いわき市議会 > 2009-06-10 >
06月10日-04号

  • 櫛田康(/)
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  1. いわき市議会 2009-06-10
    06月10日-04号


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    平成21年  6月 定例会             平成21年6月10日(水曜日)議事日程 第4号 平成21年6月10日(水曜日)午前10時開議  日程第1 市政一般に対する質問---------------------------------------本日の会議に付した事件               〔議事日程第4号記載事件のとおり〕---------------------------------------出席議員(40名)     1番  永山宏恵君      2番  大峯英之君     3番  赤津一夫君      4番  松本正美君     5番  蛭田源治君      6番  高木芳夫君     7番  坂本 稔君      8番  福嶋あずさ君     9番  安田成一君      10番  大友康夫君     11番  上壁 充君      12番  阿部秀文君     13番  菅波 健君      14番  佐藤和美君     15番  鈴木 智君      16番  小野邦弘君     17番  大平洋夫君      18番  阿部 廣君     19番  佐藤和良君      20番  古市三久君     21番  小野 茂君      22番  塩田美枝子君     23番  渡辺博之君      24番  伊藤浩之君     25番  木田孝司君      26番  酒井光一郎君     27番  矢吹貢一君      28番  磯上佐太彦君     29番  遠藤重政君      30番  諸橋義隆君     31番  樫村 弘君      32番  鈴木利之君     33番  石井敏郎君      34番  安部泰男君     35番  溝口民子君      36番  高橋明子君     37番  岩井孝治君      38番  根本 茂君     39番  遊佐勝美君      40番  蛭田 克君欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者     市長       櫛田一男君   副市長      高津達男君     副市長      伊東正晃君   収入役      飯本丈夫君     教育委員会委員長         教育長      遠藤宏之君              大森俊輔君     水道事業管理者  猪狩正利君   病院事業管理者  鈴木孝雄君     代表監査委員   駒木根登志男君 農業委員会会長  鈴木 理君     選挙管理委員会委員長       行政経営部長   仲野治郎君              草野一男君     危機管理監    松本 隆君   総務部長     荒川喜一君     財政部長     百武和宏君   市民協働部長   鈴木英司君     生活環境部長   吉田 浩君   保健福祉部長   木村 清君     農林水産部長   鈴木正一君   商工観光部長   前田直樹君     土木部長     佐藤 廣君   都市建設部長   高島信夫君     消防長      上遠野洋一君  教育部長     渡辺紀夫君     病院局長     本間靜夫君   監査委員事務局長 鈴木秀幸君     農業委員会事務局長        行政経営部次長(兼)秘書課長              坂本公男君            佐藤靖典君     参事(兼)総務課長 大高雅之君---------------------------------------事務局職員出席者     事務局長     大和田正人君  次長(兼)総務課長 箱崎紀雄君     議事調査課長   比佐野盛雄君  議事調査課課長補佐                               山崎俊克君     議事係長     加藤高明君   調査係長     久保木隆広君     主査       鈴木里美君   主査       金山慶司君     事務主任     佐々木洋和君  事務主任     伊藤好---------------------------------------     午前10時00分 開議 ○議長(矢吹貢一君) これより本日の会議を開きます。本日の議事は、配付の議事日程第4号をもって進めます。--------------------------------------- △日程第1 市政一般に対する質問 △佐藤和良君質問 ○議長(矢吹貢一君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。19番佐藤和良君。               〔19番佐藤和良君第二演壇に登壇〕 ◆19番(佐藤和良君) (拍手)おはようございます。19番創世会の佐藤和良です。時の記念日でありますので時を無駄にせず、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな第1点は、市立病院と地域医療を守る要望書についてであります。 私ども創世会は、市議会2月定例会における市立病院改革プラン案の論議とその問題点を市民の皆様に御報告し、医療関係者初め、広く市民の皆様から御意見・御要望を拝聴するため、去る5月10日、市立病院と地域医療を守る市民集会を開催したところであります。 集会では、市立常磐病院の役割について常磐病院院長の江尻先生、地域医療と市立病院についていわき市医師会の木田先生にそれぞれ御講演いただき、会場に御参集の約300名の市民の皆さんから御意見をお聴きしたところでございます。 江尻先生からは、常磐病院の救急医療の現状や、医師1人当たりの入院患者数や医師1人当たりの診療収入が同規模病院と比較して上回っている実績、病床数や人件費の削減により財務状況が好転している現状も明らかにされました。常磐病院の民間移譲にふれては、移譲先が決定した時点から紹介状を書くなど、患者さんの移動先を考えなくてはならず、診療どころではなくなってしまうことが想定されるともお話しされました。 また、木田先生からは、勤務医の不足や地域内の医療連携システムがうまく機能していない市内の地域医療の現状を示し、地域医療再生のため、医師の相互交流の活発化、診療所との医療連携強化のための開放型病院の整備などの提言をいただきました。 会場の市民の皆さんからは、頑張っている先生に対して派遣切りのようで理解できない、あるいは、公的病院をなくしてはいけない、常磐病院の存続をという声や、常磐病院を利用する腎友会など患者の皆さんからは、病院からの説明が必要だ、心配だと、透析など今後の診療体制への不安が切々と訴えられました。 集会での御意見、アンケート用紙に記載された御意見は誠に貴重なものであり、回収されたアンケートの約8割が市立常磐病院の存続を求めておりました。これを受けまして、私どもいわき市議会創世会は、5月14日、櫛田市長にお会いし、市立病院と地域医療を守る要望書を提出して、大きく4点の要望をしたところでございます。 そこで、市立病院と地域医療を守る要望書の4点の要望について、その後の経緯も含めて以下伺います。 1点目は、患者・市民への説明責任と常磐病院存続の再検討についてです。 御存じのとおり、常磐病院は常磐・遠野・小名浜など南部地区を中心に、救急医療・透析・精神医療に大きな役割を果たしている地域医療の拠点病院であります。 まず、透析や精神など治療中の常磐病院の患者さんは、医療を受けられなくなる不安な窮状を訴えております。説明不足な現状でございますが、今後どう対応するのかお尋ねいたします。 ◎病院局長(本間靜夫君) 現在、常磐病院で担っております医療機能のうち、精神及びリハビリテーション医療につきましては、総合磐城共立病院に引き継ぐこととしておりますが、後継医療機関が担う医療機能につきましては、今後、後継医療機関の募集を行い、7月中を目途に選定することとしておりますことから、現時点におきましては、明確にお示しすることができないため、患者さんに御心配をおかけしておりますが、引き継ぎ先の決定後は、速やかに患者さんに対する説明を行うなど、切れ目のない医療が確保できるよう適切に対処してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 丁寧な説明をお願いいたします。 次に、常磐病院は、地域医療の確保のため、新病院建設時まで存続するよう、不要病床を廃止し病床規模を縮小する案や共立病院のサテライト診療所として機能させる案なども再検討すべきではないかお尋ねいたします。 ◎病院局長(本間靜夫君) 病院事業につきましては、勤務医不足や運転資金の枯渇などにより、市立病院はもとより、地域医療全体の崩壊を招きかねないという極めて厳しい状況に直面しておりますことから、市といたしましては、こうした状況を打開し、将来にわたり市民の皆様に安全・安心の医療を安定的に提供していくためには、1市1病院1施設の早期実現が不可欠であると考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、常磐病院の来年4月の民間移譲の市民合意はできておらず、6月の公募で後継医療機関の応募がない場合、常磐病院は当面存続すべきではないかお尋ねいたします。 ◎病院局長(本間靜夫君) 今後、後継医療機関の募集を行うこととなりますが、万が一応募がなかった場合におきましては、一たん立ちどまり、募集要領における応募の資格や引き継ぎの条件などについて、後継医療機関選定委員会において、速やかに再検討する必要があるものと考えております。 なお、募集要領公表後、昨日までに市内の2つの医療法人から問い合わせがあり、6月17日に予定する現地説明会への参加申し込みがなされております。 ◆19番(佐藤和良君) 2点目は、総合磐城共立病院の抜本的改善と新病院建設の検討機関設置についてであります。 総合磐城共立病院は、いわきの市民の生命と健康を守る中核病院であるのみならず、浜通り及び茨城県北部をも診療圏とする広範な地域の中核病院であります。 まず、総合磐城共立病院の医師確保や病床利用率90%の実現を含めた収益と費用に踏み込んだ具体的改善策を示していただきたいと思います。 ◎病院局長(本間靜夫君) 共立病院の改善策につきましては、医師の確保を最重要課題として位置づけ、引き続き取り組むとともに、地域医療連携の充実や病床利用の効率化などによる患者数の増加を図り、7対1看護の実施による入院基本料の増額や、地域医療支援病院の認定等による新たな加算を取得するなど、増収に向けた取り組みを強化する一方、費用面では、定員管理の適正化による職員給与費の抑制や物品管理の一元化を図るSPDシステムの導入による材料費の縮減などにより、費用の一層の縮減に努めるなど、収益増加策と費用削減策を一体的に行いながら、経営の改善を行ってまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、総合磐城共立病院は、組織を切開して問題点を明らかにし、医師や看護師など現場の声を積極的に生かす仕組みをつくり、医療事務職員のレベルアップ、経営能力の改善、人事の刷新など、医療に対する信頼と質の向上を目指して、病院の総合力を高めるため具体的な改善策を示していただきたいと思います。 ◎病院局長(本間靜夫君) 市におきましては、安全・安心の医療提供と安定した経営基盤の確立を目指し、本年3月にいわき市市立病院改革プランを策定したところであり、今後、医療を担う人材の確保・育成や患者サービスの充実、さらには職員の意識改革や経営管理の強化に努めるなど、改革プランの実施計画に掲げた各種取り組み項目を着実に推進することにより、市立病院の総合力の向上につなげてまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、医師から選択され医師が集まる病院であることが病院事業の健全経営の基盤であります。災害拠点病院指定でありますので、その耐震化、また、医療福祉によるまちづくりの観点からも、新病院建設を5年以内の目標として、早期に検討機関を設置すべきですがいかがでしょうか。 ◎病院局長(本間靜夫君) 新病院の建設につきましては、いわき市市立病院改革プランにおいて、長期的目標として本院・分院の診療機能統合後、新病院の早期建設に向け、速やかに検討に着手することを位置づけたところであります。 大規模病院の建設に当たりましては、基本構想の立案から開院に至るまで、一般におおむね7年程度の期間を要するとされておりますことから、歩みを加速するため、今般、病院局内に新病院建設調査検討会を設置することとし、同検討会において、先進施設の調査や新病院が担うべき機能の整理など、建設に当たっての基本構想の立案に向けた調査・検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 庁内検討機関の設置については、時宜を得た対応として評価されると思います。7年という根拠は、つまびらかには説明されておりませんが、やはり中期的な目標としていくということは大事なことだと思います。それで、その医療福祉によるまちづくりという視点を、やはり去年以降のこの経済危機の状況でありますから、医療福祉産業の育成、そこにおける労働力のシフトも含めまして、医療関係者も含めて、オールいわきの検討機関も積極的に立ち上げるべきではないかと思いますが、御所見はいかがでしょうか。 ◎病院局長(本間靜夫君) 基本的にはおっしゃるとおりだと思いますけども、そのために市長が先頭に立って、市、それから市の医師会、それから病院協議会、そういう形での医療の技術的な面についての検討を行う地域医療協議会等もありますので、そういう面では、そういう場を活用しながら、地域医療の向上、地域完結型の医療の確立という点において積極的に取り組む姿勢が必要だとは考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 今般の改革プランの策定に当たっては、その地域医療協議会での議論がなかったということがメンバーである医師会あるいは病院協議会から指摘が多かったわけで、そこでの意思疎通が十分図られるということが大事だと思うんですね。それで、今の本間局長のお話ではその地域医療協議会でそれを代替するかの発言でございますが、ここのところはそこでも議論しつつも、やはりオールいわきの検討機関ということで、現在のこの地域医療のピンチをチャンスに変える、そういう積極的な契機として検討機関を立ち上げてはどうでしょうか。
    ◎市長(櫛田一男君) ただいまおただしの件でありますけれども、地域医療協議会というものと新しい病院の建設というものは、根は同じでありますが、討議する場所としては違う場所であります。地域医療問題というのは、先ほどお話にもありましたけれども、病院とクリニックの連携、あるいはその逆の場合、そういうことを確立するために立ち上げたのが地域医療協議会であります。したがいまして、そこでは何の議論も起こらなかったと言いますけれども、その中でも私は何回も何回も提案して言っておりましたが、その当時は、聞く耳を持たない雰囲気がずっと続いたわけであります。これが、7回も会議が続きましたら、だんだんその耳のほうが大きくなって聞く耳を持ってまいりました。ここのところが大きな違いでありますので、これからは、議員おただしのとおり、やはりオールいわきで立ち向かっていくべきであると考えておりますので、御了承賜りたいと思います。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、総合磐城共立病院は、診療圏がいわき市以外の浜通り及び茨城県北部をも含んで、経営と診療圏を一致させるため、一部事務組合導入の検討を始めるべきではないか見解をお尋ねいたします。 ◎病院局長(本間靜夫君) 総合磐城共立病院の経営につきましては、1市1病院1施設への移行や改革プランの実行など、極めて厳しいかじ取りが求められておりますことから、当面は、地方公営企業法の全部適用のメリットを最大限に生かした自律的な病院経営に努めるとともに、その効果を検証しながら、地方独立行政法人指定管理者制度、さらには、議員おただしの一部事務組合などの新たな経営形態について調査・検討を行ってまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 3点目は、地域医療再生のための具体的施策についてです。 勤務医の不足や地域内の医療連携システムがうまく機能していない現状にかんがみ、いわき市医師会やいわき市病院協議会との信頼関係を強め、地域医療体制を守らねばなりません。 まず、医療連携強化策としていわき市地域医療協議会の機能充実を図り、医師の相互交流の活発化や診療所との開放型病院の整備を協議し実現すべきではないかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 医師の相互交流につきましては、いわき市地域医療協議会におきましてもたびたび議論されておりますが、診療所医師等が非常勤医師として病院診療を担うなど、一部の医療機関におきましては実施されている状況にありまして、本市の地域医療の確保に貢献しているものと認識しております。また、開放型病院の整備につきましては、診療所・病院双方の考え方や医療需要度などを把握することが必要であると考えております。 これら本市の地域医療再生に向けて有効であると考えられる施策につきましては、いわき市医師会・いわき市病院協議会等の関係医療機関との連携を密にし、市地域医療協議会において検討を重ねてまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 今の件について、開放型病院については、関係医療機関からの具体的な提案もあるわけですから、一応そこのところは具体的に詰めて議論していっていただきたいと思います。 救急医療強化策として、いわき型ERの立ち上げや救急受け入れ体制整備のため、共立病院の管制塔病院化などの施策を実現すべきではないかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) いわき型ER、エマージェンシー・ルーム、救急室の整備につきましては、市地域医療協議会において、これまで救急医療の確保に関連して協議がなされてきたところでありますが、その協議において、軽症者から重症者までの患者がすべて総合磐城共立病院へ集中し、病床が満床となり、重篤な患者の受け入れが困難になる、さらには、当直医の負担が大幅に増加するなどの意見が出されており、現時点では、同協議会において意見を集約することは難しいものと受けとめておりますことから、引き続き、研究・協議をしてまいりたいと考えております。 また、症状に応じた医療機関へ患者を紹介する管制塔機能を担う救急医療機関に対する支援事業につきましては、国において、今年度から新たに打ち出した事業でありますことから、本市の救急医療体制の現状などにかんがみ、今後、関係医療機関等と調査・研究してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 今、管制塔病院については、きのう来も議論になっています今次の国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例としても、具体的に管制塔機能を担う医療機関に対する支援事業というのを内閣府でも具体的に挙げておりますので、この際、この交付金を活用して人材を確保するというようなことも可能ではないかと思いますので、この件についてはぜひ実現の方向で御検討をお願いしたいと思います。 4点目は、国に対する社会保障費抑制医療費削減策の転換の要請についてです。 先進国で最も高齢化が進む中、国は、医師がふえれば医療費がふえるとする医師誘発需要説に固執して、総医療費を対GDP比8%と抑制してきたために、OECD、経済協力開発機構加盟国の中でも医師数が最低レベルになってしまいました。深刻な医師不足は国の責任であります。今こそ国の医療費削減策を変えねばならないと思います。 そこで、国の医療費決定システムの中核である中央社会保険医療協議会の改革や新医師臨床研修制度の抜本的な見直し、診療報酬の引き上げ、地方交付税措置の改善など社会保障費抑制医療費削減策の転換を全国市長会や地方6団体のみならず、オールいわきで国に要請してはどうか見解をお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 市は、これまで、県や全国市長会及び全国自治体病院協議会等を通して、医師の確保・充実や診療報酬の改定・新設などを国に要望してまいりました。 また、去る5月15日に開催されました第154回東北市長会総会におきましては、本市からも提案いたしました地域医療の充実・確保に関する議案が特別決議として採択され、東北市長会として6月3日に、国等に直接要望したところでございます。 議員おただしの医療費削減策の転換の要請等につきましては、市医師会、市病院協議会など、関係機関との連携を図り、国へ直接要望することの効果等を見きわめながら判断してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 診療報酬の削減がずっと続いてまいりまして、新聞報道でも今次衆議院選のマニフェストに診療報酬の引き上げを与党筋も出すという議論もあるようでございますし、やはりこの際、大きく見直していくという方向で、地方公共団体からも声を挙げていくということが大事だと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。 国策によって地域医療の崩壊が進んでまいりましたが、やはり本市の公的医療の歴史的役割、その必要性・重要性、この認識を新たにして、市立病院と地域医療を守るために、病院局は、今後とも情報公開して透明性を高め、医師と現場職員を生かす経営をぜひとも実現していただきたいと思います。そしてまた、現在のピンチをチャンスに変えるために、医療・福祉のまちづくりの観点からも、市民の支持、医療関係者の協力を得て、市長のさらなるリーダーシップを要望いたしまして、この項を終わりたいと思います。 続きまして、大きな第2点は、地域経済と雇用創出についてであります。 ILO、国際労働機関は、世界恐慌によって2009年の失業者数は世界全体で2億3,900万人に達すると予測しております。日本の完全失業率も4月に5%を超え、このままでは6%まで悪化すると予想されております。小泉構造改革で頂点に達した新自由主義政策により貧困層が増大し、昨年来の恐慌によって失業問題が深刻化するばかりであります。 国家の実力は地方に存すると、明治の文豪徳冨蘆花先生は申しました。地方が栄えて初めて国が栄える、国の力の源泉は地方にあると。ところが、この間、新自由主義政策をとる国は、国家財政の危機を地方と国民の負担増に押しつけ、地方と国民は疲弊のきわみに達しました。国の平成20年度補正予算及び平成21年度当初予算及び平成21年度補正予算による財政支出が効果的に雇用を創出できるのか。政治が今問われているのは、雇用と社会保障を経済・社会政策の中心に据えることであり、国は今こそ国民・勤労者の完全雇用に本格的に取り組まねばならない時であります。そこで、本市に必要な経済活性化と雇用創出対策を以下伺います。 1点目は、平成20年度補正予算及び平成21年度当初予算による経済活性化と雇用創出についてであります。 まず、地域活性化・生活対策臨時交付金ふるさと雇用再生特別交付金緊急雇用創出事業交付金地域雇用創出推進費について、2月定例会で財政部長は、国の対策により措置される財源を最大限活用し、地域経済の活性化及び雇用の創出に資する各種施策に積極的に取り組むと答弁いたしましたが、それぞれ地域経済の活性化及び雇用の創出に資する施策にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。 ◎財政部長(百武和宏君) 地域活性化・生活対策臨時交付金を活用することといたしました事業につきまして主なものを申し上げますと、屋内運動場建設事業が約3億2,800万円、ブロードバンド基盤整備事業が約1億6,600万円、側溝整備事業が約1億2,600万円など、合計で12億9,300万円となっているところでございます。 また、ふるさと雇用再生特別交付金及び緊急雇用創出事業交付金を活用することといたしました事業につきましては、主なものを申し上げますと、ふるさと産品販路拡大事業が約2,900万円、観光地イメージアップ推進事業が約2,800万円、ごみ分別適正排出パトロール事業が約1,900万円など、合計で約3億6,800万円となっているところでございます。 また、地域雇用創出推進費につきましては、これにつきましては普通交付税として措置されるものでございまして、いわゆる特定財源として個別の事業に充当するというものではございませんが、措置期間が平成22年度までとなっていることから、経済・雇用状況などを見きわめながら、今後も有効に活用してまいりたいと考えているところでございます。 ◆19番(佐藤和良君) 財政部長としては、その結果、どの程度の雇用創出が具体的にあったのかという点についてはどのようにとらえているでしょうか、御所見をお願いしたいと思います。 ◎商工観光部長(前田直樹君) 雇用の関係でございますので、私から答弁させていただきます。 ふるさと雇用再生特別交付金並びに緊急雇用創出事業交付金、これを活用した事業は33事業ほど予定しておりますが、新規では約300人の雇用を予定しておりまして、現在、事業に着手しているところでありまして、これまでのところ160人ほどの雇用を確保したところでございます。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、本市の経済活性化と雇用創出の各事業は、基本的には今財政部長からもお話がございましたが、基本的に本市総合計画実施計画の前倒しの実施のために、当面の課題解決を図る事業が中心となっております。中・長期的な視点に立って、医療・介護・環境・農業・林業などの各分野における地域活性化と雇用創出を考える必要があると思いますが、そのためにはどのような課題があると考えているのかお尋ねいたします。 ◎商工観光部長(前田直樹君) 国が4月10日に発表いたしました経済危機対策におきましては、雇用や金融など景気の底割れを防ぐための緊急的な施策に加え、中・長期的な成長を図るための成長戦略として、低炭素革命や健康長寿、子育て支援、農林漁業の振興、さらには、先端技術開発や人材力強化などの施策が盛り込まれております。 また、市のこれまでの経済・雇用対策におきましても、市内の景気や雇用動向が急速に悪化する中で、その影響を最小限に抑えるための緊急的な施策を実施いたしますとともに、地域間の情報通信格差の解消を図るブロードバンド基盤整備事業や市内の生産者と商工団体が連携して地場産品の販路拡大を図るふるさと産品販路拡大事業など、本市の将来を見据えた各種事業にも取り組んでいるところでございます。 今後におきましても、地域の持続的な発展を推進するためには、競争力のある高付加価値の製品・サービスを生み出すなど、地域内発型産業の振興を図り、足腰の強い自立した産業づくりを推進するとともに、少子・高齢化社会に対応した人材確保や拠点整備が必要であると考えております。 そのためには、産・学・官、そして地域が共通理解のもと、地域資源を活用した新たな商品開発や販路拡大、地域ブランドの創設などに取り組むための仕組みづくりや技術開発、さらには、高い技能・技術を有する人材の育成などを推進していくことが重要ではないかと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 2点目は、国の経済危機対策に伴う財政措置等と本市の経済・雇用対策についてであります。 国は、4月10日に経済危機対策を閣議決定しました。地方公共団体への配慮ということで、地域活性化・公共投資臨時交付金1兆3,790億円及び地域活性化・経済危機対策臨時交付金1兆円を交付するとされております。そこで伺います。 まず、国の新・経済対策の中で、地域温暖化対策、少子・高齢化社会への対応、安全・安心の実現等の事業実施のための地域活性化・経済危機対策臨時交付金について、本市は使途をどう考えているかお尋ねいたします。 ◎財政部長(百武和宏君) 議員御指摘の地域活性化・経済危機対策臨時交付金につきましては、去る5月29日に国から制度要綱が示され、交付対象事業は、国が策定しました地方再生戦略または経済危機対策に対応した事業と定められたところでございます。 本市といたしましては、これらの対策等の趣旨を十分に踏まえながら、今後、具体的な事業の構築に取り組むこととなるものでありますことから、現時点において、その使途を明らかにすることは困難でございますけれども、経済危機対策として交付される財源ということをかんがみまして、地域経済に対してバランスのとれた効果的な事業とするとともに、可能な限り早期に着手できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) いずれにしましても、総合計画の実施計画の前倒しに終わらずに、やはり今必要な対策というものを、それぞれ経済団体も含めまして、緊急かつ戦略的な対応ができる使途をぜひとも選定していただきたい。議会ともよく話し合っていただきたいと思います。 具体的に、社会保障分野での雇用創出と人材育成、とりわけ介護ヘルパー養成事業に取り組むべきではないのかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 介護ヘルパーの養成につきましては、質の高い安定した介護サービスを提供する上で、介護ヘルパーなどの人材を継続的に養成していくことは大変重要であると認識しております。 現在、市内におきましては、民間の介護ヘルパー養成機関により、過去5年間の平均で毎年900人程度の介護ヘルパーが養成されている状況にありますことから、今後におきましても、その必要数は確保されるものと考えております。 また、国においては、今回の経済危機対策において緊急人材育成・就職支援基金を創設し、介護ヘルパー2級などの人材も養成することとしており、その動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) この件については、ちょっと数字が、やはり保健福祉部に上がってきているものと我々が現実的に聞き取りをしているところで、ちょっと実感が違うということがずっと続いているんですけれども、やはりその施設側、事業者側の感覚というものと、やはり行政でのとらまえ方に多少ずれがあるのではないかとも思いますので、その件についてはまた調査・研究をお願いしたいと思います。 次に、先ほど申し上げました内閣府の地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例には、空き店舗を活用したアンテナショップですとかチャレンジショップあるいは高齢者とか育児世代のコミュニティー交流スペースもその対象とするという活用事例になっているわけですが、そこで、本市の中心市街地での店舗利用による産直市場や農家レストランの開設など、農商工連携に積極的に取り組むべきではないかと考えますがいかがでしょうか。 ◎商工観光部長(前田直樹君) 中心市街地の空き店舗を活用し、地元産の農産物の販売やこれらの食材を使ったレストラン等の開設に取り組むことは、商店街の活性化につながるだけではなく、新規創業による雇用の創出、市民に対する食の安全の確保、地場産品の販路開拓や地産地消の推進による農業・漁業の振興など、足腰の強い産業育成を図る観点からも非常に有効であると考えております。 このことから、今年度におきましては、商工団体等が地域の生産者等と連携しながら、新たな商品開発や地場産品の販路拡大を図るなど、農商工連携の要素を取り入れた空き店舗対策事業を実施することとしており、市といたしましては、こうした取り組みに対し、運営上の助言や補助金交付などの支援を行うこととしております。 今後につきましては、これらの取り組みや先進事例の成果等を踏まえ、農林水産業関係者や商工団体等とも連携を図りながら、各地域の実態に合わせた農商工連携の取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) この項の最後に、この先ほどの活用事例を見ますと、公用車の更新事業でクリーンエネルギー車あるいは低公害車の購入というのも対象になっておりますが、本市では公用車が742台とお聞きしておりますけれども、これらの更新についてエコカーの導入等はどんなふうに考えているのかお尋ねしたいと思います。 ◎総務部長(荒川喜一君) ただいまお話がありました、この臨時交付金を活用いたしました環境対応車への買いかえでございますけれども、本市の公用車の更新基準、こういったものに該当したものを対象といたしまして検討を進めているところでございます。これにつきましては、市全体の中で調整が図られるものと考えているところでございます。 ◆19番(佐藤和良君) いずれにしても、全体として緊急に必要なことと、戦略的に方向性を定めることと十分に吟味しまして、それもまた、市民との協働において進めるようにお願いしまして、次の項に進みたいと思います。 大きな第3点は、山一商事の21世紀の森産業廃棄物最終処分場についてであります。 1点目は、処分場設置許可申請の再審査についてであります。 現在、山一商事の21世紀の森産業廃棄物最終処分場について、本市の不許可処分が取り消され処分場設置許可申請の再審査が始まっております。福島県は、平成21年3月の本市の処分取り消し裁決で、何点か不許可理由としては不十分と認定しております。その中で本市が山一商事について経理的基礎を有すると判断できないとした点は、書類等の提出を事業者に求めた上で十分に調査して判断を下すべきとしております。具体的には、経理的基礎を有さないと判断するに当たっては、金融機関からの融資状況を証明する書類、中小企業診断士の診断書等を必要に応じて提出させ、慎重に判断することという判断基準を国が示しております。 また、周辺の地すべり地層や断層の問題、炭鉱坑道跡の人工帯水層での地下水汚染による湯本温泉の汚染の危険性など、指摘されている問題では、これについては造成法面の安定計算における疑問点や切土斜面における地すべり発生の危険性の指摘等、市は学識経験者の意見も踏まえ、事業者に最終処分基準省令に適合することを立証させその適否を確認すべきであるとしております。そこで、以下伺います。 まず、処分場設置許可申請の再審査について、その内容やスケジュールなど概要はどのようなものかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 市は、福島県の裁決を受け、事業者に対し、4月27日に審査再開の通知を行い、その後、審査に必要な基礎的な資料の提出をまず求めたところであります。 今後、事業者と必要なやり取りを行い、また、時期をとらえて、いわき市産業廃棄物処理施設審査専門委員の方々による審査会も予定しており、現時点で審査に要する期間を具体的には見込めませんが、市民の皆様の安全と安心を第一とする姿勢に立って、適切に審査を進めてまいる考えであります。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、本市の平成18年の不許可処分の理由のうちで、県が本年3月の裁決で不許可理由として不十分とした諸点について、再審査ではどう取り扱うのかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 県裁決を踏まえ、市として総合的に判断いたしまして、より踏み込んだ検討・検証が必要と認められる地質・地盤の安定性、それから事業の経理的基礎、これを中心とした審査を進めてまいる考えであります。 ◆19番(佐藤和良君) 今、具体的に地盤の安定性と経理的基礎の問題について突っ込んだ審査をしたいということであると思います。それで、今の不許可理由として不十分とされたもののうちの、経理的基礎を有すると判断できないとした点につきまして、国が許可事務の取り扱い通知で判断基準を示しているわけですけれども、本市として再審査で積極的に取り上げていくべきではないかと思いますが、改めてお尋ねしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 国の通知も踏まえまして、事業の経理的基礎につきましては、現在、基礎的な財務諸表等、事業開始に要する資金等、そういった資料の提出を求めているところでありますが、今後、専門家の知見も伺うなど、十分に審査してまいりたいと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) また、本市の不許可処分の理由のうちの、地すべりの恐れ等について事業者に最終処分基準省令に適合することを立証させ、その適否を確認すべきであるとされた点について、本市として再審査で積極的に取り上げていくべきではないか改めてお尋ねしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 地質・地盤の安定性につきましても、同様に、造成法面関係、調節池関係、地質調査、土壌試験等について、いろいろな観点からの資料の提出を求めながら、十分に審査してまいる考えであります。 ◆19番(佐藤和良君) 市民の間では、本処分場建設について、市の不許可処分が取り消されたということで大変心配する声がまた起きておりますので、やはりここは基本を貫くと、市民の安全・安心を守るために、この里山における処分場は認めないという立場をきちんと貫き通すような、あるいは今後のさまざまな審査に耐え得るような、そのような新たな審査結果が基本的に出されるように要望申し上げまして、次に進みたいと思います。 大きな第4点は、滝根小白井風力発電事業等の大型風車による低周波被害についてであります。 民間の風力発電事業は、国の新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法制定後、2010年の風力発電導入設備容量目標300万キロワットに向け、事業費の3分の1近い補助金による政策誘導が現在進んでおりまして、2008年の3月現在で設備容量約168万キロワット、設備基数1,409基と公表されております。 これは、ウィンドファームということで、数十基の大きな大型風車が立ち並ぶという風力発電施設でありまして、従来の数メートルのものがぽつんと1本建っているという状態ではございませんで、そういったことで、居住地から数キロメートルに建設された既存施設があるところ、愛知県の豊橋市ですとか田原市、静岡県の東伊豆町、兵庫県の南あわじ市などでは、その風車群が発する低周波音による住民の健康被害、これは通称風車病と呼ばれているそうでありますが、体のしびれ・不眠・耳鳴り・頭痛・吐き気・血圧上昇など、いわば自律神経失調症的な症状があらわれまして、大きな社会問題として、今注目を集めつつあると言われております。これは、低周波ですので耳に聞こえないというものであります。大きな風車の風切り音ですとかあるいはモーター音は騒音としてそれもまた問題であるそうでございますが、低周波音は耳に聞こえないということもありまして、40ヘルツ程度の周波数帯だそうでございます。そういうものが、現に新たな健康被害を起こしつつあるということで、NEDOでも2008年の4月28日、海外情報というところで公表されまして、先ほど言いました風車のモーターですとか風切り音、そういった風車の騒音、さらに低周波音による住民被害、国立・国定公園等での景観の破壊、地形の破壊、森林伐採、動植物の生息環境破壊、あるいは、これは野鳥の会がいろいろと調査などをして、いわき市の施設でも一時問題になりましたけれど、バードストライク、渡り鳥が風車に当たってしまうと、それから土砂流出による河川の汚濁、観光等地域産業への影響など、多様な問題が全国的に散見されるというところでございます。しかし、現状では、対策がとられていないまま放置されているという状態にあります。 そこで、1点目は、滝根小白井風力発電事業への本市の対応についてであります。 巨大風車による大型風力発電事業は、現在、本市を含む阿武隈山中で2カ所が工事着工、3カ所で計画が進行しております。既に着工中の滝根小白井風力発電所、田村市といわき市小白井地区にわたっておりますが、これは出力2,000キロワット風車を23基建設すると。1キロ圏内に民家が存在し、2キロ圏内にはいわき市立小白井小・中学校があります。 まず、滝根小白井風力発電事業の事業誘致、風力発電施設用地の農用地区域除外などの本市の経緯はどのようなものかお尋ねしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 滝根小白井風力発電事業につきましては、所定の手続きを経て、現在工事が進められておりますが、記録によりますと、この件に関し事業者が初めて市を訪れたのは平成15年5月であり、農用地に関しての相談でありました。 これまで市がかかわった主な経緯を申し上げますと、農用地区域からの除外及び農地転用の許可、福島県環境影響評価条例に基づく市長意見の提出、いわき市の景観を守り育て創造する条例に基づく届け出の受理、そして、事業者がNEDO、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に対して補助申請を行うに際しての市長意見書の提出であります。 ◆19番(佐藤和良君) 今もありましたその環境アセス実施において、環境影響評価準備書の手続き過程で、低周波音を初めとして本市の意見はどのようなものであったかお尋ねします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 市では、事業者が作成した環境影響評価準備書に対して、野生動物保護等の住民意見も勘案しながら、事業の実施に当たり、周辺環境に与える影響をできる限り回避・低減できるよう市長意見をとりまとめたところであり、低周波音については、準備書に記載してある予測条件の妥当性を明確にすること、必要に応じてそのほかの条件による予測・評価を行うことを求めたところであります。 ◆19番(佐藤和良君) その求めは、具体的にはその後の手続きでは履行されましたでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 事業者評価書をまとめるに当たりまして、予測条件を変更いたしまして、風速で申し上げますと、12メートルで一たん評価準備書を作成し、17メートルの条件設定の変更等、そういった調査も行いまして、環境への影響は回避されているという取りまとめを行ったところであります。 ◆19番(佐藤和良君) 低周波音に対する記載はありましたでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 低周波に関しまして、先ほど申し上げましたような条件の変更を行いまして、それで計測等を行いまして、影響は回避されているという評価書の取りまとめに至ったということでございます。 ◆19番(佐藤和良君) それでは、次に、この補助金申請の条件であります地元調整というのがあるわけなんですが、住民合意が確認できる地元市町村・地元自治会等の承諾書、説明会の議事録、そういうものの提出が求められておりますが、本市としてはこれらを確認しておりますでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 市では、事業者が2つございます川前町小白井地区の行政区、それから地権者である川前町小白井牧野農業協同組合に対して説明会を行い、それぞれ了解を得られていることを確認しており、また、事業者がNEDOに対して補助申請を行うに際し、当該各関係者から事業者に提出された承諾書には、事業の推進に対し全面的に協力していくとされております。 ◆19番(佐藤和良君) それでは、近隣住民に健康被害を及ぼさないことの根拠、あるいは強風などの自然災害による風車破損等での住民被害への補償、施設廃棄時や事業者倒産時の対応など諸般の事態に対する事業者の管理責任は、地元住民と本市にはどう説明されているのかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 県の環境影響評価条例に基づく手続きの中で、周辺環境への配慮、工事中の安全確保方策及び運転開始後の保守管理等について、市及び地元住民に示されたところであり、また、その中で低周波音の影響については、先ほど申し上げましたように回避されているとなっております。 ◆19番(佐藤和良君) その強風で例の羽根が折れて倒れるとか、落雷で羽根がちぎれるとか、いっぱい起きているんですね。そういう場合の被害の補償ですとか、あるいはその施設は耐用年数が17年なら17年終わったらどうなるのかとか、そういうところの説明はどうでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) まず、羽根が折れたりした場合は、危険防止の面から言えば、さく等を設けて、周囲に危険が及ばない範囲までしか人が近寄れないようにするというようなことで防御するということであります。また、これについては一応20年というような事業期間を設定しております。現時点におきましては、この20年が経過したならば責任を持って撤去いたしますというような約束と聞いております。 ◆19番(佐藤和良君) 2点目は、大型風車による低周波音による健康被害についてです。 計画中で環境アセスを実施している黒佛木ウインドファーム事業、川内村は国内最大級の出力2,500キロワット風車を26基、楢葉ウインドファーム事業、これは楢葉町と広野町ですが、同じ出力の風車16基を建設するというものであります。 5月12日に、福島県自然保護協会と川内村・田村市・いわき市の住民が、生活圏内に現在建設中あるいは建設計画がある巨大風力発電施設を心配いたしまして、大型風力発電事業に伴う健康被害、自然破壊の対策についての要望書を福島県知事に提出いたしました。 そこで、近年全国で報告されている大型風車による風車騒音・低周波音による健康被害を本市はどのように認識しているのかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 国・県などの公的機関において、大型風車による健康被害を認めた事例はありませんが、風力発電を活用している先進欧米諸国、あるいは国内においても、健康被害について、住民等からの苦情等の報告があることについては承知しております。いろいろと情報収集に努めているところであります。 ◆19番(佐藤和良君) 次に、低周波による健康被害が起きないことの根拠が示されない限り、住宅の近隣に風力発電施設をつくるべきではないと思いますが、既に着工している事業の場合は、低周波による健康被害が起きないことの根拠が示されるまで、工事を一たん中断し、発電施設を稼動しないよう事業者に対して意見を提出すべきではないかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 県の環境影響評価条例の手続きにおいて、風力発電事業から発生する低周波音については、適切に予測・評価を行うよう意見を述べたところであり、それに応じた対応もされたところであります。この事業につきましては、所定の手続きを終え、既に着工中の事業であります。現時点において、市が意見を述べる状況にはないものと考えております。 ◆19番(佐藤和良君) 現時点においては、意見を述べる状況ではないということでございますが、やはりいろいろこの、いわゆる健康被害、あるいは環境汚染による生態系の破壊といったものについては、やはりリスク管理が一番大事なことでございますから、さまざまな症状が出てからということでは、やや行政的には不作為的なことも問われかねませんので、そういう点で、一たん予防原則という立場に立って対処すべきではないかと考えるところでございます。 そこで、風車の低周波音による健康被害や生態系への影響調査を実施して、風力発電事業の立地規制や距離規制などの法的整備を行うように、県と国に要請すべきではないかと思うのですがいかがでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 現在、市といたしましても、いろいろ情報収集に努めております。国でも検討会を設置し取り組みを始めたところであります。県と協議しながらこれについて対応策等を取りまとめたいとしております。いわき市といたしましても、福島県と協議しながら、この風力発電自体はこれからのまちづくりの中で1つの当市の方向性を示しているものという受けとめ方もしておりますので、それと地元の健康被害等があれば、そういったものとの調和を図りながら取り組んでまいりたいと思いますが、環境監視の面からもしっかりと対応してまいる考えであります。 ○議長(矢吹貢一君) 補足説明ですね。市長。 ◎市長(櫛田一男君) ただいまの議員おただしの点についての部長答弁でございましたが、政策を進めていく場合、例えば、川前の小白井地区の尾根の上、これは健康被害というものも十分考えなくてはいけませんけれども、その前に、限界集落をどうやって切り抜けていくかという問題も政策的には大変重要な問題でございます。したがいまして、低周波にわざわざ近づいていく人は観光客ぐらいでありますので、こういう所に、人の住んでいない所に設定を考えたわけであります。したがいまして、議員おただしの心配事、これは十分検討を重ねながら、その対応策を講じながら導入してまいりたいと考えているところであります。 ◆19番(佐藤和良君) 今までこの26基とか2,500キロワットとか、そういう単位で建てるウインドファームというのは事例が国内的にもなかったもので、それによる影響というのは、環境影響、健康影響、生態系がどうなるのかという問題は、今ちょうど始まったばかりなんですね。ですから、そういう意味で、国の対応も、国としては結局クリーンなエネルギーということで風力発電を推進してきているから設備投資の3分の1は事業費を出すということで進めてきましたが、立地規制・距離規制がないと。今いろいろ生態系あるいは医学的な症例を見ますと、3キロメートル以上離れれば大体そういうものがないというような医師のお話も出てきておりますので、そういったことも十分に国では検討していただくように、また、地方自治体としても住民の立場に立ってお取り計らいいただければと思います。そういったことを要望しまして、あくまで住民の立場で予防原則を貫くということで対処していただきたいと思うところでございます。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(矢吹貢一君) ここで、午前11時15分まで休憩いたします。     午前11時01分 休憩---------------------------------------     午前11時15分 開議 △坂本稔君質問 ○議長(矢吹貢一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。7番坂本稔君。               〔7番坂本 稔君第二演壇に登壇〕 ◆7番(坂本稔君) (拍手)7番いわき市議会遊政会の坂本稔でございます。以下通告順に従いまして、一般質問させていただきます。 景気の悪い話ばかりで大変恐縮なんですけれども、現実に、非常に大変な状態であると。トヨタ方式で改善云々という話を2月定例会で私は申し上げましたが、ちょうど私が28年前に在籍した折、トヨタ自動車は、今後これ以降の景気・経済動向では当面物が売れなくなるということで、どんどん代替サイクルの長期化を予想しておりました。当時、一般的な方は平均約4年で新車から新車へと移行してまいりましたけれども、それがどんどん延びまして、今や、性能がいいのもありますが、10年ぐらい乗っているのも当たり前になってきたということで、実は、リーマン・ブラザーズ等の金融危機もございましたが、既にもう30年前から物が売れない。人に説明するときに一番私がイメージして引用するのは、私の親のころは必ず欲しい物があったと、例えば次のボーナスで冷蔵庫もしくはカラーテレビを買おうと、どうしてもという物があったんですが、最近、先進諸国は、特に、アメリカに引き続き日本も、もうないものはないという実態になってまいりましたので、代替・リサイクル、これの経済にもう移行してきたと。ただ、経済成長により人件費が非常に高騰いたしましたので、お金だけは余ってしまったと。その最初のいわゆる運用先がバブルでありましたし、また、今度は実体経済の伴わない金転がしのリーマン・ブラザーズ破綻。グリーンスパーンというその金融の神様さえも予想がつかなかったような欲がネットによって世界を駆けめぐり、今の状態に陥ってしまったと。ということで、やはりどうしてもこれからは、財政は当然逼迫する、また、民間企業からの税収もどんどん減ると。トヨタ自動車も、やはり今年度ばかりでなく、来年の経常赤字もこれはもういたし方ないと発表いたしました。 ただ、その中でも、どうしても市民としてはいいサービス、つまり、いわき市民としてはよいサービスをいわき市には求めるものでありまして、その中に、特に、実は議員になりたての昨年、市内のある中学校の社会科の先生とお話をしました時に、坂本さん見てくださいと、社会科の授業で中学生に地域に一体何が必要かというようなアンケートを今各地でとっていますと。いわき市内の社会科の教科書にも載っておりますが、これは川崎市の中学生が地域で最も必要な施設は何だというようなアンケートで、第1番目にやはり病院ということで挙げているわけなんですね。それが授業中にも上りまして、いわき市内でも何が必要だと、確かにいい文化施設も必要なんですが、まずは病院ということで、中学生も、まして我々も、もう少しで今年50歳になりますが今度は自分自身の心配も、さらに親の年代も、どうしても病院に関してこれは避けられない。ですから、先ほど佐藤議員からも出ましたが、早期の病院建設に関しては、これは必須条件であるということは、もう皆さん異論はないところであると思います。 そこで、まず、市長にお話をお伺いします。 今後の政策についてでありますが、任期が残り3カ月強ということになりましたが、さらに続投、もしくはそれから先の話はちょっとまだ少し早いとは思いますが、選挙戦においても非常に大きな項目になると思います。まず、大前提として、新病院は建設する前提としてお話してしまいますが、それに向けての財源に関しては、今の時点では市長はどのようにお考えかお聞かせください。 ◎市長(櫛田一男君) 議員おただしの、大勢の市民の皆さん方の要望には、新しい病院の建設ということが含まれていると認識いたしております。これは、学校の先生方がそういう形でアンケートをとっても、それくらい安全・安心の基をつくる病院でありますから、そういう方向で進めたいと思いますが、これからのスケジュールでありますが、市民病院につきましては、市民の皆様の生命と健康を守る最後のとりで、格好いい言葉でありますが、最後のとりでとして医療提供体制のみならず大勢の人が望んでおります。 これは私の考え方の1つとして、ハード面からソフト面に軸足を変えながらここ当面は耐え忍んでいこうという政策を根底に打ち出しておりましたけれども、こと病院に限りましては待ったなしであります。その前段として、地域内の医療体制の充実を図りながら、機を見て病院を建てるという第2ステージの方へ進む予定であります。 財源的には、先ほどの佐藤議員の御質問にも病院局長がお答えしておりましたけれども、共立病院内の健全経営に向けた努力をまず示していきたいと思っております。そして、それに沿って病院の健全経営に向けていくというのが1つの流れであります。そして、その側面に財政計画を立てながら、必要な財源措置についてはいろんな形がありますけれども、先ほどの総務省の御指導のもとでの建設の問題等々も含めて、庁内的には財源措置に対して早期建設を目指すためのプロジェクトを組み上げながらやってまいりたいと考えております。それは執行部だけの話では決してございませんで、議員の皆様方とも逐次相談しながら、情報を公開し合いながら、よりよい方向で無理をしない財源措置を構築しながら、一日も早い病院の建設を進めてまいりたいと。これからの医療エリアであります双葉郡あるいは北茨城市を含む隣のエリアまで含めた考え方、あるいは診療科目の種類の問題、第3次救急医療体制の確立のためには何が必要なのかとか、そういうことを綿密な計画を立てながら、同時にハード面での病院建設にも意を用いてまいりたいと考えております。 ◆7番(坂本稔君) 地域医療、これはもう同時に、いわゆる一時的に最初に地域医療から次にまた病院の経営というよりも、やはり同時に進めていくべきだと考えます。まして、なかなか国の医療制度が変わらない限り、今の赤字から黒字に転換するのは、非常な経営努力でも追いつかない面が多々あると思います。その意味でも、新病院、つまり来たくなるような病院施設、また、研修医の方々がそんなすばらしい施設、すばらしい市であれば我々もぜひ行きたいと言うような、やはりこの意味で言うと、箱物箱物と嫌いなんですが、ここに関しては箱物はあり。あの五、六十年経った病院と新病院からすると比べようもない。ですから、同時並行でぜひ早急に考えていただきたいと思います。 次に、今、財政の見直しというお話もございましたけれども、特に、具体的に市の財政の中で、やはり当然、基金の積み増し、また、交付金措置ということも、流れとしては、今、病院建設に関しては悪い流れではないかとは思いますが、やはりどうしても限られた財源の中で基金を100億円単位積み増していくということになると、行政経営部から、昨日、第5次のプランも出ましたけれども、もっと具体的な中身、つまり、今までの縦割りではなかなかこの中で独自で財源を模索するというのが非常に困難なことではありますが、やはり出ないわけではないと考えておりますので、そこのところをぜひ市長のお考えをお聞きしたいと思います。 ◎市長(櫛田一男君) 財政的な積み立てその他につきましては、私から申し上げるよりも、病院局でその任に当たっている部署がございます。それらのほうで、笑いごとではないですよ皆さん、これは冗談でなく、真剣に取り組むから本筋の方にお答えいただきたいと思っておりますので、お許し願いたいと思います。 ◎病院局長(本間靜夫君) 私からは、その新病院建設に向けての財源についてお話させていただきたいと思います。まず、新市立病院の建設のための財源につきましては、一般的には病院事業債を最大限に活用することとなり、その償還金につきましては、総務省の繰り出し基準に基づき、一般会計から病院事業会計に対し2分の1が出資金として負担されますが、残りの2分の1につきましては病院事業会計の負担となりますことから、先ほど市長が申し上げましたように、今後、病院事業の経営の健全化を図るとともに、病院建設のための基金の創設なども含め、自主財源の確保が重要な課題になるものと考えております。 ◆7番(坂本稔君) 本当に真剣な意味合いで、ただ、いわき市の実態に即した今後の財政改革、また、病院改革は、性急であるということだけは一致した見解であると思います。 次に、大きな2番、市の生活排水対策事業の方針についてでありますけれども、これに関しては、2月定例会で水道事業・下水道事業に関して触れましたのも、やはり一番はさまざまな基金を積み増ししましてやらなくてはならない事業がたくさんあります。当然、市長御提唱の日本一の市民サービスを目指すというようなことであれば、当然、実感できるサービスが非常に大事だと思います。ただ、そのためにも、やはりどうしてもお金が必要であるということで、私自身はその一番大きな事業である下水道事業に着目したのが、ここでの一番の私の根幹でございます。 そこで、中身に関しては、これは文書としてはちょっと矛盾したようにとられますが、当然、これは担当課に関してはどういう意味であるかは十分お察しと思いますので、括弧の1番、設備の建設が目的か早期の排水対策の実現が目的かについてお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 現在、平成18年度に策定しました総合生活排水対策方針に基づき、生活排水対策を進める上での根幹に係る課題について、鋭意検討を進めているところであります。 大きく2点ございます。その1つは、浄化槽汚泥など一般廃棄物となる生活排水の収集運搬・処理に係る排水処理基本計画であります。これにつきましては、今年度中に策定の予定であります。それからもう1つ。下水道事業の経営改善に資する企業会計及び新たな資産管理システムについてであります。これにつきましては、今年度中にその導入のプロセスを明らかにすることとしております。 これらの生活排水対策を進めていく上での基本的事項をまずしっかりと固めたい、手順を追って下水道事業と合併処理浄化槽の役割分担等の具体的検討に入り、当然のことながら、施設の整備と早期の排水対策は同時並行になるものと受けとめております。 ◆7番(坂本稔君) 中身に関して言えば、建設と維持管理、または、片や私がせんだって申し上げました市町村設置型の合併処理浄化槽、PFI事業を検討していただくというようなお話がございましたが、これは同じ課ではありますが、実際、省庁は、もう農排水の方はともかくですけれども、国土交通省と環境省、これがいわゆる同じ国の政策でありますが、片やちょっと相反するような方向で、各市町村でこの対応の独自性を非常に迫られているという状況になっております。ここに関しても、実際、下水道法が昭和33年に施行、浄化槽法が昭和58年に施行ということで、当時の法律をどうひっくり返してみても、浄化槽が下水道に、いわゆる絡んでくるような条文がなくて、条文にくみ取り方式から下水道に移行するしかなかなか出てこないということで、私の申し上げている、もしくは要するにどちらが先とかどちらが大事ということに関しても、根拠の法律がまだ非常に不備であるということも現実なものですから、その中でも、市の独自のやはり判断というのは今後も大事だと考えておりますので、ぜひそこは精査をよろしくお願いします。 続きまして、括弧の2番。せんだって先月5月29日に、日本PFI協会のセミナーがいわき市で開催されました。全国4カ所の口あけ、第1番目にいわき市で開催されたわけですけれども、福島県の後援をいただきまして、近隣11市町村、これはいわき市も市長の指示によりまして生活環境部と行政経営部から勉強に出していただきました。また、民間団体、これは民間企業ですが約21社38名、延べ70名の方々がセミナーに参加させていただきました。ちょうど議会が入っていたものですから私は出られなかったんですが、その前後でお邪魔したところ、非常に熱心な勉強をされていたなということで、特に、この中では、2月定例会で申し上げましたPFIに関して大分細かいセミナーを受講して、また、環境省の川上室長からも、現在また今後の浄化槽行政に関して詳しいお話もありました。これに関してぜひ参加された各部の感想をお聞きしたいということで、まず、行政経営部のほうからよろしくお願いします。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 民間活力の導入や効率的な行政運営といった観点から、いわゆるPFIは、有効な手段の1つと考えております。今回のセミナーにつきましても、PFI事業に関する情報収集の一環として参加したものでありますが、最近の国の浄化槽行政の方向性や市町村設置型浄化槽に係る現状や課題等について認識を深めることができたと考えております。 ◆7番(坂本稔君) 第5次行財政改革行動計画も出ておりますが、下水道事業に関しては具体的な数字というものは出されていないと思いますので、その中に具体的な検討の中身もぜひ、PFIにも触れていただいておりますが、もっと具体的にですね。これは、先ほど病院のことも触れましたが、もう全国的には耐震化・給食センター・病院・公民館・学校、すべてPFIの事業で案件が大分整ってまいりましたので、ぜひ参考にしていただきたいと考えています。 次に、生活環境部のほうお願いいたします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 私どものほうでも、当セミナーにおいて、浄化槽行政及びPFI関係で最新の情報を把握することができたわけであります。その中で、PFIによる市町村設置型合併処理浄化槽の整備についてでありますが、生活排水対策を進める上での検討すべき手法であると、改めて受けとめたところであります。また、一方におきまして、今、いろいろ課題があろうと思いますが、例として挙げれば、いろいろ私どものほうでも排水対策方針等を定めるに当たって、有利不利ということも含めての試算を行っております。一定の条件に基づいての試算でありますからそれが確定的ということではありませんが、現在のところ、下水道とそれから合併処理浄化槽で1人当たり、これを国・県・市からの公的資金、あるいは個人の負担、そういったものを総合いたしますと、地域のおおよその部分において下水道事業のほうが有利であるというような試算もあるわけであります。この辺はさらに精度を高めてまいりたいと思いますが、そうした中で、能動的にPFI事業を進めていくとすれば、当然のことながら、下水道使用量と合併処理浄化槽の使用量と、この辺の均衡も図っていかなければなりません。この辺の負担の公平性の問題、付随しまして、住民の合意形成、あるいはPFI事業の受け皿の問題、そういった課題を改めて認識させていただくことができました。 ◆7番(坂本稔君) せんだっての議会でのお答えよりもまた一歩進んだ御答弁ありがとうございます。ただ、やはり、これほど各市町村、全国の約200以上の自治体で市町村設置型を導入し、また、PFI方式でも10市、この近くでは紫波町もそうですが、十和田市もおととし導入し、また、先月の新聞では、能代市が3,000基の導入を検討・調査に入ったということで、どちらかというと行政先行が東北のやり方なのかなと。十和田市ですと部長以下、市がまず主導し始まってと、能代市の場合はもう行政が3,000基導入と。そうすると地元業者さんが、自分たちの仕事がなくなるんではないかと逆に心配になって、そういうやり取りがあったと能代市ではお聞きしています。そういうように、どちらかというと行政の方々が主導して検討の段階に入って、既にもう3年も前から、検討の段階から言うと5年も6年も前、お隣の郡山市でも議会では大分前に出ていますが、なかなかこれに踏み切れないというのは、先ほど部長の御答弁の中にもございましたが、やはり下水道ありき、つまり下水道のほうが有利だということがまず先入観でありますと、せんだっていただきましたこの平成18年12月のいわき市総合生活排水対策方針の資料でも、数字の出し方に非常に偏りがあると思います。どちらかというと、片や3人なんですけど、片や数字を出しているのは7人槽とか、やっぱり個別でその計算もやはりもうちょっと客観性のあるいわゆる調査をぜひその折にはお願いしたいと思います。 ちなみに、日本環境整備教育センターから出た資料に基づいて、例えば、これは参加していただいた栗原市、今回宮城県からここまで来ていただきました。そのいわゆるちょうどPFIの例が資料に出たんですが、例えば、これ栗原市は8万人なんです。8万人から7万人がこれは下水道対象計画、いわき市よりちょっと多いんですが86%を下水道対象にしているんですけども、今まで約50%と同じくらいの進捗率で、ただ、残り4万人ほど残っているんですけれども、全体としてまだ4万人のうち3万人を合併処理浄化槽に転用した場合の試算を栗原市でした場合には、これは4半世紀になりますけれども約272億円、転用したほうが費用は少ないというようなコスト計算もございます。これはさまざまな計算方法がございますが、やはり客観性を持っていただいて調べていただくのが一番大事なことだと思いますので、そこのところを重々お願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。 次に、3番目、実際もう法律が不備なもんですから、下水道とこの既に建築基準法上から定められた合併処理浄化槽を設置している世帯の間での問題が起きてまいりました。これに関しては、括弧3番、下水道区域内の合併処理浄化槽設置済み世帯への対応について、市の御対応をお聞きしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 公共下水道の整備に当たりましては、管渠築造工事に先立ち、住民の皆様に対する説明会や戸別訪問等を行いながら、公共下水道の目的やその整備効果等を説明しております。特に、合併処理浄化槽を設置されている方々に対しましては、公共下水道が有する公衆衛生上の利点や維持管理上の優位性について十分に説明し、接続をお願いしているところであります。 ◆7番(坂本稔君) 現実ですね、法的な抜け穴といいますか、浄化槽法にも下水道法にもこの規定がございません。実際、浄化槽法からまいりますと、同じ最終処分の段階で20ppmということになれば、最終的にそのまま流してもいいということで環境省の室長から御意見もいただいておりますので、法的には問題がないんです。ですから、実際、個別で何十万円もかけて合併処理浄化槽を個人設置していながら、今度、下水道本管が自宅の近くに来たので、あとさらに40万円、50万円、さらに、設置負担金も負担しながら、新たにまたきれいな水を下水管に流すということの矛盾は、どうしてももう各自治体でも起き上がっております。各市町村でも、これに関しては法整備が整っておりませんので、頭を痛めているところだと思いますけれども、やはり現実的に、直接的な住民の方の金銭的な負担という問題がございます。ですから、これに関してはやはり市の事前の説明も、そういうこともあり得ることは選択できることの検討と、もしくは建設設備に関する予算の内訳の中でも、この接続に関するこういった特殊な方々、つまり、くみ取り式もしくは単独浄化槽から下水道に接続ではなくて、きれいな水を流しておられる合併処理浄化槽接続の方が下水管につなぐ際の費用の軽減措置が一般の方と同じであるのは、やはりちょっと私も納得できないかなという気はしているんです。これは地元住民の方もちょっと納得できないかなと。それで言えば、下水道のその負担金でさえもこう訴訟が持ち上がっているように、非常にちょっと大きな金額なもんですから、そこに関しては単なる説明よりも、やはり住民の方の立場に立った施策というものもぜひ御検討いただけないかということをお願い申し上げます。ちょっと長くなって大変恐縮であります。 それでは、最後に、効率のよい排水対策のための詳細な世帯実態の把握についてということで、これはもっと具体的に中身を検討していただけないかということでの質問でございます。お願いします。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 平成18年度に定めました排水対策方針の策定に当たりましても、本市の行財政環境を展望し、将来人口の予測、経済性の比較、地域特性などを考慮して整備の方向性を取りまとめたところではあります。今後とも、この方針に基づきまして、人口フレーム等、必要に応じさらに詳細な分析を行いながら、例えば、下水道事業であれば、これまで長年にわたり着実に整備を図ってまいりました。汚水もあります。また、治水・雨水処理、これも重要なインフラであり、使命であります。こうした着実な整備を図りまして、市民の皆様の暮らしの質の向上に寄与してきたのではないかと、そのように考えているところであります。この下水道事業を今後の時代に対応した身の丈にどう合わせていくか、時代にどう身の丈を合わせていくか、そして将来によりよい形で引き継いでいく、これがまず1つございます。 それから、また、合併処理浄化槽の普及促進策等、先ほど議員からありましたような課題も踏まえまして、そういったことも整理していかなければなりません。そんなこともありまして、現在、そういったいろいろな選択肢、それを庁内で議論し、また、市民の方に提示して、そして一定の方向性を協働作業の中で見出していくために、資産管理システム、あるいは企業会計の導入、そういう議論のベースになる部分をできるだけ早く整備しようというような形で、きめ細かな取り組みをしてまいりたいというのが考え方であります。 ◆7番(坂本稔君) 今のお答えの冒頭に人口というお話がございましたけれども、部としては人口推移をどのようにお考えでしょうか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 人口については、さまざまな統計がございます。一番公的な中では、平成20年の12月に国で出された人口統計では、将来、平成32年でありましたか、32万人程度というようなことも出ておりますけれども、ただ、その先の20年後、30年後ということになりますと、さらに人口動態は減少していくものと判断しております。 また、いわき市のような土地柄の中で、その人口減少が一律に起きるのか、それとも地域に偏りが生じるのか、この辺のところも分析して、今後の排水対策処理に生かしてまいりたいと考えております。 ◆7番(坂本稔君) 部内での、また、庁内での話の中でも、やはり市長の方針のとおり、もしそれ以後も踏襲されるとすれば、日本一サービスのよい市を目指すということであれば、市民の立場に立った行政、当然、その費用負担が生じる問題は非常に少ないんですね。ですから、これに関しては非常にそこの部分を考慮に入れたお考えをぜひお示しいただきたいということで、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(矢吹貢一君) ここで、午後1時まで休憩いたします。     午前11時46分 休憩---------------------------------------     午後1時00分 開議 △石井敏郎君質問 ○副議長(磯上佐太彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。33番石井敏郎君。               〔33番石井敏郎君第二演壇に登壇〕 ◆33番(石井敏郎君) (拍手)33番いわき市議会改革の会の石井敏郎です。ただいまより通告順に従い、質問いたします。 質問の第1は、新・いわき市総合計画についてであります。 新・市総合計画の冒頭部分の言葉を引用させていただきますと、総合計画とは、一言で言えば、市町村におけるまちづくりの憲法と言えるもので、その地域における行財政運営の長期的な指針となる最上位の計画であります。現計画は平成12年12月に策定されたものであり、基本構想の目標年次は平成32年までの20年間、その基本構想を実現するための基本計画は平成22年までの10年間と定められております。 計画策定後における地方自治体を取り巻く環境は大きく変化し、本市においても、行財政運営の長期的な指針を抜本的に見直すことが必定と言える状況にあるのではないでしょうか。来年度は基本計画の最終年度となりますので、平成16、17年度の2カ年にわたる点検・見直しを踏まえ、それらの作業を鋭意進めている段階であると思いますが、現段階での考え方について、以下質問いたします。 1つとして、新たな基本計画の策定作業について伺います。 まず、策定に向けた作業スケジュールはどのようになるのでしょうか。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 今年度は、現行の基本計画における施策の成果の点検や市民意識調査などを行いながら、施策分野別の現状分析や課題などの取りまとめを行う予定であります。その上で、平成22年度は、今後の施策方針や新たな施策等を盛り込んだ次期基本計画の素案を取りまとめ、当該素案をもとに、さらなる議論や検討を進め、同年度中に成案を策定してまいりたいと考えております。 なお、策定までの各段階において、市議会への説明・報告を行うことはもとより、パブリックコメントを実施するなど、より広く市民の皆様の御意見を反映させながら策定作業を進めてまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 次に、策定に当たっては、基本構想の実現に向け、これまでの10年間の成果を検証し、かつ今後の的確な見直しを持ち、具現性の高い計画とすることが求められると思いますが、どのような主眼をもって臨まれるのか伺います。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 次期基本計画策定の主眼につきましては、現行計画の成果の検証や今年度実施する市民意識調査の結果等を踏まえて、正式に決定してまいりたいと考えております。 なお、現段階における考え方を申し上げますと、現下の厳しい社会経済状況への対応はもとより、人口減少や少子・高齢化の進行、地球規模で拡大する環境問題などの時代潮流の変化に的確に対応することや、行政と市民の皆様との協働によるまちづくりの推進に向けて政策目標を共有することなどが必要であると考えております。 また、厳しい行財政状況を踏まえ、これまで以上に成果重視の行政経営の確立に向けた取り組みが重要であると考えられますことから、行財政改革や行政評価の内容も一体的に取り込んで、市の行政運営全般の指針となる計画として策定できないかと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 2つとして、わかりやすい表現と工夫について伺います。 計画の実現には、職員はもとより、関係者、企業、団体及びすべての市民がその概略と方向性を理解することが重要となります。協働とは、協力して働くという意味であります。協力を求める、協力するという行為に至るには、説明と理解が不可欠であると考えます。 そこで、現行の改定基本計画の市民への周知は、どのような手法をもって行ってきたのでしょうか。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 現行の基本計画につきましては、まず、策定までの過程において、さまざまな形で市民参加をいただき、その審議内容を含め、計画自体に関する周知を図ってまいりました。 また、策定後におきましては、その概要について、全世帯に配布される広報いわきへ掲載したほか、市公式ホームページを活用し、広く市民の皆様への周知に努めてきたところであります。 さらに、計画のダイジェスト版を作成し、支所・公民館等で配布・供覧を行ったほか、市役所出前講座などを活用しながら、市民の皆様への一層の周知に向け、積極的に取り組んできたところであります。 ◆33番(石井敏郎君) 改定基本計画ふるさと・いわき21プランは、レイアウトや表現、色使いなど見やすさに配慮はなされておりますが、行政が行政としてなすべき視点で整理されておりますので、市民や地域が共有する目標に向かい何をすべきかがいま一つ見えにくいように感じております。総合計画はまちづくりの憲法とうたわれております。さすれば、まちづくりに対する市民の義務と権利、言いかえれば市民や地域に期待する行動目標なども明記することが、目的を共有し協働するための第一歩となるのではないでしょうか。 そこで伺います。今後の基本計画策定に当たり、策定の方向性に即した市民や地域に期待する行動目標を設定することは可能でしょうか。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 市民参加や協働によるまちづくりを推進するためには、市民の皆様と情報を共有することはもとより、各種施策や事業ごとの目標についても共通認識を持ち、相互の役割をしっかりと踏まえた上で、自分達のまちに夢と責任を持ち、各種施策等の実現に努力していくことが必要であると考えております。このようなことから、次期基本計画の策定に当たりましては、施策ごとの成果指標を設定するなど、わかりやすい目標を明示したいと考えております。 また、市民の皆様や地域に関する行動目標の設定につきましては、これまでの協働のまちづくりの成果等を十分に見きわめながら、総合計画の中で対応することが可能かどうかも含めまして研究してまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) ただいま、今後研究してまいりますという御答弁ですけれども、まちづくりの結果を享受するのは、そこに暮らす市民であります。市民との協働のもとにまちづくりを行うということは、協働者である市民が主役であるということは言うまでもありません。その市民が、目標達成のために何をどのようにすればよいのかなど、自立・自発的に考え行動することを期待することも地域力の醸成に必要であると考えますので、ぜひとも継続的に検討いただけますよう要望しておき、次の質問に移ります。 総合計画は、行政の行財政運営の指針であると同時に、そこで暮らす市民のふるさとを創造する設計図でもあります。将来を思い、将来を語り、将来を創造するためには、パートナーへの配慮として設計図を配布することは重要なことであると考えます。 そこで伺います。計画策定後には、パートナーの理解と協力を求める上でも、読みたくなるわかりやすい世帯用のダイジェスト版を作成し、配布してはいかがでしょうか。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 次期基本計画の市民の皆様への周知につきましては、その内容や目標について、現行の基本計画と同様に、全世帯に配布される広報いわきや市公式ホームページに掲載するとともに、これまで以上にわかりやすいダイジェスト版を作成するなど、配布の方法も含め、創意工夫を凝らしながら取り組んでまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 将来のまちづくりを担うのは、まさしく地域の子供たちです。その子供たちがいわきに住み続けたくなるとするためには、成人となる以前から地域に関心を持ち、地域のよさを知り、地域の将来を考える機会を多く創造することが極めて重要であると考えます。自治の仕組みを知る、地域を知る、人と人とのつながりや自然との調和を考える、あるいは、協働の意味を学び自分ができるものを考え、そして実践するなど、学校活動の中に取り入れることが可能な要素は数多くあると思います。 これまでも、中学生による模擬議会や出前講座を利用した取り組みが行われておりますが、こうした活動をより高めていくことが、10年後、20年後のまちづくりに生かされるのではないでしょうか。例えば、まちづくりや総合計画に関する教材を作成し、学校単位による取り組みとしてまちづくり創造コンクールを開催する、その指導のための出前講座メニューを充実するなど、手法はいろいろ考えられると思います。 そこで、将来のまちづくりを担う子供たちへの啓蒙事業をこれまで以上に行うことについて御所見を伺います。 ◎行政経営部長(仲野治郎君) 将来のまちづくりを担う子供たちに対しましては、現在、地域の方々が講師となり、地域の歴史や文化等を学ぶ機会を提供する学社連携・融合事業を実施しているほか、子供向けの市役所出前講座を活用し、市総合計画を学ぶ機会を提供するなど、子供たちが地域を知る、あるいは、まちづくりの関心を高めるための取り組みを展開しているところであります。 今後におきましても、総合計画ばかりでなく、より広い意味で、子供たちがいわきにより一層愛着を持ち、将来のまちづくりへつながるような事業の実施に引き続き努めてまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 以上、現基本計画の最終年度を来年に控え、各論を述べさせていただきましたが、総合計画は、改めて申すまでもなく、将来のいわきという確かな花を咲かせるために、行政と住民が1つになって目標に向かい推し進めて行く指針であります。一つ一つの事業がすばらしくても、全体の中で調和しなければ、計画上の矛盾が生じてまいります。今後は、厳しい財政環境を踏まえ、資源をいかに有効活用していくかが重要となります。したがって、庁内における連携、行政と住民の連携が何よりも重要なキーワードとなってまいりますので、明確な指針、わかりやすい表現をもって、行政としての説明責任を果たせるよう御期待申し上げ、次の質問に移ります。 質問の第2は、いわきサンシャインマラソンについてであります。 本事業の正式名称も決まり、来年2月14日に開催される運びとなりましたことは、大いに喜ばしい限りであります。今後は、日本陸上競技連盟のコース認定を受け、開催までの秒読み態勢に入るわけでありますので、所期の目的が達成されますよう万全の態勢で諸準備に当たられるよう御期待申し上げます。 さて、いわきサンシャインマラソンは、市民の大きな期待を担って開催されるわけであります。その経済効果にも期待が高まっております。 先般、私の知人を通じて、日立市で開催されております日立さくらロードレースの開催プログラムを入手いたしました。日立さくらロードレースは、全国30都道府県から1万2,000人を集客し開催される盛大な大会でありますが、このプログラムには、ごらんのように地元商店街・商店等で利用可能なクーポン券がついております。大会に参加していただくばかりでなく、参加者にも大いに地元で消費していただき、同時に、まちのすばらしさを知っていただこうという取り組みであります。こうした取り組みは、先進事例として既に御承知のことと思いますが、経済効果をより高めるための有効手段でもあります。 そこで、1つとして、経済効果高揚策について伺います。 まず、大会プログラムに、地元商店等で利用可能なクーポン券を導入するお考えはあるのでしょうか。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) クーポン券の導入につきましては、その効果や課題を十分に見きわめるとともに、商店会関係者の意向も尊重しながら、今後、関係機関とともに検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 私は、交流人口の拡大を図るためには、こうした企画を大いに推進すべきと考えております。仮にクーポン券を導入すれば、大会日前後の経済効果はもとより、その有効期間を長く設定することで、いわきの観光の醍醐味である夏まつりシーズンの観光誘客にもつながり、また、プログラム紙面に観光スポットとあわせて掲載することで、サンシャインいわきのすばらしさを広く発信でき、まさしく大会ネーミングの趣旨に沿うことができると考えます。 さらに、次回大会までを有効期間として、プログラム紙面に掲載した主要観光スポットにおいてスタンプラリーを実施し、それを次回持参すれば記念品を贈呈するといった企画など、大会リピーターを生み、参加者の楽しみも増加するのではないでしょうか。 そこで、大会を契機として観光誘客を図ることも経済効果を得るための重要な施策と考えますが、いわきサンシャインマラソンと観光戦略について具体的な連携策は検討されているのか伺います。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 本大会は、競技・生涯スポーツの推進を初め、交流人口の拡大や地域の活性化を図ることなどを目的として開催するものであります。このことから、大会実行委員会組織には、社団法人いわき観光まちづくりビューローにもその一員として参画していただき、本大会を観光資源とした戦略的な取り組みについて検討を進めるなど、所期の目的達成に努めているところであります。 ◆33番(石井敏郎君) いずれにしましても、単なるスポーツ大会にとどまることなく、長く市民に愛され、いわきに潤いと輝きをもたらすイベントとするため、全庁的な協力のもと諸準備をお願いいたします。 2つとして、組織体制について伺います。 本大会を開催するに当たり、現在、教育委員会内に事務局を置き、3名の職員が専任で準備に当たられております。大会を立ち上げ、関係機関や団体等の調整を行うため、行政がリードしていくという観点からはいたし方ないと思いますが、長く市民に愛され、市民のためのイベントとして定着を図るには、実施主体を移行していくことも重要であると考えます。 そこで、第2回大会以降の実施主体をどのように考えているのか伺います。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 第2回大会以降の実施主体につきましては、現在のところ未定でございますけれども、本大会の開催に当たりましては、さまざまな関係機関の皆様とともに実行委員会を組織し、オールいわきの実施体制で取り組むことを基本的な考え方に据えているところでございます。 ◆33番(石井敏郎君) 3つとして、既存大会との整合について伺います。 さきの定例会において、半世紀以上にわたって開催されている金栗杯勿来の関マラソン大会との整合について質問いたしました。本大会の開催が既存の大会に影響があってはならない、競合せず相乗の効果が得られるように配慮することが必要ではという質問でありました。答弁では、同様の趣旨で開催するものであるので、開催時期や種目の設定に配慮し、市民の参加意欲にこたえていくとのことでありました。 金栗杯勿来の関マラソンは、例年2月11日に開催されますので、本大会を2月14日に開催するのであれば、多少なりとも参加状況に影響があるのではと考えます。種目はフルマラソンが入るか入らないかの違いであり、健康マラソン部門は同様となってしまいます。 そこで、改めてお伺いいたしますが、金栗杯勿来の関マラソン大会主催者とはどのような調整を行ったのでしょうか。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 本大会の開催時期につきましては、金栗杯勿来の関マラソン大会の主催者との意見交換を行うとともに、近隣で開催されているフルマラソン大会の日程や警察官を中心とした警備体制の確保などを考慮し、大会実行委員会において決定したものであります。 なお、両大会の発展と円滑な運営を図るため、引き続き関係者との協議を行ってまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 第2回大会以降も2月の第2日曜日となるのでしょうか。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 第2回大会以降の開催時期につきましても、今の時点では未定でございますけれども、第1回大会の開催時に生じるさまざまな課題を十分に検証するとともに、2月に開催することによる利点等も勘案しながら、大会実行委員会において総合的に判断することになるものと考えております。
    ◆33番(石井敏郎君) いずれにいたしましても、同様の趣旨で開催されるものでありますので、どちらの大会にも相乗の効果があり、共存が可能となる調整、あるいは事業連携をお願いいたします。 質問の第3は、行政委員の報酬について伺います。 さきの新聞報道によれば、福島県に対し、県が行政委員に支給している月額報酬を日当制に改めることを求める住民監査請求が提出されました。地方自治法では、行政委員の報酬は勤務日数に応じて支給するとされておりますが、一方では、条例に特別の定めがある場合は、この限りではないとされております。福島県では、このただし書きにより、一律、各行政委員に対し月額としての報酬を支給しております。 そこで、1つとして、本市の行政委員の報酬について伺います。 本市における行政委員の報酬は、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員及び農業委員会の行政委員会については、県と同様に月額で定められておりますが、これ以外の行政委員についてはどのようになっているのでしょうか。 ◎総務部長(荒川喜一君) 地方自治法の規定により、市に設置しなければならない委員会といたしましては、おただしの行政委員会のほかに固定資産評価審査委員会がありますが、本委員会の委員の報酬につきましては、日額8,300円となっております。 ◆33番(石井敏郎君) 今年1月には、滋賀県に対し、勤務実態を前提とする限り月額制の報酬支給は違法との判決が大津地裁から下されました。これを機に、日当制への見直しが相次いでなされている状況にあります。職種によっては、会議出席のみが業務ではなく、情報収集や研さん、会議に臨むための日常的な準備など、それらの活動の対価という側面も加味する必要がありますので、一概にすべてを否定することはできませんが、時代の変化に伴い見直しが必要となっているものと感じております。 そこで、行政委員会を初め、行政委員の報酬について見直しを行う考えはあるのか伺います。 ◎総務部長(荒川喜一君) 行政委員会の委員の報酬につきましては、それぞれの委員の職務の具体的な内容や責任の度合い等に基づき決定されることが基本であると考えております。 本市におきましては、制度改正等により行政委員会委員の職務内容に変更が生じた場合や、社会経済状況の変化などにより委員報酬の見直しの必要が生じたときには、他の地方公共団体との均衡も考慮しながら、適時適切に対応しているところであります。今後とも、福島県や他市の状況等も十分に参考にしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆33番(石井敏郎君) 6月8日の新聞報道では、こうした行政委員の月額報酬を勤務日数に応じた日当制に変更することを求める監査請求が、東北・北海道地区に新潟県・栃木県を加えた9道県に提出されるようであります。 4月8日の新聞報道では、櫛田市長も福島県の福島海区漁業調整委員会委員として、毎年1日の出勤で年間79万3,300円の報酬を受けておられるとのことであります。このことの是非、あるいは見直しの判断は福島県においてなされるものでありますので、ここでの言及はいたしませんが、100年に一度の経済不況と言われる今日において、納税者の心理としては、その報酬が勤務実態に即した適正な対価なのかということに矛先が向いているわけであります。 ただいま、総務部長から答弁をいただいたところではありますが、櫛田市長には、御自身が福島県の行政委員であると同時に、本市の行政委員報酬の支払い者でもあるわけであります。いわば、両者の立場・視点をあわせ持ちながらこうしたニーズに対応することになるわけでありますので、改めて、本市の行政委員に係る報酬のあり方についてどのような視点・着眼点をもって対応していかれるのか、そのお考えをお伺いいたします。 ◎市長(櫛田一男君) おただしの件でありますが、たった1日のその会合に参加というお話でありますが、その前後、途中で何回かすり合わせ会、これは議会の皆さん方もいろんな委員会その他で経験があろうかと思いますが、そういうことにも言及していただいたことに感謝申し上げます。さらに、現行のこの厳しい経済情勢の中でありますので、次の委員会出席の折には、この旨お話を申し上げてみたいと思っております。 ◆33番(石井敏郎君) 今回は、連携と見直しをキーワードとして質問させていただきました。時代の移り変わりとともに、人々の価値観も多様化しております。IT化の進展とともに、人と人との交わりが少なくなっていると言われる今日、行政に対するニーズも複雑かつかなりのスピードで多様化しているように感じられます。これらに迅速かつ適切に対応するためには、行政内部のセクションを越えた情報交換と連携が大切になります。 苦言めいて恐縮ですが、知人からこんな話が寄せられました。知人は、その事務を担当する課がわからないため、電話帳を頼りに担当と思われる課の直通番号で問い合わせをしたそうです。用件を話すと、それはうちでは取り扱っておりませんとのこと。そこで、代表番号でかけ直し、交換で案内していただいたら、先ほど問い合わせた課に転送されたそうです。よくよく聞けば、その事務は、最初に電話をかけた所の隣の係が担当していたそうです。これがすべてとは言いませんが、ニーズの多様化により、業務も専門的になり、一見きめ細やかな対応が可能なように感じますが、横断的連携がおろそかになりつつあるように感じられます。 いつの時代にあっても、職員間、組織間、そして住民との密なる連携は、行政が果たす業務にとって重要な要素であることは変わりありません。まちづくりは、一人一人が主役であり、その舞台は地域でありますので、いわきのすばらしさを発信し、だれもが住んでよかったと思えるふるさととするため、十分なる連携と惜しみない情熱をもって各種施策に取り組まれるよう御期待申し上げ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(磯上佐太彦君) ここで、午後1時50分まで休憩いたします。     午後1時29分 休憩---------------------------------------     午後1時50分 開議 △高木芳夫君質問 ○副議長(磯上佐太彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。6番高木芳夫君。               〔6番高木芳夫君第二演壇に登壇〕 ◆6番(高木芳夫君) (拍手)6番いわき市議会浜風の高木芳夫でございます。2月定例会に引き続き、2回目の登壇でございますが、市政一般に対しまして通告順に従って質問させていただきます。 まず、大きな項目の1番目、生活道路における歩道の重要性について何点か質問します。 複数の市民の方から、歩行者の安全を守るための歩道の整備を考えてくれという要望をたびたび聞きます。私も注意しながら見て歩くのですが、確かに危ないなと思われる所が何カ所かあります。 子供の安全を守るという立場から、最初に、通学路における児童の安全確保について、現在、歩道のない通学路に対する執行部の見解をお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 本市では、児童の安全を確保するため、各学校において区域内の道路を点検し、安全が確保されている道路を優先的に通学路に指定しているところでございます。しかしながら、地域の実情により、通学路の中には歩道のない道路等の危険箇所も一部含まれておりますことから、毎年、学校におきましては、危険箇所の把握に努めるとともに、地域の方々や関係部署等との協議を行いながら、通学路の安全確保に向けて取り組んでいるところでございます。 なお、危険箇所につきましては、保護者や子供見守り隊など、地域の方々の協力をいただきながら、登下校時における児童・生徒の安全確保に努めております。 ◆6番(高木芳夫君) 平日の日中におきましては、地区にいる人はほとんどお年寄りの方ばかりです。回覧板などの地区の連絡や用事で隣近所に行きたい時に、どうしても幹線道路を通らないといけません。しかし、歩道がないため危なくて、行きたくても我慢してしまいます。おのずと活動エリアが狭められてしまいます。したがって、家から外に出なくなります。 そのような状況も散見することを念頭に置きまして、次に、地区内道路での歩行者、特に、お年寄りの安全確保について執行部の見解をお伺いいたします。 ◎市民協働部長(鈴木英司君) 高齢者の交通安全の確保につきましては、これまで、警察署など関係機関との連携のもと、道路の安全な横断や歩行方法などにつきまして、実技を取り入れた交通教室を開催しておりますほか、年4回の交通安全運動や9月から11月にかけて高齢者の事故防止に重点的に取り組む高齢者交通事故防止強化運動などにおきまして、自転車の乗車中や歩行中の事故防止のポイントをまとめましたチラシを配布するなど、各種の啓発活動を実施してきたところでございます。 しかしながら、平成20年中におきまして、市内において歩行中における高齢者の交通死亡事故が5件発生していることなど、依然として高齢者が被害に遭う事故が多くみられますことから、高齢者の交通安全の確保はますます重要となってくるものと考えております ◆6番(高木芳夫君) 完全ではないにしても、経済活動を維持するための道路の整備は進んでまいりました。これからは、少子・高齢化の社会と言われています。子供やお年寄りの方が活動の安全を担保するためにも、人に優しい社会の確立のためにも、生活道路・幹線道路の歩道整備をしていくべきだと私は思っています。この経済不況の中で、新規の事業を立ち上げるのは非常に勇気のいることだと思います。しかし、市民の安全・安心のために対処すべきだと思います。 そこで、市は、現在、歩道整備の計画についてどのように考えておられるのか伺います。 ◎土木部長(佐藤廣君) 本市における歩道整備の計画につきましては、安全で快適な歩行空間の確保や歩行者及び自転車事故件数の削減を図ることを目的に、平成15年度からあんしん歩行エリアとして、国土交通省の指定を受けた平、内郷、泉及び植田地区、さらには歩行者の多い幹線市道において、計画的に整備を進めております。 また、通学児童及び歩行者の多い生活道路につきましても、地区からの要望や現地の利用状況を踏まえ、安全確保の観点から地域の方々と協議を行い、優先順位を勘案した上で整備を進めているところであります。さらに、地域の生活道路として利用度の高い国道・県道につきましても、関係機関に対し、歩道整備や防護さく等の設置を強く要望しているところであります。 ◆6番(高木芳夫君) 市道はもちろん、県道・国道にも歩道がないために危険と思われる箇所が結構あります。歩車道の見切りをつけるための歩車道境界ブロックやガードレールの設置とか、幅を確保するために側溝のふたかけとか、それほどお金をかけないでできる所もたくさんあります。市民の安全が最優先ですから、もちろん市単独ではできない部分もありますので、関係機関とよく協議していただき、順次できる所から早急に対応していただくよう要望いたします。 次に、大きな項目の2つ目について質問します。本市の地方債の借入高について、三、四点伺います。 これまでは、役所は絶対につぶれないという神話が一般的に言われてきました。ところが、三位一体の改革という言葉が言われ初めた途端に、あの夕張市が財政再建団体となって国の管理下に置かれました。いわば、自治体倒産となったわけです。このことは、既にマスコミを介して本市市民も当然知っております。多くの市民の声は、本市の地方債、いわゆる借金について心配しております。 そこで、最初に、本市において現在の借入高についてお幾らなのか、見込みで結構ですから最新の数字をお聞きします。 ◎財政部長(百武和宏君) 地方債の現在高につきましては、平成20年度末の見込み額で申し上げますと、一般会計が約1,363億円、特別会計が約835億円、企業会計が約457億円で、合計では約2,655億円となっております。 ◆6番(高木芳夫君) この数字は全会計にわたる債務と考えてよろしいですか。 ◎財政部長(百武和宏君) 御指摘のとおり、すべての会計における地方債現在高となっております。 ◆6番(高木芳夫君) となりますと、どうしても他市との比較が気になりますので、この債務高について、他市に比べて本市の位置づけはどのようなものなのか、その状況をお示しください。 ◎財政部長(百武和宏君) 現時点で確定しております平成19年度末における普通会計ベースでの地方債の現在高を他の中核市と比較した場合でございますが、35市中、少ない方から12番目となっており、中位に位置しているところでございます。 ◆6番(高木芳夫君) 一般的に、借金がありますと、自分の自由意思で意思決定ができない場合が往々にしてあります。そういうことを心配する向きもありますので、確認の意味で質問いたします。 本市の行政経営上の自由度の確保について、現在、十分担保されているのかどうか伺います。 ◎財政部長(百武和宏君) 地方債借入額の増大に伴いまして行政経営上の自由度が損なわれるかどうかという懸念でございますけれども、昨年度公表いたしました地方公共団体の財政の健全化に関する法律に定めます健全化判断比率等のうち地方債現在高で言いますと、関係するものといたしましては、将来負担比率の分子にこの地方債現在高が算入されており、この比率が早期健全化基準であります350%を超えた場合には、財政健全化計画を策定・公表し、計画の実施状況を踏まえた国及び県の勧告を受けるなどの制約が考えられるところでございます。 しかしながら、本市におきましては、平成19年度普通会計決算に基づく将来負担比率は120.3%となっており、現時点においてすぐに早期健全化基準に該当するといった水準にはないことから、本市の財政運営はおおむね適正に行われていると考えております。 ◆6番(高木芳夫君) 資料を見ますと、平成20年度末での地方債残高は、先ほど財政部長が約1,360億円と、私が見た資料では1,390億円となっております。この数字の今年度予算に占める割合は全体比で約59%、一般会計比で約122%になると思います。ただ、本市の場合、今年度予算における市債と公債費を単純に比較しますと、償還に回る金額が80億円となっており、この予算規模を維持すれば、単純に計算して17年強かかることになります。もちろん利息がありますので、もっとかかることになります。 そこで、将来の負担をできるだけ小さくしようという立場からお伺いします。今後の返済計画について、償還計画と言った方がいいのでしょうかお示しください。 ◎財政部長(百武和宏君) 本市の市債の償還計画についてでございますが、将来世代への過度な財政負担を回避するため、計画期間内の市債発行総額を市債元金償還総額の範囲内といたします、いわゆる市債発行額の総量管理に意を用いることとしました中期財政計画に基づいて実施しているところでございます。 その結果、一般会計の地方債現在高は、平成19年度をピークに減少傾向で推移しており、今後におきましても、これまでと同様、市民福祉の向上に配慮しつつ、将来にわたり持続可能な財政基盤の確立を目指し、計画的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆6番(高木芳夫君) 本市は一般会計では黒字経営ですが、厳しい経営は続くと思います。今後、三位一体の改革が進行し、地方分権とともに税源移譲がなされたときの自治体間の税の再分配のときの足かせとなる懸念もありますので、本市の健全経営をさらに維持するため、昔ながらの役所におんぶにだっこの考え方を排除して、自分たちでできるものはみずからやるという考え方を定着できるような意識改革をしていく時期だということを申し上げまして、次の質問に移ります。 前回、時間がなくてできなかった質問をいたします。大きな項目の3番目ですが、市管理河川の改修についてであります。 河川は、御存じのように、飲料水や農業用水として人が生活する上での大きな恵みを与えてくれています。一方、一たん大雨が降りますと我々を不幸のどん底に引き落とすこともしばしばです。川を治めることは国を治めることに通ずると昔から言われております。急流の多い日本の河川は、流速が大きくなるため、しばしば河床を洗い、堤防を決壊させます。それらをできるだけ未然に防ぐ必要があるという観点で、以下何点か質問します。 最初に、本市が管理する河川の種類は何なのかお聞きします。 ◎土木部長(佐藤廣君) 河川の種類には、河川法による一級河川・二級河川・準用河川があり、そのほか河川法が適用されない法定外公共物として普通河川があります。このうち市が管理している河川は、準用河川と普通河川であります。 ◆6番(高木芳夫君) 次に、本市が管理する河川の総延長はおおよそ幾らくらいあるのかお示しください。 ◎土木部長(佐藤廣君) 市が管理している河川は、準用河川が30河川、延長約71キロメートル、普通河川が228河川、延長約413キロメートルで、合わせて258河川、延長約484キロメートルとなっております。 ◆6番(高木芳夫君) この数字には、いわゆる青線といいますか、源流部のせせらぎ等の小川のようなものも含まれているのか伺います。 ◎土木部長(佐藤廣君) 市が管理する約484キロメートルのうち、普通河川約413キロメートルが法定外公共物、いわゆる青線でございます。 ◆6番(高木芳夫君) それでは、次に、現在の整備状況について伺います。 ◎土木部長(佐藤廣君) 河川整備の状況につきましては、はんらんの危険性や資産等の保全の観点から、整備を必要とする準用河川の区間42.7キロメートルを対象として整備に努めてきたところであり、整備延長は26.1キロメートル、その整備率は61.1%となっております。 ◆6番(高木芳夫君) それでは、次に、今後の整備計画について伺いますが、河川を全部整備することは、先ほどの数字にもありましたように、まず不可能であると思いますので、どういう基準で今後整備していくのか伺います。 ◎土木部長(佐藤廣君) 整備に当たりましては、災害の発生を未然に防止するため、県が行う二級河川の整備計画との連携を図りながら、浸水の被害状況や地域からの身近な要望等を踏まえ、緊急性等を勘案し優先順位を定め実施しているところであります。 ◆6番(高木芳夫君) 同様に、久之浜・大久地区の河川の整備についてはいかがかお伺いします。 ◎土木部長(佐藤廣君) 久之浜・大久地区の河川の整備につきましては、これまで、地域からの要望等を踏まえ、浜川・小久川などの河川改良事業を行い、また、藪川など7河川において、公共土木施設災害復旧事業により護岸工事等の河川整備に努めてきたところであり、現在、小山田川において河川改良事業を行っているところであります。 ◆6番(高木芳夫君) 河川を管理するその延長の大きさに、先ほど申し上げましたけど、すぐには全部を整備することはまず不可能だと思われます。その優先度を決めていただき、現状での危ない所、弱点となる部分を重点に、地元とよくよく協議していただき、メリハリをつけた整備をお願いしておきます。 最後の質問は、イノシシの害についてであります。近年、イノシシの被害の苦情がますます多くなっているように思われます。市内全域にわたって発生しており、我が久之浜・大久地区もほとんどの地域で被害に遭っております。 そこで、最初に、市内全域の農作物の被害件数についてお聞かせください。 ◎生活環境部長(吉田浩君) イノシシによる農作物の被害について、市が把握しておりますのは、有害鳥獣の駆除に際して地域から提出される依頼書に基づくもののみでありますが、これによれば、平成20年度の農作物の被害件数は35件となっております。 ◆6番(高木芳夫君) 次に、その農作物の被害額については把握しているかどうか伺います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 同じく、被害額についても、依頼書に基づく限りではありますが、平成20年度で141万9,500円となっております。 ◆6番(高木芳夫君) 思ったほどの大きさではないように感じましたが、次に、その農作物の被害の傾向について、ふえているのか減っているのか、現時点でお聞かせいただきたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 地域からの依頼の仕組みについて変更いたしました平成19年、平成20年、この2カ年についての比較で申し上げますが、過去2カ年の被害状況として、平成19年度が34件、138万6,000円、平成20年度が35件、141万9,500円となっております。 ◆6番(高木芳夫君) イノシシが人家にまで進出して来るようになったのは、森が荒れて木の実がなくなったからだとよく聞きますが、長期的には落葉広葉樹をふやして、森の回復に待たねばなりません。 一方、庭先につくった芋類がすべて食べ尽くされた。わなをかけようにも保護区があって手出しできずにただただ指をくわえて眺めているだけ。地元の言葉で、ごせっぱらやけてごせっぱらやけてと繰り返すのみでありました。ある時ある所で聞いた話でございます。その心情をおもんぱかれば、何ともやるせない思いをして帰ってまいりました。 そこで質問いたします。鳥獣保護区内での駆除について、どのような方法があるのかお示しください。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 鳥獣保護区内におきましても、農作物等に被害が発生した場合には、市の許可を得て駆除を行うことが可能であります。 ◆6番(高木芳夫君) 保護区だからといって、特別な駆除方法は、特別には考えられてはいないということで理解してよろしいですか。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 保護区の場合、狩猟等は禁止されておりますので、そういった意味で、地域からのお話の中では、保護区の近くでの被害が多いんですとか、そういった声も寄せられております。駆除ということになりますと、これは区域の内外にかかわらず、今申し上げましたように、市の許可手続きを経て可能であります。 ◆6番(高木芳夫君) わかりました。次に、同じようなお答えになるのでしょうか、保護区以外での駆除については、どのようになっているのか伺います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 鳥獣保護区の内外にかかわらずと今申し上げましたけれども、地域からの要請を受けまして、被害状況について確認いたします。依頼をいただきましてから、大体2日ないし3日の間には判断して許可等を出せるように、できるだけスピードアップには心がけているところではありますが、その上で、市が鳥獣駆除の許可手続きを行い、地区ごとに有害鳥獣駆除隊の編成を依頼しておりますので、こちらのほうに依頼いたしまして駆除を実施しているところであります。 ◆6番(高木芳夫君) よくわかりました。次に、その成果について、駆除後、効果的にイノシシが減ったのかどうか、データがあればお示しいただきたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 過去3カ年の実績で申し上げます。平成18年度、鉄砲・銃器で75頭、わなで18頭、合計で93頭。平成19年度、銃器で46頭、わなで17頭、計63頭。平成20年度につきましては、わなのほうの併用許可を大幅にふやしました。結果といたしまして、銃器で90頭、わなで66頭、計156頭となっておりますが、地域の声としては、まだまだ駆除活動を継続してほしいという声が強いところでございます。 ◆6番(高木芳夫君) 効果もあらわれているのかなとは感ずるんですが、数字としてはっきりした形でデジタル的に見られるということはなかなか難しいとは思いますが、執行部におかれても、しっかりとその辺のところは把握されているようですから、地区で被害に遭っている方も、ある程度は元気がつくのかなと思っております。 イノシシに代表される有害鳥獣も、もとはと言えば、我々人間が彼らを森から追い出したためであるということもできます。人と彼らが共存・共生できることが理想ですが、それは里山の復活と森林の整備に待たねばなりません。しかし、我々は、現状、我々人間の生活を守るために適度に駆除しないといけませんので、効果的な成果を得るために、当局におかれては、国・県と連携して強力に対処されるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(磯上佐太彦君) ここで、午後2時30分まで休憩いたします。     午後2時17分 休憩---------------------------------------     午後2時30分 開議 △永山宏恵君質問 ○副議長(磯上佐太彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。1番永山宏恵君。               〔1番永山宏恵君第二演壇に登壇〕 ◆1番(永山宏恵君) (拍手)1番志道会の永山宏恵でございます。 暑い夏が過ぎ、紅や朱、金茶色へと山の装いを変え始めるころ、渡る風の音は乾いた葉ずれ音へ、そして山里に白いものが舞い始めるころ、眠れとばかりに送電線を鳴かすもがり笛の音が里人の心を静め、水がぬるみ、日足が伸びるとともに小鳥が鳴き始め、そして、やわらかな葉ずれ音が聞こえる、さわやかな若葉・青葉の季節がめぐってきました。 議員となってから8カ月余り、往復74キロメートルの私の通い道は、空の色、雲の形、渡る風の音、野辺に咲く花々の種類や彩りの変化を眺めながらの毎日であります。当たり前のこととして、何気なく見ている日常の風景の移ろいを見つめ直してみますと、私もまた大きな自然の中で生かされていることを感じずにはいられません。どんな環境の変化にも対応しながら、冬は耐え、春に花を咲かす木々や草花の強さに倣いながら、自然体で頑張ろうと自分を励ましながら活動している毎日であります。 地元地域はもちろんのこと、多くの市民の皆様との接触の中からいただいた貴重な御意見を参考にしながら、会派の中では最後の質問になります。以下通告順に従い、一般質問させていただきます。 大きな質問の1番目ですが、子どもの医療費無料化の拡大についてです。 私たち志道会は、地方分権が進む中で、自治体の立法府、意思決定機関としての議会の役割が重くなったことを認識し、さまざまな慣習や慣例、制度に縛られることなく、生活に直結する政策のあり方1つ1つについて、市民の立場に立って判断していくことこそが求められるとの考えのもとに、議会活動を行ってまいりました。 子供の医療費無料化の拡大については、本市においては、これまでも何度となく請願が提出されましたが、採択されない状況にありました。一方で、県内の市町村の中で、県の制度に独自に上乗せして無料化を拡大する動きが進んできていることから、拡大を要望する市民の声もさらに高まってまいりました。 このような状況を踏まえ、昨年12月議会において、子どもの医療費無料化拡大についての請願が、不採択でなく、継続審査になるという一歩進んだ新たな展開が出てきたところであります。そして、さきの2月定例会におきまして、対象年齢を拡大することを求める請願が採択されたところであります。このことは、私たちいわき市議会にとって、地方分権が進む中にあって、意思決定機関としての議会の役割がどのようにあるべきか、今後に示唆を与える大きな出来事であったのではないかと思っております。 本議会に、いわき市小学生入院医療費の助成に関する条例案が提案されたことは、市当局におかれましても、市民を代表する議会の考えを理解し、子育て支援策の充実に迅速な対応を行った結果であろうと考えるところであります。このたびの市当局の迅速な対応を評価しながら、以下質問いたします。 まず、1点目は、請願の採択についてです。 子供の医療費の無料化の拡大につきましては、短期間の間に検討され、今般、新たな制度を創設する運びとなったところですが、さきの2月市議会における請願の採択について、市はどのように受けとめたのかお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 本年2月の市議会定例会におきましては、安心して子供を生み育てられる環境を求める子育て世代への支援策として、子供の医療費無料化について、その年齢を拡大することを求める請願が採択されたところであります。 このことは、子供医療費無料化年齢の拡大を求める市民の皆様の声を実現してほしいという市議会の意思のあらわれであると重く受けとめております。 ◆1番(永山宏恵君) 次に、助成制度の拡大の考え方についてです。 子供の医療費の助成は、有効な子育て支援策であると考えますが、これまでの段階的な助成引き上げを実施してきた過程の中で、病気にかかった場合の病院の利用のあり方について適正を欠く、いわゆるコンビニ受診の増加等に対する心配も言われてきたところであります。 制度を拡充するに当たっては、あらゆる面からの検討を行って方針を決定していることとは思いますが、今回の制度で小学生の入院のみを助成することとした市の考え方をお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 本市における子供を対象とした医療費の助成につきましては、これまで福島県乳幼児医療費助成事業補助金交付要綱に基づき、対象年齢を6歳就学前までの乳幼児とするとともに、県の制度において設けられている所得制限や自己負担については、市単独で助成してきたところであります。 今回の小学生入院医療費助成制度につきましては、子育て支援の本市の取り組みやコンビニ受診の問題、また、昨今の県内市町村の助成対象年齢の拡大状況、さらには、本市の厳しい財政状況などを総合的に勘案し、小学校1年生から6年生までの入院医療費を対象としたところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 次に、財政についてです。 子供の医療費については、現在の県の補助制度においては6歳の小学生就学前までとされておりますが、これを超えて拡大する場合は、全額、市の一般財源から賄わなければならないわけですが、まず、今回の拡大に伴ってどのぐらいの予算が必要になるのかお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 小学生の入院医療費を助成する場合には、全額市が負担することとなりますが、その所要額につきましては、年額3,000万円程度と見込んでおります。 ◆1番(永山宏恵君) それでは、小学生の入院分と通院分の両方を拡大する場合の予算はどうでしょうか。 ◎保健福祉部長(木村清君) 小学生の入院分と通院分の両方を助成する場合の所要額につきましては、年額7億円程度と見込んでおります。 ◆1番(永山宏恵君) ただいまの答弁では、入院に加えて通院分まで拡大すると年間で約7億円の財源を必要とするとのことですが、これは1年だけでなく、毎年負担していかなければならない金額でありますから、財政状況を初めとする現在の諸状況を考えますと、今回の市の方針はやむを得ない内容であると考え、今後の推移を見ていきたいと思います。 次に、市の子育て支援策についてです。 先ほどの答弁で、今回の制度の検討の際に市の子育て支援策の現状も考慮してとのことですが、そこでお伺いいたします。保育事業を含め、子育て支援策については、各自治体でそれぞれの実情に応じた施策展開を行っているところですが、本市においてはどのような特色があるのかお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 本市における子育て支援施策の特色につきましては、まず、保育サービスの状況について申し上げますと、本年4月1日現在、公立・私立合わせて62カ所の認可保育所において5,399人の児童が入所しており、希望するすべての児童が入所できる状況となっております。 また、障がいのある児童とその家庭を支援する障がい児保育につきましては、従来、公立保育所を中心に実施してまいりましたが、本年度より私立保育所においても公立保育所と同様の保育士の配置などにより実施できるよう、今般、市障害児保育実施要綱を改正したほか、補助制度につきましても見直しを行ったところであり、4月1日現在、公立保育所100人、私立保育所24人、合わせて124人の障がい児を受け入れております。 このほか、市独自の子育て支援策といたしましては、父子・母子福祉手当や父子・母子等奨学資金など、ひとり親家庭に対する経済的負担の軽減についても取り組んでいるところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 最後に、国・県への働きかけについてですが、今回、市は小学生の入院分まで拡大したところでありますが、子供医療費の拡大についての国・県への働きかけについての考えをお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 子供医療費の拡大につきましては、これまでも、県に対して、福島県市長会や県及び県内13市で構成する都市社会福祉連絡会等の場で要望を行うとともに、国に対しては、全国市長会や中核市市長会を通して要望を行ってきたところであります。 今後につきましても、子供医療費無料化の拡大に向けて、引き続き、国・県に対する要望活動に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆1番(永山宏恵君) 医療費負担の助成については、子は社会の宝であり将来を担う人材であるという観点からも、社会保障の一部として全国一律が望ましい、せめて県内レベルでは統一した形があるべきではないかという考えもありますが、一方では、冒頭述べましたように、地方分権が進むことはそれぞれの自治体の自主自立がより強く求められるということでもあり、子育て支援策についても、自治体の実情に応じた施策展開と財源の確保が求められてくるのではないかという心配な点も考えられるのではないかと思っております。あらゆる事態を想定した市当局の対応をお願い申し上げるところです。 小学生入院医療費助成制度が実施されるに当たっては、制度の内容等について、市民の皆様を初め、関係する機関に対して周知や説明をきちんと行い、円滑な運営がされますようお願いいたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目ですが、地域交通ステップアップ支援事業についてです。 3月28日から高速道路におけるETCの休日特別割引が実施され、ゴールデンウィーク中には、全国的に高速道路の渋滞等に関するテレビ放映がなされておりました。このように割引で車の利用者がふえる一方で、鉄道・バスなどの公共交通機関の利用者は減少したようであります。自家用車を対象とした優遇施策が喜ばれる一方で、利用者が減少傾向にある公共交通機関へのさらなる影響が懸念されるところであり、中でも、高速バスを運行するバス事業者の経営に与える影響が大きいようです。 本市における公共交通機関の中心は路線バスであり、その利用者の大半は免許を持たない学生や高齢者です。すなわち、万一路線バスの運行に支障があれば、最も影響を受けるのはこれらの移動制約者の方々であり、特に、中山間地域にその影響が顕著にあらわれることは言うまでもなく、極論すれば、路線バスがなくなったことで、住み慣れた地域から他地域への住みかえを余儀なくされるおそれすらあります。これらの社会環境の変化にも柔軟に対応できる公共交通システムの早期実現を望まずにはいられません。市としても、この状況に対応するため、平成18年度に地域交通ステップアップ支援事業を創設され、さまざまな社会実験等を実施しながら、地域実情に見合った公共交通システムの実現を目指していると伺っております。 私の住む三和地区においても、三和町商工会が中心となり、平成18、19年度の2カ年にわたり地域交通ステップアップ支援事業の採択を受け、住民の自家用車を活用した過疎地有償運送の取り組みが実施されておりまして、高齢化が進む三和地区における新たな住民の移動手段として、早期の実現が図られるよう期待しているところです。 この地域交通ステップアップ支援事業も、制度創設から既に3年が経過しております。これまでもさまざまな取り組みがなされてきたものと思いますが、直近の平成20年度については3件の事業を採択されたようですが、その取り組み状況についてお伺いいたします。 それでは、平成20年度採択事業の金山地区におけます調査について、その内容をお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 金山地区における調査につきましては、既存バス路線勿来・早稲田線の沿線地区である金山自治会、菖蒲沢地区及び早稲田地区の役員で構成する金山地区の路線バスを守る会が事業主体となり、勿来・早稲田線の利用促進を目指し、沿線住民を対象とした移動実態やバス利用等に関するアンケート調査を実施したものであります。 また、便利なバスカードの普及・啓発活動といたしまして、バスカードに係る説明会の開催や約50人のモニターを募り、バスカードを活用して乗車体験調査を行うバスカードモニタリング調査を実施したところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) その調査の結果についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 金山地区の調査結果につきましては、対象地区の全世帯を対象といたしましたアンケート調査やバスカード説明会、モニタリング調査を通じ、住民に広くバスカードの利便性が周知できたところでございます。 また、各種調査の結果を分析し、勿来・早稲田線に関する運行ルート及び運行時間の変更、さらには、バスカードの金額の種類をふやすなどの改善点を集約し、去る4月23日に、事業主体である金山地区の路線バスを守る会から当路線の運行事業者である新常磐交通株式会社に対しまして提言を行ってきたところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 次に、四倉地区の実験について、その内容をお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 四倉地区の実験につきましては、当地区の地域づくり団体であります四倉ふれあい市民会議が事業主体となり、平成18年1月に廃止となりました旧バス路線の四倉・玉山・上岡線の沿線の交通手段の確保を図るため、昨年12月中旬から本年3月下旬までの平日66日間、乗り合いタクシーよつくらふれあい号の実証運行を行ったものでございます。 また、この利用促進を図るため、四倉町商工会などの協力のもと、当地区の商店などにおいて乗り合いタクシーの助成券発行の取り組みを行ったところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) その結果についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) よつくらふれあい号につきましては、実験期間66日間で延べ388人が利用されたところでありますが、運行を予定した延べ便数2,640便のうち、予約を受け実際に運行した便数は300便と少なく、また、実験に参加登録いただいた111人のうち、実際に利用された方は41人であり、参加登録者の約37%にとどまったところであります。 このことから、採算性の確保が難しく、また、四倉町商工会に加盟する商店などとの連携についても明らかな効果は得られなかったことから、このシステムでの本格運行は困難との判断に至ったところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 次に、久之浜・大久地区の実験について、その内容をお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 久之浜・大久地区の実験につきましては、平成19年10月に廃止となりました旧バス路線の四倉・谷地線の沿線住民を中心として組織する四倉・谷地線生活路線バスの代替交通システム検討委員会が事業主体となり、バス路線廃止後の交通手段の確保を図るため、本年1月上旬から本年3月下旬までの平日51日間、乗り合いタクシーアンモナイト号の実証運行を行ったものでございます。 ◆1番(永山宏恵君) その実験の結果についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) アンモナイト号につきましては、実験期間が51日間で延べ366人が利用されたところでありますが、運行を予定した延べ便数1,122便のうち、予約を受け実際に運行した便数は236便と少なく、また、実験に参加登録いただいた140人のうち、実際に利用された方は42人であり、参加登録者の30%にとどまったところであります。 このことから、採算性の確保が難しく、このシステムでの本格運行は困難との判断に至ったところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 新たな交通システムの構築に向けた取り組みとして、昨年度は2件の実験に取り組まれたようですが、平成18年度、平成19年度にも実験が行われたと伺っております。 そこで、これまで実施した実験についてですが、これまでどのような実験に取り組んでこられたのかお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) これまでに地域交通ステップアップ支援事業において実施してきました実験につきましては、深夜、いわき駅前といわきニュータウンを結び運行した深夜バスを初め、田人、四倉及び久之浜・大久地区における乗り合いタクシー、さらには、三和地区において住民の自家用自動車を活用して実施した過疎地有償運送となってございます。 ◆1番(永山宏恵君) ただいまの実験のうち、実際に本格運行された案件があれば、その内容についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 実験後に本格運行に移行した案件につきましては、平成18年度に実施いたしました深夜バス、通称ナイトバスがございます。このナイトバスにつきましては、実験の翌年となります平成19年4月2日から本格的に運行が開始され、現在は利用状況等を勘案して、平日の金曜日のみいわき駅前を午後11時に出発し、明治団地及び自由ケ丘団地の入口並びに郷ケ丘団地を経由して、いわきニュータウン内の暮らしの伝承郷入口停留所まで運行されております。 ◆1番(永山宏恵君) ナイトバスのみが本格運行されているということで、それ以外の乗り合いタクシーや三和地区における過疎地有償運送については、いまだ本格運行には至っていないということであり、何らかの原因があるものと考えますが、これらの本格運行に至らない案件の課題についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) これまでに実施いたしました実験のうち、本格運行に至らない案件について、交通システム別に申し上げますと、乗り合いタクシーにつきましては、対象地区におけるアンケート結果に基づき運行システムを設定し、田人地区など市内3地区で実験に取り組んだところでありますが、実験の参加登録者に占める実際の利用者の割合が30%程度と低調であり、採算性が確保できない結果となったところであります。 このことから、住民の皆様が求める交通システムと採算性のバランスを図ることが課題でありますが、何より地域住民の皆様自身が、地域が抱える交通問題の課題解決に向け、主体的に取り組む意識の醸成を図ることが大きな課題となったところであります。 一方、過疎地有償運送につきましては、原則として路線バスの運行やタクシーの営業所がない地域で認められる制度であり、唯一、三和地区で実験に取り組んだところでありますが、地区内を運行する既存バス路線との調整を図る必要があること、また、区域・地区内すべてにおける恒常的な運転手の確保などが主な課題となっております。 ◆1番(永山宏恵君) ただいま、乗り合いタクシーと過疎地有償運送の2つのシステムに係る課題をお示しいただきましたが、過疎地有償運送については、私が住む三和地区において実施された交通システムです。この実験が実施された時に御利用になった高齢者の方から、ぜひ本格的に実施してほしいという希望も寄せられていると伺っております。私は、昨年の12月定例会において、本格運行に向けた取り組みについてお伺いしたところではありますが、改めて、三和地区の過疎地有償運送に係る課題解決の進め方についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 三和地区におきましては、現在、3つの既存バス路線があり、このバス路線との競合が最大の課題でありますが、一方で、毎年バス利用者が減少している状況にあり、このまま過疎地有償運送が本格的に運行された場合、少ない需要を取り合うことでバス路線が廃止となり、朝夕の通勤・通学時に集中する移動需要への対応が困難となるおそれもございます。 このことから、バス利用者の推移を慎重に見きわめながら、三和町商工会と住民の皆様を中心とし、バス事業者、行政が緊密な連携を図り、必要に応じ地域交通ステップアップ支援事業の活用も視野に入れ、引き続き既存バス路線と過疎地有償運送の連携方策を探ってまいりたいと考えております。 ◆1番(永山宏恵君) 今までの答弁をお聞きし、新しい交通システムを導入する際の難しさを改めて痛感しておりますが、これまで地域交通ステップアップ支援事業で取り組まれてきたことにより、実験の課題も浮き彫りになってきているようでありますので、これらの事業成果を何らかの形で市の施策に生かしていくことが、本市の地域実情に見合った新たな交通システムの実現の第一歩となるものと考えます。 そこで、最後にお伺いいたします。これまでの事業成果について、今後の市の施策展開にどのように生かしていくのかお伺いいたします。 ◎都市建設部長(高島信夫君) 地域交通ステップアップ支援事業の実験などの取り組みにおいて検証いたしました事業の効果や課題をさらに精査し、本市の地域実情に即した新たな交通システムを実現する上での貴重な財産として活用してまいりたいと考えております。 また、現在、住民代表・有識者・交通事業者・行政など多様な関係機関・団体で組織するいわき市公共交通活性化推進委員会において、平成22年度末を目途に、本市の公共交通の指針となります(仮称)いわき市生活交通ビジョンの策定作業を進めておりますことから、本市が目指すべき公共交通のネットワークの確立や実現に向けての施策の組み立て、さらには、住民・事業者・行政それぞれの役割分担の設定などにも活用してまいりたいと考えております。 ◆1番(永山宏恵君) 住民・事業者・行政がそれぞれの役割分担のもと、連携を深め、だれもが安全に安心して移動できる公共交通システムが実現できれば、市街地から中山間地域まで、それぞれ地域の機能や特性を生かしながら、本市が一体的に発展していけるのではないでしょうか。この取り組みを実現できるよう、今後とも期待してまいりたいと思います。 大きな質問の3番目は、いわき市における学校のあり方についてです。 今年の3月25日、いわき市における学校のあり方検討委員会がいわき市における学校のあり方についての報告書をまとめました。この検討委員会は、教育委員会が立ち上げたものではなく、いわき未来づくりセンターから委嘱を受けた委員によって構成し、いわき市における小学校・中学校のあり方、特に、その規模や配置についてどういったものが望ましいのかといった観点から、客観的に調査・研究を行ったものであります。人口減少と少子化が一層進行する状況の中にある現在、時宜に適した内容であると考えますことから、この報告書に関して質問いたします。 1点目は、いわき市における学校のあり方検討委員会の経緯についてです。 冒頭述べましたように、この報告書は教育委員会ではなく、いわき未来づくりセンターがまとめたものでありますが、いわき市における学校のあり方検討委員会の設置の目的について、どのようなものであったかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) いわき市における学校のあり方検討委員会は、本市にとっての望ましい学校のあり方について調査・検討を行いながら、提言を取りまとめることを目的といたしまして、平成20年6月にいわき未来づくりセンターが設置したものであります。 ◆1番(永山宏恵君) いわき市における学校のあり方検討委員会の設置から報告書をまとめるまでの経緯はどのようなものであったかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 少子化による児童・生徒数の減少が本市の教育に与える影響や学校の適正規模等について、客観的な視点での調査・研究を行うため、いわき未来づくりセンターの協力のもと、同センターの平成20年度自主事業の位置づけを受け、平成20年6月27日に学識経験者・現役の学校教員・PTA等8名で構成する当該検討委員会が設置されたものであります。 当該検討委員会は、計8回の会議を開催しながら、各委員の意見を整理・集約した報告書をまとめ、本年3月25日に市長が報告を受けたところであります。 ◆1番(永山宏恵君) 2点目は、本市の小・中学校の現状についてお伺いいたします。 本市は、平成20年5月1日現在、77の小学校、児童数2万844人、44の中学校、生徒数1万980人となっておりますが、市域面積が広大でかつ市街地もあれば中山間地もあることから、学級数や1学級当たりの生徒数などの面において、規模の小さいところから大きいところまで、広い地域に点在しているという状況に置かれているものと思います。 そこでお伺いいたしますが、本市の小学校はどのような現状になっているのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 平成21年5月1日現在におきまして、小学校の1校当たりの平均児童数は264人、平均学級数は11.5学級となっておりまして、最も児童数が多いのは泉北小学校で847人、次いで平第五小学校で694人、植田小学校で690人、最も児童数が少ないのは田人第一小学校荷路夫分校で2人、次いで田人第二小学校南大平分校、石住小学校で3人でございます。 ◆1番(永山宏恵君) 同じように、中学校の現状についてもお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 平成21年5月1日現在におきまして、中学校の1校当たりの平均生徒数は247人、平均学級数は9.7学級となってございまして、最も生徒数が多いのは泉中学校で778人、次いで小名浜第一中学校で685人、平第一中学校で635人、最も生徒数が少ないのは差塩中学校で2人、次いで貝泊中学校で4人、川前中学校で5人でございます。 ◆1番(永山宏恵君) 本市の状況は、他の自治体と比較した場合どのような状況にあるのか、特徴的な点をお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 中核市41市における平成20年度の小学校の現状は、1市当たりの平均学校数が56校、1校当たりの平均児童数は426人、平均学級数は15.7学級となってございまして、これに対しまして、本市は学校数が77校、平均児童数が271人、平均学級数が11.7学級でございます。 中学校の現状は、平均学校数が26校、1校当たりの平均生徒数は452人、平均学級数は14.6学級となっておりまして、本市は学校数が44校、平均生徒数が250人、平均学級数が9.7学級でございます。
    ◆1番(永山宏恵君) 3点目は、適正な学校規模についてです。 効果の上がる教育を実施するには、学級数や生徒数の面において適正な規模が必要であろうと考えますが、小・中学校における適正な学校規模についての考え方についてお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 文部科学省におきましては、学校教育法施行規則第41条に、小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準とするとしておりまして、また、中学校につきましても、同規則第79条におきまして、小学校の規定を準用することとしております。さらに、これは文部省助成課の資料でございますけれども、これからの学校施設づくりにおいては、1学級40人を前提に学級数が1から5を過小規模、それから6から11を小規模、12から18を適正規模、19から30を大規模、31以上を過大規模と考え方の基準を示しております。 ◆1番(永山宏恵君) 本市における学校規模の現状についてお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 平成21年5月1日現在の各小・中学校の学級数を文部科学省の基準にあてはめますと、小学校につきましては過小規模校が19校、小規模校が27校、適正規模校が27校、大規模校が4校、中学校につきましては過小規模校が17校、小規模校が16校、適正規模校が10校、大規模校が1校となっております。 ◆1番(永山宏恵君) 適正規模から外れている学校における教育の取り組みはどのようになっているのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 児童・生徒数の減少に伴いまして、小規模校では複式学級となる場合が多く、体育の球技、または音楽の合唱、さらには多様な考え方による意見交換など、少人数ではなかなか効果的に進めることができにくいという課題がございます。これらの課題に対しましては、小学校と中学校の一貫教育推進校による学年の枠を超えた活動、あるいは合同の授業、さらには近隣の学校との交流による教育活動などにより、その解消に取り組んでおります。 ◆1番(永山宏恵君) 国立社会保障・人口問題研究所は、平成17年の国勢調査を踏まえ公表した国及び都道府県別将来推計人口に基づき、昨年12月に、新たに1,805市区町村別将来推計人口を公表しました。推計結果の概要によりますと、総人口では、2035年には2005年に比べ人口が2割以上減少する自治体は6割を超え、5分の1以上の自治体が人口5,000人規模以下になるとしています。年齢別人口では、2035年には2005年に比べ年少人口が4割以上減少する自治体は7割を超えるとしており、人口の減少と少子化に拍車がかかる推計数字となっております。 本市の人口は、平成11年1月の36万2,140人をピークに減少に転じ、平成21年4月1日には34万5,516人と5%近く減少しております。また、15歳未満の人口も、平成11年の5万8,705人から平成21年5月の4万9,480人と16%も減少しております。 このような状況を踏まえ、4点目は、人口減少と少子化が進む本市の小・中学校の学校規模の課題とその対応についてお伺いたします。 初めに、本市の15歳未満人口は、今後どのように推移すると考えているのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 15歳未満人口につきましては、平成12年・平成17年の国勢調査人口から、それぞれ平成12年が5万7,219人、平成17年が5万2,076人となっております。この人口をもとに、いわき未来づくりセンターが予測したところによりますと、平成22年が4万7,910人、平成27年が4万4,287人、平成32年が4万1,436人と推計されております。 ◆1番(永山宏恵君) 地域的には、どのような状況が想定されるのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 15歳未満人口の推計をみますと、少子化の進行により、中山間地域の学校では、人口の減少と相まって児童・生徒数の減少が進み、一方、市街化区域においては、宅地開発・土地区画整理事業等の影響から一部の地域での人口の増加により児童・生徒数のふえる学校はあるものの、市全体の傾向としては、多くの学校で減少傾向にあり、学校の小規模化がさらに進むと想定しております。 ◆1番(永山宏恵君) 答弁から考えても、学校規模の小規模化がさらに進むことが伺えるところであります。このようなことから、今後の本市における小・中学校の適正な規模について、どのように考えているのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 文部科学省の基準では、小・中学校とも12から18学級を適正規模と示しておりますが、本市は、都市部から中山間部までの広域な地域に大規模校・小規模校を含む学校が存在しておりますことから、すべてを適正規模の基準に当てはめることは困難であると考えております。 ◆1番(永山宏恵君) ところで、三和地区においては、行政区の役員が中心となり、平成19年度に学校の統廃合を求める陳情を行っております。そして、今年には学校統合促進期成同盟会検討委員会が発足し、今年3月24日に第1回目の委員会を開催しており、5月26日に3回目を開いたところです。 いろいろな方面から検討を行い、取り組んでいるところであるわけですが、教育委員会では、実現はなかなか難しいとしているようです。実際問題として、現状の学校ではやりたい部活動もできず、三和以外の学校へ入学させる事例が続いております。家族で引っ越しを余儀なくされてしまった例もございます。 こういった事例をどうお考えなのか、過疎化に拍車をかけている1つの要因であることをどうお考えなのか疑問に思うところです。これは中山間地域だけではなく、町場においても小規模化・過小規模化が進んでおります。質問で明らかになりましたように、少子化が一層進むことから、学校群の再編について早急に検討し、実施に移すことが必要であると考えるところであります。 伺いますが、地域の理解が得られているところについては、学校の統廃合を実施していく時期に来ているのではないかと思いますが、考えをお聞かせください。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 議員おただしの内容は、三和地区ということでよろしいかと思うんですけれども、三和地区の小・中学校の現状は、児童・生徒数が小学校5校で184人、中学校4校で91人、学校規模はいずれも6学級未満でございまして、小規模化が進んでいるということから、近隣の学校間での交流等、指導方法を工夫しながら対応しているところでございます。 三和地区の学校の統廃合につきましては、通学手段の確保、登下校の安全管理等の問題など、課題も多く存在しておりますので、各学校の状況を総合的に判断していく必要があるものと考えております。 ◆1番(永山宏恵君) 改めてお伺いしますが、学校の統廃合については、基本的に今どのように進めていく考えなのかお聞かせください。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 学校の統廃合につきましては、地域の実情に応じて判断することが基本でありますことから、児童・生徒数、学校の歴史的背景、通学状況、地域の意向などを総合的に判断していく必要があるものと受けとめております。 ◆1番(永山宏恵君) 最後に、この報告を今後どう生かしていくつもりなのかお伺いいたします。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 次代を担う児童・生徒の適正な教育環境を整備いたしますことは大変重要な課題でありますことから、今後、慎重にこの報告書の内容を精査・検証いたしまして、教育委員会としての対応を検討してまいりたいと考えております。 ◆1番(永山宏恵君) なかなか前に踏み出せない答弁であり、ちょっと失望を感じてしまいます。 一昨日、地元の方のお宅にお伺いいたしまして少しお話をしていましたら、5歳になるお孫さんがいらして、突然お姉ちゃんと声をかけられまして、お姉ちゃんと呼ばれて喜んでいる場合ではありませんでした。私、お友達いっぱい欲しいのと言ってきたのです。これが、子供の素直な声ではないでしょうか。 この問題は避けて通れない問題だと思っております。当然、何か事を起こすとき、メリット・デメリットがあると思います。しかしながら、子供たちのことを考えましたら、長期的に考える問題では決してありません。中山間地の抱える事情を理解して一日も早い統廃合を実施し、別の項で質問しましたが、スクールバスを導入するなど、新たな地域交通のあり方とも合わせて、前向きな取り組みを強く求めて、次の質問に移ります。 大きな質問の4番目ですが、DV、ドメスティック・バイオレンス被害者の支援についてです。 平成13年10月からDV法が施行され、3年後の平成16年には見直しが行われ、改正DV法が新たに施行されました。もちろん、女性に限定するものではありませんが、女性が被害者であることが圧倒的に多く、配偶者からの暴力に苦しんできた女性にとって大きな救いの手となってきたことと思います。しかし、まだまだ被害者も加害者も、そして私も含め周りの人も、DV、それが人権侵害、そして犯罪行為であることの認識不足というのが私の実感であります。 私の友達が、十数年、夫からのあらゆる暴力に遭い、典型的なDV被害者でありました。幸いにも離婚が成立し、お子さんとの生活は大変ですが、おびえることのない平和な生活に心のゆとりもできたようです。私がその友達から暴力の実態を聞いたのは離婚してからです。現実は想像をはるかに超えたものでした。そして、その話を聞いても、私はDVであったと思わなかった認識不足。今年の4月に東京の港区に行政視察に行かせていただき、その中でDV被害者の支援事業のお話がありました。そこで私は初めて友達がDV被害者であったことを思ったわけです。苦しんでいる時に何もしてやることができなかった自分に情けなさを感じました。 過去、このDVに関して、先輩議員の皆さんがいろいろな方面から掘り下げた質問をしてらっしゃいますが、私は今回、認識を新たにするという意味から質問させていただきたいと思います。 初めに、DVについての本市の基本認識についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 配偶者からの暴力、いわゆるドメスティック・バイオレンスにつきましては、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっているものであります。このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずる必要があると認識しております。 市といたしましては、平成19年4月には、女性相談員を1名から2名に増員し、相談体制の強化を図るとともに、同年6月には、市独自に配偶者等からの暴力被害者緊急一時避難支援事業を創設し、民間団体と連携し、緊急に避難を要する女性のためのシェルター機能を確保するなどの対策を講じてきたところであります。 ◆1番(永山宏恵君) 被害者の状況についてですが、DV被害の相談件数についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 過去3年間の女性相談に占めるDV相談の延べ件数につきましては、平成18年度、女性相談が831件、うちDV相談は126件、平成19年度、女性相談が891件、うちDV相談は135件、平成20年度、女性相談が936件、うちDV相談は119件となっております。 ◆1番(永山宏恵君) 本市の相談件数ということでは、ふえることもなく減ることもないデータのようですが、全国的にみてもふえていることは確かだと思います。この相談件数も氷山の一角かと私は思っております。 では、これまでのDV被害者への対応についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) DV被害者への対応につきましては、女性相談員が相談内容を十分に聞き取りした上で、各地区保健福祉センター職員とともに、どのような支援が必要なのかを判断し、情報提供や助言、さらには、生活保護や公的貸し付けなど社会福祉制度の活用による生活の安定・自立に向けた支援を行っているところであります。 また、緊急に避難することが必要であると判断される場合におきましては、一時保護施設への移送や民間団体のシェルターにおいて保護を行うなど、個別ケースに応じた適切な対応を行っているところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 次に、相談窓口についてです。 女性相談員について、設置目的などについてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) 女性相談員につきましては、売春防止法及び配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の規定に基づき、社会的または家庭的に女性の福祉を阻害するおそれのある問題や、女性の持つ生活上の問題などについて、専門的立場から相談及び指導に当たることを目的に配置するものであり、本市におきましては、内郷・好間・三和地区保健福祉センター及び小名浜地区保健福祉センターに1名ずつ配置しているところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) 答弁にもありましたが、平成19年度よりDV被害者緊急避難支援事業ということで予算もついたようですが、その後、相談員の人員配置を含め、あまり支援体制が変わらないように感じます。相談業務は大変な業務かと思います。女性相談員が家庭相談員とでどちらかが常にいるような体制のようですが、女性相談員が相談者多数に対し1人ですから、幾ら仕事とはいえ、何人もの人の思いを背負うということは大変負担も大きいのではないでしょうか。今後、ぜひ現場の声を聞きながら配置・体制など検討をお願いしたいと思います。 では、女性相談員の周知の方法について、どのような対応をとっているのかお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(木村清君) DV被害に関する相談窓口の周知につきましては、市のホームページや広報紙などへ掲載するとともに、各地区保健福祉センターや男女共同参画センター等の窓口にパンフレットを設置し、周知を図っているところでございます。 ◆1番(永山宏恵君) まずは何と言っても、被害者の方に相談窓口があるということをわかっていただかなければ、救済することができません。実際のところはいろいろな情報も遮断され、解決の糸口を見つけられないということ。被害者はもとより、周囲の方々にも、DV・暴力ということの認識と救済方法があるということの周知徹底をいろいろな形でお願いしたいと思います。 そして、この相談窓口ですが、被害者がもっと相談しやすい環境をつくっていただきたいと思います。DV相談などはとてもデリケートな問題です。まず、行きやすい、足を運びやすい場所に相談窓口があることと同時に、プライバシーから守られることに配慮した窓口が必要であるかと考えます。足を運びやすい場所というのは、例えばラトブですとか、そういった本当に行きやすい場所にあったほうがいいのではないかと考えております。そして、そのワンストップフロアのように、そのフロアへ行けば相談業務がすべて済み、連携もとれるような体制づくりなど、今後、もっと充実した支援体制を整備していただきますよう切にお願い申し上げます。 なかなか難しい問題ではありますので、一気に解決策が出るとは考えておりませんが、機会をとらえて今後も質問していきたいと考えていることを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(磯上佐太彦君) ここで、午後3時40分まで休憩いたします。     午後3時30分 休憩---------------------------------------     午後3時40分 開議 △古市三久君質問 ○副議長(磯上佐太彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。20番古市三久君。               〔20番古市三久君第二演壇に登壇〕 ◆20番(古市三久君) (拍手)創世会の古市三久です。ただいまから一般質問をいたします。30分の短い時間ですので、どうぞ我慢していただきたいと思います。 1つ目は、地球温暖化対策についてですが、21世紀の環境問題は地球温暖化と言われております。IPCC第4次評価報告書によると、現在、温室効果ガスの排出量は地球の自然吸収量の2倍以上であり、温室効果ガス安定化のためには、世界全体の排出量を自然吸収量と同等にする必要があると言われています。日本全体で温室効果ガスの排出量を減らす2020年までの中期目標について、本日、麻生総理大臣が表明したかと思いますけれども、政府は、2050年までに温室効果ガス排出量を60%から80%削減する長期目標を掲げています。これに沿った中期目標の設定が必要だが、それにはほど遠い内容が、今、論じられていると思います。 政府が国民に示した選択肢には6つの案がありますけれども、2020年に1990年と比べ6%削減するという京都議定書の目標から1ポイント上乗せした7%減という目標が政府案となっています。IPCCが求める25%から40%削減の選択肢はゼロということだと思います。5月29日に発表されましたが、温暖化による被害、そういう問題とか、エネルギー削減による経済全体への波及効果については論外というような状態になっていると思います。 欧米の経済界の大勢は、温暖化の防止のために今世紀半ばまで大幅排出削減が不可避という認識に立って、この大転換期をビジネスチャンスとして動き出しています。ピンチをチャンスにしようとしているわけです。それとは対照的に、経済界は現状維持を声高に主張しています。斉藤環境大臣は、米国や中国が削減すべきで日本は現状維持でよいとする経済界の動きを批判しています。 地球温暖化によって、地球レベルでは多くの問題が顕在化しつつあります。経済システムは大幅に変えていかなければならなくなっていると思います。その中で、第1次産業である農業はどうなるのか。食料自給率を高める方策はどうすべきなのか。困難な問題が横たわっていると思います。世界の食料の見通しは明るいものではありません。FAO、国連食糧農業機関によると、世界の食料生産量は、2004年をピークに2006年までに増加せず、穀物生産量はついに前年に比べて減少しました。世界の食料需給は逼迫する状態が続き、食料価格も従来に比べ高い水準で推移すると見込まれています。 一方、食料自給率が40%を切っているのは、異常事態と言わなければなりません。日本の食料自給率低下を供給熱量割合からみると、米による供給熱量は1965年には45%、2005年には23%に低下しています。その減った分は、畜産物と油脂類の輸入に取ってかわっております。食料自給率を回復させるには、畜産物と油脂類の生産がかぎと言われております。そのためには、農業政策の抜本的な見直しが必要になってきます。これから食料自給率の向上を図ることを政策の基本としなければならないと思います。耕作放棄地の増加、農業従事者の高齢化が進行しており、農業総産出額も1984年をピークに減少しています。 そこで、本市の人口を賄う農産物を100%自給する耕地面積は、どの程度必要なのかお伺いしたいと思います。 ◎農林水産部長(鈴木正一君) 本市の総人口を賄う食料を市内ですべて生産するために必要な耕地面積を算出することは、例えば、いわゆるカロリーベースとするのか、あるいは主要な穀物類にするのかなどという、さまざまな条件設定の上で算出しなければならないこととなりますために、直ちにお示しすることはなかなか困難であると考えられますが、ちなみに、本市のカロリーベースの食料自給率は平成17年におきまして40%程度でありますことから、その自給率を100%までに引き上げるためには相当の耕地面積が必要になるものと思われます。 ◆20番(古市三久君) 市からお話を聞きますと、約4万ヘクタール程度必要なのではないかというようなお話でした。現在の耕地面積は6,354へクタールということなので、6倍から7倍の耕地面積が必要だと。現在の耕作放棄地は1,441ヘクタールということなので、食料自給率を向上するためにはこの耕作放棄地を再生しても間に合わないというような状態だと思います。そういう中で、この農地土壌は、温室効果ガスの吸収源としての重要な役割を果たしています。土壌に保存される炭素の4割は、農業活動の影響下にあると言われています。土壌に保存されるには、炭素貯留に効果の高い農地管理や水田の水管理等の営農体系を確立することが重要であると言われております。 平成21年度の補正予算で、総額4.3兆円に上る46種類もの基金がつくられました。この中で、22が農林水産分野の基金で、計7,000億円になっています。基金の具体的な使途が各省庁にゆだねられておりますけれども、省庁が国会の審議を経ず、数年にわたり、ある意味では自由に使えるというお金であります。背景には、単年度では消化困難なほどの予算が計上されてしまったということも言われております。農業の再生に資する補正予算なのかどうか、その本質が極めて問われる問題だと思います。いずれにしても、二酸化炭素を減らすという意味でも農業は非常に重要な産業なので、耕作放棄地を含めた農業の再生について、補正予算も含めた中でしっかりとやっていただきたいと思います。 2つ目の問題は、低炭素社会に向けた役所の取り組みについてお尋ねしたいと思います。 本市は、循環型オフィスづくり行動計画を策定して、温室効果ガスの削減に取り組んできました。平成19年度の活動報告によれば、温室効果ガスは、平成17年度の基準年度と比べて、平成19年度は4.1%削減している。その要因は、温室効果ガスの排出係数の高い燃料の使用のうち、ガソリンを除く灯油やA重油などの使用量が基準年度と比べて約14%削減されたとあります。しかしながら、CO2の主要排出源である電気の使用量は約5.9%ふえているようです。一方で、清掃センターや下水道等のライフライン事業、病院や教育・文化施設など市民生活に不可欠な事業部門については、温室効果ガスの94%を占めていると分析しています。 昨年6月、地球温暖化対策の推進に関する法律が改正され、市域全体の自然的・社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制のための施策について地方公共団体実行計画に位置づけることが義務づけられました。 そこで、地方公共団体実行計画策定に当たり、市役所の温室効果ガスの削減の数値目標は設定するのかどうかお尋ねしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 現在、当市におきましても、地球温暖化対策の実行計画の策定に取り組んでいるところであります。これとあわせまして、市内部の従来からの循環型オフィスづくり行動計画につきましても、改定を予定しております。その中で、市みずからの新たな目標設定をしてまいる考えであります。 ◆20番(古市三久君) そういう数値目標をぜひ設定していただきたいと思いますが、そこで、この施設エネルギー、先ほど分析した中にあった清掃センターなどの施設の温室効果ガスの削減について、事業の性格や実情・実態に応じた削減の取り組みを推進していくことが重要だと分析しておりますけれども、その中で、施設エネルギー効率診断の実施とか太陽光・バイオマスエネルギーの活用とか、施設の新・改築時における環境配慮指針の策定検討とかを計画的に進めるとなっておりますけれども、施設エネルギーの効率化の可能性についてどのようにお考えなのかお尋ねしたいと思います。 ◎生活環境部長(吉田浩君) 今ありましたように、CO2を発生する施設が市にはいろいろとございます。特に、当部の所管の中でも清掃センター、あるいは浄化センター、衛生センター、そういったものがあるわけでございますけれども、今、環境基本計画の見直し、地球温暖化対策実行計画、その柱として、循環型社会の構築というものについて踏み込んだ検討をしているところでありますが、具体的には、清掃施設の今後の活用方法、いわき市のごみ処理体制、それについて、今、南部・北部の2場体制で行っているところでありますけれども、これからの人口の動向、また、ソフト事業によるごみの低減、そういったもののハードソフト両面にわたる検討の中で、今後の施設のあり方の検討の中で抜本的なCO2の削減、そういったものもできないものかどうか、そういうことも含めて検討しているところであります。 ◆20番(古市三久君) 平成19年度の実施活動計画報告書の今後の課題にもあるように、燃料の使用量を削減できれば温室効果ガスは削減されるわけですね。したがって、省エネ対策、施設のエネルギー対策の効率化といいますか、そういうことを幅広く検討してCO2の削減に最大限努力していただきたいと思います。 次に、大きな問題ですが、2点目は、子供の貧困についてお尋ねしたいと思います。 子供の貧困は、社会に存在する貧困の側面だと言われております。この問題は、地方行政が直ちに解決できる問題ではなくて、主要には、国の政策の問題だと思います。子供政策は、政治の貧困を如実に示していると思います。最近、特に、この日本が格差社会であることが認識されて、そして、貧困も社会問題になってきました。2006年7月のOECD対日経済審査報告書は、日本の相対的貧困率がOECD諸国の中でアメリカに次いで2番目と報告しています。 3月21日の週刊ダイヤモンドで貧困問題を特集しております。目に見えない貧困が日本をむしばんでいる、生活保護受給者が急増し、派遣切り・雇いどめにあった非正規労働者が路頭に迷って、子供の7人に1人が貧困状態にあると、今こそ貧困を直視して対策を講じなければ、数年後、数十年後には、社会は崩壊するとなっています。国が壊れる瀬戸際にあるというようなことを指摘しているわけです。 OECD加盟国の子ども貧困リーグによると、日本の子供の貧困率は14.3%です。7人に1人が貧困状態にあると言われています。小学校や中学校のクラスに、少なくても4人から5人はいる計算になるということが言われています。 そこで、お手元に配付したこのグラフですが、これは週刊ダイヤモンドに載っていました。この子供の貧困率について、私もびっくりしたんですが、OECD加盟国の中で日本だけが所得再分配後の貧困率が高くなっているわけですね。これは、政府は何もしないほうがましだということを示しているわけです。つまり、市長がお金がない中で子供医療費の助成をしましたと。しかし、やらないほうが貧困率が低いということなんです。これは、財政が有効に機能していない、そして、つまり政治が機能していないということを示していることだと思うんです。そういう中で、社会的な危機を生み出しているということを、このグラフは示していると思います。 政府は、市場経済の中で、家族が働いて得た所得に対して税金や社会保険料を課して、子供に関する政府からの手当を給付します。政府による介入で、日本以外のOECD諸国は、貧困状態にさらされる危険から多くの子供たちを救っています。2005年の数字で、日本以外のOECD諸国は、政府による所得再分配で貧困率を平均で6割程度押し下げることに成功していると言われています。しかし、唯一、日本だけが所得再分配後の貧困率が高くなっています。政策によって、子供の貧困率は逆に悪化している。何の手も打たないほうがましだ。日本政府による所得再分配、社会保障システムは貧困層をより貧困に陥れるものになっているわけです。貧困は、教育・健康・虐待・非行と多様で深刻な社会問題を引き起こしていると思います。 そこで、週刊ダイヤモンドを要約してちょっと披露したいと思いますけれども、子供の貧困は子供の責任ではないにもかかわらず、あらゆる形で複合的な経路をたどり、その成長過程に悪影響を及ぼす。その最たるものが教育格差で、子供の食費や衣服費などの基本的養育費及び教育費の合計額は、幼稚園から大学まですべて国公立で2,985万円、オール私立で6,064万円かかる。相対的貧困世帯の年収は、子供が生まれて大学を出るまでの22年間合計5,258万円で、オール国公立でも進学は難しい。学歴と貧困の間には、密接な相関関係がある。女性の学歴別の貧困経験を見ると、貧困層は大学・大学院卒で19.8%、高卒で41.1%、中卒で68.0%。学歴が低いほど生活も安定しない傾向にある。問題は、子供の貧困が教育格差を通じて再生産されていくことにある。家庭が貧しければ学歴が低くなり、貧困に陥る確率が高い。つまり、貧困が固定化され連鎖していく。貧しい家庭に生まれたということだけで子供が希望をなくしてしまう社会からは活力が失われていく。子供の貧困は、今そこにある危機であると同時に、将来にわたって大きな禍根を残しかねない問題である。子供の貧困が深刻化した理由の大きな要素は、母子家庭の増加である。母子家庭は2003年で122万世帯、10年間で1.5倍にふえた。実に17人に1人が母子家庭の子供である。日本の母子家庭の就労率は84.5%と高いが平均就労収入は171万円で、平均年収213万円、国民全体の平均収入の40%に満たない。当然貧困率も高くなる。両親と子供のみの世帯では貧困率は11%、それが母子家庭では66%にはね上がる。日本のひとり親世帯の貧困率は、先進国ではトルコに次ぐワースト2位である。特に、バブル崩壊後、男女を問わず急激な非正規化が進み、シングルマザーは安定した職業につけないという。 欧米諸国では、子供のいる貧困世帯の負担を少なくし、負担が多い場合はそれを超える給付がなされるよう制度設計している。ところが、日本は正反対で、負担は高いまま給付が減っていくので、子供の貧困はますます深刻化する。子供関連の社会保障はお粗末の一言に尽きる。家庭関連の社会支出は、2003年でGDPの0.75%、2005年で教育支出は3.4%で、先進国中最低レベルである。2002年には児童扶養手当が減額され、2007年には生活保護の母子加算が廃止され、母子生活支援施設も半減した。厚生労働省は、給付引き下げとセットで就労支援を打ち出したが、もともとシングルマザーの就労率は高い。昼夜を問わず働いているが収入が低い。就労時間が長くなり、子供と一緒にいる時間も短くなり、母子家庭の環境をさらに悪化させているとなっているわけです。 そこで、本市の子供の実態について幾つか申し上げますが、学校給食費の未納者は、平成11年は80名でした。ところが、その後、増加傾向に転じて、平成19年は213名になっています。就学援助費支給人員は、平成10年度1,402人でありましたが、これも増加傾向に転じて平成20年度2,592人と増加しています。そのうち、修学旅行費を給付した人数は平成10年度360人、平成20年度699人でほぼ倍になっています。児童扶養手当の受給世帯は、平成11年度2,708世帯でありましたが、これも増加傾向にありまして、平成20年度は3,626世帯に増加しています。母子世帯も、平成12年2,059世帯から平成17年2,375世帯にふえています。生活保護世帯は、平成10年度1,659世帯であったが、増加傾向に転じ、平成19年度2,807世帯に増加。このうち、母子世帯は平成10年度125世帯が平成19年度228世帯と増加しています。資格証明書交付に伴う子供への保険証交付世帯数は、平成20年度資格証明書交付世帯1,637世帯、うち子供のいる世帯は157世帯、被保険者は243人。平成21年度資格証明書交付世帯1,547世帯、うち子供のいる世帯は145世帯、被保険者は232人。これは減少しています。こうした実態を、学校あるいは保育所の現場がどう受けとめているのかが問題だと思います。学校から見える子供の貧困の実態、学校事務員だからこそ見える子供の貧困、そういうような本も出ております。 そこで、保育所における児童の貧困の実態についてお尋ねしたいと思います。 私が保育所を訪問した時に、ある園長先生は、子供の状態を見ればそういう問題が本当に手に取るようにわかるということをおっしゃっておりました。そこで、保育所における児童の貧困の実態についてお尋ねしたいと思います。 ◎保健福祉部長(木村清君) 保育所におきましては、子供が健康で安全に過ごせるよう、各保育士が家庭との緊密な連携のもと、日々の保育の中で、子供の心身の状態や家庭での生活、養育の状態等について把握することとしております。その中で、服を着がえていない、数日お風呂に入っていない、朝食を食べていないなど、子供の様子から家庭における保育に問題があることや、送迎の際の保護者との会話から家庭においてさまざまな悩みを抱えていることなどを把握することもあります。 このような場合において、各保育士は、必要に応じて電話連絡や家庭訪問を行うとともに、地区保健福祉センターを初めとする関係機関と連携を図りながら、児童の健全な心身の発達を図るため、その実態把握などに努めているところであります。 ◆20番(古市三久君) 次に、小・中学校での児童・生徒の貧困の実態についてお尋ねしたいと思います。 ◎教育部長(渡辺紀夫君) 小・中学校におきましては、担任等の家庭訪問等によりまして、児童・生徒の実態把握に努めているところでございます。また、家庭における児童・生徒にかかわるさまざまな問題につきまして、学校から市教育委員会に報告があった場合には、家庭児童相談員や保健福祉センター、浜児童相談所等と連携を図りながら対処しているところでございます。 ◆20番(古市三久君) この貧困の実態については、非常に不十分な把握になっていると思うんです。例えば、就学援助、これはクラスに三、四人いるわけですね。計算をすると、児童・生徒数は3万人で、就学援助が支給されている方は2,000数百人ですから、三、四人いるということになると思うんですが、そういう子供の中で、いろいろな問題がクラスの中でも発生しているというように思うんです。 そこで、そういう子供たちに対するケアをどのように行っているのか。児童・生徒の個別的なケア対策などはなかなか難しいと思いますけれども、そういうケアについてはどのように行っているのかお尋ねしたいと思います。 ◎保健福祉部長(木村清君) 子供対策におけるケアにつきましては、本市におきましては、国の施策等に基づき、さまざまな状況のもと、可能な限り適切に対応するよう努めているところでございます。しかしながら、子供の貧困という現代の大きな問題につきましては、家庭環境・生活環境・経済環境など多様な面があり、今後、子供一人一人に対するきめの細かな対応がさらに必要になるものではないかと考えております。 いずれにいたしましても、今後におきましては、子供や家庭を取り巻く環境におけるさまざまな問題点を把握するとともに、国・県の動向を注視しながら、関係部局と連携し、必要とされる対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆20番(古市三久君) こうした貧困問題は、学校のこの個別的な対策で解決できるというような問題でもなくて、国の所得保障の問題とか、あるいはこの教育費の無料化とか、そういう問題が大きな課題になってくると思うんですけれども、そこで、その今、乳幼児教育の無償化問題がいろいろ検討されているわけですね。5月25日に開催された教育費のあり方を考える教育安心社会の実現に関する懇談会の第1回会合の中で配付された資料は、日本のこの貧困な教育実態を浮き彫りにしています。諸外国と比較して、貧困な教育予算、私費負担の多さ、就学前と高等教育において家計負担の重さが突出している。そして、貧困と学力との関係などを文部科学省が基礎データとして提供しております。その委員の安西祐一郎慶應義塾長は、公財政からの教育費支出が少ないことが低所得の家庭を直撃していると、教育が国の基盤だと皆が認識しないといけないと語っているわけです。 文部科学省は、幼児教育の無償化に向けて検討に入って、対象は幼稚園・認定こども園・認可保育園に在籍する3歳から5歳児。財源は7,900億円が必要になるというようなことを試算しているわけですけれども、本当に今度のこの補正予算の問題がいろいろありますけれども、こういう無償化を急いで実施することが、本来は補正予算であるべきであったと私は思っております。 そこで、本年度、平成21年度補正予算の問題ですけれども、経済対策と称して、平成21年度補正予算が成立しました。これはだれのための、いわゆる補正予算なのかということをやっぱり厳しく見ていかなければならないと思います。この補正予算に対して、井堀東大教授は、景気浮揚効果は限定的で、負担は将来に回ると。このようなばらまきでは将来的に消費税などの増税をしようとしても国民の理解は得られないのではないかと批判しています。今議会で提案された小学生の入院医療費の助成、これは本来は国がやるべきものだと私は思うんです。 麻生総理は、本年度補正予算のばらまき批判をかわすために、ワイズ・スペンディング、つまり賢明な支出を厳選したことを強調しています。子供医療費の無料化を実施することが、私は賢明な支出だと思います。子育て応援特別対策の第1子への拡充が決まって、3万6,000円を1年限り。まさに少子化対策としてはほど遠い内容だと思います。与謝野大臣も1年限りで終わるはずがないと反対したと報じられているように、まさにこの選挙目当てと言われても仕方がない内容だと思います。安心こども基金関係費として、1,500億円が別途追加されましたが、現状の子供たちの実態からはほど遠い内容だと思います。安心して子供を産み育てる環境を構築することこそがまず大事だと思います。10年は必要だと言われる医師不足対策も、3年限定となっております。また、女性のがん対策や福祉施設の耐震化、教育費負担支援対策も盛り込まれておりますけれども、極めて不十分だと言わざるを得ません。そういうこの補正予算の問題がたくさんあると思います。 今、この補正予算の問題でいろいろと言われているのは、基金の乱造、予算単年度主義の形骸化、つまり、自治体などにお金をプールして、複数年度支出を確保するねらいから、総額4.3兆円にも上る、先ほど言いました46種類の基金がつくられました。30が新設で、補正でこれだけ多くの基金をつくるケースは異例だと。46基金のうち22、7,000億円が農林水産分野なんです。社会保障分野は11の基金に2.8兆円を計上しておりますけれども、これらの基金は、憲法第86条や財政法第11条、つまり、予算単年度主義を形骸化させる懸念も強いという批判が出ております。 先ほども言いましたが、背景には、単年度では消化困難なほどの予算が計上されてしまったと、そういうような内容だと思います。今必要なのは、あらゆる分野の格差是正に資する内需拡大や、改革の名によって壊された社会保障制度の再生、環境分野を初め、将来を見据えた産業育成・雇用創出策に重点を絞ることだと思います。子育て・介護・医療・福祉・環境・農林水産業・交通・地域など、構造改革で切り捨てられてきた人間社会の基盤維持にかかわる領域や、だれもが人間らしく生活していくために必要なサービス・産業を中心とした内需に経済の軸足を移していかなければならないと思います。G8労働大臣会合の議長総括も、人々への投資が生産性を高め、回復を奏功させるための不可欠な手段であると言っております。今こそ、憲法第25条生存権や第27条労働の権利・義務などを政治や生活に生かす政策が求められていると思います。 以上を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)--------------------------------------- △散会 ○副議長(磯上佐太彦君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日は午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日はこれにて散会いたします。     午後4時11分 散会---------------------------------------...