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品川萬里市長 令和2年
郡山市議会3
月定例会の開会に当たり、市政を取り巻く情勢と今回提出の令和2年度当初予算案をはじめとする議案の概要等についてご説明を申し上げます。 初めに、
令和元年発生台風第19号災害とその対応等について申し上げます。 昨年10月の台風第19号により、お亡くなりになられました6名の方々に、改めて弔意を申し上げます。また、浸水被害、
土砂災害等、被災されました皆様に対しまして、心からお見舞い申し上げます。
被災世帯数は、全世帯の約14.9%となる2万1,331世帯、被災人口は、全人口の約13.9%となる4万6,263名、
浸水区域面積は、14.37平方キロメートルとなり、
阿武隈川流域を中心に甚大な被害を及ぼしました。 発災直後から順次創設した18の
各種支援制度の利用状況は、2月17日現在、
災害見舞金や義援金の申請が6,886件、市税や
各種保険料、
水道料金等の減免が9,599件、住宅の
応急修理申請694件など、延べ1万7,525件となっております。 道路、橋梁、河川等の復旧については、国の災害査定が終了し、本定例会において関連予算を計上するなど、早期復旧を目指してまいります。 被災した下水道等の各施設については、現在、国の支援を受け、先月22日までに梅田ポンプ場をはじめ阿久津地区農業集落排水施設等の本格的な復旧に着手したところであります。 被害総額25億1,622万円となった農業関連では、今春の作付を見据え、揚水機の復旧工事を優先的に進めるほか、農地、頭首工、農道、水路等約960か所の復旧に要する予算を計上しております。また、農作物等の被害を受けた農業経営者の方々が、営農意欲を持ち続け、気候変動に対応しつつ、一日も早い経営再建を図るため、必要な施設の再建や機械の更新、種苗費等の支援に要する予算を計上しております。 商工業関係では、市内1万5,836事業所中、3.7%に当たる588事業所が被災され、被害額は、450億2,280万円となっております。特に、甚大な被害を受けた郡山中央工業団地に設置した「相談サテライトオフィス」では、2月14日までに、訪問した企業等は114件、来所等による相談件数は23件あり、グループ補助金などの各種財政支援や浸水対策に関する相談・要望等に対し、各企業の課題属性分析を踏まえた個別対応型の支援を実施しております。このような状況を踏まえ、本市産業の復旧と健全かつ安定的な発展のため、サプライチェーン等の縮小、寸断など、経営に影響を受けている事業者を対象とし「災害対策資金融資」の枠を拡充いたします。また、市内企業のサプライチェーンの確保と雇用の維持を図るため、被災事業者の皆様が、水害に備え自ら行う防水壁や生産施設の床のかさ上げなどの自衛措置に対し、新たな補助制度を創設する予算を、本日、追加提出しております。 学校施設については、現在、被災した赤木小学校と永盛小学校1階部分の復旧工事と受変電設備工事を急ピッチで施工しており、夏季のエアコン稼働前の完全復旧を目指してまいります。なお、永盛小学校については、北校舎の災害復旧工事を優先的に行い、今月17日から1、2学年が自校に戻りました。これにより、被災後、近隣の小中学校での授業を余儀なくされた児童全員が、自校で授業を再開いたしました。床上浸水の被害を受けた赤木地域公民館ほか2館の公民館については、早期の開館に向け、施設機能の復旧作業を進めております。 郡山中央工業団地内の東部体育館、東部勤労者研修センター、東部スポーツ広場については、アリーナ床、電気設備等の復旧作業を行っており、4月からの利用再開を予定しております。また、富久山スポーツ広場については、災害廃棄物の処分後、早期の復旧を目指してまいります。 市民生活に直結する富久山クリーンセンター及び衛生処理センターについては、応急復旧工事により、今月14日までにすべての施設が仮復旧したところであります。なお、本定例会には、富久山クリーンセンターの余熱発電設備や衛生処理センターのポンプ類の更新など、本復旧工事に要する予算を計上しております。 被災家屋等の解体撤去については、半壊以上の判定を受けた被災家屋等を対象として、去る1月14日から申請受付を開始し、2月17日現在、159件の申請を受け付けたところであり、今後、速やかに解体撤去を進めてまいります。 これら台風第19号災害復旧工事等の発注状況でありますが、河川や農業用施設などの測量設計
業務委託契約は、契約件数25件、契約額は、1億4,351万円、道路、橋梁や学校、廃棄物処理施設などの工事請負契約は、契約件数86件、契約金額は、12億7,009万円となっております。 今後は、昨年の台風被害と過去の災害を教訓として、策定する「郡山市国土強靭化地域計画」のもと、都市再生特別措置法等まちづくり関連法を注視しながら、地理空間情報活用推進基本法などを踏まえ、あらゆるツールを活用し、気候変動にも柔軟に対応しただれもが安心して快適に暮らせる強靭なまちづくりを戦略的に推進してまいります。 今日まで、市民の皆様をはじめ、全国の自治体や団体、個人の皆様から温かいご支援をいただいておりますことに対し、改めて心から感謝を申し上げますとともに、これまでの災害対応に当たり、ご理解とご協力を賜りました議員各位に対し、改めて御礼を申し上げます。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。 ご承知のとおり、国内でも感染者が確認されております新型コロナウイルス感染症対策については、先月31日、郡山医師会をはじめとする12の関係団体参加のもと、「郡山市新型コロナウイルス感染症対策連絡調整会議」を開催し、速やかな情報共有や連携、協力体制の確認等を行いました。また、市民の皆様に対しては、ウェブサイト等から的確な情報提供と注意喚起を行うとともに、今月7日には、保健所内に「帰国者・接触者相談センター」を開設し、万全の体制で対応に当たっているところであります。今後も、引き続き、国・県の情報を注視しながら
関係機関と連携を密にし、適時適切に対応してまいります。 次に、令和2年度の市政運営について、所信の一端を申し上げます。 国の将来人口見通しを示す「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」及び今後5年間の地方創生の目指すべき方向性を定める「第2期総合戦略」が昨年12月20日に閣議決定されました。その中では、横断的な目標として、新しい時代の流れを力にするため、「地域におけるSociety5.0の推進」と「地方創生SDGsの実現などの持続可能なまちづくり」により、生活・経済圏の維持確保や生産性の向上などに取り組み、「将来にわたって『活力ある地域社会』の実現」を目指すこととされました。 また、同日開催された、
内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」では、中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」を改定するとともに、具体的な取組が「アクションプラン2020」としてまとめられたところであります。 本市においても、国の方針に呼応して、様々な分野で人や情報、研究成果などが行き交う「知の結節点」としての強みを生かし、こおりやま広域圏域における地方創生を牽引する中枢都市として、産官学金労言士等の多様な地域主体の参画のもと改定する「郡山市人口ビジョン」及び「郡山市総合戦略」に基づき、「持続可能な郡山の創生」を目指してまいります。 次に、「SDGs未来都市」についてであります。去る1月10日、内閣府等が主催する「地方創生SDGs国際フォーラム2020」、及び1月16日開催の「東北SDGs未来都市サミット・シンポジウムin仙北市」に参加し、それぞれ本市の取組と考え方を表明してまいりました。 今後とも、昨年8月策定の「SDGs未来都市計画」に基づき、その達成に向けた各種施策を着実に進めてまいります。 次に、「こおりやま広域連携中枢都市圏」については、二本松市との連携協約締結を経て、1月28日開催の「都市圏ビジョン懇談会」からのご意見も踏まえ、圏域全体の将来推計人口を含む「都市圏ビジョン」の改定を進めております。今後とも、「ONE TEAM 16」の理念のもと、持続可能な圏域を目指してまいります。 令和2年度は、昨年の台風第19号に顕在化した様々な課題解決はもとより、気候変動をはじめとした地球規模の課題に立ち向かい克服する一年としてまいります。そのため、5G時代、Society5.0にも即応できる「デジタルトランスフォーメーション化」、いわゆる「DX化」を広域連携のもと加速させながら、「誰一人取り残さないSDGsの目標達成」に向け、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の実現をあらゆる施策により推進し、「気候変動対応型課題解決先進都市」を目指し取り組んでまいります。 議員各位をはじめ、市民の皆様方の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 それでは、議案の概要等についてご説明申し上げます。 初めに、市政を取り巻く情勢について申し上げます。 最近の景気動向についてであります。 我が国の経済については、内閣府は1月の月例経済報告において、「景気は、緩やかに回復している。」として基調判断を据え置きしております。 また、日銀福島支店は1月の金融経済概況において、「県内景気は、台風19号等による下押しの影響は和らいでいるものの、回復に向けた動きが足踏み状態にある。」としております。 雇用情勢については、郡山公共職業安定所管内の12月の有効求人倍率は1.75倍と高い水準で推移しております。 次に、国の財政運営についてであります。 初めに、防災機能強化や景気下支えを柱とする総額4兆4,722億円の国の
令和元年度補正予算が、去る1月30日に参議院本会議で可決、成立いたしました。本市においても、これを活用する補正予算案を編成し、本会期中に追加提出する予定でありますので、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。 次に、国の令和2年度予算については、1月20日、一般会計総額約102兆6,580億円と過去最大規模となる予算案が国会に提出されました。 国はこの予算案について、消費税増税分を活用した「社会保障の充実」、「経済対策の着実な実行」、「歳出改革の取組の継続」により、経済再生と財政健全化を両立する予算と位置づけております。 また、地方財政計画においては、一般財源総額が前年度比1.2%増の63兆4,318億円と過去最高となり、地方交付税は16兆5,882億円と2.5%の増となりました。また、新たに、地域社会再生事業費や緊急浚渫推進事業費など防災・減災対策経費が計上されておりますので、これら国の動向を見極めながら、各種事業に係る財源の確保に努めてまいります。 続きまして、本市の令和2年度当初予算編成について申し上げます。 初めに、予算編成の考え方についてであります。昨年10月の台風第19号による災害対応には、多額の事業費を要し、国・県支出金、市債のほか、これまで財源不足に備え積み立ててきた財政調整基金を活用するなど、早期復旧を目指してまいりました。今後とも、各種給付費等義務的経費が増加する中、被災施設等の本復旧に取り組むなど、厳しい財政運営環境下にあります。このため、当初予算編成に当たっては、既存事業のゼロベースからの見直しはもとより、国・県補助金等の積極的な活用と適正公平な市税等の確保、広告事業など税外収入の拡充を含めた自主財源確保に努め、市政の持続可能性を高めることを念頭に取り組みました。特に、令和2年度予算は、SDGs17の目標を基本ガイドラインとし、台風被害からの復旧・復興(治療)と今後の気候変動に対し適応・緩和する対策(予防)に重点を置きつつ、それらを支えるため、5G時代に対応し得る「DX化」の推進やこおりやま広域圏を俯瞰する視点で予算を編成いたしました。 この結果、補正予算第1号を含めた
一般会計予算案の規模は1,428億8,000万円となり、前年度当初予算と比較すると、2.3%の増となっております。 特別会計の総予算額は987億9,373万9,000円で、0.8%の増となっており、一般・特別両会計の予算総額は、2,416億7,373万9,000円で、1.7%の増となります。 それでは、令和2年度当初予算案の主要な事務事業について、本市の最上位計画である「郡山市まちづくり基本指針」の5つの大綱と2つの取組ごとに申し上げます。 初めに、大綱Ⅰ「産業・仕事の未来」についてであります。 産業の振興については、「『知の結節点』こおりやま産業持続・発展ビジョン」に基づき、士師業など各界各層の専門家と連携のもと、本市はもとより、こおりやま広域圏の圏域全体の経済発展と産業競争力強化を目指し、各種事業を実施いたします。また、圏域内には、最先端の研究開発等拠点施設に加え、医療機器関連産業や医薬品産業が集積しており、これら特性を生かす産業の振興に努めてまいります。 中小企業者への支援については、戦略的な企業経営を推進できるよう、DXや気候変動への対応に取り組み、市外・県外・海外を商圏として、事業拡大を目指す企業や創業者等の支援に要する予算を計上しております。 また、全国的な課題であります経営者の高齢化と後継者難に対応するため、
関係機関と連携した事業承継の支援やe-commerce(電子商取引)のさらなる推進など、本市産業の持続的発展を図るための予算を計上しております。 郡山西部第一工業団地については、第1期工区の区画ベースの分譲率が、本年1月末現在で54.5%となり、残りの区画についても契約に向けた具体的な相談や企業からの引き合いをいただいており、新年度中には、約80%の分譲率となる見込みであります。これら順調な状況に加え、昨年の台風第19号による被災企業等のニーズに鑑み、さらなる企業誘致の受け皿整備と緊急時における市内企業のバックアップや移転等に備えるために、第2期工区の整備事業に着手いたしたく、本定例会に実施設計及び地質調査に要する予算を計上しております。 ドイツ・エッセン市との交流については、昨年9月に取り交わした「都市間協力の継続に関する合意書」に基づき、インターンシップ受入れや同市で実施されるエネルギー関連産業国際見本市「E-world」への市内企業出展支援など、多様な分野の交流に資する予算を計上しております。 次に、農業の振興については、人口減少などの社会情勢や本市農業の現状を踏まえ、「強い農業」、「売れる農業」を目指し、各種事業を展開してまいります。 農業分野における学術連携については、包括連携協定を結ぶ福島大学食農学類や東京農工大学の知の集積や本市農業への活用を図るため、地球温暖化対策をテーマとした公開授業やアグリテック普及にも寄与する実践型教育プログラムの実施に要する予算を計上しております。 地域農産物の消費拡大については、国庫補助事業を活用し、JA福島さくらが新たに進める農産物直売所整備への支援に要する予算を計上しております。 アグリテックの普及推進については、農作業の省力化や生産性の向上を図るスマート農業技術の導入支援に要する予算を計上しております。 農産物等海外連携については、国内市場の動向を見据え、梨の輸出等で交流のあるベトナムを主要マーケットと捉え、こおりやま広域圏内で生産される農林水産物や加工品の輸出拡大を推進するための予算を計上しております。 6次産業化と郡山ブランドの推進については、鯉食キャンペーンによる地産地消をはじめ、「ASAKAMAI 887」など高品質で競争力の高い郡山ブランドの販売促進に要する予算を計上しております。 農福連携の促進については、農業分野における障がい者等の就労機会の拡大を図るため、農業者と授産施設のマッチングシステムの構築やコーディネーターの養成などに要する予算を計上しております。 総合地方卸売市場については、開場から18年が経過する中、経年劣化が進む冷凍冷蔵・空調設備等を低環境負荷機器に更新する予算を計上しております。 次に、大綱Ⅱ「交流・観光の未来」についてであります。 観光の振興については、先月14日、一般社団法人郡山市観光協会が観光庁の日本版DMOに本登録となったことを踏まえ、DMO推進体制を基軸にさらなる戦略的な事業展開を図ってまいります。 観光誘客の推進については、こおりやま広域圏、産学金官の連携によります、オリンピック・パラリンピックを契機とした広域観光コンテンツの開発、インバウンド受入体制の充実等に要する予算を計上しております。 郡山ユラックス熱海については、安全・安心な利用のため、施設の基本性能の維持と長寿命化を図る改修計画に基づき、特に緊急性が高い箇所の改修や電気・機械設備等の更新に要する予算を計上しております。 「ホストタウン推進事業」については、ホストタウン相手国を応援する観戦ツアーを実施するほか、武蔵野大学有明キャンパス内に設置される「ホストタウンハウス」に本市ブースを出展し、「食」をテーマとしたプロモーションを行うなど、風評の払拭とインバウンドの促進につなげるための予算を計上しております。 「日本遺産魅力発信推進事業」については、気候変動適応に寄与するかんがい施設など、新たなモニターツアーの実施や各種団体と連携したプロモーションの展開、インスタグラム等ICTを活用した魅力発信に要する予算を計上しております。 「多文化共生推進事業」については、在住外国人とのスムーズなコミュニケーションを図るため「やさしい日本語」の活用充実をはじめ、防災ワークショップの開催や在住外国人の課題ニーズ等を把握するネットモニターを実施するなど、多文化共生社会の実現に向けた各種事業に要する予算を計上しております。 「音楽活動推進事業」については、1994(平成6)年制定の「音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律」の理念のもと組織される「郡山市音楽の日」実行委員会に参画し、市民が音楽に親しめる機会を提供するほか、未来を担う青少年や指導者の育成を図るため、東京藝術大学との連携事業やウィーン交響楽団員による公開レッスンの開催等に要する予算を計上しております。 「(仮称)歴史情報・公文書館施設整備事業」については、中央図書館との有機的連携のもと、本市の歴史文化遺産、震災や水害などの災害記録等の適切な継承、さらには、公文書管理法に基づく公文書管理・閲覧体制の構築を推進するため、本年3月策定の基本計画を踏まえた施設等の基本設計及び実施設計等に要する予算を計上しております。 市立美術館の企画展覧会については、戦没画学生の遺作コレクションで知られる「無言館展」をはじめ、西田町ゆかりの「(仮称)雪村と郡山の美術」など、5つの展覧会開催に要する予算を計上しております。また、インターネットを活用したサービスの向上、美術館収蔵品管理のペーパーレス化、DX化を図るため、美術館収蔵品管理公開システムの構築に要する費用を計上しております。 次に、大綱Ⅲ「学び育む子どもたちの未来」についてであります。 子ども・子育て支援については、消費税率の改定に伴い拡充した国の施策を生かして、本市の取組を充実させるものであります。また、本年4月スタートの「第2期郡山市ニコニコ子ども・子育てプラン」に基づき、保育所、放課後児童クラブの待機児童の解消や子育て家庭への切れ目のない支援体制の構築を進め、SDGsの理念でもある「誰一人取り残さない」子育て支援の実現を目指してまいります。 「放課後児童クラブ事業」については、本年4月新設の大成小学校、谷田川小学校2校3クラブを含め、計40校60クラブ、定員2,740名により、引き続き、適切な遊びと生活の場の提供による児童の健全育成環境の整備を図ってまいります。 「子育て短期支援事業」については、保護者の疾病その他の理由により、家庭での子ども養育が一時的に困難となった場合の児童養護施設等における養育、保護実施に要する予算を計上しております。 子育てLINE相談については、子育て中の保護者や子ども本人からの相談機会の拡充を図るための予算を計上しております。 保育所の待機児童解消については、「郡山市ニコニコ子ども・子育てプラン」に基づき、2021(令和3)年4月の待機児童ゼロを目指し、5事業の相乗効果のある待機児童対策「郡山市待機児童ゼロに向けた緊急パッケージ」として取り組むものであります。 保育所等定員の拡大については、認定こども園2施設、認可保育所3施設の計5施設、定員420人の施設整備に要する予算を計上しております。これにより、2021(令和3)年4月1日には、認可保育所等は83施設、総定員数は5,564人となる見込みであります。 保育士のワークライフバランス推進については、保育士の継続雇用・確保を目的として、国の補助制度を活用し、新たに保育士の住居借り上げを行う民間認可保育施設を支援します。また、本市独自施策として、潜在保育士等の積極的な登用を図るため、復帰の際に保育士を応援する一時金に要する予算を計上しております。 保育業務負担軽減の推進については、民間認可・認可外保育施設に業務支援システムを導入するなど、保育所等の働き方改革推進に要する予算を計上しております。 医療的ケア児の受入体制の構築については、日常生活を送る上で医療的ケアを必要とする保育ニーズの高まりを受け、看護師等を配置し受入れを行う民間認可保育施設を新たに支援する予算を計上しております。 保育所等の安全・安心の確保については、新たに保育施設巡回を専門とする指導員を配置し、認可・認可外保育施設のさらなる保育の質の向上と安全性の確保を図ってまいります。 次に、新年度から必修化される小学校プログラミング教育については、全国に先駆け、教科として「プログラミング学習」を位置づけることとし、今後予定される「GIGAスクール構想」にも対応できるよう、プログラミング教材等、環境整備に要する予算を計上しております。 新学習指導要領への対応については、「主体的・対話的で深い学び」の充実を図るため、中学校及び義務教育学校後期課程へタブレット端末を2,670台追加整備する予算を計上しております。これにより、市立小中学校ともに3人に1台タブレット端末環境が整備されます。また、児童生徒一人ひとりの学習意欲と学力向上を図るため、市立学校の児童生徒全員に、自身の習熟度に応じた学習を可能とするデジタルドリルを整備する予算を計上し、教材費等保護者負担の軽減を図ってまいります。 教職員の働き方改革の推進については、教職員の業務効率化を目的に、2021(令和3)年度から運用する統合型校務支援システム導入等に要する予算を計上しております。 学校施設の整備については、気候変動に対応し得る持続可能で強靭な教育環境の実現に向け、桜小学校等3校の校舎長寿命化改修を実施するほか、屋内運動場照明のLED化やプール改修等に要する予算を計上しております。 次に、大綱Ⅳ「誰もが地域で輝く未来」についてであります。 「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもと、ユニバーサルデザインの考え方も取り入れ、生涯を通してだれもが住み慣れた地域で、健康で豊かに暮らせる環境の整備に取り組みます。また、多様な働き方を通して、あらゆる分野において女性が活躍できる社会の実現に努めます。 「障害者地域生活支援拠点事業」については、障がい者の重度・高齢化等に適切な対応と支援を行うため、支援拠点を設け専任コーディネーターを配置するなど、支援体制の構築に要する予算を計上しております。 「障害児・者日常生活用具給付費等事業」については、新たに高度難聴障がい児者の費用負担軽減を目的に、人口内耳関連用品を日常生活用具給付対象品に追加するための予算を計上しております。 「社会福祉施設整備事業」については、障がい者の在宅福祉サービスの充実と生活の場の確保等を目的に、社会福祉法人が設置する施設整備支援に要する予算を計上しております。 「生活支援体制整備事業」については、地域における高齢者の生活課題や助け合い活動の情報収集、支え合いネットワークの構築を行う「第2層協議体」の設置、運営を促進する「第2層生活支援コーディネーター」の配置に要する予算を計上しております。 「SDGs推進全世代健康都市圏事業」については、安全・安心で「全ての世代が健康で生き生きと暮らせるまち」を目指し、分析データを補完する市民アンケート調査のほか、連携中枢都市圏「全世代健康都市圏」創造事業懇談会を開催するなど、引き続き事業を推進するための予算を計上しております。 東京2020オリンピック・パラリンピック関連事業については、ハンガリー水泳チームが、本年7月15日から22日の8日間にわたり、郡山しんきん開成山プールと宝来屋郡山総合体育館で実施する事前キャンプを支援するほか、トップアスリート養成教室やオリパラ教育推進事業等の関連事業を実施し、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機としたレガシー創出に要する予算を計上しております。 公民館の環境整備については、指定避難所としてのさらなる機能充実を図るため、日和田公民館高倉分館等5館にエアコンを設置するほか、大島地域公民館の駐輪場整備に要する予算を計上しております。また、市内在住外国人に安心して居住いただくため、公民館窓口対応の円滑化と災害時の安全・安心な避難所対応を目的に、すべての公民館に自動翻訳機を整備する予算を計上しております。 次に、大綱Ⅴ「暮らしやすいまちの未来」についてであります。 「地球温暖化対策事業」については、気候変動に総合的、戦略的に対応するため策定する「(仮称)郡山市地球温暖化対策総合戦略」やこおりやま広域圏「気候変動適応等推進研究会」等に要する予算を計上しております。 「エネルギー地産地消推進事業」については、地域の低炭素化・環境負荷低減、そして災害時の安定期な電力確保のため、再エネ由来のエネルギーの地産地消を実現する郡山市版「地域新電力」構築に向けた具体的な検討に要する予算を計上しております。 「新エネルギー普及促進事業」については、「太陽光発電システム」、「蓄電池システム」等の設置助成や「燃料電池自動車(
FCV)」の導入助成に加え、災害時に電気自動車からの電力供給を可能にする「電気自動車充給電設備(V2H)」の設置助成に要する予算を計上しております。 次に、「河内埋立処分場第4期埋立地拡張事業」については、現在埋立て中の第3期埋立地が2023(令和5)年度にも計画埋立容量に達する見込みのため、国の「循環型社会形成推進交付金」等を活用し、新たに第4期埋立地の拡張工事に要する予算を計上しております。 消防力及び水防力の強化については、郡山駅前大町、西田町三町目の消防団車庫詰所整備や資機材の充実、消防ポンプ自動車等の更新など、火災・自然災害への対応力の強化に要する予算を計上しております。 地域防災力の強化については、昨年の台風第19号の被害を踏まえ、災害から市民の生命、財産を守るため、防災士養成や全戸配布する「わが家の防災ハンドブック」改訂に要する予算を計上しております。また、「土砂災害ハザードマップ」の改訂のほか、「液状化マップ」を新たに作成し、加えて、県と連携型の避難確保を図るなど、被害の軽減に努めてまいります。 環状道路の整備については、災害に強い道路ネットワークの形成を図るとともに、様々なストック効果が期待できる内環状線、東部幹線等の整備に要する予算を計上しております。 河川の整備については、昨年の台風被害が生じた本市管理の準用河川のうち、照内川、愛宕川、徳定川の河道計画策定と浸水対策の検討を行うほか、国の緊急自然災害防止対策事業を活用した市管理の普通河川等の改修に要する予算を計上しております。 浸水被害軽減への対応については、「郡山市ゲリラ豪雨対策9年プラン」に位置づけた雨水貯留施設のうち、赤木、図景、小原田貯留管の整備を継続するとともに、向河原町地内の3号幹線放流管の整備に合わせ、下水道管理センターの雨水ポンプを1台増設するなど、引き続き整備を推進してまいります。また、雨水対策整備事業のうち、郡山中央工業団地内については、石塚樋門とポンプゲートの整備に加え、その後の施策について検討してまいります。 交通体系の整備については、乗合タクシーの運行を、西田、田村地区へ拡充してまいります。また、乗降客の多いJR安積永盛駅西口広場について、送迎スペースの整備等一部改良を行い、駅利用者の利便性の向上と安全・安心の確保を図ってまいります。 「居住促進区域移転支援事業」については、昨年の台風第19号により被害を受けた市民生活の再建と、より安全な居住環境への誘導促進を図るため、居住促進区域内に転居する方を対象とした補助等に要する予算を計上しております。 次に、「横断的取組」についてであります。 一般住宅等からの除去土壌等搬出(掘り起し)事業については、昨年7月に発注した郡山駅前地区等15地区について、5月の完了を目指し作業を進めております。また、台風第19号の影響により発注を延期していた大槻地区等16地区については、今月末の入札を予定しております。2020(令和2)年度は富久山、逢瀬、田村地区等の搬出事業に要する予算を計上しており、これにより、掘り起し対象箇所数約6万5,000件すべての発注が完了する見込みであり、2021(令和3)年度中の除去土壌等の搬出完了を目指してまいります。 「ため池放射性物質対策事業」については、善宝池等5か所のしゅん渫作業が完了し、市街地にある対策が必要な12か所すべての業務が完了いたしました。また、市街地以外のため池については、2019(令和元)年度から2か年の継続事業で実施している30か所に加え、新たに25か所の対策を実施する予算を計上しております。 内部被ばく検査については、1月末までに延べ17万9,571人の検査を実施し、その結果は、生涯に受ける放射線量が全員1ミリシーベルト未満でありました。今後も、引き続き検査を実施する予算を計上しております。 次に、「基盤的取組」についてであります。 「デジタル市役所」の推進については、改定する「郡山市デジタル市役所推進計画」に基づき、5レスの取組を強化するとともに、国の「デジタル・ガバメント実行計画」に基づく行政の「DX化」により、民間企業等と連携した地域課題の解決、市民サービスの向上、情報の見える化等、戦略的に取り組んでまいります。また、高速大容量のローカル5G活用調査に加え、無線LAN環境を拡充し、庁内会議をはじめ、「こおりやま広域圏」、「総合教育会議」等でのWeb会議利用拡大に向けた予算を計上しております。 セーフコミュニティの推進については、国際認証取得2周年を記念して、去る2月1日に、市民や
関係機関など約500名の参加のもと、「セーフコミュニティフェスタこおりやま2020」を開催しました。今後も、SDGsゴール11「住み続けられるまちづくりを」の実現に向け、子どもや高齢者の安全対策など、地域の皆様とともに安全で安心なまちづくりに取り組んでまいります。 以上が令和2年度当初予算案に計上いたしました主要な事務事業の概要であります。 次に、組織改編についてであります。 「SDGs未来都市計画」や「郡山市まちづくり基本指針」の着実な推進を図り、時代の変化に即応できる組織体制を構築し、「気候変動対応型課題解決先進都市」の実現を目指すため、本年4月1日に行政組織の改編を予定しております。 主な改編内容としまして、文化振興課内に「(仮称)歴史情報・公文書館設置準備室」を新設し、施設開館に向けた準備体制を強化いたします。 また、産業政策課内に、団地内連携、団地間連携を推進する「産業団地室」を設置し、台風第19号による被災企業の早期復興と市内14団地企業へのアウトリーチによる支援を強化するほか、市内企業の首都圏等への進出を支援するため、産業振興係を「産業振興・進出係」へ改称いたします。 さらに、Society5.0の実現に向け、先端ICTの活用によるDXの全庁的な推進を図るため、ソーシャルメディア推進課のICT戦略係を「DX戦略係」へ改称いたします。 その他、施策の進捗状況に応じたスクラップ・アンド・ビルドを念頭に、市民に分かりやすい組織とするため、係の統合、名称変更等を行い、各種施策の効率的・効果的な推進に努めてまいります。 次に、
令和元年度3月補正予算について申し上げます。
一般会計補正予算については、歳入では、台風第19号災害対応による地方交付税及び国・県補助金、市債を増額するほか、ため池放射性物質対策事業費の確定に伴い、繰入金を減額補正するものであります。また、歳出では、国庫補助金を活用した小中学校トイレ洋式化の改修事業費や各施設の災害復旧事業費、財政調整基金への積立金などを計上いたします。 この結果、一般会計の補正額は、18億9,125万7,000円の増額で、補正後の
令和元年度の予算総額は、1,548億5,194万7,000円となります。 特別会計補正予算については、国民健康保険特別会計など13特別会計の事業の確定等に伴い、補正額は8億2,863万9,000円の減となり、補正後の
特別会計予算総額は、988億8,232万5,000円、一般・特別両会計を合わせた補正後の予算総額は、2,537億3,427万2,000円となります。 次に、条例及びその他の議案についてでありますが、当初議案では、「
郡山市部活動指導員の給与及び
費用弁償に関する条例」など、条例議案18件、その他の議案1件、
令和元年度3月補正議案では、「
郡山市議会議員の
議員報酬、
費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」など、条例議案6件、その他の議案4件であり、いずれも市政執行上重要な案件を提出するものであります。 なお、本会期中に国の補正予算の活用等に伴う補正予算議案及び人事案件を追加提出する予定であります。 以上の諸施策は、2025年問題、SDGsの国際目標年次である2030年、こおりやま広域圏の人口目標年次である2040年を見据えて、バックキャストの手法のもと、進捗を図ってまいります。 よろしくご審議の上、ご賛同を賜りますようお願い申し上げ、
提案理由といたします。 以上。
○
七海喜久雄議長 提案理由の印刷物を配付させます。 〔
提案理由配付〕
○
七海喜久雄議長 配付漏れはありませんか。 (「なし」と呼ぶ者あり)
○
七海喜久雄議長 配付漏れなしと認めます。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前11時00分 散会...