動施設改修事業  │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │保健体育施設建設債│  392,500,000│もえぎの里多目的体育館建設事業   │ ├─────────┼───────┼──────────────────┤ │市債 合計    │  841,800,000│                  │ └─────────┴───────┴──────────────────┘  市債(地方債)とは、市町村が事業を実施する際に、財源不足を来たす場合 や一時に多額の資金を要するとき、これを地方公共団体の信用によって、長期 の借入資金を手当して財源とするものをいう。これらは、事業が翌年度へ繰り 越されたことにより収入未済となっている。 5 岐阜市の決算状況(特別会計)  特別会計とは、特定の事業を実施するに当たり、一般会計とは区分して経理
    する会計をいう。地方自治法第209条第1項では「普通地方公共団体の会計は、 一般会計及び特別会計とする。」と規定され当然に特別会計の設置を認めてい るが、あくまで予算単一主義原則の例外であるから、特別会計の設置には一定 の要件が定められている。  岐阜市では、岐阜市特別会計条例が制定されており、平成27年度現在12 の特別会計がある。その特別会計にかかる債権の現況について、全ての特別会 計を合計し、歳入にかかる決算金額から調定額、収入済額(収入済中還付未済 額を含む)、不納欠損額、収入未済額に着目してみる。  平成27年度における岐阜市の12の特別会計の内、収入未済があるのは、 下記の6つの特別会計であり、その約87%を国民健康保険事業が占めている。  岐阜市の平成27年度特別会計の歳入決算合計額の一覧は、以下のとおりであ る。 6 岐阜市の決算状況(公営企業会計)  岐阜市の公営企業会計は、中央卸売市場事業、水道事業、下水道事業、病院 事業の4つの事業からなる。 (1)公営企業会計の特徴  公営企業会計では、一般会計や特別会計における出納整理期間という概念が ない。  そのため、決算書に表示される収入未済額は、単純に各年度末日現在におい て収入されていないものとなる。これに対して、一般会計や特別会計では、出 納整理期間中に収入されたものは収入未済額には含まれない。例えば、3月 20日に5,000円が調定され、それが翌月の4月5日に収入された場合、以下 のような違いがでてくる。 ┌───────────────────────────────────────┐ │    4/1                     3/31       5/31  │ │    │         X年度           │(出納整理期間)│  │ │────┴───────────────────┼──┴──┼─────┴──│ │                        3/20    4/5        │ │                        調定    収入       │ └───────────────────────────────────────┘  公営企業会計の場合、3/31までに収入されていないものは収入未済額とし て決算書に表示されるため、X年度の決算書には収入未済額として5,000円が 表示される。他方、一般会計や特別会計の場合、5/31までに収入されたもの は、年度内に回収されたものとして処理されるので、X年度の決算書には収入 未済額は0円となる。  公営企業会計における債権の額と一般会計や特別会計における債権の額を 比較・検討する場合には、出納整理期間の有無を考慮する必要がある。 (2)収益の推移   公営企業会計の直近5年度の収益の推移は以下のとおりである。 ※1 収入済中還付未済額についてはすべて0円であったため表示していな   い。 ※2 公営企業会計における調定額は、当年度の営業収益及び営業外収益の合   計額から、長期前受金戻入を控除した金額とした。資産取得に伴う補助   金、一般会計負担金等については、交付年度で調定されて前受金となる   ため、それを一定期間で収益計上する長期前受金戻入は控除する必要が   あるためである。  表中の金額は、岐阜市の公営企業会計における金額を合計したものである。 公営企業は、当年度発生した債権のみ調定しているので、上記表では当年度分 のみ、「調定額=収入済額+不納欠損額+収入未済額」となっている。なお、 営業収益及び営業外収益以外の、出資金や国庫補助金等、資本的収入における 収入未済も存在するが、その性質上、計上及び回収に問題が生じにくいため本 監査にて対象としていない。  当年度分の収入未済額は増加傾向にあるが、過年度分の収入未済額は減少傾 向にある。また不納欠損額についても減少傾向にある。  債権の回収に努めたり、あるいは、積極的に不納欠損処理を行ったりするこ とにより過年度分の収入未済額を減少させている傾向もあるように思われる が、調定額の増加が著しく、当年度分と過年度分の収入未済額の合計は年々増 加している。  公営企業会計における平成27年度の収益の決算状況は、以下のとおりであ る。  水道事業における水道料金、下水道事業における下水道料金、病院事業におけ る入院、外来等の収益で不納欠損額、多額の収入未済額が発生している。 7 岐阜市の決算状況と岐阜市の債権  以上のように、岐阜市の債権は、基本的に決算における調定額として現れる。  ただし、債権が発生していたとしても、調定されていない収入については、 債権として表示されない。このことを意識する必要がある。  また、現年度の支出に対して、何らかの事情によりその一部または全部の返 還を受けることになった場合、これらも返還金という債権として発生すること となる。しかしながら、これら返還金は、基本的には、支出に対する戻入とし て処理され、現年度に返還金の収入があった場合には調定は行われない。出納 閉鎖日までに返還金が未収であった場合、翌期6月1日において初めて調定さ れる。こういった表に出ない債権の存在も意識する必要がある。  また、何よりも各担当課において債権としての計上漏れ・誤りや認識不足が ある場合には、本来計上されるべき債権が正しく計上されないおそれがある。  岐阜市では、会計事務がシステム化され(財務会計システム)、業務の効率 化が図られていると思われるが、債権に関する処理上のルールや認識を統一す ることが出来なければ、債権の管理は適切さを欠く可能性が生じるのではない かと思われる。 第5 財務書類からみる岐阜市の債権 1 はじめに  地方財政が厳しさを増す中で財政の透明性、公的説明責任、効率化・適正化 を図ることが求められ、平成18年6月に成立した「行政改革推進法」を契機 に、地方の資産・債務改革の一環として「新地方公会計制度の整備」が位置付 けられた。  これにより、地方公共団体は、平成19年10月に総務省の「新地方公会計制 度実務研究会報告書」で示された「基準モデル」又は「総務省改訂モデル」を 活用し、発生主義・複式簿記の考え方に基づき、財務書類4表を作成すること となった。
     財務書類の作成は、市民等への情報開示と共に、行政内部でのマネジメント 目的への活用も期待される。その効果の一つとして、適切な資産管理への活用 があり、固定資産台帳の整備を基礎とした将来の施設更新必要額の推計や、未 収債権の徴収体制の強化の必要性が認識されるなどの効果が期待される。  岐阜市を含めた地方公共団体の予算・決算に係る会計制度は現金主義会計に 準拠している。  現金主義会計とは、現金の入金と出金に従って、収入と支出を認識すること である。現金の収支という客観的な情報に基づくため、公金の適正な出納管理 に資すると考えられている。  現金主義会計のもとでは、収入の調定額は、対象年度中に現金として本来入 金されるべきものであり、そのうち出納整理期間内に入金がなかったものが収 入未済額となる。 2 岐阜市の財務書類  岐阜市が作成する財務書類として普通会計ベースと連結ベースが公表され ている。  普通会計ベースは、一般会計に加え、母子父子寡婦福祉資金貸付事業、土地 区画整理事業、育英資金貸付事業、薬科大学附属薬局事業の特別会計を合わせ たものである。  連結ベースは、普通会計に加え、公営事業会計、一部事務組合広域連合、地 方公社、岐阜市が50%以上出資している8法人の会計を連結したものである。  岐阜市では、普通会計を対象として、平成11年度決算から貸借対照表(バ ランスシート)を公表し、平成12年度決算からは行政コスト計算書を加えた 2表を公表してきた。  平成20年度決算からは、純資産変動計算書と資金収支計算書の2表を加え た財務書類4表(総務省の推奨による基準モデル)を公表している。また、併 せて、普通会計と公営事業会計や一部事務組合などの会計を連結した連結財務 書類も公表している。他の地方自治体に比べても、基準モデルによる財務書類 の作成を試みるなど、先進的な取り組み姿勢は、評価されるものである。  平成27年度の財務書類のうち、貸借対照表は、以下のとおりである。 平成27年度貸借対照表(普通会計ベース)                (単位:千円) ┏━━━━━━━━━━┯━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━┓ ┃   資産の部   │  金額   ┃    負債の部     │  金額   ┃ ┠──────────┼───────╂─────────────┼───────┨ ┃1 公共資産    │  711,537,013┃1 固定負債       │  138,033,199┃ ┃ (1)事業用資産   │  185,130,069┃ (1)地方債        │  120,010,656┃ ┃ (2)インフラ資産  │  509,415,927┃ (2)退職手当引当金    │  17,324,218┃ ┃ (3)売却可能資産  │  16,991,017┃ (3)その他        │    698,325┃ ┠──────────┼───────╂─────────────┼───────┨ ┃2 投資等     │  45,159,246┃2 流動負債       │  14,811,933┃ ┃ (1)投資及び出資金 │   4,953,426┃ (1)翌年度償還予定地方債 │  13,481,173┃ ┃ (2)貸付金     │   1,403,059┃ (2)その他        │   1,330,760┃ ┃ (3)基金等     │  38,802,761┠─────────────┼───────┨ ┃          │       ┃負債合計         │  152,845,132┃ ┠──────────┼───────╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━┫ ┃3 流動資産    │  20,268,216┃    純資産の部    │  金額   ┃ ┃ (1)資金      │   8,316,180┠─────────────┼───────┨ ┃ (2)未収金     │  11,952,036┃純資産合計        │  624,119,343┃ ┣━━━━━━━━━━┿━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━┫ ┃資産合計      │  776,964,475┃負債及び純資産合計    │  776,964,475┃ ┗━━━━━━━━━━┷━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━┛ 平成27年度貸借対照表(連結ベース)                  (単位:千円) ┏━━━━━━━━━━┯━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━┓ ┃   資産の部   │  金額   ┃    負債の部     │  金額   ┃ ┠──────────┼───────╂─────────────┼───────┨ ┃1 公共資産    │  920,171,671┃1 固定負債       │  381,749,050┃ ┃ (1)事業用資産   │  218,731,232┃ (1)地方債        │  226,272,524┃ ┃ (2)インフラ資産  │  681,365,547┃ (2)退職手当引当金    │  19,685,752┃ ┃ (3)売却可能資産  │  20,074,892┃ (3)その他        │  135,790,774┃ ┠──────────┼───────╂─────────────┼───────┨ ┃2 投資等     │  135,081,785┃2 流動負債       │  35,867,816┃ ┃ (1)投資及び出資金 │  89,947,689┃ (1)翌年度償還予定地方債 │  21,936,818┃ ┃ (2)貸付金     │   1,403,311┃ (2)その他        │  13,930,998┃ ┃ (3)基金等     │  43,730,785┠─────────────┼───────┨ ┃          │       ┃負債合計         │  417,616,866┃ ┠──────────┼───────╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━┫ ┃3 流動資産    │  50,363,545┃    純資産の部    │  金額   ┃ ┃ (1)資金      │  30,760,532┠─────────────┼───────┨ ┃ (2)未収金     │  19,603,013┃純資産合計        │  688,000,135┃ ┣━━━━━━━━━━┿━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━┫ ┃資産合計      │ 1,105,617,001┃負債及び純資産合計    │ 1,105,617,001┃ ┗━━━━━━━━━━┷━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━┛ 3 岐阜市の財務書類と岐阜市の債権  岐阜市では、財政課において財務書類の作成が行われ、財務書類上、債権は 貸借対照表の資産の部に、未収金、貸付金として表示されている。  作成にあたっては、貸付金は決算統計、未収金は歳入歳出決算附属書類等を 参考に集計している。  なお、決算附属書類における国庫支出金等の収入未済額は、国・議会等の手 続を経て承認された翌年度収入分であるため財務書類の未収金に含めないな ど、決算の表示と異なっている。 4 今後の財務書類について  平成27年1月23日に総務省から、「統一的な基準による地方公会計の整備 促進について」の通知が出され、財務書類について、今までのように決算統計 データを活用することから脱却し、発生の都度又は期末一括で複式仕訳を起こ していくことが示された。  この通知により、現状採用されている現金主義会計から発生主義会計への移 行が必要となってくる。発生主義会計とは、現金の入金と出金のみならず、経 済価値の生成と経済価値の消費も含めて把握するものであり、これまで把握さ れなかった減価償却費、退職手当引当金等のコストまで把握が可能になる。  今後の財務書類は、入出金のみではなく、経済事実の発生まで含めた収支が 計上されるため、今まで見えにくかったコストが明らかにされることはもちろ んのこと、回収すべき収入も明らかにされることも期待したい。 第6 岐阜市の未収債権
    1 「未収」の意味  会計における「収入未済額」を「未収金」として、以下、表現する。ただし、 「収入未済額」は、出納閉鎖日(5月31日)までに納付がなかったもののみ を指している。納期限に遅れたものすべてを指しているものではない。また、 収入未済の前提として、収入すべきものとして調定がなされていることが必要 である。調定がなされていない限り収入未済ともならない。 2 債権調査票による照会  債権調査票第2の2において、平成25年度から平成27年度の過去3年度に おいて、未収金が発生した債権がある場合には、その債権名及び金額を明示し てもらうこととした。 3 債権調査票の回答結果(第2の2)  その結果は、次表のとおりである。  平成27年度に取扱債権があると回答した課から更に絞られることとなった。  この内、第6章で報告する岐阜市債権管理調整会議において、平成27年度 及び平成28年度の担当課及び取扱債権については、太字にて区別している。  債権調査票の回答中、未収債権として漏れが存在する部分があった。  例えば、土木管理課の道路橋梁手数料、河川水路手数料(いずれも督促手数 料)(決算上の「款」「14 使用料及び手数料」、「項」「2 手数料」「目」「土 木手数料」)及び水路占用料の延滞金(決算上の「款」「21 諸収入」、「項」「1 延滞金、加算金及び過料」、「目」「1 延滞金」)である。  この点については、後述する。  なお、収入未済額としては、決算の一般会計中、「15 国庫支出金」、「16 県 支出金」、「22 市債」があるが、これらは、収入の性質上、本監査にて個別の 対象としていない。 【調査票の回答結果(平成25年度~平成27年度未収債権及び担当課一覧)】 ┌────────┬───────────┬─────────────┬──────────────┐ │担当課     │強制徴収公債権    │非強制徴収公債権     │私債権           │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │納税課     │□市税        │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │管財課     │           │             │□土地建物貸付料      │ │        │           │             │□使用損害金        │ │        │           │             │□弁償金          │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │中央卸売市場  │           │□施設使用料(電気、水道使│□電気料          │ │        │           │用料を除く)       │□水道使用料        │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │国保年金課   │□国民健康保険料(税)│□返納金         │第三者行為損害賠償金    │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │福祉政策課   │           │             │臨時福祉給付金返還金(H25、 │ │        │           │             │26は未収なし)       │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │介護保険課   │□介護保険料     │□介護報酬の不正請求につ │              │ │        │           │いての返還金・加算金   │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │子ども支援課  │           │□高等技能訓練支援促進費 │□岐阜市母子父子寡婦福祉資 │ │        │           │返還金          │金貸付金          │ │        │           │□児童手当返還金     │□岐阜市育英資金貸付金(奨 │ │        │           │□子ども手当返還金    │学貸付金、入学準備貸付金) │ │        │           │□児童扶養手当返還金   │              │ │        │           │□子育て世帯臨時特例給付 │              │ │        │           │金(ただし、H25、26は未収 │              │ │        │           │なし)          │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │子ども保育課  │□利用者負担額    │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │生活福祉一課  │□生活保護法第78条に基│□生活保護法第63条に基づ │□岐阜市福祉資金貸付金   │ │        │づく徴収金      │く徴収金         │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │恵光学園    │           │□恵光学園施設使用料(ただ│□施設利用者給食費     │ │        │           │し、H27は未収なし)    │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │第二恵光    │           │             │□食事等サービス利用料金  │ │        │           │             │(生活介護・施設入所)   │ │        │           │             │□食費等サービス利用料金  │ │        │           │             │(短期入所)(ただし、H26、 │ │        │           │             │H27年は未収なし)      │ │        │           │             │□食費等サービス利用料金  │ │        │           │             │(日中一時)(ただし、H27は │ │        │           │             │未収なし)         │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │第三恵光    │           │             │□食費等サービス利用料金  │ │        │           │             │(短期入所)        │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │高齢福祉課   │           │□老人保護措置費負担金  │□雑入(成年後見手数料返還 │ │        │           │             │金)            │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │福祉医療課(福 │           │□福祉医療助成に関する返 │              │ │祉医療係)   │           │還金           │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │福祉医療課(後 │□後期高齢者医療保険料│             │              │ │期高齢医療係) │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │保健医療課   │           │□旧休日急病診療所使用料 │              │ │        │           │(ただし、H27は未収なし) │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │医事課     │           │             │□病院事業医業収益     │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │循環型社会推進 │□岐阜市まちを美しくす│             │              │ │課       │る条例過料      │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │自然環境課   │           │             │□事務管理費用償還請求権  │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │斎苑      │           │             │□雑入(H25、26は未収なし) │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │環境事業政策課 │           │             │□火災事故弁償金(H25、26  │
    │        │           │             │は未収なし)        │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │旧産業廃棄物特 │□行政代執行に要した費│             │□事務管理費用償還請求権  │ │別対策課(H28  │用請求権       │             │□不法行為に対する損害賠償 │ │は環境事業政策 │           │             │請求権           │ │課へ)     │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │住宅課     │           │□住宅使用料       │□公営住宅使用弁償金    │ │        │           │□駐車場使用料      │□市営住宅退去修繕料    │ │        │           │□施設使用料       │□土地(建物)貸付収入   │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │歴史まちづくり │           │□レンタサイクル使用料  │□損害賠償請求権      │ │課       │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │土木管理課   │□道路占用料     │             │              │ │        │□水路占用料     │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │営業課(料金徴 │□下水料金      │             │□水道料金         │ │収係)     │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │営業課(負担金 │□下水道事業受益者負担│             │              │ │係)      │金          │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │営業課(計測係)│           │             │□水道メーター筐鉄蓋代金  │ │        │           │             │(H25、H27は未収なし)   │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │人権啓発センタ │           │             │□住宅資金貸付金      │ │ー       │           │             │□同和向個人住宅建設資金貸 │ │        │           │             │付金            │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │薬科大学事務局 │           │□薬科大授業料      │              │ │庶務会計課   │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │女子短期大学事 │           │□岐阜市立女子短大授業料 │              │ │務局総務管理課 │           │             │              │ ├────────┼───────────┼─────────────┼──────────────┤ │青少年教育課  │           │             │□放課後児童クラブ事業実費 │ │        │           │             │負担金           │ └────────┴───────────┴─────────────┴──────────────┘ 第7 本章のまとめ  以上、本監査の対象とする岐阜市の債権の現状について報告した。  未収金(収入未済額)が発生した債権については、債権回収措置が適切にな されたといえるかを確認する必要性が高く、重点的に監査をする必要がある。  調査票による調査の結果、未収金が発生した債権については、岐阜市債権管 理調整会議で取り扱われている債権が大半となるが、そうではない債権も複数 含まれていることが判明した。  本監査で報告する個別債権は、基本的には平成27年度に未収金が発生した 債権について取り上げることとした。  以上を踏まえ、第2章以下を報告する。 第2章 岐阜市の債権にかかる事務(全体) 第1 本章の概要  第1章において、岐阜市の債権の現状について報告した。  債権はその発生から消滅に至るまで、適時・適切に事務執行がなされる必要 がある。  そこで、本章では、まず、「第2」において、岐阜市が、法令のほか条例や 規則等自ら定めた根拠を踏まえると、どのような事務執行手続の流れをたどる のかについて報告する。その上で、「第3」から「第8」において、事務ごと に設定した監査項目を報告する。これらは、第3章から第5章で報告する個別 債権の検証にあたり、共通するものとなる。 第2 岐阜市の債権にかかる基本的な事務の流れ(本来)  法律、政令の他、岐阜市の条例、規則等を踏まえ、岐阜市の債権の発生から 消滅に至るまでの基本的な事務の流れ(本来)を整理すると次表のとおりであ る。以下の表は、上部から下部に向けた時系列で記載しており、債権の性質の 分類ごとに、債権の発生、管理の根拠規定、流れが異なるので分けて記載した。  岐阜市は、債権にかかる事務執行をする際に、かかる事務の流れ及び根拠を 踏まえることが必要となる。 【岐阜市の債権にかかる基本的な事務の流れ(根拠含む)】 ┌──────┬────────────┬───────────┬───────────┐ │事務項目  │強制徴収公債権     │非強制徴収公債権   │私債権        │ ├──────┴────────────┴───────────┴───────────┤ │発生にかかる事務                                   │ ├──────┬────────────────────────┬───────────┤ │発生原因  │公法上の原因による債権の発生(賦課決定等)   │私法上の原因による債 │ │      │                        │権の発生(契約等)  │ ├──────┼────────────┬───────────┼───────────┤ │1)歳入の収入│【調定・納入通知又は納付│【調定・納入通知又は納│【調定・納入通知】  │ │      │告知】         │付告知】       │地方自治法第231条、地 │ │      │地方自治法第231条、地方 │地方自治法第231条、地 │方自治法施行令第154  │ │      │自治法施行令第154条、地 │方自治法施行令第154条 │条          │ │      │方税法第13条、第319条、 │岐阜市会計規則第32条、│岐阜市会計規則第32  │ │      │第319条の2等、岐阜市会 │第33条、第37条    │条、第33条、第37条  │ │      │計規則第32条、第33条、 │           │           │ │      │第37条         │           │           │ ├──────┼────────────┴───────────┴───────────┤ │2)歳出の返還│【戻入手続】地方自治法施行令第159条、岐阜市会計規則第95条        │ └──────┴────────────────────────────────────┘      ↓                | ┌─────────┐           | │納期限における納付│           ↓  納期限における納付がない場合
    └─────────┘ ┌──────────────────────────────────────────────┐ │管理にかかる事務                                      │ ├──────┬─────────────┬─────────────┬───────────┤ │債権回収に向│【督促】         │【督促】         │【督促】       │ │けた事務  │地方税法第329条等、地方  │地方自治法第231条の3   │地方自治法第240条第  │ │      │自治法第231条の3第1項、 │第1項、(岐阜市債権取扱 │2項、同施行令第171  │ │      │市税以外の諸納付金の督促 │規則第2条)、市税以外の │条、岐阜市債権取扱規則│ │      │手数料及び延滞金徴収条例 │諸納付金の督促手数料及  │第2条        │ │      │第2条          │び延滞金徴収条例第2条  │           │ │      │             │             │           │ │      ├─────────────┼─────────────┴───────────┤ │      │【滞納処分】       │【強制執行等】                  │ │      │財産調査⇒差押え⇒交付要 │担保あるもの⇒担保の実行(地方自治法施行令第171  │ │      │求⇒換価⇒配当(地方税法 │条の2第1号)、債務名義あるもの⇒強制執行手続  │ │      │ほか個別法、地方自治法第 │(同第2号)、その他⇒訴訟手続により履行請求(同 │ │      │             │第3号)                     │ │      │             │地方自治法第240条第2項、同施行令第171条の2、  │ │      │             │岐阜市債権取扱規則第3条             │ │      ├─────────────┼─────────────────────────┤ │      │【繰上徴収】       │【履行期限の繰上げ】               │ │      │地方税法第13条の2    │地方自治法第240条第2項、同施行令第171条の3、  │ │      │【履行期限の繰上げ】   │岐阜市債権取扱規則第4条             │ │      │地方自治法第240条第2項、 │                         │ │      │同施行令第171条の3、岐  │                         │ │      │阜市債権取扱規則第4条  │                         │ │      ├─────────────┴─────────────────────────┤ │      │【債権の申出等】                               │ │      │国税徴収法第82条、地方自治法第240条第2項、同施行令第171条の4、岐阜市    │ │      │債権取扱規則第5条~第8条等                         │ │      ├───────────────────────────────────────┤ │      │催告(督促後の請求行為)、納付相談、納付誓約、債務者死亡後の相続人調査など  │ ├──────┼─────────────┬─────────────────────────┤ │債権回収の緩│【滞納処分の執行停止】  │【徴収停止】                   │ │和に向けた事│地方税法第15条の7    │地方自治法第240条第3項、同施行令第171条の5、  │ │務     │             │岐阜市債権取扱規則第9条             │ │      ├─────────────┼─────────────────────────┤ │      │【徴収猶予・換価猶予】  │【履行延期の特約等】               │ │      │地方税法第15条~第15条  │地方自治法第240条第3項、同施行令第171条の6、  │ │      │の6、岐阜市税条例第11条  │岐阜市債権取扱規則第10条~第17条         │ │      │~第12条の2等       │                         │ │      ├─────────────┴─────────────────────────┤ │      │納付相談                                   │ └──────┴───────────────────────────────────────┘      ↓ ┌──────┬──────────────────────────────────────┐ │日常管理  │債権管理簿(岐阜市債権取扱規則第20条)等にて必要事項の記録⇒時効の管理、  │ │      │交渉経過の記録等                              │ └──────┴──────────────────────────────────────┘      ↓ ┌──────┬─────────────────────────┬────────────┐ │納期限経過後│本税、本債権のほか督促手数料、延滞金       │本債権のほか違約金(遅 │ │の本債権外の│岐阜市税条例第15条、第17条、市税以外の諸納付金の │延損害金)各種契約、母 │ │回収事務  │督促手数料及び延滞金徴収条例第3条~第5条等   │子及び父子並びに寡婦  │ │      │                         │福祉法施行令第17条等  │ └──────┴─────────────────────────┴────────────┘      ↓                   | ┌──────────────────────┐ | │本債権の回収、督促手数料及び延滞金の回収(公│ | 回収できない場合 │債権)、違約金(遅延損害金)の回収(私債権)│ ↓ └──────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────────┐ │消滅にかかる事務                                     │ ├──────┬─────────────┬────────────────────────┤ │消滅事由  │【滞納処分の執行停止後の │                        │ │      │消滅】          │                        │ │      │地方税法第15条の7第4  │                        │ │      │項、同第5項等      │                        │ │      ├─────────────┼───────────┬────────────┤ │      │【消滅時効】       │【消滅時効】     │【消滅時効】      │ │      │地方税法第18条第1項、同 │地方自治法第236条第1 │民法第167条第1項、第  │ │      │第2項、地方自治法第236  │項、同第2項⇒5年 援│145条)⇒10年 援用必  │ │      │条第1項、同第2項⇒5年 │用不要        │要           │ │      │援用不要         │           │ ただし、特別の定めで短│ │      │ただし、特別法により短期 │           │ 期あり。水道料金⇒2年│ │      │あり。          │           │ (民法第173条第1   │ │      │国民健康保険法第110条、  │           │ 項)、病院医業収益⇒3│ │      │介護保険法第200条、高齢  │           │ 年(民法第170条第1  │ │      │者の医療に関する法律第  │           │ 号)、土地建物貸付収入│ │      │160条           │           │ (普通財産)⇒5年(民│ │      │⇒2年          │           │ 法169条)       │ │      ├─────────────┴───────────┴────────────┤ │      │【消滅時効の中断事由、時期の確認】                     │ │      │納入通知及び督促(地方自治法第236条第4項)、債務の承認(分納誓約等)、一部 │ │      │弁済等                                   │ │      ├─────────────┬────────────────────────┤ │      │             │【債務免除】                  │ │      │             │地方自治法施行令第171条の7、岐阜市債権取扱規  │ │      │             │則第18条                    │ │      ├─────────────┼───────────┬────────────┤ │      │(【債権放棄】(地方自治法│【債権放棄】     │【債権放棄】      │ │      │第96条第1項第10号 ※  │地方自治法第96条第1項│地方自治法第96条第1  │ │      │実際に利用できるかは?) │第10号        │項第10号、岐阜市債権  │ │      │             │           │管理条例第6条、岐阜市 │ │      │             │           │債権管理条例施行規則  │ │      │             │           │第3条、岐阜市上下水道 │ │      │             │           │事業部債権管理規程第  │ │      │             │           │ 2条         │ ├──────┼─────────────┼───────────┼────────────┤ │不納欠損  │【不納欠損】       │【不納欠損】     │【不納欠損】      │
    │      │岐阜市会計規則第59条、岐 │岐阜市会計規則第59条、│岐阜市会計規則第59   │ │      │阜市上下水道事業部企業会 │岐阜市中央卸売市場事業│条、岐阜市中央卸売市場 │ │      │計規程第41条       │の財務に関する特例を定│事業の財務に関する特  │ │      │             │める規則第21条    │例を定める規則第21   │ │      │             │           │条、岐阜市上下水道事業 │ │      │             │           │部企業会計規程第41   │ │      │             │           │条、岐阜市民病院の財務 │ │      │             │           │に関する特例を定める  │ │      │             │           │規則第21条       │ └──────┴─────────────┴───────────┴────────────┘ 第3 岐阜市の債権にかかる事務の監査項目  「第2」で述べたとおりの事務の流れにより、岐阜市の債権は発生し、発生 後、定められた納期限までに納付されるのが本来である。  納期限までに納付されない場合には、督促等、回収に向けて事務執行するこ ととなる。  やむなく回収できない場合には、最終的には不納欠損処分をするという結果 に至る場合がある(岐阜市会計規則第59条)。  債権の事務執行を検証するにあたっては、発生後の債権、特に未収金となる 部分をどのように管理していくかに着目されることが通常であろう。勿論、そ の点が重要であることは全く否定しないが、本監査においては、「債権の発生 面」に関する事務執行も重要であると考え、「発生にかかる事務」⇒「発生後 の管理事務」⇒「消滅にかかる事務」という時系列を意識して監査を実施して いる。以下、それぞれの事務における監査項目を報告する。 第4 債権の発生にかかる事務と監査項目 1 発生させてはいけない債権を発生させていないか  本来債権として発生させてはいけないものを発生させてしまった場合、必要 のなかった債権回収事務が発生する。そして、回収できなければ、岐阜市の財 産を毀損する可能性がある。例えば、生活保護返還金(生活保護法第63条、 第78条)については、その性質上、一旦発生させてしまうと債権回収が困難 になることが多いが、そもそも、計算誤り、年金受給、不正受給の見逃しなど がなければ、債権を発生させずに済んだ可能性もある。事前に適切に予防策を 講じ、債権として発生させてはいけないものを発生させないことも、債権の事 務執行として重要である。このような視点で債権の発生にかかる事務を検証し た。 2 調定が適時・適切に行われているか  地方自治法第231条は、普通地方公共団体の歳入を収入しようとするときは、 政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知を しなければならないと規定する。これを受けて、地方自治法施行令第154条は 詳細を定める。  岐阜市会計規則第32条、第33条は、調定について次のとおり規定する。  収入しようとする場合、事前に調定することが原則的事務形態であり、一定 の事由が有る場合には例外的に事後調定することができることとされている。 ┌────────────────────────────────────────┐ │(歳入の調定)                                 │ │第32条 収入命令者は、歳入を徴収しようとするときは、次に掲げる事項を調査し、直 │ │ ちにこれを調定しなければならない。                      │ │(1) 歳入の所属年度及び歳入科目に誤りのないこと。                │ │(2) 納入すべき金額、納入義務者、納期限及び納入場所について、法令等又は契約に照ら│ │ し適正であること。                              │ │(3) 前2号に掲げるもののほか、納入が法令等又は契約に違反していないこと。    │ │2 前項の調定をする場合は、その納期限は、法令等、契約その他別に定めがあるものを│ │ 除くほか、調定の日から20日以内において定めるものとし、2期以上の納期の定めの │ │ あるもの又は分納の定めのあるものについては、その期の分を調定するものとする。 │ ├────────────────────────────────────────┤ │(事後調定)                                  │ │第33条 収入命令者は、事前に調定をしがたい次に掲げる歳入金については、現金を収 │ │ 納した後において、関係書類に基づいて前条の規定による調定をすることができる。 │ │(1) 証紙、入場券、観覧券、投票券等の類で窓口において発売するもの        │ │(2) 期日が到来しなければ金額が確定しないもの                  │ │(3) 納入義務者において自ら金額を算定して納付するもの              │ │(4) 事実が発生しなければ金額が確定しないもの                  │ │(5) 前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認められるもので会計管理者に合議│ │ して市長が決定したもの                            │ └────────────────────────────────────────┘  事後調定は、収入後に調定するものであり、未収は発生しないこととなる。  すなわち、回収率100%となる。決算上は、事前調定をしたか、あるいは、 事後調定をしたかは必ずしも明らかとならない。債権が発生し、事前調定をす べき場合に事後調定をすると、実態と「ずれる」こととなりうる。例外事由が 見当たらないのに事後調定していないか検証する必要がある。  また、債権が発生した場合、適切な調定をすることは債権に関する事務の出 発点である。この点の事務処理に誤りがないかを検証する必要もある。債権事 務において、公法上あるいは私法上の原因で発生した債権の「調定」は出発点 であり、適時・適切に行われているか検証した。 3 調定・戻入の際に適切に納期限が定められているか  岐阜市会計規則第32条第2項は、「調定の際に法令等、契約その他別に定め があるものを除くほか、調定の日から20日以内において納期限を定めること を必要としており、2期以上の納期の定めのあるもの又は分納の定めのあるも のについては、その期の分を調定するものとする。」と規定する。  また、地方自治法施行令第159条では、戻入の手続につき、「収入の手続の 例により」と定められ、岐阜市会計規則第95条では戻入手続を定める。規則 では明記されていないが、岐阜市会計規則及び岐阜市物品管理規則に規定する 帳簿及び書類の様式に関する要綱(平成24年3月30日決裁)別表第2(第2 条関係)にある「返納金通知書兼領収書(戻入の際に使用される)」には、納 期限の定めの欄があり、納期限の定めが前提と解される。  納期限の定めは、適時・適切な債権回収の第一歩であり、督促を行う前提条 件としても必要である。  調定・戻入に際し、適切に納期限が定められているかを検証した。 4 納入通知において、行政不服申立ての教示がなされているか(公債権)  公債権において納入通知は行政処分となり、行政不服審査法において、書面
    による不服申立手続教示が必要となると解される(東京高裁平成24年7月12 日判決参照 改正前行政不服審査法第57条第1項、改正行政不服審査法第82 条第1項。改正法の施行は平成28年4月1日)。公債権における督促も同様で ある。  この点、岐阜市においては、平成27年6月15日付け行政課長名義で、各部 主管課長に対し、「行政不服審査法の改正に伴う関係例規の洗出しについて(依 頼)」と題する書面を送付し、改正が必要となる関係例規(条例、規則、要綱) の洗い出し作業を依頼している。また、併せて、平成27年度においては2度 の研修を実施している。ここで該当債権取扱課が、洗い出し作業を漏れなくし ていれば、納入通知、督促状において適切に書面による教示文が明記されてい るはずである。  岐阜市において、書面により行政不服申立ての教示がなされているか検証し た。 第5 債権回収に向けた事務と監査項目 1 回収すべきものを適時・適切に回収しているか(総論)  債権は、調定、納入通知を経て納期限までに納入されることが通常である。  納期限までに納入されない事態が発生した場合には、法令、岐阜市債権取扱 規則等は、回収に向けてとるべき措置を規定している。  例えば、地方自治法第240条第2項、それを受けた同施行令第171条から同 第171条の4の規定は、督促等回収にかかる規定であるが、いずれも語尾は「し なければならない」、すなわち「義務」とされている。  市税等の債権については地方税法等が、その他の債権(非強制徴収公債権及 び私債権)については地方自治法、同法施行令等が規律しており、かかる規律 どおりに回収事務をしていることが必要である。  最高裁平成16年4月23日判決では、「地方公共団体が有する債権の管理に ついて定める地方自治法第240条、地方自治法施行令第171条から第171条の 7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除し たりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行 使についての裁量はない。」と判示している。この最高裁の判示からしても、 回収に向けて義務とされている措置につき、理由なく行使することなく放置す ることは許されない。そのようなこととなれば、住民監査請求の対象となりう る(地方自治法第242条)。  適法性が問題となる事務であり、その点を意識して検証した。  特に、以下の項目に着目した。 2 督促を適時・適切に行っているか  納期限までに納付がない場合、債権の性質による分類にかかわらず、督促す ることは義務とされている(地方税法第329条等、地方自治法第231条の3第 1項、地方自治法第240条第2項、地方自治法施行令第171条、岐阜市債権取 扱規則第2条)。  かつ、岐阜市においては、債権の分類にかかわらず、書面による督促が必要 とされている(地方税法第329条等、岐阜市債権取扱規則第2条、市税以外の 諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条)。  また、地方自治法第231条の3第2項が適用される市税以外の諸納付金(公 債権に限る)については、納期限後20日以内に督促状を発しなければならな いとされている(市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条 第1項)。  督促は、滞納処分、督促手数料・延滞金発生の前提として(公債権の場合)、 また、時効中断の効力が発生する行為として(地方自治法第236条第4項)、 あるいは、地方自治法施行令第171条の2以下の各種措置の前提等として極め て重要な事務である。岐阜市において、法令等に則って、適時・適切に督促が なされているかを検証した。 3 滞納処分を適時・適切に行っているか(強制徴収公債権)  滞納処分とは、強制徴収公債権につき債務者が滞納した場合に行う行政上の 強制徴収手続を指す。財産調査、差押え、交付要求、換価、配当という流れを 経るのが通常である。市税については、地方税法第331条第6項等により、滞 納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、徴税吏員に各種の調 査権限が認められる。市税以外の強制徴収公債権についての調査権限について も同様に可能と考えられている。  滞納処分は、任意の納付がない者に対する最も効果的な回収手段である。適 切に財産調査がなされ、適時・適切に滞納処分がなされているかを検証した。  岐阜市において、強制徴収公債権は、市税以外でも多種ある(第1章 第6 岐阜市の未収債権 3 参照)。市税以外の債権については、そもそも滞納処 分が行われているかという点を確認した。 4 強制執行等の措置を適時・適切に講じているか(非強制徴収公債権及び私債  権)  地方自治法施行令第171条の2は、次のとおり規定する。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │(強制執行等)                                   │ │第171条の2 普通地方公共団体の長は、債権(地方自治法第231条の3第3項に規定す    │ │ る歳入に係る債権(以下「強制徴収により徴収する債権」という。)を除く。)について、│ │ 地方自治法第231条の3第1項又は前条の規定による督促をした後相当の期間を経過し   │ │ てもなお履行されないときは、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。ただし、 │ │ 第171条の5の措置をとる場合又は第171条の6の規定により履行期限を延長する場合   │ │ その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。              │ │一 担保の付されている債権(保証人の保証がある債権を含む。)については、当該債権  │ │ の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、  │ │ 又は保証人に対して履行を請求すること。                      │ │二 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)について  │ │ は、強制執行の手続をとること。                          │ │三 前二号に該当しない債権(第一号に該当する債権で同号の措置をとつてなお履行され  │ │ ないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求 │ │ すること。                                    │ └──────────────────────────────────────────┘  督促相当期間を経過した後、なお履行されないときは、徴収停止措置(第 171条の5)、履行延期の特約(第171条の6)、その他特別の事情があると認 める場合を除き、担保があれば担保の実行(保証人ある場合の保証人に対する 履行請求も含む)(第1号)、債務名義あるものは強制執行(第2号)、その他 の場合は訴訟手続により履行請求(第3号)することが義務づけられている。  岐阜市債権取扱規則第3条は、このうち、保証人に対する履行の請求の手続 について規定する。  これらの措置は任意の納付がない者に対する効果的な回収手段である。  岐阜市の強制徴収公債権を除く未収金回収において、適時・適切に上記措置 が講じられているか。例外事由がないのにもかかわらず、かかる措置をとらず
    に放置している場合はないのか、適法性の見地が重要であり、この点を検証し た。 5 履行期限の繰上げ・繰上徴収の措置を適時・適切に講じているか  地方自治法施行令第171条の3は、次のとおり規定する。文言上、債権の性 質による分類にかかわらず適用があるが、個別法の定めがあればそれが優先す る(繰上徴収の規定 地方税法第13条の2等)。 ┌────────────────────────────────────────┐ │(履行期限の繰上げ)                              │ │第171条の3 普通地方公共団体の長は、債権について履行期限を繰り上げることができ │ │ る理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をし│ │ なければならない。ただし、第171条の6第1項各号の1に該当する場合その他特に支 │ │ 障があると認める場合は、この限りでない。                   │ └────────────────────────────────────────┘  岐阜市債権取扱規則第4条は、履行期限の繰上げの手続について、納入通知 は履行期限を繰り上げる旨及びその理由を明らかにして行わなければならな いと規定する。  これは、債務者に対し信用不安が生じる事由が発生した場合に、期限を待っ ていては回収に支障が生じる可能性があるからである。  例えば、民法第137条で債務者が破産手続開始の決定を受けたとき(第1号)、 契約で期限の利益喪失約款がありその違反があった場合などにとるべき措置 である。  岐阜市の債権回収において、適時・適切に上記措置が講じられているか、例 外事由がないのにもかかわらず、かかる措置をとらずに放置している場合はな いのか、適法性の見地が重要であり、この点を検証した。 6 債権申出等の措置を適時・適切に講じているか  地方自治法施行令第171条の4は、次のとおり規定する。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │(債権の申出等)                                 │ │第171条の4 普通地方公共団体の長は、債権について、債務者が強制執行又は破産手続  │ │ 開始の決定を受けたこと等を知つた場合において、法令の規定により当該普通地方公共 │ │ 団体が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、 │ │ そのための措置をとらなければならない。                     │ │2 前項に規定するもののほか、普通地方公共団体の長は、債権を保全するため必要があ │ │ ると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮│ │ 差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。      │ └─────────────────────────────────────────┘  第1項では、債務者が強制執行又は破産手続開始決定を受けたこと等を知っ た場合、配当要求やその他債権の申出をすることができるときは直ちにそのた めの措置を講じる義務があるとされている。  また、第2項では、債権保全の必要があると認めるときには、債務者に対し 保証人の徴求、あるいは、担保の提供を求め、仮差押え、仮処分の手続をとる などの措置を講じる義務があるとされている。  岐阜市の未収金回収において、適時・適切に上記措置が講じられているか、 例外事由がないのにもかかわらず、かかる措置をとらずに放置している場合は ないのか、適法性の見地が重要であり、この点を検証した。 7 催告、納付相談、納付誓約などを任意の履行に向けて活用しているか  以上、「2」から「6」の措置は、法令及び岐阜市債権取扱規則等に規定が ある措置であった。債権の回収に向けては、法令等の規定がないものの、任意 の履行に向けて次のとおりの措置が考えられる。  催告は、督促以外の請求行為を指す。督促との違いは、督促手数料及び延滞 金徴収の前提行為ではないこと、時効の絶対的中断効(地方自治法第236条第 4項)が発生しないこと、何度でも可能であることであるが、債務者からの任 意の弁済を促す点に意義がある。  なお、催告は、民法第153条の時効中断効としての効力があるとするのが裁 判例である(最判昭43年6月27日)。時効直前期に催告し、6ヶ月以内に訴 訟手続等をするのであれば時効中断効としての意味もあるということとなる。  納付相談は、債務者の事情を聴取し、その事情に応じた措置を検討できる点 で意義がある。例えば、分割払いでなければ履行できないのであれば、履行措 置の延期の特約等(地方自治法施行令第171条の6)をすることなどである。  納付誓約は、法令の根拠はないが、債権の分類にかかわらず利用が考えられ るものである。債務者が一方的に差し入れるもので、自治体側との明示の合意 があるものではないが、債務承認として時効中断効があり(民法第147条第3 号)、納付誓約どおりに履行している間は滞納処分、強制執行手続等を差し控 えるという事実上の効果があり、回収の促進が図られうる。  以上のように、催告、納付相談、納付誓約など、債権回収の有効性の見地か ら、岐阜市が任意の履行に向けて活用できているかを検証した。 8 連帯保証人等の複数当事者対応が適時・適切に行われているか  債務者が複数になる場合がある。  岐阜市の債権について、複数になる場合を整理すると、次のとおりである。 ┌──────────┬────────────────────────────┐ │主債務者外     │適用される債権(岐阜市債権の主な例)(注:例示なのですべ│ │          │てではない)                      │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │連帯納付義務者   │固定資産税(地方税法第10条の2第1項)、後期高齢者保険料│ │          │(高齢者の医療に関する法律第第108条第2項、第3項)、介 │ │          │護保険料(介護保険法第132条第2項、第3項)       │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │連帯借受人     │育英資金貸付金、母子寡婦福祉資金貸付金(修学資金)   │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │保証人       │岐阜薬科大学授業料、岐阜市立女子短大授業料       │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │連帯保証人     │市営住宅使用料、病院医業収益(入院費用)        │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │合資会社無限責任社員│中央卸売市場使用料                   │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │身元引受人     │第二恵光食費等サービス利用料金             │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │扶養義務者     │生活保護法第77条                    │ ├──────────┼────────────────────────────┤ │日常家事連帯債務者 │水道料金、放課後児童クラブ実費負担額(可能性ありの意味)│ └──────────┴────────────────────────────┘  複数当事者がある場合には、債務者の未払いがあるとしても、安易に債権の 消滅に向かうべきではなく、複数当事者に対する回収措置を積極的に講じるべ きである(地方自治法施行令第171条の2第1号参照)。  複数当事者に対する措置を講じたか否かは、決算をみても判明しない。  岐阜市において、複数当事者対応が、適時・適切に行われているかを検証し
    た。 9 債務者死亡後の相続人対応が適時・適切に行われているか  債務者が死亡した場合には、相続が開始する(民法第896条)。  相続人が複数ある場合には、各共同相続人は、相続分に応じて被相続人の権 利義務を承継することとなる(民法第899条)。  債務は分割債務が原則であり(民法第427条)、原則として相続により相続 分に応じて分割される。相続放棄がなされない以上(民法第915条、第938 条)、債務者の死亡によっても債権の請求は可能であり、相続放棄がなされ相 続人がいない状態となったとしても、債務者に財産がある場合には相続財産管 理人の選任により(民法第952条)、債権回収が可能である。債務者が死亡し た場合、相続人調査(戸籍等の公用請求、家裁への相続放棄申述受理の照会等) により相続人の有無は判明しうる。  相続人調査をすることなく、債務者の死亡により債権回収を諦めることをし ていないか、岐阜市において、債務者死亡後の相続人対応が適時・適切に行わ れているかを検証した。 10 督促手数料を適時・適切に徴収しているか(公債権)  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条によれば、督促                                   ̄ ̄ 状を発したときは、督促手数料並びに延滞金を徴収すると規定されている。同  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 条例は、特別の定めがない限り、市税以外の岐阜市の公債権に適用される条例 である。そして、同第4条によれば、督促手数料は督促状1通につき100円と されている。  市税については、市税条例第17条において、徴税吏員が督促状を発した場 合には、督促手数料を徴収することとなっており、督促手数料は1通につき 100円とされている。  この点、平成27年度決算書(一般会計)の款「14 使用料及び手数料」、項 「2 手数料」の備考欄及び同特別会計「督促手数料」の欄を見ると、督促手 数料は次のとおり調定され、収入されている。 【平成27年度 一般会計・特別会計 督促手数料】          (単位:円) ┌──────────────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │    項目(備考)    │ 調定額 │収入済額 │不納欠損額│収入未済額│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │徴税手数料         │10,812,765│10,812,765│     0│     0│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │環境事業手数料       │  182,000│  182,000│     0│     0│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │自然共生手数料       │    100│    100│     0│     0│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │道路橋梁手数料       │   3,000│   2,200│     0│    800│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │河川水路手数料       │  41,800│  29,800│     0│  12,000│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │国民健康保険事業督促手数料 │ 6,263,063│ 6,263,063│     0│     0│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │介護保険事業督促手数料   │ 1,170,100│ 1,170,100│     0│     0│ ├──────────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │後期高齢者医療事業督促手数料│  552,500│  552,500│     0│     0│ └──────────────┴─────┴─────┴─────┴─────┘  まず、岐阜市が公債権ととらえている未収債権(督促手数料をとる可能性が ある債権)に比して、督促手数料を調定している債権自体が少ないように見受 けられる(第1章 第6 未収債権の3の欄参照)。例えば、住宅使用料につ き、岐阜市では非強制徴収公債権として捉えており、そうであれば督促手数料 が発生するはずであるが、会計上は現れていない。  また、督促手数料の収入未済額が発生しているのは、土木管理課所管の道路 橋梁手数料及び河川水路手数料の2つにとどまっている。  公債権につき未収が発生しているということは、督促が行われているはずで、 督促手数料が徴収されていてしかるべきである。以上の平成27年度決算状況 からみて、そもそも督促する場面において、督促状を発しているのか、督促状 を発した場合に督促手数料を徴収しているのか不明である。  適法性の他、納期限までに納付した者との公平性の観点から重要な事務であ ると考え、岐阜市において、督促手数料を適時・適切に徴収しているかを検証 した。 11 延滞金を適時・適切に徴収しているか(公債権)  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条によれば、督促                                   ̄ ̄ 状を発したときは督促手数料並びに延滞金を徴収すると規定されている。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  そして、同第5条では、納付金額が2,000円以上であるときは納期限の翌日 から納付の日までの日数に応じ、年10.95%(納期限の翌日から1月を経過す る日までの期間については年7.3%)の割合を乗じて計算した金額とされてい る(ただし、特例措置あり、1,000円未満は徴収しない)。  平成27年度岐阜市の決算 一般会計の款「21諸収入」項「1 延滞金、加 算金及び過料」目「1 延滞金」及び特別会計「延滞金」の欄をみると、次の とおりである。 【平成27年度決算 一般会計・特別会計 延滞金】          (単位:円) ┌────────────┬──────┬──────┬─────┬─────┐ │     項目     │ 調定額  │ 収入済額 │不納欠損額│収入未済額│ ├────────────┼──────┼──────┼─────┼─────┤ │一般会計延滞金     │ 133,870,978│ 133,866,278│     0│   4,700│ ├────────────┼──────┼──────┼─────┼─────┤ │国民健康保険事業延滞金 │ 20,360,385│ 2,0360,385│     0│     0│ ├────────────┼──────┼──────┼─────┼─────┤ │介護保険事業延滞金   │  2,089,500│  2,089,500│     0│     0│ ├────────────┼──────┼──────┼─────┼─────┤ │後期高齢者医療事業延滞金│   484,900│   484,900│     0│     0│ └────────────┴──────┴──────┴─────┴─────┘  まず、一般会計の延滞金は、歳入歳出決算附属書類上からはその内容が不明 であるが、特別会計は、それぞれの収入額と比べると延滞金額が少ないように 見受けられる。また、特別収入未済額が発生しているのは、一般会計の4,700 円にすぎない。  公債権につき、未収が発生しているということは、本来延滞金が徴収されて いてしかるべき事態が多いはずである。
     以上の平成27年度決算状況からみて、そもそも、延滞金が発生する事由が 発生した場合に、適時・適切に延滞金を徴収しているか不明である。  適法性の他、納期限までに納付した者との公平性の観点から重要であると考 え、岐阜市において、延滞金を適時・適切に徴収しているかを検証した。 12 違約金(遅延損害金、延滞金)を適時・適切に徴収しているか(私債権)  私債権については、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例の 適用はないが、法令、条例、規則、あるいは契約において、違約金を徴収する ことが義務づけられている場合がある。例えば、母子及び父子並びに寡婦福祉 法施行令第17条では、違約金として、延滞元利金額につき年5パーセントの 割合をもつて、支払期日の翌日から支払当日までの日数により計算した違約金 を徴収することが原則義務づけられている。  平成27年度岐阜市の決算 一般会計 「21諸収入」「違約金及び延納利息」 の違約金の欄及び特別会計「違約金」の欄をみると、次のとおりである。 【平成27年度決算 一般会計・特別会計違約金】            (単位:円) ┌─────────────────┬────┬────┬─────┬─────┐ │       項目        │調定額 │収入済額│不納欠損額│収入未済額│ ├─────────────────┼────┼────┼─────┼─────┤ │一般会計違約金          │ 975,705│ 975,705│     0│     0│ ├─────────────────┼────┼────┼─────┼─────┤ │介護保険事業違約金        │  2,371│  2,371│     0│     0│ ├─────────────────┼────┼────┼─────┼─────┤ │母子父子寡婦福祉資金貸付事業違約金│ 55,800│ 55,800│     0│     0│ └─────────────────┴────┴────┴─────┴─────┘  一般会計違約金975,705円ついては決算上詳細が不明であったので、会計課 に確認したところ、 1)管財課 南庁舎電気受給契約にかかる違約金 898,047円 2)消防総務課 業務委託履行期間遅延にかかる違約金 51,913円 3)教育委員会 図書館木製家具一式納入遅延金 25,684円 4)基盤整備政策課 橋梁修繕工事における履行遅滞による違約金 61円 とのことであった。  未収金が発生した場合のものではなく、いずれも委託契約の履行遅滞にかか るものである。また、収入未済額が発生していない。  以上より、私債権において、違約金を徴収することが義務とされている場合 に、適時・適切に違約金を徴収しているか不明である。  適法性の他、納期限までに納付した者との公平性の観点から重要であると考 え、岐阜市において、違約金を適時・適切に徴収しているかを検証した。 13 督促状において、行政不服申立の教示がなされているか(公債権)  説明は、第4の4記載の納入通知の部分と同様である。 14 債権回収に向け、個人情報の入手に工夫をしているか  強制徴収公債権と比べ、非強制徴収公債権や私債権については、税務情報な ど個人情報の入手に制限がある。債権回収にあたり必要な財産、収入等の調査 において、情報取得に制限があるということである。この場合においても、滞 納者より同意を得るなど、個人情報の入手に向けた工夫はありうることである。  岐阜市において、債権回収に向け、有効性・経済性・効率性の見地から個人 情報の入手に工夫をしているかを検証した。 第6 債権回収の緩和に向けた事務と監査項目 1 債権回収が困難な場合、適時・適切に回収緩和措置を講じることができ ているか(総論)  「第5」で述べたことが債権回収に向けた事務であり、債権にかかる事務の 原則形態である。ただし、債権回収の見込みが立たない場合に、回収措置を要 求することは効率性・経済性の観点から問題となる可能性があり、別途、回収 緩和措置を講じることを検討せざるを得ない場面も出てくる。法令等は、滞納 処分の停止等、徴収停止、あるいは、履行延期の特約等の手続を規定する。徴 収停止と履行延期の特約等は、地方自治法施行令第171条の2第1号から第3 号の措置を講じなくてもよい理由となる。これらの規定は義務ではなく裁量が ある(末尾が「できる」)(地方自治法第240条第3項、施行令等)。 2 滞納処分の執行停止等を適切に利用できているか(強制徴収公債権)  地方税法第15条の7は、次のとおり規定する。 ┌────────────────────────────────────────┐ │(滞納処分の停止の要件等)                           │ │第15条の7 地方団体の長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると│ │ 認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。             │ │一 滞納処分をすることができる財産がないとき。                 │ │二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。   │ │三 その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。     │ │2 地方団体の長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納│ │ 者に通知しなければならない。                         │ │3 地方団体の長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合におい │ │ て、その停止に係る地方団体の徴収金について差し押さえた財産があるときは、その差│ │ 押えを解除しなければならない。                        │ │4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した地方団体の徴収金を納付し、又は納入│ │ する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。         │ │5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その地方団体の│ │ 徴収金が限定承認に係るものであるとき、その他その地方団体の徴収金を徴収すること│ │ ができないことが明らかであるときは、地方団体の長は、前項の規定にかかわらず、そ│ │ の地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を直ちに消滅させることができる。 │ └────────────────────────────────────────┘  義務とされている滞納処分を緩和する措置であり、かかる措置を講じた後、 3年継続するなど一定の条件を満たせば債務が消滅するという効果が発生す る。その他、徴収猶予、換価猶予の措置がある(地方税法第15条~第15条の 6等)。岐阜市において、かかる措置を適切に利用できているかを検証した。 3 徴収停止措置を適切に利用できているか(非強制徴収公債権及び私債権)  地方自治法施行令第171条の5は次のとおり規定する。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │(徴収停止)                                   │ │第171条の5 普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収により徴収する債権を除く。)で │ │ 履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各 │ │ 号の一に該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、│
    │ 以後その保全及び取立てをしないことができる。                  │ │一 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、 │ │ かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の費用をこえないと認められると │ │ き。                                      │ │二 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の │ │ 費用をこえないと認められるときその他これに類するとき。             │ │三 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。       │ └─────────────────────────────────────────┘  岐阜市債権取扱規則第9条では徴収停止等の手続について定めている。  様式としても徴収停止簿を定めるなどしている。  徴収停止は一定の理由がある場合、債権回収に向けた事務を緩和する内部的 な手続であり、基本的には、債務者との間での法律関係に影響はない。例えば 時効中断効はなく時効が進行する。また、滞納処分の停止と異なり、地方自治 法上、徴収停止後一定期間経過後に債権が消滅するという規定はない。  また、上記で定める場合のほか、地方自治法施行令第171条の2に規定され る「その他特別の事情があると認める場合」にも事実上徴収停止が可能と解さ れる。適切に徴収停止措置を講じれば、債権の取立をせずとも漫然と放置して いたとの評価を受けることはなく、事務として効率的である。  この点、岐阜市においては、岐阜市債権取扱規則地方自治法施行令第171 条の5第1号乃至第3号の具体的適用要件について定めた規定は見当たらな い。そもそも、岐阜市において、実態としてかかる措置を活用できているのか、 活用していた場合に適切になされているかという観点で検証した。 4 履行延期の特約等を適切に利用できているか(非強制徴収公債権及び私  債権)  地方自治法施行令第171条の6は次のとおり規定する。 ┌────────────────────────────────────────┐ │(履行延期の特約等)                              │ │第171条の6 普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収により徴収する債権を除く。) │ │ について、次の各号の一に該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は│ │ 処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限│ │ を定めることを妨げない。                           │ │一 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。                │ │二 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する│ │ 資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。 │ │三 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全│ │ 部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと│ │ 認められるとき。                               │ │四 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部│ │ を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められる│ │ とき。                                    │ │五 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従つて第三者に貸付けを行│ │ なつた場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第一号から第三号までの一に│ │ 該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が│ │ 著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であ│ │ るとき。                                   │ │2 普通地方公共団体の長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長│ │ する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞│ │ に係る損害賠償金その他の徴収金(次条において「損害賠償金等」という。)に係る債│ │ 権は、徴収すべきものとする。                         │ └────────────────────────────────────────┘  厳密にいえば、非強制徴収公債権は、履行期限を延長する「処分」、私債権 は、履行期限を延長する「特約」との表現となろう。  岐阜市債権取扱規則第10条から第17条において、履行延期の特約等の手続、 その条件等について詳細に規定している。第10条では、債務者からの書面申 請と記載内容が規定されている。第11条では、延長期間は原則5年以内とさ れている。第12条では、延期特約等をする場合には担保を提供させること、 第13条では、延納利息をとること、第14条では、債務名義を取得する場合と しない場合の手続規定、第15条では、延納担保を免除できる場合、第16条で は、延納利息を免除できる場合、第17条では、特約等に付する条件がそれぞ れ規定されている。適切に履行延期の特約等の措置を講じれば、結果として債 権回収にもつながる。  岐阜市において、そもそもかかる措置を活用できているのか、活用していた 場合に適切になされているかという観点で検証した。 第7 債権の日常管理にかかる事務と監査項目  債権管理簿を備えるなどして、適時・適切に債権事務に関する情報を記録 しているか  岐阜市債権取扱規則第20条第1項では、様式及び記入の方法は第6号様式 に定めるところによるとされている。様式によれば、納入通知、督促、延滞金、 消滅事由、担保又は保証人、資産又は業務の状況など、債権管理事務にかかる 必要事項が網羅されている。第6号様式に従って適時・適切に債権に関する情 報を記録していれば、適時・適切に債権管理にかかる事務を執行できることに なるはずである。また、時効管理にも有益である。  岐阜市において、そもそも債権管理簿が備えられているか、適時・適切に交 渉等、債権事務の記録がなされているかという観点で検証した。 第8 債権の消滅に向けた事務と監査項目 1 消滅させてはいけないものを消滅させてはいないか、消滅させることが できるものを適時・適切に消滅させているか(総論)  債権が発生し、「第5」から「第6」記載の措置を講じたが、それでも回収 できないものはどうしても残る。その際、管理から外すという手段を検討する 必要がある。いつまでも管理が継続し、目に見えないコストがかかることとな り、効率性が阻害されるからである。  他方で、法令上消滅させてはいけないものを消滅させることは適法性の問題 にかかる。これらの事務が適時・適切になされているかは重要である。  特に、次の点に着目して検証した。 2 消滅時効の管理は適切か(起算点、中断事由、消滅時効の期間) (1)前提事実 1)消滅時効の起算点  消滅時効は権利行使可能時から進行する(民法第166条、地方自治法第236 条第3項)。自治体債権では、基本的には納期限の定めがあり、納期限の到来 が起算点になることが多いであろう(ただし、初日不算入により翌日から)。
    2)消滅時効の中断事由  公債権、私債権のいずれも消滅時効の中断事由がある場合、消滅時効は中断 される(民法第147条、地方自治法第236条第3項)。ただし、中断した時効 は中断事由が終了したときよりさらに進行する(民法第157条)。  よって、中断事由の発生により、時効の完成時期が延長されることとなる。  自治体債権の時効中断事由としては、督促(地方自治法第236条第4項)や 債務の承認、一部弁済などが考えられる。 3)消滅時効の期間と援用の要否  公債権の消滅時効は原則5年であり(地方税法第18条第1項、地方自治法 第236条第1項)、時効の援用が不要である(地方税法第18条第2項、地方自 治法第236条第2項)。  これに対し、私債権の消滅時効は、原則として10年であるが(民法第167 条第1項)、短期消滅時効などがあって一律ではなく、時効の援用なき限り実 体法上は消滅しない(民法第145条)。なお、消滅時効については、今後、民 法改正により変更される予定であり注意が必要である。 (2)着眼点  消滅時効は、公債権については絶対的に債権が消滅し、不納欠損に至るとい う点で重要である。私債権についても、援用があれば債権が消滅し、援用がな くても債権放棄が可能となるという意味で重要である。  岐阜市の債権事務手続において、時効の起算点、中断時期に誤りはないか、 時効期間の解釈に誤りはないか、時効中断事由があるのにそれを意識せずに時 効完成させていないかなど、事務処理が適切になされているか検証した。 3 債務免除の利用場面がある場合、利用はなされているか(非強制徴収公  債権及び私債権)  地方自治法施行令第171条の7は次のとおり規定する。 ┌────────────────────────────────────────┐ │(免除)                                    │ │第171条の7 普通地方公共団体の長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近 │ │ い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした債権について、当初の履行期限(当初│ │ の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分│ │ をした日)から十年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態│ │ にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及び│ │ これに係る損害賠償金等を免除することができる。                │ │2 前項の規定は、前条第一項第五号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に│ │ 係る債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて│ │ 当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、│ │ 債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならな │ │ い。                                     │ │3 前二項の免除をする場合については、普通地方公共団体の議会の議決は、これを要し│ │ ない。                                    │ └────────────────────────────────────────┘  岐阜市債権取扱規則第17条は、免除の手続について規定する。  免除の条件は厳しいものであり、実際措置が講じられることは多くないと思 われる。債権調査票にて、岐阜市において、施行令第171条の7、岐阜市債権 取扱規則第17条に基づく免除措置を講じることがあるかを確認したが、見当 たらなかった。 4 債権放棄は適切になされているか(私債権)  債権放棄については、地方自治法第96条第1項第10号で議会の議決が必要 な事項とされているが、岐阜市においては、岐阜市債権管理条例第7条で報告 事項とされている。  岐阜市債権管理条例第6条は、債権放棄ができる場合として次のとおり定め る。消滅時効について時効の援用を要しない債権を除くとしていることから私 債権に限定される。岐阜市債権管理条例施行規則第3条では、条例第6条第1 号及び第5号の事由の詳細について具体的に定めている。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │岐阜市債権管理条例(債権の放棄)                         │ │第6条 市長等は、市の債権(消滅時効について時効の援用を要しない債権を除く。)につ│ │ いて、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及びこれに関し既に発 │ │ 生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金に係る債権を放棄することができ  │ │ る。                                      │ │(1) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護 │ │ を受けている状態をいう。)にあり、資力の回復が困難であると認められるとき。   │ │(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により、債務者が  │ │ 当該債権につきその責任を免れたとき。                      │ │(3) 当該債権につき消滅時効に係る時効期間が満了したとき。             │ │(4) 債務者が死亡し、その債務について限定承認による相続があった場合において、その │ │ 相続財産の価額が強制執行をした場合の費用及び当該市の債権に優先する債権の金額の │ │ 合計額を超えないと見込まれるとき。                       │ │(5) 債務者が失踪、行方不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。 │ └─────────────────────────────────────────┘  平成27年度の債権放棄の実績は次のとおりである。 【平成27年度債権放棄一覧】   (岐阜市債権管理調整会議資料による)  報告による債権放棄は、債権管理条例の事由が認められる場合に初めて可能 な手続である。岐阜市の債権放棄が適切になされているのか、いかなる事由で 債権放棄されているのかを踏まえて検証した。 5 不納欠損は適時・適切になされているか  不納欠損とは、既に調定された歳入が徴収しえなくなったことを表示する決 算上の取扱をいうとされている(昭和27年6月12日行政実例)。  一般的には、債権が弁済及びこれに準ずる行為(相殺、代物弁済等)以外の 理由により消滅したとき、債権は存在するが法律上又は事実上の理由により、 徴収が不納若しくは著しく困難であると認められるときになされる処分であ る。  岐阜市においては、次のとおり定めている。公営企業会計を採用する1)岐阜 市中央卸売市場、2)岐阜市上下水道事業部、3)岐阜市民病院は別途の規定を設 けている。 ┌─┬────────────┬───────────┬──────────────┐ │ │  強制徴収公債権   │ 非強制徴収公債権  │     私債権      │ │ ├────────────┴───────────┴──────────────┤ │ │岐阜市会計規則第59条(「法令,条例又は議会の議決」)             │ ├─┼────────────┬──────────────────────────┤ │1)│            │岐阜市中央卸売市場事業の財務に関する特例を定める規 │
    │ │            │則第21条                      │ │ │            │(「法令若しくは条例又は議会の議決によって債権放棄」│ │ │            │「時効等により債権が消滅」)            │ ├─┼────────────┼───────────┬──────────────┤ │2)│岐阜市上下水道事業部企 │           │岐阜市上下水道事業部企業会 │ │ │業会計規程第41条    │           │計規程第41条        │ │ │(「要件なし」)    │           │(「要件なし」)      │ ├─┼────────────┴───────────┼──────────────┤ │3)│                        │岐阜市民病院の財務に関する │ │ │                        │特例を定める規則第21条   │ │ │                        │(「法令若しくは条例又は議会│ │ │                        │の議決によって債権放棄」「時│ │ │                        │効等により債権が消滅」)  │ └─┴────────────────────────┴──────────────┘  不納欠損処分をする場合、各要件を満たし適切になされているかを検証した。 第9 まとめ  以上の監査項目を踏まえ、第3章から第5章記載の個別債権を検証すること とした。  なお、債権によってどの監査項目に重点が置かれるかは、一律ではなく、重 点を置いた事務があれば、個別債権報告の「監査の重点及び監査手続」の項目 で記載をしている。 第3章 強制徴収公債権 第1 本章の概要  本章では、岐阜市の強制徴収公債権を報告する。  1)市税、2)利用者負担額(保育料)、3)道路占用料、4)水路占用料、5)国民 健康保険料、6)介護保険料、7)後期高齢者医療保険料、8)まちを美しくする条 例過料、9)産業廃棄物不法投棄弁償金、10)下水料金、11)下水道受益者負担金、 12)不正利得返還金(介護保険課)の合計「12」に分類した債権である。  強制徴収公債権にかかる事務においては、滞納処分や財産調査権限など非強 制徴収公債権及び私債権にはない権限が付与されている。  市税、国民健康保険料など、岐阜市の財政において重大な影響がある債権が 多く、12)不正利得返還金(介護保険法)を除き、岐阜市債権管理調整会議の中 で取扱債権として挙げられている。  市税の重要性については、第1章第4の3で報告した会計上の数字からして も明らかである。その重要性から、これまでの岐阜市包括外部監査においても 何度か取り上げられ、直近では平成25年度の自主財源をテーマとした外部監 査においても取り上げられていた。  本年度は、市税につき、債権にかかる事務執行という観点で検証しており、 市民税、固定資産税、軽自動車税、市たばこ税、入湯税、事業所税、都市計画 税という会計上の「項」レベルまで掘り下げて検証することとした。  市税以外の強制徴収公債権についても、国民健康保険料、介護保険料、下水 料金など調定金額、未収金額の大きなものがあり、これらの事務執行は重要で ある。市税については滞納処分や財産調査などの各種権限を行使していること は当然であるが、市税以外の強制徴収公債権についても同様であるか、これら が適切に行使されているかが、重要と考え、特に留意した。  なお、9)産業廃棄物不法投棄弁償金は、岐阜市北部地区産業廃棄物不法投棄 事案にかかるものである。この事案においては、様々な債権回収措置が講じら れている。岐阜市債権管理調整会議において、強制徴収公債権たる行政代執行 に係る費用請求分のほか、私債権たる事務管理費及び不法行為の損害賠償金も 取り上げられているが、全体像を把握するためには、まとめて報告した方がよ いと考え、私債権部分についてもここで報告する。 【岐阜市の強制徴収公債権にかかる基本的な事務の流れ】 第2 市税 1 債権の概要(全体) (1)内容及び根拠  地方税法に基づき、課税する。  岐阜市が取り扱う市税は、個人市民税、法人市民税、事業所税、固定資産税、 都市計画税、軽自動車税、市たばこ税、入湯税の8種類である(個人市民税と 法人市民税は、1つの税であるが、監査において、2種類とした。)。  市税関係の法規については、冊子にまとめられ、岐阜市税条例、市税の減免 内規、岐阜市市税の収納事務の委託に関する規則、岐阜市市税の電子申告等に おける情報通信の技術の利用に関する規則、岐阜市固定資産評価審査委員会条 例、岐阜市固定資産評価審査委員会規則、岐阜市固定資産評価審査委員会情報 公開条例施行規程、岐阜市固定資産評価審査委員会個人情報保護条例施行規程 が掲載されている。 (2)債権の性質  強制徴収公債権 (3)担当課  財政部 市民税課、同 資産税課、同 税制課、同 納税課 (4)事務手続の流れ  市民税課は、個人市民税、法人市民税、事業所税の賦課、調定、減免などを 担当する。  資産税課は、固定資産税・都市計画税の賦課、調定、減免などを担当する。  税制課は、軽自動車税、市たばこ税、入湯税の賦課、調定、減免などを担当 する。  納税課は、納税通知書の発送後、督促状の発付や滞納処分、延滞金の減免な どの滞納整理を担当する。 (5)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌──┬──┬───────┬───────┬───┬──────┬───────┐ │  │  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額 │ 収入未済額 │ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H23 │現年│65,482,488,238│63,986,694,218│97.7%│  9,025,694│1,523,410,670 │ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 7,239,993,692│ 1,143,776,288│15.8%│ 520,514,606│ 5,575,819,134│
    │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│72,722,481,930│65,130,470,506│89.6%│ 529,540,300│ 7,099,229,804│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H24 │現年│65,096,052,406│63,727,551,843│97.9%│  9,668,781│ 1,383,651,724│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 7,093,851,202│ 1,215,512,929│17.1%│ 666,685,388│ 5,211,847,747│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│72,189,903,608│64,943,064,772│90.0%│ 676,354,169│ 6,595,499,471│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H25 │現年│65,198,853,176│63,874,785,396│98.0%│ 16,760,642│ 1,318,994,105│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 6,592,117,588│ 1,102,267,501│16.7%│ 606,062,879│ 4,884,231,698│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│71,790,970,764│64,977,052,897│90.5%│ 622,823,521│ 6,203,225,803│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H26 │現年│66,031,278,536│64,812,712,400│98.2%│  4,245,284│ 1,251,190,839│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 6,197,133,594│ 1,160,309,246│18.7%│ 413,496,468│ 4,623,569,533│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│72,228,412,130│65,973,021,646│91.3%│ 417,741,752│ 5,874,760,372│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H27 │現年│65,555,722,523│64,478,801,278│98.4%│  2,771,703│ 1,094,298,457│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 5,870,375,395│ 1,227,972,285│20.9%│ 624,845,457│ 4,017,630,421│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│71,426,097,918│65,706,773,563│92.0%│ 627,617,160│ 5,111,928,878│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴──────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続(全体)  市税とひとくくりにまとめられることが多いが、上記1のとおり、岐阜市が 取り扱う市税としては、個人市民税、法人市民税、事業所税、固定資産税、都 市計画税、軽自動車税、市たばこ税、入湯税と8種類ある。  それぞれの税金ごとに、特徴があり、課題等があると考えたことから、個別 に見ることを意識した。  なお、特別土地保有税は、平成24年度以降滞納繰越分も含めて存在しない。  また、鉱産税は、発生していない。そのため、岐阜市税条例に規定されてい るものの、特別土地保有税及び鉱産税は、監査の対象から外した。  監査手続としては、各担当課である市民税課、資産税課、税制課のほか、滞 納整理を担当する納税課を訪問するなどしてヒアリングをし、記録(内規、マ ニュアル、減免、不服申立事件等)を閲覧した。  指摘・意見などについては、なるべく、現場の事務手続に過度な負担になら ないか、改善可能かという視点から、検討するようにした。  具体的には、平成28年8月12日、同年10月19日、同年10月28日、同年 12月12日、同年12月15日、同年12月16日、同年12月19日、平成29年 1月20日、同年1月23日、同年1月26日、同年1月27日に、監査室及び税 制課、資産税課、市民税課、納税課において、各税担当者のヒアリングを行っ た。併せて、関係資料を徴求し閲覧した。  その他に、メール等で照会し、回答を得た。 第2の1 個人市民税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市では、ゴミの処理・道路の補修など市民の日常生活に直接結びついた 業務を行っており、その財源の一つとして個人市民税を市民より徴収している (地方自治法第223条、地方税法第2条)。  個人市民税は、税金を負担する能力のある人が均等の額によって負担する 「均等割」とその人の所得金額に応じて負担する「所得割」で構成されている。 〔納税義務者〕 ア 1月1日現在、市内に住所がある個人は、均等割・所得割を納める。 イ 1月1日現在、市内に事務所、事業所または家屋敷を有するが、住所はな  い個人は、均等割を納める。 〔申告義務者〕 ア 1月1日現在、岐阜市に住所があり、前年中(1月1日~12月31日)に  所得があった人で次のいずれかに該当する人は、市民税の申告が必要とな  る(ただし、所得税の確定申告をしている人は、申告は不要となる。) (ア)事業所得(自営業・農業など)、不動産所得(貸家・貸地、駐車場など)、   利子所得、配当所得、雑所得、一時所得、譲渡所得、山林所得のあった人 (イ)給与所得者のうち、以下の対象者 1) 勤務先から給与支払報告書が岐阜市へ提出されなかった人(昨年中に退職  した人、日雇い、パートなどを含む。) 2) 給与以外の所得があった人(20万円以下の場合も申告が必要) 3) 医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などを受けようとす  る人 (ウ)公的年金を受給している人で、医療費控除、社会保険料控除、配偶者控   除、扶養控除などを受けようとする人 イ 岐阜市に住んでいない人で、1月1日現在、岐阜市内に事務所・事業所又  は家屋敷のある人 〔税率等〕  市・県民税の所得割の税率は、一律10%(市民税6%・県民税4%)であ り、均等割の税率は、市民税3,500円、県民税2,500円(清流の国ぎふ森林・ 環境税1,000円を含む。)となっている。 〔個人市民税の納税方法〕  個人市・県民税の納税の方法には、普通徴収と特別徴収がある。 ア 普通徴収   事業所得者などの市民税は、納税通知書によって岐阜市から納税者に通  知され、通常、6月、8月、10月、翌年の1月の4回の納期に分けて納付  する。 イ 特別徴収 (ア)給与からの特別徴収  給与所得者の市民税は、特別徴収税額通知書により、岐阜市から給与の支払 者を通じて通知され、給与の支払者が毎月の給与の支払の際に、その人の給与 から市民税を徴収し、これを翌月の10日までに岐阜市に納入する。給与から の徴収期間は、6月から翌年5月までの12ヶ月である。
    (イ)公的年金からの特別徴収  65歳以上の公的年金受給者の年金所得にかかる市民税は、税額決定通知書 により、岐阜市から直接本人に通知し、公的年金の支払者が年金の支払の際に その人の年金から徴収して、これを翌月の10日までに岐阜市に納入する。  公的年金からの特別徴収は、年6回(偶数月)の公的年金の支払の際に行わ れ、4月、6月及び8月には、その年の2月に徴収された額と同額が、10月、 12月及び翌年2月には、その年度の市・県民税額から4~8月に徴収された 額を差し引いた残りの税額の3分の1ずつが徴収される。なお、新たに公的年 金からの特別徴収の対象となる人については、年度前半(通常6月及び8月) において、その年度の市・県民税額の2分の1に相当する額を普通徴収で納付 し、年度後半(10月から翌年2月)において残りの税額について特別徴収さ れる。 〔個人市民税の減免〕  リストラや病気などの事情で、前年に比べて収入が激減したことにより、生 活が著しく困難になり、個人市民税を納めることが著しく困難になった市民に 対して、市税を減免できる制度がある。  例えば、生活保護法および社会事業団体等による公私の扶助を受けている者、 納税義務者が死亡した場合の納税義務継承相続人、疾病により療養している者、 失業(自己都合退職による失業は除く。)や業績不振で著しく所得が減少した 者、不慮の災害により被害を受けた者などである。  減免は、減免申請者の所得減少割合、今後の収入状況、生活状況などを調査 し、担税力の有無を判断した上で決定する。 (2)所管課  市民税課(管理係6人、個人1係9人、個人2係10人、個人3係10人) (3)直近5年度のデータ                      (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬──────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額 │ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H23 │現年│21,733,584,032│21,196,839,488│ 97.5%│  2,553,664│  536,197,274│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,684,378,788│  403,546,880│ 15.0%│ 161,110,349│ 2,119,777,095│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│24,417,962,820│21,600,386,368│ 88.5%│ 163,664,013│ 2,655,974,369│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H24 │現年│22,657,683,517│22,129,154,647│ 97.7%│  1,435,181│  528,147,531│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,651,762,867│  412,585,332│ 15.6%│ 258,250,829│ 1,981,059,568│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│25,309,446,384│22,541,739,979│ 89.1%│ 259,686,010│ 2,509,207,099│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H25 │現年│22,967,669,486│22,460,252,095│ 97.8%│  1,038,142│  507,455,616│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,506,716,766│  427,646,674│ 17.1%│ 222,224,176│ 1,857,213,706│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│25,474,386,252│22,887,898,769│ 89.8%│ 223,262,318│ 2,364,669,322│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H26 │現年│23,074,928,249│22,596,076,546│ 97.9%│   613,838│  479,509,252│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,360,098,613│  478,733,136│ 20.3%│ 175,486,554│ 1,705,923,776│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│25,435,026,862│23,074,809,682│ 90.7%│ 176,100,392│ 2,185,433,028│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H27 │現年│23,293,535,155│22,849,560,430│ 98.1%│   730,619│  444,740,421│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,182,035,751│  484,746,495│ 22.2%│ 157,507,703│ 1,539,831,321│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│25,475,570,906│23,334,306,925│ 91.6%│ 158,238,322│ 1,984,571,742│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴──────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  個人市民税は、最も身近な税金の一つである。  市民間の公平な税の賦課がなされているか、公平な減免が実施されているの かという観点から、監査を実施した。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 実地調査 【事実関係】  個人市民税は、岐阜市が課税金額を賦課決定しているが、賦課金額の大部分 を構成する「所得割」については、雇用して給与を支給している会社や個人事 業主の申告金額を基礎として、賦課決定している。給与所得者については、給 与の支払いをする会社等が給与支払報告書を岐阜市へ提出しており、年金所得 者については、年金を支給する日本年金機構等が公的年金等支払報告書を岐阜 市に提出している。その他の所得者については、別途申告する必要があり、確 定申告書等により、岐阜市は、賦課決定を行うことになる。  以上のとおり、個人市民税の賦課決定は、申告を基礎として決定されること から、適正な申告がなされない限り、適正に賦課決定することはできない。  そのため、岐阜市では、申告前対策として、前年度に市民税申告書を提出し た者に対して申告書を送付しており、継続的な適正申告を促している。  また、申告期限後対策として、市民税の未申告者に対して実地調査を行うこ とで、未申告の防止に努めている。  岐阜市では、市民税の未申告者に対して申告漏れが発生していないことを確 認するために実地調査を行っている。  平成27年度については、10月19日から11月30日までの29日間で実地調 査をしており、原則として、未申告者の中から抽出した者を対象に個別訪問を 実施している。 〔市民税課 実地調査結果集計表〕                (単位:件) ┌──┬─────┬────┬───┬────┬────┬────┬───┐ │年度│調査対象者│新規課税│非課税│税額変更│市街転出│所在不明│未回答│ ├──┼─────┼────┼───┼────┼────┼────┼───┤ │H23 │   2,339│   84│  417│    2│   66│   306│ 1,464│ ├──┼─────┼────┼───┼────┼────┼────┼───┤ │H24 │   2,117│   70│  207│    │   25│   71│ 1,744│ ├──┼─────┼────┼───┼────┼────┼────┼───┤ │H25 │   1,976│   77│  298│   27│   68│   202│ 1,197│ ├──┼─────┼────┼───┼────┼────┼────┼───┤ │H26 │   2,147│   107│  380│   11│   95│   203│ 1,349│
    ├──┼─────┼────┼───┼────┼────┼────┼───┤ │H27 │   2,214│   125│  455│   25│   150│   158│ 1,301│ └──┴─────┴────┴───┴────┴────┴────┴───┘                    ※未回答には無収入で申告不要を含む  住民票住所地へ赴き、本人に面会できれば、生活状況を聞き取り、申告書の 提出を求める。本人不在の場合は、家族からの聞き取りにより生活状況を調査 し、申告書の提出を依頼する。また、現地の生活実態を近隣からの聞き取りな どにより調査する。調査票に調査内容の詳細を記載する。今年度の調査事項は、 次年度に引き継ぐ。 【事実関係】  市民税課の実地調査事務処理マニュアルでは、「暴力団関係者」や「風俗店 従業員」などについては、市民税申告書送付の対象外、調査の対象外とされて いた。 【規範】  地方自治法第10条第2項では、「住民は、役務の提供を等しく受ける権利を 有し、その負担を分任する義務を負う。」と規定されている。 【指摘 市民税課(改善報告)】  「暴力団関係者」や「風俗店従業員」などについて、申告書送付の対象外、 調査の対象外とする合理的理由はなく、公平性に反することとなる。  「暴力団関係者」や「風俗店従業員」などを例外とするマニュアルの記載を 早急に改訂すべきである。  平成29年1月に、市民税課はマニュアルを改訂し、「暴力団関係者」や「風 俗店従業員」などを例外とする記載を削除した。 4 特別徴収義務者の指定 (1)指定の推進 【事実関係】 市民税の特別徴収の達成率は、以下のとおりである。 ┌──────────────────────────────────┐ │(給与特別徴収の納税義務者数)÷(給与所得のある納税義務者数)×100 │ │ 71.69%(平成26年度)                      │ │ 73.63%(平成27年度)                      │ │ 76.06%(平成28年度)                      │ └──────────────────────────────────┘  岐阜県及び県内市町村は、平成26年度から所得税を源泉徴収している事業 所を対象に、特別徴収の推進に取り組んでおり、岐阜市でも、従業者数の多い 事業所から、順次、特別徴収事業所指定を行っている。  特別徴収の推進について、平成29年度までは継続して行う予定である。 ┌──────────────────┐ │(特別徴収義務者数)        │ │ 16,208(平成26年度)前年比103.7% │ │ 17,219(平成27年度)前年比106.2% │ │ 18,956(平成28年度)前年比110.1% │ └──────────────────┘ 【規範】  地方税法第321条の3第1項では、給与所得者については、特別の事情がな い限り、特別徴収の方法により、市民税を徴収することが規定されている。 【意見 市民税課】  平成30年度以降も、特別徴収事業者指定の推進に取り組むことが望ましい。 (2)指定の取り消し 【事実関係】  地方税法第321条の6により、特別徴収義務者の指定の取消は、条例に委ね ている。岐阜市税条例第42条の6の第1号から第8号では、指定の取消理由 が定められている。しかし、「特別徴収実施困難理由届出書」及び「対応顛末 について」と題する書面には、岐阜市税条例第42条の6の第何号により、特 別徴収義務者の指定の取消をしたのか記載されていない。  ヒアリングによると、平成27年度は、1,401件中27件について、同条例第 42条の6第1項第8号「前各号に掲げるもののほか、必要があると認めると き」に該当するとのことであった。 【指摘 市民税課】  「特別徴収実施困難理由届出書」及び「対応顛末について」と題する書面に は、岐阜市税条例第42条の6の第何号に基づいて特別徴収義務者の指定の取 消をするのかを記載すべきである。 【事実関係】  同条例第42条の6第1項第8号「前各号に掲げるもののほか、必要がある と認めるとき」について、具体的な基準が定められていない。 【規範】  岐阜市税条例第9条「この条例の施行及び市税の賦課徴収について、この条 例に定めるもののほか、必要な事項は市長が定める。」 【指摘 市民税課】  判断にばらつきが生じる可能性があることから、岐阜市税条例第9条に従い、 同条例第42条の6第1項第8号に該当する基準を定めるべきである。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 市民税課】  具体的な基準が定まっていないこともあり、判断にばらつきが生じる可能性 もあることから、市民税課において、書類回付ではなく、実際に、合議して、 特別徴収義務者の指定の取消を決定すべきである。  また、合議の内容を議事録として記録に残すべきである。 (3)刑事告発の検討 【事実関係】  平成27年6月1日時点における特別徴収義務者のうち、未納事業者数は339 件あり、未納額は96,654,874円となっている。  特別徴収義務者であるにもかかわらず、納税しない事業者に対して、地方税 法第324条第3項で規定する刑事告発を検討したことはない。 【規範】 刑事訴訟法第239条第2項では、公務員の告発義務を定めている。  地方税法第324条第3項では、特別徴収事業者が納入すべき個人市民税を納 付しない場合、「10年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこ れを併科する」と規定している。 【指摘 税制課】  地方税法第324条第3項は、横領に類似した事業者に対する罰則である。
     特別徴収義務者の未納事業者のうち、納付意思もなく、滞納処分の実効性も ない悪質な事案については、地方税法第324条第3項に基づいて刑事告発を検 討すべきである。 5 減免 【事実関係】  過去5年間の減免状況は以下のとおりである。 〔市税条例第44条各号に基づく減免の実績一覧〕(上段:件数、下段:金額) ┌──┬──────┬─────┬────┬────┬─────┬──────┐ │年度│  第1号  │ 第2号  │ 第3号 │ 第4号 │ 第7号  │  合計  │ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H23 │    129件│    7件│   2件│   0件│    0件│    138件│ │  │ 3,901,500円│ 325,000円│ 2,400円│   0円│    0円│ 4,228,900円│ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H24 │    89件│   12件│   2件│   1件│    0件│    104件│ │  │ 2,625,600円│ 459,900円│ 2,400円│38,600円│    0円│ 3,126,500円│ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H25 │    92件│    6件│   0件│   1件│    7件│    106件│ │  │ 2,432,200円│ 192,500円│   0円│17,900円│ 113,300円│ 2,755,900円│ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H26 │    54件│    4件│   0件│   0件│    5件│    63件│ │  │ 1,458,300円│ 100,100円│   0円│   0円│ 99,000円│ 1,657,400円│ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H27 │    74件│    0件│   4件│   0件│    1件│    79件│ │  │ 1,962,900円│    0円│ 5,600円│   0円│ 28,100円│ 1,996,600円│ ├──┼──────┼─────┼────┼────┼─────┼──────┤ │H28 │    56件│    1件│   4件│   0件│    2件│    63件│ │  │ 1,480,400円│ 47,600円│ 5,600円│   0円│ 207,000円│ 1,740,600円│ └──┴──────┴─────┴────┴────┴─────┴──────┘  第1号:貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者  第2号:当該年において所得が著しく減少し生活が困難となった者  第3号:寄宿舎又は寮等に合宿する者及びこれに準ずる者  第4号:雇用保険法の規定によって、基本手当の受給資格を有する者  第5号:清算中又は6箇月以上引き続いて事業を中止中の法人  第6号:公益社団法人及び公益財団法人  第7号:前各号に掲げるもののほか、特別の事由がある者 ※上記各年度にて市税条例第44条第5号及び第6号に基づく減免実績は無い。 平成28年度はH29.1.12現在の実績。  地方税法第323条では、条例により、市民税の減免ができることを規定し、 市税条例第44条では、減免の要件を定めている。同条第7号では、「前各号に 掲げるもののほか、特別の事由がある者」と包括条項を置いている。また、市 税の減免内規においても、第1条第9号「その他特別の理由があるものについ ては、前各号に準じて減免する。」と包括条項を置いている。  減免件数のうち、市税条例第44条第7号「前各号に掲げるもののほか、特 別の事由がある者」により減免する件数が、数件発生している。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 市民税課】  市税条例第44条第7号は、包括条項であることから、判断にばらつきが生 じる可能性がある。  書面回付ではなく、合議により、減免の適否及び割合について、決定すべき である。また、合議の結果を議事録等の記録に残すべきである。 6 不服審査への対応 【事実関係】  平成27年度には、市県民税の減免不承認に対する異議申立1件と賦課決定 に対する異議申立1件があった。  不服審査申立などがなされた場合、市民税課においては、担当者と係長のほ か、市民税課管理職を含めて検討をおこなっているとのことである。  また、市民税課と行政課が連携して、弁明書作成などの対応を行う。  その後、審査結果についても課内で情報共有しているとのことである。  しかし、議事録など協議の記録はない。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 市民税課】  課内での協議結果については、記録に残すべきである。  記録に残っていないと、実際に協議をしたのか、どのような協議をしたのか 見直すことができず、引継などの場面において、協議結果を情報共有すること ができないからである。 第2の2 法人市民税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市内に事務所や事業所などがある法人(会社など)のほか、法人でない 社団または財団に対して賦課される税で、法人等の所得の有無に関わらず負担 する「均等割」と、所得に応じて負担する「法人税割」がある。 〔納税義務者〕 ┌──────────────────────────────┬────────┐ │                              │納めるべき税額 │ │            納税義務者             ├───┬────┤ │                              │均等割│法人税割│ ├──────────────────────────────┼───┼────┤ │1)岐阜市内に事務所や事業所を有する法人           │ ○ │ ○  │ ├──────────────────────────────┼───┼────┤ │2)岐阜市内に寮や保養所などを有する法人で、岐阜市内に事務所や│ ○ │    │ │ 事業所を有しないもの                   │   │    │ ├──────────────────────────────┼───┼────┤ │3)岐阜市内に事務所や事業所または寮や保養所などを有する人格 │   │    │ │ のない社団等(法人でない社団または財団で収益事業を行うも │ ○ │ ○  │ │ の)又は法人課税信託の引受けを行うもの          │   │    │ ├──────────────────────────────┼───┼────┤
    │4)法人課税信託の引受けを行うことにより法人税を課される個人 │   │    │ │ で岐阜市内に事務所や事業所を有するもの          │   │ ○  │ └──────────────────────────────┴───┴────┘ 〔均等割〕 ┌──────────────────────────────────┬────┐ │               区  分               │税 率 │ ├──────────────────────────────────┼────┤ │公共法人及び公益法人等のうち均等割を課することができないもの以   │    │ │外のもの(独立行政法人で収益事業をおこなうものを除く)       │    │ ├──────────────────────────────────┤    │ │人格のない社団等                          │50,000円│ ├──────────────────────────────────┤(年額)│ │一般社団法人及び一般財団法人(非営利型法人に該当するものを除く)  │    │ ├──────────────────────────────────┤    │ │保険業法に規定する相互会社以外の法人で資本金の額又は出資金の額   │    │ │を有しないもの                           │    │ ├─┬────────────────┬───────────────┴────┤ │ │                │     岐阜市内の従業者数      │ │資│     資本金等の額     ├──────────┬─────────┤ │本│                │   50人超    │  50人以下   │ │金│                │          │ (50人を含む) │ │等├────────────────┼──────────┼─────────┤ │の│1,000万円以下の法人       │120,000円(年額)  │50,000円(年額) │ │額├────────────────┼──────────┼─────────┤ │を│1,000万円を超え、1億円以下の法人│150,000円(年額)  │130,000円(年額) │ │有├────────────────┼──────────┼─────────┤ │す│1億円を超え、10億円以下の法人  │400,000円(年額)  │160,000円(年額) │ │る├────────────────┼──────────┼─────────┤ │法│10億円を超え、50億円以下の法人 │1,750,000円(年額) │410,000円(年額) │ │人├────────────────┼──────────┼─────────┤ │ │50億円を超える法人       │3,000,000円(年額) │410,000円(年額) │ └─┴────────────────┴──────────┴─────────┘ 〔法人税割〕  課税標準となる法人税額×税率9.7%(平成26年10月1日以降の事業年度 分)又は12.3%(それ以前の事業年度分)  平成27年度は2つの税率を取扱していることになる。 〔申告・納付〕  法人市民税は、それぞれの法人が定める事業年度の終了日から一定期間内に、 その納付すべき税額を算出して申告し、その申告した税金を納める申告納付で ある。 (2)所管課  市民税課(法人係4人) (3)直近5年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬──────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H23 │現年│ 6,453,460,100│6,457,067,800 │100.1%│  54,100│ 30,061,100│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  134,971,029│  18,884,392│ 14.0%│15,940,095│ 100,146,542│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,588,431,129│ 6,475,952,192│ 98.3%│15,994,195│ 130,207,642│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H24 │現年│ 6,827,377,200│ 6,815,903,369│ 99.8%│  54,100│ 34,714,531│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  129,992,742│  19,755,541│ 15.2%│13,352,379│ 96,884,822│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,957,369,942│ 6,835,658,910│ 98.3%│13,406,479│ 131,599,353│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H25 │現年│ 6,181,359,100│ 6,150,257,308│ 99.5%│     0│ 41,230,792│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  131,351,253│  21,904,416│ 16.7%│13,001,602│ 96,445,235│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,312,710,353│ 6,172,161,724│ 97.8%│13,001,602│ 137,676,027│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H26 │現年│ 6,714,355,800│ 6,721,400,762│100.1%│  141,004│ 27,534,634│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  136,376,927│  19,987,803│ 14.7%│12,802,981│ 103,586,143│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,850,732,727│ 6,741,388,565│ 98.4%│12,943,985│ 131,120,777│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H27 │現年│ 6,406,961,600│ 6,400,663,396│ 99.9%│  50,000│ 24,510,904│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  130,528,277│  19,881,420│ 15.2%│17,586,218│ 93,060,639│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,537,489,877│ 6,420,544,816│ 98.2%│17,636,218│ 117,571,543│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴──────┘ 2 監査の重点及び監査手続  法人市民税は、最も身近な税金の一つである。  法人間の公平な税の賦課がなされているか、適正な申告を確保するための裏 付調査が実施されているのかという観点から、監査を実施した。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 未登録法人の捕捉 【事実関係】  法人市民税システムに未登録の法人が存在する可能性はあるものの、市民税 課が担当している事業所税申告のための「事業所用家屋の貸付けに関する申告 書」のほか、資産税課が管理している固定資産賦課情報、その他、保健所で管 理している法人情報を活用していない。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、その事務を処理するに当つては、最少の経 費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと規定している。 【指摘 市民税課】  法人市民税システムに未登録の法人を捕捉するため、事業所税申告のための 「事業所用家屋の貸付けに関する申告書」のほか、固定資産賦課情報、保健所 で管理している法人情報を活用すべきである。
    4 均等割における従業員数の確認 【事実関係】  法人市民税のうち、均等割については、50人を境に大きく税額が異なる。  しかし、市民税課は、法人の従業員数についての裏付資料を確認していない。 【規範】  地方税法第298条は、市民税に関する調査の質問権を規定している。 【指摘 市民税課】  申告書の真偽を確認するためにも、少なくとも45人以上の従業員数である 法人については、岐阜県と協議して、毎年一定数の法人について、従業員名簿 や賃金台帳などの裏付資料を確認すべきである。 第2の3 事業所税 1 債権の概要 (1)内容と根拠  事業所税とは、人口・企業が過度に大都市地域に集中したことによって発生 した交通問題・公害問題・ごみ処理の問題などいわゆる都市問題の解決を図り、 都市環境の整備・都市機能の回復に必要な財政需要を賄うための目的税のこと をいう。  〔納税義務者、課税標準、税率、納付の方法等〕 ┌────┬───────────────────┬─────────────────┐ │ 区分 │        資産割        │      従業者割       │ ├────┼───────────────────┴─────────────────┤ │ 納税 │        事業所等において事業を行う法人または個人         │ │ 義務者 │                                     │ ├────┼──┬──────────────────────────────────┤ │    │法人│               事業年度               │ │算定期間├──┼──────────────────────────────────┤ │    │個人│           1月1日から12月31日まで            │ ├────┼──┼────────────────┬──┬──────────────┤ │    │法人│事業年度の末日現在における事  │法人│事業年度中に支払われた従業 │ │    │  │業所床面積(平方メートル)   │  │者給与総額(円)      │ │課税標準├──┼────────────────┼──┼──────────────┤ │    │個人│その年の12月31日現在におけ   │個人│その年中に支払われた従業者 │ │    │  │る事業所床面積(平方メートル) │  │給与総額(円)       │ ├────┼──┴────────────────┼──┴──────────────┤ │ 税率 │      事業所床面積       │   従業者給与総額の0.25%    │ │    │   1平方メートルあたり600円    │                 │ ├────┼───────────────────┼─────────────────┤ │ 免税点 │      事業所床面積       │    従業者数100人以下     │ │    │    1,000平方メートル以下     │                 │ ├────┼───────────────────┴─────────────────┤ │ 納税の │納税義務者が課税標準や税額を計算して申告および納付をすることになっている。│ │ 方法 │                                     │ ├────┼──┬──────────────────────────────────┤ │申告納付│法人│         事業年度終了の日から2ヶ月以内           │ │ 期限 ├──┼──────────────────────────────────┤ │    │個人│            翌年の3月15日まで              │ └────┴──┴──────────────────────────────────┘ (2)所管課  市民税課(法人係4人) (3)直近5年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,498,525,600│ 1,477,036,300│ 98.6%│     0│21,489,300│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│  54,456,300│  22,826,200│ 41.9%│ 2,045,900│29,584,200│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,552,981,900│ 1,499,862,500│ 96.6%│ 2,045,900│51,073,500│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,560,493,000│ 1,544,815,291│ 99.0%│     0│15,677,709│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│  51,073,500│  22,144,250│ 43.4%│ 3,475,600│25,453,650│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,611,566,500│ 1,566,959,541│ 97.2%│ 3,475,600│41,131,359│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,496,216,100│ 1,478,899,600│ 98.8%│     0│17,316,500│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│  40,725,309│  14,361,059│ 35.3%│ 1,290,300│25,073,950│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,536,941,409│ 1,493,260,659│ 97.2%│ 1,290,300│42,390,450│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,535,047,300│ 1,522,115,400│ 99.2%│     0│12,931,900│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│  42,390,450│   9,692,800│ 22.9%│ 3,476,700│29,220,950│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,577,437,750│ 1,531,808,200│ 97.1%│ 3,476,700│42,152,850│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,561,027,500│ 1,544,613,300│ 98.9%│     0│16,414,200│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│  42,152,850│  11,481,650│ 27.2%│  664,000│30,007,200│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,603,180,350│ 1,556,094,950│ 97.1%│  664,000│46,421,400│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  事業所税については、申告をもとに課税している。  資産割と従業者割に基づいて課税するが、適正な申告を確保するための裏付 調査が実施されているのかという観点から、監査を実施した。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 免税点(従業員数)の要件の調査 【事実関係】  事業所税については、事業所の床面積と従業者数から課税している。
     資産割のための床面積については、資産税課から家屋データなど情報提供を 受けているほか、建築指導課から提供される建築確認情報や法務局で確認する 登記情報により、確認している。  他方、従業者数については、80人以上から申告させているものの、自主申 告であり、従業者数については、裏付資料をもって確認できていない。  事業所税都市連絡協議会地域会議においても議題に挙がったことがあり、調 査を行ったことがある他市では、給与支払報告書の総括報告人員(特別徴収) や法人市民税で申告されている従業者数を確認し、調査を行ったが、パートが 多く、課税に結びつくものは、ほとんどなかったという話を聞いたとのことで ある。  また、岐阜市でも過去に法人市民税資料の従業者数を基に調査を行ったこと もあるが、他市と同じくパートが多く、課税に結びついたものはなかったと述 べていた。なお、現地調査を実施したことはないとのことである。  事業所税では、パートは従業者数に含めないが、給与支払報告書や法人市民 税申告書では、パートを含んだ人数で申告されるため、課税対象のみの従業者 数を把握するのは困難であると述べていた。  免税点以下で納付する必要がない場合であっても、延べ床面積800m2以上又 は従業者数80人以上の場合、岐阜市税条例第146条の17第2項の規定により 申告書を提出することになっている。 【規範】  地方税法第701条の35では、事業所税に関する調査に係る質問検査権を規 定している。また、地方税法第701条の47及び市税条例第146条の17第2項 では、事業所床面積が800m2又は従業者の数が80人を超える者について、申 告義務を課している。 【指摘 市民税課】  給与支払報告書の総括報告人員(特別徴収)や法人市民税資料から従業者数 が分かるため、パート従業員数が分かれば、申告義務の80人以上を超えてい るのかどうか、免税点の100人以上を超えているのかどうかが分かる。  毎年、一定の事業所数を決めて、従業員名簿や賃金台帳などの裏付資料を提 出させるなどして、申告の適正を確認すべきである。 第2の4 固定資産税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)に、土地、家屋及び償却資産(こ れらを総称し、固定資産という)を所有している人(納税義務者)が、その固 定資産の価格をもとに算定される税額を固定資産の所在する市町村に納める ものである。 〔納税義務者〕 ┌────┬────────────────────────────────────┐ │ 土地 │土地登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている人  │ ├────┼────────────────────────────────────┤ │ 家屋 │建物登記簿又は家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている人  │ ├────┼────────────────────────────────────┤ │償却資産│償却資産課税台帳に所有者として登録されている人             │ ├────┴────────────────────────────────────┤ │※ただし、所有者として登記(登録)されている人が賦課期日前に死亡している場合は、賦│ │課期日現在で、その土地や家屋などを現に所有している人(相続人)が納税義務者となる。│ └─────────────────────────────────────────┘ 〔税率〕  固定資産税・・・固定資産税の課税標準額×1.4/100=税額 〔家屋の所有者が変わったとき〕  売買、相続などにより所有者を変更したときは、所有権移転の登記をするこ とになっているが、未登記家屋については表題登記をするか、未登記家屋納税 義務者変更申請書を資産税課へ提出する。 〔償却資産〕  法人や個人で、工場や商店、事務所、アパートなどを経営している者が、そ の事業のために所有している機械や工具、備品などの資産をいう。  償却資産は土地や家屋と同じように固定資産税の課税対象となる。資産を所 有している者は、その資産の所在地の市町村長に、毎年1月1日現在のその内 容を1月31日までに申告する必要がある。 〔固定資産税の減免措置〕  次のような場合、固定資産税を減免する制度がある。 ┌───────────────────────────────────────┐ │1)生活保護法及び社会事業団体等による公私の扶助を受けている人が所有する固定資産│ │2)公益のため無料で直接専用する固定資産(公園、学校用地など)         │ │3)災害・火災等により被害を受けた固定資産                   │ └───────────────────────────────────────┘ (2)所管課  資産税課(管理係7人、土地1係9人、土地2係8人、家屋1係8人、家屋 2係9人、償却資産係4人) (3)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬──────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額 │ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │現年│26,831,379,500│26,066,621,647│ 97.1%│  5,234,139│  760,179,004│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H23 │繰越│ 3,591,035,499│  574,263,528│ 16.0%│ 277,100,914│ 2,739,721,746│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│30,422,414,999│26,640,885,175│ 87.6%│ 282,335,053│ 3,499,900,750│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │現年│25,389,560,400│24,731,553,100│ 97.4%│  6,639,408│  651,654,455│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H24 │繰越│ 3,499,225,650│  625,339,790│ 17.9%│ 319,417,609│ 2,554,502,975│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│28,888,786,050│25,356,892,890│ 87.8%│ 326,057,017│ 3,206,157,430│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │現年│25,516,407,000│24,895,413,249│ 97.6%│ 12,923,228│  608,410,586│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H25 │繰越│ 3,206,122,930│  521,231,091│ 16.3%│ 301,280,939│ 2,383,672,536│
    │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│28,722,529,930│25,416,644,340│ 88.5%│ 314,204,167│ 2,992,083,122│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │現年│25,716,274,200│25,123,985,344│ 97.7%│  2,744,426│  590,197,356│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H26 │繰越│ 2,992,082,322│  531,889,848│ 17.8%│ 178,393,130│ 2,281,962,616│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│28,708,356,522│25,655,875,192│ 89.4%│ 181,137,556│ 2,872,159,972│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │現年│25,376,205,900│24,885,875,416│ 98.1%│  1,559,184│  489,000,733│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H27 │繰越│ 2,872,047,972│  582,304,229│ 20.3%│ 366,719,613│ 1,923,043,221│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│28,248,253,872│25,468,179,645│ 90.2%│ 368,278,797│ 2,412,043,954│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴──────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  固定資産税は賦課税であるが、申告をさせている。申告の適正さの確認状況 を重点に、監査を実施した。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 償却資産税の申告拒否 【事実関係】  申告を拒否する事業者に対して、罰則の適用を行った事例はない。 【規範】  地方税法第386条では、不申告者に対して、10万円以下の過料を科すこと とされている。 【指摘 資産税課】  申告を拒否する業者に対しては、罰則(地方税法第386条)の適用を検討す べきである。 4 償却資産税の実地調査 【事実関係】  償却資産の実地調査については、書面照会か現場視察の選択制となっている。 実地調査について、書面にて依頼し、書面照会か現場視察かの事業者の選択に より、今年度は3件現場視察を行った。  調査の結果、修正申告となった割合は、平成28年度は26%であり、平成20 年度の74%から減少しているとのことである。  修正申告の理由は、償却資産の申告漏れのほか、価格の誤り等がある。  毎月、北税務署及び南税務署において、申告書類を閲覧する。そして、税務 署への申告と岐阜市への申告で差額が大きいものについて、実地調査を行う。 また、毎年、業種を絞って、実地調査をしている。  完全には、漏れを防ぐことはできないが、実地調査などで発見した場合は5 年課税年度を遡らせることで対応しているとのことであった。  地方税法第408条の調査が任意調査であることから、最終的には、申告をし ない事業者や書面照会に対して回答拒否する事業者(徴求資料を提出しない事 業者を含む。)に対しては、対応ができていないとのことである。 【規範】  地方税法第408条では、固定資産の実地調査について規定し、地方税法第 353条では、固定資産税に関する調査に係る質問検査権を規定している。  また、地方税法第354条では、正当な理由なく質問検査等を拒絶等したもの は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると規定している。 【指摘 資産税課】  質問検査権を行使し、質問検査等を拒否する事業者に対しては、罰則(地方 税法第354条)の適用を検討すべきである。 【規範】  地方税法第408条では、「固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調査 させなければならない」と規定している。 【指摘 資産税課】  書面照会では、回答書の記載を偽る可能性もある。  現場視察で現認するためにも、毎年、何件か、償却資産係において、現場視 察を実施すべきである。 5 償却資産税の推計課税 【事実関係】  事業者が税務署に提出した減価償却資産をもとに、申告しない事業者や書面 照会に対して回答しない事業者(徴求資料を提出しない場合を含む。)に対し て、推計して賦課したことはない。 【指摘 資産税課】  賦課課税であることから、国税の資料をもとに、推計課税することを検討す べきである。 6 不服審査への対応 【事実関係】  平成27年度には、異議申し立てや、不服審査申立はなかったが、平成26 年度以前には、申立があったとのことである。  また、固定資産評価審査委員会に対する審査申出が20件あった。  固定資産税・都市計画税賦課決定処分に対する異議申立1件があった。  不服審査申立などがなされた場合、税担当課においては、担当者と係長のほ か、納税課管理職を含めて検討をおこなっているとのことである。  また、税担当課と行政課が連携して、弁明書作成などの対応を行う。  その後、審査結果についても課内で情報共有しているとのことである。  しかし、議事録など協議の記録はない。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 資産税課】  不服審査については、自治体の事務運営を見直す良い機会となるものである。  課内で合議したのであれば、その協議結果についても、記録に残すべきであ る。記録に残っていないことから、本当に協議をしたのかどうか分からない。 また、どのような協議をしたのか見直すことができず、引継などの場面におい て、不服審査についての協議結果を情報共有することができない。 【事実関係】  固定資産税の案件で、弁明書作成過程で問題点を把握したことから、現在、 価格評価方法について、改善を検討しているところであるとのことである。 【参考報告】  不服審査については、自治体の事務運営を見直す良い機会となるものである から、各係内や各課内で、書面回付ではなく、実際に協議して、より良い事務
    や基準を検討することが望ましい。  この点に関連して、固定資産税の案件であるが、弁明書作成過程で基準など について問題点を把握したことから、現在、価格評価方法について、不動産鑑 定士に委託するなど改善案を検討しているとのことである。  他の課の参考になると考え、参考報告とした。 第2の5 都市計画税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  都市計画税とは、都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てら れる目的税で、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域 内に所在する土地及び家屋に対して課税され、固定資産税とあわせて納める税 金のことである。主な使途としては、市街地開発事業、下水道事業、公園整備 事業、街路整備事業などである。 〔納税義務者〕 ┌──┬───────────────────────────────┐ │土地│土地登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録され │ │  │ている人                           │ ├──┼───────────────────────────────┤ │家屋│建物登記簿又は家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録され │ │  │ている人                           │ ├──┴───────────────────────────────┤ │※ただし、所有者として登記(登録)されている人が賦課期日前に死亡し │ │ている場合は、賦課期日現在で、その土地や家屋などを現に所有している人│ │(相続人)が納税義務者となる。                   │ └──────────────────────────────────┘  毎年1月1日(賦課期日)現在に固定資産を所有している人。固定資産税と 同様である。 〔税率〕  都市計画税・・・都市計画税の課税標準額×0.3/100=税額 〔家屋の所有者が変わったとき〕  固定資産税と同様である。 〔都市計画税の減免措置〕  次のような場合、固定資産税と同様に、都市計画税を減免する制度がある。 1)生活保護法及び社会事業団体等による公私の扶助を受けている人が所有す る固定資産 2)公益のため無料で直接専用する固定資産(公園、学校用地など) 3)災害・火災等により被害を受けた固定資産 (2)担当課  資産税課(管理係7人、土地1係9人、土地2係8人、家屋1係8人、家屋 2係9人) (3)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬──────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H23 │現年│ 5,521,938,500│ 5,364,550,177│ 97.1%│ 1,077,191│ 156,445,992│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  716,319,206│  114,550,802│ 16.0%│55,274,504│ 546,504,011│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,238,257,706│ 5,479,100,979│ 87.8%│56,351,695│ 702,950,003│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H24 │現年│ 5,266,108,700│ 5,129,629,851│ 97.4%│ 1,377,092│ 135,161,194│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  702,942,103│  125,621,412│ 17.9%│64,166,221│ 513,161,446│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 5,969,050,803│ 5,255,251,263│ 88.0%│65,543,313│ 648,322,640│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H25 │現年│ 5,322,696,200│ 5,193,157,544│ 97.6%│ 2,695,772│ 126,913,821│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  648,317,140│  105,399,280│ 16.3%│60,922,678│ 482,007,646│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 5,971,013,340│ 5,298,556,824│ 88.7%│63,618,450│ 608,921,467│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H26 │現年│ 5,390,948,800│ 5,266,786,222│ 97.7%│  575,316│ 123,724,136│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  608,921,467│  108,245,399│ 17.8%│36,304,953│ 464,404,343│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 5,999,870,267│ 5,375,031,621│ 89.6%│36,880,269│ 588,128,479│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H27 │現年│ 5,338,508,500│ 5,235,355,433│ 98.1%│  328,000│ 102,873,334│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  588,126,079│  119,241,846│ 20.3%│75,095,323│ 393,792,819│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 5,926,634,579│ 5,354,597,279│ 90.3%│75,423,323│ 496,666,153│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴──────┘ 2 監査の重点及び監査手続  都市計画税は賦課税であるが、固定資産税は賦課税であるが、申告をさせて いる。申告の適正さの確認状況を重点に、監査を実施した。  事実関係、指摘及び意見については、固定資産税と同様である。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 第2の6 軽自動車税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  軽自動車税は、原動機付自転車、小型特殊自動車、軽自動車(二輪、三輪、 四輪)、二輪の小型自動車の4月1日現在の所有者に課税される地方税の一種 である。軽自動車税の納税義務者は、4月1日現在の軽自動車等の所有者であ り、税制課では、4月1日時点での所有者に対し、納税通知書を発行している。 納税義務者は、この納税通知書をもとに納付する。
    (2)所管課  税制課(諸税係3人) (3)直近5年度のデータ                  (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 583,536,100│ 564,514,400│ 96.7%│  106,600│19,038,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 56,570,063│  9,672,079│ 17.1%│ 6,812,444│40,085,540│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 640,106,163│ 574,186,479│ 89.7%│ 6,919,044│59,123,540│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 598,532,800│ 580,198,796│ 96.9%│  163,000│18,296,304│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 58,854,340│ 10,066,604│ 17.1%│ 8,022,750│40,785,286│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 657,387,140│ 590,265,400│ 89.8%│ 8,185,750│59,081,590│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 617,596,700│ 599,897,010│ 97.1%│  103,500│17,666,790│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 58,884,190│ 11,724,981│ 19.9%│ 7,343,184│39,818,625│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 676,480,890│ 611,621,991│ 90.4%│ 7,446,684│57,485,415│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 636,485,600│ 619,109,539│ 97.3%│  170,700│17,293,561│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 57,263,815│ 11,760,260│ 20.5%│ 7,032,150│38,471,705│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 693,749,415│ 630,869,799│ 90.9%│ 7,202,850│55,765,266│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 653,368,300│ 636,617,735│ 97.4%│  103,900│16,758,865│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 55,484,466│ 10,316,645│ 18.6%│ 7,272,600│37,895,221│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 708,852,766│ 646,934,380│ 91.3%│ 7,376,500│54,654,086│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  軽自動車税は、免除申請の確認状況、第二次納税義務者への請求状況を重点 に監査をした。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 免除申請の添付書類 【事実関係】  「公益のため直接専用する軽自動車等」、「身体障害者等が所有する軽自動車 等で、当該身体障害者等のために当該身体障害者等と生計を一にする者又は当 該身体障害者等のために当該身体障害者等を常時介護する者が運転するもの のうち、必要があると認めるもの(1台に限る。)」、「生活保護法の規定によっ て生活扶助を受ける者が所有し、かつ使用する軽自動車等(納税者1人につい てそれぞれ1台に限る。)」などの要件を満たした者は、免除される。  そして、初年度に提出する「軽自動車税免除申請書」については、免除を必 要とする事由を証明する書類を添付させている。しかし、2年目以降の「軽自 動車税の免除申請及び現況届」については、免除を必要とする事由を証明する 書類を添付させていない。  「軽自動車税の免除申請及び現況届について(通知)」と題する書面にも、 再申請に必要なものとして、「身体障がい者手帳」、「申請車両を運転する人の 運転免許証」、「車検証」、「生計同一証明書または常時介護証明書」などが記載 されている。  税制課によると、3年に1度、車検証の写し等を確認するとのことであった。 【規範】  市税条例第100条第2項では、「前項の規定によって軽自動車税の免除を受 けようとする者は、納期限までに、次に掲げる事項を記載した申請書に免除を 必要とする事由を証明する書類を添付し、これを市長に提出しなければならな い。」と規定されている。 【指摘 税制課】  市税条例第100条第2項では、初年度と2年目以降において、免除を必要と する事由を証明する書類を添付することが求められている点で区別はない。  2年目以降の適正な減免を確認するため、「軽自動車税の免除申請及び現況 届について(通知)」と題する書面には、2年目以降の申請においても、免除 を必要とする事由を証明する書類を添付させるべきである。 4 第二次納税義務 【事実関係】  毎年、未収金が約2,000万円発生し、不納欠損が700万円以上ある。  滞納者に対する滞納処分は、金額が小さいことから、軽自動車税だけで実施 することは少なく、他の市税と共同して実施するとのことである。  所有権留保がある場合、第二次納税義務者である売主に対して、納入の通知、 督促、滞納処分は実行したことはないとのことである。 【規範】  地方税法第11条の9及び地方税法第442条の2第2項では、軽自動車の買 主に対する滞納処分をしても、未収金を回収できない場合、売主は、第二次納 税義務を負うと規定されている。 【意見 税制課】  所有権留保の場合、第一次納税義務者である買主に対する滞納処分も実効性 がない場合、第二次納税義務者である売主に対する納入の通知、督促、催告、 滞納処分を実施することが望ましい。 第2の7 市たばこ税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  市たばこ税は、製造たばこの製造者、特定販売業者又は卸売販売業者が市内 の小売販売業者に売り渡したたばこにかかる税金である。 〔納税者〕  製造たばこの製造者、特定販売業者又は卸売販売業者 〔税率〕  平成28年4月1日現在の税額は、1,000本につき5,262円(1箱20本で 105.24円)、旧3級の紙巻たばこで1,000本につき2,495円(1箱20本で49.9
    円)となっている。 〔申告と賦課決定〕  納税者は毎月1日から月末までの売り渡し分について、翌月末までに市に対 して申告納税を行う。市たばこ税は、税制課によって賦課決定される。納税義 務者は、たばこを購入した人であるが、間接税であるため、実際に税金を納め る納税者は製造たばこの製造者・特定販売業者・卸売販売業者となる。 (2)所管課  税制課(諸税係3人) (3)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬─────┐ │年度   │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 2,754,617,556│ 2,754,617,556│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│    32,407│    32,407│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,754,649,963│ 2,754,649,963│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 2,695,086,189│ 2,695,086,189│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,695,086,189│ 2,695,086,189│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 2,998,155,690│ 2,998,155,690│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,998,155,690│ 2,998,155,690│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 2,863,771,887│ 2,863,771,887│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,863,771,887│ 2,863,771,887│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 2,827,143,018│ 2,827,143,018│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,827,143,018│ 2,827,143,018│ 100%│     0│     0│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  たばこ税は、申告に基づき、課税がなされている。申告の適正について、ど のように確認しているのかを重点に監査をした。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 申告内容の確認 【事実関係】  毎月、製造たばこの製造者や卸売販売業者から提出されてくる「たばこ税の 申告書」と岐阜県から送付されてくる「たばこ税・市町村別・事業者別売渡し 本数明細表」との一致を確認するとのことである。  ヒアリングによると、申告の所管が東京の本社のため、岐阜支店への立入調 査は考えていない。  また、申告書の裏付資料を徴求していない。 【規範】  地方税法第470条は、たばこ税に関する調査に係る質問検査権を規定する。 【指摘 税制課】  岐阜県など関係機関とも協議の上、製造たばこの製造者、卸売販売業者の 本店及び支店への立入調査や、申告書の裏付資料を徴求して、申告書の記載 本数と照合することを検討すべきである。当該調査を実施することで、一定 程度、申告内容の適正さを確保することができる。 第2の8 入湯税 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  入湯税は、鉱泉浴場における入湯に対し入湯客に課税される税金で、鉱泉源 の保護管理施設及び消防施設等の整備、観光振興に使われている。 〔納税義務者〕  入湯税は、税制課によって賦課決定される。入湯税の納税義務者は、入湯し た入湯客であるが、間接税のため、実際に税金を納める納税者は鉱泉浴場の経 営者となる。 〔税額〕  入湯客1人1日について150円となっている。 〔申告納税〕  納税者は、毎月1日から月末までの入湯された分について、翌月15日まで に申告納税を行う。 (2)所管課    税制課(諸税係3人) (3)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  29,695,950│  29,695,950│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  29,695,950│  29,695,950│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  32,226,600│  32,226,600│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤
    │  │合計│  32,226,600│  32,226,600│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  33,547,500│  33,547,500│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  33,547,500│  33,547,500│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  36,040,800│  36,040,800│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  36,040,800│  36,040,800│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  38,125,650│  38,125,650│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│       0│       0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  38,125,650│  38,125,650│ 100%│     0│     0│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  入湯税は、特別徴収により、温泉のあるホテルなどから徴収がなされている。 徴収の公平・適正について、どのように確認しているのかを重点に監査をした。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 課税免除 【事実関係】  自治省市町村税課長内かん(昭和53年4月21日付)によると、日帰り入湯 税については、その利用料金は、「現行の入湯税の標準とされる税率の水準に かんがみ、概ね千円程度を課税免除の基準とすることが適当である」とされて いる。  この内かんを受けて、岐阜市では、施設経営者により、日帰り入湯について の見解が分かれていたため、課税の公平性を図るべく、平成28年2月10日、 日帰り入湯にかかる入湯税に関する基準が定められた。具体的には、第3条に おいて、「日帰り入湯をし、かつ、その利用料金が1,000円以下の入湯客に対 しては、入湯税を課さない。」「3 会議・食事等に入湯が含まれる(セットプ ラン)場合の場合でその料金内訳として入湯のみの料金が区分されていない、 かつ入湯のみの利用が可能である料金(以下、入湯料金とする。)が別途設定 されているときは、その入湯料金を利用料金とみなすこととする。」とされて いる。 【規範】  岐阜市税条例第146条の2では、「次に掲げる者に対しては、入湯税を課さ ない。(1)年齢12歳未満の者、(2)共同浴場又は一般公衆浴場に入湯する 者、(3)岐阜市三田洞神仏温泉条例第1条の規定により設置された施設を利 用し、入湯する者、(4)学校教育法第1条に規定する学校の行事として行わ れる旅行に参加する者」と規定されている。 【指摘 税制課】  平成28年2月10日に、「日帰り入湯にかかる入湯税に関する基準」を定め たことについては、公平性や透明性を図る上で、事務が改善されたといえる。  しかし、岐阜市税条例第146条の2では、課税免除の対象として日帰り入湯 を掲げていない。  日帰り入湯についても、課税免除とするのであれば、岐阜市税条例第146 条の2を改正して、その旨、規定すべきである。 4 立入調査 【事実関係】  特別徴収義務者である鉱泉浴場の経営者9件について、2年に1回、9件全 件とも、立入調査を実施している。  そのうち、1~2件について、入湯客数などの訂正がある。 【意見 税制課】  2年に1回、定期的に立入調査を実施していることから、立入調査の時期が 固定されているため、立入調査の効果も薄い。  臨時の立入調査を設けたり、実施時期を随時にしたり、毎年、半数ずつ順番 を入れ替えて実施したりするなど、立入調査時期を固定しないようにすること が望ましい。 第2の9 滞納整理 1 滞納整理の概要 (1)内容及び根拠 (2)所管課  納税課 24名(管理収納係10人、徴収1係7人、徴収2係5人、徴収係4 人、徴収係3人、特別整理係3人) (3)事務手続の流れ ア 調定について   市民税課において、総合行政情報システムで調定(財政部長決裁)し、  財務会計システムへの調定額の入力は税制課が実施している。   資産税課において、総合行政情報システムで固定資産課税台帳に登録し  た価格の決定・修正を行っており、それをもとに毎月調定額の集計を行い、  財務会計システムへの調定額の入力は税制課が実施している。   税制課において、軽自動車税、市たばこ税、入湯税については総合行政  情報システムで調定(財政部長決裁)し、財務会計システムへ調定額を入  力している。   賦課・調定をした後に、納税通知書を送付するが、納税課が督促、滞納  処分などの以後の滞納整理を担当する。 イ 督促   納税金額が税務各課にて賦課決定されると、納税通知書が納税義務者へ  送付される。納税義務者は、納税通知書に基づいて納付することになるが、  納期限までに納付しない者に対しては、督促が行われる。   督促とは、確定した債権が納期限までに履行されない場合に履行の請求  をする行為である。強制徴収公債権である市税では、単に履行の請求とい  う意味にとどまらず、滞納処分の前提要件となっていることに加えて、時  効の中断事由となっている。地方税法第329条第1項等により、納期限後  20日以内に、督促状を送ることとなっている。 ウ 催告
      督促を行っても納付しない滞納者については、一定期間経過後にシステ  ム上、滞納者として滞納整理の対象となる。   徴収担当者は、滞納管理システム、未納明細書に基づいて、滞納整理を  開始することとなり、催告をする。催告とは、履行を促すことであり、そ  の法的な性質は意思の通知という準法律行為である。   文書による催告や電話による催告、臨戸による催告を行い、滞納者と折  衝することにより、自主的な納付を促している。 エ 納付相談   滞納者が書面又は電話による催告に応じて納付相談を申し出たときは、  速やかに納付交渉に入る。   納付相談は、滞納者に納税の履行を求め、あるいは、滞納の原因、納付  意思、収入状況、財産状況の把握等、その後の債権管理を進めていく上で、  極めて重要である。 オ 財産調査   国税徴収法第141条に基づき、滞納処分を検討するために、滞納者の資  産を調査する。調査する対象としては、預貯金、生命保険、給料、売掛金  などがある。そのほか、不動産、税務署調査(法人)、自動車所有調査、出  資金、投資信託などを調査する。   調査の結果、滞納処分を実施するのか、徴収の緩和措置(徴収の猶予、  換価の猶予、滞納処分の執行停止)を取るのか方針を決定することになる。 カ 滞納処分   滞納処分とは、納税者等が納期限までに地方公共団体の徴収金を納付納入  せず、督促してもなお納付納入しない場合にとられる地方公共団体の強制  徴収手続の総称である。   狭義の滞納処分は、差押、換価、配当など自ら強制換価手続きを行う場  合をいい、広義の滞納処分は、国税徴収法第5章に規定する処分のすべて  をいう。広義の滞納処分は、狭義の滞納処分のほか、交付要求(参加差押)  も含む。 キ 徴収の緩和措置 (ア)徴収猶予(地方税法第15条、第15条の2)   徴収猶予とは、納付の資力の減少をきたす一定の事由の発生によって納付  義務者が一時に納付できないと認めるとき、又は徴収金の確定が遅延した  ために一時に納付できない理由があると認めるときに、納付義務者の申請  によって、一定期間徴収を猶予する制度である。   徴収猶予には、納付義務者の納付資力の減少を理由とする徴収猶予と、  徴収金の確定の遅延を理由とする徴収猶予の2つがある。   平成27年度の徴収猶予の実績はない。 (イ)換価の猶予(地方税法第15条の5)   換価の猶予は、滞納処分による財産の換価をすることにより、滞納者の事  業の継続もしくは生活の維持を困難にするおそれがあるとき、又は滞納処  分による換価を行うよりも、換価を猶予することが徴収上有利であるとき  に、職権判断によって滞納処分による換価を一定期間猶予する制度である。   ここでいう換価には、差し押さえた財産の公売(売却)だけでなく、差  し押さえた債権の取り立ても含まれる。   岐阜市では、平成27年度において、換価の猶予(地方税法第15条の5)  が3件あった。   そのうち1件は換価猶予の延長となり、猶予金額の合計は31,388,300円  であった。 〔換価猶予集計表〕 ┌──────┬──────┐ │ 猶予額  │ 備 考  │ ├──────┼──────┤ │ 7,955,100円│  -   │ ├──────┼──────┤ │23,107,400円│  -   │ ├──────┼──────┤ │  325,800円│ 猶予延長 │ └──────┴──────┘ (ウ)滞納処分の執行停止(地方税法第15条の7)   滞納処分の執行停止とは、滞納者に滞納処分をすることができない一定の  事由があるときに、滞納者の申請に基づかないで、職権で滞納処分の執行  を停止することをいう。   滞納処分の執行停止については、1)滞納処分をすることができる財産が  ないとき、2)滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるお  それがあるとき、3)その所在及び滞納処分をすることができる財産がとも  に不明であるときに、行われる(地方税法第15条の7第1項)。   滞納処分の執行停止により、差押の解除がなされるほか(地方税法第15  条の7第1項第2号、同法第15条の7第3項)、3年間の期間経過により、  納付義務が消滅する(地方税法第15条の7第4項)。その徴収金が限定承  認されたものであるときその他徴収金を徴収することができないことが明  らかであるときは、その徴収金を直ちに消滅させることができる(地方税  法第15条の7第5項)。 〔執行停止集計表〕              (単位:円) 法令           地方税法第15条の7第1項第1号 理由           無財産 ┌───────────┬──────┐ │    税目     │執行停止金額│ ├───────────┼──────┤ │市・県民税(普通徴収)│ 83,043,285│ ├───────────┼──────┤ │固定資産税・都市計画税│ 14,928,614│ ├───────────┼──────┤ │軽自動車税      │  1,417,170│ └───────────┴──────┘ 法令           地方税法第15条の7第1項第2号 理由           生活困窮 ┌───────────┬──────┐ │    税目     │執行停止金額│ ├───────────┼──────┤ │市・県民税(普通徴収)│ 10,205,644│
    ├───────────┼──────┤ │固定資産税・都市計画税│  1,145,622│ ├───────────┼──────┤ │軽自動車税      │   415,600│ └───────────┴──────┘ 法令           地方税法第15条の7第1項第3号 理由           所在・財産不明 ┌───────────┬──────┐ │    税目     │執行停止金額│ ├───────────┼──────┤ │市・県民税(普通徴収)│ 14,905,427│ ├───────────┼──────┤ │固定資産税・都市計画税│   74,500│ ├───────────┼──────┤ │軽自動車税      │   233,500│ └───────────┴──────┘ 法令           地方税法第15条の7第5項 理由           無財産              ※限定承認での実績はない。 ┌───────────┬──────┐ │    税目     │執行停止金額│ ├───────────┼──────┤ │市・県民税(普通徴収)│ 81,050,877│ ├───────────┼──────┤ │市・県民税(特別徴収)│  5,390,784│ ├───────────┼──────┤ │法人市民税      │ 12,897,968│ ├───────────┼──────┤ │固定資産税・都市計画税│ 298,194,010│ ├───────────┼──────┤ │軽自動車税      │   695,200│ └───────────┴──────┘  岐阜市では、平成27年度において、滞納処分の執行停止(地方税法第15 条の7)が823件あった。  生活保護による滞納処分の停止に伴い、固定資産税・都市計画税61万円を 即時消滅していた。 2 監査の重点及び監査手続  滞納整理は、強制徴収公債権である市税の特徴が出る場面である。国税徴収 法第141条に基づく財産調査、滞納処分という強制処分、徴収の緩和措置など について、どのように事務がなされているかを重点に監査をした。また、市税 という市民から広く徴収する債権であり、公平性が最も要求される場面である と考え、滞納整理の場面における公平性も監査の重点とした。  具体的な監査手続は、「第2」で述べたとおりである。 3 滞納削減アクションプラン 【事実関係】  平成27年度滞納整理実施計画書において、「平成25年度の外部監査におい て、滞納整理に関する具体的な目標や取組について情報を広く市民に公表する ことの意見を受け、「第一次市税滞納削減アクションプラン(平成27年度から 平成29年度)」を策定して、平成27年度中に岐阜市ホームページに公開する こととした。」と記載されている。  しかし、現在も、「市税滞納削減アクションプラン」は策定されていない。 【規範】  岐阜市住民自治基本条例第8条第1項第2号には、「政策の立案から実施を 経て評価に至るまでの過程について、透明性を高めるともに市民に分かりやす く説明する責任を果たすこと」と規定されている。 【指摘 納税課】  平成27年度滞納整理実施計画書で宣言したとおり、「市税滞納削減アクショ ンプラン」を策定し、岐阜市ホームページに公開すべきである。  この点、平成29年度より、「市税滞納削減アクションプラン」を策定すると のことであった。 4 納付相談 (1)納付相談記録 【事実関係】  1年間で10,017件(延件数であり、人数ではない。)の納付相談がある。相 談形式は、面談のほか、電話等もあるとのことである。納付相談の内容につい ては、交渉経過欄に記録しているとのことである。  納付相談時に、収入、借入金、健康状態等を聴取し、滞納管理システムの交 渉経過欄に情報を入力し、担当者不在でも、情報共有できるようにしている。  納付相談時において、納付誓約書を取得しているとのことである。  しかし、「収支・財産状況について」という書式はあるものの、納付相談時 に、全滞納者から取っているわけではないとのことである。  なお、「収支・財産状況について」という書式は、滞納要因、収入状況(勤 務・取引先名、取引金融機関を含む。)、家族状況、支出状況、借入の状況、資 産状況、国保・国税等滞納状況、過去の債務整理の状況(過払い金をうかがわ せる情報)など必要な情報が漏れなく記載されている。 【意見 納税課】  必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談については、「収支・財産 状況について」という書式を、できる限り多くの納付相談者に使用することが 望ましい。 【参考報告】  「収支・財産状況について」という書式は、滞納要因、収入状況(勤務・取 引先名、取引金融機関を含む。)、家族状況、支出状況、借入の状況、資産状況、 国保・国税等滞納状況、過去の債務整理の状況(過払い金をうかがわせる情報) など必要な情報が漏れなく記載されている。他の課の納付相談において、大変 参考になることから、参考報告とする。巻末資料にて添付する。 (2)納付誓約書 【事実関係】  納付相談に対応して、納付誓約書を取得している。納付誓約書には、「納付 しない場合」や「資産等が見つかった場合」は、「予告なしに財産の差押えが 行われても異議がありません」と明記している。 【参考報告】  納付誓約書の確認事項欄に、「納付しない場合」や「資産等が見つかった場 合」は、「予告なしに財産の差押えが行われても異議がありません」と明記し、
    債務者が心理的に滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できる。  また、「収支・財産状況について」という書式などにより、滞納者が正直に 資産を申告するという事実上の効果も期待できる。  以上より、納税課の納付誓約書の記載について、参考報告とする。巻末資料 にて添付する。 5 督促状の発付 【事実関係】  納税者又は特別徴収義務者が納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴 収金を完納しない場合、市町村の徴税吏員は、納期限後25日を目処に発送し ており、20日以内に、督促状を発付していない運用をしていた。 【規範】  地方税法第329条第1項等では、納税者又は特別徴収義務者が納期限までに 市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しない場合においては、市町村の徴 税吏員は、納期限後20日以内に、督促状を発付しなければならないと定めら れている。 【指摘 納税課(改善報告)】  地方税法第329条第1項等が訓示規定であるとしても、条文に反する運用と なっていた。督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  この点、平成28年4月1日以降に発付する督促状は、封緘作業を委託して いる事業者に対して、早めにデータを提供して、封緘された督促状を早めに納 品してもらい、郵便局に納期限後20日以内に渡すように事務を改善している。  以上より、改善報告とする。 6 督促手数料及び延滞金 (1)督促手数料 【事実関係】  納税通知書に記載されている納期限から10日~12日後にシステムで督促状 作成処理を行うが、督促状発送日以前に納付されたものについては、督促手数 料を徴収しないようにしている。督促手数料については、入金時点において調 定しており、事後調定としている。  ヒアリングによると、督促手数料は、納期限を経過した18~19日時点にお いて、督促状を発付するため、督促状を発付する前に納付された場合でも督促 状を発送する場合がある。特に、コンビニ収納などでは、納付後、納税課に徴 収した事実が伝わるのは2週間後となる。かかる場合に、誤って督促手数料を 取らないようにするため、督促手数料を入金後に調定するという事後調定をし ているとのことである。また、督促手数料について、発付のたびに調定をする ことは、事務処理の負担が大きく、困難であるとのことであった。  事後調定の根拠として、第33条第4号の「事実が発生しなければ金額が確 定しないもの」に該当すると考えているようである。  決算書において、未収金は0円となっている。 【規範】  岐阜市会計規則第32条では調定、第33条では事後調定を規定する。 【指摘 納税課】  督促状を発付前に納付している事案もあることから、督促状を発付した全て の案件について、督促手数料が発生しているわけではない。督促状の発付直後 に、督促手数料を調定していない点については、問題はないと思われる。  しかし、発送してから2週間経過した後であれば、督促状が到達した後に納 付したかどうか確認ができることから、その時点において、督促手数料を調定 しない事務処理は、事後調定の要件を満たさない限り、「収入命令者は、歳入 を徴収しようとするときは、・・・、直ちにこれを調定しなければならない」 とする岐阜市会計規則第32条に反することとなる。  また、事後調定の結果、督促手数料は、決算書では、100%回収しており、 未収金が0円と表示されることになり、実態が正確に表示されていない。  事務処理上の負担も考慮して、督促手数料の調定を事後調定とするのであれ ば、1)発生している督促手数料の金額を把握すべきである。また、2)発生して いる督促手数料を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会 計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認め られるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など、事後調定の要 件を満たしていることを確認すべきである。 (2)延滞金 【事実関係】  延滞金は、期別ごとに、本税を完納した際に確定するため、期別ごとの本税 完納時に、調定できるはずである。  しかし、延滞金の入金時点に調定しており、事後調定となっている。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、第33条第4号の「事実が発 生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えているようである。  また、延滞金について、期別ごとに金額が確定するたびに調定をすることは、 事務処理の負担が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  地方税法第14条の5第1項は、「地方団体の徴収金を滞納処分の例により徴 収する場合において、当該地方団体の徴収金に配当された金銭を地方税及び当 該地方税の延滞金、過少申告加算金、不申告加算金又は重加算金に充てるべき ときは、その金銭は、まず地方税に充てるものとする。」と規定する。  また、地方税法第20条の9の4第2項では、「納税者又は特別徴収義務者が 延滞金をその額の計算の基礎となる地方税に加算して納付し、又は納入すべき 場合において、納税者又は特別徴収義務者が納付し、又は納入した金額がその 延滞金の額の計算の基礎となる地方税の額に達するまでは、その納付し、又は 納入した金額は、まずその計算の基礎となる地方税に充てられたものとする。」 とされている。  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 納税課】  期別ごとに、本税を完納した時点で、期別ごとの延滞金が確定することから、 第33条第4号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」には該当しな い。また、事後調定の結果、決算書上、延滞金は未収金が0円と表示されるた め、決算書上、実態を正確に表示していないこととなる(100%回収している ことになる)。  事務処理上の負担も考慮して、延滞金の調定を事後調定するのであれば、1) 発生している延滞金の金額を把握すべきである。また、2)発生している延滞金 を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会計規則第33条 第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認められるもので会計 管理者に合議して市長が決定したもの」など、事後調定の要件を満たしているこ とを確認すべきである。 7 滞納処分 【事実関係】  滞納処分を実施するかどうかは、担当が判断する。  徴収困難案件については、課長及び納税指導嘱託員と協議を行っている。  滞納件数と滞納処分件数、不納欠損の件数は、以下のとおりである。
    〔当初滞納件数、催告件数一覧表〕        (単位 人数:人、件数:件) ┌──┬──────┬───────┬────┬───────┬──────┐ │年度│滞納繰越人数│延べ催告件数 │文書催告│嘱託員電話催告│職員電話催告│ │  │      │(1)+2)+3))│(1)) │  (2))  │ (3))  │ ├──┼──────┼───────┼────┼───────┼──────┤ │H23 │   24,028│    82,568│ 64,852│    14,446│    3,270│ ├──┼──────┼───────┼────┼───────┼──────┤ │H24 │   24,218│    79,088│ 69,284│     7,154│    2,650│ ├──┼──────┼───────┼────┼───────┼──────┤ │H25 │   22,353│    66,122│ 61,389│     4,233│     500│ ├──┼──────┼───────┼────┼───────┼──────┤ │H26 │   21,685│    73,472│ 63,252│     8,823│    1,397│ ├──┼──────┼───────┼────┼───────┼──────┤ │H27 │   19,087│    75,004│ 68,135│     5,640│    1,229│ └──┴──────┴───────┴────┴───────┴──────┘ 〔差押執行件数・金額・取立金額一覧表〕  (単位 件数:件、金額:千円) ┌──┬────┬──────┬──────┬──────┬────────┐ │年度│差押執行│差押執行金額│取立実施件数│取立実施金額│   備考   │ │  │ 件数 │      │      │      │        │ ├──┼────┼──────┼──────┼──────┼────────┤ │H23 │   550│   575,133│     350│   88,350│        │ ├──┼────┼──────┼──────┼──────┤        │ │H24 │   809│   519,373│     667│   98,151│取立件数・金額に│ ├──┼────┼──────┼──────┼──────┤ついては当該年 │ │H25 │   901│   487,880│     709│   66,096│度以前に執行し │ ├──┼────┼──────┼──────┼──────┤た分も含む   │ │H26 │   873│   467,722│     828│   136,579│        │ ├──┼────┼──────┼──────┼──────┤        │ │H27 │  1,015│   526,763│    1,152│   149,013│        │ └──┴────┴──────┴──────┴──────┴────────┘ 〔不納欠損一覧表〕                      (単位:千円) ┌──┬───────────────────┬─────────────┐ │年度│停止期間満了による欠損(即時消滅含む)│消滅時効期間満了による欠損│ ├──┼───────────────────┼─────────────┤ │H23 │                262,287│          266,353│ ├──┼───────────────────┼─────────────┤ │H24 │                357,425│          318,929│ ├──┼───────────────────┼─────────────┤ │H25 │                360,565│          262,259│ ├──┼───────────────────┼─────────────┤ │H26 │                170,320│          247,512│ ├──┼───────────────────┼─────────────┤ │H27 │                453,005│          174,612│ └──┴───────────────────┴─────────────┘  給与照会した事業所から回答がない場合は、電話で催促している。金融機関 から回答がない事例はないが、事業所については年間5件程度未回答のケース がある。そのような事業所に対しては、給与債権の滞納処分を実施していない。  また、給与債権の滞納処分後に、取立訴訟を提起した事例はない。 【規範】  地方税法第331条等では、督促状を発した日から起算して10日を経過した 日まで滞納している税金等を完納しない場合、滞納者の財産を差し押さえなけ ればならないと規定している。 【指摘 納税課】  預金債権のほか、給与債権や売掛金債権などに対しても、滞納処分を積極的 に実施すべきである。第三債務者が、調査に回答しない場合や滞納処分に協力 しないと回答している場合でも、滞納処分を実施すべきである。  仮に、滞納処分を実施しても、第三債務者からの支払がない場合は、取立訴 訟の実施を検討すべきである。 8 保証人の徴求 【事実関係】  保証人を徴求した事例は、平成27年度については2件ある。  1件は、滞納金額6,276千円に対して保証人資力8,903千円があり、もう 1件は、滞納金額18,368千円に対して保証人資力22,584千円がある案件で あった。両方の事案とも、法人の滞納事案で行った換価の猶予に伴い、代表者 を保証人として徴求したものである(地方税法第16条)。  現時点まで、誓約どおりに、納付を続けているとの事である。 【規範】  地方税法第16条第1項では、徴収の猶予、換価の猶予をする場合、市長が 確実と認める保証人の保証などの担保を徴すると規定している。  また、地方自治法施行令第171条の4第2項では、債権を保全するため必要 があると認めるときは、保証人の保証を含む担保の提供を求めるなどの必要な 措置をとらなければならないと規定している。 【参考報告】  法人が滞納している場合は、法人が破産等で消滅した場合、徴収できなくな る。しかし、本件のように、地方税法第16条等に従って、資力調査をした上 で、保証人を徴求すれば、未収金を回収しやすくなる。  資力調査をした上で、保証人を徴求している点(特に、法人の滞納事案)に おいて、参考になると考え、参考報告とした。 9 死亡者課税 【事実関係】  土地・家屋などの固定資産の名義人が死亡した場合でも、課税処分の名宛人 は、死亡者のまま、納税通知書を送付している例もあるとのことである。  平成27年度中に資産税課と納税課で共同して「共有・死亡者課税及びそれ に係る滞納処分」についての検討会を発足させている。  資産税課は、毎月(死亡月の2か月後)、住民記録システムで死亡者を確認 して、代表相続人指定届書を送付し、提出があった届出書に基づき代表相続人 の設定を行っている。また、納税通知書の返戻分で納税義務者死亡のものは、 戸籍等を取得し、相続人調査を行い、相続人が判明したものは、代表相続人指 定届出書を送付している。  死亡者課税の賦課変更などについての要綱、マニュアルは、現在、整備中と のことである。 【規範】  地方税法第343条第2項(固定資産税の納税義務者等)  「この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日
    前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が 同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第348条第1項 の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家 屋を現に所有している者をいうものとする。」 【意見 納税課、資産税課】  地方税法第343条第2項により、死亡者に対する固定資産税の課税は無効で あるから、できる限り、死亡者課税を減少させることが必要である。  「共有・死亡者課税及びそれに係る滞納処分」についての検討会に基づく検 討結果を整理し、速やかに、賦課変更などを実行することが望ましい。この点、 平成28年度より、着手可能な案件については、実施しているとのことである。  また、死亡者課税の賦課変更などについての要綱、マニュアルも、できるだ け早期に、整備をすることが望ましい。  特に、空き家の場合などは、空き家対策にもつながるはずである(岐阜市空 き家等の適正管理に関する条例第5条第1項参照)。 10 相続人に対する請求 【事実関係】  相続人に対する請求については、納税通知書の送付先を相続人からの届出に より登録し、送付をしているため、相続案件の件数、金額の把握をしていない。 そのため、相続人調査が不十分のまま、消滅時効により、不納欠損となる事例 があるとのことであった。 【規範】  地方税法第9条では、相続による納税義務の承継を規定している。 【指摘 納税課】  人員配置の関係から、全ての相続案件について相続人調査をすることができ ないという実情は理解できなくもない。  しかし、全く相続人調査をしないまま、消滅時効により不納欠損するという 事務処理は、不適切である。滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上 で、戸籍調査等を行い、相続人にも、滞納している市税を請求すべきである。  特に、空き家の場合などは、空き家対策にもつながるはずである(岐阜市空 き家等の適正管理に関する条例第5条第1項参照)。 11 情報共有 (1)官報情報 【事実関係】  債権の申出について、強制執行107件、破産83件、相続財産管理人(件数 は不明)をしており、納税課のうち1名が官報確認の担当者である。  平成27年度時点では、国保・年金課に、官報情報を提供している(平成28 年9月より、介護保険課にも官報情報を提供している。)。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、その事務を処理するに当つては、最少の経 費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと規定している。 【意見 納税課】  納税課が中心となって、官報公告の情報共有体制を築き、岐阜市の債権につ いて漏れなく、債権の届出ができる体制を整えることが望ましい。  納税課が作成した破産等の官報公告リストを、各債権管理担当課に回覧する という方法が考えられる。 (2)税務情報 【事実関係】  滞納管理システムにて税務4課は、滞納情報が閲覧可能となっている。  平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号に基づき、 税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、折衝経過(納付状況・ 滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先情報(名称・所在地)を照会し、 利用目的以外に利用するとして、国保・年金課が取得している。  しかし、強制徴収公債権同士でも、国保年金課以外は、情報共有(提供)し ていない。 【規範】  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第5号では、「事務の遂行に必要な限 度で保有個人情報を内部で利用する場合」で「正当な理由のあるとき」に、個 人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定し、同第3項では、個 人情報保護審議会の意見を聴くことを規定している。 【意見 納税課】  地方税法第22条の問題はあるものの、滞納処分ができる担当課同士の情報 交換であれば、もともと、国税徴収法第141条等に基づく調査権があることか ら、地方税法第22条違反の問題は生じないと考えられる。  国税徴収法第141条等に基づく調査権はあくまで「滞納者本人」に対してで あり、情報共有については「本人に対しては秘密ではない」旨の通知(平成 19年総務省通知)に基づく。  強制徴収公債権の担当課の間であれば、平成19年3月27日付総税企第55 号通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有することは可能であると 考えられる。そのため、岐阜市個人情報保護条例に基づき、岐阜市個人情報保 護審議会の答申を求めるかどうかは別として、今後は、上記総務省通知に基づ き、各強制徴収公債権の担当課の間において、納税課を中心にして滞納者の税 務情報を共有する体制を築くことが望ましい。 【事実関係】  滞納者の同意書がある場合でも、非強制徴収公債権の担当者、私債権の担当 課(担当係・担当者)に対しては、税務情報(国税徴収法に基づく調査の結果、 把握している資産情報や滞納情報を含む。)について、情報共有をしていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 納税課】  税務情報を含む個人情報の取得及び目的外利用について滞納者の同意を取 得しているのであれば、納税課は、非強制徴収公債権の担当者又は私債権の担
    当課(担当係・担当者)に対し、税務情報(国税徴収法に基づく調査の結果、 把握している資産情報や滞納情報を含む。)を提供することが望ましい。 (3)戸籍情報 【事実関係】  納税課のほか、市民税課、資産税課などでも、それぞれ、戸籍を取得し、相 続人の調査をしているとのことである。  市民税課は、賦課期日以降に死亡した人への税額決定(又は変更)通知の不 着を防ぐため、平成28年6月以降毎月、死亡者について、戸籍の取得等にて 相続人を調査して代表相続人とみなした人へ通知送付している。  賦課業務担当割は、五十音順の地域コードで35人に調査を分担している  個人実地調査(不着調査を含む)の際には、学校区別に分担している。相続 人に対する履行請求を実施している。  市民税課は、年間1,322人(当初課税分550人、年度途中の切替分772人) の相続人への切替を実施しており、平成27年度には1,087件、平成28年度に は954件(平成29年1月16日時点)の戸籍等を取得したとのことである。  資産税課においては、161,000通程度、納税通知書を送付し、不渡りとなる ものは、330件程度とのことである。そのうち、30~40件について、相続人調 査を実施しているとのことである。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、その事務を処理するに当つては、最少の経 費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと規定している。 【意見 納税課、資産税課、市民税課】  相続人調査については、戸籍の取得等の負担があることから、できる限り、 情報を共有することが経済的である。  死亡者課税を減少させるため、戸籍を取得して、相続人調査を実施した場合、 それぞれの課に、情報提供することが望ましい。 12 消滅時効の管理 【事実関係】  時効については、滞納管理システムで管理している。  地方税法第18条により、消滅時効期間は5年間であるが、消滅時効による 不納欠損は少なくない。  平成26年度から減らす努力はしているものの、滞納整理に従事する職員の 人数が少なく、一人あたりの件数が多いことから、全ての滞納者と接触ができ ていない。そのため、生活困窮等による滞納処分の停止か、滞納処分の実行か を判断することができていない。 【規範】  地方税法第18条は、5年間の消滅時効を規定する。  地方税法第18条の2は、督促等の時効中断を規定する。  地方税法第329条第1項等は、督促等を規定する。 【指摘 納税課】  人員配置の関係から全ての滞納案件について実態調査をすることができな いという実情は理解できなくもない。  しかし、実態調査をしないまま、消滅時効にかけて、不納欠損するという市 税が少なくないことは、不適切な事務処理と指摘されても仕方がない状態であ る。  漫然と消滅時効を経過させることのないよう、滞納金額が大きい事案など一 定の基準を設けた上で、実態調査等を行い、滞納処分をかけるのか、徴収猶予、 滞納処分の停止などの措置を取るのか、方針を適切に決定すべきである。 13 延滞金の減免 【事実関係】 〔延滞金減免集計表〕 ┌────────────────┬──┬─────┐ │      減免理由      │件数│ 減免額 │ ├────────┬───────┤  │     │ │収納事務処理要領│延滞金徴収基準│  │     │ ├────────┼───────┼──┼─────┤ │第2条第4号ア │       │  1│  227,400│ ├────────┼───────┼──┼─────┤ │ 第2条第1号 │       │  1│  117,900│ ├────────┼───────┼──┼─────┤ │ 第2条第5号 │ 第2条第1号 │  1│  509,100│ ├────────┼───────┼──┼─────┤ │ 第2条第5号 │ 第2条第2号 │  6│17,451,500│ └────────┴───────┴──┴─────┘  延滞金の減免は9件あり、延滞金を1,830万円以上、減免している。  岐阜市税条例第47条第1項、第69条第1項等では、延滞金について、「や むを得ない事由があると認める場合」においては、その徴収を減免すると規定 している。  岐阜市税収納事務処理要綱第2条では、延滞金の減免を定めており、第5号 において、「その他 前各号に掲げる場合のほか、特に必要と認めるときは別 に定める。」と規定し、岐阜市税延滞基準第2条において、「別に定める」基準 を設けている。  同基準第2条第2号では、「ただし、岐阜市税収納事務処理要領第2条第1 号から第4号以外のもので、上記第1号に適用出来ないと認められる場合は、 担当者及び係長、課長が協議をし、決定する。」と定められている。  平成27年度において、岐阜市税収納事務処理要領第2条第5号及び岐阜市 税延滞基準第2条第2号により、減免している事例が6件あった。  延滞金減免決裁については担当、係長以外に納税課管理職及び、主管課(税 制課)、財政部長まで合議(決裁書面)の上、処理を行う。  しかし、書面決裁であり、会議が開催されているわけではない。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 納税課】  岐阜市税延滞基準第2条第2号は、包括的な規定であり、減免額の基準も個 別具体的に判断するものである。そのため、「担当者及び係長、課長が協議を し、決定する。」とあるが、会議をした議事録はない。  包括的な条項に基づく減免は、判断にバラツキが出やすいことから、岐阜市 税延滞基準第2条第2号に該当することを理由に延滞金の減免を決定する時 は、会議を実際に開いて協議し、議事録を残すべきである。 14 行政不服審査への対応 【事実関係】  固定資産評価審査委員会に対する審査申出が20件あった。また、固定資産 税・都市計画税賦課決定処分に対する異議申立が1件あり、市県民税の減免不
    承認案件1件と賦課案件1件があった。  不服審査申立などがなされた場合、税担当課においては、担当者と係長のほ か、納税課管理職を含めて検討を行うことがあるとのことである。  また、税担当課と行政課が連携して、弁明書作成などの対応を行う。  その後、審査結果についても課内で情報共有しているとのことであるが、会 議録など協議の記録はない。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 納税課】  不服審査は、自治体の事務運営を見直す良い機会となるものである。  不服審査について課内で合議したのであれば、その協議結果を記録に残すべ きである。  記録に残っていないと、本当に協議をしたのかどうか分からない。また、協 議結果を見直すことができず、引継などで、情報共有することができない。 第3 利用者負担額(保育料) 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  保育所(園)を利用した保護者等(子どもの保護者又は扶養義務者)は、子 ども・子育て支援法(以下「法」という。)及び岐阜市特定教育・保育施設及 び特定地域型保育事業の利用者負担に関する条例(以下「条例」という。)に 基づき、その負担能力(市町村民税所得割合算額)に応じて設定された利用者 負担額を支払わなければならない。  利用者負担額は、子どもの年齢及び支給認定保護者の市町村民税所得割合算 額に応じて、月額0円から62,000円の範囲内で決定される(法第19条第1項、 条例第3条・別表1から3)。 (2)債権の性質  強制徴収公債権  利用者負担額については、法附則第6条第7項及び児童福祉法第56条第7 項により、指定の期限内にこれを納付しない者があるときは、滞納処分の例 により処分することができる旨が定められていることから、強制徴収公債権 に分類される。 (3)所管課  子ども未来部 子ども保育課 入所係(1名) (4)事務手続の流れ  利用者負担額の納期限は、毎月末日までに当月分を納付するものとされてお り(条例第7条)、納付方法は納付書による納付又は口座振替である。 (5)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 1,312,840,720│ 1,302,383,640│ 99.2%│     0│10,457,080│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  54,281,925│   4,518,250│ 8.3%│ 1,796,240│47,967,435│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,367,122,645│ 1,306,901,890│ 95.6%│ 1,796,240│58,424,515│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 1,308,925,550│ 1,300,975,040│ 99.4%│     0│ 7,950,510│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  58,424,515│   4,507,055│ 7.7%│ 9,247,730│44,669,730│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,367,350,065│ 1,305,482,095│ 95.5%│ 9,247,730│52,620,240│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 1,361,336,160│ 1,353,940,570│ 99.5%│     0│ 7,395,590│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  52,620,240│   6,267,570│ 11.9%│11,240,820│35,111,850│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,413,956,400│ 1,360,208,140│ 96.2%│11,240,820│42,507,440│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 1,407,597,140│ 1,398,487,940│ 99.4%│     0│ 9,109,200│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  42,507,440│   4,995,230│ 11.8%│ 7,112,490│30,399,720│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,450,104,580│ 1,403,483,170│ 96.8%│ 7,112,490│39,508,920│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 1,416,110,430│ 1,407,202,580│99.37%│     0│ 8,907,850│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  39,508,920│   5,038,010│12.75%│ 8,992,030│25,478,880│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,455,619,350│ 1,412,240,590│97.02%│ 8,992,030│34,386,730│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  利用者負担額については強制徴収公債権とされており、かつ金額的にも少額 ではないことから、監査にあたっては、滞納処分が活用されているかどうかに 着目した。また、関係法令等に従った債権管理がなされているかどうかを確認 することにした。  監査手続としては、平成28年8月23日、同年12月6日及び平成29年1月 27日、担当課である岐阜市子ども未来部子ども保育課担当者のヒアリングを 行った。また、調査票及び質問書による照会並びに提出資料の書類監査を行っ た。 3 督促状による督促 【事実関係】  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課では、未納が生じた場 合にも、督促状を発しておらず、納入通知書の再発行と口頭による督促をして いる。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第2条によれば、債権について行う履行の督促は、第1 号様式の督促状を債務者に送付することにより行うものとされている。  また、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例によれば、市 長は市税以外の諸納付金を指定期限内に完納しないものがあるときは、納期 限後20日以内に督促状を発しなければならないとされ(第2条)、同条の規
    定により督促状を発したときは、督促手数料並びに延滞金を徴収するとされ ている(第3条)。 【指摘 子ども保育課】  督促は、督促状を発付することにより行うべきである。  督促状の発付は、督促手数料及び延滞金の発生要件であり、滞納処分の前提 要件となる(地方自治法第231条の3第3項)。また、督促は消滅時効の中断 効(地方自治法第236条第4項)を有するため、正確に記録化・証拠化する必 要がある。さらに、督促は不服申立てが認められる行政処分であり、相手方に 対して不服申立ての教示文を示す必要がある(行政不服審査法第57条第1項、 改正行政不服審査法第82条第1項)。 4 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  ヒアリングによれば、督促手数料及び延滞金を請求しないのは福祉的な意味 合いもあると述べていた。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条等によれば、督 促状を発したときは、督促手数料及び延滞金を徴収するとされており、例外の 定めはない。 【指摘 子ども保育課】  条例どおり、督促状を発付して、督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。  福祉的な意味合いという抽象的な理由で、納期限内に納付している利用者 との公平性を欠くべきではない。 5 滞納処分 【事実関係】  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課では、滞納者に対して 滞納処分を行った事例がない。その理由は、手続をとることを検討した結果、 コストに見合う回収可能性がなかったためとのことである。  これに対して、平成25年度の包括外部監査においては、悪質滞納者には差 押えをすべきであるとの指摘がなされている。  その後、平成26年度第1回の債権管理調整会議の資料(債権徴収対策の状 況)によれば、担当課では,平成26年度の計画として、悪質な滞納者に対す る差押えを行う滞納整理マニュアルを作成するとされている。また、岐阜市の ウェブサイトから閲覧できる平成25年度包括外部監査における上記指摘に対 する措置状況には、「悪質な滞納者につき差押えが実施できるようマニュアル を作成した」と記載されている。  しかし、担当課において「岐阜市利用者負担額滞納処分要綱」と題する要綱 案の作成にとどまり、未決裁となっている。 【規範】  住民自治基本条例第8条第1項では、「政策の立案から実施を経て評価に至 るまでの過程について、透明性を高めるとともに市民に分かりやすく説明する 責任を果たすこと。」とされている。 【指摘 子ども保育課】  債権管理調整会議での発言や、ウェブサイトでの記載どおり、速やかに、「岐 阜市利用者負担額滞納処分要綱」を決裁するなどして、悪質な滞納者につき差 押えが実施できるようマニュアルを作成すべきである。  具体的なマニュアルを作成することで、滞納処分の実施も検討できるはずで ある。その際、納税課のマニュアルが参考となる。 【指摘 子ども保育課】  マニュアルを作成するだけでは意味がないので、利用者負担額を納期限内に 納付している保護者等との公平性を確保するため、滞納処分の実施体制を早急 に整備した上、滞納処分の実施を検討すべきである。  利用申込みに当たっては、利用申込書に父母の勤務先情報を記載することと されており、給料債権などの差押えを行うことも可能と考えられる。 6 児童手当からの特別徴収 【事実関係】  担当課では、児童手当からの利用者負担額の特別徴収を行っていない。 【規範】  児童手当法第22条第1項によれば、市町村長は、児童手当の受給者である 保護者等に対して児童手当の支払をする際に、保育料を徴収することができる とされている(特別徴収。同条第2項)。 【意見 子ども保育課】  利用者負担額を納期限内に納付している保護者等との公平性を確保するた め、利用者負担額を滞納している保護者等については、児童手当からの特別徴 収を行うことが望ましい。 7 延長保育の制限 【事実関係】  岐阜市では、利用者負担額を滞納している保護者等についても、延長保育の 利用を制限していない。 【意見 子ども保育課】  利用者負担額の滞納者に対して延長保育を利用させることは市民の理解を 得られにくいこと、延長保育の制限は利用者負担額納付の動機づけとなりうる ことから、利用者負担額の滞納者に対しては、延長保育の利用制限を検討する ことが望ましい。 8 納付相談 (1)納付相談の書式 【事実関係】  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課職員又は各施設の職員 において、保育料滞納者に対する納付相談を実施しており、納付相談の時期や 内容(聴取事項等)について、課内で統一的な判断指針や運用マニュアルは設 けられていない。 【規範】  納付相談の内容について、法令上の定めや内部的な規則等はない。 【意見 子ども保育課】  納付相談の際に聴取すべき収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族 等の必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を 求める形など)を作成して、用いることが望ましい。納税課の「収支・財産状 況について」という書式が参考となる。  納付相談は、債務者の上記のような情報を正確に把握し、早期かつ確実な返 済計画を立てるための重要な機会である。納付相談の際に聴取すべき事項や徴 求すべき資料について漏れのない書式を作成することが有効である。 (2)債務承認書の取得 【事実関係】  担当課では、納付相談の結果分割納付をすることになった事案(延486件中 31通)では「分納誓約書」を取得しているが、分割納付の誓約に至らなかっ
    た事案では債務承認書の取得をしていない。 【意見 子ども保育課】  納付相談を実施した場合、分納誓約に至らなかった場合でも、債務承認書を 取得することが望ましい。 (3)分納誓約書及び債務承認書の記載事項 【事実関係】  分納誓約書には、「納付しない場合」や「資産等が見つかった場合」には、滞 納処分を実施されても異議を申し立てない旨の条項がない。 【意見 子ども保育課】  分納誓約書や債務承認書には、「納付しない場合」や「資産等が見つかった場 合」には、滞納処分を実施されても異議を申し立てない旨の条項を入れること が望ましい。  これらの書面に、「納付しない場合」や「資産等が見つかった場合」は、「予告 なしに財産の差押えが行われても異議がありません」と明記することで、債務者 が心理的に滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できる。  また、納付相談の書式などにより、滞納者が正直に資産を申告するという事 実上の効果も期待できる。  納税課の「収支・財産状況について」という書式が参考となる。 【事実関係】  分納誓約書には、税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用の同意条 項が記載されていない。 【意見 子ども支援課】  分納誓約書や債務承認書に、税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用 についての同意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が可能となる。  また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくく なるという事実上の効果も期待できる。 9 連帯保証人の徴求 【事実関係】  調査票に対する回答によれば、担当課においては、滞納が生じた債務者につ いて、保証人を徴求していない。 【規範】  地方税法第16条第1項では、徴収の猶予、換価の猶予をする場合、市長が 確実と認める保証人の保証などの担保を徴すると規定している。  また、地方自治法施行令第171条の4第2項では、債権を保全するため必要 があると認めるときは、保証人の保証を含む担保の提供を求めるなどの必要な 措置をとらなければならないと規定している。 【意見 子ども保育課】  滞納利用者負担額の支払を確保するため、滞納が生じている債務者について は、納付相談の際などに、滞納額の支払について連帯保証人を求めることが望 ましい。 10 徴収活動の記録化 【事実関係】  徴収活動の内容を確認するため、平成28年3月31日に不納欠損処理をした 事例5件(平成27年度)につき、不納欠損に至るまでの徴収活動の経過を記 録したシステムを閲覧したところ、そのうち4件については、平成23年ない し平成26年に納付相談または自宅訪問を行った履歴までは残っていたが、以 後不納欠損に至るまでの徴収活動の履歴は全く残っていなかった。当該履歴が ない期間における徴収活動の内容は不明である。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 子ども保育課】  徴収活動が記録化されなければ、引継ぎ時などに状況把握ができず、適切な 徴収活動を継続的に行うことが困難となる。また、徴収活動の記録がなければ、 債権管理を放置していたと評価されかねない。  徴収活動の内容を逐一記録化すべきである。 11 民間保育所に対する滞納情報の提供 【事実関係】  担当課では、利用者負担額の滞納が生じた場合には、施設に未納者リストを 渡し、施設から納付指導をさせ、施設から納付指導報告書、滞納整理記録簿の 提出を受ける。  このような扱いは、市営施設でも民営施設でも同じである。すなわち、担当 課では、民営施設に対しても、保護者等の保育料滞納に関する情報を提供して いる。  保護者は、保育所の利用申込みの際、市に対して「施設型給付費・地域型保 育給付費等支給認定申請書兼利用申込書」を提出する必要がある。当該申込書 には、「施設型給付費・地域型保育給付費等に係る支給認定の申請にあたって 必要な市町村民税の情報(同居者の当該情報を含む。)、世帯情報、生活保護の 受給状況及び児童扶養手当の受給情報について照会・調査・確認されること並 びに当該情報に基づき決定した利用者負担額について施設等に対して提供さ れることに同意します」との文章が印字されている。 【規範】  地方公務員法第34条第1項によれば、職員は、職務上知りえた秘密を漏ら してはならないとされている。  また、岐阜市個人情報保護条例第10条第1項によれば、実施機関は、法令 又は条例に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報(保 有特定個人情報を除く。以下この条において同じ)を自ら利用し、又は提供し てはならないとされている(第2項で本人の同意がある場合等の例外が定めら れている)。 【指摘 子ども保育課】  地方公務員法第34条第1項及び岐阜市個人情報保護条例第10条との関係で 疑義を生じないようにするため、「施設型給付費・地域型保育給付費等支給認 定申請書兼利用申込書」による同意の対象に、民営施設への滞納情報の提供を 追加すべきである。 12 消滅時効の管理 【事実関係】  ヒアリング及び書類監査の結果によれば、担当課では、最終納付日又は納付 誓約日から5年が経過した債権につき、時効消滅による不納欠損をしていると のことである。  上記の「最終納付日」には、滞納額の一部を、納付対象が特定されている納 付書(何年の何月分と明記されている)により納付した場合が含まれている。 担当課では、その場合でも、滞納額全額について時効が中断したものとして扱 っている。
    【規範】  民法第166条第1項によれば、権利を行使できる時から消滅時効が進行する ため、毎月発生する保育料ごとに、消滅時効が個々に進行する。 【指摘 子ども保育課】  消滅時効の管理は、毎月の保育料ごとに、個別に管理すべきである。  納付誓約では滞納額全額の支払義務の存在を認めた上で納付を約すること になるため、納付誓約書を取得した場合は、滞納債権全額について時効中断の 効力が生じる。  他方、納付誓約書がない場合、保育料をある月の保育料の納付書で納付した 場合には、特定の月の保育料だけを承認したことになり、残額についてまで承 認したとはいえず、残額についての消滅時効が中断していないことになる。  また、最終月に発生した保育料より前の保育料については、より以前から消 滅時効が進行している。  保育料を全体として一つのものととらえると、消滅時効の管理を誤り、時効 にかけてしまう危険性があるので注意されたい。 第4 道路占用料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  道路は、本来一般交通の用に供される。しかし、道路上に電柱を設置する場 合など、本来的な用法以外に、道路に一定の物件又は施設(これを「占用物件」 という。)を設置し、継続して道路を使用することがある。これを「道路の占 用」という。  道路の占用は地上に施設を設置する場合だけでなく、電気・電話・ガス・上 下水道などの管路を道路の地下に埋設する場合や、道路の上空に看板を突き出 して設置する場合を含む。道路を占用する場合、道路管理者の許可が必要であ る(道路法第32条)。  道路管理者は、道路の許可に伴い、占用料を徴収することができる(道路法 第39条)。道路法第39条第2項では、「占用料の額及び徴収方法は、道路管理 者である地方公共団体の条例・・・で定める。」とされており、岐阜市は、岐 阜市道路占用料徴収条例(昭和28年岐阜市条例第16号)を定めて、「道路占 用料」を徴収している。  道路占用は、足場設置など占用期間が比較的短期間である「一時使用案件」 と、中部電力や東邦ガスなど電柱や配管などを恒常的に占用する「継続使用案 件」が存在する。  家庭用の配水管設置に伴う占用の場合は、占用料が免除となる。そのため、 占用料が発生するケースは事業用である。 (2)債権の性質  強制徴収公債権  道路占用料発生は、道路法第39条第2項、同法を受けた岐阜市道路占用料 徴収条例に基づく。道路法第73条第3項では、「督促を受けた者がその指定す る期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、道路管理者は 国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等並びに手数料及び延滞金 を徴収することができる。」と、滞納処分を実施できることが規定されている。 (3)所管課  基盤整備部 土木管理課 (4)事務手続の流れ  継続使用案件の占用料は、4月に納期限を定めて、納入通知書を発送する。  一時使用案件の占有料は、随時、納期限を定めて、納入通知書を発送する。 (5)直近5年度のデータ                   (単位:円) ┌──┬──┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │年度│  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 365,822,385│ 365,103,770│ 99.8%│     0│  728,615│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│  1,606,404│   879,465│ 54.7%│  182,548│  544,391│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 367,438,789│ 365,983,235│ 99.6%│  182,548│ 1,273,006│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 364,688,129│ 364,070,634│ 99.8%│     0│  617,495│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│  1,239,706│   359,920│ 29.0%│  59,544│  820,242│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 365,927,835│ 364,430,554│ 99.6%│  59,544│ 1,437,737│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 368,482,672│ 367,906,448│ 99.8%│     0│  576,224│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│  1,437,737│   993,180│ 69.1%│  40,076│  404,481│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 369,920,409│ 368,899,628│ 99.7%│  40,076│  980,705│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 368,553,634│ 368,040,668│ 99.9%│     0│  512,966│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│   980,705│   199,538│ 20.3%│  137,076│  644,091│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 369,534,339│ 368,240,206│ 99.6%│  137,076│ 1,157,057│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 371,136,208│ 371,112,342│99.99%│     0│  23,866│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│  1,157,057│  1,005,202│ 86.9%│  75,495│  76,360│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 372,293,265│ 372,117,544│99.95%│  75,495│  100,226│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  道路占用料では、督促手数料の未収金が発生していることから、督促手数料 について、他の課と異なり、事前調定をしていることとなる。督促手数料は、 督促状の発付で発生することから、督促状の発付に特徴があるのではないかと 考え、督促状に監査の重点を置いた。  具体的には、平成28年8月9日、同年12月14日に、担当者のヒアリング を行った。併せて、関係資料を徴求し閲覧した。その他に、メール等で照会し、 回答を得た。 3 督促状の発付時期
    【事実関係】  納入通知書に記載の納期限を経過した後も支払がない場合、督促状が発付さ れるが、納期限後1ヶ月半から3か月程度後に発付している。  所管課によれば、占用者名義や住所の変更などのために納期限を経過するこ ともあるが、6月頃までに納入されることも多いとのことであった。また、企 業が占用者の場合、会社の経理処理上、納期限までに支払えないという実情も あるとのことであった。こうした支払者側の実情に配慮して、督促状の発付を 遅らせているとのことであった。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条によれば、納期 限内に完納しないがあるときは、納期限後20日以内に督促状を発しなければ ならないとされており、道路法及び岐阜市道路占用料徴収条例には、これと異 なる定めもない。 【指摘 土木管理課】  督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  督促状の発付を遅らせることは、納期限内に納付している者との間の公平性 を欠く(地方自治法第10条第2項)。 4 行政不服申立ての教示 【事実関係】  納入通知及び督促状において、行政不服申立ての教示をしていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 土木管理課】  公債権における納入通知、督促は行政処分と解される以上、行政不服申立て の教示文を明記すべきである。 5 督促手数料及び延滞金の事前調定 【事実関係】  土木管理課では、占用料算定システムの変更があった平成26年度以降、道 路占用料は、督促手数料についても、事前調定している。  よって、以下の表のとおり、決算書上に、「収入未済額」が計上される。な お、延滞金についても事前調定をしているものの、収入未済は生じていない。 〔督促手数料〕                   (単位:円) ┌─────┬───┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額│収入済額│収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 2,900│  2,000│ 69.0%│     0│    900│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,900│  2,000│ 69.0%│     0│    900│ ├──┼──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 2,100│  1,600│ 76.2%│     0│    500│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  900│   600│ 66.7%│     0│    300│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,000│  2,200│ 73.3%│     0│    800│ └──┴──┴───┴────┴───┴─────┴─────┘ 〔延滞金〕                     (単位:円) ┌─────┬───┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額│収入済額│収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 5,700│  5,700│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 5,700│  5,700│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 4,800│  4,800│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 4,800│  4,800│ 100%│     0│     0│ └──┴──┴───┴────┴───┴─────┴─────┘ 【参考報告】  土木管理課では、この道路占用料について督促手数料及び延滞金を事前調定 している結果、「収入未済額」が現れることとなる。これに対して、事後調定 の場合、常に調定額と収入額が同一となり、「収入未済額)は生じない。  督促手数料は、督促時点で金額は確定していること、また、延滞金について も、本料支払時点までの金額算定は可能であることから、事前調定できる場合 はありうることで、適切な処理であると考える。  他の課では行われていない取扱であったため、参考報告とする。  しかし、前記のとおり、督促の発付時期が遅れているため、納期限経過後 20日以内に発付していれば発生しているはずの督促手数料及び延滞金が潜在 的に存在する。この点については、指摘とした。 第5 水路占用料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  公道と宅地との間に水路があるために、公道から宅地への乗り入れ通路とし て水路上に橋を架けるような場合など、水路に一定の施設を設置し、継続して 水路を使用する場合がある。このような場合には、事前に、水路管理者の許可 が必要となる。  水路管理者の許可がなされたときに発生する占用料が「水路占用料」である。  根拠は、河川の種類により異なる。1)河川法第100条に基づき岐阜市長が指 定し管理する「準用河川」については、岐阜市流水占用料等徴収条例等が根拠 となり、2)下水道法規定の都市下水路については、岐阜市都市下水路条例等が 根拠となり、3)1)、2)以外の普通河川等は岐阜市法定外公共物管理条例等が根 拠となる。  岐阜市における水路占用料が発生する事例の多くは、道路に出るため自宅敷 地前にある水路に橋を架ける通路橋である。 (2)債権の性質
     強制徴収公債権である。 (3)所管課  基盤整備部 土木管理課 (4)事務手続の流れ  一時使用の場合を除き、4月に納期限を定めて、納入通知書を発送する。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│32,202,521│31,791,008│ 98.7%│     0│  411,513│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 2,537,827│  186,415│ 7.3%│  537,048│ 1,814,364│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│34,740,348│31,977,423│ 92.0%│  537,048│ 2,225,877│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│32,350,675│32,039,100│ 99.0%│     0│  311,575│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 2,207,177│  260,457│ 11.8%│  572,172│ 1,374,548│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│34,557,852│32,299,557│ 93.5%│  572,172│ 1,686,123│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│32,629,280│32,349,459│ 99.1%│     0│  279,821│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 1,686,123│  188,275│ 11.2%│  408,778│ 1,089,070│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│34,315,403│32,537,734│ 94.8%│  408,778│ 1,368,891│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│41,947,376│41,406,149│ 98.7%│     0│  541,227│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 1,368,891│  116,576│ 8.5%│  367,472│  884,843│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│43,316,267│41,522,725│ 95.9%│  367,472│ 1,426,070│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│35,458,191│35,241,399│ 99.4%│     0│  216,792│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 1,415,942│  448,753│ 31.7%│  276,300│  690,889│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│36,874,133│35,690,152│ 96.8%│  276,300│  907,681│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ *なお、水路占用料は、決算上、「目」「7 土木使用料」、「区分」「2 河川 水路使用料」に記載がある。決算の該当項目部分には、敷地占用料(水防団の 詰め所)も含まれているが、上記データには敷地占用料は含まれていない。 2 監査の重点及び監査手続  道路占用料では、督促手数料及び延滞金の未収金が発生していることから、 督促手数料及び延滞金について、他の課と異なり、事前調定をしている。督促 手数料及び延滞金は、督促状の発付で発生することから、督促状の発付に特徴 があるのではないかと考え、督促状に監査の重点を置いた。  具体的には、平成28年8月9日、同年12月14日に、担当者のヒアリング を行った。併せて、関係資料を徴求し閲覧した。その他に、メール等で照会し、 回答を得た。 3 督促状の発付時期 【事実関係】  納期限経過後支払がない場合、督促状を納期限経過後1ヶ月半から3か月程 度後に発付している。  所管課によれば、河川占用許可は、建物の新築や開発に伴って申請されるこ とが多く、行政書士、設計事務所などが代理人として申請業務を行う。そのた め、申請者に納付書が届くまでに時間を要し、届いた時点で納期限を超えると のことであった。そのため、督促状の発付を遅らせているとのことであった。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条によれば、指定 期限内に完納しないものがあるときは、納期限後20日以内に督促状を発しな ければならないとされており、河川法、岐阜市流水占用料等徴収条例等、所管 課が依拠する根拠にこれと別異の定めもない。 【指摘 土木管理課】  督促状を納期限後20日以内に発付すべきである。  督促状の発付を遅らせることは、納期限内に納付している者との間の公平性 を欠く(地方自治法第10条第2項)。 4 行政不服申立ての教示  納入通知及び督促状において、行政不服申立ての教示をしていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 土木管理課】  公債権における納入通知、督促は、行政処分と解される以上、行政不服申立 ての教示文を明記すべきである。 5 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  土木管理課では、占用料算定システムの変更があった平成26年度以降、水 路占用料は、督促手数料及び延滞金についても、事前調定をしている。  よって、以下の表のとおり、決算書上に、「収入未済額」が計上される。 〔督促手数料〕                   (単位:円) ┌─────┬───┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額│収入済額│収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│25,800│ 17,000│ 65.9%│     0│   8,800│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│25,800│ 17,000│ 65.9%│     0│   8,800│ ├──┼──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│33,000│ 26,000│ 78.8%│     0│   7,000│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤
    │  │繰越│ 8,800│  3,800│ 43.2%│     0│   5,000│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,800│ 29,800│ 71.3%│     0│  12,000│ └──┴──┴───┴────┴───┴─────┴─────┘ 〔延滞金〕                     (単位:円) ┌─────┬───┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額│収入済額│収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 2,800│  2,800│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,800│  2,800│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│17,300│ 12,600│ 72.8%│     0│   4,700│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│    0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼───┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│17,300│ 12,600│ 72.8%│     0│   4,700│ └──┴──┴───┴────┴───┴─────┴─────┘ 【参考報告】  土木管理課では、水路占用料について督促手数料及び延滞金を事前調定して いる結果、「収入未済額」が現れることとなる。  これに対して、事後調定の場合、常に調定額と収入額が同一となり、「収入 未済額」は生じない。督促手数料は、督促時点で金額は確定していること、ま た、延滞金についても、本料支払時点までの金額算定は可能であることから、 事前調定できる場合はありうることで、適切な処理であると考える。  他の課では行われていない取扱であったため、参考報告とする。  ただし、前記のとおり、督促の発付時期が遅れているため、納期限経過後 20日以内に発付していれば発生しているはずの督促手数料及び延滞金が潜在 的に存在する。この点については、指摘とした。 第6 国民健康保険料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ア 国民健康保険制度について   国民健康保険とは、国民健康保険法に基づき、被保険者(市民)の疾病、  負傷等に関して、保険者(市町村)が必要な保険給付を行い、社会保障及  び国民保健の向上に寄与することを目的とする社会保険である。   これは、主に市町村が運営し、被用者保険などとともに日本における医  療保険制度の中核をなすものである。   国民健康保険の被保険者となる者は、被用者保険に加入していない者(農  業従事者、自営業者、退職者、無職及び未成年者等)が挙げられる。   平成23年度から平成27年度の被保険者の状況は、次の表のとおりであ  り、全体として、減少傾向にある。 ┌─────────────┐ │直近5年度の被保険者の状況│ └─────────────┘ 〔世帯数〕                            (単位:世帯) ┌───────────────┬────┬────┬────┬────┬────┐ │          年   度│    │    │    │    │    │ │ 区   分         │ H23  │ H24  │ H25  │ H26  │ H27  │ ├─────────┬─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │         │ 年度末 │ 171,713│ 172,111│ 173,006│ 174,490│ 175,371│ │   全世帯   ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │         │年度平均 │ 171,338│ 172,316│ 172,950│ 174,120│ 175,231│ ├─┬───────┼─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ 年度末 │ 64,380│ 64,029│ 63,711│ 63,051│ 61,780│ │ │       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │一般被保険者 │年度平均 │ 65,106│ 64,765│ 64,443│ 64,022│ 62,808│ │ │       │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ │構成率│ 95.56%│ 96.02%│ 96.38%│ 96.77%│ 97.17%│ │ ├───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │     │  3,023│  2,600│  2,439│  2,105│  1,642│ │世│       │ 年度末 │ (1,997)│ (1,693)│ (1,548)│ (1,323)│ (1,029)│ │帯│       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │数│退職被保険者等│     │  3,023│  2,687│  2,418│  2,140│  1,826│ │・│(単独世帯) │年度平均 │ (2,006)│ (1,753)│ (1,536)│ (1,345)│ (1,134)│ │医│       │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │療│       │ │   │  4.44%│  3.98%│  3.62%│  3.23%│  2.83%│ │ │       │ │構成率│ (2.94%)│ (2.60%)│ (2.30%)│ (2.03%)│ (1.75%)│ │ ├───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ 年度末 │ 67,403│ 66,629│ 66,150│ 65,156│ 63,422│ │ │       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │  合計   │年度平均 │ 68,130│ 67,451│ 66,860│ 66,162│ 64,634│ │ │       │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ │加入率│ 39.76%│ 39.14%│ 38.66%│ 38.00%│ 36.89%│ ├─┴───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ 世帯数・介護  │年度平均 │ 35,045│ 34,053│ 32,794│ 31,455│ 30,069│ └─────────┴─────┴────┴────┴────┴────┴────┘ 〔被保険者数〕                            (単位:人) ┌───────────────┬────┬────┬────┬────┬────┐ │          年   度│    │    │    │    │    │ │ 区   分         │ H23  │ H24  │ H25  │ H26  │ H27  │ ├─────────┬─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │         │ 年度末 │ 418,498│ 416,750│ 415,113│ 414,382│ 412,589│ │  全 人 口  ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │         │年度平均 │ 419,522│ 418,502│ 416,626│ 415,486│ 414,148│ ├─┬───────┼─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ 年度末 │ 117,071│ 115,199│ 112,989│ 109,966│ 105,559│ │ │       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │年度平均 │ 118,699│ 116,820│ 114,872│ 112,362│ 108,172│ │被│一般被保険者 │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤
    │保│       │ │構成率│ 96.58%│ 96.98%│ 97.28%│ 97.56%│ 97.86%│ │険├───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │者│       │     │  4,172│  3,489│  3,237│  2,746│  2,104│ │数│       │ 年度末 │ (3,100)│ (2,661)│ (2,494)│ (2,160)│ (1,673)│ │・│       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │医│退職被保険者等│     │  4,201│  3,639│  3,207│  2,813│  2,361│ │療│ (本人)  │年度平均 │ (3,102)│ (2,752)│ (2,470)│ (2,191)│ (1,866)│ │ │       │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ │   │  3.42%│  3.02%│  2.72%│  2.44%│  2.14%│ │ │       │ │構成率│ (2.52%)│ (2.28%)│ (2.09%)│ (1.90%)│ (1.69%)│ │ ├───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ 年度末 │ 121,245│ 118,688│ 116,226│ 112,712│ 107,663│ │ │       ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │ 合  計  │年度平均 │ 122,900│ 120,459│ 118,079│ 115,175│ 110,533│ │ │       │ ┌───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │       │ │加入率│ 29.30%│ 28.78%│ 28.34%│ 27.72%│ 26.69%│ │ ├───────┼─┴───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ │前期高齢者数 │     │    │    │    │    │    │ │ │ (再掲)  │年度平均 │ 37,633│ 38,490│ 40,138│ 41,476│ 41,567│ ├─┴───────┼─────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │被保険者数・介護 │年度平均 │ 45,196│ 43,567│ 41,418│ 39,354│ 37,212│ └─────────┴─────┴────┴────┴────┴────┴────┘ ※年度平均は,4月から3月の平均 イ 国民健康保険料の構成   国民健康保険料は、医療費の支払いに充てる財源となる医療給付費分、  後期高齢者医療制度を支援するための後期高齢者支援金分、介護保険の財  源となる介護納付金分の合計額から構成される。また、この賦課方式につ  いては、所得額から岐阜市独自の控除額を差し引いた金額を基礎として計  算する所得割額、被保険者数に応じた均等割額及び世帯ごとの平等割額の  合計により賦課される。 ウ 国民健康保険料の納付   各世帯の保険料は毎年6月に決定し、この1年分の保険料を10回に振り  分けた納入通知書が送付される。すなわち、国民健康保険料は6月から翌  年3月までの各月10回に振り分けて、各世帯より納付されることとなる。  なお、納付は、金融機関のみならず、コンビニエンスストアでも可能であ  る。また、希望者は、口座振替を行うことも可能であり、納付者の利便が  図られている。   この他に年金受給者については、年金から直接国民健康保険料を差し引  く特別徴収制度がある。この制度の適用については、以下の要件をすべて  満たした場合に対象となる。  1)世帯主が国民健康保険の加入者となっていること  2)世帯内の国民健康保険の加入者全員が65歳以上75歳未満であること。  3)特別徴収の対象となる人の年金が年額18万円以上であり、国民健康保険  料が介護保険料と合わせて、年金額の2分の1を超えていないこと。  上記のように、この制度については、対象者が限られるものの、市役所にお ける事務負担の軽減の一助となっている。 エ 国民健康保険料の滞納   国民健康保険制度は、上記のとおり、疾病、負傷等に備えて加入者が保  険料を納付し合い、必要な医療費に充てて相互に助け合う医療保険である。  国民健康保険料は、この国民健康保険制度の基礎となる貴重な財源であり、  これが滞納される状態が続くと、国民健康保険財政に悪影響を及ぼすこと  となり、ひいては国民健康保険制度自体の存続を揺るがしかねない。また、  適切に納付している者との間に不公平が生じることになり、モラルハザー  ドによりさらなる滞納を生むおそれもある。   そのため、国民健康保険財政の健全化に向け収納率の向上を図るととも  に、納付能力がありながら納付意識が低く、身勝手な理由で納付しない悪  質滞納者から徴収できるような滞納者対策を進める必要がある。   保険料が滞納された場合、その程度に応じて下記のような取り扱いがな  される。 ┌──────────────────────────────────┐ │(ア)納付期限が過ぎたものについては、年7.3%の延滞金が発生する。ま │ │ た、督促が発生したものについては、督促状1通につき100円の督促手数 │ │ 料が発生する。                          │ │(イ)保険料を滞納すると、通常の被保険者証に代わり、有効期限の短い │ │ 「短期被保険者証」が交付される。その後、滞納状態が続き、納付期限か│ │ ら1年間が経過すると、被保険者証を返却させたうえで、「資格証明書」│ │ が交付される。この「資格証明書」にて医療機関にかかった場合、医療費│ │ の全額をいったん被保険者が負担することとなる。その後、申請により保│ │ 険者負担分を払い戻すことになる。保険料が依然として滞納となっている│ │ 場合は、保険給付の一部又は全部を差し止め、滞納している保険料に充当│ │ する場合もある。岐阜市においては、実績はない。窓口で、任意に充当さ│ │ せるという取扱いをしている。                   │ │(ウ)さらに悪質な滞納者に対しては、滞納処分警告書、差押事前通知書 │ │等が送付され、最終的に財産の差押が執行される。           │ └──────────────────────────────────┘ オ 国民健康保険料の軽減・減免について  国民健康保険制度では、すべての加入世帯の世帯主に保険料の負担が定 められ、所得のない世帯でも保険料(均等割額及び平等割額)を負担させ ることとなる。  しかしながら、所得の少ない世帯の負担能力を考慮し、前年中の所得が 一定額以下の世帯に対しては、均等割額及び平等割額を軽減することが国 民健康保険法第81条、岐阜市国民健康保険条例第18条において、定めら れている。  岐阜市における平成23年度から平成27年度の軽減の状況は、次の表の とおりである。先に述べたように、被保険者は減少傾向にあるのに対して、 軽減の対象となった世帯、被保険者数、軽減額は増加傾向にある。 1) 保険料の軽減  世帯の前年中の所得が一定の基準以下の場合、均等割額と平等割額を軽減す る制度がある。  保険料の軽減状況(保険基盤安定負担金算定時)は、以下のとおりである。 ┌─┬───────────────┬────────┬────────┬────────┬────────────────┬─────┐ │年│               │  7割軽減  │  5割軽減  │  2割軽減  │       計        │     │ │ │     区  分      ├────┬───┼────┬───┼────┬───┼────┬───┬───┬───┤     │
    │ │               │世帯数 │被保数│世帯数 │被保数│世帯数 │被保数│世帯数 │比率 │被保数│比率 │ 軽減額 │ │度│               │(世帯)│(人)│(世帯)│(人)│(世帯)│(人)│(世帯)│(%)│(人)│(%)│ (千円)│ ├─┼─┬──┬──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │  │  特定世帯以外  │ 16,981│   │  2,732│   │  6,614│   │ 26,327│ 39.81│   │   │     │ │ │ │一般├──────────┼────┤26,473├────┤ 7,854├────┤14,113├────┼───┤48,440│ 40.81│ 1,402,012│ │ │医│  │   特定世帯   │  1,680│   │   449│   │   903│   │  3,032│ 4.59│   │   │     │ │ │療├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │・│  │  特定世帯以外  │   440│   │   82│   │   317│   │   839│ 41.82│   │   │     │ │ │後│退職├──────────┼────┤  682├────┤  294├────┤  685├────┼───┤ 1,661│ 39.54│  40,863│ │ │期│  │   特定世帯   │   27│   │   14│   │   26│   │   67│ 3.34│   │   │     │ │23│高├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │年│齢│  │  特定世帯以外  │ 17,421│   │  2,814│   │  6,931│   │ 27,166│ 39.87│   │   │     │ │度│ │計 ├──────────┼────┤27,155├────┤ 8,148├────┤14,798├────┼───┤50,101│ 40.77│ 1,442,875│ │ │ │  │   特定世帯   │  1,707│   │   463│   │   929│   │  3,099│ 4.55│   │   │     │ │ ├─┼──┴──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │     一般      │  7,750│ 8,716│  1,766│ 2,373│  3,482│ 4,370│ 12,998│ 39.86│15,459│ 37.46│  97,991│ │ │介├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │護│     退職      │   513│  654│   144│  261│   446│  651│  1,103│ 45.22│ 1,566│ 39.83│   8,060│ │ │ ├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │      計      │  8,263│ 9,370│  1,910│ 2,634│  3,928│ 5,021│ 14,101│ 40.24│17,025│ 37.67│  106,051│ ├─┼─┼──┬──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │  │  特定世帯以外  │ 16,656│   │  2,767│   │  6,714│   │ 26,137│ 39.78│   │   │     │ │ │ │一般├──────────┼────┤25,944├────┤ 7,896├────┤14,267├────┼───┤48,107│ 41.18│ 1,384,193│ │ │医│  │   特定世帯   │  1,650│   │   447│   │   937│   │  3,034│ 4.62│   │   │     │ │ │療├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │・│  │  特定世帯以外  │   477│   │   98│   │   323│   │   898│ 51.23│   │   │     │ │ │後│退職├──────────┼────┤  732├────┤  344├────┤  695├────┼───┤ 1,771│ 48.67│  44,256│ │ │期│  │   特定世帯   │   33│   │   13│   │   22│   │   68│ 3.88│   │   │     │ │24│高├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │年│齢│  │  特定世帯以外  │ 17,133│   │  2,865│   │  7,037│   │ 27,035│ 40.08│   │   │     │ │度│ │計 ├──────────┼────┤26,676├────┤ 8,240├────┤14,962├────┼───┤49,878│ 41.41│ 1,428,449│ │ │ │  │   特定世帯   │  1,683│   │   460│   │   959│   │  3,102│ 4.60│   │   │     │ │ ├─┼──┴──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │     一般      │  7,645│ 8,548│  1,787│ 2,401│  3,512│ 4,425│ 12,944│ 40.61│15,374│ 38.26│  97,012│ │ │介├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │護│     退職      │   553│  705│   164│  309│   443│  661│  1,160│ 53.26│ 1,675│ 49.42│   8,709│ │ │ ├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │      計      │  8,198│ 9,253│  1,951│ 2,710│  3,955│ 5,086│ 14,104│ 41.42│17,049│ 39.13│  105,721│ ├─┼─┼──┬──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │  │特定(継続)世帯以外│ 16,489│   │  2,769│   │  6,778│   │ 26,036│ 39.86│   │   │     │ │ │ │一般├──────────┼────┤25,406├────┤ 7,878├────┤14,329├────┼───┤47,613│ 41.45│ 1,373,574│ │ │医│  │ 特定(継続)世帯 │  1,624│   │   444│   │   965│   │  3,033│ 4.64│   │   │     │ │ │療├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │・│  │特定(継続)世帯以外│   458│   │   73│   │   289│   │   820│ 53.39│   │   │     │ │ │後│退職├──────────┼────┤  661├────┤  266├────┤  615├────┼───┤ 1,542│ 48.08│  39,707│ │ │期│  │ 特定(継続)世帯 │   22│   │   11│   │   19│   │   52│ 3.39│   │   │     │ │25│高├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │年│齢│  │特定(継続)世帯以外│ 16,947│   │  2,842│   │  7,067│   │ 26,856│ 40.17│   │   │     │ │度│ │計 ├──────────┼────┤26,067├────┤ 8,144├────┤14,944├────┼───┤49,155│ 41.63│ 1,413,281│ │ │ │  │ 特定(継続)世帯 │  1,646│   │   455│   │   984│   │  3,085│ 4.61│   │   │     │ │ ├─┼──┴──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │     一般      │  7,324│ 8,087│  1,751│ 2,316│  3,395│ 4,179│ 12,470│ 40.47│14,582│ 37.94│  92,563│ │ │介├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │護│     退職      │   517│  644│   130│  232│   391│  583│  1,038│ 52.34│ 1,459│ 48.89│   7,726│ │ │ ├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │      計      │  7,841│ 8,731│  1,881│ 2,548│  3,786│ 4,762│ 13,508│ 41.19│16,041│ 38.73│  100,289│ ├─┼─┼──┬──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │  │特定(継続)世帯以外│ 16,568│   │  6,472│   │  6,091│   │ 29,131│ 44.94│   │   │     │ │ │ │一般├──────────┼────┤25,223├────┤14,697├────┤14,481├────┼───┤54,401│ 48.42│ 1,514,851│ │ │医│  │ 特定(継続)世帯 │  1,609│   │   978│   │  1,033│   │  3,620│ 5.58│   │   │     │ │ │療├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │・│  │特定(継続)世帯以外│   436│   │   234│   │   165│   │   835│ 62.08│   │   │     │ │ │後│退職├──────────┼────┤  636├────┤  538├────┤  455├────┼───┤ 1,629│ 57.91│  42,840│ │ │期│  │ 特定(継続)世帯 │   18│   │   14│   │    9│   │   41│ 3.05│   │   │     │ │26│高├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │年│齢│  │特定(継続)世帯以外│ 17,004│   │  6,706│   │  6,256│   │ 29,966│ 45.29│   │   │     │ │度│ │計 ├──────────┼────┤25,859├────┤15,235├────┤14,936├────┼───┤56,030│ 48.65│ 1,557,691│ │ │ │  │ 特定(継続)世帯 │  1,627│   │   992│   │  1,042│   │  3,661│ 5.53│   │   │     │ │ ├─┼──┴──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │     一般      │  7,111│ 7,778│  3,328│ 4,107│  3,145│ 4,042│ 13,584│ 45.73│15,927│ 43.33│  97,699│ │ │介├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │護│     退職      │   494│  604│   319│  502│   268│  423│  1,081│ 61.81│ 1,529│ 58.94│   8,316│ │ │ ├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │      計      │  7,605│ 8,382│  3,647│ 4,609│  3,413│ 4,465│ 14,665│ 46.62│17,456│ 44.36│  106,015│ ├─┼─┼──┬──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │  │特定(継続)世帯以外│ 16,663│   │  7,001│   │  5,981│   │ 29,645│ 46.69│   │   │     │ │ │ │一般├──────────┼────┤25,068├────┤15,735├────┤14,033├────┼───┤54,836│ 50.69│ 1,544,018│ │ │医│  │ 特定(継続)世帯 │  1,575│   │  1,164│   │  1,107│   │  3,846│ 6.06│   │   │     │ │ │療├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │・│  │特定(継続)世帯以外│   426│   │   189│   │   161│   │   776│ 68.43│   │   │     │ │ │後│退職├──────────┼────┤  609├────┤  456├────┤  426├────┼───┤ 1,491│ 63.15│  39,706│ │ │期│  │ 特定(継続)世帯 │   17│   │    9│   │    6│   │   32│ 2.82│   │   │     │ │27│高├──┼──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │年│齢│  │特定(継続)世帯以外│ 17,089│   │  7,190│   │  6,142│   │ 30,421│ 47.07│   │   │     │ │度│ │計 ├──────────┼────┤25,677├────┤16,191├────┤14,459├────┼───┤56,327│ 50.96│ 1,583,724│ │ │ │  │ 特定(継続)世帯 │  1,592│   │  1,173│   │  1,113│   │  3,878│ 6.00│   │   │     │ │ ├─┼──┴──────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │     一般      │  6,936│ 7,545│  3,459│ 4,227│  3,003│ 3,802│ 13,398│ 46.92│15,574│ 44.45│  96,308│ │ │介├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │護│     退職      │   489│  583│   270│  415│   252│  394│  1,011│ 66.78│ 1,392│ 63.97│   7,726│ │ │ ├─────────────┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼────┼───┼───┼───┼─────┤ │ │ │      計      │  7,425│ 8,128│  3,729│ 4,642│  3,255│ 4,196│ 14,409│ 47.92│16,966│ 45.59│  104,034│ └─┴─┴─────────────┴────┴───┴────┴───┴────┴───┴────┴───┴───┴───┴─────┘ ※比率=世帯数(被保険者数)÷年間平均世帯数(被保険者数) 2) 保険料の減免  前年度の所得金額による軽減のほかに、災害、事業の休廃止、病気などの特 殊の事情により保険料納付が困難である場合は、岐阜市独自で定めた保険料の 減免制度を用いることが可能となる。この場合、上記の軽減制度と異なり、減 免を受けようとする者が、「保険料減免申請書」を提出しなくてはならない。
    カ 国民健康保険税について  平成19年の旧柳津町の合併に伴い、旧柳津町において徴収された国民健康 保険税の滞納分が、現在も、一部、残っている。  税であることから、1)消滅時効期間が2年ではなく5年であること、2)差押 えの優先順位が市民税と同じであること(国民健康保険料は市民税の次とな る。)、3)遡及賦課が2年ではなく3年であることなど、国民健康保険料と違い がある。 (2)債権の性質  強制徴収公債権 (3)所管課  市民生活部 国保・年金課  収納1係5名、収納2係7名、嘱託員17名、収納1係、収納2係、嘱託員 (4)事務手続の流れ  各世帯の保険料は毎年6月に決定し、この1年分の保険料を10回に振り分 けた納入通知書が送付される。 (5)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬──────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額 │ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H23 │現年│12,629,748,760│11,040,842,758│ 87.4%│      0│ 1,588,906,002│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 3,326,149,839│  620,777,063│ 18.7%│ 890,673,711│ 1,814,699,065│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│15,955,898,599│11,661,619,821│ 73.0%│ 890,673,711│ 3,403,605,067│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H24 │現年│12,356,843,950│10,809,907,651│ 87.5%│      0│ 1,546,936,229│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 3,323,403,497│  605,199,334│ 18.2%│ 870,928,841│ 1,847,275,322│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│15,680,247,447│11,415,106,985│ 72.8%│ 870,928,841│ 3,394,211,621│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H25 │現年│10,951,758,660│ 9,617,588,589│ 87.8%│      0│ 1,334,170,071│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 3,287,543,284│  575,429,714│ 17.5%│ 818,488,038│ 1,893,625,532│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│14,239,301,944│10,193,018,303│ 71.6%│ 818,488,038│ 3,227,795,603│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H26 │現年│10,595,821,510│ 9,353,308,181│ 88.3%│  4,154,270│ 1,238,359,059│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 3,161,297,460│  579,208,438│ 18.3%│ 806,575,065│ 1,775,513,957│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│13,757,118,970│ 9,932,516,619│ 72.2%│ 810,729,335│ 3,013,873,016│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │H27 │現年│10,462,633,070│ 9,285,687,242│ 88.8%│  8,134,830│ 1,168,810,998│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │繰越│ 2,964,510,936│  573,993,801│ 19.4%│ 755,954,072│ 1,634,563,063│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼──────┼───────┤ │  │合計│13,427,144,006│ 9,859,681,043│ 73.4%│ 764,088,902│ 2,803,374,061│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴──────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  保険料を扱っている課は、国保・年金課、介護保険課、福祉医療課である。 国民健康保険料は、被保険者の世帯主から広く徴収するものであり、賦課徴収 や減免において、公平性が求められる。そこで、公平性の観点に特に重点を置 いて、監査を実施した。  具体的には、平成28年8月12日、同年12月9日、同年12月27日、平成 29年1月25日に、監査室及び国保・年金課において、国保・年金課担当者の ヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。その他に、メー ル等で照会し、回答を得た。 3 実態調査 (1)所在調査 【事実関係】  滞納者については、実態調査を実施しており、住民基本台帳担当課(市民課) と連携をとり、住民票が職権消除されたことを確認し資格の職権喪失を実施し ている。  居所不明被保険者の資格喪失等確認事務処理要領の第2(3)に基づいて、 年2回、実態調査を行っている。  平成26年度は、193件実地調査を行い、市民課に、職権消除のため、報告 書を提出したのは、144件である。平成27年度は、マイナンバーの発送業務 のため、市民課で率先して、居所の調査をしていたことから、実地調査の件数 は少なかった。56件の実地調査を行い、市民課に、職権消除のため、報告書 を提出したのは、21件である。  職権消除のための報告書を提出するのは、被保険者証を医療機関等に提示し た形跡がない者や、未納が続いている者が多い。  調査で判明しなかったことから、保留となっているものもある。保留となっ ているものは、翌年度も調査を実施するが、転居届を提出されたものなど所在 が判明したものについては、調査対象者から外している。 【規範】  国民健康保険法第8条第1項では、市町村の区域内に住所を有しなくなった 日の翌日から、被保険者の資格を喪失するなど、資格喪失事由を定める。  居所不明被保険者の資格喪失等確認事務処理要領に基づいて、居所不明被保 険者の住所地等を調査している。 【参考報告】  滞納者の居所の調査を実施して、市民課に報告し、実態と住民票の記載を合 わせようとしている。無駄な賦課・調定という事務手続を減らすことにもつな がるため、参考報告とした。 (2)世帯主の認定 【事実関係】  住民票上の記載と世帯主の実態が異なる場合、実態調査に基づいて、「世帯 変更届」を提出するよう指導しているとのことである。 【規範】  国民健康保険法第76条1項では、「世帯主」から、国民健康保険料を徴収す ることを定めている。
    【参考報告】  国民健康保険法は、第76条第1項の「世帯主」について定義規定を設けて いない。また、岐阜市国民健康保険条例においても、定義規定を設けていない。  同条項が世帯主に保険料納入義務を課している趣旨は、世帯員は世帯主の所 得に依存して生計を同一にしており、世帯員が罹病した際の医療費の負担も、 世帯主の所得と責任において賄われている点にあると解される。  そのため、同条項の「世帯主」とは、「主として世帯の生計を維持する者で あって、国民健康保険料の納入義務者として社会通念上妥当と認められる者で ある」と解されることから(山口地方裁判所昭和44年3月31日、平成13年 12月25日保発第291号「国民健康保険における『世帯主』の取扱いについて」 都道府県知事あて厚生労働省保険局長通知参照)、住民票登録上の「世帯主」 は、世帯主認定のための考慮要素の一つであり、住民票登録上の世帯主と一致 するものではない。  「主として生計を維持する者」に該当するかどうかの事実認定をするにあた っては、1)住民登録上の「世帯主」の年齢・職業・収入・家計負担割合など、 2)同一世帯員の家族構成・年齢・職業・収入・家計負担割合など、3)親族の勤 務先・社会保険に、被扶養者として届けられているかなどの諸事情が考慮要素 になると考えられる(地方公務員のための債権管理・回収実務マニュアル 債 権別解決手法の手引き 編集大阪弁護士会自治体債権管理研究会を参照)。  そして、「主として生計を維持する者」と、住民登録上の「世帯主」とが異 なる場合には、「世帯変更届」の提出を指導することが望ましい(住民基本台 帳法第25条第1項)。  この点、国保・年金課は、世帯主変更届を提出するよう指導していることか ら、参考報告とする。 (3)被保険者の認定について 【事実関係】  住民票上、転入届が出ていないものの、岐阜市内に居住している場合、実態 調査に基づいて、「転入届」を提出するよう指導しているとのことである。 【規範】  国民健康保険法第5条では、市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町 村が行う国民健康保険の被保険者とすると規定している。  また、同法第7条では、当該市町村の区域内に住所を有するに至った日から、 その資格を取得すると規定している。 【参考報告】  国民健康保険法第5条は、被保険者の要件として、「市町村の区域内に住所 を有する者」と定めているが、「住所」に関し、「住民登録」を要件とするなど の特別の要件を付加していない。また、同法は、住所移転又は他の医療保険被 保険者資格喪失の事実が発生した日に特別な手続を必要とせず、被保険者資格 を取得する建前を採用している(同法第7条第1項)。  在留資格を有しない外国人に対し横浜市港北区長による国民健康保険者証 を交付しない旨の処分を取り消した最判平成16年1月15日(民集58巻1号 226頁)では、「国民健康保険は、市町村が保険者となり、その区域内に住所 を有する者を被保険者として継続的に保険料等の徴収及び保険給付を行う制 度であることに照らすと、法第5条にいう『住所を有する者』とは、市町村の 区域内に継続的に生活の本拠を有する者をいうものと解するのが相当である」 と判示している。  したがって、国民健康保険法第5条の「住所を有する者」とは、民法上の「住 所」や住民登録上の住所と同一に解されるものではなく、国民健康保険法の趣 旨、目的に沿って解釈すべきである。  「継続的に生活の本拠を有する者」に該当するかどうかの事実認定をするに あたっては、1)岐阜市内移住の経緯、2)前住所地(住民登録上の住所)に住居 を有するか否か、3)前住所地(住民登録上の住所)で生活しているか、その頻 度、4)郵便物の転送届けが提出されているか、5)岐阜市内移住後の居住年数、 6)表札に表示されているか、7)現住所地で郵便物が届くか、8)親族の勤務先・ 社会保険に、被扶養者として届けられているか、9)継続的に岐阜市内に居住す る意思があるか、などの諸事情が考慮要素になると考えられる。  そして、「継続的に生活の本拠を有する者」と、住民登録上の住所とが異な る場合には、「転入届」の提出を指導することが望ましい(住民基本台帳法第 22条第1項)。  この点、国保・年金課は、実態調査に基づき、転入届の提出を指導している ことから、参考報告とする。 4 督促状の発付時期 【事実関係】  平成28年3月までは、督促状の発付時期が納期限後25日前後であった。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条によれば、市長 は、市税以外の諸納付金を指定期間内に完納しないものがあるときは、納期限 後20日以内に督促状を発しなければならない。 【指摘 国保・年金課(改善報告)】  督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  この点、ヒアリングによると、平成28年4月から、納税課における督促状 の発付時期が納期限後20日以内に改めたことに伴い、国民健康保険料の督促 状の発付時期も、納期限後20日以内に発付するよう改めたということである。  したがって、督促に関する本指摘については改善報告とする。 5 納付相談 【事実関係】  納付相談時に、収入、借入金、健康状態等を聴取し、滞納管理システムの交 渉経過欄に情報を入力し、担当者不在でも、情報共有できるようにしている。 納付相談用の書式(添付資料を求める形など)はない。  納付相談時において、納付計画を確実に実行する旨の納付誓約書を取得して いる。 【意見 国保・年金課】  収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、必要な情報を漏れなく 聴取できるよう、納付相談については、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して、用いることが望ましい。  納税課の「収支・財産状況について」という書式が参考となる。 【事実関係】  滞納が長期にわたると、短期被保険者証、資格証明書を交付する場合がある。 医療費を10割支払った場合、後日7割分を払い戻すが、滞納がある場合は保 険料に充当する。あくまでも、任意の方式である。  また、国民健康保険料の滞納者も、健康保険協会からの保険者間調整を断る 場合、健康保険協会への資格喪失後受診医療費を返納した後、療養費を請求す ることになるが、その療養費により、滞納保険料を納付させている。あくまで も、任意である。  特別療養費の支払状況及び充当状況は、以下のとおりである。 〔支払件数及び支払金額〕           (単位:件/円)
    ┌──┬────────┬────────┬────────┐ │  │ 平成25年度  │ 平成26年度  │ 平成27年度  │ │  ├──┬─────┼──┬─────┼──┬─────┤ │  │件数│ 金額  │件数│ 金額  │件数│ 金額  │ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │4月 │ 16│  325,297│ 11│  245,823│  8│  55,830│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │5月 │  6│  188,860│  8│  412,121│  3│  62,307│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │6月 │ 16│  251,062│ 13│  353,106│ 10│  30,422│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │7月 │ 12│  178,017│ 10│  289,706│ 10│  67,293│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │8月 │ 10│  396,144│  1│   8,253│  8│  284,701│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │9月 │ 10│  171,824│ 11│  264,933│  7│  81,627│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │10月│  6│  164,378│ 17│  316,498│ 12│  158,657│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │11月│ 10│  300,919│  7│  214,928│ 11│  375,907│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │12月│  6│  134,459│  8│  89,131│  5│  56,714│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │1月 │ 10│  146,404│  9│  599,379│  6│ 1,127,522│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │2月 │  5│  88,336│  6│  95,046│  1│  81,970│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │3月 │  2│  36,400│  4│  99,295│  6│  17,101│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │合計│ 109│ 2,382,100│ 105│ 2,988,219│  1│ 2,400,051│ └──┴──┴─────┴──┴─────┴──┴─────┘ 〔保険料へ充当した特別療養費の件数及び金額〕   (単位:円) ┌──┬────────┬────────┬────────┐ │  │ 平成25年度  │ 平成26年度  │ 平成27年度  │ │  ├──┬─────┼──┬─────┼──┬─────┤ │  │件数│ 金額  │件数│ 金額  │件数│ 金額  │ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │4月 │ 12│  183,228│  8│  164,368│  7│  34,500│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │5月 │  4│  163,804│  7│  277,173│  3│  48,422│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │6月 │ 12│  114,726│  8│  75,007│ 10│  30,422│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │7月 │  9│  98,133│  8│  184,266│  9│  65,228│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │8月 │  8│  382,819│  1│   8,253│  7│  243,423│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │9月 │  8│  82,016│  8│  149,600│  6│  80,654│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │10月│  6│  135,489│ 16│  194,837│ 12│  156,999│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │11月│  8│  185,325│  7│  195,343│  3│  39,871│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │12月│  6│  118,359│  6│  58,504│  5│  56,714│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │1月 │  8│  124,594│  7│  379,878│  5│  240,279│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │2月 │  5│  47,523│  6│  81,550│  5│  22,806│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │3月 │  2│  36,400│  4│  99,295│  1│  17,101│ ├──┼──┼─────┼──┼─────┼──┼─────┤ │合計│ 88│ 1,672,416│ 86│ 1,868,074│ 73│ 1,036,419│ └──┴──┴─────┴──┴─────┴──┴─────┘  特別療養費による充当及び療養費による充当は、話し合いによる任意のも のであるが、充当させる金額や割合については、特に、明確な基準はなく、各 担当者の判断にゆだねられている。その判断過程について、明確な記録はない。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 国保・年金課】  特別療養費、療養費による充当については、収入、借入金、健康状態、家計 収支、同居の親族等、必要な情報を漏れなく聴取した上で、どのような理由(基 準)で、充当額を決定したのか、記録に残すべきである。  特別療養費、療養費による充当についての記録も、納税課の「収支・財産状 況について」という書式が参考となる。 【事実関係】  納付相談に対応して、納付誓約書により、納付の誓約をさせている。確認事 項欄に、不履行時には差押えを行う旨明記し、チェックをさせている。 【参考報告】  納付誓約書の確認事項欄に、不履行時には差押えを行う旨明記し、チェック させており、債務者が心理的に滞納しにくくなるという事実上の効果も期待で きる。チェックをさせる点も含めて参考となることから、参考報告とした。 【事実関係】  納付誓約書には、税務情報を含む滞納者情報の取得同意条項が入っていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 国保・年金課】  納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用についての同 意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が容易となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな
    るという事実上の効果も期待できる。 6 督促手数料及び延滞金 (1)督促手数料 【事実関係】  納入の通知書に記載されている納期限から10日~12日後にシステムで督促 状作成処理を行うが、督促状発送日以前に支払ったものについては、督促手数 料を徴収しないようにしている。督促手数料については、入金時点において調 定しており、事後調定としている。  ヒアリングによると、納期限を経過した18~19日時点において、督促状を 発付するため、発付以前に支払った場合でも督促状を発送する場合がある。特 に、コンビニ収納などでは、納付後、国保・年金課に徴収した事実が伝わるの は2週間後となる。かかる場合に、誤って督促手数料を取らないようにするた め、督促手数料を入金後に調定するという事後調定をしているとのことである。 また、督促手数料について、発付のたびに調定をすることは、事務処理の負担 が大きく、困難であるとのことであった。  事後調定の根拠として、岐阜市会計規則第33条第4号の「事実が発生しな ければ金額が確定しないもの」に該当すると考えているようである。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 国保・年金課】  督促状を発付前に納付している事案もあることから、督促状を発付した全て の案件について、督促手数料が発生しているわけではない。督促状の発付直後 に、督促手数料を調定していない点については、問題はないと思われる。  しかし、発送してから2週間経過した後であれば、督促状が到達した後に納 付したかどうか確認ができることから、その時点において、督促手数料を調定 しない事務処理は、事後調定の要件を満たさない限り、「収入命令者は、歳入 を徴収しようとするときは、・・・、直ちにこれを調定しなければならない」 とする岐阜市会計規則第32条に反することとなる。  また、事後調定の結果、督促手数料は、決算書では、未収金が0円と表示さ れることになり、実態が正確に表示されていない。  事務処理上の負担も考慮して、督促手数料の調定を事後調定とするのであれ ば、1)発生している督促手数料の金額を把握すべきである。また、2)発生して いる督促手数料を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会 計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認め られるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定の要件 を満たしていることを確認すべきである。 (2)延滞金 【事実関係】  延滞金は、期別(1年間に10期に分かれる)ごとに、元金を返済した際に 確定するため、期別ごとの国民健康保険料の元金返済時に、調定できるはずで ある。  しかし、延滞金の入金時点に調定しており、事後調定となっている。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、第33条第4号の「事実が発 生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えているようである。  また、延滞金について、期別ごとに金額が確定するたびに調定をすることは、 事務処理の負担が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 国保・年金課】  期別ごとに、元金を完済した時点で、期別ごとの延滞金が確定することから、 第33条第4号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」には該当し ない。また、事後調定の結果、決算書上、延滞金は未収金が0円と表示される (100%回収していることになる)ことになり、決算書上、実態を正確に表示 していない。  事務処理上の負担も考慮して、延滞金の調定を事後調定とするのであれば、 1)発生している延滞金の金額を把握すべきである。また、2)発生している延滞 金を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会計規則第33 条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認められるもので 会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定の要件を満たしてい ることを確認すべきである。 7 情報共有 (1)強制徴収公債権の担当課間 【事実関係】  平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号に基づき、 税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、折衝経過(納付状況・ 滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先情報(名称・所在地)を照会し、 利用目的以外に利用するとして、国保・年金課が取得している。 【規範】  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第5号では、「事務の遂行に必要な限 度で保有個人情報を内部で利用する場合」で「正当な理由のあるとき」に、個 人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定し、同第3項では、個 人情報保護審議会の意見を聴くことを規定している。 【参考報告】  強制徴収公債権の担当課の間であれば、平成19年3月27日付総税企第55 号通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有することは可能であると 考えられる。岐阜市個人情報保護条例に基づき、岐阜市個人情報保護審議会の 答申が必要だったかどうかは不明であるが、情報提供を受けている国保・年金 課の対応は参考になることから、参考報告とした。 (2)官報公告 【事実関係】  官報公告について、納税課から情報提供を受けているため、破産手続等にお いて、債権の申出等の措置を採用している。  平成28年9月より、介護保険課も、国保・年金課と同様に、納税課から、 官報公告の情報提供を受けているとのことである。 【規範】  国民健康保険法第79条の2では、国民健康保険料について、地方自治法第
    231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第231条の3 第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することができるとする。地方税 法第331条第6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとしており、 国税徴収法第82条では、交付要求の手続きを定めている。  地方自治法施行令第171条の4では、債権の申出を規定している。 【参考報告】  官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受けており、参考とな ることから、参考報告とした。  なお、国保・年金課の対応を参考に、平成28年9月1日から、介護保険課 が、官報情報の提供を納税課から受けている。 (3)国税徴収法による調査情報について 【事実関係】  システム上、国保・年金課の職員であれば、強制徴収公債権の担当者以外の 者も、国税徴収法第141条等の調査結果を見ることができる。そのため、経過 記録に、国税徴収法第141条等に基づく調査結果が記載されている場合、第三 者行為求償事務担当者など強制徴収公債権である保険料担当者以外でも、調査 結果を閲覧することができてしまう状態となっている。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。 【指摘 国保・年金課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部課同士以外では、情報共有することはできない。  国税徴収法第141条等の調査に基づいて取得した調査情報(納付原簿や滞納 者との折衝記録ではない。)については、強制徴収公債権担当者以外の者が閲 覧できないように別の書式等で管理するか、国保・年金課内で取り決めをする べきである。 8 滞納処分 【事実関係】 (1)滞納者一覧で、金額が大きい人から、順次、預金調査を行っている。  預金調査については、滞納者14,400世帯のうち、年間で、3,000件照会し ている。1件につき、20行くらいの金融機関に照会をかけている。  預金が判明した時点で、担当者と納付相談嘱託員で協議し、納付資力がある と判断すれば滞納処分警告書を発送する。期日までに完納または相談がない場 合は、個別の案件毎に部長の決議をもって、差押えを行うが、議事録等はない。 (2)納税課は金額ベースで債権を分類し、対応しているが、国保・年金課は 地区で担当を振り分けている。 (3)平成27年度から滞納処分を強化した。  ヒアリングによると、売掛金債権の差押実績はないとのことである。 今後の納付相談の継続等の問題もあることから、預金を差押えた人から、取立 て前に納付相談があった場合には、滞納額の半分を支払い、残りの滞納につい て、納付誓約をした場合に解除に応じている。この点について、明確な規定は ない。  事情聴取した点について納付相談の書式はなく、経過記録で記録している。 【事実関係】  給与照会した事業所から回答がない場合は、電話で催促している。金融機関 から回答がない事例はないが、事業所では、回答をしないところもある。  年間5件程度であり、事業者に調査を行うと支払う滞納者もいる。  給与債権の滞納処分後に、取立訴訟を提訴した事例はない。 【規範】  国民健康保険法第76条の2では、国民健康保険料については、地方自治法 第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第231条の 3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することができるとする。 【指摘 国保・年金課】  滞納処分については、今後も、預金債権のほか、給与債権や売掛金債権など も、積極的に、実施すべきである。  特に、給与債権や売掛金債権について、第三債務者が、調査に回答しない場 合、滞納処分を実施すべきである。  また、滞納処分を実施しても、第三債務者からの支払がない場合は、取立訴 訟についても、実施を検討すべきである。 9 相続人に対する請求 【事実関係】  国保・年金課によると、同居の家族等相続人が分納等をする事案や、平成 27年度には、昭和時代に不動産を差し押えた世帯主が死亡したため、配偶者 及び子に納付交渉を行い、滞納額を納付に導いたケースもあるとのことである。  しかし、単身者が死亡した場合には、戸籍調査をし、相続人を確定して請求 をすることまでは行っていないことから、回収ができていない。単身世帯につ いては、170件程度である。  国保・年金課によると、死亡者の滞納額は3,000万円ほどであるが、現年度 の滞納防止に力を入れていることから、相続人調査まで、力を入れることがで きないとのことである。 【規範】  国民健康保険法第78条は、相続による納税義務の承継を規定する地方税法 第9条準用している。 【指摘 国保・年金課】  人員配置の関係から、全ての相続案件について相続人調査をすることができ ないという実情は理解できなくもない。  しかし、全く相続人調査をしないまま、消滅時効にかけて、不納欠損すると いう事務処理は、不適切である。  単身世帯や滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上で、戸籍調査等 を行い、相続人にも、滞納している国民健康保険料を請求すべきである。 10 消滅時効の管理 【事実関係】  時効は2年(国民健康保険法第110条)であり、滞納処分の停止後の消滅は 3年である(地方税法第15条の7第4項)。  以下の表のとおり、2年間の消滅時効により、不納欠損となることが多い。 〔不納欠損内訳〕          (単位:円) ┌──┬──────┬─────┬──────┐ │  │ 時効分  │処分停止分│  計   │ ├──┼──────┼─────┼──────┤ │H23 │ 890,642,011│  31,700│ 890,673,711│ ├──┼──────┼─────┼──────┤ │H24 │ 870,874,991│  53,850│ 870,928,841│ ├──┼──────┼─────┼──────┤ │H25 │ 803,928,388│14,559,650│ 818,488,038│
    ├──┼──────┼─────┼──────┤ │H26 │ 784,533,840│26,195,495│ 810,729,335│ ├──┼──────┼─────┼──────┤ │H27 │ 739,489,972│24,598,930│ 764,088,902│ └──┴──────┴─────┴──────┘  滞納者について常時不在等の理由により十分な実態調査ができないうちに 2年の消滅時効(国民健康保険法第110条)をむかえてしまう保険料があると のことである。 【指摘 国保・年金課】  人員配置の関係から全ての滞納案件について実態調査をすることができな いという実情は理解できなくもない。  しかし、実態調査をしないまま、消滅時効にかけて、不納欠損するという保 険料が少なくないことは、不適切な事務処理と指摘されても仕方がない状態で ある。  滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上で、実態調査等を行い、滞 納処分をかけるのか、徴収猶予、滞納処分の停止などの措置を取るのか、方針 を決定して、漫然と、消滅時効を経過させないようにすべきである。 11 放棄・減免 【概要】  減免制度については、岐阜市国民健康保険条例第24条に記載があり、より 具体的な内容は、岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱第2条に規定されている。 〔保険料の減免状況〕 減免対象 岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱第2条第1項 ┌───┬─────────────────────────────────┐ │第1号│震災、風水害、火災その他の災害により資産に被害を受けた者     │ ├───┼─────────────────────────────────┤ │第2号│前年の所得額が400万円以下の者であって、傷病、廃業、失業等により、 │ │   │減免の申請を行う年の所得見込額が前年の所得額と比較して2分の1以 │ │   │下に減少したもの                         │ ├───┼─────────────────────────────────┤ │第3号│申請月を含め最近3か月における月平均収入額が、生活保護基準額以下 │ │   │の者                               │ ├───┼─────────────────────────────────┤ │第4号│当該年の所得見込額が地方税法第314条の2第2項に掲げる金額に48   │ │   │万円に被保険者の数及び条例第14条第1項第3号アに規定する特定同  │ │   │一世帯所属者の数の合計数を乗じて得た額を加算した金額を超えない者 │ ├───┼─────────────────────────────────┤ │第5号│法第59条各号(拘禁など)のいずれかに該当する者          │ ├───┼─────────────────────────────────┤ │第6号│前各号に掲げるもののほか、市長が特別の事情があると認める者    │ └───┴─────────────────────────────────┘ 〔減免対象毎の減免額〕 ┌───┬────────────────┬────────────────┐ │   │     平成26年度      │     平成27年度      │ │   ├──┬──────┬──────┼──┬──────┬──────┤ │   │件数│当初賦課額 │ 減免額  │件数│当初賦課額 │ 減免額  │ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第1号│  5│  590,490円│  230,210円│  2│  196,710円│  51,920円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第2号│  2│  131,590円│  49,870円│  2│  529,610円│  330,730円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第3号│  0│     0円│     0円│  0│     0円│     0円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第4号│  0│     0円│     0円│  0│     0円│     0円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第5号│  0│     0円│     0円│  0│     0円│     0円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │第6号│ 99│16,461,120円│ 4,970,990円│ 61│10,425,060円│ 2,781,680円│ ├───┼──┼──────┼──────┼──┼──────┼──────┤ │合計 │ 106│17,183,200円│ 5,251,070円│ 65│11,151,380円│ 3,164,330円│ └───┴──┴──────┴──────┴──┴──────┴──────┘  平成26年度及び平成27年度では、「第2条第1項第6号 特に必要と認め たもの」の割合が高い。ここでいう「特に必要と認められる場合」については、 岐阜市国民健康保険条例、岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱には具体的な記 載がないが、国保・年金課内で定めた「減免割合運用基準」にて、「病気の場 合」、「自己破産の場合」、「失業・廃業の場合」、「その他の場合」と主に4つに 区分されている。  この4つの区分のうち、「その他の場合」は、「減免割合運用基準」において、 以下のように定められている。すなわち、1)岐阜市国民健康保険料減免取扱要 綱第2条第1項第2号に非該当であるが、所得の減少により納付困難と認めら れる場合、2)継続的に低収入で、貯蓄もなく生活困窮と認められる場合、3)そ の他、個々の状況により納付が困難と認められる場合の3つを定めている。  国民健康保険料の減免を実施するに当たっては、申請者に国民健康保険料減 免申請書を提出させ、この記載内容及び本人との面談を経て岐阜市の職員が国 民健康保険減免決議書を作成する。この決議書の決裁を受けることで減免制度 適用の可否が決議される。  平成25年度包括外部監査において、国民健康保険減免決議書及び国民健康 保険料減免申請書を閲覧した結果、岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱第2条 第1項第6号を適用しており、その判断に疑問が呈されていた。  ヒアリングによると、係内で減免を認めるか検討し、減免決議書を作成して いるとのことである。また、調査が必要な場合は申請人に理由を証明する書面 の提出を依頼している。その後は書面決裁により減免決定を行っている。 しかし、係内で減免を認めるか検討した会議録などの記録はない。 また、決裁のため回付された書類の中に、減免した金額の根拠となる計算式を 示したものはない。  なお、岐阜市国民健康保険条例第22条第2項の規定を受けて、岐阜市国民 健康保険料に係る延滞金減免取扱要綱第2条各号に減免事由が定められてい る。同要綱第2条第7号においても、「前各号に掲げるもののほか、延滞金の 納付を困難とする特別な事情があると認められる場合」と規定されており、減 免の割合についても、同要綱第3条第2号において、「前条第7号の規定に該 当する場合 50%又は100%」と規定している。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 国保・年金課】  岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱第2条第6号及び岐阜市国民健康保険
    料に係る延滞金減免取扱要綱第2条第7号を適用させるかの可否及び減免割 合についての判断において、課内会議等でケース会議を開いたのであれば、そ の協議内容及び結果を記録しておくべきである。そうでなければ、そもそも、 本当に協議をしたのかどうか分からない。また、減免の理由や減免金額にバラ ツキが出ることになり、過去の事案との公平性を図ることができなくなるから である。  ケース会議の議事録の書式を作成し、減免申請を認めるべき情報が記載され るようにすべきである。 12 行政不服審査への対応 【事実関係】  不服審査について、課内で協議し、さらに行政課とも協議して対応している。 また、審査結果についても課内で情報共有しているとのことである。  しかし、議事録など協議の記録はない。 【規範】  文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原則とす る。」と規定している。 【指摘 国保・年金課】  行政不服審査については、自治体の事務運営を見直す良い機会となるもので あるから、課内で協議したのであれば、その協議結果についても、記録に残す べきである。記録に残っていないことから、本当に協議をしたのかどうか分か らない。また、どのような協議をしたのか見直すことができず、引継などの場 面において、不服審査についての協議結果を情報共有することができない。 第7 介護保険料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  市町村は、介護保険事業に要する費用(介護給付費・予防給付費など)に充 てるため、第1号被保険者から、条例で定めるところにより、介護保険料を賦 課・徴収しなければならない(介護保険法第129条第1項・第2項)。 【保険料】  第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、市町村で必要なサービス費 用をまかなうために算出された基準月額をもとに、所得段階別に分かれる。ま た、第1号被保険者の保険料は、65歳になった月(1日が誕生日の場合は、そ の前月)の分から納める。  第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の保険料は、加入 している医療保険の算定方法により決められる。  市町村は、第2号被保険者からは保険料を徴収しない。第2号被保険者の保 険料は、医療保険者が徴収する(介護保険法第129条第4項)。 〔岐阜市の65歳以上の人の保険料〕(平成27年度~平成29年度) ┌────┬─────────────────────┬─────┬─────┐ │ 段階 │         対象者         │保険料率 │保険料年額│ │    │                     │ (%) │ (円) │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第1段階│市民税非課税世帯で老齢福祉年金受給の人ま │   0.410│  28,400│ │    │たは課税年金収入額と合計所得金額の合算額 │ (0.360)│(24,900)│ │    │が80万円以下の人及び生活保護受給の人など │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第2段階│市民税非課税世帯で課税年金収入額と合計所 │   0.535│  37,100│ │    │得金額の合算額が80万円超120万円以下の人  │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第3段階│市民税非課税世帯で第1段階・第2段階対象者 │   0.750│  52,000│ │    │以外の人                 │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │    │市民税課税世帯で本人が市民税非課税であっ │     │     │ │第4段階│て、課税年金収入額と合計所得金額の合算額が│    0.9│  62,400│ │    │80万円以下の人              │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第5段階│市民税課税世帯で本人が市民税非課税であっ │    1.0│  69,300│ │    │て、第4段階対象者以外の人         │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第6段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │    1.1│  76,200│ │    │120万円未満の人              │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第7段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │   1.25│  86,700│ │    │120万円以上190万円未満の人        │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第8段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │    1.5│  104,000│ │    │190万円以上290万円未満の人        │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第9段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │   1.75│  121,300│ │    │290万円以上390万円未満の人        │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第10段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │    2.0│  138,700│ │    │390万円以上590万円未満の人        │     │     │ ├────┼─────────────────────┼─────┼─────┤ │第11段階│市民税課税の人のうち、合計所得金額が年間 │   2.25│  156,000│ │    │590万円以上の人              │     │     │ └────┴─────────────────────┴─────┴─────┘ 【保険料の徴収方法(介護保険法第131条)】 ア 特別徴収  年金受給額が年額18万円以上で、年金保険者から連絡のあった被保険者は、 年金の定期払い(年6回)の際に、年金の受給額から介護保険料があらかじ め差し引かれる。  年金受給額が年額18万円以上の人でも、以下の場合には一時的に納付書で 納める(普通徴収)。 1)65歳になったとき(すぐには特別徴収とならないため、しばらくの間、納 付書で納める。) 2)他の市区町村から転入したとき 3)所得段階の区分が変更になったとき 4)現況届の提出が遅れたとき 5)年金保険者から連絡がないとき イ 普通徴収  年金受給額が年額18万円未満の人など特別徴収できない被保険者は、6月 から3月に年10回に分けて、納付書や口座振替で納める。
     平成27年度より、代行会社にコンビニ収納の委託をし、コンビニエンスス トアでも納付できるようになった。 【滞納に対して】 ○納期限を過ぎても納付がなかった場合 ┌─────┐ │ 督 促 │ 納期限後20日頃、未納の人へ督促状を送付。 └─────┘ 督促状の発付日の翌日から督促手数料及び延滞金徴収。    │    ↓ ┌─────┐ 督促状を送付しても納付がない場合は催告書を送付。 │ 催 告 │ 催告時期 年6回(4月、5月、8月、10月、12月、2月) └─────┘ 文書のほか、電話による催告を実施。 ○要介護・要支援認定者の場合  要介護・要支援認定者は、上記の督促・催告のほか、認定決定の翌月から以 下の措置がとられる。 ┌─────────────────────────┐ │1年以上滞納した場合(支払方法変更(償還払い化))│ └─────────────────────────┘      支払方法変更(償還払い化)の予告通知及び弁明書を送付。   │  予告通知送付後も納付及び納付誓約書の提出等がなかった場合、   ↓ 支払方法変更(償還払い化)決定。      決定通知及び「支払方法変更」と記載された被保険者証を送付。      サービス利用時に費用の全額をいったん自己負担し、全額負担し     た費用は、事業者発行の領収書を市へ提出し申請する事で後から保     険給付分(費用の8割又は9割)を払い戻し。(※) ┌────────────────────────┐ │1年6か月以上滞納した場合(保険給付の一時差止)│ └────────────────────────┘      支払一時差止通知書を送付。   │  保険料を完納するまで保険給付の一部又は全額が一時的に差し   ↓ 止め。なおも納付がない場合は、差し止めの保険給付費を滞納保険     料に充て、その差額のみ支払い。 ┌─────────────────┐ │2年以上滞納した場合(給付額減額)│ └─────────────────┘      介護保険料は2年で時効となり、徴収権消滅期間(時効の期間)     と納付済期間の割合に応じて、給付額減額期間決定。決定通知及び     「給付額減額」の期間を記載した被保険者証を送付。      給付額減額の開始日から終了日までの期間は、利用したサービス     費用の自己負担(1割又は2割)が3割に引き上げ。      また、高額介護サービス費等の受給不可。  (※)支払方法変更は、滞納している保険料を納める事で解除可能。     支払方法変更解除の条件      1)滞納保険料を全て納め、未納の保険料がなくなった場合又は2)     滞納保険料の2分の1以上を納めると同時に、残りの保険料の納付     の誓約をし、誓約を誠実に履行している場合 【保険料の減免】  災害の被災者となるなど、特別な理由がある場合、個々のケースに応じて、 一定期間支払が猶予されたり、保険料の一部もしくは全額が免除されたりす る場合がある。  また、慢性的に生活が苦しい場合、世帯員全員が市民税非課税で資産等を 活用しても、なお生活が困窮している状態であるとき等は、保険料の一部が 減額される場合がある。 (2)債権の性質  強制徴収公債権 (3)所管課  福祉部 介護保険課  庶務係2名、保険料係5名、給付係2名 (4)事務手続の流れ  介護保険料は、世帯情報及び税情報に基づき、賦課される。  毎年6月末に、年度の調定を行うが、市民が65歳になる、転入・転出、税 額の更正など変更がある場合、毎月上旬に賦課変更し、月末に調定を行う。 (5)直近5年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬──────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H23 │現年│ 4,713,383,500│ 4,632,632,510│ 98.2%│     0│ 80,750,990│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  171,363,150│  16,522,370│ 9.6%│70,332,370│ 84,508,410│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 4,884,746,650│ 4,649,154,880│ 95.1%│70,332,370│ 165,259,400│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H24 │現年│ 5,728,123,300│ 5,629,162,360│ 98.2%│     0│ 98,960,940│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  164,938,900│  14,390,020│ 8.7%│66,249,610│ 84,299,270│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 5,893,062,200│ 5,643,552,380│ 95.7%│66,249,610│ 183,260,210│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H25 │現年│ 5,935,070,200│ 5,836,250,270│ 98.3%│     0│ 98,819,930│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  183,100,010│  16,552,780│ 9.0%│67,449,370│ 99,097,860│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,118,170,210│ 5,852,803,050│ 95.6%│67,449,370│ 197,917,790│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H26 │現年│ 6,145,192,200│ 6,044,451,260│ 98.3%│     0│ 100,740,940│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  197,548,790│  15,285,000│ 7.7%│80,814,870│ 101,448,920│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,342,740,990│ 6,059,736,260│ 95.5%│80,814,870│ 202,189,860│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H27 │現年│ 7,443,029,600│ 7,327,023,390│98.44%│     0│ 116,006,210│
    │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  201,752,860│  16,629,430│ 8.24%│81,793,150│ 103,330,280│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 7,644,782,460│ 7,343,652,820│96.06%│81,793,150│ 219,336,490│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴──────┘ 2 監査の重点及び監査手続  介護保険料は、税と同じく広く市民から徴収する一方、福祉的要素が強いた め、滞納者に対して強い措置を取りにくい要素もある。そのため、介護保険料 の徴収などにおいて、公平性を欠く措置がなされているのではないかと考え、 保険料の徴収や減免などの措置において、公平性に配慮されているかという点 に重点を置いて監査を実施した。  具体的には、平成28年8月17日、同年9月20日、同年12月9日、平成 29年1月25日に、監査室及び介護保険課において、介護保険課の保険料係な ど担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し閲覧した。その他 に、メール等で照会し、回答を得た。 3 督促状の発付時期 【事実関係】  平成20年9月1日決裁「介護保険料における収納事務の取扱いについて」 に従っている(収納事務の取り扱いは、後期高齢者医療保険料と同様である。)。 同決裁の内容は、以下のとおりである。 ┌──────────────────────────────────┐ │督促                                │ │納期限内に納入されない者については、別紙2の例により、納期限後1月以│ │内に督促を行う。                          │ └──────────────────────────────────┘  平成20年9月1日決裁「介護保険料における収納事務の取扱いについて」 も理由の一つであるが、平成28年3月までは、督促状の発付時期が納期限後 25日前後となっていた。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条によれば、市長 は、市税以外の諸納付金を指定期間内に完納しないものがあるときは、納期限 後20日以内に督促状を発しなければならない。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  この点、ヒアリングによると、平成28年4月から、納税課における督促状 の発付時期が納期限後20日以内に改めたことに伴い、介護保険料の督促状の 発付時期も、納期限後20日以内に発付するよう改めたということである。  したがって、督促に関する本指摘については改善報告とする。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  平成20年9月1日決裁「介護保険料における収納事務の取扱いについて」 の「督促」の項目について、督促状を納期限後20日以内に督促状を発付する ように改正すべきである。  平成29年1月27日決裁により、「介護保険料における収納事務の取扱いに ついて」を改正したことから、改善報告とする。 4 保険料の賦課 (1)転入届をしない転入者に対して 【事実関係】  ヒアリングによると、住民登録の記載に従っており、実態調査をしていない こともあり、親族のもとで生活しているが転入届を提出しない転入者について、 「被保険者」と認定したり、転入者に対して「転入届」を提出するよう指導し たりすることはないとのことである。 【規範】  介護保険法第9条第1項及び第10条は、第1号被保険者の要件として、「市 町村の区域内に住所を有する者」と定めている。 【法的解釈】  介護保険法第9条第1項、同法第10条の「住所」に関して、「住民登録」を 要件とするなどの特別の要件を付加していない。また、介護保険法は、同法第 10条から、住所移転又は他の医療保険被保険者資格喪失の事実が発生した日 に、被保険者資格を取得する建前を採用している。  在留資格を有しない外国人に対し横浜市港北区町がした国民健康保険者証 を交付しない旨の処分を取り消した最判平成16年1月15日(民集58巻1号 226頁)では、「国民健康保険は、市町村が保険者となり、その区域内に住所 を有する者を被保険者として継続的に保険料等の徴収及び保険給付を行う制 度であることに照らすと、法5条にいう『住所を有する者』とは、市町村の区 域内に継続的に生活の本拠を有する者をいうものと解するのが相当である」と 判示している。  したがって、介護保険法第9条の「住所を有する者」も、国民健康保険と同 様に、国民の共同連帯の理念(介護保険法第1条)に基づき、地域社会を基盤 として創設された強制保険制度であり(同法第4条)、継続的に保険料の徴収 及び保険給付を行う制度であるから、民法上の「住所」や住民登録上の住所と 同一に解されるものではない。  判例にある「継続的に生活の本拠を有する者」に該当するかどうかの事実認 定をするにあたっては、「1)岐阜市内移住の経緯、2)前住所地(住民登録上の 住所)に住居を有するか否か、3)前住所地(住民登録上の住所)で生活してい るか、その頻度、4)郵便物の転送届けが提出されているか、5)岐阜市内移住後 の居住年数、6)表札に表示されているか、7)現住所地で郵便物が届くか、8)親 族の勤務先・社会保険に、被扶養者として届けられているか、9)継続的に岐阜 市内に居住する意思があるか。」などの諸事情が考慮要素になると考えられる (地方公務員のための債権管理・回収実務マニュアル 債権別解決手法の手引 き 編集大阪弁護士会自治体債権管理研究会を参照)。 【意見 介護保険課】  上記の判断基準により、「継続的に生活の本拠を有する」場所と、住民登録 上の住所とが異なる場合、転入者に「転入届」の提出を指導することが望まし い(住民基本台帳法第22条第1項)。 (2)世帯主について 【事実関係】  ヒアリングによると、住民票の記載に従っており、実態調査に基づいて、「世 帯主」と認定したり、「世帯変更届」を提出するよう指導したりすることはな いとのことである。 【規範】  介護保険法第132条第2項では、「世帯主」に対して、被保険者の保険料の 連帯納付義務を負わせている。 【法的解釈】  介護保険法は、第132条第2項の「世帯主」について定義規定を設けていな い。また、岐阜市介護保険条例においても、定義規定を設けていない。
     介護保険法第132条第2項が世帯主に保険料納入義務を課している趣旨は、 実際、被保険者の日常生活に必要な経費は当該被保険者の属する世帯全体で負 担し、世帯の生計を維持しているのが通常であることから、保険料の負担能力 に着目して世帯主にも連帯納付義務を課したものと解される(旭川地裁平成 14年5月21日判決参照)。  そのため、介護保険法第132条第2項の「世帯主」とは、「主として世帯の 生計を維持する者」と解されることから(山口地方裁判所判決昭和44年3月 31日判決参照)、住民票登録上の「世帯主」は、世帯主認定のための考慮要素 の一つであり、住民票登録上の世帯主と一致するものではない。  「主として生計を維持する者」に該当するかどうかの事実認定をするにあた っては、「1)住民登録上の「世帯主」の年齢・職業・収入・家計負担割合など、 2)同一世帯員の家族構成・年齢・職業・収入・家計負担割合など、3)親族の勤 務先・社会保険に、被扶養者として届けられているか」などの諸事情が考慮要 素になると考えられる。 【意見 介護保険課】  「主として生計を維持する者」と、住民登録上の「世帯主」と異なる場合に は、「世帯変更届」の提出を指導し(住民基本台帳法第25条第1項)、「世帯変 更届」の提出を指導しても従わない場合は、「主として生計を維持する者」に ついて介護保険法第132条第2項の「世帯主」と認定して、連帯納付義務を賦 課することが望ましい。  世帯主変更の指導については、国保・年金課の対応が参考になる。 (3)不現住者に対する被保険者資格について 【事実関係】  住民登録の記載に従っており、文書が届かない案件や、滞納案件について、 実態調査を実施していない。実態調査をしていないこともあって、住民票住所 に誰も居住していない場合であっても、介護保険料を調定し、納入の通知を発 送し、督促状や催告書の発付を行っている。 【規範】  介護保険法第11条第1項では、介護保険の被保険者は、当該市町村の区域 内に住所を有しなくなった日の翌日から、その資格を喪失するとされている。 【指摘 介護保険課】  発送文書が届かない案件や滞納案件の中には、住民票の記載と異なり、被保 険者等が居住していない場合もある。  現場調査等を実施して、不在であることが判明した案件については、職権消 除等をするよう、市民課に報告すべきである。不在者であるにもかかわらず、 保険料を調定して納入通知を発送し、督促状の発付や催告書の発送のほか、不 納欠損という無駄な事務手続きを避けることができるからである。  現況調査や報告書については、国保・年金課の対応が参考になる。 5 納付相談 (1)納付相談記録 【事実関係】  納付相談時に、本人及び世帯の年金等の収入、就業及び借入金の有無、健康 状態等を聴取し、介護保険システムの相談記録若しくは滞納折衝欄に情報を入 力し、担当者不在でも、情報共有できるようにしている。しかし、納付相談用 の書式(添付資料を求める形など)はない。  納付相談時において、必要な場合は、納付誓約書を取得している。  介護保険認定申請又は更新申請時に滞納が1年以上ある場合は、介護認定決 定の後、保険給付の支払変更(償還払い化)の予告通知を送付し、納付若しく は納付困難の弁明がなければ支払変更の措置を行う(介護保険法第66条)。  介護費用を10割支払った場合、後日、現金で8割又は9割分を償還するが、 滞納がある場合は保険料に充当することもある(介護保険法第67条)。  支払変更(償還払い化)を行った被保険者が、保険給付の支払の一時差止の 対象者になるか否かは、保険料係と給付係の担当者が確認を行っている。納付 誓約書の提出がある場合は、一時差止を行わない。一時差止の実施・未実施に ついては、介護保険システムの相談欄又は滞納折衝欄に入力をしている。 【規範】  介護保険法第66条では、保険料滞納者に係る支払い方法の変更を規定、第 67条では、保険給付の支払の一時差止を規定している。  岐阜市介護保険料等滞納者に係る保険給付の制限等に関する事務取扱要綱 により、事務を具体化している。 【意見 介護保険課(改善報告)】  納付相談については、収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、 必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して、用いることが望ましい。  納付相談で聞き取る内容を統一化することで、納付相談での聴取事項に漏れ はなくなるからである。また、償還払いをする際に一時差止めをするかどうか の判断も、過去の相談記録を参考にすることで、ばらつきが出にくくなるから である。  福祉医療課が納付相談用の書式を作成している点は、参考になるが、納付相 談記録の書式としては、納税課の「収支・財産状況について」という書式が参 考となる。  なお、介護保険課においては、納付相談記録について、2,000~3,000人の 滞納者の記録を紙媒体で管理することは、保管場所の確保が困難であるとのこ とである。そのため、介護保険システムの滞納折衝欄に聞き取って入力する項 目を係で統一し漏れがないようにチェックする方法を検討しているとのこと である。 (2)納付誓約書の記載事項 【事実関係】  納付誓約書を取得している。しかし、納付誓約書には、誓約に違反した場合 の滞納処分について異議を申し立てない旨の条項が記載されていない。 【意見 介護保険課】  納付誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分について異議を申し立てな い旨の条項を入れることが望ましい。当該条項を入れることにより、債務者が 滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できるからである。 【事実関係】  納付誓約書には、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用の同意条項 が記載されていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 介護保険課】
     納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用についての同 意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が容易となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できるからである。 6 督促手数料及び延滞金 (1)督促手数料 【事実関係】  督促手数料については、入金時点において調定しており、事後調定としてい る。そのため、決算書において、収入未済額は計上されない。  ヒアリングによると、督促手数料は、納期限を経過した18~19日時点にお いて、督促状を発付するため、督促状を発付する前に支払った場合でも督促状 を発送する場合がある。特に、コンビニ収納などでは、納付後、介護保険課に 徴収した事実が伝わるのは2週間後となる。かかる場合に、誤って督促手数料 を取らないようにするため、督促手数料を入金後に調定するという事後調定を している。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、岐阜市会計規則第33条第4 号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えている ようである。  また、督促手数料について、発付のたびに調定をすることは、事務処理の負 担が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 介護保険課】  督促状を発付前に納付している事案もあることから、督促状を発付した全て の案件について、督促手数料が発生しているわけではない。督促状の発付直後 に、督促手数料を調定していない点については、問題はないと思われる。  しかし、発送してから2週間経過した後であれば、督促状が到達した後に納 付したかどうか確認ができることから、その時点において、督促手数料を調定 しない事務処理は、事後調定の要件を満たさない限り、「収入命令者は、歳入 を徴収しようとするときは、・・・、直ちにこれを調定しなければならない」 とする岐阜市会計規則第32条に反することとなる。  また、事後調定の結果、督促手数料は、決算書では、収入未済額は計上され ないこととなり、実態が正確に表示されていない。  事務処理上の負担も考慮して、督促手数料の調定を事後調定とするのであれ ば、1)発生している督促手数料の金額を把握すべきである。また、2)発生して いる督促手数料を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会 計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認め られるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定の要件 を満たしていることを確認すべきである。 (2)延滞金 【事実関係】  延滞金は、期別(1年間に10期に分かれる)ごとに、元金を返済した際に 確定するため、期別ごとの介護保険料の元金返済時に、調定できるはずである。  しかし、延滞金の入金時点に調定しており、事後調定となっている。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、岐阜市会計規則第33条第4 号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えている ようである。  また、延滞金について、期別ごとに金額が確定するたびに調定をすることは、 事務処理の負担が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 介護保険課】  期別ごとに、元金を完済した時点で、期別ごとの延滞金が確定することから、 第33条第4号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」には該当し ない。また、事後調定の結果、決算書上、延滞金の収入未済額は計上されない こととなり、決算書上、実態を正確に表示していない。  事務処理上の負担も考慮して、延滞金の調定を事後調定とするのであれば、 1)発生している延滞金の金額を介護保険課において把握すべきである。また、 2)発生している延滞金を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐 阜市会計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難 と認められるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定 の要件を満たしていることを確認すべきである。 7 情報共有 (1)税務情報の共有 【事実関係】  介護保険課は、納税課を含む強制徴収公債権担当課から、滞納者の税務情報 を取得したことはない。  なお、平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号に基 づき、税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、折衝経過(納 付状況・滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先情報(名称・所在地)を 照会し、利用目的以外に利用するとして、国保・年金課が取得している。 【規範】  介護保険法第144条では、介護保険料について、地方自治法第231条の3第 3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第231条の3第3項は、地 方税の滞納処分の例により処分することができるとする。地方税法第331条第 6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとしているため、介護保 険料については、国税徴収法141条(質問及び調査)などの適用がある。  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。 【指摘 介護保険課】  強制徴収公債権の担当課間であれば、平成19年3月27日付総税企第55号 通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有することは可能であると考 えられる。  今後は、上記総務省通知に基づき、各強制徴収公債権の担当課の間において、 滞納者の税務情報を共有すべきである。  なお、岐阜市個人情報保護審議会の答申まで求める必要があるか不明である が、国保・年金課の対応に合わせて、岐阜市個人情報保護審議会の答申を求め ることを否定するものではない。
    (2)官報情報の共有と活用 【事実関係】  破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認していない。  法律事務所から破産などの連絡があった場合に、債権の申出をしている。 【規範】  介護保険法第144条では、介護保険料について、地方自治法第231条の3第 3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第231条の3第3項は、地 方税の滞納処分の例により処分することができるとする。地方税法第331条第 6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとしており、国税徴収法 第82条では、交付要求の手続きを定めている。  地方自治法施行令第171条の4第1項では、債権の申出等を規定している。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  官報公告を確認している納税課から官報情報を共有し、債権の申出をすべき である。  なお、ヒアリングによると、平成28年9月1日より、国保・年金課と同様、 納税課より、官報情報の提供を受けていることから、本指摘は改善報告とする。 (3)国税徴収法による調査情報について 【事実関係】  システム上、介護保険課の職員であれば、強制徴収公債権の担当者以外の者 も、滞納折衝及び相談記録を見ることができる。現状では、国税徴収法第141 条に基づく調査を実施していない。しかし、経過記録に、国税徴収法第141 条等に基づく調査結果を記載すると、第三者行為求償事務担当者など強制徴収 公債権である保険料担当者以外でも、調査結果を閲覧できてしまう状態である。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。 【指摘 介護保険課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、介護保険課では、経過記録以外に国税徴収法第141条等に基 づく調査結果を記載する書式はない。  今後、国税徴収法第141条等の調査に基づいて取得した調査情報(納付原簿 や滞納者との折衝記録ではない。)は、強制徴収公債権担当者以外の者が閲覧 できないようにするよう取り決めをするか、経過記録とは別の書式で管理すべ きである。 8 滞納処分 【事実関係】  介護保険料の滞納者に対して、滞納処分を実施したことはない。 【規範】  介護保険法第144条では、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で 定める歳入とし、地方自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例に より処分することができるとする。地方税法第331条第6項等は、国税徴収法 に規定する滞納処分の例によるとしている。 【指摘 介護保険課】  介護保険法第66条から同法第69条による保険給付の変更や制限によっても、 滞納者と納付者との間で、公平性を完全に図ることはできない。  滞納者のうち、納付誓約書を提出しない者など悪質な者については、積極的 に、滞納処分を実施すべきである。 9 複数当事者に対する請求 (1)連帯納付義務者に対する請求 【事実関係】  連帯納付義務者である世帯主及び配偶者に対して、納入の通知、督促、催告、 滞納処分などを実施していない。 【規範】  介護保険法第132条第2項、第3項では、世帯主及び配偶者は、被保険者と 連帯して、保険料を納付する義務を負うと規定する。 【指摘 介護保険課】  滞納処分などにより被保険者から保険料を徴収できないのであれば、連帯納 付義務者である世帯主及び配偶者に対して、滞納処分を実施すべきである。 (2)相続人に対する請求 【事実関係】  滞納している被保険者が亡くなった場合について、滞納保険料を相続人に対 して請求はしていない。相続人に対して、滞納処分を実施した事例はない。  そのため、滞納した被保険者が死亡した場合、同居の家族等が支払をしない 限り、2年で消滅時効となる。  ヒアリングによると、介護保険課の人員体制では、相続案件全てについて滞 納処分等を実施することは困難であるとのことであった。 【規範】  介護保険法第143条は、相続による納税義務の承継を規定する地方税法第9 条準用している。 【指摘 介護保険課】  相続が発生した案件についても、相続人に対して、滞納処分を実施すべきで ある。特に、滞納額が高額な案件から、滞納処分を実施すべきである。 10 消滅時効の管理 【事実関係】  以下の表のとおり、消滅時効により、不納欠損が多い。  ヒアリングによると、滞納者についての実態調査をしないまま、2年の消滅 時効(介護保険法第200条)にかけてしまう保険料が多いとのことである。 〔不納欠損処分状況〕(直近5年分) ┌──┬────┬────┬──────┬──┐ │年度│実人数 │ 件数 │  金額  │事由│ ├──┼────┼────┼──────┼──┤ │H23 │ 2,362人│17,324件│70,332,370円│時効│ ├──┼────┼────┼──────┼──┤ │H24 │ 2,228人│16,385件│66,249,610円│時効│ ├──┼────┼────┼──────┼──┤ │H25 │ 2,212人│16,506件│67,449,370円│時効│ ├──┼────┼────┼──────┼──┤ │H26 │ 2,349人│16,997件│80,814,870円│時効│ ├──┼────┼────┼──────┼──┤ │H27 │ 2,379人│16,755件│81,793,150円│時効│ └──┴────┴────┴──────┴──┘ 【規範】
     介護保険法第144条では、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で 定める歳入とし、地方自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例に より処分することができるとする。 【指摘 介護保険課】  人員配置の関係から全ての滞納案件について実態調査をすることができな いという実情は理解できなくもない。  しかし、実態調査をしないまま、消滅時効にかけて、不納欠損する滞納保険 料が少なくないことから、不適切な事務処理と指摘されても仕方がない。  漫然と、消滅時効にかけないよう、滞納金額が大きい事案など一定の基準を 設けた上で、実態調査等を行い、滞納処分を実施するのか、徴収の猶予、換価 の猶予、滞納処分の停止などの徴収緩和措置を取るのか、方針を適切に決定す べきである。 11 放棄・減免 【事実関係】  直近5年間の減免事由及び減額状況については、以下のとおりである。 〔直近5年度の減免事由及び減額状況〕     (単位:人) ┌──┬──┬───┬──┬──┬────────┬───┐ │年度│災害│収入減│拘禁│小計│減額(低所得者)│合計 │ ├──┼──┼───┼──┼──┼────────┼───┤ │H23 │  6│  12│ 31│ 49│       32│  81│ ├──┼──┼───┼──┼──┼────────┼───┤ │H24 │ 13│  12│ 38│ 63│       35│  98│ ├──┼──┼───┼──┼──┼────────┼───┤ │H25 │ 22│  10│ 30│ 62│       28│  90│ ├──┼──┼───┼──┼──┼────────┼───┤ │H26 │ 14│   7│ 60│ 81│       29│  110│ ├──┼──┼───┼──┼──┼────────┼───┤ │H27 │  5│   6│ 77│ 88│       32│  120│ └──┴──┴───┴──┴──┴────────┴───┘  介護保険法第142条では、条例で定めるところにより、保険料を減免するこ とができると規定し、岐阜市介護保険条例第24条第1項では保険料の減免事 由を具体的に規定し、同条例第24条の2では、保険料の減額事由を具体的に 規定している。  岐阜市介護保険料減免・減額取扱要綱第3条、別表第1及び別表第2におい て、減免理由及び減免割合を具体化している。  ただし、盗難については、「家財その他の財産の損害の程度を勘案し、その 都度定める」と規定している。  岐阜市国民健康保険料と比較すると、収入減額の基準など減免の判断基準や 減免の金額が定められており、判断にばらつきが出にくい状態となっている 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 介護保険課】  岐阜市介護保険料減免・減額取扱要綱第3条の判断において、課内会議等で ケース会議を開いたのであれば、その結果を記録しておくべきである。そうで なければ、そもそも、本当に協議をしたのかどうか分からない。また、減免の 理由や減免金額について、判断にバラツキが出ることになり、過去の事案との 公平性を図ることができなくなるからである(拘禁(介護保険法第63条を理 由とする場合)を除く。)。  また、ケース会議の議事録の書式を作成し、減免申請を認めるべき情報が記 載されるようにすべきである。  なお、介護保険課によると、今後は、聞き取りすべき内容のチェック、聞き 取り内容の詳細及び協議内容を記録できる様式を作成し、決裁資料として添付 することを検討しているとのことであった。 第8 後期高齢者医療保険料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ア 制度導入の経緯   平成20年3月までの老人保健制度では、国民健康保険や被用者保険に加  入した上で、市町村ごとに実施する同制度に加入し、医療給付を受けてい  た。   しかし、急速に高齢化が進展し、高齢者の医療費が増大する状況の中で、  高齢者が安心して医療を受けられるために、国民皆保険を維持し高齢者の  医療費を安定的に賄うため、独立した制度が必要となった。   また、前の老人保健制度では、高齢者の医療費について現役世代と高齢  者世代の保険料が区分されていないため、現役世代と高齢者世代が医療費  をどのように負担しているのかが分かりにくく、財政運営の責任も不明確  であるとの指摘がされていた。   そこで、財政運営の責任主体を明確にし、高齢者の保険料の支え手であ  る現役世代の負担を明確化・公平化するために、後期高齢者医療制度が創  設された。平成20年4月から始まった後期高齢者医療制度は、それまで加  入していた国民健康保険や被用者保険から脱退し、同制度で医療給付を受  け、保険料を支払うこととなる(高齢者の医療の確保に関する法律第107  条)。この制度の運営主体は、都道府県単位で設置されている広域連合と  なる(同法第48条)。 イ 対象となる被保険者   75歳以上の市民か、65歳~74歳で一定の障がいの状態にあり、広域連合  の認定を受けた市民(後期高齢者医療制度の被保険者とならないこともで  きる。)が対象となるが、生活保護の被保護者は、対象者とはならない(高  齢者の医療の確保に関する法律第50条、第51条)。生活福祉課との連絡票  (国保・年金課の書式)を用いて、生活保護受給者についての連絡を受け  ている。 ウ 制度の運営   後期高齢者医療制度の運営は「岐阜県後期高齢者医療広域連合」が行い、  保険料の徴収事務や申請の受付は「岐阜市」が行う(高齢者の医療の確保  に関する法律第48条、高齢者の医療の確保に関する法律施行令第2条、高  齢者の医療の確保に関する法律施行規則第6条)。 (ア)岐阜県後期高齢者医療広域連合が行う主な業務  1)保険料の決定 2)被保険者の認定  3)保険証の発行 4)医療費の支給決定と支払 (イ)岐阜市が行う主な業務  1)保険料の徴収 2)加入申請の受付  3)保険証の引渡し 4)医療費の各種支給申請の受付
    エ 医療機関での負担額   医療機関にかかるときの、自己負担割合は、かかった医療費の1割負担  で、一定以上所得者(後期高齢者医療制度の被保険者で住民税の課税標準  額が145万円以上)のいる世帯では3割負担となる。   ただし、3割負担と判定された場合でも、同じ世帯の後期高齢者医療制  度の被保険者の収入額の合計が2人以上で520万円未満、1人で383万円  未満、または1人で383万円以上でも70歳~74歳の被保険者の収入を含め  た合計額が520万円未満であれば、申請により1割負担となる。 オ 保険料の算定方法   保険料は被保険者が均等に負担する「均等割額」と、所得に応じて負担  する「所得割額」を合計して、個人単位で計算される(高齢者の医療の確  保に関する法律第104条、同法施行令第18条、同法施行規則第83条~第  90条)。   平成28・29年度の保険料=「均等割額」(42,690円)+「所得割額」{被  保険者の所得×所得割率(8.55%)}  ※1 保険料の賦課限度額は57万円である。  ※2 均等割額と所得割率は2年ごとに見直される。  ※3 所得=総所得の金額等-33万円(基礎控除額) カ 保険料の納付方法   年金が年額18万円以上の被保険者は、保険料が年金から天引きされる【特  別徴収】(高齢者の医療の確保に関する法律第110条、高齢者の医療の確保  に関する法律施行令第21条)。   ただし、下記の基準等に該当する場合は年金からの天引きとならない。   1) 後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、年金受給額の2分    の1を超える   2) 介護保険が年金からの天引きを行っていない   3) 資格を取得した当初の時期   年金からの天引きが出来ない被保険者は、市町村から送付される納付書  や口座振替により7月から3月までの各月9回に分けて保険料を納める 【普通徴収】(高齢者の医療の確保に関する法律第108条、第109条)。  扶養義務者名義の口座振替を希望する場合など被保険者が口座振替の方 法により保険料を納付しようとする場合で、特別徴収の方法よりも普通徴 収の方法によって徴収することが保険料の徴収を円滑に行うことができる と市町村が認めるものについても、口座振替の方法により保険料を徴収す る(高齢者の医療の確保に関する法律第110条、高齢者の医療の確保に関 する法律施行令第21条、同第23条3号、岐阜市後期高齢者医療保険料の 特別徴収から口座振替への変更に関する事務取扱要綱)。 キ 滞納者に対して   保険料を滞納した場合、滞納期間に応じて、以下のような措置が取られる。  1) 短期被保険者証(通常の保険証より有効期間が短い保険証)の交付    短期証発行している被保険者は、220~230世帯である。    短期被保険者証は、滞納している保険料が4期以上あるときや1年以上   滞納している保険料があるときに、交付する有効期間が3ヶ月となってい   る被保険証のことである(通常の有効期間は1年間である。)。  2) 保険証を返還する代わりの資格証明書の交付    資格証明書は、医療費を窓口で10割支払った場合に、特別療養費とし   て、後日9割分または7割分を支給することになる(高齢者の医療の確保   に関する法律第54条第4項、同法施行令第4条、同法施行細則第17条の   2)。しかし、滞納がある場合は、特別療養費を保険料に充当することに   なる。平成21年10月26日付保発1026第1号「資格証明書の運用につい   て」により、資格証明書の交付については、控えているとのことである。  3) 十分な収入・資産などがあるにもかかわらず、保険料を納めない場合に   は法律の定めにより滞納処分が行われる(高齢者の医療の確保に関する法   律第113条)。   ただし、岐阜市において、滞納処分がなされたことはない。 (2)債権の性質  強制徴収公債権 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 福祉医療課  後期高齢者医療係8人、財務会計3名、保険料収納8名 (4)事務手続の流れ  債権取扱規則上の債権管理簿は使用していないものの、後期高齢者医療収 納・連携システムで管理をしている。  後期高齢者医療保険料は、世帯情報及び税情報に基づき、調定される。  岐阜県後期高齢者医療広域連合が毎年7月に賦課決定するため、岐阜市福祉 医療課において、毎年7月に年度の調定を行う。ただし、市民が75歳になる、 転入・転出、税額の更正など変更がある場合、毎月上旬に、調定を行う。  保険料の額の算定は、被保険者が住所を有しなくなった日の属する月の前月 まで月割りをもって行うことから(岐阜県後期高齢者医療広域連合後期高齢者 医療に関する条例第22条第3項)、被保険者が、月の途中で亡くなった場合、 亡くなった月の保険料が納付されていなければ、還付する。納付して入れなけ れば、調定を消去する。被保険者が死亡した月の前月分までの保険料を再計算 した結果、過納であれば還付する。調定金額は再計算後の金額となるため、未 納であっても調定金額を消去しない。  減免の判断は、広域連合が行っている(高齢者の医療の確保に関する法律第 111条、岐阜県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例第19条)。  年間で20~30件くらい免除申請を受付、広域連合へ提出している。 (5)直近5年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 3,117,392,800│ 3,093,706,700│ 99.2%│     0│23,686,100│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  42,977,920│  14,535,390│ 33.8%│ 8,817,000│19,625,530│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,160,370,720│ 3,108,242,090│ 98.4%│ 8,817,000│43,311,630│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 3,343,992,700│ 3,319,268,900│ 99.3%│     0│24,723,800│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  43,040,730│  13,924,330│ 32.4%│ 8,472,800│20,643,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,387,033,430│ 3,333,193,230│ 98.4%│ 8,472,800│45,367,400│
    ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 3,397,662,700│ 3,373,807,100│ 99.3%│     0│23,855,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  45,069,700│  14,230,100│ 31.6%│10,344,100│20,495,500│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,442,732,400│ 3,388,037,200│ 98.2%│10,344,100│44,351,100│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 3,508,448,200│ 3,482,735,400│ 99.3%│     0│25,712,800│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  44,007,100│  10,884,600│ 24.7%│12,253,100│20,869,400│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,552,455,300│ 3,493,620,000│ 98.3%│12,253,100│46,582,200│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 3,523,578,600│ 3,497,436,300│ 99.3%│     0│26,142,300│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  46,092,600│  12,316,400│ 26.7%│12,701,400│21,074,800│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,569,671,200│ 3,509,752,700│ 98.3%│12,701,400│47,217,100│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  後期高齢者医療保険料は、税と同じく広く市民から徴収する一方、福祉的要 素が強いため、滞納者に対して強い措置を取りにくい要素もある。そのため、 後期高齢者医療保険料の徴収のための措置があまりなされていないのではな いかと考えた。そこで、後期高齢者医療保険料の徴収などにおいて、公平に徴 収するため、実効性のある措置が取られているかという点に重点を置いて監査 を実施した。  具体的には、平成28年8月19日、同年12月14日、同年12月27日、平成 29年1月25日に、監査室及び福祉医療課において、福祉医療課の後期高齢者 医療係など担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し閲覧した。  その他に、メール等で照会し、回答を得た。 3 督促状の発付時期 【事実関係】  平成20年9月1日決裁「後期高齢者医療保険料における収納事務の取扱い について」に従っている(収納事務の取り扱いについては、介護保険課と同 様である。)。同決裁の内容は、以下のとおりである。 ┌──────────────────────────────────┐ │督促                                │ │納期限内に納入されない者については、別紙2の例により、納期限後1月以│ │内に督促を行う。                          │ └──────────────────────────────────┘  ヒアリング等によると、平成28年4月以降は、納期限後20日以内に発送し ているとのことである。  平成20年9月1日決裁「後期高齢者医療保険料における収納事務の取扱い について」も理由の一つであるが、平成28年3月までは、督促状の発付時期 が納期限後25日前後となっていた。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条 【指摘 福祉医療課(改善報告)】  督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  この点、ヒアリングによると、平成28年4月から、納税課における督促状 の発付時期が納期限後20日以内に改めたことに伴い、後期高齢者医療料の督 促状の発付時期も、納期限後20日以内に発付するよう改めたということであ る。したがって、督促に関する本指摘については改善報告とする。 【指摘 福祉医療課】  平成20年9月1日決裁「後期高齢者医療保険料における収納事務の取扱い について」の「督促」の項目について、督促状は納期限後20日以内に行うよ うに改正すべきである。 4 保険料の賦課・調定 【事実関係】  保険料については、世帯情報(住民票で認定している。)及び税情報から、 広域連合が、被保険者に対して賦課決定し、賦課情報により、岐阜市の福祉医 療課が保険料を調定している。  しかし、文書が届かない案件や、滞納案件について、実態調査を実施してい ないことから、住民票上の世帯情報と実際の世帯の状況が異なる場合まで把握 できていない。そのため、職権消徐されない限りは、住民票上の世帯情報に従 って、賦課し続けることになる。 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第53条では、当該後期高齢者医療広域連 合の区域内に住所を有しなくなった日の翌日から、その資格を喪失すると規 定している。 【指摘 福祉医療課】  発送文書が届かない案件や滞納案件の中には、住民票の記載と異なり、被保 険者等が居住していない場合もある。  現場調査等を実施して、不在であることが判明した案件については、職権消 除等をするよう、市民課に報告すべきである。  不在者であるにもかかわらず、保険料を調定して納入通知をし、督促をして、 不納欠損にするという無駄な事務手続きを避けることができる。国保・年金課 の対応が参考になるはずである。 5 納付相談 【事実関係】  納付相談時に、相談事項等を記載し、情報共有できるようにしている。福祉 医療課独自の納付相談用の書式を用いているが、収入、借入金、健康状態、家 計収支、同居の親族等必要な情報について漏れなく記載するような書式とはな っていない。また、裏づけ資料については、徴求していない。 【意見 福祉医療課】  収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、必要な情報を漏れなく 聴取できるよう、納付相談については、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して、用いることが望ましい。  納付相談記録の書式は、納税課の書式が参考となる。 【事実関係】  納付相談時において、納付誓約書を取得しており、納付誓約書を取得してい る件数は、49件である。  しかし、納付誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分について異議を申 し立てない旨の条項が記載されていない。
    【意見 福祉医療課】  納付誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分について異議を申し立てな い旨の条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることにより、債務者が滞納しにくくなるという事実上の効 果も期待できるからである。  納税課や国保・年金課の書式が参考となる。 【事実関係】  納付誓約書には、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用の同意条項 が記載されていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 福祉医療課】  納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用についての同 意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が容易となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できるからである。 6 督促手数料及び延滞金 (1)督促手数料 【事実関係】  督促手数料については、入金時点において調定しており、事後調定としてい る。そのため、決算書において、収入未済額は表示されない。  ヒアリングによると、督促手数料は、納期限を経過した18~19日時点にお いて、督促状を発付するため、督促状を発付する前に支払った場合でも督促状 を発送する場合がある。特に、コンビニ収納などでは、納付後、担当課に徴収 した事実が伝わるのは2週間後となる。かかる場合に、誤って督促手数料を取 らないようにするため、督促手数料を入金後に調定するという事後調定をして いる。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、第33条第4号の「事実が発 生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えているようである。  また、督促手数料について、発付のたびに調定をすることは、事務処理の負担 が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 福祉医療課】  督促状を発付前に納付している事案もあることから、督促状を発付した全て の案件について、督促手数料が発生しているわけではない。督促状の発付直後 に、督促手数料を調定していない点については、問題はないと思われる。  しかし、発送してから2週間経過した後であれば、督促状が到達した後に納 付したかどうか確認ができることから、その時点において、督促手数料を調定 しない事務処理は、事後調定の要件を満たさない限り、「収入命令者は、歳入 を徴収しようとするときは、・・・、直ちにこれを調定しなければならない」と する岐阜市会計規則第32条に反することとなる。  また、事後調定の結果、督促手数料は、決算書では、収入未済額が表示され ないこととなり、実態が正確に表示されていない。  事務処理上の負担も考慮して、督促手数料の調定を事後調定とするのであれ ば、1)発生している督促手数料の金額を把握すべきである。また、2)発生して いる督促手数料を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐阜市会 計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認めら れるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定の要件を満 たしていることを確認すべきである。 (2)延滞金 【事実関係】  延滞金は、期別(1年間に9期に分かれる)ごとに、元金を返済した際に確 定するため、期別ごとの後期高齢者医療保険料の元金返済時に、調定できるは ずである。  しかし、延滞金の入金時点に調定しており、事後調定となっている。  ヒアリングによると、事後調定の根拠として、岐阜市会計規則第33条第4 号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」に該当すると考えているよ うである。  また、延滞金について、期別ごとに金額が確定するたびに調定をすることは、 事務処理の負担が大きく、困難であるとのことであった。 【規範】  岐阜市会計規則第32条は調定、第33条では事後調定について規定する。 【指摘 福祉医療課】  期別ごとに、元金を完済した時点で、期別ごとの延滞金が確定することから、 第33条第4号の「事実が発生しなければ金額が確定しないもの」には該当しな い。また、事後調定の結果、決算書上、延滞金の収入未済額が表示されないこ ととなり、実態を正確に表示していない。  事務処理上の負担も考慮して、延滞金の調定を事後調定とするのであれば、 1)発生している延滞金の金額を福祉医療課において把握すべきである。また、 2)発生している延滞金を決算書の注記などで表示すべきである。そして、3)岐 阜市会計規則第33条第5号「前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と 認められるもので会計管理者に合議して市長が決定したもの」など事後調定の要 件を満たしていることを確認すべきである。 7 コンビニ収納 【事実関係】  ヒアリングによると、福祉医療課において、コンビニ収納は、まだ、実施し ておらず、検討中とのことである。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、その事務を処理するに当つては、最少の経 費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと規定している。 【意見 福祉医療課】  納付義務者の利便性などを考慮して、コンビニ収納の導入についても、検討 することが望ましい。  国保・年金課や介護保険課が参考となる。 8 情報共有 (1)税務情報の共有 【事実関係】  福祉医療課は、滞納処分を検討していないためか、納税課を含む強制徴収公
    債権担当課から、滞納者の税務情報を取得したことはない。  なお、平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号に基 づき、税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、折衝経過(納 付状況・滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先情報(名称・所在地)を 照会し、利用目的以外に利用するとして、国保・年金課が取得している。 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第113条では、後期高齢者医療保険料につ いては、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地 方自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することが できるとする。地方税法第331条第6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分 の例によるとしているため、後期高齢者医療保険料については、国税徴収法 141条(質問及び調査)などの適用がある。  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。 【指摘 福祉医療課】  強制徴収公債権の担当課間であれば、平成19年3月27日付総税企第55号 通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有することは可能であると考 えられる。  今後は、上記総務省通知に基づき、各強制徴収公債権の担当課の間において、 滞納者の税務情報を共有すべきである。  なお、岐阜市個人情報保護審議会の答申まで求める必要があるかは不明であ るが、国保・年金課の対応に合わせて、岐阜市個人情報保護審議会の答申を求 めることを否定するものではない。 (2)官報情報の共有と活用 【事実関係】  破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認していない。  法律事務所から破産などの連絡があった場合に、債権の申出をしている。 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第113条では、後期高齢者医療保険料につ いて、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地方 自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することがで きるとする。地方税法第331条第6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分の 例によるとしており、国税徴収法第82条では、交付要求の手続きを定めてい る。  地方自治法施行令第171条の4では、債権の申出を規定している。 【指摘 福祉医療課】  官報公告を確認している納税課から官報情報を共有し、債権の申出をすべき である。 (3)国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、福祉医療課の職員であれば、強制徴収公債権の担当者以外の者 も、経過記録を見ることができる。そのため、経過記録に、国税徴収法第141 条等に基づく調査結果が記載されている場合、第三者行為求償事務担当者など 強制徴収公債権である保険料担当者以外でも、調査結果を閲覧することができ てしまう状態となっている。  なお、福祉医療課において、国税徴収法第141条に基づく調査を実施したこ とはない。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。 【指摘 福祉医療課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、福祉医療課では、経過記録以外に国税徴収法第141条等に基 づく調査結果を記載する書式はない。  将来、国税徴収法第141条等に基づく調査を実施する場合に備えて、国税徴 収法第141条等の調査による税務情報(納付原簿や滞納者との折衝記録ではな い。)については、強制徴収公債権担当者以外の者が閲覧できないようにする ため、経過記録とは別の書式で管理すべきである。 【規範】  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。 【指摘 福祉医療課】  強制徴収公債権の担当課の間であれば、滞納者の税務情報を共有することは 可能であると考えられる(岐阜市個人情報保護条例に基づき、岐阜市個人情報 保護審議会の答申までを求める必要があるかは不明である。)。  今後は、上記総務省通知に基づき、福祉医療課は、納税課より、滞納者の税 務情報(口座情報や勤務先情報等)を取得すべきである。 9 滞納処分 【事実関係】  資格証明書の交付(保険証の返還)についても慎重に対応するようにと国が 述べていることから、より強硬な手段と思われる滞納処分については、実施し ていない(平成21年10月26日付保発1026第1号「資格証明書の運用につい て」)。 なお、資格証明書の交付を行うかどうかの判断は、広域連合で行っている。  岐阜市高齢者の医療の確保に関する条例2条において、岐阜市と広域連合と の役割分担が記載されている。 【規範】  地方自治法第231条の3第1項 【指摘 福祉医療課】  不動産を持っている事案など、滞納処分が可能な案件がないか検討すべきで
    ある。最初から、全件、滞納処分を控える方針を採るべきではない。 10 複数当事者に対する請求 (1)連帯納付義務者に対する請求 【事実関係】  被保険者以外に、連帯納付義務者である世帯主や配偶者に対して、納入の通 知や督促、催告、滞納処分などを実施していない。 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第108条第2項、第3項では、被保険者の 後期高齢者医療保険料について、世帯主及び配偶者に対して、連帯納付義務を 負わせている。 【指摘 福祉医療課】  連帯納付義務者である世帯主や配偶者に対して、納入の通知や督促、滞納処 分などを実施すべきである。  滞納している被保険者へ配慮して資格証明書の交付や滞納処分ができない 場合でも、世帯主や配偶者であれば、納入の通知、督促、催告、滞納処分など が実施できる場合があると考えられるからである。 (2)相続人に対する請求 【事実関係】  被保険者が死亡した場合であっても、死亡した被保険者名義で請求しており、 相続人を特定して、相続人名義で調定して、請求したことはない。  ヒアリングによると、被保険者が死亡する件数は300件であり、全て、相続 人を追跡するのは困難であるとのことである。  なお、短期被保険証発行案件での死亡件数は、以下の表のとおりである。 ┌───────┬────────┬────────────┬─────────┐ │ 年度    │短期証対象者のう│左記の者のうち相続人の納│左記の者のうち現在│ │       │ち死亡者    │付等により滞納解消した者│も未納の者    │ ├───────┼────────┼────────────┼─────────┤ │ 平成26年度 │      19人│          17人│        2人│ ├───────┼────────┼────────────┼─────────┤ │ 平成27年度 │      36人│          23人│       13人│ ├───────┼────────┼────────────┼─────────┤ │ 平成28年度 │       5人│           1人│        4人│ │(11月末現在)│        │            │         │ └───────┴────────┴────────────┴─────────┘ ┌───────────┐ ┌───────────┐ ┌───────────┐ │   平成26年度   │ │   平成27年度   │ │   平成28年度   │ │(H26.8.1~H27.7.31) │ │(H27.8.1~H28.7.31) │ │(H28.8.1~H28.11.30)│ ├──┬────────┤ ├──┬────────┤ ├──┬────────┤ │順位│滞納金額(円) │ │順位│滞納金額(円) │ │順位│滞納金額(円) │ ├──┼────────┤ ├──┼────────┤ ├──┼────────┤ │ 1 │  30,100   │ │ 1 │  165,500   │ │ 1 │  101,300   │ ├──┼────────┤ ├──┼────────┤ ├──┼────────┤ │ 2 │  11,700   │ │ 2 │  162,700   │ │ 2 │  29,900   │ └──┴────────┘ ├──┼────────┤ ├──┼────────┤               │ 3 │  140,400   │ │ 3 │  11,800   │               ├──┼────────┤ ├──┼────────┤               │ 4 │  125,600   │ │ 4 │  5,600    │               ├──┼────────┤ └──┴────────┘               │ 5 │  101,300   │               ├──┼────────┤               │ 6 │  38,900   │               ├──┼────────┤               │ 7 │  36,900   │               ├──┼────────┤               │ 8 │  19,800   │               ├──┼────────┤               │ 9 │  14,200   │               ├──┼────────┤               │10 │  9,600    │               ├──┼────────┤               │11 │  9,400    │               ├──┼────────┤               │12 │  9,000    │               ├──┼────────┤               │13 │  2,100    │               └──┴────────┘ 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第112条は、相続による納税義務の承継を 規定する地方税法第9条準用している。 【指摘 福祉医療課】  人員配置の関係から全ての相続案件について相続人調査をすることができ ないという実情は理解できなくもない。  しかし、全く相続人調査をしないまま、消滅時効にかけて、不納欠損すると いう事務処理は、不適切である。  また、相続人からの回収可能性は低くないと考えられる。  短期被保険証を発行している案件のうち、費用対効果の見合わない少額滞納 者以外は、相続人調査を実施して、相続人に対する納入の通知や督促、催告の ほか、滞納処分を実施すべきである。 11 消滅時効の管理 【事実関係】  後期高齢者システムに時効起算日があり、時効の管理している。  しかし、ヒアリングによると、請求しても、連絡がとれないまま2年間が経 過して、消滅時効となり(高齢者の医療の確保に関する法律第160条)、不納 欠損となるとのことである。 【規範】  高齢者の医療の確保に関する法律第113条では、後期高齢者医療保険料につ いては、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地 方自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することが できるとする。地方税法第331条第6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分 の例によるとしているため、後期高齢者医療保険料については、国税徴収法 141条(質問及び調査)などの適用がある。 【指摘 福祉医療課】  人員配置の関係から全ての滞納案件について実態調査をすることができな いという実情は理解できなくもない。  また、資格証明書の交付についても慎重な対応となっているため、滞納処分
    についても実施しない運用となっている。  しかし、実態調査をしないまま、また、滞納処分を全く検討することなく、 消滅時効にかけて、不納欠損する滞納保険料が少なくないことから、不適切な 事務処理と指摘されても仕方がない。  漫然と、消滅時効にかけないよう、滞納金額が大きい事案など一定の基準を 設けた上で、実態調査等を行い、滞納処分を実施するのか、徴収の猶予、換価 の猶予、滞納処分の停止などの徴収緩和措置を取るのか、方針を適切に決定す べきである。 第9 まちを美しくする条例過料 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  岐阜市では、たばこの吸い殻のポイ捨てを防止することを目的として、「岐 阜市まちを美しくする条例」で路上喫煙を規制している。  具体的には、岐阜市長は、喫煙の禁止を重点的に推進する必要があると認め る区域を路上喫煙禁止区域として指定することができ(第11条第1項)、当該 路上喫煙禁止区域内の公共の場所における喫煙を禁止している(第12条)。  上記規定に違反し、路上喫煙禁止区域内の公共の場所において喫煙をした者 は、2,000円の過料に処せられる(第20条、同条例施行規則第7条第1項)。 過料の徴収が開始されたのは、平成21年1月1日である。  過料の徴収は、嘱託職員である路上喫煙防止指導員が路上喫煙禁止区域内を パトロールし、違反者を発見した場合には、現金又は納付書による納付の形で 過料を徴収している。 (2)債権の種類  強制徴収公債権  本債権については、地方自治法第231条の3第3項により、地方税の滞納処 分の例により処分することができるものとされている。 (3)所管課  自然共生部 循環型社会推進課 都市美化係(3名) (4)直近5年度のデータ               (単位:円) ┌─────┬────┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額 │収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 304,000│ 268,000│ 88.2%│     0│  36,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 198,000│ 28,000│ 14,1%│     0│  170,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 502,000│ 296,000│ 59.0%│     0│  206,000│ ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 310,000│ 260,000│ 83.9%│     0│  50,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 206,000│  6,000│ 2.9%│     0│  200,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 516,000│ 266,000│ 51.6%│     0│  250,000│ ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 84,000│ 70,000│ 83.3%│     0│  14,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 250,000│  2,000│ 0.8%│     0│  248,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 334,000│ 72,000│ 21.6%│     0│  262,000│ ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 68,000│ 58,000│ 85.3%│     0│  10,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 262,000│  2,000│ 0.8%│  42,000│  218,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 330,000│ 60,000│ 18.2%│  42,000│  228,000│ ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 66,000│ 64,000│96.97%│     0│   2,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 228,000│  2,000│ 0.9%│     0│  226,000│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 294,000│ 66,000│ 22.5%│     0│  228,000│ └──┴──┴────┴────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  岐阜市まちを美しくする条例過料は、そもそも債権の発生の覚知が必要な債 権であることから、債権の発生面に着目した。また、路上喫煙の禁止違反に対 する過料という性質上、納付意識が低くなりがちな債権であると思われたこと から、徴収率向上のために具体的にどのような取組みがなされているのかに着 目して監査を実施した。  具体的な監査手続としては、平成28年9月7日及び同年12月12日、担当 課である自然共生部循環型社会推進課担当者のヒアリングを行った。また、調 査票による照会及び提出資料の書類監査を行った。 3 調定額の減少 【事実関係】  平成21年度以降の決算額を比較すると、岐阜市まちを美しくする条例過料 の現年分調定額は、下記一覧表の「調定額(現年)」欄のとおり、平成21年度 から平成24年度まで、30万円台ないし40万円台となっていたが、平成25年 度以降は6万円台から8万円台にとどまっている。                          (単位:円) ┌──┬───────┬───────┬──────────┐ │年度│調定額(現年)│収入額(現年)│路上喫煙率(年平均)│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H21 │    394,000│    330,000│       0.3425%│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H22 │    494,000│    388,000│       0.3475%│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H23 │    304,000│    268,000│       0.215%│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H24 │    310,000│    260,000│       0.1775%│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H25 │    84,000│    70,000│       0.1075%│ ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H26 │    68,000│    58,000│        0.17%│
    ├──┼───────┼───────┼──────────┤ │H27 │    66,000│    64,000│        0.12%│ └──┴───────┴───────┴──────────┘  平成24年までは4名の路上喫煙防止指導員がおり、2名1組の2班体制で パトロールを行っていたが、平成25年度と平成26年度は定数減により3名1 組の1班体制となった。平成27年度からは路上喫煙禁止区域の拡大に伴い2 名1組の2班体制に戻ったが、平成28年8月に1名が退職して欠員が生じた ため、現在は、3名1組の1班体制でパトロールを行っている。  ヒアリングによれば、平成25年度以降の調定の大幅な減少の原因としては、 路上喫煙防止指導員のパトロールを2班体制から1班体制にしたこと、及び路 上喫煙禁止の啓蒙活動の効果として路上喫煙率が低下したことが考えられる とのことであった。  担当課から提出された資料(「路上喫煙率の推移(禁止区域内6地点平均)」) によれば、確かに、年度ごとの路上喫煙率は、平成21年度以降減少傾向にあ り、平成25年度以降は平成24年度と比べて、相当程度低下している(上記一 覧表の「路上喫煙率」欄参照)。  もっとも、平成25年度以降の調定額の減少の度合いは、路上喫煙率の低下 の度合いと比較して大きい。例えば、平成24年度と平成25年度の調定額低下 の度合いは約73%減であるが、路上喫煙率低下の度合いは約40%減にとどま る。 【規範】  まちを美しくする条例第4条では、「市は、この条例の目的を達成するため、 市民等、事業者及び占有者等の意見を反映して、環境美化に対する意識の啓発 等の施策を総合的に実施する責務を有する」と規定されている。 【意見 循環型社会推進課(改善報告)】  条例による路上喫煙の規制の実効性を確保するため、路上喫煙防止指導員の 体制を2班体制とすることが望ましい。  調定額の減少には路上喫煙率の低下以外の要因も影響していると考えられ るところ、上記のとおり、仮に違反者がいたとしても、路上喫煙防止指導員が 違反者を発見しない限り、過料に処せられることはなく、調定にも上がらない ことからすれば、路上喫煙防止指導員のパトロール体制の変更(班数の減少) が調定額に影響している可能性がある。  なお、上記のとおり平成27年度からは、路上喫煙禁止区域の拡大に伴い、 2名1組の2班体制となっており改善報告とする。 4 督促状の発付時期 【事実関係】  岐阜市まちを美しくする条例過料取扱要領によれば、担当課では、納付書の 納期限までに過料の納付がない場合、納期限から25日前後を経過したときに 督促状を送付することとしている。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条によれば、市長 は、市税以外の諸納付金を指定期間内に完納しないものがあるときは、納期限 後20日以内に督促状を発しなければならない。 【指摘 循環型社会推進課】  岐阜市まちを美しくする条例過料取扱要領を改正して、督促状は、納期限後 20日以内に発付すべきである。 5 納付書発行事案における収納率 【事実関係】  ヒアリングによれば、違反件数全体に占める納付書発行件数の割合は、平成 26年度以前は概ね20%ないし25%であったところ、納付書発行事案における 収納率は40%程度であった。  納付書発行事案において収納率が低い原因としては、告知弁明書を作成する 際に聴取した住所が実際の住所とは異なる場合があり、納付書等が届かない場 合があるためとのことである。 【意見 循環型社会推進課】  納付書発行事案においては違反者に納入意思がないなどの理由で未納とな る可能性があり、全体の収納率を上げるためには、現金納付の比率を高めるこ とが有効である。  この点に関して、担当課では、違反者に対して極力現金納付を勧めており、 平成27年度における納付書発行事案は、違反件数33件中1件のみ(約3%) となっている。その結果、現年収納率が大幅に上がっているとのことである。  違反者に対しては、今後も継続して、現金納付を勧めるようにすることが望 ましい。 第10 産業廃棄物不法投棄弁償金(私債権も含む) 1 債権の概要  以下に詳述する岐阜市北部地区でなされた産業廃棄物不法投棄事案(以下 「本事案」という。)にて、岐阜市が支出を余儀なくさせられた費用に関して の、不法投棄行為者等に対する請求権である。 (1)本事案について  ある産廃中間処理業者(以下「X社」と表記する。)が、事業の開始から間 もない平成2年頃から、自らの処理能力を超える量の産業廃棄物を受け入れ、 これを同社の敷地内及びその周辺地域に放置し、堆積させるという不適正な処 理を始めた。  平成11年5月から12月頃には、隠蔽目的で、この廃棄物に覆土し、その覆 土の上に廃棄物を投棄し、更に覆土するという行為(不法投棄)が始まり、以 後、平成16年3月に県警による強制捜査が入るまでこれを繰り返した。また、 後の調査で、許可を受けた品目以外の産業廃棄物(プラスチック類等)を受け 入れていたことも確認された。  平成16年9月から平成17年4月にかけて実施した産業廃棄物不法投棄現場 汚染状況等詳細調査(以下「詳細調査」という。)結果から、不適正に処理さ れた廃棄物は、約90,000m2に及ぶ現場内に最大で高さ約50メートルの規模で 埋め立てられ、土砂を含む廃棄物等の総量はおよそ1,248,000m3で、このうち 搬入された廃棄物の量はおよそ753,000m3に及ぶこと判明した。  廃棄物処理法違反容疑で、X社のほか収集運搬業者(以下「Y社」という。)、 中間処理業者(以下「Z社」という。)の3法人及びこれら法人の役員、実質 的経営者の7名が起訴され、全員の有罪が確定した。 (2)債権の内容及び根拠  岐阜市は、本事案にて要した費用を3つの債権に分け、不法投棄行為者等に 請求している。すなわち、平成18年5月以降、岐阜市は行政代執行に着手し ているところ、行政代執行の実施に要した費用を「行政代執行に要した費用請 求」、行政代執行に該当しないもののうち、本事案による環境への影響調査等 に要した費用で、X社の承諾が得られた調査費用等を「事務管理費用」、承諾 が得られなかった調査費用等を「不法行為に基づく損害賠償請求」と区分して、
    債権管理を行っている。  以下、この3種類の債権の性質を簡単にまとめた表が以下のとおりである。  なお、市が事務管理費用と不法行為に基づく損害賠償とに分けた理由として は(2)-1と2)-2の分類基準)、事務管理費用償還請求権(民法第702条) については、「本人のために有益な費用を支出した」ことが債権発生要件にな るところ、行為者の承諾が得られないままに実施した調査については、同要件 該当性が問題となり得るため、行為者の承諾の有無によって、「事務管理費用 償還請求権」と「不法行為に基づく損害賠償請求権」とに分類したものである。 ┌─┬─────────────┬────────────┬──────────┐ │ │1)            │2)-1         │2)-2       │ ├─┼─────────────┼────────────┼──────────┤ │ │行政代執行に要した費用請 │事務管理費用      │不法行為に基づく  │ │ │求権           │償還請求権       │損害賠償請求権   │ ├─┼─────────────┼────────────┼──────────┤ │請│【措置命令不履行により市 │本事案発生当時の緊急調査│不法投棄を原因として│ │求│が代執行したモニタリング │費用等         │市が負担した詳細調査│ │内│調査費用等】       │(具体例)       │費用等       │ │容│(具体例)        │・汚染状況等調査費用  │(具体例)     │ │ │・水質等モニタリング調査費│・周辺環境調査費用  等│・汚染状況等詳細調査│ │ │用            │            │費用        │ │ │・斜面モニタリング調査費用│            │・支障除去に係る現地│ │ │等            │            │調査及び対策工検討費│ │ │【措置命令不履行により市 │            │用      等  │ │ │が代執行した支障除去等に │            │          │ │ │係る費用】        │            │          │ │ │(具体例)        │            │          │ │ │・支障除去対策に係る詳細設│            │          │ │ │ 計業務委託費用     │            │          │ │ │・産業廃棄物運搬     │            │          │ │ │・処分業務委託費用  等 │            │          │ ├─┼─────────────┼────────────┼──────────┤ │性│強制徴収公債権      │私債権         │私債権       │ │質│             │            │          │ ├─┼─────────────┼────────────┼──────────┤ │請│廃棄物処理法第19条の8第 │民法第702条       │民法第709条     │ │求│2項「都道府県知事は、前項│            │          │ │根│(第3号に係る部分を除  │            │          │ │拠│く。)の規定により同項の支│            │          │ │法│障の除去等の措置の全部又 │            │          │ │ │は一部を講じたときは、当該│            │          │ │ │支出の除去等の措置に要し │            │          │ │ │た費用について、環境省令で│            │          │ │ │定めるところにより、当該処│            │          │ │ │分者等に負担させることが │            │          │ │ │できる。」        │            │          │ │ │同法第19条の8第5項「前 │            │          │ │ │3項の規定により負担させ │            │          │ │ │る費用の徴収については、行│            │          │ │ │政代執行法第5条及び第6 │            │          │ │ │条の規定を準用する。」  │            │          │ │ │行政代執行法第5条「代執行│            │          │ │ │に要した費用の徴収につい │            │          │ │ │ては、実際に要した費用の額│            │          │ │ │及びその納期日を定め、義務│            │          │ │ │者に対し、文書をもってその│            │          │ │ │納付を命じなければならな │            │          │ │ │い。」          │            │          │ │ │同法第6条「代執行に要した│            │          │ │ │費用は、国税滞納処分の例に│            │          │ │ │より、これを徴収することが│            │          │ │ │できる。」        │            │          │ └─┴─────────────┴────────────┴──────────┘ (3)債権の性質及び金額  各債権金額は以下のとおりである。 1) 行政代執行に要した費用請求権(公債権)  市が行った代執行は、平成18年から平成25年までにわたるが、その内容は、 大別して、モニタリング調査と支障除去等(廃棄物の撤去)である。 ア モニタリング調査   不法投棄された廃棄物が周辺環境に与える影響等を把握するためのモニ  タリング調査の措置を講ずることをX社に対して命じたが、履行されなか  ったため、市は平成18年5月以降に行政代執行を実施した。   これらの代執行に要した費用につき、廃棄物処理法第19条第5項におい  て準用する行政代執行法第5条の規定に基づいて、下記の費用についての  納付命令を発出した。 ┌──────────────────────────┬──────┐ │          項   目           │調定額(円)│ ├──────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場斜面モニタリング調査業務委託 │ 30,660,000│ ├──────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場水質等モニタリング調査業務委託│  9,030,000│ ├──────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場緊急ガス発生状況調査業務委託 │   703,500│ ├──────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場陥没及び白煙対策業務委託   │   498,750│ ├──────────────────────────┼──────┤ │合 計                       │ 40,892,250│ └──────────────────────────┴──────┘ イ 支障除去等(廃棄物の除去)  不法投棄された廃棄物の撤去等の措置を講ずることをX社に対して命じ たが、一部の履行にとどまったため、市は平成20年3月以降に行政代執行 による特定支障除去等事業を実施した。  これらの代執行に要した費用につき、同じく廃棄物処理法第19条第5項 において準用する行政代執行法第5条の規定に基づいて、下記の費用につ
    いての納付命令を発出した。 ┌──────────────────────────────────┬───────┐ │              項   目               │調定額(円) │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場周辺環境モニタリング調査(大気測定局設置工事)│   1,237,859│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業仮設道路工事        │   5,239,500│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業焼却炉等解体工事      │  20,213,550│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業給排水管布設工事      │  31,710,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業上流部止水壁設置工事    │  21,126,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業対策工事          │ 3,234,000,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業下流部止水壁設置工事    │  54,495,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等侵出汚濁水処理設備設置工事   │  98,070,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案の支障除去対策に係る詳細設計業務委託     │  52,290,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場焼却炉ダイオキシン類事前調査業務委託     │    336,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業廃棄物処分等検討業務委託  │   2,562,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場水質等モニタリング調査業務委託        │  14,679,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場斜面モニタリング調査業務委託         │   5,008,500│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場大気環境及び土壌環境調査業務委託       │   1,732,500│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業対策工事に係る管理業務委託 │  39,250,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場周辺環境モニタリング調査及びデータ解析業務委 │  103,425,000│ │託                                 │       │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場周辺環境モニタリング調査(椿洞周辺大気汚染自 │   2,470,170│ │動測定機器保守管理業務)                      │       │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場現場内モニタリング調査業務委託        │  41,391,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場モニタリング孔設置業務委託          │  19,834,500│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業産業廃棄物運搬・処分業務委 │ 1,200,784,012│ │託                                 │       │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業産業廃棄物運搬・処分業務委 │ 1,459,716,105│ │託(第二期)                            │       │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場有害大気調査業務委託             │    493,500│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物運搬に係る三重県産業廃棄物税               │  35,275,300│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │岐阜市北部地区産業廃棄物不法投棄事案特定支障除去等事業進出汚濁水処 │  34,840,000│ │理設備移設工事                           │       │ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場地下水モニタリング孔設置業務         │   6,261,150│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │産業廃棄物不法投棄現場ガス発生状況調査業務委託           │   5,145,000│ ├──────────────────────────────────┼───────┤ │合 計                               │ 6,591,585,646│ └──────────────────────────────────┴───────┘ 2)-1 事務管理費用償還請求権(私債権)  本事案が発生した直後に実施した、不法投棄された廃棄物による水質及び土 壌への影響を把握するための調査等に要した費用(X社の承諾あり)であり、 内訳は下記のとおりである。 ┌──────────────────┬──────┐ │      項   目       │調定額(円)│ ├──────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場汚染状況等調査│ 37,674,000│ ├──────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場周辺環境調査 │ 17,578,962│ ├──────────────────┼──────┤ │不法投棄現場斜面モニタリング調査  │  5,334,000│ ├──────────────────┼──────┤ │不法投棄現場排水溝復旧修繕     │   157,500│ ├──────────────────┼──────┤ │合 計               │ 60,753,462│ └──────────────────┴──────┘ 2)-2 不法行為に基づく損害賠償請求権(私債権)  不法投棄された廃棄物が生活環境に与える影響を詳細に把握するための調 査に要した費用(X社の承諾なし)であり、内訳は下記のとおりである。 ┌───────────────────────────────┬──────┐ │             項   目             │調定額(円)│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場汚染状況等詳細調査           │ 239,053,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場水質等モニタリング調査         │ 18,427,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄現場斜面モニタリング調査          │  5,932,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物不法投棄事案に係る対策検討資料作成         │ 12,579,000│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物の不法投棄事案の支障除去に係る現地調査及び対策工検討│ 18,627,000│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物の不法投棄現場燃焼ガス発生状況調査         │ 22,417,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤
    │産業廃棄物の不法投棄事案の支障除去に係る基本設計       │  1,984,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │地表面ガス及び環境大気調査                  │  4,729,200│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物の不法投棄現場ガス観測機設置等           │  1,764,000│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物の不法投棄事案に関する技術専門会議検討資料等作成  │  5,901,000│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │産業廃棄物の不法投棄現場孔内温度調査等            │ 14,437,500│ ├───────────────────────────────┼──────┤ │合 計                            │ 363,713,700│ └───────────────────────────────┴──────┘ (4)所管課  環境事業部 産業廃棄物特別対策課(平成27年度)  同     環境事業政策課(平成28年度)  岐阜市では、事案への対応及び今後の予防措置を検討するため、平成16年 3月19日に岐阜市産業廃棄物不法投棄対策本部を設置し、市長公室政策審議 室(現企画部政策調整課)がその事務を担った。また、本事案の対策(徴収等 責任追及を含む。)に関する専門部署として、平成16年4月1日、環境事業部 に産業廃棄物特別対策室(後に産業廃棄物特別対策課)が設置された。同課は 平成27年度まで設置され、平成28年度からは、環境事業政策課の担当者2名 にて、徴収等を行っている。 (5)直近5年度のデータ 〔行政代執行に要した費用請求権〕             (単位:円) ┌──┬──┬───────┬─────┬─────┬───────┐ │年度│  │  調定額  │ 収入額 │不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┼──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │現年│ 1,977,129,789│     0│     0│ 1,977,129,789│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │ 23 │繰越│ 1,380,394,814│ 4,542,279│     0│ 1,375,852,535│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │合計│ 3,357,524,603│ 4,542,279│     0│ 3,352,982,324│ ├──┼──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │現年│ 1,743,608,124│  337,131│     0│ 1,743,270,993│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │ 24 │繰越│ 3,352,982,324│14,447,110│     0│ 3,338,535,214│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │合計│ 5,096,590,448│14,784,241│     0│ 5,081,806,207│ ├──┼──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │現年│ 1,447,402,472│  279,859│     0│ 1,447,122,613│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │ 25 │繰越│ 5,081,806,207│ 9,119,217│     0│ 5,072,686,990│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │合計│ 6,529,208,679│ 9,399,076│     0│ 6,519,809,603│ ├──┼──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │現年│       0│     0│     0│       0│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │ 26 │繰越│ 6,519,809,603│22,929,835│     0│ 6,496,879,768│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │合計│ 6,519,809,603│22,929,835│     0│ 6,496,879,768│ ├──┼──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │現年│  45,895,280│     0│     0│  45,895,280│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │ 27 │繰越│ 6,496,879,768│ 9,654,696│     0│ 6,487,225,072│ │  ├──┼───────┼─────┼─────┼───────┤ │  │合計│ 6,542,775,048│ 9,654,696│     0│ 6,533,120,352│ └──┴──┴───────┴─────┴─────┴───────┘ 〔事務管理費用償還請求権〕          (単位:円) ┌──┬──┬─────┬───┬─────┬─────┐ │年度│  │ 調定額 │収入額│不納欠損額│収入未済額│ ├──┼──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│     0│   0│     0│     0│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │ 23 │繰越│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ ├──┼──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│     0│   0│     0│     0│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │ 24 │繰越│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ ├──┼──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│     0│   0│     0│     0│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │ 25 │繰越│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ ├──┼──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│     0│   0│     0│     0│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │ 26 │繰越│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ ├──┼──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│     0│   0│     0│     0│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │ 27 │繰越│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ │  ├──┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│41,785,500│   0│     0│41,785,500│ └──┴──┴─────┴───┴─────┴─────┘ 〔不法行為に対する損害賠償請求権〕          (単位:円) ┌──┬──┬──────┬─────┬─────┬──────┐ │年度│  │ 調定額  │ 収入額 │不納欠損額│収入未済額 │ ├──┼──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │現年│      0│     0│     0│      0│
    │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │ 23 │繰越│ 363,713,700│     0│     0│ 363,713,700│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │合計│ 363,713,700│     0│     0│ 363,713,700│ ├──┼──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │現年│      0│     0│     0│      0│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │ 24 │繰越│ 363,713,700│ 2,500,000│     0│ 361,213,700│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │合計│ 363,713,700│ 2,500,000│     0│ 361,213,700│ ├──┼──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │現年│      0│     0│     0│      0│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │ 25 │繰越│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │合計│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ ├──┼──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │現年│      0│     0│     0│      0│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │ 26 │繰越│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │合計│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ ├──┼──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │現年│      0│     0│     0│      0│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │ 27 │繰越│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ │  ├──┼──────┼─────┼─────┼──────┤ │  │合計│ 361,213,700│     0│     0│ 361,213,700│ └──┴──┴──────┴─────┴─────┴──────┘ 2 監査の重点及び監査手続  当該債権については、特殊な事案の上で発生してしまった債権であり、また 債権額も非常に高額となっていたことから、環境面への配慮とともに、債権回 収という観点からも積極的に検討がなされ、複数名の弁護士等の専門家を入れ た外部委員会を設立した上で、対応が検討されてきた。  この結果、実に様々な手法を活用した債権回収策が取られており、本事案の 債権回収という域にとどまらず、広く「債権回収策」として参考になる。  そこで、本章では、専門家の意見を踏まえて実施された債権回収方法につい て、以下で紹介することとする。  具体的な監査手続としては、ヒアリングのほか、『岐阜市北部地区産業廃棄 物不法投棄事案の記録』などの資料・書類を徴求して、閲覧した。  なお、本事案では、多額の債権額が発生してしまい、全額回収が困難となっ ている。そもそも、未然に債権発生(すなわち事件発生)を防ぐことができな かったかという観点からの検討も必要であるが、上記『岐阜市北部地区産業廃 棄物不法投棄事案の記録』でもその検証がなされていること、また、監査の対 象とすることは広範囲になることから、本監査の対象外とした。 3 財産調査  本事案に要した費用については、民法や廃棄物処理法に基づいて請求し、強 い姿勢で回収に努めてきたが、財産等調査には限界があり回収が困難である現 実に直面していた。  そこで、平成21年1月、費用回収の成果を上げるため、弁護士3名、司法 経験者1名、その他学識経験者1名で構成する「岐阜市北部地区産業廃棄物不 法投棄事案費用回収対策委員会」(以下「費用回収委員会」という。)を設置し、 対応をすすめることとなった。  その結果、なされた財産調査は、刑事裁判記録の取得と全国の金融機関への 調査である。刑事裁判記録を精査することにより、結果として、ゴルフ会員権 及び生命保険の存在を確認することができ、その結果、1,534,843円の回収に 成功した。また、全国の金融機関の預金調査の結果、合計3件の出資金が判明 し、その結果142,480円の回収に成功した。  こうした財産調査手法は、必ずしもその他の債権に応用できるというわけで はないものの、こうした情報収集の実施及びその結果については、その他の債 権管理においても有益な情報であると思われる。 4 行政代執行に要した費用 (1)X社、Y社及びそれらの役員等からの回収  行政代執行に要した費用は、廃棄物処理法第19条の8第5項において準用 する行政代執行法第6条の規定に基づき、国税滞納処分の例により徴収するこ とができるため(強制徴収公債権)、市では滞納者の滞納処分を実施している。  モニタリング調査費用については、平成28年3月末日現在、差し押さえた 施設の公売等により11,034,315円を回収している。  特定支障除去等事業費用については、Y社の実質的経営者から、平成18年 1月、任意に12,652,482円の一部支払がなされたほか、Y社につき破産手続 き開始していたことから、破産管財人に対して、財団債権として 2,154,801,096円を交付要求したところ、平成18年10月に61,059,671円が 支払われた。  そのほか、平成28年3月末日現在、預金口座や生命保険解約返戻金の差押 えによる換価、また、差し押さえたゴルフ会員権や金融機関の出資金の公売等 により79,322,172円を回収している。 〔金銭差押〕       (単位:円) ┌────┬──────┬─────┐ │X社  │預金差押え │     3│ │    ├──────┼─────┤ │    │出資金差押え│ 1,199,500│ ├────┼──────┼─────┤ │X社役員│預金差押え │  69,480│ │    ├──────┼─────┤ │    │出資金差押え│ 1,000,000│ ├────┼──────┼─────┤ │合計  │      │ 2,268,983│ └────┴──────┴─────┘ 〔その他差押〕 ┌────┬───────────────┐ │X社  │土地24筆(地積計22,830m2)  │ │    ├───────────────┤ │    │事務所、ゲート、タイヤ洗浄施設│ ├────┼───────────────┤ │X社役員│土地12筆(地積計12,136m2)  │
    │    ├───────────────┤ │    │家屋1棟(床面積130m2)    │ │    ├───────────────┤ │    │土地28筆(地積計46,084m2)  │ │    ├───────────────┤ │    │家屋3棟(床面積計850m2)   │ └────┴───────────────┘ (2)X社、Y社及びそれらの役員等以外の者からの回収(請求対象者の拡張) ア 関連会社からの回収 (ア)岐阜市は、本事案に関して、X社の不法投棄に深く関与していた関連会  社4社(以下「関連会社」という。)に対して、X社の実質的経営者と同等  の責任があるとしてX社の実質的経営者と同じ責任割合として算出した費  用を廃棄物処理法第19条の8第5項において準用する行政代執行法第5条  の規定に基づいて納付命令を発出した。 (イ)この納付命令の発出に先立ち、納付命令を発出した以降、滞納処分が着  手可能となるまでの期間に関連会社の保有財産が処分される事が想定され  たため、平成23年5月に関連会社の所有と認められる下記財産について、  行政代執行費用請求権を民法上の私債権(不法行為に基づく損害賠償請求  権等)と構成し、民事保全法に基づいて岐阜地方裁判所に仮差押命令を申  立て、仮差押の決定を受けた後に納付命令を発出するという工夫が取られ  ている。 (ウ)仮差押後に、納付命令が発出され、督促状が発付された後、滞納処分と  して差押えが可能になった時点で、この仮差押は取り下げられた。 〔仮差押した財産の詳細〕 ┌──┬─────────────────────────┐ │A社│土地5筆(地積計1813.36m2、評価額計36,992,524円) │ │  ├─────────────────────────┤ │  │家屋1棟(床面積計171.61m2、評価額計4,413,669円) │ ├──┼─────────────────────────┤ │B社│土地11筆(地積計33,756m2、評価額計12,336,988円) │ ├──┼─────────────────────────┤ │C社│土地2筆(地積計1,212,444m2、評価額計4,020,251円)│ ├──┼─────────────────────────┤ │D社│土地8筆(地積計1660.91m2、評価額計51,635,541円) │ │  ├─────────────────────────┤ │  │家屋1棟(床面積計260.64m2、評価額計4,658,890円) │ └──┴─────────────────────────┘  上記仮差押えで保全していた財産に対する滞納処分による差押の他、これま でに1社の銀行預金と1社の公共事業の売掛金及び生命保険の解約返戻金を 差し押さえた。  平成28年3月末日現在、預金口座や生命保険解約返戻金の差押による換価、 また、差押えた売掛金の取立て等により18,978,943円を回収した。 (3)排出事業者からの回収  岐阜市は、本事案に関して、廃棄物処理法第12条第6項(平成22年の法改 正以前は第4項)の規定に違反してX社に産業廃棄物の処分を委託した排出事 業者8社に対して、それぞれの責任割合に応じて算出した費用について、廃棄 物処理法第19条の8第5項において準用する行政代執行法第5条の規定に基 づいて納付命令を発出している。  そして、これまでに全額納付した1社、分割により納付をしている1社を除 く6社について、滞納処分を進めてきた。  滞納者については、資産調査の上、判明した預金口座のうち、換価可能な口 座を差し押さえた。この債権は分割弁済であるところ、毎月300,000円の回収 を図っている。  平成28年3月末日現在、任意納付や預金口座の差押えによる換価等により 35,917,394円を回収した。  なお、事業実体がなく、差押えできる資産もない排出事業者3社について調 査の上、慎重に検討したところ、国税徴収法第153条第1項及び第5項の規定 に該当することから、滞納処分の執行を停止し、その納付義務を消滅させ、責 任追及も終了した。 5 事務管理費用  上記で説明した費用総額60,753,462円については、X社に対して請求した 結果、平成28年3月末日現在、任意納付による1,000,000円と仮差押えした 財産の一部を処分させたことによる380,000円の合計1,380,000円を回収して いる。  ここでは、早期にX社の仮差押をしたこと、根抵当権の設定をしたことが特 殊性として挙げられる。 (1)仮差押の申立て  ここにいう仮差押えとは、平成16年9月にX社が所有する下記財産につき、 民事保全法に基づいて岐阜地方裁判所に仮差押命令の申立をし、仮差押えの決 定を受けたものである。なお、この仮差押えについては、平成20年3月に取 り下げ、後記の行政代執行費用請求に基づく差押えに代えた。 〔仮差押した財産の詳細〕 ┌───────────┬────────────┐ │   財   産   │   備   考    │ ├───────────┼────────────┤ │重機         │            │ ├───────────┼────────────┤ │ダンプ        │解除(250,000円を回収) │ ├───────────┼────────────┤ │選別ライン及び破砕施設│            │ ├───────────┼────────────┤ │事務所建物      │            │ ├───────────┼────────────┤ │預金         │解除(130,000円を回収) │ └───────────┴────────────┘ (2)根抵当権の設定  事務管理費用に対する担保の提供を求め、平成17年8月にX社が所有する 土地24筆(合計22,830.34m2)とX社の役員が所有する土地2筆(合計10,760 m2)に極度額60,000,000円の根抵当権を設定している。  なお、X社が所有する土地24筆のうち、23筆に対して金融機関が、また、 16筆に対して実質的経営者が、それぞれ既に根抵当権を設定していたため、 仮に競売にかけたところで、岐阜市の回収分があるのか否かが不透明であると ころ、実質的経営者の根抵当権登記については、市の要請に応じて、任意に抹
    消された。 6 不法行為による損害賠償  費用総額363,713,700円は、平成23年5月に、X社とその経営者らを相手 取って、岐阜地方裁判所に対して訴訟提起した結果、市の主張を全面的に認め る判決が得られ、控訴した1名を除き判決が確定している。  控訴した1名からは和解の申出があり、相手方が和解金を納付することによ り和解が成立した。平成28年3月末日現在、上記和解金の納付により、 2,500,000円を回収している。 7 費用の回収状況の一覧 (1)平成28年3月末日までの一覧 ┌──┬──────┬────────┬──────┬──────┬───────┐ │  │行政代執行費│行政代執行費用 │行政代執行費│事務管理費用│不法行為の損 │ │  │用1    │2       │用3    │      │害賠償    │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │根拠│廃棄物処理法│廃棄物処理法第 │廃棄物処理法│民法第702条 │民法第709条  │ │法令│第19条の8第│19条の8第2項 │第19条の8第│      │       │ │  │2項    │        │2項    │      │       │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │請求│措置命令に基│措置命令に基づ │措置命令に基│当初の緊急調│事務管理・行政│ │内容│づくモニタリ│く支障除去等事 │づくモニタリ│査費用等  │代執行以外の │ │  │ング調査費用│業費用     │ング調査費用│      │詳細調査費用 │ │  │      │        │      │      │等      │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │請求│40,892,250円│ 6,591,585,646円│45,895,280円│60,753,462円│ 363,713,700円│ │ 額 │      │        │      │      │       │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │請求│H19.10   │【不法投棄行為 │H28.2    │H16.9    │H20.5     │ │年月│H20.6    │者(2社5名)】│      │H16.11   │       │ │  │      │H21.1、H21.6  │      │H20.3    │       │ │  │      │H22.6、H23.6  │      │      │       │ │  │      │【関連会社(4 │      │      │       │ │  │      │社)】     │      │      │       │ │  │      │H23.8、H24.6  │      │      │       │ │  │      │H25.6      │      │      │       │ │  │      │【排出事業者(8│      │      │       │ │  │      │社)】     │      │      │       │ │  │      │H23.6、H24.6  │      │      │       │ │  │      │H25.6      │      │      │       │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │請求│【措置命令被│【措置命令被命 │【措置命令被│【施設管理 │【不法投棄で │ │ 者 │命令者】  │令者等】    │命令者】  │者】    │の有罪者】  │ │  │X社    │X社等     │X社    │X社    │X社     │ │  │      │【納付命令被命 │      │      │X社の役員等 │ │  │      │令者】     │      │      │3名     │ │  │      │関連会社4社  │      │      │Y社役員等2 │ │  │      │排出事業者8社 │      │      │名      │ │  │      │        │      │      │その他の会社 │ │  │      │        │      │      │役員     │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │回収│11,034,315円│  134,218,509円│     0円│ 1,380,000円│  2,500,000円│ │ 額 │      │        │      │      │       │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │内訳│預金差押え │【不法投棄行為 │      │      │訴訟和解金  │ │  │48,255円  │者】      │      │      │       │ │  │動産の公売 │任意納付    │      │      │       │ │  │6,626,760円 │ ・X社役員  │      │      │       │ │  │敷地料の差押│   720,000円 │      │      │       │ │  │え     │ ・Y社役員等 │      │      │       │ │  │108,000円  │  12,652,482円│      │      │       │ │  │重機の公売 │ ・Y社財団債権│      │      │       │ │  │4,251,300円 │  61,059,671円│      │      │       │ │  │      │預金差押え   │      │      │       │ │  │      │  3,212,696円 │      │      │       │ │  │      │生命保険解約返 │      │      │       │ │  │      │戻金      │      │      │       │ │  │      │   904,843円 │      │      │       │ │  │      │ゴルフ会員権の │      │      │       │ │  │      │公売      │      │      │       │ │  │      │   630,000円 │      │      │       │ │  │      │出資金の公売  │      │      │       │ │  │      │   142,480円 │      │      │       │ │  │      │【関連会社】  │      │      │       │ │  │      │  18,978,943円│      │      │       │ │  │      │【排出事業者】 │      │      │       │ │  │      │  35,917,394円│      │      │       │ ├──┼──────┼────────┼──────┼──────┼───────┤ │債権│・動産の差押│・被命令者の不動│      │・会社、役員│・損害賠償請求│ │保全│え、家屋の差│産等について差 │      │名義の土地に│訴訟提起   │ │  │押え実施  │押え実施    │      │根抵当権設定│       │ │  │(H20.3)  │・関連会社の不動│      │(H17.8)  │       │ │  │      │産について差押 │      │      │       │ │  │      │え実施     │      │      │       │ │  │      │・一部排出事業者│      │      │       │ │  │      │の金銭債権の差 │      │      │       │ │  │      │押え実施    │      │      │       │ └──┴──────┴────────┴──────┴──────┴───────┘ (2)直近の回収内容  本事案発覚後既に10年以上が経過しているが、直近(平成26年1月1日か ら平成28年3月31日まで)の回収実績は以下の表のとおりである。                      (単位:円) ┌─────────────────────────┐ │【行政代執行費用1】               │ ├──────────┬──────┬───────┤ │   納入者    │回収額(円)│ 備   考 │ ├──────────┼──────┼───────┤ │不法投棄行為者   │      │       │
    │ 電柱敷地料差押  │   54,000│       │ ├──────────┼──────┼───────┤ │関連会社      │      │       │ ├──────────┼──────┼───────┤ │排出事業者     │      │       │ ├──────────┼──────┼───────┤ │合計        │   54,000│       │ └──────────┴──────┴───────┘ ┌───────────────────────────────────────────┐ │【行政代執行費用2】                                 │ ├───────────┬──────┬────────────────────────┤ │    納入者    │回収額(円)│         備   考          │ ├───────────┼──────┼────────────────────────┤ │不法投棄行為者    │      │                        │ │任意納付       │      │                        │ │・X社役員      │   292,500│                        │ │預金差押       │   525,184│                        │ ├───────────┼──────┼────────────────────────┤ │関連会社       │      │                        │ │ 任意納付      │  1,150,000│                        │ │ 差押不動産の公売  │  6,381,560│差押え不動産(土地)の公売。差押えに優先する根抵│ │           │      │当権者が債権を放棄したことからH28.1.14に公売を実│ │           │      │施。                      │ │ 預金差押      │   18,351│                        │ │ 電柱敷地料差押   │    9,000│                        │ ├───────────┼──────┼────────────────────────┤ │排出事業者      │      │                        │ │ 任意納付      │   810,000│                        │ │ 預金差押      │   100,488│                        │ │ 出資金の譲受    │   39,136│信用金庫出資金を差押え、譲受けを請求。H27.12.7 │ │           │      │収納。                     │ │ 売掛債権差押    │  6,600,000│売掛債権の差押え。H24年に差し押さえたものを毎月 │ │           │      │回収。                     │ │ 土地収用補償金等差押│ 18,319,496│道路拡幅に伴う土地収用・使用補償金の差押え。  │ │           │      │H26.9.24収納。                 │ ├───────────┼──────┼────────────────────────┤ │    合計     │ 34,245,715│                        │ └───────────┴──────┴────────────────────────┘ 【参考報告】  本事案について、債権回収という観点からは、ほぼ考え得る限り限りの対策 を講じていると思われる。  このような経験をした課が、現在でも債権管理調整会議の一員とされている が、この課が調整会議に参加する意義は、その回収状況の把握ということでは なく、まさに、なされてきた手法を経験値として、そのノウハウを共有・伝承 することにあると思われる。  この課の債権回収経験から共有・伝承すべき事項は、1)財産調査をあらゆる 観点から行うこと、2)財産保全を図る手法を検討すること、3)請求対象者を広 げる視点を常に持つこと、4)諦めない姿勢を持ち続けること、5)専門家に相談 できる体制を作ること、という点にあると思われる。 【意見 環境事業政策課】  環境事業政策課は、本件事案を通じて得た債権回収のノウハウを整理し、各 債権管理担当課に情報提供をすることが望ましい。 第11 下水料金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  ア 概要   下水料金は、下水道法第20条及び岐阜市下水道条例に徴収の根拠規定が  あり、公共下水道を使用する者から徴収できる債権である。 イ 料金徴収の対象 ┌───────────────────────────────────────┐ │下水道条例第20条 下水料金は、排水設備使用者等から1戸又は1構ごとに徴収する。 │ │2 前項に定めるもののほか2戸又は2世帯以上が排水設備を共同使用する場合、管理 │ │ 者が必要と認めたときは、各使用者から徴収することができる。         │ │3 第4条の管理人は、下水料金の納付については、使用者と連帯してその責を負うも │ │ のとする。                                 │ └───────────────────────────────────────┘  ウ 下水料金  汚水を放流する場合は、1月につき、以下のとおりである(岐阜市下水 道条例第21条第1項第1号)。 ┌────┬────┬────────────────────────────┐ │ 種別 │基本料金│従量料金                        │ ├────┼────┼────────────────────────────┤ │一般汚水│875円  │10m3までの分        1m3につき  28円      │ │    │    │10m3を超え20m3までの分   1m3につき  107円      │ │    │    │20m3を超え50m3までの分   1m3につき  119円      │ │    │    │50m3を超え500m3までの分   1m3につき  125円      │ │    │    │500m3を超え10,000m3までの分 1m3につき  132円      │ │    │    │10,000m3を超える分     1m3につき  138円      │ ├────┼────┼────────────────────────────┤ │公衆浴場│875円  │10m3までの分        1m3につき   6円      │ │汚水  │    │10m3を超える分       1m3につき  21円      │ ├────┴────┴────────────────────────────┤ │一定の水質以上の汚水を放流するものは、前記当該種別料金のほかにその濃度に応じ│ │て、1m3につき240円以内においてこれを増徴する。               │ └──────────────────────────────────────┘  エ 根拠   ・下水道法、同施行令   ・地方公営企業法、同施行令   ・岐阜市下水道条例(以下、「下水道条例」という。)、同施行規程   ・岐阜市上下水道事業部債権管理規程   ・岐阜市上下水道事業部企業会計規程
    (2)債権の性質  強制徴収公債権  下水道法第20条により徴収を認められ、地方自治法第231条の3、地方自 治法附則第6条3号により滞納処分による徴収を認められている。 (3)所管課  上下水道事業部 営業課 料金・徴収係(4名中債権管理担当1名)  同係では、水道料金債権も取り扱っている。 (4)事務手続の流れ  下水料金の賦課徴収・滞納整理の事務手続の流れは、以下のとおりである。  岐阜市は下水料金及び水道料金について、民間業者2社に業務委託をしてい る。概要は次のとおりである。 【A社】 i 業務の名称   岐阜市上下水道営業関連業務委託 ii 契約期間    平成26年1月1日から平成30年12月31日まで iii 契約金額    1,571,115,000円                    (消費税抜 5%) ┌────────┬────────┬────────┐ │項目      │数量      │金額      │ ├────────┼────────┼────────┤ │人件費     │一式(5年総額)│ 1,185,740,000円│ ├────────┼────────┼────────┤ │諸経費     │一式(5年総額)│  164,725,000円│ ├────────┼────────┼────────┤ │管理費     │一式(5年総額)│  59,250,000円│ ├────────┼────────┼────────┤ │システム開発費 │一式(5年総額)│  86,585,000円│ ├────────┴────────┼────────┤ │合計(5年総額)         │ 1,496,300,000円│ └─────────────────┴────────┘ iv 委託業務の範囲(業務の内容につき、「仕様書」から抜粋) ┌─────────────────────────────┐ │1 窓口業務                       │ │(3)納入通知書の再発行                 │ │(6)「納付誓約書(債務承認書)」の受付         │ │2 検針業務                       │ │3 料金計算業務                     │ │4 収納業務                       │ │(2)コンビニエンスストア収納処理            │ │(5)納入通知書、督促状の作成及び発送          │ │5 滞納整理業務                     │ │(1)水道料金等の滞納整理(滞納整理票の作成を含む。)  │ │(7)納付誓約書(債務承認書)の受付及び管理       │ │(14)前各号に掲げるもののほか、滞納整理業務に関すること。│ │6 随時精算業務                     │ │7 メーター管理業務                   │ │8 電算処理業務                     │ └─────────────────────────────┘ (4)直近5年度のデータ 〔本来〕  地方公共団体の会計処理においては、出納整理期間が設けられており、普通 地方公共団体の出納は、翌年度の5月31日をもつて閉鎖する(地方自治第235 条の5)。これに対し、上下水道事業部には、地方公営企業法施行令が適用さ れる結果、出納整理期間が無く(施行令第4条第1項)、会計年度の末日たる 3月31日をもって閉鎖する。その場合のデータは、次のとおりである(ただ し、公営企業においては繰越調定が行われておらず、繰越の調定額欄は、前年 度までの未収金の総額となる。)。                               (単位:円、税込) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬──────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H23│現年│ 5,209,352,583│ 4,690,825,994│ 90.0%│  59,253│ 518,526,589│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  818,283,472│  476,114,384│ 58.2%│36,778,504│ 305,390,584│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,027,636,055│ 5,166,940,378│ 85.7%│36,837,757│ 823,917,173│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H24│現年│ 5,210,210,689│ 4,707,399,225│ 90.3%│  44,836│ 502,811,464│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  823,917,173│  479,833,703│ 58.2%│35,836,869│ 308,246,601│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,034,127,862│ 5,187,232,928│ 86.0%│35,881,705│ 811,058,065│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H25│現年│ 5,209,108,222│ 4,694,594,119│ 90.1%│  44,259│ 514,514,103│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  811,058,065│  484,181,155│ 59.7%│37,402,330│ 289,474,580│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,020,166,287│ 5,178,775,274│ 86.0%│37,446,589│ 803,988,683│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H26│現年│ 5,270,894,265│ 4,771,966,091│ 90.5%│  24,609│ 498,903,565│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  803,988,683│  490,176,013│ 61.0%│36,937,765│ 276,874,905│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,074,882,948│ 5,262,142,104│ 86.6%│36,962,374│ 775,778,470│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │H27│現年│ 5,257,079,549│ 4,757,908,576│ 90.5%│   2,205│ 499,168,768│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │繰越│  775,778,470│  471,331,949│ 60.8%│36,958,003│ 267,488,518│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 6,032,858,019│ 5,229,240,525│ 86.7%│36,960,208│ 766,657,286│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴──────┘ 〔修正〕  一般会計に併せ出納閉鎖日5月31日にて修正すると、現年度の収納率は、 次のとおりである。収納率が8%近く上がる ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐
    │   │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │3月〆│ 90.0%│ 90.3%│ 90.1%│ 90.5%│ 90.5%│ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │5月〆│ 97.9%│ 98.1%│ 98.1%│ 98.3%│ 98.4%│ └───┴───┴───┴───┴───┴───┘ 2 監査の重点及び監査手続  下水料金は強制徴収公債権であるところ、私債権である水道料金とともにそ の債権管理業務を同一業者に委託している。性質の異なる債権であり、それに 従った取扱をしているかに重点を置いて監査を実施した。具体的な監査手続と しては、平成28年5月9日、同年7月6日、同年8月25日、同年10月19 日、同年12月12日、ヒアリングを行った。また、調査票による照会及び提出 資料の書類監査を行った。 3 納期限の定め 【事実関係】  検針及び賦課徴収は、偶数月と奇数月に分けて、隔月に行っている。  下水料金及び水道料金の収納事務につき、A社に包括的に委託しており、A 社が、毎月4日から19日までに、隔月検針を行い、各月25日前後に調定デー タを確定させ、営業課長が、決裁を行い、委託業者が、納入通知書を作成、発 送している。料金・徴収係は、委託業者からの報告をもとに、統計資料を作成 するとともに、上下水道事業部の財務会計システムに調定額等を入力している。 【事実関係】  現在の運用に基づく納期限は、以下のとおりである。 ┌─────┬───────────────────────────────┐ │     │納期限                            │ ├─────┼───────────────────────────────┤ │納入通知書│検針の翌月15日                        │ ├─────┼───────────────────────────────┤ │口座振替 │検針の翌月8日(但し、振替が行われなかった場合、納入期限を翌々│ │     │月とする。)                         │ └─────┴───────────────────────────────┘ 【規範】 下水道条例 ┌──────────────────┐ │第21条               │ │4 下水料金の納期限は、別に定める。│ └──────────────────┘ 岐阜市上下水道事業部企業会計規程 ┌────────────────────────────────────────┐ │第29条(納入通知書の発行)                           │ │2 口座振替による納付の申し出があったときは、金融機関への納入の通知をもって前項│ │ の納入通知書の発行とみなす。                         │ │第32条 納期限は、別に定めのあるもののほか、当該納入通知書を発行して10日を経過 │ │ した日以降とする。                              │ └────────────────────────────────────────┘ 【意見 営業課】  下水道条例は、下水料金の納期限を「別に定める。」としている。  岐阜市上下水道事業部企業会計規程第32条は、「納期限は、別に定めのある もののほか、当該納入通知書を発行して10日を経過した日以降とする。」と規 定している。下水料金について「別に定め」はないため、納入通知書による納 付の場合は、納入通知書を発行して10日を経過した日以降が納期限に、口座 振替の場合、金融機関への納入通知から10日を経過した日以降が納期限とな る。  現運用では、口座振替の場合、口座振替日に振替が行われなかったときには、 その1ヶ月後が再振替日とされている。この場合、金融機関への納入通知から 10日を経過した日以降であり、規程の定めに反している訳ではない。  しかし、納期限が、納入通知後発行して10日経過した日以降であればいつ でもいいとなると、1年後でも構わないことになり、不合理である。  企業会計規程第32条の納期限を、「納入通知書を発行して10日を経過した 日以降」ではなく、「納入通知書を発行して10日を経過した日」というように 限定して定めることが望ましい。 4 委託業務の範囲 【事実関係】  A社は、納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書を取得している。岐阜市 の担当職員によれば、すでに作成、発送された納入通知書を再発行するものであ るため、発行自体を委託の対象としているとのことであった。 【規範】 ┌──────────────────────────────────────────┐ │地方公営企業法                                   │ │第33条の2 管理者は、地方公営企業の業務に係る公金の徴収又は収納の事務について   │ │                        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │ は、収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めると  │ │ ころにより、私人に委託することができる。                     │ └──────────────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部検針事務等委託規程                       │ │(趣旨)                                      │ │第1条 この規程は、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第33条の2及び地方公営   │ │ 企業法施行令(昭和27年政令第403号)第26条の4の規定に基づき、岐阜市水道事業及   │ │ び下水道事業に係るメーターの検針事務(以下「検針事務」という。)、水道料金、下水 │ │                                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │ 料金、下水道事業受益者負担金等の収納事務(以下「収納事務」という。)並びに水道料 │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │ 金及び下水料金をコンビニエンスストアを介して収納する事務(以下「コンビニエンスス │ │ トア介在収納事務」という。)(以下これらを総称して「検針事務等」という。)の委託に│ │ 関し、必要な事項を定めるものとする。                       │ └──────────────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部企業会計規程                          │ │(納入通知書の再発行)                               │ │第31条 主管課長は、納入通知書を亡失し、若しくはき損した旨納入義務者から申出があ  │ │ ったとき又は納付された証券が支払拒絶された旨出納取扱金融機関若しくは収納取扱金  │ │ 融機関からの通知を受けたときは、速やかに納入通知書を再発行し、その余白に再発行  │ │ したものである旨及び再発行の日付けを記載して当該納入義務者に送付しなければなら  │ │ ない。この場合において、納期限を変更してはならない。               │
    └──────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  「『徴収の委託』とは、普通地方公共団体の歳入を調定し、納入の通知をし、 収入を受け入れる行為までの事務を委託することをいい、『収納の委託』とは、 地方公共団体において調定がなされ、更に支払通知書が発行された後、現実に 収入を受け入れることのみの委託であって、実際には収納の委託が多い」とさ れている(図解地方自治法の要点(第一法規)第4,720頁~第4,721頁)。  納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書の取得は徴収事務に該当するとこ ろ、岐阜市上下水道事業部検針事務等委託規程第1条では、「収納事務」の委 託であることを明記している。また、岐阜市上下水道事業部企業会計規程第 31条では、岐阜市上下水道事業部納入通知書の発行も再発行も、主管課長が 行うことになっており、受託業者が行うことはできないと考えられる。  したがって、納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書の取得を受託業者 に行わせるのであれば、岐阜市上下水道事業部検針事務等委託規程を改正し、 委託の対象に「徴収事務」も付加すべきである。 5 仕様書における業務対象の明示 【事実関係】  A社に対する仕様書では、下水料金と水道料金の事務を分けることなく、ひ とまとめにして委託の対象としている。 【規範】  下水料金債権と水道料金債権には、以下のような違いがある。 ┌───────┬───────────────┬────────────────┐ │       │     下水料金      │      水道料金      │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │債権の区分  │強制徴収公債権        │私債権             │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │適用法    │下水道法           │水道法             │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │適用条例   │岐阜市下水道条例       │岐阜市水道給水条例       │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │行政不服審査 │対象(教示文が必要)     │非対象             │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │納入の通知  │地方自治法第231条       │地方自治法第231条        │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │督促     │地方自治法第231条の3第1項  │地方自治法施行令第171条     │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │手数料・延滞金│地方自治法第231条の3第2項  │民法第419条第1項、商法第514  │ │       │(条例の定めるところにより徴収│条               │ │       │できる)           │(手数料は実費のみ)      │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │送達・公示送達│地方自治法第231の3第4項→地 │民法第98第2項(裁判所が公示送 │ │       │方税法第20条第4項(自治体の掲│達)              │ │       │示板に掲示)通常到達すべき時期│                │ │       │に到達したと推定       │                │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │履行延期   │地方税法第15条第4項等    │地方自治法施行令第171条の6   │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │免除     │地方税法第6条等       │地方自治施行令第171の7第1項  │ │       │               │(履行延期の特約から10年)   │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │強制徴収   │地方税法第373条等(滞納処分/ │地方自治法施行令第171の2(裁判 │ │       │督促を発した日から10日経過or │所による手続き/抵当権実行,差 │ │       │繰り上げ徴収告知日までに未納の│押え,訴訟手続き)       │ │       │場合差押え)         │                │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │給水停止   │ ─             │水道法第15条第2項       │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │履行期限の繰上│地方自治法施行令第171の3   │地方自治法施行令第171の3    │ │げ      │               │                │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │債権申出等  │地方自治法施行令第171の4   │地方自治法施行令第171の4    │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │消滅時効   │地方自治法第236第1項(5年) │民法第173条第1号(2年)    │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │時効援用   │地方自治法第236第2項(援用不 │民法第145条(援用必要)     │ │       │要)             │                │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │放棄     │地方自治法第236条第2項(放棄 │民法(放棄可能)→地方自治法第 │ │       │不可)            │96第1項第10号で議決必要    │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │時効中断   │民法第147条          │民法第147条           │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │時効中断の絶対│地方自治法第236条第4項(納入 │地方自治法第236第4項(納入通  │ │効      │通知・督促で中断)      │知・督促で中断)        │ ├───────┼───────────────┼────────────────┤ │情報収集   │国税徴収法に基づく質問,帳簿書│国税徴収法の適用無し      │ │       │類の検査,住所の照会が可能  │                │ └───────┴───────────────┴────────────────┘ 【意見 営業課】  このように、下水料金債権と水道料金債権には違いがあり、特に未収となっ た場合、その回収手続きに大きな違いが生じる。当然に債権毎に委託業務の内 容・範囲が異なってくるはずである。それにも関わらず、仕様書にて、下水料 金と水道料金を分けることなく委託することは業務の範囲を不明確にするこ とになる。  下水料金と水道料金の収納業務を同一の業者に委託する場合であっても、仕 様書において個々の委託業務について、それがどの債権に関する業務であるか を明示することが望ましい。 6 督促状の発付時期 【事実関係】  督促は、営業課長の決裁の後、A社が督促状を作成し発送している。  現在の運用による督促の実施状況は、以下のとおりである。納入通知書によ る納付者と口座振替による納付者との間で督促状の発付時期及び納期限が異 なる。 ┌─────┬──────────────┬───────┐ │     │督促状の発送        │当初の納期限 │ ├─────┼──────────────┼───────┤
    │納入通知書│検針の翌々月の最初の営業日 │検針の月15日 │ ├─────┼──────────────┼───────┤ │口座振替 │検針の3カ月後の最初の営業日│検針の翌月8日│ └─────┴──────────────┴───────┘ 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例                 │ │第2条 市長は市税以外の諸納付金を指定期限内に完納しないものがあるときは、納期限 │ │ 後20日以内に督促状を発しなければならない。                   │ │ 前項の督促状に指定すべき納付の期限は、その発付の日から15日以内とする。     │ │第3条 前条の規定により、督促状を発したときは、督促手数料並びに延滞金を徴収する。│ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  納入通知書による納付の場合、督促状の発送は、当初納期限より20日以内 になされており、上記条例に違反しない。しかし、口座振替による納付の場合、 督促状の発送は、当初納期限より50日以上遅れることとなり、条例に明白に 違反する。口座振替による納付の場合も、督促状の発送は、納期限より20日 以内に行うべきである。 7 督促状における行政不服申立ての教示 【事実関係】  下水料金と水道料金の督促を、同一の督促状で行っている。  下水料金は、「使用料」の徴収に関する処分(地方自治法第225条)であり、 不服申立の教示が必要である。督促状には、教示文の記載があったものの、「こ の督促に不服がある場合は」とされており、不服申立の対象を下水料金の滞納 に係る督促に限定していなかった(行政不服審査法の改正(不服申立期間の延 長等)に伴い、施行日平成28年4月1日以降、審査請求期間を30日から3カ 月へと変更し記載している。)。ただし、当初の納入通知書には、下水料金と特 定した教示がなされていた。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 営業課】  現在の督促状の記載では、水道料金についても不服申立てをすることができ ると、納入義務者に誤解を与えかねない。不服申立ての対象を下水料金に限ら れることを明示して、教示すべきである。 8 滞納処分 【事実関係】  下水料金については滞納処分が可能である。滞納処分を行う基準は、年度毎 に決定しており、少なくとも、平成24年度から平成27年度までの間、滞納処 分による差押えを行ったことはない。 〔平成24年度~平成27年度の滞納処分の抽出条件と状況〕 ┌──┬────────────┬────┬───────────┐ │年度│条件          │該当件数│状況         │ ├──┼────────────┼────┼───────────┤ │H24│滞納額10万円以上    │ 14件 │3件 入金有り    │ │  │認定+検針、4種等を含む│    │11件 認定のため見送り│ ├──┼────────────┼────┼───────────┤ │H25│滞納額10万円以上    │ 7件 │7件 誓約書受理   │ │  │検針のみ、4種等を除く │    │           │ ├──┼────────────┼────┼───────────┤ │H26│滞納額10万円以上    │ 6件 │4件 誓約書受理   │ │  │検針のみ、4種等を除く │    │2件 預金不足    │ ├──┼────────────┼────┼───────────┤ │H27│滞納額10万円以上    │ 3件 │2件 誓約書受理   │ │  │検針のみ、4種等を除く │    │1件 入金あり    │ └──┴────────────┴────┴───────────┘ 「認定」:計測器が無いなど、計測が困難な場合に管理者が水量を認定する(下      水道条例第21条第2項第3号) 「4種」:下水料金における区分である家事用(第1種)、学校、幼稚園、保育      所用(第2種)、公衆浴場用(第3種)、ホテル及び旅館等(第4種)      をいう(下水条例規程第16条の2) 【規範】  下水料金については、国税徴収法による質問及び検査が認められている(地 方自治法第231条の3第3項、地方税法法第298条第4項等)。  国税徴収法第141条では、滞納者の財産調査のための質問及び検査を規定し、 同法第146条の2では、官公署等への協力要請を規定している。 【意見 営業課】  上述のとおり、平成26年度においては、財産調査として預貯金の調査をし たものの「預金不足」ということで、入金も分納誓約もされていないままの滞 納者がいる。  例えば、給料を得ている場合には、勤め先の情報も入手することが可能であ り、「預金不足」ということで財産調査を終えるのではなく、調査権限がある のであるから、他の財産がないかの調査をすることが望ましい。 9 督促手数料及び延滞金の徴収 【事実関係】  現在、督促手数料の徴収は事後調定にて行っているものの、延滞金の徴収は 行われていない。延滞金を徴収していない理由は、現在の収納事務手続では、 納入通知書による納付の場合の督促状の発送が、検針月の翌々月の最初の営業 日であるのに対し、口座振替の場合は、検針日の3ヶ月後の最初の営業日であ り、1ヶ月の時間差が発生することになる。納入通知書による納付と口座振替 の場合とで公平性を欠くことになるため、延滞金を徴収していないとのことで あった。  なお、口座振替の徴収スケジュールを調整しているが、困難な状況にあり、 実施は平成29年度以降になるとのことであった。  この点、上下水道事業部が対象とされた、平成17年度岐阜市包括外部監査 において、延滞金を徴収していないことについて、意見が出されており、これ に対して、以下の措置状況が報告されている(岐阜市HPより)。 ┌────────────────────────────────────────┐ │ 市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例(昭和25年条例第28号)が一  │ │部改正され、平成26年1月から施行されたことに伴い、同条例適用債権については全庁 │ │的に延滞金を徴収することとなった。下水料金の延滞金の徴収については、部内で協議を│ │行い延滞金の徴収方法等の制度設計を決定した。現在決定した仕様に基づき、業務受託会│ │社においてシステム改修を行っており、平成27年4月賦課分から下水料金に係る延滞金 │ │の徴収を開始する予定である。(平成26年4月16日)                │ └────────────────────────────────────────┘  また、平成25年度第4回債権管理調整会議の議事録によれば、営業課は「延 滞金の徴収方法を部内で検討中。来年度から徴収予定」と報告していた。
    【規範】 延滞金について、下水道条例その他規則には規定が設けられておらず、市税 以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例が適用されている。 【指摘 営業課】  そもそも、口座振替の督促状の発付時期が納入通知書による納付の場合と比 べて、1か月以上遅れていること自体が公平性を欠いているので、延滞金の発 生時期がずれるから延滞金を徴収しないという説明は、不適切である。  納期限を徒過しても延滞金を徴収されないのであれば、納期限を守っている 者との関係でも不公平であるし、条例に反する。  さらに、債権管理調整会議での報告のみならず、外部監査の指摘に対する措 置状況の説明についても、自ら反している状態である。  平成29年度から、延滞金の徴収を実施すべきである。 10 管理人への請求 (1)管理人に対する請求 【事実関係】  営業課へのヒアリングによると、共同住宅など排水設備を共同使用する場合、 下水料金を、アパートの所有者など管理人に請求した事例はない。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │下水道条例第20条                                │ │3 第4条の管理人は、下水料金の納付については、使用者と連帯してその責を負うもの │ │ とする。                                   │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  共同住宅などにおいて、使用者が下水料金を滞納している事案については、 連帯責任を負う管理人にも、下水料金を請求することを検討すべきである。 (2)管理人の届出 【事実関係】  ヒアリングによると、管理人の届け出を受けていない共同設備が多いとのこ とだった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │下水道条例第4条 排水設備を共同使用するときは、当該設備の所有者、それを使用する者│ │ 又は前条の代理人のうちから、管理人を選定し、管理者に届け出なければならない。管理│ │ 人の変ったときも、また同じである。                       │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  営業課は、排水設備の共同使用の場合、管理人の選定及び届出を指導すべき である。 第12 下水道事業受益者負担金 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠 ア 概要  下水道事業受益者負担金とは、下水道は、自然豊かな水環境・水循環を維持 するためになくてはならない都市基盤施設であるところ、その整備により利益 を受けるのは、土地の所有者または地上権者、賃借人などの権利者に限定され る。そこで公平の観点から、公共下水道を利用することのできる地域の土地所 有者等に対し、その建設費の一部を受益者負担金として負担することを求めて いる(上下水道事業部ホームページ「下水道事業受益者負担金」参照)。受益 者負担金制度を採用していない自治体もある。 イ 受益の対象 ┌─────────────────────────────────────────┐ │受益者負担金条例                                 │ │第2条 「受益者」とは、事業により築造される公共下水道の処理区域(以下「処理区域」│ │という。)内に存する土地の所有者をいう。ただし、地上権、質権、又は使用貸借若しく │ │は賃貸借による権利(一時使用のために設定された地上権又は使用貸借若しくは賃貸借  │ │による権利を除く。以下「地上権等」という。)の目的となっている土地については、そ │ │れぞれ地上権者、質権者、使用借主又は賃借人をいう。                │ └─────────────────────────────────────────┘  駐車場のように汚水が発生しない土地や,浄化槽を設置している土地のよう に,当面下水道を必要としない土地の権利者等も受益者負担金の対象となる。 ウ 負担金(岐阜都市計画下水道事業受益者負担金に関する条例第5条) 受益者が負担する負担金の額は,以下のとおりである(別表/第5条関係) ┌─────┬──────────┬─────────────────────┐ │負担区名称│1m2当たりの負担金額│         備考          │ ├─────┼──────────┼─────────────────────┤ │第1負担区│        50円│中部、北部及び南部処理区         │ ├─────┼──────────┼─────────────────────┤ │第2負担区│        150円│東部第1、東部第2、芥見及び日置江処理分区 │ ├─────┼──────────┼─────────────────────┤ │第3負担区│        230円│北西部処理区及び北東部処理分区      │ ├─────┼──────────┼─────────────────────┤ │第4負担区│        420円│柳津東、柳津西、佐波及び高桑処理分区   │ ├─────┼──────────┼─────────────────────┤ │第5負担区│          │市街化調整区域(市長が定める区域をいう。た│ │     │        250円│だし、第1負担区から第4負担区までに含まれ │ │     │          │る区域を除く。)             │ └─────┴──────────┴─────────────────────┘ エ 関連根拠 ・下水道法 ・都市計画法 ・地方公営企業法、同施行令 ・岐阜市下水道条例・同施行規則 ・岐阜都市計画下水道事業受益者負担に関する条例(以下「負担金条例」とい う)・同施行規程 ・岐阜市上下水道事業部債権管理規程 ・岐阜市上下水道事業部企業会計規程 (2)債権の性質  強制徴収公債権  都市計画法第75条により徴収を認められ、同条第5項により滞納処分によ る徴収を認められている。
    (3)所管課  上下水道事業部 営業課 負担金係4名 (4)事務手続の流れ  受益者負担金の徴収の流れは以下のとおりである。  負担金は、5年に分割して徴収するものとされているが、調定は徴収年度ご とに行っている。水道料金や下水料金と異なり、負担金条例及び同条例施行規 程にて別の納期が定められている。 ┌───────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部企業会計規程                       │ │第32条 納期限は、別に定めのあるもののほか、当該納入通知書を発行して10日を経過│ │ した日以降とする。                             │ └───────────────────────────────────────┘ ┌────────────────────────────────────────┐ │負担金条例                                   │ │第8条(第1項ないし第3項略)                         │ │4 負担金は、5年に分割して徴収するものとする。ただし、受益者が一括納付の申出を│ │ したときはこの限りでない                           │ │条例施行規程                                  │ │第6条 条例第8条第4項に規定する負担金の徴収は、1年を更に4期に区分して行うも │ │ のとし、その納期は次に掲げるところによる。ただし、管理者において特に必要と認め│ │ た場合は、これを変更することができる。                    │ │第1期 7月1日から同月31日まで                        │ │第2期 9月1日から同月30日まで                        │ │第3期 12月1日から同月25日まで                        │ │第4期 翌年3月1日から同月31日まで                       │ └────────────────────────────────────────┘ (5)直近5年度のデータ 〔本来〕  下水料金の項でも述べたが、公営企業会計における本来のデータは次のとお りである(ただし、公営企業においては繰越調定が行われておらず、繰越の調 定額欄は、前年度までの未収金の総額となる。)。                             (単位:円/税込) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │     │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 77,743,286│ 70,957,336│ 91.3%│     0│ 6,785,950│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 66,456,377│  5,888,000│ 8.9%│13,449,406│47,118,971│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 144,199,663│ 76,845,336│ 53.3%│13,449,406│53,904,921│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│ 85,153,365│ 80,242,586│ 94.2%│     0│ 4,910,779│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 53,904,921│  3,322,707│ 6.2%│15,807,478│34,774,736│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 139,058,286│ 83,565,293│ 60.1%│15,807,478│39,685,515│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25│現年│ 67,857,145│ 63,531,864│ 93.6%│     0│ 4,325,281│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 39,685,515│  3,412,007│ 8.6%│14,764,153│21,509,355│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 107,542,660│ 66,943,871│ 62.2%│14,764,153│25,834,636│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│ 106,540,027│ 101,935,337│ 95.7%│     0│ 4,604,690│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 25,834,636│  2,448,641│ 9.5%│ 8,328,075│15,057,920│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 132,374,663│ 104,383,978│ 78.9%│ 8,328,075│19,662,610│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│ 119,269,002│ 113,915,645│ 95.5%│     0│ 5,353,357│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 19,662,610│  2,905,853│ 14.7%│ 5,474,708│11,282,049│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 138,931,612│ 116,821,498│ 84.1%│ 5,474,708│16,635,406│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 〔修正〕 下水料金の項でも述べたが、修正した現年度の収納率は次のとおりである。 ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │   │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │3月〆│ 91.3%│ 94.2%│ 93.6%│ 95.7%│ 95.5%│ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │5月〆│ 93.7%│96.1&%│ 95.6%│ 97.3%│ 97.3%│ └───┴───┴───┴───┴───┴───┘  賦課年度別の賦課決定時の受益者数及び賦課年度末時点での負担金額の合 計は、以下のとおりであり、受益者一人当たりの負担金の平均額は、約6万円 から7万円超となる。 ┌────┬────────┬────────┬───┐ │賦課年度│1)受益者数(人)│2)負担金額(円)│2)/1)│ ├────┼────────┼────────┼───┤ │ H23  │      1,314│   78,274,023│59,569│ ├────┼────────┼────────┼───┤ │ H24  │      1,414│   93,919,605│66,421│ ├────┼────────┼────────┼───┤ │ H25  │      1,176│   69,836,345│59,385│ ├────┼────────┼────────┼───┤ │ H26  │      1,656│   112,334,640│67,835│ ├────┼────────┼────────┼───┤ │ H27  │      1,606│   117,341,369│73,064│ └────┴────────┴────────┴───┘ 2 監査の重点及び監査手続
     下水料金及び水道料金と異なり、債権管理にあたり委託をせず、営業課が自 ら徴収等をしている。徴収するかどうかは各自治体の判断に委ねられているこ とから、徴収に対する意識や徴収等の基準についての意識が薄いのではなかと 考え、監査の重点とした。平成28年5月9日、同年7月6日、同年8月25 日、同年10月19日、同年12月12日、ヒアリングを行った。また、調査票に よる照会及び提出資料の書類監査を行った。 3 滞納処分 【事実関係】  事業所の倒産等による交付要求以外に、滞納処分は行われていない。  ヒアリングによると、「一般的に受益者負担金制度は、公道に下水道が布設 されれば、空き地や駐車場等を含め下水道の利用の有無に関係なく賦課される など受益者には理解されにくい面があること、多くの滞納者は、その滞納額が 比較的少額(合計5万円超程度)であること、不動産は所有しているものの、 年金収入しかなく生活が困窮している人など、滞納処分に馴染まない場合があ る。そのため、受益者の理解を得るための説明を行いながら督促、催告、臨戸 徴収等を行っているため、滞納処分は行っていない。」とのことであった。ま た、「賦課のための業務(公簿調査、現況調査、土地所有者特定のための調査) や受益者負担金制度の問合せ・苦情に多くの時間と労力を割かれるため、受益 者負担金の徴収にまで手が回らない。」とのことであった。  なお、負担金条例においては負担金減免の制度がある。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │負担金条例                                    │ │第10条 国又は地方公共団体が公共の用に供している土地については、負担金を徴収しな │ │ いものとする。                                 │ │2 市長は、次の各号の一に該当する受益者の負担金を減免することができる。     │ │(1) 国又は地方公共団体が公用に供し、又は供することを予定している土地に係る受益者│ │(2) 国又は地方公共団体がその企業の用に供している土地に係る受益者        │ │(3) 国又は地方公共団体が公共の用に供することを予定している土地に係る受益者   │ │(4) 公の生活扶助を受けている受益者その他これに準ずる特別の事情があると認められ │ │  る受益者                                   │ │(5) 前各号に掲げる受益者のほか、その状況により特に負担金を減免する必要があると認│ │  められる土地に係る受益者                           │ └─────────────────────────────────────────┘  施行規程第14条の別表3において、減免基準の各事由についての具体例及 び減免率が定められている。  平成25年度ないし平成27年度の負担金の減免の件数、金額は以下のとおり である。減免事由は、公簿(登記)の確認と現地調査を行い確認している。 ┌─────────┬──────────┬──────────┬──────────┐ │   年度    │    H25     │    H26     │    H27     │ ├─────────┼──┬───────┼──┬───────┼──┬───────┤ │  減免事由   │件数│減免金額(円)│件数│減免金額(円)│件数│減免金額(円)│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │1)公衆道路等予定地│ 23│    710,072│ 41│    196,690│ 26│   1,132,175│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │2)学校用地    │  1│    25,725│  0│       0│  0│       0│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │2)一般庁舎    │ 11│   3,890,565│  0│       0│ 26│   3,339,204│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │2)消防施設    │  1│    75,900│  2│    125,940│  0│       0│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │2)図書館・公民館等│  1│    132,930│  1│    26,062│  0│       0│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │3)国や地方公共団体│  0│       0│  1│    13,587│  0│       0│ │の企業用財産   │  │       │  │       │  │       │ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │4)生活保護受給者 │  1│    82,340│  1│    47,621│  0│       0│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)社会福祉法人の施│  4│    763,282│  4│    173,437│  5│    394,537│ │設        │  │       │  │       │  │       │ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)墓地等     │  3│    360,180│  1│    20,355│  0│       0│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)宗教法人の境内地│  4│    687,324│ 10│    959,217│ 22│   1,956,457│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)自治会公民館  │  2│2    20,942│  7│    455,173│ 17│   1,491,924│ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)公共性のある水 │ 39│    746,557│ 88│   1,450,520│ 57│    939,617│ │路、私道     │  │       │  │       │  │       │ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │6)特別高圧架空電線│ 19│   1,541,462│  5│    88,051│  8│    37,061│ │下の用地等    │  │       │  │       │  │       │ ├─────────┼──┼───────┼──┼───────┼──┼───────┤ │合計       │ 109│   9,237,279│ 161│   3,556,653│ 161│   9,290,975│ └─────────┴──┴───────┴──┴───────┴──┴───────┘ 【規範】 都市計画法75条 ┌────────────────────────────────────────┐ │5 第三項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額 │ │ を納付しない場合においては、国等は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負│ │ 担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特│ │ 権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。                 │ │6 延滞金は、負担金に先だつものとする。                    │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  負担金制度の理解がなされないこと自体は、滞納処分を行わない理由にはな らない。  また、生活困窮者については、公の生活扶助を受けている受益者その他これ に準ずる特別の事情があると認められる受益者に対しては、上記のとおり、減 免が認められ可能性があるのであるから(負担金条例第10条第2項第4号、 該当する者には、減免の申請(施行規程第14条)を促すことが考えられる。  受益者負担金の徴収には、滞納処分が認められており、広い調査権があるの であるから(国税徴収法第141条)、滞納者の財産につき調査をし、徴収可能 性がある場合には、公平の観点から、滞納処分を積極的に行うべきである。 【意見 営業課】  現在、受益者負担金の滞納整理のためのマニュアルは存在していない。
     限られた人員で効率よく債権の管理・徴収を行うため、マニュアルを整備す ることが望ましい。 4 督促手数料の徴収根拠 【事実関係】  各納期月の翌月20日ころ、督促を行い、督促状1通につき、100円の督促 手数料を事後調定にて徴収している。営業課担当によれば、市税以外の諸納付 金の督促手数料及び延滞金徴収条例に則って、督促手数料の徴収を行っている とのことである。  平成27年度の調定及び収入額は、111,300円であるところ、督促件数は、 以下のとおり合計1,761件である。 ┌─────────┬────┐ │    期    │件 数 │ ├─────────┼────┤ │ 第1期(7.1~31)│  500件│ ├─────────┼────┤ │ 第2期(9.1~31)│  439件│ ├─────────┼────┤ │第3期(12.1~25)│  408件│ ├─────────┼────┤ │ 第4期(3.1~31)│  414件│ ├─────────┼────┤ │  合  計   │ 1,761件│ └─────────┴────┘ 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │都市計画法                                    │ │第75条                                      │ │3 前2項の規定による受益者負担金を納付しない者があるときは、国、都道府県又は市 │ │ 町村は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない      │ │4 前項の場合においては、国等は、政令(都道府県又は市町村にあつては、条例)で定 │ │ めるところにより、年14.5パーセントの割合を乗じて計算した額をこえない範囲内の延 │ │ 滞金を徴収することができる。                          │ ├─────────────────────────────────────────┤ │市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例                 │ │第1条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第231条の3第2項の規定により、市税以外  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ の諸納付金を指定期限内に納付しないものがあるときは、別に定める場合のほか、この │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │ │ 条例の定めるところにより督促手数料及び延滞金を徴収する。            │ ├─────────────────────────────────────────┤ │負担金条例                                    │ │第15条 市長は、第8条第3項の納付期日までに負担金を納付しない者があるときは、当 │ │ 該負担金額(1,000円未満の端数があるとき、又はその全額が2,000円未満であるときは、│ │ その端数金額又はその全額を切り捨てる。)にその納付期日の翌日から納付の日までの │ │ 期間の日数に応じ年14.5パーセント(当該納付期日の翌日から1月を経過する日までの  │ │ 期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金額  │ │ を加算して徴収するものとする。ただし、延滞金の確定金額に100円未満の端数がある  │ │ とき、又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨  │ │ てる。                                     │ └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 営業課】  都市計画法には、督促手続について規定されているが、督促手数料について の規定はない。負担金条例には、督促に関する規定がない。  この点、道路占有料及び保育所保育料の督促手数料の例につき、以下の質疑 応答がなされている(「地方財務提要」(ぎょうせい)第2911頁2,3)。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │問 道路法39条及び第37条により、督促手数料及び延滞金については条例事項とされて  │ │ いるが、本市の道路占用料条例にはこのことが規定されていない。しかし、税外収入の │ │ 督促手数料及び延滞金条例が別に制定されている場合において、           │ │1) 占用料条例中に規定されていないので、督促手数料及び延滞金は徴収できないと解す │ │ べきか                                     │ │2) 行政実例(昭27・7・2)では、道路法第39条の規定による道路占用料については、  │ │ 自治法の適用があると解されているので、占用条例に規定がない場合にも、税外収入の │ │ 督促手数料及び延滞金条例の規定により徴収できると解すべきか。          │ │                                         │ │答 質問からは、税外収入の督促手数料及び延滞金条例の内容がどのような収入に適用さ │ │ れるか明らかではありませんが、当該条例が自治法第231条の3第2項の督促手数料及  │ │                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │ び延滞金に関する条例として、使用料一般に適用されるものであれば、質問で引用され │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                              │ │ ている行政実例からも明らかなように、道路占用料も自治法第225条に規定する使用料  │ │ の一種ですから、当該条例により督促手数料及び延滞金を徴収できると考えられますの │ │ で、2)の解釈が適当でしょう。                          │ │地方財務提要 ぎょうせい 2911・2、3                       │ └─────────────────────────────────────────┘  この回答は、地方自治法第231条の3第1項第2項の適用があることを前提 としているが、同条の解説に、次の説明がなされている。  「六 本条は、他の個々の法令において規定するものであつても、普通地方 公共団体の歳入である限り、一般規定として総則的に適用があるものである。 ただし、道路法第73条、海岸法第35条等のように他の個々の法令において、 本条第1項の督促手続きをはじめその他を規定している場合には、もはや本条 の適用はなく、個々の法令の当該規定が適用されることとなる。」(「逐条地方自 治法第8次改訂版」835頁 松本英昭 著 学陽書房)。  この点、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例は、地方自治 法第231条の3第1項2項の適用がある債権につき規定しているが、受益者負 担金については、都市計画法第75条において、督促手続きその他を規定してお り、かかる解説に従えば、地方自治法第231条の3の適用が無いことになる。  そして、同様の理由により、地方自治法第231条の3第2項の規定に基づく 市税以外の諸納付金につき定める「市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞 金徴収条例」の適用がないとも解される。  上記解釈によれば、督促手続きについては、都市計画法第75条第3項が根 拠となるが、督促手数料徴収については根拠がないことになる。  また、負担金条例第15条では延滞金の規定につき、市税以外の諸納付金の 督促手数料及び延滞金徴収条例とは別の定めとしている。岐阜市の解釈では督 促手数料と延滞金の徴収規定が異なることとなってしまう。  このように、受益者負担金については、地方自治法第231条の3の適用につ
    いては疑義がある上、延滞金の根拠規定が負担金条例に定められていることか らしても、明確性の見地から、負担金条例に、督促手数料も含め、督促に関す る規定を設けることが望ましい。また、地方自治法第231条の3の適用が無い とすると、書類の送達及び公示送達について定める同条第4項についても疑義 が生じかねないことから、書類の送達及び公示送達についても、負担金条例で 定めることが望ましい。 5 延滞金の徴収 【事実関係】  延滞金を徴収した事例はない。  ヒアリングによると、平成25年度に負担金システムを改修し、平成26年度 以降の賦課分から収納が可能となっているとのことである。 【規範】  都市計画法第75条第4項では、条例により延滞金を徴収することができる 旨を規定し、岐阜都市計画下水道事業受益者負担に関する条例第15条におい て、延滞金の利率を定めている。 【指摘 営業課】  負担金条例が、「延滞金額を加算して徴収するものとする」と規定している 以上、延滞金を徴収すべきである。 6 徴収猶予 【事実関係】  農地である場合など一定の要件を満たした場合には、徴収を猶予することが できる。  平成23年度ないし平成27年度の徴収猶予の利用者数及び金額、猶予の理由 は以下のとおりである。猶予事由は、公簿(登記)の確認と現地調査を行い確 認している。  その後、毎年、農業委員会から農地転用の届出のデータをもらい、農地転用 が行われたかを確認している。 ┌──┬───────┬─────┬─────┐ │年度│利用者数(人)│金額(円)│猶予の理由│ ├──┼───────┼─────┼─────┤ │H23 │      118│18,479,064│全て農地 │ ├──┼───────┼─────┼─────┤ │H24 │      229│49,328,120│全て農地 │ ├──┼───────┼─────┼─────┤ │H25 │      155│27,045,455│全て農地 │ ├──┼───────┼─────┼─────┤ │H26 │      131│29,274,581│全て農地 │ ├──┼───────┼─────┼─────┤ │H27 │      184│44,454,953│全て農地 │ └──┴───────┴─────┴─────┘  岐阜市においては、ここ5年間、徴収猶予の理由はいずれも農地である。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │負担金条例                                   │ │第9条 市長は、次の各号の一に該当する場合においては、負担金の徴収を猶予すること│ │ ができる。                                  │ │(1) 受益者が当該負担金を納付することが困難であり、かつ、現に所有し、又は地上権│ │ 等を有する土地等の状況により、徴収を猶予することが徴収上有利であると認められる│ │ とき。                                    │ │(2) 受益者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、受益者が当該負担金│ │ を納付することが困難であるため、徴収を猶予することがやむを得ないと認められると│ │ き。                                     │ └────────────────────────────────────────┘  徴収猶予の具体的な基準は、条例施行規程第12条第2項の別表2で定めら れている。 ┌────────────┬─────────┬────┬─────────────┐ │   徴収猶予項目   │   基準    │猶予期間│     摘要      │ ├────────────┼─────────┼────┼─────────────┤ │震災及び風水害の場合  │ 3割以上の被害 │1年以内│地方公共団体で罹災証   │ │            ├─────────┼────┤明書の取得できるもの   │ │            │ 6割以上の被害 │2年以内│             │ ├────────────┼─────────┼────┼─────────────┤ │火災の場合       │ 3割以上の焼失 │1年以内│消防署で罹災証明書の   │ │            ├─────────┼────┤取得できるもの      │ │            │ 6割以上の焼失 │2年以内│             │ ├────────────┼─────────┼────┼─────────────┤ │盗難にあった場合(金額で│ 300,000円以上  │1年以内│警察署で盗難証明書の   │ │時価評価)       ├─────────┼────┤取得できるもの      │ │            │ 600,000円以上  │2年以内│             │ ├────────────┼─────────┼────┼─────────────┤ │受益者または受益者と生 │1年以上の療養期間│1年以内│医師の証明書が取得で   │ │計を一にする親族が病気 ├─────────┼────┤きるもの         │ │にかかりまた負傷したと │3年以上の療養期間│2年以内│             │ │き           │         │    │             │ ├────────────┼─────────┴────┴─────────────┤ │その他         │市長が特に必要と認めたときは、その都度市長が決定する。 │ ├────────────┴────────────────────────────┤ │ 上記の事由に基づき猶予期間を定めた場合は、猶予事由が発生した時点から期間を算定 │ │するものとする。                                 │ ├────────────┬────────────────────────────┤ │農地の場合       │(1) 受益者からの申請により農地転用まで徴収を猶予する。 │ │            │    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │ │            │ ただし、農地転用された場合は、転用された翌年度から5  │ │            │ か年以内に分割又は一括納付の方法により徴収する。   │ │            │(2) 前号の規定にかかわらず、当該区域の市街化が著しい場 │ │            │ 合においては、この限りでない。            │ └────────────┴────────────────────────────┘ 【意見 営業課】  農地の場合のみ、具体的な年数など猶予期間の定めがない。  猶予期間中は徴収権の消滅時効は中断していると解されているが、猶予期間 の定めがないと、猶予期間中に農地転用がなされた場合、適切な時期に徴収す ることができなくなる恐れがある。  徴収猶予の申請書の様式には、徴収猶予申請期間の欄が設けられており、徴 収猶予期間を設けることが予定されている。  適切な時期に徴収するためにも、農地の場合にも、具体的な年数など猶予期 間を定めることが望ましい。
    第13 不正利得返還金(介護保険課) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  市町村は、不正な行為によって保険給付を受けた者に対して、保険給付額の 全部または一部を徴収することができる(介護保険法第22条)。  医師または歯科医師が診断書へ虚偽の記載をしたことによって保険給付が 行われた場合には、市町村は、その医師または歯科医師に対して徴収金の連帯 納付を求めることができる(介護保険法第22条第2項)。  市町村は、サービス事業所・施設が不正な行為によって、介護給付費の支払 いを受けた時には、支払額の返還を求めるほか、返還額の4割の額を支払わせ ることができる(介護保険法第22条第3項)。  本監査では、実際に事例があった介護保険法第22条第3項の不正利得の事 案について取り上げる。 (2)債権の性質  強制徴収公債権  介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律(平成20年法律第42号) 等が、平成21年5月1日施行されたことにより、非強制徴収公債権であった 本債権が、強制徴収公債権となった。介護保険法第22条において、「徴収する ことができる」と規定し、介護保険法第144条において、「市町村が徴収する 保険料その他この法律の規定による徴収金は、地方自治法第231条の3第3項 に規定する法律で定める歳入とする」と規定されている。地方自治法第231 条の3第3項により、地方税法における手続と同様に、滞納処分や国税徴収法 に基づく調査をすることができる。 (3)所管課  福祉部 介護保険課 返還金2名、財務会計システム1名、督促等1名 (4)事務手続の流れ  ある事業者が提供していない事業に対する給付をもらった場合、岐阜市が9 割ないし8割の返還を受けて、利用者に返還する1割ないし2割は、直接、利 用者に返還される。実際には提供されていないサービスに対する介護給付費の 請求や算定要件を満たしていない加算の請求がなされたため、返還請求をする 事例がある。  岐阜市は中核市であるため、岐阜市内の事業所に対して、指定権者として実 地指導を実施する。市外は、県が指定権者として実地指導を実施する。  岐阜市や岐阜県が実地指導を行った際に、不正利得が発覚する事案が多い。  その後の監査により、訪問介護計画の作成等一連の手続きを行っていない、 備えられるべき施設設備がない、勤務状況も報告と異なることなどの状況が発 覚した事案がある。  その場合、指定事業者は、指定の取消処分を受けるとともに、訪問介護計画 の作成等一連の手続を行っていなかった事業を行っていた期間の給付額の返 還の請求をされることになる。  介護扶助費(生活保護費)が不正請求に含まれている場合は、介護保険課と 生活福祉課で協議して方針を決め、決裁をとる。  金額が多額の場合は、返還者から返還予定を出させて確認し、返還予定額を 作成する。返還期間が、長期に渡ることもある。  最初に、全額、返還金額を調定するが、返還があるごとにその分を減額して、 減額後の金額を再度調定する。  返還すべき介護給付費と加算金が入金され、延滞金は入金時に計算して調定 することになる(事後調定)。  現年度の介護サービス費については、戻入手続を取り、過年度については、 調定をしている。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │     │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23│現年│ 3,180,769│ 3,180,769│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,180,769│ 3,180,769│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│  870,685│  221,918│ 25.5%│     0│  648,767│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  870,685│  221,918│ 25.5%│     0│  648,767│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25│現年│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  648,767│  72,000│ 11.1%│     0│  576,767│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  648,767│  72,000│ 11.1%│     0│  576,767│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│11,060,393│  663,234│ 6.0%│     0│10,397,159│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  576,767│  475,400│ 82.4%│     0│  101,367│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│11,637,160│ 1,138,634│ 9.8%│     0│10,498,526│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│10,498,526│ 1,345,967│ 12.8%│     0│ 9,152,559│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│10,498,526│ 1,345,967│ 12.8%│     0│ 9,152,559│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  不正受給返還金については、法改正により、非強制徴収公債権から強制徴収 公債権に性質が変更された債権である。しかし、調査票の回答からは、非強制 徴収公債権と位置づけているなどの点もあったことから、強制徴収公債権とし て、事務手続が、統一的に整理されているかを重点に監査をした。  具体的には、平成28年8月17日、同年9月20日、同年12月7日、同年 12月20日、平成29年1月25日に、監査室及び介護保険課において、介護保
    険課の担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。 その他に、メール等で照会し、回答を得た。 3 不正利得を防止するための措置 【事実関係】  1年に1回全事業所対象に集団指導講習会を実施する。  指導監査の結果、不適正な給付の事例等を周知している。  2年~3年に1回、苦情が多い等問題があると思われる事業所については、 それ以上の頻度で、実地指導を実施して、誤った請求等を指摘する。  このような措置を通じて、不正請求を未然に防ぎ、監視しようとしている。 4 滞納処分 【事実関係】  不正利得返還金を請求する事案で、支払の意思を示したにもかかわらず全く 支払をしない事業者が1件あり、その案件については、消滅時効が間近に迫っ ているとのことである。  ヒアリングによると、滞納処分は、実施したことがない。入所入居施設にお いて、滞納処分が原因で事業継続が困難になり、入居者保護に欠ける場合が出 てくるため、滞納処分を実行することが難しいとのことである。 【規範】  介護保険法第22条第3項、同法第144条において、不正利得返還金は、地 方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第 231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分することができるとす る。 【指摘 介護保険課】  上記の案件を含め、不正利得返還金を請求する事案については、不正利得を 認めないためにも、安易に、消滅時効による不納欠損は避けるべきである。  一律、滞納処分を実施しないのは避けるべきであり、入居者等の保護の観点 からも問題が少ない場合については、滞納処分をすべきである。 5 納付相談 【事実関係】  納付相談時に、収入、借入金、健康状態などを聴取している。納付相談用の 書式(添付資料を求める形など)はない。  ヒアリングによると、岐阜市に限らず、不正利得については回収のマニュア ルもなく、納付相談などについても手探りの状態であることから、納付相談の 書式を定めにくいとのことである。 【意見 介護保険課】  法人の役員、法人の決算関係、保証人となるべき取締役の収入、借入金、健 康状態、家計収支、同居の親族等、必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納 付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作成することが望ましい。 6 分納誓約書 【事実関係】  平成23年度以降3件の不正利得事案が発生しているが、3件とも、一括払 いが困難であることから、分納誓約書を取得している。  しかし、分納誓約書には、分割払いの誓約に違反した場合、滞納処分をすぐ に実行されても異議を申し立てない旨の条項を入れていない。 【意見 介護保険課】  分納誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分について異議を申し立てな い旨の条項を入れることが望ましい。当該条項を入れることにより、債務者が 滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できるからである。  国保・年金課の書式が参考となる。 【事実関係】  分納誓約書には、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用の同意条項 が記載されていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 介護保険課】  分納誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用についての同 意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が容易となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できるからである。 7 保証人 【事実関係】  法人事業者が不正に介護給付費を受給していた不正利得の案件3件のうち、 2件については、法人の取締役等から、保証人を徴求していない。1件は、取 締役2名から、「連帯して」、「必ず返還することを確約」させている。  保証人を徴求しなかった事案のうち1件は、全く支払をしていない。 【規範】  地方税法第16条第1項では、徴収の猶予、換価の猶予をする場合、市長が 確実と認める保証人の保証などの担保を徴すると規定している。  また、地方自治法施行令第171条の4第2項では、債権を保全するため必要 があると認めるときは、保証人の保証を含む担保の提供を求めるなどの必要な 措置をとらなければならないと規定している。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  法人の不正請求事案であり、法人が破産等した場合、回収できなくなる。  不正請求の事案については、代表取締役等も保証人となるよう、「確約書」 など提出させるべきである。  この点、平成26年8月11日の時から、法人の取締役等から「連帯」保証人 を徴求していることから、改善報告とする。 8 督促手数料及び延滞金の充当 【事実関係】  不正利得返還金及び加算金(介護保険法第22条)は、民法上の不当利得(民 法第704条)の特則であることから、民法の規定に従い、督促手数料、延滞金、 元金の順に、充当している。 【規範】  介護保険法第22条第3項、同法第144条、地方自治法第231条の3第3項 で準用する地方税法第14条の5第1項では、「地方団体の徴収金を滞納処分の 例により徴収する場合において、当該地方団体の徴収金に配当された金銭を地 方税及び当該地方税の延滞金、過少申告加算金、不申告加算金又は重加算金に
    充てるべきときは、その金銭は、まず地方税に充てるものとする。」と規定さ れている。  また、地方税法第20条の9の4第2項では、「納税者又は特別徴収義務者が 延滞金をその額の計算の基礎となる地方税に加算して納付し、又は納入すべき 場合において、納税者又は特別徴収義務者が納付し、又は納入した金額がその 延滞金の額の計算の基礎となる地方税の額に達するまでは、その納付し、又は 納入した金額は、まずその計算の基礎となる地方税に充てられたものとする。」 と規定されている。 【指摘 介護保険課】  督促手数料、延滞金、元金(不正利得返還金及び加算金)の順番に充当して いるが、誤りである。  不正利得返還金を延滞金よりも先に充当すべきである。 9 行政不服申立ての教示 【事実関係】  「居宅介護サービス費の不正利得に関する徴収額通知書」、「居宅介護サービ ス費及び介護予防サービス費の不正利得に関する徴収額通知書」においては、 不服審査の教示をしている。  しかし、「介護給付費の返還請求(勧告)」や「督促状」には、行政不服申立 ての教示文が記載されていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  強制徴収公債権であるため、督促も行政処分となると解される(使用料の納 入通知については東京高裁平成24年7月24日判決参照。督促については、地 方自治法第231条の3第5項以下に特則あり)。  督促状において、行政不服申立ての教示文を明記すべきである。  ヒアリングによると、平成28年3月25日に、岐阜市債権取扱規則における 督促状の書式が改訂されたことから、現在では、行政不服申立ての教示文が記 載されているため、改善報告とする。 10 情報共有 (1)税務情報の共有 【事実関係】  介護保険課は、滞納処分を検討していないためか、納税課を含む強制徴収公 債権担当課から、滞納者の税務情報を取得したことはない。  なお、平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号に基 づき、税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、折衝経過(納 付状況・滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先情報(名称・所在地)を 照会し、利用目的以外に利用するとして、国保・年金課が取得している。 【規範】  介護保険法第144条では、介護保険料について、地方自治法第231条の3第 3項に規定する法律で定める歳入とし、地方自治法第231条の3第3項は、地 方税の滞納処分の例により処分することができるとする。地方税法第331条第 6項等は、国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとしているため、介護保 険料については、国税徴収法141条(質問及び調査)などの適用がある。  平成19年3月27日総務省自治税務局企画課長通知総税企第55号では、「国 民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる (国民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、 国税徴収法第141条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質 問及び検査への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関 係において秘密ではないと考えられ、地方税法第22条に定める守秘義務に関 し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利 用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納処分の 例によると規定されているものについても同様と考えられますので、参考とし ていただきたい。」と解説されている。 【指摘 介護保険課】  強制徴収公債権の担当課間であれば、平成19年3月27日付総税企第55号 通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有することは可能であると考 えられる。  今後は、上記総務省通知に基づき、各強制徴収公債権の担当課の間において、 滞納者の税務情報を共有すべきである。  なお、岐阜市個人情報保護審議会の答申まで求める必要があるのか不明であ るが、国保・年金課の対応に合わせて、岐阜市個人情報保護審議会の答申を求 めることを否定するものではない。 (2)官報情報の共有 【事実関係】  破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認していない。  法律事務所から破産などの連絡があった場合に、債権の申出をしている。 【規範】  介護保険法第144条では、不正利得の返還金(介護保険法第22条第3項) について、地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とし、 地方自治法第231条の3第3項は、地方税の滞納処分の例により処分すること ができるとする。地方税法第331条第6項等は、国税徴収法に規定する滞納処 分の例によるとしており、国税徴収法第82条では、交付要求の手続きを定め ている。  地方自治法施行令第171条の4では、債権の申出を規定している。 【指摘 介護保険課】  平成28年9月1日より、介護保険課の保険料担当者において、納税課より、 官報公告の情報について提供を受けているから、介護保険課内において、官報 公告の情報を共有すべきである。 (3)国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、介護保険課の職員であれば、強制徴収公債権の担当者以外の者 も、経過記録を見ることができる。そのため、経過記録に、国税徴収法第141 条等に基づく調査結果が記載される場合、第三者行為求償事務担当者など強制 徴収公債権である保険料担当者以外でも、調査結果を閲覧することができてし まう状態となっている。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。 【指摘 介護保険課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、介護保険課では、不正利得返還金の場合においても、国税徴 収法第141条等に基づく調査結果を、経過記録とは別に記載する書式はない。
     国税徴収法第141条等の調査に基づいて取得した調査情報(納付原簿や滞納 者との折衝記録ではない。)については、第三者行為求償事務担当者など強制 徴収公債権担当者以外の者が閲覧できないようにするため、経過記録とは別の 書式で管理すべきである。 11 債権管理簿 【事実関係】  岐阜市債権取扱規則にある債権管理簿は、用いていない。  3件しかないことから、債権管理簿を設けていない。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第20条では、規則の書式を用いて、債権管理簿を整備 すべきことを規定している。 【指摘 介護保険課】  今後、件数が増加して把握しにくくなる可能性もあること、債権取扱規則の 規定から、介護保険課は,債権管理簿を作成すべきである。 12 管理マニュアル 【事実関係】  不正利得については、決裁により内容を確認し、4割の加算金を賦課するか どうかを含め、個別案件ごとに対応している。過去5年間においても、事例が 3件しかないことから、個別判断をしており、管理マニュアルはない。 【意見 介護保険課】  不正利得返還金を請求する判断において、処理手順や判断にバラツキが出な いようにすることが必要である。  過去5年間に発生した3件の不正利得事案の処理を参考にして、管理マニュ アルを作成することが望ましい。 13 ケース会議の議事録 【事実関係】  課内でケース会議を開いて、組織的意思決定をし、その結果を記録している。 しかし、特に、書式は定まっていない。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条では、「事務の処理は文書によって行うことを原 則とする。」と規定している。 【指摘 介護保険課】  ケース会議の議事録の書式を作成し、必要な情報が漏れなく議論でき、漏れ なく記録できるようにすべきである。 第4章 非強制徴収公債権 第1 本章の概要  本章では、岐阜市の非強制徴収公債権を報告する。  1)生活保護費返還金、2)老人保護措置費負担金、3)児童扶養手当返還金・子 ども手当返還金・児童手当返還金、4)住宅使用料・施設使用料・駐車場使用料、 5)レンタサイクル使用料、6)し尿処理手数料、7)中央卸売市場施設使用料(水 道、電気使用料を除く)、8)国保資格喪失後受診返還金、9)福祉医療費助成金 返還金、10)岐阜市立女子短期大学授業料、11)岐阜薬科大学授業料、12)職員駐車 場使用料(第二恵光、第三恵光)の合計12の債権に分類している。  これらの債権中、岐阜市債権管理調整会議で取扱債権として挙げられている 債権は、1)から7)である。  8)から11)の債権については、平成27年度に未収金が存在した債権であるこ とから取り上げた。  12)の債権については、平成27年度そもそも使用料が徴収されておらず(調 定がなされていない)、債権として把握されていなかった債権である。  非強制徴収公債権の回収措置については、基本的には私債権と同様である。  しかしながら、公債権であることから、市税以外の諸納付金の督促手数料及 び延滞金徴収条例が原則適用され、督促手数料及び延滞金の徴収が義務づけら れている。そこで、これらの徴収行為が適切になされているかという点に特に 留意した。  また、消滅時効の期間は5年であり、債務者の援用なしに債権は消滅する(地 方自治法第236条第1項、第2項)。岐阜市債権管理条例第6条に規定する債 権放棄を経ずとも、5年が経過すれば不納欠損されることとなる。  不納欠損に至るまでの措置が適切になされているのか見えにくい部分があ り、その点にも留意して検証した。  なお、本章で非強制徴収公債権として報告する債権の中には、強制徴収公債 権とされる債権(生活保護法第78条による生活保護費返還金の一部)や私債 権と解釈される可能性のある債権(住宅使用料、大学授業料等)が含まれてい るが、岐阜市の認識に基づき、ここで報告することとした。 【岐阜市の非強制徴収公債権にかかる基本的な事務の流れ】 ※行政不服審査法の規定は改正前。改正後は行政不服審査法第82条第1項。 第2 生活保護費返還金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ┌────┬──────────────┬──────────────────┐ │    │生活保護法第63条に基づく費 │生活保護法第78条に基づく費用徴収  │ │    │用返還(資力がありながら保護│(不正受給者からの徴収)      │ │    │を受けた者からの返還)   │                  │ ├────┼──────────────┼──────────────────┤ │生活保護│ 被保護者が、急迫の場合等に│ 不実の申請その他不正な手段により │ │法の規定│おいて資力があるにもかかわ │保護を受け、又は他人をして受けさせた│ │    │らず、保護を受けたときは、保│者があるときは、保護費を支弁した都道│ │    │護に要する費用を支弁した都 │府県又は市町村の長は、その費用の額の│ │    │道府県又は市町村に対して、す│全部又は一部を、その者から徴収する。│ │    │みやかに、その受けた保護金品│                  │ │    │に相当する金額の範囲内にお │                  │ │    │いて保護の実施機関の定める │                  │ │    │額を返還しなければならない。│                  │ ├────┼──────────────┼──────────────────┤ │趣旨  │ 資力はあるが、これが直ちに│ 不実の申請その他不正な手段により │ │    │最低生活のために活用できな │保護を受け、または他人をして受けさせ│ │    │い事情にある要保護者に対し │た者は、刑法該当条文(詐欺等)又は第│ │    │て保護を行い、資力が換金され│85条の規定によって処罰される。しか │ │    │るなど最低生活に充当できる │し、これだけでは保護金品に対する損失│ │    │ようになった段階で、既に支給│は補填されないため、不正に保護を受け│
    │    │した保護金品との調整を図る │た者から保護費を返還させるよう第78 │ │    │ために、返還を求めるもの。 │条が規定されている。        │ ├────┼──────────────┼──────────────────┤ │適用判断│ 被保護者の作為又は不作為 │ 次の基準に該当すると判断される場 │ │    │により保護の実施機関が錯誤 │合は、第78条に基づく費用徴収決定を │ │    │に陥ったため扶助費の不当な │すみやかに行う。          │ │    │支給が行われた場合に適用さ │1) 保護の実施機関が被保護者に対し、│ │    │れる条項ではない。     │ 届出又は申告について口頭又は文書 │ │    │ 被保護者に不当に支給しよ │ による指示をしたにもかかわらず、被│ │    │うとする意思がなかったこと │ 保護者がこれに応じなかったとき。 │ │    │が立証される場合で、保護の実│2) 届出又は申告に当たり明らかに作 │ │    │施機関への届出や申告をすみ │ 為を加えたとき。         │ │    │やかに行わなかったことにつ │3) 届出又は申告に当たり特段の作為 │ │    │いてやむを得ない理由が認め │ を加えない場合でも、保護の実施機関│ │    │られるときや、保護の実施機関│ 又はその職員が届出又は申告の内容 │ │    │及び被保護者が予想しなかっ │ 等不審について説明等を求めたにも │ │    │たような収入があったことが │ かかわらず、これに応じず又は虚偽の│ │    │事後になって判明したとき等 │ 説明を行ったようなとき。     │ │    │は、第63条の適用が妥当であ │4) 課税調査等により、当該被保護者が│ │    │る。            │ 提出した収入申告書が虚偽であると │ │    │              │ 判明したとき。          │ ├────┼──────────────┼──────────────────┤ │費用返還│ 原則として、当該資力を限度│ 不正受給額(徴収額)の確定は、保護│ │額の決 │として支給した保護金品の全 │の実施機関ではなく、保護費を支弁した│ │定・不正│額とすべきである。ただし、全│市町村の長が一方的に行うものであり、│ │受給額の│額を返還対象とすることによ │さらに第78条による徴収額は、不正受 │ │確定  │って当該被保護世帯の自立が │給額の全額又は徴収する額にその100  │ │    │著しく阻害されると認められ │分の40を乗じて得た額を加算した額の │ │    │る場合は、一定の範囲の額を返│範囲内で決定するものであって、第63 │ │    │還額から控除して差し支えな │条のような実施機関が徴収額から自立 │ │    │い。            │更生のために充てられる費用を控除す │ │    │              │る余地はない。           │ └────┴──────────────┴──────────────────┘ ※ 平成28年3月31日時点 債務者247人 未収入額95,869,985円(63条、78   条の合計) ┌──────────────────────────────────────┐ │第77条に基づく費用徴収(扶養義務者からの費用の徴収)            │ ├────┬─────────────────────────────────┤ │生活保護│ 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければな  │ │法の規定│らない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁し  │ │    │た都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者か  │ │    │ら徴収することができる。                     │ ├────┼─────────────────────────────────┤ │趣旨  │ 生活保護法第4条第2項において、民法に定める扶養義務者の扶養  │ │    │は、保護に優先して行われるものとされている。第77条に基づく徴収  │ │    │は、かかる原則を実効あらしめるものである。            │ └────┴─────────────────────────────────┘ ※ 岐阜市では第77条に基づく費用徴収が行われたことは一度もない。 (2)債権の性質  非強制徴収公債権  ただし、第78条に基づく費用徴収金のうち、平成26年7月1日以後に支弁 した保護費に係る徴収金については、強制徴収公債権となった(平成26年の 生活保護法改正)。岐阜市の債権管理調整会議では、この部分も含めて非強制 徴収公債権として扱われている。 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 生活福祉一課・二課 (4)岐阜市で実際に行われている生活保護費返還手続の流れ ※ 分割納付の場合、履行延期申請書を決定通知の前に提出させて、決定通知  と同時に、履行延期承認通知をしている。 (5)直近5年度のデータ                  (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 103,886,135│ 91,561,399│ 88.1%│     0│12,324,736│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 13,828,088│      0│  0%│     0│13,828,088│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 117,714,223│ 91,561,399│77.8%│     0│26,152,824│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 125,211,977│ 101,558,108│ 81.1%│     0│23,653,869│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 26,152,824│   725,845│ 2.8%│ 3,584,911│21,842,068│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 151,364,801│ 102,283,953│67.6%│ 3,584,911│45,495,937│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 144,751,819│ 101,420,882│ 70.1%│     0│43,330,937│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 45,495,937│   168,000│ 0.4%│  323,237│45,004,700│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 190,247,756│ 101,588,882│ 53.4%│  323,237│88,335,637│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 96,571,372│ 86,036,911│ 89.1%│     0│10,534,461│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 88,335,637│   634,768│ 0.7%│ 5,467,030│82,233,839│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 184,907,009│ 86,671,679│ 46.9%│ 5,467,030│92,768,300│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 78,805,873│ 72,364,241│ 91.8%│     0│ 6,441,632│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 92,768,300│   294,131│ 0.3%│ 3,045,816│89,428,353│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 171,574,173│ 72,658,372│ 42.3%│ 3,045,816│95,869,985│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘
    2 監査の重点及び監査手続  前年度の包括外部監査で取り上げたテーマであるが、繰越分の収納率の低さ が際立つことから、発生段階の事務手続、前年度の指摘事項に対する措置状況 に加え、回収に向けてどのような努力を行っているかに重点を置いて監査を実 施した。  具体的には、平成27年度に決定した生活保護法第63条による返還金及び同 法第78条による徴収金の一覧表、平成27年度に不納欠損をしたケースの決裁 書類及びケース記録等の閲覧、ヒアリング(平成28年8月16日、同年12月 13日)を行った。 3 発生の防止 【事実関係】  平成27年度に決定した生活保護法第63条の決定理由別ごとの件数及び返還 命令金額は、次のとおりである(岐阜市作成の一覧表より)。 ┌────────────────┬────┬──────────┐ │      決定理由      │ 件数 │  返還命令金額  │ ├──┬─────────────┼────┼──────────┤ │1) │各種年金の遡及受給    │  89件│    31,437,323円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │2) │生命保険の解約返戻金   │   6件│     1,213,676円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │3) │資産売却         │   2件│     1,778,375円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │4) │交通事故等の補償金    │  22件│     4,633,305円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │5) │扶助費算定誤り      │  71件│     5,917,471円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │6) │介護保険償還金      │   4件│      86,634円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │7) │雇用保険給付金      │   5件│      647,298円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │8) │入院給付金        │   0件│         0円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │9) │高額療養費償還金     │   1件│      84,100円│ ├──┼─────────────┼────┼──────────┤ │10) │その他          │  36件│     8,429,751円│ ├──┴─────────────┼────┼──────────┤ │              合計│  232件│    54,227,933円│ └────────────────┴────┴──────────┘ 【事実関係】  平成27年度に決定した生活保護法第78条の決定理由別ごとの件数及び徴収 決定金額は、次のとおりである(岐阜市作成の一覧表より)。 ┌──────────────────────┬──┬──────┐ │         決定理由         │件数│徴収決定金額│ ├──────────────────────┼──┼──────┤ │稼働収入関係                │  │      │ ├─┬────────────────────┼──┼──────┤ │A│稼働収入の無申告            │47件│21,083,727円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │B│稼働収入の過少申告           │ 4件│ 1,484,453円│ ├─┴────────────────────┼──┼──────┤ │稼働収入以外の収入関係           │  │      │ ├─┬────────────────────┼──┼──────┤ │C│労災補償金等の無申告          │ 0件│     0件│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │D│任意保険金等の無申告          │ 2件│ 1,196,913円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │E│各種年金及び福祉各法に基づく給付の無申告│ 5件│ 3,271,861円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │F│預貯金等の無申告            │ 2件│ 1,588,748円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │G│資産収入の無申告            │ 3件│ 3,600,946円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │H│交通事故の補償に係る収入の無申告    │ 6件│ 1,832,340円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │I│その他                 │ 3件│ 2,304,639円│ ├─┴────────────────────┼──┼──────┤ │扶助費の不正                │  │      │ ├─┬────────────────────┼──┼──────┤ │J│住宅扶助                │ 2件│  68,000円│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │K│その他(移送費等)           │ 2件│  89,280円│ ├─┴────────────────────┼──┼──────┤ │その他                   │  │      │ ├─┬────────────────────┼──┼──────┤ │L│重複受給                │ 0件│     0件│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │M│世帯員の増減、転居、無届        │ 0件│     0件│ ├─┼────────────────────┼──┼──────┤ │N│その他                 │ 1件│  105,600円│ ├─┴────────────────────┼──┼──────┤ │合計                    │78件│36,626,507円│ └──────────────────────┴──┴──────┘ 【指摘 生活福祉一課・二課】  第63条による返還金や第78条による徴収金の発生は、実施機関にとって、 債権管理に係る新たな事務を発生させるだけでなく、未収となるリスクを発生 させることになる。  実際に、繰越分の収納率は、1%にも達しておらず、『発生したらほとんど 回収できない債権』といっても過言ではない。まずもって返還金・徴収金の発 生を未然に防止することが何よりも重要である。  発生理由の中には発生を回避することが困難なものもあるが、「扶助費算定 誤り」は、回避可能なものである。この「扶助費算定誤り」は、件数の約3割、 金額の約1割と決して少なくない。  担当のケースワーカーが、慎重に事務処理を行うべきことはもちろんである が、査察指導員等の幹部職員においては、日常のケース審査の強化、チェック 表などを活用した扶助費算定誤りの未然防止又は早期発見の指導を徹底すべ
    きである。 【指摘 生活福祉一課・二課】  発生理由の中で「各種年金の遡及受給」は、件数の約4割、金額の約5割を 占めている。  「各種年金の遡及受給」は、遡及受給の発見が遅れれば遅れるほど、費消さ れてしまう可能性が高まるのであるから、遡及受給の早期発見が重要である。  担当のケースワーカーにおいては、年金受給資格を得る年齢に達する月の確 認はもちろんのこと、日本年金機構から送付される「ねんきん定期便」などを 活用した年金保険料の納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間の確認、 障害がある場合は主治医訪問等により傷病の初診日及び障害の程度について 聴取するなどによる年金受給権の可能性の検討を徹底すべきである。  また、受給可能性があると判断された場合の年金申請についての被保護者に 対する助言指導、任意加入により年金受給権が得られる場合は任意加入手続、 年金受給権を得られる可能性がない場合は脱退手当金の受給可否の確認、受給 可能であれば請求手続の支援を徹底すべきである。  査察指導員等の幹部職員においては、保護開始時における年金等の受給権の 確認の周知徹底、日常のケース審査の強化及びチェック表などを活用した一斉 点検の実施などによって、他法他施策の活用を徹底すべきことについての指導 をすべきである。 【意見 生活福祉一課・二課】  障害年金に関しては、初診日の判断や身体障害者手帳の対象外の疾病でも支 給対象になる場合があるなど専門的知識が必要な場合もあるため、年金調査員 の非常勤任用等について検討することが望ましい。 【指摘 生活福祉一課・二課】  第78条による徴収金は、「収入の未申告」が大半である。後述のとおり、ほ とんどのケースにおいて、既に不正受給した保護費が費消されてしまっており、 分割納付とされている。  収入の未申告による不正受給の発生を防止すべく、収入調査を厳しく行い、 事実の秘匿、虚偽の事実告知を見抜き、収入の未申告とならないよう努めるべ きである。 ※ なお、これらの指摘(意見)は、平成27年度の包括外部監査でも指摘(意  見)したが、これに対する措置状況報告書、平成27年度の発生理由と件数・  金額からみて、なお問題があると思われたことから、本年度も指摘(意見)  することにした。 4 履行延期の処分と延納利息 【事実関係】  第63条による返還金232件のうち106件が、第78条による徴収金78件の うち65件が、分割納付とされている。ケースワーカーと対象者との話し合い で一括納付できないということであれば、「履行延期申請書」を提出させ、「履 行延期承認通知書」を交付する形で分割納付としている。  使用されている「履行延期申請書」及び「履行延期承認通知書」の項目には、 岐阜市債権取扱規則で定められた「履行延期申請書」及び「履行延期承認通知 書」に記載しなければならない事項(第10条)の全てが記載されていない。  また、分割納付にあたって、担保の提供はなされておらず、延納利息も付さ れていない。なぜそのようにしたのかを記載した書面は作成されていない。 【規範】  第63条による返還も、第78条による徴収(地方自治法施行令第171条の6 の適用がない強制徴収公債権に該当する部分を除く)も、一括返済が原則であ る。  対象者が無資力であったり債務履行が困難であったりして、履行期限を延長 せざるを得ない場合は、地方自治法施行令第171条の6に履行延期の特約又は 処分が定められているが、あくまで特例としての位置づけである。  履行延期の処分をする場合には、岐阜市債権取扱規則において例外事由とし て認められた場合を除いては、担保を提供させ、延納利息を付さなければなら ない(同規則第12条、第13条、第15条、第16条)。 【指摘 生活福祉一課・二課】  岐阜市債権取扱規則で定められた記載事項を記載した書面を作成すべきで ある。 【指摘 生活福祉一課・二課】  資料からは、岐阜市債権取扱規則で定める例外事由が存在しているのかどう かが不明である。  例外事由が存在するのであれば、例外事由となるべき事実及び当該事実を認 定した根拠を明記した決裁手続を行うべきである。例外事由が存在しないので あれば、担保を提供させ、延納利息を付すべきである。 5 第78条による徴収金の分割納付 【事実関係】  第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権となる平成26年7月1日以後 に支弁した保護費に係る徴収金についても、事務の取扱いを変えておらず、履 行延期の処分をしている。 【規範】  履行延期の特約又は処分に関する規定(地方自治法施行令第171条の6)は、 非強制徴収公債権及び私債権に適用されるものであり、強制徴収公債権には適 用されない。 【指摘 生活福祉一課・二課】  第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権に該当する部分については、 履行延期の処分ではなく、分納誓約という対応をすべきである。 6 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  分割納付が滞った場合、督促はしているが、督促手数料、延滞金の請求はし ていない。 【規範】  公債権について、督促をした場合、条例の定めるところにより、手数料及び 延滞金を徴収することができる(地方自治法第231条の3第2項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状 を発し、督促手数料及び延滞金を徴収するものとされている(市税以外の諸納 付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条、第3条)。 【指摘 生活福祉一課・二課】  延滞金の請求は、分納金の履行を促す効果もある。  条例に従い、督促手数料及び延滞金を請求すべきである。 7 行政不服申立ての教示 【事実関係】  督促状には、行政不服申立てに関する教示がない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい
    て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 生活福祉一課・二課】  督促状には、行政不服申立ての教示をすべきである。 8 第80条免除の適用 【事実関係】  死亡などにより廃止になった場合、過払いとなった保護費を日割り計算で返 還させなければならないが、平成27年度に不納欠損処分をした廃止ケースの 全てにおいて、生活保護法第80条を適用して免除していた。死亡のケースで は、ほとんどのケースで相続人が存在した。年金担保借入れより資力を有する こととなったために廃止となったケースもあった。 【規範】  生活保護法第80条は、実施機関は、保護の変更、廃止又は停止に伴い、前 渡した保護金品の全部又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、 又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返 還させないことができると定めており、同条に基づき免除するためには、「や むを得ない事由」が認められなければならない。 【指摘 生活福祉一課・二課】  死亡による廃止のケースでは、相続人に返還させないことがやむを得ない、 資力を有することになったために廃止となったケースでは、資力があるにもか かわらず返還させないことがやむを得ないといったように、「やむを得ない事 由」が認められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続をす べきである。「やむを得ない事由」が認められないのであれば、免除をすべき ではない。  前年度の包括外部監査に対する措置状況報告書によれば、「やむを得ない事 由」の基準を定めたとのことであるが、その適用判断の過程を記録化すべきと いう意味での指摘である。 9 第77条による徴収金の検討 【事実関係】  岐阜市では、扶養義務者に対する第77条の費用徴収を実施したことはなく、 検討した形跡もない。 【規範】  「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日付け社発 第246号厚生省社会局長通知)によれば、実施機関は、要保護者の扶養義務者 の存否の確認、扶養義務者の扶養能力の調査を行い、扶養能力の調査によって、 要保護者の扶養義務者のうち第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然 性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務 者が民法に定める扶養を履行していない場合は、書面により履行しない理由に ついて報告を求めることとされ、重点的扶養能力調査対象者が十分な扶養能力 があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、他に円満な解決の途 がない場合には、家庭裁判所に対する調停又は審判の申立てを考慮することと されている。  そして、とりあえず必要な保護を行った場合には、第77条の規定により、 扶養義務者から、扶養可能額の範囲内において、保護に要した費用を徴収する 等の方法を考慮することとされている。 【指摘 生活福祉一課・二課】  扶養義務者の調査結果に基づき、明らかに扶養義務を履行することが可能で あるのに履行していない扶養義務者の存否、十分な扶養能力があるにもかかわ らず正当な理由なくして扶養を拒んでいる重点的扶養能力調査対象者の存否 を確認し、調停又は審判の申立てや第77条の適用を検討すべきである。  前年度の包括外部監査に対する措置状況報告書によれば、同様の指摘に対し て検討中とのことであるので、改めて指摘することとした。 10 履行期限の繰上げ 【事実関係】  履行延期の処分による分割金の納付がない場合でも、履行期限の繰上げをし ていない。 【規範】  履行延期により分割された弁済金額の履行を怠ったときは、当該債権の全部 又は一部について当該延長に係る履行期限を繰り上げることができる(岐阜市 債権取扱規則第17条第2項イ)。 【意見 生活福祉一課・二課】  支払いが滞った場合、履行期限の繰上げを行うことを債務者に通知し、実行 を検討することが望ましい。 11 法的手続による請求 【事実関係】  第63条による返還金も、第78条による徴収金も、繰越を行った未収入金に ついて、年1回の催告書発送などをしているだけである。法的手続による請求 は、行われていない。 【規範】  非強制徴収公債権については、督促をした後相当の期間を経過してもなお履 行されないときは、一定の場合を除き、その担保の処分・担保権の実行の手続、 保証人に対する履行の請求、訴訟手続による履行の請求、強制執行の手続とい った措置をとらなければならない(地方自治法施行令第171条の2)。 【指摘 生活福祉一課・二課】  法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が解除されるためには、 一定の例外事由の存在が認められなければならない。  督促をしても償還がなされない時点から、債務者の所在、生活状態、資産状 況、相続人の所在、生活状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録 しておくべきである。  その結果、法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が解除される 理由が認められるのであれば、理由となるべき事実及び当該事実を認定する根 拠を明記した決裁手続を行うべきである。他方、理由が認められないのであれ ば、法的手続による請求といった必要な措置をとるべきである。 12 第78条による徴収金の滞納処分 【事実関係】  第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権となる平成26年7月1日以後 に支弁した保護費に係る徴収金についても、事務の取扱いを変えておらず、滞 納処分の実施を検討した形跡はない。 【規範】  強制徴収公債権となる平成26年7月1日以後に支弁した保護費に係る徴収 金については、国税徴収の例による徴収することができるとされており(生活 保護法第78条第4項)、強制徴収公債権については、督促により指定された期 限までに納付されない場合は、地方税の滞納処分の例により処分することがで きるとされている(地方自治法施行令第231条の3第3項)。 【指摘 生活福祉一課・二課】
     第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権に該当する部分については、 債務者または相続人に対する滞納処分の実施を検討すべきである。 13 管理回収マニュアルの作成 【事実関係】  岐阜市は、「生活保護による返還金等における収納事務の取扱いについて」 と題する文書(「平成26年10月27日決裁」との記載)に基づいて、返還金等 の回収を行っている。また、岐阜市が作成している「岐阜市生活保護実務の手 引き(平成23年4月付け)」には、第63条による返還金や第78条による徴収 金について、決定に関する手続の記載はあるものの、管理回収に関する記載が なく、第77条による徴収金については、手続に関する記載がない。 【指摘 生活福祉一課・二課】  「生活保護による返還金等における収納事務の取扱いについて」と題する文 書は、催告書による催告が年1回とされているなど、適切な管理回収を行うた めには、極めて不適切かつ不十分である。しかも、第77条による徴収金は全 く記載されておらず、徴収するつもりがないのではないかと疑わざるを得ない。 このような事務のよりどころしか存在しないことが、収納率が1%にも達して いないであるとか、第77条による徴収金を検討すらしていないといった不適 切な事務の要因となっていると考える。  他の自治体に習うなどし、生活保護費返還金等の管理回収に関するマニュア ルを作成すべきである。 14 債権の管理方法 【事実関係】  対象者ごとの「返還金・徴収金債権管理簿」に手書きで記入して管理してい るが、回収事務の記録がなされていない。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条は、「事務の処理は、文書によって行うことを原 則とする。」と規定する。 【指摘 生活福祉一課・二課】  適正に管理を行っていることの説明責任を果たすため、管理簿には、督促を した日の記載をはじめとして、回収に向けて行った事務を記録する項目を作成 し、記録しておくべきである。  また、いたずらに時効期間を経過させてしまうことなく、可能な限り回収を 図るため、年度末に不納欠損をするために時効期間が満了している債務者を償 還台帳からピックアップするのではなく、全債務者の延滞状況を常に漏れなく 把握することのできるような債務者一覧表を作成すべきである。 15 不納欠損の理由 【事実関係】  不納欠損処分をする際の資料には、不納欠損処分理由に「居所不明」「死亡」 と記載され、根拠法令に「地方自治法第236条」と記載されている。 【規範】  地方自治法においては、普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定 めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要 な措置をとらなければならないとされている(第240条第2項)。  収入命令者は、歳入の未納金で法令、条例又は議会の議決により不納欠損と して処分するものがあるときは、その事実を明らかにした調書を作成して、市 長の承認を受け、かつ、その旨を不納欠損処分通知書により会計管理者に通知 しなければならない(岐阜市会計規則第59条)。不納欠損の理由としては、時 効消滅(地方自治法第236条、民法)、納税義務の消滅(地方税法第15条の7 第4項)、免除(地方自治法第240条第3項、同施行令第171条の7)、放棄の 議決(地方自治法第96条1項第10号)、債権放棄(岐阜市債権管理条例第6 条)がある。 【指摘 生活福祉一課・二課】  消滅時効が完成したものを不納欠損処分しているのであれば、それを理由と して明記すべきである。  消滅時効が完成しているもののうち、居所不明または死亡という事由がある ものだけを不納欠損処分しているのであれば、そのような事由のないものも、 不納欠損処分すべきである。 16 消滅時効の起算点 【事実関係】  時効完成年月日には、「督促状発送年月日から5年経過した年月日」が記載 されているが、本人が死亡した後に、本人に督促状を発送しているものがあっ た。資料にも、死亡した後の日付が督促状発送年月日として記載されている。 【指摘 生活福祉一課・二課】  死亡した人に対する督促状の発送では時効は中断しないので、時効の起算点 として誤りである。また、督促状による時効中断日は、発送日ではなく到達日 である。時効の起算点を正しく認定すべきである。 17 相続人に対する対応 【事実関係】  死亡したケースのほとんどで相続人が存在しているが、相続人に対する請求、 相続放棄の有無の確認をした形跡はない。 【指摘 生活福祉一課・二課】  死亡により廃止したケースでは、相続人に対して返還・徴収を求めるべきで ある。  いたずらに消滅時効期間が満了しないよう、相続人に対して時効中断のため の措置をすべきである。 第3 老人保護措置費負担金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市では、老人福祉法第11条第1項第1号に基づく養護老人ホームとし て2つの施設(岐阜老人ホーム、寿松苑)を設置している。  養護老人ホームは、65歳以上の高齢者で、健康状態、環境の状況、経済の 理由により、居宅において養護を受けることが困難な人を対象にして、対象者 を養護するとともに、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加す るために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする入所施設 である(老人福祉法第20条の4)。  この入所にあたって必要となる費用(食費等も含む。)については、市が支 弁(老人福祉法第21条第1号)するものの、入所者本人あるいは扶養義務者 の負担能力に応じて、市が費用の全部又は一部を徴収することになる(老人福 祉法第28条第1項)。これが老人保護措置費負担金である。  岐阜市では、岐阜市老人福祉法施行細則を設け、その費用徴収事務を運営し ている。
    (2)債権の性質  非強制徴収公債権である。  老人保護措置費負担金は、老人福祉法第28条を根拠とするものであり、そ の徴収の決定については処分性が認められる。 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 高齢福祉課 (4)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 55,707,339│ 55,707,339│100.0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   969,400│      0│ 0.0%│  455,800│  513,600│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 56,676,739│ 55,707,339│ 98.3%│  455,800│  513,600│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 56,998,650│ 56,944,880│ 99.9%│     0│  53,770│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   513,600│   51,800│ 10.1%│  461,800│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 57,512,250│ 56,996,680│ 99.1%│  461,800│  53,770│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 61,498,917│ 60,647,359│ 98.6%│     0│  851,558│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   53,770│      0│ 0.0%│     0│  53,770│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 61,552,687│ 60,647,359│ 98.5%│     0│  905,328│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 68,385,926│ 67,904,648│ 99.3%│     0│  481,278│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   905,328│   853,528│ 94.3%│     0│  51,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 69,291,254│ 68,758,176│ 99.2%│     0│  533,078│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 71,005,099│ 70,920,963│ 99.9%│     0│  287,614│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   533,078│   481,278│ 90.3%│  51,800│  277,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 71,538,177│ 70,920,963│ 99.1%│  51,800│  565,414│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  特殊性として、支払義務者に扶養義務者が対象となる事案が多く、扶養義務 者がいる案件では確実な支払いが期待できること、また、扶養義務者がおらず、 入所者本人のみが支払義務者となるような事案においても、入所者本人の預金 通帳を施設が預かり管理していることが多く、施設担当者が入金手続きを代行 していることも多い。  したがって、当該債権については、比較的、確実な支払いが期待できる状況 にあるといえる。こうした特殊性から、上記データの表のとおり、収入未済額 としては少ない。そうした債権の中でも、一件当たりの収入未済額が高額とな っているものが存在した。  そこで、そうした事案を中心に、書類監査及び担当者に対するヒアリングに よる監査を実施した。監査手続としては、担当課へのヒアリングを実施し(平 成28年8月29日、12月14日)、必要書類を徴求した。 3 督促状による督促 【事実関係】  滞納者に対しては、口頭による支払催告を行っているが、督促状を発送して おらず、何らの書面も発送していない。 【規範】  公債権については、納期限までに納付しない場合は、期限を指定して督促し なければならない(地方自治法第231条の3第1項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、納期限 後20日以内に、別に市長が定める督促状を発することとされている(市税以 外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条)。 【指摘 高齢福祉課】  督促は、延滞金や督促手数料発生の根拠となるものであるし、また時効中断 効も有するものであり、重要な効果をもたらすものである。督促の際には、不 服申立ての教示もしなければならない。  督促は、督促状を発付することにより行うべきである。 4 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  督促手数料及び延滞金を徴収していない。 【規範】  公債権について、督促をした場合、条例の定めるところにより、手数料及び 延滞金を徴収することができる(地方自治法第231条の3第2項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状 を発し、督促手数料及び延滞金を徴収するものとされている(市税以外の諸納 付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条、第3条)。 【指摘 高齢福祉課】  条例に従い、督促手数料及び延滞金を請求すべきである。 5 相続人に対する請求 【事実関係】  老人保護措置費負担金の未収事案の中に、ホームレス状態の者が緊急入所し たものの、事後的に被措置者に相応の年金収入があることが判明し、基準に照 らした負担金を算定したところ、月額92,600円と高額の負担金となる事案が あった。その後、被措置者にあった健康保険料や医療費の滞納があり、それら の支払を優先していたため、本負担金の平成27年1月分から平成27年6月分 までの分が滞納となったまま、本人死亡となった。その結果、滞納総額が 469,173円と高額となっていた。  岐阜市では、本人死亡により相続が開始していることから、相続人調査を行 った上で、相続人(第一次相続人である本人の子ども)に対し、老人保護措置 費支払についての書面連絡文を送付していたところ、相続人から「相続放棄を したい」などの要請を受けたものの、その後、正式な相続放棄をしたか否かの 確認はしていなかった。 【指摘 高齢福祉課】
     相続放棄がなされたか否かの確認は、被相続人の最後の住所地を管轄する家 庭裁判所に対して、「相続放棄申述受理の有無についての照会」をすることで 容易に確認することが可能である(費用は無料である)。  また、第一次相続人が仮に相続放棄している場合には、第二次相続(本人の 直系尊属)、更に、第二次相続人がすでに死亡している場合、もしくは相続放 棄しているような場合には、第三次相続人(本人の兄弟姉妹)に請求すること が可能となる。  本事案においては、金額が高額であることから、相続放棄の確認及び相続調 査を適切に実施し、相続放棄がなされていないのであれば、相続人に対して請 求をしていくべきである。 第4 児童扶養手当返還金・子ども手当返還金・児童手当返還金 1 債権の概要 (1)児童扶養手当返還金  ア 児童扶養手当   児童扶養手当は、児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)に基づき、  ひとり親家庭の父又は母、祖父母などの養育者に、生活の安定や子供の福  祉の増進を目的として支給される手当である。   児童扶養手当の支給対象者および手当額は、概ね次のとおりである。 (対象者)   次の条件にあてはまる18歳に達する日以降の最初の3月31日までの児  童を監護している父又は母や、父母が監護しない場合において、父母にか  わってその児童を扶養している人。なお、児童が心身に中程度以上の障が  いを有する場合は20歳になるまで手当を受けられる。いずれの場合も国籍  は問わない。 ┌─────────────────────────────────────┐ │イ.父母が離婚した後、父又は母と生計を同じくしていない児童        │ │ロ.父又は母が死亡した児童                        │ │ハ.父又は母が重度の障がい(国民年金の障害等級1級程度)の状態にある児童 │ │ニ.父又は母の生死が明らかでない児童                   │ │ホ.父又は母から引き続き1年以上遺棄されている児童            │ │ヘ.父又は母が裁判所からのDV保護命令を受けている児童(平成24年8月から) │ │ト.父又は母が法令により引き続き1年以上拘束されている児童         │ │チ.母が婚姻によらないで懐胎した児童                   │ └─────────────────────────────────────┘ (手当月額)(平成27年4月から平成28年3月) ┌───────────┬────┬────────────┐ │   対象児童    │全部支給│    一部支給    │ ├───────────┼────┼────────────┤ │1人目         │42,000円│41,990円から9,910円まで │ │           │    │(所得に応じて10円刻み)│ ├───────────┼────┴────────────┤ │2人目         │       5,000円       │ ├───────────┼─────────────────┤ │3人目以降(1人につき)│       3,000円       │ └───────────┴─────────────────┘ (支給時期)  毎年4・8・12月に前月分までの4ヵ月分を支給 (支給制限)   手当を受ける人の前年中の所得が政令で定められた限度額以上である場  合は、その年度(8月から翌年の7月まで)の手当の全額あるいは一部が  支給停止になる。また、同居している扶養義務者の所得が限度額以上であ  る場合は、手当が全額支給停止になる。 所得制限限度額表(平成14年8月~)          (単位:円) ┌───────┬───────────┬───────────┐ │       │    本人     │  孤児等の養育者  │ │       ├─────┬─────┤ 配偶者・扶養義務者 │ │扶養親族等の数│全部支給 │一部支給 │           │ │       ├─────┼─────┼───────────┤ │       │ 所得額 │ 所得額 │    所得額    │ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      0人│  190,000│ 1,920,000│       2,360,000│ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      1人│  570,000│ 2,300,000│       2,740,000│ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      2人│  950,000│ 2,680,000│       3,120,000│ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      3人│ 1,330,000│ 3,060,000│       3,500,000│ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      4人│ 1,710,000│ 3,440,000│       3,880,000│ ├───────┼─────┼─────┼───────────┤ │      5人│ 2,090,000│ 3,820,000│       4,260,000│ └───────┴─────┴─────┴───────────┘ イ 児童扶養手当返還金   児童扶養手当額は、所得に応じて10円刻みで決定されるため、所得税の  修正申告等により受給者の所得が増加した場合、減額されることとなる。   また、例えば受給者の直系三親等以内の血族及び兄弟姉妹で所得制限以  上の者の存在が発見されるなど、対象者とならない事象が支給開始後に発  覚した場合は、児童扶養手当額が全額支給停止になる。   以上のように、支給開始後にその支給額が過払いである事実が発覚した  場合は、児童扶養手当の返還金が発生する。   所得金額の修正は、毎月15日に「福祉総合システム」に反映される税異  動情報を確認して行われる。また、年金受給については、年1回照会を行  い確認している。   また、現況調査のため、対象者を毎年8月に来庁させて現況届を提出さ  せているほか、対象者の異動事項については、市民課で把握された住民異  動情報が翌日「福祉総合システム」に反映されるので、担当者が異動状況  を把握することとなる。主な返還金発生理由としては、所得修正、年金受  給、事実婚、児童の出国が挙げられる。平成27年度末の収入未済額におけ  る返還金発生理由は、以下のとおりである。 ┌────────────────────────────┐ │・受給者 36人 ・件数291件 ・収入未済額 7,673,470円 │ ├──────┬──────┬──────┬───────┤ │ 発生理由 │  人数  │  件数  │ 収入未済額 │
    ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │事実婚   │    13人│    273件│  4,199,710円│ ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │年金受給  │    11人│    12件│  2,369,660円│ ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │所得修正  │     6人│     2件│   812,020円│ ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │児童の出国 │     2人│     2件│    9,700円│ ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │離婚    │     2人│     1件│   241,090円│ ├──────┼──────┼──────┼───────┤ │その他   │     2人│     1件│   41,290円│ └──────┴──────┴──────┴───────┘  事実婚が発覚した場合、本来ひとり親家庭の父母等に支給される趣旨の手 当のため、支給は即座に停止される。減額した上で支給を継続する場合は、後 述のように相殺により返還金の回収は可能であるが、全額支給停止とする場合 は、回収が困難となるため、事実婚による返還金の収入未済額が件数・金額と もに全体の多くを占めている。なお、事実婚は、住民票の確認や近隣住民から の通報により発覚するケースが多い。 (2)子ども手当返還金及び児童手当返還金 ア 子ども手当及び児童手当の内容   子ども手当は、「平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律  (平成22年3月31日法律第19号)」により、次代の社会を担う子どもの  健やかな育ちを支援する目的として支給された手当であった。その後、「平  成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」により、支給  額の変更や子どもの居住地等の条件変更が行われた。現在は、上記法律と  特別措置法は廃止されている。   児童手当は、「児童手当法(昭和46年5月27日法律第73号)」により、  家庭等における生活の安定と次代の社会を担う児童の健やかな育ちを支援  することを目的として支給される手当である。子ども手当が支給された期  間、児童手当は支給されなかった。「児童手当法施行令」「児童手当法施行  規則」「岐阜市児童手当事務取扱規則」もある。   子ども手当と児童手当の概要は、下表のとおりである。   制度比較の対象となる部分を抜粋した。 ┌───────┬────────┬────────────┬───────┐ │       │ 子ども手当  │特別措置法上の子ども手当│ 児童手当  │ ├───────┼────────┼────────────┼───────┤ │  時期   │平成22年4月~  │平成23年10月~     │平成24年4月~ │ │       │   平成23年9月│       平成24年3月│       │ ├───────┼────────┴────────────┴───────┤ │  対象者  │中学校修了前の児童を養育する者              │ ├───────┼────────┬────────────┬───────┤ │       │        │3歳未満   15,000円/月│※所得制限内 │ │       │   一律   │3歳以上小学校卒業    │ 同左    │ │  支給額  │ 13,000円/月 │第1子・2子 10,000円/月│※所得制限超 │ │       │        │第3子以降  15,000円/月│ 5,000円/月 │ │       │        │中学生   10,000円/月│       │ ├───────┼────────┴────────────┴───────┤ │ 支給時期  │毎年2・6・10月に前月分までの4ヵ月分を支給       │ ├───────┼─────────────────────┬───────┤ │ 所得制限  │         無し          │  有り   │ ├───────┬────────┬────────────┴───────┤ │       │児童の生活費を主│                    │ │ 両親の別居 │に負担している親│   児童と同居している親に支給    │ │       │へ支給     │                    │ ├───────┼────────┼────────────────────┤ │子どもの居住地│国外でも支給  │   留学を除き国外は支給しない    │ └───────┴────────┴────────────────────┘ (注)平成22年以前の児童手当の概要については割愛した。 イ 子ども手当返還金   子ども手当は、所得制限が無いため、返還金の発生は下記の理由に因るこ  とが多い。 ┌──────────────────────────────────────┐ │・児童の生活費を負担していない親、又は児童と同居していない親に支給していた。│ │・国外に子どもが居住している親に支給(留学以外)していた。         │ └──────────────────────────────────────┘   以上のように、支給開始後にその支給額が過払いである事実が発覚した  場合は、返還金が発生する。   具体的には、手当の受給者は毎年6月に「現況届」の提出が必要となる  ため、これにより異動状況を把握するか、児童扶養手当同様、「福祉総合シ  ステム」により修正事項が反映され、担当者がこれらを確認して返還金を  算定することとなる。平成27年度末現在の収入未済額における返還金発生  理由は、以下のとおりである。 ┌────────────────────────────┐ │・受給者 4名 ・件数17件 ・収入未済額 861,500円   │ ├───┬──────────────┬───┬─────┤ │受給者│     発生理由     │件数 │収入未済額│ ├───┼──────────────┼───┼─────┤ │ A │受給者が扶養条件を満たさない│  1件│ 26,000円│ ├───┼──────────────┼───┼─────┤ │ B │受給者が拘禁された     │  1件│ 50,000円│ ├───┼──────────────┼───┼─────┤ │ C │児童が日本国籍喪失     │ 14件│ 317,500円│ ├───┼──────────────┼───┼─────┤ │ D │受給者が遡及出国      │  1件│ 468,000円│ └───┴──────────────┴───┴─────┘   A「受給者が扶養条件を満たさない」とは、児童の母親からの申請に基づ  き、児童の父に対して職権で減額改定したところ、父から異議があったた  め、扶養の状況を再調査したところ、父への支給が適正であると判断し、  母への支給を取り消したものである。 ウ 児童手当返還金   児童手当は、申請の際に提出される「認定請求書」、健康保険証の写し及  び所得課税証明書等の添付書類から、申請者の所得金額、監護養育の有無、
     重複支給がないかを審査し、支給を開始する。   支給開始後に受給者の所得金額に修正が生じ、所得制限以上の所得とな  った場合は、支給額が減額される。また、監護の状況が異動したり、海外  に転出したりした場合は、支給事由が消滅する。   このように、支給開始後に過払いである事実が発覚した場合は、返還金  が発生する。なお、児童扶養手当同様、「福祉総合システム」により修正事  項が反映され、担当者がこれを確認して返還金を算定する。   児童手当は、子ども手当とは異なり所得制限があることから、返還金の  発生理由としては、修正申告により所得制限を超過したことに因ることが  多い。   平成27年度末の収入未済額における返還金発生理由は以下のとおりであ  る。 ┌────────────────────────────┐ │・受給者  16人 ・件数 33件 ・収入未済額 945,000円 │ ├────────┬────┬──────┬───────┤ │  発生理由  │ 人数 │  件数  │ 収入未済額 │ ├────────┼────┼──────┼───────┤ │  所得修正  │   5人│    14件│   400,000円│ ├────────┼────┼──────┼───────┤ │  二重支給  │   2人│     2件│   100,000円│ ├────────┼────┼──────┼───────┤ │  遡及出国  │   8人│    15件│   370,000円│ ├────────┼────┼──────┼───────┤ │  行方不明  │   1人│     2件│   75,000円│ └────────┴────┴──────┴───────┘ (3)債権の性質  非強制徴収公債権  ただし、不正利得である場合(児童扶養手当法第23条、平成22年度等に おける子ども手当の支給に関する法律第13条、平成23年度における子ども 手当の支給等に関する特別措置法第13条、児童手当法第14条)は、強制徴 収公債権となる。 (4)所管課  子ども未来部 子ども支援課 (5)返還金の事務手続  返還金の決裁は随時行われる。  当年度に支給された手当の返還金については、歳出の戻入処理となる。  後述の表にある直近5年度の返還金のデータは、戻入により回収された金額 は反映されていない。  出納閉鎖日(5月31日)までに返還が行われなかった場合は、翌年の6月 1日に調定が行われる。  決裁後、児童扶養手当の返還金の場合は、「児童扶養手当支給停止通知書」 または「児童扶養手当資格喪失通知書」と「児童扶養手当の過払い金の返納に ついて」を、子ども手当返還金の場合は、「子ども手当額改定通知書」または 「子ども手当支給事由消滅通知書」と「子ども手当の返還について」を、児童 手当返還金の場合は、「児童手当・特例給付額改定通知書」または「児童手当・ 特例給付支給事由消滅通知書」と「児童手当の返還について」を納付書ととも に送付する。  支払期限は概ね1ヵ月としている。  返還が発生した翌月以降に、児童扶養手当の支給が続く場合は、児童扶養手 当法第31条の規定により、以後支払われる手当額から返還金を相殺すること により回収している。直近3年間の相殺件数は下表のとおりである。  ┌────┬──┬──┬──┐  │ 年度 │H25 │H26 │H27 │  ├────┼──┼──┼──┤  │相殺件数│ 8件│ 8件│11件│  └────┴──┴──┴──┘  支給が継続する場合は、必ず相殺処理が行われている。相殺件数が少ないの は、事実婚のようにその後支給が停止されるケースが多いからである。 (6)直近5年度のデータ 〔児童扶養手当返還金〕                  (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│  1,944,760│  1,731,200│ 89.0%│     0│  213,560│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  5,488,190│   191,150│ 3.5%│  167,520│ 5,129,520│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  7,432,950│  1,922,350│ 25.9%│  167,520│ 5,343,080│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│  1,375,440│   817,000│ 59.4%│     0│  558,440│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  5,343,080│   83,440│ 1.6%│ 2,524,620│ 2,735,020│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  6,718,520│   900,440│ 13.4%│ 2,524,620│ 3,293,460│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│  5,534,610│  3,903,360│ 70.5%│     0│ 1,631,250│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  3,283,460│   49,720│ 1.5%│     0│ 3,233,740│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  8,818,070│  3,953,080│ 44.8%│     0│ 4,864,990│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│  2,581,850│  1,561,200│ 60.5%│     0│ 1,020,650│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  4,744,990│   10,000│ 0.2%│ 1,102,980│ 3,632,010│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  7,326,840│  1,571,200│ 21.4%│ 1,102,980│ 4,652,660│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│  6,681,950│  2,139,380│ 32.0%│     0│ 4,542,570│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  4,532,660│   25,000│ 0.6%│ 1,376,760│ 3,130,900│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 11,214,610│  2,164,380│ 19.3%│ 1,376,760│ 7,673,470│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘
    ※ 前年度の収入未済額の合計額と翌年度の繰越調定額が相違している年が  あるのは、一度調定を行った後に履行延期の特約を行い、分割納付を行う  こととした債務者の調定を減額したことにより、前年度の収入未済額の合  計額と翌年度の繰越調定額に差が出たことによる。この点は後述する。 〔子ども手当返還金〕                   (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│   26,000│      0│  0%│     0│  26,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   26,000│      0│  0%│     0│  26,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│   544,000│   26,000│ 4.8%│     0│  518,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   26,000│      0│  0%│     0│  26,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   570,000│   26,000│ 4.6%│     0│  544,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│   26,000│   26,000│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   544,000│      0│  0%│     0│  544,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   570,000│   26,000│ 4.6%│     0│  544,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│   272,500│    9,000│ 3.3%│     0│  263,500│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   544,000│      0│  0%│     0│  544,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   816,500│    9,000│ 1.1%│     0│  807,500│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│   54,000│      0│  0%│     0│  54,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   807,500│      0│  0%│     0│  807,500│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   861,500│      0│  0%│     0│  861,500│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 〔児童手当返還金〕                    (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│      0│      0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   455,000│   40,000│ 8.8%│   5,000│  410,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   455,000│   40,000│ 8.8%│   5,000│  410,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│   470,000│   60,000│ 12.8%│     0│  410,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   410,000│   40,000│ 9.8%│     0│  370,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   880,000│   100,000│ 11.4%│     0│  780,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│   270,000│   240,000│ 88.9%│     0│  30,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   780,000│      0│  0%│     0│  780,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,050,000│   240,000│ 22.9%│     0│  810,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│   515,000│   295,000│ 57.3%│     0│  220,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   810,000│      0│  0%│     0│  810,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,325,000│   295,000│ 22.3%│     0│ 1,030,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│   535,000│   230,000│ 43.0%│     0│  305,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   970,000│      0│  0%│  330,000│  640,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,505,000│   230,000│ 15.3%│  330,000│  945,000│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘  両手当の返還金については、調定額、収入未済額は少ないものの、繰越分に ついては殆ど回収されない傾向にある。 2 監査の重点及び監査手続  児童扶養手当返還金、児童手当返還金及び子ども手当返還金は、いずれも戻 入手続ではなく、調定がなされるような事態となった場合には収納率は低い。  特に繰越分はほとんど収納できていない。  そこで、担当課において回収措置が適切に講じられているかに重点を置き監 査を実施した。具体的には、担当課への「調査票」等の閲覧、担当者に対する ヒアリング(平成28年8月24日、同年11月18日)により監査を実施した。 3 不正利得の確認(児童扶養手当返還金、児童手当返還金) 【事実関係】  児童扶養手当返還金が発生した理由を見ると、事実婚が発覚するケースが多 い。この中には、児童扶養手当申請前に事実婚状態であった場合、すなわち不 正利得といえるケースも想定される。  また、児童手当返還金が発生した理由を見ると、公務員が勤務先からと岐阜 市の双方から児童手当の支給を受けていたケースがあった。詳細な状況がわか らないので一概に不正利得とは言えないが、審査の段階で既に事実と違った申 告がなかったかを確認する必要がある。  しかし、担当課によれば、これまで児童扶養手当法第23条及び児童手当法 第14条の不正利得の徴収を検討したことがないとのことである。 【規範】  児童扶養手当法第23条第1項及び児童手当法第14条第1項では、偽りその
    他不正の手段により手当の支給を受けた者があるときは、都道府県知事等(児童 扶養手当)あるいは市町村長(児童手当)は、国税徴収の例(児童扶養手当)、あ るいは地方税の滞納処分の例(児童手当)により、受給額に相当する金額の全部 又は一部をその者から徴収することができる旨が規定されている。 【指摘 子ども支援課】  不正利得であるか否かによって、強制徴収が可能となるか否か、債権回収 の方法が異なることになる。  返還金が発生した際に、不正利得であるかどうかの確認をする体制を構築し、 実施すべきである。 4 督促状による督促 【事実関係】  いずれの返還金においても、通知書等と納付書を送付した後、担当課は、そ の後の入金状況を随時確認することは出来ない。担当課では、福祉総合システ ムにおいて返還金の管理をしていないためである。担当課は、決算等の一定時 期に、子ども政策課から提出される歳入予算整理簿から収入未済額を確認して いる。  このような状況から、通知書及び納付書送付後、納期限に支払がない場合に おいても、担当課は、未納者に対して督促をしていない。 【規範】  公債権については、納期限までに納付しない場合は、期限を指定して督促し なければならない(地方自治法第231条の3第1項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、納期限 後20日以内に、別に市長が定める督促状を発することとされている(市税以 外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条)。 【指摘 子ども支援課】  督促は、延滞金や督促手数料発生の根拠となるものであるし、また時効中断 効も有するものであり、重要な効果をもたらすものである。督促の際には、不 服申立ての教示もしなければならない。  条例に従い、督促は、督促状を発付することにより行うべきである。 5 督促手数料及び延滞金の請求 【事実関係】  いずれの返還金においても、督促をしていないことから、督促手数料・延滞 金の請求もしていない。 【規範】  公債権について、督促をした場合、条例の定めるところにより、手数料及び 延滞金を徴収することができる(地方自治法第231条の3第2項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状 を発し、督促手数料及び延滞金を徴収するものとされている(市税以外の諸納 付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条、第3条)。 【指摘 子ども支援課】  条例に従い、督促を行い、督促手数料及び延滞金を請求すべきである。 6 管理回収マニュアルの作成 【事実関係】  担当課は、通知書等と納付書を送付した後、その後の入金状況を随時確認す ることはせず、現年分については電話等で催促をしているが、それ以後に返還 がない場合であっても、納付書の再送付は行っていない。また、定期的な文書 や家庭訪問による催告も行っていない。 【指摘 子ども支援課】  少なくとも半年毎の催告状の送付など、督促を含めた回収事務を明記した返 還金回収にかかるマニュアル等を作成し、実行すべきである。そのためにも、 子ども政策課と協議して、返還金の入金状況(情報)を定期的に取得する必要 があろう。 7 法的手続による請求 【事実関係】  いずれの返還金においても、法的手続による請求は行われていない。 【規範】  非強制徴収公債権について、督促をした後相当の期間を経過してもなお履行 されないときは、一定の場合を除き、その担保の処分・担保権の実行の手続、 保証人に対する履行の請求、訴訟手続による履行の請求、強制執行の手続とい った措置をとらなければならない(地方自治法施行令第171条の2)。 【指摘 子ども支援課】  法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が解除されるためには、 一定の例外事由の存在が認められなければならない。  督促をしても償還がなされない時点から、債務者の所在、生活状態、資産状 況、相続人の所在、生活状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録 しておくべきである。  その結果、法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が解除される 理由が認められるのであれば、理由となるべき事実及び当該事実を認定する根 拠を明記した決裁手続を行うべきである。他方、理由が認められないのであれ ば、法的手続による請求といった必要な措置をとるべきである。 8 履行延期の処分の決定審査(児童扶養手当返還金) 【事実関係】  平成27年度の「児童扶養手当債権一覧表」を見ると、履行延期申請をして いるのにその後全く返還していない者が多数存在する。  なお、過去5年間の調定額と収入額の表をみると、平成27年度は収納率が 19.3%しかなく(現年、繰越併せたもの)、収入未済額が増加傾向にある。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第17条第1項に履行延期の特約等に付する条件として、 債務者または保証人に対し、その業務又は資産の状況に関して、質問し、帳簿 書類その他の物件を調査し、又は参考となるべき報告若しくは資料の提出を求 めることと規定されている。 【指摘 子ども支援課】  履行延期後に全く返済がされない状況を改善するため、上記規則の規定に従 って、履行延期の処分決定時の審査を強化すべきである。 9 履行延期の処分と調定 【事実関係】  履行延期の処分を決定した場合、毎月納付書を作成・送付し、その都度調定 が行う。履行延期の処分を行った件数は、平成25年度~27年度ではそれぞれ 3件ずつあった。  一度、返還金全額を調定し、それについて履行延期の処分が行われた場合は、 履行延期前の全額分の調定と毎月行う履行延期後の分納金の調定が財務会計 システム上、重複する。  その後、履行延期後の分納金の返還があった場合には、その金額と同額を履 行延期前の調定から減額するため、その分の調定の重複は解消される。しかし、
    履行延期後の分納金の返還が滞った場合、財務会計システム上、調定金額は重 複したままの状態となり、収入未済額と併せて事実より増加した金額となる。  具体例で述べると、返還金を50万円で調定しつつ、毎月1万円の分納金も 調定し、約定どおり返還を受けると、当初の50万円から1万円減額する。し かし、1万円の分納金の返還を受けないと、50万円はそのまま残りつつ1万 円の調定と重複するため、事実より返還金が増加することとなる(結果、51 万円となる)。  なお、ヒアリングによると、児童扶養手当返還金で1件、子ども手当返還金、 児童手当返還金でそれぞれ1件ずつ該当案件があるが、実務上は担当課が正し い調定金額を把握しているので、対象者に対して誤った金額を請求することは 無いとのことであった。 【指摘 子ども支援課】  財務会計システム上、調定金額や収入未済額が誤った状態となっていること は不適切である。早急に、調定の処理方法を検討して、正しい金額となるよう に対策を講じるべきである。 10 履行延期の処分と延納利息 【事実関係】  履行延期の処分を行う場合、担保提供や利息の付加は行われていない。 【規範】  返還金は一括返済が原則である。  対象者が無資力であったり債務履行が困難であったりして、履行期限を延長 せざるを得ない場合は、地方自治法施行令第171条の6に履行延期の特約又は 処分が定められているが、あくまで特例としての位置づけである。履行延期の 処分をする場合には、岐阜市債権取扱規則において例外事由として認められた 場合を除いては、担保を提供させ、延納利息を付さなければならない(同規則 第12条、第13条、第15条、第16条)。 【指摘 子ども支援課】  資料からは、岐阜市債権取扱規則で定める例外事由が存在しているのかどう かが不明である。例外事由が存在するのであれば、例外事由となるべき事実及 び当該事実を認定した根拠を明記した決裁手続を行うべきである。例外事由が 存在しないのであれば、担保を提供させ、延納利息を付すべきである。 11 履行期限の繰上げ 【事実関係】  履行延期の処分による分納金の納付がない場合でも、履行期限の繰上げをし ていない。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第17条第2項イにおいて、履行延期により分割された 弁済金額の履行を怠ったときは、当該債権の全部又は一部について当該延長に 係る履行期限を繰り上げることができると規定されている。 【意見 子ども支援課】  支払いが滞った場合、履行期限の繰り上げを行うことを債務者に通知し、実 行を検討することが望ましい。 12 不納欠損と消滅時効の管理 【事実関係】  児童扶養手当返還金については、上記データのとおり、過去5年間で9人 85件、合計5,171,880円の不納欠損処分が行われている。その処分理由のす べてが居所不明による時効(5年)成立である。この中には、対象者が死亡し、 その後、相続人から「返還誓約書」が提出されたが、以後5年が経過し時効が 成立しているものもあった。  児童手当返還金については、平成27年度に4人の受給者・10件の返還金 330,000円の不納欠損処分を行っている。その処分理由のすべてが居所不明に よる時効(5年)成立である。上述したとおり、未納となった返還金の督促処 理が十分に行われていないため、時効期間の経過により消滅している  子ども手当返還金については、これまで不納欠損処分を行っていない。 【規範】  地方自治法第236条第1項により、時効期間5年が満了したときは債権が消 滅する。 【指摘 子ども支援課】  時効管理を適切に行うための明確な規定を作成し、可能な限りの時効中断措 置を講じるべきである。債権回収に向けた措置を講じることが困難な事情があ る場合には、徴収停止措置を講じることを検討すべきである。 第5の1 住宅使用料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市には、公的賃貸住宅として賃貸(もしくは転貸)している住宅(いわ ゆる市営住宅)がある。公営住宅法、岐阜市営住宅管理条例、岐阜市営住宅管 理条例施行規則に管理運営の根拠が規定されている。  市営住宅の種類(岐阜市営住宅管理条例第2条) ┌──────────────────────────────────────────┐ │戸数は平成27年4月1日現在                             │ │           ┌──────────┐                   │ │          ┌│公営住宅(3,518戸) │                   │ │          │└──────────┘ ┌───────────┐     │ │ ┌──────┐ │┌──────────┐ │特定目的住宅     │     │ │ │一般市営住宅│─┤│準公営住宅(9戸)  │ │(単身者、母子世帯等)│     │ │ └──────┘ │└──────────┘ └───────────┘     │ │          │┌──────────┐                   │ │          └│改良住宅(52戸)  │                   │ │           └──────────┘                   │ │           ┌──────────┐                   │ │ ┌──────┐ ┌│市単住宅(6戸)   │                   │ │ │特別市営住宅│─┤└──────────┘                   │ │ └──────┘ │┌──────────┐                   │ │          └│建替推進住宅(36戸)│                   │ │           └──────────┘                   │ │ (以上、根拠法は、公営住宅法、岐阜市営住宅管理条例、同条例施行規則)       │ │ ┌────────┐                               │ │ │特定公共賃貸住宅│                               │ │ └────────┘                               │ │ (以上、根拠法は、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律、岐阜市特定公共賃貸住 │ │ 宅条例、同条例施行規則)                             │ └──────────────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────────────┐
    │┌────┐                                    │ ││公営住宅│                                    │ │└────┘                                    │ │  公営住宅法第2条第2号で規定されている住宅のことであり、低所得者向け住宅    │ │┌─────┐                                   │ ││準公営住宅│                                   │ │└─────┘                                   │ │  後記の特定公共賃貸住宅の用途を廃止した住宅で、公営住宅に準じた賃貸をするため市が│ │ 設置するもの                                   │ │┌────┐                                    │ ││改良住宅│                                    │ │└────┘                                    │ │  住宅地区改良法第2条第6項に規定する住宅                    │ │┌────┐                                    │ ││市単住宅│                                    │ │└────┘                                    │ │  準公営住宅及び改良住宅以外の市営住宅                      │ │┌──────┐                                  │ ││建替推進住宅│                                  │ │└──────┘                                  │ │  地域リロケーション住宅の供給について(平成10年4月8日付建設省住整発第36号住宅 │ │ 局長通知)第1第5号に規定する住宅                        │ │┌────────┐                                │ ││特定公共賃貸住宅│                                │ │└────────┘                                │ │  特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律第18条第1項の規定により建設された住宅 │ └──────────────────────────────────────────┘  簡略化して説明すると、建替推進住宅及び特定公共賃貸住宅については、中 堅所得者層向けの賃貸住宅であり、それ以外は、低所得者向けの市営住宅とい うことになる。  岐阜市は、かかる住宅について入居する者に対して、賃料債権を有すること となるが、岐阜市では、市営住宅で発生する賃料と特定公共賃貸住宅で発生す る賃料とを合わせて、「住宅使用料」として取り扱っている。 (3)所管課  まちづくり推進部 住宅課  ただし、当該債権の債権管理業務については、岐阜県住宅供給公社に委託し ている。詳細は後述する。 (4)債権の性質  岐阜市は、非強制徴収公債権と解釈している。  私債権との考え方もあり争いがあるところである。自治体が公営住宅の入居 者に対して明渡しを求めた事案につき、最高裁第一小法廷判決昭和59年12 月13日は、「公の営造物の利用関係として公法的な一面があることは否定しえ ない」としながらも「入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に 公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、・・・事業者と入居者との 間の法律関係は、基本的に私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはな く、・・・公営住宅の使用関係については、法及び条例に特別の定めがない限 り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規 律するについては、信頼関係の法理がある」と判示した。  この最高裁判例の考え方を前提とすると、公営住宅の使用関係の発生原因と なる「入居決定」は公の営造物の利用関係として公法的な一面があるが、少な くとも、入居決定以後の住宅利用関係から発生する債権については、一般の賃 貸借契約と何ら性質が異なるものではなく、私債権と考えられていると思われ る。  ただし、非強制徴収公債権と解釈することが誤りであるとまでは認定できず、 以下は、非強制徴収公債権であることを前提として報告する。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬──────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額 │ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │現年│ 610,768,208│ 578,392,208│ 94.7%│     0│ 32,376,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │H23 │繰越│ 89,128,191│ 28,203,785│ 31.6%│ 1,046,707│ 59,877,699│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 699,896,399│ 606,595,993│ 86.7%│ 1,046,707│ 92,253,699│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │現年│ 595,174,608│ 566,551,151│ 95.2%│     0│ 28,623,457│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │H24 │繰越│ 92,253,699│ 25,130,700│ 27.2%│  857,204│ 66,265,795│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 687,428,307│ 591,681,851│ 86.1%│  857,204│ 94,889,252│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │現年│ 592,178,608│ 565,348,708│ 95.5%│     0│ 26,829,900│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │H25 │繰越│ 94,889,252│ 19,945,557│ 21.0%│  559,530│ 74,384,165│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 687,067,860│ 585,294,265│ 85.2%│  559,530│ 101,214,065│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │現年│ 588,652,008│ 568,810,808│ 96.6%│     0│ 19,841,200│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │H26 │繰越│ 101,214,065│ 22,961,313│ 22.7%│ 1,080,650│ 77,172,102│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 689,866,073│ 591,772,121│ 85.8%│ 1,080,650│ 97,013,302│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │現年│ 580,099,008│ 566,998,608│ 97.7%│     0│ 13,100,400│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │H27 │繰越│ 97,013,302│ 18,761,792│ 19.3%│ 4,920,550│ 73,330,960│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼──────┤ │  │合計│ 677,112,310│ 585,760,400│ 86.5%│ 4,920,550│ 86,431,360│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴──────┘ 2 監査の重点及び監査手続  上記データの数字からすると、現年度の収納率は、年々向上している一方で、 繰越分の収納率には向上が見られない。また、不納欠損は毎年度発生し、平成 27年度は、不納欠損額が他年度に比べてかなり多額となっている。  こうした状況から、特に繰越調定分となるような長期未収金についていかな る回収措置が講じられているかという点に重点をおき、監査を行った。
     監査手続としては、担当課へのヒアリングを実施し(平成28年7月6日、 同年8月18日、同年12月16日、平成29年1月31日)、必要書類を徴求し、 閲覧した。 3 収納に関する業務委託(前提事実)  岐阜市営住宅管理条例第47条第1項では、市長は、公営住宅法第47条第1 項の規定により、公営住宅及び共同施設の管理(家賃の決定並びに家賃、敷金 その他の金銭の請求、徴収及び減免に関することを除く。)を岐阜県住宅供給 公社(以下、「公社」という)に行わせることができる旨規定している。  岐阜市では、平成20年4月1日以降、公社との間で岐阜市営住宅管理業務 委託契約を締結している。  平成27年度に締結された契約書を閲覧したので、以下の記載はそれによる。  契約書第3条第2項以下では、公社に対し、上記の管理代行業務のほかに、 別表第6に掲げる管理に関する業務(以下、「委託業務」という)を委託して いる。委託業務の中に収納業務が含まれており、その具体的内容は次のとおり である。 ┌────────────────────────────────────────┐ │2 収納に関すること。                             │ │(1)住宅使用料等の収納に関すること。                     │ │ 1)住宅使用料納入通知書を管理人を通じて入居者へ送付すること。         │ │(2)口座振替に関すること。                          │ │ 1)入居者に口座振替の申し込み指導及び依頼書を配布、受付すること。       │ │(3)住宅使用料等の督促に関すること。                     │ │ 1)催告書、警告書、呼出状の送付をすること。                  │ │ 2)未納のお知らせをすること。                         │ │ 3)滞納者に臨宅納付勧奨し、その結果を発注者に報告する。            │ │ 4)滞納者等から請求があった場合に納入通知書を再発行すること。         │ │ 5)滞納整理票に記録、保存すること。                      │ │ 6)連帯保証人納付協力予告及び協力依頼書の発行、送付、発注者への報告をすること。│ │ 7)納付誓約書の取り交わし等を行うこと。                    │ │(4)滞納者の法的措置に関すること。                      │ │ 1)発注者の要請に応じ強制執行等法的措置の補助として(別記第8号様式)(別記第9│ │ 号様式)の作成を行うこと。                          │ └────────────────────────────────────────┘ 岐阜市は、住宅使用料にかかる債権回収措置全般を公社に委託しているという ことである。  そうすると、住宅使用料の債権回収措置に関しては、岐阜市そのものの事務 というよりも、岐阜市が公社に対し具体的にどのような指示・要請をしている のか、公社よりどのような報告を受けるのか、あるいは、公社との役割分担等 が重要となってくる。  この点、公社の具体的業務の拠り所は、岐阜市営住宅管理条例のほか、市営 住宅家賃滞納に対する事務処理要綱(平成元年11月1日決裁)(以下、「事務 処理要綱」という)等である。  また、岐阜市は、契約第5条(家賃の収納)第5号にて、公社から、毎日(原 文ママ)の家賃等の収納の状況を明らかにするため、受託金収納金計算書に記 帳、整理し、翌月10日までに報告をしてもらうこと、契約第10条(委託業務 等の報告)にて、別表第6の6の項目(「市営住宅等の維持修繕に関すること」) の四半期ごとの処理状況を翌月5日までに・・・市営住宅家賃滞納整理票によ る報告をしてもらうこととなっている。 4 法的措置対象者選定以前の回収措置 【事実関係】  岐阜市では、入居にあたり、原則として、連帯保証人を2名徴求したうえ、 各連帯保証人の印鑑証明書及び所得を証する書類を徴求し(岐阜市営住宅管理 条例第8条)、入居者の滞納が生じた場合の保全を図っている。  実際に入居者の滞納が生じた場合には、事務処理要綱に依拠した形で、公社 に支払の督促を委託し、概ね、次の流れによって「催告書」「警告書」「呼出状」 を送付している。 ┌───────────────────────────┐ │滞納家賃が3月に達した段階(事務処理要綱第2条(1))│ └┬──────────────────────────┘  │ 1)入居者に対して、納付の「催告書」発送。  │ 2)各連帯保証人に対して、「入居者に早期に納付されるよう督促してくだ  │ さい。今後滞納が増えた場合は、あなたへ納付請求することがある」旨が  ↓ 書かれた「催告書」発送。 ┌───────────────────────────┐ │滞納家賃が5月に達した段階(事務処理要綱第2条(1))│ └┬──────────────────────────┘  │ 1)入居者に対して、納付の「警告書」発送。6か月に達した場合には連帯  ↓ 保証人あてにも催告文書を送付することの予めのお知らせあり。 ┌─────────────────────────────┐ │滞納家賃が6月に達した段階(事務処理要綱第2条(2)参照)│ └┬────────────────────────────┘  │ 1)入居者に対して、納付及び一括納付困難な場合に備えた「呼出状」発送。  │ 2)各連帯保証人に対して、「滞納が・・・6か月間に達しましたので、早  │ 期に納付してください。・・・なお、同様の納付催告書を入居者様あてに  │ も送付し、・・・下記岐阜県住宅供給公社岐阜事務所までお越しいただく  ↓ ようお願いしております。」旨が書かれた「呼出状」発送。 【規範】  公営住宅法第32条第1項第2号で、3月以上滞納となった段階では「明渡 しを請求できる。」と規定されているところ、岐阜市営住宅管理条例規則第9 条第1項が定める入居許可書の許可条件6(4)では、「家賃又は割増賃料を 3月以上滞納したとき」市営住宅を明け渡さなければならないと規定されてい                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ る。効果を重くして、明記している。 【意見 住宅課】  事務処理要綱の内容自体、入居許可条件及び債権回収という観点からは基準 が緩いのではないかと考える。  滞納6ヶ月の警告書でも「今後滞納が続いた場合は、入居されている住宅の 明渡請求をすることになる」との規定であり、6か月でもまだ明渡請求をしな いと言っていることと同義と考える。  また、連帯保証人に対しての請求も、書面上、6月の滞納が生じた段階で初 めて顕在化するかのようになっている。そもそも「連帯」保証人は、単純保証 人と異なり、催告の抗弁(「債権者が保証人に債務の履行を請求したときに、 保証人が、まず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求することができる権利」 民法第452条)がない保証人である(同法第454条)。民法上、滞納が3月に 達した段階で、本人に対するのと同様に催告可能である。債権の回収の効果を
    上げるためには、早めの対応が有効である。  なお、早期の明渡しを求めないのは、元々、入居者は所得の問題などから市 営住宅へ入居するものであることからの配慮もあるのかもしれない。しかし、 住宅については、賃料の減免制度もあるのであり(岐阜市営住宅管理条例第9 条、同条例施行規則第12条等)、理由なく滞納を6ヶ月する入居者に対しても 明渡しを求めないとする手順は、入居を希望する他の市民や、約束どおり納期 に納付する入居者との間の公平性の見地からも相当ではないと考える。  債権回収の見地からすれば、現状の事務処理要綱2条の基準を見直すことが 望ましい。 5 法的措置対象者の選定基準(事務処理要綱第3条) 【事実関係】  岐阜市では、事務処理要綱第3条において、滞納者の中から「法的措置対象 者」を選定し、それに応じた手続を定めている。  事務処理要綱第3条は、以下のとおり規定している。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │(法的措置対象者の選定)                             │ │第3条 市長は、前条各号による納付指導にもかかわらず、納付について何ら誠意を示さ │ │ない者のうちから、次の各号の一に該当する者を法的対象者に選定する。        │ │(1)日頃の生活状況から家賃を納入できないほどの生活困窮者とは認められない状況で、│ │  滞納家賃等が12月以上となった者                        │ │(2)呼出しに応じない、誓約書を提出しない、誓約書どおり履行しない等納入義務観念 │ │  に欠け、誠意がないと認められる者                       │ └─────────────────────────────────────────┘  平成14年度の岐阜市包括外部監査において、法的措置の履行基準(当時よ り要綱に変わりなし)について指摘があり、現状では滞納が12ヶ月以上の対 象者が相当数いるため順次対応するとの措置状況結果であった。  本監査にて確認したところ、平成15年度(平成15年10月15日現在)の法 的措置対象者リストとして10名(リスト上の滞納月数29ヶ月~70ヶ月)、平 成27年度法的措置対象者リストとして15名(リスト上の滞納月数13ヶ月~ 33ヶ月)の記載があった。 【規範】  公営住宅法第32条第1項第2号で、3月以上滞納となった段階では「明渡 しを請求できる。」と規定されているところ、岐阜市営住宅管理条例規則の入 居許可証の許可条件中には3月以上滞納したときは「明け渡さなければならな い」と規定している。 【指摘 住宅課】  後述するとおり、法的措置対象者に選定することにより、岐阜市としては、 様々な法的措置を検討することになる。  しかしながら、事務処理要綱第3条第1号に記載された「12月(1年)」も の滞納家賃が生じるまで、法的措置を検討しないというのでは、家賃回収とい う観点からみれば、手遅れとなる可能性が高い。債務者の状況は刻々と変化す るのであって、債権回収の効果を上げるためにも、早期の法的措置の検討が必 要である。  また、公営住宅においては、公の施設である以上、それを結果として無償で 使用し続けられる根拠は一切なく、入居を必要とし入居を待つ他の市民のこと も考慮しなければならない。  適正に納付している者との公平性の観点も重要である。  以上より、事務処理要綱第3条について、公営住宅法及び岐阜市営住宅管理 条例規則を踏まえ、遅くとも、滞納分が6ヶ月分に達した段階で「呼出状」を 送付してもなお滞納が解消されない者を法的措置対象者とする旨の基準の変 更を検討すべきである。  なお、法的措置対象者以前の収納事務は公社に全面的に委託しているのであ って、6ヶ月に早めることで事務負担が大きくなるということは、決して法的 措置対象者の基準を厳しくしないことの理由とはならないと考える。 6 法的措置対象者に対する対応 【事実関係】  平成27年度の法的措置対象者は合計で15名とのことである。  平成27年度、即決和解の申立てがなされた事例はない。ヒアリングによれ ば、それ以前もなされた形跡はない。 【規範】  事務処理要綱上、法的措置対象者に選定した者に対して、次のような措置を とることができる。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │ 1) 即決和解の申立て(第5条、第6条)                     │ │ 2) 1)がとれない場合には、内容証明郵便による督促(第7条)           │ │ 3) 2)によっても誠意の見受けられない者に対して、支払督促の申立て(第7条)   │ │ 4) 3)により債務名義を取得した場合には、強制執行の申立て(第12条)       │ │ 5) 4)の強制執行の効果が期待できないと判断したときは、2)~4)を行わないで、内容証│ │   明郵便による明渡請求の予告                         │ │ 6) 5)によっても応じない者に対して、内容証明郵便による使用許可取消、賃貸借契約の│ │   解除、明渡し請求の通知                           │ │ 7) 6)によっても明け渡さない者に対して、訴訟提起                │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 住宅課】  事務処理要綱によれば、原則として、第5条や第6条において、即決和解を 促していると考えられる。  即決和解(民事訴訟法第275条)とは、すでに合意済みの内容を裁判所にて 公証してもらうという手続であり、裁判を行ったのと同様の効果がある(民事 訴訟法第267条)。すなわち、和解内容で定められた義務を怠った場合には、 裁判を経ずとも明渡等の強制執行ができることになるし(公正証書では明渡の 強制執行はできない)、また、時効期間を10年に伸長する効果もある。  債権回収という意味では極めて有効な手段である上、即決和解については、 費用(印紙代、郵券)も訴訟と比較して低額でもある。  また、「市営住宅及び特定公共賃貸住宅の管理上必要な訴えの提起、和解及 び調停に関すること」について、市長において専決処分が可能となっている(地 方自治法第180条第1項の規定による市長の専決処分事項 昭和51年10月1 日市議会議決)。  即決和解制度が利用されるべき事案が一定数あると思われることから、マニ ュアルを策定するなどして即決和解手続の積極的な利用を検討すべきである。 7 連帯保証人に対する訴訟提起 【事実関係】  法的措置対象者となった入居者に対して明渡訴訟を提起する際、連帯保証人 を被告として滞納分の請求をしていない。  住宅使用にかかる連帯保証人には印鑑証明書を提出してもらっており保証
    否認の可能性は低いと思われる。 【指摘 住宅課】  明渡訴訟の際に、連帯保証人を共同被告として加えた上で、滞納分の請求を することができる。  訴訟の際に、被告として連帯保証人を加えることの煩雑さはなく(考えられ るとすれば、連帯保証人の所在がつかめないようなケースがありうるが、その ような事情がない限りは)、郵券は別として、印紙代も複数になったところで 変化はない。  滞納住宅使用料の回収を最大化させる観点から、入居者に対して明渡訴訟を 提起する際、連帯保証人も共同被告として滞納分の支払いを求めていくべきで ある。 8 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  岐阜市では、住宅使用料について非強制徴収公債権として取扱いをしてきた ところ、平成27年度までは、督促手数料及び延滞金を徴収していなかった。  この点に関し、平成14年度の岐阜市包括外部監査報告書17頁の監査の結果 における問題点においても、督促手数料及び延滞金を徴収することができる (地方自治法第231条の3第2項)のに現状これらを徴収していないことが指 摘されていた。この指摘に対し、岐阜市は、「本市では未納者に督促手数料を 課すと、家賃の納付がさらに困難となるおそれがあるため、今後も督促手数料 等は徴収しない予定です。」と措置状況にて回答していた。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条では、督促状を 発したときは督促手数料並びに延滞金を徴収すると規定し、第4条にて、督促        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 手数料は督促状1通につき100円、第5条で延滞金は納付金額2,000円以であ るときは納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて徴収することを規定 している。 【指摘 住宅課(改善報告)】  住宅使用料を非強制徴収公債権として取り扱うのであれば、上記条例上、督 促状を発したときの督促手数料及び延滞金の徴収は、「義務」であって裁量は ない。条例に従い、督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。  ただし、平成28年度から、督促手数料及び延滞金を徴収することになった とのことであり、改善報告とする。 第5の2 施設使用料 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  平成20年12月18日付け国土交通省住宅局長通知に基づき、解雇等により 住居の退去を余儀なくされる者(離職退去者)の居住の場を確保するために、 公営住宅の本来入居退所者の入居を阻害せず、公営住宅の適正かつ合理的な管 理に支障のない範囲内で、公営住宅の目的外使用を認める制度のもとに入居さ せた者に対して発生する入居家賃である。  岐阜市では、「市営住宅の目的外使用(離職退去者使用)による事務処理要 領」(平成20年12月19日決裁 改正平成21年5月15日決裁)(以下、「事務 処理要領」という)に基づき、運営されている。一時使用が想定されており、 原則として使用期間は6ヶ月以内と定められている(事務処理要領第3条第1 号)。また、使用料も月額6,900円から7,500円(共益費等別途)であり低額 となっている。敷金は免除、連帯保証人は不要とされている。 (2)債権の性質  岐阜市は非強制徴収公債権との認識である。公の施設の使用料(地方自治法 第225条)と捉えている。 (3)所管課  住宅課 住宅使用料と異なり、同課担当者にて債権管理をしている。 (4)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│   115,400│   94,700│ 82.1%│     0│  20,700│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│   117,850│   13,800│ 11.7%│     0│  104,050│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   233,250│   108,500│ 46.5%│     0│  124,750│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│   111,900│   111,900│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│   124,750│   20,700│ 16.6%│     0│  104,050│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   236,650│   132,600│ 56.0%│     0│  104,050│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│   82,800│   69,000│ 83.3%│     0│  13,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│   104,050│      0│  0%│   3,550│  100,500│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   186,850│   69,000│ 36.9%│   3,550│  114,300│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│   82,800│   62,100│ 75.0%│     0│  20,700│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│   114,300│   13,800│ 12.1%│  30,000│  70,500│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   197,100│   75,900│ 38.5%│  30,000│  91,200│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│   82,800│   82,800│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│   91,200│   20,700│ 22.7%│  70,500│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│   174,000│   103,500│ 59.5%│  70,500│     0│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 【コメント】  平成27年度は現年度収納率100%、繰越分は、収入済額以外、全て不納欠 損で落としており、全く未収はなくなった。不納欠損処分通知書にて、平成 27年度不納欠損70,500円を確認したところ、2名の者に対するもので、平成 21年度10月から3月分までの合計金額であった。時効が不納欠損の理由であ
    り、不納欠損処分自体には、問題は見当たらず、本債権については、特に指摘・ 意見を述べることはない。 第5の3 駐車場使用料 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  公営住宅使用料で述べた市営住宅に付随する駐車場用地の使用料である。  岐阜市営住宅管理条例第23条に基づき、「当該駐車場のある市営住宅の入居 者で組織する自動車保管場所運営委員会」に対して、使用許可がなされるもの とされており、本駐車場使用料の債務者としては、「自動車保管場所運営委員 会」という団体となる。平成27年度は53団体である。 (2)債権の性質  岐阜市では非強制徴収公債権と捉えている。 (3)所管課  住宅課 施設使用料同様、同課担当者にて債権管理をしている。 (4)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 63,468,100│ 63,459,700│99.99%│     0│   8,400│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│   64,600│   64,600│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 63,532,700│ 63,524,300│99.99%│     0│   8,400│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 60,812,500│ 60,812,500│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│    8,400│      0│  0%│     0│   8,400│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 60,820,900│ 60,812,500│99.99%│     0│   8,400│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 61,140,900│ 61,065,300│99.99%│     0│  75,600│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│    8,400│      0│  0%│     0│   8,400│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 61,149,300│ 61,065,300│99.99%│     0│  84,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 63,378,500│ 63,270,500│ 99.8%│     0│  108,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│   84,000│      0│  0%│     0│  84,000│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 63,462,500│ 63,270,500│ 99.7%│     0│  192,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 62,328,550│ 62,328,550│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│   192,000│   140,400│ 73.1%│     0│  51,600│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 62,520,550│ 62,468,950│ 99.9%│     0│  51,600│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 【コメント】  当該債権の収納率は高く、平成27年度現年度分は100%回収となっている。  こうした背景には、債務者が入居者で構成される「運営委員会」という団体 であり、その団体の代表者が構成員たる入居者に対して集金し、その集まった 金員を岐阜市に支払うという構造によるものと思われる。平成14年度岐阜市 包括外部監査の結果で指摘のあった運営委員会の規約も提出を受けていた。  繰越分51,600円は2名によるものであるが、催告の結果、内1名からは、 平成28年度に全額回収し(43,200円)、残り1名2件(4,200円×2=8,400 円)が残っているとのことである。しかし、この未納は、平成23年4月分、 5月分とのことで、本年度末、5年の時効による不納欠損処分をすることにな る。よって、特に指摘・意見はない。 第6 レンタサイクル使用料 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  岐阜市では、自転車を近距離交通機関の一つとして市民及び本市を訪れる者 の利用に供するため、岐阜市の所有する自転車の貸し出しを行っている。  当該自転車の貸し出しについては、岐阜市レンタサイクル条例(平成17年 3月30日条例第14号。以下「条例」という。)及び同施行規則が定めている。  レンタサイクルの1回の利用期間は2日以内とされており(第4条)、利用 者は、あらかじめ利用日数を決めて利用申込を行い、100円に利用承認を受け た利用期間の日数を乗じて得た額を利用料として前納する(第6条1項、第2 項)。 (2)債権の性質  岐阜市では、レンタサイクル利用料を非強制徴収公債権に分類している。  その根拠は次のとおりである。すなわち、レンタサイクルが設置されている レンタサイクルポートは不動産であり、公有財産にあたる(地方自治法第238 条第1項第1号)。レンタサイクルは、レンタサイクルポートの従物とみるこ とができるため、公有財産にあたる(地方自治法第238条第1項第3号)。こ れらは公用・公共用に供することから、行政財産である(地方自治法第238 条第4項)。従って、レンタサイクルについては、行政財産として使用料を徴 収する(地方自治法第225条。以上につき「ぎふ・まちなかレンタサイクル管 理・運営マニュアル」2頁)。すなわち、レンタサイクル利用料は、「使用料」 であり、非強制徴収公債権としての性質を持つということである。 (3)所管課  都市建設部 歴史まちづくり課 まちなか歩き係(2名) (4)直近5年度のデータ                  (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│  1,334,800│  1,317,500│ 98.7%│     0│  17,300│
    │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   21,900│      0│ 0.0%│     0│  21,900│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,356,700│  1,317,500│ 97.1%│     0│  39,200│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│  1,446,900│  1,445,700│ 99.9%│     0│   1,200│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   39,200│     400│ 1.0%│     0│  38,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,486,100│  1,446,100│ 99.3%│     0│  40,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│  1,526,400│  1,520,600│ 99.6%│     0│   5,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   40,000│      0│ 0.0%│   9,900│  30,100│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,566,400│  1,520,600│ 97.1%│   9,900│  35,900│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│  1,679,900│  1,661,400│ 98.9%│     0│  18,500│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   35,900│     800│ 2.2%│  10,200│  24,900│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,715,800│  1,662,200│ 96.9%│  10,200│  43,400│ ├──┼──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│  1,830,100│  1,828,500│ 99.9%│     0│   1,600│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   43,400│      0│ 0.0%│   1,600│  41,800│ │  ├──┼──────┼──────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,873,500│  1,828,500│ 97.6%│   1,600│  43,400│ └──┴──┴──────┴──────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び手続  監査にあたり、レンタサイクル条例及び担当課のホームページに表示された 内容を確認したところ、利用承認期間を超過した場合の負担額につき、レンタ サイクル条例と、実際の運用とに齟齬があるように思われたことから、その点 に重点を置いて監査した。また、関係法令等に従った債権管理がなされている かどうかを確認することにも重点を置いた。  監査手続としては、平成28年8月9日及び同年12月15日、担当課である 岐阜市都市建設部歴史まちづくり課担当者のヒアリングを行った。また、調査 票による照会及び提出資料の書類監査を行った。 3 利用承認期間を超過した場合の負担額 【事実関係】  岐阜市では、承認期間を超えた場合の精算は、返却までの期間において、一 度返却し再度2日利用することを繰り返したとして精算している。すなわち、 1日の超過につき200円の利用料(延長料)が発生するということである。  条例では、利用者が承認期間を超えて引き続き利用し、又は返却しなかった 場合、当該超えた期間に係る利用料については、「返却した日までの日数の利 用とみなして」利用料を精算するものとされている(第6条第5項)。  この「返却した日までの日数の利用」の意味については、岐阜市レンタサイ クル利用料に関する取扱要綱(以下「要綱」という。)第4条において、「条例 第4条第1項の規定による2日の利用を返却した日まで繰り返すことをいう」 ものとされている。  岐阜市における承認期間を超えた場合の精算は、この要綱に基づいて行われ ている。 【指摘 歴史まちづくり課】  使用料は100円に利用承認を受けた利用期間の日数を乗じて得た額、すなわ ち100円×日数であること(条例第6条第1項)を前提とすると、条例第6条 第5項の「返却した日までの日数の利用」との文言は、素直に読む限り、100 円に超過期間の日数を乗じた金額(超過期間1日につき100円)としか読むこ とができない。そうだとすれば、超過期間1日につき200円の使用料の徴収を 定めている要綱は、条例第6条第5項に違反していることとなる。  しかし、利用者が当初の承認期間を超えて翌日までレンタサイクルを継続利 用したい場合は、本来であれば、承認期間の末日に一度レンタサイクルを返却 し、当日中に再度借りる形をとる必要がある。その際には2日間(返却した日 と翌日)の利用承認を得ることになり、200円の使用料を支払う必要がある (100円×2日間=200円)。これに対して、正規の手続を経ずに承認期間を超 過して利用を継続した場合に、超過期間1日あたり100円の使用料を支払えば 足りるということになると、正規の利用手続に従った利用者と、正規の手続を 経ずに利用期間を超過した利用者との間で不公平が生じる。このような不公平 を防止するとともに、承認期間内の返却を担保するために、承認期間超過の場 合には超過期間1日につき200円の負担を課す必要性があることは理解でき る(なお、要綱は市民を拘束する根拠ではない)。  仮に、条例第6条第5項の「返却した日までの日数の利用」という文言を、 要綱第4条の定めるように、「条例の定める正規の利用手続に則った上で返却 した日まで利用したこと」と読む余地があるとしても、少なくとも疑義を生じ る表現であることは明らかである。そもそも要綱による補充を要していること 自体、条例の文言が不明確であることを示している。利用者の権利義務に直結 する使用料額に関する規定である以上、条例の文言に解釈の余地があること自 体が問題である。  そこで、条例第6条第5項を改正し、超過期間1日につき200円の金員の支 払義務が生じる旨を条例上明確にすべきである。 4 督促状による督促 【事実関係】  担当課では、レンタサイクルの利用承認期間超過により利用料の滞納が生じ た場合、最初の1週間は毎日電話により自転車返還の催促を行い、承認期間超 過から20日以内に、「レンタサイクル利用料金の未払いについて(通知)」と 題する様式の書面を送付して納入の通知をしているが、督促状は発送していな い。  その後、納付がない場合には、電話催告、上記書面の再送、自宅訪問により 支払いを催告している。 【規範】  公債権については、納期限までに納付しない場合は、期限を指定して督促し なければならない(地方自治法第231条の3第1項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、納期限 後20日以内に、別に市長が定める督促状を発することとされている(市税以 外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条)。  督促状の様式については、岐阜市債権取扱規則第1号様式の督促状を用いる こととされている(但し、必要に応じて記載事項の省略・追加・修正が可能で ある)(同規則第2条、第21条)。
    【指摘 歴史まちづくり課】  「レンタサイクルの利用料金の未払いについて(通知)」は、その表題から して、岐阜市債権取扱規則第21条に基づき同規則第1号様式の督促状を省 略・追加・修正したものとみることは困難である。上記様式には不服申立ての 教示文も記載されていない。  督促は、延滞金や督促手数料発生の根拠となるものであるし、また時効中断 効も有するものであり、重要な効果をもたらすものである。  条例に従い、督促状により、督促すべきである。 5 督促手数料の請求 【事実関係】  担当課では、督促手数料を請求していない。 【規範】  公債権について、督促をした場合、条例の定めるところにより、手数料及び 延滞金を徴収することができる(地方自治法第231条の3第2項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状 を発し、督促手数料及び延滞金を徴収するものとされている(市税以外の諸納 付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条、第3条)。 【指摘 歴史まちづくり課】  条例に従い、督促状を発した上で、督促手数料を請求すべきである。 6 徴収停止 【事実関係】  担当課では、滞納者に対する電話、書面(簡易書留による通知書及び納付書 の郵送)、及び訪問による催告が、電話不通・居所不明により不可能となった 時点で事実上徴収行動を停止し、時効完成後に不納欠損処理をしている。  レンタサイクル利用料の一人あたりの滞納額は、200円ないし12,600円(平 成23年度ないし平成27年度)であるが、徴収停止の措置(地方自治法施行令 第171条の5)をとったことはない。  担当課において徴収停止の要件該当性に関する基準は設けられていない。 【規範】  非強制徴収公債権について、履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に 履行されていないもので、債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たない と認められるとき等に該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当 であると認めるときは、徴収停止の措置をとることができる(地方自治法施行 令第171条の5)。  なお、徴収停止の手続については、岐阜市債権取扱規則第9条に定められて いる。 【意見 歴史まちづくり課】  担当課においては、徴収活動の経過を詳細に記録化していることから、現状 のように事実上徴収活動を停止するという扱いでも、管理を怠ったとの指摘を 受けることはないと思われるが、地方自治法施行令による徴収停止を行ってお いた方がより明確であり、放置したとの認定がされにくいものと考えられる。  要件との関係では、上記のとおり1件あたりの滞納額が比較的少額であるこ とから、地方自治法施行令第171条の5の第3号該当を検討することになると 思われる。  もっとも、担当課では徴収停止の要件該当性に関する基準が設けられていな いため、個々の事案について該当性を判断しにくいものと考えられる。  そこで、徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用することが望ましい。 第7 し尿処理手数料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市では、岐阜市廃棄物の処理及び清掃に関する条例に基づき、くみ取り 式トイレ(居宅、事業所、工事現場等)のくみ取り(収集、運搬及び処分)を 行うにあたり、土地又は建物の占有者から、処理手数料を徴収している。  し尿処理手数料の算定方法及び徴収方法については、岐阜市廃棄物の処理及 び清掃に関する規則第4条及び同第5条にて、詳細に決められている。手数料 額については、以下の基準となっている。 ┌───────┬────────────────┬────────┬────┐ │  名称   │      取扱区分      │   単位   │ 金額 │ ├───────┼────────────────┼────────┼────┤ │定額制    │一般世帯及びこれに準ずるもの  │世帯員1人1回に│  320円│ │       │                │つき      │    │ ├───────┼────────────────┼────────┼────┤ │従量制    │定額制により難いもの      │18リットルにつき│  160円│ ├───────┼────────────────┼────────┼────┤ │臨時収集加算金│従量制において臨時にくみ取る場合│1回につき   │ 1,200円│ │       │に従量制の手数料に加算するもの │        │    │ └───────┴────────────────┴────────┴────┘  くみ取り方法については、定期的(概ね1か月に一度)に行くパターンと、 臨時で行くパターンとがあるが、定期的に行くパターンについては、例えば、 8月分、9月分の処理手数料にについて、10月に納付書を渡すというような、 事後的に2か月分の納付書を渡すという運用をしている。 (2)債権の性質  非強制徴収公債権である。  岐阜市廃棄物の処理及び清掃に関する条例第6条には明記がないが、地方自 治法第227条規定の手数料と解される。 (3)所管課  環境事業部 環境事業課 (4)直近5年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 57,226,320│ 55,658,883│   97.3%│     0│ 1,604,997│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  4,610,989│  1,659,937│   36.0%│  533,920│ 2,417,132│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 61,837,309│ 57,318,820│   92.7%│  533,920│ 4,022,129│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 54,421,040│ 53,016,588│   97.4%│     0│ 1,423,752│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  4,022,129│  1,347,967│   33.5%│  465,400│ 2,208,762│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 58,443,169│ 54,364,555│   93.0%│  465,400│ 3,632,514│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤
    │H25 │現年│ 52,674,480│ 51,725,528│   98.2%│     0│  957,272│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  3,632,514│  1,311,912│   36.1%│  439,280│ 1,881,322│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 56,306,994│ 53,037,440│   94.2%│  439,280│ 2,838,594│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 48,135,040│ 47,379,088│   98.4%│     0│  762,032│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  2,838,594│   979,072│   34.5%│  246,160│ 1,613,362│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 50,973,634│ 48,358,160│   94.9%│  246,160│ 2,375,394│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 44,201,920│ 43,634,048│   98.7%│     0│  578,112│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  2,375,394│   758,512│   31.9%│  285,742│ 1,331,140│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 46,577,314│ 44,392,560│   95.3%│  285,742│ 1,909,252│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  上記データのとおり、平成27年度の収納率は、現年度99%程度と高い。  しかしながら、収入未済額も一定数ある。当該債権については、1件あたり、 数百円程度という金額のことも多い。このような性質を有する債権について、 適時に回収をかける必要がある反面、他方で、回収不能となっている債権につ いては適時に管理から落とすということも肝要となる。  以上の点に監査の重点をおき、担当課へのヒアリングを実施し(平成28年 8月23日、同年12月12日)、必要書類を徴求し、閲覧した。 3 消滅時効の管理 【事実関係】  担当課では、消滅時効の起算点を督促状で定めた期限の翌日として、消滅時 効の管理をしている。 【規範】  債権の消滅時効は、権利を行使できる時から進行する(地方自治法第236 条第3項、民法第166条第1項)。地方公共団体の債権は、納入の通知におい て納期限が定められており、納期限の翌日から消滅時効が進行する。  公債権について、納期限までに履行されないときは、督促を行うこととなり、 督促により消滅時効が中断する(地方自治法第231条の3第1項、第236条4 項)。督促による法的効果は、督促状が送達された日に生じる。なお、通常到 達すべきであった日に送達したものと推定する規定がある(地方自治法第231 条の3第4項、地方税法第20条第4項)。  法律に特別の定めのない非強制徴収公債権について、中断した時効は中断の 事由が終了した日から進行するため、督促状が送達された日の翌日から消滅時 効が進行する(地方自治法第236条第3項、民法第157条第1項)。 【指摘 環境事業課】  納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点として、消滅時効の管理 をすべきである。 4 徴収停止 【事実関係】  当該債権については、1件あたり、数百円程度という金額のことも多く、1件 あたりの収入未済額は低額である。そのため、回収に要するコストを考えると、 回収を断念せざるを得ないようなケースも一定数存在すると思われる。 【規範】  非強制徴収公債権について、履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履 行されていないもので、債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認 められるとき等に該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当である と認めるときは、徴収停止の措置をとることができる(地方自治法施行令第171 条の5)。なお、徴収停止の手続については、岐阜市債権取扱規則第9条に定めら れている。 【意見 環境事業課】  1件あたりの滞納額が比較的少額なものであり、地方自治法施行令第171条の 5の第3号該当を検討することになると思われる。もっとも、担当課では徴収停 止の要件該当性に関する基準が設けられていないため、個々の事案について該当 性を判断しにくいものと考えられる。  そこで、徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用することが望ましい。 第8 中央卸売市場施設使用料(水道、電気使用料を除く) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  中央卸売市場の使用者から徴収する使用料である。  以下、本債権を報告する前提として、岐阜市中央卸売市場について紹介する。 【中央卸売市場事業の目的】  卸売市場の整備を計画的に促進するための措置、卸売市場の開設及び卸売市 場における卸売その他の取引に関する規制等について定めて、卸売市場の整備 を促進し、及びその適正かつ健全な運営を確保することにより、生鮮食料品等 の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もつて国民生活の安定に 資することを目的とする(卸売市場法第1条)。 【中央卸売市場事業の概要】 ○市場関係業者(平成27年4月1日現在) ┌────┬────────┬────────┬────────┬─────────┐ │    │  卸売業者  │  仲卸業者  │ 売買参加者  │  関連事業者  │ ├────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤ │    │農林水産大臣の │開設者の許可を │市場外で商売を │開設者の許可を  │ │    │許可を受けて、出│受けて、市場内に│営む小売業者・加│受けて、市場利用 │ │    │荷者から集荷し │おいて卸売業者 │工業者などの大 │者に商品販売ま  │ │    │た生鮮食料品等 │が行う売買取引 │口の需要者の中 │たは各種サービ  │ │    │を市場内卸売場 │に参加し、買い受│で、開設者の承認│スを行う業者。  │ │    │において仲卸業 │けた生鮮食品等 │を受けて卸売業 │例)卸売業者が取 │ │ 内容 │者または売買参 │を市場内店舗で │者が行う売買取 │り扱っていない  │ │    │加者などに卸売 │仕分けまたは調 │引に仲卸業者と │品目(漬物、佃煮、│ │    │りを行う業者  │整し、小売業者な│同じ立場で参加 │惣菜等)の卸売  │ │    │        │どに販売する業 │し、消費者等に小│り、冷蔵庫業、運 │ │    │        │者       │売りをする業者 │送業、金融業、飲 │ │    │        │        │        │食業、薬局、車両 │
    │    │        │        │        │修理業など    │ ├────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤ │青果部 │       2者│      24者│      273者│        -│ ├────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤ │水産物部│       2者│      14者│      181者│        -│ ├────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤ │ 関連 │       -│       -│       -│       74者│ │事業者 │        │        │        │         │ ├────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤ │ 合計 │       4者│      38者│      454者│       74者│ └────┴────────┴────────┴────────┴─────────┘ 【施設使用料の一覧】 ┌──────────┬─────────────────────────────┐ │    種別    │             金額              │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │卸売業者市場使用料 │卸売金額に1,000分の3を乗じた額及び卸売場の面積1平方メ   │ │          │ートルにつき 月額 162円 低温売場 月額 1,480円    │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │仲卸業者市場使用料 │仲卸業者が第48条第2項の規定による許可又は承認を受けた場  │ │          │合におけるその買い入れた物品の販売金額(消費税額及び地方 │ │          │消費税額を含む。)の1,000分の3を乗じた額及び仲卸売場の面 │ │          │積1平方メートルにつき     月額   1,436円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │関連事業者市場使用料│第1種 1平方メートルにつき   月額    810円     │ │          │第2種 1平方メートルにつき   月額   1,577円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │事務所使用料    │1平方メートルにつき      月額    961円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │倉庫使用料     │1平方メートルにつき      月額   1,004円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │加工室使用料    │1平方メートルにつき      月額    680円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │買荷保管積込所使用料│1平方メートルにつき      月額    151円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │冷蔵庫使用料    │冷蔵庫棟            月額 2,635,200円     │ │          │低温冷蔵庫1平方メートルにつき 月額   1,847円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │醗酵室使用料    │                月額  789,480円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │駐車場使用料    │1台につき           月額   8,640円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │会議室使用料    │1時間につき               1,080円     │ ├──────────┼─────────────────────────────┤ │水道使用料     │1立方メートルにつき             21円     │ └──────────┴─────────────────────────────┘  市場使用料は、業者の売上高により算出される使用料と施設の使用に対して 算出される使用料が合計された額となっており、前者を売上高割使用料、後者 を施設使用料として分類している。 【根拠法令】 ・卸売市場法、同施行規則 ・地方公営企業法(うち財務規定等)、同施行令 ・岐阜市中央卸売市場業務条例(以下「業務条例」)、同施行規則 ・岐阜市中央卸売市場事業の設置に等に関する条例 ・岐阜市中央卸売市場事業の財務に関する特例を定める規則 ・地方公営企業法、同施行令 (2)債権の性質  非強制徴収公債権と解される。地方自治法第225条の使用料である。 (3)所管課  農林部 中央卸売市場  調定・現年度未収金対応2名(庶務係) 過年度未収金対応2名(業務係)  電気料・水道使用料(中央卸売市場)も扱っている。 (4)事務手続  収納の流れは、以下のとおりである。 使用料等の徴収に口座振替を利用する場合、調定後、納入通知書と振替依頼書 を出納金融機関および収納金融機関に渡し、振替完了後、出納金融機関および 収納金融機関から、直接もしくは市場を通じて、納入義務者に、領収書を交付 する。  使用料等の徴収に口座振替を利用しない場合、調定後、納入通知書を納入義 務者(場内業者)へ持参し、業者が出納金融機関もしくは収納金融機関に入金 し、出納金融機関もしくは収納金融機関から納入義務者に、領収印の押された 領収書が交付される。  金融機関の処理には、4営業日を要する。 (5)直近5年度のデータ ア 本来  岐阜市中央卸売市場は、公営企業会計を採用しており、出納整理期間の概念 がない。よって、以下のデータは、毎年度3月31日時点での数字である。 〔売上高割使用料〕                    (単位:円、税込) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │現年│ 179,078,548│ 162,856,205│    91%│     0│16,222,343│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│  1,527,190│  1,527,190│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 180,605,738│ 164,383,395│    91%│     0│16,222,343│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │現年│ 168,742,186│ 155,199,107│    92%│     0│13,543,079│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│ 16,222,343│ 16,222,343│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 184,964,529│ 171,421,450│    93%│     0│13,543,079│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤
    │  │現年│ 176,412,712│ 161,782,336│    92%│     0│14,630,376│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│ 13,543,079│ 13,543,079│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 189,955,791│ 175,325,415│    92%│     0│14,630,376│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │現年│ 179,156,059│ 163,240,587│    91%│     0│15,915,472│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│ 14,630,376│ 14,630,376│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 193,786,435│ 177,870,963│    92%│     0│15,915,472│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │現年│ 169,157,054│ 154,527,938│    91%│     0│14,629,116│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│ 15,915,472│ 15,915,472│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 185,072,526│ 170,443,410│    92%│     0│14,629,116│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 〔施設使用料〕                      (単位:円、税込) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23│現年│ 294,999,313│ 285,847,962│   96.9%│     0│ 9,151,351│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 14,154,066│  9,766,996│   69.0%│     0│ 4,387,070│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 309,153,379│ 295,614,958│   95.6%│     0│13,538,421│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24│現年│ 286,152,661│ 272,476,660│   95.2%│     0│13,676,001│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 13,538,421│  8,627,023│   63.7%│     0│ 4,911,398│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 299,691,082│ 281,103,683│   93.8%│     0│18,587,399│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25│現年│ 280,920,282│ 259,886,267│   92.5%│     0│21,034,015│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 18,587,399│ 13,570,321│   73.0%│     0│ 5,017,078│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 299,507,681│ 273,456,588│   91.3%│     0│26,051,093│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26│現年│ 255,540,053│ 242,666,240│   95.0%│     0│12,873,813│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 26,051,093│ 20,696,656│   79.4%│     0│ 5,354,437│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 281,591,146│ 263,362,896│   93.5%│     0│18,228,250│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27│現年│ 246,487,135│ 237,877,504│   96.5%│     0│ 8,609,631│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 18,228,250│ 13,092,861│   71.8%│     0│ 5,135,389│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 264,715,385│ 250,970,365│   94.8%│     0│13,745,020│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ イ 修正  一般会計に併せ出納閉鎖日5月31日にて修正すると、現年度の収納率は、 次のとおりである。 〔売上高割使用料〕 ┌───┬────┬────┬────┬────┬────┐ │   │ H23  │ H24  │ H25  │ H26  │ H27  │ ├───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │3月〆│  90.9%│  92.0%│  91.7%│  91.1%│  91.4%│ ├───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │5月〆│ 100.0%│ 100.0%│ 100.0%│ 100.0%│ 100.0%│ └───┴────┴────┴────┴────┴────┘ 〔施設使用料〕 ┌───┬────┬────┬────┬────┬────┐ │   │ H23  │ H24  │ H25  │ H26  │ H27  │ ├───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │3月〆│  96.9%│  95.2%│  92.5%│  95.0%│  96.5%│ ├───┼────┼────┼────┼────┼────┤ │5月〆│    │  99.6%│  97.6%│  99.3%│  99.3%│ └───┴────┴────┴────┴────┴────┘ 2 監査の重点及び監査手続  上述のとおり、売上高割使用料については、過去5年度すべて、現年度に収 入未済があるが、繰越は収納率100%である。3月締めの関係で、収入未済が 発生するが、すぐに回収されている。売上高割使用料の約99%は卸売業者4 者が占めていることが要因とのことである。  他方、施設使用料については、未収が発生している。滞納しており、かつ市 場の使用を継続している業者は3者あり(後述)、滞納分を分納しているが、 納期の古いものから充当しているため、現年度未収金が発生する。未収金は、 この3者及び平成27年度までに廃業した業者によるものであった。  未収者が限定されているので、その点の具体的回収面につき、監査の重点と した。平成28年8月25日(木)、同年10月7日(金)、同月21日、同年11 月1日、同年11月25日(いずれも於中央卸売市場)、同年12月19日(於監 査室)、ヒアリングを行った。また,調査票による照会及び提出資料の書類監 査を行った。 3 納期限の定め 【事実関係】  市場使用料の調定日及び納期は以下のとおりである。売上高割使用料は日々 の集計及び確認を要するため、その性質上、月の末日までに、その月分の納付 を求めるのは不可能であり、青果卸・水産卸及び青果仲卸の売上高割使用料に ついては前月分を10日に調定し(納期限は20日)、水産仲卸の売上高割使用 料については前月分を20日に調定(納期限は当月末)するという運用をして いる。 ┌─────────────────────┬───────┬───┐ │債権名                  │調定日    │納期限│
    ├─────────────────────┼───────┼───┤ │施設使用料                │当月分を20日 │月末 │ ├─────────────────────┼───────┼───┤ │売上高割使用料(青果卸・水産卸・青果仲卸)│前月分を10日 │20日 │ ├─────────────────────┼───────┼───┤ │売上高割使用料(水産仲卸)        │前月分を20日 │月末 │ └─────────────────────┴───────┴───┘ 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │岐阜市中央卸売市場業務条例施行規則第88条                    │ │ 月額による使用料は、毎月末日までにその月分を納付しなければならない。     │ │2 月額による使用料以外の使用料については、市長が定める日までに納付しなければな│ │ らない。                                   │ │3 月の中途において使用を完了する場合の月額使用料は、使用完了の日に納付しなけれ│ │ ばならない。                                 │ │4 前3項に定めるもののほか、市長が特別の理由があると認める場合は、その納期を別 │ │ に指定する。                                 │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 中央卸売市場】  施行規則第88条第1項に反する上記使用料の納期につき、市長による別の 指定はなされていない。  このような施行規則に反する状態を解消するため、施行規則第88条第1項 を現状の運用に沿った内容に改正するか、同第4項により、市長が納期を別に 定めるべきである。例えば、名古屋市中央卸売市場業務条例施行細則第56 条では、施設使用料と売上高割使用料の納期を分けて規定している。 4 行政不服申立ての教示 【事実関係】  納入通知書には、行政不服審査法に定める教示文が明記されていない。 【規範】  行政不服審査法第57条(改正後第82条)では、行政不服申立について書面 による教示が必要とされている。 【指摘 中央卸売市場】  納入通知は、施設使用料を賦課する行政処分であり、不服審査の対象となる。  納入通知書には、不服申立ての教示文を明記すべきである。 【事実関係】  支払督促及び催告は、卸売市場独自の様式を使用しているが、行政不服審査 法に定める教示文が明記されていない。  また、その様式は、市場施設使用料だけでなく、水道使用料・電気料もまと めて督促する形式が取られている。 【指摘 中央卸売市場】  施設使用料の督促は、行政処分であり、不服審査の対象となる。他方、水道 使用料・電気料の督促は、不服審査の対象とならない。  督促状には、不服審査の対象となり得るのは施設使用料のみであることを明 らかにした教示文を明記すべきである。 5 保証金の定め (1)業務条例の改正 【事実関係】  卸売業者、仲卸業者及び関連事業者は、それぞれ、使用料その他市場に関し て市に納付すべき金額の納付を怠ったときの担保として、保証金を預託しなけ ればならない(業務条例第7条、第10条、第19条、第20条、第31条)。  業務条例で定められた保証金額は、以下のとおりである。 ┌──────────────┬────────────┬───────────┐ │卸売業者(条例第8条第1項)│仲卸業者        │関連事業者      │ │              │(条例第20条第1項)  │(条例第31条第3項) │ ├──────┬───────┼────────────┼───────────┤ │年間取扱金額│ 保証金の額 │   保証金の額    │   保証金の額   │ ├──────┼───────┼────────────┼───────────┤ │青果部   │ 200万円以上 │取扱品目の部類毎に   │施設使用料月額の6倍 │ ├──────┤1,000万円以下 │5万円以上30万円以下  │以内         │ │水産物部  │       │            │           │ └──────┴───────┴────────────┴───────────┘  上記条例を受け、施行規則に定められた保証金の額は、以下のとおりである。 ┌───────────────┬────────────┬───────────┐ │ 卸売業者(施行規則第7条) │仲卸業者        │関連事業者      │ │               │(施行規則第23条)   │(施行規則38条)   │ ├────────┬──────┼────────────┼───────────┤ │ 年間取扱金額 │ 保証金の額│   保証金の額    │   保証金の額   │ ├────────┼──────┼────────────┼───────────┤ │50億円未満   │   200万円│施設使用料月額の3倍に相│施設使用料月額の3倍 │ ├────────┼──────┤当する金額       │に相当する金額(但し,│ │10億円以上100億 │   440万円│            │30万円以上のときは市 │ │円未満     │      │            │長が別に定める)   │ ├────────┼──────┤            │           │ │100億円以上   │  1,000万円│            │           │ └────────┴──────┴────────────┴───────────┘  仲卸業者の保証金について、現在、施行規則第23条の定める金額(施設使 用料月額の3倍の金額)の保証金が預託されているため、以下のとおり、業務 条例第20条第1項が定める上限(30万円)を超えているケースが散見された。 ┌─┬────┬───┬────┬──────┐ │ │取扱品目│店舗数│使用面積│預り保証金額│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │1│野菜  │  2│  120m2│  502,920円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │2│果実  │  3│  180m2│  754,380円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │3│野菜  │  3│  180m2│  754,380円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │4│野菜  │  5│  300m2│ 1,264,320円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │5│果実  │  2│  120m2│  502,920円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │6│野菜  │  2│  120m2│  502,920円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │7│果実  │  2│  120m2│  502,920円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │8│果実  │  2│  120m2│  502,920円│
    ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │9│塩干  │  2│  104m2│  434,187円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │10│鮮魚  │  2│  120m2│  502,920円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │11│鮮魚  │  2│  120m2│  502,920円│ └─┴────┴───┴────┴──────┘  これは、施設の使用許可は、店舗単位で行われているところ、業務条例第 20条第1項では、「取扱品目の部類毎」、すなわち「業者毎」に保証金の金額 の上限が定められていることに因る。例えば、仲卸業者の多くは1店舗あたり の面積は60m2でありその施設使用料は86,160円、保証金は258,480円となる。  仲卸業者が2店舗使用する場合、施設使用料月額の3倍に相当する額は 516,960円であるが、条例の定めにより、業者が預託する保証金は30万円と なる。 【規範】  業務条例第20条によれば、仲卸業者の預託すべき保証金の額は、取扱品目 の部類ごとに、5万円以上30万円以下の範囲内において、市長が規則で定め ることとなっている。 【指摘 中央卸売市場】  条例の定める上限を超える金額の保証金が預託されている状態にあり、条例 に従えば、30万円を超える部分については、預託を受ける根拠が無いことに なる。  しかしながら、保証金は、市場使用に関連して発生する使用者の債務を担保 する目的で預託されるものであり、いわば、賃貸借契約における敷金に相当す るものである。とするならば、仲卸業者に施設使用料の滞納があった場合に備 え、施設使用料額に比例して、その担保額を決定する現在の運用の方が妥当で あり、その上限を30万円とする合理的理由は見出せない(たとえば、【事実関 係】で示した業者4の月額施設使用料は421,440円であるが、条例の定めに従 った保証金しか預託されないとなると、1ヶ月分の施設使用料も担保されない ことになってしまう。)。  この点、業務条例第20条が、仲卸業者の預託すべき保証金の金額を、30万 円以下の範囲と定められた背景につき検討する。  平成3年、仲卸売棟が新築され、仲卸店舗は、全て旧仲卸店舗から、新仲卸 店舗に移転した。旧仲卸店舗の1店舗の面積は31.2m2、規定規則に定める施 設使用料は750円/m2(業務条例に定め施設使用料単価は1,370円/m2)であ り、預り保証金は1店舗あたり70,200円となる(750円/m2×31.2m2×3ヶ 月)。この場合、1業者が4店舗借りたとしても、条例の規定する上限を超え ないことになる。  すなわち、平成3年以前は、仲卸業者が4店舗借り入れしたとしても、保証 金額が30万円を超えることは無かった。  これに対し、新築された仲卸売棟における1店舗あたりの面積が60m2とほ ぼ倍増した上、施行規則の使用料単価は、以下のとおり改訂され、平成27年 4月1日においては1,436円と、平成3年当時から倍増している。 〔業務条例上の仲卸業者施設使用料の推移〕 ┌─────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │規則単価 │H3.4.1  │H5.4.1  │H6.4.1  │H8.4.1  │H11.4.1  │H27.4.1 │ ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │仲卸業者 │   773円│   886円│   999円│  1,133円│  1,370円│  1,436円│ │施設使用料│     │     │     │     │     │     │ └─────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘  保証金が、施設使用料等の担保であることからすれば、平成3年当時、1店 舗あたりの面積がほぼ倍増した時点で、保証金額の上限についての改正を検討 すべきであったし、施行規則が条例の規定する上限の単価使用料まで増額した 場合には、やはり保証金額の上限についての改正を検討すべきであったといえ る。  以上より、条例制定当時の立法事実が変化しているのであるから、仲卸業者 について、取扱品目ではなく、1店舗を基準として、預託すべき保証金の範囲 を定めるなど、保証金が施設使用料としての担保としての機能を果たすよう、 業務条例を改正すべきである。 (2)保証金額の決定 【事実関係】  現在、施行規則の定める金額の保証金が預託されているため、以下のとおり、 関連事業者の保証金が、30万円を超えているケースが3件あった。 ┌─┬────┬───┬────┬──────┐ │ │取扱品目│店舗数│使用面積│預り保証金額│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │1│雑穀  │  7│  210m2│  496,440円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │2│包装  │  6│  180m2│  427,500円│ ├─┼────┼───┼────┼──────┤ │3│瓶缶乾物│  4.5│  135m2│  321,120円│ └─┴────┴───┴────┴──────┘ 【規範】  業務条例施行規則第38条では、「その額が30万円以上の場合は、市長が別 に定める。」と規定されている。 【指摘 中央卸売市場】  平成22年度から平成27年度の関連店舗の総店舗数及び空き店舗数の推移は 以下のとおりである。 ┌────┬────┬────┬────┬────┬────┬────┐ │総店舗数│H22年度 │H23年度 │H24年度 │H25年度 │H26年度 │H27年度 │ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │   152│   28│  22.5│  32.5│  39.5│  41.5│  43.5│ └────┴────┴────┴────┴────┴────┴────┘  担当者によると、条例施行規則制定当時は、1関連事業者が、4つ以上の 店舗を借りることを想定していなかったと考えられるが、空き店舗の増加に伴 い、1業者が借り入れる店舗数が増え、4店舗以上借りる業者が増えていると のことであった。1業者が借り入れる店舗数が増えると、その預託する保証金 額が30万円以上となることが予想される。  業務条例施行規則第38条において、「その額が30万円以上の場合は、市長 が別に定める。」と規定している以上、早急に保証金の額を定めるべきである。 6 保証金の充当 【事実関係】  条例上、市場施設返還の日に、市場使用料の未払い金があれば、保証金と相 殺している。 【規範】  卸売業者、仲卸業者、関連事業者に対して市場における卸売のための販売又 は販売の委託をした者は、当該販売又は販売の委託による債権に関し、当該卸
    売業者が預託した保証金について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を 有するものとするとされているが、使用料その他市場に関して市に納付すべき 金額の納付を怠ったときは、その権利よりも優先して、保証金をこれに充てる ことができるとされている(業務条例第10条、第20条第2項、第31条第4 項)。 【意見 中央卸売市場】  債権の優先順位についての規定はあるものの、保証金の充当時期の定めはな い。明確性の見地からも、保証金の充当時期を、業務条例上明らかにすること が望ましい(敷金に関する岐阜市営住宅管理条例第11条参照)。 7 施設の返還の申出 【事実関係】  仲卸業者が、月の途中で施設の返還の申出をしたが、既にその月の施設使用 料の調定後であったため、調定の変更をした事案があった。  使用者が返還の届出をする場合の届出時期の定めはない。 【規範】 ┌───────────────────────────────────────┐ │施行規則                                   │ │第84条 使用者が市場施設を返還しようとするときは、市場施設返還届書を提出し、市│ │ 長の承認を受けなければならない。                      │ └───────────────────────────────────────┘ 【意見 中央卸売市場】  施設の運営の円滑という観点でも、規則に従って市長の承認を事前にとると いう意味でも、一定程度前もって返還日を届出させるほうが、適切に事務を行 うことができる。  施設の返還日より、一定期間前までに「市場施設返還届出書」の提出を義務 付ける規定を設けることが望ましい。 8 督促状による督促 【事実関係】  市の担当者によれば、滞納者に対しては、業者を訪問し、口頭による支払催 告を行っているが、中央卸売市場の場合、市の担当部署と納入義務者が同じ敷 地内で業務をしていることもあり、信頼関係が成り立っていることから、数カ 月遅れで支払いを行っているなど、支払いの意思が認められる場合には、督促 状を渡すことはしていない。 【規範】  公債権については、納期限までに納付しない場合は、期限を指定して督促し なければならない(地方自治法第231条の3第1項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、納期限 後20日以内に、別に市長が定める督促状を発することとされている(市税以 外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条)。 【指摘 中央卸売市場】  督促は、延滞金や督促手数料発生の根拠となるものであるし、また時効中断 効も有するものであり、重要な効果をもたらすものである。督促の際には、不 服申立ての教示もしなければならない。  遅れながらも定期的に納入しているとはいえ、期限を守っている者との関係 で不公平になる。  条例に従い、納期限後20日以内に、督促状により、督促をすべきである。 9 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  平成18年度の岐阜市包括委外部監査において、「一定期間の延滞が生じた場 合には、ペナルティーとして延滞金を徴収するルールを制度化することが望ま しい。」という意見が出され、平成25年度の債権管理調整会議では、平成26 年度1月発送の督促状から徴収する予定としていたが、平成29年1月現在も なお、督促手数料、延滞金ともに徴収していない。  その理由は、債権管理調整会議では、当初は全庁一斉に開始する予定であっ たが、その後、各課対応へと変更になったこと、元本さえ納付することができ ないのに、延滞金まで徴収するのは気が引けるというものであった。 【規範】  公債権について、督促をした場合、条例の定めるところにより、手数料及び延 滞金を徴収することができる(地方自治法第231条の3第2項)。  岐阜市では、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状を 発し、督促手数料及び延滞金を徴収するものとされている(市税以外の諸納付金 の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条、第3条)。 【指摘 中央卸売市場】  中央卸売市場の場合、延滞金徴収の対象となる納付義務者は、何度も納付相 談を行った相手であり、かつ納付が困難な事情を知っているだけに、延滞金の 徴収を行うのは気が引けるという心情は分からないではない。  しかしながら、それでは納期限を守っている他の業者との関係で不公平であ る。  条例に従い、督促手数料及び延滞金の請求を行うべきである。 10 分納誓約と監督処分 【事実関係】  滞納している業者は6者ある。各々の滞納額は下記のとおりである。  A及びDは法人であり、B、C、E及びFは個人事業主である。A、C及び Eは、営業を継続しているが、B、D、Fは、廃業している。  滞納している業者に対しては、訪問し納入を促すと共に、納付相談を行い、 未納金納付計算書を作成させ、分納誓約書を提出させている。  Aについては、納付相談中であるが、B~Fの5者からは、年度毎に納付誓 約書及び未納金納付計画書の提出を受けている(Fは、平成28年度に入り亡 くなったため、相続人との間で交渉をしている。)。  営業を継続している業者については、発生の古い債権から充当しているため、 現年度の未収金が発生することになるが、1ヶ月分の施設使用料以上の額を納 付されており、徐々に滞納分を減らしている。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │業務条例第72条                                 │ │2 市長は、仲卸業者がこの条例若しくはこの条例に基づく規則又はこれらに基づく処分│ │ に違反した場合には、当該行為の中止、変更その他違反を是正するため必要な措置を命│ │ じ、10万円以下の過料を科し、第18条第1項の許可を取り消し、又は6月以内の期間  │ │ を定めてその仲卸しの業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。    │ │4 市長は、関連事業者がこの条例若しくはこの条例に基づく規則又はこれら     │ │ に基づく処分に違反した場合には、当該行為の中止、変更その他違反を是正     │ │ するため必要な措置を命じ、1万円以下の過料を科し、第29条第1項の許可      │ │ を取り消し、又は6月以内の期間を定めて、その許可に係る業務の全部若し      │ │ くは一部の停止を命ずることができる。                     │
    └────────────────────────────────────────┘ 【意見 中央卸売市場】  中央卸売市場においては、滞納者は限定されているところ、一旦滞納継続し 滞納額が増えると、廃業や相続などで回収が困難となる。このことから、如何 に滞納額の増加を未然に防ぐかが重要となる。  条例施行規則上、仲卸業者及び関連事業者が預託すべき保証金は、施設使用 料の3ヶ月分であることから、業者の施設使用料の滞納金額が3ヶ月分を超え ている場合で、かつ分納誓約を守らない場合には、監督処分(業務条例第72 条)を検討することが望ましい。  ただし、監督処分は、業務停止を含む厳しい処分であり、慎重に行う必要が ある。経営改善の可能性等の観点を入れ、いかなる場合にどのような処分を行 うか具体的な基準を設けることが望ましい。 11 合名会社無限責任社員 (1)時効中断措置 【事実関係】  Dは、合名会社であったが、廃業し、平成24年度3月をもって施設を返還 したため、社員4名を納付義務者として交渉した。2名ずつ親族関係にあるこ とから、それぞれの親族関係にある組同士で話し合い、皆を代表して1名分の 納誓約書の提出を受け、分納納付を受けているとのことであった。 【規範】  合名会社の財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、 他の社員と連帯して、会社の債務を弁済する無限責任(会社の債務と同一内容 及び同一範囲の債務)を負う(会社法第580条)。また、社員の責任は会社の 債務に完全に付従するものであり、会社の債務が時効その他の理由によって消 滅した場合には、社員の責任も消滅する(同法第581条参照)。  分納誓約は、納付義務者が一方的に差し入れるものであり、法的効果は生じ ないが、債務承認として時効中断の効力がある(民法147条3号)。連帯債務 者の1人が行った債務の承認は、他の連帯債務者の時効を中断しない(民法第 440条)。  他の連帯債務者について時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分 について、他の連帯債務者もその義務を免れることになる(民法第439条)。 【意見 中央卸売市場】  納付誓約をしていない社員について、時効の中断措置をとっていないとすれ ば、平成29年1月末日経過により、当該社員の負担部分959,641円は、時効 により消滅したことになる。  監査の過程において、その旨を指摘したところ、市の担当者が調査し、Dは 営業を行っていないものの、存続していること、分納誓約をし、分納を行って いる者は、代表者として誓約をしていることが判明した。そうすると、会社が 債務を承認しているといえ、時効は中断していることになる。  もっとも、連帯債務者間における承認による時効の中断効や債務承認が会社 としての行為であるか否かを正確に確認することなく、社員1名からのみ納付 誓約をとっていたことは考えられる。  今後は、多数当事者間の法律関係を正しく認識し、的確に時効中断措置をと ることが望ましい。 (2)訴訟等の法的手続 【指摘 中央卸売市場】  Dは、存続しているとはいえ、既に業務を行っておらず、「会社の財産をも ってその債務を完済することができない場合」に当たると考えられる。  訴え提起は、普通地方公共団体の議会の議決事項であるが(地方自治法第 96条第1項第12号)、中央卸売市場は公営企業であることから、その適用が 除外されており(公営企業法第40条第2項)、議会の議決無くして訴えを提 起することができる。  複数当事者の債権債務関係に注意し、必要な場合には、訴えを提起し債務名 義を取り、強制執行手続きをとることを検討すべきである。 12 使用料の減免 【事実関係】  岐阜市中央卸売市場の冷蔵庫棟は、昭和46年に建設され、平成2年に大規 模な増改築や設備の更新が行われた。  岐阜中央市場冷蔵株式会社(以下「本件減免会社」という)は、昭和46年 5月25日、上記冷蔵庫棟に関する倉庫業等を営むことを目的として設立され た会社であり、同社が、卸売業者等から有償で物品を預かり、冷蔵庫棟で保管 している。発行済株式数は26,000株であり、岐阜市5,000株、卸売業者(水 産物部)2者各5,000株、卸売業者(青果部)2者各3,500株、場外業者3,500 株、本件減免業者代表取締役個人500株で構成されている。代表取締役社長に 市職員OB、取締役に副市長、監査役に会計管理者が就任している。  平成26年2月25日、業務条例第69条第4号の規定により、市場運営のた めに必要不可欠な冷蔵庫棟を運営する本件減免会社の経営を安定させるため、 減免期間を平成26年4月1日から当分の間として、月額1,785,000円の減免 を決定している(減免前の使用料は2,562,000円であり、減免後は777,000 円となる。)。  市場の運営そのものにかかわる重要事項として、使用料の減免は中央卸売市 場長の専決事項とされているが(岐阜市事務決裁規則第14条第1項)、本件に ついては、市長決裁がなされている。  減免額の積算根拠は、昭和46年建設時の建物の耐用年数が平成24年で経 過したため、平成2年建設分を使用料とし、昭和46年の建設費用分が減免対 象とされた。減免決定に当たり、1)決算書類の検討、2)企業努力がなされてい ること、3)代替業者の有無の確認がなされたとのことである。  1)経営の悪化により、市場関係業者が在庫を減らすことにより、本件減免会 社の経営が悪化し、平成23年度及び平成24年度には、年間1,000万円以上の 損失を計上し、平成25年度には1,500万円以上が予測されることが、減免す る理由の一つとされた。                                    (単位:千円) ┌─────┬────┬────┬────┬────┬────┬────┬────┐ │ 年度  │ H21 │ H22 │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │売上総利益│ 106,172│ 103,890│ 94,845│ 95,859│ 87,207│ 80,246│ 83,590│ ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │当期純利益│  1,422│ ▲2,748│▲10,433│▲10,960│▲13,542│  1,634│  4,022│ ├─────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │減価償却費│   584│  1,512│  2,736│  2,712│  2,664│  2,463│  2,526│ └─────┴────┴────┴────┴────┴────┴────┴────┘  2)減免決定にあたり、社員の削減(12人から1人減)、代表者の報酬減額(月 額35万円から5万円減)、場外業者への売込み、業務改善計画の提出を求める などの経営努力がなされたほか、平成26年4月から、消費税増税とは別に、 保管料等を3%値上げした。
     3)本件減免会社の株主である場外業者が冷蔵庫業を営んでおり、取締役会 で、その業者が代替業者となりうるか話に上がったが、施設の老朽化や経営状 況が良くないとの理由で、代替とはなり得ないとのことであった。  問題の解決策として、 ・施設整備時に冷蔵庫棟を廃止し、市場関係業者が、各々冷蔵庫を所有し、市  は場所の使用料を徴収する。 ・冷蔵庫棟を建設する場合、完全民間会社に運営を行わせる。 ・冷蔵庫棟を個別貸(部屋貸)出来るよう建設し、市場関係業者が各自管理す る。 という案が出され、10年を目処に検討されている。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │岐阜市中央卸売市場業務条例                            │ │第69条 次の各号のいずれかに該当する場合は、市長は、その使用料を減免することがで │ │ きる。                                     │ │(1) 使用者の責めに帰することができない理由によって、市場施設を使用できないことが│ │ 3日以上にわたったとき。                            │ │(2) 第66条(指定又は許可の取消し等)の規定により使用停止が3日以上にわたったと  │ │ き。                                      │ │(3) 法令に基づく処分を受け、営業不能になったため、休業が3日以上にわたったとき。 │ │(4) 使用者が国又は公共団体であるとき又は市長が特別の理由があると認めるとき。  │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 中央卸売市場】  第69条(4)については、そもそも、いかなる場合に、「市長が特別の理由 があると認める」のかが明らかではない。また、減額が認められた場合、どの 程度の減額が認められるかが明確でないと、公平性を欠くことになる。  使用料の減免を認める「特別な理由があると認めるとき」(業務条例第69 条第4号)の基準及び金額の基準を具体的に定めるべきである。 【指摘 中央卸売市場】  冷蔵庫棟の運営が止まると、市場全体の運営に支障が出るという市場に不可 欠な業者であり、かつ代替施設となる運営会社が無いため、その経営を安定さ せる必要があることは認められる。しかしながら、減額を認めるとしても、そ の額は適正に決定すべきと考える。  本件では、減額の算定根拠は、増改築した建物の建築費を根拠としているが、 「市場の運営に不可欠な本件減免会社の経営の安定を図る」ということが減額 理由なのだから、その理由に即した算定をする必要がある。その結果、本件減 免業者の経営状況によっては、更なる減額が必要となる可能性もあるが、市場 を存続させる必要があり、そのために必要不可欠なのであれば、やむを得ない といえる。  また、減免期間を平成26年4月1日から当分の間としているが、市場及び 本件減免会社の経営状況は年々変化するのであるから、年度を越えて減免決定 するのは妥当ではない。  本件減免会社の経営状況や市場の運営状況を具体的に検証したうえ、真に必 要な減免額を算出し、その検証を毎年行った上で、必要な場合に限り減免決定 を行うべきである。 13 消滅時効の管理 【事実関係】  担当課では、消滅時効の起算点を督促状で定めた期限の翌日として、消滅時 効の管理をしている。 【規範】  債権の消滅時効は、権利を行使できる時から進行する(地方自治法第236 条第3項、民法第166条第1項)。地方公共団体の債権は、納入の通知におい て納期限が定められており、納期限の翌日から消滅時効が進行する。  公債権について、納期限までに履行されないときは、督促を行うこととなり、 督促により消滅時効が中断する(地方自治法第231条の3第1項、第236条4 項)。督促による法的効果は、督促状が送達された日に生じる。なお、通常到 達すべきであった日に送達したものと推定する規定がある(地方自治法第231 条の3第4項、地方税法第20条第4項)。  法律に特別の定めのない非強制徴収公債権について、中断した時効は中断の 事由が終了した日から進行するため、督促状が送達された日の翌日から消滅時 効が進行する(地方自治法第236条第3項、民法第157条第1項)。 【指摘 中央卸売市場】  納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点として、消滅時効の管理 をすべきである。 第9 国保資格喪失後受診返還金 1 債権の概要 (1)内容と根拠  岐阜市国保の資格喪失後に、医療機関で岐阜市国保の被保険証を提示して受 診し、岐阜市国保が保険者負担分を医療機関等に支払った場合、不当利得返還 金が発生する。 (2)債権の性質  非強制徴収公債権。ただし、不正利得の場合には強制徴収公債権である(国 民健康保険法第79条の2)。 (3)所管課  市民生活部 国保・年金課 給付係3名 (4)事務手続の流れ ア 資格喪失後の受診について、発覚するのは、支払基金などの審査が終わっ た2ヶ月後となることが多い。  その後、「被保険者資格喪失後の受診により発生する返還金の保険者間での 調整について」(平成26年12月5日付厚生労働省保険局保険課長、厚生労働 省保険局国民健康保険課長、厚生労働省保険局高齢者医療課長)に従い、まず、 被保険者及び被扶養者等に返還金の請求をしている。  請求後、被保険者等から納付相談があった場合、被保険者等と医療機関等に 交渉し、レセプト返戻を依頼している。レセプト返戻に応じてもらえない場合 は、本来負担するべき保険者に交渉し、保険者間調整に切り替えることとして いる。  他の市町村国保や協会けんぽとの間で保険者間調整をする場合、国民健康保 険団体連合会に精算業務の一部を委託することが可能であり、岐阜市も、岐阜 県国民健康保険団体連合会へ精算業務を委託している。  保険者間で調整できない場合は、調定をして、被保険者等に、納入の通知を 送付し、催告又は督促をしている。  上記のとおり、レセプトの返戻や保険者間の調整があることから、受診月か
    ら調定するまで、5ヶ月ほどの時間がかかるとのことである。 イ なお、受診者が、他の保険者の健康保険資格を喪失しているにもかかわら ず、資格喪失後の受診をした場合、他の保険者からも、保険者間調整を求めら れることがある。  この場合、保険者間調整には、原則応じているが、滞納国民健康保険料があ る場合は、保険者間調整には応じていない。他の保険者に資格喪失後の医療費 を返納してもらい、国民健康保険に療養費を請求してきた場合、療養費を支給 する際に、その療養費から、滞納国民健康保険料がある場合は、充当するよう に、指導しているからである。  この点は、資格証明書交付後の特別療養費の請求の場合と同様である。 ウ 国民健康保険料などのシステムでは掲載されないものの、データファイル で管理しており、1つの情報を、国保・年金課の職員が誰でも閲覧することが できる状態となっている。 (5)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23 │現年│  8,636,653│  8,025,630│   93.0%│     0│  611,023│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  7,752,548│   365,188│   0.5%│ 1,608,419│ 5,778,941│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 16,389,201│  8,390,818│   51.2%│ 1,608,419│ 6,389,964│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24 │現年│  5,477,716│  4,451,575│   81.3%│     0│ 1,026,141│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  6,366,780│   96,070│   0.2%│ 4,934,142│ 1,336,568│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 11,844,496│  4,547,645│   38.4%│ 4,934,142│ 2,362,709│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│  9,023,313│  7,625,595│   85.0%│     0│ 1,397,718│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  2,323,404│   217,761│   0.9%│  382,571│ 1,723,072│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 11,346,717│  7,843,356│   69.0%│  382,571│ 3,120,790│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 13,328,255│ 12,853,665│   96.4%│     0│  474,590│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  3,700,200│   94,080│   0.3%│  145,238│ 3,460,882│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 17,028,455│ 12,947,745│   76.0%│  145,238│ 3,935,472│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│  5,383,411│  4,368,432│   81.1%│     0│ 1,014,979│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  3,859,212│   76,260│   0.2%│  127,994│ 3,654,958│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│  9,242,623│  4,444,692│   48.1%│  127,994│ 4,669,937│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  資格喪失後受診返還金を取り扱っている課は、国保・年金課と福祉医療課の 2課であり、いずれも、不当利得であり、非強制徴収公債権である。  福祉医療課が取り扱う資格喪失後受診返還金と同様、国保・年金課が扱う国 保資格喪失後受診返還金についても、滞納者1人当たりの金額が大きくないこ とから、他の債権と比較して、督促などの回収管理が不十分ではないかと考え た。そこで、督促などの回収管理に重点を置いて、監査を実施した。  具体的には、平成28年8月12日、同年12月9日、同年12月27日、平成 29年1月25日に、監査室及び国保・年金課において、国保・年金課担当者の ヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。  その他、メール等で照会し、回答を得た。 3 不正利得・資格喪失後受診を防止するための措置 【事実関係】  制度の広報、社会保険加入による資格喪失届出時の制度説明をして、不正請 求を未然に防止しようとしている。 4 不正利得との区別 【事実関係】  岐阜市では、過去5年間において、資格喪失後受診医療費返還事案において、 国民健康保険法第65条第1項に規定する不正利得と認定した事案はない。  岐阜市では、国民健康保険法第65条第3項に規定する不正利得と認定した 案件は、医療機関等の1件(約3万円)があったが、すぐに返還されている。 【規範】  「偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者 は、その者からその給付の価格の全部又は一部を徴収することができる。」(国 民健康保険法第65条第1項) 【指摘 国保・年金課】  資格喪失後受診医療費返還事案において、金額や受診期間等も考慮して、不 正利得事案か否かの検討をすべきである。  国民健康保険法第65条第1項に規定する不正利得であれば、強制徴収公債 権となり、時効期間が2年となり(国民健康保険法第110条)、滞納処分も可 能となる(国民健康保険法第79条の2)。 5 督促状による督促 【事実関係】  納付書とともに送付する「国民健康保険医療費返納について」という納入通 知書を送付した後、納付がないまま納期限を経過した場合、2回目にも「国民 健康保険医療費返納について」という書面を送付している。  2回目に送る「国民健康保険医療費返納について」という書面には、督促手 数料及び延滞金の記載がなく、行政不服審査申立の教示がない(納付書ととも に送付する「国民健康保険医療費返納について」には行政不服申立の教示があ る。)。また、当該文書の決裁文書では、催告書と扱われている。 【規範】  地方自治法第231条の3第2項では、督促をした場合には、条例の定めると ころにより、延滞金を徴収することができると規定している。  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条では、納期限後 20日以内に、督促状を発しなければならないとされている。 【指摘 国保・年金課】  条例に従い、納期限後20日以内に、督促状を発付すべきである。仮に、2 回目の「国民健康保険医療費返納について」という文書が、督促状であるなら
    ば、誤解を避けるため、督促状と名称を付けるなど、督促状であることが明確 な文書にすべきである。 6 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  資格喪失後受診返還金の請求において、督促手数料及び延滞金を請求したこ とはない。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条から第5条に より、督促手数料及び延滞金を徴収することが規定されている。 【指摘 国保・年金課】  督促手数料は、督促状を発付したときに発生する。また、返還金の金額や滞 納期間により延滞金も発生する。  督促状を発付して、督促手数料及び発生する延滞金を徴収すべきである。  滞納者に対するペナルティーを科すことになり、徴収の公平性を保つことが できる。また、滞納者に対して、返納を促進する事実上の効果も期待できる。 7 行政不服申立ての教示 【事実関係】  国民健康保険資格喪失後受診による返納金請求権の性質は、非強制徴収公債 権と解されている。  納付書とともに送付する「国民健康保険医療費返納について」については、 納入通知書であり、返納金額を決定する行政処分であることから、行政不服審 査法に基づく不服申立ての教示をしている。  しかし、納期限後に発送する「国民健康保険医療費返納について」という書 面には、不服申立ての教示はしていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正後は同法第82条第1項)では、書面に よる行政不服申立ての教示が必要と規定されている。 【指摘 国保・年金課】  非強制徴収公債権であるため,納入通知,督促も行政処分となると解される (使用料の納入通知については東京高裁平成24年7月24日判決参照)。  納期限後に発送する「国民健康保険医療費返納について」という文書が督促 状であるならば、行政不服申立ての教示を記載すべきである。 8 納付相談 (1)納付相談の書式 【事実関係】  ヒアリングによると、返納金を支払えないと納付相談がある場合、医療機関 にレセプト返戻の相談をするように伝えている。また、分納の事例はないとの ことである。  納付相談時に、収入、借入金、健康状態等聴取し、滞納管理システムの交渉 経過欄に情報を入力し、担当者不在でも、情報共有できるようにしている。  しかし、納付相談用の書式(添付資料を求める形など)はない。 【意見 国保・年金課】  納付相談については、収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、 必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して用いることが望ましい。納付相談記録の書式は、納税課 の「収支・財産状況について」という書式が参考となる。 (2)納付誓約書 【事実関係】  納付誓約書には、期限の利益喪失条項を入れていない。  債権が少額のため、分納の事例はないとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の3は、履行期限の繰上げについて規定している。 【意見 国保・年金課】  今後、高額の事案が発生した場合に備えて、期限の利益喪失条項を入れ て納付誓約書を作成することが望ましい。  仮に、納付誓約書の取得という形式であっても、事実上、期限の利益を与え た形での黙示の合意が成立していると認定される可能性もある。そのため、分 納の滞納があった時点で、一括して残債務について滞納処分ができるように、 期限の利益喪失条項を入れるべきである。期限の利益喪失条項を入れることに より、債務者が滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できる。 【事実関係】  分納の事例はないとのことである。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩 らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 国保・年金課】  今後、高額の事案が発生した場合に備えて、税務情報を含む滞納者情報の取 得・利用についての同意条項を入れて納付誓約書を作成することが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が可能となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できる。 9 情報共有 (1)官報情報の共有 【事実関係】  調査票やヒアリングによると、債権の申出をする事案がなかったことから、 破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認する担当者はいない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の4第1項では、債権の申出を規定している。 【指摘 国保・年金課】  官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受け、国民健康保険料 の担当者が、保有している官報情報につき、国保・年金課内で、情報を共有す べきである。 (2)国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、国保・年金課の担当者であれば、誰でも、国税徴収法第141 条等に基づく調査結果を閲覧することが可能な状態である。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。
    【指摘 国保・年金課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、国保・年金課では、非強制徴収公債権である資格喪失後受診 返還金の担当者も調査結果を閲覧できる状態となっている。  調査結果については、別書式にするか、課内で取り決めをして、強制徴収公 債権の担当者しか見ることができないようにすべきである。  また、非強制徴収公債権である資格喪失後受診返還金の滞納者から、国税徴 収法に基づく調査結果を含む税務情報等の目的外利用について、同意書を取得 すべきである。 (3)他の債権担当課との連携による法的手続対応 【事実関係】  国保・年金課によると、訴訟、強制執行の事案はないとのことである。  そのため、催告を繰り返しても支払がないものについては、消滅時効期間で ある5年間(地方自治法第236条)の経過により、不納欠損処理をしている。  なお、国保・年金課によると、債務について相続が発生した事案もなく、相 続人に請求するような事案もないとのことである。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、「地方公共団体は、その事務を処理するに 当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を 挙げるようにしなければならない。」と規定され、有効性・経済性・効率性を 求めている。 【意見 国保・年金課】  滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や私債権を有しており、 その合計額が少なくない場合(納税課における滞納処分の基準額となる5万円 が目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と 連携して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが望ましい。  そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情報等の情報を目的外利 用することの同意条項を入れるなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共 有することができる状態としておくことが望ましい。 10 徴収停止 【事実関係】  ヒアリングによると、小額の債権が多いことから、訴訟や強制執行を実施し た事案はない。なお、加害者の相続人に対して請求するような事例はなかった。  督促・催告だけでは、回収が難しい案件もあるとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5は、徴収停止手続を定める。  具体的には,債権が履行期限後相当の期間を経過しても履行されない場合で, 次の各号に該当し,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認 めるときは,徴収停止が可能とされる。  第3号で債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められると きとある。  岐阜市債権取扱規則第9条にも徴収停止の規定がある。 【意見 国保・年金課】  滞納者に対する回収措置を尽くすことが必要であるが、滞納者は、催告に応 じず、訴訟等の法的手続が費用対効果に合わず、実行できない場合がある。  その場合、漫然と債権管理を放置したと評価されないために、徴収停止の措 置を取ることが望ましい。  徴収停止においては、「履行期限後相当の期間を経過」をどれくらいの期間 ととらえるか、「履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるとき」 はいかなる場合か、「債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認 められるとき」とはどのくらいの金額かなど、必ずしも明確ではない要件があ る。  国保・年金課に限らず全庁的な問題でもあるが、福祉医療課の案件などを参 考にして、滞納者に対する徴収停止を実行し、その過程を記録に残すことで、 上記要件の具体化(規則化)に向けた第一歩とすることができる。 第10 福祉医療費助成金返還金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  福祉医療課が取り扱う返還金として、以下の3つの債権がある。 【資格喪失後受診返還金】  児童扶養手当について、資格喪失後の受領などが発覚した時点において、子 ども支援課から連絡があり、福祉医療課において、資格喪失後受診返還金が判 明する。9割は、子ども支援課からの連絡で判明する。  遺族年金についても、年次更新があるため、現況届などにより、毎年1度確 認して、発覚することがある。  内縁の夫など事実婚が分かる事例や、所得制限超過が判明する事案がある。  その後、児童扶養手当と同様に、遡って、返納金を求めることとなる。  事実婚や内縁について、子ども支援課と要件が異なる。子ども支援課よりも、 扶養や監督義務などについて要件が厳しい。  月別にカウントしているため、36件あるが、10名の債務者がいる。 【不正受給返還金】  厚生労働省東海北陸厚生局による医療機関に対する診療報酬に関する調査 等で発覚した不正受給事案について、岐阜県が確認する。その後、診療報酬を 返還すべき事案について、岐阜県から岐阜市に対し、「福祉医療費助成に関す る診療(調剤)報酬の返還について(通知)」という通知書が送付される。  岐阜市において、返還金額を確認の上、当該医療機関へ、納入通知書等で返 還金を請求し、回収した金額を、岐阜県へ報告している。 【高額療養費・高額介護合算療養費の返還金】  高額療養費・高額介護合算療養費については、子どもやひとり親家庭、心身 に重度の障がいのある人に対しては、保険者が支払う金額を岐阜市が立て替え 払いをする。すなわち、福祉医療費助成金とともに、高額療養費・高額介護合 算療養費を岐阜市が支払う。後日、岐阜市が、保険者に対して、代理受領とい う形式で、立替をした高額療養費・高額介護合算療養費について請求をして回 収する。  しかし、保険者によっては、本人以外の家族分も含む場合などは、岐阜市に 支払わないで、直接、本人に支払う場合があり、その場合は、岐阜市から、本 人に対して、請求する。  県下市町村の福祉医療費助成事務の流れは、については、以下の図のとおり である。
    〔事務の流れ〕 ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ │ │1)│ │2)│ │3)│ │7)│ │ │受│→│医│→│国│→│市│→│保│ │給│ │療│ │ │ │ │ │ │ │資│ │機│ │保│ │町│ │険│ │格│ │関│ │ │ │ │ │ │ │者│ │等│←│連│←│村│←│者│ │ │ │ │5)│ │4)│ │8)│ │ └─┘ └─┘ └─┘ └─┘ └─┘              6)  「岐阜県国民健康保険団体連合会」を、以下、「国保連」という。 1)受給資格者 受診(被保険者証及び受給者証の提示により窓口無料) 2)医療機関等 国保連へ請求書送付〔診療月の翌月の10日まで〕 3)国 保 連 審査点検、電算処理、市町村へ請求書送付                 〔診療月の翌月の20日まで〕 4)市 町 村 連合会へ支払〔診療月の翌月の28日まで〕 5)国 保 連 医療機関へ支払〔診療月の翌月の末日まで〕 6)市 町 村 連合会へ支払後、医療機関の請求内容及び高額療養費の該当等        について点検確認。受給資格者でない場合、給付率の誤りがある        場合は過誤整理を国保連へ依頼する。 7)市 町 村 高額療養費について、必要な手続を行い、代理請求を行う。 8)保険者等  市町村へ高額療養費について支払。 (2)債権の性質  非強制徴収公債権 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 福祉医療課  返還金 2人 財務会計システム 1名 督促等 1名 (4)事務手続の流れ  高額療養費・高額介護合算療養費の返還の場合、返還請求を決定し、出納閉 鎖日までに返金される場合には戻入手続による。  資格喪失後受診返還金や不正受給返還金が発覚した場合、岐阜県の指導もあ り、戻入ではなく、調定をする扱いをしているとのことである(岐阜市福祉医 療費助成に関する条例第13条)。 (5)直近5年度のデータ 〔資格喪失後受診返還金〕                     (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23 │現年│   329,409│   315,409│   95.7%│     0│  14,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   329,409│   315,409│   95.7%│     0│  14,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24 │現年│   381,016│   286,478│   75.2%│     0│  94,538│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   14,000│      0│    0%│     0│  14,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   395,016│   286,478│   97.8%│     0│  108,538│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│   947,731│   829,747│   87.6%│     0│  121,984│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   108,538│   45,000│   41.5%│     0│  63,538│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│  1,060,269│   874,747│   82.5%│     0│  185,522│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│   372,671│   304,671│   81.8%│     0│  68,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   185,522│   48,495│   26.1%│     0│  137,027│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   558,193│   353,166│   63.3%│     0│  205,027│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│   491,368│   306,475│   62.4%│     0│  184,893│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   205,027│    7,000│   0.3%│     0│  198,027│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   696,395│   313,475│   45.0%│     0│  382,920│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 〔不正受給返還金〕                         (単位:円) ┌──────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │  年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├───┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23~ │現年│      0│      0│    0%│     0│     0│ │ H26 ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │   │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │   ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │   │合計│      0│      0│    0%│     0│     0│ ├───┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │ H27 │現年│    6,188│    6,188│   100%│     0│     0│ │   ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │   │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │   ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │   │合計│    6,188│    6,188│   100%│     0│     0│ └───┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 〔高額療養費・高額介護合算療養費返還金〕             (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 105,029,586│ 105,029,586│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│
    │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 105,029,586│ 105,029,586│   100%│     0│     0│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 99,065,507│ 99,065,507│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 99,065,507│ 99,065,507│   100%│     0│     0│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 79,036,739│ 79,036,739│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 79,036,739│ 79,036,739│   100%│     0│     0│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 84,132,239│ 84,132,239│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 84,132,239│ 84,132,239│   100%│     0│     0│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 116,801,041│ 116,801,041│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 116,801,041│ 116,801,041│   100%│     0│     0│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  福祉医療課が取り扱う3つの非強制徴収公債権のうち、不正受給返還金につ いては、過去5年間のうち平成27年度に1件のみ発生した。当該医療機関か ら支払があり、収入未済額は0円であることから、本件監査から外した。また、 高額療養費・高額介護合算療養費返還金については、過去5年間において、収 入未済額が0円であることから、本件監査から外した。  これに対して、資格喪失後受診返還金は、年々収入未済額が増額しているこ と、また、国保・年金課における資格喪失後受診返還金と比較できることから、 監査の対象とした。国保・年金課との比較を意識して、監査を実施した。  具体的には、平成28年8月19日、同年12月14日、同年12月27日、平 成29年1月25日に、監査室及び福祉医療課において、福祉医療課の担当者の ヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。  その他、メール等で照会し、回答を得た。 3 資格喪失後受診返還金の発生を防止するための措置 【事実関係】  ヒアリングによると、福祉医療費受給者に対して届出の義務(岐阜市福祉医 療費助成に関する条例第10条)についての説明のほか、子ども支援課との連 携による事実婚の早期発見により、資格喪失後受診返還金の発生を防止するよ う努めているとのことである。 4 納付相談 【事実関係】  福祉医療課では、「補足資料」、「滞納整理票」という福祉医療課独自の書式 を用いて、納付相談時における相談事項等を記載し、情報共有できるようにし ている。しかし、収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等必要な情 報について漏れなく記載するような書式とはなっていない。また、裏づけ資料 については、徴求していない。 【意見 福祉医療課】  納付相談については、収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、 必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して用いることが望ましい。  納付相談記録の書式は、納税課の「収支・財産状況について」という書式が 参考となる。 5 行政不服申立ての教示 【事実関係】  「福祉医療費助成金返還請求書」及び「納入通知書兼領収書」には、行政不 服申立ての教示がない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正行政不服審査法第82条第1項)におい て、行政処分については、書面による不服申立ての教示が必要とされている。 【指摘 福祉医療課】  非強制徴収公債権であるため,納入通知,督促も行政処分となると解される (使用料の納入通知については東京高裁平成24年7月24日判決参照、督促に ついては、地方自治法第231条の3第5項以下に特則あり)。  「福祉医療費助成金返還請求書」及び「納入通知書兼領収書」において、行 政不服申立ての教示文を明記すべきである。 6 履行延期の処分 【事実関係】  納付相談時において、履行延期申請書を提出させ、履行延期承認通知書によ り承認することで、履行延期の処分を行っている(地方自治法施行令第171 条の6)。平成27年度における履行延期申請書の提出件数は、2件である。  「履行延期申請書」に対する承認の条件として、「(1)履行延期返済計画書 の履行期限までに納入すること。」「(2)分割弁済金額について履行を怠った ときは、当該債権の全部又は一部について履行期限を繰り上げる。」とされて いる。  ヒアリングによると、分納の場合、分納計画に従い、調定を行うたびに、納 付書が作成・送付されるとのことである。  履行延期の特約を行った2件については、岐阜市債権取扱規則に定める様式 によらず、「履行延期申請書」を使用している。また、履行延期の処分につい て、担保提供や利息の付加は行われていない。担保の提供や利息の付加を行わ ないことの根拠が、記録上、不明である。 【規範】  対象者が無資力であったり債務履行が困難であったりして、履行期限を延長 せざるを得ない場合は、地方自治法施行令第171条の6に履行延期の特約又は 処分が定められている。  岐阜市債権取扱規則第10条では、履行延期申請書の記載事項及び様式が定 められている。 【指摘 福祉医療課】  岐阜市債権取扱規則で定められた記載事項を記載した書面を作成すべきで
    ある。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第12条では、履行延期の処分において、担保の提供が 必要とされている。また、同規則第13条では、履行延期の処分において、延 納利息の付加が必要とされている。  他方、同規則第15条により担保の免除ができる例外事由、同規則第16条に より利息を付さないことができる例外事由が規定されている。 【指摘 福祉医療課】  担保を提供させ、延納利息を付すべきである。仮に岐阜市債権取扱規則で定 める除外理由が存在するのであれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手 続を行うべきである。 【事実関係】  「履行延期申請書」には、税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用に ついての同意条項が入っていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩らし、 又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する と規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知り えた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 福祉医療課】  「履行延期申請書」に、税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用につ いての同意条項を入れることが望ましい。  強制執行に向けて税務情報を含む滞納者情報の取得・目的外利用が可能とな る。また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにく くなるという事実上の効果も期待できる。 7 情報共有 (1)子ども支援課との連携 【事実関係】  福祉医療の対象人数は10人前後であり、ひとり親家庭の人が大半であるた め、子ども支援課と情報共有した上で進めている。  DV関係の案件については、直接連絡が取れない遠隔地に居住していること から、子ども支援課を通じて連絡をしている。 (2)官報情報の共有と活用 【事実関係】  調査票やヒアリングによると、債権の申出をする事案がなかったことから、 破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認する担当者はいない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の4第1項では、債権の申出を規定している。 【指摘 福祉医療課】  官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受けて、債権の申出を すべきである。  国保・年金課や介護保険課が参考となる。 (3)他の債権担当課との連携による法的手続対応 【事実関係】  福祉医療課によると、滞納事案においても、金額が少額であることから、実 行した事案はないとのことである。  そのため、催告を繰り返しても支払がないもののうち、消滅時効期間である 5年間(地方自治法第236条)の経過により、不納欠損処理をすることを検討 している事案(収入未収額10,945円)があるとのことである。  なお、福祉医療課によると、債務について相続が発生した事案もなく、相続 人に請求するような事案もないとのことである。 【規範】  地方自治法第2条14項では、「地方公共団体は、その事務を処理するに当 つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙 げるようにしなければならない。」と規定され、有効性・経済性・効率性を求 めている。 【意見 福祉医療課】  滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や私債権を有しており、 その合計額が少なくない場合(納税課における滞納処分の基準額となる5万円 が目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と 連携して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが望ましい。  そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情報等の情報を目的外利 用することの同意条項を入れるなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共 有することができる状態としておくことが望ましい。 (4)国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、福祉医療課の担当者であれば、誰でも、経過記録を見ることが できる。現在、国税徴収法第141条等に基づく調査は実施していないが、経過 記録には、国税徴収法に基づく調査結果を記載することが可能な状態である。 そのため、福祉医療助成資格喪失受診返還金担当者など強制徴収公債権の担当 者ではない者も、調査結果を見ることができる状態となっている。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【指摘 福祉医療課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  現状、福祉医療課では、国税徴収法第141条に基づく調査を実施していない。 しかし、国税徴収法第141条に基づく調査結果、経過記録に記載できる状態と なっていることから、非強制徴収公債権である資格喪失後受診費返還金を担当 する福祉医療係も、調査結果を見ることができる。  将来、国税徴収法第141条に基づく調査を実施する場合に備えて、国税徴収 法第141条の調査結果については、別書式にして、強制徴収公債権である担当 者しか見ることができないようにするか、非強制徴収公債権(福祉医療助成資 格喪失後受診医療費返納金)の滞納者から、国税徴収法に基づく調査結果を含 む税務情報等の目的外利用等についての同意書を徴求しておくべきである。 8 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  督促状を発送しているが、督促手数料及び延滞金を徴収していない。 【規範】
     市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例では、市税以外の諸納 付金を指定期限内に納付しない場合は、督促状を発し、督促手数料及び延滞金 を徴収するものとされている。 【指摘 福祉医療課】  条例に従い、督促手数料及び延滞金を請求すべきである。  滞納者に対するペナルティーを科して、徴収の公平性を保つことができる。 また、滞納者に対して、返納を促進する事実上の効果も期待できるからである。 9 徴収停止 【事実関係】  福祉医療課によると、催告を繰り返しても支払がないもののうち、消滅時効 期間である5年間(地方自治法第236条)の経過により、不納欠損処理をする ことを検討している事案(収入未収額10,945円)があるとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5は,徴収停止手続を定める。  具体的には,債権が履行期限後相当の期間を経過しても履行されない場合で, 次の各号に該当し,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認 めるときは,徴収停止が可能とされる。  第3号で債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められると きとある。  岐阜市債権取扱規則第9条にも徴収停止の規定がある。 【意見 福祉医療課】  滞納者に対する回収措置を尽くすことが必要であるが、滞納者は、催告に応 じず、訴訟等の法的手続が費用対効果に合わず、実行できない場合がある。  その場合,漫然と債権管理を放置したと評価されないために,徴収停止の措 置を取ることが望ましい。  徴収停止においては,「履行期限後相当の期間を経過」をどれくらいの期間 ととらえるか,「履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるとき」 はいかなる場合か、「債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認 められるとき」とはどのくらいの金額かなど、必ずしも明確ではない要件があ る。  福祉医療課に限らず全庁的な問題でもあるが,本件滞納者に対する徴収停止 を実行し、その過程を記録に残すことで、上記要件の具体化(規則化)に向け た第一歩とすることができる。 第11 岐阜市立女子短期大学授業料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市の設置する岐阜市立女子短期大学の授業料である。  岐阜市立女子短期大学条例第8条(昭和39年3月31日条例第27号)にそ の直接的な根拠があり、岐阜市立学校授業料等徴収条例(昭和47年4月1日 条例第23号)第2条第1項別表において年額390,000円とされている(科目 等履修生等は除く)。 (2)債権の性質  岐阜市は、非強制徴収公債権と解している。授業料を公の施設の使用料と捉 えているということである(地方自治法第225条)。ただし、授業料について は、「学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価につい て有する債権」(民法第173条第3号)として私債権と判断される可能性があ る。公債権か私債権かで、消滅時効について差異が生じる。前者であれば地方 自治法第236条第1項で期間5年、援用不要、後者であれば民法第173条第3 号で期間2年の可能性があり、援用が必要となる。 (3)所管課  岐阜市立女子短期大学 事務局 総務管理課 (4)事務手続の流れ  年額390,000円の授業料は、前期分(4月から9月19日)と後期分(9月 20日から3月)に分けられる。前期分については4月中に195,000円が調定 され、後期分については9月末から10月中に195,000円が調定される。 (5)直近3年度のデータ(聴講生は除く)             (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 190,222,500│ 190,222,500│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   362,000│    6,000│   0.2%│     0│  356,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 190,584,500│ 190,228,500│   99.8%│     0│  356,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 191,392,500│ 191,392,500│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   356,000│   26,000│   0.7%│     0│  330,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 191,748,500│ 191,418,500│   99.8%│     0│  330,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 185,347,500│ 185,347,500│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   330,000│      0│    0%│     0│  330,000│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 185,677,500│ 185,347,500│   99.8%│     0│  330,000│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 以上のとおり、授業料の未収は基本発生していない。 平成27年度残存する未収金は2件(2名)である。 ┌──────────────────────────────────┐ │A(平成23年度入学)平成23年度前期分 195,000円(全額未収)     │ │B(平成22年度入学)平成23年度前期分 135,000円(6万円回収後の残) │ │                  計330,000円           │ └──────────────────────────────────┘ 2 監査の重点及び監査手続  岐阜市立女子短期大学は、債権管理調整会議担当課ではなかったが、調査票 による照会の回答の結果、平成25年度から平成27年度の直近3年度にわたり 未収金が残存していることが判明した。平成25年度の繰越額が362,000円で あるところ、平成27年度も繰越額が330,000円残存しており、債権回収に困 難が生じていることが予想された。
     このような事情のもと、担当課にて、適切に債権回収措置が講じられている のか、時効管理がなされているのかという点に重点を置いて監査を実施した。  具体的には、平成29年1月19日、岐阜市立女子短期大学に出向き、事務局 総務管理課担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧し た。 3 督促状の発付時期 【事実関係】  A、Bいずれも平成23年度前期分の滞納であり、平成23年4月15日に調 定し、その納期限は平成23年5月2日である。同課の認識では、Aに対する 督促状の発送は平成27年2月10日、Bに対する督促状の発送は平成28年5 月24日とのことである。 【規範】  地方自治法第231条の3第1項では使用料を納期限までに納付しない者が あるときは、普通地方公共団体の長は期限を指定してこれを督促しなければな らないとし、同第2項では前項の督促をした場合においては、条例の定めると ころにより、手数料及び延滞金を徴収することができると規定されている。  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第1条では、地方自治 法第231条の3第2項の規定により指定期限内に納付しないものがあるとき は別に定める場合のほか、督促手数料及び延滞金を徴収するとし、同第2条で は、指定期限内に完納しないものがあるときは、納期限後20日以内に督促状 を発しなければならないと規定している。 【指摘 総務管理課(改善報告)】  担当課の認識では、平成23年に納期限あるものについて、平成27年、平成 28年にそれぞれ督促状を発したとしており、A、Bいずれに対しても、納期 限後20日以内に督促状を発送しておらず、条例違反の状態となっている。  納期限後20日以内に督促状を発付すべきである。  ただし、岐阜市立女子短期大学においては、A、Bの授業料未納問題を契機 として、平成27年1月28日、「岐阜市立女子短期大学授業料等納付に関する 規程」を制定し、その第4条において、学生及び保証人に対して督促を行うこ とを規定した。  そして同日制定の「授業料等納付に関する手順細則」第2において、納付日 の1ヶ月後に学生又は保証人に対し最初の督促を行うことを明記している。  ヒアリングによれば、制定後、担当課は、上記規程に則り手続を行っており、 平成27年度においては、前期483名中8名、後期分468名中6名に対する督 促状の発送を行い、結果、未収はなかったとのことである。  したがって、督促に関する本指摘については改善報告とする(A、Bに対し ては別)。今後も規定を遵守されたい。 4 行政不服申立ての教示 【事実関係】  授業料の納入通知及び督促状のいずれにおいても行政不服申立ての教示は なされていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正後は同法第82条第1項)では、行政不 服申立ての教示を書面ですることが必要とされている。 【指摘 総務管理課】  授業料を非強制徴収公債権ととらえる以上、納入通知、督促も行政処分となる と解される(使用料の納入通知については東京高裁平成24年7月24日判決参照。 督促については、地方自治法第231条の3第5項以下に特則あり)。  納入通知、督促状において、行政不服申立ての教示をすべきである。 5 法的手続による請求 【事実関係】  記録された経緯及びヒアリングによれば、Aは、平成23年9月20日に納付 誓約書を大学側に入れ、平成23年10月以降4回での分納を誓約しているが、 一切履行していない。携帯電話にも出ず、督促状を無視する状態である。  Bは、平成26年7月29日まで一部支払をしていたが、最近は携帯電話にも 出ず、督促状も無視する状態である。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2第1号によれば、督促後相当期間経過しても なお履行がなされないときは例外事由がない限り、保証人のある債権について は保証人に対して履行請求し、第3号にて、それでも支払がなされない場合に は、訴訟手続により履行請求することの記載がある。 【指摘 総務管理課】  経緯を見る限り、これ以上の職員対応は困難であろうと考える。  弁護士を代理人とする内容証明での請求など専門家対応を検討することも 考えられるが、必要に応じて、支払督促など訴訟手続による履行請求を検討す べきである。 6 保証人対応 (1)保証の範囲 【事実関係】  A、Bともに入学前に誓約書を作成し、保証人(保護者)の署名・押印があ る。  誓約書では、入学の誓約とともに、学則を堅く守り、学生の本分にそむかな いことを保証人と連署して誓約させているが、保証人自体がいかなる責任を負 うのかについての記載はない。 【指摘 総務管理課】  誓約書の記載は本人に向けたものであり、保証人がいかなる責任を有するか 必ずしも明確ではない。本件に関していえば、保証人が大学の授業料の未納分 の支払義務を負うかという点にかかわる。  明確性の見地から、保証人が署名・押印する誓約書にて、保証人が負う義務 を記載すべきである。  この点、岐阜薬科大学の誓約書では、在学保証書として、「貴学在学中にお ける本人にかかわる一切のことについては、私が責任を引き受けます。」との 記載があり、その記載を踏まえ、保証人は署名押印している。 (2)保証人に対する請求 【事実関係】  Aに対しては平成27年2月10日、A本人と保証人の連名で「平成23年度 前期授業料について」と題する書面を送付しているようである。その書面上は、 保証人に対しても支払の請求をしているのか必ずしも明らかではない。  Bに対しては、平成23年12月の段階で、Bの保証人に未納のことでやりと りをしたようであるが、保証人から授業料のことは本人へ催告して欲しいとの 意向が示され、平成28年12月28日、保証人を名宛て人とする書面を送付し たとのことであった。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2第1号によれば、督促後相当期間経過しても なお履行がなされないときは例外事由がない限り、保証人のある債権について
    は保証人に対して履行請求することとされている。 【指摘 総務管理課】  少なくとも、Aについては全く支払もせず、総務管理課担当者からの訪問や 電話連絡も無視していたとのことである。  そもそも、平成27年2月10日よりも前の段階で保証人に対する履行の請求 をすべきであったが、Aに関しては、保証人に対しても支払義務があることを 明示した上で、請求をすべきである。  ただし、平成27年1月28日制定の授業料等納付に関する手順細則3項、4 項において、最初の督促後1ヶ月経過しても未納のもので延納及び分納の相談 もなかったものや、分納及び延納許可された者で納期限に納付しないものに対 しては、本人及び保証人に請求(再度の督促)をするように規定された。今後 は、手続を遵守されたい。 7 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  平成27年度計14名に対して督促状を発送しているが、督促手数料は全くと っていない(合計1,400円となる)。また、延滞金も同様である。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第3条では、督促状を 発したときは、督促手数料及び延滞金を徴収する、同第4条では、督促手数料 は督促状1通につき100円とされている。第5条で延滞金は納付金額2,000 円以上であるときは納期限の翌日から納付の日までの日数に応じ年10.95% (当初の1ヶ月は7.3%)徴収するとされている(ただし、特例措置、減免制 度あり)。 【指摘 総務管理課】  授業料を非強制徴収公債権ととらえる以上、督促手数料を徴収すべきである。  延滞金も同様であり、適用条件を満たせば徴収すべきである。 8 消滅時効の管理 【事実関係】  A、Bいずれも平成23年度前期分に未納がある。  Aについては、全く支払がなく、総務管理課の認識によれば、平成27年2 月10日の督促状により(特定記録郵便での発送)、時効中断されているとのこ とである。  Bについては、平成25年3月28日、平成25年9月9日、平成26年3月 10日、同年4月4日、同年7月29日に一部入金があり、一部入金により、消 滅時効が中断されている。 【規範】  地方自治法第236条第4項で督促には絶対的な時効の中断効がある。  授業料を非強制徴収公債権ととらえると時効は地方自治法第236条第1項 で5年、私債権ととらえると時効は民法第173条第3号で2年の可能性がある。 【意見 総務管理課】  市立大学の授業料の消滅時効については最高裁判例が出ているわけではな い。  私債権との解釈も十分ありうるところであり(教授等の講義も含まれる授業 料を施設の使用料とみることが確実な解釈とはいえない)、そう解釈すれば、 Aに対する督促時点で既に時効期間が経過していることとなる。また、Aの最 終支払からも既に2年以上が経過しており、かかる時効中断事由からも既に時 効期間が経過していることとなる。  岐阜市としては、現在の認識(公債権で5年)で債権回収を図るべきである が、債務者に争われれば敗訴の危険もあることの意識は必要である。  現在では、規定の制定により、督促時期が早くなっており、制定を遵守する 限り、今後このような事態は発生しないと思われるが、時効の管理としては、 消滅時効期間が2年の可能性があることに留意して債権回収措置等を講じる ことが望ましい。 第12 岐阜薬科大学授業料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市の設置する岐阜薬科大学の授業料である。  岐阜薬科大学条例(昭和39年3月31日条例第28号)第10条第1項にその 根拠があり、岐阜市立学校授業料等徴収条例(昭和47年4月1日条例第23 号)第2条第1項別表において、年額535,800円とされている(大学院生、科 目等履修生等は除く)。 (2)債権の性質  岐阜市は、非強制徴収公債権と解している。授業料を公の施設の使用料と捉 えているということである(地方自治法第225条)。ただし、授業料について は、「学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価につい て有する債権」(民法第173条第3号)として私債権と判断される可能性があ る。公債権か私債権かで、消滅時効について差異が生じる。  前者であれば、地方自治法第236第1項で期間5年、援用不要、後者であれ ば、民法第173条第3号で期間2年の可能性があり、援用が必要となる。 (3)所管課  岐阜薬科大学 事務局 庶務会計課 (4)事務手続の流れ  年額535,800円の授業料は、前期分(4月から9月分)と後期分(10月か ら3月)に分けられ、前期分については、4月中に267,900円が調定され、後 期分については10月中に267,900円が調定される。 (5)直近3年度のデータ                     (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 445,328,300│ 444,792,500│   99.9%│     0│  535,800│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 445,328,300│ 444,792,500│   99.9%│     0│  535,800│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 447,918,400│ 447,918,400│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   535,800│   402,900│    75%│     0│  132,900│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 448,454,200│ 448,321,300│  99.97%│     0│  132,900│ ├──┼──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤
    │H27 │現年│ 443,272,300│ 443,272,300│   100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   132,900│      0│    0%│     0│  132,900│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 443,405,200│ 443,272,300│  99.97%│     0│  132,900│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘  授業料の未収はほとんど発生していない。平成27年度残存する未収金は1 件(1名)である。 ┌──────────────────────────┐ │A 平成25年後期分 132,900円(135,000円回収後の残)│ └──────────────────────────┘ 2 監査の観点及び監査手続  岐阜薬科大事務局庶務会計課は債権管理調整会議担当課ではなかったが、調 査票による照会の回答の結果、平成25年度から平成27年度の直近3年度にわ たり未収金が残存していることが判明した。平成25年度に未収が2件535,800 円発生し、平成27年度においても未収が1件132,900円残存していた。  債権回収に困難が生じていることが予想された。このような事情のもと、適 切に債権回収措置が講じられているのかという点に重点を置いて監査を実施 した。  具体的には、平成29年1月19日、岐阜薬科大学に出向き、事務局庶務会計 課担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。 3 納期限の定め 【事実関係】  在学生の授業料の調定は、前期は4月、後期は10月になされており、口座 振替が原則形態のため、それぞれ4月末、10月末までに引き落としがなされ るのが通常である。  4月末、10月末までに引き落としがなされない場合には、通知文や納付書 を送付するが、担当課によれば、納期限が未達のため事実上のお願い文書にす ぎないとのことである。未納のあるAについていえば、平成25年10月31日 の引き落としがなされず、平成25年11月19日に通知文に納入通知書兼領収 書を同封の上送付した。 【規範】  岐阜市会計規則第32条第2項において、調定をする場合は、納期限は法令 等、契約その他別に定めがあるものを除くほか調定の日から20日以内におい て定めるものと規定されている。岐阜薬科大学入学料、授業料等納入規程第4 条(3)においては、前期分の納期限は9月30日まで(ただし新入生は除く)、 後期分の納期限は3月31日までと定められている。 【指摘 庶務会計課】  納入規程は岐阜市会計規則第32条第2項の「その他別に定めがあるもの」 として、岐阜市会計規則には形式的には違反しないことになろう。  しかしながら、調定から半年後を納期限にするのでは遅きに失すると考える。 規程制定時には、このように納期限を定めた背景事情があったのであろうが、 現在は、口座振替による納入が中心であり、半年後に納期限を設定する必要性 があるとは考えにくい。  担当課としては、納期限までは事実上の納付のお願いをするほかなく、未払 者の立場からすれば、納期限を経過していない以上、そのような案内はおかし いとのクレームもありうる。  岐阜市立女子短大との比較においても、期限は調定から長くとも1月以内を 目処に設定すべきである。 4 督促状の発付時期 【事実関係】  Aに対する督促状の発送は、平成26年7月7日に内容証明郵便で行ってい るとのことである。その後、平成27年7月16日、平成28年2月3日、同年 7月12日、内容証明郵便にて督促(催告)が行われたとのことである。 【規範】  地方自治法第231条の3第1項では、使用料を納期限までに納付しない者が あるときは、普通地方公共団体の長は期限を指定してこれを督促しなければな らないとし、同第2項では前項の督促をした場合においては、条例の定めると ころにより、手数料及び延滞金を徴収することができると規定されている。  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第1条では、地方自治 法第231条の3第2項の規定により指定期限内に納付しないものがあるとき は別に定める場合のほか、督促手数料及び延滞金を徴収するとし、同第2条で は、指定期限内に完納しないものがあるときは、納期限後20日以内に督促状 を発しなければならないと規定している。 【指摘 庶務会計課】  納期限は平成26年3月31日であるところ、そこから3ヶ月以上経過した後 の督促となっており、市税及び延滞金条例違反である。今後は、条例に従い、 督促状は、納期限から20日以内に発付すべきである。 5 行政不服申立ての教示 【事実関係】  授業料の納入通知及び督促状のいずれにおいても行政不服申立ての教示は なされていない。 【規範】  行政不服審査法第57条第1項(改正後は同法第82条第1項)では、行政不 服申立ての教示を書面ですることが必要とされている。 【指摘 庶務会計課】  授業料を非強制徴収公債権ととらえる以上、納入通知、督促も行政処分とな ると解される(使用料の納入通知については東京高裁平成24年7月24日判決 参照。督促については、地方自治法第231条の3第5項以下に特則あり)。  納入通知、督促状に行政不服申立ての教示文を明記すべきである。 6 法的手続による請求 【事実関係】  ヒアリング及び学生管理システムによれば、Aは平成26年10月9日に 135,000円を入金以降全く支払がない。その後、3度の内容証明郵便による督 促(催告)が行われたとのことである。この内、平成28年2月3日と同年7 月12日付けで保証人と連名の督促状を送付しても無視されたとのことである。  最終支払日から、既に2年3ヶ月以上経過している。  Aは県外出身者であり、現在、岐阜市には居住していないとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2第1号によれば、督促後相当期間経過しても なお履行がなされないときは例外事由がない限り、保証人のある債権について は保証人に対して履行請求し、第3号にて、それでも支払がなされない場合に は、訴訟手続により履行請求することの記載がある。 【指摘 庶務会計課】
     上記経緯からすると、これ以上の職員対応が困難であるとも考えられる。  弁護士を代理とする内容証明での請求など、専門家対応も検討することも考 えられるが、必要に応じて、簡易裁判所での訴訟提起など訴訟手続による履行 請求を検討すべきである(債務者が遠隔地であると支払督促で異議が出された 場合に裁判管轄が問題となる)。 7 督促手数料及び延滞金 【事実関係】  Aに対して督促状を発送しているが、督促手数料を請求していない。また、 延滞金も同様である。 【規範】  市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例(昭和25年11月1日 条例第28号)第3条では、督促状を発したときは、督促手数料及び延滞金を 徴収する、同第4条では、督促手数料は督促状1通につき100円とされている。 第5条で延滞金は納付金額2,000円以上であるときは納期限の翌日から納付 の日までの日数に応じ年10.95%(当初の1ヶ月は7.3%)徴収するとされて いる(ただし、特例措置、減免制度あり)。 【指摘 庶務会計課】  授業料を非強制徴収公債権ととらえる以上、督促手数料及び延滞金を徴収す べきである。 8 消滅時効の管理 【事実関係】  Aについては、納期限経過後の平成26年7月7日に内容証明郵便で督促状 を送付している。その後、同年10月9日に一部支払があり、この時点で、時 効が中断されている。その後、催告はしているものの裁判上の請求はしていな い。 【規範】  授業料を非強制徴収公債権ととらえると時効は地方自治法第236条第1項 で5年、私債権ととらえると時効は民法第173条第3号で2年の可能性がある。 【意見 庶務会計課】  市立の大学の授業料の消滅時効については最高裁判例が出ているわけでは ない。  私債権との解釈も十分ありうるところであり(教授等の講義も含まれる授業 料を施設の使用料とみることが確実な解釈とはいえない)、そうであるとすれ ば、Aに対しては最終支払日から2年以上が経過しており、消滅時効の可能性 がある。  岐阜市としては、Aのケースに関しては、現在の認識(公債権5年)で債権 回収を図るべきであるが、債務者に争われれば私債権として2年の可能性があ ることの意識は必要である。今後は、消滅時効期間が2年の可能性があること に留意して、債権回収措置等を講じることが望ましい。 第13 職員駐車場使用料(第二恵光・第三恵光) 1 債権の概要 (1)債権の内容と根拠  福祉部第二恵光及び第三恵光の職員駐車場の使用料である。行政財産の使用 料(地方自治法第238条の4第7項・同法第225条)であり、ヒアリング及び 徴求資料(行政財産使用許可書)によれば、平成28年度より、敷地内駐車場 に自家用車を駐車している職員から、月額3,000円を徴収している。平成27 年度以前は、使用料を徴収していなかったとのことである。なお、徴収開始後、 未収金は生じていない。 (2)所管課  福祉部 福祉事務所 第二恵光 第三恵光 (3)データ 第二恵光(回答日(平成29年1月20日)現在)            (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H28 │現年│   543,000│   543.000│  100.0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   543,000│   543,000│  100.0%│     0│     0│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 第三恵光(回答日(平成29年1月25日)現在)            (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬─────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │ 収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │H28 │現年│   384,000│   384,000│  100.0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │繰越│      0│      0│    0%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤ │  │合計│   384,000│   384,000│  100.0%│     0│     0│ └──┴──┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  監査の重点は、ただ1点、発生させるべき債権を発生させているかという点 にあった。  平成28年8月29日及び同年12月16日、担当課である福祉部第二恵光担当 者のヒアリングを行った。同じく、福祉部第三恵光に対しては、平成29年1 月19日、書面照会を行った。必要資料を徴求し、閲覧した。 3 使用料の未徴収 【事実関係】  担当課によれば、平成27年度以前は職員から駐車場使用料を徴収していな かったとのことである。 【規範】  地方自治法第225条は、普通地方公共団体は、同法第238条の4第7項の規 定による許可を受けてする行政財産の使用又は公の施設の利用につき使用料 を徴収することができると定めている。  これを受けて、岐阜市使用料徴収条例第3条第1項は、行政財産を使用する 者は、同条例別表に定める基準により算定する使用料を納付しなければならな いと定めている。 【指摘 第二恵光、第三恵光(改善報告)】  岐阜市使用料徴収条例第3条第1項及び別表に基づき、使用料を徴収すべき
    である。  もっとも、上記のとおり、平成28年度以降は使用料を徴収しており、改善 報告とする。 【参考報告】  今回の監査では、第二恵光、第三恵光の職員駐車場の使用料のみを対象とし たが、岐阜市においては、全庁的に職員駐車場使用料の徴収漏れがないか確認 する必要があろう。他課の確認を促すという意味で参考報告ともする。 第5章 私債権 第1 本章の概要  本章では、岐阜市の私債権を報告する。  1)食費等サービス利用料金(第二恵光、第三恵光)、2)福祉資金貸付金、3) 住宅建築資金貸付金・同和向個人住宅建築資金貸付金、4)母子父子寡婦福祉貸 付金、5)育英資金貸付金、6)水道料金、7)病院医業収益、8)中央卸売市場(電 気料・水道使用料)、9)土地建物貸付収入・使用損害金・弁償金(強制執行費 用)(管財課分)、10)土地貸付収入(住宅課分)、11)公営住宅使用弁償金、12)市 営住宅退去修繕料、13)放課後児童クラブ事業実費負担金、14)第三者行為求償金 (介護保険課、国保・年金課、福祉医療課)、15)レンタサイクル条例に基づく 損害賠償金、16)不法占用に基づく占用料相当額の不当利得返還金・損害賠償金、 17)斎苑の雑入(返還金及び弁償金)、18)臨時福祉給付金返還金、19)成年後見手 数料事務処理費用の19に分類した債権である。  これらの債権中、岐阜市債権管理調整会議で取扱債権として挙げられている 債権は、1)から13)である(ただし、9)中、使用損害金、弁償金(強制執行費用) は含まれていない)。14)、15)及び17)から19)の債権については、平成27年度に未 収金が存在した債権である。16)の債権については、そもそも調定されていない ものである。「第3章 第5 道路占用料」、「同 第6 水路占用料」の監査 の過程において、債権として検討することが必要になると考えたものであり、 ここで取り上げ報告することとした。  私債権の債権回収措置については、基本的には非強制徴収公債権と同様であ る。しかしながら、私法上の発生原因に基づき発生する債権であって、市税以 外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例の適用がなく、督促によってこ れらの徴収をすることができない。延滞金に類する違約金(遅延損害金)は、 個別法令や契約にて義務づけられている債権もあるが、基本、徴収が義務づけ られていない。  非強制徴収公債権とは、督促の効果が異なる部分があり、そもそも、地方自 治法施行令第171条で規定される督促行為を適切にしているか特に留意した。  また、消滅時効期間は一律ではなく、債権の消滅には時効の援用が必要であ る点、特に時効管理が必要となる。この点にも留意した。  さらに、岐阜市債権管理条例第6条に規定する債権放棄をすることが可能な 債権であり、その後、不納欠損されることとなる。条例により、債権放棄は議 会の議決ではなく、報告で足りることとなったが、債権放棄が適切になされて いるかにも着目した。 【岐阜市の私債権にかかる基本的な事務の流れ】 第2 食費等サービス利用料金(第二恵光、第三恵光) 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  第二恵光・第三恵光は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する ための法律及び岐阜市障害者福祉施設条例に基づき、障害者の方に対する施設 入所支援、生活介護、短期入所、日中一時支援事業を行う施設である。  食費等サービス利用料金は、上記各事業におけるサービスのうち、介護給付 費対象外のサービスの利用料金、すなわち食費、光熱水費、日用品費、被服費 に係る費用、その他日常生活においても通常必要となるものに係る費用であっ て、利用者に負担させることが適当と認められる費用のことである。  食費等サービス利用料金の内容については、岐阜市立第二(又は第三。以下 同様)恵光(指定障害者支援施設)運営規程、岐阜市立第二恵光(指定短期入 所)運営規程、岐阜市立第二恵光(日中一時支援事業)運営規程において定め られている。 (2)債権の性質  ヒアリングによれば、岐阜市では、平成26年度まで、食費等サービス利用 料金を非強制徴収公債権として扱っていたが、平成27年の岐阜市債権管理調 整会議の検討により、私債権として扱うことになった。 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 第二恵光(管理1名、回収3名)  福祉部 福祉事務所 第三恵光(管理1名、回収1名) (4)直近5年度のデータ 〔第二恵光(ただし平成23年度のみ施設使用料込金額)〕         (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23 │現年│  24,382,994│  23,995,454│ 98.4%│     0│    387,540│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│    817,788│       0│  0%│     0│    817,788│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  25,200,782│  23,995,454│ 95.2%│     0│   1,205,328│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24 │現年│  20,992,143│  20,852,248│ 99.3%│     0│    139,895│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,205,328│    105,732│ 8.8%│     0│   1,099,596│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  22,197,471│  20,957,980│ 94.4%│     0│   1,239,491│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25 │現年│  20,580,686│  20,491,952│ 99.6%│     0│    88,734│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,239,491│    200,028│ 16.1%│     0│   1,039,463│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  21,820,177│  20,691,980│ 94.8%│     0│   1,128,197│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26 │現年│  20,282,556│  20,245,020│ 99.8%│     0│    37,536│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,128,197│    440,969│ 39.1%│     0│    687,228│
    │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  21,410,753│  20,685,989│ 96.6%│     0│    724,764│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27 │現年│  20,989,474│  20,948,674│ 99.8%│     0│    40,800│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│    724,764│    217,536│ 30.0%│     0│    507,228│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  21,714,238│  21,166,210│ 97.5%│     0│    548,028│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 〔第三恵光〕                             (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23 │現年│  22,023,679│  22,023,679│ 100%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  22,023,679│  22,023,679│ 100%│     0│       0│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24 │現年│  21,257,280│  21,235,317│ 99.9%│     0│    21,963│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  21,257,280│  21,235,317│ 99.9%│     0│    21,963│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25 │現年│  18,263,288│  18,248,602│ 99.9%│     0│    14,686│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│    21,963│    21,963│ 100%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  18,285,251│  18,270,565│ 99.9%│     0│    14,686│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26 │現年│  17,702,223│  17,647,161│ 99.7%│     0│    55,062│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│    14,686│    14,686│ 100%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  17,716,909│  17,661,847│ 99.7%│     0│    55,062│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27 │現年│  18,606,161│  18,606,161│ 100%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│    55,062│       0│  0%│     0│    55,062│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  18,661,223│  18,606,161│ 99.7%│     0│    55,062│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  第二恵光及び第三恵光の利用者には、障がいにより判断能力が十分でない者 も含まれており、その場合の食費等サービス利用料金の徴収に関するやりとり は、専ら身元引受人との間で行われることになる。このような実態を前提とし て、どのような形で債権管理を行うことが適切であるかということを念頭に置 きつつ監査を行った。また、関係法令等に従った債権管理がなされているかど うかを確認することにも重点を置いた。  監査手続としては、平成28年8月29日及び同年12月16日、第二恵光担当 者のヒアリングを行った。同じく第三恵光に対しては、平成29年1月19日、 書面照会を行った。また、比較の意味で平成29年1月23日恵光学園にもヒア リングを実施した。以上に加えて、調査票による照会及び提出資料の書類監査 を行った。 3 身元引受人の法的地位 【事実関係】  第二恵光及び第三恵光では、障害者支援事業の提供にあたり、利用者との間 で利用契約を締結している。  契約当事者は利用者本人であるが、契約締結の手続は、利用者が成年被後見 人である場合には成年後見人との間で行い、それ以外の場合には利用者の身元 引受人となる者(親族など)との間で行っている。  利用契約書には、利用者、成年後見人及び身元引受人の署名捺印欄が設けら れている。  利用開始後の食費等サービス利用料金の請求は、成年後見人又は身元引受人 に対して利用者宛ての納入通知書を送付することにより行っている。  利用契約にあたって保証人は徴求していない。  利用契約上、食費等サービス利用料金の債務者は利用者本人とされている (利用契約書第5条)。  身元引受人は、利用者の責めにより事業者に損害を与えた場合、利用者と連 携し当該損害を賠償することとされているが(同第21条第2項第1号)、利用 料の支払義務を負う旨の条項はない。 【指摘 第二恵光、第三恵光】  上記利用契約の条項によれば、食費等サービス利用料金の債務者は利用者本 人のみであり、身元引受人は食費等サービス利用料金の支払義務を負わない。  成年後見人がいない場合、滞納者に対する催告は、実際上は身元引受人に対 して行うことになるが、身元引受人自身に支払義務がないため、当該催告は、 利用者本人の債務の支払いを身元引受人に事実上依頼するものにとどまる。  身元引受人自身の債務でもあるとすれば、一般的には身元引受人に対する回 収活動の実効性が高まると考えられるし、身元引受人に資力がある事案もあり 得る。  利用契約の内容を、身元引受人が食費等サービス利用料金債務を連帯保証す る形に改正すべきである。 4 督促状による督促 【事実関係】  調査票に対する回答によれば、第二恵光では、利用料の滞納が生じた場合に、 滞納者(の身元引受人)に対して口頭で督促しており、督促状は発付していな い。  ヒアリングによれば、督促状を発付しない理由は、食費等サービス利用料金 債権は入所者又は通所者に対してのみ発生することから、身元引受人と直接面 談することができ、その際に口頭で督促すれば足りるためとのことである。  なお、第三恵光では、督促状を発付している。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第2条では、債権について行う履行の督促は、第1号様 式の督促状を債務者に送付することにより行うものとされているところ、同規 則第1条によれば、別に定めがある場合には当該別の定めによることになる。
     第二恵光では、食費等サービス利用料金等の収納事務に関し、福祉部長の決 裁を経て「介護給付費等にかかる利用料金における収納事務の取扱いについて (第二恵光)」と題するマニュアルを定めており、納期限内に納入されないも のについては、同マニュアル別紙2の様式により、すみやかに督促を行うこと とされている。 【指摘 第二恵光】  現状の口頭による督促は、上記「介護給付費等にかかる利用料金における収 納事務の取扱いについて(第二恵光)」に反している。  第二恵光によれば、保護者と直接面談ができるため督促状を発付していない とのことであるが、上記マニュアルに反している。  督促による時効中断効(地方自治法第236条第4項)の発生を明確化するた めにも、督促は、マニュアル別紙2の督促状を発付することにより行うべきで ある。 5 納付相談記録 【事実関係】  調査票に対する回答及びヒアリングによれば、担当課では、未納が発生した 事案について、身元引受人と面談又は電話により納付相談を行っているが、納 付相談の時期や内容は、担当者の判断に委ねられているとのことである。 【規範】  納付相談の方式等について、法令上の定めや内部的な規則等はない。 【意見 第二恵光、第三恵光】  納付相談は、滞納が生じた債権につき、適切な分割弁済計画により回収を実 現するための重要な機会である。また、納付相談の時点では既に滞納が生じて いる場合が多いことからすれば、債務者からの履行期限の猶予や分割弁済の申 出に応じてもよいかどうかを適切に判断する必要がある。  そのためには、債務者の資産や負債の状況、収入・支出の状況について、根 拠資料を確認した上で、正確に把握する必要がある。その上で、把握した債務 者の状況を前提として、可能な限り早く回収ができ、かつ確実な返済継続が見 込める弁済計画を立てる必要がある。  そこで、納付相談の際に聴取すべき事項や徴求すべき資料、分割納付の許否 の判断基準、適切な分納計画の作成方法等について、マニュアル・書式を作成 し、運用の統一を担保するとともに、担当者の交代があっても一定の水準が保 たれるようにすることが望ましい。  納付相談の際の聴取事項としては、具体的には、収入、借入金、健康状態、 家計収支、同居の親族等が考えられるところ、これらの必要な情報を漏れなく 聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作成して 用いることが望ましい。書式としては、納税課のものが参考となる。 6 分納誓約書の取得 【事実関係】  第二恵光では、納付相談により滞納分を分割納付することになった場合にも、 分納誓約書の提出を受けていない。  なお、第三恵光では、提出書類から把握される限り滞納分は一括で納付され ており、分割納付となった事例はない。 【意見 第二恵光】  納付相談の結果、分割弁済をすることになった場合には、身元引受人に弁済 計画の遵守を意識させるため、身元引受人に署名させる形で、分納誓約書の提 出を取得することが望ましい。 7 充当の順序 【事実関係】  ヒアリングによれば、第二恵光では、滞納者から支払いがなされた場合、ま ずは現年度分に優先的に充当し、支払額が現年度分を上回る場合には、当該上 回る額を過年度分に充当しているとのことである。また、過年度分のうちどの 未収分に充当するかは本人と話しあって決めているとのことである。 【規範】  充当の指定については、民法第488条が定めている。すなわち、債務者が同 一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合にお いて、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないとき は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定すること ができる(民法第488条第1項)。  弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、 その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。但し、 弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない (同条第2項)。  なお、充当について当事者間に合意がある場合には、合意の内容に従って充 当される。 【指摘 第二恵光】  滞納者から支払いがなされた場合において、滞納者から充当する債務の指定 がないときは、岐阜市の立場としては、過年度分の時効消滅を防止するために、 過年度分の古いものから順に充当すべきである。 8 消滅時効の管理 (1)起算点 【事実関係】  ヒアリングによれば、第二恵光では、消滅時効の起算点を、当初の納付期限 の翌日としている。 【規範】  地方自治法第236条第4項によれば、法令の規定により普通地方公共団体が する納入の通知及び督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効 力を有すると定めている。 【指摘 第二恵光】  上記のとおり、第二恵光では、履行の督促にあたり、督促状を用いていない が、納付期限内に納入がない場合には、督促状により督促した上で、督促状到 達の翌日から再度時効期間が進行するものとして、時効を管理すべきである。 (2)時効期間 【事実関係】  第二恵光及び第三恵光では、食費等サービス利用料金の時効期間を10年と している。  一方で、岐阜市は、児童福祉法第43条に規定された障害児のための児童発 達支援センターとして、恵光学園を設置運営している。恵光学園は幼児のみが 対象であり、また通所支援のみであるが、第二恵光及び第三恵光と同じく、利 用者への食事の提供を行っており、利用者から食事の提供に要する費用を徴収 しているところ、同学園に対するヒアリングによれば、給食費債権の時効期間 を、民法第173条第3号により2年と認識している。 【規範】  民法第167条第1項によれば、債権の消滅時効の期間は10年であるが、短 期消滅時効等の特別の規定がある場合には当該規定によることになる。
     民法第173条第3号では、「学芸または技能の教育を行う者が生徒の教育、 衣食又は寄宿の代価について有する債権」の消滅時効の期間を2年と定めてい る。 【意見 第二恵光、第三恵光】  上記各施設の運営主体である岐阜市が「学芸または技能の教育を行う者」に 該当するか否かは、各施設における支援活動の内容が「学芸または技能の教育」 に該当するか否かにより定まるものと考えられる。  この点について明確に記載された文献等に接することができなかったが、滞 納者から2年による時効消滅を主張される可能性を念頭に置いて、時効管理を 行うことが望ましい。 第3 福祉資金貸付金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  根拠法令 岐阜市福祉資金貸付規則  事業目的 臨時的又は一時的な事情により生活に困窮した世帯に対し、その       生活の安定及び福祉の向上を図るため必要な資金を貸し付ける       (同規則第1条)  事業内容 貸付額10万円以内 無利息 毎月5,000円以上の償還       新規貸付は、平成27年度は1件、平成26年度は7件である  状  況 (平成28年3月31日時点)       債務者94人 未収入額6,366,535円 ┌────────┬───┬───────┬───┐ │償還期間終了から│債務者│最終納付日から│債務者│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 20年以上経過 │  9人│15年以上経過 │ 10人│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 10年以上経過 │ 41人│10年以上経過 │ 19人│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 5年以上経過  │ 11人│5年以上経過  │ 13人│ └────────┴───┴───────┴───┘ (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 生活福祉一課 (4)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│    255,00│    255,000│ 100%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   8,859,000│    500,000│ 5.6%│ 3,093,000│   5,266,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   9,114,000│    755,000│ 8.3%│ 3,093,000│   5,266,000│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│    888,000│    507,000│ 57.1%│     0│    381,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   5,266,000│    368,000│ 7.0%│  342,000│   4,556,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   6,154,000│    875,000│ 14.2%│  342,000│   4,937,000│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│   1,637,000│    700,000│ 42.8%│     0│    937,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   4,937,000│    197,000│ 4.0%│  50,000│   4,690,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   6,574,000│    897,000│ 13.6%│  50,000│   5,627,000│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│   1,430,000│    575,000│ 40.2%│     0│    855,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   5,627,000│    195,000│ 3.5%│  100,000│   5,331,535│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   7,057,000│    770,465│ 10.9%│  100,000│   6,186,535│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│    310,000│    55,000│ 17.7%│     0│    255,000│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   6,186,535│    75,000│ 1.2%│     0│   6,111,535│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   6,496,535│    130,000│ 2.0%│     0│   6,366,535│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  繰越分の回収率は10%に満たず、特に平成27年度においては、わずか1.2% である。また、償還期間終了、最終納付日から長期間経過した債務者も複数い る。しかしながら、平成27年度の不納欠損額は「0」である。これらの状況 から、回収に向けた努力がどのようになされているのか、債権の放棄の状況は どうなっているのかに重点を置いて監査を実施した。具体的な監査手続として は、催告にかかる事務に関する書類、償還台帳、繰越金一覧表等の閲覧、ヒア リング(平成28年8月16日、同年12月13日)を行った。 3 保証人に対する請求 【事実関係】  債務者の多くが、償還期間の途中で償還しなくなり、そのまま償還期間を終 了し、長年が経過している。これらの債務者に対して、徴収停止や履行延期の 特約の措置はしておらず、これを検討した形跡もない。  消滅時効期間の満了以外の理由による債権放棄を検討した形跡もない。  保証人に対する請求は、平成26年3月に債務者が死亡または行方不明のケ ースについて行った以降は行われておらず、法的手続による請求は行われてい ない。 【規範】  地方自治法においては、普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定 めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要 な措置をとらなければならないとされている(第240条第2項)。  私債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、期限を指定し てこれを督促しなければならず(地方自治法施行令第171条)、督促をした後 相当の期間を経過してもなお履行されないときは、一定の場合を除き、その担 保の処分・担保権の実行の手続、保証人に対する履行の請求、訴訟手続による
    履行の請求、強制執行の手続といった措置をとらなければならない(地方自治 法施行令第171条の2)。必要な措置をとる義務が解除されるのは、次の場合 だけである(地方自治法施行令第171条の2)。  ア 地方自治法施行令第171条の5に基づく「徴収停止」の措置をとる場合  イ 地方自治法施行令第171条の6に基づく「履行延期の特約又は処分」に    より履行期限を延長する場合  ウ その他特別の事情があると認める場合 【指摘 生活福祉一課】  保証人に対する請求、法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が 解除されるためには、一定の例外事由が認められなければならない。  例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連帯保証人の所在、生活 状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録するとともに、その結果、 例外事由が認められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続 を行うべきである。他方、例外事由が認められないのであれば、保証人に対す る請求をすべきである。 4 催告の頻度 【事実関係】  催告書は、年に1回、債務者に送付しているだけである。  電話や訪問による催告は、平成24年11月以降は行われていない。 【指摘 生活福祉一課・二課】  債務者は、償還期間が終了してから長年が経過しており、多額の償還金を滞 納している。  本来は、とっくに一括で納付しなければならない状況である。年1回に催告 書を送付するだけでは不十分である。  少なくとも1か月に1回以上、催告書の送付や訪問による催告などを行い、 一括納付または早期の納付を求めるべきである。 5 債権の管理方法と時効中断措置の実行 【事実関係】  償還金の管理は、岐阜市の保健福祉総合システムの中にある「償還台帳」に より行われている。「償還台帳」は、債務者ごとの償還状況が分かるものとな っており、督促の記録を管理する「督催告管理」、その他事務を記録する「メ モ情報」に遷移できるようになっている。  しかし、全債務者の延滞状況が分かる一覧表は、平成26年3月から更新さ れていない。 【指摘 生活福祉一課】  上記のとおり、最終納付日から10年以上経過している、すなわち消滅時効 期間が満了している債務者が29人もいる。  いたずらに時効期間を経過させてしまうことなく、可能な限り回収を図るた め、年度末に不納欠損をするために時効期間が満了している債務者を償還台帳 からピックアップするのではなく、全債務者の延滞状況を常に漏れなく把握す ることのできる一覧表を随時更新するとともに、消滅時効中断のための措置を とるべきである。 6 消滅時効と債権放棄 【事実関係】  債権放棄・時効の援用と不納欠損額は、次のとおりである。 ┌──┬────────────────────────┬─────┬──────┐ │  │          債権放棄          │時効の援用│不納欠損額 │ ├──┼───┬───┬─────────┬──────┼─────┼──────┤ │  │H24.2 │ 611件│S62.7~H14.3納期 │ 5,165,000円│    0件│      │ │H23├───┼───┼─────────┼──────┤     │ 3,093,000円│ │  │H24.7 │ 377件│S62.6~H14.1納期 │ 3,093,000円│    0円│      │ ├──┼───┼───┼─────────┼──────┼─────┼──────┤ │  │H25.2 │ 336件│S62.6~H14.12納期 │ 2,472,000円│   34件│      │ │H24├───┼───┼─────────┼──────┤     │  342,000円│ │  │H25.7 │  1件│H14.4納期     │  30,000円│ 312,000円│      │ ├──┼───┼───┼─────────┼──────┼─────┼──────┤ │  │H26.2 │ 20件│H12.6~H14.1納期 │  100,000円│   10件│      │ │H25├───┼───┼─────────┼──────┤     │  50,000円│ │  │H26.7 │  0件│         │     0円│ 50,000円│      │ ├──┼───┼───┼─────────┼──────┼─────┼──────┤ │  │H27.2 │  0件│         │     0円│   22件│      │ │H26├───┼───┼─────────┼──────┤     │  100,000円│ │  │H27.7 │  0件│         │     0円│ 100,000円│      │ ├──┼───┼───┼─────────┼──────┼─────┼──────┤ │  │H28.2 │  0件│         │     0円│    0件│      │ │H27├───┼───┼─────────┼──────┤     │     0円│ │  │H28.7 │  0件│         │     0円│    0円│      │ └──┴───┴───┴─────────┴──────┴─────┴──────┘ ※件数は、各月の償還金を1件としている。 ※消滅時効期間が満了しているが時効の援用がない債権について  岐阜市債権管理条例が施行された平成23年度において、昭和62年から平成 14年1月までの納期の未納金が一気に時効期間満了として債権放棄されてい る。その後、時効期間満了しているものが多数あると思われるが、平成24年 度に1件、債権放棄されているだけである。平成23年度から平成25年度まで は、当該年度2月の債権管理調整会議において債権放棄する予定とされたが、 その後に庶務係から指摘され、変更したとのことであり、平成26年度からは、 消滅時効期間が満了を理由とした債権放棄を全くしていない。  岐阜市では、消滅時効期間が満了した債権のうち、債務者本人の「死亡」ま たは「行方不明」に加えて連帯保証人の「死亡」または「行方不明」という事 情があるものだけを債権放棄する運用にしているとのことである。 【規範】  岐阜市債権管理条例は、私債権について、消滅時効期間が満了したときには 債権放棄をすることができると定めている(第6条第3号)。 【指摘 生活福祉一課・二課】  債務者や連帯保証人の「死亡」は、相続により債務が承継されるので、行方 不明とは性質を異にする。債務者や連帯保証人の「死亡」という事情のみをも って、債権放棄を正当化するための理由としているのは不適切である。相続人 からの回収を検討した上で、債権放棄することを検討すべきである。 【指摘 生活福祉一課・二課】  債権管理及び徴収事務の合理化・効率化並びに未収金の縮減のため、適時適 切に債権放棄を行い、不納欠損処分を行うことが求められる。  消滅時効については、時効期間が満了する前に、可能な限りの回収及び時効 中断措置を検討・実行することが何よりも重要であって、それを十分に果たし ていたのであれば、時効期間が満了したことがやむを得ないものといえ、時効 期間の満了を理由に債権放棄することが許されるものと考える。
     債務者本人や連帯保証人の「行方不明」という事情は、時効の援用がなされ る見込みがないことの理由とはなるものの、それのみで時効期間が満了した債 権の放棄が正当化されるための理由となるものではないと考える。なお、行方 不明で、かつ、徴収の見込みがないのであれば、別途、それ自体を理由に債権 放棄を検討することになる(岐阜市債権管理条例第6条第5号、同施行規則第 3条)。  行方不明という事情のみにとらわれることなく、時効期間が満了したことが やむを得ないといえるものについては、債権放棄することを検討すべきである。 7 管理体制の検討 【事実関係】  福祉資金貸付金は、平成26年度までは福祉政策課が担当していたが、生活 困窮者自立支援法の施行に伴い、平成27年度から生活福祉一課が担当するこ とになった。生活福祉一課では、生活困窮者支援係の2名が担当しているが、 他の業務が多く、貸付金の管理・回収にまで手が回らない状態である。 【規範】  地方自治法においては、普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定 めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要 な措置をとらなければならないとされている(第240条第2項)。私債権につ いて、履行期限までに履行しない者があるときは、期限を指定してこれを督促 しなければならず(地方自治法施行令第171条)、督促をした後相当の期間を 経過してもなお履行されないときは、一定の場合を除き、その担保の処分・担 保権の実行の手続、保証人に対する履行の請求、訴訟手続による履行の請求、 強制執行の手続といった措置をとらなければならない(地方自治法施行令第 171条の2)。  市長は、法令又は条例等の定めに従い、市の債権の適正な管理に努める責務 を負い(岐阜市債権管理条例第4条)、この責務を果たすため、市の債権に関 する事務の状況を的確に把握するとともに、市の債権を適正に管理するための 体制を整備しなければならない(岐阜市債権管理条例第5条)。また、地方公 共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めなければならない(地方自治 法第2条第15項)。 【指摘 福祉政策課、生活福祉一課】  債権の管理回収にあたっては、法令によりとるべき措置が定められている。  債務者の数も多く、債権の性質、返済状況、支払能力など管理回収にあたっ て考慮すべき事情も多種にわたる。債権の適正な管理回収には、相応の業務量 が伴うものである。  他方、生活福祉一課の業務量が多いことは、平成27年度の包括外部監査で 報告したとおりであり、生活保護費の支給に関する業務だけでも、マンパワー が足りていない状況である。  そのため、前述のとおり、生活福祉一課では、現実に、福祉資金貸付金の適 正な管理回収が実行できていない。  福祉資金貸付金の担当課を生活福祉一課とは別の課にするか、生活福祉一課 において福祉資金貸付金を中心的に担当する職員を配属することを検討すべ きである。 第4 住宅建築資金貸付金・同和向個人住宅建設資金貸付金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 〔住宅建築資金貸付金〕 根拠法令 岐阜市住宅建築資金貸付条例、同条例施行規則 事業目的 同和対策事業施行地域における住宅の新築若しくは改修又は住宅     の用に供する土地の取得に必要な資金の貸付けを行うことにより、     地域の居住環境の整備改善を図る(同条例第1条)。 経  過 昭和45年度から事業開始し、平成10年5月31日に事業廃止 実  績 貸付総額607,360,000円 貸付件数185件 状  況 (平成28年3月31日時点)      債務者9人(内、償還期間中は2人)未収入額合計23,458,985円 ┌────────┬───┬───────┬───┐ │償還期間終了から│債務者│最終納付日から│債務者│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 20年以上経過 │  1人│9年以上経過  │  1人│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 8年以上経過  │  4人│8年以上経過  │  1人│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 5年以上経過  │  1人│5年以上経過  │  1人│ ├────────┼───┼───────┼───┤ │ 4年以上経過  │  1人│       │   │ └────────┴───┴───────┴───┘ 〔同和向個人住宅建設資金貸付金〕 根拠法令 岐阜市同和向個人住宅建設資金貸付規則 事業目的 同和対策事業として個人住宅の建築又は宅地の取得に必要な資金     の貸付けを行うことにより、同和対策事業施行地域及びその周辺の     環境改善を図る(同規則第1条) 経  過 昭和49年度から事業開始し、平成9年6月30日に事業廃止 実  績 貸付総額77,600,000円 貸付件数34件     昭和51年度に住宅建築資金貸付金事業(新築)ができたため、昭和     52年度以降の貸付実績はない 状  況 (平成28年3月31日時点)      債務者1人 未収入額1,342,600円      償還期間終了から22年以上経過 最終納付日から11年以上経過 (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  市民参画部 人権啓発センター (4)直近5年度のデータ 〔住宅建築資金貸付金〕                        (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│   3,277,605│   2,434,407│ 74.3%│     0│    843,198│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  34,646,324│   2,123,488│ 6.1%│     0│  32,522,836│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  37,923,929│   4,557,895│ 12.0%│     0│  33,366,034│
    ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│   2,582,716│   2,128,258│ 82.4%│     0│    454,458│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  33,366,034│   2,965,154│ 8.9%│     0│  30,400,880│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  35,948,750│   5,093,412│ 14.2%│     0│  30,855,338│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│   1,721,762│   1,163,396│ 67.6%│     0│    558,366│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  30,855,338│   1,628,442│ 5.3%│     0│  29,226,896│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  32,577,100│   2,791,838│ 0.9%│     0│  29,785,262│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│    787,520│    385,016│ 48.9%│     0│    402,504│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  29,785,262│   1,540,323│ 5.2%│ 4,246,876│  23,998,063│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  30,572,782│   1,925,339│ 6.3%│ 4,246,876│  24,400,567│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│    758,760│    356,256│ 47.0%│     0│    402,504│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  24,400,567│   1,344,086│ 5.5%│     0│  23,056,481│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  25,159,327│   1,700,342│ 6.8%│     0│  23,458,985│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 〔同和向個人住宅建設資金貸付金〕                   (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│       0│       0│  0%│     0│       0│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│   1,342,600│       0│  0%│     0│   1,342,600│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  事業が廃止され、償還期間が終了してから長年経過している債権や債務者が 死亡している債権があるため、回収に向けた努力がどのようになされているの かに重点を置いて、催告にかかる事務に関する書類等の閲覧、ヒアリング(平 成28年8月16日、同年12月13日)を行った。 3 保証人に対する請求、抵当権の実行 【事実関係】  上記のとおり、償還期間中の債務者を除いては、いずれも償還期間が終了し てから4年以上が経過しており、中には20年以上も経過している債務者が存 在する。  滞納している償還金の額も多額である。  連帯保証人は、すべての債務者に存在する。  抵当権は、土地と建物の両方に設定しているのが2件、建物のみが4件、土 地のみが1件、未設定が3件である。  しかし、保証人に対する請求は1名にしか行われておらず、抵当権の実行、 法的手続による請求は、行われていない。  なお、登記事項証明書や住民票の取得などの調査は行っている。 【規範】  地方自治法においては、普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定 めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要 な措置をとらなければならないとされている(第240条第2項)。  私債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、期限を指定し てこれを督促しなければならず(地方自治法施行令第171条)、督促をした後 相当の期間を経過してもなお履行されないときは、一定の場合を除き、その担 保の処分・担保権の実行の手続、保証人に対する履行の請求、訴訟手続による 履行の請求、強制執行の手続といった措置をとらなければならない(地方自治 法施行令第171条の2)。  法令上、担保の処分・担保権の実行の手続、保証人に対する履行の請求、訴 訟手続による履行の請求、強制執行の手続といった必要な措置をとる義務が解 除されるのは、次の場合だけである(地方自治法施行令第171条の2)。 ア 地方自治法施行令第171条の5に基づく「徴収停止」の措置をとる場合 イ 地方自治法施行令第171条の6に基づく「履行延期の特約又は処分」によ  り履行期限を延長する場合 ウ その他特別の事情があると認める場合 【指摘 人権啓発センター】  保証人に対する請求、抵当権の実行、法的手続による請求といった必要な措 置をとる義務が解除されるためには、一定の例外事由が認められなければなら
    ない。  例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連帯保証人の所在、生活 状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録するとともに、その結果、 例外事由が認められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続 を行うべきである。他方、例外事由が認められないのであれば、保証人に対す る請求、抵当権の実行といった必要な措置をとるべきである。 4 催告の対象と頻度 【事実関係】  納付がなされていない債務者には、8月末と2月末の年2回だけ催告書を送 付しているが、毎月または2か月に1回ずつ納付している債務者には、催告書 を送付していない。  2名の債務者については、現金で受け取るために2か月に1回訪問している が、他の債務者については、訪問していない。 【指摘 人権啓発センター】  債務者は、償還期間が終了してから長年が経過しており、多額の償還金を滞 納している。本来は、とっくに一括で納付しなければならない状況である。毎 月または2か月に1回ずつ、ほとんど1か月分を納付しているだけでは、回収 に時間がかかりすぎる。年2回の催告では不十分である。  すべての債務者に対し、少なくとも1か月に1回以上、催告書の送付や訪問 による催告などを行い、一括納付または早期の納付を求めるべきである。 5 債務者・連帯保証人死亡時の回収 【事実関係】  債務者が既に死亡しているケースが5件あり、内2件は、債務を承継した相 続人から少しずつ支払いを受けているが、内3件は、支払いを受けておらず、 相続人に対する請求もしていない。  連帯保証人が既に死亡しているケースが6件あるが、内3件は、その相続人 の調査をしていない。 【指摘 人権啓発センター】  債務者・連帯保証人の相続人及び相続放棄や限定承認の有無の調査を迅速に 行い、請求することが可能な相続人には請求すべきである。 6 遅延損害金の請求 【事実関係】  各月の償還期限に返済がなされない場合でも、遅延損害金を請求しておらず、 各月の償還金元金が納入される際に、遅延損害金を調定していない。 【規範】  岐阜市住宅建築資金貸付条例では、借受人が償還期限までに償還しなかった ときは、市長は、延滞した金額に対して償還期限の翌日から支払の日まで年 10.95%の割合による遅延利息を請求することができるとされている(第9条 第1項)。  金銭消費貸借契約書では、借受人は、償還期限までに償還しなかったときは、 延滞した金額に対して償還期限の翌日から支払の日まで年10.95%の割合に よる遅延利息を支払わなければならないとされている(第9条第1項)。         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【指摘 人権啓発センター】  金銭消費貸借契約に基づき遅延損害金が発生しているのであるから、督促や 催告の際には遅延損害金の請求をし、各月の償還金元金が納入される際には遅 延損害金を調定して納入の通知をすべきである。  調定しても回収できないということは、調定しないことの理由とはならない。 遅延損害金を請求することは、償還を促す効果があるし、償還期限を遵守して 返済していた債務者との公平を保つ必要もある。 7 債権の管理方法 【事実関係】  日常管理は、「住宅建築資金貸付金償還金徴収簿」という書類に、月別の償 還金額・領収の有無を手書きで記入している。「延滞金」の欄に利子が記入さ れている。  また、「平成27年度個人別・資金別(元金・利子)調定収入額」というファ イルに、年度ごとの調定額と収入額を入力している。  平成27年度に、各債務者の滞納額、最終納付日などを記載した一覧表を作 成した。 【規範】  市長は、法令又は条例等の定めに従い、市の債権の適正な管理に努める責務 を負い(岐阜市債権管理条例第4条)、この責務を果たすため、市の債権に関 する事務の状況を的確に把握するとともに、市の債権を適正に管理するための 体制を整備しなければならない(同条例第5条)。岐阜市債権取扱規則では、 「債権管理簿」の様式を定めている(第20条)。 【指摘 人権啓発センター】  利子と延滞金(遅延損害金)は法的に異なる。「住宅建築資金貸付金償還金 徴収簿」において、利子は、「延滞金」の欄ではなく「償還金」の欄に記入す べきである。 【意見 人権啓発センター】  いたずらに消滅時効期間が満了することのないよう、債務者一覧表を活用し て、時効の管理をすることが望ましい。 8 時効中断措置の実行 【事実関係】  消滅時効期間が満了しているものの、債権放棄をしていないケースがある。 このケースでは、債務者の居所が判明しているにもかかわらず、時効期間満了 前に債務承認をさせていない。拒否をされたとのことである。  このケースのほかに、最終納付日から長年経過し、消滅時効期間が満了する おそれのあるケースがある。 【指摘 人権啓発センター】  このケースでは時効期間が満了しているが、今後は、一部納付も債務承認書 の提出も拒否をされた場合、いたずらに消滅時効期間が満了することのないよ う、裁判上の請求による時効中断措置をとるべきである。 第5 母子父子寡婦福祉資金貸付金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  母子父子寡婦福祉資金貸付金(以下、「当該貸付金」という。)は、ひと り親家庭の父母等が就労や児童の就学等で資金が必要となったときに、貸 し付けるものである。  ひとり親家庭の父母等の経済的自立を支援するとともに、生活意欲を促進 し、その扶養している児童の福祉を増進することを目的としている。  「母子及び父子並びに寡婦福祉法」、「母子及び父子並びに寡婦福祉法施行
    令」(以下、「施行令」という。)、「岐阜市母子及び父子並びに寡婦福祉法施行 細則」を根拠としている。 (貸付対象) ┌──────┬────────────────────────────┐ │母子福祉資金│母子家庭の母                      │ │      │父母のいない20歳未満の児童〈修学資金、修業資金、就学(就│ │      │職)支度資金のみ対象〉等                │ ├──────┼────────────────────────────┤ │寡婦福祉資金│寡婦(配偶者のない女子であって、かつて母子家庭の母であ │ │      │った方)等                       │ ├──────┼────────────────────────────┤ │父子福祉資金│父子家庭の父                      │ └──────┴────────────────────────────┘ (資金の種別)  事業業開始資金、事業継続資金、修学資金、技能習得資金、修業資金、就 職支度資金、医療介護資金、生活資金、住宅資金、転宅資金、就学支度資金、 結婚資金  ※修学資金、修業資金、就職支度資金、就学支度資金は、原則、連帯保証 人を立てる必要あり。 (主な貸付限度額) 修学資金(毎月の学費)              平成27年度 ┌────────────────┬─────┬─────┐ │                │自宅通学 │自宅外通学│ ├────────────┬───┼─────┼─────┤ │            │国公立│ 18,000円│ 23,000円│ │高校・専修(高等)   ├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 30,000円│ 35,000円│ ├────────────┼───┼─────┼─────┤ │            │国公立│ 21,000円│ 22,500円│ │高等専門学校      ├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 32,000円│ 35,000円│ ├────────────┼───┼─────┼─────┤ │            │国公立│ 45,000円│ 51,000円│ │短大・専修(専門)   ├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 53,000円│ 60,000円│ ├────────────┼───┼─────┼─────┤ │            │国公立│ 45,000円│ 51,000円│ │大学          ├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 54,000円│ 64,000円│ ├────────────┴───┼─────┴─────┤ │専修(一般)          │   31,000円    │ └────────────────┴───────────┘ 就学支度資金(入学金等)             平成27年度 ┌────────────────┬─────┬─────┐ │                │ 自宅  │ 自宅外 │ ├────────────────┼─────┴─────┤ │小学校             │   40,600円    │ ├────────────────┼───────────┤ │中学校             │   47,400円    │ ├────────────┬───┼─────┬─────┤ │            │国公立│ 150,000円│ 160,000円│ │高等学校        ├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 410,000円│ 420,000円│ ├────────────┼───┼─────┼─────┤ │            │国公立│ 370,000円│ 380,000円│ │短大・大学・専修(専門)├───┼─────┼─────┤ │            │私立 │ 580,000円│ 590,000円│ ├────────────┴───┼─────┼─────┤ │専修(一般)          │ 150,000円│ 160,000円│ ├────────────────┼─────┼─────┤ │修業施設(各種学校)      │ 90,000円│ 100,000円│ └────────────────┴─────┴─────┘ (主な返済方法)  修学資金、就学支度資金  卒業6ヶ月後から原則10年以内   (専修学校(一般)と修業施設は、卒業後6ヶ月後から最長5年以内)  就職支度資金       貸付1年後から最長6年以内                 (以上、岐阜市ホームページより抜粋) (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  子ども未来部 子ども支援課  正職員1名、嘱託職員1名(母子・父子自立支援員)、収納嘱託員(育英資 金貸付金と兼務)の合計3名が担当している。 (4)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│  77,534,432│  67,110,267│ 86.6%│     0│  10,424,165│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  90,036,318│   4,669,152│ 5.2%│ 5,673,968│  79,693,198│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  167,570,750│  71,779,419│ 42.8%│ 5,673,968│  90,117,363│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│  77,423,386│  66,801,512│ 86.3%│     0│  10,621,874│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  90,117,363│   7,573,844│ 8.4%│     0│  82,543,519│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  167,540,749│  74,375,356│ 44.4%│     0│  93,165,393│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│  80,863,961│  70,148,598│ 86.7%│     0│  10,715,363│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  93,165,393│   6,784,574│ 7.3%│     0│  86,380,819│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  174,029,354│  76,933,172│ 44.2%│     0│  97,096,182│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│  87,992,617│  77,297,324│ 87.8%│     0│  10,695,293│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤
    │  │繰越│  97,096,182│   8,759,026│ 9.0%│     0│  88,337,156│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  185,088,799│  86,056,350│ 46.5%│     0│  99,032,449│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│  84,850,423│  75,600,994│ 89.1%│     0│   9,249,429│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  99,032,449│   9,057,927│ 9.1%│     0│  89,974,522│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  183,882,872│  84,658,921│ 46.0%│     0│  99,223,951│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ (注)違約金に関する金額は含まれていない。 2 監査の重点及び監査手続  過年度分の収納率が低いことから、回収方法が適切であるかに重点を置いた。 当該貸付金の事務処理、および収入未済額の管理状況について、所管課作成の 償還台帳、償還指導票、滞納整理報告書等の各種帳票類を精査の上、担当者に 対するヒアリング(平成28年8月24日、同年11月21日)により監査を実施 した。 3 貸付審査の強化 【事実関係】 (1)申請  当該貸付金は、貸付金の申請者が市施行細則第2条に規定された申請書及び 添付書類の提出を受け、母子父子寡婦福祉資金貸付審査委員会(以下「貸付審 査委員会」という。)の審査を経て、市長の決定により貸付が行われる。  修学資金の申請の際は、借受人の他に、連帯借受人となる申請者の子どもが 連帯債務者の地位を有する。  また、上記のように貸付資金の種別により、原則として連帯保証人が1人必 要となる。  なお、申請の際には「岐阜市母子父子寡婦福祉資金の貸付を申請される方へ」 という案内書を活用し、必要書類等の確認を行っている。 (2)調査  申請者による申請書提出後、母子・父子協助員(以下「協助員」という。) が申請者への家庭訪問を行い、本人及び家族の状況を調査し、「母子父子寡婦 福祉資金貸付申請調査書及び意見書」(以下、「調査書及び意見書」という。) にその結果を記載する。記載項目は、「勤務又は経営の状態」、「生活の状況」、 「性格及び信用度」、「自立への努力の意欲」、「償還計画とその能力」となって いる。協助員とは、「母子協助員設置事業」により市内50地区に一人ずつ設置 されている者で、母子家庭の不安の解消及び自立支援を行うことを目的として いる。  また、協助員は、連帯保証人の近況及び保証の程度も調査し、その上で総合 所見を調査書及び意見書に記載している。なお、連帯保証人が県外にいる場合 など、協助員が調査できない場合は母子・父子自立支援員が調査を行っている。 (3)審査  申請書の受理後、協助員からの調査書及び意見書の提出を経て、貸付審査委 員会により審査が行われる。貸付審査委員会は随時開催され、審査に関するマ ニュアルやチェックリストは存在しないが、申請書、添付書類、調査書及び意 見書をもとに申請者情報の一覧表を作成し、それをもとに審査を行っている。  平成25年度から平成27年度の審査資料を確認したところ、申請書及び添付 書類に不備が無い場合は、調査書及び意見書に指摘がない限り殆どの貸付が実 施されていた。 (4)決定  以上により市長が資金の貸付を決定すると、「母子父子寡婦福祉資金貸付決 定通知書」を借受人に交付し、借受人は交付を受けた日から30日以内に「母 子父子寡婦福祉資金借用書」を市長に提出することにより貸付が確定する。 【意見 子ども支援課】  制度上の趣旨より、申請に瑕疵がなければ貸付が実施されること自体に問題 はないが、繰越の調定額が年々増加しており、その回収率も10%未満となっ ている。審査の強化を検討することが望ましい。例えば、岐阜市に転入して間 も無い者や既に他の種別の貸付を実施している者についてはある程度の制限 を加えることなどが考えられる。 4 督促・催告等のマニュアル作成 【事実関係】  督促状の送付後、2~3カ月を目途に電話連絡、訪問を行っている。その記 録は償還指導票に記載される。  毎年12月に、システムにおいて全滞納者を把握して「催告状」を送付して いる。さらに、償還台帳(個人別票)とシステム処理により滞納者を把握して、 電話・訪問・文書による償還請求を行っている。  債権回収についてのマニュアルとしては、「岐阜市母子父子寡婦福祉資金償 還金の滞納整理について」が存在するが、A4サイズ1枚のもので、その内容 は、電話催告のポイントとして、1)現況確認、2)返済方法、3)その他が記載さ れているにとどまる。  償還金の管理について、システムを活用しながら督促や催告する手順は、あ る程度確立しつつあり、概略的なマニュアルも存在するが、具体的な処理手順 を体系的にまとめたマニュアルは無い。 【指摘 子ども支援課】  担当者の異動も少なくない中、償還金の管理を円滑に行うため、債権回収に ついて、具体的な処理手順を体系的にまとめたマニュアルを作成すべきである。 例えば、システム・帳票の活用方法や収納嘱託員との連携、督促から催告まで のタイムスケジュールなどについて具体的に記載することが考えられる。 5 訪問徴収・電話催告 【事実関係】  訪問徴収などを行う収納嘱託員は1名で、育英資金貸付金と兼務である。  収納嘱託員は、毎週水曜日に担当職員と打合せを行い、訪問徴収の予定につ いて指示を受ける。訪問した際の状況は滞納整理報告書に記載され、担当職員 へ報告後に「償還指導票」に個人単位で記載される。  滞納金額が高額な者について「償還指導票」を確認したところ、収納嘱託員 は頻繁に訪問、電話連絡をしており連帯保証人への接触も試みていた。しかし、 連帯保証人への督促、催告の初動が遅いとの印象を得た。また、借受人の要請 により連帯保証人への接触が遅れたケースも見受けられた。  なお、訪問徴収についてのマニュアルは「岐阜市母子父子寡婦福祉資金収納 嘱託員訪問徴収マニュアル」(平成27年5月25日作成)を使用している。収 納嘱託員の徴収実績については、下記のとおりである。 ┌───────┬──────┬──────┬──────┐ │  項目   │平成25年度 │平成26年度 │平成27年度 │
    ├───────┼──────┼──────┼──────┤ │収納件数   │    708件│    805件│    850件│ ├───────┼──────┼──────┼──────┤ │収納金額   │ 5,917,108円│13,573,849円│ 8,521,160円│ ├───────┼──────┼──────┼──────┤ │繰越分の収入額│ 6,784,574円│ 8,759,026円│ 9,057,927円│ └───────┴──────┴──────┴──────┘  比較の参考として収入未済額の繰越分の収入額を記載した。これによると、 繰越分の収入額のほとんどが収納嘱託員によるものであり、繰越分の徴収につ いては収納嘱託員に依存している状況である。なお、平成26年度は現年分の 徴収額も多かったため、繰越分よりも大きい金額となっている。 【指摘 子ども支援課】  十分な徴収業務を行えない状況にある要因として、収納嘱託員が、後述の育 英資金貸付金との兼務であり、徴収の専門家でもないことが考えられる。  訪問徴収・電話催告を強化するため、収納嘱託員の増加や外部委託などを検 討すべきである。 6 違約金の請求と調定 (1)違約金の調定時期 【事実関係】  違約金は、福祉総合システム上で管理されている。具体的には、「調定収入 一覧表」という資料、違約金が「現年度調定違約金」、「過年度調定違約金」と いう項目で記載されている。福祉総合システム上では、各月の償還金ごとに、 滞納となった月の償還金が納付された時点で、違約金が計算されており、平成 27年度末において2,448,950円の違約金が発生し、2,393,150円の収入未済額 が存在している。なお、この収入未済額は岐阜市債権管理調整会議のデータと しては挙げられていない。  しかし、事務処理上では、各月の償還金ごとではなく、貸付金の総額が全額 償還されてから、各月の償還金に対する違約金を合計し、納付書を作成し借受 人に発送している。  そして、違約金が全額納付された時に、違約金の調定をしている。そのため、 平成27年度においては、調定額58,000円、収入済額58,000円とされている。 【規範】  施行令17条には、「延滞元利金額につき年五パーセントの割合をもつて、支払 期日の翌日から支払当日までの日数により計算した違約金を徴収する」と規定                             ̄ ̄ ̄ ̄ されている。  岐阜市会計規則第32条、第33条で事前調定が原則であり、事後調定するに は第33条(1)から(5)号のいずれかに該当する必要がある。 【指摘 子ども支援課】  施行令17条に規定されているとおり、各月の償還金ごとに、滞納があった ときは違約金を請求し、滞納となった月の償還金が納付された時点で、違約金 の調定を行い、徴収すべきである。 (2)違約金の通知 【事実関係】  違約金については、貸付の際に窓口で口頭説明をしているほか、ホームペー ジ上で説明している。  しかし、上記のとおり、違約金の請求が貸付金の総額が全額償還されてから 行われていることもあり、借受人は、違約金の発生について正しく理解してい ない場合が多い。 【指摘 子ども支援課】  違約金の通知を早期にかつ繰り返し行うことにより、滞納による負担増を理 解させることができ、滞納そのものの削減を図ることが可能となると考える。  違約金の通知を、貸付時、各月の償還金の滞納時、滞納となった償還金の徴 収時に行うべきである。なお、平成27年度からは、貸付の際の案内書に、注 意事項として、違約金についての記載を追加している。 7 消滅時効と債権放棄 【事実関係】  当該貸付金については、過去5年間のうち、平成23年度のみ不納欠損処分 を行っている(5,673,968円)。これは、平成23年度に岐阜市債権管理条例を 制定した際に時効案件を整理したものである。それ以降は債権放棄を行ってい ない。  最終納期限の資料として「最終納付日一覧」が作成されているが、これを見 ると、最終納付日から10年以上経過した債権が複数件存在したため、時効案 件となる債権が存在していると推測される。ヒアリングによると、担当課にお いて不納欠損処理の条件を整理中とのことであった。特に時効については、一 律に最終納付日から10年経過という条件が適正かどうか検討しているところ であった。 【規範】  岐阜市債権管理条例は、私債権について、消滅時効期間が満了したときには 債権放棄をすることができると定めている(第6条第3号)。 【指摘 子ども支援課】  債権管理及び徴収事務の合理化・効率化並びに未収金の縮減のため、適時適 切に債権放棄を行い、不納欠損処分を行うことが求められる。  消滅時効については、時効期間が満了する前に、可能な限りの回収及び時効 中断措置を検討・実行することが何よりも重要であって、それを十分に果たし ていたのであれば、時効期間が満了したことがやむを得ないものといえ、時効 期間の満了を理由に債権放棄することが許されるものと考える。  時効期間が満了したことがやむを得ないといえるものについては、債権放棄 することを検討すべきである。 第6 育英資金貸付金 1 債権の概要  育英資金貸付金(以下、「当該貸付金」という。)は、経済的理由により修 学困難な生徒又は学生を高等学校、大学又は専修学校に進学させ英才を育成 するために、岐阜市が設けた制度である。  「岐阜市育英資金貸付に関する条例」(以下、「条例」という。)、「岐阜市育 英資金貸付に関する条例施行規則」(以下、「施行規則」という。)、「岐阜市育 英資金貸付に関する要綱」が根拠法令である。  当該貸付金には、入学準備にかかる経費の一部を貸し付ける「入学準備貸 付金」と、月々にかかる学校経費の一部を貸し付ける「奨学貸付金」の2種 類がある。 〔入学準備貸付金〕 (貸付対象)  1) 学校教育法に規定する高等学校、大学(大学院、短大を含む)、又は   専修学校に進学予定の生徒又は学生
     2) 市内に6ヶ月以上在住する経済的理由により修学困難な世帯の生徒又   は学生  3) 学校長の推薦する学業が優秀な生徒又は学生 (貸付額(無利息)) ┌──────────┬───────┬──────┐ │          │国公立(月額)│私立(月額)│ ├──────────┼───────┼──────┤ │高校        │   100,000円│  300,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │大学(短期大学含む)│   300,000円│  450,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │大学院       │   300,000円│  300,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │専修学校 高等課程 │   200,000円│  250,000円│ │(修業年限2年以上)│       │      │ ├──────────┼───────┼──────┤ │専修学校 専門課程 │   250,000円│  350,000円│ │(修業年限2年以上)│       │      │ └──────────┴───────┴──────┘ (提出書類) ・入学準備貸付金貸与申請書(様式第2号) ・推薦書(様式第3号) ・成績証明書 ・家庭状況報告書(様式第4号) ・市県民税所得課税確認書(様式第5号) (決定)  岐阜市育英資金貸付審査委員会(以下「貸付審査委員会」という。)での審 査を経て、審査結果を申請者に送付。借用書等の書類を提出し、内容に疑義が 無い場合、貸付が決定される。 (返還方法)  修学期間終了後、6ヶ月目から月賦・半年賦・年賦のいずれかの方法により、 10年以内に返還する。なお、在学中からの返還や一括返還も可能である。 (保証人)  貸付には、保護者のほか、申請者、保護者と生計が別で原則として岐阜市内 に住所を有する者の計2名の連帯保証人が必要となる。 〔奨学学貸付金〕 (貸付対象)  1) 学校教育法に規定する高等学校、大学(大学院、短大を含む)、又は   専修学校に在学する生徒又は学生  2) 市内に6ヶ月以上在住する経済的理由により修学困難な世帯の生徒又   は学生  3) 学校長の推薦する学業が優秀な生徒又は学生 (貸付額(無利息)) ┌──────────┬───────┬──────┐ │          │国公立(月額)│私立(月額)│ ├──────────┼───────┼──────┤ │高校        │   16,000円│  28,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │大学(短期大学含む)│   45,000円│  54,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │大学院       │   45,000円│  50,000円│ ├──────────┼───────┼──────┤ │専修学校 高等課程 │   16,000円│  28,000円│ │(修業年限2年以上)│       │      │ ├──────────┼───────┼──────┤ │専修学校 専門課程 │   37,000円│  53,000円│ │(修業年限2年以上)│       │      │ └──────────┴───────┴──────┘ (提出書類) ・奨学貸付金貸与申請書(様式第1号) ・推薦書(様式第3号) ・最新の成績証明書 ・家庭状況報告書(様式第4号) ・市県民税所得課税確認書 ・在学証明書 (決定)  貸付審査委員会での審査を経て、審査結果を申請者に送付。借用書等の書類 を提出し、内容に疑義が無い場合、貸付が決定される。 (貸付時期)  毎月1回指定口座(本人名義)に振り込む。 (返還方法)  修学期間終了後、6ヶ月目から月賦・半年賦・年賦のいずれかの方法により、 10年以内に返還する。なお、在学中からの返還や一括返還も可能である。 (保証人)  貸付には、保護者のほか、申請者、保護者と生計が別で原則として岐阜市内 に住所を有する者の計2名の連帯保証人が必要となる。                  (以上、岐阜市ホームページより抜粋) (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  子ども未来部 子ども支援課  正職員1名、嘱託職員1名、収納嘱託員(母子父子寡婦福祉資金と兼務)の 合計3名が担当している。なお、子ども支援課は平成27年度より所管課とな っており、それ以前は教育委員会事務局教育政策課が所管課であった。 (4)直近5年度のデータ                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│  76,013,075│  71,844,400│ 94.5%│     0│   4,168,675│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  22,475,605│   2,392,436│ 10.6%│     0│  20,083,169│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  98,488,680│  74,236,836│ 75.4%│     0│  24,251,844│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│  80,124,500│  75,101,450│ 93.7%│     0│   5,023,050│
    │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  24,251,844│   2,042,800│ 8.4%│     0│  22,209,044│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  104,376,344│  77,144,250│ 73.9%│     0│  27,232,094│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│  81,377,780│  76,133,630│ 93.6%│     0│   5,244,150│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  27,232,094│   1,928,550│ 7.1%│     0│  25,303,544│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  108,609,874│  78,062,180│ 71.9%│     0│  30,547,694│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│  83,934,126│  78,317,256│ 93.3%│     0│   5,616,870│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  30,547,694│   2,848,154│ 9.3%│  225,150│  27,474,390│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  114,481,820│  81,165,410│ 70.9%│  225,150│  33,091,260│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│  88,766,896│  83,936,146│ 94.6%│     0│   4,830,750│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  33,091,260│   4,124,750│ 12.5%│     0│  28,966,510│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│  121,858,156│  88,060,896│ 72.3%│     0│  33,797,260│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 2 監査の重点及び監査手続  過年度分の収納率が低いことから、回収方法が適切であるかに重点を置いた。 当該貸付金の事務処理、および収入未済額の管理状況について、所管課作成の 償還台帳、滞納整理表等の各種帳票類を精査の上、担当者に対するヒアリング (平成28年8月24日、同年11月21日)により監査を実施した。 3 貸付審査委員会における審査基準の作成 【事実関係】 ア.申請  当該貸付金は、貸付金の申請者から条例第3条及び施行規則第2条に規定さ れた申請書及び添付書類の提出を受け、貸付審査委員会の審査を経て、市長の 決定により貸付が行われる。  申請の際は、保護者のほか、申請者、保護者と生計が別で原則として岐阜市 内に住所を有する返済能力のある者の計2名の連帯保証人が必要となる。  なお、申請の際には「岐阜市育英資金相談・申請票」により、申請者の兄弟 姉妹が学校進学、修学にあたり何らかの支援制度を利用しているかどうかや、 保証人の予定者等を確認している。 イ.審査  申請書の受理後、奨学貸付金、入学準備貸付金とも貸付審査委員会で申請内 容を審査する。開催実績は、これまで年1回ずつであった。  貸付審査委員会における審査にあたっては、参考資料があるだけで、具体的 な審査基準は作成されていない。  平成27年度の貸付審査委員会の議事録を確認したが、教育を受ける機会を 均等に与えるという方向性が見えた。申請者の兄が滞納しても返済計画の見直 しと誓約書の提出で本人の貸付を認めたり、兄弟等の所得を合算しないで主た る生計支持者の所得のみで指数を算出したりするなど、裁量で審査していたと 思われるケースがあった。 ウ.決定  以上により、市長が育英資金の貸付を決定すると、「岐阜市育英資金貸付決 定通知書」を交付し、借受人から所定の期限内に「誓約書」及び「借用証書」 の提出を受け、貸付が確定する。  なお、借受人には、「在学証明書」と「岐阜市育英資金現況報告書」を毎年 4月に提出させ、休学や退学といった中止又は停止事項が発生していないか確 認している。 【指摘 子ども支援課】  具体的な審査基準がなく裁量で審査していると、審査の合理性、公平性に疑 義が生じるおそれがあると考える。  貸付審査委員会における具体的な審査基準を作成すべきである。 4 督促・催告等のマニュアル作成 【事実関係】  督促状の送付後、2~3カ月を目途に電話連絡、訪問を行っている。記録は 滞納整理表に記載される。  毎年12月にシステムにおいて全滞納者を把握して、半年以上納付がない滞 納者等に対して「催告状」を送付している。さらに、個別対応として、滞納整 理表(個人別票)とシステム処理により滞納者を把握して、電話・訪問・文書 による返還請求を行っている。  債権回収についてのマニュアルとしては、「岐阜市育英資金償還金の滞納整 理について」が存在するが、A4サイズ1枚のもので、その内容は、催告状を 年に1~2回発送する予定とあるほか、電話催告のポイントとして、1)現況確 認、2)返済方法、3)その他が記載されているにとどまる。なお、これとは別に、 日々の業務についてのマニュアルが存在する。債権の管理回収について、具体 的な処理手順を体系的にまとめたマニュアルは無い。 【指摘 子ども支援課】  担当者の異動も少なくない中、返還金の管理を円滑に行うため、債権回収に ついて、具体的な処理手順を体系的にまとめたマニュアルを作成すべきである。 例えば、システム・帳票の活用方法や収納嘱託員との連携、督促から催告まで のタイムスケジュールなどについて具体的に記載することが考えられる。 5 訪問徴収・電話催告 【事実関係】  訪問徴収などを行う収納嘱託員は1名で、母子父子寡婦福祉資金貸付金と兼 務である。平成27年度から現在の担当課で貸付業務が行われたことに伴い、 収納嘱託員による訪問徴収も平成27年度から行われている。収納嘱託員は毎 週水曜日に担当職員と打合せを行い、訪問徴収の予定について指示を受ける。 訪問徴収の業務は、母子父子寡婦福祉資金貸付金と同様である。  なお、訪問徴収についてのマニュアルは「岐阜市育英資金収納嘱託員訪問徴 収マニュアル」(平成27年5月25日作成)を使用している。収納嘱託員の徴 収実績については、下記のとおりである。 ┌──────────┬─────┐ │   項  目   │平成27年度│ ├──────────┼─────┤ │収納件数(件)   │    126│ ├──────────┼─────┤ │収納金額(円)   │ 1,230,800│ ├──────────┼─────┤
    │繰越分の収入額(円)│ 4,124,750│ └──────────┴─────┘  母子父子寡婦福祉資金貸付金と同様に参考として繰越分の収入額を記載し た。 【指摘 子ども支援課】  十分な徴収業務を行えない状況にある要因として、収納嘱託員が、母子父子 寡婦福祉資金貸付金との兼務であり、徴収の専門家でもないことが考えられる。  回収を強化するため、収納嘱託員の増加や外部委託などを検討すべきである。 6 消滅時効と債権放棄 【事実関係】  育英資金貸付金については、過去5年間のうち、平成26年度のみ不納欠損 処分を行っている(225,000円)。これは、岐阜市債権管理条例第6条第2号 (破産)が適用された。連帯保証人のうち保護者は破産しており、もう一人は 死亡による相続が発生し、相続人が相続放棄している。  また、「滞納者一覧表」によると、最終納付日から10年以上経過している滞 納者が1名いた。不納欠損処分については、母子父子寡婦福祉資金貸付金と同 様、担当課において条件を整理中とのことであった。 【規範】  岐阜市債権管理条例は、私債権について、消滅時効期間が満了したときには 債権放棄をすることができると定めている(第6条第3号)。 【指摘 子ども支援課】  債権管理及び徴収事務の合理化・効率化並びに未収金の縮減のため、適時適 切に債権放棄を行い、不納欠損処分を行うことが求められる。  消滅時効については、時効期間が満了する前に、可能な限りの回収及び時効 中断措置を検討・実行することが何よりも重要であって、それを十分に果たし ていたのであれば、時効期間が満了したことがやむを得ないものといえ、時効 期間の満了を理由に債権放棄することが許されるものと考える。  時効期間が満了したことがやむを得ないといえるものについては、債権放棄 することを検討すべきである。 第7 水道料金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 【概要】  水道利用の対価であり、水道法、岐阜市水道給水条例に徴収の根拠が規定さ れている。 〔料金徴収の対象〕 ┌────────────────────────────────────────┐ │岐阜市給水条例                                 │ │第22条 水道料金は、メーターの設備ごとにその使用者から徴収する。ただし、1戸又は │ │ 1構えに2個以上のメーターを設備する者の水道料金は、1戸又は1構えごとに徴収する。│ │2 前項に定めるもののほか、1個のメーターで2戸又は2世帯以上が使用する場合又は料 │ │ 率を異にする場合において、管理者が必要と認めたときは、各使用者から徴収すること│ │ ができる。                                  │ │3 第13条の管理人は、水道料金の納付については、使用者と連帯してその責を負うもの│ │ とする。                                   │ └────────────────────────────────────────┘ 〔水道料金〕  水道料金は、1月につき、以下のとおりである(岐阜市給水条例第23条) ┌─────────────────────┬─────────┬─────────┐ │      種 別            │  基本料金   │  従量料金   │ ├───┬─────────────────┼─────────┼─────────┤ │   │家事用              │         │10m3までの分   │ │第1種│                 │       685円│  1m3につき5円│ │   │                 │         │10m3を超える分  │ │   │                 │         │  1m3につき154円│ ├───┼─────────────────┼─────────┼─────────┤ │第2種│学校、幼稚園、保育所用      │  50m3まで3,675円│50m3を超える分  │ │   │                 │         │  1m3につき154円│ ├───┼─────────────────┼─────────┼─────────┤ │第3種│公衆浴場用            │  50m3まで1,840円│50m3を超える分  │ │   │                 │         │  1m3につき50円│ ├───┼───────────┬─────┼─────────┼─────────┤ │   │第1種、第2種及び第 │口径   │         │10m3までの分   │ │   │3種に該当しないも  │13,20,25mm│       685円│  1m3につき5円│ │   │の          │     │         │10m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ │第4種│           ├─────┼─────────┼─────────┤ │   │           │口径40mm │  20m3まで2,275円│20m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ │   │           ├─────┼─────────┼─────────┤ │   │           │口径50mm │  40m3まで5,355円│40m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ ├───┼───────────┼─────┼─────────┼─────────┤ │   │           │口径75mm │ 80m3まで11,515円│80m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ │   │           ├─────┼─────────┼─────────┤ │   │           │口径100m │ 160m3まで23,835円│160m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ │   │           ├─────┼─────────┼─────────┤ │   │           │口径150mm │ 380m3まで57,715円│380m3を超える分  │ │   │           │     │         │  1m3につき154円│ └───┴───────────┴─────┴─────────┴─────────┘ 備考 公衆浴場とは、岐阜県知事が指定する公衆浴場入浴料金の統制額の適用   を受ける公衆浴場をいう。 2)メーター料金(1個1月につき) ┌──┬───┬───┬────┐ │口径│料金 │口径 │ 料金 │ ├──┼───┼───┼────┤ │13mm│ 70円│ 50mm│ 1,200円│ ├──┼───┼───┼────┤ │20mm│ 180円│ 75mm│ 1,800円│ ├──┼───┼───┼────┤ │25mm│ 220円│ 100mm│ 2,000円│ ├──┼───┼───┼────┤
    │40mm│ 400円│ 150mm│ 3,700円│ └──┴───┴───┴────┘ 【根拠】 ・水道法、同施行令 ・地方公営企業法、同施行令 ・岐阜市水道給水条例、同施行規程 ・岐阜市上下水道事業部債権管理規程 ・岐阜市上下水道事業部企業会計規程 (以下、岐阜市水道給水条例を「給水条例」という。) (2)債権の性質  私債権と解される(最高裁平成15年10月10日決定参照)。 (3)所管課  上下水道部 営業課 料金・徴収係(4名中債権管理担当1名)  同係では、下水料金も取り扱っている。 (4)事務手続の流れ (5)直近5年度のデータ 〔本来〕  下水料金の項でも述べたが、公営企業会計における本来のデータは次のとお りである(ただし、公営企業においては繰越調定が行われておらず、繰越の調 定額欄は、前年度までの未収金の総額となる。)。                                 (単位:円/税込) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │現年│ 5,258,338,785│ 4,731,938,997│ 90.0%│  73,413│  526,399,788│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23 │繰越│  614,758,680│  496,838,970│ 80.8%│37,115,546│  80,804,164│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│ 5,873,097,465│ 5,228,777,967│ 89.0%│37,188,959│  607,203,952│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │現年│ 5,199,472,651│ 4,692,177,539│ 90.2%│  18,627│  507,295,112│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24 │繰越│  607,203,952│  492,328,957│ 81.1%│38,406,353│  76,468,642│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│ 5,806,676,603│ 5,184,506,496│ 89.3%│38,424,980│  583,763,754│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │現年│ 5,189,699,869│ 4,674,143,454│ 90.1%│  37,569│  515,556,415│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25 │繰越│  583,763,754│  481,210,864│ 82.4%│37,987,923│  64,564,967│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│ 5,773,463,623│ 5,155,354,318│ 89.3%│38,025,492│  580,121,382│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │現年│ 5,433,185,882│ 4,900,338,302│ 90.2%│  23,917│  532,823,663│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26 │繰越│  580,121,382│  492,419,933│ 84.9%│31,445,619│  56,255,830│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│ 6,013,307,264│ 5,392,758,235│ 89.7%│31,469,536│  589,079,493│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │現年│ 5,678,637,114│ 5,133,646,802│ 90.4%│   1,960│  544,988,352│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27 │繰越│  589,079,493│  514,137,463│ 87.3%│29,782,728│  45,159,302│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │合計│ 6,267,716,607│ 5,647,784,265│ 90.1%│29,784,688│  590,147,654│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 〔修正〕  下水料金の項でも述べたが修正すると現年度の収納率は、次のとおりである。 ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │   │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │3月〆│ 90.0%│ 90.2%│ 90.1%│ 90.2%│ 90.4%│ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │5月〆│ 98.1%│ 98.3%│ 98.5%│ 98.7%│ 98.7%│ └───┴───┴───┴───┴───┴───┘ 2 監査の重点及び監査手続  水道料金は私債権であるところ、強制徴収公債権である下水料金とともにそ の債権管理業務を同一業者に委託している。性質のことなる債権であり、それ に従った取扱いをしているかに重点を置いて監査した。具体的な監査手続とし ては、平成28年5月9日、同年7月6日、同年8月25日、同年10月19日、 同年12月12日、ヒアリングを行った。また、調査票による照会及び提出資料 の書類監査を行った。 3 納期限の定め (第3章 第11 下水料金の「3」参照) 【事実関係】  下水料金の「3」に同じ。 【規範】 ┌──────────────────┐ │給水条例              │ │第23条               │ │5 水道料金の納期限は、別に定める。│ └──────────────────┘ 岐阜市上下水道事業部企業会計規程 ┌─────────────────────────────────────────┐ │(納入通知書の発行)                               │ │第29条 主管課長は、前条の規定により収入を調定し、又は収入の調定を更正した場合は、│ │ 直ちに納入義務者に納入通知書を発行しなければならない。ただし、口頭によって納入 │ │ の通知をする場合は、この限りでない。                      │ │2 口座振替による納付の申し出があったときは、金融機関への納入の通知をもって前項 │ │ の納入通知書の発行とみなす。                          │ │3 納期限の定めのある収入に係る納入通知書は、当該納期限の10日前までに、随時の収 │ │ 入に係る納入通知書は、その都度納入義務者に発行しなければならない。       │ │第32条 納期限は、別に定めのあるもののほか、当該納入通知書を発行して10日を経過  │ │ した日以降とする。                               │
    └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 営業課】(下水料金の「3」に同じ。要約)  企業会計規程第32条の納期限を、「納入通知書を発行して10日を経過した 日以降」ではなく、「納入通知書を発行して10日を経過した日」というように 限定して定めることが望ましい。 4 委託業務の範囲 (第3章 第11 下水料金の「4」参照) 【事実関係及び規範】  下水料金の「4」に同じ。 【指摘 営業課】(下水料金の「4」に同じ。要約)  納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書の取付を受託業者に行わせるの であれば、岐阜市上下水道事業部検針事務等委託規程を改正し、委託の対象に 「徴収事務」も付加すべきである。 5 仕様書における業務対象の明示 (第3章 第11 下水料金の「5」参照) 【事実関係及び規範】  下水料金の「5」に同じ。 【意見 営業課】(下水料金の「5」に同じ。要約)  水道料金と下水料金を区分して明示することが望ましい。 6 督促状における行政不服申立ての教示 (第3章 第11 下水料金の「7」参照) 【事実関係及び規範】  下水料金の「7」に同じ。 【指摘 営業課】  現在の督促状の記載では、水道料金についても不服申立てをすることができ ると、納入義務者に誤解を与えかねない。  不服申立ての対象が下水料金に限られることを明示して教示すべきである。 7 岐阜市債権取扱規則の適用 【事実関係】  岐阜市上下水道事業部は、地方公営企業法が全面的に適用され(地方公営企 業法第2条第3項、同施行令第1条第2項、岐阜市下水道事業に地方公営企業 法を適用する条例第2条)、岐阜市上下水道事業部会計規程に基づき、会計事 務の処理が行われている。債権管理は、岐阜市上下水道料金徴収システム上で、 管理をしている。  担当者に、水道料金債権に、岐阜市債権取扱規則の適用があるか否かを問い 合わせたところ、地方公営企業法により、債権管理は公営企業管理者の権限と されていることから、岐阜市上下水道事業部債権管理規程により運用すべきも のであるため、同規則による運用は行っていないとの回答であった。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │岐阜市債権取扱規則                               │ │(趣旨)                                    │ │第1条 市の債権の管理に関する事務の取扱いについては、別に定めがあるもののほか、 │ │                            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ この規則の定めるところによる。                        │ └────────────────────────────────────────┘ ┌────────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部債権管理規程                        │ │第1条 この規程は、岐阜市上下水道事業部における岐阜市債権管理条例(平成23年岐阜 │ │ 市条例第10号。以下「条例」という。)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。│ │(債権の放棄)                                 │ │第2条 (略)                                  │ │(その他)                                   │ │第3条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。          │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  岐阜市上下水道事業部債権管理規程は、岐阜市債権管理条例第6条の債権の 放棄の規定を受けた岐阜市債権管理条例施行規則が、「岐阜市長」に限定され ていたことから、同規則と全く同内容のものを規定したものにすぎず、債権の 放棄以外の債権管理事務についての定めはない。  上下水道事業部の拠って立つ債権管理の根拠規定が不明である。  岐阜市債権取扱規則の適用がないかを検討し、ないと解釈するのであれば、 別途の規程を設けるべきである。 8 遅延損害金徴収の検討 【事実関係】  遅延損害金の徴収は行われていない。上下水道事業部が対象とされた平成 17年度岐阜市包括外部監査において、監査人より、下水料金で徴収される延 滞金との整合性から遅延損害金の徴収を検討する必要があるとの監査結果が あった(報告書67頁)。ところが、岐阜市の措置回答状況を見ると、下水料金 の延滞金については触れているが、水道料金については何も回答されていない。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │民法                                       │ │(債務不履行による損害賠償)                           │ │第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって │ │ 生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行を│ │ することができなくなったときも、同様とする。                  │ └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 営業課】  水道料金については、民法第415条により、「損害の賠償を請求することが できる。」とされており、請求するかしないかは、債権者の判断に委ねられて いる。平成17年度の岐阜市包括外部監査においても、この点検討する必要が あるとの監査結果があったが措置状況からすると検討されたか否かも不明で ある。  水道料金は下水料金とともに管理されていることから、下水料金について延 滞金を徴収する場合、水道料金についても遅延損害金を付すことを検討するこ とが望ましい。 9 取扱要綱に基づく給水停止の執行 【事実関係】  催告後も納入が無い場合に、委託業者が給水停止対象者のリストを作成し、 上下水道事業部長が決裁すると、滞納金額、指定期限、給水停止執行予定日等 を記載した給水停止予告通知書を、対象者に交付し、指定期限に納付がなけれ ば、給水停止を執行する。  給水停止にあたっては、委託業者が、予定者を抽出して、上下水道事業部に
    その名簿を提出し、上下水道事業部において、個々の事情を考慮したうえで、 予定者にかかる給水停止伺について、管理者の決裁を受けることになっている。  給水停止の実施は、委託業者が行うところ、平成27年度は、517件が実施 された。給水停止の実施件数が増えても、委託費用に影響はない。 〔給水停止の流れ〕 〔平成27年度給水停止実施件数等〕 ┌─────────────┬──┬───────┬──┬────┐ │給水停止実施対象者決裁件数│金額│ 603,425,250円│件数│ 7,116件│ ├─────────────┼──┼───────┼──┼────┤ │給水停止実施件数     │金額│ 10,599,279円│件数│  517件│ ├─┬───────────┴──┴───────┼──┼────┤ │内│給水停止実施中のもの            │件数│  27件│ │ ├──────────────────────┼──┼────┤ │容│給水停止後解除したもの           │件数│  490件│ ├─┴───────────┬──┬───────┼──┼────┤ │給水停止実施を中止したもの│金額│ 132,276,355円│件数│ 3,780件│ │∴実施日までに納付済   │  │       │  │    │ ├─────────────┼──┼───────┼──┼────┤ │給水停止実施を猶予したもの│金額│ 460,549,616円│件数│ 2,819件│ └─────────────┴──┴───────┴──┴────┘  実施ケース517件は、全て2期分以上を滞納している場合である。  滞納金額の2分の1以上の納付がないにもかかわらず、納付誓約書の提出が れば、「執行が適当でないと認めるとき」、「そのほか管理者が特に必要と認め るとき」に該当するとして、執行猶予・執行停止を認めている。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │水道法第15条 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申 │ │ 込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。      │ │2 (略)                                   │ │3 水道事業者は、当該水道により給水を受ける者が料金を支払わないとき、正当な理由│ │ なしに給水装置の検査を拒んだとき、その他正当な理由があるときは、前項本文の規 │ │ 定にかかわらず、その理由が継続する間、供給規程の定めるところにより、その者に │ │ 対する給水を停止することができる。                      │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────────────────────────────────────┐ │給水条例第37条 管理者は、次の各号の一に該当するときは、水道の使用者に対し、そ│ │ の理由の継続する間、給水を停止することができる。              │ │(1) 水道の使用者が、第7条に規定する工事費、第10条第3項の修繕その他必要な処│ │ 置に要した費用又は料金等を指定期限内に納入しないとき。           │ │(2) (略)                                │ │(3) (略)                                │ └───────────────────────────────────────┘  水道法第15条及び給水条例第37条を受け、給水停止の要件につき、岐阜 市上下水道事業部給水停止処分取扱要綱、給水停止業務実施要領が定められて いる。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部給水停止処分取扱要綱(抜粋)                  │ │(給水停止処分の対象者)                              │ │第2条 水道事業及び下水道事業管理者(以下「管理者」という。)は、次の各号のいずれ │ │ かに該当する者について給水を停止することができる。ただし、漏水その他のやむを得  │ │ ない事情がある者については、この限りでない。                   │ │(1)2期(4月)分以上の水道料金を滞納している者                 │ │(2)1期(2月)分を滞納している者のうち、過去に給水停止処分を受けた者      │ │(3)前2号に掲げるもののほか、管理者が特に必要と認めた者             │ │(給水停止処分の執行猶予)                             │ │第6条 管理者は、第4条に規定する者が次の各号のいずれかに該当すると認められる場  │ │ 合には、給水停止処分の執行を猶予することができる。                │ │(1)給水停止処分を執行する日の前日までに、原則として滞納金額の2分の1以上を納付 │ │   し、かつ、残金の納付期日について納付誓約書(債務承認書)(様式)を管理者に提出│ │   したとき。                                  │ │(2)前号に掲げるもののほか、給水停止処分の執行が適当でないと認めるとき。     │ │                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      │ │2 第1項第1号の規定により給水停止処分の執行を猶予された者が納付誓約書(債務承  │ │ 認書)に記載された事項を遵守しないときは、やむを得ない事情がある場合を除いては、 │ │ その猶予を取りやめる。この場合においては、第3条、第4条及び第5条の規定を準用  │ │ する。                                      │ │3 第1項第2号に規定する場合において、給水停止処分の執行が適当でない理由が存す  │ │ る期間は、給水停止処分の執行を猶予する。                     │ │(給水停止処分後の執行停止)                            │ │第9条 管理者は、給水停止処分を受けた者が次の各号のいずれかに該当すると認められ  │ │ る場合には、給水停止処分の執行を停止する。                    │ │(1)原則として滞納金額の2分の1以上を納付し、かつ、残金の納付期日について納付誓 │ │  約書(債務承認書)を管理者に提出したとき。                   │ │(2)第6条第2項前段の規定に該当する者が納付誓約書(債務承認書)に記載された債務 │ │  のうち、未履行のものの全部又は一部を履行したとき。               │ │(3)前2号に掲げるもののほか、管理者が特に必要と認めるとき。           │ │                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │2 第6条第2項の規定は、前項第1号及び第2号の規定による執行の停止について準用  │ │ する。                                      │ │3 第6条第3項の規定は、第1項第3号の規定による執行の停止について準用する。   │ └──────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  執行猶予・執行停止には滞納分の2分の1以上の納付を要すると規定した要 綱第6条第1号、第9条第1号及び第2号に反している。  給水停止は、滞納分を徴収する有益な手段であり、安易に要件を緩和すべき ではない。もし、滞納額の2分の1かつ納付誓約書提出という要件を満たさな い場合に執行猶予・執行停止を認めるのであれば、納付誓約書の提出だけでは 足りず、納付誓約に基づく納付を担保する事情等が必要である。  また、執行猶予を受けた者であっても、納付誓約書記載事項を守らないとき には、執行猶予が取りやめになるが、その時期等についても定めがない。  取扱要綱に従い、給水停止の執行猶予・執行停止をするためには、特別な事 情がある場合を除き、滞納分の2分の1以上の納付を要求すべきである。 【意見 営業課】  前掲の「平成27年度給水停止実施件数等」からも分かるように、給水停止 は、水道料金の徴収に効果的な手段であり、給水停止の制度について周知する ことが、滞納を未然に防ぐことに役立つと考えられる。
     未納による給水停止の制度につき、各種通知やホームページに明記しておく ことが望ましい。 10 支払督促等の訴訟手続 【事実関係】  水道料金においては、給水停止処分で対応しており、水道料金滞納者を強制執 行の対象としたことはなく、支払督促等の訴訟手続をとったことはない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2で支払督促等の手続を含む強制執行等の手 続が定められている。 【指摘 営業課】  訴え提起は、普通地方公共団体の議会の議決事項であるが(地方自治法第 96条第1項第12号)、上下水道事業部は公営企業であることから、その適用 が除外されており(公営企業法第40条第2項)、議会の議決無くして訴えを提 起することができる。  給水停止で回収できない場合には、支払督促等の訴訟手続を利用し債権回収 を図るべきである。 11 日常家事連帯債務の意識 【事実関係】  水道料金は、夫婦の共同生活に通常必要とされる日常家事連帯債務と解され るところ、市の担当者によれば、水道料金が日常家事連帯債務としての性質を 有していることを意識した債権管理をしていないとのことであった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │民法                                       │ │第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、 │ │ これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責 │ │ 任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。                │ └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 営業課】  水道料金は日常家事連帯債務であり、契約者のみならず、その配偶者も連帯 債務者となり、その者に全額の料金の請求が可能となる。その一方で、配偶者 による時効の援用も可能である。このように水道料金には特殊性がある。  例えば、契約者の配偶者を把握するなど、契約者の配偶者が連帯債務者とな りうることを意識することが望ましい。  例えば、夫婦の一方である給水契約者の死亡後、給水契約者の生前に発生し た水道料金につき、相続放棄の申述を行った配偶者に対して日常家事連帯債務 に言及して催告する場合などに実益があろう。 12 管理人に対する請求 (1)管理人に対する請求 【事実関係】  営業課へのヒアリングによると、共同住宅など給水設備を共同使用している 場合であっても、アパートの所有者などの管理人に対して請求した事例はない。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │給水条例                                    │ │第22条                                     │ │3 第13条の管理人は、水道料金の納付については、使用者と連帯してその責を負うもの│ │ とする。                                   │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  共同住宅などにおいては、連帯責任を負う管理人に対しても請求することを 検討すべきである。 (2)管理人の届出 【事実関係】  ヒアリングによると、給水装置を共同使用する場合であっても、管理人の届 け出を受けていないことが多いとのことだった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │給水条例                                     │ │第13条 給水装置を共同使用するときは、この条例又はこの条例に基づいて規定した事項を│ │ 処理させるため、その給水装置の所有者、前条の代理人又は使用者のうちから、管理人を│ │ 選定し、管理者に届け出なければならない。                    │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  給水装置の共同使用の場合は、管理人の選定及び届出を指導すべきである。 13 消滅時効期間の満了と不納欠損処分 【事実関係】  水道料金の時効期間は、民法第173条第1号で2年と解されている。  消滅時効期間が経過しても、債務者が時効を援用するのか、時効の利益を放 棄して支払うかは任意であり(民法第145条)、援用がなされるまで債権とし て存続することから、上下水道事業部では、以下の取扱基準が定められている。 ┌────────────────────────────────────────┐ │消滅時効に伴う水道料金債権の取扱基準                      │ │第2条 消滅時効完成後の水道料金債権は、毎年度末に不納欠損処理を行う。     │ │2 消滅時効完成後の水道料金債権は、当分の間、簿外管理をする。ただし、免責が確定│ │ したもの、法人の破産手続が終了し債権が消滅したもの及び時効の援用があったものに│ │ ついては、これらが確定した時点で簿外管理簿から削除するものとする。      │ │3 水道料金債権に係るオンラインシステム上のデータは、消滅時効完成後も3年間は保│ │ 存する。                                   │ │4 消滅時効完成後3年を経過した水道料金債権は、オンラインシステムから消去する。 │ │ この場合において、消去したデータは、磁気媒体又は紙媒体により、当分の間、保存す│ │ る。                                     │ │(料金徴収)                                  │ │第4条 水道料金債権は、消滅時効完成後3年間は、下水料金と同様に徴収に努めること │ │ とし、徴収した債権は料金として収入する。                   │ └────────────────────────────────────────┘  取扱基準に従い、督促状発送日の翌日(又は最終納入日の翌日)から2年経 過後、年度末に一括して不納欠損処分を行い、簿外管理している。簿外債権は、 委託業者の料金徴収システムで管理されている。  給水契約が継続している場合は、本人から時効の援用の申出があった場合を 除き不納欠損後3年を経過した後も債権放棄をせずに現在の料金と併せて電 話催告、臨戸訪問等により徴収を継続して行っている。  平成23年度から平成27年度までの、簿外管理後に入金があった額は、以下 のとおりである。
    ┌──┬───────┐ │年度│収納金額(円)│ ├──┼───────┤ │H23 │   9,929,808│ ├──┼───────┤ │H24 │  12,624,439│ ├──┼───────┤ │H25 │  17,301,269│ ├──┼───────┤ │H26 │  17,378,496│ ├──┼───────┤ │H27 │  14,515,828│ └──┴───────┘  他方、給水契約が解除された場合は、不納欠損後3年経過後に債権放棄を行 っている。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │上下水道事業部企業会計規程                           │ │(不納欠損処分)                                │ │第41条 主管課長は、調定した収納金を不納欠損処分しようとするときは、収納金の調 │ │ 定年月日、金額、収入科目、調定後の経緯等を記載した振替伺書により管理者の決裁を│ │ 受け、振替伝票を発行しなければならない。                   │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 営業課】  水道料金は私法上の債権であり、債務者が時効を援用しなければ、消滅しな いため(民法第145条)、消滅していない債権を不納欠損処分していることに なる。  確かに、不納欠損処分は、決算上の取扱いであり、債権の法律上の存否と必 ずしも一致させなければならないものではない。また、不納欠損処分の手続き につき定める上下水道事業部企業会計規程では、不納欠損処分し得る場合を限 定していない。さらに、公益社団法人日本水道協会の「営業業務マニュアル(第 3版)」には、法律上消滅していない債権を会計上不納欠損処理できる理由と して、その処理が、上下水道事業は地方公営企業であり、地方公営企業が採用 する発生主義、保守主義と整合的である点を挙げている(第110頁)。  しかしながら、不納欠損処分し得る場合が限定されていないからといって、 無制限に不納欠損処分をし得る訳ではない。そもそも、不納欠損処分とは、歳 入徴収額を調定したものの、何らかの理由で徴収が行えず、今後も徴収の見込 みが立たないため、その徴収を諦めることをいう。昭和27年6月12日行政実 例では、不納欠損処分は、「法令又は条例の定めによって、地方公共団体の債                             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 権が消滅したときに、その債権を表示して整理するものですから、時効により  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 消滅した債権や放棄した債権等について行うべきものであって、単に徴収不能  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ と言うだけでは不納欠損処分を行うものではありません。」と解されている。  水道料金は、給水契約が継続している場合、徴収が可能な債権である。実際 に不納欠損処分後に毎年1,000万円を超える収納がある状態を、「歳入が徴収 し得ない」と評価することは困難である。それにもかかわらず、簿外管理をす ると、公営企業会計上の数字からは消えるという意味でチェックの届かない債 権管理を認めることになり、適切な債権管理を行っているとはいえない。  一律に不納欠損処分するのではなく、収納可能な債権については、不納欠損 処分をすることなく債権回収措置を講じるとともに、徴収停止の要件を充足す る債権については、徴収停止を行い、その後に不納欠損処分を行う運用に改め るべきである。  なお、上記「マニュアル」にも、「徴収停止を行った債権については、時効                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 期間経過後、一定事由の基に会計上は不納欠損処理をし、援用の無い債権は放 棄しないで別途管理する。」とされている。 14 債権放棄 【事実関係】  平成25年度ないし平成27年度の債権放棄の理由別件数及び金額は、以下の とおりである。                                   (単位:件、円) ┌─────┬─────┬────┬──────┬─────┬────┬─────┐ │ 年度  │債権放棄額│生活困窮│  破産  │ 時効  │限定承認│行方不明 │ ├──┬──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │件数│   4,930│    0│     83│   4,612│    0│    235│ │H25 ├──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │金額│26,101,513│    0│  1,205,701│23,873,848│    0│ 1,021,964│ ├──┼──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │件数│   4,289│    0│     40│   3,947│    0│    302│ │H26 ├──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │金額│20,033,666│    0│   152,874│18,583,212│    0│ 1,297,580│ ├──┼──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │件数│   3,754│    0│     134│   3,512│    0│    108│ │H27 ├──┼─────┼────┼──────┼─────┼────┼─────┤ │  │金額│25,119,925│    0│  1,126,397│23,571,108│    0│  422,420│ └──┴──┴─────┴────┴──────┴─────┴────┴─────┘  ヒアリングによれば、債権放棄の扱いは以下のとおりである。  消滅時効完成後の水道料金債権は、毎年度末、不納欠損処理をされ、不納欠 損後3年を経過した際、水道契約も終了しているものについては、全て時効期 間満了で債権放棄している。  官報確認をする担当者がおり、個人の破産については、そこからも覚知する。  破産免責対象となった全債権を年度末に債権放棄し、法人の破産の場合、破 産手続廃止決定し簿外管理分の対象となった全債権を年度末に債権放棄する。 ただし、簿内管理(欠損前分)中の破産手続廃止決定した債権については、時 効(2年)成立後、年度末に不納欠損と同時に債権放棄する。  行方不明については、債権管理条例第6条第1項5号に基づき、上下水道事 業部債権管理規程第2条第2項第3号についてのみ第5号(行方不明)として いる。すなわち、本人死亡となり、相続人の所在が不明の場合を行方不明とし て取り扱っており、これに該当しない債権は第3号(時効)としている。 【規範】  債権放棄については、岐阜市債権管理条例に定められている。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │岐阜市債権管理条例                                 │
    │第6条 市長等は、市の債権(消滅時効について時効の援用を要しない債権を除く。)につ  │ │ いて、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及びこれに関し既に発  │ │ 生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金に係る債権を放棄することができ   │ │ る。                                       │ │(1) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保 │ │   護を受けている状態をいう。)にあり、資力の回復が困難であると認められるとき。 │ │(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により、債務者  │ │   が当該債権につきその責任を免れたとき。                    │ │(3) 当該債権につき消滅時効に係る時効期間が満了したとき。            │ │(4) 債務者が死亡し、その債務について限定承認による相続があった場合において、そ │ │   の相続財産の価額が強制執行をした場合の費用及び当該市の債権に優先する債権の金 │ │   額の合計額を超えないと見込まれるとき。                    │ │(5) 債務者が失踪、行方不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。│ └──────────────────────────────────────────┘ 上下水道事業部においては、債権管理条例の施行に関し、岐阜市上下水道事業 部債権管理規程が置かれている。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │岐阜市上下水道事業部債権管理規程                         │ │(債権の放棄)                                  │ │第2条 条例第6条第1号に規定する資力の回復が困難と認める場合とは、生活保護法(昭  │ │ 和25年法律第144号)の規定による保護(以下「生活保護」という。)の受給開始から3 │ │ 年を経過してもなお生活保護を受給している場合をいう。ただし、生活保護を廃止する │ │ ことが明らかである場合を除く。                         │ │2 条例第6条第5号に規定するこれに準ずる事情とは、次に定める場合をいう。     │ │(1) 債務者が外国人である場合において、海外に移住又は出国し、帰国の見込みがない│ │  とき。                                    │ │(2) 債務者が法人である場合において、清算が結了している、又は廃業して事業再開の│ │  見込みがないとき。                              │ │(3) 債務者が死亡した場合において、その相続人全員が所在不明であるとき。    │ │(4) 前3号に掲げるもののほか、岐阜市水道事業及び下水道事業管理者が認めるとき。 │ └─────────────────────────────────────────┘ 【参考報告】  債権放棄にあたり破産免責による債権放棄を多く利用していることに特色 がある。平成27年度に債権放棄がなされた債権につき、破産免責の債権放棄 をしているのは水道料金のみである。債権放棄は義務ではないが、収納見込み がないのに債権を抱え続けることは効率性の観点等から問題になり得る。  他課においても破産免責による債権放棄を積極的にすべきということまで 述べるつもりはないが、参考になるものと思い、参考報告とした。 15 情報共有 【事実関係】  情報の管理につき、上下水道事業部では、下水料金を扱う係も水道料金を扱 う係も一体の組織であり、契約者が水道・下水道の双方を利用している場合に は、同じ情報を得ることになる。  しかし、下水料金関係のみで情報を得た場合は、水道契約がないため、水道 料金の徴収で利用することはないとのことであった。 【規範】  下水料金については、国税徴収法による質問及び検査が認められている(地 方自治法第231条の3第3項、同法第298条第4項等、国税徴収法第141条)。 【指摘 営業課】  下水料金については、国税徴収法第141条により、滞納処分のため財産調査 の必要があれば、納付義務者の情報について質問、検査をすることが認められ ているのに対し、水道料金は、滞納処分できる下水料金に比べて、限られた範 囲でしか、納付義務者の情報を調査することができない。  国税徴収法第141条に基づく調査結果など、強制徴収公債権である下水料金 の関係で得た情報を、義務者の許可なく水道料金の強制執行のために利用する ことは許されないものと考えられる。  現在の運用では、水道と下水道の双方を利用している契約者について、下水 道のみで情報を得ることはないとのことであるが、滞納の状況によっては、下 水道のみで情報を得ることも考えられる。その場合には、情報の性質を意識し た利用が必要である。上下水道事業部が取得し得る情報について、水道料金に ついても利用を認める旨「同意書」を活用することが考えられる。  全ての使用者から同意書の提出を得るのは困難であるとしても、滞納が発生 した使用者に対し、下水料金の関係で得た情報を水道料金でも利用することに 関する同意書の提出を求めるべきである。 第8 病院医業収益 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  病院事業収益の勘定科目は、岐阜市民病院の財務に関する特例を定める規則 第13条の別表に記載されており、医業収益の内容は、入院収益、外来収益及 びその他医業収益である。 ┌──────┬────┬───────┬──────────┐ │  款   │ 項  │   目   │    節     │ ├──────┼────┼───────┼──────────┤ │病院事業収益│医業収益│入院収益   │          │ │      │    ├───────┼──────────┤ │      │    │外来収益   │          │ │      │    ├───────┼──────────┤ │      │    │その他医業収益│室料差額収益    │ │      │    │       ├──────────┤ │      │    │       │公衆衛生活動収益  │ │      │    │       ├──────────┤ │      │    │       │医療相談収益    │ │      │    │       ├──────────┤ │      │    │       │受託検査施設利用収益│ │      │    │       ├──────────┤ │      │    │       │その他医業収益   │ └──────┴────┴───────┴──────────┘ (2)債権の性質  私債権である。  入院収益は入院患者に対する診療報酬であり、外来収益は外来患者に対する 診療報酬であって、いずれも医療機関と患者(又は第三者)との間の診療契約 に基づいて発生する私債権である。その法的性質は、準委任契約(民法第656 条、第643条)と解するのが判例・通説である。その他医業収益は、入院収益
    及び外来収益に付随して発生する私債権である(例えば、室料差額収益は、入 院患者との間で発生するので、入院収益とともに発生する)。  消滅時効については、いずれも民法170条第1号が適用され、消滅時効期間 は3年である(民法第170条第1号)。 (3)医業収益の所管課  市民病院 事務局 医事課  平成27年4月1日時点、11名の職員がおり、うち5名が未収金管理を担当 していた。その他、滞納整理嘱託員1名が未収金管理に関わっている。また、 嘱託収納員2名が医業収益に係る未収金の一部の回収業務を行っている。 (4)未収金の意味  以下で記述する未収金(収入未済)には、平成27年3月31日時点における、 被保険者(患者)が負担する部分(患者自己負担分)の未収のみではなく、保 険者(健康保険組合等)からの支払分の未収金も含まれる。  我が国では、国民皆保険制度のため、多くの場合、診療費の一定部分(多く の場合7割)は、保険者(健康保険組合等)から医療機関に支払われており、 残りの部分は、被保険者(患者)個人が負担することとなる(多くの場合3割) ことから、岐阜市民病院の医業収益は、被保険者からの支払分と、保険者から の支払分により構成される。 (5)直近5年度のデータ  なお、公営企業においては繰越調定が行われておらず、繰越の調定額欄は、 前年度までの未収金の総額となる。 〔入院収益〕                             (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│10,002,375,904│ 8,363,542,036│ 83.6%│     0│ 1,638,833,868│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│ 1,677,098,364│ 1,558,545,967│ 92.9%│36,160,398│  82,391,999│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│10,547,568,346│ 8,894,836,048│ 84.3%│     0│ 1,652,732,298│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│ 1,721,225,867│ 1,607,841,459│ 93.4%│27,815,462│  85,568,946│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│10,770,617,337│ 9,081,539,116│ 84.3%│     0│ 1,689,078,221│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│ 1,738,301,244│ 1,631,094,254│ 93.8%│24,942,798│  82,264,192│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│10,771,932,923│ 9,031,806,412│ 83.8%│     0│ 1,740,126,511│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│ 1,771,342,413│ 1,669,966,754│ 94.3%│13,659,054│  87,716,605│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│11,513,953,318│ 9,699,385,603│ 84.2%│     0│ 1,814,567,715│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│ 1,827,843,116│ 1,725,398,742│ 94.4%│15,811,323│  86,633,051│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 〔外来収益〕                             (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│ 3,612,181,370│ 3,115,497,087│ 86.2%│     0│  496,684,283│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  534,872,675│  506,942,297│ 94.8%│ 7,750,084│  20,180,294│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│ 3,740,595,422│ 3,223,102,255│ 86.1%│     0│  517,493,167│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  516,864,577│  488,734,369│ 94.6%│ 8,056,977│  20,073,231│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│ 3,982,230,194│ 3,428,134,211│ 86.0%│     0│  554,095,983│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  537,566,398│  512,888,761│ 95.4%│ 7,377,854│  17,299,783│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│ 4,299,170,761│ 3,673,196,135│ 85.4%│     0│  625,974,626│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  571,395,766│  547,678,050│ 95.8%│ 2,866,610│  20,851,106│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│ 5,714,109,097│ 4,833,970,858│ 84.5%│     0│  880,138,239│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  646,825,732│  621,159,696│ 96.0%│ 3,189,097│  22,476,939│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘ 〔その他医業収益の未収〕                       (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度等 │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H23│現年│  440,482,957│  428,461,360│ 97.2%│     0│  12,021,597│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  16,653,691│   8,598,874│ 51.6%│ 2,738,765│   5,316,052│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H24│現年│  449,521,361│  438,883,646│ 97.6%│     0│  10,637,715│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  17,337,649│   7,246,077│ 41.8%│ 3,172,215│   6,919,357│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H25│現年│  461,128,538│  449,594,312│ 97.4%│     0│  11,534,226│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  17,557,072│   6,663,120│ 38.0%│ 1,580,431│   9,313,521│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H26│現年│  472,292,743│  458,697,479│ 97.1%│     0│  13,595,264│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  20,847,747│   8,151,506│ 39.1%│ 1,846,770│  10,849,471│ ├──┼──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│  481,895,362│  467,765,556│ 97.0%│     0│  14,129,806│ │  ├──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │  │繰越│  24,444,735│  12,332,902│ 50.5%│ 2,398,833│   9,713,000│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘
    2 監査の重点及び監査手続  病院医業収益に係る債権管理の特殊性として、岐阜市で唯一、未収金の回収 業務の一部を弁護士法人へ委託しているという点を挙げることが出来る。平成 26年度以前においては、医業収益の未収金の回収業務は、医事課職員と収納 嘱託員により行われていたが、平成27年度からは、それと併せて、弁護士法 人への回収業務の委託を行うこととした。岐阜市における先例的な取り組みで あり、他の課において参考となるものである。  そのため、委託の方法及び有効性に重点を置いて監査を行った。具体的な監 査手続としては、平成28年8月24日、同年12月5日は、監査室にて医事課 担当者のヒアリングを行った。また、同年11月30日、同年12月2日、同月 12日、平成29年1月24日、岐阜市民病院にてヒアリングを行った。  その他、調査票による照会及び提出書類の書類監査を行った。 3 督促における納期限の定め 【事実関係】  岐阜市民病院では、外来診療終了後、計算受付で当該外来患者宛の会計書を 作成し、納入通知書を交付する。通常は、納入通知書を持って、支払窓口また は診療費支払機で支払う。  しかし、納入通知書で支払いをせずに病院を出ていく患者や、そもそも計算 受付に寄らずに出ていってしまう患者もいる。  診療が終了した日から1ヶ月後、支払いのない外来患者のリストを、月ごと で集計して出力する。  出力から半月後、「外来診療費のお支払いについて(お願い)」と題する書面 を送付する(納入通知書の交付から1ヶ月半の時点)。この書面の差出人は、 岐阜市民病院であり、納期限の定めは記載されていない。  それでも支払いがない場合には、再度リストを出力し、再び同様の「外来診 療費のお支払いについて(お願い)」と題する書面を送付する(2度目、納入 通知書の交付から4ヶ月後の時点)。この書面の差出人も、岐阜市民病院であ り、納期限の定めは記載されていない。  その後、「診療等未納金の納入について(催告)」と題する催告書を送付する (納入通知書の交付から7ヶ月後の時点)。この書面の差出人は、岐阜市長名 であり、納期限の定めがある。 【規範】  地方自治法施行令第171条によれば、履行期限までに履行しない者がある場 合は期限を指定した履行の督促が義務とされている。  岐阜市債権取扱規則第2条では、督促状(第1号様式)による督促が要求さ れている。 【指摘 医事課】  最初に送付する「外来診療費のお支払いについて(お願い)」が督促と評価 される可能性がある。明確性の見地より、最初の督促は、納期限を定めた督促 状により行うべきである。 4 来院した未納者への対応 【事実関係】  未納者が、診療の予約を行い、来院する日時を把握できた場合、医事課の相 談員や債権管理担当者は、来院した未納者に対し、可能な限り接触し、納付相 談を行うように努めている。しかし、来院した未納者のすべてとは接触できて いない。また、会計受付や当日の診療費の支払の際に、会計の窓口担当者から 未納分について催促することはしていない。  もっとも、会計支払窓口に備えてある3台の自動支払機では、画面に未納額 を表示して未納者に知らせている。 【規範】 ┌────────────────────────────────────────┐ │(昭和34年3月30日保発第21号各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)       │ │ 保険医療機関等が法第四二条第二項の規定による保険者の処分を請求しようとすると │ │きは、当該保険医療機関等の開設者は、善良な管理者と同一の注意をもって被保険者から│ │一部負担金の支払を受けることにつとめたことを証明しなければならないこと。この場合│ │における善良な管理者と同一の注意とは、保険医療機関等の開設者という地位にある者に│ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │対し一般的に要求される相当程度の注意事務をいうものであり、当該義務がつくされたか│ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                │ │どうかの認定は、義務者の主観的、個人的事由を考慮して行われるものではなく、客観的│ │事情に基き、具体的ケースに即して行われるものであるが、次の各号に掲げるような場合│ │は、当該注意義務をつくしたものとは認められないものである。           │ │1 療養の給付が行われた際に一部負担金を支払うべきことを告げるのみであること。 │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │2 各月分の診療報酬の請求前に単に口頭で催促すること。             │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄             │ │3 再診の場合に、催促しないこと。                       │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                       │ └────────────────────────────────────────┘  なお、処分請求(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険法第42条第2 項)については、「12 補論」で述べることとする。 【指摘 医事課】  「善良な管理者と同一の注意」(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険 法第42条第2項)を行ったというために、来院した未納者に対して催促を行 う手段を尽くすべきである。  例えば、未納者の来院予定を把握するシステムや、患者が予約する際に未納 分の催促が行われるなどのシステムを構築することが考えられる。また、会計 の窓口担当者が未納者に対して催促行為を統一的に行えるようにするため、未 納者対応マニュアルを作成することも有用であると考えられる。 5 入院誓約書及び保証書 【事実関係】  岐阜市民病院では、入院を申し込むにあたり、患者は、「入院誓約書及び保 証書」の提出が必要となる。「入院誓約書及び保証書」には、連帯保証人欄が あり、連帯保証人の氏名、住所、連絡先、患者との関係の記載欄とともに、「わ たし(連帯保証人)は、上記入院患者が、入院診療費、その他諸費用等を滞納 した場合は、連帯して責任を負うことを誓います」との文言が記載されている。 緊急入院の場合にも、同様に患者に対し、「入院誓約書及び保証書」の提出を 求めている。なお、提出後に、連帯保証人に対して保証意思の確認は行ってい ない。  「入院誓約書及び保証書」を閲覧したところ、誓約者欄とそれ以外の欄の筆 跡につき、同一人が記述したと思われるものが認められた。また、弁護士から 連帯保証人への請求を行ったものの、連帯保証人から保証の事実を否認される 事例が認められた。 【規範】  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責 任を負う(民法第446条)。 【意見 医事課】
     「入院誓約書及び保証書」の提出を受ける際に、誓約者欄もしくは患者欄の 記載と連帯保証人欄の記載の筆跡が明らかに類似すると認められるものにつ いては、連帯保証人に電話をするなどして保証意思の確認を行うことが望まし い。 6 納付誓約書(債務承認書)の取得 【事実関係】  納付相談にあたっては、「医療相談記録票」に就労状況や月収等の相談内容 を記載し、分納の話合いが出来た場合には、納付誓約書(債務承認書)を作成 する。納付誓約書(債務承認書)は、誓約者の住所氏名、患者の住所・氏名・ 生年月日、債務の合計額、分納の納付計画、誓約文言を記載することとされて いる。  しかし、納付相談の結果、分割納付の計画を定めることができなかった場合 など、必ずしも納付誓約書(債務承認書)を提出させている訳ではない。 【規範】  時効は、債務承認により中断する(民法第147条第3号)。 【意見 医事課】  納付誓約書(債務承認書)は債務承認として時効中断効がある。  納付相談の結果、分割納付の計画を定めることができなかった場合において も、納付誓約書(債務承認書)を取得することが望ましい。 7 岐阜市債権管理調整会議に提出するデータ 【事実関係】  普通地方公共団体の会計処理においては、出納整理期間が設けられているた め、普通地方公共団体の出納は、翌年度の5月31日をもって閉鎖となるため、 岐阜市における公営企業以外の課が債権管理調整会議に提出している未収額 は、平成27年度調定額における翌年度5月31日時点の未収額である(地方自 治法第235条の5)。  これに対し、岐阜市民病院の収益は、地方公営企業法施行令が適用される結 果、出納整理期間が無く(地方公営企業法施行令第4条第1項)、会計年度の 末日である3月31日をもって閉鎖する。岐阜市民病院では、多くの患者が、 健康保険の適用を受けて受診しているため、平成27年度の未収額には、患者 が加入する健康保険組合等からの支払分(多くの場合、診療費の7割)も含ま れている。  出納整理期間があると仮定した場合の平成28年5月31日時点における医業 収益(平成27年度分)の未収額は、以下のとおりである。平成28年5月31 日時点では、平成27年度調定分のうち、健康組合等からの支払分のほとんど を回収することが出来るため、3月31日時点のものよりも収入未済額は大幅 に減少し、収納率も上がることとなる。   3月31日時点                           (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│17,709,957,777│15,001,122,017│ 84.7%│     0│ 2,708,835,760│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘   5月31日時点                           (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│17,709,957,777│17,649,445,427│ 99.7%│     0│  60,512,350│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘   債権管理調整会議で検出されているデータは、以下のとおりである。                                    (単位:円) ┌─────┬───────┬───────┬───┬─────┬───────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率│不納欠損額│ 収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼───┼─────┼───────┤ │H27│現年│17,268,062,415│17,204,118,904│ 99.6%│     0│  63,943,511│ └──┴──┴───────┴───────┴───┴─────┴───────┘  岐阜市民病院では、医業収益(入院収益、外来収益、その他医業収益)につ いて、電算システムを用いて収入管理しているが、例えば、人間ドックの費用 など電算システムでは管理できない医業収益があり、それについては調定簿を 用いて管理している。  岐阜市民病院によれば、債権管理調整会議には、電算システムで管理してい る医業収益のみ提出しており、調定簿で管理している医業収益の金額が含まれ ていない。すなわち、正確な医業収益の未収状態が債権管理調整会議に顕出さ れていない。 【規範】  市長等は、市の債権に関する事務の状況を的確に把握するとともに、市の債 権を適正に管理するための体制を整備するものとされ(岐阜市債権管理条例第 5条)、岐阜市債権管理調整会議が置かれている(岐阜市債権管理条例施行規 則第2条) 【指摘 医事課】  岐阜市債権管理調整会議の設置目的である「市の債権に関する事務の状況を 的確に把握する」(岐阜市債権管理条例第5条)という趣旨に鑑み、岐阜市債 権管理調整会議には、調定簿で管理している医業収益も含めて提出すべきであ る。 8 弁護士法人への回収業務の委託 (1)委託業務の範囲 【事実関係】  岐阜市では、平成27年度から弁護士法人との間で岐阜市民病院医業未収金 回収業務委託契約を締結した。  委託した業務の範囲については、次のとおりである(岐阜市民病院医業未収 金回収業務委託仕様書第4項(1))。 ┌──────────────────────┐ │1)文書や電話等による督促等         │ │2)居所不明者に係る住所等の調査       │ │3)支払い方法等の相談業務          │ │4)債務者等からの入金に係る業務       │ │5)「死亡債権」等、保証人や相続人への回収業務│ │6)居所住所等現地調査業務          │ └──────────────────────┘  委託する業務の範囲に法的手続は含まれていない。 【意見 医事課】  回収業務を委託している弁護士法人からの報告書によれば、文書の送付は確 認されるものの、架電不能もしくは無反応の事案が最も多い。そのような債務 者から回収をするためには、法的手続が有効である。特に、弁護士は法的手続 に精通しているため、行いうる手段を付与することにより、効果的・効率的な
    手段を駆使して、未収金回収業務を行うことが可能となる。  岐阜市民病院と弁護士法人との間の業務委託仕様書を作成するにあたり、回 収業務の委託内容につき、訴訟提起等法的手続を含めることが望ましい。 (2)回収業務委託の効用 【事実関係】 ア 弁護士法人への回収業務委託までの流れ   平成26年度以前は、未納となった後1年を経過した未収金の回収は、2  名の収納嘱託員による臨戸訪問徴収により行われていたが、平成27年度か  ら、未納となった後1年を経過した未収金の一部の回収業務を弁護士法人  へ委託している。   平成27年度における弁護士法人への委託までの流れは次のとおりである。   岐阜市民病院は、未納者に対し督促や催告を行い、それでも支払いや分  納誓約がない場合、未納となった後7か月を経過した時点で、収納嘱託員  による臨戸訪問徴収を開始する。収納嘱託員は、電話や臨戸を行い、回収  業務を行うが、それでも回収が実現せず、収納嘱託員が回収困難と判断し  た未収金について、医事課へ報告を行う。医事課において協議し、回収困  難と判断した債権を抽出し、同債権の回収業務を弁護士法人へ委託する。   回収業務を委託している弁護士法人へは、患者番号、氏名(カナ)、生年  月日、住所、電話番号(携帯番号含む)、診療日、未収額の情報が提供され  る。また分納誓約の有無や連帯保証人の有無等の特記事項がある場合には、  その情報も提供される。 イ 弁護士法人による未収金の回収実績   平成27年度における委託金額及び回収実績は次のとおりである。   なお、回収金額のうち672,835円は、発生から3年が経過し、「消滅時効  にかかっている債権」についても回収が実現されている。  平成27年度委託金額:57,060,157円  平成27年度回収金額: 8,366,053円(回収率14.66%)  ┌────────────┬────┐  │ 弁護士法人月別回収額 │入金件数│  ├─────┬──────┼────┤  │4月回収額 │  719,640円│  74件│  ├─────┼──────┼────┤  │5月回収額 │  596,541円│  80件│  ├─────┼──────┼────┤  │6月回収額 │  597,928円│  55件│  ├─────┼──────┼────┤  │7月回収額 │ 1,207,612円│  69件│  ├─────┼──────┼────┤  │8月回収額 │  501,893円│  41件│  ├─────┼──────┼────┤  │9月回収額 │  603,848円│  56件│  ├─────┼──────┼────┤  │10月回収額│ 1,181,276円│  69件│  ├─────┼──────┼────┤  │11月回収額│  561,372円│  38件│  ├─────┼──────┼────┤  │12月回収額│  828,729円│  61件│  ├─────┼──────┼────┤  │1月回収額 │  241,928円│  28件│  ├─────┼──────┼────┤  │2月回収額 │  486,026円│  59件│  ├─────┼──────┼────┤  │3月回収額 │  839,260円│  61件│  ┝━━━━━┿━━━━━━┿━━━━┥  │合  計 │ 8,366,053円│  691件│  └─────┴──────┴────┘ ウ 収納嘱託員による回収額   平成27年度における収納嘱託員による未収金の回収額は、7,042,045円  である。 【意見 医事課】  弁護士法人は、収納嘱託員では回収困難な債権のみの回収業務を行っている にも関わらず、収納嘱託員以上の回収額を実現している。収納嘱託員との比較 においての有効性は明白であり、また、連帯保証人の情報通知の不十分さ、相 続人への請求するための資料不足、法的手続を選択出来ない等、不十分な委託 の状況であるが、それでもなお一定の成果を挙げているといえる。  また未収の発生から時間が経つにつれて、回収率が減少し、回収が困難とな るため、早い段階で対処することが有効である。  平成27年度における回収業務の委託においては、委託する債権につき「平 成26年度に発生したもののうち、未収発生後1年を経過したもの」に限定さ れていたが、平成28年度における回収業務の委託においては、その限定は外 され、現年度分についても回収業務の委託が可能となった。  1年を経過したものに限定していたのをやめたことは評価できる。実際の運 用においても、医事課において回収が困難と考えられる債権については、早期 に弁護士法人へ回収委託を行うことが望ましい。 (3)再委託 【事実関係】  岐阜市民病院では、債権回収業務を弁護士法人へ委託しているが、弁護士法 人は、下記の業務について再委託をしている。  なお、再委託の事情に関しては、弁護士法人からの「再委託に関する報告書」 が提出されており、岐阜市民病院内で決裁手続を経ているが、岐阜市民病院で は、再委託に関わる契約書の提出を受けていない。 ┌──────────────────────────┐ │(再委託業務)                   │ │1)当事務所からの依頼に基づき患者様等の登録住所を訪問│ │2)近隣からの情報収集                │ │3)居住状況の確認(周辺環境、生活程度等)      │ │4)直接対象宅訪問による対象者本人または家族との訪問 │ │5)当事務所宛ての連絡依頼文書手渡し         │ │6)勤務先や連絡先の判明調査             │ └──────────────────────────┘ 【規範】  「岐阜市民病院医業未収金回収業務委託仕様書」では、再委託につき、次の とおり定められている。 ┌────────────────────────────────────────┐ │第9項(2)                                  │
    │ 委託する業務を他の業者に再委託することがないこと。なお、「居住住所等現地調査業│ │務」については、発注者の承認を受ければ、第三者に委託することできる。      │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 医事課】  患者の未収に関する情報は、個人情報を含むセンシティブな情報である。  弁護士法人と再委託先との間の情報共有に関する約定の確認をするため、回 収業務を委託している弁護士法人に対し、再委託の契約にかかる書面の提出を 求めるべきである。 (4)連帯保証人への請求 【事実関係】  岐阜市民病院から連帯保証人への請求は行われていない。  弁護士法人への業務委託内容には、「「死亡債権」等、保証人や相続人への回 収業務」があり(岐阜市民病院医業未収金回収業務委託仕様書第4項(1)5))、 連帯保証人への請求は、弁護士法人へ業務委託している。  回収業務を委託する際、弁護士法人に対し、連帯保証人の有無についての情 報の提供がなされるが、連帯保証人の氏名や連絡先については提供されない。 連帯保証人への請求を行うか否かは、弁護士法人へ委ねているため、弁護士法 人からの情報提供の申出を受けて、保証書の写しを提供する方法により情報提 供を行っている。 【規範】 ┌──────────────────────────────────────────┐ │岐阜市民病院医業未収金回収業務委託契約書2条(個別委託の手続及び効力)       │ │第1項 発注者は、この契約に基づき業務を委託する債権(以下、「委託債権」という。)を│ │ 確定し、受注者に対して紙媒体または電磁的媒体により告知するものとする。      │ │第2項 発注者は、前項の告知にあたり、受注者に対し、業務の遂行に必要な情報を提供す │ │ るものとする。                                  │ └──────────────────────────────────────────┘ 【意見 医事課】  連帯保証人に関する情報は、「「死亡債権」等、保証人や相続人への回収業務」 を行うか否を判断するために必要な情報であり、「業務の遂行に必要な情報」 に当たる。回収業務を委託するあたり早期に提供されなければならない。現状 は効率性、有効性の見地から適切な状況とはいえないと考える。  弁護士法人に回収業務を委託するに際して、保証書の写しを提供するなど、 連帯保証人の情報(氏名、住所、連絡先等)を提供することが望ましい。 9 消滅時効の管理 【事実関係】  不納欠損を行った未納者(入院患者)の事案として、以下のような例が認め られた。 ┌───────────────────────┐ │平成23年2月24日 退院 納入通知書の発行・交付│ │平成23年5月18日 督促状の送付        │ │平成23年7月12日 催告書の送付        │ │平成23年9月13日 催告書の送付        │ │平成25年11月26日 催告書の送付        │ │平成25年12月10日 催告書が不渡り       │ │平成26年3月31日 不納欠損処理        │ └───────────────────────┘  岐阜市民病院では、督促や催告等を行った後、入金や分納誓約などを行った 患者を除き、入院患者については納入通知書の指定期限の翌日から3年を経過 した債権を、当該年度末において、決裁及び振替伝票の発行を行い(岐阜市民 病院の財務に関する特例を定める規則第21条)、不納欠損処理を行っている。  上記事例においては、平成23年2月24日に納入通知を発行・交付し、平成 23年5月18日付で督促状を送付しているが、最初の時効の起算日から3年を 経過した年度末平成26年3月31日に不納欠損処理を行っている。  3年経過後に不納欠損処理をしているのは、医業収益が私債権であり、時効 期間は3年である(民法第170条第1号)ことによるものと思われる。 【規範】  地方自治法第236条第4項によれば、法令の規定により普通地方公共団体が する納入の通知及び督促は、民法第153条(前項において準用する場合を含む。) の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。 【指摘 医事課】  上記の例では、平成23年5月18日に督促状を送付しているため、督促状の 到達により時効中断効が生じることとなる(地方自治法第236条第4項)。  そのため、平成26年3月31日時点では、時効期間は経過しておらず、医事 課の立場においても不納欠損処理はできない。  時効管理に誤りがある。  今後は、時効中断事由及び時期についても考慮して、時効管理を正確に行う べきである。 10 不納欠損処分の手続 【事実関係】 ア 医業収益の債権放棄理由内訳及び件数                             (単位:円) ┌──┬────┬──┬──────┬──┬────┬──────┐ │年度│生活困窮│破産│  時効  │死亡│所在不明│  合計  │ ├──┼────┼──┼──────┼──┼────┼──────┤ │H23 │    0│  0│ 167,789,657│  0│    0│ 167,789,657│ │  │    │  │ (7,512件)│  │    │ (7,512件)│ ├──┼────┼──┼──────┼──┼────┼──────┤ │H24 │    0│  0│ 50,721,856│  0│    0│ 50,721,856│ │  │    │  │ (2,413件)│  │    │ (2,413件)│ ├──┼────┼──┼──────┼──┼────┼──────┤ │H25 │    0│  0│ 49,070,337│  0│    0│ 49,070,337│ │  │    │  │ (2,114件)│  │    │ (2,114件)│ ├──┼────┼──┼──────┼──┼────┼──────┤ │H26 │    0│  0│ 49,030,234│  0│    0│ 49,030,234│ │  │    │  │ (2,331件)│  │    │ (2,331件)│ ├──┼────┼──┼──────┼──┼────┼──────┤ │H27 │    0│  0│ 37,257,802│  0│ 74,675│ 37,332,477│ │  │    │  │ (2,067件)│  │(12件)│ (2,079件)│ └──┴────┴──┴──────┴──┴────┴──────┘  平成27年度における入院にかかる債権及び外来にかかる債権の放棄内訳は 次のとおりである。なお、ここでいう「入院にかかる債権」とは、入院収益と 入院診療に関わるその他医業収益の合計をいう。またここでいう「外来にかか る債権」とは、外来収益と外来診療に関わるその他医業収益の合計をいう。 入院にかかる債権: 412件 放棄額:28,130,914円 外来にかかる債権:1,667件 放棄額: 9,201,563円
    イ 不納欠損の手続  岐阜市民病院では、未納者に対し、督促や催告等を行った後、入金や分納 誓約などを行った未納者を除き、外来患者については診療日の翌日から3年を 経過した債権、入院患者については納入通知書の指定期限の翌日から3年を経 過した債権を、当該年度末において、決裁及び振替伝票の発行を行い(岐阜市 民病院の財務に関する特例を定める規則第21条)、不納欠損処分を行う。  不納欠損処分を行った債権は、簿外管理とし、簿外管理簿において管理を 行う。その後に未納者からの支払いがあれば、雑収入として処理をする。不納 欠損後2年が経過した債権のうち、医事課において回収できる見込みがないと 判断したものについては、債権放棄を検討する。回収できる見込みの有無は、 管理担当でリストアップをしたうえ、係内で検討し、課長への相談を行い判断 する。 【規範】  法令若しくは条例又は議会の議決によって債権を放棄し、又は時効等により 債権が消滅した場合においては、当該債権に係る収入金の調定の年月日、金額、 収入科目、調定後の経緯等を記載した文書によって、市長に報告するとともに 振替伝票を発行しなければならない(岐阜市民病院の財務に関する特例を定め る規則第21条)。 【指摘 医事課】  規則に従えば、債権放棄を行ってからでなければ、不納欠損処分はできない。  医業収益の債権放棄を行ったのちに不納欠損処分を行うべきである。 11 補論(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険法第42条第2項) (1)病院事業の特殊性 ア 応召義務   「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由  がなければ、これを拒んではならない」(医師法第19条第1項)として、  いわゆる応召義務が定められている。そして、「病院は、医師が公衆又は特  定多数人のため、医業をなす場所であり、傷病者が科学的で且つ適切な診  療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、  且つ、運営されるものでなければならない(医療法第1条の1第1項)故、  病院も、医師と同様の診療義務を負うと解するのが相当である。」とされる  (神戸地方裁判所平成4年6月30日判決)。   そして「正当な事由」(医師法第19条第1項)とは、「それぞれの具体的  な場合において社会通念上健全と認められる道義的な判断によるべき」と  され、医療費の不払いなどは診療拒絶の「正当な事由」とはならないとさ  れる(病院診療所の診療に関する件(昭和24年9月10日医発第752号、  各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)。   そのため、岐阜市民病院では、診療費の未払いがあるにもかかわらず来  院した患者に対しても、未払いを理由として診療を拒否し難く、さらに診  療費の未収が積み重ねられるということが少なくない。このような患者の  多くは、再度診療を受けてもやはり診療費を支払わず、また回収手続にお  いても診療費の支払いを行わないことが多いと思われるため、診療費の未  収が解消されず、積み重なることとなる。岐阜市の債権調整会議に顕出さ  れている私債権で、医業収益の債権放棄額が最も多いのは、このような背  景によるものと思われる。   このような応召義務を盾に未払いを繰り返す患者に対しては、健康保険  法第74条第2項及び国民健康保険法第42条第2項に基づく、処分請求が  有効である。 イ 処分請求(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険法第42条第2項) ┌────────────────────────────────────────┐ │健康保険法第74条第2項(一部負担金)                      │ │ 保険医療機関又は保険薬局は、前項の一部負担金(第七十五条の二第一項第一号の措 │ │置が採られたときは、当該減額された一部負担金)の支払を受けるべきものとし、保険 │ │                                      ̄ ̄ │ │医療機関又は保険薬局が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることに努 │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │めたにもかかわらず、なお療養の給付を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支 │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                               │ │払わないときは、保険者は、当該保険医療機関又は保険薬局の請求に基づき、この法律 │ │の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。            │ │                                        │ │国民健康保険法第42条第2項(療養の給付を受ける場合の一部負担金)        │ │ 保険医療機関等は、前項の一部負担金(第四十三条前項の規定により一部負担金の割 │ │合が減ぜられたときは、同条第二項に規定する保険医療機関等にあつては、当該減ぜら │ │れた割合による一部負担金とし、第四十四条第一項第一号の措置が採られたときは、当 │ │該減額された一部負担金とする。)の支払を受けるべきものとし、保険医療機関等が善良│ │                               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │な管理者と同一の注意をもつてその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお被 │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     │ │保険者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保険医療 │ │機関等の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することが │ │できる。                                    │ └────────────────────────────────────────┘  医療機関が「善良な管理者と同一の注意をもって」、未払いの患者に対して、 一部負担金(自己負担分)の「その支払を受けることに努めたにもかかわらず」、 患者がその支払請求に応じない場合、保険者は医療機関に対して、当該一部負 担金を支払うこととされているため、医療機関は、未収を解消することが出来 る。  そして、「善良な管理者と同一の注意」とは、「保険医療機関等の開設者と いう地位にある者に対し一般的に要求される相当程度の注意事務」をいい、以 下のような場合には該当しないとされる(昭和34年3月30日保発第21号各 都道府県知事あて厚生省保険局長通知)。 ┌───────────────────────────────────────┐ │(昭和34年3月30日保発第21号各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)      │ │ 保険医療機関等が法第四二条第二項の規定による保険者の処分を請求しようとすると│ │きは、当該保険医療機関等の開設者は、善良な管理者と同一の注意をもって被保険者か│ │ら一部負担金の支払を受けることにつとめたことを証明しなければならないこと。この│ │場合における善良な管理者と同一の注意とは、保険医療機関等の開設者という地位にあ│ │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │る者に対し一般的に要求される相当程度の注意事務をいうものであり、当該義務がつく│ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │されたかどうかの認定は、義務者の主観的、個人的事由を考慮して行われるものではな│ │く、客観的事情に基き、具体的ケースに即して行われるものであるが、次の各号に掲げ│ │るような場合は、当該注意義務をつくしたものとは認められないものである。    │ │1 療養の給付が行われた際に一部負担金を支払うべきことを告げるのみであること。│
    │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │2 各月分の診療報酬の請求前に単に口頭で催促すること。            │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │3 再診の場合に、催促しないこと。                      │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                      │ └───────────────────────────────────────┘  したがって、「善良な管理者と同一の注意」を尽くしたというためには、少 なくとも1)療養給付が行われた際に一部負担金を支払うべきことを告げるの みで終わらせるのではなく、その後に請求行動を具体的に起こすこと、2)各月 分の診療報酬の請求以前に単に口頭で催促するにとどめず書面による請求方 式を採用すること、3)再診の場合には、必ず催促するシステムを採用すること が必要となる。  すなわち、保険医療機関が、保険者に対して、健康保険法第74条第2項及 び国民健康保険法第42条第2項に基づく処分請求をし、その認容を得るため に、一定の基準で未納者への対応を行うことや、請求(督促や催告)を行うこ とにより、回収のために相当程度の努力を行ったことを客観的に立証できる措 置を講じていることが必要となる。  そして、「善良な管理者と同一の注意」を尽くしていないのであれば、「保 険医療機関等の開設者という地位にある者に対し一般的に要求される相当程 度の注意事務」を怠っていることになるため、適切な債権管理を行っていない と評価される。 【事実関係】  医事課は、弁護士法人に委託して回収できなかった案件であっても、保険者 による滞納処分(国民健康保険法第42条第2項及び健康保険法第74条第2項) を保険者に求めたことがない。 【規範】  国民健康保険法第42条第2項、健康保険法第74条第2項は、「善良な管理 者と同一の注意もってその支払をうけることに努めたにもかかわらず、・・・ 支払わないとき」は、保険者に滞納処分を請求することができるとしている。 【意見 医事課】  催告や督促を実施しても回収できていない診療報酬、特に、弁護士法人に委 託しても回収できていない診療報酬については、「善良な管理者と同一の注意 をもってその支払をうけることに努めたにもかかわらず、・・・支払わないと き」に該当するのであるから、保険者(岐阜市等)に対して、滞納処分を請求 することが望ましい。 第9 中央卸売市場(電気料・水道使用料) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  中央卸売市場の使用者から徴収する電気料・水道使用料である。  (電気料)   月間の使用料、中部電力株式会社に一括支払いし、各使用         場所に設置されたメーターで各使用量を把握し、各使用者か         ら徴収している。  (水道使用料) 上水は引いておらず、冷蔵庫棟で汲み上げた地下水を各業         者に配給し、その使用量に応じて、1立方メートルにつき         21円を徴収している。  (根拠法令)  ・卸売市場法、同施行規則  ・地方公営企業法(うち財務規定等)、同施行令  ・岐阜市中央卸売市場業務条例、同施行規則  ・岐阜市中央卸売市場事業の設置に等に関する条例  ・岐阜市中央卸売市場事業の財務に関する特例を定める規則  ・地方公営企業法、同施行令  以下、「岐阜市中央卸売市場業務条例」を「業務条例」という。 (2)債権の性質  いずれも私債権である。 (3)所管課  農林部 中央卸売市場  調定・現年度未収金対応 2名(庶務係)  過年度未収金対応 2名(業務係)  中央卸売市場の施設使用料(電気料・水道使用料除く)も同時に扱っている。 (4)事務手続  ア 収納の流れは以下のとおりである。   口座振替を利用する場合、調定後、納入通知書と振替依頼書を出納金融  機関および収納金融機関に渡し、振替完了後、出納金融機関および収納金  融機関から、直接もしくは市場を通じて、納入義務者に、領収書を交付す  る。   使用料等の徴収に口座振替を利用しない場合、調定後、納入通知書を納  入義務者(場内業者)へ持参し、業者が出納金融機関もしくは収納金融機  関に入金し、出納金融機関もしくは収納金融機関から納入義務者に、領収  印の押された領収書が交付される。金融機関の処理には、4営業日を要す  る。 イ 未収金の状況   現在、施設使用料等の支払いを滞納しており、かつ市場の使用を継続して  いる業者は、3者あり(後述)、滞納分を分納しているが、納期の古いもの  から充当しているため、現年度未収金が発生する。未収金の対象者は、この  3者及び平成27年度に廃業した業者によるものである。 ウ 督促・催告   支払督促及び催告は、卸売市場独自の様式を使用している。   納期限までに口座振替・納付が無い場合、納入義務者が場内業者であり、  事実確認後速やかに、納入義務者を訪問し、納入を促している。   催告すべき事案は、納付契約通りの支払いをしていない1者であった(第  4章第8参照)。 エ 納付相談・分納誓約   納付が遅れた業者に対しては、訪問し納入を促すと共に、納付相談を行  い、未納金納付計書を作成し、分納誓約書を提出することにより分納納付  を認めている(第4章第8参照)。 オ 債権管理  現年度分は調定収納簿で、過年度分は未収金台帳で管理している。  消滅時効の管理は、未収金台帳で行っている。
    (5)直近5年度のデータ ┌──┐ │本来│ └──┘  中央卸売市場施設使用料(電気料・水道使用料を除く)の項でも述べたが、 公営企業会計における本来のデータは次のとおりである(ただし、公営企業に おいては繰越調定が行われておらず、繰越の調定額欄は、前年度までの未収金 の総額となる。)。 〔電気料〕                      (単位:円/税込) ┌─────┬──────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 81,293,155│75,062,340│92.3%│     0│ 6,230,815│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  6,717,241│ 5,583,941│83.1%│     0│ 1,133,300│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 88,010,396│80,646,281│91.6%│     0│ 7,364,115│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 86,038,618│79,722,483│92.7%│     0│ 6,316,135│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  7,364,115│ 6,215,591│84.4%│     0│ 1,148,524│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 93,402,733│85,938,074│92.0%│     0│ 7,464,659│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 89,012,508│85,938,074│93.2%│     0│ 6,049,339│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  7,464,659│ 6,357,087│85.2%│     0│ 1,107,572│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 96,477,167│89,320,256│92.6%│     0│ 7,156,911│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 94,852,596│87,997,690│92.8%│     0│ 6,854,906│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  7,156,911│ 6,051,089│84.5%│     0│ 1,105,822│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 102,009,507│94,048,779│92.2%│     0│ 7,960,728│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 84,292,358│78,642,519│93.3%│     0│ 5,649,839│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│  7,960,728│ 7,059,350│88.7%│     0│  901,378│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 92,253,086│85,701,869│92.9%│     0│ 6,551,217│ └──┴──┴──────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 〔水道使用料〕                    (単位:円/税込) ┌─────┬──────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23│現年│  3,388,260│ 3,058,320│90.3%│     0│  329,940│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   354,240│  345,920│97.7%│     0│   8,320│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  3,742,500│ 3,404,240│91.0%│     0│  338,260│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│  3,031,700│ 2,763,060│91.1%│     0│  268,640│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   338,260│  338,260│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  3,369,960│ 3,101,320│92.0%│     0│  268,640│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25│現年│  2,541,020│ 2,382,040│93.7%│     0│  158,980│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   268,640│  268,640│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  2,809,660│ 2,650,680│94.3%│     0│  158,980│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│  2,459,982│ 2,271,465│92.3%│     0│  188,517│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   158,980│  158,980│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  2,618,962│ 2,430,445│92.8%│     0│  188,517│ ├──┼──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│  2,659,755│ 2,448,600│92.1%│     0│  211,155│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   188,517│  188,517│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼──────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  2,848,272│ 2,637,117│92.6%│     0│  211,155│ └──┴──┴──────┴─────┴───┴─────┴─────┘ ┌──┐ │修正│ └──┘  中央卸売市場施設使用料(電気料・水道使用料を除く)の項でも述べたが修 正すると現年度の収納率は、次のとおりである。  (平成23年度のデータは出せないとのことであった。) 〔電気料金〕 ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │   │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │3月〆│92.3%│92.7%│93.2%│92.8%│93.3%│ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │5月〆│   │99.6%│99.7%│99.7%│99.6%│ └───┴───┴───┴───┴───┴───┘ 〔水道使用料〕 ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │   │ H23 │ H24 │ H25 │ H26 │ H27 │ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
    │3月〆│90.3%│91.1%│93.7%│92.3%│92.1%│ ├───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │5月〆│   │94.8%│99.9%│99.9%│99.6%│ └───┴───┴───┴───┴───┴───┘ 2 監査の重点及び監査手続  中央卸売市場は,岐阜市の担当職員と納入義務者が,同じ中央卸売市場敷地 内で業務をしていること、滞納者数は少ないが、滞納が始まると長期かつ多額 になる傾向にある。そこで,滞納をいかに防ぐか、滞納が発生した場合適切に 回収するための方策は講じられているかに重点をおいて監査した。  平成28年8月25日(木)、同年10月7日(金)、同月21日、同年11月1 日、同年11月25日(いずれも於中央卸売市場)、同年12月19日(於監査室) ヒアリングを行った。  また,調査票による照会及び提出資料の書類監査を行った。 3 水道使用料の分類 【事実関係】  水道使用料は、予算の分類項目で、施設使用料の中に位置づけられており、 岐阜市中央卸売市場業務条例第68条第1項の別表第5及び同施行規則第86 条別表第3において、施設使用料の一覧に記載されている。 【意見 中央卸売市場】  水道使用料は、市場使用料(施設使用料)とは請求根拠が区別されている(岐 阜市中央卸売市場業務条例第68条第2項)。  また、岐阜市中央卸売市場の場合、市場内で汲み上げた地下水を利用し、配 給しており、生産者としての売却といえるため、水道使用料は、公債権である 施設使用料と異なり、私債権としての性質を有している。  岐阜市中央卸売市場業務条例及び同施行規則において、施設使用料の一覧か ら水道使用料を外すことが望ましい。 4 保証金の定め (1)業務条例の改正 【事実関係】 第4章第8の5(保証金の定め)参照 【規範】  卸売業者、仲卸業者及び関連事業者は、それぞれ、使用料その他市場に関 して市に納付すべき金額の納付を怠ったときの担保として、保証金を預託しな ければならない(業務条例第7条、第10条、第19条、第20条、第31条)。 【指摘 中央卸売市場】  条例制定当時の立法事実が変化しているのであるから、仲卸業者について、 取扱品目ではなく、1店舗を基準として預託すべき保証金の範囲を定めるなど、 保証金が担保としての機能を果たすよう、業務条例を改正すべきである。 (2)保証金額の決定 【指摘 中央卸売市場】  業務条例施行規則第38条において「その額が30万円以上の場合は、市長が 別に定める。」と規定している以上、早急に保証金の額を定めるべきである。 5 消滅時効の管理 (1)起算点 【事実関係】  担当課では、消滅時効の起算点を督促状で定めた期限の翌日として、消滅時 効の管理をしている。 【規範】  債権の消滅時効は、権利を行使できる時から進行する(地方自治法第236 条第3項、民法第166条第1項)。地方公共団体の債権は、納入の通知におい て納期限が定められており、納期限の翌日から消滅時効が進行する。  納期限までに履行されないときは、督促を行うこととなり、督促により消滅 時効が中断する(地方自治法第231条の3第1項、第236条4項)。督促によ る法的効果は、督促状が送達された日に生じる。なお、通常到達すべきであっ た日に送達したものと推定する規定がある(地方自治法第231条の3第4項、 地方税法第20条第4項)。  中断した時効は、中断の事由が終了した日から進行するため、督促状が送達 された日の翌日から消滅時効が進行する(地方自治法第236条第3項、民法第 157条第1項)。 【指摘 中央卸売市場】  納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点として、消滅時効の管理 をすべきである。 (2)時効期間 【事実関係】  担当課では、時効期間について、電気料は10年として、消滅時効の管理を している。  電気料金の時効期間は2年(民法第173条第1号)とされているが、岐阜市 が10年としているのは、中央卸売市場においては、月間の使用料を市場にお いて、中部電力株式会社に一括で立替払いし、各使用場所に設置されたメータ ーの値に基づき各業者に使用料を請求しているからであるとのことであった。 【規範】 ┌───────────────────────────────────────┐ │商法                                     │ │第503条 商人がその営業のためにする行為は、商行為とする。           │ │2 商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。            │ │第522条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五 │ │ 年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い│ │ 時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。            │ └───────────────────────────────────────┘ 【意見 中央卸売市場】  確かに、電気料金債権に民法173条1号が適用ないし準用されるのは、電気 の供給契約が産物の売却に類する有償契約であることを根拠としているので (大審院昭和12年6月29日判決)、中央卸売市場の電気料には、民法第173 条第1号の適用ないし準用はない。  しかしながら、市場関連業者は商人であり、商人がその営業のためにする行 為は商行為となるので、商事消滅時効が適用され、その期間は5年となる可能 性がある。  電気料については、消滅時効期間が5年(商法第522条)と主張されること を念頭に、回収措置を図り、消滅時効の管理をすることが望ましい。 6 消滅時効と不納欠損処分 【事実関係】  電気料については、平成24年度ないし平成26年度に、水道使用料について は、平成23年度に、消滅時効期間の満了を理由に債権放棄が行われたが、こ
    の時に不納欠損処分は行われていない。  この点につき岐阜市に確認したところ、債権の種類に関わりなく、施設使用 料の消滅時効期間5年に合わせて、時効起算点から5年を経過した債権につい ては、一律に不納欠損処分を行い、簿外管理していたところ、その後、不納欠 損処分をするには、債権放棄または時効等により債権が消滅していることが必 要であるとの認識を得て、10年間の時効期間経過により、債権放棄をしたと のことであった。 岐阜市には、以下の決裁資料が存在する。 ┌───────────────────────────────────────┐ │「中央卸売市場の債権に対する対応」H24年3月30日決裁             │ │1) 水道使用料について時効(2年)が来た場合には不納欠損を行い、簿外債権管理簿│ │ で管理する。                                │ │2) 施設使用料について時効(5年)が来た場合には不納欠損を行う。この処理と同時│ │ に、水道使用料の債権を放棄する。                      │ │3) 2)の処理を行う時、債権管理条例に明確に該当すると証明できる場合は、電気料金│ │ についても債権放棄を行う。                         │ │4) 3)の処理が行えない場合、10年経過により電気料の放棄を行う。        │ │5) 時効成立前であっても、法人の清算手続き等が終わり、債務者が債権の責任を免れ│ │ たと証明された時には債権放棄を行う。                    │ └───────────────────────────────────────┘ 【規範】 ┌───────────────────────────────────────┐ │岐阜市中央卸売市場事業の財務に関する特例を定める規則             │ │第21条(不納欠損) 法令若しくは条例又は議会の議決によって債権を放棄し、又は │ │ 時効等により債権が消滅した場合においては、当該債権に係る収入の調定の年月日、│ │ 金額、収入科目、調定後の経緯等を記載した文書によって、市長に報告するとともに│ │ 振替伝票を発行しなければならない。                     │ └───────────────────────────────────────┘ 【指摘 中央卸売市場】  債権放棄した場合又は時効等によって債権が消滅した場合に、不納欠損処分 を行う旨が規定されており、5年の経過で不納欠損処分をしたのは、明らかに 誤った処理である。  決裁文書「中央卸売市場の債権に対する対応」を岐阜市中央卸売市場事業の 財務に関する特例を定める規則に沿うよう改正するとともに、消滅時効との関 係では、債権放棄した債権、時効の援用により時効消滅した債権について不納 欠損処分すべきである。 第10 土地建物貸付収入・使用損害金・弁償金(管財課分) 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠 ┌────────┐ │土地建物貸付収入│ └────────┘  管財課が所管する市有不動産(普通財産)の個人又は団体に対する貸付けに より生じる賃料債権である。  岐阜市公有財産規則第31条によれば、普通財産は、常に良好な状態におい て維持及び保存し、経済的な見地から効率的かつ適正にこれを運用しなければ ならないとされている。  管財課では、所管する市有財産(普通財産)について借入の申込みがあった 場合、上記規定に基づき、経済的な見地から当該市有財産の効率的かつ適正な 運用が見込まれると判断されるときは、借入れ希望者に貸付申請書を提出させ、 決裁を経て、賃貸借契約を締結する。  賃料は、岐阜市公有財産規則及び普通財産(土地及び建物)貸付料算定基準 に基づき算定される。  なお、岐阜市公有財産規則第5条によれば、普通財産の管理、処分等に関す る事務は、管財課長が処理する。ただし、行政部長が一定の要件のもと他の部 長と協議の上当該部長に管理、処分等に関する事務を掌理させることとした普 通財産の管理、処分等に関する事務は、当該普通財産を所管する課長が処理す るものとされている。従って、管財課以外の課においても所管する普通財産の 貸付けに伴い土地建物貸付収入債権の管理を行っているが、ここで対象とする のは、土地建物貸付収入債権のうち、管財課の所管に属する普通財産の貸付料 である。  管財課担当者によれば、現在、管財課で管理している土地建物貸付収入債権 の9割程度が、過去の区画整理事業や公共用地取得の際に、担当部署の政策的 判断で貸付契約が締結され、その後当該部署から管財課に移管された債権であ り、仮に、現時点で新たに貸付けの可否を判断するとすれば、貸付けが認めら れないものも含まれているとのことである。 ┌─────┐ │使用損害金│ └─────┘  過去に担当課の所管する土地を借り受けていたが、貸付料の不払いを理由と して平成25年度中に賃貸借契約を解除された者(2名。いずれも土地建物貸 付収入にも未納がある)に対する契約解除後の貸付料相当損害金、及び、用地 買収予定地の隣接市有地への境界越境が判明した者(3名)に対する賃料相当 損害金である。  賃貸借契約に基づく目的物返還義務の不履行による損害賠償請求権又は不 法行為による損害賠償請求権であり、私債権である。 ┌───┐ │弁償金│ └───┘  土地の貸付けを行っていたが、貸付料の不払いによって、平成25年度中に 賃貸借契約を債務不履行解除した2事例のうち、賃借人に対して建物収去土地 明渡請求訴訟を提起し、認容判決に基づき強制執行を行った1事例の強制執行 費用である。  民法第414条第2項、民事執行法第42条第4項に基づく債権であり、私債 権である。 (2)所管課  行政部 管財課 財産管理係(2名) (3)直近のデータ 〔土地建物貸付収入(直近5年度)〕            (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│45,854,935│44,919,280│98.0%│     0│  935,655│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤
    │  │繰越│ 4,626,105│  572,200│12.4%│  157,406│ 3,896,499│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│50,481,040│45,491,480│90.1%│  157,406│ 4,832,154│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│40,555,015│39,664,054│97.8%│     0│  890,961│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 4,832,154│  741,240│15.3%│     0│ 4,090,914│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│45,387,169│40,405,294│89.0%│     0│ 4,981,875│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│41,660,395│41,354,231│99.3%│     0│  306,164│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 4,981,875│  144,640│ 2.9%│     0│ 4,837,235│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│46,642,270│41,498,871│89.0%│     0│ 5,143,399│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│48,005,888│47,930,356│99.8%│     0│  75,532│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 5,143,399│  42,000│ 0.8%│     0│ 5,101,399│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│53,149,287│47,972,356│90.3%│     0│ 5,176,931│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│50,688,867│50,609,559│99.8%│     0│  79,308│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 5,176,931│ 1,291,653│25.0%│     0│ 3,885,278│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│55,865,798│51,901,212│92.9%│     0│ 3,964,586│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 〔使用損害金(直近3年度)〕               (単位:円) ┌─────┬─────┬────┬────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │収入額 │収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│  407,095│ 64,195│ 15.77%│     0│  342,900│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│    0│   0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│  407,095│ 64,195│ 15.77%│     0│  342,900│ ├──┼──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│  598,794│ 78,561│ 13.1%│     0│  520,233│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  342,900│    0│   0%│     0│  342,900│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│  941,694│ 78,561│  8.3%│     0│  863,133│ ├──┼──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│  343,090│ 192,987│ 56.2%│     0│  150,103│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│  863,133│ 193,446│ 22.4%│     0│  669,687│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,206,223│ 386,433│ 32.0%│     0│  819,790│ └──┴──┴─────┴────┴────┴─────┴─────┘ 〔弁償金(直近2年度)〕                 (単位:円) ┌─────┬─────┬────┬────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │収入額 │収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 2,398,870│    0│   0%│     0│ 2,398,870│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│    0│   0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,398,870│    0│   0%│     0│ 2,398,870│ ├──┼──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│     0│    0│   0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 2,398,870│    0│   0%│     0│ 2,398,870│ │  ├──┼─────┼────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,398,870│    0│   0%│     0│ 2,398,870│ └──┴──┴─────┴────┴────┴─────┴─────┘  土地建物貸付収入の滞納者は、1)賃貸借契約継続中の賃借人1名、2)賃借人 の交代により賃借人ではなくなったが契約中の滞納賃料が残っている元賃借 人1名、3)賃料の滞納により賃貸借契約を解除したが契約解除前の滞納賃料が 残っている元賃借人2名の合計4名である。  使用損害金の債務者は、上記3)の元賃借人2名である。  弁償金の債務者は、上記3)の元賃借人のうち1名である。 2 監査の重点及び監査手続  滞納事案の件数は少ないものの、個々の滞納額は比較的高額であることから、 滞納事案における債権管理・回収の実態に重点を置いて監査した。また、関係 法令等に従った債権管理がなされているかどうかを確認することにも重点を 置いた。具体的な監査手続としては、平成28年8月18日及び平成28年12 月5日、管財課担当者のヒアリングを行った。また、調査票による照会及び提 出資料の書類監査を行った。 3 賃貸借契約の解除 (1)滞納がある賃借人に対する賃貸借契約の解除 【事実関係】  ヒアリング及び提出書類によれば、土地建物の賃借人のうち、賃貸借契約が 継続中で賃料の滞納がある者は1名である。土地建物貸付収入の平成26年度 及び平成27年度の現年分の未納額は、いずれも当該1名の賃借人に関するも のである。  当該賃借人は、平成18年度以降の賃料を滞納しており、滞納額は、平成28 年8月時点で691,116円である。  担当課では、同人に対して自宅訪問や架電により支払いを催告し、滞納賃料 を分割で納付させているが、平成27年度までの年間支払額は、年間の賃料額 に満たない金額であった。 【指摘 管財課】  年間の支払額が年間の賃料額に満たない状態で賃貸借契約を継続すれば、滞 納賃料が増大していくことになる。  滞納額の増大を防止するとともに、市有財産を有効活用するため、滞納賃料
    の支払額の増加が見込まれない場合には、賃貸借契約を解除して明渡しを求め るべきである。このような処理は、滞納なく賃料を支払っている賃借人との公 平性の観点からも必要であると考える。  もっとも、担当課において、当該賃借人に対し少なくとも年間支払額が年間 賃料額を超えるように強く求めた結果、平成28年度には年間賃料額を上回る 支払いを受けられ、翌年度には支払額をさらに増やすよう指導する予定とのこ とであった。 (2)賃貸借契約解除の基準設定 【事実関係】  岐阜市公有財産規則第43条第3号によれば、市長は、賃借人が貸付料を期 限後3月以上経過してなお納付しないときは、賃貸借契約を解除することがで きる。また、賃貸借契約書第17条第1号によれば、賃貸人は、賃借人が本契 約に定める義務(ここには賃料支払義務も含まれると解される)を履行しない ときは、賃貸借契約を解除することができる。  もっとも、担当課では、具体的にどの程度の滞納が生じた場合に賃貸借契約 を解除し明渡しを求めるかということについて、基準は設けられていない。 【意見 管財課】  契約の解除について運用の統一を図るとともに、解除の適否判断を容易にす るために、契約解除の基準(滞納額によることなどが考えられる)を設けるこ とが望ましい。 4 分納誓約書の取得 【事実関係】  担当課では、滞納が生じている債権につき、債務者から分割納付を受けてい るが、分納誓約書の提出を受けていない。 【意見 管財課】  現状は分割納付を受けられているが、今後の継続的な納付を確実なものとす るために、債務者に納付計画を立てさせ、当該計画に従い納付する旨の分納誓 約書を提出させることが望ましい。 5 連帯保証人に対する請求 【事実関係】  土地建物の賃貸借契約では1名ないし2名の連帯保証人が設定され、連帯保 証人は、賃借人が賃貸借契約に関し、賃貸人に対して負担する一切の債務につ き賃借人と連帯して債務を負うものとされている。  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課において、連帯保証人 に対する請求事例は一件もない。 【規範】  普通地方公共団体の長は、債権について、督促をした後相当の期間を経過し てもなお履行されないときは、一定の場合を除き、保証人の保証がある債権に ついては、当該債権の内容に従い、保証人に対して履行を請求する措置をとら なければならない(地方自治法施行令第171条の2第1号)。  なお、賃借人の保証人は、賃料不払いによって賃貸借契約が解除された場合、 賃借人が目的物の返還債務を履行しないことにより賃貸人に与えた損害の賠 償債務についても保証責任がある(大判昭和13年1月31日)。 【指摘 管財課】  保証人に対する請求、法的手続による請求といった必要な措置をとる義務が 解除されるためには、一定の例外事由が認められなければならない。  例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連帯保証人の所在、生活 状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録するとともに、その結果、 例外事由が認められるのであれば、その事実及び根拠を明記した決裁手続を行 うべきである。他方、例外事由が認められないのであれば、使用損害金及び弁 償金を含め、保証人に対する請求、法的手続による請求といった必要な措置を とるべきである。 6 延滞金(遅延損害金)の定め 【事実関係】  提出を受けた平成27年7月締結の賃貸借契約書によれば、頭書部分に、「岐 阜市公有財産規則の定めるところにより、不動産の賃貸借について次の条項に より契約を締結する」旨の記載がある。  そして、同契約書第7条によれば、賃貸人は、賃借人が賃借料を納入期限ま でに納入しないときは、更に期限を指定して督促するものとし、なお、指定期 限内にこれを納入しないときは、賃借人は納入通知書で指定された支払期限の 翌日から賃借料を完納した日までの日数に応じ、当該納入金額に年10.95% の割合を乗じて計算した延滞金を賃貸人に支払うものとされている。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │岐阜市公有財産規則第1条                             │ │ 地方自治法第238条第1項に規定する公有財産の取得、管理、処分等に関し、法令、条例 │ │又は他の規則に特別の定めのある場合を除くほか、この規則に定めるところによる。   │ │同規則第37条第2項                                │ │ 借受人が貸付料を納付期限までに納付しないときは、延滞金として、第35条の規定によ │ │り算定された貸付料が2,000円以上(当該金額に1,000円未満の端数があるときは、これを │ │切り捨てる。)であるときは、納付期限の翌日から納付の日までの日数に応じて、当該貸付│ │料に年5パーセントの割合を乗じて得た額(当該金額に100円未満の端数があるときは、こ │ │れを切り捨てる。)に相当する額を徴収するものとする。ただし、延滞金が1,000円未満で │ │ある場合においては、これを徴収しない。                      │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 管財課】  上記の賃貸借契約書第7条の定めは、岐阜市公有財産規則第37条第2項に 違反している。賃貸借契約書の延滞金(遅延損害金)の条項を、年5%に変更 すべきである。 7 延滞金(遅延損害金)の請求 【事実関係】  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課では、滞納が生じて いる土地建物貸付収入について、延滞金(遅延損害金)を請求していない。 その理由は、未収本料から優先的に充当しており、延滞金(遅延損害金)ま で回収するに至らないためとのことである。 【規範】  岐阜市公有財産規則第1条、同規則第37条第2項  地方自治体にはその保有する債権を法律に基づいて適正に管理する義務が あり、客観的に存在する債権を理由なく放置したり免除したりすることは許 されず、原則として、地方自治体の長にその行使又は不行使についての裁量 はない(最判平成16年4月23日)。 【指摘 管財課】  公有財産規則第37条第2項によれば、滞納が生じている土地建物貸付収入 については、納入通知書で指定された支払期限の翌日から納付の日まで年5%
    (ただし平成26年4月1日の利率改正前は年10.95%)の延滞金(遅延損害 金)が発生している。  上記判例に照らせば、延滞金(遅延損害金)が発生している以上、これを理 由なく放置することは許されない。延滞金(遅延損害金)が発生している以上、 その徴収は義務であり、延滞金(遅延損害金)を減免する事由がなければ、延 滞金(遅延損害金)を請求すべきである。  なお、未収本料の回収ができていないことは、延滞金(遅延損害金)を請求 しないことの理由にはならない。岐阜市公有財産規則第37条第2項の「納付 の日までの日数に応じて」との文言は、延滞金算定期間の終期を示したもので あり、貸付料の完納を延滞金発生の要件とするものと解することはできないか らである。 8 土地貸付整理簿、建物貸付整理簿 【事実関係】  ヒアリングによれば、担当課では、土地貸付整理簿、建物貸付整理簿を整備 していない。 【規範】  岐阜市公有財産規則によれば、部長は、その所管に属する公有財産について、 土地貸付整理簿、建物貸付整理簿を作成し、保管しなければならない(第56 条3号・様式16号、第56条4号・様式17号)。 【指摘 管財課】  岐阜市公有財産規則に従い、土地貸付整理簿、建物貸付整理簿を作成保管す べきである。 9 弁償金に関する時効中断の措置 【事実関係】  上記のとおり、弁償金の債務者は1名であり、同人には土地建物貸付収入及 び使用損害金の滞納も存在する。同人からは、土地建物貸付収入及び使用損害 金を分割で支払ってもらっているが、弁償金については発生後全く収入がない。 【意見 管財課】  滞納者との協議の結果、滞納賃料及び使用損害金を優先的に支払ってもらう としても、そのために弁償金の消滅時効が完成することがないように、分納誓 約書又は債務承認書を提出させ、時効中断を記録化しておくことが望ましい。 第11 土地貸付収入(住宅課分) 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  住宅課が所管する普通財産(土地)の貸付により生じる賃料債権である。  岐阜市公有財産規則第5条第3項では、「普通財産の管理、処分等に関する 事務は、行政部管財課長(以下「管財課長」という。)が処理する。ただし、前 項に規定する普通財産の管理、処分等に関する事務は、当該普通財産を所管す る課長等(管財課長を除く。)が処理する。」と規定されている。  こうして、現在、住宅課長が管理している普通財産としては、過去に市営住 宅となっていたものについて、建物だけが払下げ(民間に売り渡すの意味)に よって使用者に譲渡されたもののその敷地については払下げがなされていな い土地が存在しており、住宅課の所管のもと管理が継続しているものである。 (2)債権の性質  私債権である。当該債権の性質は、市営住宅であった建物の払下げに私有化 したことに伴い、その敷地が、公共の用に供することが廃止され、普通財産と なったものであり、この財産の賃貸ということで私債権としての性質を有する。 そして、賃貸人が岐阜市、賃借人が使用者という形での賃貸借契約が締結され ている。民法第169条で消滅時効は5年と解される。 (3)所管課  まちづくり推進部 住宅課 (4)事務手続  岐阜市阜市公有財産規則第34条にて貸付期間が定められており(建物所有 は30年以内)、第36条にて、借受人は、貸付料を市長が定めた期限までに全 額納付しなければならないのが原則とされている(分納も認められている)。 平成27年度においては、平成27年4月1日に全件調定がなされている(418 件 40,117,992円)。借地料は、年額10万円未満が多数有り、最高額は、年 額30万円を超えるものもある。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│43,535,741│40,541,578│93.1%│     0│ 2,994,163│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│ 6,351,221│ 2,433,587│38.3%│     0│ 3,917,634│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│49,886,962│42,975,165│86.1%│     0│ 6,911,797│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│43,389,762│41,131,829│94.8%│     0│ 2,257,933│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│ 6,911,797│ 3,304,745│47.8%│  399,092│ 3,207,960│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│50,301,559│44,436,574│88.3%│  399,092│ 5,465,893│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│40,546,280│38,557,604│95.1%│     0│ 1,988,676│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│ 5,465,893│ 2,400,798│43.9%│  114,112│ 2,950,983│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│46,012,173│40,958,402│89.0%│  114,112│ 4,939,659│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│40,406,511│38,325,588│94.9%│     0│ 2,080,923│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│ 4,939,659│ 2,193,375│44.4%│     0│ 2,746,284│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│45,346,170│40,518,963│89.4%│     0│ 4,827,207│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│40,044,838│38,137,858│95.2%│     0│ 1,906,980│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│ 4,827,207│ 1,762,809│36.5%│     0│ 3,064,398│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│44,872,045│39,900,667│88.9%│     0│ 4,971,378│
    └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  当該債権については、毎年度一定数の未収が生じている状況にある。しかし ながら、同債権については、契約書にて、原則連帯保証人が付けられている。 また、基本的には、実際に居住している住宅敷地という性質上、支払を怠るこ とにより、上物である住宅自体を失うかもしれないという債務者側の心理状況 も考えられる。さらに評価額次第ではあるが、上物という住宅が強制執行対象 財産となることも考えられる。  こうしたことからすると、他の債権に比べて、回収という面では効を奏する 可能性が高い性質の債権ともいえる。  そこで、回収措置が十分に講じられているかという点に重点をおき、監査を 行った。  監査手続としては、担当課へのヒアリングを実施し(平成28年7月6日、 8月18日、12月16日)、必要書類を徴求し、閲覧した。 3 滞納事案における債権回収の工夫 【事実関係】  滞納事案が発生した場合、住宅課では、これらの者に対して個別に自宅訪問 や架電により支払を催告しているとのことである。平成27年度においては滞 納者ごとに滞納整理票を作成し記録化しているとのことである。  平成27年度末現在の最高滞納額者は965,325円である。  賃借人が行方不明となったことから不在者財産管理人を立てて訴訟にて明 渡しを求めた事案があるが、それ以外には、契約を解除した事例はない。 【規範】  岐阜市公有財産規則第43条第1項及び個別の賃貸借契約書において、貸付 料未払いの解除条項が規定されている。 ┌────────────────────────────────────────┐ │岐阜市公有財産規則                               │ │(貸付契約の解除)                               │ │第43条 市長は、普通財産を貸し付けた場合において、次の各号のいずれかに該当すると│ │ きは、その契約を解除することができる。                    │ │(1) 略                                   │ │(2) 略                                   │ │(3) 貸付料を、納付期限後3月以上経過してなお納付しないとき。        │ │(4) 借受人が契約条項又はこの規則に違反したとき。              │ └────────────────────────────────────────┘ 【指摘 住宅課】  最高額滞納者は、その金額からして、数年間にわたる貸付料の滞納があると いうことである。岐阜市において、普通財産を有効活用するという意味からし ても、滞納額が多い者に対して、現在のように滞納賃料の催告をするだけでは 十分ではないと思われる。  公営住宅使用料においては、一定の長期滞納者を法的措置対象者として選定 し、明渡予告等をし、場合によっては強制執行まで至っている。  債務者が分納誓約をし、分納しているなどの事情があれば別であるが、その ような事情がなければ、公営住宅使用料のような明渡しの予告をすること、す なわち、賃賃貸借契約を解除して明渡しを求めることもありうる旨の文書通告 をし、滞納解消を促すことを検討すべきである。  このような処理は、滞納することなく賃料を支払っている者との公平性の観 点からも必要であると考える。 4 連帯保証人に対する請求 【事実関係】  滞納事案について、連帯保証人に対して請求を行った事例はないとのことで ある。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2第1号によれば、普通地方公共団体の長は、 債権について、督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、 一定の場合を除き、保証人の保証がある債権については、当該債権の内容に従 い、保証人に対して履行を請求する措置をとらなければならない。 【指摘 住宅課】  保証人に対する請求をする義務が解除されるためには、一定の例外事由が認 められなければならない。  例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連帯保証人の所在、生活 状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録するとともに、その結果、 例外事由が認められるのであれば、その事実及び根拠を明記した決裁手続を行 うべきである。他方、例外事由が認められないのであれば、使用損害金及び弁 償金を含め、保証人に対する請求をすべきである。 5 延滞金(遅延損害金)の請求 【事実関係】  滞納者に対して、延滞金(遅延損害金)の請求をしていない。ヒアリングに よれば、未収本料の回収ができていないことが理由として挙げられていた。 【規範】  岐阜市公有財産規則第37条第1項及びこれを受けた各人との契約書の契約 条項において延滞金(遅延損害金)徴収の規定がある。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │岐阜市公有財産規則                                │ │(督促及び延滞金)                                │ │第37条 借受人が貸付料を納付期限までに納付しないときは、納付期限後20日以内に督  │ │ 促状を発して督促しなければならない。                      │ │2 借受人が貸付料を納付期限までに納付しないときは、延滞金として、第35条の規定  │ │ により算定された貸付料が2,000円以上(当該金額に1,000円未満の端数があるときは、 │ │ これを切り捨てる。)であるときは、納付期限の翌日から納付の日までの日数に応じて、│ │ 当該貸付料に年5パーセントの割合を乗じて得た額(当該金額に100円未満の端数があ  │ │ るときは、これを切り捨てる。)に相当する額を徴収するものとする。ただし、延滞金 │ │ が1,000円未満である場合においては、これを徴収しない。              │ │3 市長は、納付者が納付期限までに貸付料を納付しなかったことについて、やむを得な │ │ い事由があると認める場合においては、前項に規定する延滞金の額を減免することがで │ │ きる。                                     │ │4 略                                      │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 住宅課】  公有財産規則第37条第1項によれば、滞納が生じている土地建物貸付収入 については、納入通知書で指定された支払期限の翌日から納付の日まで年5パ ーセントの延滞金(遅延損害金)が発生している(割合については平成26年 4月1日施行以降)。  延滞金(遅延損害金)が発生している以上、その徴収は義務であり、延滞金 (遅延損害金)を減免する事由がなければ、延滞金(遅延損害金)を請求すべ きである。
     なお、未収本料の回収ができていないことは、遅延損害金を請求しないこと の理由にはならない。岐阜市公有財産規則第37条第2項の「納付の日までの 日数に応じて」との文言は、延滞金算定期間の終期を示したものであり、貸付 料の完納を延滞金発生の要件とするものと解することはできないからである。 第12 公営住宅使用弁償金 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  市営住宅に関して、入居者が賃料不払い等の理由による賃貸借契約が解除さ れて以降も、占有を続けている場合に生じる債権であり、岐阜市ではこれを「使 用弁償金」と称して管理している。賃貸借契約解除により住宅を使用する権原 を失っているにもかかわらず、それ以降も不法に使用継続していることから 日々発生するもので、岐阜市住宅管理条例第21条第4項に規定されている債 権である。 (2)債権の性質  私債権である。発生原因からすれば、不当利得返還請求権(民法第703条、 同第704条)あるいは損害賠償請求権(民法第415条又は民法第709条)と解 される。 (3)所管課  まちづくり推進部 住宅課 (4)直近5年度のデータ                (単位:円) ┌─────┬─────┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,105,250│ 27,850│ 2.5%│     0│ 1,077,400│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│10,019,247│    0│  0%│     0│10,019,247│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│11,124,497│ 27,850│ 0.3%│     0│11,096,647│ ├──┼──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,715,700│    0│  0%│     0│ 1,715,700│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│11,096,647│    0│  0%│ 2,171,800│ 8,924,847│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│12,812,347│    0│  0%│ 2,171,800│10,640,547│ ├──┼──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,559,600│    0│  0%│     0│ 1,559,600│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│10,640,547│ 34,800│ 0.3%│  755,781│ 9,849,966│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│12,200,147│ 34,800│ 0.3%│  755,781│11,409,566│ ├──┼──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 1,081,900│    0│  0%│     0│ 1,081,900│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│11,409,566│    0│  0%│ 2,073,450│ 9,336,116│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│12,491,466│    0│  0%│ 2,073,450│10,418,016│ ├──┼──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│  790,800│    0│  0%│     0│  790,800│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│10,417,716│ 163,200│ 1.6%│ 1,839,816│ 8,414,700│ │  ├──┼─────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│11,208,516│ 163,200│ 1.5%│ 1,839,816│ 9,205,500│ └──┴──┴─────┴────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  上記表のとおり、本債権の現年度発生額自体は必ずしも多くないが、現年度 収納率は、平成24年度以降、毎年「0%」であり、全く回収できない債権とな っている。その結果、現年度を大幅に超える繰越額が残り、不納欠損されるこ とで全体の合計額が調整される結果となっている。こうした背景には、使用弁 償金発生の前提として住宅使用料が滞納となっている事案が多く、そもそも回 収が困難であること、あるいは、事後的に回収が可能となっても、回収部分が 住宅使用料に回り、当該債権までの充当に至らないというケースが多いことが 推測される。  ところで、本債権は明渡しまで日々発生し続ける債権であって、債権の発生 面に特徴がある。そこで、債権の発生面につき適切に事務執行をしているかと いう点に重点を置き、監査を実施した。  監査手続としては、担当課へのヒアリングを実施し(平成28年7月6日、 8月18日、12月16日)、必要書類を徴求した。 3 債権の発生時期 【事実関係】  岐阜市では、滞納者に対して住居の明渡しを求める際に使用している通告書 (内容証明)において、「平成○○年○○月○○日までの開庁日9時から17 時までの間に、・・・前記滞納家賃を直接持参し、納付してください。」、「前記 期日までに滞納家賃全額を納付されない場合は、あらためて使用許可取り消し 及び契約解除の通知をなすことなく、前記期日をもって、使用許可を取り消し、 賃貸借契約を解除します。」、「賃貸借契約が解除された場合は、すみやかに・・・                                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 市営住宅を明渡してください。」との記載がされている(下線部は監査人が付 したもの)。  監査人が、サンプルとして、A氏に対する通告書を閲覧したところ、平成 27年12月28日が滞納家賃支払期日であったが同氏から支払はなく、同氏に 対する住宅使用料は平成27年12月28日までで調定し、使用弁償金は平成27 年12月29日から発生させていた。  岐阜市営住宅管理条例第10条第1項及び第21条では、次のとおり規定され ている(下線部は監査人が付したもの)。 ┌───────────────────────────────────────────┐ │第10条 家賃は、第8条に規定する入居の手続が完了した日から、市営住宅を明け渡した日(明│ │                                           ̄│ │ 渡しの請求のあったときは、明渡しの期限として指定した日の前日又は明渡しの日のいずれ │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │ か早い日)まで徴収する。                              │ ├───────────────────────────────────────────┤ │第21条 市長は、入居者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該入居者に対し、│
    │ 当該市営住宅の明渡しを請求することができる。                    │ │(2) 家賃又は割増賃料を3月以上滞納したとき。                   │ │2 前項の規定により市営住宅の明渡しの請求を受けた入居者は、速やかに市営住宅を明け渡さ│ │ なければならない。                                 │ │3 略                                        │ │4 市長は、第1項第2号から第4号までの規定に該当することにより同項の請求を行ったとき│ │                                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │ は、当該請求を受けた者に対して、当該請求を受けた日の翌日から当該市営住宅の明渡しを │ │  ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │ 行う日までの期間については、毎月、第27条第3項に規定する近傍同種の住宅の家賃の額の │ │ 2倍に相当する額以下の金銭を徴収することができる。                 │ └───────────────────────────────────────────┘ 【指摘 住宅課】  岐阜市債権管理条例第10条の規定によれば、「明渡しの請求のあったときは、 明渡しの期限として指定した日の前日」までの期間、家賃(住宅使用料)を徴収 するという内容になっている。  この規定からすると、明渡し請求をした場合には、明渡し期限指定日の前日ま でが家賃(住宅使用料)であり、明渡し期限日以後(期限日含む)が使用弁償金 という区分をしていると読み取れる。A氏のケースでいえば、平成27年12月27 日までが家賃(住宅使用料)であり、28日以降が使用弁償金となりそうである。  しかしながら、岐阜市の事務では、A氏の住宅使用料の徴収を28日までとして おり、少なくとも条例第10条を採用しておらず、形式的には同条違反となる(下 記図参照)。  他方で、使用弁償金の発生日は、解除日として指定した28日の翌日である29 日としており、岐阜市の事務は、条例第21条には反していないと思われる。  この点、使用弁償金が不法占有状態から発生する債権という性質から考えると、 契約の解除日の翌日から使用弁償金が発生しているはずであり、現状の岐阜市の 事務は正しいのであって、かかる事務につき、条例第10条違反を問うのは正しく ないと思われる。  したがって、根本的な是正方法として、条例第10条の規定を条例第21条と整 合するように改正すべきである。具体的には、条例第10条において、「第21条第 1項の規定による明渡しの請求のあったときは当該明渡しの請求のあった日」と いう文言を挿入すべきである。  参考までに述べるが、他の自治体の住宅条例の家賃納付条項を見ると、家賃滞 納等による明渡し請求を行った場合には、明渡し請求のあった日までの家賃を徴 収するとなっている(金沢市営住宅条例、富山市営住宅条例、名古屋市営住宅条 例等多数)。 ┌────────────────────────────┐ │【A氏のケース】                    │ │ ─────────────┬──────────── │ │  岐阜市の運用に基づく家賃│条例第21条の使用損害金  │ │ ────────┬────┴──────────── │ │ 条例第10条の家賃│条例第10条の使用損害金?      │ │ ────────┼────┬───────────→ │ │     12月27日│12月28日│12月29日         │ │      明    明    明           │ │      渡    渡    渡           │ │      期    期    期           │ │      限    限    限           │ │      の         の           │ │      前         翌           │ │      日         日           │ └────────────────────────────┘ 4 公営住宅使用弁償金の金額 【事実関係】  平成27年度までは、住宅使用弁償金の額は、住宅使用料の額と同一として きた。 【規範】 岐阜市営住宅管理条例第21条第4項において、請求の日の翌日から当該市営 住宅の明渡しを行う日までの期間については、毎月、近傍同種の住宅の家賃の 額の2倍に相当する額以下の金銭を徴収することができるとの規定がある。 【意見 住宅課(改善報告)】  通常、賃貸借契約が終了すれば、次の賃借人を定めるまでに相応の期間が必 要となるところ、賃借人の債務不履行という異常事態により契約を解除せざる を得ないような場合には、なおさら、その退去時が不明確となり、次の賃借人 入居までに相当の期間が必要となる。  また、賃借人を退去させるための費用負担も伴う。  このように、市には、賃借人の不法占有によって、明渡し遅滞に伴い種々の 損害が発生する可能性がある。  また、不法占有者と通常の賃借人と同じ費用負担となれば、公平の観点から も問題である。  公営住宅使用弁償金の収納率という観点からみれば実益がないように思わ れるかもしれないが、高額の弁償金を徴収していく態度を示すことで、退去を 早める効果はなくはない。  以上の観点からすれば、家賃同額ではなく、近傍同種の家賃の額の2倍相当 額までの範囲で高額な弁償金を徴収することを検討することが望ましい。  ただし、ヒアリングによれば、平成28年度より近傍同種の弁償金を賦課し ているとのことであり、改善報告とする。 第13 市営住宅退去修繕料 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  市営住宅の退去時に立会清算される賃借人が負担すべき修繕費用であり、原 状回復請求権と解される。  岐阜市住宅管理条例第12条第1項第1号では、以下のとおり規定されてい る。 ┌─────────────────────────────────────────────┐ │第12条 次の各号に掲げる費用は、入居者の負担とする。ただし、市長が必要と認める場合は、こ │ │ の限りでない。                                     │ │1 法第21条本文に規定する場合(注:公営住宅法第21条では、「公営住宅の家屋の壁、基礎、土 │ │ 台、柱、床、はり、屋根及び階段並びに給水施設、排水施設、電気施設その他の国土交通省令で定│ │ める附帯施設」と規定されており、いわゆる家屋の構造上の部分に限定されている)以外の修繕に│ │ 要する費用                                       │ │(1) 電気、ガス、水道及び下水道の使用料                        │ │(2) 略                                        │ │(3) 略                                        │
    │(4) 略                                        │ └─────────────────────────────────────────────┘  この条例を受けて、岐阜市住宅管理条例施行規則別記様式第4号の市営住宅 入居許可書の許可条件にも、「入居者の使用に伴い消耗し、又は汚損する構造 上重要でない箇所を修繕する費用」が賃借人負担とされている。以上の条例及 び条例施行規則の記載からすると、畳、襖なども全面的に賃借人負担とされる。  こうした修繕費用の金額については、住居明渡し時に、岐阜市(その委託を 受けた岐阜県住宅供給公社)が現地確認の上で、決定される。修繕費用の調定 額は、この決定金額である(一般会計上は「土木費雑入」とされる)。  ただし、通常入居時に入居者から預かった敷金(岐阜市営住宅管理条例第 11条により、入居時家賃の3ヶ月分とされている)を返還するにあたり、住 宅使用料滞納金及び修繕費用と相殺の上、清算されることが予定されている。  すなわち、退去修繕費用の請求にあたっては、     ┌──────────────────┐  通常、│「敷金額-(未納家賃額+修繕費用)」│の計算により、プラスであれ     └──────────────────┘ ば、修繕費用は全額回収となり残金が退去者に返還され、マイナスであれば、 退去者に対して修繕費を求めることになる。 (2)債権の性質  私債権と解される。  消滅時効は、原則どおり10年と解される(民法第167条)。 (3)所管課  まちづくり推進部 住宅課 (4)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│10,834,114│10,080,574│93.0%│     0│  753,540│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23 │繰越│ 7,135,093│     0│  0%│     0│ 7,135,093│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│17,969,207│10,080,574│56.1%│     0│ 7,888,633│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│12,137,728│11,666,020│96.1%│     0│  471,708│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24 │繰越│ 7,888,633│     0│  0%│  629,685│ 7,258,948│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│20,026,361│11,666,020│58.3%│  629,685│ 7,730,656│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│10,721,366│ 9,970,573│93.0%│     0│  750,793│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25 │繰越│ 7,730,656│     0│  0%│  391,045│ 7,339,611│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│18,452,022│ 9,970,573│54.0%│  391,045│ 8,090,404│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│14,536,983│13,146,238│90.4%│     0│ 1,390,745│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26 │繰越│ 8,090,404│  162,784│ 0.2%│  592,624│ 7,334,996│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│22,627,387│13,309,022│58.8%│  592,624│ 8,725,741│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│10,491,554│ 9,189,929│87.6%│     0│ 1,301,625│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27 │繰越│ 8,590,611│  533,826│ 0.6%│  495,259│ 7,561,526│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│19,082,165│ 9,723,755│51.0%│  495,259│ 8,863,151│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  当該債権の特殊性としては回収面にある。すなわち、第一義的には、滞納家 賃が生じていない限り、通常、敷金(入居時家賃の3か月分)との相殺によっ て修繕費用の回収が見込める状況にある。現年の収納率が比較的高いのはその ような理由による。  逆に繰越分になると収納率は極めて低い。退去時の敷金との精算によりマイ ナスとなり未収が残った分については、回収として困難が生じている傾向にあ ることが読み取れる。  そこで、本債権については、いかなる債権回収体制がとられているのか、債 権回収が困難であればどのような措置を講じているのかに重点をおき、監査を 実施した。  監査手続としては、担当課へのヒアリングを実施し(平成28年7月6日、 8月18日、12月16日)、必要書類を徴求し、閲覧した。 3 催告の工夫 【事実関係】  転居先が判明している滞納者に対しては、定期的に文書催告を行い(年1度)、 平成27年度は、一部、分納誓約の上、分割納付を実施したとのことである。 債権管理調整会議の資料によれば、文書催告をし続けているようであるが、収 納率が向上している形跡はない。 【意見 住宅課】  文書催告の送付では効果に限界があろうかと考える。文書だけではなく、併 せて電話での催告を利用したり、あるいは、弁護士代理による請求を利用した りするなど、回収に向けて工夫することが望ましい。 4 連帯保証人に対する請求 【事実関係】  修繕料について、連帯保証人に対し請求した事案はない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2で督促後相当期間経過後は、徴収停止等、一 定の例外事由ない限り、保証人のある保証がある債権については保証人に対し て履行請求することが義務づけられている。 【指摘 住宅課】  主債務者自身が行方不明になった場合であるとか、遠方に行ったというよう な場合もあろうが、そのような場合には、特に、主債務者以外の者から回収可 能か否かが検討されなければならない。  保証人に対する請求をする義務が解除されるためには、一定の例外事由が認 められなければならない。  例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連帯保証人の所在、生活
    状態、資産状況等を調査・確認して、その結果を記録するとともに、その結果、 例外事由が認められるのであれば、その事実及び根拠を明記した決裁手続を行 うべきである。他方、例外事由が認められないのであれば、使用損害金及び弁 償金を含め、保証人に対する請求をすべきである。この点、連帯保証の効力は、 修繕料支払義務にも当然及ぶものと考えられる。 5 徴収停止 【事実関係】  退去後債務者の所在が不明となるケースが少なくないとのことである。  その場合、住宅課としては特に何らの措置も講じていない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5は徴収停止の規定であるが、履行期限後相当 の期間を経過してもなお完全に履行されていないもので、債務者の所在が不明 であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用をこえ ないと認めるときその他これに類するとき(2号)に該当し、履行させること が著しく困難又は不適当であると認めるときは、以降その保全及び取立をしな いことができるとされている。 【意見 住宅課】  全庁的な課題であるが、住宅課においても、債権の回収に向けた措置を講じ ることが困難な事情がある場合には、徴収停止措置を講じることを検討するこ とが望ましい。その際、徴収停止の要件(履行期限後相当の期間をどうとらえ るかなど)を確立する必要がある。 第14 放課後児童クラブ事業実費負担額(学童保育料) 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  岐阜市では、児童福祉法第21条の9に規定する放課後児童健全育成事業と して、小学校の学区単位で放課後児童クラブを設置している(岐阜市放課後児 童健全育成事業実施要綱第3条)。  放課後児童クラブの利用者の保護者は、事業実施のために必要な費用の一 部として、午後5時まで利用する場合にあっては児童1人につき月額5,000 円、午後6時まで利用する場合にあっては児童1人につき月額7,000円の実 費負担額を負担し、毎月末日までに当月分を納入しなければならない(同要 綱第13条第1項、第2項)。  そのほか、利用時間や曜日、利用時期に応じて、岐阜市放課後児童健全育 成事業時間延長実施要綱、岐阜市土曜児童クラブ事業実施要綱、岐阜市放課 後児童健全育成事業夏季休業日利用実施要綱が定められ、それぞれ負担額の 特則が定められている。 (2)所管課  教育委員会 青少年教育課 放課後児童クラブ係のうち5名(管理2名、回 収3名。ただし兼務あり) (3)直近5年度のデータ                    (単位:円) ┌─────┬──────┬──────┬────┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額  │ 収入額  │収納率 │不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 95,577,000│ 95,491,000│ 99.9%│     0│  86,000│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   641,500│   68,500│ 10.7%│  277,500│  295,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 96,218,500│ 95,559,500│ 99.3%│  277,500│  381,500│ ├──┼──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 98,914,500│ 98,845,500│ 99.9%│     0│  69,000│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   381,500│   93,000│ 24.4%│  20,000│  268,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 99,296,000│ 98,938,500│ 99.6%│  20,000│  337,500│ ├──┼──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 105,084,000│ 105,010,500│ 99.9%│     0│  73,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   337,500│   75,000│ 22.2%│     0│  262,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 105,421,500│ 105,085,500│ 99.7%│     0│  336,000│ ├──┼──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 113,964,250│ 113,917,750│ 99.96%│     0│  46,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   336,000│   51,500│ 15.3%│  38,750│  245,750│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 114,300,250│ 113,969,250│ 99.7%│  38,750│  292,250│ ├──┼──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │H27 │現年│ 141,834,250│ 141,802,750│ 99.98%│     0│  31,500│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │繰越│   292,250│   44,000│ 15.1%│  34,500│  213,750│ │  ├──┼──────┼──────┼────┼─────┼─────┤ │  │合計│ 142,126,500│ 141,846,750│ 99.8%│  34,500│  245,250│ └──┴──┴──────┴──────┴────┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  現年度収納率は過去5年度いずれも99.9%を超えている。回収において何 か工夫があるのか、関係法令等に従った債権管理がなされているかどうかを確 認することに重点を置いて監査した。  具体的な監査手続としては、平成28年8月29日及び同年12月12日、青少 年教育課担当者のヒアリングを行った。また、調査票による照会及び提出資料 の書類監査を行った。 3 利用決定の取消し 【参考報告】  岐阜市放課後児童健全育成事業実施要綱第16条第2号によれば、保護者が 実費負担額を滞納した場合には利用の決定の取消しを行うことができる。  担当課の運用では、2か月分を滞納した時点で上記利用の取消しを行うこと にしており、滞納が生じた保護者に対しては、1か月分を滞納した時点で利用 の決定を取り消す旨を予告している。  当該予告により、2か月分を滞納しかつ支払いができない保護者は、取消し の決定を待つまでもなく退会しており、実際に利用の決定の取消しに至った事 例はない。  利用決定取消措置を定め、それを滞納者に予告することによって、滞納額が 2か月分以上となることが防止されているといえる。  滞納額増加を防止するための取り組みとして参考になるため報告する。
    4 督促の方式 【事実関係】  ヒアリング、調査票に対する回答、及び担当課提出資料によれば、担当課で は、滞納者に対する督促は、口頭、納付書及び独自様式の書面(「放課後児童 クラブ事業実費負担額未納のお知らせ」、「放課後児童クラブ利用料の未納につ いて」)の交付により行っているとのことである。 【規範】  岐阜市債権取扱規則第2条では、履行の督促は第1号様式の督促状を債務者 に送付することにより行うものとされている。なお、改正後の第21条により、 必要事項の追加・修正等が可能とされている。 【指摘 青少年教育課】  最初に送付する「放課後児童クラブ事業実費負担額未納のお知らせ」が督促 と評価される可能性がある。督促には、時効中断の絶対効等、その後の催告と 異なる効果があることから、明確性の見地より、書面に「督促状」という文言 を用いるべきである。 5 催告文書の記載 【事実関係】  ヒアリング及び調査票に対する回答によれば、担当課では、未納が生じた放 課後児童クラブ事業実費負担額についても、遅延損害金を請求していない。  その理由は、債権額が少額(未納額は一人あたり12,000円程度)であるた めとのことである。  むしろ、未納が生じた場合に保護者に交付する「放課後児童クラブ事業実費 負担額未納のお知らせ」と題する書面には、注意書きとして、「納付書の納付 期限が過ぎていますが、延滞金は発生しませんので、そのまま納めてください。」 と記載されている。 【規範】  民法第419条第1項及び同法第404条によれば、金銭債務の不履行について は、年5分の遅延損害金を請求することができる。 【指摘 青少年教育課】  上記のとおり、納期限までに納付されてない実費負担額については、法定利 率による遅延損害金を請求することができる。  「放課後児童クラブ事業実費負担額未納のお知らせ」と題する書面中の、「納 付書の納付期限が過ぎていますが、延滞金は発生しませんので、そのまま納め て下さい。」との注意書きは、必要性がないばかりか、むしろ納付が遅れても 納付額が変わらない旨を敢えて知らせることにより納付意識を低下させるお それがある。  期限どおりに納付している保護者との公平性の見地からも、上記注意書きは 削除すべきである。 6 納付相談記録 【事実関係】  調査票に対する回答及びヒアリングによれば、担当課では、滞納が発生した 事案について納付相談を行っているところ、納付相談の際に聴取すべき事項や 徴求すべき資料、分割弁済の申出に応じることの可否について、マニュアルや 判断指針等は存在せず、担当者の判断に委ねられている。 【規範】  納付相談や分割納付誓約書の取得について、法令上の定めや内部的な規則等 はない。 【意見 青少年教育課】  納付相談は、滞納が生じた債権につき、適切な分割弁済計画により回収を実 現するための重要な機会である。また、納付相談の時点では既に滞納が生じて いる場合が多いことからすれば、債務者からの履行期限の猶予や分割弁済の申 出に応じてもよいかどうかを適切に判断する必要がある。  そのためには、債務者の資産や負債の状況、収入・支出の状況について、根 拠資料を確認して正確に把握した上、把握した債務者の状況を前提として、可 能な限り早く回収ができ、かつ確実な返済継続が見込める弁済計画を立てる必 要がある。  そこで、納付相談の際に聴取すべき事項や徴求すべき資料、分割納付の許否 の判断基準、適切な分納計画の作成方法等について、マニュアル・書式を作成 し、運用の統一を担保するとともに、担当者の交代があっても一定の水準が保 たれるようにすることが望ましい。  納付相談の際の聴取事項としては、具体的には、収入、借入金、健康状態、 家計収支、同居の親族等が考えられるところ、これらの必要な情報を漏れなく 聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作成して、 用いることが望ましい。書式としては、納税課のものが参考となる。 7 分納誓約書または債務承認書の取得 【事実関係】  担当課では、納付相談の結果、分割納付計画を定めた場合でも、分納誓約書 または債務承認書の提出は受けていない。 【意見 青少年教育課】  納付相談の結果、分割弁済をすることになった場合には、債務承認による時 効中断の効果を得るとともに、債務者に弁済計画の遵守を意識させるため、少 なくとも、分納誓約書を提出させることが望ましい。  分割納付の誓約に至らなかった場合でも、時効中断のために債務承認書を提 出させることが望ましい。 8 消滅時効の管理 (1)起算点 【事実関係】  担当課から提出された債権放棄調書の記載及びヒアリングによれば、担当課 では、消滅時効の起算点を、当初の納付期限の翌日としている。 【規範】  地方自治法第236条第4項によれば、法令の規定により普通地方公共団体が する納入の通知及び督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効 力を有すると定めている。 【指摘 青少年教育課】  前提として、上記のとおり、担当課では履行の督促にあたり「督促状」と題 する書面を用いていない。  督促状により督促した上で、督促状到達の翌日から再度時効期間が進行する ものとして管理すべきである。 (2)時効期間 【事実関係】  担当課では、放課後児童クラブ事業実費負担額の時効期間を10年と捉えて いる。 【規範】  民法第167条第1項によれば、債権の消滅時効の期間は10年であるが、短 期消滅時効等の特別の規定がある場合には当該規定によることになる。  民法第173条第3号では、「学芸または技能の教育を行う者が生徒の教育、
    衣食又は寄宿の代価について有する債権」の消滅時効の期間を2年と定めてい る。 【意見 青少年教育課】  放課後児童クラブ事業実費負担額(学童保育料)については、民法第173 条第3号により時効2年と解する見解も存在するようである。  そのため、滞納者から2年による時効消滅を主張される可能性を念頭に置い て、時効管理を行うことが望ましい。 第15の1 第三者行為求償金(国保・年金課) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  第三者行為求償制度とは、被保険者が第三者の行為によって負傷又は死亡し た場合において、保険者が行う保険給付と被保険者が第三者に対して取得する 損害賠償請求権との調整のために設けられた法的制度である(国民健康保険法 第64条第1項)。例えば、被保険者が、加害者の交通事故により負傷した場合、 保険者である岐阜市が給付した医療費について、当該加害者に求償するという ものである。第三者行為求償制度の立法趣旨としては、1)二重利得の禁止、2) 不法行為責任を免責しないこと、3)公平性の確保と財源の確保であると解され ている。 (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  市民生活部 国保・年金課 給付係3名  介護保険課と同様に、岐阜県国民健康保険団体連合会(以下、「国保連」と いう。)に、診療報酬の審査・支払いの事務を委託しているが、求償事務につ いて直営する方が、回収率が高くなるという認識を持っている。そのため、他 の市町村は国保連へ、第三者行為求償事務を委託しているのとは異なり、岐阜 市の国保・年金課においては、損保会社のOBを嘱託職員として3名、雇用す るなどして、委託せずに、直接、第三者行為求償事務を行っている。  ヒアリングにおいて、回収率が高くなるのは、加害者が任意保険に加入して いない事案や自転車事故など保険が適用されない事案についても、加害者に、 直接、請求をしているためであるとのことである。 (4)事務手続の流れ ┌──┐ │受付│ └──┘  被保険者が交通事故など第三者の行為が原因で、負傷した場合、「第三者行 為による傷病届」の提出を被保険者から受ける。  自損事故でも、被保険者の加入している人身傷害補償保険で補填される場 合があるため、また、被保険者の過失割合が大きい事案でも、対人賠償保険に 求償できる場合があるため、受付をしている。 ┌──┐ │調定│ └──┘  受付をしても、求償不能の場合は、調定をしないまま、終了している。例 えば、暴力団組員による暴行事件があったが、被保険者の生活が脅かされる可 能性が高いと思料される事例であり、対応に十分な配慮が必要となるため、求 償をあきらめ、調定しなかった事案もあるとのことである。  また、過失割合や治療部位(私病)の範囲が不明な場合もあるため、過失 割合や治療部位(私病)の範囲が決まってから、入金前に調定をしている。 ┌─────────────┐ │私病の認定・過失割合の認定│ └─────────────┘  私病の範囲の認定については、自賠責保険調査事務所に委ねている。  過失割合は、示談や裁判の結果を追っているわけではないため、必ずしも、 示談や裁判の結果と、過失割合が一致するわけではない。 ┌──┐ │交渉│ └──┘  加害者の任意保険会社が示談代行として対応する場合や自賠責保険会社に 被害者請求する場合には、加害者の保険会社が、支払について応じない事例は ない。  他方、保険会社が示談代行など対応しない案件など、直接求償しなければい けない事案も数件ある。国保連では、保険会社が対応しない直接求償事案は対 応しないが、岐阜市の国保・年金課では、直接、第三者行為求償事務を行って いる。自転車の事案など、年間5件もない程度であるが、平成27年度は、2 件で63万円の求償債権があった。 ┌─────┐ │債権管理簿│ └─────┘  国民健康保険料などのシステムでは掲載されないものの、受付・収納を整 理したデータファイルがあり、管理しており、1つの情報を、国保・年金課の 職員が誰でも閲覧することができる状態となっている。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23│現年│52,248,545│52,248,545│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│52,248,545│52,248,545│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│70,824,096│70,824,096│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│70,824,096│70,824,096│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤
    │H25│現年│67,955,158│67,955,158│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│67,955,158│67,955,158│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│67,477,891│67,477,891│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│67,477,891│67,477,891│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│79,980,261│79,980,261│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│79,980,261│79,980,261│  0%│     0│     0│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 第三者行為求償金(国保・年金課) ┌───────┬───────┬───────┬───────┬───────┬───────┐ │  年度   │  H23   │  H24   │  H25   │  H26   │  H27   │ ├─┬─────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │ │前年繰越 │     113件│     116件│     87件│     97件│     99件│ │ │(前年度)│   (93件)│   (99件)│   (78件)│   (92件)│   (91件)│ │ ├─────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │件│ 受付  │ 383件(うち求│ 326件(うち求│ 370件(うち求│ 367件(うち求│ 334件(うち求│ │数│     │ 償不能194件)│ 償不能156件)│ 償不能188件)│ 償不能182件)│ 償不能156件)│ │ ├─────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │ │ 完了  │     186件│     199件│     172件│     182件│     182件│ │ ├─────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │ │翌年度繰越│     116件│     87件│     97件│     99件│     116件│ ├─┴─────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │  回収額  │ 61,421,573円│ 61,495,049円│ 40,644,158円│ 67,621,447円│ 79,836,705円│ ├───────┼───────┼───────┼───────┼───────┼───────┤ │  未収金  │      0円│      0円│      0円│      0円│      0円│ └───────┴───────┴───────┴───────┴───────┴───────┘  基準日はいずれも年度末 2 監査の重点及び監査手続  第三者行為求償事務を取り扱っている課は、国保・年金課と介護保険課と福 祉医療課である。いずれの債権も、損害賠償請求権の求償債権である。しかし、 他の2課が取り扱う債権と異なり、国保・年金課における第三者行為求償債権 は、損保会社のOBを嘱託職員として雇用し、そのノウハウを生かして、自ら 求償額を決定し、回収している。他方、介護保険課が国保連に求償事務を委託 している。福祉医療課は、国保・年金課や国保連の交渉状況を確認した上で求 償額を決定し、回収している。このように、同じ第三者行為求償事務ではある が、各課により相違点がある。また、国保・年金課は、参考になる事例がある と考え、比較を意識して、監査を実施した。  具体的には、平成28年8月12日、同年12月9日、同年12月27日、平成 29年1月25日に、監査室及び福祉医療課において、国保・年金課の給付係な ど担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。その 他に、メール等で照会し、回答を得た。 3 第三者行為求償事案の発見 【事実関係】  国民健康保険法施行規則第32条の6、岐阜市国民健康保険条例施行規則第 21条により、被保険者には、第三者行為であることの届出が義務化されてい る。  しかし、交通事故の治療を国民健康保険扱いにしている事実はレセプトから 判明する場合が多く、判明後に調査を行ってから傷病届を提出してもらい、提 出と同時又は提出後に損保会社を通じて加害者から誓約書を徴収している。  また、国保・年金課では、保険給付のために医師の意見書や診断書などを取 り寄せする時に(国民健康保険法第113条の2)、意見書や診断書に、交通事 故や損害賠償請求などの第三者行為であることを示すキーワードが入ってい る場合、第三者行為求償事務を担当している係に伝えるようにしているとのこ とである。  レセプト等から、交通事故事案であることを後から発見した事案は114件あ り、50,637,000円を回収しているとのことである。  国保・年金課の嘱託職員からのヒアリングによると、治療期間によっては、 示談成立後に、第三者行為の事実が判明する場合もあり、示談成立前に、加害 者から誓約書を徴収するのは不可能な場合があるとのことである。 【参考報告】  国保・年金課のヒアリングによると、医師の意見書に、交通事故や損害賠償 請求などのキーワードが入っている場合、第三者行為求償事務を担当している 係に伝えている。第三者行為求償債権の発見のために、課内で情報共有し、連 携ができていることから、参考報告とした。 4 請求書に記載されている過失割合 【事実関係】  1)総支給額に過失割合を控除した金額を算出する。  2)過失割合控除後に、自賠責保険から回収した金額を控除する。  3)過失割合控除後に、自賠責保険から回収した金額を控除した金額について、 調定して、加害者側保険会社等へ請求する。  4)加害者保険会社へ請求する「第三者行為による損害賠償金の請求について」 と題した書面では、総支給額と調定した金額を比較して、過失割合を別途算出 し、記載している。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第4条では、「文書は、常に丁寧に取り扱うとともに、 責任をもって正確に処理しなければならない。」とされている。 【指摘 国保・年金課】  1)~3)の作業により、過失相殺後に、自賠責保険で回収した金額を控除した 金額について調定し、請求しているにもかかわらず、別途、4)の作業により、 合意した過失割合と異なる数字を記載している。例えば、300万円の総支給額 で、被保険者の過失割合が30%であり、自賠責保険会社から100万円回収し た場合、300万円×70%-100万円=110万円を請求することになる。しかし、 上記書式に合わせて、110万円÷300万円×100=36.67%と計算して、記載し ている。この4)の作業は、明らかに不要な作業であるし、加害者保険会社が誤 解を招きかねない数字である。  4)の作業をやめるべきである。
    5 納付相談記録 【事実関係】  加害者本人と交渉し、納付相談をした結果、「一括納入が困難のため」、「分 割納入誓約書」を取っている事例があった。  納付相談の書式は、備えていない。 【意見 国保・年金課】  納付相談については、収入、借入金、健康状態、家計収支、同居の親族等、 必要な情報を漏れなく聴取できるよう、納付相談記録の書式(添付資料を求め る形など)を作成して、用いることが望ましい。  納付相談記録の書式は、納税課の「収支・財産状況について」という書式が 参考となる。 6 分納誓約書の記載事項 (1)期限の利益喪失条項 【事実関係】  「分割納入誓約書」には、期限の利益喪失条項が入っていない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の3では、履行期限の繰上げを規定している。 【意見 国保・年金課】  分納誓約書に、期限の利益喪失条項を入れることが望ましい。仮に、分納誓 約書の徴求という形式であっても、事実上、期限の利益を与えた形での黙示の 合意が成立していると認定される可能性もある。そのため、分納の滞納があっ た時点で、一括して残債務について滞納処分ができるように、期限の利益喪失 条項を入れる書式を備えておくことが望ましい。期限の利益喪失条項を入れる ことにより、債務者が滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できる。 (2)同意条項 【事実関係】  「分割納入誓約書」には、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用の 同意条項が入っていない。 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩らし、 又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する と規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知り えた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 国保・年金課】  納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目的外利用についての同 意条項を入れることが望ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が可能となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できるからである。 7 法的手続による請求 【事実関係】  ヒアリングによると、訴訟や強制執行を実施した事案はない。なお、加害者 の相続人に対して請求するような事例はなかった。  第三者行為事務については、保険会社が入っていれば、最終的には回収可能 であるが、加害者に直接請求する場合は、回収が難しいとのことである。  加害者は自賠責保険に加入していることがほとんどなので、自賠責保険で求 償額を回収できるものは問題ない。しかし、求償額が自賠責保険の範囲を超え るものについては、督促・催告だけでは、回収が難しい案件もあるとのことで ある。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2では、督促をした後相当の期間を経過しても なお履行されないときは、支払督促や訴訟、強制執行等の措置を取ることを規 定している。 【指摘 国保・年金課】  加害者に直接請求しなければいけない事案で、請求に応じない案件は、求償 金額によっては、支払督促のほか、訴訟、強制執行の実施を検討すべきである。 8 情報共有 (1)官報情報の共有と活用 【事実関係】  調査票やヒアリングによると、破産事件や強制執行事件について、官報公告 等で確認する担当者はいない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の4第1項では、債権の申出を規定している。 【指摘 国保・年金課】  官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受けて、債権の申出を すべきである。  国保・年金課において、国民健康保険料の担当者が、納税課から情報提供を 受けているのであるから、国保・年金課において、共有すべきである。 (2)国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、国保・年金課の担当者であれば、誰でも、国税徴収法第141 条等に基づく調査結果を閲覧することが可能な状態である。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。 【指摘 国保・年金課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、国保・年金課では、私債権である第三者行為求償事務を担当 する給付係も調査結果を閲覧できる状態となっている。  調査結果については、課内で取り決めをして、強制徴収公債権の担当者しか 見ることができないようにすべきである。この点、国保・年金課では、調査結 果については、国民健康保険料等の担当者しか見ることができないという取り 決めについて検討をするとのことである。 【指摘 国保・年金課】  私債権(第三者行為求償事務)の滞納者から、国税徴収法に基づく調査結果 を含む税務情報等の目的外利用について、同意書を取得すべきである。 (3)訴訟、強制執行のための情報共有 【事実関係】  国保・年金課によると、訴訟、強制執行の事案はないとのことである。  また、債務について相続が発生した事案もなく、相続人に請求するような事
    案もないとのことである。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、「地方公共団体は、その事務を処理するに 当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を 挙げるようにしなければならない。」と規定され、有効性・経済性・効率性を 求めている。 【意見 国保・年金課】  滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や私債権を有しており、 その合計額が少なくない場合(納税課における滞納処分の基準額となる5万円 が目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と 連携して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが望ましい。  そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情報等の情報を目的外利 用することの同意条項を入れるなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共 有することができる状態としておくことが望ましい。 9 徴収停止 【事実関係】  ヒアリングによると、第三者行為事務については、保険会社が入っていれば いいが、加害者への直接交渉については、回収が難しいとのことである。  自賠責保険に加入していることがほとんどなので、自賠責保険で回収できる ものは問題ないが、自賠責保険の範囲を超えるものについては、督促・催告だ けでは、回収が難しい案件もあるとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5は,徴収停止手続を定める。  具体的には,債権が履行期限後相当の期間を経過しても履行されない場合で, 次の各号に該当し,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認 めるときは,徴収停止が可能とされる。  第3号で債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められると きとある。  岐阜市債権取扱規則第9条にも徴収停止の規定がある。 【意見 国保・年金課】  滞納者に対する回収措置を尽くすことが必要であるが、滞納者が催告に応じ ず、訴訟等の法的手続が費用対効果に合わない場合、漫然と債権管理を放置し たと評価されないために,徴収停止の措置を取ることが望ましい。  徴収停止においては,「履行期限後相当の期間を経過」をどれくらいの期間 ととらえるか,「履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるとき」 はいかなる場合か、「債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認 められるとき」とはどのくらいの金額かなど、必ずしも明確ではない要件があ る。  国保・年金課に限らず全庁的な問題でもあるが,福祉医療課の案件などを参 考にして、滞納者に対する徴収停止を実行し、その過程を記録に残すことで、 上記要件の具体化(規則化)に向けた第一歩とすることができる。 10 債権放棄 【事実関係】  ヒアリングによると、第三者行為事務については、保険会社が入っていれば いいが、加害者への直接交渉については、回収が難しいとのことである。  自賠責保険に加入していることがほとんどなので、自賠責保険で回収できる ものは問題ないが、自賠責保険の範囲を超えるものについては、督促・催告だ けでは、回収が難しい案件もあるとのことである。 【規範】  岐阜市債権管理条例第6条では、「市長等は、市の債権(消滅時効について時 効の援用を要しない債権を除く。)について、次の各号のいずれかに該当する 場合においては、当該債権及びこれに関し既に発生した履行の遅滞に係る損害 賠償金その他の徴収金に係る債権を放棄することができる。  (1)債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の規 定による保護を受けている状態をいう。)にあり、資力の回復が困難であると 認められるとき。  (5)債務者が失踪、行方不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込み がないとき。」と規定している。 【意見 国保・年金課】  加害者(債務者)との面談記録や、徴求した収入及び資産の疎明資料、債務 者の居住調査報告書などの資料をもとに、債務者が生活困窮状態にある状態や 失踪状態などが認定できるのであれば、放棄を検討することが望ましい。 第15の2 第三者行為求償金(介護保険課) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ア 制度  第三者行為求償制度とは、被保険者が第三者の行為によって負傷又は死亡し た場合において、保険者が行う保険給付と被保険者が第三者に対して取得する 損害賠償請求権との調整のために設けられた法的制度である(介護保険法第 21条第1項)。例えば、被保険者が、加害者の交通事故により負傷した場合、 保険者である岐阜市が給付した介護給付費について、当該加害者に求償すると いうものである。  第三者行為求償制度の立法趣旨としては、1)二重利得の禁止、2)不法行為責 任を免責しないこと、3)公平性の確保と財源の確保であると解されている イ 対象者  40歳から64歳までの住民も、医療保険に加入していれば、被保険者である。 ただし、特定疾病により介護が必要となった場合に限り、要介護認定を受ける ことができるため、第三者行為に係る損害賠償請求権は発生しない。  一方、65歳以上の被保険者については、事故等第三者行為が原因で要介護 状態が重度化したり、サービス量が増加したりする場合は、第三者行為に係る 損害賠償請求権が発生する。 ウ 対象債権  平成28年7月の岐阜県国民健康保険団体連合会第三者行為損害賠償求償事 務処理規則改定により、交通事故における求償債権に限らず、ペット保険など 個人賠償責任保険に対する求償債権についても、求償事務を委託することが明 確となった。 (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  福祉部 介護保険課  財務会計システム1名(庶務係) 第三者行為求償事務1名(給付係) (4)事務手続の流れ
     平成14年8月1日より,岐阜市は,国保連合会に,第三者等に対する損害 賠償額の請求等に関する事務を委託している(収納額の5.15%(消費税含む)。 平成14年7月30日付通知)。  岐阜県国民健康保険団体連合会第三者行為損害賠償求償事務処理規則(以下 「処理規則」とする)に基づく委託後の流れについては,以下のとおりである。  1) 岐阜市は,請求権の行使を委任するときには,その都度,国保連合会に   対し,委任状のほか,事故証明書や被保険者の届出書及び誓約書など必   要書類を添付して提出する(処理規則第4条)。  2) 国保連合会は,岐阜市から委任を受けた請求権について,加害者保険会   社や自賠責保険会社と交渉し、損害賠償金(債権)を決定し,「第三者行   為に係る損害賠償金の決定及び送金について(通知)と題する書面を保   険者(岐阜市)に通知して、保険者(岐阜市)が、決定額を調定する。   介護保険課は、送金通知を受けた時点(入金前)で、調定しているため、   事後調定ではない。  3) 国保連合会が岐阜市指定機関に送金をし,送金額を保険者(岐阜市)が   収納することになる。  4) その後,国保連合会は,委任を受けた求償事務が完了したとして,求償   事務完了通知書により当該保険者等に通知する(処理規則第11条)。  5) 処理規則においては,委任後完了までの途中経過の報告については,特   に,規定がない。また,処理規則第9条によると,「連合会は,前条の規   定による請求に際して,最善の手段を尽くしたにもかかわらず,求償不   能のとき又は裁判等最終手段によらなければならないときは,損害賠償   求償事務委任解除理由通知書に提出のあった関係書類を添え,当該保険   者等に返送するものとする。」と規定されている。岐阜市介護保険課によ   れば,交通事故前後で要介護度・サービス量に変化がなかったために求   償できず、国保連合会より返送された事例が平成28年度委託案件で1件   あるが、それ以外は、同条に基づき,返送された事例はないとのことで   ある。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23│現年│ 4,481,423│ 4,481,423│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 4,481,423│ 4,481,423│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│ 1,455,910│ 1,455,910│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,455,910│ 1,455,910│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25│現年│ 3,409,879│ 3,409,879│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,409,879│ 3,409,879│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│  568,258│  568,258│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│  568,258│  568,258│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│ 1,587,780│ 1,587,780│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,587,780│ 1,587,780│ 100%│     0│     0│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘  岐阜市が国保連合会へ委託している件数(繰越件数,委任件数,完了件数, 翌年度繰越件数),回収額及び未収額は,以下のとおりである。債権額につい ては,損害賠償金(債権)は,治療終了時まで決定しないため,委任時は不明 とのことである。 第三者行為求償金(介護保険) ┌───────┬──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐ │  年度   │  H23  │  H24  │  H25  │  H26  │  H27  │ ├─┬─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │前年繰越 │     3件│     4件│     2件│     4件│     4件│ │ │(前年度)│   (1件)│   (2件)│   (1件)│   (3件)│   (3件)│ │ ├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │件│ 委任  │     3件│     1件│     4件│    ※3件│     3件│ │数├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │ 完了  │     2件│     3件│     2件│     2件│     1件│ │ ├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │翌年度繰越│     4件│     2件│     4件│     4件│     6件│ ├─┴─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │  回収額  │ 4,481,423円│ 1,455,910円│ 3,409,879円│  568,258円│ 1,587,780円│ ├───────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │  未収金  │     0円│     0円│     0円│     0円│     0円│ └───────┴──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘ 基準日はいずれも年度末 ※委任解除1件 死亡まで介護保険サービスの利用がなかったため。 2 監査の重点及び監査手続  第三者行為求償事務を取り扱っている課は、国保・年金課と介護保険課と福 祉医療課である。いずれの債権も、損害賠償請求権の求償債権であるが、他の 2課が取り扱う債権と異なり、介護保険課における第三者行為求償債権は、国 保連に求償事務を委託している。  このように、同じ第三者行為求償事務であっても、各課により相違点がある。 介護保険課は、国保連に委託しているという特殊性があることから、委託の点 を重点的に監査することとした。  具体的には、平成28年8月17日、同年9月20日、同年12月9日、平成 29年1月25日に、監査室及び介護保険課において、介護保険課の保険料係な
    ど担当者のヒアリングを行った。また、平成29年1月5日には、国保連にお いて、関係人調査を実施した。ヒアリングや関係人調査と併せて、関係資料を 徴求し閲覧した。その他に、メール等で照会し、回答を得た。 3 第三者行為求償事案の発見 【事実関係】  第三者行為の事案について、介護保険課では、被保険者や家族の申出、損害 保険会社、サービス提供事業者からの連絡により対象者を把握するようにして おり、主治医意見書への第三者行為の記載を依頼している。また、平成28年 4月から制度改正により、介護保険においても届出が義務化したことについて (介護保険法施行規則第33条の2)、ホームページなどで告知している。  今後は、国保連合会のシステムが平成29年度末頃を目途に、医療で第三者 行為の対象となっている対象者をリスト化し、介護保険の第三者行為求償事務 においても情報提供できる仕組みに変更するとのことであり、このシステムの 導入により、第三者行為事案が把握しやすくなる予定である。  ただ、現状では、被保険者や家族の申出がなければ、第三者行為の事案につ いて、把握しにくい状況である。 【意見 介護保険課(改善報告)】  介護認定係(14人)が、主治医意見書を精査する時に、交通事故や損害賠 償等というキーワードがあれば、その案件について、給付係に連絡してもらう ようにして、チェック体制を整えることが望ましい。  平成29年1月、介護認定係が、1)主治医意見書の記載内容の確認及び2)要 介護認定申請時における第三者行為の有無の聞き取りをし、事案発見時には給 付係に連絡してもらうようにしたことから、改善報告とする。 4 国保連との協議 【事実関係】  介護保険課においては、国民健康保険団体連合会に対して、請求可能な金額 や交渉等を全て委ねており、委託事務の状況等について管理していない。  国民健康保険団体連合会が、加害者保険会社と交渉して示談し回収した金額 について、岐阜市介護保険課に送金通知をする。  関係人調査によると、厚生労働省の通知では、示談成立時点での介護給付額 を基準とすべきとのことであるが、加害者保険会社と国民健康保険団体連合会 との交渉においては、症状固定時までの介護給付額を基準に、求償額が決定さ れていることが多いとのことである。 【規範】  厚生労働省老健局介護保険計画課「第三者行為による保険給付と損害賠償請 求権に係るQ&Aの改正について」(問2)では、示談成立以前の保険給付に 関する保険給付額について請求することが可能である旨、述べられている。 【指摘 介護保険課】  第三者行為求償債権についても、岐阜市の債権である。交渉経過や回収予定 額等を含めて、送金通知前に、国民健康保険団体連合会に確認し、示談成立時 点での介護給付額を基準とした求償額と、症状固定時点での介護給付額を基準 とした求償額との差額を把握すべきである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の2では、督促をした後相当の期間を経過しても なお履行されないときは、支払督促や訴訟、強制執行等の措置を取ることを規 定している。 【指摘 介護保険課】  加害者保険会社が示談成立時点での介護給付額を基準とすることについて 同意しない場合で金額の差異が大きい場合や、私病の範囲などについて大きな 争いがある場合、介護保険課は、国民健康保険団体連合会と協議し、場合によ っては、委託を解除して、訴訟提起などの法的措置を取ることを検討すべきで ある。 【意見 介護保険課】  第三者行為求償債権の回収金額について、加害者保険会社と最終的に示談す る前に、協議をすることができる規約にするよう、岐阜県国民健康保険団体連 合会と交渉することが望ましい。  なお、福島県国民健康保険団体連合会では、回収金額を決定する前に、保険 者である自治体と協議する規定になっている。 5 国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、介護保険課の担当者であれば、誰でも、経過記録を見ることが できる。また、経過記録に、国税徴収法第141条等に基づく調査結果を記載す ると、第三者行為求償事務担当者など強制徴収公債権の担当者以外でも、調査 結果を見ることができる状態となっている。  介護保険課において、国税徴収法に基づく調査を実施した事例はない。また、 第三者行為求償事務担当者は、国保連の委託を解除して、加害者に直接求償し た事例はない。そのため、回収等や徴収停止のため、納税課からの情報提供を 受けたり、介護保険課内部などにおいて、情報を共有したりした事例はない。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【指摘 介護保険課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、介護保険課では、国税徴収法に基づく調査は実施していない が、調査結果の記載位置によっては、私債権担当者も、国税徴収法に基づく調 査結果を見ることができてしまう。  今後、加害者と直接交渉する事例に備えて、加害者が被保険者である場合は、 調査結果については、課内で取り決めをして、強制徴収公債権の担当者しか見 ることができないようにするか、私債権(第三者行為求償事務)の滞納者から、 国税徴収法に基づく調査結果を含む税務情報等の目的外利用等について、同意 書を取得するよう、同意書の書式を整えるべきである。 6 給付免責 【事実関係】  過去5年間、岐阜市では将来介護分も含めて示談が成立した事案はない。ま た、成年後見人である弁護士からの届出により、将来介護分について、今後和 解が行われた場合の取り決めをしたことはある。  しかし、給付免責を行った事例はない。  ヒアリングによると、示談金額のうち、介護費相当額が不明であることから、 給付免責を行っていないとのことである。 【規範】  介護保険法第21条第2項、厚生労働省老健局介護保険計画課「第三者行為 による保険給付と損害賠償請求権に係るQ&Aの改正について」の問5及び問
    6において、示談が成立した場合、介護分の賠償額については、保険給付が免 責されるとしている。 【指摘 介護保険課】  被保険者から誓約書や同意書を徴取していることから、介護保険課は、被保 険者から、示談書及び示談金額の提示書(計算書)を入手することができる。 または、国民健康保険団体連合会を通じて、加害者(保険会社)から、示談書 及び示談金額の提示書(計算書)を入手することができる。  代理人弁護士との取り決めを参考にして、示談書及び示談金額の提示書(計 算書)をもとに、給付免責を実施すべきである。 7 債権管理簿 【事実関係】  債権管理台帳による管理をしていない。システムによる管理もしていない。  国民健康保険団体連合会に第三者行為求償事務を委託しているためか、介護 保険課において、債権管理台帳を作成していない。  本監査において、全庁に回答を依頼した調査票においても、第三者行為求償 債権の記載はなかった。 【規範】  岐阜市債権取扱規則では、「債権管理簿」の様式を定めている(第20条)。 【指摘 介護保険課(改善報告)】  第三者行為求償事務債権は、求償事務を国保連合会に委託しているのであっ て、債権譲渡ではない。あくまでも、岐阜市の債権である。  委託している案件について把握し、進捗状況等について、岐阜県国民健康保 険団体連合会に確認するためにも、債権管理台帳を作成すべきである。  平成28年12月より、自ら作成したエクセルファイルによる債権管理簿を用 いて、年度毎の委託件数・完了件数・繰越件数・収納額を管理しているため、 改善報告とする。 第15の3 第三者行為求償金(福祉医療課) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ア 高齢者の医療の確保に関する法律に基づく給付については、岐阜県後期高  齢者医療広域連合(以下、「広域連合」という。)が給付していることから、  第三者行為求償債権についても、債権者は、広域連合である。そのため、  納付手続きは広域連合で行っている。岐阜市は、受付事務を行っており、  月に2,3件の受付がある。受付事務は、2名で担当している(高齢者の  医療の確保に関する法律第58条)。   広域連合は、岐阜県国民健康保険団体連合会(以下、「国保連」という。)  に、求償事務を委託している。 イ 岐阜市福祉医療費助成に関する条例に基づく助成金についての第三者行  為求償債権は、岐阜市が給付していることから、岐阜市が債権者となる。   福祉医療課福祉医療係が、求償事務を担当している。   福祉医療費助成金については、被保険者の自己負担部分について給付し  ていることから、その求償債権も、自己負担部分と同様に考えられる。   そのため、自賠責保険に対して、求償する際に、保険者の求償債権に優  先して、求償することができると解されている。 (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 福祉医療課 福祉医療係  返還金 2人  財務会計システム 1名 督促等 1名 (4)事務手続の流れ  受給者から、福祉医療課福祉医療係に、「医療費受給者被害届出書」の提出 を受けて、事務が開始する。届出書の書式は、国保・年金課が用いている書式 をベースに調整したものを用いている。  国保・年金課の第三者行為求償事務担当者のほか、介護保険課及び広域連合 が委託する国保連と、診療明細などの状況を共有している。  国保連は、保険者と相手方(自賠責会社又は自動車損害保険会社等)との間 で求償対象となる保険給付額に関する審査・調整を行った結果である算定表 (求償対象となる点数や関係金額等が記載された一覧表)を、福祉医療課へ連 絡する。  福祉医療課は、当該算定表に基づき、保険適用医療の自己負担額における求 償対象額を算出して決定した額を調定する。その後、決定額を相手方へ求償し て回収する。  過失割合や私病の範囲など返還額が決まった段階で、調定をしている。  財務会計及び福祉総合システム、関連するデータ・帳票で、件数や金額、期 限などの情報を管理している。債権取扱規則第20条第1項(様式6号)は、 使いにくいことから、使っていない。 (5)直近5年度のデータ                 (単位:円) ┌─────┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H23│現年│ 2,552,406│ 2,552,406│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,552,406│ 2,552,406│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H24│現年│ 1,098,780│ 1,098,780│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 1,098,780│ 1,098,780│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H25│現年│ 2,006,617│ 2,006,617│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,006,617│ 2,006,617│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H26│現年│ 3,179,035│ 3,179,035│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤
    │  │合計│ 3,179,035│ 3,179,035│ 100%│     0│     0│ ├──┼──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│現年│ 2,180,282│ 2,180,282│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│     0│     0│  0%│     0│     0│ │  ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 2,180,282│ 2,180,282│ 100%│     0│     0│ └──┴──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘ 第三者行為求償金(福祉医療費助成金) ┌───────┬──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐ │  年度   │  H23  │  H24  │  H25  │  H26  │  H27  │ ├─┬─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │前年繰越 │    18件│    21件│    14件│    15件│    17件│ │ │(前年度)│ ( 14件)│ ( 16件)│  ( 8件)│ ( 12件)│ ( 14件)│ │ ├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │件│受付   │    26件│    18件│    22件│    24件│    29件│ │数├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │完了   │    23件│    25件│    21件│    22件│    23件│ │ ├─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ │翌年度繰越│    21件│    14件│    15件│    17件│    23件│ ├─┴─────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │回収額    │ 2,552,406円│ 1,098,780円│ 2,006,617円│  3,179,035│  2,180,282│ │       │      │      │      │     円│     円│ ├───────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │未収金    │     0円│     0円│     0円│     0円│     0円│ └───────┴──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘ 基準日はいずれも年度末 2 監査の重点及び監査手続  第三者行為求償事務を取り扱っている課は、国保・年金課と介護保険課と福 祉医療課である。いずれの債権も、損害賠償請求権の求償債権という私債権で あるが、他の2課が取り扱う債権と異なり、福祉医療助成金についての第三者 行為求償債権は、法律上の根拠が明確でない。また、介護保険課は国保連に求 償事務を委託しているのに対して、福祉医療課は、国保・年金課と同様、自ら 求償事務を担当している。このように、同じ第三者行為求償事務ではあるが、 各課により相違点があるため、比較を意識して、監査を実施した。  具体的には、平成28年8月12日、同年12月14日、同年12月27日、平 成29年1月25日に、監査室及び福祉医療課において、福祉医療課の担当者の ヒアリングを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。その他に、メー ル等で照会し、回答を得た。 3 債権の根拠規定 【事実関係】  福祉医療課は、岐阜市福祉医療費助成に関する条例第12条が、根拠である と考えていた。  しかし、同条例第12条は、「市長は、受給者が受給資格者の病気又は負傷に 関し損害賠償を受けた場合は、その金額の限度において医療費の全部若しくは 一部を支給せず、又は既に助成した医療費の額に相当する金額を返還すること ができる」とあり、受給者に対する給付制限や返還請求を定めたものとなって いる。  福祉医療助成金は、国民健康保険法第64条第1項、介護保険法第21条第1 項とは異なり、第三者行為求償債権の根拠となるべき法律がない。 【規範】  憲法第94条第1項において、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を 処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定すること ができる。」とあるのを受けて、地方自治法第2条第14項では、「普通地方公 共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を 制定することができる。」とされている。 【指摘 福祉医療課】  同条例第12条は、受給者に対する給付制限や返還請求を定めたものであり、 第三者求償債権の根拠とはならない。そもそも、各保険制度においては、法律 の規定によって損害賠償請求権の代位取得が認められている。そのため、上位 法優先や地方自治における法令優先の原則から、法律ではなく条例によって代 位取得の規定を設けることはできないと解されている。  同条例第12条に基づく求償事務ではなく、「弁済者の代位」(民法第422条 類推)など、民法上の規定を根拠として捉え、事務を行うべきである 4 納付相談記録 【事実関係】  現時点では、任意保険会社や自賠責保険会社との交渉のみで、加害者本人と 交渉したり、納付相談を受けたりすることはないとのことである。そのため、 納付相談の書式などは、備えていない。 【意見 福祉医療課】  将来、加害者本人との交渉や納付相談を受ける場合に備えて、収入、借入金、 健康状態、家計収支、同居の親族等、必要な情報を漏れなく聴取できるような、 納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作成しておくことが望まし い。  納付相談記録の書式は、納税課の「収支・財産状況について」という書式が 参考となる。 5 分納誓約書の記載事項 (1)期限の利益喪失条項 【事実関係】  加害者本人との直接交渉はなく、納付相談を受けたこともないため、分納誓 約書を取ったことはない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の3では、履行期限の繰上げを規定している。 【意見 福祉医療課】  将来、加害者本人との交渉や納付相談を受ける場合に備えて、分納誓約書に、 期限の利益喪失条項を入れることが望ましい。仮に、分納誓約書の徴求という 形式であっても、事実上、期限の利益を与えた形での黙示の合意が成立してい ると認定される可能性もある。そのため、分納の滞納があった時点で、一括し て残債務について滞納処分ができるように、期限の利益喪失条項を入れる書式 を備えておくことが望ましい。期限の利益喪失条項を入れることにより、債務 者が滞納しにくくなるという事実上の効果も期待できる。 (2)同意条項 【規範】  地方税法第22条では、地方税に関する調査などの事務で知りえた秘密を洩
    らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 に処すると規定している。また、地方公務員法第34条第1項では、職員は、 職務上知りえた秘密を漏らしてはならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【意見 福祉医療課】  将来、加害者本人との交渉や納付相談を受ける場合に備えて、分納誓約書に、 税務情報を含む滞納者情報の取得・利用についての同意条項を入れることが望 ましい。  当該条項を入れることで、滞納処分に向けて情報の収集・利用が可能となる。 また、税務情報等を取得されているという意識から、債務者が滞納しにくくな るという事実上の効果も期待できる。 6 情報共有 (1)官報情報の共有と活用 【事実関係】  調査票やヒアリングによると、債権の申出をする事案がなかったことから、 破産事件や強制執行事件について、官報公告等で確認する担当者はいない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の4第1項では、債権の申出を規定している。 【指摘 福祉医療課】  官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受けて、債権の申出を すべきである。  国保年金課や介護保険課が参考となる。 (2)訴訟、強制執行のための情報共有 【事実関係】  福祉医療課によると、訴訟、強制執行の事案はないとのことである。  また、債務について相続が発生した事案もなく、相続人に請求するような事 案もないとのことである。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、「地方公共団体は、その事務を処理するに 当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を 挙げるようにしなければならない。」と規定され、有効性・経済性・効率性を 求めている。 【意見 福祉医療課】  滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や私債権を有しており、 その合計額が少なくない場合(納税課における滞納処分の基準額となる5万円 が目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と 連携して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが望ましい。  そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情報等の情報を目的外利 用することの同意条項を入れるなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共 有することができる状態としておくことが望ましい。 7 国税徴収法による調査情報 【事実関係】  システム上、福祉医療課の担当者であれば、誰でも、経過記録を見ることが できる。現在、国税徴収法第141条等に基づく調査は実施していないが、経過 記録には、国税徴収法に基づく調査結果を記載することが可能な状態である。 そのため、第三者行為求償事務担当者など強制徴収公債権の担当者ではない者 も、調査結果を見ることができる状態となっている。 【規範】  地方公務員法第34条第1項では、職員は、職務上知りえた秘密を漏らして はならないと規定している。  岐阜市個人情報保護条例第10条第2項第1号では、「本人の同意があるとき」 に、個人情報の目的外利用又は目的外提供ができることを規定している。 【指摘 福祉医療課】  国税徴収法第141条等に基づく調査については、高度の守秘義務が課されて おり、強制徴収公債権担当部門同士以外では、情報共有することはできない。  しかし、現状、福祉医療課では、経過記録に調査結果を記載できる状態とな っていることから、私債権である第三者行為求償事務を担当する福祉医療係も、 調査結果を見ることができる状態となっている。  国税徴収法第141条に基づく調査を実施する場合に備えて、調査結果につい ては、課内で取り決めをして、強制徴収公債権の担当者しか見ることができな いようにするか、私債権(第三者行為求償事務)の滞納者から、国税徴収法に 基づく調査結果を含む税務情報等の目的外利用等について、同意書を徴求すべ きである。 8 国民健康保険法第64条の第三者行為求償事務との共同 【事実関係】  国民健康保険法第64条に基づく第三者行為求償事務は、国保・年金課にお いて、損保会社のOBである嘱託員が担当している。  他方、福祉医療費助成金の第三者行為求償事務は、福祉医療課が担当してい る。 【規範】  地方自治法第2条第14項では、「地方公共団体は、その事務を処理するに当 つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げ るようにしなければならない。」と規定され、有効性・経済性・効率性を求め ている。 【意見 福祉医療課】  両債権は、治療費における保険者負担部分(7割部分)と自己負担部分(3 割部分)に該当するため、同一担当者が、第三者行為の届出や加害者保険会社 に対する請求などの求償事務を行う方が、効率的であると考えられる。  国保・年金課における損保会社のOBなど、第三者行為求償事務に精通して いる担当者が、両債権の求償事務を担当する方が望ましい。 第16 レンタサイクル条例に基づく損害賠償請求権 1 債権の概要 (1)債権の内容及び根拠  岐阜市レンタサイクル条例第11条は、レンタサイクルの利用者が、自己の 責めに帰すべき事由によりレンタサイクル又はレンタサイクルポートを損傷 し、又は滅失したときは、市長の指示に従い、これを原状に回復し、又はその 損害を賠償しなければならないと定めている。  同条に基づき、例えば、利用者が事故等によりレンタサイクルを破損した場 合の修理費や、利用者が鍵を紛失したり、レンタサイクルを返却せずに放置し たりした場合等鍵の交換が必要となった場合の鍵交換費用などについて、岐阜 市は利用者に対する損害賠償請求権を有する。   当該損害賠償請求権は、債務不履行(賃貸借契約に基づく善管注意義務違
    反又は原状回復義務違反)若しくは不法行為に基づくものと考えられ、私債 権に分類されるものと考えられる。 (2)所管課  都市建設部 歴史まちづくり課 まちなか歩き係(2名) (3)直近5年度のデータ             (単位:円) ┌─────┬───┬───┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額│収入額│収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │H23 │現年│ 3,360│   0│  0%│     │   3,360│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│   0│   0│  0%│     │     0│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 3,360│   0│  0%│     │   3,360│ ├──┼──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │H24 │現年│ 1,680│   0│  0%│     │   1,680│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 3,360│   0│  0%│     │   3,360│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 5,040│   0│  0%│     │   5,040│ ├──┼──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │H25 │現年│ 9,555│   0│  0%│     │   9,555│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│ 5,040│   0│  0%│     │   5,040│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│14,595│   0│  0%│     │  14,595│ ├──┼──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │H26 │現年│ 3,456│   0│  0%│     │   3,456│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│14,595│   0│  0%│     │  14,595│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│18,051│   0│  0%│     │  18,051│ ├──┼──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │H27 │現年│   0│   0│  0%│     │     0│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │繰越│18,051│   0│  0%│     │  18,051│ │  ├──┼───┼───┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│18,051│   0│  0%│     │  18,051│ └──┴──┴───┴───┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  本債権の特色は、調定額自体が少ないことと全く収入がないことである。繰 越額が増え、1件あたりの単価も少額である。回収に向けた措置を継続するこ とに困難が予想される。そこで、回収緩和措置を講じているかという点に監査 の重点を置いた。具体的な監査手続としては、平成28年8月9日及び同年12 月15日、担当課である歴史まちづくり課担当者のヒアリングを行った。また、 調査票による照会及び提出資料の書類監査を行った。 3 使用料との性質の違い 【事実関係】  ヒアリングによれば、担当課では、レンタサイクル条例に基づく損害賠償請 求権について、利用料と区別せず、利用料と同一の取扱いをしてきたとのこと であった。 【規範】  非強制徴収公債権と私債権では、1)消滅時効期間(非強制徴収公債権であれ ば5年(地方自治法第236条第1項)、私債権であれば10年(債務不履行。民 法第167条第1項)ないし損害及び加害者を知ったときから3年(不法行為。 民法第724条))、2)時効援用の要否(非強制徴収公債権であれば援用不要(地 方自治法第236条第2項)、私債権であれば援用が必要(民法第145条))、3) 時効完成した債権についての債権放棄の要否(非強制徴収公債権であれば時効 完成により消滅するため放棄不要、私債権であれば、援用されない限り消滅し ないため放棄が必要)といった違いがある。 【意見 歴史まちづくり課(改善報告)】  非強制徴収公債権と私債権には上記のような違いがあり、債権管理の方法も 異なってくる。  すなわち、私債権であれば、時効完成を理由に不納欠損処理をする場合には、 前提として債権放棄が必要となるはずである。  担当課では、これまで損害賠償請求権について不納欠損処理したことはない とのことであり、実際には問題は生じていないものの、今後は債権の性質を正 確に把握した上で適切に管理することが望ましい。 4 徴収停止の措置 【事実関係】  担当課では、滞納者に対する電話、書面(簡易書留による通知書及び納付書 の郵送)、及び訪問による催告が、電話不通・居所不明により不可能となった 時点で事実上徴収行動を停止している。  損害賠償請求権の一人あたりの滞納額は、1,680円ないし4,515円(平成23 年度ないし平成27年度)であるが、徴収停止の措置(地方自治法施行令第171 条の5)をとったことはない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5によれば、次のとおりである。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │ 普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収により徴収する債権を除く)で履行期限後相 │ │当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号の一に該当し、│ │これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び │ │取立てをしないことができる。                           │ │一 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、 │ │ かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用をこえないと認められる │ │ とき。                                     │ │二 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行 │ │ の費用をこえないと認められるときその他これに類するとき。            │ │三 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。       │ └─────────────────────────────────────────┘  なお、徴収停止の手続については、岐阜市債権取扱規則第9条に定められて いる。 【意見 歴史まちづくり課】  担当課においては、徴収活動の経過を詳細に記録化していることから、現状
    のように事実上徴収活動を停止するという扱いでも、管理を怠ったとの指摘を 受けることはないと思われるが、地方自治法施行令による徴収停止を行ってお いた方がより明確であり、放置したとの認定がされにくいものと考えられる。  要件との関係では、上記のとおり1件あたりの滞納額が比較的少額であるこ とから、地方自治法施行令第171条の5の第3号該当を検討することになると 思われる。  もっとも、担当課では徴収停止の要件該当性に関する基準が設けられていな いため、個々の事案について該当性を判断しにくいものと考えられる。  そこで、徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用することが望ましい。 第17 不法占用に基づく占用料相当額の不当利得返還金・損害賠償金 1 債権の概要 (1)不法占用の概要  強制徴収公債権としての性質を有する道路占用料・河川占用料の箇所(第3 章第4、第5)で既述したとおり、道路・河川を占用使用する際には、当該管 理者の占用許可を受けなければならない。しかしながら、岐阜市を含めて全国 的に、占用許可がないままに占用使用されているケースが数多く存在する。い わゆる道路・河川の「不法占用」状態といわれるものである。道路においては、 突出看板、日除け、立て看板、ショーケース、のぼり旗、地蔵、祠等、河川に おいては、公道と敷地との間にかかる川の橋等、不法占用の例は様々である。  占用許可にあたっては、占用使用者からの申請行為に対して、許可不許可の 判断を下すというルートとなっているが、不法占用状態にある物件については、 そもそも占用使用者からの申請行為がなされていないケースが考えられる。ま た、そのほかにも、申請行為はしたものの、許可対象とはならない見込みのた め、市から取り下げを要請させられ取り下げたものの、不法占用物がそのまま 存置するケースも一定数存在すると思われる。更に、一度は許可を受けたもの の、その後占用料不払いとなり、更新の際に不許可となりながらも、占用物件 がそのまま存置するというようなケースもあると思われる。 【不法占用となるルート】 ┌────────────────────────────────┐ │┌──────────────┐                │ ││申請行為がないまま、占用開始│                │ │└──────────────┘                │ │    │ ┌────────────────────────┐│ │    │ │申請行為はしたものの、不許可(あるいは取り下げ)││ │    │ └────────────────────────┘│ │    │    │   ┌────────────────┐ │ │    │    │   │占用料不払いによる更新手続き懈怠│ │ │    │    │   └────────────────┘ │ │    ↓    ↓           ↓          │ │┌──────────────────────────────┐│ ││            不法占用状態            ││ │└──────────────────────────────┘│ └────────────────────────────────┘ (2)岐阜市の不法占用物件の現状  岐阜市では、市が所有する物件(道路・河川の双方)につき、ある者によっ て占有されているにもかかわらず、道路占用料・河川占用料としての占用料を 徴求していない箇所(以下「不法占用物件」という。)について、市独自の定 期的な調査や市民からの報告にもとにして、その実態把握に努めている。そし て、こうした実態把握した結果、不法占用者が特定できた場合には、1)撤去要 請を行うか、もしくは2)占用許可申請手続きを取るように促すという対応を行 っている。  しかし、不法占用者の中には、市のこうした要請を順守するものばかりでは なく、むしろ撤去・申請手続きをすることなく、不法占用を継続し続ける者が 相当数存在している状況である。平成28年11月16日時点での現在の不法占 用物件数は、3,000件を超えているとのことである。  不法占用の問題点としては、1)不法占用物件により、歩道の幅員を狭めるな どの道路の交通に支障を及ぼすほか道路景観の阻害の原因になっていること、 2)管理者による安全性のチェックが働かないこと、3)適法に許可を受けて占用 料を納付している者に不公平感を与えること等が考えられるが、「債権」とい う観点から見たとき、3)の観点が特に問題となる。 (3)債権の性質  私債権である。  岐阜市は、道路・河川を不法占用している者に対して、占用料相当額の不当 利得返還請求権(民法第703条、同法第704条)あるいは損害賠償請求権(民 法第709条)を有することになる。  なお、従前、許可前の占用料徴収権の成否については、占用許可によっては じめて発生するものである以上、この許可前にその喪失を観念することはでき ないなどとして、占用料徴収権の喪失をもって「損害」ないし「損失」とする ことはできないとする消極説もあったが(法務省訟務局関係会同資料・訟月 19巻10号153頁(昭和48年))、現在では、当該公共用物が客観的、潜在的 に有する私物としての価値が不法占拠によって侵害されているのであるから、 損害ないし損失があるとし、一般の所有権侵害の事案と同様に、使用対価とし ての使用料相当損害金等を請求できるとする積極説が有力となっていたとこ ろ、最高裁平成16年4月23日第二小法廷判決においても、自動販売機が道路 にはみ出して設置されていた点につき、「道路管理者は道路の占用につき占用 料を徴求して収入とすることができるのであるから,道路が権限なく占有され た場合には,道路管理者は,占用者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又 は不当利得返還請求権を取得する」と判示されており、確定的な考え方となっ ている(いわゆるはみ出し自動販売機住民訴訟上告審判決)。  また、不当利得返還請求権であるのか、不法行為に基づく損害賠償請求権で あるのかについては、議論があるところであるが、現在の実務上の考え方によ れば、双方の請求権が両立すると考えられていると思われる(請求権競合)。  しかしながら、債権を管理するという場面においては、保守的に考えて管理 しておくべきところ、不当利得返還請求権の消滅時効は10年である(民法第 167条第1項)一方で、不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害と 加害者を知った時から3年または行為の時から20年であり(民法第724条)、 ひとまずは消滅時効が短期間である不法行為に基づく損害賠償請求権である として管理をすることが適切であると考える。 (4)所管課  基盤整備部 土木管理課 2 監査の重点及び監査手続  全国的には、大坂市道をたこ焼き屋の屋台が不法占用していた事例や、京都
    市で問題となった市内の水路に無許可で架けられた橋が多数判明した事例な ど、不法占用状態は全国的に存在する問題であるところ、前記のとおり、岐阜 市にも不法占用物件は数多く存在している。こうした問題に対して、仮に、金 員請求という形が可能であれば、請求を行っていくことによりその分の歳入が 増えるし、また、適正に申請をした者とそうでない者との公平感が図られる(決 して、正直者が馬鹿を見るような事態が起こってはならない)。更に、金員請 求により、それが心理的プレッシャーとなり、通常の申請行為に促す効果も期 待できる。以上のような観点から、金員請求が可能なケースにあっては、積極 的にそうした行為をしていくべきであるし、日々の債権管理としてもそれに相 応した準備が必要と思われる。  こうした観点から、岐阜市において、当該債権がいかなる形で認識把握され ているか、また、把握されているとしてどのような管理対策を講じているかに ついて重点を置き監査を行った。  監査手続としては、担当者へのヒアリングを実施し(平成28年8月9日、 同年12月14日)、必要書類を徴求し、閲覧した。 3 情報収集と調査検討 【事実関係】  岐阜市では、上述したとおり、相当数の不法占用物件が存在し、その情報集 約を行っているが、かかる情報集約は、「債権(請求権)」を請求する目的から の情報収集ではない。  占用料相当額の算定がなされておらず、一覧に記載はない。  また、不法占用者に対する岐阜市のアプローチは、これまで撤去要請もしく は申請手続きを促すという行政指導レベルを行うにとどまり、不法占用者から 過去の占用時期も含めて、金員の請求・徴収をすることはこれまでに一度もな されていない。  なお、所管課がこのような対応を行っていた背景には、請求金額確定の困難 さに加えて、仮に金額確定ができたとしてもそもそもの請求金額が少額になり やすく、手続き費用コストが上回ると思われることなどがある。 【規範】  前掲の最高裁平成16年4月23日第二小法廷判決においては、「地方公共団 体が有する債権の管理について定める地方自治法第240条、地方自治法施行令 第171条から第171条の7までの規定に照らすと、客観的に存在する債権を理 由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団 体の長にその行使又は不行使についての裁量権はないと解すべきである。」と 判示されている。 【指摘 土木管理課】  確かに、不法占用物件であるからといって、全件、債権行使する必要がある とまではいえないと考える。債権行使ができるか否かの前提として必要な情報 を得るために調査事務コストがかかることが考えられること、また、占用料相 当額としても高額とならない可能性があること、更に、訴訟等の対応を迫られ る際に立証資料として耐えうるほどの証拠価値があるのかなど懸念事項は少 なくなかろう。  しかしながら、不法占有されていることにより、不当利得返還請求権ないし は不法行為に基づく損害賠償請求権が客観的に発生していることは間違いな い事実である。債権の請求可能性を一律検討しないままでは、「通常の」申請 ルートに乗っている申請者と、それをせずに無権限で占有している者との間で、 公平性を著しく害する結果となる。  そこで、現在所持する不法占用物件一覧を前提に、請求額を検討する対象物 件を選定し、その上で、事務コスト等を考え、当該債権を行使すべきか否かを 検討していくべきである。  例えば、占用面積の広さで選定するという考え方がある。  岐阜市が保有する不法占用物件情報によれば、不法占用面積が50m2を超え る事例が2件存在した。 【事例1】 ┌───────────────────────────┐ │1)場所 岐阜市内                   │ │2)種類 通路橋                    │ │3)占有面積 77.92m2                  │ │4)占有確認日 平成25年9月28日            │ │5)仮に占用許可申請がなされた場合における適合性 未判断│ │6)占用者  特定できている              │ └───────────────────────────┘ 【事例2】 ┌───────────────────────────┐ │1)場所 岐阜市内                   │ │2)種類 通路橋                    │ │3)占有面積 54.00m2                  │ │4)占有確認日 平成25年9月30日            │ │5)仮に占用許可申請がなされた場合における適合性 未判断│ │6)占用者  特定できている              │ └───────────────────────────┘  上記2事例では、いずれも占有面積が約50m2という広範囲に及び、占有者 も特定され、しかも、占有確認日は3年以上前である。  仮に、現在の占有も確認できれば、その間の継続的な占有が推定され(民法 第186条第2項)、3年間不法占用され続けていることになる。  例えば、以上の2事例につき金額算定をした上で、債権としての請求可能性 を検討することを提案する。 第18 斎苑の雑入(返還金及び弁償金) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市斎苑において、平成27年度に未収があった債権は3件合計671,281 円である。具体的には、次のとおりである。 ┌──────────────────────────────────┐ │1)元嘱託職員Aに対する欠勤に伴う給与返還金(以下、「給与返還金」とい│ │う)                                │ │                              70,332円│ │【事案の概要】                           │ │ Aに対する平成27年3月給与につき、欠勤部分があったため、非常勤の │ │特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和59年4月1日条例第11 │ │号)第2条第2項に基づく報酬の減額分(民法第703条)。        │ └──────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────┐
    │2)元嘱託職員Bに対する弁償金(以下、「弁償金」という)       │ │                              574,500円│ │【事案の概要】                           │ │ Bが斎苑の火葬場で遺体を火葬した後に残った指輪を盗み(盗んだ指輪 │ │は換金)その結果、市に対し574,500円の損害を与えたもの(民法第709  │ │条)。                               │ │ Bからの賠償は全くなされないまま、平成27年12月22日、懲役1年の  │ │実刑判決を言い渡された。なお、判決言い渡し前に、Bから岐阜市に対し、│ │社会復帰後に市と相談して可能な金額を分割にて支払うこと、釈放又は出 │ │所後は遅滞なく岐阜市に対して住所等連絡先を報告する旨の誓約書が差し │ │入れられている。                          │ └──────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────┐ │3)同Bに対する厚生年金保険料・健康保険料個人負担分請求金(以下、「社│ │会保険料個人負担分請求金」という)                 │ │                              26,449円│ │【事案の概要】                           │ │ Bの平成27年11月分厚生年金保険料・健康保険料について岐阜市は徴  │ │収ができず、事業主としてBの個人負担分の納付を余儀なくされた(厚生 │ │年金保険法第82条第2項、健康保険法第161条第2項)。その負担分の請  │ │求金。                               │ └──────────────────────────────────┘ (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  自然共生部 斎苑 (4)事務手続の流れ  Aに対する給与返還金については、対象が平成27年3月分給与であり(平 成26年度)、平成27年4月14日、戻入手続が決裁された。  その後、「返納金通知書兼領収書」の交付による返還手続がとられたが、A より、出納閉鎖日(平成27年5月31日)までに返金がなかった。そこで、平 成27年6月1日、現年度収入(雑入)として調定し(地方自治法施行令第160 条)、Aに対し、「納入通知書兼領収書」を交付した。  Bに対する弁償金及び社会保険料個人負担分請求金については、いずれも平 成27年12月22日、調定が決裁された。Bに対しては、「損害賠償の請求につ いて」と題する書面及び納入通知書兼領収書が郵送された。 (5)平成27年度のデータ              (単位:円) ┌──┬─────┬─────┬───┬─────┬─────┐ │年度│ 調定額 │ 収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┼─────┼─────┼───┼─────┼─────┤ │H27│ 1,687,494│ 1,016,213│60.2%│     0│  671,281│ └──┴─────┴─────┴───┴─────┴─────┘  雑入の調定額は1,687,494円であるが、上記(1)記載のもの以外の債権(公 文書複写代、拾得物件拾得金など)は全額収入済みである。 2 監査の重点及び監査手続  斎苑は、債権管理調整会議担当課ではなかったが、調査票による照会の回答 の結果、平成27年度、雑入として未収があることが判明した。ちなみに、平 成25、26年度は、未収がない。斎苑では、事後調定される斎場使用料が主な 収入であり、通常収入未済が発生しない。上記AとBに対する合計3件の債権 は、いずれも特別事情により発生したもので未収となっているが、全く回収が できていない。  このような状況のもと、適切に債権回収の措置が講じられているのかという 点に重点を置いて監査を実施した。具体的監査手続としては、平成29年1月 20日、斎苑に出向き、斎苑担当者のヒアリングを行った。併せて、関係資料 を徴求し、閲覧した。 3 戻入・調定手続における納期限の定め 【事実関係】  Aに対する返還金については、戻入手続の段階で「返納金通知書兼領収書」 が、調定手続の段階で「納入通知書兼領収書」が作成され、Aに対して交付さ れたとのことであるが、いずれも納期限の定めがない。 【規範】  地方自治法施行令第159条では、戻入手続は「収入の例による」とされてい る。  岐阜市会計規則第32条第2項では、調定する場合には、法令等、契約その 他別に定めがあるものを除くほか、調定の日から納期限から20日以内におい て定めるとしている。 【指摘 斎苑】  地方自治法施行令第159条で、戻入は「収入の例による」とされており、岐 阜市会計規則第32条第2項による別の定めもないと考えられることから、戻 入手続の段階で、20日以内に納期限を定めるべきである。  納期限を定めなければ、明確に次の措置に移ることができないし、期限を区 切ることで返還を促す効果も考えられる。 4 督促状による督促 【事実関係】  Aより支払はない。電話をかけて催告したとのことであるが、督促状を用い た支払の督促行為はない。 【規範】  地方自治法施行令第171条によれば、履行期限までに履行しない者がある場 合は期限を指定して履行の督促をすることが義務とされている。  岐阜市債権取扱規則第2条では、督促状(第1号様式)による督促が要求さ れている。 【指摘 斎苑】  督促は、納期限を定めた督促状を発付することにより行うべきである。 5 徴収停止 【事実関係】  Bの所在調査中であるが、現在のところ行方が判らないとのことである。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5は、徴収停止手続を定める。  具体的には、債権が履行期限後相当の期間を経過しても履行されない場合で、 次の各号に該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認 めるときは、徴収停止が可能とされる。
     第2号で債務者の所在不明でかつ差し押さえ財産の価額が強制執行の費用 をこえないと認められるときその他これに類するときとある。  岐阜市債権取扱規則第9条にも徴収停止の規定がある。 【意見 斎苑】  Bに対する回収措置を尽くすことが必要であり、その前提として所在調査を 尽くす必要があるが、それでも行方が明らかとならない可能性はある。  その場合、漫然と債権管理を放置したと評価されないために、徴収停止手続 を検討することが考えられる。  しかしながら、徴収停止においては、「履行期限後相当の期間を経過」をど れくらいの期間ととらえるかなど必ずしも明確ではない要件がある。  斎苑に限らず全庁的な問題でもあるが、まずは、Bに対する対応を契機とし て、いかなる場合に徴収停止措置を講じることが可能となるかという要件を明 確にし、措置を講じる体制を構築しておくことが望ましい。 第19 臨時福祉給付金返還金 1 債権の概要 (1)内容及び根拠 ┌───────┐ │臨時福祉給付金│(平成26年5月1日版 厚生労働省簡素な給付措置支給業 └───────┘ 務室 臨時福祉給付金(簡素な給付措置)Q&A参照)。  平成26年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられたが、消費税増税 による影響を緩和するため、低所得者に対し、制度的な対応を行うまでの間、 暫定的・臨時的な措置として給付されるものである。法律による支給根拠はな く、岐阜市では岐阜市臨時福祉給付金支給事業実施要綱(平成26年6月11 日決裁)(以下、「岐阜市要綱」という)により、支給に関し必要な事項が定め られている。支給対象者は、基準日に岐阜市の住民基本台帳に記録されている 者等であって、市町村民税非課税あるいは免除者(市町村民税が課されている 者の扶養親族等に該当しないもの)である(要綱第1条)。平成26年度は、平 成26年8月1日~12月1日にかけて受付がなされ、63,599名からの申請があ り、62,791名に支給された(合計額は809,145,000円)。  支給金額は、支給対象者1人につき10,000円、一定の年金受給者等につい ては5,000円が加算され、1人15,000円が支給された(要綱第3条)。 ┌──────────┐ │臨時福祉給付金返還金│ └──────────┘  支給決定後、支給要件に該当しないこと、あるいは、支給要件に該当しなく なったことが岐阜市に判明した場合、支給決定が取り消される。申請時に支給 要件該当性審査のため、岐阜市の税や手当等の公募等の確認や他の行政機関等 に資料提供を求めることの誓約同意をしてもらっており、情報の入手が可能と なっている。岐阜市要綱では、返還金に関する規定は存在しない。平成26年 度は、平成26年11月27日に160名、平成27年2月10日に1名、同月18 日に1名に対して支給取消決定が出され、「支給決定取消通知書兼返還請求書」 が該当者に送付された。同年度の返還請求理由(支給決定取消事由)は、次の とおりである。 【平成26年度】           (岐阜市提供資料) ┌───────────────────┬─────┐ │ 返還請求理由(支給決定取消事由)  │人数(人)│ ├───────────────────┼─────┤ │市民税課税者と判明          │    64│ ├───────────────────┼─────┤ │市民税課税者の扶養親族となったため  │    90│ ├───────────────────┼─────┤ │申請書不備のため(本人死亡)     │     2│ ├───────────────────┼─────┤ │既に臨時福祉給付金を支給済みのため  │     2│ ├───────────────────┼─────┤ │生活保護の被保護者であると判明したため│     1│ ├───────────────────┼─────┤ │支給決定日より前に死亡されたため   │     3│ ├───────────────────┼─────┤ │合 計                │    162│ └───────────────────┴─────┘ (2)債権の性質  私債権  臨時福祉給付金自体は民法上の贈与契約と解されており、その返還金も私債 権と解されている(事務連絡平成26年5月1日 厚生労働省簡素な給付措置 支給業務室 平成26年度臨時福祉給付金(簡素な給付措置)Q&A(平成26 年5月1日版)について 問1-4参照)。 (3)所管課  福祉部 福祉政策課  平成26年度、平成27年度ともに、臨時福祉給付金担当職員は正職員1名、 臨時職員含め最大で4名であった。返還金も担当している。 (4)臨時福祉給付金返還事務手続の流れ  返還がなされた時期により手続が2とおりとなる。  平成26年度の出納閉鎖日(平成27年5月31日)までに返還される場合は、 戻入手続(岐阜市会計規則第95条)による。出納閉鎖日までに返還されなか った場合は、平成27年6月1日、「雑入」として調定する(地方自治法施行令 第160条)。  平成26年度返還金については、44名(支給決定取消44名)が戻入手続に より返還され、118名が調定の対象となった。  ちなみに、平成27年度返還金については、34名が戻入手続により返還され、 129名が調定(平成28年6月1日)の対象となっている。 (5)平成27年度のデータ                 (単位:円) ┌──┬─────┬──┬────┬──┬───┬─────┬───┐ │年度│ 調定額 │件数│収入額 │件数│収納率│収入未済額│件数 │ ├──┼─────┼──┼────┼──┼───┼─────┼───┤ │H27│ 1,505,000│ 118│ 130,000│10件│ 9%│ 1,375,000│ 108件│ └──┴─────┴──┴────┴──┴───┴─────┴───┘ 2 監査の重点及び監査手続  福祉政策課は、平成27年度岐阜市債権管理調整会議担当課ではなく、本債 権は債権管理調整会議の取扱債権ではなかったが、調査票による照会の回答の
    結果、上記未収があることが判明した。  本監査の対象としている平成26年度臨時福祉給付金返還金自体は、1人あ たり1万円ないしは1万5千円と少額である。そのところ、返還金が発生し、 出納閉鎖日(平成27年5月31日)までに納入されず、平成27年度雑入とし て調定となったものについて、その収納率は上記(5)で述べたとおり「9%」 である。  本債権は、1人あたりの金額が少ないこと、そして、収納率の低さに特色が あり、どのような回収事務がなされているかに重点を置き監査を実施した。具 体的な監査手続としては、平成29年1月17日、福祉政策課担当者のヒアリン グを行った。併せて、関係資料を徴求し、閲覧した。 3 戻入・調定手続における納期限の定め 【事実関係】  返還義務者に対し、戻入手続段階では、「臨時福祉給付金支給決定取消通知 書兼返還請求書」に「返納金通知書兼領収書」を同封し、返還を求めている。  出納整理閉鎖日までに返還されずになされた調定手続段階では、「平成26 年度臨時福祉給付金の返還について」と題する書面に、「納入通知書兼領収書」 を同封し返還を求めている。しかし、いずれの書面においても納期限の定めは ない。 【規範】  地方自治法施行令第159条では、戻入手続は収入の例によるとされている。  岐阜市会計規則第32条第2項では、調定する場合には、法令等、契約その 他別に定めるものを除くほか、調定の日から20日以内において納期限を定め ることとされている。 【指摘 福祉政策課】  戻入、調定いずれの手続においても、納期限が定められていないが、地方自 治法施行令第159条で、戻入手続は、「収入の例による」とされており、岐阜 市会計規則第32条第2項による別の定めもないと考えられることから、戻入 手続の段階で、20日以内に納期限を定めるべきである。  納期限を定めなければ、次の措置に移ることができないし、期限を区切るこ とで返還を促す効果も考えられる。 4 督促状による督促 【事実関係】  戻入手続で返還しなかった者に対し、「平成26年度臨時福祉給付金の返還に ついて」と題する書面を送付しているが(納期限の定めがない納入通知書兼領 収書同封)、「督促状」と題する書面の送付はない。 【規範】  地方自治法施行令第171条によれば、履行期限までに履行しない者がある場 合は期限を指定した履行の督促が義務とされている。  岐阜市債権取扱規則第2条では、督促状(第1号様式)による督促が要求さ れている。 【指摘 福祉政策課】  明確性の見地より、督促は納期限を定めた督促状により行うべきである。 5 回収に向けた措置 【事実関係】  戻入、調定においてそれぞれ一度返還を求めているが、それ以降、回収に向 けた措置を全く講じていない。 【指摘 福祉政策課】  一度、書面を送付するだけで、回収に向けた措置を全く講じていないことは 問題である。調定に至った返還義務者は、返還請求から半年以上も返還をしな かった者であり(支給決定取消が平成26年11月27日、出納閉鎖日が平成27 年5月31日)、これらの者に対して、納期限も定めず書面を一度送るだけでは、 回収率を上げることは困難である。  平成26年度に支給取消決定により発生した返還金について、平成27年度未 収件数は108件ほどであるが、平成27年度に支給取消決定により発生した返 還金については、戻入手続で入らなかった分が平成28年6月1日に調定され ており、この部分の回収が加わる(平成29年1月23日現在12,000円の収入 とのこと)。  更に平成28年度に支給取消決定により発生した返還金も同様に平成29年6 月1日に調定されるので回収件数は年々増加する。  未収者に対し、再度書面にて請求したり、あるいは、電話による催告をした りするなど(臨時福祉給付金申請書には、住所のほか電話番号の記載もある)、 回収に向けてすることのできる措置は他にもあると思われる。  本件返還金は、1件あたりの金額は大きいものではないが、件数が多いため、 担当課内にて、早急に内部規程を作成するなどして、返還金の返還にかかる適 切な回収事務の取扱を策定し、実行に移すべきである。  内部規程に関しては、福祉政策課には、「岐阜市福祉資金における貸付金事 務の取扱いについて(平成20年9月1日決裁)」が定められている。債権の対 象、金額、連帯保証人の有無など違いがあるが、それは参考になろう。 第20 成年後見手数料事務処理費用(高齢福祉課) 1 債権の概要 (1)内容及び根拠  岐阜市では、高齢者に関して「その福祉を図るため特に必要があると認める とき」に成年後見等開始審判の申立てをしている(いわゆる市町村長申立制度。 老人福祉法第32条)。この申立ての際には、市が収入印紙や郵便切手代等の費 用を支出することとなるが、家事事件手続法第28条第2項第2号の費用負担 審判により、本人負担となりうる。かかる審判がなされた後には、こうした実 費について、選任された(専門職)後見人に対して、市が請求することになる。  これが、岐阜市で発生している成年後見手数料事務処理費用である。 (2)債権の性質  私債権 (3)所管課  福祉部 福祉事務所 高齢福祉課 (4)直近5年度のデータ               (単位:円) ┌─────┬────┬────┬───┬─────┬─────┐ │ 年度  │調定額 │収入額 │収納率│不納欠損額│収入未済額│ ├──┬──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 17,440│ 17,440│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H25│繰越│  6,210│    0│  0%│     0│   6,210│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 23,650│ 17,440│73.7%│     0│   6,210│
    ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 63,277│ 63,277│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H26│繰越│  6,210│    0│  0%│     0│   6,210│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 69,487│ 63,277│91.1%│     0│   6,210│ ├──┼──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │現年│ 120,881│ 120,881│ 100%│     0│     0│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │H27│繰越│  6,210│    0│  0%│     0│   6,210│ │  ├──┼────┼────┼───┼─────┼─────┤ │  │合計│ 127,091│ 120,881│95.1%│     0│   6,210│ └──┴──┴────┴────┴───┴─────┴─────┘ 2 監査の重点及び監査手続  当該債権の特筆すべき点として、発生する手数料事務処理費用は、弁護士や 社会福祉士などの専門職後見人に請求することとなるため、確実な支払いを期 待でき、基本的には未収金が発生しにないという点にある。もっとも、上記表 からわかるとおり、平成22年度に発生した未収金6,210円が回収できず、管 理し続けている状態となっている。  かかる事案について、適正な管理・回収手続がなされているか監査するべく、 担当職員に対してヒアリングを実施した。 3 徴収停止 【事案】  成年後見開始審判後、まもなく、被後見人たる本人が死亡した。  後見人は、本人の死亡により、その権限を失い、財産管理権は相続人に引き 継がれた。  そこで、岐阜市は、相続人調査の上、手数料事務処理費用を相続人に電話請 求したが、支払いがない。 【規範】  地方自治法施行令第171条の5、岐阜市債権取扱規則第9条では、徴収の停 止について、規定している。 【意見 高齢福祉課】  債権額が少額ではあるが、まずは、電話請求だけではなく、文書催告など回 収措置を講じる必要はあろう。ただし、金額からみて、実際に法的手続きを利 用して回収することは現実的ではない事案と考える。  回収措置の結果如何では、徴収停止手続をとることを検討することが望まし い。 第6章 岐阜市債権管理調整会議 第1 本章の概要  第1章では、岐阜市の債権の現状について報告した。本監査において対象と する「岐阜市の債権」がどのようなものであるかについて報告した。その上で、 第2章では、岐阜市の債権に関する基本的事務の流れを示し、事務ごとの監査 項目について説明を付して報告した。  第3章から第5章では、第2章を踏まえ、個別債権を報告した。  引き続いての本章では、岐阜市債権管理調整会議を報告する。同会議は、岐 阜市債権管理条例及び同施行規則を根拠として設置された会議体であり、岐阜 市債権事務の全体像を把握し、適正に管理するための体制として、重要な地位 を占めるはずの会議体である。全庁的にみて、岐阜市が債権についてどのよう な取組をしてきたのかにつき、報告することとなる。  本章では、まず「第2」において、岐阜市債権管理調整会議の概要を報告し、 「第3」において、岐阜市債権管理調整会議にかかる監査の重点及び監査手続 を示す。そして、「第4」以下において、本会議にかかる事実関係及び指摘・ 意見を報告する。 第2 岐阜市債権管理調整会議の概要 1 設置根拠  岐阜市債権管理条例(平成23年3月30日条例第10号)及び岐阜市債権管 理条例施行規則(平成23年3月30日規則第7号)に設置根拠がある。  条例及び施行規則は、いずれも平成23年4月1日から施行されているが、 条例第5条は、「市長等は、市の債権に関する事務の状況を的確に把握すると ともに、市の債権を適正に管理するための体制を整備するものとする。」と規 定し、施行規則第2条は、「条例第5条に規定する体制を整備するため、岐阜 市債権管理調整会議を置く」と規定する。 2 設置経緯(「岐阜市債権管理条例の制定及び岐阜市債権管理プロジェクト チームの設置」) (1)岐阜市債権管理条例の制定  平成23年1月18日に決裁された岐阜市債権管理条例の制定に関する決 裁資料が存在する(起案担当:財政部財政課)。本会議を理解する上でも重 要であるが、岐阜市の債権にかかる事務を検証するにおいても、極めて重 要な記載が多く含まれていたので、ここで紹介する。  なお、以下は、監査人にて、必要性を考慮して、資料の記載を抜粋した ものである。そのため、すべて重要なものと考えているが、その中でも特 に重要と思われる部分については、下線を引いている。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │【岐阜市債権管理条例の制定について】                        │ │(主旨)                                      │ │債権管理の適正化を図るため                             │ │                                          │ │(目的・理由)                                   │ │・本市財政運営及び市民負担の公平性の確保において、徴収率の向上・滞納額の削減は重要 │ │          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │ │・未収債権については事務処理の基準を明確にすることで徴収・管理事務の合理化・効率化 │ │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │を図る必要                                     │ │ ̄↓                                        │ │債権管理の適正化を期するため、市の債権管理の包括的な指針として、条例を制定     │ │                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │ │(背景)                                      │ │1)決算審査における指摘                               │
    │2)平成20年度包括外部監査報告書(テーマ「未収金、貸付金及び債務保証」)の意見等   │ │3)実務上のニーズ 特に私法上の債権については、支払督促や不納欠損処分などの対応が明 │ │          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ │ │確でなく、担当課において苦慮しており、事務の拠り所となる指針等の必要性を感じている。│ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       │ │(内容)                                      │ │1)市の債権の適正な管理(第4条、第5条関係)                    │ │2)権利放棄の明確化(第6条、第7条)                        │ │                                          │ │(効果)                                      │ │1)庁内体制の整備による                               │ │・債権管理における目標・問題点等の共通認識や情報共有の促進             │ │・全庁的な研修等を通じた担当職員の徴収スキルの強化                 │ │2)権利放棄の明確化による                              │ │・債権管理事務の合理化、効率化                           │ │・回収不能な債権の整理に伴う徴収事務の円滑化                    │ │                                          │ │(条例制定後の課題)                                │ │●ノウハウの蓄積、共有                               │ │●定期的な見直し 条例、及びそれに関わる規定等の見直しを定期的に行う必要がある。  │ │          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │●債務情報の共有化 地方税の例による滞納処分ができる債権は、国税徴収法第141条、第  │ │142条が適用され、債務者に関する情報の共有化が可能、私債権においては情報共有化が困  │ │                           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │難。市として合理的、効果的な徴収事務を進めるため、他市の状況を踏まえ、可能性につい │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │ │て研究していく必要。                                │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                                │ └──────────────────────────────────────────┘ (2)岐阜市債権管理プロジェクトチームの設置   会議が設置される以前に「岐阜市債権管理プロジェクトチーム」が設置  された。   岐阜市債権管理プロジェクトチーム要領(平成23年2月23日決裁)に  よれば、次のとおりである。   岐阜市債権管理条例(案)第5条の規定により設置を予定する岐阜市債  権管理調整会議(仮称)の準備組織として、「岐阜市債権プロジェクトチー  ム」を設置することとなった(第1条)。   この要領において、市の債権とは市が有するすべての金銭債権(市税を             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  含む。)をいうこと、市の債権の管理及び回収を担当する課として債権管理   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  担当課と名付けること(第2条)、組織としては、債権管理担当課、財政課  及び行政課の担当者により組織すること、プロジェクトチームは財政課長  が務めること(第3条)、債権管理調整会議の組織に関すること、債権管理  調整会議の運営に関すること、その他債権管理調整会議に関することを協  議すること(第4条)、事務局を財政部税制課に置くこととされた(第5条)。 (3)岐阜市債権管理プロジェクトチーム会議の開催   平成23年3月1日、要領第2条で定める債権管理担当者が出席する債権  管理プロジェクトチーム会議が開催された。会議次第には、「岐阜市債権管  理の現状について」、「延滞金の取扱について」、「岐阜市債権管理調整会議  (仮称)についての設置目的、構成(案)、検討課題」、「今後の予定」の記  載がなされていた。   以上の経緯を経て、岐阜市債権管理調整会議が設置されることとなった。 3 組織及び運営 (1)趣旨   岐阜市債権管理調整会議要綱(平成23年5月10日決裁 最終平成28年  5月23日改正)で、債権管理調整会議の組織及び運営に関し必要な事項が  定められている。 (2)所掌事項(第2条)   要綱第2条では、次に掲げる事項を所掌すると規定されている。 ┌─────────────────────────────────┐ │(1) 市の債権管理に関する情報の共有化に関すること         │ │(2) 市の債権回収の強化に関すること                │ │(3) 前2号に掲げるもののほか、市の債権の管理の適正化に関すること │ └─────────────────────────────────┘ (3)組織等(第3条)   委員長及び委員をもって組織し(第1項)、委員長は債権回収審議監をも  って充てるとされ(第2項)、委員は別表に定める市の債権の管理及び回収  を担当する課の課長職が充てられ(第3項)、委員長は調整会議を代表し、  会務を総理するとされている(第4項)。債権回収審議監は、岐阜市処務規  則第6条第3項による特別の職である。職務内容は、上司の命を受け、債  権回収に関する事務を掌理し、部又は課等の職員を指揮監督する職務であ  る。平成27年度は「税務審議監兼債権回収審議監」が、平成28年度は納  税課長がその職にあたっている。 (4)会議(第4条)   会議は委員長が招集、議長となり(第1項)、出席委員は債権管理の状況  を考慮のうえ委員長が指名し(第2項)、必要があると認めるときは、委員  以外の者に会議への出席を求め、意見を聴くことができるとされている(第  3項)。 (5)オブザーバー(第5条)   会議に出席させ、意見を求めることができる課の担当者としては、財政  課及び行政課がある。 (6)検討部会(第6条)   第2条に掲げる事項を調査し、及び研究するため、調整会議に検討部会  を置くとされている。 (7)事務局(第7条)   事務局は財政部税制課である(平成27年度まで)。なお、平成28年度か  らは、要綱上、「事務局」ではなく「庶務」とされ、財政部で処理するとさ  れた。 【岐阜市債権管理調整会議組織図】
    第3 監査の重点及び監査手続  岐阜市債権管理調整会議の制定趣旨・目的を重視し、これらに照らし、同会 議が適切に運営されているか否かを監査した。  具体的な監査手続としては、平成27年度同会議の事務局であった税制課及 び平成28年度の庶務である納税課担当者に対するヒアリングを実施し(平成 28年6月16日、同年12月19日)、併せて、必要書類を徴求、閲覧した。  また、平成28年7月19日に開催された第1回債権管理調整会議、同11月 9日に開催された第1回検討部会、平成29年1月18日に実施された研修会に、 オブザーバーとして出席し、傍聴した。 第4 岐阜市の債権の把握 【事実関係】  岐阜市債権管理調整会議事務局において、岐阜市債権管理条例第2条の定め る「市の債権」について、その定義以上には何を指すのかについて明確な回答 はなく、全庁的な具体的事実関係が把握されていなかった。本監査における債 権調査票による照会にて、全庁的に平成27年度の取扱債権の回答を得たが、 抽出漏れや分類が不明確な点等、課題が見受けられた(第1章 第3の3参照)。 【規範】  岐阜市債権管理条例第5条は、「市長等は、市の債権に関する事務の状況を 的確に把握するとともに、市の債権を適正に管理するための体制を整備するも のとする。」と規定する。会議設置前のプロジェクト要領第2条では、市の債 権とは、「市が有するすべての金銭債権(市税を含む。)をいう」と規定されて       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ いた。 【指摘 税制課、納税課】  市の債権を適正に管理する前提として、市の債権に関する事務の状況を的確 に把握することが必要である。更にその前提として、「市の債権」として具体 的にどのようなものが存在するかを把握しておくべきである。  対象の全体像を明らかにすることで、適正に管理すべき債権を的確に抽出す ることが可能となる。今回の債権調査票による回答を参考にすれば、岐阜市の 債権の全体像を明らかにすることは可能と思われる。 第5 担当課及び取扱債権 1 担当課及び取扱債権の実態(前提事実)  債権管理調整会議担当課及び取扱債権を整理すると、次表のとおりである。  債権管理調整会議では、債権の区分として、「強制徴収公債権」、「非強制徴 収公債権」、「私債権」に分けている。なお、債権管理調整会議は平成23年度 に創設されており、創設以降、取扱債権からはずれた債権については塗りつぶ しにより判るように記載した。  ヒアリングによれば、債権管理調整会議の担当課は、決算附属書類の未収金 において、恒常的に金額の多いものから選抜したとのことであった。 ┌─┬────────┬────────────────────┬─────────────┐ │ │   節    │        債権名         │     担当課     │ ├─┼────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │市税                           │納税課          │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │ │児童福祉費負担金│保育所運営費負担金           │子ども保育課       │ │ │        │                    │(H25まで保育事業課)   │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │道路橋梁使用料 │道路占用料               │土木管理課        │ │ ├────────┼────────────────────┤             │ │ │河川水路使用料 │水路占用料               │             │ │ ├────────┴────────────────────┼─────────────┤ │強│国民健康保険料                      │国保・年金課       │ │制├─────────────────────────────┼─────────────┤ │徴│介護保険料                        │介護保険課        │ │収├─────────────────────────────┼─────────────┤ │公│後期高齢者医療保険料                   │福祉医療課        │ │債├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │権│過料      │まちを美しくする条例過料        │循環型社会推進課     │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │弁償金     │産業廃棄物不法投棄弁償金        │産業廃棄物特別対策課(H28 │ │ │        │(行政代執行に係る費用請求分)     │より環境事業政策課)   │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │清算金収入   │島土地区画整理事業清算金(H24まで)  │区画整理課        │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │下水道事業   │下水料金                │営業課(上下水道事業部) │ │ │        ├────────────────────┤             │ │ │        │受益者負担金              │             │ ├─┼────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │生活保護費返還金(H25~)                 │生活福祉一課       │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │ │社会福祉費負担金│知的障害者支援施設支援費負担金(H24  │障がい福祉課(日野恵光) │ │ │        │まで)                 │             │ │非│        ├────────────────────┼─────────────┤ │強│        │老人保護措置費負担金          │高齢福祉課        │ │制├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │徴│社会福祉使用料 │障害者支援施設使用料(H24まで)    │障がい福祉課(第二恵光) │ │収├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │公│住宅使用料   │住宅使用料               │住宅課          │ │債│        ├────────────────────┤             │ │権│        │自動車保管場所使用料          │             │ │ │        ├────────────────────┤             │ │ │        │施設使用料               │             │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │都市建設使用料 │レンタサイクル使用料          │歴史まちづくり課     │ │ ├────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │公園使用料(~H23まで)                 │公園整備課        │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │ │環境事業手数料 │産業廃棄物処理手数料          │環境事業課        │ │ │        ├────────────────────┤             │ │ │        │し尿処理手数料             │             │
    │ ├────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │子ども手当返還金(H24、H26~)              │子ども支援課       │ │ ├─────────────────────────────┤(H25までは子ども家庭課) │ │ │児童扶養手当返還金(H24~)               │             │ │ ├─────────────────────────────┤             │ │ │児童手当返還金(H24~)                 │             │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │ │中央卸売市場  │市場使用料(電気、水道使用料を除く)  │中央卸売市場       │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │民生費雑費   │施設利用者食事代(H25~)        │第二恵光         │ ├─┼────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │保健衛生使用料 │休日急病診療所使用料(~H24まで)   │健康増進課        │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │社会福祉費貸付金│福祉資金貸付金             │生活福祉一課(H26までは福 │ │ │        │                    │祉政策課)        │ │ │        ├────────────────────┼─────────────┤ │ │        │災害擁護資金貸付金(~H23まで)    │福祉政策課        │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │市民参画費貸付金│同和向個人住宅建築資金貸付金      │人権啓発センター     │ │ │        ├────────────────────┤             │ │ │        │住宅建築資金貸付金           │             │ │ ├────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │母子父子寡婦福祉資金貸付金(H26までは母子寡婦福祉資金貸付 │子ども支援課(H25までは子│ │ │金)                           │ども家庭課、教育政策課) │ │ ├─────────────────────────────┤             │ │ │育英資金貸付金元金収入                  │             │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │私│水道事業    │水道料金                │営業課(上下水道事業部) │ │債├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │権│病院事業    │病院医業収益              │医事課          │ │ ├────────┴────────────────────┼─────────────┤ │ │土地建物貸付収入                     │管財課、住宅課      │ │ ├────────┬────────────────────┼─────────────┤ │ │弁償金     │職員住宅使用弁償金(~H24まで)     │職員厚生課        │ │ │        ├────────────────────┼─────────────┤ │ │        │公営住宅使用弁償金           │住宅課          │ │ │        ├────────────────────┼─────────────┤ │ │        │産業廃棄物不法投棄弁償金(民法上の事務 │産業廃棄物特別対策課   │ │ │        │管理費及び不法行為の損害賠償)     │             │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │住宅雑入    │市営住宅退去修繕料(H26~)       │住宅課          │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │教育費雑費   │留守家庭児童会事業実費負担額(H27~放 │青少年教育課       │ │ │        │課後児童クラブ事業実費負担金)     │             │ │ ├────────┼────────────────────┼─────────────┤ │ │中央卸売市場  │市場使用料(電気料)          │市場使用料(水道使用料) │ │ │        ├────────────────────┤             │ │ │        │中央卸売市場              │             │ └─┴────────┴────────────────────┴─────────────┘ 2 担当課及び取扱債権以外の未収金の存在  「第1章 第6 岐阜市の未収債権 3」でも報告したが、平成25年度か ら平成27年度の直近3年度において未収金があると回答した課及び債権が他 に複数ある。  岐阜市債権管理調整会議で取扱債権とされていない未収金は、具体的には、 次表のとおりである。岐阜市債権管理調整会議担当課以外の課は太字で記した。  債権管理調整会議事務局である税制課、納税課においては、これらの未収金 を把握していなかった。 【調査票の回答結果より】 ┌─────────┬─────────────────┬──────────────────┐ │   担当課   │    非強制徴収公債権     │       私債権        │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │ 管財課     │                 │□使用損害金            │ │         │                 │□弁償金              │ │         │                 │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │国保・年金課   │□返納金             │□第三者行為損害賠償金       │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │福祉政策課    │                 │□臨時福祉給付金返還金       │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │介護保険課    │□介護報酬の不正請求についての  │                  │ │         │ 返還金・加算金(本報告では第3 │                  │ │         │ 章第13 強制徴収公債権として  │                  │ │         │ 報告)             │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │子ども支援課   │□高等技能訓練支援促進費返還金  │                  │ │         │□子育て世帯臨時特例給付金    │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │恵光学園     │□恵光学園施設使用料(ただし、H27 │□施設利用者給食費         │ │         │ は未収金なし)         │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │第三恵光     │                 │□食費等サービス利用料金(短期入所)│ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │高齢福祉課    │                 │□雑入(成年後見手数料返還金)   │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │福祉医療課    │□福祉医療助成に関する返還金   │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │自然環境課    │                 │□事務管理費用償還請求権(ただし、 │ │         │                 │ H26までは環境事業政策課の事務管  │ │         │                 │ 理費用として会議に顕出されてい  │ │         │                 │ た。H27年度は漏れていた)     │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │斎苑       │                 │□雑入               │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │環境事業政策課  │                 │□火災事故弁償金          │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │歴史まちづくり課 │                 │□損害賠償請求権          │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │営業課(計測係) │                 │□水道メーター 鉄蓋代金(ただし  │
    │         │                 │ H27は未収金なし)         │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │薬科大学事務局  │□岐阜薬科大学授業料       │                  │ │庶務会計課    │                 │                  │ ├─────────┼─────────────────┼──────────────────┤ │女子短期大学事務局│□岐阜市立女子短期大学授業料   │                  │ │総務管理課    │                 │                  │ └─────────┴─────────────────┴──────────────────┘ 【規範】  岐阜市債権管理条例第5条は、「市長等は、市の債権に関する事務の状況を 的確に把握するとともに、市の債権を適正に管理するための体制を整備するも のとする。」と規定する。岐阜市債権管理調整会議要項第3条第3項では、「委 員は別表に定める市の債権の管理及び回収を担当する課(以下「債権管理担当 課」)の課長の職にある者をもって充てる」とされている。 【意見 税制課、納税課】  上記事実関係の表において太字で掲載した課は、要綱の別表に定められてい ない。  しかし、これらの課において、現実に未収が発生している以上、他の債権担 当課と別に扱う合理的な理由があるかを検討する必要があろう。  今回、未収金のある債権管理担当課以外の課の中から、福祉政策課、斎苑、 岐阜市立女子短期大学、岐阜薬科大学等を別途ヒアリングし、個別債権として 報告をしたが、いずれも債権の取扱事務に課題が見られた(該当部分参照)。  岐阜市債権管理調整会議は、市の債権を適正に管理するための体制であると ころ、未収が発生するものについては、特にその適正な管理が求められるもの である。  今後は、毎年度、決算における未収金取扱部署がないかを確認するなどして 実態を把握し、必要性を判断の上で、担当課に含めるか否かを検討することが 望ましい。 3 産業廃棄物処理手数料(環境事業課) 【事実関係】  上記のとおり、債権管理調整会議に含まれていない未収金取扱課がある一方 で、平成23年度以降、全く未収がなく、収納率100%が続いている環境事業 課の産業廃棄物処理手数料が取扱債権として残されたままであった。 【指摘 税制課、納税課】  当該債権を会議の取扱債権として残し続ける合理的な理由を見出すことは できない。過去5年度全く未収のない産業廃棄物処理手数料については、取扱 債権から削除すべきである。 4 取扱債権の分類 【事実関係】  第二恵光の食費等サービス利用料金が非強制徴収公債権に分類されていた。 平成28年度第1回債権管理調整会議の会議資料、第1回検討部会の会議資料 においても同様であった。担当課の認識では私債権であるとのことである。  また、生活保護法第78条による生活保護返還金は生活保護法改正により、 平成26年7月1日以降に支弁した保護費にかかるものは強制徴収公債権とさ れた。そして、債権調査票の回答では、生活福祉一課は強制徴収公債権として 回答していたが、いまだに会議においては、非強制徴収公債権として分類され ているのみである。 【指摘 税制課、納税課】  債権の分類により、債権管理方法に違いが生じるため、その分類を誤ること は影響が大きい。会議において、取扱債権は正確に分類すべきである。 第6 債権管理調整会議取扱債権のデータ 1 データ(前提事実)  会議では、毎年度決算における取扱債権合計額を集積しているが、平成22 年度以降の数値は、次のとおりとされている。                         (岐阜市債権管理調整会議資料による)                                    (単位:千円) ┌─────┬───────┬───────┬────┬──────┬──────┐ │ 年度  │  調定額  │  収入額  │収納率 │不納欠損額 │収入未済額 │ ├──┬──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H22 │現年│  113,949,418│  109,142,216│  95.8%│   11,363│  4,822,221│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │繰越│  13,492,553│   2,701,937│  20.0%│  1,767,612│  9,016,248│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  127,441,971│  111,844,153│  87.8%│  1,778,975│ 13,838,469│ ├──┼──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H23 │現年│  115,929,858│  110,422,510│  95.2%│    9,158│  5,536,589│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │繰越│  13,861,415│   2,085,079│  15.0%│  1,654,635│ 10,121,815│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  129,791,273│  112,507,589│  86.7%│  1,663,793│ 15,658,404│ ├──┼──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H24 │現年│  116,300,686│  111,195,594│  95.6%│    9,732│  5,120,198│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │繰越│  15,648,882│   2,161,314│  13.8%│  1,755,684│ 11,731,736│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  131,949,594│  113,356,908│  85.9%│  1,765,758│ 16,851,960│ ├──┼──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H25 │現年│  115,583,225│  111,005,369│  96.0%│   16,842│  4,574,374│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │繰越│  16,846,862│   2,008,390│  11.9%│  1,752,957│ 13,203,131│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  132,424,781│  113,008,452│  85.3%│  1,771,183│ 17,777,504│ ├──┼──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H26 │現年│  115,610,332│  112,696,586│  97.5%│    8,448│  2,945,071│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │繰越│ 17,759,471││   2,085,591│  11.7%│  1,431,096│ 14,258,614│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  133,364,385│  114,776,759│  86.1%│  1,439,544│ 17,203,685│ ├──┼──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │H27 │現年│  120,203,207│  116,060,841│  96.6%│   10,910│  4,131,456│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤
    │  │繰越│  17,195,391│   2,141,975│  12.5%│  1,590,635│ 13,462,780│ │  ├──┼───────┼───────┼────┼──────┼──────┤ │  │合計│  137,393,358│  118,197,577│  86.0%│  1,601,545│ 17,594,236│ └──┴──┴───────┴───────┴────┴──────┴──────┘ 2 データの問題点 【事実関係】  債権管理調整会議担当課の取扱債権については、毎年度決算において、取扱 債権ごとにデータとして実績が報告され、その合計額は上記のとおり集計され ていた。各担当課の個別取扱債権について千円単位でのデータを提出させてお り、合計も千円単位での集積であった(本報告書では、1円単位で記載してい る)。しかしながら、データを集積するにあたり、税制課(平成28年度は納税 課)から、各担当課に対し、千円未満の単位につき、切り捨てるか、切り上げ るか、四捨五入とするかなどの指示はなされていない。  また、この中には、公営企業会計が採用される課が含まれているが(営業課、 医事課、中央卸売市場)、これらには出納整理期間(4月1日~5月31日)が なく、他の会計のものと収入未済額の意味合いが異なる。  このあたり修正を加えるか否かの指示もなされていない。例えば、平成27 年度の中央卸売市場は、数値を当年度3月31日現在で報告をしているが、ヒ アリングによれば、以前は5月31日に修正していた数値を提出していたとの ことであった。 【規範】  岐阜市債権管理調整会議要綱第2条においては、債権管理調整会議の所掌と して、(1)市の債権管理に関する情報の共有化に関することとの規定がある。 【意見 税制課、納税課】  共有する情報としてのデータは、可能な限り正確性を担保する必要がある。  千円単位未満の値は、大勢に影響はないといえなくもないが、各課において 扱いが区々であれば、不正確となる(今回の監査報告では、1円単位でデータ を掲載している)。  また、公営企業会計が採用される営業課、医事課、中央卸売市場は、出納整 理期間という概念がない。3月末の未収を上げるとすると同時点で納期限未到 来のものも未収にカウントされ、実際よりも未収額が多くなる。  一般会計、特別会計にかかる債権との比較で用いるのであれば、少なくとも この事実を認識し、基準時の修正をするか否かなどの検討が必要であろう。  全担当課において、統一的な基準のもとにデータが集積されるように、事務 局にて、担当課に対し、データ集積方法を具体的に指示することが望ましい。 第7 会議及び検討部会の実際 1 会議及び検討部会の開催状況及び議事内容 【事実関係】 ┌──┐ │会議│ └──┘  平成23年度から平成28年度(平成29年1月現在)までの会議の実施回数 及び議事次第記載の議事内容は、次のとおりである。 ┌────┬───┬─────────────────────────────────┐ │ 日付 │回数 │          債権管理調整会議議事次第           │ ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H23年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │5.23  │第1回│1 債権管理条例について                     │ │    │   │2 検討部会について                       │ │    │   │3 今後の検討事項について (1)各債権の状況          │ │    │   │              (2)債権回収基本方針        │ │    │   │              (3)延滞金の取扱          │ │    │   │              (4)債権放棄            │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │8.24  │第2回│1 平成23年度債権回収計画について                │ │    │   │・市税:調査対象金融機関の拡大、車両差押の準備          │ │    │   │・国民健康保険料:財産調査件数を拡大し、悪質な滞納者は差押を実施。│ │    │   │・水道料金:納付誓約不履行者に対し即時給水停止を実施       │ │    │   │・下水料金:差押を実施する。                   │ │    │   │・病院医業収益:未収金台帳システムの整備、債権回収会社の導入検討 │ │    │   │2 延滞金の取扱いについて                    │ │    │   │○市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例の適用について │ │    │   │○利率等の統一について                      │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │11.18  │第3回│1 平成23年度の債権回収状況について               │ │    │   │2 延滞金の取扱いについて                    │ │    │   │○延滞金条例の改正                        │ │    │   │3 債権放棄について                       │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │2.24  │第4回│1 債権放棄について                       │ │    │   │○債権放棄の運用基準について(検討部会での検討結果)       │ │    │   │・2号にいう破産法その他法令の規定には、民事再生法、会社法等により│ │    │   │法人が破産により解散し債務を免れた場合も含まれる。        │ │    │   │・3号の時効について、同一債権に時効到来分と未到来分がある場合は放│ │    │   │棄を保留する。                          │ │    │   │・5号にいう行方不明とは、行方不明の状態が3年以上継続しているもの│ │    │   │とする。                             │ │    │   │○債権放棄事例について                      │ │    │   │○今後の予定について                       │ ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H24年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │7.27  │第1回│1 平成23年度実績報告及び平成24年度実施計画について       │ │    │   │2 債権放棄について                       │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │8.22  │第2回│債権放棄の議会報告について                    │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │11.13  │第3回│平成24年度の債権回収対策の状況について              │ │    │   │○債権別の回収実績(中間報告)                  │ │    │   │○24年度の回収対策の実施状況                   │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │2.19  │第4回│1 平成24年度の債権放棄について                 │ │    │   │2 延滞金の取り扱いについて                   │
    ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H25年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │4.15  │第1回│1 平成25年度税制改正(延滞金割合の見直し)について       │ │    │   │2 市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例の改正について│ │    │   │3 関連条例の改正について                    │ │    │   │4 その他                            │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │5.23  │第2回│1 延滞金の取扱について                     │ │    │   │(1)前回の会議後の経過                     │ │    │   │(2)徴収の実施について                     │ │    │   │(3)減免について                        │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │7.1   │第3回│1 平成24年度の実績及び平成25年度債権回収計画について      │ │    │   │2 債権放棄について                       │ │    │   │3 その他                            │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │11.11  │第4回│1 平成25年度の債権回収対策の状況について            │ │    │   │2 延滞金の取扱について                     │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │2.7   │第5回│債権の放棄について                        │ ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H26年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │7.3   │第1回│1 平成25年度実績及びH26年度の債権回収対策について        │ │    │   │2 債権放棄について                       │ │    │   │3 平成25年度包括外部監査における滞納整理に関する指摘について  │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │11.17  │第2回│1 平成26年度の債権回収対策の状況について            │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │2.24  │第3回│1 平成26年度の債権放棄について                 │ │    │   │2 その他                            │ ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H27年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │7.1   │第1回│(1)平成26年度実績及び平成27年度の債権回収対策について     │ │    │   │(2)債権放棄について                      │ │    │   │(3)その他                           │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │11.17  │第2回│(1)平成27年度の債権回収対策の状況について           │ │    │   │○債権別の回収実績(中間報告)                  │ │    │   │○平成27年度の回収対策の実施状況                 │ ├────┼───┼─────────────────────────────────┤ │2.23  │第3回│1 平成27年度の債権放棄について                 │ │    │   │2 その他 (1)消滅時効の起算日について            │ │    │   │      (2)債権取扱規則の改正について           │ ├────┴───┴─────────────────────────────────┤ │H28年度                                       │ ├────┬───┬─────────────────────────────────┤ │7.1   │第1回│1 平成27年度実績及び平成28年度の債権回収対策について      │ │    │   │2 債権放棄について                       │ │    │   │3 滞納者記録簿の運用状況及び今後の債権回収強化について     │ │    │   │4 その他                            │ └────┴───┴─────────────────────────────────┘ ┌────┐ │検討部会│ └────┘  検討部会は、平成23年度に5回、平成24年度に2回、平成25年度に3回 開催された。  平成26年度、平成27年度はそれぞれ1回ずつ開催された(平成27年度は 平成28年2月3日開催)。いずれも議題は債権放棄についてであった。  平成28年度は、平成28年11月9日に開催され、債権回収にかかる中間報 告と債権回収業務の課題が議題とされた。 【規範】  岐阜市債権管理調整会議要綱第6条第1項では、第2条に掲げる事項(市の 債権管理に関する情報の共有化に関すること、市の債権回収の強化に関するこ と、前2号に掲げるもののほか、市の債権の管理の適正化に関すること)を調 査し、及び、研究するために検討部会を設置するとされている。 【意見 税制課、納税課(改善報告)】  会議は、時間的に、実質的な議論をすることは想定されていないと思われる。 そこで、検討部会の設置を要綱で定め、調査、研究を委ねたものであろう。  債権に関する事務に関し実質的な議論をするために、検討部会を積極的に開 催し、議論内容も債権放棄だけではなく、債権回収の強化も含めて、もっと活 発に利用することが望ましい。この点、平成28年度は、検討部会にて、債権 回収業務における課題を議論しているようで、平成26、27年度と比較し、対 象の幅は広がったと思われる。今後も継続されたい。 2 議事録の作成 【事実関係】  会議及び検討部会の議事録を徴求したところ、次のとおりであった。  平成27年度の岐阜市債権管理調整会議は3回開催されたが、この内、議事 録は1回しか作成されていないとのことであった。平成25年度開催された5 回の会議、平成26年度開催された3回の会議はいずれも議事録が作成されて いた。また、検討部会については、平成23年度の第1回、第2回、平成25 年度の第1回、第2回の議事録の提出がなかった。 【規範】  岐阜市文書取扱規則第3条は、「事務の処理は、文書によって行うことを原則 とする」と規定している。 【指摘 税制課、納税課】  議事録がなければ、後から何をしたのか振り返ることが困難となる。多数の 部署から責任者らが時間を割いて集まる会議、部会である。議事録に書くよう なことがないというような会議内容ではないと思われる(議事録に記載するこ とがない会議では、意味がない会議である。)。すべての会議・検討部会におい て、会議録を作成し、残しておくべきである。 3 督促手数料及び延滞金の徴収状況の検証 【事実関係】  市税以外の諸納付金にかかる督促手数料及び延滞金徴収条例について、平成 23年度から平成25年度にかけて会議の議事次第として挙げられている。議事
    録によれば、平成25年度において延滞金の減免の規定の整備にも言及されて いる。その後、条例改正に至った(平成26年1月1日施行)。  しかしながら、条例改正後の各担当課における督促手数料及び延滞金徴収の 実績については、会議においてデータとして集積されていない。  条例改正後、各担当課にて督促手数料及び延滞金の徴収事務がどのように執 行されているか不明のままであった。よって、条例の改正により、新設された 減免手続の適用の有無も不明のままであった。  本監査における個別債権でも報告したが、督促手数料及び延滞金の徴収をし ていない課の存在が判明した。 【規範】  岐阜市債権管理調整会議要綱第2条において、調整会議は、次に掲げる事項 を所掌するとして、(1)市の債権管理に関する情報の共有化に関すること、 (2)市の債権回収の強化に関すること、(3)前2号に掲げるもののほか、 市の債権管理の適正化に関することとされている。 【指摘 税制課、納税課】  督促手数料及び延滞金の徴収は、特に債権回収の強化に関することに関わる。  また、納期限までに納付する住民との公平性という観点からも重要な事務で ある。  会議で議題として取り上げられているが、会議の存在意義からすれば、実際 に各課が適正に管理しているかまで把握する必要がある。複数年度にわたり議 論したということは、重要な事項と認識してのものであろう。  本債権と同様に、それに付随する督促手数料及び延滞金の徴収実績を確認す べく、担当課よりデータを集積し、その上で、担当課において督促手数料及び 延滞金徴収事務が適正になされているかを確認すべきである。 4 消滅時効管理の適正化に向けた取組み 【事実関係】  平成27年度第1回調整会議において、担当課に債権徴収対策の状況の報告 が求められていたが、その資料中、「時効の起算日」の記載欄があった。督促 期限の翌日から起算としている課、督促状発送日の翌日から起算としている課、 納期限の翌日から起算としている課、そもそも何も記載がない課、時効の起算 点ではなく時効期間を記載する課など、各課ばらばらであった。  同第3回調整会議の会議録によると、督促に時効中断効があり、消滅時効の 起算日がずれること、当初の納入通知書の納期限の翌日とは異なるので事務取 扱に注意されたいとの記述がある。しかしながら、本監査の調査票の回答、あ るいは、ヒアリングの回答において、各課担当職員の時効の起算にかかる認識 に誤りがあることが判明した。 【規範】  岐阜市債権管理調整会議要綱第2条において、調整会議は、「(3)前2号に 掲げるもののほか、市の債権管理の適正化に関すること」を所掌することとさ れている。 【指摘 税制課、納税課】  時効管理は債権管理にとって重要な事務である。その知識が不正確なままで は適正な債権管理はできない。  会議においては、時効の起算点等、時効にかかる概念を整理の上(1)時効の 当初起算点、2)時効の中断事由・時期(督促、債務承認、一部弁済など)、3) 時効期間(解釈による部分も含む))、担当課に対して、正確な情報を提供し、 正確な情報による債権管理を徹底させるべきである。 5 事務手続根拠の情報提供・共有及び管理の適正化に向けた取組み 【事実関係】  岐阜市債権取扱規則は、督促、保証人に対する履行の請求などの回収措置や 徴収停止、履行延期の特約等などの回収緩和措置であるとか、あるいは、債権 管理簿の様式・記入方法など具体的な事務手続が規定されている。地方自治法 施行令第171条から第171条の7の規定も、債権に関する具体的な事務手続が 規定されている。特別の定めがない限り、岐阜市の非強制徴収公債権と私債権 については、これらの根拠に基づき事務執行がなされる必要がある。  しかしながら、本監査により、次のような問題点が見られた。 ┌─────────┐ │具体的な問題の状況│ └─────────┘ 1)議題としての債権取扱規則及び地方自治法施行令  会議設立以来の会議資料及び議事録を閲覧したが、債権取扱規則について は、平成27年度第3回債権管理調整会議にて、「その他(2)」の議題として、 督促状の様式(第2条の第1号方式)に関する規則の改正の議論がなされて いるが、その他、議題として取り上げられた形跡が見当たらなかった。 2)督促状の問題(債権取扱規則第2条違反)  債権取扱規則第2条では、督促は第1号様式による「督促状」によること                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ が必要である。また、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例 第2条においても「督促状」を発しなければならないと規定され、様式は「別 に市長が定める」とされている。  しかしながら、そもそも督促状に、債権取扱規則第2条の第1号様式を用 いている担当課は見当たらなかった。督促の際に書面を用いてない担当課、 「督促状」と明確に判断できない標題の文書を用いている担当課などがあっ た。  平成28年度からは、規則が改正され、第21条により、督促状の様式の省 略、追加、修正が可能となったとはいえ、平成27年度、督促については、岐 阜市債権取扱規則第2条違反の状態であったということである。 3)債権管理簿の問題(債権取扱規則第20条第1項違反)  債権取扱規則第20条第1項では、債権管理簿の様式及び記入の方法は、 第6号様式に定めるところによることが必要である。  しかしながら、本監査において、第6号様式を利用している担当課は見当 たらなかった。  督促と異なり、規則では様式の加工が想定されておらず(第21条に第6 号様式は含まれていない)、それを用いなければならないはずである。  平成27年度、債権管理簿についても、岐阜市債権取扱規則第20条第1項 違反の状態であったということである。なお、平成28年度第1回の会議では 議題として滞納者記録簿の運用状況が挙げられ、会議の中では岐阜市債権取 扱規則にも言及されたが、資料の中には、岐阜市債権取扱規則にかかる記載 はなかった。 4)その他手続の利用状況  地方自治法施行令第171条の3(履行期限の繰上げ)、同第171条の4(債 権の申出等)、同第171条の5(徴収停止)、同第171条の6(履行延期の特 約等)に関しては、岐阜市債権取扱規則にも規定があるが(特に同第171条 の6にかかる部分は詳細である)、全く利用されていない、あるいは、ほとん ど利用されていない状況にあった。これらについて会議で議論がなされた形 跡は見当たらなかった。
    ┌───┐ │まとめ│ └───┘  このように、地方自治法施行令や岐阜市債権取扱規則等の根拠規定に関し、 会議で言及がなされた形跡に乏しく、規則を遵守していない、あるいは、利用 していない担当課が存在していた。 【規範】  岐阜市債権管理調整会議要綱第2条において、調整会議は、次に掲げる事項 を所掌するとして、(1)市の債権管理に関する情報の共有化に関すること、 (2)市の債権回収の強化に関すること、(3)前2号に掲げるもののほか、 市の債権管理の適正化に関することとされている。 【指摘 税制課、納税課】  債権にかかる事務を執行するにあたり、事務根拠の意識は最も重要な事項で ある。  「第2章 岐阜市の債権にかかる事務(全体) 第2」において債権の事務 の流れを報告したが、岐阜市の債権にかかる事務において、地方自治法施行令 や岐阜市債権取扱規則の適用場面は広いはずである。  しかしながら、各担当課の事務状況は上記事実関係のとおりであった。特に、 督促は、債権回収措置の出発点、そして、債権管理簿は、日常管理の土台とし て、それぞれ、極めて重要な規定のはずである。  担当課に対し、岐阜市債権取扱規則の規定(督促状や債権管理簿の様式等) や地方自治法施行令の規定など、岐阜市の債権にかかる事務手続根拠について、 正しい情報を提供・共有し、各担当課に根拠の遵守を徹底させるべきである。 第8 研修 【事実関係】  研修実績は、次表のとおりである。平成24年度に2回、平成25年度に2回、 平成26年度に1回実施された。しかしながら、平成27年度は一度も実施され なかった。また、平成27年度まで私債権担当課の研修は一度も実施されてい なかった。 ┌──┬───┬─────────────┬──────────┬───────┐ │年度│日付 │     内 容     │   講 師    │ 担 当 課 │ ├──┼───┼─────────────┼──────────┼───────┤ │H24 │5.21 │徴収事務全般       │岐阜南税務署統括国税│公債権担当課 │ │  │   │             │徴収官       │       │ │  ├───┼─────────────┼──────────┼───────┤ │  │10.26 │現状の特別国税徴収官につ │岐阜北税務署副署長 │強制徴収公債権│ │  │   │いて「売掛金差押え」「処分│同署統括国税徴収官 │担当課    │ │  │   │停止」について      │          │       │ ├──┼───┼─────────────┼──────────┼───────┤ │H25 │5.24 │「倒産案件」について   │岐阜北税務署副署長 │強制徴収公債権│ │  │   │             │同署統括国税徴収官 │担当課    │ │  ├───┼─────────────┼──────────┼───────┤ │  │2.7  │「滞納整理」について   │岐阜北税務署副署長 │強制徴収公債権│ │  │   │             │同署統括国税徴収官ほ│担当課    │ │  │   │             │か         │       │ ├──┼───┼─────────────┼──────────┼───────┤ │H26 │10.31 │滞納整理実務研修     │岐阜北税務署副署長 │強制徴収公債権│ │  │   │             │同署統括国税徴収官 │担当課    │ └──┴───┴─────────────┴──────────┴───────┘ 【意見 税制課、納税課(改善報告)】  公債権、強制徴収公債権の徴収事務に重点を置く研修を否定するものではな い。金額からみて、岐阜市の財政において特に大きな影響を与えるものといえ るからである。しかしながら、私債権担当課の研修が一度もないことは問題で ある。担当職員の経験、認識からすれば、私債権の管理こそ研修の必要性が考 えられるからである。岐阜市債権管理条例制定時点では、私債権に関する現状 と課題が認識されていたところである。また、平成27年度、研修は一度も開 催されていない。会議では、担当課の課題を把握するため、いかなる研修が必 要かも判断できるはずである。  担当職員は交替するということを念頭に置き、今後は、毎年度、しかも、で きれば年度初期の段階で、公債権に縛られることのない研修を実施することが 望ましい。なお、平成28年度においては、平成28年11月の検討部会で課題 等を聞きだしたうえで、平成29年1月18日(水)に「滞納整理に関する折衝 の接遇」の研修を実施した。監査人も傍聴したが、有益な研修であるとの感想 を持った。今後も継続していくという前提において改善報告とする。 終章 課題と提言 第1 現状の課題  本監査において、数多くの指摘・意見を報告した。  監査人は、岐阜市の債権事務にかかる現状の課題は、次の2点に集約される と考える。 ┌─────────────────────────────────┐ │岐阜市債権管理条例をはじめ事務根拠規定の整備が不十分である(根拠)│ └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ │債権事務にかかる全庁的な取り組みが不十分である(運用)      │ └─────────────────────────────────┘  この2点は、岐阜市債権管理条例の制定にあたり、法令審査会に付議する際 の決裁資料(平成23年1月18日付)において、条例制定後の課題として挙げ られていた3点と同一の内容である。すなわち、同資料では、1)ノウハウの蓄 積・共有の仕組の構築、2)条例等の定期的な見直し、3)債務者情報の共有化が 課題として挙げられていたが(第6章 第2・2・(1)に記載)、2)が「根拠」 の問題、1)と3)が「全庁的な運用」の問題である。  平成23年当時、既に考えられていた課題が克服されることなく、現在に至 ってしまっているというのが監査人の認識である。 第2 提言 1 提言の意味  過去2年間の監査においては、終章で述べる提言を「指摘・意見」の形にし
    ていなかったが、今回は、「指摘・意見」の形として提言する。  岐阜市に、真摯に検討をしてもらいたい事項と考えるからである。  【規範】については、主に次の2条である。 ┌───────────────────────────────────────┐ │岐阜市債権管理条例                              │ │第4条(市長等の責務) 市長及び公営企業管理者(地方公営企業法第7条に規定す  │ │ る管理者をいう。)(以下「市長等」という。)は、法令又は条例等の定めに従い、│ │ 市の債権の適正な管理に努めなければならない。                │ │第5条(債権管理体制の整備) 市長等は、市の債権に関する事務の状況を的確に  │ │ 把握するとともに、市の債権を適正に管理するための体制を整備するものとす   │ │ る。                                    │ └───────────────────────────────────────┘  全庁的に検討する必要のある事項と考えるので、「指摘・意見」の対象は、 あえて担当課を限定せず、「岐阜市」とする。 2 岐阜市債権管理条例の見直し(「根拠」) 【事実関係】  岐阜市債権管理条例においては、債権回収に向けた措置、回収緩和措置など に関する具体的規定が存在しない。その前提となる徴収計画や管理の土台とな る台帳の整備などの規定も存在しない。他方、昭和39年4月1日に制定され た岐阜市債権取扱規則においては、具体的規定が存在している。  条例と規則のそれぞれ別に定めがあったとしても、担当職員が、自らの事務 にかかる適用根拠を的確に認識し、遵守していれば問題はないといえる。  しかしながら、債権に関する事務の実態として何が起きていたのかというと、 債権放棄以前の督促から始まる債権回収措置、あるいは、回収緩和措置の利用 等、多くの課題が見られた。  地方自治法、同施行令、それを受けた岐阜市債権取扱規則が遵守されていな いケースが多く見られたのである。  なお、今回個別債権を報告するにあたり、他の条例等の改正に触れた部分も あるが、最後の提言は、岐阜市債権管理条例に絞る。 【指摘 岐阜市】  債権に関する事務を執行するにあたり、債権放棄以前に、まずもって、債権 回収措置を尽くすことが必要である。債権回収措置の前提として、徴収計画を 立てることや交渉の記録化等も重要な事項である。  岐阜市において、これらの事務根拠をどこに位置づけるべきなのであろうか。  確かに、自治体の債権管理条例においては、岐阜市のように債権放棄の規定 を主とする条例と、それだけではなく地方自治法施行令第171条以下に規定さ れる債権回収措置等についても盛り込む条例がある。  どこまでの規定を盛り込むかは、自治体の判断による。  しかしながら、本監査における個別債権の検証で明らかとなった事務実態の 課題を踏まえると、議会の議決が必要な条例のレベルで、徴収計画に始まり、 督促、回収から消滅に至るまでの事務根拠を盛り込むことが必要なのではない かと考える。職員の法令遵守の意識が高まる効果が期待され、また、根拠が一 元化されていれば、全庁的に統一的で適正な債権事務が可能になる。  条例制定にかかる決裁資料において、条例制定後の課題として、条例等の見 直しを定期的に行う必要があると考えられていたこともある。  本監査を契機として、岐阜市債権管理条例の見直しを検討すべきである。  仮に、岐阜市において債権管理条例の見直しをしないという判断をするので あれば、岐阜市債権取扱規則等、岐阜市の債権にかかる事務根拠一切を統一的 に整理した上で(例えば「別に定め」などが何を指すのかなどの整理)、現場 が混乱なく根拠を的確に適用し、適正に実施することに責任を持つべきである。  各自治体の条例において様々な工夫がなされているが、監査人が参考になる と考えた条例の一つとして、明石市債権の管理に関する条例があるので、ここ で紹介する。同条例は、債権に関する事務全般を基本的に網羅している。監査 人は、岐阜市の債権管理条例には、明石市債権の管理に関する条例に規定され ているような事項を盛り込むことが相当であると考えている。 【参考】  以下の四角囲みは、監査人によるまとめである。 ┌─────────────────────────────────────────┐ │【明石市債権の管理に関する条例】                         │ │第1条 目的                                   │ │第2条 定義                                   │ │ 債権等の定義付けのほか、条例の対象から外す債権を明確にしている。        │ │第3条 他の法令等との関係                            │ │第4条 債権管理者の責務                             │ │第5条 台帳の整備                                │ │ 施行規則第2条で記載事項の詳細(督促状の発付日、債権管理に関する記録等)が定  │ │められている。                                  │ │第6条 徴収計画                                 │ │ 施行規則第3条で毎年度策定し、市民に公表することが定められている。       │ │第7条 督促                                   │ │ 履行期限後20日以内に督促状を発することとされており、施行規則第4条で督促状の  │ │記載事項が定められている。                            │ │第8条 延滞金                                  │ │第9条 遅延損害金等                               │ │ 私債権につき督促した場合においても遅延損害金等を徴収する旨定めている。     │ │第10条 徴収停止措置の取りやめ                          │ │第11条 履行延期の特約等に付する条件                       │ │第12条 滞納処分                                 │ │第13条 強制執行等                                │ │ 督促してもなお履行されない場合、6月以内に強制執行等の手続をとる旨定める。2  │ │                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                   │ │項において、少額訴訟等の場合に、地方自治法第180条第1項の専決処分ができる旨を   │ │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │定める。                                     │ │第14条 債権の放棄                                │ │ 非強制徴収債権(150万円未満)も含めている(時効は除く。)。延滞金又は遅延損害金 │ │等の放棄についても定める。                            │ │第15条 委任                                   │ └─────────────────────────────────────────┘ 3 事務手続根拠・基準の明確化(「根拠」) (1)はじめに  岐阜市の債権事務において、非強制徴収公債権及び私債権が主な対象とされ る地方自治法施行令第171条から第171条の7の規定及び岐阜市債権取扱規則 第2条以下の債権事務に関する手続が有効に利用されていない状況が見てと れた。  その要因としては、各課にてこれまで利用されてこなかった(「前例がない」) ということが最も大きな理由と思われるが、事務手続根拠や基準が必ずしも明
    確ではない部分があることも理由であろうと考える。  以下では、監査で判明した事務実態を踏まえ、早急に対応が必要であると考 える3点、「私債権の督促」、「強制執行等の手続(回収面)」及び「徴収停止の 手続(回収緩和面)」について、監査人の提言を述べる。なお、いかなる事務 手続根拠に位置づけるかであるが、重要部分は、岐阜市債権管理条例の改正に より手当されることを念頭に置いての提言である。 (2)私債権における督促状の発付時期 【事実関係】  岐阜市の私債権については、特別の定めなき限り、岐阜市債権取扱規則第2 条「履行の督促は督促状を債務者に送付することにより行うものとする」とい う規定が適用される。しかしながら、同規則では、督促状の発付時期について 定めていない。監査の結果、担当課により、督促の時期はまちまちであった。 【指摘 岐阜市】  私債権の督促は、回収措置の前提となり、絶対的な時効中断の効力が生じる (地方自治法第236条第4項)という点でも、極めて重要な事務であり、条例 等の事務根拠にて、督促状の発付時期を明確にすべきである。  公債権については、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第 2条において、「納期限後20日以内」と規定しているのであるから、私債権に ついても、同様に、督促状の発付時期を「納期限後20日以内」と明確に規定 することが考えられる。 (3)強制執行等 【事実関係】  地方自治法施行令第171条の2の規定によれば、督促後相当期間経過後に履 行がない場合には、原則として強制執行等の手続をとることが義務とされてい るにもかかわらず、岐阜市の債権事務においては、強制執行等の手続の利用が 十分になされていたとはいえない状況であった。保証人がいても保証人に請求 していない事例、担保権を実行していない事例などがあった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │【強制執行等】                                  │ │地方自治法施行令第171条の2                            │ │ 普通地方公共団体の長は、債権(地方自治法第231条の3第3項に規定する歳入に係る  │ │債権(以下「強制徴収により徴収する債権」という。)を除く。)について、地方自治法第│ │231条の3第1項又は前条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行さ  │ │                         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │れないときは、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第171の5の措  │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                                    │ │置をとる場合又は第171条の6の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情が  │ │                                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │あると認める場合は、この限りでない。                       │ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                                 │ │一 担保の付されている債権(保証人の保証がある債権を含む。)については、当該債権 │ │ の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、 │ │ 又は保証人に対して履行を請求すること。                     │ │二 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)について │ │ は、強制執行の手続をとること。                         │ │三 前2号に該当しない債権(第1号に該当する債権で同号の措置をとつてなお履行され │ │ ないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求│ │ すること。                                   │ └─────────────────────────────────────────┘ 【指摘 岐阜市】  地方自治法施行令第171条の2(強制執行等)規定の「相当の期間を経過し てもなお履行されないとき」という要件につき、条例等の根拠にて「相当の期 間」を明確にすべきである。「その他特別の事情があると認める場合」につい ても、内規等にて、具体的事由を例示するなどして該当する場合を明確にすべ きである。  前者の「相当の期間」とは、債権の性質、取引の実態、時効期間の長短等を 考慮して決すべきであり、認定が遅れて債権の完全な実現を阻害することない ように配慮する必要がある(新版 逐条地方自治法 第8次改訂版 松本英昭 著 学陽書房1,005頁)。6ヶ月~1年など具体的な期間を設定することが必 要である。なお、当然ではあるが、ここで述べているのは、あくまで「限度」 であって、事務執行にあたり、一律にその期間にすべきと述べているのではな い。個別債権によってその時期を早めることを妨げるものではない。  後者の「その他特別の事情があると認める場合」とは、債権放棄が見込まれ る場合など法的措置を執らないことに合理的な理由がある場合を指すと考え られる。執行停止、履行延期の特約等の措置を採る場面でなくても、事実上強 制執行手続をとる必要がなくなるという意味で重要な要素である。債権取扱課 が利用できるようにするためには、具体的にどのような場合を指すのかを検討 し、内規等で明確化する必要があろう。 【意見 岐阜市】  訴えの提起(民事訴訟法第133条)のほか、支払督促(同法第383条)、即 決和解(同法第275条)など様々な手段がある。法的手続は、債権回収におい て有効な手続であり、利用が要請される場面が多くあろう。  しかしながら、訴訟手続による履行請求をする際には議会の議決が必要とな る(地方自治法第96条第1項第12号)(ただし、岐阜市には、地方自治法第 180条第1項の規定による市長の専決処分事項(昭和51年10月1日市議会議 決 改正平成12年4月1日)が存在し、市営住宅などの訴えの提起、和解及 び調停などが専決処分事項とされている)。  強制執行等の手続利用の促進という観点からは、少なくとも、一定の手段に ついては、条例等の事務根拠にて、地方自治法第180条第1項の専決処分とし て定めることを検討することが望ましい。  参考までに述べると、上述した明石市債権の管理に関する条例第13条第2 項では、少額訴訟及び支払督促について専決処分を可能としている。 (4)徴収停止 【事実関係】  監査の限り、非強制徴収公債権及び私債権については、徴収停止手続が利用 された形跡は見当たらなかった。  担当課職員とのヒアリングにおいて、かかる手続の存在を知らせると、その 必要性を複数聞いたが、これまで利用したことがなく、どのように手続をして よいか分からないとのことであった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │【徴収停止】                                   │ │地方自治法施行令第171条の5                            │ │ 普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収により徴収する債権を除く。)で履行期限後相│
    │                                    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ │当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号の一に該当し、│ │ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                                  │ │これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び │ │取立てをしないことができる。                           │ │一 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、 │ │ かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の費用をこえないと認められると │ │ き。                                      │ │二 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の │ │ 費用をこえないと認められるときその他これに類するとき。             │ │三 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。       │ └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 岐阜市】  債権の回収を尽くしても回収の見込みが立たない場合は少なくないと思わ れる。その場合、債権回収措置を講じ続けることが有効性、経済性、効率性の 見地から相当といえるのかが問題になる。  他方で、債権回収措置を講じないことが「怠る事実」として住民監査の対象 とならないようにする必要もある(地方自治法第242条)。  そこで、条例等の事務根拠にて、徴収停止の規定の要件を明確にし、措置を 利用できるようにすることが望ましい。  まず、「相当の期間を経過」については、強制執行等の「相当の期間」との 均衡も考慮して、期間を決定する必要がある。この点、名古屋市債権管理条例 施行細則第7条では、1年を超えない期間とし、限度としては強制執行等の「相 当の期間」と同一としていることが参考になる。  また、「差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用をこえない と認められるとき(1号)その他これに類するとき(2号)」、「債権金額が少 額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき(3号)」という要件 については、債権取扱課が事務処理の根拠・基準として利用することができる ものとすべく、具体的にどのような場合を指すのかを検討し、内規等で明確化 する必要があろう。  1号、2号関係については、「差し押さえることができる財産の価額が強制 執行の費用を超えないと認められるとき」とは、差し押さえることができる財 産がないときのほか、財産があっても強制執行の措置を採ることが経済的合理 性に欠ける場合を指すと考えられる。  「その他これに類するとき」とは、債務者の所在不明と同様に扱うことが可 能な場合(債務者死亡事案で相続人のあることが明らかでない、債務者が外国 にいて帰国の見込みがないなど)を指すと考えられる(自治体のための債権管 理マニュアル 東京弁護士会弁護士業務改革委員会自治体債権管理問題検討 チーム編 57頁)。  3号関係については、一定の目安を定めることはありうる。「取立に要する 費用」をどこまで見るかにより「少額」を検討することとなろう。訴訟費用(印 紙代、郵券)、弁護士費用、強制執行費用などどこまで含むと考えるかによる。 【意見 岐阜市】  徴収停止をした場合、現行の岐阜市債権取扱規則第9条では、徴収停止整理 簿を作成する必要があるが、現行のままの根拠とするならば、まずはこれを遵 守することが必要であろう。その上で、徴収停止後の措置についても、条例等 の事務根拠にて定めることが望ましい。具体的には、徴収停止取り止めの規定、 あるいは、徴収停止が一定期間継続した場合に債権放棄を可能とする規定であ る。  参考までに述べると、明石市債権の管理に関する条例第10条では、徴収停 止の事由がなくなれば直ちにその措置を取り止めることを定めている。また、 名古屋市債権管理条例施行細則第8条第2項も同様であり、同条例第12条第 1項第4号では、前条の措置(徴収停止)をとった日から相当の期間を経過し てもなお引き続き当該措置を継続しているときには放棄できる旨定め、同施行 細則第9条にて、相当の期間を「1年」としている。 4 督促手数料及び延滞金、違約金の取扱い(「全庁的な運用」) (1)徴収(大前提) 【事実関係】  監査の結果、公債権を取り扱いながら、督促手数料発生の前提となる督促状 による督促さえ行っておらず、督促手数料、延滞金を徴収していないという所 管課が複数あった。  整理の意味で、平成28年12月26日付けで、監査人は、債権管理調整会議 担当課中、公債権の取扱をしている担当課に対し、取扱債権の督促手数料及び 延滞金に関する調査を実施した。  平成27年度の徴収実績は次のとおりの回答であった。 【平成27年度督促手数料、延滞金徴収実績】 ┌─┬───────────────┬────────┬─────┬─────┐ │ │               │        │督促手数料│ 延滞金 │ │ │      費 目      │ 所 管 課  ├─────┼─────┤ │ │               │        │徴収実績 │徴収実績 │ ├─┼───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │強│市税             │納税課     │  ○  │  ○  │ │制├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │徴│保育料(利用者負担額)    │子ども保育課  │  ×  │  ×  │ │収├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │公│道路占用料          │土木管理課   │  ○  │  ○  │ │債├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │権│水路占用料          │        │  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │国民健康保険料        │国保・年金課  │  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │介護保険料          │介護保険課   │  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │後期高齢者医療保険料     │福祉医療課   │  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │まちを美しくする条例過料   │循環型社会推進課│  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │産業廃棄物不法投棄弁償金(行政│環境事業政策課 │  ×  │  ×  │ │ │代執行に係る費用請求分)   │        │     │     │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │下水料金           │営業課     │  ○  │  ×  │ │ ├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │ │受益者負担金         │        │  ○  │  ×  │ ├─┼───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │非│生活保護費返還金       │生活福祉一課  │  ×  │  ×  │ │強├───────────────┼────────┼─────┼─────┤
    │制│老人保護措置費負担金     │高齢福祉課   │  ×  │  ×  │ │徴├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │収│児童扶養手当返還金      │子ども支援課  │  ×  │  ×  │ │公├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │債│子ども手当返還金       │        │  ×  │  ×  │ │権├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │ │児童手当返還金        │        │  ×  │  ×  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │住宅使用料          │住宅課     │  ×  │  ×  │ │ ├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │ │駐車場使用料         │        │  ×  │  ×  │ │ ├───────────────┤        ├─────┼─────┤ │ │施設使用料          │        │  ×  │  ×  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │レンタサイクル使用料     │歴史まちづくり課│  ×  │  ×  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │し尿手数料          │環境事業課   │  ○  │  ○  │ │ ├───────────────┼────────┼─────┼─────┤ │ │中央卸売市場施設使用料(水道・│中央卸売市場  │  ×  │  ×  │ │ │電気使用料除く)       │        │     │     │ └─┴───────────────┴────────┴─────┴─────┘  一つ特徴的なことが判明した。非強制徴収公債権である。  平成27年度、非強制徴収公債権を取り扱っている担当課において、督促手 数料及び延滞金の徴収実績があるのは、環境事業課のし尿処理手数料のみであ った。なお、住宅課は平成28年度から徴収している。  私債権の土地建物貸付収入(管財課、住宅課)も延滞金を徴収していない。 【規範】  市税条例、国保条例等、市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金条例に より、公債権については、督促手数料や延滞金については徴収が義務とされて いる。岐阜市公有財産規則第37条が適用される私債権も同様である。 【指摘 岐阜市】  岐阜市の公債権を取り扱う全ての課が、自らの取扱債権が適用される条例等 の根拠に則り、督促状を発付して、督促手数料及び延滞金を徴収することに責 任を持つべきである。私債権も徴収義務根拠があれば同様である。 (2)調定 【事実関係】  公債権で発生する督促手数料及び延滞金については、土木管理課所管の道路 占用料及び水路占用料にかかるものを除き、すべて事後調定されていた。また、 私債権中、納付が義務づけられている母子父子寡婦福祉資金貸付金の違約金に ついても、同様に事後調定されていた。  事後調定というのは、入金されたものに対してのみ行われる事前調定の例外 手続であり、岐阜市会計規則第33条において5つの場合に限定されている。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────┐ │岐阜市会計規則                              │ │(歳入の調定)                              │ │第32条 収入命令者は、歳入を徴収しようとするときは、次に掲げる事項を調査 │ │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄             │ │ し、直ちにこれを調定しなければならない。                │ │    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                 │ │ 以下略                                 │ │(事後調定)                               │ │第33条 収入命令者は、事前に調定をしがたい次に掲げる歳入金については、現 │ │ 金を収納した後において、関係書類に基づいて前条の規定による調定をすること│ │ ができる。                               │ │(1) 証紙、入場券、観覧券、投票券等の類で窓口において発売するもの     │ │(2) 期日が到来しなければ金額が確定しないもの               │ │(3) 納入義務者において自ら金額を算定して納付するもの           │ │(4) 事実が発生しなければ金額が確定しないもの               │ │(5) 前各号に掲げるもののほか、事前に調定が困難と認められるもので会計管理 │ │  者に合議して市長が決定したもの                    │ └─────────────────────────────────────┘ 【指摘 岐阜市】  督促手数料、延滞金、違約金について、事後調定をすること自体が許されな いわけではない。事後調定せざるをえない場面もあると思われる。  しかし、監査人は、事後調定はあくまで例外手続であり、これらについて、 すべて一律に事後調定をすることが許されるとも思わない。  場面を分けて、考えていく必要があると考える。  前提として、まず、岐阜市の公債権の督促手数料、延滞金にかかる通常の事 務の流れは、次のとおりと考える。 (公債権の場合)(通常の流れ) ┌──────────────┐ │   調定・納入通知    │ └──────┬───────┴…………………………………………………………        │        │                             1)        │ ┌──────┴───────┐ │     納期限      │ ├──────────────┼……………………………………………………── │    納期限の翌日    │           <延滞金の発生> └──────┬───────┘        │ ┌──────┴───────┐ │    督促状の発送    │<督促手数料の通知> <延滞金の通知> └──────┬───────┘                     2)        │ ┌──────┴───────┐ │   督促状の到達日    │ │(通常到達すべきであった時)│ └──────┬───────┴……………………………………………………        │        <督促手数料の調定> <延滞金の調定> ┌──────┴───────┐ │ 督促状で指定された期限  │                     3) └──────┬───────┘        │
    ┌──────┴───────────────────────────────┐ │1)の期間に本債権の全額納付あり                       │ │→回収完了                                 │ │2)の期間に本債権のみ全額納付あり                      │ │→督促手数料、延滞金の調定なし                       │ │3)の期間に督促手数料、延滞金、本債権、同時に全部納付あり          │ │→事後調定                                 │ │3)の期間に督促手数料、本債権のみ全部納付あり                │ │→延滞金額が1,000円未満である場合、延滞金の調定なし             │ │→納付金額が2,000円以上、延滞金額が1,000円を超える場合、延滞金の事前調定可能│ │3)の期間に本債権の納付なし                         │ │→督促手数料の事前調定可能                         │ └──────────────────────────────────────┘  まず、督促手数料については、督促状を発付する時点では、督促状において 督促手数料を記載して案内(通知)するにとどめ、調定はしていないのが現状 である(督促手数料を徴収する課)。督促状を発する際に事前調定することも ありうる解釈であるが、他方で、督促状が相手方に到達しない間に、本債権の 収納がなされれば、督促の効果が発生せず、督促手数料を徴収できないと考え られることから、事後調定という事務形態も勿論ありうる。しかし、督促状が 到達すれば、督促手数料を調定することが可能である(なお、公債権の督促に ついては、書類の送達にかかる推定規定がある(地方自治法第231条の3第4 項、地方税法第20条第4項)「督促状の到達日(通常到達すべきであった時)」)。  次に、延滞金については、督促状を発する際には本債権の納付時期が不明で あり金額が確定しないので、督促状において延滞金を案内するにとどめ、調定 はしていないのが現状である(延滞金を徴収する課)。  しかし、本債権が全額納付されれば、その時点で延滞金額が確定するため、 本債権と同時納付であれば事後調定という事務形態となるが、別になれば、そ れ以降、延滞金を調定することが可能となる。  岐阜市会計規則第32条では、「歳入を徴収しようとするときは・・・直ちに                                  ̄ ̄ これを調定しなければならない。」と規定する。そもそも、督促手数料及び延 滞金、違約金(一部)は、条例等で徴収が義務づけられている債権であり、納 期限までに納付した市民との公平性からも、岐阜市は、当然に「徴収しよう」 とすることが必要であると考える。本来、調定が可能な状況となれば、「直ち に」調定することが必要となる。調定が可能な状況であるにもかかわらず入金 に至るまで調定をしないままでいることは許されないのではないかというの が監査人の考え方である。実際、岐阜市においても、土木管理課は事前調定を 実施しており、事前調定ができないわけではない。  以上の理由により、督促手数料、延滞金、違約金については、一律、事後調 定とするのではなく、原則どおり、調定することができるようになった時点で 調定をすべきである。調定が可能な状況であるにもかかわらず、入金に至るま で調定をしないという事務を継続するのであれば、合理的な根拠が必要である。 少なくとも、岐阜市会計規則第33条の何号に該当するかを検討し、その結果 を決裁資料に載せるなどして、事務の適正を担保すべきである。 (2)データの公表 【事実関係】  上述したとおり、公債権にかかる督促手数料及び延滞金、私債権にかかる違 約金は、事後調定されていた。その結果、本債権が時効あるいは債権放棄など で不納欠損に至るまで、入金されない督促手数料及び延滞金、違約金は、岐阜 市の会計上、一切現れないままということとなっている。そもそも、これらを 徴収しようとしているのかという事務実態さえも明確になっていない。  また、同調査では、調定ベースではなく、確定的に発生しているはずの督促 手数料、延滞金の金額を質問したところ、督促状による督促をしている担当課 においても、延滞金の金額を把握していないと回答する課があった。現在のと ころ、岐阜市全体で発生している督促手数料及び延滞金、違約金の金額は不明 のままということである。 【指摘 岐阜市】  債権として確定的に発生しているはずの督促手数料及び延滞金、違約金は、 債務者からの入金なき限り、市民に公表されることなく、全体像が不明な状態 であったのがこれまでの実態である。  当然ではあるが、岐阜市としては、公債権については、条例に従い、期限ま でに確実に督促状を発付し、督促手数料及び延滞金を徴収していくことを徹底 することが大前提である。そして、督促手数料及び延滞金、違約金についての 調定の在り方をどうしていくかという問題を検討すべきである(監査人の考え 方は上述したとおり)。  現状のまま、事後調定をベースにするのであれば、督促手数料及び延滞金、 違約金の発生・徴収状況の全体像が判明しない。  透明性の観点(岐阜市住民自治基本条例第5条、第6条、第8条第1項、同 条第2項等参照)からも、少なくとも、毎年度、発生した督促手数料及び延滞 金、違約金の金額、徴収状況のデータ等を集積した上、資料として作成し、市 民に公表すべきである。  これらの数字が公表される意義は大きいと考える。債権の実態を正確に示す こととなって市民によるチェック機能が働き、納期限までに納付する市民との 公平性を保つ方向の事務につながると考える。 (3)徴収が義務づけられない遅延損害金の取り扱い 【事実関係】  私債権においては、法令、契約等で徴収が義務づけられない履行遅滞にかか る遅延損害金について徴収されている形跡はなかった。 【規範】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │民法                                       │ │(債務不履行による損害賠償)                           │ │第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによっ  │ │ て生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履 │ │ 行をすることができなくなったときも、同様とする。                │ │(金銭債務の特則)                                │ │第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定  │ │ 利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。 │ │(法定利率)                                   │ │第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分 │ │ とする。                                    │ └─────────────────────────────────────────┘ 【意見 岐阜市】  公債権との均衡、納期限までに納付する市民との公平の観点から、納期限遅 れで督促状を発付しても納付しない場合には、遅延損害金の徴収をすることを 検討することが望ましい。
    5 債務者情報の取得・共有化(「全庁的な運用」) (1)はじめに  債権に関する事務を取り扱う場合、債務者の個人情報は重要である。  債権の回収に向けては、債務者あるいは連帯保証人等の財産、収入、生活状 況、居所、債務者の相続人、相続放棄、限定承認の有無などの情報が必要とな る場合がある。  債権の申出手続、債権の放棄等に向けても、破産手続の開始決定等、債務者 の個人情報が必要となる場合がある。  債務の滞納者は、岐阜市の他の債権についても重複して滞納しているケース があろう。その場合、庁内で情報の共有化を図ることができれば有用である。  条例制定時の決裁資料の中で、課題として債務者情報の共有化があげられて いたが、本監査の結果、課題として解消されているとはいえない状況であった。  個別債権の箇所でも報告しているが、まとめの意味で、次のとおり監査人の 提言として述べる。 (2)情報取得の意識(大前提) 【事実関係】  特に、非強制徴収公債権担当課、私債権担当課においては、債務者の情報取 得の意識が薄いと言わざるを得ない事務実態があった。  例えば、債務者死亡により、それ以上の回収に向けた措置をとることなく、 相続人調査をしないということがあった。  あるいは、納付相談の書式を準備することなく、必要な情報を得る体制をと っていないであるとか、納付誓約などにおいて個人情報の取得にかかる同意を とるなどの工夫をしていないなどの課題が見受けられた。 【指摘 岐阜市】  債務者情報の共有以前の問題として、債権にかかる事務執行において、担当 職員が、まずはなすべき措置をとる(原則は回収)、そのために、必要な情報 を取得するという意識を持つことを徹底させるべきである。  情報取得の意識があれば、逆に回収が困難であることの情報も得られる可能 性があり、いずれにせよ、債権にかかる事務の方向性を決めることができると いうことにつながると考える。 (3)強制徴収公債権の情報共有 【事実関係】  岐阜市においては、強制徴収公債権中、例えば、市税部門と国保・年金課に おいては、市税部門が取得した個人情報の共有がなされていたが、岐阜市の強 制徴収公債権担当課間全体で見ると、情報の共有が必ずしも十分といえる状況 にはない。 【規範】  強制徴収公債権については、質問検査権(地方税法第331条第6項等、国税 徴収法第141条)、官公庁に対する調査権(同法第20条の11等、国税徴収法 第146条の2)、捜索権(地方税法第331条第6項等、国税徴収法第142条) がある(地方自治法第231条の3第3項)。  平成19年3月27日付総務省通知「(3)地方団体内における各種公金の徴 収の連携強化」において、強制徴収公債権に関する情報共有についての解釈が 次のとおり示されている。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │ なお、国民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができる(国│ │民健康保険法第79条の2及び地方自治法第231条の3第3項)ことから、国税徴収法第141   │ │条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質問及び検査への応答義務が課さ │ │れている。このため、当該情報は滞納者との関係においては秘密ではないと考えられ、地方 │ │税法第22条に定める守秘義務に関し、地方税と国民健康保険料を一元的に徴収するため、滞 │ │納者の財産情報を利用することについては差し支えない。保育所保育料など、地方税の滞納 │ │処分の例によると規定されているものについても同様と考えられるので、参考としていただ │ │きたい。                                      │ └──────────────────────────────────────────┘ 【意見 岐阜市】  有効性、経済性、効率性の見地より、少なくとも、強制徴収公債権を担当す る所管課間で、必要な情報を共有する体制を構築し、実施することが望ましい。 (4)非強制徴収公債権と私債権の情報取得の工夫 【事実関係】  非強制徴収公債権及び私債権については、強制徴収公債権で可能とされる調 査権限がない。 【規範】  岐阜市個人情報保護条例第6条は、次のとおり規定する。 ┌──────────────────────────────────────────┐ │(取得の制限)                                   │ │第6条 実施機関は、次に掲げる場合を除き、個人の思想、信条、宗教その他個人の人格  │ │ 的利益を侵害するおそれのある個人情報の取得をしてはならない。           │ │(1) 法令に特別の定めのあるとき。                        │ │(2) 実施機関が、審議会の意見を聴いて正当な行政執行の範囲内であり、かつ、公益上 │ │   特に必要があると認めたとき。                         │ │2 実施機関は、個人情報(特定個人情報を除く。)を取得するときは、次に掲げる場合を │ │ 除き、本人から直接取得しなければならない。                    │ │(1) 本人の同意があるとき。                           │ │(2) 法令又は条例に定めがあるとき。                       │ │(3) 人の生命、身体、健康又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。      │ │(4) 公知性のある個人情報であるとき。                      │ │(5) 国、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13 │ │   年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)、他の │ │   地方公共団体又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第 │ │   2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)から取得することが事 │ │   務又は事業の遂行上やむを得ないと認められるとき。               │ │(6) 他の実施機関から取得するとき。                       │ │(7) 前各号に掲げるもののほか、実施機関が、審議会の意見を聴いて公益上特に必要が │ │   あると認めたとき。                              │ └──────────────────────────────────────────┘ 【意見 岐阜市】  非強制徴収公債権及び私債権にかかる個人情報の取得には、条例上の制限が あるが、債務者本人から同意を得られれば制限がなくなると思われる(岐阜市 個人情報保護条例第6条第2項第1号)。  個人情報の取得を可能とすべく、同意による個人情報の取得を積極的に活用 することであるとか、あるいは、債権管理条例において個人情報取得条項(地 方税法第22条に規定する税務情報を除く。)を設けることなどの手法を検討す ることが望ましい。可児市における債権管理条例が参考になると思われる。
    (5)情報取得のノウハウ及び情報の共有化 【事実関係】  取得することに特段の制限がない情報がある。  例えば、破産情報は、官報を確認すれば誰でも明らかとなる情報である(岐 阜市個人情報保護条例第6条第2項第4号の公知性のある個人情報と思われ る)。強制徴収公債権担当課である納税課では、官報公告の一覧情報があり、 他課から提供を求められれば提供しているとのことである。  私債権担当課においては、上下水道事業部営業課など、官報を確認し、破産 による債権放棄を行っている課がある一方で、大半の課は官報を確認すること なく、情報の共有はなされていなかった。  また、納税課では、滞納者からの納付相談において使用している書式がある が、必要な情報を入手する上では参考になるものである。 【意見 岐阜市】  有効性、経済性、効率性の見地より、岐阜市債権管理調整会議等において、 情報取得のノウハウや官報公告など誰でも取得可能な情報を共有できる体制 を構築することが望ましい。 6 徴収の工夫(回収のノウハウ共有、徴収の一元化、民間委託の活用)(「全 庁的な運用」) 【事実関係】  第3章 第10で産業廃棄物不法投棄弁償金を紹介した。回収に向けて様々 な工夫をしていることが分かる。  岐阜市において、岐阜市債権管理調整会議は存在するものの、現状、債権回 収は各担当課の責任により行われている。また、債権回収につき民間委託され ていたのは、病院医業収益、上下水道料金など一部であった。 【意見 岐阜市】  岐阜市債権管理調整会議の現状と課題は前章(第6章)で述べたが、全庁的 な取組みである現在の会議を充実させることがまず必要なことであろう。  例えば、岐阜市においては、産業廃棄物不法投棄弁償金の債権回収の事例が あるが、回収に携わった職員を含めた事例検討会を実施するなど、庁内にある 回収のノウハウを共有することが望ましい。  また、会議においては、各債権担当課、そして実際に事務を行う職員まで会 議において共有された情報が浸透していない様子も見てとれた。実際に債権管 理事務を担当するのは会議ではなく、存在意義的に限界はあろう。  そこで、債権回収の効果を上げるという意味でも、個々の職員の負担を減ら すという意味でも、債権回収の一元化、あるいは、債権回収業務にかかる民間 委託を積極的に検討することが望ましい。  公金債権の徴収一元化については、平成26年度第4回(9月)定例会(第 3日目)でも取り上げられていたようであるが(岐阜市議会ホームページ本会 議検索により閲覧可能)、本監査で報告した岐阜市の債権事務の現状を踏まえ、 真摯に検討されたい。また、平成27年度現在、岐阜市の債権回収において、 弁護士委託がなされているのは1件であるが、回収の実績に応じた弁護士報酬 の設定もできるのであるから、費用面からしても利用に躊躇する事情はさほど ないものと思われる。 第3 最後に  岐阜市の債権は、その金額からみて、岐阜市の極めて重要な財産であること は明らかである。しかしながら、債権は、公有財産(「モノ」)のように、普段 から市民の目に触れるというものではない。  債権は「モノ」ではなく「権利」であって、市民は、基本的には、決算など の会計及び財務書類からその状態を把握するほかない。ただし、それでは、岐 阜市の債権及び債権事務の全貌は必ずしも明らかとならない。この点が、本年 度の監査の出発点であった。監査を実施した結果、岐阜市の債権、債権に関す る事務の全貌や課題を、一定程度明らかにすることができたのではないかと考 える。岐阜市が本監査の結果を踏まえ、岐阜市の債権にかかる事務の改善を図 り、適正・公平・透明な事務を実現し、その財源を住民サービスに適切に還元 していくことを願い、本年度の監査報告を終える。 最終章 3年間の総括  平成26年度から始まった監査も本年度が最終年度となる。  1年目は、「岐阜市の外郭団体」をテーマとした。外郭団体という、民間で も公そのものでもないという意味で特殊な組織を軸として、岐阜市の事務執行 及び外郭団体の事務執行を検証した。  2年目は、「岐阜市の生活保護」をテーマとした。生活保護は「最後のセー フティネット」として、住民福祉の観点から重要な事務であるが、一つの事務 を深く掘り下げて検証した。  3年目である本年度は、「岐阜市の債権」をテーマとした。債権は金銭の給 付を受ける権利であり、いわゆる「カネ」という点を前面に押し出し、全庁横 断的に事務執行を検証した。  3年間とも、テーマ名として「岐阜市の」という文言を入れた。その意味は、 岐阜市の事務そのものを対象として監査を実施しているという当たり前のこ とをあえて強調したかったからである。  3年間というスパンの中で、多様な角度で岐阜市の事務執行を監査すること ができたのではないかと考えている。  何とか監査を終えることができたのは、岐阜市の職員をはじめ、監査にご協 力いただいた方達のおかげである。感謝申し上げる。また、監査は、監査人補 助者を含めたチームで実施するものであり、監査人補助者なしではできない。 特に監査報告書の締切り間際には相当な負担をかけた。監査人補助者に感謝す る。  3年間監査をして一番強く感じたことは、「前例を踏襲せずに事務執行する ことの困難さ」である。すなわち、行政は組織であり、部署の担当は固定され ず異動することが基本である。前例が正しければ、勿論問題はないのであるが、 前例に誤りや疑問な点があった場合、それを否定し、組織の内部から変革して いくことは、内部にいる以上、実際には困難であるということである。  外部監査の意義の一つには、外部であることから、何ら躊躇なく「前例」を 検証できることにあると考え、自由に意見を述べた。内部の検討の契機にして もらえれば幸いである。  この3年間の監査が、岐阜市の更なる発展に少しでも役立つことを願い、3 年間の監査報告を終える。 巻末資料 1 指摘及び意見一覧表 2 岐阜市行政機構図(H27.7.18現在) 3 平成28年度岐阜市包括外部監査(岐阜市の債権)に関する調査票
    4 岐阜市債権管理条例 5 岐阜市債権管理条例施行規則 6 岐阜市債権取扱規則 7 市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例 8 督促状 / 納税課 9 収支・財産状況について / 納税課 10 納付誓約書(債務承認書) / 市税 11 納付誓約書(債務承認書) / 国民健康保険料              指摘及び意見一覧表 第1 はじめに  本監査における指摘及び意見の一覧は、「第2」記載のとおりである。  「指摘」は合計254個、「意見」は合計117個である。  「指摘」と「意見」の定義は次のとおりである。  指摘をしていても改善が確認できたものは【改善報告】と記載している。  また、他課の取組の参考になるものは、最後に【参考報告】としてまとめて いる。 ┌──┬─────┬───────────────────────┐ │指摘│べきである│違法又は不当であり、是正・改善を求めるもの  │ ├──┼─────┼───────────────────────┤ │意見│望ましい │違法又は不当ではないが、是正・改善を求めるもの│ └──┴─────┴───────────────────────┘ 第2 一覧表 ┌──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┐ │番号│  対象(課)  │指摘│意見│        内      容         │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第3章 強制徴収公債権                         指摘92 意見40 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第2 市税                                       │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第2の1 個人市民税                          指摘7 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │1  │市民税課     │指摘│  │【実地調査】                   │ │  │         │  │  │「暴力団関係者」や「風俗店従業員」などを例外とす │ │  │         │  │  │るマニュアルの記載を早急に改正すべきである。   │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │2  │市民税課     │  │意見│【特別徴収義務者の指定の推進】          │ │  │         │  │  │平成30年度以降も、特別徴収事業者指定の推進に取  │ │  │         │  │  │り組むことが望ましい。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │3  │市民税課     │指摘│  │【特別徴収義務者の指定の取消】          │ │  │         │  │  │「特別徴収実施困難理由届出書」及び「対応顛末につ │ │  │         │  │  │いて」と題する書面には、岐阜市税条例第42条の6  │ │  │         │  │  │の第何号に基づいて特別徴収義務者の指定の取消を  │ │  │         │  │  │するのかを記載すべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │4  │市民税課     │指摘│  │【特別徴収義務者の指定の取消】          │ │  │         │  │  │岐阜市税条例第42条の6第1項第8号の「必要があ  │ │  │         │  │  │ると認めるとき」の該当性を判断する基準を定めるべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │5  │市民税課     │指摘│  │【特別徴収義務者の指定の取消】          │ │  │         │  │  │書類回付ではなく、実際に、合議して、特別徴収義務 │ │  │         │  │  │者の指定の取消を決定すべきである。また、合議の内 │ │  │         │  │  │容を議事録として記録に残すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │6  │税制課      │指摘│  │【刑事告発の検討】                │ │  │         │  │  │特別徴収義務者の未納事業者のうち、納付意思もな  │ │  │         │  │  │く、滞納処分の実効性もない悪質な事案については、 │ │  │         │  │  │地方税法第324条第3項に基づいて刑事告発を検討   │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │7  │市民税課     │指摘│  │【減免】                     │ │  │         │  │  │市税条例第44条第7号の適用が問題となる場合は、  │ │  │         │  │  │書面回付ではなく、合議により、減免の適否及び割合 │ │  │         │  │  │について、決定すべきである。また、合議の結果を議 │ │  │         │  │  │事録等の記録に残すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │8  │市民税課     │指摘│  │【不服審査への対応】               │ │  │         │  │  │課内での協議結果については、記録に残すべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の2 法人市民税                          指摘2 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │9  │市民税課     │指摘│  │【未登録法人の捕捉】               │ │  │         │  │  │事業所税申告のための「事業所用家屋の貸付けに関す │ │  │         │  │  │る申告書」のほか、固定資産賦課情報、保健所で管理 │ │  │         │  │  │している法人情報を活用すべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │10 │市民税課     │指摘│  │【均等割における従業員数の確認】         │ │  │         │  │  │少なくとも45人以上の従業員数である法人について  │ │  │         │  │  │は、岐阜県と協議して、毎年一定数の法人について、 │ │  │         │  │  │従業員名簿や賃金台帳などの裏付資料を確認すべき  │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の3 事業所税                           指摘1 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │11 │市民税課     │指摘│  │【免税点(従業員数)の要件の調査】        │ │  │         │  │  │毎年、一定の事業所数を決めて、従業員名簿や賃金台 │ │  │         │  │  │帳などの裏付資料を提出させるなどして、申告の適正 │ │  │         │  │  │を確認すべきである。               │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の4 固定資産税                          指摘5 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤
    │12 │資産税課     │指摘│  │【償却資産税の申告拒否】             │ │  │         │  │  │申告を拒否する業者に対しては、罰則(地方税法第  │ │  │         │  │  │386条)の適用を検討すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │13 │資産税課     │指摘│  │【償却資産税の実地調査】             │ │  │         │  │  │質問検査権を行使し、質問検査等を拒否する事業者に │ │  │         │  │  │対しては、罰則(地方税法第354条)の適用を検討す  │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │14 │資産税課     │指摘│  │【償却資産税の実地調査】             │ │  │         │  │  │毎年、何件か、償却資産係において、現場視察を実施 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │15 │資産税課     │指摘│  │【償却資産税の推計課税】             │ │  │         │  │  │国税の資料をもとに、賦課課税することを検討すべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │16 │資産税課     │指摘│  │【不服審査への対応】               │ │  │         │  │  │課内で合議したのであれば、その協議結果について  │ │  │         │  │  │も、記録に残すべきである。            │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の5 都市計画税                          指摘0 意見0 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第2の6 軽自動車税                          指摘1 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │17 │税制課      │指摘│  │【免除申請の添付書類】              │ │  │         │  │  │「軽自動車税の免除申請及び現況届について(通知)」│ │  │         │  │  │と題する書面には、2年目以降の申請においても、免 │ │  │         │  │  │除を必要とする事由を証明する書類を添付させるべ  │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │18 │税制課      │  │意見│【第二次納税義務】                │ │  │         │  │  │所有権留保の場合、第一次納税義務者である買主に対 │ │  │         │  │  │する滞納処分も実効性がない場合、第二次納税義務者 │ │  │         │  │  │である売主に対する納入の通知、督促、催告、滞納処 │ │  │         │  │  │分を実施することが望ましい。           │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の7 市たばこ税                          指摘1 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │19 │税制課      │指摘│  │【申告内容の確認】                │ │  │         │  │  │岐阜県など関係機関とも協議の上、製造たばこの製造 │ │  │         │  │  │者、卸売販売業者の本店及び支店への立入調査や、申 │ │  │         │  │  │告書の裏付資料を徴求して、申告書の記載本数と照合 │ │  │         │  │  │することを検討すべきである。           │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の8 入湯税                            指摘1 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │20 │税制課      │指摘│  │【課税免除】                   │ │  │         │  │  │日帰り入湯についても、課税免除とするのであれば、 │ │  │         │  │  │岐阜市税条例第146条の2を改正して、その旨、規定  │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │21 │税制課      │  │意見│【立入調査】                   │ │  │         │  │  │臨時の立入調査を設けたり、実施時期を随時にした  │ │  │         │  │  │り、毎年、半数ずつ順番を入れ替えて実施したりする │ │  │         │  │  │など、立入調査時期を固定しないようにすることが望 │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第2の9 滞納整理                           指摘9 意見6 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │22 │納税課      │指摘│  │【滞納削減アクションプラン】           │ │  │         │  │  │平成27年度滞納整理実施計画書で宣言したとおり、  │ │  │         │  │  │「市税滞納削減アクションプラン」を策定し、岐阜市 │ │  │         │  │  │ホームページに公開すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │23 │納税課      │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談については、「収支・財産状況について」と │ │  │         │  │  │いう書式を、できる限り多くの納付相談者に使用する │ │  │         │  │  │ことが望ましい。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │24 │納税課      │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │25 │納税課      │指摘│  │【督促手数料】                  │ │  │         │  │  │督促手数料の調定を事後調定とするのであれば、1)発 │ │  │         │  │  │生している督促手数料の金額を把握すべきである。ま │ │  │         │  │  │た、2)発生している督促手数料を決算書の注記などで │ │  │         │  │  │表示すべきである。3)事後調定の要件を満たしている │ │  │         │  │  │ことを確認すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │26 │納税課      │指摘│  │【延滞金】                    │ │  │         │  │  │延滞金の調定を事後調定とするのであれば、1)発生し │ │  │         │  │  │ている延滞金の金額を把握すべきである。また、2)発 │ │  │         │  │  │生している延滞金を決算書の注記などで表示すべき  │ │  │         │  │  │である。3)事後調定の要件を満たしていることを確認 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │27 │納税課      │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │預金債権のほか、給与債権や売掛金債権などに対して │ │  │         │  │  │も、滞納処分を積極的に実施すべきである。第三債務 │ │  │         │  │  │者が、調査に回答しない場合や滞納処分に協力しない │ │  │         │  │  │と回答している場合でも、滞納処分を実施すべきであ │ │  │         │  │  │る。仮に、滞納処分を実施しても、第三債務者からの │ │  │         │  │  │支払がない場合は、取立訴訟の実施を検討すべきであ │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │28 │納税課、資産税課 │  │意見│【死亡者課税】                  │ │  │         │  │  │「共有・死亡者課税及びそれに係る滞納処分」につい │ │  │         │  │  │ての検討会に基づく検討結果を整理し、速やかに、賦 │
    │  │         │  │  │課変更などを実行することが望ましい。また、死亡者 │ │  │         │  │  │課税の賦課変更などについての要綱、マニュアルも、 │ │  │         │  │  │できるだけ早期に、整備をすることが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │29 │納税課      │指摘│  │【相続人に対する請求】              │ │  │         │  │  │滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上で、 │ │  │         │  │  │戸籍調査等を行い、相続人にも、滞納している市税を │ │  │         │  │  │請求すべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │30 │納税課      │  │意見│【官報情報の共有】                │ │  │         │  │  │納税課が中心となって、官報公告の情報共有体制を築 │ │  │         │  │  │き、岐阜市の債権について漏れなく、債権の届出がで │ │  │         │  │  │きる体制を整えることが望ましい。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │31 │納税課      │  │意見│【税務情報の共有】                │ │  │         │  │  │各強制徴収公債権の担当課の間において、納税課を中 │ │  │         │  │  │心にして滞納者の税務情報を共有する体制を築くこ  │ │  │         │  │  │とが望ましい。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │32 │納税課      │  │意見│【税務情報の共有】                │ │  │         │  │  │税務情報を含む個人情報の取得及び目的外利用につ  │ │  │         │  │  │いて滞納者の同意を取得しているのであれば、納税課 │ │  │         │  │  │は、非強制徴収公債権の担当者又は私債権の担当課  │ │  │         │  │  │(担当係・担当者)に対し、税務情報(国税徴収法に │ │  │         │  │  │基づく調査の結果、把握している資産情報や滞納情報 │ │  │         │  │  │を含む。)を提供することが望ましい。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │33 │納税課、資産税課、│  │意見│【戸籍情報の共有】                │ │  │市民税課     │  │  │戸籍を取得して、相続人調査を実施した場合、それぞ │ │  │         │  │  │れの課に、情報提供することが望ましい。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │34 │納税課      │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上で、 │ │  │         │  │  │実態調査等を行い、滞納処分をかけるのか、徴収猶予、│ │  │         │  │  │滞納処分の停止などの措置を取るのか、方針を適切に │ │  │         │  │  │決定すべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │35 │納税課      │指摘│  │【延滞金の減免】                 │ │  │         │  │  │岐阜市税延滞基準第2条第2号に該当することを理  │ │  │         │  │  │由に延滞金の減免を決定する時は、会議を実際に開い │ │  │         │  │  │て協議し、会議録を残すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │36 │納税課      │指摘│  │【行政不服審査への対応】             │ │  │         │  │  │課内で合議したのであれば、その協議結果について  │ │  │         │  │  │も、記録に残すべきである。            │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第3 利用者負担額(保育料)                      指摘7 意見7 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │37 │子ども保育課   │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、督促状を発付することにより行うべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │38 │子ども保育課   │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │39 │子ども保育課   │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │速やかに、「岐阜市利用者負担額滞納処分要綱」を決 │ │  │         │  │  │裁するなどして、悪質な滞納者につき差押えが実施で │ │  │         │  │  │きるようなマニュアルを作成すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │40 │子ども保育課   │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │滞納処分の実施体制を早急に整備した上、滞納処分の │ │  │         │  │  │実施を検討すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │41 │子ども保育課   │  │意見│【児童手当からの特別徴収】            │ │  │         │  │  │利用者負担額を滞納している保護者等については、児 │ │  │         │  │  │童手当からの特別徴収を行うことが望ましい。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │42 │子ども保育課   │  │意見│【延長保育の制限】                │ │  │         │  │  │利用者負担額の滞納者に対しては、延長保育の利用制 │ │  │         │  │  │限を検討することが望ましい。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │43 │子ども保育課   │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │44 │子ども保育課   │  │意見│【債務承認書の取得】               │ │  │         │  │  │納付相談を実施した場合、分納の誓約に至らなかった │ │  │         │  │  │場合でも、債務承認書を取得することが望ましい。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │45 │子ども保育課   │  │意見│【分納誓約書及び債務承認書の記載事項】      │ │  │         │  │  │分納誓約書や債務承認書に、「納付しない場合」や「資│ │  │         │  │  │産等が見つかった場合」には滞納処分を実施されても │ │  │         │  │  │異議を申し立てない旨の条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │46 │子ども保育課   │  │意見│【分納誓約書及び債務承認書の記載事項】      │ │  │         │  │  │分納誓約書や債務承認書に、税務情報を含む滞納者情 │ │  │         │  │  │報の取得・目的外利用についての同意条項を入れるこ │ │  │         │  │  │とが望ましい。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │47 │子ども保育課   │  │意見│【連帯保証人の徴求】               │ │  │         │  │  │滞納が生じている債務者については、納付相談の際な │ │  │         │  │  │どに、滞納額の支払について連帯保証人を求めること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │48 │子ども保育課   │指摘│  │【徴収活動の記録化】               │ │  │         │  │  │徴収活動の内容を逐一記録化すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │49 │子ども保育課   │指摘│  │【民間保育所に対する滞納情報の提供】       │
    │  │         │  │  │「施設型給付費・地域型保育給付費等支給認定申請書 │ │  │         │  │  │兼利用申込書」による同意の対象に、民営施設への滞 │ │  │         │  │  │納情報の提供を追加すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │50 │子ども保育課   │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │消滅時効の管理は、毎月の保育料ごとに、個別に管理 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第4 道路占用料                            指摘2 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │51 │土木管理課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │52 │土木管理課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │納入通知書及び督促状において、行政不服申立ての教 │ │  │         │  │  │示文を明記すべきである。             │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第5 水路占用料                            指摘2 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │53 │土木管理課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │54 │土木管理課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │納入通知書及び督促状において、行政不服申立ての教 │ │  │         │  │  │示文を明記すべきである。             │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第6 国民健康保険料                          指摘10 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │55 │国保・年金課   │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │56 │国保・年金課   │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │57 │国保・年金課   │指摘│  │【納付相談】                   │ │  │         │  │  │特別療養費、療養費による充当については、必要な情 │ │  │         │  │  │報を漏れなく聴取した上で、どのような理由(基準) │ │  │         │  │  │で、充当額を決定したのか、記録に残すべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │58 │国保・年金課   │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得・目 │ │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │59 │国保・年金課   │指摘│  │【督促手数料】                  │ │  │         │  │  │督促手数料の調定を事後調定とするのであれば、1)発 │ │  │         │  │  │生している督促手数料の金額を把握すべきである。2) │ │  │         │  │  │発生している督促手数料を決算書の注記などで表示  │ │  │         │  │  │すべきである。3)事後調定の要件を満たしていること │ │  │         │  │  │を確認すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │60 │国保・年金課   │指摘│  │【延滞金】                    │ │  │         │  │  │延滞金の調定を事後調定とするのであれば、1)発生し │ │  │         │  │  │ている延滞金の金額を把握すべきである。2)発生して │ │  │         │  │  │いる延滞金を決算書の注記などで表示すべきである。 │ │  │         │  │  │3)事後調定の要件を満たしていることを確認すべき  │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │61 │国保・年金課   │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │国税徴収法第141条等の調査に基づいて取得した調   │ │  │         │  │  │査情報(納付原簿や滞納者との折衝記録ではない。) │ │  │         │  │  │については、強制徴収公債権担当者以外の者が閲覧で │ │  │         │  │  │きないように別の書式等で管理するか、国保・年金課 │ │  │         │  │  │内で取り決めすべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │62 │国保・年金課   │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │滞納処分については、今後も、預金債権のほか、給与 │ │  │         │  │  │債権や売掛金債権なども、積極的に、実施すべきであ │ │  │         │  │  │る。特に、給与債権や売掛金債権について、第三債務 │ │  │         │  │  │者が、調査に回答しない場合、滞納処分を実施すべき │ │  │         │  │  │である。また、滞納処分を実施しても、第三債務者か │ │  │         │  │  │らの支払がない場合は、取立訴訟についても、実施を │ │  │         │  │  │検討すべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │63 │国保・年金課   │指摘│  │【相続人に対する請求】              │ │  │         │  │  │単身世帯や滞納金額が大きい事案など一定の基準を  │ │  │         │  │  │設けた上で、戸籍調査等を行い、相続人にも、滞納し │ │  │         │  │  │ている国民健康保険料を請求すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │64 │国保・年金課   │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │滞納金額が大きい事案など一定の基準を設けた上で、 │ │  │         │  │  │実態調査等を行い、滞納処分をかけるのか、徴収猶予、│ │  │         │  │  │滞納処分の停止などの措置を取るのか、方針を決定し │ │  │         │  │  │て、漫然と、消滅時効を経過させないようにすべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │65 │国保・年金課   │指摘│  │【放棄・減免】                  │ │  │         │  │  │岐阜市国民健康保険料減免取扱要綱第2条第1項第  │ │  │         │  │  │6号を適用させるかの可否についての判断において、 │ │  │         │  │  │課内会議等でケース会議を開いたのであれば、その協 │ │  │         │  │  │議内容及び結果を記録しておくべきである。     │ │  │         │  │  │また、ケース会議の議事録の書式を作成し、減免申請 │ │  │         │  │  │を認めるべき情報が記載されるようにすべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │66 │国保・年金課   │指摘│  │【不服審査への対応】               │ │  │         │  │  │課内で協議したのであれば、その協議結果について  │ │  │         │  │  │も、記録に残すべきである。            │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤
    │第7 介護保険料                            指摘13 意見5 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │67 │介護保険課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │68 │介護保険課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │平成20年9月1日決裁「介護保険料における収納事  │ │  │         │  │  │務の取扱いについて」の「督促」の項目について、納 │ │  │         │  │  │期限後20日以内に督促状を発付するように改正すべ  │ │  │         │  │  │きである。                    │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │69 │介護保険課    │  │意見│【保険料の賦課-転入届をしない転入者】      │ │  │         │  │  │判例の基準により、「継続的に生活の本拠を有する」 │ │  │         │  │  │場所と、住民登録上の住所とが異なる場合、転入者に │ │  │         │  │  │「転入届」の提出を指導することが望ましい。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │70 │介護保険課    │  │意見│【保険料の賦課-世帯主】             │ │  │         │  │  │「主として生計を維持する者」と、住民登録上の「世 │ │  │         │  │  │帯主」と異なる場合には、「世帯変更届」の提出を指 │ │  │         │  │  │導し、それに従わない場合は、「主として生計を維持 │ │  │         │  │  │する者」について介護保険法第132条第2項の「世帯  │ │  │         │  │  │主」と認定して、連帯納付義務を賦課することが望ま │ │  │         │  │  │しい。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │71 │介護保険課    │指摘│  │【保険料の賦課-不現住者に対する被保険者資格】  │ │  │         │  │  │現場調査等を実施して、不在であることが判明した案 │ │  │         │  │  │件については、職権消除等をするよう、市民課に報告 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │72 │介護保険課    │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │73 │介護保険課    │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │納付誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分につ │ │  │         │  │  │いて異議を申し立てない旨の条項を入れることが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │74 │介護保険課    │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目 │ │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │75 │介護保険課    │指摘│  │【督促手数料】                  │ │  │         │  │  │督促手数料の調定を事後調定とするのであれば、1)発 │ │  │         │  │  │生している督促手数料の金額を把握すべきである。2) │ │  │         │  │  │発生している督促手数料を決算書に注記などで表示  │ │  │         │  │  │すべきである。3)事後調定の要件を満たしていること │ │  │         │  │  │を決裁書類上、確認すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │76 │介護保険課    │指摘│  │【延滞金】                    │ │  │         │  │  │延滞金の調定を事後調定とするのであれば、1)発生し │ │  │         │  │  │ている延滞金の金額を把握すべきである。2)発生して │ │  │         │  │  │いる延滞金を決算書に注記などで表示すべきである。 │ │  │         │  │  │3)事後調定の要件を満たしていることを決裁書類上、 │ │  │         │  │  │確認すべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │77 │介護保険課    │指摘│  │【税務情報の共有】                │ │  │         │  │  │各強制徴収公債権の担当課の間において、滞納者の税 │ │  │         │  │  │務情報を共有すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │78 │介護保険課    │指摘│  │【官報情報の共有と活用】             │ │  │         │  │  │官報公告を確認している納税課から官報情報を共有  │ │  │         │  │  │し、債権の申出をすべきである。          │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │79 │介護保険課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │国税徴収法第141条等の調査に基づいて取得した調   │ │  │         │  │  │査情報は、強制徴収公債権担当者以外の者が閲覧でき │ │  │         │  │  │ないようにするよう取り決めをするか、経過記録とは │ │  │         │  │  │別の書式で管理すべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │80 │介護保険課    │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │滞納者のうち、納付誓約書を提出しない者など悪質な │ │  │         │  │  │者については、積極的に、滞納処分を実施すべきであ │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │81 │介護保険課    │指摘│  │【連帯納付義務者に対する請求】          │ │  │         │  │  │滞納処分などにより被保険者から保険料を徴収でき  │ │  │         │  │  │ないのであれば、連帯納付義務者である世帯主及び配 │ │  │         │  │  │偶者に対して、滞納処分を実施すべきである。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │82 │介護保険課    │指摘│  │【相続人に対する請求】              │ │  │         │  │  │滞納額が高額な案件から、相続人に対して、滞納処分 │ │  │         │  │  │を実施すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │83 │介護保険課    │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │漫然と、消滅時効にかけないよう、滞納金額が大きい │ │  │         │  │  │事案など一定の基準を設けた上で、実態調査等を行  │ │  │         │  │  │い、滞納処分を実施するのか、徴収緩和措置を取るの │ │  │         │  │  │か、方針を適切に決定すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │84 │介護保険課    │指摘│  │【放棄・減免】                  │ │  │         │  │  │岐阜市介護保険料減免・減額取扱要綱第3条の判断に │ │  │         │  │  │おいて、課内会議等でケース会議を開いたのであれ  │ │  │         │  │  │ば、その結果を記録しておくべきである。また、ケー │ │  │         │  │  │ス会議の議事録の書式を作成し、減免申請を認めるべ │
    │  │         │  │  │き情報が記載されるようにすべきである。      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第8 後期高齢者医療保険料                       指摘13 意見4 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │85 │福祉医療課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │86 │福祉医療課    │指摘│  │【管理マニュアル】                │ │  │         │  │  │平成20年9月1日決裁「後期高齢者医療保険料にお  │ │  │         │  │  │ける収納事務の取扱いについて」の「督促」の項目に │ │  │         │  │  │ついて、納期限後20日以内に督促を発送するように  │ │  │         │  │  │改正すべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │87 │福祉医療課    │指摘│  │【保険料の賦課・調定】              │ │  │         │  │  │現場調査等を実施して、不在であることが判明した案 │ │  │         │  │  │件については、職権消除等をするよう、市民課に報告 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │88 │福祉医療課    │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │89 │福祉医療課    │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │納付誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分につ │ │  │         │  │  │いて異議を申し立てない旨の条項を入れることが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │90 │福祉医療課    │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │納付誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目 │ │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │91 │福祉医療課    │指摘│  │【督促手数料】                  │ │  │         │  │  │督促手数料の調定を事後調定とするのであれば、1)発 │ │  │         │  │  │生している督促手数料の金額を把握すべきである。2) │ │  │         │  │  │発生している督促手数料を決算書に注記などで表示  │ │  │         │  │  │すべきである。3)事後調定の要件を満たしていること │ │  │         │  │  │を確認すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │92 │福祉医療課    │指摘│  │【延滞金】                    │ │  │         │  │  │延滞金の調定を事後調定とするのであれば、1)発生し │ │  │         │  │  │ている延滞金の金額を把握すべきである。2)発生して │ │  │         │  │  │いる延滞金を決算書の注記などで表示すべきである。 │ │  │         │  │  │3)事後調定の要件を満たしていることを確認すべき  │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │93 │福祉医療課    │  │意見│【コンビニ収納】                 │ │  │         │  │  │納付義務者の利便性などを考慮して、コンビニ収納の │ │  │         │  │  │導入についても、検討することが望ましい。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │94 │福祉医療課    │指摘│  │【税務情報の共有】                │ │  │         │  │  │各強制徴収公債権の担当課の間において、滞納者の税 │ │  │         │  │  │務情報を共有すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │95 │福祉医療課    │指摘│  │【官報情報の共有と活用】             │ │  │         │  │  │官報公告を確認している納税課から官報情報を共有  │ │  │         │  │  │し、債権の申出をすべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │96 │福祉医療課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │国税徴収法第141条等の調査による税務情報につい   │ │  │         │  │  │ては、強制徴収公債権担当者以外の者が閲覧できない │ │  │         │  │  │ようにするため、経過記録とは別の書式で管理すべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │97 │福祉医療課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │福祉医療課は、納税課より、滞納者の税務情報を取得 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │98 │福祉医療課    │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │不動産を持っている事案など、滞納処分が可能な案件 │ │  │         │  │  │がないか検討すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │99 │福祉医療課    │指摘│  │【連帯納付義務者に対する請求】          │ │  │         │  │  │連帯納付義務者である世帯主や配偶者に対して、納入 │ │  │         │  │  │の通知や督促、滞納処分などを実施すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │100 │福祉医療課    │指摘│  │【相続人に対する請求】              │ │  │         │  │  │費用対効果の見合わない少額滞納者以外は、相続人調 │ │  │         │  │  │査を実施して、相続人に対する納入の通知や督促、催 │ │  │         │  │  │告のほか、滞納処分を実施すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │101 │福祉医療課    │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │漫然と、消滅時効にかけないよう、滞納金額が大きい │ │  │         │  │  │事案など一定の基準を設けた上で、実態調査等を行  │ │  │         │  │  │い、滞納処分を実施するのか、徴収緩和措置を取るの │ │  │         │  │  │か、方針を適切に決定すべきである。        │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第9 まちを美しくする条例過料                     指摘1 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │102 │循環型社会推進課 │  │意見│【調定額の減少】                 │ │  │         │  │  │条例による路上喫煙の規制の実効性を確保するため、 │ │  │         │  │  │路上喫煙防止指導員の体制を2班体制とすることが  │ │  │         │  │  │望ましい。                    │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │103 │循環型社会推進課 │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │岐阜市まちを美しくする条例過料取扱要領を改正し  │ │  │         │  │  │て、督促状は、納期限後20日以内に発付すべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │
    ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │104 │循環型社会推進課 │  │意見│【納付書発行事案における収納率】         │ │  │         │  │  │全体の収納率を上げるためには、現金納付の比率を高 │ │  │         │  │  │めることが有効であり、現年収納率が大幅に上がって │ │  │         │  │  │いるとのことから、違反者に対しては、今後も継続し │ │  │         │  │  │て、現金納付を勧めるようにすることが望ましい。  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第10 産業廃棄物不法投棄弁償金                     指摘0 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │105 │環境事業政策課  │  │意見│【債権回収のノウハウの共有】           │ │  │         │  │  │本件事案を通じて得た債権回収のノウハウを整理し、 │ │  │         │  │  │各債権管理担当課に情報提供することが望ましい。  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第11 下水料金                             指摘2 意見3 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │106 │営業課      │  │意見│【納期限の定め】                 │ │  │         │  │  │企業会計規程第32条の納期限を、「納入通知書を発行 │ │  │         │  │  │して10日を経過した日以降」ではなく、「納入通知書 │ │  │         │  │  │を発行して10日を経過した日」というように限定し  │ │  │         │  │  │て定めることが望ましい。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │107 │営業課      │指摘│  │【委託業務の範囲】                │ │  │         │  │  │納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書の取付を │ │  │         │  │  │受託業者に行わせるのであれば、岐阜市上下水道事業 │ │  │         │  │  │部検針事務等委託規程を改正し、委託の対象に「徴収 │ │  │         │  │  │事務」も付加すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │108 │営業課      │  │意見│【仕様書における業務対象の明示】         │ │  │         │  │  │下水料金と水道料金の収納業務を同一の業者に委託  │ │  │         │  │  │する場合であっても、仕様書において、個々の委託業 │ │  │         │  │  │務について、それがどの債権に関する業務であるかを │ │  │         │  │  │明示することが望ましい。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │109 │営業課      │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │口座振替による納付の場合も、督促状は、納期限後  │ │  │         │  │  │20日以内に発付すべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │110 │営業課      │指摘│  │【督促状における行政不服申立ての教示】      │ │  │         │  │  │不服申立ての対象が下水料金に限られることを明示  │ │  │         │  │  │して、教示すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │111 │営業課      │  │意見│【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │「預金不足」ということで財産調査を終えるのではな │ │  │         │  │  │く、調査権限があるのであるから、他の財産がないか │ │  │         │  │  │の調査をすることが望ましい。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │112 │営業課      │指摘│  │【延滞金の徴収】                 │ │  │         │  │  │延滞金を徴収すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │113 │営業課      │指摘│  │【管理人に対する請求】              │ │  │         │  │  │共同住宅などにおいては、連帯責任を負う管理人に対 │ │  │         │  │  │しても、下水料金を請求することを検討すべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │114 │営業課      │指摘│  │【管理人の届出】                 │ │  │         │  │  │排水設備の共同使用の場合には、管理人の選定及び届 │ │  │         │  │  │出を指導すべきである。              │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第12 下水道事業受益者負担金                      指摘2 意見3 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │115 │営業課      │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │滞納者の財産につき調査をし、徴収可能性がある場合 │ │  │         │  │  │には、公平の観点から、滞納処分を積極的に行うべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │116 │営業課      │  │意見│【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │限られた人員で効率よく債権の管理・徴収を行うた  │ │  │         │  │  │め、マニュアルを整備することが望ましい。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │117 │営業課      │  │意見│【督促手数料の徴収根拠】             │ │  │         │  │  │明確性の見地から負担金条例に、督促手数料も含め、 │ │  │         │  │  │督促に関する規定を設けることが望ましい。     │ │  │         │  │  │また、書類の送達及び公示送達についても、負担金条 │ │  │         │  │  │例で定めることが望ましい。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │118 │営業課      │指摘│  │【延滞金の徴収】                 │ │  │         │  │  │延滞金を徴収すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │119 │営業課      │  │意見│【徴収猶予】                   │ │  │         │  │  │農地の場合にも、具体的な年数など猶予期間を定める │ │  │         │  │  │ことが望ましい。                 │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第13 不正利得返還金(介護保険課)                   指摘9 意見4 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │120 │介護保険課    │指摘│  │【滞納処分】                   │ │  │         │  │  │一律、滞納処分を実施しないのは避けるべきであり、 │ │  │         │  │  │入居者等の保護の観点からも問題が少ない場合につ  │ │  │         │  │  │いては、滞納処分をすべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │121 │介護保険課    │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │122 │介護保険課    │  │意見│【分納誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │分納誓約書には、誓約に違反した場合の滞納処分につ │ │  │         │  │  │いて異議を申し立てない旨の条項を入れることが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │123 │介護保険課    │  │意見│【分納誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │分納誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目 │
    │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │124 │介護保険課    │指摘│  │【保証人】                    │ │  │         │  │  │不正請求の事案については、代表取締役等も保証人と │ │  │         │  │  │なるよう、「確約書」など提出させるべきである。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │125 │介護保険課    │指摘│  │【督促手数料及び延滞金の充当】          │ │  │         │  │  │督促手数料、延滞金、元金(不正利得返還金及び加算 │ │  │         │  │  │金)の順番に充当しているが、誤りであり、元金(不 │ │  │         │  │  │正利得返還金及び加算金)を延滞金よりも先に充当す │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │126 │介護保険課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │督促状において、行政不服申立ての教示文を明記すべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │127 │介護保険課    │指摘│  │【税務情報の共有】                │ │  │         │  │  │各強制徴収公債権の担当課の間において、滞納者の税 │ │  │         │  │  │務情報を共有すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │128 │介護保険課    │指摘│  │【官報情報の共有】                │ │  │         │  │  │介護保険課内において、官報公告の情報を共有すべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │129 │介護保険課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │調査情報(納付原簿や滞納者との折衝記録ではない。)│ │  │         │  │  │については、第三者行為求償事務担当者など強制徴収 │ │  │         │  │  │公債権担当者以外の者が閲覧できないようにするた  │ │  │         │  │  │め、経過記録とは別の書式で管理すべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │130 │介護保険課    │指摘│  │【債権管理簿】                  │ │  │         │  │  │債権管理簿を作成すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │131 │介護保険課    │  │意見│【管理マニュアル】                │ │  │         │  │  │過去5年間に発生した3件の不正利得事案の処理を  │ │  │         │  │  │参考にして、管理マニュアルを作成することが望まし │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │132 │介護保険課    │指摘│  │【ケース会議の議事録】              │ │  │         │  │  │ケース会議の議事録の書式を作成し、必要な情報が漏 │ │  │         │  │  │れなく議論でき、漏れなく記録できるようにすべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第4章 非強制徴収公債権                        指摘72 意見21 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第2 生活保護費返還金                         指摘17 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │133 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【発生の防止体制】                │ │  │         │  │  │担当のケースワーカーが、慎重に事務処理を行うべき │ │  │         │  │  │ことはもちろんであるが、査察指導員等の幹部職員に │ │  │         │  │  │おいては、日常のケース審査の強化、チェック表など │ │  │         │  │  │を活用した扶助費算定誤りの未然防止又は早期発見  │ │  │         │  │  │の指導を徹底すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │134 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【年金など他法他施策の活用】           │ │  │         │  │  │担当のケースワーカーは、年金受給権の可能性の検討 │ │  │         │  │  │を徹底し、受給可能であれば請求手続の支援を徹底す │ │  │         │  │  │べきである。また、査察指導員等の幹部職員において │ │  │         │  │  │は、他法他施策の活用を徹底すべきことについての指 │ │  │         │  │  │導をすべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │135 │生活福祉一課・二課│  │意見│【年金調査員の非常勤任用等】           │ │  │         │  │  │障害年金に関しては、専門的知識が必要な場合もある │ │  │         │  │  │ため、年金調査員の非常勤任用等について検討するこ │ │  │         │  │  │とが望ましい。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │136 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【収入の未申告の防止】              │ │  │         │  │  │収入調査を厳しく行い、収入の未申告とならないよう │ │  │         │  │  │努めるべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │137 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【履行延期の処分と延納利息】           │ │  │         │  │  │岐阜市債権取扱規則で定められた記載事項を記載し  │ │  │         │  │  │た書面を作成すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │138 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【担保の提供と延納利息の除外事由】        │ │  │         │  │  │担保を提供させ、延納利息を付すべきである。仮に岐 │ │  │         │  │  │阜市債権取扱規則で定める除外理由が存在するので  │ │  │         │  │  │あれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続を │ │  │         │  │  │行うべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │139 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【第78条による徴収金の分割納付】         │ │  │         │  │  │第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権に該当  │ │  │         │  │  │する部分については、履行延期の処分ではなく、分納 │ │  │         │  │  │誓約という対応すべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │140 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │141 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │督促状には、行政不服申立ての教示文を明記すべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │142 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【第80条免除の適用】               │ │  │         │  │  │生活保護法第80条規定の「やむを得ない事由」が認  │ │  │         │  │  │められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記し │ │  │         │  │  │た決裁手続をすべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤
    │143 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【第77条による徴収金の検討】           │ │  │         │  │  │扶養義務者の調査結果に基づき、明らかに扶養義務を │ │  │         │  │  │履行することが可能であるのに履行していない扶養  │ │  │         │  │  │義務者の存否、十分な扶養能力があるにもかかわらず │ │  │         │  │  │正当な理由なくして扶養を拒んでいる重点的扶養能  │ │  │         │  │  │力調査対象者の存否を確認し、調停又は審判の申立て │ │  │         │  │  │や第77条の適用を検討すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │144 │生活福祉一課・二課│  │意見│【履行期限の繰上げ】               │ │  │         │  │  │支払いが滞った場合、履行期限の繰上げを行うことを │ │  │         │  │  │債務者に通知し、実行を検討することが望ましい。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │145 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【法的手続による請求】              │ │  │         │  │  │例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人の所 │ │  │         │  │  │在、生活状態、資産状況等を調査・確認して、その結 │ │  │         │  │  │果を記録しておくとともに、その結果、例外事由が認 │ │  │         │  │  │められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記し │ │  │         │  │  │た決裁手続を行うべきである。他方、例外事由が認め │ │  │         │  │  │られないのであれば、法的手続による請求をすべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │146 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【第78条による徴収金の滞納処分】         │ │  │         │  │  │第78条による徴収金のうち、強制徴収公債権に該当  │ │  │         │  │  │する部分については、債務者または相続人に対する滞 │ │  │         │  │  │納処分の実施を検討すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │147 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【管理回収マニュアルの作成】           │ │  │         │  │  │他の自治体に習うなどし、生活保護費返還金等の管理 │ │  │         │  │  │回収に関するマニュアルを作成すべきである。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │148 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【債権の管理方法】                │ │  │         │  │  │管理簿には、督促をした日の記載をはじめとして、回 │ │  │         │  │  │収に向けて行った事務を記録する項目を作成し、記録 │ │  │         │  │  │しておくべきである。また、全債務者の延滞状況を常 │ │  │         │  │  │に漏れなく把握することのできるような債務者一覧  │ │  │         │  │  │表を作成すべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │149 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【不納欠損の理由】                │ │  │         │  │  │消滅時効が完成したものを不納欠損処分しているの  │ │  │         │  │  │であれば、それを理由として明記すべきである。   │ │  │         │  │  │消滅時効が完成しているもののうち、居所不明または │ │  │         │  │  │死亡という事由があるものだけを不納欠損処分して  │ │  │         │  │  │いるのであれば、そのような事由のないものも、不納 │ │  │         │  │  │欠損処分すべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │150 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【消滅時効の起算点】               │ │  │         │  │  │督促状による時効中断日は、発送日ではなく到達日で │ │  │         │  │  │ある。時効の起算点を正しく認定すべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │151 │生活福祉一課・二課│指摘│  │【相続人に対する対応】              │ │  │         │  │  │死亡により廃止したケースでは、相続人に対して返  │ │  │         │  │  │還・徴収を求めるべきである。           │ │  │         │  │  │消滅時効期間が満了しないよう、相続人に対して時効 │ │  │         │  │  │中断のための措置をすべきである。         │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第3 老人保護措置費負担金                       指摘3 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │152 │高齢福祉課    │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、督促状を発付することにより行うべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │153 │高齢福祉課    │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │154 │高齢福祉課    │指摘│  │【相続人に対する請求】              │ │  │         │  │  │相続放棄の確認及び相続調査を適切に実施し、相続放 │ │  │         │  │  │棄がなされていないのであれば、相続人に対して請求 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第4 児童扶養手当返還金・子ども手当返還金・児童手当返還金       指摘9 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │155 │子ども支援課   │指摘│  │【不正利得の確認(児童扶養手当返還金、児童手当返 │ │  │         │  │  │還金)】                     │ │  │         │  │  │返還金が発生した際に、不正利得であるかどうかの確 │ │  │         │  │  │認をする体制を構築し、実施すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │156 │子ども支援課   │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、督促状を発付することにより行うべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │157 │子ども支援課   │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を請求すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │158 │子ども支援課   │指摘│  │【管理回収マニュアルの作成】           │ │  │         │  │  │少なくとも半年毎の催告状の送付など、督促を含めた │ │  │         │  │  │回収事務を明記した返還金回収にかかるマニュアル  │ │  │         │  │  │等を作成し、実行すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │159 │子ども支援課   │指摘│  │【法的手続による請求】              │ │  │         │  │  │例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人の所 │ │  │         │  │  │在、生活状態、資産状況等を調査・確認して、その結 │ │  │         │  │  │果を記録しておくとともに、その結果、例外事由が認 │ │  │         │  │  │められるのであれば、その事実及び認定根拠を明記し │ │  │         │  │  │た決裁手続を行うべきである。他方、例外事由が認め │ │  │         │  │  │られないのであれば、法的手続による請求をすべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │160 │子ども支援課   │指摘│  │【履行延期の処分の決定審査(児童扶養手当返還金)】│ │  │         │  │  │岐阜市債権取扱規則第17条第1項の規定に従って、  │ │  │         │  │  │履行延期の処分決定時の審査を強化すべきである。  │
    ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │161 │子ども支援課   │指摘│  │【履行延期の処分と調定】             │ │  │         │  │  │財務会計システム上、調定金額や収入未済額が誤った │ │  │         │  │  │状態となっていることは不適切である。早急に、調定 │ │  │         │  │  │の処理方法を検討して、正しい金額となるように対策 │ │  │         │  │  │を講じるべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │162 │子ども支援課   │指摘│  │【履行延期の処分と延納利息】           │ │  │         │  │  │担保を提供させ、延納利息を付すべきである。仮に岐 │ │  │         │  │  │阜市債権取扱規則に定める例外事由が存在するので  │ │  │         │  │  │あれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続を │ │  │         │  │  │行うべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │163 │子ども支援課   │  │意見│【履行期限の繰上げ】               │ │  │         │  │  │支払いが滞った場合、履行期限の繰り上げを行うこと │ │  │         │  │  │を債務者に通知し、実行を検討することが望ましい。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │164 │子ども支援課   │指摘│  │【不納欠損と消滅時効の管理】           │ │  │         │  │  │時効管理を適切に行うための明確な規定を作成し、可 │ │  │         │  │  │能な限りの時効中断措置を講じるべきである。債権回 │ │  │         │  │  │収に向けた措置を講じることが困難な事情がある場  │ │  │         │  │  │合には、徴収停止措置を講じることを検討すべきであ │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第5の1 住宅使用料                          指摘4 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │165 │住宅課      │  │意見│【法的措置対象者選定以前の回収措置】       │ │  │         │  │  │債権回収の見地からすれば、現状の事務処理要綱2条 │ │  │         │  │  │の基準を見直すことが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │166 │住宅課      │指摘│  │【法的措置対象者の選定基準(事務処理要綱第3条)】│ │  │         │  │  │公営住宅法及び岐阜市営住宅管理条例規則を踏まえ、 │ │  │         │  │  │遅くとも、滞納分が6ヶ月分に達した段階で滞納が解 │ │  │         │  │  │消されない者を法的措置対象者とする旨の基準変更  │ │  │         │  │  │を検討すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │167 │住宅課      │指摘│  │【法的措置対象者に対する対応】          │ │  │         │  │  │マニュアルを策定するなどして即決和解手続の積極  │ │  │         │  │  │的な利用を検討すべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │168 │住宅課      │指摘│  │【連帯保証人に対する訴訟提起】          │ │  │         │  │  │入居者に対して明渡訴訟を提起する際、連帯保証人も │ │  │         │  │  │共同被告として滞納分の支払いを求めるべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │169 │住宅課      │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。     │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第5の2 施設使用料                          指摘0 意見0 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第5の3 駐車場使用料                         指摘0 意見0 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第6 レンタサイクル使用料                       指摘3 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │170 │まちづくり課   │指摘│  │【利用承認期間を超過した場合の負担額】      │ │  │         │  │  │岐阜市レンタサイクル条例第6条第5項を改正し、超 │ │  │         │  │  │過期間1日につき200円の金員の支払義務が生じる旨  │ │  │         │  │  │を条例上明確にすべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │171 │まちづくり課   │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │「レンタサイクル利用料金の未払いについて(通知)」│ │  │         │  │  │という文書が、督促状であるならば、督促状であるこ │ │  │         │  │  │とが明確な文書にすべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │172 │まちづくり課   │指摘│  │【督促手数料の徴収】               │ │  │         │  │  │督促手数料を徴収すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │173 │まちづくり課   │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第7 し尿処理手数料                          指摘1 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │174 │環境事業課    │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点  │ │  │         │  │  │として、消滅時効の管理をすべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │175 │環境事業課    │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第8 中央卸売市場施設使用料                      指摘11 意見4 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │176 │中央卸売市場   │指摘│  │【納期限の定め】                 │ │  │         │  │  │岐阜市中央卸売市場業務条例施行規則第88条第1項  │ │  │         │  │  │を現状の運用に沿った内容に改正するか、同第4項に │ │  │         │  │  │より、市長が納期を別に定めるべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │177 │中央卸売市場   │指摘│  │【行政不服申立ての教示-納入通知書】       │ │  │         │  │  │納入通知書において、行政不服申立ての教示文を明記 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │178 │中央卸売市場   │指摘│  │【行政不服申立の教示-督促】           │ │  │         │  │  │督促状において、行政不服申立ての対象が、施設使用 │ │  │         │  │  │料に限られることを明示して、教示文を明記すべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │179 │中央卸売市場   │指摘│  │【保証金の定め-業務条例の改正】         │ │  │         │  │  │保証金が担保としての機能を果たすように業務条例  │ │  │         │  │  │を改正すべきである。               │
    ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │180 │中央卸売市場   │指摘│  │【保証金の定め-保証金額の決定】         │ │  │         │  │  │業務条例施行規則第38条において、「その額が30万  │ │  │         │  │  │円以上の場合は、市長が別に定める。」と規定してい │ │  │         │  │  │る以上、早急に保証金の額を定めるべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │181 │中央卸売市場   │  │意見│【保証金の充当】                 │ │  │         │  │  │明確性の見地からも、保証金の充当時期を、業務条例 │ │  │         │  │  │上明らかにすることが望ましい(敷金に関する岐阜市 │ │  │         │  │  │営住宅管理条例第11条参照)。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │182 │中央卸売市場   │  │意見│【施設の返還の申出】               │ │  │         │  │  │施設の返還日より一定期間前までに市場施設返還届  │ │  │         │  │  │出書の提出を義務付ける規定を設けることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │183 │中央卸売市場   │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │納期限後20日以内に、督促状により、督促をすべき  │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │184 │中央卸売市場   │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を請求すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │185 │中央卸売市場   │  │意見│【分納誓約と監督処分】              │ │  │         │  │  │業者の施設使用料の滞納金額が3ヶ月分を超えてい  │ │  │         │  │  │る場合で、かつ分納誓約を守らない場合には、監督処 │ │  │         │  │  │分(業務条例第72条)を検討することが望ましい。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │186 │中央卸売市場   │  │意見│【合名会社無限責任社員-時効中断措置】      │ │  │         │  │  │多数当事者間の法律関係を正しく認識し、的確に時効 │ │  │         │  │  │中断措置をとることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │187 │中央卸売市場   │指摘│  │【合名会社無限責任社員-訴訟等の法的手続】    │ │  │         │  │  │複数当事者の債権債務関係に注意し、必要な場合に  │ │  │         │  │  │は、訴え提起にて債務名義を取り、強制執行手続きを │ │  │         │  │  │とることを検討するべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │188 │中央卸売市場   │指摘│  │【使用料の減免】                 │ │  │         │  │  │使用料の減免を認める「特別な理由があると認めると │ │  │         │  │  │き」(業務条例第69条第4号)の基準及び金額の基準 │ │  │         │  │  │を具体的に定めるべきである。           │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │189 │中央卸売市場   │指摘│  │【使用料の減免】                 │ │  │         │  │  │業者の経営状況を具体的に検証したうえ、真に必要な │ │  │         │  │  │減免額を算出し、その検証を毎年行った上で、必要な │ │  │         │  │  │場合に限り減免決定を行うべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │190 │中央卸売市場   │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点  │ │  │         │  │  │として、消滅時効の管理をすべきである。      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第9 国保資格喪失後受診返還金                     指摘6 意見5 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │191 │国保・年金課   │指摘│  │【不正利得の認定】                │ │  │         │  │  │資格喪失後受診医療費返還事案において、金額や受診 │ │  │         │  │  │期間等も考慮して、不正利得事案か否かの検討をすべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │192 │国保・年金課   │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、督促であることが明確な文書で行うべであ  │ │  │         │  │  │る。また、納期限後20日以内に、発付すべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │193 │国保・年金課   │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を徴収すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │194 │国保・年金課   │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │納期限後に発送する「国民健康保険医療費返納につい │ │  │         │  │  │て」という文書が督促状であるならば、行政不服申立 │ │  │         │  │  │ての教示文を明記すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │195 │国保・年金課   │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │196 │国保・年金課   │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │今後、高額の事案が発生した場合に備えて、期限の利 │ │  │         │  │  │益喪失条項を入れて納付誓約書を作成することが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │197 │国保・年金課   │  │意見│【納付誓約書の記載事項】             │ │  │         │  │  │今後、高額の事案が発生した場合に備えて、税務情報 │ │  │         │  │  │を含む滞納者情報の取得・利用についての同意条項を │ │  │         │  │  │入れて納付誓約書を作成することが望ましい。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │198 │国保・年金課   │指摘│  │【官報情報の共有】                │ │  │         │  │  │国民健康保険料の担当者が保有している官報情報に  │ │  │         │  │  │つき、国保・年金課内において、情報を共有すべきで │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │199 │国保・年金課   │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │調査結果については、別書式にするか、課内で取り決 │ │  │         │  │  │めをして、強制徴収公債権の担当者しか見ることがで │ │  │         │  │  │きないようにすべきである。            │ │  │         │  │  │また、非強制徴収公債権である資格喪失後受診返還金 │ │  │         │  │  │の滞納者から、国税徴収法に基づく調査結果を含む税 │ │  │         │  │  │務情報等の目的外利用について、同意書を取得すべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │200 │国保・年金課   │  │意見│【他の債権担当課との連携による法的手続対応】   │ │  │         │  │  │滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や │
    │  │         │  │  │私債権を有しており、その合計額が少なくない場合  │ │  │         │  │  │(納税課における滞納処分の基準額となる5万円が  │ │  │         │  │  │目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権 │ │  │         │  │  │や私債権の担当部門と連携して、訴訟や強制執行等の │ │  │         │  │  │法的措置を検討することが望ましい。        │ │  │         │  │  │そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情 │ │  │         │  │  │報等の情報を目的外利用することの同意条項を入れ  │ │  │         │  │  │るなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共有す │ │  │         │  │  │ることができる状態としておくことが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │201 │国保・年金課   │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │漫然と債権管理を放置したと評価されないために、徴 │ │  │         │  │  │収停止の措置を取ることが望ましい         │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第10 福祉医療費助成返還金                       指摘6 意見4 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │202 │福祉医療課    │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │203 │福祉医療課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │「福祉医療費助成金返還請求書」及び「納入通知書兼 │ │  │         │  │  │領収書」において、行政不服申立ての教示文を明記す │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │204 │福祉医療課    │指摘│  │【履行延期の処分】                │ │  │         │  │  │岐阜市債権取扱規則で定められた記載事項を記載し  │ │  │         │  │  │た書面を作成すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │205 │福祉医療課    │指摘│  │【履行延期の処分】                │ │  │         │  │  │担保を提供させ、延納利息を付すべきである。仮に岐 │ │  │         │  │  │阜市債権取扱規則で定める除外理由が存在するので  │ │  │         │  │  │あれば、その事実及び認定根拠を明記した決裁手続を │ │  │         │  │  │行うべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │206 │福祉医療課    │  │意見│【履行延期申請書の同意条項】           │ │  │         │  │  │「履行延期申請書」に、税務情報を含む滞納者情報の │ │  │         │  │  │取得・目的外利用についての同意条項を入れることが │ │  │         │  │  │望ましい。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │207 │福祉医療課    │指摘│  │【官報情報の共有】                │ │  │         │  │  │官報公告を確認している納税課から官報情報の提供  │ │  │         │  │  │を受けて、債権の申出をすべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │208 │福祉医療課    │  │意見│【他の債権担当課との連携による法的手続対応】   │ │  │         │  │  │滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や │ │  │         │  │  │私債権を有しており、その合計額が少なくない場合  │ │  │         │  │  │(納税課における滞納処分の基準額となる5万円が  │ │  │         │  │  │目安になると思われる。)は、他の非強制徴収公債権 │ │  │         │  │  │や私債権の担当部門と連携して、訴訟や強制執行等の │ │  │         │  │  │法的措置を検討することが望ましい。        │ │  │         │  │  │そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情 │ │  │         │  │  │報等の情報を目的外利用することの同意条項を入れ  │ │  │         │  │  │るなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共有す │ │  │         │  │  │ることができる状態としておくことが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │209 │福祉医療課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │将来、国税徴収法第141条に基づく調査を実施する場  │ │  │         │  │  │合に備えて、国税徴収法第141条の調査結果について  │ │  │         │  │  │は、別書式にして、強制徴収公債権である担当者しか │ │  │         │  │  │見ることができないようにするか、非強制徴収公債権 │ │  │         │  │  │(福祉医療助成資格喪失後受診医療費返納金)の滞納 │ │  │         │  │  │者から、国税徴収法に基づく調査結果を含む税務情報 │ │  │         │  │  │等の目的外利用等についての同意書を徴求しておく  │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │210 │福祉医療課    │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金を請求すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │211 │福祉医療課    │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │漫然と債権管理を放置したと評価されないために,徴 │ │  │         │  │  │収停止の措置を取ることが望ましい。        │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第11 岐阜市立女子短期大学授業料                    指摘6 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │212 │総務管理課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に、発付すべきである。 │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │213 │総務管理課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │納入通知書及び督促状において、行政不服申立ての教 │ │  │         │  │  │示文を明記すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │214 │総務管理課    │指摘│  │【法的手続による請求】              │ │  │         │  │  │弁護士を代理人とする内容証明での請求など専門家  │ │  │         │  │  │対応を検討することも考えられるが、例外事由がない │ │  │         │  │  │限り、支払督促など訴訟手続による履行請求を検討す │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │215 │総務管理課    │指摘│  │【保証人の範囲】                 │ │  │         │  │  │明確性の見地から、保証人が署名・押印する誓約書に │ │  │         │  │  │て、保証人が負う義務を記載すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │216 │総務管理課    │指摘│  │【保証人に対する請求】              │ │  │         │  │  │保証人に対しても支払義務があることを明示した上  │ │  │         │  │  │で、例外事由がない限り、請求をすべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │217 │総務管理課    │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │授業料を非強制徴収公債権と捉える以上、督促手数料 │ │  │         │  │  │及び延滞金を徴収すべきである。          │
    ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │218 │総務管理課    │  │意見│【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │消滅時効期間が2年の可能性があることに留意して  │ │  │         │  │  │債権回収措置等を講じることが望ましい。      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第12 岐阜薬科大学授業料                        指摘5 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │219 │庶務会計課    │指摘│  │【納期限の定め】                 │ │  │         │  │  │岐阜市立女子短大との比較においても、納期限は調定 │ │  │         │  │  │から長くとも1月以内を目処に設定すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │220 │庶務会計課    │指摘│  │【督促状の発付時期】               │ │  │         │  │  │督促状は、納期限後20日以内に発付すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │221 │庶務会計課    │指摘│  │【行政不服申立ての教示】             │ │  │         │  │  │納入通知書及び督促状において、行政不服申立ての教 │ │  │         │  │  │示文を明記すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │222 │庶務会計課    │指摘│  │【法的手続による請求】              │ │  │         │  │  │弁護士を代理人とする内容証明での請求など、専門家 │ │  │         │  │  │対応も検討することも考えられるが、例外事由のない │ │  │         │  │  │限り、簡易裁判所での訴訟提起など訴訟手続による履 │ │  │         │  │  │行請求を検討すべきである(債務者が遠隔地であると │ │  │         │  │  │支払督促で異議が出された場合に裁判管轄が問題と  │ │  │         │  │  │なる)。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │223 │庶務会計課    │指摘│  │【督促手数料及び延滞金】             │ │  │         │  │  │授業料を非強制徴収公債権ととらえる以上、督促手数 │ │  │         │  │  │料及び延滞金を徴収すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │224 │庶務会計課    │  │意見│【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │消滅時効期間が2年の可能性があることに留意して  │ │  │         │  │  │債権回収措置等を講じることが望ましい。      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第13 職員駐車場使用料(第二恵光・第三恵光)              指摘1 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │225 │第二恵光・第三恵光│指摘│  │【使用料の未徴収】                │ │  │         │  │  │岐阜市使用料徴収条例第3条第1項及び別表に基づ  │ │  │         │  │  │き、使用料を徴収すべきである。          │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第5章 私債権                             指摘76 意見44 │ ├────────────────────────────────────────────┤ │第2 食費等サービス利用料金(第二恵光、第三恵光)           指摘4 意見3 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │226 │第二恵光、第三恵光│指摘│  │【身元引受人の法的地位】             │ │  │         │  │  │利用契約の内容を、身元引受人が食費等サービス利用 │ │  │         │  │  │料金債務を連帯保証する形に改正すべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │227 │第二恵光     │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、督促状を発付することにより行うべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │228 │第二恵光、第三恵光│  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │229 │第二恵光     │  │意見│【分納誓約書の取得】               │ │  │         │  │  │納付相談の結果、分割弁済をすることになった場合に │ │  │         │  │  │は、身元引受人にも署名させる形で、分納誓約書を取 │ │  │         │  │  │得することが望ましい。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │230 │第二恵光     │指摘│  │【充当の順序】                  │ │  │         │  │  │滞納から充当する債務の指定がないときは、過年度分 │ │  │         │  │  │の古いものから順に充当すべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │231 │第二恵光     │指摘│  │【消滅時効の管理-起算点】            │ │  │         │  │  │督促状到達の翌日から再度時効期間が進行するもの  │ │  │         │  │  │として、時効を管理すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │232 │第二恵光、第三恵光│  │意見│【消滅時効の管理-時効期間】           │ │  │         │  │  │滞納者から2年による時効消滅を主張される可能性  │ │  │         │  │  │を念頭に置いて、時効管理を行うことが望ましい。  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第3 福祉資金貸付金                          指摘6 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【保証人に対する請求】              │ │  │         │  │  │例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連 │ │  │         │  │  │帯保証人の所在、生活状態、資産状況等を調査・確認 │ │233 │生活福祉一課   │指摘│  │して、その結果を記録しておくとともに、その結果、 │ │  │         │  │  │例外事由が認められるのであれば、その事実及び認定 │ │  │         │  │  │根拠を明記した決裁手続を行うべきである。他方、例 │ │  │         │  │  │外事由が認められないのであれば、保証人に対する請 │ │  │         │  │  │求をすべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【催告の頻度】                  │ │234 │生活福祉一課   │指摘│  │少なくとも1ヶ月に1回以上、催告書の送付や訪問に │ │  │         │  │  │よる催告などを行い、一括納付または早期の納付を求 │ │  │         │  │  │めるべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【債権の管理方法と時効中断措置の実行】      │ │235 │生活福祉一課   │指摘│  │全債務者の延滞状況を常に漏れなく把握することの  │ │  │         │  │  │できる一覧表を随時更新するとともに、消滅時効中断 │ │  │         │  │  │のための措置をとるべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【消滅時効と債権放棄1)】             │ │236 │生活福祉一課・二課│指摘│  │相続人からの回収を検討した上で、債権放棄すること │ │  │         │  │  │を検討すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【消滅時効と債権放棄2)】             │
    │237 │生活福祉一課・二課│指摘│  │行方不明という事情のみにとらわれることなく、時効 │ │  │         │  │  │期間が満了したことがやむを得ないといえるものに  │ │  │         │  │  │ついては、債権放棄することを検討すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【管理体制の検討】                │ │  │福祉政策課    │  │  │福祉資金貸付金の担当課を生活福祉一課とは別の課  │ │238 │         │指摘│  │にするか、生活福祉一課において福祉資金貸付金を中 │ │  │生活福祉一課   │  │  │心的に担当する職員を配属することを検討すべきで  │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第4 住宅建築資金貸付金・同和向個人住宅建設資金貸付金         指摘6 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【保証人に対する請求、抵当権の実行】       │ │  │         │  │  │例外事由の有無を判断するため、債務者、相続人、連 │ │  │         │  │  │帯保証人の所在、生活状態、資産状況等を調査・確認 │ │  │         │  │  │して、その結果を記録しておくとともに、その結果、 │ │239 │人権啓発センター │指摘│  │例外事由が認められるのであれば、その事実及び認定 │ │  │         │  │  │根拠を明記した決裁手続を行うべきである。他方、例 │ │  │         │  │  │外事由が認められないのであれば、保証人に対する請 │ │  │         │  │  │求や抵当権の実行といった必要な措置をとるべきで  │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【催告の対象と頻度】               │ │240 │人権啓発センター │指摘│  │すべての債務者に対し、少なくとも1か月に1回以  │ │  │         │  │  │上、催告書の送付や訪問による催告などを行い、一括 │ │  │         │  │  │納付または早期の納付を求めるべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【債務者・連帯保証人死亡時の回収】        │ │241 │人権啓発センター │指摘│  │債務者・連帯保証人の相続人及び相続放棄や限定承認 │ │  │         │  │  │の有無の調査を迅速に行い、請求することが可能な相 │ │  │         │  │  │続人には請求すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【遅延損害金の請求】               │ │242 │人権啓発センター │指摘│  │督促や催告の際には遅延損害金の請求をし、各月の償 │ │  │         │  │  │還金元金が納入される際には遅延損害金を調定して  │ │  │         │  │  │納入の通知をすべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【債権の管理方法】                │ │243 │人権啓発センター │指摘│  │「住宅建築資金貸付金償還金徴収簿」において、利子 │ │  │         │  │  │は、「延滞金」の欄ではなく、「償還金」の欄に記入す│ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【債権の管理方法】                │ │244 │人権啓発センター │  │意見│債務者一覧表を活用して、時効管理することが望まし │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【時効中断措置の実行】              │ │245 │人権啓発センター │指摘│  │一部納付も債務承認書の提出も拒否された場合、裁判 │ │  │         │  │  │上の請求による時効中断措置をとるべきである。   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第5 母子父子寡婦福祉貸金貸付金                    指摘5 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │246 │子ども支援課   │  │意見│【貸付審査の強化】                │ │  │         │  │  │審査の強化を検討することが望ましい。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【督促・催告等のマニュアル作成】         │ │247 │子ども支援課   │指摘│  │債権回収について、具体的な処理手順を体系的にまと │ │  │         │  │  │めたマニュアルを作成すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【訪問徴収・電話催告】              │ │248 │子ども支援課   │指摘│  │訪問徴収・電話催告を強化するため、収納嘱託員の増 │ │  │         │  │  │加や外部委託などを検討すべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【違約金の調定時期】               │ │249 │子ども支援課   │指摘│  │各月の償還金ごとに、滞納があったときは違約金を請 │ │  │         │  │  │求し、滞納となった月の償還金が納付された時点で、 │ │  │         │  │  │違約金の調定を行い、徴収すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【違約金の通知】                 │ │250 │子ども支援課   │指摘│  │違約金の通知を、貸付時、各月の償還金の滞納時、滞 │ │  │         │  │  │納となった償還金の徴収時に行うべきである。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【消滅時効と債権放棄】              │ │251 │子ども支援課   │指摘│  │時効期間が満了したことがやむを得ないといえるも  │ │  │         │  │  │のについては、債権放棄することを検討すべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第6 育英資金貸付金                          指摘4 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【貸付審査委員会における審査基準の作成】     │ │252 │子ども支援課   │指摘│  │貸付審査委員会における具体的な審査基準を作成す  │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【督促・催告等のマニュアル作成】         │ │253 │子ども支援課   │指摘│  │債権回収について、具体的な処理手順を体系的にまと │ │  │         │  │  │めたマニュアルを作成すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【訪問徴収・電話催告】              │ │254 │子ども支援課   │指摘│  │訪問徴収・電話催告を強化するため、収納嘱託員の増 │ │  │         │  │  │加や外部委託などを検討すべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【消滅時効と債権放棄】              │ │255 │子ども支援課   │指摘│  │時効期間が満了したことがやむを得ないといえるも  │ │  │         │  │  │のについては、債権放棄することを検討すべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第7 水道料金                             指摘9 意見5 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【納期限の定め】                 │ │256 │営業課      │  │意見│企業会計規程第32条の納期限を、「納入通知書を発行 │
    │  │         │  │  │して10日を経過した日」というように限定して定め  │ │  │         │  │  │ることが望ましい。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【委託業務の範囲】                │ │  │         │  │  │納入通知の再発行、納付相談及び納付誓約書の取付を │ │257 │営業課      │指摘│  │受託業者に行わせるのであれば、岐阜市上下水道事業 │ │  │         │  │  │部検針事務等委託規程を改正し、委託の対象に「徴収 │ │  │         │  │  │事務」も付加すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【仕様書における業務対象の明示】         │ │258 │営業課      │  │意見│水道料金と下水料金を区分して明示することが望ま  │ │  │         │  │  │しい。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【督促状における行政不服申立ての教示】      │ │259 │営業課      │指摘│  │不服申立ての対象が下水料金に限られることを明示  │ │  │         │  │  │して、教示すべきである。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【岐阜市債権取扱規則の適用】           │ │260 │営業課      │指摘│  │岐阜市債権取扱規則の適用がないかを検討し、ないと │ │  │         │  │  │解釈するのであれば、別途の規程を設けるべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【遅延損害金徴収の検討】             │ │261 │営業課      │  │意見│下水料金について延滞金を徴収する場合、水道料金に │ │  │         │  │  │ついても遅延損害金を付すことを検討することが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【取扱要綱に基づく給水停止の執行】        │ │262 │営業課      │指摘│  │給水停止の執行猶予・執行停止をするためには、取扱 │ │  │         │  │  │要綱に従い、特別の事情がある場合を除き、滞納分の │ │  │         │  │  │2分の1以上の納付を要求すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【給水停止制度の周知】              │ │263 │営業課      │  │意見│未納による給水停止の制度につき、各種通知やホーム │ │  │         │  │  │ページに明記しておくことが望ましい。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【支払督促等の訴訟手続】             │ │264 │営業課      │指摘│  │給水停止では回収できない場合には、支払督促等の訴 │ │  │         │  │  │訟手続を利用し債権回収を図るべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【日常家事連帯債務の意識】            │ │265 │営業課      │  │意見│例えば契約者の配偶者を把握するなど、配偶者が連帯 │ │  │         │  │  │債務者となりうることを意識することが望ましい。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【管理人に対する請求】              │ │266 │営業課      │指摘│  │共同住宅などにおいては、連帯責任を負う管理人にも │ │  │         │  │  │水道料金の請求を検討すべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【管理人の届出】                 │ │267 │営業課      │指摘│  │給水装置の共同使用の場合には、管理人の選定及び届 │ │  │         │  │  │出を指導すべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【消滅時効期間の満了と不納欠損処分】       │ │  │         │  │  │一律に不納欠損処分するのではなく、収納可能な債権 │ │268 │営業課      │指摘│  │については、不納欠損処分をすることなく債権回収措 │ │  │         │  │  │置を講じるとともに、徴収停止の要件を充足する債権 │ │  │         │  │  │については、徴収停止を行い、その後に不納欠損処分 │ │  │         │  │  │を行う運用に改めるべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │  │         │  │  │【情報の共有】                  │ │269 │営業課      │指摘│  │滞納が発生した使用者に対し、下水料金の関係で得た │ │  │         │  │  │情報を水道料金でも利用することに関する同意書の  │ │  │         │  │  │提出を求めるべきである。             │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第8 病院医業収益                           指摘6 意見6 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │270 │医事課      │指摘│  │【督促における納期限の定め】           │ │  │         │  │  │明確性の見地から、最初の督促は、納期限を定めた督 │ │  │         │  │  │促状で行うべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │271 │医事課      │指摘│  │【来院した未納者への対応】            │ │  │         │  │  │「善良な管理者と同一の注意」(健康保険法第74条第 │ │  │         │  │  │2項及び国民健康保険法第42条第2項)を行ったと  │ │  │         │  │  │いうために、来院した未納者に対して催促を行う手段 │ │  │         │  │  │を尽くすべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │272 │医事課      │  │意見│【入院誓約書及び保証書】             │ │  │         │  │  │「入院誓約書及び保証書」の提出を受ける際に、誓約 │ │  │         │  │  │者欄もしくは患者欄の記載と連帯保証人欄の記載の  │ │  │         │  │  │筆跡が明らかに類似すると認められるものについて  │ │  │         │  │  │は、連帯保証人に電話をするなどして保証意思の確認 │ │  │         │  │  │を行うことが望ましい。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │273 │医事課      │  │意見│【納付誓約書(債務承認書)の取得】        │ │  │         │  │  │納付相談の結果、分割納付の計画を定めることが出来 │ │  │         │  │  │なかった場合においても、納付誓約書(債務承認書) │ │  │         │  │  │を取得することが望ましい。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │274 │医事課      │指摘│  │【岐阜市債権管理調整会議へ提出するデータ】    │ │  │         │  │  │岐阜市債権管理調整会議において、調定簿で管理して │ │  │         │  │  │いる医業収益も含めて提出すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │275 │医事課      │  │意見│【弁護士法人への回収業務の委託─委託業務の範囲】 │ │  │         │  │  │岐阜市民病院と弁護士法人との間の業務委託仕様書  │ │  │         │  │  │を作成するにあたり、回収業務の委託内容につき、訴 │ │  │         │  │  │訟提起等法的手続を含めることが望ましい。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │276 │医事課      │  │意見│【弁護士法人への回収業務の委託─回収業務委託の  │ │  │         │  │  │効用】                      │ │  │         │  │  │実際の運用においても、医事課において回収が困難と │
    │  │         │  │  │考えられる債権については、早期に弁護士法人へ回収 │ │  │         │  │  │委託を行うことが望ましい。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │277 │医事課      │指摘│  │【弁護士法人への回収業務の委託─再委託】     │ │  │         │  │  │回収業務を委託している弁護士法人に対し、再委託の │ │  │         │  │  │契約にかかる書面の提出を求めるべきである。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │278 │医事課      │  │意見│【弁護士法人への回収業務の委託─連帯保証人への  │ │  │         │  │  │請求】                      │ │  │         │  │  │弁護士法人に回収業務を委託するに際して、保証書の │ │  │         │  │  │写しを提供するなど、連帯保証人の情報(氏名、住所、│ │  │         │  │  │連絡先等)を提供することが望ましい。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │279 │医事課      │指摘│  │【消滅時効の管理】                │ │  │         │  │  │今後は、時効中断事由及び時期についても考慮し、時 │ │  │         │  │  │効管理を正確に行うべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │280 │医事課      │指摘│  │【不納欠損処分の手続】              │ │  │         │  │  │岐阜市民病院の財務に関する特例を定める規則第21  │ │  │         │  │  │条に基づき、債権放棄を行ったのちに不納欠損処分を │ │  │         │  │  │行うべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │281 │医事課      │  │意見│【補論(健康保険法第74条第2項及び国民健康保険  │ │  │         │  │  │法第42条第2項)】                │ │  │         │  │  │催告や督促を実施しても回収できていない診療報酬、 │ │  │         │  │  │特に、弁護士法人に委託しても回収できていない診療 │ │  │         │  │  │報酬は、「善良な管理者と同一の注意をもってその支 │ │  │         │  │  │払をうけることに努めたにもかかわらず、・・・支払 │ │  │         │  │  │わないとき」に該当するのであるから、医事課は、保 │ │  │         │  │  │険者(岐阜市等)に対して、滞納処分を請求すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第9 中央卸売市場(電気料・水道使用料)                指摘4 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │282 │中央卸売市場   │  │意見│【水道使用料の分類】               │ │  │         │  │  │岐阜市中央卸売市場業務条例及び同施行規則におい  │ │  │         │  │  │て、施設使用料の一覧から水道使用料を外すことが望 │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │283 │中央卸売市場   │指摘│  │【保証金の定め-業務条例の改正】         │ │  │         │  │  │保証金が担保としての機能を果たすように業務条例  │ │  │         │  │  │を改正すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │284 │中央卸売市場   │指摘│  │【保証金の定め-保証金額の決定】         │ │  │         │  │  │業務条例施行規則第38条において、「その額が30万  │ │  │         │  │  │円以上の場合は、市長が別に定める。」と規定してい │ │  │         │  │  │る以上、早急に保証金の額を定めるべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │285 │中央卸売市場   │指摘│  │【消滅時効の管理─起算点】            │ │  │         │  │  │納期限の翌日または督促状の送達日の翌日を起算点  │ │  │         │  │  │として、消滅時効の管理をすべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │286 │中央卸売市場   │  │意見│【消滅時効の管理─時効期間】           │ │  │         │  │  │電気料について、消滅時効期間を5年(商法第522条) │ │  │         │  │  │と主張されることを念頭に、回収措置を図り、消滅時 │ │  │         │  │  │効の管理をすることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │287 │中央卸売市場   │指摘│  │【消滅時効と不納欠損処分】            │ │  │         │  │  │決裁文書「中央卸売市場の債権に対する対応」を岐阜 │ │  │         │  │  │市中央卸売市場事業の財務に関する特例を定める規  │ │  │         │  │  │則に沿うよう改正するとともに、消滅時効との関係で │ │  │         │  │  │は、債権放棄した債権、時効の援用により時効消滅し │ │  │         │  │  │た債権について不納欠損処分すべきである。     │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第10 土地建物貸付収入・使用損害金・弁償金(管財課分)         指摘5 意見3 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │288 │管財課      │指摘│  │【賃貸借契約の解除─滞納がある賃借人に対する賃  │ │  │         │  │  │貸借契約の解除】                 │ │  │         │  │  │滞納賃料の支払額の増加が見込まれない場合には、賃 │ │  │         │  │  │貸借契約を解除して明渡しを求めるべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │289 │管財課      │  │意見│【賃貸借契約の解除─賃貸借契約解除の基準設定】  │ │  │         │  │  │契約の解除について運用の統一を図るとともに、解除 │ │  │         │  │  │の適否判断を容易にするために、契約解除の基準を設 │ │  │         │  │  │けることが望ましい。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │290 │管財課      │  │意見│【分納誓約書の取得】               │ │  │         │  │  │債務者に納付計画を立てさせ、当該計画に従い納付す │ │  │         │  │  │る旨の分納誓約書を取得することが望ましい。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │291 │管財課      │指摘│  │【連帯保証人に対する請求】            │ │  │         │  │  │例外事由がない限り、地方自治法施行令第171条の2  │ │  │         │  │  │第1号に基づき、連帯保証人に対して履行を請求すべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │292 │管財課      │指摘│  │【延滞金(遅延損害金)の定め】          │ │  │         │  │  │岐阜市公有財産規則第37条第2項に従い、賃貸借契  │ │  │         │  │  │約書の延滞金(遅延損害金)の条項を、年5%に変更 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │293 │管財課      │指摘│  │【延滞金(遅延損害金)の請求】          │ │  │         │  │  │延滞金が発生している以上、その徴収は義務であり、 │ │  │         │  │  │延滞金を減免する事由がなければ、延滞金を請求すべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │294 │管財課      │指摘│  │【土地貸付整理簿、建物貸付整理簿】        │ │  │         │  │  │岐阜市公有財産規則に従い、土地貸付整理簿、建物貸 │ │  │         │  │  │付整理簿を作成保管すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │295 │管財課      │  │意見│【弁償金に関する時効中断の措置】         │
    │  │         │  │  │分納誓約書又は債務承認書を提出させて、時効中断を │ │  │         │  │  │記録化しておくことが望ましい。          │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第11 土地貸付収入(住宅課分)                     指摘3 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │296 │住宅課      │指摘│  │【滞納事案における債権回収の工夫】        │ │  │         │  │  │賃借人との賃貸借契約を解除して明渡しを求めるこ  │ │  │         │  │  │ともありうる旨の文書通告をし、滞納解消を促すこと │ │  │         │  │  │を検討すべきである。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │297 │住宅課      │指摘│  │【連帯保証人に対する請求】            │ │  │         │  │  │例外事由がない限り、地方自治法施行令第171条の2  │ │  │         │  │  │第1号に基づき、連帯保証人に対して履行を請求すべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │298 │住宅課      │指摘│  │【延滞金(遅延損害金)の請求】          │ │  │         │  │  │延滞金が発生している以上、その徴収は義務であり、 │ │  │         │  │  │延滞金を減免する事由がなければ、延滞金を請求すべ │ │  │         │  │  │きである。                    │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第12 公営住宅使用弁償金                        指摘1 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │299 │住宅課      │指摘│  │【債権の発生時期】                │ │  │         │  │  │岐阜市住宅管理条例第10条の規定を同条例第21条と  │ │  │         │  │  │整合するように改正すべきである。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │300 │住宅課      │  │意見│【公営住宅使用弁償金の金額】           │ │  │         │  │  │家賃同額ではなく、近傍同種の家賃の額の2倍相当額 │ │  │         │  │  │までの範囲で高額な弁償金を徴収することを検討す  │ │  │         │  │  │ることが望ましい。                │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第13 市営住宅退去修繕料                        指摘1 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │301 │住宅課      │  │意見│【催告の工夫】                  │ │  │         │  │  │文書だけではなく、併せて電話での催告を利用した  │ │  │         │  │  │り、あるいは、弁護士代理による請求を利用したりす │ │  │         │  │  │るなど、回収に向けて工夫することが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │302 │住宅課      │指摘│  │【連帯保証人に対する請求】            │ │  │         │  │  │連帯保証の効力は、修繕料支払義務にも当然及ぶもの │ │  │         │  │  │と考えられるところ、例外事由がない限り、地方自治 │ │  │         │  │  │法施行令第171条の2第1号に基づき、連帯保証人に  │ │  │         │  │  │対して履行を請求すべきである。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │303 │住宅課      │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │債権の回収に向けた措置を講じることが困難な事情  │ │  │         │  │  │がある場合には、徴収停止措置を講じることを検討す │ │  │         │  │  │ることが望ましい。                │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第14 放課後児童クラブ事業実費負担額(学童保育料)           指摘3 意見3 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │304 │青少年教育課   │指摘│  │【督促の方式】                  │ │  │         │  │  │督促には、時効中断の絶対効等、その後の催告と異な │ │  │         │  │  │る効果があることから、明確性の見地より、書面に「督│ │  │         │  │  │促状」という文言を用いるべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │305 │青少年教育課   │指摘│  │【催告文書の記載】                │ │  │         │  │  │「放課後童クラブ事業実費負担額未納のお知らせ」と │ │  │         │  │  │題する書面中の、「納付書の納付期限が過ぎています │ │  │         │  │  │が、延滞金は発生しませんので、そのまま納めて下さ │ │  │         │  │  │い。」との注意書きは削除すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │306 │青少年教育課   │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │307 │青少年教育課   │  │意見│【分納誓約書または債務承認書の取得】       │ │  │         │  │  │納付相談の結果、分割弁済をすることになった場合に │ │  │         │  │  │は、分納誓約書を取得することが望ましい。分納誓約 │ │  │         │  │  │に至らなかった場合でも、債務承認書を取得すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │308 │青少年教育課   │指摘│  │【消滅時効の管理-起算点】            │ │  │         │  │  │督促状により督促した上で、督促状到達の翌日から再 │ │  │         │  │  │度時効期間が進行するものとして管理すべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │309 │青少年教育課   │  │意見│【消滅時効の管理-時効期間】           │ │  │         │  │  │滞納者から2年による時効消滅を主張される可能性  │ │  │         │  │  │を念頭に置いて、時効管理を行うことが望ましい。  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第15の1 第三者行為求償金(国保・年金課)               指摘5 意見6 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │310 │国保・年金課   │指摘│  │【請求書に記載されている過失割合】        │ │  │         │  │  │ 「第三者行為による損害賠償金の請求について」と │ │  │         │  │  │いう書式に合わせて、総支給額と相手方保険会社に請 │ │  │         │  │  │求する金額から過失割合(相手方保険会社と合意した │ │  │         │  │  │過失割合と異なる数値である。)を算出して、請求書 │ │  │         │  │  │に記載することはやめるべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │311 │国保・年金課   │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │312 │国保・年金課   │  │意見│【分納誓約書の記載事項-期限の利益喪失条項】    │ │  │         │  │  │分納誓約書に期限の利益喪失条項を入れることが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │313 │国保・年金課   │  │意見│【分納誓約書の記載事項-同意条項】         │ │  │         │  │  │分納誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目 │
    │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │314 │国保・年金課   │指摘│  │【法的手続による請求】              │ │  │         │  │  │加害者に直接請求しなければいけない事案で、請求に │ │  │         │  │  │応じない案件は、求償金額によっては、例外事由のな │ │  │         │  │  │い限り、支払督促のほか、訴訟、強制執行の実施を検 │ │  │         │  │  │討すべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │315 │国保・年金課   │指摘│  │【官報情報の共有と活用】             │ │  │         │  │  │官報公告を確認している納税課から官報情報の提供  │ │  │         │  │  │を受けて、債権の申出をすべきである。       │ │  │         │  │  │国民健康保険料の担当者が、納税課から情報提供を受 │ │  │         │  │  │けているのであるから、国保・年金課において共有す │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │316 │国保・年金課   │指摘│  │【国税徴収法による調査情報1)】          │ │  │         │  │  │国税徴収法第141条等に基づく調査結果については、  │ │  │         │  │  │課内で取り決めをして、強制徴収公債権の担当者(国 │ │  │         │  │  │民健康保険料等の担当者)しか見ることができないよ │ │  │         │  │  │うにすべきである。                │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │317 │国保・年金課   │指摘│  │【国税徴収法による調査情報2)】          │ │  │         │  │  │私債権の滞納者から国税徴収法に基づく調査結果を  │ │  │         │  │  │含む税務情報等の目的外利用について、同意書を取得 │ │  │         │  │  │すべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │318 │国保・年金課   │  │意見│【訴訟、強制執行のための情報共有】        │ │  │         │  │  │滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や │ │  │         │  │  │私債権を有しており、その合計額が少なくない場合  │ │  │         │  │  │は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と連携 │ │  │         │  │  │して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが │ │  │         │  │  │望ましい。                    │ │  │         │  │  │そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情 │ │  │         │  │  │報等の情報を目的外利用することの同意条項を入れ  │ │  │         │  │  │るなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共有す │ │  │         │  │  │ることができる状態としておくことが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │319 │国保・年金課   │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │滞納者が催告に応じず、訴訟等の法的手続が費用対効 │ │  │         │  │  │果に合わない場合、徴収停止の措置を取ることが望ま │ │  │         │  │  │しい。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │320 │国保・年金課   │  │意見│【債権放棄】                   │ │  │         │  │  │債務者が生活困窮状態にある状態や失踪状態などが  │ │  │         │  │  │認定できるのであれば、放棄を検討することが望まし │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第15の2 第三者行為求償金(介護保険課)                指摘5 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │321 │介護保険課    │  │意見│【第三者行為求償事案の発見】           │ │  │         │  │  │介護認定係(14人)が、主治医意見書を精査する時に、│ │  │         │  │  │交通事故や損害賠償等というキーワードがあれば、そ │ │  │         │  │  │の案件について、給付係に連絡してもらうようにし  │ │  │         │  │  │て、チェック体制を整えることが望ましい。     │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │322 │介護保険課    │指摘│  │【国保連との協議】                │ │  │         │  │  │交渉経過や回収予定額等を含めて、送金通知前に、国 │ │  │         │  │  │民健康保険団体連合会に確認し、示談成立時点での介 │ │  │         │  │  │護給付額を基準とした求償額と、症状固定時点での介 │ │  │         │  │  │護給付額を基準とした求償額との差額を把握すべき  │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │323 │介護保険課    │指摘│  │【国保連との協議】                │ │  │         │  │  │加害者保険会社が示談成立時点での介護給付額を基  │ │  │         │  │  │準とすることについて同意しない場合で金額の差異  │ │  │         │  │  │が大きい場合や、私病の範囲などについて大きな争い │ │  │         │  │  │がある場合、介護保険課は、国民健康保険団体連合会 │ │  │         │  │  │と協議し、場合によっては、委託を解除して、訴訟提 │ │  │         │  │  │起などの法的措置を取ることを検討すべきである。  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │324 │介護保険課    │  │意見│【国保連との協議】                │ │  │         │  │  │第三者行為求償債権の回収金額について、加害者保険 │ │  │         │  │  │会社と最終的に示談する前に、協議をすることができ │ │  │         │  │  │る規約にするよう、岐阜県国民健康保険団体連合会と │ │  │         │  │  │交渉することが望ましい。             │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │325 │介護保険課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │今後、加害者と直接交渉する事例に備えて、加害者が │ │  │         │  │  │被保険者である場合は、調査結果については、課内で │ │  │         │  │  │取り決めをして、強制徴収公債権の担当者しか見るこ │ │  │         │  │  │とができないようにするか、私債権(第三者行為求償 │ │  │         │  │  │事務)の滞納者から、国税徴収法に基づく調査結果を │ │  │         │  │  │含む税務情報等の目的外利用等について、同意書を徴 │ │  │         │  │  │求するよう、同意書の書式を整えるべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │326 │介護保険課    │指摘│  │【給付免責】                   │ │  │         │  │  │示談書及び示談金額の提示書(計算書)をもとに、給 │ │  │         │  │  │付免責を実施すべきである。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │327 │介護保険課    │指摘│  │【債権管理簿】                  │ │  │         │  │  │委託している案件について把握し、進捗状況等につい │ │  │         │  │  │て、岐阜県国民健康保険団体連合会に確認するために │ │  │         │  │  │も、債権管理台帳を作成すべきである。       │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第15の3 第三者行為求償金(福祉医療課)                指摘3 意見5 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │328 │福祉医療課    │指摘│  │【債権の根拠規定】                │
    │  │         │  │  │岐阜市福祉医療費助成に関する条例第12条に基づく  │ │  │         │  │  │求償事務ではなく、「弁済者の代位」(民法第422条類 │ │  │         │  │  │推)など、民法上の規定を根拠として捉え、事務を行 │ │  │         │  │  │うべきである。                  │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │329 │福祉医療課    │  │意見│【納付相談記録】                 │ │  │         │  │  │納付相談記録の書式(添付資料を求める形など)を作 │ │  │         │  │  │成して、用いることが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │330 │福祉医療課    │  │意見│【分納誓約書の記載事項-期限の利益喪失条項】    │ │  │         │  │  │分納誓約書に期限の利益喪失条項を入れることが望  │ │  │         │  │  │ましい。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │331 │福祉医療課    │  │意見│【分納誓約書の記載事項-同意条項】         │ │  │         │  │  │分納誓約書に、税務情報を含む滞納者情報の取得や目 │ │  │         │  │  │的外利用についての同意条項を入れることが望まし  │ │  │         │  │  │い。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │332 │福祉医療課    │指摘│  │【官報情報の共有と活用】             │ │  │         │  │  │官報公告を確認している納税課から官報情報の提供  │ │  │         │  │  │を受けて、債権の申出をすべきである。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │333 │福祉医療課    │  │意見│【訴訟、強制執行のための情報共有】        │ │  │         │  │  │滞納者に対して、岐阜市が、他に非強制徴収公債権や │ │  │         │  │  │私債権を有しており、その合計額が少なくない場合  │ │  │         │  │  │は、他の非強制徴収公債権や私債権の担当部門と連携 │ │  │         │  │  │して、訴訟や強制執行等の法的措置を検討することが │ │  │         │  │  │望ましい。                    │ │  │         │  │  │そのためには、滞納者に対する納付誓約書に、税務情 │ │  │         │  │  │報等の情報を目的外利用することの同意条項を入れ  │ │  │         │  │  │るなどして、岐阜市役所内で、滞納者の情報を共有す │ │  │         │  │  │ることができる状態としておくことが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │334 │福祉医療課    │指摘│  │【国税徴収法による調査情報】           │ │  │         │  │  │国税徴収法第141条に基づく調査を実施する場合に備  │ │  │         │  │  │えて、調査結果については、別書式にして、強制徴収 │ │  │         │  │  │公債権の担当者しか見ることができないようにする  │ │  │         │  │  │か、私債権(第三者行為求償事務)の滞納者から、国 │ │  │         │  │  │税徴収法に基づく調査結果を含む税務情報等の目的  │ │  │         │  │  │外利用等について、同意書を徴求すべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │335 │福祉医療課    │  │意見│【国民健康保険法第64条の第三者行為求償事務との  │ │  │         │  │  │共同】                      │ │  │         │  │  │国保・年金課における損保会社のOBなど、第三者行 │ │  │         │  │  │為求償事務に精通している担当者が、両債権の求償事 │ │  │         │  │  │務を担当する方が望ましい。            │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第16 レンタサイクルに基づく損害賠償金                 指摘0 意見2 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │336 │歴史まちづくり課 │  │意見│【使用料との性質の違い】             │ │  │         │  │  │今後は債権の性質を正確に把握した上で適切に管理  │ │  │         │  │  │することが望ましい。               │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │337 │歴史まちづくり課 │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │徴収停止の基準を定めた上、徴収停止を活用すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第17 不法占用に基づく占用料相当額の不当利得返還金・損害賠償金     指摘1 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │338 │土木管理課    │指摘│  │【情報収集と調査検討】              │ │  │         │  │  │現在所持する不法占用物件一覧を前提に、請求額を検 │ │  │         │  │  │討する対象物件を選定し、その上で、事務コスト等を │ │  │         │  │  │考えて当該債権を行使すべきか否かを検討していく  │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第18 斎苑の雑入(返還金及び弁償金)                  指摘2 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │339 │斎苑       │指摘│  │【戻入・調定手続における納期限の定め】      │ │  │         │  │  │戻入、調定いずれの手続においても、納期限が定めら │ │  │         │  │  │れていないが、地方自治法施行令第159条で、戻入は  │ │  │         │  │  │「収入の例による」とされており、岐阜市会計規則第 │ │  │         │  │  │32条第2項による別の定めもないと考えられること  │ │  │         │  │  │から、戻入手続の段階で、20日以内に納期限を定める │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │340 │斎苑       │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │督促は、納期限を定めた督促状を発付することにより │ │  │         │  │  │行うべきである。                 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │341 │斎苑       │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │いかなる場合に徴収停止措置を講じることが可能と  │ │  │         │  │  │なるかという要件を明確にし、措置を講じる体制を構 │ │  │         │  │  │築しておくことが望ましい。            │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第19 臨時福祉給付金返還金                       指摘3 意見0 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │342 │福祉政策課    │指摘│  │【戻入・調定手続における納期限の定め】      │ │  │         │  │  │戻入、調定いずれの手続においても、納期限が定めら │ │  │         │  │  │れていないが、地方自治法施行令第159条で、戻入は  │ │  │         │  │  │「収入の例による」とされており、岐阜市会計規則第 │ │  │         │  │  │32条第2項による別の定めもないと考えられること  │ │  │         │  │  │から、戻入手続の段階で、20日以内に納期限を定める │ │  │         │  │  │べきである。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │343 │         │指摘│  │【督促状による督促】               │ │  │         │  │  │明確性の見地より、督促は、納期限を定めた督促状を │ │  │         │  │  │発付することにより行うべきである。        │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │344 │福祉政策課    │指摘│  │【回収に向けた措置】               │
    │  │         │  │  │本件返還金は、1件あたりの金額は大きいものではな │ │  │         │  │  │いが、件数が多いため、担当課内にて、早急に内部規 │ │  │         │  │  │程を作成するなどして、返還金の返還にかかる適切な │ │  │         │  │  │回収事務の取扱を策定し、実行に移すべきである。  │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第20 成年後見手数料事務処理費用(高齢福祉課)             指摘0 意見1 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │345 │高齢福祉課    │  │意見│【徴収停止】                   │ │  │         │  │  │回収措置の結果如何では、徴収停止手続をとることを │ │  │         │  │  │検討することが望ましい。             │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │第6章 岐阜市債権管理調整会議                     指摘7 意見4 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │346 │税制課、納税課  │指摘│  │【岐阜市の債権の把握】              │ │  │         │  │  │市の債権を適正に管理する前提として、市の債権に関 │ │  │         │  │  │する事務の状況を的確に把握することが必要である。 │ │  │         │  │  │更にその前提として、「市の債権」として具体的にど │ │  │         │  │  │のようなものが存在するかを把握しておくべきであ  │ │  │         │  │  │る。                       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │347 │税制課、納税課  │  │意見│【担当課及び取扱債権以外の未収金の存在】     │ │  │         │  │  │今後は、毎年度、決算における未収金取扱部署がない │ │  │         │  │  │かを確認するなどして実態を把握し、必要性を判断の │ │  │         │  │  │上で、調整会議担当課に含めるか否かを検討すること │ │  │         │  │  │が望ましい。                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │348 │税制課、納税課  │指摘│  │【産業廃棄物処理手数料(環境事業課)】      │ │  │         │  │  │過去5年度全く未収のない産業廃棄物処理手数料に  │ │  │         │  │  │ついては、取扱債権から削除すべきである。     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │349 │税制課、納税課  │指摘│  │【取扱債権の分類】                │ │  │         │  │  │債権の分類により、債権管理方法に違いが生じるた  │ │  │         │  │  │め、その分類を誤ることは影響が大きい。会議におい │ │  │         │  │  │て、取扱債権は正確に分類すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │350 │税制課、納税課  │  │意見│【データの問題点】                │ │  │         │  │  │全担当課において、統一的な基準のもとにデータが集 │ │  │         │  │  │積されるように、事務局にて、担当課に対し、データ │ │  │         │  │  │集積方法を具体的に指示することが望ましい。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │351 │税制課、納税課  │  │意見│【会議及び検討部会の開催状況及び議事内容】    │ │  │         │  │  │債権に関する事務に関し実質的な議論をするために、 │ │  │         │  │  │検討部会を積極的に開催し、議論内容も債権放棄だけ │ │  │         │  │  │ではなく、債権回収の強化も含めて、もっと活発に利 │ │  │         │  │  │用することが望ましい。              │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │352 │税制課、納税課  │指摘│  │【議事録の作成】                 │ │  │         │  │  │すべての会議・検討部会において、会議録を作成し、 │ │  │         │  │  │残しておくべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │353 │税制課、納税課  │指摘│  │【督促手数料及び延滞金の徴収状況の検証】     │ │  │         │  │  │本債権と同様に、それに付随する督促手数料及び延滞 │ │  │         │  │  │金の徴収実績を確認すべく、担当課よりデータを集積 │ │  │         │  │  │し、その上で、担当課において、督促手数料及び延滞 │ │  │         │  │  │金徴収事務が適正になされているかを確認すべきで  │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │354 │税制課、納税課  │指摘│  │【消滅時効管理の適正化に向けた取り組み】     │ │  │         │  │  │時効の起算点等、時効にかかる概念を整理の上(1)時 │ │  │         │  │  │効の当初起算点、2)時効の中断事由・時期(督促、債 │ │  │         │  │  │務承認、一部弁済など)、3)時効期間(解釈による部 │ │  │         │  │  │分も含む))、担当課に対して、正確な情報を提供し、│ │  │         │  │  │正確な情報による債権管理を徹底させるべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │355 │税制課、納税課  │指摘│  │【事務手続根拠の情報提供・共有及び管理の適正化に │ │  │         │  │  │向けた取り組み】                 │ │  │         │  │  │担当課に対し、岐阜市債権取扱規則の規定(督促状や │ │  │         │  │  │債権管理簿の様式等)や地方自治法施行令の規定な  │ │  │         │  │  │ど、岐阜市の債権に関する事務手続根拠について、正 │ │  │         │  │  │しい情報を提供・共有し、担当課に事務根拠の遵守を │ │  │         │  │  │徹底させるべきである。              │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │356 │税制課、納税課  │  │意見│【研修】                     │ │  │         │  │  │担当職員は交替するということを念頭に置き、今後  │ │  │         │  │  │は、毎年度、できれば年度初期の段階で、公債権に縛 │ │  │         │  │  │られることのない研修を実施することが望ましい。  │ │  │         │  │  │【改善報告】                   │ ├──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┤ │終章 課題と提言                            指摘7 意見8 │ ├──┬─────────┬──┬──┬─────────────────────────┤ │357 │岐阜市      │指摘│  │【岐阜市債権管理条例の見直し(根拠)】      │ │  │         │  │  │本監査を契機として、岐阜市債権管理条例の見直しを │ │  │         │  │  │検討すべきである。仮に、岐阜市において債権管理条 │ │  │         │  │  │例の見直しをしないという判断をするのであれば、岐 │ │  │         │  │  │阜市債権取扱規則等、岐阜市の債権に関する事務根拠 │ │  │         │  │  │一切を統一的に整理した上で、現場が混乱なく根拠を │ │  │         │  │  │的確に適用し、適正に実施することに責任を持つべき │ │  │         │  │  │である。                     │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │358 │岐阜市      │指摘│  │【事務手続根拠・基準の明確化(根拠)-私債権にお │ │  │         │  │  │ける督促状の発付時期】              │ │  │         │  │  │私債権の督促は、回収措置の前提となり、また、時効 │ │  │         │  │  │中断の効力が生じる(地方自治法第236条第4項)と  │ │  │         │  │  │いう点でも、極めて重要な事務であり、条例等の事務 │ │  │         │  │  │根拠にて、督促状の発付時期を明確にすべきである。 │ │  │         │  │  │公債権にかかる市税以外の諸納付金の督促手数料及  │ │  │         │  │  │び延滞金徴収条例第2条「納期限後20日以内」参照。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │359 │岐阜市      │指摘│  │【事務手続根拠・基準の明確化(根拠)-強制執行等】│
    │  │         │  │  │地方自治法施行令第171条の2(強制執行等)規定の  │ │  │         │  │  │「相当の期間を経過してもなお履行されないとき」と │ │  │         │  │  │いう要件につき、根拠にて、「相当の期間」を明確に │ │  │         │  │  │すべきである。「その他特別の事情があると認める場 │ │  │         │  │  │合」についても、内規等にて、具体的事由を例示する │ │  │         │  │  │などして該当する場合を明確にすべきである。    │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │360 │岐阜市      │  │意見│【事務手続根拠・基準の明確化(根拠)-強制執行等】│ │  │         │  │  │強制執行等の手続利用の促進という観点からは、少な │ │  │         │  │  │くとも、一定の手段については、条例等の事務根拠に │ │  │         │  │  │て、地方自治法第180条第1項の専決処分として定め  │ │  │         │  │  │ることを検討することが望ましい。         │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │361 │岐阜市      │  │意見│【事務処理の根拠・基準の明確化(根拠)-徴収停止】│ │  │         │  │  │条例等の事務根拠にて、徴収停止の規定の要件を明確 │ │  │         │  │  │にし、措置を利用できるようにすることが望ましい。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │362 │岐阜市      │  │意見│【事務処理の根拠・基準の明確化(根拠)-徴収停止】│ │  │         │  │  │徴収停止後の措置についても、条例等の事務根拠にて │ │  │         │  │  │定めることが望ましい。具体的には、徴収停止取り止 │ │  │         │  │  │めの規定、あるいは、徴収停止が一定期間継続した場 │ │  │         │  │  │合に債権放棄を可能とする規定である。       │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │363 │岐阜市      │指摘│  │【督促手数料及び延滞金、違約金(遅延損害金)の取 │ │  │         │  │  │扱い(全庁的な運用)─徴収(大前提)】      │ │  │         │  │  │岐阜市の公債権を取り扱う全ての課が、自らの取扱債 │ │  │         │  │  │権が適用される条例等の根拠に則り、督促状を発付し │ │  │         │  │  │て、督促手数料及び延滞金を徴収することに責任を持 │ │  │         │  │  │つべきである。私債権も徴収義務根拠があれば同様で │ │  │         │  │  │ある。                      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │364 │岐阜市      │指摘│  │【督促手数料及び延滞金、違約金(遅延損害金)の取 │ │  │         │  │  │扱い(全庁的な運用)─調定】           │ │  │         │  │  │督促手数料及び延滞金については、一律、事後調定す │ │  │         │  │  │るのではなく、原則どおり調定することができるよう │ │  │         │  │  │になった時点で、調定すべきである。調定が可能な状 │ │  │         │  │  │況であるにもかかわらず、入金に至るまで調定をしな │ │  │         │  │  │いという事務を継続するのであれば、合理的な理由が │ │  │         │  │  │必要である。少なくとも、岐阜市会計規則第33条の  │ │  │         │  │  │何号に該当するかを検討し、その結果を決裁資料に載 │ │  │         │  │  │せるなどして、事務の適正を担保すべきである。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │365 │岐阜市      │指摘│  │【督促手数料及び延滞金、違約金(遅延損害金)の取 │ │  │         │  │  │扱い(全庁的な運用)─データの公表】       │ │  │         │  │  │透明性の観点(岐阜市住民自治基本条例第5条、第6 │ │  │         │  │  │条、第8条第1項、同条第2項等参照)からも、少な │ │  │         │  │  │くとも、毎年度、発生した督促手数料及び延滞金、違 │ │  │         │  │  │約金の金額、徴収状況のデータ等を集積した上、資料 │ │  │         │  │  │として作成し、市民に公表すべきである。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │366 │岐阜市      │  │意見│【督促手数料及び延滞金、違約金(遅延損害金)の取 │ │  │         │  │  │扱い(全庁的な運用)─私債権の遅延損害金】    │ │  │         │  │  │公債権との均衡、納期限までに納付する市民との公平 │ │  │         │  │  │の観点から、納期限遅れで督促状を発付しても納付を │ │  │         │  │  │しない場合には、遅延損害金の徴収をすることを検討 │ │  │         │  │  │することが望ましい。               │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │367 │岐阜市      │指摘│  │【債務者情報の取得・共有化(全庁的な運用)】   │ │  │         │  │  │債務者情報の共有以前の問題として、債権にかかる事 │ │  │         │  │  │務執行において、担当職員が,まずはなすべき措置を │ │  │         │  │  │とる(原則は回収)、そのために、必要な情報を取得 │ │  │         │  │  │するという意識を持つことを徹底させるべきである。 │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │368 │岐阜市      │  │意見│【債務者情報の取得・共有化(全庁的な運用)】   │ │  │         │  │  │有効性、経済性、効率性の見地より、少なくとも、強 │ │  │         │  │  │制徴収公債権を担当する所管課間で、必要な情報を共 │ │  │         │  │  │有する体制を構築し、実施することが望ましい。   │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │369 │岐阜市      │  │意見│【債務者情報の取得・共有化(全庁的な運用)】   │ │  │         │  │  │個人情報の取得を可能とすべく、同意による個人情報 │ │  │         │  │  │の取得を積極的に活用することであるとか、あるい  │ │  │         │  │  │は、債権管理条例において個人情報取得条項(地方税 │ │  │         │  │  │法第22条に規定する税務情報を除く。)を設けること │ │  │         │  │  │などの手法を検討することが望ましい。可児市におけ │ │  │         │  │  │る債権管理条例が参考になると思われる。      │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │370 │岐阜市      │  │意見│【債務者情報の取得・共有化(全庁的な運用)】   │ │  │         │  │  │有効性、経済性、効率性の見地より、岐阜市債権管理 │ │  │         │  │  │調整会議等において、情報取得方法のノウハウや、官 │ │  │         │  │  │報公告など誰でも取得可能な情報を共有できる体制  │ │  │         │  │  │を構築することが望ましい。            │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │371 │岐阜市      │  │意見│【徴収の工夫(回収のノウハウ共有、徴収の一元化、 │ │  │         │  │  │民間委託の活用)(全庁的な運用)】        │ │  │         │  │  │岐阜市においては、産業廃棄物不法投棄弁償金の債権 │ │  │         │  │  │回収の事例があるが、回収に携わった職員を含めた事 │ │  │         │  │  │例検討会を実施するなど、庁内にある回収のノウハウ │ │  │         │  │  │を共有することが望ましい。            │ │  │         │  │  │また、債権回収の効果を上げるという意味でも、個々 │ │  │         │  │  │の職員の負担を減らすという意味でも、債権回収の一 │ │  │         │  │  │元化、あるいは、債権回収業務にかかる民間委託を積 │ │  │         │  │  │極的に検討することが望ましい。          │ ├──┼─────────┼──┼──┼─────────────────────────┤ │合計│         │254 │117 │                         │ └──┴─────────┴──┴──┴─────────────────────────┘ 参考報告 ┌──┬─────────┬───────────────────────────────┐ │番号│  対象(課)  │           内      容            │
    ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │資産税課(第3章 │【不服審査への対応】                     │ │  │第2の4 固定資 │不服審査については、自治体の事務運営を見直す良い機会となる  │ │  │産税)      │ものであるから、各係内や各課内で、書面回付だけでなく、実際  │ │1 │         │に協議して、より良い事務や基準を検討することが望ましい。   │ │  │         │この点に関連して、資産税課では、固定資産税の案件で、弁明書  │ │  │         │作成過程で問題点を把握したことから、現在、価格評価方法につ  │ │  │         │いて、不動産鑑定士に委託するなど改善を検討しているところで  │ │  │         │あるとのことである。                     │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │納税課(第3章 第│【納付相談記録】                       │ │  │2の9 滞納整理)│「収支・財産状況について」という書式は、滞納要因、収入状況  │ │2 │         │(勤務・取引先名、取引金融機関を含む。)、家族状況、支出状況、│ │  │         │借入の状況、資産状況、国保・国税等滞納状況、過去の債務整理  │ │  │         │の状況(過払い金をうかがわせる情報)など必要な情報が漏れな  │ │  │         │く記載されている。巻末資料参照。               │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │納税課(第3章 第│【納付誓約書】                        │ │  │2の9 滞納整理)│納付誓約書の確認事項欄に、「納付しない場合」や「資産等が見つ │ │3 │         │かった場合」は、「予告なしに財産の差押えが行われても異議があ │ │  │         │りません」と明記している。債務者が心理的に滞納しにくくなる  │ │  │         │という事実上の効果も期待できる。巻末資料参照。        │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │納税課(第3章 第│【保証人の徴求】                       │ │4 │2の9 滞納整理)│法人の滞納事案で行った換価の猶予に伴い、資力調査をした上で、 │ │  │         │代表者を保証人として徴求し(地方税法第16条)、現時点まで誓  │ │  │         │約どおりの納付が続いているとの事である。           │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │土木管理課(第3の│【督促手数料及び延滞金の事前調定】              │ │  │第4 道路占用料 │土木管理課では道路占用料、水路占用料について督促手数料及び  │ │5 │第5 水路占用料)│延滞金を事前調定している。督促手数料は、督促時点で金額は確  │ │  │         │定していること、延滞金についても、本料支払時点までの金額算  │ │  │         │定は可能であることから、事前調定できる場合はありうることで、 │ │  │         │適切な処理であると考える。                  │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【実態調査─所在調査】                    │ │6 │章 第6 国民健 │滞納者の居所の調査を実施して、市民課に報告し、実態と住民票  │ │  │康保険料)    │の記載を合わせようとしている。無駄な賦課・調定という事務手  │ │  │         │続を減らすことにもつながる。                 │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【実態調査-世帯主の認定】                  │ │  │章 第6 国民健 │「主として生計を維持する者」と、住民登録上の「世帯主」とが  │ │7 │康保険料)    │異なる場合には、「世帯変更届」の提出を指導することが望ましい │ │  │         │ところ(住民基本台帳法第25条第1項)、国保・年金課は、世帯  │ │  │         │主変更届を提出するよう指導している。             │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【被保険者の認定】                      │ │  │章 第6 国民健 │「継続的に生活の本拠を有する者」と、住民登録上の住所とが異  │ │8 │康保険料)    │なる場合には、「転入届」の提出を指導することが望ましいところ │ │  │         │(住民基本台帳法第22条第1項)、国保・年金課は、実態調査に  │ │  │         │基づき、転入届の提出を指導している。             │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【納付相談】                         │ │9 │章 第6 国民健 │納付誓約書の確認事項欄に、不履行時には差押えを行う旨明記し、 │ │  │康保険料)    │かつ、チェックをさせている。債務者が心理的に滞納しにくくな  │ │  │         │るという事実上の効果も期待できる。              │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【強制徴収公債権の担当課間の情報共有】            │ │  │章第6 国民健康 │平成25年3月15日の岐阜市個人情報保護審議会の答申第114号    │ │  │保険料)     │に基づき、税制課が保有する滞納者に係る電話番号(申告書記載)、│ │  │         │折衝経過(納付状況・滞納処分情報等)、預金口座情報及び勤務先 │ │  │         │情報(名称・所在地)を照会し、利用目的以外に利用するとして、 │ │10 │         │国保・年金課が取得している。                 │ │  │         │強制徴収公債権の担当課の間であれば、平成19年3月27日付総   │ │  │         │税企第55号通知の総務省通知により、滞納者の税務情報を共有す  │ │  │         │ることは可能であると考えられる。岐阜市個人情報保護条例に基  │ │  │         │づき、岐阜市個人情報保護審議会の答申が必要だったかどうかは  │ │  │         │不明であるが、情報提供を受けている国保・年金課の対応は参考  │ │  │         │になる。                           │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │国保・年金課(第3│【官報公告の情報共有】                    │ │11 │章 第6 国民健 │官報公告を確認している納税課から官報情報の提供を受けてい   │ │  │康保険料)    │る。                             │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │産業廃棄物特別対 │【債権回収】                         │ │  │策課(平成28年度 │この課の債権回収経験は、1)財産調査をあらゆる観点から行うこ  │ │12 │からは環境事業政 │と、2)財産保全を図る手法を検討すること、3)請求対象者を広げ  │ │  │策課)(第3章 第│る視点を常に持つこと、4)諦めない姿勢を持ち続けること、5)専  │ │  │10 産業廃棄物不 │門家に相談できる体制を作ること、という点で他課においても参  │ │  │法投棄弁償金)  │考になる。                          │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │第二恵光・第三恵光│【職員駐車場使用料】                     │ │  │(第4章 第13  │今回の監査では、第二恵光、第三恵光の職員駐車場の使用料のみ  │ │13 │職員駐車場使用料)│を対象としたが、岐阜市においては、全庁的に職員駐車場使用料  │ │  │         │の徴収漏れがないか確認する必要があろう。他課の確認を促すと  │ │  │         │いう意味で参考報告とする。                  │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │営業課(第5章 第│【債権の放棄】                        │ │  │7 水道料金)  │平成27年度に債権放棄がなされた債権につき、破産免責の債権放  │ │  │         │棄をしているのは水道料金のみである。債権放棄は義務ではない  │ │14 │         │が、収納見込みがないのに債権を抱え続けることは効率性の観点  │ │  │         │等から問題なり得る。他課においても破産免責による債権放棄を  │ │  │         │積極的にすべきということまで述べるつもりはないが、参考にな  │ │  │         │る。                             │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤ │  │青少年教育課(第5│【利用決定の取消し】                     │ │15 │章 第14 放課後 │利用決定取消措置を定め、それを滞納者に予告することによって、 │ │  │児童クラブ実費負 │滞納額が2か月分以上となることが防止されているといえる。滞  │ │  │担額)      │納額増加を防止するための取り組みとして参考になる。      │ ├──┼─────────┼───────────────────────────────┤
    │  │国保・年金課(第5│【第三者行為求償事案の発見】                 │ │  │章 第15の1 第 │医師の意見書に、交通事故や損害賠償請求などのキーワードが入  │ │16 │三者行為求償金) │っている場合、第三者行為求償事務を担当している係に伝えてい  │ │  │         │る。第三者行為求償債権の発見のために、課内で情報共有し、連  │ │  │         │携ができている。                       │ └──┴─────────┴───────────────────────────────┘ 岐阜市債権管理条例                              平成23年3月30日                                条例第10号  (目的) 第1条 この条例は、市の債権の管理に関する事務処理について必要な事項を定  めることにより、市の債権の管理の適正を期することを目的とする。  (定義) 第2条 この条例において、「市の債権」とは、金銭の給付を目的とする市の権利 をいう。  (他の法令等との関係) 第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例若し  くはこれに基づく規則等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4  第2項に規定する規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条  に規定する企業管理規程を含む。)(以下「条例等」という。)に特別の定めがあ  る場合を除くほか、この条例の定めるところによる。  (市長等の責務) 第4条 市長及び公営企業管理者(地方公営企業法第7条に規定する管理者をい  う。)(以下「市長等」という。)は、法令又は条例等の定めに従い、市の債権の  適正な管理に努めなければならない。  (債権管理体制の整備) 第5条 市長等は、市の債権に関する事務の状況を的確に把握するとともに、市  の債権を適正に管理するための体制を整備するものとする。  (債権の放棄) 第6条 市長等は、市の債権(消滅時効について時効の援用を要しない債権を除  く。)について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及び  これに関し既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金に係る債  権を放棄することができる。  (1) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)    の規定による保護を受けている状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で    あると認められるとき。  (2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定に    より、債務者が当該債権につきその責任を免れたとき。  (3) 当該債権につき消滅時効に係る時効期間が満了したとき。  (4) 債務者が死亡し、その債務について限定承認による相続があった場合に    おいて、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用及び当該市の債    権に優先する債権の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。  (5) 債務者が失踪、行方不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込み    がないとき。  (報告) 第7条 市長は、前条の規定により市の債権を放棄したときは、これを議会に報  告しなければならない。  (委任) 第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。   附 則  この条例は、平成23年4月1日から施行する。 岐阜市債権管理条例施行規則                              平成23年3月30日                                 規則第7号  (趣旨) 第1条 この規則は、岐阜市債権管理条例(平成23年岐阜市条例第10号。以下  「条例」という。)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。  (債権管理体制の整備) 第2条 条例第5条に規定する体制を整備するため、岐阜市債権管理調整会議を  置く。  (債権の放棄) 第3条 条例第6条第1号に規定する資力の回復が困難と認める場合とは、生活  保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護(以下「生活保護」という。)  の受給開始から3年を経過してもなお生活保護を受給している場合をいう。た  だし、生活保護を廃止することが明らかである場合を除く。 2 条例第6条第5号に規定するこれに準ずる事情とは、次に定める場合をいう。  (1) 債務者が外国人である場合において、海外に移住又は出国し、帰国の    見込みがないとき。  (2) 債務者が法人である場合において、清算が結了している、又は廃業し    て事業再開の見込みがないとき。  (3) 債務者が死亡した場合において、その相続人全員が所在不明であると    き。  (4) 前3号に掲げるもののほか、その他市長が認めるとき。  (報告) 第4条 条例第7条に規定する議会への報告は、債権放棄を行った年度に係る決  算の認定を付する議会において行うものとする。  (その他) 第5条 この規則に定めるもののほか、債権管理に関し必要な事項は、別に定め る。   附 則  この規則は、平成23年4月1日から施行する。 岐阜市債権取扱規則                              昭和39年4月1日                                 規則第8号  (趣旨)
    第1条 市の債権の管理に関する事務の取扱いについては、別に定めがあるもの  のほか、この規則の定めるところによる。  (督促の手続) 第2条 債権について行う履行の督促は、第1号様式の督促状を債務者に送付す  ることにより行うものとする。  (保証人に対する履行の請求の手続) 第3条 債権について、保証人に対する履行の請求をする場合には、保証人及び  債務者の住所及び氏名又は名称、履行すべき金額、当該履行の請求すべき理由、  弁済の充当の順序その他履行の請求に必要な事項を明らかにした納入通知書を  作成して保証人に送付しなければならない。  (履行期限の繰上げの手続) 第4条 債権について、履行期限を繰り上げて行う納入の通知は、履行期限を繰  り上げる旨及びその理由を明らかにして行わなければならない。  (配当の要求の手続) 第5条 債権について、配当の要求をする場合には、執行機関に対し、債権金額  につき、配当要求書により配当の要求をしなければならない。 2 前項の配当要求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。  (1) 債務者の住所及び氏名又は名称  (2) 配当の要求に係る債権の名称、履行期限及び金額  (3) 配当の要求に係る強制換価手続の開始されている財産の名称、数量、性     質及び所在 3 配当の要求をしたときは、その旨を債務者に通知しなければならない。 4 前項の規定による通知は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならな い。  (1) 執行機関の名称  (2) 第2項第2号及び第3号に掲げる事項  (3) 配当の要求の年月日  (担保の種類) 第6条 債権を保全するため担保の提供を求める場合において、法令又は契約に  別段の定めがないときは、次に掲げる担保を提供させるものとする。ただし、  当該担保の提供ができないことについてやむを得ない事情があると認められる  場合においては、他の担保の提供を求めることをもって足りる。  (1) 国債及び地方債  (2) 確実と認める社債その他の有価証券  (3) 土地並びに保険に付した建物、立木、自動車及び建設機械  (4) 確実と認める金融機関その他の保証人の保証  (担保の価値) 第7条 前条に規定する担保の価値は、次の各号に掲げる担保の区分に応じ、当  該各号に定めるところによる。  (1) 国債及び地方債 政府に納むべき保証金その他の担保に充用する国債の     価格に関する件(明治41年勅令第287号)に規定し、又は同令の例によ     る金額  (2) 確実と認める社債、特別の法律により法人の発行する債券及び貸付信託     の受益証券 額面金額又は登録金額(発行価額が額面金額又は登録金額     と異なるときは、発行価額)の8割に相当する金額  (3) 金融商品取引所に上場されている株券、出資証券及び投資信託の受益証     券 時価の8割以内において定める価額  (4) 金融機関(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭     和29年法律第195号)第3条に規定する金融機関をいう。以下同じ。)     の引受け、保証又は裏書のある手形 手形金額(その手形の満期の日が     当該担保に付することとなっている債権の履行期限後であるときは、当     該履行期限の翌日から手形の満期の日までの期間に応じ、当該手形金額     を一般金融市場における手形の割引率により割り引いた金額)  (5) 前条第3号に掲げる担保 時価の7割以内において定める価額  (6) 確実と認める金融機関その他の保証人の保証 その保証する金額  (7) 前各号に掲げる担保以外の担保 市長が決定する金額  (担保の提供の手続等) 第8条 有価証券を担保として提供しようとする者は、これを供託所に供託し、  供託書正本を提出するものとする。ただし、登録国債(乙種国債登録簿に登録  のあるものを除く。)については、その登録を受け、登録済通知書を提出するも  のとする。 2 土地、建物その他の抵当権の目的とすることができる財産を担保として提供し  ようとする者は、当該財産についての抵当権の設定の登記原因又は登録原因を  証明する書面及びその登記又は登録についての承諾書を提出するものとする。 3 前項の書面の提出を受けたときは、遅滞なく、これらの書面を添えて、抵当権  の設定の登記又は登録を登記所又は登録機関に嘱託しなければならない。 4 金融機関その他の保証人の保証を担保として提供しようとする者は、その保証  人の保証を証明する書面を提出するものとする。 5 前項の保証人の保証を証明する書面の提出を受けたときは、遅滞なく、当該保  証人との間に保証契約を締結しなければならない。 6 動産で第1項又は第2項に規定するもの以外のものを担保として提供しようと  する者は、これを引き渡すものとする。 7 指名債権を担保として提供しようとする者は、民法(明治29年法律第89号)  第364条の規定による措置をとった後、その指名債権の証書及び第三債務者の  承諾を証明する書類を交付するものとする。 8 前各項に規定するもの以外のものの担保としての提供の手続及びこれらのう  ち担保権の設定について登記又は登録によって第三者に対抗する要件を備える  ことができるものについてのその登記又は登録の嘱託については、当該各項の  例による。  (徴収停止等の手続) 第9条 債権について徴収停止をする場合には、地方自治法施行令(昭和22年政  令第16号。以下「政令」という。)第171条の5各号に掲げる場合のいずれか  に該当する理由、その措置をとることが債権の管理上必要であると認める理由  及び当該各号に掲げる場合に応じて業務又は資産に関する状況、債務者の所在  その他必要な事項を記載した書類を作成して直ちにその措置をとることができ  る。 2 前項に規定する措置をとる場合には、債権管理簿に「徴収停止」の表示をする  とともに、その措置の内容を記載するものとする。 3 第1項に規定する措置をとったときは、その措置の内容を記載するほか、その  措置をとる債権に係る債務者の住所及び氏名又は名称、債権金額及び種類並び  にその理由を第2号様式の徴収停止整理簿に記載しなければならない。  (履行延期の特約等の手続) 第10条 債権について、履行期限を延長する特約又は処分(以下「履行延期の特  約等」という。)は、債務者から書面による申請に基づいて行うものとする。 2 前項の書面は、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。  (1) 債務者の住所及び氏名又は名称  (2) 債権金額  (3) 債務発生原因  (4) 履行期限の延長を必要とする理由  (5) 延長に係る履行期限
     (6) 履行延長に伴う担保及び利息に関する事項  (7) 第17条各号に掲げる趣旨の条件を付すること  (8) 前各号に掲げるもののほか、市長の定める事項 3 第1項に規定する書面には、前項各号に掲げる事項及び第17条第2項に規定  する条件を付することを承認する旨を記載するものとし、その様式は、第3号  様式の履行延期申請書によるものとする。 4 履行延期の特約等をする場合には、直ちに第4号様式の履行延期承認通知書を  作成して債務者に送付しなければならない。この場合においてその通知書には、  必要に応じ、指定する期日までに担保の提供、第14条第1項に規定する債務名  義の取得のために必要な行為又は同条第2項に規定する債務証書の提出がなか  ったときは、その承認を取り消すことがある旨を附記しなければならない。  (履行期限を延長する期間) 第11条 履行延期の特約等をする場合には、履行期限(履行期限後に履行延期の  特約等をする場合には、当該履行延期の特約等をする日)から5年(政令第171  条の6第1項第1号又は第5号に該当する場合には、10年)以内において、そ  の延長に係る履行期限を定めなければならない。ただし、さらに履行延期の特  約等をすることを妨げない。  (履行延期の特約等に係る措置) 第12条 履行延期の特約等をする場合には、債務者に対し、担保を提供させるも  のとする。 2 第6条から第8条までの規定は、前項の規定により担保を提供させようとする  場合について準用する。 3 債権が既に担保の付されているものについて履行延期の特約等をする場合に  おいて、その担保が当該債権を担保するのに十分であると認められないときは、  増担保の提供又は保証人の変更その他担保の変更をさせるものとする。 第13条 履行延期の特約等をする場合には、前条第1項の規定により担保を提供  させるとともに、一般金融市場における金利を勘案して定める率による延納利  息を付するものとする。ただし、履行延期の特約等をする事情を参酌すれば不  当に又は著しく負担の増加をもたらすこととなり、その率によることが著しく  不適当である場合は、この率を下る率によることができる。 第14条 履行延期の特約等をする債権について債務名義を取得する場合には、債  務者に対し、債務名義を取得するためなすべき必要な行為及びその期限を指定  して通知しなければならない。 2 履行延期の特約等をする債権について債務名義を取得することを要しない場  合においては、当該債権につきその存在を証明する書類が存在する場合を除き、  期限を指定して履行延期の特約等をした後第5号様式の債務証書を提出させな  ければならない。 3 前項の債務名義を取得することを要しない場合は、次に掲げる場合とする。  (1) 履行延期の特約等をする債権に確実な担保が付されている場合  (2) 次条第2号又は第3号に掲げる場合  (3) 強制執行することが公の事務又は事業の遂行を阻害する等公益上著しい     支障を及ぼすこととなるおそれがある場合 4 前項各号に掲げる場合のほか、債務者が無資力であることにより債務名義を取  得するために要する費用を支弁することができないと認める場合においては、  その債務者が当該費用及び債権金額を併せて支払うことができることとなると  きまで、債務名義を取得するために必要な措置をとらないことができる。 (延納担保を免除することができる場合) 第15条 第12条第1項の規定により担保を提供させる場合において次に掲げる  場合には、担保の提供を免除することができる。  (1) 債務者から担保を提供させることが公の事務又は事業の遂行を阻害する     等公益上著しい支障を及ぼすこととなるおそれがある場合  (2) 同一債務者に対する債権金額の合計額が5万円未満である場合  (3) 履行延期の特約等をする債権が債務者の故意又は重大な過失によらない     不当利得による返還金に係るものである場合  (4) 担保として提供すべき適当な物件がなく、かつ、保証人となるべき者が     ない場合  (延納利息を付さないことができる場合) 第16条 第13条の規定により延納利息を付する場合において次に掲げる場合に  は、延納利息を付さないことができる。  (1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。  (2) 履行延期の特約等をする債権が貸付金に係る債権その他の債権で既に利     息を付することとなっているものである場合  (3) 履行延期の特約等をする債権が利息、延滞金その他契約の定めるところ     により一定期間に応じて付する加算金に係る債権である場合  (4) 履行延期の特約等をする債権の金額が1,000円未満である場合  (5) 延納利息を付することとして計算した場合において当該延納利息の額の     合計額が100円未満であるとき。  (履行延期の特約等に付する条件) 第17条 履行延期の特約等をする場合には、次に掲げる趣旨の条件を付するもの とする。  (1) 当該債権の保全上必要があるときは、債務者又は保証人に対し、その業     務又は資産の状況に関して、質問し、帳簿書類その他の物件を調査し、     又は参考となるべき報告若しくは資料の提出を求めること。  (2) 次の場合には、当該債権の全部又は一部について当該延長に係る履行期     限を繰り上げることができること。   ア 債務者がその財産を隠し、損ない、若しくは処分したとき、若しくはこ    れらのおそれがあると認められるとき、又は虚偽に債務を負担する行為を    し、市の不利益となるとき。   イ 当該債権の金額を分割して履行期限を延長する場合において債務者が分    割された弁済金額についての履行を怠ったとき。   ウ 債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等の理由が生じ たとき。   エ 債務者が前号の条件その他の当該履行延期の特約等に付された条件に従    わないとき。   オ アからエまでのほか、債務者の資力の状況その他の事情の変化により当    該延長に係る履行期限によることが不適当となったと認められるとき。 2 前2条の規定により担保の提供を免除し、又は延納利息を付さないこととした  場合においても、債務者の資力の状況その他の事情の変化により必要があると  認めるときは、担保を提供させ、又は延納利息を付することとすることができ  る旨の条件を付するものとする。  (免除の手続) 第18条 債権の免除は、債務者からの書面による申請に基づいて行うものとする。 2 債権の免除をする場合には、免除する金額、免除の日付及び政令第171条の7  第2項に規定する債権にあっては、同項後段に規定する条件を明らかにした書  面を債務者に送付しなければならない。  (債権現在額調書) 第19条 関係の部長(これに準ずる組織の長を含む。以下同じ。)は、その所掌  事務に係る債権の毎年度末における現在額の調書を作成し、財政部長を経て翌  年度の5月31日までに会計管理者に送付しなければならない。 2 関係の部長は、前項の調書を作成する場合には、債権の帰属すべき会計の区別
     に応じ、債権の種類ごとに、前年度以前において発生した債権の金額と当該年  度において発生した債権の金額とに区分しなければならない。  (帳簿、報告書等の様式、記入の方法等) 第20条 債権管理簿の様式及び記入の方法は、第6号様式に定めるところによる。 2 債権現在額調書の様式及び作成の方法は、第7号様式に定めるところによる。  (様式の特例) 第21条 第1号様式及び第3号様式から第5号様式までの様式は、事案により、  必要のない記載事項を省略し、又は必要に応じて記載事項を追加し、若しくは  修正することができる。 (細目) 第22条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。   附 則 (施行期日) 1 この規則は、昭和39年4月1日から施行する。  (柳津町の編入に伴う経過措置) 2 柳津町の編入の日前に、柳津町公有財産及び債権の管理に関する規則(昭和  39年柳津町規則第6号)の規定により債権の管理に関しなされた手続その他の  行為は、この規則の相当規定によりなされたものとみなす。   附 則(昭和45年規則第21号)  この規則は、公布の日から施行する。   附 則(平成元年規則第7号) 1 この規則は、平成元年4月1日から施行する。 2 この規則の施行の際現に作成されている用紙は、この規則の規定にかかわらず、  当分の間、使用することができる。   附 則(平成15年規則第8号)抄  (施行期日) 1 この規則は、平成15年4月1日から施行する。   附 則(平成17年規則第72号)  (施行期日) 1 この規則は、公布の日から施行する。  (経過措置) 2 この規則の施行の際現にこの規則による改正前の様式により作成されている  用紙は、この規則の規定にかかわらず、当分の間、これを取り繕って使用する  ことができる。   附 則(平成17年規則第108号)  この規則は、平成18年1月1日から施行する。   附 則(平成18年規則第91号)抄  (施行期日) 1 この規則は、平成19年4月1日から施行する。  (経過措置) 2 この規則による改正前の各規則の収入役に係る規定(収入役に関する部分に限  る。)は、地方自治法の一部を改正する法律(平成18年法律第53号)附則第3  条第1項の規定により収入役が在職する間は、この規則による改正後の各規則  の規定にかかわらず、なおその効力を有するものとする。   附 則(平成19年規則第68号)  この規則は、平成19年9月30日から施行する。   附 則(平成20年規則第1号)  (施行期日) 1 この規則は、公布の日から施行する。  (経過措置) 2 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関  する法律(平成14年法律第65号)附則第3条に規定する登録社債等について  は、この規則による改正前の岐阜市債権取扱規則第8条第1項ただし書の規定  は、なおその効力を有する。   附 則(平成20年規則第7号)抄  (施行期日) 1 この規則は、平成20年4月1日から施行する。   附 則(平成28年規則第37号)  (施行期日) 1 この規則は、公布の日から施行する。  (経過措置) 2 この規則の施行の際現にこの規則による改正前の様式により作成されている  用紙は、この規則の規定にかかわらず、当分の間、これを取り繕って使用する  ことができる。 市税以外の諸納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例                              昭和25年11月1日                                条例第28号    第1条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第231条の3第2項の規定     により、市税以外の諸納付金を指定期限内に納付しないものがあると     きは、別に定める場合のほか、この条例の定めるところにより督促手     数料及び延滞金を徴収する。    第2条 市長は市税以外の諸納付金を指定期限内に完納しないものがあ     るときは、納期限後20日以内に督促状を発しなければならない。  前項の督促状に指定すべき納付の期限は、その発布の日から15日以内とす る。  督促状を公示送達の方法により発したときは、前項の納付期限は、公示の初 日から15日目とする。  督促状の様式は別に市長が定める。    第3条 前条の規定により、督促状を発したときは、督促手数料並びに     延滞金を徴収する。    第4条 督促手数料は、督促状1通につき100円とする。    第5条 延滞金は納付金額が2,000円以上(当該金額に1,000円未満の     端数があるときは、これを切り捨てる。)であるときは、納期限の翌     日から納付の日までの日数に応じ、当該納付金額に年10.95パーセン     ト(当該納期限の翌日から1月を経過する日までの期間については、     年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した金額(当該金額に100円未     満の端数があるときは、これを切り捨てる。)とする。ただし、延滞     金が1,000円未満である場合においては、これを徴収しない。
       2 市長は、納付者が納期限までに納付金を納付しなかったことについ     て、やむを得ない事由があると認める場合においては、前項の延滞金     の額を減免することができる。    第6条 この条例施行について必要な事項は別に市長が定める。   附 則 (施行期日)    1 この条例は、公布の日から施行する。 (岐阜市諸収入金督促手数料徴収条例の廃止)    2 従前の岐阜市諸収入金督促手数料徴収条例は、廃止する。 (柳津町の編入に伴う経過措置)    3 柳津町の編入の日前に、柳津町税外収入の督促手数料、延滞金徴収     並びに滞納処分執行条例(昭和39年柳津町条例第28号。以下「柳津     町条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、     この条例の相当規定によりなされたものとみなす。    4 編入前の柳津町の区域内における市税以外の諸納付金に係る督促手     数料及び延滞金については、この条例の規定にかかわらず、平成18     年3月31日までに督促を行うものに限り、柳津町条例の例による。 (延滞金の割合の特例)    5 当分の間、第5条に規定する延滞金の年10.95パーセントの割合及     び年7.3パーセントの割合は、同条の規定にかかわらず、各年の特例     基準割合(当該年の前年に租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第     93条第2項の規定により告示された割合に年1パーセントの割合を加     算した割合をいう。以下同じ。)が年7.3パーセントの割合に満たな     い場合には、その年(以下「特例基準割合適用年」という。)中におい     ては、年10.95パーセントの割合にあっては当該特例基準割合適用年     における特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合(当     該加算した割合が年10.95パーセントの割合を超える場合には、年     10.95パーセントの割合)とし、年7.3パーセントの割合にあっては当     該特例基準割合に年1パーセントの割合を加算した割合(当該加算し     た割合が年7.3パーセントの割合を超える場合には、年7.3パーセン     トの割合)とする。   附 則(昭和30年条例第31号) この条例は、公布の日から施行し、昭和30年10月1日から適用する。   附 則(昭和39年条例第13号) この条例は、昭和39年4月1日から施行する。   附 則(昭和45年条例第22号) この条例は、公布の日から施行する。   附 則(昭和51年条例第3号)    1 この条例は、公布の日から施行する。    2 この条例施行の際現に改正前の岐阜市税条例第17条の規定により発     した督促状に係る督促手数料及び改正前の市税以外の諸納付金の督     促手数料及び延滞金徴収条例第4条の規定による督促手数料について     は、なお従前の例による。   附 則(平成17年条例第77号) (施行期日)    1 この条例中第4条の改正及び次項の規定は平成18年4月1日から、     その他の規定は平成18年1月1日から施行する。 (経過措置)    2 第4条の改正の施行の日前に、改正前の市税以外の諸納付金の督促     手数料及び延滞金徴収条例第2条の規定により発した督促状に係る督     促手数料については、なお従前の例による。   附 則(平成25年条例第43号) (施行期日)    1 この条例は、平成26年1月1日から施行する。 (経過措置)    2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に、市税以外の諸     納付金の督促手数料及び延滞金徴収条例第2条の規定により発した督     促状に係る延滞金については、改正後の市税以外の諸納付金の督促手     数料及び延滞金徴収条例(以下「新条例」という。)第5条第1項の規     定(延滞金の割合に係る部分を除く。)にかかわらず、なお従前の例に     よる。    3 新条例第5条第1項の規定中延滞金の割合に係る部分及び附則第5     項の規定は、延滞金のうち施行日以後の期間に対応するものについて     適用し、同日前の期間に対応するものについては、なお従前の例によ     る。 4: ◯議長(杉山利夫君) 以上で諸般の報告を終わります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 開  議 5: ◯議長(杉山利夫君) これより本日の会議を開きます。  本日の日程は、さきに御通知申し上げたとおりであります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第1 会議録署名議員の指名 6: ◯議長(杉山利夫君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。  本日の会議録署名議員は、会議規則第87条の規定により、議長において18番西垣信康君、19番江崎洋子君の両君を指名します。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第2 会期の決定 7: ◯議長(杉山利夫君) 日程第2、会期の決定を議題とします。  お諮りします。今期定例会の会期は、本日から3月24日までの23日間と定めたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 8: ◯議長(杉山利夫君) 御異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は、本日から3月24日までの23日間と決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第3 報第1号から第55 第52号議案まで 9: ◯議長(杉山利夫君) 日程第3、報第1号から日程第55、第52号議案まで、以上53件を一括して議題とします。            ───────────────────              〔議 案 等 掲 載 省 略〕            ─────────────────── 10: ◯議長(杉山利夫君) これら53件に対する提出者の説明を求めます。市長、細江茂光君。    〔細江茂光君登壇〕 11: ◯市長(細江茂光君) 皆さん、おはようございます。    〔「おはようございます」と呼ぶ者あり〕  ちょっと喉を痛めておりますので、少しお聞き苦しいところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいというふうに思います。  本日、平成29年第1回の岐阜市議会定例会が開催され、新年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするに当たりまして、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げたいというふうに思います。  戦国時代、その類いまれなる先見性と卓越した行動力により、我が国の勢力図を抜本的に塗りかえた織田信長公は、1567年、岐阜に入城し、いわば新たな時代の礎となる楽市楽座を初めとするさまざまな改革を進めてまいりました。  それから450年が経過した現在の世界情勢は、イギリスのEU離脱やアメリカ合衆国のトランプ大統領の誕生などに見られるよう、戦後の世界秩序を保つ礎となってきた民主主義や自由、法の支配といった普遍的価値観が揺れ動き、多様な価値観が入り乱れる、いわば基軸なき時代を迎えております。こうした混沌から生まれる将来への不安が渦巻く時代にこそ、我々基礎自治体はぶれない信念に基づく施策展開により、市民の皆様に安心を見える形で提供することが極めて重要であります。  本市ではこれまで、人こそが最大の資源との理念に基づき、教育を行政経営の一丁目一番地に据え、国に先駆け、小学校における英語の教科化やICT教育を初めとする先進的な施策に積極果敢に挑戦するなど、本市のみならず、国の持続可能性、すなわち将来の安心を支える人材の育成に一貫して取り組んでまいりました。  また、こうした重点政策の推進を支えるためには強固な財政基盤の確立が不可欠との認識のもと、平成14年の市長就任以来、職員定数や給与の適正化、普通債残高の縮減、さらには、保育所や障害者支援施設の民営化など、不断の行財政改革を進めてきたところであります。こうした改革により生み出した財源を活用し、岐阜駅周辺の基盤整備や市民病院の改築を初め、知、絆、文化の拠点として大きなにぎわいを見せている「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の建設など、本市の未来の礎となるさまざまな事業を着実に推進してまいりました。  さらに、新年度には、市民の皆様の安心の礎となり、また、「ぎふメディアコスモス」との相乗効果によるさらなるにぎわいの創出が期待される新庁舎の建設に、いよいよ着手してまいります。  未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から間もなく6年を迎えようとしておりますが、昨年4月の熊本地震に続き10月には鳥取県中部地震が発生するなど、現在の我が国は、いかなる場所で、いつ大規模な地震が発生しても不思議ではない状況にあります。また、近年他都市では、大規模災害の発生により庁舎が機能不全となり、災害対応や行政機能の維持に支障を来す事例が起きております。  こうしたことから、本市におきましては、平成26年度の新庁舎建設基本計画策定以来、発生が懸念される南海トラフ巨大地震を初めとするあらゆる災害に対応可能な高度な防災拠点機能を備えた新庁舎を整備すべく、着実に準備を進めてまいりました。今議会に建設関連予算を提案いたしておりますが、防災機能のみならずユニバーサルデザインを積極的に採用するなど、市民の皆様に親しまれ、長く安心して利用いただける新庁舎を未来へのレガシーとして築いてまいります。
     また、冒頭に申しましたように、本年は織田信長公がこの地に入城し、岐阜と命名してから450年の記念すべき年であり、信長公ゆかりのまち岐阜を全国に発信するべく、信長公450プロジェクトの成功に向け、官民一体となって取り組んでおります。論語に、「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」との言葉があります。先行き不透明な時代ではありますが、市民の皆様にこのプロジェクトを楽しんでいただくことを通じて、プロジェクトの成功はもとより、前向きな気持ちや一体感が醸成され、ひいてはまちの活性化などのさまざまな波及効果が期待できるものと考えております。  来る新年度は、こうした機運のもと、基軸なき時代における安心の見える化をキーワードに、財政規律を堅持し、あらゆる世代が安心して生活を送れるよりどころとなる施策を展開するべく、全力で市政運営に邁進してまいります。  それでは最初に、本市を取り巻く環境について申し上げます。  我が国経済は、政府の経済政策、いわゆるアベノミクス3本の矢による円安、株高を背景とした企業収益の改善などにより、緩やかな、穏やかな回復基調にありました。  しかし、昨年の年明け以降、新興国経済の減速懸念などによる急速な円高の進行により、法人税収が伸び悩み、本年度の国の税収は当初の見込みを1.7兆円下回る約56兆円と、リーマン・ショック時の平成22年以来、7年ぶりに前年度実績を下回る見込みとなっております。  さらに、国の借金は昨年12月末時点で約1,066兆円と過去最高を更新し、国民1人当たりに換算し約840万円となるなど依然として増加を続けており、国家財政は予断を許さない状況が続いております。  また、アメリカ第一主義という極端な保護主義を掲げ、この1月に誕生したアメリカ合衆国のトランプ新大統領は、就任早々、我が国が成長戦略の柱と位置づけるTPP・環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明し、事実上発効が不可能な状況となっております。さらに、諸外国との2国間による自由貿易協定や、輸入品への関税強化などを進める方針を示しており、今後の政策いかんによっては、貿易立国である我が国経済にも大きな影響を及ぼす可能性が懸念されております。  一方、昨年の10月に発表された平成27年国勢調査結果によりますと、日本の人口は1億2,709万5,000人と、大正9年の調査開始以来初めて減少に転じ、前回調査の平成22年と比較し、96万3,000人もの減少となりました。さらに、65歳以上の割合が23%から26.6%へと大きく上昇するとともに、75歳以上の人口が15歳未満の人口を初めて上回るなど、人口減少、少子・高齢化の急速な進展が浮き彫りとなったところであります。  こうした状況を踏まえ、国においては、働き方改革を政策の大きな柱とする一億総活躍社会の実現を目指し、名目GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロから成る新3本の矢を掲げ、引き続き我が国の構造的問題である人口減少、少子・高齢化の克服に向け、成長と分配の好循環の実現に向けた取り組みを進めております。  こうした中、我々基礎自治体におきましても、社会経済情勢や国の動向を的確に把握し、柔軟かつ迅速に対応するとともに、自立した財政基盤の確立につながる定住人口、交流人口の増加策などを積極的に推進し、将来にわたり持続可能な都市経営を行う手腕が求められております。  こうした状況の中、本市はこれまで、徹底した行財政改革と財政規律の堅持により、盤石な財政基盤を築き上げ、その上で長年の課題を解決し、岐阜駅前のツインタワーや「みんなの森 ぎふメディアコスモス」など、成長の礎となる事業に積極果敢に投資し、新たな都市の様相を市民の皆様とつくり上げてまいりました。  さらに、人を中心とした人間主義に基づき、究極の教育立市の確立や子育て環境の充実、さらには、健康寿命の延伸など、人への投資にも一貫して取り組み、人間力を深化させる環境づくりに全力で取り組んできたところであります。  一方で、さきに申しましたように、世界においては秩序を保ってきた普遍的な価値観が揺れ動き、多様な価値観が入り乱れる基軸なき時代を迎えております。さらに、IoTや人工知能・AIの加速度的な発達は、第4次産業革命と呼ばれる大きな変革を引き起こし、2045年には人工知能が人智の、人の知恵の総和を超えると言われる、いわゆるシンギュラリティ、シンギュラリティの到来も予想されております。現代のデジタル社会においては、これまでの経験則では対応できない急激な変化が進んでおり、一寸先をも見通すことが困難となっております。  こうした価値観や常識が激変する時代であるからこそ、我々基礎自治体は、ぶれない信念に基づく施策の展開により、市民の皆様のさまざまな不安を払拭し、将来への夢や希望を描いていただけるよう、心の礎となる安心を提供することが重要であります。その実現のため、未来を見据えて取り組んできた教育、子育て、健康などのさまざまな政策を一貫して着実に進めるのみならず、時代や社会の変化に柔軟に対応しつつ、さらに磨き高めることで、安心を見える化してまいります。  基軸なき時代、先行きを見通すことが容易でない未来に向けて、市民の皆様に安心の針路を指し示すべく、新年度は重点政策の基本方針に「未来への羅針盤」を掲げ、副題を「~指し示す安心の航海図~」といたしました。  さらに、安心を見える化していく重点政策の柱を、人が活躍する「教育、子育て、生涯活躍」、経済を活性化する「産業、農業」、活力あるまちを目指す「まちづくり、防災」の三本柱とし、市民の皆様とともに全力で取り組んでまいります。  それでは、これら重点政策の柱について、順次申し上げてまいりたいと思います。  まず、1つ目の柱、教育や子育て、生涯活躍の推進であります。  資源小国である我が国において、人こそが最も大切な資源であるとの認識のもと、本市におきましては、人への投資を一貫して推進し、市民の皆様が実りある人生を送るため、将来にわたり持続的に力を発揮できる環境をつくり高めてまいりました。  とりわけ教育を最重要政策に位置づけ、国の5年先行く教育を掲げ、子どもたちの能力を伸ばし、才能を発揮させるため、小学校全学年での英語の教科化を初め、さまざまな先駆的取り組みを実施してきております。  今後は、こうした施策の成果を分析し、得られたエビデンス、客観的検証結果をもとに、さらなる高みを目指してまいります。  また、先月、文部科学省が公表した次期学習指導要領改訂案の方向性として、グローバル化や第4次産業革命の進展などに伴う予測困難な時代においては、子どもたちが変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合うことの重要性が示されたところであります。  そこで、新年度には、民間企業と連携し、子どものころからロボットなどの最先端技術に触れる機会を確保することで、情報技術の習得のみならず、論理的、創造的に思考し、課題を発見、解決する力を育むプログラミング教育に、国に先駆けて取り組むとともに、主体的、対話的で深い学びの拠点であるアクティブ・ラーニングスペース「アゴラ」の充実を図ってまいります。  また、未来を担う岐阜の宝である子どもたちを育む環境の整備につきましては、悩みを抱えた子ども・若者の支えとなるよう、子ども・若者総合支援センター「エールぎふ」をさらに進化させてまいります。  新年度は、発達が気になる子どもへの支援を充実させるため、新たな幼児支援教室の開設に着手するほか、不登校の児童生徒を対象とした体験活動などの事業を展開し、自立を一層支援してまいります。  さらに、多子世帯への支援の充実を図るため、新たに第3子以降の出産に対する祝い金を支給し、その効果を検証するほか、保育所及び放課後児童クラブにおける、ハード、ソフト両面からの受け入れ体制充実に取り組むなど、子育て環境で選ばれるまち岐阜市の実現を目指してまいります。  一方、かねてより超高齢社会の到来を見据え、元気で健康に暮らせるまちづくり、スマートウエルネスぎふを掲げ、「歩く」を基本とする健康づくりとして健康ステーションの整備やウオーキングイベントなどを実施するとともに、医療環境を充実させることにより、健康寿命の延伸を図ってまいりました。  本市におきましても、心身ともに健康で、豊富な人生経験を持つ高齢者が数多くおられます。こうした方々が、子どもたちや地域とのかかわりの中で、その知識や経験をいかんなく発揮していくことが、今後のまちの発展にとって大変重要であると考えております。  新年度、本市では、こうした元気で意欲にあふれる高齢者を「ぎふスーパーシニア」と称し、地域におけるまちづくりや人づくりに係るスーパーシニアの学びや活躍の場のさらなる創出に努めてまいります。  次に、2つ目の柱である、産業、農業についてであります。  まず、観光について申し上げます。  国におきましては、名目GDP600兆円の実現に向け、昨年6月に閣議決定した日本再興戦略2016において、観光を地方創生の切り札、成長戦略の柱と位置づけ、我が国の基幹産業へと成長させるべく、さまざまな取り組みを進めるとしております。  昨年の訪日外国人観光客数は、前年と比べ約22%増加し、2,400万人を超え、過去最高を更新する中、観光など第3次産業が中心である本市におきましても、世界に誇るべき地域資源にさらに磨きをかけ、海外からのインバウンド需要の取り込みを初めとする交流人口の増加策を一層推進していく必要があります。  新年度の目玉となる信長公450プロジェクトにつきましては、本市を全国にアピールする絶好の機会であり、110以上の記念事業など、積極的なプロモーションを官民一体となって展開し、信長公ゆかりのまち岐阜市のさらなる飛躍に向けて全力で取り組んでまいります。  また、インターネットを活用して世界に本市の魅力を発信するため、観光ホームページの多言語対応を充実するなど情報発信の強化を図るとともに、Wi-Fi環境のさらなる整備や、鵜飼観覧船料金のクレジットカード決済導入などにより、旅行者の利便性向上にも取り組んでまいります。  まちの活力の源となる雇用や新産業の育成につきましては、東海環状自動車道の(仮称)岐阜三輪スマートインターチェンジの完成を見据え、新年度には、三輪地域ものづくり産業等集積地の基本設計に着手し、企業誘致活動を本格化させてまいります。  また、AIなどの加速度的発展に伴う第4次産業革命の到来をチャンスと捉え、AI、IoTなどに関連する企業の誘致や支援制度を構築してまいります。  一方、農業についてでありますが、国においては、TPPの発効に向け進めていた農地の集積・集約化など、国際競争力を高める施策を今後も継続すると見込まれることから、本市におきましてもこれに同調し、引き続き強い農業の育成に取り組んでまいります。  また、昨年12月に開設した、ぎふ野菜をPRする「ぎふベジ」専用ホームページをさらに充実させ、多くの方にイチゴや枝豆などの「ぎふベジ」のよさを知っていただくことで、ブランド力向上を図ってまいります。  さらに、次世代の担い手育成につながるよう、新たに漫画などサブカルチャーを活用した食農教育を開始するほか、薬用作物についても、引き続き産地化に向けた取り組みを進めるなど、本市農業の底上げに努めてまいります。  次に、3つ目の柱である、まちづくり、防災についてであります。  少子化により人口減少が見込まれる中、将来の人口規模を見据えたまちづくりの方向性が問われております。  本年度中に策定いたします立地適正化計画におきましては、活力ある中心部と多様な地域核を有する拠点を形成し、これをつなぐ公共交通の役割を高めるコンパクトシティ・プラス・ネットワークの考え方をまちづくりの長期的な展望の軸としております。このため中心市街地の活性化に向け、柳ケ瀬地区のかなめとなる高島屋南地区や、岐阜駅東地区の再開発事業を着実に推進するとともに、2期中心市街地活性化基本計画の終了を見据え、新たな課題に取り組むための次なる計画を策定し、まちなか居住をさらに推進するとともに、人を引きつける魅力ある中心市街地を形成してまいります。  一方、顕在化する空き家問題への対策につきましては、本年度の実態調査を踏まえ、新年度には、空き家の適切な管理などを目的とした空家等対策計画を策定してまいります。  また、11月に実施をいたしましたBRTトランジットモールは、中心市街地に大いなるにぎわいを生み出しましたが、検証結果を踏まえ、関係機関とも連携を図りながら、さらなる充実を図ってまいります。  一方、東日本大震災発生後も大規模地震が各地で断続的に発生をしており、甚大な被害が懸念される南海トラフ巨大地震につきましても、今後30年以内の発生確率は70%程度とも言われております。  本市におきましても、まち全体の災害に対する耐性を早急に高めることが重要であると考えており、防災対策のかなめとして、災害時に司令塔の役割を担い、市民の皆様の暮らしを守る拠点となることが期待される新庁舎の建設を、着実に推進してまいります。  また、引き続き自助、共助、公助を基本とした地域を守る体制の充実や、避難所機能の強化に取り組むほか、新年度には、防災、減災や復旧、復興などの面において本市の各種計画の指針となる国土強靱化地域計画を策定してまいります。  最後に、これらの重点政策を支える都市経営、確固たる財政基盤の確立について申し上げます。  基軸なき時代においては、確固たる信念を持ち、将来を見据えて取り組んできたこれまでの政策を一貫して推進することが、市民の皆様の安心の見える化につながるものと考えております。また、本市では、後世に課題を先送りすることのないよう行財政改革を最重要課題の1つに位置づけ、一貫して自己決定と自己責任の原則に基づく自立した都市の実現に向けて不断の努力を続けております。  職員定数や──失礼。──職員定数の適正化や民間活力の導入などに取り組むとともに、普通債残高をピーク時の平成11年度1,362億円から平成27年度には708億円へと、額にして654億円、率にして48%削減するなど、盤石な財政基盤を築いてまいりました。こうした確固たる財政基盤を堅持することは、先行き不透明な時代にあっても未来を見据えた政策を着実に推進する上で、大変重要となってまいります。  一方、他の自治体と同様に、本市におきましても、公共施設等の老朽化が喫緊の課題となっております。  昨年4月時点で、本市の建築物の約6割が築30年を経過しており、これらが近い将来には一斉に耐用年数を迎え、公共施設等を現状規模で維持更新するには膨大な費用が必要になると見込まれます。  一方で、人口減少など社会環境の変化により、税収、あるいは公共施設等の利用需要も変化していくことが予想されることから、これらを踏まえ、本年度策定いたします公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設等について、更新、統廃合、長寿命化など、長期的な視点から総合的かつ計画的な管理に努めてまいります。  さらに、人口減少、少子・高齢化が加速する中、合理的な都市経営の観点から、都市間の連携による水平補完関係の構築が求められております。本市におきましても、現在5自治体で協議を進めております消防広域化のほか、子育てや農業などの分野においても周辺自治体との連携を推進し、相互が高め合いながら圏域全体の発展に資するよう取り組んでまいります。  また、現総合計画の基本計画期間が新年度に終了することを踏まえ、本市における新たな時代の将来都市像と、これを実現するための方針を定める(仮称)岐阜市未来ビジョンの策定に向けた取り組みを進めてまいります。  今後とも社会情勢、市民ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応しつつ、中・長期的視点に立ち、効率的な行政経営に努めるとともに、健全な財政運営に引き続き意を用いてまいります。  続きまして、新年度予算案について申し上げます。  まず、市税収入などの歳入についてであります。  歳入の根幹である市税収入につきましては、個人市民税が個人所得の増加などにより4億円の増、固定資産税が家屋の新増築の増加により4億円の増となるなどの結果、全体で、本年度と比較し、9億円、率にして1.3%増の661億円を見込んでおります。  また、地方交付税に臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税につきましては、本年度の決算見込み及び地方財政計画などを勘案し、本年度当初予算と比べ10億円の減を見込んでおり、これらを合わせた一般財源は、前年度に比べ約5億円の減となる見込みであります。  歳出につきましては、高齢化の進展等に伴い、福祉や医療などの社会保障費の増加が続いております。  さらに、ハード整備につきましては、岐阜駅東地区及び高島屋南地区の再開発事業に対する助成など、大規模な財政需要が見込まれる一方、消防指令センターの整備の完了や、本年度国補正予算に伴う前倒しなどにより大きく減少することから、一般会計の予算規模は前年度に比べ、約50億円、3.2%の減となったところであります。  本市財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある中、市民ニーズを的確に把握し、中・長期的な展望に立った大胆な選択と集中のもと、引き続き健全財政の維持に努めてまいります。  その上で、財政規律を保ちながら、出産から介護に至るまで、あらゆる世代が安心できる生活基盤を構築するとともに、その成果を見える形でお示しすることで、基軸なき時代における不安の解消、安心の醸成に全力で取り組むという思いで、新年度予算の編成に当たりました。  この結果、平成29年度の予算規模は、     一般会計           1,549億5,000万円     特別会計           1,157億9,710万円     企業会計          493億439万9,000円     総計は       3,200億5,149万9,000円 となり、  平成28年度当初予算と比較いたしますと、     一般会計で      50億8,000万円 3.2%の減     特別会計で      13億6,160万円 1.2%の増     企業会計で 35億7,665万7,000円 6.8%の減とし、     全体では  72億9,505万7,000円 2.2%の減 となったところであります。  それでは、当初予算案の主要な施策の大要につきまして、「人・まち・自然 個性輝く市民協働都市ぎふ」づくりを目指す、ぎふ躍動プラン・21が掲げる4つの将来都市像に沿って、順次御説明いたします。  最初に、少子・高齢社会への対応や福祉・健康・医療の充実、防災対策など市民の安全、安心の確保、市民の支え合いによる福祉の増進などを通じ、誰もが安心して暮らせる都市を実現していくための施策について申し上げます。  まず、子育て支援についてであります。  政府は、我が国の構造的な問題である少子・高齢化への対策として、一億総活躍社会を実現するべく、昨年6月にニッポン一億総活躍プランを閣議決定いたしました。その中では、2020年までに希望出生率1.8%を実現するため、若者の雇用安定や育児休業などの雇用環境の改善に加え、結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない支援の強化など、社会全体における総合的な子育て支援が必要とされております。  本市におきましては、これまで、子育てで選ばれるまち岐阜を掲げ、全ての子どもや家庭に対するきめ細やかな支援を行ってまいりました。  とりわけ子ども・若者のあらゆる相談に対応する子ども・若者総合支援センター「エールぎふ」におきましては、毎月の相談・支援件数が1,000件を超え、関係機関との緊密な連携により、あらゆるケースに的確に対応しているところであります。  本年度は、子ども専用窓口の連絡先を記載した「子どもホッとカード」をリニューアルし、全ての小中高校生に配布するとともに、山県市と岐南町との広域連携を進めることなどから、子ども本人からの相談が倍増いたしました。  新年度は、不登校児童生徒を対象に、大学生ボランティアと一緒に体験活動を行うメンターフレンド事業を実施するほか、夏休み期間中に「“エール”サマーフェス」を本格的に開催し、ひきこもり傾向にある若者に、アニメ、音楽、スポーツなどに触れる機会をつくることで、得意分野の才能の伸長につなげる才能スプラウト事業を展開してまいります。  さらに本市では、子どもの発達が気になる段階からの相談や支援を行う幼児支援教室を市内7カ所に設置しておりますが、年々利用児童が増加していることから、市南部において新たな幼児支援教室の開設に着手するなど、「エールぎふ」の機能をさらに進化させてまいります。  また、保育所の待機児童ゼロを継続するため、岐阜市立市橋保育所の増築や私立認定こども園の園舎建設に対する助成を行うほか、保育士不足の解消のため、私立保育園等の保育士の採用を支援するなど、ハード、ソフトの両面から安心して子どもを預けることができる環境整備に、引き続き全力で取り組んでまいります。  さらに、多子世帯への支援の一環として、第3子以降の子どもの出産をお祝いし、子育てを応援するため、対象世帯に5万円を給付するハッピー子育て応援金を創設し、今後その効果を検証してまいります。  また、子どもの貧困対策として、新たにひとり親家庭の高校生等を対象とする給付型奨学金の支給を開始するほか、学校給食のない夏休みに食事を提供する子ども食堂への支援を実施するなど、多子世帯やひとり親家庭等への支援を拡充してまいります。  全小学校に開設しております放課後児童クラブにつきましては、子育て世代のさらなる支援を行うため、新年度も質と量の充実を図ってまいります。  保護者の就労実態や利用希望に応じて、新たに5カ所において利用時間を午後7時まで延長するとともに、新年度は13カ所で対象学年を6年生まで拡充するほか、学習支援員が巡回し、子どもたちの学習意欲の向上や学習習慣の確立を目指す「放課後の学び」充実プロジェクトを引き続き推進するなど、子育て世帯への総合的な支援に努めてまいります。  次に、高齢者、障がい者の、地域における生活支援について申し上げます。  本市におきましては、人口に占める65歳以上の高齢者の割合である高齢化率が28%と、4人に1人以上が高齢者となっており、核家族化の進展なども相まって、高齢者のひとり暮らし世帯や老々世帯が年々増加しております。  高齢者の多くの方々は、できる限り住みなれた地域での生活を望んでおられることから、引き続き住民主体の地域での見守り・助け合い活動を推進するとともに、災害時の避難行動支援を一体的に進めるなど、地域で安心して暮らせる、高齢者等への地域生活支援に努めてまいります。  要支援者や、近い将来支援が必要となる見込みの高齢者に対しましては、介護予防・日常生活支援総合事業といたしまして、従来の介護事業所による訪問・通所介護に加え、NPO、ボランティア団体等による多様なサービスの提供を一層推進してまいります。  新年度におきましては、地域でのサービス提供の検討を行う日常生活圏──失礼。──日常生活圏域協議体の設置を拡大するとともに、買い物支援サービスや高齢者の集いの場など、支え合いの仕組みづくりを一層推進してまいります。  また、団塊の世代全員が75歳を迎える、いわゆる2025年問題を見据え、地域包括ケアシステムの構築を初め、高齢者のさまざまな課題の解消や介護保険サービスの充実強化等を図るため、新年度には、第7期高齢者福祉計画の策定に取り組んでまいります。  障がい児、障がい者に対する施策といたしましては、マスタープランとなる次期障害者計画を策定するとともに、これを踏まえ、次期障害福祉計画及び新たに障害児福祉計画を策定し、障がい児、障がい者の社会への参加、参画に向けた施策を一層推進してまいります。  また、障害福祉サービスの提供など地域での暮らしをきめ細かく支援し、相談体制の強化を図るとともに、障がいや障がい者に対する理解を一層促す取り組みを推進してまいります。  あわせて、昨年7月に神奈川県相模原市の障害者支援施設で発生した痛ましい事件を受け、恵光学園等の市直営施設に防犯カメラを設置するなど、防犯対策の強化に努めてまいります。
     生活保護につきましては、景気の回復により、就労する世帯が増加しつつあるものの、高齢化の進展に伴い、依然として受給世帯は緩やかな増加傾向にあります。  このため生活保護に至る前の生活に困窮されている方に対し、生活・就労サポートセンターにおいて、きめ細かな相談支援を継続して実施してまいります。  また、新年度には、貧困の連鎖の防止に向け、子どもの学習意欲に配慮した寄り添い型学習支援を拡充するなど、生活困窮者自立支援の充実を図ってまいります。  次に、健康増進、医療の充実について申し上げます。  高い保健医療水準に支えられ、日本人の平均寿命は20年以上にわたり世界一となる一方、疾病全体に占めるがんや糖尿病などの生活習慣病の割合は年々増加を続けております。  こうした中、本市におきましては、事前の一策として、市民誰もが心も体も健康で、安心して暮らせる都市、スマートウエルネスぎふを目指し、「歩く」を基本とする健康づくりを中心に、生活習慣病の予防や、生活習慣の改善に対するさまざまな取り組みを実施してまいりました。  新年度も引き続き健康ステーションの健康教室や、歩くきっかけづくりとなる健幸ウォークなどのイベント開催を通じ、スーパーシニアを初めとする皆様の健康づくりを推進してまいります。  また、生活習慣病の予防につきましては、市民の死亡原因第1位であるがんの早期発見に力を注いでまいります。  新年度には、複数のがん検診を同時受診できる体制の充実を図るほか、大腸がん検診につきましては40歳から69歳までの検診料を無料とするなど、より受診しやすい環境を整備してまいります。  さらに、生活習慣の改善として、特に妊娠期、子育て中の保護者を中心に、たばこの健康への影響について啓発を図るほか、飲食店などに対し、積極的に受動喫煙防止対策に取り組んでいただけるよう働きかけてまいります。  次に、医療の充実について申し上げます。  本市におきましては、市内各医療機関での受診に加え、休日や夜間の時間帯においても、岐阜市民病院の休日急病センターなどで、安心して受診していただける体制を整えております。  さらに、地域医療の拠点となる岐阜市民病院におきましては、がん治療のさらなる充実を図るため、最新鋭のPET─CT装置の導入に続き、新年度は、より精密で体への負担が少ない手術が可能となる内視鏡手術支援ロボットの整備を進めてまいります。  今後におきましても、市民の命と健康を守る最後のとりでにふさわしい、より高度で質の高い医療の提供に努め、高度急性期病院としての使命を果たすべく、さらなる医療環境の充実を図ってまいります。  次に、市民生活の安全について申し上げます。  近年、犯罪の認知件数は減少傾向にあると言われておりますが、さらなる犯罪抑止により、市民の皆様がより安全、安心に暮らせるよう防犯対策の取り組みを強化してまいります。  新年度は、防犯灯について、より明るさが確保できるLED化を促進するとともに、地域防犯ボランティアリーダーの研修や、青色回転灯支援事業など、スーパーシニアの活躍が期待される地域安全活動への支援を継続してまいります。  一方、本格的な人口減少社会を迎え、本市におきましても、所有者による適切な管理が行われていない空き家等が増加し、地域住民の生命、財産や生活環境などに影響を及ぼすことが懸念されております。  このため本年度実施した空き家等の実態調査を踏まえ、新年度には、空き家の適正管理及び利活用を進めるため、所有者への意向調査を進めるとともに、外部委員から成る空家等対策協議会を設置し、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく空家等対策計画を策定してまいります。  次に、総合防災体制の充実強化について申し上げます。  近い将来、発生が危惧される南海トラフ巨大地震などの大災害に備えるため、東日本大震災や熊本地震などにおけるさまざまな課題を教訓とし、初動対応から応急復旧対策などを含め、地域防災計画の見直しを図り、市民の皆様の安全と安心を守る防災・減災対策を進めてまいります。  新年度は、公助における事前の一策として、災害発生時の被害を最小限にとどめ、早期に復旧、復興が可能な強靱なまちを構築するため、災害時に想定されるあらゆる事態を洗い出し、リスク対応や対策を定める国土強靱化地域計画を策定してまいります。  災害避難者支援といたしましては、全ての指定拠点避難所にエコノミークラス症候群対策に有効な弾力性の高いストッキングを備蓄するほか、新たに災害用仮設トイレを全中学校に整備するなど、受け入れ体制の強化を図ってまいります。  また、熊本地震においては、市職員が避難所運営の主体となったことが、被害調査や罹災証明の発行など、復興に係るさまざまな事務の遅延につながったと言われております。  このため共助の強化対策として、新年度には、地域において防災啓発活動や、発災時の応急対応などの核となる人材を育成するため、日本防災士機構が認定する防災士資格の取得を支援するなど、地域防災力の強化に努めてまいります。  さらに、地震による被害を軽減するため、高齢者や障がい者等のいわゆる避難行動要支援者を対象に、家具の固定に係る支援制度を継続するなど、自助による減災対策を推進してまいります。  また、災害対応の拠点となる新庁舎の建設につきましては、大規模災害時にあっても、機能を確実に発揮できるよう通常の建物の1.5倍の耐震性能を確保するとともに、災害対策の中枢を担う災害対策本部室を常設し、周辺フロアに危機管理部門を集約するなど、迅速かつ適切な災害対応が行えるよう整備してまいります。  消防力の充実強化につきましては、市南部の重要な防災拠点である南消防署の新年度中の完成に向け、着実に整備を進めてまいります。  また、都市間連携による総合防災力の強化を目的とした消防の広域化につきましては、これまでの瑞穂市に加え、新たに山県市、本巣市及び北方町を含めた4市1町での協議を進め、平成30年度からの事務受託開始を目指してまいります。  市有施設の耐震化につきましては、避難所となる学校体育館における非構造部材の耐震対策が、新年度中に完了する予定であります。  また、災害時の交通確保に重要となる橋梁につきましても、第4期橋梁耐震補強事業計画に基づき、着実に耐震化を図るとともに、計画的な補修、更新を進めてまいります。  また、内水対策といたしましては、特に浸水被害の多い境川流域において、引き続き支流の三井川堤防のかさ上げ整備を進めるほか、境川流域整備計画に基づき、流域の公園における雨水貯留施設の整備に着手するなど、さらなる被害の軽減を図ってまいります。  さらに、計画的に市内各所の排水機場の設備更新を行うほか、地下式道路、いわゆるアンダーパスの冠水対策を図るなど、水害に対する多面的な対策を進めてまいります。  また、水道事業におきましては、安全で安心な水道水を安定的に供給するため、災害対策及び老朽化対策として、配水管布設がえをさらに推進してまいります。  次に、便利で快適な都市の実現のため、持続可能な低炭素社会、循環型社会の構築に努め、自然との共生を図るとともに、利便性の高い生活環境の充実に努めていくための施策について申し上げます。  最初に、地球環境保全対策の推進についてであります。  昨年11月に、地球温暖化対策の新たな国際的枠組みでありますパリ協定が発効したことを受け、温室効果ガスの排出削減に向け、世界各国が協調して歩み始めております。  本市におきましても、本年度中に改定いたします地球温暖化対策実行計画に基づき、国と歩調を合わせ、取り組んでまいります。  新年度は、本市の恵まれた地域資源である太陽光や地下水などの再生可能エネルギーの利用や、各家庭における省エネ化を一層推進するため、新たにゼロエネルギー住宅、省エネ改修促進に係る補助制度を創設するほか、地下水を利用した地中熱ヒートポンプ空調設備の設置に係る助成を拡大してまいります。  また、電気自動車等、蓄電池を持つ自動車と太陽光発電との連携により、エネルギーの地産地消や自立性向上など、さまざまな効果を生み出すと言われている次世代自動車の充電、給電を行う設備、いわゆるV2Hの導入に対する補助制度を創設するなど、温室効果ガス削減に寄与する新技術の普及を支援してまいります。  また、自然環境の保全につきましては、岐阜市生物多様性プランに基づくアクションプランの進捗を図るため、環境教育や希少種の保全などに取り組んでまいります。  次に、ごみ減量・資源化の推進について申し上げます。  美しい住環境や都市景観を次世代に継承していくためには、ごみの発生抑制、資源の循環的利用、廃棄物の適正処理を図り、地球環境への負荷を減らし、日常的に資源を有効利用する循環型社会を構築することが重要であります。  本市におきましては、これまで分別されずに焼却されてきた雑がみの回収を、「ごみ1/3減量大作戦」市民運動の1つとして位置づけ、紙ごみの資源化、排出抑制に力を注いでまいりました。  新年度は、こうした市民運動の機運をさらに高めるため、本年度中に改定いたします新たなごみ減量・資源化指針に基づき、雑がみの回収に加え、低コストで気軽に生ごみの堆肥化が実践できる段ボールコンポストの普及促進に係る補助制度を創設するとともに、飲食店等を対象とした生ごみ減量キャンペーンを展開するなど、さらなる生ごみの発生抑制と資源化に向け、取り組んでまいります。  加えて、その他プラスチック製容器包装類の資源化につきましては、新リサイクルセンター整備に合わせた実施に向け、啓発運動を進めてまいります。  さらに、衛生的で快適な生活環境の維持向上に向け、廃棄物の適正処理に係る環境整備を着実に進めてまいります。  平成27年10月の火災で焼損した東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設の復旧につきましては、これまで原因者に対し、みずからの費用負担による工事の実施を要請してまいりましたが、合意が得られない状況となっております。  一方で、基礎自治体の責務として早急に処理体制を回復する必要があることから、本市が復旧工事を行った上で、費用弁償を求めていく方針といたしました。  あわせて、施設が復旧するまでの間におきましても、市民サービスの低下を招かぬよう粗大ごみを着実に処理するとともに、火災により発生する全ての費用について引き続き原因者に求償してまいります。  一方、安定的かつ継続的にごみ処理を遂行していくためには、地域の御理解を賜りながら、既存の処理施設を計画的に更新していく必要があります。  リサイクルセンターにつきましては、缶、瓶及びペットボトルに加え、その他プラスチック製容器包装類の資源化処理も可能な新施設の整備を進めてまいります。  また、安定的なごみ処理体制を維持していくため、本市におきましては、焼却施設3カ所体制を基本方針としておりますが、稼働から37年が経過する掛洞プラントにつきましては、東部クリーンセンター及び岐阜羽島衛生センター次期ごみ処理施設の立地や処理能力を踏まえ、新ごみ焼却施設整備の検討を進めてまいります。  さらに、下水道事業につきましては、引き続き中部プラント全面改築や管渠整備を着実に推進し、快適な生活を享受できる環境づくりに努めてまいります。  また、産業廃棄物不法投棄事案につきましては、現場及び周辺のモニタリング調査や浸出汚濁水処理設備の維持管理を継続してまいります。  あわせて、不法投棄行為者等への責任追及につきましても、引き続き専門家の助言を得ながら行政代執行等の費用回収に取り組んでまいります。  次に、利便性の高い生活環境の充実について申し上げます。  交通政策につきましては、総合交通戦略及び地域公共交通網形成計画に掲げる「公共交通を軸に都市機能が集積した歩いて出かけられるまち」の実現を目指し、諸施策を推進してまいります。  この中心となるバス交通につきましては、本格的な人口減少・超高齢化社会に対応した持続性の高い地域公共交通網とともに、軸となる岐阜市型BRTとコミュニティバスを柱とした利便性の高いネットワークを構築してまいります。  また、昨年11月に実施をいたしましたBRTトランジットモール交通社会実験は、公共交通の利用促進や中心市街地のにぎわい創出について、大きな効果が確認できたところであります。  これらに加え、歩くことによる健康増進、自家用車の利用抑制による環境への負荷軽減など、さまざまな効果が期待できることから、新年度におきましても、今回の検証結果を踏まえ、トランジットモールの定着を目指した取り組みを進めてまいります。  次に、中心市街地ににぎわいを取り戻し、まちなか居住の推進を図るとともに、本市の歴史や文化、自然を生かした観光や多様な産業の振興、雇用の確保などにより、活力あふれる都市を実現していくための施策について申し上げます。  まず、にぎわいある中心市街地の創出についてであります。  中心市街地を形成する岐阜駅周辺から柳ケ瀬、「ぎふメディアコスモス」周辺に至る区域につきましては、引き続き2期中心市街地活性化基本計画に基づき、にぎわいの創出やまちなか居住の推進を図るためのさまざまな取り組みを進めてまいります。  また、新年度は、2期計画の最終年度となりますが、民間主体の取り組みによる魅力ある商業者の創出支援や、居住、都市機能の誘導、維持などにより、さらなる中心市街地の活性化を推進するため、3期計画の認定を視野に入れ、施策の検討を進めてまいります。  本市の知、絆、文化の拠点である「みんなの森 ぎふメディアコスモス」につきましては、木のぬくもりが感じられ、開放感のある空間のもと、教育や文化、市民相互の交流機能が融合し、施設の魅力をさらに高めることで、多くの市民の皆様に楽しんで利用いただいております。  本年2月26日には、開館から19カ月余りで来館者200万人を達成するなど、期待を大きく上回る、まちの新たなにぎわいを生み出しております。  新年度も、施設の魅力をさらに高めるよう創意工夫を重ねるとともに、施設東側の立体駐車場につきましては、10月の供用開始に向け整備を進め、利用者のさらなる利便性の向上を図ってまいります。  市街地再開発事業につきましては、JR岐阜駅周辺における新たなにぎわいとまちなか居住の拠点となる岐阜駅東地区の再開発ビルの建設工事が、平成30年度の完成に向け本格化してまいります。  さらに、柳ケ瀬活性化の起爆剤として期待が高まる高島屋南地区につきましては、本年度、事業区域を拡大した新たな建築プランが発表されたことを受け、新年度は、設計や工事に向けた各種調査が進められる予定となっており、岐阜駅周辺と「ぎふメディアコスモス」をつなぐ新たなにぎわいの創出が図られるものと期待をしております。  また、名鉄高架事業につきましては、引き続き県、名鉄と連携し、都市計画決定に向けた事業進捗を図るとともに、高架化や周辺区画整理事業などに要する財源として、鉄道高架事業基金に所要の積み立てを行ってまいります。  次に、観光の振興について申し上げます。  本市は、悠久の歴史、文化に裏打ちされた、誇るべき地域資源を豊富に有しております。中でも、岐阜の名づけ親である織田信長公が足かけ10年、当地に居を構え、楽市楽座などの改革を進めながら天下平定を目指した足跡は、かけがえのない本市固有の地域資源であります。  本年は、その信長公が当地に入城し、岐阜と命名してから450年の節目となる記念すべき年となり、信長公450プロジェクトの周年事業がまさに始動したところであります。これを絶好の機会と捉え、これまで取り組んでまいりました信長公によるまちづくりをさらに加速させ、歴史観光都市として国内外に本市の魅力をアピールしてまいります。  この450プロジェクトは官民一体となり取り組んでおり、本年度も大学生を初め、多くの方々に参画いただくとともに、周年事業パートナー7社を初め、約50社の地元企業に御協力をいただいております。4月以降、110を超える事業が展開されますが、これらの事業を通じて、信長公の文化的側面やおもてなしの心などを未来へのレガシー、遺産として引き継いでまいります。  核となるメーン事業といたしましては、7月から12月にかけて、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」において、最新のコンピューターグラフィック技術による信長公居館再現映像の上映や、各種展示を行う「体感!戦国城下町・岐阜 信長公ギャラリー」を開催いたします。  あわせて、7月14日から歴史博物館において催される特別展「Gifu信長展─もてなし人信長!? 知られざる素顔─」におきましては、日本で初出展となるフランシスコ・ザビエル自筆の書簡や、ルイス・フロイスの著作「日本史」のもととなった書簡の写しなど、国内外の信長公ゆかりの品々を展示してまいります。  また、信長公から受け継ぐ楽市のまちとしてのブランド化及びにぎわいの創出を図るため、春、夏、秋にそれぞれ、食、物、文化をコンセプトとする、ぎふ信長楽市2017を実施してまいります。  さらに、こうした記念事業に花を添えるべく、10月から11月にかけては歴史博物館において、姉妹都市であるイタリア・フィレンツェ市で花開いたルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ビンチとミケランジェロ・ブオナローティの作品を紹介する、「レオナルド×ミケランジェロ展」を開催いたします。  このプロジェクトを通じ、信長公ゆかりのまち岐阜市として、観光振興にとどまらず、地域活性化につなげるとともに、市民の皆様に大いに楽しんでいただき、故郷への誇りと愛着、いわゆるシビックプライドを一層高めていただきたいと考えております。  また、信長公とともに本市が誇る地域資源であるぎふ長良川鵜飼は、一昨年の3月、国の重要無形民俗文化財に指定されるとともに、同年4月に、日本遺産第1号と認定された『「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜』の重要な構成要素となっております。  こうした評価を弾みに、引き続き市民意識の醸成を図り、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指してまいります。  一方、訪日外国人旅行者が2,400万人を突破し、さらに増加を続ける中、政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に、4,000万人の達成を目指すとしております。  その鍵を握るのは、固有かつ豊富な観光資源を有する地方であり、今まさに、信長公を初めとする本市の有するきらめく宝を、国内のみならず、海外に向けて広くアピールし、インバウンド需要を取り込む絶好の機会が訪れております。  このため観光ホームページの多言語化をさらに充実し、モバイル端末にも対応するとともに、鵜飼観覧船料金のクレジットカード決済を導入するなど、情報発信力の強化と旅行者の利便性向上を図ってまいります。  また、引き続き海外における誘客プロモーションや、民間事業者によるパンフレット等の多言語化などへの支援を行うほか、新たにセントレア近郊のショッピングモールとタイアップして鵜飼の出張実演などのプロモーションを実施してまいります。  あわせて、近年国内のみならず、海外からも注目を集めております、日本が得意とする漫画やアニメなどのいわゆるサブカルチャーは、本市のシティプロモーションのツールとして、大変有効と考えております。  そのため新年度におきましても、先日発足いたしましたぎふアニメ聖地連合の参加市町と連携し周遊観光を促すなど、サブカルチャーを活用した積極的な情報発信を展開し、観光誘客につなげてまいります。  次に、産業の振興について申し上げます。  国の経済政策により、景気は穏やかな回復基調が続き、雇用・所得環境が着実に改善するなど、大企業を中心に経済の好循環が生まれているものの、本市経済を支える中小企業においては、依然として、その効果が十分に及んでいない状況であります。  こうした状況を受け、岐阜市信用保証協会を活用した融資制度を一層充実するため、信用保証料の補填をさらに拡大するなど、資金繰りの円滑化を支援してまいります。  また、企業誘致につきましては、柳津地域に続く候補地である三輪地域につきまして、昨年10月に本市が農地転用許可権限に係る指定市町村に指定されたことなどを踏まえ、農業振興施策との調整にも留意をしながら、新年度には事業化に向け、改めて基本設計を実施し、平成32年度中の分譲開始を目指してまいります。  本市及びその周辺には、IT産業の集積拠点や、岐阜大学を初めとする研究開発機関が立地をしており、新たな成長市場として期待される人工知能・AIの関連分野において、ベンチャー企業の創業が期待できる環境にあります。  このため新年度は、こうしたベンチャー企業の事務所賃料や、研究開発資金に対する助成制度を創設するほか、中小企業融資制度のAI関連事業枠を追加するなど、第4次産業革命を見据えたAI関連企業の育成を促進してまいります。  次に、農業の振興について申し上げます。  アメリカ合衆国のTPP協定からの離脱表明を受け、我が国の通商戦略の先行きが不透明な状況の中、本市におきましては、持続性ある農業の実現に向けて、攻めと守りの両輪で農業振興の取り組みを進めてまいります。  まず、攻めの施策といたしましては、「ぎふベジ」のブランド力向上のため、本年度開設した専用ホームページにおいて、地元モデルによる動画や、生産者と消費者を結ぶコミュニケーションツールなどの魅力的なコンテンツを加え、発信力の強化を図るほか、薬用作物の産地化に向け、引き続き生産拡大や販路開拓を進めてまいります。  また、岐阜市農業まつりにつきましては、ぎふ信長楽市として規模を拡大して実施するほか、農業体験と観光資源の活用を融合させた岐阜市版グリーンツーリズムにつきましても、受け入れ体制支援とツアー誘致の両面から事業の定着化を図ってまいります。  一方、守る施策といたしましては、優良農地の集積・集約化を一層推進するとともに、新たな担い手を確保するため、新規の就農者に対する支援を継続してまいります。  また、後継者の育成につきましては、これまで実施してまいりました収穫などの体験型食農教育に加え、新たに学習型と情報発信型の食農教育を展開してまいります。
     新年度は、有名漫画家による岐阜市版オリジナルテキストやアニメーションを小学校における授業の教材として取り入れるなど、サブカルチャーを活用し、子どもたちの理解や関心を深めるための総合的な食農教育を推進してまいります。  次に、心の豊かさを実感でき、人生を楽しむことができる都市の実現のため、市民協働のまちづくり、学校教育、生涯学習の充実など、さまざまな人づくり施策を推進するとともに、文化の継承、創造に努めていくための施策について申し上げます。  少子・高齢化、核家族化の進展や、ライフスタイルの多様化などにより、地域コミュニティーを取り巻く環境は大きな変化をしてきております。  こうした中、地域の特色を生かした個性豊かなまちづくりを実現するためには、まず、幅広い世代の市民一人一人が、身の回りにあるさまざまな事柄に関心を持ち、学び、その成果を生かすこと、とりわけ元気で意欲あふれる高齢者、スーパーシニアの知識や経験を、人づくり、まちづくりにつないでいくことが大変重要であります。  さらに、こうした個の力が結集した自治会やNPO、企業などの組織と行政が、互いに手を携え、役割に応じた協働の取り組みを推進していくことが不可欠であります。  こうした観点から、市民協働のまちづくりの推進拠点である市民活動交流センターにおきましては、本年度末で計35地区に設立されるまちづくり協議会や、市民活動団体が行う地域の活力を高めるさまざまな活動に対する支援に引き続き取り組んでまいります。  さらに新年度には、各部局の横断的な取り組みにより、スーパーシニアを対象に学びの機会や活躍の場のさらなる創出に努めてまいります。  学びといたしましては、これまでの高齢者大学に加え、長良川大学に「ぎふスーパーシニア」学部を新設し、生きがいづくりや地域貢献などを中心に、より学びの幅を広げ、掘り下げた学習ができる機会を提供してまいります。  また、活躍の場といたしまして、まちづくり活動に関心を持つ岐阜のスーパーシニアを中心とした市民の皆様を地域まちづくりプレーヤーとして登録し、まちづくり協議会に仲介する仕組みを構築するほか、市民の主体的な活動提案を支援する市民活動支援事業においてスーパーシニア枠を新設してまいります。  さらに、学校教育に意欲や関心を有する方に教育学講座を受講していただくとともに、コミュニティ・スクールにおいて、その知識や経験を子どもたちに還元する仕組みを構築する、スーパーシニア「ぎふっ子応援」事業を実施するなど、豊富な経験を若い世代につないでいただけるよう取り組んでまいります。  一方、市民の皆様の学びを支える本市の知の拠点である中央図書館におきましては、市民に身近な滞在型図書館として、図書館サービスの向上に努め、楽しさあふれる読書環境を提供してまいります。  また、本の貸し出しなどの従来の枠組みに加え、子どもの表現力や創造力向上につながる子ども司書養成講座や、個人の蔵書を地域で共有する仕組みづくりとなるまちライブラリー事業を展開するなど、本を介して人を育み、人とまちをつなぐ次世代型図書館を目指し取り組んでまいります。  生涯スポーツの充実につきましては、スポーツ推進計画に基づき、市民誰もが元気で健康な生活を営めるよう、スポーツを気軽に楽しめるさまざまなイベントを開催してまいります。  また、平成30年度に東海地区で開催される高校生最大のスポーツの祭典、全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイにおきまして、空手道とボクシングの2競技が本市で実施されることから、新年度には実行委員会を組織し、競技運営が円滑に行えるよう準備を進めてまいります。  さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、国におきましては、グローバル化の推進などの観点から、参加国などとの相互交流を図る自治体をホストタウンとして登録する制度を設けております。昨年12月に本市がスロバキア共和国を相手国としてホストタウンに登録されたことを受け、新年度はスロバキア選手団の事前合宿の誘致を本格化するとともに、スポーツを通じた市民交流など、「信長公のおもてなし」が息づくホストタウンとしての取り組みを進めてまいります。  加えて、当大会での活躍が期待される岐阜市ゆかりのトップアスリートに対し、競技力向上のための支援を拡大するなど、スポーツ活動のさらなる振興を図ってまいります。  次に、学校教育の充実について申し上げます。  本市におきましては、まちの未来を担う人材を育む教育を最重要施策に位置づけ、複雑化していく現代社会に的確に対応しつつ、夢や希望の実現に果敢に挑戦できる子どもたちを育んでまいります。  先月発表された、小学校では平成32年度、中学校では平成33年度以降の教育指針となる次期学習指導要領改訂案においては、将来の変化を予測することが困難な時代を見据え、子どもたちが何を知っているかのみならず、何ができるようになるかを意識した主体的、対話的でかつ深い学び、いわゆるアクティブラーニングが重視されております。  これに先駆け、本市におきましては、本年度全ての中学校にアクティブ・ラーニングスペース「アゴラ」を整備し、効果的な指導方法の研究を始めており、新年度も引き続き生徒同士が多様で質の高い学びを引き出し、学ぶ意欲をさらに高められるよう取り組んでまいります。  また、ICT教育につきましては、次期学習指導要領改訂案において、第4次産業革命の進展に伴う情報活用能力育成の必要性に鑑み、時代を超えて普遍的に求められるプログラミング的思考を育むプログラミング教育の必須化が示されたところであります。  本市におきましては、本年度、タブレットパソコンを全小中学校、特別支援学校に計4,100台導入し、文部科学省が目標に掲げる児童生徒3.6人に1台を上回る、3.4人に1台のコンピューターを設置いたしました。  こうした環境のもと、新年度には、国に先駆けプログラミング教育を開始し、より楽しく効果的に学べるよう人型ロボット「ペッパー」を大手情報通信企業から全国で最多となる273台無償貸与させていただき、小中学校39校で活用してまいります。ロボットに触れ合うことなどを通じて、情報技術の習得のみならず、論理的、創造的に思考すること、課題を発見し、解決する能力を育んでまいります。  また、本市の教育立市の象徴とも言える英語教育につきましては、国に先駆け、平成16年度より小学校3年生から正式な教科として力を注いでおります。  さらに、本年度、民間の教育シンクタンクとの連携により、英語分野を皮切りに、エビデンスに基づく教育の実践と共同研究を進めてまいりました。英会話学校の講師による本市英語教員への研修や、研究校での授業などに加えて、読む、聞く、話す、書くの4技能が測定できる評価テストや、生徒の意識調査の結果をもとに、共同研究の取り組みにより子どもたちの学力や意欲の変化の客観的かつ科学的な分析を目指しております。  新年度も引き続き共同研究の進展を図り、小学校から中学校へと英語教育を効果的につなぐ、小中一貫の英語カリキュラムの確立を目指してまいります。  「ぎふっ子からノーベル賞を」を合い言葉とする理科教育につきましては、本年度から最先端の科学技術の魅力を存分に体感できるぎふサイエンス・キャンプを実施したところであります。  先行して取り組んだ、英語のみで生活できるイングリッシュ・キャンプと同様、大変好評であったことから、新年度は、サイエンス・キャンプの定員を50名から80名に拡大し実施をしてまいります。  また、文化・芸術分野につきましては、将来国際的な活躍が期待される市内の中学生を顕彰するジュニアアーティスト・トップランナー支援事業を新たに立ち上げ、輝く個性や才能のさらなる伸長を図ってまいります。  また、特別支援教育につきましては、障がい者が差別されることなく、障がいのない人とともに生活し、学ぶ、インクルーシブ教育を一層推進してまいります。  新年度には、子どもが抱えるさまざまな問題や課題に対し、よりきめ細かく対応するため、ハートフルサポーター及びハートフルティーチャーを計9名増員いたします。  また、軽度の障がいのある児童生徒が専門教諭による個別指導を受ける通級指導につきまして、中学生夜間通級指導教室「トワイライト」を新設するなど、子どもたちがより支援を受けやすい環境を整備してまいります。  一方、ハード面につきましては、新年度中には避難所となる学校体育館の耐震化が全て完了する見込みであります。  今後につきましても、さらに快適な学習環境を創出するため、施設の老朽化対策やトイレ改修を初めとする環境改善などに取り組むとともに、校舎の建てかえや大規模改修、給食共同調理場の整備などに係る財政需要を勘案し、計画的に教育施設整備基金への所要額を積み立ててまいります。  次に、歴史ある文化の継承について申し上げます。  本市の誇る地域資源である岐阜城や長良川鵜飼など、国にその価値を認められた歴史資産や伝統文化のすばらしさを、市民の皆様はもとより、国の内外に広く発信していくことが重要であります。  先月20日、本市の長良川鵜飼と同様、伝統的な鵜飼文化が継承されている中国雲南省大理市を訪問し、大理白族自治州の田江権副州長との間で、ともに鵜飼のユネスコ世界無形文化遺産登録を目指し連携を進めていくことで合意をいたしました。  今後、日中共同申請も視野に入れ、登録に向けた調査と準備を引き続き進めてまいります。  また、平成19年度から実施をしております信長公居館の発掘調査では、壮大な庭園を有する迎賓館のような場所であったことや、これまで先駆けとされてきた安土城よりさらに以前から金箔瓦が用いられていたことなど、信長公居館の実像に迫るさまざまな成果が得られております。  新年度には、一連の発掘調査が終了することから、その成果を踏まえ、今後、遺構の復元整備に向けた検討を進めてまいります。  次に、新たな都市文化の創造についてであります。  「ぎふメディアコスモス」におきましては、市民の皆様の文化的活動の発表の場を創出するとともに、メディアコスモス新春美術館を初めとするイベントの開催により、気軽に芸術鑑賞できる機会を提供するなど、文化の拠点にふさわしいにぎわいの創出を図ってまいります。  また、本市の文化・芸術の指針である芸術文化振興指針につきましては、策定から10年が経過し、社会情勢等が大きく変化していることを踏まえ、新年度に新たな指針を策定してまいります。  行政の効率化とサービス向上について申し上げます。  社会経済情勢が大きく変化する中で、本市が継続的に発展し、あらゆる行政需要にも柔軟に対応できる自主自律の都市経営を確立するためには、民間活力の導入、計画的な行財政運営など、効率性、実効性を向上するためのたゆまぬ努力が必要であります。  職員定数につきましては、公共施設マネジメントや空き家・定住対策の推進など、本市の重要施策を推進する体制を強化する一方で、日野恵光の民営化などにより、行政サービスの低下を招くことなくスリム化を進めるとともに、職員の給与についてもさらなる適正化に努めてまいります。  職員育成につきましては、女性活躍の推進に向けた研修のほか、質の高い行政サービスの提供に資する研修を実施するなど、引き続き職員の能力・資質向上を図ってまいります。  情報システムの最適化につきましては、本年度に第1次計画事業が完了し、統一的かつ費用対効果の高いシステムの再構築などにより、市民サービス向上やコストの削減、業務の効率化を図っております。  新年度からは、第2次計画として、新庁舎移転を視野に、ICTのさらなる利活用やシステム基盤の強化などに重点を置き、取り組んでまいります。  また、市民サービスの向上についてでありますが、新年度建設に着手する新庁舎につきましては、行政サービスの拠点としてどなたにも快適に利用いただけるよう、通路やトイレなどを初め、あらゆる空間のユニバーサルデザイン化を図るとともに、キッズルームや授乳室を設置するなど、利便性、快適性に配慮し整備を進めてまいります。  さらに、よりわかりやすく効率的に手続等が行える窓口サービスが提供できるよう1階から3階に窓口部門を集約するとともに、新年度には、ワンストップ化に係る窓口支援システムなどの調査を進めてまいります。  以上をもちまして、平成29年度の主な施策とその大要を申し述べました。  冒頭でも申しましたように、多様な価値観が混在する基軸なき時代の到来に加え、第4次産業革命の進展に伴い、我々の日々の生活を取り巻く環境は、今後、加速度的な変化の波にさらされることが予想されております。  こうした急激な変化に柔軟かつ的確に対応することが不可欠となる一方で、本市には変わることのない大切な魅力がたくさん、数多くあります。  金華山、長良川を初めとする豊かな自然や、1300年もの長きにわたり伝統が受け継がれている長良川鵜飼などは、ふるさと岐阜の象徴として、市民の皆様のいわば心の礎となるものであります。こうした心の根幹にある、郷土に対する誇りや愛着に、日々の生活への揺るぎない安心を加えることにより、暮らしが充実し、前向きな気持ちや楽しさが生まれることで、まちのさらなる活性化につながるものと考えております。  新年度には、これまで一貫して取り組んでまいりました教育を初めとする政策をさらに磨き上げ、市民の皆様に安心を提供するべく、これまでの経験を生かし、全力を傾注してまいる覚悟でありますので、議員各位を初め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  なお、予算に関係いたします条例なども提案しておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、適切なる御決定を賜りますようお願い申し上げます。  続きまして、同時に提案をいたしました平成28年度一般会計補正予算並びにその他の議案について御説明をいたします。  最初に、第43号議案平成28年度一般会計補正予算についてであります。  今回の補正予算におきましては、国の第2次補正予算に係る補助内示を受け、民間社会福祉施設に対する整備費助成について措置するほか、本年度中に完了が見込めない事業等について減額するなど、所要の補正をいたしました。  まず、総務費の行政管理費につきましては、職員の退職手当について2億円を減額するものであります。  また、各種福祉施設の環境整備を推進するため、国費を活用し、民生費の障害者総合支援費には、障害者支援施設建設や、防犯カメラ設置等に対する助成費、9,300余万円を、老人福祉費には、介護保険施設等のスプリンクラーなどの防火設備や、防犯カメラ設置等に対する助成費、1,500余万円を補正するものであります。  一方、介護保険施設整備費助成の対象となる地域密着型介護老人福祉施設の建設工事につきましては、年度内完成が困難になったことから、開設準備経費に係る助成費、1,800万円余を減額し、新年度に措置するものであります。  また、市民協働参画費につきましては、篤志家からの寄附金等、3,200万円を元気なぎふ応援基金に積み立てるものであります。  衛生費の塵芥処理費につきましては、東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設の火災事故対応について、さきに申しましたように、本市が復旧工事を実施する方針としたことから、当初予定しておりました荏原環境プラントによる施工を前提とした施工監理業務委託費1,500余万円を減額するとともに、次年度にわたる債務負担行為を廃止いたすものであります。  土木費の土木総務費には、道路及び街路に係る県営工事の進捗に伴い、負担金2億2,500余万円を補正いたします。  消防費の非常備消防費につきましては、常磐分団本部建設事業につきまして、用地取得に時間を要したことから、実施設計や解体工事などの経費950万円を減額し、新年度に実施しようとするものであります。  また、教育費の小学校建設費及び公民館費でありますが、長良小学校及び長良公民館改築事業について、地元との協議に時間を要し、年度内の着手が困難となったことから、仮設校舎リース料など、計2億6,600余万円をそれぞれの費目において減額し、新年度に改めて措置するとともに、校舎等の解体工事費などに係る、次年度にわたる債務負担行為を廃止するものであります。  あわせて、長良小の工事期間中に給食調理を行うため、ほか1校とともに、当初予算において措置をしておりました教育施設給食調理業務委託費に係る債務負担行為につきましても、限度額6,200余万円を減額し、新年度に改めて措置しようとするものであります。  また、特別支援学校管理費につきましては、児童生徒送迎用のスクールバス購入について、生産体制の事情により車両の調達が困難となったことから、1,000余万円を減額し、新年度において対応するものであります。  このほか、完了が次年度になる見込みの事業につきましては、繰越明許費として所要の措置を講ずるものであります。  以上、事業費の補正総額は1億5,370万8,000円の減額となり、財源内訳といたしましては、     国 庫 支 出 金        6,905万5,000円     市債その他特定財源           1億2,800万円 をもって充てる一方、     地 方 交 付 税          13億1,422万円     繰入金その他特定財源     2億6,775万9,000円 を減額することから、     繰   越   金     12億3,121万6,000円 を措置した次第であります。  あわせて、本年度当初予算における財政調整基金からの繰入金45億円につきましては、繰越金等の状況を勘案し、22億円の繰り戻しを行うなど、歳入の財源更正を行うものであります。  次に、第44号議案国民健康保険事業特別会計補正予算は、平成27年度療養給付費負担金の確定に伴い、国への償還金など、1億2,400余万円を補正いたすものであります。  第45号議案観光事業特別会計補正予算は、金華山山頂トイレ改修事業につきまして、完了が次年度になる見込みであることから、繰越明許費として所要の措置を講ずるものであります。  次に、第46号議案から第49号議案はいずれも条例の改正でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。  第50号議案は、南消防団三里分団本部及び三里公民館建築主体工事に係る請負契約を締結しようとするものであります。  また、第51号議案は、みんなの森 ぎふメディアコスモス立体駐車場建築主体工事請負契約につきまして、土壌汚染対策の実施による工事中断に伴う費用負担が発生することから、契約金額を変更しようとするものであります。  第52号議案は、土地区画整理事業などに伴い、市道路線の認定、廃止及び変更をしようとするものであります。  次に、報第1号の専決処分事項でありますが、昨年度に引き続き、工事の入札不調への対応といたしまして、次年度にわたる執行により早期の事業完了が可能となるよう、繰越明許費の補正をいたしたものであります。  以上、補正予算及び関係諸議案を御説明いたしました。  よろしく御審議の上、適切なる御決定を賜りますようお願いを申し上げます。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第56 請願第1号から第61 請願第6号まで 12: ◯議長(杉山利夫君) 日程第56、請願第1号から日程第61、請願第6号まで、以上6件を一括して議題とします。            ───────────────────             請   願   文   書   表                     平成29年第1回(3月)岐阜市議会定例会 ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第1号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│安全保障関連2法(国際平和支援法、平和安全法制整備法)の廃止を │
    │       │求める意見書採択についての請願                 │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7-13 岐阜県教育会館302号          │ │住所・氏名  │新日本婦人の会岐阜支部 支部長 和田玲子            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、原 菜穂子、松原徳和、服部勝弘、田中成佳、 │ │       │高橋和江                            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │総務委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 2015年9月19日の参議院において、安全保障関連2法(国際平和支援法、平和 │ │安全法制整備法)が強行採決され、2016年3月29日から施行されている。    │ │ この安全保障関連2法により、南スーダン共和国の国連平和維持活動(PKO)に派 │ │遣されている自衛隊に、多国籍軍を守るための「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防護」│ │の任務が追加され、昨年11月20日には青森から第一陣となる約130人が、激しい │ │戦闘が続く南スーダン共和国に派遣された。                    │ │ また、政府は「昨年7月の南スーダン共和国のPKOの自衛隊派遣部隊の日報は廃棄 │ │した」と説明していたが、一転して文書の存在が明らかになり、戦闘の表記も複数あり、│ │これまで政府が否定してきた戦闘行為が起きていたことを裏づける内容であった。   │ │ 安全保障関連2法は、戦闘地域での武器及び燃料などを補給する兵たん活動、戦争状 │ │態の地域での治安活動などを可能にし、これら全てが憲法第9条を踏みにじるものであ │ │る。だからこそ、多くの憲法学者や元内閣法制局長官、法律家らが繰り返し「憲法違反」│ │と明快に述べているのである。                          │ │ 憲法第98条第1項は、最高法規である憲法に反する法律は効力を有しないと規定し │ │ており、憲法違反である安全保障関連2法は廃止する以外にない。          │ │ 戦後72年、日本国憲法のもと、「戦場で誰も殺さなかった、誰も殺されなかった」 │ │世界の中でも希有な、輝かしい歴史に汚点を残すのではなく、今こそ、戦争への道を食 │ │いとめ、自衛隊員の命を守るときである。                     │ │ 以上のことから、下記事項について請願する。                  │ │                   記                    │ │1 安全保障関連2法(国際平和支援法、平和安全法制整備法)の廃止を求める意見書 │ │ を国に提出すること。                             │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第2号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│共謀罪(テロ等準備罪)の創設反対を求める意見書採択についての請 │ │       │願                               │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7-13 岐阜県教育会館302号          │ │住所・氏名  │新日本婦人の会岐阜支部 支部長 和田玲子            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、原 菜穂子、松原徳和、服部勝弘、田中成佳、 │ │       │高橋和江                            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │総務委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 安倍政権は、2020年の東京オリンピックなどに対するテロ対策を口実に、共謀罪 │ │を盛り込んだ法案を通常国会に提出しようとしている。               │ │ 共謀罪は、犯罪を実行していなくても、犯罪の相談、計画(共謀)をすれば、それ自 │ │体を罪とする危険なものである。犯罪が起きる前から捜査を開始すれば、思想、良心及 │ │び言論の自由など基本的人権を侵すことになるため、過去3度にわたり国会に提出され │ │ているが、国民の大きな反対によっていずれも廃案になっている。          │ │ 政府は、共謀罪の名称をテロ等組織犯罪準備罪に変え、あたかもテロ対策のように装 │ │い、「国際組織犯罪防止条約の批准のために共謀罪が必要である」と言っている。しか │ │し、この条約は、国際的なマフィアなどを取り締まるための条約である。テロ防止に関 │ │する条約は、国際的に13本あり、日本はその全てを締結し、国内法も整備している。 │ │ しかも、共謀罪が適用される犯罪は、テロとは関係のない公職選挙法及び道路交通法 │ │を含め、広く市民生活にかかわる犯罪も対象になっている。対象となる犯罪を限定しよ │ │うとしても、市民の表現、思想及び内心を監視し、介入し、処罰しようとする本質は変 │ │わりなく、「組織的犯罪集団」の定義も曖昧で、市民団体や労働組合も対象にされかね │ │ない。                                     │ │ 安倍政権は秘密保護法及び戦争法、盗聴の拡大及び司法取引の導入などを強行してき │ │た。そこに、共謀罪を加えることは、国民の運動を抑え、物言えぬ監視、密告社会をつ │ │くり、日本を「戦争する国」へと向かわせるものである。              │ │ 以上のことから、下記事項について請願する。                  │ │                   記                    │ │1 共謀罪(テロ等準備罪)の創設に反対する意見書を国に提出すること。      │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第3号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│小中学校の給食費の保護者負担軽減を求める請願          │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7-13 岐阜県教育会館302号          │ │住所・氏名  │新日本婦人の会岐阜支部 支部長 和田玲子            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、原 菜穂子、松原徳和、服部勝弘、田中成佳、 │ │       │高橋和江                            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │文教委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 現在、岐阜市では全ての小中学校において学校給食が実施されている。学校給食は子 │ │どもの心身の健全な発達を助け、食育及び食の安全、安心の観点からも大きな役割を果 │ │たしている。厳しい予算の中、調理現場においては献立や食材の工夫によって対応され │ │ている。                                    │ │ 子どもたちは、みんなと一緒に食べる学校給食を楽しみにしている。しかし、昨今、 │ │格差や貧困が広がり、子どもの貧困率が大きな社会問題となる中、給食費の滞納や未納 │ │する家庭がふえ、「まともな食事は給食だけ」「一日の食事が給食だけ」の生徒もいる │ │など、かつてないほど学校給食の果たす役割は重要となっている。そうした中、全国の │ │自治体では少子化対策及び子育て支援を目的として、独自で給食費の引き下げや無償化 │
    │を実施しているところも少なくない。                       │ │ 岐阜市においても、給食を生きた教材として活用しながら食育に取り組んでおり、家 │ │庭の経済的状況にかかわらず、安心して食事ができることは、子どもの情緒の安定にと │ │っても大切なことである。                            │ │ 「義務教育は、これを無償とする。」という憲法第26条第2項の原則からも、子ど │ │もの健やかな成長を保障する上でも、食育ということでも、給食は無償であるべきであ │ │る。                                      │ │ 子育て世代の経済的負担を軽減し、未来を担う子どもたちのため、下記事項を請願す │ │る。                                      │ │                   記                    │ │1 市内の小中学校における学校給食費の無償化、または補助すること。       │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第4号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│岐阜市長の退職手当削減に関する請願               │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市黒野471-1                      │ │住所・氏名  │岐阜市長の退職手当削減を求める会 会長 別処雅樹        │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│松原徳和、服部勝弘、田中成佳、井深正美、原 菜穂子、堀田信夫  │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │総務委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 2015年に1億円以上の純金融資産を持っていた富裕層の世帯数は、アベノミクス │ │が始まる前の2011年に比べ、約40万世帯(50.2%)ふえたことが野村総合研 │ │究所の調査でわかった。全体の2割の資産をわずか2%程度の世帯が持つ実態が浮かび │ │上がった。                                   │ │ 一方、国税庁によると年収100万円以下の給与所得者は2010年の361万人か │ │ら、2015年には412万人へと14%増加しており、100万円超から200万円 │ │以下の給与所得者も684万人から719万人へと5.1%増加している。格差の拡大 │ │が進み、子どもの貧困が大きな社会問題ともなっている。              │ │ こうした経済情勢にありながら、岐阜市長の退職手当の額は余りにも高額である。4 │ │年任期ごとの退職手当が3,139万2,000円というのは、全国の47中核市(平 │ │成28年4月1日現在)の市長退職手当支給額の平均値約2,571万円を大きく上回 │ │り、中核市の中で5位である。これは岐阜市民42万人の感覚とは大きなずれが生じて │ │いる。                                     │ │ この金額を一般的なサラリーマンの在職期間38年間に換算すると、市長の退職手当 │ │は約2億9,800万円にも相当する額である。                  │ │ よって、下記事項について請願する。                      │ │                   記                    │ │1 岐阜市長の退職手当を削減し、中核市の全国平均値である約2,571万円以下に │ │ 切り下げること。                               │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第5号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│給付型奨学金制度改善に関する請願                │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7-13 岐阜県教育会館306号          │ │住所・氏名  │岐阜生活と健康を守る会 会長 森 久江 外2件         │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、原 菜穂子、堀田信夫、松原徳和、服部勝弘、田中成佳、 │ │       │高橋和江                            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │厚生委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 高い学費や生活費のために、学生の2人に1人が、将来の借金となる奨学金を利用し │ │ている現状において、その平均利用額は300万円に上り、多くが有利子の奨学金であ │ │る。現役学生は奨学金返済の不安を抱える中、多額の借金となる奨学金の利用を控えて │ │おり、苛酷なアルバイトをせざるを得ない学生がふえている。学生を持つ家庭の負担も │ │限界であり、経済的理由から進学を断念する人が後を絶たない。           │ │ こうした実情と「貸与ではなく給付型奨学金を」の運動に押されて、文部科学省は2 │ │016年12月に給付型奨学金制度の案を発表し、2017年度に先行実施、2018 │ │年度には制度を確立するとしている。案では、2017年度の対象者は住民税非課税世 │ │帯で、学校推薦や一定の成績などの条件を満たす、自宅外から私立大学に通学する学生 │ │と児童養護施設退所者などで、給付月額は4万円である。また、施設退所者などには入 │ │学時の一時金として24万円が別途支給される。さらに、2018年度も住民税非課税 │ │世帯及び成績などの条件は同じであり、給付月額は自宅から国立大学に通学する場合は │ │2万円、自宅外から国立大学に通学する場合及び自宅から私立大学に通学する場合は3 │ │万円、自宅外から私立大学に通学する場合は4万円となる。             │ │ 給付型奨学金の対象となる学生は、全国において2017年度は2,800人、20 │ │18年度は2万人と極めて少ない。OECD諸国の給付型奨学金受給率は、米47.6 │ │%(2011/12年度)、英48.9%(2013/14年度)などであり、日本も │ │条件を緩和して、対象者を拡大し、必要な学生なら誰もが受けられる制度に改善してい │ │くことが強く求められている。                          │ │ 以上のことから、下記事項について請願する。                  │ │                   記                    │ │1 国に対し、給付型奨学金制度の成績要件等を緩和し、生活保護や住民税非課税世帯、│ │ ひとり親世帯のみならず、一定の所得のある世帯も対象にした制度に早急に改善し、 │ │ 誰もが受けられる制度へ向け地方自治法の規定による意見書を提出すること。    │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第6号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│農業者戸別所得補償制度の復活を求める請願            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成29年3月2日                       │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7-13 教育会館301              │ │住所・氏名  │農民運動岐阜県連合会 代表者 小寺 徹             │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、原 菜穂子、松原徳和、服部勝弘、田中成佳、 │ │       │高橋和江                            │
    ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │経済環境委員会                         │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 米価が生産費を大きく下回る水準に下落し、多くの稲作農家が「これではつくり続け │ │られない」という状況が生まれている。また、安い米の定着によって、生産者だけでな │ │く、米の流通業者の経営も成り立たない状況となっている。             │ │ こうした中で、政府は農地を集積し、大規模化、効率化を図ろうとしているが、この │ │低米価では規模拡大した集落営農や法人ほど赤字が拡大し、経営危機に陥りかねない。 │ │ 平成25年度までは、米、麦、大豆など主要農産物を生産した販売農業者に対して、 │ │生産に要する費用と販売価格との差額を基本に交付する「農業者戸別所得補償制度」に │ │より、多くの稲作農家の再生産と農村を支えてきた。                │ │ 平成26年度からは、「経営所得安定対策」に切りかわり、米については10アール │ │当たり7,500円の交付金へと引き下げられたことで、稲作農家の離農が加速し、地 │ │域が一層疲弊している。しかも、この制度も平成30年産米から廃止されようとしてい │ │る。                                      │ │ これでは稲作経営が成り立たないばかりか、水田の持つ多面的機能も喪失し、地域経 │ │済をますます困難にしてしまうことは明らかである。                │ │ 私たちは、今こそ欧米では当たり前になっている、経営を下支えする政策を確立する │ │ことが必要だと考える。そうした観点から、当面、生産費を補う農業者戸別所得補償制 │ │度を復活させ、国民の食糧と地域経済、環境と国土を守ることを求める。       │ │ 以上のことから、下記事項についての意見書を国に提出することを請願する。    │ │                   記                    │ │1 農業者戸別所得補償制度を復活させること。                  │ └────────────────────────────────────────┘ 13: ◯議長(杉山利夫君) 請願の紹介議員において発言の申し出がありますので、順次これを許します。33番、松原徳和君。    〔松原徳和君登壇〕(拍手) 14: ◯33番(松原徳和君) お手元に配付されております請願でございます。請願第4号でございます。  岐阜市長の退職手当削減に関する請願。平成29年3月2日に受理されております。  請願代表者は岐阜市黒野471─1、岐阜市長の退職手当削減を求める会会長の別処雅樹さんから提出されております。  紹介議員は服部勝弘、田中成佳、井深正美、原 菜穂子、堀田信夫、各議員と私、松原徳和でございます。  まず、若干経過についてお話をさせていただきますが、皆さん御存じのとおり、高山市長が退職金1,700万円をゼロ円に減額されたというニュース、御記憶の方があろうかと思います。平成22年に、第5回11月議会でございますけど、岐阜市議会へ岐阜市長の退職金、退職手当の減額の請願が提出されております。そのときには、市長の退職手当を削減し、最終的に現行の半額以下を目指すこと、2つ目として、当面、中核市の全国平均以下に切り下げることという2項目でございました。  当時、3,432万円の退職金、退職手当は、全国中核市の第5位でした。請願を受けました後、その後、細江市長から264万円の減額が提案されまして、減額をされたという御記憶があろうかと思います。それでも、当時5位から第11位ということでございました。  その後、近くの市では関市長が水道料金値上げに関して2億円の市民負担をお願いするということで、市長の退職金を辞退されたというようなニュースがございます。全国的には、これに関する多くのニュースがそれぞれございます。  さて、現行3,139万2,000円、これは4年ごとの任期によりまして退職手当、退職金が支給されております。これは、中核市平均2,571万円以下に削減しようということが、この請願では出ておりますけど、現行の4年ごとに支給されております退職手当は、4期やりますと16年となりまして、退職手当合計額は1億2,556万8,000円に到達いたします。これに対して、請願が出たということでございます。  さて、2015年に1億円以上の金融資産を持っていた富裕層の世帯数は、アベノミクスが始まる前の2011年に比べて、40万世帯、50.2%ふえたことが、野村総研の研究所の調査でわかっています。全体の2割の資産をわずか2%程度の世帯が持つ実態が、浮かび上がりました。  一方、年収100万円以下の給与所得者は、2010年の361万人から2015年には412万人へと14%も増加しております。また、100万円を超えますが200万円以下の給与所得者も、684万人から719万人へと5.1%も増加しております。いわゆる格差の拡大が進んで、子どもの貧困が大きな社会問題となっておりますことは、議員各位も御存じのとおりでございます。  こうした経済情勢にありながら、岐阜市長の退職手当の額は余りにも高額であります。4年任期ごとの退職手当が3,139万2,000円というのは、現在の全国47中核市の市長退職手当平均額の約2,571万円を大きく上回り、現在中核市中5位に昇格しております。岐阜市民42万人の感覚とは、大きなずれが生じています。この金額は、一般的なサラリーマンの在職期間38年間に換算しますと、市長の退職手当は約2億9,800万円にも相当する額であります。  よって、岐阜市長の退職手当削減に関する請願の提出者、岐阜市長の退職手当削減を求める会会長、別処雅樹さんは、以下のことを請願されております。  1、岐阜市長の退職手当を削減し、中核市の全国平均値約2,571万円以下に切り下げること。  当然ながら、これは、4期16年お務めになって、1億2,556万8,000円を既にもらっておられると思われる市長に対して、請願についての趣旨について御理解いただけるものと思っております。  議員各位の御賛同をぜひお願い申し上げまして、提案にかえます。  ありがとうございます。(拍手) 15: ◯議長(杉山利夫君) 10番、原 菜穂子君。    〔原 菜穂子君登壇〕(拍手) 16: ◯10番(原 菜穂子君) それでは、ただいま上程されました請願第1号安全保障関連2法(国際平和支援法、平和安全法制整備法)の廃止を求める意見書採択についての請願、請願第2号共謀罪(テロ等準備罪)の創設反対を求める意見書採択についての請願、請願第3号小中学校の給食費の保護者負担軽減を求める請願、請願第5号給付型奨学金制度改善に関する請願、請願第6号農業者戸別所得補償制度の復活を求める請願につきまして、紹介議員を代表して紹介させていただきます。  最初に、請願第1号安全保障関連2法(国際平和支援法、平和安全法制整備法)の廃止を求める意見書採択についての請願です。  提出者は、新日本婦人の会岐阜支部支部長、和田玲子さんです。  南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派兵されている陸上自衛隊部隊の日報が、当初、廃棄済みとされ、その後、防衛省の統合幕僚監部に全て保存されていたことが明らかとなりました。270人以上が死亡した昨年7月の南スーダンの首都ジュバで起こった大規模戦闘について、当時の陸上自衛隊派兵部隊の日報には、戦車や迫撃砲が戦闘に使われ、陸上自衛隊宿営地周辺でも戦闘が起きていたことが記されていました。ジュバでの大規模戦闘の生々しい実態が防衛省に報告されていたことが明らかになっていたにもかかわらず、激しい戦闘が続く南スーダン共和国に、昨年11月、新たに日本の陸上自衛隊が派遣されています。戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す、差し迫った危険が生まれています。  戦後72年、これからも引き続き戦後であってほしいと、心から願わずにはいられません。岐阜市議会においても、市民の命と暮らしを守り、憲法第9条を守り、平和を礎とした国として歩みを進める立場から、安全保障関連2法の廃止を求める国への意見書採択を求めるものです。  次に、請願第2号共謀罪(テロ等準備罪)の創設反対を求める意見書採択についての請願です。  提出者は、新日本婦人の会岐阜支部支部長、和田玲子さんです。  共謀罪は、まだ起きていない犯罪について2人以上で話し合い、合意することが、犯罪に問われるというものです。具体的に言えば、例えば、数人で集まって、雑誌に載っている写真を張った手づくりのしおりを売ろうと相談し、写真を選ぶ人、切り抜く人、張る人など、役割分担を決めて、やろうと合意した時点で著作権侵害の共謀罪が成立、合意したときに著作権法違反であることを知らなかったからといって、罪が軽くなることもありません。実際に起きた犯罪行為を罰するとした日本の刑法の大原則を踏みにじるとともに、思想及び良心の自由は、これを侵してはならないとした憲法第19条に反する危険な内容です。  共謀罪法案は、過去3回国会に提出されましたが、国民の批判の高まりで三度とも廃案に追い込まれた経過があります。四度目の今回は、共謀罪ではなくテロ等準備罪だとし、一般の人は対象外だと説明しています。その根拠に挙げているのが、取り締まる対象は組織的犯罪集団に限るというものですが、組織的犯罪集団の明確な定義はなく、捜査機関の解釈や裁量で、市民の普通の暮らしの中での団体活動でも対象にされかねません。今回の法案が、一般人は対象にしないどころか、歯どめのない危険が潜んでいます。  また、オリンピックを口実にテロ対策の名のもとに共謀罪を制定しようというのも許せません。  次に、請願第3号小中学校の給食費の保護者負担軽減を求める請願です。  提出者は、新日本婦人の会岐阜支部支部長、和田玲子さんです。  今、子どもの貧困が問題にされ、貧困状態にある子どもの割合は6人に1人と言われています。自宅で満足な食事をとることができず、食事が学校給食のみといった子どももおり、学校給食の果たす役割が重要となっています。  しかし、こうした中、岐阜市では、平成27年度から5年かけて給食費の値上げをすることを決めており、子育て世代にとって新たな経済的困難をもたらしています。  憲法第26条第2項では、「義務教育は、これを無償とする。」としています。また、学校給食法の改正時において、学校における食育の推進が明記され、岐阜市でも給食を生きた教材として活用しながら食育に取り組んでいることからも、一層学校給食の役割が重要となってきます。  不要不急の開発型事業、箱物事業の見直し、漠然とした基金の創設などの取りやめなど、改めれば財源は随分あると考えます。岐阜市の未来を担う子どもたちの健やかな成長を願う立場から、学校給食の無償化、または補助を求めるものです。  次に、請願第5号給付型奨学金制度改善に関する請願です。  提出者は、岐阜生活と健康を守る会会長、森 久江さん外2件です。  今は、学生の2人に1人が、平均300万円の奨学金を借りています。国はこれまで消極的だった給付型奨学金をようやく創設しましたが、支給枠の1学年2万人は全学生のわずか2.5%弱で、大変狭き門です。各国の給付型奨学金の受給率を見ると、アメリカ、47%、イギリス、48%、ドイツ、25%などとなっており、日本とは桁違いです。収入基準も、住民税非課税世帯と対象を狭くし、高校生の子どもが1人いる世帯では年収221万円以下となります。この基準を満たす学生は、1学年15万9,000人。うち、大学進学者は6万1,000人と推計されていますが、それでも3分の1以下の支給枠です。  今でも経済的な理由で大学を中退する割合は20%という中で、学びたくても学べない人を政治がつくり出しています。私自身も昨年奨学金を返済し終わりましたが、大学を卒業後すぐに始まった返済は、しんどいときもありました。完済通知が来たときは、心の中で本当にほっとしました。若者がお金がなくて学べない状態を本格的に打開し、誰もが受けられる制度に改善するために、政治の姿勢を変えることが、今こそ求められています。  次に、請願第6号農業者戸別所得補償制度の復活を求める請願です。  提出者は、農民運動岐阜県連合会代表者、小寺 徹さんです。  農業者戸別所得補償制度とは、米の価格が恒常的に生産費を下回ることから、生産数量目標に従って、米を生産する農業者に対して標準的な生産費と販売価格の差額を補填する制度です。平成25年産の米までは、10アール当たり1万5,000円が交付され、生産を下支えしてきました。  どれくらい米の価格が生産に必要なコストを大きく下回っているかというと、平成26年産の米で1俵60キロ当たりの生産費は1万5,416円。しかし、同じ年にとれた米の相対価格は、平均1万1,967円。平成27年産でも1万3,174円です。これでは、お米をつくればつくるほど赤字になって、米づくりをやめるしかありません。政府は、農業の規模を拡大してコストを下げればよいと言いますが、米の価格が低過ぎるため、むしろ規模の大きい農業者ほど赤字が拡大して経営危機に陥りかねない状況です。  国民が安心して国内産のお米を食べ続けるためにも、水田が果たしている多面的な機能で環境や国土を守るためにも、地域経済の維持発展のためにも、農家の経営を下支えする政策がどうしても必要です。農業者戸別所得補償制度の復活を求めるものです。  以上、請願紹介をさせていただきましたが、請願の趣旨を御理解いただき、採択をしていただきますようお願いしまして、請願の紹介を終わります。(拍手) 17: ◯議長(杉山利夫君) 以上で請願紹介を終わります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一 休  会 18: ◯議長(杉山利夫君) お諮りします。明日及び3月6日から10日までの6日間は、議案精読のため休会したいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長(杉山利夫君) 御異議なしと認めます。よって、明日及び3月6日から10日までの6日間は休会することで決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 散  会 20: ◯議長(杉山利夫君) 以上で本日の日程は全部終了しました。本日はこれで散会します。  午前11時55分 散  会  岐阜市議会議長      杉 山 利 夫  岐阜市議会議員      西 垣 信 康  岐阜市議会議員      江 崎 洋 子 発言が指定されていません。 Copyright © Gifu City Assembly. 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