いわき市議会 2021-12-06
12月06日-02号
令和 3年 12月 定例会 令和3年12月6日(月曜日)議事日程第2号 令和3年12月6日(月曜日)午前10時開議 日程第1 市政一般に対する
質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 〔議事日程第2号記載事件のとおり
〕---------------------------------------出席議員(37名) 1番 川崎憲正君 2番 木田都城子君 3番 木村謙一郎君 4番 山守章二君 5番 西山一美君 6番 長谷川貴士君 7番 吉田雅人君 8番 小菅 悟君 9番 高橋明子君 10番 菅野宗長君 11番 鈴木さおり君 12番 狩野光昭君 13番 永山宏恵君 14番 小野潤三君 15番 小野邦弘君 16番 大峯英之君 17番 大友康夫君 18番 安田成一君 19番 平子善一君 20番 遠藤崇広君 21番 鈴木 演君 22番 馬上卓也君 23番 福嶋あずさ君 24番 坂本 稔君 25番 蛭田源治君 26番 菅波 健君 27番 塩沢昭広君 28番 柴野美佳君 29番 小野 茂君 30番 塩田美枝子君 31番 田頭弘毅君 32番 赤津一夫君 33番 石井敏郎君 34番 上壁 充君 35番 佐藤和良君 36番 樫村 弘君 37番 佐藤和美君欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のため出席した者 市長 内田広之君 副市長 久保克昌君 副市長 下山田松人君 教育長 水野達雄君 水道事業管理者 上遠野裕之君 病院事業管理者 新谷史明君 代表監査委員 増子裕昭君 農業委員会会長 草野庄一君
選挙管理委員会委員長 飯間香保子君 総合政策部長 山田 誠君 危機管理部長 緑川伸幸君 総務部長 加藤弘司君 財政部長 横張貴士君 特定政策推進監 渡邉一弘君 市民協働部長 高萩文克君 生活環境部長 渡邊伸一郎君 保健福祉部長 飯尾 仁君 こどもみらい部長 松島良一君 農林水産部長 千葉伸一郎君 産業振興部長 小松尚人君 土木部長 根本英典君 都市建設部長 永井吉明君 会計管理者 蛭田利克君 教育部長 高田 悟君 消防長 鈴木富康君 水道局長 大嶺常貴君
医療センター事務局長 飯塚修一君 次長(兼)秘書課長 緒方勝也君 参事(兼)総務課長 阿部 通君
---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長 小針正人君 次長 市川雅子君 総務議事課長 江尻貴志君 総務議事課主幹(兼)課長補佐 須藤隆雄君 主任主査(兼)議事運営係長 鈴木 潤君
--------------------------------------- 午前10時00分 開議
○議長(大峯英之君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第2号をもって進めます。
---------------------------------------
△日程第1 市政一般に対する質問
△小野潤三君質問
○議長(大峯英之君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。配付の質問通告表の順に発言を許します。14番小野潤三君。 〔14番小野潤三君第二演壇に登壇〕
◆14番(小野潤三君) (拍手)おはようございます。14番
いわき市議会志帥会の小野潤三です。 内田市長が就任されて、私の初めての一般質問をさせていただきます。遅ればせながら、内田市長、御就任、誠におめでとうございます。 先日、プロ野球の日本シリーズが行われました。2年連続、リーグで最下位だった
東京ヤクルトスワローズが一気に日本一に輝きました。高津監督が就任2年目で結果を出したということです。ほぼ同じ選手たちで戦っているのに、リーダーが代わると仕事ぶりも変わります。今までも、野村監督とか星野監督とか弱小チームを優勝に導いてきたリーダーがいました。 同じことはどんな組織にも言えます。いわき市役所を率いていく内田市長も、野村監督が野村再生工場と言われたように、いわき市の再生、そしていわき再起動をぜひ実現していただきたいと考えております。 さて、大きな質問の1番目は、令和4年度予算編成についてです。 内田市政が9月28日にスタートしましたが、3月までは、前市政の組織と予算で動いておりまして、本格的なスタートは令和4年度の予算と人事です。改革の中身はそこで初めて具体的に見えてきます。予算編成に注目をしております。 そこで、1点目として、令和4年度の予算編成方針について伺います。
◎市長(内田広之君) 令和4年度当初予算編成方針におきましては、中・長期的な財政見通しに立ちまして、まちづくりの経営指針の下、大きく3点掲げてございます。1点目といたしまして、
人づくり日本一のまちの創出による中・長期的な課題の解決、2点目といたしまして、危機を乗り越え、持続可能で安全・安心ないわきの実現、3点目といたしまして、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立でございます。 これらの3つの基本方針の下、着実に進めてまいります。 具体的な取組といたしまして、若者の人口流出や医師不足、防災・減災の強化、農林水産業の担い手不足、グリーン産業やDXの推進など、中・長期的な課題への取組への充実強化でございます。 また、まちづくりの経営指針に掲げた現在のいわきを取り巻く3つの重要テーマ、つまり、暮らしを守る安全・安心、ひと・まち・しごとの充実、そして共創力の強化、それぞれに関わる事項に予算を重点的に配分していきたいと考えてございます。 これらの予算化に際しては、職員一人一人がいわき市の改革エンジンであるという意識を持って、従来の発想にとらわれず、改革や見直しを徹底的に進めてまいります。 加えまして、第6波が懸念される
新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、経済対策の実行と感染対策の徹底を両輪で進めてまいりたいと考えてございます。
◆14番(小野潤三君) 2点目は、志帥会の予算要望の反映についてです。 私ども志帥会は、内田市長の市政改革の方法を支持しております。選挙で公約した1つ1つの政策をしっかり実現していただきたいと考えています。 11月15日に会派として、令和4年度の市政執行と予算編成に対する要望書を提出いたしました。 そこで、この会派要望を令和4年度予算にどのように反映するのか伺います。
◎副市長(久保克昌君)
いわき市議会志帥会からいただきました御要望につきましては、将来に向けて持続可能で活力あふれる地域づくりを行うため、
未来づくり政策、危機管理政策など、政策の柱ごとに取り組むべき事項が示されております。いずれも市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支えるものとして、大変重要なものと受け止めております。 現在、令和4年度当初予算の編成作業を進めておりますが、会派からの御要望を念頭に置きながら、
人づくり日本一のまちの創出による中・長期的な課題の解決、危機を乗り越え、持続可能で安全・安心ないわきの実現のための取組の推進、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立の3つの基本方針に基づき、予算案を取りまとめてまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) ぜひ、そこはよろしくお願いいたします。 予算要望に関しては、この後の質問でも何度か触れさせていただきます。 大きな質問の2番目は、庁内ガバナンス、つまり、いわき市役所をどう率いていくかということです。 志帥会の予算要望書の冒頭でいわき市は今、大きな岐路に立っていると書かせていただきました。将来に向けて持続可能で活力あふれる地域づくりを行うのか、時代の波にのまれて衰退の一途をたどるのか、それはまさに、今どのような手を打つのかにかかっております。内田新市長とはこうした時代認識を共有していると考えております。予算要望書では、次のようなことも書かせていただきました。「改革は、トップリーダーの号令だけで成し遂げられるものではありません。組織を構成する一人一人が、リーダーが示したビジョンに共鳴し、改革マインドを共有することが出発点です。」個々の施策を執行するのは、市役所の各担当部署ですので、その組織がちゃんと機能していなかったり、一人一人の職員に、変革を成し遂げる熱がなければ、政策は成し遂げられません。まずは組織の力を整える必要があります。 そこで、質問の1点目は、組織についてです。
志帥会予算要望書におきまして、次のように述べました。重要なことは、機能する組織をつくることであり、特に改革を推し進める、攻めの組織へと転換を図らなければならない。改革を推し進める、攻めの組織をつくるに当たって、まずはトップの在り方が問われます。 そこで、1つ目として、庁内組織における市長の役割は何か、内田市長にお尋ねします。
◎市長(内田広之君) 市長の役割についてでございますけれども、まず、法制度上の役割といたしましては、自治体を統括いたしまして、代表し、事務の管理・執行や職員を指揮監督することなどが定められてございます。 私は市長就任以来、いわき市の未来づくりに向けまして、本市の現状や課題と真摯に向き合い、職員と共に議論し、それぞれの課題解決に取り組むという思いを強く持っております。 このため、私自身が考える市長の役割といたしましては、本市の未来の青写真を練り上げて示していくこと、そして、失敗を恐れずに、新しい政策に果敢にチャレンジする
組織風土づくりをけん引することだと考えております。 市議会の皆様とは、市民のためになる政策をともに両輪で、しかし、時には、是々非々の議論を重ねながら練り上げてまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 未来の青写真を示す、ビジョンを掲げるというところ、その達成に向けて組織を牽引するというところが、トップの役割だと考えます。 冒頭のヤクルトの例のように、内田市長が組織の風土を変えるトップとして采配されることに大いに期待しております。 2つ目は、市役所という組織において、副市長の役割は何か、これは下山田副市長にお尋ねします。
◎副市長(下山田松人君) 副市長の職務につきましては、市長を補佐し、市長の命を受け政策及び企画をつかさどり、職員の担任する事務を監督し、市長の職務を代理することとされております。 このことを踏まえ、私は、市長が目指すいわき市の将来像の実現に向け、各部署に対して、グリップを効かせたマネジメントを果たしてまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) グリップを効かせたマネジメントというところ期待しておりますので、よろしくお願いいたします。 市役所組織において、副市長は要であります。市長がお一人であれもこれもやることは、現実的にはできません。つかさつかさで仕事をしていかなければならない。そのときに市役所庁内の采配を振るのが副市長の役割だと思います。市長の掲げたビジョンや思いを100%理解し、その実現のために1つ1つの部署を実務的に牽引していく司令塔だと私は考えます。副市長は、その御自分の役割を十二分に認識されていると思いますし、既にしっかりと、仕事を始めているところだと考えております。副市長は時として厳しく組織を統率していかなければなりませんし、場合によっては憎まれ役になることもあると思います。私が好きな言葉に、中国の古典孟子の中の、「千万人と雖も吾往かん」というのがあります。例え敵が千人、万人いようとも、自ら確信する道を行くんだということであります。市の職員はもちろん敵ではありませんけれども、改革を進める中であつれきというのはどうしても出てきます。それを乗り越えて、果敢に庁内を率いてくださるように期待しております。 さて、市の組織の中で、組織全体のマネジメント、ガバナンスに関わる部署は、総合政策部、総務部、財政部の3つの部です。そのほかの部は、この3つの部のマネジメントの中で個別の分野を扱う部署ということになります。 3つとしまして、改革を推し進める、攻めの組織をつくるために、この3つの部に対して、どのようなミッションを担わせるのか、これも下山田副市長に伺います。
◎副市長(下山田松人君) 近年、自然災害や感染症など、危機事象が頻発しております。スマート社会やグリーン社会など、社会全体の仕組み・枠組みも大きく変わっております。人口減少、少子・高齢化、若者の流出も止まりません。公共施設も老朽化が進んでおります。 このような中にあっても、市民の皆様の安全・安心の確保、地域経済の活性化、子育て・教育の推進など、日々の暮らしを支える取組の停滞は許されません。そのために、限られた資源である予算や人員等を効果的・効率的に投資・配分する今がまさに、いわきを再起動する分岐点であると捉えております。 市長は常々、市職員は改革のエンジン、失敗を恐れず挑戦してほしいと話しております。私が、このエンジンを動かす参謀となり、攻めの改革をしっかりと進めてまいります。 今後、組織の統治、いわゆるガバナンスに関わる部署である総合政策部、総務部、財政部の役割も含め、改革の具体的な枠組みや実施時期等を整理し、スピード感を持って取り組んでまいります。 私は、「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」を旨として全庁を挙げて前に進み、必ずや結果を出してまいる覚悟であります。
◆14番(小野潤三君) 力強い決意の言葉だったと思います。 私はこの3つの部を、今は支援部門という言い方をしていますけれども、この表現には大変違和感があります。支援ではなくて、庁内をリードする3つの部署だと思います。市長の方針を受け、市役所全体を牽引していくガバナンス部門、
マネジメント部門という位置づけをはっきりさせるべきだと考えております。 次は、産業部門です。 産業部門は自治体のエンジンであり、地域の活力の源泉であり、それはまた税収にもつながります。産業振興部、来年度新設される
観光文化スポーツ部、そして農林水産部は相互に連関しておりまして、それぞれの部署のミッションは、単独で完結するものではありません。 そこで、4つとして、産業部門に特化した担当副市長を置くとか、あるいは部の上に産業局のようなものを設置するなど、産業部門を統括する機能が必要だと考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 産業部門のそれぞれが抱えている課題を解決し、効果的に施策を推進していくためには、産業部門が統括され、連携して対応していくことが重要であると考えています。 これまでも必要に応じて、庁内連携や調整は進めてきておりますが、今後におきましては、副市長の事務分担が定められておりますが、その中で、産業部門を集約する見直しをはじめとして、産業振興部を中心とした、より密接な相互連携のための仕組みづくりなど、効果的な方法について検討してまいります。
◆14番(小野潤三君) ぜひ、機能する形で組織をつくり上げていただきたいと思います。 では、5つとしまして、今後、組織改革を全体としてどのように進める考えか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 限られた行政資源の有効活用を図る観点から、最少の経費で質の高い行政サービスが提供できる簡素で効率的・効果的な組織体制を構築することが基本となります。その上で、多様化するニーズに柔軟かつ的確に対応するため、不断に見直しを実施していく必要もあります。 このような考え方の下、先ほど副市長も申し上げましたように、総合政策部・総務部・財政部の経営を担う部門の強化により、持続可能な行財政運営を確保していくことが重要でございます。 そのためには、組織改正に限らず、
プロジェクトチームによる組織横断的な対応など、効果的な体制の構築に取り組んでまいります。
◆14番(小野潤三君) 組織改革については、いろいろ議論すべきことがありますけれども、それはまた別の機会に改めてやっていきたいと思います。 2点目の質問は、
人材マネジメントについてです。 先ほど述べたように、組織の一人一人が、リーダーが示すビジョンに共鳴し、改革マインドを共有するために必要なのが人事制度の改革です。私は議員になって9年になりますけれども、いわき市役所は本当に適材適所になっているのか、疑問を感じてきました。新市長が誕生したことを機に、人事制度を抜本的に見直すべきだと考えています。 総務省が、毎年のように、自治体の人事政策に関する研究会を行っています。直近の令和2年度に、地方公共団体における今後の人材育成の方策に関する研究会令和2年度報告書というものを出しています。ここから先、これを報告書と言わせていただきます。これを細かく読んでみましたけれども、1つ1つこのとおりやれば、うまくいくのではないかというぐらい、実に内容的にはよくできていると思います。そこで、この内容に基づいて伺ってまいります。キーワードは、
人材マネジメントということになります。人事政策もマネジメントだということです。 お手元に資料を配付いたしましたけれども、その1ページの下段を御覧ください。これは報告書のエキスをまとめたものです。
人材マネジメントを推進する上で必要な要素を、人材確保、それから人材育成、適正配置・処遇、職場環境の整備、この4つに分類しています。自治体が必要としている人材をまずどう確保し、それをどう育て、配置し、その中から幹部職員を生み出していくかということが詳細に書かれております。
人材マネジメントは、人材を最適に配置し、その人材が配置先で、最大・最良のパフォーマンスを行えるようにすることです。民間企業は、ここにかなりの時間とコストを割いています。行政も同じようにやらないと取り残されます。 そこで、1つとして、本市でも、国が示す
人材マネジメントの考え方を導入すべきと考えますが、御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 人口減少や少子・高齢化等に伴いまして、複雑・多様化する行政課題への対応が求められております。そのような中、持続可能な行政サービスの提供体制を構築するためには、限られた人材を最大限に活用して課題解決に取り組む必要があります。そのためには、ただいま報告書にもありましたように、
人材マネジメントの視点に立って、必要な人材の確保、育成・能力開発などに総合的に取り組んでいくことは重要であると考えております。
◆14番(小野潤三君) では、以下、報告書の項目に従って質問してまいります。 最初は、人材育成についてです。 人を配置し育成するには、まず人事データの整備が必要です。報告書では、次のような項目を掲げています。 1番目に、職員のこれまでの職歴、2番目に、受講した研修、3番目に、保有している能力や資格、4番目に、将来の
キャリアビジョン、5番目に、業務に関する人事評価結果。 では、本市では、人事情報のデータベースはどのように整備されているのか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 本市におきましては、ただいま報告書に掲げられている項目のうち、職員の経歴、受講した研修、保有している資格の情報につきましては、
人事給与システムで管理しているところでございます。 なお、ただいまの項目の中で、人事評価の結果、それから
キャリアビジョンの情報につきましては、現在、検討を行っております新たな人事評価制度の導入と併せて、当該システムの見直しを行う際に、その一元的な管理方法について検討してまいります。
◆14番(小野潤三君) 市役所での職歴がデータとしてあるのは当然ですけれども、毎年、人事評価というのが行われていながら、それがデータベース化されていないということなのですね。これでは、1人の人が市役所に入って以来、成果を上げてきたのか、上げていないのか、判断がつかないと思います。 市長はEBPMということ言われますけれども、そのエビデンスに基づいた政策。エビデンスがなければその政策も生まれないということになりますので、どういうスキルを持っている人かというのもデータベース的に管理が必要ですし、私が何よりも期待するのは将来の
キャリアビジョンです。一人一人の職員が定年までの間に、どういう分野で活躍してもらうのか、それを明確にすることを強く求めたいと思います。 次は、この
人事情報データベースの活用についてです。報告書には民間企業の事例がたくさん紹介されております。日立製作所では、
人財マネジメント統合プラットフォームというものを構築しています。社員であれば誰でも人事情報が閲覧できる。もちろん、閲覧できる範囲は部署とか役職で異なります。こんな先輩のようになりたいと思えば、その人がどんなキャリアで来たのかがすぐ分かりますし、自分はどんな道を行けばいいのかというロールモデルを見つけることができます。それによって自分の
キャリアビジョン、つまり今後どういうキャリアをいこうかという見通しも立てられます。 そこで、こうした
人事情報データベースの活用の有効性をどう考えるのか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 人事情報につきましては、組織からの一方向だけではなく、組織及び職員個人の双方向から活用することは重要と考えております。組織としては適正な配置などを行うこと、また、職員として各職員の経歴など可能な範囲での人事情報を参考にできることは、職員自身の
キャリアビジョンの明確化や、自発的なキャリア形成に資する面も期待されますので、一定の有効性はあるものと考えております。
◆14番(小野潤三君) ここは今まで行われていないところだと思いますので、ぜひしっかり活用できるように、データベースの整備をまず行っていただきたいと思います。 人材を育てる上で、ゼネラリストかスペシャリストかということが大きな問題であります。今も技術系職員とか、庁内にスペシャリストはいますけれども、本来はもっと各分野で専門性の高い職員を育てるべきだと思います。産業系の課長を何年かやった後に、急に保健所の課長になるという人事がありますけれども、本当にそれでよいのかということです。 市役所がカバーする職務は、社会の全部というぐらい広いわけです。違う部に異動するということは、ほぼ転職と同じだと感じています。私は仕事を変える転職ではなくて、天から与えられたというほうの天井の天の天職を一人一人の職員が見つけ出せる職場でなければならないと考えます。 いわき市には、
人材育成基本方針というものがあります。その中にジョブローテーションという言葉があります。採用から10年程度、異なる種類の職場をバランスよく経験させることで、職員の視野や知識・技術を幅広く深いものにしながら、適性が高いと思われる業務の発見を促すと書いてあります。考え方はいいですが、では10年過ぎたところから本当に適性が高い業務を発見しているのかということです。 組織としては、この職員をこう育て、こういう道を行かせるという考えを持ち、本人も自分はこういう道を行くんだという
キャリアビジョンが必要です。それがあれば、こういうスキルや知識を身につけなくてはいけないなという動機づけにもなります。 そこで、いわき市役所においては、個々の職員の
キャリアビジョンは明確になっているのか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) ただいまの
キャリアビジョンとは、自らの適性や経験等を踏まえた、仕事を中心とした自らの将来像であると捉えております。これは人材育成においては重要な要素であると認識しております。 このようなことから、本市職員の人材育成を効果的に推進するため、能力の育成期及び拡充期については、ただいま議員から御紹介がありましたジョブローテーションの考え方に基づきまして、多くの業務や職場をバランスよく経験できるよう、配置をすること。また、自己申告制度において、係長相当職以上の職員については、スペシャリストかゼネラリストを希望するか、本人の意思を確認する複線型人事管理を導入していること。さらに、職員研修においても、採用4年目の職員を対象に、キャリアプランの意識啓発に取り組んでいること。これらによりまして、職員の
キャリアビジョンも含め、キャリア形成支援に努めております。
◆14番(小野潤三君) 市役所の中の人事を見ていて、必ずしもこの
キャリアビジョンは明確になっているのかなと思います。そこは一から組み立てていただく必要があると思います。 方針としては、スペシャリストを育てるというところもあるんですけれども、実際にはそうなっていないのではないかということです。職員は意外とゼネラリスト志向の人が多いということも伺いました。その意味では、スペシャリストの道を選ぶ人にインセンティブを与える仕組みも必要ではないかと思います。
キャリアビジョンの構築は必須のことだと思います。 配付資料の3ページを御覧下さい。これは神奈川県の制度です。御覧のようにキャリア選択型人事制度というものを神奈川県は導入しております。下のほうに様々な職務を経験と書いてありますけれども、いわき市のようにジョブローテーションを経験して、その後自分の職務分野を決定していくと。上のほうにスローガンが書いてありますけれども、全ての職員がプロフェッショナルにということであります。 神奈川県のようなキャリア選択型人事制度を導入し、プロフェッショナル職員の育成を図るべきだと考えますが、御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) さきの答弁で申し上げましたが、自己申告制度における、複線型人事管理の導入や、研修の実施などによりまして、職員のキャリア形成支援には努めております。 また、特定の業務等に対する公募人事を実施し、その中では、スペシャリストの育成を想定した業務等への公募も行っているところであります。 今後におきましても、職員一人一人の主体性を重視しながら、専門性と使命感を持つ職員の育成に意を用いてまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) ここも、しっかりと改めて再構築していただきたいと思っております。 次は、組織理念の構築です。 この組織は何を目指しているのか、我々が実現すべき理念は何なのかを明確にすることは、組織に所属する人たちのモチベーションを形成します。 先頃行われました決算委員会で、昨年度コロナによって保健所の残業代、休日出勤代が非常に多かったので、心や体に支障を来した人はいなかったのかと質問しました。答弁が、仲間意識ができて、職員が支え合ったので、1人も離脱しなかったという非常に力強い答弁をもらいました。コロナを乗り越えるという共通の目標があるということで、組織の一人一人のモチベーションが高かったということなんだなと理解しました。 組織全体で共有できる理念があるということが、人材育成につながります。いわき市役所にそうしたものは存在しているでしょうか。ないとすれば、できるだけ多くの職員が関与してつくるのがいいといわれております。それもいわき市独自のものですね。 こうした組織理念をどのように構築する考えか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 組織理念とは、ただいま議員からもありましたように、組織の目標・価値観など、組織全体の活動の方向性を示す基本的な考え方でありまして、一体感の醸成を図る上で重要であると認識しております。 一方、職員には、様々な行政課題に対し、改革のエンジンであるという意識を持って、前例にとらわれることなく、前向きにチャレンジしていくことが求められております。また、職員一人一人の意識改革を図り、組織としての総合力を高めていくことが必要でございます。 このようなことを念頭に置きながら、組織理念の構築と共有に取り組んでまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 改革のエンジンであり、前向きにチャレンジをしていくというところですけれども、そのための根幹にあるのが、その組織の理念だと思いますので、ここをしっかりと構築していただきたいと思います。 いわき市
人材育成基本方針というのがありますが、平成15年に策定されて、平成23年に改訂されて以降、改訂されておりません。報告書では、全国の自治体で
人材育成基本方針が形骸化し、ほとんど機能していない可能性があると指摘しております。本市の
人材育成基本方針を見ると、配付資料に一部だけ、2ページ目に御紹介しましたけれども、市民の立場で考え行動する職員とか、人間性豊かな職員とか書いてあることは間違ってはいませんけれども、求められる人材像が具体性に欠けるなと思います。職員からすると、これを読んで、よし、自分はこんな職員になるんだと思えるかどうかということです。 本日の質問で指摘させていただいているようなことを取り込んで、
人材育成基本方針を改訂すべきだと考えますが、御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 市の
人材育成基本方針につきましては、平成15年11月に策定し、その後、方針のさらなる浸透と定着を図るため、平成23年1月に必要な見直しを行ったところでございます。 今後におきましては、現在、検討を行っております新たな人事評価制度の導入に加えまして、公務員の定年延長に向けた対応や、行政DXによる業務改革の観点などを踏まえながら、基本方針の見直しには取り組んでまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 今日は取り上げませんけれども、定年延長も視野に入っていまして、今後、人事政策をいろいろ大きく変えていく必要があると思います。その人事政策全体の中で、どういう人材を育てていくべきなのかという方針を明確に、詳細につくっていただきたいと思います。 次は、2つ目の適正配置・処遇についてです。 一人一人の職員が、本当に能力を最大限に発揮できる部署や立場に置かれているかが問題です。また、実績を上げても上げなくても処遇が同じでは、モチベーションにつながりません。適正配置・適正処遇は、職員の力を引き出す上で極めて重要です。今の人事が単純な年功序列だとは思っておりませんけれども、単に年数がたっているから昇進しているのではないかと思うようなケースもあります。 そこで、まず、人事情報の活用についてです。人事評価の結果を、しっかりと任用、給与、分限、そして人材育成にまでつなげていくことが必要と考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 地方公務員法におきまして、人事評価については、今、議員から御指摘がありましたように、任用、給与、分限等に活用することとされております。 現在、本市におきましては、同法の趣旨を踏まえまして、より公正で透明性の高い新たな人事評価制度の導入に向けて検討をしております。 導入後におきましては、能力・実績の適正評価はもとより、人材育成の観点からも人事評価制度を有効に活用して職員の能力・意欲の向上を図ってまいります。
◆14番(小野潤三君) そこはしっかり取り組んでいただきたいと思います。 報告書の中で、花王という会社があります、石鹸とか洗剤のメーカーですけれども、その事例が書いてあります。人事施策を運営する幹部の会議体で、次期経営者などのリーダー候補について、毎月1回議論を行っているということです。毎月なんですね。次、誰にこの会社を任せるかということを毎月議論しているということです。化粧品のポーラは、人材開発委員会という組織があって、グループ内の重要ポジションに任用する候補者を選んで、その人を3年かけて育成する仕組みがあるということです。民間企業はこういうようにやっているわけです。 人事というのは組織の命運を左右するものでありまして、人を選び、育てることに、これほどの手間と労力をかけているということです。報告書では、首長が関与すべきだと書いてあります。 本市においても市長、副市長が人材の育成、発掘に関わるべきだと考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 限られた人材を最大限に活用いたしまして、持続可能な行政サービスを提供していくためには、中・長期的な視点を持って、課題解決に的確に対応できる職員の育成は重要でございます。 今後におきましても、さきに申し上げました人事評価の結果、それから、人事情報のデータベースを有効に活用するための検討や見直しなどを踏まえながら、人材をマネジメントする意識を高め、そして市長、副市長の御指示も仰ぎながら、組織全体で将来を担う職員の人材育成や能力開発を進めてまいります。
◆14番(小野潤三君) ここをどういう人間がいて、一人一人をどう育てていくか、どう発掘していくかというところに、市長、副市長が関与するということがすごく大事だと思いますので、一般論として、このようにやっていますよというだけではなくて、具体的に、例えば5年後にこの人にはこういう役割を担ってもらうというところを、市長、副市長レベルで認識するというところがすごく大事だと思いますので、よろしくお願いします。 次は、3つ目の人材確保、つまり採用についてです。 採用に当たって、こういう特性やスキルを持った人材がほしいという人材像が明確でなければなりません。例えば、庁内のDXを進める人材とか、法律に詳しいとか、福祉を学んできたとか。本市は毎年の職員募集に際して、求める人材像は明確になっているのか伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 市の
人材育成基本方針におきまして、幅広い視野を持ち、環境の変化に柔軟に対応できる人材、また、高度・複雑化する行政課題に対応できる専門性を備えた人材の確保が重要であると位置づけております。市の職員採用案内のパンフレットにおいても、この考え方をいわき市が求める人材像として、記載をしております。 また、専門分野についての知識や技術を有する人材の確保の観点から、社会福祉士や一級建築士等の有資格者の採用についても、同様に採用案内に記載をして実施してきております。 今後におきましても、必要な人材の確保に向けて、適切に対応してまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 人事というのは、もう組織の戦略そのものですので、その採用というところに戦略性がどれだけあるかというところが問題だと思います。 求める人材像をどういうプロセスで描いているのかというところも問題です。本来は経営トップが関与して次はこういう人間を採ろうというところを明確にしていくことが大事だと思います。 いわき市役所が、市役所なら面白い仕事ができそうだとか、地域のために貢献できる仕事をしてみたいという思いを持った人材に選ばれるためには、やりがいのある仕事ができそうだなと思わせるプロモーションも必要だと思います。 いわき市役所の職場としての魅力を伝え、選ばれる職場になるために、動画などを使って発信することが必要だと考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 少子化が進行する中で、本市職員として高い志と能力のある人材を確保するためには、今、議員からもありましたように、市役所で働くことの魅力を効果的に伝えることは重要であると認識しております。 このことから、これまでも庁内関係部署と連携を図りながら、いわき若者会議や就職ガイダンスなど、様々な機会を捉えたPRに努めてきたところでございます。 今後におきましては、議員がおただしの動画配信を含め、さらなる効果的な手法について、調査・研究をしてまいります。
◆14番(小野潤三君) 大学生とかが就職先を考えるときに、まずネットとかで、いろいろ情報を集めるわけです。いわき市役所、面白そうだなというところがなければ、まずそのターゲットに入ってこないというところがありますので、初期の段階で引っかかるような、ちょっと何か面白そうだなと思わせるような発信というのが必要だと思います。 市役所の採用も待ちの姿勢ではなくて、志あるもの来たれという攻めの採用を行っていただきたいと思います。 さて、今や新卒だけでは、人材が充足する時代ではありません。今のスマート社会推進課で、ソフトバンクの方をDX推進員という役職で登用しております。このように、必要なスキルを持った外部人材を一時的に登用したり、年齢に関係なく中途採用することも必要だと考えます。 人事戦略の中に、こうした考えを組み込むことが必要と考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 民間で培った創造力、コスト意識など、新たな視点を持った人材として、平成27年度実施の職員採用候補者試験から、社会人経験者の採用を行ってきております。 また、国が推進する地域活性化企業人、いわゆる企業人材派遣制度を活用しまして、ただいま議員からも御紹介がありました、スマート社会推進課にDX推進員を配置しているところでございます。 今後も、引き続きまして、効果的な組織運営を図るという観点から、民間企業等で培った能力・知識・経験等のある社会人経験者の採用や、企業人材派遣制度の活用を行いながら、必要な人材の確保に努めてまいります。
◆14番(小野潤三君) プロパーだけで仕事をやり切ろうということではなくて、必要な人材は外部から導入すればいいやという柔軟な考え方を持つことが必要だと思います。9月に発足しましたデジタル庁は、600人の職員のうち200人が民間出身だと、多様な人材がダイナミックな発想を生み、活力ある組織になっているように思います。いわき市役所も、3分の1ぐらい民間人材を入れてもいいんだと、現実的には難しいですけれども、そのぐらいの発想で人材の採用を考えてもいいのではないかと思います。
人材マネジメントについての最後の質問です。 ここまで取り上げてきたような人事政策を実現するのが、相当な大改革になることは明らかです。しかし、やらなければならない。内田市長の言われる人の可能性を無限大に引き出すためには、そのための制度設計や推進体制がないとできないと思います。 人事政策のエキスパートを外部アドバイザーとして登用することも視野に、人事制度改革を専属に担う組織体制、人事制度をつくる部署をつくらなければ、目指すべき
人材マネジメントにはたどり着かないと考えますが御所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 今後における人事管理につきましては、
人材マネジメントの観点を踏まえ、人事評価をはじめ、人材育成、人事情報のデータベース化等に取り組みます。そして、これらを職員の意識や組織風土の改革につなげていくことが重要であると考えています。 こうした改革を進めるに当たりましては、庁内の検討体制を整備していくとともに、先進自治体のみならず、民間企業等の取組事例等も参考にしながら、取り組んでまいります。
◆14番(小野潤三君) 体制の整備、市長を中心にこれやるんだという形をつくっていただかないといけないと思っておりますので、よろしくお願いします。 大きな質問の3番目は、公共施設の管理計画についてです。 この質問は平成28年以来、7回目になります。平成29年2月に公共施設総合管理計画が策定されまして、4年半がたちました。総合管理計画に続いて1つ1つの施設をどうするのかという個別管理計画は、随分時間がかかりましたが、ようやくほぼ出そろってきました。出来上がった計画をプリントアウトしてきたんですけれども、相当なボリュームです。計画をつくる作業は大変だったと思います。 では、計画の精度はどうなのか。ここから先どう進めていくのか、現状を確認しながら、今後の進め方を伺ってまいります。 質問の1点目は、計画の策定状況についてです。 まず1つ目として、個別管理計画の策定状況について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 策定予定の個別管理計画70計画のうち、これまで67計画を策定しております。 また、残りの3計画につきましても、令和4年度末を目途に、策定作業を進めておりますことから、来年度中には完成する見通しとなってございます。
◆14番(小野潤三君) 70つくるうちの67ができたということで、ほぼできたということだと思います。 個別管理計画は分野ごと、縦の学校だとか、公営住宅だとかという分野ごとの計画ですけれども、それをトータルしたものが公共施設全体についての計画ということになります。総合管理計画には、こう書いてあります。市の予算の中で直近10年の建設事業費が年平均100億円かかっている。これが老朽化等によりまして、これから先の40年間は先ほどの1.7倍の年間172億円かかると。これをいわき市が負担し切れる範囲内にどう押さえ込むかということが計画の目的のはずです。70ある個別管理計画を積み上げた場合に、計画を実施しない場合はこのぐらい建設費用がかかって、計画を実施することによって、このぐらい抑えられるんだという、個別計画を積み上げた計画の全体像はどうなっているのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 個別管理計画におきましては、施設の老朽度合いや安全性の視点に基づくハード面での評価、そして施設の運営状況、維持管理状況の視点に基づくソフト面での評価による現状把握や課題を踏まえ、施設ごとに今後の施設の在り方を含めた取組方針を位置づけているところでございます。 企業会計及び一部の特別会計を除いた、これまでに策定した個別管理計画を集約した結果、今後の施設の在り方について割合で申し上げますと、長寿命化または現状維持としている施設が約5割、在り方を検討中としている施設が約3割、解体・廃止としている施設が約1割となっております。
◆14番(小野潤三君) 本当は金額で知りたいところですけれども、長寿命化、なるべく使っていくというのが50%、検討中だから、まだ決まってない、計画をつくりながら、検討中というのもどうなのかなと思いますけれど30%、廃止とかにいくのが10%しかないということですね。 今の数字は果たして持続可能な値と言えるのでしょうか。すなわち、計画の熟度は十分と言えるのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 平成29年度2月に策定いたしました現行の公共施設等総合管理計画におきましては、延べ床面積のおおむね10%縮減を目標に掲げておりますが、現時点では延べ床面積を縮減できていない状況にございます。 また、先ほど申し上げましたとおり、個別管理計画におきまして、施設の今後の在り方を解体・廃止としているものが全体の1割程度にとどまっている状況にあります。これらを踏まえますと、持続可能な行財政運営のためには、公共施設の在り方について、より一層厳しく見直しを図っていく必要があるものと考えております。 こうした状況を踏まえまして、現在進めております公共施設等総合管理計画の改定作業の中では、新たな数値目標の設定なども検討しておりますので、次年度以降、策定済みの個別管理計画につきましても、見直しを行ってまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 10月まではコロナ対応で、一部の部長さんしか本会議に出席されておりませんでしたけれども、今議会からは全員出席されておりますので、そこで申し上げたいんですけれども、今の答弁をお聞きになったでしょうか、皆さん。各部署で個別管理計画を一生懸命つくってもらった、ボリュームとしてはこんなにいっぱいつくっていただいたわけですけれども、これでは全然話にならないというのが今の財政部長の答弁です。 もともとの延べ床面積10%削減ということ自体が、その目標でいいのかと私がずっと言い続けているわけですけれども、その目標にすら達していないという答弁ですから。結局、その個別管理計画をそれぞれの部署でつくったけれども、これでは甘いということなんです。 このままでは公共施設の重さにいわき市が潰れてしまいます。担当部署がそれぞれ自分でつくっているので、甘くなるんだなと思います。とにかく全ての部長さんが今のままでは駄目だということをよく自覚していただくことが必要です。精度の高い計画につくり直さないと駄目です。そして、それを実施していただかないと本当に困るということです。 本当は時間があれば、お一人お一人、そちらの部ではどうですかというところを、決意のほどを伺いたいところですけれども、時間もありませんので、そこをこれからしっかりと考えていただきたいと思います。 質問の2点目は、今後の進め方についてです。 公共施設管理計画の主要な課題はコストの削減のはずです。それを念頭に置きながら、今後の計画の進行管理について伺ってまいります。 まず、コスト削減の第1の要素は総量の削減であります。いらない施設は廃止する、あるいは他の施設と合築するなどして総量を減らさなければ、コストが減るはずはありません。 そこで、1つとして、公共施設の総量削減をどういう手順で進めていくのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 人口減少や少子・高齢化という社会構造の変化の下でも、必要な行政サービスを提供し続けられるよう、各世代における人口動向などを踏まえながら、老朽化した公共施設の更新時期に合わせて、施設の在り方を見直してまいります。 手法といたしましては、廃止も含め、機能の複合化や統廃合、減築を行うほか、民間事業者への払い下げなどによりまして、施設総量の縮減を図ってまいります。
◆14番(小野潤三君) 今の御答弁はどちらかというと、一般論的な答弁でしたけれども、先ほど申し上げたとおり、個別管理計画そのものが甘いという中で、このままだと総量は減らないということになると思いますので、どれを減らすのかというのを決めていく作業がまず、すごく大変だとは思いますけれども、そこをしっかり取り組んでいただきたいと思います。 もう1つ主要なコスト削減策が、長寿命化です。今までは、壊れてから直すという事後保全でしたが、予防保全という形で早め早めに対策して、できるだけ長く使おうということです。 2つとして、この長寿命化はどのように進める考えか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 公共施設の長寿命化対策を適切に実施するためには、全ての公共施設の劣化状況について正確に把握し、その状況を踏まえた対策及びその更新時期を検討していくことが必要であると認識しております。 このため、昨年度から、特に技術職がいない部署におきましても、目視や設備等の経過年数などの調査によりまして、簡易的に施設の劣化度を診断できるよう、簡易劣化度診断マニュアルを策定いたしました。さらに、各部署の施設担当者を対象とした研修会を開催し、マニュアルの活用方法の説明に加えまして、老朽化している公共施設を実際に調査する、簡易劣化度診断の実地研修を行っております。 また、基本的に全ての公共施設につきまして、毎年、簡易劣化度診断を行いまして、その結果を集約するとともに、診断結果を踏まえた対策の実施につきまして助言を行うなどの公共施設の適切な維持管理に努めているところでございます。
◆14番(小野潤三君) 各部署にそのマニュアルをつくって、その診断ができるようにしているということであります。施設マネジメント課とも話しましたけれども、長寿命化は必要なんですけれども、長寿命化を全部やっていくのにも相当お金がかかるので、なかなか順番が回ってこないので、早期に修繕しようと思っても、実は早期でなくなっていくというところもありそうですので、長寿命化を図りながら、総量の削減というところに踏み込まないとなかなかきついなと思っております。 次は、総合管理計画の改訂についてです。 現在の総合管理計画は、個別管理計画が1つもできていないときに策定されたものであります。まず総合管理計画で大枠を示して、それに基づいて個別計画をつくるという手順だったわけですけれども、今となっては各論の裏づけのない総論ということになります。個別計画が出そろいつつある今、それを踏まえて、より熟度の高い総合管理計画を策定する必要があります。また、これまでたびたび指摘しているように、先ほども言いましたが、目標値が延べ床面積10%削減というのは目標として意味をなしていないと思います。 以上のことから、総合管理計画の改訂が必要と考えますが、それはどのように行うのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 公共施設等の老朽化の状況や、これまでに策定いたしました個別管理計画における各施設の今後の在り方などの状況を踏まえますと、昨年度に策定いたしました中期財政計画における収支見通しを基本といたしまして、将来にわたる財政運営の健全性の確保と行政サービスの提供を維持していくためには、公共施設の在り方について、従来にも増して抜本的な見直しを行っていく必要があると考えております。 このため、新たな目標の設定の検討なども行いながら、現在、本年度末を目途に計画の改定作業を進めているところでございます。 なお、新たな目標といたしましては、短期的には、公共施設の維持管理に係るコスト縮減に関する数値目標を設定すること、それから、中期的には、公共施設の維持管理に関する一定のルールに基づきます、施設数の縮減目標の設定も視野に入れながら、検討しているところでございます。
◆14番(小野潤三君) 現在の総合管理計画は、このままでは大変だということは伝わってくるのですけれど、それではどうするというところがなくて、今後の総合管理計画、今年度末にはできるという御答弁でしたけれども、そこはしっかりとしたものにしてもらいたいと、これならいけるなと思える計画にしてもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。 次は、エリアマネジメントについてです。公共施設管理計画の主眼はコスト削減でありまして、そのために公共施設をどう減らすかということがあります。一方で、都市計画の流れでつくられました立地適正化計画というものがありますけれども、これは都市機能の強化が目標で、そのためには、よりよい公共施設をつくるという新たなコストが必要になることも考えられます。両者は異なるベクトルを持っているように見えますけれども、どちらも必要な計画なわけでありまして、どう折り合いつけて、長期的に見ると、コストも削減し、都市機能も高めるという最適解を見つけ出すか、高度な判断を求められる方程式だと思います。こうしたことから、公共施設管理計画のエリアマネジメントと立地適正化計画は別々に進めるのではなくて、両者の歩調を合わせて進めるのがいいと思います。 現在、常磐地区で始まっている都市機能再編の取組においては、都市計画課と施設マネジメント課の両者が協議に関わっていると伺っております。それは常磐だけではなくて、その後の全ての地区で、同じように歩調を合わせながらやっていくのがいいと思いますが、4つとして、このエリアマネジメントをどのように進める考えか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 現在、公共施設等総合管理計画推進委員会におきまして、立地適正化計画との整合を踏まえ、旧市町村単位の地区に、いわきニュータウンと泉の2地区を加えた15地区におきまして、支所や公民館等の地域拠点施設と周辺の公共施設の集約・複合化を中心とした再編・再配置案の取りまとめを進めているところでございます。今後は、これらの案をたたき台といたしまして、地区別の市民意見交換会を実施する予定としております。 意見交換に当たりましては、現時点において、年に2地区、1地区当たり少なくとも4回程度を想定しておりまして、全ての地区の意見を集約し、取りまとめる作業にある程度の時間を要するものと考えられまして、おおむね7年から8年程度の期間を見込んでございます。なお、今後、実際に意見交換を進めていく中で、よりスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。 また、エリアマネジメントの進め方といたしましては、今般の公共施設等総合管理計画の改定内容や、これを受けて見直すこととします個別管理計画との整合を図りつつ、議員御指摘のように、市街地再生整備推進事業と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) この地区ごとの取組というのは、非常に難しいところだと思いますので、うまく体制を組んでやっていただきたいと思います。 今、エリアマネジメントに七、八年かかるということで、これもびっくりなんですけれども、そのぐらいかかるよなというところもあります。平成28年度に総合管理計画ができて、もうすぐ動き出すのかと思ったら、個別管理計画がやっと出来上がって、そこからエリアマネジメントにまた七、八年ということで、この公共施設をうまく治めていくというのがどれほど大変かということをしみじみ感じております。 現在の総合管理計画は向こう40年を見据えての計画ですので、40年間というスパンでの目標設定が必要と考えますが、5つとして、それはどのように行う考えか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 公共施設等の最適化を図るためには、今後の人口減少とそれに伴う財政的制約を前提に、中・長期的な視点からそのコストの縮減に取り組んでいく必要がございます。 一方で、本市を取り巻く環境が、社会経済環境の変化や制度の見直しなどによりまして、大きく変化していくことが想定される中で、今後の公共施設の在り方、数などに影響を及ぼす要因を長期的な視点で正確に捉えつつ、計画に反映させていくということは、現時点におきましては、困難であると認識してございます。 なお、本市の将来の公共施設の在り方につきましては、公共施設等総合管理計画の改定後に、本市の考え方を整理した上で、地区別の市民意見交換会などを行い、具体的にその地区の住民の御意見などを十分に伺って、地区ごとの公共施設の再編・再配置案を整理しながら取りまとめてまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 40年後の目標というのは、なかなか難しいんですけれども、何か目標設定がないといけないと思いますので、そこは改めて煮詰めていただきたいと思います。 次は、推進体制です。 技術職の職員を施設マネジメント課に集約するなど、推進体制を強化すべきだということも私はずっと言い続けております。先進地である倉敷市では、技術職の職員が全ての公共施設を巡回して、技術職ならではの視点で予防保全すべき箇所を指摘しているという話でありました。心得のある人であれば、ここは早めに直しておいた方がいいということが分かるわけです。 施設マネジメント課も技術職職員の強化が必要ではないかと思いますし、1,300余りある公共施設を管理するため70もの個別管理計画を進めていくというのは、ちょっと想像しただけでも大変だと分かります。 そこで、6つとして、推進体制を強化すべきではないか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 現在検討中の公共施設等総合管理計画の改定内容を踏まえ、次年度以降は、全庁的に、これまで策定した個別管理計画の見直しを行う予定としており、これまで以上に技術的な視点からの計画見直し作業を行っていく必要があるものと認識しております。 今後、個別管理計画に位置づけられます公共施設に関する長寿命化対策を着実に実施していくためには、施設の劣化状況を正確に把握した上で、対策の優先順位を付すことが必要となります。このため技術面での体制強化につきましても、今後、検討してまいりたいと考えております。
◆14番(小野潤三君) 今回は、内田市長になって初めての公共施設管理計画に関する質問でした。今までもこれで大丈夫なのかということを言い続けているわけなんですけれども、市長もこのテーマの大変さは御理解いただけたものと思います。 会派で先進地の視察もいろいろ行いました。倉敷市とか、習志野市とか、長崎市とか行ってきました。うまく進めている自治体は、どこも市長のリーダーシップが不可欠だと言っていました。このテーマは、市の多くの部署に関わる政策でありまして、痛みを伴う政策だということであります。総論賛成各論反対になるおそれが多分にあるわけです。 そこで、最後に、計画推進に対する市長の決意を伺います。
◎市長(内田広之君) 公共施設の管理計画に関しまして、大変厳しい御指摘ありがとうございます。 本市におきましては、議員も重々御存知かとは思いますけれども、広域合併都市ということで、昭和41年の合併に伴いまして、その後に人口増加を機に様々な公共施設が同時並行につくられまして、それで、老朽化、更新時期を同時に迎えているという本市特有の課題がございます。 そういう中で、先ほど議員の具体的な御指摘ございましたけれども、延べ床面積おおむね10%削減というのは、これは厳しいのではないか、総量削減ということについてもっと見通しを示すべきではないかという御指摘をいただきました。 確かに、それぞれの部署、それぞれの部やそれぞれの施設ごとに個別の計画をつくっているわけでございますけれども、そうなってきますとどうしても抑制的な数値が出てくると思います。今後は、部局横断的に優先順位をつけて、市全体で削減をしていくという発想が大事だと思ってございます。 それで、下山田副市長には、私の就任直後に副市長に就任をしてもらいましたけれども、行財政改革ということで特命的に担ってもらうこととしてございます。ですので、そういった部局横断的な、施設横断的なことにも十分着目をして、先ほどエリアマネジメントに七、八年というのは長すぎるのではないかという御指摘もございました。それもそのとおりだと思いますので、できるだけ短縮して延べ床面積に関しても、もう少しメスを入れられるように、私も先頭に立って努力してまいりたいと思ってございます。 確かにおおむね10%というそのままの数値でいきますと、やはり公共施設は立ち行かなくなると思ってございますので、しっかりとメスを入れて取り組んでまいりたいと思ってございます。
◆14番(小野潤三君) 1つの課で担い切れるテーマではないということはもう明らかです。市長、副市長を先頭にいわき市が持続可能なまちであり続けるために、このテーマに正面から向き合っていただくようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午前11時10分まで休憩いたします。 午前11時01分 休憩
--------------------------------------- 午前11時10分 再開
△木村謙一郎君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。3番木村謙一郎君。 〔3番木村謙一郎君第二演壇に登壇〕
◆3番(木村謙一郎君) (拍手)3番
いわき市議会志帥会の木村謙一郎です。 まず、改めて内田市長の御就任に心からお祝い申し上げます。 これまでも市長とは何度か政策などの議論をさせていただきましたが、市長は相手の話を丁寧に聞き、的確に理解するだけでなく、相手のアイデアや意見をさらに高める豊富な経験と引き出しをお持ちで、時間を忘れてとことん議論したいと感じております。しかし、残念ながら議場においては時間を忘れるわけにはいきませんので、限られた時間の中で、有意義で市政発展につながる議論を是々非々の立場で行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、以下、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな質問の1番目はいわきFCと連携したまちづくりについてです。 11月25日、いわきFCのJ3昇格が正式決定し、本市に拠点を置く初めてのプロスポーツチームが誕生しました。選手やチーム関係者、そしてサポーターの皆さんに心からお祝いを申し上げます。 サッカーの母国、イギリスでの留学生活で経験した、パブに人々が集い、ビールを片手に、国籍や性別、年齢など全く関係なく、選手のプレーに一喜一憂するあの一体感をいわきでも味わえるかもしれない、そう考えると、胸躍る気持ちになります。もちろん、イギリスはラグビー発祥の地でもありますので、ラグビー人気も高いですし、クリケットという地味な野球に似たスポーツも人気があります。サッカー一辺倒というわけではなく、様々なスポーツが生活に根づいていましたが、とにかく、地域と共に歩むプロスポーツチームがまちに与えるインパクトには計り知れないものがあることを強く実感したのを思い出します。 サッカーだけにはとどまらない、広くスポーツを愛する文化が本市にも定着し、スポーツの力でいわきが大きく変わっていくことを心から願いますが、いずれにしましてもいわきFCのJリーグ参入を機に、本市が取り組んでいるいわきFCと連携したまちづくりも新たなフェーズを迎え、これまで懸案となっていた様々な問題について議論を再起動させる必要があると感じております。 そこで、1点目はいわきFCのスタジアム確保に関する課題についてです。 Jリーグ参入を果たしたいわきFCが抱える最大の課題の1つがスタジアム問題です。ホームスタジアムはずっとJヴィレッジなのか、J2・J1へ昇格するためのスタジアムはどうするのかなど、多くの方が、様々な視点から、スタジアム問題について大きな関心を持って、その動向を注視しております。 そこで、まずは、いわきFCがJ3ライセンス取得のためにホームスタジアムとして申請したJビレッジについてですが、1つとして、JヴィレッジをJ3におけるホームスタジアムとして使用するための課題について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) JヴィレッジスタジアムをJ3のホームスタジアムとして使用するための課題といたしましては、J3基準において、照度1,500ルクス以上の照明を、原則として、2023年シーズンの開幕までに整備する必要がありますが、Jヴィレッジスタジアムの照明は照度800ルクスであり、J3基準を満たしていないものと伺っております。
◆3番(木村謙一郎君) では、2つとして、Jヴィレッジにおける照明施設改修の見通しはどのようになっているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) Jヴィレッジスタジアムの所有者である一般財団法人福島県電源地域振興財団を所管する福島県によりますと、現時点で、照明施設改修の予定はないとのことでございます。
◆3番(木村謙一郎君) 照明の改修をする見込みが低いということになれば、照明の設置期限が来るまでに、Jヴィレッジに代わる新たなJ3規格のホームスタジアムを確保しなくてはなりません。 一方で、この問題をクリアし、仮に、J3規格のスタジアムを確保したとしても、いわきFCが来年、J2昇格に十分な成績を収め、再来年のJ2昇格を果たすためには、来年度中にJ2ライセンスを取得する必要があります。 このように、次のステージに進むためには、昇格の前年にライセンスを取得する必要があるため、最短コースでの昇格を果たすためには、2年後にはJ1ライセンスの取得が必要ということになります。非常に短い期間の中で設備面での条件を満たしていくことが求められるわけですが、ここで重要になるのが、Jリーグが示す、クラブライセンス交付規則において認められている例外規定になります。 先日、福島ユナイテッドはこの例外規定を使って、J2昇格に必要なライセンスの取得を目指すとの報道がありました。この例外規定が適用されますと、J2・J1規格のスタジアムについては、将来的に確保できる見込みがあれば、ライセンスの取得が認められ、暫定的なスタジアムでJ2・J1の試合を行いながら、例外規定で与えられた一定期間の猶予の中で、スタジアム問題を解決することができるようになるということになると思います。 そこで、3つとして、J2以上のスタジアム確保に向けて、最も時間的な猶予が与えられる例外規定を活用するにはどのような条件があるのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) J2以上のスタジアムにつきましては、収容人数が1万人以上であることや、全ての観客席を覆う屋根が必要となることなどの基準がありますが、令和元年度に基準が緩和され、新たに2つの例外規定が設けられました。 1つには、基準を満たすための工事が着工されており、3年以内に完成すること、2つには、Jリーグが示す理想のスタジアムとして交通アクセスが優れていることや、サッカー専用スタジアムであることなどの要件を満たすスタジアムであれば、昇格後3年以内に、場所・予算・整備内容を備えた具体的な整備計画を提出することで、5年の猶予が受けられるというものであります。また、この2つの例外規定の組み合わせも可能とされております。 ただし、猶予を受けている期間でありましても、試合運営に支障を来さないことが前提となります。このため、選手や監督、記者などが使用するスタジアムの諸室及び熱中症対策として、夏場にナイトゲームを開催するための照明につきましては、例外規定が存在せず、シーズン開幕までの整備が絶対条件となっております。
◆3番(木村謙一郎君) ただいまの答弁を踏まえますと、J3規格のスタジアムであっても、J2基準の諸室と照明施設が備わっていれば、例外規定によって与えられる時間を使って、J2・J1規格、さらに上の規格のスタジアム確保に取り組むことができるようになるということになるかと思います。そう考えますと、現時点において、J3でプレーし続け、かつJ2ライセンスの取得に必要な設備があるスタジアムを確保し、その上で、例外規定による時間的猶予をうまく使いながら、J2・J1規格をフルに満たすスタジアムの確保を考える、つまり、J3規格のスタジアム確保とJ2・J1規格のスタジアム確保を分けて考えていくことが、今後検討を進める上でのポイントになるのかと思います。 そこで、4つとしまして、今後、どのようにスタジアム確保についての検討を深めていく考えか市の所見を伺います。
◎市長(内田広之君) 本市といたしましては、市民の皆様方の期待に応え、可能な限り、地域と一体となりいわきFCを応援し、支えていきたいと考えてございます。 本格的なJ1・J2のスタジアム整備に関しましては、用地の確保、整備主体、資金調達、交通インフラなど、多くの検討すべき課題があると認識しております。 しかし、一方で、J3基準のスタジアム確保は、いわきFCの躍進を支える上でも喫緊の課題であります。そのために、当面の対応となるJ3のスタジアム確保と、将来的に必要となるJ1・J2のスタジアム整備の議論は、分けて検討を進めるべきであると考えております。 まずは、勢いに乗ってJリーグに乗り込んでいく、いわきFCを後押しできるよう、市として対応をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
◆3番(木村謙一郎君) 市長からそうしたいわきFCに対する力強い答弁をいただいたということは、サポーターの皆さんも含めて、大変力強く感じているのかと思いますけれども、まだまだ課題はたくさんあるんですけれども、意気込みというものは非常に力強いものがあると感じさせていただきました。 ここまでの議論を踏まえれば、J2基準の諸室と照明設備を備えたJ3規格のスタジアムを確保する。それが最優先課題になるのかと思います。 そこで、2点目の質問は、いわきグリーンフィールドの暫定的な改修について伺っていきます。 令和元年6月定例会におきまして、小野潤三議員がグリーンフィールドをJ3の暫定的なスタジアムとして改修してはどうかと提案しておりますが、当時は、事業可能性調査によって示された35億円という試算額のせいもあってか、あまり前向きな答弁ではなかったと記憶しております。 しかし、事業可能性調査によって示された、スタジアム建設費や改修コストなどの様々な数字は、あくまで国内の事例を基に算出されたものであり、やはり当初から指摘されているように、海外の事例なども含めた調査研究を重ね、さらなる建設コストの圧縮やより収益性の高い事業モデルを探るべきであり、その上で、費用以外の多角的な視点から事業の効果を見極めて、改修の妥当性を議論していく必要があると考えます。 そこで、まず1つとして、グリーンフィールドの暫定的な改修を行った場合、利用者や団体等への影響をどのように捉えているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) いわきグリーンフィールドにつきましては、NPO法人いわきサッカー協会及びいわき市ラグビーフットボール協会が中心に利用されております。両協会からは、かねてより同施設に対する改修要望が寄せられているところでございます。 そのため、同施設の改修に当たりましては、両協会と協議の上、検討を進める必要があるものと考えております。 また、改修により、仮にいわきFCが同施設をJリーグスタジアムとして使用することとなりますと、これまでよりも両協会の利用が制限されるため、そうした影響なども考慮する必要があるものと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 今使用されている関係者の方にすれば、このグリーンフィールドの改修が、自分たちがプレーできる場所が非常に制限されてしまうのではないかという不安を持っておりますので、その辺の話合いは丁寧に進めていただきたいと思いますけれども、メリット、デメリットいろいろあると思うんです。 そこで、2つとして、グリーンフィールドの暫定的改修による利点を市はどのように捉えているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) いわきグリーンフィールドの暫定的な改修は、利用団体であるサッカー、ラグビーの両協会からかねてより寄せられている同施設の高規格化への要望に応えることができます。そして、市民の皆様の利用環境の充実につながるものと考えております。 また、同施設を改修することで、本市が進めるスポーツ合宿や大会等の誘致によるスポーツツーリズムの推進にも大きく寄与するものと考えております。加えて、2024年度から本県での固定開催が決定した全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイの男子サッカー競技の開催に当たりましても、好影響を及ぼすものと捉えております。 さらには、いわきFCのJ3ホームスタジアムが確保できるだけではなく、J2以上の高みを目指すために必要となるJリーグの例外規定を活用したJ2ライセンスの取得にもつながることが期待できるものと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 答弁を聞く限り、この暫定的改修によって、いわきFC、そして本市、あるいは市民の皆さんにとっても、非常にいい道が見いだせるんではないかという可能性を感じさせる答弁だったと思うんですけれども、この改修によって、いわきFCが置かれている状況、そして本市のスポーツを軸としたまちづくり、両方にとってメリットがある打開策につながるのかなと思っております。また、いずれにしても、この改修の是非については早い段階で、今、議論があったようなことも含めて、答えを見いだす必要があると考えます。 そこで、3つとしまして、グリーンフィールドの改修についての検討を早急に進める必要があると考えますが市の所見を伺います。
◎市長(内田広之君) いわきグリーンフィールドの改修につきましては、まずは、利用団体であるサッカー、ラグビーの両協会との協議・調整が必要になると考えてございます。 また、Jリーグ基準のスタジアムを見据えた改修に当たりましては、いわきFCの意向確認をはじめとし、スタジアム基準を定めるJリーグとの協議やいわきFCのホームタウンである双葉郡の町村との協議も必要となると考えてございます。 改修に当たりましては、今申し上げたようなプロセスをまず経る必要があると思っています。また、財源の確保ということも課題にございます。 一方で、今、部長が答弁申し上げたような利点も大いにあると思ってございますので、市として、今、議員から御指摘ありましたけれども、速やかにしっかりと判断をしていきたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 関係者の皆さん、特にサポーターの皆さん、いわきFCを応援している方はこの辺の見通しを早く知りたいという思いが、優勝を決めて、昨日も最終節で勝って、その思いというのは非常に高まっていると思いますので、ぜひ早急に検討していただいて、方向性を打ち出していただきたいと思っております。 一番まずいのは、いわきFCがJ2やJ1に昇格できる成績を残したにもかかわらず、スタジアム問題がネックとなり昇格できないという状況は、ホームタウンである本市にとってあまり好ましい状況とは思えません。先ほど、市長の答弁にもありましたように、いわきFCの意向を十分踏まえながら、早急に、スタジアム問題の打開策を見いだして市民の皆さんにお示ししていただきたいと思います。その際に重要なのは、なぜ、いわきFCと連携した事業を推進する必要があるのか、そして、なぜ、スタジアム確保に公的資金を投入する必要があるのかといった問いに対して、市民が納得できる明確な理由を持つことだと思います。 そこで、3点目は、いわきFCと連携したまちづくりに向けた考え方についてです。 いわきFCを運営する株式会社
いわきスポーツクラブは、いわき市を東北一の都市にするという目標を掲げていますが、同様に人材育成と教育をクラブ運営の中心に据えるとしています。 そこで、1つとして、いわきFCとの連携したまちづくりにおいて、人づくりという視点での取組について、市はどのような認識を持っているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) いわきFCは、人材育成と教育を中心に据えるという目標を掲げ、トップチームの運営のほか、世界で活躍する優れた人材育成に向け、U-18、U-15のユースチームやガールズチームの運営をしております。さらには、サッカーだけでなく、子供たちの体力向上を目的とした、いわきスポーツアスレチックアカデミーの開催など、様々な取組を進めております。 市といたしましても、こうしたクラブの理念や活動に共感し、スポーツによる人・まちづくり推進協議会を通じて、より多くの市民の皆様に取組が広がるよう努めてきたところであります。その主な取組といたしましては、いわきFCと連携し、いわきサンシャインマラソンに合わせたランニング講座や市内企業向けの健康講座、訪問型のアスレチックアカデミーの実施など、市民の皆様の健康増進や未来を開く人財の育成に取り組んできたところであります。 今後とも、人づくり・まちづくりの強力なパートナーとして、さらに連携を深めてまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) いわきFCと連携したまちづくりによって内田市長が掲げる人づくり政策がさらに発展していくことに大きな期待をしております。同じように期待しているのが、いわき市民としての一体感の醸成、いわゆるシビックプライドに対する意識の高まりであります。 いわき市は合併以来、多極型の都市構造を有しておりまして、それが市民意識においても根強く残っております。よく言えば、多様性のあるまち、悪く言えば、まとまりがないということになると思いますが、いわきFCと連携した事業を推進することにより、多様性がありながら、まとまりもあるまちをつくり出すことができるのではないかと非常に大きな期待をしております。 そこで、2つとして、いわきFCと連携したまちづくりが市民の一体感、いわゆるシビックプライドの醸成にどのような効果をもたらすと考えているのか市の所見を伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 今シーズン、懸命に戦ういわきFCの姿は、震災復興や
新型コロナウイルス感染症の克服に尽力してきた多くの市民の皆様に勇気と感動、そして、大きな夢を与えてくださいました。 2022年シーズンはいよいよJ3に参入し、本市初のプロスポーツクラブが誕生することに伴い、本市は、全国に誇れるJリーグクラブのあるまちとなります。 Jリーグが開催されるスタジアムは、熱狂を生み、感動体験を共有する空間として、まちのランドマークとなります。そして、クラブの活躍は、世代や地域を超えて市民の心をつなぐよりどころとなるなど、いわきFCの存在が、市内外に与えるインパクトは今後さらに大きくなっていくものと考えております。 いわきFCと連携したまちづくりは、こうしたスポーツの持つ力で地域の元気を創造し、ただいま議員からも御指摘がありましたように、市民の誇りや一体感の醸成にも多大なる影響をもたらしていただけるものと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 私もただいまの答弁と全く同じような認識持っておりますので、ぜひこのシビックプライドの醸成という効果にも期待しながら、この事業の推進の意義を捉えていただきたいと思っております。 令和元年6月定例会で小野潤三議員は、スタジアム建設、そしてスポーツを通したまちづくりについて、市の哲学を問いました。私も、いわきFCに関する議論によって導き出される究極的な問いは、この1点に尽きると考えます。 そこで、3つとして、いわきFCと連携したまちづくりにおいて、市はどのような哲学をお持ちか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 本市におきましては、人口減少など厳しい社会経済状況にあっても、将来にわたりまちの活力を持続していく地域創生の取組が重要となっております。このため、第2期いわき創生総合戦略において、恵まれた自然環境や温泉地としての宿泊機能などを生かし、プロスポーツなどの合宿・大会等の誘致を通じた関係・交流人口の拡大を図ること、また、スポーツコミッションを中心として、いわきFCをはじめとする様々な団体・分野と連携し、見るスポーツを含め、スポーツに触れ合える環境を整え、スポーツが持つ力を最大限に活用した人・まちづくりを推進することを政策の柱として掲げております。 スポーツの持つ力とは、いわきFCが繰り広げる魂の息吹くフットボールなど、心を揺さぶられるようなワクワク感が人に元気を与え、その連なりや重なりが地域を元気にし、結果として人を呼び込み、地域経済にも波及していくものと捉えております。 市といたしましては、いわきFCがもたらす有形無形の価値は、スポーツや観光分野に限らず、教育や福祉、産業など、多方面にわたるものであり、地域課題の解決や地域創生につながっていくものと認識しております。 今後とも、同クラブと連携したまちづくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) では、4つとしまして、その哲学、事業推進の理念を踏まえて、今後市はどのようにいわきFCと連携したまちづくりに取り組んでいくのか、その意気込みをお聞かせください。
◎市長(内田広之君) いわきFCとの連携に関する意気込みでございますけれども、私も市長就任後、4回観戦をいたしました。昨日も有終の美の場面を観戦いたしまして、非常に感銘を受けたところでございます。 いわき市は、10年前震災がありました。おととしは、令和元年東日本台風がございました。そういう災害を1つ1つ乗り越えてくる中で、またコロナもあって、大変な状況にあったわけです。そういう中で、いわきFCの力というものは、非常に大きなものだと思ってございます。 市といたしましては、いわきFCを1つのサッカークラブとしてだけではなくて、地域に社会価値をもたらすまちづくりの担い手、そして人に希望と勇気を与える大きな存在だと思っております。これまで以上に、同クラブをはじめといたしまして、スポーツによる人・まちづくり推進協議会との連携・協力を密にしてまいりたいと思います。そして、さきに申し上げた人づくりをはじめといたしまして、本市ならではのスポーツ・メディカルツーリズムの推進や、シティセールスによる都市ブランド力の向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。 今後さらに、いわきFCがより多くの市民の皆様にとって不可欠な存在になるよう、プロスポーツを観戦するカルチャーの醸成や、ファン層の裾野を広げるための空間・仕掛けづくりなどを進めまして、いわきの未来をつくっていくパートナーとして、共に歩んでまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) このいわきFCに関する問題は、令和元年6月定例会のときには、事業可能性調査が出たばかりで、どうしても金額面、コストの面の議論が優先されてしまって、事業理念であるとか、なぜやるのかというところの議論があまりなされずに金額だけで、少し尻つぼみにしてきたのかなと思っておりますので、これまで伺ってきた質問の答弁を伺いますと、非常に前向きに意気込みを感じるような答弁がございましたので、その意気込みは市民一人一人に広く伝播するような形で事業を推進していただきたいと思っております。 いわきFCと連携したまちづくりには大きな可能性があると私は実感しております。繰り返しになりますけれども、イギリスでの留学生活で実感したサッカーが持つ力、プロスポーツチームが持つ力というのは、皆さんの前で断言できるぐらい様々な方面で、大きなインパクトがあります。また、先ほど市長の答弁にもありましたように、震災後に感じた市民が一体となって何かを成し遂げようとする力、こうした活力をいわきで再現することができれば、私たちのふるさとはまた1つ大きな階段を上がることになると感じておりますので、いわきFCと連携したまちづくりのさらなる推進を心から願いまして、次の質問に移りたいと思います。 大きな質問の2番目は、共創のまちづくりについてです。 本市では平成29年にいわき市以和貴まちづくり基本条例が施行されました。市民がまちづくりに参画する機会を増やし、官民問わず、あらゆる人が主体的にまちづくりに取り組む社会をつくりあげるという大きな目的のもと、様々な事業が実施されています。しかし、一部の事業については、条例が目指す社会を実現する手段としては、効果が乏しく、事業の在り方について検証が必要と感じております。条例の第5章に掲げた市民参画をどのように実現していくのか、そして、そのためのより効果的な手法とは一体どのようなものであるべきか、こうした疑問に対する答えを見いだしていかなくてはならないとの思いから以下伺ってまいります。 1点目は、スマレポいわきについてです。 まず1つとして、運用方法が変更となっておりますが、どのような点が変更となっているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) スマレポいわきにつきましては、市民の皆様が、市が所管する道路や公園遊具等の公共施設の損傷等を発見した際に、スマートフォン等を利用して、現場の写真と位置情報を添えて市に通報できる事業であります。 この通報に当たりましては、これまで市民の皆様にスマートフォン等の専用アプリFixMyStreetJapanをインストールし、ユーザー登録をしていただく必要がありましたが、より手軽に通報できる環境を整備する観点から、これに変わる新たな仕組みを検討してまいりました。 具体的には、多くの皆様が無料通話アプリLINEを日常的に利用している状況を踏まえ、いわき市公式LINEアカウントの活用を進めてきたところであります。 この運用につきましては、本年4月から実施した試験運用を経まして、11月1日に公共施設損傷等通報制度として正式に移行したところでございます。
◆3番(木村謙一郎君) 次に、2つとして、スマレポいわきの実績について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) スマレポいわきの実績につきましては、年度別の通報件数で申し上げますと、事業を開始した平成29年度が51件、平成30年度が80件、令和元年度が57件、令和2年度が89件、本年度が11月28日現在74件で、累計351件となっております。 また、通報の内容につきましては、道路の陥没やカーブミラーの破損など、道路に関するものが256件で最も多く、排水対策など、河川に関するものが29件、遊具の損傷など公園に関するものが28件、その他公共施設の不具合などが38件となっております。 なお、これまでの対応状況につきましては、本年11月28日現在で対応済みが318件、対応予定ありが28件、確認・検討中が5件となっております。
◆3番(木村謙一郎君) 3つとして、事業効果についてどのように捉えているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 本事業につきましては、公共施設の損傷等を市民の皆様がスマートフォン等を利用して、いつでもどこでも通報できるとともに、市におきましては、現場の写真や位置情報を添えて通報いただくことで、損傷等の早期把握をはじめ、業務の効率化が図られているものと認識しております。 また、行政のパトロール等だけでは気づきにくい公共施設の損傷等について、多くの市民の皆様から通報いただくことにより、公共施設の適正な維持管理につながり、市民生活の安全・安心に寄与しているものと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 次に、2点目として、iPosについて伺います。 まず、1つとして、iPosの実績について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 市公式ホームページや支所等に備付けの投書箱にお寄せいただいた件数とそのうちiPosとしての提案の要件を満たす件数をそれぞれ年度別に申し上げますと、事業を開始した平成29年度が94件のうち25件、平成30年度が54件のうち19件、令和元年度が100件のうち17件、令和2年度が98件のうち2件、本年度が11月28日現在で71件のうちゼロ件となっております。 こうした経過の中で、iPos本来の目的である市民の皆様の提案に基づいた事業化に至ったものはなく、要望や苦情、相談や問合せなどが多数を占める状況となっているのが実態となってございます。
◆3番(木村謙一郎君) では、2つとしまして、答弁にありました、これまで提案をもとに事業化したものがない理由について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) iPosとしての提案の要件を満たすものにつきましては、市の担当部署において必要性や事業効果、さらには実現性など、その実施に向け、様々な協議・検討を行うこととしております。 これまで本事業に基づく提案におきましては、新たな施設整備に係る提案など、地域の合意形成や実施主体の在り方が不透明で、さらには、実現に多額の費用が見込まれ、財源確保等の課題があることなどから、事業化には結びついていないところであります。
◆3番(木村謙一郎君) 私も、ただいま答弁にありました、地域の合意形成には、以前から懸念を表明させていただいているんですけれども、以前にも一般質問で取り上げましたが、議論や対話というプロセスが無いままに、個人の直接的な政策提案を奨励する制度でありまして、本市が目指す共創のまちづくりにはそぐわないものであると考えます。 そこで、3つとしまして、iPosは廃止すべきと考えますが所見を伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 本事業につきましては、市民の皆様の柔軟な発想による独創的で建設的なまちづくりに係るアイデアを広く受け付けることとしておりますが、実態としては、市への要望、苦情、相談及び問合せが多く、また、事業化が難しい提案がなされている状況にあります。 本事業を通して、より多くの市民の皆様に市政に関心を持っていただくなど、共創のまちづくりに広がりを持たせるものとして取り組んでいるところでありますが、実態を踏まえますと、課題も多いものと受け止めております。 このことから、これまでの実施状況を精査するとともに、市政への市民参画に向けた各般の施策等との整合性を検証しながら、事業の在り方について、見直しを検討してまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 市民のアイデアを市政に反映させるということは大変重要だとは思うんですけれども、繰り返しになりますが、議論とか対話がない中で、そういうものがもっと重視される方法でこういったことは行われるべきだと考えますので、iPosはやはり廃止を軸に検討していただきたいと思います。 次に、3点目は移動市長室についてです。 まず、1つとして、移動市長室の事業効果をどのように捉えているのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 移動市長室につきましては、市長が各地区に出向き、公共施設等を視察するとともに、地区内で活動されている市民団体等の皆様と直接意見交換等を実施するものであります。 当該取組を通し、地域の方々の暮らし、地域のまちづくりの現状と課題、その解決等に向けて取り組んでいる団体等の活動状況、そして、今後どのように取り組んでいくかなどについて、市長と市民団体等の皆様との認識の共有が図られているものと捉えております。そして、これらの取組は、市民の皆様と市が共に地域の課題解決と創造に取り組む共創のまちづくりの推進に寄与するものと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 移動市長室が決められた要望内容を単に伝える場としてではなくて、それぞれの地域や団体が抱える課題やまちづくりの在り方などについて、直接、フリートークのような形で議論する場であるならば、この事業はさらに充実させる必要があると考えます。 そこで、2つとして、移動市長室の充実について、市はどのような考えをお持ちか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 共創のまちづくりを推進するためには、市長と市民の皆様が膝を交えて懇談し、より身近に市政を感じてもらえる機会を数多く創出することも、重要な取組の1つと考えております。 移動市長室につきましては、このような機会の創出に寄与する事業であることから、その充実を図ってまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 今は、事前にやり取りがある中での意見交換という形になっておりますので、タウンミーティング的な、フリートークで行うというところが肝になるかと思いますので、その上で、首長に対して、直接、地域の課題を訴えかけて、その解決策を話し合う。答えが見いだせなくても、話し合っていくということが非常に重要になると思いますので、そうした視点を忘れずに事業の充実を図っていただきたいと思います。 4点目は、まちづくり懇談会についてです。 まちづくり懇談会の事業目的は、市長と市民との対話により、市政に対する理解を深め、市民ニーズを把握するとされておりまして、その役割は移動市長室と同じと言えます。そのため、まちづくり懇談会は移動市長室にその役割を一本化する形での発展的解消を図っても問題はないと考えます。 そこで、伺いますが、移動市長室の充実強化を前提に、まちづくり懇談会の必要性を検討すべきと考えますが市の所見を伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) まちづくり懇談会につきましては、地区で活動されている市民団体等の皆様から、様々な御提案等をいただく貴重な懇談の場であり、13地区を単位に4年で一巡する開催を基本として実施しているところであります。 一方、開催頻度が限定的であること、参加者が多数となることで、懇談が形式的であるとの御指摘があること、さらには、開催地区の市民団体等の皆様が設置する準備委員会において、市への提案の作成など、準備に相当の負担が生じていることなど、実施方法や効果等に課題があるものと認識しております。 このことから、市といたしましては、共創のまちづくりをより効果的に推進する観点から、まちづくり懇談会につきましては、その在り方や必要性を見直すとともに、移動市長室につきましては、これまでの市内13地区を4年で一巡する取組から、毎年度13地区で開催する形にするなど、拡充してまいりたいと考えております。 さらに、地域の枠にとらわれない懇談事業として、本市の未来を担う若者をはじめ、女性や移住者、独創的・先駆的な取組を行う多様な団体等の皆様との懇談する機会の創出を図るなど、広聴活動のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 今ありましたように、移動市長室を充実強化させていくという方針であれば、まちづくり懇談会で必要とされてきたニーズというものは十分満たせると思いますので、総合的に各施策を判断、精査していただいて、効率化を図っていただきたいと思います。 次に、5点目は、市民参画の在り方についてです。 ここまで、市政への市民参画を促す4つの事業について伺ってきましたが、その是非を検証すると同時に、市民参画への意識を高める新たな手法にも注目していくべきと考えます。そうした手法の1つとして、シビックテックに注目すべきと考えます。シビックテックはテクノロジーを活用して市民が行政や地域社会の課題を解決しようとする、簡単に言うとそういう取組なんですけれども、先日、NHKの番組で、マンホールの適正管理のため、スマホ等を使った市民からの情報提供をもとに、状況把握と管理に必要なデータベースを作成するという、加賀市の例が取り上げられていました。今後、様々な広がりが予想される新しい取組でもあり、市民参画という視点だけではなくて、DXや事業の効率化など様々な視点からも有効な手法と考えます。 そこで、1つとして、本市としても、シビックテックの活用を検討すべきと考えますが所見を伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) シビックテックは、ただいま議員から御案内がございましたように、市民や事業者の皆様が、情報通信技術を活用して、地域が抱える課題を自分たちの手で様々な主体と連携しながら、解決するための取組・手法であり、他自治体においても、様々な取組が進められるなど、注目を集めているものと捉えております。 また、人口減少や少子・高齢化が急速に進行する中、行政資源にも限りがありますことから、市民の皆様がまちづくりに主体的に参画することは、極めて重要なことであると認識しております。 加えて、コロナ禍を契機に社会全体のデジタル化が加速する中、情報通信技術を活用して、生活の質を高めていくことも大切な視点であるものと考えております。 市といたしましては、先進的な他自治体の事例などを参考に、その実施手法や効果、課題などについて、調査・研究してまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 市民の市政参画を促す上で重要なのは、財政に対する感覚だと考えております。地域や社会の課題解決に向けて、限りある財源をどのように配分していくのか、この視点を持って市政に参画することが市民にも求められております。 現在、世界的にも、市民参加型の社会を実現していくために、予算編成作業の一部、あるいは全部を、議会と連携しながら実際に市民との直接的な議論によって行っていく自治体が出てきております。このような市民参加型予算と呼ばれる取組は、市民の政治や社会課題に対する意識を高めると同時に、責任のある現実的な政策形成に向けた、市民の意識改革にもつながると考えます。 そこで、2つとしまして、市民参加型予算について、本市としても検討を行うべきと考えますが所見を伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 行政の資源配分に係る意思決定の過程に、市民が関与する仕組みは様々ございますが、市政における市民参画の意識の高まりなどにつながるものと捉えておりまして、市まちづくりの基本方針に掲げる共創力の充実強化に寄与する取組であるものと認識しております。 本市におきましても、少子・高齢化、人口減少などによりまして、財政的な制約が今後ますます高まっていく中、複雑多様化する市民ニーズに応えるとともに、予算に対する市民の認識と関与を高めていくための手法について調査・研究してまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 財源や予算を全く考慮しない政策論争は、一方的な要望合戦に終始してしまい、私たちを取り巻く地域課題の解決策を見いだすための建設的な議論にはつながらないのではないかという危惧を持っております。 市民参加型予算は非常にハードルが高い理想的な取組であるとは考えますが、予算編成や財源の配分に対する市民の意識を高めていくことに意を用いながら、共創のまちづくりに取り組んでいくことが重要であると考えております。 そこで、3つとしまして、共創のまちづくり実現に向けて、市民参画の推進に今後どう取り組んでいくのか市の考えを伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 近年、自然災害やウイルス感染症の発生など、様々な危機事象が頻発しております。少子・高齢化や人口減少などにも歯止めがかかりません。スマート社会やグリーン社会など、本市を取り巻く環境の大きな変化にも的確に対応していかなければなりません。 そのためには、あらゆる主体との連携を深め、共創による取組を推進していくことが不可欠であると考えております。このようなことから、昨年度に策定いたしました市まちづくりの基本方針におきましては、市民参画の仕組みづくりを重要な課題の1つと認識し、共創力の充実強化を重点テーマとして掲げました。共創の仕組みを不断に検証・実践し、市民の皆様と行政の一体感を高めていくことが何よりも大切であると考えたところでございます。 今後、ますます行政資源の制約が強まることが想定されます。公民が連携して、この難局を乗り越えていかなければなりません。さきに答弁申し上げてまいりましたが、既存の取組の効果を、今一度、振り返り、見極めてまいりたいと考えております。その上で、御提案をいただきました、情報通信技術の活用も含め、時代と市民ニーズに対応した、新たな共創の仕組みづくりに挑戦してまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) まさしく、この市民参画は挑戦だと思いますので、ぜひ積極・果敢にチャレンジしていただきたいと思っております。 現代社会が抱える問題は、より複雑さを増しておりまして、万人が納得する1つの明確な答えを見つけ出すことがますます難しくなっていきます。それでも、課題解決に向けて最も適した答えを見いだしていくためには、議論と対話によって合意形成を図る必要があります。議論と対話を重視する、市民参画の仕組みづくりに取り組んでいくことには、新しい民主主義の在り方を模索するという大変大きな意味が含まれていると私は考えております。そうした大きな視点を持って共創のまちづくりに取り組んでいただくよう要望しまして、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、空き家対策についてです。 人口減少社会の進行によって、全国的に空き家の数は今後ますます増加すると予想されております。野村総研の試算では、解体などの対策が進まない場合、2038年には全ての住宅のうち、空き家の占める割合が31.0%に達するとされており、本市においても、空き家がより大きな社会課題となってくることが予想されます。平成29年のいわき市空家等対策計画策定により、本市においても本格的な空き家対策が始められることとなりましたが、さらなる空き家対策の充実に取り組むべきとの観点から以下伺います。 1点目は、本市の空き家の状況についてです。 空き家に対する適切な対策を進めていくためには、まずは、現状を的確に分析しなくてはなりません。 そこで、1つとして、市内における空き家の数など、空き家の状況はどのようになっているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本市におきましては、平成29年度1月に策定した第一次市空家等対策計画に基づき、平成29年度からの3年間、市内全域の空き家の実態調査を実施いたしました。その結果、3,713軒の空き家の存在を確認し、その内訳は、再利用が可能な空き家が3,097軒で全体の83%、再利用が困難な空き家が616軒で全体の17%となってございます。
◆3番(木村謙一郎君) 答弁にありましたように、本市では、平成29年度から3年間かけて空き家の実態調査を行ったということですが、継続して空き家の様々な状況変化を適時適切に把握していく必要があると考えます。 そこで、2つとしまして、市はどのように空き家の状況を把握しているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 空き家の状況の把握につきましては、専任の調査員を1名配置し、実態調査で存在を確認した空き家の追跡調査を実施しております。また、日常的に市民から寄せられる情報はもとより、調査員によるパトロールで新たに確認した空き家について、随時、現地調査を行い、空き家の状況の継続的な把握に努めているところでございます。
◆3番(木村謙一郎君) 市内約4,000戸ほどある空き家を調査していく、状況を把握していくには、戦力が足りていないのかなと思うんですけれども、最近では、ドローンなどの新技術を活用して、空き家の実態把握に努めている自治体もあります。 本市としても、空き家対策において、新たな技術を積極的に活用していくべきと考えております。例えば、先ほど取り上げましたシビックテックは空き家の実態把握においても有効なツールになると思われます。 そこで、3つとして、空き家の状況を素早く把握するためにシビックテックの活用の可能性を探るべきと考えますが所見を伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 空き家に関する情報収集につきましては、個人情報やプライバシーの保護のほか、防犯上の配慮が必要になるものと認識してございます。併せまして、特定の個人に不利益が生じる可能性などを考慮しなければならないことから、議員御提案のシビックテックの活用につきましては、慎重に対応する必要があるものと考えております。 しかしながら、情報収集の効率化や空き家の早期発見には有効な手法であると認識しております。このようなことから、今後はプライバシーの保護等に配慮したデータの取扱い等につきまして、先進自治体の取組の状況などを調査・研究してまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) この空き家問題では、プライバシーという問題が壁になる場合があるんですけれども、これはもう少し大きなところで、要するに個人のプライバシー、あるいは個人資産の問題と、公共の利益というところの最適な解といいますか、どういう判断で、どういう事業を実施したらいいのかというところを個人と公共という両方の面から考えて、事業を実施していかなければならないのかなと思っておりますので、そのようなことも含めて、まずは空き家の正確な実態把握が対策全体を進める上での前提条件と言えますので、新技術の導入も積極的に検討しながら、効率的で、スピーディーな実態把握に取り組んでいただきたいと思います。 次に、2点目は、空き家の再利用についてです。 空き家の再利用は、危険な空き家の発生を抑制するだけでなく、コミュニティーの維持や活性化にもつながる重要なテーマであり、さらなる事業の推進が必要と考えます。 そこで、1つとして、再利用が可能な空き家に対しては、どのような取組を行っているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 再利用が可能な空き家に対する取組につきましては、市と連携協定を締結しておりますNPO法人いわき市住まい情報センターにおいて、平成30年度から空き家バンク事業を実施しているところでございます。市といたしましては、この空き家バンクへの登録を促すために、対象となる空き家の所有者等へダイレクトメールを送付するなど、官民一体となって、空き家の利活用と流通の促進に取り組んでいるところでございます。 また、令和元年度から、地域コミュニティーの再生等につなげることを目的に、空き家を活用し、公益的施設等に改修する費用の一部を助成します空き家改修支援事業を実施しているところでございます。 加えまして、今年度からは、空き家のさらなる再利用促進に向け、空き家バンク活用支援事業を開始したところでございます。これは当バンクの登録に必要な相続登記や当バンクに登録されている物件のリフォームに係る費用の一部を助成するものとなっております。
◆3番(木村謙一郎君) では、2つとして、再利用の実績は実際にどのようになっているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 空き家の再利用につきましては、まず、空き家バンクの実績として、平成30年8月の事業開始から現在までに、合計40件の空き家が登録されております。そのうち、成約まで至り、再利用が図られた空き家は24件となっております。 次に、空き家改修支援事業は、これまで2件の事例がございます。 1つ目は、令和元年度に平谷川瀬地区におきまして、空き店舗を地域のコミュニティースペースへ改修した事例となっております。 2つ目は、今年度、田人地区において、工事が進められております古民家を林業体験宿泊施設へ改修する事例となっております。
◆3番(木村謙一郎君) 3つとしまして、再利用のさらなる促進が必要だと思うのですけれども、さらなる促進に向けた今後の取組について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 市といたしましては、空き家バンクを活用したさらなる再利用促進に加え、NPO法人いわき市住まい情報センターとの共催による空き家対策セミナーや空き家相談会を継続的に実施してまいります。また、空き家の購入や改修希望者を対象とした現地視察を行うバスツアーを引き続き、定期的に開催することとしております。加えまして、空き家のリノベーションにより、地域コミュニティーの再生を支援する空き家改修支援事業の市内外への周知を進めます。 さらには、空き家の管理や利活用のポイントなどをまとめたパンフレットを有効に活用しながら、今後も、空き家の再利用のさらなる促進につなげてまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 先ほど、空き家バンクに40件の登録とありましたけれども、全国的に見ても利用できる空き家があるにもかかわらずバンクへの登録が進んでいないため、空き家活用の希望者がいても空き家とのミスマッチが起きていると指摘されております。ですので、バンクへの登録数を増やす取組を強化していただいて、民間と連携した空き家市場の活性化や再利用の促進に取り組んでいただきたいと思います。 次に、3点目の質問は、再利用が困難な空き家についてです。 再利用が困難な空き家は、景観や治安、防災など様々な面で、私たちの生活に多大な影響を及ぼします。市民の良好な生活環境を維持していくためにも、現在、市が行っている再利用が困難な空き家に対する対策の強化が必要と考えます。 そこで、まず1つとして、再利用が困難な空き家に対して、市はどのような取組を行っているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 再利用が困難で、建物の破損や草木の繁茂などによりまして、周辺環境に悪影響を及ぼしている空き家につきましては、所有者等に対しまして、空き家の適正管理に努めるよう助言等を行っております。 また、改善が図られない場合には、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づきまして、特定空家等に認定し、建物の解体を含めました改善を促すなどの指導等を実施することにより、継続的に改善を求めているところでございます。
◆3番(木村謙一郎君) 再利用が困難な空き家への対策を進める上で、大きな障害となるのが空き家の所有者に関連する問題です。 そこで、2つとしまして、再利用が困難な空き家のうち、所有者等の所在が分からない、あるいは不存在のものについて、どのように対応しているのか伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 所有者等の所在が分からない場合は、不在者の財産を管理することを目的としました、民法第25条に基づく不在者財産管理人を選任するため、家庭裁判所に申立てを行うことができるとされております。同様に、相続人が不存在の場合は、被相続人の財産を清算することを目的とした、民法第952条に基づく相続財産管理人の選任の申立てが可能となっております。また、これにより、選任された財産管理人は、空き家の解体や売却などを行うことができるとされております。 本市におきましても、本制度を活用し、令和2年度から所有者等の所在が不明なものと、相続人が不存在なものについて、それぞれ1件の申立てを行っております。その結果、現在、2件とも財産管理人が選任され、そのうち1件につきましては、空き家の解体が完了し、土地を売却するための手続が進められているところでございます。
◆3番(木村謙一郎君) 母数から比べると非常に時間がかかるなと、これは法的に仕方がないことなんですけれども、非常に時間がかかるなという印象なんですけれども、この再利用が困難な空き家への対策を進めるためには、基本的には国の大きな住宅政策の転換が必要と考えております。つまり、高度経済成長時代に進められてきた、家を建てることに重点的な支援メニューをそろえる政策から、解体など家を畳むことへの支援や補助が可能となるような、考え方を抜本的に変えることが必要と考えます。 そこで、3つとしまして、空き家の解体等への公的資金の投入をより積極的に行えるよう、住宅政策の転換を積極的に国に働きかけていくべきと考えますが所見を伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 空き家は個人等の資産であることから、原則的には、空き家の解体は全て所有者等の責務において実施すべきものと認識しております。しかしながら、特定空家等に認定した空き家は、より早期の改善が求められるため、平成30年度から解体費用を助成いたします特定空家等除却補助制度を実施しております。 また、今年度からは、補助額の上限を50万円から100万円に増額しまして、特定空家等の解体促進を強化したところでございます。 市といたしましても、今後もさらなる改善が図られるよう、機会を捉えまして、国へ解体支援について働きかけを行ってまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 現行の規定においては、危険な空き家を実際に除去する行政代執行に使わなくてはいけないのですが、そこに至るまでには、様々なプロセスを経る必要がありまして、非常に時間もかかります。そのため、市民からは解体が無理だとしても、取りあえず危険な箇所だけでも何とかしてもらえないかという声が多く寄せられております。特に、最近は、頻発に発生する台風や地震などの自然災害等による影響もありまして、住民の不安は増大し、たとえ応急的であっても危険な空き家に対する速やかな対策を求める声がより高まっております。 そこで、4つとしまして、周辺に影響を及ぼす空き家に対して、より迅速な対応が可能となる方法を検討すべきと考えますが市の所見を伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 近年、地震や強風等の自然災害等が頻発してございます。その影響によりまして、空き家の外壁や屋根が損傷し、管理が不十分な空き家が原因で、危険な状態が切迫しまして、市民の生命や財産に影響を及ぼすおそれが懸念されております。 こうした状況を鑑みまして、このような空き家の危険な状態を回避するため、市といたしましては、緊急的に必要最小限の安全措置を迅速に講じることが必要であると考えております。このため、今後策定予定の第二次市空家等対策計画に新たなる取組といたしまして、緊急安全措置を位置づけることとしたところでございます。 また、現在、必要な事項等を定めました緊急安全措置条例の制定に向けまして、準備を進めております。今後も、これらの取組によりまして、市民が安全・安心に暮らすことができる生活環境の保全に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆3番(木村謙一郎君) 人口も経済も右肩上がりの時代に増え続けてきた住居を、人口減少社会に見合った数にスケールダウンしていく住宅政策が求められていると思います。再利用と処分という2つの視点から他市の先進的な事例も参考としながら、重層的な各種事業や支援メニューを構築し、空き家対策のさらなる推進に取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後1時10分まで休憩いたします。 午後0時11分 休憩
--------------------------------------- 午後1時10分 再開
△小菅悟君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。8番小菅悟君。 〔8番小菅 悟君第二演壇に登壇〕
◆8番(小菅悟君) (拍手)8番いわき市議会自由民主党一誠会の小菅悟です。 まず初めに、今般の新型コロナウイルスに感染された方々やその御家族、不安の中におられる方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。 また、
新型コロナウイルス感染症の不安がある中、最前線で御尽力いただいております医療・介護・保育などのエッセンシャルワーカーの皆様に、心から敬意を表すとともに、感染拡大防止のため、新しい生活様式などの実践に御協力をいただいております市民の皆様、事業者の皆様に対しましても、深く感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、2019年12月初旬に中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから、わずか数か月ほどの間に世界的な流行となり、翌年3月11日にWHO世界保健機関が、世界的な大流行になったとする認識を示しました。新型コロナウイルスの感染が拡大してから、はや2年がたとうとしております。 ワクチンの接種率の増加とともに、感染者数も減少をはじめ、市内でも感染者が確認されない日が続くなど、感染流行も落ち着きを見せているところであります。 国内製薬企業による、新型コロナウイルスワクチンの開発も進んでおり、来年には実用化を目指しているというニュースや、新型コロナウイルスの飲み薬が年内に国内で承認される見通しとなったこと、また、本市においてもワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種の実施方針が示されるなど、収束に向けて希望の持てる話が聞こえてきておりますが、国内で新たな変異株オミクロン株の感染者が確認されるなど、第6波に備え、まだまだ気を緩めることはできません。 内田市長におかれましては、市長が掲げた市内経済の活性化、ゆるやかなアクセルと、感染拡大の抑制、確かなブレーキの2つのバランスを取りながら、一刻も早く本市の日常を取り戻すべく御尽力いただきたいと思います。 それでは、通告順に従い、質問に入らせていただきます。 大きな質問の1つ目は、本市の財政状況についてであります。 市制施行55周年、東日本大震災から10年と、本年は本市にとって節目の年となりました。 平成から令和という時代を迎え、大震災からの復興も第二期復興創生期間に入るなど、大きな時代の変革の時期を迎えておりますが、新型コロナウイルスにより、瞬く間に私たちの暮らしは大きく変わってしまいました。このような世の中になるなど、誰が予想できたでしょうか。また、少子・高齢化、人口減少化社会の波も待ったなしに本市に押し寄せてきております。 住んでよかったいわき市、住み続けたいいわき市を子供たちや、孫の世代までもしっかりと持続させ、さらには発展し残していくためにも、本市の財政規律を堅持し、収支均衡型の財政構造を構築するとともに、様々な外的要因による不測の事態にも柔軟に対応し、継続的かつ安定的に公共サービスを提供することのできる財政基盤の確立に努めていく必要があります。 このような状況を踏まえ、以下伺ってまいります。 まず、1つ目として、令和2年度一般会計決算について伺ってまいります。 初めに、令和2年度一般会計の歳入の決算状況について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 令和2年度一般会計決算における歳入の決算状況につきましては、災害公営住宅の整備事業等に充当した地方債の繰上償還や、東日本大震災復興交付金の返還金などが減となったことに伴い、その財源となる繰入金が減となった一方、
新型コロナウイルス感染症対策に係る特別定額給付金事業や、令和元年東日本台風等に係る災害廃棄物処理事業に対する国庫支出金が増となったことなどにより、歳入総額は、前年度と比較し約359億6,000万円増の約1,993億9,000万円となったところでございます。
◆8番(小菅悟君) 次に、令和2年度一般会計の歳出の決算状況について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 歳出の決算状況につきましては、災害公営住宅の整備事業等に充当した地方債の繰上償還に係る公債費や、東日本大震災復興交付金の返還金などが減となった一方、
新型コロナウイルス感染症対策に係る特別定額給付金給付事業が皆増となったほか、令和元年東日本台風等に係る災害廃棄物処理事業や、被災農業者に対する総合支援交付金が増となったこと、これらによりまして、歳出総額は、前年度と比較し約358億1,000万円増の約1,921億5,000万円となったところでございます。
◆8番(小菅悟君) 冒頭にも申し上げましたが、自治体経営については、多くの不測の事態がつきものです。 一昨年の令和元年東日本台風災害、そして、今般の
新型コロナウイルス感染症もそうですが、それら不測の事態等に対応するための基金でもあります、本市の財政調整基金の状況について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 財政調整基金の状況につきましては、当初予算や数次の補正予算において財源不足に対応するため、約55億2,000万円の取崩しを行っております。一方、令和元年東日本台風等の災害復旧に係る財源といたしまして、国庫支出金などを受け入れたことなどから、約84億9,000万円の積立てを行っておりまして、この結果、年度末残高は、前年度と比較して、約29億7,000万円増の約106億6,000万円となってございます。
◆8番(小菅悟君) 財政調整基金につきましては、その現状などを2月定例会において、我が会派の吉田雅人議員が質問いたしました。 令和元年東日本台風災害の対応や、今般の
新型コロナウイルス感染症対策でも、財政調整基金を取り崩して施策を講じられてきたわけでありますが、今後もそのような事態が来ることが十分に考えられますので、対応のほどをひとつよろしくお願いいたします。 また、別の基金とはなりますが、私も6月の定例会において国民健康保険税について質問をいたしました。県統一の税率になるまでの数年間は、国民健康保険基金を取り崩しての対応も必要になってくると考えますが、急激な負担増など、加入者にかからないよう、同じくよろしくお願いいたします。 先ほどから申し上げておりますが、昨年度から続く
新型コロナウイルス感染症対策のため、数次にわたり補正予算が組まれ、令和2年度一般会計決算額は、歳入が約1,994億円、歳出が約1,921億円となったわけでありますが、令和2年度一般会計決算を踏まえ、本市の財政状況をどのように受け止めているのか伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 本市の現在の財政状況につきましては、令和元年東日本台風等による災害からの復旧事業に加え、
新型コロナウイルス感染症対策に多額の財政需要が生じております。一方で、復旧事業や
新型コロナウイルス感染症対策に対する国の手厚い財政措置を最大限に活用していることもありまして、令和2年度の決算や健全化判断比率の状況を踏まえると、現時点では、財政の健全性が一定程度確保されているものと考えております。 しかしながら、今後につきましては、
新型コロナウイルス感染症が本市財政に与える影響を的確に見込むことが困難な中、人口減少対策をはじめ、少子・高齢化に伴う社会保障関係経費や公共施設の老朽化、さらには、
人づくり日本一のまちの創出に向けた取組など、新たな財政需要にも対応していく必要がございます。このため、事業の選択と集中や財源の確保などに意を用いながら、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立に向け、計画的かつ適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) ここ数年の決算の状況と、健全化判断比率を見ましても、一定程度の財政の健全化は確保されていると考えます。答弁にもありましたとおり、将来にわたり持続可能な財政運営の確立に向けて、計画的かつ適切な財政運営に引き続き努めていただくようお願いいたします。 次に、令和2年度の市税収入の決算について伺ってまいります。 改めて申し上げるまでもなく、市税とは市民が市に対して納める税金の総称であり、行政を運営するに当たっての自主財源でもあります。本市の一般会計予算の歳入の約3割を占めるこの自主財源も、少子・高齢化、人口減少化社会において、持続的に確保し続けなければなりません。 そこで、市税について幾つか伺います。 まず初めに、令和2年度市税収入決算の内訳について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 令和2年度市税収入決算の内訳につきましては、個人市民税が約170億1,000万円、法人市民税が約40億3,000万円、固定資産税が約208億3,000万円、都市計画税が約32億5,000万円、市たばこ税が約27億2,000万円、その他が約35億4,000万円、合計で約513億8,000万円となってございます。
◆8番(小菅悟君) 次に、収入率はどのような推移で動いているのか、令和2年度から過去5年の収入率の推移について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 令和2年度から過去5年間における現年度分と滞納繰越分を合わせた市税の収入率につきましては、平成28年度が95.1%、平成29年度が95.6%、平成30年度が95.5%、令和元年度が95.6%、令和2年度が95.7%となってございます。
◆8番(小菅悟君) それでは、次に、納税者の税負担の公平性や、自主財源の健全性を保つためにも、収入率を上げていくことが非常に重要と考えますが、市税確保に向けた本市の考え方について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 市税につきましては、市民サービスの提供やまちづくりの推進のために欠かすことのできない重要な財源であると認識してございます。このため、所得や資産に応じて適正に課税するとともに、税負担の公平性を保つため、適正な納税指導と効率的かつ適切な滞納整理を行うことが重要であると考えております。 本市ではこれまで、市税等の口座振替の推進、新規滞納抑制のための納税案内センターによる電話での納付勧奨、休日納税相談窓口の開設による納税相談の充実、法人市民税等を電子納税できる地方税共通納税システムの導入を行ってまいりました。 また、今年4月からは、キャッシュレス化による市民サービスの向上を図るため、市税等の新たな納付方法としまして、スマートフォン決済サービスを開始したところでございます。 今後におきましても、さらなる納税環境の整備を図るため、国で進めております納税手続のデジタル化にも適切に対応してまいりたいと考えております。 加えて、徴収対策につきましては、他自治体における効果的な手法の導入や国税・県税との連携強化による滞納処分の実施など、市の歳入の根幹であります市税の確保に努めてまいりたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) 納税は国民の義務でもありますが、税の公平性をしっかりと保つことも、収入率の向上にもつながってくると考えます。ただいま答弁にもありましたとおり、今後、さらに進むと思われますデジタル化などにもしっかりと対応し、市税収入に対する取組を続けていってください。 最後の項目は、令和4年度予算編成についてであります。 本年は、日本にとって、また、いわき市にとっても大きな変革の年となりました。 本年9月には、本市において新たに内田広之市長が就任され、10月には、国において岸田文雄内閣総理大臣が就任されました。 財務省から、令和4年度一般会計概算要求・要望額等が公表されました。各省庁が提出した令和4年度予算の概算要求額と金額を盛り込んだ要望額の総額は、111兆6,559億円となりました。概算要求額・要望額の総額が100兆円を超えるのは、8年連続であり、4年連続で総額が過去最大を更新したとのことであります。 新型コロナウイルス対策など、現時点では費用が見積もれないため、要求額が明示されていない事項要求も多く、最終的な予算規模はさらに膨らむ可能性があるとのことでありますが、これらは、令和4年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針についてを閣議了解を受けての概算要求であります。この概算要求に当たっての基本的な方針というのが、歳出全般にわたり施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化するという考えであります。 これらの考え方は、将来的な教育予算の増額など、庁内横断的に予算の枠組みを抜本的に考え直すとされております、内田市長の考え方にも通じるものがあると考えます。 そこで、まず初めに、本市の令和4年度予算編成に関わる基本的な考え方について伺います。
◎市長(内田広之君) 令和4年度当初予算の編成に当たりましては、中期的な財政見通しに立ちまして、まちづくりの経営指針の下、1つ目に、
人づくり日本一のまちの創出による中・長期的な課題の解決、2つ目に、危機を乗り越え、持続可能で安全・安心ないわきの実現、3つ目に、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立を掲げております。これらの3つの基本方針の下、着実に進めてまいります。 具体的な取組といたしましては、若者の人口流出や医師不足、防災・減災の強化、農林水産業の担い手不足、グリーン社会やDXの推進などの取組など、中・長期的な課題への取組の充実強化であります。 また、まちづくりの経営指針に掲げた現在のいわきを取り巻く3つの重要テーマ、つまり、暮らしを守る安全・安心、ひと・まち・しごとの充実、そして、共創力の強化、それぞれに関わる事項に、予算を重点的に配分していきたいと考えております。 これらの予算化に関しましては、職員一人一人がいわき市の改革のエンジンであるという意識を持ち、従来の発想にとらわれず、改善や見直しを徹底的に進めてまいりたいと考えてございます。加えまして、第6波が懸念されております
新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、経済対策の実行と、感染対策の徹底を、両輪で進めてまいりたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) 次に、私ども自由民主党一誠会は、令和3年11月24日に、令和4年度市政執行並びに予算編成に対する要望書を提出いたしました。 要望書では、新しいいわきの復興・創生へ向けて、魅力あふれるいわきと選ばれるまちいわきの実現へ向けて、いわき市の持続可能な財政運営の確立を目指しての3本の柱を中心に、92の施策の実現へ向けて要望させていただきました。 そこで、最後に、私ども会派の予算編成要望書への対応について伺います。
◎副市長(久保克昌君) いわき市議会自由民主党一誠会からいただきました御要望につきましては、新しいいわきの復興・創生へ向けてをはじめといたしました、3つの政策の柱に沿って示されております。いずれも市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支えるものとして、大変重要なものと受け止めております。 現在、令和4年度当初予算の編成作業を進めておりますが、会派からの御要望を念頭に置きながら、
人づくり日本一のまちの創出による中・長期的な課題の解決、危機を乗り越え、持続可能で安全・安心ないわきの実現のための取組の推進、将来にわたり持続可能な行財政運営の確立の3つの基本方針に基づき、予算案を取りまとめてまいります。
◆8番(小菅悟君) ありがとうございます。 12月3日には、
新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急要望書第10次を会派として出させていただきました。そちらも合わせて、私たちども会派の要望を反映させながらの予算編成、施策展開をお願いいたします。 大きな質問の2つ目は、気候変動に伴う降雨量の増加等を踏まえた雨水対策についてであります。 本市でも甚大な被害を及ぼしました令和元年東日本台風や、熊本県球磨川の堤防決壊等を発生させました令和2年7月の豪雨など、近年の気候変動の影響により、全国的に降雨量の増加や短時間豪雨が頻発しております。 また、先日も本市におきまして、12月1日早朝から午前9時にかけまして、1時間当たりの降水量が12月の観測史上最大となる激しい雨が降り、道路が冠水するなどの被害があったばかりであります。 このような中、世界的な地球温暖化を総合的に評価する政府間組織であります、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書によりますと、21世紀末までに世界の平均気温は1.0から5.7℃上昇する可能性が高いと予測しており、また、気象庁においても、このまま地球温暖化が続いた場合、短時間豪雨の発生件数がさらに増加する可能性があるとしています。 これらの状況を踏まえ、国では、水防法等の改正や雨水対策に関するガイドライン等の改定を行っていると聞いております。 そこで、本市の下水道事業における気候変動に伴う降雨量の増加等を踏まえた雨水対策について伺います。 初めに、これまでの下水道事業における雨水対策の取組について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 本市の取組につきましては、まず、ハード対策として、市街地に降った雨水を速やかに河川等に排除するため、国の基準に基づき算出した1時間当たり約47ミリメートルの降雨量に対応できる雨水管渠や雨水ポンプ場の整備を進めてまいりました。 また、平成29年度には、目標とする整備水準や短期・中期・長期的な施設整備計画等を定めた雨水管理総合計画を策定し、段階的かつ効果的に防災・減災の取組を推進してまいりました。 また、ソフト対策としましては、個人が設置する雨水貯留施設や雨水浸透ますなどの宅地内雨水流出抑制施設に対する補助制度のほか、大雨による浸水のおそれがある区域や大雨への備えを明示した内水ハザードマップを作成・公表等などにより、浸水被害の軽減に努めてきたところであります。
◆8番(小菅悟君) 次に、今回、国が改定や見直しを行った水防法や雨水対策に関するガイドライン等のうち、下水道事業に関連する内容について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 国の改定等についてでありますが、水防法においては、下水道施設の整備水準を超える大雨に対し、住民の迅速かつ円滑な避難を確保するため、国が定めた想定最大規模降雨による浸水想定区域の公表が義務化されております。 また、雨水管理総合計画策定ガイドラインにおいては、地球温暖化による影響から、将来的な降雨量が1割程度増加すると見込まれておりますことから、現行の計画降雨に対し、1.1倍した降雨量を新たな計画降雨として定め、それに対応した施設整備方針の検討が示されております。 こうした改正等に伴い、国は、自治体に対して、下水道事業の実効性を高めるため、想定最大規模降雨による内水ハザードマップの作成・公表や、新たな計画降雨に対応した雨水管理総合計画の見直しを求めております。
◆8番(小菅悟君) 気候変動の影響により、内水氾濫の被害が頻発する中、浸水のおそれがある場所や浸水の程度などが分かり、避難・誘導ガイドとして活用されるほか、雨水対策への住民の自助を促すために活用されます内水ハザードマップでありますが、国土交通省の調査によりますと、2020年末時点で、下水道による浸水対策を進める全国1,071市区町村の約6割に当たる662市区町村が、内水氾濫に備えたハザードマップを作成していないとのことでありました。 本市においては、平成28年度より内水ハザードマップを作成・公表を行っており、市民への浸水リスクを事前に周知し、浸水への備えなど地域防災力の向上に寄与したものと評価するところであります。 今般の水防法改正により、想定最大規模降雨による、想定での内水ハザードマップの公表が義務化されたとのことでありますが、本市の内水ハザードマップについて、どのように見直しを行っていくのか伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 内水ハザードマップにつきましては、浸水リスクを事前に周知し、浸水への備えや市民の自助・共助による地域防災力の向上を目的として、市内観測史上最大である平成25年7月の1時間当たり91ミリメートルを対象降雨として、平成28年度から令和2年度にかけて作成・公表を行ってきたところであります。 今般の水防法改正に伴い、対象降雨が1時間当たり120ミリメートルに見直されたことから、市といたしましては、今後速やかに、浸水シミュレーション等の作業に着手し、令和5年度以降、作成が完了した地区から、順次、公表してまいります。
◆8番(小菅悟君) 内水ハザードマップに関する説明のほか、日頃の大雨の備えや大雨時の対処方法などについて、理解を深めていただく市役所出前講座も行っていると伺っております。内水ハザードマップの活用を、さらに進めていただくようお願いいたします。 内水氾濫を未然に防ぐ手立ての1つが、下水道の整備でありますが、近年は都市化の進展で、雨水が地面に浸透する量が減り、下水道や河川への負担が増加し、雨水を下水道で排水し切れない、また、雨水を下水道から河川に排水することができなくなるなどして、内水氾濫となるケースが出ているとのことでした。 そのような状況を踏まえ、国から気候変動に伴う降雨量の増加を見据えた雨水管理総合計画の見直しを求められているとのことでありますが、本市の雨水管理総合計画について、どのように見直していくのか伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 雨水管理総合計画につきましては、国のガイドラインに基づき、現行の1時間当たり約47ミリメートルの計画降雨に対して、1.1倍した約52ミリメートルを新たな計画降雨として設定することとしております。また、それに対応した施設整備を推進するため、これまでの浸水被害や、施設整備の状況、さらには、新たな浸水被害の発生予測等を検証し、雨水対策を優先的に取り組むべき地区や、段階的な施設整備の方針について、来年度末を目途に、見直してまいります。
◆8番(小菅悟君) 気候変動の影響に伴う降雨量の増加等に対応するため、計画降雨の引上げや、それに伴う施設整備など、雨水管理総合計画は、今後の雨水対策の基礎となるものであることから、しっかりと取り組んでいただくようお願いいたします。 国交省の水害統計調査によりますと、19年までの10年間で生じた内水氾濫の被害額は、水害全体の32.9%に当たる1兆1,835億円。直近3年は、前年からの増加が続き、19年の被害額は過去20年で最多とのことでありました。 そこで、気候変動の影響を踏まえた雨水対策の、今後の進め方について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 雨水対策の今後の進め方でございますが、新たな雨水管理総合計画に基づき、ハード対策として、施設の老朽化対策と調整を図りながら、新たな計画降雨に対応した雨水管渠や雨水ポンプ場の整備を段階的に進めてまいります。 また、河川が氾濫した際にも、ポンプ場の雨水排水機能が確保できるよう、施設の排水化対策等を進めてまいります。 一方、ソフト対策といたしましては、宅地内雨水流出抑制施設や止水板の設置に対する補助制度について、さらなる周知を図り、各御家庭でできる雨水対策を促進してまいります。加えまして、新たな内水ハザードマップの活用等により、事前防災の観点も取り入れた総合的な雨水対策を進めてまいります。
◆8番(小菅悟君) 下水道事業の雨水対策について、今後の方向性を伺ってまいりました。 雨水対策は、市民の安心・安全な生活に欠かせないものであることから、引き続き、浸水被害の軽減に努めていただくとともに、気候変動に伴う降雨量の増加等に対しましても、ハード整備にも限界があることから、排水ポンプ車の導入や内水ハザードマップの周知、下水道施設の耐水化などソフト対策とハード整備を一体的に進めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の3つ目は、本市の消防行政についてであります。 我が国における消防の歴史は、古くから江戸時代にまで遡ることができます。江戸時代には、江戸幕府により、頻発する火事に対応する防火・消火制度として定められた火消しという組織がありました。 武士によって組織された武家火消と、町人によって組織された町火消であります。武家火消は幕府直轄で、旗本が担当した定火消と、大名に課せられた大名火消に分けて制度化されており、合わせて3系統の消防組織が存在しておりました。 江戸時代初期には、火消の制度が定められておらず、度重なる大火を契機に、まずは武家火消が制度化され、発達していったそうです。江戸時代中期に入りますと、享保の改革によって町火消が制度化され、そのうち、江戸時代後期から幕末にかけては、町火消が武家火消に代わって江戸の消防活動の中核を担うようになってきました。江戸以外の大都市や各藩の城下町などでも、それぞれ火消の制度が定められていき、これらの消防組織は、明治維新後に廃止や改編をされますが、その系譜は、現代の消防署・消防団へとつながっているとのことであります。 冒頭でも申し上げましたが、本年は東日本大震災から10年という節目の年であり、東日本大震災では、前例のない複合災害に見舞われました。 本市の消防本部には、地震直後から、火災、救急、救助の要請が多数入電し、出動指令及び受付業務は困難を極め、119番通報、署所への駆け込み通報、出動車両による災害等の発見による指令室への通報などが集中し、指令装置の能力を超えてしまい、事案管理もままならない状態であったと伺っております。 そのような中においても、当時の消防職員353人全員が震災当日中に自主参集し、被災状況の確認及び被災者の救助活動などの活動体制に入られたことは、職員自身も被災者でありながら、市民のために職務を遂行されたことに深く敬意を表します。消防行政は、社会安全にとって極めて重要な行政分野であります。大規模な災害等が発生するたびに、消防行政の制度は改善され、消防体制の強化が図られてきました。 近年は、災害も多様化、複雑化しており、さきの質問でも触れましたが、気候変動に伴う降雨量の増加など、いつどこで大きな自然災害が起きてもおかしくない時代になったことは言うまでもありません。東日本大震災を経験した本市だからこそ、消防に対する期待や役割も大きくなってきていると感じます。 このような状況を踏まえ、本市の消防行政について、以下伺います。 まず初めに、職員の現状について伺ってまいります。 本市においては、これまで、震災からの復興と創生への取組を着実に進めるため、必要な増員を行う一方で、事務事業の見直しや民間委託などを積極的に進め、職員数の適正化に取り組んできたところでありますが、本年4月には、消防の充実強化へ向け、職員の定数が増員され、362人から390人となりましたが、現在の職員数について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 本年4月1日現在の消防職員数につきましては、362人となっております。
◆8番(小菅悟君) 次に、過去5年間の職員数の推移について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 過去5年間の職員数の推移につきましては、4月1日現在の職員数で申し上げますと、平成29年度は353人、平成30年度は359人、令和元年度及び令和2年度は361人、令和3年度は362人となっており、5年間で9人増加しております。
◆8番(小菅悟君) 次に、過去5年間の職員採用候補者試験の応募状況について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 過去5年間の職員採用候補者試験の応募状況につきましては、平成29年度は77人、平成30年度は61人、令和元年度は57人、令和2年度及び令和3年度につきましては52人となっておりまして、応募者数は減少しております。
◆8番(小菅悟君) 人口減少、そして、少子・高齢化が進展している現状において、職員の確保は非常に重要になってくると考えます。 応募人員の増加に向けた今後の取組について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 応募人員の増加に向けた取組につきましては、現在、就職希望者を対象としました企業説明会や、いわき市就職応援サイトに動画登録するなど、様々なPR活動を実施しております。 今後におきましては、高校生を対象といたしました就職座談会を開催するほか、小・中学生の若い世代に消防の仕事に興味を持ってもらえるような事業を展開するなど、さらなる応募人員の増加に努めてまいりたいと思っております。
◆8番(小菅悟君) 国内の地方公務員全体の総職員数は、近年の行政改革の取組などにより減少している反面、消防職員につきましては、救急搬送の増加など消防力強化のため、増加を続けている現状があります。 消防分野は、人的資源が市民サービスにそのまま直結するものであるため、今後とも適正な人員を確保できるような取組をお願いいたします。 次に、職員の育成について伺ってまいります。 消防と言っても、多種多様な業務がありますが、消防の主な業務について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 消防の主な業務につきましては、火災はもとより、自然災害や交通事故などの災害に対応する警防業務や救助業務、急病人やけが人を医療機関へ搬送する救急業務、防火対象物等の立入検査や指導を行う予防業務などがございます。
◆8番(小菅悟君) 安心して暮らせるまちのために、多種多様な業務があることが改めてわかりました。 では、次に、業務を遂行する上で、必要な資格等について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 業務を遂行するに必要な資格等につきましては、警防業務や救助業務では、各種自動車の運転免許や潜水士免許に加えまして、重機や小型移動式クレーンなどを操作するための資格、救急業務では、消防学校で救急に関する専門教育の受講が義務づけられているほか、国家資格であります救急救命士免許があります。 また、予防業務では火災予防に関する高度な知識を有する予防技術資格者の資格などが必要となります。
◆8番(小菅悟君) では、それら資格等を取得するなど、職員育成に向けた今後の取組について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 職員育成に向けた今後の取組につきましては、災害経験の少ない若手職員の教育を念頭に、福島県消防学校や消防大学校などの研修機関に職員を派遣し、能力開発に努めてまいります。 また、多様化する災害に的確に対応するため、計画的に資格者を養成するなど、災害対応力の向上に努めてまいります。
◆8番(小菅悟君) ありがとうございます。 資格のみならず、ベテラン職員からの技術の継承などの取組もぜひ進めていただくよう、併せてお願いいたします。 先ほどの質問の中で、消防の主な業務について伺いましたが、その中の1つであります救急業務について伺ってまいります。 昭和23年に消防法が制定され、現在に至る消防制度の大きな枠組みが定まり、その後、昭和38年に消防法改正により、救急業務が正式に消防業務として位置づけされました。その後、救急需要の増加や高度化に伴い、救急業務が消防の主要な業務となっていると聞き及んでおります。 そこで、まず初めに、令和2年の救急車の出動状況について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 令和2年の救急車の出動状況につきましては、出動件数は1万2,533件、搬送人員は1万1,181人となっております。 1日当たりの平均出動件数で申し上げますと、約34件でありまして、約42分3秒に1回の割合で出動しております。また、市民の約30人に1人が救急搬送されたことになります。
◆8番(小菅悟君) 次に、令和2年の傷病程度別の搬送状況について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 令和2年の搬送人員1万1,181人を傷病程度別で見ますと、入院を必要としない軽症が4,386人で、39.2%。入院を必要とするものの、重症に至らない中等症が4,895人で、43.8%。3週間以上の入院加療を必要とする重症が1,644人で、14.7%となっております。
◆8番(小菅悟君) 次に、令和2年の1件当たりの搬送時間について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 令和2年の1件当たりの搬送に係る所要時間のうち、119番通報から現場に救急車が到着するまでの平均所要時間につきましては、10分38秒。119番通報から医療機関収容までの平均所要時間につきましては、51分55秒となっております。
◆8番(小菅悟君) 119番通報から医療機関収容までの時間をお答えいただいたわけでありますが、令和2年の国・県における平均所要時間は、データがまだ出ておりませんので、令和元年のデータを見させていただきました。国においては39分30秒、県においては45分36秒、そして令和元年の本市の平均所要時間は51分31秒と開きがあります。 本市の令和2年の119番通報から現場到着までは、10分38秒と伺っており、10分程度で到着できても、搬送までに時間を要していることが分かります。市民の方からも、せっかく救急車が早く来てくれても、病院へ搬送をしてくれないというお話を伺いました。 内田市長も、選挙の際には、他市に比べ本市における搬送時間が長いことや、出発しない救急車などということもおっしゃっていました。受入れ側である病院にも、様々な事情があるとは思いますが、現場で一刻も早くと対応されている隊員の方の気持ちを無駄にしないような、救急搬送をスムーズに受け入れられるシステム、体制づくりを進めていただきますよう強く要望いたします。 コロナ禍の令和2年におきまして、これだけの出動件数があり、時間がかかっているわけであります。また、軽症者の方の割合は約40%と多く感じるところであります。コロナ禍の中で、感染対策をしながらの救急隊員の方の苦労は計り知れません。 そこで、改めて、救急車の適正利用の取組について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 救急車の適正利用を図るためには、救急車を利用する皆様のルールとマナーを広く市民の皆様に認知していただくことが必要であります。このため、広報いわきや市ホームページへの掲載、FMいわきを活用しての呼びかけ、各種講習会等での、軽症者の低減を目的とした周知啓発を行ってきたところでございます。 今後につきましても、あらゆる機会を捉えて、周知啓発を行いながら、救急車の適正利用に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) 実際にお話を伺ったところ、それで救急車を呼んだのかと耳を疑うようなお話もお聞きしました。 報道などでも事例がありますが、例を申し上げますと、歩けるが、どこの病院に行ったらよいかわからないので救急車を要請した。本日、病院に入院する予定が入っているが、自分で行くとタクシー代がかかるので救急車を要請した。眠れなくて、誰かに話を聞いてほしくて救急車を要請したなど、様々な事例がありました。 市民の皆様へのお願いにもなるのですが、セーフティーネットであります救急医療を守るためにも、ふだんから、救急車の利用の仕方を、家族、会社、学校などで一人一人が、助けられる命を助けるためにはどうしたらよいのか。救急車をどのようなときに呼ぶべきかを考えて、話し合っていただければと思います。 そのためにも、本市におかれましては、引き続き、救急車の適正利用の取組を進めていっていただき、いわき市地域医療を守り育てる基本条例をはじめとする、市民の方へ向けた広報をしっかりと進めていただくようお願いいたします。 次に、災害対応力の強化について伺ってまいります。 冒頭でも申上げたとおり、東日本大震災から10年がたち、その間には、令和元年東日本台風などが起きました。 自然環境の変化により、とりわけ最近では、降雨状況の局地化、甚大化の傾向が極めて顕著であるのに加え、我が国は、4つのプレートに囲まれた世界的な地震国であり、巨大地震災害などの大きな自然災害が、いつどこでも起こり得る時代になりました。 また、高度成長期以降に整備したインフラが急速に老朽化しており、今後、建設後50年以上経過する施設の割合が大きく高まることが見込まれております。化学プラント等の危険物施設での事故の増加が懸念されるところであります。 そのような状況を踏まえ、今回はソフト面での取組について伺ってまいります。 災害時には、消火・救急・救助など多くの部隊が出動するわけであり、災害規模が大きくなれば、さらに多くの車両・隊員が出動されると思います。出動された皆さんが連携し、組織的に活動することで、災害による被害を最小限に食いとどめるわけでありますが、この連携し、組織的に活動するというのが、とても重要になると思います。そのためにも、災害時の明確な指揮・命令系統が不可欠であると考えます。 そこで、初めに、災害時の指揮体制について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 災害時の指揮体制につきましては、指揮を専門で行う指揮隊が、市内全域に出動し、災害現場で収集した情報の分析結果を基に、災害の状況、種別や規模に応じて活動方針を決定し、出動部隊に対して任務を指示することとなっております。
◆8番(小菅悟君) 次に、災害対応力の強化に向けた取組について伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 災害対応力の強化に向けた取組につきましては、対応が困難な大規模及び特殊な災害に対応するため、建物火災をはじめ、水難救助及び多数傷病者事故、BC災害などの特殊災害に関する各種活動要領を策定しております。 さらに、これに基づいて、災害に応じた的確な消防活動を展開し、被害を最小限にとどめられるよう、部隊運用訓練を実施するなど、災害対応力の充実強化に取り組んでおります。
◆8番(小菅悟君) 次に、消防隊員のスキルアップについて伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 消防隊員のスキルアップにつきましては、各消防署で日常的に行う消火訓練などの基礎訓練をはじめ、部隊運用に当たりまして、階級に応じて必要となる知識などを習得するため、様々な研修や訓練を実施しております。 今後につきましては、全国各地で自然災害が発生しておりますことから、消防分野での重要性が高まっております、重機及び水上オートバイなど、特殊な技術を要する業務についても積極的に訓練に取り組むなど、さらなる消防隊員のスキルアップを図ってまいります。
◆8番(小菅悟君) 科学技術の急速な進展により、消防分野におきましても、ICT技術による住民避難の在り方、科学技術による建物の不燃化・難燃化、ロボット技術の応用による消火活動の合理化など、現場活動や防災体制の高度化に対して大きな期待が寄せられているところであります。 そういった中におきましても、実際の現場で動くのは人であり、災害対応力の強化に向けては、ハード、ソフト両面での取組が重要になりますので、今後もさらなる災害対応力の強化に取り組んでいただきたいと思います。 また、さきの質問の中で、ベテラン職員からの技術の継承をとお願いしましたが、定年退職後の消防職員の活用についても、今後の救急需要の増加を見据えた取組を進めていただくようお願いいたします。 次に、消防本部における新たな取組について伺います。 これまで質問をさせていただいて、消防といいましても様々な活動があり、また、誰もが安心して暮らせるいわき市のため、市民の安心・安全のために、様々な取組をされていることが分かりました。 しかしながら、消防予算は、基本的に地方自治体の一般会計予算で賄われており、予算の潤沢な確保は年々難しくなっていると考えます。 限られた予算の中で、頻発する災害や高齢化社会に伴う救急出動に対応しなければなりません。新型感染症や急な機材の破損・故障などの予期せぬ出来事がある中においても、危険な業務を遂行する職員を守るために、装備品や装備車両などに使える自主財源を確保すべきであります。 そういった状況において、ネーミングライツの導入が、その一助となると私は考えております。令和2年12月定例会におきまして、私はネーミングライツの導入に向けて質問をさせていただきました。当時の清水敏男市長から、ネーミングライツの導入に向けた取組を進めてまいりたいと考えておりますとの御答弁をいただきました。 そこで、初めに、本市におけるネーミングライツ導入に向けた取組について伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 本市においては、本年3月に、ネーミングライツの適正な導入を図るため、その基本的な考え方を、ネーミングライツ導入に関するガイドラインとして取りまとめました。 その内容は、文化・スポーツ施設や公園などの対象施設、スポンサーの公募、選定手続などを定めたものであります。 その策定に当たりましては、県内や他の中核市における実施状況等の調整を行いながら、本年1月に素案を取りまとめ、市民の皆様からの意見募集、それから、事業所へのアンケートを実施いたしました。 また、ネーミングライツの導入に関する提案募集でございますが、先月から開始しております、21世紀の森公園などの市内8か所の公園における民間活力導入に向けたサウンディング型市場調査においても、その項目の1つとして行っているところでございます。
◆8番(小菅悟君) 先ほど御答弁がありました、公園のサウンディング調査、非常に期待しておりますので、ぜひ取組を進めていただきたいと思います。 それでは最後に、先ほど申し上げましたとおり、危険な業務を遂行する職員を守るためにも、装備品や装備車両などに使える自主財源を確保すべきであり、その一助となるであろう消防車両等へのネーミングライツを、私は導入すべきと考えますが、消防車両等へのネーミングライツについての御所見を伺います。
◎消防長(鈴木富康君) 消防車両等へのネーミングライツにつきましては、公安職の施設等に愛称を付与することが業務の特性上、そぐわないなどの理由から、全国的に導入が進んでいないと聞き及んでおります。 しかしながら、一部の自治体では導入事例もございますことから、その事業効果につきまして調査研究してまいりたいと考えております。
◆8番(小菅悟君) 全国的に見ましても、消防におけるネーミングライツの導入については、まだまだ取組が少ないとは思います。しかしながら、実際にネーミングライツを行っております名古屋市消防局、下関市消防局があります。名古屋市消防局のように組織名称にネーミングライツを導入する事例は珍しいとは思いますが、そういった事例もぜひ参考にしていただきたいと思います。 また、福岡市では、救急車を寄贈した人が名づけ親となり、救急車の車体に名前が印字され、福岡市内を走る救急車のうち3分の1を寄贈分が占めているとのことであります。名前入りの救急車を見かけた別の市民が寄贈した例や、寄贈のニュースを市政だよりで見て、自分も贈りたいという問合せもあるとのことであります。こちらは、寄贈ということであり、ネーミングライツとは少し手法が違いますが、十分にネーミングライツの手法として行える事例であるかと考えます。 本市が抱えている様々な資産、車両や施設などがあります。それらをネーミングライツを活用することにより、眠っている資産の活用が図られると私は考えております。 本市における公用車の数は、水道局、医療センターを除いて約700台以上であると伺っております。それらの車両も合わせまして、今後のネーミングライツ導入へ向け、消防関係者の皆様のみならず、庁内各部各課の皆様における柔軟な発想と大胆な実行力に御期待を申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後2時25分まで休憩いたします。 午後2時05分 休憩
--------------------------------------- 午後2時25分 再開
△狩野光昭君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。12番狩野光昭君。 〔12番狩野光昭君第二演壇に登壇〕
◆12番(狩野光昭君) (拍手)12番いわき市議会創世会の狩野光昭です。ただいまより通告順に従い、一般質問を行います。 大きな1つ目は、いわき市の環境問題についてであります。 いわき市の環境は、いわき市環境基本条例、いわき市公害防止条例などで、環境を保全し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築し、人と自然とが健全に共生できる、ふるさといわきの実現を目指すことが規定されています。 いわき市内で当面の課題となっている環境問題について取り上げていきます。 1点目は、風力発電事業についてであります。 市内における風力発電事業の概要について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 市内の風力発電事業については、令和3年11月末現在で、1事業・13基の風力発電機が稼働しており、また、7事業・最大96基の風力発電機の設置が計画されております。 これら7事業の環境影響評価法に基づく手続状況としましては、2事業が手続を終了しております。 そして、環境影響評価の方法書の段階が1事業、準備書の段階が2事業、評価書の段階が2事業となっております。
◆12番(狩野光昭君) 7つの事業で96基。市からいただいた資料によると、1つのタワーの高さが130メートル以上、ブレード、羽の直径が100メートル以上の大型風力発電機ということでありまして、事業対象実施区域が4,815ヘクタール。風車のヤード、基礎ですね。あるいは、管理道路等の土地改変面積が169ヘクタール。膨大なものです。こういうものがいわきの阿武隈山系に連立することになるということを、ぜひ理解をしていただきたいと思っています。 それでは、環境影響評価書で手続が終了している三大明神風力発電事業について伺っていきます。 当事業は、環境影響評価法に基づく手続が終了し、事業開始に向け保安林内作業許可手続を行い、作業用道路などが敷設されていますが、事業開始に向けた今後の見通しについて伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 三大明神風力発電事業につきましては、議員お触れのとおり、本年2月に、環境影響評価法に基づく手続が終了し、去る9月13日に、建設工事に着手されております。 なお、環境影響評価書によりますと、運転開始は、令和6年2月の予定となっております。
◆12番(狩野光昭君) 令和6年2月までの運転開始までの工事期間ということでありますけれども、それでは、三大明神風力発電事業において、住民と実施事業者及びいわき市との三者協定を締結しましたけれども、今後、いわき市として安全・安心な事業の推進にどのように関わるのか伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 平成30年11月に、中山間4地区区長会から、また、令和元年6月には、小川町区長会から、本市に対して要望がございました。 その中で、事業者、地元自治会及び市による三者協定を締結し、本市が安全・安心な風力発電事業の推進のため、積極的に関わるよう要請をいただきました。 このため、4月14日に、事業者及び地元区長会との三者による三大明神風力発電事業の運用管理等に関する協定を締結し、住民の皆様の安全・安心を最大限に確保することといたしました。 この協定の中では、次のような規定を設けております。 1つとして、防災、環境保全等に係る適正な措置を講じ、環境影響を回避、または低減すること。 2つとして、工事期間中の土砂流出等による災害及び地下水等への影響を未然に防止するため、土地造成、または、改変を最小限とすること。 3つとして、防災施設の適切な設置及び維持管理や、地下水等のモニタリングなどの措置を講じることなどであります。 市といたしましては、事業者に対し、その適切かつ確実な履行を求めてまいります。
◆12番(狩野光昭君) それでは、三者協定が締結されましたけれども、今後の工事具合、運用開始後、約20年間続くと思いますけれども、聞くところによって。その三者協定の締結内容が守られない事態が生じた場合は、市はどのように対処していくのか伺いたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 市といたしましては、三者協定の締結内容が守られない事態が生じないよう、繰り返しにはなりますが、今回締結した協定の適切かつ確実な履行を事業者へ強く求めてまいります。 併せまして、国・県など関係機関等と連携しながら、関係法令の遵守等についても、強く求めてまいります。
◆12番(狩野光昭君) この三者協定は、先ほど言っているように、工事期間中におけるところの安全管理。供用開始後の約20年、固定価格買取制度、約20年ですから。その20年間の安全管理もしていかなければならないんですよね。その都度ごとに、事業者のほうから、事業の経過報告書が上がってきますけれども、それをきちんと確認しなければならないし、現地に行っての確認というのは、大変重要になってくるわけであります。 先日、石城山岳会会員が、二ツ石登山のために現場を訪れました。登山口駐車場には、三大明神風力発電建設工事のため、令和6年6月まで立入り禁止の看板が設置されていました。この場所は、岩城山岳会が主催する、県内外から約400人が参加する山の観光の一大イベントである、いわき七峰縦のコースとなっています。この2年間は、コロナ禍により一般募集は中止していますが、会員による縦走は実施しています。今年は、風力発電工事のため、2つに分割して縦走するようになりました。 いわき市の山は、冬でも雪が少なく、登山家に人気の山が数多くありますが、その尾根伝いに風力発電機が設置されます。山の観光は以前のようにはできず、その影響が心配されるところであります。 何回も言っているように、確認行為というのが、20年間続くわけでありますから、区長さんが代わっても、その三者協定の中身を継承していくような体制というものを、きちんとつくっていくことが求められておりますので、そういった体制等をぜひ市のほうで指導をお願いしたいと思っております。 続いては、(仮称)阿武隈南部風力発電事業の現状について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) (仮称)阿武隈南部風力発電事業につきましては、平成31年3月に、環境影響評価法に基づく環境影響評価準備書の手続が終了しております。 事業者からは、今後、環境影響評価書の国の審査を受けた上で、広告・縦覧を行う予定であると聞いております。
◆12番(狩野光昭君) 評価書の縦覧はこれからということでありますから、準備書において、いわき市は、県に意見を述べてありますけれども、それが本当に評価書の中に反映されているのかということが必要となってくるのかと思いまして、市の確認だけではなくて、地元の住民もきちんと確認行為というのをしていかなければならないのかと考えているところであります。 小川地区などの住民団体は、平成元年及び令和元年東日本台風での浸水により、甚大な被害が発生し、現在も台風の襲来のたびに恐怖を感じる生活を余儀なくされています。 夏井川水系などに、(仮称)阿武隈南部風力発電事業及び(仮称)神楽山風力発電事業で59基の大型発電機が設置されれば、森林破壊が進み、土砂崩れや洪水のリスクの増加が心配され、事業の白紙撤回や三者協定締結は慎重にすべきとの意見が出されています。 このような住民の意見に対して、市はどのような対応を図るのか伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 風力発電事業につきましては、議員おただしのとおり、住民の皆様に十分な御理解を得て、適切な環境保全措置を講じた上で実施されるべきと考えております。 こうした認識のもと、これまでの環境影響評価法の手続の中で、事業者等に対し、住民の皆様への理解の醸成を図るとともに、環境全般への影響の回避・低減を図るなど、環境保全に十分配慮するよう意見してきたところであります。 市としましては、今後とも、事業者等に対し、周辺住民の皆様の不安を解消するため、十分な説明と丁寧な対応を行うよう、指導してまいります。
◆12番(狩野光昭君) 先日も、地元で3か所において、住民説明会が開催されましたけれども、コスモエコパワー株式会社は、発電工事の土地改変により、夏井川の流域増加については、影響はわずかだというようなことを言っているけれども、参加した住民は本当に不安であるということであります。というのは、前の質問であったように、気候変動による大型で強力な台風などの襲来があって、予測できない大雨、強風、土砂災害、そして夏井川の氾濫というものも予測されるわけであります。 先ほど言ったように、市の答弁にあったように、住民の理解というものが一番基本でありますから、それはガイドラインにも書いてあります。したがって、市については、事業者に対して、周辺住民が納得、安全・安心を確保できるための説明会というのは、今後ともきちんと開催することを強く求めていただきたいと思っております。 先ほども言っているように、環境影響評価手続の準備書で、県に対する意見をいわき市は出してあるわけですから、その意見が評価書にきちんと反映されているのか、そこの点検もお願いはしたいなと思っているところであります。 続いては、大規模開発による土砂流出、景観、バードストライク、超低周波など様々な弊害が予測をされます。浜松市や長野県などに倣って、住民とのトラブル回避や風力発電に適さない土地への事業計画を事前に防ぐために、ゾーニング計画を策定すべきであります。 これは、前、何人かの議員も質問しているところでありますけれども、それに向けての市の所見についてお伺いをしていきたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 風力発電事業につきましては、例えば、(仮称)阿武隈南部風力発電事業のように、一自治体にとどまらず、市町村をまたがって計画される事例もあり、環境保全などに関して、広域的な視点での配慮が必要となります。 このため、県との意見交換などの機会を捉え、ゾーニングなどの必要性について検討するよう働きかけを行ってきたところであります。 今後におきましても、引き続き、県に対して働きかけてまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) できるだけ粘り強く、何度も説得をしていただきたいと思います。 再生可能エネルギーの必要性は理解でき、共有できるものの、より多くの収益を上げるために、大規模開発となり、環境への影響が大きく、生態系の破壊も伴うものとなっています。地元自治体として、やはりあらかじめ開発適正値をゾーニングしておき、大規模開発に、私は備えるべきであると考えます。 今後において、気候変動に伴う地球温暖化に向け、いわき市としての、再生可能エネルギーの在り方について、若い世代も含めた幅広い市民の声を生かす市民会議などの組織を立ち上げ、市の施策に生かすことが、私は必要となってきているのかと思っております。市だとか事業者だけではなくて、広く、これからの一番被害を被るであろう若い人たちの意見というのをきちんと反映するような会議というものを、ぜひ検討をしていただきたいと思います。 また、GDPの量的拡大を追い求める大量生産・大量消費の社会構造を変革し、低成長の社会であっても、誰もが取り残されない社会の仕組みづくりの変革が求められているわけであります。そういったことの視点も、私は必要なのではないかと考えているところであります。 続いての質問は、太陽光発電事業についてであります。 市内の太陽光発電事業の現況について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 国が公表している再生可能エネルギーの固定価格買取制度、いわゆるFIT制度において認定された太陽光発電設備の累計で申し上げます。 令和3年6月末現在で、1万4,504件で29万8,746キロワットとなっており、このうち、事業者が多数を占めると推測される10キロワット以上の設備規模では、3,143件で24万7,745キロワットとなっております。
◆12番(狩野光昭君) 心配なのは、事業者の開発が3,143件あるという、膨大なものとなっておりまして、私のところにも、今、何人かからの相談がありまして、空いている山林があるので、固定資産税を払うのだったら、太陽光・風力発電を設置したほうがいいのではないかという事業者からの相談が相次いでいるんですよね。だから、今後ますますこういった太陽光発電の事業についての開発が想定をされるところであります。 続いて、山林を開発しての太陽光発電事業の現況について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 市内における太陽光発電に係る林地開発の許可、または、小規模林地開発の届出の件数等の平成25年度から令和3年11月までの累計について申し上げます。 県の許可が必要となる開発面積1ヘクタールを超える林地開発については、13件。開発面積は約87ヘクタール。また、1ヘクタール以下の小規模林地開発については、67件。開発面積は約22ヘクタールとなっており、合計では、開発件数は80件、開発面積は約109ヘクタールとなっております。
◆12番(狩野光昭君) ここにおいて、87ヘクタール、22ヘクタールですか。約100ヘクタール近い山林の開発がされて、太陽光発電が設置されておりますけれども、様々な問題点が、今、発生しておりますけれども、山林を開発しての太陽光発電事業に伴う問題点について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 市内における山林を開発しての太陽光発電事業に伴う問題点といたしましては、開発事業者が森林法等を遵守せずに無届けで伐採し、小規模林地開発計画書の提出をせず施工したものや、国が定めた太陽光発電に関する事業計画策定ガイドラインで規定されている排水施設やのり面緑化、第三者の安全を確保するための侵入防止フェンスの不備などが散見されます。 なお、県の許可が必要となる林地開発については、特に問題は発生していないと伺っております。
◆12番(狩野光昭君) ということは、1ヘクタール未満の67件の中での、先ほど言ったように、森林法等含めての法律違反の件数が結構あるということで、入手した資料においては、3割強がそういったところがあるというところであります。 具体的に言うと、小名浜上神白地区のエナジー電力株式会社の太陽光発電事業がありますけれども、この法令違反が相次いだわけでありますけれども、ここの経過について伺っていきたいと思います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 小名浜上神白の太陽光発電事業につきましては、平成29年2月20日に伐採届が提出されましたが、小規模林地開発計画書を提出せずに、平成29年10月に工事着手したため、工事の中止と必要な手続を行うよう指導しました。しかし、開発事業者がこれに応じないまま工事を進めたため、平成30年7月20日付で東北経済産業局へ違反事例として通知いたしました。 その後、平成30年10月2日に、国から開発事業者に対して指導が行われ、開発事業者は指導に従って是正工事を開始したものの、令和元年10月25日の豪雨によりのり面が崩落し、隣接する民家に土砂が流入するなどの被害を及ぼしました。 その後、被害を受けた住民と開発事業者と市による協議などを経て、復旧工事に着手し、令和2年3月17日に小規模林地開発計画書が提出され、令和2年11月5日に対策工事が完了いたしました。
◆12番(狩野光昭君) 今の経過にもあったように、この事業所というのは、約10の法律違反があって、平成30年に経産省によるのり面崩落防止の是正が指導されて、令和2年に是正完了工事したけれども、その後も土砂崩れを繰り返しているという。被害を受けている方から相談を受けておりますので、そういったことに対して、市としてどのような指導をしてきたのか伺っていきたいと思います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 同事業の是正工事につきましては、開発事業者がのり面強化のため、植生シートを張るなどの対策を行いましたが、緑化が図られる前に、降雨によるのり面の土砂崩れが発生いたしました。 市といたしましては、関係する部署と情報共有に努めるとともに、その都度、開発事業者に連絡し、速やかな復旧を行うよう指導してきたところであります。
◆12番(狩野光昭君) 私から見ると、本当に是正指導があっても、きちんとした対応がなされていないというところにおいては、こういった事業者というのは、今後増えてくるのかなと思っております。 被害者からの相談では、この土地は土砂災害特別警戒区域となっているところであり、先ほども言われているように、2月の大雨のときには、泥水が調整地からあふれ、市道の排水溝も飲み込むことができず、市道にあふれ出ました。 また、8月の14日未明には、大雨による土砂崩れが発生し、消防団の消防車両と資機材を置く詰所の道路を塞ぐ状態が続き、土砂崩れの対策が十分取られていない状態が続いたわけであります。 大変由々しき問題でありますけれども、こういった中での事業停止というものがなされていないわけでありますので、そういった悪質な事業者というものをきちんと指導するためには、私は、特に小規模太陽光発電事業者の法令違反行為が続いているわけでありますので、環境保全と住民の安全を守るため、太陽光発電事業に伴う規制条例の制定が、私は必要なのではないかと考えますので、市の所見を伺いたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 市としましては、太陽光発電施設の適正な導入や管理を図るため、事業者に対し、導入に当たっての留意事項や関係法令等の申請届出一覧及びガイドライン等を市ホームページに掲載するなどし、周知しております。 また、関係法令等の所管部署で構成する庁内連絡調整会議において、太陽光発電に係る問合せ内容や、国のガイドライン等の情報を共有し、連携を図りながら対応をしているところであります。 おただしの規制条例につきましては、国や他自治体の状況を注視し、その必要性について、調査・研究をしてまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 調査・研究というよりも、ぜひ検討をしていただきたいと思います。 というのは、頂いた資料を見ると、小規模の太陽光発電事業者は、本社はみんな東京、静岡、埼玉の県外なんですよね。この小名浜の上神白ののり面崩落においても、結局、千葉だとかから事業者が来て、半日かかるわけなので、すぐ対応できないんですよ。こういった状況というものを、認めるわけにはいかないのではないかと思っております。 特に心配するのは、先ほど何回も言っているように、太陽光発電事業は営業ですから。営利がなくなれば手放すということでありますけれども、それは、固定価格買取制度の適用期間は事業の場合は20年間なんですよね。事業として20年間成り立つものかなということも心配されるわけです。 ガイドラインには、事業終了後、適切に元のように戻しなさいということでのお金の積立てが指摘されておりますけれども、利益を優先するというような事業者になれば、その積立金はしていないと思うんですよね。ということは、20年後、利益がなくなったということになれば、そのまま放置される状況というものが生み出されるわけなんですよ。 そういったことも想定して、研究ではなくて、早急に規制条例の検討というのが、私は必要なのではないかなと思います。被害を被るのは市民なんですよね。被害を被ってからでは遅いわけでありますので、ぜひそこは強く検討するということを要望して、次の質問に移っていきたいと思っております。 続いては、大気汚染防止についてであります。 市は、大気汚染防止法に基づき、有害大気汚染物質モニタリング調査を実施していますけれども、令和元年度、令和2年度の結果について伺っていきたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 有害大気汚染物質モニタリング調査については、優先取組物質に選定されている22物質を調査対象とし、地点ごとに物質を選定し、調査を実施しております。 令和元年度は、環境基準の定められているベンゼン等4物質について、1地点で調査を実施し、全ての項目で環境基準を下回っております。 また、指針値が設定されていたアクリロニトリル等の9物質については、4地点で調査を実施し、2地点でヒ素及びその化合物が指針値を上回る結果となっております。 それ以外の8物質については、全ての地点で指針値を下回っております。 なお、環境基準及び指針値が設定されていない9物質については、1地点で調査を実施しております。 令和2年度は、環境基準が定められているベンゼン等4物質について、1地点で調査を実施し、全ての項目で環境基準を下回っております。 また、指針値が設定されていたアクリロニトリル等11物質については、4地点で調査を実施し、2地点でヒ素及びその化合物が指針値を上回る結果となっております。 その他の10物質については、全ての地点で指針値を下回っております。 なお、環境基準及び指針値が設定されていない7物質については、1地点で調査を実施しております。
◆12番(狩野光昭君) 続いての質問は、エイブルエナジー合同会社についてであります。 当社は、バイオマス発電所を好間工業団地地内に建設し、2022年4月から運転開始を目指しています。 同事業の運転開始後の、ばい煙や排水などの法律に基づく監視状況は、どのように行うのか伺っていきたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 当該施設は、木質ペレットを燃料としたボイラーを使用しており、硫黄酸化物排出量が毎時10ノルマル立方メートル以上及び排ガス量が毎時4万ノルマル立方メートル以上の施設となっております。 このため、大気汚染防止法に基づき、硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんは、いずれも2か月に1回以上の測定が設置者に義務付けられております。 市の監視については、今後、事業者と締結する公害防止協定に基づき、テレメーターシステムによるばい煙の常時監視及び報告等を予定しております。 加えまして、水質汚濁についても、同協定に基づき、年1回以上の測定及び報告を求めていく予定としております。 なお、来年4月の施設の本格稼働後において、立入検査等を実施し、法律等の遵守状況を確認することとしております。
◆12番(狩野光昭君) 続いての質問は、大気汚染防止法が改正され、石綿つまりアスベスト飛散防止対策が強化されたところであります。 事業者に、改正大気汚染防止法の周知を徹底するとともに、建築物の解体・改修工事、石綿除去工事の現場の実施調査を行い、必要に応じて、石綿の濃度測定を実施するなど、総合的な石綿の飛散防止対策の指導を徹底することが求められています。 市の所見を伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 現在、国では、大気汚染防止法の改正により、来年度から新たに義務付けされる建物等の事前調査結果の報告を行うためのシステムを整備しております。 市といたしましては、その状況を踏まえて、広報チラシの配布や、市ホームページ等での周知を行ってまいります。 また、一定以上の建築物等については、石綿含有建材の有無に関わらず、元請業者等が事前調査結果を、大気汚染防止法の政令市等へ報告することが義務付けられております。 このため、市としては、その事前調査結果を審査し、必要に応じ立入検査や環境測定を実施するなど、石綿の飛散防止対策の指導の徹底に努めてまいります。
◆12番(狩野光昭君) 建設業で従事する中央建設いわき健康保険組合のいわき出張所においては、私も中皮腫等の労災認定を手伝ってきたんですけれども、アスベスト暴露によって、これまで5名の方が中皮腫及び肺がんで労災認定を受けました。 そして、アスベスト暴露するという証拠である胸膜肥厚、プラークが25人もいるんですよね。だから、ぜひ市としても、こういった集団検診で胸部レントゲンやっていますから、専門医に再読影をしてもらって、アスベストの対応をお願いしたいと思っています。 なお、法律の制定によって、建設アスベスト給付金制度が創設されました。そういう被災された方については、遺族の方を含めて、最高で1,300万円を給付する内容となっておりますので、ぜひこれも周知をお願いしたいと思います。 厚労省のホームページに、労災支給決定情報提供サービスがアップされておりますので、こういったことをぜひ市民の方に広く知らせていただきたいと思います。 続いては、悪臭防止についてであります。 いわき市は、悪臭防止法により、事業活動に伴い悪臭を発生する事業場に対し規制基準を設け、悪臭苦情が申し立てられた事業場を中心に立ち入りし、検査を行っています。 過去3年間の悪臭調査結果に伴う指導内容について伺いたいと思います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 悪臭調査については、悪臭苦情が寄せられた事業場を中心に、立入検査を実施しております。 平成30年度は、産業廃棄物処理業及び化学工業の計2事業場の立入検査を実施した結果、基準値の超過はありませんでした。 令和元年度は、畜産業2事業場及び食料品製造業1事業場の計3事業場の立入検査を実施した結果、1事業場において、特定悪臭物質であるノルマル酪酸の規制基準超過が確認されました。このため、施設管理の改善指導を行い、改善がなされたことを確認しております。 令和2年度は、畜産業2事業場及び土石製品製造業1事業場の計3事業場の立入検査を実施した結果、基準値の超過はありませんでした。
◆12番(狩野光昭君) 続いての質問は、悪臭防止法による規制方式は、特定悪臭物質22物質を指定し、その濃度等を測定し規制する方法と、種々の悪臭物質は複合状態が想定されることから、物質を特定しないで人間の嗅覚を用いた測定法による基準、臭気指数で規制する方法があります。 いわき市は、特定悪臭物質による規制方法を採用していますが、その根拠について伺います。
◎生活環境部長(渡邊伸一郎君) 悪臭防止法第4条において、規制地域内に、その自然的、社会的条件から判断して、特定悪臭物質による規制では生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、特定悪臭物質に係る規制基準に代えて、嗅覚測定法による臭気指数の規制基準を定めることができる旨規定されております。 市内の規制地域内においては、悪臭調査の結果や、地形、気象条件、さらには、工場と住宅等の立地条件などの総合的な視点から見て、現行の特定悪臭物質による規制によって、生活環境が損なわれているような区域は認められない状況でございます。こうした状況から、特定悪臭物質による規制を採用しております。
◆12番(狩野光昭君) 工場の隣接する人から相談を受けて、環境監視センターにおいて、悪臭物質の濃度検査をして、基準値以下だったんですけれども、やはり悪臭が抜本的に改善されていないということ、臭いが依然としてあるということで。この方は、化学物質過敏症の相談を受けているんですけれども、やはり根本的な解決にならないということがあるから、ぜひ市としては、相談者と協力しながら改善を図っていただきたいと思っているところであります。 続いての質問は、皆さんにお配りした、その香り困っている人かもということで、私、化学物質過敏症健康相談センターいわきをつくってきておりますけれども、多くの方が今、柔軟剤等で臭いがきついということで、体調不良に陥っている相談があります。 そういったことも踏まえて、国は5省庁において、こういうポスターをつくったんですけれども、いわき市においてもぜひ多くの人が集まる医療センター、公民館、学校、保育園、幼稚園などにおいて、このようなポスターをぜひ掲示していただきたいと思いますけれども、市の所見を伺いたいと思います。
◎市民協働部長(高萩文克君) 市の消費生活センターには、柔軟剤などの香りに関する相談が年に数件程度寄せられております。 また、本年7月には、消費者庁から、ただいま議員より説明のありました、ポスターの提供があったところであります。 市といたしましても、当該ポスターを消費生活センター内に掲示し、香りに関して、過度な使用を避けるなどの周囲への配慮について、啓発に努めてまいります。
◆12番(狩野光昭君) 消費者庁のホームページに、このデータがアップされておりますので、ぜひデータを利用して、関係する機関については、掲示をお願いしたいと思っております。 続いての質問は、水質汚染防止についてであります。 小野町の株式会社ウィズウェイストジャパン一般廃棄物処理施設は、関東圏の市町村が排出した焼却灰等の廃棄物を、平成8年から平成23年まで搬入埋立てを行い、計画搬入は完了しました。その処理水は、夏井川の上流部に放流されています。水道水源の安全を確保する観点から、いわき市も市議会も設置反対及び同処分場の早期閉鎖に向けた取組を要請してきました。 しかし、当該事業者は、令和元年8月に埋立て容量の変更を福島県に申請をしました。令和2年3月12日に、いわき市議会も福島県等に当該処分場への変更を許可しないことを求める意見書も採択しております。 令和3年10月15日縦覧された小野町一般廃棄物最終処分場の変更許可申請について、福島県に対する市の意見について伺っていきます。
◎市長(内田広之君) 市といたしましては、当該処分場の設置に当たりまして、当初から、許可権者である県や事業者などに対しましても、容認できない旨を表明してきております。つまり、当該処分場が、いわき市の主要な水道水源でありますし、また、農業用水として利水している夏井川の上流域に立地もしております。本市の水源の安全性を将来にわたって確保していくという観点から、容認できない旨を表明してきたところでございます。 こうした中で、県から、本年10月15日付で再搬入計画に対する生活環境の見地からの意見を求められました。 市といたしましては、引き続き、当該処分場への廃棄物の再搬入は決して容認できないという立場の下、去る11月29日に、県に対しまして、回答をしております。 回答内容といたしましては、再搬入に伴いまして、新たに設置する浸出液調整池の能力・構造が不十分であること、また、既存の遮水シートについても、経年劣化によりまして、必要な能力を有していないなど、法律で定める基準、つまりは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく技術上の基準に適合していないと考えられることを回答いたしております。 加えまして、夏井川の水質への影響の予測評価が不十分であり、周辺地域の生活環境の保全への適正な配慮がなされていないと考えられることについても回答いたしております。
◆12番(狩野光昭君) 夏井川の平浄水場の取水源でもありますので、多くの市民も、今、不安を抱えているところでありますので、ぜひ強く要望をして、絶対認めないということの強い要望を、引き続いて出していただきたいと思っております。 大きな2点目は、動物愛護についてであります。 1点目は、犬・猫の殺処分を減らす取組についてであります。 犬・猫は、人生を共に歩む大切なパートナーとして、家族の一員として飼育する人が増えています。しかし、一方では、不妊去勢手術をしないことで、多頭飼育により、鳴き声の苦情や悪臭や不衛生な環境での飼育でのトラブルが原因となっています。野良猫を地域猫として活動する人と自治会とのトラブルが発生しています。野良猫や動物虐待は、動物の問題ではなく、全て人間から発生した問題であります。 一方、市内では動物愛護の取組も広がっております。 市内の小学生が、動物たすけ隊キッズサポーターズを設立し、犬と猫の殺処分ゼロに向けた活動を精力的に展開しています。YouTubeも開設し、市民に訴えています。平14区では、所有者のいない猫を捕獲し、不妊・去勢し、地域猫として管理活動を推進しております。 また、市の動物愛護行政の推進や、不妊・去勢手術費の助成事業及び地域の動物愛護団体によるTNR活動、つまり、捕獲し、不妊・去勢手術し、元の場所に戻す取組や里親募集の取組が広がりを見せています。このような取組があり、犬・猫の殺処分頭数が減っています。 殺処分の過去3年間の頭数について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 過去3年間の殺処分頭数を年度ごとに犬、猫の順に申し上げますと、平成30年度が15頭、159匹。令和元年度が2頭、194匹。令和2年度が9頭、172匹となっております。
◆12番(狩野光昭君) それでは、離乳前の過去3年間の殺処分頭数について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 過去3年間の離乳前の殺処分頭数を年度ごとに同様に犬、猫の順で申し上げます。平成30年度が10頭、69匹。令和元年度がゼロ頭、60匹。令和2年度がゼロ頭、67匹となっております。
◆12番(狩野光昭君) 殺処分の内訳を踏まえると、飼い猫及び所有者のいない猫の不妊去勢手術の奨励と、地域で猫を世話する猫管理活動を推進することなどにより、殺処分頭数が大幅に減らすことができます。 人と猫が共生できる地域づくりを目指して、いわき市猫の適正飼育管理ガイドラインを策定しました。このガイドラインを、市民、自治会、児童・生徒などに周知徹底を図り、地域猫等への理解促進の取組が必要となっています。 市の所見を伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) いわき市猫の適正飼育管理ガイドラインにつきましては、令和元年6月に動物の愛護及び管理に関する法律の一部が改正されたことを踏まえ、飼い猫の適正飼育と、所有者のいない猫の世話を地域で行う猫管理活動をより一層推進するため、令和2年3月に策定したものであります。 当該ガイドラインにつきましては、広報いわきや市ホームページなどにより周知し、市及び関係機関等の窓口で配布しております。 また、野良猫による糞尿等の被害に関する苦情や相談があった際に活用するなど、飼い猫の適正飼育や野良猫の適正管理に向け、普及啓発に取り組んでいるところであります。 今後とも、人と動物の調和のある共生を目指し、人と動物とが住みやすい生活環境づくりの指針として、広報いわきや市ホームページなど様々な広報媒体を活用し、市民の皆様に周知及び活用推進を図ってまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 私はこの啓発が1つの大きなターニングポイントになるのかなと思っておりますので、ぜひこれを広く配布して、市民に理解を求めていただきたいと思っています。 続いては、猫の殺処分は離乳前の猫が多くを占めています。 ミルクボランティアの活用を図り、猫の殺処分頭数を減らす取組が必要となっています。 市の所見を伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) ミルクボランティアにつきましては、離乳前の幼齢の犬・猫に対し、できる限り生存の機会を与えるための有効な方法であると認識しております。 しかしながら、ボランティアによる離乳前の動物の管理の難しさや、離乳までの1から2か月間、昼夜を問わずミルク等の世話が必要であり、肉体的負担があること、また、管理中に動物が死亡した事例もあり、精神的負担を生じてしまうこと、さらには、感染症のおそれがあることなどが課題であると考えております。 このため、市といたしましては、ミルクボランティアを活用している自治体から情報を収集するなど、調査・研究してまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) ぜひ調査・研究をしていただきたいと思っております。 続いての質問は、保健所に収容された犬・猫の譲渡の取組を強化し、殺処分の頭数を減らす取組を強化すべきでないかと考えます。 市の所見を伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 犬・猫の譲渡の取組につきましては、まず、保護した犬・猫の健康面や性格面における譲渡適正を、獣医師の資格を持つ市職員が判定いたします。その上で、譲渡が可能であると判断した犬・猫について、写真、種類及び特徴等の情報を市ホームページに掲載しますとともに、市総合保健福祉センター内で掲示し、新たな飼い主を募集しているところでございます。 譲渡に際しましては、飼育環境や終生責任を持って飼養するための適正等を事前に審査した上で、新たな飼い主に対し、終生飼養や適正管理に関する項目を盛り込んだ誓約書の提出を求めるなど、法令の遵守の徹底を指導しているところでございます。 また、老齢等の理由により一般の方への譲渡が困難である犬・猫につきましても、動物愛護団体等の関係機関と連携して、譲渡に努めるなど殺処分頭数の削減にも取り組んでいるところであります。 今後も様々な広報媒体を活用した周知活動や関係機関との連携に取り組み、譲渡事業のより一層の推進に努めてまいりたいと考えております。 なお、譲渡以前に保護の対象となる犬・猫の件数も少なくなるよう、終生飼養の一層の啓発にも努めてまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 市での譲渡の取組もさることながら、私の考えているのは、地域の保護団体が、そういった取組も行政と一緒になってやっているわけなんですよね。今、新たな団体ではないんですけれども、里親だとかを取り組んでいることがだんだん増えてきているんですよね。だから、そういった行政だけではなくて、地域の民間の力を借りながら、里親というものを広めていって、そういった取組というものが広がっていけば、殺処分頭数が減っていくのかなと思いますので、そういった方の民間活力をきちんと活用する取組を、ぜひ行っていただきたいと思っているところであります。 次の質問は、犬・猫は家族の一員として意識が高まり、犬・猫を飼養する人が増えるとともに、動物愛護法の改正により、市民からの相談内容が複雑化し、相談者に対応する時間が増えています。 そのような中で、いわき市の保健所については、獣医師の1名が欠員となっています。 獣医師の過重負担の解消のためにも、できるだけ早急に欠員を補充すべきでありますけれども、市の所見を伺いたいと思います。
◎総務部長(加藤弘司君) 獣医師の採用につきましては、本年6月実施の令和4年度職員採用候補者試験におきまして、受験者があったものの合格には至りませんでした。 その後、9月の再募集では、受験申込者がなく、現在、再々募集を行っているところであります。 これまで、獣医師の採用に向けましては、採用試験情報の市公式ホームページ等への掲載や、獣医学部の在る大学への受験案内の送付をいたしております。 加えまして、平成30年度実施の職員採用候補者試験からは、受験可能年齢の上限を40歳から45歳に引き上げる対応をしてきております。 今後におきましては、これまでの取組を行いながら、獣医師会への協力依頼、就職説明会への参加等の取組を積極的に行い、必要な獣医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 今、動物を飼う人が増えているので、動物病院にいろんな方がかかっているというところがあって、そちらのほうに従事する獣医師が多くなっていることは理解はしますけれども、1名がずっと欠員ということについては、補充する努力は分かりますけれども、きちんと対応を行っていただきたいと思っております。 というのは、法律が改正されたんですよね。現在の獣医師も、先ほど言っているように、獣医師などの事務分担内容は、犬・猫の現地調査や譲渡に関する健康管理、糞尿用検査、ワクチン接種及び殺処分などに対応する件数も増えております。 また、犬の保管所が保健所から時間を要する平地区の赤井にあり、現地での指導にも時間を要し、負担が増しております。さらに、環境省は6月に犬猫の繁殖業者やペットショップの飼育環境を規制する飼養管理基準省令を施行しました。 従業員1人当たりの上限飼養数の規制、または、来年6月から施行される飼育ケージの最低面積設定、メスの交配上限年齢及び繁殖用の犬・猫にマイクロチップ装着が義務化されたことで、市の職員が厳正に運用するために監視・指導という新たな事務が発生するわけなんですよね。 今後においては、新たな事務が発生するということでありますので、動物愛護行政の強化の視点からも、生活衛生に関わる獣医師や職員の増員を、私は要望していきたいと思っております。 最後の質問でありますけれども、ペットとの同伴避難についてであります。 環境省は、平成30年2月に、人とペットの災害ガイドラインを策定しました。自治体が行う災害時のペット対策の意義については、ペットとの同行避難は全ての被災者の生活環境の保全を図るものと指摘しています。 福島市は、9月から、災害時の犬や猫などと飼い主が一緒に身を寄せる、同伴避難所の運用を開始しました。いわき市もペットとの同伴避難施設設置を検討することが必要となっています。 市の所見を伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 飼い主とペットが同じ空間で避難生活を送る同伴避難につきましては、家族の一員であるペットを身近に感じることで、飼い主の心の癒やしや支えとなること、また、ペットにとっても飼い主と一緒にいることで生活環境の変化によるストレスが軽減されることなど、動物愛護の観点からも有効な方法であると認識しております。 また、令和2年8月に提出されました、いわき市台風第19号における災害対応検証委員会の最終報告書におきましても、避難所運営の課題の1つとして、ペット連れでも気兼ねなく避難できる環境整備を行う必要があると指摘されております。 ペット同伴避難所の設置につきましては、同伴避難が可能な施設の確保、必要な職員の配置、施設管理者から理解と協力を得ること、感染症を防止するための衛生環境の確保など、様々な課題があります。既にペット同伴避難の体制を構築しております自治体の事例等と参考にしながら、関係部署及び関係機関と検討を進めてまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 福島市の場合は、災害において、動物と一緒に避難したいために避難に時間がかかったという意見があって、そういったところの対策を含めて、こういったものを対策を講じてきたということであります。 というのは、コロナ禍も含めてなんですけれども、私たちの生活、特に1人での生活が増えてくることによって、犬や猫のペットが家族の一員となる人がすごく多くなっているし、癒やしにもなっているんですよね。 欧米では、アニマルウェルフェア、動物の福祉という意識が、今すごく広まってきておりますけれども、日本においても、動物の共生社会というものを、ぜひいわき市の中でも実現していくためにも、動物愛護行政の強化というものを強く訴えて、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
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△散会
○議長(大峯英之君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後3時26分 散会
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