提案理由の
説明を求めます。
1番、吉居恭子議員。
41: ◯1番(吉居恭子君)〔登壇〕 1番、日本共産党、吉居恭子です。
第1号意見書案「建設従事者のアスベスト被害の早期救済と解決を求める意見書案について」。
上記の意見書案を別紙のとおり提出する。
令和元年6月28日、提出者、
春日市議会議員、吉居恭子。
賛成者、同じく
内野明浩、同じく
野口明美、同じく中原智昭、同じく西村澄子。
提案理由でございます。
建設アスベスト被害は、建設現場で就労した人がアスベストを含んだ建材を切断したり、削ったり、また解体工事では粉砕するなどして、アスベスト粉塵を吸入して、長い期間を経て、石綿肺がんや中皮腫といった重篤な病気にかかることによって生み出されたものです。肺がんについても死亡に結びつく病気ですが、特に中皮腫については有効な治療法がなく、大半の方が命を失っています。
建設アスベスト訴訟は、こうした被害者のうち、石綿健康被害救済法の認定者や労災保険の認定者を原告として、原因物質の製造流通者であるアスベスト建材製造企業と適正な規制を怠ってきた国の責任を問うた集団訴訟です。これまでの各種の薬害や石炭、トンネル塵肺などの訴訟と同様、被害者全体の救済と被害を繰り返さないことを目的としています。
建設アスベスト被害者のうち認定者は、アスベストによって被害を被ったことを国の機関によって認められた者です。これ以外の者を原告とした場合は、被害そのものを裁判の場で争うことになり、訴訟が長期化することとなるため、認定者のみを原告としています。
原告は、救済法認定者や労災認定者で、それぞれ一定の給付を受けている者ですが、この給付は健康や命を失うという被害そのものに対する損害を賠償する部分は入っていません。これらの補償は、労災保険については治療費と失われた所得の一部の補填、救済法については治療費の3割負担と療養または死亡の見舞金という性格のものであり、命や健康を失い、闘病生活を強いられ、安らかな老後を奪われ、家族からすれば肉親を奪われ、被害者の療養のためにともに苦しむという被害そのものに対する賠償にかえられるものではありません。
また、救済法の給付の原資は、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金と呼ばれており、被害発生に全く責任のない多くの事業者に労災保険料徴収の際に一律に上乗せして負担させる制度です。本来、規制を怠ってきた国と石綿製品製造企業など被害を発生させた者に対して、その賠償責任を果たさせるべきです。また、こうした被害の解決は、原因者による被害者に対する謝罪も不可欠で、被害を発生させた責任を公に認め、被害を繰り返させない誓約となるものを考えます。
以上がこの意見書を提出する理由です。御審議の上、御賛同いただきますよう、よろしくお願いいたします。
42:
◯議長(
松尾徳晴君) 以上で提案理由の
説明を終わります。
これより
質疑に入ります。
第1号意見書案に対し、
質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
43:
◯議長(
松尾徳晴君)
質疑なしと認めます。
これをもって、
質疑を終結いたします。
──── ─ ──── ─ ────
┌─────────────────────┐
│日程第7 第1号意見書案の
委員会付託の省略│
└─────────────────────┘
44:
◯議長(
松尾徳晴君)
日程第7、第1号意見書案の
委員会付託の省略についてを議題といたします。
お諮りいたします。
春日市会議規則第37条第3項の規定により、第1号意見書案の
委員会への付託を省略したいと思いますが、これに御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
45:
◯議長(
松尾徳晴君) 御
異議なしと認めます。
よって、第1号意見書案の
委員会への付託は省略することに決定いたしました。
──── ─ ──── ─ ────
┌──────────────────┐
│日程第8 第1号意見書案の
討論、
採決│
└──────────────────┘
46:
◯議長(
松尾徳晴君)
日程第8、第1号意見書案を議題とし、これより
討論に入ります。
討論の通告がありますので、発言を許します。
6番、川崎英彦議員。
47: ◯6番(川崎英彦君)〔登壇〕 皆さん、おはようございます。6番、創政会、川崎英彦です。
私は第1号意見書案「建設従事者のアスベスト被害の早期救済と解決を求める意見書案」に反対の立場から
討論いたします。
私がこの意見書に反対する理由は二つあります。
まず一つ目は、現在、政府が行っている救済措置が明記されておらず、あたかも救済していないかのごとく誤った認識を与えている。二つ目は、提案理由に述べられた原因者であるアスベスト製造企業の責任追及と謝罪を求めたことと意見書案の内容が違う。以上2点の理由をこれから詳しく
説明いたします。
まず、一つ目の、現在、政府が行っている救済措置が明記されておらず、あたかも救済していないかのごとく誤った認識を与えている件について、日本政府が行ってきたこれまでの建設従事者アスベスト被害救済とその解決への歩みを述べさせていただきます。
既に政府は平成18年から被害救済とその解決のために、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づき、アスベストによる健康被害に係る被害
者等の迅速な救済を図ることを目的に、労災補償等の対象とならないものに対して救済給付を行っております。これはアスベストによる健康被害の特殊性に鑑み、国が民事の
損害賠償とは別の行政的な救済措置を講ずることとしたものであり、原因者と被害者の個別的因果関係を問わず、社会全体でアスベストによる健康被害者の経済的負担の軽減を図るべく制度化されたものであります。
具体的には、国、都道府県、事業主、そしてアスベストとの関連が深い事業主からの特別徴収を原資に、石綿健康被害救済基金を創設し、被害者または遺族への救済給付を行っております。平成18年の給付開始以来、平成27年度末時点での申請件数は1万5,220件で、そのうち1万985件が認定を受けております。
また、支給対象期間の拡大、指定疾病の追加、請求期限の再延長、肺がん等の判定基準の見直しなど、中央環境
審議会答申に従い、都度
改正され、今日に至っております。
また、認定に係る作業の迅速化に向けた取り組みでは、当初平均173日要していた処理日数は、平成27年度では106日まで短縮され、60日以内に処理された件数は29.3%であります。
なお、施行前死亡者で医学的判定を経ずに認定した平均処理日数は平成27年度で40日となっております。
この救済制度とは別に労災保険制度による給付も行われております。労災給付は、救急医療損害や労働が制限されることにより減収を補填するために支給されるもので、国がアスベスト健康被害を防止する措置をとらなかったことに対する慰謝料的な意味が持たれています。労災が支払われなかった被害者家族に対する特別遺族給付金と合わせると、平成26年度末時点で5,853件を認定し、補償がなされております。
また、被害に遭われた方々へ、その賠償金として和解金の支給も行われております。これはアスベストを使用していた事業所等で働いていた経験のある方が肺がんや中皮腫など病気を発症した場合、国からの賠償金として550万から1,300万円の支払いを受けることのできる制度です。平成26年にアスベスト健康被害の国の責任を認めた最高裁判決が出されており、それ以来、裁判を提起した上ですぐに和解をするという形をとって病状に応じた賠償金、裁判所では和解金と表現しますが、これを支払うようにしています。加えて、弁護士に依頼した場合には、上記金額に弁護士費用相当分として10%を加算した金額が支払われております。
このように、現在、石綿健康被害救済制度、労災給付、そして裁判による和解金と三つの制度によって被害者または遺族に対する給付により補償がなされております。
また、救済制度の周知徹底を図るため、医師、医療機関だけでなく、患者や広く国民を対象とした制度周知を実施しております。テレビコマーシャルを初め、ウェブ関連、交通広告、全国紙への周知を続けているところであります。
さらに、被害の拡大を根絶する対策として、平成18年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律を
改正し、石綿含有廃棄物の処理基準を制定するとともに、平成23年に同法施行令を施行し、特別産業廃棄物である石綿含有廃棄物や、灰、石綿等の適正処理を推進しております。平成25年には大気汚染防止法を
改正し、アスベスト飛散防止対策のさらなる強化を図っております。
このように政府が行っている救済制度、労災給付、裁判による和解金、周知活動、拡散防止対策には触れず、あたかもそれらの制度がないかのごとく被害者の救済に向けて速やかな対処を求めた表現は的確ではなく、
市民・国民に誤った認識を与えること強く危惧しております。
誤った印象を与えかねない意見書案を提出することは、いたずらに国民の不安をあおり、政府を貶め、マスコミの誤認報道を誘発しかねません。それは国会での政局の道具にもなり、いたずらに国会運営に支障を来すものと考えます。
次に、提案理由に書かれていることと意見書案の内容が違うことについて述べさせていただきます。
今
定例会期中に、提出者である吉居議員に国の救済制度についての認識と意見書の提案理由の
説明を求めました。救済制度については、一定の要件に該当するアスベストとの関連が深い事業主から特別徴収することについての認識の違いがあったものの、その救済制度の存在と実施を認識していることを確認いたしました。
提案理由については、この意見書は国の責任を追及するものではなく、アスベスト製品製造企業などの責任の所在と謝罪を求めるものとの
回答を得ました。しかしながら、その趣旨である関連企業の責任追及と謝罪の要求については、意見書案に記載がありません。また、このことについて修正を求めたにもかかわらず、修正がなされておりません。
私は、高度成長期を支え、日本経済の礎になった方々がアスベスト被害で苦しい思いをする現状は一刻も早く改善しなければならないと願っております。アスベスト関連事業で被害に遭われた全ての方々の一日も早い救済を望んでおります。いまだに救済されていない被害者へ被害者の方々への周知徹底や、処理の迅速化、裁判によらない
損害賠償の支給など、法整備を進めていただきたい思いは強く持っております。しかし、この意見書では、その具体的施策には触れていないばかりか、提案理由と意見書案の
整合性が全くとられておりません。
このような意見書を
春日市議会として本当に提出してよいのでしょうか。提出者には事前にその修正を求めたところ、修正が行われないまま意見書案を提出されています。そして、そのことについての一切の
説明もいまだ行われておりません。意見書とは、地方公共団体の公益に関して
議会の意思を意見としてまとめた文書のことであります。
議会が行う意思決定のうち、広く対外的に表明をすることが重要だと考えたものを議決する大変責任ある行為だと考えております。
今回の意見書案において、事実を明記せず、誤った印象を与えかねない、何に対してどう取り組むのか疑問が残ったままであり、理解をすることは到底できません。
以上、述べました理由から、私は本意見書案の提出に反対するものであります。
以上で
討論を終わります。
48:
◯議長(
松尾徳晴君) 7番、迫賢二議員。
49: ◯7番(迫 賢二君)〔登壇〕 7番、翔春会、迫賢二です。
建設従事者のアスベスト被害の早期救済と解決を求める意見書案について、
賛成の立場で
討論いたします。
建設現場は我が国最大のアスベスト被害の現場であり、既に1万人を超える被害が確認され、今後も2万人規模の被害発生さえ予測されています。建材企業は早くから石綿建材の危険性や被害発生を知っていたにもかかわらず、危険性を現場に知らせることなく、長期にわたって石綿建材の製造・販売を続けてきました。
国もまた、使用者に対しての労働者に防塵マスクを使用させる義務づけのおくれ、石綿建材の警告表示や建設現場における警告表示の義務づけを怠ったとして、原告は10回勝訴しています。
ひとり親方等に対する国の責任を認める判決も5回、建材製造企業の責任も五つの判決で原告の主張が認められています。
中皮腫や肺がん、石綿肺などのアスベスト関連疾患は極めて重篤かつ不可逆的に進行するため、2008年の首都圏訴訟の提訴時から10年余り経過しますが、全国12訴訟の被害者原告703人のうち、提訴時の死亡者が304人、提訴後の死亡者も198人に及びます。現在、生存している原告はわずか28%にすぎず、原告団、弁護士は国と被告企業に対し全面解決のため直ちに原告との協議に応じるように求めています。
被害者は、建設工事を通じ、長年、日本社会の屋台骨を支えてきた人たちです。命あるうちの解決を望む声は切実で、一日も早い全面解決を図り、被害者の権利を救済することは急務であることを述べて
賛成討論といたします。
50:
◯議長(
松尾徳晴君) ほかに
討論はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
51:
◯議長(
松尾徳晴君)
討論なしと認めます。
これをもって、
討論を終結いたします。
直ちに
採決に入ります。
第1号意見書案「建設従事者のアスベスト被害の早期救済と解決を求める意見書案について」、
原案のとおり可決することに御
賛成の方の
起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
52:
◯議長(
松尾徳晴君)
賛成多数であります。よって、第1号意見書案は
原案のとおり可決することに決定いたしました。
──── ─ ──── ─ ────
┌──────────┐
│日程第9 議員の派遣│
└──────────┘
53:
◯議長(
松尾徳晴君)
日程第9「議員の派遣について」を議題といたします。
お手元に配付いたしております議員の派遣についてのとおり、福岡県
市議会議長会議員研修会が
令和元年7月30日に開催されます。
お諮りいたします。
地方自治法第100条第13項及び
春日市議会会議規則第165条第1項の規定に基づき、議員の派遣についてのとおり議員を派遣することに御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
54:
◯議長(
松尾徳晴君) 御
異議なしと認めます。
よって、議員の派遣についてのとおり議員を派遣することに決定いたしました。
──── ─ ──── ─ ────
日程第10
議会閉会中における各
委員会の調査事件の付託
55:
◯議長(
松尾徳晴君)
日程第10「
議会閉会中における各
委員会の調査事件の付託について」を議題といたします。
各
委員長から、
地方自治法第109条第8項の規定に基づき、お手元に配付しておりますとおりに
議会閉会中における各
委員会の調査事件の付託の申し出があっております。
お諮りいたします。
各
委員会からの申し出のとおりに
議会閉会中の調査に付することに御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
56:
◯議長(
松尾徳晴君) 御
異議なしと認めます。
よって、
議会閉会中における各
委員会の調査事件につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりに付託することに決定いたしました。
以上をもちまして、今期
定例会の
日程を全て終了いたしました。
これにて、
令和元年第2回
春日市議会定例会を閉会いたします。お疲れさまでした。
──── ─ ──── ─ ────
閉会 午前10時49分