平成30年第3回定例会(第3日 9月10日) 平成30年9月10日(月曜日)
会 議 録
(第3日)
平成30年9月10日(月曜日)
=午前10時00分開議=
〇出席議員(37名)
1番 金 子 むつみ 君
2番 緒 方 正 子 君
3番 山 田 貴 生 君
4番 田 住 和 也 君
5番 山 村 太 二 君
6番 早 田 耕一郎 君
7番 松 岡 保 治 君
8番 佐 藤 晶 二 君
9番 森 ア 巨 樹 君
10番 田 中 貴 子 君
11番 太 田 佳 子 君
12番 秋 永 峰 子 君
13番 甲 斐 征七生 君
14番 権 藤 智 喜 君
15番 吉 冨 巧 君
16番 石 井 秀 夫 君
17番 田 中 良 介 君
18番 市 川 廣 一 君
19番 原 学 君
21番 原 口 和 人 君
22番 塚 本 篤 行 君
23番 山 下 尚 君
24番 塚 本 弘 道 君
25番 古 賀 敏 久 君
26番 藤 林 詠 子 君
27番 永 田 一 伸 君
28番 原 口 新 五 君
29番 別 府 好 幸 君
30番 森 多三郎 君
31番 八 尋 義 伸 君
32番 大 熊 博 文 君
33番 石 井 俊 一 君
34番 甲斐田 義 弘 君
35番 栗 原 伸 夫 君
36番 田 中 多 門 君
37番 田 中 功 一 君
38番 坂 井 政 樹 君
〇欠席議員(1名)
20番 堺 陽一郎 君
〇
地方自治法第121条に基づく出席者
市 長 大久保 勉 君
副市長 中 島 年 隆 君
副市長 森 望 君
企業管理者 萩 原 重 信 君
教育長 大 津 秀 明 君
総合政策部長 國 武 三 歳 君
総務部長 徳 永 龍 一 君
協働推進部長 井 上 謙 介 君
会計管理者 土 屋 尚 之 君
市民文化部長(兼)
久留米シティプラザ統括部長
松 野 誠 彦 君
健康福祉部長 窪 田 俊 哉 君
子ども未来部長 甲斐田 忠 之 君
環境部長 今 田 利 満 君
農政部長 山 口 文 刀 君
商工観光労働部長 鵜 木 賢 君
都市建設部長 志 賀 浩 二 君
田主丸総合支所長 井 上 益 規 君
北野総合支所長 豊 福 和 行 君
城島総合支所長 平 田 茂 君
三潴総合支所長 松 藤 康 彦 君
上下水道部長 豊 福 高 弘 君
教育部長 大久保 隆 君
契約監理担当部長 石 原 純 治 君
総務部次長 竹 村 政 高 君
財政課長 黒 岩 竹 直 君
総合政策課長 重 石 悟 君
〇
議会事務局出席者
事務局長 野 口 正 君
議事調査課長 本 松 寿 史 君
議事調査課課長補佐(兼)主査 古 賀 裕 二 君
書 記 澁 田 佑 美 君
書 記 野 田 匡 昭 君
〇議事日程(第3号)
第1
一般質問
〇議事の経過
◎ 開 議
○議長(佐藤晶二君) 皆様、おはようございます。
これより本日の会議を開きます。
◎ 日 程 第 1
○議長(佐藤晶二君) 日程第1、
一般質問を行います。
順次、質問を許します。
5番山村太二議員。(拍手)
〔5番山村太二君登壇〕
○5番(山村太二君) おはようございます。
5番、山村太二です。質問通告に基づき、1回目の質問をします。
1点目、
保育利用の権利について。
保育を受けることは、それを必要とする子供及び保護者の当然の権利と考えますが、依然、
待機児童及び、いわゆる
隠れ待機児童が解消に至っていない現在の久留米市の状況において、また、保育の
実施義務がある
基礎自治体として、どのように認識をしているのか。また、国連で日本が批准している子どもの権利保障の観点からも、どのようにお考えかお答えください。
2点目、
待機児童対策について。
久留米市では、いつから問題として認識し、これまでどのような対策を講じてきたのか。その対策の検証と、今後どのような
取り組みをしていくのかお答えください。
3点目、来年10月に実施予定である、いわゆる
幼児保育・教育の無償化について。
消費税増税と連動し、我が国においても、この分野の抜本的な制度改革とあわせ、非常に大きなターニングポイントであると考えますが、久留米市においては、どのような変化が生じると想定しているのかお答えください。
4点目、
私立幼稚園と
認定こども園における満3歳児問題について。
現行制度では何ら
支援制度がないため、保育所と比べ、保護者と事業者の負担等の不平等が生じています。また、先ほどの無償化においても、この3歳児問題は、すっぽりと抜け落ちている問題です。さらに、子供の生まれた月による不平等も生じています。いわゆる
待機児童問題の受け皿にもなっている満3歳児の補助について、久留米市はどのような認識をお持ちでしょうか。なかなか着目されることがなかったこの問題に対して、
待機児童解消に積極的な福岡市においては、今年度よりその
補助制度が始まりましたが、久留米市では、国の制度も活用した同様の制度導入の可能性はいかがでしょうか。以上で、1回目の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君)
大久保市長。
○市長(大久保勉君) おはようございます。
山村太二議員の御質問にお答えします。
まずは、
保育利用の権利について御質問がございました。
児童福祉法第1条では、全ての児童が適切に養育され、生活を保障されるなど、福祉を等しく保障される権利を有するとされております。また、
児童福祉法第24条では、市町村は、保護者の労働等の事由により保育を必要とする場合は、
保育所等において児童を保育しなければならないとされております。このことから、保育を必要とする児童に保育を提供することは、市の責務であると認識しております。したがいまして、
待機児童の解消は、久留米市としてしっかりと取り組んでいく重要な課題と考えております。
国連憲章、特に、国連の子どもの権利等の御質問がございました。これは、政府においてしっかりと政府の政策の中に盛り込まれておりますから、国の政策としっかり平仄を合わせて市の
取り組みも行ってまいりたいと思います。具体的には、
児童福祉法等々の法律改正並びに履行、こういったことが国際法との関連との平仄を合わせるということでございます。
続きまして、
待機児童問題に関して御質問がございました。
久留米市における
待機児童の状況でございますが、記録が残っている範囲でございますが、平成11年以降は
待機児童数の把握を行っております。平成11年以降の
待機児童数は、100人を超える年からゼロ人の年もございました。一貫して必要に応じた
施設整備を行い、平成11年から合併前の平成16年までは、合計で800人の定員増を行っているところでございます。
また、平成20年の中核市への移行に伴いまして、
保育需要の増大に対する計画的な供給体制の方針を定め、既存施設の改善に加え、
認可保育所の新設や
認定こども園の創設も行っているところでございます。
さらに、平成27年に施行されました子ども・
子育て支援新制度におきましては、くるめ子どもの
笑顔プランに基づきまして、教育・保育の量の拡大を図っているところでございます。
続きまして、今後の考え方、並びにこれまでの検証に関して申し添えますと、平成21年度以降は、保育所と
認定こども園で約1,700名の定員拡大を実現したところでございます。この結果、幼稚園や
届出保育施設を含めた市全体の
施設体制としては充足する見込みとなっております。ただし、全国的な
保育士不足によりまして、
待機児童の解消にはいまだ至っていないと、こういった問題意識でございます。
現在、
保育士不足への対応としましては、保育士の処遇改善並びに
潜在保育士の
掘り起こし等に取り組んでいるところでございますが、新たに離職防止や
保育士養成といった
保育人材の確保に向けた
取り組みの強化を行っているところでございます。この
保育人材の確保、これは喫緊の課題ということで認識しているところでございます。
続きまして、いわゆる
幼児保育・教育の無償化についての御質問がございました。
幼児保育・教育の無償化につきましては、本年6月に閣議決定されました
経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太の方針によりますと、まず1点目としまして、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、
認定こども園の費用の無償化に加え、それ以外についても、保育の必要性があると認定された子供を対象として無償化するということでございます。2点目としまして、ゼロ歳から2歳は、
住民税非課税世帯を対象として無償化することということでございます。3点目、幼稚園の預かり保育や
指導監督基準を満たし、
認可外保育施設等も無償化の対象とすること、以上3点が、あと最後、重要な1点目、最後の点ですが、2019年10月から全面実施を目指すということでございます。
ことし7月に報道機関が実施した
県庁所在地や
政令指定都市など、主要都市への調査によりますと、回答した自治体の多く、約78%でございますが、無償化により
保育施設への
入所希望者がふえると予想しております。別の調査でございますが、国に先行して無償化を実施した自治体では
保育希望者が増加したとの報道がございます。久留米市といたしましては、
保育ニーズが高まることは想定されますが、現時点で具体的な数量等については、想定は困難であると考えております。
続きまして、いわゆる満3歳児問題について御質問がございました。
幼稚園や
認定こども園の預かり保育につきましては、保育の受け皿の一部を担っていただいていると認識しております。2歳児の預かりにつきましては、幼稚園において
保育認定を受けない子供の預かりを行うものでございまして、国の制度上、公的な給付はございません。公的な給付はないということでございます。久留米市といたしましては、国が定めた制度設計に基づきまして、必要な教育・
保育サービスの提供に努めているところでございます。
続きまして、国の
制度改正の動きに関して申し述べます。
平成30年度の国の
制度改正におきまして、保育を必要とする2歳児の預かりについて、保育の受け皿を拡大し、幼稚園での預かりに対する新たな助成制度が設けられているところでございます。久留米市といたしましては、
保育認定を受けた2歳児につきまして、
保育所並びに
認定こども園での保育の提供が適切であると認識しており、これまでの保育所の
施設整備や
認定こども園の創設などにより、計画的に
受け入れ体制の確保を進めているところでございます。
福岡市の
取り組みに関して言及がございました。
福岡市では新たな制度を活用されておりますが、久留米市での導入につきましては、無償化による教育・
保育ニーズの動向を見きわめながら、職員の質や3歳以降の保育の提供、保育時間など、課題を踏まえておりまして、
近隣自治体等の動きを踏まえまして、今後も研究してまいりたいと考えております。以上が回答でございます。
○議長(佐藤晶二君) 5番山村太二議員。
〔5番山村太二君登壇〕
○5番(山村太二君) 2回目の質問をします。
保育利用の権利について。
子どもの権利保障のみならず、市長の
答弁どおり、我が国においては、そもそも
児童福祉法第24条第1項において、保護者が保育を必要とする場合、
基礎自治体は
当該児童を保育所において保育しなければならないとされ、その
実施義務が定められております。極端な話をするならば、1人でも
待機児童が発生している状態は、その
実施義務違反になると言っても過言ではありません。
また、「そもそも」という言葉を今回多用しますが、そもそも現在、我が国の
待機児童問題を抱える自治体の多くは、関東・関西等の大都市圏、あるいは、
県庁所在地や著しい人口増加が見られる地域に集中しております。決して、全国に満遍なく存在している問題ではないのです。言い方がはばかられますが、合併してできた人口30万人程度の九州の地方都市において大きく顕在化しているこの状況は、後ほど幾つか質問の中で理由を申し上げますが、私はレアケースであると認識しています。
子育て世代の
女性就業率が、この20年間で二十数%から七十数%まで飛躍的に伸びております。社会構造が激変しているということです。さらに、教育・保育の無償化によってもたらされる
保育ニーズの高まりは容易に想像でき、久留米市における
待機児童のさらなる増加を危惧しております。特に、市中心部の
保育ニーズには現在も応え切れていない状態であり、久留米市が推し進める
中心市街地活性化政策に対し、
子育て世代がこのエリアに暮らすことが困難になっていく可能性もあります。つまり、保護者の職業選択や生活設計にも影響を与えてしまうような大きな問題であります。
実際、子供を通わせる
保育施設が住みたいエリアに少ないために、中心部への居住を諦めたという話も耳にしました。また、上位希望の
保育施設に入所できず、結果的にマイカーを購入し、駐車場を借り、遠い場所に通わなければならないという事態も発生しているのです。
さらに、居住のみならず、久留米市は、
中心市街地の
空きオフィスに対し、
コールセンター等の誘致事業も積極的に推進しておりますが、職場や交通拠点の近くに保育所が少ないという状況の中、果たして企業側がこれに呼応できるのか、全国の自治体で行われている誘致合戦を勝ち抜くことができるのか、私は首をかしげざるを得ません。久留米市の政策判断が、都市の成長を阻害することになってはいないでしょうか。
前述の
児童福祉法の内容と現政権による骨太方針の
人材活用分野の目的から見ても、人が住むところ、人が働くところに
保育環境が充実していなければならないというのは明白であります。先ほども申し上げた
児童福祉法の目的にのっとり、久留米市は、市の都合や過去の経緯からではなく、児童や保護者の立場に立って、速やかに、必要なところに必要な
保育環境の整備をするべきであると考えます。
保育環境の整備とは、まず、箱の整備と保育士の確保であります。久留米市は、
待機児童問題が顕在化したここ数年において、新規の
保育所整備を行っておりません。一方で、
児童福祉法第24条第2項に基づくと思われる、先ほど市長答弁にございました
認定こども園の整備は行っております。しかしながら、現在の
待機児童の大部分を占めるゼロ・1・2歳児の
受け入れ施設である
小規模保育事業については一切認めておりません。
エリア選定も含め、弾力的に対応すべきだと強く思っております。
同様に
待機児童問題を抱える福岡市においては、次々に
新設保育所を公募し、この5年間で約1万人分の受け皿を整備しております。久留米市においては、中心部の必要とされる場所に対し、保育所を新設する考えはないのか、改めてお聞きします。
それと、
待機児童問題の今後の対策の中で具体的なお話がなかったものですから、あえて私が聞いている範囲で一つの事例に関して申し上げます。
送迎保育ステーション事業、来年度からの事業ということで私どもも説明を受けておりますが、これに関しまして、久留米市は、
新設保育所の公募を行わない理由について、過去に何度か私も問い合わせております。こういったことを申しております。「当市では少子化が加速し、
保育ニーズが減る」ということと、「新規参入がなされれば保育の質が低下する」と、つい最近までそのような説明をしてまいりました。しかしながら、
保育ニーズは単純に人口数だけではないということは明白であり、単純化できない議論となっております。
もう一つの要点である保育の質の低下ですが、この言葉を
額面どおりに捉えると、この
送迎保育ステーション事業は整合性がとれなくなってしまいます。毎日、保護者が指定された場所まで子供を送り届け、さらにそこからバスに乗せて遠方まで送り、さらにまたバスで
ステーションに戻り、また自宅に帰る。子供を安全な場所にとめ置く時間を物理的に減らしてしまうこの事業は、久留米市が今まで言ってきた保育の質の低下にはつながらないのでしょうか。甚だ疑問です。
さらに、一般的な
保育施設では、子供がおおよそ37.5度以上の発熱があると保護者に連絡を入れ、子供の状態によっては引き取りの申し入れをしております。その距離と時間が長くなってしまう可能性が高まるという時点で、
事業実施には早計であり、検証の必要があると考えます。
また、同様の事業を行っている自治体は、主に東京23区等の大都市圏や久留米市が参考にしたとする東京都町田市、さらに、早期に実施した千葉県流山市等が知られております。23区は比較するまでもなく、町田市と流山市は子供の
人口増加率が全国で3位と4位の自治体です。そもそも論として、久留米市とそれらの自治体の類似点はどこにあるのでしょうか。何事も目新しいことをやればいいというわけじゃなく、理屈と手順は重要ではないでしょうか。どの自治体も、まずは、定員数をふやす努力を最大限に行い、
保育士確保のために知恵を絞り、それでも追いつかないときに次善の策を講ずるというのが手順であり、筋論であると考えますが、いかがでしょうか。
次に、現在、久留米市の
待機児童対策の受け皿にもなっている
私立幼稚園及び
届出保育施設に対する支援について伺います。
私立幼稚園においては、障害児に対する補助金も県の
補助金制度を補完する程度であり、
保育園児に対する市の充実した補助金に比べて著しく低いものになっています。早急に、このような差を埋める必要があると感じますが、どのようにお考えでしょうか。
また、
潜在保育士採用に対する補助金も保育園と
認定こども園のみに適用され、
私立幼稚園に対しては適用されていないということも疑問に思っております。無償化が始まり、
保育所保育指針と
認定こども園教育・
保育要領と
幼稚園教育要領が統一される状況になりました。
縦割り行政のすみ分けにより区別し続けることは、いかがなものかと考えます。対策はございませんか。お伺いいたします。
基準適合届出保育施設においても約150名の入所定員を要し、久留米市は、そこへの
入所者数を
待機児童の数から除外する措置をとっております。しかしながら、その施設に対する補助は、
認可保育所と比べ雲泥の差です。
一昨年より、私は当時の執行部の方々を当該施設に案内し、現場の状況と生の声を聞いていただきました。今年度より若干の増額対応をされておりますが、まだまだ不十分であると感じます。非常に厳しい経営環境の中で運営しているこのような施設に対し、対策を講じる必要性を感じますが、いかがでしょうか。お答えください。
続いて、
保育士確保についてお尋ねします。
潜在保育士の
掘り起こしや処遇改善などは、
保育士確保にとって重要な政策であります。この分野における国や県の施策だけでなく、市独自の努力も求められております。
そもそも、保育を担う保育士の労働条件が悪く、保育士の給与は全産業平均の月33万円より11万円も低く、この20年間でほとんど上昇しておりません。最大の原因は、国が公定価格に算定される保育士の
給与基準額をふやしてこなかったことにあります。
公立保育所でも国平均では、
人件費削減のため、非正規雇用の保育士が半数以上になっております。保育士の待遇悪化は公費削減を進める国及び自治体によって政策的に生み出されてきたと考えられます。
保育士の確保と、ほかの自治体への流出を防ぐため、独自の給与の上乗せや家賃補助を行っている自治体も多数あります。久留米市では、そのような
補助制度を実施する考えはありませんか。お答えください。
保育士が不足している中で、配置基準というのは各
保育施設にとっても重要な問題であります。例えば、どれだけ子供の数が少なくても、早朝保育・
延長保育の時間帯において必ず保育士2名の配置となっておりますが、国の基準では2名のうち保育士は1名でよいとされております。久留米市においても2名のうち1名を
子育て支援員等の配置で可とすれば、
保育士不足の対応につながると考えます。
子育て支援員の活用の場、活躍の場をふやすという観点からも、いかがお考えでしょうか。お答えください。
続きまして、
利用調整及び
選考基準についてお尋ねします。
新制度により、久留米市も
利用定員数が若干ふえておりますが、それを超える
入所申込者数の増加に伴い、不足する状態が続いています。保護者の間では、「保活」という新たな言葉さえ生まれてしまいました。本来、
保育所入所は、保育の必要性が認定された全ての子供に保障されるべきものであります。それができないゆえに行われているのが
利用調整、保護者に点数をつけて順位づけされる
選考基準でありますが、順位づけが低ければ、入所がかなわず待機を余儀なくされます。そのような結果、「保育園に受かった」、「落ちた」とまるで受験結果のように人々の間で会話されるようになってしまっております。つまり、点数が非常に重要性を帯びているわけです。
また、
認定こども園においては、在園児の兄弟児が入所する場合、
保育園児か
幼稚園児かによって点数の差が非常に大きくなっています。
保育園児の兄弟児の調整点が40点に対し、
幼稚園児の兄弟児の調整点は5点と8倍の差があるため、
幼稚園児の兄弟児は入所が難しくなります。
認定こども園の
幼稚園児の保護者は大半が就労しているため、
保育園児の保護者と条件は同じはずです。
久留米市は、
利用調整の結果、申込申請を拒否したとき、
行政手続法第8条により、拒否理由を提示しなければなりませんが、もともとの指数設定がここまで違った場合、利用者の不公平感に直結すると思われます。就労している
幼稚園児の保護者については、
保育園児と同等に点数をつけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。2回目の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君)
大久保市長。
○市長(大久保勉君)
山村議員の2回目の質問にお答えします。
まず、1点目としましては、市の責務に関する質問がございました。特に、
待機児童が解消されていない状況に関しましては、市としてしっかりと志を果たすべきであると。具体的には、国の政策、法律、そういったことに関してしっかりと法律違反にならないようにしっかりしろと、こういった趣旨の御質問だったと承りました。
まず、市に
保育実施義務がありますので、
待機児童は解消すべき課題と認識しております。これは、
山村議員の認識と同じであります。その内容に関していろんな議論が今後あると思いますが、まず基本的な考え方に関して申し上げますが、他の自治体の事例としましては、定員不足で保育所への入所が保留となった児童の保護者がその処分の取り消しを求めた訴訟では、「やむを得ない事由がない限り、市町村は保育の義務があるが、付近の保育所定員にあきがなくなった場合にはやむを得ない事由と認められる」として、
児童福祉法上の違法は認定されなかった判例もございます。こういったことで、市としてはできる限りしっかりとやっていると。しかし、裁判所の判例もございますが、やむを得ない事由がない限りは市町村は保育の義務がありますが、付近の保育所定員にあきがなくなった場合にやむを得ない事由と認められるということです。ただし、そういったことに関してもしっかりと取り組んでいるということもお答えしたいと思います。
ちょっとここに関して前後するかと思いますが、たしか、2点目か3点目の質問に関連して、例えば、平成30年度で調査、そして、31年度からは
送迎保育ステーション事業を介しまして、しっかりとできることはしっかりやっていきたいと。ただし、中心部等にあきが少なくなった場合に関するあくまでも次善の策、補完としましては送迎保育
ステーション等の事業を行っていくということであります。
ここに関しましては、そこにもいろんな論点が出していただきましたが、
送迎保育ステーション事業は、将来の児童数の減少が確実な状況のもと、市中心部に多く発生する入所待ち児童への対応と周辺部の
保育施設の空き定数の活用という、現在久留米市が抱えている2つの課題を改善するために実施するもので、
待機児童対策としては、私は大変有効な事業であると考えております。
もちろん、質の問題に関しては御質問がございまして、御質問もしくは要望に関してはしっかりと受けとめないといけないという認識をしました。その前提で申し上げますと、本事業はバスによる移動はありますが、保育内容や保育者支援など、通常の
保育サービスを提供するものでございまして、市中心部の保育所を希望しながら入所待ちとなった子供及び保護者にとって有効な選択肢となるものと考えております。その上で、安全なバスの移動のため、バス車内の環境整備や保育士の引率はもとより、乗車時間が長時間とならないよう子供の負担にも十分配慮する必要がございます。その他、送迎保育
ステーションとなる江南保育園内の環境整備などにより、子供たちが安心して1日を過ごせる生活環境をつくり、保護者の皆様への子育てサービスの充実につながるように努めてまいりたいと思います。
続きまして、大きい質問点の2点目、中心部にニーズが高いんじゃないかと、こういったことに関して御質問がございましたから、ここに対してお答えします。
特に中心部に、職場の近くに預かり所があったほうがいいと、保育所があったほうがいいということですから、中心部にニーズが高いから新設すべきじゃないかと、こういった論点でございました。こちらに関しましては、市では平成21年度以降に1,700人分の保育定員の拡大を行ってまいりましたが、2カ所の認定保育所の新設を含め、その多くは市中心部や生活の拠点となる地域におけるものです。この点に関しては、
山村議員の意向と同じように、市もできることはしっかりやっているということでございます。
しかし、従来から取り組んでおります認可施設における定員増や
認定こども園の移行による受け皿の確保のほか、国が創設した企業主導型保育所事業を含む
届出保育施設の利用も見込まれることでございます。
一方で、全国的な
保育士不足等の影響で整備してきました施設や定員を十分生かし切れない状況もあると。施設はあるんだけど
保育士不足と、こういった論点もあるということでございます。
今後の対応に関して申し上げますと、したがいまして、今後も、認可施設の定員増や
認定こども園への移行など、これまでの
取り組みを計画的に進めながら、
保育士確保対策、
送迎保育ステーション事業など、積極的に取り組むことで市民の皆様のニーズに応えていきたいということでございます。
続きまして、次の論点としましては、やはり具体的に
保育士不足、特に、ゼロ歳から1歳等に関する質問がございました。こちらに関しては、ちょっと待ってくださいね、幾つか論点が載っていますから。例えば、
保育士確保ということで、周辺自治体から保育士を誘導するため、
保育士確保対策をしっかり行うべきではないかと。具体的には、市独自の処遇改善、待遇の上乗せ、そして、家賃補助、こういったことが具体的に御質問がございました。こういったことに対してお答えしますと、
保育士不足への対応に当たりましては、国の制度を最大限活用するとともに、市独自の
取り組みを進めているところでございます。
まず、さらなる処遇改善を図るため、公定価格の地域間格差の問題に対し、厚生労働省への要望活動や市長会等を通じまして要望を行っているところでございます。具体的には、ことしの7月に、政府に対しまして陳情活動を行ってまいりました。また、新たな人材確保などを目的としまして、昨年度から保育士人材確保対策事業や
潜在保育士就業支援給付事業を実施しまして、実際に保育士の確保につながった事例もございます。さらには、
保育所等巡回支援事業や保育士進学支援事業等によりまして、離職防止や新卒の人材確保を行っているところでございます。こういったことを一つ一つ打って
保育士不足に対処していきたいと思っております。
また、家賃補助に対する質問がございました。こちらに関しましては、保育士への家賃補助につきましては、現在、国における宿舎借り上げ支援のほか、福岡市など独自の
補助制度を実施する自治体も出てきているというのは承知しております。久留米市におきましては、もう既に、独自施策としましては、保育所へ就業した
潜在保育士に10万円を上限とする給付、
潜在保育士就職支援給付事業や保育士進学支援事業を行っております。しかしながら、家賃補助等に関しては、ほかの業態等の問題、いろんな問題がありますから、こういったことを踏まえながらしっかりと研究していきたいと思っております。
保育士不足はわかります。しかし、すぐに家賃補助をしないといけなかった場合に、いろんな業界、いろんな差もない、いろんな制度で市が運営されております。その場合、どうして保育士だけ家賃補助だと、こういったことに対して、必要性、法律、国の政策、こういったことを検証しながら一歩一歩進めてまいりたいと思います。こちらは
保育士確保の答弁でございました。
あとは、
利用調整に関する問題で、特に、保育所と
認定こども園の
利用調整に係る点数、具体的には在園児の兄弟・姉妹が行った場合の点数をどう行っていくのかということであります。具体的に申し上げますと、
認定こども園の教育部分への入所の認定に当たっては保育の必要性は要しませんが、保育所の入所に際しましては保育の必要性の確認をしております。そのため、在園児の兄弟・姉妹の入所申し込みがあった場合には、入所調整点に違いを設けているところでございます。違いを設けていると。で、御質問というのは、その違いが十分であるかと、こういった論点だと思います。
入所保留児が発生している現状では、
認定こども園に入園されている子供の保護者の中にも、預かり保育を利用しながら就労し、実際は保育を必要とされている方もいらっしゃいます。これは議員の質問の論点です。そのような観点から、どのような入所調整が適切であるかについては、幼児教育・保育の無償化の動向も注意しながら調査を行ってまいりたいと思います。
先ほど例示がございましたが、
認定こども園教育機関においては点数は5点でありますが、保育所においては40点と、この40点と5点の格差、どういうふうに考えていくかと、これは、国の無償化等の政策に従いましてしっかりと検討してまいりたいと思います。以上が
選考基準です。
あと、保育士の確保に関してはもう既に御説明しました。ですから、御質問があった点に関しては全て答えたつもりでございますが、もし質問漏れがございましたらお伝えください。全体を申し上げますと、1回目の質問で質問通告されておりますが、2回目に関しましては、それに関するもので、私の認識するのは、6問のかなり専門的なことに関してでございますから、一応全て答えたつもりでありますが、もし答弁漏れ等ございましたら、3回目の質問等でもう一度催促をお願いしたいと思います。以上です。
○議長(佐藤晶二君) 5番山村太二議員。
〔5番山村太二君登壇〕
○5番(山村太二君) 3回目を行います。私の質問と回答に、まだまだ大きなそごと開きがあるように感じております。
確かに、非常に本制度自体が、実は、法的にも整合性がとれていないところがありまして、先ほど言った第24条第1項は、
基礎自治体に保育義務を課している。しかしながら、先ほど言われた判例というのは東京都三鷹市の裁判なんですけれども、そちらでは、それを真正面から認めるものではなかった。でも、いろんな捉え方次第で、この整合性がはっきりしているかどうかというのが非常に曖昧な分野なんです。だから、私が冒頭に申し上げたターニングポイントが今来ているんだと。そのときに、
待機児童を抱えている自治体だということを、どうこのまちが、この久留米市が認識するかというのが大きな問題であると。それをいち早く、一日でも早くもっとスピーディーに深刻に捉えて着手していただきたいというのが今回の大きな質問の趣旨です。まだまだすり合わせがかなり必要になってくると思っております。ですから、最後はもう要望を申し上げます。大きな論点を一つ一つ言うには残り時間が余りにもございませんので。
先ほどより申し上げている
児童福祉法第24条第1項の見地より、保育所や保育事業による保育の供給量が十分である場合、
保育利用の請求を法的な権利として行使できますが、供給量が足りない場合は
待機児童が発生してもいたし方ないとする傾向が強いと思われます。今申し上げたところです。そうだとすると、
保育利用は行政の政治的・道義的な単なる努力目標でしかなくなってしまうんです。言いかえると、
保育利用の権利は国民の法的権利とはなり得ていないのであります。この法の趣旨を十分に理解し、保育所及び
保育環境の整備を怠ることなく解決に尽力し、
待機児童44名、
隠れ待機児童281名を持つ久留米市は一層の努力をされることを強く望みます。でなければ、久留米市の保育の
実施義務は、単なる理念目標にとどまってしまうようにしか市民の皆様の目からは見えません。
しかしながら、この問題は、いわゆる「保育園落ちた」ブログ問題以降、さまざまな分野のリアクションからかいま見えたように、苦しんで大変困っている当事者の方々と現役の
子育て世代ではない当事者以外の方々の反応には大きな温度差が感じられました。
この事業は、未来の世代と未来の日本をつくるものです。そして、今ではあまねく多くの市民の皆様に真っ先に評価される事業です。それぞれの自治体の努力により、
待機児童ゼロあるいは飛躍的な改善に導いた自治体も数多く存在します。参考までに、質問の中で何度か比較対象として出した福岡市のことし4月1日のいわゆる
待機児童が40名です。どうぞ他市の成功事例を見てください。そして、すばらしいニュースを一日も早く市民の皆様に届けられることを、しがらみのない新市長に強く期待して質問を終わります。(拍手)
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君) 2番緒方正子議員。(拍手)
〔2番緒方正子君登壇〕
○2番(緒方正子君) おはようございます。
2番、緒方正子です。
通告に従い、順次質問をいたします。
1.共同ホールの閉館について。
(1)公共施設のあり方についてです。
共同ホールの閉館については、6月議会でも質問をいたしたところです。
共同ホールは1985年に完成し、築33年を経過しており、その目的は、勤労者の福祉の充実、市民の教養文化の向上を目指すとして雇用促進事業団と久留米市で建設をされています。久留米市の中心に位置し、交通の便利もよく、文化センター、美術館とも隣接し、環境にも恵まれております。また、約500席近いちょうどよい規模の席と、それからすばらしい音響設備で、さまざまな発表の場として多くの方が利用されています。このように、まだ、稼働率も含めて十分にその役割を果たしている共同ホールを廃止することは、どうしても納得がいきません。
2018年3月の内閣府資料によれば、社会資本の維持管理・更新費が、将来的には1.75倍に増加すると推計をしています。一方、189団体の公共施設等総合管理計画を分析すると、インフラ・公共建築物の両者を対象とした長寿命化は、維持管理・更新費の大きな削減効果が期待できるとし、しかし、施設の統廃合などの施設縮減は一定程度にとどまる。全体に対する比率は、更新費削減率24%のうち、長寿命化によるものが20%、施設削減によるものが4%と、長寿命化のほうが効果を期待できるとしています。
また、総務省が提供している公共施設シミュレーションソフトによると、更新年数の初期値は、建てかえ60年、30年で大規模改修、実際には、物理的耐用年数は法的耐用年数より長いので、目標使用年数を設定して長寿命化を図ることで、財政効果が大きくなるとしています。
国は、このように、長寿命化計画で維持管理費や更新費の削減ができることを示しており、久留米市も、久留米市公共施設総合管理基本計画の推進方針で、「今後も活用が見込める施設については、長寿命化の視点で適切な維持管理を行います」となっています。
そこで、次の2点をお尋ねします。
1、公共施設のあり方について、国の長寿命化の方針を市長はどのようにお考えでしょうか。
2、国の長寿命化の指針、久留米市の推進方針から見ても、今回の廃止は撤回すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
2.利用者の切実な声についてです。
共同ホールの利用者については、6月議会でも意見交換の場を設けるべきではないかと再三申し上げましたが、いまだその場はありません。市長は、「平成26年の広報くるめで問題提起をして、平成28年2月にも議論をしている。いろんな市民の方から話を聞いているが、その中には利用者もいる」ということでした。また、「利用者の声は、できる限りまちづくり振興会の総会などに出かけて行き、皆さんの声を聞いている」という答弁でしたが、本当にこれが利用者の声を聞いたことになるのでしょうか。広報くるめで議論したとおっしゃいましたが、いつ閉館するとは出ておらず、ことし3月、いきなり出てきた話ではありませんか。
広報くるめ平成28年2月15日号で市民アンケートの結果が出ていますが、18歳以上2,000名を対象に、回収は約4割で、このアンケートはおかしいと思います。やはり、本当に利用している方々の声を聞くべきだったのではないでしょうか。
「代替施設にと言われたシティプラザの久留米座は、音響が非常によくない」、「プラザ内の場所もわかりづらい」、「駐車場がない、あるいは高い」、「田主丸のそよ風ホールや城島のインガットホールは、遠くて使いづらい。共同ホールの設備は非常によく、長く使うほどよくなる」という利用されている方たちの切実な声です。この声をちゃんと聞くべきです。
楢原市長も、焼却場建設反対の市民と、2回にわたり長時間意見交換をされました。江藤市長も、国保料値上げのとき、市民と直接対話をされました。インターネットやLINEでと言われますが、やはり直接向き合って対話することが大事だと思います。行政改革特別委員会の提言で、「施設機能の集約や施設配置の見直しなどを行う際には、利用者の利便性が著しく低下することがないよう配慮するとともに、利用者などへの事前説明を適切かつ丁寧に実施していくこと」となっています。今回の件は、ここが完全に欠落していたと思うわけです。
そこで、次の2点をお尋ねします。
1、利用者は長寿命化を前提に共同ホールの継続を望んでおられます。この市民の声をどう受けとめられますか。市長のお考えをお尋ねします。
2、利用者との意見交換の場を設けるべきだと思いますが、いま一度お考えをお聞かせください。
2.豪雨災害の対応についてです。
(1)避難時の高齢者・ひとり暮らしの方への対応について。
7月6日に起きた西日本豪雨は久留米市にも大きな被害をもたらしました。
7日の朝、私の所属する久留米民主商工会では、組合員の被害状況を把握するため、スタッフが地域の役員に電話で会員の状況を尋ねました。その結果、自宅や事業所の床上浸水や床下浸水、車の浸水が多数発生し、特に、31軒が大きな被害を受けていました。私も坂本会長と一緒に、梅満町、津福本町付近や合川町などの会員宅や事業所を視察しました。
翌8日日曜日には、田村貴昭衆議院議員が現地に来られ、一緒に地域の方たちと話を聞きました。緊急な対応が必要なことが幾つか明らかになりました。1、高齢者やひとり暮らしの方への支援、2、災害ごみの処分、3、水の引いた後の消毒、4、相談はどこにすればいいのか、窓口はどこかなどなどです。
今、高齢化が進み、ひとり暮らしの方がふえています。特に、災害時の避難は深刻な問題だと思います。避難だけでなく、後片づけ、ごみ処分も含めて支援が必要です。
内水面振興に関する法律の基本方針に、水産資源・水中動物の保護を示し、漁場環境保全を努力義務と定めています。これに対し、久留米市は水質検査を公表しています。その値は、確かに基準値を超えてはいません。しかし、検査値はあくまで平均値であり、例えば、水素イオン濃度は、ほぼ7という数字で前後しております。しかし、9を超えると魚が死んでしまいますが、最大値が幾つなのかというデータがわからないために、何が魚の環境を変えているのかつかめない状況です。このままその原因もつかめないまま時が過ぎ、気づいたときには手の施しようがなかったでは取り返しがつきません。
筑後川に住む貴重な生物、とりわけ魚の環境が変わりつつあることについて、今後どのように
取り組み、改善を行っていかれるのかをお答えください。
3.人権施策推進委員会、これは仮称です。これについて。
平成30年3月に、久留米市人権・同和問題市民意識調査結果が出され、そこから、これまでの久留米市の人権・同和教育、人権・同和行政についてさまざまな成果が見られました。
まず、寝た子を起こすな論を支持する人は、若い世代になるほど減少傾向にあります。全体では、32.9%がわざわざ取り上げずにそっとしておけばよい、いわゆる寝た子を起こすなの考えですが、年齢別に見ると、65歳以上で44.1%、45歳から64歳31.0%、30歳から44歳26.7%、18歳から29歳では何と14.8%と、人権・同和教育を受けた年代になるほど、その割合は減少していきます。この成果は、今後、人権・同和教育や啓発に取り組むことで、さらに減らしていけるという可能性を示しています。
また、同和問題解消の
取り組みから生まれた制度の認知度も、教育関係者の64.6%が教科書無償制度を知っており、行政関係者の52.9%が戸籍、住民票閲覧制限について認知しています。
このように少しずつではありますが、市民の部落問題への科学的認識が広がり、差別をなくす行動へとつながっていることは、同和行政の成果であると考えています。また、このような
取り組みが正しく知るということの重要さを啓発したり、社会の仕組みそのものを変えてきている点で、そのほかの多くの差別の解消につながり、そのことが全ての人々の幸せにつながっている点で、高く評価できると考えています。
しかしながら、2000年には人権教育啓発推進法が制定され、その目的の中に部落問題を指す社会的身分による差別が真っ先に挙げられていたり、部落差別解消推進法が策定されたことからも明らかなように、部落差別はまだ歴然と存在しており、そればかりか差別をあおるような言動が後を絶たないのが現実です。
公立高校教諭による差別事件、差別落書き、新たな部落地名総鑑事件、久留米市でも被害があった戸籍不正取得事件、そして、ことし7月、御存じでしょうか、同和問題講演会に絡んで、その講師宛てに「講師をやめろ」という差別封書が送られてくるという事件が起きています。このような差別事件は、単なる突発的な事件ではなく、火山の噴火と同じで地中にたまった差別意識というマグマが噴火という形で表面化しただけで、見えない地中には差別意識が脈々と流れていることを示しています。
同和対策事業特別措置法などの施策によって、確かに生活環境の改善、啓発活動の充実は図られてきましたが、人の意識を変えるということの難しさ、その変わらない差別意識は、被差別部落の人々だけではなく、さまざまな差別を受けている人々の生活にはそのまま響いています。まだ差別があるという事実が、差別と闘いながら生きている中で、改めて人生の展望を失わせたり、人が生きる上での活力となるやる気そのものをなくさせてしまった事例がたくさんあります。差別がやる気をそぐという大きな罪を犯してしまうことを、私たちはしっかりと認識しなければなりません。そのため、今後も人権・同和行政をさらに充実していかなければならないと考えます。
さて、市長は8月29日の記者会見で、人権施策推進委員会の設置の意向を示されました。部落差別を初めとするあらゆる差別の解消は、私たちが目指してきたことでもあり、ぜひその目標に向かって進めていただきたいと願っています。また、この委員会が声を上げられない人々の思いに寄り添い、不安や恐怖心に寄り添うものになるようにと期待するものであります。
そこで、
大久保市長にお尋ねいたします。
大久保市長は、この委員会をどのような目的で設置し、どのような姿勢で取り組まれるのかお尋ねいたします。これで1回目の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君)
大久保市長。
○市長(大久保勉君) 秋永峰子議員の質問にお答えします。
合計で4問ございました。
まず、1問目の水害時の避難について、(1)タイムラインの策定について、こちらに関しましては森副市長から回答させていただきます。
続きまして、(2)災害時要援護者の避難についてでございます。
久留米市では、災害時要援護者名簿を活用した図上訓練等の取り組みにより、災害時要援護者の個別支援計画の充実を図っているところでございます。
また、効果的な避難支援に向けて、昨年度から、土砂災害警戒区域内において避難行動に特別な配慮が必要な方を対象に市職員が当事者にアセスメントし、個別支援計画の具体化にも着手しているところでございます。
こうした取り組みによりまして、着実に個別支援計画の充実が図られつつあるという認識でございます。より実効性の高い避難支援につなげていくためには、当事者が参加した訓練を実施する中で、個別支援計画を検証していくことが必要であると認識しております。これは秋永議員の理解と同じかと思います。
今後とも、個別支援計画の充実等のために、図上訓練やアセスメントによる取り組みを強化してまいりたいと考えております。
また、校区まちづくり連絡協議会防災対策検討委員会との協働で、策定協議を進めている名簿活用マニュアルに、当事者参加訓練の重要性等を位置づけ、その訓練を推進することで、より効果的な避難支援が地域で行われますよう取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、筑後川の環境保全についてお答えします。
久留米市にさまざまな恵みをもたらしている筑後川は、耳納連山と並び、市の豊かな自然を象徴しており、筑後川の環境を保全していくことは生物多様性の面からも重要であると認識しております。
久留米市では、市の豊かな自然と生き物を守り、次の世代に引き継いでいくため、平成29年に久留米市の生物多様性地域戦略である「くるめ生きものプラン」を策定し、
取り組みを進めているところでございます。
筑後川の環境保全のために、水質の検査や工場等への立ち入り指導を実施するとともに、市民の皆様との協働による清掃活動や自然観察会等を通しまして、多くの生き物が生息する身近な河川環境について重要性を周知しているところでございます。
また、国や筑後川流域の自治体で構成されております筑後川・矢部川水質汚濁対策連絡協議会や、福岡県廃棄物不法処理防止連絡協議会におきまして、水質汚濁防止や不法投棄防止に係る連携した環境保全の
取り組みを行っているところでございます。
今後の
取り組みに関して申し上げますと、今後も、市民の皆様がさらに筑後川を身近に感じることができるよう、広大な河川敷を有効活用したリバーサイドパークの計画的な整備を進めていくこととしております。
また、水産資源の確保のために、稚魚放流や河川清掃に取り組まれております各漁協との連携を行ってまいりたいと思います。
続きまして、仮称でございますが、人権施策推進委員会についての御質問がございました。
人権問題の解決、これは私が常々申し上げております「住みやすさ日本一」を実現するためには、最も重要な課題の一つであるという認識であります。この認識を実現していくために、人権施策推進委員会というのを設置してしっかりと議論していくと、こういったことを考えているものでございます。
これまで久留米市が取り組んできた人権・同和行政を検証するとともに、今後、市が積極的に取り組むべき障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法への対応、そして、同和問題を初めとした女性、子供、高齢者、障害者、外国人、LGBTなどの現代的なさまざまな人権問題の解決に向けた基本的な方向や施策のあり方について広く意見を聞くための委員会、これを(仮称)人権施策推進委員会の設置を考えているところでございます。これは記者会見で申し述べたとおりでございます。
人口減少や少子高齢化が進みまして、地域の環境が大きく変わろうとしている中で、現代的なさまざまな人権問題も顕在化しているところでございます。これまでの人権・同和施策は、転換期に来ていると認識しております。
私は、さまざまな課題を解決する上で、現場の声を聞き、現場の実態に学ぶことは大変重要であると考えております。
そういったこともございまして、先般、被差別部落の方々と意見交換をする中で、ひとり暮らしの高齢者の問題、非正規雇用の問題、特に学歴が余りなくて専門性が少ない方の雇用の問題が深刻であること、子供の教育格差など、さまざまな厳しい実態があることをお聞きいたしました。これらの同和問題を解決していくことと生活困窮や就労問題、子供の貧困、外国人の人権や教育問題など、さまざまな行政施策の課題解決とは通じるものがあると認識しております。
こうしたことから、これまでの豊富な実績のある同和問題解決の
取り組みや手法を基盤、最近の言葉ではプラットホームにして、全ての人権問題を解決していくというアプローチは大変有効だと認識しております。このような考え方を基本的な姿勢としまして、さまざまな人権問題を関連づけながら、一体的に人権施策をステップアップさせていきたいと考えております。以上、私の答弁です。
○議長(佐藤晶二君) 森副市長。
○副市長(森望君) 質問の1項目め、水害時の避難について、(1)タイムラインの策定について回答させていただきます。
タイムラインは、あらかじめ被害を最小限に抑える行動を起こすため、災害の発生前から発生後までの防災行動を時系列に策定する事前行動計画でございます。このタイムラインを策定することで、災害発生前の早い段階での防災行動による防災・減災につながると考えられることから、国はタイムライン策定・活用指針を作成するなど、各自治体での策定を推進しております。
今回の水害におきましては、タイムラインの考え方に基づきながら、降雨等の気象予報や河川水位により、避難勧告等の避難情報を発令するなどの対応を行いました。
一方、中小河川につきましては、筑後川のような水位予測もなく、短時間で水位が上昇するため、段階的な避難情報の発令など、事前の対応に課題があったと考えております。タイムライン策定に当たっては、こうした課題を十分検証する必要があるというふうに考えております。
今回の豪雨では、国・県・関係自治体・学識経験者から成ります久留米市街地周辺内水河川連絡会議におきまして、住民の方々への情報提供のあり方などの検討を進めていくということになっております。
今後につきましては、連絡会議の議論も踏まえて、防災・減災に対応して、河川管理者・市・住民が迅速かつ的確な対応が可能となるよう、大雨を想定したタイムラインにつきまして、できるだけ早期に策定するとともに、市民や企業の皆様への周知に努めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○議長(佐藤晶二君) 12番秋永峰子議員。
〔12番秋永峰子君登壇〕
○12番(秋永峰子君) 2回目の質問をさせていただきます。
3番目のことですけれども、今、市長が、部落差別を初め、あらゆる差別をなくしていきたいという思いを示していただいたこと、よくわかりました。そして、
大久保市長は今後、それをさらに推進していくために人権施策推進委員会を立ち上げようとなさっているということもよくわかりました。
あらゆる差別の中で、部落差別は人間がつくり出した差別だから、人間の力でなくしていけるはずだという展望のもとに、これまで行政を初め、多くの方々が努力を重ねてこられました。そして、1回目の質問で申し上げましたように、久留米市のこれまでの人権・同和行政の成果が少しずつ出てきております。一方で、結婚差別、また、たとえ結婚できたとしても親戚づき合いが絶たれるような深刻な部落差別は存在しているのです。
大久保市長は、どのようにこのような部落差別をなくしていこうとお考えでしょうか。以上、2回目の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君)
大久保市長。
○市長(大久保勉君) 秋永議員の2回目の質問にお答えします。
先ほど申し述べましたように、現代にはさまざまな差別があるという認識、この認識が重要であります。もちろん部落差別もその一つであります。そういったことに関しましては、さまざまな問題の解決に向けましては、現場の声を聞く、そして、一つ一つ問題の共有化をしていく、こういった地道な
取り組みが必要であります。そのために、先般、被差別部落の方々と意見交換をさせていただきましたが、今後もさらに、さまざまな人権団体並びにそれぞれの課題や地域の事情を把握していく必要があると考えております。やはり、現場主義がこういった問題の解決には重要であると思います。
そういった中で、今回の委員会、人権施策推進委員会を設置いたしまして、その中において人権3法への対応や現代的なさまざまな人権問題の解決についての御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。具体的な内容に関しましては、この委員会の中で議論されるものでございますから、そういった委員会の結論をしっかりと真摯に受けとめまして、これからの人権行政に関して考えていきたいと思います。そういう意味では、ゼロベースでしっかりと議論してもらいまして、私はそれを聞きまして、新しい方向を出していきたいと思います。以上でございます。
○議長(佐藤晶二君) 12番秋永峰子議員。
〔12番秋永峰子君登壇〕
○12番(秋永峰子君) 3回目は要望とさせていただきます。
「みんな違ってみんないい」これは、小学校の人権教材としてよく使われる金子みすゞさんの詩のくだりです。子供たちは、この言葉にとても共感します。それは、子供たちが望む社会の姿だからであり、差別をなくしたいと願う多くの大人の願いでもあるからだと思います。
私たちは、生まれたときから、生活環境はもとより、頑張ってきたこと、つらかったこと、健康状態、どんな人に出会ったかなど、一人一人が違う人生を歩んでいます。ですから、当然、考え方も持っている言葉も違うはずです。でも、だからこそ何か一致するところはないか一生懸命に探す、そして、一致したことを大事にしながら協力し合っていく、その営みが相手を大事にするということであり、それを支えるのがお互いを知ろうとする努力ではないかと思います。
今の御答弁で
大久保市長が、部落差別を初めとするあらゆる差別をなくしていきたいという思いを持っていらっしゃることがよくわかりましたし、その点で多くの人と一致するのではないかということを見出すことができました。
また、一致と協力という点で、今、市長は、被差別部落の方々とお会いになって話をされ、これからもそれを続けていくということをおっしゃいました。今後の人権・同和行政において、ぜひその姿勢を貫いていただきたいと要望いたします。
また、人権施策推進委員会が、これまで行政が工夫を重ねてきている条件整備などに蓄積された成果や教訓を損なうことなく受け継いで、さらに有効な施策をつくり出す委員会になることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
=〔降 壇〕=
○議長(佐藤晶二君) お諮りいたします。
本日は、これにて
一般質問を打ち切ることにいたしたいと思います。
これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤晶二君) 御異議なしと認めます。よって、本日は、これにて
一般質問を打ち切ることに決定いたしました。
あす11日、午前10時から本会議を開きます。
本日は、これにて散会いたします。
=午後 2時34分 散会=...