いわき市議会 > 2020-12-07 >
12月07日-02号

  • スマートシティ(/)
ツイート シェア
  1. いわき市議会 2020-12-07
    12月07日-02号


    取得元: いわき市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-12
    令和 2年 12月 定例会            令和2年12月7日(月曜日)議事日程第2号 令和2年12月7日(月曜日)午前10時開議  日程第1 市政一般に対する質問---------------------------------------本日の会議に付した事件          〔議事日程第2号記載事件のとおり〕---------------------------------------出席議員(35名)     1番  川崎憲正君      2番  木田都城子君     3番  木村謙一郎君     4番  山守章二君     5番  西山一美君      6番  長谷川貴士君     7番  吉田雅人君      8番  小菅 悟君     9番  高橋明子君      10番  菅野宗長君     11番  鈴木さおり君     12番  狩野光昭君     13番  永山宏恵君      14番  小野潤三君     15番  小野邦弘君      16番  大峯英之君     17番  大友康夫君      18番  安田成一君     19番  平子善一君      20番  遠藤崇広君     21番  鈴木 演君      22番  馬上卓也君     23番  福嶋あずさ君     24番  坂本 稔君     25番  蛭田源治君      26番  菅波 健君     27番  塩沢昭広君      28番  柴野美佳君     30番  塩田美枝子君     31番  田頭弘毅君     32番  赤津一夫君      33番  石井敏郎君     34番  上壁 充君      35番  佐藤和良君     37番  佐藤和美君欠席議員(2名)     29番  小野 茂君      36番  樫村 弘君---------------------------------------説明のため出席した者 市長         清水敏男君   副市長        新妻英正君 副市長        久保克昌君   教育長        吉田 尚君 水道事業管理者    上遠野裕之君  病院事業管理者    新谷史明君 代表監査委員     小野益生君   総合政策部長     大和田 洋君 危機管理監      山田 誠君   総務部長       岡田正彦君 財政部長       澤田洋一君   特定政策推進監    渡邉一弘君 市民協働部長     下山田松人君  保健福祉部長     飯尾 仁君 農林水産部長     本田和弘君   都市建設部長     高田浩一君 教育部長       高田 悟君   消防長        猪狩浩二君 医療センター事務局長 鈴木善明君   総務課長       阿部 通君---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長       山崎俊克君   次長         小針正人君 総務議事課長     江尻貴志君   総務議事課課長補佐  金山慶司君 主任主査(兼)議事運営係長            鈴木 潤君---------------------------------------          午前10時00分 開議 ○議長(大峯英之君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第2号をもって進めます。--------------------------------------- △日程第1 市政一般に対する質問 △小野潤三君質問 ○議長(大峯英之君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。配付の質問通告表の順に発言を許します。14番小野潤三君。          〔14番小野潤三君第二演壇に登壇〕 ◆14番(小野潤三君) (拍手)14番いわき市議会志帥会の小野潤三です。 9月13日に執行されました、いわき市議会議員選挙におきまして、本日この議場に参集されている皆様と共に当選させていただき、私は3期目をスタートさせていただきました。改選後、一般質問のトップバッターを務めさせていただくことを光栄に感じております。 私の座右の銘があります。フランスの啓蒙思想家ヴォルテールの言葉とされているものであります。 私はあなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は、命をかけて守る。 これこそまさに、民主主義の精神です。そして、全ての議会人が根底に持っていなければならない信念だと思います。立場や意見は異なっていても、互いにそれを尊重し、率直に議論を交わしながら、社会を前に進めていくべきです。前の任期の中で、いわき市議会の歴史上初めて、議員同士の議論の中で1つの条例を成立させることができました。我々いわき市議会は、長い時間をかけて議会改革というテーマを進めていますが、議会という場所が、単なる主導権争いや、誰かの利害、思惑で動くのではなく、市民にとって何が最善の選択なのか、それを見出すために、政策を中心とした真摯な議論によって成り立つ場でなければなりません。それこそが、議会改革の本質だと私は信じています。これからの4年間、一緒に当選したこの37人で、議会人としての理想を共有しながら、共に活動できますことを心から願い、まずは私自身がこのことを自分自身の根底に据えて議員活動を行っていくことをお誓い申し上げまして、以下、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな質問の1番目は、令和3年度予算編成についてです。 現在の社会情勢は、人口減少という大きなトレンドに加え、災害、感染症など、多事多難な状況にあります。令和3年度は、こうした本市のかじ取りが問われます。 そこで、まず1点目として、令和3年度の予算編成方針について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 令和3年度当初予算編成方針につきましては、まず、新型コロナウイルス感染症対策として令和3年度においても、感染・蔓延防止策や地域医療の確保、また、市民生活や地域経済への影響を最小限にする取組のほか、新しい生活様式の実現・定着に向けた取組に対して予算を重点的に配分してまいりたいと考えております。 そして、全体の考え方としましては、中期的な財政見通しに立ちながら、新たに策定予定のまちづくりの経営指針の下、誰もが住んでよかった、住み続けたいと思える魅力にあふれたいわきを実現するための新たなまちづくりの推進のほか、第2期復興・創生期間における取組と防災・減災・克災の着実な推進、持続可能な行財政運営の確立の3つを基本方針に掲げ、財政の健全性を保ちながら、新しいまちづくりを着実に進めていくこととしたところであります。 具体的な取組といたしましては、まず1つとして、幅広く安全・安心を確保する取組やひとづくり・まちづくり・しごとづくりを図る取組、市民の皆様と一体となって共創力を高める取組を充実強化するため、予算を重点化することとしております。 また、2つとして、第2期復興・創生期間においても継続して取り組むべき事業や、災害を克服する力強いまちづくりに向けた取組に対して予算を重点的に配分するとともにこれらの取組に係る財政措置を積極的に活用し、財源の確保を図ることとしております。 ◆14番(小野潤三君) 2点目は、令和3年度予算に対する、志帥会会派要望の反映についてです。 去る11月18日、私ども、いわき市議会志帥会が市長に対し、令和3年度市政執行並びに予算編成に対する要望書を提出しました。 88項目に及ぶ本要望書を、令和3年度予算にどのように反映するのか伺います。 ◎副市長(新妻英正君) いわき市議会志帥会からいただきました御要望につきましては、誰もが安全に安心して暮らせるふるさといわきの創生や新たなまちづくりに向け、あらゆる災害・感染症から生命と暮らしを守るまちづくりをはじめ、美しい環境を守り、育てあうまちづくりなど、政策の柱ごとに取り組むべき事項が示されておりますが、いずれも市民福祉の向上と本市のまちづくりの根幹を支えるものとして、大変重要なものと受け止めております。 現在、令和3年度当初予算の編成作業を進めておりますが、今回の御要望を念頭に置きながら、現下の新型コロナウイルス感染症が本市に与える影響に対応しつつ、新たに策定予定のまちづくりの経営指針の下、魅力にあふれたいわきの実現、そして、第2期復興・創生期間における取組と防災・減災・克災の着実な推進に向けた予算案を取りまとめてまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) この予算要望はまさに会派としての政策集でありまして、一つ一つ実現を目指してまいりますので、予算編成の過程で意を用いてくださるようお願いいたします。 大きな質問の2番目は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。 新型コロナは、既に長期戦の様相を呈しています。コロナ禍の下で初めての冬を迎えようとしている中、全国的には第3波と呼ばれる感染拡大が見られています。しかし感染状況は一様ではなく、地域の実情に応じた対策を施していくことが必要です。こうした状況の中、本市はどのように対応していくのか伺ってまいります。 1点目の質問は、本市の感染状況についてです。 本市においては12月6日現在、49人の感染が確認されています。 ここまでの感染状況について、本市の特徴をどう捉えているか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市において、新型コロナウイルス感染症の陽性者として確認された47人の特徴といたしましては、まず、入院時の症状につきましては、47人中、30人が軽症、17人が無症状であり、また、感染経路につきましては、職場での感染及び家族や知人からの感染が多く、その多くが既に陽性が確認された方の濃厚接触者であり、多くの場合、推定も含め、感染経路が特定されるなど、感染者が散発的に確認されているものの、比較的落ち着いた状況にあると考えております。 なお、現在の医療の逼迫度につきましては、外来や入院の受入れが困難な事態には至っておりませんが、全国的な感染拡大の状況から予断を許さない厳しい状況にあると認識しており、今後とも、県や医療機関と連携しながら、患者数の増加に備え、医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 今のところ、比較的抑え込めているということかと思います。 2点目の質問は、本市の医療体制についてです。 感染者数は全国的に過去最高を更新し続けるような状況が続いておりますが、問題は、それに対する医療体制が十分確保できているかだと言われております。 1つとして、入院療養施設の現在の整備状況について伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 入院療養施設の体制につきましては、11月26日現在、福島県全体で、病床を最大で469床確保するとともに、宿泊療養施設を160室確保しております。 このうち、市内にある宿泊療養施設においては100室が確保され、医療スタッフをはじめ、県と市の職員による共同運営体制についても、準備が整っております。 ◆14番(小野潤三君) コロナに対する相談・受診の流れが11月から変わりました。従来の帰国者・接触者相談センターが受診・相談センターに変わるとともに、新たにかかりつけ医など地域の身近な医療機関に相談、受診、そしてPCR検査などを行うための検体採取ができるようになりました。こうした医療機関は県が指定し、診療・検査医療機関と呼ばれます。 2つとして、この指定医療機関の概要について伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 診療・検査医療機関は、各医療機関からの申請に基づき、新型コロナウイルス感染症の診察・検査が可能であるとの県の指定を受けた医療機関であり、発熱等の症状のある市民は、この医療機関で診察・検査を受けることになります。 これは、多くの発熱患者が発生するおそれのあるインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備え、かかりつけ医等の身近な医療機関において相談・診療・検査を受けられる医療体制を整備するために行われたものであり、11月24日時点で、県の指定を受けた市内の診療・検査医療機関は市街地を中心に65施設あり、身近な医療機関で診療が受けられる体制が整ってきていると考えております。 ◆14番(小野潤三君) 市内で65施設できたというのは、大きな安心材料かと思います。今後も、医療体制の強化をお願いいたします。 PCR検査などが、毎日どの程度の数を行えるのかというのは、コロナ禍になって以降、ずっと問われてきました。 3つとして、現在、市内の検査体制はどのようになっているのか伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 新型コロナウイルス感染症の検査方法は、現在、保健所が行政検査として行う、鼻咽頭拭い液や唾液によるPCR検査のほか、診療・検査医療機関等が医師の判断により保険適用行政検査として行うPCR等検査、または、抗原定性迅速キット検査がございます。 県の公表によれば、11月9日現在、県全体で、保険適用を含めた行政検査として、PCR等検査については1日最大2,004検体、抗原定性迅速キット検査については1日最大5,792検体で、合計7,796検体の検査が可能としております。 このうち、市保健所が行政検査として行うPCR検査については、委託先の市内の民間検査機関において、県全体分として、1日600検体が検査可能となっているほか、市保健所でも1日10検体が可能となっております。 また、市内にある診療・検査医療機関においては、市内外の民間検査機関PCR検査等を委託することが可能であり、さらに、抗原定性迅速キット検査は当該医療機関内で行うことが可能でありますことから、正確な検査可能件数の把握は困難でありますが、市内に診療・検査医療機関が11月24日現在で65施設あることから、相当数の検査が可能になっていると考えております。 なお、症状等はないものの、PCR検査を希望する方に対しては、いわきFCクリニック等において、新型コロナウイルス検査を自費診療にて行っております。 ◆14番(小野潤三君) コロナへの対応は試行錯誤の連続であります。その1つに感染アプリがあります。陽性者と接触があった場合にそれを通知してくれる、国の接触確認アプリがあり、いわき市では独自にQRコードからメールを送信するあんしんコロナお知らせシステムを運用しております。こうしたシステムは、全ての国民、市民が利用すれば有効でありますけれども、期待したほどには活用されていないように思います。 4つとして、これまでの感染者の中で、これらのシステムが感染の発見に効果を発揮した事例はあるのか伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 本市におきましては、これまで、国の接触確認アプリによるPCR検査の実績については5件であり、また、市あんしんコロナお知らせシステムにつきましては、登録店舗を陽性と確認された方が利用した場合はありましたものの、感染可能期間が外れているなどから、PCR検査に至った実績はございません。 なお、接触確認アプリを通じて検査した結果、陽性となった事例はございません。 ◆14番(小野潤三君) 先ほども申し上げましたとおり、コロナへの対応は試行錯誤の連続です。空振りを恐れず、有効と思われることは何でもやるという姿勢はまず必要なことだと考えます。あんしんコロナシステムの導入には私は賛成をしまして、一定の効果はあるのかなと今の御答弁で思いますけれども、万が一効果がなかったとしても、批判には当たらないと思っております。今後のために、検証は必要だと思いますので、感染された方への聞き取りなど、できる限りの調査をしていただくようにお願いしたいと思います。 コロナ禍の初めての冬、国もGoToキャンペーンを見直すなど、感染状況に対応して、手綱を締めたり、緩めたりしております。 5つとして、寒い冬に向かって市民に呼びかけることは何か伺います。
    保健福祉部長(飯尾仁君) 国内における新型コロナウイルスの感染状況は、11月に入り、全国の1日の新規感染者が初めて2,000人を超え、過去最多を更新するなど、第3波の様相を呈してきております。 市内におきましても、いつどこで感染が急拡大してもおかしくない状況にありますことから、市民の皆様、事業者の皆様におかれましては、感染の急拡大の可能性を強く認識し、強い緊張感を持って、今一度、御自身の感染防止対策を再確認し、万全を期していただくことをお願いしたいと考えております。これから年末年始を迎えるに当たり、移動や面会、会食など、人との接触機会が増えることを踏まえ、政府が示す感染リスクが高まる5つの場面について特に注意し、できるだけ避ける行動を取られるようお願いいたします。 さらに、帰省や旅行につきましても、体調が悪いときにはお控えいただくとともに、現在の感染状況を踏まえ、慎重に検討された上で、御判断されますようお願いいたします。 ◆14番(小野潤三君) 3点目の質問は、コロナに立ち向かう上での体制強化についてです。 令和3年度に新たに危機管理部を設置する中で、感染症対策については、従来の体制とどのような違いがあるのか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 近年、頻発化・激甚化する自然災害への的確な対応が求められる中、いわき市台風第19号における災害対応検証委員会からの最終報告や、今般の新型コロナウイルス感染症対策の実施状況等を踏まえ、市民の皆様の暮らしの安全・安心を高める観点から、危機管理体制のさらなる充実・強化を図るため、新たに危機管理部を設置することとしております。 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、新たな組織となる危機管理部危機管理課において、新たに新型コロナウイルス感染症対策本部事務局に参画し、現在、保健所が担っている感染症対策等に関する各部等の取組等の取りまとめや、庁内関係部署における情報の共有化等を担うことなどを想定しておりますが、今後の新型コロナウイルス感染症対策の実施状況等を踏まえながら調整してまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) コロナの対応で保健所は相当大変な日々を過ごしておりますので、そこは全庁的な体制で強化していただければと思っております。 大きな質問の3番目は、災害対応検証委員会の最終報告書と今後の危機管理についてです。 昨年は令和元年東日本台風で本市が甚大な被害を受け、発災後、時々刻々と変わる被災者ニーズに対し、必ずしもスピーディーに、的確に対応できていない様子を見ておりました。昨年12月定例会の一般質問におきましては、私自身が感じた災害対応の課題を取り上げました。その後、いわき市台風19号における災害対応検証委員会において検証が行われ、今年8月に最終報告書が市に提出されました。次の大規模災害に向けた対応について伺ってまいります。 質問の1点目は、報告書の取り扱いについてです。 最終報告書では、数多くの提言が書かれております。これらを全て実現していければ、災害対応はかなり改善されると感じます。 そこでまず、この提言は全て実現するということで取り組んでいく考えなのか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 市といたしましては、検証委員会による最終報告を真摯に受け止め、中間取りまとめや最終報告等を踏まえ、早急に取り組むべきものを整理し、対応しているところであり、特に、これまでは本格的な台風シーズンを迎えるに当たり、避難情報の伝達や新型コロナウイルス感染症対策を含めた、避難所の開設運営、さらには避難行動の在り方に関する取組を中心に順次対策を講じてきたところであります。 今後につきましては、引き続き、防災行政無線をはじめとした伝達手段の検討を進めるとともに、避難所環境のより一層の充実、避難行動要支援者の避難誘導に向けた対策のほか、災害対策本部のさらなる充実強化、住民参加による防災訓練の実施、自主防災組織の活動充実や地区防災計画の作成促進など、最終報告における提言の実現を図りながら、本市における災害対策等と災害対応体制の充実強化に向け、全組織を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 報告書では6つの切り口から検証を行っております。そのうち2つを取り上げます。 そこで質問の2点目は、情報伝達の在り方についてです。 その1つが防災ラジオです。最終報告書では、防災ラジオの貸与対象者の拡大に取り組む必要があると提言されております。今年の6月定例会で、そのための補正予算も組まれました。 この事業は、現在までどのような実施状況か伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 防災ラジオの貸与につきましては、災害時に自力での情報収集が難しく、避難に当たって特に支援が必要となる避難行動要支援者のうち、携帯電話やインターネット等の操作が苦手な方が多いと思われる高齢者をはじめ、介護保険制度の要介護3から5の認定を受けた方等を新たな対象者として、避難行動要支援者名簿に係る情報提供の同意状況等を参考に1,000台整備し、広報いわきをはじめ、テレビ、ラジオ、新聞等の様々な媒体を活用し周知を行いながら、無償貸与を希望される方に本年9月からお配りしているところであります。 その実績につきましては、本年11月末現在、申請された世帯67世帯のうち、辞退された1世帯を除く66世帯に対して無償貸与の決定をしております。 今後におきましては、引き続き、関係各課をはじめ、関係機関・団体等と連携を図りながら、介護事業所等を通じたさらなる周知活動等に努めるとともに、防災講座や自主防災組織の研修会等の各種研修会の開催、さらには、住民参加型の防災訓練などのあらゆる機会を活用して、防災ラジオの無償貸与の促進に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 1,000台の予定で今のところ66台ということですので、今後ちょっと頑張っていただかないといけないと思いますので、よろしくお願いします。 2つ目は、昨年の質問で私が提案しました固定電話を活用した一斉電話サービスについてです。 最終報告書ではこの件も取り上げておりまして、他市の事例を調査・研究するとされております。固定電話を使えば、防災ラジオのようにハードを準備することも不要ですし、自宅にいる方には確実に情報が届きます。 実現に向けた調査・研究の状況はどのようなものか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 固定電話を活用した一斉電話サービスにつきましては、さらなる情報伝達手段の多重化を図る観点から、昨年度、他市における導入状況について調査したところでありますが、導入後間もないことなどもあり、サービスの手法や対象規模等もそれぞれに異なり、その導入効果を十分に把握検証することができず、継続して調査研究する必要があるものとしていたところであります。 このようなことから、今後におきましては、議員おただしの趣旨や、検証委員会の最終報告も踏まえながら、中核市等を対象にその実施状況等について引き続き調査研究を行い、実現に向けての課題の整理や費用対効果を踏まえながら、その導入について検討を進めるなど、高齢者等の要配慮者にも効果的な情報伝達の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 導入している自治体はたくさんあるようなんですけれども、やり方はどうもいろいろのようなのでよく研究していただいて、導入を前提としながら、今後、取り組んでいただきたいと思います。 質問の3点目は、危機管理体制についてです。 最終報告書では災害対策本部の対応についてという項目の中で、危機管理体制について述べられております。災害対策にはたくさんの業務がありますが、大本の体制がしっかりしていなければ、個々の災害対応業務を十分にコントロールできません。この点は、昨年の質問でも指摘したところであります。危機管理体制をどう構築していくのか伺ってまいります。 まず、来年度新設される予定の危機管理部の概要について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市の危機管理体制につきましては、これまで部長職の危機管理監の下、危機管理課や原子力対策課を設置し危機事象に対応してきたところでありますが、近年、頻発化・激甚化する自然災害への的確な対応が求められる中、いわき市台風第19号における災害対応検証委員会からの最終報告や、新型コロナウイルス感染症対策の実施状況等を踏まえ、市民の暮らしの安全・安心を高める観点から、これまで以上に防災・減災・克災に重点的に取り組むなど危機管理体制のさらなる充実・強化を図るため、次年度に危機管理部を新設するものであります。 危機管理部には、土木部河川課が所掌する水防事務及び危機管理課が所掌する災害対策業務を一元化し、自然災害対策への対応力強化を図ることを目的として災害対策課を設置するほか、国民保護など自然災害以外の危機事象への対応や、国土強靭化地域計画に関する事務等を所掌する危機管理課、さらには、原子力防災対策等を所掌する原子力対策課を設置し、3課体制とすることとしております。 また、人員体制につきましては、今後、令和3年度の人事異動の中で検討することとなりますが、同部の設置目的の達成に必要となる人員確保について意を用いてまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 危機管理が課から部に昇格するということですが、関係各部署をしっかりと統括できるよう、万全の体制づくりをお願いいたします。 昨年の質問では、災害の際にまず水防本部が立ち上がり、次に災害対策本部に組織が移行するという問題を指摘しまして、2つの組織を一本化すべきだと訴えました。最終報告書ではそれにつきまして体制の統廃合、災害対策本部に一本化について検討すると明記されております。 2つとして、その実現に向け、現在どのような準備状況にあるのか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 大雨等による風水害の際は、水防法に基づく水防本部、または地区水防本部が設置され、災害対応に当たることとなっておりますが、市地域防災計画におきましては、災害救助法が適用となる規模の災害が発生した場合などにおいて、災害対策本部に移行するとされております。 令和元年東日本台風時におきましては、災害対策本部への移行に伴い、各部隊における班編成や事務分掌等の配備体制が変更されるとともに、事務局も河川課から危機管理課へ移行されたことなどから、各部隊におきましては、初期の段階において職員の配置や本部との連絡調整等に手間取るなどの例も見られたところであり、水防本部と災害対策本部の一元化、そして、事務局機能の危機管理課への一元化を図ることにより、これらの課題が解消され、より一層、効率的・効果的な災害対応が図られるものと考えております。その一元化に向けた取組状況につきましては、新年度の新たな組織の発足に遺漏なく事務移管を進め、迅速な災害対応に支障や混乱が生じることのないよう、年度内を目途に関係部署等との協議を踏まえ、各種計画の調整など、想定される課題等を整理しながら必要な対応を講じるなど、体制の整備に向けて、鋭意検討を進めているところであります。 ◆14番(小野潤三君) 3つ目は平支所の設置についてです。 昨年の質問で申し上げましたが、本市で支所がないのは平地区のみであります。平地区は、本庁の各部署が担当するから支所はいらないということで長年やってきました。しかし、昨年の水害で、行政の各分野を超えて、地域を地域として捉える部署が平地区にはないということの弊害が明らかになりました。今被災した地区で何が困っているのか、何が抜け落ちているのかという視点で見る人が誰もいないため、対応が後手後手に回りました。こうしたことから、平支所は必要だと訴え、答弁としては、必要性について研究してまいりたいというものでありました。 そこで、この1年間、どのような研究をされたのか伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 平地区におきましては、現在、本庁機関の専門部署において、出先機関である支所が提供する行政サービスを含めて、効率的、効果的な業務を執行しているところでありますが、おただしの平支所についての研究結果につきましては、平常時において支所に求められる市民窓口機能、事業執行機能及びまちづくり活動支援機能の3つの機能及び災害対策機能を有し、総合的な行政サービスを提供する基幹的な支所として整備する場合を想定し、地区別人口比を基に所掌する業務ごとの必要人工数を試算したところであります。 その結果、人口規模等を踏まえまして、小名浜地区との比較による平地区の試算によりますと、小名浜支所の29人に対し32人工となったところでございますが、支所が所掌する業務は、市民協働部、土木部、生活環境部など各部局にわたっており、本庁各部等において、本庁業務とともに平地区の業務を担っておりますことから、必要な人員は基本的に本庁機関の各部署から確保することになるため、人員確保が課題になるものと考えております。 一方、非常時に求められる災害対策機能につきましては、災害対応検証委員会の最終報告書を踏まえ、行政嘱託員や区長をはじめ、民生委員など地域の方々との日頃の関係性を生かした取組を推進していく観点から、本庁機関の各部署において、平地区の業務を担当する職員を定めるなど各種相談窓口を明確にするとともに、災害発生時には、当該職員が災害対策平地区本部員として、地域の方々と連携を密にしながら、災害対応業務に従事すること等により、災害対策機能の充実・強化が図られるものと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 30人も人が必要なので、なかなか難しいということかと思いますけれども、平支所設置を訴えた趣旨というのは、平時から区長をはじめとする地域住民と接する部署が必要だということであります。しかし組織を1つ新設するのは簡単ではないことも分かります。その意味では、支所よりもワンランク下のサービスセンターをつくるということでもいいでしょうし、例えば公民館というのが今ありますので、社会教育活動に加えて、地域づくり機能を付与すれば、私が求めているような機能も果たせるのではないかと考えます。 そこでまず1つは、災害が起きた際に現地対策本部を設置する。その際に現職の公民館職員など、ふだんから現地で地域と関わっていて、現地に詳しい職員で、発災時に地域と災害対策本部をつなぐことが可能な職員を活用することについて伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 災害発生時におきましては、被災された方々の要望の把握、また支援に関する各種情報の提供が重要であります。 このため、令和元年東日本台風における災害対応におきましては、平窪地区と赤井地区に、平地区本部の下に現地対策事務所を設置し、地域の状況等の把握をはじめ、支援物資の配布や各種情報の提供、関係機関との連絡調整を行ったところであります。一方、現地対策事務所につきましては、初めて設置した中で支援活動に時間を要したことなどから、今後におきましては、被災地区に対する様々な支援活動の拠点として、甚大な被害を受けた被災地区における公民館等の公共施設を基本として、発災後速やかに現地対策事務所を設置するとともに、平時の業務の中で地域との関わりの深い職員や、令和元年東日本台風等において災害対応の経験を持つ職員等を適宜配置しながら、被災された皆様に対するきめ細やかな支援活動に努めてまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 実はこの質問は、質問聴取の際にかなりもめてしまいまして、私の意図する質問ではなくなってしまいました。私が求めていたのは、平時において地域振興担当員のような職員を配置できないかというものでありました。平時にそういう人材がいれば、災害のときも現地と災対本部をつなぐ役割を果たせるのではないですかということです。地域振興担当員を所管する地域振興課は平時のことだけ、危機管理課は危機のときだけということで、私としては平時から災害時への連続性という話をしているんですけれども、議会答弁のつくり方が縦割りのために、こういう質問に対応できないということが分かりました。これは、いわき市役所のかなり本質的な欠陥だと言わざるを得ません。 そこで改めて伺います。災害が起きた場合のことを見据えて、平の各地区、例えば平窪とか神谷とかに、平時から、例えば地域振興担当員のような地域づくりを担当する職員を配置しておくことの必要性について、どのように考えるか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 平地区におきましては、全市的な地域振興と併せて、この役割の一部を地域振興課が担当しておりますが、地域コミュニティーや福祉、環境、産業など各分野の活動に対しましては、本庁の各担当部署が対応しているところであり、また、地域に身近な活動拠点である公民館におきましても、活動を支援している例もあります。このため、平地区のまちづくり活動の支援につきましては、必要に応じて関係部署や公民館と連携しながら行っているところでございまして、今ほど議員おただしの、公民館に地域振興担当員を配置することにつきましては、2年前に中央台、それから泉にも置きましたように、今後の各地区のまちづくりの実情を踏まえまして、その必要性については検討してまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 中央台とか泉では既に行われていますけれど、平でこそ必要だと思うんです。そこは現実的な課題として考えていただきたいと思います。 昨年の質問では、災害対策本部会議を1日2回開催したことによる弊害を指摘いたしました。発災直後の、業務が繁忙な時期に、危機管理課が会議資料を毎日2回つくることに忙殺されたという、本末転倒な事態が生じておりました。 4つとして、今後災対本部会議はどのように運営する考えか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 災害対策本部会議につきましては、災害対応業務に全組織を挙げて取り組むため、本部長の指示を踏まえながら、災害対策に関する協議を行い、状況に応じた具体的な対策を図るとともに、情報の伝達・共有を図ることを目的に開催することとしております。 その運営につきましては、災害発生時前後の日々刻々と変わる多種多様な状況の変化に迅速に対応するため、本年11月から運用を開始したウェブ会議システムを活用しながら、災害状況に応じた随時の会議の開催や会議の参集範囲の柔軟な設定等を図るとともに、さらには災害対策本部と災害対策地区本部における連携強化及び情報共有を図るための会議を開催するなど、災害対策の適時適切な実施に向けた、円滑かつ効率的・効果的な会議の運営に努めてまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) では5つとして、最終報告書にマニュアルという言葉がたくさん出てくるんですけれども、マニュアル整備はどのように行う考えか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 大規模災害時において迅速かつ的確な初動対応を行うためには、各対応業務に係るマニュアルを作成し、職員に周知徹底を図ることが重要であるものと認識しております。 このことから、市といたしましては、令和元年東日本台風の教訓等を踏まえ、既存の各個別マニュアルの見直しをはじめ、新たに、各部等において、罹災証明発行等に係る業務や、物資調達・搬送に係る業務などの個別マニュアルを作成したところであります。 今後におきましては、さらに災害対応に係る個別マニュアルの作成を進めるとともに、既に作成されたマニュアルについては、より実効性のあるものとして整理するため、総合防災訓練等の機会を通じて、その確認等を行いながら、適宜見直しを図るなど、迅速かつ円滑な災害対応に向け、体制の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 6つとしまして、報告書の中に記載されております災害対応タイムラインとはどのようなものか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 災害対応タイムラインにつきましては、災害の発生を前提に、いつ、誰が、何をするかに着目し、災対各部が行う災害対応業務を時系列で整理した工程表であります。 市におきましては、令和元年東日本台風における災害対応を踏まえ、災対統括部において災害発生前、そして初動対応期から復旧・復興期にわたり災害対応に関する取組の全体像を把握することにより、災対各部等が先を見越した早めの行動を通し、迅速かつ円滑に災害対応業務を進められるよう、今年度新たに大規模水害に対応したタイムラインを作成したところであります。 ◆14番(小野潤三君) 昨年の災害見て、こういうタイムラインのようなものがなかったということは、正直驚きました。時々刻々、被災者のニーズは変わっていきますので、そのフェーズに合わせて対応していただけるようにお願いしたいと思います。 7つとしまして、昨年被災者の方々がストレスを感じた罹災証明書、この受付の開始、発行体制などはどのように改善される見通しか伺います。 ◎危機管理監(山田誠君) 罹災証明書につきましては、発災後、被災者の生活再建・住宅再建に向けた支援策の活用に重要な基礎資料であるものと認識しております。 このことから、市といたしましては、災害対策基本法に基づき速やかに証明書を発行する観点から、災害時には災対財政部が主体となり、地区本部と連携を図りながら受付から被害調査、発行までの業務を迅速に進めるため、工程管理をはじめ、受付場所及び人員の確保、研修の実施などを定めた各個別マニュアルを新たに作成するとともに、臨機応変な体制を構築しながら早期発行に取り組むこととしているところであります。 ◆14番(小野潤三君) ここまでの御答弁で分かるとおり、やるべきことは膨大で、まだ全部できていないという状況です。災害はいつ来るか分かりませんので、一刻も早く万全の体制を整えられるようにお願いいたします。 大きな質問の4番目は常磐湯本財産区についてであります。 お手元に資料をお配りしましたので、これを御参照いただきながらお聞きいただきたいと思います。今議会に常磐湯本財産区の2つの事業を市に移管する議案が提出されています。湯本財産区の主たる財産である温泉給湯事業を手放すということは、もはや末期的症状を呈しているということです。資料の冒頭にあるように、一般財団法人地方自治研究機構といわき市の共同研究という形で、温泉資源を活用した観光振興及び地域活性化に関する調査研究というものがまとめられて、この中で事業の移管が提言されております。しかし、市が、破綻しつつある事業を安直に引き受けていいのか、私は疑問を感じております。 まず、基本的なことを確認いたします。温泉給湯事業の流れを御説明します。資料1ページ。源泉の揚湯、つまり汲み上げをしているのが常磐湯本温泉株式会社という会社で、普通、温株と呼ばれております。この会社は株式の保有割合が、常磐興産50%、いわき市30%、湯本財産区20%で、この温株はスパリゾートハワイアンズには直接温泉を供給していまして、湯本地区の旅館などには財産区を経由して供給しています。このように、いわき湯本温泉は、行政、地域、常磐興産が密接に絡んで運営されてきました。 財産区とは一体何かと。市町村合併などの際に、合併前の市町村、例えば常磐市といったものが持っていた権益を確保するために設置されるのが財産区で、特別地方公共団体という位置づけです。言わば、いわき市という自治体の中に、独立した自治区が存在しているということになります。湯本財産区はいわき市合併前から存在しておりましたけれども、合併のときに、常磐市の財産をいわき市に譲り渡さず、湯本町の町民の手元に残すという目的で存続することになりました。 まず1点目として、今回、温泉給湯事業、公衆浴場事業をいわき市に移管するという議案が提出されることになった経緯について伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 常磐湯本財産区が実施している温泉給湯事業及び公衆浴場事業につきましては、利用者数の減少などにより、近年は事業の収支均衡が図られておらず、基金の取り崩しにより対応している状況にあります。 加えて、配湯所や温泉管といった温泉供給施設が老朽化しており、今後、これらの施設が更新時期を迎え、将来的には、その事業継続が困難になることが想定されております。 こうしたことから、市といたしましては、いわき湯本温泉を重要な観光資源と捉え、将来に向けた、両事業の安定的な事業運営のほか、観光振興も視野に入れながら、これまで市と常磐湯本財産区との間で協議を重ねてきた結果、両事業の継続のためには、市への移管が必要と判断したところでございます。 ◆14番(小野潤三君) 2点目として、常磐湯本財産区の3つの事業について伺ってまいります。 1つ目は、温泉給湯事業についてです。 まず、この事業を市に移管するのは、給湯管の更新がやり切れないということが理由であります。 事業を引き継いだ後、給湯管の更新に関する市の負担はどの程度になるのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 配湯所や温泉管などの更新費用として、今後51年間で、総額約28億7,000万円の経費を見込んでおります。 ◆14番(小野潤三君) この28億7,000万円の見合いとして、土地と財政調整基金の一部をいわき市に提供するということなわけですけれども、この点は後ほど取り上げます。 次に、今回いわき湯本温泉の給湯事業を市が直営しようというわけですけれども、国内にたくさんある温泉地では、それぞれ自治体は温泉給湯事業に対してどのような関与をしているのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) それぞれの温泉における成り立ちや背景等により、温泉給湯事業の実施主体や運営の形態は異なりますが、例えば、郡山市における磐梯熱海温泉のように、自治体が直営により事業を実施している形態もあれば、自治体が指定管理者に、その管理運営を委託している形態もございます。 一方で、財産区や温泉事業者の組合などが実施主体として事業を運営し、自治体が事業に直接関わっていない形態もございます。 ◆14番(小野潤三君) 施設マネジメント課からいただいた資料を見ると、直営というのはあんまり一般的ではないんですね。既存の経営主体が立ち行かなくなるから市が直営するという選択で本当によいのかということであります。 先ほどの調査研究が財産区の事業をいわき市に移管すべきだと提案しているわけですけれども、その論拠として次のように述べています。いわき湯本温泉がいわき市に与えている経済効果、貨幣価値に表せない認知度向上などの影響を考慮した場合、将来的な資金不足に陥る可能性があるいわき湯本温泉を広くいわき市民全体で支える必要があるのではないかと。この一文は、かなり違和感を覚えるわけです。温泉事業というのは民間の経済活動です。温泉というのは旅館にとっては商品そのものでありまして、それを供給するためのコストを市民全体で支えるという言い方には、ほぼ納得感がありません。さはさりながら、いわき湯本温泉は、広くいわき市全体に経済効果があると主張しているわけですから、根拠を示していただく必要があります。 経済効果をどのように算定しているのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) いわき湯本温泉の本市全体に対する経済効果について一概に申し上げるのは困難でございますが、直近5年間における概算の入り込み客数は、年平均で30万人を超えており、宿泊や飲食、お土産のほか、周辺観光施設への波及、さらには、雇用面も含め、一定の効果があるものと認識しております。 ◆14番(小野潤三君) 一定の効果はもちろんあるんですけれども、それがいわき市民がみんなで支えなくてはいけないものなのかというところは、ちょっと疑問が残るところであります。 今回の事業移管は、いわき市湯本温泉の温泉給湯事業を単に救済するものなのか、あるいは、将来性のある事業としていわき市に取り込むのかというところは問題であります。今、本市においては、公共施設の管理計画を進めようとしています。 今年度中には個別管理計画がほぼ出そろうという状況の中で、一つ一つの公共施設は、存続を含めてかなり厳しく取り組まなければ、いわき市が財政破綻しかねないというのは財政部長もよく御存じだと思います。資料2ページの下のほうを御覧ください。学校施設の個別管理計画となる第1次学校施設マネジメントプランにこう書かれております。学校施設の維持管理に、過去5年間は年平均30億円かかっていると。しかし今後40年間では年平均73億円かかると。本市の教育費は年に120億円で、ハードの維持に73億円もかかってはもはやソフト事業は行えないというようにこのプランに書いてあります。そこで施設の長寿命化を図り、維持更新費用を2割削減するんだと。ですが、73億円を2割削減しても58億円です。今の30億円から見るとやっぱり倍かかるんです。しかも今後人口は減り、税収も減ると。こういう厳しさを乗り越えて行けない局面なわけです。それを、湯本温泉をつぶすわけにはいかないという論理だけで、負債を抱えることを承知の上で、新しい公共施設を増やそうというのが今回の議案だと私は捉えております。事業を引き受けるからには、今は赤字でも、経営改善を図り、中・長期的に採算べースに乗せられるならいいです。私の知り合いの公認会計士が、デューデリが必要だねと言っていました。企業を買収する際に投資先に本当に価値があるのか、逆にどんなリスクを抱えているのか、当然調査をするわけですけれども、これをデューデリと言います。これも資料に書いております。 温泉給湯事業のデューデリ、つまり事業の価値やリスクをどのように捉えているのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 市に移管される常磐湯本財産区の温泉給湯事業につきましては、今後長期にわたって見込まれる温泉給湯施設の更新費用への対応が大きな課題、議員のお言葉をお借りしますと、リスクであると認識をしておりますが、施設の更新に当たっては、市が同財産区から借り受けている土地の譲渡により、不要となる年間約1,000万円の借地料や、同財産区の財政調整基金から譲渡される2億1,000万円、さらには、温泉施設の整備に活用可能な目的税である入湯税を充当するほか、今後51年間にわたり計画的に更新費を平準化するなど、収支に見合った対応をすることとしております。加えて、さらなる施設更新費の縮減に向け、配湯経路の見直しや、安価な更新部材の検討を行うなど、中・長期的な収支バランスを考慮しながら事業を進めていくこととしております。 ◆14番(小野潤三君) 今の御答弁は、リスクはあるけれどもそれは回避できるという御答弁だと思いますけれども、本当はこの事業の価値というところ、どういう価値があるのか、どういう収益を生み得るのかというところがちょっと今抜け落ちておりましたのでちょっと残念ですけれども、それはまた改めて議論していきたいと思います。 行政がビジネスを行っても、大抵うまくはいかないわけであります。ビジネスというのは、自由市場経済の中、競争にさらされる中で行うからこそ厳しい経営ができて、収益を確保できるわけであります。その意味でも、収益事業である温泉給湯事業を市が行うことについて、私は懐疑的です。では誰が担えばいいのかと言えば、常磐湯本温泉株式会社、温株があるではないかと。先ほど申し上げましたとおり、この会社の最大の株主は常磐興産さんです。ハワイアンズに対しては直接給湯を行っているわけですから、同じように、いわき湯本温泉の旅館に対しても直接行えばいいだけではないんでしょうか。先ほどの公認会計士に、常磐湯本温泉株式会社の令和元年度の決算書を見せたところ、抜群の財務体質だと分析をしておりました。 資料2ページの上のほうを御覧いただきたいと思います。売上高経常利益率は黒字の中小企業の平均値が約3%なのに対して、温株は17.8%です。自己資本比率は中小企業の平均値が三十数%と言われておりますけれども、温株は何と95%です。さらに1年間で獲得したキャッシュフローが約5,000万円。温泉給湯管の更新に51年間で28億7,000万円かかるということでありましたけれども、キャッシュフローが1年で5,000万円ということは、50年間なら25億円ということで、順調に経営を続けていけば更新は十分できるというのが公認会計士の分析でありました。 こうしたことから、温泉給湯事業はいわき市が引き継ぐのではなくて、常磐湯本温泉株式会社に移管すべきだと考えますが所見を伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 事業移管後の温泉給湯事業の運営体制の検討に当たりましては、当初、いわき湯本温泉において揚湯事業を実施し、類似事業を営む事業者としてのスケールメリットを生かした管理運営が期待できる常磐湯本温泉株式会社に、指定管理者として、その管理運営を担っていただくよう同社との協議を続けてきたところでございます。 しかしながら、現在、同社において、温泉給湯事業に従事する人材が不足していること、また、指定管理に係る委託料につきまして、金額的に条件が折り合わなかったことなどから現時点では、管理運営業務の受託は困難であるとの回答を受け、その結果、直営による運営を行うこととなったという経緯がございます。 このような状況を踏まえますと、温泉供給施設の更新も含めた同社への事業移管につきましては、現時点では難しいものと認識をしております。 ◆14番(小野潤三君) 指定管理者ということは持ち主はいわき市ということになりますから、私はそれは反対です。人材不足その他ありますけれど、結局、温泉で利益を上げているのが常磐湯本温泉株式会社なわけですから、なかなかその民間の会社というところはありますので、難しいところはありますけれども、筋論から言えば当然そうなると思うんです。そこをもう一度、改めて検討していただく必要があると思います。 事業の2つ目は、公衆浴場事業です。 みゆきの湯と上の湯の2つをいわき市が引き継ぐということになっているわけですけれども、同じ常磐湯本町の中にさはこの湯という公衆浴場がありまして、都合3軒が近接して存在するということになりまして、いかにも過剰であります。 事業引継ぎ後の3公衆浴場の経営について、収益面でどのように試算しているのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 利用料金制の指定管理者制度を導入しているさはこの湯と、直営によるみゆきの湯と上の湯とでは、その運営形態が大きく異なること、また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当面の収支の見通しが不透明な状況であることから、現時点において今後の収益の試算を的確に行うことは困難でございますが、事業の移管後においては、実際の収支等に基づく収益の検証を行う一方で、今後の公衆浴場の在り方についての検討を行うなど、その規模や運営体制について、見直しを行う必要があるものと認識をしております。 ◆14番(小野潤三君) 収益見通しをつけるのが困難で、引き継いでから検討するというのは順序が逆ではないでしょうか。見通しもなく引き受けてしまうということは本当にいいんでしょうかね。ちょっと時間がないのではしょりますけれども、資料の中で3ページにグラフがありますけれども、今の3施設の入り込み客数29万人、これ、さはこの湯のピークの29万人と大体一緒なんですね。ですからさはこだけ残せば、今のこの3施設分のお客さんはさばけるということです。ですので、2つの公衆浴場は市が引き継がずに、財産区において清算して、湯本の公衆浴場はさはこだけにするというのが適当だと思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。 ◎財政部長(澤田洋一君) まず、湯本地区内にあります3つの公衆浴場についての在り方についてでございますが、上の湯につきましては、平成29年2月の常磐湯本財産区議会におきまして、今後の施設更新の停止と廃止の方針が決定されているところでございます。また、みゆきの湯につきましては、今後も湯本駅前に近い好立地を生かした誘客や、指定管理者制度の導入による収益性の向上が期待できる施設であると認識をしております。 これらの公衆浴場については、市が運営しているさはこの湯も合わせた今後の公衆浴場の在り方の検討の中で、移管後の運営実績等も踏まえながら、施設の必要性や運営体制について整理を行ってまいりたいと考えております。 ◆14番(小野潤三君) 施設2つよりは1つのほうが効率的に決まっているんですよね。その辺を十分煮詰めないところが行政のだめなところではないかと思うんです。財政部長、公共施設の管理のところで非常に苦労されているので分かると思いますけれども、やっぱりできるだけ効率化していく、集約化していくということが公共施設管理の流れでもありますので、そこは改めて考えていただきたいと思います。 事業の3つ目は、財産管理事業です。 今回財産区からいわき市に土地が譲渡されるということでありますけれども、その土地の評価額は幾らなのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 財産区から市に譲渡される土地につきましては、現在、固定資産税が非課税となっておりますが、仮に課税した場合の固定資産税評価額を基に、それぞれの土地面積を乗じて算出し、総額で約26億6,000万円となっております。 ◆14番(小野潤三君) 26億円という評価は不動産鑑定士などにも聞きましたけれど、妥当なのかなというところはあります。しかし土地をもらってもそれをキャッシュに変えられるわけではないので、キャッシュフローという点ではちょっと疑問が残るかなと思っております。 3点目は、今後の展望についてです。 財産区の事業を引き継ぐか否かを判断するに当たりまして、本当は最初に議論しなければならないのが、いわき湯本温泉全体の将来展望です。どのようにこの湯本温泉を再生していくのか、いかないのか。こうした展望がなく、不採算部門を引き継ぐとか、引き継がないという話にはなりません。 そこで1つとして、いわき湯本温泉の将来像をどう描いているのか伺います。 ◎財政部長(澤田洋一君) いわき湯本温泉は、日本三古泉の1つとして本市の観光の軸となる重要な観光資源であり、フラシティいわきをブランドメッセージとしたシティーセールスの取組においても、欠かすことのできないものでございます。 そのような中、常磐地区においては、地域文化としての温泉とフラによるまちづくりを進める常磐湯本地区まちづくり計画を策定し、現在は、常磐湯本町の市街地再生整備に向けて温泉資源を活用した観光交流機能等を生かした都市機能施設の集積を検討しており、将来に向けた地区の魅力や活力の向上につながるものと考えております。 こうしたいわき湯本温泉の地域資源や観光資源の魅力をさらに磨き上げることにより、本市が国内外の方々から選ばれるまちとなることを目指しております。 ◆14番(小野潤三君) 財産区の問題は論点がたくさんありまして、議論は難しいと考えております。確かに湯本温泉はなくしたくはない。湯本温泉の源泉の温度は58.2度となかなかいいお湯でありまして、私も大好きです。しかし、温泉事業を運営してきた財産区は、かなりぬるま湯に浸かってきたのではないでしょうか。今後の議論の賛否をどうすべきか、これから常任委員会での審議も行われますので、いわき市にとって本当に望ましい結論を出すために、議員の皆様におかれましても、議案の中身を精査してくださるようにお願いしたいと思います。湯本財産区自体はもう歴史的使命は終わったというように言わざるを得ません。財産区は解散すべきと考えますが、その御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。 ◎財政部長(澤田洋一君) 財産区を解散する場合、その前提となる財産の処分に当たっては、地方自治法の規定に基づき財産区管理会での同意が必要となります。 このことから、財産区の解散につきましては、財産の管理や処分等について実質的な権能を有する財産区管理会において自律的に判断すべきものと考えております。 ○議長(大峯英之君) ここで、午前11時10分まで休憩いたします。          午前11時01分 休憩---------------------------------------          午前11時10分 再開 △鈴木演君質問 ○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。21番鈴木演君。          〔21番鈴木 演君第二演壇に登壇〕 ◆21番(鈴木演君) (拍手)21番いわき市議会自由民主党一誠会の鈴木演です。 改選後初めての今定例会にて会派の一番手として、一般質問の登壇をさせていただきます。思い出せば、4年前に初当選した直後の12月定例会で登壇したのも、本日と同じ12月7日でありました。また、順番も本日と一緒の午前の2番手でした。 私は前の任期中には、1つ、東日本大震災からの真の復興に向けて、2つ、持続可能な中山間地域を目指して、3つ、防災減災に強いまちづくりを目指しての3本を自身の政策の柱として、一般質問に取り上げたり、会派要望等の様々な場面において、提案、提言をしてまいりました。 中山間地域政策の中では、平成30年12月定例会をはじめとして、本市中山間地域への超高速ブロードバンド回線設置の実現を複数回にわたって訴えてきました。防災・減災政策の中では、当時の会派の先輩議員である蛭田克議員、磯上佐太彦議員と共に、防災・減災政策には有事にはもちろん、平常時から取り組むことができる部局の設置の実現について訴えてまいりました。そして、今般の新型コロナウイルス感染症禍をはじめ、昨年の令和元年東日本台風災害等の社会情勢の中で、せんだって10月臨時会の中で、中山間地域へ光ファイバー回線整備等支援事業として実現する運びとなり、また、今議会には防災・減災政策を専門的に行える危機管理部を新年度の設置に向けた議案が出されました。これからも、様々な場面において自分の訴えてきた政策が実現できるように、2期目も努力していくことをお誓い申し上げまして、以下、通告順に従いまして、一般質問を行います。 大きな質問の1つ目は、東日本大震災から10年を迎える、本市の復興の現状についてであります。 東日本大震災は、我が国の観測史上最大の地震が発生し、津波による甚大な被害が生じるとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の放出に伴い、多くの住民が避難を余儀なくされ、産業への打撃や風評被害が発生するなど、未曽有の複合災害となりました。 本市も甚大な被害を被り、建物の被害は一部損壊まで入れると40,879棟、また、この災害により468名の尊い命が失われました。何度かこの議場でも申し上げましたが、私自身も津波被災を経験し、一昨年に生まれ育った小浜町に住居を再建いたしました。しかし、復興へはまだまだ道半ばであり、本市においてもまだまだ震災前の生活を取り戻せずにおられる方も多くおります。 震災から間もなく10年という節目を迎えますが、これをピリオドとせずに、引き続き真の復興へ向けても国・県と連携をしながら取り組んでいく必要があると考えます。 ここではまず、本市の復興の取組について、以下伺ってまいります。 まず初めに、本市の復興は、現在どのように、どこまで進んでいるのか、その現状について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市におきましては、震災直後から、被災された方々の一日も早い生活再建に向け、市復興ビジョン・復旧計画・復興事業計画に基づき、ハード・ソフト両面において、様々な復興等の取組を進めてきたところであり、平成28年度以降は、市総合計画改定後期基本計画に、復興を重点戦略として位置づけ、関連事業の着実な実施に努めてまいりました。 その結果、現時点におきましては、被災した公共施設や社会基盤等の復旧をはじめ、災害公営住宅や震災復興土地区画整理事業など、生活基盤の整備はおおむね完了する見込みであるほか、震災の記憶と記録を後世に引き継ぐいわき震災伝承みらい館もオープンしたところであります。 一方で、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や、原子力災害に起因する課題等につきましては、引き続き、中・長期的な対応が必要であるものと捉えております。 ◆21番(鈴木演君) 冒頭でも申し上げましたが、私も真の復興へはまだまだ道半ばだと捉えております。 そこで、次に、本市が考える真の復興への課題についてどのように認識しているのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 市といたしましては、復興のステージが進むにつれて、被災者支援や街の復興に関わる新たな課題が生じていると考えており、具体的には、心のケアやコミュニティーの形成、震災復興土地区画整理事業区域内の土地活用などが挙げられます。 また、原子力災害に起因する課題への対応も必要であり、具体的には、根強く残る風評被害の払拭や、安全・安心な事故収束、放射性物質対策、市民の健康不安の解消に加え、福島イノベーション・コースト構想の着実な推進による浜通り地域の復興の実現などが挙げられます。 ◆21番(鈴木演君) 次に、被災者支援の状況について伺います。間もなく震災から10年になりますが、まだまだ震災前の生活を取り戻せずにおられる方も多くいらっしゃいます。 私は、被災者の方、最後の1人まで、被災者全てが満足いくまで十分に支援をしていくべきと考えますが、そのためには、時間の経過とともに変化する個々の実情等に応えるため、被災者に寄り添った市の窓口体制が重要になってくると考えます。 そこで、本市の被災者からの相談に対する取組状況はどのようになっているのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 東日本大震災に係る被災者からの相談に対する本市の取組につきましては、被災した市民の皆様が、1日も早く安定した生活を取り戻せるよう、これまで、住まいと暮らしの再建相談会の開催、第20版に渡る被災者生活再建支援パンフレットの発行、さらには、生活再建市民総合案内窓口の開設などを通して、各種支援制度等の問い合わせや相談にワンストップで対応し、個々の実情に応じたきめ細やかな支援を行ってきたところであります。 現在におきましても、これらの支援等に継続して取り組んでおりますが、震災から間もなく10年を迎える中にあっても、特に、生活再建市民相談窓口には、住宅の再建に関する相談や問い合わせが多く寄せられている状況にあります。 このことから、今後につきましても、各種支援制度の内容をはじめ、受給条件や申請期限等について、広報いわきや市公式ホームページ、被災者生活再建支援パンフレット等により広く周知を図るとともに、引き続き、生活再建の途上にある被災者の皆様からの相談等に、丁寧に対応してまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 引き続き、ぜひ被災者に寄り添った十分な市の支援をお願い申し上げます。 次に、本市の震災関連施設について伺います。 県内には様々な震災関連施設が開設され、震災の記録と記憶を後世へ伝え、また、防災・減災の教訓を生かした教育などが行われております。 まず、本年5月にオープンしたいわき震災伝承みらい館について、その現状についてを伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 当館は、本年5月30日に供用を開始した後、コロナ禍の中、手指の消毒やマスクの着用など、感染拡大の防止に努めながら、10月11日には来館者が1万人に達し、12月1日現在では、1万4,860人となっており、このうち、被災地視察や教育旅行等による団体利用につきましては、126団体、3,560人となっております。 また、当館では、震災時の体験談などを生の声で伝える震災語り部による定期講話を土・日・祝日に行い、これまで121回開催し、聴講者数は1,565人となっており、加えて、被災地視察等に伴う個別の利用につきましては、97件、3,877人となっており、計5,442人の方々が受講されたところであります。 さらに、震災関連資料の収集・保存・公開を行うアーカイブ事業の取組につきましては、随時、収集・保存を行い、5万6,911件の登録が済んでおりますが、引き続き、津波で流出した写真等の遺留品の登録及び震災関連資料としての活用について検討を進めるとともに、今年度より運用を開始したホームページ上で公開するデジタルアーカイブ等により、学術研究や教育活動等での利活用を積極的に促進しているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、市内には久之浜・大久ふれあい館やいわき・ら・ら・ミュウ内の3.11いわきの東日本大震災展等の震災関連施設が複数ありますが、これらの施設とは、現在どのように連携を図っているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 市内の震災関連施設につきましては、これまで、被災地視察や教育旅行等に際し、学校や旅行事業者等から問合せがあった場合、視察等の目的や内容に合わせ、当館をはじめ、震災伝承施設として登録されている久之浜・大久ふれあい館や、アクアマリンふくしま、さらには、いわき・ら・ら・ミュウにあります3.11いわきの東日本大震災展などを紹介し、それぞれの旅行行程に各施設を取り込んでいただけるよう提案しているところであります。 また、市内各所に点在する伝承施設や震災遺構、慰霊碑等の位置や概要を示したエリアガイドマップを作成し、館内での展示や当館ホームページ上で公開しながら、各施設と回遊性の向上を図っております。 加えて、当館と各施設が相互にリーフレットの設置やイベント等を紹介し、効果的な情報発信に取り組むなど、各施設との連携を密にしながら、取組を進めているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 最後に、このいわき震災伝承みらい館を中心として今後、東日本大震災の記録と記憶をどのように、後世に伝えていくのか今後の取組について伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 今後につきましても、新型コロナウイルス感染拡大の防止に努めながら、引き続き、市内外の多くの方々に、危機意識や防災意識の醸成を図るとともに、当館の特徴でもある震災語り部による語り部事業や、アーカイブ事業を推進してまいりたいと考えております。 また、9月20日に供用開始した県の東日本大震災・原子力災害伝承館などの市内外の震災関連施設とのネットワークを構築するとともに、さらに、効果的・効率的に震災伝承を行うことを目的として、国及び東北被災4県、仙台市で組織した震災伝承ネットワーク協議会や、大学等の高等教育機関などと交流・連携を図りながら、防災等に関するイベントや企画展等を実施するなど、総合的機能を有した拠点施設として、災害に対する危機意識及び防災意識の醸成を図ってまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 私の地元の岩間町には、きみとと呼ばれる勿来地区復興のシンボルオブジェがあり、そこには勿来地区で津波被災をした642名の音声・映像記録をタイムカプセルとして後世に伝えるために埋め込まれてあります。それ以外にも田人町には井戸沢活断層のような津波被害ではない震災の遺構もあります。答弁にもありましたが、市内はもちろん、県内の様々な震災伝承施設等と連携を図りながら、引き続き、震災の記録と記憶を後世へ伝えていけるよう、御尽力をお願いいたします。 次に、本市と復興庁との関わりについて伺ってまいります。 政府は、令和元年12月20日に閣議決定された復興・創生期間後における東日本大震災からの復興基本方針の中で、これまでに実施された復興施策の総括を行い、東日本大震災基本法第3条に基づき、復興・創生期間後における各分野の取組、復興を支える仕組み、組織等を定めるとし、地震・津波被災地域は復興の総仕上げの段階、原子力災害地域は今後も中・長期的な対応が必要であるとしております。 このような状況を踏まえ、復興・創生期間後の令和3年度以降の復興を支える仕組み・組織・財源を改めて整備する復興庁設置法の一部を改正する法律にて、復興庁の設置期間を10年延長しました。本年度いっぱいとなる復興・創生期間が間もなく終了し、新たに来年4月からは第2期復興・創生期間がスタートいたします。 復興庁の役割は、ハード整備からソフト整備に軸が中心となり、そして本県を中心とした原子力災害対策を担っていくと考えますが、本市としては復興庁設置期間の延長をどのように評価しているのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 議員が今お触れになりましたように、国におきましては、令和3年度からの5年間を、第2期復興・創生期間と位置づけ、東日本大震災の被災地の復興に向けて、全力を挙げて取り組むこととし、組織につきましても、復興庁は現行体制を維持し、その設置期間を10年間延長することとしたところであります。 本市といたしましては、復興・創生期間終了後の令和3年度以降も、復興に向けた中・長期的な対応が必要であるものと認識し、あらゆる機会を捉えて、復興庁の後継組織の設置等について要望してきたところであり、その要望内容が反映されたものと受け止めているところであります。 ◆21番(鈴木演君) それでは、本市としては、今後は、どのように復興庁と関わっていくのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 復興庁は、復興に関する施策の企画・調整や、地方公共団体に対する一元的な窓口としての役割を担っており、これまで、多岐にわたる復興関連事業を通し、様々な御支援を頂いてきたところであります。 本市といたしましては、引き続き、復興庁が被災地の状況等を把握し、ワンストップで課題解決に取り組んでいただくとともに、避難指示等に係る12市町村を周辺自治体がしっかりと支えるため、浜通り全体を一体として捉えた復興支援の取組を進めていただくことを要請しながら、これまでと同様、復興庁と十分に連携を図ってまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 御存じのとおり、本市には復興大臣を経験された吉野衆議院議員がいらっしゃいます。その経験等を生かしてもらいながら、森参議院議員にも協力を頂きながら、引き続き、国会議員とも、より一層連携を深めていっていただき、本市の復興施策の実現に向けていっていただきたく思います。 次に、放射線医学総合研究所福島復興支援本部いわき出張所について伺います。 放射線医学総合研究所は、昭和32年におきたビキニ事件を受けて、科学技術庁の附属機関として設置されました。 東日本大震災発災時の東京電力福島第一原子力発電所事故により拡散した放射能による健康被害が懸念される中、県民の被ばく調査を福島県の依頼により行ったりなど、本県の復旧・復興にも大きく寄与されてきました。現在は複数回の組織再編が行われ、量子科学技術研究開発機構量子医学・医療部門の一部となっております。 その放医研をいわき市に誘致しようと、小野栄重いわき商工会議所会頭を中心として平成23年末に放医研をいわき市に誘致する会が立ち上がり、私もその会の事務局を務めてまいりました。その当時の蛭田克市議会議長から直接放医研へ電話をしていただき、多少無理を聞いてもらいながら放医研を視察させてもらったり、講演会の講師として放医研研究員に来市していただいたりしながら、市民に放医研の役割や重要性・必要性を訴えながら、誘致活動をしてまいりました。 そして、様々な活動を通じて集めたいわき市民10万余名の署名を当時の安倍内閣総理大臣や、所管の官庁への幾たびの要望活動を通じて、本市への出先機関として、放射線医学総合研究所福島復興支援本部いわき出張所が2015年9月に内郷支所内に設置されました。 そこで、この施設が設置されてから5年が経過いたしましたが、本市はこれまで、本施設とどのような関わりをもってきたのか伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 本市と放射線医学総合研究所は、平成27年8月19日に福島復興支援本部いわき出張所の設置及び放射線対策の取組に係る連携協力について合意し、主に、放射線に関する講演会や、小・中学生及びその保護者を対象としている体験学習会に講師を派遣していただいております。 これまで、講演会につきましては4回開催してまいりましたが、同研究所からは延べ15人の講師等の先生方にお越しいただき、本市のニーズに合わせた講演を行っていただくなど、参加した市民からは、放射線の専門家から話を聞けて不安が軽減したなどの感想が寄せられております。 また、平成29年からこれまで3回開催しております体験学習会には、延べ26人の講師等を派遣していただき、参加した親子と研究者が共に実験を行い、放射線に関する質問等のディスカッションをするなど、次世代への放射線教育にも取り組んでおります。 さらには、市民から寄せられた問合せに対して専門的見地から助言を頂くなど、市民の放射線に関する理解を促進するための様々な取組に御協力を頂いているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、今後、本市はどのような関わりをもっていくのか伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 市といたしましては、今後も引き続き、量子科学技術研究開発機構の協力を得ながら、放射線に関する正しい知識を普及し、放射線への理解を促進することにより、市民の不安を取り除き、安心した生活が送れるよう、各種事業に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 放医研には、重粒子線がん治療を行う施設があり、放医研をいわき市に誘致する会から出された重粒子線がん治療専門機関をいわき市へ誘致することを求める請願書が平成30年2月議会にて採択されております。 請願にも書かれておりますが、放医研の出先機関としての業務を行うだけでなく、安心・安全の暮らしやすいまちづくり、本市の医療産業の振興に寄与する、放医研が持つ治療効果が高く体への負担が少ない、最新の治療法である重粒子線治療を行うことができる専門機関を、非常にハードルが高いことは存じ上げますが、いわき市内への設置が実現できるよう、より一層本市と放医研との連携を深めていっていただくことを御期待申し上げまして、次の質問に移ります。 大きな質問の1つ目の(2)は、津波被災地区の復興状況について伺ってまいります。 震災から10年を迎える来春は、津波被災地である本市においても、復興に向けた大きな節目となります。その間、被災者の方々の御努力や他県からの応援職員を含めた自治体の御努力により、津波被災地には、新たな市街地が再生されました。私が住む小浜地区においても、震災復興土地区画整理事業により、新たな住宅地が造成され、以前からお住まいだった方々はもちろん、新たに小浜町に居を求めて来られた方々もおり、町のにぎわいが戻りつつあります。 しかしながら、小浜地区やその他の震災復興土地区画整理事業地区内を見渡しましても、いまだに土地利用が図られず、空き地になっている箇所も見受けられる状況であります。 質問の1つ目は、震災復興土地区画整理事業についてであります。 本事業は、平成23年12月に策定された復興に向けた具体的な取組を示した市復興事業計画の重点施策に位置づけられ着手、そして平成30年6月に全ての地域での宅地の引き渡しが完了し、間もなく2年半が経過いたします。私は、工程上の事業完了が終わりではなく、まずはそこにきちんと住居を構えてもらってからが、真の事業完了だとも考えております。 そこで、まず、小名浜港背後地を除く、震災復興土地区画整理事業施行地区の住宅再建を含む土地の利用状況について伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 市が整備いたしました5地区の宅地全838区画のうち、11月末時点におきまして、約6割に当たる485区画の土地が利用されている状況にあります。 各地区の内訳を申し上げますと、久之浜地区は213区画のうち125区画が利用され、その利用率は59%、以下同様に、薄磯地区は185区画のうち88区画、48%、豊間地区は349区画のうち200区画、57%、小浜地区は32区画のうち25区画、78%、岩間地区は59区画のうち47区画、80%となっております。 ◆21番(鈴木演君) 答弁からも分かるとおり、地域ごとにばらつきはありますが、まだまだ空いている土地は多くございます。そこで、空いている土地の利活用については、本市の施策である空き地バンクの有効活用が不可欠であろうと考えます。 そこでまず、空地バンクの概要について伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 空き地バンクの概要につきましては、当該5地区におきまして、土地の有効活用を通して、地域の活性化及び定住の促進を図ることを目的に、宅地をお探しの方に、空き地に関する情報を市ホームページ等で提供することにより、土地所有者と購入希望者等のマッチングを行うこととして、本年4月末に、開設したところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、空き地バンクの運用状況について伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 空き地バンクの運用状況につきましては、開設から約7か月が経過したところでありますが、11月末時点におきまして、市有地を含む登録件数は、久之浜地区が19件、薄磯地区が31件、豊間地区が42件、岩間地区が3件の計95件となっております。 そのうち、約2割に当たる18件が成約しており、その内訳は、久之浜地区が1件、薄磯地区が3件、豊間地区が14件となっております。 ◆21番(鈴木演君) 最後に、空き地バンクの今後の取組について伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 空き地バンクにつきましては、利用率を高めることが今後も重要となりますことから、現在も取り組んではおりますが、まずは、登録件数を増やすために、登録をしていない土地所有者に対しまして、新規登録を促すことや、さらに、成約件数を増やすために、市内外の購入希望者等に対し、空き地バンクの情報を、市ホームページをはじめ、パンフレットの配布やSNSでの発信など、様々な手段を活用し、市内外への積極的な情報発信に取り組んでまいります。 また、今後は、地域コミュニティーの維持・再生を着実に推し進めるため、空き地バンク利用者に対するさらなる促進策を検討してまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) ぜひ需要と供給が一致しますように、引き続き御努力をお願いしたいと思います。 次に、津波被災地区のコミュニティー形成の現状について伺います。 私どもの住む小浜町を例に出しますと、震災復興土地区画整理事業が完了し、新しい住宅を建てて早い人では間もなく3度目のお正月を迎えようとしております。津波被災者はさきのように震災前に住んでいた場所に引き続き住居を求めた方々、新しい土地に住居を求めた方々、そして災害公営住宅に住居を求めた方々と大きく3つの区分に分けられると思います。 私は、例えば、様々な条件により、やむなく生まれ育った土地から離れなくてはならなくなってしまっても、震災前に住んでいた生まれ育った土地との絆やネットワークを断ち切ることなく、コミュニティーを維持できていければ理想だと考えております。 そこでまず、コミュニティー形成の現状について伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 津波被災地区につきましては、市は、これまで、生活の再建と津波被災地支援の強化を図るため、各地区に津波被災地支援員を配置し、被災された方々や、復興に取り組む団体の皆様からの多岐にわたる相談・要望等に迅速に対応してきたほか、各地区で策定している復興グランドデザインに位置づけた取組の具現化の支援を行ってきたところであります。 また、国の被災者支援総合交付金を活用し、小浜・岩間地区における市外等の避難者とのつながりを目的としたかわら版等の作成支援や、久之浜及び薄磯地区におけるコミュニティーの再生と住民の帰還を促すことを目的としたお祭りの開催、災害公営住宅豊間団地における団地住民と周辺住民とのサロン活動の開催など、地区の皆様が実施するコミュニティーの形成に向けた取組を支援してきたところであり、一定の成果があったものと認識しております。 ◆21番(鈴木演君) 次に、それらのコミュニティーに係る課題については、どのように認識しているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 土地区画整理事業の土地利用状況を踏まえますと、住民の帰還が十分に進んでおらず、これまでの地区の伝統行事の維持がマンパワーの不足によって困難となっていたり、新しい土地に住居を求められた方々の中には、もともと住んでいる住民になじめなかったり、また、災害公営住宅においては、顔見知りが少ないため、独居世帯が孤立したりする例など、コミュニティーの再構築がいまだ十分とは言えない中で、交流する機会の減少による課題が生じているものと認識しております。 ◆21番(鈴木演君) 最後に、今ほど答弁にもありましたような課題も含めて、どのように対応していくのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) これまで市が支援してきた各地区への取組につきましては、コミュニティーの形成の進展に一定の効果があったものの、先ほども申し上げました解決すべき課題もあることから、引き続き、復興グランドデザインに位置づけた取組の具現化や地区の取組への支援を継続していくとともに、津波被災地支援員が中心となって、地区の皆様に寄り添い、声に耳を傾けながら、津波被災地区のコミュニティーの形成支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 令和元年12月20日閣議決定の復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針のうち、被災者生活支援の今後の課題には、地震・津波被災地域における地域ごとの事業進捗状況の違い等に留意しつつ、例えば、復興・創生期間の終盤に再建される地域のコミュニティー形成等の被災者支援については、一定期間の継続も含め、復興・創生期間後の支援の在り方を検討する必要があるとなされております。本市においても引き続き、十分な支援をしつつ、被災者に寄り添ったコミュニティー形成支援をしていっていただきたいと思います。 次に、本市の漁業の状況について伺ってまいります。 今日は12月7日。7日ということで議会提案で出来上がったいわき市魚食の推進に関する条例にてうたわれている魚食の日であります。エビ、カニ、貝類等多くの魚介類が苦手な私も今晩は魚を食べようと考えております。苦手とは相反して魚が好きな方、そして漁業をなりわいとしている方々の人生を大きく変えたのが、東京電力福島第一原発事故であります。 原発事故の影響により、県内の沿岸漁業及び底引き網漁業は、操業自粛を余儀なくされておりますが、県による4万件を超えるモニタリングの結果から安全性が確認されている魚種もあり、このような魚種に限定し、小規模な操業と販売を試験的に行い、出荷先での評価を調査して、福島県の漁業再開に向けた基礎情報を得るために行っているのが試験操業であります。 まず1点目に、本市における試験操業の現在の状況について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 令和元年の試験操業における市内の水揚げ量は、858トンで、震災前の平成22年の16.3%となっております。 このような中、本年2月、国の出荷制限を受けていた最後の1種コモンカスべが制限を解除され、福島第一原子力発電所の半径10キロメートル圏内を除く海域において、全ての魚種の出荷が可能となったことから、現在、本格操業に向け、水揚げ量の増大を図るため、各漁業協同組合において、諸課題の整理が進められているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、漁業協同組合の合併について伺います。 いわき市内の漁協を含む県下5つの漁協の合併問題でありますが、2018年秋以降合併推進協議会が中断しております。その問題で先ごろ県漁連は各漁協組合長らと検討状況を共有して、近く協議会を再開するとの見通しを発表しましたが、現在の進捗状況について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 漁協の合併につきましては、将来にわたり漁協経営の基盤強化を図ることを目的に、去る平成17年11月から県漁業協同組合連合会が中心となり、調査・研究が進められてまいりました。 その後、東日本大震災により一時中断となったものの、平成29年1月に、県漁業協同組合連合会が事務局となり、県や浜通り地方の自治体が参画した福島県漁業協同組合合併推進協議会が設置されたところであります。当協議会においては、当初、平成30年12月の合併に向け取り組んできたところでありますが、役員定数の調整等の関係から合併の目標期限を延長し、現在は、県一漁協への合併に向け、各漁協において、基本事項や経営方針、施設の統合整理などを内容とする事業経営計画の協議が進められていると聞いております。 ◆21番(鈴木演君) 本市における漁業は大きな産業の1つでもあり、風評被害等の様々な高いハードルを越えて、経済的にも成り立ち、継続性がある漁業を目指すためにも、漁業協同組合の合併がそれらによい方向に進むように御期待をいたします。 最後に、今後、市はいわきの漁業をどのように復活させていくのか伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 東日本大震災以降、本市漁業における水揚げ量の低迷は、水産加工業者や小売店、飲食店など市内の様々な業種に影響を及ぼしておりますことから、昨年5月に、生産、流通、消費の関係団体等で構成する市水産業振興協議会を設置し、本市漁業の復活に向け、課題の整理や新たな施策等について協議してまいりました。 現在、当協議会におきましては、来年度に策定予定の市水産業振興プランの見直し作業を進めており、その中で、今後の施策展開とともに、水揚げ量や水揚げ金額など、新たに設定する数値目標の達成に向けた取組についても検討しているところであります。 また、市魚食の推進に関する条例の制定に伴い、今年度から新規事業として、本市水産物を使用した学校給食の提供を大幅に増やしたほか、毎月7日に魚食の日キャンペーンを実施し、現在、49事業者112店舗の小売店や飲食店等と協力しながら、魚食の普及に努めているところであります。 市といたしましては、引き続き、本市水産物の安全性の発信や常磐ものの認知度向上に努めるとともに、本市がこれまで培ってきた魚食文化の振興と漁業の発展に向けて、関係団体等と連携しながら、各種施策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 国においても、水産業分野では、試験操業が続く福島県の沿岸漁業及び沖合底引き漁業の水揚げ量は震災前の15%にとどまっていることから、海産物や周辺海域の放射性物質モニタリング検査の結果を踏まえながら、漁獲量の増大、販路の開拓等による本格的な操業再開への取組を進める必要があり、また、水産加工業について、販路の回復・開拓を図る必要があると課題として認識しております。 少し前でも述べましたが、私の地元の小浜町も震災復興土地区画整理事業で人々は戻ってきましたが、まちの主たるなりわいであった漁業は、いまだ震災前の姿には戻っておりません。 昨年の秋にはいわき市漁協主催で、本市水産課の皆様にもお手伝いいただきながら、小浜朝市が開催され、多くの来場者でにぎわいました。それを見て、私はもちろん多くのまちの皆さんも、やっぱり小浜は魚をとってきてなんぼなんだなと言いながらうれしそうにしておりました。これは、小浜だけでなく本市の全ての港町に言えることだと思います。 漁協の合併も、風評の払拭も、全てうまくいきながら、本市の漁業、そして全ての水産業の再生・復興へ、私もしっかりと魚を食べながら尽力することをお誓い申し上げまして、次の質問に移ります。 大きな質問の1つ目の最後の項目は、今後の取組についてであります。 ここまで総括的に、本市の復興についてや各種施策の現状を伺ってまいりましたが、そこで、本市が目指す真の復興像とはどのようなものなのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市におきましては、市総合計画改定後期基本計画において、復興を重点戦略として位置づけ、最優先で取り組んでいくに当たり、単なる復旧・復興ではなく、震災前にも増してをキーワードに真の復興の実現を目指すこととしております。 具体的には、住まいとしごとを基盤とし、まちになりわいとにぎわいを取り戻すことで、震災前にも増して、暮らしやすいまちが実現され、市民の皆様一人一人が自信と誇りを取り戻し、さらなる勇気や元気を心に宿していただくことこそが真の復興であると捉えております。 ◆21番(鈴木演君) この項最後の質問になりますが、東日本大震災から10年を迎え、第2期復興・創生期間のステージに間もなく入っていきます。さきの答弁にも出ました、本市の目指す真の復興像へ向けて、本市は今後どのように取り組んでいくのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 国におきましては、令和3年度からの5年間を第2期復興・創生期間と位置づけ、具体の取組の方向性や事業規模と財源の考え方等を示したところであります。 市といたしましては、これらを踏まえながら、国・県との連携を密にし、被災された方々の心の復興、コミュニティーの再生など、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や、風評被害対策をはじめとした原子力災害に起因する課題などにしっかりと対応するほか、福島イノベーション・コースト構想の実現による地域経済の活性化や地域人材の育成・確保などにも全力を挙げて取り組み、復興のその先を見据えた、活力に満ちたふるさと・いわきを築き上げてまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 政府は、東日本大震災からの復興なくして日本の再生はない、復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針に定めるところにより、引き続き、現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、東日本大震災の被災地の復興に向けて総力を挙げて取り組むと方針しております。私は、清水市政7年間の力強い復興施策には大きく評価をしております。答弁にもありました各種施策をさらにスピーディーに実現していっていただき、1日も早いいわき市の真の復興に向けて邁進していっていただきますように、また、私も微力ながら尽力していくことをお誓い申し上げまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2つ目は、本市における、林業の地産地消の取組についてであります。 改めてとなりますが、本市は総面積の約72%が森林であり、森林のうち、人工林の割合が県平均よりも高くなっている、県下有数の林業が盛んな地域であります。 しかしながら、東日本大震災や、さきの令和元年東日本台風により森林や林道などに、これまでにない大きな被害を受けました。 さらには、原発事故由来の風評被害や、建築様式の変化等における安い外国産木材の需要増により本市の林業は大変に厳しい状況下であると伺っております。 この林業分野においても、復興はまだまだ道半ばであると言えるのではないでしょうか。 このような中で、平成31年4月1日に施行された森林経営管理法に基づき、森林経営の効率化と、森林管理の適正化が一体となった制度が構築され、林業の分野においては、今、大きな転換期を迎えております。 さきの令和2年6月定例会において、当時の私どもの会派の磯上佐太彦議員より地元産材の利用促進に係る条例の制定が本市林業の復活には有効ではないかとの質問を受け、清水市長は国の取組や本市の優れた森林資源に鑑み、地域経済の活性化に大変に有効であり、また、市民の皆様が人に優しく環境負荷の少ない資源である木材の特性や森林の多面的機能及びそれを支える中山間地域の農村の重要性についての理解を深め、市内全体で林業を支えていくという機運醸成にもつながることから、条例の制定へ向けて検討していくと答弁されました。 そして、先頃、(仮称)いわき市豊かな森づくり・木づかい条例の骨子が発表され、パブリックコメントの募集がされておりました。 そこで、この条例の中身について、以下伺ってまいります。 まず初めに、(仮称)いわき市豊かな森づくり・木づかい条例の制定の経緯について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市における森林は、戦後に植林された人工林が活用の時期を迎えるとともに、全国的な第三者機関により適正に管理されていると認められた認証林についても、県内全体の約3分の1に当たる約7,600ヘクタールを占めるなど、県内有数の森林資源としての優位性を有しております。 このような状況に鑑み、令和2年市議会6月定例会での私の答弁以降、市内の木材産業における素材生産分野、木材加工分野、建築分野のいわゆる川上、川中、川下関係者の方々から、木材の地産地消促進に関する意見を聴取したところ、市内の人工林が活用の時期を迎える中、新型コロナウイルス感染症の影響で先行きが不透明な状況にある地域経済の活性化や、地球環境、国土の保全など森林の有する多面的機能について市民の理解を深め、市内全体で林業を支えていくという気運の醸成にもつながる条例の制定に大きな期待を寄せているなどの意見が多数寄せられたところであります。 このようなことを踏まえ、庁内における検討会議のほか、いわゆる川上、川中、川下関係者や学識経験者などから構成するいわき市産木材利用推進会議を設置し、木材の地産地消に関する条例の制定について意見交換を重ねながら、(仮称)いわき市豊かな森づくり・木づかい条例の今年度内の制定を目指した取組を進めてきたところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、条例の目的について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 本条例の目的につきましては、本市の林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展による地域経済の活性化や、地球環境、国土の保全、水源の涵養、さらには生物多様性の確保など、森林の有する多面的機能の持続的な発揮に寄与することを主な目的としております。
    ◆21番(鈴木演君) 次に、その条例に期待する役割について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 本条例に期待する役割につきましては、市産木材等の利用促進による地域経済の活性化はもとより、木を植え、育て、使い、また植えるという循環の理念や、森林の有する多面的機能について市民の皆様に理解を深めていただくとともに市や森林・林業・木材・建築関係事業者が一丸となって相互連携を図り、市民の皆様の協力の下、公共建築物や民間建築物の木造・木質化を推進していくこと、さらには、林業の成長産業化につながる様々な施策を推進するための原動力としての役割を期待しているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 次に、条例制定後の市民への周知の仕方について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 本条例の市民の皆様への周知につきましては、条例の趣旨などについて、市民の皆様に御理解いただくことが重要であると考えておりますことから、広報いわきや、市公式ホームページでの掲載はもとより、本条例の内容を分かりやすく説明したパンフレットの作成や、市内の木材産業関係者や森林関係団体との連携により、市民の皆様がより森に親しみ、森林が持つ多面的機能について、理解の促進を図る取組などを幅広く検討してまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 最後に、今後の条例制定に向けた取組について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 今後につきましては、先月実施いたしましたパブリックコメントで寄せられた意見について、いわき市産木材利用推進会議での協議を踏まえながら条例案を取りまとめ、次期市議会定例会での提案を目指して、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 ◆21番(鈴木演君) 私はいつもこのボールペンをスーツのポケットに入れているのですが、これは、田人町旅人の桜の木で作ってあります。ペン1つとっても、すばらしく握りやすく温かみのある本市の木材で作られたこのペンですが、海で育った私も、いつも山のことも忘れないようにと、胸のポケットに置いております。 以前より、この議場でも我が会派の石井議員や、創世会の樫村議員からも積極的ないわき市産の木材の活用が提言されておりました。私も、この条例の制定がよいきっかけとなり、森林所有者、森林組合、林業従事者、木材生産者、建築関係事業者、そして市民に大きな利が生み出されればと期待しております。 さらには、例えば、いわき市産の木材を使用して住宅を建てる場合のインセンティブを考えたり、今後建設予定のある公共施設にも積極的にいわき市産材を使っていくなどの様々な取組ができればと、併せて期待をしておりますので、執行部におかれましては、ぜひともそれらも御検討のほどをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 大きな質問の最後は、新型コロナウイルス感染症禍における地域密着型プロスポーツクラブ支援についてであります。 新型コロナウイルス感染症は本年のスポーツ界にも多くの影響をもたらしました。 最大の影響はやはり、7月に開催予定でありました東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期であり、今もなお来年の開催の明確な発表はない状況であります。 本市においては2月の第11回いわきサンシャインマラソンが中止、磐城高校が出場予定であった春の選抜高校野球の中止、そしてプロスポーツ界にも多くの影響を及ぼしておりました。 本年からJFLに昇格したいわき市唯一のプロスポーツクラブであるいわきFCの開幕も遅れ、リーグ戦も1回戦総当たりとなり、イレギュラーなスタートとなりました。かつて、どのクラブも成し得ることができなかった、地域リーグからのストレートでのJ1昇格を目指して開幕したいわきFCの戦いも、残念ながら、最終結果は7位で初めての全国リーグでの戦いは終了しました。 しかし、いわきFCの戦いはこれで終わりではありません。約4か月後にはまた、新たにJリーグ昇格に向けての戦いが始まります。このコロナ禍の中では、サッカー以外の多くのプロスポーツクラブも苦境に立たされております。このコロナ禍の中で、プロスポーツクラブの経営そのものを、考えていく必要がありますが、いわきFCのようなアマチュアリーグに籍を置き、将来のJリーグ入りを目指すクラブは今後、より一層苦境に立たされていってしまうのではないかとも考えております。 しかし、様々な場面において、いわき市と共に歩んできた復興のシンボルの1つでもあるいわきFCには、多くの夢と希望を市民に与え、今後、様々な形で本市や市民にリターンを与えてくれるであろうと思います。 そこで、本市のコロナ禍における地域密着型プロスポーツクラブ支援の現状を以下伺ってまいります。 まず、本市として、コロナ禍の状況の中で、本市唯一のプロスポーツクラブであるいわきFCに対しては、どのような支援をしてきているのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) いわきFCに対する支援といたしましては、まず、ホームタウン全体の取組として、双葉郡8町村及び本市で構成するホームタウンミーティングを通じ、ホームゲームに合わせ、各自治体の物産品等の販売・PRブースを出展したほか、自治体広報紙や公式SNS等を通していわきFC情報を発信するなど、試合会場への誘客に向けた支援や、クラブを応援する機運の醸成を図ってきたところであります。 また、市内72団体で構成するスポーツによる人・まちづくり推進協議会を中心として、本年11月7日、8日には、21世紀の森公園において、スポーツと食、音楽イベント等を併せたいわきドリームチャレンジ2020を開催するなど、ホームゲーム入場者数の増加につなげる取組等を進めてきたところであります。 ◆21番(鈴木演君) 先ほど冒頭でも少し触れましたが、コロナ禍において、試合等が変則的に開催されたり、収入の当てが大きく見込めなくなったり、メインスポンサーの撤退等で、全国的にプロスポーツクラブの経営が厳しいとの報道が多くなされております。 しかし、その一方で、特に、地域と連携して活動をしているプロスポーツクラブの苦境を、地域が支える動きも出てきておるやに聞いております。 そこで、ほかの自治体におかれましては、どのような取組をしているのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 新型コロナウイルス感染症禍において、他の自治体が実施しているプロスポーツクラブへの支援といたしましては、主なもので申し上げますと、郡山市におきまして、同市内に拠点を置くスポーツクラブへの支援として企業版ふるさと納税制度を活用し、ホームゲームへの市民招待や、街灯への応援フラッグ掲出などの取組がなされているところであります。 また、佐賀県におきましては、県内に拠点を置くJリーグなどの各クラブに対し、観客減少等への対策に充てるための支援金が交付されているところであります。 さらには、Jリーグクラブのホームタウンである茨城県鹿嶋市及び愛知県豊田市や、Jリーグクラブのほか、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツクラブが拠点を置く山形県などにおきましては、地元スポーツクラブの運営支援を目的に、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディング、いわゆるガバメントクラウドファンディングを実施し、広く寄附金を募集するなど、各自治体において様々な取組がなされているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 各地において、地元プロスポーツクラブに対し、様々な支援を行っていることが、答弁から分かりました。 それでは、コロナ禍の中でも多くの市民に夢と希望を与えております、本市に拠点を置くいわきFCへ先ほど答弁にも出てきましたような支援の検討をしてはどうか市の所見を伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 新型コロナウイルス感染症の影響により、いわきFCにおきましても、所属するJFLが今シーズンの試合数を半数にするとともに、スタジアムの入場者数についても制限をしましたことから、入場料収入の減収など、クラブ運営にも少なからぬ影響が生じているものと認識しております。このような中、サポーターの皆様からは、いわきFCを応援したい、何かいわきFCの力になりたいといったメッセージが寄せられており、また、スポーツによる人・まちづくり推進協議会におきましては、協議会がこれまで取り組んできたファンクラブ会員の拡大やのぼり旗等によるPRなど、いわきFCの応援事業に一層注力していく方針であるほか、地域を挙げていわきFCを応援する機運を高めるため、他の自治体でも実施している、ふるさと納税型クラウドファンディングを活用したクラブへの支援を提案しているところであります。 本市といたしましては、これらを踏まえ、ホームタウンといたしまして、Jリーグ入りを目指すいわきFCの活動を支え、そして同クラブの活動を通じ、コロナ禍にある市民の皆様やサポーターの皆様に、夢と元気を与えられるよう、ふるさと納税型クラウドファンディングの活用について、現在、検討を進めているところであります。 ◆21番(鈴木演君) 答弁にも出ましたガバメント型クラウドファンディング、ふるさと納税型のクラウドファンティングですが、ふるさと納税を通じて自分の寄付がクラブの強化費に当たり、それらをした市民や、遠く離れた地からもいわきFCを思う皆様との絆を深め、クラブとサポーターとの距離を一層縮めることができるであろう大変にすばらしい施策であろうと思いますので、ぜひとも実現に向けて検討をお願いしたいと思います。 以前に一般質問でいわきFCを取り上げたときにも申し上げましたが、本県は1997年に当時JFLに所属していた福島FCを、日本で初めてプロサッカークラブを倒産、そして消滅させてしまったという不名誉な記録を残しております。 そういった轍を踏まないように、サポーター、市民、そして行政が一体となって、引き続きいわきFCがいわき市はもちろん、浜通りの代表として、大いに活躍できるように御期待申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大峯英之君) ここで、午後1時10分まで休憩いたします。          午後0時09分 休憩---------------------------------------          午後1時10分 再開 △木村謙一郎君質問 ○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。3番木村謙一郎君。          〔3番木村謙一郎君第二演壇に登壇〕 ◆3番(木村謙一郎君) (拍手)3番いわき市議会志帥会木村謙一郎です。 人口減少により共同体の活力が低下していく中で、あれもこれもの時代から、あれかこれかを選ばなくてはならない、非常に厳しい時代に生きていることを私たちは肝に銘じなくてはならないと感じております。何をあきらめ、何を守っていくのか、難しい判断を迫られる上で、重要となるのは誰がどのように決めたのかという点にあると考えます。 これからの自治体経営には意思決定のプロセスをこれまで以上に明確にしていく必要があります。行政には限られた政策資源をどの分野に投資していくべきなのか、それを決めるための、より具体的な仕組みが必要です。 そして、議会は厳しい決断をするために必要な議論を重ねる意思決定の場として、今まで以上にその役割を果たしてくことが求められています。そうした厳しい環境の中で、再び4年間活動する機会を与えられた責任の重さを忘れることなく、議員活動に精進することをお誓いし、以下、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな質問の1番目は、中山間地域の持続可能性についてです。 人口減少、少子・高齢化が進む、この広いいわき市において、どのようなまちづくりを進めていくべきなのか、これは全ての市民に突きつけられた非常に深刻な課題であります。このままいけば、20年後にはいわき市の人口は約3分の2になり、40年後にはおよそ半分の約15万人になると試算されております。当然のことながら、人口は市内の各地域において、一律に減少していくわけではなく、地域間の格差が拡大し、やがて消滅してしまう地域が出てくる事態が想定されます。 こうした状況の中、消滅の危機を一番感じているのが、中山間地域に暮らす方々ではないかと思います。本市全体の持続可能性を高めながら、危機に瀕する中山間地域のまちづくりをどのように進めていくべきなのか、全ての市民が中山間地域について改めて深く考えなくてはならないと感じております。 そこで、1点目は、中山間地域における持続可能性を高める意義についてです。 自治体全体としての持続可能性を高めるためには、施設の統廃合や居住エリアの集約などコンパクトなまちづくりを進めていく必要があります。場合によっては既に人口が減少している田舎や地方をあきらめなくてはならない、そうした決断が必要になる可能性についても、目を向けなければならないと感じております。そうした大変厳しい自治体経営が求められている中で、中山間地域を存続させていく意義とは何なのか、過疎地域においても政策資源を投資していかなくてはならない理由があるとすれば、それは一体どういったものなのか、この点を改めて見つめ直す必要があると考えます。 そこで、1つとして、中山間地域の持続可能性を高めていく必要性について、市はどのような考え方を持っているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 中山間地域は、国土や環境の保全、水源涵養機能、木材等の資源や食料の供給、また、貴重な地域文化の継承にも貢献しており、さらには、水力や風力など自然エネルギーの供給源ともなるなど、市街地に居住されている市民の皆様にも多様な恵みをもたらしてきた地域であり、多面的かつ公益的な役割を果たしてまいりました。 しかしながら、市街地と比べて地理的、社会的な諸条件が不利な地域であるため、高齢化や人口減少、農地や森林等の荒廃が進行しており、このまま中山間地域が衰退の一途をたどることは、地域の活力や果たしてきた多面的機能などが失われることとなり、市全体としても看過できないものであることから、今後とも中山間地域の持続可能性を高めていく必要があるものと認識しております。 ◆3番(木村謙一郎君) ただいま答弁にありましたように、中山間地域が有する機能、市全体に果たす役割があるということを、もっと中山間地域以外の方にも知ってもらわなくてはならないと感じております。 そこで、2つとして、中山間地域を維持していくことの本質的な意義を、市民全体にさらに啓発する必要があると考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 先ほども申し上げましたとおり、中山間地域は市街地に居住される市民の皆様にも多様な恵みをもたらしてきた地域であり、当該地域が衰退すると市全体に影響を及ぼすものと認識しておりますので、この中山間地域を維持していくことの本質的な意義につきましては、市民の皆様にもさらに認識が深まるよう啓発に努め、市全体で共有してく必要があるものと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) では、3つとして、具体的にどのような手法で中山間地域を持続させる必要性を市民に理解してもらい、意識を変えていくことができるのか、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 市といたしましては、これまで、田人地区内外の方々が自由で気軽に集えるように、地域が一体となって整備した古民家カフェHITO-TABIの企画・運営や市内各地で開催している遠野和紙の紙すき体験など、地域おこし協力隊の活動を通じた中山間地域の魅力発信や地域文化の継承、また、森林の水源涵養機能の維持向上を目的とした森林ボランティアの活動支援、さらには、秋祭りなどのイベントに合わせた中山間地域の物産品の販売など、様々な機会を通じて、中山間地域の理解につながる取組を行ってまいりました。 今後におきましても、これらの取組を地道に積み重ねながら、中山間地域の持続の必要性について、市全体への浸透を図ってまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ぜひ取組を進めていただきたいと思います。1つ要望になりますけれども、特に教育の分野、子供たちにそうしたことも理解していただきたいと思いますので、そうした部署とも連携しながら、市民理解の向上に努めていただきたいと思います。 自治体経営が厳しい状況にある今だからこそ、中山間地域の存在価値に対する理解を深めて、希望ある中山間地域の将来予想図をしっかりと市民に示すことが強く求められていると考えております。 そこで4つとして、災害や感染症の流行などによる、社会状況とそれに伴う豊かさや、幸せに対する価値観の変化等を踏まえて、これからの中山間地域に必要なまちづくりはどのようなものであるべきと考えるのか、市の所見を伺います。 ◎市長(清水敏男君) 社会状況の変化に伴い、人の価値観やライフスタイルも多様化しており、また、ICT化の進展により、時間や場所にとらわれずに働ける環境が整うなど働き方の多様化も進んでおり、こうした変化が都市部から地方へ移住する動きにつながっております。 さらに、今般のコロナウイルス感染症の影響によるテレワークの推進や人との接触を控える行動などにより、今後ますます地方への動きが活発化するものと認識しております。 一方、中山間地域におきましては、人口減少や高齢化が進行しており、地域力を維持強化するためには、多様な地域づくりの担い手の確保が急務であり、都市から地方への移住や、特定の地域に継続的に多様な形で関わる関係人口を増加させることが重要であります。 このため、本市の中山間地域におきましては、今後、生活に必要な飲料水の確保や光ファイバー回線の整備など日々の暮らしを支える環境整備を図るとともに、本市の豊かな中山間地域の魅力を十分に発信し、多くの移住者等に選んでいただくための取組を進め、これらの移住者等が新たな中山間地域の担い手となり、中山間地域の地域力を維持、強化できるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ぜひ実現できるように尽力していただきたいと思います。 次に、2点目は、中山間地域の持続可能性を高める要素についてです。 目指すべき中山間地域の在り方が変わるのであれば、そこに整備すべきインフラの在り方についても変えていく必要があると考えます。中山間地域にしかない魅力を最大限に生かした、持続可能なまちづくりに必要なインフラとは一体何なのかを見極め、効率的な投資を行っていかなくてはなりません。 そこで、1つとして、これからの中山間地域におけるまちづくりにおいて、インフラ整備の在り方について市はどのような考えを持っているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 中山間地域におきましては、生活に欠かせない飲料水や移動手段の確保などに加え、今般、整備することとなった光ファイバー回線など、日々の暮らしを維持していく視点が重要であると考えておりますことから、今後とも、地域の皆様の声に耳を傾けながら、中山間地域の暮らしを支える庁内検討会議なども活用し、中山間地域の恵まれた自然環境の中で、安心して住み続けられるよう、生活インフラの整備に努めるとともに、その効率的な投資についても、改めて検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 選択と集中が様々なインフラがある中で、これから必要になってくると思いますので効果的なインフラをしっかりと見極めて、部長の答弁にもありましたけれども、効果的な投資を行っていただきたいと思っております。 このたび整備が決定したネットインフラによりまして、中山間地域における超スマート社会実現への可能性が大いに高まり、地域の持続可能性も飛躍的に向上すると期待しております。医療、教育、産業など様々な分野でネットインフラのポテンシャルを最大限発揮した施策の展開が期待されるところでありますが、そこで、2つとして、中山間地域におけるネットインフラの活用をどのように行っていくのか伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 中山間地域におきましては、今般の光ファイバー回線の整備によって、超高速通信が可能となり、各事業者が提供しているオンライン診療や見守りサービス、オンライン授業などの各種インターネットサービスの提供をよりスムーズに受けられるようになることから、高齢化が進み、単身高齢者の比率が高く、公共交通機関が少ないなど、移動に不便を来している方がおられる中山間地域において、より便利で快適な生活につながるものと認識しております。 また、令和元年8月に実施した地域情報化の市民アンケート調査結果によりますと、中山間地域は都市部に比べてインターネットの利用率が低い状況にあることから、高齢者などを対象としたICT講習会の実施などを検討しているところであり、今後、インターネットの有用性や使い方について普及啓発に努めるとともに光ファイバー回線の活用による、中山間地域の方々の利便性向上や各地域の資源や特色を生かした魅力ある地域づくりに向け、関係部署と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ネットインフラに対する接続がこれからの問題になってくるというのもありましたけれども、明確にどういったものが便利になって、すばらしい社会が来るんだということを、地域の皆様も実感できればそうした課題も解決していくと思いますし、逆に言えば、そうした具体的な将来像を見せていくということが非常に重要になると思いますので、その点を踏まえながら計画等を策定して、事業を実施していただきたいと思っております。 本市においては、来年度よりスマート社会推進課を設置し、Society5.0の実現に向けた本格的な取組を始めようとしておりますが、多岐にわたる情報化や超スマート社会関連の政策を推進していく上で、限られた資源をどこにどのように投資していくのか、やはり選択と集中のための議論が必要であると考えております。 一般に、超スマート社会の実現を目指す最大の理由の1つは、人口減少により地域の活力が低下しても、それを維持していくことが可能な社会をつくり上げることと言われておりますが、見方を変えれば、高齢化と人口減少により、消滅の危機が最も高いと思われる地域においてこそ、いち早くICTの利活用を進め、持続可能な社会、超スマート社会を実現させなくてはならないと捉えることもできます。 そこで、3つとして、超スマート社会の実現に向けた様々な取組は、中山間地域において優先的に進めていくべきと考えますが、所見を伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 議員がお触れになりました超スマート社会につきましては、国が平成28年1月に閣議決定した第5期科学技術基本計画において提唱された、我が国が目指すべき未来社会の姿であり、IoTやAIといったICT等の新技術をあらゆる産業や社会に取り入れることにより、地域や年齢等の格差なく、多様なニーズにきめ細やかに対応したモノ・サービスが提供されることで、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指すものであり、現在、国において、Society5.0の取組が進められているところであります。 その前提となりますのが、情報通信にかかるインフラでございますが、市といたしましては、中山間地域における情報格差の解消に向け、平成21年度にADSLの整備を行ったところでありますが、今般、実施することといたしました光ファイバー回線の整備により、都市部と同等の情報通信サービスの基盤が整うこととなります。 一方、本市は広域多核の都市構造であり、都市部や中山間地域など、様々な特徴を持つ地域を有するとともに、福祉、農林水産業、教育、環境、観光、公共交通など、各分野において、地域に応じ、それぞれ課題を有している現状にあります。 超スマート社会の実現に向けた取組について、中山間地域において優先的に進めていくべきとのおただしでありますが、本市におきましては、市以和貴まちづくり基本条例に掲げる誰もが住んでよかった住み続けたいと思える魅力にあふれたいわきを目指していることから、超スマート社会の実現に向けた取組につきましても、地域における各分野の実情を踏まえつつ、課題解決や各施策へのICT活用の有用性・有効性、施策の優先度等を考慮しながら、市全体としてバランスの取れたまちづくりに取り組んでいく必要があるものと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) やはり行政、執行機関とすれば、バランスの取れたまちづくりは外せない文言なんだと思うんですけれども、冒頭に申し上げましたように、バランスを維持できないほど状況が危機的な、財源的にも人口的にも、そういう状況に追い込まれつつある、そういった場合に、何かを取捨選択していかなければいけない、そういう状況を想定していかなくてはいけないのではないかというのが基本にありますので、部長がおっしゃったように、全市的に様々な課題解決でこの政策を進めていくことができればそれに越したことはないと思うんですけれども、やはり何らかの優先順位、そして危機感を持って、うまく優先順位を見つけながら、何かを選択しなければいけないときには、しっかりと議論を重ねて優先順位を決めてやっていただきたいと、その点に関しては私はやはり中山間地域が優先順位が高いのではないかということで今回の質問をさせていただきましたので、状況を踏まえながら、今後とも検討していただきながら、ICTの利活用、そして、Society5.0に向けた取組を進めていただきたいと思います。 次に、中山間地域が元来有する、特色ある地域性を維持しながら存続していくためには、地域住民が行っている様々な活動の財源確保が大きな課題になると考えます。 例えば、お祭りや地域のイベントなどは各家庭の負担によるところが大きく、人口が減少している地域においては、その負担は増すばかりです。こうした地域において、税金には頼らない独自の財源を見つけ出し、共同体の持続可能性を高めていくことが重要と考えます。 近年、中山間地域周辺においては、風力発電事業の進出が著しいですが、こうした産業と連携しながら地域課題を解決していくことが今後ますます重要になると考えます。 そこで、4つとして、風力発電事業と連携した、中山間地域におけるまちづくりの財源確保の仕組みづくりに取り組むべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎市長(清水敏男君) これまで、中山間4地区区長会などから、風力発電施設の立地により増収が見込まれる固定資産税等を財源として活用し、新たな地域振興策を構築し、中山間地域の活性化に努めるよう要望があったことや、既に市内で発電を行っている事業者からは、地域振興等に資するため寄附を頂いていることなどから、これらの財源を、例えば、公共交通等の移動手段や飲料水の確保など、中山間地域全体の課題解決につながるような施策に活用する仕組みづくりについて、今後、検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 企業がなかなか進出してこないのが中山間地域の現状でもありますので、数少ない企業・産業の進出の機会を最大限に生かしたまちづくりに取り組んでいただくよう要望しておきたいと思います。 次に、3点目は、地域おこし協力隊についてです。 中山間地域の持続可能性を高めるためには、最終的には、やはり定住人口の維持・増加が必要であり、その意味で地域おこし協力隊は非常に有効な事業であると捉えております。 制度導入から6年が経過しようとしておりますが、任期終了後の隊員の定住率の向上が、課題として指摘されてきました。11月30日に三和地区から提出された要望書においても、定住に向けた本市独自の支援策の構築や最大3年という期間の延長を国に求めるべきなどの点が挙げられており、隊員の定住がこれまで、思うように実現できなかった状況がうかがえます。 そこで、まず1つとして、3年間という期間の妥当性について、市はどのような認識を持っているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 地域おこし協力隊制度は、おおむね1年以上3年以下の活動期間において、地域に居住し、地域ブランドの開発や地場産品の販売・PR、農林水産業への従事などの地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組であります。 これまで、本市に従事した隊員の中には、任期満了した田人地区の隊員が、地域との関係を保ち定着していることや、今年度任期満了となる遠野地区の隊員が、地域及び地元企業の協力をいただき、初めて定住につながる予定であることから、市といたしましては、今後とも現行制度の中で、定住・定着に確実に結びつくよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 限られた期間の中で成果を上げていくという考え方だと思いますけれども、期間内に成果を上げるためには、実際に隊員としての活動が始まる前に、入念な事前準備が必要と考えます。 そこで、2つとして、事業実施前の隊員に対する支援を強化する必要があると考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 本制度を導入するに当たって、地域が抱える課題やそれを踏まえた活動内容、隊員が定住するための任期満了後の活動内容、さらに、地域のサポート体制等について、地域、隊員、市の3者で協議の上、事前に準備してまいりました。 活動期間中は、隊員が定住に向けた3年間の活動計画をロードマップとして作成して進捗を確認し、また、総務省の受け入れに関する手引きを参考として支援内容を確認するなどして、協力隊の活動を支援してきたところであります。 今後につきましても、これまでの支援を継続していくとともに、隊員の活動内容等について、3者間でミスマッチが生じないよう、事前にロードマップを活用して入念に情報を共有するなど、支援の強化についても改めて検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ぜひ支援の強化をよろしくお願いしたいと思います。地域おこし協力隊には地域の活性化、そして定住・定着という2つの大きなミッションが課せられております。しかも、活性化で取り組んだ活動をなりわいとして成立させることも求められております。3年という期間で、これら全てをクリアして実績を上げるというのはなかなか難しいと感じざるを得ません。 しかし、事業の成果を個別に考えてみれば、活動による地域の活性化、地域外の方との交流の定着、あるいは定住人口の増加、そして新たななりわいの創出など、中山間地域にもたらされる事業効果は様々ありまして、それらを個別に評価しながら、事業全体の在り方を考えていくことが必要と考えます。 そこで、3つとして、地域おこし協力隊事業の成果というものについて、市はどのような考えを持っているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 本制度は、地域協力活動を行いながら、その地域へ定住・定着を図る取組であることから、その成果につきましては、今ほど木村議員が御指摘されたとおり、地域おこし協力隊の活動期間中の地域協力活動を通じた地域課題の解決や地域活性化、そして、任期終了後の起業、就業による定住や、その地を離れても、地域と継続的に多様な形で関わりを継続することによる定着であると考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 事業の成果を様々な側面から個別に細分化して評価していただきたいと思うのですが、そうしたことがなされるのであれば、事業実施後のアフターフォローについても、個別の成果ごとに行っていく必要があると考えます。 そこで、4つとして、任期終了後の隊員や隊員が行った活動など、この事業に関するフォローアップについて、どのように考えているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 地域おこし協力隊につきましては、本人の意向も踏まえ、任期終了後も何らかの形で定住・定着できるよう、活動期間中からロードマップを活用してサポートしており、また、隊員が活動期間中に取り組んだ地域協力活動についても、地域にとって課題解決や地域活性化の一助となる重要な成果であると認識しております。 このため、たとえ地域おこし協力隊がこの地を離れたとしても、この活動を通じてともした火を絶やさぬよう、市といたしましては、継続的に支援してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 先ほどの答弁の中でも、遠野地区において初めての定住の実績が上がるということでしたけれども、今回は民間企業への就職により、定住への道を切り開いたわけですが、協力隊員の定住に向けた就労支援、雇用の確保については、市としても、より積極的に関わるべきではないかと考えます。 そこで、5つとして、任期終了後の協力隊員に対して、市が積極的に雇用の機会を創出することにより、定住の可能性を高める必要があると考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 隊員の定住に向け、就業を希望する隊員に対する支援といたしましては、活動期間中から、活動に関連する企業等との関係づくりを進めるなど、隊員それぞれの任期満了後の意向を踏まえた支援が重要であると考えております。 また、今後さらに、隊員が居住した地域において就職が可能となるよう、廃校を活用するなど中山間地域にふさわしい企業誘致などについても、関係部局と連携しながら、検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 積極的な雇用創出を市も全面的に関わりながら行っていただきたいと思いますけれど、次に、協力隊員の定住を促進するためには、市や県などが一般的に行っている定住支援策を効果的に活用していく必要があると考えます。 そこで、6つとして、隊員の定住促進に向けて、庁内はもとより、関係機関との連携を強化していくべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 地域おこし協力隊の定住に係る所得確保以外の課題といたしましては、中山間地域には賃貸物件が少なく、定住の妨げになることも想定されることから、空き家バンクを運営する特定非営利活動法人いわき市住まい情報センターや地域などとも連携し、円滑に住居を見つけられるよう支援するとともに、隊員の意向も踏まえ、必要に応じて、その他関係機関についても連携をさらに強化してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 現在、都市建設部は立地適正化計画によって示された、まちなか定住を促進するために、まちなか定住促進事業を行っていますが、直近では9名の方が移住されたという実績を伺っています。都市部に限らず、中山間地域においてもこうした移住誘導政策が必要ではないかと考えます。 そこで、7つとして、インセンティブのある移住促進政策を中山間地域においても検討すべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 本市の移住促進政策といたしましては、現在、まちなか定住促進事業のほか、市内全域を対象として、東京23区に在住していた方が登録企業に就職するなど、一定の要件を満たした場合に移住支援金を交付するUIJターン支援事業や、親世代や子育て世代等の三世代による同居や近居を行うための住宅の取得、改修等に要する経費について補助を行う、三世代同居・近居支援事業などを実施しております。 中山間地域におきましては、人口減少が著しいため、議員御指摘のとおり、まちなか定住促進事業のような誘導策の活用も効果的であると考えられますことから、今後、様々な財源を活用しながら、関係部局との調整の上、検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ぜひよろしくお願いします。様々な課題があるとはいえ、地域おこし協力隊は中山間地域に限らず、他の人口減少地域においても、地域の活性化や定住・関係人口の増加に有効な事業であると考えます。 そこで、8つとして、地域おこし協力隊事業の実施地域の拡大についてはどのように考えているのか伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 地域おこし協力隊につきましては、現在、人口減少や少子・高齢化の影響が著しく、地域課題の解決や地域活性化を行う担い手が不足している中山間地域に配置しております。 しかしながら、中山間地域と同様の課題を抱えている地域もありますので、地域の課題やそれぞれを踏まえた隊員の活動内容、地域の受入れ体制、さらには、任期満了後の定住・定着のビジョン等を整理できた地域につきましては、地域の課題を解決する1つの手法として、関係部局と連携して、協力隊の配置についても検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) これまで物質的な欲望に突き動かされてきた経済成長や、効率重視の社会を追い求めてきた中で、私たちは自然あふれる環境や、人の絆など、本当は誰もが望んでいる重要なものをないがしろにしてきたように感じております。 しかし、大規模災害や世界的な感染症の流行などにより、物質的豊かさの代償としてあきらめてきた、ものや地域、人など、かけがえのないものを望む思いは、これまでになく高まっていると考えます。そうした考え方の変化と、Society5.0に代表されるような新技術が融合した社会が、新しい価値観に基づいた新しい豊かさを実現する社会であり、これからつくり上げるべきまちの姿になっていくのではないかと感じております。 そう考えたとき、都市部ではなく地方、中山間地域にこそ、大きな可能性が見いだせると私は考えます。時代の変化により訪れたチャンスを逃すことなく、これからの中山間地域におけるまちづくりに取り組んでいただくよう要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、いわき市における文化政策についてです。 まず、1点目は、文化政策推進に対する考え方についてです。 文化芸術活動やそれに関連する施設の充実など、文化政策の推進に政策資源を投資するよりも、教育や福祉、道路や水道などのインフラ整備、あるいは災害に強いまちづくり、感染症で疲弊した経済への対策を優先すべきではないか、こうした考え方は、比較的多くの方に受け入れられるのでないかと感じております。 限られた資源、山積する課題を前にして、文化政策は後回しにされやすい分野でもあるだけに、文化政策を推進するためには、その必要性について、確固たる考えを示すことが重要であると考えます。 そこで、1つとして、市は文化政策の充実を図る必要性について、どのような認識を持っているのか伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化は、人々の創造性を育み、心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであります。 また、地域固有の文化は、地域への愛着・誇りを醸成し、地域社会の連帯感を強めるなど、地域づくりを進める上で必要不可欠なものであることから、今後のまちづくりにおいて、文化政策の充実は極めて重要な役割を担うものであると認識しております。 ◆3番(木村謙一郎君) では、今、御答弁頂いたような思い、文化政策を充実させる重要性、必要性、これをどのように市民の認識を高めていく考えなのか、市の考えを伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) ただいま御答弁申し上げましたとおり、まちづくりにおける文化政策の役割は極めて重要なものであり、それを広く市民の皆様に御理解いただくため、今般、本市の特性を生かした文化によるまちづくりに向けたよりどころとなる文化政策ビジョンを策定することとしたところであります。 ビジョンにおきましては、文化政策の重要性、必要性を明確に掲げるとともに、広く市民の皆様への浸透を図るため、内容の分かりやすさを重要視しながら策定を進めていくほか、策定後におきましては、ビジョンの積極的な普及に努め、市民の皆様との意識共有を図ってまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 広域多核都市である本市は、市内において様々な地域特性がありまして、それだけ幅広い文化が存在し、多様性あふれる、それぞれの文化を守り育てていくことが求められていると考えております。 一方で、いわき市民の誰もが納得し、共有できる文化的な柱を軸として文化政策を推進し、特色あるいわきの文化をつくり上げてくことも必要と考えます。文化政策を推進していく上で、多様性を生かしていくのか、それとも画一性を重視するのか、もしくは多様性と画一性の2つを同時並行的に進めていくのか、その戦略が重要であると考えます。 そこで、3つとして、文化的多様性を有する本市において、文化政策を推進していく上での基本的な考え方について伺います ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化政策を推進してく上での基本的な考え方につきましては、本市の歴史や地域特性等を踏まえながら、現在、作業を進めております文化政策ビジョン策定の議論の中で、検討を行っているところであることから、ビジョンの策定に合わせて示してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 策定を楽しみに待ちたいと思いますが、市民憲章にあるように、教養を高め、文化のまちをつくるには、何よりその担い手である市民一人一人の意識改革が必要でありまして、そのためには、文化というものに対して、市民が主体的に価値や必要性を考えるための機会を創出することが重要になってくると考えます。 例えば、美術館の入館料を無料にすることで、美術に対する価値、なぜお金を払う必要があるのか、お金に換算すべきことなのかといった問いを市民に投げかけてみるのも、文化芸術に対する意識の変化につながるのではないかと考えます。 そこで、4つとして、美術館の無料化を行うことにより、市民の意識改革を強力に促すべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 美術館は、人類共有の財産である貴重な美術作品の価値を人々と分かち合い、日々の活動を通じて人々の感性と知性を豊かにし、文化的な力量を蓄えた社会を築く役割を担っております。 市立美術館におきましては、より多くの方々に来館いただけるよう、市内の子供や高齢者等に対する観覧料の減免のほか、夏休み期間に開催する企画展への学生の招待等を行っており、これらは今後も必要な取組であると認識しております。 今後も引き続き、市民の皆様の文化的な生活の享受と意識の向上に資するため、国内外の優れた美術作品に接する場を提供する企画展等の充実に向けては、観覧料はその貴重な財源となるものと認識していることから、現時点で無料化については考えてございません。 ◆3番(木村謙一郎君) 博物館法では、公的博物館は原則無料とするとされております。なぜ、法律でそう決められたのか、その理念について、私たちは立ち止まって考える必要があるのではないかと思います。博物館や美術館を無料にすることにより、そこにある文化的な遺産には入館料には代えられない価値があることにまずは気づかなくてはならないと思います。そうした文化・芸術の本来の価値を考え、それを守らなくてはならないと気づいたときに、初めて欧米のような寄附の文化に根ざした、文化芸術活動の振興への道が開かれるのではないかと思います。 令和元年度の美術館の常設展の観覧料は11万7,690円となっておりますが、入館料を無料にしている大英博物館のようなところでも企画展に関してはお金を取っているんですね。借りてこなくてはならない意義があると思うんですけれども。いわき市立美術館においては、せめて常設展を無料にして、11万円には代えられない市民の意識改革を促す効果があると思いますので、今考えてないという答弁でございましたけれども、常設展に関してでもよろしいので、ぜひ今後検討を深めていただいて、市民の文化に対する意識の醸成を図っていただきたいと思います。 2点目は、いわき市文化政策ビジョンについてです。 国による文化芸術基本法の制定により、本市においても初めて、文化政策に関する体系的な推進計画が策定されることになり、文化政策がこれまで以上に充実することが期待されております。 一方で、そもそも文化という言葉が意味する範囲が非常に広いため、策定中の文化政策ビジョンがどのような構成でつくり上げられていくのか、まずはビジョンそのものの大きな枠組みをきちんと理解しておく必要があると考えます。 そこで、1つとして、策定予定の文化政策ビジョンはどのような構成になっているのか概要を伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化政策ビジョンの構成につきましては、本市の文化政策の根底となる考え方である基本理念、基本理念を実現するための目標となる基本方針、基本方針ごとに具体的な事業を企画、実施するための方向性を示す施策の方向性を基本的な枠組みとして策定を進めているところであります。 ◆3番(木村謙一郎君) 今回のビジョン策定において重要なのは、いわきの地域性を生かした計画になるかどうかでありまして、他市とは異なる独自性をどこまで打ち出せるかにあると考えます。 そこで、2つとして、文化政策ビジョンにおけるいわきの独自性としては、どのような点があるのか現時点での考えを伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化政策ビジョンにおけるいわきの独自性につきましては、現在、検討を進めているところでありますが、本市の歴史や地域特性等を十分に踏まえた内容を盛り込むことが重要な要素であるものと認識していることから、いわきらしさが感じられ、市民の皆様との意識共有が図られるものとなるよう、議論を深めてまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 文化を広範的に扱う計画ですので、まとめていくのは難しい作業だというのは感じるところなんですけれども、特に文化に対する考え方というのは、世代や地域、そしてまた時代によって大きく変わっていきます。ビジョン策定に当たっては、アンケートの実施や関係者へのヒアリングも行っているとのことですけれども、その際、これからのいわきの文化を担っていく、若い世代の考えにも特に耳を傾けていくことが重要ではないかと考えます。 そこで、3つとして、文化政策ビジョンの策定において、若い世代の意見や考えを反映させていくことについて、市はどのような認識を持っているのか伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化政策により、活力にあふれる豊かなまちを生み出すためには、文化の担い手となる若い世代へのアプローチが極めて重要であるものと認識していることから、今後、若い世代を対象としたワークショップ等を開催し、等身大の目線で本市の文化を語り合っていただく中で、寄せられた意見や要望等について、文化政策ビジョンに反映させてまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) ワークショップ等様々な事業を通して、若い方々が文化について考え、そして議論する機会が増えることに大きな意味があると考えます。特に中・高生など、いわゆる文化部に所属しているような子供たちの考えにもぜひ耳を傾けていただきたいと思います。そうした世代において文化に対する議論が高まるような事業の実施にも期待したいと思います。 いずれにしましても、文化ビジョン策定の最大の目的は、計画の策定自体にあるのではなく、計画を策定するために、自分たちの独自の文化について考え、議論し、文化に対する意識を高めていく、その過程にあるといっても過言ではないと思っております。 そこで、4つとして、ビジョンの策定時期を延期し、より議論を深めるための取組を充実させるべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 文化政策におきましては、芸術や文化財など文化の振興そのものにとどまらず、観光、産業、教育等の様々な分野において、文化が持つ創造性を活用することが求められております。 こうした考えの下、文化政策ビジョンの策定に当たりましては、文化芸術関係者や学識経験者のほか、観光や経済団体等の関係者も含めて組織された文化政策ビジョン策定検討委員会における議論に加え、文化団体等に対するアンケート調査や、市内の文化芸術活動の担い手等への個別ヒアリングを実施しているところであります。 しかしながら、当初、検討委員会における議論と並行して実施する予定としておりました、若い世代を対象としたワークショップの開催など、より幅広い立場の方々からの意見を聴取する機会が、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅にずれ込んでいるため、より丁寧に本市の文化政策の在り方について議論を深める取組を充実させるため、必要に応じ、策定スケジュールの見直しも検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) コロナの影響もあってということなんですけれども、私はコロナの影響がなくても策定までの話合いの期間というのは、これで満足だったとはあり得ないと思うんですけれども、十分取っていただきたいと思っておりますので、理由はいかにせよ、スケジュールに関しては柔軟に考えていくということですので、今後も文化を語り合うためのモチベーションを維持する意味で、この文化政策ビジョンの策定というのは非常に重要だと思いますので、柔軟な考えを持ってその策定時期を決めていくよう要望して、次の質問に移りたいと思います。 大きな質問の3番目は、平城跡についてです。 いわき平城本丸跡地における公園整備事業が進められる中で、本年8月、本丸跡の遺構が発見されたと報道がなされました。以来、多くの方から遺構の保存を求める声が寄せられておりますが、遺構の保存活用を検討する際に重要なのは、考古学的な視点から見た場合、将来の研究者がきちんとした歴史資料として利用できる保存方法を選択するという点にあると思います。 一方で、市民の視点に立てば、歴史的な価値はさることながら、自分たちのアイデンティティーに関わる価値や、観光、教育資源としての価値など、様々な価値観を踏まえた検討が必要になります。最終的に公園が整備されるまでは、様々な議論を重ねていく必要があると思いますが、その中心にあるのが今回発見された遺構であると考えます。 そこで、1点目は、遺構の保存についてです。 まず、1つとして、発掘された遺構は現時点においてどのような状況にあるのか伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 今般、(仮称)磐城平城・城跡公園整備に係る発掘調査により、江戸時代末期の戊辰戦争に伴い焼失した磐城平城本丸御殿の礎石や排水溝と考えられる溝などの遺構が出土したところであります。 これらの遺構は、磐城平藩の政治の中心であった本丸御殿の姿を知る上で、大変重要なものであることから遺構を良好な状態のまま維持するため、埋め戻しを行うこととしております。 ◆3番(木村謙一郎君) 遺構の最終的な保存方法や活用が決定されるまでには、さらなる調査研究や議論を重ねるなど、様々な作業が必要になると想定されますが、改めて、そのプロセスを確認しておく必要があると考えます。 そこで、2つとして、今後、遺構はどのように取り扱われていくのか、具体的な流れについて伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 今回の遺構につきましては、発掘調査により磐城平城本丸御殿の礎石の一部が出土したことを受け、本丸御殿の広がりを確認するため、追加の調査を実施し、池跡など本丸御殿の庭園の遺構も確認されたところでございます。 これら調査結果を踏まえ、遺構の保存・活用の在り方について、改めて専門家からの助言・指導を受けながら、今後の進め方を現在検討しているところでございます。 ◆3番(木村謙一郎君) 今後、遺構の保存に向けては様々な議論が必要でありますけれども、重要なのは遺構の学術的な価値を適切に評価することにあると考えます。 そこで、3つとして、今回発見された遺構の学術的な価値に対する評価はどのように行われていくのか伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 出土した遺構につきましては、各専門家から貴重なものであるという意見も頂いておりますが、学術的な価値等の評価としては、史跡の指定をもって判断されるところが大きいものと考えております。 具体的に国・県・市の史跡指定に値するかどうかは、文化財保護法等に基づき、文部科学大臣や県及び市の教育委員会が専門機関に諮問し、一定の基準に該当するかどうか調査審議され、答申を経て決定されることとなります。 ◆3番(木村謙一郎君) ただいま答弁にありましたが、専門家からの適切な評価を受けた上で、さらにその上に、特にいわき市民だからこそ感じる遺跡に対する価値にも配慮しながら、今後保存活用に向けた合意形成を図ることが必要と考えます。 そこで、4つとして、遺構の保存に向けた合意形成を市はどのように行っていく考えか伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 市といたしましては、今回出土した遺構は、磐城平城といういわきの歴史を振り返るシンボル的な場として、地域の宝となるものと考えており、その遺構の重要性を市民の皆様に伝えていくことは、ふるさとの歴史に対する興味・関心を高め、郷土愛の醸成につながるものと考えております。 したがって、遺構につきましては将来にわたって保存してく考えではありますが、遺構の保存・活用の在り方については公園整備事業と密接不可分であるため、機会を捉えて市民の皆様などの御意見を聞いていく必要があるものと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 歴史というのは、とかく後世の人間の主観や思いによってねじ曲げられてしまいがちです。資料が乏しい場合はなおのこと、憶測や想像が先行してしまって、間違った歴史像が定着してしまうことはよくあることで、私は遺跡を破壊するよりも、異なった事実を後世に伝えるほうがはるかに罪が重いと考えています。 新たに発見された遺構については、専門家による学術的な評価を冷静に受け止めながら、将来のいわき市民に残すべき最善の形を見いだすために、しかるべき議論を経て合意形成を図るよう、要望しておきたいと思います。 次に、具体的な保存方法に関してですが、前回私が行ったいわき平城に関する質問では世界遺産でもある佐賀県の三重津海軍所跡を紹介させていただきました。この遺構は木製のドック、造船所で、空気中での劣化が激しいため、実際の遺構は地中に埋め戻されています。しかし、世界遺産でもある遺跡の価値を多くの方に知ってもらうために、VRを利用した展示を行っています。まさに、遺跡の歴史的価値と住民にとっての価値を尊重した、最適の保存、展示方法であると改めて感じております。 また、最近では安土桃山城においても、VRやARを使った復元を試みるとの報道がありました。安土城は完成から約3年で焼失したため、幻の城と呼ばれているように、資料が乏しく復元は非常に難しいと言われております。今回、滋賀県は復元プロジェクトを立ち上げまして、4つの案を提示し、広く県内外からの意見を求めた上で、復元等の在り方を決定したそうです。 約20年にわたる発掘が続けられているそうですが、資料が乏しい中で、最適の復元、あるいは再現方法がVRやARなどデジタル技術を利用したものであるという結論に至った点については、同じように資料が乏しい磐城平城においても、学ぶべきものがあると考えます。 そこで、改めて伺いますが、5つとして、今回発掘された遺構を適切に保存し、効果的に活用していくために、VRやARなどの先進技術の導入を具体的に検討すべきと考えますが、市の所見を伺います。 ◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 近年、全国各地において、VRやARといった先進技術を取り入れ、観光やまちづくり、文化財の活用等につなげている事例があると聞き及んでおります。 平城跡につきましても、今回の遺構を含め、磐城平城に関する文献調査の成果を市民の皆様に分かりやすく伝えるための手段の1つとして、VRやARの活用について検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) さらに積極的な活用を、ぜひ今後の保存活動を検討する中では機を捉えながら、検討していただきたいと思います。 次に、2点目は、公園整備事業への影響についてです。 今回、遺跡が発見されたことにより、当初予定されていた公園整備計画への影響は避けられないものがあると感じております。 そこで、まず1つとして、今回の遺構の発見が現行計画に与える影響を現時点ではどのように認識しているのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 現行の基本計画におきましては、令和3年度の完成を目途とし、体験学習施設や門、園路広場、休養施設等の公園施設の整備を行うこととしておりましたが、今般の埋蔵文化財の発掘調査におきまして、良好な状態で遺構が出土いたしましたことから、本計画通り整備を進めることは難しいものと認識しており、今後、本計画の変更が必要になるものと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 遺構に配慮して計画を変更していくということですけれども、時間や財源など、様々な制約がある中で、様々な方々の声を真摯に受け止めて、ただいま答弁あったように変更を決断したことは評価されるべきと考えます。 一方で、今後の遺構の保存の手法や、変更される整備計画の内容次第では、市の財政的負担が増えることも想定しなくてはならないと考えます。可能な補助金や交付金の確保はもとより、場合によっては寄附金を募るなど、あらゆる方法で財源を確保しながら、公園整備事業を進めていく必要があると考えます。 そこで、2つとして、計画の変更や遺構の保存に伴う財源確保について、市としてどのように考えているのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 現在、公園整備につきましては、国の補助事業である都市の拠点性を高めるため、地域の歴史・文化等の特性を生かしたまちづくりを集中的に支援する都市構造再編集中支援事業により事業を実施しておりますことから、今後の公園整備計画の変更等におきましても、当該補助金の活用を最優先に考えておりますが、財源確保につきましては、改めて国・県と協議を行ってまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 市長はもともと、やぐらの再建に関して寄附金などとおっしゃっていたと思うんですけれど、今回遺構が発見されて、今までと局面が変わったと思うんです。市民の皆さんは歴史的な価値にかかわらず、このお城、遺構を守っていきたいという思いが強いと思いますので、寄附金という言葉を使わせてもらいましたけれども、市民の皆さんの協力も積極的に仰ぎながら公園整備を進めていただきたいと改めて要望いたします。 3つ目として、平城跡における公園整備を今後どのように進めていくのかお伺いします。 ◎市長(清水敏男君) 本公園の整備につきましては、いわき市中心市街地活性化基本計画の主要事業として位置づけており、まちなかで歴史、文化、自然に親しむことで、にぎわいのある中心市街地の創出を図るものとして重要なものと認識しております。 そのため、今後につきましては、現在、埋蔵文化財の調査・確認が行われていることから、出土いたしました遺構の重要性やその範囲についての検証結果及び史跡指定の取組状況に応じ、公園整備計画につきまして再度検討するなど、適時・適切に進めてまいりたいと考えております。 ◆3番(木村謙一郎君) 遺構の保存によりまして、平城跡、公園整備、これから新しい局面で議論を重ねていかなくてはいけないのかと思っております。当初の予定というのは、市民の皆さんが親しめる公園整備ということですので、今は文化財の保護が優先なのか、公園整備が優先なのか、難しい状況があると思うんですけれど、市担当当局の総力を結集して、事業を速やかに適切に推進していただきたいと思います。 中山間地域にせよ、文化政策にせよ、今回の遺構の保存活用にせよ、これからのまちづくりにおいては、効率性を求めると同時に、費用対効果では換算できない価値や市民の思いに対して、行政がどこまでサービスを提供していくべきなのかという厳しい選択を迫られる場面がさらに増えてくると思います。 執行部においては、意思決定のプロセス、そしてそれに伴う責任を明確にしながら、厳しい決断であろうとも市民一丸となって事業を推進できる市政運営に努めていただくよう要望し、併せて、今日は1人でも多くの市民の皆さんがおいしい魚を食べていただくこともお願いいたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大峯英之君) ここで、午後2時30分まで休憩いたします。          午後2時08分 休憩---------------------------------------          午後2時30分 再開 △狩野光昭君質問 ○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。12番狩野光昭君。          〔12番狩野光昭君第二演壇に登壇〕 ◆12番(狩野光昭君) (拍手)12番いわき市議会創世会の狩野光昭です。ただいまより一般質問を行います。 大きな質問の1つ目は、医師不足の解消についてであります。いわき市民が抱えている喫緊の課題は医師不足の解消であります。将来にわたり安心な医療体制を確立していくために、以下質問いたします。 1点目は、市内の医療の現状についてであります。 厚生労働省が2年に1度実施している医師等の統計調査によると、平成30年12月31日現在の医師数は、全国で31万1,963人、福島県で3,819人、いわき市では573人となっています。 この数字を基にした人口10万人当たりの医師数について伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 平成30年12月31日現在の人口10万人当たりの医師数につきましては、全国が246.7人、福島県が204.9人、本市が167.1人となっており、本市の医師数は、全国の約68%、福島県の約82%となっております。 ◆12番(狩野光昭君) そのうちで、病院に勤務する人口10万人当たりの医師数について伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 同じく人口10万人当たりの病院に勤務している医師数につきましては、全国が164.6人、福島県が133.5人、本市が92.1人となっており、本市の医師数は、全国の56%、福島県の69%となっております。 ◆12番(狩野光昭君) それでは、いわき市の医師の平均年齢について伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 同じく医師の平均年齢につきましては、全国が49.9歳、福島県が52.6歳、本市が56.4歳となっており、全国と比較しますと、本市の平均年齢は約7歳上回っております。 ◆12番(狩野光昭君) 今、御答弁があったことをまとめると、いわき市の医療の現状は、病院に勤務する医師が全国の約半数、そして高齢化しているという大変深刻な状況が明らかになったわけであります。 次に、いわき市医療センターにおいて、医師不足などにより診療制限を行っている診療科について伺います。 ◎医療センター事務局長(鈴木善明君) 当センターは、地域医療支援病院であり、地域内の他の医療機関との役割分担の観点から、原則として、かかりつけ医からの紹介を受けて診療を行っているところでございますが、常勤医師が不在となっている診療科のうち、腎臓・膠原病科、リハビリテーション科は外来診療を休診とし、皮膚科、呼吸器内科、緩和ケア内科は診療応援医師による完全予約制または再診患者のみの診療としているところであります。 また、整形外科など、10の診療科におきましては、紹介・再診患者に係る診療に限定することによって、必要最小限の医師数で診療体制を維持しているところでございます。 ◆12番(狩野光昭君) 今、御答弁にあったように、常勤医師が少ないということがあって診療制限を行っていることが比較的多いのかと思っております。中核であるいわき市医療センターがそういう状況でありますので、心配しているところであります。 それでは、いわき市医療センターから、市外の医療機関に転院した実態について伺います。 ◎医療センター事務局長(鈴木善明君) 当センターから他の医療機関に転院した件数は、令和元年度で、約1万3,900件ですが、そのうち、市外に転院した件数は、約2,200件となっております。 その転院先といたしましては、福島県立医科大学附属病院へ約260件、一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院へ約140件、東北大学病院へ約110件、筑波大学附属病院へ約110件などであり、当センターで行うことが困難な、より高度な治療を受けるためのものであります。 これらのほか、当センターでの高度・急性期の治療が終了し、その後のフォローアップ等のため、患者さんがお住まいの地域などへ転院したものとしては、北茨城市民病院へ約100件、南相馬市立総合病院へ約40件などとなっております。 ◆12番(狩野光昭君) 市外へ転院している実態を聞いて、約2,200件ということで驚いているのですが、これは専門の医師が確保されていないことが大きな原因となっておりますので、そういった中で、私のところにいろんな相談があるんですけれども、特に市外の病院へ手術などに行く場合、家族の方が郡山とか仙台とかに行く場合、交通費やガソリン代がすごくかさむことへの意見や、仕事で休みを取るのが本当に大変なんだという声が多く寄せられているわけであります。理想は市内の医療機関で入院して、治療して退院できるという地域完結型の医療体制の確立が求められていると私は思っておりますので、そういったところをぜひ今後、実現していかなければならないと強く思っているところであります。 それでは、医師不足が救急医療にどのように影響を与えているのでしょうか。 2点目の質問は、救急業務についてであります。 市内の過去3年間の救急活動状況について伺います。 ◎消防長(猪狩浩二君) 市内の過去3年間の救急活動状況につきましては、出動件数、搬送人員の順で申し上げますと、平成29年は、1万3,561件、1万2,142人、平成30年は、1万4,132件、1万2,548人、昨年令和元年は、1万4,169件、1万2,422人となってございます。 ◆12番(狩野光昭君) 今、御答弁あったように、年々出動件数が増えているんですね。それでは、覚知してから、つまり通報があり認知してから医療機関に収容するまでの国・県・市の平均所要時間について伺いたいと思います。 ◎消防長(猪狩浩二君) 覚知から医療機関に収容するまでの国・県・市における平均所要時間につきまして、平成30年の統計で申し上げますと、国は39分30秒、県は45分54秒、市は51分18秒となってございます。 ◆12番(狩野光昭君) 全国と比較しても約10分以上長くなっております。心筋梗塞や脳梗塞など、時間を争う患者の場合は、大変心配されるところであります。 それでは、搬送時間を短縮する取組について伺いたいと思います。 ◎消防長(猪狩浩二君) 搬送時間の延伸につきましては、高齢化の進展に伴う救急需要の増大に加え、軽症者による救急要請が重なることで、搬送先医療機関の決定までに時間を要することが、主な要因でありますことから、市ホームページや各種講習会など、様々な機会を捉え、搬送時間短縮のために、今後もより一層、救急車の適正利用の啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
    ◆12番(狩野光昭君) 搬送の実態を聞くと、約4割の方が軽症ということを聞いておりますけれども、そういった中では、かかりつけ医を持って、医師の判断をきちっと仰ぐことによって、搬送件数が私は減るのではないかと考えておりまして、そういったところを周知してもらいたいと思っております。 平成28年12月の福島県地域医療構想によると、いわき区域の救急搬送においては、重傷患者以上傷病者について現場滞在時間30分以上の割合と、受入れ照会4回以上の割合が県平均を大きく上回っており、いわき区域の広大な面積と救急医療機関の偏在、患者受入先である救急医療機関の医師数の少なさなどが複合的に影響しているためと考えられます。脳血管障害や急性心筋梗塞などの発症時に早期に治療を開始する必要がある疾患の標準化死亡率が高いこととの関連も疑われるため、救急医療機関の医師数を増やすことが必要でありますと指摘しております。 まさに、御指摘のとおりであって、医師不足の解消は喫緊の課題であることを再確認していきたいと思っております。 3点目は、医師確保に向けた取組についてであります。 市内の民間医療法人などに対する医師確保支援の取組について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 医師確保支援の取組といたしましては、市内病院が医学生を対象に修学資金を貸与する場合に、その費用の一部を補助する市病院医師修学資金貸与事業費補助金や、民間病院等と市が連携し、医科大学に寄附講座の開設を図る共創型・地域医療寄附講座開設事業、市外医師等が市内に診療所を開設または承継する場合に、その費用の一部を補助する診療所開設支援事業を導入しております。 また、医学生を対象に、本市で地域医療の実習・見学等を行ういわき地域医療セミナーや医学部進学予定者とその保護者に対し、有用な情報を提供するいわき市医療ガイダンスの開催に加え、本市出身の医師等に対し、本市の医療情報を提供するいわき医療ふるさと便の発送、本市への医師招聘に関する調査及び助言等を行ういわき市医師招聘専門員兼医療センター顧問を設置するなど、医師確保に関する施策を積極的に展開しているところであります。 ◆12番(狩野光昭君) それでは、いわき市医療センターの医師確保の取組について伺いたいと思います。 ◎市長(清水敏男君) 医療センターにおける医師確保につきましては、これまで、私をはじめ、病院事業管理者や医師招聘専門員等が様々な大学医局等への働きかけを行ってきたほか、寄附講座や東北大学大学院との連携講座の設置、各種手当の拡充、新築の医師住宅の提供、修学資金貸与制度の活用などを行ってきたところであります。 こうした取組に加え、医療機能の充実が図られた新病院の効果もあり、常勤医師数は増加傾向であるとともに、去る10月22日に発表された医師臨床研修マッチングでは、昨年度に引き続きフルマッチとなったところであります。 今後におきましても、これまで行ってきた様々な取組をより一層強化するとともに、引き続き粘り強く、大学医局等への働きかけを行うことなどにより、積極的に医師招聘に取り組んでまいります。 ◆12番(狩野光昭君) 今の市長の御答弁にあるように、確かにいわきの医師はだんだんと増えていっていい傾向にあるんですけれど、今の全国、県内から見た医師数を見ると少ない現状なので、もう少し積極的な取組を含めて考えることが必要で、私は医師確保の予算を増額して、医師確保に向けた取組をさらに強化することが必要と考えますけれども、市の所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ◎市長(清水敏男君) 本市の医師数は、全国平均と比較すると、いまだ少ない状況にありますが、医師不足の解消に向け、各種施策を積極的に展開してきたことや、各医療機関の御努力により、徐々に増加しております。 こうしたことから、今後におきましても、適切な予算の確保を図りながら、必要な事業を実施するとともに、本年3月に県が策定した医師確保計画において、本市は重点的に医師の確保に取り組む区域となりましたことから、本市独自の施策について県に理解と支援を求めるほか、県の施策とも連携を図りながら、医師確保により一層取り組んでまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 今、市長お話ししたように、今年の3月31日に医療法及び医師法の一部改正によって、福島県が医師の偏在解消に向けて、福島県医師確保計画を策定したわけです。 その計画では、いわき市は医師の少数区域と区分されて2023年までの目標医師数は631人と規定されたわけです。2018年の先ほどの資料によると573名なので、あと3年間で50名以上の医師を確保しなければならない、これはいわき市だけではなく、県がきちっと責任を持ってやらなければならないことなんです。というのは、県北地方は医師多数区域に指定されているわけなんです。そういったことをきちっといわき市はもっと県のほうに訴えていくべきであると私は思うんです。具体的な偏在のこの中での取組は、福島県について医師確保に向けての短期施策としては、地域枠医師などの派遣や県立医科大学等からの医師派遣などを明らかにしているんです。ここを県が医師確保計画の中に施策をうたっているわけでありますから、いわき市は福島県と連携してこのような深刻な実態を、医師の偏在というものを解消していく取組を、強化をお願いしたいと思っております。私は、医師確保の予算は増額しても市民は理解すると思うんです。本当にみんな心配しているわけですから。市長はもう少し自信を持って予算確保を増額して対応していただきたいと要望していきたいと思っています。 大きな質問の2つ目は、新型コロナウイルス等の感染症対策と経済対策についてであります。 1点目は、本市の感染症対策についてであります。 全国的に新型コロナウイルス感染症が広まり、医療崩壊を防ぐためにこれまで以上の感染防止の取組が必要となっています。感染防止は検査と隔離が基本であります。そのためには、PCR検査の拡充が必要となっています。東京都世田谷区は、10月から高齢者施設等へのPCRの定期検査を社会的検査と位置づけ実施しています。 いわき市も感染すると重症化リスクの高い高齢者に携わる介護職員等のPCR検査を実施して、感染防止に努めることが必要と考えますが、市の所見を伺いたいと思います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 国が8月に発出した通知等により、全額公費負担となる行政検査の対象が拡大され、陽性者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域では、その期間、高齢者施設等に勤務する方や入所者を対象に、一斉または定期的に検査することが、行政検査として認められております。 クラスターの発生している東京都において、世田谷区などは、介護事業所等の定期検査を社会的検査として位置づけ、10月から行政検査を実施しております。 本市におきましては、感染者発生時にクラスター発生の可能性がある場合など、高齢者施設等の職員や利用者等については、必要に応じて、濃厚接触者に限らず、施設の職員や利用者全員に対象を拡大して行政検査を実施しているところであります。 本市では、現時点で、クラスターが発生するなど、感染拡大が急増している状況にはありませんが、今後、国の通知等に基づき、地域の感染状況を踏まえながら積極的な行政検査を可能な限り実施してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) さきの県議会の質問の中では、福島県として介護施設に入所する新規の人についてはPCR検査をやるということの拡大を明らかにされたわけですけれども、重症化する施設の高齢者対策で、そういったことは必要だと思いますので、前向きに市も行政検査を行うという考えを示されたんですけれど、クラスターになっては遅いんです。その前に、安心して介護に従事するという、受けるほうもやるほうも安心して従事できる体制が必要だと思っていますので、そこを十分検討していただきたいと思っています。 続いての質問は、いわき市医療センターにおける新型コロナ患者の治療の現状について伺いたいと思います。 ◎病院事業管理者(新谷史明君) 当センターにおきましては、感染症指定医療機関としての役割を果たすため、院内の感染対策機能を強化するとともに、患者の受入れ病床の確保に加え、重症患者への対応を想定し、3台の体外式膜型人工肺エクモを稼働できる体制を整える等、医療提供体制の一層の充実を図ってきたところであります。 また、診療に当たる医師が、これまでの治療実績を踏まえながら、積極的な情報収集を重ね、患者の症状に応じた効果的な治療を実施するとともに、呼吸器内科の外来応援のために、当センターに派遣されている福島県立医科大学の医師から、治療方針等に関し、専門的な助言や指示をいただいているところであります。 加えて、外部研修への参加等を通じ、看護師をはじめとした医療スタッフの感染症に対するスキルアップも図られていることから、現時点におきましては新型コロナウイルス感染症の治療に関し、適切に対応できているものと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 医療センターのそういった対応に感謝申し上げたいと思います。新谷先生も日々の新聞等に書いてあったように、医療センター全体でいろんな情報を入手しながら対応してきているということでありますので、すごく安心しているところではありますけれども、万が一医療危機に陥った場合においては、市のほうから人的支援も含めて、そういった危機的な状況になることも想定しながら支援の体制を今からでも考えていただきたいと思っております。 続いての質問は、市内の新型コロナ感染者に対して誹謗中傷や差別が見受けられます。いわき市の新型コロナ感染者に対する差別や偏見をなくす取組について伺いたいと思います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 新型コロナウイルス感染者に対する差別と偏見をなくす取組についてでありますが、市におきましては、市長から市民に向けて発信したメッセージの中で、感染者やその関係者に対する差別や偏見等につながるような行為を絶対にしないよう、折に触れて呼びかけてきたほか、広報紙や市ホームページ等を通じ、感染者やその家族に対する差別や偏見が広がらないよう、市民に対し、冷静な対処をお願いしてきたところであります。 また、11月8日に開催されたいわきドリームチャレンジ2020及び11月22日に開催されたいわきFCのホームゲームにおきまして、人権擁護委員の皆様と連携を図りながら、感染者やその関係者への差別や偏見の防止に向けた啓発活動を実施してきたところであります。 今後におきましても、各種の広報媒体を介した差別や偏見を防止するための啓発活動や、小・中学校における人権教室などを通じて、感染者とその関係者等に対する理解や配慮が深まる取組等を推進し、新型コロナウイルス感染症に関わる差別偏見の抑止に努めてまいります。 ◆12番(狩野光昭君) ぜひお願いしたいと思います。これが助長すると、自分の行動履歴を保健所の調査で報告できなくて、感染源を追えないという状況も全国的に生まれているので、そういったことをなくして、いつ自分がなるか分からないわけですから、対応を強化してもらいたいと思っております。 続いての質問は、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行を防ぐために、いわき市医療センターのスタッフと同様に、患者搬送に当たる救急隊員の感染防止に向け、インフルエンザ予防接種費用の助成を行うことが必要と考えますが、市の所見を伺いたいと思います。 ◎消防長(猪狩浩二君) 本市の救急隊員に対する感染症対策に係る予防接種につきましては、昭和62年に総務省消防庁より発出されたB型肝炎のワクチン接種に係る通知を受け、昭和63年から開始しており、今後は、麻疹及び風疹等につきましても実施することとしております。 なお、同庁の通知におきまして、インフルエンザは予防接種の対象とされていないことから、現在、個人で対応しているところでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念される中、救急隊員がインフルエンザにより重症化しないよう、また、救急搬送される傷病者等へ感染させないよう、市医療センターにおける医療従事者への対応及び他の消防本部の状況を参考にしながら、予防接種の実施について検討していく考えであります。 ◆12番(狩野光昭君) できるだけ善処をお願いしたいと思っております。 それでは、2点目は、既存事業の拡充による経済対策についてであります。 新型コロナ禍で市内の景気は大きく後退しています。いわき市は、市民限定宿泊費助成事業など、市独自の経済対策を行っていますけれども、既存事業を拡充する経済対策も必要かと思います。その1つが、いわき市個人住宅優良ストック形成支援事業であります。 現在約50件の受付枠となっておりますけれども、予算の拡充を行い小規模建設事業者の仕事確保が必要と考えますけれども、市の所見を伺いたいと思います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 個人住宅優良ストック形成支援事業につきましては、省エネルギー化やバリアフリー化などへの改修工事により、良質な住宅ストックの形成を図るとともに、地域経済の活性化を目的に実施しているものであり、例年予算枠を上回る応募があるなど、市民からの需要が高い、大変有用な事業であると捉えております。 このようなことから、今後につきましても、当該事業による小規模建設事業者の受注機会の増大を図り、市内の景気回復に寄与するよう、所要の予算の確保により一層努めてまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) この事業は、市内の施工業者が行う個人住宅のリフォーム等を支援することにより、良質な住宅ストック形成を図るとともに、地域経済の活性化を図ることを目的としております。今の造っては壊すということではなく、できるだけ長持ちをする優良な住宅を保証していくという意味でも有効な事業だと思いますので、ぜひ件数を増やしていただいて、地域経済の活性化に寄与することを要望していきたいと思います。 続いての質問は、いわき市小規模修繕契約希望者登録制度の積極的活用を図る取組についてであります。 50万円以下の小規模修繕の額は、約5億円を超える発注金額となっています。いわき市小規模修繕希望者登録制度の積極的活用を図り、景気回復に向けた取組が必要となっていますが、市の所見を伺いたいと思います。 ◎財政部長(澤田洋一君) 小規模修繕契約希望者登録制度の活用を図る取組につきましては、指定管理者制度を導入している施設も含めた小規模修繕の発注状況を、定期的に庁内で共有し、発注部署に対し、小規模修繕業者の積極的な活用と未登録業者への登録促進の働きかけを求めているところでございます。 また、昨年7月からは、小規模修繕の発注時に、各発注部署において、本制度の趣旨に沿った発注となっているかを確認する小規模修繕確認票を活用し、より適正な運用に努めております。 これらの取組などにより、本年度上半期における小規模修繕業者への発注実績を前年度同期の実績と比較した場合、設計金額が50万円以下の小規模修繕全体に占める発注金額の割合は2.8ポイント増の21.0%、金額でも577万円増の5,539万円となっており、一定の効果が認められるところです。 今後におきましても、これらの取組を継続し、小規模修繕業者に対する発注の拡大に努めてまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) ぜひその指針に基づいて、小規模事業者への発注金額を増やしてもらいたいことを要望していきたいと思います。 大きな質問の3つ目は、台風19号の検証と危機管理体制の強化についてであります。 1点目は、台風19号における災害対応の課題と対策についてであります。 いわき市台風19号における災害対応検証委員会が結成され、発災から72時間における災害対応を検証した最終報告書が8月31日に市長に提出されました。 最終報告書で指摘されている高齢者や障がい者など情報弱者へ情報が行きわたる発信の在り方について伺いたいと思います。 ◎危機管理監(山田誠君) 高齢者や障がい者の方々などの情報弱者に対する情報伝達につきましては、本年8月に市に提出された検証委員会による最終報告において、市が災害時に情報発信した内容が分かりにくく、高齢者等の情報弱者目線ではなかった、あるいは高齢者や携帯電話を持たない情報弱者にも、確実に災害情報を伝える方策を考えるべきではないか等の課題が指摘されたところであります。 このため、市といたしましては、これまで当該報告等を踏まえながら、エリアメール等を分かりやすい表現に改めることや、消防車両等による速度を落とした確実かつきめ細かい広報活動のほか、高齢者等の情報弱者に対する防災ラジオの配布拡大や、消防団詰所における消防サイレンの有効活用など、効果的な情報伝達に取り組んできたところでございます。 今後におきましては、防災情報等を迅速かつ的確に市民の皆様に周知する観点から、検証委員会による最終報告に基づき、防災行政無線の設置について、屋外での放送に係る課題の整理や費用対効果を踏まえ、地元の皆様や関係機関・団体との協議を行いながら、洪水浸水想定区域内の公民館や避難所等を中心に導入を検討するなど、高齢者等の要配慮者にも効果的な情報伝達の仕組みの構築に向け、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 私は浸水被害があった昨年の10月13日以降、連日のように、下平窪行政区長宅や小川町高萩区長宅を訪問し、いわき市のホームページにアップする情報を印刷して提供してきました。浸水被害に遭遇すると電子機器のほとんどは使えなくなりました。 地区住民の要望は行政区長に集中します。災害初動期において、市の職員を配置して、行政区長と連携して対応することが必要となっていますけれども、市の所見を伺います。 ◎市長(清水敏男君) 災害発生時におきましては、被災された方々の要望の把握、また支援に関する各種情報の提供が重要であります。 このため、住民に身近な支所等が主体となる災対地区本部において、発災直後から被災地区の区長の皆様等と、随時連絡を取り合うことで、地区の要望等を的確に把握しながら、被災された皆様の生活再建に向けた支援に結びつけるなど、被災地域の状況把握と支援に向けて、取り組むこととしておりますが、令和元年東日本台風における災害対応においては、被害が甚大でありました平窪地区と赤井地区に市職員を配置した現地対策事務所を設置し、地域の状況等の把握をはじめ、支援物資の配布や各種情報の提供、関係機関との連絡調整等を行ったところであります。 一方、現地対策事務所につきましては、初めて設置した中で支援活動に時間を要したことなどから、今後におきましては、被災地区に対する様々な支援活動の拠点として、甚大な被害を受けた被災地区における公民館等の公共施設を基本として、発災後速やかに現地対策事務所を設置するとともに、平時の業務の中で地域との関わりの深い職員や、令和元年東日本台風等において災害対応の経験を持つ職員等を適宜配置しながら、被災地区の区長の皆様をはじめ、地域の関係機関との連絡調整や各種情報の提供などを通じ、被災された皆様に対するきめ細やかな支援活動に努めてまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 私の経験から言うと、災害発災のときから職員を区長さん宅に配置しないとだめだと思うんです。そこが一番肝心なんです。そういったことをぜひ私の経験上言いたいんですけれども、現地対策本部は確かに必要ですけれども、対策本部を設置する前に、発災になったらすぐ責任ある職員が行政区長に行って要望を聞いて、毎日のように行って対応していくことが本当に必要になってきていますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思っています。 2点目は、初動対応期以降の災害対応の強化と生活再建等についてであります。 台風19号被災から1年を経過しても生活再建のめどが立たない人もいます。改めて、被災地区住民の声を聞く場を設定し、初動対応期以降の生活再建対策などを検討する必要があると考えますけれども、市の所見を伺いたいと思います。 ◎危機管理監(山田誠君) 令和元年東日本台風における被災者の皆様には、電話でのお問い合わせに対するコールセンターや被災者相談総合窓口の開設及び現地対策事務所の設置等により、生活再建等に関する様々な相談等に対する総合的な体制を継続するとともに、住宅応急修理や市税・保険料の減免等に係る各種相談窓口等を開設し、被災された方々の生活再建やなりわい再建に関する相談に対応するなど、各種支援に継続して取り組んでいるところであります。 また、検証委員会におきましても、住宅応急修理制度や被災者生活再建支援制度の在り方など、初動対応期以降の災害対応についても御意見・御要望を頂いており、加えて、平窪地区振興委員会や下平窪地区の皆様からは災害対応等に係る様々な御意見・御要望をいただくとともに、下平窪地区及び中平窪地区におきましては、直接、地区関係者の皆様に対し、県における夏井川・好間川の災害復旧助成事業の説明に合わせ、本年7月に改訂した河川洪水ハザードマップや避難の在り方など、災害時における市民の皆様の対応について、意見交換等を実施させていただいたところであります。 今後におきましても、被災された方々が安心して生活できる環境を取り戻せるよう、引き続き、各種相談窓口を通じた被災者の皆様の生活再建等に係る個別相談に適切に対応するとともに、県と連携を密にしながら、被災地区の皆様への災害対応等に係る説明会や意見交換会等の場の設定について、調整してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) ぜひ被災地域の赤井や小川、好間地区においても、同様の地区説明会を開催していただきたいと思います。 被災者生活再建支援法の改正が11月30日に可決成立し、中規模半壊住宅にも支援金が支給されるようになりました。台風19号の被災者へも遡って適用するよう国へ働きかけることが必要と考えますが、市の所見を伺います。 ◎保健福祉部長(飯尾仁君) 被災者生活再建支援制度につきましては、これまでも東北市長会等の各団体を通じて、国に対して制度の拡充を要望してきたところであります。 今般、国において令和2年7月豪雨に遡り、中規模半壊世帯を制度の対象とすること等について法改正が行われたことから、今後は、さらなる制度の拡充や、令和元年東日本台風への遡及適用の可能性について、機会を捉えて、県をはじめ、他市町村・団体等と協議してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 再度、何回でも要望をお願いしたいと同時に、やはり床上浸水した場合には全壊と同じ被害を受けているから、そういった手厚い支援もお願いしたいし、住宅応急修理制度では59万5,000円しかないんです。これも大幅な増額を再度要請していただきたいと思っております。 大きな質問の4つ目は、誰もが安心して外出できる移動手段の確保についてであります。 1点目は、中山間地での移動手段の確保の取組についてであります。 現在、田人地区、三和地区で共創型地域交通モデル事業を実施していますが、久之浜・川前地区の移動手段確保の取組について伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 久之浜地区につきましては、平成19年度に大久地区の路線バスが廃止されたことを受けまして、これまで、乗合タクシーの実証運行の取組を実施いたしましたが、実現に至らなかったことから、地元住民の方々で組織する、久之浜・大久地区公共交通運営協議会の皆様と、平成29年度から改めて、移動手段確保に向けた勉強会を継続して実施しているところであります。 また、川前地区につきましては、平成17年度に路線バスが廃止され、ほぼ全域が公共交通空白地域となっておりますことから、本年4月には、川前地区地域総合施設建設促進期成同盟会より市に対し、支所機能の移転に合わせた、支所への交通手段確保等に係る要望書を受け、関係部署において情報共有を図ったところであります。 このようなことを踏まえ、市といたしましては、それぞれの地区の実情やニーズに合った移動手段の確保に向け、今後も地区の皆様との意見交換を通じ、各地区にふさわしい交通の在り方について検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) ありがとうございます。 2点目は、住宅市街地などでの移動手段の確保の取組についてであります。 市は、運転免許証を返上した方に対し、1人5,000円相当の公共交通機関などの利用券を1人1回限り支給しています。北茨城市は運転免許証を返上した人だけでなく、運転免許証を持っていない65歳以上の高齢者などに、毎年1人1回につき630円のタクシー利用券を毎月4回まで発行し、市民から大変喜ばれています。 いわき市も同様の内容で事業を実施することが必要と考えますが、市の所見を伺います。 ◎市民協働部長(下山田松人君) 本市におきましては、高齢運転者が関係する交通事故の未然防止を図ることを目的に、高齢者運転免許証自主返納促進事業として、運転免許証を自主返納した75歳以上の市民に対し、公共交通機関または公共施設の利用券を交付しておりますが、利用券の交付は移動手段の確保に向けた支援ではなく、運転免許証を自主返納するに当たってのきっかけを提供するとの考え方に基づき、先進自治体の事例を踏まえ、1人1回に限り5,000円としていることから、事業の拡大を図ることについては困難であると考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 確かに分かります。運転免許証返上者の助成ではなくて、移動手段の確保の視点で事業展開が求められていると私は思いますので、そうした視点にぜひ切り替えていただきたいと思います。 3点目は、JR駅のバリアフリーについてであります。 現在、常磐線各駅においてエレベーター設置が進んでいますが、まだ設置されていない駅の今後の見通しについて伺います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法に基づき、1日当たり平均利用者数3,000人以上である、いわき駅、湯本駅、泉駅及び植田駅につきましては、今年度で全ての駅のエレベーターの設置が完了することとなっております。 一方で、跨線人道橋の整備に合わせ、エレベーターの設置を行っている四ツ倉駅を除く、未整備の駅につきましては、今後、高齢者、障がい者等の利用実態など、地域の実情等を踏まえ検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) よろしくお願いします。 2点目は、JR磐越東線の小川郷駅は無人駅で、地下通路を通らなければホームにたどり着けない構造となっており、高齢者や妊婦などは大変負担を強いられています。 地元の行政区からも要望があるように、小川郷駅の地下通路を使用しないでホームを利用できるよう、バリアフリー対策の強化に向け、JRとの協議が必要となっていますけれども、市の所見を伺いたいと思います。 ◎都市建設部長(高田浩一君) 小川郷駅などの無人駅につきましては、バリアフリー法により、高齢者や介助が必要な障がい者等に対し、近隣の有人駅から人員を派遣するなど、旅客支援を可能な限り行うこととされておりますが、本市といたしましても、当該バリアフリー法の基本理念にのっとり、社会的障壁を除去することは重要な課題であると認識しておりますことから、小川郷駅につきましては、今後、高齢者や障がい者等の利用実態などを踏まえ、バリアフリー対策について鉄道事業者と連携しながら検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) 先ほどのいわき市の都市計画による北口再開発で、駅近くに病院ができるということがあって、そうなってくると駅と直結されることでありますので、小川郷とかからの病院利用者は増えると考えられますので、ぜひ積極的に協議をしながら、バリアフリーの対策の強化に向けていただきたいと思っております。 大きな質問の5つ目は、夜間中学校であります。 自主夜間中学校について伺います。 現在、夜間中学校は、義務教育を受けられなかった方や、病気や不登校等による長期欠席があって、十分に学校で学ぶことができなかった方が通うことができる学校で、国籍や年齢は問いません。全国的に展開されておりまして、福島県もそのような夜間中学校をつくる取組を行っているところであります。 一方、福島県内においては、市民がボランティアで運営する自主夜間中学校が、福島市、いわき市、南相馬市で設置をされています。いわき市内では2年前からイトーヨーカドーの一角を使用して、教員OBの方々が中心となり、自主夜間中学校を運営しています。現在6名が通学していますけれど、イトーヨーカドーが撤退することで、教室の確保ができない状況になります。 生涯学習の視点から、いつでも学びたい人が学べる環境をつくるために支援が必要と考えますが、市の所見を伺います。 ◎教育部長(高田悟君) 自主夜間中学校を含むボランティア団体等による学習機会の提供につきましては、市民による自主的な学習活動の拡大に寄与するものであり、生涯学習推進の観点からも、重要なものであると認識しております。 市といたしましても、現在、私立公民館や生涯学習プラザなどの社会教育施設におきまして、勤労世代をはじめ、様々な世代の皆様に生涯学習の場所や機会を提供しているところであります。 議員おただしの自主夜間中学校が行っている義務教育を受けなかった世代の、社会人の皆様の学び直しなどの学習支援活動につきましても、その社会的な意義等を踏まえまして、公民館等の施設の活用を図っていただくことや、公民館が行う自主事業としての取組も含めて、可能な対応について、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(狩野光昭君) ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。昨日、自主夜間中学校に伺いました。成人された生徒が真剣にマンツーマンで勉強していました。運営者から通学している生徒の感想を聞きました。疑問に思っていることを丁寧に教えてくれるので理解が進む、発達障害の方も落ち着いて勉強ができている、外国籍の方も分かりやすく教えてくれるので勉強を続けたい、子育てが終わったので日本語をきちんと勉強したいなどの声が上がっています。何歳になっても学ぶことの楽しさを保証しているのは大切な取組と思います。全国では実施場所の提供にとどまらず、運営に係る補助金交付や委託事業の実施などの支援を行っている自治体も見受けられます。いわき市も積極的な支援を要望したいと思います。 最後の質問は、トリチウム汚染水の海洋放出反対の取組についてであります。 市内の漁業、農業、林業等の産業を守るためにも、いわき市としてトリチウム汚染水の海洋放出反対を政府に申し入れることを要請します。 市の所見を伺いたいと思います。 ◎危機管理監(山田誠君) 市といたしましては、多核種除去設備等処理水、いわゆるアルプス処理水の取扱いにつきましては、廃炉作業を含め、被災地の復興との両立の下、着実な推進と、確実な安全確保により進められることが基本であると考えております。 このため、国が本年4月に開催した関係者の御意見を伺う場において、市長自ら、一般の方々を含めて幅広く意見を伺い、具体的な風評対策を示し、理解を得ながら方針を検討することに併せ、本市における農林水産業や観光業等の復興状況について具体的に伝えるとともに、国が被災地の復興の現状を正確に把握し、将来に禍根を残さないためにも拙速に結論を出さず、あらゆる可能性を検討すること等について、強く求めたところであります。 また、市議会6月定例会におきましては、広く国民に向け情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは陸上保管を継続すること等を求める意見書が可決されたことや、同様の対応を市に対しても求める請願が採択されたことを受け、市といたしましても、その旨を改めて国に対して文書で要望したところであり、引き続き、機会を捉えて、関係者や国民の理解を得ること等について、強く求めてまいりたいと考えております。--------------------------------------- △散会 ○議長(大峯英之君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。          午後3時21分 散会---------------------------------------...