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2021-06-28 令和3年第2回定例会(第4日目) 本文
2021-06-28 令和3年第2回定例会(第4日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2021-06-28
    2021-06-28 令和3年第2回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    いわしげ 仁 子君    藤 崎   剛 君    伊 藤 浩 樹 君    鶴 田 志 郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(田之上耕三君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  いわしげ仁子君に発言を許可いたします。
       [いわしげ仁子君登壇](拍手) 3 ◯いわしげ仁子君 皆様おはようございます。  鹿児島市・鹿児島郡区選出、無所属のいわしげ仁子でございます。  早速質問に入らせていただきます。  新総合体育館については、今年度中の基本構想策定を目指して検討委員会が開催されており、五月三十一日には、みずほ総合研究所株式会社によります需要予測調査の結果も示されました。検討委員会で示された資料と検討委員会での議論を踏まえて、以下質問してまいります。  まず、検討委員会で示された資料の中で、現体育館の課題として二項目が掲げられており、一つ目は、「築後六十年以上経過し、老朽化が進んでいる」こと、二つ目は、「全国・国際レベルの競技大会の開催には狭隘である」となっております。  しかしながら、需要予測調査の報告書も含め、検討委員会に提示された資料の中には、国際レベルの競技大会の開催に必要な施設のスペックについては全く触れられておりません。  また、需要予測に当たって設定された諸条件の中に、施設の規模・構成として、平成三十年十一月に示され、既に白紙となった県工業試験場跡地を活用した際のシミュレーションが用いられ、メインアリーナは、バスケットボールコート四面で観客席八千席程度と示されております。  そして、調査対象となった全国の施設も、旧態依然とした箱物行政の一環で整備された古いものがほとんどであり、県がまとめた需要予測調査の結果のポイントの資料には、現在計画中や整備中である一万人規模以上のアリーナについては触れられておりません。ましてや、今月オープンした一万人規模の沖縄アリーナについても触れられておりません。  その結果、県がまとめた資料の中では、八千人規模という言葉が随所にちりばめられ、施設全体の組合せパターンとしても、「メインアリーナの観客席─最大収容人数─については、専門家のヒアリング結果を踏まえ、八千人規模を想定」と記載されております。  前述の沖縄アリーナについては、鹿児島県の新総合体育館基本構想策定支援業務を委託することが決定した株式会社梓設計が、沖縄市多目的アリーナ施設等整備全体計画調査業務報告書を作成されました。その報告書の中では、沖縄県内のイベントに携わる関係者に行ったヒアリングについても掲載されております。  鹿児島県のヒアリングにも答えられたキョードー西日本は、「多目的アリーナの一万人規模の設定については、コンサートなどイベントを行うには十分な大きさであり、会社として興味を持っている」と答えられております。また、ビーエムシーエージェンシーというところは「屋内で一万人規模であれば季節や天候に左右されないので利用したい」と答えられております。  一方、鹿児島県の需要予測調査報告書を見ますと、利用意向に関するヒアリング結果として、「立地がよく、八千席以上の規模でコンクリート床であればコンサートで利用するだろう」と示されております。また、本施設を利用するに当たっての望ましい条件として、「コンサート、その他のイベント─MICE等─の両方を誘致する場合は、八千席以上の規模の施設とすることが望ましい」と記載されております。  そして、施設規模─席数─に関するヒアリング結果の主な意見として、「一万席の規模でもよいが、稼働を上げたいのであれば一万席は大き過ぎるような気がする」と、どこかのどなたかが「気がする」と言ったことが主な意見として掲載されております。  この需要予測調査結果を基に県がまとめた資料では全く触れられておりませんが、現在整備中もしくは計画中の全国のアリーナを見てみますと、愛知県新体育館は一万七千人、香川県の新県立体育館は一万人、大阪府の新アリーナは西日本最大級の一万八千人、神戸市の新アリーナは一万人と、一万人以上がスタンダードとなってきています。  皆様のお手元に配付させていただいている資料の一、こちらが、先ほどから申し上げております沖縄アリーナとなっています。ちなみに、この沖縄アリーナには、エイベックス株式会社アリーナ施設の運営協力、アリーナエンターテインメントの新規開拓に関する業務提携に合意しており、今月のグランドオープンでは、ドリームズ・カム・トゥルーがコンサート予定でした。今後は、ヨーヨー・マなどクラシックの世界的に有名な音楽家のコンサートも予定されております。  二番目は、大阪府が整備予定の仮称万博アリーナ、一万八千人です。周りにいろいろホテルとかが整備される予定となっております。  そして三番目は、神戸市がウォーターフロントに整備予定のKOBE Smartest Arena、一万人となっております。  県の資料によりますと、一万人規模は、「開催の頻度が低くなることが想定され、結果的に、八千人規模と比較して、コンサートの利用日数及び稼働率が減少することが想定される」としております。ちなみに、この稼働率の考え方は、旧態依然とした箱物行政の考え方であり、近年の世界のアリーナは、稼働率は三〇%ほどであっても、併設するオフィス・商業施設・レストラン・ホテルなどからの収入で黒字化しているため、稼働率について意に介していないのが現状です。  沖縄アリーナは、なぜ収容力を一万人規模にする必要があったのかという、日経エックステックの質問に対して、二〇一七年計画当時の沖縄市上田副市長は、「現在、沖縄県にはこの規模の屋内施設がありません。沖縄市が考えるアリーナは、スポーツやエンターテインメントを中心とした用途となっています。我々は収益性のある、自走できる施設を目指しているので、コンサートなどスポーツイベント以外の使用も重要と考えています。有名アーティストコンサートのプロモーターをしている方に聞くと、アリーナツアーでは北海道から九州まで一万人規模というのが一種の規格となっているそうです。しかし、沖縄県にはそのような施設がない」ことから、沖縄アリーナは一万人規模にしたとのことです。  また、先月には大阪府が、西日本最大級のスペックである一万八千人のアリーナを二〇二七年に開業予定であることを発表しました。このアリーナは、大阪府の万博記念公園駅前周辺地区活性化事業の一環として、高級ホテル、カジュアルホテル、商業施設、オフィス棟、共同住宅とともに整備される予定となっております。  この事業者の公募に当たり、大阪府が提示した資料の中には、主な国際スポーツ大会における最近の施設スペックが示されていました。各競技のガイドラインで設定された人数としては、バスケットボールとバレーボールが約一万五千人、空手が約八千人、実績ベースでのスペックとしては、フィギュアスケートが約一万八千人、柔道が約一万四千四百人、バドミントンが約一万二千四百人となっております。  そのため、前述の沖縄アリーナは、二〇二三年のバスケットボール・ワールドカップの予選が開催されることが決定しており、大阪府のアリーナでは、世界フィギュアスケート選手権プロテニスWTAツアーNBA公式戦等の開催を想定しているとのことです。  一方で、鹿児島県の需要予測調査報告書や県がまとめた資料には、どこにも国際大会についての調査結果が記載されておりません。  そこでお尋ねいたします。  現体育館の課題として、全国・国際レベルの競技大会の開催には狭隘であることが挙げられていますが、八千人規模であれば規模が小さ過ぎて国際大会の誘致は難しいと考えます。県としては国際大会を誘致する考えはないということなのか、県の見解をお示しください。  次に、総合体育館基本構想検討委員会では、コロナ禍により視察が延期となっておりますが、七月に和歌山のビッグホエールと大阪市中央体育館の視察を予定していると聞いております。  ビッグホエールは一九九七年に完成、大阪市中央体育館も一九九六年に完成しており、二十世紀の箱物行政の一環で造られたものを、二十一世紀の現在において視察に行く必要は全くないと考えます。  検討委員会が視察するべきは、現時点では国内最新のスペックを誇る沖縄アリーナであり、また、現在計画中ではありますが、愛知県の新体育館や大阪府の仮称万博アリーナについて、担当者から話を聞く視察を組まれたほうがよいと考えます。  ちなみに、沖縄アリーナの整備に当たって沖縄市の担当者が視察されたのは、収容人数約一万七千人の横浜アリーナ、約四万人が入る鹿島スタジアム、約一万五千人規模のマリンメッセ福岡、そしてアメリカの約一万八千人規模のバンカーズ・ライフ・フィールドハウスと、約一万九千人規模のオラクルアリーナとなっております。  そこでお尋ねいたします。  まず、視察先として和歌山ビッグホエールと大阪市中央体育館を選定された理由についてお示しください。  そして、検討委員会でも委員から指摘があったように、海外の先進事例を視察することや、国内においては最新の沖縄アリーナを視察することが必要であると考えますが、県の見解をお示しください。  また、今定例会の提案理由の中に、「県としては、検討委員会における検討結果を踏まえ、県民の皆様の御意見なども伺いながら、今年度中の基本構想策定を目指して取組を進める」とありますが、どのようにして県民の意見を聴取するのか、その方法とスケジュールをお示しください。  以上で、一回目の質問といたします。 4 ◯総合政策部長(前田洋一君)新たな総合体育館につきまして、新たな総合体育館における国際大会についてでございます。  アリーナスポーツ協議会が示しておりますアリーナ標準におきましては、観客席八千席程度の中規模アリーナバスケットボール等の国際大会が想定されているところです。  今回の需要予測調査においては、この規模を前提として仮置きし、中央競技団体に誘致可能性がある大会について調査を行いました。  その結果、国際大会の誘致可能性について一定の需要が示された一方で、八千席程度の規模を理由に可能性がないと回答した団体はなかったところでございまして、県としては、国際大会についても誘致に取り組むこととしております。  なお、観客席の規模につきましては、今後、需要予測調査の結果なども踏まえながら、検討委員会において、施設の規模・構成等を協議する中で、施設に望ましい最大収容人数をはじめ、固定席・可動席の割合など具体的に検討することとしております。  次に、新総合体育館の整備に係る先行事例調査についてでございます。  先行事例調査につきましては、検討委員会の各委員からの意見を踏まえ、スポーツ利用に加えて一定の多目的利用の実績がある施設の規模・構成や管理運営状況を調査する観点や、大都市圏からの時間距離が類似する施設の状況を調査する観点から、大阪市中央体育館和歌山ビッグホエール等を調査先として選定したところです。  同調査は、委員に施設の具体的なイメージをつかんでいただくために実施するもので、調査先につきましては、新たな総合体育館として想定する、スポーツをする・みる・ささえるの三つの視点に配慮した一定規模の競技面数を有する施設としたいと考えていることから、基本的にバスケットボールコート一面で運用されております、みるスポーツを重視した沖縄アリーナや類似する海外の施設については、対象としていないところでございます。  最後に、県民の意見を聴取する方法とスケジュールについてでございます。  新たな総合体育館については、検討委員会において、本年夏頃を目途に、具体的な施設の機能や規模・構成について検討していただき、その上で、整備候補地などについて検討し、来年一月下旬を目途に最終的な基本構想案まで作成していただくこととしております。  同委員会における検討状況については、節目節目で県議会に御説明し、御論議いただくとともに、基本構想案の作成後、パブリックコメントにより、県民の御意見をお伺いしたいと考えております。 5 ◯いわしげ仁子君 自席から質問させていただきます。  知事にお尋ねいたします。  今、前田部長のほうから、視察先について御答弁頂きましたけれども、先日、委託業者が決まりました、コンベンション・展示機能を備える施設に係る整備可能性調査業務委託仕様書によると、本県に適したコンベンション・展示機能を備える施設の在り方等を検討するに当たって、「参考となる施設を五施設以上抽出し、本県職員とともに現地調査を行うこととする」となっており、その質問回答書によると、現地調査の対象については、「国内及び海外のいずれの施設も含む」となっております。  そこで、知事にお尋ねいたしますが、コンベンション施設可能性調査や、沖縄市のように、総合体育館についても、海外の先進事例視察やオンラインで海外とつないでの視察が必要だと考えますが、知事はその必要性についてはどのようにお考えか、お聞かせください。  また、もしも体育館に関して海外視察の必要がないと考えていらっしゃるのであれば、コンベンション施設可能性調査では海外視察を含む予定であるのに対して、総合体育館については海外視察を行わないその理由についてもお聞かせください。 6 ◯知事(塩田康一君)今の御質問は、体育館ではなくてコンベンション施設等についてということでございますが、それぞれ体育館とコンベンション、海外のいろんな施設の性格によっても考え方は異なると思いますので、同じように両方とも必要だということには必ずしもならないと思いますし、体育館についても、海外の状況について全く考慮しないということではなくて、実際に視察等をするかどうかは別にしまして、委員の皆さん、これまでの知見をお持ちの方からはお話をお伺いしながら、そういったことも参考にしながら検討していくというふうに承知しております。 7 ◯いわしげ仁子君 再度、知事にお尋ねいたします。  知事は、昨年の選挙で三三・九%の得票率という、鹿児島県民の過半数にも満たない二十二万二千六百七十六人という、有権者の一六%の方々からの投票によって知事に御就任されたわけですが、その選挙の際にマニフェストに国際展示場の整備を掲げていらっしゃったということで、現在、国際展示場の整備に向けて調査を行っていらっしゃるかと思います。  知事、イギリスのロンドンにありますO2アリーナに行かれたことはありますでしょうか。このO2アリーナは、二〇〇〇年に国際展示場として建設されましたが、収益率が悪化したため、アメリカの娯楽産業大手アンシュッツ・エンターテインメント・グループが改修を行い、二〇〇七年に国際展示場としても使えるエンターテインメントスポーツ興行の聖地として生まれ変わりまして、収容人数二万人のもうかる施設へと再生いたしました。  ちなみに、このアンシュッツ・エンターテインメント・グループ通称AEGは、大阪府と愛知県の新体育館、新アリーナを整備することとなっております。  先ほど申し上げました、沖縄アリーナ計画当時三十五歳の総務省出身の上田副市長は、「収益性のある、自走できる施設を目指すのであれば一万人規模は必要だ」とおっしゃったのですが、一方で、鹿児島県の検討委員会では、提示されたデータを見ても、収益性のない八千人規模の単なる体育館を造ることをベースに検討が行われているようでございます。  日頃から、稼ぐ力の向上をうたっていらっしゃる塩田知事でございます。ドルフィンポート国際展示場を整備したいのであれば、O2アリーナのようにエンターテインメントにもスポーツ興行にも使えて、レストランなどを併設して、イベントがなくてもにぎわいが創出できる施設を整備したほうが、雇用も税収も生み出せて、どんなにか鹿児島県民のためになるかと思うのですが、今ここで勇気を出して立ち止まって、稼げる施設を造るために、議論を進めるためにかじを切り直すお考えはないか、お聞かせください。 8 ◯知事(塩田康一君)体育館とコンベンション施設の話がいろいろと混在しているような気がいたしますけれども、現時点において、体育館の検討においては、県民の皆さんが運動する体育の振興拠点という視点をしっかりと持ちながら取り組んでいくということに重点があると考えておりますので、現時点においては、基本構想検討委員会での議論をしっかり見守っていきたいと思っております。    [いわしげ仁子君登壇] 9 ◯いわしげ仁子君 御答弁頂きました。  総合体育館基本構想検討委員会を毎回傍聴させていただいておりますが、大変失礼な言い方であることは十分承知の上で申し上げますが、この検討委員の皆様方は、ごく一部の方々を除いたほとんどの方々が、全く世界を含む世の中のアリーナ事情を御存じない方や、そもそも既存の体育館を御利用いただいた経験もないような方々が集められて、何を求められているのかもよく分からないままに暗中模索されていらっしゃるように感じます。これでは、鹿児島県民にとって負の遺産になることが確実になる施設しか造られないことが目に見えております。  二〇一七年八月二十二日の東洋経済オンラインに、「日本のスタジアムやアリーナはしょぼすぎる」という記事が掲載されております。欧米に比べて遅れている公的不動産活用をどうすればいいのか、まちづくりやリノベーションの専門家の方々とエイベックスグループ松浦勝人社長らが議論を繰り広げられた内容です。その記事の中で、経営とまちづくりの専門家である一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏が次のように発言されております。「日本では、スポーツ用の施設を造ると決めたら、本当にスポーツ施設だけを造るんです。しかも、周囲から事業性を排除してしまっているので、スタジアムやアリーナでスポーツ観戦をして盛り上がったお客さんが帰りがけに一杯飲んでいく店が一つもないような場所が山ほどある。役人の仕事は、こういうものを造れという指令を実行することですからね。民間なら、どう稼いで収支をちゃんと黒字に持っていくかという視点が入るから、これも必要、あれも必要だ、これもやらなきゃという発想になるけれど、行政にリターンは関係ない。これを造れと言われた指示を実行するだけなんです。役所が造ると、どうしてもあらゆる人が使える施設にしちゃうんです。だから目的が散漫になってしまって、何をやるにも中途半端になってしまっているんですね」と。これはまさにこれから鹿児島県が造ろうとしている新総合体育館のことであると感じずにはいられません。  また、鹿児島県の新総合体育館は、近年整備されているアリーナにはまれな弓道場と柔道場を併設した体育館を造ろうとしていることも、木下氏の言葉どおり、中途半端な施設が造られることが目に見えている要因の一つでもあると考えます。  また、エイベックスグループの松浦社長は、「最初から何でも使えるように造っちゃうと、絶対に専門性がない施設になっちゃうんですよ。逆に、例えばサッカー専用に造ったスタジアムでも、使う側が工夫して音楽イベントに使用したりすることはできるんですから」とおっしゃっています。これはまさに検討委員からも御意見が出た、するスポーツと、みるスポーツの共存はできない、みるスポーツに特化すれば、するスポーツはカバーされるということにもつながると考えます。  現在の検討委員会は、県が造りたい、負の遺産となることが目に見えている体育館を造るために、出来レースとして県の意向を反映しやすい検討委員が集められ、県が造りたい、管理のしやすい維持費垂れ流しの体育館の整備を導き出すためだけに、県の予算を使って開催されているような気がいたします。  二〇二三年の国体にこの体育館が間に合うわけでもないため、ここは、いま一度立ち止まって、例えば基本構想の策定も半年ほど延長して、その中で、コロナも収まった頃に海外の先進事例を見に行くこともぜひとも検討していただきたいと考えます。  先日、鹿児島県の人口が戦後初めて百六十万人を下回ったという報道がありました。人口減少に歯止めがかかりません。これからどんどん税収も減っていく中で、自主財源もないこの鹿児島県において、維持費垂れ流しの負の遺産をこの令和の時代に造ろうとされている塩田知事、近い将来、「あん知事さんな借金ばっかいこさえやっしゃったなあ」と言われるか、「あん知事さんな雇用も増やして税収も増やされて、よか知事さんやったなあ」と言われるかは、塩田知事、あなた自身にかかっております。いま一度立ち止まられて、県民の雇用も税収も生み出せる、稼げる施設の整備にかじを切っていただきますよう心から要望申し上げます。  次の質問に入ります。  先日の地元紙の一面に、奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、環境省が、瀬戸内町嘉徳の河川や海岸を含む集落一帯を推薦区域保護のための緩衝地帯に新たに編入していたという記事が掲載されておりました。  この嘉徳海岸は、IUCN評価書において「奄美大島で人工物がない唯一の河川」と評された嘉徳川が、嘉徳海岸に海岸線に平行に流れ込んでおり、大変珍しい景観を生み出しております。  この嘉徳海岸は、二〇一四年の台風で砂浜の浸食が進んだため、コンクリートの護岸整備が二〇一九年三月から始まりましたが、建設現場近くでアカウミガメの産卵が確認されたために、工事が一時中断されました。また、十七世帯二十一名の嘉徳集落の住民の一部を含む地元住民が、この護岸工事への公金差止めを求めて住民訴訟を起こしております。  このIUCN評価書の緩衝地帯の拡大についての項目の中に、「奄美大島の緩衝地帯の拡大については、既に認められている住宅地を保護するための嘉徳海岸の護岸の建設は進めるという条件にて、当該自治体及び地元住民との合意の下に行われた」と記されております。  これについては、嘉徳集落にお住まいの三名の方によると、緩衝地帯の拡大についてはIUCN評価書の公表によって初めて知ったとのことです。また、現在でも、護岸整備に異を唱える住民による裁判が進行中であるということは、IUCN評価書にあるような「嘉徳海岸の護岸の建設は進める」という条件について、地元住民からの合意が取れていないことは明らかです。  そこでお尋ねいたします。  一点目として、このIUCN評価書に記載されている地元住民との合意とは、具体的にどのようなプロセスを経て取られたものなのか、お示しください。  次に、IUCN評価書には、「日本政府は、奄美大島で人工物がない唯一の河川である嘉徳川に、今後一切の河川構造物を建造しないことを発表している。日本政府は、嘉徳海岸の護岸は嘉徳川に悪影響を与えないだけの十分な距離を取って整備するとしている」と記されております。しかしながら、嘉徳川の河口は時期によっては嘉徳海岸に平行に流れることがあり、その際には護岸整備予定地前に大きく蛇行することがあります。  そこでお尋ねいたします。  二点目として、嘉徳川の河口は護岸整備予定地前を海岸線に沿って平行に流れることもありますが、何をもってして「嘉徳川に悪影響を及ぼさないだけの十分な距離を取って整備する」と言えるのか、具体的にお示しください。  次に、令和二年第三回定例会において、たいら議員の質問に対して土木部長が、「嘉徳海岸侵食対策検討委員会において、護岸を整備した箇所における砂浜の経年変化を確認したいとの意見があり、奄美大島島内の十九の海岸を対象として、航空写真調査や現地調査を実施し、その結果、事業完了後十数年から数十年が経過しているが、砂浜には大きな影響が見られなかったところであり、嘉徳海岸においても同様と考えている」と答弁されております。  そこでお尋ねいたします。  三点目として、この奄美大島島内の十九の海岸の中に奄美市の小湊海岸も含まれているのか、お示しください。  次に、嘉徳海岸には、美しい砂浜に淡水の川が流れ込む非常に珍しい手つかずの自然があり、また、集落入り口には約四千年前の嘉徳遺跡もあります。また、日本自然保護協会の二〇一八年の調査によりますと、この嘉徳海岸には、環境省及び鹿児島県のレッドリストに登載された貝類などが約三十一種類確認され、嘉徳海岸に流れ込む嘉徳川には、環境省レッドリストのリュウキュウアユが生息しているとのことです。この自然と遺跡は、鹿児島県にとって大変貴重な観光資源になると考えます。しかしながら、その嘉徳海岸に人工物である護岸ができてしまうと、その価値は全くなくなってしまいます。  二〇一四年の台風以来、嘉徳海岸には砂が戻りつつあり、二〇一四年に浸食部分に設置された大型土のう二段もほぼ砂に埋もれて見えなくなってきております。現在、十七世帯二十一名がお住まいの嘉徳集落の持続可能な発展を考えたとき、三億四千万円の税金を使って百八十メートルのコンクリート護岸を造ってこの稀有な自然を破壊するよりも、この自然と遺跡を活用した観光振興に予算をかけるべきだと考えます。  そこでお尋ねいたします。  四点目として、この護岸工事を実施するに当たり、遺跡への影響に関する調査を行っていれば、その結果についてお示しください。  五点目として、鹿児島県としては、護岸を整備した後の嘉徳海岸の長期的かつ持続的な発展についてどのようにお考えであるのか、お示しください。  以上で、二回目の質問といたします。 10 ◯環境林務部長(松下 正君)嘉徳海岸についてのお尋ねのうち、世界自然遺産に係る緩衝地帯拡大のプロセスについてでございます。  世界遺産登録に係る現地調査を行ったIUCNから、嘉徳川の上流から下流までが一体的に推薦地または緩衝地帯に含まれていることが望ましいため、どちらにも含まれていない下流域を緩衝地帯に含めるべきとの助言を受けたところであります。  この助言を踏まえ、国は、嘉徳川の下流域を緩衝地帯に含めることをIUCNに対して表明したところであります。  嘉徳集落の住民の方々に対しては、この表明に先立ち、国、県、地元町職員が訪問し、嘉徳集落が位置する嘉徳川の下流域を新たに緩衝地帯へ含むことになるが、これによる農業を含めた日々の暮らしへの規制の変更がないことや、嘉徳海岸の護岸工事への影響はないことなどの説明を行ったところであります。 11 ◯土木部長(兒島優一君)護岸工事による嘉徳川への影響についてであります。  嘉徳川につきましては、奄美大島において、河川横断物のない自然な流れを持つ河川として、上流から下流が一体的に推薦地または緩衝地帯に含まれることが望ましいとのIUCNからの助言を受け、国は、嘉徳川の下流域を緩衝地帯に含めることを表明したところであります。  嘉徳海岸の護岸工事は、河口部における河川に影響を及ぼす範囲として定められている、河口から海に向けて十一度に広げた線の範囲外であり、河川の流れに影響を及ぼすものではないと考えております。  奄美市の小湊海岸についてであります。  平成二十九年に開催された嘉徳海岸侵食対策検討委員会において、過去に護岸を整備した箇所における砂浜の経年変化を確認したいとの意見があり、主に嘉徳海岸と同じ瀬戸内町内の海岸を対象として、航空写真調査や現地調査を実施したところであります。  その結果では、事業完了後十数年から数十年が経過しているが、砂浜には大きな影響が見られなかったところであります。  奄美市の小湊海岸につきましては、この調査の対象には含まれていないところであります。  嘉徳遺跡への護岸工事の影響についてであります。
     嘉徳集落には、嘉徳遺跡と嘉徳集落遺跡の二つの遺跡が確認されております。  護岸の整備予定地につきましては、嘉徳集落遺跡の一部にかかりますことから、県では、文化財保護法に基づき、平成三十年六月に県教育委員会と協議を実施しているところであります。  その結果、工事の実施に当たり、埋蔵文化財が発見された場合には、瀬戸内町教育委員会と協議を行う扱いとなったところでございます。  嘉徳海岸の整備の考え方についてであります。  嘉徳海岸は、奄美群島国立公園内に位置し、自然環境に優れた海岸でありますことから、事業計画の策定に当たりましては、海岸、水生生物及び環境の専門家や地元住民等で構成する検討委員会を開催したところでございます。  検討委員会におきましては、護岸を整備すべき必要最小限の範囲、安全性が高く、かつ従前の自然環境に極力近づける工法について、十分な検討が行われ、整備方針がまとめられたところでございます。  県といたしましては、この整備方針に基づいて工事を実施することにより、地域住民の生命や財産を守りつつ、嘉徳海岸の自然環境や景観を復元したいと考えております。 12 ◯いわしげ仁子君 知事にお尋ねいたします。  昨年、塩田知事が御就任直後に無所属の控室にお越しいただきまして、御挨拶させていただきました。その際に嘉徳海岸のことについてもお話しさせていただき、ぜひ知事御自身の目で御確認くださいということを申し上げたところだったんですけれども、この一年間、塩田知事は嘉徳海岸に行かれる機会はありましたでしょうか。 13 ◯知事(塩田康一君)残念ながら、まだ訪問の機会はございません。    [いわしげ仁子君登壇] 14 ◯いわしげ仁子君 御答弁頂きました。  皆様のお手元の資料の四番の写真、この写真は、先週の六月二十四日時点の嘉徳海岸の護岸が整備される予定となっている墓地前の写真を嘉徳住民の方から頂いたものです。  左上の黄色の丸印のところが墓地となっておりまして、黄色の矢印のところには墓石もちょっと見えると思います。その墓石の前に、昨年九月の大型台風十号襲来に備えて、大型土のうが二段積まれたんですが、この土のうも一年とたたずして砂に埋もれてきております。  また、右側の黄色の丸で囲んでいるものは、二〇一五年に嘉徳海岸を守りたい有志の方々が植えられたアダンが大きくなっているものです。  二〇一五年以来、何度か台風が襲来しておりますが、このアダンは流されることなく大きくなっていって無事であったということは、それだけ嘉徳浜に砂が戻ってきており、度重なる台風の影響も受けていないという証拠とも言えます。  そして、資料の五ですが、先ほど部長のほうから、小湊海岸の経年変化については調査対象ではなかったという御答弁がありましたが、こちら左側が一九四五年当時の小湊海岸で、右側が二〇一七年当時なんですが、黄色の丸印のところに大きな岩がありまして、一九四五年当時はその大きな岩のところまで砂浜が続いていたのですが、四十年、五十年ぐらい前に護岸が整備されたということで、その後、この大きな岩のところまで到達するような砂は消えてしまったという状態になっています。  このように護岸を整備したことによって砂浜が消滅している事例というのは、国内にも海外にもあるとのことです。  山に囲まれた上に、砂浜に川が流れ込むという大変希有な自然の造形美を見せてくれる上に、このたび世界自然遺産候補地の緩衝地帯に編入されることとなった嘉徳海岸を次世代の子供たちにありのままの姿で引き継げるのは、塩田知事の工事中止の御英断にかかっております。  本港区エリアまちづくり事業の公募も中止し、県庁東側の土地に体育館を整備することについても白紙とされた塩田知事です。ぜひとも嘉徳海岸におかれましても、御自身で行かれて、御自身の目でその神秘的な自然美を御確認いただき、工事中止の御英断をしていただきますよう心から御要望申し上げます。  続きまして、観光行政についてお尋ねしてまいります。  令和三年度当初予算には、新鹿児島PR戦略に基づき、国内外に向けて効果的な情報発信やプロモーション活動を戦略的に実施することにより、本県の認知度向上及びイメージアップを図るために二千万円が計上されております。  この事業の一環として、去る四月三十日に、Breathtaking Kagoshima─心奪われる鹿児島─と題された動画が八本公開されました。  この鹿児島県のPR動画といいますと、これまでにも複数制作されており、二〇一四年に公開されたKagoshima Energetic Japanや、二〇一五年に公開されたBIRD,S EYE VIEW OF KAGOSHIMAも大変美しい映像で鹿児島県の魅力を改めて認識する動画となっております。  しかしながら、その再生回数は、約六年間の間に、Kagoshima Energetic Japanが、五分のメインバージョンが十二万回、二分のメインバージョンが百二十六万回、サブ動画も含めると約五百二十万回の再生回数となっているとのことです。そして、BIRD,S EYE VIEW OF KAGOSHIMAは、ユーチューブ上で公開された二〇一五年七月二十四日以来、六十三万回の再生回数となっております。  一方、海も空港もなく観光行政に危機感を持って取り組んでいらっしゃる岐阜県で作成された同県のPR動画は、一年前の二〇二〇年五月七日に公開されて以来、九百一万回の再生回数となっており、約一年で、六年越しの鹿児島県のPR動画の再生回数を大幅に上回っています。  その要因としては、岐阜県の観光サイトにリンクが張ってあることと、動画がナレーションも字幕も英語で作成されていることが挙げられると考えます。  そこでお尋ねいたします。  Breathtaking Kagoshimaは、現時点では県のホームページから特設サイトに飛ぶ、もしくは、Breathtaking Kagoshimaで検索しなければ視聴することができませんが、今後の具体的な活用方法をお示しください。  次に、令和三年度当初予算に、観光サイトシステム改修事業として二千四百二十三万九千円が計上されております。  そこでお尋ねいたします。  この事業には、県観光サイトの多言語化も含まれているのかお示しください。  また、多言語化が含まれている場合には、どの言語が対象となるのかお示しください。  そして、観光サイトシステムの改修スケジュールについてもお示しください。  次に、キャッチコピーについてです。  NHK大河ドラマ「西郷どん」の放送から二年以上が経過しておりますが、鹿児島県はいまだに「どんどん鹿児島」というキャッチコピーを使用されています。キャッチコピーを新たにする際には、英語のキャッチコピーも必要になってくると考えます。「どんどん鹿児島」の英語版は、「GoGo Kagoshima」が使われており、鹿児島の応援キャッチコピーのようになってしまっています。  観光行政に危機感を持って取り組まれている岐阜県においては、日本語のキャッチコピーは「清流の国ぎふ」となっており、三千メートル級の山々と長良川・木曽川・揖斐川の木曽三川を表しています。また、岐阜県の英語版のキャッチコピーは「Timeless Japan、Naturally an Adventure」ということで、「雄大な自然と世代を超えて愛され引き継がれてきた不朽の伝統と生活文化に身を任せてごらん。岐阜への旅は必然的に冒険だ」というストーリーと共に、岐阜県の英語版の観光サイトに掲載されており、このコンセプトを基につくられたストーリーでPR動画が英語で作成されています。  アフターコロナを見据えた効果的な情報発信が求められている今こそ、鹿児島県の日本語のキャッチコピー並びに英語でのキャッチコピーを新たにする必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  鹿児島県のキャッチコピーを新たにする予定があるのか、お示しください。  また、キャッチコピーを新たにする予定がある場合には、そのスケジュールについてもお示しください。  観光プロデューサーの在り方については、これまでも本会議や委員会で議論が交わされてきましたが、四代目の現在の観光プロデューサーになっても、プロジェクトを企画・立案・実行できるような予算が配分されているわけではないと認識いたしております。  現在の観光プロデューサーは、ウェルネス産業について大変広い知見と経験をお持ちでいらっしゃいますが、県がこの方の知見を最大限活用していないことの表れが令和三年度の「鹿児島のウェルネス」推進事業の予算削減につながっていると考えております。「鹿児島のウェルネス」推進事業は、令和二年度には千百三十六万八千円計上されておりましたが、令和三年度には二百万円計上されており、九百三十六万八千円も減額となっています。  また、この事業の内容も、ウェルネスが稼げる観光の大きな要素であるにもかかわらず、対外的な広報ではなく、鹿児島のウェルネスについて広く県民に普及・啓発・理解の深化を図ることが目的とされております。ウェルネスで稼ぐ観光の現場を見てこられた現在の観光プロデューサーを最大限活用できていれば、また違った鹿児島のウェルネスの確立や広報が行われることになったと考えます。  そこでお尋ねいたします。  知事が、観光業を基幹産業の一つとし稼ぐ力を向上させたいと本気で考えていらっしゃるのであれば、観光プロデューサーに観光振興プロジェクトを企画・立案・実施できるだけの予算をつけて、観光プロデューサーの知見を最大限活用する必要があると考えますが、県の見解をお示しください。  鹿児島中央駅前の東口駅前広場観光案内所に案内看板が設置されております。皆様のお手元の資料の六番目が観光案内所、ちょっと見にくくて申し訳ないんですけれども、七番目が、上の黄色い丸で囲んだところに立っている看板となっております。  この看板ですが、観光案内所の裏に設置してありますので、観光案内所でバス乗り場について説明を受ける県民の方々、観光客の方々が、説明されてもバス停の位置が確認できないというお声を頂いております。  そこでお尋ねいたします。  鹿児島中央駅東口駅前広場観光案内所の裏に設置してあるバス乗り場案内の看板については、県民の皆様や観光客の皆様が見やすくなるような適切な場所に移設する考えはないか、県の見解をお示しください。  次に、約一年半以上続くコロナ禍において、飲食店や関係する企業などが営業縮小に追い込まれ、結果として、そこでパートやアルバイトで働く女性が困窮することとなり、女性の自殺の増加などが報道でも取り上げられております。  このコロナ禍で顕在化したのが、生理の貧困という問題です。  内閣府男女共同参画局が、生理の貧困に係る地方公共団体の取組を今年の五月十九日時点で調査したところ、全国で二百五十五の地方公共団体において、生理の貧困に係る取組を実施もしくは実施を検討しているとのことです。  都道府県レベルでの取組を見てみますと、東京都、福岡県、宮崎県、沖縄県がそれぞれ、学校や公共施設などでの生理用品の配布や設置などを実施または検討しているということです。ちなみに、鹿児島県を含む鹿児島県内の地方公共団体の取組は、五月十九日時点では確認されておりませんでした。  また、報道によりますと、群馬県では、外出先でのトイレットペーパーと同じように無料の生理用品を使えるようにしようと、全ての県立学校や県有施設で生理用ナプキンを提供する方針を決めたとのことです。  群馬県によると、県立の高校や大学、特別支援学校計七十九校では、希望する生徒や学生に養護教諭や職員から生理用品を手渡ししており、今後はトイレの個室や洗面所に置くことも検討するとのことです。補正予算は組まずに、掃除用洗剤やトイレットペーパーを購入している管理費を充てるとのことです。  また、不特定多数の人が利用する県立の美術館や図書館などの施設のトイレには、早ければ夏頃から無料で生理用品の提供が受けられる機械を導入するとのことです。この機械というのは、東京のオイテルという会社が開発したもので、トイレに入ると自動で広告動画が流れ、スマホの専用アプリを起動させて近づけると生理用ナプキンが出てくる仕組みとなっております。  皆様のお手元の資料の八番目が、オイテルということで、九番目がその使い方となっております。  この生理用ナプキンの購入費は広告料で賄える仕組みとなっているとのことです。この機械で利用した回数はアプリ内で管理され、受け取るナプキンは二時間に一枚までとのことです。  群馬県の山本一太知事は、「生理用品は女性にとって必需品で、満足に購入できないことは人権問題でもある。一時的な対応にとどまらず、必要なときに必要な人に広く行き渡らせたい」と発言されたとのことです。  この群馬県、都道府県の知事部局の部長級職員の女性比率は三八・四%と全国一位だとのことです。ちなみに、鹿児島県は、二〇二〇年度の管理職の女性比率は九・七%となっております。  先日、たいら議員からお声かけいただき、県内の約六百人の女性でつくる市民団体の方々との懇談会に出席させていただきました。御参加いただいた方の中には大学生もいらっしゃいまして、学生生活の上での困り事として生理の問題についてもお聞きしたところです。  小学校や中学校で初潮を迎えると、いつ生理になるか分からない状態で不安であったこと、生理用品をトイレに持ち込む姿を男子生徒にからかわれたこと、突然生理になっても先生に相談しにくかったこと、生理で水泳の時間を休むことを先生に伝えづらかったことなどをお聞きしたところです。  その大学生のみならず、ほかの女性の方々からも、小学校・中学校を含む全ての学校の女子トイレの個室に、トイレットペーパーと同じように生理用ナプキンを常備してほしいというお声を頂きました。  全国の市区町村では小学校・中学校の女子トイレに生理用ナプキンを設置しているところもあり、神奈川県の大和市では、掃除当番の方がトイレのナプキンを補充するようになっているようです。  小学校・中学校のみならず、高等学校や県立短期大学などの女子トイレの個室に生理用ナプキンが常備してあれば、貧困に苦しむ家庭のお子さんのみならず、シングルファーザーに育てられていて保護者に生理について相談しにくいお子さんや、虐待を受けていて保護者に生理のことを相談できないお子さんなども大変助かると考えます。  そこでお尋ねいたします。  不特定多数の人が利用する公共的な施設の女子トイレに生理用ナプキンを置くことについての県の見解についてお示しください。  また、各市町村とともに、鹿児島県内の全ての小学校・中学校の女子トイレに生理用ナプキンを常備する方法を検討する考えはないのか、県の見解をお示しください。  以上で、三回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 15 ◯知事(塩田康一君)新PR動画「Breathtaking Kagoshima」の活用方法についてでございます。  新たなPR動画につきましては、世界に誇れる鹿児島の食材やすばらしい観光資源と併せて、鹿児島の特色ある日常風景を国内外に向けて情報発信することを目的に、昨年度末に制作したもので、英語、中国語、ベトナム語など七か国語に対応しております。  これまで、インターネット上の特設サイトで公開するとともに、鹿児島空港や奄美空港、国内外の鹿児島フェアにおいて放映を行っておりますほか、テレビ等のマスコミに対しても動画の使用を働きかけており、先般も民放キー局の昼の情報番組に取り上げていただいたところでございます。  また、今年度は、奄美の世界自然遺産登録に合わせた集中的な情報発信を行うとともに、広告代理店に委託し、より多くの方に視聴いただけるように、より効果的なSNSの活用を図ることとするなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  私といたしましては、この新PR動画をはじめとして、積極的な情報発信を行い、鹿児島の認知度向上を図り、本県産業の「稼ぐ力」の向上に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。 16 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)観光サイトシステム改修事業についてでございます。  県では今年度、閲覧者の利便性やセキュリティーの向上を図るため、県公式観光サイト「かごしまの旅」につきまして、日本語版及び多言語版両方の改修に取り組んでいるところでございます。  今回の改修により、多言語版観光サイトの英語、韓国語、中国語の簡体字及び繁体字版につきましては、トップページや特集ページのレイアウト刷新など全面リニューアルを行うほか、今後、直行便の就航が見込まれておりますベトナムからの観光客誘致を強化するため、新たにベトナム語版のサイトも制作することとしております。  スケジュールにつきましては、令和四年二月の改修完了及び本格運用を目指しているところでございます。  次に、新たなキャッチコピーについてでございます。  現在のキャッチコピー「どんどん鹿児島」につきましては、新鹿児島PR戦略の策定に合わせて、同戦略の考え方等に基づき、平成三十年一月に決定したものでございます。  新鹿児島PR戦略は来年度までの戦略となっておりますことから、その見直しの過程において、新たなキャッチコピーの見直しについても検討してまいります。  次に、観光プロデューサーについてでございます。  観光プロデューサーは、専門的な知識や豊富な経験・人脈を生かして、知事に対して本県の観光振興に関する提言や助言等を行っていただくため、知事が委嘱しております。  同時に、県観光連盟の非常勤職員でもあり、同連盟が実施します観光振興施策に関し必要なコーディネートを行い、プロデュースする役割を担っていただいております。  具体的には、その専門的な知識や豊富な経験・人脈を生かし、県内各地の観光資源の磨き上げや商品化に対する指導・助言、観光振興に係る人材育成などに尽力していただいているほか、現在、ウェルネスを活用した観光商品の開発以外にも、ワーケーションやグランピングなど個別のテーマに沿った取組につきまして推進していただいているところでございます。  県といたしましては、引き続き、観光プロデューサーと連携・協力して、本県の観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。 17 ◯地域政策総括監(房村正博君)鹿児島中央駅東口駅前広場バス乗り場案内板の移設についてでございます。  鹿児島中央駅前広場バス乗り場案内板につきましては、県や鹿児島市、バス、鉄道、旅客船事業者等で構成する県公共交通総合案内システム協議会において、平成二十七年度に設置したところでございます。  本年四月に、当該案内板の正面に鹿児島市の観光案内所が開設され、鹿児島中央駅から降りてこられた方々から、当該案内板が見つけにくいとの声もあるところでございます。  バス乗り場案内板につきましては、利便性がよく、見やすく、分かりやすい場所に設置されていることが重要であることから、まずは、同協議会において御意見を伺いたいと考えているところでございます。 18 ◯男女共同参画局長(奥 一彦君)公共的な施設への生理用品の配備についてでございます。  生理用品の提供につきましては、先般決定された国の、女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二一において、地方公共団体が相談支援の一環として行うものには国の交付金を活用できることや、関係機関の積極的な協力・連携等が明記されたところでございます。  不特定多数の人が訪れる公共的な施設への生理用品の配備につきましては、対象者の範囲や管理の在り方など様々な課題があると考えており、他自治体の事例も参考に、ニーズや課題の把握に努めてまいりたいと考えております。 19 ◯教育長(東條広光君)県内の小・中学校における生理用品の配備についてであります。  学校では、養護教諭を中心に関係職員が連携し、健康観察や健康相談等により、児童生徒の心身の状況を把握して必要な指導を行っており、生理用品等を自身で用意できない児童生徒に対しては、保健室の生理用品等を提供しております。  県教委としては、生理用品等が急に必要になったり、相談できずに困ったりしている児童生徒が安心して利用できるよう、提供方法や配置場所等の課題について検討してまいりたいと考えております。    [いわしげ仁子君登壇] 20 ◯いわしげ仁子君 それぞれ御答弁頂きました。
     KAGOSHIMAイメージアップ事業については、コロナ後を見据えて鹿児島のイメージアップを図るのであれば、ほかの都道府県がやっているようなありきたりのプロモーション活動だけではなく、例えば、ロンドンなど海外の主要都市のバスのラッピング広告、ロンドンなどで二階建てバスが走っておりますが、いろんな国や都市がバスのラッピング広告を使って観光振興に努めているところなんですが、そちらは約百万円で実施することができます。また、全世界で見られているBBCを活用したCMなど、大胆な方法を実施することも御検討いただきますよう御要望いたします。  観光サイトシステム改修事業につきましては、令和元年の鹿児島県の外国人延べ宿泊者数は七十九万人となっておりますが、海外に向けての攻めのプロモーションを行ってきている結果、百四十五万人の外国人延べ宿泊者数を誇る、海も空港もない岐阜県では、令和三年度当初予算として、訪日再開を見据えたデジタルマーケティングの推進を含む、国内外からの誘客に向けたデジタルマーケティングの強化に六千二百五十万円を計上しており、観光公式サイトの露出度強化対策などに取り組むようでございます。  ちなみに、岐阜県の観光公式サイトは、日本語、英語、二種類の中国語、韓国語はもちろんのこと、スペイン語、フランス語、イタリア語、タイ語、インドネシア語の十か国語対応となっております。  鹿児島県でも県観光サイトを改修するのであれば、岐阜県のサイトにドイツ語を加えた十一か国語対応ができるぐらいの県の観光サイトの改修を要望いたします。  今後ますますコロナ後に増えるであろうインバウンドの方々、また欧米豪からの観光客を誘客するためには、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語が必須となってまいりますので、ぜひとも導入の御検討をよろしくお願い申し上げます。  また、先ほど局長からも御答弁ありました生理用品についてですけれども、先ほど申し上げましたように、東京都、福岡県、宮崎県、沖縄県では、県有施設また公共施設に置くことなどを実際に実行していらっしゃいますので、そういったところの課題とかを十分検討いただき、鹿児島県の施設においても、どこに行ってもトイレットペーパーと同じように、女性が生理用品の心配することなく訪れることができるというような状況を鹿児島県からつくっていただければと思います。  女性の生理は、排せつと同じ生理現象であり、現在では当たり前に設置してあるトイレのトイレットペーパーと同じように、生活必需品として生理用品を女子トイレに設置することが当たり前となる日が遠くない将来に来ることがあれば、小学生から成人まで全ての女性が、いつ生理が始まるか分からないという不安を抱えずに生活できるようになると考えます。  また、トイレに当たり前のように生理用品が設置してあれば、初潮を迎える年頃の娘さんをお持ちの保護者の方々も安心されますし、貧困や虐待などに苦しむ方々も、生理用品について相談できなくても、トイレの個室に入れば生理用品があるということで大変助かると考えます。  ぜひとも鹿児島県から、女性が安心して生活できる、女性に優しい社会をつくるために御尽力いただきますよう心からお願い申し上げます。  そして県の総合体育館、嘉徳海岸についても、いま一度立ち止まって再度御検討いただきますよう強く要望申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 21 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前 十時五十九分休憩       ─────────────        午前十一時  十分再開 22 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、藤崎剛君に発言を許可いたします。    [藤崎 剛君登壇](拍手) 23 ◯藤崎 剛君 おはようございます。  昭和四十八年生まれ、本日二人目、藤崎剛でございます。  県議会復帰から十年目の節目を迎えました。当時、子供たちが五歳と三歳でありまして、子供の手を引いて、時には子供をおんぶして、支援のお願いに地元をはいずり回った日のことを昨日のように思い出します。  県議会議員選挙は、ちょうど東日本大震災発災直後になりました。選挙カーの時短運行の申合せにより午前十時から午後六時までになるなど、今でも鮮明に覚えております。  十年前の三月十一日午後二時四十五分は、ちょうど鹿児島市下伊敷の会社を訪問しておりましたので、今年は節目と思いまして、同日同時刻に同じ会社を訪問し、この十年間のお互いの振り返りをしたところであります。  さて、新型コロナウイルスの闘いが日々続いています。六月中旬に入って新規感染者が一桁台で何とか推移していますが、まだまだ気が抜けない状況であります。  先日は、ワクチンの千人規模の職域接種に申し込んだ社会福祉法人の役員の方にお話を伺いました。三つの障害者福祉施設が合同で、そのうちの一施設のホールを使って、接種会場を自前で設けていく計画になっています。知的障害のある方向けに会場内での移動は最小限に抑え、すぐに座ってもらい、その場で問診・接種・経過観察が行われるように工夫した運営になっているとのことでありました。また、打ち手のドクターの先生にも頑張っていただく一方で、どういうふうに休憩してもらうかなど、具体的に計画しているようでありました。  県内各地でそれぞれが何らかの努力をされているところでありますが、こういった努力が実り、一日も早い終息を願うばかりです。  それでは、質問に入ります。  知事の政治姿勢についてであります。  まず、グレート・リセットについてお尋ねします。  世界経済フォーラムは、世界情勢の改善に取り組む国際機関であり、昭和四十六年─一九七一年─に誕生しました。政治・ビジネス・社会といった各分野のリーダーたちと連携し、官民両セクターの協力の下、目標達成のために取り組むという特徴を持っています。特定の利害と結びつくことなく、グローバルな公益の実現を目的とした非営利団体と定義されています。  このフォーラムが年一回主催するのがダボス会議であり、昨年十月に発表された今年のテーマは「グレート・リセット」でありました。この言葉は、ダボス会議の会長であるクラウス・シュワブ氏が出版した「グレート・リセット」という本の中で、「今回のコロナを契機に社会は変わらなければならない」として、社会秩序を再構築することをグレート・リセットと定義したものであります。  世界経済フォーラムは公式サイトで、各国政府は、パンデミックによって引き起こされた社会的・経済的問題に対処し、いわゆる一九三〇年代の大恐慌以来の最悪の不景気を回避するために抜本的な対策を講じる必要があると主張し、「米国から中国まで全ての国が参加しなければならない。石油・ガスからハイテクまで全ての産業を変革しなければならない。要するに、資本主義のグレート・リセットが必要なのだ」と述べています。  シュワブ氏は二〇一七年一月十日、中国国営新華社通信とのインタビューで、国家戦略の実行を通じて新技術の発展とイノベーションを推進する中国政府の先見性を称賛し、「反グローバリズムや保守主義の風潮を抑える上で、中国政府がグローバルリーダーとして重要な役割を果たすことを期待する」とも述べています。  これに対して、オーストラリアのモリソン首相は昨年十一月、「パンデミック不況は、世界の資本主義や自由市場に基づく自由民主主義的価値観の失敗の産物ではない」とし、「オーストラリアが価値観や経済制度をリセットする必要はない」と述べています。また、「これらの価値観こそが、世界が知る限りの平和と繁栄の偉大な時代と、それを支える世界的な制度の基礎を築いたのだ」、「これらの価値観こそが、今、パンデミック不況からの経済回復の原動力にならなければならない」としています。また、「グレート・リセットは、各国に民主主義を失わせ、社会主義のマルクス主義的世界観を押しつけることを目的としている」とも語っておられます。  第二次大戦後、冷戦構造の中で自由主義陣営と社会主義陣営が対立し、保守合同でできた自由民主党の一員としては、警戒感を隠さずにはいられないところであります。  ここでお尋ねします。  ダボス会議の議題とされた「グレート・リセット」について、知事の認識をお示しください。  次に、歴史認識についてお尋ねします。  幕末から明治維新、西南戦争など、鹿児島は日本史上大きな歴史的な場面で主役であり、様々な研究がなされております。また、そうした歴史の積み重ねが、九州各県の中でも突出して観光の一助になっている部分もあります。  塩田知事は、鹿児島市草牟田の出身とのことで、鹿児島県護国神社については自宅からもすぐ近くであることから、小さい頃より慣れ親しんだ神社ということを伺っております。この鹿児島県護国神社に眠るのは、安政の大獄から始まる幕末から明治維新、日清・日露戦争、大東亜戦争を含む現代までの七万七千六百余柱が国に殉じたとして祭られております。  一方で、皆様御存じのとおり、丁丑之役、十年の戦と呼ばれた西南戦争での戦死者については、明治政府の公文書でも「暴徒」と書いてあり、当然反乱軍の扱いであります。もちろん護国神社の御祭神に祭られる資格は有しておりませんでした。南洲神社の御祭神は西郷隆盛、戦死者の皆様は隣の南洲墓地に眠っておられます。  西郷隆盛については明治二十二年二月十一日、大日本帝国憲法発布に伴う大赦で許され、正三位を追贈されて、賊軍の汚名が解かれました。塩田知事は、南洲神社についてもお参りされていると伺っております。  幕末から維新にかけて、鹿児島は藩を挙げて、日本が幕藩体制から近代国家へ脱皮する過程に大きく関わり、国家に貢献する一方で、明治政府のやり方に反発した武士の争乱が起き、その最大規模が西南戦争であり、真逆の歴史的な側面があります。  ここでお尋ねします。  一つ目、護国神社に祭られている戦没者に対する思い、鎮魂への祈りについての見解をお聞かせください。  二つ目、南洲墓地に眠る薩軍戦死者及び当時の有罪判決者は、国から見れば賊軍でありました。その後の名誉回復の手続がどうなっていて、知事はどのように受け止めているのか、お示しください。  これで、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 24 ◯知事(塩田康一君)まず、グレート・リセットについての認識についてございますが、グレート・リセットにつきましては、地球規模の課題解決に取り組む国際機関「世界経済フォーラム」の創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が提唱しているものであり、新型コロナウイルス感染拡大による長期的影響が及ぶ中、経済・社会システムのための新しい基盤を構築することを目指す考え方であると理解しております。  ダボス会議のテーマとして世界の政財界トップの間で議論されると伺っており、その場において有意義な議論が行われることを期待しております。  次に、護国神社に祭られている戦没者に対する思いなどについてでございます。  先ほどお話がございましたように、私の自宅のすぐそばの神社で、小さい頃から境内で遊んだりして大変慣れ親しんだ場所でございますが、戦没者の御霊に対しては、昭和四十年以来、毎年県が主催している戦没者追悼式において、祖国や家族のために貴い命をささげられたその犠牲の大きさに思いをいたし、追悼の誠をささげることとしており、今後とも変わらぬ追悼の気持ちを表してまいりたいと考えております。 25 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)南洲墓地に眠る薩軍戦没者等の名誉回復の手続についてでございます。  西南戦争の従軍者につきましては、明治二十二年二月十一日の大日本帝国憲法の発布に伴う大赦令により、その罪が赦免されております。  そのため、大多数を占める無位無官の従軍者につきましては、事実上の名誉回復がなされたものと考えております。  また、当時官位を持っていた者で、従軍により官位を剥奪された西郷隆盛、桐野利秋等の指導者につきましては、その後、位階が追贈され、名誉が回復されております。 26 ◯藤崎 剛君 知事に再質問いたします。  名誉回復については分かりました。  ただ、薩軍が全体として名誉回復されていることは、なかなか世間一般では知られていないところでありますが、またどこかのタイミングで知事がもう一度、現在の時の政府首脳に対して、名誉は回復されている旨、もう一回確認してもいいのかなと。それをニュースにして大きく知らしめる必要があるんじゃないかなと、西南戦争百五十年を迎える今だからこそできる作業かと思いますが、見解を示していただきたいと思います。 27 ◯知事(塩田康一君)間もなく西南戦争から百五十年を迎えると、そういう時期が近くなっているということでございますので、また、その機会などを捉えまして、薩軍の取扱いがどうであったかという歴史的な事実については、皆様方にお知らせすることは意義のあることだと考えております。 28 ◯藤崎 剛君 もう一点お尋ねします。  明治維新百五十年の際には、若手研究者の育成助成事業というのがあり、これまで掘り起こされていない新たな事実が研究発表され、県の取組が歴史学会から非常に大きな評価を受けたところであります。先ほど話しましたように、また近々、西南戦争終結百五十年、大久保利通没後百五十年を迎え、再び全国から脚光を浴びるはずでありますが、西郷、大久保に重点を置き過ぎたこれまでの歴史研究を再検証して、明治時代の公文書などをもっと掘り起こして研究し、多くの豊かな人材がほかにもいて様々な仕事をした、業績を残した、それが鹿児島県の今につながっていることを伝えるのも、これからの鹿児島に必要なことかと思いますが、知事の見解をお示しいただきたいと思います。 29 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)若手研究者育成事業に関しての御質問と思います。  先ほどありましたとおり、若手研究者育成事業につきましては、明治維新百五十周年を迎えるに当たり、明治維新期の薩摩藩に関する研究の深化等を目的として、将来の発展が期待できる優れた着想を持つ研究に対し、平成二十八年度から三年間実施し、専門家からも高い評価を得たものでございます。  西南戦争は、国内最大・最後の内戦であり、本県はもちろんのこと、日本の歴史におきましても重要な出来事であったと認識しております。  二〇二七年の西南戦争百五十周年に向けて、西南戦争に係る同様の事業の実施につきまして、その必要性を含めて、今後検討してまいりたいと考えております。    [藤崎 剛君登壇] 30 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁頂きました。  若手研究者育成事業の、もう一度同類の事業を実施してはという件に関しましては、知事答弁ではなかったですが、部長さんのほうから、なるほどと思う答弁が出ましたので、少し安心いたしました。  質問を続けていきたいと思います。  次に、十八歳人口の流出についてであります。  少子化に伴う人口減少が進む中で、鹿児島県の人口をどのようにして維持していくかは大きな課題であり、鹿児島県の世代別人口をどのように構成していくかの成否によって、人口の将来推計が変化するのは当然のことかと思います。  鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、男女別・年齢階層別の人口移動の状況という分析があり、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳において大幅な転出超過にあることが、折れ線グラフによって象徴的に示されています。  本日はお手元に資料を配付しておりますが、鹿児島大学のホームページの中には、総務省統計局が出した住民基本台帳人口移動報告の平成三十一年・令和元年版を基にして、十八歳人口の転入・転出状況が分かる日本地図があります。この中で、都道府県の地図が色分けされておりまして、緑の濃い順に転入が多いところ、赤の濃いところが転出が多い順となっております。また、各都道府県の地図にカーソルを合わせますと、十八歳人口の増減がプラス何人、マイナス何人と数字で示されるという仕組みになっています。  鹿児島県を見ますと、転出が多い県として真っ赤です。カーソルを合わせますと、転出超過で二千七百五十四人となっていまして、誠にショッキングな内容であります。  別の調査も存在いたします。リクルート進学総研マーケットリポートの二〇二〇年一月号には「十八歳人口予測、大学・短期大学・専門学校進学率、地元残留率の動向 九州沖縄版」というものがあります。二〇一九年から三一年までの十八歳人口の予測が出ており、九州の減少率は七%と、全国平均の落ち込み一二%より、減少カーブは少し緩やかです。  九州各県のうち、地元の高校生が地元の大学に進学する確率が一番高いのが福岡県で六五・九%、鹿児島県は、低いほうから佐賀、大分、宮崎の次の四番目、三三・六%であります。これだけしか地元に残らず、あとは鹿児島県外に出るということであります。  卒業した高校生が鹿児島県外に進学する場合、進学先の一位は福岡で千五十五人、二位は東京で五百八十人、三位熊本で三百六十五人となっています。また、他県から鹿児島県内の大学・短大・専門学校に入学してやってくる学生さんの出身地は、一位福岡、二位宮崎、三位熊本となっておりまして、上位三県を全て足しても、鹿児島から福岡へ向かう学生さんの数には全く追いつきません。  また、南日本政経懇話会の三月定例会において、日本総研の藤波匠上席主任研究員が講演され、そのとき配付された資料にも興味深いことが書いてあります。この資料には、二〇一六年度の住民基本台帳人口移動報告を基にして、鹿児島県は、十八歳から二十五歳の転出超過が五千五百七十一人、定年退職世代が千人ほどの転入超過があると分析されています。  鹿児島県にとりましては、十八歳から二十五歳の転出が大波、退職世代の帰省が中波、これ以外の世代の人口の動向につきましては、さざ波程度であります。  このように多くの方がそれぞれの立場で鹿児島県の人口問題について論じて、問題提起されております。  日本全体が人口減少社会であることは否めないものの、社会減については、何らかの施策の積み重ねによって数字を変化させる可能性があるのではないかと考え、ここでお尋ねします。  一つ目、まち・ひと・しごと創生総合戦略における将来の推計人口については、社会動態を社人研の推計条件に準拠した場合として、二〇六〇年に百三万三千人という予測になっていて、第一期よりさらに厳しい数字になっていますが、鹿児島県独自に取り組んだ個々の施策の成果まで盛り込んだ上での推計なのか、お示しください。  二つ目、鹿児島県の人口構造が抱える二つの波について、具体的には、若年人口の流出を抑制すること、また退職世代の流入を促進することについて、どのようにして施策に盛り込まれているのか、お示しください。  三つ目、十八歳人口が減り続けることで、これから鹿児島の社会経済に大きな影響があるものと思われますが、学校経営と企業の人材確保の観点から、その影響をお示しください。  十八歳人口が減少する中で、鹿児島の活力を維持していくためには、人口をとどめおくための何らかの手だてが必要であり、県では大学奨学金返還支援制度を設けております。大学等在学時に独立行政法人日本学生支援機構の第一種奨学金を借り受けた方が、卒業後に県内に居住し、県内企業等に就職するなど一定の要件を満たす場合は、奨学金の返還を支援するものです。  この返還を支援する原資については、県や市町村のほか地元企業からも寄附を募るということで、岩崎グループや南国殖産など地元企業が支援にずらりと名前を連ねて支えています。  四つ目の質問としまして、大学等奨学金返還支援制度の支援候補者として採用され就職した方のうち、鹿児島県内の企業に就職し、実際に支援対象となった方々がどれだけいるのか、お示しください。  十八歳人口の流出を抑制し、さらに県外から鹿児島へ進学する学生を増やすためには、奨学金だけでない、次の一手も必要かと思います。  長崎県立大学では二〇一五年に情報システム学部を設置して、情報システム学科、情報セキュリティ学科で学生さんが学んでいます。また、二〇二〇年には長崎大学に情報データ科学部が誕生し、造船で支えられた経済をIT拠点へと構造転換が試みられています。  京セラの子会社が研究開発拠点を置いたほか、富士フイルムソフトウエア、自動車部品のデンソーの子会社のデンソーウェーブなど三百人の雇用が見込まれ、京セラの谷本秀夫社長は、「高度なIT技術を持つ長崎の新卒学生の採用をしたい」と述べておられます。  長崎は、産業活性化につなげるために県立大学の改革をされ、産業活性化と学校政策を戦略的に実施したものと言えるかと思います。  十八歳人口の減少と短大離れの傾向を反映して、鹿児島県内でも短大進学者数は減少しています。そのような環境下でも、鹿児島県立短期大学は地元に人材を輩出する重要な拠点となっていて、長年培われた県短への根強い信頼感があります。短期大学をめぐる変化をしっかり捉え、次の一手を打ち出さねば地域間競争・大学間競争に負けてしまいかねません。  最後にお尋ねします。  県として、私立の大学・短期大学の皆様にはさらなる魅力ある学校づくりへの手厚い支援をするほか、足元の県立短期大学では、十八歳人口減という経営環境をしっかり分析して、大学間競争に生き残れる体制づくりが必要ですが、見解をお示しください。  次に、水防法についてお尋ねします。  避難地図は、かつて、数十年から百年に一度級の雨を想定していましたが、平成二十七年の水防法改正で、河川や高潮について、千年に一度クラスの最大規模を示すようにとされ、各地の洪水ハザードマップは、千年に一度クラスを想定した図が公表されてきています。  平成五年の八・六水害の際は、国道三号線沿線地区を中心に一万千五百八十六戸が床上・床下浸水に遭いました。その後の甲突川流域の河川激甚災害対策特別緊急事業などで護岸補強・河床掘削・橋梁架け替えを整備した結果、その後の幾たびかの豪雨にも耐えています。  水防法改正以前の平成二十六年のことですが、地域の課題を把握するため、甲突川の支流河川山崎川沿いの家を全て訪問したことがあります。その際に、新築のあるお宅から聞かれました。山崎川が近いですが、川の増水は大丈夫でしょうかといった内容でありました。
     山崎川は、玉里団地と伊敷台のはざまにあり、大雨が降ると一気に雨が流れ下ることから、たびたび浸水しておりましたが、山崎川防災調整池が完成していることを知っていましたので、私たちが生きている間は大丈夫という認識でいますと答えたことを思い出します。  令和元年七月豪雨の際にも甲突川はあふれることなく、その工事の成果を証明することになりました。昨年の企画建設委員会でも、「防災対策について」と表題のついた情報提供資料の中でも、整備効果の事例として紹介されたことを思い出すのであります。  十二時間雨量で比較しますと、平成五年八月が二百十六ミリだったのに対して、令和元年七月は二百七十二・五ミリであり、八・六水害を超える雨量がありましたが、甲突川は大丈夫でした。  これは、甲突川の最大流下能力がそれまでは毎秒三百トン、激特工事後は毎秒七百トン、ぎりぎり千トンまで可能になっていることが、難なくクリアできた理由であります。これは増留貴朗元議員が並々ならぬ情熱で甲突川問題に取り組んだ成果でもあります。  ところが、今年六月に鹿児島市から配られた新たな防災ガイドマップの甲突川沿川の浸水想定区域図によって、あれっと違和感を覚えたのであります。お手元の資料のとおりであります。以前に比べ色のついた部分が明らかに広がっていて、ここまでは安心、ここからは危ないという部分が根本的に異なっていたのであります。  先ほど、大丈夫という認識でいますと話した家は、以前の甲突川浸水想定区域図では浸水想定に含まれておりませんでしたが、今回のマップでは含まれております。  この水防法の改正は、何度が説明を受けてはいましたが、実際にマップにされているものが配られ、甲突川沿いをよくよく分析してみますと、整備効果が出ているのにさらに大きな想定をするというのは、法律に定められていることをやっているとはいえ、驚きと戸惑いを隠せませんでした。  ここでお尋ねいたします。  一つ目、水防法改正によって、これまでの浸水想定が大幅に広がります。新たな洪水ハザードマップにおいては、これまでに設置した避難所の場所なども浸水する範囲になるケースがありますが、鹿児島市において避難所の見直しが行われた事例があるのか、お示しください。  二つ目、浸水想定区域図は、想定最大規模の降雨に対応した見直しが行われましたが、ハード整備についても改修計画を見直し、そして再度工事を行うこととなるのか、お示しください。  三つ目、浸水想定区域の拡大によって、県有施設の位置づけも変わります。事例を挙げますと、国道三号線沿いの県立短期大学と甲突川沿いのハートピアかごしまは、以前の浸水想定では、地図の色は白です。すなわち浸水は大丈夫であるという見込みでありました。  ところが、今度の地図では、お手元の写真にお示ししているとおり、県立短期大学では〇・五メートルから三メートル、ハートピアかごしまは三メートルから五メートルという予想になっております。最大値で想定しますと、両施設とも一階が水没し、業務執行が不可能になるレベルであります。  この新たな浸水想定区域図によって影響を受ける両県有施設について、どのように受け止めているのかお示しください。  次に、都市近郊農業についてお尋ねします。  鹿児島県の人口が多く集まる鹿児島市は、第三次産業の集積地であると同時に、都市近郊農業の主役でもあります。鹿児島市については、コマツナやミズナ、ホウレンソウなどの軟弱野菜のほか、桜島小みかん、桜島大根やお茶などの産地があります。都市農業センター、鹿児島市観光農業公園、都市農村交流センターお茶の里など、都市住民が農業に親しみを持つような動機づけのための施設を多く準備しています。  鹿児島市の農業産出額は令和元年のデータで二百五億九千万円、このうち耕種は三十七億四千万円、畜産が百六十八億五千万円余りとなっています。これらは、担い手を中心とする多様な生産者の方が、都市部からその周辺地域、さらには中山間地域に至るまで、水田や畑等を活用して様々な作物を生産するとともに、農地等の維持管理に努めてこられた結果だと考えております。  ここで伺います。  担い手の育成・確保について、鹿児島市における認定農業者、新規就農者、集落営農数、農業次世代人材育成投資資金の現状についてお示しください。  二つ目、水田農業についてお尋ねします。鹿児島市における令和二年産の主食用米の生産の目安と生産実績数、水田活用の直接支払交付金の受給者件数についてお示しください。  三つ目、地域共同による農地等の維持管理についてお尋ねします。鹿児島市における令和二年度の多面的機能支払や中山間地域等直接支払の取組状況についてお示しください。  都市近郊における農協においては、准組合員数が正組合員数を上回る農協もあると認識しております。このような状況においては、准組合員の意思を反映される仕組みが必要かと思いますので、お伺いします。  改正農協法では、准組合員の事業利用規制の在り方について、改正から五年後に見直すとされているところです。准組合員の意思を反映させる仕組みについてどのように考えているか、お示しください。  これで、二回目の質問といたします。 31 ◯総合政策部長(前田洋一君)初めに、本県将来人口の推計についてであります。  第二期県まち・ひと・しごと創生総合戦略における本県の将来人口は、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンの考え方に基づきまして、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口による本県人口の推計値を基に、各種施策の効果も勘案して、合計特殊出生率が令和二十二年までに、人口を維持できる水準である二・〇七まで上昇したと仮定し、再度推計したものであります。  次に、若年人口の流出抑制及び退職世代の流入促進についてであります。  本県における人口流出は、若年者等の進学・就職による県外転出が主な要因でありますことから、県内の若年者等の転出を防ぐため、ふるさと鹿児島の人材確保等を図るための官民連携による、かごしま故郷人財確保・育成プロジェクトの推進、インターンシップの受入れ促進、奨学金の返還支援、ふるさとに誇りを持てる郷土教育の拡充等に取り組んでいるところでございます。  また、県外からの人材の流入・定着を図るため、移住・交流相談員を東京に配置し、本県への移住につながるような相談対応を行うほか、市町村と連携し、移住・交流セミナーを開催するなど、定年退職後の方々も含め、広く移住・交流の促進に取り組んでいるところでございます。  県としましては、これらの取組に加え、スタートアップ支援による新たな産業の創出や新たな産業の育成、それから企業誘致の促進等にも取り組んでおり、鹿児島に仕事をつくり、安心して働ける環境づくりを進めることなどにより、鹿児島への人の流れをつくってまいりたいと考えております。  次に、十八歳人口の減少による学校経営面からの本県の社会経済への影響についてであります。  大学等の地域との関わりについて、国の中央教育審議会の答申では、「高等教育機関、特に大学の自発的な研究機能は、教育機能とともに、地方創生にとって極めて重要な役割を担っている。それぞれの地域の社会、経済、文化の活性化のリソースや、特色・誇りの源泉であるとともに、地元産業や新規の企業立地における好条件となり、さらには地域における国際交流の推進、国際化への対応への直接的な拠点ともなる」とされているところであります。  十八歳人口の減少に伴う学生数の減少による大学等の経営環境の悪化は、定員減による学校規模の縮小や大学間の統廃合、閉校などにつながるようなことも想定されまして、地域における知の拠点としての大学等がもたらす社会や経済の活力の低下、文化・スポーツ活動の停滞等、様々な分野での影響が懸念されるところであります。  最後に、私立大学等のさらなる魅力ある学校づくりへの支援についてであります。  現在、県内十二の高等教育機関と県、国の機関、関係市、経済団体などが連携・協力することで、魅力ある高等教育づくりや活力ある地域づくりに貢献すること等を目的として、大学地域コンソーシアム鹿児島を設置しております。  同コンソーシアムにおきましては、県内大学等の間での単位互換や、高校生向けの合同進学ガイダンスの開催、学生が県内企業を知るためのバスツアー、留学生と地域との交流促進などの取組を行っております。  県としては、今後とも、このコンソーシアムの活動などを通じまして、県内の私立大学等の魅力ある学校づくりを支援してまいりたいと考えております。 32 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)十八歳人口の減少による企業の人材確保の観点からの本県の社会経済への影響についてでございます。  本県の十八歳人口は、県人口移動調査によれば、十年前の平成二十三年は一万六千八百五十三人でございましたが、令和元年は一万四千四百九十九人で一四%減少しており、今後も減少していくことが予想されます。  一方、鹿児島労働局によると、本県の高校生の県外就職率は、平成二十三年度が四六・七%、平成二十八年度が四七・二%、直近の令和二年度では四三・二%であり、過去十年間、大きな変動は見られません。  このように、十八歳人口の減少が続く中で、流出に歯止めがかからない状況でございます。  また、県内企業の高校新卒者の求人倍率は、平成二十七年度から一倍を超えておりまして、その後、上昇傾向を続けております。令和二年度では一・五八倍であり、採用の困難な状況が続いております。  今後も十八歳人口の流出が続けば、採用に支障が生じ、二〇一七年版中小企業白書が指摘するとおり、人手不足が事業維持困難につながることとなります。結果として企業経営に支障を来すことから、地域経済に対する影響が懸念されるところでございます。 33 ◯教育長(東條広光君)大学等奨学金返還支援制度の支援候補者の県内企業等への就職状況についてであります。  この制度は、地域活性化枠と人材育成枠の二つの募集枠を設けております。  このうち地域活性化枠は、大学三年生や社会人等を募集対象としており、制度創設の平成二十八年度から平成三十年度までに選考した百人のうち、九十八人が既に大学を卒業するなどしております。このうち県内企業に就職した者は九十三人であり、県内企業への就業率は九五%となります。  なお、人材育成枠については、高校三年生を募集対象としており、制度創設の平成二十八年度に選考した七十人の多くが今年三月に大学を卒業したばかりであり、また、就業状況の報告の基準日を十月一日としておりますことから、県内企業への就職の傾向は現時点では把握できていないところであります。 34 ◯総務部長(山本 周君)まず、県立短期大学の今後の体制についてでございます。  県立短期大学は、豊かな教養と職業または社会生活に必要な能力を有する人材を育成することを目的といたしまして、これまで数多くの人材を輩出し、近年、卒業生のおおむね八割が県内に就職するなど、地域の発展に大きく貢献してきているところでございます。  現在、鹿児島の魅力を生かす教育や国際化に対応する教育などを行っているところでございまして、今年度も、本県のポテンシャルを生かした地域振興を担う人材を育成することを目標に、県内の産業・貿易・観光分野の専門家を講師としてお招きし、鹿児島に関する知識を深めるための講座を開講することといたしております。  また、学術研究を発展させることを目的として外部資金を確保するため、これまでも文部科学省所管の競争的研究資金でございます科学研究費助成金を獲得しております。加えまして、今後は民間企業からの学術研究のための寄附金の獲得や受託研究にも取り組むこととしております。  今後、全国的な十八歳人口の減少に伴い、大学を取り巻く経営環境が厳しくなることも想定されますことから、県としましては、時代の要請に対応した教育内容の充実などを図ることで、将来の鹿児島を支える人材育成の場として、さらに魅力ある県立短期大学づくりを推進してまいりたいと考えております。  続きまして、浸水想定区域の拡大に伴う県立短期大学の対応についてでございます。  県立短期大学におきましては、風水害など危機事象が発生し、または発生するおそれがある場合に、速やかに初動体制を確立し、学生や職員等の生命・身体を守ることを目的といたしまして、県立短期大学危機対策本部設置要綱や危機管理対応マニュアルを策定しているところでございます。  平成二十七年の水防法改正により、浸水想定区域が拡大し、県立短期大学が浸水想定区域に含まれたところでございます。  県立短期大学は、水防法に規定いたします要配慮者利用施設には該当せず、洪水時等の避難誘導やそのための施設整備等を定めました避難確保計画を作成する義務はないものの、学生や職員等の生命・身体を守ることを最優先とする観点から、他の施設の危機管理対応マニュアルの改訂等も参考に、県立短期大学の同マニュアルの見直しについても検討してまいりたいと考えております。 35 ◯土木部長(兒島優一君)水防法改正に伴う甲突川流域の避難所の見直しについてであります。  甲突川につきましては、県が平成三十年二月に、想定最大規模の降雨に対応した洪水浸水想定区域図を公表したことに伴い、鹿児島市が洪水ハザードマップの見直しを行ったところでございます。  洪水ハザードマップに記載されている避難所につきましては、鹿児島市によりますと、洪水時に浸水のおそれがある避難所の指定の取消しや、新たな避難所の指定、また、浸水のおそれがあっても同一敷地内の二階以上へ避難ができる施設は、垂直避難が可能な施設として利用するなど、専門家の意見等を踏まえ見直しを行ったとのことでございます。  水防法改正に伴う甲突川のハード整備についてであります。  甲突川につきましては、平成五年の八・六水害を契機に、激特事業等で河川改修を行い、河口から約十五キロメートルにわたり、八・六水害規模の降雨に対応した工事が完了しております。  一方、全国におきましては、近年、気候変動に伴い、施設能力を上回る洪水が発生するなど、被害が頻発化、激甚化している状況にあり、平成二十七年には水防法が改正され、昨年七月の球磨川で発生した洪水のような、各地域で想定される最大規模の降雨を前提とした洪水浸水想定区域図の作成が義務づけられたところでございます。  甲突川におきましても、平成三十年二月に洪水浸水想定区域図の見直しを行い、河道整備のみでは対応が困難なことから、現在、流域全体で防災・減災対策に取り組む、流域治水プロジェクトの策定に向けた新たな取組を進めているところでございます。 36 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)浸水想定区域の拡大に伴うハートピアかごしまの対応についてでございます。  ハートピアかごしまは、障害者等の県民が多く利用することから、災害発生時には、障害等の特性にも配慮しながら、施設利用者等の安全を確保する必要があります。  このため、大雨や台風、地震等の危機事象ごとに施設内の県機関や関係団体が一体的に運用する危機管理マニュアルに基づき、必要な対応を取ることとしております。  大雨による浸水については、マニュアルにおいて、甲突川の氾濫を想定しており、最大規模の洪水浸水想定区域の公表に伴い、近隣の避難場所に変更があること、また、施設内の身体障害者更生相談所及び精神保健福祉センターが水防法における要配慮者利用施設に当たることから、国の示す避難確保計画作成の手引き等を参考にしながら、鹿児島市や消防等の関係機関と協議の上、今年度中にマニュアルの見直しを行う予定であります。  今後とも、施設利用者や職員の身体・生命の安全確保を最優先として、施設内の県機関及び関係団体等が連携して、大雨等の危機事象に対応してまいりたいと考えております。 37 ◯農政部長(松薗英昭君)都市近郊農業に関する御質問のうち、まず、鹿児島市における認定農業者等の現状についてでございます。  鹿児島市における令和元年度末時点の認定農業者数は百六十八経営体で、ここ数年、横ばいで推移しており、令和元年度の新規就農者は十三人で、Uターン者を中心に近年、増加傾向となっております。  集落営農につきましては、令和二年二月現在、該当する組織はない状況でございます。  また、就農直後の新規就農者に対して、経営確立に必要な資金を交付する農業次世代人材投資資金につきましては、令和二年度は十二人が交付を受けております。  農業の持続的発展を図るためには、これら担い手の育成が重要であり、県といたしましては、就農相談をはじめ、農業技術や経営に関する各種研修会の開催、機械・施設の導入支援など、経営発展段階に応じた支援を関係機関・団体と一体となって取り組み、担い手の育成・確保に努めてまいります。  次に、鹿児島市における主食用米の生産実績等についてでございます。  平成三十年産以降の主食用米につきましては、国が示す需給見通しを基に、県農業再生協議会が、生産の目安として県及び市町村ごとの面積と生産量を算出し、情報提供しております。  鹿児島市における令和二年産米の生産の目安につきましては、八百八十四ヘクタールから八百九十五ヘクタールの範囲となっており、生産実績は六百六十九ヘクタールとなっております。  また、食料自給率の向上を図るため、水田をフルに活用し、野菜等の地域振興作物や飼料用米等を生産する農業者に対して交付されます水田活用の直接支払交付金の受給件数は、百二十六件となっております。  次に、鹿児島市における多面的機能支払等の取組状況についてでございます。  多面的機能支払は、農地や農業用施設等の地域ぐるみの保全活動を支援しており、令和二年度は八組織、約四百九十ヘクタールで水路や農道等の維持管理、農村環境の向上に取り組んでおります。  また、中山間地域等直接支払は、中山間地域の農業生産活動を将来に向けて維持する活動を支援しており、二十一集落協定、約百三十ヘクタールで荒廃農地の発生防止や農業生産活動に取り組んでおります。  次に、農協における准組合員の意思の反映についてでございます。  国におきましては、先般閣議決定された規制改革実施計画の中で、農協改革の着実な推進として、農業協同組合の事業運営への准組合員の意思の反映についても盛り込んだところでございます。  具体的には、農協において、准組合員の意思反映の方針や自己改革の方針等を決定し、その方針等に基づいた具体的なアクションを行い、さらなる取組のため改善を行うといった自己改革実践サイクルを構築することとし、国は、当該サイクルが構築されていることを前提に、指導・監督等を行う仕組みを構築するとしているところでございます。  県といたしましては、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。 38 ◯藤崎 剛君 知事に一点だけ再質問したいと思います。  県立の聾学校がありますけれども、今年度から、被服科という学科名が新しく生活デザイン科に変わり、新しい学科名でのスタートを切っておられます。数年前、保護者の方が発起されまして、学校と県教委のほうで十分協議され、腰を据えて、腹を据えて踏み込んでやった結果、新しい学科が誕生したものと思っております。  同様に、今、県立短期大学におきましても、学内で将来像の議論を行う場ができたと聞いております。今回提起しました、十八歳人口の減という非常に厳しい人口の環境下の中で、どういうふうに将来像を模索するのかというのが非常に注目されているところでありますが、昨今の鹿児島県の財政状況を見ますと、どうしても毎年の予算要求基準が頭の片隅にちらつき、なかなか豊かな発想においてこの将来像を検討するということにいかなくて、議論が窮屈なものになりかねないんじゃないかなと私は危惧しているところでございますが、この予算要求基準と、それから将来像の議論を行うことについての知事の見解をお示しいただきたいと思います。 39 ◯知事(塩田康一君)ただいまいろいろと御提案頂きました。  十八歳人口の県内定着についての県立短期大学の果たす役割というのは大変大きなものがあると思っております。今後、その機能をさらに磨いていくという観点から、様々な議論がなされることは大変有意義なことだと思っております。  予算のほうはいろんな基準がございますけれども、それはそれとして議論していただきながら、知事部局のほうとも相談しながら、よりよい県立短大づくりということで知恵を出していければと思っております。 40 ◯藤崎 剛君 もう一点質問いたします。  知事のマニフェストには県立短期大学の項目がたまたまなかったわけでありますが、今、県短さんが行っている将来像のまとめというものがいずれ出来上がってくるかと思いますが、もし出来上がった暁には、提言として知事自身も目を通されるかどうか確認させていただきたいと思います。 41 ◯知事(塩田康一君)県立短期大学の今後の在り方についてはしっかりと議論していくということでございますから、そういった報告書ができましたら、私としてもしっかり確認していきたいと思います。    [藤崎 剛君登壇] 42 ◯藤崎 剛君 時間がありませんので、質問に入っていきたいと思います。  県立高校の寄宿舎等についてお尋ねいたします。  高等学校におきましては、それぞれ入りたい部活動や習いたい学科に合わせて、自宅を離れて通学する生徒さんも一定数おります。その生徒さんは、県立高校の寄宿舎、高校のある町が生徒誘致の観点から設置した町営の寮、または部活動を中心にした運営主体が民間である民設民営の寮、または個人経営の下宿や親戚宅など、様々な形態の場所から自宅外通学をしているケースがあります。  鹿児島県内の県立高校生のうち、自宅以外から通う生徒数は合わせて六十一校で合計千八十九名、割合にして約四%ということでございました。  ここで、寄宿舎生活についてお尋ねします。  一つ目、町営寮に関しまして、寮を設置している町はどのように寮を運営しているのか、また、その寮に入寮している生徒に町からどのような支援をしているのか、お示しいただきたいと思います。  また、県で設置している寄宿舎生に対して、市町村から支援している事例があればお示しください。
     二つ目、県立高校の寄宿舎において生徒さんがどのような生活を送っているのか、例えば、寄宿舎生の起床から登校、そして寮に帰って就寝するまでの一日の流れをお示しください。  また、寄宿舎での生活は、自宅だったら親がするように、何らか大人が関わっている場面が多いかと思いますが、どのように大人が関わっているのか、お示しください。  また、寄宿舎は、県費と寮費によって運営されていますが、それぞれの使途についてお示しください。  三つ目、生徒減少が続く中での寄宿舎運営には多くの課題があると思われます。寮の収容可能人数に対して実際の生徒数はどのくらいか、入寮率の状況についてお示しください。  また、寄宿舎運営についてどのような課題があるのか、入寮率に大きな変動があると運営に支障があるのか、具体的事例についてお示しください。  四つ目、民間で運営している寮や下宿などは、生徒からの寮費のみで運営や施設の整備などを行っており、運営等に県費を用いている寄宿舎と異なり、運営に大変苦慮しているところもあると聞いています。あえて、県が設置している寄宿舎を公設公営、民間で運営している寮等を民設民営と呼ぶならば、官民格差が生じていることになりますが、県はこの格差を是正するためにどのように対応されているのか、お示しください。  最後に、中学部活動と学区外通学についてお尋ねいたします。  私が三十年以上前に在籍しました鹿児島市立緑丘中学校は、現在、柔道部はなく、柔道で頑張りたい児童生徒さんはいわゆる町道場で練習しています。  同じく、北部で柔道をしたい学生さんは、柔道部のある中学校は国道三号線沿いの伊敷中学校になりますので、部活動で柔道をしたいという方は、北部から学区を超えて伊敷中学校へ集まってきております。  数年前、鹿児島市内の小学校区において、男子バレーボールの新設について、前年度の早い段階で、スポーツ少年団からまとまった人数が中学に上がるので、部活動の新設の御相談に上がりましたところ、当時の校長先生は、新年度のことは新しく着任した校長の下でされないといけないので、私では何ともできないという、つれないお答えでありました。結局、進学する中学校に部活動はできず、その競技種目のある近隣の中学校に進学する生徒さん、その競技で頑張っていくことは諦めて校区の中学校に通う生徒さんと進学先が分かれることになりまして、後味の悪い結果になりました。  ここでお尋ねいたします。  一つ目、部活動の設置数の減少につきましては誰の目で見ても明らかですが、実際の状況をお示しください。  二つ目、希望する部活動の種目がないために、自宅のある校区の中学校ではなく、校区外の中学校に行っている場合が増えています。それに伴う許可手続についてと、許可を受けている生徒数をお示しください。  三つ目、部活動において、顧問として指導教諭がいない場合には、地域の指導者を委嘱できる制度がありますが、活用状況についてお示しください。  四つ目、校区内の中学校に希望する部活動がない場合について、当然保護者から相談が行くかと思いますが、学校側の対応の在り方について、見解をお示しください。  以上で、三回目の質問といたします。 43 ◯教育長(東條広光君)県立高校の寄宿舎等について、まず、自宅から通学できない高校生に対する自治体からの支援についてであります。  南大隅町と瀬戸内町では、自宅から通学できない高校生のために寮を建設していただいております。  いずれもそれぞれ、地元の南大隅高校、古仁屋高校への生徒の入学を促進することを目的に設置されたもので、町が、寮の施設・設備の管理や寮生への食事の提供などの運営を行っております。  また、入寮生に対し、町から寮費の一部を補助していただいております。  このほか、県で設置しております県立高校の寄宿舎は十九ありますが、そのうち、市来農芸高校、薩摩中央高校、楠隼校の寄宿舎生に対しては、地元の市や町から寮費に対する助成を頂いております。  次に、寄宿舎生の生活についてであります。  寄宿舎生の生活は、学校により多少異なりますが、一般的には、六時半頃に起床、その後、朝食を取り、登校します。帰舎後は、午後六時から八時頃までの間に夕食や入浴を済ませ、自習等の後、十一時頃に就寝しております。  寄宿舎生の生活の支援は、主に寮監と舎監が行っております。寮監は非常勤の職員であり、生徒が寄宿舎で過ごす夕刻から翌朝にかけて、施設・設備の管理、担任や家庭との連絡、緊急時の初期対応等を行っております。また、舎監には学校の教諭等を充てており、寄宿舎の管理及び寄宿舎生の夕食から消灯までの生活指導に当たっております。  なお、寄宿舎の運営に係る経費については、食費、光熱水費等は生徒・保護者の負担、その他については県費で賄っております。  次に、寄宿舎の入寮率等についてであります。  県立高校寄宿舎の今年四月時点の入寮率は、十九校のうち四校で八〇%を超える一方、九校が五〇%に満たないなどばらつきはありますが、全体としては五七%となっており、近年、横ばいの状態が続いております。  また、各校からは、寄宿舎の抱える課題として、施設・設備の老朽化、寮監の確保、入寮率の低下による費用面での経営難、例えば、委託調理業者の撤退や生徒一人当たりの負担増が挙げられております。  次に、民間寮に入寮している生徒の状況把握についてであります。  県立高校生で自宅外から通う生徒は、今年度、千八十九人となっており、そのうち、民間の寮や下宿等から通う生徒は二百六十六人であります。  親元を離れて民間の寮等で生活している生徒については、自宅から通学している生徒や県立高校の寄宿舎で生活している生徒に比べ、特に配慮する必要がありますことから、学校においては、生徒本人への声かけなどとともに、必要に応じて、民間の寮等の管理人から、下宿での生活状況などについて話を伺っているところであります。  引き続き、生徒本人や管理人等から話を伺うなどして、生徒・保護者の下宿等での生活における不安等の解消に努めてまいりたいと考えております。  次は、中学校における運動部活動について、まず、運動部の設置数についてであります。  県中学校体育連盟の調査によりますと、令和三年度の中学校における運動部の設置数は、男女合わせて千八百八で、この十年間に三百十五減少しております。  その要因としては、学校再編等により学校数が約二割減少していることなどが影響しているのではないかと考えております。  なお、競技別に見ますと、軟式野球や剣道など大幅に減少している競技がある一方で、バドミントンについては男女共に増加しております。  次に、部活動に係る校区外通学についてであります。  校区外の中学校へ就学を希望する場合、保護者は、学校教育法施行令に基づきまして、居住する市町村の教育委員会に対して、就学する学校の変更について申立てを行うこととされております。  また、市町村教育委員会は、同法施行規則に基づき、学校を変更することができる場合の要件及び手続に関し、必要な事項を定めるものとされております。  市町村教育委員会においては、希望する部活動が校区内の学校にないことを通学先変更の要件として定めているところもあり、そのような教育委員会では、申立ての際に小学校時の課外活動の状況等を審査し、適当と認められる場合には、希望する学校へ入学を許可しております。  令和三年五月一日現在、運動部活動を理由に校区外通学が認められている生徒数は、十七市町で男女合わせて二百二十九人となっております。  次に、外部指導者の活動状況等についてであります。  中学校の部活動の外部指導者については、本年度、市町村教育委員会の任命する部活動指導員が、十三校に三十人配置され、また、学校長の委嘱するボランティア等の外部指導者は、百三十校に五百七十八人となっています。  次に、部活動の新設に係る学校の対応についてであります。  部活動の新設の要望があった場合、学校長は、スポーツ庁が定めた、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインに照らし、既存の部活動の状況を踏まえ、顧問や活動場所が確保できるか、継続した活動ができるかなどの視点で検討を行い、総合的に判断することとなります。  県教委としては、生徒の自主的・自発的な参加により行われる部活動が、責任感や連帯感の涵養等に資することを踏まえ、生徒の多様なニーズに応じたスポーツ環境の整備が図られるよう、市町村教育委員会に指導・助言を行ってまいります。 44 ◯藤崎 剛君 時間がありませんので、最後、自席でまとめます。  御答弁頂きました。  気になる答弁がありました。委託調理業者の撤退という部分であります。これは、温かい御飯がなかなか毎時毎食ごとに提供できる部分が厳しいということで理解いたしました。  この寄宿舎問題につきましては、ぜひ一番厳しい環境のところからお話を聞いていただき、対応できるものから順次いろんな手だてを打っていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 45 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時 十一分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 46 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  伊藤浩樹君に発言を許可いたします。    [伊藤浩樹君登壇](拍手) 47 ◯伊藤浩樹君 自民党県議団、出水市区選出、伊藤浩樹でございます。  初めに、通告していたコロナ感染症対策についての七項と、県内における飲酒運転関係及び改正地球温暖化対策推進法関連、また、デジタル改革関連法関係についての四項目を、答弁時間が四十五分を超えるとのことでありましたので割愛させていただきます。  それでは、塩田知事にマニフェスト進捗状況についてお伺いいたします。  コロナウイルス感染症で世界中が混沌としている中、知事はマニフェストにおいて、次のように述べておられます。  「今般の新型コロナウイルスにより、飲食店や旅館・ホテルなどの観光関連産業、交通産業、イベント関連産業、農林水産業など鹿児島県の経済は大きな影響を受けています。とりわけ、県内の中小企業、小規模事業所は大変厳しい状況に直面しており、その救済が喫緊の課題です。感染予防対策をしっかりと講じるとともに、医療体制を確保することで、県民の皆様方の安心・安全と、経済活動、社会活動の両立を図ることが必要です。さらに、コロナ後の力強い経済復興に向けて、県民一丸となって取り組んでいく必要があります」とされております。  今回の新型コロナウイルスは、変異を繰り返しながら、いまだに日本国中に猛威を振るい、これからの生活様式をも大きく変容させる可能性をはらんでおります。テレワークやリモートワークの急速な普及拡大は、働き方に変化をもたらし、産業の地方分散を一気に推進する要因にもなり得ると考えます。  そこでお伺いいたします。  一点目は、新型コロナウイルス感染症の県内経済への影響についての認識と、コロナ終息後を見据えた経済対策についてお示しください。  二点目は、産業の地方分散化の働き方を踏まえた本県企業誘致の現状と取組についてお示しください。  次に、県における医療費助成制度についてお聞きします。  知事はマニフェストにおいて、重度心身障害者の窓口負担ゼロについては、「関係者の御意見をお聞きしながら、実現した他県の事例を参考に、手続の簡素化等の取組を前向きに検討してまいります」とされております。  鹿児島県では、子ども医療費助成において、未就学児における給付方法は自動償還払いとなっており、また、住民税非課税世帯においては高校生以下が現物給付とされている現状です。しかしながら、重度心身障害者医療費助成においては、いまだに償還払いのままです。  私の地元にて、未就学児の保護者より次のような相談がありました。  子供に障害が見つかり、それまで乳幼児医療費助成を自動償還払い方式で給付を受けていたのですが、重度心身障害の認定を受けると、受診月単位で各保険医療機関等へ支払った領収書を市町村が指定する受領証明書に添付し、市町村へ提出し請求するという手続が発生し、働きながら子育てをしているので手続を簡素化してほしい旨の強い要望がありました。働きながら毎月同じ手続をするのは本当に厳しいと申されております。  そこでお尋ねします。  一点目は、重度心身障害者の窓口負担ゼロについて、九州各県の取組状況をお示しください。  二点目は、鹿児島県の取組状況及び進捗状況をお示しください。  次に、コロナウイルス感染症対策についてであります。  今年に入り、変異ウイルスの影響により鹿児島県内でもコロナ感染者が急増しております。地元出水市においても飲食店や公立病院でのクラスターが発生し、人流が止まり、経済活動の先行きが見えない状況です。  そこで、今回は、様々な観点からのコロナ対策についてお聞きします。  一点目は、コロナ専用病床として確保したとされる病床数の県内における分布状況を医療圏単位でお示しください。  また、県内における最新の軽症者や無症状者を隔離できるホテル等を含めた宿泊療養施設の室数を医療圏単位でお示しください。  二点目は、今回、コロナウイルス感染症拡大により導入される鹿児島県飲食店第三者認証制度についての制度設計をお示しください。  三点目は、ワクチン接種が困難な要介護者や高齢者について、見解をお示しください。  四点目は、新規感染者急拡大に伴う各保健所体制の強化並びに職員の働き方についてお聞きします。  コロナウイルスの感染者が出た昨年以降、帰国者・接触者相談センターの業務を担う保健所の業務量が増え、対応する担当職員は、感染が疑われる人の発熱外来への受診調整、陽性が判明した人の症状や行動歴の聞き取り、入院の段取り、濃厚接触者を特定し自宅待機の要請など多忙を極めており、日を追うごとに疲弊しています。  そこでお伺いします。  感染症の拡大が進行している状況での保健所への臨時職員補充策及び今後の体制強化策についてお示しください。  また、感染拡大時における保健所の通常業務へのしわ寄せによる弊害について、見解をお聞かせください。  五点目は、県職員のワクチン休暇導入についてであります。  報道によると、国は、国家公務員に対し、新型コロナワクチン接種促進のため、国家公務員に事実上のワクチン休暇を認めると表明し、地方公務員にも同様の措置を取るよう総務省が各自治体に通知したとされておりますが、県の対応をお示しください。  六点目は、コロナ禍における県職員の在宅勤務の現状についてお聞きします。  鹿児島県本庁舎の知事部局には約二千二百名の職員の皆様が日々職務を遂行されております。各部署の様子をのぞいてみると、密の状態での職場環境だと感じております。ここでクラスター感染が発生すれば、県行政中枢機能が麻痺状態になることになります。  そこでお尋ねします。  県庁職員の勤務における感染症対策を具体的にお示しください。  また、県庁における在宅勤務の実施状況と今後の取組をお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 48 ◯知事(塩田康一君)まず、新型コロナウイルス感染症の県内経済への影響と終息後を見据えた経済対策についてでございます。  新型コロナウイルス感染症については、四月に国が三度目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置区域の指定を行い、本県においても、クラスターの発生などにより、五月に入り新規感染者が増加し、感染が急速に拡大しました。  このような中、直近の景気動向としては、個人消費は一部に弱めの動きが見られるものの、基調としては緩やかに持ち直している。一方、観光は厳しい状況が続いているなど、全体としてはこのところ足踏み状態となっております。
     民間信用調査機関によりますと、昨年の県内の企業倒産件数は五十三件で、前年比一八・五%減でございましたが、休廃業・解散した企業は四百五十六件と、前年比二七・〇%増となっております。  商工団体との意見交換等を通じて、様々な業界の厳しい経営状況を伺っており、特に、利用者が激減した飲食業者や観光・宿泊業者、交通事業者などからは非常に切実な声を頂いております。  これらを踏まえまして、県は、五月、六月の売上高が大きく減少した事業者の事業継続を図るため、支援金事業を今回の補正予算に計上しております。また、中小企業者の資金調達の円滑化や割引クーポンの発行による需要喚起策を講じるなど、事業者の支援に努めております。  先般、閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」によれば、世界経済の回復ペースが加速していることを踏まえ、国として、あらゆる政策を総動員して経済回復を確実なものとしていくこととしております。  県といたしましても、ポストコロナにおいて、持続的な経済成長の軌道に乗せるため、基幹産業であります農林水産業、観光関連産業のさらなる振興を図りつつ、高い技術力を有する製造業の競争力強化や将来を担う新たな産業の創出に取り組み、「稼ぐ力」を向上させてまいります。  まず、農林水産業におきましては、スマート農林水産業などによる生産性向上やブランド力の向上、輸出拡大に向け取り組んでまいります。  また、観光関連産業においては、データの客観的な分析・検討に基づく効果的な誘客や、「稼げる」観光地域づくりを推進するための組織づくり、人材育成等に取り組んでまいります。  さらに、製造業においては、新製品や技術の開発等による付加価値の向上、新産業の創出、スタートアップ支援に取り組んでまいります。  このほか、デジタル社会の実現に向けた取組を加速させてまいります。  これらの施策を総合的かつ戦略的に推進していくことで、コロナ後の県内経済の基盤を強靱化し、県民所得の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、産業の地方分散化の動きを踏まえた本県企業誘致の現状と取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、人の移動に制約がある中で、テレワークなどの活用・定着が進み始めたことは、人々の意識変化につながっており、地方回帰の機運がさらに高まっております。  国は、先般決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一」においても、多くの地域でテレワークが可能となり、都会と同じように働ける環境を整えるべく、サテライトオフィス等による企業進出や移住等の推進に取り組むとともに、地方において雇用を創出し、地方への新たな人の流れを生み出す観点から、企業の地方移転を地方拠点強化税制などの関連施策により引き続き支援することとしております。  本県の企業誘致の現状については、昨年度、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の設備投資に慎重な動きが見られたものの、これからを見据えた投資を着実に実行しようとする企業も見られ、食品や電子・機械関連企業を中心に三十四件の立地が決定し、六百九人の新規雇用が見込まれております。  今年度はこれまでに、県内に立地する企業の増設により十件の立地が決定し、百三十三人の新規雇用が見込まれております。  県におきましては、地方回帰の流れを的確に捉え、今後、県外からの企業誘致等により、地域に仕事をつくり、地域への人の流れをつくっていくためにも、あらゆる分野でのデジタル化をはじめとするデジタル社会の実現に向けて取り組むこととしております。  そのためには、情報通信基盤の整備の一層の促進に加え、デジタル社会を支える人材の確保・育成を図る必要があることから、今年度新たに、企業立地促進補助金に情報通信関連企業向けのメニューを設け、誘致の強化を図ったところでございます。  引き続き、豊かな自然、食、歴史や通勤時間の短さなど、都市部にはない生活環境に加え、アジアに近い地理的優位性や国内外を結ぶ充実した交通ネットワーク、電子・自動車関連産業の集積など、鹿児島の特性を生かした積極的な企業誘致の展開に努めてまいります。  次に、県における医療費助成制度についてでございます。  重度心身障害者医療費助成制度につきましては、重度心身障害者の健康の保持増進を図るため、障害者の医療に要した費用の自己負担に対し、市町村が助成する経費の一部を県が補助する県単独事業として実施しているところでございます。  同制度の九州各県における支給方式については、現物給付方式、いわゆる窓口負担ゼロを導入している県は、償還払い方式との併用も含めて三県となっており、いずれも所得制限と自己負担を設けているところでございます。  本制度は、全国的に見ても都道府県がそれぞれ独自の方式で実施しており、自治体の財政力等の違いにより、助成する対象や自己負担額等に格差が生じているところでございます。  このようなことから、県としては、国の責任において新たな医療費助成制度を創設するよう、県開発促進協議会など様々な機会を通じて要望しているところでございます。  同制度の変更に係る検討については、今年度の取組として、現物給付方式などに変更した他県の現地調査を行うとともに、調査で得られた情報等について分析を行い、県と同様に財政負担の増加が見込まれる市町村に対し、制度変更に係る他県の状況や市町村への影響について説明を行い、意見を聴取したいと考えております。  また、医師会や国保連などの各関係機関とも協議・調整を行うこととしており、引き続き検討を進めてまいります。 49 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)コロナウイルス感染症対策に関する御質問のうち、まず、コロナウイルス感染症の確保病床数等についてでございます。  新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病床については、さらなる病床確保の結果、現時点において、今年三月末の三百七十六床から四十五床増の四百二十一床を確保しているところでございます。  医療圏ごとには、鹿児島が百八十五床、南薩が三十一床、川薩が二十七床、出水が三十一床、姶良・伊佐が四十七床、曽於が五床、肝属が二十五床、熊毛が十九床、奄美が五十一床となっております。  宿泊療養施設については、今年度、知名町、鹿児島市、鹿屋市においてそれぞれ新たな施設を確保した結果、三月末から百八十五室増の七百六十二室となっており、医療圏ごとには、鹿児島が六百二十室、肝属が七十七室、奄美が六十五室となっております。  次に、飲食店の第三者認証制度についてでございます。  飲食店の第三者認証制度は、現在のコロナ禍において、飲食店の感染防止対策のレベルアップによる利用者への安心と信頼の確保、社会経済活動との両立を図るため導入するものであり、先般、国からも推奨がなされていたところであります。  本県の制度設計に当たっては、先進県である山梨県の取組、いわゆる山梨モデルを参考に、専門家の知見も踏まえ、認証基準を定めたところであり、来店者や従業員の感染防止対策や施設・設備の衛生管理の徹底、感染者発生に備えた対処方針など、四十七のチェック項目を設けております。  また、認証に当たっては、飲食店からの申請を基に、調査員が認証基準の遵守状況を調査・指導し、必須項目の全てを満たした場合のみ認証ステッカーを交付することとしており、県は本日から申請受付を開始したところであります。  本県の認証制度では、現地調査において、申請者の負担軽減のため、不足する備品の補填を助言し、必要があれば県の補助事業を紹介するなど、調査員が丁寧に対応するとともに、認証後も感染防止対策の継続的な指導に当たることとしております。  また、認証後は、事業者名を県のホームページ等で優良事例として紹介するほか、飲食の際には認証店舗を利用していただくよう、積極的に呼びかけることとしております。  県としても、県民の皆様が安心して飲食店を利用できるよう、第三者認証制度の周知・定着を進め、感染防止対策の一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。  続きまして、ワクチン接種が困難な要介護者や高齢者についてでございます。  ワクチン接種については、実施主体である市町村において、接種体制の構築が図られているところであります。  こうした中、接種会場への移動が困難な方については、医師の往診による接種のほか、乗合タクシーや貸切りバスを活用した送迎、タクシー運賃助成利用券の配布などの支援を行う市町村もあります。  県としては、これらの事例を市町村と共有しつつ、要介護者や接種を行う上で支援を要する高齢者などに対しては、全ての市町村において、十分に配慮した対応がなされるよう助言を行ってまいりたいと考えております。  次に、保健所体制の強化等についてでございます。  保健所においては、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、電話相談や疫学調査、健康観察等の業務量が増加している状況にあります。  このため、県においては、昨年八月から、新型コロナウイルス感染症に関する県民からの問合せに対して一元的に対応する窓口として、コロナ相談かごしまを外部委託により運営し、職員の負担を軽減するとともに、現在、九名の非常勤保健師を配置し、体制の強化を図っているところであります。  また、クラスター等により、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した場合には、所管する保健所に対しては、本庁や他の保健所の保健師を派遣し業務支援を行うほか、必要に応じて市町村に対しても保健師の派遣を要請し、住民からの電話相談等に従事していただいているところであります。  今後とも、保健所の業務量を的確に把握するとともに、必要に応じて業務委託や機動的な職員配置を行うほか、業務の軽減・効率化を図ることにより、通常業務の遂行にも支障が生じないよう努めてまいりたいと考えております。 50 ◯総務部長(山本 周君)まず、知事部局職員のワクチン休暇導入についてでございます。  知事部局職員の新型コロナワクチン接種に関しましては、令和三年五月二十七日付総務省通知に基づき、接種を受けやすい環境の整備を図る観点から、常勤・非常勤を問わず、現行の休暇制度等を活用して対応することとしたところでございます。  具体的には、職員が勤務時間中に接種を受ける場合、ワクチン接種等に要する時間について、公務の運営に支障のない範囲内で職務に専念する義務を免除いたしますとともに、接種後に発熱等の風邪症状が見られる場合には、有給の特別休暇を適用することとしたところでございます。  これらの取扱いについては、総務省から通知があった日から適用することとしておりまして、庁内会議を通じて職員に周知したところでございます。  次に、県職員の勤務における感染症対策及び在宅勤務の実施状況と今後の取組についてでございます。  行政サービスの水準を維持しつつ職場内における感染症の感染防止を図る観点から、国の基本的対処方針等を踏まえ、職場におきまして、手洗いや手指消毒の励行のほか、職員同士の距離を確保するための席配置や飛沫防止のためのアクリル板設置などを実施しているところでございます。  また、職場への出勤につきましては、在宅勤務や時差出勤の試行など、人との接触を低減するための取組を実施しているところでございます。  さらに、職員の出張につきましては、感染拡大地域への出張は原則行わないこととしておりますほか、会議において、書面開催やウェブ会議の活用を検討することとし、対面開催の場合には、三密を避け、適切な感染防止策を講じることといたしております。  次に、在宅勤務につきましては、利用可能な業務システムが限定されている中、より効率的な在宅勤務環境が整うまでの間の対応として、昨年十一月に追加整備いたしました約六十台のモバイル端末を主に活用して実施してきたところでございます。  県内の新型コロナウイルス感染症拡大を受けまして、業務用パソコンのオフライン使用などの工夫をした上で、五月二十四日から二週間、在宅勤務の取組を加速したところでございます。  結果としましては、所属によって実施状況にばらつきはございますものの、本庁においては、二週間で一日当たり平均約一六%の職員が在宅勤務を行ったところでございます。  なお、感染拡大警戒期間中は、各所属の業務状況に応じまして、在宅勤務の取組を継続しているところでございます。  在宅勤務は、働き方改革の観点はもとより、感染防止対策の観点からもさらなる推進が必要であると認識しておりまして、二週間の在宅勤務における職員からの意見も踏まえ、六月二十一日からは、在宅での業務用パソコンによる一部業務システムへのアクセスでございますとか、ファイル共有システムの利用などを可能としたところでございます。  今後、在宅勤務の本格導入に向けまして、在宅でも庁内と同じ状態で業務可能とするなど、さらなる環境整備を進めてまいりたいと考えております。    [伊藤浩樹君登壇] 51 ◯伊藤浩樹君 それぞれ答弁頂きました。  塩田知事、医療費助成制度については、手続簡素化が県内一斉にできるよう、今任期中のマニフェスト遂行をお願いいたします。  コロナウイルス感染症対策においては、様々な視点、角度からの対策がまだしばらくの期間必要とされます。ワクチン接種においては、移動が困難な要介護者や高齢者には、ドクターが自ら訪問しワクチン接種するドクタータクシーの活用など、新たな施策にも積極的に取り組んでほしいと考えます。今回の新型コロナの教訓が鹿児島の将来に資するものとなるよう要望いたします。  次に、児童虐待における県の対応についてであります。  私は、これまで三回にわたりこの本会議場で、県内に三か所しかない児童相談所の増設設置を訴えてきました。令和元年六月議会では、「新たな児童相談所の設置は、現時点では想定していない」との答弁。その直後の八月に、御承知のとおり、出水市にて、児童相談所や関係機関が関与していた女児の死亡案件が発生し、関係団体の連携不足が露呈しました。その年の十二月議会におきましても、新たな児童相談所の設置について再度、県の見解について問いました。県当局は、「今後、検討してまいりたいと思います」と答弁され、児童相談所の新たな設置についての明言は避けられたところであります。  三回目は、令和二年十二月議会にて、出水地区への児童相談所の設置についての答弁で、塩田知事は、「相談部会から、県において分散配置など児童相談所の在り方を検討すべきであるとの提案を頂いた」とし、「県としては、相談部会からの提案を踏まえるとともに、国のワーキンググループの検討状況も注視しながら、今後どのような取組を行うか、検討してまいりたいと考えております」と述べられております。  そこでお尋ねします。  一点目は、六月四日に相談部会からの提案及び出水市女児死亡案件を踏まえて創設された、一時保護所の在り方及び児童相談所の配置の在り方を検討する委員会についてお聞きします。  来年二月に最終報告書を知事に提出されるとされておりますが、今後の児童相談所体制見直し策のスケジュールをお示しください。  二点目は、六月三日出水市市議団が、出水市への児童相談所設置について要望書を提出されました。報道で知事は、在り方委員会で協議すると申されておりましたが、在り方委員会ではどのような協議がなされたのか、お示しください。  その上で、三点目として、出水市への児相の設置について、県の見解をお示しください。  四点目は、昨年度、県内における児童虐待認定件数が、前年度より百六十一件増の二千三百五十五件で過去最高となりました。県内三か所の児童相談所の児童虐待認定の状況及び増加の要因をお示しください。  次に、鹿児島市の小・中学校におけるいじめ事案の隠蔽報道に係る県教委の対応についてであります。  鹿児島市内の小・中学校で発生したとされるいじめ事案三件は、いずれも二〇一八年から二〇二〇年に起こった事案で、現在まで隠蔽されていた可能性すらありそうです。報道によると、「被害生徒から市教委は聴取もせず」とありました。このような状況であれば、通常では報告書すら作成できないのではないかと推測されます。  いじめやわいせつ事案の不祥事案が起こった際の報告書作成に当たっては、昨年度の文教警察委員会でも再三にわたり議題になっており、当事者双方に文面の確認を行うことを徹底するように県教委に要望しております。  今事案で鹿児島市教育委員会は、生徒からの聞き取りをしていないとのことです。学校は当該生徒への聞き取りをしたと思われますが、学校側だけの意見で重大事態に該当されないというのは、あまりにも軽率ではないかと感じております。  今回報道されたそれぞれのケースで、県障害福祉課からの自殺防止対策の補助を受けた団体、事業者にLINEでの相談があったと聞いております。その際には、補助を受けた事業者がメンタルケアを行い、転校先も決まり、本人も、もう大丈夫と話し、自死のリスクがなくなったと判断されたそうです。  子供たちに自死を考えさせるほどのいじめを受けた案件にもかかわらず、いまだに重大事態としない状況は、鹿児島市教育委員会を指導・助言する立場にある鹿児島県教育委員会の責任も極めて重いと感じます。  ここで、一つ目の質問をくらし保健福祉部長にいたします。  直近二年間のSNSを通じての相談件数及び内容等の把握をされているのか。また、小・中・高校生からの相談においては、教育委員会との連携はなされているのか、お答えください。  二点目は、近年、数多くのいじめ事案の報道がされていますが、市町村教育委員会が重大事態と認定しなければ、首長や県教委にも報告されないとの報道もされております。この制度に対する県教委の所感及び、県教委としては、なぜ市町村教委に対し事案発生時に適切な指導ができないのかをお答えください。  三点目は、二〇一三年に施行された、いじめ防止対策推進法に定められた重大事態認定基準についての認識をお示しください。  四点目は、二〇一八年に起きた小六いじめ事案であります。  学校側が当初認めていなかった三十日以上の欠席を、被害者からの当事者請求によって認め、重大事態として認定し、市教委に報告したとされています。学校側の落ち度は明らかです。組織ぐるみでの隠蔽としか考えられません。このような案件の場合、学校や市教委に対し、県教委からの指導はどのようなものなのか、お答えください。  また、今後の県教委と市町村教育委員会との連携についての見解も併せてお聞かせください。  次に、いじめ防止等対策委員会設置と条例制定についてであります。  今議会に県教育委員会が、いじめの調査と対策の検証という二つの役割を担う常設委員会を設置する方針が発表され、条例案を提案されたところであります。  この常設委員会には、県教委として、市町村教育委員会における事案に対して、どの程度の能力や効力が発揮できるのかお示しください。  二点目は、教育委員会が必要と判断した事例を調査するとの報道もありましたが、どのような場合を想定されているのか、お示しください。  三点目は、この常設委員会の設置は、二〇一四年に県立高校生が自殺した問題に、いじめ再調査に係る再発防止策等検討会が、「自殺発生後の県教委の判断は、国の指針に沿わない対応だった」と指摘し、塩田知事への提言を踏まえたものとされておりますが、常設委員会設置に向け、改めて遺族に対しての思いや和解に向けての見解を塩田知事にお伺いしたい。  四点目は、二〇一一年出水市で起きた中二自殺訴訟事案が、裁判所からの和解勧告に基づき出水市議会に議案が提出され、審議されました。和解の賛否及び和解金二百万円を含む和解案に関する補正予算を全会一致で可決されたところであります。明日開催される鹿児島地裁での訴訟の進行協議で和解が成立する見込みということです。十年という歳月をかけて和解成立ということになりますが、県立高校生自殺案件を踏まえ、指導・助言する立場にある県教委としての見解をお示しください。  五点目は、各振興局ごとに設置されている教育事務所についてお尋ねします。  教育事務所は、統合される以前は各支所ごとに設置されており、より身近な存在であったと私自身認識しております。県と市町村教委とのパイプ役が教育事務所であったと思いますが、現体制ではその機能が薄れていると感じているのは私だけでしょうか。県教委からの指示が直接市町村教委に届くとも聞き及んでおります。いじめ事案や教職員による不祥事事案等があった際にも機能しているのか、疑問です。  そこでお尋ねします。  私の私見としては、教育事務所における人員を市町村教委へさらなる人事派遣して、県教委との連携を取る時期に来たのではないかと感じておりますが、見解をお示しください。  また、教育事務所の意義及びメリットをお示しください。  次に、県立野田女子高校の共学化及び専攻課程の創設についてお伺いいたします。  昨年、出水市にて開催された知事とのふれあい対話にて、当時の鶴の町商工会会長より、県立野田女子高校の共学化及び専攻課程の創設の要望が塩田知事にあったところであります。  御承知のとおり、県立野田女子高校は、県立高校の中で唯一の女子高校であります。生活文化科、食物科、衛生看護科及び専攻科が設置され、特色ある教育を行っているところであります。  しかしながら、少子化の影響や時代のニーズの変化に伴い、入学者数の減少が止まりません。令和三年度入学者は、家庭科定員八十名に対し、三十六名となっております。また、看護科は、定員四十名に対し、十七名となっているところであります。このことから、地元地区の学校存続への危機感が年々強くなっているところであります。
     学校がなくなると地域力が減少いたします。地方創生は、学校を中心に地域を盛り上げていくことが重要だと日頃より感じているところであります。私は、学校再編や統合の件につきましても以前より質問を重ねておりますが、今回は野田女子高校に絞りお尋ねいたします。  一点目は、県内唯一の県立女子高校である野田女子高校の将来的な男女共学化についての見解をお示しください。  二点目は、食物科や生活文化科における専攻科設置は可能なのか。  また、保育士不足は鹿児島県にとっても喫緊の課題となっております。以前、野田女子高校には保育科がありました。食物科や生活文化科の専攻課程に保育士育成コースを加え、県内における保育士不足解消を図ることができないのか、見解をお示しください。  次に、長島町獅子島における県道昇格についてです。  三月議会の一般質問において中村素子議員は、長島町及び地元商工会等からの声に応じ、長島町から天草への三県架橋建設についての質問をされたところであります。その際、答弁において塩田知事は、「三県架橋につきましては、九州新幹線、空港、港湾等と一体となって、東アジアをはじめとする国際的な交流基盤を形成するほか、大規模災害時における広域的な避難道路の機能を有するなど、九州の一体的な浮揚を図る上でも、大変夢のある重要な構想と考えております。県としては、これまでも、長崎・熊本両県や各地元期成会と連携し、構想推進地方大会など、地域間の積極的な交流を促進し、機運の醸成に努めてきたところでございます。今後とも、三県の緊密な連携の下、このような取組を着実に推進しつつ、構想の実現に向け、国に対し積極的に要望を行ってまいりたいと考えております」と所見を述べられたところであります。  さて、本日は、長島町獅子島に関して掘り下げてお聞きしたいと思います。  長島町獅子島は、鹿児島県最北端の有人離島で、雲仙天草国立公園の一部を形成し、薩摩松島とも呼ばれている風光明媚な島であります。平成二十七年の国勢調査によると人口は六百八十九人で、島の面積は十七・〇五平方キロメートルです。  ところで、獅子島の道路は、一部に町道があるものの、ほとんどが林道や農道であり、これらが生活道路となっているところであります。島内の道路は幅員も狭く、急峻な地形を通っていることから、のり面も高く、台風や大雨の際には度々土砂崩れなどの災害も発生しており、島民の生活に支障を来しております。この島内の道路を長島町だけで管理するには、財政的にも技術的にも大変厳しいとお聞きしました。  また、鹿児島県内の人口五百名以上の有人離島は、獅子島を含めて十一島ありますが、獅子島以外の十島については県道が整備されており、獅子島だけが県道がない状況となっております。  このような状況の中、先日の長島町議会において、獅子島一周林道の県道昇格に関する質問に対し、長島町長が、「獅子島の林道、町道等の見直しを島民の意見等を拝聴しながら進めていき、町道から県道への昇格という方向性を探っていく必要があると考えます」と所見を述べられております。  そこでお尋ねします。  第一点は、一般的に農道や林道を県道に昇格する場合の考え方をお示しください。  第二点は、獅子島における町道の県道昇格の考え方をお示しください。  また、獅子島における県道昇格は、将来的な獅子島架橋建設につながると期待されております。獅子島架橋建設に係る県の見解をお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 52 ◯知事(塩田康一君)いじめの関係で、条例案を提案するに当たっての思いについてでございます。  前途ある高校生のかけがえのない命が失われたことについては、大変重く受け止めなければならないと思っております。  三月二十九日に、いじめ再調査に係る再発防止対策等の提言を頂きましたが、これまでの間、御家族においては大変つらい思いをされたことと思っております。  同提言では、いじめの防止等のための対策あるいは重大事態発生後の対応などについて、広く共通する内容が示されており、現在、県教育委員会は、本提言の内容を踏まえ、研修の充実等の取組を進めているところであり、また、いじめ等についての調査及び検証を行う常設の附属機関を設置するための条例案を今議会に提出したところでございます。  提言にも述べられておりますとおり、いじめの問題は、どの学校でも、どの学級でも起こり得るものであります。教育委員会や学校はもとより、教師一人一人が再調査報告書や提言にしっかりと学び、いじめ防止等のための対策などにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  私としても、本事案のような事態が二度と起きてはならないという観点から、本提言を踏まえ、県教育委員会が行う研修等、いじめの防止等のための対策に係る予算の確保など、必要な措置を講じてまいります。  なお、現在、和解云々というような話はございません。 53 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)児童虐待に関するお尋ねのうち、まず、児童相談所の体制の見直しスケジュール等についてでございます。  令和元年八月死亡事例に係る検証報告書において御提案のありました、中央児童相談所の一時保護所の在り方及び児童相談所の配置の在り方等について必要な事項を検討するため、今年度、外部の専門家で構成する、一時保護所の在り方等検討委員会を設置し、第一回委員会を今月四日に開催したところでございます。  第一回委員会では、中央児童相談所の一時保護所の状況や児童相談所の分散配置に関する国の基準等について委員に御説明し、委員間で協議の方向性や今後の協議に必要なデータ等について意見交換が行われ、あわせまして、今後の進め方やスケジュールについても協議がなされたところでございます。  具体的には、一時保護所における混合処遇の一日も早い解消が望まれるとの相談部会の提言等を踏まえ、中央児童相談所の一時保護所の在り方の協議を先行して行うこととし、その後、児童相談所の分散配置について協議することとされたところであります。  同委員会は今年度六回の開催を予定しておりまして、協議結果については報告書として取りまとめ、来年二月を目途に知事へ提出していただくことを考えているところでございます。  次に、出水市への児童相談所の設置についてでございます。  児童相談所の配置の在り方につきましては、令和五年四月の改正児童福祉法の施行に向け、国におきまして、人口、地理的条件、交通事情、相談対応件数など、児童相談所の管轄区域に関する基準を示す政令を近く定める予定と聞いております。  県といたしましては、今年度設置した一時保護所の在り方等検討委員会において、国が示す基準等も踏まえながら、新たな児童相談所の設置など児童相談所の配置の在り方について、今後、具体的に検討することとしております。  次に、児童虐待の認定件数等についてでございます。  本県の三児童相談所における令和二年度の児童虐待認定件数は、二〇一七件となっておりまして、前年度に比べ三百二十一件、一八・九%の増となっております。  認定件数の種類別では、心理的虐待が千四百八件、前年度比二百二十八件増、身体的虐待が三百四十九件、同じく百七件増、ネグレクトが二百四十九件、九件の減などとなっております。  また、経路別では、警察からの通告が千五百五十三件、二百二十五件の増、近隣知人からの通告が百二十件、七件の増、学校からの通告が百十五件、三十件の増となっております。  認定件数の増加につきましては、様々な要因が影響していると考えられますが、いわゆる面前DVなどを含む心理的虐待に係る通告が増加していること、近隣知人からの通告・相談件数が増加しており、児童相談所虐待対応ダイヤル一八九─いちはやく─の周知効果が見られることなどが影響していると考えられるところでございます。 54 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)SNSを通じた相談件数や内容等についてでございます。  県では、若年層の自殺対策として対面相談、電話相談、SNS相談等に取り組んでいる民間団体へ補助金を交付し、活動を支援しております。  SNSを通じた相談件数は、令和元年度は二千九百三十五件、令和二年度は一万九千六百八十二件となっております。  相談内容としては、心身の健康問題、子供の不登校・いじめに関する学校問題、家族関係の不和といった家庭問題などが多く、内容は多岐にわたっております。  総合的な自殺対策を協議するため、県においては、教育委員会や県警等の公的機関と、相談事業等を行う民間団体等で構成する県自殺対策連絡協議会の中で、団体等に寄せられた相談内容や相談への対応状況などについて意見交換を行っているところであります。  今後とも、民間団体を含めた関係機関・団体等と連携し、若年層も含めた総合的な自殺対策を推進してまいりたいと考えております。 55 ◯教育長(東條広光君)初めに、いじめ重大事態の報告等についての所感と市町村教育委員会への指導についてであります。  学校教育においては、設置者管理主義の下、学校管理下で起きた事案については、学校及びその設置者において対応することとされております。  特に、いじめ防止対策推進法においても、市町村立学校で重大事態が発生した場合の対応については、市町村長への報告義務のほか、市町村長による附属機関を設置しての調査や議会への報告は定められておりますが、県教委への報告は必要とされていないところであります。  こうした中、県教委におきましては、地方自治法や地方教育行政法等に基づき、市町村教育委員会に対し、かねてから関係法令や国が示すガイドライン等の遵守を指導するとともに、対応に疑義が生じた場合には県教委に助言を求めるよう周知してきております。具体的に相談があった場合には、法令等の解釈に関する助言や同様の事例に関する情報提供を行うなどの対応を行ってきているところであります。  次は、いじめ防止対策推進法に定める重大事態についてであります。  いじめ防止対策推進法第二十八条においては、学校又はその設置者が、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」、または「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」を重大事態としております。  また、国は、いじめの防止等のための基本的な方針や、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおいて、重大事態として扱われた事例や調査組織の構成等の具体的な内容を示しているところであります。  次に、重大事態における学校や市町村教育委員会に対する県教委の指導等についてであります。  先ほども申し上げましたとおり、県教委においては、地方自治法等に基づきまして、市町村教育委員会に対し、関係法令や国が示すガイドライン等を遵守するよう指導するとともに、対応に疑義が生じた場合には、県教委に助言を求めるよう周知してきているところであります。  その上で、いじめ防止対策推進法第三十三条では、「市町村に対し、必要な指導・助言又は援助を行うことができる」とされておりますことから、これまでも、重大事態が発生した際は、市町村教育委員会からの求めに応じ、例えば、被害児童生徒等の思いを理解し対応に当たることや、不都合なことがあったとしても、調査の結果について適切に説明を行うことなど、必要な指導・助言等を行ってきているところであります。  次は、いじめ防止等対策委員会の機能や効果についてであります。  県教育委員会の附属機関として設置される委員会が行う、いじめ防止等の対策についての調査審議や具体のいじめ事案の調査を行う対象は、県が設置する高等学校や特別支援学校等で発生する事案に限られることとなります。  なお、県いじめ防止基本方針に基づきます、県教委の市町村に対する指導等に関する調査審議をこの委員会に行っていただくことはあり得るものと考えております。  次に、委員会の調査対象となる事案についてであります。  学校の設置者は、いじめ防止対策推進法第二十八条第一項に基づき、いじめの重大事態に係る調査を行うほか、同法第二十四条においては、「いじめ等の報告を受けたときは、必要に応じ、当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする」とされております。  今回、設置しようとする委員会については、重大事態に該当しない事案であっても、例えば、生徒や保護者と学校の見解とが異なる場合などには調査を委ねることを想定しております。  次は、出水市の中学生自殺事案についてであります。  前途ある子供たちが自ら命を絶つようなことは絶対にあってはならないことであると思っております。  県教委としても、県立学校における自殺防止対策に真摯に取り組むとともに、市町村教育委員会に対しては、管下の学校において自殺防止対策に積極的に取り組まれるよう、指導・助言を行ってまいります。  次に、教育事務所の意義等についてであります。  教育事務所は、県教委の出先機関として、県内各地域において各市町村立小・中学校等に勤務します県費負担教職員、約一万二千名おりますけれども、これの給与や人事に関する事務、学校教育や社会教育等に関する指導業務などを行っております。  このうち、社会教育等に関する指導業務は、近年の地方分権の進展に伴い、従前に比べて業務のウエートが少なくなっておりまして、職員数の削減を図ってきたところであります。  県教委としては、その時々の行政需要に的確に対応するとともに、簡素で効率的な行政運営を図るため、必要な組織機構の見直しを絶えず行ってまいります。  なお、市町村教育委員会に勤務する指導主事につきましては、市町村費で給与が賄われており、県で採用した教職員を市町村教育委員会の求めに応じて派遣しているものであります。  県教委としては、引き続き、教育事務所及び市町村教育委員会との連携を密にして、各地域における教育の充実と振興に努めてまいりたいと考えております。  次は、野田女子高校の共学化についてであります。  野田女子高校は、昭和四十一年四月から家庭科単学科の女子校となり、現在は食物科、生活文化科、衛生看護科の三学科と衛生看護科の専攻科が設置されており、これまで、地域の方々の御支援や信頼を頂きながら、充実した専門教育を展開しているところであります。  県教委としましては、同校の共学化については、地域の要望、実情などを総合的に勘案した上で検討していく必要があると考えています。  次は、野田女子高校への専攻科の設置についてであります。  高等学校の専攻科は、学校教育法に基づき、高等学校を卒業した者等に対して、さらに高度な専門的な学習や資格の取得を目的とする教育を行うために設置されております。  本県の県立高校では、野田女子高校の衛生看護科と鹿児島水産高校の二校に専攻科を設置しており、野田女子高校では看護師の国家試験受験資格の取得に、鹿児島水産高校では海技士や無線通信士等の国家資格の取得に向けた学びに取り組んでおります。  現在、野田女子高校では、食物科では調理師免許が、生活文化科では家庭科技術検定の資格など、就職に必要な専門的な資格が卒業段階で取得可能でありますことから、専攻科については、まずはそのニーズについて把握する必要があると考えております。  また、生活文化科に保育士の資格取得を目的とした専攻科を設置することについては、専攻科と同じ二年間の修業年限であります短期大学では、保育士の資格のほかにも、幼稚園教諭免許状などを取得することが可能でありますことから、そのニーズについても把握していく必要があると考えているところであります。 56 ◯土木部長(兒島優一君)長島町獅子島における県道昇格についてのうち、県道昇格の考え方についてであります。  農道や林道は、本来、農作物や林産物の運搬などを主な目的として整備されたものであり、目的や機能に沿った管理が必要でありますことから、一般交通の用に供する県道へ直接昇格することは難しいと考えております。  市町村道の県道昇格を含めた県道網の見直しにつきましては、これまで、国道昇格や主要地方道の追加指定を踏まえ、行ってきたところでございます。  獅子島における町道の県道昇格につきましても、道路法などに示された認定要件を踏まえ、今後の全県的な県道網の見直しの中で検討してまいりたいと考えております。 57 ◯地域政策総括監(房村正博君)獅子島架橋建設に係る見解についてでございます。  獅子島架橋につきましては、長島町において基金の積立てが行われるなど、地元からの強い要望があることは承知しているところでございます。  架橋の建設は、島民の方々の防災・医療・福祉や農業・漁業・観光等の産業振興などに寄与するものと考えております。  一方、架橋の実現に当たりましては、多額の事業費が必要であり、国や地方の厳しい財政状況の中では越えなければならない課題もございますが、地元の皆様の強い思いにつきましては、今後もしっかりと国に伝えてまいりたいと考えております。 58 ◯伊藤浩樹君 自席より再質問させていただきます。  教育長に再質問させていただきたいと思います。  教育長、市町村教育長を除いて、学校長や市町村教育委員会の役員の方々は、県の教職員課人事係によって派遣された県の教職員ですよね。義務教育課程で起こったいじめ等の事案については、市町村教育委員会の対応と設置者の対応とされておりますが、今回のそれぞれの事案においては、欠席日数が基準を超えているにもかかわらず、学校長や市町村教育委員会は重大事態としなかったとされております。  教育長、改めて任命権者としての任命責任についての見解をお示しください。  また、法的に都道府県教育委員会が市町村教育委員会へのいじめ事案等に関わることができないとするならば、文科省へ根本的な制度改革を要望するなどの必要があると思いますけれども、見解をお示しください。 59 ◯教育長(東條広光君)設置者管理主義への考え方については、学校教育については共通するものでございまして、このいじめ防止対策推進法が制定された三年後に見直しがなされておりますけれども、その時点でもそういった議論はございませんで、私どもとしても、そういう申出をする予定はないところであります。  なお、御指摘のありました市町村教育委員会のいじめ問題に関する対応につきましては、先ほども答弁申し上げましたけれども、法令に基づき、そしてまた、国でガイドライン等あるいはマニュアルが出されておりますので、それにしっかりと沿った対応をするよう指導してまいりたいと考えております。    [伊藤浩樹君登壇] 60 ◯伊藤浩樹君 それぞれ答弁頂きました。  鹿児島市にある中央児童相談所は、薩摩半島の霧島以南と奄美大島群島を除く離島を管轄しており、どう考えても範囲が広過ぎます。また、約百三十万人の対象人口を管轄してもおります。早期の新規体制が望まれているところでもあります。今年度中に県内児相の新体制の姿が見えることを期待します。  いじめ防止対策についてですが、今回の施策では重大事態の当事者や関係者の生の声に学ぶ機会の研修が盛り込まれております。事案発生時には子供たちの生の声をしっかりと聞き取ること、なおかつその声に蓋をしないことを強く要望いたします。  出水市野田地区を中心とする皆様方が県立野田女子高校の男女共学化を求める署名活動を計画し、塩田知事並びに東條教育長へ要望書を提出する準備も始められております。私自身も、野田女子高校が共学化し、学校が存続することにより、野田地区の生活基盤の安定や産業振興に大きく寄与し、地方創生の一助となると考えますので、前向きな御検討をよろしくお願いいたします。  長島町の獅子島におきましては、県道を認定し、整備してくださるよう強く要望いたします。そうすることにより、獅子島の生活基盤の安定や産業・観光の振興に大きく寄与することができます。また、今回獅子島が県道認定となれば、県内の地域高規格道路の指定状況を鑑みると、獅子島と隣接する島原天草長島連絡道路は候補路線でありますが、早期の計画路線への指定にも通じると思われますので、併せて要望しておきます。  本日は、長島町の獅子島から傍聴に多数来ておられます。本当に感謝申し上げます。  以上で、一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 61 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。
           午後二時二十五分休憩       ────────────        午後二時三十五分再開 62 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、鶴田志郎君に発言を許可いたします。    [鶴田志郎君登壇](拍手) 63 ◯鶴田志郎君 自由民主党県議団の鶴田志郎であります。  通告に従い質問してまいりますと言いたいところですけれども、通告しておりましたデジタル県庁の推進については、時間の関係上、割愛させていただき、委員会審査に回そうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  さて、四月下旬に東串良町、鹿屋市、垂水市において、知事とのふれあい対話が行われました。東串良町におきましては、園芸振興会や畜産振興会の会長、商工会関係者、医療福祉、女性の代表など幅広い団体から十五名程度の参加者との意見交換が行われております。  東串良町は、鹿児島県の農産物のブランド第一号であるピーマンやキュウリの一大産地であるとともに、宮城県で行われた第十一回全国和牛能力共進会で鹿児島県総合優勝の原動力となっております。ふれあい対話の中でも、担い手対策や老朽化した選果場の更新などの課題が出されておりました。また、消防団員不足や商店街の空き店舗対策など、人口減少による地域の様々な課題が出されております。  鹿屋市や垂水市の会場で出された意見の中にも、人口減少と高齢化による社会問題が提起されておりましたが、塩田知事は、ふれあい対話を通じて大隅地域の現状をどのように捉え、そのことを踏まえて大隅地域の振興をどのように図っていくのか、お示しください。  次に、知事にお伺いいたしますのが、楠隼中学・高校の共学化と全寮制の廃止についてであります。  昨年の第四回定例会の私の質問に対し、「同校の共学化と全寮制廃止のスケジュールについて、生徒、保護者、周辺市町などの関係者等の意見を伺った上で進めることとしており、現在、生徒、保護者の意見を聞くためのアンケートを実施しているところであります。今後、周辺市町などの関係者等の意見も伺った上で、その進め方やスケジュールなどを検討してまいりたいと考えております」と答弁されております。  その後、生徒、保護者に対するアンケート調査の結果が公表されており、内容は、共学化については、「進めてよい」が中学生二七・八%、高校生一五・三%、保護者一八・七%、合計で二〇・一%となっております。「進めてほしくない」が中学生四六・三%、高校生六二・九%、保護者六二・〇%、合計で五八・一%という数字であります。「進めてよい」と「どちらでもよい」を足しても四一・七%で、「進めてほしくない」というものとの差は一六・四%となり、「進めてほしくない」という声が強い結果であります。  共学化賛成の主な理由は、女子の入学により多様な学びができるのではないかとか、定員の確保がしやすくなるというような意見が出されております。  共学化反対の理由は、昨年の優秀な進学実績を勘案すると全寮制の男子校の形を崩してほしくないとか、改装などでの施設設備への予算が多額に上るのは反対などの意見が示されております。  今回、皆様方の議席の手元に「楠隼Letter」という資料を配らせていただきました。これを御参照いただくと、今年三月に卒業した現役生徒五十六名のうち、国公立が三十八名、合格率七〇%、難関大と言われるところには二五%の入学を果たしており、東京大学をはじめ、様々な難関大学に入学を果たしております。  このことを通じて、六年間一生懸命頑張れば、自分の能力、そして思いが通じるんだ、そのことをしっかりとこの学校で実現できる、そういったような意見が多く出されているところであります。  さらに、全寮制の廃止につきましては、「進めてよい」が中学生二七・二%、高校生一七・一%、保護者一九・〇%、合計で二〇・六%となっております。「進めてほしくない」が中学生五二・五%、高校生六〇・〇%、保護者六二・七%、合計で五九・三%という数字であります。「進めてよい」と「どちらでもよい」を足しても三八・五%で、「進めてほしくない」というものとの差は二〇・八%となり、「進めてほしくない」という声が強い結果が出ております。  全寮制の廃止賛成の主な理由は、学校に近い生徒の寮費の負担軽減になるとか、寮生活になじめない生徒がいる、定員割れが解消できるなどの意見が出されております。  全寮制の廃止反対の理由につきましては、寮生活を通して協力し合い友情や団結力が高まるとか、授業時間や学習時間の確保ができ学力の向上に集中できるというような意見が出されております。  以上のようなことで、さらなる学校の充実を図る上で現状を維持する要望が強いと考えます。  そこで知事にお伺いしますが、先般、肝付町、東串良町、鹿屋市、志布志市の市長、町長に面談され、意見を聴取されましたが、そこでどのような意見が出されたのか、知事はそのことに対してどのように受け止められたのか、そして今後、楠隼中学・高校の共学化、全寮制の廃止をどうされるのか、お示しください。  次に、知事の提案理由説明の中でDXに対する取組が表明されております。そこで、基幹産業であるスマート農業への取組をお伺いしたいと思います。  農業の産出額が国内第二位の鹿児島県にとって、農業の振興は最重要課題の一つであります。しかしながら、後継者はもとより深刻な人手不足や、生産体制の大規模化による作業量の増大に対処するためには、ITやAIを活用したスマート農業の推進が不可欠であります。  国におきましては、昨年三月に改訂された食料・農業・農村基本計画の中で、総合的かつ計画的に講ずべき施策として、スマート農業の加速化など農業現場でのデジタル技術の利活用の推進に取り組むよう位置づけられております。そして、様々な課題をデジタル技術で解消すべくスマート農業実証プロジェクトに取り組んでおり、令和元年八月には志布志市の堀口製茶で、九州ブロック版スマート農業サミットが行われております。  堀口製茶では、畑地かんがいをスマート化することで茶園のかん水や防霜対策、害虫の防除を実施し、さらには、茶の摘採や施肥、除草をロボットで行うなどのスマート農業を取り入れており、その現状の視察・研修を実施しているところであります。  県内では、令和元年度に五か所、令和二年度には、JA南さつまでん粉原料用かんしょ部会やアグリーン鹿屋、離島におきましては、三島村肉用牛生産組合など四か所でスマート農業実証プロジェクトが実施されており、今後の展開のお手本としてその成果が期待されております。また、畜産におきましても、飼料の給餌や発情、出産の状況などを集中管理することで、効率的に、より確実に経営が進められるよう取組が進んでおります。  そこでお伺いしますが、現在の鹿児島県におけるスマート農業の導入状況はどのようになっているのか、お示しください。  また、県におきましては、鹿児島県スマート農業推進方針において、スマート農業の将来像を明確にした上で、農業者の理解促進や実装に向けた取組が進められております。  そこでお伺いしますが、農業者の理解促進に向け、どのような取組をされてきたのか、お示しください。  さらに、現地での実装に向けた実証活動を支援していると聞きますが、これまでの実績を踏まえた課題と支援策についてお示しいただきたいと思います。  スマート農業を実践していくための人材の育成についてお伺いいたします。  鹿児島県スマート農業推進方針では、農業高校や農業大学校における実演や講義等の実施が述べられております。パソコンやスマートフォンを使ってのデータ取得や読み取り・活用をすることや、ドローンやロボットを使っての効率的な農作業などを習得するのは、若いうちから慣れることが重要でありますが、県の農業教育機関でのスマート農業教育の現状と、学生がスマート農業に対してどのような考えの下、スマート農業に取り組んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。  次に、宇宙開発の促進についてお伺いいたします。  宇宙開発の促進への我が県の取組についてでありますが、今年度は、新型基幹ロケットH3の打ち上げが予定されており、現在、種子島宇宙センターに実機が持ち込まれ、打ち上げに向けて試験が行われております。  H3ロケットは、H─IIAに比べ、より柔軟性、高信頼性、低価格を実現しており、今までにない数多くの打ち上げを実現する計画であるとのことであります。一機約五十億円で打ち上げられるということで、国際競争力にも強い設計をされているというような状況であります。  また、内之浦宇宙空間観測所を基地とするイプシロンロケットは、二〇一三年に初号機が打ち上げられ、二〇一九年の打ち上げまで四機の打ち上げに成功しております。そしてこれらの成果を基に、さらに進化したイプシロンSロケットの開発が進んでいるのであります。  今後、民間事業者が主体となって打ち上げに関わっていくということでありまして、昨年六月にJAXAとIHIエアロスペースで基本協定が締結され、今後、IHIエアロスペースが打ち上げ主体となり、衛星の受注などの役割を担っていくことになります。  宇宙基本計画に基幹ロケットとして位置づけられているH3、イプシロンSロケットの射場のある鹿児島県として、宇宙開発の促進にどのように貢献していくのか、このことを県勢の発展にどのように活用していくのか、お示しください。  一方、内之浦の辺塚の浜におきまして、二〇二〇年十二月、昨年の十二月でありますけれども、鹿児島大学の片野田教授が取り組む民間ロケット「鹿児島ロケット二号機ユピテル号」が打ち上げられ、見事成功しております。  この民間ロケットは、鹿児島大学や霧島市の第一工業大学のほか、県内企業などが設計から製造、打ち上げまで全ての工程を地元で行おうと開発を進めている意欲的な小型ロケットであります。大きさが約二・五メートル、重さ二十キログラムで、エンジンは固体燃料と液体酸素の両方を使うハイブリッド型を搭載しております。一号機は失敗しましたが、二号機は高度四百五十メートルに到達し、必要なデータも収集できたそうで大成功でありました。  自民党県議団の宇宙開発促進調査会でも現地視察を実施し、間近でその打ち上げの様子を見学いたしましたが、力強く打ち上げられた民間ロケットの模様は、ロケット開発の新たなページを予見するすばらしいものでありました。  宇宙基本計画の中でもロケットの民間活用が位置づけられておりますが、北海道の大樹町では、インターステラテクノロジズのMOMO三号機が八分余りの飛行時間で最高高度百十三・四キロメートルを達成し、民間ロケットとして初めて宇宙空間にロケットを送り込んでおります。  また、和歌山県の串本町でも、キャノン電子やIHIエアロスペースが出資する宇宙事業会社スペースワンが、我が国初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」より、カイロスと命名されたロケットを今年度中に打ち上げる予定と聞いております。  鹿児島県は宇宙開発の先進県でありますが、今後、民間ロケットの打ち上げにどのように対応していくのか、教えてください。  さらに、全国的に民間企業の参入が進む中、宇宙関連産業の振興に取り組むべきと考えますが、県はこのことにどのように取り組まれるのか、お聞かせください。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 64 ◯知事(塩田康一君)大隅地域の振興についてでございます。  四月に大隅地域で開催いたしましたふれあい対話においては、農産物の生産体制強化に取り組みたい、水産物の販路拡大を図りたい、地域の観光地を磨き上げたいなど、産業や観光の振興に関することから、生活環境の充実、交通インフラの整備に至るまで、多岐にわたる御意見を頂き、垂水の大野原地区の取組など、地元の皆様方が大隅地域に対して大変熱い思いを抱いていることを強く感じたところでございます。  私としては、大隅地域は、食料供給基地として現在でも大きな役割を果たしているところでありますが、豊かな自然をはじめ、多くの魅力的な資源があり、農林水産業や観光をはじめ、様々な分野においてさらに発展する大きな可能性を有していると考えており、そのポテンシャルを生かした地域振興策を積極的に展開してまいりたいと考えております。  農林水産業におきましては、かごしまブランドにも指定されているピーマンやお茶など農産物の生産体制強化、サツマイモやお茶などの海外への輸出拡大、大隅加工技術研究センターを活用した高付加価値化や新商品開発、鹿児島黒牛やかごしま黒豚など畜産物、養殖ブリ・カンパチ、ウナギなど水産物のブランド力向上や販路拡大に取り組んでいくこととしております。  また、辺塚だいだいなど地域の資源を生かした食品関連産業の振興や企業誘致、宇宙関連産業の振興なども推進することとしております。  CLTの活用などによる製材品の付加価値の高度化など、林業の振興にも取り組んでまいりたいと考えております。  観光につきましては、佐多岬や雄川の滝などの景勝地をはじめ、吾平山稜、高屋山稜、道隆寺、大慈寺などの歴史的な資源、かのやばら園や高峠のツツジや垂水の千本イチョウ、内之浦宇宙空間観測所などの様々な地域資源、弥五郎どん祭りや流鏑馬祭り、また、映画「きばいやんせ!私」の題材となった千三百年の歴史を誇る御崎祭りなど、地域の伝統文化を生かした誘客促進や観光地域づくり、また、ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅や県の根占自転車競技場などスポーツ拠点施設への合宿誘致などにも取り組んでいきたいと考えております。  このふれあい対話のときにも訪れました「ユクサおおすみ海の学校」も、訪れるたびに充実が図られており、今後のサイクルツーリズムなどの拠点としての活用も期待したいと考えております。  また、産業や生活を支える基盤として、東九州自動車道や大隅縦貫道など交通ネットワークの整備を進めるとともに、志布志港において、国際バルク戦略港湾としての飼料穀物の輸入機能強化や、木材の一層の輸出拡大を図ることとしております。  また、鹿屋港における浮き桟橋により、錦江湾を活用した観光客誘致にも取組を進めてまいりたいと考えているところであります。  さらに、リサイクル日本一の大崎町など、SDGsの観点の様々な施策の推進、子育てしやすい環境整備や移住・交流人口の拡大、地域を支える人材の育成、農福連携など、暮らしやすく活力ある地域づくりにも努めることとしております。  県としては、地元自治体とも連携しながら、住民の皆様方と一緒になって、地域のポテンシャルを最大限に生かした大隅地域の振興に取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、楠隼校の共学化に関する周辺市町からの意見聴取と今後の進め方についてでございます。  楠隼校の共学化や全寮制の廃止につきましては、先般、鹿屋市、志布志市、肝付町、東串良町の首長及び教育長と個別にお会いし、それぞれの御意見を伺ったところでございます。  各首長等からは、「寮費など経済的な理由で進学できない子や、女子にも楠隼校に進学する機会を与え、選択肢を広げたいという考えは理解できる」という声があった一方で、「地元の高校への進学や中学校への影響が心配である」という意見や、「もう少し様子を見てからでもいいのではないか」などの意見を頂いたところであります。  私としては、これらの意見もしっかりと受け止めつつ、昨年度実施した生徒、保護者へのアンケート結果も踏まえ、今後の進め方について丁寧な検討を行ってまいりたいと考えております。 65 ◯農政部長(松薗英昭君)スマート農業の導入状況等についてでございます。  スマート農業技術の導入件数は、本年五月現在で、病害虫防除のためのドローンや園芸用ハウス内の温度・土壌水分等の制御を行う環境制御装置、牛の発情発見装置など、昨年比約三割増の約二千百件となっております。  さらにスマート農業の普及を図るためには、農業者の理解を深める必要があることから、革新技術の紹介やスマート農業機器の展示等を行う推進大会を県内五か所で開催するとともに、スマート農業推進パンフレットを活用し、各種研修等において農業者の理解促進を図ってきたところでございます。  今年度は、導入意向のある農業者等を対象にセミナーを開催し、活用事例の紹介やスマート農業機械の実演等を行い、さらなる理解促進を図ることとしております。  続きまして、スマート農業の実証成果等についてでございます。  現地での実装化を図るため、県内各地において実証活動に取り組んでおり、これまでドローンを活用した防除では、水田雑草防除の時間が従来に比べ約八割削減されたり、牛の発情発見装置導入後に、受胎率が七五%から九五%に上昇するなどの成果が確認されているところでございます。  また、今年度は、大学やメーカー、農業者との連携の下、ローカル5Gを活用したロボット茶摘採機の遠隔操作・自動化の実証などを進めていくこととしております。  スマート農業技術の活用により労働力不足の解決や生産性の向上が期待されておりますが、導入コストが高いことや、機器に対応した栽培技術の習得が課題となっており、経営規模に応じた導入のための補助事業による支援を行うとともに、施設園芸部門での単収向上につながる技術指導等を行っているところでございます。  スマート農業教育の現状等についてでございます。  学生への理解促進を図るため、農業高校では、実演や体験等を通じたスマート農業への関心を高める取組が、農業大学校では、スマート農業に関する講義のほか、施設園芸の環境制御装置や牛舎での分娩監視カメラ、茶のロボット摘採機等を活用した実習などが、体系的な実践教育として行われているところでございます。  また、さらなる教育の充実を図るため、昨年度は、国の事業を活用して、農業高校や農業大学校にロボットトラクターやドローンなどを導入したところでございます。  受講した学生からは、「先進的な技術を知り、農業に対する考え方が変わった」、「機械の小型化や価格の低下が進めば、さらに導入が進むのでは」、「スマート農業技術を導入して大規模経営を目指したい」などの感想があったところでございます。  県といたしましては、今後とも、スマート農業を実践する人材育成に努めますとともに、スマート農業のさらなる普及・拡大を図ってまいりたいと考えております。 66 ◯地域政策総括監(房村正博君)宇宙開発の促進と県勢の発展についてでございます。  基幹ロケットについては、本年度、初めてH3ロケットが種子島宇宙センターから、また、イプシロンロケットが内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられることが予定されており、令和五年度にはイプシロンSロケットの打ち上げも計画されております。  県では、地元自治体や関係団体等で構成する県宇宙開発促進協議会や県宇宙開発推進協力会などと連携し、円滑な打ち上げへの環境づくりに努めているほか、地域振興推進事業を活用した打ち上げ見学場の整備やロケット機体輸送への支援などを行っているところでございます。  また、地元自治体と連携し、種子島ロケットコンテストやかごしまスペースフェスタを開催しているほか、本年度は、はやぶさ2の特別展示を開催する予定であり、宇宙開発に対する理解促進にも努めているところでございます。  さらに、県内企業等を対象とした衛星データの活用方法に関する研修会等の開催も行ってきたところでございます。  国内唯一の二つの射場を生かした地域振興は、本県として極めて重要であると考えており、引き続き、地元自治体や関係団体等と連携して、円滑な打ち上げ環境の整備等に取り組み、本県の知名度の向上や観光振興、地域産業の振興など、地域の活性化を図り、県勢の発展につなげてまいりたいと考えております。  民間ロケットの打ち上げへの取組についてでございます。  国の宇宙基本計画においては、射場等の整備について、民間小型ロケット事業者の育成の観点も含めた措置を講じることなどが記載されているところであります。  また、民間事業者においては、北海道での商用小型ロケットの開発や、和歌山県での射場の建設などが進められてきております。  このような中、産学官で構成する九州航空宇宙開発推進協議会に、肝付町を中心に県も参加する研究会が設置され、内之浦宇宙空間観測所の民間利用を含めた効果的な活用に向けた、九州地域における宇宙開発促進に関する要望書が取りまとめられ、今般、九州航空宇宙開発推進協議会として、国などへ要望がなされたところであります。  本県においても、円滑な打ち上げ環境づくりや機体の輸送への支援を実施しているほか、県宇宙開発促進協議会を組織し、県内の二つの射場の十分な活用を国などに要望しているところでございます。  県としては、二つの射場と豊富な打ち上げ実績を持ち、地元の協力体制など円滑な打ち上げ環境がある本県の優位性も生かし、射場の民間利用を含め十分な活用が図られるよう、今後とも地元自治体と連携して国などへ要望してまいりたいと考えております。 67 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)宇宙関連産業の振興についてでございます。  平成二十九年に国が取りまとめた宇宙産業ビジョン二〇三〇におきましては、同産業の市場規模約一・二兆円を二〇三〇年代早期に倍増することを目指しております。その実現に向けて、衛星データの利用促進やベンチャービジネスの拡大等を総合的に推進することとしております。  県内においては、衛星運用のための地上設備の設計・開発を行う複数の企業が全国的に事業展開しているほか、国の実証事業を活用し、衛星データを利用した農業の省力化に取り組む企業も存在しているところでございます。県においても、鹿児島大学を中心とした小型ハイブリッドロケットの開発への支援を行っているところでございます。  県では、今年度、新産業創出室を設置し、今後成長が見込まれる分野などに新たに産業の創出を図ることとしておりまして、同室を中心に、産学官で構成する九州航空宇宙開発推進協議会や宇宙航空研究開発機構─JAXA─、あとは九州経済産業局等とも連携しながら、市場拡大が期待される宇宙関連産業への県内企業の参入を促進してまいりたいと考えております。 68 ◯鶴田志郎君 楠隼中学・高校のことに関しまして、知事に再質問させていただきます。  楠隼中学・高校の男女共学化、これは女子の入学者の増加が見込まれますし、全寮制の撤廃ということになりますと、寮はちょっと苦手という人とか、あるいは集団生活が苦手で退学していくというような人の歯止めになるのではないかなと考えております。  そこで、どの学校でもそうですけれども、入学者の獲得というのが課題になっている中で、例えばこの楠隼中学・高校におきましても、平成二十七年の開学時には中学で四・三二倍、入学者六十人ということでありましたけれども、今年の四月からの入学者は一・五五倍で四十八名ということになっております。さらに、高校でも外進生は〇・二八倍で五名というような状況でありますけれども、知事におかれましては、この改革で楠隼中学の入学者に対する影響といいますか、それはどんなふうになるのかお聞かせいただきたいと思います。 69 ◯知事(塩田康一君)楠隼中学校・高校、できてから数年がたっているわけですけれども、そういう中で、今おっしゃったような受験者数、入学者数の推移になっているということでありますが、今回のこの男女共学化あるいは全寮制を廃止することで、どういった形になるかというのは、詳細な影響調査みたいなことはまだしておりませんけれども、少なくとも、楠隼中・高校に入りたいという方にとっては、選択肢が増えるという効果はあるのではないかと考えております。 70 ◯鶴田志郎君 自席からもう一問、質問させていただきます。  男女共学化、寮の廃止、これは地域の生徒には大変に門戸を開くことになると思うんですけれども、実は近隣の中学校、例えば楠隼中学校から車で五分の高山中学校はですね、最盛期からすると、もう既に生徒数が三分の一以下になっているような状況であります。さらに、大隅学区の公立高校、これは十校ありますけれども、この三十一学科のうち、定員を満たしているのはわずか六学科であります。
     そこで、今回の市長、町長との意見交換の中でも、周辺地域の中学・高校に対する入学者への影響、これは私学も含めてでありますけれども、出ていたと思いますが、その点に対して知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。 71 ◯知事(塩田康一君)先ほど申し上げたように、地域の中学校・高校の進学の学校運営に対する影響ということについて、各市町の皆さん、大変懸念されているということではございますけれども、実際にこれがどういうふうになるかということもシミュレーション、大隅から薩摩半島に行っている人、あるいは私学へ行っている人、全体の中でどういう動きになるかということについても、今後、丁寧に検討してまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 72 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁頂きました。  楠隼中学・高校でありますけれども、大変にすばらしい成績の中で、この学校の形を崩していくのはちょっと早いんじゃないか、こういった意見もあるかと思います。  そこで、やはり平成二十一年から数年間検討してきました、大隅地域の高校の在り方検討委員会、実はここでも繰り返しこの問題が出されてきたわけであります。そして、その結果こういった形になって、今、運営が進んでいるということでありますから、知事におかれましては、再度そういったこともよく見ていただきながら、熟慮に熟慮を重ねて慎重に取り組んでいただきたい。そんなふうに要望するところであります。  さて、いよいよ土用のうしの日が近づいてまいりました。ウナギは、テレビで見ていても今しょっちゅう、取り上げられている状況でありますから、養鰻業の振興ということでお伺いしたいと思います。  鹿児島県は、平成十三年よりウナギの生産量日本一であり、令和元年で七千八十六トンと全国の生産量の四一・五%を占める、いわゆる日本一の県であります。さらに、県内の内水面漁業の生産高のほとんどはウナギの養殖で占めており、いわゆる稼げる漁業を実現しているのであります。最近の生産額は、池入れ量が制限されている中で、令和元年では三百三十六億円となっております。  一方、我が国は、世界一のウナギ消費国でもありまして、消費を支える国内供給量は令和元年で四万九千トンとなっており、供給量の約六五%を輸入で賄っております。平成十二年のピーク時には、国内供給量十五万八千トンのうち輸入量が十三万三千トン余りと、その大半を輸入で賄っていましたが、ワシントン条約の規制で平成二十一年よりヨーロッパウナギの貿易規制が始まり、これを原料としていた中国の養殖ウナギが減少したため全体として供給量が三分の一となり、ウナギの高騰につながっております。  このような状況の中、シラスウナギの資源量の減少傾向に歯止めをかけないと、ワシントン条約に基づきシラスウナギが取れなくなるという危機感もあり、平成二十六年に、日本、中国、韓国、台湾の四か国でシラスウナギの保護のための共同声明を発出しております。そのことを受けて平成二十七年に、日本、中国、韓国、台湾の四者間で持続可能な養鰻同盟を結成し、国際的な資源管理に取り組んでいるところであります。  そこでお伺いいたしますが、鹿児島県におけるニホンウナギの資源管理の現状と増殖の取組についてお聞かせください。  次に、完全養殖によるシラスウナギの量産化への取組についてお伺いいたします。  これまで、国立研究開発法人水産研究・教育機構でこのことに対する研究開発が進んでおります。ウナギの人工生産に関する研究は五十年を経て、量産化の実現への取組が加速しております。ウナギは、マリアナ海域で産卵・ふ化し、はるばる二千五百キロメートルの長旅の後、河川に入り、五年から十五年かけて成熟し、川を下ってまたマリアナ海域で産卵するという壮大な時間を過ごしております。そして、完全養殖の基本的な技術を得るために長い時間、並々ならぬ努力が重ねられてきたわけでありまして、研究者の皆様には頭が下がる思いであり、これまで取り組んでこられた研究者などの関係者の皆様方に心から敬意を表するところであります。  国内の養鰻業者が生産するウナギは一億匹余りといいますから、ウナギのふ化から種苗までの生残率が低い現状では課題山積ではないかと思います。しかしながら、過去に輸入されたヨーロッパウナギは絶滅が危惧されるなど資源の枯渇が予測される中、消費の大半を占めるニホンウナギを安定的に供給するためには、シラスウナギの量産化が不可欠と思われます。  この研究の中心は、国立研究開発法人水産研究・教育機構の南伊豆庁舎と鹿児島県にある志布志庁舎で行われております。  そこでお伺いしますが、ニホンウナギ人工種苗生産技術の現状と量産化に対する見通しなどについてお聞かせください。  次に、照葉樹の森の活用の促進についてお伺いいたします。  錦江町にある照葉樹の森は、平成十二年に、世界的に見ても希少な自然が残る照葉樹林の保護・再生・活用をテーマとして整備されております。これまで伐採を免れた豊かな照葉樹林の自然に親しみながら、森林学習及び野外体験のできる施設として、登山道のほか森林学習施設、これは稲尾岳ビジターセンターと言いますけれども、キャンプ場、多目的広場、遊歩道等が整備されております。管理運営は、平成十八年から鹿屋緑化協同組合が指定管理者としてこの運営に携わっております。  活動内容を見てみますと、身近な稲尾岳への登山や、山歩きの愛好家に人気の甫与志岳への登山、浜田・高須海岸の自然体感ウオーキングなど、活動は大隅地域の広範囲にわたり実施されております。また、木の香り漂うビジターセンターでは、木工クラフト体験、クワガタ飼育体験などの野外活動、森林体験学習など、照葉樹の森ならではの様々なイベントが実施されております。  地球環境保全のため温暖化防止は重要な課題となっている中、CO2削減に対する森林の持つ様々な機能が注目されておりますので、幼児教育や学校教育の場での照葉樹の森の活用が期待されるものと考えます。  そこでお伺いしますが、環境教育における照葉樹の森の活用状況についてお示しください。  また、国内はもとより韓国や台湾などアジアにおける山歩きなどのレクリエーションがブームとなっており、霧島山系などを訪れる外国人も増えていると聞きますので、この点の利用状況についてお聞かせください。  さらに、照葉樹の森に対する情報発信への取組とその反応についてお示しいただきたいと思います。  次に、照葉樹の森の施設の維持管理等についてお伺いいたします。  開設以来二十年以上経過し、施設の老朽化や緊急時の際の救援などに必要な情報インフラの整備が必要ではないかと考えられますので、そのことについて幾つかお伺いいたします。  照葉樹の森は、錦江町田代地区の市街地から約三十分の標高八百メートルのところに位置し、その間の道路は、県道辺塚根占線と林道花瀬線を使っていくことになります。開設当初は、環境に優しい自然に親しめる透水性の簡易舗装が施工されておりましたが、年月の経過とともに雨水などの浸食で走行性の悪い凸凹となり、林道花瀬線からビジターセンターへの通行は大変支障を来しているということも言われております。  また、登山中に体調が悪くなるとか、滑ってけがをするなどの軽微なトラブルの発生や、落雷を避けるための避難なども考えられますが、その際の救援体制に必要なのは携帯電話などでの連絡になります。しかしながら、現在、ビジターセンターまでは電話線や光ケーブルがなく、一台の衛星電話で対応している状況であります。様々な利用者が訪れる中、ビジターセンターまでの通信インフラが必要ではないかと考えるのであります。  さらに、照葉樹の森の豊かな生態系を紹介している展示物もしばらく更新がなされていないため、古くなったり壊れた標本がありますので、展示物の更新をすることで見学者がよりよい森林学習ができるようにすべきではないでしょうか。  さらに、利用者がより身近に照葉樹の森の特性を知る上で、映像での紹介やパワーポイントなどを使った研修が可能な設備があればと考えました。  建物につきましても、軽微な補修は指定管理者が対応しておりますが、雨漏りなどの対策を取るべきと思われます。  そこでお伺いしますが、以上挙げた点を含め、照葉樹の森の施設の充実をどのように図っていくのか、お示しください。  最後に、大隅地域の道路整備についてお伺いいたします。  このたび、かごしま新広域道路交通ビジョンに基づき、かごしま新広域道路交通計画が策定されました。今後二十年から三十年先の社会状況を見据えた基本的な計画という位置づけで、二〇一八年から三年間かけて検討が進められてきております。計画策定に当たり課題に据えられたのが、新たな国土構造の形成、グローバル化、国土強靱化でありまして、この課題解消のため、平常時・災害時を問わず物流・人流を確保し、地域の活性化につなげることを目的としております。  そして、中枢中核都市や連携中枢都市圏、定住自立圏等の経済・生活圏を相互に連絡し、これらの交流・連携を促進するなど、四つの基本戦略が示されているところであります。  新広域道路交通計画における大隅地域の道路整備でありますが、まず、連携中枢都市である鹿児島市と大隅地域の定住自立圏構想の中心都市である鹿屋市との交流・連携の促進についてお伺いします。  現在、この機能を担っている道路は、東九州自動車道、大隅縦貫道、国道二百二十号、国道五百四号であります。このうち、東九州自動車道につきましては、来る七月十七日に鹿屋串良インターから志布志インターまでを供用することが発表されました。また、大隅縦貫道につきましては、吾平道路が平成二十八年に、大中尾工区は平成三十年に事業化しております。そして、これまで大隅総合開発期成会や鹿屋・肝付地域の町議会、市議会から繰り返し要望されていた吾平─田代間の十六キロメートルがこのたび事業化されました。このように、大隅地域においては着々と道路整備が進められております。  そして、この計画に錦江湾横断道路が構想路線として位置づけられたことは、鹿児島県の新たな県土軸形成にとって大いに評価するところであります。  そこでお伺いいたします。  現在、これらの道路の整備が進んでおりますが、新たな計画の下、これらの道路整備にどのように取り組まれるのか、お示しください。  また、国道五百四号については、現在、西光寺拡幅や溝辺道路の事業着手など大型な整備が進んでおりますが、一般広域道路としての位置づけがありません。  そこでお伺いしますが、今度どのような位置づけの下、整備を進めていくのか、教えてください。  さらに、錦江湾横断道路について、検討の過程でどのような議論があったのか、どのような考えの下、構想路線に位置づけたのか、教えていただきたいと思います。  また、大隅総合開発期成会より、垂水から東九州自動車道を経由し、重要港湾である志布志港までの横断道路の要望が行われておりますが、この道路がなぜ構想路線に位置づけられなかったか、理由をお聞かせいただきたいと思います。  次に、かごしま新広域道路交通計画の第二章、交通・防災拠点計画について、この中で自転車の活用が位置づけられております。また、防災拠点としての道の駅の活用も挙げられております。  そこでお伺いします。  この計画で述べられている自転車の活用について、どのような効果を期待しその活用を進めていくのか、教えてください。  また、道の駅を県内の防災拠点として活用するように述べられておりますので、その取組をどのように展開していくのか、お聞かせください。  最後に、第三章、ICT交通マネジメント計画についてお伺いいたします。  この中で、課題として、都市部や観光地では渋滞が発生する一方で、地方部では人口減少等が進む状況下で、地域の移動手段の確保や交通・物流事業におけるドライバーの確保などの課題が深刻化しております。  現在、肝付町、錦江町、南大隅町の三町で、過疎地における交通手段の確保の観点から、課題解決型モビリティサービスの実証運行─MaaS─の取組が行われております。  そこでお伺いしますが、自動運転システムやICTの活用を想定した道路施策を検討するための推進体制、そして計画策定に取り組むこととなりますが、そのことに対する鹿児島県の取組についてお示しいただきたいと思います。 73 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)ウナギの資源保護についてでございます。  ウナギの資源管理につきましては、稚ウナギ資源の保護のため、平成二十五年度から、シラスウナギ漁の採捕期間を十日から一か月程度短縮するとともに、採捕の許可数についても、平成二十六年度の許可数より増加させないことにしております。  また、親ウナギ保護のため、平成二十九年度以降、十月から翌年二月までの五か月間、採捕を禁止しているところでございます。  ニホンウナギの増殖につきましては、県ウナギ資源増殖対策協議会等と連携して、ウナギの餌場や隠れ家となる石を積み上げた増殖礁を県内の主要河川に設置するなど、ウナギのすみかづくり等に取り組み、さらに、本年度からは、養鰻業者等がシラスウナギを三か月ほど育成したクロコウナギの放流も実施することといたしております。  次に、ウナギの完全養殖の状況についてでございます。  ニホンウナギの人工種苗生産技術につきましては、国立研究開発法人水産研究・教育機構において、平成二十二年に世界で初めて完全養殖に成功いたしました。さらに平成二十八年度には、年間数千尾のシラスウナギの生産が可能となっております。  現在では、同機構を中心に産学官の連携によって、ウナギ種苗の商業化に向けた大量生産システムの実証試験が行われておりまして、この実証試験の一環として、本県の二か所の養鰻場において、同機構が生産した人工シラスウナギの養殖試験が実施されております。成長や歩留り等は天然シラスウナギと遜色がなかったと聞いております。  また、県も本年度からは、同機構が生産した体長約六ミリメートルの人工ウナギ仔魚を約六十ミリメートルのシラスウナギまで飼育する実証試験を開始いたします。  今後とも、国や養鰻関係団体等と一体となって、ニホンウナギの資源管理に取り組むとともに、人工種苗量産技術の早期確立につきましては、県開発促進協議会等を通じて国に要望してまいりたいと考えております。 74 ◯環境林務部長(松下 正君)鹿児島県照葉樹の森の活用についてのうち、まず、施設の活用状況と情報発信の取組等についてでございます。  大隅半島南部の錦江町、南大隅町、肝付町にまたがる照葉樹の森一帯は、西日本最大級の照葉樹林であり、貴重な動植物の宝庫であるとともに、地域の重要な観光資源となっております。  このような立地を生かして、照葉樹の森では、月例登山会や紙すき体験などのイベントを通年で開催しており、年間約三万人が利用しております。  環境教育については、木工クラフト体験教室や植物観察等の森林環境学習のほか、クワガタ捕りといった野外体験活動の場として活用されております。  また、レクリエーションにおいては、稲尾岳登山や星空の下でのキャンプ、遊歩道等を走るトレイルランニング等のフィールドとして活用されております。  照葉樹の森の活用促進を図るための情報発信の取組としては、指定管理者制度により、民間のノウハウも生かしながら、ホームページやSNS等の各種媒体を積極的に活用して、照葉樹の森の豊かな自然や景観のすばらしさを県内外へ広く情報発信しているところであります。  来園者からは、自然を考えるよいきっかけとなった、照葉樹の森のすばらしさを多くの人に知ってもらうため、広くPRに努めてほしいなどの意見が寄せられております。  県としては、今後とも指定管理者と一体となって効果的な情報発信に努めるとともに、照葉樹の森を森林環境教育などの場として、より多くの学校等に活用してもらえるよう、各自治体等とも連携して、働きかけを行ってまいりたいと考えております。  施設の維持管理等についてでございます。  照葉樹の森の施設のうち、案内標識やあずまや、ウッドデッキなどの施設に係る軽微な補修については、指定管理者において対応してきております。  また、県においては、これまで、建物の屋根や天井の補修、外壁や床の張り替え、案内板の修繕、水道の揚水ポンプの更新などを実施しております。  照葉樹の森は平成十二年に開設しており、経年劣化による施設の老朽化が進んできていることから、利用者のニーズ等を踏まえながら、必要に応じて施設や通信設備の更新・維持補修などについて検討してまいりたいと考えております。 75 ◯土木部長(兒島優一君)かごしま新広域道路交通計画に基づく道路整備についてであります。  かごしま新広域道路交通ビジョン及び計画につきましては、中長期的な観点から、地域の将来像を踏まえた、今後の広域的な道路交通の方向性を定めるものとして策定し、公表したところでございます。  半島地域や多くの離島など広大な県土を有し、移動手段を自動車交通に大きく依存している本県にとりまして、広域道路ネットワークの構築は非常に重要でございます。  今回、高規格道路に位置づけた東九州自動車道や大隅縦貫道などにつきましては、いまだミッシングリンクが残されており、今後とも、早期完成に向け、重点的な整備に取り組んでまいります。  また、一般広域道路として位置づけた国道二百二十号につきましては、現在、国において古江バイパスなどの整備が進められているところでございます。  一方、国道五百四号につきましては、今回、一般広域道路としては位置づけていないものの、大隅地域から鹿児島空港へのアクセス道路や緊急輸送道路としての重要な路線であります。  現在、鹿屋市吉ヶ別府地区や同市輝北町市成地区などにおいて整備を進めており、地域の要望や整備の必要性、緊急性などを踏まえ、引き続き、着実な整備に努めてまいります。  錦江湾横断道路の構想路線への位置づけについてであります。  錦江湾横断道路につきましては、従来から大隅地域の方々を中心にその実現を強く求める声があり、昭和三十年代頃から、長年の本県の課題となっているプロジェクトでございます。  県におきましては、どういう条件下でこのプロジェクトが成立するかについて、平成二十一年度から平成二十四年度にかけて可能性調査を行っており、その後も国や関係市と意見交換などを行っているところでございます。  今回策定した計画におきましては、平常時・災害時を問わず円滑な物流・人流を確保する観点から、広域交通の拠点となる都市や、高速道路のインター、鹿児島空港及び重要港湾などの物流拠点を連絡する道路など、国から示された考え方や要件に基づき、本県における広域道路ネットワークの検討を行ったところであります。  錦江湾横断道路につきましては、県都である鹿児島市と大隅半島を結ぶ道路として、将来、高規格道路もしくは一般広域道路としての役割が期待されるものの、現時点で、路線の起点や終点を含め、具体のルートなどが決まっていない道路であることから、今回、構想路線として位置づけたものでございます。  大隅半島を横断する道路が構想路線へ位置づけられなかった理由についてであります。  大隅半島を垂水から鹿屋串良ジャンクションに向けて横断する道路の構想につきましては、これまでも地元から整備の要望があることは認識いたしております。  広域道路ネットワークにつきましては、国から示された考え方や要件等に基づき検討したところ、同道路構想は、並行する国道二百二十号を一般広域道路として位置づけていることなどもあり、広域道路ネットワークとしては位置づけなかったところでございます。  かごしま新広域道路交通計画に位置づけた自転車及び道の駅の活用についてでございます。  自転車の活用につきましては、昨年三月に策定した鹿児島県自転車活用推進計画等を踏まえ、引き続き、自転車通行帯など通行空間の整備を進めるとともに、サイクルツーリズムの推進による観光振興や地域活性化等が図られるよう取り組んでまいります。  また、道の駅につきましては、平常時の活用はもとより、災害時においても、自衛隊等の救援活動拠点や支援物資等の基地機能など、広域的な防災拠点としての活用が期待されているところでございます。  このような中、防災拠点の役割を果たす防災道の駅として、全国三十九駅が国において選定され、県内では、垂水市の「たるみずはまびら」が選定されたところでございます。  今後とも、道の駅が広域的な防災拠点として活用されますよう、設置者である市町村などと連携を図ってまいりたいと考えております。  ICT交通マネジメント計画に係る取組についてでございます。  ICTの活用につきましては、都市部や観光地では渋滞が発生する一方で、地方部では人口減少を背景とした地域の移動手段の確保などの課題が深刻化しており、AIやビッグデータなど技術革新の動きを交通分野に取り込むことが新たな解決手段となることから、本計画においても位置づけたところでございます。  県内でも、中山間地域でのドライバー不足に対応するため、住民の移動手段の確保を目的に、乗客から呼び出しを受けた際には、AIが最適なルートをリアルタイムに選択するAI運行バスシステムを利用している取組事例があり、肝付地区におきましては、肝付町おでかけタクシーの取組において、令和二年度は延べ約八千人の利用があったと聞いております。  これらICTの活用につきましては、様々な分野において新しい技術の開発が進められていますことから、国や社会の動向を注視しながら取り組んでまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 76 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁頂きました。  先ほどの知事の答弁を聞いておりますと、誠に細かいところ、微に入り細にわたって大隅の特性を挙げられ、いろいろ大隅の振興に力を入れるということでありました。ぜひ、稼げる大隅、稼げる鹿児島の実現に頑張っていただきたいと御期待申し上げます。  さて、今、社会的な命題で最も大事なのはコロナウイルスのワクチンの接種率向上であります。そういった中で、ありがたいことに大隅地域にも集団接種会場を設けていただきました。六百四十人の高齢者に打つということで、若干余裕があると報道されましたら、申込みが殺到してサーバーがパンクしちゃったということでありましたけれども、やはりそれだけニーズが高いということでしょうから、ぜひ県におかれましてはしっかりと取組いただいて、安心・安全な鹿児島づくり、このことを期待して私の一般質問といたします。
     ありがとうございました。(拍手) 77 ◯議長(田之上耕三君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 78    △ 日程報告 ◯議長(田之上耕三君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 79    △ 散  会 ◯議長(田之上耕三君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...