いわき市議会 2023-06-07
06月07日-04号
令和 5年 6月 定例会 令和5年6月7日(水曜日)議事日程第4号 令和5年6月7日(水曜日)午前10時開議 日程第1 市政一般に対する
質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 〔議事日程第4号記載事件のとおり
〕---------------------------------------出席議員(36名) 1番 川崎憲正君 2番 木田都城子君 3番 木村謙一郎君 4番 山守章二君 5番 小野潤三君 6番 長谷川貴士君 7番 吉田雅人君 8番 小菅 悟君 9番 高橋明子君 10番 菅野宗長君 11番 鈴木さおり君 12番 狩野光昭君 13番 永山宏恵君 14番 西山一美君 15番 塩沢昭広君 16番 柴野美佳君 17番 大友康夫君 18番 安田成一君 19番 平子善一君 20番 遠藤崇広君 21番 鈴木 演君 22番 馬上卓也君 23番 福嶋あずさ君 24番 坂本 稔君 25番 蛭田源治君 26番 菅波 健君 27番 小野 茂君 28番 塩田美枝子君 29番 田頭弘毅君 30番 赤津一夫君 31番 小野邦弘君 32番 佐藤和美君 33番 石井敏郎君 34番 上壁 充君 35番 佐藤和良君 37番 大峯英之君欠席議員(1名) 36番 樫村 弘君
---------------------------------------説明のため出席した者 市長 内田広之君 副市長 下山田松人君 副市長 藤城良教君 教育長 服部樹理君
水道事業管理者 上遠野裕之君
病院事業管理者 新谷史明君 代表監査委員 増子裕昭君
農業委員会会長 草野庄一君
選挙管理委員会委員長 飯間香保子君
総合政策部長 山田 誠君
危機管理部長 大嶺常貴君 総務部長 小針正人君 財政部長 横張貴士君 市民協働部長 遠藤英子君
生活環境部長 渡邉一弘君
保健福祉部長 園部 衛君 感染症対策監 柴田光嗣君 こどもみらい部長 長谷川政宣君
農林水産部長 渡邊伸一郎君 産業振興部長 佐竹 望君
観光文化スポーツ部長 千葉伸一郎君 土木部長 草野光平君 都市建設部長 永井吉明君 会計管理者 中塚 均君 教育部長 松島良一君 消防長 谷野 真君 水道局長 則政康三君
医療センター事務局長 飯塚修一君 参事(兼)秘書課長 篠原 潤君 総務課長 中村 寛君
---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長 久保木哲哉君 次長 阿部伸夫君
総務議事課長 金山慶司君
総務議事課課長補佐 鈴木 潤君 主任主査(兼)議事運営係長 志賀祐介君
--------------------------------------- 午前10時00分 開議
○議長(大峯英之君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第4号をもって進めます。
---------------------------------------
△日程第1 市政一般に対する質問
△小野潤三君質問
○議長(大峯英之君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。5番小野潤三君。 〔5番小野潤三君第二演壇に登壇〕
◆5番(小野潤三君) (拍手)おはようございます。5番
いわき市議会正論の会の小野潤三です。通告順に従いまして、一般質問を行います。 大きな質問の1番目は、
人材マネジメントについてです。 このテーマは2年前、令和3年12月定例会で取り上げました。そのときは内田市長が就任された直後で、
いわき市役所の組織を変えるぞという構造改革が、まさにこれから始まるというタイミングでありました。構造改革の本丸は、市の職員がいかに高いモチベーションを持ってミッションに立ち向かっていけるかという組織改革であり、そのための
人事制度改革です。2年前の質問を受け止めていただいたと考えておりますけれども、今年度からいよいよ大がかりな
人事制度改革が始まりました。 内田市長が、市長候補として名のりを上げられてから今に至るまでの中で、私が最も深く、強く心に刻まれているのは、人の可能性は無限大だという言葉です。予算には限界があるけれども、人の可能性には限界がない。一人一人の職員のやる気次第で、今までの何倍もの成果を上げることができるということと捉えています。年数がたてばみんな同じように昇進していくという横並びの年功序列主義は排し、頑張った職員が報われる組織にならなければなりません。以下、質問いたします。 まず質問の1点目は、
目標管理型人事評価制度についてです。 このたび、
人材マネジメント改革の大きな柱として、この制度が導入されました。一人一人の職員が、自分の具体的な目標を定めて、その達成度合いによって評価され、昇進や待遇に反映されます。これは、国が平成28年に施行した法律で定めたものであります。本市では導入が遅れまして、7年たってやっとスタートということになります。しかし、このたびの制度導入は、国の方針だからやるんだということではなくて、いわき市の組織に必要だからやらなければならないと考えています。人事制度は全ての職員に関わる問題でありますので、知り合いの職員20人ほどに意見を聞いてみました。そうしますと、新制度の効果に対して懐疑的な見方をする人が、意外に多くおりました。こうした懸念を払拭して、目指す目的をどうしたら達成できるのか、制度の内容と課題について伺ってまいります。 まず1つとしまして、従来の
人事評価制度の課題をどう捉えているのか、伺います。
◎総務部長(小針正人君) 昨年度まで実施してきた人事評価は、職員の仕事の成果や仕事に取り組む姿勢、能力等を成績、態度、能力の3つの項目により評価してきました。 しかしながら、職員の仕事の成果に対する評価について、職員の上げた業績が明確となっていないことにより、客観性、納得性の確保という点で課題があったものと認識しております。
◆5番(小野潤三君) 新たな評価制度は、この課題を解決するものでなければならないと思っております。 2つとして、その内容は、具体的にどのようなものか伺います。
◎総務部長(小針正人君)
目標管理型人事評価においては、職員の仕事の成果について、業務目標の達成度により評価する業績評価を新たに実施することとしました。 具体的には、組織目標に基づいた個人目標を職員一人一人が設定し、その目標の達成度を評価するものです。 個人目標の設定や達成状況について、所属長と職員が年3回の面談を通じて双方で確認することで、客観性、納得性を確保することとしております。
◆5番(小野潤三君) 一人一人の職員が個人目標というのを明確にして、それが達成されたかどうかで評価をしていくのは当然のことでありまして、今回の制度導入に、私は賛成です。むしろ、今までこういうやり方をしてこなかったんだなというところに驚いているところであります。 ただ、先ほど申し上げたとおり、既に導入している他の自治体で、ほとんどうまくいっていないという声もありました。目標を管理して、それを評価に結びつけるやり方をMBO、Management by Objectivesと言います。多くの民間企業でもMBOは導入されていますが、ネットで調べてみますと、森中謙介さんという人事制度のコンサルタントがおりまして、9割の会社が
人事評価制度で失敗しているということを言っております。その理由ですけれども、まず目標設定ということで言いますと、業務によっては定量的な目標設定が難しいということ、部署によって目標の難易度が異なるということ、それから評価というところで言いますと、目標の達成度を数字で表すことが難しいということ、それから、成果評価だけで努力や仕事ぶりが十分評価に反映されていないことなどがあるようです。 ある企業の事例が紹介されておりました。Xさんという係長は、お客様に挨拶をするとき下を向いて行っている場合があるため、それを改善するという目標を立てて、ちゃんと目を見て挨拶するようになったので、目標達成と評価したそうです。Yさんという別の部署の係長は、部署内で長年放置されてきた危険で非効率な作業を改善するという目標を立てて、それは完全には達成できなかったそうです。目を見て挨拶するという簡単な目標を達成したXさんはボーナスがアップし、難しい課題にチャレンジしたYさんはダウンしたということです。こういう評価では納得感がないわけでありまして、
いわき市役所という組織に合った制度設計をし、運用もうまくやらないと、失敗するということになります。
いわき市役所は後発で導入する分、どうすれば成功するかというところを周到に準備する必要があります。 そこで3つとしまして、先行自治体から何を学んだのか、本市の制度設計の参考となった事例について伺います。
◎総務部長(小針正人君)
目標管理型人事評価の検討に当たりましては、国や県、中核市等における実施内容を確認し、参考といたしました。 その中で、複数回の面談により、所属長と職員の良好な
コミュニケーションが図られ、適切な指導等を通した人材育成や、組織目標に基づいた個人目標の設定につながっているといった意見を伺っております。 面談に臨むに当たっては、それらの意見を踏まえ、評価者に対して、
人事評価制度の手引の中で、面談の実施に当たっての留意点や、個人目標の設定例を可能な限り多く例示するなど、詳細に示しているところです。
◆5番(小野潤三君) 担当部署にもちょっと伺ったんですけれども、なかなかうまくいっていないということは、向こうも言ってくれないしということで、うまくいっていない事例をキャッチするというのは難しいところもあるかもしれませんけれども、聞いてみると、民間企業でもうまくいっていないところがかなりあるということなので、そこをどうやったらうまくいくかということですね。よく事例を研究していただきたいと思っております。大事なことは、人事制度を変えることで組織風土を変えることです。 4つとしまして、新制度の導入によって、
いわき市役所をどのような組織に生み変えようとしているのか伺います。
◎総務部長(小針正人君)
目標管理型人事評価により、所属職員が組織目標を意識して業務を遂行することにより、職員の組織に対する貢献意欲が高まるものと期待しております。 また、所属長による指導や助言を通して、個人目標の達成に導き、職員の成長実感につなげることにより、職員のやる気や意欲が高まるものと期待しています。 これらにより、組織力の向上が図られるとともに、
組織パフォーマンスの最大化につながるものと考えております。
◆5番(小野潤三君) この組織は、こういうところを目指しているんだなということを、全ての職員が実感をして、なおかつ、そのための人事制度なんだなというところが理解されるように持っていくというのが、すごく大事だと思いますので、そこのところを浸透させられるように、よろしくお願いします。 新制度の中で大きいのが、全ての職員に対して年3回、上司が行う面談です。 5つとしまして、これは具体的にどのように行うのか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 年度当初に実施する期首面談においては、職員それぞれの職務等を踏まえ、個人目標の設定を行います。 年度途中に実施する期中面談では、目標の進捗状況の確認を行うとともに、所属長は目標達成に向けた指導・助言を行います。 年度末に実施する期末面談では、目標の達成状況の確認を行うとともに、次年度に向けた課題等について共有を図ります。 また、それぞれの面談の中で、所属長は、職員の
キャリアビジョンや能力開発に向けたアドバイスを行うこととしております。
◆5番(小野潤三君) この面談が大事だと思っております。ミッションを中心として、上司と部下が何度も
コミュニケーションを取るということは、職員間の信頼関係や相互理解を深めることになると思います。ここはしっかり取り組んでいただきたいと思っております。 市役所は部が違えばもはや違う会社だと、私は思っております。先ほどの事例にもあるとおり、部署を超えて評価のレベル感をそろえるというのは簡単ではありません。新しい産業を生み出すことに取り組んでいる職員と窓口業務をやっている職員を同列に、AとかBとか評価できるのかと。 6つとしまして、目標設定と評価のレベル感を合わせることについて、どう取り組むのか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 個人目標の設定に当たりましては、目標ごとに難易度に応じたレベルを設定することとしております。 また、目標レベルの設定に当たっては、困難度や貢献度、優先度に応じたレベル設定の基準を示しています。 議員おただしの目標設定と評価のレベル感を合わせることは、公正性を確保する上で大変重要であると認識しています。 このことから、目標レベルの設定が適正であるかを確認するとともに、評価結果の偏りを是正するため、部ごとに調整会議を開催し、所属間でのレベルの差が生じないよう、所属長の認識を共有することとしています。
◆5番(小野潤三君) その調整会議がうまく機能するかというところが非常に問題だと思いますので、よろしくお願いします。 内田市長は市長就任以来、職員に対して、失敗してもいいから、チャレンジしなさいと求めてこられました。新しい人事制度の下で、
目標設定自体が
チャレンジングなものになっていかなければなりません。 7つとしまして、
チャレンジングな目標設定をどのように促していくのか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 職員のやる気や意欲の向上を図るためには、業務改善や制度改革につながるような
チャレンジ目標を設定することも重要であると考えております。 このことから、所属長との面談を通じて、よりレベルの高い
チャレンジ目標を設定することも可能としております。 困難度が高い目標を達成した場合には、高い評価とすることで、職員の成長につながるものと考えております。
◆5番(小野潤三君) もう1つ懸念されていることは、評価する人のスキルです。上司が部下を評価するということはこれまでも行われてきたわけでありますけれども、その評価は本当に客観的だったのか、先ほど客観性、納得感ということがありましたけれども、疑念があります。今後は、評価が昇進や待遇に反映される方針でありますし、評価の内容が本人に開示されるということになります。上司は自分をこんなふうに評価しているのかというところから、部署内の人間関係を悪化させる懸念の声もあります。逆に、部下とのあつれきを避けたいと思って、どの職員に対しても、中ぐらいという穏便な評価が横行することも考えられます。そうなれば制度は形骸化してしまいます。 人事評価を行う管理職のスキルを高めることが必要ですが、8つとして、そのことにどう取り組むのか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 人事評価の実施に当たりましては、全ての評価者が制度内容を十分に理解し、同一の評価基準に基づき評価することが最も重要です。 このため、本年5月に課長補佐職以上の職員全員を対象に研修を実施いたしました。 また、今年度、評価結果の偏りを是正するために開催する部ごとの調整会議を通じて、評価者のスキル向上につなげていきます。 なお、次年度以降も、研修の実施など、スキル向上に必要な取組を進めてまいります。
◆5番(小野潤三君) 民間企業に対する調査でも、こういった研修が行われているところと、行われていないところの差が大分あるようですので、そこは継続的にやっていただきたいなと思っております。 従来は、上司が部下を評価する一方通行の評価でしたけれども、今後は、部下が上司を評価するということを含む、360度評価の導入が検討されています。これも場合によっては部署内の人間関係に影響するという意味では、もろ刃の剣と思っております。 9つとしまして、360度評価の導入について、どのように考えているのか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 本市においては、今年度から
目標管理型人事評価を試行的に導入したところであり、まずは、新たな評価制度の公正な運用に向け、目標レベルの適正な設定や、評価者の
スキル向上等に着実に取り組んでいく必要があると考えております。 議員のおただしの360度評価については、こうした運用が確立された次の段階で検討するべきものと考えております。
◆5番(小野潤三君) いい加減な評価をやっている上司には、ちゃんとそういう評価が下されるということは必要なことだと思いますので、360度評価によって、管理職にも緊張感が出てくると思います。導入の方向で、ぜひ検討していただきたいと思っております。 人事評価というのは、これまでもずっと行われているわけですけれども、その時々限りで、それぞれの職員の評価が履歴として残されておりません。 今年度は、
人材マネジメントに係るデータを蓄積できるシステムを導入する予定でありますが、10として、このシステムはどのように導入するのか伺います。
◎総務部長(小針正人君)
人材マネジメントシステムは、現在、
人事給与システムで管理している職員の勤務経歴や研修の受講実績、保有している資格の情報に加え、新たに、人事評価の結果や配置を希望する分野・部署等の情報についても一元的に管理するものです。 システムの導入に向けては、
公募型プロポーザル方式により、事業者を選定することとし、現在、事業者からの企画提案を募集しているところです。 今後、企画提案の審査を経て委託事業者を決定し、本年12月からの運用を予定しています。
◆5番(小野潤三君) これも、
人材マネジメントシステムというのは、いろんな種類があるらしくて、どこに力点を置くのかというところで中身が変わってくるようですので、精査をして導入していただきたいと思っております。 先ほど来、申し上げておりますとおり、
目標管理型人事評価制度、MBOは導入すべきではありますけれども、失敗例も多いので、本市にあった形につくり上げないといけません。本市ではいきなり本格稼働せずに、試行期間を設けたというのはいいことだと思っております。試行期間の中で、人事評価をする管理職、評価をされる職員の双方から、やってみての意見を広く聴取して、十分な検証を行い、制度を練り上げていく必要があると考えております。 11として、こうした検証を含めて、新制度導入の今後のスケジュールについて伺います。
◎総務部長(小針正人君)
目標管理型人事評価は、今年度は試行として実施していることから、実際に評価を行う過程において、課題や問題点等が生じていないか検証する必要があると考えております。 このことから、各部からの評価に関する意見を踏まえた検証を行っていきたいと考えております。 また、評価される側の職員の意識調査の実施も検討するなど、よりよい制度となるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 なお、本格稼働に向けては、地方公務員法において、人事評価を任用、給与等の人事管理の基礎として活用するものとされていることから、今後、給与等への反映の時期について検討してまいります。
◆5番(小野潤三君) 質問の2点目は、
人材育成基本方針についてです。
いわき市役所には以前から、
人材育成基本方針というのがありまして、いわき市が求める人材像はこうだと書かれております。しかし、2年前の質問でも言いましたが、それを読んだ職員が、よし、自分はこういう人材になるために、こう頑張ろうというイメージが湧くものではありません。今年度、この基本方針が改定される予定でありますが、一人一人の職員がここに書かれた人材像を目指して、研さんするという役割を果たせるものでなければなりません。人事評価をするに当たっても、本当は目指すべき人材像に照らして、そうなっているのか、いないのかの判断をするべきであって、その意味で
人材育成基本方針の改定をまず行うべきだったのではないかと思っております。今年度、しっかりしたものをつくっていただきたいと思っております。 昨年度、
三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティングに、
人材マネジメント支援業務を委託しまして、本市の
人材マネジメント改革に関する調査が行われました。 1つとして、その中で三菱UFJが提案した、いわき市職員の人材像はどのようなものか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 報告書には、まちづくりの基本方針や
いわき版骨太方針、職員への
インタビュー等を踏まえた、市職員に求める能力と価値観が示されたところであります。 求める能力としては、主体的に決断する力、組織を動かし徹底的に実行する力、最適化させるバランス力などが示されています。 また、求める価値観としては、
人づくり日本一へのこだわりや、変革志向、組織貢献、社会奉仕の精神が示されております。
◆5番(小野潤三君) 私も拝見しましたけれども、妥当というか、確かにそういう要素を備えた職員が育つといいなと思いましたけれども、それを今度は
人材育成基本方針にどう落とし込んで、職員が読んで、そうか、こういうことかと分かるようなものにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 これも2年前の質問で取り上げましたが、一人一人の職員の力を最大限に引き出す上で、
キャリアビジョンの構築が極めて重要です。自分は退職するまでの間、どういう分野で、どういうキャリアを積んで活躍していくのかというビジョンを持つことです。自他ともに、この人はこういう分野で活躍するんだという認識の下で、専門性を深め、質の高い仕事をしていくことが必要だと考えております。 今回、職員の方々に聞いた中で、意外に
ゼネラリスト志向の人が多いなと感じました。これは、この組織の中に
キャリアビジョンを持つ文化が、そもそもないからではないかと思いました。従来も、複線型人事ということで、ゼネラリストの道を行く人、
スペシャリストの道を行く人の2つのパターンがあると言われてきました。今後は、従来以上に
スペシャリストを育成して、多くの職員が
キャリアビジョンを構築することが必要と考えますが、2つとして、このことにどのように取り組む考えか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 職員の
キャリアビジョンの明確化に向けては、現在見直しを進めている
人材育成基本方針において、ジョブローテーションモデルや職種・職階ごとに必要な知識・能力等を明示することとしています。 その中で、
スペシャリストの配置が必要な分野、部署についても併せて明示することにより、職員が
キャリアビジョンを描きやすくなるよう支援していきます。 また、人事評価の面談において、所属長が、職員の
キャリアビジョンや能力開発に向けたアドバイスを行うことも職員への支援につながるものと考えております。
◆5番(小野潤三君) 今、時代がなかなか難しくなっておりまして、それぞれの分野で専門性を深めていかないと、なかなかいろんな状況に対応できないというところがあると思いますので、その意味でも、今まで以上に
スペシャリストが求められていると思いますので、そこに重点を置いて進めていただきたいと思っております。 3点目は、職員採用についてです。 職員を採用する際の基準は、当然ながら、
人材育成基本方針に示された人材像に適合しているかどうかということになりますし、若者が就職する際に、人をどう育ててくれる組織なんだろうというのが選択の大きな要因にもなっています。その意味で、評価制度や目指すべき人材像を就職希望者にちゃんと示し、こういう職場なら働いてみたいなと思ってもらわなければなりません。 就職戦線というのは人材の争奪戦です。
いわき市役所を志望するのは、基本的にはいわき市出身者でしょうし、優秀な大学生の多くは、首都圏などいわき市外の大学に行っていて、ほとんどは就職先として、東京などに本社を置く大企業をまずは考えると、いうことを考えますと、大企業との人材獲得競争で
いわき市役所が勝たなければならないということになります。そのための発信をどう行うかが問われております。 そこで1つとして、採用対象者に対し、どのような発信を行う考えか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 新卒学生や転職希望者などに対して、求める人物像や入庁後の
キャリアビジョンを積極的かつ分かりやすく発信することは、人材の獲得と定着のために大変重要であると認識しております。 このことから、広報紙や市公式ホームページなどの従来の媒体に加え、今年度から就職活動において広く利用されている民間就職情報サイトにおいて、本市が掲げるビジョンや、充実した研修カリキュラムを掲載するなど、新たな情報発信に取り組んでいるところです。 また、庁内の職員で構成されるワーキンググループIWAKI NEXTの力を借りながら、職員採用パンフレットをリニューアルしたほか、動画による発信についても、現在、作成を進めているところです。 今後におきましても、就職活動をされている方の志向性や動向などを見極めながら、必要な人材の確保に向け、効果的な発信を行っていきます。
◆5番(小野潤三君) 今回の質問に当たりまして、募集のパンフレットとかネットで見ましたけれども、なかなか頑張ってつくっているなと思いました。そこもブラッシュアップしていただいて、君たちをこういうふうに待っているんだというところが、伝わるような内容にしてもらいたいと思います。 実際の職員採用試験がどのように運用されているのか、つまびらかには存じ上げておりませんが、必要とする人材像が明確になるということは、選考の基準もその人材像に照らしていくということで、従来より明確になるはずです。
人材マネジメント改革の中で、従来の選考方法をどのように改善する考えか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 少子化や就職意識の多様化などの影響もあり、地方公務員採用試験の受験者数、競争率は全国的に減少傾向にあります。 このような状況を踏まえ、本市では、今年度から採用試験の実施方法を見直しており、従来の試験方式に加え、SPI試験を導入するなど、新たな改革に取り組んでいるところです。 SPI試験は、民間企業の採用試験において広く採用されている試験方法であり、全国主要都市に設置されたテストセンターで受験することができます。 この取組により、従来の受験者に加えて、新たな幅広い層の多様な受験者から本市が選ばれることを目指しております。 また、SPI試験の導入に合わせて、面接の回数を2回に増やすなど、より多くの視点で選考する予定です。 その中で、本市が求める人材としては、高い使命感と倫理観、課題に対して積極的かつ柔軟に対応する能力、市民と共に本市の未来を切り開く意欲などを有する人物を評価することとしております。
◆5番(小野潤三君) 面接を2回に増やすということですけれども、面接される方、それから採用を決定される方のスキルが問われるところもありますので、そこの研さんも図っていただきたいと思います。 4点目は、庁内への発信についてです。 ここまで述べてきましたとおり、市職員の中には、今般の
人材マネジメント改革に対して、懐疑的な見方があります。新しい制度はちゃんと機能するのか、課長クラスが部下全員を年に3回面談するのは、大変になるだけではないのかといった懸念があります。繰り返しになりますが、肝腎なことは、一人一人の職員が、
いわき市役所が担うミッションに対して、高いモチベーションを持って立ち向かっていくことだと思います。 多くの職員の意見を聞きながら、こうした新しい制度をなぜ導入するのか、それによって何を成し遂げようとしているのか、こうした改革の趣旨を市のトップである市長が、職員に向けてメッセージとして発することが重要だなと考えるようになりました。文章ではなかなか伝わりませんので、動画などで語りかけることがいいと思っておりますが、市長の御所見を伺います。
◎市長(内田広之君) 議員御指摘のように、市長が発するメッセージというのは極めて重要だと思っております。 私が目指す姿勢は、山本五十六の格言です。やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじという格言でございます。 職員に、言葉で説明しても、うまく伝わらない場面が多々あります。場面に応じまして、私がやってみせたり、職員にさせてみせたりすることが重要だと思っております。例えば、最近、デジタルの改革が進んでおります。リモートで打合せをしましても、目上の人から、同時に紙でもくれと言われる。だから職員は、次から忖度をして、デジタルと紙の双方で準備をする。そういうときに、私は紙はいらない、と公言して行動するようにしています。 このように、私自らが率先しまして、行動でメッセージを具体的に示し、時には、職員を叱咤激励しながら、一人一人の力を引き出していきたいと考えております。
◆5番(小野潤三君) ふだんから市長が、その姿で見せているというところがあるかと思いますけれども、ぜひ一人一人の、なかなか末端というか、全ての職員にメッセージを伝えるというのは難しいところがありますので、何か伝わる手法も取っていただければと思っています。 ここまで議論してきましたとおり、新しい人事制度がうまくいくかどうかというのは、ここにいらっしゃる全ての部長さんたちの下で、各部署が制度の趣旨にのっとった運用ができるかどうかということにかかっております。いろいろ調べてみると、この制度が定着するまで、かなりエネルギーがいるんだなと思っております。本当は、部長さん一人一人に決意のほどなど伺いたいところではありますが、ちょっと時間もありませんので、各部でしっかりやっていただけているかどうかというのは、我々が評価させていただきますので、皆様、自分ごととして取り組んでいただくようにお願いをいたします。 大きな質問の2番目は、産業人材の育成についてです。 三和にありました永井中学校が廃校になりまして、今は、いわきロボットサイエンス・テストフィールドと呼ばれております。お手元に簡単に資料を添付しましたので、それを御覧いただきたいと思います。これは、一般社団法人e-kagaku、国際科学教育協会の北原達正さんという方が主宰しております。三和の廃校でドローンを使って、何かやっているんだなあということは分かっていましたけれども、私も最近までその中身をよく知りませんでした。 この資料で言いますと、1ページ目が、上が施設の全体像、こういうふうに使っていますよということが書いてありまして、下の4枚が4月に見学会を行ったんですけれども、子供たちが活動している様子です。左上が、ちょっと見えづらいんですけれど、ドローンを飛ばしています。右側は、このローバーを動かしています。これは自分たちでプログラミングをして動かしているということで、あと教室の中ですごろくみたいなものがありますけれども、この中でローバーをどう動かすかとか、右下のところに、後ほど言いますけれども、人工衛星を打ち上げるんだというプロジェクトも進んでおります。 2ページ目以降は、いわき以外の場所で行われていることを紹介しておきましたので、3ページ目に日本経済新聞に載った話も書いておりますが、これが旧永井中学校でやっていることが書かれておりますので、機会がありましたら、御覧いただければと思っております。 私も最近まで、中身をよく知らなかったわけでありますけれども、ここで行われているのは実に驚くべき取組でありまして、いわば世界最先端の人材育成です。驚くべきことはもう1つありまして、私も含めて、このすばらしい取組の価値に多くのいわき市民が気づいていなかったということであります。具体的に言いますと、小・中学生がロボットやドローンのプログラミングを行って、宇宙産業にまで入っていこうとしております。それも子供の遊びとか体験活動ではなくて、産業界で実装できるレベルの開発までも行おうという本格的なものです。夏休みや春休みに合宿が行われておりまして、青森から東京ぐらいまでの東日本の子供たちが参加しています。保護者同伴で平のホテルに泊まりこみ、旧永井中学校で自分でプログラムをつくり、ロボットやドローンを自在に操っています。逆にいわき市の子たちは、自宅から通える場所なのに、残念ながら参加する子は少なく貴重な機会を逃しています。 北原さんには、この取組をいわき市で行う動機があります。1つは、ときわ会さんが、社会貢献の一環として北原さんの活動に協力したということ。2つ目が、長崎出身の北原さんが被爆二世で、福島県の復興に寄与したいという思いがあること。3つとしまして、ドローンを飛行させるには様々な制約があるため、旧永井中学校のように、自由にドローンを飛ばせる環境というのは、全国的になかなかないんだということでありました。 全国各地の自治体が、北原さんと組んで子供たちの活動を行っています。例えば、びわ湖環境プロジェクトでは、GPSとセンサーを搭載した機器を琵琶湖に放流して、琵琶湖の水環境や、専門家も持っていないような水の流れのデータを得たりしています。それからこの5月には、種子島の南種子町と北原さんの会社などが包括連携協定を結んで、宇宙ビジネスの人材育成につながる宇宙学校を設立することが決まりました。全国で北原さんの取り合いになっているなと思っております。 そして、来年2025年には、なんと旧永井中を舞台に、子供たちが人工衛星を打ち上げて、人工衛星の残骸などの宇宙ごみの軌道を計算する計画が進んでいます。既にJAXAとの共同の準備が進んでいます。新しい産業の種や人材育成の機会がなかなか見つからない中で、ここにこういうチャンスがあるのを見逃しているのは、大きな損失と言わざるを得ません。今、ようやくいわき市においても各分野の方々がこの取組の価値に気づき、動き始めております。 2月21日にいわき経済同友会主催で北原さんの講演会が行われ、議員の方々も何人かおいでいただきました。4月1日には、旧永井中での現地見学も行われました。行政、教育界、産業界が連携して、この取組をいわき市の人材育成と産業育成に結実させるべきだと考えています。 産業人材の育成という観点で、以下、伺ってまいります。 質問の1点目は、e-kagakuの取組についてです。 まず1つとして、産業人材の育成という観点から、このプロジェクトが持つ可能性をどのように捉えているのか伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 市といたしましては、業態転換や生産性向上などにつながるデジタル化は、様々な産業分野の幅広い企業において、その必要性があると強く認識しております。 そのため、デジタル人財の育成・確保は産業界においても重要な課題であり、e-kagakuの問題意識や取組は、非常に示唆に富んでいると認識しています。
◆5番(小野潤三君) では2つとして、このプロジェクトを産業人材の育成に結びつけるためには、何が課題と捉えているのか伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 大きく2つ課題があると捉えています。 1つ目は、教育界と産業界が連携して、産業人財を育成していくことです。 e-kagaku代表の北原氏が講師を務めた講演会の中では、海外では、子供のときから、大人と同じルールで、実用的な教育を受けている事例が示されました。 また、日本では、地域の子供たちの高い能力が、地元企業に十分に知られていないといった課題も示されました。 人財を育成する教育界と、人財が活躍する産業界のつながりを、どのような仕組みで確保していくかが課題であると考えています。 2つ目は、高度な人財の受皿となるための産業界の取組です。 高い能力を持つ人財が、その力を発揮するためには、企業自身がレベルアップを図る必要があります。 また、将来、地域で活躍できる人財の育成を、企業が投資として捉えることができるかといった課題もあります。 こうした課題に対し、産業界が主体的に取り組んでいくことが必要であると考えています。
◆5番(小野潤三君) 最後に3つとして、この取組を生かすために、市として産業界をはじめ、市内の関係機関とどのように連携する考えか伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) e-kagakuからは、まずは産業界の方々に、その取組の狙いや内容を知ってもらうことが必要であるといった提案を受けています。 具体的には、子供たちが高いレベルの挑戦を競うコンテストを市内で開催し、地元企業がその様子を実際に体感してもらうことなどです。 また、市では、デジタル技術に精通した団体等と連携した取組を進める体制を構築しております。 1つは、公益財団法人日本数学検定協会や、株式会社データミックスとのデジタルサイエンスに関する連携協定です。 もう1つは、会津大学との協定です。 市としては、こうした連携の枠組みを活用しながらe-kagakuが提案するコンテストの実施などをはじめ、今後の取組を産業界と共に検討していきます。
◆5番(小野潤三君) 北原さんの言葉で印象的なのは、スポーツ選手だったら、10歳の子が8年後にはプロになるんだということです。サッカーや野球はその通りです。だから最初から大人と同じもので学ぶんだと。それがコンピューターやロボットの世界では、小学生だからお遊び程度の体験でいいということではなくて、小学生のうちから大人と同じ道具を使わせて探求をすることで、世界の先頭を切れる人材が育つということであります。 今日は、簡単な質問しかできませんでしたが、市長をはじめ理事者の皆様、そして議員各位に、今、いわきでこういう取組が行われていることを知っていただきたいと思いますし、この可能性が形になるように育てるべきだと思っております。見れば分かるというところがありますので、ぜひやっているときに、皆さん見ていただきたいなと思っております。 今日は、産業振興部長にお尋ねしましたが、教育長をはじめ、教育委員会においてもぜひ御協力いただいて、いわきの子供たちがどうやったら育っていくのか、一緒に関わっていただきますようにお願いを申し上げます。 若干時間がありますので、先ほど、産業振興部長からも話がありましたように、この教育界と産業界を結びつけないといけないし、官と民が連携しなくちゃいけないというところで、ちょっと1人、2人が頑張ってもなかなか難しいところがありますので、その全体の取りまとめをどうやっていくかというところが非常に大事だと思っております。その点、可能性をどう感じるかというところも含めて、市長の御所見を伺いたいと思います。
◎市長(内田広之君) この永井中学校の取組に関しましては、私も見させていただきまして、北原先生とも長時間議論させていただきました。全国から小学生が集まっておりまして、例えば、小学校の低学年ぐらいの子供が、英語の文献を読んで、プログラミングの言語を解読しながらプログラムをつくるような作業、衛星の打ち上げまで見据えてやっていると、本当にすばらしい取組だなと思って、大変刺激を受けました。 産業の分野の取組ということで、先ほど来、産業振興部長から答弁申し上げたとおりでございますけれども、やはり様々な分野との連携も必要です。教育の話もありましたけれども、中山間の活性化にもつながりますし、デジタル化という部分でも、大いにいわき市のためにプラスになるかと思ってございますので、ぜひ全庁を挙げて連携できるように、そしてこうした取組が、特にいわきの子供たちに享受できるように、しっかりと取り組んでいかなければいけないという思いを新たにいたしました。
◆5番(小野潤三君) 以上で終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午前10時50分まで休憩いたします。 午前10時40分 休憩
--------------------------------------- 午前10時50分 再開
△小菅悟君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。8番小菅悟君。 〔8番小菅 悟君第二演壇に登壇〕
◆8番(小菅悟君) (拍手)8番いわき市議会一誠会の小菅悟です。 本日は、いわきの恵みのアロハシャツを着用させていただきました。本日は同じ議員の先輩方も、皆さん着用されている方が多く、なんだか応援をしていただいているような気持ちで心強いでございます。 以下、通告順に従いまして、質問に入らせていただきます。 大きな質問の1つ目は、下水道管路施設の包括的民間委託についてであります。 私たち多くの人の社会生活に欠かせないのが生活や産業の基盤となる設備、インフラでありますが、衛生や公衆環境にとって欠かすことのできないインフラの1つが下水道であります。 2021年3月末時点での都道府県別の下水道普及率を見ますと、徳島県の18.6%から東京都の99.6%までと数字の変動はかなり大きく、全国でならしますと80.1%とのことであります。 私たち福島県の普及率は54.5%と低い部類に入りますが、本市においても同様の数値だと伺っております。 先日報道で目にしたのですが、日本全体の下水道施設が老朽化の問題に直面しており、危機的状況にあるというものです。標準耐用年数50年を経過した下水道管が全国で急速に増加しているというものでした。 今では普通にあるものとして使われておりますが、下水道がそもそもいつ頃から整備が始まったのか気になり調べてみましたところ、世界では、下水道の整備は都市の発展とともに進んでおり、ヨーロッパでは産業革命以降、都市に人口が集中しますと、川に直接流されたし尿により衛生状態が悪化し、伝染病が流行、それらを防ぐために下水道が整備されました。日本では明治維新以降、都市に人口が集中し始め、1884年に東京の神田で日本初とされる下水道が整備されましたが、その後すぐには全国に普及しなかったそうです。 では、いつ頃から普及したのか。1970年に公害国会と呼ばれる臨時国会が開かれました。その国会において、高度経済成長期の真っただ中にあった日本で、公害対策を求める世論や社会的関心の高さから公害問題に関する集中的な討議が行われたことから、公害国会と呼ばれておりますが、その中で下水道法が改正され、下水道の目的に汚水を適切に処理して河川や海の水質を保全する、公共用水域の水質保全が追加されました。これにより、もともと上水道の整備に優先されて後回しになっていた下水道への注目が増し、急激に整備が進展したとのことであります。 その後、半世紀の間とにかく普及率の向上を目指し、下水道が抱えていた課題は建設、つまり普及に関することばかりでした。 しかしながら、下水道がある程度普及した現在、下水道は老朽化や経営難、環境問題などの新たな課題、マネジメントをどうしていくのかに直面しております。日本全体の下水道が今、岐路に立たされているとのことであり、本市においても同様の問題に直面していると思います。ふだん地下に埋まっており、目にすることのない下水道ですが、見えないところで私たちの安全・安心、快適な生活を支えている大変重要なインフラであり、今後の維持、マネジメントをどのようにしていくのか、我々が直面する大きな課題であります。 このような状況を踏まえ、以下、伺ってまいります。 まず項目の1つ目として、本市の下水道管路施設について伺ってまいります。 はじめに、本市の下水道管路施設の整備状況について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 本市の下水道管路施設の整備状況について、令和3年度末時点で申し上げます。 公共下水道の汚水管が855キロメートル、雨水管が145キロメートル、合流管が125キロメートルで合計1,125キロメートルとなっています。 このほか、都市下水路が25キロメートル、地域汚水処理施設及び農業集落排水処理施設の管路が157キロメートル整備されています。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、下水道管路施設が抱える課題について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 本市の公共下水道事業は、合併前の旧平市が昭和33年に事業認可を受け、昭和50年代から本格的に整備を進めています。 標準的な耐用年数とされる50年を経過する管路は、令和3年度末時点での97キロメートル、全体の9%から今後急速に増加し、20年後には約500キロメートル、約40%に達します。 それに伴い、道路陥没や管路の閉塞といったトラブルの原因となる管路の腐食や破損など、今後増加する老朽化した管路の維持管理が課題となっています。
◆8番(小菅悟君) 本市においても、全国と同じような老朽化の課題があるということが分かりました。 次に、項目の2つ目として、管路施設包括的民間委託の導入についてであります。 本市においては、下水道管路施設において包括的民間委託を導入する計画が進められているとのことであります。 財源も人も限られている中において、民間の力を取り入れ、創意工夫を凝らして対応しようと、新しいことに取り組まれるのは非常にすばらしいことであります。現在、進めているものであり、全てをお聞きすることは難しいとは思いますが、今後の方向性なども確認すべく伺ってまいります。 はじめに、これまでの下水道管路施設の維持管理について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 管路施設においては、これまで、陥没などのトラブルが起きてから対応する事後保全型維持管理を行ってきました。 今後、老朽化した管路が増加し、維持管理費の増大が懸念されています。 そのため、令和6年度から中・南部地区を対象に計画的な点検・調査に基づき、トラブルを未然に防ぐ、予防保全型維持管理を導入します。 併せて、道路管理に係る複数の業務をパッケージ化し、複数年契約で実施する、管路施設包括的民間委託を導入します。
◆8番(小菅悟君) 不具合が生じてから対応する事後保全ではなく、一旦事故などが発生しますと市民生活や社会活動に支障が大きく出てしまいます。 予防保全型の維持管理に転換すべく、今回の包括的民間委託を導入が進められているところでありますが、それでは、次に、包括的民間委託の特徴について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 管路施設の包括的民間委託では、計画的な巡視点検や清掃をはじめ、緊急を要する住民対応などを一括して行う体制が構築されます。 このことにより、迅速な対応が可能となり、住民サービスの向上につながります。 また、民間企業の創意工夫による経費の削減や、複数業務のパッケージ化による発注業務等の事務負担の軽減などが期待されます。 一方で、職員の維持管理に関する知見を得る機会の減少などが懸念されます。 そのため、定期的に講習会や現場実習会を開くなど、技能の向上に努めたいと考えています。
◆8番(小菅悟君) それぞれにメリットのある反面、デメリットもあるということも分かりました。 ほかの自治体では、既に下水道管路の包括的民間委託を進めていると聞き及んでおります。本市で進める上でも参考になる事例もあるかと思います。 それでは、次に、全国の導入事例について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 管路施設の包括的民間委託については、令和4年4月時点で、全国37の自治体などで導入されており、近年増加する傾向にあります。 そのうち、東北地方では3件、県内では三春町において平成31年度から導入されています。 導入しているほとんどの自治体においては、定期的な点検や調査、清掃などの計画的維持管理業務と緊急時の対応等の基本的な業務を委託しています。 さらにこの業務に加え、改築に係る設計・工事や不明水対策、ストックマネジメント計画の見直しなどを委託している事例があります。
◆8番(小菅悟君) 先進自治体の事例も多数あることが分かりました。地域によって条件は変わってくると思いますので、よい手法や、やり方を取り入れていただきたいと思います。 次に、包括的民間委託の導入に当たり、地元企業への説明について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 地元企業などを対象とした、説明会や対話型市場調査、いわゆるサウンディング調査を5回実施し、事業導入の背景や実施方針などの説明をしてきました。 その中で、多くの地元企業から参加への意向が示されました。 その一方では、受注機会の減少を不安視する声や、地元企業が参加できるよう参加要件を検討してほしいといった要望などが寄せられました。
◆8番(小菅悟君) 今ほどの答弁の中にもありましたが、今回の包括的民間委託の導入に際しましては、地元企業から様々な声を耳にしております。3年間参加できない事業者は、技術やノウハウを生かす機会がなくなるのではないか、また技術者の育成の機会が失われるのではないか、又は参加をしても再委託による低価格化が起きるのではないか等の懸念の声があります。 東日本大震災や近年激甚化する豪雨災害など、緊急時では、生活インフラを支えている地元企業は、なくてはならないパートナーであります。地元企業の声にもしっかりと耳を傾けていっていただきたいと思います。 次に、包括的民間委託の業務内容について伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 業務内容につきましては、1点目として巡視、点検、調査、清掃などの計画的維持管理業務、2点目として緊急調査、修繕などの住民対応業務、3点目として改築に係る設計業務、4点目としてストックマネジメント計画の見直しなどを行う計画策定業務、さらには、これらの業務を統括する統括管理業務の5業務としています。 また、第1期目を試行期間と位置づけ、まずは南部下水道管理事務所の管轄エリアで導入し、事業効果や問題点の検証をして、第2期目につなげたいと考えています。 また、委託期間については、試行期間であることを踏まえ、3年間としています。
◆8番(小菅悟君) 包括的民間委託を導入されている自治体によって、委託する対象業務の範囲は様々だと伺っております。今回予定されております対象業務によって、民間企業側がリスクを背負わなくて済むような仕組みづくり、内容にしていただければと思います。 この項最後に、事業実施に向けた今後のスケジュールについて伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 現在、受託者の選定方法や参加要件などの検討を進めており、本年9月頃に公告を行い、業者選定後令和6年2月には契約を締結したいと考えています。 契約締結後は、1か月間の業務引継ぎ期間を設け、来年4月から委託業務を開始することとしています。
◆8番(小菅悟君) 下水道管路施設の包括的民間委託について伺ってまいりました。 全国的にインフラ整備は、人口減少に伴う収入減、施設老朽化による更新需要の増、職員の減少や高齢化という、カネ、モノ、ヒトの問題を抱えておりまして、すぐには解決できない問題でもあります。 他自治体においては、自治体単独では維持管理や改築を行うのが困難と判断し、公共下水道の運営事業については、自治体が施設を所有したまま運営権を民間企業に売却するというコンセッション方式が導入されたとのことであります。 その一方で、生活に関わる重要なインフラへのコンセッション方式は反対意見も多く、導入しようとしたものの延期している自治体もあると聞いております。 本市においては、下水道管路施設の包括的民間委託の導入を進めていくわけでありますが、市民や地元企業の理解を得るとともに、効果がしっかりと出るように進めていっていただくことをお願いしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2つ目は、本市農業の諸課題についてであります。 6月に発行されました、広報いわきの表紙には、田人小学校の生徒による田植体験の様子が収められておりました。また、表紙をめくりますと、お米の今を知る、お米の力を知ると題し、お米の重要性などが記されておりました。さらにページをめくりますと、内田市長がおいしそうにお米を頬張っている姿が写っており、農業は復興の原動力だと題されました、市長の農業に対する思いがつづられておりました。それらを見た農業者の方々は、今後の内田市長の取組に大きな期待を寄せていることと思います。 ゴールデンウイークの頃から市内各地の水田では、田植作業がピークを迎えておりました。市内を回っておりますと、青空の下、鏡のように水が張られた水田や青々とした苗の列、日本の原風景とも言えるきれいな景色に目を奪われました。 農業者の減少、農業者の高齢化、担い手不足、これらの言葉は、以前から言われ続けております。実際に市内でも、これまできれいな田んぼや畑が広がっていたところが作付されなくなってしまったのを目にするたびに、本市においても、農業を取り巻く環境が危機的な状況にあると感じさせられます。実際に地元の農業者の方からは、今後どうすればいいのかといった不安の声をよくお聞きします。立地的な条件などから担い手に預けられない農地、兼業で何とか続けていましたが、自分の子供たちには同じような思いはさせられないと考え、継がせられずにいる方など状況は様々であります。 農業は、国の礎であります。農業人口の減少を食い止め、地域の農地を守っていくためには、農業を魅力ある産業に育てていかなければなりません。そのためにも、地域農業の目指すべき姿を描き、農地の集約化などを進めるとともに、人材の確保・育成を進めていく必要があります。 そのような中、令和5年4月1日に、国は農業経営基盤強化促進法を改正、施行しました。以下、基盤法と略させていただきます。 改正によりまして、市町村は地域農業経営基盤強化促進計画、いわゆる地域計画の策定が義務付けられたとのことであります。 このような状況を踏まえ、以下、伺ってまいります。 まず項目の1つ目として、地域農業経営基盤強化促進計画について伺ってまいります。名称が長いですので、以下、地域計画と略させていただきます。 はじめに基盤法に基づき、新たに策定することとなりました地域計画について、地域計画とはどのようなものか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 地域計画は、農業経営基盤強化促進法に基づき、一体として地域の農業の発展を図ることが適当であると認められる区域ごとに、当該区域の関係者との協議結果を取りまとめ、市町村が法定計画として策定するものであります。 その主な内容としましては、1つとして、農業の将来の在り方及び農用地等の効率的かつ総合的な利用に関する目標を定めること、2つとして、農業者及び区域内の関係者が、その目標を達成するため取るべき必要な措置を定めること、そして3つとして、農地利用の姿を記した目標地図を作成することとされています。
◆8番(小菅悟君) 今までは、地域で地域農業のあるべき姿を、地域の農業者が中心となって、人・農地プランが策定されてきました。 高齢化や農業の担い手不足が心配される中において、それぞれの集落・地域において十分な話合いを行い、集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための、未来の設計図となるべく策定されてきたのが、人・農地プランであります。 それでは、次に、人・農地プランと地域計画では、何が違うのか、人・農地プランと地域計画の違いについて伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 法改正前の人・農地プランは、各地域が必要に応じて作成する任意計画であったのに対し、地域計画は、市町村が定める法定計画と位置づけられます。 また、内容的には、人・農地プランで必要記載項目とされていた、地域における農業の将来の在り方や農用地の集積・集約化の取組に加え、新たに、農用地等の効率的かつ総合的な利用に関する目標や農地利用の姿を記した目標地図等を追加記載することが求められています。
◆8番(小菅悟君) 人・農地プランについては、本市では、農地集約の取組を意欲的に進めている29地区で既に策定されているとのことでありますが、地域計画は、市街化区域内は除外されるものの、市内の多くの地区で策定しなければならないと伺っております。 そこで、次に、市内における地域計画の策定が必要な地区数について伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 地域計画の策定に当たりましては、既に本市で策定している、農業経営基盤強化促進基本構想の一部変更を行い、地域計画を策定する区域の基準を新たに定めることになります。 これまでの人・農地プランにおいては、その多くが大字単位で作成されており、これと同様に、地域計画の区域の基準を大字単位とした場合は、最大で約200の地域が見込まれ、各地域の特性や状況に応じたそれぞれの地域ごとの計画を策定することとなります。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、新たに策定することとなった目標地図について、どのようなものなのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 目標地図は、地域計画で掲げた農地利用の姿を記した地図であります。 内容としては、農地の出し手と受け手の意向を踏まえ、担い手への農地の集積・集約を促すため、その地域の10年後の目指すべき農地利用の状況を可視化する地図とされています。
◆8番(小菅悟君) 地域計画の策定に当たっては、農業委員会も大きな役割を担っていると伺っております。 そこで、項目の2つ目として、農業委員会の役割等について伺ってまいります。 はじめに、地域計画を策定するに当たっての農業委員会の役割について伺います。
◎
農業委員会会長(草野庄一君) 農業委員会は、農業経営基盤強化促進法の規定により、市が策定する地域計画に備え付ける目標地図の素案を作成し、市に提出いたします。 また、市が目標地図を完成するに当たり、素案を基に、地区の皆様と、地域農業の将来の在り方について、話合いや調整を行う際にも積極的に参画してまいります。
◆8番(小菅悟君) 農業委員会では、目標地図を作成するための素案をつくるという、まさに地域計画策定のための素地づくりという、非常に重要な役割を担っていることが分かりました。 では、次に、素案作成に当たり、地域での活動を担うことになってくるのが、農業委員と農地利用最適化推進委員の皆様だと思います。 そこで、目標地図の素案を作成するに当たっての農業委員と農地利用最適化推進委員の役割について伺います。
◎
農業委員会会長(草野庄一君) 農業委員会では、農地等の利用の最適化を図るため、市内を8つに分けて地区審議会を設置しています。 地区審議会では、所属する農業委員と農地利用最適化推進委員が連携し、農地の利用状況の把握や、農地の所有者と担い手の利用調整などの活動を行っております。 目標地図の素案の作成に当たっても、各委員が一体となり、農事組合をはじめ地区の農業関係者との話合いを進めていきます。 また、アンケート調査等により、農地の所有者と担い手の今後の意向を把握し、日々の活動を通じて得た情報も反映させながら、計画的に素案の作成に取り組んでまいります。
◆8番(小菅悟君) 地域で実際に農業者や農地所有者の方に、この地域計画を理解してもらうこと、さらには目指すべき姿を話し合っていくわけでありますが、これは本当に大変な仕事だと思います。 農業委員会の果たす役割は、これまで担っていた役割よりもさらに大きくなると思います。ぜひ1つでも多くの地域計画が策定されるよう素案作成に向けまして、農業委員と農地利用最適化推進委員の皆様には、御尽力をお願いしたいと思います。 これまでの答弁からも地域計画の策定には、市と農業委員会の連携がとても重要であることが分かりました。地域計画策定に当たっては、ぜひ連携を密にし、策定に向け一体となって取り組んでいただきたいと思います。 基盤法では、地域計画は令和6年度中に策定しなければならないとされておりまして、地域計画策定の主体は市となりました。 策定に向けては、課題も多いと考えます。まずは意欲的なところから、モデル地区のような形で進めていく方法が現実的ではないかと考えますが、この地域計画を理解し、話合いのテーブルに乗ってもらうだけでも、相当な労力がかかると思います。 農業者の減少と高齢化問題、このままでは荒れてしまう農地をどうしていくのか、それら人と農地の問題を解決するための将来の設計図作成であります地域計画の策定は、ゴールではなく、本市農業の課題解決へ向けた、まさにスタートラインであります。 この項最後に、地域計画策定に向けてどのように取り組んでいくのか、市の意気込みについて伺います。
◎市長(内田広之君) 農業は、私たちの生活に必要不可欠な食糧を供給するとともに、国土保全等を図っていく上での国の礎となるものです。 また、中山間地域をはじめとした農村は、農業の持続的な発展の基盤としての役割を果たしております。 こうした中、本市の農業・農村を次世代にしっかりと引き継ぐため、本市では、いわき版骨太の方針におきまして、持続と自立が可能な稼げる一次産業の推進を掲げまして、各種施策に取り組んでいるところです。 今般の法改正に伴いまして、全市的に地域計画を策定することで、各地域における農業の将来の在り方や農用地等の効率的かつ総合的な利用に関する目標など、地域の特性に応じたきめ細やかな目指すべき将来像が明確になってきます。 そして、その将来像の実現に向けた取組により、市全体の農業振興に大きく寄与することが期待されます。 そのため、限られた策定期間の中で、実行性のある計画を策定するため、各地域の農業者の皆様と迅速かつ丁寧に協議を進めていきます。 また、計画の策定に当たりましては、市農業委員会、県、JAなどの関係機関・団体との緊密な連携はもとより、特に、農業に関心のある高校生や大学生、若者など、次世代を担う方々の視点も、可能な限り取り入れながら、鋭意、取り組んでいきたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) 力強い御答弁ありがとうございます。地域計画の策定によりまして、農地を持つ方の不安が解消され、地域へ安心感が生まれることを願っております。 しかしながら、農地として残すべきところ、そうではないところもぜひ考えていっていただきたいと思います。果たして、その農地・地域が優良農地なのか農業振興地域に当たるのか、現状にそぐわないところも出てきております。地域との話合いで、そのような話が必ず出てくると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。 項目の4つ目としまして、物価高騰に対する農業者への支援について伺ってまいります。 長期化するエネルギー・食料品価格などの物価高騰が農業経営に与える影響は大きく、多くの農業者から支援を求める声が上がっております。そうした中、昨年度の9月補正予算において、市は施設園芸農家に対する助成を実施しました。 そこではじめに、昨年度実施しました施設園芸農家緊急対策事業費補助金について、どのような助成事業であったのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本事業は、原油価格高騰に伴う農業経営コストの増加の影響を受けている施設園芸農家の負担軽減と経営の安定に寄与するため、実施したものです。 具体的には、園芸用施設で農作物を栽培している認定農業者及び認定新規就農者に対し、燃料の購入量に応じて、A重油及び灯油は、1リットル当たり27円、LPGは、1キログラム当たり42円の補助金を交付しました。 交付件数は、28件、交付金額は、7,486万3,700円となっています。
◆8番(小菅悟君) 昨年度の補助につきましては、市からの補助に対し、大変助かったという声を聞いております。 しかしながら、物価高騰の波は今年度に入ってからも続いており、農業者の経営を圧迫し続けている状況にいまだ変わりありません。 内田市長は、5月22日に物価高騰の影響について、農業団体を含め、市内の経済関連団体と意見交換会を開催したと伺っております。 そこで、次に、意見交換会での意見を踏まえ、農業者の経営の現状についてどのような認識をお持ちなのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 意見交換会では、JA福島さくらの代表から、今なお、緊迫する国際情勢の中で、飼料・燃料等の価格が高止まりしている一方、販売価格への転嫁が難しく、酪農家などを中心に農業経営が見通せない状況にあるとの意見を伺っています。 このような状況を踏まえ、市内農業者の経営の現状は大変厳しい状況にあると認識しています。
◆8番(小菅悟君) 意見交換会でもあったように、農業者の経営は逼迫しており、継続した経営支援が必要であります。 そのような中、今議会において物価高騰対策に係る補正予算が計上されており、その中には農業者に対する物価高騰対策も盛り込まれております。 そこで、次に、施設園芸農家に対する燃料費高騰対策について、どのような事業なのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本事業は、原油価格が高止まりしている状況を踏まえ、施設園芸農家を継続支援するため、昨年度実施した施設園芸農家緊急対策事業費補助金を引き続き実施するものであります。 具体的には、農業用施設で農作物を栽培している認定農業者及び認定新規就農者に対し、本年10月から来年2月の間に購入した燃料の量に応じ、A重油及び灯油は、1リットル当たり27円以内、LPGは、1キログラム当たり44円以内の補助金を交付するため、本定例会に補正予算案を提案しております。
◆8番(小菅悟君) では、次に、畜産農家の飼料価格高騰対策について、どのような事業なのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 本事業は、飼料価格高騰に伴う農業経営コストの増加の影響を受けている畜産農家の負担を軽減し、経営の安定に寄与するために実施するものです。 具体的には、市内で牛または豚を飼養している認定農業者及び認定新規就農者に対し、乳用牛は、1頭当たり年2万2,000円以内、肥育牛は、1頭当たり年1万円以内、繁殖牛及び豚は、1頭当たり年2,000円以内の補助金を交付するため、施設園芸農家緊急支援事業費補助金と併せて、本定例会に、補正予算案を提案しております。
◆8番(小菅悟君) 現在の物価高騰は、いつ収まるのか分からない状況であります。さらに継続されることも予想されますし、悪化することも考えられます。農業者も必死の思いで自助努力を行い、本市の農業を守っております。 今後とも農業者の声に耳を傾け、本市の農業の実情を踏まえた、効果的な対策に努められますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。 大きな質問の3つ目は、若者のUターン就職の促進についてであります。 厚生労働省の発表によりますと、2022年に生まれた子供の数、出生数は、前年比5.1%減の79万9,728人で、1899年の統計開始以来、初めて80万人を下回ったとのことであります。これは、政府機関の推計より10年ほど早く少子化が進んでおり、想定を上回るペースで少子化が進んでいるとのことであります。 人口減少をどう食い止め、財源をどう確保するのか。自治体ごとの個性がより浮き彫りになる時代に入っているのではないでしょうか。 NHKが全国の首長にアンケートを取った結果を見ました。そのアンケートの中で「あなたは、今、自治体間の競争が激しくなっていると思いますか」という問いに対し「そう思う、42.6%」、「どちらかといえばそう思う、36.4%」と「そう思う、ある程度そう思う」を合わせますとおよそ8割の首長の方たちが激しくなっていると答えております。 その回答をされました自治体に、さらに、具体的にどのような競争が激しくなっているかを自由記述で答えてもらったものを分析したところ、最も多く使われていた言葉は、人口であり、次いで移住、子育てといった言葉が出てきたそうです。コロナ禍で高まったと言われているテレワークなどの移住熱。自治体間の移住者獲得競争がヒートアップしているとのことであります。 移住希望者の相談などに当たっております東京都の認定NPO法人ふるさと回帰支援センターによりますと、コロナ禍で相談件数は増加傾向にあり、去年は初めて5万件を超えたとのことであります。 自治体の場所だけではなく、支援策などの情報を入念に調べ、移住先を選ぶ人が増えていると言います。 人口減少社会の中で、人口獲得への施策はとても重要であり、特に次世代を担う若者をどうとどめるか、出ていった若者をどう呼び戻すのか、各地方自治体が積極的に取り組んでいるのがUターン施策であります。 本市においても、同様に取組を進めているとは思いますが、Uターンをしてもらうには、本市に戻りたいと感じてもらえる魅力づくりが必要であります。 私は、その魅力づくりの1つとして、若者のまちづくりへの参画意識を高め、若者の意見を市政に取り入れることが重要と考え、令和4年12月定例会におきまして、若者議会やいわき若者会議について取り上げさせていただきました。 このような状況を踏まえまして、若者のUターン就職の促進について、以下、伺ってまいります。 項目の1つ目として、昨年度に行ったUターン就職に関わる市の取組のうち、若者会議以外の取組について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 本市における人口減少に歯止めをかけるためには、将来の活力となる若者の流出を防ぐことが重要です。 そのため、地元理解の促進と魅力的な働く職場の創出を両輪で進め、若者をとどめる、呼び戻す、呼び込む必要があります。 若者のUターン就職を促進するためには、市外に進学した大学生等を対象に、彼らを市内に呼び戻すことが重要です。 そのため、就職関連情報の発信、Uターン就職の意識醸成、市内企業とのマッチングといった一連の取組を、段階を踏んで実施しています。 具体的には、就職応援サイトの運用、首都圏大学等への雇用情報ファイルの設置、合同企業説明会の開催などです。
◆8番(小菅悟君) 項目の2つ目として、いわき若者会議について伺ってまいります。 Uターンを促進するためにも、まずはその機運を醸成することが必要であります。 いわき若者会議は、首都圏における本市出身者などの大学生や社会人など、いわきに関心のある若者が集う組織であると伺っております。 令和4年12月定例会におきまして、いわき若者会議のキックオフイベントについて質問させていただきました。 キックオフイベントも大変盛況であったとのことでありますが、令和5年3月には、本イベントとなる、いわき若者会議「ふらっとさんかして、まるっといわき」を行ったと伺っております。 令和5年3月に実施した、いわき若者会議の実績について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) いわき若者会議は、市外に進学した大学生等を対象にUターン就職の意識醸成を図るもので、本年3月に東京都港区で開催しました。 首都圏の学生など約30名が参加し、講演会やワークショップを行いました。 講演会では、市内企業や地域おこし協力隊などで活躍する8名のゲストから、本市との関わりや現在の仕事を選んだ理由などの講話をいただきました。 また、ワークショップでは、いわきの魅力や課題などについて話し合いました。 参加者のアンケートで寄せられた意見を紹介します。 いわきに対する理解が深まり、いわきで働く際のイメージが湧いた、東京でいわきとのつながりを感じることができたなどです。
◆8番(小菅悟君) それでは、これまで行ってきました、いわき若者会議の総括について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) いわき若者会議は、地元いわきに対する理解の促進や郷土愛の醸成に一定程度、寄与してきたものと考えています。 また、同世代の学生などのネットワークが形成されるといった効果も得られました。 一方、課題として主に2点整理しました。 1つ目は、参加者の固定化や減少などで、コロナ禍の影響や、移動・準備など参加者の負担などが主な要因と考えています。 2つ目は、若者のUIJターンによる就職、起業等の実績の把握自体が困難で、かつ、本市で把握している範囲においては、少ないことであります。
◆8番(小菅悟君) いわき若者会議については、SNSなどで、インスタグラムなどで最近よく目にする機会が増えてきたと感じておりましたが、コロナ禍ということもありまして、非常に運営には苦労も多かったと思います。 事業の総括を受けまして、今年度から、いわき若者会議を発展させたUターン就職支援事業を行うと伺っております。 項目の3つ目として、Uターン就職支援事業について伺ってまいります。 はじめに、このUターン就職支援事業の目的について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) Uターン就職支援事業は、市外に進学した大学生等の地元理解を促進するため、ふるさといわき就業支援事業の一環として実施するものです。 地元出身者が多い市外の大学の学生に対し、大学1・2年生の早い段階から就職相談などを、ピンポイントで実施します。 そして、大学3年生以降における就職活動の際、市内企業とのマッチングの場である合同企業説明会への参加に誘導することが目的です。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、事業の概要について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 本事業は、地元出身者が多い市外の大学において、市内企業で働く各校のOB・OGとの就職相談会を開催し、Uターン就職の意識醸成を図っていきます。 20校程度を対象とし、各校で学生を10人程度、企業3社程度の参加を予定しております。 現在、公募型プロポーザルを実施しており、事業の詳細は、事業者からの提案を踏まえ決定します。
◆8番(小菅悟君) それでは、この項最後に、事業の見込まれる効果について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 本事業の実施により、市内企業とのマッチングの場である合同説明会への参加者の増加が見込まれます。 大学1・2年生の段階からUターン就職の意識醸成を図ることもできます。 また、学生同士のネットワークに加え、いわきで働くOB・OGと学生とのネットワーク構築も期待できます。 こうしたネットワークにより本市と継続的に関わることが可能となり、大学卒業時にとどまらず、将来的なUターン促進につながることも期待できます。
◆8番(小菅悟君) Uターン就職支援事業について伺ってまいりました。今後、プロポーザルによって事業者などが決まっていくわけでありますが、ぜひとも、先ほど御答弁いただきました、いわき若者会議で築いてきましたノウハウやネットワークを効果的に本事業にもつなげていただきたいと思います。すばらしい事業となるように御期待申し上げます。 就職につながる直接的な取組以外でも、Uターンに向けた取組を促進する必要があると考えます。 本市におかれましては、前回質問時に取り上げさせていただきましたが、いわきアカデミアなどがあると思います。子供たちへのキャリア教育、高校生や大学生たちへの地元産業に対する理解を深めることなどです。 もちろん、それらの事業も非常に大事ではありますが、現状、高校卒業後、6割から7割程の若者が市外に流出しており、人口減少の要因の1つになっております。一旦市外に流出した若者のUターン就職を新卒以外も含めて促進していくためには、やはり郷土への愛着や誇りを育む取組も重要と考えます。そのためにも、小さいときから地域を知り、好きになってもらうことが大事であり、本市で実施しております、いわきの歴史・文化・伝統を生かした人材育成事業は、地域を知り、好きになってもらう入り口の戦略として、非常に意義のある重要なものと考えます。 そこで、項目の4つ目として、いわきの歴史・文化・伝統を生かした人材育成事業について、伺ってまいります。 初めに、このいわきの歴史・文化・伝統を生かした人材育成事業の目的について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 次世代を担う子供たちが、地域の魅力を知り、体験する機会が乏しいことにより、地域に対する郷土愛や誇りが希薄になっています。 このため、地域に受け継がれてきた歴史や伝統、文化の魅力を知る・学ぶ・経験する機会を創出することで、郷土への愛着や誇りを育み、さらに次の世代へ受け継いでいく人材を育成することを本事業の目的としております。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、実施している事業の内容について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 本事業では2つの取組を行っております。 1つとして、じゃんがら念仏踊りや獅子舞など無形民俗文化財の保存継承を目指して、市内小・中学校等において体験学習を実施する無形民俗文化財活用事業。 2つとして、いわきの歴史を学ぶことができる歴史副読本、みんなで学ぼういわきの歴史配布事業です。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、今お答えいただきました2つの取組のうち、歴史副読本、みんなで学ぼういわきの歴史について、具体的にどのようなことを行っているのか伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) みんなで学ぼういわきの歴史は、小学校の授業において手軽にいわきの歴史を学ぶことができる資料として作成しているものです。 毎年、学校を通じて市内の小学校6年生全員に配布しております。 令和2年度には、活用状況のアンケート調査を行っており、回答のあった学校の93%が総合学習や社会科の授業で地域教材として活用しているとの結果でありました。 本冊子は、新しい知見を盛り込むなどしながら適宜改訂しております。 今後は、本年3月に運用を開始したいわきデジタルミュージアムとも連携を図りながら、より活用しやすいものになるよう努めてまいります。
◆8番(小菅悟君) アンケートでも、93%という高い数字で、活用がしっかりされていると聞き、安心しました。 みんなで学ぼういわきの歴史、私も拝見させていただきましたが、非常にボリュームのある本で、大人が読んでいても、ああ、こういう歴史があったんだと思える内容であります。ただ、この広いいわき市の、広域合併都市の全てを網羅しておりますので、どうしても広く掲載せざるを得ない分、各地域の細かい部分までは掲載されていないなと感じます。 以前、保護者の方から、自分の子供から、今住んでいる地域の歴史を聞かれたけれども、自分も分からなくて答えられませんでしたと。学ぶ機会などつくれないものかという話を聞きました。やはり現状、住んでいる地域を知る機会というのは大事なのではないかと思います。例えば、学区ごとに自分たちの住んでいる地域を深掘りして調べる、なぜこういう地名がついたのか、なぜここの神社はいつから建って、どういうふうに建てられたのかということを調べる。調べる際には、昔から住んでいる方や、地域の方などに話を聞くことで
コミュニケーションも生まれると思います。 小学生には、タブレットが配備されておりますので、調べたことをデータとして蓄積し、後輩に引き継いでいく。後輩たちは、先輩たちが調べたところを、さらに気になったところを調べて、蓄積し引き継いでいくなど、このようなことなどできれば、もっと自分たちが住んでいる地域に興味が湧き、愛着なども生まれるのではないでしょうか。このような取組を、1つの部局だけではなくて、各部局が取り組める、さらには、連携が取れる仕組みづくりを、ぜひ検討していただければと思います。 若者のUターンを促進する仕組みを、義務教育段階から構築していただきまして、進学や就職で本市を出た後も、地域とのつながりを絶やさない施策があれば、いつかはいわきに帰ろうという思いが醸成されるのではないかと考えます。Uターン施策は、成果が短時間で見えるものではありません。中・長期的視点から、部局横断で進めることが大切だと考えます。 冒頭でも申し上げましたが、自治体間競争が激化しております。先ほど申し上げましたNHKのアンケートでは、首長からは人口減少という言葉から、移住、出生率などの数値。住民への暮らしの安全確保より、数値化しやすい施策が注目される点に危機感を持っている。マスコミのつくる暮らしやすさに踊ってはいけないや、子育て世代の争奪戦。近隣の自治体で人口を奪い合っていても根本的解決にはつながらない、人口減少、少子化対策について同じような政策が目立つ。金のばらまき競争の様相を呈しているといった、悲鳴にも似たような答えが書かれておりました。 他自治体の施策を見ていましても、ばらまきのような施策が増えているように感じております。実際に私も、地元の方から、あそこの自治体ではここまでやっているのに、何でいわき市ではできないのかといった意見をいただくこともあります。 もちろん人口が減っていくのをただ見ているわけにはいきませんが、人口を取り合う競争をして、ばらまきのような施策を続ければ、体力のある自治体と体力のない自治体で差がどんどん開き、最終的に残るのは、僅かな勝ち組と大量の負け組になり、ただの潰し合いとなってしまうのではないかと思います。 だからこそ、財源に頼った一時的な人の呼び込みではなくて、小さい頃から地域に対する自信や誇り、愛着といった郷土愛を育む。さらには、若者が魅力的と思える、若者の声を反映したまちづくりを進めていくことにより、いわきに残ろう、いわきに戻ろうという人が増えていくのではないでしょうか。 若者のUターンを促進する仕組みを構築するためにも、若者の声を反映したまちづくり、事業・施策も重要となってきます。そのような考えから、昨年12月定例会におきまして、新城市で行っているような若者議会のような仕組みを、本市にも取り入れてほしいと要望させていただきました。 実は、私が会員でありますいわき青年会議所、こちら同じ会派の平子善一議員も会員でおりますし、議場の中の先輩議員の中には、多くのOBの方がいらっしゃいます。このいわき青年会議所において、同じような仕組みの事業を、去る5月28日にスタートさせました。その事業へは、都市建設部をはじめ、多くの市職員の皆様に御協力をいただいておりまして、高校生や青年会議所会員の若手と一緒になって、まちづくりについて考えていただいております。 本年9月には、本市まちづくりへの思いや考えを地元の高校生や会員メンバーから発表し、いわき市への提言にしたいと考えておりますので、その場には、ぜひ内田市長に御出席をいただきまして、若者の熱い思いを受け止めていただきたいと思います。 昨年12月定例会において、若者議会について取り上げた際には、市当局から若者の意見を市政に反映させるための仕組みについて、調査・研究していきたいとも答弁をいただいておりますが、今回のような地域若手団体と職員の皆さんとが一緒になって事業を進めるといった方法もあるのではないでしょうか。 今後、様々な検討を進めていただきまして、若者施策を着実に進めていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後1時まで休憩いたします。 午前11時44分 休憩
--------------------------------------- 午後1時00分 再開
△鈴木さおり君質問
○副議長(坂本稔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。11番鈴木さおり君。 〔11番鈴木さおり君第二演壇に登壇〕
◆11番(鈴木さおり君) (拍手)11番いわき市議会創世会の鈴木さおりです。通告順に従いまして一般質問をいたします。 昔と比べると、現代は科学技術が進んだ半面、人間関係が希薄化し、悩みも複雑になっていると感じます。相談できる相手も少なく、1人で悩んで追い込まれていく人も増えていると考えられます。 以前、知り合いの職員で、職場の人間関係に悩み、元気をなくしている人がいたので、相談システムを利用することを勧めたことがあります。ですが、勇気を出して予約をしようとしたら、既にいっぱいだったので、諦めたと聞きました。 ほかの人も医療創生大学の心理相談センターに予約をしようとしたら、2か月待ちと言われ諦めた話等、なかなか相談したくてもできない現状を耳にします。 そこで、大きな質問の1番目は、市職員の心の健康相談事業についてです。 1点目は、現在実施している心の相談体制について伺ってまいります。 まず、1つとして、現在、本市で行われている市職員の心の健康相談事業には、どのようなものがあるか伺います。
◎総務部長(小針正人君) 心の健康相談については、全ての職員を対象に、保健師や看護師の資格を持つ健康相談員と臨床心理士により、実施しております。 そのほか、市内3か所の専門医療機関及び医療創生大学の心理相談センターにおいて、医師や専門家による相談も行っています。 また、長期にわたって療養する職員と所属長に対し、職場復帰の支援と再発防止を図るため、復職支援員による相談も行っています。
◆11番(鈴木さおり君) いろいろな相談事業があることが分かりました。 では、2つとして、その利用状況を伺います。
◎総務部長(小針正人君) 令和4年度における利用状況につきましては、健康相談員による相談が、765件、臨床心理士による相談が、67件、医師や専門家による相談が、7件、復職支援員による相談が、458件となっております。
◆11番(鈴木さおり君) 新規採用となった職員に対しては、全員に個人面談を実施していると伺いました。 3つとして、その事業について伺います。
◎総務部長(小針正人君) 新規採用職員の個人面談については、健康相談員が年2回、6月と11月頃に実施しています。 面談に当たっては、ストレスチェックの結果等を参考に、心身の健康問題や職場での悩みなどについて、聞き取りを行っています。 面談の中で、眠れないなどの心身の不調を訴える職員に対しては、専門の相談窓口を紹介するなど、丁寧なフォローを心がけております。
◆11番(鈴木さおり君) 4つとして、全員の個人面談を実施する対象が、新規採用職員である理由を伺います。
◎総務部長(小針正人君) 新規採用職員に対し個人面談を実施している理由としては、近年、本市において、新規採用職員を含む若年層の職員のメンタルヘルス不調が増加傾向にあることが背景にあります。 そのため、入庁後間もない職員に対し、気軽に相談できる機会を提供することは、メンタルヘルス不調の早期発見につながるものと考えております。
◆11番(鈴木さおり君) 職員健康相談室というところは、学校で言えば、まるで保健室のようなところかと認識しています。まず、身近な気軽に相談できる場所という感覚です。 体と心は密接に関係しており、どちらかが原因で両方を崩してしまうこともあると考えます。先ほどの新規採用職員の方々も、部長さんもおっしゃったように、初年度のうちに、この個人面談を体験しておくことは、今後につながる、とてもよいことだと考えます。 5つとして、職員健康相談利用者の相談状況について伺います。
◎総務部長(小針正人君) 令和4年度における健康相談員の相談状況につきましては、体調や健康管理等の身体に関する相談が、696件、メンタルヘルスに関する相談が、62件、その他、家族等に関する相談が、7件となっております。
◆11番(鈴木さおり君) 気軽に利用できるとは言っても、学校とは違い仕事中ですし、この程度のことを相談していいのかと気後れしてしまうこともあると思いますが、元気で気持ちよく仕事をするためには、遠慮なく相談室を利用してほしいと考えます。結果的には、そのほうが市民の人たちへのよりよい対応にもつながります。 ただ、職員健康相談室が設置されているのは本庁だけということです。そのため、支所や出先機関の人へは、巡回相談で対応していると伺いました。 6つとして、巡回相談の状況について伺います。
◎総務部長(小針正人君) 巡回相談は、東分庁舎や支所を基本として、実施しております。 また、これら以外の施設で、相談の要望があれば、適宜、対応しております。 令和4年度においては、22か所、109回の巡回相談を実施しており、利用者数は、延べ350人となっております。
◆11番(鈴木さおり君) お話を聞いたところでは、割と利用者が多く、望んで行っているわけではないけれども、そちらにも足を延ばしたこともあったということも伺いました。 巡回相談なので、回数が決まってしまうのは仕方がないと思いますけれども、恐らくこれで全てを網羅できているわけではなく、例えば、公民館等、まだまだ巡回できていないところもあるようなので、必要なところの漏れがない対策をお願いいたします。 次に、臨床心理士による心の健康相談事業について伺います。 臨床心理士の資格を持った方が来て、職員の相談に乗ってくれているこの事業、本庁舎内で、月に2日間相談日を設け、合計6枠まで予約を受け付けているとのことです。 7つとして、この事業の予約状況を伺います。
◎総務部長(小針正人君) 臨床心理士による心の健康相談については、月に2回、相談日を設けています。 1回につき、1人1時間で、3人まで相談を受け付けており、毎回、予約が入っている状況です。
◆11番(鈴木さおり君) いつもいつも予約がいっぱいというお話は前にも聞いたことがあります。 8つとして、近年の相談内容の傾向について伺います。 自分のことだけでなく、身近な周りの人に関することまで、悩みの範囲が広がっているということです。家族についての悩み等まで相談できることは、とてもよいことだと考えます。 予約がいっぱいでなかなか相談できないということについて、心の相談というのは、1か月先では、状況が変わってしまいます。そのため、今、このときに相談に乗ってもらう必要があると考えます。遅くなれば、それだけ回復に時間がかかってしまうケースもあると思われます。必要なそのときに相談を受けるためには、予約の枠を増やす必要があるのではないかと考えます。 9つとして、枠を増やすことについて、市の所見を伺います。
◎総務部長(小針正人君) 近年、市内における、臨床心理士のニーズが高まっており、相談の枠を増やすことは非常に困難な状況にあります。 そのため、より多くの職員が相談できるよう、健康相談員の増員や、医師や専門家による相談窓口を増やすなど、充実を図ってきたところです。 こうした相談窓口について、さらに周知を図り、職員が相談しやすい環境を整えてまいります。
◆11番(鈴木さおり君) 次は、医療機関について伺います。 心の問題で医療機関に行く場合、市と提携している医療機関については、初回のみ、市が負担していると伺いました。 中には、何回も通う必要がなく、1回で終わる人もいるかもしれませんが、複数回通う人も多くいると考えます。個人の負担をなるべく少なくするほうが改善につながりやすいと考えます。 10として、市の負担回数を増やすことについて、所見を伺います。
◎総務部長(小針正人君) こころの健康相談事業については、メンタルヘルス不調者の早期発見と早期治療につなげることを目的に、医療機関等での相談料金は、初回に限り無料としております。 相談の結果、医療機関での治療が必要となった場合には、ほかの疾病の場合と同様に個人の負担としています。
◆11番(鈴木さおり君) 確かに、初めて診療を受けるときは勇気が要ると思います。初回の費用を市で負担してくれていることは、そのハードルを下げることにつながっていると考えます。 ただ、続けて通う負担を考えると、年に何回とか上限を設けて、市の負担回数を増やすことによって、より改善に向かうのではないかとも考えるところです。医療機関というわけではなくても、他市では、調べてみると、年に5回までとか、市で負担しているところもありますので、ぜひ、そういうところも参考にして、よろしく御検討をお願いいたします。 市と提携している、初回のみ市が負担している医療機関は、現在3か所。一般の患者もいるため、予約がいっぱいでなかなか診察を受けられず、中には、茨城県や東京など、県外に通う人もいると聞きました。 また、広いいわき市内で3か所では、カバーできているとは考えにくく、通いやすい場所を選べれば、さらによいと考えます。 11として、提携している医療機関を市内の各地にもっと増やすことについて伺います。
◎総務部長(小針正人君) 医療機関への委託については、平成15年度から開始以来、段階的に増やしており、現在、3か所で実施をしております。 今後におきましても、職員の利用状況やニーズ等の把握に努めながら、適切に対応してまいります。
◆11番(鈴木さおり君) ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。2点目は、職員の心の健康を保つことについてです。 市の職員が、生き生きとやりがいを感じながら長く働き続けるために、また、市外からも
いわき市役所を選んでもらうために、さらなる今後の対策を求めていきたいところです。 1つとして、市として、特に今後、力を入れていきたいと考えている職員の心の健康維持対策について伺います。
◎総務部長(小針正人君) 職員のメンタルヘルス対策については、いわき市職員メンタルヘルス対策実施計画を策定し、様々な取組を進めております。 これまで、ストレスチェックや各種メンタルヘルス対策研修の実施により、メンタルヘルス不調の未然防止に取り組んできました。 また、健康相談員の増員や委託する医療機関等を増やすことにより、相談窓口の拡充も行ったところです。 なお、今年度からは、復職支援員の増員及び試し出勤準備プログラムを新たに導入したところであり、円滑な職場復帰と再発防止の強化に対しては、特に力を入れております。
◆11番(鈴木さおり君) お話を伺ってみて、本市はいろいろな事業を展開し、職員の心のケアに努めていると感じました。おっしゃっていた復職支援員についても、とてもよいシステムだと、心強いと感じました。 けれども、冒頭で述べましたように、悩みを抱えてどうにもならなくなってしまう人は増えていて、取りこぼしのない、適切な時期の適切な対応が、本市の未来にもつながっていきます。なかなか心のうちを話せない、誰にも聞いてもらえないという人の存在は見えづらいものです。ぜひ、これで十分ではなく、常に状況を把握しようと努めながら、施策のさらなる充実をよろしくお願いいたしたいと思います。 2番目の質問は、農薬についてです。 農薬も様々な種類があり、用途もそれぞれだと思いますが、今回は、住宅地や通学路で除草剤等の農薬を使う場合について伺ってまいります。 1点目は、農薬の適正な使用についてです。 1つとして、本市の住宅地等における過去10年間の農薬による被害状況を伺います。
◎
生活環境部長(渡邉一弘君) 公害苦情の窓口である市環境監視センターに寄せられた、住宅地等における農薬使用に係る相談件数で申し上げますと、過去10年間で5件となっています。 その内容については、近隣での農薬散布による植物被害が2件、健康不安が2件、悪臭に関する相談が1件となっています。
◆11番(鈴木さおり君) 認識されている件数はとても少ないですが、それが全てではないと思います。それは、被害に遭っても、どこに相談していいのか分からなかったのではないか、実際には、もっと多かったのではないかと考えられるところです。 厚生労働省・農林水産省・環境省では、毎年、農薬危害防止運動を実施し、各自治体にも呼びかけ、農薬の安全かつ適正な使用についての啓発に努めているところです。 それを受けて、福島県は、毎年、全域において運動を実施し、農薬危害防止に成果を上げていると言っています。もちろん、本市にもこの運動の通知が届いています。 2つとして、この農薬危害防止運動の概要を伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農薬危害防止運動は、農薬の安全かつ適正な使用の推進や事故の未然防止を目的とした運動で、国では、6月1日から8月31日までを実施期間としています。 また、県においては、国の農薬危害防止運動実施要綱に基づき、地域の実情に応じて、独自の実施要領を作成し、6月10日から9月10日までを実施期間として、農薬使用基準の遵守や農薬飛散防止対策の徹底等を重点事項とする、農薬危害防止運動を実施しています。
◆11番(鈴木さおり君) 3つとして、本市は、この通知を受けて、どのように対応しているのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 市は、農薬危害防止運動に係る国・県からの通知を受け、市が事務局を担う市農業生産振興ブランド化協議会を通じて周知等を行っています。 具体的には、当協議会が運営する農業者向けの情報サイト、いわき市農林水産業情報センターに、農薬の使用方法や散布時の注意点等についての情報を掲載し、農業者に対する注意喚起を行っています。
◆11番(鈴木さおり君) 農業者に対して注意喚起を行っていたということですね。国で許可しているごく普通に販売されている除草剤でも、深刻な被害を受け、通常の生活が困難になってしまった人たちがいわき市にもいます。 1人の人は、耳鳴り・頭痛・四肢のしびれ・腎機能低下・腰の辺りの発疹・多量の目やに・頻尿等の症状があり、冬には針で刺されたように骨のあらゆる部位が痛んでは数分後に消えるということが1日に20回以上あるつらい生活をされている方もいます。 しかも、市内の内科医・皮膚科医は農薬の診断・治療の知見が乏しく、治療は困難であり、もちろん因果関係は証明してもらえず、何とか探した他県の医院を通してアメリカに検体を送り、検査をしてもらって、やっと除草剤の成分が特定されたとのことです。 その人は、3年たった今でもそれらの症状に苦しんでいて、体内に一度取り込まれた農薬を体から排出することは、とても困難であることを体感していますと言っています。この人だけでなく、ほかにも同じように苦しんでいる人たちの声も聞きました。 影響を受ける度合いには個人差があるものの、このような被害を防ぐために、国は、農薬危害防止運動を展開し、各自治体に呼びかけていますが、この運動が実施されていることを知らない人は多いと感じます。私自身も、こういう話を、勉強をするまで存じませんでした。 本市においては、この運動をもっと積極的に行うべきと考えます。 4つとして、市のさらなる取組について、所見を伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農薬危害防止運動は、議員がおただしのとおり、安全・安心な農作物の生産や提供だけではなく、農業者を含めた市民の皆様の健康を守る、重要な取組であると認識しています。 運動の内容については、庁内関係部局で共有し、県やJA等の関係機関・団体とも連携をさらに強化しながら、農薬危害防止運動の趣旨を踏まえた、適時適切な取組を進めていきたいと考えています。
◆11番(鈴木さおり君) 自分の家に除草剤をまく場合でも、近隣へ飛散しないよう気をつけなければなりません。時には、自分の土地だけでなく、通学路等の道路沿いの場所に、特に近隣住民に知らせるでもなく、除草剤がまかれていることもあるということです。先日の市民総ぐるみ運動のときも、みんなで掃除をした際、その後に除草剤をまいていた方がいたというお知らせもいただいております。 農薬を散布する場合は、散布する前に、近隣住民に知らせるなど、事前周知が必要であり、農薬を使う側への注意喚起が大変重要であると認識しています。 国で示しているこの運動の実施項目の中には、普及啓発について、こう記載されています。 報道機関に記事掲載の依頼を行うとともに、広報紙、ポスター、インターネット、SNS等の多様な広報手段を用いて、本運動並びに農薬及び農薬使用に関する正しい知識の普及啓発を行うこと。 5つとして、通学路や住宅地等における農薬散布の注意喚起について、本市はどのように行っていくのか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農薬散布に当たりましては、使用者が農薬の使用方法を遵守することはもちろん、農薬を使用する際には、近隣の方々に周知いただく必要があります。 そのため、そのさらなる徹底を図るため、これまで行ってきた市ホームページによる注意喚起に加えまして、今後は、農薬販売店が加盟する組合等への通知や各戸回覧を行うなど、農薬散布の際のさらなる注意喚起に努めます。
◆11番(鈴木さおり君) 市民へ広く知らしめる必要があるものについては、考えられる限りの様々な方法で取り組むことが効果的です。ホームページに載せればそれでよし、また、ポスターを貼ればそれでよし、というものではありません。いろいろなところで、しつこいくらい何度も何度も目にし、さらに、その文面が手元に残っているほうが、記憶に残りやすいと考えます。 6つとして、注意喚起する方法として、自治会に入っている全世帯に配布できる回覧板も利用するべきではないか伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農薬は、農業者が田畑等に使用する以外にも、一般の方が庭先や自宅周辺に、除草剤として使用する場合もございます。 このため、農業者を含め、広く市民の皆様に、農薬散布時の注意喚起を行う上で、議員が御指摘の回覧板による周知は、大変、有効であると考えますので、今後、その活用も図ってまいります。
◆11番(鈴木さおり君) 恐らく、どれだけ頑張って周知に努めたとしても、目にしない人は必ずいると思います。回覧板も自治会に入っていなければ回ってきません。完璧とは言えないことは分かっていますが、ありとあらゆる方法をずっとずっと続けていけば、多くの人の常識となっていくと考えます。 取扱いに気をつけるのは当たり前、危険な物と気をつけるのは当たり前となるまで、ぜひ、周知の徹底を目指して、御尽力いただきたくお願いいたします。 国は、医療機関に対しても、農薬の中毒時の症状及びその応急処置等について解説した資料を配付し、万が一事故が発生した場合のその処置体制について、万全を期するよう努めるように言っています。 7つとして、本市はどのように対応しているのか伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 国においては、例年、6月から8月にかけて実施する農薬危害防止運動の実施要綱の中で、医療機関等に対し、農薬中毒発生時の対応について、情報提供し、処置体制に万全を期すよう定めています。 これを受けて、本市においては、毎年、当該運動の開始前に、医療関係者向けに、公益財団法人日本中毒情報センターが監修し、JCPA農薬工業会が発行する、農薬中毒の症状と治療法に関する冊子を市内25病院及び市医師会に送付しています。 また、同様の情報を市公式ホームページに掲載し、適切な情報提供と医療機関との連携を通じて、処置体制に万全を期すよう努めています。
◆11番(鈴木さおり君) 先ほど述べた、他県の医療機関により、アメリカへ検体を送って、やっと体調を崩している原因の成分を特定できた人は、市内の医療機関ではどうにもなりませんでした。 残念ながら、現在は、適切な治療に結びついていないようです。市でそういう資料を配付し、対応を取っていいただいていることは分かりましたが、現実はそれが生かされていないという状況にあるようです。 国も言っているように、万が一のときの処置体制に万全を期すためには、各医療機関にも周知徹底の上、その対応が生かされる、適切な対応が可能となる対策をお願いいたします。 また、国は、農薬による危害防止、適正使用等に係る指導、普及啓発の活動等、取組状況等について、実施の効果や成果を検証し、次回以降の運動の実効性を高めるよう努めることとも言っています。 8つとして、今後のいわき市の成果の検証についての方向性を伺います。
◎
農林水産部長(渡邊伸一郎君) 農薬危害防止運動の効果を検証することは、農薬の適正使用や農薬被害防止の啓発を進める上で、大変、有効であると考えます。 毎年実施される農薬危害防止運動をより効果的に進めるため、今後におきましては、庁内関係部署による取組状況の把握に加えまして、市民の皆様から寄せられた御意見等を集約し、次年度以降の農薬危害防止運動に生かしてまいります。
◆11番(鈴木さおり君) ぜひ、成果の検証、何年か時間はかかると思いますが、結果が出るような検証をお願いいたしたいと思います。先ほどからお伝えしている農薬による被害を受けた人は、大人です。無味・無臭・無色である農薬は、即座に危険の認識をすることは困難です。子供はもっと背が低く、地面に近いところにいます。大人よりも吸い込む確率が高いと想像できます。 現代に多い、幾つかの障がいや心の問題等の原因の1つとして、化学物質が疑われていますが、しっかり解明されていないのも事実です。ただ、はっきり言えることは、体によいものではないということだと思います。 たとえ、便利なものであっても、それによって健康を害する人のいないよう、市としての対応を強く要望いたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、乳幼児の環境についてです。 近年、保育士・幼稚園教諭の知り合い数人から、現場の大変さの悲鳴がたくさん届いていましたので、乳幼児がどのような環境の中で保育されているのか、とても気になりました。 そこで、1点目に、乳幼児の置かれている環境について伺ってまいります。 まず、1つとして、本市の保育士・幼稚園教諭等、幼児教育施設の先生方の配置状況について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 公立保育所及び幼稚園における保育士、幼稚園教諭の配置状況につきましては、いずれも、国が定める配置基準を基本としています。 なお、障がい児保育、いわゆる統合保育や乳児保育などの実施に当たっては、本市独自の配置基準を加え、国の配置基準を超える職員数を配置しています。
◆11番(鈴木さおり君) 今回、現場を見てほしいという声を受けて、保育所・幼稚園等を何か所も回り、先生方のお話をいろいろと伺ってまいりました。 昔と比べて、手のかかる子供が増えているということは皆さん口をそろえて言っていました。年少クラスの半数以上の子のおむつが外れていないため、朝はまず、おむつ替えから始まるとか。中には、お尻の汚れが乾いて固まってしまっていて、登園するなりシャワーで洗い流さなければならない子も珍しくないそうです。そこに、職員の手が取られてしまい、ほかの子たちへの手が薄くなってしまう。でも、ほかでも激しく動き回ったり、おむつを替えたりと手が必要なため、本来の保育に入るのが大分遅くなってしまうとのことでした。 おむつに限らず、幼稚園に入る年齢で、食事も、靴を履くことも自分ではできない子が増えていると言っていました。 そういうことから、日中は休憩なし、施設によっては、遅くまで残業、持ち帰りの仕事も多いため、家のこととの両立が難しい、自分の子供を預けていても時間までに迎えに行けない、という大変さにつながっているようです。 少し前にニュース番組では、施設内の虐待や事故のことが報道されていました。絶対にあってはいけないことですが、保育士や幼稚園教諭の働き方に余裕がないと、いつどんな事故につながってしまうか分からない危険があります。 今、学校の先生も働き方改革が叫ばれています。同じように、保育所や幼稚園等も働き方の改革が必要と感じます。 子どもの状況が昔と今とでは変わっているのです。今までと同じ体制では、現場が潰れてしまいます。国に基準を見直してもらいたいところですが、本市としても何か考えていかなければならないときに来ていると強く感じます。 2つとして、その改革として考えられる方法を伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 保育士等の働き方改革につきましては、まず、幼児教育・保育を担う人材をしっかりと確保すること、加えて、本来業務に専念できる体制を整備することが重要であると認識しています。 保育士等の人材確保につきましては、本年度から実施する保育士等宿舎借り上げ支援事業や保育士の資格を有しながら就労していない、いわゆる潜在保育士の復職に向けた研修会の実施などこれらの取組を引き続き実施していきます。 また、業務の効率化を図るため、毎月の職員の勤怠管理をシステム化するなどの検討を行い、本来業務に集中できる環境を整備していきます。 さらに、現場の困難な課題に対し、職員個人の責任ではなく、組織的な対応が取れるよう、各種研修を通じて職員の資質向上に努めていきます。
◆11番(鈴木さおり君) 朝、早番のお預かり、園庭で遊ぶ子供の見守りや雨の日の室内の遊びの相手、給食時のサポート等、子育てに余裕ができたママさんやシルバーセンターの方など、部分的に保育を補助する方の手を借りることも考えられます。 特に、給食時は、動き回る子・こぼす子・おむつ替えが必要な子などがいて、大人1人で複数の子を見ることに限界を超えることもしばしばあるそうです。 3つとして、保育を補助する方の手を部分的に借りることについて、所見を伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 保育士資格や幼稚園教諭免許を有していない、いわゆる保育補助者につきましては、保育士等の負担軽減につながる有効な方策の1つであると考えています。 想定される業務としましては、直接保育に関わらない業務、複数の職員で児童の安全を確保する必要のある場面での見守りなどが挙げられます。
◆11番(鈴木さおり君) 公立保育所でも、一、二歳児クラスで1人の職員が6人の園児に昼食を食べさせなければならなくて、こぼしたり、時には詰め込み過ぎて戻してしまったりすると、その対応に追われるため、本当にいっぱいいっぱいだと伺いました。 保育補助が制度的に可能で、公立の保育所や幼稚園によっては、利用しているとお話を聞きましたが、たとえ、その制度を活用していても、それでもまだ解決されていない現場の実情があります。 それでは、4つとして、現在の本市の各施設からの相談体制について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 公立保育所及び幼稚園からの相談については、こどもみらい部や地区保健福祉センターの職員が、日々、電話等で対応しています。 また、職員が施設の運営状況を把握するため訪問した際、運営状況を確認するほか、相談に対応しています。 さらに、専門的な相談内容については、こどもみらい部内に配置されている指導保育技師や幼稚園指導教諭、管理栄養士が対応し、随時、指導・助言を行っています。 加えて、保育所長会など、所長や園長が一堂に会する場を利用して、情報の共有を図っています。 なお、民間の保育所や幼稚園等からの相談についても、市職員が必要に応じて対応しているほか、それぞれの施設が所属する協会・団体等において、相談・協議する体制が構築されているものと認識しています。
◆11番(鈴木さおり君) 先日、朝日新聞に不適切な保育への不安に相談窓口というタイトルで記事が載っていました。有志の弁護士で、保護者や保育士らから相談を受け付ける団体をつくったという内容です。そこには、どのようなものが不適切保育に該当するのか基準を設けることが難しいことや自治体や園に専門の相談窓口が設置されていないことなどが課題と書かれていました。 本市は保育所や幼稚園等、こどもみらい部が管轄となっているため、保護者は相談しやすいかと思いますが、保育士や幼稚園教諭等にしてみると、まだまだ相談しやすい環境とは言えないと感じます。今、伺ったところによると、システム的にはきちんと整っていまして、現に、所長さん、園長先生からの相談にも乗っているということでしたが、全体的にそれがどこまで解決されているのかということもあると思います。 子育てしやすいいわき市にするという意味からも、また、人間育成の観点からも、公立・私立を問わず、環境を整えることが大切です。そのための1つの方法として、市内の公立も私立も全ての施設を定期的、または、必要に応じて回り、現場の様子を実際に見て、所長や園長だけでなく、保育士・幼稚園教諭等の話も実際に聞き、時にはアドバイスをしたり、相談に乗ったりする相談員を配置するなど、環境を整える積極的な取組を要望いたします。 実際に現場を見ることで、聞いている話とは違うとか、例えば、市はそういうことは言っていないとか、困り事、課題が見えてくることもあると思います。実際に現場を見ていただきたいと強く要望したいと思います。 部分的に保育を補助する方の手を借りることも必要だが、日中の保育の質を下げないためには、やはり、資格を持った正規職員の人数が必要という現場からの声はとても強いです。私も、各施設を見学し、短時間ではありましたが、子供たちと過ごしてみて、大人側の余裕を持った対応の大切さを実感しました。 5つとして、本市は、今後、どのような対策を取っていく考えか伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 公立保育所及び幼稚園での正規職員の配置につきましては、退職者数や児童数の推移のほか、現在、全庁的に検討が進められている公共施設の在り方等を踏まえて、計画的に正規職員の採用を進めていきます。 併せて、いわき短期大学や民間の保育施設等と連携を図りながら、保育士人材の確保に努めていきます。
◆11番(鈴木さおり君) 人手を増やすには、まず、資格保有者を増やすことも大切なことです。 そこで、2点目として、現在の保育士・幼稚園教諭等を育てる施策について伺ってまいります。 ありがたいことに、本市には、保育士や幼稚園教諭等を育てる、いわき短期大学があります。 1つとして、いわき短期大学幼児教育科卒業者のうち、過去3年間の保育士・幼稚園教諭等の職に就いた割合を伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 保育士、幼稚園教諭等の職に就いた割合は、令和2年度が56人中、55人で約98%、令和3年度が57人中、56人で約98%、令和4年度が59人中、57人で約97%となっています。
◆11番(鈴木さおり君) 2つとして、そのうちの市内就職者の割合について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 市内の施設に就職した割合は、令和2年度が55人中、37人で約67%、令和3年度が56人中、42人で75%、令和4年度が57人中、37人で約65%となっています。
◆11番(鈴木さおり君) 100%ではないということですね。ここ何年間かのうちに、いわき短期大学を卒業し、保育士や幼稚園教諭をしている人たちにお話を聞いてみました。友達何人かで励まし合って何とか頑張っている状況とか、働き始めて1年たたないうちに、大変だから辞めてしまった友人がいるとか、卒業はしたけれども、実習で大変さを知り、別の仕事に就いた友達がいる、また、待遇のよい東京等他県に行ってしまったなど、様々なことを聞くことができました。 有資格者を増やすためには、まだ進路を決めていない中・高生や就職が決まっていない学生に働きかけることも有効かと考えます。 では、3つとして、市内中・高生やいわき短期大学生に対する人材確保に向けた施策の実施状況について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 本市では、キャリア教育の一環として、令和4年度から新たに、いわき短期大学の学生や市内の中学生、高校生を対象に、保育士の人材確保の取組を進めています。 具体的には、民間の保育所や幼稚園等の関係者が一堂に会し、学生に対して、保育園の活動の紹介などを行う合同説明会や実際に学生が施設を訪問して、保育士等と懇談等を行う保育所等見学バスツアーを実施しました。 また、民間の保育所等の協力をいただき、中学生や高校生を対象に、夏休み期間中に、保育等現場体験を実施し、昨年は164人の参加がありました。 今後においても、学生や施設の要望等を踏まえ、事業内容の改善を図りながら、人材確保に向けた取組を進めていきます。
◆11番(鈴木さおり君) 大変多くの学生が参加してくれたんだなとうれしく思います。 4つとして、参加した生徒・学生の反応について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) アンケートによると、合同説明会及び保育所等見学バスツアーに参加した学生からは、施設や保育の状況、園活動の雰囲気を知ることができた、実際に子供たちと関わることができてよかった、市内の施設に就職したい気持ちが高まったなどの声が多く寄せられました。 また、保育等現場体験に参加した生徒からは、命を預かることの大切さを知ることができた、保育士の仕事が思ったより楽しそうで、将来、保育士になりたいという気持ちが高まったなど、保育士等の仕事に好意的な感想が多く寄せられました。 このように、いずれの事業についても、参加した学生や生徒からは、高い関心と評価をいただいています。
◆11番(鈴木さおり君) 社会に出ないうちに現場を見たり、体験したりできることは、とても貴重な経験であり、また、そのような感想が多く寄せられていることは、大変、喜ばしいことであります。その気持ちを潰さないように、がっかりさせないように、しっかりと芽を伸ばしていきたいと思っています。 本市出身者だけでなく、他市出身の人にも、いわきで働いてみたいと考えてもらいたいと思います。それには、いわきで働くことに魅力を感じてもらうことが大切です。 5つとして、本市の保育現場で働くことの魅力はどのようなところか伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 一律に施設の魅力を申し上げることは困難ですが、それぞれの施設において、特色ある保育・幼児教育が行われています。 公立保育所及び幼稚園においては、障がい児など支援を必要とする児童のため、職員を手厚く配置し、丁寧な保育を行う統合保育や円滑な就学につなげる小学校と連携した取組など、きめ細かな保育・幼児教育を行っています。 また、民間の施設においても、周辺の環境を利用して自然に親しむ保育や鼓笛などの音楽活動を通じて、協調性や社会性を培う幼児教育など、それぞれの施設の方針に基づき、特色ある保育・幼児教育が行われています。 このように、施設の特性を生かした多種多様な保育・幼児教育が行われている環境で、将来を担う子供たちの成長に携われることが、本市の保育現場で働くことの大きな魅力であると考えています。
◆11番(鈴木さおり君) 確かに、本市は、海もあり、山もあり、その施設によって様々に環境も違いますし、それぞれの魅力があることと思います。 6つとして、本市の保育所・幼稚園等で働くことの魅力を、若者たちにどのように伝えていくのか伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 保育所や幼稚園で働くことの魅力を若者たちに伝えていくため、市としましては、いわき短期大学や市内の高校・中学校、民間施設と一層、連携を図っていきます。 また、若い世代に本市の保育現場で働くことの魅力を感じていただける取組を継続して進めていきます。 さらに、保育士等の人材確保や負担軽減に向けた取組、保育・幼児教育の質の向上に向けた取組などの本市が推進する様々な施策やその成果について、市公式ホームページやSNSなどの媒体を通じて、積極的に発信していきます。
◆11番(鈴木さおり君) デジタル化が進んでいる現代、いろいろなことが便利になってきてはいますが、子育て、つまり、幼い頃の人間育てについては、どうしても人のぬくもり・愛情が絶対不可欠です。 それには、保育する側の余裕が必要であり、子供の人数が減ってはいても、手のかかる子が増えている現代に合わせた施策が必要です。 人が一人前に育つには、どの過程も大切ですが、特に、物心がついてくる時期、つまり、乳幼児期が一番大切です。そこできちんと愛情を受けて、良い環境の中で育ってこそ、社会の一員として、人と助け合いながら思いやりを持って生きていけるようになるのだと考えます。 また、いわき市は国の基準より手厚い加配をしてくださっているとのことですが、現場の様子を聞いてみると、穏やかでそれほど手のかからない重度の障がいの子もいれば、逆に動きが激しく、1人の職員が付きっきりになってしまう中度の子もいて、書類の数字の判断だけでは、適切な保育に結びつかない現状もあるようです。 また、女性の社会進出により、子供を保育所に預けたい家庭も増えていますが、受入れ側の人手不足から、これ以上預かれないという現状もあり、子供を預けられないから仕事をできないという矛盾も出ています。 保育の現場には、実に様々な課題が蓄積しています。しかも、対応が急がれている課題が多いと感じます。現時点でも、いわき市としての施策を展開してくださっていることに、大変感謝いたします。ですが、さらにさらに、取りこぼしのない、質の良い保育をするための積極的な配慮を執行部の方々には心からお願いいたします。本当にせっぱ詰まっていると感じます。 以上、大きく3つの質問をいたしました。どれも喫緊の課題であると認識しております。どうか、積極的で親身な対応をお願いしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本稔君) ここで、午後2時15分まで休憩いたします。 午後1時56分 休憩
--------------------------------------- 午後2時15分 再開
△吉田雅人君質問
○副議長(坂本稔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。7番吉田雅人君。 〔7番吉田雅人君第二演壇に登壇〕
◆7番(吉田雅人君) (拍手)7番いわき市議会一誠会の吉田雅人です。以下、通告順に従い、一般質問を行ってまいります。 大きな質問の1点目は、本市の経済対策についてであります。 本市経済は、新型コロナウイルスの影響により大きく落ち込み、市内企業、また、市民に大きな影響を及ぼしました。国内の経済動向に目を向ければ、コロナショックによる世界的な株価の大暴落に始まり、消費の落ち込み、運送業等の混乱による物価等の高騰、失職率は高まり、有効求人倍率も下がりました。昨年の2月には、いまだに続くロシアによるウクライナ侵攻により、小麦や原油等の物価高騰が起き、国民・市民の生活を圧迫し続けています。 そのような中にあって、本市では、市内経済の落ち込みへの対策として、様々な施策を実施してまいりました。それら各事業についての効果については、それぞれ調査・検証を実施しなくてはなりません。 一方で、新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが、今年の5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行しました。これにより、法律に基づいた外出自粛の要請などはなくなり、幅広い医療機関での患者の受入れを目指すなど、3年余り続く国のコロナ対策は大きな節目を迎えました。 移行後は、国は、これまでのように行動制限を求めることができなくなったため、感染対策は今後、個人の判断に委ねられることとなりました。これに伴い、世間では、感染法上の位置づけ変更がゴールデンウイーク後であったにもかかわらず、大手旅行会社JTBの発表によれば、ゴールデンウイーク中における総旅行者数は約2,470万人、総旅行消費額は約9,040億円になったようです。 国内旅行者数は約2,450万人、総国内旅行消費額は約8,526億円で、ほぼコロナ禍前の状態に回復。海外旅行者数は約20万人ですが、コロナ禍前の平均と比較すると約3割超回復しており、総海外旅行消費額は約514億円とのことです。また、市内飲食店などに目を向けても、コロナ禍前とまではいかずとも、徐々に客足の回復に向かっているように感じます。 このような状況の変化に伴い、今後の経済対策については、コロナ禍の中とは違った施策の展開が求められるわけですが、それら施策の検討の前に、これまで本市で行ってきた様々な経済対策の1つであるキャッシュレス決済ポイント還元事業について、振り返りと検証を行いたいと思います。 私個人としては、市議会議員選挙時からコロナ禍であり、当選直後より、当時実施していた、あんしんコロナお知らせシステムの推進及び継続すべきという立場から、質問等を何度かにわたって行ってきたわけですが、現執行部は、本事業については、令和3年度をもって終了し、新たに経済対策事業としてキャッシュレス決済ポイント還元事業を令和3年度3月及び令和4年度3月の2度にわたって実施してきたところです。なお、以下、本事業については、キャッシュレス決済事業と呼称します。 私があんしんコロナお知らせシステムの継続をすべきという理由については、令和3年2月議会の一般質問にて訴えをさせていただきましたが、これらについては、本質問を通して、流れの中で比較・検討をしていきたいと思います。 では、以下、キャッシュレス決済事業について伺ってまいります。 まず、初めに、確認事項として、キャッシュレス決済事業とはどういったものであったのか。 令和3年度3月実施のキャッシュレス決済事業の概要について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 令和3年度のキャッシュレス決済ポイント還元事業は、2つの目的から実施しました。 1つ目は、キャッシュレス決済の普及を通じて、非接触型の新しい生活様式への対応を促進することです。 2つ目は、市内の消費を喚起することです。 具体的には、市内の対象店舗で電子決済サービスPayPayを利用して買物をした場合に、支払金額の一部をポイントとして還元するものです。 ポイントの還元率は、決済金額の30%とし、ポイントの上限額は1回の決済当たり3,000円、期間中の上限を1万5,000円として実施しました。
◆7番(吉田雅人君) では、この事業概要で、事業実施前に見込まれた経済効果はどのようなものであったのか。 令和3年度3月実施のキャッシュレス決済事業実施前の経済効果の見込みについて伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 事業実施に先立ち、キャッシュレス決済事業者のシミュレーションを基に、まず、ポイント還元費用を5億円と試算しました。 次に還元率が30%の場合、5億円のポイントを得るために必要な消費額は約17億円となるため、これを経済効果と見込みました。
◆7番(吉田雅人君) では、それら見込みに対しての実際の経済効果はどのようなものとなったのか、令和3年度3月実施のキャッシュレス決済事業実施による実際の経済効果について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 事業の実施により、事業期間中のポイント付与額は約3.7億円で、経済効果となるキャッシュレス決済金額は約14.4億円です。
◆7番(吉田雅人君) 経済効果について、一定程度の目標が達成されたことは理解しました。 予算額約5億2,000万円に対して、決済額は総事業費で約3億8,000万円、執行率に直せば、73.6%となります。これは、非難するほどの低い数字ではないと考えます。ただし、もろ手を挙げて成功したと評価すべき執行率でもないと、ほかの事業と比べれば考えるところです。 では、次に、これら実際の経済効果を受けて、どのような事業評価をしたのか、令和3年度3月実施のキャッシュレス決済事業に対する事業評価について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 令和3年度事業の目的は、キャッシュレス決済の普及による新しい生活様式への対応促進、市内の消費喚起の2つでした。 まず、事業の評価につながるPayPayによるキャッシュレス決済の実績を御説明します。 利用店舗数は、事業前と比較し、340か所増加し、2,582か所となりました。 次に、事業期間中のキャッシュレス決済金額は約14.4億円で、事業実施前の約18倍と大幅に増加いたしました。 また、利用者数は、キャッシュレス決済事業者が把握できる一部のデータにはなりますが、事業前と比較し、約4倍に増加しました。 さらに、試算によると、ポイント付与の上限額を超えて、約2.2億円の消費がありました。 以上のことから、先ほど申し上げた2つの目的は、いずれも達成できたものと認識しています。
◆7番(吉田雅人君) ここまで、第1回目の令和3年度3月実施のキャッシュレス決済事業について伺ってまいりましたが、次に、第2回目となる令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業について視点を移して質問してまいります。 まず、令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業はどういった概要であったのか、令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業の概要について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 令和4年度の事業も2つの目的から実施しました。 1つ目は、消費喚起による市内企業の経営支援、2つ目は、物価高騰により生じた家計への負担軽減です。 具体的には、市内の対象店舗で電子決済サービスPayPay、d払い、auPAYを利用して買物をした場合に、支払金額の一部をポイントとして還元するものです。 ポイントの還元率は、決済金額の30%としまして、ポイントの上限額は、1回の決済当たり3,000円です。 期間中の上限は、3つの電子決済サービスを合わせて、9,000円としました。 令和3年度事業との主な変更点は、電子決済サービスを3種類とし、また、期間上限額を1万5,000円から9,000円としたことです。
◆7番(吉田雅人君) ただいまの答弁で、市内経済状況の変化により、第1回目と比較した際に、目的が変わったこと、また、予算案の議決後のプロポーザルの結果、応募のあったキャッシュレス決済事業者が3社となったこと、また、ポイントバック上限額が1万5,000円から9,000円となったことなどであることは分かりました。 ここで申し上げておきたいことは、この事業予算の約10億円が果たして適当な額であったのかということです。 事業予算の審査議会であった令和4年12月定例会時を振り返ってみると、創世会の佐藤和良議員の歳出7款1項2目商工振興費の商工業振興事業費のキャッシュレス決済ポイント還元事業費についてという質疑の中で、第2弾事業の積算根拠はどのようなものなのか伺いますという問いに対し、今回はキャッシュレス決済を取り扱う複数の事業者に見積書の提出を依頼し、それらを参考に、所要額を積算したところですとの答弁がありました。 しかしながら、積算根拠が決済事業者からの見積書というのは、10億円もの莫大な予算を使って行う事業としては、積算根拠として、不明瞭かつ非常に軽率な理由であったと私は感じます。 また、この複数という表記ですが、実際には、2社に対してのもののみでした。これについてもやはり、2社のみからの見積りで果たして十分であったのかと疑問が残るところです。 では、第1回目と比較する上で、第2回目である令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業における経済効果はどのように見込んでいたのか。 令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業実施前の経済効果の見込みについて伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 令和4年度の事業実施に先立ち、キャッシュレス決済事業者のシミュレーションを基に、まず、ポイント還元費用を10億円と試算しました。 次に、還元率が30%の場合、10億円のポイントを得るために必要な消費額は、約33億円となるため、これを経済効果と見込みました。
◆7番(吉田雅人君) 先ほどの第1回目の経済効果の見込みに対する答弁の際には申し上げませんでしたが、予算案が提出された令和3年12月議会、これは第1回目の予算案ですけれども、その際の市長の記者会見の中では、市長は、事業規模が5億円ですので、全てを使い切った場合、おおよそ17億円が市場に流れることとなります、加えて、利用者が得た5億円のポイントを、さらに、市場で使っていただくことを考えれば、地域の中に合計で22億円が経済活動の中で流れていきますと発言されています。 そうであるならば、先ほどの質問に対しては、本来、経済効果の見込みの中に、これらのポイントバック分も盛り込んだ答弁をすべきだと思います。 また、今し方、お聞きした第2回の経済効果の見込みについては、これらも予算が提出された令和4年の12月定例会の蛭田源治議員の一般質問の大項目1新型コロナウイルス感染症対策について中項目3コロナ禍におけるキャッシュレス決済ポイント還元事業について小項目6今回の事業効果をどのように見込んでいるのか伺いますという問いに対して、本事業による効果につきましては、受託者の提案内容によるため、現時点で明確にお答えすることは困難ですとした上で、仮にではありますけれども、約10億円がポイントとして執行された場合、還元率が30%であることから、30億円を超える消費が生まれ、市内企業の経営支援になります、また、家計の負担はポイント分の約10億円が軽減されますと答弁がありました。 であるならば、こちらもやはり、どちらについても、執行部の見解としては、ポイントバック分も合わせて、それぞれ22億円と43億円と見込むのが整合性の取れた答弁と考えます。 ここでは、答弁が、当時の議会や記者会見等から鑑みて、変わってしまった理由ですとか、また、経済効果の見込みの中に入れない理由についての言及は避けます。 しかし、私がここで申し上げたいのは、本来、これらポイントバック分を、当時の見込みに関してですが、経済効果の見込みに含むことは、やめるべきではなかったのかということです。 というのも、このポイントについては、利用者が使用したキャッシュレス決済アプリのポイントとして付与される形となっているため、市外の店舗や通販サイトなどでの利用が可能となり、税金を原資とするお金、ここではポイントとして入ってくるわけですけれども、これらが必ずしも市内に滞留するとは言えず、これらが循環しないおそれがあることを懸念していたためです。その点も十分に考慮して事業設計を行うべきであったと考えます。 では、実際に、第2回目である令和4年度3月のキャッシュレス決済事業を実施した結果、経済効果の見込みに対して、実際の経済効果はどのようなものであったのか。 令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業実施による実際の経済効果について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 事業の実施により、事業期間中のポイント付与額は約2.3億円で、経済効果となるキャッシュレス決済金額は約10.4億円です。 また、試算によりますと、ポイント付与の上限額を超えて、約2.6億円の消費がありました。
◆7番(吉田雅人君) 経済効果については、見込み値で今ほど御答弁いただいた数値となるわけですが、これは、予算額から見た執行率で考えると、27.4%となります。これは、第1回目の73.6%と比較しても大きく下がってしまったことは間違いないようです。 ここで、あんしんコロナお知らせシステムの配布済みクーポン券分の最終執行率を申し上げれば、約98%ということも確認しておきます。 では、次に、導入店舗が負担する手数料について伺ってまいります。この手数料というものは、お店でお客さんが支払った金額に対して、一定の割合でキャッシュレス決済を導入している店舗側が負担するものですが、その割合についてはどのようになっていたのか。 導入店舗が負担する手数料について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 導入店舗が負担する決済手数料は、決済金額に応じて、一定の割合の金額をキャッシュレス決済事業者に支払うものです。 本事業の対象となるキャッシュレス決済事業者が定める決済手数料は、PayPayが1.6%または1.98%、d払いとauPAYが2.6%です。 なお、PayPayの2種類の手数料につきましては、PayPayマイストアライトプランに加入した場合、1.6%、未加入の場合は1.98%となります。 同プランに加入した店舗は、毎月税別1,980円を支払い、売上げや集客効果を高めるクーポンの発行など、各種サービスを受けることができるとされています。
◆7番(吉田雅人君) 今ほど、導入店舗が負担する手数料について伺いましたが、我が国において、キャッシュレス決済の普及が他国に比べれば進まない要因は様々ですが、その1つに、この導入店舗の負担する手数料が重荷となっていることが挙げられております。 二、三%の手数料なら、そこまで高くはないのではないか、という意見も出てきそうなものですが、ここで売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益である、売上営業利率を業種大別に幾つか見てみると、建設業が3.82%、製造業は4.02%、小売業は1.44%、宿泊業及び飲食サービス業が2.11%、生活関連サービス業及び娯楽業は1.82%となっております。 特に、今回のキャッシュレス決済の導入店舗となり得るメインターゲットとなった小売業は1.44%、飲食サービス業は2.11%、生活関連サービス業は1.82%とほかの業種と比べても、総じて、低い利益率の中で経営をしていることが各調査で明らかになっています。 そもそも、これら産業については、ふだんの生活に非常に近いサービスであり、どうしても薄利多売的な経営戦略を取らざるを得ない側面を持ち合わせているわけですが、ましてや、個人店となれば、今回の物価高においても、その高騰分の価格転嫁がなかなかできずに、赤字が続き、最悪、廃業に追い込まれてしまうケースもあります。 このような状況を鑑み、第2回目のキャッシュレス決済事業の予算審議が行われた令和4年12月定例会の議案調査時には、当会派の馬上卓也議員、平子善一議員、小菅悟議員らと共に、担当課の課長や当時の部長らに対し、導入店舗の手数料負担を少しでも減らすため、実施事業者選定の段階から何かしらの方策の実施を行うように非公式ながら、要請した経緯があります。 そこで、我々の要請を踏まえて、導入店舗の手数料負担軽減を図るべく、担当部ではどういった取組を実施したのか、導入店舗が負担する手数料の負担軽減に対する取組について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 前回の事業実施後、決済手数料を負担と感じている店舗もいるとの声を受け、事業者選定に当たり、店舗向けサポート体制の評価項目を新たに設けました。 この中で、市内店舗の新規参入を促す取組が充実しているかを判断基準としまして、決済手数料の負担軽減の提案も評価できるようにしました。 しかし、決済手数料の負担軽減を提案する応募者は結果としておりませんでした。
◆7番(吉田雅人君) プロポーザル実施時において、手数料負担軽減を図るための取組自体は実施していただいたということですので、改めて、この場を借りて、その点に関しては、感謝を申し上げたいと思います。 一方で、評価項目に直接的に手数料の低さを入れることは、なかなかに困難であったという話も伺っております。それでも、本事業の目的の1つが、消費喚起による市内企業の経営支援である以上は、導入店舗が負担する手数料についてはかからないようにするべきであったと考えます。 あんしんコロナお知らせシステムの運用スキームであれば、参加店舗が金券の郵送等を行う場合は労力がかかりますが、金銭的負担は一切ありませんでした。また、事業費の市内滞留性を鑑みれば、システム運用やクーポン券の印刷等に関わる企業も市内企業であり、一般事務は会計年度任用職員を活用して行っていたため、基本的に、事業費が直接的には市外流出しないというメリットもありました。 また、他市の事業に目を向ければ、福島市では、ふくしま市民生活エールクーポンといった事業も数度にわたり実施しております。これは、紙媒体のプレミアム付クーポンを新型コロナウイルスによる影響と物価高騰などに対応するため、昨年実施時には、14億円もの予算を使って経済対策事業として行ったものでした。 ここまで述べてきたとおり、本事業については、実施前から、より一層の検証や確固たる積算根拠などをしっかりと考え抜いた上で、実施すべき事業であったと考えますが、令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業に対する担当部の事業評価について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 本事業の目的は、消費喚起による市内企業の経営支援、物価高騰等により生じた家計への負担軽減の2つでした。 事業の評価につながる実績を説明します。 まず、利用店舗数は、キャッシュレス決済を3種類に増やしたことで、前回実施時の2,582か所から4,485か所に増加し、多くの方に利用いただきました。 次に、事業期間中のキャッシュレス決済金額は、約10.4億円となりました。 また、試算によると、ポイント付与額の上限額を超えて、約2.6億円の消費がありました。 約10.4億円といったキャッシュレス決済金額は、経済対策として、一定程度の効果は認められますが、開始前に見込んだ約33億円を下回りました。 そのため、購買意欲を喚起できたか、利用者の利便性が確保できていたかなどの観点から、その要因等の検証が必要であると考えています。
◆7番(吉田雅人君) 市長は、令和3年度10月定例会における議案提出者による提案理由説明の中で、私が好きな孔子の言葉に、過ちて改めざる、是を過ちと謂うという言葉があります、大切なのは、過ちから学び、それをどう次につなげていくのかということです、成果の上がっていない、または成果の少ない取組は、それぞれ、どこに問題があるのかをしっかりと分析し、やり方を変えていく、時には、大胆な決断も必要でありますと発言し、また、当会派の馬上卓也議員の一般質問に対する御答弁の中でも、この言葉を用いておりました。 今回実施した事業については、令和3年度3月に実施した際の予算規模を約2倍、およそ10億円という莫大なものとしたものの、本質問の過程でも指摘させていただいたとおり、様々な側面から、本来、2回目を実施する前に検討すべき懸念事項も散見されていたことは明らかであると考えます。 また、予算執行率も決算委員会がいまだ開会されていないことから、決算額ではなく、あくまでも見込額からの算出ではあるものの、約27.4%とまれに見る低さに終わりそうです。 これにより、国からの交付金である新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金充当金分の未執行分である約3億円については、国への返金となることもおおよそ確定的です。この交付金は、前回の2月定例会の私の質問でも取り上げさせていただきましたが、他市事例を見れば、給食費の負担軽減等にも使えた自由度の高い交付金でありました。 このような観点から、私個人としては、明らかに本事業については失策と言わざるを得ないと考えます。第1回目の実施後から効果等をより詳細に分析し、メリットとデメリットの両面を十分に検証した上で、事業立案をすべきであったと考えますが、令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業に対する市長の評価をお伺いいたします。
◎市長(内田広之君) まず、初めに、私のよくお話しする孔子の言葉を引用いただきまして、ありがとうございます。それぞれの政策に関しまして、この事業にかかわらず、反省すべきところは検証しながら、次の政策に生かしていきたいと思っております。 まずは、この事業の実施によりまして、市内の消費の喚起とか、家計の負担軽減という側面はあったかと思います。あと、先ほど部長からもお話がありましたとおり、市内のデジタル決済がかなり店舗でも進んでいないところが長年の課題でございましたので、そういったところの広がりというのはあったと思っております。 福島市の例を出されましたけれども、紙クーポンを導入した場合、数億円に対して、事務経費が数千万円単位でかかるというのが一般的なので、そういったところの節約というところのバランスも考えなければならないと思いますし、あんしんコロナお知らせシステムが導入された頃というのは、まだ、クラスターの実態が分からなかったり、どういう場所で感染が広がっているか、どういう人との距離の取り方が感染対策として取れるのかという状況の中で導入されて、そういうクラスターから、きちんとそこの店舗にいた人を把握するといった趣旨もありましたので、状況が変わってくる中での導入でありましたので、単純に比較はできない部分はあろうかと思います。 一方で、類似事業との期間重複、また、購買意欲の喚起でありましたり、利便性確保の面という部分で、様々な要因で、経済効果が期待を下回った側面もあるのが事実だと思っております。 事業の推進に当たりましては、常に利用者に寄り添いまして、その内容や手法などを柔軟に見直しながら、事業効果を高める工夫が必要であると実感いたしました。
◆7番(吉田雅人君) ありがとうございます。あんしんコロナお知らせシステムについては、あくまで、比較検討するための材料として出しているだけであって、勘違いを起こされると困るので、申し上げておくと、何もそっちをやれという話をしていたわけではなくて、税金の市内滞留性ですとか、執行率の高さというものとか、本来、比べて、経済対策事業という同じジャンルであれば、目的が違うので、完全に似通ったものではないと思うんです。しかし、目的が違うにしても、いい部分をもう少し吸い上げたような、ただ、一企業が持っているスキームに乗っかっただけの事業ではなくて、市独自でもう少し考えられた点はあったのではないかなというので、この質問をしているところはこの場で置いておきます。 ここまで、第1回目の本事業の経緯と評価及び第2回目の経緯と評価をお聞きしてきましたが、ただ単に失策を否定して、やり玉に上げるだけでは何も生まれることはありません。議会の本質である議論を尽くすことに重きを置くのであれば、キャッシュレス決済事業について、反省すべき点は反省し、今後に生かすことこれこそが重要と考えます。 そこで、まずは私が質問を通じて指摘した点等も踏まえながら、なぜ執行率が27.4%という低さに終わってしまったのかの原因を伺いたいと思います。 令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業の結果の原因について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) キャッシュレス決済金額が、開始前の見込みを下回った原因は、主に3つあると考えています。 1つ目は、本事業と同様の消費喚起策として、県が実施する、買って応援キャンペーンの期間が延長され、本事業と実施期間が重なったことです。 2つ目は、ポイント上限額が下がったことにより、消費者の購買意欲を十分に喚起できなかったことです。 具体的には、前回は上限額がPayPay単独で1万5,000円でしたが、今回はPayPay、d払い、auPAYのそれぞれが3,000円、計9,000円となりました。 3つ目は、3種類のキャッシュレス決済のうち、多くの利用者が一部のキャッシュレス決済の利用にとどまったことです。 キャッシュレス決済の種類ごとに、アプリのダウンロードやチャージといった煩雑な手続が必要となり、利用者が伸び悩んだものと考えています。
◆7番(吉田雅人君) 今し方の御答弁では、原因が主に3つとのことですが、2つ目の付与ポイント上限額の引下げによる消費マインドの低下と3つ目の事業者が複数となってしまい、手続の煩雑さから一部のキャッシュレス決済の利用にとどまってしまったという2点については、事業の構築段階から十分に予測が可能だったと考えます。 そして、1点目に挙げられた県の買って応援キャンペーンの期間延長により、本事業と実施期間が重なったという理由については、先ほど、市長が評価の際にもおっしゃられておりましたけれども、私個人としては、全く理解が示せません。言葉をきつくすれば、言い訳にすらなっていないと考えます。 というのも、第2回目のキャッシュレス決済事業の予算審議をした令和4年12月定例会において、正論の会の小野潤三議員が行った7款商工費1項商工費2目商工振興費キャッシュレス決済ポイント還元事業についてという質疑の中で、事業の実施期間を令和5年3月の1か月とした理由は何か伺いますという問いに対し、その際の答弁としては、現在、県はオールふくしま買って応援キャンペーンで消費喚起策を実施しています。その期間を令和5年3月末まで延長するための補正予算を12月県議会に提出したところです。一方、総務省統計局の家計調査結果によりますと、3月は、新生活の準備等により、家計の消費支出が大きく伸びる月となっています。このため、家計負担が大きくなる3月に県の対策に加え、市においても、本事業を実施することとしたものでありますとありました。 この答弁を聞くと、事業実施前は、県が既に経済対策事業は実施している。しかし、国の調査によれば、3月は家計の支出が増える、だから、市においても経済対策事業を行うとあり、これは、むしろ事業実施の追い風の材料と考えているように思えます。 しかしながら、事業実施後の今となって、この事業結果の原因の1つとして挙げるのは、つじつまが合わず、違和感を覚えるのは私だけでしょうか。 いずれにせよ、これら3点については、1点目は、単純に見込み違い、2点目及び3点目については、見込みの甘さが招いた原因のように考えますが、ここで、改めてこれら原因も踏まえた上で、再度、事業の評価を市長にお尋ねしたいと思います。 ただいま確認した原因も踏まえた上で、市長のキャッシュレス決済事業に対する評価について、再度伺います。
◎市長(内田広之君) まず、経過から御説明申し上げます。市の令和4年度3月のキャッシュレス決済事業の補正予算案を取りまとめた後に、市議会提案の直前だったのですけれども、あまり期間がなかったのですけれども、県の補正予算案が発表されまして、県のキャンペーンの延長の考え方が示されたと。我々の準備の後から入ってきたということが、まず、ございます。 そういう状況下の中で、市といたしましては、市がそもそも予定していた事業の実施を見送るのではなくて、県の制度と歩調を合わせることで、企業の経営支援や家計の負担軽減をより一層推進しようという立場に立って進めてきました。 そのため、令和4年12月定例会の小野潤三議員の質問に対しましては、県の対策に加えまして、市としても本事業に資するということを答弁いたしました。しかしながら、県の制度に関しましては、事前に購入した金額分を3月末までに利用しないと無効になってしまって、払戻しもされないという仕組みでございます。 一方、市が利用した、電子決済サービスにつきましては、チャージした分を3月以降も利用することができまして、そこの重複した部分というのが、結果として、利用者がまずは県の制度を優先して利用するというほうに流れてしまったと推測しておりまして、そういう意味合いで答弁で申し上げております原因の1つに、県の類似事業との期間重複を挙げたというものであります。 次に、事業の評価でございますけれども、繰り返しになりますが、経済対策として、一定の効果は認められると思っております。家計とか、企業の経営支援、あとは、デジタル決済が進んでいないといういわき市の状況がかなり前進したという意味で、国に一定額の返納ということはありましたけれども、失策という指摘は、一切当たらないと思っております。 ですので、そういう状況下で、想定した規模は、開始前の見込みを下回ったということにつきましては、もちろん、真摯に受け止めまして、その要因等をしっかり検証しながら、今後の施策展開に生かしてまいります。
◆7番(吉田雅人君) 失策や失敗について、素直に過ちを認めることは、なかなかに難しいことだと思います。まして、行政となれば、それはなおさらだということは議員を2年9か月近くやらせていただいて、深く理解しているところであります。議場という場では言えないこともあるかと思います。 しかし、市長自身がおっしゃられた、過ちて改めざる、是を過ちと謂うという言葉の真意をしっかりと今回の事業結果に反映させるためには、まずは、過っている部分は過ちと認めて、そして、それを次につなげて、成果の上がっていない、または、成果の少ない取組は、どこに問題があるのかをしっかりと分析していただき、やり方を変えていく、そして、時には大胆な決断をしていただくよう、強く要望したいと思います。 さて、それでは、本事業について結果分析を行った上で、今後、同様の事業実施の可能性はあるのか、令和4年度3月実施のキャッシュレス決済事業の結果の分析を受けての同様の事業実施の可能性について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) キャッシュレス決済事業は、企業への経営支援や家計の負担軽減の観点から、一定の効果が見込まれます。 一方、事業効果となるキャッシュレス決済金額の予測が難しいことや財源の確保などの課題もあります。 市としては、地域の実情に応じた独自の経済対策を検討する中で、キャッシュレス決済経済対策事業についても、その必要性を含めた検討を進めます。
◆7番(吉田雅人君) では、実際に、本年度においては、どのような経済対策事業の取組を予定、または、実施しているのか、本年度実施、または、実施予定の経済対策事業の取組について伺います。
◎産業振興部長(佐竹望君) 本年度の経済対策の検討に当たり、市内経済状況を把握するため、市内経済関連団体を対象に、4月に個別ヒアリング、5月に意見交換会を実施しました。 その中で、原材料費や燃料等の物価高騰分を価格転嫁できず、収益が確保できていないという状況が示されました。 また、売上げが回復しないことや人手不足が大きな課題であることも示されました。 さらに、こうした現状に対する対応策として、事業継続やコスト削減に取り組む事業者への支援などが提案されました。 こうした御意見等を踏まえ、経済対策は2つの方針の下に構築しました。 1つ目は、地域の産業や生活を支える業種で、特に、価格転嫁が難しい事業者に対し、事業継続につながる緊急支援を引き続き行うことです。 2つ目は、エネルギー消費削減や賃金引上げ、需要回復・拡大といった事業者の挑戦を後押しするなど、将来を見据えた前向きな支援を行うことです。
◆7番(吉田雅人君) それでは、本項目最後の質問として、今後の経済対策事業の在り方について、市長はどのようなお考えをお持ちなのか。 今後の経済対策事業を実施する上で、根幹に置くこととなるわけですが、今後の経済対策事業の市長の考え方について伺います。
◎市長(内田広之君) 5月の意見交換会におきましては、経済関連団体の皆様から、各業界の危機感や切実な思い、新たなチャレンジの必要性など、生の声をお聞きすることができました。 あらゆる産業が厳しい状況の中、農林水産業や物流・交通事業者など、地域の産業や生活を支える業種で、価格転嫁が難しい状況を痛感いたしました。 一方、支援金などの一時的な支援には限りがありまして、コスト削減等の前向きなチャレンジへの支援が必要といった御意見もいただいたところです。 そのため、私といたしましては、事業継続を支援する緊急対策と稼ぐ力の向上や人材確保など、将来につながる挑戦を支援する両面から取り組むという思いを強くいたしました。 今後も、本市の実情に応じた、きめ細やかな独自の支援・対策を幅広い分野において、主体的に、そして、機動的に展開していきます。
◆7番(吉田雅人君) コロナの国の感染法上の扱いが変わりまして、経済対策も変革の大きな転換点、岐路に立たせられているのかなと思います。今、市長がおっしゃられた考えを根幹に置いて、今後の経済対策事業の実施をお願いしたいと思います。 私は、本事業、キャッシュレス決済事業の実施は失策であるという立場から、この質問を通して、市長及び担当部の考えをお聞きしたわけですが、それと同時に、私も誤った点は認め、反省をしなくてはなりません。 事業の予算審議を行った令和4年12月議会では、懸念点や不明点が散見されたことから、議案調査の段階から、担当課への質問・調査、申入れを行いました。また、予算反対も視野に入れ、討論の準備や下山田副市長との意見交換なども行いました。しかし、結果として、予算に対し、賛成をした事実があります。 他の予算との一括審議のため、1つを反対するためには、他の事業の予算についても反対となってしまうことや会派内の調整ができなかったことなど、理由は様々あれど、賛成の前にもっとできたことはあったのではないかと後悔しております。予算の提案及び執行は、市長の権限によるところではありますが、私も一議員として、議決をした責任の一端があると深く反省しております。 今後の予算の調査・審議については、より一層高い意識を持って臨むことを改めてお誓い申し上げたいと思います。 そして、執行部におかれましても、疲弊する本市経済と市民のため、市長にお答えいただいた考えを軸に置いた経済対策事業の実施をするよう強く要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の2点目は、子供たちの安心・安全な学びの環境づくりについてであります。 2023年4月6日の日本経済新聞の報道によれば、法令では定期的な点検を定めているが、国の機関の調査では、具体的な点検項目の記載がない小・中学校が全体の36%を占めた、専門家に依頼する費用不足や担い手となる教職員支援が課題に挙がる、児童・生徒が学校内で負傷する事故は後を絶たない、安心して学べる環境整備に向け、点検強化が欠かせないと報じられておりました。 そこで、本市では、学校施設や設備について、どういった環境整備を行っているのか質問をしてまいります。 これまで、私は議員に当選来、また、令和3年に起きた千葉県八街市の事件後も、子供たちの安全・安心な学びの環境確保の観点から、特に、通学路・登下校路の質問を数度にわたり行ってまいりました。 また、先日行われた令和5年度第1回交通安全対策推進会議にも参加をさせていただき、令和4年度の取組状況、また、本年の取組の方向性などの理解をさせていただいた次第です。 会議の後には、担当部部長である松島部長に対し、共に参加した当会派の馬上議員と共に我々が考える安全対策の推進について、そして個別の要望と考えの共有を図らせていただきました。その際に、私から部長に伝えさせていただいたことは、人が亡くなってからは、安全対策に力が入るが、それも時間の経過とともに薄れるのが世の常である。通学路・登下校路については、国からの通達もあり、市としては、力を入れた対策が実施されていますが、何とか安全対策に関する意識の維持をお願いしたいということでした。 誰かの命が失われてから対策を実施するのではなく、未然に防ぐための対策を実施していかなければなりません。 そこで、今回は、通学路・登下校路についてではなく、学校施設や設備の安全な整備について伺ってまいります。 全国的に、学校施設や設備等が原因の事故が発生しており、これに対して、本市ではどういった考えを持っているのか。そもそもの学校施設や設備の整備について、本市ではどういった考えに基づいて安全対策を講じているのか。 本市の学校施設や設備の整備に対する考え方について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 学校では、教職員が学校保健安全法に基づく安全点検を行い、児童・生徒の事故防止に向けた取組を実施しています。 併せて、教育委員会では、法令に基づく定期点検や
営繕調査を毎年実施することで、学校の危険箇所を把握し、修繕などの対策を実施しているところです。
◆7番(吉田雅人君) 市として、独自に基準等を設けながら、定期的に整備をされているということですので、では、今の答弁を踏まえて、それらの考えに基づき、本市で実施してきた学校施設や設備の整備をどのように行ってきたのか。 ソフト面とハード面の両面に関して、本市における学校施設や設備整備のこれまでの取組状況について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 学校施設や設備の安全点検に関する基準ですが、文部科学省が作成した資料等を踏まえ、各学校が点検表を作成し、毎月1回程度、安全点検を実施しています。 具体的には、普通教室の場合、壁や床の破損や掲示物の落下の危険性、窓ガラスの破損の有無の確認等が点検項目として挙げられています。 また、教育委員会の技術職員による施設の定期点検も実施しています。 これは、建築基準法第12条に基づくもので、建築物等の安全性や適法性を確保するため、施設は3年に1回、設備は毎年点検しています。
◆7番(吉田雅人君) 現場教師への意識共有なども含めて、実施しているということはお話で伺っていますので、その点については理解ができました。しかしながら、事故というものを100%なくすことは、なかなかに難しく、実際には、軽微なけが等も含めれば、どうしても発生してしまうものと考えます。 では、それら対策を講じても、なお、本市では学校施設や設備による事故などがどの程度発生をしているのか。死亡事故まではつながらずとも、重大事故や軽症で済んだ事故はどの程度把握しているのか。本市における、事故発生状況をお聞きしたいと思います。 学校施設や設備等が原因で発生した事故件数について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 過去5年間において、学校施設や設備が原因で発生した死亡事故や救急搬送を伴う重大事故等はございません。 なお、老朽化した外壁の一部が剥離落下したことによる自動車の物損事故等が3件、屋外照明の倒壊が1件、樹木の倒木が23件発生しています。
◆7番(吉田雅人君) 死亡事故まではつながらなくとも、軽微なけがを負う事故が発生していることは事実のようです。そうは言っても、それらの事故が学校施設や設備の整備不良が原因のものなのか、それとも生徒・児童の注意不足によるものなのか、それら根本的な原因を全て把握することは困難であると考えます。 また、物損の事故は数度発生しているとのことですが、まずは、それらの事故の報告の仕組みについてお伺いしたいと思います。
◎教育部長(松島良一君) 学校の管理下で児童・生徒に負傷事故等があった場合には、養護教諭が保健日誌に記録し、毎日、校長等の管理職が確認しています。 その中でも、救急搬送を伴う重大事故や重傷事故の場合は、児童生徒事故報告書により、教育委員会に報告する仕組みとなっています。
◆7番(吉田雅人君) それでは、発生してしまった事故を受けての本市での対応策について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 先ほど申し上げた、外壁の落下については、立入りの禁止措置を講じるとともに、剥離箇所の補修を行いました。 また、屋外照明の倒壊や樹木の倒木の際は、緊急的な危険防止対策を講じました。 併せて、危険予防の観点から、市内全校で緊急に安全点検を実施し、危険度が高いと判断したものについては、撤去及び伐採等を進めています。
◆7番(吉田雅人君) 発生した事故について、本市として可及的速やかに対策を実施していただけたことを理解しました。 では、本年3月1日に消費者庁安全調査委員会が3年にわたる学校事故防止の調査の報告書の内容を明らかにしたところですが、これらの報告書を受けて、文科省は各学校に対し、緊急点検の実施を求めましたが、本市ではどのような取組を行っているのか。 消費者庁安全調査委員会の調査報告書を受けての本市の取組について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 各学校に報告書を送付し、事故に類似したケースがある場合には、速やかに事故防止に向けた改善を行うよう求めています。 また、ハード的な対策が必要となる場合には、教育委員会への連絡も、併せて求めているところです。
◆7番(吉田雅人君) 現状の対策以外に、消費者庁安全調査委員会が提出した報告書から考えられる安全な環境確保のために、方策はどういったものがあるのか。報告書の内容のみならず、本市として考えられる対策も含めて現状の考えをお聞きしたいと思います。 これらは例えば、本市は校庭や校舎裏の非常に近いところに山などがある学校も多く、それによりコケなどが発生し、施設や設備の劣化の進行が早まったり、転びやすい環境が発生しやすかったりということもありますし、海に近い学校では、潮風による施設や設備の劣化の進行が早まることも考えられると思います。 地域特性も考慮した上での対策に関して、学校設備や設備の安全確保のために考えられる対策について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 学校施設や設備の安全確保のための安全点検の実施については、文部科学省から具体的な点検方法や点検表の作成方法が示されています。 一方、立地場所などにより、学校ごとの状況が異なるため、各学校では、現況を踏まえた上での安全点検を実施しているところです。
◆7番(吉田雅人君) 安全確保のためには、様々な方策があると考えます。また、今ほど申し上げたとおり、通達にあるような一定の基準による対策のほかにも、地域特性を踏まえた対策も必要になるかと考えます。 小さな対策も考え始めれば、骨の折れる作業になるかとは思いますが、それでも、児童・生徒の命のためと、何とか進めていただきたいと思います。 さて、対策や整備を実施するとなれば、多くの課題も生じてくると考えますが、今後、さらなる対策を講じる上で、課題となり得る点はどういったことがあるのか。 対策や整備を実施する上での課題について伺います。
◎教育部長(松島良一君) ハード面では、施設整備を実施するための財源の確保、ソフト面については、点検を実施する教職員の負担や専門的知見が必ずしも十分ではないことが課題であると考えています。
◆7番(吉田雅人君) ハード面の整備では、やはり、施設等の応急処置などにおいては、大きな予算が必要となることが課題ではないかと同じ考えであります。また、それらをカバーするべく、ソフト面に注力すれば、現状でもハードワークとなっている現場の教職員の方々の負担増となることも懸念されます。また、今し方の御答弁でもありましたが、施設・設備の整備のための検査には、専門的な知識も必要となってくることが考えられます。 こういった課題が多く見受けられるわけですが、では、課題を踏まえた上での今後の本市の取組について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 施設の安全対策をより推進するため、専門的知見を有する人材の活用や安全対策の体制整備の在り方等について、他自治体の状況も参考に、今後、研究していきます。
◆7番(吉田雅人君) ハード面、ソフト面の両面についての整備については、人的資源の限界や大きな予算措置の必要性など、クリアしなくてはならない課題も多くあるとは思いますが、何よりも、先ほど来から申し上げているとおり、優先されるべきは、子供たちが安全に、安心して学ぶことのできる環境整備です。 では、それら整備をする上で考えられる課題を踏まえながら、本市では、今後どういった取組を市長の考えに基づいて行っていくのか。 学校設備や周辺環境整備に対する今後の取組を踏まえた、市長の考えについて伺います。
◎市長(内田広之君) 学校施設や設備の整備についてですが、子供たちの安全・安心を守るために、緊急なものは早急な対応を行っていきます。 一方、ハード面の整備や危険箇所を適切に把握するための体制の整備につきましては、多額の費用が必要となります。 このため、様々な機会を捉え、その財源につきましても、国へ要望するなど、課題解決に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。
◆7番(吉田雅人君) さて、今後の取組に対する市長の考えまでを伺ってまいりましたが、今ほど、市長の御答弁にもあったとおり、私も申し上げているとおりですが、整備をより一層進めていくためには、ハード面、ソフト面ともに、金、物、人、それぞれについて、解決のための課題が山積しております。しかしながら、それらが整わないから、整備しないとすることはできません。 では、それらの課題を解決するべく、市長はどのように今後、行動をしていくのか、対策実施のためには、様々な課題もありますが、それらについて、市長はどのように解決していくのかについて伺います。
◎市長(内田広之君) 今、答弁申し上げたことと繰り返しになりますけれども、やはり、早急なものについては、迅速に、優先順位をつけていくことと、今、構造改革の見直しの中で、1,300あります今まで見直しが行われてこなかった公共施設の見直しも進めておりますので、そういうところからの市の中の財源をしっかりと捻出していく必要があると思っております。 身の丈に合った数の公共施設をしっかりとスリム化していく。そうすることで、財源を捻出して、本当に必要なところに充てていくことを考えています。 そういったことを進めても、かなり多額なお金がかかりますので、様々な起債という部分も必要になってくるのですが、そういった国の仕組みなんかも活用しながら、また、全国市長会を通じて、そういった大規模な財源の確保ということにも努めていく必要があろうかと思っています。
◆7番(吉田雅人君) この質問の意図としては、やはり、先ほど来から申し上げて、市長との共通認識だと思うんですけれども、莫大な金とノウハウ、そういった知識の共有、現場の教職員さんたちに専門的な整備と点検をやってくれということを求めても、なかなか難しい部分がありますので、本来、そこの責任を誰が負うかという部分に関しては、私は、通達元の国だと思います。国に対して、市長がしっかり、強く、声を大にして、やりたいんだけれども、子供たちの命を守らなくてはいけないのは分かるんだけれども、金がないとできないよねという話ですとか、専門的なノウハウもないとなかなか難しいと。 これは、他市の事例に目を向けると、ちょっとどこだったか忘れてしまったんですけれども、後で調べていただきたいと思うんですけれども、内容としては、有志の技術士の方々に、公共のほうからお願いをして、公共のお願いを受けてというわけでなく、有志の方々もやりたいと言うので、検査・点検を無料でやりますというので、やっていただいているという事例もあるみたいなので、そういった関連団体、国や県のみだけではなくて、市長がお知り合いの中で、そういった方がいらっしゃるとか、そういう個人的なパイプも使いながら、お金がかかってしまうことなので、そこは子供たちの命を第一、優先に何とかやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。 市長は、ひとづくりこそが私の政策の一丁目一番地です、と常々おっしゃっております。そのひとづくりを達成する重要な要素は、教育であり、その教育を受けるための環境整備は、非常に重要なことであると考えます。 本市教育長もしかり、市長は文部科学省が古巣であります。今回のこれらの国からの通達については、市町村単位で全てを網羅的に解決することは不可能であると考えます。しかし、できないからしない、これは先ほども申し上げましたが、これでは、子供たちが安全・安心に学びに集中することはできません。誰かの尊い命が失われてから、必死になって対策をするのではなく、必要なことは声を大にして、機会を捉えて、国や県、関係団体に対し、要望をぜひとも重ねていただきたいと思います。 市長の御尽力に心から期待を申し上げまして、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本稔君) ここで、午後3時20分まで休憩いたします。 午後3時12分 休憩
--------------------------------------- 午後3時20分 再開
△小野茂君質問
○副議長(坂本稔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。27番小野茂君。 〔27番小野 茂君第二演壇に登壇〕
◆27番(小野茂君) (拍手)27番いわき市議会公明党の小野茂です。質問を始めます。 広島市でG7サミットが5月19日から3日間にわたりまして開催されました。多種多様なテーマが議題となることから、政策分野ごとにG7閣僚会合が国内各地で開催され、特に長崎市においては、保健相会合が開かれ、今後の感染症対策や保健衛生面での途上国への支援などが議論されました。 今回、招待国グローバルサウスの8か国やウクライナのゼレンスキー大統領が参加し、連携の強化で平和と安定への挑戦を提唱し、G7首脳声明が採択され、核軍縮に焦点を当てた広島ビジョンの発出、原爆死没者慰霊碑への献花、平和祈念資料館への訪問、さらに、被爆者の声を聞き、被爆の実相を共有する機会を得たことなど、画期的なことであり、大変、意義のあるサミットとなりました。 また、現在、核兵器を放棄した国であるウクライナが、核保有国ロシアからの侵略の中、広島で被爆の実相に触れ、平和を固く決意する機会になったことと思います。 さて、平和祈念資料館から慰霊碑に向かいまして、左手に、慰霊碑を見守るように平和祈念像が建ち、その傍らに詩碑が建立されております。それは、平和の祈念像に捧ぐとの題名で、本市出身の草野心平氏が寄せたものであります。 今年は、草野心平氏の生誕から120年となります。 草野心平の代表作、春のうたは昭和21年少年少女向けの雑誌、赤とんぼに発表され、昭和52年には、教科書への掲載が始まりました。 蛙の詩人と称された詩人草野心平は、アルファベットのQの字でオタマジャクシを表現したり、蛙が土に眠るさまを黒い丸で表現して冬眠と題したものなど、当時、詩の概念を打ち壊された人も多かったことではないでしょうか。その感性を作品として表現し、評価される。一方、それが詩として成立しているか否かで物議を醸したこともあったそうであります。 草野心平生誕120周年の本市の取組について伺っていきたいと思います。 初めに、草野心平生誕120周年記念企画展についてであります。 これまで開催された生誕記念企画展の概要について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 市立草野心平記念文学館が開催した生誕記念の企画展について申し上げます。 100周年に当たる平成15年度におきましては、草野心平とふるさと展、高村光太郎・智恵子展、『歴程』創刊同人展を開催しております。 これらの企画展では、ふるさととの関わりや高村光太郎などとの交流に関する資料等の展示を通じて、生い立ちや交流など、その人柄と魅力を深く理解することを目的に開催したものであります。 また、110周年に当たる平成25年度においては、草野心平の詩“恋愛編”、やなせたかしの世界展、サイデンステッカーカエル・コレクション展を開催しております。 これらの企画展は、多くの人にとって馴染みがあり、親しみやすい作品を展示し、世代を超えて、様々な視点から草野心平や詩の魅力について触れることを目的として開催したものであります。
◆27番(小野茂君) 現在開催中の、海は己の海鳴りをきき。とした今回の目的について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 草野心平は、天、富士山、蛙、石などを主題とした詩を多く書いております。 しかしながら、主題の1つに海があることはあまり知られておりません。 このため、海を主題とした詩篇のほか、ふるさと・いわきの沿岸部や国内外の海について触れた随筆で、生誕120周年を迎える詩人草野心平の創作上の海、実体験した海を紹介する春の企画展を6月25日まで開催することとしたところであります。
◆27番(小野茂君) それでは、今年度の草野心平生誕120周年記念企画展の概要について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 生誕120周年記念企画展につきましては、現在、開催中の企画展のほか、今後、夏と秋に開催することとしております。 夏の企画展は、宮西達也Newワンダーランド展です。 この企画展は、子供を中心に人気の高い、おとうさんはウルトラマンシリーズなど、ほのぼのとしたカラフルな絵と心温まるストーリーで数々のベストセラーを手がける宮西達也の作品を展示します。 秋の企画展は、中山義秀展です。 この企画展は、時流に流されず自らのテーマを追求し続け、孤高の文士、最後の文士と称された、中山義秀の生涯と作品を展観し、いわきや草野心平との関わりについても紹介します。 これらのジャンルの枠を超えた多様な企画展を通し、子供から大人まで幅広い世代の方々の興味を引き、様々な視点から、詩人草野心平の魅力に触れることができる機会を提供してまいります。
◆27番(小野茂君) 今回のテーマが海を題材にしたということは、非常にいわきらしいと思いますけれども、この生誕120周年記念企画展の市民への周知について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 生誕120周年記念企画展の周知につきましては、広報いわきや文学館のホームページでの掲載をはじめ、報道機関への投げ込み、各施設や店舗におけるポスターの掲示などにより、取り組んでおります。 また、今年度から新たな取組として、文学館において、ツイッターによるタイムリーな情報発信を始めたところであります。 さらに、今年度は、生誕120周年と節目の年であるため、いわき芸術文化交流館やいわき総合図書館、勿来関文学歴史館などと、タイアップした関連事業を積極的に実施しており、これらの施設とも連携しながら、生誕120周年の周知に取り組んでおります。
◆27番(小野茂君) それでは、この企画展によりまして、詩人草野心平の市外への認知度向上の取組について伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 草野心平は、蛙の詩人と呼ばれ、小学校の国語の教科書に詩が採用されており、全国的に広く知られていると認識しております。 また、これまでも、企画展の開催に当たっては、市外の教育委員会や商業施設などに対して、ポスター配布による周知に取り組んでおります。 さらに、市外の様々な文化施設とも資料の貸出し等を通じて連携しており、お互いの企画展をそれぞれ周知することにより、認知度向上が図られております。 今後におきましては、宮沢賢治や中原中也などとも縁があることや、市外の数多くの学校で校歌を作詞していることを踏まえ、一層の認知度向上に取り組んでまいります。
◆27番(小野茂君) 令和元年5月29日に、広島市へ会派の視察で訪問しました。先ほど触れました、平和祈念像と詩碑についてでありますが、平和祈念像は、昭和52年8月に建立されまして、広島出身の彫刻家、圓鍔勝三氏が、三日月がやがて満月になって、子供が今度は母親なっていくと。そうした成長をしても平和が続いていっていただきたいという願いを込めた作品と言われております。 詩碑につきましては、平和祈念像が建立された翌年の昭和53年に圓鍔氏からの依頼で、草野心平氏が提供したと。そして、同年7月29日に詩碑の建立となりましたと。 平和祈念公園で、草野心平氏の詩碑に出会って、当時、大変驚きまして、感動して、初めて訪れた公園でありましたけれども、非常に身近に感じられ、ふるさとの詩人を誇らしく感じたところでありました。 また、圓鍔氏と草野氏の関係などを後日、広島平和記念資料館にお聞きしたところ、詳細の記録はないのですが、当時の新聞記事を紹介いただきました。昭和53年、詩碑の建立当時、草野心平氏は75歳。気管支炎を患って療養中のことから、広島市を訪問することはかなわず、実物を見ることはなかったようであります。 心平氏は、それから約10年の後に、創作活動を終えることになります。 しかし、今年、晩年に書いたとみられる未発表の自筆の原稿があると報道がありました。生誕120周年を機として、生涯の足跡・交友関係・各地で活動された功績の調査などを進め、人間草野心平氏の実像をさらに極めて、ふるさとの文化振興、そして、史実をたどり、文化交流に努めていただきたいと思います。 そこで、今後の草野心平氏の人物史等調査・研究の促進について、御所見を伺います。
◎
観光文化スポーツ部長(千葉伸一郎君) 一般的に、人物史等の調査・研究につきましては、専門的な知識・知見だけではなく、時代背景等も含め、学術的な研究が求められると認識しており、行政が実施することは困難であると考えております。 今般、福島工業高等専門学校の学生が、草野心平の1日当たりのアルコール摂取量を割り出し、東京で開催された情報処理学会において、学生奨励賞を受賞されました。 このことは、ひとづくり日本一を掲げる本市にとりましても、大変喜ばしいものと考えております。 市といたしましては、引き続き、企画展等を通じ、詩人草野心平の魅力に触れる機会を提供してまいります。 また、今後、様々な機関等で、草野心平の調査・研究が行われる際は、市が所蔵する資料の提供など、可能な限り協力してまいります。
◆27番(小野茂君) 相当、各地で活躍されている形跡がありますので、ぜひ、機会を見て、集積をお願いしたいと思います。 明治・大正・昭和と激動の時代を生きた草野心平氏は、昭和63年に、85年の生涯を閉じました。昭和63年当時の平均寿命は、女性で81.3歳、男性は75.5歳となっておりますので、当時は、長寿だったのかもしれません。しかし、75歳以降は、晩年は病気に伏せ、やがて言葉が不自由となり、筆談でやり取りされていたと報道記事で知りました。 今で言えば、フレイルなど生活習慣の改善があれば、創作活動はさらに広がったかもしれません。 さて、時を同じくして、昭和53年から、国の第1次国民健康づくり対策が始まりました。続く昭和62年に第2次、平成12年には、第3次国民健康づくり対策に、現在に続く健康日本21(第一次)の運動が始まりました。 第二次は、平成25年から実施され、10年後に目指す姿として、全ての国民が共に支え合い、健やかに、心豊かに生活できる活力ある社会をとした基本方針としました。 健康寿命の延伸と健康格差の縮小は中心的な課題として、健康政策は第二次段階に入り、個人だけではなく、地域や社会全体も見据えた取組となっていきます。個人と企業・社会全体が協力して、病気の予防、健康増進への取組を継続していくことが必要と言えます。 そこで、大きな2点目になります、健康いわき21についてであります。 初めに、上位計画であります、健康日本21(第二次)最終評価において示された課題等を踏まえた、健康日本21(第三次)のビジョンについて伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 健康日本21(第三次)においては、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現をビジョンに掲げています。 また、そのビジョンの実現に向けては、健康寿命の延伸と健康格差の縮小、個人の行動と健康状態の改善、社会環境の質の向上、ライフコースアプローチを踏まえた健康づくりの4つを基本的な方向として定めています。
◆27番(小野茂君) それでは、健康いわき21(第二次)における本市で行いましたアンケート調査の結果概要について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 本市においては、昨年度、健康いわき21(第二次)の評価や市民の健康状態の把握による、次期計画の施策検討等を図ることを目的に、市民アンケート調査を実施しました。 昨年11月22日から12月9日までの間、乳幼児期、学童期、青年期、壮年期、高齢期の5つのライフステージ別に、合計6,500人に調査した結果、2,841件の回答があり、回収率は43.7%となっております。 次に、調査結果の主な内容について、ライフステージ別に申し上げます。 乳幼児期や学童期においては、歯科保健行動に関する項目が目標値を達成しましたが、毎日朝食を取る小・中学生の割合など、食習慣に関する項目において、改善が図られていない状況です。 青年期、壮年期においては、喫煙率は低下傾向にあるものの、飲酒、食習慣などに関する項目においては、改善が図られていない項目がありました。 高齢期においては、目標値を達成した項目はありませんが、食習慣、運動習慣、健診受診率などの項目に改善が見られ、以前よりも健康意識の高まりが伺える結果となりました。 今後は、今般の結果をより詳細に分析し、健康課題に対応した重点施策等を検討しながら、今年度、健康いわき21(第三次)を策定いたします。
◆27番(小野茂君) さて、5月31日は、世界禁煙デー。今年も本市をはじめ、全国で禁煙週間、イエローグリーンリボン運動が実施されました。 そこで、慢性閉塞性肺疾患、COPDの周知促進と重症化対策について、伺っていきたいと思います。 国の総人口に占める高齢者人口比率は、2025年には30%を超え、2060年には40%に達すると予測されています。 その中で、健康寿命の延伸に向け、高齢者に対するフレイル予防・対策の推進が掲げられています。 フレイルの人は、健康な人と比較して、要介護・要支援の認定リスクが約4.8倍、死亡リスクは約2.8倍高いと言われております。主な原因は、加齢と言われておりますが、COPD、慢性閉塞性肺疾患との関連が指摘されております。 COPDとは、かつて肺気腫、慢性気管支炎と称されていた疾患の総称でありますが、長期間にわたる喫煙・受動喫煙が主な原因とみられ、ゆっくり進行することから、肺の生活習慣病とも言われております。また、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子にもなっております。 先ほど述べた、草野心平氏も喫煙家で、晩年は、気管支炎や肋膜炎などを患ったと聞いております。 健康寿命を延ばす上で、COPD対策は不可欠でありますが、一般市民のCOPD認知度の低さ、また、初期症状は自覚しづらいため、国内に約530万人いると推定されているCOPD患者のうち、現在、治療を受けている総患者数は22万人と言われ、僅か4.2%にとどまっていると言われております。 健康日本21(第二次)の中で、COPDの認知度の向上を令和4年度までに80%を目指すと目標を掲げておりましたが、2022年12月時点での認知度は34.6%にとどまっていると。本市では、さらに下がっているようであります。 国は、次期プラン案を公表した中で、COPD対策について、認知度の向上に加えて、死亡率の減少が明記されました。 本市においても、令和6年度から施行に向けた次期健康増進計画を策定することになっておりますが、COPDの取組は、今後、より重要になってくると思います。 そこで、本市のCOPD対策について伺っていきたいと思います。 初めに、本市のCOPD患者の死亡者数の推移について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 本市における慢性閉塞性肺疾患、COPD患者の過去5年間の死亡者数の推移について人口動態統計で申し上げますと、平成29年が53人、平成30年が55人、令和元年が50人、令和2年が59人、令和3年が53人となっております。
◆27番(小野茂君) それでは、若干減っている様子もありますけれども、まだまだ様子が分からない状況ですけれども、COPDに関しての課題について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 現行の健康いわき21(第二次)において、COPDの概念を知っている人の割合を世代別の数値目標としておりますが、昨年実施しました市民アンケートの調査結果では、調査対象とした全ての世代において、知らないと回答した割合が最も高くなっています。 このようなことから、認知度の低迷により、早期発見・早期治療につながりにくいことが課題であると考えています。
◆27番(小野茂君) 本当に認知度が低い。 それでは、COPDの主な原因となっております、たばこ対策について、本市の取組を伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) たばこは、COPDはもとより、肺がんをはじめ、多くの疾患の危険因子であります。 このため、喫煙が及ぼす健康影響や望まない受動喫煙について、未成年者や事業者などを対象とした出前講座等の実施のほか、改正健康増進法に基づき、市内の事業者等に対する受動喫煙対策の周知や指導等を行っています。 また、毎年5月31日の世界禁煙デーや6月6日までの禁煙週間において、本庁舎及び総合保健福祉センターでの情報提供コーナーの設置、市公式SNSやFMいわきを活用した情報発信を実施しています。 さらに、受動喫煙の防止に向けた機運の醸成を図るため、県内の医療関係者などから構成する一般社団法人Tobacco-freeふくしまと連携した活動も行っております。 主な活動としては、イエローグリーンリボンの着用や本庁舎など、公共施設のライトアップを実施するほか、市内商業施設等での街頭啓発キャンペーンなど、普及啓発に取り組んでいます。
◆27番(小野茂君) それでは、次に、COPD集団スクリーニング質問票を活用した疾患啓発についてであります。 本来であれば、自治体の特定健診や肺がん検診の際に、COPD検診を受けることが有効でありますが、実施には様々な課題もあります。そこで、日本呼吸器学会が推奨しますCOPDの可能性があるかを手軽に調べることができるCOPD-PSというスクリーニング質問票の活用であります。 こちらは、設問数が5問と少ないため、簡単に自己採点ができるものですが、特定健診やがん検診のほか、自治体が独自に行っている健康増進のためのイベント、または、情報提供ツール等で、この質問票を活用することにより、COPDの認知度を向上させ、受診率向上にもつなげることができると思います。 既に実施している保健事業を活用することで、予算もさほどかからずに、全市民への疾患啓発が可能となると思いますが、このCOPD集団スクリーニング質問票を活用した疾患啓発について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) COPD集団スクリーニング質問票は、広く一般市民を対象として、COPDの可能性を自己採点により、簡単に調べることができる調査票であります。 当該質問票については、今後、特定健診やがん検診会場、健康増進イベント会場などにおける利活用や市公式SNS等を活用した市民への周知に関して、市医師会など関係機関と協議を行いながら検討していきます。
◆27番(小野茂君) ぜひ、手軽でありますので、活用していただきたいと思います。次に、健診の際に把握できたハイリスク者及び治療中断者に対する受診勧奨についてであります。 積極的にCOPD対策を実施している自治体の中でも、高松市では、受診勧奨事業を開始してから、治療のために受診した方は、前年同時期と比べて1.8倍に増加したと言われております。 そこで、健診の際に把握できたハイリスク者及び治療中断者に対する受診勧奨について伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) COPDについては、早期発見、早期治療が超高齢社会におけるフレイル予防につながるものと認識しております。 一方で、COPDに係るハイリスク者及び治療中断者の受診勧奨については、医療機関との調整や対象者の抽出などの課題も考えられます。 このため、今後は、市医師会などの関係機関との必要な協議や他市の事例なども参考とした費用対効果などについて、調査・研究してまいります。
◆27番(小野茂君) この周知と重症化予防が求められているわけですから、具体的に進めていただきたいと思います。次に、大きな3点目になりますが、軽度外傷性脳損傷、MTBIの理解促進についてであります。 健康日本21では、健康寿命をのばそう!をスローガンに、人生の最後まで元気に健康で楽しい毎日を送ることを目標にした国民運動です。 生涯の各ステージにおける、ライフコースアプローチの視点から健康づくりが進められています。 そこで、誰もがなり得る軽度外傷性脳損傷について伺っていきたいと思います。 これまで議場では、平成30年6月、そして、昨年12月に、当会派の塩沢昭広議員が取り上げております。 専門医の見解では、一般的に、外傷性脳損傷と一くくりに言っても、直接的な力が加わり、脳内出血やくも膜下出血のように、画像検査で判断できるものから、脳が揺さぶられて間接的に衝撃を受けて生じる微小な損傷まで、様々なものがあります。 主に、交通事故や若い人ではスポーツ、あるいは労働災害などが多く、高齢者では転倒や転落などがあり、対象は全世代にわたると言っております。 昨今では、自転車走行にはヘルメット着用が法制化されております。 ここで取り上げております、軽度の外傷性脳損傷でも同様で、WHOでは、この軽度外傷性脳損傷を定義しておりますが、生活の中で、様々な原因を指摘しております。 頭に物がぶつかる、急に頭が動かされる、もしくは急に動きが止まるなどによって、脳の神経細胞の軸索が損傷すると外傷性脳損傷、TBIを発症します。特に、専門医は、病名に軽度とついているため、軽傷だと誤解されることが多いが、これは、受傷時の意識障がいが軽度であるという意味で、決して、軽症ということではないと注意をしています。 誰でも起こり得る、身近な病気でありますが、多くの方は、受傷時に意識を失うことがほとんどないため、大したことはないだろうと思いがちですが、徐々に症状が現れるのが特徴と言われております。 とても大事なことなのですが、日本では、まだまだ知られていない現状であります。 そこで、初めに、日本スポーツ振興センターへの申請状況についてであります。 学校管理下における、けがなどのスポーツ振興センターへの申請状況について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 学校管理下における過去3年間の申請件数ですが、けがや疾病等を含めた総数で、令和2年度は、小学校458件、中学校390件、令和3年度は、小学校506件、中学校385件、令和4年度は、小学校435件、中学校373件となっております。
◆27番(小野茂君) ありがとうございました。そこで、軽度外傷性脳損傷、MTBIの周知徹底についてであります。 学校保健会では、学校の管理下における災害のうち、頭部のけがの比率は、全体では5.9%であるが、小学校・幼稚園・保育所では、平均で8.4%、特に、幼稚園では9.6%と高率に発生していると統計調査で示しております。 特に、頭部のけがでは、他の部位のけがに比べ、重症化して後遺症を残したり、まれに死亡するケースもあり、適切な早期の対応が望まれるとしております。 学校現場での周知徹底についてでありますが、スポーツ外傷でも起こり得る軽度外傷性脳損傷について、部活動顧問をはじめ、教員などに予防の観点から、正しい対処法の理解促進について伺います。
◎教育部長(松島良一君) 各学校では、頚部、頭部のけがの場合は、直ちに医療機関を受診するよう、教員等に対し周知徹底を図っています。 また、けがの状態によっては、救急搬送を行うこととしています。 さらには、頭部等のけがについては、重大事故につながるケースも想定されるため、保護者には、容態が安定するまで、継続して経過観察を行うよう伝えています。 また、今後、軽度外傷性脳損傷、MTBIの理解促進に向けた対応について、関係機関と連携し、検討していきます。
◆27番(小野茂君) それでは、次に、幼保教育における教員等に予防の観点から、正しい対処法の理解促進について伺います。
◎こどもみらい部長(長谷川政宣君) 公立保育所及び幼稚園においては、保育施設内外で事故が予想される場所の確認や施設で発生した事故やヒヤリハットの事例を職員間で共有するなどにより、頭部等のけがの発生を未然に防止しています。 また、頭部等の打撲の発生時には、患部を迅速に処置するとともに、速やかに保護者へ連絡し、医療機関への受診を促しています。 軽度外傷性脳損傷、MTBIは、記憶の障がいや言葉が出ないなど、日常生活に影響を及ぼすほどの重篤な症状に陥る場合もあるため、職員はもとより、保護者に対しての理解促進について検討してまいります。
◆27番(小野茂君) 教職員の教育現場などで予防・対処の理解促進がされていくと思いますが、一方で、乳幼児・児童・生徒をはじめ、全ての世代の市民へ周知徹底が重要と思います。 第1に、全ての人にとって大事な頭、脳を守ることの重要性を知らせること、そして、多くの人がそのことを知り、情報を共有することだと思います。 第2に軽度外傷性脳損傷にならない、ならせない。軽度外傷性脳損傷の怖さを多くの方が知ることが大事だと思います。専門医や軽度外傷性脳損傷の当事者・家族で構成される友の会からも、強く声が寄せられております。 都内各区においては、既にこういったものが活用されています。既にある啓発リーフレットを活用することで、少額の経費で、速やかにこの対策が進めることができると考えております。 そこで、啓発リーフレットの活用、そして、軽度外傷性脳損傷の普及啓発の取組について、御所見を伺います。
◎
保健福祉部長(園部衛君) 軽度外傷性脳損傷の普及啓発につきましては、引き続き、疾患としての概念や診断基準に関する国等の動向を注視するとともに、他自治体における取組なども参考にしながら、啓発リーフレットの活用も含め、効果的な周知方法について検討していきます。
◆27番(小野茂君) もう既にできている物があります。リーフなどを使った周知・広報に努めることや、さらに、情報提供ツール、これも、またデジタル社会でありますので、そういうのを活用して、予防・早期治療につなげ、健康寿命の延伸、安全で安心の暮らしを進めていただきたい、こう強く要望させていただきたいと思います。 次に、大きな4点目です。包括連携協定についてであります。 地域が抱えている課題に対して、自治体と民間企業が協力し、解決を目指す協定は、多岐にわたります。民間企業が持つノウハウや最新の技術、サービスを自治体に取り入れて、地域の課題解決や市民サービスの向上を目指し、自治体と民間企業が意見交換をし、考え、協議しながらプロジェクトを遂行するための取組の1つとして、包括連携協定があります。 そこで、本市の現在、締結しております包括連携協定について伺います。
◎
総合政策部長(山田誠君) 本市では、これまで、金融機関や保険会社、流通・小売事業者などとの間で、計12件の包括連携協定を締結しています。 これらの協定では、本市の経済活性化や災害対策、健康増進や地域の安全・安心など、それぞれの事業者が有するノウハウやネットワークを活用し、相互に協力してまちづくりを推進するための連携事項を位置づけています。
◆27番(小野茂君) 市内全域にサービス網が構築されております郵便局との連携についてであります。 市内郵便局との地域活性化包括連携協定について伺っていきたいと思います。 初めに、連携協定の内容について伺います。
◎
総合政策部長(山田誠君) いわき市内郵便局との地域活性化包括連携協定は、本市の地域社会の発展と地域経済の活性化及び市民サービスの向上に資することを目的として、平成29年3月に締結したものです。 具体的な連携の内容といたしましては、災害対策に関すること、道路損傷及び不法投棄等に関する情報提供に関すること、地域・暮らしの安全・安心に関すること、市の経済活性化に関すること、その他地域社会の活性化及び市民サービスの向上に関することを位置づけています。
◆27番(小野茂君) それでは、現在の活用状況について伺います。
◎
総合政策部長(山田誠君) 郵便局には、協定に基づき、そのネットワークを生かして、日常の見守りや災害発生時の対応など、地域の安全・安心に向け、取り組んでいただいております。 また、郵便局を訪れた高齢者等の行動・言動などから、認知症が疑われる事例等や外務作業中に発見した不法投棄と思われる廃棄物等の情報提供をいただいています。 さらには、市内の郵便局16か所を市民の方々が待合スペースとして利用できるバス待ち郵便局として活用させていただいています。 加えまして、広報いわきを市内58の郵便局に設置していただくなど、市政情報の発信にも御協力いただいています。 市民の皆様にとって身近な存在である、郵便局の特性を生かした様々な活動を通じて、市民サービスの向上等に取り組んでいるところです。
◆27番(小野茂君) それでは、次に、全国では、マイナンバーカードの申請支援事務の受託をしているところがあります。 郵便局でのマイナンバーカードの申請支援に係る事務を委託する考えはあるのか伺います。
◎市民協働部長(遠藤英子君) 本市では、マイナンバーカードの申請について、現在、本庁・各支所や市民サービスセンター、商業施設に設置したスマート窓口で受付を行っています。 また、事業者等への出張受付や、中山間地域等の集会所への行政MaaSを活用したお出かけ市役所による受付も行っています。 このため、県内の自治体の中でも、多くの申請機会を設けていることから、郵便局への委託は考えておりません。
◆27番(小野茂君) エの部分は、除かせていただきます。最後にですけれども、今後の地域課題解決へ郵便局との連携協定を生かした取組について伺います。
◎
総合政策部長(山田誠君) 市民の皆様にとって身近な存在である郵便局との協定につきましては、地域課題の解決に向けて、非常に有効であると考えています。 このため、連携の内容や取組の実績などにつきましては、毎年度、双方で確認・検証を行っています。 今後につきましても、相互に緊密に連携し、社会情勢の変化なども踏まえた見直しを行いながら、それぞれが有する資源を有効に活用した協働による取組を進めていきます。
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△散会
○副議長(坂本稔君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後4時01分 散会
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