鹿児島県議会 2020-02-26
2020-02-26 令和2年第1回定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(外薗勝蔵君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、代表質問
藤 崎 剛 君
日 高 滋 君
一、散 会
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2 △ 報 告
◯議長(外薗勝蔵君)ここで、報告いたします。
今回提出されました議案のうち、議案第三五号から議案第三七号まで、議案第四〇号及び議案第六〇号につきましては、当席において、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり、意見書が提出されております。
以上で、報告を終わります。
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3 △ 代表質問
◯議長(外薗勝蔵君)代表質問であります。
藤崎剛君に発言を許可いたします。
[藤崎 剛君登壇](拍手)
4 ◯藤崎 剛君 おはようございます。
令和二年第一回定例会に当たり、
自由民主党県議会議員団を代表して質問いたします。
本日は、恒例の大島紬着用の日であります。
伝統的工芸品産業振興議員連盟の呼びかけにより、知事はじめ執行部の皆様方、同僚議員が大島紬製品を着用しての本会議となりました。
一段と華やいだ議場におきまして、改めて、本県が国内外に誇る大島紬、薩摩焼、川辺仏壇など
伝統的工芸品産業の価値を再確認し、その振興を図るため、県と関係業界の皆様が一体となった情報発信の強化や新たな工芸品開発、販路拡大の支援等、幅広い取組に力を入れていく必要があることを再認識するところであります。
さて、いよいよ七月二十四日の
東京オリンピックの開催まで百四十九日となり、続くパラリンピックとともに、昨年の
ラグビーワールドカップを上回るスポーツの祭典に沸く歴史的な年となります。
また、十月には、本県で太陽国体以来四十八年ぶりの鹿児島国体と
全国障害者スポーツ大会が開催されます。
東京オリンピック・パラリンピックのにぎわいを本県に波及させるとともに、感動と興奮を鹿児島国体・鹿児島大会につなげ、県民挙げて、「燃ゆる
感動かごしま国体・かごしま大会」の成功を期したいものであります。
一方、今年も二か月が経過しましたが、内外ともに様々な問題が噴出しております。年明け早々の米軍による
イラン革命防衛隊司令官の殺害、イラン軍によるイラクの米軍基地へのミサイル攻撃、民間航空機のミサイルによる撃墜と、中東情勢が緊迫し、世界が固唾をのむ展開となりました。双方とも本格的衝突を回避する自制的な対応を取っておりますが、今後とも偶発的衝突が懸念される事態となっております。
政府は、中東海域で航行する日本関係船舶の安全確保のための情報収集を目的として、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機を派遣いたしました。調査・研究を目的とした派遣であり、不測の事態になれば自衛隊法に基づいて海上警備行動を発令するとしております。
中東の海上交通路の安全確保は我が国にとっての生命線であり、極めて重要な意義を有するものであり、引き続き、万全の対応を望むものであります。
さて、現在、世界の喫緊の最大の懸念は、中国発の
新型コロナウイルス感染症の拡散であります。中国湖北省武漢市で発生した
新型コロナウイルス感染症は、日を追うごとに感染が拡大し、今月二十四日現在、我が国を含む三十二の国・地域で七万九千三百六十九人の感染が確認され、死者は二千六百十九人に達しております。
政府は、チャーター便による武漢からの邦人帰国を実施するとともに、世界保健機関─WHO─の国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言を受けて、
新型コロナウイルス感染症を感染症法に基づく指定感染症とする政令を二月一日に前倒しして施行しました。
事態は日々緊迫した様相を呈しており、今後とも一層の感染拡大が想定され、世界経済の大きなリスクとなるとともに、
東京オリンピック・パラリンピックへの影響も懸念されています。
国内でも各地で感染が広がっており、二月二十四日に政府の専門家会議は、これから一、二週間が急速な拡大か収束かの瀬戸際となるとの見解を公表いたしました。
九州でも、福岡、熊本で感染者が確認され、鹿児島マラソンなどイベントの中止が広がっております。香港、韓国との直行便を含む航空路線で結ばれ、多くのクルーズ船が寄港する本県としても、水際対策や感染拡大防止策に万全の体制で取り組む必要があります。
本件につきましては、後ほど改めて質問いたします。
これらの状況を踏まえつつ、以下、通告に基づき、順次質問してまいります。
初めに、総務関係についてであります。
令和元年度三月補正予算案について伺います。
政府は昨年十二月、事業規模二十六兆円となる、安心と成長の未来を拓く総合経済対策を決定しました。災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、未来への投資と
東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上の三つを柱としており、令和元年度補正予算と令和二年度当初予算を合わせた十五か月予算として一体的に編成し、経済対策の費用をそれぞれに振り分けることとしております。
国の令和元年度補正予算においては、経済対策を反映し、自然災害からの復旧・復興の加速や、防災・減災、国土強靱化の強力な推進、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備、農林水産業の成長産業化と輸出力強化の加速、Society5・0やSDGsの実現に向けたイノベーションと社会実装の促進など、追加歳出額は四兆四千七百二十二億円程度となる見込みであります。
そこで伺います。
国の補正予算に対応した本県の三月補正予算案の考え方についてお示しください。
次に、令和二年度当初予算案について伺います。
国の令和二年度当初予算案は、経済対策のための臨時措置としての約一兆八千億円を含む一般会計総額が百二兆六千五百八十億円と八年連続で過去最大となり、令和元年度に続き、百兆円の大台を超えたところであります。
歳出の三分の一を占める社会保障費は、前年度比約一兆七千億円増の約三十五兆九千億円に達し、高齢化による自然増のほか、幼児教育・保育や高等教育の無償化の費用がかさみ、これまでで最大になっています。
税収については、六十三兆五千億円余りと過去最高額を見込んでおり、消費税については、増税の効果が通年で寄与することから、今年度当初比一二%増の二十一兆七千億円余りを見込んでおり、初めて二十兆円の大台を超えたところです。一方、企業業績の低迷等の影響により、所得税は二%減の十九兆五千億円余り、法人税は六・二%減の十二兆六百億円余りと伸び悩んでおります。
地方財政については、自治体が自由に使える一般財源総額が今年度より七千億円多い六十三兆四千億円となり、過去最大を更新しました。
このうち、地方交付税は、自治体への配分ベースで四千億円増の十六兆六千億円となり、二年連続のプラスとなっています。地方譲与税を合わせた地方税収は、
消費税率引上げ効果で七千億円増の四十三兆五千億円が見込まれているところです。
一方、県の令和二年度当初予算案については、一般会計の総額で対前年度比一・五%増の八千三百九十八億五千三百万円で、三年連続のプラス編成となったところであります。
子育て支援や高齢者生き生き支援の二本柱を重点施策として充実するとともに、観光、農林水産業をさらに飛躍させるための取組、鹿児島のウェルネス、労働力の確保・関係人口の拡大、Society5・0の実現と加速に関する取組など、経済成長や県勢の発展に資する施策を積極的に推進していくとしています。
昨年十月に
行財政改革推進プロジェクトチームが示した令和二年度当初予算編成における
財政収支見通しの仮試算では、幼児教育・保育の無償化や高齢化に伴い扶助費の増加が見込まれることや、国体の運営費が現在の基金に加えて二十八億円必要となることなどにより、一般財源ベースでの収支差は過去三年で最も大きい八十七億円と見込まれていましたが、財源不足額なしの予算案が編成されたところであります。
そこで伺います。
第一点は、令和二年度の当初予算編成の基本的な考え方と具体的な施策についてお示しください。
第二点は、同予算の歳入における県税収入及び地方交付税の見積りについてお示しください。
第三点は、令和二年度当初予算編成における
財政収支見通しで推計した仮試算において、八十七億円の財源不足が見込まれていましたが、具体的にどのように対応したのか、お示しください。
第四点は、近年、毎年度の
財政収支見通しの段階で多額の収支差─財源不足─が示されておりますが、その主な要因について具体的にお示しください。
次に、
文化スポーツ局関係についてであります。
鶴丸城御楼門の建設について伺います。
鶴丸城御楼門の建設については、県と民間の鶴丸城御
楼門復元実行委員会とで鶴丸城御楼門建設協議会を平成二十七年二月に設立し、それ以降、同協議会を主体に官民一体となって取り組まれてきたところであります。
建設に当たっては、これまで、大径木の確保、基本設計等を経て、一昨年の平成三十年九月に起工式を行い、昨年七月には上棟式を行うなど、工事は順調に進捗し、いよいよ三月末には当初計画どおり、工事が完了予定とのことであります。
工事期間中は、実物大の御楼門全景シートや
一般見学者用通路の設置、御楼門に使用される瓦への記名会の開催、
特設ウェブサイトでの
リアルタイム工事動画の配信など、積極的に情報発信と機運醸成にも努めており、御楼門の完成に向け、県民の関心も高まっているところであります。
また、四十八年ぶりに鹿児島で、鹿児島国体・鹿児島大会が開催される記念すべき年に完成する御楼門は、県民や観光客に親しまれる鹿児島の新しいシンボルとなることが期待されるところであります。
そこで伺います。
間もなく完成を迎える御楼門建設の意義について、改めてお示しください。
あわせて、御楼門を生かした、今後の周辺の歴史・文化ゾーンのにぎわい創出に向けた取組についてお示しください。
次に、
男女共同参画局関係についてであります。
県人権教育・啓発基本計画の二次改定について伺います。
県では、平成十六年十二月に鹿児島県人権教育・啓発基本計画を策定し、総合的かつ効果的な人権教育・啓発に係る各種施策を推進し、県民一人一人の人権が尊重される明るい社会づくりに取り組んでいるところであります。
しかしながら、私たちの周りでは、子供や高齢者等への虐待などの人権侵害が依然として後を絶たない状況であり、
インターネット等を悪用した差別的な書き込みなど、人権やプライバシーの侵害につながる情報の流出が増加しています。
平成三十年度に実施した人権についての県民意識調査によると、今の日本を基本的人権が尊重されている社会だと思うとの回答が三二・八%にとどまっており、引き続き、人権意識の醸成に資する取組を行っていくことが必要であります。
近年、社会情勢の急激な変化や情報化、国際化、少子高齢化等に伴い、人権課題は複雑化・多様化しており、
障害者差別解消法、
ヘイトスピーチ解消法、
部落差別解消推進法など、人権に関する多くの個別法も施行され、人権を取り巻く情勢は大きく変化しています。
このようなことから、県は、今後の中長期的な人権教育・啓発施策の基本方向を示す県人権教育・啓発基本計画─二次改定─を策定することとしております。
一方、県議会においては昨年十二月、知事に対し、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、地域社会の構成員として共に生きる多文化共生社会の実現に向けての政策提言を行ったところであります。
また、政策条例として、言語としての手話の認識の普及及び手話を使用しやすい環境の整備に関する
かごしま県民条例─仮称─の制定に向けて取り組んでいるところであります。
今年は、
東京オリンピック・パラリンピック、鹿児島国体・
全国障害者スポーツ大会が開催されます。この機会に、外国人や障害のある人などに対する偏見や差別意識を解消し、各人が持つ様々な違いを超えて、誰もが安心して生活することのできる
ユニバーサル社会を築き、同大会後もこれをレガシーとして次世代に承継していく必要があります。
そこで伺います。
第一点は、県民意識調査結果から見えた県民の人権意識の現状と課題についてお示しください。
第二点は、改定する県人権教育・啓発基本計画に新たに盛り込む人権課題についてお示しください。
第三点は、今回の改定を踏まえた本県の人権教育・啓発施策の今後の展開についてお示しください。
次に、
危機管理防災局関係についてであります。
川内原子力発電所における防災対策等について伺います。
原子力発電所について、国は、
原子力規制委員会によって、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めるとしています。
また、原子力を重要な
ベースロード電源と位置づけるとともに、原発依存度については、将来的には省エネルギー・
再生可能エネルギーの導入等により、可能な限り低減させるとしているところであります。
川内原子力発電所については、一・二号機ともに平成二十七年に再稼働した後、通常の営業運転を継続しているところでありますが、昨年十月、九州電力は、テロ対策で原発に義務づけられた
特定重大事故等対処施設─特重施設─の完成が設置期限に間に合わないため、一号機は三月十六日から、二号機は五月二十日から発電を停止して定期検査を実施するため、運転計画を変更したところであります。
特重施設は、原発の安全性を確保するために必要な施設であることから、早期完成に向けて、安全に万全を期して取り組む必要があります。
また、先月末、九州電力は、低
レベル放射性廃棄物のうち雑固体廃棄物を処理するための
廃棄物搬出設備を設置する計画を明らかにし、
原子炉設置変更許可申請書を
原子力規制委員会に提出するとともに、安全協定に基づく事前協議書を県及び薩摩川内市に提出したところです。
今後、同委員会において、法令に基づく審査が進められることになります。
一方、県はこれまで、県民の安心・安全を確保する観点から、原子力災害に備えた
原子力防災訓練の実施や避難計画の見直しのほか、社会福祉施設や公民館等への放射線防護機能の整備をはじめ、様々な対策に取り組んでいるところであります。
また、平成二十八年十二月に原子力安全・
避難計画等防災専門委員会を設置し、川内原発の安全性の確認や避難計画など防災に関する検証、県民に分かりやすい情報発信について、技術的・専門的見地から意見や助言を頂いているとしています。
県においては、引き続き、県民の安心・安全を確保する観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組む必要があります。
このような中、二月九日に実施した
原子力防災訓練においては、第三者機関による評価員を各地に配置し、住民の避難や災害対策本部の運営など訓練内容を評価する取組を初めて取り入れたところであります。
そこで伺います。
第一点は、これまでの原子力安全・
避難計画等防災専門委員会での論議等を踏まえた
原子力防災対策の取組についてお示しください。
第二点は、今回から新たに第三者機関の評価を取り入れた
原子力防災訓練の総括及び今後の課題についてお示しください。
第三点は、川内原発の
廃棄物搬出設備の設置に係る事前協議について、県はどのように対応されるのかお示しください。
[知事三反園 訓君登壇]
5 ◯知事(三反園 訓君)予算編成の基本的な考え方であります。
令和二年度当初予算編成に当たりましては、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に徹底的に取り組みながら、財源不足をゼロにするとともに、財政調整に活用可能な基金残高を前年度と同額確保し、県債残高見込みを着実に縮小するなど、財政健全化に向けて手を緩めることなく取り組んだところであります。
その上で、子育て支援や高齢者の生き生き支援など、県民福祉の向上に向けた施策をさらに充実するとともに、経済成長や県勢の発展に資する施策を積極的に推進し、これらの好循環により、どこよりも幸せを実感できる鹿児島を実現するための予算として編成したところであります。
具体的な施策についてであります。
まず、子育て支援につきましては、生まれながらにして医療、食、教育などに格差のない、子供を産み育てやすい環境づくりを強力に推し進めるために、過去最大規模のおよそ三百九十八億円の関連予算を計上したところであります。
子供医療給付制度につきましては、今後予定している対象者の
住民税非課税世帯の未就学児から高校生までの拡充に向けた取組に加え、産科医が不足する地域の中核的病院への医師派遣を一名拡充、子ども食堂のさらなる普及を図るための経費助成や高齢者の参加を促進する取組、医療的ケア児の保育所等における受入れ促進のためのセミナー開催、特別支援学校に配置する非常勤看護師の増員、児童相談所の補完的役割を担う
児童家庭支援センターの北薩地域への新設や児童福祉司等の大幅増員など、新たな取組を展開してまいります。
高齢者の生き生き支援関連事業にも、過去最大規模のおよそ二百九十五億円を計上したところであります。
高齢者の方々の健康寿命を延ばし、生きがいを持って暮らしていただくためには、
ロコモ・フレイル予防を実施するほか、地域社会を支える重要な担い手である老人クラブ会員数増加に向けた新たな取組を展開してまいります。
また、本県の基幹産業である観光と農林水産業をさらに飛躍させるために、観光立県かごしまの実現関連事業としておよそ三十億二千万円を、稼げる農林水産業の実現関連事業としておよそ百十億二千万円を計上しております。これらの予算を活用し、魅力ある癒やしの観光地の形成、戦略的な誘客の展開や、農林水産業に係る人づくり・地域づくりの強化、生産体制・販売力の強化策を積極的に展開してまいります。
さらに、鹿児島のウェルネスを活用した関連事業におよそ五億三千万円、鹿児島の人材確保・育成を図るための労働力の確保関連事業におよそ二十億円、地域に継続的に様々な形で関わる地域外の人材を担い手として活用する
関係人口関連事業におよそ二億円を、社会の急激な変化に的確に対応するSociety5・0社会の実現と加速のための関連事業におよそ二億円を計上しております。
また、地域経済を支える中小企業・商店街の振興に資する関連事業におよそ九十二億八千万円を計上し、中小企業が行う販路開拓、生産性向上等の取組への支援、優れたアイデアの実現に取り組む商店街等に対する助成、専門家派遣を行います。
さらに、障害者の方々が安心して暮らせるまちづくりの関連事業におよそ二百三十六億円を計上しております。障害者の方々やその御家族から直接御意見を伺いながら、障害者の方々が暮らしやすい社会づくりを進めますほか、農福連携のための人材の育成・マッチング支援、障害者の雇用促進のための取組を進めてまいります。
その他の各般の施策につきましても、今回の予算案に盛り込んでいるところであります。
今後とも、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島を目指し、全力で走り続けてまいります。
今年度の
原子力防災訓練の総括及び課題についてであります。
今年度の
原子力防災訓練につきましては、今月九日に、およそ二百十の機関、五千人が参加するなど、昨年度と同様、過去最大規模の訓練を国や関係市町と連携して実施し、情報伝達や事態の進展に応じた段階的避難などの手順を確認いたしました。
今回の訓練では、専門委員会の御意見や前回の訓練後の反省会で出された意見等を踏まえ、離島住民の本土への搬送訓練をはじめ、
代替オフサイトセンターの立ち上げ訓練や、
受入れ市町住民向けの防災講習会の実施など、新たな取組を実施したほか、
モニタリングポストへの燃料供給訓練、大隅地域として初の受入れ市町への住民避難訓練など、昨年度より内容を拡充した訓練ができたものと考えております。
災害対策本部会議で指揮を執った後、宮之城運動公園に向かい、避難退域時検査訓練において避難住民の汚染検査等の状況を、また、避難先の
横川健康温泉センターや姶良公民館では、住民の方々が
段ボールベッド組立てに取り組む様子を視察したほか、
オフサイトセンターでは、訓練振り返りの状況を視察いたしました。
関係機関や住民の方々が真剣に取り組んでおられる姿を直接確認し、訓練を積み重ねることの重要性を改めて感じたところであります。
また、専門委員会の委員にも訓練の状況を視察していただいておりますので、次回の委員会において御意見を頂くこととしております。
さらに、第三者機関による評価・検証の結果については、次回の専門委員会において報告することとしておりますが、当日の気づき事項としましては、計画どおり活動ができていた、一方で、避難住民が多い場合の対応の検討が必要、避難所での案内表示が少ないなどの意見が出されたところであります。
今後、関係機関による反省会での意見、第三者機関による評価・検証、専門委員会からの御意見等を踏まえ、次回の訓練に生かすとともに、放射線防護施設や防護服などの防護資機材の整備を進めるなど、引き続き、県民の安心・安全を確保する観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組んでまいります。
6 ◯総務部長(平木万也君)令和元年度三月補正予算案についてでございます。
令和元年度三月補正予算案の編成に当たりましては、国の補正予算に積極的に対応することとし、安全・安心の確保や経済の下振れリスクへの対応、未来への投資等に係る公共事業、各種交付金・補助金を活用した事業など、約二百四十一億円を新たに計上したところでございます。
具体的には、公共事業においては、河道掘削や堤防のかさ上げ、補強等の治水対策、道路の
ミッシングリンクの解消、農業用排水施設の整備などで約百六十六億円を確保しているところであります。
また、経済の下振れリスクへの対応策として、食品産業や水産加工業の
輸出向けHACCPなどに対応した施設整備事業や、高性能林業機械の導入、
木材加工流通施設の整備などへの支援を、未来への投資等として、国の
GIGAスクール構想に対応した全県立学校への高速大
容量ネットワークの整備を行うこととしているところでございます。
このほか、
鹿児島水産高等学校大型実習船薩摩青雲丸の代船建造、奄美群島振興交付金を活用した防災関連施設整備や観光施設の整備推進など、事業効果の早期発現を図ることとしております。
令和二年度当初予算における県税収入及び地方交付税の見積りについてでございます。
令和二年度の県税収入につきましては、税制改正の影響や本県経済の動向、県税収入の状況、地方財政計画における税収見込みなどを勘案して見積もったところであります。
具体的には、法人二税について、地方法人課税の偏在是正措置による影響や米中貿易摩擦などを背景とした企業収益の下振れにより減収が見込まれるものの、地方消費税の税率引上げによる増収が見込まれますことから、令和元年度当初予算に比べ、総額で一・〇%増の千五百四億百万円を計上しております。
また、臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税については、総務省が示した推計手法により算定しており、これによりますと、地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用して新たに地域社会再生事業費が計上されたことにより、基準財政需要額が増加することが見込まれることなどから、令和元年度当初予算に比べ一・一%増の三千十九億三千五百万円を計上しております。
仮試算における八十七億円の財源不足への対応についてでございます。
令和二年度当初予算編成等に当たり、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んだところであり、具体的には、大学等入学時奨学金貸付事業について国の無償化と重複する県実施分の廃止等、活用実績などを踏まえた市町村振興貸付金などの見直し、共生・協働の地域社会づくり基金の対象事業の拡大など、事務事業の見直しに取り組むとともに、未利用財産の売却・有効活用、使用料・手数料の見直しなどの歳入確保に取り組み、その結果、約四十三億円を確保したところであります。
また、令和二年度の地方財政計画に、地方法人課税の偏在是正措置により生じる財源を活用して地域社会再生事業費が計上されたことなどにより、約三十二億円を確保したところであります。
これらのほか、地方交付税の算定において見込む税収額と本県の税収見込みの差を補填するために発行することができる減収補填債を約十二億円活用したことにより、八十七億円の収支不足を解消することができたところでございます。
多額の収支差が生じる具体的な要因についてでございます。
財政収支の見通しは、公表時点での地方財政制度などを踏まえ、本県の当初予算を基に、公表時点で見込み得る範囲で推計したものでございます。
推計に当たりましては、歳入については、内閣府の中長期の経済財政に関する試算や総務省の地方財政対策の仮試算などを参考に、県税や地方交付税などを見込んだ上で、歳出については、過去の伸び率や次年度見込まれる事業費などを勘案し、扶助費や普通建設事業費、一般政策経費を見込んでいるところでございます。
これまで毎年度多額の収支差が見込まれましたのは、扶助費が大きく増加することが見込まれたこと、漁業調査船建造費や選挙執行経費、国体開催関連経費などの事業で多額の一般財源が見込まれたこと、国の仮試算における一般財源総額が内閣府の名目成長率などに基づく地方全体の税収の伸びを踏まえ増加していることに比べ、本県の県税や地方交付税などがそれほど伸びないと予想されたこと、未利用財産の売却をはじめとする臨時的な収入は効果が単年度限りであったことなどが主な要因と考えているところでございます。
このため、収支差の解消に当たりましては、歳出面では事務事業見直しの実施、歳入面では臨時的収入の確保、減収補填債活用などにより対応してきたところでございます。
7 ◯文化スポーツ局長(有木正悟君)鶴丸城御楼門建設の意義及び今後のにぎわい創出の取組についてであります。
鶴丸城御楼門の建設は、県と民間による鶴丸城御楼門建設協議会を事業主体として、官民一体となって推進してきた事業であり、民間が主導する官民連携のモデルともなる事業であります。
御楼門は、柱などに貴重なケヤキの大径木を使用し、高さ・幅ともに約二十メートルの日本最大の城門となります。
建設に当たりましては、石垣などの文化財保護に留意するとともに、史実に忠実な復元となるよう、古写真解析や発掘調査の成果を踏まえ、設計・施工、瓦や鯱などの製作を行っており、今後の鹿児島の歴史・文化、建築技術の継承などに寄与するものであります。
このように、御楼門は、県民の誇りとする鹿児島の新しいシンボルとして、歴史・文化ゾーンの充実や回遊性の向上にも大きく寄与するものと考えております。
にぎわい創出の取組につきましては、御楼門完成記念イベントや鹿児島の歴史・文化関連のイベントなどを開催し、御楼門及び鶴丸城跡の魅力を発信するとともに、黎明館敷地の散策路整備や御楼門のライトアップなど、御楼門を生かした景観形成に努めることとしております。
また、黎明館において、鶴丸城など鹿児島の城をテーマにした企画特別展などを行うとともに、黎明館と周辺の文化施設で構成する、かごしま文化ゾーン連絡会において、統一キャンペーンや共通リーフレットの作成等のほか、歴史・文化ゾーンを周遊するプログラムを検討しているところです。
今回の御楼門復元を契機として、鹿児島市など関係機関と緊密に連携を図りながら、歴史・文化ゾーンのさらなるにぎわい創出に取り組んでまいります。
8 ◯男女共同参画局長(迫 貴美君)県民の人権意識の現状と課題についてでございます。
昨年度実施いたしました、人権についての県民意識調査の結果によりますと、国民一人一人の人権意識が高くなったと答えた人の割合は、平成二十五年度と比較しますと上昇したものの、約四割でございました。また、人権について、重要な問題であると答えた人は約五割、自分にも関係があると答えた人は約三割にとどまっております。
この調査結果から、人権についての正しい理解と人権問題の解決に向けた一人一人の実践的な行動を促進するための教育及び啓発の充実・強化が必要であると認識しております。
次に、県人権教育・啓発基本計画の二次改定に新たに盛り込む人権課題についてでございます。
今回の改定では、現行計画にある人権課題について、インターネットの普及や在留外国人の増加等の社会情勢の変化を踏まえ、見直しを行うとともに、新たな人権課題を盛り込んだところでございます。
その一つとしまして、性的指向・性自認については、理解が十分でなく、社会生活を送る上で苦痛や困難を抱えている方々がいることから、課題として追加いたしました。
また、貧困問題が深刻化していることから、生活困窮者の課題を追加し、大規模災害時の被災地において様々な人権問題が発生していることから、災害時の人権問題を追加いたしました。
なお、人権尊重の視点に立った行政の推進やSDGsなどの人権に係る国際的動向、偏見や差別が重複する複合的人権問題につきましても、新たに盛り込んだところでございます。
次に、人権教育・啓発施策の今後の展開についてでございます。
県におきましては、今回改定する基本計画に基づき、行政・教育機関、地域コミュニティ、企業、民間団体と連携を図り、教育の場や地域、家庭、職場等のあらゆる場における人権教育・啓発の推進に積極的に取り組むこととしております。
こうした取組によりまして、一人一人の人権が尊重され、共に認め合い、支え合い、つながり合える人権文化が息づく共生社会の実現を目指してまいります。
9 ◯危機管理防災局長(地頭所 恵君)原子力専門委員会での議論等を踏まえた
原子力防災対策の取組についてでございます。
原子力防災対策については、専門委員会の意見等を踏まえ、昨年度、避難計画の実効性を高めるため、様々な状況を想定した避難時間シミュレーションを実施し、今年度は、その結果を受けた対応案について、専門委員会で御議論頂いています。
このほか、専門委員会の意見等を踏まえ、安定ヨウ素剤の事前配布、避難退域時検査場所候補地の選定などを実施するとともに、分かりやすい情報発信に努めています。
今後とも、専門委員会からの意見等を踏まえながら、避難計画や
原子力防災訓練の見直しを進めるなど、引き続き、防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
次に、川内原発の
廃棄物搬出設備の設置に係る事前協議についてでございます。
廃棄物搬出設備は、工事に伴い発生する配管等の雑固体廃棄物について、六ヶ所村の低
レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出するために必要な設備です。
同設備の設置については、事前協議と同日付で九州電力から国に対し、原子炉設置変更許可申請がなされています。
県としては、同設備設置の事前協議については、今後の国の審査結果を踏まえつつ、専門委員会の御意見もお聞きしながら対応することになると考えています。
[藤崎 剛君登壇]
10 ◯藤崎 剛君 御答弁頂きました。
令和二年度当初予算案につきましては、徹底した行財政改革により財源不足額なしの予算を編成し、子育てや高齢者支援などの重点施策に過去最大規模を計上するとともに、観光・農林水産業をさらに飛躍させる取組など、経済成長や県勢の発展に資する施策を積極的に推進するという御答弁でございました。
しかし、財源不足が見込まれていた八十七億円のうち、事務事業見直し等による効果は半分に満たず、残りは国の地方法人課税の偏在是正措置や減収補填債の発行等によるものであり、引き続き極めて厳しい財政状況にあります。
今後、三月補正予算案と併せて詳細に審議してまいります。
鶴丸城御楼門の建設が着々と進み、国内最大級の威容が徐々に姿を現しつつあり、本県の歴史、観光の新たな拠点として、三月の完成に向け、県民の期待も高まっています。
御楼門を活用した観光PRと周辺の歴史・文化ゾーンのにぎわい創出に向けた積極的な取組を要望いたします。
県人権教育・啓発基本計画の改定についてでありますが、人権課題が複雑化・多様化する中、引き続き、総合的かつ効果的な人権教育・啓発に係る各種施策を推進し、県民一人一人の人権が尊重される社会づくりに取り組まれるよう要望します。
川内原子力発電所の防災対策については、今回の第三者機関の評価も取り入れた
原子力防災訓練の実施結果等を踏まえ、引き続き、実効性のあるさらなる防災対策の充実・強化に取り組まれるよう要望いたします。
次に、国体・
全国障害者スポーツ大会局関係であります。
国体・
全国障害者スポーツ大会について伺います。
昭和四十七年の太陽国体以来、四十八年ぶりとなる「燃ゆる
感動かごしま国体」と、本県で初めての開催となる
全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」の開催まで、いよいよ七か月余りとなりました。
これまで、競技別リハーサル大会や様々なイベント、広報活動、県民運動等により、県民の機運も高まってきているところであります。両大会の成功に向け、県民が一丸となった大会運営につながるよう、残された期間でさらなる機運醸成に積極的に取り組んでいく必要があります。
中でも、開会直前の八月に実施される炬火リレーは、平成二十四年の岐阜国体・大会以来八年ぶりの実施であり、県内全市町村で行われ、まさに県民総参加の取組として大きな役割を担うものと考えます。
また、両大会は、観覧者も含めた総参加者が約八十万人にも及ぶ国内最大のスポーツの祭典であり、両大会の開・閉会式においては三万人近くの来場が予想されています。先月、両大会の交通総量抑制会議も開催されたところでありますが、その会場である白波スタジアム周辺においては混雑が予想されることから、十分な対策を講じることが必要であります。
また、宿泊についても、選手等大会参加者が最高のコンディションで十分に活躍できるよう、会場地市町村と連携し、相当数の室を確保する必要があります。
そこで伺います。
第一点は、炬火リレーの取組状況、今後のスケジュール及び期待されることについてお示しください。
第二点は、両大会の開・閉会式会場である白波スタジアム周辺における円滑な輸送の実施に向けた考え方をお示しください。
第三点は、両大会参加者の宿泊の確保について、現在の取組状況をお示しください。
次に、商工労働水産関係についてであります。
外国人材の安定的な受入れについて伺います。
外国人材の受入れについては、昨年四月に、新たな在留資格、特定技能が創設されましたが、この在留資格を得た外国人は、昨年十二月末時点で二千二百一人にとどまっています。一方、技能実習の在留資格を得る外国人が増え続け、報道によると、昨年末には前年比二〇%増の四十万人に達する見通しとなりました。
全国的に人手不足が深刻化する中、県では、外国人材の安定的な受入れ体制の整備に取り組むため、今後おおむね五年間の取組指針として、かごしま外国人材受入活躍推進戦略を今年度中に策定するとしています。
また、県内への最大の送り出し国であるベトナムとの関係強化を図るため、ベトナム・ハイズオン省と外国人材の受入れや農業分野等での技術供与など、双方にメリットのある連携協定を締結したところであります。
さらに、七月からは、ベトナムのLCCであるベトジェットエアが首都ハノイ─鹿児島間を週二便運航予定となったところであり、今後の交流促進が期待されます。
県内の人手不足の緩和と産業の活性化のため、締結した協定に基づき、ベトナムからの安定的な受入れについて、早急に具体的なルートの造成が求められています。
また、同戦略の中で、ベトナムに続く新たな送り出し国としてミャンマー、フィリピンを有望国としていますが、全国的な人手不足に伴い、外国人材の確保に係る地域間競争が激化している状況であり、これらの国との具体的な関係構築に向けた対応を速やかに図る必要があります。
さらに、鹿児島が外国人材から選ばれる地域となるためには、安心して働き、暮らせる環境の整備が必要であり、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、地域社会の構成員として共に生きる多文化共生社会の実現を目指すことが必要であります。
議会では昨年十二月、県に対して、多文化共生社会の実現に向けての政策提言を行い、多文化共生意識の醸成、情報収集の支援、日本語・日本理解の支援、地域ぐるみの受入れ体制づくりを強く要望したところであります。
そこで伺います。
第一点は、特定技能を含めた県内の外国人労働者の状況についてお示しください。
第二点は、外国人材の安定的な受入れを進めるための今後の取組についてお示しください。
第三点は、ベトナムに続く新たな送り出し国との関係構築に向けた今後の取組についてお示しください。
第四点は、多文化共生社会の実現に向けて、政策提言を踏まえた今後の取組についてお示しください。
次に、水産業の振興について伺います。
我が国の周辺には豊かな漁場が広がっており、日本の水産業は多種多様な水産物を国民に供給しています。しかしながら、近年の消費者の魚離れによる国内需要の減少等により、日本の漁業生産量は三十年間で約三分の一に減少し、漁業を担う漁業就業者は高齢化が進むとともに減少傾向が続いています。
このような中、国は、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスの取れた漁業就業構造の確立を図るため、漁業法等の改正を行い、水産政策の改革を進めているところであります。
本県の水産業については、長い海岸線や南北六百キロメートルに及ぶ広大な海域と多くの島嶼により、沿岸・沖合域では多様な漁船漁業、湾や入り江の静穏な海域では養殖業、さらに、世界の海を漁場とする遠洋カツオ・マグロ漁業が営まれています。
本県の漁業総生産量は全国と同様に減少し、平成二十年には約十六万二千トンでありましたが、平成二十九年には十三万七千トンまで減少してきています。また、漁業就業者も、平成二十年には八千四百八十四人でありましたが、平成三十年には六千百十六人まで減少しています。
このうち、沿岸漁業については、資源状況の悪化、魚価の低迷、漁業就業者の減少・高齢化などにより、厳しい環境下での経営が強いられています。
一方、漁協の組合員が減少している中で、漁協の経営・事業基盤の強化を図るため、県漁連等関係団体が主体となって、平成二十八年九月に、現在の四十七漁協を一県一漁協とする鹿児島県一漁協合併基本構想を決議し、令和七年を目途に一県一漁協を達成することとされております。現在、各地区において、漁協や漁業者による話合いが行われているところであり、一県一漁協に向けた取組が進められていると聞いています。
また、県産水産物の輸出については、平成二十四年度以降輸出額が伸び続け、平成三十年度は過去最高の約九十五億円を記録し、好調に推移しています。現在、そのほとんどが北米向けの養殖ブリとなっているため、輸出促進対象品目の確保や、北米に加えて、経済発展と人口増加が顕著なアジア地域やEU等への新たな商流も期待されています。
そこで伺います。
第一点は、本県水産業の現状を踏まえ、県は沿岸漁業の振興にどのように取り組んでいくのか、お示しください。
第二点は、漁業就業者の確保・育成への取組についてお示しください。
第三点は、一県一漁協に向けて合併を促進する必要がありますが、合併の現状と県の対応についてお示しください。
第四点は、県産水産物の国内の販路拡大策と輸出の現状と課題、今後の取組についてお示しください。
次に、農政関係についてであります。
国の食料・農業・農村基本計画の見直しを踏まえた県の対応について伺います。
我が国の農政を取り巻く状況は、人口減少に伴う農産物・食品の国内マーケットの縮小、農業者の高齢化・減少、世界の農産物・食品のマーケットの拡大など、今後大きく変化していくと見込まれています。このような中、農業を次世代に継承し、食料を安定的に供給していくためには、農業の有する潜在力を最大限に引き出し、農業を魅力ある成長産業としていく必要があります。
国においては昨年十二月、新たに、生産基盤の強化を目的とする農業生産基盤強化プログラムを策定したところであります。また、国の食料・農業・農村基本計画は、国が、食料・農業・農村に関し、中長期的に取り組むべき基本的な方針等を定めたものでありますが、情勢変化等を踏まえ、おおむね五年ごとに変更するとされており、来月末に新たな計画が閣議決定される見込みであります。
同計画の見直しに当たっては、その検討の中で、農業就業者数や農地が現行計画の想定外に減少していることが明らかになりました。このため、農業を将来にわたり維持していくために必要な労働力や農地の確保については、現行の対策だけでは十分とは言えず、より踏み込んだ対応が不可欠となってきています。
また、担い手への農地集積や法人化、組織化などの必要性が改めて確認されるとともに、規模拡大だけでは地域農業や農村の存続が難しくなっている現状を踏まえ、小規模や家族経営、兼業農家も含め、幅広く生産基盤の強化を図る必要があると考えられています。
加えて、農業の生産性を向上させ、労働集約型産業からの転換を図るためには、ロボット、AI、IoT等の先端技術を活用したスマート農業の実現など、農業をめぐる新たな動きが求められています。
そこで伺います。
国の食料・農業・農村基本計画の見直しを踏まえた県の対応についてお示しください。
次に、本県農畜産物の輸出拡大に向けた取組について伺います。
国においては昨年十二月、日米貿易協定の署名に加え、TPP11、日EU・EPA発効後の動向も踏まえ、総合的なTPP等関連政策大綱の改訂が行われました。また、同じく十二月、これまでの農政全般にわたる改革に加えて、新たに、生産基盤の強化を目的とする政策パッケージとして農業生産基盤強化プログラムが策定され、強い農業・農村を構築し、農業者の所得向上を実現していくとしています。
TPP等大綱及び農業生産基盤強化プログラムでは、農林水産省内に輸出促進の司令塔組織を設置し、関係省庁が緊密に連携して輸出拡大に取り組む体制を整備するとともに、海外需要の開拓と加工・流通施設の整備等の生産基盤の強化を一体的に行い、生産者の所得向上につながる輸出を促進するとしています。
また、牛肉の国内需要の増加への対応と輸出の一層の拡大を目指すために、畜産クラスター事業等による体質強化、自給飼料の増産等を進めるとともに、新たに、牛肉の生産基盤の強化に直結する施策を講じるとしています。
本県の農畜産物の輸出については、牛肉やお茶をはじめとした農畜産物の輸出額が平成三十年度は過去最高を記録し、好調に推移しています。今後、中国への牛肉の輸出再開が見込まれるなど、輸出拡大について一層の期待が高まっていますが、一方で、肉用牛繁殖基盤の拡大が求められています。
そこで伺います。
第一点は、国際化の進展を踏まえた本県農畜産物の輸出拡大に向けた取組についてお示しください。
第二点は、本県の牛肉輸出拡大と肉用牛繁殖基盤の拡大に向けた取組についてお示しください。
[知事三反園 訓君登壇]
11 ◯知事(三反園 訓君)外国人材の安定的な受入れを進めるための今後の取組についてであります。
全国的な人手不足に伴い、外国人材の確保に係る地域間競争が激化しており、優秀な外国人材を安定的に受け入れるためには、県内外国人労働者数が最多のベトナムとの関係強化が重要であると考えております。
昨年十月には、県議会の皆様にも御参加頂き、百二十三名のオール鹿児島による大訪問団を結成して、ベトナムを訪問いたしました。フック首相との会談、ハイズオン省と外国人材の受入れ等に関する連携協定の締結、ベトジェットエアのフン会長への定期航空路線の就航要請など、ベトナムとの関係強化を図ったところであります。
この成果を十分に生かすために、外国人材受入活躍支援課に新たに、ベトナム人材受入推進監を設置し、連携協定に基づき、人手不足が深刻な業種におけるベトナム人材の安定的な受入れを図るとともに、農業分野等における専門家派遣や相互交流に取り組んでまいります。
また、介護人材の確保につきましても、新たに、介護福祉士資格の取得を目指す外国人留学生を受け入れる仕組みを構築するなど、外国人材の安定的な受入れに取り組んでまいります。
七月に予定されております鹿児島─ハノイ間の直行便の就航も、ベトナムの優秀な人材の安定的な受入れや交流拡大に大きく寄与するものと期待しております。
一方で、外国人材の方々を地域経済を支える貴重な人材として、また地域社会の重要な構成員として温かく迎え入れ、定着を促進するため、外国人の方々が安心して働き、暮らせる環境の整備も重要であります。
このために、外国人総合相談窓口での多言語による相談対応や、市町村における日本語教室の開催促進、外国人材の定着のため地域との交流などに取り組む受入れ企業への支援等に引き続き取り組むこととしております。
先月二十六日に、ベトナム旧正月フェスタを開催し、昨年を大きく上回るおよそ千人のベトナム人技能実習生や留学生などに参加していただき、ベトナムの料理や音楽、踊りなどでふるさとを懐かしみ、楽しんでいただきました。
このような取組を通じて、外国人材の方々に、鹿児島に来てよかった、鹿児島で働いてよかった、そう思っていただけるよう全力で取り組んでまいります。
新たな送り出し国との関係構築に向けた今後の取組についてであります。
今後も外国人材の安定的な受入れを図るためには、県内労働者数が最多のベトナムと関係を強化する一方で、新たな送り出し国として有望なミャンマーとフィリピンとの関係構築が重要であると考えております。
ミャンマーは、人口がおよそ五千三百万人と比較的多く、一人当たりGDPもおよそ千二百ドルとベトナムの半分程度であり、若い優秀な人材の多くが海外へ働きに出ている状況であります。近年は現地で日本語学校が急増するなど、新たな送り出し国としては最も潜在可能性が高いと考えております。
フィリピンは、英語でのコミュニケーションがとれる利点があり、特定技能の介護の技能試験が他国に先行して実施されるなど、特に介護分野において有望であると考えております。
このため、ミャンマー等の送り出し機関と県内監理団体とのマッチングや、本県の魅力のPRを行うなど、新たな送り出し国との関係構築に向けた取組を進めてまいります。
県といたしましては、今年度内に策定する、かごしま外国人材受入活躍推進戦略に沿って、今後とも、外国人材の安定的な受入れを図るとともに、市町村や関係団体等とも連携しながら、外国人材が安心して働くことができる住みやすい地域づくりに取り組んでまいります。
国際化の進展を踏まえた本県農畜産物の輸出拡大の取組及び牛肉の輸出と肉用牛繁殖基盤の拡大に向けた取組についてであります。
TPP11、日EU・EPAに続きまして、本年一月には日米貿易協定が発効されるなど、我が国は新たな国際環境に入りました。これらの国際化の進展は、和牛日本一の鹿児島黒牛やかごしま黒豚、お茶、ブリ、カンパチなど、世界に誇れるすばらしい農林水産物に恵まれた鹿児島にとって、大きなチャンスにしなければなりません。
平成三十年度の県産農林水産物の輸出額は過去最高の二百二十七億円となり、着実に拡大してきているところであり、この勢いをさらに加速させていく必要があります。
このため、令和二年度は、農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、アジア、米国、EUなどに対し、さらなる輸出拡大を図るために、牛肉やお茶、サツマイモなど重点品目の生産体制や販売力の強化に戦略的に取り組んでまいります。
お茶につきましては、欧米向けの有機抹茶の需要が伸びていることから、有機茶園の団地化の推進、てん茶加工施設等の整備に取り組むほか、県内茶商の海外商談会等への出展支援、海外バイヤーの招聘によるPR活動などを展開してまいります。
サツマイモやキンカンにつきましては、需要の大きいアジアなどに向けて、輸出先国のニーズや規制等に対応した産地づくりに取り組むほか、海外フェアや商談会の開催など販売促進活動を展開してまいります。
さらに、令和二年度は新たに、生産者と連携して意欲的に販路開拓に取り組む県内輸出商社の海外での営業活動を支援することとしております。
また、牛肉につきましては、日米貿易協定の発効により、米国向けの低関税枠が拡大したことや、昨年十一月の日中動物衛生検疫協定の締結により、今後、中国への輸出解禁が期待されることから、輸出の拡大が見込まれます。
このため、県におきましては、県食肉輸出促進協議会と連携しながら、カットや調理方法の普及による多様な部位の輸出拡大に取り組むほか、米国へのさらなる輸出拡大を図るために、新たに国際レストラン展示会へ出展することとしております。
また、本日二十六日、ワシントンDCの日本大使館で開催される天皇誕生日レセプションにおいて、他県に先駆けて鹿児島和牛のコーナーを設けました。実際に食べていただくなど、米国の政財界関係者に対し、PRを行っているところであります。
中国への牛肉輸出につきましては、政府間において、食品安全システム評価や輸出施設の認定など必要な手続が進められており、輸出が開始された場合には、いち早く売り込むこととしております。
このような中で、国内外における牛肉の需要に対応するためには、肉用牛の増頭を図る必要があり、これまでの県単独の家畜導入事業や牛舎等の施設を整備する畜産クラスター事業に加え、新たに国が措置した繁殖雌牛の増頭奨励金なども活用しながら、さらなる肉用牛繁殖基盤の拡大に取り組んでまいります。
さらに、本県の鹿児島黒牛のブランド力向上を図るために、令和四年度に開催される全共鹿児島大会での連覇を果たすべく、様々な対策を行っているところであります。
県としては、出品候補牛を確保するために、昨年十二月から、前回大会のおよそ二倍に当たる母牛への交配に取り組んでいるところであり、今後、出品候補牛の選抜など、生産者をはじめ、JAなどの関係者の皆様と心を一つにして、チーム鹿児島の団結の下、出品対策に全力で取り組み、連覇を果たすべく全力で取り組んでまいります。
今後とも、農畜産物の生産基盤の強化を図るなど、引き続き、守りをしっかり固めるとともに、ブランド力の向上を図りながら、輸出拡大に向けた取組を強力に進め、攻めの農業を展開することにより、オール鹿児島で稼げる農業を実現し、農業者の所得向上と後継者が確保されるという好循環を生み出してまいります。
12 ◯競技力向上等総括監(岩元幸成君)炬火リレーの取組状況並びに今後のスケジュール及び期待されることについてでございます。
炬火リレーは、両大会の機運醸成を図り、県民の記憶に残る取組とするとともに、
東京オリンピック・パラリンピックの感動と興奮を引き継ぐよう、多くの県民、特に子供たちの参加のもと、本年の夏休み期間中に行うこととしております。
先月、薩摩・大隅・離島の三コースのルート、実施日程等を公表したところです。
東京オリンピックの閉幕翌日の八月十日に県庁で採火式を行い、十一日から二十九日まで三コースで全市町村を巡回した後、九月五日にアミュ広場で集火式を行うこととしております。
現在、市町村において、具体的な走路等詳細を詰めており、リレー走者については、多くの県民に参加頂けるよう、四月以降、市町村において一般公募等により選定することとしており、現時点で八千人を超える走者の参加が見込まれているところです。
あわせて、使用するトーチ・受皿は、川辺仏壇の技術と薩摩焼により製作したところであり、本県の伝統、歴史、自然など、地域の多彩な魅力が発信され、開会直前の機運醸成とともに県民の記憶に残る炬火リレーとなることを期待しております。
13 ◯国体・
全国障害者スポーツ大会局長(中堂薗哲郎君)白波スタジアム周辺における円滑な輸送の実施に向けた考え方についてでございます。
国体・
全国障害者スポーツ大会の開・閉会式には多くの来場者が見込まれることから、安全・確実かつ円滑な輸送を行うため、選手等はバスによる計画輸送を、一般観覧車はシャトルバス等による輸送を行うことや、会場周辺の交通安全対策などを盛り込んだ輸送計画を策定することとしております。
このため、県バス協会等運輸・経済団体、警察等で構成する交通総量抑制会議を一月に開催したところであり、今年度中に、御意見等を踏まえ交通総量抑制対策を策定することとしております。
今後、会場周辺への通行自粛等について、ポスター、チラシ、新聞等により、会場周辺の住民など広く県民に協力を依頼することとしております。
今後とも、会場周辺の交通混雑解消や大会参加者等の円滑な輸送の実施に取り組んでまいります。
次に、両大会参加者の宿泊の確保に関する現在の取組状況についてでございます。
国体・
全国障害者スポーツ大会の選手、監督等の大会参加者の宿泊につきましては、最良のコンディションで十分な活躍ができるよう、国体の宿泊基本方針等に基づき、原則として、会場地市町村のホテル・旅館等を利用することとしております。
宿泊の確保につきましては、国体の合同配宿センター等において、現在、会場地市町村と連携して、宿泊関係団体や個々のホテル・旅館等の理解・協力を得ながら、宿舎の確保及び配宿案の作成を進めているところでございます。
なお、大会参加者の宿舎を会場地市町村で充足できない場合は、宿泊施設に客室提供のさらなる協力をお願いするとともに、近隣市町村の宿泊施設を利用する広域配宿などを検討することとしております。
14 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)商工労働水産関係のうち、特定技能を含めた県内の外国人労働者の状況についてであります。
国によりますと、昨年十月末現在の本県の外国人労働者数は八千三百八十七人であり、国籍別内訳は、ベトナムが全体の約半数となる四千二百四十人、中国が千四百六人、フィリピンが千三百二十五人などとなっております。
在留資格としては、技能実習が五千七百二十二人と全体の六八・二%を占めております。
産業別内訳は、食料品製造業を中心に、製造業が三千八百十一人、農業・林業が千百九十四人、卸売業・小売業が八百二十五人、建設業が七百三十九人などとなっております。
このうち、特定技能については、国が四半期ごとに就労状況を公表しており、県内においては、昨年十二月末現在で十九人が就労しております。
次に、沿岸漁業の振興についてであります。
本県沿岸は多様な漁業が営まれており、沿岸漁業は漁業経営体の約九割を占める重要な漁業であります。その振興を図るため、県水産業振興基本計画では、つくり育てる漁業の推進、水産物の流通・加工・販売対策など、五つの基本目標を定め、マダイ等の大規模放流、藻場や漁場の整備のほか、直販施設の整備などに取り組んでおります。
一方、国では、漁業法の改正など水産政策の改革が行われていること、担い手の減少など本県沿岸漁業を取り巻く情勢が変化していることなどから、令和二年度中に新たな計画を策定することとしております。
県としては、沿岸漁業者の方々が持続的に漁業を営めるよう、県漁連等と一体となってその振興に努めてまいります。
漁業就業者の確保・育成に向けた取組についてのお尋ねであります。
本県の漁業就労者数は減少傾向にあることから、県では、就業フェアを実施するとともに、漁業就業を希望する方々に対して、県漁連が開設する漁業学校において、漁業の基礎的知識の習得や漁業操業を体験する研修などを実施しております。また、県漁連では、さらなる技術習得を図るため長期研修などを実施しております。さらに、就業後の定着を図るため、地域振興局・支庁等の普及指導員が漁業や養殖技術に関する指導等を行っております。
今後とも、安定して漁業の担い手を確保できるよう、県漁連等関係団体と一体となって取り組んでまいります。
次に、一県一漁協に向けた漁協合併の現状と県の対応についてであります。
県漁連等関係団体は、一県一漁協を段階的に推進することとしており、本年四月一日を目標に第一段階の合併を行うこととしております。このため、本年一月には、これに参加する六漁協の総会において、合併の決議が行われたところであります。
漁業者の生産活動を支え、経営の安定を図るためには、漁協の経営・事業基盤を強化する必要があることから、県としてはこれまで、県漁連が行う合併推進のための活動経費や、合併に向けて財務改善に取り組む漁協に対する保証料の補助などの支援を行っております。
引き続き、一県一漁協に向けた取組に対し、必要に応じて助言をしてまいりたいと考えております。
県産水産物の国内の販路拡大対策及び輸出の取組等についてのお尋ねであります。
国内における県産水産物の販路拡大対策については、水産物の消費が減少していることから、県漁連等が行う量販店における鹿児島フェアでのPR活動や、県外の卸売・小売業者への販売促進活動等に対し、支援を行っております。
県産水産物の輸出につきましては、養殖ブリを中心に好調に推移しており、県としては、今後とも輸出を拡大させるためには、安定した供給の確保、輸出相手国・地域が求める衛生基準への適合、新たな商流の構築が課題と考えております。
このため、県農林水産物輸出促進ビジョン等に基づき、海外で評価の高い人工種苗による養殖ブリの生産や国際認証取得に向けたセミナー等を開催しているところであります。また、衛生管理型の荷さばき所や水産加工施設の整備、海外における展示会・商談会への参加支援などにも取り組むこととしております。
今後とも、県漁連や関係団体等と一体となって、本県水産物の国内販路拡大、輸出拡大に積極的に取り組んでまいります。
15 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)多文化共生社会実現に向けた今後の取組についてであります。
近年、県内の在留外国人は急増しており、多文化共生の推進は喫緊の課題となっています。
県といたしましては、引き続き、日本語・日本理解講座などを実施するほか、県議会からの政策提言を踏まえ、来年度には新たに、在留外国人と県民とのさらなる交流促進を図るための支援、日本語サポーターの養成、県ホームページの七か国語の多言語対応などを行うこととしています。
また、四月にオープンする、かごしま国際交流センターを県民と在留外国人との交流の拠点施設として積極的に活用し、県民の多文化共生意識の醸成を促進することとしています。
今後とも、市町村や関係団体等と連携しながら、在留外国人の方々が地域社会の一員として共生する社会の実現に向けて取り組んでまいります。
16 ◯農政部長(満薗秀彦君)国の食料・農業・農村基本計画の見直しを踏まえた県の対応についてであります。
国は、現在、食料・農業・農村をめぐる情勢の変化等を踏まえ、現行計画の見直しを進めているところであり、来月末を目途に次期計画を閣議決定する見込みであります。
一方、県におきましては、令和二年度が、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の目標年度の中間年度に当たることから、県民の皆様の御意見も伺いながら、基本方針の中間見直しを実施することとしております。
見直しに当たっては、国の次期計画も踏まえ、本県の基幹産業である農業を持続的に発展させていくため、中山間地域の水田地帯において、農地の基盤整備や農業機械の導入支援等、小規模な経営体等も営農が継続できるような取組、農業法人等の大規模化が進む畑作地帯において、労働力不足の解決に向けて、高齢者、障害者、外国人等多様な人材の活用や、農業生産性の向上にもつながるスマート農業の現場実装化を進める取組、農村地域において、農泊の推進等、関係人口の増大に向けた取組など、新たな視点を盛り込みたいと考えております。
[藤崎 剛君登壇]
17 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁頂きました。
国体・
全国障害者スポーツ大会についてでありますが、万全の受入れ体制の整備に努めていただきますとともに、大会機運の盛り上がりがいま一つの感がありますので、さらなる機運醸成に積極的に取り組まれますよう強く要望いたします。
鹿児島労働局によりますと、県内の外国人労働者数が昨年十月時点で八千三百八十七人に上り、前年同期比二二・二%増と、都道府県では五番目の伸び率となったとのことであります。
外国人材の安定的な受入れ体制の整備と多文化共生社会の実現に向けた県の積極的な取組を要望いたします。
水産業の振興についてでありますが、養殖ブリを中心とする県産水産物の輸出が増加している一方で、沿岸漁業については引き続き厳しい環境が続いておりますので、漁場開発、栽培漁業の推進、水産物の流通対策を積極的に推進するとともに、新規就業者の確保と就労環境にも配慮した担い手の育成に力を入れてくださるよう要望いたします。
国の食料・農業・農村基本計画の見直しを踏まえた対応については、基幹的農業従事者や法人経営体等だけでなく、特に農業者の減少・高齢化が進む中山間・過疎地域の家族農業・中小規模農家など、多様な農業経営が持続的に維持・発展できる支援が重要であり、環境保全、地域の防災・減災機能の維持・向上にもつなげる対策を要望いたします。
本県農畜産物の輸出拡大に向けた取組については、県農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、さらなる輸出拡大に向けて、関係団体と一体となった取組を推進されるよう要望いたします。
引き続き、農政関係についてであります。
CSF・ASFへの対応について伺います。
改正家畜伝染病予防法の成立により、豚コレラ、アフリカ豚コレラの名称はそれぞれ、豚熱─CSF─、アフリカ豚熱─ASF─に変更されることとなりました。
CSFについては、平成三十年九月に岐阜県の養豚場で二十六年ぶりに発生して以降、昨年末までに発生農場は一府八県、陽性の野生イノシシは十二県で確認されておりましたが、本年一月八日には、隣県の沖縄県の養豚場においても発生が確認されたところであります。二月二日には、沖縄市の養豚場で県内五例目となるCSFの感染が確認されたとのことであり、新たな感染で殺処分の総数は一万頭を超える見込みとなっています。
また、中国やベトナムで猛威を振るうASFについては、昨年九月には韓国でも発生が確認されており、依然として国内への侵入リスクが高い状況にあります。
このような中、本県のCSF・ASF対策については、九月補正予算において、野生動物侵入防護柵を整備する支援を創設し、その後、畜産関係団体からの要請を受け、十二月補正で支援の拡充を行ったところであります。
さきの定例会においては、県内約六百の養豚農場のうち、約八割は防護柵設置の希望がありましたが、残り二割は資金不足のため設置を控えている状況でありました。
家畜伝染病が仮に一件でも発生すれば、本県畜産業に甚大な影響を及ぼすおそれがあることから、支援の拡充を受け、県内全ての養豚農場で侵入防護柵が速やかに設置されることが極めて重要であります。
また、沖縄県での発生を受け、本県としても新たな局面を迎えたことから、喫緊の対応が迫られています。
そこで伺います。
第一点は、沖縄県におけるCSF発生を踏まえた県の対応についてお示しください。
第二点は、ASF侵入防止緊急支援事業の推進状況についてお示しください。
次に、企画関係についてであります。
新たな総合体育館の整備について伺います。
新たな総合体育館の整備について、知事は、さきの第四回定例会の提案理由説明において、県庁東側の土地と県農業試験場跡地については、様々な観点から比較・検討を行い、総合的な評価を行った結果、「交通利便性に優れ、現状、交通渋滞が少なく、周辺に宿泊施設が多く立地するなど、利用者の利便性が高いこと、これまで多くのスポーツイベント等が開催されている白波スタジアム、平和リース球場など、スポーツ施設が集積する鴨池公園に近接しており、これらの施設との一体的な利用により、本県のスポーツ振興の拠点としての機能の発揮も期待できること、また、財源についても、都市公園区域に編入することにより国の補助金を活用できる可能性があることなどから、県庁東側の土地を新たな候補地としたい」、「施設の規模等を考慮すると、隣地も合わせた整備が必要である」と表明されました。
その後の我が会派の代表質問に対して、知事は、「整備予定地の決定に当たっては、隣地所有者との土地の譲渡に向けた協議が整うことに加え、施設の規模や構成等について、県議会、県民の皆様などからの御理解を得る必要があると考えており、その上で基本構想を策定したい」と答弁し、隣地所有者との協議に関しては、「土地の譲渡協議に係る意向を確認したところ、正式な協議の申出を受けた後、具体的に検討したいとの回答を頂いた」とし、また、財源については、「引き続き、行財政改革に取り組みつつ、基金や県債の活用、未利用財産の売却など様々な手段により、その確保に努めてまいりたい」としています。
さきの定例会では、企画観光建設委員会において、委員外議員も含めた集中的な審議が行われ、示された総合的な評価に関して、農業試験場跡地との比較や評価の内容など様々な質疑がなされ、県庁東側の土地での整備については、拙速に進めず、慎重に取り組むよう意見がなされました。
このような経緯を受け、県は、議会から県民の声を聞く必要性を指摘され、整備に向けた検討の参考とするためとして、一月十五日から三十一日にかけて、県のホームページにおいて、新たな総合体育館の整備に係るアンケート調査を実施したところであり、千九百七十六件に上る多数の回答が寄せられたとのことであります。
新たな総合体育館の整備については、最適地としていた県工業試験場跡地を断念し、検討対象地を鹿児島市内の二か所と絞った後、県庁東側の土地を新たな候補地と表明している経緯から、検討対象地の関係者だけでなく、県民や経済界などから様々な声や意見が出されており、議会としても、今後の検討過程を注視しつつ、さらなる検証を行う必要があると考えているところであります。
そこで伺います。
第一点は、さきの定例会における様々な質疑、意見等を踏まえたその後の検討状況についてお示しください。
第二点は、アンケート調査結果の主な内容と県の所感並びにその分析結果を、今後どのように整備計画に反映させていくのか、お示しください。
第三点は、総合体育館基本構想の策定は整備予定地決定後であると考えるが、当初予算計上の考え方、内容、策定時期についてお示しください。
第四点は、隣地所有者に対する土地の譲渡協議についての県の考え方、また、新たな候補地表明後における鹿児島市との土地利用規制など、まちづくりに関する具体的な協議・検討の状況についてお示しください。
第五点は、県の方針転換に伴い、県工業試験場跡地を含む鹿児島中央駅西口地区一帯のまちづくりに関して、四者連絡会の在り方を含めた今後の取組について、県の考え方をお示しください。
次に、次期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略について伺います。
少子高齢化により人口減少が急速に進行している中、若年層を中心に地方から東京圏に人口が流出していること等により、地方における人口、特に生産年齢人口が減少しています。このため、地方においては、地域社会の担い手が減少しているだけでなく、消費市場が縮小し、地方の経済が縮小するなど、様々な社会的・経済的な課題が生じています。
このような中、国は、平成二十六年十二月に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地方創生に向けた取組を推進してきているところでありますが、近年、東京圏への人口流入はむしろ加速し、出生数も推計を下回り続ける結果となっています。
国は、現行の戦略が本年度、最終年度を迎えることから、令和二年度からの五年間を対象期間とする第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略を昨年十二月二十日に閣議決定しました。
この第二期総合戦略では、地方創生の目指すべき将来として、将来にわたって活力ある地域社会の実現と東京圏への一極集中の是正を掲げ、四つの基本目標と二つの横断的な目標を設定し、第二期の政策目標として、地方への移住・定着の推進や、地域におけるSociety5・0の推進、誰もが活躍する地域社会の推進などが挙げられています。
本県においても、平成二十八年三月に策定した現行の鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、地方創生に向けた様々な施策・事業を展開しているところであり、国と同じく、今年度が五年間の最終年度となっています。
このため、さきの第四回定例会において、次期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略骨子案が示され、昨年十二月中旬から一か月間、パブリックコメントを実施するとともに、国の第二期総合戦略や、一月二十三日に開催した県地方創生推進有識者懇話会での意見等を踏まえ、今年度中に次期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定することとしています。
そこで伺います。
第一点は、現行の鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づくこれまでの取組とその評価についてお示しください。
第二点は、次期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略の概要についてお示しください。
第三点は、令和二年度予算における次期戦略に基づく具体的な取組についてお示しください。
次に、PR・観光戦略関係についてであります。
観光振興について伺います。
知事は、昨年一月の定例記者会見で、本県観光にとって非常に重要な年だとし、本県観光への追い風をさらに加速していくため、オール鹿児島で平成三十年以上のイベントや、より効果的なプロモーションを実施するなど戦略的な取組を展開し、本県の基幹産業である観光産業の振興を図る、どんどん輝く鹿児島観光戦略を発表するとともに、今年度当初予算には関連事業として総額二十九億五千万円を計上し、国内・国外からの誘客対策に取り組んでいるところであります。
しかし、国の宿泊旅行統計によると、大河ドラマ「西郷どん」放映終了後の昨年一月以降の延べ宿泊者数は、十一月までの速報値によると、平成三十年に比べ、いずれの月も減少し、平成二十九年の延べ宿泊者数をも若干下回る結果となっています。
また、昨年七月頃からの日韓関係の悪化に伴い、鹿児島・ソウル線の運休や減便が実施され、八月以降の韓国からの宿泊者数は、前年に比べて六割程度減少しています。
このような中、昨年第三回定例会において、次期鹿児島県観光振興基本方針骨子案が示され、昨年十月七日から一か月間パブリックコメントを実施し、先月行われた第二回観光立県推進会議において基本方針案が取りまとめられ、今回の定例会に予算外議案として提出されています。
この方針案では、ウェルネスツーリズムの推進や世界遺産を生かしたクルーズ船の誘致促進等の新たな施策の展開例が示され、延べ宿泊者数やクルーズ船乗客数などの数値目標が設定されています。
鹿児島県観光振興基本方針は、平成二十一年三月、議員提案により制定された観光立県
かごしま県民条例に基づき、策定・見直しが行われてきており、次期基本方針は、令和二年度から令和六年度までの五年間を推進期間として、県、市町村、観光関係団体、県民等が取り組むべき施策のよりどころとなるものであり、本県の特性を生かしたこれまで以上の総合的・戦略的な観光施策の展開が求められています。
そこで伺います。
第一点は、今年度、関連事業として総額二十九億五千万円を計上した、どんどん輝く鹿児島観光戦略における戦略的な取組の状況についてお示しください。
第二点は、次期観光振興基本方針における数値目標の考え方、主な内容及び目標実現に向けた取組についてお示しください。
また、来年度予算における新たな事業やその内容についてお示しください。
第三点は、今年度から実施している、鹿児島のウェルネス観光客誘致促進事業の取組状況について、また、来年度予算におけるウェルネスツーリズムの推進に係る具体的な取組についてお示しください。
[知事三反園 訓君登壇]
18 ◯知事(三反園 訓君)新たな総合体育館の候補地に係る検討状況についてであります。
新たな総合体育館につきましては、昨年第四回県議会定例会において、県庁東側の土地を新たな候補地としたいとの考え方を表明し、活発な御論議を頂いたところであります。
この中で頂いた、情報が不足しているなどの御意見を踏まえ、データの整理や調査などを行ってきたところであり、先般、その結果をお示ししたところであります。
県としては、引き続き、県議会での御論議をはじめ、屋内スポーツ競技団体などの御意見をお聞きし、また、まちづくりを所管する鹿児島市などとも緊密な連携を図りながら、丁寧に協議・検討を進め、県議会、県民の御理解が得られるよう取り組んでまいります。
次期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略案の概要についてであります。
地方創生は、少子高齢化の進行に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、国と地方が総力を挙げて取り組むべき課題であります。
国においては、現行の、まち・ひと・しごと創生総合戦略が最終年度を迎えるに当たり、さらなる人口減少・少子高齢化の進行、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展、地域間競争の激化など大きな変革期を迎えている中で、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定したところであり、本県においても、地域特性や可能性を最大限に生かしながら、地方創生に向けた取組をさらに推進するため、次期総合戦略を策定することとしております。
次期総合戦略案においては、しごとをつくる、ひとをつくる、まちをつくるという三つの基本目標を引き続き掲げるとともに、関係人口の創出・拡大やSociety5・0の実現に向けた技術の活用、SDGsを原動力とした地方創生、誰もが活躍できる地域社会をつくるなどの国の第二期における新たな視点や、県議会での御論議や有識者の方々の御意見等を踏まえ、基本目標の実現のための取組の方向や、スマート農業技術を活用した取組、子ども食堂の活動を支援する取組など、具体的な施策を取りまとめているところであります。
今後の地方創生に向けた取組の推進に当たっては、本県の多彩な魅力や強み─ポテンシャル─を最大限に生かし、県民一人一人が地域に誇りを持ち、多彩な個性と能力を発揮でき、どこよりも幸せを実感して暮らすことができる鹿児島の実現を目指してまいります。
このために、本県の基幹産業である農林水産業や観光の重点的な振興、産業振興や移住・交流の促進など、経済成長や県勢の発展に資する施策を積極的に推進するとともに、県政の重点施策の二本柱である子育て支援や高齢者の生き生き支援など、さらなる県民福祉の向上に向けた施策の充実を図り、三つの基本目標を踏まえ、各般の施策を積極的に展開してまいります。
19 ◯農政部長(満薗秀彦君)豚熱に関する御質問のうち、まず、沖縄県でのCSF発生を踏まえた県の対応についてでございます。
県においては、沖縄県での発生を受け、知事を本部長とする県CSF等対策本部を設置し、全庁的に情報を共有しながら、関係部局と緊密な連携を図ることを確認したところであります。
また、県内全ての養豚農場に対し、速やかに飼養豚に異常がないかを確認するとともに、翌日には緊急防疫対策会議を開催し、情報の提供や飼養衛生管理基準の遵守の徹底など、一層の防疫意識の向上を図ったところであります。
さらに、沖縄航路のある空港や港においては、消毒マットを設置し、靴底や下船車両の消毒を実施するとともに、特に、畜産関係車両については動力噴霧器による消毒を徹底しているところであります。
県といたしましては、引き続き、関係機関・団体と一体となって、CSF侵入防止対策に万全を期してまいります。
次に、ASF侵入防止緊急支援事業の推進状況についてでございます。
野生動物侵入防護柵の整備につきましては、家畜保健衛生所や地域振興局、市町村、JAなどの関係団体からなる事業推進班による農家個々に対する推進や、県の支援策に加えて、市町村や県経済連の助成措置もあり、現段階で、九割を超える養豚農場で事業に取り組むこととなったところでございます。
県といたしましては、残りの養豚農場については、引き続き、事業推進班による巡回指導や、それぞれの農場に対応した事業計画書の作成協力を行うなど、県内全ての農場に防護柵が設置されるよう粘り強く推進してまいります。
20 ◯企画部長(古薗宏明君)総合体育館に関する御質問のうち、まず、アンケート調査結果の主な内容と県の所感等についてであります。
昨年第四回県議会定例会における御論議の中で、県民の意見を聴取する機会を設けるべきとの御指摘を頂いたことなどを踏まえ、今後の整備に向けた検討の参考とするため、県民や主な施設利用者となる屋内スポーツ競技関係者を対象に、総合体育館に望ましい機能や立地で重視すべき点などについてのアンケート調査を実施いたしました。
今回のアンケート調査を通じて、総合体育館の機能については、国際大会やプロスポーツ等の観戦など、みるスポーツや、コンサートやイベント等の鑑賞など多目的利用に関する機能への関心が高いこと、立地に関しては、駐車場の確保や交通渋滞が少ないなど自動車でのアクセスを重視すべきとの意見が多いこと、大会やコンサート等の際、自家用車を利用して来場される方の割合が高いことなどの結果が得られたところであります。
また、その他自由意見として、国際レベルの競技大会やコンサートなどが鑑賞できる体育館なら、ぜひ利用してみたい、国際大会から県大会まで開催でき、地域の方々まで幅広く使えるような多彩な機能を持った施設が望ましいといった施設の機能・規模等に関する御意見や、県庁東側の土地のほうが、周辺にスポーツ施設が集中しているため県外からの旅行者にも分かりやすく、道路も広いため自家用車やタクシーの利用者の利便性が高い、県農業試験場跡地であれば、十分な敷地面積があるため駐車場が確保でき、商業施設や宿泊施設は新たに建設されることにより鹿児島の活性化が図れるといった整備場所に関する御意見、また、国体に間に合わないのであれば、じっくりと検討すべき、現在の体育館は老朽化が進み、大会会場の確保や大会運営に支障があり、一刻も早く新たな総合体育館が整備されるよう期待するといった検討の進め方についての御意見などを頂いたところであります。
これらのアンケート調査により得られた結果につきましては、今後の総合体育館の整備に向けた検討の参考としてまいりたいと考えております。
当初予算計上の考え方等についてであります。
新たな総合体育館の早期整備に向けて、来年度当初予算案に基本構想の策定に係る経費を計上したところであり、県議会での御論議を踏まえて執行したいと考えております。
基本構想では、施設の規模・構成や整備予定地、大まかな整備スケジュールなどをお示しすることとしており、策定に当たっては、隣地所有者との土地譲渡に向けた協議が整うことに加え、施設の規模や構成、整備予定地等について、県議会や県民の皆様の御理解を得る必要があると考えており、その上で、基本構想を策定したいと考えております。
隣地所有者及び鹿児島市との協議についてであります。
昨年第四回県議会定例会で新たな候補地としてお示しした県庁東側の土地は、面積が約八千平方メートルであり、施設の規模等を考慮すると、隣地も合わせた整備が必要であると考えております。
隣地所有者との土地の譲渡協議につきましては、県議会での御論議を踏まえ、正式な協議の申出を行いたいと考えております。
また、県庁東側の土地と県農業試験場跡地につきましては、いずれも、都市計画法などの制約により大規模な体育館が建設できないことから、検討過程において、まちづくりを所管する鹿児島市との間で、緊密な連携を図りながら協議を進めることを確認したところであり、先般の県市意見交換会におきましても、その旨を改めて確認したところであります。
鹿児島中央駅西口地区一帯のまちづくりへの取組についてであります。
昨年十一月に開催された鹿児島中央駅西口地区開発連絡会におきまして、県工業試験場跡地の利活用について、あらゆる選択肢を幅広に検討していく旨を県から説明するとともに、JR九州の開発計画に呼応した周辺道路の整備について意見交換を行い、従前からの考え方を基本として、引き続き、緊密な連携を図りながら協議を進めていくことを確認いたしました。
また、先月二十七日の県市意見交換会におきましても、西口地区のまちづくりについて意見交換を行い、県と市が共通認識を持つ中で、JR九州の開発計画も含め、関係者間の緊密な連携を図りながら、協議・検討を進めることとすることを確認したところであります。
鹿児島中央駅西口地区開発連絡会の在り方につきましては、西口地区の開発に関して協議する場は残すこととし、協議を必要とする者がその都度開催を呼びかけるという形で、個々の案件に応じて個別あるいは四者で協議・検討を行うと整理したところであります。
地方創生総合戦略に基づくこれまでの取組とその評価についてであります。
県におきましては、平成二十七年度に策定した鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、市町村と連携を図りながら、地域の経済・雇用を支える産業の育成、地域における子育て支援や児童の健全育成といった少子化対策など、地方創生に向けた様々な施策・事業を展開してきたところであります。
この総合戦略では、施策等の進捗管理や効果等の検証を行うため、農林水産業の成長産業化や観光産業の振興、人材の還流・育成などに関する六十七項目の数値目標を掲げておりますが、このうち、県産農畜産物の輸出額や市町村の相談窓口等を通じた県外からの移住者数、外国人延べ宿泊者数などについては、平成三十年度の実績で既に目標を達成するなど、六十一項目については目標達成に向けて進捗しているところであり、一定の成果を上げているものと考えております。
令和二年度当初予算案における次期総合戦略案に基づく具体的な取組についてであります。
令和二年度当初予算案において、次期総合戦略における基本目標一、しごとをつくるに関しては、稼げる農林水産業の実現に向けて、スマート農業の普及拡大や県産農林水産物の輸出拡大に向けた取組など、生産体制や販売力の強化を図ることとしております。
また、観光立県かごしまの実現に向けて、奄美の世界自然遺産登録を見据えた屋久島・奄美の二つの世界自然遺産の周遊促進の取組や、鶴丸城御楼門をはじめとする本県の多彩な魅力を紹介するPR動画の作成など、戦略的な誘客の展開を図ることとしております。
基本目標二、ひとをつくるに関しては、誰もが活躍できる社会の実現に向けて、女性のための再就職支援、高齢者の自主的な健康づくりや社会参加活動への支援、農福連携のための人材の育成・マッチング支援などを行うほか、関係人口の創出・拡大に向けて、ポータルサイトでの県民証の発行等による都市住民との継続的な関係構築などに取り組むこととしております。
また、結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなう社会の実現に向けて、産科医が不足する地域の中核的な病院等へ産科医を派遣する取組の拡充や、市町村が行う放課後児童クラブの施設整備への支援などを行うこととしております。
基本目標三、まちをつくるに関しましては、Society5・0の実現に向けて、へき地診療所の遠隔医療に必要な機器整備への支援や、県立高校及び特別支援学校のICT環境の整備などに取り組むこととしております。
21 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)どんどん輝く鹿児島観光戦略における取組の状況についてであります。
国内からの誘客につきましては、島津義弘公没後四百年などの機会を活用した誘客促進、インスタ映えする観光スポットを集めたポスターなどの制作、インフルエンサーを活用したSNSによる魅力発信、ウェルネス素材を活用した新たな体験メニューの開発などに取り組みました。
海外からの誘客につきましては、直行便市場や戦略的市場での旅行博出展やメディアの招請などを通じた認知度向上や旅行商品造成等に取り組んだほか、
ラグビーワールドカップを活用した欧米豪市場からの誘客にも取り組んだところでございます。
クルーズツアーの誘致・高質化においては、鹿児島の食や伝統文化を体験する新たな周遊プランなどを提案し、十二月には、マリンポートから浮き桟橋を活用して大隅半島へ船舶で移動し、歴史・文化に触れる周遊ツアーが実現しました。
さらに、屋久島の大雨災害に伴う風評被害や日韓関係の悪化に伴う影響に対しても、トップセールスや観光キャンペーンを行うなど、観光戦略を踏まえながら、観光客誘致に積極的に取り組んだところであります。
次期観光振興基本方針の数値目標等についてであります。
基本方針案では、令和六年に達成すべき数値目標として、観光消費額、延べ宿泊者数、外国人延べ宿泊者数、クルーズ船乗客数、再訪希望の五項目を掲げております。
観光消費額や延べ宿泊者数につきましては、平成三十年実績値を基準としまして、国の観光ビジョン等を踏まえ、それぞれ目標値を三千七百億円、九百九十万人泊、うち外国人を百五十万人泊と設定しました。
新たに設けたクルーズ船乗客数については、県の鹿児島港国際旅客船拠点形成計画における目標等を勘案して六十九万人とし、再訪希望については、観光立県推進会議の御意見を踏まえ、観光客の満足度を測る指標として、目標を一〇〇%に設定しました。
これらの目標を実現するため、基本方針案では、魅力ある癒やしの観光地の形成、戦略的な誘客の展開、オール鹿児島でのおもてなしの推進という三つの基本的方向と施策の展開例を示しています。
これらを指針にして戦略的に取り組み、基本目標である、来て、見て、感動、世界を魅了する観光王国KAGOSHIMAづくりを目指してまいりたいと考えております。
来年度予算における観光関連の新たな事業についてであります。
当初予算案では、観光立県かごしまの実現に係る関連事業として、総額三十億二千万円を計上しております。
主な新規事業については、どんどん鹿児島魅力発信ムービー制作事業では、鶴丸城御楼門をはじめ、鹿児島の多彩な魅力を紹介する動画を制作します。
東京オリパラ特別プロモーション事業では、オリンピック等の開催の好機を捉え、主に、その際来日した観光客を鹿児島に誘客するため、交通キャリアと連携したプロモーション等を実施します。
「燃ゆる
感動かごしま国体・かごしま大会」においては、観戦ガイドブックの作成・配布や、開・閉会式会場等へのおもてなし広場の設置などを行い、訪れる選手や一般観覧者などに本県の多彩な魅力を発信いたします。
加えて、奄美の世界自然遺産登録を見据え、二つの世界自然遺産─屋久島・奄美─周遊促進事業では、屋久島と奄美を結ぶ島旅の魅力発信や受入れ体制整備を行います。
県としましては、既存事業も含めて、戦略的な取組を進め、本県の基幹産業である観光産業の振興を図ってまいります。
鹿児島のウェルネス観光客誘致促進事業の取組状況等についてであります。
今年度は、ウェルネスツーリズムにつながる素材を収集して、二十のテーマで県内各地を巡るモデルコースを作成し、旅行会社に商品造成を働きかけるとともに、女性やアクティブシニアなどターゲットに応じて、SNSやメディアなどを用いて情報発信を行っているところであります。
さらに、県内全地域で新たな体験プログラムメニューの開発やモニターツアー等を行うこととしており、今年度は、南薩、大隅、熊毛、大島の四地域で実施しているところであります。来年度は、残る鹿児島、北薩、姶良・伊佐の三地域で実施することとしています。
今後とも、これらの取組により、本県のウェルネスツーリズムの魅力の向上を図り、本県への誘客を促進してまいります。
22 ◯藤崎 剛君 一点だけ再質問させていただきます。
仕事にはそれぞれ一区切りがあろうかと思います。いついつまでにここまでは、という目標があるものじゃないかなと思いますが、そのとおりいったり、いかなかったりするのも世の常かと思います。知事にも知事なりの仕事のスケジュール感があろうかと思いますが、任期満了まで五か月です。県総合体育館につきましては、結果として、三年七か月で目をみはる進展なきまま今日を迎えているんじゃないかなと私は思います。
今日このような現状にあることにつきまして、県政総責任者としてどのような見解をお持ちか、またどのように責任を感じているか、お示し頂きたいと思います。
23 ◯知事(三反園 訓君)県の総合体育館につきましては、引き続き、県議会での御論議をはじめ、屋内スポーツ競技団体等の御意見をお聞きし、また、まちづくりを所管する鹿児島市などとも緊密な連携を図りながら、丁寧に協議・検討を進め、県議会、県民の理解が得られるよう取り組んでまいります。
[藤崎 剛君登壇]
24 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁頂きました。
私はスケジュール感についての所感のお尋ねをしましたが、知事からはそのような答弁でございました。甚だ残念でございます。
家畜防疫対策についてでありますが、豚の飼養頭数全国一の本県として、海路・空路で直結する沖縄県での豚熱─CSF─の発生に危機感を持つところであり、また、特にアフリカ豚熱─ASF─は本県畜産業に壊滅的な影響を及ぼすおそれがあることから、水際対策の強化や養豚農場の野生動物侵入防護柵の整備徹底など、総力を挙げた取組を強く要望いたします。
新たな総合体育館の整備についてでありますが、一月に実施した県民アンケートは、本来候補地を示す前に県民の声を聞くべきであり、なぜ今頃だったのかというのが率直な受け止めでありました。結果的に、整備場所や県の検討の進め方なども含めて、様々な意見が出されたようであります。
県民の声を整備計画にどう反映させていくのか、今後の詳細な審議を通じて検証してまいりたいと考えております。
鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略については、戦略に基づく具体的な施策の展開が極めて重要であり、これまでの事業の効果検証を踏まえ、市町村と連携した県全体の地方創生の実現につながる実効的な取組を要望いたします。
観光振興についてでありますが、現在、日韓関係悪化に伴う韓国人観光客の減少に加え、
新型コロナウイルス感染症の先行きは全く見通せない状況にあり、本県観光への影響も深刻であることが想定されますが、次期基本方針に基づく中長期的な視点に立った総合的・戦略的な観光施策の展開を要望いたします。
以上、県政の課題について質問してまいりました。
午後は日高滋議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、自由民主党県議団の代表質問・午前の部を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
25 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
正 午 休憩
───────────
午後一時一五分再開
26 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。
日高滋君に発言を許可いたします。
[日高 滋君登壇](拍手)
27 ◯日高 滋君 午前中に引き続いて、自民党県議団の代表質問を続けてまいります。
午前中としますと、紬姿が少なくなったなという感じがしまして、ちょっと寂しいなという思いをいたしております。しかし、その代わり、紬のワイシャツを着ていらっしゃる方もいらっしゃるようでございまして、やはりそういう意味では、一日中着ているときついのかなと、そのことも改善することが紬の振興につながっていくものだと思って、ずっと着たいなと思わせる取組、そしてそういう着物であってほしいなと思うところでございます。
早速質問に入ります。
初めに、まず土木関係についてであります。
鹿児島港本港区エリアまちづくりについて伺います。
さきの第四回定例会における我が会派代表質問において、知事は、事業者公募に向けたスケジュールについて、「今議会において、現時点における事業者公募の応募条件等に係る県の考え方を整理した公募要項の素案をお示しし、御論議いただきたい」とし、また、「その上で、公募要項の素案を公表し、広く民間事業者の御意見を伺うとともに、外部有識者等で構成する評価委員会を開催し、その御意見も踏まえ、公募要項案を作成したい」、「作成した公募要項案につきましては、次回の定例会において御論議いただき、今年度中に公募を開始したい」と答弁されました。
また、鹿児島市や関係団体等との協議の状況については、「土地利用規制の見直しについては、具体的な事業内容や施設規模が決まらないままに検討することは困難である」、「民間事業者から具体の提案をいただき、最も優秀と認められる提案内容に応じて、鹿児島市との必要な協議を行いたい」とし、「経済団体や中心市街地の商店街の代表者等とは継続的に意見交換を行っているところであり、ハイクラスのホテルやレストラン等については特に異論はなかった一方で、中心市街地への影響が懸念される大型商業施設は望ましくないとの御意見をいただいている」としております。
住吉町十五番街区については、「鹿児島市からの協議があれば、サッカー等スタジアムの候補地として前向きに検討することも可能ではないかと考えており、同市との協議の結果、候補地とならなかった場合は、改めて公募を検討したい」との答弁でありました。
グランドデザイン策定後、一年が経過し、事業者公募に向けた取組が進められているところでありますが、ドルフィンポート敷地の定期借地契約は、六月には契約期間が満了となります。
今後の具体的な事業導入に向けては、土地利用規制の見直しや市電延伸、中心市街地との連携等の諸課題の検討が極めて重要であり、サッカー等スタジアムも含めて、鹿児島市はもとより、関係団体等との具体的な検討・協議を進めていくことを強く要望いたします。
そこで伺います。
第一点は、先般、設置した評価委員会の役割、委員選定の考え方について、改めてお示しください。
また、地元鹿児島市や経済団体等の意見をどのように反映させていくつもりか、お示しください。
第二点として、公募要項案の策定に係る民間事業者の意見聴取の状況及び第一回評価委員会における論議とその対応について伺います。
第三点は、事業者公募の時期及び事業者選定のスケジュールについて具体的にお示しください。
第四点として、ドルフィンポート敷地及びウォーターフロントパークを先行して公募することとしていますが、北埠頭における港湾関係者等との具体的な協議の状況と課題についてもお示しください。
第五点は、サッカー等スタジアムの整備に関する住吉町十五番街区の活用については、鹿児島港本港区エリアの一体的なまちづくりの観点からも、鹿児島市からの協議を待つだけではなく、積極的に対話・検討を進めるべきと考えますが、県の取組についてお示しください。
また、サッカー等スタジアムの整備に関し、鹿児島市長は、市が単独で造るものではなく、県や民間からも財源を募り、オール鹿児島で進めるとの趣旨の発言をされていますが、県としての考え方をお示しください。
次に、高規格幹線道路の整備状況等について伺います。
高規格幹線道路や地域高規格道路は、九州の一体的浮揚に寄与するだけでなく、地域間の交流連携の強化や産業・観光の振興、災害時における緊急輸送道路や代替道路の確保、救急医療活動の向上など、沿線の今後の地域づくりを進め、地域の安心・安全を確保する上でも必要不可欠な道路であります。本県域の高規格幹線道路の供用率は平成三十年度末で約七七%と、全国平均の約八五%に比べて後れております。
高規格幹線道路のうち、東九州自動車道については、鹿屋串良ジャンクションから志布志間において、来年度の供用に向け、全線にわたり橋梁等の工事が進められており、志布志から夏井間については、日南・志布志道路として用地買収や工事等が進められております。
また、残る夏井から県境を含む串間市奈留間については、油津・夏井道路として、本年度新規事業化され、これにより本県域の全線で事業が進められることになりました。
また、南九州西回り自動車道については、薩摩川内水引インターから阿久根インター間の阿久根川内道路、出水インターから県境を含む芦北間の芦北出水道路のそれぞれにおいて、用地買収や工事等が進められているところであります。
地域高規格道路についても、都城志布志道路や北薩横断道路などで整備が進められており、このうち、都城志布志道路の末吉道路及び有明志布志道路においては、来年度の供用に向け、鋭意工事が進められているところであります。
一方、平成三十年三月に成立・公布された道路法等の一部を改正する法律において、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、重要物流道路制度が創設され、昨年四月には、高規格幹線道路や直轄国道など供用中の道路の一部が重要物流道路の指定を受けたところであります。
重要物流道路制度の創設を契機として策定される新広域道路交通計画等は、重要物流道路の指定や広域道路ネットワークの見直しなど、今後の計画的な道路整備や道路交通マネジメント等の基本となる計画であり、災害多発県である本県にとって重要な意義を有するものであることから、その策定に当たり、本県の地域特性を踏まえ、将来を見据えた計画とする必要があります。
そこで伺います。
第一点として、高規格幹線道路の整備状況及び今後の早期整備に向けた取組についてお示しください。
第二点として、地域高規格道路の整備状況及び今後の早期整備に向けた取組についてお示しください。
第三点として、新広域道路交通計画の検討状況等についてもお示しください。
次に、クルーズ船の受入環境整備及び臨港道路の整備についてであります。
国においては、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日クルーズ船旅客五百万人という目標を設定し、官民連携による国際クルーズ拠点の形成など、クルーズ船の受入環境整備に重点的に取り組んでいるところであります。
このような中、九州においては、先行する佐世保港や八代港において、本年、国際クルーズ拠点が運用開始すると聞いております。
鹿児島港においても、二十二万トン級のクルーズ船に対応した新たな岸壁の整備や、ロイヤル・カリビアン社の新たな旅客ターミナルの設計に向けた準備が進められるなど、官民連携による国際クルーズ拠点の形成に向けた取組が鋭意進められております。
また、マリンポートかごしまに整備された浮き桟橋を活用し、昨年末には、クルーズ船観光客の大隅方面へのツアーが実現したところであります。
観光は本県の基幹産業であり、平成二十九年に観光消費額が過去最高を記録した流れを今後とも続け、さらなる観光振興を図るためには、国の施策の展開を踏まえつつ、クルーズ船の受入環境整備を着実に進める必要があります。
一方、クルーズ船の寄港は、国際情勢や経済情勢の影響を大きく受けるとともに、今回の新型コロナウイルスに伴う水際対策の強化などの新たな課題も浮き彫りになったところであり、情報収集と対応に努めることが重要であります。
さて、この国際クルーズ拠点が運用開始されますと、十六万トン級と二十二万トン級のクルーズ船が並んで接岸できるようになり、一日に最大で一万人の観光客が訪れることとなります。
このため、臨港道路鴨池中央港区線の整備など、マリンポートかごしま周辺の道路における渋滞緩和の取組が喫緊の課題となってまいります。
特に、臨港道路鴨池中央港区線については、臨海部の渋滞緩和が期待されることから、県議会の整備促進議員連盟においても、昨年十一月、国に対し、早期整備を強く要望したところであります。
本県の観光振興のためには、クルーズ船の受入環境の整備と併せて、交通渋滞緩和に向けた取組を着実に進めていくことが極めて重要であると考えております。
そこで伺います。
第一点は、官民連携による国際クルーズ拠点の形成に向けた取組など、鹿児島港におけるクルーズ船の受入環境整備の取組状況をお示しください。
第二点として、クルーズ船寄港時の渋滞緩和にも資する臨港道路鴨池中央港区線の早期整備に向けた取組状況もお示しください。
また、臨港道路整備までの間のマリンポートかごしま周辺の道路における渋滞緩和の取組状況についても伺います。
次に、教育関係についてであります。
初めに、令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について伺います。
昨年十二月、スポーツ庁より、令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査、いわゆる全国体力テストの結果が公表されました。
全国の結果としては、握力、反復横跳び、五十メートル走、立ち幅跳びなど実技八種目の合計点平均は、昨年度まで上昇傾向でありましたが、小・中学校の男女とも一転して数値が低下しております。
この結果を受け、スポーツ庁は、幼児期の体力向上対策を議論する検討会議を設置することとし、子供の体力低下の背景にあると見られる、授業以外の運動時間の減少、スマートフォンなどの使用時間の増加など、運動・生活環境の状況を踏まえ、幼児期からの運動習慣の確立や学校体育施設の活用策などを検討し、今年六月までの取りまとめを目指しているとされております。
本県の公立学校においては、小学五年及び中学二年の実技八種目の合計点の平均は、男女とも七年連続で全国平均を下回りました。また、全国と同様、昨年度まで上昇傾向であった数値は低下し、小学五年男子は、二〇〇八年度の調査開始以降で最も低い数値となってきております。
県教委は、県教育振興基本計画において、二〇一八年に全国平均以下であった小学五年及び中学二年の男女の体力合計点の平均を、二〇二一年までに全国平均と同程度にし、二〇二三年には全国平均を上回るという数値目標を掲げておりますが、このような状況で果たして目標は達成可能なのでしょうか。
県教委では毎年度、本県の結果分析を行い、体力・運動能力等の向上に向けた取組を進めているところでありますが、今回の結果を踏まえ、児童生徒の体力向上につながる、より実効性のある取組が求められております。
そこで伺います。
第一点は、県教委では毎年度、本調査の鹿児島県結果分析を行い、体力・運動能力等の向上に向けた取組を進めているところでありますが、今回の結果を受けて、本県の現状及び課題について教育長の所感をお示しください。
第二点として、県教育振興基本計画の数値目標の達成に向けた県教委の今後のさらなる取組についても伺います。
[知事三反園 訓君登壇]
28 ◯知事(三反園 訓君)鹿児島港本港区エリアまちづくりに係る事業者公募のスケジュールについてであります。
事業者公募につきましては、公募に関心を寄せている民間事業者との対話を行うとともに、今月九日に、外部有識者等で構成する評価委員会を開催したところであり、それらの御意見等を公募要項案に反映させたところであります。
今議会において、公募要項案について御論議いただいた上で、三月中に公募を開始したいと考えております。
公募期間につきましては、九月末ごろまでの六か月間とし、その間に、民間事業者を対象として、公募要項等に関する説明会や対話を実施する予定であります。
提案締切り後には、評価委員会において提案内容の評価及び最優秀提案者の選定を行っていただき、年内には事業予定者を決定したいと考えております。
地域高規格道路の早期整備に向けた取組についてであります。
地域高規格道路につきましては、早期完成に向け、県開発促進協議会などあらゆる機会を通じ、国に対して予算の確保を強く要請するなど、整備推進に取り組んでいるところであります。
このうち、北薩横断道路につきましては、鹿児島空港へのアクセス機能を強化するために、鹿児島空港と野坂インター間およそ十四キロメートルを溝辺道路として、令和二年度の新規事業に採択されるよう国に要望しております。今月十三日には、地元選出国会議員や沿線の首長とともに、国土交通副大臣や財務省幹部などに直接面談し、要望を行ったところであります。
北薩横断道路の整備によりまして、輸送の定時性が確保されることから、北薩地域から国内外へ供給している工業製品や農水産物の信頼性や競争力が高まり、さらなる産業振興が図られますとともに、観光振興などにも資するものと期待しております。
大隅地域におきましては、都城志布志道路のうち、末吉道路及び有明志布志道路について、令和二年度中の供用に向け鋭意整備を進めております。
また、大隅縦貫道につきましても、今後とも全力で取り組んでまいります。
地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であることから、早期完成に向けて、引き続き、整備に必要な予算確保に努めるとともに、沿線自治体などと一体となって、重点的な整備に取り組んでまいります。
臨港道路鴨池中央港区線の早期整備に向けた取組についてであります。
臨港道路は、港湾物流の円滑化だけではなくて、臨海部やクルーズ船寄港時の渋滞緩和にも寄与する県民念願の重要な道路であります。
このため、県議会や県選出国会議員の皆様と、国に早期整備と予算確保を強く要請してきたところであり、先日成立した国の補正予算において、当初予算を大きく上回る十五億円が配分されました。
現在、国においては、鴨池港区側のブロック製作工事が進められているところであり、今回の補正予算を受け、いよいよ橋梁工事にも着手されることとなります。
また、臨港道路が完成するまでの間のクルーズ船寄港時の渋滞緩和策につきましては、県において、マリンポートかごしま入口の交差点改良に向け、関係者と協議を進めてきたところであり、来年度、交差点改良工事に着手するために必要な予算を計上したところであります。
県といたしましては、臨港道路鴨池中央港区線の早期整備が必要であると考えており、今後とも、国などと連携を図りながら、着実な整備の促進に取り組んでまいります。
29 ◯本港区まちづくり総括監(前田洋一君)鹿児島港本港区エリアまちづくりに係る評価委員会などについてでございます。
事業者の選定に当たりましては、客観性・公平性を確保する必要があることから、他県の事例などを参考に、都市計画や地域経済、観光分野の有識者や公認会計士、行政関係者八名で構成する評価委員会を設置したところであり、公募要項や評価基準、事業予定者の決定等について、客観的かつ公平な視点から御意見をいただくこととしております。
また、鹿児島市とは、グランドデザインの実現に向けて継続的に協議や意見交換を行ってきているところであり、提案に当たって、同市景観計画における景観形成基準等を遵守することや路面電車観光路線の検討状況を考慮することを求めるなど、いただいた意見を公募要項案に反映させたところでございます。
また、経済団体や中心市街地の商店街の代表者等とも継続的に意見交換を行ってきているところであり、中心市街地との融和性や回遊性等に配慮することを提案の条件とするほか、地元産業・経済への配慮・貢献を評価項目とするなど、いただいた御意見を公募要項案に反映させたところでございます。
次に、民間事業者の意見聴取の状況及び第一回評価委員会における論議等についてでございます。
民間事業者の意見聴取については、昨年十二月に公表した公募要項の素案について、一月十七日までに県内外合わせて十者と対話を行い、ウォーターフロントパークの緑地の扱いや県営駐車場の活用、あるいはホテルや集客施設に求められる条件などについて御意見や御質問をいただいたところでございます。
また、第一回評価委員会では、公募要項案や評価基準案等について御論議いただき、中心市街地との融和性や回遊性を重視する御意見をはじめ、景観への配慮やホテル等の評価の考え方などについて御意見をいただいたところでございます。
これらの御意見を踏まえて、公募要項案を作成したところでございます。
次に、北埠頭における港湾関係者等との協議の状況等についてでございます。
港湾関係者等とは継続的に意見交換を行ってきております。公募要項の素案公表後においても、約十一社ございますけれども、直接訪問した上で、同素案について説明をし、意見交換を行ってきております。
北埠頭については、港湾機能と一般利用の分離等の検討が必要でございます。引き続き、港湾関係者等と調整を図りながら、これらの課題について検討を進め、条件が整い次第、公募を検討したいと考えております。
次に、サッカー等スタジアムの整備に関する住吉町十五番街区の活用についてでございます。
住吉町十五番街区については、鹿児島市からの協議があれば、サッカー等スタジアムの候補地として前向きに検討することも可能ではないかと考えております。
鹿児島市においては、三か所の候補地について、それぞれ課題を整理し、検討しているところであるとしていることから、今後、同市から協議があるものと考えているところでございまして、同市からの協議内容を踏まえ、具体的な取組について検討することになると考えています。
30 ◯企画部長(古薗宏明君)サッカー等スタジアム整備に関する県の考え方についてであります。
サッカー等スタジアムの整備につきましては、先般の県市意見交換会において、今後さらに円滑な連携を図るため、県と市の事務レベルでの意見交換の場を設け、オール鹿児島で実現に向けて取り組んでいくことを確認いたしました。
県といたしましては、この意見交換の場において、これまでサッカー等スタジアムの整備に主体的に取り組まれてきた鹿児島市の考えをお聞きしながら、対応してまいりたいと考えております。
31 ◯土木部長(兒島優一君)高規格幹線道路の整備状況等についてであります。
南九州西回り自動車道の芦北出水道路につきましては、これまでにおおむね用地買収を終え、現在、橋梁工事や改良工事などが鋭意進められております。
また、阿久根川内道路につきましては、県及び薩摩川内市土地開発公社により、用地先行取得を行うとともに、西目から阿久根インター間においては、昨年度から工事が進められているところであります。
東九州自動車道につきましては、本年度、志布志市夏井から県境間が新規事業化され、これにより、県域の全区間において事業が進められております。
このうち、鹿屋串良ジャンクションから志布志間約十九キロメートルにつきましては、令和二年度中の供用に向け、全線にわたり改良工事等が進められているところであります。
また、志布志から夏井間につきましては、昨年十月に着工式が行われ、現在、用地買収や改良工事などが進められております。
高規格幹線道路は、本県の骨格をなす重要な道路であることから、本県の高速交通ネットワークが一日も早く整備されるよう、引き続き、県議会をはじめ、沿線自治体などと一体となって、国に対して強く要請してまいります。
次に、地域高規格道路の整備状況についてでございます。
地域高規格道路につきましては、国において鹿児島東西幹線道路を、県において都城志布志道路など三路線六区間の整備を進めております。
鹿児島東西幹線道路の田上インターから甲南間につきましては、現在、上荒田地区におきまして立坑工事が進められており、引き続き、シールド工法によるトンネル本体の工事に着手することとなっております。
北薩横断道路につきましては、広瀬道路及び阿久根高尾野道路において、用地買収や改良工事などが進められております。
都城志布志道路につきましては、志布志道路などにおいて、用地買収や改良工事等が進められており、このうち、末吉道路及び有明志布志道路においては、令和二年度中の供用に向け、鋭意整備を進めているところであります。
大隅縦貫道につきましては、吾平道路において、埋蔵文化財調査や改良工事などを進めております。
地域高規格道路は、広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であることから、早期完成に向け、引き続き重点的な整備に努めてまいります。
新広域道路交通計画の検討状況等についてであります。
新広域道路交通計画につきましては、まず、地域の将来像を踏まえた広域的な道路交通の今後の方向性を定める新広域道路交通ビジョンを策定し、このビジョンを踏まえ、高規格幹線道路や地域高規格道路など広域的な道路ネットワークを中心に、具体のネットワーク計画を策定するものでございます。
本県におきましては、これまで、有識者や県議会などから御意見を伺い、ビジョンの骨子を取りまとめたところでございます。
また、ビジョン及び計画の策定に当たり、物流拠点や交通拠点が集中する鹿児島市域においては、渋滞対策など解決すべき多くの課題があることから、同市域における広域道路ネットワークの在り方を検討するため、経済団体、道路利用者、学識経験者から成る懇談会を今月十日に開催し、意見を伺ったところであります。
新広域道路交通計画は、今後の計画的な道路整備や道路交通マネジメント等の基本となる重要な計画であることから、引き続き、本県の地域特性を踏まえ、将来を見据えた計画となるよう検討を進めてまいります。
次に、鹿児島港におけるクルーズ船の受入環境整備についてであります。
鹿児島港におきましては、国際クルーズ拠点の形成に向け、クルーズ船の受入環境整備に取り組んでいるところであります。
マリンポートかごしまでは、国やクルーズ船社と連携して取り組んでおり、現在、国において新たな岸壁の工事が、ロイヤル・カリビアン社において新たな旅客ターミナルの設計が進められているところであります。
県におきましては、ツアーバス等に対応した新たな駐車場の設計を行っており、既存の旅客ターミナルの雨天時等の利便性の向上を図るため、ターミナルに隣接するタクシー乗り場において、屋根の整備にも取り組んでいるところでございます。
また、本港区北埠頭では、上屋の事務所スペースを活用したクルーズ船観光客向けの待合場所の整備や、桜島フェリーターミナルのトイレの洋式化等に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、今後とも、本県の観光の発展に資するよう、クルーズ船受入環境の着実な整備に取り組んでまいります。
32 ◯教育長(東條広光君)教育関係につきまして、初めに、児童生徒の体力・運動能力の現状と課題についてであります。
児童生徒の体力・運動能力につきましては、御紹介ありましたように、毎年、小学五年生と中学二年生を対象とし、握力や五十メートル走など八種目で調査が行われております。
各種目を得点化した合計点で見てみますと、本県の平均は、両学年の男女ともに、全国平均に比べて低い状況にありますが、今年度は、小学五年女子、中学二年男女については、昨年度より全国との差は縮まったところであります。
なお、これまで上昇傾向にあった合計点は、今年度は、両学年の男女とも、全国平均と同様に低下しております。これは、同時に行われました運動習慣に関する調査の分析から、全国の状況と同様に、子供たちのゲーム機、スマートフォン等の使用時間が増え、運動時間が減少していることなどが原因として考えられるところであります。
種目別に見てみますと、本県の児童生徒は、ボール投げや立ち幅跳びについては、全国平均を上回るか、さほど遜色はありませんが、特に長座体前屈、これは、両足を伸ばしまして床に座り、上体を前に倒すものでありますが、この長座体前屈や上体起こしの数値が低い状況にありまして、体の柔軟性や筋持久力に課題があると考えているところであります。
次に、今後の体力向上に向けた取組についてであります。
県教委では、本県の児童生徒の体力・運動能力を令和三年度までに全国平均と同程度にし、令和五年度までには全国平均を上回るという目標を掲げ、教員を対象とした、運動好きな子供を育てるための研修会、子供たちが縄跳びや一輪車などの記録に挑戦する取組、体力アップ!チャレンジかごしま、運動が苦手な子供たちのための運動習慣育成教室など、体力向上に向けた取組を行ってきているところであります。
来年度からは、子供たちの体の柔軟性を高めるために、これまでの取組に加え、体力アップ!チャレンジかごしまの実施種目に新たな種目を加えるとともに、児童生徒の運動や遊びに対する関心を高め、運動習慣を育成するためのリーフレットも新たに作成・配布して、学校や家庭での活用を図ることとしています。
県教委としましては、今年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック、本県における「燃ゆる
感動かごしま国体・かごしま大会」の開催を、児童生徒のスポーツへの関心や参加意欲を高める好機と捉え、学校・家庭・地域と連携・協力して、運動好きな子供を育成し、体力の向上に向けた取組を一層推進してまいりたいと考えているところであります。
[日高 滋君登壇]
33 ◯日高 滋君 それぞれ御答弁頂きました。
鹿児島港本港区エリアの具体的な事業導入に向けては、これまでも再三にわたり指摘してきたところでありますが、県都鹿児島市のまちづくりや中心市街地との連携等の諸課題の検討が極めて重要であり、鹿児島市はもとより、関係団体等との具体的な協議を進めていくことが必要であると考えております。
したがって、今後の事業導入に向けては、事業者公募、評価委員会における客観的かつ公平な視点からの協議に加え、地元鹿児島市や関係団体をはじめ、県民に親しまれるエリアとして、幅広い意見を反映させていく取組を強く要望するところであります。
高規格幹線道路の整備状況等でありますが、高速交通ネットワークの形成については、
ミッシングリンクの早期解消に向けた一層の事業促進と、地域高規格道路の残る工事区間の早期整備、供用に向けて、引き続き積極的な取組を強く要望いたします。
また、重要物流道路の創設は、災害多発県である本県にとって重要な意義を有するものであり、本県の地域特性を十分に踏まえ、将来を見据えた広域道路交通計画の策定を要望いたします。
鹿児島港におけるクルーズ船の受入環境整備については、新たな岸壁などの整備が進められておりますが、重要な点は、これまでも度々指摘しているクルーズ客増に伴う交通アクセスの改善や、観光地の渋滞対策を含めたさらなる受入環境の整備などの課題への対応であります。
特に、臨港道路鴨池中央港区線の早期整備は喫緊の課題であり、引き続き国に対して強く働きかけるよう要望いたします。
また、浮き桟橋を活用した船舶による観光地への移動についても、船舶会社や旅行会社等と一体となったさらなる積極的な取組を要望いたしておきます。
全国体力テストについてでありますが、本県の公立学校における小学五年及び中学二年の実技の合計点平均は、男女とも七年連続で全国平均を下回り、小学五年男子は、二〇〇八年度の調査開始以降で最も低い数値となったことは、率直に、誠に残念な結果であると言わざるを得ません。
また、公立学校のみの本県の順位は、九州・沖縄八県で最下位という報道もあるなど、深く懸念するところであります。
鹿児島国体も開催される中、県教育振興基本計画の数値目標の達成に向けた県教委のさらなる奮起を強く促すところであります。
引き続き、教育関係についてであります。
教職員の働き方改革について伺います。
学校における働き方改革の一環として、県教委は、平成三十一年三月、国のガイドラインを参考にした、教師の勤務時間の上限に関する指針、及び中長期的な具体的取組を学校における授業改善のアクションプランとして策定いたしました。
この業務改善アクションプランは、二〇一九年度から二〇二一年度までの三か年計画で、学校における働き方改革を通じた教育の質の維持・向上を目的としており、上限指針に示している上限の目安の、正規の勤務時間を超える勤務は月四十五時間以内と、教職員の八〇%以上が業務改善が進んでいると実感することを目標としております。
なお、この指針における勤務時間については、登庁してから退庁するまでを基本とする在校等時間とのことであります。
県教委は、昨年十二月二十日に開催された教育委員会定例会において、この業務改善アクションプランに示した目標等に関し、学校及び教職員の取組についての実施状況を把握した第一回フォローアップ調査─中間調査─の結果を報告いたしました。
これによると、昨年九月における正規の勤務時間を超えた時間が四十五時間以内であった教職員は六五・三%、過労死ラインとされる八十時間以上の教職員は六・二%であったとされております。また、四十五時間以内であった教職員について、特別支援学校では九二%に対し、中学校は五一・五%にとどまっております。
また、業務改善が進んでいると実感しているかどうかについて、「十分感じている」「おおむね感じている」とした教職員は四七・九%にとどまっており、引き続き、目標達成に向けて取り組む必要があります。
そこで伺います。
第一点として、今回公表しました中間調査の結果について、現状の分析及び評価についてお示しください。
第二点は、業務改善アクションプランに設定した目標達成のため、県教委の今後のさらなる取組についてもお示しください。
次に、副教育長及び生徒指導総括監の設置について伺います。
先般公表されました令和二年度組織機構改正において、副教育長及び生徒指導総括監の設置が示されました。確かな学力の定着、生徒指導や特別支援教育の充実、教職員の資質・能力の向上、学校における働き方改革など多様化する教育課題に適切に対応し、本県教育のさらなる振興を図るため、副教育長を設置する。あわせて、学校における生徒指導体制の確立や教育相談の充実等を図り、生徒指導上の課題への迅速・的確な対応を推進するため、生徒指導総括監を設置するとされています。
そこで、副教育長及び生徒指導総括監の設置の背景及び狙いについてお示しください。
次に、警察関係であります。
運転者の交通安全対策について伺います。
近年、高齢運転者の関係する交通事故が増加し、全国における平成三十年の七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故は四百六十件で、全体の約一五%に当たるとされております。
高齢運転者のペダルの踏み間違いによる暴走や誤発進、加齢による注意力や身体機能の低下による操作ミスの防止など、高齢運転者の交通安全対策は緊要の課題となっております。
このため、国においては、六十五歳以上を対象に、自動ブレーキなどの安全機能を備えた安全運転サポート車─サポカー─購入時の補助や、七十五歳以上で一定の違反歴がある高齢者に対し、免許更新時の運転技能検査を義務化し、合格しなければ免許更新できなくすることや、高齢者本人の申請で取得できるサポカー限定免許制度の新設などの方針が検討されているところであります。
また、近年、報道や社会風潮を受け、運転免許を自主返納する高齢者が増えてきており、警察庁のまとめでは、平成三十年一年間の全国の運転免許返納者は約四十二万人と五年間で倍増し、うち九割超が六十五歳以上であったとされております。
しかし、高齢者や家族にとって、運転免許を返納した後の生活への影響は非常に大きく、公共交通機関が十分に整備されていない地域では、日常の買物や通院もままならないなど、移動手段を失うことで生活が激変するおそれがあります。
さらに、高齢者が運転をやめることで生活範囲が狭められ、心身の機能低下リスクを高めるといった調査研究もあり、七十五歳以上の免許保有者が令和五年に約七百十七万人に達すると予測される中、免許返納後の高齢者の生活を支える取組はますます重要となってきております。
一方、全国的にいわゆるあおり運転の被害が社会問題化し、昨年八月には、茨城県の常磐自動車道であおり運転をした男が逮捕され、各地で同様の事例が多発しているところであります。
このように、あおり運転が大きな社会問題となっていることを受け、警察庁は、現行の道路交通法にあおり運転自体を取り締まる規定がないことから、法を改正し、新たに罰則を創設する方針を固め、通常国会への法案提出を目指すとされております。
また、法務省は、あおり運転の危険運転致死傷罪の適用拡大に向け、自動車運転処罰法を改正する方針を明らかにしたところです。
そこで伺います。
第一点は、高齢運転者の交通安全対策についての県の取組について、まずお示しください。
第二点として、高齢者の安全運転を支える対策についての県警察の取組状況についてお示しください。
また、高齢運転者の運転免許を自主返納の状況と免許返納者の支援について、県警察の取組についてお示しください。
第三点として、本県におけるあおり運転の現状と取締りの強化に向けた取組状況についてもお示しください。
次に、環境林務関係についてであります。
気候変動への適応について伺います。
気象庁の発表によりますと、昨年は全国的に気温の高い状態が一年を通して続き、日本の年平均気温は一八九八年の統計開始以来、最も高温となったとのことであります。
近年、このような気温の上昇、大雨の頻度の増加や、高温による農作物の品質低下、動植物の分布域の変化、熱中症リスクの増加など、気候変動の影響が全国各地で起きており、今後、温暖化の程度が増大すると、深刻な影響が長期にわたり拡大するおそれがあると指摘されております。
本県においても、年平均気温は上昇しており、温室効果ガスの排出抑制などに取り組んでいるものの、将来的にはさらなる気温の上昇や真夏日・猛暑日の増加、年降水量の増加や短時間強雨の発生回数の増加などが予測されているところであり、農林水産業をはじめ、様々な分野にこれまで以上の影響が生じる可能性があります。
気候変動の影響に対処するためには、さらなる温室効果ガスの排出抑制に取り組むことはもちろん、既に現れている影響や中長期的に避けられない影響による被害の回避・軽減対策を関係者が一丸となって進めることが求められており、平成三十年六月には、気候変動適応法が制定され、国及び地方公共団体の責務等が定められたところであります。
国においては、気候変動適応計画が策定され、本県においても、平成三十年十二月に、鹿児島県地球温暖化対策実行計画を本県の地域気候変動適応計画として位置づけたところであります。
また、同法において、国は、気候変動適応に関する業務や研究を実施するための拠点として気候変動適応センターを置くこととし、都道府県等においても、地域の気候変動の影響及び適応に関する情報の収集や提供等を行う拠点となる地域気候変動適応センターの確保に努めるとされているところであります。
しかしながら、多くの都道府県等において、いまだ同センターは設置されておらず、地域における気候変動影響に関する取組はまさにこれから本格化するのではないかと考えております。
そこで伺います。
第一点として、気候変動適応法の施行を踏まえ、国及び県における取組状況を伺います。
第二点として、地域気候変動適応センターの設置について、県の考え方をお示しください。
また、同センターを設置する場合、センターで得られる成果を農林水産業など県政の各分野の施策へどのように活用していくのかもお示しください。
次に、県産材の利用拡大・供給体制の強化について伺います。
近年、度重なる集中豪雨や台風の襲来等により、河川の氾濫や土砂災害など多くの被害が発生しており、地球温暖化防止や土砂崩壊・土砂流出の防止、水源涵養など、森林の有する公益的機能が改めて注目されております。
県内の森林資源は、スギ・ヒノキの人工林を中心に本格的な利用期を迎えており、森林の適正な整備・管理による公益的な機能を持続的に発揮させながら、豊富な森林資源を循環利用することにより、林業の成長産業化を図る必要があります。
このような中、本県においては、近年、大型木材加工施設や木質バイオマス発電施設が稼働したほか、中国を中心とした東アジア等への木材輸出量も年々増加し、平成三十年度には前年度の約一・四倍の二十三万六千立米で過去最高を更新するなど、木材の需要の高まりに伴い、生産量も増加してきております。
しかしながら、本県においては、木材供給における県産材のシェアは五割程度にとどまっていること、森林の所有規模が零細となっていること、輸出する県産材のほとんどが低質の丸太となっていること、乾燥材等の品質の確かな製材品の流通量が少ないことなどが課題となっております。
また、昨年二月に日EU・EPA協定が発効し、林産物については、構造用集成材、SPF製材など十品目の関税が七年の段階的削減を経て八年目に撤廃されることとなり、長期的には、直接競合する国産の構造用集成材や無垢の製材品の価格下落のほか、生産量の減少が懸念されているところであります。
こうした中、今後とも、本県の林業・木材産業を安定的に成長させていくためには、さらなる県産材の利用拡大に向けた取組を促進するとともに、森林施業の集約化や路網整備などによる安定的な木材の生産・供給体制の整備、高品質なかごしま材の加工・流通施設の整備などによる木材産業の競争力強化を図るなど、県産材の利用拡大と供給体制の強化をバランスよく進めていく必要があります。
そこで伺います。
まず第一点目は、本県の木材生産の現状について伺います。
第二点として、県産材の利用拡大に向けた現在の取組及び今後の方針についてお示しください。
第三点として、付加価値の高い県産材をどのように安定供給していくのか、施設整備など供給体制強化に向けた取組状況についてお示しください。
34 ◯教育長(東條広光君)初めに、学校における働き方改革についての現状等についてであります。
昨年十月に実施しました業務改善アクションプランの取組状況等の中間調査によりますと、多くの学校がリフレッシュウイークの設定、ICT機器等を活用した事務処理及び校務データの共有化、部活動の休養日設定や複数の顧問による指導などに取り組んでおります。
一方、各学校ごとに全職員が取り組むワンアクションや、教職員一人一人がそれぞれに取り組むワントライの設定、専門スタッフや地域ボランティアの活用などについては、十分な取組が行われていなかったところであります。
また、業務改善に対する意識については、七四・三%の教職員が「業務改善に取り組んでいる」と回答しておりますものの、業務改善が進んでいると実感している教職員の割合は四七・九%となっております。
なお、正規の勤務時間を除く在校等時間が月四十五時間以内であった教職員の割合は、全校種で六五・三%となり、平成三十年六月に実施した調査の五五・四%と比較しますと、約一〇ポイントの改善が見られたところであります。
次は、学校における働き方改革の今後の取組についてであります。
県教委では、業務改善アクションプランに基づく取組として、県立学校におけるタイムカードの導入、スクールロイヤー活用の調査研究や、管理職研修会等を通じた本プランの理解・周知に努めてきたところであり、あわせて、今年度から令和三年度までの調査物・会議時間等の削減目標を立て、その削減に取り組んでおります。
また、来年度は、統合型校務支援システムの導入や部活動指導員の増配置を進めていくほか、職員から募集した業務改善に係る提言や、特に効果のあった取組を各学校に紹介し、さらなる業務改善の推進を図ることとしております。
こうした中、国は昨年十二月、学校における働き方改革を推進するため関係法の改正を行い、当該法律に基づき、先月、公立学校の教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定し、全国の各教育委員会に示したところであります。
県教委としては、引き続き、現行の業務改善アクションプランと、今回国が示した指針に基づき、学校における働き方改革に取り組み、業務改善を推進してまいりたいと考えております。
次は、新たな職の設置についてであります。
教育については、家庭や地域の教育力の低下、子供の学ぶ意欲や学力・体力の低下、規範意識や倫理観の欠如などが指摘され、また、本県におきましても、学力の向上、児童生徒の問題行動、特別な支援を必要とする児童生徒の増加、教職員の資質向上、学校における働き方改革の推進、高校教育の振興、教育の情報化の推進など、取り組むべき多くの課題が生じてきております。
こうした多様化する教育課題に適切に対応し、本県教育のさらなる振興を図るため、今般、教育委員会事務局において総合調整の役割を担う副教育長を置くこととしたところであります。
生徒指導につきましては、暴力行為やいじめ、不登校、自殺など児童生徒の問題行動が、教育関係者のみならず社会全体の憂慮するところとなっており、その解決を図ることは教育の喫緊の課題であります。加えまして、スマートフォンやインターネット接続機器などの普及に伴う児童生徒のネット依存や、SNSの利用によるトラブルなど、新たな課題も生じております。
また、平成二十六年に発生した県立高校における重大事態について、事案発生後の学校や教育委員会の対応の在り方に対し指摘がなされております。
こうした状況を踏まえ、学校における組織的な生徒指導体制の確立や教育相談の充実等、いじめや不登校等の生徒指導上の諸課題に対する一体的な取組を行うとともに、重大事態等の際に県教委として迅速・的確な対応を推進するため、教育次長兼補の生徒指導総括監を置くこととしたところであります。
35 ◯男女共同参画局長(迫 貴美君)高齢運転者の交通安全対策に関する県の取組についてでございます。
県内の六十五歳以上の高齢運転者による交通事故発生件数は年々減少傾向にあるものの、交通事故全体に占める割合は増加傾向にあることから、本県におきましても、高齢運転者の交通安全対策は重要な課題であると認識しております。
そのため、県におきましては、地域活動で中心的役割を担う高齢者等を対象に、参加・体験・実践型の交通事故防止講習会を県内七会場で開催しましたほか、自動ブレーキなどの安全機能を備えた安全運転サポート車、通称サポカーの普及啓発などに取り組んでいるところでございます。
また、今年度は、NPO法人や自動車学校との協働により、高齢者を対象に、運転に必要な身体機能や認知機能の維持を目的としたトレーニング教室を県内五会場で開催したところでございます。
高齢運転者の交通安全対策につきましては、国のサポカー購入時の補助やサポカー限定免許制度の導入などの動向を踏まえつつ、県といたしましては、県警をはじめ関係機関・団体と連携しながら、取組を推進してまいります。
36 ◯警察本部長(大塚 尚君)高齢者の安全運転を支える対策についてでございます。
県警察では、高齢者の安全運転を支える対策として、各種資機材により身体機能の低下を自覚していただいた上で、身体機能の低下を補う運転方法の広報啓発のほか、家族など高齢者以外の方に対し、高齢者の特性を理解していただく教育に取り組んでおります。
また、安全運転サポート車の普及啓発、運転免許の自主返納者に対する支援策の拡充や代替交通手段の確保などについて、関係機関・団体に働きかけを行っております。
次に、高齢者の運転免許自主返納の状況と免許返納者の支援についてでございます。
本県における高齢者の運転免許の自主返納者数は年々増加しており、令和元年中は、前年より千五百五十九人増加して七千五百九十七人で、五年前に比べると二倍以上となっております。
県警察では、免許返納者への支援として、自治体等の関係機関・団体との連携を強化し、自主返納者の利便に資する各種支援施策の充実のための働きかけを行うとともに、自主返納制度や各種支援施策を周知させるための広報を行っているところであります。
次に、あおり運転の現状と取締り強化に向けた取組状況についてでございます。
県警察では、令和元年中、いわゆるあおり運転に関する一一〇番通報や要望・相談を七百五十三件受理しており、うち百十二件について運転者等に指導・警告を行い、客観的に立証できた三件の事案について、暴行や脅迫等で検挙するなど厳正に対処しております。
また、高速道路において、あおり運転につながるおそれの高い車間距離保持義務違反を百八十三件検挙しているところでございます。
あおり運転に関する相談件数は増加傾向にあり、社会的な関心が高まっていることから、県警察としては、あおり運転につながる可能性の高い交通違反の指導取締りを強化しているほか、あらゆる法令を駆使して、悪質・危険な運転者に対する厳正な捜査の徹底を図っているところであります。
37 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)気候変動への適応についてお尋ねがありました。
まず、気候変動適応法に係る国や県の取組についてであります。
国においては、平成三十年六月に気候変動適応法を制定し、気候変動適応に関する施策を総合的に推進するとしたところであります。
同法に基づき、国は、気候変動適応計画を策定し、自然災害や農林水産業など七つの分野において、効果的な気候変動適応の推進を図るとともに、適応の情報基盤の中核として、国立環境研究所気候変動適応センターを設置するなどの取組を行っております。
本県においても、同法に基づき、県地球温暖化対策実行計画に、新たに、自然災害や農林水産業、生態系など七つの分野における気候変動の影響及び適応策等を盛り込み、平成三十年十二月に、この計画を本県の地域気候変動適応計画に位置づけたところであります。
同計画に基づき、本県で実施している気候変動適応に係る事業を一元的に把握するとともに、その実施状況の点検を行っているところであります。
地域気候変動適応センターの設置についてであります。
気候変動適応法において、都道府県等は、地域における気候変動影響や適応に関する情報の収集・提供などを行う体制を確保するよう努めるとされており、本県においては、令和二年度に、県環境保健センター内に地域気候変動適応センターを設置する計画としております。
同適応センターにおいては、関係機関が、気象観測データ、気候変動影響の予測、気候変動適応策の優良事例等の情報を共有することとしており、例えば、農業の分野では、これらの情報が高温耐性品種の開発などに活用されるものと考えております。
また、同適応センターが気候変動に関する情報を発信することにより、例えば、熱中症を予防する意識が高まるなど、県民の方々の気候変動に適応した行動につながるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、県産材の利用拡大・供給体制の強化についてのお尋ねのうち、本県の木材生産の現状についてであります。
本県のスギ・ヒノキの人工林は本格的な利用期を迎え、伐採の形態も間伐から主伐に移行する中で、大型木材加工施設や木質バイオマス発電施設の稼働、東アジア等への木材輸出の拡大などにより、木材需要は増加してきております。
こうした状況に伴い、木材生産量も年々増加しており、平成三十年度は約百二十五万立方メートルとなり、十年前に比べ約二・六倍となっております。
県としては、今後とも、森林資源の循環利用を図りつつ、木材生産量を安定的に増加させることとしており、県森林・林業振興基本計画において、令和十年度の木材生産量を百五十万立方メートルとする目標を掲げているところであります。
県産材の利用拡大に向けた取組等についてであります。
県産材の利用拡大については、木材輸出や木質バイオマス利用の促進などに取り組んでいるほか、イベント等を活用したかごしま材の普及、かごしま材を積極的に利用したかごしま木の家づくり、公共施設等の木造化・木質化等を推進しているところであります。
また、非住宅分野への活用も期待されるCLT─直交集成板─やツーバイフォー工法部材の利用促進を図るため、建築士等を対象とした技術講習会の開催や、設計事務所等に対する専門家の派遣などに取り組んでいるところであります。
県としては、引き続き、これらの取組を一体的に進めてまいります。
付加価値の高い県産材の供給体制強化に向けた取組についてであります。
住宅建築においては、安全で快適な住環境を創出するため、品質や性能が確かで信頼性の高い製材品が求められており、県におきましては、品質管理等において条件を満たした工場で生産される高品質な認証かごしま材の利用拡大に努めております。
また近年、本県において、より付加価値の高い製材品であるCLTやツーバイフォー工法部材等を製造する木材加工施設が稼働したところであり、これらの整備に対しても支援を行ってきたところであります。
さらに今般、湧水町の県立高校跡地に、CLTやツーバイフォー工法部材を活用した建材やユニット住宅等を製造する施設が整備される計画が進められており、地域林業の活性化に資するものと考えております。
県といたしましては、今後とも、木材の生産、加工・流通、需要創出のそれぞれの段階において、関係機関・団体と連携を図りながら、さらなる県産材の利用拡大と供給体制の強化に努めてまいります。
[日高 滋君登壇]
38 ◯日高 滋君 それぞれ御答弁頂きました。
教職員の働き方改革についてでありますが、昨年一月の中央教育審議会の教員の働き方改革に関する答申に対しては、残業が常態化している現場の戸惑いの声や実効性の確保を懸念する報道が目立つなど、答申内容をいかに実現していくかが課題であります。
県教委においても、現場の実態を十分に踏まえつつ、実質的かつ着実な改革に向けて取り組まれるよう要望いたしておきます。
副教育長及び生徒指導総括監の設置の背景及び狙いについての答弁がありました。
多様化する教育課題への的確な対応と生徒指導の強化等を推進するとのことであり、今後の取組を注視してまいりたいと思います。
運転者の交通安全対策についてでありますが、県警では、安全運転サポート車の体験会を各地で開催しております。
一方、肝付町においては、人工知能─AI─を活用した乗合タクシーの本格運行が始まっております。高齢化が進行する中、高齢者の安全運転や免許返納後の生活を支えるこれらの取組がさらに加速化される必要があります。
また、悪質・危険なあおり運転に対する交通取締りの強化は当然であり、さらなる対策に努めていただくよう要望いたしておきます。
地球温暖化に伴う気候変動により、世界的に深刻な影響が拡大するおそれが指摘される中、地域の気候変動の影響及び適応に関する拠点となる地域気候変動適応センターの設置が必要であり、また、センターで得られる成果を、農林水産業などの県政の各分野と連携し、具体的に活用していくことが極めて重要と考えるところであります。県の積極的な取組を要望いたしておきます。
県産材の利用拡大・供給体制の強化についてでありますが、志布志港における木材輸出の順調な伸びに加え、中国が日本産木材を住宅用構造材に認定して解禁したことで、将来的に付加価値の高い製品を含めた輸出拡大が期待されます。
林業・木材産業の成長産業化に向け、県産材の利用拡大と供給体制の強化に向けたさらなる取組と、林業担い手の確保・育成にも力を入れていただくよう要望いたします。
次に、くらし保健福祉関係であります。
医師及び看護師等確保対策について伺います。
本県では、全国に先駆けて高齢化が進行し、多くの有人離島や僻地を有するなど、医療需要に応じた医師偏在対策が重要な課題となっております。
県では、深刻化する地域の医師不足の現状に対処し、地域に必要な医師配置の方向性を示した地域医療支援法策を定めるとともに、鹿児島県保健医療計画を策定し、医師の地域的偏在や、小児科・産科など特定の診療科の医師不足を解消するため、医師修学資金貸与制度における地域枠の創設、ドクターバンクかごしまの運営、地域医療支援センターの設置など、関係機関と一体となって総合的な医師確保対策に取り組んできたところであります。
また、平成三十年医師・歯科医師・薬剤師統計の結果によりますと、全国の医師数は三十二万七千二百十人で過去最多を更新しているものの、なり手不足が問題となっている産婦人科・産科医や外科医は減少するなど、全国的にも、医師の偏在は、地域間や診療科目のそれぞれにおいて長きにわたり課題とされながら、いまだ解消が図られていない状況であり、平成三十年七月に成立しました改正医療法においては、都道府県は、医師偏在の解消を目指し、国が新たに導入する医師偏在指標を踏まえ、新たに医師確保計画を策定することとされたところであります。
このため、本県においても今年度中に、鹿児島県保健医療計画の一部として鹿児島県医師確保計画を策定し、医師偏在指標に基づく医師確保の方針、確保すべき目標医師数、目標の達成に向けた施策内容といった一連の方策を定めることとしており、今後、医師確保については、これまでの取組の成果を生かしつつ、新たな計画に基づき、真に実効性のある取組を着実に進めることが望まれているところであります。
一方、看護師等の確保については、昨年十一月に国が中間取りまとめとして公表しました需給推計によると、本県における二〇二五年時点の看護職員は二千百四十八人不足する見込みであることから、養成支援のほか、離職防止や再就職支援等の人材確保対策が重要となっているところであります。
そこで伺います。
第一点は、本県におけるこれまでの医師確保の取組と成果についてお示しください。
第二点として、新たに導入された医師偏在指標の考え方と、医師偏在指標に基づく本県の医師の地域的偏在、診療科偏在の状況についてお示しください。
第三点として、鹿児島県医師確保計画案における方針と目標、目標達成に向けた今後の施策についてお示しください。
第四点は、看護師等確保対策への取組についてお示しください。
次に、
新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
本日午前中、藤崎議員が冒頭でも述べましたが、
新型コロナウイルス感染症については、昨年末に中国湖北省武漢市で発生して以降、中国を中心に感染が拡大し、今月二十四日現在、我が国を含む三十二の国・地域で七万九千三百六十九人の感染が確認され、死者は二千六百十九人に達しております。
我が国においては、世界保健機関─WHO─の緊急事態宣言を受け、
新型コロナウイルス感染症を感染症法に基づく指定感染症とする政令を二月一日に前倒しで施行しております。
また、日本への入国申請時から十四日以内に湖北省に滞在歴のある外国人の入国や、
新型コロナウイルス感染症を発症したおそれのある乗客が確認されたクルーズ船の入港を拒否するなど、水際対策を強化してきているところであります。
こうした状況の中、一月十六日に国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、感染者の発生が相次ぎ、感染者の死亡も国内で初めて確認されるとともに、最近では、感染経路を特定できない感染者が発生している事態となっております。
政府においては、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、今月十三日には、ウイルス検査体制の強化など当面緊急に措置すべき対応策を決定するとともに、昨日二十五日には、感染拡大を防止するための基本方針を決定したところであります。
本県においても、感染者の国内発生等を受けて、
新型コロナウイルス感染症に係る対策会議や鹿児島港港湾保安委員会が開催され、それぞれ、
新型コロナウイルス感染症への対応や水際対策への連携を確認したところであり、既に県民からの相談体制や医療体制、ウイルス検査体制など、今般の
新型コロナウイルス感染症に備えた対応を講じているところであります。
一方、新型コロナウイルス集団感染が確認されたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスについては、一月二十二日に本県に寄港した際、新型コロナウイルスに感染した乗客が鹿児島市内のバスツアーに参加していたことが明らかとなりましたが、県内での感染者は確認されておりません。
感染症については、これまでも、東アジアを中心に流行したSARSや、日本で大規模な感染を起こしたO157など、新たな疾患が出現してきました。旅行や経済活動のグローバル化が進み、航空交通網の発達などにより、感染症が一挙に広がりかねない状況においては、さらなる感染症対策の充実・強化が重要となっております。
そこで伺います。
新型コロナウイルス感染症の現状と、本県における水際対策や感染拡大防止対策の取組状況についてお伺いいたします。
次に、幼児教育・保育無償化について伺います。
昨年十月の幼児教育・保育の無償化の開始から、五か月が経過しようとしております。
無償化については、保育所の利用者が想定を上回ったことなどから、国においては、今年度分の財源が不足し、補正予算で四百九十三億円を計上したほか、来年度予算においては、地方負担分も合わせ、当初の見込額を上回る八千八百五十八億円を計上いたしております。
また、待機児童解消に向け、五万五千人分の保育所整備や保育士の賃金引上げに、地方分を含め七百二十二億円を充てているところであります。
幼児教育・保育の無償化の開始に当たっては、保護者の経済的負担が軽減される一方、潜在的な保育需要が掘り起こされることによる待機児童の増加が懸念され、受皿づくりや保育士などの人材確保が課題とされるとともに、国が定める指導監督基準を満たさない認可外保育施設についても五年間の経過措置の間は無償化されたことから、保育の質や安全性の確保が重要な課題とされていたところであります。
このような課題について、県においては、保育所等の受皿整備については、市町村が策定する令和二年度を始期とする、次期子ども・子育て支援事業計画に基づき、県において支援計画を今年度中に策定し、国の交付金等を活用して市町村の保育所整備の取組を支援することとしております。
保育士確保については、本年度から新たに、保育士養成施設の学生に対する修学資金の貸付けを行っているほか、今月からは、県内での就業を希望する保育士の情報を登録する鹿児島県保育士人材バンクの試行運用を開始したところであります。
また、認可外保育施設については、無償化の開始前までに、県所管の全ての施設の立入調査を実施するなど、質の確保に取り組むこととしていたところであります。
幼児教育・保育の無償化については、対象となる認可外保育施設の基準を市町村が条例で定めることができるとされているものの、全国的に独自に定めている市町村は少ない状況であります。
また、他県においては、無償化に合わせて、理由のない利用料引上げを行う事例もあるなど、問題も指摘されております。
そこで伺います。
第一点は、幼児教育・保育の無償化の開始によって、県内の現場はどのような状況にあるのか、伺います。
第二点は、無償化の開始に当たって課題とされた保育所等の受皿づくりや保育士などの人材確保について、県の今後の取組についてお示しください。
第三点として、無償化の開始からこれまでに見えてきた課題と今後の取組についてもお示しください。
最後に、県立病院局関係であります。
県立病院の経営安定化について伺います。
県立病院は、これまで、事業改革基本方針や中期事業計画、平成二十九年三月に策定された第二次中期事業計画などに基づき、県民の医療ニーズに対応し、高度・良質な医療を提供することを基本とし、地域の中核的医療機関として、他の医療機関との役割分担・連携を図りながら、一般医療のほか、公的医療機関でなければ対応困難な政策医療や高度・専門医療及び二次救急医療等を提供しております。
また、各県立病院が置かれている地域の特性等を踏まえ、がんの専門的な医療や周産期医療などをはじめ、地域に不足する医療の提供に努めているところであります。
経営面においては、平成三十年度決算について、五病院全体では経常収支が十年連続、資金収支が十三年連続で黒字となり、第二次中期事業計画に掲げました収支目標を達成するなど、様々な経営改善方策に一丸となって取り組んだ成果が得られたところであります。
しかしながら、経常収支・資金収支の黒字幅は平成二十九年度より減少してきており、個々の病院ごとに見ると赤字の病院もあり、特に、大島病院では大幅な患者の減少により経常収支が十五年ぶりに赤字になるなど、厳しい状況となってきております。
また、昨年十月からの消費税増税のほか、診療圏人口の著しい減少に伴う患者の減少や深刻な医師不足、診療報酬の改定、医師の働き方改革、会計年度任用職員制度の導入など、引き続き大きな課題や不安定要因に対応していく必要があり、県立病院を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと予想されます。
このような中、今後も、第二次中期事業計画に基づき、地域における役割を担いながら、県立病院を取り巻く課題へ取り組み、医療機能の一層の充実・強化や経営のさらなる安定化を図っていく必要があります。
そこで伺います。
第一点は、第二次中期事業計画に掲げた収支目標の令和元年度の達成見通しと、それを踏まえた令和二年度の取組についてお示しください。
第二点として、特に経営状況の厳しい大島病院における経営改善に向けた取組についてもお示しください。
[知事三反園 訓君登壇]
39 ◯知事(三反園 訓君)医師確保の取組と成果についてであります。
地域の医師不足の現状に対応するために、県内における医師の確保・育成に全力で取り組む必要があります。このため、医師の総数を確保しつつ、地域的偏在や特定診療科の医師不足の解消を図ることとし、これまで、いわゆる地域枠を含む医師修学資金の貸与や初期臨床研修医等の確保、特定診療科の医師派遣など、総合的な医師確保対策に取り組んできたところであります。
このうち、地域枠につきましては、平成十八年度以降、二百四名に修学資金を貸与しており、来年度は、地域枠の定員を三名増員し、十八名とすることとしております。
このような取組により、今年度は自治医科大学卒業医師と合わせて三十二名をへき地診療所や県立大島病院など十八か所に配置しております。
また、初期臨床研修医の確保につきましては、三年連続で百名を超える数を確保するとともに、初期臨床研修修了後の専門医制度の下で、県内で研修を開始する専攻医についても、今年度、百七名を確保したところであります。
特に、産科医の確保につきましては、鹿児島大学医学部産婦人科教授など関係者との意見交換を行い、中長期的な視点に立った取組にも努力してきております。短期的には、今年度、産科医が不足する地域の中核病院に産科医二名を派遣し、来年度はさらに一名を増員することとしております。
看護師等確保対策への取組についてであります。
本県における看護職員につきましては、地域により深刻な人手不足が顕在化している上に、今後さらに高齢化が進むことを踏まえれば、一層の確保対策に全力で取り組む必要があります。
このため、令和二年度に医師・看護人材課を新設し、看護人材確保・育成を担当する参事を中心に、本県の看護職員の確保・育成に係る施策の方向性を明確にするための看護職員確保戦略を策定するなど、看護職員の確保・育成の取組を強化することとしております。
また、看護職員修学資金の貸与や看護師等養成所への助成等による看護職員の養成支援、院内保育所への助成や新人看護職員への研修体制の充実、就業に関する相談指導等による離職防止や再就職の促進にも努めてまいります。
今後とも、県内のどこにいても安心して医療を受けられるように、県看護協会や県医師会等、関係機関と一体となって、看護職員の確保に全力で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
国内での感染者の発生等を受けまして、去る一月三十一日及び二月十七日に、私を本部長とする
新型コロナウイルス感染症に係る対策会議を開催いたしました。県医師会、感染症指定医療機関、検疫所、保健所等の感染症に関わる関係機関の現在の取組状況について情報共有を図り、連携して感染症対策に取り組むことを確認いたしました。
また、昨日二十五日の第三回目の会議では、安心・安全の確保に細心の注意が必要な社会福祉施設や介護施設、学校などの関係の方にも出席いただきました。
会議では、鹿児島大学病院の西教授から、社会福祉施設、学校、保育所等における感染症対策についての留意事項の説明、現場における具体的な対策に係る意見交換が行われ、出席した関係者において、対応に万全を期すことを確認したところであります。
相談・診療体制につきましては、現在、電話での相談を通じて、感染の疑いのある方を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐための調整を行う、帰国者・接触者相談センターを県内二十四か所に開設しております。また、本日現在、二十四の医療機関に帰国者・接触者外来を開設しております。
県環境保健センターにおけるウイルスの検査は、所要時間がおよそ六時間、一日当たりおよそ三十件の処理が可能となっているところであります。
県民に対しましては、県ホームページ、マスメディア等を通じ、手洗いやせきがあるときのマスク着用など感染症対策の徹底の呼びかけ、必要な情報提供を行っているところであります。
なお、水際対策につきましては、国の機関である鹿児島検疫所支所が、空港や港においてサーモグラフィー等による健康状態の確認を徹底しております。
国におきましては、感染経路を特定できない患者が国内で発生している状況等を受けて、感染がさらに拡大するかどうかの移行期の段階にあるとしております。
また、昨日二十五日に、国民が一丸となって感染症対策をさらに進めていくために講じていくべき対策を総合的に示した、
新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が決定されたところであります。基本方針の重要事項として、適切な相談をせずに医療機関を受診すると感染リスクが高まること、テレワークや時差出勤を推進することなどを国民や企業に呼びかけております。
また、地域に患者数が継続的に増えた状況になった場合に、広く外出自粛の協力を求める対応にシフトすること、患者数が大幅に増えた場合の外来対応については、一般の医療機関においても感染対策を講じた上で、感染を疑う患者を受け入れることなどが盛り込まれたところであります。
この基本方針も踏まえながら、感染症対策の徹底や的確な相談対応を行うなど、引き続き、関係機関と連携を密にし、対応してまいります。
40 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)医師の地域的偏在、診療科偏在の状況に関しまして、医師偏在指標の考え方等についてでございます。
医師偏在指標は、三次医療圏・二次医療圏ごとに医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示すために、地域ごとの医療ニーズや人口構成等を踏まえて、国が提示した算定方式により設定した指標であります。
県は、その上位三分の一以内を医師多数区域、下位三分の一以内を医師少数区域に定めることができるとされ、この分類上、本県は、都道府県単位ではどちらにも該当しませんが、二次医療圏単位では、鹿児島医療圏が医師多数区域に、出水、曽於、熊毛の三医療圏が医師少数区域に該当しております。
また、診療科偏在につきましては、現在、産科・小児科の医師偏在指標が示されており、本県はいずれの診療科も都道府県単位で医師少数区域に該当し、医療圏単位で見ますと、産科は、六医療圏中、薩摩と奄美を除く四医療圏が、小児科は、六医療圏中、薩摩を除く五医療圏が医師少数区域に該当しております。
医師確保計画案に関して、その方針と目標等についてでございます。
医師確保の方針につきましては、医師少数区域に該当する出水、曽於、熊毛の三医療圏について、それぞれの医師偏在指標が計画期間の令和六年三月までに全国の下位三分の一以内を脱することができるよう、総合的な医師確保対策に取り組むこととしております。
そのための目標医師数は、出水医療圏は現状の百二十八人を維持し、曽於医療圏は現状より三人多い七十八人、熊毛医療圏は五人多い五十四人を確保することとしております。
目標達成に向けては、地域枠医師・自治医科大卒医師の配置をはじめ、グループ診療による医師派遣の検討など医師の派遣調整に関する施策や、医師のキャリア形成を支援するための施策、勤務環境を改善するための施策などに取り組むこととしております。
また、産科・小児科につきましては、分娩手当を支給する産科医療機関への助成、産科医確保に取り組む市町村等への財政支援、医師修学資金貸与制度における特定診療科枠の設定などの施策に取り組むこととしております。
41 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)まず、無償化の開始による県内の現場の状況についてでございます。
県が今月、市町村に対して実施いたしました、幼児教育・保育の無償化開始後の影響等に関するアンケート調査によりますと、令和二年度の保育所等の利用申込み児童数は、三十四市町村が「余り変わらない」とし、三町が「無償化の影響で増加している」との回答でございました。
市町村へは、保護者から、制度の分かりにくさや副食費の負担についての意見などがあり、また保育所等からは、副食費の未納者への対応や徴収事務の増加に苦慮しているとの意見が寄せられているとの回答でございましたが、現場においては大きな混乱は生じていないと聞いているところでございます。
次に、保育所等の受皿づくりや保育士等の人材確保に関する県の今後の取組についてでございます。
保育所等の受皿づくりにつきましては、各市町村が今年度策定します子ども・子育て支援事業計画に基づき、今後、保育所等の定員増を図っていくこととしており、引き続き、県では、国の交付金等を活用した保育所等の整備の支援や助言を行うこととしております。
また、保育士などの人材確保につきましては、保育士養成施設の学生に対する修学資金等の貸付けを引き続き行い、質の高い保育士の確保や県内定着を図ることとしております。
あわせまして、県内での就業を希望する潜在保育士等を登録いたします、鹿児島県保育士人材バンクWebシステムを今年度設立し、令和二年度から運用を開始することとしておりまして、これを活用することにより、市町村における保育人材確保対策を支援することといたしております。
次に、無償化の開始からこれまでに見えてきた課題と今後の取組についてでございます。
幼児教育・保育の無償化に当たりましては、その円滑な実施のため、今年度は、国の担当者をお招きして、実施主体である市町村への説明会や情報交換会を開催したほか、令和二年度におきましても、国の補助金を活用して市町村における事務費等の支援を行うことといたしております。
県といたしましては、引き続き、幼児教育・保育の質や安全性の確保が重要な課題だと考えており、特に、認可外保育施設につきましては、適正な保育内容及び保育環境を確保するため、国が策定した認可外保育施設指導監督基準を満たさない施設についても、五年間は無償化の対象とされたことから、この指導監督基準が遵守されるよう、今年度は、県所管の全ての認可外保育施設の立入調査を実施するとともに、設置者、従事者等を対象とした質の向上・確保のためのセミナーを開催したところでございます。
また、令和二年度におきましては、このような取組に加え、新たな取組として、指導監督基準の遵守や重大事故防止のための助言等を行います巡回支援指導員を設置することといたしております。
これらの取組を通じまして、幼児教育・保育の質の確保の向上や安全性の確保が一層図られるよう取り組んでまいります。
42 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)県立病院の令和元年度における収支目標の達成見通し等についてであります。
令和元年度は、前年度との比較では、五病院全体で入院・外来ともに患者数及び診療単価が増加しており、診療収益は大幅な増収となっているものの、費用面で給与費や経費が収益以上に増加していることにより、第二次中期事業計画に掲げた経常収支及び資金収支の黒字化という収支目標の達成は厳しい状況となっております。
このため、令和二年度における収益確保対策としましては、北薩病院の呼吸器内科医師を一名増員し、また、鹿屋医療センターの脳神経外科医師の一名欠員を解消するとともに、大島病院のリニアックを更新することにより、これまで島外で実施していた高精度放射線治療を可能とするなど、患者増を図ることとしております。
さらに、施設基準の新規取得や、姶良病院に精神科急性期病棟を整備することなどにより、診療単価のアップを図ることとしております。
費用につきましては、各病院に設置した診療材料費削減プロジェクトチームによる診療材料費の削減など、引き続き経費節減に取り組むとともに、今年度は、新たなワーキンググループとして在庫管理部会を設置し、診療材料等の在庫管理手法について検討を行っているところであります。
県立病院局としましては、このような地道な経営努力を続けるしかないと考えており、今後とも、職員一丸となって、収支目標の達成に向けて努力してまいりたいと考えております。
続きまして、大島病院における経営改善に向けた取組についてであります。
大島病院は、現在、急性期病床のみで運営しておりますが、診療圏人口の減少などの影響を受け、入院患者の確保が困難になっているところであります。
また、平成二十八年十一月に策定されました奄美医療圏の地域医療構想による今後の必要病床数は、急性期病床が過剰である一方で、回復期病床が大幅に不足しているところであります。
このような現状を踏まえ、引き続き、地域の医療ニーズに応え、不足する医療を提供するという県立病院としての役割を果たすとともに、経営の安定化に資するように、本年四月から一病棟を休止した上で、病床の転換も視野に入れた検討を行うこととしております。
このほか、今年度初めて県病院祭りを開催するなど、地域住民に親しまれる病院づくりに取り組むとともに、平成二十九年度から整備を進めてまいりましたリニアックの更新により医療機能の充実を図るなど、中長期的な患者確保に努めることとしております。
大島病院としましては、今後とも、地域の医療ニーズに対応し、高度・良質な医療提供をするとともに、地域の医療機関と連携しながら、患者や診療収益の確保を図り、経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。
[日高 滋君登壇]
43 ◯日高 滋君 それぞれ御答弁頂きました。
医師・看護師等確保対策についてでありますが、地域の医療提供体制の維持・充実を図るため、引き続き、総合的な医師及び看護師等確保対策に取り組まれるよう要望いたします。
特に、私どもの離島地域においては、さらに厳しい状況にあることから、実情を踏まえたきめ細かな取組を強く要望いたしておきます。
新型コロナウイルス感染症への対応でありますが、本県にも寄港したダイヤモンド・プリンセス船内の急激な感染拡大に加え、感染経路が明らかでない国内各地での広がりに県民も大きな不安を感じております。
さらなる拡大が避けられない状況のもと、関係機関と連携した万全の感染拡大防止対策の強化に努めていただくよう強く要望いたしておきます。
幼児教育・保育無償化については、保育の受皿の整備や保育士等の人材の確保、保育の質の確保など、様々な課題が指摘されております。
保育士などの人材確保については、修学資金の貸与や保育士人材バンクが言われておりますが、先ほどの離島での医師・看護師確保と同じく、保育人材確保も、もはや一つの幼稚園や保育園だけでは解決できない状況まで追い込まれております。入園を希望する子供たちがいても受け入れられない状況になりつつあります。それぞれの地域に合った具体的な取組や対策をしていかなければ、子供・子育て支援の実現にはほど遠いものとなってしまいます。
市町村ともしっかりと連携し、円滑な実施に向けた支援と指導監督体制の強化に努めていただくように要望いたします。
最後に、県立病院についてでありますが、様々な改善方策に取り組まれた結果、全体では経常・資金収支の黒字化を達成し、地域の中核医療機関として高度・専門医療の充実が図られてきております。しかしながら、今後の病院経営において、県立病院を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続く中、引き続き、医療機能の充実・強化や経営のさらなる安定化に努めていただくように強く要望いたします。
以上、県政の課題について、午前・午後と質問してまいりました。知事をはじめ執行部の皆さんが、財政不足の中、あらゆる工夫をされ、新年度予算が提出されました。これまで申し上げてまいりました課題や政策が確実に実行・実現され、安全で安心して生活できる、活気あふれる魅力ある鹿児島県になるように我々はつないでいかなければなりません。
今、
新型コロナウイルス感染症への対応で日本はもちろん世界が大きく揺れ動いております。災害はもちろん、このようなときの危機管理への決断力・対応力がこれからのリーダーに強く求められる今日であります。
いよいよ七月には、本県のリーダーを決める県知事選挙であります。三反園知事をはじめ、数人の方々が立候補を表明されております。誰がよいのでしょうか。これからの四年間を誰に託すべきでしょうか。私ども自民党県議団はしっかりと議論し、一人一人を見きわめ、方向性を示し、県民の皆様方に御理解いただける候補者をもって今回の県知事選挙に臨んでまいる所存でございます。
私ども自由民主党県議団は、これからも引き続き、各地域の実情を踏まえ、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることをここに改めて申し上げ、自由民主党県議団の代表質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
44 ◯議長(外薗勝蔵君)これで、本日の日程は終了いたしました。
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45 △ 日程報告
◯議長(外薗勝蔵君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、代表質問であります。
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46 △ 散 会
◯議長(外薗勝蔵君)本日は、これで散会いたします。
午後三時十三分散会
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