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12月04日-03号

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  1. 福井市議会 2018-12-04
    12月04日-03号


    取得元: 福井市議会公式サイト
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    平成30年12月定例会               福井市議会会議録 第3号           平成30年12月4日(火曜日)午前10時0分開議〇議事日程 日程1 会議録署名議員の指名 日程2 市政に対する一般質問──────────────────────〇出席議員(32名) 1番 近藤  實君   2番 福野 大輔君 3番 菅生 敬一君   4番 瀧波  滋君 5番 池上 優徳君   6番 八田 一以君 7番 水島 秀晃君   8番 後藤 裕幸君 9番 村田 耕一君   10番 藤田  諭君 11番 田中 義乃君   12番 伊藤 洋一君 13番 片矢 修一君   14番 泉  和弥君 15番 玉村 正人君   16番 中村 綾菜君 17番 谷本 忠士君   18番 奥島 光晴君 19番 島川由美子君   20番 下畑 健二君 21番 堀江 廣海君   22番 鈴木 正樹君 23番 今村 辰和君   24番 野嶋 祐記君 25番 青木 幹雄君   26番 石丸 浜夫君 27番 堀川 秀樹君   28番 見谷喜代三君 29番 皆川 信正君   30番 吉田 琴一君 31番 加藤 貞信君   32番 西村 公子君──────────────────────〇欠席議員(0名)──────────────────────〇説明のため出席した者 市長         東 村 新 一 君 副市長        山 田 義 彦 君 副市長        西 行   茂 君 企業管理者      谷 澤 正 博 君 教育長        吉 川 雄 二 君 都市戦略部長     國 枝 俊 昭 君 総務部長       玉 村 公 男 君 財政部長       村 田 雅 俊 君 市民生活部長     牧 野   浩 君 福祉保健部長     山 田 幾 雄 君 商工労働部長     港 道 則 男 君 農林水産部長     前 田 和 宏 君 建設部長       竹 内 康 則 君 下水道部長      宮 下 和 彦 君 工事・会計管理部長  上 道   悟 君 国体推進部長     松 山 雄 二 君 消防局長       土 田 将 一 君 企業局長       塚 谷 朋 美 君 教育部長       内 田 弥 昭 君──────────────────────〇事務局出席職員 議会事務局長     小 川 敏 幸 議会事務局次長    廣 瀬 峰 雄 議事調査課長     松 井 優 美 議事調査課長補佐   阪 本 喜 浩 議事調査課主幹    田 中 あ い 議事調査課副主幹   堀 井 信 也 議事調査課主査    生 駒 敏 明 議事調査課主査    乘 竹 孝 幸────────────────────── ○議長(青木幹雄君) 出席議員が定足数に達しておりますので,議会は成立しました。 よって,これより会議を開きます。────────────────────── ○議長(青木幹雄君) それでは,日程1 会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は,会議規則第88条の規定により,7番 水島秀晃君,8番 後藤裕幸君の御両名を指名します。────────────────────── ○議長(青木幹雄君) 次に,日程2 市政に対する一般質問を許可します。 5番 池上優徳君。 (5番 池上優徳君 登壇) ◆5番(池上優徳君) おはようございます。一真会の池上優徳でございます。通告に従い質問します。 本市の保育行政についてお伺いします。 まず,我が国の保育行政の歴史について少し振り返ってみたいと思います。 保育所は,ヨーロッパの産業革命の振興の中で,婦人労働者や貧困階層の出現により,保護を失った乳幼児の養護の必要性から生まれ,我が国においても明治23年,女子を子守から解放するために,学齢前の乳幼児を保育する託児施設として,貧困のため親の保護を失った乳幼児を保護,救済したのが始まりでした。一方,幼稚園は明治政府の近代化政策の中で欧米の進んだ文化の導入の一環として海外から取り入れられたものです。明治初期,岩倉具視使節団が欧米各国の教育制度を調査研究するために外遊した際に,女子師範学校と幼稚園に関心を抱いて帰国しました。そして,明治8年11月に東京女子師範学校が開校し,翌年明治9年に幼児に理想的な教育施設として東京女子師範学校附属幼稚園が開園したそうです。保育所は,我が国の産業革命時には女子労働力の確保のために社会実業家や紡績工場経営者等が働く母親を助けるために純粋に民間で設置した施設となり,その後大正期に初めて大阪で公立の保育所ができました。そして東京にも広がりました。 戦後,憲法と教育基本法のもとで幼稚園は学校教育法に定められた旧文部省所管の学校の基礎段階となり,保育所は児童福祉法に定められ旧厚生省所管の児童福祉施設となりました。そして,幼稚園は義務教育の基礎段階として幼児を保育し,心身の発達を助長することを目的とするとされ,保育所は保護者の委託を受けて保育に欠ける乳児または幼児を保育することを目的とするとされました。 1985年には雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律,いわゆる雇用機会均等法が施行され,女性が正社員としてフルタイム労働に参画することが後押しされて働く女性の数が増加します。それに伴い,働く母親の数は増加し,働き方が多様になったことに対し,戦後から高度経済成長を支えた認可保育所配給制度は十分に機能しませんでした。なぜなら,70年前の社会状況をもとにつくられたもろもろの基準は,高度経済成長を経た我が国の都市環境には合わず,機動的にニーズに合わせて建設していくことができなかったのです。そして,結果として2万人から5万人の待機児童がコンスタントに生み出される現在のような状況になってしまいました。ちなみに,待機児童の8割が都市部に集中していると言われております。 1990年代から効果的な施策を打つことに失敗してきた政府は,20年越しに大規模な改革案を与野党一丸となって国会を通過させました。それが,子ども・子育て支援法です。2004年には小泉構造改革により,公立の保育所運営費が国庫負担金から除外され,一般財源化されました。同時に,地方交付税が5兆1,000億円削減され,そのため公立保育所の経営は各自治体の財政の大きな負担となり,それ以来保育所の民営化など民間の活用を進め,児童保育には民間が大きな力を発揮してきました。また,2006年に認定こども園制度が発足し,2015年4月から始まった子ども・子育て支援新制度の中では,認定こども園は幼稚園と保育所の両方の機能を持ち,地域の子育て支援を行う施設であり,学校及び児童福祉施設としての法的位置づけを持つ単一の施設となったことで戦後の幼保二元的な制度から脱却しつつあるようです。 しかし,効果的な施策を打ち出せなかった影響は大きく,少子化を食いとめるにはまだまだ道のりは険しいと思いますが,このほど,国は幼児教育・保育に関して大きなかじを切りましたので,保育を受ける側と保育を提供する側の両面から質問したいと思います。 まず,保育を受ける側の立場から質問します。 1つ目,国において,幼児教育・保育の役割は何かお伺いします。 2つ目,国は,幼児教育・保育を無償化するとのことですが,無償化の対象範囲,または対象施設,サービスはどのようになっているのかお伺いします。 3つ目,無償化によって本市の保育需要にどのような変化があるのか,またその対策についてお伺いします。 事業者の立場から質問します。 1つ目,2019年10月,消費税の10%への引き上げと同時に無償化をスタートさせます。当然,事業者は計画的な定員設定や保育士確保などの準備が必要と思いますが,事業者に対して説明などの予定があるのかお伺いします。 2つ目,質の高い保育を維持するために保育士の処遇改善が求められておりますが,国はこれまで保育士の処遇改善等加算として月額3万円相当の改善に加え,昨年度には技能,経験に応じた月額最大4万円と,月額5,000円の処遇改善を行いました。2019年度も月額3,000円の引き上げが予定されておりますが,まだまだ保育士不足の状況は変わっておりません。本市において,独自事業として保育士の処遇改善手当などの給料の上乗せ補助や,保育士の加配に対する単独補助を実施すべきと思いますが,御所見をお伺いします。 次に,本市の農業,三里浜でのオリーブ栽培についてお伺いします。 以前にも申し上げましたが,本市の農業は昭和60年以降,生産調整の一環として大麦,大豆などの転作作物に集団で取り組むことから始まった集落営農により,水田地帯はオール兼業農家として農地を守ってきました。平成以降は国の生産調整,水田農業確立などの目的で,水田での転作作物生産が定着し,国の手厚い支援にも支えられ,水稲プラス大麦,大豆,ソバで水田農業が一般化し,ある程度の生産活動を行う一方,水稲の規模拡大による水稲専業農家も地域に根づきました。しかし,皮肉なことに集落営農組織の発展に伴い集落内のオペレーターという機械を操作する男性が中心で,女性,子どもが農業に携わる機会が減少したことや,国策に忠実に従い補助金がなくなれば組織運営ができなくなる可能性が大きく,所得確保が難しい魅力のない農業となってしまったことから,リタイアする農家に比べて若手の新規就農者の数,質とも追いつかない状況となってしまいました。 また,園芸の適地である三里浜砂丘地や,水田地帯に構造改善事業で整備された施設園芸ハウス団地に特化して園芸専業農家も多く育成されました。平成10年ごろまでは,所得率の高い園芸専業農家や,大規模化でコスト低減した水稲専業農家が活躍しましたが,平成15年以降,農家の高齢化,生産物価格の低迷,行政,JAグループの方針,政策転換等によりこれら農家が衰退し,農業産出額も劇的に低下し始めました。以来,これといった打開策も打てずに衰退産業として近年まで低迷が続いていました。 しかし,国の農業政策が大きくかじを切ったことにより,園芸産地の再生を実現するチャンスが生まれてきました。特に,本市の三里浜砂丘地は園芸の産地として数々の農産物のブランドを栽培してきた実績があり,それを基点に横展開できることに期待が持てると思われます。 そこでお伺いします。 三里浜砂丘地でオリーブの栽培に取り組んでいるようですが,どのような目的で取り組んでいるのかお伺いします。 2番目,三里浜砂丘地を選んだ理由をお聞きします。 3番目,オリーブというと地中海をイメージし,また日本では小豆島が有名です。暖かい気候が適すると思われますが,数ある品目の中でオリーブを選んだ理由をお伺いします。 4番目,現在までの進捗状況をお聞かせください。 5番目,ブランド化や品質確保,販路などさまざまな課題があると思われますが,課題と対策についてお伺いします。 6番目,今後の目標,スケジュールなど,答えられるものがあればお聞かせください。 7番目,三里浜砂丘地の産地再生から始まる若者が希望を持って就業できる農業の実現プロジェクトとの関連性を持たせているのかお伺いします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (副市長 西行茂君 登壇) ◎副市長(西行茂君) 私からは,本市の保育行政についてお答えします。 まず,国における幼児教育・保育の役割についてですが,平成29年12月8日に閣議決定された新しい経済政策パッケージによれば,子育てと仕事の両立や,子育てや教育に係る費用の負担が重いことが子育て世代への大きな負担となり,我が国の少子化問題の一因ともなっていることから,保育の受け皿拡大を図りつつ,幼児教育の無償化を初めとする負担軽減措置を講じることは重要な少子化対策の一つであるとされております。 また,幼児期は能力開発,身体育成,人格の形成,情操と道徳心の醸成にとって極めて大切な時期であり,根気強さ,注意深さ,意欲などの育成においても重要な役割を果たしている。加えて,社会においてコミュニケーション能力問題解決能力の重要性が高まっていることから,これらの能力を身につけるためにも幼児期の教育が特に重要であり,幼児教育・保育の質の向上も不可欠であるとされております。 次に,無償化の対象範囲,施設及びサービスについてですが,国が現段階で明らかにしている内容によると,幼稚園,保育所,認定こども園の認可施設は,ゼロ歳から2歳までの児童につきましては市民税非課税世帯の児童の利用料が無料に,3歳から5歳の児童につきましては全ての児童の利用料が無料になります。また,旧制度幼稚園は,月額2万5,700円を上限に利用料が無料となります。ベビーホテル等認可外保育施設や一時預かり事業,病児保育事業等のサービスにつきましても保育の必要性があると認定を受けた場合には,ゼロ歳から2歳までの児童につきましては市民税非課税世帯のみ月額4万2,000円を上限に利用料が無料に,また3歳から5歳までの児童につきましては月額3万7,000円を上限に利用料が無料になります。なお,制服代やスイミング代などのようにそれぞれの園の独自の取り組みに必要な経費につきましては無償化の対象にはなりません。 次に,無償化による保育需要への影響と対策についてですが,認可施設においてゼロ歳から2歳までの児童が無償化の対象となるのは市民税非課税世帯に限られており,現在も利用料が非常に低額に設定されていること,また3歳から5歳までの児童の約99%が既に保育所等に入所できていることから,無償化に伴う受け入れ児童の大幅な増加はないものと考えております。 現在,未就学児の保護者2,000人を対象にした子育てに関するニーズ調査の中で,幼児教育・保育の無償化を前提とした保育等の利用希望も聞いており,その結果も踏まえ影響の正確な把握に努めてまいります。 (福祉保健部長 山田幾雄君 登壇) ◎福祉保健部長(山田幾雄君) 本市の保育行政のうち,残りの御質問にお答えします。 まず,事業者に対する説明についてですが,これまでに国から示された内容は既に事業者に周知しております。また,今後制度の詳細が示されたら説明会を開催するなど事業者への周知を実施する予定です。 次に,保育士の処遇改善に向けた取り組みについてですが,保育士等の処遇改善は,質の高い保育を維持するために大変重要であります。国は,平成27年度から保育士等の処遇改善を進める目的で毎月施設に支払う給付費の中に,職員の平均経験年数や賃金改善,キャリアアップの取り組みに応じた処遇改善等加算を盛り込むとともに,平成29年度からは技能,経験を積んだ職員に係る追加的な人件費である処遇改善等加算を盛り込んだところです。 本市における独自の処遇改善措置としては,平成28年度に市単独補助金を見直し,経営の安定性を維持し,職員の処遇改善につなげるための子ども数や職員に応じた補助や,年々増加傾向にある障害児保育のための加配や,ゼロ歳児などを受け入れる園への補助を実施しているところです。また,保育士等の処遇改善を図るためには,国によるさらなる取り組みが不可欠であることから,処遇改善に向けた財政措置など保育士確保のための施策を講じるよう国に対し引き続き要望してまいります。 (農林水産部長 前田和宏君 登壇) ◎農林水産部長(前田和宏君) 三里浜でのオリーブ栽培についてお答えします。 三里浜砂丘地は,本市の一大園芸産地ですが,生産者の高齢化などから近年作付面積の減少が続き,産地の維持が困難な状況となっておりました。また,福井市農業活性化プランでは園芸の推進を掲げていることから,三里浜砂丘地の活性化は喫緊の課題でもありました。三里浜砂丘地では,不作付地であっても草刈りなど管理が行き届いている畑が多く,スプリンクラーなどの設備も整っている状況であったことから,国の地方創生の事業を活用して三里浜砂丘地の産地再生に取り組むこととしました。 新たな特産品としてオリーブを選定した理由ですが,オリーブは砂地での栽培に適していることや,近年オリーブオイルの人気が高まっており,中でも国産オリーブは希少価値が高く高値での販売が見込まれることがございます。さらに,防砂・防風林としての機能や観光農園,料理での活用など幅広い効果が期待できることも挙げられます。こうしたことで生産農家の所得向上や地域の活性化につながるものと判断し,地元の理解を得た上でオリーブを選定しました。 次に,現在までの進捗状況についてお答えします。 昨年6月に250本のオリーブを植えましたが,これはことしの大雪にも耐え,現在順調に生育しております。また,今年度は地元有志が7月に設立した三里浜オリーブ生産組合が主体となり,400本の植えつけを行ったところです。現在は,当組合が市園芸センターの指導のもと丁寧に栽培管理を行っております。 次に,課題と対策についてお答えします。 近年,国産オリーブの需要は高い状況にございますが,他県でも栽培が始まっていることから販路の開拓には高い品質と他産地との差別化によるブランド化が必要になると考えております。品質の確保については,本市園芸センターでの試験,研究に加えまして,小豆島などオリーブ産地の情報も収集し,本市に適した品種の選定や栽培技術の向上に努めます。差別化については,今後ほかの事例も参考に研究を進めていくとともに,将来的には大学など研究機関との連携を図り本市産オリーブの独自性を打ち出しましてブランドの確立を目指してまいります。 次に,今後の目標,スケジュールなどについてお答えします。 今後,地元生産組合の計画本数である2,000本を目標に植えつけを進めるとともに,オイルを搾るための搾油機導入への支援を行います。また,オリーブオイル以外にも魅力ある加工品の研究に注力してまいります。 加えて,ミディトマトやコカブなど三里浜砂丘地でとれる高品質な野菜や,越前海岸で水揚げされる新鮮な魚介類とオリーブオイルを合わせた料理により,ここでしか味わえない旬の味覚を提供できる場をつくっていきたいと考えております。さらに,観光農園や搾油体験など観光資源として活用することで,インバウンドを含めた集客エリアにしていきたいとも考えています。 最後に,三里浜砂丘地の産地再生から始まる若者が希望を持って就業できる農業の実現プロジェクトとの関連性についてお答えします。 オリーブの栽培は,国の地方創生推進交付金を活用した三里浜砂丘地の産地再生から始まる若者が希望を持って就業できる農業の実現プロジェクトの一環として取り組んでまいりました。このプロジェクトは今年度で終了となりますが,来年度以降の地方創生に関する交付金につきましても積極的に活用していきたいと考えております。 ◆5番(池上優徳君) 保育行政についてですが,待機児童を出さないということは当然のことですけれども,現状は保育園の二極化により,定員が多いところはかなり多く,少ないところは定員割れをしていると思います。そういったことの解消というか,保育のニーズに合わせて的確に対応することはなかなか難しいかもしれませんけれども,広域入所なども緩和しながら取り組んでいただきたいと思います。 それと,三里浜砂丘地のオリーブですが,私も何回か現場を見させていただいたんですけれども,実際どこに植えてあるのかはなかなかわからないんですよね。そういったPRも兼ねて大きな看板などで,ここでやっていますよという表示ができれば,観光客などいろんな方の目にもとまって注目を集めるのかなとも思います。 それと,防砂・防風林としての機能も果たしているということでしたので,海岸線の中山間地のところに広げていったらどうかなということも提案しておきます。 以上で終わります。 ○議長(青木幹雄君) 次に,6番 八田一以君。 (6番 八田一以君 登壇) ◆6番(八田一以君) 一真会の八田一以でございます。通告に従いまして,市税の増収策についてお聞きしますので,よろしくお願いします。 まず最初に,ことし8月に策定されました福井市財政再建計画における市税の増収策についてお聞きします。 平成29年度の一般会計実質単年度収支は29億1,778万1,000円の大赤字でした。赤字になった直接的な原因は,昨年の台風やことしの大雪による除排雪対策に多額の経費を要したからですが,既に平成28年度に経常収支比率が96.6%に達していて,もはや余力はなく,硬直化した福井市財政が泣き面に蜂という状況に陥ったのはこういうことを言うのではないかと思います。 したがって,福井市としては財政を健全化することが喫緊の課題なんですが,加えて福井県から中核市になるには必要だと言われたので,福井市財政再建計画を策定しました。福井県がこの計画でいいと言ってくれたので,来年4月の福井市の中核市移行が決定したわけですから,中核市移行の問題は解消しました。 一方,この福井市財政再建計画によれば,今年度は実質収支が黒字になる。大型公共事業を先送りして職員給与をカットするなど歳出を大きく削減したのですから黒字になって当たり前ですが,今年度の計画はこれでよいと思います。では,来年度からの5年間の計画は妥当なのかどうか改めて問えば,私はよくできた計画だけれども不十分だと考えます。計画の確実な進行管理を行いつつ,計画に掲げた目標を早期に達成されたいという監査委員の意見に同意はしますが,そもそも物足りない計画です。来年度以降事業費の縮減81億5,800万円,総人件費の縮減20億3,200万円など,支出を121億800万円縮減する一方,歳入の確保27億円を加えて合計効果額148億800万円,これにより経常収支比率を93%以下にするとしています。しかし,6年後に目標とする経常収支比率が93%以下というのはいかがなものか。93%だったら健全だと評価されるわけがない。望ましい経常収支比率は75%だと言われておりますし,福井市の経常収支比率も平成22年度は87.8%だった。財政再建計画経常収支比率目標はチャレンジングではない。なぜか。市税の増収策が不十分だからです。 質問はこうです。 歳入の確保27億円のうち,入湯税を見直して5年間で1億4,000万円の増収を図るということについてですが,その入湯税は平成32年4月から標準税率に改定し,引き上げされるようです。来年度のいつ議案として提案されるのか,その後毎年一定額3,500万円の増収になる根拠は何か。減るのではないかと思いますがお聞きします。 また,使用料・手数料を見直しして,5年間で1億5,100万円の増収を見込んでいますが,来年のいつから何を引き上げて,何の減免を見直しすることを見込んだものなのか,議案はいつ提案されるのか,なぜ平成32年度から毎年一定額の3,200万円の増収になるのか,根拠は何かお聞きします。 次に,財産収入の確保により5年間で5億9,000万円の増収,うち平成32年度に収入のほとんど,5億7,400万円が見込まれていますが,それはどういう収入なのか,またなぜ平成32年度なのかお聞きします。 そして実は,市税収入の確保策として計画されたものは2つだけしかありません。収納率を向上させて10億4,000万円,入湯税の増収で1億4,000万円,増収策はこの2つだけしか計画にありません。そして,収納率の向上というのは,要するに本来いただくべきものを後でいただくだけの増収策で,新たな増収策ではない。なぜ市税のさらなる増収を目指した対策が入湯税しかないのか。なぜほかの市税の増収を見込まないのかお聞きします。 福井市は,持続的に地元企業を支援してきているのに,法人市民税の増収を見込まないのはなぜか。市外からの企業誘致による法人市民税の増収を見込まないのはなぜか。北陸新幹線の延伸効果による固定資産税の増収を見込まないのはなぜか。あれだけ中心市街地に税金を投入したのに,市税の増加を見込まないのはなぜかお聞きします。 財政再建計画の中に一応の説明があります。平成20年のリーマン・ショック後,福井市の市税収入は落ち込んで現在も低迷が続いている。平成20年度の市税収入を100とすると,平成28年度の市税収入は92.1%にすぎません。これは,県庁所在地31市の中で29番目,下から3番目です。そして,個人市民税は近年回復傾向にありますが,福井市では企業の業績の回復が10年間ずっと全国に比べておくれていて,法人市民税は平成20年度の約53億円から平成29年度約43億円に約10億円も減っています。固定資産税は,地価の下落などの影響から約207億円から約185億円に減ってマイナス約22億円,回復には至っていませんと書いてあります。ちなみに,市たばこ税収入は,平成29年度に20億円の大台を割り込んで約19億1,000万円でした。近い将来,市たばこ税収入はゼロになるでしょう。市たばこ税の減収見込み分約19億円の代替財源,市たばこ税に変わる市税の増収策が必要です。市民税に超過課税を採用するとかの増収策をとらないのであれば,市内の企業が元気になり,もうけて大きく成長すること,市外から元気な企業を誘致すること,それによって法人市民税,固定資産税の増収を図る,それを推進するしかないと考えますが,なぜ市は推進すると強く言わないのでしょう。国がアベノミクスで日本経済を活性化させたように,そのための市のチャレンジが必要です。 江戸時代の末期,福井藩松平春嶽公が藩の財政危機を乗り越えられたのは,緊縮財政,倹約を続けたおかげではありません。春嶽公は緊縮財政政策を何回もやりましたが,失敗しました。福井藩が財政危機を乗り越えて幕末に大きな歴史的役割を果たすことができたのは,福井藩自身が先進的に外国貿易を始めて,そこで荒稼ぎ,ぼろもうけをしたおかげです。福井市に荒稼ぎしてほしいとは申しません。しかし,福井市には市の経済成長を牽引する役割がある。その役割を果たしてほしい。市の御見解をお伺いします。 次に,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)における市税の増収策についてお聞きします。 ビジョン(案)は,福井市を圏域の中心市として地域の一体的かつ持続的な発展を図るため,嶺北の7市4町で構成する連携中枢都市圏の形成に取り組む。そこで,今後の具体的な取り組みを推進するため策定されました。つまり,ふくい嶺北連携中枢都市圏の形成は,福井市を中心にした圏域の発展を図ることが目的であり,したがって基本方針の第1番目の戦略は圏域全体の経済成長を牽引することであります。中心市である福井市が旗振り役でありますから,圏域全体が発展し経済成長すれば,各市町の税収も拡大しますが,福井市の市税の増収が最も大きくなるであろう。圏域経済の活性化と雇用の創出及び税収の確保が期待できる。経済成長を牽引することが最も重要な戦略です。 では,圏域全体の経済成長を牽引するための具体的取り組みは何かというと,4つ書いてあります。 1つ目が,産学金官民一体となった経済成長の推進。これには5年間の事業費110万円をつぎ込むということです。 2つ目が,新規創業の促進及び中堅企業等を核とした戦略産業の育成。これは,5年間の事業費1億7,500万円です。これについて質問します。 この中の新事業創出支援,事業費9,000万円の中身を教えてほしい。また,そこで言う福井市内の事業者というのは,既に具体的に特定されているのかどうか。2年間継続した支援を行うというが,なぜ研究開発から販路開拓までを2年間に限っているのか。2年で諦めるのか。新事業創出支援に支援先の件数目標があるのはなぜか教えていただきたい。 また,繊維産業販路拡大支援,事業費5,050万円は,要するに展示会を開催する費用,出展する費用を補助するだけなのかお聞きします。 3つ目の取り組みが,地域資源を活用した地域経済の裾野拡大。これには5年間の事業費が1億7,150万円。これについて質問します。 農林水産物特産品販路拡大,事業費1億円は,要するに物産展,フードフェス,PR販売イベントの費用を補助するだけということかお聞きします。 また,特産品販路開拓・拡大,事業費5,600万円は,要するに加工品の特産品の物産展を開催するだけということか。新ブランドの立ち上げでは,具体的な新ブランド候補が既にあるのかどうかお聞きします。 4つ目の取り組みは,戦略的な観光施策の推進。5年間で事業費2億150万円投資します。この4つ目の観光施策の推進の目玉は,事業費9,400万円,JR福井駅の観光案内所を5年間運営する費用のようですが,6年後に廃止するということでしょうか。 そして,以上4つの取り組み,事業費合計5億4,910万円によって福井市はどれだけの経済効果を見込んでいるのか。福井市税が幾ら増収になると計算しているのか教えてください。 福井市財政再建計画には,この経済成長を牽引する取り組みに係る事業費5億4,910万円による福井市税の増収額がゼロと見込まれているので合点がいきません。圏域経済の活性化と雇用の創出及び福井市税が増収になると見込まれている圏域全体の経済成長を牽引する戦略展開に私は大いに期待しております。 ところで,このふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)には全く含まれておりませんが,私は本来ここに含まれるべきテーマであって最も効果的な市税の増収策だと考えていることがありますので,以下2点申し述べたいと思います。 まず1つ目,福井北ジャンクション・インターチェンジ周辺の開発についてお聞きします。 ことしの6月定例会において,福井北ジャンクション・インターチェンジ周辺の開発については次のとおり答弁をいただいております。ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョンとは関係がない。福井市と永平寺町との特定の課題であるから,当該市町間で協議して進めていくべきものと考えている。したがって,これについては引き続き永平寺町と情報共有,意見交換を行っていく。また,福井北ジャンクション・インターチェンジ周辺については,今後,地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律,いわゆる地域未来投資促進法を活用して企業立地を推進するという答弁でした。しかし,福井北ジャンクション・インターチェンジの周辺,特に東側,福井市から永平寺町に至るところについて福井県の開発許可は1件も出ておりません。開発企業誘致はストップしています。福井市は,企業立地を推進しているとおっしゃっていますが,1件も企業立地の実績がありません。市の御見解をお聞きします。 そして,ストップしている理由は,古川排水路の治水・改修の問題があるからだと考えます。古川排水路の治水・改修については,ことしの6月定例会において次のとおり答弁をいただいています。抜本的な解決策としては,流出先の一級河川荒川の改修が前提であるので,国及び県に対して強く要望を行うことを永平寺町と確認した。荒川改修事業の進捗にあわせた古川排水路の改修をどのような手法で取り組むかについて今後も関係機関と継続して協議していくという答弁です。しかし,荒川改修事業は,昭和35年に事業が開始されてから58年,半世紀を超える58年を経過して現在も改修が終わっておりません。荒川改修事業の進捗にあわせた古川排水路の改修をどのような手法で取り組むか協議するなどという答弁は事実上,古川排水路がまた氾濫して被害が出ても気にしないと答弁したに等しい。次に被害が発生した際は大きな問題になると思います。 古川排水路の治水・改修と福井北ジャンクション・インターチェンジの周辺,特に東側の開発を一体的に進める方法がある。しかし,福井市は6月定例会での答弁どおり荒川改修事業の進捗を待って,進捗した時点で改めて古川排水路の改修をするかどうか,どう改修するかを協議されるのでしょうか。御見解をお聞きします。 福井北ジャンクション・インターチェンジは交通の要衝です。企業誘致を推進しなくても,固定資産税を減免しなくても,補助金を出さなくても,高い土地代を払ってでも進出したい企業はある。この意味では,福井北ジャンクション・インターチェンジ周辺の開発,企業立地は,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)の第4章,1,(3),④地域振興,企業誘致促進で取り上げなくてもよい,企業誘致を推進する必要もないほど企業の進出ラッシュが期待できる地域です。しかし,実際は1社も進出していない。市税の増収が全く期待できない交通の要衝になっております。 そして最後に,2つ目,このふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)には全く含まれておりませんが,私としては本来ここに含まれるべき当然のテーマであり,市税の増収策,または減収防止策だと考えることを申し述べたいと思います。 ふくい嶺北連携中枢都市圏域内にあるロードサイド,郊外型の商業施設,福井市内ではエルパ,パリオなどですが,これら商業施設の振興策について質問します。 これらの商業施設は,圏域の経済成長を牽引するための振興策の対象外とみなされているのかもしれませんが,これら既に営業している地域を支えている商業施設の振興策も圏域全体,福井市の経済成長に重くかかわっていると私は考えます。既存のこれら商業施設が衰退したら地域はどうなるのかと考えるとぞっとします。 昨年3月24日にイオンモール新小松がオープンしました。敷地面積約12万8,000平米,テナント約170店,駐車台数約3,400台の巨大な商業施設です。地元小松市などを初め,福井県から1年間に800万人が来場しています。続いて来年には,小松市の北方,金沢市の手前の白山市に敷地面積約18万平米,テナント約200店,2,500人の雇用が見込まれるイオンモール白山がオープンするそうです。石川県の一画にまた巨大な商業施設がオープンして,イオンモール新小松への800万人に加えてイオンモール白山が今度は1,000万人を福井県などから集客するのかもしれません。石川県に巨大な商業施設がどんどんできて経済の活性化と雇用の創出に寄与し,福井県からの客をどんどん吸収していくことを私はうらやましく思っております。 これについては,昨年の6月定例会において次の通り答弁をいただいております。ちょっと長いですが,引用します。福井県内の商業者が消費の県外流出に大きな危機感を持っていることがわかりました。その対応策としては,業態や規模の垣根を越えたオール福井という体制で販売促進や集客力向上などの取り組みを行うことが必要であるとの認識を持ちました。そのため,平成29年3月からこれら商業者とともに共同での広告や販売促進イベントの開催など,具体的な方策について検討を行っています。本市では平成29年度から市内商業者が連携して実施する共同販売促進の取り組みについて支援を行うアキナイフクイ展開事業を実施し,後押しすることで,商圏の維持,拡大に努めてまいりますという答弁でした。しかし,商圏の維持,拡大について1年半たって今,事態は全くよくなっていない,むしろ悪化していると私は考えます。 質問は簡単です。嶺北市町全体の商業者のことは置くとして,福井市内の商業者について,今現在石川県の巨大商業者に対抗してどのような振興策を実施して商圏の維持,拡大に努めているのか。また,来年4月からはどういう振興策を実施して商圏の維持,拡大に努める予定なのかお聞きいたします。 以上です。御清聴ありがとうございました。 (副市長 西行茂君 登壇) ◎副市長(西行茂君) 私からは,入湯税及び使用料・手数料についてお答えします。 本市の入湯税は,入湯客1人1日につき100円の税率です。しかしながら,地方税法第701条の2において標準税率は150円と定められていることから,現在本市の税率を標準税率に合わせることを検討しているところでございます。なお,税率の改正は当然のことながら市民への周知が欠かせないものであります。また,入湯税を徴収していただく温泉施設にも説明が必要であり,その施設も利用者への周知をしなければなりません。加えて,温泉施設の料金表示等の対応も必要であることから,ある程度の準備期間が必要と思われます。そのため,税率改正の施行を平成32年度とし,条例改正の議案を平成31年度に提出したいと考えております。 次に,毎年の増収額3,500万円の根拠についてです。 本市の毎年の入湯者数が約70万人であることから,現在の税率を標準税率との差額50円を乗じた額を増収分と見込んだものであります。 次に,使用料・手数料についてですが,受益者負担を基本とした見直しを行うことで適切な水準となるよう改正を進め,財源確保に努めてまいりたいと考えております。 施設使用料については,現在一部の施設において特定の利用者に対する使用料,いわゆる入館料等が無料になっていることから,受益者負担の原則を踏まえた適切な料金となるよう見直しを進めてまいります。なお,見直しに当たりましては,先月市民を対象としたアンケート調査を実施し,現在集計中でありますが,市民の方々の意見も十分に踏まえた上で平成32年度からの見直しに向け検討を進めてまいります。なお,見直しによる使用料等の増については許可業者がクリーンセンターに搬入する一般廃棄物処理手数料の減免措置の廃止に伴い平成31年度から約2,300万円の増額を見込んでおります。また,平成32年度からはそれに加えまして施設使用料の見直しによる約900万円の増等を合わせ3,200万円の収入の確保を見込んでおります。 (財政部長 村田雅俊君 登壇) ◎財政部長(村田雅俊君) 財産収入についてお答えします。 財産収入の内容は,貸付料や土地の売却による収入でございます。貸付料は,大和紡績跡地や市庁舎地下食堂スペースの貸し付けから得る収入を来年度から見込んでおります。また,売却については,ジュニアグラウンド用地を考えており,施設の廃止や売却に向けた手続等を踏まえ,その時期を平成32年度としております。 次に,市税の増収対策についてですが,財政再建計画には入湯税の税率改正のほか,収納率の向上も掲げております。計画における財政収支の見通しでは,個人市民税の伸びを1%とし,法人市民税の税率改正,固定資産税の3年ごとの評価がえ等も考慮し推計しました。 また,地元企業の支援等による法人市民税の増収についてですが,平成29年度決算では市内に本店を有する事業所の調定額が前年度比10.3%の増となっていることから,地元企業の業績は好調であったと思われます。一方,市外に本店を有する事業所の調定額は4.4%の減となっており,法人市民税全体では2.8%の増加となっています。なお,この増収分についても財政収支見通しに反映させております。 一方,北陸新幹線の延伸に伴う固定資産税への影響については,福井市財政再建計画最終年度の平成35年度からとなることが想定され,しかもこの平成35年度の影響は家屋のごく一部に限られてその額は小さいと考えられるため,計画期間内の収支見通しには増収を見込んでおりません。また,中心市街地の一部では固定資産税額がふえているところもありますが,市全体で見ますと増収までには至らないものと考えております。 次に,市税の増収の推進についてですが,財政再建計画に掲げた6つの取り組みの歳入の確保の中で市税収入の確保を具体的方策として掲げております。財政再建計画に定めた目標を達成するためには,歳出のスリム化だけでなく歳入の確保が重要でありますので,市税の収納率向上を含めたあらゆる取り組みを進めてまいります。 次に,本市が経済成長を牽引する役割を果たしてほしいとの御質問ですが,そのためには財政基盤が盤石である必要があると認識しております。したがいまして,財政再建計画に掲げた具体的方策を着実に実行し,将来にわたって安定した財政構造を確立することで市の経済成長を牽引する責任と役割をしっかりと果たしていきたいと考えております。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) 初めに,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)に掲げる新事業創出支援事業についてお答えします。 本事業は,圏域内産業への波及効果が見込まれる新製品,新技術,新サービスの研究開発から販路開拓までを一貫して支援するものです。市内中小事業者が圏域内の事業者と連携して取り組む事業を対象に1年度あたりの補助上限額500万円,補助期間2年以内で各年度2件,平成35年度までに延べ10件を支援する予定です。事業者については,来年度以降各年度の当初に募集する予定であり,申請内容を審査会で審査し決定してまいります。 補助の期間については,研究開発から販路開拓までの事業を迅速に進め,できるだけ早期の事業化を実現することが望ましいことから2年以内としております。この期間終了後においても事業の進捗状況を把握し,審査委員の助言等をいただくなど支援してまいります。件数目標については,圏域内に多様な産業があることから幅広く事業の掘り起こしを行い,積極的に新事業を創出していくため10件としております。 次に,繊維産業販路拡大支援事業ですが,福井繊維産地の国内外での新規需要の開拓による販路拡大を目的として展示会開催や出展費用の補助に加えて,海外展開に向けた市場調査支援,商品企画や契約交渉に関するセミナー開催などの実務支援,海外コーディネーターを活用した現地アパレルとのマッチングなどの商談支援を行ってまいります。 次に,特産品販路開拓・拡大事業についてですが,本事業は平成34年度の北陸新幹線福井開業を見据え,圏域内の特産品を内外へ広く発信し,販路拡大を図ることを目的として,首都圏や圏域内百貨店で物産展を開催するものです。本市の特産品に加え,圏域の各市町の特色ある商品がラインナップに加わることで,より多くのお客様に満足いただき圏域の魅力を発信できると考えております。 新ブランドの立ち上げについてですが,特産品の販路拡大にはブランド化による商品の磨き上げが必要であることから,本市においてもふくいの恵みや一押しの逸品を既に展開しており,圏域の各市町でも同様の取り組みを行っております。このため,今後設置する商工業振興のための施策を検討する協議会において,既存ブランドとの整合を図りながら積極的に検討を行ってまいります。 次に,福井北ジャンクション・インターチェンジ周辺の企業立地についてです。本地域は企業が立地する上で交通インフラが最も充実した地域の一つですが,市街化調整区域かつ農振農用地であることから厳しい土地利用規制があります。本市では,平成29年2月に福井市開発審査会附議基準を見直し,高速道路インターチェンジ周辺及びインターチェンジに接続する国道沿道において大規模な工場等の立地を可能としました。また,地域未来投資促進法に基づいて昨年策定された福井県嶺北地域における基本計画の中では,農振除外や農地転用といった土地利用調整に係る特例措置を受けられる重点促進区域に本地域を含めるなど条件整備を進めてまいりました。しかし,この特例措置においても農用地であるその土地以外に代替する場所がないことや,農業上の効率的な利用に支障を及ぼすおそれがないことなどの条件を満たす必要があります。このように,産業用地として利用するには依然として厳しい状況ですが,現在相談を受けている案件もありますので,引き続き企業立地の実現に向けて取り組みを進めてまいります。 次に,市内の商業者への振興策についてですが,イオンモール新小松など県外大型商業施設への対抗策として,昨年10月に市内の商業施設や商店街などの8団体が連携してオールフクイ実行委員会を結成し,現在オールフクイ体制で県外への消費流出防止,さらなる消費拡大に取り組んでおります。消費者に対し,各商業施設等の魅力を一体的に伝え,選択肢を広げることにより各商業施設等での消費を喚起することを目的としており,具体的にはLINE利用者に対する情報発信ツールLINE@を活用し,登録した会員向けに各商業施設等のキャンペーンやイベントなどの情報を発信しています。あわせて,年末年始の消費拡大時期を狙った共同での新聞広告や夏休み期間にあわせた周遊企画なども実施しております。 特に,LINE@を活用した情報発信については毎月15日をオールフクイの日とし,各商業施設等で利用できるお得なクーポンを配信することで消費喚起を図っております。本日現在の会員数は5,110人であり,着実に増加していることから,販売促進ツールとしての価値が高まっています。来年度は,春の大型連休や消費税増税のタイミングを捉えてオールフクイ体制での消費喚起の取り組みに対して支援していくことで,市全体の商圏維持拡大に努めてまいります。 (農林水産部長 前田和宏君 登壇) ◎農林水産部長(前田和宏君) 連携中枢都市圏事業における農林水産物特産品販路拡大事業についてお答えします。 本事業につきましては,連携中枢都市圏内の農林水産物の販売,PRイベント開催に対する支援に加えて,生産者と食品関係事業者とのマッチングを図るために,県外からのバイヤー招聘や国外への輸出を目的とした商談会への出展等,新たな販路拡大の取り組みを実施します。 次に,古川排水路の改修についてお答えします。 古川排水路流域の治水対策に向けた同排水路の改修計画を立てるに当たっては,流出先である一級河川荒川の改修が必須であるとやはり考えてございます。このため,今年度も本市の重要要望の中で県に対し荒川の改修促進の要望を行ったところでございます。 また,永平寺町と古川排水路流域の治水対策に向けた今後の対応につきまして協議を行っております。本市としては,現在県が実施している荒川の改修により,通水能力がどれくらい向上したかを確認した上で河川管理者を初めとする関係機関と協議して古川排水路の改修計画を進めていく必要があると認識しております。 しかしながら,荒川の改修には時間を要することから,この間の排水路の流下能力を確保するためのしゅんせつや護岸補修等につきましては,地元とも協議させていただきながら支援してまいりたいと考えております。 いずれにしても,まずは荒川改修の早期完成に向けて今後も永平寺町とも連携しながら重要要望も含め機会を捉え国及び県に対して強く要望してまいります。 (総務部長 玉村公男君 登壇) ◎総務部長(玉村公男君) 市税の増収策についての御質問のうち,連携中枢都市圏に係る取り組みによる経済効果や市税の見込みについてお答えします。 ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)では,圏域の中長期的な将来像であります「つながり 創造する 活力と魅力あふれる ふくい嶺北都市圏」の実現に向け,3つの戦略を定め具体的な取り組みを推進することとしております。 そのうち,圏域全体の経済成長の牽引では,本圏域の強みである豊かな観光資源や充実した交通網等を活用し,圏域外からヒト,モノ,カネを引き寄せることで経済基盤の強化を図り,圏域全体の経済成長を目指すため4つの取り組みのもと商工業,農林水産業,観光など17の事業を実施してまいります。事業実施に係る経済効果や市税収入の増加額につきましては,事業内容が多岐にわたるとともに直接的な効果が見えにくい事業もあることから算出するのは困難です。 しかしながら,一例ではありますが,成果指標に掲げている観光客入り込み数は2,249万2,000人から,平成35年には2,913万6,000人と,約664万人の増加を目標としており,この目標を達成した場合には観光消費額の面で経済波及効果があるものと考えております。 ◆6番(八田一以君) ありがとうございます。自席から要望を一つ申し上げたい。 福井市内の商業者への振興策ですが,先ほどの御答弁,ありがとうございます。しかし,ハード,ソフト両面を含めて振興していただきたいというのが希望でございます。商圏を維持拡大するためにはハード面も大事だ。例えば,国道8号沿いのエルパさんなんかは,駐車場が足りないという話を聞いたことがあります。駐車場が足りないのでは,商圏の拡大どころか維持も難しいと私は思います。ソフト面だけではなくハード面も含めて市全体として振興していただきたいと思っております。 ○議長(青木幹雄君) 次に,20番 下畑健二君。 (20番 下畑健二君 登壇) ◆20番(下畑健二君) 公明党の下畑健二でございます。通告に従いまして4点質問させていただきます。 まず最初に,中核市移行について質問します。 公明党は,20項目にわたる来年度の予算要望書を11月19日に東村市長に提出しました。その第1番目に,中核市移行メリットの市民への周知を要望しました。本市も,これまでいろいろな媒体を使って市民に周知してきたことは,私も承知しております。県が行っていた多くの事務を,市民に身近で地域の実情を把握している市が行うことで,行政サービスの迅速化や充実が図られる,さらなる市民サービスの向上が図られると説明をされてきました。また,人口減少社会や地域間競争に打ち勝つ活力ある地域づくりを図り,福井の強みや個性を生かした特色ある施策を幅広く展開し,福井の魅力や知名度を向上させる等の説明をされてきました。しかし,市民がまだその事務の迅速化に触れていないことや,説明に抽象的な表現が多いことで市民の理解はそれほど広がっていないように私は思います。 私たち公明党は,3年前に同じように中核市を目指していた島根県松江市と中核市移行を果たした東京都の八王子市を視察しました。両市とも,中核市に対して大変な熱の入れようだったことを今でも記憶しております。松江市では,「中核市移行に関する基本的な考え方~更なる住みやすさの向上を目指して~」と題して,中核市以降に目指す松江市の姿を3点にまとめています。そして,その項目ごとに中核市移行のメリットについて詳しく,わかりやすく説明されていました。八王子市では,中核市に移行する理由を3点にまとめて説明されていました。そして,中核市移行による効果を6点にまとめて説明しています。その中には,市民サービスの向上や自立した行政運営だけでなく,政策提言機会の拡大,都市間連携の充実を挙げ,中核市市長会に入るメリット,中核市同士で災害相互応援協定を締結できるメリット,中核市間での職員の資質向上や権限等に対するノウハウ獲得を目的とした人事交流ができるメリットを説明していました。八王子市では,平成27年4月1日に中核市移行記念式典が盛大に挙行され,お祝いされています。 福井市も,福井県のリーディングシティーとして多様な資源を生かし,独自性,創造性を発揮したまちづくりを目指す中で,市民の中核市に対する理解が必要不可欠です。中核市移行メリットと本市の目指す特色あるまちづくりについて,もっとわかりやすく市民周知に努めてほしいと思いますけれども,この点に関して本市の御見解をお伺いします。 次に,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)について質問します。 連携中枢都市圏構想の目的は,人口減少,少子・高齢化社会にあっても一定の圏域人口を有し,活力ある社会経済を維持するための拠点を形成することであり,本市の中心都市として果たす役割が最も大事になってまいります。国が示した連携中枢都市圏構想推進要綱に基づきビジョンが示されていますけれども,気になった点が2点あります。 1つ目は,大学や専門学校の学生を対象にした施策がないことです。産学金官民一体となった経済成長の推進には大学も入ってはいます。また,高等教育・研究開発の環境整備では,圏域内の大学,商工会議所と連携し,企業若手人材と大学研究者のネットワークを形成するとはあります。しかし,国が示した取り組みの中には,大学・専門学校等における圏域内での高度専門的な研究開発人材の育成,将来の圏域を担うリーダー育成,大学における長期インターンシップの推進などがありますが,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)にはいずれも入っておりません。今後の人口減少を考えれば,福井にいる学生にいかに福井で就職してもらうかが大事であり,これも広域で取り組む必要がありますが,私はその取り組みがないように思います。この点はどのように検討されたのか御見解をお伺いします。 2つ目は,文化会館整備事業についてです。 福井市が整備する文化会館を文化創造の拠点として位置づけ,文化芸術の創造,発信や交流を行うとともに,北陸新幹線の金沢-敦賀間の開業を見据え,全国規模の大会やフォーラムなどでの活用についても検討を行うという事業概要は掲載しておりますけれども,事業の見通しは立っておりません。こうしてビジョンに掲載しているのは,いずれは整備したいという本市の強い思いがあるからと私も理解はしますけれども,現状の財政状況では厳しいのではないかと思うのは私だけではございません。 茨木市が市民会館跡地を利用した文化芸術ホール建設を計画しています。延べ床面積が約1万4,000平米であり,福井市が今建てようとしている文化会館の想定延べ床面積と似通っております。平米掛ける70万円で算出し,施設整備に98億円かかると見込んでおります。茨木市では,その財源を茨木市文化施設建設基金で約40億円,残りを国の交付金制度の活用と市債の発行,PFIを活用し将来負担を軽減する取り組みを行うとし,5年後の開館を目指すと発表しております。東大阪市文化創造館は,同じく延べ床面積約1万4,000平米で,来年度の完成を目指していますけれども,その落札額は約183億2,000万円,PFI方式を採用し同じ延べ床面積でもその設備内容などによって建設費に差が出てまいります。本市もこうした多額の建設費をどう捻出するのかは大きな課題です。茨木市のような基金もありません。他市では,耐震強度不足が明らかなため,今まで使用していた文化会館の廃止時期を検討し,実際に利用停止にした事例が数多くあります。本市の文化会館も施設の老朽化,耐震性の不足が課題です。修繕による対応では限界があります。今の状態でいつまで利用できると判断されておられるのかお伺いします。 そうした状況から,新たな文化会館建設の判断がいつまでに必要と思われているのかをお伺いします。 2点目に,学校の危機管理マニュアルについて質問します。 本市は,学校の耐震化を初め,避難所になる体育館の窓ガラス飛散防止フィルムの貼付,またマンホールトイレの設置,普通教室や音楽教室のエアコン設置,学校敷地内の危険なブロック塀の撤去など,率先して学校が関係する安全対策に取り組まれてきました。こうしたハード対策は本市の方針のもとで進めていく事業ですけれども,学校の危機管理マニュアルは各学校で整備していく事業になります。当然,学校によってその環境に違いがありますので同じマニュアルのはずはありません。しかし,取り組むべき内容に学校間格差があるのではと私は危惧しております。 1つ目は,子どもたちや先生が同じ校舎内にいて災害に遭った場合の対応についてはそれほどの差はありません。校外活動中や,登校中,下校中の災害発生時に,子どもたちを帰宅させるか学校に待機させるか等の対応がマニュアルに記載されている学校と,記載されていない学校があります。こうした対応は,全て学校長判断になりますけれども,各学校が大変悩むところでもあります。学校ごとにこうした協議はしているとは思いますけれども,本市としてもしっかりとした指導を行うべきです。この点の本市としての取り組みをお伺いします。 2つ目は,学校が避難所になった場合の対応についてもマニュアルに差があります。避難所を管理運営するためのルールについては各地区の自主防災組織連絡協議会が学校と連携して避難所運営マニュアルを4年前に作成しました。本市より各学校にそれが配布されているようでございます。地域と連携している学校の危機管理マニュアルには,避難所開設時の学校の役割について,地区の自主防災組織と連携して取り組むとマニュアルに明記してあります。中には,こうした避難所運営マニュアルの存在さえ知らない学校があるようです。学校が避難所になった場合に地区がどのような運営を考えているのかについては学校側も当然知っていただきたいと思いますので,どうかこの点の周知をよろしくお願いします。 3つ目は,最近は集中豪雨で想定以上の雨が降る可能性が多くあります。学校周辺の冠水場所や堤防決壊時の浸水など,浸水ハザードマップ,洪水ハザードマップ,土砂災害ハザードマップ,また津波ハザードマップを活用したマニュアル作成も必要ではないでしょうか。学校には,そうしたハザードマップが網羅された福井市防災ハンドブック2018が市から配布されているようです。西日本豪雨では,ハザードマップを活用していれば被害を軽減できたという反省の声が聞かれておりますので,これらの活用についても各学校に周知をお願いします。 そのほかにも,学校ごとに見れば,災害時の子どもの引き渡し,またPTAとの連携などにも私はマニュアルに差があるように思います。各学校では,こうした危機管理マニュアルの取り扱いについては担当の先生がいらっしゃいます。最近の災害の頻発で,今のマニュアルのままでいいのかと悩んでおられる先生もいるかもしれません。本市としても,子どもたちの安全は一番大切なことでございますので,危機管理マニュアルについて各学校にアンケートを実施し,アドバイスしてほしい箇所について調査してみてはどうかと私は思います。また,そのときに今述べた避難所運営マニュアルやハザードマップが活用されているのかについてもぜひ調査をお願いしたいと考えます。この点についてどのようにお考えか,御見解をお伺いします。 先進的に取り組んでいる学校もありますので,そうした学校の内容を参考にしながら,外部専門家の活用を進めて,どの学校においても安全な取り組みができるようにしてほしいことを私は要望いたします。 3点目に,災害に強い施設園芸づくりについて質問します。 平成30年2月の大雪による園芸ハウスの雪害復旧支援事業の現状について担当者に確認しましたところ,大雪の影響で155経営体で296棟の園芸ハウスが被害を受け,11月現在で産地パワーアップ事業や経営体育成支援事業等への申請者は72経営体の162棟ということでした。被害を受けた経営体のうち,国,県,市の補助事業に申請したのが46%の72経営体,園芸ハウスは55%が再建か,再建の方向という結果になったわけです。中には,被害が軽微で自分で直したという方もいるようです。しかし,数字だけ見れば被害を受けた約半分の経営体が施設園芸づくりから離れたということになりますが,本市としてどのような状況だとお考えでしょうか。また,こうした結果になった要因についてはどのように分析しているのかお伺いします。 近年は,台風や大雪,地震等によって園芸施設の倒壊被害が各地で多発しております。こうしたことが離農につながるおそれがあります。農林水産省でも降雪前の11月と台風前の6月を災害に強い施設園芸づくり月間として制定し,県や市が園芸農家に対し被害の防止に向けた技術指導や,園芸施設共済及び収入保険への加入促進に努めておりますけれども,本市の取り組みについてお伺いします。 しかし,災害に強い施設園芸づくりは今に始まった話ではなく,以前からも災害によって農家の方は被害を受けてこられました。そのたびに対策がとられたのだと私も思います。今行っている対策の一つとして,園芸施設共済や収入保険の加入増を目指しているわけですけれども,現在の加入状況はどうなっているのかお尋ねします。こうした共済や収入保険の掛金が高くてなかなか加入できないという声も聞きます。本市では,園芸総合振興事業や未来へつなぐ福井の農業活性化プロジェクト等を拡充して,農業者の育成や所得の向上に向けた支援をされてきております。災害が頻発する中,今後とも災害に強い農業づくりの支援をよろしくお願い申し上げます。 最後に4点目,関係人口拡大の取り組みについて質問します。 本年のゆるキャラグランプリ,企業・その他ゆるキャラ部門で,福井県の中では最高の36位を獲得したのがふくインコです。大手電力会社,大手銀行など,並みいる企業ゆるキャラの中から初登場で36位という快挙をなし遂げました。このゆるキャラを制作したのは,札幌市白石区のコミュニティーFM局,エフエムしろいしです。福井市に関係の支所があり,福井市の方が社員にいらっしゃいます。このふくインコの中に入っているのも福井市の方です。札幌市で福井と言っても,多くの方がどこにあるのかさえ知らないといった現状を変えたいと,その思いだけで100万円の制作費を使ってふくインコをつくり,札幌市のイベントに出現しては私たちの福井をアピールしてくれました。その結果が36位です。社長も福井市に愛着を持たれてたびたび福井市に来てくれており,私は何度かこの社長ともお会いしています。こうしたエフエムしろいしのように,福井市に定住はしないけれども福井市とかかわりを持って活動する方を関係人口と言い,人口減少対策の一つとして最近クローズアップされてきております。 福井県が,総務省の「関係人口」創出事業のモデル自治体となり,本年度から都市人材による地域貢献促進事業が実施されております。福井市も県の中から選ばれ,本年7月からディスカバリー福井2018を始めています。県内外から15人ほどが参加され,12月までの5回の実践型リノベーションまちづくり講座を受講するとのことで,12月8日から9日には最終回の講座が開かれます。今回初めての企画でしたけれども,この事業の効果についてどのようにお考えかお尋ねします。 また,5年後の福井をみずからつくっていくというコンセプトですけれども,県内外から参加された方は今後福井市とどのようにかかわっていくのでしょうか。また,このような事業が来年度からも継続していくのかお伺いします。 都市在住の企業人材等とのネットワークづくりは,本市の東京事務所が熱心に取り組んでおられます。昨年には福井市応援隊が結成されていますけれども,福井市応援隊のその後の活動状況についてお伺いします。 総務部長は,本年9月定例会の一般質問において,定住・移住にまで至らなくても定期的に地域とのかかわりを持って活動する関係人口という考え方を取り入れた施策をあわせて進めることで人口減少対策を進めてまいりたいと答弁をされております。福井県では,人口100万人規模の地域活力を創出するという目標のもと,県外転出者等に福井県ふるさと県民証を配布するなど,既に関係人口の拡大に取り組んでおられます。本市として今後,交流人口拡大,定住人口拡大と相まって,この関係人口拡大に対しての取り組みをどのように進めていくのかについて本市の御見解をお伺いし,私の総括質問を終了します。御清聴大変にありがとうございました。 (市長 東村新一君 登壇) ◎市長(東村新一君) 私からは,関係人口拡大の取り組みのうち,今後の進め方についてお答えします。 本格的な人口減少社会に直面する中で本市の活力を維持していくためには,地域外の人材を含めた多様な担い手とのかかわりを深めていくことが重要です。総務省が平成28年11月に設置したこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討会においても,平成30年1月の最終取りまとめにおいて短期的な交流人口と長期的な定住人口だけではなく,その間で特定の地域との多様なかかわりを持って活動する関係人口の重要性が示されているところです。こうした中,本市においても都市部の若手人材を呼び込み,事業化アイデアの創出に取り組む未来につなぐふくい魅える化プロジェクトや,リノベーションまちづくり実践型講座ディスカバリー福井2018など,すぐには移住までに至らなくても継続的に本市とのかかわりを持って活動できる仕組みの構築にも取り組んでいるところです。また,本市を離れていても比較的手軽に本市を応援できる方法の一つとしてふるさと納税制度があり,引き続き普及拡大と本市の魅力発信を進めることで本市とのかかわりを深めていただくきっかけとしてまいりたいと考えております。 いずれにしても,本市とのかかわり方や程度につきましては個人の置かれた状況によりさまざまであると考えております。そのため,ふるさと納税や福井市応援隊,またその他の取り組みを複合的に組み合わせ,さまざまな形で本市とのかかわりを深めていただけるよう関係人口の拡大に努めてまいりたいと考えております。 (総務部長 玉村公男君 登壇)
    ◎総務部長(玉村公男君) 関係人口拡大の取り組みについての御質問のうち,福井市応援隊の活動状況についてお答えします。 福井市応援隊は,昨年6月28日に発足し,会員数は設立当初の226人から11月末現在で527人まで拡大しております。主な活動としては,本市の魅力や情報を会員に伝えるとともに,会員相互の交流やネットワークを広げていくための場として総会やテーマを設定した交流会をこれまでに6回開催しております。なお,ことし6月の総会では,首都圏での情報発信力を一層高めるため,本市出身でタレントの西村まどかさんを応援隊チアリーダーに委嘱させていただきました。 また,会員みずからが知人や友人,職場などで福井の魅力を発信していただくことをサポートするため,本市での各種イベントや最新情報をまとめたメールマガジンを月に2回程度発行しております。このほか,会員の方々には福井市応援隊の名刺を使用していただくことによる本市のシティプロモーションや首都圏での物産展などへの参加,修学旅行の学生受け入れなどによるキャリア教育支援や本市への社員旅行の実施,またふるさと納税などさまざまな形で本市を応援していただいているところです。 次に,中核市移行についてお答えします。 まず,中核市移行のメリットの周知についてです。 中核市移行につきましては,事務手続の迅速化やサービスのワンストップ化,社会福祉施設の利用環境の向上,連携中枢都市圏の形成など市民生活の向上につながるさまざまなメリットがあることをPRしてまいりました。市民の皆様には一定の御理解をいただいているものと考えておりますが,今後さらに理解を進めていくためにこの12月定例会で御審議をいただいております関係条例の制定や,現在パブリックコメントを実施しております連携中枢都市圏ビジョンの策定のほか,今後の関係予算の編成や組織体制の決定の中で具体化する取り組みにつきまして,その目的や効果をよりわかりやすくPRしてまいります。また,PRするに当たりましては,テレビや市政広報,出前講座などさまざまな手段を幅広く活用するとともに,中核市移行のメリットを実感していただけるよう,よりわかりやすい表現を心がけてまいります。 来年4月の中核市移行を市民の皆様とともに迎えられますよう,さらなる市民への周知に努め,移行に対する機運を醸成してまいります。 最後に,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)についての御質問のうち,福井にいる学生にいかに福井で就職してもらうかについてお答えします。 人口減少社会の中,圏域におきまして一定の人口を有し,活力ある社会経済を維持するためには,学生を流出させないことが大変重要であると認識しております。ビジョンには,企業若手人材育成支援事業という取り組みがございますが,これは圏域内における企業の若手人材と大学関係者が意見交換を行う機会を創出するものであります。大学関係者は,大学院生も含まれておりますことから,企業の若手人材の育成だけではなく,大学院生が福井の企業を知ることで地元企業への就職につながることを期待しております。また,圏域内企業の労働力確保を図ることを目的とした女性・若者等就職支援事業がございます。この事業は,圏域内企業の人材不足の解消や,労働力の確保等に向けた施策の検討を行うもので,今後はさらに学生を福井に定着させるかの視点で学生の就労促進の取り組みも検討してまいりたいと考えています。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)のうち,文化会館整備事業についてお答えします。 現文化会館は,昭和43年の開館から築50年が経過し,耐震性能の不足やバリアフリー環境の不備に加え,施設本体や設備の老朽化が著しく,最近ではトイレ設備の漏水や舞台照明の調光装置にふぐあいが生じるなどの事例が発生しております。 また,ホール本体の天井は,東日本大震災を契機とする建築基準法施行令の改正による新基準に適合していない状況です。そのため,現文化会館を使用していくに当たり,建物の状態について確認する必要があると考えており,施設の老朽化等の状況について調査を行うことを検討しており,その結果に基づき現文化会館がいつまで利用できるかを判断してまいります。 次に,新文化会館建設についてですが,財政再建計画期間中は,文化会館などの大型公共事業について原則として新たな施設整備を行わないこととしております。このため,まずは今年度からの財政再建計画の進捗をしっかりと確認してまいります。さらに,今後の財政状況のほか,社会情勢や現文化会館の状況等を踏まえて改めてしっかり協議してまいります。 次に,関係人口拡大についての残りの質問にお答えします。 まず,ディスカバリー福井2018の効果,参加者の本市とのかかわりについてですが,本年度開催しておりますディスカバリー福井では,平成34年度の北陸新幹線福井開業を控え,リノベーションを通して5年後の福井のまちをみずからつくっていくことを目的に新栄エリア,駅前電車通り北地区市街地再開発エリア,そして片町の3つのエリアを対象にした地域活性化のための事業計画を策定する実践型ワークショップを実施しております。関係人口である県外からの参加者としては,受講生15人のうちの3人と,本事業に魅力を感じて講師として参加いただいている方4人の合わせて7人が参画しております。それぞれが都市部在住者として独自の視点で地域課題を発見したり,新たな発想で事業提案を行っており,福井をよく知る地元参加者とお互いに刺激し合いながら,魅力的かつ独創的な事業計画となるよう取り組みを進めております。また,この7人の方は,ディスカバリー福井終了後も本市と都市部をできる限り行き来しながら策定した事業計画の実現に向けて取り組んでいきたいとの思いを持たれており,福井と都市部の2拠点居住を検討している方もおられます。さらに,本事業をきっかけに福井との結びつきが強まることで,都市部において福井の魅力やリノベーションによるまちづくりを発信する役割も担っていただけるものと期待しております。地元参加者についても,都市部で活躍されている方からよい刺激を受けて,より積極的にまちづくりにかかわるようになってきています。このように,関係人口を巻き込むことでリノベーションにかかわる人のネットワークが大きく広がり,本市のまちの活性化につながっております。 次に,来年度の開催についてですが,今年度は総務省の「関係人口」創出事業のモデル事業として県と連携しながらまちづくり福井株式会社と共同で実施をしております。モデル事業としては今年度のみですが,来年度はまちづくり福井株式会社が主体となって事業を実施してまいります。 関係人口の取り組みについては,地域プロジェクトの参加者募集サイト,YOITOKOを引き続き活用していくほか,地域の魅力を紹介するサイト,リアルローカルを通じて事業資金をクラウドファンディングで募るなど,福井に興味を持つ都市部在住者とのつながりを強化し,福井にかかわる人をふやしてまいります。 (教育部長 内田弥昭君 登壇) ◎教育部長(内田弥昭君) 学校の危機管理マニュアルについてお答えします。 まず,校外活動中や,登校時,下校時の災害発生に対する本市の取り組みですが,学校の危機管理マニュアルは各学校が作成し,日ごろからこれに基づき児童・生徒への安全指導や避難訓練,教職員を対象とした防災研修等を実施しております。本市としましては,ことし3月,文部科学省が2月に改定した学校の危機管理マニュアル作成の手引きを全校に配付し,本手引きを活用してマニュアルの作成や見直しを行うよう指導しております。さらに,大雨や強風等の際の気象状況において警報が2つ以上同時に発令された場合や,地震や武力攻撃のときには臨時休業措置をとるなど校長が判断する上での目安を示しておりますが,実際の災害時にはその災害の状況や各学校の立地,規模などに応じた迅速で的確な判断が必要となります。このため,学校の危機管理力,判断力を高めるために,毎年県が開催する防災教室講習会に全ての学校が参加し,危機管理マニュアルの現状についてグループごとに意見交換をしたり,課題や疑問などについて防災士の方から助言をいただいたりしております。 さらに,希望する学校には,防災士や防災アドバイザーを派遣し,マニュアルの整備や災害時の判断について指導を受け,より最近の災害に対応したマニュアルとなるよう,より的確な判断ができるよう努めております。 次に,危機管理マニュアルやハザードマップなどの調査についてでございますが,学校において危機管理マニュアル作成上,疑問等があれば教育委員会にお問い合わせいただき相談に応じております。また,各学校における学校安全の取り組み状況につきましては毎年報告を受けておりますが,今後さらにアドバイスを必要とする箇所や各ハザードマップの活用状況についても調査を行い,より安全な学校運営に努めてまいります。 (農林水産部長 前田和宏君 登壇) ◎農林水産部長(前田和宏君) 災害に強い施設園芸づくりについてお答えします。 まず,大雪による被災施設再建事業の未申請者の状況についてでございますが,被害を受けたハウスの中には,畜舎や物置など,そもそも支援の対象とならないものや,ハウスの一部が変形した程度だったため御自身で修繕されたものも含まれております。また,今回の被災を機に露地栽培へ切りかえて園芸を継続している方もいらっしゃいます。このようなことから,支援を受けなかったことを主な要因として園芸栽培をやめた方はそれほど多くないと考えております。 次に,施設再建事業の申請が約半分という結果についてですが,その要因としては,今ほどお答えしたことに加え,過去に同様の大雪被害を受けた他県の支援事業と同程度の補助率を期待したが,国の補助率が思ったより小さく自己負担の割合がふえたこと,国庫補助事業である経営体育成支援事業については認定農業者など対象者が限られ,かつ被災前と比較して所得を増加させなければならないなど要件が厳しかったこと,また,同じく国庫補助事業の産地パワーアップ事業については,ハウス面積を現状よりも拡大することが要件となったこと,そして県の事業である園芸・水稲育苗ハウス雪害復旧支援事業についても,施設を雪に強い構造とすることや,保険加入などの条件が付されていること,また耕作者が高齢であり後継者もいないため,自己負担が重く,再建を断念したことなどがあったと考えております。 次に,災害に強い施設園芸づくりへの取り組みについてでございます。 まず,台風や大雪などの自然災害への備えとして,関係機関と連携しながら施設共済などの加入促進を図っております。また,気象情報を的確に把握し,災害発生のおそれがある場合には,ホームページを活用した迅速な注意喚起を行っております。さらに,今回の大雪被害を受けまして,降雪シーズン前の市政広報において,ハウスの積雪対策実施の呼びかけを行うとともに,ホームページにハウスの倒壊防止対策情報を掲載して注意を喚起しております。 最後に園芸施設共済や収入保険の加入状況についてでございます。 平成30年11月末時点での福井市内における園芸施設共済の加入状況は,126経営体538棟となっております。なお,今回の雪害復旧支援事業は全て福井県農業共済組合の園芸施設共済などの保険への加入を要件としており,今後の再建事業の進捗によりさらに加入数はふえる見込みでございます。 また,新たな制度として導入された収入保険制度につきましては,平成30年12月までが加入申請期間でございまして,現在のところ加入状況を把握できておりません。 近年は,大雪や台風など自然災害が多発しておりますので,福井県農業共済組合等と連携しながら園芸施設共済や収入保険制度への加入を進めてまいります。 ◆20番(下畑健二君) それでは,自席において質問なり,要望をさせていただきます。 まず最初に,文化会館整備事業について再質問します。 今,商工労働部長から,現在の文化会館の老朽化状況について説明がありましたけれども,お聞きして大変老朽化が進んでいるというお話でした。その老朽化について,今後どれほどの状況なのか調査することについて検討していきたいというお話でしたので,それは大体いつごろから始まって,いつごろに公表されるのか,またどういう方がそういった老朽化の判断をされるのかについてお伺いします。 ◎商工労働部長(港道則男君) 先ほどの答弁の中でもお答えさせていただいたんですけれども,現在の文化会館の老朽化については建物の状況を確認する必要があるということで,来年度中にこの調査を実施したいと考えております。これは,事業を委託して行うことになるかと思います。この中で出た結果の内容を検討しまして,改めて判断していきたいと思います。 ◆20番(下畑健二君) 来年度中に検討,調査されて,そして来年度中に結果を発表するということで,その結果を見て新しい文化会館整備の判断をしていくということでよろしいのでしょうか。多分,相当厳しい結果になるのかなとも予想されますけれども,やはりこの財政再建計画期間中に早く判断しないといけないのではないかと私は思います。今,フェニックス・プラザはもう築30年以上が過ぎて,改修が必要です。今後フェニックス・プラザの大ホールを使うとなれば音響設備に課題があり,そこの更新もやはり必要になってくるとなると,現在の文化会館は利用停止になって,またフェニックス・プラザもそういった改修が必要になってくるというように,時期が重なって大変になるのではないかと思います。私はその辺も危惧しているんですけれども,早くその辺の判断をしてほしいと思います。その判断について再度答弁をお願いします。 ◎商工労働部長(港道則男君) 新しい文化会館のスケジュールについては先ほど答弁したとおりでございます。現在の文化会館については,先ほど答弁したように来年度調査をしたいと思っておりますので,まずその状況を確認してから判断してまいりたいと思います。 ◆20番(下畑健二君) わかりました。その辺でよろしくお願いします。早く判断したほうがいいと私は思います。 もう一つ,中核市について今質問しましたけれども,やはり市民とともに喜んで,市民の皆さんとともに迎える中核市としてほしいということを先ほど質問しているんですが,そういった周知については今後テレビとか,また市政広報で,もっとわかりやすくしますよということでした。ぜひ他市の例も見ながらわかりやすい説明に取り組んでほしいと思います。今後やはり中核市に対して市民の皆さんの関心も高まってまいりますので,もっとその辺のわかりやすい周知についての取り組みを要望します。 そして,先ほど八王子市の話もしましたけれども,やはり中核市になった4月1日には,そうした中核市移行の記念式典を行っております。他市の事例を見てもどの中核市になった事例を見ましても,なった4月1日なり,そういった時期に中核市移行の記念式典を行っております。福井市においても,来年4月1日中核市移行となれば,そうした記念式典を計画するんだと思うんですけれども,その辺についてどうお考えなのか。また,その時期がちょうど福井県知事選挙と重なってまいります。中核市の記念式典を見ると,知事と市長が調印といいますか,署名をする事務引き継ぎ式といったことがあります。来年は選挙ということで知事が不在ではなかなかできないということですので,その辺のスケジュールをどう考えているのか,その点もあわせて2点御答弁をお願いします。 ◎総務部長(玉村公男君) 2点質問をいただきました。 まず,中核市移行を記念する式典につきましては,市民の皆様にも知っていただくことも必要でございますので,4月1日に中核市の移行式を行う予定としています。 それから,そのときには連携中枢都市圏に係ります連携協約の締結式も予定しているところでございます。移行するに当たっての詳細,移行式の詳細等々につきましては,今後十分詰めさせていただきたいと考えています。 ○議長(青木幹雄君) ここで暫時休憩とします。午後1時から再開します。             午前11時53分 休憩──────────────────────             午後1時0分 再開 ○副議長(谷本忠士君) 休憩前に引き続き会議を再開します。 一般質問を続けます。 次に,10番 藤田諭君。 (10番 藤田諭君 登壇) ◆10番(藤田諭君) 志政会の藤田です。私からは,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)について,里地里山を守る取り組みについての2点をお伺いします。 まず,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)について伺います。 2019年4月から,市民に最も近い基礎自治体として,その自主性や自立性を高めることでさらなる市民サービスの向上と人口減少社会や地域間闘争に打ち勝つ活力ある地域づくりを実現するため,中核市への移行となります。住民に身近な行政サービスはできるだけ住民に身近な市町村が担うという考えのもと,一定の権限が移譲され,本市独自の政策が可能となります。また,県都として役割を果たすための機能強化として周辺市町を含む圏域の牽引役となって,市町間の連携を強化し,圏域内の地域資源を総動員することで産業経済の活性化や生活環境の向上のための多様な取り組みを求められます。圏域全体の将来像を描き,圏域全体の経済を牽引し,圏域の住民全体の暮らしを支えるという役割を担う意思を有することを明らかにするため,市長が連携中枢都市宣言を行いました。その中で,ふくい嶺北連携中枢都市圏として目指すべき将来像やその取り組みなどをまとめ,パブリックコメントを実施するためのふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)が示されました。 ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)は,2019年から2023年度の5年間が取り組み期間となります。人口減少,少子・高齢化社会にあっても地域経済を持続可能なものとし,地域住民が安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするため,地域において相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携し各種の取り組みを行うことにより,一定の圏域人口を有し,活力ある社会経済を持続するための拠点を形成することを目的とし,ふくい嶺北都市圏の将来像に向けた基本方針,取り組みが出されています。 まず,1つ目,人口減少対策ですが,本圏域の総人口は2000年の67万6,000人をピークに減少が始まっており,2015年には64万7,000人となっている。国立社会保障・人口問題研究所,いわゆる社人研の推計では今後も減少が続き,2040年には54万1,000人と,2015年と比べて16.4%減少すると予想されています。今後,人口減少が加速度的に進むことになりますが,経済成長,都市機能の集積・強化,生活関連機能サービスの向上を図ることにより2040年時点では社人研推計よりも3万5,000人多い57万6,000人という水準の人口規模を維持することを目指し,圏域が一体となった取り組みを進めていくとありますが,1点目に人口減少対策の具体的な施策ではどのように連携され,どのように取り組まれるのでしょうか,お尋ねします。 2つ目,観光です。 福井市の一乗谷朝倉氏遺跡,足羽山公園,また勝山市の福井県立恐竜博物館・かつやま恐竜の森,スキージャム勝山,大野市の越前大野城,永平寺町の大本山永平寺など,市町ごとでは生かし切れていませんが,嶺北一円で連携すればすばらしい財産を活用した広域的な観光戦略がとれることとなり,観光による滞在時間を大幅に伸ばすことも可能となります。2点目に戦略的な観光施策の推進として圏域内の観光資源の魅力向上や広域観光周遊ルートの形成,情報発信力の強化のほか,外国人観光客の受け入れ体制の整備など,圏域全体の誘客拡大に取り組むとありますが,どのように連携され,どのように情報発信されていくのでしょうか,お尋ねします。 また,3点目に,観光戦略では市場の動向,ニーズ調査を始めさまざまな分析が重要となりますが,今まで本市独自ではできていなかった観光動態調査もされるとのことですが,どの程度の調査を行い,市町間でどのように連携し,活用していくのでしょうか,お尋ねします。 4点目に,嶺北連携の一番の玄関口となる本市として,圏域内への来訪者に対し観光案内等の情報発信は重要となりますし,また大都市圏を初めとした県外,海外への情報発信の取り組みはどのように強化されていくのでしょうか,お尋ねします。 3つ目,農林水産業です。 農林水産物特産品販路拡大として,圏域内の特産農林水産物や加工品の販売拡大や,地産地消を図るため,圏域内の農林水産物を初めとする特産品を圏域内外で広く知ってもらうための特産展等の開催や,物流に関する調査・研究などに連携して取り組むとされていますが,5点目に,圏域内の農林水産物,特産品の売り込みの具体的な手法はどのようにお考えでしょうか。また,売り込み品種がふえ過ぎてしまうと買い手側への売り込みが難しくなることもあるなどさまざまな問題が生じますが,どのようにお考えでしょうか,お尋ねします。 6点目に,圏域内市町の魅力ある農林水産物,特産品の圏域内での交流,販路拡大に向けての取り組みなども効果的と考えますが,そのような取り組みのお考えはないのでしょうか,お尋ねします。 4つ目,医療について,地域医療及び介護・福祉サービスの充実です。 広域連携による地域医療や成年後見支援体制,子育て環境の充実など,生活機能の強化に取り組むとある中で,既に圏域内で本市へ高度医療を求めてこられる方も多いようですが,7点目に医療分野ではどのような連携を考えていらっしゃるのでしょうか,お尋ねします。 8点目に,連携していく中で患者受け入れ等の増加が見込まれますが,負担が本市に重くかかってくることはないのでしょうか,お尋ねします。 5つ目,中心拠点整備,広域交通です。 さまざまなサービス共有が図られる中で,地域公共交通の充実が求められると思いますが,9点目に公共交通機関の利用促進など地域公共交通のネットワークの維持・強化に取り組むとありますが,どの程度強化を図られるのでしょうか,お尋ねします。 10点目に,富山市の中心拠点を生かしたまちづくりのように,将来的には圏域内市町との連携によるまちづくり構想に発展させるお考えはお持ちではないのでしょうか,お尋ねします。 続きまして,里地里山を守る取り組みについてお伺いします。 里地里山は自然と町の中間に位置し,集落とそれを取り巻く二次林,農地,ため池,草原などで構成される地域で,農林業が盛んで山間部を多く有する本市の多くがそれに当たります。里地里山は水源の涵養,自然環境の保全などの多面的機能を有し,重要な役割を担っており,特有の生物の生息・生育環境として,また食料や木材などの自然資源の供給,良好な景観,文化の伝承の観点からも重要な地域であり,農林業などに伴うさまざまな人間の働きかけを通じて良好な環境が形成,維持されてきました。 しかし,里地里山の多くは人口減少や高齢化の進行が早く,特に山間部に近い小さな集落では切実な問題となっています。里山林や農耕地の荒廃は,河川下流部の農耕地への影響だけでなく,近年多発する大雨等の被害の際には都市部への洪水などによる被害の拡大にもつながりますし,近年拡大しつつある有害鳥獣による被害の拡大にもつながります。里地里山を健全に維持することは本市の重要な問題と考えますが,1点目に里地里山に対する本市の取り組み,考えなどはどのようにお持ちでしょうか,お尋ねします。 2番目に,農耕地の保全,維持管理などには地域を挙げての活動が重要となりますが,多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払制度の利用状況はどのようになっているのでしょうか,お尋ねします。 3番目に,集落単位での農地保全などが難しくなる中,多面的機能支払交付金を活用した広域化などの取り組みもあるようですけれども,交付金の大型化による集中した事業の展開や,特に大きな負担となっている事務作業の軽減にもつながり大変有効と思いますが,どのような状況でしょうか,お尋ねします。 4点目に,地域柄,水域などでも問題点が変わってくると思いますが,広域化に向けた取り組みが進まない要因をどのようにお考えでしょうか。また,本市の取り組めていない集落への働きかけの状況はどのようになっているのでしょうか,お尋ねします。 5点目に,後日,後藤議員より有害鳥獣対策について詳しくお聞きするかと思いますが,私からも1点お尋ねします。 イノシシや鹿の被害を防止するため,電気柵や金網による侵入防止柵の設置を集落ぐるみで行っていますが,継ぎ目のない連続した防止柵の設置が重要となります。草刈りや点検など,継続した維持管理も重要となるため,大規模な鳥獣害対策を考えた複数集落による鳥獣害対策協議会の設立を進めていますが,現状と今後の方向性についてお尋ねします。 以上で総括質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 (副市長 山田義彦君 登壇) ◎副市長(山田義彦君) 私からは,人口減少対策についてお答えします。 ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)におきましては,都市圏の将来像としてそれぞれの市町が圏域全体の経済成長の牽引,都市機能の集積・強化,圏域全体の生活関連機能サービスの向上という,都市圏に求められる3つの役割を果たしていくことで人口減少,人口流出に歯どめをかけ,都市圏の活力と魅力にあふれる経済・生活圏として形成していくことを目指すとしております。 具体的な取り組みとしては,まず圏域全体の経済成長の牽引では,特産品販路開拓・拡大,また広域観光周遊ルート形成など,圏域が持つ豊かな地域資源を活用することで経済基盤の強化を図ってまいります。 次に,高次の都市機能の集積・強化では,北陸新幹線福井駅東口拡張施設整備など,中心拠点における交通結節点としての機能強化を図ってまいります。 最後に,圏域全体の生活関連機能サービスの向上では,病児保育環境整備や保育所等広域入所など,医療・福祉サービスや教育環境をさらに充実し,将来的にも質の高い安定した行政サービスの提供に努めてまいります。 このような多岐にわたる取り組みを圏域の市町が連携して推進することにより,圏域の魅力を高め,2040年時点で国立社会保障・人口問題研究所推計よりも3.5万人多い人口規模を維持することを目指してまいりたいと考えております。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)のうち,観光についてお答えします。 まず,圏域全体への誘客拡大に取り組むに当たっての連携,発信についてですが,周辺市町には大本山永平寺や福井県立恐竜博物館のほか,東尋坊や丸岡城などの観光地,越前焼や和紙,漆器,打ち刃物といった伝統工芸など,全国に誇れる観光素材があります。これらの素材と一乗谷朝倉氏遺跡や名勝養浩館庭園,越前海岸という本市の素材を組み合わせ,一つ一つの観光素材を際立たせることで魅力を高め,それらをつなぎ合わせた新たな広域観光周遊ルートを形成していきます。さらに,周辺市町と緊密に連携することでSNSやホームページ等を活用した情報発信力の強化を図るとともに,大都市圏の旅行会社,メディアへの営業活動に取り組んでまいります。 次に,観光動態調査についてですが,この調査は,圏域を訪れる観光客の年齢や性別,居住地のほか,携帯端末のGPS機能による位置情報を活用して旅の行程,宿泊地,滞在時間等に関するデータを蓄積し,観光客の行動や滞在時間の分析を行うものです。調査結果については,周辺市町と情報共有し,圏域内の観光資源の魅力向上や観光周遊ルートの形成,観光情報の効果的な発信に活用します。 次に,県外,海外への情報発信については,周辺市町と合同で大都市圏の旅行会社を対象とした圏域内をめぐる現地視察ツアーの開催や,台湾など海外での営業活動,国際旅行博といったイベントでの情報発信に取り組み,新たな旅行商品の造成による国内外からの誘客拡大に努めてまいります。 (福祉保健部長 山田幾雄君 登壇) ◎福祉保健部長(山田幾雄君) ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)の医療分野についてお答えします。 医療分野の連携ですが,圏域内の安定的な救急医療体制の確保のため,休日急患歯科診療と圏域内の基幹7病院で2次救急医療を実施する,病院群輪番制病院の運営について連携して取り組んでまいります。今後,サービス向上に向けた検討や協議などを圏域市町と行うとともに,圏域内住民に対するさらなる周知を行ってまいります。 次に,事業費の負担についてですが,患者数の増減に関係なく一定の提供体制で運営しているため,基本的には本市の費用負担は変わりません。 (都市戦略部長 國枝俊昭君 登壇) ◎都市戦略部長(國枝俊昭君) ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)の御質問のうち,中心拠点整備,広域交通についてお答えします。 まず,地域公共交通ネットワークの強化についてですが,このビジョンの取り組み期間中である平成35年春には北陸新幹線敦賀開業を迎え,首都圏から観光などで多くの人が訪れることが見込まれております。来訪者に圏域を快適に移動していただくためには,圏域全体で既存の公共交通ネットワークの連携を図る必要がございます。また,圏域の中心となる福井駅を拠点として,地域鉄道とバスなどの二次交通のネットワーク強化も求められます。このため,主要な鉄道駅付近のパーク・アンド・ライド駐車場の実態の把握や,市町間に相互乗り入れ可能なコミュニティバスの運行経路の検討,公共交通の乗り継ぎ利便性を高める交通系ICカードの導入に向けた協議など,広域的な公共交通ネットワークの強化に取り組んでまいります。さらに,圏域内外や来訪者に向けて公共交通ネットワークの情報発信を強化していくことで,圏域内の交流人口の拡大を目指してまいります。 次に,圏域市町との連携によるまちづくり構想への発展についてですが,本市としては,来年度から開始されるふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョンにおきまして圏域内の現状における特徴と課題を踏まえつつ,圏域を構成する各市町の特性を生かし,相互に連携し補完する関係を築くことが大切であると考えております。また,今後圏域市町との連携による将来のまちづくり構想としてこのビジョンを発展させるためには,まずはビジョンに掲げられている具体的取り組みについて一丸となって取り組み,互いの信頼関係を構築していくことが重要であると考えております。 これらを踏まえ,魅力的で質の高い都市的サービスの提供など高度な中心拠点の形成に努めてまいりたいと考えております。 (農林水産部長 前田和宏君 登壇) ◎農林水産部長(前田和宏君) ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョン(案)についてのうち,農林水産業についてお答えします。 まず,圏域内の農林水産物,特産品の売り込みの手法と課題についてですが,売り込みの具体的な手法としては,県外での物産展やイベント出展のほか,都内飲食店において圏域内の農林水産物や加工品などを使用したメニューを提供するフェアを予定しています。圏域内には,本市の特産品に加え,あわら市のメロンや大野市の里芋,永平寺町のニンニクなど,それぞれ特色ある農林水産物等がございます。そのような各市町の多彩な農林水産物等を一体的に売り込むことで,より効果的なPRが可能となり,販路開拓・拡大につながるものと考えております。さまざまな課題が生じることも想定されますが,各市町と協議し,適切に対応してまいりたいと考えております。 次に,圏域内での交流や販路拡大に向けての取り組みについてお答えします。 圏域内での取り組みとしましては,ハピテラスなど各市町の集客性の高い場所を順に回るフードフェスなど,圏域の農林水産物等を集めた販売イベントを開催します。また,圏域内の食材を使用し,家庭で手軽に調理することができる料理キットの製作を進めてまいります。さらに,各市町の学校給食において圏域内の農林水産物を使用し,それらについて児童・生徒に紹介するといった取り組みを進めてまいります。 こうした取り組みを通しまして,圏域内の農林水産物等の周知と食べる機会を提供し,圏域内での販路拡大につなげていきたいと考えております。 次に,里地里山を守る取り組みについてお答えします。 まず,里地里山に対する本市の取り組み,考え方についてですが,里地里山地域には農地が広がり,その多くが農村でございます。そのため,農地の維持や環境保全を目的とする多面的機能支払交付金や,中山間地域等直接支払制度により,農地,農村の保全を図っております。 一方,里山を守るためには適切な整備が必要となります。里山の整備については,森林の有する多面的機能を発揮させるため,森林組合及び自伐林家と連携し,森林所有者との話し合いを進め,国や県からの支援を活用しながら森林整備を推進しております。また,森林整備を進めるには,未来につなぐ人材の育成が重要であることから,森林組合と連携し,U・Iターン者を含めた新規就業者の確保を行っております。 さらに,自伐林家を育成することを目的に,林業の基礎知識や現場での作業などの講習会を行うとともに,市内の山の市場へ間伐材を搬出することに対しまして支援を行っております。 しかしながら,森林を取り巻く現状は,木材価格の低迷,山村の過疎化等による森林所有者の林業経営意欲の低迷や,森林所有者の移住や相続による世代交代により境界が不明な森林の増加など厳しい状況です。 このことを受けて国は,放置された森林について市町村が仲介役となり,森林所有者と林業経営者をつなぎ,適切な森林管理を実現するために,森林経営管理法を平成30年6月1日に公布し,来年4月1日より施行することとしております。今後は,この森林経営管理法に基づき森林整備を実施し,間伐手おくれの森林の解消を図るなど,健全な森林の育成に努めます。このことにより,良質な木材生産が可能となり,林業経営の安定化と魅力ある林業の実現につながることが期待され,結果として若者の新たな就業も生み出されることが見込まれます。 次に,多面的機能支払交付金活動の活用及び中山間地域等直接支払制度の活用の現状についてお答えします。 まず,多面的機能支払交付金活動には3つの支援内容があり,平成29年度末時点において水路の泥上げや農道の草刈りなどの農地維持活動を実施している組織が187組織,水路等の軽微な補修や農地の景観形成などの共同活動を実施している組織が182組織,水路の布設がえや農道舗装等の施設の長寿命化活動を実施している組織が144組織となっています。 次に,中山間地域等直接支払制度ですが,この制度は生産条件が不利な地域での農業生産活動を継続するために,主に水路の泥上げや農道の草刈りなどの農地維持活動を支援しているもので,平成29年度末時点において51集落が活用しております。 いずれの活動も,農地の維持や農業施設の保全には欠かすことのできないものであり,これらの取り組みを地域で行うことで災害防止や耕作放棄防止につながるものと考えております。 次に,多面的機能支払交付金活動の広域化の取り組み状況についてお答えします。 本市では,平成29年度末において187組織がこの活動に取り組んでおり,そのうち広域化されている組織は4組織となっております。 次に,広域化に向けた取り組みが進まない要因についてお答えします。 広域化を行うためには,参加集落の合意形成が必要となります。しかしながら,現在の集落単位組織で円滑に活動が進んでいること,また集落単位で活動するほうが自由度が高いことなど,現在の状況に満足していることから変化に対する抵抗感があるなど,意見がまとまらないことが大きな要因と考えております。 次に,広域化に取り組めていない集落への働きかけの状況についてお答えします。 本市では,県や土地改良連合会と連携し,集落単位でこの活動に取り組んでいる組織に対して広域化による集落間での人材の活用や交付金の融通ができることなどの広域化のメリットの周知に加え,活用事例や組織の運営等について研修会を開催するなど指導・啓発を行っております。 最後に,複数集落による鳥獣害対策の現状と今後の方向性についてお答えします。 現在本市では,県とともに鳥獣被害が発生している地区において地元説明会を開催し,集落ぐるみで鳥獣害対策を行うことを推奨しております。しかしながら,中山間地域においては山際に連続して集落がある場合や,高齢化で担い手が不足するなど,1集落での対策より複数集落での対策が効率的な場合がございます。そういった場合には,近隣の複数集落と協同で鳥獣害対策協議会を設立し,鳥獣害対策に取り組むことを働きかけております。その結果,複数集落で構成された対策協議会は10団体が設立されております。今後も県と協力して集落の実態に合った鳥獣害対策協議会設立を促進してまいります。 ◆10番(藤田諭君) まず最初に,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョンについて要望させていただきます。人口減少対策について話が少なかったかなという言い方はおかしいんですが,あまり具体的には取り組まれていないのかなと思っております。実際,今回社人研の人口推計では54万人まで減ると言われている人口を57万5,000人で維持したいということです。その差3万5,000人といいますと1つの町の人口に相当するということになりますので,大変厳しい数字かなと思います。その中で,やはり人口減少対策は大変な,力を入れなくてはいけないところなのかなと思っております。そのための中核市であり,そのための連携中枢都市圏ビジョンの話なのかなと思うんです。魅力を向上することによって町の魅力を上げて若い人たちが出ていかないようにする,あるいは新しい人に入ってもらいたいという考えはもう十分承知しているんですが,特に福井市外の市町の方たちはこれに関して大変期待されているところも多いのかなと思っておりますので,具体策としてぜひ何か打ち出していただきたいと思います。生活や通勤,通学の向上に向けた地域公共交通や,医療,介護,福祉サービスなどの中心拠点整備による相互の医療の充実,また利便性の向上にはもっと踏み込んだ具体策が必要になってくるのかなと思いますし,そういうところに踏み込むことにより大変充実した連携がとれてくるのかなと思います。ぜひ具体案を出していただきながらこういうところに力を入れていただきたいなと思っております。 その中で,やはり気をつけなくてはいけないと思うのが,本市のみが負担がふえていくことです。市町間の相互の連携が重要になってくると思いますので,そういうところにもぜひ力を入れていただきたいと思っております。 あと,里地里山を守る取り組みにつきまして,殿下地区に若い地域おこし協力隊の方が新しく加わっていただいたということがきょうの新聞に載っていました。若い力,新しい力というのは本当に魅力的な力だと思うんですけれども,なかなかそれが入ってこない,あるいは充実してこないということが現状にある中で,人手がなくなると,やはりこの二次林やため池,また農地などの里地里山が放置され,下流域への被害が拡大してしまうことというのはこれから心配される大変大きな問題だと思っております。限界集落が,どんどんふえてきていると思うんですが,その中で他の地域,あるいは下流域に住んでいる方が自分のためにその上流の地区も守っていこうという考え方もこれから必要になってくると思いますし,広域化という考え方は大変重要になってくると思います。一極に集中した事業の展開も可能ですし,あと計画的な事業を進めることも可能になってくると思います。今は充実しているといいますが,5年後,10年後の先を考えたまちづくりにおいては,里地里山を真剣に考えていかなくてはいけないのかなと思っております。地区の皆様だけでなく,ぜひ行政からも少し指示を入れていただいて,本気の地区の改革というものにお力添えをいただければなと思っております。ぜひ御協力をよろしくお願いいたします。 ○副議長(谷本忠士君) 次に,11番 田中義乃君。 (11番 田中義乃君 登壇) ◆11番(田中義乃君) 一真会の田中でございます。私は,通告に従いまして2項目質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。 まず,ものづくり企業の支援についてでございます。 去る10月23日には,55年ぶりとなる2025年に大阪・関西万博の開催が決定しました。大阪港に浮かぶ人工の島,夢洲を会場として,期間は6カ月で約2,800万人の来場を想定,政府は2020年東京オリンピック後の景気浮揚策と位置づけており,約2兆円の経済波及効果を見込むということであります。折しも半世紀前,1964年の東京オリンピック,その4年後の1968年の福井国体,さらに2年後の1970年には大阪万博という経緯があり,1960年代はまさに高度成長期,それを支えていたのは日本の物づくりだったと思います。その後,1970年,1980年代の安定成長期を経て,1990年代初頭にはバブルが崩壊し,失われた20年と言われる低成長期になっていきます。そして,今後はAIやロボットが物づくりを先導していく時代になることは明白であります。 福井の物づくりというと,かつては繊維王国福井と言われたほど繊維工業が福井の物づくりのイメージであり,福井らしさであったのですが,現在では航空機のボディーや人工衛星の部品として使用されている炭素繊維織物や光ファイバー織物などの最先端の繊維技術も福井発であります。何回も引用していますが,5年前の先輩議員の一般質問で,物づくりというのは単純に物をつくるということではない。高度な技術を背景として大事につくり上げられたもの,誇るべきものという意味が込められている。こうしたオンリーワンの技術を育み,集積させることこそ,激化する国際競争の中で製造業を国内につなぎとめ,地域活力の向上に寄与する施策であり,本市のイメージアップ,福井らしさの確立にも資する施策と言えるのではないかと述べられています。まさにこの誇るべきもの,このプライドこそが福井らしさであり,私たちはもう一度誇りと自信を持ち直さなくてはなりません。それが「みんなが輝く 全国に誇れる ふくい」を具現化して,まちづくりや観光,産業,企業誘致や創業につながります。この福井プライドこそ,高校を卒業して都会に出ていく子どもたちを福井につなぎとめる一助となるのではないでしょうか。 まず,企業のMアンドA,企業の合併・買収についてお伺いします。 人口減少と高齢化が急激に進む中,経営者の高齢化が進む中小企業は事業継承問題に直面しています。福井県は,人口10万人当たりの社長の輩出率が全国1位,つまり小規模の会社が多く,後継ぎ予定者は高校卒業後に都会に流出してしまうため,後継者不足は深刻な問題になっています。県が行った調査によりますと,経営者が60歳以上の企業の割合はおよそ6割,さらにそのうちのおよそ4割は後継者が決まっていない,もしくは廃業を検討していると回答しています。さらに,廃業を検討している企業のおよそ6割は,実は黒字経営だということです。経営を続ければ利益が出るにもかかわらず,後継者がいないことを理由に廃業に追い込まれる企業は少なくありません。多くの企業が今,望まない廃業の危機にさらされています。 福井商工会議所は,2015年に中小企業の事業継承をサポートする関連団体,福井県事業引継ぎ支援センターを立ち上げました。主にMアンドAにより事業承継を支援する方針で,ことし6月以降対象企業を募集し,金融機関や行政などと連携して年間10件以上の成約を目指しており,5月31日には,MアンドAによる事業継承の1号案件として,障害者就労を支援する福井市の有限会社ワークハウスが,福井市の老舗和菓子屋の恵比須堂から事業を買収しました。今後,菓子の製造技術や従業員はワークハウスが引き継ぎます。軽作業を中心に障害者が製造工程にかかわる形で和菓子づくりを続けるとのことです。MアンドAによって労働生産性は高まります。お菓子屋として,のれんとお菓子,従業員の雇用が継続される大変ありがたい話ではありますが,ここで質問です。 経済センサスによりますと,福井県の開業率は3.7%,廃業率は3.3%,プラス0.4%となっていますが,福井市においては企業の開廃業についてどのように分析されていますか。福井市としては,企業のMアンドAについてどのような支援を考えるのか,御所見を伺います。 次に,インキュベーション施設についてお伺いします。 以前,産業活性化対策特別委員会で浜松市のインキュベーション施設を視察しました。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が静岡県及び浜松市からの要請により,インキュベーション施設,浜松イノベーションキューブの整備事業について事業を採択し,平成18年に施設の利用を開始しました。静岡県及び浜松市と一体になって大学や地域の研究機関と連携して,主に光,電子技術関連の物づくり分野におけるベンチャー企業の創出を目指しています。起業を目指す個人,ベンチャー企業,新事業展開に取り組む中小企業等が入居するための実験室,研究室等を整備するとともに,インキュベーションマネジャーが施設に常駐して入居者に対してビジネス支援を行い,すぐれた新しいビジネスへの挑戦を支援しています。中小機構では,全国で29のインキュベーション施設を展開しており,こうした行政支援のもと,福井市においても国,県との連携の中で行政の稼ぐ力を育てる将来において大変有効な施策だと思いますが,現在の福井県内のインキュベーション施設について伺います。 また,福井駅周辺の再開発事業にこうした施設の構想があると聞いておりますが,わかればお願いします。 マーケット開発支援事業についてですが,日本銀行の福井事務所のこの秋の調査によると,設備投資は製造業では能力増強・研究開発投資,非製造業では小売関連で新規出店,物流センター新設等の動きが見られる。また,引き続き省人化投資の動きが広がっています。福井市のマーケット開発支援事業のものづくり支援補助金はことしで12年目を迎えます。当初は10件以上の採択がありましたが,この2年は2件程度にとどまっています。枠が減ったのか,応募が減ってきているのか,この原因について伺います。 また,生産性向上設備投資支援補助金の採択状況についても伺います。 また,今後の物づくりに対する支援の方針をお聞かせください。 積極的な補助金活用をPRして,少しでも企業の財務体質の改善,法人市民税収入の向上につながるような補助金政策を展開してほしいと思います。 次に,福井市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略のKPIについて伺います。 平成27年に策定されました福井市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略の基本目標,福井の産業の強みを生かし働く場を創出する。福井の物づくり応援の5年間のKPI,1,000人の新しい就業の場を創出,物づくり支援,設備投資,人材育成,新市場開拓,販路開拓に係る中小企業への支援件数375件,新事業の創出件数6件,企業立地数17件,創業者数400件,事業継承相談者数25件。以上についての毎年の推移を示してください。また,福井市財政再建計画によってこの数字に影響が出るのか伺います。 中小企業の物づくりはほかの産業と異なり,雇用者,特に正規社員が多いのが特徴です。福井市では,未来につなぐふくい魅える化プロジェクトや事業創造プログラム,XSCHOOL等の事業が若者のネットワークづくりに有効だと思います。成果を見える化するには時間がかかると思いますが,これまでに新しい動きが見えるようであれば教えてください。 福井市の大きな課題は税収を上げることですが,なかなかその方策は見つかっていません。11月24日に特定非営利活動法人福井まちなかNPO主催の県都づくりシンポジウムに参加しました。総務省自治行政局行政経営支援室の植田室長の基調講演を受け,コメンテーターの滝波経済産業大臣政務官から,最近ショック療法と話題の総務省の自治体戦略2040構想について,同構想は縮小均衡を前提としているが,それだけでなく,グローカル成長戦略など拡大・成長の模索の面も忘れてはならないとコメントをいただきました。福井市の財政再建計画は縮小均衡を目指すものではありますが,それは今後の行政のフルセット主義からの脱却,スマート自治体への転換,圏域単位での行政という方向への転換です。しかしながら一方では,福井市の成長戦略を構築し,稼げる福井市としての足がかりを求めていかなくてはならないと思います。 なお,県都づくりシンポジウムでは,福井市からは未来づくり推進局の林局長がパネラーとして参加され,現在の福井市の人口が予定されている数字よりかなり上振れしているという明るい情報を示されました。そして,福井市の施策を総務省と経済産業省に猛アピールされたということを申し添えておきます。 次に,2項目の障害者雇用水増し問題について伺います。 8月には,国土交通省や総務省などの中央省庁が,障害者の雇用割合を42年間にわたり水増ししていた問題が発覚。長年にわたって見過ごしてきた厚生労働省の責任は大きく,障害者の雇用と自立支援を促進すべき先導役として信じがたい背信行為であります。国は,中央省庁での水増し問題を受け,全国の自治体に再点検を要請し,その結果,福井労働局は10月22日,県内の自治体などの障害者雇用の点検結果を公表しました。県内17の市町のうち,昨年6月時点で法定雇用率2.3%を下回っていた自治体の数は,福井市を初め11自治体に及んでいます。福井市が最初に記者発表したとき,障害者手帳の把握の方法が不適切であったため10人分が除外されました。しかし,福井労働局からさらに厳密な基準が示され再度調査すると,非正規雇用の職員が分母に加えられたことにより23人の不足が明らかとなりました。この23人の不足は平成29年度の結果であり,平成30年度6月1日現在の結果は12月に出るようですが,私は福井市は数あわせをするのではなくて,平成30年度の状況をきちんと示すことがまず第一歩だと思います。 そこで,現在福井市での障害者雇用は具体的にどのような状況か伺います。 福井市は,平成30年度の職員採用に対しては今なお身体障害者対象の受験資格が存在しています。これは,発達障害を含む精神障害者,知的障害者を明らかに差別しているものではないでしょうか。なぜ身体障害者だけに限らないといけないのでしょうか。実際には,採用するかしないかは別ですが,現在医学の進歩で若者の身体障害者数は減少しており,障害者雇用の達成のためには精神障害者などの採用が不可欠だと思います。そのためには,職場環境を整えないといけませんが,何をすべきか早急に検討すべきであります。障害者数の水増しは意図的に違法なことを行ったわけではないと思いますが,理解不足で恣意的に数字を積み上げたものと聞いております。それなら,早急に改善のために動き出さないといけません。 国は,10月中に精神障害者,発達障害者を含む雇用をするための講習会を急遽開催しました。現在福井市としては,障害者が働きやすい環境整備についてどのようなことを行っているのか伺います。また,今後どのような職場での雇用が可能で,どのような配慮が必要か,法定雇用率を達成していくための障害者雇用計画について伺います。 さて,民間企業の場合は,法定雇用率を下回るとペナルティーが科されます。ペナルティーがない行政機関が不適切な算定をしていたことに対し,民間などからは批判が高まるのは当然のことであります。民間企業の場合は,法定雇用率に達成していないと労働局から厳しい指導を受け,従業員100人超の企業は未達成分1人当たり5万円の納付金が課せられます。改善しないと企業名が公表されるなどの制裁を受けます。また,赤字でも障害者雇用は義務とされており,積極的に障害者を雇い,適材適所で一般従業員のやる気を高めて業務の効率化につなげて成果を上げている企業も多いです。 ここで,テレビ番組でも取り上げられました中小企業を御紹介いたします。 神奈川県川崎市にある日本理化学工業株式会社は,全従業員85人中63人,70%以上が知的障害者で,そのうち26人が重度の障害者です。学校で使う粉の出ないチョークのトップシェアの会社です。会社創立は昭和12年ですが,知的障害者の雇用は昭和35年,2人を雇用したのがスタートでした。近くにある養護学校の先生が,知的障害を持つ生徒たちの就職の依頼に来たのです。社長は,責任を持てない,難しいと思い依頼を断りましたが,先生は諦めずに何度もやってきました。知的障害を持つ生徒たちは卒業後,就職先がない場合,親元を離れて一生施設で暮らすことになるということで,彼らは働くことを知らないまま生涯を終えます。先生は,雇用するのは無理であっても,彼らに働く体験をさせてもらえないかと頭を下げました。社長は,先生の熱意に押されて短期の体験だけならと承諾しました。こうして,約2週間という期間を設け,15歳と17歳の知的障害者の少女2人を体験研修という形で預かることにしました。知的障害者は,一般的には読み書きや計算などに支障がある場合が多く,そこで商品のラベル張りを任せることにしました。ラベル張りを任された2人の少女は真剣なまなざしで集中力を切らさず,昼休みも忘れてこちらがやめろというまで一心不乱に幸せそうに働き続けました。さらに,印象的なのは,褒めてあげたときの満面の笑顔,見ているだけで一般社員たちは癒やされました。そして,2週間の研修が終わると社員が,彼女たちの面倒を私たちが見るので雇ってほしいと社長のもとに直談判にやってきたのでした。 なぜ彼女たちはここまで一生懸命働こうとするのだろうか。社長は人間の究極の幸せは愛されること,褒められること,人の役に立つこと,人に必要とされること,福祉施設で大事に面倒を見てもらうことが幸せではなくて,働いて役に立つことこそが人間を幸せにするのですと言います。健常者には当たり前過ぎて気づくこともない幸せを手放したくなくて,2人の少女は頑張っていきました。 こうして社長は,人間の幸せは人に必要とされて働き,自分で稼いで自立すること,そういう場を提供することが自分にできることではないかと考え,障害者多数雇用に踏み切ったのでした。また,次のようにもおっしゃっています。重度の障害者が働ければ,間違いなくより軽い障害の人たちの雇用も進む。あらゆる人が何らかの仕事につける皆働社会を目指したい。特別支援学校を出たら企業がすぐ雇えるようにしたい。そのほうが幸せを早く感じられることができるし,成長できる。施設で保護されるよりもみずから働くことを選ぼうとしている人々がいる。そのことは,働く意味や福祉のあり方について大事なことを示唆しているとおっしゃっています。障害者雇用がなかったら私の会社は小さな町工場で一生終わっていた。むしろ知的障害者に導かれて企業としてここまで成長してこれたとおっしゃっています。障害者の法定雇用率といった政策も大事ではありますが,まずは障害者への理解,先入観,偏見の払拭に努力が必要です。障害者の能力をしっかりと洗い出し,トライアル雇用の推進が必要だと思います。 事例でも申し上げたように,中小企業のほうがまだ雇用しやすい側面もあります。また,産業によっては大きく雇用事情は異なります。製造業などは特に能力を生かせる業種ではないでしょうか。また,健常者よりもすぐれた独創的な能力を持った人もいる。しっかりと業種別に,また障害者の能力別にきめ細かな対応,コーディネートが必要だと思います。 最後に,民間における障害者雇用の推進についての御所見をお伺いして,私の質問を終わります。ありがとうございました。 (副市長 山田義彦君 登壇) ◎副市長(山田義彦君) 私からは,ものづくり企業の支援のうち,未来につなぐふくい魅える化プロジェクトの成果についてお答えします。 本プロジェクトの主要事業であるXSCHOOLなどの事業創業プログラムは,都市部から若手人材を呼び込み,市内のパートナー企業や福井の若者との交流を通じ,新たな事業化アイデアの創出に取り組むという事業でございます。あわせて,その過程で本市の魅力を直接感じ,情報発信してもらうことで移住・定住や関係人口の増加につなげていくことを目的としております。この事業をきっかけとして,これまで福井と縁のなかった都市部のクリエーティブな若者たちが本市にみずから足を運ぶようになり,地元の若手人材との交流が生まれるなど,地域を越えた新しいネットワークが生まれているところでございます。 また,このプロジェクトを通じ,新たに開発されたものも製品化されてきております。例えば訪日外国人の方々にも福井の食を安心して味わっていただけるように,食材や栄養成分を日本語と英語で表記した駅弁,越前朝倉物語が昨年12月から福井駅と金沢駅で販売されておりますが,月平均約1,000個を売り上げているところでございます。また,本年9月には過去の事業創造プログラム参加者が地元のみそ製造販売業者と連携して開発した新商品福井絵巻味噌が発売となり,本市の文化や歴史を伝えるお土産品として販路開拓が進められているところでもございます。 今後も引き続き本プロジェクトによって生まれたネットワークの拡大に努めますとともに,地元企業,大学,金融機関,マスコミなどと連携し事業創造を支援していくことで成果の見える化につなげてまいりたいと考えております。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) 初めに,ものづくり企業の支援のうち,福井市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略のKPIの質問にお答えします。 まず,毎年の数値の推移についてですが,新たな就業の場を創出については,5年間の目標1,000人に対し,平成27年度282人,平成28年度481人,平成29年度592人で,平成29年度末での進捗率は59%です。以下,平成27年度から平成29年度までのそれぞれの数値,進捗率で申し上げますと,ものづくり支援,設備投資,人材育成,新市場開拓,販路開拓に係る中小企業への支援件数は,目標375件に対し平成27年度57件,平成28年度110件,平成29年度172件,進捗率46%です。 新事業の創出件数は,目標6件に対し平成27年度2件,平成28年度3件,平成29年度5件,進捗率83%,企業立地数は目標17件に対し平成27年度6件,平成28年度12件,平成29年度20件,進捗率118%,創業者数は目標400件に対し平成27年度99件,平成28年度191件,平成29年度267件,進捗率67%,事業承継相談者数は目標25件に対し平成27年度ゼロ件,平成28年度5件,平成29年度10件,進捗率40%です。 次に,福井市財政再建計画による影響ですが,ものづくり支援,設備投資,人材育成,新市場開拓,販路開拓に係る中小企業への支援件数の目標375件については,今年度の予算縮減対象事業に該当しており支援件数が減少することから目標達成は難しい状況ですが,5年間で1,000人の新たな就業の場を創出するという数値目標や,ほかのKPI指標については影響はないと考えております。 次に,企業のMアンドAについてですが,まず開業率,廃業率については,雇用保険事業年報に記載の数値を用いて計算すると,直近の平成29年度の開業率は福井県が3.3%,全国平均が5.6%,廃業率は福井県3.2%,全国平均3.5%と,いずれも全国平均を下回っています。また,平成25年度から平成29年度の開業率を比較すると,全国平均が4.8%から5.6%に上昇する一方,福井県は3.8%から3.3%に下がっており,全国平均との差が広がっております。この状況を改善し開業率を上昇させるため,本市としては福井市創業支援等事業計画に基づき支援機関と連携して開業を促進し,地域経済の活性化を図ってまいります。 次に,企業のMアンドAの支援についてですが,中小企業庁が作成した事業承継に関する現状と課題についてによると,法人経営者の親族内承継は減少傾向にあり,直近5年では社外の第三者への承継が約4割まで増加しております。企業の合併・買収,いわゆるMアンドAによる事業承継は,技術やブランドの継承,従業員の雇用確保など大きなメリットがある一方,その実施に当たっては事業の譲渡に関する法務や税務手続が必要となることから,専門的な支援が大きな役割を果たします。このことから本市では,平成28年度から税理士などの専門家を対象に事業承継セミナーを開催しており,今年度は福井県事業引継ぎ支援センターと連携し,MアンドAに焦点を当てた実務的なセミナーを3回開催しました。税理士や司法書士など延べ154人の方に参加いただき,細かい論点についての理解が深まったとの評価をいただきました。今後も,福井県事業引継ぎ支援センターや,福井県事業承継ネットワークと連携し,MアンドAを含めた事業承継を促進してまいります。 次に,インキュベーション施設についてですが,インキュベーション施設とは,創業しようとする個人や創業間もない事業者に対し通常より低い入居費用で賃貸スペースを提供するとともに,経営アドバイスを行うことで入居者をサポートすることを目的とした施設であり,県内では福井県産業情報センターと勝山市が設置しています。坂井市にある福井県産業情報センターでは,IT関連業種を対象に17室のスペースを設けており,必要に応じて専門家のアドバイスも行っています。勝山市では,市内の中小企業者を対象に3室のスペースを設けております。 次に,福井駅周辺の再開発事業でのインキュベーション施設の設置についてですが,駅前電車通り北地区A街区市街地再開発準備組合が検討しています。準備組合からは,まちの機能として若手人材の雇用創造や交流による新産業の創出をインキュベーション施設が担うことを考えているが,具体的な内容はまだ決まっていないとお聞きしております。 次に,ものづくり支援補助金についてですが,平成24年度は7件の応募があったものの,その後は5件以下と応募数が伸び悩んでおり,またそれに伴い予算も見直してきたことから採択数は減少しています。 次に,生産性向上設備投資支援補助金は,社会の深刻な課題となっている人手不足に対応するため,より労働生産性の高い事業を対象とし,経営や生産技術の専門家による審査会の意見に基づき採択するもので,昨年度までの生産拡大設備投資支援補助金を変更しています。今年度は8社から応募があり,そのうち鉄鋼業や食品製造業など6社を採択しております。 次に,今後の物づくりに対する支援の方針についてですが,ふくい嶺北連携中枢都市圏ビジョンに新製品開発支援や新技術創出支援を掲げており,圏域の強みを生かしながら新たな価値の創出を支援してまいります。 また,設備投資については6月に国の同意を受けた福井市導入促進基本計画により固定資産税の軽減や国のものづくり・サービス補助金などの優先的採択など市内企業の設備投資を支援しており,11月末までに市内企業の設備投資に係る計画67件を認定しました。 今後も,これらの施策を積極的に活用し,付加価値や労働生産性の向上を図り,本市における物づくり企業の競争力の強化に取り組んでまいります。 次に,障害者雇用水増し問題についてのうち,民間における障害者雇用の推進についてお答えします。 民間の障害者の平成29年6月1日現在の法定雇用率は,福井県内で2.40%,全国6位となっています。なお,福井市内は2.55%であり,全国の1.97%と比べいずれも高く,障害者の雇用が浸透していると考えられます。しかしながら,障害者雇用への理解をさらに深めていくことは重要なことから,9月の障害者雇用支援月間に福井労働局や県などの関係機関とともに市民を対象とした啓発活動として特別支援学校生徒の作品の販売,展示を行うなどのふくい障害者ワークフェアや,事業主を対象としたふくい障害者雇用推進セミナーを開催しています。市の独自の取り組みとしては,雇用する企業への支援として国の特定求職者雇用開発助成金の支給期間満了後に引き続き1年以上雇用を継続した市内事業主に対し,雇用奨励金を交付することで障害者の雇用の継続と定着を図っております。 障害者御本人に対しては就職支援セミナーを開催し,自己分析,履歴書の作成,模擬面接などのきめの細かい指導を行っております。さらに,これを実践的なプログラムとするため,ハローワーク福井主催の障害者合同就職面接会に受講者全員に参加していただき,個人の能力や希望に合った職業についてもらうための支援をしております。 今後も,障害者の方にとって働きやすい環境となるよう市民への啓発,企業や障害者本人への支援に引き続き取り組んでまいります。 (総務部長 玉村公男君 登壇) ◎総務部長(玉村公男君) 障害者雇用についてお答えします。 まず,本市の現状のうち,障害のある職員数についてですが,厚生労働省の指導を受けた後,再点検を行った11月末現在,障害者雇用制度上の算定で45人となっております。なお,同制度では重度障害者1人を2人として算定することから,実人数につきましては35人です。 また,業務内容としては,障害のない職員と同様の業務に従事することを基本としておりますが,障害の種類や程度によりましてはデスクワークのみとするなど一定の配慮を行っているところです。 次に,障害者が働きやすい環境整備についてですが,本市では障害を持つ職員から勤務等に当たって必要となる配慮事項についての申告を随時受け付けています。また,障害を持つ職員の人事異動に際しては,業務内容への配慮のほか,バリアフリーなどの環境が整備された配属先とするなど,働きやすい環境の確保に努めているところです。 最後に,今後の職場における配慮や法定雇用率の達成についてです。 現在国では,データ入力など比較的軽易な業務などの洗い出しを行い,さまざまな障害を持つ職員の雇用に対応できる方策の検討に入ったと聞いております。本市としても,この国の動向や他市の状況を注視しながら障害の種類や程度に応じてよりきめ細かい対応ができるよう,業務の洗い出し等を進めていきたいと考えております。 また,法定雇用率についてですが,福井労働局や障害者団体等からの助言などもいただきながら効果的な情報発信に努め,正規,非正規を問わず障害者の新規採用を積極的に進めるとともに,在職職員の障害の有無を的確に把握することで早期に法定雇用率を達成できるよう努めてまいります。 ○副議長(谷本忠士君) 次に,32番 西村公子君。 (32番 西村公子君 登壇) ◆32番(西村公子君) 日本共産党議員団の西村公子です。私は,市民から寄せられた切実な意見や要望を市政に反映する立場から,市政に対する一般質問を行います。 第1に,消費税10%への増税の問題点と,幼児教育無償化についてお尋ねします。 1つには,消費税8%への増税が行われてから4年半が経過しましたが,消費は冷え込んだままです。総務省の家計調査を見ると,2014年4月の消費税引き上げ以来,家計消費は一月たりとも増税前を上回ったことがありません。年間の家計消費は1世帯当たり約25万円も減りました。国全体で7%も減っており,それだけ国民生活は貧困化しているのです。8%への増税でこれだけ消費が冷え込んだのに,10%への増税などとんでもありません。2%で5兆円の増税ですが,世帯平均で6万2,000円と言われています。しかも,低所得者ほど負担が重い逆進性が強いのが消費税です。10%への増税が市民生活と地域経済に大きな影響を及ぼすことになるのは明白ではありませんか。東村市長の見解をお尋ねします。 2つには,政府が国民の批判をごまかすために消費税増税は社会保障のためなどと説明してきましたが,実際には増税を重ねても社会保障は改悪の連続です。安倍政権になってからの6年間だけで年金,医療,介護の制度改悪と高齢化などで必要な予算のカット,抑制を合わせて3兆9,000億円も削減されました。社会保障のためという口実は真っ赤なうそではありませんか。東村市長の見解をお尋ねします。 3つには,2023年から仕入れ時の税額を取引先に通知する適格請求書等保存方式,いわゆるインボイス制度の導入が大きな問題として批判が高まっています。本議会にも請願が出されていますが,インボイスという請求書を発行しなければ業者は仕入れにかかった税額控除が受けられません。通知を発行できなければ取引を断られる危険があるため,年商1,000万円以下の免税業者も課税業者になって,身銭を切ってでも納税することを事実上強いられることになります。500万社とも言われる免税業者が存亡の危機に立たされます。日本商工会議所など,消費税増税に賛成の団体もインボイス制度の導入に反対しています。零細業者を潰してしまうようなやり方はやめるべきだと考えますが,市長の見解をお聞きします。 4つには,今回の10%への増税の際に安倍首相は,万全の対策をとると言っています。その内容は,期間限定のポイント還元や食料品などの税率を据え置きする複数税率,プレミアム付商品券など,新聞報道によると総額2兆円を超えると言われています。国民の間で混乱を招き,キャッシュレス決済を扱っていない中小商店にとっては支援どころか大迷惑です。景気が心配で増税対策をするくらいなら増税はやめるべきだと考えますが,市長の見解をお尋ねします。 消費税10%への増税の危険性を懸念する声が広がっています。内閣官房参与を務めている藤井聡京都大学大学院教授も,10%への増税は日本経済を破壊すると警告されています。そして,今なすべきは消費税増税でなく,所得税の累進課税を強化し,法人税率を引き上げることだと指摘されています。大企業は多くの内部留保を抱えており,法人税率を上げることで内部留保が実体経済に還流され,大きな経済効果が期待できると述べています。私たちもそのとおりだと考えます。今全国的に大きな災害が相次いでおり,被災地復興にも逆行する来年の10%への増税はきっぱり中止するよう強く求めます。 次に,消費税10%への増税と同時にスタートすることになっている幼児教育無償化の問題について幾つかお尋ねします。 無償化の対象は3歳から5歳で,一部の高額な保育料を徴収している施設を除き,保護者の所得に関係なく無料となります。ゼロ歳から2歳については3号認定を受けた子どもで,住民税非課税世帯は無料となります。幼児教育無償化については喜ばしいことですが,幾つかの問題点も指摘されています。 1つは,財源を消費税にしていることです。無償化は大事ですが,拡充する場合は消費税増税に連動するからです。消費税以外で財源を確保するべきです。 2つには,保育料は応能負担で,消費税負担を差し引いた恩恵は所得の高い人ほど無償化の恩恵が大きくなることです。 3つには,無償化以外にも取り組むべき課題があるのではないかということです。待機児童解消や保育士の待遇改善,保育環境整備などが関係者などから指摘されています。 4つに,認可外保育施設も無償化の対象となり,それが固定化すれば保育環境の改善がおくれるのではないかというものです。これらの問題点について,東村市長はどのようにお考えか認識をお尋ねします。 幼児教育無償化を進めていく中で,公立幼稚園の存続が危ういことも言われています。現在福井市でも公立幼稚園19園のうち9園が休園となっています。中には,小学校入学前の1年間だけ幼稚園に行かせたいという地域もあり,園によって年数は1年から3年となっています。預かり保育,すなわち延長保育のことですが,希望がないということで行われていません。長期休暇中の保育も8日程度ということで,私立園の取り組みに比べて限られたものとなっています。それぞれの地域の子育て支援をどのように行っていくのかが問われています。市民の声を十分聞いて,取り組みを充実することが大事だと考えますが,今後の公立幼稚園のあり方,見通しについてお尋ねします。 さて,無償化の制度で大きく変わることがあります。現在,政府が保育料の上限となる,国庫負担金の精算基準額を決め,それを上限として市町村が実際徴収する保育料を定めています。国の上限額は高いため,市町村が決めている保育料は上限額よりも低くする場合が多くなっています。これを保育料減免といい,減免額は市町村の負担になっています。今回3歳児以上の保育料が無料となりますが,予算的に政府が補償するのは政府が定める上限額です。その結果,市町村の保育料減免は不要になるということです。無償化に必要な予算が年約8,000億円,そのうち保護者負担の軽減が6割,市町村の負担軽減が4割と言われています。来年10月から始まる場合,来年度分は減免額の半分が負担軽減になると思われます。福井市の負担軽減は年間どれほどになるのかお尋ねします。この財源を引き続き子育て支援の充実に振り向けることが重要だと考えますが,あわせて東村市長の見解をお尋ねします。 第2に,子どもの貧困と格差解消のための取り組みについてお尋ねします。 1つには,返さなくてよい市独自の奨学金制度の創設を行っていただきたいということです。 県内の9市で奨学金制度を実施していない自治体は福井市とあわら市だけです。町でも3つの町で実施されています。内容はさまざまで,高校だけのところ,高校,大学等のところなど,金額の違いもありますが,家庭の事情で子どもが進学を断念することがないよう支援するという姿勢を持っているということです。本来,県都である福井市がリードして行うべき施策ではないでしょうか。敦賀市の医療従事者向けの場合は,卒業後,奨学金の貸与を受けた期間,市立敦賀病院で薬剤・看護業務に従事すれば返済免除となる制度です。償還型の奨学金は卒業後に多額の返済をしなければならず,重い負担になっていることが全国的に問題となっています。これからの人口減少社会に向けて帰ってきたくなるまちづくりとして位置づけて実施されるよう求めるものです。東村市長の見解をお尋ねします。 2つには,就学援助制度の小学校入学準備金の入学前支給を早く実現してほしいということです。先日,新日本婦人の会福井支部の方々が要望に来られ,懇談の中でシステム改修ができれば実現性が高くなるとの話もありましたが,いつごろを実施目標にして検討されておられるのかお聞きします。 3つには,子ども医療費助成制度の拡充についてです。 窓口無料化が実施されましたが,一部自己負担が残っています。坂井市など県内6つの自治体では,自己負担を撤廃して実施しています。また,全国的にも自己負担ありの自治体数が711に対して,自己負担なしが1,030となっています。福井市で自己負担をなくすための財源は約7,000万円とお聞きしましたが,完全無料にするよう求め見解をお聞きします。 また,高校卒業まで拡充している自治体数は,通院,入院で少し差はありますが全国で280前後あります。自己負担の撤廃を県に要望するとともに,市として検討していただきたいと思います。見解をお尋ねします。 4つには,学校や放課後児童クラブで貧困対策に位置づけた取り組みを行うよう求めるものです。朝食を食べないで登校する子どもに対して朝食の提供を行う学校での取り組みが全国的に紹介されるようになってきています。また,長期休暇中に栄養不良で痩せてしまう子どももいることから,学童保育などでの昼食提供の取り組みも模索されています。今年度から奈良市では,長期休暇中の昼食提供を実施したと報道されています。お弁当の提供ということですが,小学校の給食費とほぼ同額の値段になるよう市も補助を行っているそうです。ことし初めて実施したので課題も出ているそうですが,全体として保護者や子どもから喜ばれています。ぜひ検討していただきたいと考えますが,見解と今後の取り組みについてお尋ねします。 これからの人口減少に対しては,少子化対策や子育て支援策を最優先に取り組むことが重要だと考えますが,東村市長の考えをお聞きします。 第3に,障害者雇用における不適切な求人についてお尋ねします。 障害者雇用の水増し問題に続き,雇用の不適切な求人が明らかになっています。報道によると,28都県と財務省など複数の省庁で,自力で通勤できる,介護者なしでの業務遂行が可能であることを受験資格として規定していたことに障害者や関係者からの批判が高まっています。水増し問題も今回の不適切な求人も根っこは同じで,障害者排除だと関係者から指摘されています。つまり,できれば新たに障害者をとりたくない。ここに問題の本質があります。福井市でも担当課に確認したところ,同様の規定になっています。差別的で不適切な規定であることを認めますか,市民に対する謝罪を行うとともに,規定を削除,見直しが必要だと考えますが,いかがお考えですか,お答えください。 国は,批判を受けて文言を削除したそうですが,単に削除すれば済むという問題ではありません。障害者の労働,雇用を安定して保つための多様で継続的な支援策が不可欠だと考えます。大きく言って,一つは環境整備で,建物全体のバリアフリーやわかりやすい表示や休憩所の設置などです。もう一つは,個々に応じた支援策で,通勤時や仕事中のサポーターの配置,時差通勤や在宅勤務,テレワークなど障害にあわせた簡易な仕事の確保や作業手順の改善などです。これまで市が,簡易な仕事は民間に委託して合理化ばかりを追及してきたことと,国や県のやり方をうのみにして差別的な規定を見逃してきたことが問題であり,深く反省するべきです。今後,どのように障害者雇用改善に取り組んでいくお考えか,抜本的な見直しが不可欠と考えますが,東村市長の見解をお尋ねします。 第4に,福井市財政再建計画についてお尋ねします。 福井市財政再建計画に位置づけられている公共施設の廃止,民間譲渡等について,さきの9月定例会で村田財政部長は広く市民の方,利用者の方の意見を聞くとして,パブリックコメントだけではなく説明会やアンケート調査も含めて広く意見を聞きたいと回答されました。現在,どのような方法で意見聴取が行われているのか,また意見の集約はどうなっているのか,どのような声があったのかお尋ねします。 先日,新日本婦人の会福井支部の方々から,福井市研修センターは廃止しないでほしいという要望が出されました。懇談の中で担当者から,年間利用料1,000万円に対して公費を四千数百万円支出している。改修にたくさんの経費がかかると説明されました。一方で,廃止しないでほしいという利用者の声も聞いているとして,平成32年度までは今までどおり利用できると話されました。しかし,9月定例会で村田財政部長は,決して方向性ありきで進めるつもりはありません。また,いろんな方の意見を聞いて検討するという意味で市が頭ごなしにやるつもりは全くございませんと回答されています。混乱の中で廃止の時期が決まっているように聞こえましたが,9月定例会での回答との整合性がとれていないのではありませんか,しかとお答えください。 他の施設についても不十分な聞き取りであったり,性急な判断であってはならないと考えますが,いかがお考えですか,お尋ねします。 以上で総括質問を終わります。 (財政部長 村田雅俊君 登壇) ◎財政部長(村田雅俊君) まず,福井市財政再建計画についてお答えします。 公共施設の再編における現在の取り組み状況についてですが,昨日中村議員にお答えしたとおり,9月定例会での議論を踏まえ先月に市民アンケート調査及び利用者アンケート調査を実施しており,これらについては現在集計中です。 次に,研修センターについては,平成15年に独立行政法人雇用・能力開発機構から譲り受け,隣接する福井市職業訓練センターとともに翌年の平成16年から研修センターとして共用してまいりました。当センターは,職業訓練や職業講習等を実施するための場として,また勤労者等の健康保持,教養,文化等の向上を図ることを目的として設置しております。しかしながら,借地料や維持管理費が高額であること,また今後の改修に多額の経費が見込まれること,加えて本来の目的である勤労者の利用が少なくなっていることなどから,財政再建計画の中で廃止に向けて検討することとしました。 懇談会の中での平成32年度までは今までどおり利用できる旨の発言につきましては,財政再建計画で検討内容として記載されております指定管理期間満了後の平成32年度以降に施設を廃止するという記述について述べたものであります。 当センターの今後の方向性については廃止ありきで進めていくものではなく,パブリックコメントのほか,市民説明会やアンケート調査なども含めて広く意見を聞くとともに,サウンディング型市場調査による民間事業者からの意見なども勘案し,庁内会議や議会での議論を重ねた上で施設マネジメントアクションプランに反映させてまいります。また,他の施設についても同様に考えているところであります。 続きまして,消費税率の改定についてお答えします。 まず,市民生活や地域経済への影響についてです。 消費税率の改定により家計の負担はふえることになりますが,その増収分は,従来の年金,医療,介護,子育てなどの社会保障の拡充に加え,新たに幼児教育,保育の無償化や大学授業料の負担軽減に充てられることとなっており,これらの施策を安定的,持続的に提供するために必要な財源となります。本市としても,高齢者や障害者への福祉施策,子ども・子育て支援などへの経費の増加が引き続き見込まれており,消費税率の改定が将来を見据えた市民生活の安定に資するものと考えております。また,地域経済に与える影響についても,現在国では消費税率の改定による駆け込み需要と反動減を平準化し,景気の下振れリスクに対応するための平成30年度第2次補正予算と平成31年度当初予算の編成を行う方針です。今後,これら国の動向を注視し,適切に対応してまいります。 次に,消費税率の改定と社会保障の制度改正についてお答えします。 消費税率の引き上げに伴う増収分については,消費税法の規定に基づき,年金,医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとされており,本市においてもこれまで子ども・子育て新支援制度への対応や,予防接種費用の助成,がん検診の充実など,さまざまな社会保障の充実に資する事業の財源として活用してきたところです。現時点では,消費税率の引き上げに対し事業が先行しておりますが,これまでどおり安定かつ充実した市民サービスを提供できるよう,増収分を有効に活用していきたいと考えております。 近年の高齢者医療と介護給付費等の伸びに伴い,社会保障費全体に対する公費による負担が増加している状況から,年金,医療,介護の制度改正につきましては持続可能な社会保障制度を維持するための方策であると理解しております。 次に,インボイス方式の導入についてですが,インボイス方式とは,課税事業者が交付する適格請求書等の保存を要件に,複数税率に対応した消費税の仕入税額控除を受けられる方式であり,消費税率が改定される来年10月から導入され,4年間の経過措置後,平成35年10月から本格導入されるものであります。インボイス方式が導入されることにより,商取引額の小さい免税事業者は適格請求書の発行ができず,取引から排除されるおそれがあります。そのため,課税事業者となることが求められますが,消費税の納付や適格請求書の発行などの事務負担が大きくなることが見込まれます。これらを踏まえて今後,国や県等からの情報収集に努め,事業者がこれらの導入でどのような影響を受けるかを慎重に見きわめ,対処してまいります。 なお,消費税については今後も社会保障制度の安定化と持続的なサービスの提供のためには必要な財源であり,消費税率の改定は必要であると考えております。 (福祉保健部長 山田幾雄君 登壇) ◎福祉保健部長(山田幾雄君) まず幼児教育無償化に関する一連の問題についてお答えします。 消費税以外での財源確保ですが,幼児教育・保育無償化となれば新たな財源が必要となり,消費税活用はやむを得ないと考えております。この無償化により現在,所得に応じて利用者負担額が設定されていたものが,3歳から5歳児の場合所得にかかわらず一律に無償となり,全ての子育て世代の経済的負担が軽減されることになります。また,子育て世代の負担を軽減するには,無償化もさることながら待機児童を出さないための受け皿の確保,保育士の処遇改善,安心して子どもを預けられる保育環境の整備を進めることが大きな課題だと考えております。さらに,認可外保育施設につきましては,中核市となる平成31年度からは本市に届け出受理や立入調査の権限が移譲されるため,安全・安心な施設となるよう必要な助言,指導を行ってまいります。 次に,福井市の負担軽減額と無償化により生じる財源についてお答えします。 国,県,市の負担割合を初め,制度の詳細が確定していませんが,これまで国が示している案によれば,私立の幼稚園,保育園,認定こども園につきましては現行の負担割合が維持され,利用者負担分については国が2分の1,県が4分の1,市が4分の1の割合で負担することとなり,市独自の軽減部分につきましては国,県から4分の3が補填されることになります。一方,公立園につきましては,利用者負担額の全額を市が負担することになり,合わせると市の負担額は増加するものと考えております。 いずれにしても,幼児教育・保育の無償化につきましては財政負担も含めて制度の詳細が確定していませんので,引き続き国の動向を注視してまいります。 次に,子どもの貧困と格差解消のための取り組みについてお答えします。 まず,返さなくてもよい奨学金についてですが,国におきましては経済的に修学が困難な学生や児童養護施設に入所していたなどの社会的養護が必要な学生を後押しするため,大学,短期大学,高等専門学校及び専修学校に通う学生を対象に,平成30年度から返還義務のない給付型奨学金制度を本格実施しております。また,県におきましては,高校生を対象とした給付型の奨学金制度や,U・Iターンにより就職する専門学校生,短期大学生及び大学生等に対し奨学金の返還金を助成するなどの支援を行っております。さらには,民間の給付型奨学金制度も年々充実している中で,本市としては独自の制度創設は考えていませんが,相談支援を行う上でこれらの制度の活用を促し情報提供を行ってまいりたいと考えております。 次に,子ども医療費助成制度の完全無料化についてですが,まず自己負担金につきましては医療費に対する意識を啓発し,過剰受診を抑制する観点があることや,また財政負担の影響などもあることから,本市でもこれまでどおり自己負担金を徴収してまいりたいと考えております。なお,県の補助制度では窓口無料化実施後においても自己負担金を徴収することとなっております。 次に,高校卒業までの拡充についてですが,県と市町との協議により,窓口無料化の対象を中学校3年生までと決定し,本年度から実施しているところです。さらなる拡充につきましては,窓口無料化に伴う医療費の動向や国民健康保険の減額調整措置費,県からの財政支援等も見きわめながら検討すべき課題と考えており,現在のところ高校卒業までの拡充は考えておりません。 最後に,人口減少社会における少子化対策,子育て支援策についてですが,本市では,安心して子どもを生み育てられる環境を整備し,子どもの健やかな育ちと親の成長を支援する社会の実現を目指して,福井市子ども・子育て支援事業計画を策定しており,その中で子ども医療費や保育料に係る負担の軽減,就学援助など子育てに係る経済的負担の軽減に取り組んでおります。 また,子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう,貧困の連鎖や格差社会の解消のために庁内において子どもの貧困対策に関する関係所属会議を設置し,教育支援,生活支援,就労支援,経済的支援の観点から横断的な連携を図り課題の解決に向けた検討を進めております。 (教育部長 内田弥昭君 登壇) ◎教育部長(内田弥昭君) 子どもの貧困対策のうち,新小学校1年生への就学援助の入学前支給についてお答えします。 小学校の入学前支給については,これまでのように申請受け付けを一括して学校で行うのではなく,教育委員会で個別に行うことが必要になるため,受け付け体制を整える必要がございます。さらに,判定や支払い処理のためにシステムの改修が必要となります。今後は,それらの点も含めて既に実施している自治体を参考に,より詳細に検討を進めてまいります。 次に,貧困対策として学校や学童保育で食事を提供することについてですが,職員以外に調理や配膳に携わるボランティア等の人員確保,そして調理設備の確保とその管理,さらに食中毒防止策などの衛生面,児童・生徒のアレルギー対策など,数々の問題があり,実施は難しいと考えております。 最後に,今後の公立幼稚園のあり方でございますが,現在本市の幼稚園は19園のうち10園が開園しており,今年度の園児数で最も多いところで9人,少ないところは2人,福井市全体で41人が通園している状況です。なお,私立の幼稚園が行っている延長保育や夏休み中の保育については有料で行っている事業と伺っております。 今後についてですが,本市では平成28年度から近接している保育園と幼稚園をこども園として開園しており,幼稚園と保育園のメリットを合わせたこども園への移行も含めてこれからの幼稚園のあり方について検討してまいります。 (総務部長 玉村公男君 登壇) ◎総務部長(玉村公男君) 障害者雇用についてお答えします。 まず,採用試験における受験資格についてです。本市では,平成15年度の採用試験から消防士を除く全ての職種に障害者枠を設け,これまで積極的に障害者雇用を進めてきたところです。受験資格にある介助者なしに受験及び通勤,職務遂行が可能なことの文言につきましては,現在の社会情勢に照らした場合適当でないものと考えておりますが,本市としては受験を制限する意図があったものではありません。これらの文言の見直しにつきましては,関係法令や社会情勢に沿ったものとなるよう改善してまいります。 次に,障害者雇用に係る今後の取り組みについてでございますが,障害の種類や特性,程度に応じたきめ細かい対応ができますよう,障害を持つ職員が従事可能な業務の洗い出し等を進めたいと考えております。また,バリアフリーなどの職場環境に考慮した人事異動も行うなど,障害を持つ職員が継続して働くことができる取り組みを進めてまいります。 ◆32番(西村公子君) 自席で再質問をさせていただきます。 まず,消費税の問題ですけれども,国が言うとおりという回答でした。それで,市民生活や地域経済に与える影響については全くお答えがないんです。そこが私は市の理事者,行政として一番大事にしなければいけないところではないかと思うんです。そういうことをお答えにならないのは私は一体どういうことかなと思います。影響については全然お考えになっていないですか。 ◎財政部長(村田雅俊君) 地域経済に与える影響につきましては先ほど答弁させていただいたんですけれども,国では前回のような駆け込み需要,それから反動減を平準化し,大きな影響が出ないようにするために補正予算を組んだり,それを踏まえた当初予算の編成を行うことを考えているということで,決してその地域経済に与える影響について全く何も考えてないということではありません。 ◆32番(西村公子君) それなら影響があるとお答えになればいいのではないですか。 もう一つお聞きします。消費税の今回引き上げられる税率は2%と言われていますが,これまでより一層買い控えが起きるという指摘があります。その理由について御存じですか。 ◎財政部長(村田雅俊君) 買い控えとおっしゃられたと思いますが,消費税が上がる前にその駆け込み需要があり,上がった後についてはその反動といいますか,上がる前に買ったので,買い控えをするということかなと思います。 ◆32番(西村公子君) 今度10%になると,消費税が容易に計算できるようになるので3%上がったときよりも2%上がる今回のほうが買い控えが非常にひどくなるという指摘があるわけです。そうなると,地域経済に及ぼす影響は単に2%という考え方では済まないと思いますし,消費が落ち込むことになれば,ひいては税収にも影響すると考えなければならないと思います。そこを少しも市の理事者は考えていないように見えますし,市民の暮らしをもっと大事にするというのであれば国に対して中止を要求することこそ最も大事なことであるということを指摘しておきたいと思います。 それから,2つ目の子どもの貧困の問題ですけれども,相変わらず奨学金制度は考えてないとおっしゃるわけですが,県都福井市で,中核市も目指してやっているという中で,こんなにもほかの自治体と比べて見劣りする状況では,誇りを持ってくださいと口で言ってもそうはならないのではないかと本当に思います。 そして,もう一つお伺いしたいのは,放課後児童クラブの問題で,私は奈良市の具体的な例を紹介したんですけれども,この昼食提供のことについてどのように見ておられますか。 ◎教育部長(内田弥昭君) 奈良市の例は承知しております。夏休み中に放課後児童クラブに通っているお子さんの全員に対して給食を提供しているという報道の内容からですけれども,本市としては,奈良市の例は貧困対策というより,給食の一形態と考えております。 ◆32番(西村公子君) 奈良市はことしから始めたということなんですが,給食費に近づけて負担にならないように配慮してやっていると。先ほど,調理設備がどうとかということをおっしゃいましたけれども,こういう形であれば福井市でも十分できるのではないかと思いますが,その点検討していただけないでしょうか。 ◎教育部長(内田弥昭君) 先ほど申し上げましたように,奈良市は貧困対策というよりは,給食の一形態ということです。保護者の方がお弁当をつくる負担の軽減ということで,もし要望が多ければ各児童クラブで行うことについてはやぶさかではないとは思いますけれども,費用を補填することについてはお子様の中でも児童クラブに通っておられる方,いない方がおられますので,公平性の点から難しいと考えております。 ◆32番(西村公子君) ぜひ,今後検討していただきたい。そういう声は多少なりともお聞きしていますのでぜひお願いしたいと思います。 それから,障害者雇用における不適切な求人についてですけれども,資格要件については適当ではないということはお認めになったわけです。差別的な意図はなかったとおっしゃいますが,実際,それを排除するやり方になっていたことは紛れもない事実です。 さて,これからの問題として幾つかおっしゃってはいますけれども,具体的ではないです。それで,まずは法定雇用率に達しないといけないという思いはわかりますけれども,全国でも法定雇用率そのものが低いという批判が障害者団体からもあって,そこも引き上げる必要があると思います。まずその点はいかがでしょうか。 ◎総務部長(玉村公男君) 今本市に求められております法定雇用率は2.5%ですので,それについては障害者の方を多く採用できれば当然本市の雇用率も上がっていきますが,その2.5%そのものを上げるべきではないかという御質問です。それについては,国,すなわち厚生労働省から,地方自治体におきましては2.5%と示されていますので,今は2.5%で対応していきたいと思っています。 ◆32番(西村公子君) 法定雇用率が低いというのは以前から言われていることです。ですから,将来的にさらに引き上げていくということは当然考えておかなければならないし,やっていただきたいと思います。 今,どのようなことをやるのかという点で具体的なお話がなかったので,再度どのような検討をなさっているのかお伺いします。 ◎総務部長(玉村公男君) 採用の具体的な仕方ということだろうと思いますけれども,昨日,片矢議員にも回答させていただきましたが,国におきましては年内に障害者採用に当たっての募集,採用方法,そして配慮すべき点の基本的な考え方を提示するということですので,これらを踏まえて適切に対応してまいりたいと思っています。 ◆32番(西村公子君) 国のほうばかり向いてやっているという気がします。私は,実際に福井市の障害者団体の方など,障害をお持ちの方から意見を聞いてぜひ対応していただきたい。そのことを強く要求して終わります。 ○副議長(谷本忠士君) ここで暫時休憩します。午後3時15分から再開します。             午後2時58分 休憩──────────────────────             午後3時15分 再開 ○議長(青木幹雄君) 休憩前に引き続き会議を再開します。 一般質問を続けます。 次に,9番 村田耕一君。 (9番 村田耕一君 登壇) ◆9番(村田耕一君) 市民クラブの村田でございます。私からは2点質問いたします。よろしくお願いします。 まず1点目,外国人労働者の受け入れ拡大についてお尋ねします。 11月2日政府は,外国人労働者の受け入れ拡大のため,出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を閣議決定し,来年4月1日に施行するため臨時国会での法案成立を目指しています。全国的な人手不足に対応するため,技能実習生に限られていた単純労働の職種に受け入れ対象を拡大するものです。改正案は,新たな在留資格である特定技能を設け,外食,農業,漁業,建設,介護などの14業種に限定し,受け入れるものです。一定の技能が必要な特定技能1号は,通算5年滞在でき,熟練技能が必要な特定技能2号は在留期間の更新が可能で配偶者や子どもの帯同も認められ,永住もできることとなります。外国人との雇用契約は,報酬,教育訓練,福利厚生において日本人労働者との差別的扱いを禁じ,特定技能1号の外国人受け入れ先には職業生活や日常生活,社会生活上の支援計画を作成し支援しなければならないとされています。法施行3年後に検証し,必要に応じて見直すこととされています。 しかし,外国人の受け入れ規模については5年間で最大約34万人の見込みとなるようですが,現状について昨年厚生労働省が調査したところ,技能実習生を雇用している事業所の7割で違法残業,賃金未払いなどの法令違反が見つかっており,同じく昨年7,000人を超える技能実習生が失踪するなど多くの課題が指摘されております。外国人労働者を受け入れるに当たっては,人権に配慮し,しっかりとした受け入れ態勢を整え,労働環境と社会保障制度への配慮が必要となります。 そこでお伺いします。 まず1つ目です。今回の出入国管理及び難民認定法,いわゆる入管法の改正案について,本市としての課題をどのように分析されていますか。 2つ目,現状においても本市には外国の方が居住されています。その規模はどのようなものでしょうか。また,課題等をどのように分析されていますか。 3つ目,新たな制度において,特定技能の資格で雇用される外国人については,日本人と同等以上の報酬を受け入れ企業に義務づけておりますが,これらのチェック体制をどのようになされるのでしょうか。 4つ目,外国出身の児童・生徒などがふえることが想定されています。日本語教育や生活支援等はどのようにするのでしょうか。 5つ目,新制度において,外国人労働者がふえることが想定されます。地域においてはお互いの理解が不可欠です。本市において外国人労働者やその家族からの課題に対する新たな相談体制も必要かと思われますが,どのようなお考えでしょうか。 6つ目,外国人労働者の受け入れ拡大に伴う対応の多くを基礎自治体が担うことが想定されます。それらの財政負担に対する支援を国に求めるお考えはありますか。 次に,中核市移行と連携中枢都市圏構想についてお伺いします。 本市の中核市移行については,市民サービスの最前線である基礎自治体として,自主性,自立性を高めることで質の高い行政サービスの提供と少子・高齢化を初めとしたさまざまな行政ニーズに的確に対応し,魅力ある地域づくりを実現するため,2019年4月1日を移行期日と定め取り組んできました。このようなことから,本年10月26日に福井市を中核市に指定する閣議決定がなされ,10月31日に政令が公布され,正式に2019年4月1日の中核市移行が決定しました。 今後は,近隣の自治体と連携し,コンパクト化,ネットワーク化による地域全体の経済成長,都市機能の強化,生活関連機能サービスの向上を図り,活力ある地域を維持するための拠点として,ふくい嶺北連携中枢都市圏を同じく2019年4月1日に形成することを目指して取り組まれているところです。 ふくい嶺北連携中枢都市圏は,福井市,大野市,勝山市,鯖江市,あわら市,越前市,坂井市,永平寺町,池田町,南越前町,越前町の11市町が連携し,そのあるべき姿を協議するためふくい嶺北都市圏連携推進協議会を設置し,連携中枢都市圏ビジョンを策定し,推進することとなっています。今後,本市の中核市移行と連携中枢都市圏の形成により,活力ある地域づくりを目指すことを通して地方自治のさらなる発展が求められるところであります。 そこでお伺いします。 中核市移行に伴い職員の増員はお考えでしょうか。また,配置計画はどのようになっていますか。 中核市移行により業務内容が変わる職場において県との連携はどのようにするお考えでしょうか。また,困難な事案などが発生した場合の対応をどのようにするお考えでしょうか。 中核市移行に伴い包括外部監査が義務づけられます。包括外部監査制度は,公認会計士や弁護士等が毎年度テーマを設定し,自治体やその関連団体の事務事業をチェックし,事業の無駄等を指摘していく制度です。包括外部監査の義務づけにおける対応はどのようになされるのでしょうか。 先行自治体における包括外部監査による指摘の中には,行政側の専権事項に及ぶものなどがあり,交渉相手などへの対応のため指摘事項に対してスムーズに対応できないものもあるようです。包括外部監査による指摘は,自治体においてどのような拘束力を持つのでしょうか。 ふくい嶺北連携中枢都市圏の形成における現状と課題はどのようになっていますか。 連携中枢都市圏の形成において,商工,観光,農林水産業,公共交通ネットワーク,行政の事務事業の効率化等,さまざまな意見が出ています。どのような優先順位で取り組んでいくのでしょうか。 最後になります。連携中枢都市圏の形成については,行政事務等の効率化も指摘されています。これらの取り組みについては今後どのようにお考えでしょうか。 以上,お伺いして私の総括質問を終了します。御清聴ありがとうございました。 (教育長 吉川雄二君 登壇) ◎教育長(吉川雄二君) 外国人労働者の受け入れ拡大についてのうち,外国出身の児童・生徒への支援についてお答えします。 本市では,日本語での意思疎通が困難な外国出身の児童・生徒と保護者に対し,公益社団法人ふくい市民国際交流協会に委託して,日本語指導ボランティア及び通訳ボランティアを派遣しております。具体的には,学校からの申請により,児童・生徒に対しては基本的に1人当たり1年間または50回の日本語指導を行います。また,外国出身の保護者に対しては保護者会等に通訳ボランティアを派遣し,担任等との意思疎通ができるよう支援しているところでございます。 また,生活支援に関しては,外国出身であるかどうかにかかわらず世帯の所得が低い場合,学校を通して市に就学援助を申請することで給食費等の経済的な支援を受けることができるようになっております。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) 外国人労働者の受け入れ拡大のうち,まず入管法について本市としての課題とその分析についてお答えします。 今回の入管法改正案では,国から詳細な制度設計が示されていないため,どれくらいの外国人労働者がふえるのか,どのような対策がなされるのかなどが現在不明です。また,日本語教育等の充実や就学支援,労働環境の整備,生活支援など多くの課題が挙げられており,本市においても同様の課題が考慮されます。このことから,今後はまず国の対策などをしっかり注視し本市として時期を失することなく適切に対応してまいります。 次に,本市に居住している外国人の規模とその課題等についてですが,本市に住民登録している外国人の数は近年増加しており,10月末現在で4,404人,総人口に占める割合は約1.67%となり,人口,割合ともに過去最高を記録しています。国籍別では,ベトナムやフィリピン,在留資格別では技能実習生の数が特に伸びています。本市では,いろんな国の人たちが手をつなぎ,ともに支え合うまちづくりを基本理念とした福井市多文化共生推進プランを県内市町に先駆けて平成21年度に策定しており,さまざまな取り組みを行っています。あわせて本市では,いろいろな機会を捉えて外国人の方に対し必要な行政情報や生活情報を提供していますが,なかなか伝わりにくいという課題があります。現在,日常生活に必要な情報を紹介する福井市生活ガイドブックをベトナム語やタガログ語を含めた6カ国語で提供しています。加えて,ホームページも多言語化し対応していますが,今後外国人の増加に伴いさらなる多言語化が必要となる場合があると考えています。今後も情報の伝達方法を工夫するなど的確に必要な情報を伝えられるよう努力してまいります。 次に,外国人受け入れに対する法令遵守等のチェック体制をどのようにとるのかについてですが,技能実習生や外国人労働者の受け入れに関する指導監督の権限は現在,法務省入国管理局が有しております。今回の法改正では,新設される出入国在留管理庁にこの権限が移管され,助言,指導,改善命令を出すとしております。今後も国がチェック体制を担っていくことになると認識しているところです。 (市民生活部長 牧野浩君 登壇) ◎市民生活部長(牧野浩君) 続きまして,外国人労働者やその家族に対する相談体制についてお答えします。 現在本市では,来庁した外国人が目的の窓口まで迷わずに行けるよう,英語,中国語,ポルトガル語のフロアマップを庁舎出入り口に配置しており,また窓口においては必要に応じて行政通訳員がサポートしております。さらに,福井県行政書士会の協力を得て奇数月の第4金曜日には外国人向け相談窓口を開設しております。今後,外国人労働者の受け入れ拡大に伴い,多くの外国人が来庁することが考えられます。しかしながら,現段階ではどういった国の方々が来られるか想定できないことから,必要に応じて他市の先進的な取り組み状況を参考に,相談体制について研究してまいります。 (財政部長 村田雅俊君 登壇) ◎財政部長(村田雅俊君) 外国人労働者受け入れに係る財政負担についてお答えします。 全国知事会と指定都市市長会においては,ことし8月に国に対し新たな外国人材の受け入れに伴う多文化共生社会の実現に向けた財政措置や,地方自治体に対する財政支援メニューの早期提示について提言しております。本市としても,今後国の動向に注視しながら全国市長会などあらゆる機会を通じて財政負担への支援を要望してまいります。 (総務部長 玉村公男君 登壇) ◎総務部長(玉村公男君) 中核市移行と連携中枢都市圏構想についてお答えします。 まず,中核市移行に伴う職員の増員についてです。 県から移譲される事務を適切に運営するためには57人程度の職員配置が必要であると見込んでおり,新規採用や国体・障スポ等の事業終了に伴う配置転換のほか,県職員の派遣受け入れにより対応してまいります。 具体的な配置計画につきましては,今後各所属からのヒアリングを経て決定しますが,さらなる市民サービスの向上と効率的な行政運営の観点でより効果的な職員配置になるよう努めてまいります。 次に,県との連携や困難事案への対応ですが,県から移譲される事務には,法令に基づく許認可や指導などその取り扱いに地域差が生じないよう注意すべきものがあります。また,年間処理件数がほとんどなく,ノウハウの蓄積が困難なものもございます。このため,本年度の県への重要要望では移譲事務に関する広域的な調整や情報交換及び県が開催する勉強会等への市職員の参加受け入れを要望し,現在その具体的内容につきまして担当所属間での協議を始めているところであります。 また,中核市移行後は,保健所や廃棄物対策など特に専門性が高く県との連携が必要な分野において,ノウハウを有する県職員の受け入れを予定しております。さらに他市では,県市間の連携や協力に関し特に重要なものについては協定を交わしている例もあります。移譲事務を万全の体制で運営し,市民生活に支障が生じないよう,今後さらに県との協議を進めてまいります。 次に,包括外部監査についてお答えします。 まず,中核市移行に伴い包括外部監査が義務づけられていることについての対応ですが,本市では平成31年度の中核市移行にあわせ導入の手続を進めております。具体的には,今定例会におきまして福井市外部監査契約に基づく監査に関する条例の制定議案を議会に提出したところであります。また,現在外部監査人候補者の選定作業を進めているところであり,3月定例会では外部監査契約の締結に係る議案の提出を予定しております。 次に,包括外部監査による指摘の拘束力についてですが,包括外部監査による指摘は自治体に対して法的な拘束力までを持つものではございません。しかしながら,適切な事務執行や行政事務の透明性を確保し,監査機能に対する住民の信頼を高めるという外部監査制度の趣旨にのっとり,適切に対応していく必要があるものと考えております。 次に,ふくい嶺北連携中枢都市圏の形成における現状と課題についてでございます。 まず,現状についてですが,9月27日に各市町の首長で構成するふくい嶺北都市圏連携推進協議会におきましてビジョン案の合意形成が図られ,先月26日からは各市町においてパブリックコメントにより広く意見募集を行っているところであります。今後は,パブリックコメントでいただいた意見を踏まえ,来年4月1日のビジョン策定・公表,連携協約の締結に向けて取り組んでまいります。 次に,課題についてでございますが,人口減少,少子・高齢化が進行する中で,労働力の不足,公共交通の確保やインフラ・公共施設の老朽化などが本圏域における大きな課題と考えております。 次に,取り組みの優先順位でございますが,ビジョン案に掲載した取り組みはいずれも圏域全体の経済成長の牽引,都市機能の集積・強化,圏域全体の生活関連機能サービスの向上という,都市圏に求められる3つの役割を果たしていく上で重要なものであります。一方で,連携中枢都市圏構想の趣旨が,地域を活性化し経済を持続可能なものとするであることを踏まえると,新事業・新製品開発支援などを通じての戦略産業の育成や特産品販路開拓・拡大による地域資源を活用した地域経済の裾野拡大,また広域観光周遊ルート形成などによる戦略的な観光施策の推進といった地域経済の活性化に資する事業を最優先に取り組む必要があるものと考えております。 最後に,行政事務等の効率化の取り組みについてでございますが,施設管理コストの縮減や施設の共同利用について研究を行うファシリティーマネジメントに取り組みます。また,職員の政策形成能力や行政運営能力の向上を図るための研修会を開催するなど,市町間の職員ネットワークの強化や人材の育成といった圏域マネジメント能力の強化にも取り組みます。 このような取り組みを積み重ねることによりまして,行政事務等の効率化や住民サービスの質の向上を図ってまいります。 ◆9番(村田耕一君) それでは,自席から要望ということでお願いします。 まず,外国人労働者の受け入れ拡大についてですけれども,現状の技能実習生やその家族への対応ですが,先行の自治体によるとその生活支援はほとんど基礎自治体の財政出動でやっていると,現状では人も金も基礎自治体が丸抱えでやっている状況です。そういった状況から8月,国に全国知事会等も要望しているといったことですから,今議論している状況ですので,今後も引き続き国の情勢をしっかり捉まえて,今後の対応をお願いしたいと思います。 それから,中核市への移行につきましては,やはり専門職の拡充,そして育成が必要になってくると思いますので,採用や人材育成を含めてしっかりと取り組んでもらいたいといったことを要望して終わります。 ○議長(青木幹雄君) 次に,7番 水島秀晃君。 (7番 水島秀晃君 登壇) ◆7番(水島秀晃君) 志政会の水島秀晃でございます。通告に従い質問させていただきます。 まず,観光政策についてお伺いします。 福井市は,ことし大雪災害で財政難に陥り,さらに全国を見ると大規模地震の発生や台風が猛威を振うなど,いつどうなってもおかしくない状況の中,何となくずっと暗いニュースが続いていたように思います。さらに,11月17日の新聞では人手不足による倒産が前年同期比20%増との記事が報道されており,特にサービス業,建設業,卸売業が悪いとのことでありました。県内では人手不足関連倒産はゼロ件とのことでありますが,少子化の今,市内におきましても実際には人手不足を訴えている事業者は多く,今後の行政のさまざまな施策に期待するところは大きいと感じます。 そのような中,過日,2025年大阪・関西万博開催決定との明るいニュースが飛び込んでまいりました。苦があれば楽もあります。ピンチがあればチャンスもあります。中核市移行に伴う連携中枢都市圏形成,北陸新幹線福井開業,東京オリンピック,さらに大阪万博とこれからのチャンスをいかにものにしていくかがその後の福井市の未来に大きくかかわってまいります。いかにして福井に来てもらい,リピートしてもらえるか,口コミでさらに来客の輪を広げられるか。財政再建につながる施策はいろいろあり,どれも重要な施策ではありますが,即効性があり,すぐに効果が見てとれる観光集客もその一つです。もちろん地道な努力は不可欠であります。 そこで,観光政策のうち,まず観光まちづくり推進事業についてお伺いします。 観光誘客事業のこれまでの成果と今後の展開をお聞かせください。また,観光担い手育成事業の内容とこれまでの取り組み,今年度の成果,また今後どのようにしていくのかお答えください。 次に,地域観光資源活用事業について,福井・永平寺周遊滞在型観光推進事業の成果と今後の展開をお聞かせください。五感に響く体験・交流型観光推進事業について,その内容と成果,今後の展望についてお答えください。 愛知県津島市の津島にぎわい創出プロジェクトまち歩きツアーは15のコースがあり,その中で人気を博しているのが心の癒やし御朱印めぐりコースで,独特の絵と文字がとても話題の御朱印帳を目当てに多くの方が訪れると言います。特に観音寺の御朱印帳が人気で,そこにはもともと漫画家のアシスタントをされていた方がおられ,その人が描く世界観がとても迫力があり,県外からもその御朱印帳を求めて足を運ぶ方が大勢おられるそうです。今お願いしても1,500人待ちの人気だそうです。このように,その町その町にあるオリジナルをプロモートすることで思いもかけずにぎわいが生まれることもあります。福井市としてこのようなことで取り組んでいることはありますか,お答えください。 次に,家庭教育の取り組みについてお伺いします。 ことし3月に東京都目黒区で起こった幼児虐待事件は記憶に新しいと思います。わずか5歳の女の子にしつけと称して平手でたたいたり,冷水を浴びせたり,食事を制限したり,朝の4時から平仮名の練習をさせたり,あげくに殺してしまうというこの凄惨な痛ましい事件は現代の家庭教育の貧困による親の未熟さを浮き彫りにした出来事であります。これまでにも同様の事件は幾つも,何年にもわたり発生しており,特に近年はその数がふえ,とても信じがたい内容のものにどんどんエスカレートしていっているようにさえ感じます。これは今,急に発生しているのではなく,長い年月をかけ少しずつたまっていった家庭のうみやひずみが親から子へ,そしてまたその子が親になりその子へと連鎖していった結果でもあると言えます。また,社会が生んだあつれきやひずみによる被害を直接受けた大人たちが家庭に持ち帰り,少しずつ間違った方向に進んでいったこともあると思います。どこかでこのような負の連鎖を食いとめ,明るく健やかな精神が育っていくように取り組んでいかなくてはならないと強く思います。家族の触れ合いを通して命の大切さや他人への思いやり,信頼や自尊心など心豊かな子どもを育んでいくことは大切で,どこかで狂ってしまった歯車を早期にきちんと修正していくことは行政にとりましても大きな使命であると考えます。学校教育に先立つ家庭教育を今改めて考えていく必要があるのではないでしょうか。 そこで,家庭教育の取り組みについて現在の状況をお聞かせください。 公民館やPTAなどで親の学びの講演会や勉強会を開催しても,来てくださる方は大体決まっていて,本当に聞いてほしい親御さんには届かないことは,主催する側はもとより皆さんが感じていることと思います。全ての家庭に届けることが理想であり,本当の責務のようにも思いますが,実際問題として来てくれなければ始まらないという現実があります。 そこで,さまざまな課題もあると思いますが,その課題と今後どのように取り組んでいくのかお答えください。 次に,学校規模適正化についてお伺いします。 今,学校規模適正化が論じられておりますが,ここ数年の児童・生徒の福井市全体の数の推移と今後の予想をお答えください。 また,学校規模適正化を検討するに至った経緯にはどのようなことがあったのですか,お答えください。 福井市教育総合会議を受けて9月には,福井市学校規模適正化検討委員会が開かれ,多くの有識者が集まり論議されたことと思います。この11月には既に2回目も開催されているとのことであります。この検討委員会での審議の主な内容,これからどのように進めていかれるのかお答えください。 少子化が進む今日,統廃合や複合化をしていくことがやむを得ない場合もこれから出てくるとは思いますが,そのときには校区の見直しということも検討していかなくてはならないと思います。校区を見直すというのは一番大変なことですし,そのときになってというより,今福井市全体で一度新たに校区を見直すことも必要かと思います。もちろんこれは,自治会,地域の活性化,防災,適切な避難所等といった課題も多く,学校,地域を巻き込むことになることから一番ハードルが高いのかもしれません。そこで,福井市としては校区の見直しについてどのようにお考えでしょうか。 次に,まだ考えるにしても少し先のことかもしれませんが,これから統廃合や複合化が進んだとして,使用しなくなる施設はどのようになさるおつもりですか,お答えください。 私が見に行った秋田県湯沢市では,廃校になった学校の一部を子どもたちが帰ってきたときの放課後子ども教室として利用し,残りは民間に賃貸し,工場として使用しているところがありました。そのような職場を子どもたちが見学するなどして社会性を醸成することもできますし,さまざまな交流も生まれます。また,災害時の避難所としてもやはり施設を残しておくことは重要であると考えます。 次に,文化会館整備事業についてですが,下畑議員の質問と重複しますので,答えられるところだけお願いします。 まず,現在の文化会館について耐震性はどのようであるのか。また,大きな地震が発生した場合どのような被害が想定されるのかお答えください。 さきの6月定例会でも質問しましたが,整備が先送りになっている財政再建計画期間中は新たな文化会館整備に関する検討は行わないのか,いま一度お伺いします。今の市の財政状況は理解しますし,今後の財政状況いかんによっては整備計画自体がどのように変わってくるのかわからないということも納得します。しかし,やはり議論はすべきとの市民の方からの要望や熱望する声が多々聞こえていることも事実です。この市民の声にどう応えていくのか,そのあたりも含めてお答えください。 以上で総括質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (教育長 吉川雄二君 登壇) ◎教育長(吉川雄二君) まず,家庭教育に関する現在の取り組み状況についてお答えします。 地域全体で親子の成長や学びを支えることや,家庭の教育力の向上,親意識の高揚を図るなどの家庭教育への支援は非常に大切なことだと認識しております。そこで本市では,全ての公民館で親子のふれあい講座や子育て講演会などを実施しています。また,中央公民館では家庭教育の指導者養成も兼ねたいきいき子育てサロンとして,発達障害の子どもへの対応やインターネットとのかかわり方など,専門的な知識の習得につながるテーマで実施しております。さらに,小学校において11月の就学時健康診断や2月のわくわく交流デーなどの機会を捉えて,希望する学校に社会教育指導員を派遣して教育力向上に関する講座を開催したり,また学校独自にスクールカウンセラーによる子どもとのかかわり方や大学教員による小学校入学への親の心構えの講演を行うなど,家庭における親の教育力向上に努めているところです。 次に,課題と今後の取り組みについてお答えします。 まず,課題としては,御指摘いただいておりますように,いかに多くの住民に周知するか,また公民館で行っている家庭教育の講座に参加したことのない人をいかに取り込むかという,この2点だと考えております。これを踏まえた今後の取り組みについてですけれども,情報の周知については地域,家庭及び学校と連携しながら,ホームページ,SNS,回覧板,公民館だより,新聞,テレビ等,あらゆる機会を活用してまいりたいと考えております。より多くの保護者に興味を持ってもらえるような魅力のある公民館事業を常に模索,研究しながら,家庭教育の大切さについてより一層啓発してまいります。 次に,学校規模適正化についてお答えします。 まず,児童・生徒数の推移についてです。 平成20年度の児童・生徒数は小学校で1万5,100人,中学校7,253人でした。今年度は,小学校が1万4,016人,中学校6,432人であり,この10年間で小・中学校とも1,000人近くの減少となっています。さらに10年後ですが,小学校で1万2,533人,中学校が5,972人と予測されており,さらに減少する見込みでございます。 次に,学校規模適正化検討委員会設置の経緯についてです。 近年,複式学級の増加や,いわゆるマンモス校での教室の不足などの課題が地域や学校から上がってきており,これを受けて昨年度の学校教育懇話会や総合教育会議において学校規模適正化が議論されたところです。その中で,外部の有識者などからの意見を聞くことが必要ではないかとのことから,今年度9月に検討委員会を設置し具体的な内容について検討していくことになりました。検討委員会での審議内容についてですけれども,9月の第1回委員会では大規模校や小規模校のメリットやデメリットについて検討しました。11月の第2回委員会では,マンモス校や複式学級がある学校についてその実態を把握した上で,福井市としての適正規模や対象地区について議論したところです。 今後の検討委員会では適正規模化を検討すべき対象地区を絞った上で,来年度には検討委員がそれぞれの地域に出向き,地域や保護者の意見を広く聞かせていただく予定です。そして,来年度末に検討委員会からの答申をいただく予定になっています。 次に,校区の見直しについては,学校規模適正化を議論していく,もしくは行っていく中で,統廃合等を検討する上ではおのずと校区の見直しや通学方法の検討が必要になるものと考えております。また,学校を建てかえたりするのではなく,校区の見直しによって適正規模化を図ることができる可能性の有無についても協議していく必要があると思っております。 最後に,使用しなくなる学校施設についてですが,使わなくなった施設はこれまでどおり全てを維持管理していくことは費用面や安全面の観点から困難であると考えております。使用しなくなった学校については廃止や民間譲渡などが基本と考えますが,災害時の避難所等の機能もあり,今後の検討課題になるものと思っております。 (商工労働部長 港道則男君 登壇) ◎商工労働部長(港道則男君) 観光政策についてお答えします。 初めに,観光誘客事業についてですが,福井市の観光誘客は,一乗谷朝倉氏遺跡,まちなか,越前海岸の3つの観光拠点を軸に人材の育成と組織づくり,観光基盤の整備と活用,五感に響く観光メニューの提供,広域観光とインバウンド観光の推進,効果的な情報発信に取り組んでいます。 人材の育成と組織づくりでは,観光担い手の育成や観光おもてなし市民運動を,観光基盤の整備と活用では観光地の環境整備や二次交通の充実を進めております。 五感に響く観光メニューの提供では,地域固有の体験メニューづくりを行う体験・交流型観光の推進,広域観光とインバウンド観光の推進では,福井・永平寺周遊滞在型観光推進事業や台湾を中心としたインバウンド推進に取り組んでおります。 効果的な情報発信では,首都圏主要駅でのポスター掲出やSNSの活用,さらに首都圏・関西・中京エリアでの出向宣伝や旅行会社への営業活動を行うことで,一乗谷朝倉氏遺跡星空ランタンツアーなど旅行商品の造成や旅行雑誌の掲載に結びつけております。 これらの取り組みにより,北陸新幹線金沢開業前の平成26年度に309万人だった市内観光客入り込み数は,平成29年度には388万人へと大きく増加いたしました。今後は,4年後の北陸新幹線福井開業を見据え,本市のみならず観光面における連携中枢都市圏域全体への誘客拡大を目指してまいります。 次に,観光担い手育成事業についてです。 この事業では,観光ガイドの育成や,越前海岸盛り上げ隊など観光まちづくり組織への支援,おもてなしの心の醸成に取り組んでおります。観光ガイドの育成として観光知識の習得や接遇研修,実地ガイド研修などの講座を全て修了された方をふくい観光おもてなしガイドに認定し,現在までに45人の方が登録されています。登録されたガイドの方は,まち歩きガイドツアーやウエルカムセンターでのまちなか無料定時ガイドなどで活躍しており,観光客に福井の魅力を伝える役割を担っていただいております。 また,福井市越前海岸盛り上げ隊やふくいPR隊@東郷研究会,一般社団法人朝倉氏遺跡保存協会など,地域の特性を生かして意欲的に取り組む観光まちづくり組織の活動を支援しております。 さらに,市民総ぐるみで観光客を温かく親切に迎えるため観光おもてなし市民運動を実施しており,おもてなし講習会や接遇研修の開催,観光おもてなしマイスター制度によるおもてなしの達人の認定などを実施しております。 今年度は,国体・障スポにあわせて大会ボランティアに対しておもてなし講習会を実施するとともに,タクシードライバーに対し実践的な接客術研修を実施しました。 今後も,福井を訪れた方に福井に来てよかった,また来たいと思ってもらえるよう,おもてなしのできる観光担い手の育成に取り組んでまいります。 次に,福井・永平寺周遊滞在型観光推進事業についてお答えします。 平成28年度に永平寺町と連携し策定した福井・永平寺周遊滞在型観光推進計画に基づき,一乗谷朝倉氏遺跡と永平寺及び周辺エリアが連携した事業を展開することで,周遊性や滞在性を高め,魅力的な観光エリアの創出に取り組んでおります。 一乗谷朝倉氏遺跡と大本山永平寺を結ぶ一乗谷朝倉特急バスを増便し,両観光地の周遊性を高めたり,越前朝倉万灯夜と永平寺大燈籠ながしを連携して情報発信することで一体的な魅力を創出しております。 また,福井市及び永平寺町に奥越を加えたエリアにおいて,酒蔵や地酒の魅力を伝える御酒飲帳事業に取り組んでいます。この御酒飲帳は,お酒を飲むという字を書いて御酒飲帳としております。今後も継続して一乗谷朝倉特急バスの増便運行を初めとする推進計画の取り組みを着実に実施してまいります。 次に,五感に響く体験・交流型観光推進事業についてです。 この事業は,地域固有の資源を発掘,活用し,その地域でしか体験できないメニューを数多くそろえることで地域に観光客を呼び込もうとするものです。今年度,JR西日本福井支店及び福井商工会議所と協働して事業に取り組み,ワークショップ等を通じて地域の観光資源を磨き上げた結果,オリジナルのめおとみそづくりや夕暮れ・三味線・まちあるき体験など41の体験メニューができ上がりました。これらの体験メニューを福井旅の体験手帖ふくのねの冊子に載せてJR駅構内や宿泊施設,観光案内所等にて配布したところ,国体・障スポ期間中には7つの体験メニューに約50人の方に御参加いただきました。なお,翌年2月末まで多くの体験メニューが開催されており,ホームページ,各種広告等にて周知してまいります。また,事業者の方も講座で培ったノウハウを活用し,みずからSNSで情報発信していただいております。 今後は,観光面における連携中枢都市圏域に事業を拡大し,より多くの事業者同士が連携できる環境の整備や多彩な体験メニューを提供することで観光客の満足度向上を図り,さらには体験メニューの旅行商品化を目指してまいります。 次に,地域固有の観光資源を活用した取り組みについてお答えします。 現在,好評実施中である御酒飲帳事業は,観光資源の一つである地酒を切り口とした取り組みです。観光客は,各市町の観光案内所や参加酒蔵で配布するガイドブック,御酒飲帳を片手に各酒蔵を回り,集めた銘酒ラベルやスタンプの数に応じて,抽せんで笏谷石の酒器などのプレゼントを行うものです。酒蔵によっては用意していた御酒飲帳がすぐに不足してしまうほどの人気を博しており,年末には大手旅行雑誌の特集記事内でこの事業が紹介されるなど成果につながっております。 そのほか,越前海岸ではナイト・シュノーケルや地びき網体験などの体験メニューを集めた海の探検博覧会,一乗谷・東郷では朝倉氏遺跡と東郷の町並みを絡めたサイクリングツアー,まちなかでは養浩館庭園のお茶席体験といった地域固有の体験を通して福井の魅力を感じていただき,満足度向上と観光誘客につなげてまいります。 次に,文化会館整備事業についてお答えします。 まず,現文化会館の耐震性についてですが,平成18年に行った耐震診断ではホール棟についてはD判定,会議室棟についてはC判定という結果になっております。C判定とは,耐震性が劣っており震度6強以上の大地震時には柱,壁などに相当の被害が生ずることが予想されるものでありまして,D判定については,耐震性がかなり劣っており震度6強以上の大地震の際には柱,壁等に相当の被害が生じ,床落下等の危険性もあるものとされております。下畑議員にお答えしたとおり,施設本体や設備の老朽化も著しいことから,建物の状態について確認する必要があると考えており,調査を行うことを検討してまいります。 新文化会館整備についても下畑議員にお答えしたとおり,今後の財政状況のほか,社会情勢や現文化会館の状況等を踏まえて改めてしっかり協議してまいります。また,その際には改めて市民から意見を伺う場を設けることが必要と考えております。 ◆7番(水島秀晃君) それでは,自席よりお願いします。 まず,文化会館に関して,財政再建に向けてしっかり頑張っていただいて,そして一日も早く議論ができますよう,よろしくお願いします。 次に,家庭教育についてですが,今公民館等でいろいろされているということであります。やはり講座などにたくさんの方に参加していただくことが必要ですけれども,まずその取っかかりとしていかに足を運んでもらえるか,いかに興味を持つ企画ができるかというところも大切かと思います。やはり親子で学べるような,学校でいうなら科学や家庭科,工作,料理といったものを親子で一緒にできるものとか,雑木林に行ったりとか,どうしても予算がかかりますが公共交通を使って文化財保護センターやセーレンプラネット,足羽山周遊等,公民館がやることで地域を深掘りできるような,そういったものもこれから考えていっていただければなと思います。よろしくお願いします。 最後に,観光施策について,福井・永平寺周遊滞在型観光推進事業の中のこの御酒飲帳,お酒を飲むとかけて御酒飲帳としてここでしかもらえないラベルやスタンプを集めていくというのは,単純でありながらやはりはまってくると思いますし,やり方によっては,これからいろんな企画の目玉になってくるとも思います。私は,これはすごくすばらしいと思いますし,やはりぜひいろんなところでPRして推していってほしいんですけれども,SNSでの情報発信ということもありましたが,どういった販路といいますか,どういったPRをしているのか御酒飲帳に関してもうちょっと細かくお答えください。 ◎商工労働部長(港道則男君) 御酒飲帳につきましては,今地酒を切り口にということでございますので,これについてはSNS,ホームページ等で情報発信するとともに,先ほども答弁させていただいたように,この事業についても旅行会社にも営業してツアーの中のポイントとして入れていただくような活動をして,少しでも多くの方に知っていただき,福井のお酒,あるいは酒蔵を回っていただくようにしようと考えております。 ◆7番(水島秀晃君) 首都圏で,東京事務所でもぜひまた推し進めてほしいですし,福井市応援隊第4回ミーティングでは,福井は海や山など自然に恵まれた豊かな土地柄,福井の食のすばらしさということを話し合っていると聞きます。この福井のお酒がどれだけおいしいかということ,そして食とおいしいお米,水がどれだけ宝であるかということ,そういったことをお酒のバイヤーさんとかかわっている方からもよく聞きますし,私も本当にそのように思います。例えば手羽先というのは名古屋のイメージがありますけれども,三重県の人にしてみればもともと三重県が手羽先の本場だという,そういったことで福井が地酒とおいしい料理が食べられるところということをいかに全国に広めていくかということはやはり大切だと思います。いろいろ人を集めるということ,福井駅をおりたらまず地酒とおいしいお店がある,そういったこともこれから進めていっていただけたらと思いますし,とにかくいろいろやってみないとわからないと思います。これから今後の政策に期待して終わります。 ○議長(青木幹雄君) 次に,21番 堀江廣海君。 (21番 堀江廣海君 登壇) ◆21番(堀江廣海君) 一真会の堀江でございます。風邪を引きまして,聞き取りにくいかもわかりませんが,適当にお答えください。 今日の我が国は,超高齢社会と本格的な人口減少社会の到来を迎え,今後とりわけ地方の衰退が加速することが懸念されております。また,グローバル化や情報化の急激な進展によって消費財のみならず人,資金,情報,文化が国境を越えて駆けめぐり,そのスピードも加速しております。これらの点において我が国は,これまでに経験したことのない経済社会構造の変化に直面し,大きな転換期を迎えていると言えます。 我が国の農林漁業とこれを支えてきた農山漁村は,国民に食料を安定的に供給する役割を担うことに加え,世界に評価される伝統的な食文化を初めとして,高品質な農産物,水産物等を生産する技術や,持続性にすぐれた生産装置である水田,豊かな保水機能を有する里山,美しい農山漁村風景などすばらしい潜在力を有してまいりました。 しかしながら,今後の高齢化の進行や人口減少の本格化は1人当たり食料消費量の減少を招くとともに,国内の食市場を縮減させる可能性があり,従来の取り組みを単に継承するだけでは我が国の農林漁業は縮退していくと言われています。その一方で,介護食品や食を通して健康管理を支援するサービスなど,今後増加していく高齢者をターゲットとすることで新たな市場の創出も期待されており,今後の農林水産業のあり方を考える上で極めて重要な方向性となります。本市の農林漁業に対する施策において,今ほど申し上げた人口減少や超高齢社会の到来,急速なグローバル化など経済社会構造の変化を踏まえた新たな市場創出に向けた取り組みがあればお聞かせいただきたい。 次に,農山漁村地域では,都市部に先駆けて人口減少や高齢化が進行いたしております。これまでは集落の共同活動として行われてきた農道や用排水路といった生産基盤の維持管理は,これにかかわる人員や営農による利益の減少によって既に支障を来している状況にあり,また農業の担い手の不足に対しては農地の集約や集落単位の営農等を推奨することで対応されているようではありますが,兼業を基本とする本市の農業では集落を構成する人員が今以上に減少し,高齢化が進むことになればいずれはこうした対応にも限界が来ると思われます。 そして,こうした状況は林業においても同様のことが言えようかと思います。農業及び林業の就業者が高齢化によってリタイアすることになれば,その就業者が所有する耕作のしにくい農地や管理が困難な山地は荒廃が進みます。結果,自然は守られなくなり,災害の危険性も高まっていくことになります。農林漁業における従事者の状況が今後どのように変化,減少していくと想定されているのかお尋ねします。 あわせて,休耕田や耕作放棄地など,手入れのされてない山林はどれくらいの面積,割合となっているのか現状をお聞かせいただきたい。さらに,こうした状況を打開するためには農林水産業における次なる担い手として若手就業者が参画したくなる環境を整えていく必要があり,特に所得改善を含めた農山漁村における生活を将来に向けて夢が持てるものとすることが不可欠と考える次第ですが,このことに対する見解と具体的な取り組みがあればお聞かせいただきたい。 農林漁業にとっての重要なパートナーと言われている食料品製造業は近年,地域の産業構成比における比重を伸ばしており,平成26年度の工業統計調査によれば,北海道,新潟,高知,宮崎などの6道県では1位の座を占め,岩手,宮城,茨城,群馬,埼玉などの8県においても2位となっています。これらの道県では,食料品製造業が地域の主要産業を担うまでに成長しております。一方,飲料,たばこ,飼料を含まない食料品製造業が生産する加工食品に対する需要額を推計し,これに対する県内供給額の割合を推計しますと,福井県は加工食品に対する県内需要額は1,612億円に達しますが,供給額は566億円であり,県内供給率は35.1%となります。これは東京都の25.9%に次ぐ断トツのワーストツーであります。 改めて身の回りを見てみますと,県内のコンビニエンスストアで販売されているおにぎりやお弁当はほとんどが石川県産であり,芦原温泉のお土産として売られているお菓子もその多くは石川県で製造されています。ところがその石川県でさえ県内供給率は65.4%にすぎず,県内供給率が150%を超える新潟県や130%弱の山形県と比べると食料品製造業が十分に成長しているとは言えない状況にあります。 本県がこうした状況にあることについては,食料品製造業自体が脆弱である,あるいは食材を供給する側と製造する側の連携ができていない,流通に問題を抱えているなどさまざまな要因が考えられます。こうした状況をどのように把握,分析しておられるのか,これまでの産業政策を踏まえ御所見をお伺いします。 福井県内で考えた場合,仮に県内供給率を100%まで高めると約5,000人の雇用が創出され,150%まで高めれば約8,000人の雇用が生まれるとの試算がございます。家族を含めた人口ベースで考えると2倍から3倍の人口増が見込めることとなります。これまで福井は,御食国という呼称に代表されるように豊かな食材を供給する地として認識されてきました。農林漁業といった食材を供給する側の振興を図るだけでは限界があります。今後は,農林漁業及び食料品製造業を単なる生業から時代のニーズに応じた事業,もうかる事業に転換し,かつての繊維王国ならぬ食の王国として生産から加工,流通までのネットワークをトータルで構築し,底上げしていく必要があります。食の産業化を図り,地産地消から地産外消へ展開することが若手後継者の育成を含めた農林漁業の振興と地域全体の発展をウイン・ウインの関係で実現する最善の方策であると考える次第ですが,御所見をお伺いします。 また,食の産業化は1次産業の6次産業化を初めとしてあらゆる制度を活用して推進する必要がありますが,中でも農林漁業と商工業の連携が重要になります。農林水産部と商工労働部の間で互いに連携を図るための枠組みがあるのかをお聞かせいただきたい。その実績もお伺いします。 ところで市長,私は,東村市長に3回,西川知事に4回投票をしてまいりました。文字どおり東西に投票したわけであります。この議事堂におられる議員の皆さんもそうでございましょう。しかし,一度もお返しはいただいておりません。東村市長は,坂川市長のとき副市長として赴任されました。今日の姿を想像されていたかどうかは私にはわかりません。坂川市長の突然の不幸の後,議会は一致団結して東村市長を誕生させました。あなたにとって幸か不幸か私にはわかりませんが,しかし,現実であります。昨日の答弁に福井県市長会会長としてとありました。今議会に市長会会長の席はありません。(「そのとおり」「そうだ」「そうだ」と呼ぶ者あり)勝っても負けても東村市長とともにありたいとこいねがっているわけであります。(「そうだ」「そうですよ市長」と呼ぶ者あり)市議会議員なんてね,ばかみたいな存在で,一番住民に近いと言われながらかわいそうな存在でございます。首長,国,県,いつも駆り出されてね,一生懸命汗を流しているんですよ。自分のことは自分でしかやれない,誰も応援してくれない。たまには一緒にやろうと思いませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)終わります。(「そうだ」と呼ぶ者あり) (市長 東村新一君 登壇) ◎市長(東村新一君) 私からは,食の産業化についての御質問のうち,食の産業化による地産外消と若手後継者の育成を含めた農林漁業の振興についてお答えします。 現在,地産外消の取り組みとして福井市農林水産物ブランド化戦略に基づき,農林水産物の生産拡大や品質の向上,加工品の開発等により大都市圏や海外における福井市産食材の消費拡大に努めています。福井市産食材を利用した加工品の開発については,食品製造加工事業者の取り組みや生産者による6次産業化が行われていますが,全般的に生産規模が小さいため,コスト,流通,販売などの面で課題があり,十分な販路の開拓ができない状況です。今後は,農林水産部と商工労働部が連携し,市内の食品製造加工事業者への福井市産食材のPRや事業者と生産者とのマッチング,国や県の6次産業化支援制度の活用等により加工品の生産量の増加を図るとともに,消費者に選ばれる商品となるよう品質向上に努めてまいります。あわせて,市外の販売事業者への販売促進に努め,地産外消の拡大により,新たな需要の創出に取り組みます。新しい需要の創出が事業者と生産者双方の所得と意欲の向上に加え,若者が生き生きと働ける環境の実現という好循環を生み,食品製造加工業と農林水産業がともに魅力ある産業に成長するものと考えています。 本市農林水産業が国が目指す成長産業となるよう,また地域全体が発展するよう取り組んでまいります。 このように,事業展開を行うことで皆様と一緒に福井市政を推進してまいりたいと考えておりますが,私,家族も32人はおりませんので,今申し上げた形での投票行為はできないと思っています。なお,今回の選挙についてはもちろんいろいろと議論をし,進めていかなければなりませんけれども,少し,今のあり方については問題があるとも思っています。したがって,その点はまた皆様ともいろいろと議論をしながら的確に進めてまいりたいと思いますので,よろしくお願いします。 (農林水産部長 前田和宏君 登壇) ◎農林水産部長(前田和宏君) 食の産業化についての御質問のうち,残りの質問についてお答えします。 地方では,人口減少や少子・高齢化などの経済社会構造の変化により,食料需要が減少傾向にございます。一方,大都市圏においては人口流入が続いており,食料需要は増加傾向にあることから,本市では,北陸新幹線福井開業を大きな機会と捉え,販路開拓に取り組んでいます。また,海外においては,国の農林水産物の輸出戦略もあり,本市では金福・銀福スイカの台湾,香港への輸出に取り組んでおります。 今後も,福井市産農林水産物の市場創出に向けて平成27年及び平成28年に策定した福井市農業活性化プラン及び福井市林業・水産業プランや平成30年3月に策定したブランド化に関する項目を強化するためのアクションプランである福井市農林水産物ブランド化戦略に基づき,大都市圏や海外においてさらなる販路拡大に取り組んでまいります。具体的には,従来産品との差別化や高付加価値化による生産・販路拡大を図るため,金福スイカの後継品種の開発や高糖度越のルビーといったプレミアム商品の販売,オリーブの6次産品化,GAPの取得支援等,さまざまな施策に取り組んでまいります。 次に,今後の農林漁業への従事者の状況についてお答えします。 近年の人口減少の影響による後継者不足や高年齢化など,農林漁業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。今後については,農林水産省の統計によりますと,都市部への若者の集中や少子・高齢化に伴い農林漁業者の高齢化や減少がより一層進むものと推計されており,本市も同様の傾向にあると予測しております。同じく,農林水産省の担い手の動向調査によりますと,担い手への集約が進むと見込まれております。本市におきましても,法人化や農地の集積により,より一層の経営の大規模化や効率化,安定化が図られるものと見込んでおります。 休耕田,耕作放棄地,手入れのされていない山林の面積と割合についてお答えします。 休耕田について,平成29年度末時点での不作付地は約342ヘクタールとなっており,水田全体に対する割合は4.5%となっております。耕作放棄地につきましては,平成27年度時点で約343ヘクタールとなっており,耕地全体に対して4.4%となっています。手入れのされていない山林については平成30年度時点で面積が1万1,789ヘクタール,私有林,人工林全体に対する割合は64.6%となってございます。 次に,若手就業者が参画したくなる環境を整えることについてお答えします。 農林水産業は,食料の安定的な供給の役割を担うとともに,地域の経済を支えており重要な基幹産業でございます。この農林水産業が若者に職業として選択されるためには,一定の所得と就業しやすい環境の整備が大切であると考えております。所得の向上のために本市では,福井市農林水産物ブランド化戦略に基づき農林水産物の生産拡大や品質の向上,高付加価値化などを進めております。さらに,農業分野においては法人化や圃場の大区画化及び農地の集積,集約化を推進するなど,生産性の向上や効率的な経営により所得向上につなげております。 一方,若者が就業しやすい環境の整備につきましては,まず就業希望者に対して個別の相談を行い,希望に沿った形での就業ができるよう適切な指導をしております。その後,実際に就業した場合には就業当初の負担軽減を図るための補助や安定した生活を送るための支援を行っております。加えて,技術向上を図るため,県やJA,漁業協同組合,森林組合などの関係機関と連携し,適切なサポートを行うとともにさまざまな研修会などを開催しております。 今後も関係機関と連携し,魅力ある農林水産業の環境整備に取り組み,若者に本市農林水産業への就業を選んでもらえるよう努めてまいります。 福井県の食料品製造業の状況についてお答えします。 平成29年度の工業統計調査によりますと,福井県の食料品製造業は従業員数や製造品出荷額が全国で最下位となっております。食料品製造業は,地域の農林水産業から食材の提供を受けて加工品を生産しており,農林水産業を含めた地域経済全体の発展につながる重要な産業であることから,このような現状は改善が必要と考えており,そのためには農林水産部と商工労働部がしっかりと連携することが不可欠でございます。これまでも,商工労働部においては農林水産部が所管する一押しの逸品などの本市の農林水産品を活用したお土産品や加工品の開発支援,販路開拓支援を行ってきたほか,福井らしい農林水産加工品をふくいの恵みとして認定し,認知度の向上を図っております。 また,西武福井店におけるおいしいふくい大博覧会や,日本橋三越本店における物産展,しんきんビジネスフェアなどのバイヤー商談会において一押しの逸品などの農林水産品とふくいの恵みなどの農林水産加工品の出展を連携して行ってまいりました。 今後も,農林水産部と商工労働部が十分に連携し,農林水産業と食料品加工業の発展に取り組んでまいります。 最後に,農林水産部と商工労働部間の連携枠組みとその実績についてお答えします。 現在,農林水産部と商工労働部では情報を共有するなど連携して農林水産物の生産,加工品の開発,PR,販路開拓を行っており,各種ブランド化事業に取り組んでいるところです。また,福井市フェアや台湾物産展など,首都圏や海外における物産展やPRイベントにおいては農林水産物やその加工品をあわせて出展,PRするなど連携して取り組んでおります。 今後は,福井の食をさらに魅力あるものとするため,農林水産業と商工業だけでなく,観光業との連携も含めたビジネスモデルの構築について研究してまいります。 ○議長(青木幹雄君) お諮りします。 本日の市政に対する一般質問はこの程度にとどめ,延会したいと存じますが,これに御異議ございませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり) 御異議なしと認めます。よって,本日はこれをもって延会します。             午後4時36分 延会 地方自治法第123条第2項の規定により,本会議の顛末を証するため,ここに署名する。福井市議会議長                   平成  年  月  日福井市議会副議長                  平成  年  月  日署名議員                      平成  年  月  日署名議員                      平成  年  月  日...