いわき市議会 2023-12-11
12月11日-02号
令和 5年 12月 定例会 令和5年12月11日(月曜日)議事日程第2号 令和5年12月11日(月曜日)午前10時10分開議 日程第1
会議録署名議員の追加指名 日程第2 市政一般に対する
質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 〔議事日程第2号記載事件のとおり
〕---------------------------------------出席議員(33名) 1番 川崎憲正君 2番 木田都城子君 3番 山守章二君 5番 小野潤三君 6番 長谷川貴士君 7番 吉田雅人君 8番 小菅 悟君 9番 高橋明子君 10番 菅野宗長君 12番 狩野光昭君 13番 永山宏恵君 14番 西山一美君 15番 塩沢昭広君 16番 柴野美佳君 17番 大友康夫君 19番 平子善一君 20番 遠藤崇広君 21番 鈴木 演君 22番 馬上卓也君 23番 福嶋あずさ君 24番 坂本 稔君 25番 蛭田源治君 26番 菅波 健君 27番 小野 茂君 28番 塩田美枝子君 29番 田頭弘毅君 30番 赤津一夫君 31番 小野邦弘君 32番 佐藤和美君 33番 石井敏郎君 34番 上壁 充君 35番 佐藤和良君 37番 大峯英之君欠席議員(2名) 11番 鈴木さおり君 36番 樫村 弘君
---------------------------------------説明のため出席した者 市長 内田広之君 副市長 下山田松人君 副市長 藤城良教君 教育長 服部樹理君
水道事業管理者 山田 誠君
病院事業管理者 新谷史明君 代表監査委員 増子裕昭君
農業委員会会長 草野庄一君
選挙管理委員会委員長 飯間香保子君 総合政策部長 津田一浩君 危機管理部長 大嶺常貴君 総務部長 小針正人君 財政部長 横張貴士君 市民協働部長 遠藤英子君 生活環境部長 渡邉一弘君
保健福祉部長 園部 衛君 感染症対策監 柴田光嗣君 こどもみらい部長 長谷川政宣君
農林水産部長 渡邊伸一郎君
産業振興部長 佐竹 望君
観光文化スポーツ部長 千葉伸一郎君 土木部長 草野光平君 都市建設部長 永井吉明君 会計管理者 中塚 均君 教育部長 松島良一君 消防長 谷野 真君 水道局長 則政康三君
医療センター事務局長 飯塚修一君 参事(兼)秘書課長 篠原 潤君 総務課長 中村 寛君
---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長 久保木哲哉君 次長 阿部伸夫君 総務議事課長 金山慶司君
総務議事課課長補佐 鈴木 潤君 主任主査(兼)議事運営係長 志賀祐介君
--------------------------------------- 午前10時10分 開議
○議長(大峯英之君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第2号をもって進めます。
---------------------------------------
△日程第1
会議録署名議員の追加指名
○議長(大峯英之君) 日程第1、
会議録署名議員の追加指名を行います。12月7日、本定例会の
会議録署名議員として鈴木さおり君を指名いたしましたが、本日、本会議を欠席しておりますので、新たに
会議録署名議員として12番狩野光昭君を追加指名いたします。
---------------------------------------
△日程第2 市政一般に対する質問
△鈴木演君質問
○議長(大峯英之君) 日程第2、市政一般に対する質問を行います。配付の質問通告表の順に発言を許します。21番鈴木演君。 〔21番鈴木 演君第二演壇に登壇〕
◆21番(鈴木演君) (拍手)おはようございます。21番いわき市議会一誠会の鈴木演です。 以下、通告順に従い、市政一般に係る質問を行います。 大きな質問の1つ目は、市長の政治姿勢についてであります。 時がたつのは早いもので、内田市長の市長就任から約2年と3か月が経過しました。 内田市長におかれましては、平常時であっても大変な市長職に、
新型コロナウイルス感染症の渦中に市長に就任され、今年9月には台風災害対応も経験され、この2年間の市政のかじ取りは苦労の連続であったと思います。 しかし、自治体経営は待ったなしであり、どんな場面においても市長は市民のトップに立ち自治体を導いていかなくてはいけません。そして、市民は市長の行動、発言に注目し、時にはその決断力や判断に期待をし、賛辞を送ったり、そして、時には不満がたまり落胆したりもします。 行政マンとしての経験の長い内田市長におかれましては、当然我々とは違う視点でいわき市を見ている、また、見られているのかとも思います。 そのような中で、内田市政のこれまでの2年間を振り返り、そしてこれからの2年間を以下伺ってまいります。 まず、項目の1つ目として、本市の課題についてであります。 内田市長におかれましては、様々な思いがあり市長選挙に挑み当選されたわけでありますが、いざ、この30万都市の市長に就任し市政のかじ取りを行っていると、市長就任前と見えてくる景色も、自治体経営の中身も自分の考えていた、思い描いていた内容とは違いがあるのではないかと考えますが、市長になって改めて見えてきた、本市の課題はどのようなものなのかと認識しているのか伺います。
◎市長(内田広之君) 私は、人づくりを政策の一丁目一番地として、市政運営に邁進してまいりました。 このためには、各分野の人々の生の声を多く聞くことが肝要であると考えておりまして、現場主義に徹してまいりました。 この2年間での地域の皆様の声や、人口減少、少子・高齢化により厳しさを増す社会・経済情勢を踏まえ、私が認識する本市を取り巻く諸課題の主なものを7点申し上げます。 まず1点目は、教育と子育てです。少子化に歯止めをかけ、地域活力を維持するためには、これまで以上の教育・子育て環境の充実が課題であります。 2点目は、防災力の強化です。線状降水帯の発生など激甚化する自然災害に屈しないまちづくりが課題です。 3点目は、医療体制です。本市の医師不足や救急搬送時間の現状を踏まえ、医療人財の育成や確保などが課題です。 4点目は、産業・農林水産業の振興です。産業では、人財育成や産業の新陳代謝の促進など、農林水産業では、稼げる一次産業の実現が課題であります。 5点目は、地域交通です。公共バスの減便も発表され、地域の実状に応じた公共交通の代替手段の検討が課題です。 6点目は、観光・文化・スポーツによるまちづくりです。震災やコロナ禍等で落ち込んだ地域活力を向上させ、まちに元気とにぎわいを取り戻すことが課題です。 7点目は、構造改革です。総論賛成、各論反対とせず、約1,300の公共施設を最適な水準に見直すなど、各改革に挑戦しないと、未来の行財政運営が困難になることが課題だと認識しております。
◆21番(鈴木演君) 今ほど答弁で本市の課題を市長から7点挙げていただきましたが、そこで取り組むべき喫緊の課題はどのようなものだと認識しているのか伺います。
◎市長(内田広之君) 市政運営におけます喫緊の課題といたしましては、先般発生いたしました線状降水帯への対策を含めた、河川の面的な防災・減災対策について、国・県・市の所管や垣根を越えて、連携して一体的に進めていきます。 また、医療体制も課題です。 本市では、福島市や郡山地方における救急車の搬送時間の平均と比べ、大体平均にしまして6分程度多い状況になっております。こうした中、医師の新しい着任なども進みまして、過去3年間で2分程度、その時間差も縮まっております。福島市や郡山地方との救急車の搬送時間に関しまして、2分程度その差も縮まっておりますが、なお一層改善していくことが重要であります。 そのほかにも、教育や子育て、産業・農林水産業、雇用、地域交通など諸課題に対する検討をさらに進めまして、持続可能なまちづくりを実現していきます。 これらの政策を下支えする構造改革を、さらに推進していきたいと考えております。
◆21番(鈴木演君) 次に、この2年間の各種施策の取組状況について伺ってまいります。 まず、令和4年度から3か年計画で取組を始めている、いわき市構造改革でありますが、取組を始めて、間もなく2年が経過します。 2年目となる今年度は、約1,500万円の
構造改革支援業務委託費などをかけて大きく取組を行っていると思いますが、この取り組んでいる構造改革、現在、どのような成果が出ているのか伺います。
◎副市長(下山田松人君) 構造改革に係るこれまでの主な成果を3つの取組で申し上げます。 1点目は、行政DXの取組です。 行政手続のオンライン化を加速しているほか、いつでも気軽に問合せができる
AIチャットボットシステムを11月から運用いたしました。 また、共通業務のマニュアル化や、業務のデジタル化・
ペーパーレス化を進めています。 これらにより、市民の皆様の利便性と職員の生産性の向上を図っています。 2点目は、公共施設の最適化の取組です。 本年度から、公共施設等の集中保全に着手し、学校や通学路等の安全対策を強化することで、利用者の安全・安心を確保しています。 また、6月には、
包括施設管理業務委託に向けた
サウンティング型市場調査を実施いたしました。 引き続き、事業構築に努めながら、民間事業者と連携して、公共施設の維持管理に関する水準の向上や事務の効率化につなげていきます。 3点目は、
人材マネジメントの取組です。 昨年度から、
循環型ワーキンググループを設置し、活動を通じた若手職員の育成を図っています。 また、本年度、新たな採用試験制度を導入し、人材の確保につなげています。 10月には、目指すまちの姿の実現に向けた職員づくりの指針となる
人材育成基本方針を改訂いたしました。
ジョブローテーションモデル等を明示することで、職員のキャリア形成の支援につなげています。 今後におきましても、将来にわたって持続可能で柔軟な行財政運営を確立するため、なお一層構造改革の取組を推進していきます。
◆21番(鈴木演君) 次に、内田市政の掲げる
人づくり日本一についてでありますが、2月の代表質問でも取り上げさせていただきました。本市は、全てのベースは人づくり、
人づくり日本一の自治体を標榜に各種施策を推し進めていると認識しております。 まず、この2年間の取組について伺います。
◎市長(内田広之君) 私が、これまで2年間進めてきました、人を育てる取組の主なものについて申し上げます。 まず、教育・子育て分野におきましては、
学力向上チームの全校訪問による学校カルテを活用した学力向上策の推進や、1人1台パソコンの配備、
持ち帰り家庭学習の実現、出産・子育て応援金10万円の支給、
インフルエンザ予防接種の助成、物価高騰に相当する給食費の助成などによる教育・子育て環境の充実に取り組んできました。 また、防災分野では、職員が一丸となって、有事に備えた総合防災訓練などを実施してきたことが、今回のスピード感ある台風被害の初動対応につながってきました。 例えば、発災3日後に
ボランティアセンターの設置、罹災証明書の受付、
災害廃棄物搬送へのそれぞれの体制ができたこと、さらには、発災5日後に
現地支援センターの設置ができたことは、前例がない速さだったと総括しています。 医療分野では、日本最先端のダビンチやドクターカーの導入などを進め、若い研修医も年間20名程度、
医療センターに来て研さんされておられます。 人的リソースも着々と高まっておりまして、いわき市内への新たな医師の着任といたしまして、救急救命医、脳外科医、循環器内科医、眼科医、産婦人科医、小児科医、麻酔科などで着実に医師の着任が進んでおりまして、救急搬送対応も福島市や郡山地方における搬送時間の平均との差が2分程度進んでおります。 産業分野におきましては、
福島国際研究教育機構、いわゆるF-REIの出張所が市内に開設され、春には総理大臣や関係閣僚に福島高専を視察いただくなどF-REIとの産学官連携の機運醸成が図られ、目下、市内企業との共同研究などの準備も進められております。 このように、各分野の課題解決につなげる人的リソースを高め、人づくりにつながる新たな取組を一つ一つ積極的に展開してきたところです。
◆21番(鈴木演君) 代表質問のときも再質問もさせていただきましたが、この
人づくり日本一が本市にもたらす効果、有益性はどのようなものなのか伺います。
◎市長(内田広之君)
人づくり日本一が本市にもたらす効果等につきまして、私の考えを述べます。 人づくりは、本市の課題解決や未来づくりの大きな源泉となるものです。 教育や子育て支援策の充実によって、次世代の若者をしっかり育てることが、未来のいわきのまちづくりにつながります。 医療人財の育成や招聘をなお一層進めることは、本市の医療課題の解決にもつながります。 産業や農林水産業もF-REIとの連携で新たな挑戦を試みることや、魅力的な労働環境をつくることで、市内の事業者や後継者をしっかり育成することは、本市の大きな発展につながります。 地域交通も、DXやデマンド型など、新たな技術や手法も活用して、地域住民の移動手段を支える人財を育成することは、市民の豊かで便利な暮らしを守ることにつながります。 中山間地域への支援も、若者たちがNPOを経営して地域の高齢者等を支える活動が始まっております。 そうした人の力に未来を感じております。 今後におきましても、様々な分野において、人の育成、人への投資という部分に焦点を当て、本市の未来づくりをしっかり進めていきます。
◆21番(鈴木演君) 次に、教育政策についてであります。 内田市政の目玉政策がこの学力日本一の実現であると認識しておりますが、実現に向けて、どのように取り組んできたのか伺います。
◎教育長(服部樹理君) 学力向上について、お答えいたします。令和4年度に、
学力向上アドバイザーと
関係指導主事等で編成した
学力向上チームを発足させました。 この
学力向上チームの取組としては、全国学力・学習状況調査に加えて、子供一人一人の学力の伸びを把握する
ふくしま学力調査や本市独自で行っている児童・生徒理解のための
アンケート調査を、複合的に分析しています。 また、これら分析結果を学校カルテにまとめ、それを踏まえ、
学力向上アドバイザーが学校の管理職との面談を行っております。 この面談の中で、各校が抱える教員の授業力向上をはじめ、配慮を要する児童・生徒への支援の在り方、家庭や地域との連携などの諸課題への解決策や学校経営に関する具体的な助言を行っております。 こうした取組により、我々と課題を共有することができ、管理職の意識改革が進んでいると実感しております。 加えまして、この冬休みからは、子供たちの主体的な学びをより一層育成する視点から、
タブレット端末の持ち帰りによる家庭学習の推進にも取り組んでまいります。今後とも様々な取組を通じまして、学力向上に邁進していきたいと考えております。
◆21番(鈴木演君) この学力日本一について、代表質問のときも再質問をさせていただきましたが、市長は学力日本一というのをしっかり訴えながら、あらゆる場面で伝えてまいりたいと考えておりますと答弁されていました。 そこで、市長に再度伺いたいのですけれども、間違いなくこの学力日本一というものを実現するために、市長の取組というのは今後も続いていくのか、訴えていくのか伺います。
◎市長(内田広之君) 鈴木演議員の再質問にお答え申し上げます。 確実に学力日本一を実現するための取組を一層進めていきたいと思っております。 教育行政は、ほかの行政分野と違いましてインプット、つまり道路とか橋に予算をつけましたということで終わりではなくて、アウトカムの部分、子供たちの学力がどう変容したか成長したかということで、1年2年でインプットの部分やったから終わりということではないので、時間がかかる問題だと思っております。まずは算数・数学が全国平均と比べて学年が上がるごとに低くなっていく、国語は平均程度ですけれども、そういったところを先ほど教育長が答弁申し上げました学力向上のチームが各学校ごとに入り込んでいきまして、学校ごとの課題をちゃんと数値化して、見える化して粘り強くやっていく、そうすることで時間はかかりますけれども、その高みの目標に向けて今後とも尽力してまいりたいと思っております。
◆21番(鈴木演君) 教育は国家100年の大計とも言いますし、
子供たち小学校は6年間、中学校は3年間という短い時間しかないので、もし市長がこのようにおっしゃる学力日本一、実現できるということを多くの市民も期待もしていますし興味あって見ている方もいますので、少しでも早く実現して本市の教育部門もそうですけれども、いろんな部分に有益性を高められるようにしていただければと思います。 次に、医療政策についてです。 市民の生命を守る医療政策について、医師不足の解消、
医療提供体制の充実など喫緊の課題はあまたあると認識していますが、どのように取り組んできたのか伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 医療政策につきましては、市長就任後、
市医療構想会議を設置し、医師確保策など、地域医療における課題について、市医師会や
市病院協議会等と協議を行ってきました。 まず、医師確保については、市長自ら大学医学部等へ訪問し、本市の医療の現状について教授等と懇談を重ねるとともに、新たに眼科の寄附講座の開設により、
市医療センターへ医師を招聘しました。 これにより、昨年度は、寄附講座において、
市医療センターに産婦人科、整形外科、眼科、心臓血管外科、麻酔科、
透析センター外科、小児科で合わせて21名、福島労災病院に整形外科で3名の医師を招聘することができました。 また、
診療所開設支援補助金の活用により、脳神経外科、整形外科、眼科で合わせて3件の新たな診療所の開設を支援し、3名の医師の確保にもつなげました。 さらには、本市の将来の地域医療を担う医療人材の確保を目的に、小学生から研修医まで切れ目なく、医療を学ぶ、医療を育てるための取組として、小・中学生に対する動画を活用した授業などを展開してきました。 次に、
医療提供体制の充実に向けましては、
市医療センターに
手術支援ロボット、ダビンチを導入し、患者負担の軽減や医療水準の向上などを図ったほか、ドクターカーを導入し、
救急医療体制の強化にも努めました。 また、市、市医師会及び市病院協議会の3者による、いわき市における医療発展に関する協定を締結し、
地域医療体制の整備や、将来の医療人材の育成、感染症対策等について、お互いに連携協力した活動を一層推進することといたしました。 そのほか、市内高校等と連携し、看護師等の医療従事者の育成にも取り組みました。 今後も引き続き、市内の医療関係者と連携し、医師確保や
医療提供体制の充実を推進するとともに、学校等とも連携し、医療人材の育成に取り組みます。
◆21番(鈴木演君) 次に、産業政策についてです。 内田市長は市長選挙時の選挙公報にて、産業のちからとの項目で、国際教育拠点で次代の産業を創造、
再生エネルギー100%工業団地の誘致とうたっておりました。 もちろん、本市の目指す産業政策は多種多様であり、先ほど市長からも答弁あったように、いろいろ取り組まなくてはならないことは多くあります。その中で、取り組むべき喫緊のテーマもあると思いますが、この2年間どのように取り組んできたのか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 産業分野においては、感染症や物価高騰などの緊急事態への対策に加え、人口減少に伴う労働力減少、市場縮小などの課題への対応が求められてきました。 そのため、事業継続につながる緊急支援と併せ、魅力的な働く場の創出が、新たな若者や女性を呼び込むといった施策を戦略的に展開してきました。 具体的には、産業人財の確保、産業人財の育成、産業の新陳代謝、稼ぐ力の向上、脱炭素化とデジタル化を施策の柱として取り組んできました。 これらの施策を効果的、効率的に推進するために特に注力した点を2つ、説明します。 1つ目は推進体制で、産業振興部の組織を施策の柱に応じた形に再編するとともに、F-REIと産業界との連携強化を担う企画官を産業振興部に配置しました。 また、経済産業省から派遣されていた部長経験者にアドバイザーに就任いただき、国の
産業振興施策等を踏まえた助言を仰ぐ体制も整えました。 2つ目は、見える化による幅広い情報発信です。 市内企業の魅力や夢のある将来の姿などを発信し、人財確保につなげるほか、市内企業の挑戦意欲を高め、市外企業等を引きつける、見える化を進めました。 今後も、変化に強い企業づくりなどを進め、次世代の若者が、しっかりと働ける場と、時代に即した新たな産業分野の創出に注力していきます。
◆21番(鈴木演君) それでは、次に、今後の市政運営について伺います。 長く世界的に猛威を振るった
新型コロナウイルス感染症禍の時代が終わり、
アフターコロナの時代に入りましたが、ロシア・
ウクライナ情勢、イスラエル・
パレスチナ情勢など世界的に不安な情勢もあり、原油高などの影響が日本経済にも悪影響をもたらし、本市にも漏れなくそれらが影響をもたらし、そして、台風第13号災害、これからさらに加速するのではないかと懸念が残る少子・高齢化、人口減少化問題などもあり、本市の財政状況もますます厳しくなります。 そのような中で、内田市政も任期を折り返し、残り1年9か月となりましたが、これからの市政運営の考え方について伺います。
◎市長(内田広之君) 議員御指摘のとおり、財政状況は、ますます厳しくなっていきます。 頻発する災害対応もあれば、なおさらのことだと考えております。 本市の財政規模で、公共施設を約1,300も抱えているこの状況を、スピード感を持って見直し改革していく必要があると考えております。 いわき市政が長年、構造改革や財政改革に対して、厳しくメスを入れてこなかった、その長年のツケがたまってきており、今になって厳しい課題が積み上がってきていると痛感いたしております。 従来ありがちの総論賛成、各論反対のような生ぬるい改革では、次世代に大きな借金を残すことになりますし、人づくりに対して、充てるべきところに予算も充てられなくなります。 こうした点、議会の皆様にも多大なる御理解をいただき、共に改革を進めていただくよう御理解をお願い申し上げます。
◆21番(鈴木演君) 今ほど残り任期の市政運営について答弁をいただきました。 それでは、市長選挙で市民と約束した自身の政策を実現するために、残り任期をどのように取り組んでいくのか伺います。
◎市長(内田広之君) 私は、市長選におきまして、市民の皆様からのお声も踏まえながら、人材のちから、産業のちから、そして、いのちと暮らしを守るの3つの視点から、本市のまちづくりに必要な施策を取りまとめ、いわき再起動として、お示ししました。 具体的には、学力向上への対応、子育て支援、F-REIとの連携、農林水産業支援、防災体制、医師不足への対応など、私が公約に掲げた項目につきましては、まだまだ改革途上ではありますが、おおむね着手し着実に進捗しております。 今後も、市民の皆様からの負託に応えるべく、これまでの取組をさらに前進させます。 併せまして、その取組の効果等が実感できるよう伝わる情報発信に意を用いながら、私自身が掲げた公約の実現に向け全力で取り組んでいきます。
◆21番(鈴木演君) 今ほど大きく何点かに分けて、市長選挙で市民と約束した政策を実現するということで答弁いただきましたが、特に市長が残りの任期、力を入れていきたい、入れていくつもりだ、入れていかなくてはいけない、そういうものがあればぜひお答えください。
◎市長(内田広之君) 残り任期、力を入れていく部分ですけど、やはり繰り返しにはなってしまうかもしれませんけれども、やはり医療体制の課題、教育・子育て、公共交通のバスの減便がありましたのでそちらの代替措置の確保、中山間地支援、産業とか農林水産業のしっかりとした振興によりまして若い人たちの雇用の確保、そういった諸々の課題、挙げれば切りがないですけれども、どれも重要な課題だと思っておりますので、公約に掲げたことをしっかり実現できるように残りの期間尽力してまいりたいと思っております。
◆21番(鈴木演君) ありがとうございます。冒頭でも申し上げましたが、自治体経営は待ったなしであります。市長が認識されて先ほど答弁もいただきました本市の課題解決への取組、市長選挙で市民と約束した様々な政策の実現には全身全霊をかけて取り組み、実現を目指していっていただけるよう、切に願います。 また、それらを実現するために、国政、県政とのパイプをしっかりと生かしながら、議会とも情報共有、意見交換などを密にしながら市政運営をお願いいたしまして、次に移ります。 大きな質問の2点目は、令和6年度予算編成方針についてであります。 政府は、今月5日の経済財政諮問会議で令和6年度予算編成方針をまとめました。物価高の影響緩和に取り組む一方で、持続的な賃上げやデフレからの完全脱却に向け、半導体やAIのような先端分野での国内投資促進と少子化対策に重点的に予算を投じるとし、特に令和6年から3か年計画で少子化対策を集中して進めるとの報道がありました。 先ほどの項目でも申し上げましたが、コロナ、ロシア・ウクライナ戦争が発端で我が国の経済は疲弊し、少子・高齢化、人口減少化社会が待ったなし、頻発する災害などで本市の経済も一層厳しくなっていくと考えます。 そのような中でも本市は、市民を不安、不満にしないよう自治体経営を行っていき、本市を50年後、100年後まで安心して住み続けられるよう持続させていくのが、現在生きている我々の責任でもあります。 そこで、まず初めに、本市の令和6年度予算編成の基本的な考え方について伺います。
◎市長(内田広之君) 令和6年度当初予算編成においては、人口減少や少子・高齢化、頻発・激甚化する自然災害、新たな技術の進展や価値観の多様化など、急速な社会変化に対応しながら、本市を取り巻く様々な課題に対応し、全ての分野においてベースとなる人づくりを着実に進めていきます。 若者から高齢者まであらゆる世代が、いわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思うまちを人づくりで実現していくため、行政資源を課題の解決と未来への投資に再配分します。 基本的な方針といたしまして、1つ目に、
人づくり日本一の実現を目指した政策の推進、2つ目に、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立を掲げています。 具体的な取組といたしましては、3つの政策の柱、次世代を育てる、命・暮らしを守る、まちの魅力を高める、これらの分野に、予算を重点的に配分することにしております。 また、予算化に際しては、職員一人一人がいわき市改革のエンジンであるという意識を持ち、従来の発想にとらわれず、改善や見直しを徹底的に進めていきます。 さらには、これらの政策を下支えするため、市民の利便性の向上等に向けた行政DXの推進や、ちょうどいい水準に向けた公共施設等の最適化、職員づくりも日本一を目指す人材育成など、構造改革の取組を着実に進めていきます。
◆21番(鈴木演君) 私どもいわき市議会一誠会は去る11月10日に、令和6年度市政執行並びに予算編成に係る要望書を、新しいいわきの創生へ向けて、魅力あふれるまちいわきと選ばれるまちいわきの実現へ向けて、持続可能な行財政運営確立を目指しての3本の柱を基に、約80本の政策提言をさせていただきました。 それらを新年度予算編成にどのように反映させるのか伺います。
◎副市長(藤城良教君) いわき市議会一誠会からの御要望につきましては、新しいいわき創生へ向けてなど、3つの政策の柱に沿ってお示しいただきました。 いずれも市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支える重要なものと受け止めております。 会派からの御要望を念頭に置きながら、
人づくり日本一の実現を目指した政策の推進、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立の基本方針に基づき、予算案を取りまとめてまいります。
◆21番(鈴木演君) 新年度予算編成は、せんだっての台風災害などの対応、予算措置などで、本来内田市長がやろうとしていた様々な施策の実現が難しくなってしまう部分もあるかとは思いますが、新年度にスタートさせる各種施策や予算編成が、市民の期待に応えられるよう、議会とも協調し同意を得ながら、各会派の予算要望をしっかりと受け止めながら、新年度予算編成に臨んでいただきたく思います。 議会のチェック機能である我々は、今後とも50年後、100年後のいわき市を持続させていくためにも本市の財政問題について、時には市民目線で、時には厳しい視点で、しっかりとチェックしていくことを申し上げ、次に移ります。 大きな質問の3つ目は、台風第13号災害に対する本市の対応についてであります。 想定外の線状降水帯が本市で初めて発生したこの台風災害は、本市に局地的に大きな被害をもたらしました。改めて被災された方々にはお見舞いを、そして亡くなられたお一人の方にはお悔やみを申し上げます。 被災をされ、今なお復旧道半ばで避難先、仮の住まいで生活されている方々の気持ちを思いますと、私自身も被災した13年前の東日本大震災や、妻の実家が被災した令和元年台風災害を思い出します。災害で被災をした方々の本当の気持ちは、もしかしたらそれを経験したことのある人にしか分からないのかもしれません。 今後も起こり得る災害に備えて、今回の台風第13号災害の検証をしっかりと行って、よい部分はさらにアップデートし、悪かった部分はしっかり反省していくべきだと考えます。 そこで、今回の台風災害について、以下伺ってまいります。 まず、質問の1つ目として、今回の台風災害における、災害対応体制について伺ってまいります。 まず初めに、災害対応体制はどのように構築して臨んだのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 福島地方気象台からの情報により、台風が夜間から明け方に接近することが予想されたため、9月8日午後3時に市内全域に高齢者等避難を発令しました。 同時に、市地域防災計画に基づき、市災害対策本部を設置し、職員配置は第1配備体制としました。 また、全職員に対しては、今後の台風状況を踏まえて参集体制の構築を指示しています。 その後、午後7時に避難指示を発令したことに伴い第2配備体制に切り替えました。 さらに、午後8時40分に蛭田川・宮川が氾濫危険水位に達する、または既に達したと判断したことに伴い、県内初の緊急安全確保を発令しました。 これにより、全職員の参集を求める最高レベルの第3配備体制に切り替え、災害対応に当たりました。
◆21番(鈴木演君) 初動ではどのような点に注意しながら対応したのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 令和元年東日本台風の経験から、市民の皆様に対し、早い段階で災害に対する事前の備えを促すため、本市に台風が接近する前日の9月7日と、当日8日の午後1時30分に、市防災メール、市公式ホームページやSNS、ヤフー防災メールにより注意喚起を行いました。 その後は、気象状況について福島地方気象台と連絡を取りつつ、土壌雨量指数や河川の水位分析を行いながら、早め早めに避難を促すため、機を逸しない避難情報の発令や、災害に関する情報発信に努めました。 災害発生直後には、要救助者の探索や救助、電話や個別訪問による避難行動要支援者の安否確認など、生命の危機に直結する被災者の確認に重点を置いた対応を行いました。 また、被災された方の早期の生活再建に向けて、その後は、罹災証明書の申請受付、災害ボランティアや災害廃棄物の仮置場の設置、
現地支援センターの開設、生活再建に関する情報の発信などを順次進めていきました。 被災された方々が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、発災直後から、庁内一丸となり、被災者に寄り添いつつ、かつスピード感を持って、災害対応に取り組んできたところです。
◆21番(鈴木演君) 次に、避難情報について伺ってまいります。 まず、初めに、避難情報の発令の考え方について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 避難指示をはじめとした避難情報の発令基準は、国の避難情報に関するガイドラインなどを基に、市防災会議での協議の上、市地域防災計画に定められています。 同計画に定める基準、例えば河川であれば、避難判断水位を超え、氾濫危険水位に到達することが予見される場合、または危険と判断したときは、ちゅうちょすることなく避難指示を発令することとなっています。 今般の災害においても、この基準に沿って各避難情報を発令しています。
◆21番(鈴木演君) 今回は台風以外にも県内で初めて、線状降水帯が発生し、文字どおり想定外の災害にもなりました。 非常に難しい判断にもなったと考えますが、避難情報発令のタイミングは適切だったのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 台風第13号への対応として、市地域防災計画に定める避難情報の発令基準や、福島地方気象台からの情報等を基に、市民の安全を担保するために予防的措置として、雨が強まる前、暗くなる前の9月8日午後3時に高齢者等避難を発令しました。 その後も福島地方気象台と連携を取りながら、気象情報や河川の水位情報を分析し、順次、避難指示、緊急安全確保の避難情報を発令しました。 これら避難情報の発令については、早め早めに心がけており、おおむね適切であったと考えております。
◆21番(鈴木演君) 先ほども述べましたが、県内で初めて線状降水帯が発生し、各地で観測史上最多の降水量が発生し急激な河川の増水、道路の冠水などで、被災地の多くの住民は自宅にて垂直避難を余儀なくされました。先ほども答弁がありましたが、避難情報の発令のタイミングは適切だったということでありますが、それ以外にもあるのでしょうけれども、様々な要因が重なった結果ではありますが、逃げ遅れから60代男性が災害死する不幸もありました。 災害死ゼロ、逃げ遅れゼロを標榜とする本市の防災行政でありますが、今後それらを発生させないためにどのように取り組んでいくのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 今回の災害において、発災前後の避難所への避難の状況を見ますと、避難情報の発令から実際に避難するまでのタイムラグが生じており、雨が強まった後、危険が迫っている中で避難行動を取る方が多かった状況にあります。 また、自宅で被災された方に話を伺いますと、避難情報を認識していたにもかかわらず、まだ大丈夫だろうと様子をうかがい、避難をちゅうちょしていたところ、気づいたときには浸水が生じており、逃げ遅れたという方が少なくありません。 このように、台風への備えに関する情報提供や高齢者等避難の発令などを早めに行い、市民の皆様も認識していたにもかかわらず、速やかな避難行動につながらなかったことが、今回の災害における大きな課題の1つと認識しております。 このことから、現在、東北大学災害科学国際研究所や福島工業高等専門学校の協力の下、実施している災害検証の中で、避難情報の発令が適切であったか、評価・分析を進め、その結果を踏まえ適切な避難行動につながるよう、対策を進めていく考えです。
◆21番(鈴木演君) 先ほど市長の答弁で、今回の災害対応は、令和元年東日本台風発災時より初動や様々な対応が早かったと答弁ありましたが、災害の規模も違えば、本市の災害対応行政はさきの令和元年台風災害をしっかり検証し、危機管理部の創設など様々な防災行政を行ってきたわけでありますので、早かったというのは逆に遅かったら私はちょっと問題あるなとも思っております。今回の災害対応も踏まえ、今後はますます充実させ、さらに災害対応、防災行政をアップデートさせていく必要もあると考えます。 様々な課題もあると考えますが、それらを踏まえて、今後起こり得る風水害に対しては今後どのような体制を構築していくのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) まずは風水害から自らの命を守るため、課題となっている市民の皆様の避難行動について、ちゅうちょせずに適切な行動が取れるよう、意識の高揚と理解の促進に向けた啓発に努めていきます。 加えて、自主防災組織の充実強化や防災士の養成、地区防災計画の策定促進など、地域防災力の向上に向けて取り組みます。 また、来年度以降も年2回の市民参加型の市総合防災訓練を実施するとともに、各地域での自主防災組織等による独自の防災訓練を伴走型の支援等により促し、地域の災害対応能力の向上を図る考えです。 また、市の災害対応に係る組織体制につきましても、想定される大規模災害等に備え、適宜、組織や役割の見直しを行うとともに、職員への防災教育や災害対応訓練等により、職員一人一人の意識の向上と災害対応能力の向上を図り、組織全体の防災力を高めていきます。
◆21番(鈴木演君) 次に、危機管理モデル都市実現について伺ってまいります。 市ホームページでは、逃げ遅れゼロ、災害死ゼロの危機管理モデル都市実現に向けた取組とのタイトルで実現に向けた各種取組を掲載しております。今定例会の市長提案
要旨にも実現に向けていくと書かれておりました。残念ながら今回の台風災害では災害死された方もいたり、なかなかちょっとうまくいかなかったのではないかなと考えます。 今回の台風災害対応を振り返っても、実現に向けては課題が浮き彫りになった部分もあると考えますが、どのような課題があったのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 市として現時点で認識している課題としましては、先ほども申しましたが、1つとして、台風への備えに関する情報提供や高齢者等避難の発令などを早めに行ったにもかかわらず、速やかな避難行動につながらなかったこと、2つとして、大雨による災害の発生について、気象情報や河川の水位の分析により予測を行い、避難情報を発令していますが、現状では、内水氾濫について把握が難しい状況にあることなどが挙げられます。 これらの課題も含め、今後、災害検証の結果に基づき課題を整理していきます。
◆21番(鈴木演君) この項目の最後に、先ほど答弁に出ました課題を解決しながら、今般の災害対応の反省も生かしつつ、危機管理モデル都市実現へ向けて、今後はどのように取り組んでいくのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 危機管理モデル都市の実現に向けましては、災害検証の結果を踏まえながら、自助・共助の力を高め、公助を強化する取組を進めていきます。 主な取組としては、自助の力を高めるため、地域や学校との連携を強め、出前講座、防災教育、防災標語コンテスト等により市民の防災意識の向上に努めます。 共助の力を高めるため、さらなる共助の担い手の確保に向けて、防災士の養成、登録防災士の活用、これらを通じた自主防災組織の活性化に努めます。 加えて、避難行動要支援者の避難支援を迅速に行うことができる体制の整備を確立します。 公助を強化するため、ニーズの多様化を踏まえた備蓄品の整備など、避難所機能の充実を進めます。 また、市内全地域における市民参加型の総合防災訓練を実施し、協定締結事業者との連携手順を確認するとともに、専門機関の評価もいただくことなどにより、災害対応力の向上を図ります。 さらに、治水対策として、県をはじめ流域市町村・企業・住民などのあらゆる関係者の方々と連携を図りながら、流域治水プロジェクトを着実に推進していきます。 これらを通じて、逃げ遅れゼロ、災害死ゼロの危機管理モデル都市の実現に取り組んでいきます。
◆21番(鈴木演君) 今ほど答弁に出ました、市総合防災訓練、先月私の地元の小浜町でも行われまして、津波を想定しながら住民が汐見ヶ丘小学校へ避難するシミュレーションが行われました。私は消防団員として広報担当で参加しましたが、やはり津波被災地区ということでもありまして、住民意識も高くほとんどの世帯から2名、またはそれ以上参加し実施することができました。当日は下山田副市長にもわざわざ御足労いただきありがとうございました。 参加した方々の話を聞くと、避難ルートなど頭では分かってはいても実際参加すると、そのルートも、持って行く荷物もすぐには準備できなかった、災害は昼夜いつ来るか分からないので、定期的に訓練は必要だなどと前向きな声も多く聞かれました。 改めて防災訓練や日頃の備え、各種シミュレーションの重要性を強く感じました。 自治体の災害対応は言い訳が許されません。想定外の災害が頻発化する昨今、市民の生命と財産を最優先で守るためにより一層の努力を続けていかれることを要望し、次に移ります。 大きな質問の4つ目は、本市のいわきFCとの関わりについてであります。 今シーズンのいわきFCの戦いは厳しいものであったと思います。J2リーグはファンの間では沼と呼ばれ、J1から降格してきたクラブは水面から何とかはい上がろうともがき、中位から下位にかけてのクラブ、そしていわきFCのようにJ3から昇格したてのクラブは沼に沈まないように必死に食らいついていく、シーズンスタート時には最後の成績が全く見えない、魔境のようなリーグであります。 昨年圧倒的な力でJ3を勝ち上がってきたいわきFCですが、J3とJFLは実際、リーグレベルはさほど変わらない現状ですので、今シーズンの苦戦は開幕前からささやかれておりました。 しかし、戦力、経験値が圧倒的に不足している中で、何とか最終盤にJ2残留を決めた姿は多くのサポーターを感動させ、来シーズンへの期待も高まっているとは思います。 将来的にJ1を目指すいわきFCではありますが、様々な課題もあります。 そこで、今回は多くの市民、サポーターも注目しているスタジアム問題について幾つか質問していきます。 まず、初めに、ハワイアンズスタジアムいわきについて伺います。 いわきグリーンフィールドは今シーズン、私も以前、平成29年6月定例会で議場で提案させていただきましたが、施設命名権、ネーミングライツを使って常磐興産が施設命名権を取得し、ハワイアンズスタジアムいわきとして運営されました。 まず、初めに、今シーズンのいわきFC主催試合の観客数の実績について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 今シーズンのホームゲーム観客数につきましては、年間21試合で、合計7万3,306名、1試合平均3,491名でありました。 最少が6月3日ロアッソ熊本戦の2,011名、最多が最終節11月4日モンテディオ山形戦の5,044名となっております。
◆21番(鈴木演君) 次に、今シーズンは戦いの舞台をJ2に移し、昨シーズンと比べ、来場者も増加したようですが、スタジアムの印象についてどのような声が聞かれたのか伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 市内の来場者からは、地元で試合が観戦できるのがうれしい、プロスポーツを身近に感じるなどの声をいただいております。 また、アウエーサポーターからは、地元のおもてなしがすばらしい、スタジアムがきれいなどのお褒めの言葉をいただいております。 しかしながら、スタジアム周辺に駐車場が少ない、駅からスタジアムまでの距離が分かりにくいなどの意見もいただいているところであります。
◆21番(鈴木演君) 今ほど答弁で、やっぱりアクセスの話が出ましたが、次に今シーズン、いわきFCは初めてシーズンを通して、ハワイアンズスタジアムいわきでホームゲームを開催したわけですが、スタジアム利用のアクセス面での課題はどのようなものがあったのか伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 先ほどの来場者の声にもありましたように、駅から距離があることなどから、車での来場者が多く、駐車場不足が課題となっております。 特にいわきFCのホームゲーム同日に、高校野球の地区予選等がヨークいわきスタジアムで開催された場合などは、駐車場不足が深刻化する状況となっております。
◆21番(鈴木演君) 今ほど答弁された課題を来シーズンはどのように解決していくのか伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 駐車場不足につきましては、来場者に対し、シャトルバスや公共交通機関の利用と徒歩による来場を促進することで、ハード面の課題をソフト面から改善していきたいと考えております。 具体的には、スタジアムまでの誘導案内表示や新たな歩道照明等の設置により、徒歩による来場者がより安全で、分かりやすく、利用しやすい環境整備に努めてまいります。
◆21番(鈴木演君) 今シーズンのJ2の観客動員数の総計を見ますと、先ほども答弁ありましたが、いわきFCは約3,500人くらいで22チーム中20位ということで、J2動員数首位の清水エスパルスは約14,000名でしたのでその差は大きかったと考えます。 もっとも、箱のサイズ、観客の入る箱の大きさは全然違いますのでいわきFCは決して少ないというわけではないのですけれども、クラブの歴史もJ2でも上位にいくクラブとは違いますし、あくまでも客観分析にしかならないとも思いますけれど、現在のスタジアムについてはアクセスを含めた様々な課題もあるとも考えます。 次に、来年はいわきFCのホームゲームだけではなく、夏場にはインターハイサッカー競技が県内浜通り集中開催となり、後ほど小野邦弘議員も質問で触れますけれども、当該スタジアムでも複数試合が行われ、もちろんラグビー競技なども行われます。 芝生の管理などはどのように対応していくのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) ハワイアンズスタジアムいわきについては、良好なコンディションのグラウンドを利用者に提供するため、新国立競技場やJリーグスタジアムの管理実績を有する専門の業者に、芝生の管理などを委託しております。 具体的な管理としては、適正な生育状態を維持するための定期的な散水や芝刈り、種子散布のほか、試合前後及び試合中のメンテナンスを実施しております。 また、様々な大会利用が続いた際にも、局部的な芝の剥がれやスパイク痕の補修等を随時実施するなど、芝生の適切な管理を行ってきました。 一方、芝生の養生期間の確保等を考慮し、施設の利用に当たっては、ラグビーやサッカーなどの関係団体が出席します利用調整会議において、年間の日程について調整を行っています。 今後も引き続き、適切な管理と、利用の調整を図りながら、良好な環境を維持していきます。
◆21番(鈴木演君) 次に、新たなスタジアムについてであります。 いわきFCは例外規定を用いてJ1ライセンスが9月に発行されておりますが、これは、いわば仮免のような状況であり、再来年の6月までにスタジアム整備計画書を提出し、令和9年6月までに新スタジアム工事を着工する必要があり、J1ライセンスを維持するためにはそれらの作業が急がれます。Jリーグ側からは現在のハワイアンズスタジアムいわきも客席の屋根を覆うカバー率不足なども指摘され、スタジアム問題が現在のいわきFCにとっても一番頭の痛い問題となっているのではないでしょうか。 そのような中で、今年クラブ側で始めた新スタジアム検討委員会で議論された主なものを伺います。
◎総合政策部長(津田一浩君) 新しいスタジアムの在り方を検討する委員会、いわゆるIWAKI GROWING UP PROJECTにつきましては、今年度、スポーツ庁の委託事業であるスタジアム・アリーナ改革推進事業の採択を受けまして、本年6月に、株式会社いわきスポーツクラブが設置をしたところでございます。 現在は、分科会におきまして、複合的な機能を有するスタジアムが、地域の未来にどのような価値をもたらすのか、そうしたコンセプトメイキングを中心とした議論が活発に重ねられております。 また、いわきFCのホームゲーム会場で来場者から意見を募集する、スタジアムボイス、あるいは小学生から30歳未満の若者が、地域の未来像を構想し意見交換を行う、ユースフォーラムを通じて、世代を問わず様々な方々からの意見を収集しております。 これらの検討の状況は、いわきFCパークや試合会場でのグラフィックレポート掲示のほか、いわきFC公式アカウントで幅広く公開をされております。 クラブでは、公式アカウント上に投稿フォームを設け、いつでも、誰でも新スタジアムに対する意見を述べ、議論に参画できる仕組みをつくっていく姿勢を大切にして、市民の皆様の関心に広がりが生まれていくよう取り組んでいるものと受け止めております。
◆21番(鈴木演君) 次に、改めてにはなりますが、いわきFCが現在のJ2はもちろんのことそれ以上のカテゴリー、すなわちJ1に昇格するためには現在のハワイアンズスタジアムいわきでは要件を満たしておらず、新たなスタジアムが必要不可欠になってきます。 そのスタジアム実現に向けて、本市の今後の取組を伺います。
◎総合政策部長(津田一浩君) スポーツ庁によりますと、スタジアムには、周辺産業への波及を含む経済効果や雇用創出などの新たな産業集積の創出が期待されるとされております。 また、まちのにぎわいの創出や住民のスポーツ機会の増加など、地域への波及効果を活用したまちづくりや地域のアイデンティティーの醸成などの効果も見込まれるとされております。 現在、いわきスポーツクラブにおいて検討が進められているスタジアムは、スポーツによる社会価値の創造を体現する壮大な実験場、いわゆるラボを目指すとされておりまして、地域課題の解決に絶えずチャレンジして浜通りを含むエリア全体の付加価値向上に寄与する、多機能複合型の成長するスタジアムである、と聞き及んでおります。 市といたしましては、スタジアムの整備によって得られる様々な効果が地域へ最大限に還元されていく、それこそが重要だと考えてございます。 そのためには、多様な視点に立って議論を行うことが必要でございまして、検討委員会での議論はもとより本市のまちづくりに及ぼす影響などにも留意しながら、いわきスポーツクラブと連携・協力し、共に考え、知恵を絞り、適切に対処していきたいと思っております。
◆21番(鈴木演君) 1つ確認というか再質問させていただきたいのですけれども、昨年12月定例会で佐藤和良議員への答弁や、内田市長の先日地元雑誌のインタビューなどを聞きますと、基本的にスタジアムの実現には、事業主体はいわきスポーツクラブ側が主体となっていくという答弁やインタビューがありましたが、その認識でよろしいのか伺いたいと思います。
◎総合政策部長(津田一浩君) 先ほど議員もお触れになりましたけれども、現時点では、Jリーグに2025年の6月に整備計画を出すのが条件として例外規定が適用されている、これはあくまでもクラブが自らの意思として整備計画を出すという規定でございますので、まず一義的にはクラブが自らの事業計画をつくり、また地域に賛同されるスタジアムを資金繰りも含めて計画を立てていくと、そこを我々としては見守っていきたいと思います。その上で、来年の3月なりに報告が出てくる中で、どのようなスタジアム像を目指すのか、地域にどんな価値があるのか、あるいは行政の関わりとして何が求められるか、こういったものが恐らくある程度明らかになってくるものと思いますので、そこで1段やはり議論の階段が上がってそこでさらにまた市の役割というものを考えていくというような時系列になってくると思っております。
◆21番(鈴木演君) ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午前11時20分まで休憩いたします。 午前11時11分 休憩
--------------------------------------- 午前11時20分 再開
△山守章二君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。3番山守章二君。 〔3番山守章二君第二演壇に登壇〕
◆3番(山守章二君) (拍手)3番いわき市議会志帥会の山守章二です。以下、通告順に従い、一般質問をいたします。 大きな質問の1番目は、市長就任以降のこれまでの取組状況と今後の対応についてです。 令和3年9月、市政刷新の期待を一身に受けて、
人づくり日本一を政策の柱に掲げた内田市長が就任されました。早いもので、今年の9月で任期4年の折り返しを迎えたところです。 市民の皆様から、市長が代わり、職員に改革や挑戦の意識が浸透し、市役所が着実に変化している、市長は行政のエキスパートとして、本市の諸課題にしっかり取り組んでいるなど、内田市政を高く評価する声も耳にしております。特に、本市の次代を担う若者からも今後のまちづくりに期待を寄せる意見が寄せられており、内田市長による人づくりを柱とした政策の成果が徐々に表れてきていると受け止めております。 そこで、任期の後半に差しかかった今回は、市長就任以降、これまでの2年間を内田市長はどのように総括され、今後の市政運営に取り組んでいくのか伺ってまいります。 1点目は、
人づくり日本一のまちづくりについてです。 内田市長が市長選挙の際に、
人づくり日本一の実現に向けて公約として掲げたものの中から、特に市民の皆様の関心が高い事項について、今後の展望等を含め、これまでの取組状況について伺ってまいります。 そこで、1つ目として、学力向上の取組について伺います。
◎教育長(服部樹理君) 学力向上の取組についてお答えいたします。令和4年度に、
学力向上アドバイザーと
関係指導主事等で編成した
学力向上チームを発足しました。
学力向上チームの取組として、全国学力・学習状況調査に加えて、子供一人一人の学力の伸びを把握する
ふくしま学力調査や、本市独自で行っている児童・生徒理解のための
アンケート調査を、複合的に分析しています。また、これら分析結果を学校カルテにまとめ、それを踏まえ、
学力向上アドバイザーが学校の管理職との面談を行っております。 この面談の中で、各校が抱える教員の授業力向上をはじめ、配慮を要する児童・生徒への支援の在り方、家庭や地域との連携などの諸課題への解決策や学校経営に関する具体的な助言を行っております。 こうした取組により、我々と課題を共有することができ、管理職の意識改革が進んでいると実感しております。 加えまして、この冬休みからは、子供たちの主体的な学びをより一層育成する観点から、御家庭に
タブレット端末を持ち帰らせることにより家庭学習の推進にも取り組んでまいりたいと考えております。今後とも様々な取組を通じて、学力向上に邁進していきたいと考えております。
◆3番(山守章二君) 学力向上については、すぐに結果は出ないと思いますので引き続きの取組をお願いいたします。 次に、2つ目として、子ども・子育て支援の充実に向けたこれまでの取組について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 3点申し上げます。 1つとして、安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくりです。 相談者に寄り添った個別支援を実施しており、令和4年度は母子保健コンシェルジュ・子育てコンシェルジュを増員し、相談体制の充実・強化を図りました。 また、子育て世帯の負担軽減に係る取組の一環として中学生までの
インフルエンザ予防接種費用の助成を開始したほか、スポーツ振興基金事業補助金を拡充し、全国大会等に出場する高校生以下への支援の充実を図りました。 今年度においては出産・子育て応援交付金を活用し、引き続き、妊娠期からの継続した伴走型相談支援の充実を図るとともに、妊婦1人当たり5万円、出生後に児童1人当たり5万円の経済的支援も併せて行っております。 さらに、出産に関する費用負担の軽減を図るため、国の見直しに連動し、健康保険の各保険者において、出産育児一時金の支給額を42万円から50万円に引き上げましたが、国民健康保険においても、同様としたところです。 2つとして、就労と子育ての両立支援です。 放課後児童クラブの拡充のほか、喫緊の課題である保育士不足に対応するため、今年度から保育士宿舎の借り上げに要する費用を補助することにより、保育士の人材確保を推進しております。 3つとして、きめ細やかな子ども・家庭支援です。 県内市町村に先駆けてヤングケアラーコーディネーターを配置し、対象児童への支援を実施しています。 また、独り親世帯の経済的負担の軽減を図るため、放課後児童クラブ利用料助成の対象世帯を拡大したところです。 こうした取組を通して、保育・子育て環境のさらなる充実に努めていきます。
◆3番(山守章二君) 本市が子育てしやすいまちになれば少子化対策にもなりますので、より一層の子ども・子育て支援の充実をお願いいたします。 市長は、ただいま伺った
人づくり日本一の実現に向けた取組に加え、2点目として、将来を見据えた魅力あるまちづくりについても政策の柱として打ち出し、幅広く、そして力強く取組を進めてこられました。 その中から幾つか、主要な事業を取り上げ、伺ってまいります。 そこで、1つ目は、市街地再生整備についてです。 本市では、令和元年10月に、第二次都市計画マスタープラン及び立地適正化計画を策定し、今後の急速な人口減少や超高齢化社会が到来する中においても、将来にわたり持続可能な都市運営を実現するため、行政、医療、教育、福祉等の日常サービス施設を、地域の拠点に誘導することにより、魅力を高めるコンパクトなまちづくりを進めることとしています。このコンパクトなまちづくりの具現化に向けた取組の1つとして、駅周辺における低未利用地の利活用の検討が急務である、常磐地区及び四倉地区において、公共施設の再編と連動した市街地再生整備が進められているところです。 そこで、両地区の取組状況について伺ってまいります。 まず、常磐地区について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 常磐地区の市街地再生に向けましては、昨年10月に基本計画を策定し、具体的な9つの取組を定めました。 また、まちづくりの専門家の方々を中心に、温泉観光地としてのまちの在り方などについて検討を行い、本年4月に、まちづくりの土台となるビジョンブックを作成していただきました。 現在は、このビジョンブックも踏まえながら、温泉街を中心とした町並みや道路の在り方について、社会実験を行うなど、地域の皆様と共に検討を進めております。 また、湯本駅前における土地区画整理事業や交流拠点施設の整備をはじめ、今後は基本計画に位置づく、多くの事業を実施していきます。 そのため、地域の皆様に広く情報を発信し、地域の皆様からいただいた御意見も取り入れながら、各事業を推進し、本市観光拠点の再生を図ります。
◆3番(山守章二君) いわき市の観光スポットの1つである湯本温泉街を含めた常磐地区のまちづくりの整備については長年の懸案事項でもありましたので、市民の意見を取り入れながら魅力のあるまちづくりに取り組んでいただきたいと思います。 次に、四倉地区について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 四倉地区の市街地再生に向けましては、必要となる具体的な取組を検討するため、地元関係団体等の方々と市の関係部署で構成するワーキンググループを設置しております。 現在は、このワーキンググループにおいて、駅西側の工場跡地における交流・防災拠点づくりや、商店街のにぎわいづくりなど、取組のテーマごとに検討を重ねているところです。 今後は、これまでの検討状況について、地域の関係者等へ広く説明を行います。 また、現在進めている各取組について、今年度末を目途に、基本計画として取りまとめ、本市北部の拠点である四倉地区の再生を図ります。
◆3番(山守章二君) 2つ目は、産業振興についてです。 産業振興に向けては、市長が福島大学理事兼事務局長として、国際教育研究拠点づくりや食農学類のスタートに関わってきたことが政策推進の大きな強みになっていると考えております。 本年4月、浪江町に
福島国際研究教育機構F-REIが設置され、本市をはじめ、県内各地でシンポジウムや座談会が実施されています。また、7月からは様々な研究テーマで、公募を開始しており、今後、F-REIは、活動を本格化していくこととしております。 そこで、本年4月に設立された、
福島国際研究教育機構F-REIとの連携の取組状況について伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) F-REIは、世界に冠たる、創造的復興の中核拠点を目指すこととしています。 本市といたしましては、F-REIが近隣に設立された地理的優位性を最大限に引き出し、F-REIいわき出張所も拠点としながら、地域経済の活性化に結びつけたいと考えています。 具体的には、F-REIが施設を整備し、研究活動を本格始動するまでを支援・提案期間、それ以降を連携促進期間と捉えて取り組んでいきます。 まず、支援・提案期間においては、F-REIの活動が浜通り地域に根づき、創造的復興の中核拠点としての基盤をしっかり築けるよう支援します。 また、地元企業が研究活動に参画できるよう、F-REIが進める研究活動を調査・分析し、地元企業の技術活用の提案などを行っていきます。 次に、連携促進期間においては、F-REIの研究成果を活用して、事業再構築や新製品の開発などに取り組む地元企業を資金面なども含めて支援していきます。 また、F-REIの研究活動を主導する中核企業と地元企業との橋渡しや、F-REIと連携した産業人財の育成などにも取り組んでいきます。
◆3番(山守章二君) 本市は、付加価値を生み出す機能の脆弱性や低い賃金水準、後継者不足といった従前からの構造的課題に加え、人口減少に伴う労働力の減少や市場の縮小、脱炭素やデジタル化など、様々な課題に直面しています。 この中でも、人口減少社会への対応、とりわけ、将来の活力となる若者・女性をとどめる、呼び戻す、呼び込むことが重要です。 そのため、若者・女性が活躍する、魅力的な働く場や、消費を生み出す環境を創出し、若者・女性の定着や還流につながる好環境を生み出す必要があります。 市としては、こうした好循環につなげるため、人財確保、人財育成、産業の新陳代謝、稼ぐ力の向上、脱炭素化とデジタル化の5つを具体的な施策の柱として、産業振興に取り組んできました。 このような中、新型コロナ関連支援の終結や人材不足の深刻化など、市内企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、これまで以上に変化に強い企業づくりや人財の育成と確保を促進していく必要があります。 また、F-REIの開所や専門機関等との連携、脱炭素やデジタル化等に関する企業の率先した取組が広まるなど新たな動きもあり、こうした方々の知見等を生かしながら、市の取組を加速させる必要があります。 そこで、今後の産業振興策を図るためどのように取り組んでいくのか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 市では、人財の確保・育成、産業の新陳代謝、稼ぐ力の向上などの取組の効果を高めるため、3つの見える化に注力していきます。 1つ目は、市内企業の挑戦意欲を高める見える化で、どのように挑戦に関わっていけるかを伝えるものです。 実際に挑戦した企業の苦労や経験、成功事例などを業種別・テーマ別に分類・整理して発信します。 2つ目は、産業人財の確保につながる見える化で、若者や女性などに職場の魅力や夢のある将来の姿を伝えるものです。 市内企業で活躍する方々や、資格を生かせる業務、次世代エネルギー等の先端的な取組を発信します。 3つ目は、市外企業などを引きつける見える化で、市外の企業や人財の方々に本市の優位性を伝えるものです。 企業が主体となった産業振興や人財育成のいわきモデルの取組などを発信します。 こうした取組を通し、魅力的な働く場や消費を生み出す環境の創出を、より一層促進し、若者・女性の定着や還流につなげていきます。
◆3番(山守章二君) 次に、農林水産業において、それぞれ課題、問題がある中、本市での強みを生かしながらなりわいとして継続していくことが大切であると思います。 そこで、稼げる農林水産業づくりについて伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本市の農林水産業をめぐっては、東日本大震災及び原発事故に起因する様々な地域課題をはじめ、従事者の高齢化や担い手の不足といった全国に共通する課題が顕在化しています。 こうした課題に対応するため、農林水産業の各分野において、取り組むべき施策を取りまとめた基本計画を策定し、それに基づき様々な事業を実施しています。 まず、農業の分野においては、生産基盤の整備や農業生産振興ブランド戦略プラン推進事業の拡大による生産能力強化のほか、市内外の消費者等へのプロモーション活動、キャンペーン等により販路拡大に取り組んでいます。 林業の分野においては、公共施設における本市産木材の率先利用、木づかい住宅ポイント事業による本市産木材の利用促進、さらには、豊かな森づくり担い手確保育成支援事業などに取り組んでいます。 水産業の分野においては、いわき七浜さかなの日キャンペーンや学校給食における本市産水産物を用いたメニューの提供のほか、首都圏でのプロモーション等による常磐ものの魅力発信などにより、魚食普及及び消費拡大に努めています。 持続と自立が可能な稼げる農林水産業に向けましては、こうした、これまでの取組を今後も着実に推進していきたいと考えています。 加えて、生産のみならず、加工、流通、販売、消費といった一次、二次、三次産業との連携強化を図るとともに、福島大学食農学類をはじめとした学の知見も取り入れながら、鋭意、取り組んでいきます。
◆3番(山守章二君) 担い手不足を解消しながらしっかりとした取組をお願いいたします。 次に、3つ目として、命と暮らしを守ることについてですが、市長は、命と暮らしを守ることについても、まちの力を高めるために必要な政策として位置づけ、本市の喫緊の課題である医師不足の対応をはじめ、誰も取り残さない防災体制の整備、中山間地域における諸課題の解消などに、精力的に取り組まれていると受け止めております。 そこで、それぞれの取組状況を伺ってまいります。 まず、医師の確保について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 医師の確保につきましては、市長就任後、
市医療構想会議を設置し、医師確保策など、地域医療における課題について、市医師会や
市病院協議会等と協議を行ってきました。 また、市長自ら大学医学部等へ訪問し、本市の医療の現状について教授等と懇談を重ねるとともに、新たに眼科の寄附講座の開設により、
市医療センターへ医師を招聘しました。 これにより、昨年度は、寄附講座において、
市医療センターに産婦人科、整形外科、眼科、心臓血管外科、麻酔科、
透析センター外科、小児科で合わせて21名、福島労災病院に整形外科で3名の医師を招聘することができました。 また、
診療所開設支援補助金の活用により、脳神経外科、整形外科、眼科で合わせて3件の新たな診療所の開設を支援し、3名の医師の確保にもつなげました。 さらに、
市医療センターに、
手術支援ロボット、ダビンチや、医師が現場に急行し治療を行うドクターカーを導入しましたが、このような先進的で積極的な取組は、若い医師の確保につながるものと考えます。 加えて、本市の将来の地域医療を担う医療人材の確保を図るため、小学生から研修医まで切れ目なく、医療を学ぶ、医療を育てるための取組を展開してきました。 その主な内容は、小・中学生に対する動画を活用した授業、高校生に対する医師によるワークショップ、研修医に対する基幹型臨床研修病院3病院の合同勉強会などとなっています。 今後も引き続き、医師確保に向けて市内の医療関係者と協議を進めるとともに、学校等と連携し、医療人材の育成にも取り組みます。 さらに、これらの取組を、一体的に全国に発信することにより、本市の認知度の向上を図り、医師確保につなげます。
◆3番(山守章二君) 市民の命を守るため、引き続きの取組をお願いいたします。 市長は、逃げ遅れゼロ、災害死ゼロを掲げ、災害に強いまちづくりを進めておりますが、近年、自然災害が激甚化、頻発化しており、今年9月の台風第13号においても市内で甚大な被害を受けましたが、今後の防災力の強化について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 防災の基本は、自らの命は自らが守る自助、近隣の方々が互いに協力し合う共助、行政による公助の3つの力を結集することです。 市としましては、これらの力を強化するため、ソフト・ハード両面から次の取組を行ってきました。 1つ目として、自助力を高めるため、地域における出前講座を積極的に行うとともに、次世代を担う子供たちの防災意識高揚の観点から、地域や学校との連携による防災教育や、防災標語コンテストを実施しました。 2つ目として、共助力を高めるため、共助の中核を担う自主防災組織の充実強化に向け、組織間の情報共有や、構成員の知識・技能の向上を目的とした研修会や出前講座の実施、各組織が主催する訓練への支援などを行いました。 また、地域の防災リーダーを担う防災士のさらなる育成を図るため、市防災士養成講座の受講対象者や実施回数の拡充を図りました。 さらに、防災啓発活動や避難所運営支援など、新たな共助の担い手確保を目的として、昨年8月に登録防災士制度を創設いたしました。 3つ目として、公助力を高めるため、市総合防災訓練において、昨年度に協定を締結いたしました東北大学災害科学国際研究所の知見もいただきながら、職員の初動対応や避難所の円滑な開設、協定締結自治体や事業者との連携手順の確認等を行い、災害発生時の対応力向上を図りました。 また、市国土強靭化地域計画に基づき、道路構造物の長寿命化や道路冠水の解消などハード面での防災・減災対策を実施しています。 今後は、自主防災組織の未結成地域に対し、災害リスクなど地域の実情や課題を把握しながら、伴走型で個別支援を行い、結成を促していきます。 また、登録防災士については、より実践的な研修機会を提供し、地域の防災リーダーに必要な知識や技能の習得、指導力の向上を図ります。 併せて、地元の自主防災組織への加入促進を図り、各組織に2名以上の在籍を目指していきます。 これらの取組を通じて地域防災力の充実強化を図り、逃げ遅れゼロ、災害死ゼロの実現に向け、全力で取り組んでいきます。
◆3番(山守章二君) 防災モデル都市の実現に向け、今後も引き続き取組をお願いいたします。 市長は、命とともに暮らしを守ることについても、重要な政策として精力的に取り組まれていると受け止めております。 そこで、住み続けられる中山間地域づくりの取組状況について伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 市におきましては、本年2月に、中山間地域の皆様が安全に安心して生き生きと住み続けることができる地域社会の実現を目的とした、里山の暮らしを支える地域づくり方針を策定しました。 本方針の下、本年4月に川前地区に開設された、生活サービス機能や活動拠点を一定程度集積した、小さな拠点おおかの整備及び運営を支援しています。 また、三和地区では、三和町ふれあい市場を拠点にかあちゃんの弁当の販売促進や、配食サービスの拡大に取り組んでいます。 さらに、地元事業者と締結した包括連携協定の取組として、7月から田人地区において、買物の宅配サービスの実証事業を進めています。 併せて、関係人口の創出やまちづくりの担い手の確保を目指した、中山間地域ボランティア制度の運用、さらには、各種振興施策の取組に係る財源確保を目指した、中山間地域支援基金への支援・呼びかけなどに取り組んでいるところです。 今後も、地域の皆様と共に、中山間地域の様々な課題に対応できるよう、暮らしを支える、まちづくり、ひとづくり、しごとづくりの3つの方針を柱に必要な取組を進めていきます。
◆3番(山守章二君) 少子・高齢化が進行し、今後も人口減少局面が続くと想定される中、行政運営における制約がこれまで以上に高まっていくことは言うまでもありません。
人づくり日本一の実現に向けて、市長がこれまで取り組んできた政策をさらに推進するためには、様々な構造改革を通じて必要な財源、資源を生み出していくことが重要となります。 既に様々な改革を推し進め、成果が出始めていると受け止めております。これまで伺ってきた政策の実現に向けては、本市の将来を見据え、必要な政策を力強く実行するための礎となる構造改革に取り組むことが欠かせないと考えられます。 そこで、4つ目として、構造改革についてです。 まず、これまでの構造改革の取組について伺います。
◎副市長(下山田松人君) 昨年4月に構造改革推進本部を立ち上げ、これまで、様々な課題の解決に向け、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいりました。 昨年11月には、いわき版骨太の方針を策定し、政策の柱とともに、それらを下支えするものとして構造改革の取組を位置づけしました。 現在、同方針に基づき、改革・改善を進めているところであり、主な取組の状況を3点申し上げます。 1点目は、行政DXの取組でございます。 市民の皆様の利便性を高める観点から、行政手続のオンライン化を加速しています。 11月からは、市ホームページ等から、いつでも気軽に問合せができる
AIチャットボットシステムを運用しています。 職員の生産性を向上する観点では、共通業務のマニュアル化や、業務のデジタル化・
ペーパーレス化を進めています。 2点目は、公共施設最適化の取組です。 人口減少社会を踏まえた公共施設・インフラの水準を模索するため、分野ごとに設置しました分科会で議論を深めています。 利用者の安全・安心を最大限確保する観点では、公共施設等の集中保全に着手し、学校や通学路等の安全対策を強化しています。 3点目は、
人材マネジメントの取組です。 昨年度から、
循環型ワーキンググループを設置し、活動を通じた若手職員の育成に注力しております。 また、人材の確保に向けては、本年度、新たな採用試験制度を導入いたしました。 10月には、目指すまちの姿の実現に向けた職員づくりの指針となる
人材育成基本方針を改訂したところであります。
◆3番(山守章二君) 次に、今後の対応について伺います。
◎副市長(下山田松人君) 構造改革推進本部を立ち上げ、間もなく2年が経過いたします。 先ほど答弁申し上げましたように、これまで、様々な取組にチャレンジしてきました。 着実に成果に結びついている取組もありますが、今後、しっかりと時間をかけ、丁寧に仕上げていかなければならない取組もあります。 そのような中、来年度は集中改革期間の最終年度を迎えます。 行政DXやペーパーレスの取組は、さらに加速させていきます。 公共施設の最適化に向けては、議会や市民の皆様との対話を進めるとともに、
包括施設管理業務委託の導入を目指していきます。 こうした取組を具現化していくため、組織体制の充実・強化も検討を進めています。 これまでにまいた改革・改善の種を花開かせ、本市の文化として根づかせるべく、なお一層、構造改革の取組を前進させていきます。
◆3番(山守章二君) 市長がこれまで推し進めてきた政策の一端について伺ってまいりました。 最後に、今後の本市のまちづくり、人づくりにかける市長の決意について伺います。
◎市長(内田広之君) 市長に就任してから、これまで2年間、人づくりを政策の一丁目一番地として、市政運営に邁進してきました。 これまで進めてきた各分野の具体的な政策は、先ほど、各部長等が答弁申し上げたとおりでございます。 これからも私自身、現場主義に徹し、市民の皆様との意見交換を大切にし、生の声や実情に即した政策づくりを心がけていきます。 今般の令和5年台風第13号により被災した内郷地区などの現場にも積極的に入りながら、被災者の声にも耳を傾けてきました。 山守議員におかれましても、連日私も何度も毎日のようにお見かけしましたけれども、本当に毎日泥だらけになって頑張っておられて、時には被災者に罵倒されたりしている姿、そしてまた、激励も受けたりしている姿も拝見しておりました。 そうやって議員が尽力されている姿を何回も私も現場で拝見いたしまして、市職員の防災力を高める人づくりとか、現場主義も私自身しっかり進めていかなければならないなということを改めて被災現場で実感いたした次第です。 これまでも、各地域、現場に出向く中で、とりわけ、若者からの将来を見越した意見、柔軟なアイデアにも目を見はるものがございました。 自立的なまちづくりが芽吹いている地域もありまして、人づくりの歩みの進化を感じております。 今後とも、
人づくり日本一のまちへ向けまして、さらなる挑戦を果敢にし続けまして、市民の皆様からの負託にしっかりと応えていく覚悟でございます。
◆3番(山守章二君) 市長就任2年が経過しましたが、市民と約束をした公約が着実に実行されていることが分かりました。 4年という限られた時間の中でできること、できないことはあると思いますが、残り任期においても引き続き市民のためにさらなる御尽力をお願いしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、令和5年台風第13号についてです。 初めに、このたびの台風第13号の影響による大雨に伴い、お亡くなりになられた方に対し謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された市民の皆様に改めて心からお見舞いを申し上げます。 今回の災害において初動体制はどうだったのか、ボランティアはどうだったのかなど課題も見えてきた部分もあるかと思います。今後の検証を含め、以下伺ってまいります。 1点目は、災害の対応についてです。 9月8日から9日にかけて本市に上陸した台風第13号では県内初の線状降水帯の発生などにより、1日で9月の平均降水量に匹敵する大雨が観測され、市内各地で大きな被害が発生しました。 市においては、前日の7日から台風への備えについて防災メールで市民へ注意喚起するなど、早め早めに避難情報を発信しており、市総合防災訓練など、日頃からの訓練の成果であると認識しております。 しかしながら、残念にも自宅にいて逃げ遅れた方がいるなど、市民の速やかな避難行動にはつながっていなかったとも考えております。 そこで、1つ目として、避難指示発令後の市民の避難行動がどのようであったのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 本市では、9月8日の台風第13号の接近に伴い、早め早めの対応に心がけ、雨が強まる前、まだ明るいうちの午後3時に高齢者等避難を発令いたしました。 また、土砂災害発生の危険性が高まったことから、午後7時に避難指示を市内全域に発令しました。 これに伴う市民の皆様の避難行動につきましては、市が開設した避難所への避難状況で申し上げますと、避難指示を発令した午後7時の時点で、開設していた19か所の避難所への避難者数は、36世帯58名となっていました。 その後、気象状況の悪化に伴い、避難所への避難者数が急激に増え、9日午前1時に最大となり、27か所の避難所に307世帯、644人が避難されていました。 これらの状況を見ますと、避難情報の発令から実際に避難するまでにタイムラグが生じています。 雨が強まった後、危険が迫っている中で避難行動を取る方が多かったことがうかがえ、避難行動に課題があると認識しております。
◆3番(山守章二君) 早期の避難が今後大きな課題の1つとなるかと思いますので、検証を含め、さらなる対応を考えていただきたいと思います。 災害の発生後は、被災された方々の速やかな生活の再建、被災された地域の早期復旧に努める必要があります。私も、被災地を連日歩き回り、多くの方々からいろいろな御意見をいただきましたが、今回は行政の動きがよかったとの意見を多数耳にしております。 そこで、2つ目として、災害後の初期対応をどのように行ったのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 今回の災害における初期対応としましては、発災直後には、個別訪問等による避難行動要支援者等の安否確認を行うなど、生命の危機に直結する被災者の確認に重点を置いた対応を行いました。 また、9月10日には、被災した方々の生活再建に向けて、罹災証明書の申請受付を開始するとともに、市内2か所に災害
ボランティアセンターを設置し、被災者のニーズの把握などを開始しました。 過去の災害時に課題となった災害廃棄物については、9月11日に、市内6か所に仮置場や臨時仮置場を設置し、受入れを開始しました。 9月12日には、被災された方の相談窓口としてコールセンターを設置するとともに、無料入浴サービス及び送迎サービスを開始しています。 さらに、9月13日には、甚大な被害が生じた内郷地区の2か所に
現地支援センターを設置し、支援物資の配布や、罹災証明の申請受付などの支援を開始しました。 住宅が被災し居住が困難になられた方の支援に向けては、発災後、庁内にプロジェクトチームを設けて準備を進め、県とも連携の下、9月20日から公営住宅や民間賃貸住宅等への入居をはじめ、被災した住宅の応急修理などの受付も開始いたしました。 被災された皆様が1日も早く安心した生活を取り戻せるよう、発災直後から、庁内一丸となり、スピード感を持って災害対応に取り組んできたところです。
◆3番(山守章二君) 今回の災害直後の初期対応については、行政の動きは早かったと感じましたが、一方で被災地の区長さんや民生委員等の方々が、9月9日土曜日にいわき市社会福祉協議会に連絡しても、応答せず連絡が取れなかったケースもあったと聞いております。また、発災直後、特に被害の大きかった内郷地区への支援が行き届かなった場面も見受けられました。被災者の皆さんは、どこに相談したらいいのか、何をどうしたらいいのかと不安ばかりだったと思います。早急な対応が必要な中、
ボランティアセンターの設置は急務だったと考えます。 そこで、3つ目として、災害
ボランティアセンターについてですが、まず、災害
ボランティアセンターの設置に当たり、市社会福祉協議会とどのように連携したのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 令和5年台風第13号の対応につきまして、市は、社会福祉協議会と協力し、発災3日目となる9月10日に、速やかに、平地区と勿来地区に災害
ボランティアセンターを設置し、翌11日からボランティアの受入れと活動を開始しました。 設置後は、社会福祉協議会との緊密な連携の下、SNSなど様々な媒体を活用したボランティア確保に向けた呼びかけや、被災者ニーズの把握、それらを踏まえたボランティア活動の調整などを行いました。 また、活動に必要な資材やボランティアの輸送手段の確保などにも取り組みました。 とりわけ被害の大きかった内郷地区については、よりきめ細やかな被災者支援が必要と判断し、9月16日から10月14日まで、内郷地区内の5か所にサテライトを設置したところです。
◆3番(山守章二君) ただいま答弁にもあったように、9月10日から
ボランティアセンターを開設しましたが、被災者によりきめ細やかな支援の体制が構築できたのが9月16日以降でしたので、それまでの間は、社会福祉協議会の本来の役割があまり機能せず、被災地の区長さんたちなどが大変苦労されておりました。 また、日を追うごとにボランティアへのニーズが変わり、それを把握し対応することが大変だったと思います。 そこで、災害
ボランティアセンターへのニーズは、どのようなものがあったのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 発災直後は、被災家屋の室内の片づけや家具の運び出し、泥出し、清掃など、団体や個人などの一般ボランティアが対応するニーズが多く寄せられました。 その後、重機を必要とする土砂の撤去や家屋の修理保全など、より専門的な技術が必要な支援へとニーズが変化していきました。 これに対応するため、社会福祉協議会のネットワークを活用し、専門的技術を有するNPO等外部支援団体からのボランティアの確保に努めてきたところです。 また、ニーズの拾い漏れを防ぐため、9月30日から10月26日にかけて、被災地域の全戸を対象とした個別訪問を実施し、潜在化しているニーズの把握に努めました。 これらの結果、12月8日の災害
ボランティアセンター閉所までに、被災者からのニーズ805件に対応したところです。
◆3番(山守章二君) 私も現場で被災者からいろいろな要望を受け、
ボランティアセンターなどにお願いをしましたけれども、スムーズにいくときといかない場合があり大変苦労しました。 そこで、被災者から災害
ボランティアセンターに寄せられた声はどのようなものがあったのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 被災された方々からは、高齢者世帯のため、大型の家財の搬出ができず途方に暮れていたが、若いボランティアの方々がたくさん来てくれて復旧作業が一気にはかどった、深い失望を感じていたが、ボランティアの方々から温かい励ましをいただき、笑顔と希望を取り戻すことができた、家に入った泥出し作業が思うようにいかず、疲労が増す毎日であったが、ボランティアの方々が笑顔でテキパキと作業してくださり、頑張ろうと思えた、などボランティアに対する感謝の声が多く寄せられました。 一方で、特に災害
ボランティアセンター設置当初に、センターへの電話がなかなかつながらない、ボランティアの要請をしてから実際にボランティアが来るまで時間がかかるなどの指摘もありました。
◆3番(山守章二君) 今回、現場で感じたのは、被災者は二次被害を恐れ、早く復旧または解決してほしい案件を
ボランティアセンターや行政に要望しておりました。特に公共土木施設の復旧に関しては、業者が順番で対応していましたが追いつかず、NPOや支援団体の方々が公共土木施設の復旧工事を行っていたのが現状でした。 そこで、今回の災害ケースにおいて、いろいろな要望の窓口となっていた災害
ボランティアセンターの課題をどのように捉えているのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 今回の災害における
ボランティアセンターの主な課題につきましては、次のように捉えています。 1つとして、ボランティアニーズのピーク期である発災から1週間における受付や、ボランティアとのマッチング作業をスムーズに行うため、センターの運営体制の強化を図る必要があること。 2つとして、専門技術を有するNPO等との調整及び生活再建へ向けた福祉的ニーズへの支援を行うに当たり、市として、土木、生活環境、福祉など様々な部門や関係団体との緊密な連携体制の構築を図る必要があること、などです。 これらの課題を整理し、次の災害に備えるため、今後、社会福祉協議会や外部支援団体等と今回の災害対応についての検証作業を進めてまいります。
◆3番(山守章二君) 災害時は、やはりスピードを要求されますので、行政も縦割りではなく各部各課が連携体制を取り、情報を共有して対応してほしいと思います。また、今回の課題もしっかりと検証して次に生かしていただきたいと思います。 内郷地区の被災者の多くの方から自宅から比較的近いところに
現地支援センターが設置され、土のう袋や消毒液といった物資の配付、床下乾燥用送風機や排水ポンプといった物資の貸出し、罹災証明の申請や住宅支援の申請などの手続などができて、復旧に非常に助かったとの声も伺っております。 そこで、4つ目として、改めて被災地の支援を行っていた
現地支援センターの概要について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君)
現地支援センターは、今回の災害で甚大な被害を受けた内郷地区の内町及び白水町の2か所に、被災者への支援体制を強化するため、9月13日から10月31日までの間、設置いたしました。 主な業務としましては、土のう袋や消毒液等の支援物資の配付、住家の床下乾燥用の送風機やカーシェアリング車両等の貸出し、罹災証明書や住宅支援等の被災者支援制度の受付、各種情報の提供や関係機関との連絡調整等を行いました。 期間中の利用者は延べ約3,600人となっております。 被災地に、より近い場所で、被災された皆様に対し、必要な支援を行うことで、被災地の復旧に寄与したものと考えております。
◆3番(山守章二君)
現地支援センターについては、早期の開設、そして被災地で被災者に寄り添った支援体制の構築ができたことは、本当に被災者が復旧に向かって大きく前進することができたことと思います。今後も災害が起こった場合には、早期の対応をお願いいたします。 2点目は、災害廃棄物についてです。 今回の台風により被害の大きかった内郷地区では、839棟が床上浸水の被害を受けました。発災後の9月9日は土曜日で快晴ということもあり、被害を受けた家屋では家族、親族、そして多くの知人、友人が集まり、一斉に片づけが始まり、早急な災害廃棄物の置場の確保が必要だったかと思います。 そこで、1つ目として、市災害廃棄物処理計画において、発災後から仮置場設置まではどのように進めることになっていたのか伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 市災害廃棄物処理計画においては、自然災害等で発生した廃棄物を迅速に処理するため、発災後、関係団体等と協議し3日以内に仮置場を設置することを目標としています。 また、災害廃棄物等の分別や排出方法、仮置場の利用方法などについて、ホームページ等により直ちに広報することとしています。
◆3番(山守章二君) 今回の仮置場設置決定搬入開始までは3日間を要しまして、特に内郷地区内に設置した内郷市民運動場の仮置場については、市災害廃棄物処理計画において候補地としても明示されておりませんでした。 そこで、2つ目として、市では今回の仮置場の設置について開設までの経過をどのように評価しているのか伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 9月8日に発生した台風第13号の際には、8日の午前中に大雨による災害廃棄物処理を想定し、関係団体に対して、迅速な初動対応に向け準備するよう電話で要請を行いました。 災害の状況を踏まえ、9日午後には関係団体と協議を行い、仮置場及び臨時集積所の設置を決定しました。 市民運動場を活用した仮置場の設置に当たっては、鉄板の敷設作業や現地従事者の確保などが必要でしたが、関係団体などの尽力により1日半で準備を行い、発災後3日目の朝から災害廃棄物の受入れを開始しました。 このことは、市災害廃棄物処理計画の目標どおりに開設ができたものと考えています。
◆3番(山守章二君) 仮置場開設までの2日間に区長さんたちや被災者から災害廃棄物を早く搬出したいとの問合せが私のところにも数多くありました。私は、市災害廃棄物処理計画にも記載されているとおり、市の許可を得ながら被災地近くの公園や児童遊園等の公有地を臨時集積所として利用してもらうように対応いたしました。 しかしながら、それだけでは間に合わず、被災地近くの空き地なども区長さんたちが地権者の許可を得ながら臨時集積所に活用したのが現状です。 そこで、3つ目として、発災後、少しでも早く災害廃棄物を搬出したい方のために、公園等を活用し災害翌日から災害廃棄物の受入れ場所を市がしっかりと確保すべきと考えますが、市の所見を伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 市民運動場を活用した仮置場の設置については、準備期間に2日程度が必要となります。 一方、被災された方がいち早く復旧作業を行うためには、災害翌日から災害廃棄物の受入れが必要であります。 そのため、仮置場が設置されるまでの間、災害廃棄物の一時的な受入れ場所として、準備に時間を要さない公共施設の駐車場や被災場所に近い公園等の活用を検討していきます。
◆3番(山守章二君) 今回の台風では、車が水没してしまったお宅が数多くあったり、高齢者宅では、人手不足で災害廃棄物を搬出するのが困難な状況が数多く見受けられました。 被災者は1日でも早く元どおりの生活を取り戻したいと思うのが心情であり、より近い場所に臨時集積所があることにより、復旧や生活の再建が進んでいきます。 そこで、4つ目として、今回の災害を踏まえ、災害翌日から災害廃棄物の受入れなどを市災害廃棄物処理計画等に明確に位置づける必要があると考えますが、市の所見を伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 一時的な受入れ場所としての公園等の活用については、地元地区の事前の理解と協力や受入れに係る人員体制の確保などが必要となります。 そのため関係団体等と協議を行い、また、今回の災害対応に係る改善点を検討しながら、仮置場が設置されるまでの間の災害廃棄物の一時的な受入れ対応などを盛り込んだ、市災害廃棄物処理計画等の改訂作業を進めていきます。
◆3番(山守章二君) 5つ目として、発災直後、災害廃棄物をスムーズに搬出できるよう日頃からの周知が大事でありますが、どのように周知を図っていくのか伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 災害廃棄物の搬出方法については、家庭ごみの分け方出し方ハンドブックに内容を記載し、本庁舎及び各支所等での窓口配布や市ホームページに掲載し周知を行っています。 今回の災害を踏まえ、ごみカレンダーを活用しさらなる周知を図ることとしました。 また、災害廃棄物の搬出方法などを詳細に、理解していただくため、出前講座や自主防災組織等を対象とした研修などを実施していきます。
◆3番(山守章二君) しっかりとした周知をお願いしたいと思います。 3点目は、市管理公共土木施設の災害復旧についてです。 このたびの台風に関しては、公共土木施設についても甚大な被害を受けており、特に道路と河川においては、合計390か所が被害を受け、その被害額は市管理施設だけでも約11億円と伺っております。これら市民生活に密着した市道や河川、排水路については、早急に元どおりの状態に戻し、機能を回復することが必要であるものと考えます。 そこで、本市が管理している河川及び道路等の早期復旧について以下伺います。 まず、1つ目として、台風第13号により堆積した河川の土砂等の撤去はいつ頃になるのか伺います。
◎土木部長(草野光平君) 市が管理する河川及び排水路については、31か所において土砂や流木の堆積を確認しています。 そのうち、早期に対応可能な13か所は、11月末までに撤去が完了しています。 残る18か所についても、今年度内の撤去完了を目指し、鋭意進めています。
◆3番(山守章二君) 次に、2つ目として、被災した河川の復旧時期について伺います。
◎土木部長(草野光平君) 市が管理する準用河川及び普通河川については、護岸の洗堀や崩落などにより、29河川、51か所において被災しています。 そのうち、被害規模の大きい28か所を、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく災害復旧事業、いわゆる公共災事業として実施し、それ以外の23か所を、単独災害復旧事業、いわゆる単災事業として実施しています。 このうち、公共災分については、10月末に、復旧の方法や範囲について、国の担当者の確認を受け、現在、詳細設計を進めています。 今後は、来年1月末に、再度、国の担当者の査定を受け、設計内容と復旧額を確定し、速やかに発注手続を進め、来年度中の復旧完了を目指します。 単災分については、11月末時点で1か所の復旧を完了しており、残る22か所についても、来年1月中の完了を目指します。
◆3番(山守章二君) 次に、3つ目として、被災した道路の復旧時期について伺います。
◎土木部長(草野光平君) 市道については、路肩の崩落や、橋梁の流出、道路上のり面の崩落による土砂堆積などにより、市内209路線、308か所において被災しています。 そのうち道路上に土砂が堆積した121か所については、現在までに9割以上の箇所の土砂撤去を実施しており、引き続き早期の撤去に努めます。 残る187か所のうち、16か所を公共災として、171か所を単災として復旧することとしています。 公共災分については、河川の復旧と同様に事務手続を進めており、令和6年度内の完了を目指します。 また、単災分については、現在、発注手続を進めており、順次工事に着手し、年度内の完了を目指します。
◆3番(山守章二君) 4つ目として、今後の県との連携について伺います。
◎土木部長(草野光平君) 今後の大雨による被害を防止・軽減するためのハード・ソフト対策の一体かつ多層的な取組である流域治水の推進が不可欠と考えています。 現在、県では、二級河川の復旧を進めるとともに、新川及び宮川の氾濫要因等の分析を進めています。 今後、これらの分析結果を基に、国・県・市や学識経験者による治水対策の検討を進め、地域住民等との協働により、各施策を進めることとしています。 市といたしましては、県をはじめとしたあらゆる関係者の皆様と連携しながら、引き続き、流域治水を推進します。
○議長(大峯英之君) ここで、午後1時20分まで休憩いたします。 午後0時21分 休憩
--------------------------------------- 午後1時20分 再開
△佐藤和良君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。35番佐藤和良君。 〔35番佐藤和良君第二演壇に登壇〕
◆35番(佐藤和良君) (拍手)35番いわき市議会創世会の佐藤和良です。 台風13号の影響による県内初の線状降水帯の発生により、1時間に100ミリを超える豪雨が本市を襲い、死者1名、負傷者5名、住家被害1,783棟、公共施設被害1,142か所、被害総額約49億4,387万円という甚大な被害をもたらしました。 お亡くなりになられた方に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 以下、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな第1点、命を守る、災害に強いまちづくりについてです。 1点目は、台風第13号を踏まえた災害に強いまちづくりについてです。 まず、台風第13号被害について、今次水害の検証すべき課題として、県内初の最高レベルの避難情報、緊急安全確保の発令による住民避難と安全確保、令和元年東日本台風でも氾濫した宮川の治水対策、川沿いにある避難所指定の内郷二中体育館の浸水被害とハザードマップの問題などが指摘されています。災害死ゼロを目指す市長は、ハード・ソフトの両面でどのように総括しているのかお尋ねいたします。
◎市長(内田広之君) 現在、今般の台風第13号による災害について、東北大学災害科学国際研究所、福島工業高等専門学校の検証チームをはじめ、県とも協力しながら検証を進めているところです。 また、庁内においても、今回の災害での災対各部、各地区本部の対応や課題等について、集約や整理を行うよう指示いたしました。 これらの検証等を進める中で、御指摘のあった、内郷二中体育館の浸水被害やハザードマップの問題なども含めまして、地形や気象条件など災害発生の要因、市民の避難行動や防災意識、避難所や避難の実態、災害対策本部及び地区対策本部の対応など、様々な観点から課題等を取りまとめていきます。 それらの結果を基に、今後の災害対策の在り方を総合的に判断し、ハード・ソフト両面から必要な対策を着実に進め、逃げ遅れゼロ・災害死ゼロの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。
◆35番(佐藤和良君) 次に、今後の防災体制について、誰も取り残さない防災体制を目指す市長としては、本件を教訓に今後、どのようにハード・ソフト両面の体制づくりを進めるのかお尋ねいたします。
◎市長(内田広之君) 今回の災害を教訓といたしまして、逃げ遅れゼロ・災害死ゼロを実現していくため、現在進めている災害検証の結果等を踏まえまして、今後、ハード・ソフト両面から必要な対策を進めていきます。 その取組に当たりましては、東北大学国際科学研究所などの研究機関、国・県をはじめとする行政機関の知見と、行政区や自主防災組織などの地元関係団体等とも連携し、取組に応じた体制を構築し、できるところからスピード感を持って進めていく考えです。 特に、ソフト面での取組は、地域防災力を高めるための防災教育や防災意識の啓発等について、自主防災組織や登録防災士など、地域の防災関係者との連携の下、速やかに進めていく考えです。 ハード面の取組につきましては、市が独自に行っている排水路の整備などについて、計画を前倒しし、迅速な整備を図っていきます。 一方で、県が所管する河川改修や大規模な貯留施設等の整備につきましては、整備計画の策定期間や地域との合意形成など、時間を要することも想定されます。 市といたしましては、県や事業者等と連携しながら、災害に強いまちづくりの実現に向けて、着実に取組を進めていきます。
◆35番(佐藤和良君) 市長から今、ハード・ソフト両面の総括と今後の体制づくりについてお話いただきました。その点で、市長としてのポイントといいますか、体制づくりについてのスケジュール感といいますか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
◎市長(内田広之君) 体制づくりに関しましては、今までも十分進めてきていまして、私が市長になってからも、罹災証明とか
ボランティアセンターとか災害廃棄物について、やはり令和台風の対応が遅かったということがありましたので、迅速に対応できるように総合防災訓練などを通じまして、3日後とか5日後の初動体制を組織的にやっていくという訓練は行い、また、所掌分担もしっかりしております。その上で、今後ハード・ソフトに関しまして、東北大などの研究、検証の結果を踏まえながら、やはり反省すべき点多々あろうかと思いますので、新たな業務も出てくると思いますので、そういった結果も踏まえながら速やかに対応していきたいなとは思ってはおりますけれども、検証結果、中間報告が今月末、そして年度末までに最終報告ですので、それら中間報告、最終報告も踏まえながら、次の大雨が来る時期にはしっかり対応できるように準備していきたいと思っております。
◆35番(佐藤和良君) ひとつよろしくお願いしたいと思います。 次に、流域治水プロジェクトについて、台風第13号被害を踏まえた、流域治水プロジェクトにおける河川改良事業及び河川等堆積土砂撤去事業などの事業の前倒しや新たな事業化などプロジェクト自体の見直しを行い、宮川など氾濫9河川や矢田川など中小河川の堆砂除去、樹木伐採なども含めた、計画的な事業推進を図るべきではないかお尋ねいたします。
◎土木部長(草野光平君) 流域治水プロジェクトに位置づけられている河川改良や堆積土砂の撤去のうち、台風第13号の被災を踏まえ、新川及び宮川において、堆積した土砂の撤去を前倒しして進めています。 今後は、県と市が進めている新川と宮川の氾濫要因の分析等の結果を踏まえ、ハード・ソフトの一体かつ多層的な検討を進め、新たな対策の位置づけなど適切な時期に流域プロジェクトを見直し、計画的な事業推進に取り組みます。 また、他の河川も含め新たに必要となる対策については、国や県に対し、各河川改良促進期成同盟会等と連携しながら、継続的かつ安定的な予算の確保に向けた要望活動にも取り組みます。
◆35番(佐藤和良君) 次に、内水氾濫対策についてです。いわき市雨水管理総合計画の雨水管渠整備、ポンプ施設整備、雨水貯留施設等の整備など施設の能力増強や貯留施設等の事業に関して、台風第13号被害を踏まえて見直し、事業を強化すべきではないかお尋ねいたします。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 本市における雨水対策については、市雨水管理総合計画に位置づけた計画降雨に基づき国の補助金を活用し実施しております。 現在の計画降雨を超える能力の施設整備は国の補助対象とならないことから、難しいものと考えています。 また、計画降雨の引上げは1排水区の事業規模が拡大し、限られた財源の中では、全体的な事業進捗に大きく影響を及ぼすことになります。 このことから、国からの財源確保に十分努めながら、現在の計画を着実に進め浸水対策の軽減を図っていきます。 一方、台風第13号による浸水被害状況等を踏まえた、事業箇所や実施時期等の見直しについては、事業の進捗等を考慮し、検討していきます。
◆35番(佐藤和良君) 今、財源の関係もありますということでありましたが、この台風第13号の被害による見直しについては、暫時重点的なことも踏まえて進めていっていただきたいなと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。 2点目は、常磐地区市街地再生整備事業に伴う災害リスクの回避と防止策についてです。 常磐地区市街地再生整備基本計画に基づき、新・いわき湯本温泉まちづくりビジョンブックでは、3つの日帰り温浴施設の1つとして、みゆき山露天の湯が計画され、整備に当たっては作業用の搬入路の造成や高台に温浴施設や芝生広場、公衆トイレが想定されていますが、予定地は天王崎地区急傾斜地等崩壊危険区域や土砂災害警戒区域に指定されています。 また、湯本駅前は、駅前広場・交流拠点エリアとされ、駅前交流拠点施設に支所や図書館などが移転予定ですが、令和元年東日本台風そして今次の台風第13号でも冠水した区域でもあります。 これらについて、住民から不安の声が聞かれます。 まず、御幸山公園の整備について、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律では、第7条に行為の制限があり、急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造、のり切、切土、掘削又は盛土などは知事の許可を受けるものとし、第9条で管理者等に土地の保全等を求めており、福島県建築基準法施行条例第5条がけ条項も含め、本市は法令を遵守し、作業用の搬入路造成工事や温浴施設工事における安全の確保、搬入路造成や温浴施設整備による災害リスクの回避など災害防止対策をどう進めているのかお尋ねします。
◎都市建設部長(永井吉明君) 御幸山公園の整備については、現在、町並み全体の空間デザインと併せまして概略設計を進めております。 概略設計においては、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律等の規制や条件の整理、確認を行っております。 今後は、詳細設計に向けまして、随時、関係機関と協議を行いながら、斜面の崩壊対策等を盛り込んだ安全の確保と、新たな町並みの景観に調和した公園整備について検討を進めます。
◆35番(佐藤和良君) 周辺の住民の皆さんの心配は、温浴施設を御幸山公園の中腹辺りに造成、整備するとなれば、搬入路を設置することになるだろうと、それによる様々なリスクが生じるのではないかという不安があるようなんです。ですから、その辺についてやはり丁寧に説明をして、今、関係機関と協議していると思いますので、そういう点では、法の遵守も含めてきちんとした対応を要望したいと思います。 次に、湯本駅前の冠水区域について、湯本駅前は、令和元年東日本台風、そして台風第13号でも冠水常習区域であり、かさ上げ造成すれば地形改変により周辺区域の浸水リスクも高まると、周辺住民に不安の声があり、公共施設移転の合理性を問う声もありますが、災害リスクを回避する災害防止対策はどう進めるのかお尋ねいたします。
◎都市建設部長(永井吉明君) 湯本駅前におきましては、低未利用地の集約・再編による交流拠点施設等の誘導や基盤整備による地区の環境改善を図るため、土地区画整理事業を実施することとしております。 現在、事業実施に先立ちまして、道路・駅前広場等の公共施設や宅地造成に係る基本設計を進めております。 設計において、浸水リスクの軽減に向けた対策を講ずることは、極めて重要な視点でございます。 このため、既存の宅地の高さや排水系統など、現地の詳細な調査を行い、被害の実態や周辺への影響を踏まえながら、雨水排水施設の検討を進めていきます。 また、隣接する主要地方道常磐勿来線については、現在、県において道路改良に伴う基本設計を進めていることから、冠水対策についても現地の調査結果等を踏まえ協議する予定としております。 今後におきましても、地域住民の皆様はもとより、県をはじめとした関係機関と緊密な連携を図りながら、本事業を推進していきます。
◆35番(佐藤和良君) 今次台風第13号でも、ちょうどやはり駅前の、県道から駅前に行くあそこの周辺の冠水は結構相当なものがあったということで、それぞれの事業者の方からもお話を承っておりますので、ぜひともその辺の解決、そしてまた造成による改変でそこにまた集水するような状況にならないように、ぜひとも対策に万全を期してもらいたいと要望したいと思います。 次に、常磐地区市街地再生整備事業に伴う災害リスクの回避と防止策に関する住民の合意形成について、改めて災害リスクの回避と防止策などを地権者はじめ、周辺住民に説明・協議する開かれた場を設け、合意形成を図るべきではないかお尋ねします。
◎都市建設部長(永井吉明君) 常磐地区の市街地再生に向けましては、昨年10月に基本計画を策定し、具体的な9つの取組を示しました。 まちづくりは、行政と地域、民間企業等が情報を共有し、各主体が連携・連動しながら進めていくことが肝要です。 そのため、今後は、定期的に広く情報を発信し、対話ができるような場を設けながら、まちづくりを推進することとしています。 各事業における災害リスクの回避と防止策の考え方などについても、事業の進捗に合わせ、地権者をはじめ周辺住民の方々に対して、説明会を開催するなど、丁寧に説明を行い、合意形成に努めていきます。
◆35番(佐藤和良君) 今ほど部長からありましたように、丁寧に説明会などを適宜開いていただいて、まず今次水害に伴う対策についてはこのようにしたいということも含めて説明していただいて、合意形成を図っていただきたいと思います。 今後も、この気候危機による自然災害が想定されるために、災害対策に市民の声を的確に反映するように要望しまして、次に移りたいと思います。 大きな第2点、水産業の復興・再生についてです。 1点目は、本市の水産業の現状について。 本市の水産業は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で大打撃を受け、これまで漁船・施設等の復旧、沿岸漁業の試験操業、生産・流通体制の再構築、放射性物質の自主検査体制の構築などに取り組み、現在は本格操業へ向けて移行中です。 まず、本市の漁業就業者は、震災前の平成22年と直近ではどう変化しているのかお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 国勢調査に基づく本市の漁業就業者数について申し上げます。 震災前の平成22年10月1日現在では604人、令和2年10月1日時点では388人で、216人の減となっています。
◆35番(佐藤和良君) 大変厳しくなってきていると思います。次に、本市の漁協別漁船隻数は、震災前の平成22年と直近でどう変化しているのかお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 福島県の調査に基づく本市の漁協別漁船隻数について申し上げます。 沿岸漁業を担ういわき市漁業協同組合では、震災前の平成22年が380隻、令和3年が216隻で164隻の減となっています。 また、主に沖合漁業を担う小名浜機船底曳網漁業協同組合、中之作漁業協同組合など5団体の漁船隻数は、平成22年が67隻、令和3年が59隻で8隻の減となっています。
◆35番(佐藤和良君) 次に、沿岸漁業・沖合漁業別水揚げ、主要魚種別水揚げ、回船別水揚げなど、本市の水揚げ状況は、震災前の平成22年と直近でどう変化しているのかお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本市の水揚げ状況について申し上げます。 沿岸漁業につきましては、平成22年の水揚げ量5,252トンに対し、令和4年は1,085トンで79%の減となっています。同様に水揚げ金額は、20億592万円に対し、6億9,870万円で65%の減となっています。 沖合漁業につきましては、平成22年の水揚げ量1万4,871トンに対し、令和4年は6,788トンで54%の減。同様に水揚げ金額は、23億9,704万円に対し、6億8,277万円で72%の減となっています。 次に、主要魚種別の水揚げ状況についてですが、カツオ類は、平成22年の水揚げ量5,230トンに対し、令和4年は575トンで89%の減。同様に水揚げ金額は、15億5,687万円に対し、1億5,867万円で89%の減となっています。 サバ類につきましては、平成22年の水揚げ量2,245トンに対し、令和4年は1,512トンで33%の減。同様に水揚げ金額は、1億969万円に対し、1億9,074万円でこちらは74%の増となっています。 サンマにつきましては、平成22年の水揚げ量5,001トンに対し、令和4年は108トンで98%の減。同様に水揚げ金額は、4億5,977万円に対し、6,809万円で85%の減となっています。
◆35番(佐藤和良君) やはり震災前、原発事故前に復するというのは厳しい状況であると思います。そんな中でまた、本市の水産加工業協同組合数は、震災前の平成22年と直近ではどう変化しているのかお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本市の直近における水産加工業協同組合数につきましては、震災前と変わらず、小名浜・中之作・四倉の3組合となっています。
◆35番(佐藤和良君) 今ずっと現状をお聞きしましたが、申し上げましたように、やはり震災と原発事故の打撃というのは依然として深く刻み込まれているのではないかと思います。こうした現状の中で、本市としては水産業振興プランをつくって取組をしているところであります。 2点目としては、第三期のいわき市水産業振興プランの取組についてです。 本プランの計画期間は、令和4年度から令和7年度であり、本市の水産業の振興に向け各施策の達成状況を把握する数値目標を設定しています。 その点で、まず、第三期いわき市水産業振興プランの数値目標について、水揚げ量や沿岸漁業の新規就業者数など10の指標の数値目標の令和4年度の中間達成状況はどうなっているのかお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 令和7年度までの達成を目指す数値目標10指標のうち、現時点で達成が見込まれる指標は、常磐ものサイトアクセス件数、さかなの日協力店参加事業者数、常磐もの認知度の3指標となっています。 一方、現時点で達成が不透明な指標は、沿岸漁業・沖合漁業の水揚げ量及び水揚げ金額、中央卸売市場の水産物取扱金額における福島県の割合等の7指標となっています。
◆35番(佐藤和良君) 次に、重点施策の水産業担い手の確保・育成について、将来的な水産業後継者の確保・育成に関する本市の取組はどうかお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本市では、水産業担い手の確保・育成のため、市内高校生等を対象として、海の魅力!いわき浜っ子総合学園事業を実施しています。 昨年度は、漁業に関心を持つ就業希望者を育成することを目的として、漁業体験などを通して漁業に関する知識や技術を学ぶおためし漁業体験を実施しました。 今年度におきましても、引き続き水産業担い手の確保・育成のため、関係機関・団体と連携しながら事業を実施していきます。
◆35番(佐藤和良君) 次に、重点施策ブランド力の向上・名産品の磨き上げについてです。 東日本大震災前の2010年の水揚げ量1.6トン程度が、2021年でおおよそ6トンと3倍以上増え、また、磐城イセエビ贅沢姿蒸しの商品開発もあり、常磐ものの新名物として脚光を浴びるイセエビも含めて、ヒラメ等本市の名産品の磨き上げ・ブランド力向上に向けた取組についてお尋ねします。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 地域ブランドである常磐ものを消費者の視点から磨き上げることを目的に、令和3年度に、市内の水産事業者からなるいわき常磐もの産地化研究会を立ち上げました。 この研究会の中で、メヒカリに次ぐ最重要魚種として、ヒラメ、イセエビ、カレイ、アナゴなどが候補となりましたが、去る7月に開催した研究会においては、年間の水揚げ量がより安定している等の理由から、ヒラメが新たな名産となる最重要魚種に決定されました。 今後も引き続き、地域ブランドの磨き上げ、ブランド力の向上を目指し、最重要魚種をはじめ、イセエビも含めた常磐ものの情報発信等に努めていきます。
◆35番(佐藤和良君) 震災と原発事故の前と比べて、水揚げ量が2割、水揚げ金額が4割というようにまだとどまっているというのが、本市の水産業の現状ではないかと思います。そういう中で、漁獲量拡大に向けて今頑張っている矢先にALPS処理汚染水の海洋放出が強行されました。我々市民の宝である豊かな潮目の海を守って、本市水産業の復興・再生を目指す施策の充実を要望しまして、次の質問に移ります。 大きな第3点は、命を守る、原子力災害対策についてです。 1点目は、ALPS処理汚染水の海洋放出に伴う本市独自の海域モニタリング等についてです。 本議会6月定例会は、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないという国と東京電力の県漁連等に対する文書約束の履行を求め国に意見書を、東京電力に決議を提出しました。しかし、国は、8月22日関係閣僚等会議で海洋放出を決定し、本市や本議会への事前説明もないまま、8月24日海洋放出を実施しました。誠に遺憾極まりないものでございます。 市長は、海洋放出の決定について、大変遺憾、市として受け入れ難いとして、市独自に検査体制をつくり、トリチウムの検査を行うことを表明しました。 そこで、まず、本市独自の海域モニタリング実施体制について、放出されている核種はトリチウムだけではないため、最低限、測定方法が安定的に確立されているセシウム134、セシウム137、ストロンチウム90を含めたモニタリングを実施すべきではないかお尋ねいたします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) ALPS処理水とは、多核種除去設備でトリチウム以外の放射性物質を、国の規制基準を満たすまで浄化処理した水のことです。 東京電力においては、ALPS処理水海洋放出前に、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90などトリチウム以外の放射線物質が、国の規制基準を満たしていることを確認しています。 さらには、海洋放出するトリチウムの濃度について、国が定める1,500ベクレルパーリットルを満たすよう、大量の海水で希釈しております。第1回放出を例に取りますと、14万ベクレルパーリットルのトリチウム濃度のALPS処理水を、740倍の海水で希釈し、約190ベクレルパーリットルのトリチウム濃度としております。これに伴いトリチウム以外の放射性物質の濃度についても、規制基準である告示濃度限度比総和の1に対し、希釈前の0.25から希釈後は0.00034と、さらに低くなっております。 また、ALPS処理水海洋放出が、国内外の注目を集めた理由の1つは、ALPSで浄化処理できない放射性物質であるトリチウムを環境中に放出することとなったためと考えております。 このことから、市の海域モニタリングは、トリチウムのみを対象としております。
◆35番(佐藤和良君) それは国・東京電力が言っている中身ですけれども、やはりそれでは告示濃度限度比を1にするということは、薄めれば1になるということになるわけで、そういう意味では実際に核種がどれだけ入っているかということについて、精緻に測定・分析されているわけではないんです、実は。ですからそういう点で、国と東京電力の言っていることだけをうのみにしないで独自に海域モニタリングをするというのが市長の恐らく趣旨だと思うんです。だからそういう意味では、トリチウムだけではなくて測定できるものは測定する、検出限界値であればそれはそれでいいわけですから、そういうことが必要なんだろうと思います。 次に、海水のサンプリングについて、海面の表層サンプリングだけ実施しますが、海水のサンプリングは、1地点につき、海面の表層と採水機を使う海底付近の下層の縦2か所のサンプリングが肝要であり、検査の実効性を高めるため改善すべきではないかお尋ねします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 海水のサンプリングについては、ALPS処理水の海洋放出に合わせ、市内でモニタリングを実施していない、人の暮らしに近い場所を選定し、四倉漁港、江名港、小浜漁港において市独自に実施しております。 この海水のサンプリング方法については、国のモニタリング調整会議で策定している総合モニタリング計画に基づき実施しております。 なお、国・県及び東京電力もこの計画により実施しているところです。 議員おただしの、海面の表層と、海底付近の下層の縦2か所のサンプリングを行う方法は、この計画におけるトリチウムの測定では、福島第一原子力発電所近傍海域及び原発から約10キロから30キロの沿岸海域の一部で実施することとなっております。それ以外の測定地点においては、表層のみの測定となっております。 このことから、市が実施しているモニタリングは、総合モニタリング計画に基づく、表層のサンプリングのみとしております。
◆35番(佐藤和良君) 次に、トリチウムの検出下限値について、目標値は1リッター当たり10ベクレルですが、国が定める公定法で測定を実施した場合、トリチウムは1リッター当たり0.02ベクレルから0.4ベクレル程度まで測定値を下げることが可能です。本市の調査は年4回実施であり、委託先のJAEAは公定法で実施できることから、時間をかけて測定結果を出し、データの信頼性を高め、市民の安全と安心を確保すべきではないかお尋ねします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 市の海域モニタリング実施に当たっては、結果の速報性を考慮し、国や東京電力の迅速分析における検出下限値と同じ10ベクレルパーリットルを目標値に設定しております。 なお、議員おただしのとおり、時間をかけて測定すれば、国や東京電力が詳細分析の検出下限値に設定している0.1ベクレルパーリットル程度まで下げることも可能です。 しかしながら、東京電力が国際原子力機関、IAEAや国際放射線防護委員会、ICRPの基準等に基づき実施したALPS処理水海洋放出に係る放射線環境影響評価において、国が定める1,500ベクレルパーリットルの濃度のトリチウムを、年間を通して放出した場合でも、人への影響は最大で年間0.00003ミリシーベルトにとどまり、ICRP勧告に基づく公衆の年間被曝線量限度である1ミリシーベルトと比較して約3万分の1と大幅に低い値となっております。 この結果については、本年7月に公表されたIAEAの包括報告書において、国際安全基準に沿って放射線影響評価を実施している、人及び環境に対し無視できるほどの放射線影響となる、と評価しております。 このことから、検出下限値の目標値を10ベクレルパーリットルと設定しても、市民の皆様の安全と安心を確保できるものと考えております。
◆35番(佐藤和良君) 答弁は簡潔にお願いいたします。その上で、いわゆる迅速分析・迅速測定でやるんだったらそれでいいんですけれど、せっかく年4回しかやらないわけですから、公定法でやって数値をもっと精度を高めたほうがいいでしょうと言っているわけですよ。そのほうが、せっかくいわき市が独自にやる意味があるのではないですかと、市長どうですか。
◎市長(内田広之君) 簡潔に申し上げます。今部長が答弁申し上げたとおりでございまして、国際基準、そして国の基準と照らし合わせても何ら問題がないという状況でございますし、実際放出後も影響は出ていないということでございますので、今のような方法を取らせてもらっております。
◆35番(佐藤和良君) それはちょっと、せっかく市長が独自にやると言ったのにもったいないなと思っているんですよ。これはせっかくいわき市が独自にやると言っているんだから、何もJAEAに頼むんですから公定法でやればもっと精緻に出るわけですから、そのほうが内田市長はやはりいわき市民のことを考えてくれているんだなという評価も高まろうかと思うところです。押していますのでちょっと前に行きます。 次に、魚類・海藻類の分析実施の基準について、本市は海水分析において、平時より高い値、1リッター当たり20ベクレルが検出された場合に魚類・海藻類の分析実施としていますが、福島県放射線監視室の令和4年モニタリング結果の概要報告によると、いわき市沿岸海域で小名浜港沖から1リッター当たり0.53ベクレルが検出され、検出下限値は1リッター当たり0.38ベクレルから0.4ベクレルであった。この本市の1リッター当たり20ベクレル検出の場合にというのでは、数値が高過ぎるため、基準を見直して、県の令和4年データを基準として、魚類・海藻類の分析を実施すべきではないかお尋ねします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 魚類・海藻類の分析実施の基準として設定しました、海水で20ベクレルパーリットルが検出された場合につきましては、東京電力が運用上、放出停止を判断する値に達する前段階として、設備・運転状況の異常の有無や放出手順等に問題がないか確認を行うための指標として、発電所から10キロメートル四方の地点において設定している値、及び近年における日本全国の原子力発電所の前面海域におけるトリチウム濃度の最大値が、20ベクレルパーリットルであることを踏まえ設定したものです。 先ほども申し上げましたが、国が定める1,500ベクレルパーリットルの濃度のトリチウムを、年間を通して放出した場合でも、人への影響は最大で年間0.00003ミリシーベルトにとどまりまして、公衆の年間被曝線量の限度である1ミリシーベルトと比較して約3万分の1と大幅に低い値となっております。 このことから、20ベクレルパーリットルという値が高過ぎることはないと考えています。
◆35番(佐藤和良君) 次に、国と東京電力への要望についてです。放出強行後も福島県漁連は反対の立場を堅持しております。30年以上の海洋放出に対して、本市は、漁業者の生きがいを守り安心して漁業を継続できるよう、国と東京電力において、速やかな損害賠償はもとより、改めて海洋放出を中止し、地下水の止水対策の実施や、モルタル固化などの代替案の検討などを、国と東京電力に求めるべきではないかお尋ねします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) ALPS処理水の処分につきましては、科学的に安全であること、漁業者をはじめ市民の皆様が風評の被害とならないことはもとより、今後数十年に及ぶ廃炉作業も含め、被災地の復興と両立の下、安全かつ着実に実施されることが重要であると考えております。 本年7月に公表されたIAEAの包括報告書の中では、ALPS処理水の海洋放出について、国際的な安全基準を満たしている、人体や環境への影響は低いと評価されています。 また、8月24日の放出開始以降、これまで3回放出が行われた中で、国・県、東京電力さらには市が実施する海域モニタリングの結果においても、ほぼ検出下限値を下回っております。検出された値は、最大値でも放出口付近で14ベクレルパーリットルと、国が定める1,500ベクレルパーリットルと比較してはるかに低い値となっており、安全に稼働しているといえます。 なお、福島県漁連においては、処理水放出開始後も、反対の立場を堅持しておりますが、数十年後に処理が終わって、初めて我々の放出反対が終われる、今後も緊張感を持って進めてほしいと発言するなど、処理水の海洋放出の完遂を注視していく姿勢を見せております。 一方、処理水の放出開始直後、本市においては、ふるさと納税の申込みが急増するなど、本市の漁業を支援する動きが広がるとともに、処理水放出前に懸念されていた、風評に伴う消費者による水産物等の買い控えは、現在のところ本市においては確認されておりません。 このような状況を踏まえ、市といたしましては、現在進められているALPS処理水の海洋放出に対し、中止や代替案を求めるのではなく、漁業者をはじめ市民の皆様が安心してなりわいが継続できるよう、市としてしっかり監視していきます。 なお、先月30日には、市長が福島第一原子力発電所を視察し、ALPS処理水の放出設備等についても、東京電力から説明を受けるとともに、確認してきたところです。 また、海域モニタリングの充実・強化を含む万全の安全対策や風評対策、国内外へのより一層の理解醸成活動の充実などについて、今月1日に東京電力に申入れを行いました。 今後も必要な事項を様々な機会を捉え、国及び東京電力に強く求めていきます。
◆35番(佐藤和良君) 結局、流してしまえばもう自分たちのものだという国と東京電力の考え方に対して、漁業者が今でも反対を堅持しているという意味について、もっと深く思いいたす必要があるのではないですかね。1リッター当たりトリチウムが14ベクレルというのは10月15日か25日かどちらかの数字だったと思う、15日の数字かな、数字だったと思うんですけれど、それにしたって放出前は1リッター当たり0.1ベクレル程度ですから、それだけで140倍でしょう。それは、基準の1リッター当たり1,500ベクレルよりはるかに低いからいいんだというのは違うと思うんですよ。流されていなければ0.1ベクレルだったのが14ベクレルになって、1,500ベクレルよりはるかに低いからいいんだという議論では、やはり漁業者や市民の理解を得るのにはちょっと粗雑な答弁ではないかなと思います。繰り返しになるから再答弁は求めませんけれど、30年続く国の事業に対して、1回1回が事業だというように、これは県漁連会長も、1回1回緊張感を持って対応してほしいと言っているわけで、そのことをやはり忘れてはいけないと思うんです。それで、関心がだんだん薄れていくから関心を持ってほしいというように、また県漁連の会長が言っているんです。これはいわき市の水産業をなんとか復興・再生に持っていくためには大切なことですから、これからも安心して漁業が継続できるように、漁業者の不安を取り除くように本市としては国と東京電力に放出の中止と代替案の検討を求めるよう改めて申し上げ、さらにはせっかくやる海域モニタリングについて、もっと信頼性を高める努力をぜひしてほしいということを重ねて要望して、次に移ります。 2点目は、増設ALPSの配管洗浄作業での洗浄廃液による労働者被曝事故についてです。 10月25日に、福島第一原発で汚染水から放射性核種をこし取る他核種除去設備の1つである、増設ALPSの配管洗浄作業中に約1リッター当たり44億ベクレルの高濃度の洗浄廃液をかぶり、作業員の方が身体汚染する汚染水による被曝事故が発生しました。この洗浄作業は、配管内部にたまった炭酸塩スラリー、放射性汚泥ですね、これを硝酸で溶解させるもので、洗浄廃液を移送していた受入れタンクから仮設ホースが外れて、洗浄廃液が飛散して、身体汚染したものであります。 東京電力の情報は二転三転し、漏えい量は当初100ミリリッターと言っていたものが数リッターに変更されて、まだ確定されておりません。作業員の数も当初は1次請の企業5人と言っていたものが、11月15日には10人になり、結局、元請の東芝が4人で、2次請が1社で1人、3次請が3社で5人の作業員だったというように変えました。東京電力は、元請の東芝の設計担当者が弁の操作を間違えて、3次請の作業員の2人を高濃度の廃液で被曝させたということを1か月間隠していたわけです。 そこで、まず、この被曝事故について、原子力規制委員会の山中委員長は、今回の事案というのは東京電力の実施計画違反であると、アノラックを着てそういう溶液を扱うような場合には作業するという、計画違反であるというように述べております。原子炉等規制法に基づく実施計画違反事件であることも含めて、本市はどのように認識しているのかお尋ねいたします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 専門的な知見に基づき、中立公正な立場から独立して原子力安全規制に関する職務を担う、原子力規制委員会の山中委員長が、11月1日の記者会見の中で発言しているとおり、高濃度の放射性物質を含む溶液系を扱う作業では、タイベックスの上に、水溶液を浴びたとき防護性があるアノラックを着ることが定められていると発言がありました。 市といたしましても、山中委員長の発言と同じ考えであり、作業員の安全を確保する上でも、当然アノラックを着る必要があったと考えております。
◆35番(佐藤和良君) 国と東電の対応についてでありますが、この汚染水をかぶって身体汚染するという被曝事故は2013年にもあって、東電はその際も再発防止を誓っていましたが、今回、装備の不備、作業計画を不完全のまま危険業務を実施させています。 本市として、本件の被曝事故の原因の徹底究明と情報の公開、装備の不備・作業計画の不完全のまま危険業務に従事させないよう再発防止、身体汚染に関わる実施計画の遵守、労働者被曝事故の根絶などについて、汚染水処理はじめ現場で働く市民を守るために、国と東京電力に強く求めるべきではないかお尋ねします。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 市といたしましては、今回発生した作業員の身体汚染について原因を究明し、再発防止対策を講じることはもとより、本件以外の作業においても、労働事故の発生対策を再度徹底し、現場で働く作業員の安全管理に万全を期すよう、今月1日に東京電力に申し入れたところです。 今後におきましても、作業員の安全確保をはじめ、廃炉に向けた着実な安全対策等について、様々な機会を捉え、国及び東京電力に強く求めてまいります。
◆35番(佐藤和良君) この海洋放出でも30年以上続くわけで、その基本的な重要機器であるALPS他核種除去設備の維持補修でこういうことになってしまうのですから、やはりきちんとして、特に本市から働きに行っている作業員の方が大変多いんです。そういうことも含めて、現場の作業員を守るということでも、本市として粘り強く要請していただきたいと要望して、次に移ります。 大きな第4点は、いわき市政の課題についてです。 1点目は、マイナンバーカードとの一体化による健康保険証廃止の見直しについてです。 マイナンバーカードと健康保険証の一体化によって従来の健康保険証が来年秋までに廃止されます。 これに対しては、共同通信社の世論調査等々、様々な世論調査で大きな反対がある、特に共同通信社のものでは、延期や撤回を求める声が72.1%に上ると言われております。 まず、本市においてマイナンバーカードを保険証として利用する申込み数や申込み率、利用率などマイナ保険証の運用状況はどうかお尋ねいたします。
◎総務部長(小針正人君) 自治体ごとのマイナ保険証として利用登録した人数や利用率等につきましては、公表されてございません。 全国のマイナンバーカード保有者のうち保険証利用登録者の割合は、本年10月末現在で約78.5%となっております。本市も同等と仮定しますと、マイナンバーカード保有者である22万6,635人のうち約17万8,000人が保険証利用登録を行っているものと推定されます。 また、マイナンバーカードを保険証として利用するためのカードリーダー機器を導入している全国の医療機関や薬局において、マイナンバーカードが保険証として利用された割合を直近の本年9月分で申し上げますと、約4.5%となっております。
◆35番(佐藤和良君) 次に、マイナンバーカードを持たない等の被保険者にプッシュ型で交付する資格確認書について、本市の国保の事務手続はどのような準備状況かお尋ねします。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 資格確認書につきましては、当分の間、マイナ保険証を保有していない方全てに、申請によらず交付するとされています。 本市国民健康保険において、令和5年9月末時点でマイナ保険証を保有していない方は、被保険者総数5万6,601人のうち2万684人で36.5%となっています。 そのため、資格確認書の交付件数は、現行の被保険者証より減少する見込みです。 また、資格確認書の様式は現行の被保険者証と変わらず、有効期間は5年以内で保険者が設定できるとされています。 これらのことから、資格確認書の交付事務は、現行の被保険者証交付事務から大きく変更はなく、大幅な事務負担の増とはならないものと見込んでいます。 また、事務手続などの準備につきましては、国から詳細が示され次第、適切に対応してまいります。
◆35番(佐藤和良君) 次に、本市は、国民健康保険の保険者として、医療現場と医療を受ける患者の声に耳を傾け、国に対し従来の健康保険証の廃止を撤回し、併用できるよう求めるべきではないかお尋ねします。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 国では、現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭を大前提に取り組むとしています。 そのため、来年秋までに、データの総点検と修正作業、医療現場での一部負担金の取扱いなど窓口対応の円滑化、マイナンバーカードや資格確認書の取扱い環境の整備などの措置を完了させていくとしています。 市としましては、被保険者の皆様が安心して円滑に医療を受けられることが何よりも重要であると考えています。 このため、今後の国の取組の推移を注視し、国民の不安を払拭するための措置を適切に実施するよう全国市長会等を通して、国に要望してまいります。
◆35番(佐藤和良君) 2点目は、いわき花火大会に対する本市の対応についてです。 8月、いわきの真夏の夜を彩る第68回いわき花火大会が4年ぶりに本格開催されました。約1万発超が打ち上げられまして、70年近く、花火大会を継続してきた実行委員会、ボランティアの皆様に深く感謝したいと思います。 まず、本市有数の花火大会について、いわき市としては事業の内容・運営・財源などについてどのように把握しているのかお尋ねいたします。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) いわき花火大会は、長い歴史と伝統があり、市内外から多くの方々が訪れる本市の夏を代表するイベントであると認識しております。 音楽に合わせた創作花火や市民花火を実施するなど、広く来場者に親しまれる大会となっております。 その運営につきましては、多くのボランティアの方々により組織されたいわき花火大会実行委員会において行われております。 同実行委員会では、企画や広報、警備、チケットの販売や協賛金の募集活動等、多岐にわたる業務に取り組まれております。 これまでの長年の経験を生かされ、堅実に運営されているものと認識しております。 一方で、チケット販売収入や協賛金など不安定な財源の確保等に苦慮されていると聞き及んでおります。
◆35番(佐藤和良君) 次に、観覧者の交通手段についてです。 小名浜地区の公共交通はバス・タクシーのみで、今年も交通渋滞が午後3時頃から発生しておりますが、他の交通機関としては福島臨海鉄道がありまして、1972年に旅客運行を廃止したものの、1997年にお買物臨時団体列車、さらには、2004年、2005年に2回にわたって花火大会の特別列車アクアマリンライナーをJR泉駅と福島臨海の小名浜駅間で運行した実績がございます。観覧者の交通手段の確保に向けて、本市が、大会1日限定の旅客運行を働きかけてはどうかお尋ねいたします。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) いわき花火大会における渋滞の解消は、大きな課題であります。 来場者の交通手段として福島臨海鉄道を活用することにつきましては、渋滞解消の有効な手段の1つであると考えられます。 しかし、福島臨海鉄道の旅客運送については、駅舎やホームの整備、自動列車停止装置や信号機など保安装置の設置及び旅客車両の導入など多大な費用負担が伴うことが想定されるため困難であると聞き及んでおります。 このようなことを踏まえまして、渋滞の解消に向けて、花火大会実行委員会や関係機関の皆様と、様々な可能性について、協議してまいります。
◆35番(佐藤和良君) 花火大会に対する本市の補助金の現在の割合は幾らかお尋ねいたします。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 令和5年度決算見込みにおけるいわき花火大会のみの事業費に対する補助割合は約15%となっております。
◆35番(佐藤和良君) 本市としては、今後の事業費の補助率の拡充については、どう対応するのかお尋ねいたします。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) いわき花火大会は、市外からも多くの方々が訪れる本市の夏を代表するイベントと捉えております。 当該大会に対する補助につきましては、現在、令和6年度当初予算の査定も終了していないため、現時点での答弁は控えさせていただきます。
◆35番(佐藤和良君) ちょっと最後が詰まってしまいましたけれども、いわき花火大会の持続的発展に向けて本市のさらなる支援強化を要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後2時40分まで休憩いたします。 午後2時20分 休憩
--------------------------------------- 午後2時40分 再開
△小野邦弘君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。31番小野邦弘君。 〔31番小野邦弘君第二演壇に登壇〕
◆31番(小野邦弘君) (拍手)31番いわき市議会一誠会の小野邦弘です。 それでは、質問に入る前に、毎回恒例にしております、スポーツのお話をさせていただきます。 今夏開催されたFIFA女子ワールドカップ2023はスペインの優勝で幕を閉じました。 なでしこジャパンは、スウェーデンに敗れ、ベスト8にとどまりましたが、宮澤ひなた選手が5得点を上げ、大会得点王となりました。 また、今大会には、本市出身の千葉玲海菜選手が初選出され、初戦ザンビア戦のアディショナルタイムに出場してワールドカップ初出場を果たしました。試合当日は、自転車文化発信拠点ノレル?でパブリックビューイングが実施され、千葉選手が小・中学生時代に所属したサッカーチームの子供たち約100人が観戦しました。千葉選手が登場すると大きな歓声が上がり、得点には至らなかったものの、多くの後輩たちに夢と希望を与えたと思います。 帰国後の8月16日は、内田市長を表敬訪問し、試合結果等を報告、サイン入りユニフォームを贈呈するとともに、パリオリンピックで選ばれるよう、リーグ戦で活躍したいとの意欲が伝えられました。 その後、9月に開催された第19回アジア競技大会女子サッカー2023にも出場し、7得点を上げるなど、2大会連続3度目の優勝に大きく貢献しました。 千葉選手の活躍により、本市の女子サッカーの底上げにもつながると思いますので、パリオリンピックへの出場に向け、今後のさらなる活躍を期待したいと思います。 以下、通告順に従い、質問させていただきます。 先ほどのサッカーの話題に関連して、大きな質問の1番目は、全国高等学校総合体育大会男子サッカー競技の開催についてであります。 さて、高校サッカーに目を向けますと、本年度のインターハイが、北海道旭川市で開催されましたが、来年からは、いよいよ本県での固定開催となります。開催まで8か月という状況であり、この短い期間で様々な準備を整える必要があると感じております。 私はこれまでの議会においても、高校サッカーインターハイのもたらす、交流人口の拡大などの効果と、本市の魅力を最大限にアピールできる絶好の機会と捉えて、質問をさせていただき、その都度心強い答弁をいただいてまいりました。 今回は、昨年度の質問以降の進捗状況について、以下、伺ってまいりたいと思います。 まず、質問の1点目として、県実行委員会での決定事項について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 本年4月26日に開催された、県実行委員会第1回総会におきましては、県実行委員会会則、事務局組織構成、事務局規程等の組織の設立に係る事項を決定しました。 また、本年度の実行委員会の事業計画及び収支予算、さらには、令和6年度の競技日程や会場について定めた大会要項なども決定しました。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、本市での開催予定について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 令和6年度の大会につきましては、7月26日から8月3日までの9日間、Jヴィレッジをメイン会場とし、いわき市、楢葉町、広野町のグラウンドにおいて、全51試合が開催予定であります。 そのうち、本市の21世紀の森公園にある、ハワイアンズスタジアムいわき及びアロハフィールドでは、7月27日と28日に1回戦、2回戦、計8試合を行う予定であります。
◆31番(小野邦弘君) 質問の3点目として、会場視察での意見等について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 本年7月16日に、全国高等学校体育連盟サッカー専門部及び同部全国高等学校体育総合大会固定開催準備委員会による会場視察が、市、県高体連、サッカー協会等の関係者同席の下、行われました。 その際、Jリーグのホームスタジアムであるハワイアンズスタジアムいわきはもとより、アロハフィールドなどにつきましても、ピッチや諸室等の設備もすばらしく、全国大会にふさわしい施設であるとの御意見をいただきました。
◆31番(小野邦弘君) 会場視察の際は、私も同席させていただきましたが、Jリーグのホームスタジアムということもあり、施設に関しては、総じて高評価だったと認識しております。 質問の4点目として、本市への影響などについて伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 公益財団法人日本サッカー協会によると、本大会開催における選手、指導者、審判員、大会役員及び観戦者などの大会参加者数は3万人以上と試算されております。 なお、今回の男子サッカー競技全体ではその宿泊費、飲食費及び大会運営費により、約5億円の経済効果が見込まれていることから、本市にも大きな経済効果をもたらすことが期待されます。
◆31番(小野邦弘君) 質問の5点目として、開催に向けた今後の本市の取組について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 大会開催に向けた協力はもとより、市内の小・中・高生などを対象に全国トップレベルの試合を見る機会を創出し、競技力の向上に寄与する取組を検討します。 また、関係機関と連携し、県内外の学校の合宿誘致に努めてまいります。 さらには全国各地から来訪される皆様に、様々な媒体を活用して、本市の観光情報を積極的に発信し、交流人口の拡大を図ってまいります。
◆31番(小野邦弘君) インターハイの福島県開催は、3万人を超える方々の来訪や大会に向けた事前合宿なども想定され、本市ににぎわいをもたらす交流人口拡大に向けた大きなチャンスであると考えております。 市におかれましては、本市の夏の魅力を、全国から来訪される皆様に、直接伝えられる絶好の機会であると捉え、機会を逃すことなく、効果的に情報発信していただくことを期待し、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、脱炭素化に向けた取組についてであります。 近年、世界規模で異常気象が発生し、地球温暖化への対応は、世界共通の喫緊の課題になっております。 また、脱炭素化に向けては、ヨーロッパを中心に、新たな市場やルール形成といった取組も急速に進んでおり、脱炭素化が、企業の競争力を左右する大きな指標にもなっております。 このような中、市では、2050年までに脱炭素社会の実現を目指すこととし、その具現化に向けて、市環境基本計画(第三次)のアクションプランとなる、市脱炭素社会実現プランを先日発表いたしました。 この実現プランでは、脱炭素を地域の成長戦略と捉え、脱炭素という新たなエネルギー転換を、このいわき市の成長と地域課題の解決へつなげていくこととしています。 私も、脱炭素化の動きを産業の成長分野として捉え、地域の稼ぐ力や強靭な経済基盤の確立につなげていくことが大変重要と考えます。 以前、こうした観点から、風力発電産業について質問し、様々な市内企業が関連産業に関わる仕組みの構築に向けて、市や関係団体が一体となって取り組んでいる状況を確認させていただきました。 風力に関しては、メンテナンス人材の認証制度の設立に向けた検討に加え、国内有数の風力メンテナンス企業で、本市に立地した株式会社北拓や、東京大学先端科学技術研究センターと連携しながら、福島高専の学生などを対象とした人材育成にも取り組んでいると伺っております。 そうした風力の取組に加え、より脱炭素ビジネスの裾野を広げるために取り組んでいるグリーンイノベーション創出支援事業や、バッテリーの取組について、その内容等を確認させていただきながら、さらなる取組の加速につなげたいという思いから、以下、質問いたします。 まず、グリーンイノベーション創出支援事業についてであります。 質問の1点目として、令和4年度から新規事業として開始した、グリーンイノベーション創出支援事業は、市内企業が東京大学先端研と連携した取組に対する、いわき市独自の補助制度でありますが、事業を開始した背景はどのようなものか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 国は、2050年のカーボンニュートラルを宣言し、経済と環境の好循環を実現するため、令和2年12月にグリーン成長戦略を策定しました。 この戦略では、成長が期待される重要分野として、14分野を定め、技術的、革新的技術によるイノベーションの創出や社会実装を目指すとしています。 また、この14分野には、エネルギー関連に加え、輸送・製造や家庭・オフィス関連等も含まれ、従来の発想や枠組みを超えた新産業の創出が期待されます。 一方、いわき市では、東京大学先端科学技術研究センター、いわゆる東大先端研と、平成30年3月に、連携協定を締結しました。 この協定は、東大先端研の専門的知見などと、本市のものづくり力とを融合し、地域の技術力向上や課題解決につながる共同研究を行うこととしています。 これらを踏まえ、14の成長分野への参入に向け、挑戦を行う市内企業を支援するため、東大先端研の協力を得て、令和4年度にこの事業を創設しました。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、事業者に対して、具体的にどのような補助金が交付されるのか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 本事業では、グリーン成長戦略に位置づけられた14の成長分野で、東大先端研と連携し、技術開発等を行う市内企業に対し、補助金を交付します。 補助率については、研究開発費の3分の2以内、補助金の額は、400万円が上限です。 補助金に加え、いわき産学官ネットワーク協会が事業の進捗管理を行うなど、事業化に向けた総合支援を行います。
◆31番(小野邦弘君) 非常に手厚い補助金と感じますが、一方で、事業者にとっては、グリーン成長分野への参入や東大先端研との技術開発などは、少し難易度が高いと感じるのではないかと思います。せっかくのいい制度も、十分に利用されないまま終わってしまう懸念もあります。 質問の3点目として、事業者が挑戦してみようと思うような後押しが必要だと考えますが、そのためにどのような取組を行っているのか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 本事業では、補助金の応募に先立ち、市内企業の意識醸成やマッチング支援等を行っています。 具体的には、東大先端研の施設見学や研究シーズを紹介していただくラボツアーを実施しています。 また、脱炭素やグリーン成長分野に興味・関心を持っていただくセミナー、連携促進を図るための個別相談会等を実施しています。
◆31番(小野邦弘君) ステップを踏んで、事業者を支える取組を実施しているという工夫が感じられました。 質問の4点目として、事業のスタートとなった令和4年度、どのような事業が採択されたのか伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 令和4年度は、2件の研究開発事業を採択しました。 1つ目は、空中ドローンの飛行能力を高める開発で、具体的には、アートデザイン分野の研究者と連携し、防塵・防水性能を高めた機体を開発するものです。 2つ目は、ロボットの自動走行システムの開発です。 具体的には、人工知能分野の研究者と連携し、ロボットが自動走行する際、危険を察知できるようなシステムを開発するものです。
◆31番(小野邦弘君) 質問の5点目として、今年度の状況について伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) 今年度も、2件の研究開発事業を採択しました。 1つ目は、令和4年度に採択されたロボットの自動走行システムの開発で、今年度は本格運用を見据えたプログラムを開発するものです。 2つ目は、風力発電のメンテナンスの効率化や省力化につながるシステムの開発です。 ボルトなど風車部品の不具合等を遠隔で監視するシステムを開発するものです。
◆31番(小野邦弘君) 東大先端研とは、風力関連産業の振興に向けて取り組んでこられておりますが、その知見を生かせる活動の幅を広げ、産業界が主体となった脱炭素の取組を後押ししていくことは、非常に意義深いと考えます。 次に、バッテリーバレー推進事業についてであります。 カーボンニュートラルの実現に向けては、不安定な再生可能エネルギーを貯めて、需要が高いときにうまく使う、つまり、バッテリーが重要な役割を担うこととなります。 本市には、バッテリー関連産業が、複数、事業展開しており、これをまちづくりに生かすことが重要です。 いわきバッテリーバレー構想は、そういった本市の強みを生かしながら、稼ぐことができる次世代産業の集積と、働いて稼ぐ能力を身につけた人材の育成の両面からの取組であります。 また、浜通りの子供たちが、首都圏にも負けないような所得水準を得られる仕組みをつくることで、若者の流出を防ぎ、市外からのUターンを促進するという狙いもあります。 そこで、質問の1点目として、バッテリー関連産業の集積に取り組んでこられておりますが、これまでの取組について伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) バッテリーは、再生可能エネルギーの需給調整や本市を中心とした浜通りの産業振興に不可欠となるキーデバイスです。 そのため、いわき市では、バッテリー関連産業の集積に向け、市民や企業の意識醸成を基に、技術開発や人材育成を進めてきました。 具体的には、平成27年度からいわきバッテリーバレーフェスタを開催し、市民の皆様の意識醸成を図ってきました。 これまでのフェスタでは、燃料電池自動車の展示や、脱炭素に取り組む企業の講演会などを実施しました。 また、バッテリーを活用した技術開発等を行う市内企業に対し、資金面での支援や専門家による伴走支援も行っています。 こうした中、現在、市内では福島県やトヨタ自動車、市内企業が連携した燃料電池小型トラックなどの商用利用に向けた実証事業なども行われています。 本市は引き続き、官民一体となったバッテリー関連産業の集積に向けた取組を精力的に進めていきます。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、人材育成に係る取組状況について伺います。
◎
産業振興部長(佐竹望君) バッテリー関連産業を、本市の中核産業として地域に根づかせていくには、児童・生徒・学生など、次世代人財の育成が重要と認識しています。 このため、いわき市では、次世代のエンジニアを育成するため、産業界や教育機関と連携し、いわきEVアカデミーを実施しています。 本事業では、福島高専や市内工業高校の学生を対象として、バッテリーや次世代自動車に関する専門性の高い講義を行っています。 また、分解・組立てが可能な電気自動車キット教材を活用した実習も行っており、受講者アンケートにおいても、満足度の高い結果となっております。 加えて、幼少期からバッテリーに関心を持ってもらえるよう、小・中学生を対象とした燃料電池教室を官民連携で開催しています。 さらに、市内産業界と福島高専が連携し、学生や社会人を対象としたカーボンニュートラル社会連携共同講座を、昨年度から開設しています。 こうした民間主導のプロジェクトとも連携しながら、中・長期的な視点に立った次世代人財の育成に取り組みます。
◆31番(小野邦弘君) 変化が激しい今の時代を生き抜く上で、事業者にとっては挑戦することが重要です。 その際、身近な市内の事業者の成功例が見えることは、挑戦への後押しになると思います。たとえ、うまくいかなかったケースがあったとしても、その要因や対応策を、事業者と事業者を支援する商工団体や金融機関などで共有することができれば、次のステップにつながる貴重な成果となります。 また、本年4月には、浪江町に
福島国際研究教育機構、F-REIが設立されました。 F-REIは、世界に冠たる創造的復興の中核拠点として、福島や世界の課題解決を現実のものとするため、エネルギーやロボットなど、5つの分野で世界最先端の研究を行い、研究成果の社会実装や産業化、人材育成に取り組むとしています。 本市としては、F-REIをはじめとした外部の知恵を業種・業態、規模を問わず、多くの市内の事業者と結びつけ、様々な挑戦を引き出しながら脱炭素をテーマとした産業振興の流れをしっかりと形成すべきと考えております。 脱炭素という大きな課題に対し、事業者の力を借りて前向きに取り組んでいけるのは、本市ならではの強みでもあり、日本の脱炭素を原子力災害からの復興に取り組む本市がリードしていく姿を期待して、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、林業における新規就業者の確保・育成についてであります。 先ほどの脱炭素の質問に関連して、地球温暖化の防止に向けては、二酸化炭素の排出抑制と併せて、もう1つの車輪となる、森林による二酸化炭素の吸収・固定の取組が重要となります。 本市は、市域面積の約7割を森林が占めており、その広大な森林から産出される木材は、多様な用途に活用できる地域資源としての可能性を有しているとともに、吸収源対策にも資する本市の強みとも言えます。 とりわけ、森林の適正な管理と、林業の持続的かつ健全な発展を図るためには、その基盤となる林業従事者の確保・育成が重要となります。 しかし、高齢化や人口減少に伴う林業従事者の不足により、山林の荒廃が進み、思うような森林施業が行えない状況となっており、今後、計画的な森林整備について懸念される状況にあります。 そこで、これらを踏まえ、林業における新規就業者の確保・育成について、以下、質問いたします。 質問の1点目として、市内の林業における新規就業者数の推移について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 福島県の実態調査に基づく、市内の林業における新規就業者数について、直近3か年の推移を申し上げます。 令和2年度が8名、令和3年度が3名、令和4年度が9名となっています。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、令和4年度の林業アカデミーふくしまの受講生のうち、市内の林業経営体に就職した人数について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 林業アカデミーふくしまは、林業・木材産業の成長産業化の実現に必要な林業人材の担い手を育成することを目的として、令和4年4月に福島県が開設した研修施設です。 令和4年度に当アカデミーの研修を修了した受講生14名のうち、市内の林業経営体に就職したのは、男性1名と女性1名の計2名となっています。
◆31番(小野邦弘君) 質問の3点目として、林業アカデミーふくしまの研修生に対する支援策について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 林業アカデミーふくしまの研修生に対しましては、国と市においてそれぞれ支援を行っています。 まず、国においては、緑の青年就業準備給付金制度により、林業分野に就業することなどを要件として、給付金を支給しています。 また、本市においては、今年度に創設したいわき市豊かな森づくり担い手確保育成支援事業により、研修終了後に市内の林業分野に就業することなどを要件として、住居費や通学費などに充てるための給付金を支給します。
◆31番(小野邦弘君) 質問の4点目として、新規就業者を受け入れた林業経営体への支援策について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 新規就業者を受け入れた林業経営体に対しましては、国と市においてそれぞれ支援を行っています。 まず、国においては、緑の雇用担い手確保支援事業により、就業後3年間で実施される、林業作業士を育成・養成するための教育や訓練に係る研修費用を助成しています。 また、本市においては、今年度に創設したいわき市豊かな森づくり担い手確保育成支援事業により、チェーンソーなどの装備品の購入費用のほか、森林施業に必要な資格や技能講習の受講費用に対して補助金を交付します。 市といたしましては、こうした取組を通じて、林業における市内の新規就業者の確保・育成に努めていきます。
◆31番(小野邦弘君) 山林の現場では、戦後植林された人工林が50年以上経過し、国産材を積極的に活用するための環境が十分に整っております。 こうした環境が生かせるよう、林業における新規就業者の確保・育成に結びつく様々な施策を実施していただき、担い手不足の解消につながるよう、引き続き取組をよろしくお願いします。 大きな質問の4番目は、災害に強いまちづくりについてであります。 今年も、7月における九州や秋田県の豪雨災害、8月の台風6号、7号の通過による鳥取県の被害など、全国各地で大規模な自然災害が発生しております。 これらは、地球温暖化の影響による日本周辺海域の海水温が、平年より高いことなどにより起こっていると考えられており、今後も、災害の頻発化・激甚化が危惧されるところであります。 こうした中、去る9月8日、台風第13号の影響により、本市で初めて線状降水帯が発生し、記録的な大雨が短時間で降りました。これにより、市内で10河川が越水するなど、甚大な被害が生じたところであります。 今後も、同様の災害が発生する可能性があることから、以前にも増して、いつ起きるか分からない自然災害に対し、官民を挙げて備えていかなければなりません。 そこで、これらを踏まえ、以下、質問いたします。 まず、学校の廃校等に伴う避難所の確保についてであります。 災害から生命や財産を守るためには、テレビやラジオなどの気象情報に注意を払うとともに、早めの避難を行うことが大切です。 市では、災害が発生、または発生するおそれがある場合に、市民が一定期間滞在するための避難所として、学校や公民館、体育施設など、207か所を指定しています。 しかし、近年の少子化の影響等により、三和地区や田人地区などの小・中学校では、既に統廃合や廃校となっているほか、遠野地区や川前地区においても、統廃合等が決定している状況にあります。 統廃合そのものは、子供たちの良好な学習環境の確保を図る観点から進めているものであり、やむを得ない面もありますが、一方で、これらの施設は、避難所に指定されているケースもあります。 このことから、学校の統廃合に伴い、当該地域の避難所確保などをどのように進めていくのか、以下、質問いたします。 質問の1点目として、指定避難所である学校が廃校や統廃合となった場合の避難所確保の考え方について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 市の指定避難所である小・中学校の廃校や統廃合が決定し、庁内における活用見込みがない場合には、民間活用に係る公募を行うこととなります。 市では、この過程において、当該地域における避難所確保の観点から、引き続き校舎等を活用することや、代替施設を指定すること等について、地元行政区等の意向確認を行います。 その上で、当該校舎等を引き続き避難所として使用できるよう、民間事業者等と協議を行っています。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、廃校となった学校建物の民間活用が決定した場合、市が引き続き避難所として使用する場合の課題について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 民間活用が決定した校舎等を、引き続き避難所として活用する場合の主な課題についてです。 1つとして、民間事業者の利用に支障を及ぼさないよう、避難者の受入れや非常用備蓄品の保管スペースを確保する必要があること、2つとして、事業者の設備や備品等の保全など防犯対策を講じる必要があること、3つとして、休日や夜間など民間事業者が不在時に避難所を開設する場合の連絡体制や鍵の管理方法を定めておく必要があることなどがあります。
◆31番(小野邦弘君) 質問の3点目として、民間活用の需要がなく、建物を取り壊す場合には、どのように対応するのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 民間活用の希望がなく、校舎等を取り壊す場合の対応としましては、地域住民の皆様の意向を確認しながら、近くの公共施設や地域集会所等を避難所として指定することとなります。 また、近くに代替施設が確保できない場合は、地域外の安全な避難所等へ早めに避難するための体制確保が必要です。 そのため、市としましては、地域外の安全な避難所等へ早めに避難できるよう、避難指示等の発令のタイミングを適切に見直していきます。 また、地域住民の皆様の共助による自家用車の乗り合わせ方法や、市が協定を締結している交通事業者との連携による移動手段の確保などについても、地元行政区や自主防災組織等とともに協議を行っていきます。 なお、校舎等の取壊し後に、当該敷地が安全な避難場所として活用できる場合には、土地所有者に対し、協力を依頼していくことも必要と考えております。
◆31番(小野邦弘君) 質問の4点目として、避難所や避難方法を変更する場合には、混乱を招かないよう、地域住民への丁寧な説明が必要と考えますが、どのように対応する考えなのか伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 避難所や避難方法を変更する場合には、災害時に地域住民の皆様が混乱しないよう、事前の説明や回覧等により、丁寧な周知を図ることが重要であると認識しております。 また、避難指示等の確実な伝達方法、自家用車等の乗り合わせに係る役割分担や交通機関を使用する際の一時集合場所等について、丁寧な協議に努めていくことも重要です。 このことから、市といたしましては、地元行政区や消防団、福祉関係者、交通事業者等と連携を図りながら、自家用車等の移動手段を持たない方や要配慮者の把握を行っていきます。 また、地域住民が避難指示等の趣旨を正しく理解し、早めの避難行動につながるよう、これまで以上に啓発を図るとともに、実践的な防災訓練を積み重ね、課題等の分析や対応の検討を行っていきます。 これらの取組を通じて地域の災害リスクに応じた実行性の高い避難計画を策定することにより、逃げ遅れゼロの実現につなげていきます。
◆31番(小野邦弘君) 市内では、小・中学校に加え、県立高校においても統廃合が進められることとなっています。 人口減少が進む中にあっても、持続可能な行財政運営を図る観点から、今後も公共施設の統廃合などが進むものと考えています。 一方で、大規模な自然災害が本市でも相次いでいるところであり、令和元年東日本台風や、今回の水害の経験から、学校の校舎については、万が一逃げ遅れた場合などにおける、命のとりでとして、緊急一時的な垂直避難場所としての活用についても、積極的に検討していかなければならないと考えております。 当局におかれましては、地域住民とも丁寧な意見交換を行いながら、避難所の確保や、確実な避難体制の整備に向け、取り組まれるようお願いします。 次に、主要地方道小野四倉線の安全な通行の確保についてであります。 小野町を起点とし、本市の川前町や小川町を経由し、四倉地区に至る当該路線は、本市の市街地と中山間地域をつなぎ、市民が安全・安心な生活を送るために欠かせない生活道路であり、本市を代表する景勝地である夏井川渓谷を望み、背戸峨廊、篭場の滝などの自然環境を活用した観光資源につながる路線であります。 また、災害時においては、避難路となるなど、様々な役割を担う大変重要な路線でもあります。 しかしながら、現在、川前町から小川町間において、路肩崩落等により路面が陥没している箇所が複数存在し、安全な車両等の通行に支障を来している状況となっており、市民生活に多大なる影響を及ぼしております。 そこで、質問の1点目として、路肩崩落箇所等の復旧について伺います。
◎土木部長(草野光平君) 路肩崩落につきましては、川前町川前地内から小川町上小川地内までの、延長約10キロメートルの区間において、道路の路肩を支える河川内の石積擁壁が大雨により崩落するなど、8か所で発生しています。 県では、片側交互通行などによる交通規制を行い、特に被害が大きい3か所について、本年10月までに被害の拡大を防止するための応急対策工事を行ったところです。 今後、これら全8か所につきましては、交通規制箇所における夜間の視認性を確保するなど、本復旧までの確実な安全対策を講じるとともに、早期の復旧に向けて鋭意取り組むとしています。
◆31番(小野邦弘君) 当該路線は、急峻な崖地を有する山地と自然渓流に挟まれる大変厳しい環境にあり、このため、道路幅員が狭い箇所が多く、これまで台風などの大雨により、崖地からの落石や土砂崩れなど、幾度となく通行止めになるなど自然災害に対して脆弱な路線であります。 質問の2点目として、これまでの本路線における安全対策の実施状況について伺います。
◎土木部長(草野光平君) 県におきましては、道路パトロールによる日常的な維持管理のほか、幅員が狭隘な区間や急カーブなどの危険箇所において、局部的な道路改良工事を実施しています。 さらに、急峻な崖地に隣接する箇所については、土砂災害から人命を守るため、様々な安全対策を実施しています。 具体的には、のり面崩落防止対策としてののり面保護工事、また、落石対策としての落石防護柵や道路を鉄筋コンクリート構造物で覆うロックシェッドなどの落石防護工事を実施しています。
◆31番(小野邦弘君) ただいまの答弁のとおり、当該路線におきましては、道路管理者である県により、安全対策が実施されていることは承知しております。 しかしながら、地域住民の重要な生活道路であり、かつ、災害時における避難路となることから、これまで以上に、車両通行等の安全性向上に寄与する対策は必要であると考えております。 このことから、質問の3点目として、当該路線のさらなる安全な通行の確保に向け、今後どのように取り組んでいく考えであるのか伺います。
◎土木部長(草野光平君) 当該路線は、議員おただしのとおり、地域の生活を支える道路であり、また、沿線の交流連携や観光振興に必要不可欠な道路です。 そのため、県では、円滑な地域交通の確保はもとより、災害時における安全性向上を図るため、引き続き、安全対策を講じていくとともに、緊急時における通行止めなどの道路情報を迅速に発信することとしています。 市といたしましては、安全な通行の確保に向け、県に対し、地域の意向などを踏まえた要望を行うとともに、県や各支所と連携の下、通行止めなどの情報の把握や発信に努めます。
◆31番(小野邦弘君) 次に、災害時における自治体広報紙の在り方についてであります。 本年10月1日に発行されました広報いわき臨時号について、一部地元紙や全国紙において市民の評価に賛否があったとの報道がありました。 その内容は、臨時号では、内田市長が視察に来た内堀知事に被害状況を説明している写真の表紙をはじめ、被災地で活動する市長の写真が大小8枚掲載されており、それを見た市民の方からは、これまでの災害に比べて、市の前向きな姿勢が伝わってきたとの意見がある一方、被災特集なのに市長の写真ばかりなのは違和感がある、選挙利用ではないかといった意見が聞かれたというものです。 私のところにも、この新聞報道が出る前に、臨時号を見た被災者の方から、市長の写真が多数掲載されていることに否定的な意見が寄せられておりました。 そこで、質問の1点目として、臨時号の紙面はどのような考えの下、作成されたのか伺います。
◎総合政策部長(津田一浩君) 基本的な考え方といたしまして、被災された方々の一日も早い生活再建に向けて、市民の皆様に必要な情報を、迅速かつ的確に、分かりやすく広報することが重要であると認識しております。 このことから、広報いわき臨時号につきましては、令和元年東日本台風時に発行した臨時号と同様に、生活再建に向けた被災者支援情報や被害情報などを掲載いたしました。 加えて、市長が先頭に立ち、市が一丸となって災害対応に当たっていることを広く発信し、市民の皆様の不安を和らげ、安心をもたらすため、市長の被災地での活動状況を写真等を通じて分かりやすく掲載したところでございます。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、臨時号に対し、市民からの反応はどういったものがあったのか伺います。
◎総合政策部長(津田一浩君) 広報いわき臨時号に関して、担当課に寄せられた御意見は12月8日現在で、2件でございます。 その内容の1つは、10月14日、担当課の職員がイベントの取材時に、直接、来場者の方から声をかけられたもので、広報いわきがよくなっている。しかし、臨時号は市長のパフォーマンスに見えるという御意見でした。 もう1つは、一部の紙面で報道された後の10月23日に、市公式ホームページの御意見・御質問からメールで寄せられたものです。内容は、市が災害対応に尽力していることが伝わり、災害時の安心感が増しました。昼夜を問わず迅速な対応に感謝申し上げます。市長をはじめ、職員の方々の対応が伝わることを願っていますという御意見でした。
◆31番(小野邦弘君) 担当課に直接、否定的な意見などがあまりきていないということですが、被災された方のほとんどは、市に意見を言う余裕などありません。実際、私のところには、否定的な意見が寄せられています。 そこで、質問の3点目として、災害時に発行される広報紙には、市長の写真を多数掲載するのではなく、被災された方にとって必要な情報を分かりやすく、より多く掲載すべきと考えますが、市の所見を伺います。
◎市長(内田広之君) この度の災害におきましては、私自身、被災地にくまなく出向き、生の声を聞いてまいりました。それは、被災者が本当に困っておられる問題をリアルに酌み取るためです。 被災地の巡回など、部下職員に任せることもできますけれども、そうすると一見効率的には見えますけれども、私が首長としてリアルに課題を把握できず、対応が遅れる可能性が大きくなります。 例えば、現場を見た部下職員から、こんな問題もありますけれども、現実的に対応が難しいですと相談されるよりも、私が現場の生の熱量をそのまま見て、感じて、厳しく被災者から訴えられたりすることで、現実的にはこういったことは対処が難しいけれど頑張ってやろうと、実現しようという気持ちで、そういった強い意志で部下職員に号令をリアルに出すほうが、物事は確実に進むのです。 言わば、今回の広報紙は、こうした一つ一つの姿の積み重ねだと思っております。現地に全然足を運んでいないのに広報紙に写真ばかり載っていたら、それはもう批判を受けるのはもう致し方ないと思いますけれども、毎日毎日いろんな所に行って、そうした即断即決で指示をしている、そういう姿の広報紙であったと受け取っていただければと思います。 結果的に、被災者の多くから、これまでのリーダーとは全然違って、生で課題を把握して役所にすぐ指示してくれてありがとうといった激励を数多くいただいております。 外出先では、ビジネスチャットツールを用いまして、部下職員から、副市長や部長などから常に連絡が入りまして、現場で即断即決の指示をその場で出しましたので、仮に外にいても、指示系統に問題は全く発生いたしませんでした。 そのように広報紙におきましては、現場の熱量とかニーズもしっかり踏まえることが大事でありまして、そういった画像でありましたり、また、議員おただしのリアルタイムで分かりやすい情報も同時に満載して広報紙を作らせていただいております。 今後も、そうした現場主義の姿勢を貫き、よりよい広報に努めます。
◆31番(小野邦弘君) 今回の災害対応に当たりましては、発災直後から、担当部局の担当者が被害状況調査のため現場に駆けつけ、現場確認等を行っていたとの報告を、議員をはじめ、市民の方々からも受けております。 また、庁舎内では、少数の限られた人数で市民からの問合せの電話対応に多忙を極めたという状況もあったように伺っております。 このような状況を的確に捉え、コントロールしていくのは、災害対策本部長としての市長の采配に頼るところが大きいと考えます。現場確認、職員の適切な配置、行動をどのようにバランスを取って行うかは、非常に難しい局面もあろうかと思います。しかしながら、災害対応の最高責任者は市長であり、代替は利きません。その意味でも、現場には、副市長や各部長等に足を運んでいただき、市長には、市役所の中で陣頭指揮を執っていただいたほうがよいのではと思いますので、今後、対応等について検討をお願いいたします。 災害に強いまちづくりについて、幾つか伺ってまいりました。 災害に強いまちづくりは、今後発生が想定される地震、水害及び土砂流出などの災害から、まちを守り、被害を最小化し、日常生活の質を向上させることだと思います。 ただいま答弁をいただきましたが、適切な避難所の確保や、一日も早い道路復旧と通行規制の解除ができるよう、スピード感を持ちながら、さらにはいわき市出身で福島の復興などを研究している開沼博東大准教授の指摘のとおり、広報紙において、被災者にとって優先順位が高い有益な情報を選択して発信していくことなど、一歩一歩着実に取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の5番目は、地域おこし協力隊についてであります。 本市においても、若者世代の首都圏等への流出が大きな課題となっており、少子・高齢化、人口減少が急速に進行しております。 また、人口減少に伴い、地域経済の低下や労働力不足、コミュニティー機能の低下、社会保障負担の増大など、我々の暮らしを取り巻く様々な課題が、加速度的に顕在化してきております。 こうした様々な課題の解決を図り、将来にわたって、まちの活力を持続していくためには、地域活力の底力や強みの発揮につなげることができる人材の確保が重要と考えます。 本年7月、川前地区で4年ぶりに開催された納涼屋台in川前駅前に参加してきました。川前地区にお住まいの皆さんはもとより、ほかの地区からも、電車などで多くの方々が集まり、その日の駅前は大変なにぎわいを見せていました。こうした取組を積み重ねながら、中山間地域を第二のふるさととする関係人口を増加させていくことが重要なのではないかと改めて感じたところであります。 その一方で、地域の方々からは、イベントを企画・実行しようとしても、スタッフとなり得る若者などがいない、実行組織が高齢化しており、あと何年続けられるか分からないなどの不安の声を耳にしました。 そこで、新たな担い手として期待するのが、地域おこし協力隊であります。 地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に生活の拠点を移し、住民票を異動した方が対象となります。その方を地方公共団体が採用し、活動期間はおおむね1年以上3年以下とされています。採用された隊員は、地域ブランドの開発や地場産品の販売・PR、農林水産業への従事などを行います。そうした地域協力活動をへて、その地域への定住・定着を図ることを狙いとしています。 令和4年度で、約6,500名の隊員が全国で活動していますが、国では、この隊員数を令和8年度に1万人に増やすという目標を掲げており、この目標に向け、地域おこし協力隊等の強化を行うこととしています。 本市においても、これまで多くの方々が地域おこし協力隊に任命され、各地域において地域の課題に対応した地域協力活動を行って、地域活性化に取り組んでおり、新たな担い手として、本市の中山間地域の活性化に大いに貢献しているものと考えております。 これらも踏まえ、以下、地域おこし協力隊について質問いたします。 質問の1点目として、地域おこし協力隊の現在の配置状況について伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 地域おこし協力隊につきましては、12月1日現在、遠野地区に1名、川前地区に1名、三和地区に1名、江名地区に1名の合計4名を配置しています。
◆31番(小野邦弘君) 質問の2点目として、地域おこし協力隊の現在の活動内容について伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 地域おこし協力隊は、それぞれ配置された地域が抱える課題解決に向け、文化・観光・農林分野と連携した地域活動に取り組んでいるところです。 その主な活動内容を申し上げますと、遠野地区では、伝統工芸である遠野和紙の製作技術を継承するため、和紙の原料となる楮の栽培や和紙の製造を行っています。 川前地区では、人口減による地域活力の低下を防ぐため、地区の独身者を対象にした出会いの場の創出など、伴走型結婚支援事業に取り組んでいます。 三和地区では、地元農産物の消費拡大を図るため、農産物を活用したお弁当の製造・販売や、高齢者向けの配食サービスを行っています。 また、今年度新たに配置した江名地区では、地域資源を活用した誘客促進を図るため、漁具の整理やブルーツーリズムの推進に向け、調査・検討をしているところです。
◆31番(小野邦弘君) 質問の3点目として、地域おこし協力隊の定住・定着の実績について伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 本市において、令和4年度までに地域おこし協力隊を卒隊した方は、中途退任も含め15名です。 このうち、本市に定住・定着した方は8名で、定住・定着率は53.3%となっています。 また、活動任期を満了した方で見ると、8名中7名で、定住・定着率は、87.5%となります。 特に、令和4年度末の卒隊者4名は、全員が本市に定住・定着しています。
◆31番(小野邦弘君) 地域おこし協力隊卒隊後の定住・定着率は、全国平均で約65%となっていますが、ただいまの答弁では、本市は、少し下回っている状況になっています。 そこで、質問の4点目として、定住・定着率を向上させる上での課題について伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 本年7月に地域おこし協力隊6名を対象に、活動上の課題等についてヒアリングを行ったところです。 主な意見としては、地域と協力隊のミスマッチの解消、活動に対する評価やフィードバック体制づくり、行政や地元住民との円滑なコミュニケーションなどが、活動継続の意思や、卒隊後の定住・定着意欲を左右するとのことでした。 また、卒隊後のキャリアパスを見据えたサポート、例えば、副業を容認するなど、隊員の活動に自由度を持たせることや、スキルアップ機会の用意などの要望、3年という活動期間は、全てを成し遂げるには短いとの声があったところです。 このことから、隊員が意欲を保ちながら任期を満了できるような活動しやすい環境づくりと、卒隊後のキャリアパスの明確化が定住・定着率を向上させる上での課題であると捉えています。 市としましては、これらの課題に対応した効果的な支援を行うことにより、隊員の定住・定着率を向上させていきます。
◆31番(小野邦弘君) 質問の5点目として、課題解決に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 課題解決に向けては、地域とのミスマッチを解消し、地域おこし協力隊が不安や心配を抱くことなく活動に専念できる環境づくりと、卒隊後のキャリアパスの提示に取り組んでいきます。 具体的には、現在、卒隊者向けの起業支援や地元企業とのマッチングなど、定住に向けたサポートを行っているほか、隊員OB・OGによる現役隊員へのサポート体制づくりを進めているところです。 また、今後については、地域おこし協力隊インターン制度の導入検討、隊員の採用・評価方法の見直し、起業等の準備に向けた副業制度の検討などを進めます。 本市に御縁を感じ、地域おこし協力隊として転入されてきた方が、安心して活動し、定住・定着していただけるよう取り組んでいきます。
◆31番(小野邦弘君) 地域おこし協力隊の皆さんは、いわきを元気にしたい、いわきを応援したいとの気持ちを持って、見ず知らずの土地へ、ある意味、身一つで飛び込んで来てくれています。そんな彼ら彼女たちが、地域おこし協力隊卒隊後の将来設計を描き、安定した生活を送れるようになっていただくことか重要です。 ただいま、当局より課題を踏まえて今後の取組について答弁していただきましたが、私といたしましては、現在の地域おこし協力隊の任期は最大3年となっておりますが、この任期を5年程度に延長することで、安定した卒隊後の活動が可能となる環境を整備する必要があるのではないかと考えています。任期の延長も含め、市としてしっかりとサポートしていただくことで、それがまた、他地域との差別化となり、地域おこし協力隊として活動するならいわきが一番魅力的という評価につながるものと考えております。 人口減少が進む中山間地域においては、何よりも担い手の確保が喫緊の課題であります。意欲を持った多くの若者たちが、いわきの地域おこし協力隊として活躍して定住していただくことお願いして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後3時50分まで休憩いたします。 午後3時41分 休憩
--------------------------------------- 午後3時50分 再開
△蛭田源治君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。 25番蛭田源治君。 〔25番蛭田源治君第二演壇に登壇〕
◆25番(蛭田源治君) (拍手)25番いわき市議会志帥会の蛭田源治です。 今年9月の台風第13号による大雨で、被害を受けた皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、早く元の生活に戻れますようお祈りいたしております。 さて、今年もはや12月、師走となりました。年の瀬になりますと、お正月の飾りつけをしますが、その中で丸い餅を2つ重ねることがあるかと思います。鏡餅でありますね。この重ねた餅にはどのような意味が、また願いがあるのか御存じでしょうか。 この2つの丸い餅は、月と太陽を表しているという説があります。陰と陽、または夜と昼でありますね。昼も夜も、そして一年中健康でいられますようとの願いがあり、また、一年中天候に恵まれ五穀豊穣でありますようにとの願いとも言われております。 昔の人は、まず新しい年が穏やかなよい天候に恵まれますようにと願ったのかも知れません。 本市では、今年、夏は異常な猛暑で、そして9月には台風による大雨、これが県内で初めてとなる線状降水帯でありまして、そして甚大な被害が発生いたしました。 来年は穏やかな天候になりますようにと、重ね餅に願いをかけずにいられません。これは皆さんも同じ思いではないかと思っております。 来年は災害のないよい年でありますようにと願いを込め、以下通告順に従い、市政に対する一般質問を行います。 大きな質問の1番目は、令和6年度予算編成についてであります。 今年も来年度の予算編成の時期となっております。 内田市政の予算編成が今回で3回目となりますが、その予算編成の方針について、何点か質問していきます。 まず、令和6年度の予算編成の特徴はどのようなものなのか伺います。
◎市長(内田広之君) 令和6年度当初予算編成におきましては、人口減少や少子・高齢化、頻発・激甚化する自然災害、新たな技術の進展や価値観の多様化など、急速な社会変化に対応しながら、本市を取り巻く様々な課題に対しまして、全ての分野においてベースとなる人づくりを着実に進めます。 若者から高齢者まであらゆる世代が、いわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思うまちを人づくりで実現するため、行政資源を課題の解決と未来への投資に再配分いたします。 基本的な方針といたしまして、1つ目に、
人づくり日本一の実現を目指した政策の推進、2つ目に、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立を掲げています。 具体的な取組といたしましては、3つの政策の柱、次世代を育てる、命・暮らしを守る、まちの魅力を高める、これらの分野に、予算を重点的に配分することとしております。 また、予算化に際しましては、職員一人一人がいわき市の改革のエンジンであるという意識を持ち、従来の発想にとらわれず、改善や見直しを徹底的に進めていきます。 さらには、これらの政策を下支えするため、市民の利便性の向上等に向けた行政DXの推進や、ちょうどいい水準に向けた公共施設等の最適化、職員づくりも日本一を目指す人材育成など、構造改革の取組を着実に進めていきます。
◆25番(蛭田源治君) 予算編成をする上で最も重要なのは、財政の収支がどうなのかでありますが、本市のまず歳入面では、コロナ禍後の経済活動が回復してきていますが、財源の大幅な増加を見込むまでは困難な状況であり、次に、歳出面では、各施策の推進や、老朽化が進行する各公共施設等の老朽化対策、また、エネルギー価格や物価のさらなる高騰が懸念されるなど、予断を許さない状況であると思っております。 そこで、そのような中、本市の令和6年度の財政見通しはどうなっているのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 令和6年度の本市の財政見通しにつきましては、国の地方財政対策等の詳細が明らかでない現段階におきまして、的確に予測することは困難でありますが、歳入面では、固定資産の評価替え等によりまして、市税は減少が見込まれております。 一方、歳出面では、社会保障関係経費の増嵩や公共施設等の老朽化対策のほか、
人づくり日本一の実現に向けた取組など、多額の財政需要が見込まれております。 これらにより、大幅な財源不足が生じることから、財政調整基金等を取り崩して対応せざるを得ないものと考えております。
◆25番(蛭田源治君) 今年は、台風第13号による大雨の被害が甚大でありました。 そこで、来年度は、その被害からの復旧・復興に係る多額の財政需要が見込まれると考えますが、その影響はどうなのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 令和5年台風第13号等による災害対応等に要する経費につきましては、さきの市議会10月臨時会におきまして、公共施設等の災害復旧や、災害廃棄物処理、被災者支援等の経費としまして、総額で約74億6,000万円の補正予算措置を行ったところでございます。 これらの経費の財源としまして、財政調整基金を約22億4,000万円取り崩して対応したところでございまして、本市の財政運営に、多大な影響を及ぼすものとなっております。 加えて、現時点で明らかになっていない被害への対応や、新たな支援の必要が生じる場合などにおいては、さらなる財政需要が生じる可能性があるものと考えております。
◆25番(蛭田源治君) それでは、持続可能な財政運営に向け、どのようなことに特に意を用いていくのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 本市の財政状況につきましては、歳出面では、高齢化の進行等による社会保障関係経費の増嵩や、公共施設等の老朽化対策に加え、今般の台風第13号による被害への対応をはじめ、頻発・激甚化する災害や、物価高騰への対応など、多額の財政需要が見込まれております。 さらには、
人づくり日本一の実現を目指し、若者から高齢者まで、あらゆる世代がいわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思うまちを実現するための取組につきましても、着実に推進していく必要があります。 一方で、歳入面では、市税等の一般財源について、人口の減少等に伴い、将来的に逓減していくことが想定され、本市財政を取り巻く環境は、今後一層厳しさを増していくものと考えております。 したがいまして、本市の財政運営に当たっては、中期財政計画で掲げた財政目標の達成に向けて、国における制度改正の動向や、社会経済の状況を注視しつつ、事業の選択と集中による資源の再配分や、財源の確保等に意を用いながら、財政運営のかじ取りを行っていきます。
◆25番(蛭田源治君) 大変厳しい状況であるというような答弁がありましたけれども、どうかよろしくお願いするところであります。 我々志帥会は、去る11月10日に令和6年度予算編成に対する要望書を市長へ提出いたしました。 その要望内容をどのように受け止め、予算編成に反映するのかお伺いいたします。
◎副市長(藤城良教君) いわき市議会志帥会からの御要望につきましては、未来づくり政策など、12の政策の柱に沿ってお示しいただきました。 いずれも市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支える重要なものと受け止めております。 会派からの御要望を念頭に置きながら、
人づくり日本一の実現を目指した政策の推進、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立の基本方針に基づき、予算案を取りまとめてまいります。
◆25番(蛭田源治君) 以前は、まず予算があって、それに政策がついていくというように感じておりましたが、内田市政では、まず、政策をしっかりと打ち出して、それを実現していくために予算や組織、人事を仕上げていくという、新しい市政運営で進めていっているものと受け止めております。 我々の要望もそれに沿ったものであります。要望の実現に向け、どうぞよろしくお願いいたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、台風第13号による農林業被害等についてであります。 今年9月の台風第13号による大雨は、皆さん御存じのように、本市に甚大な被害をもたらしました。 内田市長は、時間を見つけては、被災地や被災箇所を何度も訪れ、自分の目で被害状況を確かめておりました。大変だったかと思います。 この台風による市民の生活に関する災害対応やボランティア、また、災害廃棄物や市管理公共土木施設の災害復旧などについては、我が会派の山守副会長が先ほど質問したところであります。 私からは、農林業関係の被害等についての質問をさせていただきます。 1点目の質問は、農業被害についてであります。 市民生活の上では、内郷地区を中心に、甚大な被害が発生しましたが、農業関連でも、稲刈り作業前の水田をはじめ、各所において近年にない大きな被害が発生いたしました。 農業被害については、福島県が公表した確定報によりますと、主なもので、農地は水田が169か所。農業用施設は、水路が318か所、農道87か所、取水堰などの頭首工12か所。農作物は、水稲を中心に14品目。そして、農業等施設が20か所と広範囲にわたり、また、被害箇所も大変多くなっています。 職員の皆様も、また暑い中、被害調査に大変苦労なされたかと思います。 農家の方は、自分の田畑の被害は急ぎ復旧作業を行い、水田では、目の前に迫っていた稲刈り作業を大変苦労しながら、そして遅れながら、また一部は刈取りができず、放棄しながらも、何とか終えることができました。 しかし、心配されるのは、水路、農道、頭首工などの行政に頼る復旧であります。 本市の農業を継続するため、次の作付時期までに被害箇所が復旧するのか、大変気がかりであります。 そこで、それに関することを伺ってまいります。 まず、農地の復旧状況について伺います。
◎農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農地については、河川等の氾濫によりまして、田畑への土砂の流入や田畑からの土砂の流出等が11地区、184か所で発生しており、その被害額は合わせて3億円となっています。 このうち、国の補助対象となる常磐藤原町地区や渡辺町上釜戸地区などの5地区、13か所については、去る11月30日に災害査定が完了しました。 これを受けて現在、工事の発注手続を進めているところであり、引き続き、農地の早期復旧に向け、取り組んでいきます。
◆25番(蛭田源治君) 農地は、その本来的な役割である食料生産にとどまらず、様々な多面的機能を持つことは、古くから知られています。 その農地の多面的機能の具体例として、洪水防止機能が挙げられるところであります。 今、各地で田んぼダムの取組が広がりつつあります。これは、水田の雨水貯留機能を向上させ、洪水に対する防災・減災に貢献させる仕組みであります。 これは、1つの例でありますが、このように農地、特に水田には、今後、防災インフラとしてより重要な役割を担うことになると思います。どうかしっかりと復旧と整備をお願いするところでございます。 それでは、次に、農道の復旧状況について伺います。
◎農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農道については、斜面等の倒木や土砂崩落等が勿来町窪田地区や遠野町入遠野地区などの12地区、87か所で発生しており、その被害額は合わせて3,300万円となっています。 このうち、路面洗堀や土砂崩落により稲刈り機械が通れない、または、通行止めにより日常生活に支障を来している勿来町窪田地区や田人町黒田地区などの7か所については、既に応急復旧を完了しています。
◆25番(蛭田源治君) それでは、その農道の復旧の見通しについて伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農道の復旧に向けましては、来年の耕作に支障を来さないよう、地元と調整を図りながら、現在、工事の発注手続を進めているところであり、引き続き、農道の早期復旧に向け、取り組んでいきます。
◆25番(蛭田源治君) どうぞよろしくお願いいたします。 農業、特に稲作は、川から水を引き、田んぼに入れなければなりません。河川は県の管理であり、今回の大雨で被害も多くありました。その河川には、水田に水を引くための取水堰などの頭首工が設置してあります。 来春の取水期には、例年どおり田んぼに水が入れられるようになるのか、大変心配であります。 どうか、県と綿密に連携を取っていただき、河川の早期復旧を強く要望するところであります。よろしくお願いいたします。 さらに、水田地帯には、取水堰などから水を引き、田んぼに水を入れるための用水路と、落水するときに流す排水路とがあり、これらの水路の被害が318か所とありました。大変多い数ですが、その水路の復旧の見通しについて伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 水路については、河川からの越水や、斜面等の崩落による土砂堆積等が、議員御指摘のとおり12地区、318か所で発生しており、その被害額は合わせて2億2,100万円となっています。 このうち、水田の排水ができず、稲刈り作業に支障があった勿来町窪田地区や山田町石名坊地区などの13か所については、すでに応急復旧を完了しています。 また、国の補助対象となる常磐藤原町地区や渡辺町上釜戸地区などの5か所については、去る11月30日に災害査定が完了しております。 これを受けて、現在、工事の発注手続を進めているところであり、引き続き、水路の早期復旧に向け、取り組んでいきます。 また、残りの300か所についても来年の耕作に支障を来さないよう、市単独で行う災害復旧事業により早期の完了を目指し、工事の発注手続を進めてまいります。
◆25番(蛭田源治君) どうぞ、こちらもよろしくお願いするところであります。 次は、農作物の被害についてでありますが、ここで、農作物全体の被害額についてお示しください。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 福島県が公表した農林水産業被害状況の確定報に基づき申し上げます。 まず、農作物被害については、水稲、トマト、ネギ、カスミソウ等、農作物14品目に被害があり、被害額は、合わせて1億1,861万円となっています。 また、農業等施設については、養液供給装置等他、附帯設備一式、水稲育苗施設、パイプハウス等、20か所に被害があり、被害額は、合わせて1,980万4,000円となっています。 これら、農作物と農業等施設を合わせた農業被害の合計は、1億3,841万4,000円となっています。
◆25番(蛭田源治君) 農作物の中には、種まきや苗を定植したばかりで被害に遭ったものがありましたが、これら種や苗に対する助成はあるのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農業被害に対する支援といたしまして、県と市が連携して、農業等災害対策補助事業を実施いたします。 その中で、被害を受けた農作物の再生産を行うため、種子や苗の購入費用の3分の2以内を補助することとしています。
◆25番(蛭田源治君) 農業等施設で大きな被害があったのは、山田町にある稲の苗を生産するJAの南部育苗施設でありますが、この施設は、水稲の苗、約6万8,000枚、これがその苗箱でありますけれども、これに土を入れて、芽出しした種をまいて、土をかけて、大体5日、6日くらいで、あとは農家のほうに配達するようになるんですけれども、これを持っていって、田んぼに稲を植えると。これがその苗箱でありますけれども、この水稲の苗6万8,000枚生産しております。そして、勿来地区、田人地区、遠野地区の本市の南部地域の農家へ供給しているところであります。 そして、植えられる水田の面積は、10アール当たり、1反歩ですね。この箱を十四、五枚使うわけでありますので、約450ヘクタールにもなります。 もし、この施設が復活しなければ、来年この面積の水田に、田植えができなくなるわけでありますが、この施設の復旧に向け、JAとの連携はどうなのかお聞かせください。
◎市長(内田広之君) このたび、被災されました福島さくら農業協同組合南部育苗センターにつきましては、現地で蛭田議員から何度もその厳しい状況を訴えていただいたところでございますけれども、この施設に関しまして、浸水により、建物の中にあります水稲の苗を育てるための機械や、苗箱自動供給装置等の設備に被害が生じまして、その復旧費用として、約1億1,000万円が見込まれております。 そのため、市といたしましては、国や県、JAと連携をいたしまして、当該施設の早期復旧に向けた支援策を講じたいと考えております。 具体的には、農林水産業共同利用施設災害復旧事業による国庫補助に加えまして、県や市が、上乗せ補助を行うための準備を今進めております。 また、これと併せてまして、激甚災害の指定に向けましても、私自ら、内閣府の防災担当大臣など、国の関係者にも訴えてきたところではございますけれども、引き続き関係機関に対し、強く働きかけていきたいと考えております。 こうした取組によりまして、勿来地区や遠野地区など、南部地域の農業者の方々が、来年の耕作に支障を来さないように、しっかりと対応していきます。
◆25番(蛭田源治君) ありがたく思っております。よろしくお願いいたします。 JAの育苗施設は市内に4か所あります。今回被害に遭った南部育苗施設以外の3か所で、その南部の分の苗の生産をカバーできないかと、そういった声もありましたが、例えば、平片寄の育苗施設では、平地区のほか、四倉地区、久之浜・大久地区、川前地区、そして三和地区までの苗を約8万5,000枚生産しております。そして農家まで配送しているわけでございます。 あと2か所は平高久と渡辺町にありますが、どの育苗施設も余裕はないとのことであります。 本市南部地域の稲作を継続するためにも、来春の苗の生産、そして農家への供給ができますよう、南部育苗施設の復旧事業をJAと連携して進められるよう、そして、ただいま市長から力強い答弁もありました。どうぞよろしくお願いするところでございます。 2点目の質問は、林業被害についてであります。 台風の後、山間部のあちこちに山肌が見え、小さな山崩れが散見されます。その下には林道が通っています。その林道の被害は、これも福島県が公表した確定報によりますと、市内山間部の広範囲において、121か所とありました。 そこでまず、林道の被害状況についてお聞かせください。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 林道の被害状況については、市内286路線のうち、林道大曲線や西根線などの64路線において、豪雨により路肩崩壊、のり面崩落、路面洗堀等が121か所で発生しています。その被害額は、合わせて1億9,870万円となっています。
◆25番(蛭田源治君) 林道の中には、生活用の道路として利用している市民の方もいますが、ここで、林道の復旧状況について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 林道の復旧状況についてですが、林業の施業に大きな支障を及ぼすおそれがある路線や、生活用の道路として利用されている路線など、緊急性が高い、林道山玉線や瀬戸線などの14路線、16か所について、既に応急的な土砂撤去や路面の復旧等の工事が完了しています。
◆25番(蛭田源治君) 林業を営んでいる方は、木材の切り出しや間伐など、秋から春にかけて行う作業が多くあり、それらは林道を利用しなければなりませんが、今回の林道の被害により、林業への影響をどのように捉えているのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 林業従事者や森林所有者など、林業関係者に林道被害に関する聞き取り調査を行いました。 その中で、林業への影響については、林道の被害による通行止めなどにより、森林への立入りが制限され、下刈りや間伐などの森林施業や、木材の搬出が困難となること。 そのため、製材工場や合板工場などの木材加工事業者に対する木材の安定供給にも支障を来すこと、などの懸念が示されています。 このため、可能な限り林業への影響が生じないよう、林道の早期復旧に取り組んでいきます。
◆25番(蛭田源治君) それでは、林道の今後の復旧の見通しについて伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 今後の復旧の見通しについてですが、市単独で行う災害復旧事業の44路線、98か所のうち、林道山玉線、瀬戸線などについては、既に一部着手済みであり、その他の路線についても、順次着手し、年度内の完了を目指します。 また、国の補助対象となる林道大曲線、西根線などの6路線、7か所については、去る11月29日に国の災害査定が完了いたしました。 これを受けて、現在、工事の発注手続を進めているところであり、引き続き、林道の早期復旧に向け、取り組んでいきます。
◆25番(蛭田源治君) 本市の面積の約7割は、山林であります。山の手入れができませんと、荒れてしまい、保水力も低下し、今回のような大雨で山崩れのような災害が多く発生することが懸念されます。 山林の健全な育成が図られますよう、林道の早期の復旧をよろしくお願いするところでございます。 3点目の質問は、災害に対応する市の窓口のワンストップ化についてであります。 今回の大雨の災害の復旧に向けて、区長さんや自治会の役員さんたちが被害の状況を説明し、復旧の要望をすることが多くありました。私も何度も同行したところであります。 そこで混乱したのは、まず道路です。 説明する市民の方は、単純に市の道路という認識で話をしますが、それが市道であったり、農道であったり、赤道が入っていたり、林道だったり、また私道だったりと、道路の種類によって担当する市の課が違いますし、対応も異なります。 次に混乱したのは、その道路に側溝が接続していて、その側溝の復旧を要望いたしますと、それが生活用の排水路だったり、または用水路や青道だったりと、これもそれぞれに担当が異なります。 今回の災害は、内水氾濫に原因することが多くありました。 氾濫したのが市で管理する河川であったり、改良区の管理する用水路だったり、または都市下水路だったりと、これも様々でありました。さらに、のり面の崩落でも、何ののり面かでもやはり担当が異なります。 災害の発生後は、被害の全容をいち早く把握し、そして早期の復旧に取りかからなければなりません。 そのためにも、被害を受けた地域からの相談や要望を受ける窓口を一元化にすれば、もっと早く対応ができるのではないかと考えました。 今回の災害対応で感じたことは、道路、河川、水路、農地などの被害に対し、相談窓口の一元化が必要ではないかということであります。 そこで、今回の災害を教訓として、市民の負担軽減を図る観点から、さらにスピード感を持って復旧に取りかかるためにも、広範囲にわたる自然災害等に対応する市の窓口のワンストップ化を図るべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
◎市長(内田広之君) この問題に関しましても、私、勿来地区に訪問したときに、蛭田議員同席の下、勿来の住民の皆様から直接厳しい御意見を賜ったところで、本当に重要な問題だと思っております。 今回の災害に係る市の相談窓口に関しましては、発災直後にコールセンターを設置するとともに、各支所、行政MaaSによる巡回等によりまして、被災者からの相談等に対応いたしました。 特に、被害の大きかった内郷地区におきましては、2か所の
現地支援センターを設置して対応したところです。 各窓口におきましては、住家被害認定調査、つまり罹災調査の申請でありましたり、被災救助費救助金や被災者生活再建支援金の申請、公営住宅等への一時入居の申請などに関しまして、ワンストップでの対応を図ってきました。 また、道路や農地等の被害に係る相談につきましては、令和4年度に体制強化を図った各地区災害対策本部経済土木班において対応することとしていました。 具体的には、災対土木部、災対農林水産部、及び災対都市建設部の職員を災害発生時に各地区本部に派遣し、被害状況の確認や通行止め等の応急処置等を、組織横断的に対応することとしたものです。 しかしながら、今回の災害におきましては、関係部局間の情報共有等が十分に図られず、被災者からの要望に迅速に対応できなかった事例がありまして、反省をいたしております。 こうしたことから、経済土木班の役割や、情報共有等の手順につきまして、関係部局へ周知徹底を図っていきます。 併せまして、相談窓口で扱う項目の拡充等につきましても検討いたしまして、被災者の利便性の向上や、迅速な生活再建支援の実現に向けまして、全力で取り組んでいきたいと考えております。
◆25番(蛭田源治君) 市長も、市長になられまして、初めての自然災害を経験されたかと思いますけれども、今回のことも教訓にして、いろいろと対策を講じていただきたいなと思っているところであります。 そして、窓口がワンストップでありますと、そこでほとんどの相談ができますし、市民の方も安心して落ち着いて、相談や要望ができると思います。 また、市のほうでも全容が把握でき、早く対応に取り組むことができるのではないかと思いますので、ぜひ検討していただくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、いわき市選挙区福島県議会議員一般選挙についてであります。 先月この選挙がありました。どんな選挙にも、新聞をはじめとするマスコミでいろんな予想がされますが、不思議にほとんどがそのとおりにはなりません。今回の選挙も、皆さんそう感じたのではないでしょうか。 今回執行された選挙について、以下質問してまいります。 1点目の質問は、投票率についてであります。 前回、4年前のいわき市選挙区福島県議会議員一般選挙の投票率は39.13%で、今回は39.54%と0.41ポイントアップしました。しかし投票者は、2,761人減少しております。 これは、本市の人口減少によるものでありますが、まず、今回の選挙の投票率について、どのように捉えているのか伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) お答えいたします。今回と前回の選挙の投票率を比較いたしますと、今回は、50代以上の投票率は低下しているものの、40代以下の投票率が増加しており、特に10代と20代の投票率が著しく増加したことにより、前回を上回ったものと考えております。 しかしながら、投票日当日は天候が悪く、気温も低かったこと、また、勿来地区の投票率が著しく低下したことなどにより、投票率は、微増にとどまったものと考えております。
◆25番(蛭田源治君) 初めて今聞きましたけれども、低かったんですね。勿来地区の議員にもよく伝えておきますので、今後また投票率が上がるように、我々も一生懸命取り組まなければならないと思っております。答弁ありがとうございました。 今回の選挙では、試行的に移動期日前投票所を導入しましたが、その結果について伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 今回の試行的導入は、小川地区において、お出かけ市役所のマルチタスク車両を活用いたしました移動期日前投票所を設置しました。 実施日は1日間で、3か所で設置し、1か所当たり90分の開設時間といたしました。 当該投票所で投票した方は、40人で、小川地区以外の選挙人も投票しております。
◆25番(蛭田源治君) 次に、この移動期日前投票所の効果等について伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 今回、小川地区での投票区の統廃合を行ったため、投票所までの距離が著しく遠くなった地域のいわゆる交通弱者の投票機会を確保する観点から、試行的に導入したものでございます。 今回の導入で40人の方が利用された結果を踏まえると、一定の効果はあったものと認識しております。 しかしながら、導入に当たっては、投票管理者や立会人、事務従事者を確保しなければならないことなど、人員面や費用面での課題も確認できたところでございます。
◆25番(蛭田源治君) それでは、移動期日前投票所を今後も継続するのか、その考えについて伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 小川地区については、今後も継続する方向で検討してまいります。 一方、他の地区において、投票区の統廃合が行われた場合は、地域の交通事情等を勘案しながら、地区住民と協議の上、導入の是非について検討してまいります。
◆25番(蛭田源治君) 分かりました。こうした取組をいろいろいたしてもらって、投票者も増えることを期待していきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。 有権者の中には、病院に入院していたり、介護施設に入所していたり、投票したくてもできない方がいます。その有権者が投票するためには、どのような方法があるのか伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) お答えいたします。都道府県が不在者投票のできる病院等として指定した施設に入院・入所されている方については、指定病院等における不在者投票の方法により、投票することができます。
◆25番(蛭田源治君) それでは、その方法をお知らせする周知について、どのようにしているのか伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 選挙の都度、市内の指定病院等に対して周知を行っており、当該指定病院等を通じて、入院・入所されている選挙人にも周知されております。 また、市ホームページにも常時掲載することで、選挙人への周知に努めております。
◆25番(蛭田源治君) その方法は、先ほど不在者投票とありましたけれども、今回それを利用して投票した有権者は、どれくらいいたのか伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 今回の選挙で不在者投票した方は、1,198人でした。そのうち、指定病院等における不在者投票は、1,140人でした。
◆25番(蛭田源治君) そうしますと、随分投票した人がいるなという感想でありますけれども、今後も、入院・入所している方に投票してもらいたいわけでありますけれども、そのお知らせといいますか、周知の方法もよりみんなに分かりやすく徹底してもらいまして、より多くの人に投票していただけるようお願いするところであります。 投票率を上げるには、我々議員も努力していかなければなりませんが、選挙管理委員会として、今後、投票率を上げるために、どのように取り組んでいくのかお聞かせください。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 今回の選挙で、若年層の投票率は増加したものの、他の年代と比較すると、依然として低い状態にありますことから、若年層の投票率を引き上げることが特に重要であると考えております。 このため、市内の中学生や高校生を対象に、政治や選挙に対する意識の醸成を目的に実施している未来の有権者育成事業や、未来の福島県知事選挙を、今後も県と連携しながら継続的に実施してまいります。 また、明るい選挙推進協議会などの関係団体や、県の選挙啓発サポーターとして登録している市内の事業者・個人と共に連携を図りながら、若年層の投票行動につながる啓発活動に力を入れてまいりたいと思っております。
◆25番(蛭田源治君) 2点目の質問は、開票作業についてであります。 投開票速報時間等についてと、我々議員に、10月31日付でいわき市選挙管理委員会から通知がありました。 それによりますと、中間速報は、第1報を午後9時現在とし、以降30分置きにとあり、また、開票終了予定時刻は、午後9時50分とありまして、これは新聞にも載っておりました。 しかし、開票の夜、まず速報から大分遅れたようでありまして、我々は、まだかまだかと待っていたところでありました。 そこで、まず、中間速報が遅れた理由について伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 開票集計の途中経過をお知らせする開票速報は、午後9時の第1報を皮切りに、以後30分置きに中間速報を発表することとしておりました。 当該速報を行うに当たっては、各投票所の投票者数などが記載されている投票録等を集計した確定投票者数を、第1報である午後9時までに、開票集計システムに入力する必要があります。 しかしながら、1か所の投票所において、投票録等の到着が遅延するトラブルが発生したため、確定投票者数のシステムへの入力が第2報である午後9時30分直前となってしまいました。 このため、開票速報の実質的な開始時刻は、第3報である午後10時からに遅れてしまったものでございます。
◆25番(蛭田源治君) 次に、開票終了予定時間が、約1時間遅れたその原因についてお聞かせください。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) お答えいたします。主な原因として、1つは、今回の選挙では、接戦が予想されていたため、正確性を最重要視したことから、有効票の点検作業を従来の1回点検から2回点検に強化したこと。 2つには、選挙長及び選挙立会人の意見を求める疑問票が多く、審査に時間を要したことなどから、予定時刻を約1時間超過したものと考えております。
◆25番(蛭田源治君) それでは、ただいま答弁にありました、そういったような原因、課題解決に向けて、今後の対策について伺います。
◎
選挙管理委員会委員長(飯間香保子君) 次回の選挙に向けて、投・開票事務でのトラブルを防止するため、事務従事者のマニュアルを見直すとともに、当該事務責任者等の説明会において、注意喚起してまいります。 また、有効票の点検作業などについて、改めて検証し、正確かつ迅速な開票作業の在り方を検討いたします。
◆25番(蛭田源治君) 我々市議会議員は、来年9月に改選期を迎え、一般選挙が執行されます。 今度は、候補者として投票率を上げるように取り組んでいかなければと思っております。 どうか選挙管理委員会におかれましては、正確で順調な開票作業をお願いするところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 以上で、ちょっと時間が残りましたけれども、私の一般質問を全て終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後4時55分まで休憩いたします。 午後4時43分 休憩
--------------------------------------- 午後4時55分 再開
△小野茂君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。27番小野茂君。 〔27番小野 茂君第二演壇に登壇〕
◆27番(小野茂君) (拍手)27番いわき市議会公明党の小野茂です。 誰もが安全で安心な暮らしについて、はじめに、9月8日の台風第13号は、本県で初めての線状降水帯が発生し、記録的な降雨量により甚大な災害を引き起こしました。被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。そして、お亡くなりになられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げます。一日も早い復旧・復興へ、私たちも全力で取り組んでまいりたいと感じております。 また、本市は今回の災害を専門的な見地から検証し、今後の防災対策に反映するとしました。とても重要なことと思いますので、速やかに進めていただきたいと思います。 今回の一般質問は、物価高騰・円安などからの、国の経済対策のスピード感のある対応や、9月議会に予定していた質問項目を基にお聞きしてまいりますので、よろしくお願いいたします。 それでは、物価高騰経済対策についてであります。 現在、経済状況は、コロナ禍を乗り越え、再生に向けた歩みを始めようとしております。しかし、原油価格の上昇・高止まりや円安、食料品の相次ぐ値上げなど、昨年来からの物価高騰は、いまだ日常生活や事業活動に深刻な影響を与えております。 一方、国の税収は3年連続で過去最高を更新し、この税収増を直接皆様に還元することなどが議論され、日々の暮らしを支え、経済対策の効果を実感できるよう、国はデフレ完全脱却のための総合経済対策をまとめました。 私たち市議会公明党は、物価高騰対策につきまして、国の施策を踏まえ緊急要望を行ったところであります。補正予算の成立を受け、直ちに総合経済対策を的確に市政に反映するよう、物価高に対応するための給付については、対象世帯が実感できるよう、年内給付を強く要望してきたところであります。 そこで、令和5年度補正予算成立を踏まえた、重点支援地方交付金の活用についてであります。 低所得世帯への支援について、支援の概要について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 国は、本年11月2日に閣議決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策において、重点支援地方交付金の低所得世帯支援枠を追加的に拡大しました。 その内容は、物価高に最も切実に苦しんでいる住民税非課税世帯を対象として、1世帯当たり7万円の給付を行う支援策です。 本市では、給付対象世帯として、約3万7,000世帯を見込んでいます。
◆27番(小野茂君) それでは、給付スケジュール等について伺いたいと思います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 先月末に国の補正予算が成立したことを受け、本市でも年内の予算化に向けて準備を進めています。 本給付金では、対象世帯から住民税が課税されている者の扶養親族のみで構成される世帯が除かれたため、基準日である本年12月1日時点で、住民税が非課税である全世帯に対し、通知書を発送し、対象世帯であるかを確認する必要があります。 この確認期間は、約2週間とすることが適当と考えられるため、予算確保の後、直ちに通知書を発送しても、振込は来年1月中旬になる見込みです。 既に給付の時期を明らかにしている県内他市でも、1月以降になる予定としています。 なお、給付方法については、プッシュ型給付のほか、申請に係る市民の皆様の利便性の向上を図るため、これまでの紙媒体による申請に加え、新たにオンライン申請の検討も進めます。 また、本年6月2日以降に転入した住民税非課税世帯の方へは、確認書が送付されないため、広報いわき、市公式ホームページのほか、SNSやラジオなどの広報媒体も積極的に活用し、申請の方法等について、広く周知していきます。 こうした新たな手法も取り入れながら、一日でも早く、対象世帯に支援が届けられるよう円滑な給付事務に努めていきます。
◆27番(小野茂君) 要望では、地域の実状に合わせて自治体が柔軟に活用できる推奨事業メニューについても提案をさせていただいておりますので、早急な対応をお願いしたいと思っております。 国の経済対策は、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者に迅速に支援を届ける、必要な支援を可及的速やかに受けられるよう、事業を計画されるようお願いをされておりますので、しっかりと受け止めて進めていただきたいと思います。 県内の他自治体では、先決の部分で、年内に支給するということを表明しているところもありますので、ぜひ、全庁挙げて取り組んでいただき、対象世帯が実感できる、まさに、年内給付を強く要望しておきたいと思います。 次に、防災対策についてであります。 今年の夏は本当に長く感じられ、異常な暑さでありました。国内のみならず、7月には、世界の平均気温が観測史上最高になる見通しから、国連のグテーレス事務総長が放った、地球沸騰化時代の到来。この言葉は大変衝撃的な言葉でありました。 想定や経験を超える規模と速度で地球環境の激変、最近では、1日単位で気温差が10度を超える日もあり、体のダメージと、自然災害の増加は、誰もが身近に感じる日常となりつつあります。 さて、今年の9月1日防災の日は、防災の原点、関東大震災から100年を迎え、各機関が災害を振り返り、教訓が生かされているのかどうかなど検証する報道が多く、関東大震災は、地震、火災、津波の複合災害。さらに、根拠のないデマの横行で犠牲になった人も多かったとあります。そして、復旧・復興に約80万人もの人々が北海道から九州と全国に広域避難されたなど。改めて、災害と防災について考える機会となりました。 災害の歴史・教訓を振り返ることは、災害を自分ごととして捉え、自らの命を守る具体的な行動へつなげていくことが重要と考えております。 また、最近は地域コミュニティーが薄れていく中で、災害時にインターネット上で情報提供をするといったデジタル共助の可能性が構築されております。実際、災害時にSNSで情報をもらい命が助かったという事例もあります。場所や空間を超え、共助が育まれる時代になったとも言えます。 身近な地域であっても、SNS上であっても、相手の置かれた状況を自分ごととして捉えて、思いをはせ、共に生きるための力を磨く。そんな思いやりのある心を育てるものでもあると思います。 そういった意味でも、防災を私たちの社会や教育の大きな柱としていくことは、課題が山積する困難な時代を生き抜く確かな力になっていくことと思っております。 さて、今回の台風第13号での対応で、事前避難として、9月8日15時に高齢者等避難、警戒レベル3が発表されました。 そこで、高齢者等避難発表における避難状況の評価について伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 本市では、9月8日に台風第13号の接近に伴い、早め早めの対応を心がけ、雨が強まる前、まだ明るいうちの午後3時に高齢者等避難を発令しました。 また、土砂災害発生の危険性が高まったことから、午後7時に避難指示を市内全域に発令しました。 これに伴う市民の皆様の避難行動につきまして、市が開設した避難所への避難状況で申し上げますと、避難指示を発令した午後7時の時点で、開設していた19か所の避難所への避難者数は、36世帯58名となっていました。 その後、気象状況の悪化に伴い、避難所への避難者数が急激に増え、9日午前1時に最大となり、27か所の避難所に、307世帯、644人が避難されていました。 これらの状況を見ますと、避難情報の発令から、実際に避難するまでタイムラグが生じています。雨が強まった後、危険が迫っている中で避難行動を取る方が多かったことがうかがえ、避難行動に課題があると認識しております。 このことから、現在、東北大学災害科学国際研究所や福島高専の協力の下、進めている災害検証の中で、市民の皆様の避難行動の実態調査を進めているところであり、その結果を踏まえ、適切な避難行動につながるよう、対策を進めていく考えです。
◆27番(小野茂君) やはり初動の行動というのは非常に課題であったと思います。 これまで、災害が起こる前に、事前対策として、マイタイムラインの啓発や、避難など事前確認として避難場所、移動方法、連絡確認などや、さらには、事前準備品としてローリングストック、備蓄品、非常持ち出し品などを進めてまいりました。 では、今回の台風災害や本市のこれまでの災害経験から教訓を学び、進行型や突発型の災害時の事前準備としての確認事項や避難行動など最低限決めておくべき項目を絞り込み、家族や個人で記録しておける様式、災害お役立ちシートとしてまとめ、市民の防災事前準備意識向上に向け、災害お役立ちシートを作成し、配布することの御所見を伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 本市では、市民の皆様が、平時に災害に備えるための啓発品として、防災マップを作成しています。 この防災マップには、市防災メールの登録先など災害情報の収集先、避難の際に持ち出す食べ物などの非常持ち出し品、及び避難方法や避難時における注意事項などを記載し、全戸配布や、本庁及び各支所に設置するなどにより広く周知を図っています。 また、市公式ホームページでは、災害リスクなどを家族間で話し合うための、わが家の避難行動チェックシートや、家族の連絡先などを記載する防災カードを掲載し、災害への備えを啓発しているところです。 今後も、わが家の避難行動チェックシートや防災カードについて、防災訓練や防災講話等での参加者の声を聞き取りするなど、必要に応じて内容の見直しを行い、市民の防災意識の啓発に努めていきます。
◆27番(小野茂君) 事前の準備ということで、それぞれ家族であり、また個人でも、進行型、あるいは突然的な災害に向けて、どういう所に私は住んでいるのかと、地域を知る。また、その事前準備として必要なものを確認するという意味で、そういった用紙を手元に置いて書き込んでいくということは、大事だと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。 また、2011年3.11の東日本大震災では、総人口に対する死亡率で、障がいのある方の死亡率は、障がいのない人の2倍との報告があります。 先進地、他市事例におきましては、目が不自由な方や高齢者など、災害に対する備えとして、防災に関する基礎知識や災害リスク情報を事前に取得するため、音声によるハザードマップを作成しております。 目の不自由な方やお年寄りの方々への事前防災対策を進める上で、聞く防災学習、音声版ハザードマップ作成についての御所見を伺います。
◎危機管理部長(大嶺常貴君) 他の幾つかの自治体において、音声版ハザードマップを作成・提供していることは認識しております。 一方で、視覚障がい者の方の間では、パソコンやスマートフォンなどの情報機器が普及しており、音声読み上げソフトや文字拡大機能等の利用も進んでいます。 そうした実態に加え、市総合防災訓練において、障がい者の方を対象とした避難訓練等を実施していく中で、参加された方の意見なども参考とし、音声版ハザードマップの必要性等について見極めていきたいと考えております。
◆27番(小野茂君) 誰もがなり得るものでありますから、そういったものが進んでいるのであれば活用して、そういうものにつなげていただきたいなというように思います。 次に、災害が起こってからの課題の1つであります、災害廃棄物処理対策についてであります。 9月8日の台風第13号における初動の災害廃棄物対応の課題について伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 災害廃棄物の初動の対応としては、市災害廃棄物処理計画において、廃棄物の仮置場を発災後3日以内の設置を目標としています。 今回の災害においては、関係団体の協力の下、3日目の朝には開設することができました。 一方、仮置場が設置されるまでの間、災害廃棄物が公園等に分別されずに集積したことが課題であります。 そのため今後は、災害翌日からの災害廃棄物の受入れ対応について、検討します。
◆27番(小野茂君) 本市では、国が定める災害廃棄物処理指針を踏まえ、地震や水害に伴う災害ごみの処理計画を策定しております。 収集方法や仮置場の選定基準、リサイクルの手順などが示されていると思います。 そこで、令和5年3月版の家庭ごみの分け方・出し方ハンドブックに、災害廃棄物の出し方が追記されました。 災害はいつ起こるか分かりません。誰もが当事者となる可能性があるわけですから、追記した項目を災害廃棄物の出し方に付け加える追加冊子として全戸配布するべきと考えますが、市の御所見を伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 災害廃棄物の搬出方法については、家庭ごみの分け方・出し方ハンドブックに内容を記載し、本庁舎及び各支所等での窓口配布や市ホームページに掲載し周知を行っています。 今回の災害を踏まえ、ごみカレンダーを活用し、さらなる周知を図ることとしました。 また、災害廃棄物の搬出方法などを詳細に理解していただくため、出前講座や自主防災組織等を対象とした研修などを実施していきます。
◆27番(小野茂君) ハンドブックは全戸配布しているわけですから、追記したその冊子を全戸配布すべきと考えておりますので、御検討いただきたいと思います。 次に、災害廃棄物臨時集積所の衛生管理対策についてであります。 災害廃棄物の出し方について、臨時集積所の衛生管理対策を付記すべきと考えますが、御所見を伺います。
◎生活環境部長(渡邉一弘君) 仮置場や臨時集積所へ、災害廃棄物と一緒に、食べ残しなどの生ごみを多く含む生活ごみが搬入されると、腐敗による悪臭や害虫が発生する原因となります。 そのため、災害廃棄物の出し方では、衛生管理対策として、生活ごみと災害廃棄物を分別すること、生活ごみは搬入できないことを明記しています。 なお、災害廃棄物のうち、畳などの腐敗しやすいものについては、消毒剤等の散布などの衛生管理対策を行うこととしており、今回の災害においても実施したところです。
◆27番(小野茂君) 次に、長期にわたる対応が課せられております風評対策についてであります。 地域防災計画原子力災害対策編では、風評等の影響の軽減が示されております。 そこで、はじめに、これまでの農林水産物の市風評払拭対策について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本市では、原発事故以降これまで、食の安全・安心を消費者御自身に判断していただくため、農林水産物をはじめ、それを育む土や水などの放射性物質検査結果を、ありのまま情報開示してきました。 また、平成23年10月には、消費者からの信頼獲得を目的とする、いわき見える化プロジェクトを開始しました。 そして、その翌年には、観光業も含めた復興と風評対策を目的とするプロジェクトチーム、見せる課を創設するなど、本市農林水産物の安全・安心の正しい情報や、おいしさなどを分かりやすく発信してきました。 現在は、魅力アップ!いわき情報局魅せる課に組織を再編し、風評払拭及び消費拡大のため、本市の主力農産物であるトマトやネギ、さらには、水産物の代表である常磐ものに焦点を当てた魅力発信を行っています。 加えて、広く消費者へ呼びかけるWEB広告や動画配信などのプロモーションなども戦略的に展開しています。
◆27番(小野茂君) それでは、東京魚市場卸協同組合が実施しております三陸常磐夢市楽座との連携について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 三陸常磐夢市楽座は、本年7月に東京魚市場卸協同組合が、復興支援の一環として、東京都中央卸売市場豊洲市場に新たに設置した水産物販売及び情報発信ブースです。 その設置に当たりましては、常磐ものの主力商圏である首都圏において、その安全性はもとより、おいしさや魅力を広く発信し、風評払拭につなげることの必要性などについて、かねてより、本市と設置者である東京魚市場卸協同組合との間で意見交換などを行ってきたところです。 今般のALPS処理水海洋放出後、常磐ものに対する関心が高まっていることなどを踏まえ、豊洲市場の三陸常磐夢市楽座を情報発信の拠点として首都圏のみならず、全国各地に常磐ものの安全性や魅力を発信していきます。
◆27番(小野茂君) 私ども会派でも視察で伺った折、早山組合長さんをはじめ、関係者の皆様と懇談的に意見交換などさせていただき、現地を見てきました。 特に夢市楽座では、プロの目利きが選ぶ魚を家庭へ提供しているということで、力強く進めていただいているということを実感してきました。 そんなこともありまして、これからも積極的に、常磐ものの発信力を高めていただきたいと要望させていただきたいと思います。 では、今後の水産物の市風評払拭対策について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 原発事故以降、12年が経過し、本市の水揚げ量が回復傾向にある中、今般、ALPS処理水海洋放出がなされました。 現時点では目立った影響は出ておりませんが、今後の風評や影響について引き続き注視していく必要があると考えています。 海洋放出後、本市へのふるさと納税の申込みが増えており、また、市内外を問わず、常磐ものを引き続き購入したいといった多くの温かい激励の声をいただいています。 こうした期待に応えるためにも、安全性に関わる情報発信は必要不可欠でありますので、市独自の海域モニタリングを実施しています。 また、常磐ものブランド力強化発信事業により、主力商圏である首都圏飲食店を活用したプロモーション活動を行うとともに、各種試食会の開催や、バイヤーとの連携事業により常磐ものの風評払拭及び販路拡大に取り組みます。
◆27番(小野茂君) 次に、自然災害からなんとか逃げ延びたとしても、その後の避難生活などで命が失われてしまう厳しい実態があります。 そこで、災害関連死についてであります。 東日本大震災と東日本台風災害における災害関連死についてお聞きします。 はじめに、東日本大震災における災害関連死の認定状況について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 災害弔慰金の支給に当たり、専門的知見から死因と災害との因果関係を審査するため、市災害弔慰金等支給審査委員会を設置しています。 東日本大震災に係る、本年11月末現在の災害関連死の認定状況を申し上げます。 認定者数は138人となっており、死因別では、疾病が123人、老衰が12人、自殺が3人となっています。 そのうち、疾病の内訳としては、呼吸器疾患が30%、心疾患が29%、脳血管疾患が12%、その他の疾患が29%となっております。
◆27番(小野茂君) 次に、東日本台風災害における災害関連死の認定状況について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 東日本台風災害に係る、本年11月末現在の災害関連死の認定状況を申し上げます。 認定者数は6人となっており、死因別では、疾病が5人、自殺が1人となっております。 そのうち、疾病の内訳としては、呼吸器疾患が40%、心疾患が20%、その他の疾患が40%となっています。
◆27番(小野茂君) 今、詳細にわたって示していただきました。 こうした関連死からの教訓を次の被害防止につなげる取組は十分でないという指摘があります。 災害関連死からの教訓を、次の被害防止につなげるため、庁内連携を図るなど、これまでの災害関連死の状況を教訓に生かす取組について御所見を伺います。
◎市長(内田広之君) 国の東日本大震災における震災関連死に関する報告によりますと、福島県における災害関連死の主な原因といたしまして、避難所における生活または避難所等への移動中の肉体・精神的疲労が挙げられております。 また、対応策の基本的な考え方といたしましては、早急に帰還できる環境、例えば、道路、住宅、医療等を整備することとされています。 このことから、市では、東日本大震災以降、次のような取組を進めてきました。 主な内容を申し上げますと、1つといたしまして、避難者の健康管理体制の充実です。 昨年4月に、いわき市と市の医師会、病院協議会の三者で協定を締結いたしまして、医療機関等との連携の下、医師や保健師等が避難所や被災者宅を巡回して心身の健康状態を確認し、持病の悪化や精神的不調等が見られる場合は、適切な医療機関の受診等の助言を行うことにいたしました。 2つ目といたしまして、避難所の良好な環境整備についてです。 間仕切り用のパーティションの整備でありましたり、民間事業者との協定締結によりまして、段ボールベッドの確保、各種災害用トイレや大型トイレカーの導入、高齢者等でも食べやすいアルファ化米等の導入など、非常用備蓄品の充実強化を図ってきました。 3つといたしまして、避難者の受入れ方法の見直しです。 避難所での受付におきまして、持病やアレルギー等の有無、日常生活における介助の必要性等の確認を行いまして、状況に応じまして、福祉避難所での受入れや、食事内容の工夫を行うことにいたしました。 こうした取組の充実強化を図ることによりまして、避難所における良好な生活環境を確保していきます。 今回の台風第13号の災害対応に当たりましても、令和元年東日本台風災害における対応等を踏まえまして、発災直後から医師会等との間で、避難所の状況等について情報共有を行いました。 また、被災者の一日も早い生活再建に向けまして、被災者生活再建支援システムを新たに導入いたしまして、これまでよりも迅速に住家被害認定調査の実施や、罹災証明書の早期発行を行ってきております。 さらに、当該判定結果を関係部局間で共有いたしまして、被災者生活再建支援金等の支給、応急住宅の提供、市税等の減免などに係る手続の迅速化を図るなど、被災者に対する、きめ細かい支援体制の充実に努めました。 今後も、被災者に寄り添った自立、そして生活再建に向けた取組を推進いたしまして、災害死ゼロの実現につなげていきたいと考えております。
◆27番(小野茂君) 詳しい答弁いただきましてありがとうございます。 一度は助かった命が失われないためにも、災害関連死の教訓を、さらなる今後の支援や対策につなげる必要があるかと思いますので、御検討を引き続きお願いしたいと思います。 さて、本市は、自殺対策基本法に基づき、毎年9月には自殺予防週間、3月を自殺対策強化月間と定めて、国・県・関係団体等が連携して、様々な広報・啓発活動に取り組んでおります。 令和5年版自殺対策白書によれば、自殺者数の年次推移は、令和4年は前年に比べて、自殺者が増加し、男女別に見ると、男性は13年ぶりに増加、女性は3年連続の増加となったそうであります。 年齢階級別の自殺死亡率によれば、令和2年以降ほぼ全ての年齢で上昇し、特に20歳代、40歳代、50歳代において顕著に上昇傾向が見られると。しかも、10歳代の自殺率も増加しているということで、令和4年の小・中・高生の自殺者数は514人と、過去最多となったと言われております。 そこで、自殺防止対策についてであります。 いわき市では、平成23年にいわき市自殺予防対策指針を作成し、オールいわきの体制で進めるとしました。そして、いのちをまもり支える計画として、第1次いわき市自殺対策計画を策定したところであります。 はじめに、本市の令和5年9月の自殺対策強化月間の取組の内容について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 国では、自殺対策基本法において、9月10日から16日までを自殺予防週間と位置づけており、県では、9月を福島県自殺対策強化月間と定め、普及啓発等の強化を図っています。 これを受け本市でも、県の強化月間に併せ、重点的に、自殺予防に関する啓発活動に取り組んでいるところです。 今年度新たな取組として、9月3日に開催された、いわきFCホームゲームの来場者に対して、リーフレットや啓発グッズを配布し、自殺予防を呼びかける街頭キャンペーンを実施しました。 また、若年層向け自殺予防講演会に加え、女性特有のメンタルヘルスの支援強化を図るため、新たに女性向け自殺予防講演会を開催しました。 さらに、昨年度に引き続き、高校や大学などへ身近に持ち歩けるポケットサイズの自殺予防啓発カードを配布したほか、地区保健福祉センターや公民館などでポスターの掲示やリーフレットの配布を行いました。 併せて、市公式ホームページやSNS、総合保健福祉センター内に設置した自殺予防啓発コーナーにおいて、相談窓口等の周知を図るなど、様々な啓発活動を実施したところです。
◆27番(小野茂君) 他市でも、様々に多角的に取り組まれているようでありますけれども、現在、第2次計画作成に向けて取り組まれていると伺っております。 そこで、第1次いわき市自殺対策計画の評価のための市民
アンケート調査を行ったと伺っております。 その結果の概要について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 市自殺対策計画評価のための市民
アンケート調査は、青年期から高齢期までの、世代別に無作為抽出した4,500人を対象に、昨年11月から12月にかけて実施しました。 回答者数は1,524人、回収率は33.9%となっており、調査結果について、主なものでお答えいたします。 この1年以内に、自殺したいと思ったことがある人の割合は、前回調査時より0.3ポイント増の4.4%となっています。 特に、年代別では30歳から64歳の働き盛り世代の割合が約2倍に増加しています。 また、心の健康や病気についての相談窓口を知っている人の割合は、前回調査時より0.9ポイント増の33.9%にとどまっています。 さらに、悩んでいる人に気づき、必要な支援につなぐ案内役であるゲートキーパーという言葉を知っている人の割合は、前回調査時より5.6ポイント減の11.2%と、市民の約9割がゲートキーパーを知らないと回答しています。
◆27番(小野茂君) 他市では、ゲートキーパーの養成研修の動画公開など取り組んでいるというところもあるようでありますので、こうした、今お示しいただきました
アンケート調査結果などから、国の方向性を踏まえた本市の第2次自殺対策計画策定に向けた進め方について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 第2次市自殺対策計画の策定に向け、現在、自殺対策庁内連絡会議や、医療、福祉、教育、労働などの専門委員で構成される市保健医療審議会自殺対策協議部会において、市民
アンケート調査結果などを検証し協議しているところです。 併せて、来年1月に予定しているパブリックコメントで寄せられた意見も踏まえながら、来年3月の策定に向けた作業を進めています。 また、昨年10月に閣議決定された自殺総合対策大綱において、今後取り組むべき施策として、子供・若者の自殺対策のさらなる推進・強化、女性に対する支援の強化などが位置づけられました。 これを踏まえ、子供・若者や女性に対する自殺対策の推進・強化についても、計画に反映していきたいと考えています。
◆27番(小野茂君) 自殺の総合対策の基本方針はSDGsの理念と合致するものであることがうたわれております。地域自殺対策計画に記載する事業のうち、SDGsの目標に関連するものと、関係性を明示することで、自殺対策の理解を促進することにつながると思います。 そこで、自殺対策計画とSDGsの目標に関連する関係性を盛り込んだ計画策定について、御所見を伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 自殺総合対策大綱においては、生きることの包括的な支援として、社会全体の自殺リスクを低下させるとともに、一人一人の生活を守るという姿勢で自殺対策を展開するものとされています。 この考え方は、誰一人取り残さない持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標であるSDGsの理念と合致します。 そのため、本市の次期自殺対策計画には、SDGsとの関連性についても盛り込んでいきます。
◆27番(小野茂君) こんな全国の事例がありました。 全国で活動するNPO団体の実績・調査でありますけれども、倒産やリストラ問題に起因した自殺対策に関わる中で、相談に来られて解決策に着手した矢先に自殺をしてしまう事態があったと。そのようなことの解明に当たりまして調査をした結果、ある共通項目が見い出されたということで、それは、栄養、特にミネラルの欠乏と、向精神薬の服用といった共通点が見つけ出されたと。そういったものを中心に、解決の糸口となったことをお聞きしました。 このようなことから、自殺対策推進においては、日常の食を通しての健康づくりの視点などや、SDGsの目標との関連づけ、さらには、関連施策との有機的な連携を強化し、推進をお願いしたいと思っております。 WHO、世界保健機関が、自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題であると明言しております。決して特別な人たちだけの問題ではなく、自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題としております。共に支え合える社会を進めてまいりたいというように考えております。 次に、今般の急速に発展する技術や多様化する社会に対応できる未来への人材育成に向けた、GIGAスクール構想等についてであります。 令和元年12月に予算化され、これまで進められてきたところであり、運用から今年度で3年目となりました。GIGAスクール構想及び学校教育におけるICT利活用推進の現状と課題について伺っていきたいと思います。 GIGAスクール構想及び学校教育のICT利活用について。 市内小・中学校での利活用状況について、市内小・中学校99校で端末機が整備され、全国の利用状況調査において、市内での99校から回答があったとお聞きしております。 利用場面における実施学校の割合について、1人1台端末を授業で活用している学校の割合では、全国で週3回以上、ほぼ毎日の項目で、全国では約8割、本市も同様と伺っております。 では、本市の利用実態について伺っていきたいと思います。
◎教育長(服部樹理君) 昨年度、文部科学省が実施しました端末利活用状況等の実態調査によれば、教員が授業で
タブレット端末を週3回以上活用している学校の割合ですが、本市では、小学校が約8割、中学校が約4割となっております。 小学校はおおむね全国平均と同様ですが、中学校がやや低い状況になっております。 また、同調査によれば、児童生徒自身が授業で端末を週3回以上活用している学校の割合は、全国平均と比べると、小学校はやや低く、中学校はさらに低い状況となっております。
◆27番(小野茂君) 利用実態が若干低いということから、活用が不十分な学校への支援など、学校間格差是正について伺います。
◎教育長(服部樹理君) 学校間におけますICT利活用の格差を是正するため、令和4年度と令和5年度におきまして、教員のICTスキル向上や、授業中におけるICT機器の障害や不具合への対応を目的に、ICT支援員による学校訪問回数を増やし、学校へのICT支援強化を図っています。 さらに、研究校における実践事例や、先進的な取組などを、学校間で共有しながらICT利活用を推進していきます。 加えて、この冬休みからは、子供たちの主体的な学びをより一層育成する観点から、
タブレット端末の持ち帰りによる、家庭学習の推進にも取り組んでまいりたいと考えております。
◆27番(小野茂君) それでは、端末の更新が間近と思われます。切れ目なく活用が行われるなど、今後の課題について伺います。
◎教育長(服部樹理君) 今後の課題ですが、今後、学校間、さらに言えば、教員間におけるICT利活用の格差是正を図っていくことが課題であると認識していきます。 また、現行の
タブレット端末ですが、令和7年度末に更新時期を迎えます。ICTを引き続き活用していくためには、この端末を更新する必要があります。このために、引き続き多額の財政負担が見込まれることも課題の1つであると認識しております。
◆27番(小野茂君) 個別最適な学びや、誰一人取り残さない教育が停滞することのないようお願いしたいと思っております。 さて、教科等横断的な学習の推進と言われる、STEAM教育についてであります。 本市におけるSTEAM教育の取組について。 本市のSTEAM教育への取組状況について伺います。
◎教育長(服部樹理君) STEAM教育ですが、科学、技術、工学、芸術などの教養、あと数学など、各教科での学習を実社会での問題発見と課題解決に生かしていくための教科等横断的な教育の概念であります。このような視点は、重要であると認識しております。 本市におきましても、STEAM教育の一環として希望する小学校を対象に、体育教材を活用しながら取り組んでいる事例がございます。 具体的には、体育の授業におきまして、タグラグビーの実技をしながら、算数とプログラミング学習を融合させ、人の動作を俯瞰的に分析して実践するなど、課題解決型の学習を行っております。 ただ、こうした取組はまだ一部の学校にとどまっておりますので、今後、他の学校にも展開していきたいと考えております。
◆27番(小野茂君) それでは、今後の取組に当たっての市の考え方について伺います。
◎教育長(服部樹理君) STEAM教育の考え方の特性を生かし、教科等横断的な視点で、探求的な学習、プログラミング教育などの充実を図ることが重要であると認識しており、各教科や学習活動の中で、こうした視点を取り入れていきたいと考えております。
◆27番(小野茂君) さて、行政業務では生成AIの活用が試行・検討されておりますが、ChatGPT等生成AIの学校現場での利用に向けた対応について伺っていきたいと思います。 夏休み前にガイドラインが示されたようでありますが、文部科学省ガイドラインの概要について伺います。
◎教育長(服部樹理君) 文部科学省のガイドラインにおきましては、生成AIが発展途上にあり、多大な利便性がある反面、様々な懸念も指摘されていることから、生成AIの教育利用の方向性として、限定的な利用から始めることが適切であるなどの基本的な考え方が示されております。 また、生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方が、具体的な例などとともに示されております。 そのほか、学校で生成AIを利用する際のチェックリストとして、個人情報等の保護や、教育情報セキュリティー、著作権の保護など、それぞれの観点について、留意点が示されております。
◆27番(小野茂君) それでは、ガイドラインを受け、生成AIの学校現場での利用について、市の御所見を伺います。
◎教育長(服部樹理君) 市としましては、文部科学省より示されたガイドラインの内容について、小・中学校へ周知し、共有を図ったところです。 今後、学校現場での生成AI利用に当たっては、市役所内の生成AIの本格運用に向けた検証作業などを踏まえ、効果的な活用の適否を判断し、検討してまいります。 なお、生成AI利用への懸念もありますことから、子供たちの発達の段階や実態を踏まえ、十分な対策を講じてまいります。
◆27番(小野茂君) 未来を担う、20年後、30年後を見据えた未来のために、持続可能なものとしてしっかり取り組んでいただきたいと思います。 こうしたことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) 以上で本日の日程は全て終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後5時45分 散会
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