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平成30年第1回定例会(第4日) 本文 2018-03-14
平成30年第1回定例会(第4日) 名簿 2018-03-14

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  1. 春日市議会 2018-03-14
    平成30年第1回定例会(第4日) 本文 2018-03-14


    取得元: 春日市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-05
    1:                 開議 午前9時59分                ──── ─ ──── ─ ──── ◯議長(金堂清之君) 皆さん、おはようございます。  全員出席であります。ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、お手元に配付いたしております議事日程第4号のとおりであります。                ──── ─ ──── ─ ────  ┌─────────┐  │日程第1 一般質問│  └─────────┘ 2: ◯議長(金堂清之君) 日程第1、これより一般質問をお受けいたします。  今期は、お手元に配付いたしております一般質問通告一覧表のとおりに、13名の方から質問通告が提出されております。  通告順に質問をお受けいたします。  15番、中原智昭議員。  なお、中原議員は回数制にて質問をいたします。 3: ◯15番(中原智昭君)〔登壇〕 皆さん、おはようございます。15番、翔春会の中原智昭でございます。  私はさきに通告いたしましたとおり、教職員の学校現場における働き方改革について、回数制で質問させていただきます。  現在、国会では働き方改革の裁量労働制をめぐる厚生労働省の医療データ問題についての野党の追及が行われ、裁量労働制の対象拡大を関連法案から切り離すという政府の回答がありますが、もともとこの法案は、政府の説明では、誰もが活躍できる1億総活躍社会の実現を目指し、その最大のチャレンジとして働き方改革を位置づけていると説明しております。また、改革の三つの柱として、1、長時間労働の改善、2、非正規・正社員の格差是正、3、高齢者の就労促進を掲げ、取り組みを進めております。  働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに着手する改革で、安倍内閣では、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する改革を進めていくことで、人々のワーク・ライフ・バランスの実現、生産性の向上を目指し、企業文化や風土を変えようと考えております。  日本ではかつて、「企業戦士」「モーレツ社員」という言葉が流行したように、サラリーマンは企業のために全てを犠牲にし、労働することが美徳とされておりました。これまでの日本では、労働時間をふやして頑張れば頑張るほど、企業の業績が向上すると信じられ、長時間労働をすれば頑張っていると認められる文化がありましたが、働き方改革では長時間労働の是正をするためには、まずは労働生産性の向上が必要だと考えられております。また、安倍首相は「モーレツ社員という考え方自体が否定される日本にしていきたい」という発言もされております。  そのことは、現在の学校現場でも同じような価値観が引き継がれているのが現状ではないでしょうか。
     平成28年度の文部科学省の調査では、平日の1日の勤務時間の平均は、小学校11時間15分で中学校では11時間32分となっており、この数字は10年前と比べ、小学校では43分間の増、中学校で32分間の増となっております。  また、過労死労災認定の週60時間を超え働いている割合も、小学校では33.1%に対し、中学校では57.6%であり、全国の87.6%の中学校で、教員全員が部活動顧問を担当し、十分な手当がないまま安全管理の責任を負っているとの報告があります。そのことからもわかるように、部活動の活動日数が多いほど学内勤務の時間が長く、中学校の勤務時間を引き上げている要因の多くは部活動であることは明確とされております。  そのような実態の中、平成29年12月22日の中央教育審議会で、教員の働き方改革に関する中間のまとめとして大臣に提出しており、その中で教員の業務として、1、学校以外が担う業務、2、学校の業務だが、必ずしも教員が担う必要がないもの、3、教員の業務だが負担軽減が可能なものとして明確化され、中学校の部活動は2の「学校業務だが、必ずしも教員が担う必要がないもの」に分類されております。  その答申を受け、文部科学省は平成29年12月26日に、「学校における働き方に関する緊急対策」として公表される中で、中学校の部活動に触れ、29年度末までに部活動の適正な運営のための体制の整備や、適正な活動時間や休養日について、明確な基準の設定、各種団体主催大会のあり方の見直し等を含んだガイドラインを作成し、提示するとしております。  また、学校の教育方針を共有した上で、学校職員として部活動の実技指導を行う部活動指導員や外部人材を積極的に参画させるように促すことや、一部の保護者による部活動の過度な期待等の認識を変えるための、高校入試における部活動に対する評価のあり方の見直し等も検討するように促すと明記されております。  しかし、中学校の部活動の問題は今始まったことではなく、数十年前から中教審でも文科省でも議論されてきた問題であり、さまざまな意見のもと、一向に解決されていなかった課題でもあったのですが、今回の文科省の緊急対策では、中体連や高校等の入試制度まで踏み込むという異例のもので、政府としては必ずやり遂げるという強い意思を感じるものであると私は感じております。  そこで春日市の学校の状況に目を向けてみますと、小学校の勤務時間は、先ほどの文部科学省の調査同様、通常の勤務開始の午前8時20分から勤務終了の午後4時50分を大幅に超え、過労死労災認定の週60時間を超えて働いている教諭が数多く存在しているのではないでしょうか。  そこで、まず4点に対し質問させていただきます。  1点目、現在の各小中学校における教諭の一般的な学内勤務時間の現状をお知らせください。  2点目、学校における超過勤務の根本的な要因はどこにあるのでしょうか。小学校、中学校とでは勤務時間外に残る仕事や作業の内容も異なると思いますので、それぞれについてお聞きいたします。  3点目、私は中学校における教諭の超過勤務の要因は、部活動のあり方に問題があると感じております。現在の春日市の中学校の部活動における教諭のかかわる時間は、平日、土日も含め、どの程度の時間となり、部活動を指導する教諭の公的な立場としてはどのようになっているのでしょうか。  最後、4点目、本市において中学校部活動に外部指導者を導入している学校の事例と、どのような立場でどこまでの指導と責任をお任せしているのでしょうか。また、外部の方に指導していただく指導料をお支払いしてあるのであれば、その予算と、どこから支払ってあるのでしょうか。  以上、1回目で4点を質問いたしまして、1回目の質問をさせていただきます。よろしくお願いします。 4: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 5: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 中原議員から、教職員の学校現場における働き方改革についての御質問でございます。  教育委員会への御質問でございますので、教育長が回答いたします。 6: ◯議長(金堂清之君) 山本教育長。 7: ◯教育長(山本直俊君)〔登壇〕 中原議員から、教職員の学校現場における働き方改革について、4点の御質問でございます。  まず1点目の、各小中学校における教諭の学内勤務時間の現状についてのお尋ねにお答えいたします。  本市における教職員の平均的な学内勤務状況につきましては、勤務開始時刻8時20分までに当日の授業準備のための教材研究や資料の作成など、また中学校におきましては、朝の部活動練習への対応などが行われております。8時20分から1校時、いわゆる1時間目開始までは、職員室での校務打ち合わせ、担任教諭は教室でのホームルームなどを行った後、授業を開始します。授業の合間には提出物や宿題の点検を行い、午後の授業を終えた後には帰りのホームルームや生徒の相談対応を行い、16時50分が勤務終了時刻となります。  次に2点目の、教育現場における超過勤務の根本的要因はどこにあると考えているのかとのお尋ねにお答えいたします。  学校現場での超過勤務の要因でございますが、根本的要因の一つは、小中学校とも学習指導要領で定める標準授業時数の多さと、学校週5日制による登校日数が整合していないことであります。二つ目は、特に小学校において担任外教員が少ないことであります。三つ目は、中学校では部活動が教育課程外の教育活動として位置づけられていることであります。加えて四つ目は、今日的現象として保護者への対応がふえてきたことです。  次に3点目の、中学校教諭の部活動にかかわる時間と立場についてのお尋ねにお答えいたします。  中学校教諭が部活動にかかわる時間につきましては、平日は帰りのホームルームの後、4月から9月はおおむね18時30分まで、10月から3月はおおむね17時30分まで、また、始業時間前の朝の練習、土曜・日曜日は練習、対外試合等の対応を行っております。  なお、筑紫地区におきましては、平成23年度から週に1日以上の部活動の完全休養日を中学校長会で申し合わせております。  平成29年3月に告示された新しい中学校学習指導要領の総則では、生徒の自主的、自発的な参加による部活動の位置づけや意義については、教育課程外の学校教育活動と位置づけ、教育課程の関連が図れるように留意するものとされております。  次に4点目の、中学校部活動における外部指導者の導入事例と立場と責任分担及び指導料についてのお尋ねにお答えいたします。  部活動における外部指導者の導入事例につきましては、専門的な指導ができる教員がいない部活動を有する学校では、部活動の指導に当たる教職員の負担軽減や指導の充実を図るために、外部指導者に指導をいただいているところがあります。  今年度は23名の方に、テニスやバスケット、バレーボールなど運動部を中心に、10競技種目について指導いただいているところです。そのうち各中学校1名、計6名の方には、福岡県中・高等学校運動部活動活性化プロジェクト事業に基づく外部指導者派遣事業による指導者として、年間15日の指導に対し日額4,800円の報酬が支払われており、傷害保険については県教育委員会が加入手続を行っています。その他のボランティアとして指導いただいている外部指導者の方々の指導料は無償でございます。  なお、事故等の責任分担につきましては、事故の状況等により個別に判断させていただいております。 8: ◯議長(金堂清之君) 15番、中原智昭議員。 9: ◯15番(中原智昭君)〔起立〕 15番、翔春会の中原でございます。  それでは、再質問させていただきます。  今回の質問に当たり、小中学校の超過勤務の実態を私なりにも調べさせていただいたのですが、確かに民間企業でも現在、定時で仕事を終われる人は少ないと聞いておりますが、やはり公立学校でも、勤務開始の午前8時20分から勤務終了の午後4時50分までに終了できる教諭はほとんどいないみたいだと感じております。  春日市の教諭の平均的な勤務時間は、全体の約91%が18時まで残り、19時まで残っている教諭が約68%、20時近くまで残っている教諭は約45%で、残業の理由としましては、翌日以降の授業準備や提出物、成績の処理、そしてその他校務作業ということでございました。  また、これは部活動がない小学校の教諭の例で、中学校においては始業開始前の部活動の朝練習や、放課後、夏季と冬季では差がございますが、おおむね19時半までの部活動の指導が加わり、その後に翌日以降の授業準備や校務作業をしてありますので、帰宅できる時間が毎日21時や22時を超える教諭も多数おられるとのことでした。  また、一般の公務員や一般企業で働く皆さんには支給される時間外手当も、公立学校の教諭には支給されておりません。これは、1971年5月に制定された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」、いわゆる給特法の成立に伴い、一般企業の時間外手当に見合うものとして、教職調整額を基本給の4%とし、給料にあらかじめ上乗せするという形で支払われるため、時間外勤務を何時間やろうと、その対価としては支払われていないのが現状でございます。  また、当時の文部省の考え方は、教師は労働基準法の労働時間制が適用され、授業準備、テスト等の問題作成、採点、クラブ活動の指導、家庭訪問等は全て勤務時間の割り振りによって時間内に処理すべきで、校長は原則として残業はさせてはならないが、限定4項目に該当し、臨時または緊急にやむを得ない必要がある場合に限り、36協定なしに残業を命ずることができるとしています。しかしその場合も時間外手当を支給されず、教職調整額の4%に含まれるとしております。これにより、法制度上は現在でも残業なしイコール残業代なしと判断され、教職員の厳密な労働管理が不要となり、学校の出退勤管理は、押印や目視といった大ざっぱな方法により実施されている学校が今でも多数を占めております。  この問題を受け、文部科学省は昨年12月26日、「学校における働き方改革に関する緊急対策」を文部科学大臣決定文書として公表しております。その中で文科省は、勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制のために必要な措置として、勤務時間の管理については、学校管理職や教師に事務負担がかからないように、教育委員会等または自己申告方式ではなく、ICTの活用やタイムカードにより勤務時間を客観的に把握する集計システムを直ちに構築するように促すとあります。  しかし、これは教職員の勤務時間を把握したところで、時間外勤務は減りません。やはり教職員の時間外勤務にも上限を設けることと、給特法の見直しが必要だと感じておりますが、このことは春日市だけではどうにもならないことです。それでは、春日市としてこの問題を解決するため何ができるのでしょうか。  私が自分なりに考えた解決策の第一歩として、小学校では、教材研究や授業準備の同一学年や他学校との共有化による軽減や学校事務の共同実施、学校業務の外部委託、夏休み等の長期休暇中における教職員の勤務体制の改善と学校閉庁日の設定など、市教育委員会で取り決めることが多数あると感じております。  また中学校においては、小学校での問題に加えて、部活動指導での教職員の負担が大きく、部活動指導体制の改革を行うことしかないと考えております。先ほど教育長が言われましたとおり、中学校の部活動における役割と効果が、個々の生徒の成長や生活規律の確立を促すものとして教育的価値が多大にあることも理解できるのですが、やはりその分野を、一部の外部指導者の配置はありますが、多くの多忙な教職員に任せていいのかということを疑問に感じております。毎日疲れた先生方が指導することで、注意力散漫になり、事故等も他県では報告されております。そのような事故をなくすためにも、当市でも真剣に部活動の体制整備やあり方について考えていくべきではないでしょうか。  そこで、3点について再質問いたします。  1点目。まず、先ほどの教育長の学校現場での超過勤務の要因の御回答の中で、小中学校ともに、標準時間数の多さと学校週5日制による登校日数が整合していないということや、小学校においては担任外教員が少ないことを要因としてありましたが、昨今の学習指導要領改訂に伴い、授業時数がふえ、平日の授業こま数が増加したということは理解できるのですが、それがどういうつながりで教員の超過勤務の要因につながっているのでしょうか。  また、小学校においての担任外教員の不足によることについてもですが、私の中では、その要因と超過勤務の要因がつながっていきませんので、もう一度そのからくりといいますか、要因を御説明いただけませんでしょうか。  次に、中学校部活動による要因ですが、今や「ブラック部活」という言葉が蔓延しているとおり、平日の活動時間も長く、土日には大会や試合が組まれ、生徒も部活指導の先生方も疲れてあるように思えます。公立中学校における部活動の教育的意味は、先ほども申しましたとおり理解できるのですが、正直、「中学校でそこまでしなきゃいけないの」という疑問の声も聞こえております。  このような現状の中、現在では中学校の運動場や正門には、たくさんのスポーツや部活で活躍した子どもたちの成績が張り出されております。大会等で好成績を残した生徒を褒めるということは本当に大切なことだと思いますが、別の角度から見ると、スポーツや文化の部活動を高校のように競わせているようにも見えるのではないかと懸念しております。生徒を学校として褒める行為は大切なことでありますが、余り過度になるのもどうかと感じております。  私自身は、本来、中学校の部活は、スポーツや文化に対して興味を持ち、人間性の向上に役立てていくことこそ意味があるものと感じております。確かに、先月まで行われておりました東京オリンピックの選手は、ほとんどの選手が幼少の時期からそのスポーツに特化し、競技スポーツとして苦しい練習に耐え、メダルを手にしているアスリートがたくさんいることも事実でございます。スポーツには世界的アスリートを目指すという部分も確かにあるのですが、それは中学校の部活動に必要なことなのでしょうか、疑問に感じております。  それを補うためではないとは思いますが、現在、福岡県でもタレントスカウトキャラバンと称し、小中学生をセレクションし、その子の適性に応じたスポーツをさせ、世界的アスリートに育てる事業を行っております。このように単一競技に特化したプログラムは、国でも県でも多様にあり、子どもたちや保護者はスポーツを選択できるようにもなっております。  そこで、このような現状の中、教育委員会について、去年9月に出されました春日市部活動方針の中で、「部活動は各種技能等の向上のみならず、生きる力の育成や、豊かな学校生活の実現に意義を見出すもの」と明記されておりますが、現在の春日市中学校の部活動の現状を見てみますと、どうも教育委員会が提唱する考え方以外のものが多いように感じるのですが、中学校の部活の現状をどのようにお考えでしょうか。  次に、やはり中学校においての部活による教員の過度な負担は、全国的に見ても否めません。本日の新聞にも出ていましたが、昨年末の文部科学省がスポーツ庁に依頼した「中学校部活動に関するガイドライン」を検討する有識者会議では、中学校部活動では、部活動指導教諭の負担軽減と、運動を週16時間以上するとけがのリスクが高まるというスポーツ医学会の提言を踏まえ、休養日を週2日以上とし、1日の活動時間を平日2時間、休日3時間までとし、短時間で効果が得られる活動内容とするという指針案が了承されております。そして、これは3月中に指針を公表し、全国の自治体に通知するという報道もされております。  文部科学省の「学校における働き方に関する緊急対策」では、学校職員としての部活動指導員のほかに、外部指導員の積極的な参加として、国の30年度予算に5億円、4,500人を計上し、福岡県としては休日の部活動指導や大会引率を担う部活指導員を配置して、5,496万円を来年度予算に計上しております。  そして3月5日の新聞報道によりますと、名古屋市の教育委員会では、小学校における──これは部活動のことでございますが──教員の多忙化を解消するため、2020年度末までに廃止し、教員がかかわらない形でスポーツや文化の活動の機会を確保するとともに、地域や民間の活力導入なども含め、幅広く検討していくということを明言されております。  このように、今たくさんの自治体で部活動のあり方が検討されており、教職員の多忙化の解消に向け、国・県の部活動改革の流れは、大筋では外部指導員による地域力の導入による教職員の職務軽減に向かっているのは、明白ではあると思います。  そこで春日市においても、将来は部活動を学校から一部切り外し、中学校部活動に希望する職員を含めた民間力や地域の人材を派遣する組織をつくり、資格を有した外部指導員の養成と教育、派遣を担わせるように考えていくことが重要だと考えますが、どのようにお考えでしょうか。現在の施策と将来のその指導体制の構築の可能性についてお聞きいたします。  以上3点をお聞きしまして、再質問といたします。 10: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 11: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 中原議員から3点についての再質問でございます。  まず1点目の学校現場における超過勤務について、2項目の要因のお尋ねにお答えいたします。  まず、小中学校ともに、標準授業時数の多さと学校週5日制による登校日数が整合していないことが超過勤務の要因となっていることについてお答えをいたします。  1990年代までの教育問題は詰め込み教育で、子どもたちの知識偏重が指摘されていました。生活体験や社会体験、自然体験が不足しており、家庭や地域で多様な体験をすることで、みずからの学び、みずから考える力を養い、生きる力を育むという理念のもと、子どもたちを土曜日は地域に返そうということで、平成4年から月1回の土曜日を、平成7年から月2回の土曜日を休業日に、そして平成14年から完全週5日制実施となりました。  平成4年に月1回の土曜休業が導入された際の教育課程と、完全週5日制がスタートした平成14年の改訂教育課程との年間総授業時数を比較いたしますと、小学校6年生は1,015時間から945時間に、中学3年生は年間総授業時数1,050時間から980時間に削減されています。ところが2000年代に入り、子どもたちの学力低下が問題となり、授業時数と学習内容の削減が批判され、基礎的な知識、技能の習得だけでなく、それらを活用する力の育成が重視され、学習内容が大幅にふえています。要するに今の教育課程は、学力を維持するために多くの授業内容を窮屈な授業時数の中でこなしている状態と言えます。  小学校では平成32年度完全実施の新教育課程になりますと、外国語活動の強化等も加わり、6時間授業は週2日から週3日に、中学校では平成33年度から6時間授業は週3日から週4日となり、当然、児童生徒の下校時間は遅くなります。その結果、勤務時間内では教育相談、学校行事の準備、学習指導準備など、教育活動への対応のための時間などはとりにくく、時間のやりくりが大変厳しくなるというのが要因の一つであります。  次に、小学校において担任外教員等が少ないことが超過勤務の要因になっていることについてお答えいたします。  これからの学校が複雑化、多様化した課題を解決していくためには、チームとしての学校をつくり上げていくことが大切であります。そのためには、担任を持つ教員に加えて、指導方法工夫改善教員や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、多様な専門性を持つ職員の配置を進めるとともに、担任を持つ教員と担任外の教員等が一つのチームとして、それぞれの専門性を生かして連携、分担することで、教員はより教育指導や生徒指導に力を注ぐことができるようになります。  現在、本市では、教師業務負担の軽減のためのアシスタントとして、不登校専任教員、6年生以下学級編制のための少人数学級編制対応講師、特別に支援を要する子どもの指導等のためのサポートティーチャーなどの配置に努めてきたところです。  また担任外の教員ではありませんが、学校事務職員は、学校だより等の自治会配付や地域行事への生徒ボランティアの集約など地域連携の取り組み、それから校納金徴収事務など、教員との連携、支援が図られております。このように担任外の教員等が配置されることにより、超過勤務が軽減されるものであります。  次に2点目の、本市の中学校の部活動の現状についてのお尋ねにお答えいたします。  本市における部活動開設数は、学校の規模にもよりますが、体育部の開設平均数は15部、文化部の開設平均数は4部で、体育部に比べて文化部が開設数が少ない傾向にあります。なお、体育部においては3校のサッカー部、1校の野球部が男女混合で活動しています。平成28年度、本市内中学校の部活動加入率は平均82.6%で、27年度より1.2%の伸びを示しています。  部活動顧問の専門性については、平成27年度より11.7%高い41.9%となっています。部活動顧問1人が担当する部員数は1人ふえて、16.3人となっています。中には、1人で37人もの部員を指導している顧問もいます。  いずれにしましても部活動は、生徒が興味関心を持つ活動に自主的に参加し、その中で喜びや楽しさを味わったり、生涯学習の礎となる資質や能力を養ったり、異年齢集団における人間関係づくりを学んだりしながら、あわせて、特に社会生活で求められる自主性、協調性、責任感、連帯感、達成感等を経験する場であると考えています。  本市の部活動指導の方針については、中体連新人大会等終了後、平成29年12月上旬に、各学校において校長から教職員への周知を行いました。その結果、月別の部活動練習表の作成を通して、土日両日にわたった練習の見直しが図られた学校も出ています。しかし、練習方法、練習指導法の見直しまで至っていない面もあるようですので、今後とも文部科学省や県の動向を踏まえながら、部活動練習時間の短縮や、土日の完全休養日の確保など、春日市部活動指導の方針の見直しと周知徹底を図りたいと考えています。  最後に、将来的には部活動を学校から切り離し、希望する教員を含む民間力や地域人材を派遣する組織づくり、その組織から資格を有した外部指導員の養成、教育、派遣を担わせるように考えていくことが重要だと考えるが、本市の現状の施策と指導体制の構築についてのお尋ねにお答えいたします。  我が国における中学校部活動は、学習指導要領で教育課程外の教育活動と位置づけられておりますので、部活動指導はおのずと教員が中心となって担うものといった考え方が、永年にわたり成立してきました。しかしながら、この考えも変えていかなければならない時期に来たものと認識をしております。  先ほど教育長が回答いたしましたが、各中学校に1名ずつの福岡県の中・高等学校運動部活動活性化プロジェクト事業に基づく外部指導者が配置されているところではありますが、平成30年度中に、文部科学省の進める部活動指導員配置促進事業に基づき、部活動指導員の配置に移行する予定であります。  現在配置しております外部指導者と部活指導員の違いでありますが、任用形態がボランティアと特別職の非常勤職員という違いがあること、また、部活動指導員は単独での指導、引率が認められることなどがあります。この部活動指導員の配置促進により、持続可能な部活動の運営体制を構築するとともに、教員の負担軽減により、教員が部活動以外の教育活動に従事する時間を充実し、学校の教育力の向上を図るものであります。  部活動の教育課程外の位置づけ、活用人材、それに伴う予算等、さまざまな課題を抱えており、今後は国・県・市町村一体となって検討していく必要があると考えております。  以上でございます。 12: ◯議長(金堂清之君) 15番、中原智昭議員。 13: ◯15番(中原智昭君)〔起立〕 15番、翔春会の中原智昭でございます。  このように教職員の学校現場における働き方改革では、中学校の部活動の問題や、1971年に制定された給特法の改正等が、今までたくさんの問題点がある中で改正されてこられなかったところを見ると、今回の政府の改革が今後どのように反映していくのかということも、本当に教員の働き方改革まで行き着くのかということに疑問は残りますが、少なくとも文部科学省は今まで踏み込んでこなかった対策まで、今回に関しては明記しております。  中学校における部活動の外部指導員の参画や、日本中学校体育連盟、いわゆる中体連主催の大会に、複数の学校の合同チームや地域スポーツクラブ等の参加が可能になるよう、規定の改正を要請し、また先ほども申しましたが、一部の保護者による部活動の過度な期待等の認識を変えるため、高校入試における部活動の評価のあり方の見直し等の取り組みも要請しております。ここまで踏み込んだ緊急対策を文部科学大臣決定文書として発表された経緯には、小中学校の教職員の疲弊した就労環境の改善を本気で考えているとしか思えません。  また、平成29年12月22日の中教審の委員会では、将来的には地方公共団体や教育委員会において、学校や地域住民と意識共有を図りつつ、地域で部活動にかわり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取り組みを進め、環境が整った上で、部活動を学校単位の取り組みから地域単位の取り組みにし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきであるとも答申しております。  現在の春日市でも、教員の業務軽減を実行するため、教育部長が申されましたように、チームとしての学校として、今回の予算審査特別委員会でも説明ありましたが、学校事務の共同化や不登校専任教員の配置による担任の負担軽減など、たくさんのことを取り組んでこられておりますが、これらの施策では、教員の勤務時間をこれ以上ふやさないということはできるのでありましょうが、根本的に勤務時間を軽減するまでには至っていないように思います。やはり、もう小中学校の先生方には限界が来ているんじゃないでしょうか。勤務時間を少しでも減らすことこそ、コミュニティ・スクールの先進地として、当市が先頭に立って取り組むべき問題ではないかと考えております。  現在、全国でもたくさんの自治体がコミュニティ・スクールという名のもとに、学校・地域・保護者が一体となって取り組んでおられますが、はっきり言いまして、春日市のように他市には地域力が不足しているため、名前だけのコミュニティ・スクールが存在しているのが現状ではないかと感じております。しかし、春日市のコミュニティ・スクールには、他市と異なる地域力や保護者の底力というのが、まだまだたくさんございます。  中学校部活動改革を含めた教職員の働き方改革を成功させるためには、学校の意識を改革するだけでは成功いたしません。地域や保護者の力と協働することが成功の鍵となるのではないでしょうか。全国のコミュニティ・スクールの先進地、そして発信地として、春日市がこの問題に正面から取り組み、全国に成功例を発信することが我が市の使命だとも感じております。これは本当に大変な改革だと思いますが、これまで全国のコミュニティ・スクールを牽引してこられた山本教育長と井上市長でないと、なし遂げることができない仕事だとも考えております。  どうか子どもたちと先生方の苦労をわかっていただき、もう少し時間軽減をなし遂げるためにも、改革を実現していただけますように強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。市長、教育長、本当に期待しておりますので、どうぞよろしくお願いします。終わります。 14: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。  なお、前田議員は時間制にて質問いたします。 15: ◯20番(前田俊雄君)〔登壇〕 おはようございます。20番、公明党の前田俊雄でございます。  さきに通告しております、本市における今後の社会教育行政について、時間制で市長及び教育長に質問させていただきます。  昨年12月1日の全員協議会におきまして、平成30年度組織再編についての説明をお受けいたしました。その中で注目しておりますことの一つが、社会教育課がなくなり、地域教育課が新設されることです。  本市では、かつて社会教育部がありました。それが教育部に統合され社会教育課に、平成30年度は社会教育課がなくなり社会教育・読書推進担当になることに対して、本市における今後の社会教育行政の行方を心配しているところでございます。そこで、まず2点についてお尋ねいたします。  1点目、社会教育課を廃止し、地域教育課を新設することに至った庁内議論の経過と内容についてお尋ねします。  2点目、「地域教育」をどのように定義されているのでしょうか。  それでは明快な答弁を期待して、1回目の質問を終わります。 16: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 17: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 前田議員から、本市における社会教育行政についての御質問でございます。  まず、社会教育課を廃止し、地域教育課を新設することに至った庁内議論の経過と内容についてのお尋ねにお答えいたします。  議員御案内のとおり、平成30年度の組織再編においては、社会教育課を統廃合し、地域教育課を新設することとしております。それらに関連した主な目的及び背景は、次の2点でございます。まずはコミュニティ・スクールのさらなる推進、次に、市民図書館への指定管理者制度導入でございます。
     1点目のコミュニティ・スクールのさらなる推進につきましては、学校教育と社会教育の横断的かつ総合的な推進のために、組織再編を行ったものです。具体的には、教務課で担当しているコミュニティ・スクール事業と、社会教育課で担当している子どもに関連する社会教育事業を一つの所管で実施することによる相乗効果を狙ったもので、新設するこども共育担当において実施し、協働のまちづくりにつながるコミュニティ・スクールのさらなる推進を図るものでございます。  2点目の市民図書館への指定管理者制度導入でございますが、平成30年4月から市民図書館は指定管理者が事業を運営することになっておりますので、市として読書の推進を図るため、現在の図書館担当と社会教育担当を、新設する社会教育・読書推進担当に統合するものでございます。  以上の2担当を、新設する地域教育課に設置するものであります。  なお、「地域教育」をどのように定義しているのかとのお尋ねにつきましては、教育長が回答いたします。 18: ◯議長(金堂清之君) 山本教育長。 19: ◯教育長(山本直俊君)〔登壇〕 次に、「地域教育」をどのように定義しているのかとのお尋ねにお答えいたします。  春日市における地域教育とは、子どもから大人まで豊かな人間性が育まれる協働のまちづくりを目指して、地域の教育力、家庭の教育力や、市民の学ぶ力の向上を図るものと考えております。  なお、このことは、先ほど市長からも回答がありましたように、コミュニティ・スクールの視点からは、学校・家庭・地域の三者でともに子どもたちを育てる共育の推進にも確実につながっていくものと捉えております。 20: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 21: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。御答弁ありがとうございました。  まず再質問に入ります前にですね、どうも1回目の質問が簡単過ぎたもんですから、なかなか意図する答弁もいただけなかったところもありますので、再度、今回の質問の背景とですね、動機を、再質問に入ります前に、ちょっと補足をさせていただきます。  まず言っておきますけど、平成30年度の組織再編に私は反対するつもりはございません。ですが、いろいろお尋ねして疑問点もあったもんですからお尋ねするわけですけども、中央教育審議会等のですね、答申をいろいろ読んでみますとですね、今後ますます社会教育行政が必要になってくるということを、いろんな形の中でうたわれているわけですね。  そうした中でですね、春日市において社会教育課が廃止されると、地域教育課が新設されると聞いてですね、なぜとの素朴な疑問があったわけです。中教審ではそういったような議論をしながらですね、国においてもですね、今、組織の再編が考えられておりましてですね、まあ詳細は割愛しますけど、国においてもですね、社会教育課が廃止され、地域学習推進課が新設されるようになっております。  本市関係者にですね、「本市の今回の組織再編は、国のこうした動向を察してのことか」というふうにお尋ねしましたらですね、「いやいや、国の動向は全く知らなかった」というお答えが来たもんですから、春日市はすごい議論を行っているんだなと、国に先駆けて高い次元での議論があっているんだなと思いましてですね、ぜひ、じゃ、その議論の過程、内容を聞きたいと思って、まず1点目でお聞きしたことでございます。  2点目の定義なんですけど、私は、かつても申し上げたかもわかりませんけど、言葉には意味がありますし、用語には定義があります。これをお互い共有しないと意思の疎通も図れませんし、議論もできないなと思っております。  でですね、「社会教育」という言葉はですね、私たちもよく使いなれているわけですけどですね、これは明治時代からあったわけなんですね。で、制度として確立されましたのが昭和24年6月の社会教育法の制定からですね。しかし過去においてですね、「社会教育」という言葉がですね、人によってさまざまなですね、解釈がされてきたという経緯があります。  じゃ、具体的にどういう解釈かといいますとですね、まずですね、「社会教育」とは社会が行う教育ということ、こういう解釈。社会に対して行う教育。3つ目が、社会について行う教育、社会のために行う教育、社会という場で行われる教育、まあ、大きくはいろんなことがあったんでしょうけど、五つぐらいに整理されている文献もございました。まあ現在ではですね、「社会教育」とはですね、家庭という場、学校という場以外の、社会という場で広く行われる教育の全てを社会教育……。 22: ◯議長(金堂清之君) ここで暫時休憩いたします。  なお、再開は午前11時5分と予定いたしております。                ──── ─ ──── ─ ────                 休憩 午前10時58分                 再開 午前11時05分                ──── ─ ──── ─ ──── 23: ◯議長(金堂清之君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  20番、前田俊雄議員。 24: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 教育の関係者の間では、「社会教育」とは、家庭という場、学校という場以外の、社会という場で広く行われる教育の全てというふうに共通理解されております。このことはですね、平成18年度改正の教育基本法第12条及び昭和46年社会教育審議会答申を読むとですね、明確に記載されてもおります。こうした歴史的な事情を踏まえてですね、新しい言葉である「地域教育」の定義をお尋ねしたわけでございます。まあ、質問の趣旨は御理解いただけたと思います。  再質問の前にですね、もう一点、ちょっとお時間とりますけども、私の社会教育についての理解が誤っていないかどうかもですね、確認しておきたいと思います。私の社会教育についての理解はですね、繰り返しになりますけど、社会教育とは、家庭という場、学校という場以外の、社会という場で広く行われる教育の全てであると定義されている、これは一点ですね。で、社会教育は教育行政だけと思われる方もいらっしゃるかわかりませんけど、社会教育はですね、行政の専管事項ではないということです。  社会教育の振興はですね、これまで二段構えで行われてきております。第1に民間で行う社会教育と、二つ目、第2段目が役所が行う社会教育行政です。この二本立てでこれまで進められてきております。まあ、民間が行う社会教育の具体例はですね、社会教育団体の活動を見ればわかると思います。どんな団体があるかといいますと、文化団体であったり、スポーツ団体、婦人会、子ども会育成会等、まあ、身近でたくさんあろうかと思いますけども、こういった団体の教育活動であり、多岐にわたっております。  社会教育行政の役割は、一つに社会教育団体を奨励、援助すること、もう一つは行政が主体となって社会教育を行うことである。また、社会教育法という法律があるわけですけど、社会教育法はこうした社会教育行政のあり方を規定しているものである。これが私のざっとした理解でございますけど、これから議論に入ります前にですね、私の社会教育についての理解にまず誤りがないかどうかを確認しておきたいと思います。お願いします。 25: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 26: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 議員が述べられました社会教育についての理解に誤りがないかとのお尋ねにお答えいたします。  社会教育には、地域の社会教育団体などが行います組織的な教育活動と、これを奨励、支援し、社会教育の活動が円滑に実施されるよう環境の醸成を図ることを役割とします社会教育行政があると理解しておりますので、議員のお考えに相違するものではございません。  また、平成18年教育基本法の改正並びに平成20年の社会教育法の改正により、社会教育の役割として学校支援も期待されていることも認識しているところでございます。  以上でございます。 27: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 28: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  補足もしていただきまして、ありがとうございました。確かに社会教育行政の役割の一つにですね、学校支援も入ってきたということはですね、最近では注目すべきことだろうと思っております。済みません、前置きが長くなりましたけども、私の社会教育についての理解に誤りはないということでございますので、これから再質問に入らせていただきます。  1回目の1点目に対する答弁ではですね、私はてっきり、施政方針3-2「社会教育の推進」の項が復唱されるのかなと思って想定していたんでございますけども、1回目の答弁の内容にですね、反論するところはございません。ですが今回、組織再編するに当たって、庁内議論の中で「社会教育とは」とか、原点に立ち返りですね、「社会教育行政の役割は何か」との確認及び、これまでの本市社会教育行政の課題等は整理された上でのことかどうかをお尋ねします。 29: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 30: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 庁内議論を通じて、社会教育行政の役割の確認、それから、本市が歩んできた社会教育行政の課題等は整理されたのかとのお尋ねにお答えいたします。  組織再編に当たりまして、社会教育行政の役割を確認し、現状の課題を把握した上で、今後の方向性を、家庭や地域の教育力を高めるための学びの支援を通じて、子どもも大人も豊かな人間性を育むことができるよう、ともに育つ「共育」基盤の形成として、施政方針において具体的な取り組みもあわせて示しております。その上で、社会教育行政に期待されている学校支援も踏まえ、学校教育と社会教育の横断的、総合的な推進を図ることを目的に、地域教育課を新設したところでございます。  以上でございます。 31: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 32: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  るる目的等も含め御答弁いただいたところでございますけれども、ただですね、先ほど答弁をお聞き──確かに目的なり、やろうとされていることは理解できましたけども、答弁をお聞きしてですね、「社会教育課」のこの冠ですね、を外しててですね、「地域教育課」というふうに名前を変えられた理由が、ひとつ私もちょっとまだ理由がわからないんですけども、その理由は何かお聞かせください。  あわせてですね、じゃ、今やろうとされていることをですね、「社会教育課」という看板といいますか、冠のままではできないのかどうか、これも含めて御答弁をお願いします。 33: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 34: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 名称を「地域教育課」とした理由と、「社会教育課」のままでは目的を達成できないのかとのお尋ねにお答えいたします。  名称を「地域教育課」としたのは、地域を市内日常生活の場、また小学校区内、地区などのエリアと捉えて、その地域で子どもも大人も豊かな人間性を育むことができる、教育基盤の形成を図る役割を担う部署を明確にするためでございます。  「社会教育課」のままで目的が達成されないものではございませんが、「地域教育課」と冠することで、さまざまな事業がより地域に根づいたものであること、あわせて、地域にある学校を核とした、子どもをともに育てるコミュニティ・スクールの推進も担うことで、市民の皆様にも御理解いただけるのではないかと期待しているところでございます。  以上でございます。 35: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 36: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 わかりました。20番、前田でございます。  まあ、「地域」とか「社会」という言葉があるんですけど、「広辞苑」を引いてみますとですね、「社会」とは、「世の中」とか「世間」ともありましてですね、広い領域なんですね。「地域」とは、「区切られた土地」とか「土地の区域」とあり、「社会」と比べて「地域」はちょっと狭い領域になるわけです。  先ほどの答弁をお聞きしておりましたらですね、議論の過程で、漠然とした広い領域の「社会」とするよりも、市民に身近な市域内のさまざまな「地域」としたほうが、市民の理解、また市民の参加が得やすいし、それを所管する課だから「地域教育課」としたと、私は答弁を聞いていて自分自身の中で整理したんですけど、この理解でよろしいですか。 37: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 38: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 漠然とした「社会」という名前より、「地域」、より身近な市域内のさまざまな地域としたほうが、市民の理解、参加が得やすい、そのための「地域教育課」というふうな理解でよろしいかという御質問にお答えいたします。  議員のお考えのとおりでございます。「地域教育課」としたことで、地域に根づいた取り組みを、市民の皆様により身近に感じていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。 39: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 40: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  そのように理解させていただきます。  それからですね、もう一点ですけどね、私は春日市が誇るコミュニティ・スクール、私はこのコミュニティ・スクールはですね、私自身ずっと、学校教育の側面と社会教育の側面の両方をあわせ持つというふうに思ってきました。  議論の過程でですね、「コミュニティ・スクールは学校教育と社会教育の二つの側面があるから、コミュニティ・スクールを所管する課の名称はどちらにも偏らないほうがいい」というような意見集約はなされたのではなかろうかと思っておりますけども、「地域教育課」という名称にしたのはですね、どちらにも偏らないというほうがいいんじゃないかとか、こういったような議論というのはなかったんでしょうか。 41: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 42: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 議論を通じて、コミュニティ・スクールを所管する課の名前の名称といたしまして、偏らない名称がいいのかというふうなことで、「地域教育課」という名称ではないのかという議論はなかったのかとのお尋ねにお答えいたします。  本市のコミュニティ・スクールは、議員も言われました、学校を核とした、学校を核として展開する事業でありますが、学校・家庭・地域の三者で子どもをともに育てる取り組みであり、地域の教育力、それから家庭の教育力の向上が不可欠なものであります。このことから、学校教育と社会教育の横断的・総合的な推進を図る所管として、「地域教育課」という名称にするに至ったところでございます。  以上でございます。 43: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 44: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  ですね。しかし今の答弁を聞いとってですね、学校教育と社会教育の横断的・総合的な推進と、すごい議論をされたんだなと思います。いろんな、さまざまな中教審等の答申でですね、いろんなことの議論があっているわけですけど、まさに学校教育と社会教育のですね、横断的というような言葉がですね、文言が、あちらこちらでですね、先ほど言ったような答申等でも見受けられます。大体、どういった議論があったかにつきましては大体理解できました。  さて、次にですね、「地域教育」の定義についででございますけど、1回目の答弁をお聞きしていましたらですね、まあ、定義というよりも、理念、目的に聞こえるわけですね。私自身が心配していますのはね、市民の中にはですね、「地域教育」と、この言葉を聞いてですね、「地域を教育する」と解釈する人がいるかもしれないということなんです。事実、まだ一人ですけど、一人からそういう言葉を聞いております。  私は「地域教育」と聞いてですね、「地域の場における教育」というふうに、昨年12月1日には受けとめているんですけども、そういう受けとめ方でよろしいですかね。 45: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 46: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 「地域教育」は、「地域の場における教育」と受けとめているが、いかがかというお尋ねにお答えいたします。  地域における教育を通して、地域の教育力、家庭の教育力、それから市民の学ぶ力の向上を図るものと考えておりますので、議員の御理解のとおりでございます。  以上でございます。 47: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 48: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  そうですね、私の受けとめ方は間違っていなかったようです。  先ほどからですね、ずっとこう、それの続きになりますけど、途中での答弁でですね、名称を「地域教育課」としたのは、「地域を、市内、日常生活の場、小中学校区、地区などのエリアと捉え」という答弁があったんですけども、先ほど「地域の場における教育」と、今答弁にあったことをですね、整理していきますとですね、私自身の中では、「地域教育」とは「市域内のさまざまな地域の場における教育」と整理ができるのかなと思っているんですけど、私のこの整理というのは差し支えないですかね。 49: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 50: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 議員が言われた、「地域教育とは、市域内のさまざまな地域の場における教育と整理しているが、いかがか」とのお尋ねにお答えいたします。  私ども教育委員会といたしましても、「地域教育」は「市域内のさまざまな地域の場における教育」と捉えておりますし、議員のお考えと目指す方向性は同じくするものと考えております。  以上でございます。 51: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 52: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  先ほどからの議論を通して、私自身の気持ちの中で大分整理がつきましたので、すっきりもしておりますけども、先ほど「社会教育行政の役割」というところの中でですね、一つに「社会教育団体の奨励、支援」というのがありますけれども、こういった社会教育団体の奨励、支援は、これまでどおり行っていかれるんですよね。 53: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 54: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 社会教育関係団体の奨励、支援は従来どおり行うのかとのお尋ねにお答えいたします。  従来どおり、条例、規則等に定める範囲内で、奨励、支援を地域教育課で行ってまいります。  以上でございます。 55: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 56: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  それに加えて重ねて申し上げますけれども、社会教育法第5条ですね、これの見出しは「市町村教育委員会の事務」においてですね、具体的な事務が規定されております。たくさんの社会教育の事務があるわけですけど、たくさんあるこれらの事務は、平成30年度から地域教育課が全て担っていかれるんでしょうか。 57: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 58: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 社会教育法にある市町村教育委員会の事務でございますが、地域教育課が今後担うのかとのお尋ねにお答えいたします。  地域教育課が担います事務は、現在社会教育課が所掌する事務全てを引き継ぐことになります。加えて、学校を核としたコミュニティ・スクールの推進事業も行うこととなります。  以上でございます。 59: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。
    60: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  きょうの議論を通してですね、私なりに、社会教育課が廃止され、地域教育課が新設されることに対して、大分整理がついてきました。まあ、昨年9月にはこの議場でですね、放課後子ども教室について、12月には地域学校協働活動について議論させていただいたんでしょうけども、これらもさらに推進されるものと期待しております。  最後に1点、市長、お尋ねしますけど、組織再編後はですね、後年度においてですね、「平成30年度に組織再編してよかった」と、「さすが、かすが」と言われるような組織運営をしていただきたいんですけど、もしよろしければ市長の御決意を聞かせていただきたいと思います。 61: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 62: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 今回の地域教育課の新設は、春日市教育大綱を踏まえ、子どもたちの健やかで個性豊かな育ちを支え、生きる力と市民性を育成するさまざまな取り組みをさらに充実させるため、学校を核として展開するコミュニティ・スクールと、市民の生涯の学びを支える社会教育が連携して、本市が目指す、子どもたちも大人も豊かな人間性を育むことができる、ともに育てる「共育」基盤の形成を発展、さらに協働のまちづくりにつなぐことを目的として行いました。  学校を核としたコミュニティ・スクール事業と社会教育事業は、それぞれが独自に進化し、また、市民の皆様のありがたい御支援とで発展した経緯がございます。このため、学社双方の取り組みを地域教育課が所掌することにより、連携、協力していくことはもちろんのこと、それぞれの事業のよさ、関係者の方々の思いを大切にし、時間をかけながら鋭意取り組んでいく所存でございます。 63: ◯議長(金堂清之君) 20番、前田俊雄議員。 64: ◯20番(前田俊雄君)〔起立〕 20番、前田でございます。  市長、「どんと任せとけ」という姿勢でようございますね。期待しております。  最後つけ加えますけど、再質問の冒頭ですね、文部科学省の組織再編を紹介したわけですけども、文科省のウエブサイトをですね、見ていましたらですね、組織再編についてのポイントということでですね、いろいろ記述がされておりましてね、その中に幾つかあった中のポイントの一つにですね、「学校教育と社会教育の縦割りを克服し、より横断的、総合的なビジョンに基づく教育行政を戦略的に展開する」と、国はこのように表明しております。  先ほど来からもですね、教育委員会の答弁を聞いていましたら、まさに学校教育と社会教育の縦割りをですね、もう克服してやっていくんだというですね、本当に気迫をですね、感じております。まあ、かなり有意義な、ある一面、高い議論があったんだなと思ってですね、きょうは私はもう本当に敬服しております。  まあ、そういったことも含めてですね、私自身もきょうは、「社会教育課」を「地域教育課」に冠を変えたことも大体理解できましたので、市長も「どんと来い」という御決意もいただきましたので、今後の展開をですね、しかし、きょうあすの成果は求めませんから、まあ、これはですね、「社会教育」そのものが長い歴史でやってきているわけですから、これを「地域教育」にしたからといってですね、急にころっと変わるもんじゃありません。やはり時間をかけて、一歩、一歩、一歩と積み上げていってですね、先ほど言ったような「平成30年度に組織再編してよかった」と言われるようにですね、なるように期待して、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 65: ◯議長(金堂清之君) 5番、松尾徳晴議員。  なお、松尾議員は回数制にて質問いたします。 66: ◯5番(松尾徳晴君)〔登壇〕 5番、春風会の松尾徳晴です。  私はさきに通告いたしましたよう、回数制にて、空き家に対する春日市の施策について質問いたします。  空き家については、平成25年9月と27年の9月議会でも一般質問をしています。  私が初めに言っておきたいことは、空き家になっていることが問題ではなく、管理が不十分になることが問題だと思っております。空き家に対しては原則として個人の問題でありますが、公共が問題を放置することで安全性やまちづくりに支障が出る場合等については、公共の関与は必要だと考えます。  全国的に適切な管理が行われていない空き家の増加によって、さまざまな問題が発生しております。空き家のもたらす問題として言い尽くされた内容ですが、治安の低下や犯罪の発生、安全性の低下、雑草の繁茂や不法投棄の誘発による公衆衛生の低下、景観の悪化や地域イメージの低下が挙げられます。また、新聞等でも空き家が放火される事件が報じられており、防犯、防災の面で地域の重大な課題の一つになります。また、古くなった空き家の多くは、昭和56年6月以前の建築で耐震性に問題があるものが多く、震災時の隣の家への倒壊や、道路を塞ぐ等の危険が増します。  そんな空き家が今後ますます増加することは容易に推測できます。そのため、幾つかの自治体は空き家に関する条例をつくりました。このような自治体の動きを受け、国は平成27年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を全面施行いたしました。また、福岡県においてもこれにあわせて「福岡県空家対策連絡協議会」が平成27年3月に設立され、県、県内全市町村及び関係団体が一体となり、空き家等対策の推進が図られています。  春日市として空き家の実態を把握することが、課題認識やその対策について基本になると考えます。春日市は空き家に対する総合的な施策をどう考え、実践してあるのか、6点お尋ねいたします。  1点目、春日市の空き家に対する実態調査の経緯と分析についてお聞かせください。  2点目、空き家の所有者等に対するアンケートの結果と、そのポイントは何かお聞かせください。  3点目、春日市は空き家及び空き地に関する条例をつくっております。今後、空き家の条例と一本化することを検討されたことがあるか、お聞かせください。  4点目、空き家に関するデータベースの整備に対する考えをお聞かせください。  5点目、「春日市空家等対策計画」、これは案なのですが、その中で将来の空き家状況を予測してありますが、地区について自治会単位──35自治会単位でなく、国勢調査区、41ありますけど、それに設定したのはどのような経緯があったのか、また、そうすることによる利点は何かをお聞かせください。  6点目、2025年問題でも取り上げましたが、今後ますます進んでいく高齢化や少子化の進行は、空き家の増加と密接な関係があると言われています。そのことから、今後、空き家が急激に増加することは容易に想像できます。それが管理不全な「特定空家」と悪化することが懸念されます。そんなことにならないよう、適切な対処をすることは春日市にとって非常に重要であると考えます。春日市として空き家を、特に特定空家をふやさないための施策のポイントは何だと考えてあるか、お聞かせください。  以上を最初の質問といたします。 67: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 68: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 松尾議員から、空き家に関する春日市の施策についての御質問でございます。  まず、春日市の空き家に対する実態調査の経緯と分析についてのお尋ねにお答えいたします。  空き家に対する実態調査につきましては、平成28年6月から翌年1月までの8カ月間、市内の空き家の全体的な状況を把握するために実施しました。ここでいう空き家とは、「空家等対策の推進に関する特別措置法」における空家等のことであり、建物全体として居住その他の使用がなされていないものを指します。したがいまして、集合住宅やビル等の部分的な空き部屋等は除かれます。  なお、「空家等対策の推進に関する特別措置法」につきましては、以後は「特措法」と省略してお答えさせていただきます。  実態調査は、机上調査、現地調査、アンケート調査の順に実施いたしました。  まず、住民票の情報等をもとにした机上調査等により、市内全域から1,685件の建物を抽出しました。  次に、調査員による現地調査を実施して、空き家候補となる建物を絞り込みました。  さらに、所有者等に対して行ったアンケート調査の結果を踏まえ、最終的に特措法上の空家等に当たると判断されたものが152件、空家等に当たる可能性があると判断されたものが215件、合計で367件という結果になりました。  次に、空き家の所有者等に対するアンケートの結果と、そのポイントについてのお尋ねにお答えいたします。  アンケート調査は、613件の建物所有者等に対して郵送で実施し、このうち345件から回答があり、回収率は56.3%です。この調査は、主に建物が特措法上の空家等に該当するか否かを判断するための材料の一つとする目的で実施したもので、建物に住んでいる人がいるかとの設問に対し、長期間空き家になっているとの回答が30.7%、常時住んでいないが、倉庫等として使用しているとの回答が31%、特定の時期だけ住んでいるとの回答が4.1%となっています。また、多くの所有者等が空き家の管理等に苦慮していることや、将来の利活用を希望する人が多いことがわかりました。  次に、空き家及び空き地に関する条例を一本化することを検討したことがあるかとのお尋ねにお答えいたします。  現在、空き地に関する条例といたしましては、「あき地の除草等に関する条例」のみとなっています。  一方、空き家に関しましては、議員御案内のとおり、特措法が平成27年に施行され、さらに同年、「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」も示されています。本市の空き家対策はこの法律及び指針に沿って行っておりますので、「空き家対策の推進のための条例」は制定しておらず、したがいまして、条例の一本化について検討したことはございません。  次に、空き家に関するデータベースの整備に関する考えについてのお尋ねにお答えいたします。  特措法においては、市町村はデータベースの整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとされております。本市におきましてはこれに基づき、空き家実態調査により取得した情報及び、空き家の対策を行うに当たり必要な情報についてデータベースを整備し、関係部局で共有できるよう、現在準備を進めているところでございます。  次に、将来の空き家の状況の予想で、国勢調査区に設定している経緯についてのお尋ねにお答えいたします。  「春日市空家等対策計画」の中に記載された将来の空き家状況の予測は、空き家の実態調査の結果をもとに実施したもので、現在の人口については、平成27年度に実施された国勢調査結果を用いております。このことにより、市域全体だけではなく、国勢調査の調査区ごとの細かい将来予測が可能となっております。  次に、春日市が空き家をふやさない施策のポイントについてのお尋ねにお答えいたします。  空き家の対策に関する基本的な方針としては、次の4点、所有者等の意識の向上への働きかけ、利活用の促進、特定空家等の取り組み、住民からの相談に対する取り組みが大きなポイントであると考えております。  なお、議員御指摘のとおり、相続等により予期せず空き家の所有者となる可能性は、誰にも生じるものと考えます。よって今後、市報や市ウエブサイト等を通じて、予期せず空き家の所有者になることに備え、平素から空き家問題に対する意識を高めていく啓発に努めていくことや、空き家に関して市に寄せられる相談に対して、迅速かつ的確に対応する体制を構築することが大切であると考えております。 69: ◯議長(金堂清之君) ここで暫時休憩いたします。  なお、再開は午後1時を予定いたしております。                ──── ─ ──── ─ ────                 休憩 午前11時46分                 再開 午後0時59分                ──── ─ ──── ─ ──── 70: ◯議長(金堂清之君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  5番、松尾徳晴議員。 71: ◯5番(松尾徳晴君)〔起立〕 午後からになりましたので眠くなるかもしれませんので、一生懸命、大きな声で今以上に話してみます。眠らないように聞いてください。  5番、松尾徳晴です。  空き家に対する春日市の施策について再質問いたします。  「空家等対策に関する特別措置法」──以下「特措法」と言います──を受けとめる自治体の法状況は多様であります。それぞれの市町村が、地域の特性、行政組織の事情などを踏まえ対応することになります。一つの考え方として、四つのモデルが考えられているようです。一つは条例不使用型、二つ、条例補完型、三つ、総合条例型、四つ、条例放置型。春日市はその中で、特措法だけで対応する条例不使用型と理解いたします。  以下、春日市は特措法をどう運用するのかお尋ねします。  一般法では、助言、指導、勧告は、相手方への法的義務は発生しない行政指導。逆に命令、代執行は相手方に義務を発生させる行政処分と考えられます。しかし特措法では、勧告を行った時点から固定資産税、都市計画税の優遇適用が受けられなくなるとのことですから、行政処分だと理解します。  そこで6点お尋ねします。  特措法では、助言、指導、勧告、命令、代執行とありますが、市として行政指導に関することは比較的実施しやすいのでしょうが、行政処分となると、特に行政代執行の実施は慎重にならざるを得ないと思います。市は特措法の運用で、命令、代執行まで考えてあるのでしょうか、お尋ねします。  2点目。不動産登記が変更されず、所有者が特定できない空き家──将来の発生も含めてですが──もあるのではないかと思います。その場合、必要と判断すれば略式代執行を行うのでしょうか。また、行政代執行法では費用の回収の難しさがネックになります。費用回収に当たっては、措置前の財産調査や差し押さえができないことも大きな支障となるようです。略式代執行及び代執行における代金回収についてお考えをお聞かせください。  3点目。代執行を行った近隣の住民から、同様の空き家に対して、特定空家に指定して代執行してもらえないかとの要望等がなされた場合、対応はどうされるのでしょうか。  4点目。建物の所有者と土地の所有者が異なる場合において、特定空家にせざるを得ないような状況になったとき、対応をどうするかお聞かせください。  5点目。市長の回答で少し触れられている集合住宅及びマンションなどの空き部屋の増加については、今後大きな問題としてクローズアップされると思います。今から研究、検討が必要だと思いますが、考えをお聞かせください。  6点目。春日市は空家対策協議会をつくっております。協議会のメンバー構成及び役割について、市民の方にわかりやすく説明していただけたらと思っております。  以上を2回目の質問といたします。よろしくお願いします。 72: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 73: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 空き家に対する春日市の施策についての再質問でございます。  まず1点目、特措法の運用で命令、代執行まで考えているのかとのお尋ねにお答えいたします。  倒壊のおそれがあるなど、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼす特定空家等に該当する空き家に対しましては、議員御案内のとおり、特措法第14条により、まず所有者等に必要な措置をとるよう助言、指導を行い、改善されない場合は必要な措置をとるよう勧告いたします。それでもなお改善されない場合は、相当の猶予期限をつけて措置をとるよう命令し、期限までに履行されない場合は、最終的には行政代執行もやむを得ないものと考えております。  ここでいう「相当の猶予期限」とは、物件を整理するための期間や工事の施工に要する期間を合計したものを標準と考えております。  なお、必要な措置は、その空き家の周辺の生活環境保全のために、必要最低限度にとどめる必要がございます。  また、行政代執行は家屋の除去など個人の財産権の制約を伴うことになり、大きな公権力の発動となることから、実施に当たっては慎重に手続を踏む必要があると考えております。  次に2点目、必要と判断すれば略式代執行を行うのか、また、行政代執行と費用回収についてのお尋ねにお答えいたします。  特定空家等に係る行政代執行は、特措法第14条第9項によるものと、同条第10項による、いわゆる略式代執行との二つの場合がございます。  第9項による行政代執行は、特定空家等の所有者等が誰か特定できている場合でございますので、代執行にかかった費用は所有者等に請求いたします。なお、所有者等が支払いをしない場合の費用徴収につきましては、国税滞納処分の例により強制徴収が認められております。  一方で、第10項によるいわゆる略式代執行は、所有者等の氏名や所在がわからない場合に実施する代執行でございます。この場合は費用を請求することはできませんが、代執行の後で義務者が判明した場合には、その者から代執行に要した費用を徴収することができます。なお、義務者が支払いをしない場合には、市は民事訴訟を提起することとなります。したがいまして、市の財政負担となる可能性が高いのですが、問題の解決のためには略式代執行の実施もやむを得ないものと考えております。  次に3点目、行政代執行を行った近隣の住民から、同様の空き家に対して行政代執行の要望がなされた場合についてのお尋ねにお答えいたします。  この場合につきましては、職員が直接現地を確認し、必要に応じて春日市空家等対策協議会で、特定空家等に該当するかどうか御意見をいただくこととしております。  次に4点目、建物と土地の所有者が異なる場合において、特定空家等にせざるを得ない状況になったときの対応についてのお尋ねにお答えいたします。  最終的に特定空家等に当たると判断した場合、先ほど御回答いたしましたとおり、特措法第14条により手続を進めてまいります。この際、建物の所有者等だけでなく、土地の所有者等にも関係者として通知することが適切であると考えております。  次に5点目、集合住宅及びマンションなどの空き部屋の問題の研究、検討についてのお尋ねにお答えいたします。  集合住宅等の部分的な空き部屋に関する問題への対策につきましては、第一義的には、所有者等がみずからの責任により的確に対応することが前提でございます。しかしながら今後、議員御案内の問題が発生することも考えられますので、他市町の動向等を注視してまいりたいと考えておりますが、まずは特措法に基づく空家対策を進めていく考えでございます。  次に6点目、春日市空家等対策協議会のメンバー構成及び役割についてのお尋ねにお答えいたします。  この春日市空家等対策協議会は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」及び「春日市空家等対策協議会条例」に基づき設置したものでございます。会長は市長をもって充てることとなり、委員につきましては、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、弁護士、建築士、宅地建物取引士、自治会長、福岡県職員の8人でございます。  役割につきましては、空家等対策計画の作成や、空家対策の具体的施策、特定空家等の認定などに関して意見をいただくものでございます。 74: ◯議長(金堂清之君) 5番、松尾徳晴議員。 75: ◯5番(松尾徳晴君)〔起立〕 5番、松尾徳晴です。  再々質問は、今回の一般質問での感想と質問を2点、終わりに、空き家に対する春日市の施策について要望いたします。  特措法で定められている助言、指導、勧告等、行政指導の手順を踏んでも改善されない場合は、命令、代執行の行政処分、また略式代執行も含め、実施することもやむを得ないと考えていることと回答されました。市として必要ならば、毅然と公権力を行使する方針だということを強く感じました。しかし一方で、行使するに当たっては慎重に、また最小限に行うとも述べてあります。  私は現実として、代執行を、特に略式代執行を実施することは、費用徴収など問題も多く、非常に難しいような気がします。そこで質問いたします。  現時点で春日市内に、特定空家に指定され代執行等まで行われる可能性がある、管理不十分な空き家はどのくらいの数存在するのか、お尋ねいたします。  2点目。土地の使用者と建物の所有者が異なる場合は、特定空家の代執行を行うと、土地の所有者の大きな利益になることもあり得ます。特定空家が存在するために、土地の所有者にとって有効利用ができなかった、それが代執行等で更地になり、有効利用が可能になるからです。土地の所有者に関係者として通知することが適切であるというだけの回答に、私は何となく違和感を覚えます。特定空家等に該当する建物の所有者と、その建物が建つ土地の所有者が異なる場合に、想定される状況について考えをお聞かせください。  今回の一般質問では、特措法の執行に関するものが多くなりました。市として特定空家に対応する考えはよくわかりました。私は、高齢化とともに進むと言われている空き家の増加、それが特定空家にならないようにすることこそ、空き家に対する春日市の施策の一丁目一番地だと思います。  今は戸建ての対策が中心であります。それについては、いろいろな啓発や相談に対する体制の構築などの対応を行ってあります。これらを継続することにより、市民の空き家に対する意識が高まることを期待いたします。
     現在は、集合住宅やマンションに一室でも居住してあれば特措法の対象外となります。今後は高齢化が進み、人口が減少し、集合住宅やマンションも老朽化が進み、完全な空き室になると特定空家等になることも考えられます。こうなると問題は一気に膨れ上がり、解決が非常に困難になります。集合住宅やマンションの空き部屋に関する問題としては、他市町の動向を注視することも必要でしょうが、春日市として何らかの解決策の一環でも示していただきたかったです。特措法の対象外ではありますが、集合住宅やマンションが特定空家等になる前段階での施策が必要ではないかと考えております。  社会の状況、状態は変化しますし、時には急変することもあるでしょう。それらについていろいろなことを想定し、また、短期的・中長期的な対応をあらゆる角度から研究、検討していただくように要望いたしまして、私の一般質問を終わります。よろしくお願いします。 76: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 77: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 特定空家等に指定され、代執行等まで行われる可能性がある空き家等の数についてのお尋ねにお答えいたします。  個々の空き家が特定空家等に該当するかにつきましては、次年度以降に春日市空家等対策協議会で御意見をいただきながら判断していく予定でございます。したがいまして現在は、特定空家等に該当する空き家の候補を精査中の段階でございます。  なお、空き家等に該当するかの判断に際しましては、国が定めた特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針及び、福岡県空家対策連絡協議会で作成された特定空家等の判断の参考となる基準をもとに進めてまいります。  次に、空き家等に該当する建物の所有者と、その建物が建つ土地の所有者が異なる場合に、想定される状況についてのお尋ねにお答えいたします。  特定空家等に該当するとして、特措法に基づき、建物の所有者が必要な措置の勧告を受けると、その建物が建つ土地が住宅用地に係る固定資産税の特例措置の対象になっている場合、対象から除外され、土地の固定資産税の税額が上がることになっております。つまり、建物の不適切な管理が原因で、土地の所有者にとって不都合が生じると言えます。  また、特定空家等に該当した結果、建物の所有者みずからの措置または行政代執行により建物が除去されますと、議員御案内のとおり、土地の利活用の面では自由度が増し、土地の所有者にとって好都合な場合もあると考えます。  このことから、建物が特定空家等に該当したことを土地の所有者も知ることにより、土地と建物所有者による話し合いがなされ、建物の除去や適切な管理が促進され、問題の解決に至ることも期待できるものと考えております。 78: ◯議長(金堂清之君) 4番、岩渕穣議員。  岩渕議員は回数制にて質問いたします。 79: ◯4番(岩渕 穣君)〔登壇〕 4番、春陽会の岩渕穣でございます。  通告に従いまして、本日は回数制にて、奴国の丘歴史資料館ミュージアムグッズ製作事業の効果と今後の取り組みについて質問をいたします。  本事業は平成29年度の新規事業として、奴国の丘歴史資料館においてミュージアムグッズを製作、販売することにより、来館者に対して文化財を身近に感じてもらうとともに、奴国の中心地である春日市をPRする、この2点を目的に事業運営が展開されています。  奴国の丘歴史資料館は、須玖岡本遺跡を中心とした周辺の遺跡群から発掘された遺物を貴重な歴史的資料として保存し、調査、研究及び展示できる施設として、平成10年12月1日に開館し、ことし20周年を迎えます。春日市にとって文化的、また学術的にも非常に重要な施設の一つと言えますが、市民の皆様の認知は残念ながら余り高くないのが実情であります。そういった現状を打開するべく開始された本事業が当初の目的を達成されますことを心から願い、以下、現状確認と成功に向けた議論を進めていきたいと思います。  ここで少し、須玖岡本遺跡がいかにすごいかをお話ししてまいります。  須玖岡本遺跡は国指定の文化財史跡であり、同等の指定を受けている史跡で全国的に有名なものとしては、関ヶ原古戦場、大森貝塚などがあります。福岡に目を移せば、近年CGによる復元モデルが公開された鴻臚館跡、先日、九大箱崎キャンパスから発掘され再注目された元寇防塁といった、認知度のとても高い史跡が並びます。  重ねて申し上げますと、2014年に須玖タカウタ遺跡から、多鈕鏡の石製鋳型や、把頭飾の可能性がある土製鋳型、それぞれの一部が国内で初めて出土するなど、考古学の定説では全て輸入品と考えられていたものが、実はここ、いにしえの春日の地で国内生産されていたという、日本の歴史を塗りかえるすばらしい大発見が連続しています。  また、須玖タカウタ遺跡から出土した日本最古級の土製鋳型の再現と青銅器の鋳造実験の成功や、須玖岡本遺跡20次調査での最先端の技術を活用した銅剣と把頭飾の取り上げなど、さまざまな成果がマスコミにも大きく報道されています。  このよい流れに乗って、いつか奴国の中心地であったこの須玖岡本遺跡から、本物の金印、漢委奴國王印が発掘され、昨今活発に展開されている金印の真贋論争にとどめを刺すことができれば、春日市民の一人としてこれほどうれしいことはありません。これからの発掘調査、研究の進展に大いに期待するところであります。  以上述べてまいりました数々の歴史的遺物、須玖岡本遺跡の考古学上の価値をさらに高め、市内外に発信していく拠点として、奴国の丘歴史資料館の果たす役割はますます大きくなり、また、私たちはその発展をしっかりとサポートしていかなければなりません。  今回質問させていただく本新規事業は、予算規模としては33万4,000円と決して大きなものではありませんが、春日市広報広聴戦略を支える、「春日市の魅力」の大きな柱である「奴国の王都」をPRしていく上での端緒として、私は非常に大切で、決して軽んじてはならない施策であると判断しております。  そこで今までの流れを踏まえ、事業開始後の現段階での進捗状況と効果及び須玖岡本遺跡の今後について、以下3点をお伺いいたします。  1点目。奴国の丘歴史資料館の来館者数の推移はどのような傾向にあるのか、また、来館者の属性、市内か市外かがわかれば、あわせて過去3年分のデータをお示しください。また、来館動機として本事業が果たした役割があればお聞かせください。  2点目。ミュージアムグッズとして、「春日の出土遺物」と「想い出の街かすが」の2シリーズのポストカードを製作し、1枚税込み100円で販売しておられますが、販売開始時からの売り上げ枚数はどのようになっていますでしょうか。また、購入者からの反響及び、もしアンケート等をとっておられましたら、お客様の生の声をお聞かせください。  3点目。市民共有の貴重な財産である須玖岡本遺跡を、今後の春日市のためにどのように利活用していくお考えでしょうか。基本方針と具体策があればお聞かせください。  以上、1回目の質問といたします。率直な御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。 80: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 81: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 岩渕議員から、奴国の丘歴史資料館ミュージアムグッズ製作事業の効果と今後の取り組みについての御質問でございます。  教育委員会への御質問でございますので、教育長が回答いたします。 82: ◯議長(金堂清之君) 山本教育長。 83: ◯教育長(山本直俊君)〔登壇〕 岩渕議員から、奴国の丘歴史資料館ミュージアムグッズ製作事業の効果とその後の取り組みについて、3点の御質問でございます。  まず1点目の御質問のうち、来館者数の推移についてのお尋ねにお答えいたします。  常設展示、特別展示、学習活用、研修・講座等を目的に来館された方は、平成26年度は1万181人、27年度は1万3,140人、28年度は1万1,330人、29年度は2月現在で1万1,129人と、年度により多少の差はありますが、おおむね平均して毎年1万人を超える来館者数があります。なお、平成28年度の来館者のうち春日市内居住者が72.1%となっており、毎年ほぼ同様の割合となっております。  次に、多くの市民等の来館への関心を高めるミュージアムグッズ製作事業の効果についてのお尋ねにお答えいたします。  今回実施しましたミュージアムグッズ製作事業は、「資料館での文化財との出会いや体験の感動を持ち帰っていただく」というコンセプトで実施し、ポストカードの販売数等から考えまして、春日市の文化財に関心を持っていただくという点で一定の効果はあったと把握しております。現時点では当該事業が来館者数の増加に直接影響を与えるものとはなっておりませんが、今後はPR効果のある事業展開を検討してまいりたいと存じます。  次に、2点目についてのお尋ねの、ポストカードの販売実績についてお答えいたします。  今年度、「春日の出土遺物」「想い出の街かすが」の2シリーズ、28種類6,587枚を製作し、9月から販売を開始しました。販売を始めて半年となる2月末で409枚、6.2%と、今年度半期売り上げ目標であった製作枚数の5%を上回っている状況です。  なお、購入者へのアンケート等は行っておりませんが、「春日の出土遺物」シリーズは、手土産や自分用の来館記念に購入された方が多かったと感じております。また、「想い出の街かすが」シリーズについては、「掲載された時代がとても懐かしい」「知っているまちのかつての姿が見えて興味深い」などの感想が寄せられております。  次に、3点目のお尋ねの、須玖岡本遺跡の利活用のための考え方及び基本方針等についてお答えいたします。  平成29年度に史跡須玖岡本遺跡保存活用計画を策定いたしました。策定の目的は、市民のみならず国民の歴史資産である須玖岡本遺跡を適切に保存し、さまざまな視点を持った保存、活用、整備を通して、その本質的価値及び存在意義を次世代へと確実に継承するというものです。  具体的には、今後策定予定の同遺跡の整備基本計画で定めることとなりますが、さまざまな活用に対応できる広場の整備や、映像などを使って文化財をわかりやすく体感できるような施設整備などを進めていくものとなるのではないかと考えているところです。  なお、これらの取り組みを進めていくため、平成30年度に文化財課の組織を改編し、管理担当を整備活用担当に改めて、市民等によりわかりやすく知っていただくための文化財のPRや、市民に親しまれる史跡地の多目的な活用の具現化などに取り組んでまいりたいと考えております。 84: ◯議長(金堂清之君) 4番、岩渕穣議員。 85: ◯4番(岩渕 穣君)〔起立〕 本事業の目的を達成するために、日々着実な御努力を積み重ねておられることがよく理解できました。  重ねて、本年度策定された須玖岡本遺跡保存活用計画の趣旨であるところの、保存、活用、整備を通して、史跡の持つ本質的な価値及び存在意義を次世代に確実に継承していくという、崇高な理念に大いに共鳴するところであります。  また、文化財課における建設的な組織改編の御紹介がございましたが、文化財の整理、活用を具体的に進めていく上で、厳しい財政運営における限られた予算の中では、本施策を具体的に補強しサポートするための予算増額や新規事業の立ち上げは、なかなかに難しいのではないかと推察いたしております。  そこで、奴国の丘歴史資料館の認知度向上や、貴重な文化財のPRといった事業や施設整備に対し、その費用を民間から資金調達する、いわゆる民間活力の導入という手法により、施策の目的達成速度の向上と効果の最大化が模索できないものかと思案いたしております。以下、その可能性を探り、チャレンジの可否を判断する上で、導入コストがほぼかからない民間活力導入の三つの具体例を示して、議論を進めてまいりたいと思います。  現下の資本主義経済における民間の動向は目まぐるしく、今までになかった発想とスピード感で旧来の姿を一変させ、大きなうねりの中でまさに変革の時代を迎えています。民間事業者は特に、異業種とのコラボレーションによる業績拡大に活路を見出す動きが顕著であります。  三つの具体例の一つ目として、大手フリーマーケットアプリの運営会社が全国に先駆けて先月、福岡市でシェアサイクル事業に乗り出しました。これは自転車を置けるスペースさえあれば、その場所が駐輪拠点──ポートと呼ぶそうですが──となり、自転車を購入し、相当数の台数をそろえるといった投資の必要が全くないまま、自転車網というインフラが地域に整備されるといった画期的なものであります。  福岡市においては、天神地区を中心とした50ポート・400台でまずスタートしていますが、夏までには都市圏近郊に範囲を拡大し、200ポート・2,000台での運用となる計画とのことです。シェアサイクルの仕組みは、ほかにも大手携帯電話会社2社、最大手のコンビニエンスストアも同様の事業を既に手がけています。これらの民間事業者と地方自治体がパートナー協定を結ぶことによって、ほぼ市費の持ち出しがない中で市民の利便性が向上いたします。  具体例の二つ目としては、ドリンク等の自動販売機を設置するという条件さえクリアできれば、販売機の売上金で街頭防犯カメラを無料で設置し、運用させてくれるといった事業を展開している民間業者やNPOが、全国に複数存在しています。自動販売機を設置した側の負担は、販売機とカメラを動かす電気代だけで済むとのことです。現状、防犯カメラの設置に際し多額の費用が発生するため、福岡県の補助を受けながら必要箇所に段階的にしか導入できていませんが、ただいま紹介しました民間活力を活用することにより、設置スピードが飛躍的に向上する可能性があります。  三つ目は、前の二つとは少し趣が違いますが、インターネットを活用した行政のクラウドファンディングでございます。ふるさと納税に模し、ふるさと投資とも言われています。これは自治体が行う各個別事業に対し、寄附や投資を募り、運営資金を民間から調達するものであります。事業主体が自治体であることで、投資する方々には信頼性が担保されており、なおかつ地域に密着した具体的な事業に主体的に参画できる、その点に特徴があります。ふるさと納税とは異なり、居住住民も居住自治体に対し資金を提供できることが大きな違いと言えます。1点目で触れ、先般実施された銅剣の土製鋳型による再現実験は、この行政のクラウドファンディング方式にとてもよくなじむ典型例だったのではなかったかと考えています。  以上、三つの例を挙げさせていただきました。今、少子高齢化が進行し、地方財政が厳しさを増す中、民間資金を自治体経営に取り込んでいくという道筋は、今後ますます注目を集めていきます。と同時に、直近の経済情勢における社会的環境もほぼ整いつつあるのではないかと思料いたしております。  さて、お話を奴国の丘歴史資料館と須玖岡本遺跡へ戻してまいります。  春日市の宝であるこの施設と史跡の価値をさらに高めつつ、また次の世代へ受け渡していく上で、来訪者をふやしていくことは必要不可欠な条件となります。しかしながら、奴国の丘歴史資料館と須玖岡本遺跡には弱点がございます。その弱みとは立地にあります。幹線道路に面しておらず場所がわかりにくい、住宅街の中にあるため交通アクセスがよくない、また車での来訪も、駐車場台数に限りがあるため多くを望めません。  この弱みをいかに克服していくか、そう考えていく中で、真っ先に思いつくのは自転車の活用であります。春日市は市域が狭く、ほぼ平たんな地形であるため、自転車は移動手段としての優位性が高いと言えます。先ほど御紹介させていただいたシェアサイクル事業を展開する上で、もし私が運営会社の担当者であれば、導入候補地として春日市を必ず上位にリストアップすることでしょう。シェアサイクル事業を本市に誘致し、通勤・通学への活用だけでなく、春日の歴史に触れる散策サイクリングコースを設定し、奴国の丘歴史資料館と須玖岡本遺跡へ誘導することができれば、かなりの来訪者増につながるのではないでしょうか。貴重な文化財に触れた体験者は市内外に広がり、奴国の王都である春日市への認知はさらに深まっていくことでしょう。  以上、ほぼコストがかからない民間活力を導入することで、文化財課が実施するPR効果を企図した事業との相乗効果が生まれ、本施策がより成果を得ながら達成されますことを願ってやみません。そこで2回目の質問をさせていただきます。  これまで御紹介してまいりました民間活力の導入を、過去に検討されたことはおありでしょうか。検討し、実施していれば、具体的な事例をお示しください。また、検討したが実施に至らなかったという場合、導入とならなかった背景をお聞かせください。  今までに検討がなければないで結構ですので、執行部として今後、民間活力の活用を検討されるお考えがあるのかどうか、御見解を賜りたく存じます。御答弁をよろしくお願い申し上げて、2回目の質問を終わります。 86: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 87: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 厳しい財政状況の中、限られた予算で事業を進めていくために、民間活力の導入を過去に検討されたこと等はあるのかとのお尋ねにお答えいたします。  御紹介いただいたような民間活力の導入方法については検討いたしておりませんが、今年度JR九州が広域的に実施している「駅長おすすめのJR九州ウオーキング」におきまして、春日駅、南福岡駅を拠点としたコースに奴国の丘歴史資料館ルートを追加いただいた事例がございます。  このイベントは、JR九州が駅とその周辺でのさまざまな散策コースを設定し、参加者は最寄りのJR駅から定められたルートをウオーキングしながら、お祭りや自然、ご当地グルメ等を楽しむ事業です。平成27年度からJR九州に対しまして、本市周辺ルートに奴国の丘歴史資料館を入れてもらうよう交渉し、紆余曲折はございましたが、29年5月、奴国の丘歴史資料館をルートに入れた当該イベントが実施され、天候にも恵まれまして、資料館には675人もの方々に来館いただきました。  なお、当日は地元の和菓子屋さんが、先着順ではありましたが、お土産の和菓子200人分を店頭で無償で提供いただくなどの御協力もあり、訪れた方々には大変喜ばれるイベントであったと考えます。また、本年4月7日に既に実施が決定されているところです。  今後もJR九州ウオーキングが本市内で継続できるよう、主催者との関係を大切にしながら、必要に応じて企画の提案なども行ってまいりたいと考えております。  加えて今年度、奴国の丘歴史資料館において、春日市教育委員会も後援しました企画展「米軍ハウスの世界~あのころ、春日のまちにアメリカがあった~」が市民団体により開催されております。この市民団体は平成27年から活動を始め、春日市やその周辺に残る戦後の米軍ハウスを「物言わぬ語り部」と捉え、市の当時の人々の生活、風俗を伝える貴重な地域の資産として、この保存や活用に取り組んでおられます。今回は、異文化に触れ、驚きながらも、たくましく生活を立て直し、基地内外で生活を立てるなど、当時の人々の暮らしぶりや米軍ハウスの現況調査等をまとめたものを紹介する企画展でございました。  春日市では会場の提供等を行う後援でありましたが、平成29年11月の4日から同月23日までの期間中は、800人を超える市内外の方々が足を運ばれました。当時春日市にお住まいで、昔を懐かしんで県外から来られた方、また、実際に米軍ハウスに住んでいた当時の写真をお持ちになられた方もありました。この企画展は新聞、テレビ、ラジオ等にも大きく取り上げられ、米軍基地があったことを初めて知り、来館された若い世代の方もおられ、関心の大きさを改めて感じたところでございます。これを受けまして、来年度の文化財課事業として、「ブラかすが歴史散歩」のメニューに、「ベースハウスのまち歩き」と題しまして、この市民団体の御協力を得ながら、本年5月開催することとしております。  また、今週末の3月17日でございますが、17日から古文書講読講座開設25周年記念展示会「筑山会25年の歩み 古文書に学ぶ」が開催を予定されています。こちらにも奴国の丘歴史資料館を会場として提供させていただきます。この会の発足でございますが、教育委員会の中央公民館事業で行われた古文書を読む講座の卒業生で始められた自主学習団体が、学んだ成果等を地域に返したいと展示会を企画されたもので、地元江戸時代の庄屋の文書を初めとして、幅広い古文書が展示される予定ですので、多くの方が来館されるのではないかと大いに期待しております。  御紹介いたしましたいずれのイベントも、民間企業、市民団体等の自主企画ではありますが、春日市とその歴史を知っていただく貴重なPRの機会となっていると同時に、それぞれの自主活動との相乗効果が生まれているのではないかと考えております。  今回、議員には、今までの教育行政になかった発想であり、かつ貴重な御提言をいただきました。これらを踏まえ、引き続き民間企業や市民団体、市民の方々には無理のない範囲でお力を賜りながら、春日市のPRや奴国の丘歴史資料館の来館者数をふやすため、市民に親しまれ、かつ長続きする取り組みを研究、検討しながら、市教委として文化財を中心とした春日市の魅力の発信に努めてまいります。 88: ◯議長(金堂清之君) 4番、岩渕穣議員。 89: ◯4番(岩渕 穣君)〔起立〕 一人でも多くの方々に御来館いただけるよう、さまざまな企画を展開されておられることがよくわかりました。これからも市内外の皆様に愛される奴国の丘歴史資料館でありますよう、引き続きの御尽力をよろしくお願い申し上げます。  また、民間活力の導入については御検討されておられないとのことでしたが、将来的な春日市の財政運営を鑑みますときに、今後重要な視座となることと確信いたしております。  井上市長は在任19年の間、一貫して行財政改革に取り組んでこられました。市債残高を約230億円圧縮された偉大な業績は、多くの市民の皆様が知るところであります。また、各種財政指標は春日市の財政が非常に健全であることを示し続けています。  多くの地方自治体の財政状況は、ふえ続ける義務的経費に圧迫され、財政の硬直化が進む中で新規事業や投資ができにくくなっており、非常に厳しい状態が続いています。春日市においても義務的経費は年々増加傾向にあり、今はよくとも、慎重な自治体経営が求められるという点で厳しさは同様であります。私が本日御提案させていただいたような事業単位での民間からの資金調達といった手法について、前向きに御検討いただけますようよろしくお願い申し上げます。  それでは、須玖岡本遺跡の今後について最後の質問をいたします。  井上市長は3月定例会冒頭での施政方針において、「活力あふれる教育・文化・スポーツ」の指針を示される中で、文化財の保存活用について言及されておられます。「春日市の文化財の魅力を広く市内外に向けて発信してまいります」という決意に、深い敬意と心強さを感じるところであります。  須玖岡本遺跡について、施政方針の中で本年度の取り組みとして、文化財専門委員の方々による(仮称)須玖岡本遺跡発掘調査指導部会の新設について述べられました。これはどのような目的を持つ部会なのでしょうか。現時点での計画の中身について詳しくお示しください。  また、文化財の普及啓発事業として、奴国の丘歴史資料館開館20周年記念の特別講演会について触れておられます。この講演会はどのようなものになるのでしょうか、お示しください。  最後に、井上市長に須玖岡本遺跡への思い、市政運営における位置づけについて御見解をお聞かせくださいませ。  以上3点をお伺いして、私の一般質問を終わります。御答弁をよろしくお願い申し上げます。 90: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 91: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 まず、平成30年度施政方針である(仮称)須玖岡本遺跡発掘調査指導部会の目的等についてのお尋ねにお答えいたします。  市長は今期定例会の冒頭、施政方針で、本市の貴重な文化財を市民の宝として、今後も保存、整備、活用していく所存であることを申し上げたところでございます。史跡須玖岡本遺跡保存活用計画では、この遺跡を本市に残された魅力あふれる歴史資産として、適切な保存と活用を通して、史跡の価値や存在意義を次世代へ継承することを目的として策定したものでございます。この中で、史跡の継承と活用には専門家の知見が欠かせないことから、文化財専門委員の学識者から成る仮称でございますが、須玖岡本遺跡発掘調査指導部会を設置することとしており、初年度となる平成30年度は3名の委員にお願いをいたしまして、調査、研究等を進めてまいります。  次に、奴国の丘歴史資料館開館20周年記念事業についてのお尋ねでございます。  来年度、開館20年を記念いたしまして、須玖岡本遺跡の活用等をテーマとした特別講演会の開催を予定しており、多くの方々に来ていただけるよう、ふれあい文化センターで実施する予定でございます。あわせて記念事業として、考古企画展「須玖遺跡群発掘成果展」等も開催することとしております。  以上でございます。 92: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 93: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 最後に、市長としての須玖岡本遺跡への思い、市政運営における位置づけについての見解をとのお尋ねにお答えいたします。  須玖岡本遺跡は、考古学・史学的にも、また春日市のかけがえのない資産としても、非常に高い価値を持つものです。この誇りと価値をいかに市民の皆様と共有し、また継承していくかは、今を生きる私たちの世代の責務ではないかと考えています。  専門家の中には、国指定史跡である須玖岡本遺跡は、史跡でも特に価値の高い、いわゆる国宝に値する特別史跡にもなり得るとお考えの方もおられます。これまで、これほどの価値を持つ須玖岡本遺跡について、その価値を十分にお伝えできていなかったということは、春日市としての大きな反省点です。私はこれらを踏まえ、史跡地の地権者の方々や多くの関係者に御理解と御協力をいただきながら調査を進め、遺跡の研究の成果等を市民の皆様にもわかりやすくお知らせすることで、多くの方々に遺跡に対する理解をいただきながら、特別史跡化への歩みを視野に、適切な保存、活用を図りつつ、次世代への継承に努めたいと考えております。  あわせまして、史跡須玖岡本遺跡保存活用計画では、都市化が進んだ春日市に存在する須玖岡本遺跡ならではの特性についても言及いたしました。昭和40年代から始まった急激な都市化の進展も一段落し、開発の規模も縮小してまいりましたが、須玖岡本遺跡一帯では全国でもまれな、埋蔵文化財の上で住民が生活を営み、時には住宅の建てかえや改修の際の制限がかかるという状況が生じています。この計画では、二律背反する住民の生活と文化財の保護のいずれかを選択するという考え方ではなく、住み続けていただくことで、埋蔵文化財を破壊せず、ともに生活していくことで保存していくという、「共住・共生」のまちづくりを目指すことを明記いたしました。  この「共住・共生」という新しい概念は、文化庁や学識者の方にお尋ねしたところ、全国にも例がない考え方として、ある意味、今後、春日市方式となると言っても過言ではございません。大変困難な道のりであることは十分想定されますが、実現を目指して一歩一歩取り組んでまいりたいと考えております。  岩渕議員におかれましては、春日市のこれからの財政運営もあわせて貴重な御提言をいただき、大変ありがとうございます。私もさまざまな視点を持って、健全な財政運営の維持、推進に当たらなければならないと、常々考えているところでございます。文化財行政の推進にあっても相当な財源を要するものであり、市民の皆様を初め、議員、関係者の方々のお力添えのもと進めてまいりたいと存じますので、引き続きの御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 94: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。  なお、西川議員は時間制にて質問いたします。 95: ◯9番(西川文代君)〔登壇〕 皆様、こんにちは。9番、みらい春日、西川文代でございます。  本日は通告どおり時間制で、平成30年度施政方針について2点お尋ねいたします。
     第5次春日市総合計画の前期基本計画が27年度で終了し、28年度からは平成32年度までの後期基本計画がスタートし、また、28年3月に改訂した人口ビジョン、まち・ひと・しごと創生総合戦略による施策も、平成28年度から本格的にスタートいたしました。  そのタイミングで、平成28年4月より組織再編も行い、「住みよさ発見 市民都市かすが」が意味する、福岡都市部に近いという恵まれた地理的条件のもと築かれた良好な住環境と、それを支える多彩な市民という大きな強みを最大限に生かし、春日市に住む一人一人がそれぞれの住みよさを見つけることができ、誰もが住みよいと感じるまちの完成と、人口減少・少子化・超高齢社会に向け、持続可能で魅力的なまちづくりで「選ばれる春日市」を目指し、そのための施策と取り組みを進め、2年が経過したところです。  春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略には、2019年の目標値も定められておりますので、ここで一度、目標に向けた施策、取り組みが現状のまま継続でよいのか、改善の必要があるのかを分析、評価をし、課題があれば、その課題解決に向けた実効性のある新たな施策が必要な、今年度一年だと捉えております。  そこで、市長より本定例会本議会初日に御説明いただきました平成30年度施政方針については、執行機関の監視機能を持ち、政策立案機能の強化を目指す春日市議会の一議員として、大変注目するところでありました。その内容は市民生活のあらゆる分野に及んでおり、市民の福祉のために前年度の施策に改善を加えて積極的に取り組んでいただいている分野も多く、そのことに感謝、感心するところも多くございましたが、本日は詳細をお聞きしたい点、また、人口減少による悪循環に陥ることなく、春日市がこれからも長きにわたり魅力的で住みやすい都市として創生するために、調査研究による工夫改善による取り組み、新しい施策が必要と考えられる点について、春日市議会基本条例にうたわれている、市民の多様な意見を市政に反映させることを使命とする議員として、他自治体の先進的な取り組みの調査研究等の根拠をもとに、市民の声、思いを代弁する形で、今回の一般質問もさせていただきます。  それでは、まず1点目、春日市の空き家等の今後の対策についてです。  春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略にも示されているとおり、住宅ストックの老朽化は住宅地としての魅力を低下させ、それにより人口の流出が加速し、空き地、空き家が発生するとされております。さらに、この空き地、空き家の管理が不十分だと、地域の魅力を押し下げ、悪循環へとつながるため、空き家、空き地等、春日市の住宅事情からすると、私は、先ほど松尾議員のほうからもございましたが、集合住宅の空き部屋や空き店舗についての早目の対応も必要だと考えておりますが、適切な対策、美しく保つ管理が、まちの魅力維持のため、人口減少を食いとめるためにも、大変重要になってくると思っております。  2年前の平成28年3月定例会の私の一般質問において、「春日市の魅力や価値を維持、向上していく実効性の高い計画の策定が必要」とお伝えしましたところ、「今回は空き家の定義に沿った実態調査と空家等対策計画策定であるが、本計画は、空き家が引き起こす安全性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害の問題、いわゆるまちの魅力や価値を下げる問題を、効率的かつ効果的に解決するために策定されるものであり、議員の見解には同感である」との回答をいただいたところでございました。  そこで今年度末、つまりことし策定される、春日市の今月策定される、春日市の実態に即した「春日市空家等対策計画」の進捗状況を、策定に至るまでの経過も含め、お尋ねいたします。また、実態調査からの分析も含め、その計画の内容についてもお尋ねいたします。  次に、商工業の振興についてお尋ねいたします。  商工業の振興は、春日市人口ビジョン、春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本目標に、「九州で最も住みやすい魅力あるまちづくり」の指針1にも挙げられております。「人口減少により中心市街地が空洞化した地方都市では、都市の魅力が低下し、人口減少がさらに加速することになる。人口減少社会において、居住動態と相関関係にある地元商工業の振興は重要な施策であることから、商工業の振興に取り組み、地域経済の活性化を図る」と記されております。  また、30年度施政方針についても、地域の活力を創出するためには、市内商工業のさらなる活性化は不可欠と認識していただいており、私も深く共感するところでございます。  近年では、地域の商店街がシャッター街になってしまっている問題と、その課題解決に向けた商店街再生のさまざまな新しい取り組みの事例など、多く耳にするようにもなってきました。  私はこれまでも、商工業の振興について一般質問をさせていただいてきました。平成28年6月議会においては、創業インキュベートタウン事業による創業計画支援を受け、創業に至った件数の目標値の根拠についてなどお尋ねしながら、現役世代で日中に春日市にいてくださる人材として、また、地域密着で春日市のさまざまな取り組みに協働してくださる人材として、大きな力、マンパワーを発揮していただいていること、また、高齢化がさらに進む中にあって、徒歩で買い物に行くことができる、顔が見える、信頼感も厚い商工店の存在は不可欠であるとも訴えながら、さらなる商工業の振興のための施策、例えば市を挙げて地元商工店のPRをするなど、取り組むことの重要性をお伝えしてきたところです。  そこでまず、30年度施政方針において示された具体的施策が、昨年29年度と変わっていないと認識しておりますが、春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略で示された創業インキュベートタウン事業についての目標件数に対する現在の状況も踏まえた上で、このことの理由をお尋ねいたします。  また、商工業の振興のためには、空き店舗等の活用も含めた商店街振興も大変重要との見解を持っておりますが、このことに関する現時点での本市の考え方、その実現に向けた施策の方向性についてお尋ねいたします。  1回目の質問をこれで終わらせていただきます。 96: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 97: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 西川議員から平成30年度施政方針についての御質問でございます。  まず、春日市空家等対策計画の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。  本計画の策定に当たっては、「空家等対策の推進に関する特別措置法」及び「春日市空家等対策協議会条例」に基づき設置した協議会において、十分に議論を重ねてまいりました。本協議会は平成29年6月に設立され、同年11月までに3回の会議を開催し、計画の原案を固めました。その後、庁内での意見集約及び本年2月におけるパブリックコメントの実施を踏まえ、2月27日の第4回の協議会において、計画の最終案をまとめました。現在は、4月の公表に向けて準備を進めているところでございます。  次に、春日市空家等対策計画の内容についてのお尋ねにお答えいたします。  本計画の計画期間は平成30年4月から平成34年3月までの4年間、対象地区は市街化調整区域を除く市内全域、対象とする空家等の種類は、特措法で規定された空家等のうち一戸建ての住宅及び併用住宅等としております。  また、空き家実態調査の分析結果等から、所有者が空き家の良好な管理状態を維持していくための対策や、将来的に空き家を所有する可能性がある市民等に対する啓発に課題があること等が見えてまいりました。  このような課題に対して、先ほど回答いたしましたように、計画では基本的な方針を4点、所有者等の意識の向上への働きかけ、利活用の促進、特定空家等の取り組み、住民からの相談に対する取り組みと定めております。  次に、商工業の振興についての御質問でございます。  まず、創業インキュベートタウン事業についての目標件数に対する現在の状況も含め、具体的施策が昨年29年度と変わっていない理由についてのお尋ねにお答えいたします。  創業インキュベートタウン事業、いわゆる特定創業支援事業については、昨年度に引き続き春日市商工会と連携して、創業希望者に対する支援を実施し、推進しているところです。この特定創業支援事業は、中小企業への経営支援を担う中小企業診断士が個別指導を行うことで、創業希望者の事業内容に即した創業計画の策定支援や、経営、財務、人材育成、販路開拓等、創業に関する知識を習得できる内容となっています。これまでにこの事業を終了し、創業に至った件数は、平成27年度は12件、平成28年度は21件と、増加傾向で推移していることから、平成30年度も引き続き実施してまいります。  次に、空き店舗等を活用した出店支援事業も含めた商店街振興についての本市の考え方、その実現に向けた施策の方向性についてのお尋ねにお答えいたします。  施政方針でも述べましたとおり、地域の活力を創出するためには、市内商工業のさらなる活性化が不可欠であると考えております。そのため、春日市商工会と連携して、創業融資制度や特定創業支援事業による創業支援とあわせ、市内の消費拡大のための事業などを実施するとともに、市内商店会への支援にも努めているところです。  なお、議員御案内では、地域の商店街がシャッター街になっているとのことでございますが、事業所の経済活動を明らかにすることを目的に総務省統計局が実施した平成28年度経済センサス活動調査によりますと、その指標となる1平方キロメートル当たりの事業所数は、本市が県内随一の239.6事業所となっていることから、本市では店舗が活発に利用されており、シャッター街はないものと認識しております。  このような状況を踏まえますと、空き店舗を活用した出店支援につきましては、現在のところその緊急性は高くないと判断しておりますが、引き続き状況の変化を注視しつつ、今後とも商工会と連携しながら、市内商工業の活性化推進に努めてまいる所存です。 98: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 99: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 9番、西川文代でございます。  1回目の質問に対する御答弁ありがとうございました。  1回目の質問の冒頭でも述べさせていただきましたとおり、春日市の総合的かつ計画的なまちづくりを進めるための計画であり、また、市民や行政など、春日市のまちづくりにかかわる人々が、まちづくりの目標を共有し、同じ方向性でまちづくりを進めるために活用する春日市総合計画の後期計画と、まち・ひと・しごと創生法第10条に基づき、本市の人口問題、つまり人口減少、少子化、超高齢社会に対する政策に特化した計画として、上位計画である、先ほど申しました春日市総合計画及び関連する計画との整合性を図りながら、人口問題、政策に関する施策の基本的な方向性を示す役割を担う、春日市人口ビジョン、春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿い、まさに翌4月からスタートしようとする直前の2年前、28年3月定例会で発表された施政方針について、空き家等の対策も含め、多岐にわたり一般質問をさせていただいた経緯がございました。  繰り返しにはなりますが、それは28年度を本市にとって大きな節目、春日市の将来ビジョンに向かって大きく一歩を踏み出すスタートの年であると捉えてのことでした。そこで、28年度スタートから2年が経過した30年度本3月定例会で御説明いただいた施政方針は、28年度から新たに大きく一歩を踏み出し始めてきた施策、取り組みの実効性を検証し、成果と課題を分析した上で3年目の方針と捉え、今回の質問をさせていただいていることを改めてお伝えいたします。  さらに、28年3月定例会の一般質問で春日市の居住形態をお聞きしましたところ、平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査による春日市の現状をお答えいただき、一戸建てが約43%、共同住宅・長屋建て・その他が約57%という現状であり、全体的な割合は、持ち家(一戸建て)約39%、持ち家(共同住宅)約17%、借家(一戸建て)は約4%、借家(共同住宅等)は約40%となり、借家の共同住宅等が最も多く、持ち家(一戸建て)と同程度、また、一戸建てよりも共同住宅が多いという春日市の特徴を理解しているところです。  29年度3月末、今月末に策定する予定の「春日市空家等対策計画」の実態調査は、公表されている「春日市空家等対策計画(修正案)」にも示されておりますとおり、28年度に8カ月間の月日をかけて実施されたものでありますが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、また、福岡県空家対策連絡協議会で策定された空き家実態調査の手引に沿って行われております。  したがって、空き家として捉える範囲は法の趣旨に基づき、建物全体として居住その他の使用がされていないことが常態であるものであり、現地調査及び意向調査の結果、対象とされた空き家等候補367件のうち、共同住宅はわずか12件との結果を見てもわかるように、分譲、賃貸のマンション、アパートなどについては、一部屋でも居住している実態があれば、その建物は空き家にはならないため、今回の実態調査や空き家等対策の対象は、春日市の約43%の住宅についてであります。  さらに、今年度6月定例会での一般質問において、「集合住宅やビルにおける部分的な空き部屋、空き店舗については、特段の取り組みは行っていない」との御回答もいただいておりますので、春日市の住宅の半分以上、約57%についての実態は、今のところ不明であることをここで確認させていただきます。  前述を踏まえた上で、28年度の実態調査も含め、「春日市空家等対策計画」策定に至るまでの経過と内容についての御回答を受けての見解を述べ、再度質問をさせていただきます。  計画策定に至るまでの実態と、計画策定に至る経過、内容につきましては、春日市の空き家等の実態を分析し、見えてきた課題を明らかにし、四つの基本的な方針、所有者等への意識向上への働きかけ、利活用の促進、特定空家等の取り組み、住民からの相談に対する取り組みを示している点、御回答はシンプルなものでございましたが、公開されている「春日市空家等対策計画(修正案)」を熟読しますと、大きな方向性を示すものとしては私も納得できるものでありました。  しかし、具体的な方策が示されていないことが気になります。この大きな方向性を具体的に施策に落とし込み、他の部署とも連携を図りながら、早急に空き家等の対策に当たっていかなければ、計画修正案に示された32年、37年の予想を考えますと、今から2年後と7年後であり、春日市の約43%の範囲の住宅の空き家等の問題が深刻化すると思われます。  この見解を踏まえ、本計画4年間の計画期間の中での四つの基本的な方針に沿った具体的施策実施のタイムスケジュールはどのように考えられておられますか、四つについてそれぞれお尋ねいたします。 100: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 101: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 計画期間の中での、四つの基本的な方針に沿った具体的施策実施のタイムスケジュールについてのお尋ねにお答えします。  本計画では四つの基本的な方針のうち、特定空家等の取り組みを優先的に行うこととしております。したがいまして、この取り組みに関しましては平成30年度から行ってまいります。残る三つの基本的な方針につきましては、協議会で御意見をいただきながら、具体的なスケジュールを定めていきたいと考えております。 102: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 103: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  今御答弁いただきましたように、確かに特定空家等の取り組みを優先するのが当然のことであると私も考えます。しかしながら、先ほども申しましたように、計画にも示されていますように、32年、37年の予想を考えると、策定した計画に沿い、的確で早急な具体的な施策の実施という対応の有無が、春日市の将来を決定づけると言っても過言ではないと思います。「九州で最も住みやすい魅力的なまちづくり」を目標とする春日市は、空き家対策に対しても先進地的な取り組みをするべきと考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、基本方針に示された住民からの相談に対する取り組みは、実態調査から見えてきた多岐にわたる空き家等に対する課題の解決のために大変重要だと考えますが、「地域の専門家と連携した相談体制の構築に努める」とありますが、具体的な取り組みとしてはどのようなことになるのでしょうか。「地域の専門家」とはどのような方々なのかも含め、お尋ねいたします。 104: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 105: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 地域の専門家と連携した相談体制の具体的な取り組みや、「地域の専門家」とはどのような人なのかについてのお尋ねにお答えいたします。  空き家の所有者等が抱える問題は、相続や不動産の売買、賃貸など多岐にわたります。この相談体制は、こうした所有者等からの相談に対応できるよう、空家等対策協議会の委員選出に際して推薦をいただいている各団体等に御協力をいただき、専門的なアドバイスができる体制を構築することに努めるものでございます。 106: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 107: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  空き家等対策には、さきに挙げていただきました専門家に加え、利活用という意味ではリフォーム業者や、空き家の管理に関しては植栽の手入れ、防犯体制などの専門業者、空き家で困っていることのアンケート結果でもわかるとおり、さまざまな専門家との連携が必要です。空き家の課題がよりよく解決される体制を、ぜひ地域の専門家との連携を密にし、なるべく早く構築していただきますようにお願いいたします。  また、相談体制の整備に「総合窓口を設置する」と示されております。住民等からの空き家等に対する相談への対応に関しては、「相談窓口を安全安心課内に設置」とありますが、上記の総合窓口とは、安全安心課内に設置する相談窓口のことでしょうか。もしそうであれば、今後策定された計画をもとに、多岐にわたり空き家等の対策をしていく業務量の増加も考慮し、4月から課内の職員数をふやすことを考えておられるのでしょうか、お尋ねいたします。 108: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 109: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 総合窓口とは、安全安心課内に設置する相談窓口のことなのか、また、課内の職員数をふやす考えがあるのかとのお尋ねにお答えいたします。  総合窓口とは、安全安心課内に設置する相談窓口のことでございます。  また、安全安心課の職員数につきましては、今後の相談窓口の状況を見ながら整理してまいりたいと考えております。 110: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 111: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 9番、西川文代でございます。  空き家等の対策は、繰り返しお伝えしておりますとおり、春日市の将来を決定づける重要な課題だと思います。他市町村では「空き家を地域貢献のために提供してみませんか」と、地域の集まり場所や、障がい者、高齢者、低所得の方、また、住宅確保要配慮者や災害者の方々のための住宅確保への協力を呼びかけ、マッチングする事業を社会福祉協議会に委託して行っておられます。さまざまな事例を参考にしながら、適宜、他の組織に任せること、直営でしっかり管理することなどを精査し、よりよい空き家対策ができるように、かなめとなる安全安心課の職員の増員も視野に入れて取り組んでいただきたいと思います。  空き家等対策の実施体制の中に、「今後も空き家等対策を進めるに当たり、春日市空家等対策協議会を設置し取り組む」とありますが、30年度から34年度までの本協議会の開催回数や内容について、現在想定していることを教えてください。 112: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 113: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 空家等対策協議会の開催回数や内容の想定についてのお尋ねにお答えいたします。  平成30年度の開催回数は6回を予定しております。平成31年度以降につきましては、平成30年度の状況を踏まえて開催回数を考えてまいります。  次に内容ですが、本協議会では今後、本計画の具体的施策に関し、随時御意見をいただく予定でございます。特に平成30年度は、特定空家等に対する措置に関して主に御意見をいただく予定でございます。 114: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 115: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  具体的な施策に対する意見をいただく、この協議会は大変重要な組織であります。よりよい施策ができるよう、委員選出にも特別な配慮をよろしくお願いいたします。この協議会の内容につきましては、今後また質問をさせていただきます。  計画の中に、「外部関係機関等との連携、空き家等に関する相談に適切に対応するため、関係機関や民間団体などとの連携及び協力の方法について検討する。地域の住環境に対する影響が大きいことから、地域の問題として捉え、市、地域住民、関係団体等での連携を図り、空き家等の適正管理や利活用を推進し、安全で安心な住環境の構築について検討する」とあります。この内容はとても大切であり、ここに示されたことを具現化する仕組みづくりを今から早急にしていくことが重要と考えます。  個人や法人が所有する住宅も、春日市内にあるものは春日市の地域の問題、将来の春日市ビジョンの明暗を左右する大きな問題として、積極的に具体的な施策の推進に当たっていくには、先駆的に空き家等の適正管理や利活用について取り組む自治体の調査も含め、研究に努め、実効性の高い施策に取り組んでいただくべきだと考えますが、このことに対する御見解をお願いいたします。 116: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 117: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 先駆的に取り組む自治体を調査研究し、実効性の高い施策に取り組むことに対する見解についてのお尋ねにお答えいたします。  他自治体の取り組みは本市にとりまして参考になる場合もあると考えており、今後とも情報収集には努めてまいりたいと思います。 118: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 119: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  私の見解を御理解いただきまして、まことにありがとうございます。  先ほどの大牟田市の空き家等の地域貢献のための提供の事例や、本年度6月には民泊新法も施行されますし、また近年、古民家のリノベーションによる利活用の事例なども多くございます。春日市の「ぶどうの庭」や「じょなさん」も保育所のリノベーションです。ぜひ、空き家を問題として捉えるのではなく、可能性として捉え、転換できるよう、調査研究をお願いいたします。私も情報収集、研究に努めてまいります。  次に、実態調査に示される住宅の老朽化による空き家等候補の件数ですが、平成30年推計で805件、平成37年推計では1,346件と、老朽化による空き家候補の件数が7年間の間にかなりふえてくることを大変危惧します。このことをどう捉え、対策されようとしているのでしょうか。  また、地区によりかなりの差がありますが、この地域間の違いによる、地域との連携による今後の対策はどのように考えておられるのでしょうか、お尋ねいたします。 120: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 121: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 老朽化による空き家候補件数の増加への対策についてのお尋ねにお答えいたします。  本計画に沿って空き家対策の具体的施策を進めていく中で、建てかえや除去が適切になされれば、空き家の将来件数は予測よりも減らすことができるものと考えております。  次に、地域との連携による今後の対策についてのお尋ねにお答えいたします。  今後の推移を見ながら、具体的な施策が必要かどうか、協議会で御意見をいただきながら考えてまいりたいと思います。 122: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 123: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  進め方に対する考え方は理解いたしました。私も調査結果を見て驚くほどに、老朽化が進むことの問題は大きいと思います。老朽化は待ってはくれません。確実にやってきます。そこで、やはり協議会には、他の自治体でも実績のある学識経験者にも御協力いただくなど、ぜひ協議会の構成メンバーや内容の充実に努めていただきますように、よろしくお願いいたします。  最後の質問です。前に述べましたとおり、今回議論している対象は、春日市の住宅の約43%のことでございます。春日市の将来を左右する57%の共同住宅の空き部屋問題に対して、同じように実態調査をし、対応していく必要があると考えます。これまで28年3月、29年6月の一般質問でも、この集合住宅、マンションやアパートの空き部屋に対する取り組みの必要性を随分訴えてまいりました。  分譲マンションの理事会やアパート経営者の方など、不安があり困っている相談したい方は、春日市にも多くいらっしゃると推測されます。春日市でマンション管理士として仕事をされている方も、「マンション管理、老朽化への対応などの合意形成も含め、方向性を早目に定め措置しないと、解決困難な事態になる。早目の対応が大変重要」と、さまざまにかかわってきたマンション管理相談を通した見解をお聞きする機会があり、春日市内にも多くあるマンション管理に対する相談窓口の設置についても、見解を一般質問したところでした。  そこで、相談体制の整備等の中に「総合窓口の設置」とともに示されております、「関係団体と連携した相談会の実施」ですが、「利活用及び適正管理に係るマッチングを図る」とされておりますが、その具体的な内容をお尋ねするとともに、その際にマンション管理やアパート経営に悩む方の相談も受け付けるなど、少しずつできることから取り組みを始めることは重要と考えます。このことに対する見解をお願いいたします。 124: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 125: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 関係団体と連携した相談会の具体的内容についてのお尋ねにお答えいたします。  空き家に対する所有者等の考えは、売買や賃貸、管理の仕方など、さまざまでございます。このようなことから、関係団体と連携した相談会の実施などにより、所有者等のこれらの希望に合わせた相談先等の紹介やアドバイスを実施していきたいと考えております。  次に、マンション管理やアパート経営に悩む方の相談を受け付ける取り組みを始めることに対する見解についてのお尋ねにお答えいたします。  本計画では、空き家の所有者等からの相談は、特措法上の空き家等に該当するものに関する相談を想定しております。したがいまして、マンションやアパート等の集合住宅における部分的な空き部屋に関する相談は対象と考えておりません。
     なお、マンション管理に関する相談につきましては、福岡県建築住宅センターの相談窓口や市の無料法律相談を紹介することとしております。 126: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 127: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 9番、西川文代でございます。  策定する空き家等対策計画は、空き家の定義に沿った対応とのこと、理解しております。しかしながら春日市の住宅事情を考えますと、57%の共同住宅等への対応も必要不可欠です。4年間の計画でありますので、次なる計画は約57%を含んだ対策計画を策定するようにお願いしておきたいと思います。  また、マンション管理等の相談もできることを、しっかりと春日市としての問題として広報に努めていただきますよう、よろしくお願いいたします。  空き家等対策についての質問は今回3回目でありますが、春日市の将来を決定づける重要課題と考えているためです。「九州で最も住みやすい魅力あるまちづくり」を目標とする春日市、今後、空き家等の対策が計画に沿って進められることを見守りながら、空き部屋、空き店舗等の対策も含め、春日市の住宅ストックの老朽化を防ぎ、有効に、魅力的に利活用されることを目指しながら、今後も質問や施策の提案もさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  それでは続きまして、商工業の振興について、1回目の回答に対する見解と再度の質問をさせていただきます。  まず、創業インキュベートタウン事業、いわゆる特定創業支援事業についての、件数とあわせた施策の方向性についてです。  春日市まち・ひと・しごと創生総合戦略に示された創業に至る件数の目標値は、2019年に年間60件とのことでした。このことに関しましては、平成28年6月定例会での一般質問において、この高い目標値の根拠をお尋ねしましたところ、26年度中、約70件の相談件数の実績から40件ふやし110件とし、相談件数の半数を創業に至る目標件数とした結果、2019年に60件となったとのことでした。  また、27年度から創業支援、商業者向けに開始した資金面での支援策である、融資制度等の運用及び情報発信のためのウエブサイトの活用を引き続き実施するとともに、創業支援について広く周知を図るために、効果的な手法について研究に努めるとの御回答をいただいておりました。  創業に至った件数については先ほどお知らせいただき、27年度、つまり総合戦略に示された平成27年1月末の実績は9件でしたが、平成27年度は最終的には12件、28年度は21件とのことで、伸びていることは十分わかりますが、大きな目標であったとはいえ、目標達成をすることにより、まちのにぎわいを創出し、春日市を魅力的で選ばれるまちにするための商工業の振興の形には、まだ到達していないと判断いたします。  そこで、27年度、28年度の創業に対する相談件数と、29年度の現在までの相談件数と、創業に至った件数を教えてください。 128: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 129: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 平成27年度、平成28年度の創業に関する相談件数と、平成29年度の現在までの相談件数と創業に至った件数についてのお尋ねにお答えいたします。  相談件数につきましては、平成27年度は68件、平成28年度は57件、平成29年度は現在までのところ41件でございます。なお、平成29年度の創業に至った件数につきましては、確認するのに時間が必要であるため正確に把握しておりませんが、特定創業支援事業の現在までの申し込み件数は21件でございます。 130: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 131: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  相談件数は、計画策定時の70件という実績からすると、27年度68件、28年度57件、また、29年度現在で41件と減少傾向にあり、思ったような成果が出ているとは言えない状況であることがわかりました。また、29年度の特定創業支援事業の現在までの申し込み件数も21件にとどまり、このことからすると、創業に至る件数の増加もなかなか見込めない状況ということもわかります。  創業支援を受け、創業に至る件数60件という目標値達成は、2019年、つまり平成31年です。このことからしても、平成30年度の施政方針には改善策が打ち出されてしかるべきであったのではと考えております。  ところで、前述しました目標達成の方法としては、まず相談件数の伸びに努め、創業に至る件数をふやしていくとの考えであり、そのための周知の方法を研究していくとのことでした。そこで、周知の方法の研究はどのようにされたのでしょうか、お尋ねいたします。 132: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 133: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 周知の方法の研究はどのようになされたのかについてのお尋ねにお答えいたします。  本市の創業支援の周知を図るため、ウエブサイト、春日市創業促進プロジェクトの活用を継続するとともに、福岡県が実施しております「福岡よかとこビジネスプランコンテスト」において、平成28年度から本市の創業支援情報を提供するなど、その手法も研究しながら周知に努めているところでございます。 134: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 135: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 御回答の内容、理解いたしました。春日市内外に広く周知するために、福岡県が取り組む事業で周知するのは、とてもよいことであると思います。今後も福岡県、また福岡都市圏としてのつながりを大切にしながら、あらゆる場所で春日市の魅力のPRをしながら、春日市で創業しようとする事業者をふやすための周知に取り組んでいただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。  これまで繰り返し述べてきましたが、現状を考えますと、創業支援のあり方についてもう少し工夫をしていく必要があるかと考えますが、施政方針で示された内容は、1回目の質問でもお伝えしましたが、変化がございませんでした。そこで目標達成を目指し、成果の検証と課題の抽出、また、その課題を改善していくための30年度からの新たな施策については、協議されなかったのでしょうか。されたのであれば、どのような協議であったのか、内容をお尋ねいたします。  また、施政方針の内容が29年度と同じである、つまり目標達成が遠いのにもかかわらず変化がなかった理由を、再度明確に教えてください。 136: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 137: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 平成30年度からの新たな施策についてどのような協議を行ったのか、また、施政方針の内容が平成29年度と変化がなかった理由についてのお尋ねにお答えいたします。  本市と春日市商工会において、商工業の振興に関する協議会を定期的に開催し、特定創業支援事業についても本協議会において協議をいたしております。また、市内商工業の振興は継続的に施策を推進する必要があることから、施政方針の内容は昨年度と同様でございます。  しかしながら、具体的な事業への取り組み内容としましては、商工会との協議を踏まえ、平成30年度は創業支援に対する充実を図っております。 138: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 139: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 西川文代でございます。  春日市の商工業の振興に関する施策の方向性の決定に対しては、もちろん春日市商工会との協議をしっかり重ねながら、広く市民や商工業者の意見も聞き、さらにその調査研究は春日市として取り組んでいく必要があります。商工業の振興についてのさらなる調査研究と、施策の実施をお願いいたします。  そこで、さきの回答に、「商工会との協議を踏まえて、今年度は商業支援に対する充実を図っていく」とありましたが、具体的にはどのようなことでしょうか。 140: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 141: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 「平成30年度は創業支援に対して充実を図っていく」とあるが、具体的にはどのようなことなのかとのお尋ねにお答えいたします。  平成30年度は特定創業支援事業の充実を図るため、修了者に対するフォローアップ等を春日市商工会と連携し、実施してまいります。 142: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 143: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 9番、西川文代でございます。  創業に至っても事業が継続できなければ、創業者、市民、市の発展にとりましても大きな損失ですので、以前からありました伴走型支援は大切だと思っておりますし、創業支援の修了者に対しても継続的なフォローアップがあることは重要だと考えます。  続きまして、空き店舗等の活用も含めた商店街振興についてお尋ねいたします。  私の1回目の質問において、春日市にシャッター街があるということは申しておりません。シャッター街があるようなまちも、調査研究を重ね、不断の努力により商店街の再生を果たすことに成功し、地方創生の名のもとに、不利な立地や過疎化、高齢化に対応しているということが多く見られるということをお伝えしたところでした。  春日市は、空き家等でも言えるように恵まれた立地から、人口減少も高齢化もまだそこまで進んでいないということから顕在化していないと考えますが、潜在的には大きな問題を持っていると考えております。商店街もシャッター街とは言えるような状況はありませんが、市民や商工業者の方々も、商店街がもっと活性化していけばまちは魅力的になり住みやすくなる、また、商売ももっと発展すると考えておられるのです。  したがって、「九州で最も住みやすい魅力的なまちづくり」も目標に掲げている、立地に恵まれた、人口密度も九州で2番目に高い春日市は、顕在化しているものだけに対応するだけでなく、将来的に顕在化してくる潜在的な課題に対しても先手で調査研究をしながら、施策の実施をしていくべきと考えております。  旧態依然とした考え方だけでは、深刻化している課題に対して新しい発想を多く取り入れ、再生を果たしたまちがあるように、春日市もさまざまな施策を考え積極的に実行していくことを、市民や商工業者も望んでおります。そのことに対する見解をよろしくお願いいたします。 144: ◯議長(金堂清之君) 染原地域生活部長。 145: ◯地域生活部長(染原利幸君)〔登壇〕 潜在的な課題に対して調査研究しながら、市民や商工業者が望む施策の実施を考え、積極的に実行していくことの見解についてのお尋ねにお答えいたします。  商工業の振興は、地域の活力を創出するために、市内商工業のさらなる活性化が不可欠であると考えております。そのため、本市の商工業振興の具体的な施策について引き続き研究を行いながら、その実現に向けて取り組んでまいります。 146: ◯議長(金堂清之君) 9番、西川文代議員。 147: ◯9番(西川文代君)〔起立〕 9番、みらい春日、西川文代でございます。  商工業の振興については、地域の活力創出のため、市内商工業者のさらなる活性化が不可欠との見解、心からありがたく感じております。そのための具体的な方策に関しましては引き続き研究を行い、その実現に向け取り組んでいくとのこと、この御意向を確認でき、心から安心し、うれしく思います。これからは議員としての研修会への参加、視察を通して得た他自治体の事例、情報をお伝えしながら、見解を述べ、本日の一般質問とさせていただきます。  みらい春日では、商工業の振興は春日市の将来にとって重要との考えから、今年度の私設テーマをこれに定め、ことし2月に、福岡都市圏研究会という20年以上続く福岡都市圏の地方議員の勉強会において、宮崎県日南市・油津商店街の再生を仕掛けたキーパーソンである、現在、那珂川町事業間連携専門官をされている方のお話を伺いました。「油津商店街の再生から見る地方創生の新たな形 那珂川町・福岡都市圏における可能性とは」とのテーマでしたが、一つの商店街で約4年間で25を超える新規出店、企業誘致等を実現し、2016年「はばたく商店街30選」──経済産業省の賞ですが──を受賞した取り組みは、目をみはるものがありました。テナントミックスサポートマネジャーを全国公募して実現した例でございました。ちなみに、この方は春日市商工会商業部会の研修会においても講演をされております。  また、先日は金沢市の商店街振興に係る支援事業について視察に行ってまいりました。空き店舗を活用した出店等も含め、市街地再整地事業を計画的に進められておりました。  きょうは時間がありませんので全部は言いませんが、このようなさまざまな先進地の事例をぜひ春日市も研究していただきまして、商工業の振興に努めていただきたいと思っております。これで終了いたします。 148: ◯議長(金堂清之君) ここで暫時休憩いたします。  なお、再開は午後3時15分といたします。                ──── ─ ──── ─ ────                 休憩 午後2時59分                 再開 午後3時13分                ──── ─ ──── ─ ──── 149: ◯議長(金堂清之君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  1番、吉居恭子議員。  なお、吉居議員は回数制にて質問いたします。 150: ◯1番(吉居恭子君)〔登壇〕 1番、日本共産党、吉居恭子です。  私は通告に従い回数制で、子どもの貧困対策の進捗状況についてと、総合スポーツセンターアリーナ観覧席の安全対策について質問を行います。  初めに、子どもの貧困対策の進捗状況について質問いたします。  子どもの貧困問題が表面化し、国が2015年1月17日、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を施行して4年がたちました。子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な生育環境を整備するとともに教育の機会均等を図り、生活の支援、就労の支援及び経済的支援などの子どもの貧困対策を総合的に推進することが重要とされています。  お隣の福岡市では、平成28年より子どもの生活状況等に関する実態調査を独自に行い、その結果を分析し、課題を抽出することにより、効果的な支援へとつなげていっていると聞きます。春日市における子どもの貧困の実態はいまだ可視化されず、市内には子ども食堂が幾つかできてきましたが、まだまだ必要な子どもへ届いている状況とは言えません。この件については、これまで2度質問させていただきましたが、その後の進捗状況を市長と、教育の観点から教育長にお尋ねします。  次に、総合スポーツセンターアリーナ観覧席の安全対策について質問をします。  春日市総合スポーツセンターは平成28年4月オープンして約2年、スポーツの拠点として、市民交流の場として親しまれ、昨年1年間で32万6,730名、平均して1月2万7,228名、1日にすると900名以上の人々がスポーツに汗を流しています。その中で、メインアリーナ、サブアリーナの利用者は11万4,635名、競技者の家族や友人など観戦者を加えると、さらに多くの人々が利用しています。  スポーツセンターのオープン当時、見学もさせていただきました。アリーナはどちらも明るく開放的で、観覧席からの眺めもよいのですが、最前列に座ってみると、目の前の手すりがこれまで経験した観覧席と比べてとても低いように感じました。その場に立つと、自分の腰の高さにもならず、足がすくむくらいなのです。そこで周りの人に聞きましたところ、大抵の人が同じように感じているようで、後に利用者の意見として、「アリーナ観覧席の手すりの高さが低い」という意見が出ていたこともわかりました。  以前いただいていた設計図でよくよく調べてみますと、確かに75センチと書いてありました。この高さはやはり安全上問題があるのではないかと思いますが、市長の見解をお聞かせください。  以上、1回目の質問を終わります。 151: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 152: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 吉居議員から、子どもの貧困対策の進捗状況についての御質問でございます。  まず、市としての子どもの貧困対策の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。  厚生労働省の2016年の国民生活基礎調査では、子どもの相対的な貧困率は13.9%でした。これは前回調査に比べると2.4ポイント低下しており、12年ぶりの改善となっております。国は、景気の回復とともに子育て世帯の雇用や収入が上向いたためと分析しているようですが、いまだ7人に1人の子どもが相対的貧困の状態にあることを示しております。議員御案内のとおり、子どもの貧困対策は、生育環境や教育、生活、就労、経済面などの支援を総合的に推進することが重要であると考えます。  本市におきましても、国の子どもの貧困対策に対する大綱や、福岡県子どもの貧困対策推進計画が掲げる指標である、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援にのっとりながら、福祉や教育部局にとどまらず、社会福祉協議会や主任児童委員、各自治会等の御協力のもとで取り組みを進めております。  具体的には、就学援助やひとり親に対する支援、親の学び直しの支援、生活困窮者への自立支援、地域の子育てサロン、養育支援訪問、子ども・子育て相談センター事業などがあり、子や親に対する直接的・間接的な支援を合わせると60を超えた取り組みとなります。これらの取り組みを通して、世帯の貧困に起因する課題に対し、時には関係機関との協議、連携を踏まえながら、状況改善や解決に努めているところです。  なお、貧困の実態調査に関しましては、現在、県内60市町村のうち実施自治体が9団体にとどまっており、いまだ調査結果が発表されていないところも見受けられます。本市といたしましては、目下、実施自治体との協議や情報収集に努めながら、効果的な調査内容や手法、成果について引き続き研究している段階です。  また、こども食堂に関しましては、議員御案内のとおり、現在、市内5カ所で実施されております。対象者は子どものみではなく、世代を超えた交流の場、孤食の解消など、多様性を持った地域の居場所づくりへと展開している状況です。  吉居議員におかれましても、「元気ワクワク料理クラブ」というこども食堂で、みずから地域の子どもたちへの食育や居場所づくりに尽力されていると聞き及んでおります。この場をおかりいたしまして感謝申し上げます。  これらの活動は、地域住民の自発的な善意に基づき運営され、広まっている経緯があります。行政の立場としてその経緯を大事にしながら、情報提供や助言、相談などの支援に努めたいと考えます。  なお、御質問のうち教育の観点からの進捗状況につきましては、この後、教育長が回答いたします。  次に、総合スポーツセンターアリーナ観覧席の安全対策についての御質問にお答えいたします。  議員御案内のとおり、総合スポーツセンターアリーナは大変多くの方々に御利用いただいております。各スポーツ団体の日ごろの練習はもとより、規模の大小はございますが、平成28年度は99の大会、平成29年度は118の大会が開催されており、参加者、関係者の皆様から好評を博しております。  さて、総合スポーツセンター体育館メインアリーナ・サブアリーナの観覧席の手すりの高さは、観覧席最前列が78センチメートルでございますが、これは建築基準法に基づく福岡県建築基準法施行条例第12条第1項に規定する75センチメートル以上の高さを確保するものであり、あわせて観覧者の視野を阻害しないものとなっております。このため、座席や通路を本来の機能及び目的に沿って使用していただければ、安全面の問題はないものと考えております。 153: ◯議長(金堂清之君) 山本教育長。 154: ◯教育長(山本直俊君)〔登壇〕 次に、教育の観点からの子どもの貧困対策の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。  教育委員会といたしましての基本的な考えは、貧困の有無にかかわらず、学びのつまずき、不登校、特別支援教育等の学校現場におけるさまざまな課題に対して、きめ細かな指導を推進していくことであると認識しております。  また、教育委員会が行っております経済面の支援としては、就学援助や高等学校への進学等に対する奨学金制度の周知徹底です。特に本市の就学援助につきましては、御承知かと存じますが、平成29年度に経済的負担軽減の観点から、翌年度に小中学校へ入学される新1年生の保護者に対しまして、新入学児童生徒学用品費を前年度に前倒しして支給できるよう、いわゆる入学準備に必要な時期に支給できるように変更いたしました。 155: ◯議長(金堂清之君) 1番、吉居恭子議員。 156: ◯1番(吉居恭子君)〔起立〕 1番、日本共産党、吉居恭子です。  子どもの貧困対策の進捗状況について、再質問を行います。  厚労省2016年国民生活基礎調査での子どもの貧困率が4ポイント低下し、改善したと言われましたが、果たしてこの数字が本当に改善を意味するものなのでしょうか。答えはノーです。  御存じと思いますが、貧困ラインは一般的な意味での貧困、つまり、この金額以下では生活できないといった基準をあらわしている数字ではありません。世帯の可処分所得を世帯員一人一人の可処分所得に変換し、それを多い順に並べて中央に来る値、中央値の半分の額というだけのもので、その時々の日本に住む人々の可処分所得分布から自動的に決まり、毎回変動するものだからです。したがって、人口全体の可処分所得が低下すれば、生活に必要な費用額とは無関係に貧困ラインは自動的に下がります。  実際、1人世帯では1997年の149万円から2015年の122万円へ、4人世帯では同じく18年間で297万円から245万円へと、貧困ラインは52万円、率にして約15%も下がっています。その間、物価上昇や消費税増税があったので、実際に生活費に使える金額はさらに大きく減少しています。  生活保護制度によって定められている最低生活費は、物価を一つ一つ積み上げ、消費税増税を反映しているので、逆に少しずつですが上昇しています。2015年統計で見ると、4人家族では貧困ラインのほうが年間82万円も少なくなっています。つまり、政府推計の貧困ラインは単に統計上の数字であって、最低限の生活ができるか否かを意味する貧困の程度とは無関係です。  ついでに言えば、生活保護以下の生活をしている人の存在をもって生活保護基準を引き下げるという考え方は本末転倒、理論上も道義上も許されないことであり、国に対して市民を守る立場で中止を求めていただきたいと思います。
     さて、福岡市における子どもの生活状況等に関する調査の分析結果を見ると、子どもの貧困問題として各地で言われているような子どもの生活状況と家庭環境の相関関係が、福岡市においても見られると結論づけています。そして、子どもが育つ家庭の経済的困窮が、衣食住、健康、発達への影響、文化的資源の不足、低学力、体験の不足、低い自己肯定感、孤立、排除などの複合的困難と不利益の蓄積をもたらす可能性を指摘しています。  子どもの貧困が問題となるとき、時としてその親たちの自己責任論が出てくることがあります。しかし、その親たちの多くは病気で働けなかったり、リストラなどで失業していたり、不安定な非正規雇用で朝から晩まで一生懸命働いて子どもを育てています。毎日長時間必死で働き、家事をこなし、そういうぎりぎりの生活を強いられている親に、子どもに対してよい生活習慣や教育を考え、ゆっくりと実践できる時間と心のゆとりはありません。このことは、沖縄県の子どもの生活実態調査の中で、基準内でありながら低所得の家庭ほど就学援助制度を知らなかった家庭がかなりの割合あるという結果からも言えると思います。  さらに、「生活保護を受給することは恥ずかしいことだ」「努力が足りない」「お金のやりくりをうまくすればいいのに」「もっと働けばいいのに」などという意識を、自覚しているかいないかにかかわらず、多くの人々が持っています。その上、プライバシーの問題だからと深く立ち入らない、立ち入れない人間関係の中で、一層支援に結びつきにくいということもあると思われます。  春日市ばかりではありませんが、自治体の施策は申請主義で、みずから市役所に出向いて支援をお願いするということも必要です。言わなければ支援を受けられないのです。こういった状況の中で、貧困家庭の子どもたちの育ちを保障し、安心して大人になり、ひいてはこれからの高齢化社会を支える人材に成長してもらうためには、自治体の工夫された柔軟な対応が大事になってくると思います。  春日市の子育て支援は、あらゆる状況にある子育て世帯に役に立つように充実しているとお聞きし、本当にそうだと思います。そこで、児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、遺族年金類、母子父子寡婦福祉資金、生活福祉資金など貸付金、就学援助、高校生等就学給付金、子ども医療費支給制度を初め、春日市には60にもなる子育て支援策があるということですが、支援を必要とする子どもの家庭にはどれくらい給付や支援が届いていますか。また、自分から訴えない家族の支援につながる方法や工夫があれば教えてください。  次に、子ども食堂の話をしましたが、本当に必要な子どもたちには届いているとはまだまだ言えません。コミュニティ食堂の意味合いは十分果たせていると思いますが、回数的にも届きません。今般、大学でも無料または廉価で朝の学食があったり、企業でも社員食堂で朝食サービスを福利厚生として実施しているところなどあるわけですから、朝食をとらない、とれない子どものことを本気で心配するなら、無料の朝食サービスを実施できないでしょうか。  アメリカなどでは珍しくもないようですが、調べたところ全国の事例では、岡山県美咲町、高知県香美市、同じく土佐山田町、近畿地区の小学校6校、滋賀県豊郷町、東京では八王子の市立高校、足立入谷小学校など、それぞれさまざまなやり方で行われていました。「学力が向上した」「やる気が出る」「朝が楽しみ」「朝食をとることの大切さがわかり、自宅での朝食摂取につながった」などの成果が報告されています。そしてお隣の福岡市でも、七つの小学校が子どもたちにパンやバナナなど提供をしています。  どれも子どもの居場所である学校で行われていますが、教育という位置づけではなく、春日市の子育て支援として実施したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。  次に、教育委員会にお尋ねします。春日市ではコミュニティ・スクール、少人数学級、まなびや春日など、貧困対策と限定せず、全ての児童生徒への施策を続け、多くの成果を上げているとの市内外での評価があります。貧困との関連も認知されている不登校対策は、その性質上簡単ではなく、前述の施策への導入も難しいと思われますが、これらにつながれば相乗効果も期待できるのではないかと思います。今後の学習支援と不登校対策などについて、計画と方向性をお聞かせください。  以上、再質問を終わります。 157: ◯議長(金堂清之君) 筒井福祉支援部長。 158: ◯福祉支援部長(筒井ひとみ君)〔登壇〕 子どもの貧困対策についての再質問でございます。  まず、児童手当や児童扶養手当など、子や親へのさまざまな子育て支援策に関して、支援を必要とする家庭に支援が届いているのかとのお尋ねにお答えいたします。  子どもや親に対する直接的、間接的な支援は、金銭的な給付、自立に向けた支援、居場所の提供、相談支援などさまざまあり、担当する所管も多岐にわたっています。それぞれの所管の窓口において何がしかの手続や相談を行う中で、その方に支援できるようなほかのサービスが見当たれば、サービスの紹介や情報の提供を図ることとしています。  例えば市民課の窓口で、出産や離婚などで住民票の移動をされた方に対して、児童手当、児童扶養手当などの手当の案内を必ず行うことにしておりますし、こども未来課の窓口で離婚に関する相談等を受けた場合には、ひとり親に対する手当や各種サービス、民間の支援団体等の情報に関するパンフレットなどを、一まとめにしてお渡しすることにいたしております。  本市といたしましては、市報かすがや市ウエブサイトによる広報、取り組みを記した案内文書の家庭配布、窓口での紹介や助言など、さまざまな手法を通して支援情報の周知を図っており、支援が必要な家庭に支援情報がきちんと届くよう日ごろから心がけながら、取り組みの推進に努めているところです。  次に、自分から訴えない家庭への支援についての方法や工夫についてのお尋ねにお答えします。  行政として声を出さない家庭の実態を把握することは、プライバシー保護の観点などから大変難しいものがあると思います。もしも近隣住民や地域の方から、支援を要する家庭についての情報やうわさ等が寄せられたとしても、市として本来知り得ない情報であれば、法が許さない限り、その家庭への直接的なアプローチは容易ではないと捉えています。  仮にその家庭が何か福祉サービスを受けているとすれば、担当者を通して助言や提案などができ、必要なサービスにアプローチできるきっかけを見出すことができるかもしれません。声を出さない家庭に対して、議員御意見のとおり、支援に結びつけることが難しいところがありますが、その家庭の信条や考え方、思いを十分酌み取りながら、市の関係所管のみならず、他の機関や地域との連携、協力のもとで取り組んでいくべきものと考えています。  次に、子どもへの無料の朝食提供を市の子育て支援施策として実施してみてはどうかとのお尋ねにお答えいたします。  子どもの健やかな成長は、適切な運動、バランスのとれた食事や十分な睡眠、規則正しい生活習慣の中で培われていくものと捉えています。現在、国民運動として「早寝早起き朝ごはん」の取り組みがありますが、福岡県でも県PTA連合会等との協力のもと、県民運動キャンペーンを展開しております。基本的生活習慣を育成するために、家庭が果たすべき役割は大変大きいと感じています。  本市といたしましては、子どもへの無料の朝食提供については、育児放棄、いわゆるネグレクトなどで児童相談所の一時保護を要する場合、世帯の極度の生活困窮により緊急的な救護が必要な場合等には、関係機関と協議の上、個別に検討していくことになりますが、任意の提供についての考えは持ち合わせておりません。 159: ◯議長(金堂清之君) 西岡教育部長。 160: ◯教育部長(西岡純三君)〔登壇〕 吉居議員から、今後の学習支援と不登校対策等についてのお尋ねでございます。  教育委員会といたしましては、さきに教育長が申しましたとおり、貧困の有無にかかわらず、学びのつまずき、不登校、特別支援教育等、学校現場における今日的課題解決のため、きめ細やかな施策展開をしていくことが大切であると考えております。  本市の大きな教育課題の一つは不登校対策であります。この課題要因の主なものとして取り上げられていることは、発達障がいやその疑いがあること、それから、体験不足、コミュニケーション不足、保護者の子育て力などが挙げられております。根本的な方策を現在模索している状況もあります。  現在、不登校の状況は、中学校段階においても対策を緩めることはできませんが、少しずつ小学校段階へ、低学年への傾向があります。このため、不登校の長期化にならぬように、初期段階での対応を強化していく必要があると考えております。  このことから、平成29年度まで小学校での対策を担っていた「おはよう指導員」3名でございますけども、これを発展的に業務内容を拡充いたしまして、平成30年度から教育相談員として6名に増員をして、小学校段階における不登校を初め、学びの補充等の任務にも当たるように強化を図ります。  学びの補充については、教育委員会において平成27年10月から平成29年度までの2年6月間、月2回の土曜日、小学校4年生から6年生を対象に、全12小学校でプリントを活用した復習中心の補充学習を開催してまいりました。  まなびや春日を30年度以降、全小学校で展開いたします。科目は、積み重ねが必要な算数です。対象学年は3年生を中心に、週1回、希望する児童で他学年より早く帰る時間を活用した放課後1時限に実施できるよう、体制を構築してまいります。  以上でございます。 161: ◯議長(金堂清之君) 1番、吉居恭子議員。 162: ◯1番(吉居恭子君)〔起立〕 1番、日本共産党、吉居恭子です。  子どもの貧困対策の進捗状況についての再々質問は、要望とさせていただきます。  日本の生活保護の利用率は総人口の1.6%で、生活保護基準内の所得で実際に受給している人はそのうちのわずか15ないし18%であり、ドイツ、フランス、イギリス、スウェーデンなど47から91%と比べ、捕捉率はとても低くなっています。生活保護を受けるのは恥だという強固な観念や、保護を受けるための制約に阻まれて最後まで拒絶する人もいます。働けるようになったから、年金を受けられるようになったなどの理由で、保護基準額にはまだまだ届かないけれど辞退する人もいるそうです。  ところで、ベーシック・インカム、基礎所得保障という制度が、アメリカではヒラリー元国務長官が検討していたということで話題になっていましたが、政府が全ての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する制度です。例えば月7万円といったお金を、老若男女、所得の多寡にかかわりなく同額の現金を給付する制度です。個々人に対して給付するので、3人家族ならば合計21万円の所得がベーシック・インカムによって得られることになります。  生活保護、ネガティブ・インカム・タックスなどとの違いは、貧困対策ではなく無条件での給付なので、社会保障制度をシンプルにし、行政上のコストを削減します。同時に、無条件なので受給者に「政府からの施し」という劣等感を感じさせないという利点もあり、共産主義的な施策とも違います。所得の再分配制度の一つではありますが、あくまで支給されるのは最低限度額のみで、足りないと思う人は働いて収入を得るのは自由であり、市場原理も残っています。  1974年、カナダのドーファンという町で、貧困ライン以下で暮らす人をなくすという目的で、誰もが基礎所得を保障されていました。4年後、新政権が誕生し制度は中断、研究資料は分析されないまま放置されましたが、25年後、一人のカナダ人教授が記録を掘り起こし、3年かけてあらゆる方法で分析したところ、どの方法でやっても全て大成功だったという結論です。住民は富だけではなく、賢さと健康も得たことが判明しました。子どもたちの学校での成績は大幅に向上、入院者も8.5%も減り、家庭内暴力、精神的な問題を抱える人も減りました。住民は仕事をやめたりしませんでした。その後、ドーファンでは負の所得税を導入したそうです。貧困線以下に陥った人には追加所得が支給されるという仕組みです。アメリカからインドまで、世界のあらゆるところで同じような実験が行われ、同じような結果が出ているそうです。  もう一つ、インドのサトウキビ農家では1年の収入の60%を収穫直後に回収するので、1年の中で比較的貧乏な時期と裕福な時期とがあるというので、心理学の研究チームが人々に知能テストを前と後に分けて行ったところ、結果は収穫の前と後では14も違っていたそうです。貧困生活の影響は知能指数で14も下がることがあると判明、人は睡眠不足、飢餓だけでなく、時間やお金などでも欠乏を認識したときに、行動が変容するというのです。その人が愚かだから愚かな選択をしているのではなく、どんな人であっても愚かな選択をしてしまうような状況に置かれてしまうのが、欠乏、貧困だからです。貧困とは知識の欠如ではなくお金の欠如だから、貧困者の境遇自体を変えなければ根本の解決にはなりません。  現代日本の社会での根本的な貧困政策は、まずは最低賃金を大幅に引き上げ、8時間働けば安心して暮らせるような賃金体系を実現し、大人の貧困をなくすことでしょう。そして、失業や病気、老人の介護など、その時々を乗り切れる十分な社会保障、子どもに対する医療・教育の無償化など、国民本位の政策が必要となってきます。  しかし今、2013年の国民生活基礎調査資料にあるように、春日市においても1クラスで4人から6人の児童生徒が生活保護基準以下の生活を強いられている中で、国の施策を黙って待っているわけにはいきません。教育長が言われるように、低所得世帯とそうでない世帯の子どもを区別することなく教育の保障をするとなれば、それに付随して全ての子どもの教育費の完全無償化、給食費の無償化、全ての学年での少人数学級運営など、多大な予算と人手が必要となってきます。  それが難しいというのであれば、一人一人の子どもに丁寧に向き合い、支援の必要性を察知して、福祉や医療と連携し、きめ細かに支援をすることが行政に求められているのではないでしょうか。大人はともかく、子どもは自分から援助を求めるすべを持たないわけですから。  世界最高の作家、ジョージ・オーウェルは、1920年代に貧困を経験し、「貧困の本質とは、未来を塗り潰すものである」と書きました。高齢化社会を目前にして、あすを担うのは今を生きる子どもたちです。その子どもたちの未来を塗り潰さないためには何ができるかを真剣に考え、実践する必要があると思います。  効果的な子どもの生活状況の実態調査はもとより、就学援助のさらなる充実、給付型奨学金の創設、一人一人の子どもに向き合う時間をふやす前提としての教職員の負担の大幅な軽減、少人数学級編制、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、相談員などを増員し、各学校に一人ずつ配置すること、朝食サービス制度、子どもの居場所である子ども食堂や児童館などでの食事の提供、フードバンク等による食料配付事業への支援、考えられるあらゆる方法で、教育の現場を含め、被支援者との信頼関係を築きながら、子どもの幸せのための施策を行われますよう要望します。  最後に、市長に要望します。  2月26日、井上市長が本定例議会の冒頭に発表されました平成30年度施政方針において、子どもに関しては、豊かな市民生活、安心な健康福祉の項の子育て支援、活力あふれる教育・文化・スポーツの中の、学校教育の充実、社会教育の推進、コミュニティ・スクールなど、健康で活力ある春日市政運営が描かれていました。しかしその中には、家庭環境やさまざまな理由で本来の子どもらしい日常を送れていないであろう児童生徒への思いが、一言もありませんでした。  多分、心の中にはそうした子どもたちに対してのお気持ちを十分お持ちなのでしょうが、心に秘めていただけでは解決につながりません。子どもの貧困の実態について目をそらさず、今ある施策を整理し、膨らませ、体系立てながら、地域を巻き込んで、例えば子どもの貧困対策プロジェクトを立ち上げるなど、全庁的というより全市的な取り組みをしていただきますよう心より要望いたしまして、子どもの貧困対策の進捗状況についての質問を終わります。  次に、総合スポーツセンターアリーナ観覧席の安全対策について、再質問を行います。  実は、担当している市民厚生委員会の中でも、比較的早い段階からアリーナ観覧席手すりの安全性についての意見が出ていました。総合スポーツセンターオープン後、市民からどんな意見が出ているかなど尋ねる一方で、近隣自治体はどうだろうかと、建設から30年以上経過した大野城市の体育館と、1年余り前にオープンしたばかりの太宰府市のとびうめアリーナを視察、調査しました。  大野城市の体育館は、観覧席の前面には84センチの高さの壁があり、その上に30センチの鉄製の丈夫な柵が立ち上がっていました。つまり、手すりの高さは114センチで、成人が立ち上がっても胸近くの高さになります。  太宰府市のとびうめアリーナ観覧席の手すりは、床面から111センチのクリアボードが立ち上がっています。前面ではありますが、透明なので競技する様子がはっきりと見えます。担当のスタッフに聞いた話では、このクリアボード設置は設計業者からの提案によるもので、市からの指示は格段なかったとの説明でした。もちろん手すりが高い場合でも、足がかりなど構造によっては、子どもが手すりにつかまってよじ登り、下をのぞき込んだときにバランスを崩して落ちてしまうケースがあるので、配慮はしてありました。  しかし、本市のスポーツセンターアリーナの手すりの高さ78センチでは、容易に手すりの上から下をのぞき込め、転落の危険性は高くなります。また、最上部より最前列までの階段をおりるとき、はずみで前のめりになるということも考えなくてはなりません。  日曜日の夕方、大会終了後に同伴していたお母さん、お父さんたちに、手すりの高さについてどうかと問うと、「危ないと思います」「怖い」「心配なので、子どもたちは最前列に座らせないようにしている」「子どもから目が離せない」など、ほとんどの人が安全面に不安を訴えていました。さきに利用者の声として、「手すりの高さが低い」との意見があったことを申しましたが、スポーツ団体の皆さんの中からは、このような意見、要望は出ていないのでしょうか。  さて、人の重心は、大人では身長に対し床面から55%の高さのところにあります。つまり、身長160センチの人の重心は88センチの高さになるので、ちょうどおへその上ぐらいです。子どもだと頭部が大きく重いので、重心はもっと高くなります。子どもが転びやすいのはこのためです。どちらも重心は78センチより上です。手を挙げた状態ではさらに重心は高くなります。体育館シューズの高さ2ないし3センチも考慮しなくてはなりません。移動のため立ち上がり、座っている隣の席の人の前を通るときなど、とても不安定になります。  福岡県の建築基準に、劇場の手すりの高さは75センチとあるそうですが、スポーツ観戦と観劇、同列に考えてよいとは思えません。観劇の場合は、2階席であっても前面のステージを見るだけです。しかしスポーツ観戦では、アリーナのフロア前面で行われている競技を3メートル80センチの高さのところから観戦するわけで、むしろベランダの高さの基準110センチを採用するほうが妥当なのではないでしょうか。百歩譲って観劇の建築基準を参考にしたとしても、それは最低ラインであって、75センチ以下にしてはならないということですので、現実に即した春日市独自の安全基準を再考すべきではないでしょうか。  注意喚起の大きなポスターや、利用者に対する再三の注意勧告をしているとのことですが、事故があったときの免罪符になるはずもありません。むしろ、それほどここは危険なんだとみずから認めている証拠にさえなるのではないでしょうか。  そこで、1、近隣自治体の手すりの高さ110センチに対し、当市の手すりの高さが低いということについてどう思うか。  2、高さに対する市民厚生委員会の意見、意見箱のほかに、利用団体からの要望は出ていないか。  3、スポーツ観戦という、観劇とは違う環境の中での安全性についてどう思うか。  以上、お尋ねします。 163: ◯議長(金堂清之君) 神田健康推進部長。 164: ◯健康推進部長(神田芳樹君)〔登壇〕 吉居議員から再質問でございます。  まず、近隣自治体の手すりの高さ110センチに対し、当市の手すりの高さが低いということについてどう思うかとのお尋ねにお答えいたします。  それぞれの市の考えによるものであると認識しており、本市の考えは、先ほど市長が答弁しましたとおりでございます。  次に、利用団体からの要望は出ていないかとのお尋ねにお答えいたします。  春日市体育協会から、平成28年9月と平成29年10月に何らかの対策を求める文書をいただいております。市では、観覧席最前列で立って観覧する行為などをやめ、観覧マナーを遵守することが大切であるという認識から、利用者の皆様がルールを守り、マナー向上に努めることにより、誰もが楽しく安全に利用できる総合スポーツセンターとなるよう、最前列で立って観戦しない旨の注意喚起の張り紙、指定管理者による定期的な巡回、防犯カメラによる観察、アリーナを占用する団体への周知徹底などの対応を行う旨、回答しております。  最後に、スポーツ観戦という、劇場とは違う環境の中での安全性についてどう思うかとのお尋ねにお答えいたします。  市長が答弁しました福岡県建築基準法施行条例においては、「劇場等」として、劇場、演芸場、観覧場、公会堂などが列記されております。本市の総合スポーツセンター体育館アリーナ・サブアリーナは、この中で観覧場と位置づけており、スポーツを観覧する観覧場でございます。  先ほど答弁しましたように、今後とも利用者の皆様がルールを守りマナー向上に努めることにより、誰もが楽しく安全に利用できる総合スポーツセンターとなるよう、鋭意努めてまいります。 165: ◯議長(金堂清之君) 1番、吉居恭子議員。 166: ◯1番(吉居恭子君)〔起立〕 1番、日本共産党、吉居恭子です。  総合スポーツセンターアリーナ観覧席の安全対策について、再々質問を行います。要望とさせていただきますので、回答は結構です。  昨年7月、40名もの住民が犠牲となり、いまだに1,000人以上の人々が仮設住宅での避難生活を余儀なくされている北部九州豪雨では、私も微力ながら、現地の泥出しや避難所での心配事、要望の聞き取り調査、生活相談などの活動に参加しました。  10月ごろに行ったとき、少し高台になった住居地で2回目の聞き取り調査を行ったときのことです。その方の住宅の下の道のすぐ向こうに川があったので、「川がすぐ前なので、怖かったでしょうね」とお聞きしました。そしたら、「はい。大きな音がして、家の下も濁流で、とても怖かったです。でも、本当の川はずっと先のほうですよ。今そこに見えるのは、豪雨のときに住宅を何軒ものみ込んだ後、そのまま川になったところです。数年前の豪雨で川底が浅くなり、地域の人たちと何回も何回も市に要望して、やっとことし8月に河岸工事をする計画だったのに、間に合いませんでした」。  自治体の施策の中で一番大事なのは、災害など何かあったとき、住民の命をどう守れるかということではないでしょうか。まさに春日市に住む私たち春日市民のための体育館アリーナで、災害時には多くの人々が避難生活を送るかもしれないところです。財政上の問題、手続上の問題、あれこれあると思いますが、何より利用者である市民の声に耳を傾け、さらに市民の安全を第一に考えていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。 167: ◯議長(金堂清之君) 8番、近藤幸恵議員。  なお、近藤議員は時間制にて質問いたします。 168: ◯8番(近藤幸恵君)〔登壇〕 8番、会派大樹の近藤幸恵でございます。  私は通告により時間制で、施政方針について質問をさせていただきます。  本日最後の質問者ですので、爽やかに、軽やかに質問を終わらせたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、市長は今議会の冒頭に、本市の平成30年度の基本方針や政策について、議会及び市民の皆様にお伝えし、市政運営を約束するための施政方針を述べられました。その施政方針に、「上水道については、春日那珂川水道企業団が実施する水の安定供給の取り組みに対し、連携・協力を図っていきます」となっています。連携・協力についてお尋ねをいたします。  皆様も御存じのように、春日那珂川水道企業団は恒久的水源の確保を平成32年3月までに確定しなければなりません。期間は残すところ2年間となりました。企業団の水資源対策委員会での報告によりますと、違法取水発覚から3年が経過し、目標確保水量に対し流量観測調査が終了し、確保水量がほぼ決定いたしました。これにより恒久的水源の目標確保期間も示されました。いよいよ恒久的水源の確保に知恵を絞り、具現化しなければならない時期となってまいりました。  また財政については、さきの企業団議会の一般質問で、27年度に55億円あった内部留保資金は29年度は33億4,000万円になると概算され、内部留保資金が10億円を切ったならば水道料金の値上げを考えなければならないことが明らかになりました。しかし国への返還金と、27年度の国庫補助金の取り下げや発覚後の補助金の交付停止を考えると、決して安心できるものではないと考えます。  以上の恒久的水源の確保のための具体的計画や進捗状況は、企業団構成団体連絡会において本市に報告され、市長も御承知のことと存じます。  また、企業団の構成団体の一員として、平成30年度予算の出資金は、福岡地区の導水事業の償還分として2,515万5,000円、負担金は児童手当として、福岡市地区水道企業団が409万8,000円、春日那珂川水道企業団分が205万8,000円として、構成団体としての役割を果たそうとしているところでございます。  恒久的水源の確保期間はあと2年と限られた中、水源の確保は一つ一つ丁寧に、かつ確実に行っていかなければならないことは言うまでもないことです。しかし市民にとっては、遅々として進まない恒久的水源の確保の進捗状況と、構成団体である本市の考えや動きが見えないことが水道料金の値上げに直結するのではないかと、不安といら立ちが募っているようでございます。  以前の私の質問で、市長は「地方自治体の長として、皆様から寄せられる期待と信頼にお応えするために、市政運営の一つ一つに誠心誠意取り組み、将来を見据えた責任ある市政運営を果たしてまいる」と力強い回答をいただきました。また、企業団との連携についてお尋ねしたところ、「今後も企業団との連携は大事なことと認識している」と御回答いただきました。  恒久的水源確保までの2年間は、構成団体と企業団とは連携を今以上に強化し、一丸となり、この苦境を乗り越えなければならないと考えます。企業団との連携をどのようなお考えのもと、29年度の連携はどのように行ったのか、また、30年度の連携をどのように行うのか、不安といら立ちの市民へ、お考えをお示しください。  以上を1回目の質問とさせていただきます。 169: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 170: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 近藤議員から、施政方針についての御質問でございます。  まず、春日那珂川水道企業団が実施する水の安定供給の取り組みに対し、連携・協力を図っていくという部分について、29年度の連携はどのように行ったのかとのお尋ねにお答えいたします。  平成29年度におきましては、8月1日に西鉄春日原駅前とJR春日駅前におきまして、水資源の大切さを市民の皆様に啓発する「水キャンペーン」を、春日那珂川水道企業団とともに実施しております。また、市のウエブサイトや市報を活用した啓発も実施しております。例を挙げますと、少雨傾向にあった6月や、大掃除で水の使用がふえる12月には節水について、また、寒波の影響が懸念される冬の時期には水道管凍結対策について、それぞれウエブサイトや市報による啓発を行ったところです。  なお、事務レベルでの連絡調整の場として、春日那珂川水道企業団構成団体連絡会が設けられており、本市及び那珂川町の関係所管の職員が、春日那珂川水道企業団の職員から予算案等の事務的な報告、説明を受けております。  次に、30年度の連携をどのように行うのかとのお尋ねにお答えいたします。  平成29年度と同様に、街頭啓発活動や市のウエブサイトや市報を活用した啓発活動を行ってまいりたいと考えております。 171: ◯議長(金堂清之君) 8番、近藤幸恵議員。 172: ◯8番(近藤幸恵君)〔起立〕 8番、近藤幸恵でございます。  連携について御回答いただきました。市長におかれましては、市民と同様に命の水については特に敏感であり、御心配であるのではないかと、また、現在の遅々として進捗しない恒久的水源確保については、さぞ御心痛でいらっしゃることとお察しいたします。今回私は、負託を受けた者の責任として、企業団構成団体としての春日市の動きが見えないことに不安を抱いている市民の声を質問とさせていただいております。  ただいまの御回答では、残された2年間の企業団との連携は今以上に強化した考えは伺えず、連携事業も特に強化された様子も見えません。言えば、通常の連携事業であるとの御回答だったと認識いたしました。市長、この御回答は、以前市長が表明された「市民から寄せられる期待と信頼にお応えするために、市政運営の一つ一つに誠心誠意に取り組んでいく」との、市長市政としての御回答と認識してもよろしいのでしょうか。市長に御確認をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
    173: ◯議長(金堂清之君) 井上市長。 174: ◯市長(井上澄和君)〔登壇〕 春日市議会において、市長としての立場でお答えするとすれば、先ほどから申し上げておりますとおり、水は大変貴重な資源でございますので、水の大切さを市民の皆様にお知らせする活動において、今後も引き続き連携と協力を図ってまいります。 175: ◯議長(金堂清之君) 8番、近藤幸恵議員。 176: ◯8番(近藤幸恵君)〔起立〕 8番、近藤幸恵でございます。  以上をもって私の一般質問を終わらせていただきます。 177: ◯議長(金堂清之君) お諮りいたします。  本日の会議はこの程度にとどめ、明日、引き続き一般質問をお受けしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 178: ◯議長(金堂清之君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度にとどめ、明日、引き続き一般質問をお受けいたします。  本日はこれにて延会いたします。                ──── ─ ──── ─ ────                 延会 午後4時14分...