決算特別委員の選任
一、散 会
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2 △ 一般質問
◯議長(外薗勝蔵君)まず、一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
米丸まき子君に発言を許可いたします。
[米丸まき子君登壇](拍手)
3
◯米丸まき子君 皆さん、おはようございます。
姶良市区選出、
自由民主党県議団、米丸まき子でございます。本日はよろしくお願いいたします。
まず最初に、台風十五号、十七号の上陸等により被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く平常の生活に戻られることを心より願っております。
さて、四月の
県議会議員選挙におきまして、姶良市、そして県内外の多くの皆様に御支持いただき、初当選することができました。本日も多くの皆様が応援に来てくださっています。ありがとうございます。
政治家になりたい。その志が私に芽生えたのは十二歳のときでした。イギリス初の
女性首相マーガレット・サッチャー氏の言葉を聞いたその日から始まりました。「人間は自分だけの幸せを考えて生きてはいけない。我々はみな同じ船に乗っています。この船に乗っている人々が、争いもなく幸せに生きていけるようにするのが政治です」。
いつの日か政治家になり、私の周りの人々はもちろん、世の中のみんなをもっと笑顔にするために、政治を通して社会に貢献したいと思うようになりました。
あの日から三十数年、民間企業や海外でさまざまな経験を積み、公私にわたり多くの方々との出会いに支えられてまいりました。全てのことに感謝をあらわす意味でも、私がこれまで経験してきたことを生かし、今、鹿児島に貢献したいという気持ちでいっぱいです。
現在、そして未来に暮らす鹿児島の人々が郷土に自信と希望を持ち、さらに幸せに暮らせる鹿児島にすることが、県議会議員として私に課せられた課題だと思っております。
まだまだ未熟者ではございますが、これからも引き続き全力で邁進してまいります。何とぞ御指導、御鞭撻のほど心よりお願い申し上げます。
知事、執行部の皆様並びに議員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従い、早速質問に入らせていただきます。
鹿児島の
経済力アップのための
ブランディングについてです。
私は、マニフェストの最重要課題に鹿児島県の
経済力アップを挙げております。
鹿児島県の経済の活性化を図るためには、鹿児島県内のそれぞれの地域に眠る資源を活用すると同時に、地域経済の外から需要を取り込める産業を育成し、地域の稼ぐ力を高めることが重要です。この点において、地域の外から来訪者を呼び込む観光は、地域のあるいは県全体の
経済力アップにとって極めて重要な戦略産業であると私は考えます。
昨年、海外就航便の増便、大河ドラマなどのさまざまな追い風があり、県の宿泊者数、観光消費額、
クルーズ船客数が過去最高となりました。これは大変喜ばしいことです。しかし、一方で、日韓関係の悪化で就航便の減便が決まり、今後、観光客の減少が危惧されております。観光産業は、個人の好みとともに、時代の風潮を反映し、流行に大きく左右されやすいとも言われています。
鹿児島県ではこれまで、県を初め各市町村が個別にPRに関して力を入れてきました。観光県としての地位を盤石なものとするために、これからは、個別的な点ではなく、県や各市町村が手をつないだ面でのPRが必要だと考えます。
点から面のPR、そして
地域ブランディングの見本のような例がここにあります。それは、
瀬戸内海ブランディングです。
瀬戸内海エリアは、現在、アメリカで最も著明な
媒体ニューヨーク・タイムズ紙で発表された、二〇一九年に世界で行くべき五十二の箇所において、世界七位に選定されました。日本では唯一のランクインです。
その
瀬戸内海エリアの発展に大きく貢献しているのが、せとうちDMOです。せとうちDMOとは、二〇一三年に、瀬戸内海を囲む七県、兵庫・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛が合同して、瀬戸内全体の
観光ブランド化を推進するために、また、世界と互角に肩を並べられる持続可能な観光地経営を目指す
フロントランナーとして、瀬戸内地域の
観光産業活性化に取り組む、官民が連携した組織です。
その事業の一つが、今お手元にお配りしてある資料二枚目の一番の写真です。瀬戸内海をめぐる
クルーズ船guntu─ガンツウ─の就航です。最大乗客数三十八人に対し、乗組員が四十六人、部屋数はたったの十九で、その部屋は全室にテラスがつき、中には、
露天風呂つきの客室もあるという豪華さです。食事も豪華で、
すしカウンターまで船内に用意されております。まさに海に浮かぶ高級旅館です。
ちなみに、ガンツウの宿泊料金は一泊で三十万円から八十万円以上と言われています。これは、行政、
地元民間企業、金融機関の協力を得て取り組まれた事業で、まさに
オール瀬戸内で取り組んだ事業です。
七つもの県が一緒になり、瀬戸内を一つのブランドとして成り立たせることができたのに、どうしてこの鹿児島県にできないことがありますでしょうか。鹿児島も
ブランディング構築に挑戦してみる価値は十分あると思います。
ブランド構築というと、ロゴやパッケージ、ポスターを有名な広告代理店やデザイナーや建築家に依頼しようという発想になりがちです。また、プロモーションなのか、マーケティングなのか、
ブランディングなのかが混同されていることが多いと思います。
これまで、知事を初め、鹿児島県及び各市町村、そして企業もPR活動を一生懸命され、そして多額の資金が投入されてきました。しかしながら、いま一歩、鹿児島というブランドの価値が県内外もしくは海外にうまく伝わっていないような気がします。それは、PR活動の前に、鹿児島独自の価値を磨き上げる
ブランディングがきちんとなされていないからだと思います。戦略的に鹿児島を売り出すならば、これからはPRと
ブランディングをきちんと分けて考える必要があります。
お手元に配付した資料の一枚目が、
ブランディングとPRの違いです。簡単に言うと、PRは、自分の魅力をみずから発信しターゲットに伝えていく。認知や興味喚起を目的とするのがPRです。それに対して
ブランディングは、消費者にどう思ってもらうかという、相手ありきの概念です。そのため、他にない独自の価値を見つけ出し、磨き上げる必要があります。しっかりと価値を認識してもらえれば、むやみやたらに費用をかけ、みずから動き回り、情報を発信し続けなくても、長く愛し続けてもらえるブランドになります。
人々に選ばれるブランドであり続けるには、人とブランドの情緒的な結びつきを醸成することが必要です。この
ブランディング確立には時間と費用がかかります。しかし、最初に思い切った投資をすることにより、観光地として訪れたい、買いたいにとどまらず、最終的には鹿児島の人々と交流したい、ここに住んでみたいという唯一の地域になり、安定した鹿児島の
経済力アップにつながると思います。
それでは、質問に移らせていただきます。
ただいま提案しました、現在の県及び市町村の観光PRの取り組みを点から面のPRに広げること等、鹿児島の
経済力アップのための
ブランディングという構想について、どのような見解をお持ちであるか、お示しください。
これで、一回目の質問を終わらせていただきます。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)鹿児島の
ブランディング構想についてであります。
鹿児島の
ブランディングにつきましては、平成二十九年十二月に策定いたしました新
鹿児島PR戦略において、本県の歴史・文化、自然の豊かさ、食の豊富さ、人柄等、さまざまな優位性を再発見・再認識し、
鹿児島ブランドを構築することにより、県民が誇り、県外が憧れる、選ばれる鹿児島県の実現を目指すことを戦略的に進めているところであります。
他県との違い・優位性を打ち出し、差別化することによりまして、国内外に向けた本県のイメージアップを図り、
鹿児島ブランドを構築していくことが大変重要であると考えております。
このため、その一つとして、世界的規模で健康志向が高まる中、本県は、世界に通用する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源を多く有していることから、これらを鹿児島のウェルネスとしてブランド化を図る取り組みを進めております。
県といたしましては、今後とも、新
鹿児島PR戦略に基づき、市町村や企業、NPO等の多様な主体との連携を図りながら、地域資源の磨き上げや掘り起こしを行うとともに、素材の奥にあるストーリーも意識して、本県の多彩な魅力の新しい楽しみ方を発信し、鹿児島の
ブランド構築に取り組んでまいりたいと考えております。
5
◯米丸まき子君
ブランド構築に取り組んでいらっしゃるとのこと、本当に心強く思います。
ここで、知事に質問させていただきます。
知事は日ごろから、そしてまた今回の議会でも、
オール鹿児島と盛んにおっしゃっていますが、知事が考える
オール鹿児島とはどのような内容で、具体的な組織化や活動をしていらっしゃるのでしょうか。その成果についてはどのようにお考えでしょうか。以上です。
6 ◯知事(三反園 訓君)
オール鹿児島についてのお尋ねであります。
オール鹿児島とは、県、市町村、関係機関・団体など、県内の官と民が一体となって、いわゆる
オール鹿児島で取り組むという意味であります。おっしゃるとおり、点から面へということであります。
例えば、平成二十九年度の
全国和牛能力共進会においては、官民一体となりまして取り組んだ結果、日本一を獲得することができたものであります。官だけではできない、民だけでもできない、官と民が一体となり一致結束して取り組めば、成功につながると考えております。
私としては、
オール鹿児島での取り組みにより、鹿児島の
ブランディングを初め、経済成長や県勢の発展に資する施策を積極的に推進するとともに、元気な鹿児島、どこよりも幸せを実感できる鹿児島を実現し、さらなる県民福祉の向上につなげるという好循環をつくってまいりたいと考えております。そして、鹿児島に生まれてよかったな、住んでよかったな、そういう鹿児島をつくってまいりたいと考えております。
7
◯米丸まき子君 知事のお気持ち、よくわかりました。
しかし、私は、深みのある
オール鹿児島を起こさなければならないと思っております。
例えば、今回、本港区エリアの開発に当たり、知事に対し多くの議員から質問がありました。また、体育館についてもです。毎回同じような言葉で、
オール鹿児島というふうなことをおっしゃっていますけれども、なかなかその真意が伝わっていないのかなと感じます。
例えば、ことしの三月一日、議会で知事は、本港区に関して、「食事ができて、
ショッピングができて、ホテル機能があって、
アミューズメントがあって、夜はライトアップして県民の憩いの場をつくりたい」とおっしゃっていました。私は、この言葉の裏に恐らく知事の深い信念、思いがあると信じております。しかし、今回の議会でも、なかなかその真意を私は感じることができませんでした。
この資料の図で言うと、恐らく、知事が言っている
オール鹿児島、そして、生まれてよかった、住んでよかったという言葉は、この氷の表面ですね、こちらが浮遊しているような、言葉の上滑りになっているような気がします。
ブランディングをされているということでしたが、
ブランディングは、相手にどう思ってもらうかという相手ありきの概念です。知事の真意がしっかりと伝われば、もっと皆さんを納得させられるのではないでしょうか。
知事、毎日お忙しいことと思います。三年間で百八十四回の
トップセールス、私は本当に知事のお体が心配です。知事と膝を突き合わせて話したいという議員とも、話す時間もないかと思います。
しかし、私は思うのです。今、知事がなさるべきことは、け死んかぎい体力と気力を使い切るのではなく、じっくりと腰を据えて、いま一度、
鹿児島ブランディングについて立ちどまって考え、取り組みを行っていくこと、それが、将来の大きな財産、飛躍になると信じております。
改めて質問させていただきます。
知事、
ブランディングについて立ちどまって考えることについて、どうお考えでしょうか。
8 ◯知事(三反園 訓君)
ブランディングは非常に重要なことだと思っております。この魅力的な鹿児島、観光と農業が基幹産業でありますが、観光については、たくさんの方に鹿児島を訪れていただき、その方々が自分の国に帰って、また鹿児島に行きたい、あそこはよかったよと言ってもらえるような鹿児島にしていくまちづくりが必要なわけであります。そういったことを我々執行部も、一致結束し、日々考えながら取り組んでいるということであります。
[米丸まき子君登壇]
9
◯米丸まき子君 知事、御答弁ありがとうございました。
アメリカ、オレゴン州に
ポートランドという町があります。そこは先進的なまちづくりで話題となり、世界中から視察候補として必ず挙げられる町として有名になりました。ここは一九六〇年代、全米一環境の悪い地域と言われていました。一九六七年、トム・マッコール氏のオレゴン州知事当選を機に、この約五十年で、
環境先進都市として世界中から注目されるまでに復活しました。
現在、
ポートランドは、全米で最も環境に優しい都市、自転車通勤に適した都市、住みやすい都市、おいしいレストランがたくさん集まる都市などに選ばれ、近年では毎年人口が一万人増加し、若者を中心に四百人から五百人の移住者を毎週受け入れていると言われています。
ポートランドのまちづくりの成功にはさまざまな要因があると思いますが、経済だけでなく環境、文化、暮らし、教育を立体的に、そして長期的に
グランドデザインを描いたこと、また、企業やお店、人々の多様性や個性を重視したことなどが挙げられます。これは、我々鹿児島県も大いに見習う点があるのではないでしょうか。
食事ができて、
ショッピングができて、ホテル機能、
アミューズメントパーク。どこかで成功している同じようなものをつくれば、鹿児島も短期的な成功が見込めるでしょう。しかし、そういった表層的な思いでまちづくりをしても、知事がおっしゃる、住んでよかった、生まれてよかった
鹿児島づくりを実現するのは難しいのではないかと思います。
今の知事の思い、信念一つでこの鹿児島の未来は大きく左右されるのです。知事、ぜひ熟慮のほどお願い申し上げます。
次に、
鹿児島ブランディングと
財政活性化提案についてです。
鹿児島県は南北六百キロ、島数六百五島、うち有人二十六島、無人五百七十九島があります。広大な錦江湾や世界に誇る活火山桜島という自然資源を持っています。
私には、これらを
鹿児島ブランディングの軸に据えた、
錦江湾ウォータープラットフォームという財政活性化の案があります。県の住民や他の産業も含めた鹿児島県全体で、鹿児島においでよといった着地型を理想としています。すなわち、住民参加の
観光まちづくりなのです。
これまで、陸を中心に考えられてきた鹿児島の経済圏や観光資源を、海という
鹿児島ならではのスケールの大きな視点で捉え直そうというものです。
その手始めに、錦江湾を生かしたツール・ド・錦江湾、次に
水上タクシー、最後に
スーパーヨットという三つの案があります。
御存じのように、錦江湾はぐるっと六つの市、二つの町が取り囲んでいます。錦江湾を介し、この六市二町を縫い合わせた場合、大きな経済圏が生まれます。それをここでは
錦江湾ウォータープラットフォーム計画と呼ばせていただきます。
この
錦江湾ウォータープラットフォーム計画を利用したアイデアの一つが、ツール・ド・錦江湾、
自転車サイクリング大会です。
サイクリング大会は費用対効果が高いとも言われています。例えば、さきに挙げました四国瀬戸内の
しまなみ海道は、サイクリストの聖地として世界に広く知られています。二〇一八年に行われた
サイクリングしまなみは、大会開催を通じて、四十七都道府県、二十六の国・地域から七千二百十五人の参加があり、約九億三千三百万円の
経済波及効果があったそうです。
私の考えているツール・ド・錦江湾は、費用対効果が高いだけでなく、それぞれの市町村が連携して行うことできずなが育ち、参加者と地元の人が触れ合うことにより、鹿児島への
リピーター客の獲得に加え、観光価値が高まるイベントとなると信じています。
次に、
錦江湾ウォータープラットフォームに
水上タクシーまたは水上バスを走らせてみてはどうでしょう。
お手元にお配りしました資料の二番の写真は、ニューヨークの
水上タクシー、三番はベネチアの水上バスです。ベネチアは、車や電車が一切通れないので、水上交通が人々の生活を支えています。
このように、水路網を
錦江湾ウォータープラットフォームに縦横無尽に走らせ、
鹿児島ブランドの一員として強いシンボルにできないでしょうか。
世界には観光客を魅了するハーバーがあります。人が行き交うようになれば、知事のおっしゃるすてきなレストランやカフェ、お店が求められます。まさに経済圏が生まれるのです。
水辺をブランドにして成功している例は、古くから、ベネチア、香港、近年ではシンガポールのマリーナベイサンズ、日本でもさきに挙げた瀬戸内海など、世界にたくさん存在します。もし、鹿児島で、例えば、鹿児島港、重富港、加治木港、隼人港、垂水港、鹿屋港、根占港、枕崎漁港、指宿港等でマリーナが発展していきますと、屋久島、種子島、奄美など、六百キロメートル先の鹿児島の隅々まで効果が波及していくのではないかと期待しております。
そして三つ目、二〇二〇年
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、私が最も早く実現したいのが
スーパーヨットの誘致です。
こちらの四番の写真が、
スーパーヨットの写真になります。
スーパーヨットとは、海外の富裕層が所有する二十四メートル以上の
大型クルーザーです。例えば、平成二十七年に瀬戸内海などをクルージングした船が、一隻で何と一カ月に四千五百万円、国内に支出した事例があります。寄港による経済効果としては、寄港時の食事や観光、土産物の購入、船のメンテナンスや給油などの直接消費に加え、関連インフラの整備、新しいリゾート開発が進むなど、経済の濃い循環が生まれています。このような例があるため、世界各国がこぞって
スーパーヨット寄港拡大に向けた取り組みを活性化させています。
また、一般的に、
スーパーヨットの所有者である超富裕層と呼ばれる人たちは、世界中を旅して回り、大変探究心の強い人々だと言われています。そういった人々がたくさん訪れる場所には、お金だけでなく、新しい知識や情報も集まってくるようになります。私は、それらを鹿児島の子供たちの成長のために役立てたいのです。ただでさえ今後の状況が厳しくなると予想されている日本で、彼らが強く賢く将来を生き抜くために、知恵や知識を提供できる後ろ盾として強い経済圏をつくりたいのです。
そこで質問いたします。
錦江湾の有効活用に関して、ツール・ド・錦江湾について、どのような見解をお持ちであるか、お示しください。
水上バスや
水上タクシー等の新たな航路の開設について、どのような課題があるか、お示しください。
スーパーヨットの誘致について、どのように認識し、どのようなことが課題であるか、お示しください。
また、国や他県の動向をお示しください。
これで、二回目の質問を終わらせていただきます。
10
◯文化スポーツ局長(有木正悟君)ツール・ド・
錦江湾サイクリング大会の開催についてであります。
本県におきましては、南さつま市でツール・ド・南さつま、屋久島町で
サイクリング屋久島など、年間を通し、県内各地でさまざまな
サイクリング大会が開催されております。
錦江湾や桜島など鹿児島の雄大な景観を眺めながら自転車を楽しむサイクルツーリズムの振興を図ることは、鹿児島の豊富な
ウェルネス素材の一つの活用例であり、県民の健康増進を初め、観光客の誘客による交流人口の拡大や地域活性化につながることが期待されます。
一方で、
サイクリング大会には、主要な幹線道路の長距離にわたる利用やルートの整備、
安全確保対策など、重要な課題もあると考えております。
錦江湾沿線をルートとする
サイクリング大会につきましては、既に、ツール・ド・おお
すみやサイクルフェスタ・イン・桜島が開催されているところであり、まずはこれらの大会の実情を調査するとともに、関係者の意見も伺うなど、さまざまな観点から検討してまいります。
11 ◯企画部長(古薗宏明君)錦江湾内における航路開設の課題についてであります。
御指摘にもありました、水上バスや
水上タクシーによる運航を含め、錦江湾における新たな航路の開設は、県内観光地間の移動時間の短縮や住民の利便性向上を図る上で有効な方法の一つとして考えられますが、その実現に向けては、一定の需要が確保できることや、採算性を踏まえた運航事業者の意向、既存の交通機関への影響などの課題があるものと認識しております。
12 ◯土木部長(兒島優一君)
スーパーヨットに関する認識と課題についてであります。
外国人富裕層などが所有する全長二十四メートル以上の
大型クルーザー、いわゆる
スーパーヨットにつきましては、世界的に増加傾向にあり、昨年の世界における隻数は、十年前の約二倍の約一万隻となっております。
スーパーヨットにつきましては、寄港地に長期滞在することが多いため、食事や観光のほか、食材調達や船舶のメンテナンスなどによる経済効果が見込まれております。一方、長期滞在するための係留場所の確保や、入出港における手続の簡素化などの課題があるとされております。
このような中、国におきましては、
スーパーヨットの受け入れ拡大に関する関係省庁連絡調整会議を設置し、課題解決に向けた検討が始められたところであります。
また、関東地方におきましては、地元自治体と民間が連携し、
スーパーヨットの誘致や受け入れの検討を進めている地域があると聞いております。
[米丸まき子君登壇]
13
◯米丸まき子君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
我々
自由民主党県議団は、今年度、自民党県議団自転車振興調査会を発足しました。この調査会は、国の自転車活用推進計画の提言を受け、鹿児島県各地で行われている観光振興や健康増進、自転車競技などの特色を生かした観光振興や地域おこし、さらには自転車競技の振興につなげていくことを目的としております。
先日我々は、自転車振興が盛んな南さつま市の本坊市長、そして南さつま市の職員の皆様と意見交換してまいりました。来月は、自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村の会に参加し、しまなみ・ゆめしまサイクリングフェス二〇一九にも参加する予定です。
我々も、各地区の関係団体とつながりながら、サイクリングレースを研究し、鹿児島での実現に近づけるよう頑張ってまいりますので、何とぞよろしくお願いします。
そして、特に
スーパーヨットに関しては、二〇二〇年、間近に迫ったオリンピックという絶好のチャンスがあります。私はこの機会を逃したくありません。
海の玄関となる埠頭に、三から四メートルの喫水があれば多くの
スーパーヨットが入港できるため、既存の港湾・埠頭の改修等は比較的費用をかけずに対応できると考えております。
ぜひ
スーパーヨット誘致に向けて迅速な取り組みをお願いし、ツール・ド・錦江湾、
水上タクシー、水上バスの実現を切に願い、要望とさせていただきます。
次に、国際交流、多文化共生社会実現に向けて、アウトバウンドに関する認識と取り組みについてお伺いします。
近年のインターネットの普及により、スマートフォン一つあれば、世界中とつながれるようになりました。しかし、このことは、異なる倫理観・価値観の間での摩擦を生み出す危険性も高まっていくことを意味しています。このため、異なる文化・文明を理解し、尊重し、受け入れる寛容さが国際的な摩擦を緩和し、平和な国際社会を維持する上で重要になります。このような観点から、私は、これから特にグローバル人材の育成が重要だと感じています。
ところで、現在、日本のパスポートは世界最強と言われています。二〇一九年パスポートインデックスによると、日本パスポート保持者がビザなしで渡航できる国は、現地空港などでアライバルビザが取得できる滞在先を含め百九十カ国と世界で単独一位になりました。つまり、日本人はどの国よりも世界への扉が用意されていると言っても過言ではありません。
しかしながら、鹿児島県においては、パスポート保有率は残念ながら伸び悩んでおり、現在、八・四人に一人しか持っていません。ちなみに、東京は三人に一人です。
そこで、一つ目の質問です。
県では、アウトバウンドの重要性、国際交流の重要性についてどのように認識しているか。また、パスポート保有率全国四十三位と低迷していますが、この状況をどのように捉えているか。また、今後の取り組みをお示しください。
次に、公立小・中・高校における国際理解や国際交流の取り組みについてお伺いします。
現在、教育委員会では、英語教育のカリキュラムに力を入れているということを耳にしました。しかしながら、本県の英語教育は伸び悩みを見せていると伺っています。
私は、カリキュラムの中身もとても大切だと思いますが、まずは子供たちに、英語が話せたら楽しいだろうなと実感させる動機づけが必要なのではないかと思っています。
そこで、私は、修学旅行先は海外にすべきと考えています。英語がしゃべれないという経験をすることが、英語をしゃべれるようになろうという引き金になるのです。英語がしゃべれなくて困る経験をすることが大切だと私は考えております。もし、旅行先で、英語はもちろんのこと、現地で話されている英語以外の言葉に子供たちが興味を持ち、将来彼らが、英語を得意としない技能実習生や観光客と第三外国語で話すことができるようになれば、その方々とのかけ橋になってくれるかもしれません。また、将来、県民全員が英語もしくは他の言語を話せるようになれば、鹿児島の持つ魅力や付加価値といったものは間違いなく広がりを見せていきます。激変する時代にそのたびごとに適応して生きていけるはずです。
その手始めとして、若いうちに異文化と出会い、日本語以外の言語を話す体験をし、日本人以外の人々と交流するという刺激は、すばらしいスタートダッシュにつながると思います。
そこでお尋ねします。
将来の英語教育の大きな躍進も期待ができる、早期からの海外体験によるモチベーションアップの重要性という観点から、県ではどのような取り組みを行っているか、お示しください。
また、公立学校において、修学旅行で海外を選ぶ学校はどのぐらいあるか。また、海外を選ばない理由があったら教えてください。
次に、かごしま青少年海外研修事業の取り組みについてお尋ねします。
このプログラムは県が行っているもので、十八歳から三十歳前後の未来ある若者を、今後一層の経済発展が期待されるアジア経済圏の主要都市であり、本県との間に国際定期便が就航しているソウル、上海、香港、台北に派遣し、国際的視野を持ったリーダーの育成に努めるというものです。これまで延べ六百二十六人が参加されています。
私が議員になる前に、この事業に参加し、団長として香港、上海へ行かせていただきました。現地の最新情報を学べ、現地で働く人々と交流できたり、自分たちで研修のプランを立てたりと、大変有意義なプログラムでした。
私が香港に一緒に行ったメンバーの一人は、このプログラムに参加して、初めてパスポートをとり、初めて海外に行ったとのことでした。それまで彼女は海外に全く興味がありませんでしたが、この旅をきっかけに、英語を勉強し始め、そして、休みのたびにLCCで海外に出かけているそうです。他の参加者にも、起業した方や、留学することを決めたメンバーもいました。
私は、これこそ鹿児島県がやるべき、国際社会で活躍できる人材の育成のため継続的な投資をする価値のある取り組みだと思います。
そこで質問です。
このプログラムの参加者募集を広く周知するための、県の取り組みについてお示しください。
このプログラムは、県庁職員にとって、これからの鹿児島を担う若者の声が聞けるチャンスとなり、若い職員は、この企画に参加することで国際感覚も養われるのではないでしょうか。また、優秀でやる気のある若者がこの企画に参加することにより、横のつながりを持つことは、将来的に県にとっても大きな力になるのではないかと思います。
そこでお伺いします。
このプログラムに県の職員を参加させることへの考えをお示しください。
また、このプログラムに参加した方々の今後のつながりをどう強化していくか、お示しください。
これで、三回目の質問を終わらせていただきます。
14 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)国際交流、多文化共生社会の実現に関しまして、アウトバウンドに関する認識と取り組みについてであります。
近年、グローバル化の急激な進展とともに、県内の在留外国人も急増しており、国際理解を深め、多文化共生を進めていくことが重要になってきています。
このような中、海外への渡航、いわゆるアウトバウンドにより異文化を体験することは、グローバル化に対応できる人材の育成、ひいては多文化共生社会の実現に重要な役割を果たすものと考えています。
このため、県では、香港、シンガポール、韓国、台湾などへの青少年の派遣、中国清華大学への留学支援、薩摩スチューデントの英国派遣など、若者が海外を直接体験できる事業を実施してきているところであります。
また、インバウンドに比べ少ないとの指摘があるアウトバウンドをふやすことは、本県の国際航空路線の維持・充実にも資するものと考えています。
本県のパスポート保有率が低いことにつきましては、本県は高齢化率が高いこと、相対的に旅行費用が高くなる離島人口が多いこと、高校生の海外修学旅行が少なくなってきていることなどが原因ではないかと考えています。
これを踏まえ、県では、県民の方々の海外渡航を促進するため、各種会議、研修会において、海外渡航による異文化体験の意義、すばらしさを伝えるとともに、県内の高校に対しては、グローバル人材の育成や青少年の国際交流の推進に役立つ海外への修学旅行の実施等について、依頼しているところであります。
また、鹿児島空港の国際定期路線等を利用し海外渡航する六人以上の団体に対する経費助成事業も行っています。
県といたしましては、今後とも、国際交流の推進や多文化共生社会の実現に資するよう、県民のアウトバウンドの促進に一層取り組んでまいりたいと考えています。
15 ◯教育長(東條広光君)公立学校における国際理解や国際交流への取り組みについてであります。
グローバル化の一層の進展が予想される中、外国語によるコミュニケーション能力や、異文化理解の精神を身につけた人材を育成することは重要であると考えております。
各学校においては、外国人指導助手─ALT─等と英語で直接やりとりしたり、地域に住む外国人と異文化体験を行ったりするなどの体験活動が行われております。
また、県教委としては、生徒がALTや留学生などネイティブスピーカーと英語で実践的な会話を体験するイングリッシュキャンプや、国際的に活躍している方の講演や留学に関する情報の提供を行う留学フェアを実施し、中・高生の国際社会への関心や留学への意欲を高める取り組みを行っているところであります。
海外への修学旅行についてでありますが、県内の公立学校では、平成十一年度に最も多い四十九校で実施しましたが、平成十三年のアメリカ同時多発テロや平成十四年のSARSの発生に加え、平成二十年の原油価格高騰などの影響により、海外への修学旅行は減少し、昨年度は四校の実施にとどまっております。本年度は、新たに二校が加わり、六校が海外への修学旅行を計画いたしております。
県教委としては、海外への修学旅行が選択肢の一つとして検討されるよう、情報提供等を行っているところであります。
16 ◯男女共同参画局長(迫 貴美君)かごしま青少年海外研修事業の取り組みについてでございます。
かごしま青少年海外研修事業は、アジア経済圏の主要都市でありますソウル、上海、香港、台北へ青少年を派遣し、現地の若手企業人等との交流や体験活動を通して、国際的視野を持ったリーダーを育成することを目的に実施しております。
本事業の参加者募集につきましては、経済団体を訪問し、企業への周知等について協力依頼を行うとともに、企業が集まる会合の場でも、直接、募集PRを行っております。
また、県内の大学や市町村等に募集案内を送付するとともに、県のホームページやツイッター、フェイスブックなどSNSも活用して、積極的な周知・広報を行っているところでございます。
この事業につきましては、できる限り多くの企業に参加していただきたいと考えており、県職員から応募があった場合においても、ほかの応募者と同じ審査・選考基準に基づき選考を行うこととしており、県職員は過去に二名が参加しているところでございます。
事業に参加した方の今後のつながりの強化につきましては、派遣前のグループワークによる研修や、現地研修における意見交換会・グループ別研修を通じて、参加者同士の親交が深まるよう努めており、また、派遣終了後に、過去の参加者も含めて参加者同士の交流を図るため、懇談会を開催しております。
今後とも、本事業を通じまして、より多くの参加者がつながり、また、そのつながりが深まるよう、参加者の意見等も聞きながら、参加者のネットワークづくりなどについて検討してまいります。
[米丸まき子君登壇]
17
◯米丸まき子君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
修学旅行に関してですが、学生の安全の確保は何よりも優先です。しかし、世界には、安全で親日の国もたくさんあります。例えば台湾のように。台湾は、歴史的にも日本とのつながりが深いですし、鹿児島からも直行便が週五便運航しています。渡航費もそれほど高くありません。そういった国を選ぶことも可能ではないでしょうか。
先ほど教育長がおっしゃいましたが、二十年前、鹿児島は海外修学旅行数、全国一位になった時期もあったと聞いています。もしそれが今も続いていればと私は思うのです。鹿児島がどうなっていたかと思うと本当に残念でなりません。
国際学力テスト─PISA─で世界一位、世界幸福度ランキング一位であったフィンランドに住む私の友人が、高校の教師をしています。彼はかつて、ロータリークラブの主催する研修のため、鹿児島で一カ月を過ごしました。そのときの経験が余りにもすばらしく、生徒たちにそのことをいつも話していたそうです。すると、生徒たちも、自分たちも日本へ行きたいということになりました。しかし、クラスには母子家庭で家計が大変な子もいました。それだったら、クラスみんなで力を合わせてお金を稼ごうと、体育館を使ってレストランをしたり、不用品をオークションに出したりして、高校三年間かけて何と三百九十万円近い修学旅行の費用を自分たちで稼ぎ出しました。この例は少し斬新過ぎるかもしれませんが、もう少し、日本の修学旅行にも柔軟な考えが必要なのではないでしょうか。
百五十年前、薩摩は国禁を犯してまで優秀な若者を海外に派遣しました。鹿児島県も、本当に未来に生きる子供たちを思うのであれば、国禁を犯せとは言いませんが、そういった大胆な鹿児島独自の考え方も必要なのではないでしょうか。
また、県の若手職員の派遣についてですが、国際化は否応なく進んでいます。若いうちに一回でも多く世界を見聞することは、百聞は一見にしかず、国際化の時代に対応できる職員を育成することにつながると思います。ぜひ積極的に進めてください。要望させていただきます。
最後の質問になりますが、私のマニフェストの一つに投票率アップがあります。
先ほども出しました、国連が毎年三月に発表している世界幸福度ランキング二〇一九、日本はことしは、昨年から順位を四つ下げ、五十八位でした。この国がもっとよくなるためには、国民の政治への参加意識がとても重要だと考えます。
しかしながら、前回の参議院選挙投票率四五・七五%、
県議会議員選挙四四・三八%という結果になりました。
そこで、質問に移らせていただきます。
選挙における啓発活動について教えてください。
選挙に行く意識を高める学校教育、主権者教育はどのように取り組んでいるか、教えてください。
なお、三番目の、選挙に行きやすい仕組みづくりについては、松田議員の代表質問と重複しますので、ここでは省略させていただきます。
18 ◯選挙管理委員会委員長(松下良成君)選挙における啓発活動について御質問いただきました。
近年の選挙におきましては、三十歳代までの若年層を中心に、低投票率の傾向にあることから、主として、十八歳、十九歳を含む若年層の投票率向上に効果的な選挙啓発を企画し、広く県民に対し、投票日の周知や棄権防止等を呼びかけたところでございます。
今回の
県議会議員選挙におきましては、まずは、若者に関心を持っていただくことが必要であると考え、本県出身で幅広い年齢層に知られているお笑い芸人を起用し、ポスターやテレビ・ラジオによる啓発などの取り組みに加え、ユーチューブによる情報発信を行ったところであります。
当委員会といたしましては、明るい選挙推進協議会、学生投票率一〇〇%をめざす会など、関係団体と連携を図りながら、今後とも、若年層を中心に、政治や選挙に対する関心を高め、一人でも多くの方々に投票していただくよう、根気強く選挙啓発に取り組んでまいります。
19 ◯教育長(東條広光君)学校における主権者教育についてであります。
主権者教育は、児童生徒が主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら社会を生き抜く力や、社会の構成員の一人として地域の課題解決を主体的に担うことができる力を育もうとするものであります。
現在、小学校及び中学校の社会科において、身近な地方公共団体の議会や国会などの議会政治、選挙の意味などについて扱い、選挙は国民の代表者を選出する大切な仕組みであることを理解させるとともに、良識ある主権者として、主体的に政治に参加することについての自覚を養うよう指導しているところであります。
高校では、公民科の授業において、議会制民主主義や地方自治、政党政治、選挙などを扱い、政治参加への意識を養うよう指導しております。また、総合的な探求の時間等において、話し合いや討論等を通して主体的に社会の形成に参画しようとする態度を身につけ、物事を多面的・多角的に考察して表現する力を育むよう指導しております。
さらに、地元自治体主催の高校生議会への参加や、選挙管理委員会等と連携した出前授業や模擬投票などの体験型の学習を推進してきております。
県教委としては、ことし二月に策定した第三期県教育振興基本計画に、新たな項目として主権者教育を掲げ、児童生徒が主権者として求められる力を身につけることができるよう取り組んでいるところであります。
[米丸まき子君登壇]
20
◯米丸まき子君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
若者が政治に興味を持ってくれないと嘆いてばかりいるのではなく、選挙で投票することの価値や情報を可視化し発信することも、地方創生の
ブランディング活動の一つなのです。選挙権を持っている方一人一人に、何を伝えるかではなく、どのように伝えるかを考えてもらいたいと思います。
先ほどのお笑い芸人起用の鹿児島
県議会議員選挙啓発業務委託に九百八十二万円を使ったと聞いています。その効果はどのぐらいあったでしょうか。ぜひ、もっと深い考えを持って行っていただきたいと思います。
最後になりますが、私が本日述べました鹿児島の
ブランディング活動は、
経済力アップ、また、人口減少に歯どめをかけるとともに、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって、活力ある鹿児島県、さらに市町村を維持することを目指しています。この地方創生を実現するために、私たち県民一人一人が、生まれ育った地域の豊かな自然、歴史、文化・伝統、特色ある農林水産物といったさまざまな魅力を学び、触れることにより、郷土への誇り・愛着を醸成し、地方の魅力を再発見し、広く発信していくことが重要です。
二〇二〇年
東京オリンピック・パラリンピックが開催され、外国人旅行者も増加するなど、世界からの日本への注目が高まります。かつてパリ万博で初めて鹿児島が薩摩切子を出品し、恐らくヨーロッパの人々を驚かせたように、私たちは百五十年前の先輩の恩恵だけにすがるのではなく、令和の時代の鹿児島をつくり上げていかなければならないと思っています。これを好機と捉え、鹿児島県の強み、魅力を最大限発揮できるよう、本当の意味での
オール鹿児島で取り組んでいく必要があります。
以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
21 ◯議長(外薗勝蔵君)次は、鶴丸明人君に発言を許可いたします。
[鶴丸明人君登壇](拍手)
22 ◯鶴丸明人君 皆さん、こんにちは。霧島市・姶良郡区選出の鶴丸明人です。
今議会の一般質問は、たいら議員のデビュー戦で始まりました。本日は一般質問最終日です。ただいま、これまたデビューの米丸議員が、私もかねてより関心を持っておりますDMOや錦江湾の活用について、堂々たる質問をされました。部分によっては、知事にかわってもらってもいいのではないかというようなすばらしいアイデアもあったように承りました。
その後です。傍聴席の皆さん方も大分少なくなってこられたですね。現実に戻りまして、やや期待外れの質問になるかもしれません。しばらくお耳をおかしいただきたいと思います。
今回の私の質問は、前回に引き続く内容に加え、さらに産業基盤等についてもお話させていただきたいと思います。
ただ、時間が限られておりますので、通告いたしております質問を次回に回すということもあるかと思います。あらかじめお断り申し上げながら、早速質問に入ってまいりたいと思います。
まずは、知事の政治姿勢についてであります。
私はこれまでのこの議会におきまして、西郷南洲翁遺訓にも示されている、鹿児島県人の純粋で人を裏切らない、偽りを言わない、徳義心が厚いという生き方を再評価し、次の世代に継承し、地域社会の維持・発展を図っていくことも重要ではないかと申し上げてまいりました。特に、知事などトップリーダーは、生き方について誰からも尊敬されるような理念を持ち、それを実践し、人に信頼されること、信なくば立たずの言葉がより求められる立場にあるのではないかと申し上げてまいりました。
鹿児島に伝わる、うそをつくな、負けるな、弱い者をいじめるな、このシンプルな言葉の中で、うそをつくなという言葉こそ、人と人との信頼を築くため最も大切なものではないでしょうかと申し上げてきたところでございます。
今議会におきまして、たいら議員が、さきの知事選挙をめぐって、政策合意文書についての質問を展開されました。知事の答弁は、私を含め多くの県民に、信頼ということで疑問を抱かせたものではなかったのかなと思っております。
今後、ゆずり葉の郷が児童福祉施設の整備を検討するに当たり、県としても指導・助言にかかわっていただきたいと思いますが、本県のお考えをお示しください。
次に、奄美の世界自然遺産登録に関してお伺いします。
代表質問で答弁がありましたが、いよいよ十月五日からIUCNの現地調査が予定されているということでありました。昨年のIUCNからの勧告を踏まえ、万全の体制で臨んでいただきたいと思います。
IUCNの現地調査においては、地域の合意形成も評価のポイントになるとの説明でありました。世界自然遺産としての価値を将来にわたって維持していくためには、地域の住民の方々の、世界自然遺産としての価値への理解と保全への協力を得ることが大切であると思います。
現在、行政機関だけでなく、地域住民や建設業協会、市町村議会議員の会、民間企業などさまざまな団体等による一斉清掃や、オオキンケイギク等の外来種の駆除など保全活動も実施されています。
今後も、このような多様な主体が世界自然遺産の価値の保全のために参加することを推進していくためには、やはり機運醸成の取り組みが不可欠であると思います。そのことが、遺産の確実な登録とその後の保全につながると思います。
そこでお伺いします。
本年二月の推薦書再提出以降の世界自然遺産登録に向けた機運醸成の取り組みをお示しください。
次に、現在、県は、ことし三月に制定した外来種対策に関する条例に基づき、種の指定に向けた検討を進めておられます。また、地域においても、さまざまな外来種対策も進んでおり、地域住民にとって、登録に向けて一番身近な課題、取り組みだと思います。
そのような中、ことし七月二十二日に、宇検村の湯湾岳に通じる道路沿線において、外来種のハイビスカス八百本の駆除が実施されたとの報道がありました。
一昨年のIUCNの現地調査の中での指摘を受け、環境省と宇検村が共同で実施したとのことでありますが、ハイビスカスは、これまで、宇検村の花、奄美市も市の花であり、生け垣や街路樹として広く親しまれ、大切にしてきたこともあり、住民の中には、ハイビスカスを外来種として駆除したことに戸惑っている方もおられます。
厳格な登録へ向けての取り組みと理解はしますが、一言で外来種と言っても、その種類は多種多様であり、その全てを駆除することは難しいことだろうと思います。また、奄美の貴重な自然を維持していくためには、外来種のことについて地域住民の方が十分に理解し、適切に行動できるようにすべきであると思います。
そこでお伺いしますが、どのような種、どのような場所を優先した外来種対策を進めていくことが適切なのか、考え方を含め、本県の外来種対策の取り組み状況及び住民への普及啓発への取り組みをお示しください。
最後に、土木行政についてお伺いします。
まず、建設業における担い手の確保についてお伺いいたします。
近年の建設業界の動向を見ますと、本年六月には、改正公共工事の品質確保の促進に関する法律が施行されるなど、いわゆる新・担い手三法が成立し、これにより、公共工事における長時間労働の是正や労働者の処遇改善といった、建設業における働き方改革の促進、また、これとあわせて、建設業、公共工事の持続可能性を確保するためのICT技術の活用など生産性の向上が図られ、建設業の担い手の確保の取り組みが円滑に促進されることが期待されています。
一方、全国における建設業就業者の現状は、総務省の労働力調査によると、二十九歳以下の若年層は一一・一%となっているのに対し、五十五歳以上は三四・八%を占め、就業者の高齢化が顕著になっています。
また、厚生労働省発表の、建設業における新規高卒就職者の全国の離職状況を見ると、平成二十七年三月卒業者の三年以内の離職率は、全産業が三九・三%であるのに対し、建設業では四六・七%となっています。
さらに、鹿児島労働局が七月三十日に発表した令和元年六月分の最近の雇用失業情勢では、鹿児島県の有効求人倍率は一・三六倍ですが、建設の職業で三・三九倍、土木の職業で二・〇七倍となっており、依然として新規入職者の確保が厳しい状況が続いています。
十年後には、就業者の三五%を占める五十五歳以上の方々が建設現場を離れることが見込まれる中、新規入職者を募集しても、なかなか就職に結びつかず、やっとのことで確保できた若者に現場の技術や知識を教え、技術者や技能者として育てている最中に、三年で約半数がやめてしまうという状況にあります。次世代への技術継承が大きな課題となっています。
建設産業は、地域のインフラ整備やメンテナンス等の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、特に災害時には最前線で地域社会の安全・安心を確保する地域の守り手として、県民生活や社会経済を支える大きな役割を担っています。しかしながら、現場の技術者・技能者の高齢化や若手入職者の減少といった構造的な課題に直面し、災害対応はもとより、本県の土木行政の円滑な推進にも支障が出るのではないかと危惧され、担い手確保・育成は喫緊の課題であると思います。
そこでお伺いしますが、一点目として、県はこれまで、建設業の担い手確保についてどのような取り組みを行っているのか、お示しください。
二点目として、担い手不足の解消の手段として、外国人材や女性の入職促進が重要であると思いますが、建設業における県内の外国人や女性の雇用状況の推移と県の取り組みをお示しください。
三点目として、担い手確保については、継続した取り組みが必要と思いますが、県は、今後どのように取り組まれるのか、お示しください。
次に、建設業における働き方についてお伺いいたします。
建設業界の方々からは、過去に比べ公共工事の発注件数が減少してきた影響で、価格競争が激化し、入札参加者の積算能力が向上したことも相まって、最低制限価格での同額入札、いわゆるくじ入札が多発していると聞いています。担い手も欲しいが、会社の経営がくじに左右されることは非常に深刻な問題であるという声も聞かれます。担い手不足の中、従業員はその業務を遂行するため、多くの時間と労力を割いて県民のためのインフラ整備を行っているのが現状です。
さまざまな働き方改革の取り組みが行われている中、建設業を魅力ある職場とするためにも、建設業で働く方々の負担軽減は大きな課題であります。
そこでお尋ねしますが、建設業で働く方々の業務の効率化につながる働き方改革について、県は工事発注者としてどのような取り組みを行っているのか、お示しください。
あわせて、建設工事の入札において、くじ引きにより落札者が決定されたものについて、本県の発注状況はどのようになっているのか。また、本県の状況について県としてどのような認識を持っているのか、お示しください。
最後に、国道五十八号の道路整備における住用町城地区の課題についてお伺いします。
三年前も同様の質問をしましたが、その後の進展がなく、改選後初めての質問でありますので、改めてお伺いします。
当該地区は、大島本島の中心部に位置し、世界自然遺産のコアな地域への入り口にあり、集落の中を通る国道五十八号は、幅員が狭く、近年は観光バスや大型車両、自衛隊車両やレンタカーなど多くの車両が走行し、大変危険を伴っている地区であります。早急な改善が求められています。
県は、集落背後地の畑地を通るバイパス事業を計画し、用地の取得に取り組まれましたが、当地区は、昭和十年ごろに集落民で設立した任意の耕地整理組合により、耕地整理事業が行われ、仮地番の土地配分後に換地処分が未登記のまま放置されている、いわゆる字図混乱地域であり、奄美市も、字図混乱の解消に長年努めましたが、課題の解消ができないまま今日に至っております。
このような現状を打開するため、今は亡き保岡元法務大臣が法務省、国交省の担当官等と協議を重ね、当該地区の所有者の状況、また、現在の占有者が十分に時効取得の対象であること等を鑑み、現在の占有者を所有者として、当該バイパス事業に必要な土地を任意買収し、事業を進める方法が最善ではないかと方向性が示されました。
また、当該地区における事業再開の機運も高まり、昨年十一月、地区住民を代表して区長名において、奄美市議会へ、市として本バイパス事業の再開を県、国に対し強く要望してほしい旨の請願が提出され、全会一致で採択されました。これを受けて、朝山奄美市長もことしの初め、県に対し要望されたと聞いておりますが、その後の取り組みがよくわかりません。
そこでお伺いします。
一点目は、国道五十八号城地区の現道に対し、その危険性、整備の必要性など、県の認識をお示しください。
二点目は、城地区の字図混乱の解消に向けた検討状況をお示しください。
三点目は、城地区の道路整備に向けた今後の取り組みをお示しください。
[知事三反園 訓君登壇]
53 ◯知事(三反園 訓君)奄美の世界自然遺産登録に向けた機運醸成の取り組みについてであります。
県におきましては、推薦書を再提出した後、ホームページ等を活用した情報発信、PR動画の配信、パンフレットの配布、観光客へのマナーガイドの配布、トレイルの開通式等を行ってきたところであります。
推薦地の奄美大島、徳之島におきましては、地元自治体や関係団体等と連携し、セミナーの開催、希少種保護のためのキャンペーン等を行っており、先月は金作原こどもエコツアーも実施したところであります。
また、地元におきましては、NPO等を中心とした清掃活動、外来生物の駆除活動などが行われているほか、先般、民間企業・団体等により、奄美の自然環境の保護や普及啓発等に取り組む世界自然遺産推進共同体も発足したところであります。
こうした住民主体の活動を促進いたしますとともに、共同体等とも連携を図りながら、機運の醸成に努めるなど、来年夏の奄美の世界自然遺産登録に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
54 ◯男女共同参画局長(迫 貴美君)県再犯防止推進計画の課題と取り組み等についてでございます。
本県の刑法犯検挙者の再犯者率は、平成二十六年は四六・七%でありましたが、平成三十年は五一・二%に上昇しております。
平成二十九年の県警本部の調査によりますと、刑法犯により検挙された再犯者の五割以上が犯行時に無職であり、また、住所不定の者も一定数いることから、安定した仕事や住居がないことが再犯に至る主な要因と考えられます。
ことし三月に策定した県再犯防止推進計画に掲げる、再犯者数を減少させる目標を達成するためには、就労・住居の確保、保健医療・福祉サービスの利用の促進、広報・啓発活動の推進などさまざまな課題がありますことから、国や民間団体等との連携が重要であります。
このため、今年度、県再犯防止推進会議を設置し、国や民間団体等と連携を図りますとともに、県民の再犯防止についての理解を深めるためのセミナーなどを実施することとしております。
次に、NPO法人ゆずり葉の郷の評価についてでございます。
NPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷は、非行や不登校などさまざまな困難を抱える青少年の相談・支援や街頭での声かけ、居場所づくりを行う活動のほか、防犯パトロールや環境美化などのボランティア活動及びスポーツ活動等を通じて、青少年の健全育成に貢献されております。
県では、その活動を高く評価しており、ことし五月には、所長に対しまして、地域貢献活動知事表彰を行ったところであり、全国的にも功績が認められ、さまざまな賞を受賞されております。
また、ゆずり葉の郷には、県再犯防止推進会議の構成団体になっていただくなど、本県の再犯防止の推進に深くかかわっていただいているところでございます。
55 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)NPO法人ゆずり葉の郷が運営する自立援助ホームへの支援等についてでございます。
自立援助ホームは、義務教育修了者を対象とし、就労支援等が必要な児童等に社会的自立のための相談・指導等を行う施設でございまして、児童等からの入所申し込みに基づき、児童相談所が援助等の決定を行うこととされております。
現在、ゆずり葉の郷は、奄美市に二カ所の自立援助ホームを運営され、さまざまな困難を抱えている児童等の社会的自立の促進に尽力されているところでございます。
県といたしましては、引き続き、同ホームの運営に必要な経費を措置費として支出するとともに、必要な助言等を行うなどの支援に努めてまいります。
また、児童福祉施設につきましては、施設の種別ごとに国が定員規模や設備等の基準を定めており、また、国や県の補助を受けて施設整備を行おうとする場合は、県の各種計画との整合性や整備予定地の適格性、建築計画等の妥当性について審査を受ける必要があるところでございます。
県といたしましては、児童福祉施設に関する相談等が寄せられた場合は、お話をお聞きした上で必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
56 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)世界自然遺産登録に関して、外来種対策についてお尋ねがありました。
外来種対策に係る基本的な考え方として、生態系等への被害の現状や費用対効果を考慮の上、優先度の高い種や場所を選定し、戦略的に実施することが重要とされております。
宇検村におけるハイビスカスの除去につきましても、環境省と村が十分に協議し、推薦地の中でも特に重要な湯湾岳に至る道路沿いに限って実施したものと聞いております。
県におきましても、基本的な考え方も踏まえ、奄美群島に侵入しているポトス等五種類の動植物について、防除マニュアルを作成したほか、外来種対策に関する条例に基づき、まずはアメリカハマグルマなど十四種類を指定外来動植物とする案を取りまとめたところであります。
県といたしましては、国や市町村とも連携を図りながら、引き続き、外来動植物の防除についての考え方や取り扱いなどについて、住民の方々等への周知に努めてまいります。
57 ◯土木部長(兒島優一君)建設産業における担い手確保についてであります。
県におきましては、平成二十七年度から、鹿児島県建設産業担い手確保・育成事業として、新規雇用に係る人件費や研修費の助成を行っており、当事業により、これまでに百四十三人の雇用につながっております。
そのほか、土木フェスタや現場見学会、合同企業説明会の開催など、関係団体と連携しながら、建設業の魅力発信と新規入職者の確保に取り組んでいるところであります。
本県の建設産業における外国人労働者につきましては、厚生労働省の調査によると、平成三十年は五百六十一人で、平成二十五年と比較して約七倍となっております。
一方、女性就業者につきましては、総務省の調査によると、平成二十九年は千人が技能労働者として就労しており、平成二十四年と比較して横ばいとなっております。
県におきましては、建設工事入札参加資格審査において、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届け出を行っている建設業者に対し、加点を行っているところであります。
また、建設産業支援策等セミナーにおきまして、建設産業における外国人材活用の先行事例の紹介や女性活躍促進のための講演を行うなど、外国人材や女性の入職促進を図っているところであります。
建設産業は、地域の経済や雇用の担い手であるとともに、災害発生時に重要な役割を果たしており、継続的な人材確保は喫緊の課題であると考えております。
県といたしましては、労働者の適切な賃金水準の確保や社会保険未加入対策など、労働環境の改善に努め、新規入職者確保に引き続き取り組むとともに、担い手の育成・定着に向けた教育訓練の充実・強化や、女性も働きやすい現場環境の整備なども必要と考えております。
今後とも、関係団体と連携しながら、建設産業の担い手確保に取り組んでまいります。
建設産業における働き方改革についてであります。
建設産業における働き方改革につきましては、本年六月に成立した新・担い手三法を踏まえ、国においては、適正な工期設定や施工時期の平準化の取り組み等を通じ、引き続き、長時間労働是正等に取り組むこととされております。
本県では、週休二日制を考慮した工期設定や必要経費の補正、債務負担行為の活用や余裕期間の設定等による施工時期の平準化、建設現場におけるICT活用に取り組んでおります。
また、インターネットを利用し、受発注者双方の作業時間を短縮できる情報共有システムを活用した業務の効率化にも取り組んでいるところであります。
県といたしましては、引き続き、建設産業における働き方改革に向けた環境整備に努めてまいります。
くじ入札の状況等についてであります。
くじにより落札者が決定された割合は、平成二十八年度は三二・二%、平成二十九年度は三三・九%、平成三十年度は三〇・六%と、近年三〇%台で推移しております。
くじによる落札者の決定は、地方自治法施行令で定められた手続でありますが、全国的に増加傾向にあり、その現状につきましてはさまざまな意見があるところであります。
くじによる落札者決定の抑制対策につきましては、他県の動向も注視しながら、引き続き研究してまいります。
国道五十八号城地区の字図混乱の解消に向けた検討状況についてであります。
国道五十八号の奄美市城地区は、地元の意向も踏まえ、集落背後地にバイパスを通す計画でありましたが、公図と現地が一致しない字図混乱地域のため、用地取得の見通しが立たず、事業を断念した経緯があります。
用地取得につきましては、現在の占有者を所有者として取得する方法についても検討を行いましたが、耕作放棄等により土地の境界や占有状況が不明確なこと等もあり、占有者の特定は極めて困難な状況にあります。
また、全ての占有者が特定されたといたしましても、字図混乱地域のため、本県への所有権移転登記ができない広大な土地が発生する状況にあります。
このようなことから、字図混乱の解消には、奄美市において、地籍調査の実施が必要であると考えております。
国道五十八号城地区における県の認識と今後の取り組みについてであります。
国道五十八号の城地区につきましては、歩道がなく、一部線形が悪い区間があることから、これまで、路面の減速標示を行うなど交通安全対策に努めてきているところであります。
県といたしましては、世界自然遺産登録を見据え、城地区の道路整備の必要性は認識しているところでございます。
道路整備に当たっては、字図混乱地域の取り扱いなどさまざまな課題がありますことから、引き続き、奄美市の意向を踏まえ、対応を検討してまいります。
58 ◯永井章義君 一点だけ、知事にお伺いしたいと思います。
今、土木部長から、国道五十八号城地区の道路整備に関しての御報告、御答弁がありました。
この事業計画は、全体的には和瀬バイパス整備事業で平成四年ぐらいから始まって、ほかの地区は全て終わっているわけですよね。この地区は、今、御説明があったように、用地取得、字図混乱の中での課題があって、長年その方向性が見出せない中で、振り返ってみますと、もう十八年以上、二十年近く事業がストップしたままなんです。
土木部長が御答弁されたように、これからの交通アクセスを考えたときに、国道五十八号の主要な場所で、危険性の高い場所で、この危険性を解除する方策について、もう答えを出さないといけないところに来ていると思います。
そういう中で、先ほども御質問させていただいたように、占有者を特定した形での方法とかいろんな議論がされました。国でも今、所有者不明の土地に対する扱いについていろんな議論がされて、国交省でもいろいろ検討されているところです。これは全国的にもある課題の一つだと思います。そういう中での先例的なあり方として、この手法はどうかといういろんな提示がなされた中での判断をするべきときに来ていると思います。
これは、事業担当の皆さんが判断する範疇をもう超えている、この事業を進めるのか、新たな方法をとるのか、そういう最終的な判断のときに来ていて、その判断ができるのは、知事、あなただと私は思っています。
きょう、ここで答えを出してくれとは言いませんが、知事も現地を通られたことがあって、御存じの場所だと思いますので、最終的な判断の責任者である知事と、地元の責任者である奄美市長とで、この方法では可能性はどうなのかということも含めて話をして、方向づけをしていただきたい。
そして最終的に、今、答弁がありましたが、どうしてもこの取得ができないというのであれば、危険性を解除する意味での現道の拡幅にいくのか、新たなルートを選定するのか、そういう方向性も示していただきたいと思いますが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
59 ◯知事(三反園 訓君)永井議員御指摘のとおりであり、城地区につきましては、私も何回も通っておりますけれども、歩道がなくて一部線形が悪く、道路整備の必要性というのは強く認識しております。
今、奄美市と早急に協議すべきだという御提案もありましたので、早速私としては奄美市長と、どういうことができるのか、今、御提案のあった別ルートがいいのか、幅を広げるのがいいのか、そこあたりも含めて検討を進めていきたいと思っております。
[永井章義君登壇]
60 ◯永井章義君 それぞれ御答弁いただきました。
再犯防止は、地域社会にとって大きな課題です。現状はまだ多くの課題があります。また、人材確保が求められる現在にあって、新たな自立への挑戦をしようとする人の、その環境を整備するのも大切なことだと思います。県として、再犯防止推進計画に基づき、積極的取り組みをお願いいたします。
あわせて、ゆずり葉の郷への運営面、また、先進的な学園構想における適切な指導・助言等をお願いします。
世界自然遺産登録も最終段階に来ました。御答弁いただいたことを含めて、万全の体制で臨んでいただきたいと思います。また、長い意味では、やはりその地域の方々の理解と協力が必要です。丁寧な普及啓発をお願いいたします。
また、公共工事の品質を確保するためには、受注者だけでなく、発注者である県においても、職員が適切に工事管理を行うことが必要だと思います。積算業務など大切な業務が多数ありますが、受注者側からは、施工に関する協議や工程の調整などについて、県の職員と協議する時間を調整するのに苦慮しているという話をよく聞きます。発注者としての県の執行体制や業務の効率化もしっかり考えていただきたいと思います。
くじによる落札の現状の説明がありました。今後どのような方法がよいのか、しっかり検討していただきたいと思います。
国道五十八号については申し上げたとおりであります。知事の御答弁もいただきましたが、地域の現状は待ったなしです。その危険性を除去する意味での最終的な判断というものをぜひお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。
近年の台風は、日本近海で発生して、対応に慌てることも多々あります。また、その勢力も大きくなってきているように感じます。豪雨災害等を含めて、事前の体制、また初動への対応等、抜かりなきよう緊張感を持って対応いただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
61 ◯議長(外薗勝蔵君)次は、西高悟君に発言を許可いたします。
[西高 悟君登壇](拍手)
62 ◯西高 悟君 志布志市・曽於郡区の西高悟です。九月議会の一般質問もいよいよ私で最後となりました。
私は、ライフワークとして、本県の農業立県鹿児島としての農業振興をどのように図っていくかということをいつもいつも質問させていただいております。
知事に冒頭にお願いしたいと思っておりますのが、かねて県内の各地を車座対話やらを含めて回られますけれども、私は県内のそして他県への行政視察でも常に、バス移動のときは、何の作物が植えてあるんだろうと田畑を見ております。鹿児島の農業振興を考えるときに、ぜひ知事にも、耕作放棄地があったりとか、新しい作物があったりとか、見ていただきたいなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
早速質問に入らせていただきます。
まずは、本県の農業振興についてであります。
今回は、説明しにくいことと、見て実感していただきたいということでこの資料を配付させていただきました。見ていただければありがたいと思います。この資料は、宮城大学の大泉一貫名誉教授の資料であります。資料はいっぱいあったんですが、最大のポイントである三つのグラフを引用させていただきます。
上のグラフは、現在の農業就業人口の推移であります。一九九〇年には四百八十一万九千人いた農業者数が、二〇三〇年には五十三万八千人まで減少するというグラフであります。
また、下のグラフが、農業構造の推移、大規模農家のシェアの拡大の推移をあらわしたグラフであります。
上のグラフは、本県でも危機感を覚えている、まさに就農者数が減少するというグラフですが、実際グラフを見ると、本当に危機感を持って本県の農業を考えなければいけないわけであります。折れ線グラフにもできないほど急降下で農業就業者数が減っている。これを見ると、地元にいてもまさにそのとおりだなと実感するんですが、そのような中で、本県の農業を維持していくことと、農業立県鹿児島として農業の振興を進めていく上で、下のグラフは改めて認識しなければならないものであります。
実際ここ二十年で、本県でもそうですが、大隅半島でも大規模農家が大分ふえてまいりました。二〇二〇年において、日本の農業生産額のうち五千万円以上の大規模農家のシェアが五割を超えるわけであります。来年です、もういよいよそこに来ております。二〇三〇年には七割を超えるという試算が示されております。
右のグラフは、その農業構造の推移、大規模農家数の比率をあらわしたグラフでありますが、これを見ていただきますとわかると思いますが、日本の農業生産額の五割強を生産する大規模経営体は、全体の一・八%、一万八千経営体です。この一万八千経営体で今、日本の農業の五割以上の農業生産額を上げているということです。一経営体当たり平均売上高が二億六千万円です。これが二〇三〇年には七割強の生産額を上げると示されておりますが、まさにそのとおりになるであろうと実感しております。その農業経営体、約五・七%、約二万三千経営体によって、日本の農業は支えられていくということが示されているわけであります。
本県の農業振興を進め、生産額を伸ばしていくためには、このような現実をしっかり見据えなければならないわけであります。このグラフを見て、それぞれの県内各地域に住んでいらっしゃる議員の方々も、農家戸数の減少など身にしみて感じておられると思います。
今後の本県の農業を考えるときの大きな課題が見えてまいりました。
まず、今後十年間を見ますと、農家が減少し、大規模農家のシェアが高まります。大規模農家の育たない地域も見えてきます。それは生産性の高い地域と生産性の低い地域があるからです。
知事は、「県産の農林水産物の輸出額は、平成二十九年度の二百一億円に対し、約一三%増の二百二十七億円と過去最高を更新し、本県の農林水産物の輸出は確実に拡大してきております」と提案理由説明で述べられましたが、輸出を伸ばすためにも、本県の農業産出額を伸ばすためにも、生産性の低い地域の解消などを早急に進めていくことが必要であります。
西村議員も、枕崎の荒廃農地いわゆる耕作放棄地の話、そして圃場整備の話をされました。また、きのうは寿議員が、奄美における小さい田畑の生産性を高めるためにどうやって耕地整備を進めていくかという話をされました。鹿児島県内における非常に大きな課題であると思っております。
これからの日本、そして鹿児島の農業をしっかりと維持・拡大していくために必要なのは、生産性を上げる政策であります。これからの日本農業のポテンシャルは生産性次第なのであります。そのような農業政策を進めていかなければならないと思っております。
鹿児島の農業生産性の維持・向上を図るために、今後の十年間はまさに急ピッチで政策を推し進めなければならないと思います。
そこでお聞きいたします。
まずは、生産性の向上を進めるための政策について、農地集約や圃場整備、そして経営技術向上など多岐にわたるわけですが、今後十年間をどのように考えているか、お示しください。
規模拡大を目指す企業的な経営者を育てるための経営塾などの取り組み状況もお聞きいたします。
次に、本県の農地集積について伺ってまいります。
大規模経営体の育成に向けた生産性向上を図るためには、農地の集積問題があります。近年、大規模農業を目指す農家がふえているわけでありますが、本県の農地については、このような大規模農業やスマート農業を進めるためにも、農地の集積と圃場整備が重要であります。
大型機械の導入が進む中、中山間地域においても、担い手等に対し農地を集積し、圃場整備を進めていかなければならないわけであります。全国の耕地面積四百四十二万ヘクタールのうち、二〇一八年度末時点で、担い手に集積されたのは五六・二%であります。本県は四二・四%であり、全国平均を下回っております。本県は、他県に比べ、先ほど述べたように、中山間地域の割合が多いことが原因ではないかと思いますが、これから少子高齢化の中で、農業においても離農する農家がふえていくわけでありますので、農業立県鹿児島として農業振興を図る上で、農地集積をしっかりと進めていかなければならないと思います。
そこで伺います。
担い手への農地集積の現状と、今後の集積拡大に向けた県の取り組みについてお示しください。
耕地整備とかその辺については質問がありましたので、省かせていただきます。
次に、実は種子条例制定について質問する予定でありましたが、我が自民党と県民連合の代表質問において質問がなされたので、種子条例制定については質問を省きました。ただ、細かい問題点や要望についてはお話ししたいと思います。
この条例については、本年度中の定例会に提案できるように、本県独自の条例を制定する方向で検討するとの答弁がなされました。これまでの種子法については、稲、麦、大豆の種子を対象に、各都道府県による普及すべき優良品種の決定、原種及び原原種の生産、種子生産圃場の指定並びに種子の審査制度等を規定し、主要農作物の優良な種子の生産と普及を進めていたわけであります。
そこで、条例制定を行う上で、その条例に、本県が開発した優良な品目等を加えていただきたいと思います。そのことが、本県農業の生産対策強化になるものと思います。そういった幅広い育種を進める条例を制定していただきたいと思います。
まずは、この種子法廃止で起こり得る幾つかの問題点を挙げますと、一、これは当たり前のことですが、種子生産の公的支えがなくなります。
二、種子の価格が値上がりするという心配もあります。政府は、種子の価格は上がっても収入がふえるから問題ないとしていますが、全ての農家に収入増がもたらされることにはなりません。種子価格の高騰は消費者にはね返るだけではないかと心配されております。
そして、三、種子品種の多様性が失われるとの心配がなされております。特に、主食である米については、全国で約三百品種が栽培されており、特定の地域でしか栽培されていない品種の米は、地域振興の看板にもなっております。また、地域の気候に合った品種の種子が供給され続けていたわけであります。
種子法の廃止とほぼ同時に成立した農業競争力強化支援法には、既存の多数の銘柄を集約するという方向が示されております。単一の種子が大量生産されるようになれば、病害虫の発生などで大きな打撃を受けるリスクも高まります。気候変動が激しくなる中、被害をより大きくする危険性をもたらすわけであります。米一つにおいても、このような危険性があるわけであります。
四番目に、大企業による種子の支配が進むのではないかと心配もされております。先ほどの二番目と三番目に示した、種子の価格が値上がりする、種子品種の多様性が失われる、この二つの問題点につながる話であります。公共品種の種子が徐々に姿を消し、将来、国内大手と多国籍企業の種子しか選べなくなるのではないか、このような心配がされております。
先祖から受け継いだ種子は、自然とともに育んだ公共財産であります。種子法には、そうした遺伝資源を公共財産として守るという考えが基本にあったわけであります。アメリカやカナダでは、州立大学や州の農業試験場が今でも法律に支えられ、公共品種の育成に重要な役割を果たしているそうです。日本でも、公共品種の種子を守る法制度は不可欠であり、本県においても、本県の農業と食を守るためにも条例化は不可欠であると思うわけであります。私たちの食糧主権を失うことになるとの心配がなされているわけであります。
本県農業の生産対策強化を進めるため、主要農作物以外の品目についても、本県独自の条例の対象とすることを検討していただきたいと要望いたします。
それでは、品種開発のスピードアップに向けた試験研究の取り組みについて伺います。
本県の農業産出額や農業所得の向上を進めるためには、新品種の開発に関するスピードアップを図っていかなければならないと思います。県農業開発総合センターにおいて開発された米の品種あきほなみは、一般財団法人日本穀物検定協会が実施している米の食味ランキングにおいて、平成二十五年産から六年連続で最高評価の特Aを獲得するなど、すぐれた品種で、年々産地が拡大しているところでありますが、さらに、あきほなみに次ぐ品種を開発中であると聞いております。
また、米以外にも、キクやイチゴ、ミカンなどについて、すぐれた品種の育成も進められていると聞いておりますが、本県の農業所得向上を進めるために、生産者にとっては、つくりやすくて収量が多く、生産が安定している品種、消費者にとっては、高品質で喜ばれる品種など、新品種の開発は重要であると考えております。また、そのことが、かごしまブランドの発展にもつながっていくと考えられます。
そこでお聞きいたします。
現在の米の品種開発の現状についてお示しください。
また、米以外に果樹や野菜、花などについても、品種開発の現状についてお示しください。
一方、品種を開発するには、十数年単位での期間とそれに伴う予算も要すると認識しています。例えば果樹では、平成十三年にかごしま早生の品種登録以来、その後、県育成品種の登録品種は出ておりません。阿久根で発見された赤いデコポン大将季は高品質で、現在、果樹のホープとして期待されていますが、品種登録後にウイロイドフリー化を行い、フリー苗木の産地への供給に四年かかり、その後、果実の生産に至るまで数年を要するなど、産地化にも時間がかかりました。このようなことから、品種の開発にはスピードアップは欠かせないと考えます。
また、品種開発のスピードアップを図るための予算確保も重要であることから、例えば、生産者も拠出するような品種開発基金等の創設もあってもよいのではないかと思います。一農家当たりあるいは面積割による、生産者からの少額の拠出金でスピードアップを図ることも一つの手法であると思います。
また、県職員は、普及事業や経営指導の現場経験も必要であると思いますが、品種の開発・育成に当たっては高い専門性が求められることから、その人材の育成も重要であると思います。
そこでお聞きいたします。
今後の育種の目標や、育種のスピードアップを図る方法についてお示しください。
あわせて、品種の育成に携わる研究員の資質向上の取り組みについてお示しください。
冒頭、知事に、各産地で、いろいろな農作物を見ていただきたいというお願いをしましたけれども、この十年間でどうやって耕地整備を進めていくのか、あるいは品種改良していくのか、あるいは若い後継者を育てる塾をつくっていくとか、そういったものを予算化していくのは、知事の政治手腕だと思います。そういったことも含めて、今お聞きいたしました問題についても、知事の御答弁があればよろしくお願いいたします。
一回目の質問を終わります。
[知事三反園 訓君登壇]
63 ◯知事(三反園 訓君)本県農業の生産性向上を進めるための政策についてであります。
本県の基幹産業であります農業を持続的に発展させていくためには、担い手の減少、高齢化の進行、労働力不足など、農業が抱える課題を解決し、生産性の向上を図り、我が国の食料供給基地としての役割を果たすことが重要であると考えております。
このため、県では、担い手となる大規模経営体や新規就農者の確保・育成、農地、畑地かんがい施設、農道などの生産基盤の整備、農地中間管理事業等を活用した担い手への農地集積・集約化の取り組みに加え、労働力の安定的な確保、そして本年三月に策定いたしました県スマート農業推進方針に基づき、ロボットトラクターやドローンなどを活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業を推進するなど、生産力の強化に努めているところであります。
また、日本一の鹿児島黒牛など、鹿児島が誇るすばらしい農畜産物を国内はもとより世界に向けて打って出る攻めの展開につなげていくことが重要であると考えております。
県では、これら農畜産物のブランド力や付加価値を高めるために、新たなかごしまブランド確立運動の展開、大隅加工技術研究センターによる新たな加工品の開発支援などを行うこととしております。
さらに、昨年三月に策定いたしました県農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、牛肉やお茶、サツマイモなどの重点品目の輸出拡大に向けた取り組みを進め、販売力の強化に努めてまいります。
これら生産と販売の両面からの取り組みを強力に進めることによりまして、稼げる農業を実現し、農業者の所得が向上し、後継者が確保されるという好循環を生み出すことを目指しております。
今後とも、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針に沿って、各般の施策に総合的かつ計画的に取り組むことによりまして、農業の生産性の向上を図るとともに、安全で安心な農畜産物の生産拡大に努めてまいりたいと思っております。
64 ◯農政部長(満薗秀彦君)企業的な経営者を育てるための経営塾などの取り組み状況についてでございます。
県では、平成二十九年度から、経営発展を目指す農業経営者や農業法人の経営幹部等を対象に、営農しながら、経営管理、労務管理、マーケティング手法などを延べ十日間にわたって講義とワークショップ形式で学べる、かごしま農業経営塾を開講しており、今年度を含め、これまで約八十名が受講しているところでございます。
このほか、かごしま農業経営相談所による税理士などの専門家派遣や地域別の法人化研修会の開催などを通じて、企業的な経営感覚のすぐれた農業経営者の育成に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、今後とも、関係機関・団体と一体となって、規模拡大を目指す企業的な農業経営者など、本県農業を支える担い手の確保・育成に努めてまいります。
次に、担い手への農地集積の現状と今後の拡大に向けた県の取り組みについてでございます。
本県における平成三十年度末の担い手への農地集積面積は約五万ヘクタール、集積率は四二%で、その内訳は、借入地が二万四千五百ヘクタール、自己所有地が一万八千ヘクタールなどとなっております。
担い手へ農地集積を図るためには、離農や規模を縮小する農家等の農地の権利を、貸借や売買によって規模拡大を志向する担い手へ円滑に移行させることが重要と考えております。
このため、県では、市町村や農地中間管理機構と連携しながら、農地を借り受け、担い手へ貸し付ける農地中間管理事業による利用権の設定や、農地を買い入れ、担い手へ売り渡す農地売買等事業による所有権の移転などに取り組んでいるところでございます。
今後とも、担い手の経営実態や農地の実情などを考慮したきめ細かな対応により、担い手への農地集積に努めてまいります。
次に、品種開発の関係で何点か御質問いただきました。
まず、水稲や野菜などの品種開発の現状についてでございます。
県では、農業開発総合センターにおいて、水稲や野菜などの品種開発に取り組んでおります。
水稲については、高温に強く良食味の品種として、早期栽培用のなつほのか、普通期栽培用のあきほなみを開発したほか、焼酎麹用として適した品種のたからまさりなどを開発したところでございます。
また、イチゴでは、糖度が高く年内収穫量も多いぴかいちご、バレイショでは、防除が困難なシストセンチュウに抵抗性を持つ、しまあかりとしまクイーンを開発したほか、低温開花性があり暖房費の低減につながるキクの冬馬と立神、八重咲きのテッポウユリの咲八姫などを開発したところでございます。
次に、今後の育種目標や育種のスピードアップについてでございます。
県では、本年三月に策定した農業試験研究推進構想において、作期分散や出荷期分散を可能とする多収品種の育成や、実需者ニーズに基づく商品性の高い品種の育成を目指すこととしております。
具体的には、水稲では、早期、普通期栽培それぞれの作型に応じた良食味、多収、病害虫抵抗性などを、また花卉では、多彩な花の色や形などを、それぞれ品目ごとに育種目標を設定し、品種開発に取り組んでおります。
なお、これらの品種開発に当たっては、DNAマーカーを利用した病害虫抵抗性を持つ系統の効率的な選抜技術や、これまでにない花の色や形などを短期間で発現させるイオンビーム技術の活用などにより、開発期間の短縮を図っているところでございます。
次に、育種に携わる研究員の資質向上についてでございます。
県農業開発総合センターでは、品種開発に係る専門的な知識とノウハウなどを研究員に習得させるため、OJTによる技術の継承を初め、国の研究機関等への派遣、産学官による共同研究への参画、各種研究会やセミナー等への積極的な参加などを通じた資質向上に取り組んでおります。
県といたしましては、今後とも、スピード感を持って県独自の優良品種の開発に取り組み、県産農産物の生産性向上や販路拡大につなげてまいります。
[西高 悟君登壇]
65 ◯西高 悟君 知事そして農政部長、御答弁いただきました。
今、危機感を持ってということで質問し、御答弁いただいたんですが、議員の皆様方も自分の地域に帰ったときに、恐らくこれからはこういったことを考えながら、農家を見ていただけるのではないかなと思っております。
実は私たちの地域では大型畑作農業が、年収三億円とか十億円という会社がどんどん育っております。
その中の一つの例です。志布志市が今、やっとの思いで中山間地域の水田整備を始めております。ある大型農業法人の社長とこの前、話をしました。「もう生産者がいないんだよ。恐らくうちの会社でつくるしかないだろう。であるならばと、私が今、進めているのは、私はこの会社の社長ですが、その下に会社をつくるんだ。社長をつくります」、「どういう社長をつくるんですか」、「給料は定額です。決まっております。この面積でこのグループでこれだけの作物をつくれば、あなたの給料は幾らです。そこから自分の給料を伸ばしたいのであれば、面積を拡大する、あるいはいろいろ新しい品種をつくっていく、そういった挑戦をしてくれ。その金は出す。社長として失敗してもあなたの責任は問わない。そうすると社長は育つんだ」と言うんですね。大型農業法人が今どんどん、そういった新しい考え方に変わっております。
十年ぐらい前に、ピーマンをつくると言われました。今、幾らつくっているんですかと聞くと、「ちょうど去年で年商三億です、ピーマンが」と言うんですね。今、そういった法人ができています。
生産性の低い中山間地域の耕地整備をいかに早く進めていくのかということが絶対に、これからの鹿児島の農業を進めていく中では大事だと思いますし、そうしないと、私たちも耕作はできないんですということをその方もおっしゃっています。
「社長は誰でもできます。ただ、投資するとなるから、みんなそこでなかなか規模拡大するあるいは冒険することができないんだ。だから私は社長を、子会社をつくってやっていきます。将来は恐らく旧志布志町は、私と、一軒か二軒で農家は足りると思います」という考え方です。そういった農業に今から変わっていくわけです。ポイントは、いかに生産性を高めるかです。
寿議員が、奄美、徳之島では機械化をどうやったら進められるのかと、きのう質問されましたけど、生産性を上げるためには耕地整備しかないんです。品種改良とあとはいかにそれを技術で、県のいろいろな技術開発を進めながら、新しいIoT農業を進めていくかということになってくると思います。
知事が就任されて所得倍増計画で今、海外にも農産物を一生懸命売っていただいております。あとは、生産性の低い地域の生産性をいかに向上させて、そこに新しい大規模の農業経営体ができていくかという世界になると思っておりますので、どうか、知事、農政部長もそうですが、このことを念頭に置いてこの十年間、急ピッチでやっていただけたらありがたいと思います。
食料自給率についてであります。
二〇五〇年の地球温暖化の影響について、国連予測が発表されました。気候変動に関する政府間パネルは、干ばつ等の増加で二〇五〇年には穀物価格は最大二三%上がるおそれがあり、食料不足や飢餓のリスクが高まると警告した特別報告書を公表しました。地球温暖化が世界各地域に与える影響について、水不足に遭う地域や人口がふえるなど影響は多岐にわたると指摘しております。
日本においても、近年の気候については、例年にない大雨や日照不足など農業に与える影響は大きいものがあります。このような状況を考えながら、本県の農業政策を進めるべきだと思います。
以前質問しましたが、百年後は、今予測されている二酸化炭素など地球温暖化の原因物質の増加により、地球の平均気温が四・八度上がるだろうと言われている。これは最悪の結果の予測でした。鹿児島県からは広葉樹林、原生林が消える。早生ミカンはつくれなくなります。今の米の品種もつくれなくなりますというお話をしたことがあります。海抜は二メートル上がるそうです。
今、地球温暖化対策でいかに二酸化炭素を削減するかということをやっております。それは次の質問でもやりたいんですが、地球温暖化対策はいろいろな手を打っていかなければいけないと思います。しっかりと品種改良を進めながら農業がいつまでも続けていける、子や孫に残せる鹿児島県であることを期待して、次の質問に入らせていただきます。
森林環境譲与税を活用した人材育成についてであります。
国の森林環境税は、令和六年度から年額千円が課税される予定であり、課税に先立ち本年度から、森林環境譲与税が各自治体に配分されることとなりました。県は、市町村が仲介役となって森林の有効活用を図る森林経営管理制度の円滑な推進を図るため、市町村支援の財源として活用していくとのことであります。
一方、県の森林環境税については、我が党の代表質問において、森林環境の保全などを目的とした取り組みにより、森林の持つ公益的機能が発揮される等の効果が上がっている。森林をよりよい姿で次世代に引き継ぐため、県民の理解をいただきながら、継続に向け検討を進めていきたいと答弁されました。
林業振興においても、本県農業振興の質問と同様の問題として、人材育成が大きな課題であると思っております。
本県は、県土の六割超を森林が覆う森林県であります。森林総面積は約五十九万ヘクタールで、九州一の広さであります。人工林は約二十八万ヘクタールを占め、森林資源に恵まれております。戦後植栽された人工林は多くが伐採期を迎えており、皆伐が進む中、伐採後の再造林がされず放置される山の増加が課題となっております。そうした状況を踏まえ、県議会でもいわゆるかごしまみんなの森条例を制定しました。
伐採期を迎えた多くの人工林は、このまま放置すると、需要の少ない大径材となることや二酸化炭素の吸収量も低下するため、植える、育てる、使う、植えるという森林資源の循環利用を進めなければならないわけであります。
平成二十七年度の本県の再造林率は三〇%で、宮崎、大分、熊本は七〇%前後とのことであり、本県においては再造林を進めることが急務とされておりました。平成二十九年度の再造林率は、本県が四五%、宮崎、大分は六〇%超と報告がなされております。
国は、人工林の三〇%は針広混交林とし、七〇%は再造林が望ましいとしております。以前の一般質問で、災害を防止するためにも、針広混交林の生育スピードアップの要望をいたしましたが、そうしますと、残りの七〇%はスギやヒノキの再造林等を行い、資源の循環利用を図ることとなります。
七月二十九日、「伐採急増 防災に懸念」との新聞報道がありました。参考になる例ですので取り上げさせていただきますが、曽於市の平成三十年度の状況であります。
提出された伐採届千五百九十九件、前年度比五百六十三件増、伐採面積七百十二ヘクタール、うわさでは千ヘクタールいっているんじゃないかという話もあるんですが、五年前の四倍です。森林組合の年間植栽面積は二百ヘクタールが限界とされております。また、六十年周期で循環利用する場合の市の人工林一万四千ヘクタールの伐採許容量は、二百三十九ヘクタールとありました。本当に大変な問題になっている。伐採された山が再造林されていない。
本県の森林・林業振興基本計画は、計画期間を令和元年度から十年度までとし、再造林面積の目標として、現状の五百十二ヘクタールから、十年後は千二百ヘクタールを目指すとされております。しかし、県が示す再造林の目標を達成するためには多くの課題があります。林業に就業する人材が全く足りておらず、再造林もそうですが、再造林後の下払いもできないのではとの問題点があります。
他県においては林業大学校の開校が相次ぐと、昨年、新聞報道がありましたが、本県には林業大学校はありません。
また、山口県においては、林業の即戦力となる人材育成のための林業即戦力短期育成塾を開設されております。研修期間中は月十二万五千円の給付金が受けられ、研修は五月から始まっており、十代から五十代の十二人が基礎を学んでいるそうです。そのうち七人は、既に事業体に所属し、ほかの部門から新規で現場作業への従事を希望されているそうです。残る五人は、新規の就業希望者とのことであります。
また、山口県の森林企画課は、「林業大学校など養成機関のニーズはあるが、財政的な問題もある。現有施設で即戦力としての人材を短期で育成できれば、ニーズはあるはずと、速効性と費用対効果に期待」としています。同事業は、県が受ける森林環境譲与税を財源としているとのことでありました。
そこでお聞きいたします。
本県の森林環境税及び国の森林環境譲与税の今年度の予算額と使途についてお示しください。
また、林業大学校や山口県の林業即戦力短期育成塾のように、研修中の生活費補填のための給付金制度を設けた研修機関の開設は、林業就業者数をふやせる即効性のある事業だと思いますが、本県の林業分野における人材育成の考え方をお聞きいたします。
次に、いよいよ開催が来年となりました、「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」の会場における喫煙ブースの設置についてでありますが、社会資本整備総合交付金等の活用により、着々と開催に向けた整備や競技別リハーサル大会の開催など、準備が順調に進んでおり、国体・全国障害者スポーツ大会局や関係者の皆様方の取り組みに感謝申し上げます。
大会の成功と天皇杯・皇后杯の獲得に向け、鹿児島県全体で総力を挙げて取り組まなければならないと思います。
また、来鹿される選手や関係者、一般の方々に、鹿児島の食や観光地のよさを知ってもらう最大のチャンスであります。県外の方々にリピーターとして何回も鹿児島を訪れてもらう最大のチャンスでもあります。そのための取り組みを各部局で最大限努力していただいております。
鹿児島に来てよかったと思っていただける取り組みの一つとして、私から提案があります。
私は愛煙家であります。また、今、たばこ・茶振興調査会の会長もさせていただいております。ことし七月から、公共施設等についてはさらに厳格な分煙が始まりました。
現在、たばこには、一種、二種、その他とあります。一種は、通常の紙巻きたばこなどであります。二種は、今はやっている加熱式たばこです。その他というのは、低温の加熱式たばこなどであります。現在どこに行っても、喫煙ブースは一種・二種・その他、同じ喫煙スペースであります。
ここで、二枚目の資料をごらんください。たばこ・茶振興調査会の会長として非常に深刻に考えておりますので、よろしくお願いいたします。
これは、喫煙ブースの新しい考え方で設置されている、広島にある建物内に設置されたブースの写真であります。ここは、一種と、それから二種その他の喫煙スペースが、二つに分けられて設置されています。
今回の「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」において、これをヒントとした喫煙スペースの設置を行えないかと考えております。そうすることで、愛煙家の方々が、鹿児島はこんな分煙のあり方が進められており、感動したと言えるのではないかなと思っております。
資料の左側に、私がちょっとした例を書きました。
まず、今回の「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」において、喫煙ブースを設置されますか。されるのであれば、設置場所の表示案内が必要と思いますが、これについてはどうか、お聞きいたします。
そして、先ほど、屋内における分煙のあり方として、この資料で広島の例を挙げましたが、大会会場において、喫煙コーナーをクランク型にして、手前を加熱式エリア、奥を紙巻きたばこエリアにする設置のあり方を検討していただけないか、お聞きいたします。
ほかに、真ん中に仕切りを入れて二つに分け、煙が来ないような加熱式たばこのブースを設置するというような考え方もあると思いますが、お聞きいたします。
知事は、たばこは吸われませんが、愛煙家に大きな感動を与えると私は思うのでありますが、知事の前向きなお答えをいただきたいと思います。
最後に、本格焼酎の輸出促進についてであります。
これも本県の農業振興に欠かせない大きな政策であります。
PR・観光戦略部では、本県の農産物及び加工品の海外におけるマーケットの拡大に力を入れていただいており、輸出金額も大きく伸びております。
本県の農産物及び加工品において、生産量が大きく落ち込んでいるのが本格焼酎であります。焼酎ブームのピークであった平成十六年度に比べ、昨年度は、生産量が五二・一%に落ち込んでおります。
本県畑作農業の基幹作物でありますカンショも大きな影響を受けております。昨年も、私たちの地域は二割減産でありました。カンショ農家としては、売り上げが大きく落ちて、これまで導入した高額な機械の購入費の返済等を考えると、経営が圧迫される状況となっております。一刻も早く焼酎が増産されることが、焼酎ブームに乗って投資された酒造会社の設備費回収や売り上げ増、農家の収入アップにつながるわけであります。
本年も、所管事業の中で革新的技術の導入と競争力のある産業の創出・振興として、農林水産物・食品の輸出促進に向けて、バイヤー、支援機関による講演、施策説明会、個別相談会等の開催など、多彩な戦略が進められております。
中でも、海外輸出に向けた販売に詳しい優秀な人材の確保が重要であると考えております。
本格焼酎の振興対策として、WSETの焼酎教育プログラムとの連携・協力のため、県焼酎輸出拡大等プロジェクト小委員会が六月二十九日に行われております。WSETの焼酎教育については、焼酎メーカーの海外販売における基本的な考え方を知らなければならないと、地元衆議院議員からお聞きいたしました。
鹿児島の芋焼酎はアルコール度数二十五度が基本であり、水やお湯で割って飲むのがポピュラーであります。御存じのように、WSETは、ロンドンに本部を置く世界最大のワイン教育機関であります。なぜWSETが焼酎教育プログラムに取り組んだのかといいますと、芋焼酎は酒造メーカーがたくさんあること、原料の芋が何種類も使われていること、そして、酒造メーカーの所在地によって、希釈する水がその土地の地下水を使うことで味が違い、多種・多彩な芋焼酎が生産されていること。ここにWSETが目をつけたとのことであります。ただ、海外での販売戦略においては、ワインと同じくそのまま飲めることが必要であるとのことであります。
一部には、アルコール度数十三度の焼酎を開発している酒造会社もあります。海外の販売も視野に入れたときは、このような焼酎の開発が必要なのだろうと思います。
そこでお聞きいたします。
この本格焼酎の振興対策の基本的な考え方と、WSETへの働きかけを初めとする焼酎の輸出促進の取り組み状況についてお示しください。
次に、販路開拓を進める上で、今回のWSETの焼酎教育プログラムとの連携・協力を活用して、焼酎に特化した販売戦略を進めるためには、先ほど申しました、酒造メーカーの根本的な意識改革が必要であり、これまでの常識にとらわれずに海外での販売を進めるプロフェッショナルが必要だと思うわけであります。そのためには、優秀な海外販売に詳しい人材を活用して販売拡大を図るべきではないかと思いますが、お聞きいたします。
二回目の質問といたします。
66 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)林業に関してお尋ねがありました。
まず、県の森林環境税及び国の森林環境譲与税についてであります。
県の森林環境税は、森林環境の保全及び森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成に関する施策に要する経費に充てることとしており、今年度当初予算におきましては、同税を活用し、約四億四千万円の事業費を計上しております。
具体的には、森林にふれあう機会の創出、森林環境教育の推進、多様な主体による森林づくりの促進、間伐や再造林などの森林整備、県産材の利用拡大などの取り組みを進めているところであります。
一方、国から県に譲与される森林環境譲与税については、森林整備を実施する市町村の支援等に要する経費に充てることとされており、今年度当初予算におきましては、同譲与税を活用し、八千八百万円の事業費を計上いたしております。
具体的には、森林経営管理制度に係る市町村の実務を支援するサポートセンターの設置や業務マニュアルの作成、担い手の確保・育成に向けた研修・講習の実施、優良苗木の生産拡大などの取り組みを進めているところであります。
次に、林業分野における人材育成の考え方についてであります。
森林資源の循環利用を促進し、林業の成長産業化を図るためには、就業者の安定的な確保・育成が重要であります。このため、県におきましては、新規就業者の確保に向け、鹿児島きこり塾や林業関連学科の高校生等を対象とした技能講習などを実施しております。
また、就業後におきましては、各事業体みずからが実施するOJT研修を主体としながらも、関係機関・団体と連携し、就業者の習熟度に応じた技能習得や資格取得のための多様な研修を実施しているところであります。
就業者の育成に係る経費の支援につきましては、国が、就業後三年間、年間一人当たり最大二百二十万円余りを事業体に助成する仕組みを講じており、昨年度は、県内五十事業体に対し、百十八人分が支給されたところであります。
県といたしましては、こうした状況を踏まえ、まずは、現在の取り組みを基本としつつ、研修内容のさらなる充実、新規学卒者への働きかけの強化などに取り組むことにより、就業者の確保・育成に努めてまいりたいと考えております。
67 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(中堂薗哲郎君)「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」の会場における喫煙ブースの設置についてでございます。
鹿児島国体・鹿児島大会における喫煙所につきましては、国体の医事・衛生基本計画及び環境衛生対策要項に規定されている受動喫煙防止対策を踏まえて、開・閉会式会場、競技会場及び練習会場に必要に応じて、受動喫煙を生じさせることのない場所に設置することとしております。
なお、設置場所の案内については、選手、大会関係者、観覧者等に配布する両大会の観戦ガイドブックに設置場所を掲載するとともに、各会場における来場者の動線等を勘案しながら、会場内の見やすい場所に案内板を複数設置することとしております。
会場における分煙の方法については、国体の医事・衛生基本計画の受動喫煙防止対策に基づき、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう配慮することとしております。
御提案のあった喫煙所における新たな分煙のあり方については、今後、喫煙所を設置する際の参考とさせていただきたいと考えております。
今後とも、国体の会場地市町村や施設管理者、関係団体等と連携を図りながら、受動喫煙防止対策に取り組んでまいります。
68 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)本格焼酎の振興、輸出促進についてであります。
県では、かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし条例も踏まえ、製造業者、関連産業の事業者、関係団体が相互に連携して、焼酎産業の振興に努めているところであります。
焼酎の輸出促進については、世界最大のワインとスピリッツの教育機関であるWSETにおいて、バイヤー等の仕入れ責任者向けに、日本の焼酎を含むスピリッツの教育プログラムがことしの夏から新設されたことを踏まえまして、今年度は、英国WSET本部における同教育プログラムの講師及び受講生との意見交換会や、それらの方々を本県に招請しての産地視察などを実施することとしています。
また、本年六月には、ワシントンDCのスミソニアン博物館等におきまして、本格焼酎のプロモーションを行うなど、さまざまな機会を捉えて、本格焼酎の魅力を海外にPRしているところです。
海外販売に詳しい人材の活用につきましては、日本におけるWSET運営会社のアドバイザーに、県焼酎輸出拡大等プロジェクト小委員会に参加していただき、WSETへの働きかけなどに尽力してもらっているほか、酒造メーカーにおいても、海外ビジネスに詳しい人材の活用が進みつつあります。
県といたしましては、引き続き、県酒造組合等と連携を密にし、本格焼酎の振興を図るため、海外での本格焼酎の認知度向上や販路の拡大に努めてまいります。
[西高 悟君登壇]
69 ◯西高 悟君 それぞれお答えいただきました。
初めて再質問いたしませんでした。
県内における林業の就業人口は物すごく少ないわけですよね。就業人口が足りないわけですから、十人でも毎年就業者数がふえるということは、物すごく林業活性化には役に立ちます。ぜひ、就業につなげる育成塾や、その中で給付金の給付が五カ月間でもできるようなこともこれから考えていただければありがたいかなと思いました。
焼酎の輸出量がふえるということは当然、カンショ農家も作付がまたふえるわけです。当然、焼酎の販売量もふえるわけです。鹿児島の農産物、そしてその加工品の産出額がもっともっと伸びるということです。倍の計画で伸びていくことになると思います。ぜひそこを考えて、力を入れていただきたいと思います。
灰皿の設置についてですが、私はどこに研修に行っても、一番先に喫煙場所を聞いてから研修を受けて、終わったらいち早くそこに行って、バスに乗る議員の皆さん方に迷惑をかけないように大騒動して吸います。
今回の国体でも、案内板等に喫煙ブースがちゃんと記載されて、行きやすいようにするということですので、ぜひそうしていただきたいと思います。まだまだ日本には愛煙家が二〇%いらっしゃいます。たばこを吸わない人も吸う人も、鹿児島に来て、「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」を実感してほしいのであります。そういったことを考えていただきたいなと思います。
二〇一六年度の国のたばこ税の税収が九千百四十二億円、もう一つあります、たばこ特別税千四百十四億円、そして地方たばこ税が一兆五百九十八億円、内訳は、都道府県のたばこ税千四百八十九億円、区・市町村のたばこ税九千百九億円であります。
このたばこ特別税が、昔、物議をかもしたことを覚えていらっしゃる方がおられますかね。恐らく知事ももう忘れている話だと思います。千四百十四億円、これは、国鉄赤字の負担を喫煙者の方々だけで払う税金です。まだ日本に二〇%、そうやって吸う方がいるということです。そういった方々が鹿児島に来て、先ほどお話ししたような分煙をやっているのを見て、鹿児島は国体でもしっかりとそういった政策をやってくれていると、おもてなししているということを考えていただきたいなと思うわけであります。
JT関係者からお聞きしたアンケートの内容を二つ取り上げさせていただきます。
一つ目は、私たちはたばこ税という大きな税金を払いながら、法律の内容は行き過ぎており、差別である。二つ目は、路上の灰皿のある場所で喫煙していたら指を指され、離れているにもかかわらず煙たがられた。その態度が、何か悪いことをする者を指さすような態度だったということでありました。
確かに分煙は大切であります。吸わない方々への配慮をしっかりとしながら、喫煙マナーは守っていかなければならないものであります。しかし、今回の国体・鹿児島大会において、各会場でこういった分煙のあり方に取り組んでいただくことが、鹿児島のおもてなしにもなるのではないか、一つのおもてなしのあり方としての御提案ですが、参考にしていただけるということでありますので、ぜひ、来年です、実行していただけたらありがたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
70 ◯議長(外薗勝蔵君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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71 △ 議案第八〇号─議案第九二号(議案第八四号、
議案第八八号及び議案第九一号を除く)、議
案第九五号、報告第四号、諮問第一号、諮問