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平成21年決算特別委員会 本文 開催日:2009-10-08

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  1. 福岡市議会 2009-10-08
    平成21年決算特別委員会 本文 開催日:2009-10-08


    取得元: 福岡市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  議案審査  議案第152号ないし議案第176号、以上25件を一括して議題とし、審査を行った。  なお、質疑・意見の概要は次のとおりである。 ◯尾花委員 市民農園施策、身近なスポーツ環境整備、香椎駅周辺土地区画整理事業の3点について質問する。まず、市民農園施策について、輸入食品の安全性に関する問題や、世界的同時不況と食料・エネルギー価格の高騰などで、食料の多くを輸入に依存している我が国において、食料自給率をいかにして高めるかが喫緊の課題となっている。また、雇用・失業情勢の悪化も深刻の度を深め、雇用の受け皿として、就農に関心が高まり、今ほど農業が脚光を浴びているときはない。本市の農業政策を振り返り、推進する上では格好のチャンスである。そこで、本市の20年度の農林業費の決算額と、そのうち市民理解推進費市民参画推進費などの市民向け施策に使われた額について尋ねる。 2 △農林水産局長 農林業費の20年度決算額は19億8,700万円、うち市民理解推進費及び市民参画推進費などは4億7,800万円となっている。 3 ◯尾花委員 本市の農林業費の約4分の1が市民理解推進費市民参画推進費などに使われているが、主にどのような取り組みを行い、市民の理解や参加という点においてどのような成果が得られたのか。 4 △農林水産局長 主な取り組みとしては、市民理解推進費では、市内産農産物消費拡大、とれたて野菜クッキング教室カキ振興対策、食と農の探検隊など、また、市民参画推進費では、リフレッシュ農園管理・整備、市民農園拡大推進アグリサポーター、牧場管理・整備などを実施している。成果としては、本市農業の実情や農業が有する公益性について、市民理解が進むとともに、リフレッシュ農園や市民農園などで農業を体験することにより、市民の生きがいづくりや健康づくりに貢献していると考えている。 5 ◯尾花委員 一口に市民農園と言っても、いろいろなものが混在しているようだが、市、農協、農家などの運営主体・形態別に農園数、1農園平均の面積、1農園平均の区画数、1区画平均の使用料、募集区画数に対する市民からの応募状況はどうなっているか。 6 △農林水産局長 本市が設置するリフレッシュ農園は2カ所で、集合農園1区画当たり平均区画面積は25m2、1農園当たりの平均区画数は168区画、年間使用料は平均1万5,000円となっている。農協の子会社である(株)JAファームが運営する従来型の市民農園は1カ所で、1区画当たりの面積は28.1m2、区画数は42区画、年間使用料は1万6,000円となっている。また、農家が農協と共同で開設した農園については、体験型農園1カ所と、従来型の市民農園5カ所の計6カ所で、1区画当たりの面積は、体験型が30.0m2、従来型が平均29.3m2、区画数は体験型が34区画、従来型が1農園当たり平均51区画、年間使用料は体験型が4万円、従来型が平均8,260円となっている。農家が設置した従来型の市民農園は8カ所で、1区画当たりの面積は15m2、1農園当たりの平均区画数は104区画、年間使用料は8,000円となっている。応募状況については、直近の21年度募集の主なものとして、市のリフレッシュ農園では、募集区画260区画に対し応募数597件、倍率は2.3倍となっている。また、農家設置の従来型の市民農園については、募集区画20区画に対し応募数277件、倍率は13.9倍となっている。 7 ◯尾花委員 市民からの申込みが多く、応募倍率が高いにもかかわらず、19年度が目標3カ所に対して実績2カ所、20年度が目標3カ所に対して実績2カ所と、市民農園の整備は低調に推移しているが、その原因をどう分析し、どのような対策を講じてきたのか。 8 △農林水産局長 予算で予定していた箇所数より実績が少なかった原因については、農地を人に貸すことについて地権者の抵抗感があること、農家から申し出があった農地についても、山奥で道も狭く集客が見込めないこと、また、駐車場が確保しにくいなどの事情がある。対策としては、農協を通じて、市民農園開設の可能性がある農家への働きかけに努めてきた。 9 ◯尾花委員 私も市民農園の設置が低調に推移した原因を突きとめるために、19年度、20年度に整備された4カ所の市民農園を現地調査し、利用者や農園主、市民農園拡大推進事業に尽力している農協の担当者と意見交換を行ったが、市民農園の開設に対し、アンケートを実施するなど、利用者の声や農園主の声を実際に吸い上げたのか。また、アンケート調査を実施していれば、どのような改善要望が多かったのか。さらに、そうした声を踏まえ、行政としてどういった形態の市民農園を今後整備していくつもりなのか、運営主体別の市民農園造成計画を示して欲しい。 10 △農林水産局長 アンケート調査については、市のリフレッシュ農園2農園で、利用者を対象に、平成20年に2回実施している。主な改善の要望は、「貸し農園の料金を値下げしてほしい」、「2年間で更新となる利用期間を継続してほしい」、「貸し農園の区画数をふやしてほしい」、「区画の面積をふやしてほしい」などとなっている。市民農園の増設については、市民農園拡大推進事業として、19年度から5カ年間で10~15カ所程度の増設を行うことを目標としている。なお、現在のところ、形態、運営主体については、特に限定して考えていない。 11 ◯尾花委員 市立のリフレッシュ農園には、今津リフレッシュ農園立花寺緑地リフレッシュ農園があるが、それぞれの面積及び施設整備費、20年度決算額における年間維持管理費はどうなっているのか。 12 △農林水産局長 今津リフレッシュ農園は、総面積7.0ha、施設整備費14億4,680万円、20年度の維持管理費5,427万7,000円となっている。立花寺緑地リフレッシュ農園は、総面積1.7ha、施設整備費27億330万円、20年度の維持管理費2,935万9,000円となっている。 13 ◯尾花委員 市立のリフレッシュ農園施設整備費年間維持管理費がかなり高額であるのに対し、20年度に増設した二つの市民農園は、施設整備及び施設の維持管理は農園主または農業生産法人が行うため、市の負担は助成額の83万2,000円のみである。本市の財政状況の厳しさを考えると、これからの市民農園の整備手法としては、市立のリフレッシュ農園のように施設整備費年間維持管理費がかかるものは、全市的な適正配置を考えて、必要最小限度の整備にとどめ、農家による市民農園の開設に主眼を移すべきと思うがどうか。 14 △農林水産局長 農家設置の市民農園については、整備・管理にかかるコストが低いことなどから、今後もその拡大に積極的に取り組んでいく。市立のリフレッシュ農園については、現時点では2カ所以外に新設することは困難と考えているが、今後、市内全体の市民農園の設置状況や市民の要望などを踏まえた上で、できるだけコストがかからない形での整備・運営について検討していく。 15 ◯尾花委員 平成19年9月5日に開催された市農業振興審議会では、「体験型市民農園に力を入れていただきたい」という委員の意見に対し、事務局である農林水産局は、「もっと勉強して農家に働きかけていきたい」と答えているが、体験型市民農園を開設することは、従来型の市民農園に比べ、農業者・市民・行政の三者にとってどのようなメリットがあるのか。また、これまでに体験型市民農園に関してどの程度研究し、農業者や市民にどのような働きかけを行ったのか。 16 △農林水産局長 体験型農園のメリットについては、農業者には、自分で耕作する場合と比べると、労力が軽減される、収益性が高く、安定した収入が確保できる、自作農地と見なされるため、相続税の納税猶予の対象となるといったメリットがある。また、市民には、農家から栽培指導を受けられる、農作業に必要な準備などが不要であり、気軽に作業を体験できる、農家の管理のもとで、安定した作物の収穫ができるといったメリットがある。また、行政には、少ない投資で市民農園の拡大が図られるといったメリットがある。体験型農園に関する研究などについては、職員が東京都練馬区の体験型農園に視察に行き、事例調査を行っている。また、農業委員会の研修会において、東京都体験農園園主会から講師を招いてセミナーを行い、農業委員に対して、体験型農園に関する周知を図った。 17 ◯尾花委員 職員が練馬区の体験型市民農園の視察に行き、事例調査まで行った割には、体験型市民農園の働きかけは農業委員会の研修段階にとどまっており、農家個人や市民への直接的なアプローチが少ないように思われる。平成19年9月の第4回定例会において、我が会派からの体験型市民農園の整備提案に対し、農林水産局長は、「市民農園の拡充は重要な施策であり、体験型市民農園は都市農業に対するより効果的な理解の促進や農家の収入の安定につながるなどのメリットもあり、市民農園拡充の有効な手法として検討したい」と答え、市長も「都市住民として、農のことに対してしっかりと目を向けることは市が目指す都市づくりにかなった目標であり、体験型市民農園は一石三鳥で、検討に値するのではないか」と答えている。しかし、残念ながら、20年度決算を見る限りでは、この一石三鳥の体験型市民農園の整備は1カ所と低調であった。農林水産局長は、このことに対してどう思っているのか。
    18 △農林水産局長 農家の高齢化などで、遊休農地が増加している中、体験型農園は農家及び利用者ともに大きなメリットがあると考えている。21年度は、市民農園拡大推進事業により1カ所、また農家独自の整備により1カ所、計2カ所の体験型農園が開設されており、今後の利用状況等の把握に努め、その拡大を進めるとともに、体験型以外の市民農園についても増設を進め、市民の農業体験の場の拡充に努めていきたいと考えている。 19 ◯尾花委員 本市で本格的な体験型市民農園の開設第1号となる「ファーム博多」を調査し、農園主と農園利用者に、体験型市民農園の感想を聞いた。農園主は、「何といっても、農作業を通じて、農園利用者である地域の方々と楽しく交流ができることがすばらしく、とてもやりがいがあります。農園を見て、何か感じられませんか」、「従来の市民農園と違って、作物が規則正しく植えられ、景観もきれいでしょう」と言っていた。確かに、私が見てきた従来型の市民農園は、作物がばらばらに植えられ、見た目はよくなかった。また、農園主は、「相続税の納税猶予の適用もありがたいです」と言っていた。また、農園利用者は、「母が年金額が少ないので、生活の足しになればと思い、申し込んだのですが、年間を通して40種類ほどの野菜が食べきれないほどとれ、しかも、スーパーの野菜よりもおいしいので、とても助かっています」と、大変好評であった。この練馬方式と呼ばれる日本農業大賞を受賞した一石三鳥のすばらしい体験型市民農園が、本市において普及しないのは、行政の真剣さが足りないからではないか。特に本市においては、市民農園を開設する目的が、市民にレクリエーションの場を提供するという段階にとどまっており、農家個人がその対価を新たなビジネス活動として所得化するまでには至っていない。農家個人の所得向上という視点をもっと高めないと、市民農園拡大推進事業が農協を事業主体として展開され、補助金も農協に交付される仕組みになっている現状では、ビジネスチャンスは農協に対してのみ大きく開かれ、体験型市民農園の拡大がこれから進展していくとはとても思えない。もう少し具体的な事例を挙げれば、農協が組合員から、高齢化などの理由により農地の耕作ができず、このままでは荒地になってしまうなどといった相談があったときに、子会社である(株)JAファーム福岡を紹介するが、この会社は、遊休農地や耕作放棄地を農家から借り上げ、賃貸借管理することを目的に、平成20年8月に農協が設立した農業生産法人である。20年度に整備された市民農園の一つは、この法人が運営主体となり、農家から農地を無償で借り受け、1区画20.81m2を年間1万6,000円で市民に貸し付けている。従来の市民農園の1区画1万円に比べ6,000円割高となっているが、月に2回、希望があれば、土曜日に1時間程度の巡回相談を実施している。施設整備に係る市からの補助金50万円と、市民の年間農地賃借料1万6,000円の42区画分67万2,000円は(株)JAファーム福岡の収入となる。参考までに言うと、20年度に開設されたもう一つの市民農園である体験型市民農園は、施設整備に係る補助金32万円と、市民の年間農園利用料4万円の34区画分136万円は農家個人のものとなる。農家個人の所得の向上という観点で見れば、前者はゼロ円、後者は168万円と農家個人の所得に差が生じたことになり、後者にはプラスアルファとして、相続税の納税猶予の適用がある。例えば、農地の土地評価額が仮に数億円とすると、通常であれば数十%の相続税がかかるので、数千万円の負担となるところが、農地の賃貸借を伴わず、農家が自ら耕作し、市民はその耕作を手伝うと位置づけている農園利用方式で20年間農業を続けると、この数千万円が全額免除となる。確かに、山間部等の市街化調整区域では、高齢化などにより農地管理や栽培指導ができない農家にとっては、荒地対策として(株)JAファーム福岡に農地を管理してもらうという選択肢は必要であるので、今後、市民農園の整備手法は、この二つに収れんされていくと思う。そこで、強調して言いたいが、行政は、余りにも農協に市民農園の拡大推進事業を丸投げし過ぎではないか。行政は、もっとみずからが汗をかくべきではないか。まず、農家や市民が体験型市民農園にチャレンジする気になるよう、市ホームページや市政だよりによる広報や、体験型市民農園を開設した農園主を講師としたセミナーの開催など、体験型市民農園のメリットを積極的に情報発信すべきと思うがどうか。 20 △農林水産局長 体験型農園の普及について、今後とも農家や市民への周知を図るために、市としては、市ホームページや市政だよりなどへの掲載、また園主によるセミナー開催など、効果的な手法について検討し、情報発信に努めていくとともに、農家に関する情報を集約している農協の協力も得ながら、積極的に推進していきたいと考えている。 21 ◯尾花委員 19年度に整備された2カ所の市民農園に行ってきたが、現地に行くと、「JAふれあい農園○○園」と小さな看板が立てられているのみで、農協が所有する農園と思わず誤解してしまう。実際に、公民館で場所を尋ねたが、「え、あれは市民農園だったの。知らなかった」と期待外れの反応が返ってきた。東京都の練馬区などでは、行政がみずから体験型市民農園を志す農家個人に施設整備費の助成や募集の援助を行い、また市民に対しても、農園利用料の助成を行っている。残念ながら、本市には、そのような農家個人や市民に直接的なインセンティブを与える制度がない。そこで、本市も練馬区などと同様に農家個人に対する施設整備費の助成や募集の援助、市民に対する農園利用料の助成を行い、体験型市民農園の普及を積極的に図るべきだと思うがどうか。 22 △農林水産局長 農協を通さず、農家が独自で市民農園を開設する場合の助成については、今後検討していく。また、体験型農園の募集の支援、または農園利用料の助成については、既設の市民農園との整合性を考慮し、開設者の意向や今後の利用状況などを踏まえた上で検討していきたいと考えている。 23 ◯尾花委員 私が、なぜ体験型市民農園にこだわるかといえば、ハローワーク出身の議員として、最近の雇用・失業情勢の悪化をとても憂慮しているからである。仕事がないということはとてもつらいことである。時には、人生を否定されるように思えることもある。農業で生活をなすことがいかに大変であるかは、今回の質問の準備に当たり、身にしみて学ばせてもらった。しかしながら、今多くの失業者は、仕事がなくて困り果てている。農家も、高齢化が進み、働き手がおらず、とても悩んでいる。就農への間口をもっと広げるためには、耕作放棄地から体験型市民農園、さらに就農へというスキームが本市において一刻も早く確立されることを切に願っている。本市では、平成21年7月に、増加する耕作放棄地を活用し、団塊の世代などの活力を生かして、農業を支援する仕組みづくりを目的に、市民を対象とした「ふくおか農業塾」が開設されたそうだが、定員20人に対し、5倍を超える応募があったと聞いており、「ふくおか農業塾」の取り組みだけでは足りないということだと思っている。これからの農林業費の市民向け施策については、農業に関心のある人への就農へのきっかけづくりという観点からも、市民農園、特に体験型市民農園の拡充に力を入れて欲しいと思うが、市長の所見を尋ねる。 24 △市長 農家の人から最も多く聞くのは、耕作ができなくなり、農地を放棄せざるを得ないという状況にあるということである。体験型の市民農園はそういった流れを変える可能性があるということも含めて、農家や市民にとって、双方にとってメリットのある一つの手法だと思う。「ふくおか農業塾」についても関心が非常に高いということは、市民の農業に向ける全体的な目が変わってきているあらわれだと思う。これからは、体験型市民農園についても、さらに農家の理解を得るように周知を図り、拡充に努めていきたい。 25 ◯尾花委員 次に、身近なスポーツ環境の整備について、本市は、働く場所と住む場所が近接しており、早朝や帰宅後の時間帯にウオーキングやジョギング、体操などで体を動かし、健康づくりのためにスポーツにいそしむ市民の姿をよく見かける。また、スポーツをしていない人にスポーツに挑戦していただくには、わざわざ遠くへ出かけていかなくても、体を動かすことができる環境がすぐそばにあることがとても大切だと思う。ところが、本市の成果指標の身近なスポーツ環境への満足度は、14年度の当初値48.6%から20年度は45.4%と低下している。この結果をどう分析し、これまでどのような対策を行ってきたのか。 26 △市民局長 身近なスポーツ環境の場や機会があると感じる市民の割合については、14年度以降、44%前後で推移しており、横ばいの状況にあると見ている。目標として掲げている数値とは相当隔たりがあるので、今後、市民が気軽にスポーツに親しめる環境づくりに積極的に取り組んでいく必要があると考えている。このため、多様化する市民ニーズや、市民スポーツを取り巻くさまざまな環境変化に的確に対応し、スポーツに関連する施策・事業を連携し、効果的・効率的に推進するための総合的な計画として、スポーツ振興計画の策定に取り組んでいる。 27 ◯尾花委員 身近なスポーツ環境の整備場所として、真っ先に思い浮かぶのは公園であるが、公園や遊歩道における、腹筋や前屈、背中伸ばし等の簡単な運動、ストレッチができる健康遊具を点在させたスポーツロットの整備状況が気になるところである。20年度決算において、身近な公園個性化事業として約14億9,600万円、公園再整備事業として約3億3,800万円の決算額が計上されているが、その具体的な取り組み及び成果はどうなっているのか。 28 △住宅都市局長 20年度決算における身近な公園個性化事業並びに公園再整備事業の取り組みとしては、市民とのワークショップにより、地域の個性を反映した公園整備を進める身近な公園個性化事業は、新たに千早中央公園外14公園の用地取得や施設整備を実施しており、公園再整備事業は、既存の三宅中央公園外7公園の全面的な再整備に向けた取り組みを進めるとともに、18公園で一部の施設更新等を実施している。成果としては、両事業ともワークショップ手法等を用いて地域住民の意見を公園づくりに反映していることから、市民が期待感を持って公園づくりに参加していること、また、整備後も地域に親しまれる公園として利用されていること、さらに、公園への愛着が生まれ、維持管理の面でも公園愛護活動などに対する協力が得られていることなど、多くの成果が上がっていると考えている。 29 ◯尾花委員 両事業を進めるに当たっては、ワークショップという住民参加の手法を取り入れているとのことであるが、身近なスポーツ環境の整備を望む住民の声として、具体的にどのようなものがあったのか。 30 △住宅都市局長 公園内を周回できるジョギングロードやウオーキングロードの整備、健康遊具の設置、多目的広場の確保などがある。 31 ◯尾花委員 国土交通省の統計によると、18年度の公園における健康遊具の設置数は1万5,144基で、3年前に比べて57%伸びており、このようなところにも少子高齢化の波が押し寄せている。横浜市では、かつての公園は子ども用の遊具が主体であったが、大人の利用ニーズも高まっているとして、これまでに健康遊具を約700基設置し、さらに拡充を図るとのことである。スポーツロットが整備されている東区の香椎浜北公園と城浜公園を視察してきたが、香椎浜北公園には、腹筋ベンチと背筋を伸ばすベンチ、腕力を鍛えるベンチの3種類の健康遊具が2個ずつで計6基設置されていた。一方、城浜公園には、そのほかにクライム器具、スイフト器具、階段上り下り器具、ぶら下がり器具など、デザインや機能面で興味をそそる健康遊具が設置されており、どちらかというと、健康遊具の種類の豊富さと斬新さ、説明板のわかりやすさという点で、城浜公園の方が充実しているように思えた。そこで尋ねるが、これまでに、スポーツロットを何箇所整備し、健康遊具の設置数はトータルで何基設置したのか。また、20年度決算ベースでは、何箇所にスポーツロットを整備し、何基の健康遊具を設置し、その決算額は幾らだったのか。 32 △住宅都市局長 これまでに、66公園に健康遊具コーナーを整備し、285基の健康遊具を設置している。また、20年度は、3公園に健康遊具コーナーを整備し、14基の健康遊具を設置しており、決算額は約1,100万円となっている。 33 ◯尾花委員 市内1,585カ所に公園があるが、スポーツロットのある公園は66カ所であり、整備率は約4%にとどまっている。行政区ごとの配置バランスを考え、市民ニーズを的確に踏まえ、もっと積極的にスポーツロットの整備を図るべきと思うがどうか。 34 △住宅都市局長 今後の健康遊具コーナーの整備については、平成21年5月に策定した「福岡市新・緑の基本計画」において、重点分野の一つに健康づくりの場となる緑の充実を掲げており、公園内にウオーキングコースの整備や健康遊具の設置などを進め、健康づくりに寄与する公園づくりに取り組んでいく。全市レベルの都市基幹公園への健康遊具の設置はもとより、近隣・街区公園など、地域の身近な公園への健康遊具の設置についてもワークショップを開催するなど、地域住民の意見を踏まえながら整備を進めていく。 35 ◯尾花委員 身近なスポーツ環境整備として、市民のニーズの高いものとして、週末には多くの家族連れでにぎわう東平尾公園にあるような四季折々の自然が楽しめる遊歩道や、子どもたちに大人気のフィールドアスレチックがある冒険コーナーなどの機能を持った公園を各区にバランスよく整備して欲しいという声がある。このような公園の整備は、子どもの外遊びを促し、家族ぐるみで低下傾向にある子どもの体力強化に取り組む上でも大変効果があると思うが、その設置に対する考えはどうか。 36 △住宅都市局長 四季折々の自然が楽しめる遊歩道がある公園については、室見川を初めとした河畔沿いの公園や、鴻巣山などの樹林地やため池など、都市の中の貴重な自然環境を生かした公園において遊歩道整備を進めている。また、フィールドアスレチックがある冒険コーナーなどの機能を持った公園については、東平尾公園のほか、アイランドシティ中央公園や桧原運動公園、今津運動公園などを整備してきたが、定期点検など適正な維持管理を行うとともに、利用状況を見ながら、他の公園においてもフィールドアスレチックや遊具の充実について検討していきたいと考えている。 37 ◯尾花委員 高齢者の間で競技人口が顕著に増加しているものにグラウンドゴルフがある。本市には、全天候型でグラウンドゴルフ大会が開催できる施設があるのか。ないとすれば、民間施設の誘致や既存のスポーツ施設の改良も含め、その整備を要望するが、所見を尋ねる。 38 △市民局長 グラウンドゴルフ大会が開催できる場所については、公園に設置された球技場や陸上競技場など、公式試合の開催が可能な施設がかなりの数あるが、全天候型の施設は本市にはない。全天候型の多目的グラウンドについては、スポーツレクリエーションに親しむ機会の増大により、市民の余暇活動の充実や健康増進などの効果が期待できると考えており、関係局と連携しながら整備の可能性について検討を進めていく。 39 ◯尾花委員 スポーツができる場や機会が身近にあると感じられるとした「市民の身近なスポーツ環境の満足度」は、平成20年の現況値45.4%に対して、平成27年の目標値は70%である。本市は、スポーツ活動のための場づくりとして、身近な地域の歩道等の整備や、公園におけるウオーキングやジョギングルート、健康遊具の整備、市民のニーズに基づくスポーツ施設等の整備などを図り、思わず体を動かしたくなるようなまち全体の環境づくりを関係局が一体となり喫緊に進める必要がある。この目標に今後どのように具体的に取り組んでいくのか、市長の所見を尋ねる。 40 △市長 「市民の身近なスポーツ環境の満足度」が、目標値70%に対して、50%を下回っているという状態が続いていることは、市民がまだ不十分だと思っているあらわれだと考えており、努力がもっと必要だと感じている。現在、策定中のスポーツ振興計画の中で、身近なスポーツ環境の整備を重点的に取り上げており、計画に沿って、今後、体育館や公園における健康遊具、健康増進用の施設づくりなどについてしっかり進めていきたいと考えている。また、この計画の中で、スポーツによる心と体の健康づくりも目標にしており、体を動かすことによって、市民の心の安らぎを増進していくという考え方も入れており、そのような観点からもしっかり取り組んでいきたい。 41 ◯尾花委員 次に、香椎駅周辺土地区画整理事業について、20年度決算に対する監査委員からの意見書に、香椎駅周辺土地区画整理事業の進捗率、事業費ベースは、全体事業費575億円に対し34.3%であり、引き続き事業の効率的な遂行を要望するとあった。本市区画整理事業の20年度決算において、最終予算額46億6,251万6,000円に対し、支出済額34億4,864万4,000円、翌年度繰越額12億511万9,000円となっており、最終予算額の25.8%が翌年度繰り越しとなっているが、その理由は何か。 42 △住宅都市局長 繰越額の内訳は、工事費が1億3,977万9,000円、補償費が10億642万4,000円、事務費等が106万6,000円、合計12億511万9,000円となっている。繰り越しの主な理由としては、移転補償において、営業を継続するための移転先選定と交渉に時間を要したことなどによるものであり、また、工事については、移転のおくれにより地下埋設物など先行工事におくれが生じ、繰り越しとなったものである。現在、これらはすべて契約済みであり、21年度末までに完了する予定となっている。 43 ◯尾花委員 地権者の移転先の選定に十分配慮して時間をかけたことは、権利者本意の事業運営が行われており理解できるが、事業期間の延長は、他の権利者の生活設計に狂いが生じ、行政の信頼性を損なうことにもつながりかねず、その兼ね合いに大変苦労するところである。本区画整理事業は、平成11年10月の事業計画に対して、現時点で何がどの程度おくれているのか。また、今後の見通しはどうか。 44 △住宅都市局長 香椎駅周辺土地区画整理事業の現状については、平成11年に事業着手後、地区内の一体的な利用として、先行して整備が必要な西鉄貝塚線の鉄道高架事業を行うとともに、減歩緩和のための用地の取得を進めてきた。18年度に当初計画を3年間延伸して、鉄道高架が完了した後、仮換地の決定を行い、順次、建物移転、道路工事等を行っている。現在の事業計画では、25年度までの事業期間となっているが、鉄道高架事業の延伸の影響や、まちの活力とにぎわいの持続を図りながら事業を進めていくことが不可欠であることなどを考えると、現在の事業期間内に事業を完了することは厳しい状況である。今後、地区内と国道3号とを結ぶ新たな幹線道路となる香椎駅北線の供用開始のめどがつき、初めて地権者に土地を返し、建築が可能となっていくことなど、新たな段階を迎えることから、現在、事業の進め方、スケジュールの点検を行っているところであり、今後、本市の厳しい財政状況も踏まえながら、できるだけ早期に、事業期間の見直しも含めた事業計画の変更を行っていきたいと考えている。 45 ◯尾花委員 香椎駅周辺地区のまちなみのルールづくりを定めることを目的に、平成19年10月から平成20年3月にかけて、4回のワークショップと1回の市民フォーラムを開催し、住民参加のもと、まちづくりの基本方針案、まちづくり目標案、ゾーン分け図案、ルール素案などの提案に精力的に取り組んでいるが、香椎駅周辺地区のまちづくりに今後それがどう生かされていくのか。 46 △住宅都市局長 香椎駅周辺のまちづくりについては、平成19年10月に、地権者・住民・商工者等の地元代表者による組織が発足しており、ワークショップや市民フォーラムが開催されている。その後、より具体的なまちづくりのルールづくりなどの検討を進めるため、この組織をもとに、平成21年1月に、「香椎まちづくり推進協議会」が設立され、これまでにアンケート調査の実施や、それを受けたまちづくりのルールなどをテーマとして、20回の会議が行われている。これらをとりまとめ、平成21年7月28日には、22年度から整備が予定されている公民館等の公共施設の施設計画に反映されるよう担当部局に提案がなされており、これを受けて現在、具体的な設計作業が行われている。今後とも、まちづくりへの反映に努めていきたいと考えている。 47 ◯尾花委員 住民参加型でまちづくりを協議し、情報発信する取り組みはとても重要なことであるが、住宅都市局のホームページを見る限りでは、こうした取り組みが20年度以降も継続されているかどうかは情報発信されていない。20年度決算額には、地域住民と協議のための経費がどのぐらい含まれ、どのような取り組みが具体的に行われたのか。 48 △住宅都市局長 地域のまちづくり活動の支援として、20年度決算には320万円余が含まれており、地元のまちづくり協議会による香椎駅周辺まちづくりガイドラインの作成について支援等を行っている。 49 ◯尾花委員 香椎駅周辺土地区画整理事業も移転協議の段階に入り、他の区画の建物移転が始まり、長年住みなれた香椎のまちが変わりゆくさまを目の当たりにすると、権利者にとって心中穏やかではない。事業計画どおりに進んでいれば問題はないが、おくれていればなおさらである。自分のところが補償対象になるのはいつだろうと不安が募る。「目の前の商店街が消え、お客の足が途絶え、売上げが極端に減少し、死活問題である」「地権者から、建てかえた後は相当の家賃をいただくと言われ、どのくらい家賃が上がるか不安」「これまでどおり営業を続けられるかわからないのなら、早く移転協議をしてほしい」「区画整理内のビルに居住しているが、いつ立ち退きになるかわからない」などの切実な相談が、私のところにも多数寄せられている。20年度には、香椎駅周辺まちづくりガイドラインを策定し、冊子を地権者やテナント商業者等に配付したとのことだが、本区画整理事業については市民の関心も非常に高いので、住宅都市局のホームページの「香椎振興整備事務所のお知らせ」にアップするとともに、現在のエリアごとの事業の進捗状況及び今後の事業の進め方やスケジュールなどについて、特にエリアごとの移転の時期を明確にホームページなどで情報公開・発信し、また、積極的に権利者への説明の機会をつくって欲しいと思うが、所見を尋ねる。 50 △住宅都市局長 香椎駅周辺土地区画整理事業における情報発信等については、これまでも、「区画整理ニュース」や「審議会だより」、あるいはホームページなどによる定期的なお知らせにより、住民に事業の情報をわかりやすく提供するとともに、事業の進捗にあわせ、戸別面談や住民等への説明会も開催してきた。今後の事業の進め方やスケジュールについては、今まで同様、「区画整理ニュース」などでお知らせするとともに、ホームページのさらなる活用など、これまで以上にできる限りの情報の発信に努め、事業に対する関係者の理解と協力を得たいと考えている。 51 ◯尾花委員 活力とにぎわいの持続という12の商店街を持つ香椎のまちにおいて区画整理を進める上で、とても重要な視点を述べていると思う。理路整然としたゾーニングの中で、香椎地区が有する界隈性をどれだけ残せるかがとても重要なポイントだと思う。区画整理によるまちづくりは、住民と行政が協力し合って初めてなし得る事業であることから、相互の信頼や、不安をなくすため、しっかりとした調査や計画のもとで話し合いを行い、住民の同意によるまちづくりを進め、住民参加型でまちづくりを進めているということを常に住民が意識できる場の醸成と、情報公開・情報発信を小まめに行うことを、これまでにも増して要望したい。さらに、昨今の雇用・失業情勢の厳しさにかんがみ、まちづくりのコンセプトの一つに、「働く場を確保する。生計を維持する場のあるまち」もつけ加えて欲しい。市長に、香椎周辺のまちづくりに対する所見を尋ねる。 52 △市長 香椎駅周辺の区画整理については、これまでも現地に事務所を置いて、定期的に事業進捗のお知らせや説明会の開催等を行うなど可能な限り情報発信を行ってきた。ただ、事業がスケジュールどおりに進んでいない状況もあり、この先どうなるのかという不安を住民が持っているという指摘も踏まえ、今までに増して事業に関する情報発信に努め、住民との信頼関係を大切にして、香椎駅周辺のまちづくりに取り組んでいきたい。 53 ◯倉元委員 7月24~26日の3日間にわたって本市を襲った集中豪雨は、大きな被害を各地に与えた。これまで本市は1999年と2003年に大水害に見舞われ、河川改修を初め、数々の水害対策に取り組んできている。2008年度河川水路改良費は幾らか。 54 △道路下水道局長 2008年度の河川水路改良費は、決算ベースで31億5,284万円である。 55 ◯倉元委員 今回、特に被害がひどかった城南区について、住家被害、浸水被害とその原因を尋ねる。 56 △道路下水道局長 施設の被害は、護岸の崩壊箇所が3カ所で、2カ所は市道への被害である。浸水被害は、床上浸水が92棟と床下浸水が250棟の合計342棟である。原因は、樋井川流域内で、計画規模を超える記録的な豪雨による河川堤防からの溢水や、河川水位の上昇により、雨水幹線などの内水排除が困難になったものと考えている。 57 ◯倉元委員 住家被害数の全体の約3分の1が城南区で起きて、その原因は樋井川の増水によるものである。99年に水害に遭った七隈川による被害は、今回はあったか。 58 △道路下水道局長 七隈川の施設被害は、特に発生していない。浸水被害は、床上及び床下浸水がそれぞれ1棟である。 59 ◯倉元委員 今回、七隈川による被害が非常に少なかった原因をどのように考えているか。 60 △道路下水道局長 樋井川と七隈川の整備規模は、現在ほぼ同等の水準で整備している。河川は、それぞれ流域の大きさによる流量や河川の形態、堤防の余裕高などが異なっていること、また、溢水地点の堤内地いわゆる堤防により洪水から守られている住居や、農地のあるほうの土地を堤内地と言うが、その状況の違いから、溢水した場合の被害規模は異なってくる。このことから、樋井川と七隈川の被害に相違が生じたものと考えている。 61 ◯倉元委員 10年前に七隈川がはんらんし、流域周辺に甚大な被害を出した。河川を整備せよと地域の住民運動があって、流下能力が大きくふえた。七隈川や御笠川など、河川の改修が進んだところでは、かつての水害常習地域であっても、今回被害が出なかった。やはりきちんと河川の整備を行うことが何よりの水害対策になることが、今回の水害で証明されたと思う。樋井川は、見ればすぐわかるが土砂が堆積して、流下能力が低下している。管理すべき県は、近年土砂のしゅんせつを行っているのか。 62 △道路下水道局長 県によると、樋井川のしゅんせつについては、15年度に城南区長尾1丁目付近、全長約60mを実施したとのことである。 63 ◯倉元委員 県の怠慢もあるけれども、市民にとっては、樋井川の整備は喫緊の課題である。市は、樋井川による水害を二度と起こさないために、今後、どのような対応をするのか。 64 △道路下水道局長 樋井川については、本来、県が河川管理者になっていることから、県へ要望している。18年度より、毎年、しゅんせつや除草などの要望をしている。今回、7月の豪雨を受け、早急な堆積土砂のしゅんせつによる治水能力の確保など、適切な維持管理と河川改修による治水対策を強く要望している。 65 ◯倉元委員 県が樋井川の整備をやらない場合、やるにしても相当先になるという場合、どうするのか。 66 △道路下水道局長 要望を受けての県の状況は、現在、調査を行っており、今後、樋井川に対してどのような対応をしていくかとの計画を出していきたいと聞いている。 67 ◯倉元委員 再度要望することで、県に任せきりでは、当局の責任を果たしたことにはならない。河川工学の専門家は、降った雨をどんどん川に流すのではなく、どこかに貯水する、流出を抑制して増水を緩和させる、これが都市においての治水では重要だと言われている。これからの治水対策には、このような考え方が必要ではないか。 68 △道路下水道局長 河川流下させるだけではなく、流域全体で貯留あるいは地下へ浸透させる、総合的な対策が必要になってくると思う。樋井川については、かんがい用途がなくなったため池を活用し、下流への雨水流出を抑制する貯留施設として13の治水池を整備している。今後とも、かんがい用途がなくなったため池等については、位置や集水面積及び調節容量などを総合的に勘案して、必要な治水池として整備したいと考えている。 69 ◯倉元委員 河川工学の専門家は、公共施設を使って雨水貯留をすれば、30年確率の雨量にも対応できると試算しているそうである。福岡大学の最新人工芝グラウンドは、流出量が極めて小さく、ピーク時間にもおくれが見られ、都市型洪水抑制に大きく期待ができると言われている。こうした経験も大いに研究して、城南区においても小中学校のグラウンドや九大田島寮・当仁中学校跡などに貯水機能施設をつくるべきと思うが、所見を尋ねる。 70 △道路下水道局長 公共施設の活用については、昨年度、福岡市公共施設雨水流出抑制指針を策定して、公園、学校、市営住宅、道路などの公共施設を対象に、新設や再整備時に、施設管理者ごとに雨水の流出抑制対策を全市的に行うこととしている。 71 ◯倉元委員 具体的に整備することを検討されたい。個人住宅、集合住宅単位での貯水も取り組む人が多くなれば、点から面になって効果があると言われている。市民を巻き込んでの治水も研究されたい。樋井川は歴史的にはんらんを繰り返し、住民からは、何度同じ災害を繰り返すのかと怒りの声が上がっている。市長は、樋井川流域住民の安全と財産を守るために、県とも協議して、堆積土砂のしゅんせつ、河床掘削など河川の改修を早急に行うとともに、貯留機能施設の設置など、樋井川の治水管理体制を確立すべきだと思うが、答弁を求める。 72 △市長 同じ地域で水害が繰り返されることは、そもそもその近辺の河川に問題があると考える。樋井川流域の浸水対策については、河川の改修が急がれるという認識を強く持っており、樋井川だけではなく近く県と改めて、協議をして、具体的な回答を得るよう要請をしていきたいと思っている。また、かんがい用途がなくなった農業用のため池を治水の池に活用することも積極的に取り組んでおり、一定の効果があると考えている。福岡市公共施設雨水流出抑制指針を策定して、河川改修や下水道の整備もあわせて行おうと思っており、水害対策は本当に急がなくてはとの認識は強く持っているので、しっかりやっていきたい。 73 ◯倉元委員 市長には災害から市民を守る責務があることを指摘しておく。次に、新こども病院問題について、2008年度新病院創設事業経費は幾らか。 74 △保健福祉局長 20年度の一般会計における新市立病院創設事業経費は1億3,683万円である。 75 ◯倉元委員 新こども病院については、9月議会においてPFI方式を活用することの裏づけとなる債務負担行為議案に多くの会派から疑問の声が上がった。PFI方式は、現在、全国で約400の事例があるそうで、失敗し、破綻する例が少なくないが、PFI病院の成功例はあるか。 76 △保健福祉局長 一般の箱物のPFIはかなりあり、学校などかなり成功しており問題があっているとは聞いていない。病院PFIでは、現在、全国で供用開始しているのが4施設ある。順調に進んでいる事例としては、平成16年5月に供用開始した八尾市立病院、平成20年2月に供用開始した島根県立こころの医療センターの2施設がある。まだ供用開始していないが、本市の事業を含めると、11施設の病院がPFI事業による病院の整備・運営に向けて準備を進めている。 77 ◯倉元委員 PFIは基本的にはうまくいってはいない。全国で一番最初に破綻したのは、タラソ福岡である。全国的にもPFIにより事故があったとか、いろんな問題があっている。病院についても、高知、近江八幡は破綻、あとの二つは開院したばかりで、そんな評価はできないと思う。新こども病院においてPFI方式を取り入れた場合、従来方式と比べてコストを縮減できるというのが当局の言い分であるけれども、どれだけのバリュー・フォー・マネーを見込んでいるのか。 78 △保健福祉局長 今回、PFIの対象業務に係る事業費用は、従来方式の場合は約190億円、PFI方式の場合は約174億円と試算している。PFIによる事業費の削減効果は約17億円、8.7%のコスト削減効果が期待できると見込んでいる。 79 ◯倉元委員 従来方式とPFI方式では差があるのか。 80 △保健福祉局長 PFI方式とは、設計、建設、維持管理を包括的に発注し、ライフサイクルとしての削減効果や発注についても性能発注ということである。ライフサイクルを通した民間のノウハウ、実績の最大限の活用、設計・建設、それから維持管理・運営までの長期の中で、一定のコストの削減が可能となると考えている。 81 ◯倉元委員 要は、設計、建設、管理、これを長期間でやることでコストダウンできる民間のノウハウを使うことだろうが、そこには非常に問題があると思う。コストダウンすることで、企業は利益を絶対出さないといけない。どうやってコストダウンするのかというと、そこで働く労働者の賃金をカットする。それだけでなく、下請業者の単価を下げる。もっとコストダウンを追及していけば、手抜き工事といったことも考えられる。こうしたことをしないと、民間企業が利益を出しながら、さらにコストダウンをやるということはできないと思うが、どうか。 82 △保健福祉局長 PFI方式を進めていく中で、設計段階では、いろんな高度な設計技術を使い、資材等の調達では、豊富な情報や交渉ノウハウを発揮することによりコストの縮減できる。委託段階では、長期間になることによりスタッフが非常に熟練していくことから、コストが削減されると思っている。PFIで業者を選定する中では、有識者等を交えて、1年ぐらい競争的対話をしてチェックし、健全で適正なSPCを見つけていくことで、今のような懸念は解消されると思っている。 83 ◯倉元委員 相手との契約だから担保がある。コストダウンするための民間の工法、技術的なノウハウがあると言われるが、その情報の開示を請求しても、企業秘密として、どうやってコストダウンされるかわからない。結局、SPCの言うがままで、言ったことをそのまま信じることになるのがPFIの大きな問題点である。民間企業の経営能力や技術力は、PFI事業を通じて、その企業あるいは企業グループが利益を上げるために用いるものであり、その企業の利益を犠牲にして、住民サービスのためにささげられるものではないことから、下請業者や労働者をたたきにたたいて、安い設計価格を提案することになる。こういうやり方は、公共事業でするべきものではないと思う。当局が出したバリュー・フォー・マネーの数字は、いつ達成できたとわかるのか。 84 △保健福祉局長 現在、9月議会の債務負担行為額約17億円というバリュー・フォー・マネーを見込んでいるが、今から公告をして契約に入り、その最終の契約段階で、事業者の提案を受けた結果として、幾らのバリュー・フォー・マネーになるというのが、その時点で出てくることになる。 85 ◯倉元委員 その出てきたバリュー・フォー・マネーは、いつの時点で達成できたとわかるのか。 86 △保健福祉局長 PFIは、契約をして、特定目的会社が長期にわたって建設をし、維持管理をしていく間に、評価と言うか、モニタリングを常にやっていく。そして、当初の期待効果が出ていなければ報酬の中で減額をするとか、あるいは全くできる見込みがなくなれば契約解除をするとかを当初の契約の中にきっちり盛り込んでチェックをしていくことになる。 87 ◯倉元委員 モニタリングをして、途中でうまくいかなくなったら契約解除と、簡単にいかない。15年契約をすることで、それがうまくいかなかったら、今の計画を見直さないといけない。PFI事業者が提示したバリュー・フォー・マネーを評価できるのは、契約終了後しかない。新病院でいえば15年後にる。変化の激しい時代であり、それまでにさまざまな経済動向の変化があるにもかかわらず、長期間、多額の契約を結ぶのは余りにも無謀である。官から民へというスローガンで、経費節減もサービス向上も実現できるというのは、今や幻想であり、このような構造改革路線の遺産に今からしがみつくことは時代錯誤も甚だしいと思う。病院事業を通じて民間企業に利益をつくり出してやろうとすることがでたらめで、新病院へのPFI方式導入はきっぱりやめるべきだと思うが、所見を尋ねる。 88 △保健福祉局長 PFIについては、民間部門の多様なノウハウを活用し、最適な官民の共働によって、公共施設整備などにおいて、コスト削減や市民サービスの向上が実現できる有効な手法であると考えている。新病院基本構想の実現に向けて、先行病院PFIの課題も十分に踏まえ、病院経営の健全化を図るため、一定のコスト削減効果を実現しつつ、新病院の早期整備、早期開院を目指し、より安全で確実に事業を進めてたいと考えている。 89 ◯倉元委員 何の根拠もない答弁で、必ず痛い目に遭うと思う。当局が痛い目に遭うのはいいけれども、患者やその家族が痛い目に遭うのは看過できないことを指摘しておく。次に、市長は、来年度に、こども病院と市民病院の地方独立行政法人化を強行しようとしている。現在、病院で働く職員の身分は公務員である。地方独立行政法人化された病院で働く職員は公務員でなくなるのか。 90 △保健福祉局長 病院に勤務する職員の身分については、本年3月に議決された地方独立行政法人福岡市立病院機構定款の定めるところにより、非公務員である。 91 ◯倉元委員 現在、病院で働く市職員500人以上が公務員でなくなる。これぞ究極の自治体リストラと呼ばれる地方独立行政法人化の本来の目的だと思うが、これまで医療のセーフティーネットである自治体病院の中で、公務員の誇りを持って従事してきた人たちである。病院の近くに家も構え、真夜中でも、何かあったら駆けつけている献身的な人たちから、一方的に公務員としての身分を剥奪すべきでないと思うが、所見を尋ねる。 92 △保健福祉局長 地方独立行政法人は、根拠法の地方独立行政法人法第59条の規定により、移行型の地方独立行政法人の設立に伴う措置として、移行する業務を行う者のうち、設立団体の条例で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、地方独立行政法人の設立の日において、当該地方独立行政法人の職員となると定められている。地方独立行政法人の職員として、引き続き身分を保有し続けることが、法律上措置されている。 93 ◯倉元委員 公務員の試験を受けて、公務員の身分があったにもかかわらず、当局の一方的な取り決めで非公務員になる。現場から悲痛な声が上がっている。地方独立行政法人になると、病院で働く人たちの賃金・労働条件はどうなるのか。 94 △保健福祉局長 地方独立行政法人における労働条件は、労働基準法が全面的に適用されることから、基本的には、地方独立行政法人設立後に結成される労働組合と、使用者である地方独立行政法人との間で締結される労働協約に基づき、定められる。現在、地方独立行政法人移行準備として、地方独立行政法人設立時に速やかに労働協約が締結できるよう、法人設立前に職員団体などと労働条件の協議を進めている。 95 ◯倉元委員 具体的に、今の市職員としての身分のときと、地方独立行政法人に移った新病院とでは、賃金はどうなるのか。 96 △保健福祉局長 職員の給与については、地方独立行政法人法第57条の規定により、職員の給与は、職員の勤務成績が考慮されるものであり、その基準は、独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならないとの規定を踏まえて、現在、職員団体等と協議を進めている。 97 ◯倉元委員 現在、当局が提示している条件では、賃金は上がるのか、下がるのか。 98 △保健福祉局長 現在は、同じ独立行政法人である国立病院機構の給与に準じた形で提示して、交渉中である。若い人は国立病院のほうがよく、高齢者になると、現在のほうがよいようである。 99 ◯倉元委員 結局、賃金は下がる。市から独立行政法人に移行するのに、当然、市の基準を当てはめるのが当たり前である。若い人はよいとの答弁だが、生涯賃金で見たら、例えば、放射線技師短大3年21歳採用モデルで、現行と比べれば、生涯賃金が約15%も少ない。金額に直したら3,600万円下がる。事務職でも年間100万円下がる。地方独立行政法人福岡市立病院機構中期計画案では、職員の意欲を引き出す人事制度を構築する中で、職員のモチベーションの維持向上と言っている。給料は下がるし、公務員の身分もなくなる。これでは職員のモチベーションは下がると思うが、どうか。 100 △保健福祉局長 福岡市病院事業運営審議会でも、今後の病院のあり方ということで経営形態等を含めて議論して、職員のモチベーションの維持向上、経営健全化の観点から病院の業績に応じた給与制度が示されており、現在、職員団体と勤務条件全般にわたって協議をしているところである。 101 ◯倉元委員 病院に移る職員に、悪い条件ばかりを押しつけて、独立行政法人になったら採算性を上げろとか、労働条件は悪くなったけれども頑張れ頑張れと一方的に言っていることは、まさに根拠がない精神論である。それでは、職員のモチベーションは上がらない。私たちの働きは評価されていなかったのかとの声が出て、退職を考えている人もたくさんいると聞いている。医師や看護師など貴重な人材の損失は、専門技術の継承を困難にし、患者にも大きな影響を与えると思うが、所見を尋ねる。 102 △保健福祉局長 経営改革プランの中で、例えば、看護師の場合では、二交代制、短時間勤務あるいは保育所なども含めて働きやすい環境づくりを進めることとしている。必ずしもモチベーションが下がるということではなく、もともと看護職の方は高いモチベーションを持っているので、崩すことのないように交渉したいと考えている。 103 ◯倉元委員 病院で働いている人は、モチベーション高く働かれているが、もともと高いからと、当局がしようとしていることは、その高いモチベーションを低くしようとしている。給料は下がるし、身分はなくなるが、もともと高いから、何とかなるというのが、精神論だと言っている。そうなると当然患者にも影響が出て、患者も減るし、経営も大変になり、病院自体の存続が危ぶまれ、不採算部門は切り捨てられて民間に売却することが考えられる。絶対そんなことがあってはいけない。病院の地方独立行政法人化は職員の労働条件を低下させて、公立病院の存続さえも危うくするものであり、今からでも独立行政法人化を撤回すべきだと思うが、明確な答弁を求める。 104 △保健福祉局長 病院事業運営審議会の中でもいろいろ検討がなされた。現在は地方公営企業法の一部適用であるが、全部適用であるとか、あるいは指定管理もある中で、やはり独立行政法人が一番今後の病院の経営健全化に向けては最適だとして、22年度から独立行政法人の移行に向けた取り組みを進めている。地方独立行政法人に移行しても、市や議会の適切な関与、例えば中期目標である中期計画、附属機関である審議委員会、評価委員会を設けて業務内容をチェックおよび評価することで、サービスが落ちたり経営が悪くなるとかにはならないと考えている。 105 ◯倉元委員 病院は、マンパワーであり人材を大切にしないと病院の存続は本当に危ないと改めて指摘しておく。新病院計画について、新こども病院の病床数は260床としているが、福岡県医療審議会は、233床が妥当と答申を出した。これは、新病院の医療構想そのものが否定されたと思うが、所見を尋ねる。 106 △保健福祉局長 増床についての県の答申は出ているが、承認は受けていない。県の医療審議会の答申は、現時点での医療環境を踏まえての答申であると認識しており、福岡地区は医療法による病床過剰地域で特例による増床が43床認められたということは、一定の評価が得られたと考えている。病院事業運営審議会の答申を踏まえて、新病院基本構想の中で示しているように、小児医療のさらなる充実や、産科を開設して周産期医療に取り組む必要があるという、本市として新病院の機能を十分に発揮するためには、260床が必要であると考えている。開院までに時間もあり、医療環境の変化も考慮して、再度県に増床を申請するなど、260床の実現に向けて検討を進める。 107 ◯倉元委員 ベッド数がふえず233床の場合、新病院への市の繰入金、いわゆる赤字は幾らか。 108 △保健福祉局長 233床となった場合の収支については、年間の現金収支差を約16億9,800万円と見込んでいる。 109 ◯倉元委員 260床の場合の収支は幾らか。 110 △保健福祉局長 260床の場合の収支については、年間の現金収支差を約16億9,000万円と見込んでいる。 111 ◯倉元委員 ベッド数が27床も違うのに、収支差が年間800万円しか違わないのはおかしい。今のこども病院の入院単価は幾らか。 112 △保健福祉局長 20年度の実績で、1人当たり7万9,431円である。 113 ◯倉元委員 毎日約8万円入る計画が、27床分減ると、365日間のベッドの稼働率は、当局の数字の90%を充てたとしても、年間約7億1,000万円の収益減になる。収支差が800万円しかないことはおかしくないか。 114 △保健福祉局長 収入が減るとともに支出も減る。収入ではベッド数が減ることで診療規模が変わる。入院外来の収入の減として7億7,800万円を見込んでいる。支出の減は、職員給与費、材料費、委託費等の経費、医療機器に要する費用などの支出が7億7,000万円減ると見込んでいる。これらの差により、年平均で800万円の収支差が出ると試算している。 115 ◯倉元委員 支出減の内訳を尋ねる。 116 △保健福祉局長 職員給与費で4億1,000万円、材料費が1億3,200万円、委託等の経費が1億7,200万円、資本的収支の差が3,800万円、その他金利などが1,800万円であり、合わせて7億7,000万円と試算している。
    117 ◯倉元委員 27床減った場合、医者及び看護師が何人減るか、その内訳を尋ねる。 118 △保健福祉局長 この27床は、主に周産期関係が多いことから、診療規模の縮小により医師は若干名と見ている。その他の職種については、おおむね10%減ることで試算をしている。 119 ◯倉元委員 仮に経費が縮減できたとしても、建設に伴う減価償却や支払金利など、固定費はベッド数にかかわらずかかる。医師が何人になるときちんとした試算をやって答弁しているわけでなく、極めて不透明なものだと思う。ベッドの稼働率を90%と計画しているが、2006年度の実績は81%、2005年度は79%である。計画の90%近い病床稼働率は、現状とかけ離れていると思うが、所見を尋ねる。 120 △保健福祉局長 病床の稼働率について、20年度はノロウイルスがあって若干少なく、19年度の実績は83%であるが、新病院においては90%と見込んでいる。現在のこども病院は、小児感染症部門において、二人部屋を一人部屋として使用している実態があり、それを引き直すと、実質稼働率は約90%ある。新病院の場合は個室を多く設ける予定で、その実質的な稼働率をもとに設定している。 121 ◯倉元委員 病院経営の関係者から、90%は極めて高い数字だ、難しいと言われている。当局は、外来患者数を1日424人見込んでいるが、2006年の実績は304人、2005年は303人である。人工島に移転すると、患者は病院から遠くなり、通院できない。また、地域の医師も人工島まで患者を送れないと言っているのに、患者数が140%も伸びる根拠は何か。 122 △保健福祉局長 類似病院の実績とか、現こども病院の診療実績等を踏まえて見込んでいるわけではない。新病院では、現在の小児高度医療及び小児地域医療の分野においてさらなる充実を図り、新たに産科を設けるなど診療科も増設するし、最新の医療機器を用いた診断治療に取り組む。また、こども病院の場合は、2分の1が市外からで、広域的な役割を果たしていることから、駐車場を十分に確保するなど、患者数の確保は可能であると考えている。 123 ◯倉元委員 利用者と医師の声を無視して人工島に移転させて、いい病院ができるはずはなく、無責任だと思う。結局、当局が出している計画は、数字のごまかしと、根拠がなく緊張感のない希望的な願望で成り立っていると思う。独立行政法人化は、採算性ばかりを追求し、職員の待遇を悪化させ、モチベーションを奪い、病院の存続さえ揺るがす。しかも、大企業のもうけを優先し、失敗必至のPFI方式を導入する。市長は最近の議会答弁で、21世紀にふさわしい、子どもたちのための病院づくりなどと発言しているが、こんなでたらめな計画で、新こども病院を子どもの命を守れない人工島に移転することは許せない。新病院基本構想は白紙撤回すべきと思うが、市長の答弁を求める。 124 △市長 こども病院については、老朽化、そして狭隘化、非常に狭いという問題が顕在化している。本来の医療機能にも現在支障を来すような状態になっており、現在、医師不足の中、将来にわたって優秀な医師、看護師を確保していくためにも、こども病院を一日も早く整備をしていくことが、喫緊の課題になっている。また、財政状況は厳しいわけで、病院経営の健全化も重要な責務であると考えている。これが基本的な認識である。さきの議会において、新しい病院の基本構想の実現に向けて、病院PFIの課題を十分に踏まえて、病院経営の健全化を図るために、一定のコストの縮減効果を実現しつつ、新しい病院の早期整備・開院を目指して、より安全で確実に事業を進める手法を選択したものである。市立病院の経営形態についても、効率的な経営とともに質の高い医療の提供、患者サービスの向上を図るために、平成22年4月に地方独立行政法人へ移行する。今後とも、市議会を初め、市民にも十分説明し、意見も伺い、21世紀にふさわしい、こどものための病院づくりを着実にしっかりと進めていきたいと考えている。 125 ◯倉元委員 市長がどんなに言いわけを重ねて、根拠のない将来像を語っても、市民の怒りはおさまらないことを厳しく指摘しておく。次に、中小企業の仕事づくりについて、2008年の本市における倒産件数は幾らか。 126 △経済振興局長 20年度は207件である。 127 ◯倉元委員 207件のうち、約4分の1の53件が建設業の倒産である。新設住宅着工戸数の推移について尋ねる。 128 △住宅都市局長 新設住宅着工戸数については、18年度は2万7,035戸、19年度は1万5,153個、20年度は1万9,185戸である。 129 ◯倉元委員 建設業の従業者数はどのように推移しているか。 130 △経済振興局長 建設業の従業者数については、事業所・企業統計調査によると、18年度が5万4,816人で、5年前の13年度の6万3,320人と比較すると、8,504人の減少である。 131 ◯倉元委員 5年間で約15%も建設業の従業者数が減っている。ほかの業種と比べて、市内で最も従業者数が多い業種の卸・小売を見てみると、確かに従業者数は減っているけども、5%ぐらいしか減っていない。建設業は15%減っていることは、いかに建設業が落ち込んでいるのかがわかる。生活保護の申請を行ったホームレスは、以前どういう職業についていた人が多いか。 132 △保健福祉局長 21年3月の集団申請以降に、ホームレス状態からの生活保護申請者に対して、申請直前の職業を7月末時点で調査している。対象者は867人で、その主なものは、日雇いが458人で53%、以下空き缶収集が84人で10%、会社員が76人で9%、派遣職員が64人で7%などである。 133 ◯倉元委員 半数の人が日雇いで、ほとんど建設業である。建設不況が新たな貧困を生み出している。建設業に従事する人たちの悲痛な声として、仕事がない、見通しがない、下請たたきなどルールがない、転・廃業、倒産、不払い、自殺と、建設業を取り巻く環境は極めて悪い状況だと思うが、所見を尋ねる。 134 △経済振興局長 建設業を取り巻く環境については、景気対策としての最近の公共事業の増により、現在の倒産状況は少しは落ちついてきたところであるが、原材料価格の高騰による利益面の圧迫、昨年9月以降続く世界的な金融危機による我が国経済の悪化により、建設業の経営状況は引き続き厳しいものがあると認識している。 135 ◯倉元委員 地場の中小零細業者の仕事づくりにもつながる住宅リフォーム助成事業を提案した。9月議会に住宅リフォーム助成事業の実現を求める請願も出された。市長の言い分は、特定の業種だけに支援はできないとのことだが、これだけ深刻な状況に陥っている建設業に対して、今の状態は何もしていないのと同じと思うが、所見を尋ねる。 136 △経済振興局長 地場中小建設業の支援策については、大手建設業者との取引のきっかけづくりとなる建設業ビジネス面談会や、受注能力向上を高めるための一級建築施工管理技術講習会などを実施している。商工金融資金制度において、建設業関連業種の大半が対象業種であり、保証料が優遇されるセーフティー・ネットを活用した緊急経営安定化特別資金の特例枠を実施している。今後とも、きめ細やかな相談事業を実施するとともに、商工金融資金の十分な融資枠を確保するなど、中小企業の経営支援に取り組んでいく。昨年12月以来、経済対策として、総額約266億円の補正予算を編成し、民間企業の仕事を維持する対策をとっており、その発注については可能な限り分離・分割発注を行うなど、地場中小企業の受注機会の拡大に努めている。 137 ◯倉元委員 公共事業自体は総額で事業費が減り、前倒ししたとしても限りがあると思う。融資についても、借りたくても借りられない、借りる体力がないという人たちがいっぱいいるというのが現状である。今、本市のしていることは、実態に合っていないと思う。仕事が欲しい、仕事をつくってほしいというのが建設業界の切なる願いであり、経済対策として、民間需要を拡大するような施策が求められていると思うが、どうか。 138 △経済振興局長 民需喚起の経済対策については、業種間の公平性や財源の問題など、市が行う経済対策としては限界があることから、市としては、まずは各行政分野において必要な事業を早期に実施することにより、民間企業の仕事を創出し、これを呼び水として民間需要につなげていくことが必要だと考えている。そのため、昨年12月以来、総額約266億円の補正予算を編成し、経済対策として対応している。 139 ◯倉元委員 先日、兵庫県明石市にて、産業活性化緊急支援事業、通称住宅リフォーム助成事業について調査した。2000年から5年間実施した実績を紹介すると、8,290万円の助成金で、16~18億円の仕事があったとのことである。リフォームに伴っての物販購入額が6,166万円、合わせて約20倍の波及効果から見ても、住宅リフォーム助成事業は、大きな経済効果を生み出すと思うが、所見を尋ねる。 140 △経済振興局長 経済波及効果について、公的助成による需要の喚起であるので、一定規模の工事が実施されれば、一定の効果はあると考えている。 141 ◯倉元委員 他都市の例を示しているので、数字を見てほしい。ほかの都市は、きちんと経済波及効果を出している。明石市は、助成を受けた人にアンケートをして、半数の人が、本助成金をきっかけに工事をしたと回答しており、市民の住宅改修への意欲、それに伴う物品購入意欲を喚起する効果を生み出していると市長も言われている。こういう制度があると、建設業界に元気が出てくると、制度を紹介しながら、職人も、家の改修をしませんかと申込書を持って営業するようになった。建設関係の組合がつくったビラ「明石市があなたのリフォームをお手伝いします」を持って、営業している。中小の建設会社は、ラジオで制度を紹介して、「こんな制度ができました。だから、ぜひうちでやってください」という広告も打った。業界の業者の人たちが率先して、制度の周知を行ってくれたそうである。市の職員の業務量も大変と考えかもしれないが、担当職員は一人だったそうである。このような他都市の制度に学んで、住宅リフォーム助成事業を本市でも実施すべきだと思うが、所見を尋ねる。 142 △経済振興局長 特定の公益目的のない住宅リフォーム助成制度を経済対策として創設することについて、不況業種が数多くある中、住宅リフォームだけに支援策を講じることは、業種間の公平性の問題などもあり、本市が行う経済対策としてはふさわしくないと考えている。 143 ◯倉元委員 国は、リフォームするなら税金をまけると住宅減税、優遇策をつくって推進している。県は、住生活基本計画で、住宅の長寿命化の推進を掲げて推進している。助成事業を行えば、住宅の長寿命化に大きく寄与すると思うが、所見を尋ねる。 144 △住宅都市局長 一般的な住宅リフォームについては、規模などもさまざまで、建築確認申請を要しないことから、その内容を正確には把握していないが、その多くは住宅設備の取りかえや内装材の張りかえなどの簡易なケースが多いと考えられ、住宅の長寿命化に必要な構造の強化等につながる大規模なリフォームは一部にとどまるのではないかと考えている。 145 ◯倉元委員 毎年3万人の人が自殺している。建設業が13%とトップで、自殺者数全体は、2.6%減っているにもかかわらず、土木建設業の自殺者は14.5%もふえている。市長のやる気次第で、住宅リフォーム助成事業はできる。住宅の長寿命化も図られ、環境にも優しい、市民も建設業者も喜び、絶好の経済対策になる。仕事がふえれば、税収もふえる。生活保護を受けないで済む人も出てくる。苦しみあえぐ建設業者のためにも、景気回復のためにも、市民の住環境向上のためにも、住宅リフォーム助成事業を本市でも創設すべきと思うが、答弁を求める。 146 △市長 明石市の説明で、8,000万円少しで18億円ぐらいの経済効果が上がったと。リフォーム自体は、確かに経済効果はあると思うが、特定の公益目的がない住宅リフォーム助成制度と考えると、経済対策として創設することには、ほかにも多くの不況業種がある中で、業種間の公平性の問題などもある観点から、経済対策として本市が今すぐ行うのは機が熟していないのではないかと考えている。 147 ◯伊藤委員 生活保護について、生活保護制度は、国民の最低限の生活を保障する制度であり、昭和25年から現在まで、その時々の社会情勢に応じ、見直されながら、我が国のセーフティー・ネットとしての役割を担ってきた。しかしながら、現在、少子高齢化や昨今の経済不況に伴う雇用情勢の急速な悪化など、社会保障制度をめぐる環境は大きく変動しており、セーフティー・ネットとしての生活保護制度も、そのあり方が問われているところである。まず、20年度の生活保護の状況について、昨年度の本市の生活保護の世帯数及び人員数がどのように推移していったのか、4月、9月、12月、年度末の四半期ごとの数字を尋ねる。 148 △保健福祉局長 昨年度の本市の四半期ごとの生活保護の世帯数について、平成20年4月が1万9,553世帯、9月が1万9,947世帯、12月が2万337世帯、21年3月が2万1,096世帯、人員数について、20年4月が2万7,872人、9月が2万8,440人、12月が2万8,988人、21年3月が2万9,972人となっている。 149 ◯伊藤委員 それぞれ前年の同じ月と比べて何%の増となっているのか。 150 △保健福祉局長 世帯数の前年度比は、20年の4月は4.3%増、9月は4.6%増、12月は5.4%増、21年3月は7.9%増、人員数は、20年4月は4.1%増、9月は4.5%増、12月は5.0%増、21年3月は7.1%増となっている。 151 ◯伊藤委員 答弁によると、昨年の12月以降、保護世帯が急激にふえているが、現在の状況はどうなっているのか、また、前年の同じ月と比べて何%の増となっているのか。 152 △保健福祉局長 現在の状況については、平成21年の7月の世帯数は2万2,726世帯、人員数は3万1,763人である。平成20年7月の世帯数が1万9,821世帯、人員数が2万8,219人、前年同月比で、世帯数が14.7%増、人員数が12.6%増となっている。 153 ◯伊藤委員 前年度比約15%の伸びという爆発的な保護世帯増の原因と今後の予測について、当局はどのように分析しているのか。 154 △保健福祉局長 本市の保護動向について、高齢化の進行に加え、バブル崩壊に伴う平成不況等の影響を受けて、9年度から被保護世帯、被保護人員とも増加傾向が継続している。さらに、19年度ごろより、福岡地区における有効求人倍率が悪化し、加えて、平成20年末からの世界的な金融危機の影響により、雇用情勢が一層悪化しており、ホームレス世帯からの保護申請を含め、保護世帯が急増している。全国的にも、雇用状況は依然として厳しい状況であり、今後も被保護世帯数はさらにふえるのではないかと予想している。 155 ◯伊藤委員 雇用状況の改善の兆しが見えない中、今後も保護世帯の増加傾向が続くということだが、生活保護受給者に支給される扶助費についても、世帯数に比例して増加している。昨年度の生活保護費における扶助費の決算額を尋ねる。また、その一般会計に占める割合はどれくらいだったのか。 156 △保健福祉局長 20年度の生活保護費における扶助費総額については、533億1,621万円で、うち、最も大きなものが医療扶助であり286億5,650万円、次が生活扶助で163億1,362万円、3番目が住宅扶助で66億9,661万円である。一般会計の20年度決算額が、6,676億3,981万円であるので、生活保護費の占める割合は約8.0%となっている。 157 ◯伊藤委員 533億円というのは非常に大きな金額である。本市の負担も4分の1とはいえ、130億円以上ある。必要な負担であることは理解できるが、際限なくふえ続けてよいものではない。生活保護費の内容をきちんと分析するべきだと思う。生活保護費のうち、医療に関する費用が半分を超えるということだが、20年度の生活保護の医療扶助の利用者数及び1人当たりの額はどれぐらいだったか。また、入院、通院、調剤それぞれの額はどのようになっているのか。 158 △保健福祉局長 20年度の医療扶助額は、20年度の平均保護人員の2万8,627人で単純に割ると、1人当たりの医療費は約100万円となる。また、医療扶助の主な内訳としては、入院が182億9,754万円、通院が60億7,568万円、調剤が35億5,684万円となっている。 159 ◯伊藤委員 1人当たり100万円とのことだが、生活保護を受けていない国民健康保険被保険者1人当たりの医療費額は、65歳以上の後期高齢者医療の対象年代を含んでいた19年度で約45万5,000円であり、それに比べかなり高い数字となっており、その原因をどのように考えているのか。 160 △保健福祉局長 生活保護世帯の1人当たりの医療費が、国民健康保険被保険者と比較して高い額となっている理由は幾つか考えられるが、大きな理由としては、高額の医療費が必要となる入院している人の割合が、国民健康保険と比べて高いということが一つ上げられる。また、生活保護の開始原因の約半数が、病気やけがで働けないなどの傷病を理由としたものであることなども、医療費を押し上げる要因ではないかと考えている。 161 ◯伊藤委員 生活保護世帯に限らず、医療に要する社会経費の増は大きな社会問題となっている。昨今、医療費抑制の方策の一つとして、我が国においても、ジェネリック医薬品の普及について議論が高まっているところでもあるが、諸外国での普及率、例えば、2006年の終了ベースで、アメリカ63%、イギリス59%、ドイツ56%と比較して、我が国では17%と、まだまだ低い水準である。そこで、ジェネリック医薬品の利用促進について、当局はどのように考えているのか。 162 △保健福祉局長 後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品については、平成19年6月19日に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007」をもとに、政府においても、医療保険財源の改善等の観点から、使用促進が進められている。これに伴い、被保護者に対しても、処方する医師や薬剤師から後発医薬品について説明を受け、納得した場合は、後発医薬品の選択に協力してもらうよう周知している。 163 ◯伊藤委員 さまざまな要因により、生活保護世帯の医療費が高くなることは理解できるが、医療扶助は、生活保護費の約5割、額にして286億円という膨大な金額となっており、市の財政の中でも大きな割合を占めている。福岡市では、適正な医療扶助の実施に向け、どのような工夫を行っているのか。 164 △保健福祉局長 本市においても、医療扶助の適正実施は、財政の健全化を図る上でも重要な課題としてとらえており、さまざまな取り組みを行っている。具体的な対策としては、まず、専門業者への委託による診療報酬明細書の点検、更生医療など他の施策の活用可能性の確認、頻回受診者に対する指導、さらに精神障がい者の方の退院支援事業等を講じており、20年度の効果額としては約3億7,670万円となっている。また、各福祉事務所に嘱託員を配置しており、医療扶助に関して、ケースワーカーに指導援助を行っているところである。 165 ◯伊藤委員 ぜひ医療費の適正実施については、積極的に取り組んでもらいたいと思う。次に、生活保護世帯の資産等の活用について尋ねる。先ほどの説明にあったように、生活保護世帯の急増は、社会経済情勢の悪化が主因であり、全国的な問題であることは理解できるが、生活保護の適正実施を担保するために、本市ではどのような調査を行っているのか。 166 △保健福祉局長 生活保護の適正実施のための調査については、保護開始申請時において、届け出義務の履行について周知を徹底するとともに、預貯金、生命保険などの資産の調査はもとより、就労収入や年金などの状況についても、客観的な資料による調査に努めている。また、保護継続世帯については、家庭訪問等により、生活実態の把握に努めるとともに、税情報との突合を行うなど、不正の防止及び早期発見に努めている。 167 ◯伊藤委員 保護開始時など、世帯の収入や資産について詳細な調査に努めているということだが、本人の資産活用を図るため、19年度に、要保護世帯向け長期生活支援資金制度が施行されている。これはどのような制度か。 168 △保健福祉局長 要保護者向け長期生活支援資金制度については、担保権等が設定されておらず、かつ評価額がおおむね500万円以上の居住用不動産を所有する原則65歳以上の世帯で、本貸付金を利用しなければ、生活保護の受給が必要な世帯を対象とした生活資金の貸付制度である。居住用不動産を担保として、生活扶助基準額の1.5倍相当の生活費を毎月貸し付けるというものであり、生活保護に優先して利用すべき制度とされている。 169 ◯伊藤委員 本市における要保護者向け長期生活支援資金制度の利用状況について尋ねる。 170 △保健福祉局長 21年9月1日現在で、制度施行前からの貸し付け対象者及び新規の申請者を合わせて計40世帯あるが、そのうち16世帯が貸し付けの申し込みを行っており、うち13世帯が貸し付け決定ということになっている。 171 ◯伊藤委員 要保護者向け長期生活支援資金制度の対象となるのに、利用が進まない理由は何か。 172 △保健福祉局長 利用が進まない理由は、貸し付け対象者が高齢のため、制度に対する理解がなかなか得られにくいということ、さらには、長期入院中の人などもいて、事務的な手続が進まないというようなこともある。 173 ◯伊藤委員 制度の利用を今後どのように進めていくのか。 174 △保健福祉局長 説明を粘り強く丁寧に行うことにより、当事者の理解が得られるように今後も努めていきたいと考えている。 175 ◯伊藤委員 本人資産の活用は、生活保護の要件の基本である。ぜひ制度が有効に活用されるよう、利用を促進するよう要望しておく。次に、生活保護世帯の自立支援について尋ねる。生活保護は、最低生活を保障するとともに、自立を助成することを目的として実施されているものであるが、昨今の雇用情勢に伴い、派遣切りや失業による保護受給者がふえているとマスコミ報道等で聞いている。そのような世帯がどのくらいになるのか。 176 △保健福祉局長 失業を理由に保護を開始した世帯については、いわゆるその他世帯に分類される。その他世帯については、平成21年7月時点で、3,174世帯、全体の約14%を占めている。前年同月比で1,374世帯、約76%の増であり、他の世帯類型と比較しても顕著な伸びを示している。 177 ◯伊藤委員 そのような世帯に対して、本市ではどのような支援を行っていくのか。 178 △保健福祉局長 失業を理由に保護を開始した世帯に対する支援については、まず、ハローワークと連携して就労支援を行う、それから、国が提示する生活保護者等就労支援プログラムの実施に加えて、各区にハローワークOBの就労支援員を配置し、履歴書の書き方、面接の受け方といった基本的な事項や、職業相談などの助言を行っている。今年度からは、別途職業カウンセラー等を要する民間の職業紹介事業者に委託し、就労意欲の喚起を中心に適職斡旋、離職防止までを一貫して支援する就労意欲喚起等支援事業に取り組むこととし、現在準備を進めているところである。 179 ◯伊藤委員 就労支援のほかには、生活保護世帯に対して、どのような自立支援を行っているのか。 180 △保健福祉局長 就労以外の自立支援プログラムとしては、制度の改正等により複雑になっている年金制度において、被保護者の受給可能性を調査する社会保険事務所OBの専門嘱託員による年金調査、さらに、中学3年生の生徒を持つ世帯に対し、高校進学に対する状況確認や助言等を行う高等学校進学支援、さらに、受け入れ環境が整えば退院可能な精神障がい者の退院を専門の相談支援業者が支援する精神障がい者退院促進に取り組んでいる。さらに本年度から、さまざまな課題を抱える在宅の精神障がい者や母子世帯等を対象としたプログラムにも取り組むこととしており、現在準備を進めている。 181 ◯伊藤委員 現在、国においては、母子加算の復活や、7万円の最低年金保障など、生活保護世帯に直結するような施策が議論されているが、現在の本市の母子世帯の生活保護世帯の基準額はおよそ幾らか。 182 △保健福祉局長 21年度の生活保護基準では、母親が30歳、子供が4歳と2歳の3人世帯の場合で、生活費として約15万円、別途住宅費が4万8,000円以内となっている。また、原則、医療費の自己負担はない。なお、世帯主が就労している場合は、稼働収入の基礎控除等を行うことから、いわゆる生活費が就労していない世帯に比べ、若干多くなる。 183 ◯伊藤委員 仮に母子加算が従前と同じ形で復活した場合、先ほどの額から幾らふえるのか。また、本市の対象者は何世帯で、歳出はどれぐらいふえるのか。 184 △保健福祉局長 従前の母子加算は、子供1人の場合、月額2万3,260円であり、対象となる子供の数により額は異なる。先ほどの事例の子供2人の場合では月額2万5,100円になる。また、平成21年7月の全国一斉調査による本市の対象世帯は1,581世帯で、年間で約4億6,500万円の歳出増が予想される。 185 ◯伊藤委員 現在、国民年金の老齢基礎年金の額は、月当たり約6万6,000円である。本市における高齢単身者の生活保護基準は幾らか。 186 △保健福祉局長 本市における単身高齢者の生活保護基準は、65歳の高齢単身世帯で生活費として約8万円、別途住宅費が3万7,000円以内となっている。これも原則として、医療費の自己負担はない。 187 ◯伊藤委員 生活保護の母子世帯の基準額は、住宅費込みで月約20万円、母子加算が加われば、これに2万5,000円、就労している世帯はもう少し多い収入額となるということである。ただ、現実問題として、この不況の中、手取りで20万円を超える月収を得ることのできる母子世帯はそれほど多くはないと思われる。高齢者に至っては、25年間毎月保険料を納めてきた人の年金額よりも、生活保護の基準額のほうが高くなっている。このことは、常識的に考えてもおかしいと思う。私はここで生活保護の基準が高いとか低いとかを議論したいわけではない。課題の本質は、母子世帯でいえば、現在の雇用状況の改善や、女性が働きやすい職場環境・地域環境づくりなど、生活保護世帯に限らず、母子家庭あるいは父子家庭を含めた一人親世帯全体を取り巻く環境の改善であり、高齢者世帯でいえば、公的年金制度がセーフティー・ネットとして十分でないこと、そのことが課題なのであって、生活保護という受け皿の中でこれらの課題を対処療法的に解決しようとすることが果たしてよいことなのか、よく考えなければならないのではないか。そこで、市長に尋ねるが、市長は、セーフティー・ネットとしての生活保護制度の現状や今後のあり方について、どのように考えているのか、所見を尋ねる。 188 △市長 生活保護制度は、国民の最低限度の生活を保障すること、また、自立の助長を図るということを目的としており、我が国においては、最後のセーフティー・ネットという重要な制度であるということをまず認識をしている。一方で、制度が始まったのは戦後間もないころであり、現在の急激な少子高齢化の進行、昨今の世界的な不況に伴う雇用環境の悪化というような社会情勢の変化に対して、必ずしもその制度自体が十分に機能できている、対応できているとは言えない部分もあるというのも事実だと考える。本来、セーフティー・ネットであるから、病気・失業などで生活困難な状況となった場合に自立できるように、その生活を支援するために構築されているものであり、生活保護制度だけでなく、雇用それから公的年金などを含めた社会保障全体の見直しの中で、将来を見据えた新たなセーフティー・ネットのあり方についても検討すべき時期が来ているというふうに考えている。 189 ◯伊藤委員 確かに、一自治体として答えを出すことはできないかもしれないが、本市としても、そのあり方や手法について、もう少し慎重に議論を重ねるよう国に訴えるべきではないかと強く要望する。現在、生活保護はさまざまな問題を抱えながらも、国民生活の最後のセーフティー・ネットであることは間違いなく、その役割は今後ますます重要となっていくと思う。だからこそ、真に生活に困窮している人に必要な保護を適用するとともに、市民から信頼を得られるよう、適正な保護を実施することが制度を維持するかなめなのである。そのためにも、適正な医療扶助の実施や、就労支援プログラム等による稼働可能な世帯の自立助長など、生活保護の適正実施について、今後とも力を入れて取り組んでいくよう強く要望しておく。福岡市の生活保護の現状は、単身者そして二人暮らし高齢者、病気で働けない高齢者が多いというのが現状である。しかし、その人々にも、当然家族はいるはずである。産み育ててもらった親を見るのは子どもの務めだと思う。子供にしっかりした収入があっても、世帯が別であれば保護を受けることができる、これが今の現状だというふうに思う。さまざまな課題を一つずつ整理をしながら、今後ともしっかり適正に保護行政に取り組んでいただくよう強く要望しておく。次に、観光施策について尋ねる。本市は、第3次産業の割合が9割を占めるサービス産業都市であり、その産業構造の点からも、また、幅広い業種に波及効果が期待される点からも、さらには、経済圏域内の定住人口の減少等による市場規模の縮小を下支えする点からも、観光施策の積極的な推進が本市の発展にとって不可欠であると考える。しかしながら、これまでの本市の観光施策の現状は、本市が持つ魅力や資源を十分に生かし切れていないし、個性あるPRもされていないと感じているところであり、この不況下でこそ、観光によって本市の産業を牽引してもらいたい。まず、本市における観光の現状を確認しておきたいが、最近の観光客数の推移はどうなっているのか、外国人の動向もあわせて尋ねる。 190 △経済振興局長 本市への入り込み観光客数の推移については、平成17年が1,642万人、平成18年が1,670万人、平成19年が1,686万人となっている。次に、外国人の動向については、福岡空港と博多港の外国人入国者の総数で答えると、平成17年が49万8,000人、平成18年が62万6,000人、平成19年が72万人、平成20年は69万8,000人となっている。 191 ◯伊藤委員 外国人入国者数が大幅に増加しているということだが、その要因は何だと考えるのか。 192 △経済振興局長 外国人入国者の増加の要因については、東アジアの経済成長に伴う海外旅行者の増加傾向や、本市への外国人入国者の6割以上を占める韓国でのビザの免除や、昨年前半までの円安ウォン高などが影響しているものと考えている。なお、平成20年は、世界的な景気不況や円高により、特に韓国からの入国者が大幅に減少した影響から、外国人入国者全体は前年と比べ減少しているが、一方で、中国・台湾からの入国者は前年と比べ増加しているものである。 193 ◯伊藤委員 観光は、地域の経済振興にとって有効な対応策の一つとして、全国の自治体では、それぞれの観光資源を活用し、関連企業やNPO、ボランティア団体等と緊密に連携し、工夫を凝らした観光施策に積極的に取り組んでいる。また、国においては、平成19年に、観光立国推進基本法の施行、観光立国推進基本計画の閣議決定がされており、昨年度には、観光庁が設置され、国を挙げて取り組む体制が整ったところある。そこで尋ねるが、こうした全国的な動きの中で、本市における観光の政策的位置づけはどうなっているのか。 194 △経済振興局長 観光の政策的な位置については、新基本計画において、おもてなしの心に満ちた国際集客文化都市となる、いわゆるビジターズ・インダストリー、集客産業の振興を政策目標に掲げている。また、新基本計画の第2次実施計画である政策推進プランにおいて、20年度から23年度までの4年間におけるまちづくりの目標像に、シティプロモーションでつくる九州・アジア新時代の交流拠点として福岡を規定しているところである。集客観光については、その実現に向けた重要な施策の一つと位置づけられており、これまで重点的な取り組みを行ってきたところである。 195 ◯伊藤委員 国の観光立国推進基本計画では、19年度から5年間を対象に、基本方針や、国が講ずべき施策とともに、極めて意欲的で具体的な目標が掲げられている。例えば、訪日外国人旅行者数については、平成18年の実績は773万人であるものを、平成22年までに1,000万人にすることや、国内における観光旅行消費額については、17年度が24.4兆円であるものを、22年度までに30兆円にすることなどである。本市の基本計画や実施計画においても、観光は重要な施策として位置づけられているとのことだが、具体的にはどのような目標を掲げているのか尋ねる。 196 △経済振興局長 集客に関する具体的な目標については、20年度に、民と官で本市の集客に取り組んでいるビジターズ・インダストリー推進協議会において、行動指針である「福岡賑わいのまちづくり戦略2011」を策定している。その中で、九州新幹線が全線開通する2011年には、2006年と比較して、外国人入国者数を62万人から100万人に、観光消費額を3,000億円から4,000億円にすることを目標にして、集客に関するさまざまな施策に取り組んでいるところである。 197 ◯伊藤委員 1929年の世界恐慌以来と言われる世界同時不況の中で、日本を代表する企業も大きな痛手をこうむり、本市でも、製造業、百貨店・商店街等の小売業、運輸業、宿泊業など、あまたの業種が売上額の減少、利益率の急激な低下に直面をしている。また、この経済状況を反映して、失業率、有効求人倍率、倒産件数とも、歴史的な数字で悪化していることは承知のとおりである。この経済社会情勢の中で、国や地方自治体を問わず、経済政策の注目度も高いところであるが、本市の産業基盤といえる第3次産業を支え、景況感を向上させるという点では、集客・観光分野にかかる期待は大変大きいものである。このことからも、産業・経済界、市民団体、行政など、各界・各層が一丸となり、持てる資源・資産をフルに活用して、観光産業の振興に取り組むべきだと考えるが、昨年度の集客・観光施策の具体的な取り組み内容と決算額を尋ねる。 198 △経済振興局長 民と官が一体となった主な取り組みとしては、まず、ビジターズ・インダストリー推進協議会において、アジアプロモーションとして、「釜山・福岡アジアゲートウェイ2011」の推進や、クルーズ船の観光演出を実施している。また、日韓の観光客動態調査等のマーケティングや、集客関連産業にかかわる実務者によるワークショップの開催を通した次世代ビジネス人材の交流推進を図っている。さらに、21年度に運行開始された「ぐりーん」と連携した情報ツールの充実や広報活動など、都心回遊の推進とともに、ウォーターフロント地区におけるイベントの開催や、博多の秋のイベントを統一的にPRする博多秋博の実施など、集客拠点の活性化に努めている。決算額は、ビジターズ・インダストリー推進協議会の本市の補助金2,012万6,000円となっている。なお、協議会の全体では、市補助金に会員の会費等を含めて5,324万6,000円となっている。 199 ◯伊藤委員 先般テレビを見ていたら、外国人の目で見た日本で行ってみたい場所の第1位が築地市場、2位がディズニーランド、3位がポケモンセンターとのことであった。また、番外編で、立体駐車場や盆栽、秋葉原が挙げられていた。特に立体駐車場は、意外に思うが、これが外国人観光客の実態である。観光施策においても、企業等が行うマーケティングと同様、観光客の実態を把握し、観光客が何を求め、何を期待しているのか、そのニーズに即した具体的な事業を展開しなければならないのである。そこで、これまでどのような調査を実施したのか、また、その結果はどうだったのか。 200 △経済振興局長 本市においては、定期的な統計調査として、入り込み観光客数や外国人入国者数、宿泊日数などを調査する観光統計を毎年実施し、観光客の実際の消費額などを調査する観光客動態調査を5年おきに実施している。また、20年度においては、ビジターズ・インダストリー推進協議会の事業として、日本と韓国の大学が共同で実施した日韓観光動態調査や、アジア都市研究所による福岡・釜山航路利用者へのアンケート調査を行っている。次に、その結果については、本市における観光客数の推移や動態、本市の外国人入国者数の6割以上を占める韓国人の観光実態について、旅行目的や旅行形態、情報収集方法などの傾向を把握している。例えば、韓国人旅行者の旅行前の情報収集は、旅行会社と並んで、インターネットによる割合が4割と高くなっていることがわかっている。このような調査結果を踏まえて、より効果的な観光情報の発信など、今後の集客施策に生かしていきたいと考える。 201 ◯伊藤委員 観光庁が公表している資料を見ると、外国人観光客1人1回当たりの消費額は約18万円で、外国人観光客7人分の消費額が、年間の定住人口1人分の消費額に匹敵すると推計している。このように、外国人観光客が大幅にふえることは、本市経済の浮揚に大きな貢献が期待できるとともに、外国の文化を理解し、おもてなしをすることで、市民に身近な国際交流が促進され、子供たちの情緒教育、人格形成にも貢献し、こういう土台ができてこそ、近い将来、本市は真の国際都市に成長していくものと考える。そのため、著しい経済成長で旅行者が増加している中国や、地理的に最も近い韓国のお客様にお越しいただくことが肝要だと考える。まず、中国人観光客については、中国発のクルーズ船が来航しているが、昨年度は何回来航し、総計でどれぐらいの人数が訪れたのか。また、今年度は何回来航する予定であるのか。 202 △経済振興局長 中国からのクルーズ客船について、20年度は23回寄航し、総計約2万6,000人が訪れている。また、今年度は24回の寄航が予定をされ、総計では約2万9,000人が訪れる予定である。 203 ◯伊藤委員 現在、クルーズ船の観光客は、おおよそ半日間の滞在時間で、都心でショッピングを楽しみ、その日のうちに次の寄港地に向うと聞いている。クルーズ船の観光客による経済効果はどれぐらいと考えているのか。 204 △経済振興局長 クルーズ客船の経済効果については、今年度クルーズ客船の乗客に対してアンケート調査を行っているところである。現在、集計作業を進めており、分析作業も含め、11月末には明らかにできるものと考えている。 205 ◯伊藤委員 中国人観光客については、本年7月から個人ビザが一部富裕層に解禁されたこともあり、観光庁を初めとした行政や観光関連の業界は大きなビジネスチャンスととらえ、日本各地は言うに及ばず、近隣諸外国でも争奪戦が繰り広げられていると聞いている。今後、より一層の中国発クルーズ船の寄航をふやすために、どのような策を展開するのか。 206 △経済振興局長 中国発クルーズ客船の寄航は、中国人を初めとするアジア人観光客の集客促進のための大きな機会と考えている。観光源でも重点市場である中国からの観光客の誘致に向け、港湾局と連携をしながら、中国発着のクルーズ客船の誘致を進めるとともに、入国管理局など関係部局の協力を得ながら、クルーズ客船の受け入れ環境などのさらなる充実を図っているところである。具体的には、上海などのクルーズ会社や旅行会社へのプロモーションや、クルーズ会社幹部の福岡への招聘を積極的に進めるとともに、港での歓迎演出、観光案内や情報提供、ショッピング環境の整備など、福岡市内での滞在を楽しんでいただくよう取り組んでいる。今後は、このような取り組みを充実しつつ、関係部局と連携のもと、官民一体となって、歓迎演出や観光案内機能を備えたウエルカムゲートの整備、クルーズ客がひとり歩きできるための案内サインの充実、回遊性を向上させるための着地形観光商品の開発等を積極的に展開していくものである。 207 ◯伊藤委員 いわゆるリーマン・ショック以来、順調にふえ続けていた韓国人観光客は半減しているとも聞いているが、多少の変化・変動には影響されることなく、アジアの諸外国、とりわけ韓国釜山とは文化、スポーツ、学術を初め、多分野における交流基盤の構築が不可欠であると考える。今後、集客・観光分野では、韓国釜山との間でどのような施策・事業に力を入れて取り組むのか。 208 △経済振興局長 本市と釜山広域市では、両都市を一つの観光圏として相互交流を促進しながら、内外からの観光客誘致に取り組む「釜山・福岡アジアゲートウェイ2011」を推進している。20年度には、官民による実行委員会を設立し、ロゴの設定や、プロモーションツールを制作し、共同で中国などでのプロモーションを実施している。本年度は、友情年として、両都市の交流を象徴するプロ野球の交流戦の開催を支援したほか、両都市の大学が連携し、お互いの都市の魅力を紹介するガイドブック「スタイルノート」の制作と、それを通した人材の交流、情報発信のツールとしてウェブサイトの立ち上げや共同テレビ番組の制作など、両都市の魅力を紹介するプロモーションや、着地型旅行商品の開発を戦略的に実施しているところである。さらに、2011年に向けて、両都市の交流を定着させながら、これを核として、中国などアジア各地域との連携を深め、グローバルな観光客誘致につなげていきたいと考えている。 209 ◯伊藤委員 本市の観光は、都市の性格からいって、いわゆる都市型観光であるが、外国人観光客であれ、日本人観光客であれ、本市の観光の目的がショッピングだけというのであれば、自然に恵まれたコンパクトな都市で、歴史にも裏打ちされ、人情味あふれる本市の魅力が生かされず、危機感さえ覚えている。他都市にはない、あるいは他都市では感じられない本市ならではの旅の魅力を提供する取り組みがぜひ必要と思うが、どうか。 210 △経済振興局長 都市型観光の推進については、多様なまちの魅力を有する本市にとって、大きな強みであると考えている。このため、21年度から、福岡ならではの魅力を生かしたまち歩きや体験、地域との交流などを企画実施する、いわゆる着地型観光商品の開発に着手をしたところである。現在、福岡における着地型観光商品を「福たび」と名づけ、広く市民やNPO、ボランティア団体、地域企業の皆様に対して、商品提案を募集している。今後は、年度末を目途に事業の試行的な実施を行い、来年度以降の本格的な実施に向け、課題の整理や事業のあり方について検証を進めていきたいと考える。これにより、多くの観光客に本市ならではの旅行を楽しんでもらうとともに、一層の観光客の増加や、市民団体による観光商品の開発により、まちの観光の魅力が磨かれることで、地域経済の振興、まちづくり活動の活性化を図り、さらには新たなビジネス創造を推進していきたいと考えている。 211 ◯伊藤委員 福岡ならではの着地型観光を振興することで、他の都市にない福岡の情緒に触れ、見過ごされがちな旅情を堪能していただくことは、同時に幅広い経済効果も期待できるものであることから、ぜひ積極的に取り組むよう要望する。観光の品ぞろえ、ラインナップを充実させることは無論大事であるが、一方で、磨きをかけた観光商品を、いかにして日本全国はもとより諸外国、とりわけアジアの人々にPRしていくのかも重要である。また同時に、旅行商品を造成する旅行エージェントを初めとした関連業界へ、本市の魅力を理解してもらうためのプロモーション活動も不可欠である。本市ではこれまでどのような広報、プロモーション活動を実施してきたのか。 212 △経済振興局長 本市では、これまで、国内外の主要都市において、積極的に観光プロモーション活動を実施してきたところである。首都圏や関西圏において、九州の各都市や民間団体と連携し、旅行会社や学校等を訪問したり、あるいは、中国や韓国等においては、釜山広域市などと連携した観光セミナーや、旅行会社訪問、国際観光展への出店、国のビジット・ジャパン・キャンペーン地方連携事業を活用した旅行社やマスコミ関係者の招聘事業などを行っている。また、広報活動としては、日・英・韓・中・タイの主要5カ国語で観光ガイドブックを制作し、プロモーション活動の際に活用するとともに、観光情報サイト「よかなび」によって、国内外へ9カ国語で観光情報の発信を行うなど、積極的な広報に努めている。この「よかなび」は、19年度に全面リニューアルと携帯版の新設を行い、現在は毎月150万ページビューを記録し、総務省主催の九州ウェブ大賞2008を受賞するなど、本市の観光情報発信に成果を上げているところである。 213 ◯伊藤委員 現代はメディアが多様化し、情報もはんらんしており、従来のマスメディアだけでは情報の送球力が弱くなったとも言われている。特に、これまでの行政広報では、広報したという事実だけが残り、伝えたい人々に認知されていないことも多々あったと思う。これからの広報やプロモーション活動は、対象とすべき客層を見きわめ、その客層の心を魅了する内容で、多様なメディアを使いつつ、的確な時期・手段で実施しなければならないと考える。今後の広報・プロモーション活動について、どのような展開を考えているか。 214 △経済振興局長 本市においては、これまで、メディアを活用した観光プロモーションとして、首都圏から旅行雑誌社等を招聘したり、国のビジット・ジャパン・キャンペーン地方連携事業を活用し、中国や韓国などからテレビ局や新聞社、ネット会社等を招聘して、福岡、九州の観光の魅力を広くPRしてきたところである。これにより、国内外の旅行雑誌、新聞、テレビなどで紹介されるなどの成果を上げているところである。今後は、この取り組みを一層強化するとともに、中国などからの観光客をターゲットに、クルーズ会社などとタイアップをしながら、多様なメディアを活用するなど、より効果的な広報戦略を検討していきたいと考えている。 215 ◯伊藤委員 観光の振興は、本市に不可欠な政策である。本市は福岡空港や博多港国際ターミナルからのアクセス性にすぐれたまちである。また、志賀島、能古島、玄界島など、海に囲まれた自然や、百道浜、海の中道にはリゾート施設もあり、外国人観光客に人気があると言われている鮮魚市場や、キャナルシティのポケモンセンター、漫画やキャラクターの専門店もある。博多どんたくや博多祇園山笠を初めとする数々の祭りもあれば、多くのファンを集めるコンサートやイベントも年間を通じて多数開催しているし、博多座や福岡シティ劇場ではロングランで本格的な舞台公演が行われている。全国的に知名度の高い食もある。また、今からのシーズンで人気の高い恵比須がきや、中洲という歓楽街もある。言いかえれば、本市には、コンパクトなまちの中に、子供から高齢者まで、また、単身者からファミリー世帯までが、それぞれの好みに応じてさまざまな楽しみ方を選択できるだけの観光資源がそろっている。このような本市の魅力を、行政と関連企業、市民がネットワークを組んで全国に発信し、にぎわいをつくってもらいたい、そしてリピーターをふやしてほしい。それが福岡を世界に知らしめることになると考えている。この質問の最後に、市長に、今後の観光施策に関する決意を尋ねる。
    216 △市長 観光、集客というのは、経済振興だけでなく、福岡市が国際都市として発展していくために大変重要な施策だと考えている。国もビジット・ジャパン・キャンペーンということで、観光立国への道を強めているが、福岡市においても、釜山との交流や、広州ともずっと交流してきている。最近では、釜山と一緒になって、中国へ足がかりをつかんでいこうという動きも行っており、徐々にではあるが、効果も出ていると考えている。また、今あるものでも少し磨きをかければ観光資源になり得るものが大変多く存在するのも福岡市の特徴であり、今後そういったところに磨きをかける。また、九州新幹線の全線開通も控えており、鹿児島、熊本と3都市で九州の縦軸で着地型の観光もやっていこうということで、連携を強めている。また、アジア太平洋都市観光推進機構、TPOによる、アジア12カ国、66都市による広域連携事業など、効果的に連携を深めて行っていくなど、戦略的な集客施策をより強化していきたいと考えている。 217 ◯伊藤委員 次に、地域経済の振興について、現在の我が国の経済は、昨今の世界金融危機による景気低迷から十分に立ち直っておらず、まだまだ厳しい状況が続いている。国においては、20年度に三つの経済対策が実施されるとともに、21年度にはエコポイント制度やエコカー減税のほか、地方公共団体への地域活性化・経済危機対策臨時交付金の交付などによる経済対策が実施された。このような政策の実施や、国・地方公共団体による公共工事の前倒し、アジア、米国など対外経済の持ち直しなどにより、最近では、我が国の景気は回復に向かっているとの報道が一般的になっている。事実、平成21年4月から6月の国内総生産は、7月から3月に比べ0.6%の増加となっており、国全体では景気は回復の途上にあると見てよいのかもしれない。しかし、本市の状況を見ると、いまだ景気回復の実感はほとんどなく、地域経済を支えている商店街などを見ると、むしろ経営環境が悪化しているところも多いのが実態ではないか。昨年秋以降、本市においても多くの経済雇用対策を実施しているが、さらに都市の特性に合った施策を推進することにより、疲弊している地域経済の振興を図ることが必要だと考える。まず、昨年秋からの景気の悪化に対応し、20年度において実施した地場中小企業向けの経済対策の内容を尋ねる。また、実施した雇用対策のうち、雇用創出や就職支援に関する事業についても、その内容を尋ねる。 218 △経済振興局長 本市においては、平成20年10月に、市長を本部長とする福岡市緊急経済対策本部を設置し、経済雇用対策に取り組んでいる。地場中小企業向けの経済対策としては、10月30日から緊急経営安定化特別相談窓口を設置したほか、不況対策特別資金の対象業種及び融資枠の拡大を実施している。対象業種の拡大は、10月以降4回実施し、当初の185業種から760業種に段階的に拡大している。融資枠の拡大は、10月以降3回実施し、当初の100億円から1,000億円に段階的に拡大しているところである。また、雇用対策として、予備費を活用し、公園・街路樹等の環境美化などの雇用創出事業を実施したほか、2月の2日、3日に、福岡商工会議所と共同で実施した会社合同説明会において、内定取り消し・内定未定の新卒者等を対象とした緊急採用コーナーを設置し、就職支援を行ったところである。 219 △財政局長 20年度において実施した地場中小企業向けの経済対策のうち、公共事業の対応については、国の経済対策に加え、市独自の対策も追加することにより、積極的に事業を前倒しし、20年度の12月補正で約26億円、2月補正で約57億円の事業費を追加するとともに、21年度の当初予算では、20年度の補正予算と一体となった15カ月予算を編成し、約735億円の事業費を確保したところである。あわせて公共工事においては、平成21年1月13日の福岡市緊急経済対策本部において、公共工事における地場中小企業支援措置の実施を決定したところであり、これまで、工事のスピーディーかつとぎれのない発注の推進、分離・分割発注の推進、工事代金の支払手続のスピードアップ、前金払い制度の活用の促進などに取り組んできたところである。 220 ◯伊藤委員 実施した経済雇用対策の実績、及びどのような効果があったのか尋ねる。また、代表的な指標を用い、昨年10月以降の本市の雇用情勢を尋ねる。 221 △経済振興局長 経済対策の実績と効果については、昨年11月から3月までの不況対策特別資金特例枠の融資実績が件数で7,274件、金額で1,511億円となっており、特別相談窓口における相談件数が2万7,092件となっている。現在では、市内における企業倒産の件数は落ち着きをみせており、本市が実施した経済対策が一定の効果を上げたものと考えている。次に、雇用対策については、雇用創出事業によって延べ281人、このうち新規雇用としては221人の雇用を創出したほか、会社合同説明会に設置した緊急採用コーナーでは、企業64社、求職者1,135人が参加をし、出店企業によって22人の採用が行われている。また、雇用情勢については、福岡市域を担当している4公共職業安定所の管轄区域である福岡地区の有効求人倍率の推移を見ると、平成20年10月の0.59から平成21年4月に0.44に減少し、6月には0.38まで下落している。8月は0.42に上昇し、若干持ち直しはしているものの、雇用情勢は悪化が続いていると認識している。 222 △財政局長 これまで実施した経済雇用対策の実績と効果のうち、公共工事については、補正予算による前倒しや、早期発注及び分離・分割に努め、1月から3月までの間に357件、約120億円の発注を実施している。工事代金支払手続のスピードアップとしては、工事代金支払期限を40日以内から20日以内へ期間短縮を目指し、実績としては、平均14日で671件の支払を行っている。また、工事完了から検査までの期間を14日以内から10日以内へ期間短縮を目指し、実績としては、平均7日で939件の検査を行っている。さらに、工事の中間前金払い制度や委託の前金払い制度のPRを行うなど利用促進を図っているところである。このように、昨年からの切れ目のない予算計上と迅速な執行などに取り組むことにより、地域経済や地場企業に対する有効な支援、下支え策となり、中小企業の経営の安定化につながっているものと認識している。 223 ◯伊藤委員 中小企業への経営支援や公共工事の積極的な前倒し発注、工事代金支払のスピードアップなど、本市の経済対策が市内経済の活力維持のために一定の効果が出ていることは間違いないことだと思う。企業倒産の減少や公共工事を通じ、市内へのお金の流れが増加することは、地域経済の活性化になくてはならないものと考える。また、厳しい雇用情勢が続く中、雇用創出や就職支援などに取り組むことは、安心して暮らせる社会を築くため非常に大切なことだと思う。今後とも、積極的に経済雇用対策を進められたい。一方で、本市は他都市に比べ、製造業など第2次産業の割合が低く、卸売・小売業やサービス業など第3次産業の割合が非常に高い商業都市という性格を有している。本市経済の活力を向上させるためには、このような特性を踏まえた施策の充実も必要ではないか。本市の産業構造を明らかにするため、市内総生産における産業別の内訳を尋ねる。 224 △経済振興局長 市内総生産における産業別の内訳については、18年度の福岡市民経済計算によると、第1次産業は0.1%、製造業・建設業を中心とする第2次産業が10.0%、第3次産業は、主な業種で卸売・小売業が32.5%、サービス業が26.3%、不動産業が10.3%、運輸・通信業が8.1%となっており、第3次産業の中でも卸売・小売業及びサービス業が高い割合を占める産業構造となっている。 225 ◯伊藤委員 最も比率が高い卸売・小売業及び主なサービス業に従事する事業所における中小企業の割合を尋ねる。 226 △経済振興局長 卸売・小売業及び主なサービス業に従事する事業所における中小企業の割合については、卸売・小売業では98.5%、飲食・宿泊業では99.3%、不動産業では99.9%と、大部分を中小企業が占めている。 227 ◯伊藤委員 20年度における市内の企業倒産の件数を業種別に尋ねる。 228 △経済振興局長 20年度における市内の企業倒産状況については、民間の調査機関による集計によると、本市における負債総額1,000万円以上の倒産件数の業種別では、製造業26件、建設業53件、販売業61件、サービス業その他67件で、合計で207件となっている。 229 ◯伊藤委員 本市の産業構造を見ると、市内で生み出される付加価値の合計である市内総生産の9割以上が第3次産業となっている。その中でも、卸売・小売業とサービス業が全体の約6割を占めており、本市経済の根幹をなしている産業であると言える。また、これらの業種の大部分は中小企業であり、本市経済は中小企業によって支えられている。しかし、昨年来の景気の悪化を受け、販売やサービスなどの分野でも、製造や建設と同様に多くの企業が倒産に追い込まれている。先ほど言及した国内総生産の回復は、海外需要の回復が最大の要因となっている。このため、輸出関連の製造業が多く立地している地域では、生産の回復により景気回復の実感があるのかもしれない。しかし、本市のように、卸売・小売業やサービス業など第3次産業を中心とした地方都市においては、経済の浮揚には個人消費の回復が不可欠である。しかし、景気の先行きが不透明で、早期の個人消費の回復が見込めない中、本市の特性を踏まえた地域経済の振興が望まれている。そこで、最近の国及び市内における経済の動向を尋ねる。 230 △経済振興局長 全国の経済動向については、平成21年9月8日に発表された内閣府の月例経済報告によると、景気は失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きが見られるとされており、輸出生産に加え、個人消費にも持ち直しの動きが見られると判断されている。これに対して、福岡市内の経済状況については、平成21年7月から8月にかけて、本市職員により市内の約30業種の企業団体に対しヒアリング調査を実施し、景気動向調査をとりまとめたところである。この結果を見ると、平成21年1月から6月の状況を前年同時期と比較して、業況の好転が見られたのは2業種のみとなっており、その他の業種は悪化している。また、ほとんどの小売業で個人消費の持ち直しは実感されておらず、多くの業種で人・ものの動きが停滞しているとの声が聞かれるところであり、地場中小企業の経営環境は引き続き大変に厳しいと認識している。 231 ◯伊藤委員 市の調査でも、全国に比べ、市内の景気は依然として厳しいとの答弁であった。このような状況の中で、地域の住民に最も身近なところで事業を営み、大変厳しい状況にある商店街の活性化を図ることが必要であると考えている。地域の商店街では、店主の高齢化や後継者難で、個々の商店の魅力を維持することがとても難しい状況の上に、組合員の減少で、商店街活動を担う人材も資金も不足している。郊外に大型店が出店するなど、厳しい競争の中では、魅力的な商店街として地域経済を担い、かつ、にぎわいを維持し続けることは並大抵のことではない。地域経済の担い手である商店街の活性化に対して、どのような考え方で取り組んでいるのか。 232 △経済振興局長 商店街は、地域住民の暮らしを支える買い物の場を提供する地域経済の担い手であると同時に、商店街には、地域文化の継承やお祭りの実施など、地域の交流・にぎわいの場を提供する地域コミュニティーの担い手として、地域の活力を支える重要な役割が期待されていると認識している。商店街が地域の活性化に果たす役割の重要性を踏まえて、経営基盤の強化とまちづくり等の社会的活動への自主的な取り組みに対して、積極的に支援を行っているところである。また、商店街活動を担う人材の育成をするとともに、空き店舗対策の強化を図っているところである。 233 ◯伊藤委員 20年度において、商店街に対してどのような支援施策を実施したのか。 234 △経済振興局長 20年度においては、四つの事業によって、延べ33団体に対して支援を行っている。具体的には、商店街の希望に応じてアドバイザーを派遣するお悩みアドバイス事業では、3件の活用があり、スタンプ事業の再構築や次年度に向けた活性化策の検討などで支援したところである。次に、商店街内の空き店舗を継続的に賃借し、集客につながる施設などとして活用する場合に、家賃等の一部を助成する空き店舗等活用事業においては、前年度より継続の3団体を支援し、にぎわいの創出を図っているところである。また、ソフト事業全般に対して助成金を交付する商店街活力アップ支援事業については、商店街が自主的に取り組むイベントやマップの制作など、18団体が活用され、前年度より活用する商店街が増加している。20年度の新規事業である人材育成事業については、先進商店街への視察や、活性化戦略についてのセミナーを11回にわたって実施し、9団体から延べ99名の参加となっている。 235 ◯伊藤委員 各種の支援事業を行っているとのことだが、中でも空き店舗対策は大変重要な課題であると考えている。商店街に空き店舗が目立ち始めると、人通りが減少し、にぎわいが失われ、行き着く先はシャッター通りと言われる状況になっている。初めは一つの店舗が閉店しただけであっても、一たん空き店舗が発生すれば、連鎖的に増加し、急速にまちのにぎわいが失われることが心配されている。このように、空き店舗の発生は、商店街の魅力が失われるだけでなく、地域の活力をも失わせる重大な問題である。全国的にも空き店舗の増加によって商店街が衰退していく様子が数多く報告されており、シャッター通りとなった映像をよく目にする。各地で、地域の活力維持のために、行政の積極的な支援の手を期待する声は大きいのである。本市においては、商店街内の空き店舗に対して、どのような支援策を実施してきたのか。 236 △経済振興局長 平成20年においては、空き店舗等活用事業として、商店街、公益活動団体、学校等に対して、商店街の空き店舗を継続的に賃借し、にぎわいの創出となるような場として活用する場合、またはお客様駐車場などの共同施設を借り上げる場合に、賃借料・改装費の一部を助成する制度によって支援をしているところである。空き店舗活用事業については、16年度に、商店街を対象に、賃借料の一部を助成する制度として新規に立ち上げたところである。翌年の17年度には、NPO法人などへ助成対象を拡大し、初期の改装費を対象経費とするなどの制度拡充を図り、18年度にも、学校などにも対象者を拡大して、空き店舗の積極的な活用を目指しているところである。 237 ◯伊藤委員 制度の充実を図りながら、空き店舗対策に取り組んでいるようだが、昨年来の急激な景気低迷と消費の冷え込みは、商店街の店舗の方には、売り上げ減少という形で直接的に影響が出ており、今後空き店舗の増加も心配される。ほとんどの小売業では消費の持ち直しの実感はなく、依然として厳しい経営状況が続いているわけであるから、停滞から抜け出すには今しばらくの時間が必要だということである。空き店舗解消のためには、さらに支援を強化する必要があると考えるが、所見を尋ねる。 238 △経済振興局長 21年度には、希望する商店街に、空き店舗再生協議会を設置して、民間事業者を対象とした業種の選定や新規の出店者の募集を行うなど、賃料助成だけでは解決できない課題に対応するために、新たな空き店舗再生事業に取り組んでいる。これは、商店街が、地域の方々の買い物の場であり、地域コミュニティーの担い手として重要であることから、商店街が自治会の役員や福岡商工会議所などの皆様と一緒になって協議の場をつくり、商店街に不足する業種や地域の商業施設としての魅力の創出について知恵を出し合い、商店街のにぎわいにふさわしい新規出店者を募集するものである。厳しい経済状況が続く中、従来から実施している商店街空き店舗等活用事業に加え、今年度の新規事業である商店街空き店舗再生事業の二つの事業で、空き店舗の解消に努め、地域の商店街の支援を強化をしていきたいと考えている。 239 ◯伊藤委員 商店街が元気で活力を発揮することは、本市の地域経済の振興とまちの魅力向上には大変重要である。空き店舗対策の支援充実に期待しており、ますます積極的かつ継続的な支援に取り組むよう強く要望する。また、市職員にも、担当局にかかわらず、一人の市民、一人の消費者として、地域経済の振興に取り組んでもらいたいと考える。西日本一の歓楽街と言われている中洲も、最近では空きテナントがふえており、元気がないような気がする。また、消費者の財布のひもがかたいことから、百貨店から地域の小売店、サービス業まで厳しい状況にあり、福岡全体に活気がないようである。そこで、毎月1日から7日はいいな福岡こども週間があり、毎週水曜日には定時退庁日、そして毎週金曜日にはノーマイカーデーがあるように、毎月20日ごろを地域経済振興デーとして、市職員が積極的に地域で買い物や食事などをするような日をつくってはどうか。市職員が率先して個人消費の底上げに取り組んでいく、このような気構えが必要だと思う。消費が上向くことが当然福岡市税収のアップにつながると思うし、切れ目ない行政によるさまざまな施策が雇用の創出につながると思う。市長を初め、福岡市職員の前向きな取り組みを期待する。 240 ◯玉井委員 一つ一つの企業を応援し、明るい見通しが持てるよう、積極的に経済政策を行っていくことは重要で、市民からの限られた税金を有効に使うために、成果指標を使い歳出効果を明確にすることが重要である。20年度経済政策に使った経費全体の決算額は幾らか。 241 △経済振興局長 20年度の経済振興局一般会計の歳出決算額は、833億3,111万8,000円である。 242 ◯玉井委員 莫大な金額であるが、考えるポイントは1円たりとも無駄なことに使わないことで、1円がより元気に働いていける分野へと、それを配分していくことである。それができれば、最大の予算効果を出すことができ、経済支援策の極限まで予算が働いてくれることになると思う。20年度に取り組んだ政策を体系的にまとめた本市の産業政策平成20年度版を見ると、1番目に、本市経済の主な指標と動向の把握があり、2番目に、経済構造の変化、3番目に、本市経済の強み・特性の分析、4番目に、経済振興局の目標として、日本で一番仕事がしやすい都市、行ってみたい都市福岡を掲げ、4つの施策推進の柱を設け、産業振興施策の推進を行い、総生産額の増加、雇用の拡大を図り、「九州・アジア新時代の交流拠点都市・福岡」の実現を目指すとある。その最初の本市経済の主な指標とその動向では、増加させるとある総生産額は17年度のデータで、拡大させる事業者数、従業者数は、18年度の数字である。20年度の計画の基礎データが3年前、2年前のものである。現状のデータでは、増加させるとしている総生産、雇用の場を、政策によってどれだけ実現できたかをリアルタイムで確認することができない。これらの統計データのおくれをどのように考えているのか。総生産、事業所、従業者数などの事実は福岡に存在するが、なぜそれが全国の集計を待って、初めてデータが出てくるのか。それを地方主権の考え方に基づき、地域で主体的に集計し、その結果を中央に送れないのか。その困難さ、その可能性に関して、現状をどのように考えているのか。 243 △総務企画局長 市内総生産については、内閣府が作成したマニュアルに基づき、各種統計調査の結果や国や県のデータも活用しているため、公表までに一定の時間を要する。20年度版の本市産業政策に記載の17年度の市内総生産については、内閣府が平成19年12月に国内総生産を公表後、国から関連資料を入手し、県が20年1月に県内総生産を公表した。その後、県が公表したものと整合を図り、本市は20年3月に市内総生産を公表した。最新の事業所・企業統計調査は18年10月に実施されたもので、国、市ともに19年12月に公表した。この調査については、本市は法定受託事務として実施しており、回収した調査票は、本市で独自に集計することなく国に返却する。なお、事業所・企業統計調査は、本年より経済センサスに引き継がれ、市内の事業所は、国、県、市で分担して調査している。調査結果は、全体を国において集計しなければ判明しない仕組みである。 244 ◯玉井委員 政府統計に関する各指標の計算のやり方のシステムは、政府は公開しているのか。公開していなければ、基本指標の抽出は自治体として独自に行うべきと思うが、どうか。 245 △総務企画局長 計算方法のシステムについては、各県政令市に公開されており、それに基づき推計している。統計データを、本市が国、県の集計とは別に、独自に集計することは、法令、調査手法、費用等の面で難しいことから、統計データの一層の早期公表を図っていくべきと考えている。引き続き、政令指定都市で構成する大都市統計協議会を通じて、国へ早期公表を要望するとともに、本市としても、できるだけ早期に公表するよう努めたいと考えている。 246 ◯玉井委員 計算方法が公開されていることで、統計的に幾つかのデータを入力する程度で、比較的容易に、ある程度信頼できる速報値は算出できないか。経済の実態をよそよりもいち早く把握し、どこよりも早く経済を先導していくことで、新しい経済の流れを呼び込む機会が拡大すると思っている。次に、17~20年度までの間に、経済振興局の事業でやめた事業、始めた事業をおのおの一つずつ、そのやめた理由、始めた理由を指標統計データなどを使って示されたい。 247 △経済振興局長 始めた事業として、ファッション産業の振興を、20年度から予算1,000万円で開始している。本市のファッション産業は、関連産業の事業所が約5,000、従業員数が約3万人、関連学校数が17など、三大都市圏に次ぐ集積がある。アパレル産業に加えて、理容・美容業界、デザイナー団体など、ファッションを支える産業は幅広く、ファッション産業の活性化は、大きな経済波及効果を創出し、福岡の魅力を高め、まちづくりの推進力となる。流通形態の多様化などで厳しい状況にあるファッション業界からの強い要請もあり、業界、県、市、商工会議所が連携して福岡アジアファッション拠点推進会議を設立し、活性化事業を開始した。20年度からの3年間で福岡アジアコレクションを起爆剤に地場アパレルメーカーのブランドイメージを高め、リーディングカンパニーの育成、ウェブサイトに合同ショップを出店するなど新しい販路の開拓、デザインコンテストやインターシップ事業による若手デザイナーの育成を行う。これらにより、ファッション業界の集積を促進し、福岡のアジアにおけるファッション産業拠点化を推進したいと考えている。終了した事業としては、17年度に実施したアジアビジネス拠点化戦略推進事業で、決算額は199万4,000円である。アジアとの近接性という地理的、歴史的特性を最大限に活用し、アジアのビジネス拠点都市形成を図るため、福岡に本社もしくは支社を持ち、アジアとのビジネスを行う企業を対象に、ヒアリング調査を行い、福岡の物流機能の優位点及び今後検討すべき課題を調査した。この事業は、単年度で終了し、調査結果は、その後の国際物流や貿易関連事業の誘致活動に生かしており、福岡の物流拠点性に着目し、日本市場への参入やビジネス拡大を目指す中国企業等の立地も実現している。 248 ◯玉井委員 事業の目的は、振興や拠点化などの言葉で説明されているが、目的実現のために、限りある予算を使って実現する目標値を明確に説明していない。予算額とその目標値を明確に示すことで、初めてこの1円がどんなふうに働いているのかが明確になると思う。先ほどの産業政策事業に関して、どのような経済指標、統計データに基づいて、客観的な歳出効果を判断しているのか。まず、中小企業への融資制度と経営相談・診断助言事業に関して、どのような客観指標を意識して事業を展開しているのか。 249 △経済振興局長 融資の件数あるいは融資額、相談件数の増によって、中小企業の経営が改善されたとすることができないことから、現在のところ、成果指標を設定していない。客観的な指標については、事業の目的等をかんがみ、今後検討したいと考えている。 250 ◯玉井委員 融資に関しては、単純に倒産件数の減少と考えたらどうか。相談・助言に関しては、相談を受けた事業の売上増などが指標候補になると思っている。ただ、指標がない事業は、なしにされたい。一つの事業には、事業者としてにらみ続ける事実、客観的な事実、指標を最低でも一つは準備して、客観的に管理すべきと思う。中小企業支援施策は、融資するだけで終わってはならないし、仕事をつくる中小企業対策が、地方自治体の経済政策の根幹と考える。なぜ中小企業対策が自治体の根幹政策なのかというと、地方でないとその経済を実感できないからである。地域での経済実感と客観的指標を監視しながら、独自の仕事づくりを行うことで、北九州市と本市の政策は違わなければならない。それは国による全国一律の政策では、なし得ないものだからである。次に、商店街振興に関して、今年度は、商店街活力アップカルテ事業も始まっているが、どのような客観指標を意識して事業を展開しているのか。 251 △経済振興局長 商店街の活力アップ支援事業の施策活用団体数や商店街空き店舗等活用事業の施策活用団体数、並びに商店街人材育成の参加者数を指標としており、これらの指標をもとに、取り組みを行っている。なお、商店街活力アップカルテ事業は、商店街の組織や活動の実態を把握するための調査で、今年度事業を実施している。 252 ◯玉井委員 施策活用団体数や事業参加者数は、商店街振興の核心をついていない周辺の指標で、把握すべき指標は、商店街の総売上高と思うが、総売上高を把握する事業を行うことは考えないのか。商店街活力アップカルテ事業の中で、エリアのマーケティングデータ、例えば、商店街の商圏内の人口構成、所得構成、購買力、売り上げが伸びている業種、地価など集めることは考えてないのか。 253 △経済振興局長 商店街の総売上高の把握は、必要なこととして担当者が商店街に訪問し、調査しているが、内容は個々の商店の売上高の情報なので、なかなか把握することは難しく実現していない。また、市で独自に把握できないかについては、商店街の人に尋ねるしか方法はないと考えている。商店街活力アップカルテ事業について、商店街の実態調査を行うもので、マーケティング情報を集める内容ではない。 254 ◯玉井委員 総売上高の把握は、店舗から直接聞くことは困難と思うが、買う側に聞くことはできないか。単純に、その街で客が使う額、客単価掛ける客数で売上高は出ると思う。総売上高のデーターを自主的に把握する事業は考えていなければ、何をもって商店街が振興していると説明するのか。 255 △経済振興局長 現在アウトプット指標である施策活用団体数などを採用していることから、市の活用施策を活用して、共同売り出しやポイント事業、あるいは情報誌の作成や集客イベントなどの共同事業が多数実施されていることが、商店街が活性化しているとの一つの目安になると考えている。より適切な指標設定のあり方については、費用対効果や指標としての有効性などを踏まえて、今後検討したいと考えている。 256 ◯玉井委員 商店街活力アップカルテ事業は、どんな実態を把握して、どのような調査結果を生かすのか。商店主、商店街という供給側からだけの情報では、十分な政策は組み立てられないと思う。需要者側情報、マーケティング情報は集めないとのことだが、どのような事実をもとに、商店街振興策をつくり出していくのか。 257 △経済振興局長 商店街活力アップカルテ事業は、商店街の組織や活動の実態を把握するための調査で、商店街数、立地環境、業種構成、景況感や来街者の状況、空き店舗数等のほか、商店街の運営状況や活動状況、商店街が有する施設等の実態について、アンケートと訪問調査を行うものである。現在調査中の段階であるため、その調査結果をどのように商店街の支援に生かしていくかについては、調査結果を分析しつつ積極的に検討するが、例えば、商店街の衰退の象徴である空き店舗の解消の取り組みについて、地域で求められる業種を把握して、不足する業種を募集する取り組みを支援することなどが考えられる。また、商店街は地域コミュニティーの担い手としても重要であることから、商店街の公共的な活動を地域住民にPRすることや、地域住民や消費者のニーズに合った商品やサービスを把握する取り組みを支援することも考えられる。 258 ◯玉井委員 商店街は買い物の場であり、空き店舗は現状の結果として存在していると思う。店はあくまでも、売り上げの増加を望んでいる。国が用意したプログラムを事業目的と考える本末転倒の考え方が、商店街振興策を無力なものにしていると思う。今、調査中で結果を分析しているとのことも、指標が明確でなく、仮説のない調査というあかしではないか。ただ、商店街の実態を知って、物知りになるという成果しか期待できないと危ぶんでいる。商店街活力アップカルテ事業の成果目標を明確にされ、年度途中でも売り上げ増のための調査を考えられたい。数百万円の予算を使って、目標が明確でないことは問題だと強く述べておく。今、アメリカでは、エコノミック・ガーデニングという経済振興策が広がりを見せてきている。地域全体を庭園のように考え、その中に存在している企業を草木と考え、その企業一つ一つを草木一本一本のように丁寧に育てていく、地形に気候にインフラにふさわしい、地域に根差した経済振興策だと聞いている。福岡の商店街振興にも、この考え方に基づき、地域にふさわしい、いろいろなものを取り扱う、特色のある個人商店や商店街、専門店、大型商店など、一つ一つを丁寧に花咲かせる。また、釜山のチャガルチ市場、国際市場。ニューヨークのリトルイタリー、ソーホー。京都の錦小路、福岡の長浜のラーメン街のような、特徴のある、ある特定の商品群に特化した商店街を意識してつくり出すことも考えると楽しい。ヨーロッパの雑誌MONOCLEの評価で、小売世界一の福岡。商店街振興は、世界一の小売環境をもっと伸ばすものとして考えられたい。さらに、企業一つ一つを指導していく、商品一つ一つを売り込んでいくためには、マーケティングデータがわかった専門家の力をかりなければならない。それらの専門家が頼りにするのは、信頼できるマーケティングデータで、高価なデータベースにアクセスする必要も出てくると思う。仕事に追われている小さな企業では、そのような事実を日常的に観察し続ける余裕はない。専門家によるアドバイス、データアクセスを公共事業として肩がわりし、情報とアドバイス提供を政策として行っていくことを、ぜひ検討すべきと思うが、所見を尋ねる。 259 △経済振興局長 事業者が求める情報やアドバイスの提供については、現在、中小企業サポートセンターにて、経営相談や専門家派遣など行っているが、個々の事業者が求める情報等を、その都度、調べて提供することや、その要望に応じたアドバイザーを派遣することにより、きめ細かい支援を行っている。提案については、個々の事業者の求める情報は極めて多岐にわたることから、その情報を網羅するデータベースをあらかじめ構築することは、費用対効果の問題などあるが、今後、研究したいと考えている。 260 ◯玉井委員 福岡では、的確なマーケット情報がないまま、思惑だけで不動産投資が進んだ結果と解釈しているが、ことしの基準値価格下落率は全国でも最悪であった。実態にそぐわない地価の高騰は、価格の大変動により大きな痛手を経済に与える。公的に本市のマーケット情報を整備し、だれでも使えるようにすることによって、投資が安定するし、経済政策も確かなものになる。地域のマーケティングデータを公的に提供することを強く要望する。次に、雇用・就労の促進に関して、どのような客観指標を意識して事業を展開しているのか。 261 △経済振興局長 毎月、有効求人倍率や完全失業率が、雇用情勢を判断する指標として発表されている。本市としても、これらの指標を参考にするとともに、独自で実施している年2回の景気動向調査にて、各業界の雇用動向をヒアリングし、実態の把握に努めている。さらに、若者が多い本市の人口構造の特性や、IT関連の集積に基づく産業振興の方向性も踏まえ、就労への一歩を踏み出せない無業の若者に対する就労支援や、情報関連産業分野における人材確保に対する支援施策を行っている。 262 ◯玉井委員 雇用・就労に関しては、ほとんどリアルタイムで指標の準備ができているようで、データ環境はとても好ましく、若者に対する就労支援も、情報関連産業分野における人材確保も、的を射た事業と思う。成果指標を決算に絡める事業展開の成功事例として育てられたい。雇用創出のためには、伸びている企業・事業を伸ばす政策が一番効果的だと思っている。そのための有効なデータとして、ハローワークの求人情報を、企業・事業別に整理して、人を求めている企業が行っている事業を、積極的に支援していく経済政策を考えてはと思っている。今までに、ハローワークのデータなど使って、経済政策を考えたことがあるのか。また、どのような政策に使われているのか。 263 △経済振興局長 有効求人倍率などの公表資料のほか、雇用情勢の調査や、共同事業の打ち合わせの際、必要な資料の提供を受けるなど、業種や職種ごとの動きなども把握している。例として、職業別の求人・求職状況のデータや、情報関連産業においては求職者に求められる資格・技術が細分化しており、雇用のミスマッチが起こりやすいといったヒアリング結果をもとに、業種、職種を細かく設定できる情報関連産業求人・求職情報システムを、本市ホームページ内に作成・運営している。今後とも、現場でのヒアリングやデータの収集、活用により、効果的で効率的な産業施策の推進に努めていく。 264 ◯玉井委員 求人と求職のギャップを埋める事業にハローワーク情報を使っているとのことだが、そこに経済政策としてすることが見えてくると思う。求人が多い特定の分野があり、その分野の雇用条件がよくないならば、その条件がよくなるようにする。また、求職が多い分野に適当な求人がないならば、その分野への参入を支援するような施策を考える。少なくとも事実として、公的刺激を与える課題が見えてくると思い、画期的な施策を期待する。伸びている企業・事業の支援策として、エコノミックガーデン政策では、創業支援からセカンドステージ支援へ施策の重点を移している。本市でもセカンドステージ支援、企業の成長に応じた、伸びている事業の支援を考えられたいと思っているが、現時点での所見を尋ねる。 265 △経済振興局長 本市では、業種を限定せず、幅広い創業者を支援の対象とし、経営相談やセミナー、インキューベント事業、経営者や専門化との共同による、福岡市創業者応援団事業の実施など、創業者の成長段階に応じた支援に努めている。創業期以降も、人材育成、販路開拓、資金調達などの経営課題に対して、商工金融資金による資金調達の支援や、中小企業サポートセンターでの経営相談や専門家の派遣、地場中小企業の新たな取引のきっかけづくりを目的とした商談会などの支援施策を用意しており、個々の企業の実情に応じたきめ細かい支援を行っている。 266 ◯玉井委員 博多のめんたいこは、商品を開発した人が、特許などせずに製法をオープンにして、だれでも参入でき競争できるようにしていたので、これだけの産業に成長したと聞いている。売れる商品を、競争下でつくらせ、自発的な改善のサイクルを定着させ、競争力のある企業群をつくり上げる。大樹の下に中木、低木そして草花まで育て、大きな生態、エコとしてのエコノミーをつくり上げる。産業クラスターづくりのように、学校、研究所からインフラまで見きわめた大経済政策ではなく、もっと単純に、伸びている事業や商品をとにかく育てる。支援する前提は、ノウハウをオープンソースとして、だれでも参入できる競争下に置き、群として事業を育て、企業を育てる。具体的で大きな雇用力を育てる施策だと思っている。このような施策は、特徴のある商店街づくりにもつながるし、創業セカンドステージ支援にも重なる。さらに、企業のすべてのステージで伸びている商品を意識して伸ばしてやることにより、産業群としての新たな経済基盤を福岡につくり出すことになると思っているので、検討されたい。次に、企業立地の推進に関して、どのような客観指標を意識して事業を展開しているのか。 267 △経済振興局長 立地を呼び込むインセンティブとしての企業立地促進交付金の交付件数を一つの指標として、誘致活動に取り組んでいる。 268 ◯玉井委員 企業立地の促進に関して、一つの企業を呼んでくるのにかかった費用を計算すると、17年度から順に、約340万円、約1,099万円、約801万円、約750万円で、18年に大きく予算が伸びているが、1件成約させるためのコストはぐっと上がって、少しずつ減っている。20年度は、17年度の倍以上のコストをかけていることが見える。この変化の実情について、どう思うか。 269 △経済振興局長 企業立地促進交付金は、企業規模の大小を問わず、本市が掲げる戦略的な産業分野の企業の立地を促す、初期投資軽減のための制度である。この交付額の算定は、交付対象企業の投資額に一定の比率を乗じて積算をするため、投資規模が大きい立地案件のほうが必然的に交付額が大きくなる。年度ごとの費用のばらつきについては、それぞれの年度によって企業の業種や規模が異なることによる。例えば、18年度は大規模コールセンターが複数立地したことにより、立地件数の割には交付額も多く、また雇用者数も大きなものである。今後とも産業を取り巻く動向をしっかり見据えながら、新たな雇用創出と本市経済の活性化のため、地道な企業誘致活動に取り組んでいく。 270 ◯玉井委員 企業誘致に関しては、エコノミックガーデニング政策では、外から企業を連れてくるのではなく、地元にある企業を育て、地域内から外に出していくことを考えるべきだとしている。企業誘致にこれだけの予算を使って、外から企業を呼び込むことが有効か。それよりも企業育成のほうに税金を使うほうがいいのか。どちらが効果的か、疑問である。これまで重立った成果指標から、一歩進めて、事業間の費用対効果を比較することを提案する。例えば、ある年度、その時点での成果指標、各事業で選んだ成果指標を、すべて100とする。年度を重ねることによって、100でスタートしたのが、ある事業は80に下がり、ある事業は150に上がる。それを見ると、予算規模が同じならば、どちらのほうにこの1円を向けるのか、見えてくると思う。さらに、この100でそろえた指標を決算額で割る、すなわち1円当たりの効果、この1円がどれだけ働いたかを比較するためにつくる。各事業を比較することで、事業間の予算効果が比較できると思う。1円一つがどれだけの成果指標を獲得したかを見る。そして成果指標獲得数が少ない、少し遊んでいる、ほかに比べて遊んでいるかもしれない1円を、一生懸命働いている1円でいっぱい獲得しているところの手伝いに振り向ける。言いかえると、1円にも働く平等を与える、同じ働きをさせるように再配分することによって初めて、1円1円が平等に有効に働く状態が今の仕組みの中で、最大の予算効果を実現する状態になると思うし、これは真理だと思う。1円を平等にが、富の再配分のポイントではないかと思っている。時間とともに、指標化当初には見えていなかった事実もあらわれてくる。その段階で、新たな指標原点をリセットする。このような、継続的で客観的な指標化作業を継続する。また、事業の価値をはかるはかり方、指標設定も、事業をどう考えるかによって変わる。現状の決算の議論は予算を無事に執行したかにとどまっているとの実感がある。本当に適正な税の執行が行われて、そのことがきちんと市民に伝わっているか心配している。最後にまとめると、第1に、日々変わり続ける市場に対応する経済支援体制を、データ面でつくり上げて、福岡での経済活動をほかの都市よりも確実なものであると評価される状況をつくる。第2に、伸び率の高い企業・事業を育てる。業種でも規模でもなく、とにかく伸びている事業・商品をもっと伸ばすことで、その分野の雇用がふえ、その分野での経済力が蓄えられる。第3に、新しい分野でのイノベーションを開発途上国と一緒に考えてみる。この3点を、経済政策として提案する。このような経済政策が行われ続けると、結果として沈滞した日本経済の中で、本市が率先して新しい21世紀の産業を、競争力を育てることになると思う。不況の今こそチャンスであることを述べて、これからの産業振興策に対する市長の所見を尋ねる。 271 △市長 何を成果指標とするかということは、非常に大事な指摘だと思う。例えば、今、アジアとのつながりの中で、これから国際都市としていこうとしていることにかかったコストと、その成果を聞かれる。そこに対して、明確に言えたほうがいいし、言わなければ、その次のステップに行けない。これはあらゆる政策について言えると思う。ただ、全部金額で換算できるかと言うと、福祉の分野や医療などある。成果指標という考え方自体は、もう少し行政は精緻に考えていくべきだと思っているし、内部でもそういう検討をしている。こういう分野でこういう方法で新たな成果指標の設定をしてはと幾つか提案を受けて、一緒につくったらどうかと、今思った。成果指標の設定を今からスタートするのも大事であるが、例えば、10年前の事業の成果指標を100として、5~10程度を比較してみると、今の福岡が置かれている経済的な立ち位置がよく見えてくるし、これから先、どういった方向へ行ったらいいか、その中から示される可能性があると思う。データの取り方、指標の切り口のつくり方については、大変、有効な指摘があったと思い、具体的に始めたい。 272 ◯平畑委員 学校給食、守衛業務、保育行政、自主防災組織、体育館の開館時間、生活保護行政について質問する。まず、学校給食について尋ねる。学校給食は、これまで各学校ごとの会計で管理してきたが、平成21年9月より、学校給食事務の透明性の向上、保護者負担の公平性の確保、学校の事務負担の軽減のために、市の会計として一括して管理を行うことになった。そこでまず、給食費の実態と滞納の状況から尋ねていく。学校給食に係る全体の経費は、小学校約62億円、中学校約29億円、合わせて約91億円程度かかっていると思うが、1食当たりの学校給食費は幾らか、また内訳はどうなっているか。 273 △教育長 小学校では、1食当たり427円、うち203円が保護者負担の食材料費相当額、224円が施設・設備整備費、人件費、光熱水費になっている。中学校では、1食当たり426円、うち243円が保護者負担の食材料費相当額、183円が施設・設備整備費、人件費、光熱水費になっている。 274 ◯平畑委員 20年度の学校給食費の滞納額はどうなっているか。 275 △教育長 5,249万6,000円となっている。 276 ◯平畑委員 過去3年間の滞納発生割合と累積滞納額の推移はどうなっているか。 277 △教育長 18~20年度の滞納状況については、学校給食費の調定額に対して、いずれも約1.1%の滞納が発生している。また、累積滞納額の推移は、18年度2億3,860万4,000円、19年度1億9,239万5,000円、20年度1億9,747万8,000円となっている。 278 ◯平畑委員 学校給食費の滞納に関する時効はどのような制度になっているか。 279 △教育長 学校給食は、教育の一環として実施しており、地方自治法の規定により、5年の時効が適用される。 280 ◯平畑委員 これまで、学校給食費の滞納にどのように対応してきたのか。また、法的措置はいつから行っているのか。 281 △教育長 給食費の滞納については、これまでも各学校などにおいて、電話や文書、面談などにより納入を依頼していたが、19年度からは、滞納が長期間にわたる世帯に最終催告書を送付し、回収に努めている。また、法的措置については、20年度から、最終催告に対しても連絡などがない滞納者のうち、滞納が長期間にわたる世帯を優先して、支払督促申し立てを行っている。 282 ◯平畑委員 最終催告や支払督促の状況と効果はどうなっているか。 283 △教育長 最終催告については、20年度までに1,564世帯、対象金額1億4,161万6,000円に対して行い、そのうちの約半分の797世帯から8,182万3,000円の納付・分納の誓約があった。また、それでも連絡などがない滞納者のうち83世帯、対象金額1,739万7,000円に支払督促申し立てを行い、そのうち12世帯から229万4,000円の納付または和解による分納があっている。それらを合わせると、最終催告の対象金額に対して約6割の回収効果を上げている。 284 ◯平畑委員 和解や分納誓約等に至っていない、何も連絡がない滞納者に対してはどのような状況になっているか。 285 △教育長 最終催告に対して連絡がない滞納者については、今後順次、支払督促申し立てを行っていく。また、支払督促等を受け取ったにもかかわらず、滞納者が異議を申し立てない場合は、最終的に本市が債務名義を取得し、強制執行等による回収が可能になる。現在、債務名義を取得している44世帯については、今後、財政局とも連携し、回収を行っていく。 286 ◯平畑委員 今後とも、きちんと給食費を納付している人に対して不公平とならないように要望しておく。本市の厳しい財政状況を考えると、民でできることは民間にゆだねるという考えに基づき、事務事業や執行体制をあらゆる観点から、聖域なく見直していくことが必要である。そこで、学校給食の調理業務員、学校給食公社について尋ねていく。小学校の給食調理業務の実施体制について、現在、小学校は自校方式で市職員が調理業務を行っており、3月議会でも民間に任せる形を取り入れるべきではないかと質問を行ったが、小学校の給食調理業務に従事する職員の数とその内訳を尋ねる。 287 △教育長 平成20年5月1日現在、正規の調理業務員が334人、非常勤嘱託員が386人となっている。 288 ◯平畑委員 それらの職員の1人当たりの人件費は、平均で幾らとなっているのか。 289 △教育長 調理業務員の平均給与支給額は年間約591万円、事業主負担分を含めた総人件費では約693万円となっている。また、非常勤嘱託員の報酬額は年間約101万円となっている。 290 ◯平畑委員 正規の調理業務員と非常勤嘱託員を合わせると700人を超える職員を抱え、人件費も相当額必要となっている。本市においては、これまで自校方式を直営で行ってきているが、小学校の給食調理業務の効率化は図られているのか。 291 △教育長 小学校の給食調理業務は、正規の調理業務員のみを基本に配置していたが、調理時間など業務の実態を考慮して、5年度から、正規の調理業務員と1日で最も業務が集中する時間帯に5時間勤務を行う非常勤嘱託員の組み合わせによる配置を行うなど、効率的な運営を推進してきた。 292 ◯平畑委員 非常勤嘱託員を組み合わせた配置を行った時期からかなりの期間が経過しており、今後さらに非常勤嘱託員の割合をふやすなどして、人件費の軽減を図ることも考えられるが、他の政令指定都市では小学校給食をどのように運営しているのか。 293 △教育長 平成21年4月1日現在、小学校給食が自校方式で実施され、正規職員と非常勤嘱託員等の組み合わせなど、本市と同様の直営で運営されている市が7市となっている。また、自校方式で、民間委託を含めて運営されている市が、札幌市、さいたま市、川崎市、横浜市、浜松市、京都市、大阪市、堺市、岡山市、北九州市の10市となっている。 294 ◯平畑委員 他の政令指定都市においては、既に半数以上が、民間委託を導入している。他の政令指定都市において、民間委託の導入が広がりつつあるということは、民間委託の導入に大きな支障はないということである。福岡県内では、久留米市、春日市、大野城市、太宰府市、宗像市、福津市、朝倉市、那珂川町、宇美町、志免町、志摩町、二丈町など、23市町村が民間委託を始めている。民間委託を導入する場合でも、すべての業務を委託すべきと言っているのではない。調理業務や食器の洗浄、施設の清掃など、一部の業務を民間委託してはどうかと言っているのであり、献立の作成や食材の調達などは、これまでどおりに行えば支障はないのではないか。本市の小学校の給食調理業務についても、他の政令指定都市の状況などを踏まえ、民間委託をまずはモデル事業のようなものからでも、検討すべきであると考えるが、所見を尋ねる。 295 △教育長 本市小学校の給食調理業務については、これまでも効率的な運営を推進してきたが、今後とも効率的な行政運営の観点も踏まえて研究し、必要に応じて業務の見直しを行っていきたいと考えている。 296 ◯平畑委員 見直しに当たっては、調理業務員の退職者数に応じ、小学校の2、3校からでも、モデル的に試行し、遅滞することなく段階的に進めるよう要望しておく。次に、学校給食公社について、20年度の学校給食公社の職員数と内訳、またそのうちの調理従事者数はどうなっているか。 297 △教育長 20年度末の公社職員は140人で、その内訳は、一般職員122人、嘱託職員など18人である。そのうち、調理業務に従事している職員は98人であるが、そのほかに、日々雇用の登録制非常勤調理員が61人いる。 298 ◯平畑委員 20年度の学校給食公社の職員の人件費は平均で幾らになっているのか。また、そのうち調理員の人件費は幾らか。 299 △教育長 公社職員140人の1人当たり平均の年間給与支給額は約476万円で、事業主負担分を含めた総人件費では約510万円となっている。そのうち、調理業務従事職員98人の1人当たり平均の年間給与支払額は約433万円で、共済費等の事業主負担分を含めた総人件費では約464万円となっている。 300 ◯平畑委員 他都市で民間に調理委託しているケースと比較して、公社の人件費は高くなっていると思うが、給食公社の運営の改善や効率化についてどのように考えているのか。 301 △教育長 公社はこれまで、11年度に調理業務体制の見直し等により、非常勤調理員制度を創設して職員数を減員し、また、18年度に高齢退職者再雇用制度を導入するなど合理化に努め、一定の改善は図っているが、そうした中でも、食の安全確保を第一義として運営し、保護者から一定の理解は得ていると考えている。しかしながら、民間が学校給食を受託している事例もあり、これらの事例も参考としながら、今後とも業務改善や効率化を進めていく。 302 ◯平畑委員 学校給食センターは老朽化が進んでいるが、どのように再整備を進めていくのか。 303 △教育長 現在、学校給食センターの再整備について検討しているが、給食センターに必要な機能、適正な配置や箇所数、及び事業手法や運営体制の方向性などについて、平成21年7月に設置した学識経験者や保護者の代表等からなる学校給食センター再整備基本構想策定委員会の意見等も踏まえ進めていきたいと考えている。 304 ◯平畑委員 学校給食センター再整備基本構想策定委員会の委員構成はどうなっているのか。また、基本構想策定の時期はいつごろになるのか。 305 △教育長 委員会の構成は、外部有識者として、建築学2人、栄養学、食品衛生学、経営学各1人の教授、経営コンサルタント1人の計6人、保護者代表として、中学校から2人、特別支援学校から1人の計3人、学校現場を代表して、中学校校長1人と特別支援学校校長1人の計2人、これに教育委員会事務局の部長2人と、学校給食公社の常務理事1人を加えて、合計14人の委員で構成している。また、基本構想については、年内に中間報告を行い、年度内を目途に策定する予定としている。 306 ◯平畑委員 給食センターの再整備に当たっては、現在の建物を改修するのか、それとも建てかえを行うのか。また、新たな整備場所を想定しているのか。 307 △教育長 現行施設については、学校給食法に規定する衛生管理基準を満たしていないことから、新たな場所も含めて、新築、建てかえを基本とし、基本構想策定委員会等の意見を踏まえながら検討を進めたいと考えている。 308 ◯平畑委員 再整備後のセンター運営は、学校給食公社に委託する予定なのか。また、民間事業者が参入する余地はないのか。 309 △教育長 再整備後の給食センターの運営事業者については、食の安全確保や、アレルギー食等の多様なニーズ及び環境面などへの対応、業務の効率性などを総合的に検討していく必要があると考えている。本市では、これまで給食公社を活用し、センター方式で給食を提供し、一定の信頼を得ていると考えているが、一方、他都市において、給食調理の民間委託や給食センターの新設等に際してPFI手法などの活用事例もあり、それらの事例も参考にしつつ、基本構想策定委員会等の意見を踏まえながら検討していきたいと考えている。 310 ◯平畑委員 中学校給食の民間委託については、仙台市や千葉市では、PFI方式を導入し実施しており、県内では、北九州市、久留米市などで実施されている。また、春日市、宗像市、前原市、福津市、朝倉市、志免町、宇美町などは既に、すべての学校で民間委託が実施されている。給食センター再整備については、民間に任せるべきことは民間に任せていくという考え方を十分に踏まえながら、民間への委託を念頭に、公社調理を前提とした運営体制の検討とならないように、構想策定を進めるよう強く要望しておく。次に、守衛の民間委託について、これも3月議会で質問しているが、その後の検討状況について尋ねていく。守衛の定数は40人と聞いているが、現在の職員数は何人か。また、21年度の退職見込み数と22年度の採用について、どのように考えているのか。 311 △財政局長 現在の守衛の職員数は39人で、1人は臨時職員で対応している。また、21年度の退職見込み者は、定年退職が2人、再任用期間満了が1人である。22年度の採用については、現在、守衛業務検討委員会を設置し、守衛業務全般について、事務事業の精査・検証を行っているところであり、その検証内容を踏まえ対応したいと考えている。 312 ◯平畑委員 守衛業務検討委員会は、いつ、どのような目的で設置されたのか。 313 △財政局長 守衛業務検討委員会は、平成20年11月に設置している。その目的は、守衛業務全般について、業務内容を精査し、そのあり方等の検討・検証を行うものである。
    314 ◯平畑委員 守衛業務検討委員会の設置から約1年が経過しているが、具体的にどのような内容について精査・検証しているのか、また、いつまでに結果を取りまとめるのか。 315 △財政局長 守衛業務検討委員会では、守衛が従事している業務内容を個別に精査し、民間が担うことができるものは民間にゆだねるという行政改革プランの基本的な考え方を踏まえ、市民サービス上、直営で行うことが望ましい業務や、民間委託の是非などについて検討・検証を行っている。なお、検証結果については、平成21年10月末を目途に取りまとめたいと考えている。 316 ◯平畑委員 守衛業務において直営で行うことが望ましい業務とはどのような業務なのか。 317 △財政局長 守衛業務の中でも特に庁舎の秩序維持における挙動不審者等への措置や災害時における緊急連絡対応などについては、公務員である守衛が望ましいと考えている。 318 ◯平畑委員 民間企業に対して非常に失礼な答弁である。挙動不審者への措置、緊急対応は、民間がまさるとも決して劣ることはないと思う。守衛業務について、他の政令指定都市の状況はどうなっているのか。 319 △財政局長 本庁では、完全に民間委託している都市が、仙台市、さいたま市、千葉市、新潟市、堺市の5市、一部民間委託している都市が、札幌市、川崎市、横浜市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、岡山市、広島市、北九州市、本市の12市、市職員で行っている都市が、神戸市の1市となっている。また、区役所では、完全民間委託している都市が、仙台市、さいたま市、千葉市、新潟市、名古屋市、堺市、岡山市、広島市、北九州市の9市で、一部民間委託をしている都市が、札幌市、川崎市、横浜市、静岡市、浜松市、京都市、神戸市の7市、市職員で行っている都市が、大阪市、本市の2市となっている。 320 ◯平畑委員 他都市の状況や本庁、議会棟などの状況を見ても、守衛業務は、必ずしも市職員でなければならない仕事ではないと考える。一部民間委託している都市は、定年などで段階的に減ったところに民間を入れているということである。守衛業務は、できるだけ早期に民間に委託すべきと思うが、所見を尋ねる。 321 △財政局長 守衛業務の今後のあり方については、現在、守衛業務検討委員会において、業務内容の精査を行っているところであり、その結果や、他都市の状況を踏まえて、市民の理解を得られるよう、業務の見直しを鋭意進めていく。 322 ◯平畑委員 財政局は市全体の財政を管理する局であるが、その財政局がこのような予算削減もできないということでは他局の予算を査定する資格はない。今月、結論が出るということであり、市民が納得できる結論を期待している。次に、保育行政について、本市では、平成16年に公立保育所の見直しに着手し、当時21カ所あった公立保育所のうち7カ所を存続させ、残り14カ所については、民営化する計画を策定し、計画的に民営化に取り組んでいるが、これまでに何カ所の公立保育所を民営化したのか。 323 △こども未来局長 17年度に板付保育所1カ所、18年度に東住吉保育所及び飯盛保育所の2カ所、19年度に隅田保育所1カ所、20年度はなく、21年度に東清水保育所1カ所の民営化を行っており、これまでに5カ所の民営化を行っている。 324 ◯平畑委員 今後の民営化の予定はどのようになっているのか。 325 △こども未来局長 22年度に清水保育所、23年度に城の原保育所、大井保育所、壱岐保育所、24年度に入部保育所、25年度に西戸崎保育所、26年度以降に内野保育所、脇山保育所、志賀島保育所を民営化することとしている。なお、26年度以降の3カ所のスケジュールについては、今後の地域の就学前児童や入所児童などの状況を見ながら、民営化の手法を含めて検討し、24年度の早い時期に公表することとしている。 326 ◯平畑委員 公立保育所を民営化するに当たっては、移管先の選定が公平で透明性が確保されていることが重要である。民営化に当たっては、どのように移管先法人を選定しているのか。 327 △こども未来局長 移管運営者については、県内の社会福祉法人、または市内で新たな社会福祉法人設立予定者を対象として、公募を行っている。選定に当たっては、学識経験者、保育士、公認会計士、保護者、地域代表で構成する福岡市立保育所移管運営者選定委員会を設置し、保育に対する内容や、意欲、経歴、保育の継続性、保護者への対応、地域との連携などについて、書類審査及びヒアリングを行い、これらを総合評価した上で移管運営者を選定し、市が決定している。 328 ◯平畑委員 今後も公立保育所の民営化を進めていく予定としているが、22年度の職員採用の募集案内を見ると、5人の保育士の募集を行っている。平成21年4月現在で、公立保育所16カ所に配置している保育士の人数、及び公立保育所以外の部署に配置している保育士の人数を尋ねる。 329 △こども未来局長 保育所には再任用職員2人を含む224人の保育士を、保育所以外の部署には27人の保育士を配置している。 330 ◯平畑委員 民営化を始める前の16年度には、公立保育所21カ所に配置していた保育士の人数、及び公立保育所以外の部署に配置していた保育士の人数はどうなっていたのか。 331 △こども未来局長 保育所には270人の保育士を、保育所以外の部署には11人の保育士を配置していた。 332 ◯平畑委員 民営化により、保育所では46人の保育士が減っているが、保育所以外の部署では16人もふえている。民営化を始めた17年度以降の新規採用の状況はどうなっているのか。 333 △こども未来局長 17~19年度は、新規採用を行っていないが、20年度に6人、21年度に3人の保育士の新規採用を行っている。 334 ◯平畑委員 公立保育所の民営化を進めていけば、民営化された保育所に配置されていた保育士を、他の保育所で活用できるのではないか。22年度には、清水保育所の民営化が予定されているが、なぜ、保育士の新規採用を行う必要があるのか。 335 △こども未来局長 国の児童福祉施設最低基準で、保育士の配置基準が定められており、退職補充や入所児童数の変動等による、必要保育士数の増加への対応など、公立保育所の運営に必要な人員を確保する必要があることから、保育士の採用を行うものである。 336 ◯平畑委員 民営化予定の9カ所の保育所と存続する7カ所の保育所の、それぞれの保育士の人数はどのようになるのか。 337 △こども未来局長 平成21年4月現在で、民営化予定の9保育所で116人、存続する7保育所で108人となっている。 338 ◯平畑委員 17~19年度までの3年間、保育士の新規採用を行っていないにもかかわらず、22年度に5人の保育士を新規採用することは、計画的な採用とは思えず、理解できない。こども未来局は、保育士の採用計画についてどのように考えているのか。 339 △こども未来局長 保育士の採用については、公立保育所の運営に必要な人員確保のため、各年度ごとの退職者の状況や、民営化により生み出される人材の状況などを総合的に勘案し、適切に対応していきたいと考えている。 340 ◯平畑委員 公立保育所の運営に人員が必要と言うのならば、民間保育所は経営面も含め、人材確保にもっと苦労している。市は民営化により、私立保育所主体で保育を進めるとしており、17~19年度は新規採用を行わなかったように、計画的に採用を進めるべきである。退職により保育士の補充が必要だとしても、今後9カ所の保育所が民営化されれば、現時点で116人の保育士が減るとわかっており、臨時的任用職員による対応が可能だと思うがどうか。 341 △こども未来局長 公立保育所については、保育の適切な実施や質の向上とあわせて、保育施策を展開していくための必要な人材の養成や確保、災害対応等の緊急時の対応などの責務があることから、公立保育所の保育士配置は、基本的には、正規職員が適切であると考えている。また、地域における子育て支援は、重要かつ早急に取り組むべき課題であることから、民営化で生じる人材と財源を活用し、子育て支援を充実することとしている。これらのことから、必要最小限の保育士の確保が必要であると考えている。 342 ◯平畑委員 ある資料によると、公立保育所の保育士の平成20年の平均年収額は約645万5,000円、過去3年の平均の退職金額は、退職時の平均年齢53.2歳で約2,217万円となっている。このような費用は市にとって負担となっており、行財政改革を進めていく上では、職員の新規採用を行わないことが重要である。地域での子育て支援のために保育士の配置が必要とのことであるが、これまでどのように地域の子育て支援を行ってきたのか。また、今後どのような内容で地域の子育て支援を行うのか。 343 △こども未来局長 地域における子育て支援については、子どもプラザや子育て交流サロン、サークル等の場所において、区保健福祉センターの保健師が中心となり、公民館や保育所等と連携しながら行っている。しかしながら、地域における子育て家庭の孤立化、子育ての不安感、負担感の増大等、子育て支援は喫緊の課題であることから、今後はさらに、保育士の専門性及び経験を生かし、区役所における相談体制の充実を図るとともに、地域に出向いたよりきめ細かな子育て支援の充実が必要であると考えている。 344 ◯平畑委員 子どもプラザは、1カ所当たり年間600~800万円の人件費で運営されており、設置した当初から、既に保育士が配置されている。また、公民館の子育て交流サロンについては、メンバーはボランティアである。月に2回、お客として来ることになる保育士など必要ない。本当に求められているのは、ボランティアを集めたり、当番を組む運営の実務者である。保育士の新規採用は、市の保育士の人数を減らさないために行っているとしか思えない。地域での子育て支援のために、必ず公務員の保育士を配置しなければならないのか。私立保育園や嘱託を活用してもよいのではないか。 345 △こども未来局長 これまでも、子どもプラザや子育て交流サロン、サークルへの支援については、行政だけでなく、私立保育園等の民間の支援、協力をいただいているところである。しかしながら、サロンやサークルなどにも参加できずに課題を抱える乳幼児親子への支援を充実させていくためには、さらに一歩踏み込んだ、よりきめ細かな支援が必要であると考えており、行政として、子育て支援の専門家である保育士を配置する必要があると考えている。 346 ◯平畑委員 保育士は国家資格であり、必ずしも、公務員の保育士が必要なのかと言っている。余った公務員の保育士を、無理やりに地域に派遣するのではなく、喫緊の課題である待機児童の解消という問題に取り組むべきではないのか。保育施策を展開していくために保育士が必要ということだが、それならばせめて、私立保育所の範となるべく、公立保育所において、先進的な特別保育などを実施すべきではないか。公立保育所の延長保育を2時間に延長するとか、夜間保育や休日保育などに対応した24時間開設の保育所を設置するなど、私立保育所を牽引するモデル保育所をつくってみてもいいのではないか。公立保育所の存在意義を示して欲しい。 347 △こども未来局長 公立保育所においては、これまでの保育内容に加えて、民営化により生み出される人材と財源を活用して、保護者のニーズ等を踏まえ、2時間の延長保育や休日保育などの特別保育の実施について検討していきたいと考えている。また、区役所と連携し、地域における子育て支援についても充実していきたいと考えている。 348 ◯平畑委員 学校調理業務員や守衛、保育士など、民間でできることは民間に任せるべきと考え、質問をしてきたが、10月6日に発表された施政方針で、財政健全化を着実に進めると述べた市長の決意を尋ねる。 349 △市長 本市はこれまでも、他都市に先駆けて、業務の電算化、委託化などのアウトソーシングを進めてきた。この結果、人口当たりの職員数は、平成21年4月現在、18政令市の中では、最も少ない状況になっている。行政改革プランにおいて、すべての事務や事業について、あらゆる観点からの見直しを進めており、民間やNPOなど、すぐれた能力を活用するということによって、最小の経費で最大の効果を発揮する、スリムで効果的な市政運営を行うようにしている。今後とも、民間が担うことができるものは民間に任せるという考え方に立って、市民サービスの維持、向上を図りながら、職員数の削減などを計画どおり進め、持続的なコスト削減を図っていきたいと考えている。 350 ◯平畑委員 民間出身の市長には、英断をもって取り組んでいただくよう期待しておく。次に、自主防災について尋ねる。自主防災組織を立ち上げる契機となったのは、阪神・淡路大震災である。大きな地震発生時は、消防、警察、自衛隊もすぐに駆けつけることはできず、地域の人たちが協力し合って自分たちの身は自分たちで守らなければならない。これが、自主防災の基本であるが、本市の自主防災組織の結成状況を尋ねる。 351 △市民局長 自主防災組織は、平成21年9月末日現在で149校区地区中139校区地区で結成されており、結成率は93.3%となっている。 352 ◯平畑委員 自主防災組織への支援については、どのようなものがあるのか。 353 △市民局長 結成時に、防災資機材の購入に係る費用を対象として、10万円を上限とし、補助金を交付している。また結成後は、自主防災組織が実施する防災訓練時に必要な物資などを、5万円の範囲内で現物支給を行っている。 354 ◯平畑委員 地震発生時には、避難所に指定している公民館では、食料や飲料水の備蓄と同様に、トイレの確保や避難支援や救出に使う担架などの物品が必要である。地域からは、簡易トイレを購入したいが高額であり、現在の活動支援の枠では購入できないことから、2カ年分をまとめて支援できないのかという要望があるが、どうか。 355 △市民局長 自主防災組織への活動支援は、単価がおおむね1万円以内の消耗品での現物支給であり、単年度予算の中で執行している。2カ年分を支給することは考えていない。 356 ◯平畑委員 東京都は、地震が発生した場合には、学校周辺の下水道管に非常用トイレを設置できるようにしている。本市では、災害時のトイレの確保について、どのように考えているのか。 357 △環境局長 災害時のトイレの確保は市民の生活環境保持の観点から、非常に重要と考えており、本市では、市内及び近郊のリース業者から、速やかに仮設トイレを調達することにしている。なお、今後とも他都市の実情調査なども踏まえ、し尿の確実な処理に努めていく。 358 ◯平畑委員 トイレの確保については、環境局が責任を持って対応して欲しい。自主防災訓練には、一人でも多くの市民がさまざまな訓練に参加することが望ましいと考える。私の校区では、運動会のプログラムに、水消火器を使用する競技を加えたりしているが、自主防災会の訓練状況について尋ねる。 359 △市民局長 多くの自主防災組織で訓練が行われていると思うが、正確な数字は把握していない。自主防災組織の活動の活性化を図るためにも、今後、地域、区役所、消防署との連携を密にして、活動状況の把握、支援に努めたいと考えている。 360 ◯平畑委員 せっかく立ち上げた自主防災会の訓練状況すら市民局では把握できておらず、組織を立ち上げるまでは市民局の責任で行っていても、その後の訓練などは、消防局でなければ把握できていないというのが実情である。自主防災組織の訓練や教養には、消防局としてどのくらいかかわっているのか。 361 △消防局長 消防局では、阪神・淡路大震災以前から、地域の自主防災活動に携わっていたが、校区での自主防災組織の設置、拡大状況を踏まえ、13年度から、災害に強い地域づくり事業として取り組み、地域の求めに応じ、消火、避難訓練や防災に関する各種講話など、自主防災組織の育成支援に積極的にかかわっている。20年度の実績として、各区役所と連携をとりながら、消防職員及び消防団員など延べ3,141人がかかわり、137の校区や地域に対して328回の各種訓練や防災講話などを実施しており、延べ約2万9,000人の市民が参加している。 362 ◯平畑委員 自主防災訓練に消防局OBは関与していないのか。 363 △消防局長 詳細には把握していないが、校区の自治会や自主防災会において、役員として地域に積極的にかかわり、消防職員として培ってきた知識や経験を生かし、活動している消防局OBがいる。 364 ◯平畑委員 訓練や講習に多くの市民を参加させるためには、公民館での老人クラブやサークルの会議終了前に時間をもらって実施するなどの工夫が必要であるが、現在、どの程度の校区に消防局OBがいるのか。 365 △消防局長 今現在、承知している範囲では、校区の自主防災組織のリーダーとして、4校区で活躍している。 366 ◯平畑委員 公民館などへのAEDの設置が進んでいるが、有効に使うためには、繰り返しの訓練が重要である。今後、自主防災組織の活動が活発化すると、かなりの回数の訓練等の依頼が消防局にあると思うが、現役の消防職員だけに自主防災組織の訓練をお願いするのは、無理があるのではないか。そこで、消防局OBに協力を要請すべきと考えるが、他の都市で、消防局OBに働きかけをしている都市はあるのか。また、本市ではどのように考えているのか。 367 △消防局長 他都市の状況については、名古屋市、横浜市では、消防局のOBに対して、地域の自主防災活動に参加するよう呼びかけが行われている。職員が退職後、地域とのかかわりを積極的に持つということは、個人としても大切なことであると思っており、消防局のOBに対して、消防職員として培った知識、経験を十分に生かしながら、地域における防災のリーダーとして活動していただくように、積極的に呼びかけを行っていきたいと考えている。 368 ◯平畑委員 現在は、現役の消防職員が24時間勤務の後の残業時間や平常勤務の合間に講習を行っている。消防局OBには協力を要請すべきと考えており、積極的な対応をお願いしたい。さらには、大災害時における消防局OBとの災害協定などについても早急に締結されることが重要だと考えている。次に、平成21年7月の豪雨被害について、9月1日現在の被害状況を見てみると、早良区の被害は、床上浸水1棟、床下浸水16棟とされていたが、私が居住する高取校区だけでも10棟の被害があったことを確認している。そもそも各区はどのような被害調査を行っているのか。市に対し、10月1日現在での再調査を求めていたが、再調査により、被害件数がどう変わったのか。 369 △市民局長 地域に再確認して、区でも精査を行った結果、10月1日現在での早良区の住家被害の件数は、床上浸水1棟、床下浸水26棟となっており、9月1日以降に床下浸水箇所10棟が明らかとなっている。 370 ◯平畑委員 地域の被害状況の把握は、どのように行っているのか、自主防災組織や地域の防災拠点である公民館には尋ねたのか。各区役所に配置している地域担当職員を通じて地域に尋ねれば、すぐに確認ができたのではないか。 371 △市民局長 被害状況については、基本的には各区の災害対策本部において、通報に基づく現場確認や、防災関係機関からの連絡などにより、被害状況の把握を行い、市災害対策本部に報告することとしている。また、あわせて地域の自治会や公民館などを通じた情報収集にも努めている。しかしながら、今回の豪雨災害においては、一部、徹底されなかった面も見られることから、今後とも、地域との協力、連携を図るなど、あらゆる手段を用いた被害状況の把握を徹底していく。 372 ◯平畑委員 校区の自主防災会に確認することをシステム化すべきと意見を述べておく。私は、公民館と連絡をとり合い、道路下水道局の担当者と現地を確認したが、今後、浸水対策の工事を始める際には、被害の多いところからになると思うので、ぜひとも、自主防災会と本庁区役所、各局がしっかり横の連携をとるよう強く要望しておく。7月24日からの豪雨災害では、私は消防団として活動を行っていた。消防団は、消防署長の指示のもと活動するのが原則となっているが、震度5弱以上で自動招集になる震災を除き、今回の大雨のような場合には特に規定がない。必要に応じ分団長などの判断により出動することも必要だと考えるがどうか。 373 △消防局長 消防団は、災害時において、常備の消防署長の指示に従い活動するのが原則であるが、消防団は、地域に密着し、住民等からの情報により、緊急の対応が必要な場合があり、迅速で応急的な対応をすべきと分団長が判断した場合は、出動できることとなっている。なお、この場合、消防分団の出動状況について、所轄消防署の災害警備本部で把握する必要があることから、速やかな報告をお願いしている。今後とも、消防署と消防団の連携を深め、迅速な災害対応に取り組んでいきたいと考えている。 374 ◯平畑委員 次に、体育館の開館時間について、スポーツをみずから楽しむ場として、本市の市民体育館や地区体育館においても、個人や団体で多くの市民に利用されているが、体育館における、過去3年間の利用者数及び使用料収入の状況について尋ねる。 375 △市民局長 平成19年7月に県より移管を受けた百道体育館を除いた、福岡市民体育館、九電記念体育館、地区体育館については、利用者数は18年度140万7,150人、19年度143万2,664人、20年度141万7,600人となっている。また、使用料収入については、18年度1億8,276万円余、19年度1億8,137万円余、20年度1億7,742万円余となっている。 376 ◯平畑委員 体育館は、各種競技スポーツ大会の開催の場としても重要な役割を果たしており、休日ごとに大規模大会が開催されている状況にあると思うが、休日における大会の開催状況について尋ねる。 377 △市民局長 100人程度以上が参加する大会を大規模大会として整理しているが、20年度の実績では、大規模大会の開催状況は、土曜、日曜、祝日に集中しており、市民体育館では、土曜日94.3%、日曜日100%、祝日100%、九電記念体育館では、土曜日90.2%、日曜日、祝日は100%、地区体育館では、土曜日54.8%、日曜日90.3%、祝日83.9%となっている。 378 ◯平畑委員 利用時間には枠があるが、利用時間帯はどのように区分されているのか。 379 △市民局長 体育館の専用利用上の時間区分については、午前9時~午後1時まで、午後1時~午後5時まで、午後5時~午後9時までの3区分の枠を設けており、枠ごとに使用料が決まっている。また、1日を通して利用するという申し込みも可能となっている。 380 ◯平畑委員 市民体育館や九電記念体育館では、全国規模や九州規模の大きな大会も開催されているが、どのような大会でも利用は午前9時からになっているのか。午前9時前に開館している大会があれば、それはどのような大会で、件数はどのくらいあるのか。 381 △市民局長 現在、大規模大会の開催に当たり、要請があれば、市民体育館と九電記念体育館については、運用で午前8時ごろからの入場を認めている。20年度では、市民体育館は、耐震改修工事の影響で、4~11月までの開館であったが、西日本学生剣道大会、西日本学生ハンドボール大会、全日本エアロビクスコンテスト九州大会などの大規模大会の開催が135件あり、そのうち午前9時前から入場している件数が83件、全体の61.5%となっている。九電記念体育館は、20年度は福岡市少年空手道大会、県選抜小学生バレーボール大会、小学生ドッジボール福岡大会などの大規模大会の開催が185件あり、そのうち午前9時前に入場している件数が159件、全体の85.9%となっている。 382 ◯平畑委員 午前8時ごろに入館させている場合は、どのような手続を踏んで対応しているのか。また、その場合の経費はどのようになっているのか。 383 △市民局長 体育館の専用利用に関しては、利用日の3カ月前に申し込みを行っているが、その際、主催者と大会当日の打ち合わせを行っており、午前9時前からの設営などの相談があれば、午前9時前でも入場を認める対応をとっている。経費については、午前8時から入場する場合には、通常の1時間当たりの使用料の3割相当額を負担していただいている。なお、15分程度前の入場であれば、費用負担はしていただいていない。 384 ◯平畑委員 運用で午前9時以前でも入場させていることは大会開催団体には余り知られていない状況があると思うが、各区の地区体育館でも、同様の対応をしているのか。 385 △市民局長 地区体育館においては、大規模大会の場合に、設営のために、役員について15分程度前からの入場を認めている。 386 ◯平畑委員 区レベルの大会を開催した団体の関係者に聞いたところでは、午前9時からの利用しかできず、準備に要する時間や、開会式などに要する時間をとると、競技の開始時間が午前10時ごろからとなり、大きな大会になると、終了時間が午後5時を超えてしまうことも多いそうである。このため、申し込みに当たっては、終了時間が遅くなる心配があるため、午後5時以降の枠まで押さえることになり、午後6時頃に終了した場合でも、それ以降、午後9時まではだれも使わない状況で、無駄になっているということである。準備のため早く入館できるのであれば、午後5時以降の枠を押さえておかなくても済むし、午後5時以降の利用枠を他の団体の利用に供するなど、有効利用にもつながると思う。大規模大会の開催に当たっては、開館時間を早めてほしいという声は非常に多い。午前9時前の入場については運用で対応しているとのことであるが、そのことをきちっと大会関係者に説明すべきであるし、8時45分からの入場では遅い。市として統一した運用を行い、市民サービスとしてきちんとそのことを周知すべきと考えるが、所見を尋ねる。 387 △市民局長 これまでも、入場時間については柔軟な対応をしてきたが、今後、大規模大会の申し込み時に、入場時間については、体育館側から、午前9時前でも対応できるということを伝えるようにしたい。また、地区体育館についても、午前9時前の入場について、指定管理者とも協議の上、利用団体からの申し出に応じて利用できるように対応していきたいと考えている。 388 ◯平畑委員 本市の体育館では、指定管理者制度を導入しているが、入場料や利用時間は変わらず、指定管理者制度のメリットは、市民には理解されていない。地区体育館においても、午前8時から入場できることとし、大規模大会の主催者や校区の体育振興会、体育指導員に対し、その旨を周知徹底するよう要望しておく。また、他都市を見ると、横浜市では、指定管理者が地域の合意を得た上で、市と協議して、日祝日は朝7時30分から開館し、平日は23時まで延長するなど、開館時間を早めるだけではなく、閉館時間の延長も行っている。その他の政令市でも、閉館時間を、新潟市では21時、21時30分、22時の3通り、川崎市が21時30分、浜松市が21時30分、広島市は、7~9月は朝8時半~21時30分まで延長している。福岡県内でも、春日市が21時30分、大野城市が22時、宗像市が21時30分、前原市が22時まで延長している。もちろん、民間は、23時、24時まで開館している。本市においても、指定管理者制度のメリットを生かし、利用者のニーズに合った、利用時間の設定を行い、利用者のサービス向上に努められるよう強く要望し、市長に誠意ある答弁を求める。 389 △市長 大会の規模にかかわらず、開館時間の延長に対する要望があることはよくわかるので、実態に合わせて研究していくことが大事だと考えている。午前9時からの入場では準備もできないので、そこは運用で対応していると思うが、もう少しルール化が必要であれば検討していく。 390 ◯平畑委員 最後に生活保護行政について尋ねる。近年の雇用情勢の悪化などに伴い、生活保護世帯が増加していると聞いているが、生活保護の世帯数及び人員数について、5年前、10年前と比較して、どのように推移しているのか。 391 △保健福祉局長 被保護世帯については、10年度は1万3,053世帯、15年度は1万6,563世帯、20年度は2万96世帯、被保護人員数については、10年度は1万9,659人、15年度は2万4,322人、20年度は2万8,641人となっている。10年度を基準とした世帯数の伸び率は、15年度は126.9%、20年度は154.0%、人員数の伸び率は、15年度は123.7%、20年度は145.7%となっている。 392 ◯平畑委員 保護率は、5年前、10年前と比較して、どのようになっているのか。 393 △保健福祉局長 保護率については、1000分の1をあらわすパーミルという単位であらわしているが、10年度の保護率は14.9パーミル、15年度は17.6パーミル、20年度は19.9パーミルとなっている。また、10年度を基準とした伸び率は、15年度で118.1%、20年度で133.6%となっている。 394 ◯平畑委員 直近の生活保護申請の動向は、どのようになっているのか。 395 △保健福祉局長 直近半年間の生活保護申請件数は、平成21年2月は491件、3月は859件、4月は858件、5月は866件、6月は862件、7月は775件となっている。また、対前年同月比では、平成21年2月は147.0%、3月は218.0%、4月は188.2%、5月は207.0%、6月は210.2%、7月は172.2%と推移している。 396 ◯平畑委員 被保護世帯数、人員ともに増加しているが、その原因についてどのように考えているのか。 397 △保健福祉局長 本市においては、平成19年ころより、福岡地区における有効求人倍率が悪化していたことに加えて、平成20年末からの世界的な金融危機の影響により、雇用情勢が一層悪化している状況がある。また、周辺域からの流入等、都市部特有の問題も抱えており、ホームレス世帯からの保護申請を含め、被保護世帯が急増していると考えている。 398 ◯平畑委員 世帯類型別の世帯数とその割合について、どのようになっているのか尋ねる。 399 △保健福祉局長 20年度の世帯数及び全体に占める割合は、高齢者世帯が9,357世帯、46.6%、母子世帯が1,547世帯、7.7%、障がい者世帯が2,412世帯、12.0%、傷病者世帯が4,877世帯、24.3%、その他世帯が1,892世帯、9.4%となっている。 400 ◯平畑委員 世帯類型別での世帯数について、16年度と比較して、それぞれの伸び率はどのようになっているのか。 401 △保健福祉局長 高齢者世帯が106.8%、母子世帯が105.0%、障がい者世帯が145.0%、傷病者世帯が119.0%、その他世帯が134.0%の伸びとなっている。伸び率としては、障がい者世帯が最も高く、次にその他世帯が高い傾向となっている。 402 ◯平畑委員 障がい者世帯の全体に占める割合が増加しているが、生活保護世帯のうち精神障がい者の数はどのようになっているのか。 403 △保健福祉局長 生活保護世帯で精神通院医療の適用を受けている人数は、18年度末で2,945人、19年度末は3,185人、20年度末は3,492人となっている。また、精神科病棟に入院し、生活保護の医療扶助の適用を受けている人数は、各年度の平均で、18年度は1,120人、19年度は1,048人、20年度は1,135人となっている。 404 ◯平畑委員 その他世帯が急増しているが、その他世帯に対する支援についてはどのようにするのか。 405 △保健福祉局長 その他世帯には、失業による生活保護受給者が多く含まれている。このため、ハローワークと連携して就労支援を行う国が提示する生活保護者等就労支援プログラムの実施に加え、各区にハローワークOBの就労支援員を配置し、履歴書の書き方、面接の受け方といった基本的な事項や、職業相談などの助言を行っている。21年度からは、別途、職業カウンセラー等を擁する民間の職業紹介事業者に委託し、就労意欲の喚起を中心に、適職あっせん、離職防止までを一貫して支援する就労意欲喚起等支援事業に取り組むこととし、現在、準備を進めている。 406 ◯平畑委員 ホームレス等を含めた被保護世帯へ住宅を提供する際に、民間の賃貸住宅では家賃滞納等の不安を感じている業者がいるという話を聞く。このような業者が安心して住宅を提供できる仕組みとして、住宅扶助代理納付制度があるが、どの程度まで進んでいるのか。 407 △保健福祉局長 住宅扶助費は、原則として被保護世帯の世帯主に対して交付すべきものであるが、特例として、住宅扶助費を家主等の債権者に直接交付することを可能にする住宅扶助代理納付制度が創設されている。これは、家賃滞納による強制退去を未然防止する、住宅セーフティー・ネットとしての機能も果たすものと考えており、市営住宅に関しては、住宅費委任払いとして従来から取り組んでいるが、県営住宅及び民間住宅に関しても、関係機関と具体的な協議を行っているところであり、21年度中の実施に向け、準備を進めている。 408 ◯平畑委員 ぜひ、21年度の早期に対応するよう要望しておく。被保護世帯の増加に伴い、生活保護費も増加していると思うが、生活保護費の一般会計に占める割合について尋ねる。 409 △保健福祉局長 一般会計の20年度決算額6,676億3,981万円に対し、生活保護費における扶助費総額は533億1,621万円となっており、一般会計の約8.0%を占めている。 410 ◯平畑委員 生活保護費が20年度は533億円、一般会計に占める割合が8%となっている現状について、保健福祉局長、財政局長、市長の所見を求める。 411 △保健福祉局長 生活保護制度は、最低生活の保障と自立助長を目的としており、支出した生活保護費は、国の制度に基づき適正に実施した結果必要となったものであり、理解いただきたいと考えている。本市としても、市民の理解を得るためにも、今後も自立支援プログラムの拡充により就労指導の充実等を図るなど、保護の適正実施に積極的に取り組んでいく。 412 △財政局長 生活保護費については、現下の厳しい経済情勢の影響などにより、19年度に比べ20年度は大幅に増加するなど、一般会計の歳出に占める割合は年々増加している。生活保護制度は、市民生活にとって、最後のセーフティー・ネットとして重要な役割を担っているが、少子高齢化の進行などに伴い、生活保護費を初め社会保障関係費は今後とも増加していくことが見込まれており、財政構造の硬直化につながっていくものと想定される。したがって、生活保護制度の適正な実施を図るとともに、本市全体の事務事業について中長期的な視点に立って、歳入・歳出の両面から立体的な改革に取り組み、財政構造の柔軟性の確保に努めていく。 413 △市長 生活保護は、最後のセーフティー・ネットであり、それを必要としている人に適用していくわけであり、一般会計において、どのくらいまでが適正だといえるのかという議論はなかなか難しい。ただ、世界的な経済不況による雇用環境の悪化に伴い生活保護費が年々ふえている実態もあり、非常に重要な問題だと認識している。生活保護の問題については、ほかの社会保障全体の仕組みも含め、国と一緒になって議論していく時期に来ていると考えている。
    414 ◯平畑委員 現在の社会情勢において、被保護世帯の増加が避けられない状況であることは理解しているが、一方で、本市は査定が甘いとか、保護費の不正受給や遊興費に使用し浪費している人もいるという話も耳にしている。今後も、本当に必要な人へ生活保護を適用するなど、適正な生活保護の実施を行うよう要望しておく。 Copyright (c) FUKUOKA CITY, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...