鹿児島県議会 2016-06-10
2016-06-10 平成28年第2回定例会(第6日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、一般質問
吉 留 厚 宏 君
下 鶴 隆 央 君
大久保 博 文 君
井 上 章 三 君
一、議案第六八号の上程
一、同右議案の質疑
一、議案第五八号から議案第六八号まで(議案第六五
号から議案第六七号を除く。)及び報告第二号の
常任委員会付託
一、散 会
━━━━━━━━━━━━━
2 △ 一般質問
◯議長(池畑憲一君)まず、一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
吉留厚宏君に発言を許可いたします。
[吉留厚宏君登壇](拍手)
3
◯吉留厚宏君 おはようございます。
一般質問も最終日となりました。四日目で大分お疲れかとは思いますが、よろしくお願いいたします。
東京都議会は一般質問は一日だけだったということであり、我が議会は四日間もやりますので、非常に有意義かと思います。
また、本日は若い女性の方がいっぱい傍聴にいらっしゃっております。私の家内に、「きょうは一般質問をするんだけど」と言ったら、「好きにやって」と言われました。そういった意味では、きょうも元気よくやっていきたいと思っております。(「
インターネットで見るんじゃないの」と呼ぶ者あり)
インターネットも見ません。
それでは、内容もほかの方の一般質問と重なっているところもありますが、六つの分野、八項目について順次質問していきます。
まず、
経済格差対策についてを取り上げます。
少しお話させていただきます。
私が地域を回っておりますと、時々、経済的に本当に大変だろうなと思われる家庭に出会うことが多くなりました。大半の皆さんは自分で頑張るということでありますが、時々相談に乗ることもあります。地方におきましても、各家庭、各個人の経済力の格差が以前に比べて大きくなってきていると感じるところであります。
私が二十代のころは、日本人の八割は自分は中流だと思っているという時代でありました。我々の先輩たちの大きな成果であります。我々の先輩方は、戦後、敗戦の反省も踏まえて、軍事費をなるべく少なくし、その分を産業育成や民生費等に回し、戦後復興を果たし、経済大国をつくり上げました。
資本主義対社会主義の中で、国際的には東西対立、国内的には保守対革新の対立があり、主に自民党を主とする保守政権のもとで、社会主義的とも言える社会政策や税制がとられました。その果実が広く国民にも、所得倍増や国土の均衡ある発展、
福祉国家等として行き渡り、国民の八割が中間層という国家をつくり上げました。まことに見事なものであると思います。
その後、東西冷戦の終結もあり、
バブル経済の崩壊もある中で、
修正資本主義ではなく、もっと規制緩和をとする新自由主義の構造改革という名のもとに、数多くの政策が実施されました。こうした中で、勝ち組、負け組、自己責任という言葉が多く見られ、経済格差が人々の間に顕著に出てきました。まことに反省すべき点もあったと思います。
そこで、社会における緊張感を高めかねない経済格差について、以下三項目にわたってお尋ねします。
最初に、
賃金デフレについてお聞きします。
よく、失われた二十年と言われます。これは、この二十年余りの間、日本経済の成長がとまり、むしろ縮小してきたことを指します。我が国には、この二十年余り、物価が下がっていくデフレが起こっていました。総務省や
厚生労働省のデータによりますと、平成九年の水準を一〇〇として、
消費者物価、全産業の平均賃金、家計消費の推移を見てみますと、この間の物価下落は極めて緩やかなのに対し、賃金の水準は急降下しました。平成九年を一〇〇とすると、平成二十七年の全産業の平均賃金は八七にしかなりません。約一三ポイント下がりました。
賃金が減ると、GDP─国内総生産─の六割を占める家計消費が萎縮します。平成九年を一〇〇として、平成二十七年は八八まで減ってきており、賃金の下がる率とほぼ比例して、同じように下がってきているということであります。これが
日本型デフレの特徴であります。主な原因が賃金の下落なのは明らかであります。
安倍総理大臣が、賃上げを経団連などの経済界に求めてきたのはこのためであり、まことに理にかなっています。
アベノミクスが始まった平成二十五年以降は、賃金は上がる兆しが見えましたが、勢いは弱いものです。家計消費は平成二十五年、
アベノミクスが始まったときに急回復しましたが、その後すぐに真っ逆さまに落ちてしまいました。原因は、平成二十六年四月からの
消費税増税です。こうしたことから、八%の消費税を一〇%にすることを再延期するという今度の
安倍総理大臣の決断には、私は賛成するものです。デフレがおさまらない中での増税は自殺行為になると思います。
構造改革によって急増した正社員の六四%の平均賃金しかない低賃金の非正規雇用の皆さんや、家のローンや教育費の高さにあえいでいる
サラリーマン世代といった社会の中間層が、増税や賃下げによって中間層からこぼれ落ちていくことが危惧されます。
私は、
自民党鹿児島県連の政調会長として、
自民党本部での
全国政調会長会議において、
稲田政調会長を初めとする多くの国会議員の方々に、「非正規雇用の賃金を正社員の七割から八割まで引き上げ、
ヨーロッパ並みにするべきだ」と申し上げました。同じような議論が自民党の国会議員の中にもあり、与党である公明党にもあるということで、その後、これは、国のニッポン一億総
活躍プランの中にも取り入れられました。
景気がよくならないから賃金が上がらないのか、また、下がるのか、日本全体の賃金が余り上がらないから景気がよくならないのか、金は天下の回りものと言います。景気をよくするために日本全体で賃上げをお願いしましょう。
そこでお聞きします。
本県において、
安倍総理大臣と同じように、本県の消費を喚起するために、業績のよい企業や景気のよい業界に対し、また産業界全体に対し、賃上げを要請する考えはないのか、まずお聞きします。
次に、
有効求人倍率について質問します。
私は昨年、東京において、自民党の会合に出席しました。その会合にて
安倍総理大臣、
自民党総裁でありますが、「高知県で初めて
有効求人倍率が一・〇倍を超えました。
アベノミクスの成果であります。高知県の出席者に、皆さん拍手してください」と話されました。
私はそのときに、あの高知県がと思いました。御承知のとおり、高知県は、本県と同じように人口流出が続く過疎の県であり、第一次産業の割合が高く、自然災害も多く、一人
当たり県民所得も常に全国の下位であると私は思っていたからです。
そこで、この五月に、直接お話を聞いてみたいと思い、高知県庁にお邪魔をし、県の担当者にお話をお聞きしました。
有効求人倍率で、高知県においては、平成二十二年が〇・五四倍、それが直近の平成二十七年三月期には一・〇六倍。一倍を超えております。一人
当たり県民所得も、平成二十二年の二百二十六万九千円が、平成二十五年には二百四十四万七千円にと、三年間で約十八万円余りふえているということでありました。
本県のものを見ますと、
有効求人倍率が、平成二十二年は〇・四六倍、平成二十七年三月期は〇・九三倍となっており、一人
当たり県民所得は、平成二十二年は二百三十九万八千円で高知県を上回っていましたが、平成二十五年は二百三十九万九千円とほとんど変わっておらず、この時点で高知県に抜かれてしまいました。
高知県のこの間の成果は大変なものだと思い、県の担当者に、何か特別な政策があったのか、大きな企業の立地があったのかお聞きしましたが、そういったものは特にないということでした。あえて言えば、今まで高知県が取り組んできたさまざまな産業政策、
経済対策等の成果が、
アベノミクスが引き金になって花が開いたものだと考えているということでした。
また、高校新卒の
就職希望者の中で、以前は高知県内に就職する人は四〇%余りだったが、今では七〇%余りになっているということで、地元に若者が残るようになっているということでありました。本県は大体半々だと思っております。
そこでお尋ねします。
本県の
有効求人倍率は、直近の四月は〇・九七倍であり、過去三番目に高い水準となっています。しかし、全国平均は一・三四倍であり、まだまだ差があります。その順位も全国で下位にあります。恒産なくして恒心なし。安定した雇用を確保することが、我々
地方政治家の最大の仕事の一つだと思っております。
本県において、
有効求人倍率をさらに上げるためにどのようなことを考えておられるのか、質問します。
次に、
貧困家庭対策についてお聞きします。
県の事業としてはさまざまなものがあると思いますが、ここでは、子供の
学習支援事業について取り上げます。
よく、貧困の連鎖ということが言われます。低所得や家庭環境が原因で子供が教育機会を失い、貧困が次の世代にも引き継がれるということであり、
関西国際大学の先生による、ある市での平成十九年度の調査研究結果の公表によって、そのことに関心が高まりました。
それによりますと、生活保護を受ける世帯主の二五%は、みずから育った家庭も
生活保護世帯で、
生活保護世帯の世帯主の学歴は、中卒か高校中退が七三%を占めたということです。貧困と低学歴の根深い結びつきを断ち切りたいということで、全国各地の自治体において、平成二十六年度には百八十四自治体において、
生活保護家庭等の子供の
学習進学支援に取り組み始めています。
私がお邪魔しました高知市においては、
高知チャレンジ塾として、教員OBや大学生などの
学習支援員が週二回程度、市内五カ所で
学習支援を実施し、成果を上げているということでありました。埼玉県も同様のことを実施しているとのことです。
本県においても、薩摩川内市、日置市、霧島市においても実施しており、今年度、鹿児島市、曽於市において予定されています。
また、本県の事業として、今年度から、
大隅地域振興局に
大隅くらし・し
ごとサポートセンターを開所し、大隅をモデルに、
生活困窮者自立支援法に基づく県の事業の一つとして始めています。これは評価するものであります。しかし、いま一歩踏み出してもらいたいものです。
学習支援ではありませんが、福岡県においては、今年度から、コンビニエンスストアから
消費期限切れ前の弁当やおにぎり、パンなど、食品を無償で譲り受け、
学習支援の場として使う公民館などで貧困家庭の子供に提供する仕組みを始めるということであります。予算的には二百六十万円程度にしかならない事業であるということであります。
また、宮崎市においては、子供の貧困対策の一つとして、所得の少ない家庭の子供約五千人を対象に、一人当たり二キロ相当のお米券を配布するとの報道が先日ありました。
本県は、ある調査によりますと、子供の貧困率は全国で三番目にあるということです。今そこにある危機ということで、今現在も貧困にあえぐ子供たちが数多く本県にもいるということであります。
そこでお聞きします。
本県の
貧困家庭対策の一つとしての
学習支援について、各自治体がばらばらでありますので、本県がもう少し前面に立って、今後、全県的に実施する考えはないのか、お聞きします。
また、ほかに、子供の貧困対策で新たに本県独自に何か考えはないのか、あわせて質問します。
4
◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)
経済格差対策の中で、まず、県内企業や産業界への
賃上げ要請についてでございます。
政府は、今月二日に閣議決定された
経済財政運営と改革の基本方針二〇一六におきまして、新三本の矢によりまして、成長と分配の好循環を確立し、地方を含め、日本経済全体の
持続的拡大均衡を目指すとしております。また、賃金・可処分所得の引き上げにつきまして、平成二十八年
春季労使交渉において、賃金・一時金の引き上げや、二十九年以降も収益に見合った賃金の引き上げの流れの継続が必要とされており、実現のために、
所得拡大促進税制の活用や中小企業・
小規模企業者の
生産性向上の支援などの環境整備を進めることとされております。
県といたしましては、これまで県内企業に対しては、
新規学卒者の
採用枠確保にあわせ、在職者や非
正規労働者等の処遇改善など、労働環境の整備に向けた取り組みを要請しているところでございます。
次に、
有効求人倍率についてでございます。
本県の四月の
有効求人倍率は〇・九七倍でありまして、全国平均との格差が大きいものの、平成四年以降では最も高い水準を維持しており、過去最高であった平成三年四月の一・〇二倍に迫る水準となっております。これを職業別に見ますと、サービス、販売、建設の職業や医療・福祉分野を含む専門的・
技術的職業などで、
有効求人倍率が一倍を超えており、
人手不足感が非常に高まっております。
なお、
厚生労働省によりますと、就業地別の求人をもとにした
有効求人倍率は全都道府県で一倍を超え、本県は一・〇五倍となっております。
県といたしましては、これまでも地域の実情に応じた雇用対策を進めてきたところでありますが、鹿児島県まち・ひと・し
ごと創生総合戦略に基づき、具体の施策を着実に展開し、本県の
雇用創出力の向上に向けて取り組んでまいります。
5
◯保健福祉部長(古薗宏明君)
貧困家庭対策についてであります。
貧困家庭の子供の
学習支援を含みます
生活困窮者自立支援制度につきましては、
福祉事務所を設置する十九市二町と県が実施主体となっておりまして、このうち五つの市におきましては、今年度、子供の
学習支援事業を実施することとしております。
また、県におきましても、
大隅くらし・し
ごとサポートセンターを設置し、
生活困窮者の就労や
家計管理等の支援に加えまして、子供の
学習支援も実施し、必要に応じてこれらの支援を連携させることにより、
生活困窮者世帯を包括的に支援することといたしております。
県といたしましては、このような取り組みが県下全域で展開されるよう努めることとしておりまして、市町に対し、各種会議や研修等を通じて働きかけているところであります。
子供の貧困対策に係る県独自の施策といたしましては、大学進学など高校卒業後の教育を中心に、家計における
経済的負担が困難となることが懸念されることから、昨年度創設いたしました
大学等入学時
奨学金制度や、今年度創設いたしました大学在学時
奨学金返還支援制度などが挙げられます。
生活困窮者の問題や子供の貧困の問題は、いずれも格差社会の産物でありまして、この問題を根本的に解決するためには、あらゆる政策を総動員して、所得の低い方々の所得を引き上げていく、これに尽きるのではないかと考えております。
先日の記者会見で
安倍総理大臣は、「最大の
チャレンジは、多様な働き方を可能とする
労働制度改革です」とした上で、「雇用形態にかかわらない均等待遇の確保、同一労働同一賃金の実現、非正規という言葉の一掃、その決意で全体の所得の底上げを図る」と発言されました。
しかしながら、その実現には時間を要するものと考えられますことから、現に貧困の状態にある子供に対しては、行政を含め、住民も含め、多様な主体が優しさと温もりを持って、みんなで支え合うことが必要であると考えております。
子供の貧困対策について、地域の実情に応じた具体的な施策を講じるに当たりましては、地域の住民に身近な市町村が積極的な役割を果たす必要があり、市町村において、さまざまな検討がなされるものと考えておりますが、県といたしましても、広域行政を担う
地方公共団体として、県独自に何をすべきか、何をできるか検討してまいりたいと考えております。
[吉留厚宏君登壇]
6
◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
県内経済界に対して賃上げを要請する、しないの明確なお答えはいただけませんでしたが、いろいろなお考えがあるんでしょう。
何度も申し上げますように、全体の賃上げ、要するに給料が上がらないと、収入が上がらないとなかなか、幾ら成長を促すといっても、皆さん、物を買ってくれません。
消費税増税の議論の中で、消費税を増税することによって、将来にわたる
社会保障環境の安心感を与える、そうすると皆さんが消費に回るんだという、そういう議論がありました。私は、そうかなといつも思っていたんですが、今、困っている、今このときに、毎日、生活に追われている人たちが、二十年後、三十年後の安心のために消費をさらにふやすかというと、そうじゃないだろうという感覚を常に持っておりました。案の定、消費税を増税した後、消費はがくんと落ちたというのは、やはりそうだったかなと思っております。
安倍総理も同じような感覚を持っていらっしゃるんでしょう。消費税を上げろと言う人たちは、将来の
社会保障環境をよくするために、その財源として
消費税増税をやるんだということで、それはそれでそういうことでしょうけど、社会保障の充実と消費税の増税は別の話だろうと、それをリンクさせて、増税をしないといけないという議論は少し違うんだろうといつも思っておりましたが、今回、そうやってちょっと延期するということでありますので、いま一回、そういう議論のやり直しをしたらどうかと私は思っております。
また、
有効求人倍率について、過去一・〇倍を超えたことがありますので、ぜひそれを目指して、先ほども申し上げましたように、あの高知県でさえできたわけですから、全ての産業政策をやった成果であるということでありますので、ぜひ我が鹿児島県も頑張っていただきたい。
あと一つ、最近、就業者別の求人倍率という言い方が出てきましたが、これはちょっとどうかと。それは実態をあらわしているからいいんでしょうけど、過去そういう統計のとり方で発表していれば比較になるんですが、過去そういうことは余り言っていなかったわけですから、いわゆる
有効求人倍率は、今までの統計のやり方で比較したほうがいいと思います。そういった意味では、統計の数字の信用性のために、今まで使ってきた指標でやるべきだと私は思っております。
続いて、
貧困家庭対策については、六月九日に、本県の日置市や伊佐市など全国百六十一の市町村長が、子供の貧困問題に連携して取り組む、子どもの未来を応援する首長連合を東京で設立したということが報道されました。
各市町村にとってはかなり厳しい局面がそれぞれ見受けられるということで、
皆さん自分のこととしてやっているということであり、県としても、市町村がやる事業だからということではなくて、先ほど申し上げましたように、福岡県等でも独自にやるということであり、検討しているということでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
次に、
焼酎条例制定後の施策についてお尋ねします。
本県議会において平成二十五年に、本県の特産品である
本格焼酎の産業振興と
本格焼酎に関連する郷土の伝統文化への理解の促進を図るため、
かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化で
おもてなし県民条例、
略称焼酎文化で
おもてなし条例を、私が
制定委員長となり、議員発議で全会一致で可決・制定しました。お酒を少ししか飲まない私であったから、制定できたと思っております。
条例の中で、県や製造業者、
関連産業事業者等は、関連産業の振興に取り組み、また、県民は、県外客等に対する焼酎文化による
おもてなしに努めることとしています。
平成二十六年一月一日に施行し、それから二年半がたちました。
もとより、
本格焼酎に関係する分野は本県の主要産業であります。蔵元─製造業者─は県内各地に散らばり、その数は百十三に上ります。本県の
製造品出荷額では、
本格焼酎は第三位になります。原料のサツマイモの生産は、農業の安定化にもつながります。流通・販売も含めれば、県内に多くの雇用を生み出しています。それだからこそ、この条例を制定したのであります。
条例の施行から二年半がたちました。かつての
焼酎ブームが去り、
条例制定委員長の私の不徳のいたすところでありますが、
本格焼酎の出荷数で隣の宮崎県に抜かれてしまい、それまでの全国一位が、二位になってしまいました。
条例の第三条に県の役割として、「
本格焼酎の製造業及び関連産業の振興が図られるよう、必要な支援に努めるものとする」と規定しています。
そこでお聞きします。
この焼酎文化で
おもてなし条例を制定・施行した後、本県においてはどのような施策が行われてきているのか、質問いたします。
次に、
空き家対策についてお聞きします。
私が地域を回っていますと、ここ七、八年の間に、特に、人が住んでいない空き家がふえてきていると感じてきていました。
もちろん鹿児島ばかりではなく全国的に空き家が増加する中、本県は、総務省の平成二十五年の調査によりますと、県内の住宅総数に占める利用目的のない空き家の割合は約一一%に上り、全国で最も多くなっています。効果的な対策が課題になっております。
こうした空き家に対して、自治体の権限を強める
空家等対策の推進に関する
特別措置法が全面施行されて、先月で一年が経過しています。
国においては、三月の閣議で
住生活基本計画を決定し、空き家を賃貸、売却、他用途への活用のため中古物件の流通を促す一方、計画的な空き家の解体・撤去を進めることとしております。
また、県内においては、市町村が、周囲に影響を及ぼすおそれがあると判断した特定空家の所有者等に解体などを促す、初の特措法に基づく勧告が行われた事案の報道もあり、今後は、
空き家所有者等がこの特措法に基づく指導等を重く受けとめ、その効果が期待されるところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、
特措法全面施行から一年が経過しました。県内における
空き家対策の現在の
取り組み状況についてお聞きします。
第二点は、さらなる
空き家対策に向けて、本県における今後の取り組みについてお答えください。
次に、
エコパークかごしまについてお聞きします。
現在、薩摩川内市において、本県の公共関与の
産業廃棄物最終処分場が立地、稼働しています。過去、県内各地において、県の立地計画に対して住民の反対運動があり、その計画が頓挫しました。平成十九年五月に、現在の薩摩川内市の地区に立地計画の発表がなされた後、住民の方々の反対運動がありましたが、さまざまな経過を経て現在に至っております。
立地地区が、薩摩川内市と私の地元のいちき串木野市との市境に非常に近いこともあり、直線距離で数百メートルですかね、いちき串木野市の住民の方から、私にも多くの御意見をいただきました。県内に一カ所は最終処分場をつくらないといけないこと、全国で最終処分場を持っていないのは当時、三つの県であること等を一つ一つ丁寧に説明し、多くの方に御理解いただいたと思っております。
こうした中、今回、この
エコパークに、県内市町村の一般廃棄物の燃えかすを受け入れるとのことであります。
もとより、一般廃棄物の処理は、最終処分も含めてそれぞれの市町村がやらないといけない分野であります。私自身、旧串木野市の市議会議員の当時、出身地の二十二世帯しかない集落に、既にあったごみ焼却場と、その最終処分場のうち、ごみ焼却場のさらなる建てかえ計画が持ち上がり、いろいろ議論がありましたが、住民の皆さんの御理解を得て、再度の建設に至りました。
ごみ処分場の問題は、住民の方が嫌がる話であります。産業廃棄物にしろ、一般廃棄物にしろであります。しかし、解決しないといけない問題であります。
今回、この市町村の一般廃棄物の燃えかすを
エコパークに受け入れるとのことであります。薩摩川内市については、
エコパークの立地の経緯がありますので十分理解はしますが、他の市町村は、どのようなことで
エコパークに受け入れることになったのか、改めてお聞きします。
また、今後、市町村から同様のことが続くようだと、県としてはそれを許容していくのか、あわせて質問いたします。
次に、鹿児島県信用漁業協同組合連合会に対する本県の支援についてお尋ねします。
これは、漁業者向け金融機関の鹿児島県信用漁業協同組合連合会が、主力融資先である養殖業の不振で財務が悪化しているため、経営の立て直しの一つとして、本県も初めて四億九千五百万円を出資するというものであります。
県信用漁連の平成二十七年三月期の貸出金の三分の二近くを養殖業者が占めています。しかしながら、養殖業者の廃業や倒産が相次ぎ、現在、多額の債権の焦げつきが発生しています。
こうした中、県信用漁連の経営の立て直し、財務体質強化のため、今回、全国の漁協、信用漁連、農林中央金庫が会員となっているジェイエフマリンバンク支援協会から、二十五億九千五百万円の支援を県信用漁連は受けました。そしてそれに伴って、本県も四億九千五百万円を出資するとのことであり、平成二十八年度予算にも計上してあります。
もとより、本県は全国有数の養殖ブリ・カンパチの産地であり、一年間に約七百六十六億円の漁業生産額、全国で四位の漁業県でもあります。県信用漁連の経営が安定していることが必要なことは言うまでもありません。
そこで、改めてお聞きします。
県信用漁連に対する県の支援の内容や経緯はどうなっていたのか。また、今後、県の支援の後、県信用漁連の経営の見通しはどうなっているのか、あわせてお聞きいたします。
最後に、警察行政について質問します。
よく、「最近は物騒になったね」と口にする方がいらっしゃいますが、私は、「いえ、治安はよくなっています」と言うようにしております。事実、本県の犯罪の認知件数を見ますと、平成十八年は一万三千五百六十五件、平成二十七年は七千七百五十六件と、実に十年間で約四〇%も減少してきています。
さきの質問の中で経済格差の問題を取り上げましたが、ほかの国では、経済格差が広がると犯罪が多くなる傾向があると言われますが、我が国ではそうはなっておりません。日本人の国民性もありますし、生活保護制度等の社会のセーフティーネットが今のところ、うまく機能しているように思われます。
また、ほかの国では、治安がよくなる、犯罪を少なくしたことが政治家の実績によく挙げられております。最近の各国の大統領選挙の話を聞きますと、そのことがよく感じられるわけであります。しかしながら、日本では余りそういうことは言われません。治安がよいのは当たり前、水と安全はただという感覚が日本人の中にはあるのかもしれません。
ちなみに、本県において、四割犯罪が減少したこの十年間、県知事は伊藤知事であり、県議会議員は私であります。また、私を初め、この議場にも多くの方がいらっしゃいます。鹿児島県において、十年間で犯罪が四〇%減ったのだということを、我々はもっとアピールしましょう。
そこで質問します。
県警察本部長を初めとする警察官の皆さんの長年にわたる努力の成果だとは思いますが、平成二十七年の本県の刑法犯認知件数は、平成十八年のころと比べて約四〇%も減少しております。大変いいことでありますが、このことについてどのような要因があったと分析されているのか、質問いたします。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
7 ◯知事(伊藤祐一郎君)
焼酎条例制定後の施策についてのお尋ねであります。
県では、これまでも、県の酒造組合等と連携いたしまして、県内外でトップセールスや焼酎試飲会等を実施してきたところであり、平成二十六年一月に施行されました焼酎文化で
おもてなし条例の趣旨を踏まえ、
本格焼酎の日に合わせたイベントの拡充や首都圏での試飲会を新たに実施いたしますとともに、昨年は、国の地方創生交付金を活用し、ウェブサイトや大都市での百貨店、量販店などで県産品を割引価格で販売するキャンペーンを展開いたしまして、焼酎だけで三億六千万円を超える売り上げがあったところであります。
また、輸出に向けた取り組みでは、条例施行後、新たに、県の酒造組合や関係団体によるプロジェクトチームを設置いたしまして、市場調査等を実施いたしますとともに、香港やドイツでプロモーションを行い、認知度の向上や販路の開拓を図っております。
このような取り組みの結果、輸出量は年度ごとに増減があるものの、輸出に取り組む蔵元数は増加傾向にあり、また、海外の有名ホテル等で新たに焼酎が扱われるようになるなど、一定の成果をおさめているところであります。
御指摘ございましたように、平成二十六年酒造年度におきまして、課税の移出数量が第二位になったことに多くの方から懸念の声を聞いております。私自身、毎日消費に貢献しているところではありますが、関係者の知恵を集めて今後の対応を図りたいと考えております。
8 ◯土木部長(久保田 一君)県内の
空き家対策の
取り組み状況についてです。
空き家対策実施の責務を担う市町村におきましては、
空き家対策を総合的に推進するための方針などを定める
空家等対策計画について、本年三月に薩摩川内市が策定し、本年度は十四市町が策定を予定しているところであります。
また、昨年度は十三市町において、保安上危険な特定空家五十件を含む延べ四百八十八件の空き家に対し、適切な措置を行うよう助言・指導したところ、七十件で補修などの改善措置がとられ、九十七件で解体処分されるなど、法に基づく具体的な取り組みが進みつつあるところでございます。
次に、さらなる
空き家対策に向けた県の取り組みについてです。
県におきましては、本年度の新規事業、
空き家対策啓発等支援事業により、県、市町村に加え、法務や不動産、建築などの専門家団体で構成する協議会を設置することとしております。
協議会では、国の先駆的
空き家対策モデル事業の助成も活用しながら、実際の空き家をモデルにした特定空家に対する勧告・命令等の具体的運用基準の作成や、相続などの権利関係が複雑な空き家に対する具体的対応策などを検討することとしております。さらに、協議会におきましては、専門家による県民向けの講演会や相談会も実施する予定です。
県としましては、今後とも、協議会を通じて各専門家団体と連携しながら、市町村の
空き家対策を支援してまいりたいと考えております。
9 ◯環境林務部長(東條広光君)
エコパークかごしまに関しまして、薩摩川内市以外の市町村からの一般廃棄物受け入れに係る県の見解等についてであります。
市町村の一般廃棄物については、廃棄物処理法上、市町村の統括的な責任のもと、市町村みずから又は委託等により処理するものとされているところであり、市町村からの
エコパークかごしまへの受け入れ要請につきましては、法の趣旨を踏まえながら、それぞれの地域における個別の事情や
エコパークかごしまの埋め立て容量などを総合的に勘案の上、対応してきております。
喜界町につきましては、現在、島内に最終処分場がなく、平成三十二年度を目途に新たな処分場を稼働させる計画でありますが、施設が完成するまでの間は燃え殻等を県外の処分場に搬出せざるを得ず、これに伴います遠距離輸送による環境負荷や外海離島ならではの輸送コストの負担があることから、
エコパークかごしまへの燃え殻等の受け入れ要請がなされたところであります。
また、三島村と十島村についても、孤立した小さな離島で構成されるという地理的な条件等もあり、村内に最終処分場を整備すること自体が困難であるため、同様に受け入れ要請がなされたところであります。
県といたしましては、これら三町村の個別事情と受け入れ見込み量が限定的であることを考慮し、要請を受け入れることとしたものであります。
なお、県内の他の市町村につきましては、現在、一部事務組合等によるものを含め、その全てが最終処分場を有しており、県としては、同様の要請は想定していないところであります。
10
◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)県信用漁連に対する県の支援についてでございます。
県は、県信用漁連からの強い要請を受けて、本年九月をめどに、四億九千五百万円の優先出資引き受けを行うこととしております。
今回の支援は、本県の養殖漁業が、魚価の低迷、餌飼料の高騰等、厳しい経営環境に直面していることから、本県水産業振興のためには県信用漁連の財務基盤の強化は必要であると認識し、県信用漁連がジェイエフマリンバンク支援協会からの支援を受けるのに協調して、優先出資を引き受けることとしたものでございます。
今後の県信用漁連の経営の見通しにつきましては、平成二十七年に策定した経営改善計画に沿って、平成三十一年度までの五年間に、養殖漁業者や不振漁協対策、店舗の再編等に取り組むこととしており、県信用漁連の経営改善と財務基盤の安定化が図られるものと考えております。
県といたしましては、県信用漁連に経営改善の確実な履行を求めるため、年四回開催の実績検討会に出席し、必要な助言・指導を行ってまいります。
11 ◯警察本部長(種部滋康君)刑法犯認知件数の減少要因についてでございます。
県警察では、平成十七年にあんしん・かごしま創造プログラムを策定し、地域住民等との協働による犯罪の起きにくい社会づくりに取り組んでまいったところでございます。
平成十七年以降、県下各市町村におきまして、安全・安心まちづくり条例の制定が進められ、また、平成十八年十二月には県議会におきまして、鹿児島県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例が制定されたことなどが契機となり、住民の防犯意識の高まりにより、防犯ボランティア団体や青パト隊が多数結成されるなど、住民によるパトロール活動が活性化していることや、自治体や事業所等によって、駐輪場、防犯カメラ等犯罪抑止に資する施設の整備や機器の設置が推進されたことなどが、刑法犯抑止に大きく貢献したものと考えております。
刑法犯の認知件数は減少傾向にありますけれども、ストーカー事案、サイバー犯罪、うそ電話詐欺被害が増加傾向にあるなど、犯罪情勢は依然として予断を許さない状況であると認識しており、県警察といたしましては、引き続き、地域住民や防犯ボランティア団体、自治体、関係機関・団体と連携を図り、県民の安全と安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
[吉留厚宏君登壇]
12
◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
焼酎条例制定後の施策については、毎晩焼酎産業の振興に力を入れていただいている伊藤知事の御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
私は余り産業振興に、飲むという行為では、たしなむ程度でありますが、本議場においては大いに振興していただいている皆さんが多くいらっしゃいますので、これからも私以上に振興を図っていただきますことをお願い申し上げます。
また、サツマイモの供給等、いろんな問題が出てきているというお話をお聞きしますので、原料である鹿児島県サツマイモの供給等にさらに、業界の皆さんが困らないよう、よろしくお願いしたいと思っております。
空き家対策についてはそれぞれ、九十七件を昨年は解体処理したということでありますので、大変かとは思いますが、先ほど申し上げましたように、この七、八年ぐらい前までは、世帯数はふえて人口が減るという現象だったと思いますが、それ以降は世帯数も減ってくると。要するに、ひとり暮らしだった高齢者の方が亡くなったり施設に入ったり等して、そもそも、もういなくなっていくということで空き家がふえていると地域を回っていると思います。かなりのスピードでこれが進行しているので、この空き家自体、人口増をどう図るかというのが肝心なわけでありますが、残った空き家等をどうするかというのがなかなか、個人の財産権の問題もあってうまくいかないというのは承知しているところでありますが、しかし、そこを今、放っておくわけにはいきませんので、よろしくお願いしたいと思っています。
エコパークかごしまにつきましては、先ほどお話ししましたように、立地のいきさつがあります。県内、何十年にもわたって産廃処分場、県が関与するようなものを一カ所はつくらないといけないと。それまでは本県のものはほかの県、宮崎や熊本に鹿児島県の産廃を持っていっているという非常な状況がありました。トイレを隣の家に借りに行っているようなものですから、これは何とかせんといかんということで、住民の方の何カ所かにわたる立地計画反対運動があった中で、薩摩川内市に立地、稼働しました。薩摩川内市の皆さんには大変御迷惑をかけたかと思います。御苦労もかけたかと思います。
隣のいちき串木野市の私も若干、すごく迷惑を受けましたが、皆さんの何とか御理解を得て、原発と産廃が隣にあるものですから、私も大変いつも苦労するところがあるんですが、この産廃の分野については私自身、隣接する地区には一軒一軒戸別訪問をして、この施設の重要性というのを皆さんに三回回りました。三回回って、何とか大規模な反対運動というのは起こらずに済んだと思っております。
そういう立地のいきさつがありますので、よくこの議場でもありますが、黒字だ、赤字だからという議論は私は正直言って違和感があります。一つつくらないといけないから何とかつくったのであって、そこが赤字になるといけないから、どこからでも何とか産廃を持ってこいというような議論は、非常に私は残念でなりません。少なければ少なくて、施設の寿命が延びるわけでありますから、ほかのところにつくる必要がないわけでありますので、それはそれでいいじゃないかという気にもなるわけであります。
ぜひ市町村の、先ほど申し上げましたように、三島村、十島村、喜界町のものは離島特有の問題があるということでありますので、それは若干理解しますが、他の市町村については、そういう受け入れる気は今のところないということでありますので、ぜひそのようにしてもらいたいと思っております。
先ほど申し上げましたように、嫌なんです、ごみの話をするのは。多分市町村長たちも、ごみの話を住民の方は嫌がりますから、それをそこにつくってくれというのは当然、反対が出てくるわけです。そこをみんな苦労しながらやっているわけでありますから、余り安易に受け入れると、いや、どうせ県が受け入れてくれるからという議論になりかねません。そこはちゃんと区別して、県の姿勢として示していただければなと思っております。
あと、県信用漁連に対する県の支援についてでありました。
これは、私が委員長をやっておりました産業経済委員会で三月議会で出ておりましたので、委員長でもある私が質問するわけにもいかなかったわけでありますので、あえてお聞きしました。
先ほど高知県庁に行きましたということを
有効求人倍率のところで取り上げましたが、同じ高知県で県信用漁連に対する県の支援ということを以前やっておりましたので、そのことについても担当者にお聞きしました。
やはり県で出資した後、信用漁連は経営を持ち直して、さらに、進んでいなかった漁協合併を進める契機になって、ある程度の合併が進んだということでありますので、漁協合併と信用漁連の経営の安定とは別かとは思いますが、そういった意味で、この県信用漁連の支援が、養殖業は我が県の主要産業の一つでありますので、そこが主に大変な状況になっているということでありますので、ぜひよろしく御支援のほどお願いしたいと思っております。
警察行政について、本部長からは非常に謙虚なお答えをいただきまして、青パト等住民の方、また県議会での議論等があって、犯罪発生率が低くなっているということであります。もちろん警察官の皆さんの力が第一だと私らも認識しているところであり、大変ありがたく思っております。
何度も申し上げますが、それを推し進めたのは我々政治家でありますので、皆さんぜひ、地方に帰ったら、四割減ったんですと、犯罪が四割減ったんだと、外国ではこれは政治家の堂々たる実績でありますから、それで大統領に当選した人がいるわけですから、ぜひ日本でも、我が県でもそれをアピールしようではありませんか。よろしくお願いいたします。
ところで、今回の一般質問に当たっては、私は経済格差を主に取り上げたわけでありますが、私自身、県議会並びに自民党県議団のホームページで、私の政治信条として変わらずに取り上げているのが、中産階級を大事にしようというようなことをいつも書いているわけであります。
先ほど申し上げましたように、みんなが、八割が自分は中流だと、中間層だと思っている国を我々の先輩方は、主に自民党の政治家の皆さんでありますが、つくり上げたわけでありますから、それは一種の非常に、世界にそのモデルを示したような国柄であったと思います。個々の部分については若干いろんな反省すべき点はあったかと思いますが、全体としては私は、いい国をつくり上げたと思っております。
それが、ここ二十年余りの間、先ほど申し上げましたように、資本主義対社会主義の対決構造がなくなった途端に、よく言われる強欲な資本主義というのが台頭して、共産主義陣営、社会主義陣営に遠慮がなくなったせいか、本来の、もうけるやつはもうけろというような感じがあって、その中で取り残された人々が出てきたと。これは我々も反省すべき点があったと思っております。
今後、こういった新自由主義的な政策を少し修正しながら、我々の先輩がつくり上げた本来の日本の国をもう一度つくり上げていきたいと思っております。そういった意味では、皆さんと一緒になってつくり上げていきたいと思っております。
また、伊藤知事も四期目を目指して立候補されるということであります。知事は、いつもおっしゃっているように、いろんな果実を医療、介護、福祉、教育に投下するんだということでありますので、ぜひ頑張っていただいて、ある調査によりますと、子供の貧困率が三位という、この事態をぜひ少しでも直してもらいたいとお願い申し上げまして、私の一般質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(池畑憲一君)次は、下鶴隆央君に発言を許可いたします。
[下鶴隆央君登壇](拍手)
14 ◯下鶴隆央君 鹿児島市・鹿児島郡区選出、無所属の下鶴隆央です。
本日は七項目の質問を予定しておりますが、いつも時間が最後に足りなくなってしまいますので、通告に従い、早速質問に入ります。
最初に、知事の政治姿勢について、安定というキーワードについて伺います。
知事は、これまで三期十二年間の県政運営に当たり、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会、「力みなぎる・かごしま」など、わかりやすい言葉で繰り返し語ることにより、県政へのビジョンを県民の皆様に語りかけてきました。
さて、知事のお話を伺う中で、最近、安定というキーワードをよく使われるようになったという印象を持っております。安心・安全というのはよく聞く言葉でありますが、果たして伊藤知事は、この安定というキーワードで何を語ろうとしているのか、知事のビジョンを県民の皆様に明らかにすべく、以下三点伺います。
一つ目は、知事が、安定というキーワードで示そうとするビジョンとは何か、その内容を示してください。
さて、この安定を掲げるに当たっては、何らかの理由、社会情勢の認識があるはずであります。
そこで二つ目は、安定を掲げるに至った理由、社会認識について示してください。
三つ目は、知事の掲げる安定の実現に向けて、どのような取り組みが必要であると考えるか、示してください。
続いて、ビッグデータの活用について三点伺います。
ビッグデータとは、ITの発達により大量のデータを収集・分析することで、さまざまな施策に活用できるようになったことを指します。例えば民間では、何と何を一緒に買っているか購買履歴を分析し、商品Aを買った人に商品Bの割引クーポンを出したり、店内でのお客さんの視線を分析し、どの棚・場所が注目されやすいかを分析し、活用しているそうであります。
今後、人口減少、少子高齢化で厳しい財政運営が予想される中、諸課題に的確に対応するためには、データやエビデンスに基づく政策立案が求められると考えます。
そこで一つ目は、ビッグデータを県の政策立案においてどのように活用しているか、考え方も含めてお示しください。
なお、ビッグデータを活用する際には、分析できる人材が必要不可欠であります。データが示す傾向・真実を読み取り、仮説を立て政策立案を行う、これができる人材がいなければ、ビッグデータも単なる数字の羅列にすぎず、宝の持ち腐れとなってしまいます。
そこで二つ目は、ビッグデータを分析し、政策立案を行うことのできる人材育成について、現状と考え方を示してください。
さて、ビッグデータを活用する際には、県庁内部だけで考えるのではなく、大学・研究機関を含め、広く民間の方々のさまざまな頭脳を活用するほうが、よりよい分析・政策立案ができると考えます。
私は三月に、東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニットが主催するシンポジウムに参加してまいりました。このシンポジウムでは、地域医療構想の策定に関して、ビッグデータに基づく分析・提言コンテストの優秀作が発表されていました。
使われたデータは、全国四十七都道府県三百四十四医療圏の病床機能、医療、介護、人口、死亡率、医療費など二千二百項目、七千二百七十病院の病床機能三百五十五項目、二万八千二百九十一病棟の病床機能八十二項目であります。主催者は、公開データを加工しやすい形にまとめたデータを公開し、すぐれた分析を募るコンテストを実施したものです。
その結果、最優秀賞は、大阪赤十字病院のお医者さんの「大阪府での二〇二五年NICU需給と周産期(新生児)専門医養成・維持における課題」という論文でありました。ほかの受賞作も今後の政策立案に大いに役立つであろう興味深いものばかりでありました。
この例のように、さまざまなデータを加工・分析できる形でオープンにすることで、これまでになかった新たな知見が得られるのではないかと考えます。
そこで三つ目は、県が保有するデータのオープン化について、考えを示してください。
以上、一回目の質問といたします。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
15 ◯知事(伊藤祐一郎君)知事の政治姿勢に関しまして、安定が意味する内容とその実現についてのお尋ねがございました。
最近、社会を構成するキーワードとして、安全・安心とあわせて、安定という言葉を使用いたしております。自然災害やさまざまな事故、テロなどに迅速・的確に対応するための安全、そして、生涯を通じて一定の収入を得て働く場が確保され、あわせて教育・医療・福祉・介護など、生活する上で生涯守られているという安心、この二つにあわせまして、安定という言葉を使用しているところであります。
この安定には、私自身、三つの側面があるのではないかと考えております。まず、一生を通じて自分の趣味や意思に基づいて生活できるという面、ひいては精神的にも安定した時間を過ごすという、かってのいわゆる生涯生活設計ができるという、そういう意味での安定であります。
第二に、現在、世界的な異常と言える現象が頻発いたしております。ISでありますとか難民、EUの問題、やがて近いうちにイギリスの国民投票もございますが、中国経済の落ち込み、トランプ現象など、世界の動きが全く不透明になってきつつあります。一気に世界の秩序が変動するという懸念もありますが、さまざまな問題は私は人類の知恵で克服できると思いますが、何よりも世界の秩序が安定的に推移していくことが大切ではないかと考えております。この面におきましては、
地方公共団体より国の責任になろうかと思いますが、我が国のこの分野で貢献する道を探るべきではないかと考えております。
第三番目の側面として、社会を支える人々の社会規範に変調の兆しが見られることであります。格差社会、所得の格差が拡大いたしまして、社会に分裂の兆しが見られるようになっていると私は感じております。また、さまざまな小さなグループが社会に一定の存在感を示すようになったところであり、これも社会の全体のまとまりを崩していくのではないかという懸念があります。
そこで、社会を束ねる共通認識の再構築が必要ではないかと考えております。原点を、社会に共同して生活するという我々、その我々の立場として、ささやかでも世のため人のために尽くすという、そういう意味でのいわば人の意識の再構築であります。私は今回、これを富国有徳という言葉で訴えたいと思っております。この有徳というのは、まず人に対する思いやり、そして中国の哲学でいいますと、仁という言葉につながるのではないかと思いますが、この三つの側面を安定という言葉で表現いたしまして、もちろん一部、安全でありますとか安心と重複する部分もありますが、新たな安の字の三番目として、安定という言葉を使いたいと思います。
そして、この三つの視点から、ないしは安全・安心・安定、そういう社会をつくりますために、県政の施策も再構築する必要があるのではないかと思います。先ほどから説明していますように、まずは奨学金から入りましたが、格差社会をこれ以上拡大することはできませんので、一九九七年、ブレア政権によってとられた例の教育の再構築の中での
奨学金制度、これをまず鹿児島県としては、よその県ではこの制度はないと思いますが、まず構築したところであります。そういうような政策を総動員して、現代社会の持つ、いわば不均衡といいますか、その是正に向けて取り組むのがこれからの
地方公共団体の課題だと考えております。
16 ◯企画部長(岩切剛志君)ビッグデータの活用についてのお尋ねがございました。
まず、政策立案への活用状況と人材育成等についてであります。
活用状況に関しては、ビッグデータの一種である診療報酬明細のデータを活用した医療需要推計ツールが国から都道府県に提供されておりまして、県では、このツールを活用し、現在、地域医療構想の策定作業を進めているところであります。
また、地方創生に関連して、企業間取引や人の流れなどのビッグデータを用いた地域経済分析システム、いわゆるRESASと言われているものですが、これにつきましては、県では今年度、地域データ利活用促進事業によりまして、RESASの県内への普及活動や、RESASを活用できる人材を育成するための研修などに、外部の知見も取り入れながら取り組むこととしております。
今後とも、ビッグデータを活用した政策立案や人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県の保有するデータのオープン化についてであります。
公共データの活用促進を図る取り組みについては、地域の課題の解決を実現するための手段であると同時に、行政事務の効率化にもつながるものであるとされております。このため、現在、県では、一部の統計情報について、エクセルファイルなど利用可能なデータ形式で提供しているところでありますが、今後、まずは利用しやすい形での提供や二次利用に関するルールの策定など、県が保有するデータのオープン化を進めてまいりたいと考えております。
[下鶴隆央君登壇]
17 ◯下鶴隆央君 ただいま知事より、安定という言葉で示そうとするビジョンについて示していただきました。
社会規範の再構築等々は、やはり一朝一夕にできるものではないものでありましょう。ぜひともその道筋、そして礎を築いていただきたいと期待するものであります。
また、最後に、格差についてもお示しいただきましたけれども、私も、格差そのものも当然でありますが、世代をまたいだ格差の固定化こそ、大きな問題であろうかと思っております。ぜひともこちらの問題にも、今後とも力強く取り組んでいただきたいと期待しております。
また、ビッグデータの件につきましては、今後、より活用が進むようなオープン化に向けて取り組んでいただけるという答弁でありました。
先ほど、分析・提言コンテストの例も紹介しましたが、ぜひ、より多くの方々の知恵を生かして、よりよい、今後の鹿児島のために資する施策ができるような体制づくりを進めていただきたいなと思っております。
それでは、次の質問に移ります。
本県の重要産業である観光業の振興について、四点伺います。
まず、割引事業の活用と効果分析について伺います。
昨日、熊本地震の影響による観光客・宿泊客減に対応する形で、十七億五千万円の補正予算案が提案されました。本県観光業にとって、需要を刺激・創出する非常にありがたい事業であると考えております。
ところで、同様に、割引によって観光需要を創出するものとして、昨年は全国で割引事業が行われました。今後も、災害などによって観光需要が落ち込んだ際には、同様に、割引によって需要を創出する事業が行われる可能性もあると考えております。
したがって、これまでの割引事業における効果を分析し、同じ額の割引を行った際に、より大きな需要を創出できる方法、例えば、より鹿児島でお金を使っていただける、一度きりではなくリピーターになっていただける、そういう方法を行うべきであります。
そこで、割引事業における効果分析はどのようになっているのか、分析結果を、今回の補正予算を含め、今後どのように活用していくのか、考えを示してください。
続いて、インバウンド四千万人に向けた県内空港の積極的活用について伺います。
政府は、インバウンド─外国人訪日客─二千万人の目標の達成が確実視されることを受け、観光ビジョン構想会議でインバウンド四千万人の目標を掲げました。この目標は、二〇一四年の統計によれば、フランスの八千四百万人、アメリカの七千五百万人、スペインの六千五百万人などに続く、世界六番目の観光立国になることを意味します。
しかし、これら世界上位の観光立国と日本が異なる点があります。それは、日本は島国であり、インバウンドの大半が陸路ではなく飛行機でやってくるという点であります。既に、成田、羽田、福岡、那覇といった主要空港の発着枠が逼迫する中、四千万人の目標を実現するためには、地方空港の活用が不可欠であります。
そこで、三点伺います。
一つ目は、世界遺産登録を目指す奄美空港、そして世界自然遺産の屋久島空港への国際定期路線・チャーター便の誘致に向けたインフラ整備についてお示しください。
二つ目は、鹿児島空港における国際航空路線拡充に向けた取り組み及び運用時間の延長についてお示しください。
三つ目は、インバウンド四千万人の実現に向けて、国が今後打ち出すであろう施策を効果的に活用し、県内空港の積極的活用を進めるべきと考えますが、県の考えを示してください。
続いて、民泊について伺います。
政府は、民泊サービスのあり方に関する検討会において、家主居住型・非居住型に分けた形での民泊登録制度の創設に向けて検討しております。
東京・大阪など大都市圏においては、インバウンド客急増によるホテル不足を補う形で、マンションの一室を貸し出す民泊が始まっていますが、一方で、同じマンションの住民や近隣住民から、不特定多数が出入りして不安、騒音問題、ごみ捨てのマナー問題などを懸念する声も上がっており、また、入管行政や公衆衛生面からの懸念も指摘されております。
私が考えるに、民泊には二つのスタイルがあると思います。一つは、大都市におけるホテル不足を補う形でマンションの一室を貸し出す、ホテルがないからそのかわりとしての民泊。もう一つは、農家民泊など、ホテルとは違う体験型民泊としての民泊であります。
これらの民泊をめぐる状況を踏まえ、これからの観光行政を考える上で、県としての民泊に対する基本的な考え方について示してください。
最後に、図柄入り御当地ナンバーについて伺います。
国交省は、図柄入り御当地ナンバーについて検討を続けてきた結果、導入する方向で最終取りまとめを発表しました。本県としても、図柄入り御当地ナンバーをいち早く導入することは、鹿児島を県外に向けてアピールする絶好の機会となると考えます。
そこで、図柄入り御当地ナンバー導入に向けた県の考え方について示してください。
四点目に、プロスポーツ振興について伺ってまいります。
鹿児島にプロスポーツチームが存在する意義について、知事は本会議で、「県民に連帯感と郷土意識を呼び起こす契機になり、未来を担う青少年に夢と希望を与えることにもつながる」、「スポーツの振興による『力みなぎる・かごしま』の実現につながる」として、その意義を高く評価しています。
また、前回知事選時のマニフェストでは、「Jリーグ昇格へ向け、県民総ぐるみで支援します」と掲げており、その後、鹿児島ユナイテッドFCがJFL昇格を経て、ことしよりJリーグ、J3に昇格しております。
さて、ついに誕生した鹿児島のJリーグチーム、鹿児島ユナイテッドFCは、J3昇格初年度ではありますが、現在、J2昇格圏も射程に捉える好成績を残しております。J2、そしてその先にあるJ1昇格に向けて、夢は広がるばかりであります。
しかしながら、私が前回一般質問で指摘いたしましたが、このままでは、どれだけよい成績を残してもJ2に昇格することはできません。Jリーグでは、成績要件に加え、それぞれのカテゴリーに応じたスタジアム基準を満たさなければ、昇格できないという仕組みになっているからです。これまでも実際に、長野や町田など、成績要件は満たしていたもののスタジアム基準を満たしていなかったために昇格できなかった実例が存在いたします。また、スタジアム整備は、きょう始めても、あす、あさってにできるものではありません。したがって、早急に議論を始め、積み重ねていく必要があると考えております。
そこで伺います。
J2昇格に向けたスタジアム整備について、その必要性について県はどのように考えているか、認識をお聞かせください。
また、整備主体についてですが、前回の私の質問に対して、「まずはホームタウンである鹿児島市が、クラブ、県サッカー協会などと十分協議する必要があるが、県としても、今後どのような協力ができるか検討することになる」と答弁しています。
なお、その際に私からは、他県・クラブを見ると、J2以上の規格に対応しているスタジアムについては、おおむね政令市は市が、それ以外の市は県が整備しているということも指摘いたしました。
そこで伺います。
スタジアム整備の主体について、県はどのように考えているか。また、鹿児島市等との協議状況、県としての協力の検討状況について示してください。
続いて、立地条件に対する認識についてです。
日本サッカー協会が作成しているスタジアム標準という手引書によると、立地条件について、「究極の理想的な立地条件とは、都市の中心部にあり、公共交通機関や主要幹線道路、高速道路からのアクセスも良好で、試合開催日以外にも使用できる駐車場が確保できる、十分な広さを持った場所」という記載があります。
実際に、二〇〇二年日韓ワールドカップの会場として整備された巨大なスタジアムの多くは、山中にあり立地条件が不便なこと、稼働率が低いことなどから維持費に苦労しているという状況があります。今やスタジアムは、町なか・多目的こそが目指すべき方向であると考えております。
そこで伺います。
スタジアム標準記載の立地条件を踏まえ、スタジアムの立地条件についてどのように考えるか、示してください。
次に、試合会場における盛り上がり創出について伺います。
プロスポーツの試合会場は、単に試合が行われる場というだけでなく、出店やさまざまな展示・企画などが一体となって盛り上がるお祭りの場であります。実際にJリーグの各クラブも、また野球でも、スタジアムグルメ─スタグル─が有名になっており、各クラブともに集客のため、このスタグルの充実に取り組んでおります。
ところが、現在、鴨池陸上競技場で試合を行う際には、出店における火気の使用が禁止されていたり、展示物が著しく制限されていると聞いております。これでは、試合会場における盛り上がり創出に水を差すのではないかと懸念いたします。
そこで伺います。
出店において火気使用を許可できない根拠を示してください。また、盛り上がり創出のため火気使用を認めるべきと考えますが、県の考えを示してください。
また、展示物について、その掲出を許可できない根拠を示してください。
続いて、練習場の確保について伺います。
プロスポーツ振興のためには、何よりもチームが勝つことも重要であります。そのためには、選手の獲得もさることながら、練習環境の充実も非常に重要であります。ふだんの練習で戦術を浸透させること、試合直前のコンディションを仕上げること、これらに必要な練習環境を充実させることは、チームの勝利にとって欠かすことができません。
そこで伺います。
鹿児島ユナイテッドFC、そしてバスケットボールの鹿児島レブナイズの練習会場の確保について、県はどのように認識しているか、お答えください。
以上、二回目の質問といたします。
18 ◯観光交流局長(本 重人君)観光振興についてのお尋ねがございました。
まず、旅行割引事業の効果分析と活用についてでございます。
昨年度のかごしま国民文化祭開催記念プレミアムお得旅は、割引旅行商品に約八億四千万円の助成を行い、利用者は約八万二千人でありました。また、直行便利用海外誘客特別キャンペーンは、海外直行便利用の旅行商品に約一億三千万円の助成を行い、利用者は約一万三千人でありました。なお、利用者のうち、国内からは約五二%が、海外からは約七二%がこのキャンペーンをきっかけに本県を訪れたと回答しております。
昨年は、口永良部島の爆発的噴火や桜島の噴火警戒レベルの引き上げによる風評被害により、観光客の減少が懸念されたところですが、国の宿泊旅行統計速報値によりますと、平成二十七年の延べ宿泊者数は、対前年比四・四%の増となっておりまして、これらの事業の効果があったものと考えております。
次は、今年度事業等への反映・活用についてであります。
熊本地震は、九州全体の観光に大きな影響を与え、本県におきましても、十万人を超える宿泊キャンセルが発生しましたため、効果のあった昨年と同様の事業スキームを活用しまして、六月から緊急対策として、熊本地震復興応援鹿児島お得旅事業を開始したところであります。また、同様のスキームで、国の復興予算を活用しまして、海外誘客も含めた割引旅行商品の造成支援等を行うことにより、旅行需要の速やかな回復が図られるものと考えております。
次は、民泊に対する基本的な考え方であります。
民泊につきましては、外国人旅行客の急増や、無許可での違法なサービスの増加といった状況を踏まえ、国において、そのあり方について検討がなされているところであります。
本県では、修学旅行における農業体験等を伴う民泊におきまして、本県の豊かな食や自然を体験していただいており、鹿児島ならではの魅力ある体験プログラムの拡充や、安心・安全な受け入れ体制の充実に努めているところでございます。
また、マンションや一般住宅等を活用した民泊につきましては、本県は、大都市とは異なり、宿泊施設の需給に余裕がありますことから、まずは既存の宿泊施設の稼働率を上げることが重要であると考えております。
今後、適切なルールのもとで民泊が活用されるよう、本県の実情も踏まえつつ、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
次は、プロスポーツ振興についてのお尋ねでございます。
まず、J2昇格に向けたスタジアム整備についてであります。
J2昇格に当たりましては、ライセンスの取得や諸条件をクリアする必要があり、その一つとして、スタジアムの整備も含まれていると認識しております。
このスタジアムの整備につきましては、Jリーグ規約で、「Jクラブは、特定の市町村をホームタウンとして定めなければならない」とした上で、「さらに、Jクラブはホームタウンにおいて、地域社会と一体となったクラブづくりを行うこと」とされておりますことから、整備の主体や時期、場所、費用などの課題につきましては、まずはホームタウンの鹿児島市が、クラブや県サッカー協会などと協議する必要があるものと考えており、これを踏まえて、県として、今後どのような協力ができるか検討することになるものと考えております。
なお、鹿児島市等と現在、協議はなされていない状況でございます。
次は、立地条件についてでございます。
スタジアム標準の中の立地条件、いわゆる町なか立地につきましては、県としましても、観戦するサポーターの利便性やサッカー以外での各種利用の面を考慮しますと、特に異論はないところでございます。
次は、練習会場の確保についてであります。
鹿児島ユナイテッドFCは、鹿児島市内の県立サッカー・ラグビー場を、また、鹿児島レブナイズは、同じく市内の中学校体育館を主な練習会場としておりますが、他の利用者もありますことから、市外の施設を利用することもあると聞いております。
県や市町の施設は、他の団体等も利用しますことから、長期にわたって同一の練習会場を確保することは難しいと思われますが、プロチームはシーズンが半年近くになりますことから、ベストの状態で戦うためには、同じ練習会場を確保できれば、それにこしたことはないと思料しております。
19 ◯土木部長(久保田 一君)観光振興についての御質問のうち、奄美空港、屋久島空港における国際便の誘致に向けたインフラ整備についてです。
奄美空港は、ジェット機就航に必要とされる二千メートルの滑走路を有しており、国際チャーター便等の就航は可能な状況であります。一方、旅客ターミナルは手狭なため、世界自然遺産登録を見据え、ビルの面積を約一・七倍に拡張し、CIQにも対応可能なスペースを確保することとしており、今年度から工事に着手する予定であります。
屋久島空港においては、今年度も引き続き、ジェット機就航に必要な滑走路延伸の可能性調査を行うなど、国及び屋久島町と連携を図りながら、着実に事業化に向けて取り組んでいるところであります。
20 ◯企画部長(岩切剛志君)鹿児島空港における国際航空路線拡充に向けた取り組みについてであります。
地理的優位性を最大限に生かし、アジア・ゲートウェイとしての本県の機能を高めるため、南九州のハブ空港として、鹿児島空港の機能強化を図ることが重要であると考えております。
県としましては、これまで、国際チャーター便の就航促進や国際定期路線の安定的就航のためのイン・アウト双方からの利用促進に取り組んできており、昨年度は、入国審査ブースの増設及び入国審査場の拡充により、受け入れ体制の整備が図られたところであります。こうした空港機能の強化に努めながら、成長著しいASEAN諸国を初めとする旺盛な訪日需要を取り込むべく、新たな路線の開拓についても取り組んでまいります。
なお、空港の運用時間延長については、空港の利便性向上や機能強化に資することから、現在、関係自治体や航空事業者など関係者との協議を進めているところであります。
国施策の効果的・積極的活用についてであります。
国は、二〇二〇年に訪日外国人旅行者数四千万人達成を目標として掲げ、ことし五月に策定した観光ビジョン実現プログラム二〇一六には、観光関連の諸施策に加えて、地方空港のゲートウェイ機能強化を図る観点から、着陸料軽減やCIQ機能の強化等の対応が示されたところであります。
同プログラムに基づき、国際線の新規及び増便に対して、地元が実施する誘致策との協調により、着陸料を二分の一に軽減する施策が講じられましたことから、県においては、該当路線の着陸料軽減手続を進めているところであります。
県としては、今後とも、国の施策を積極的に活用し、空港を生かした海外誘客に取り組んでまいります。
地方版図柄入りナンバープレートについてであります。
これは、地域振興や観光振興等を図る観点から、昨年六月に法律が改正され、制度が創設されました。国は、今年度、交付に向けた説明会を開催し、来年度以降、地方自治体からの図柄等の提案申請を受ける予定であるとしております。また、図柄等の提案は、ナンバープレートの地域名表示に包含される全ての市町村が合意の上、共同で行うとされております。
県としましては、国の説明会等を通じた情報収集を行いながら、当面は市町村に対する情報提供に努めてまいります。
21 ◯教育長(古川仲二君)プロスポーツ振興についてのお尋ねのうち、まず、プロスポーツ興行時の出店における火気使用についてでございます。
鹿児島ユナイテッドFCから、ホームゲームにおける鴨池運動公園でのイベント出店者の火気使用について、要望を受けているところでございますが、出店者につきましては、主催者である鹿児島ユナイテッドFCが、スポンサーの中から募集し、審査した上で決定しており、安全対策などの要件もクリアしているものと考えております。このようなことから、今後は、鹿児島ユナイテッドFCの責任のもとに一定のスペースを用意いたしたいと考えております。
次に、プロスポーツ興行時の展示物の許可についてでございます。
鴨池運動公園内の園路に広告が掲載された展示物を掲出する場合は、県都市公園条例第八条の規定により、広告物掲出の許可を要することになりますが、当該広告掲載の展示物が同条例に定める広告に該当するか否かは、個別の事案に即して判断いたしているところでございます。
22 ◯下鶴隆央君 J2昇格に向けたスタジアム整備について、一点確認いたします。
市との協議状況について、今現在、市との協議は行っていないとのことでしたが、これについて、鹿児島市から協議の打診が来ているのかどうか、その一点を確認させてください。
23 ◯観光交流局長(本 重人君)まだ、いただいていないところでございます。
[下鶴隆央君登壇]
24 ◯下鶴隆央君 ただいま、図柄入り御当地ナンバーについて御答弁がありました。
こういう新しい仕組みというのは、まず最初にいち早く導入していくということが、そのアピール効果というのもありますので、来年度からの導入開始ということでありましたら、ぜひとも、答弁にもありましたとおり、鹿児島・奄美両地域における各市町村への情報提供、そして広域調整に努めていただきたいと考えております。
また、鴨池陸上競技場における火気の使用について非常に前向きな答弁をいただきましたこと、ありがとうございます。
プロスポーツの会場というものは、当然、プロスポーツの試合を観戦するということはメーンでありますが、それはあくまでコンテンツの一つであって、出店ですとかスタジアム全体の雰囲気を通じて、お祭りに行ってみようと、そして鹿児島において、大体これから昇格していけば、一万人がコンスタントに月二回集まる大きなお祭りができるんだと、そういう捉え方をぜひしていただきたいと期待しております。
それでは、続いて、五番目の県有地等の活用についての質問に移ります。
県有地は、そもそも県民の皆さんの税金で取得しておりますものですから、県民の皆さんのために有効に活用しなければならないことは言うまでもありません。もしも活用の予定がないのであれば、今後の人口減少に伴う地価下落を考えれば、早急に売却すべきであると考えます。また、将来的に活用の予定はあるが、当面未定の場合は、積極的に暫定活用を図るべきであると考えます。
この観点から、六カ所の県有地について伺ってまいります。
一点目は、農業試験場跡地であります。
こちらの農業試験場跡地については、これまでも何人もの先輩議員の方々が質問されておりますが、直近の答弁においても、これまで一般競争入札により売却を考えているものの、売却時期について具体的に見通すことは困難な状況にあると、そして状況についても特段の進展は見られないというのが、直近の本会議での答弁であります。また、こちらの地域については、地区計画によって住宅、病院、福祉関連施設、学校などに制限されている状況であります。
そこで、三点伺います。
一点目は、その後の検討状況について改めてお示しください。
二点目は、この土地というのが、大体二ヘクタールのものが三区画ありまして、その離れたところにありますたわわタウン、こちらが大体十五億円で売却しております。ということで、大体十五億円の区画が三区画あるということであります。非常にお値段の張る区画であります。やはり地区計画で用途が制限されていては、手を挙げることができる方々が限られるのではないかとも考えております。
そこで、この地区計画の変更について、県として、市への申し入れは考えていないのかについて示してください。
そして三点目は、もししばらくの間、売却や活用が見込めないのであれば、積極的に暫定活用を図るべきであると考えております。
そこで、暫定活用についての考え方を示してください。
続いて二点目は、魚見町の高校グラウンド跡地について伺います。
こちらは二ヘクタールの広さで、平成七年に県職員住宅用地として約十五億円で購入したものの、その後の財政危機、県職員の削減などで住宅建設の利用計画はなくなり、以降二十年にわたりそのままになっている、もったいない状況であります。
一方で、この近隣において最近、宅地造成が進んでおり、たしか一・四ヘクタールのミニ団地がもうすぐ分譲開始される状況であります。ということは、一定の宅地需要が見込まれる土地であると言えるかと思います。
そこで、まず一点目は、この土地の利活用に関する検討状況について示してください。
そして二点目は、実際に活用に向けて、この土地は一個課題があるように聞いております。つまり、埋蔵物があるために、一旦発掘をかけないと利用なり売却ができないということを聞いております。であれば、先に発掘しておいて、いつでも活用できる形にすべきではないかと考えます。
そこで二点目は、活用に向けた環境整備についてお聞かせください。
そして三点目は、先ほどと同様、当面の間の暫定利用を行うべきであると考えておりますが、それに対する考えを示してください。
三カ所目は、工業用水敷地についてお伺いいたします。
工業用水は、万之瀬川導水、平川のほうへの移転が予定されておりますので、現在使用しております永田川沿いの工業用水課の建物、そして浄水槽というのが不要になることが見込まれております。
そこで、この現在の工業用水敷地について、新工業用水の移転スケジュール並びにこの敷地をどのように利活用するのか、現在の検討状況について示してください。
四点目は、谷山緑地、地元ではグリーンベルトと呼んでおりますが、こちらの利活用についてお伺いいたします。
この谷山緑地は、海岸埋め立てを行った木材工業団地及び産業道路と横の住宅地を遮断するための緩衝緑地として、昭和四十六年に設置されてから四十五年間、地域の方々の憩いの場として活用されてまいりました。一方で、四十五年もたつことから、老朽化ですとか、また、「夜、鬱蒼として暗くて危ない」という声も耳にするところであります。
私は、この谷山緑地については、今後の例えば健康寿命の延伸であったり、ロコモ予防であったりといった健康づくりの場ということを中心に、新たな利活用の方法を考えていくべきではないかと考えております。
そこで、三点伺います。
一点目は、直近の整備状況についてお示しください。
二点目は、今後の活用についてどのように考えているか、お示しください。
また、三点目は、この谷山緑地については、毎年の維持費用については、鹿児島開発事業団が解散した際につくられました臨海環境整備基金の運用益をもって充てられております。この措置については大変ありがたいし、また、よい措置であると考えております。
といいますのが、この臨海工業地帯は、もともとあの地域は、松林があり砂浜がある白砂青松の風光明媚な地域でありました。知事、そして私も学びました小松原という地域にありますラ・サールの目の前は、知事がいらっしゃったころは、砂浜であり松林であったと聞いております。その後、日本全体、そして県全体の工業化、そして産業発展を支える形で埋め立てが行われ、そして現在の姿になっているわけであります。
そこで、自然を確保し、また先ごろはサンライフプールが民間企業に譲渡されましたが、そのサンライフプールも、当時その地にあった海水浴場を潰すかわりとして設置されたものであると聞いております。
さて、この鹿児島臨海環境整備基金について、現在の運用状況についてお示しください。
五点目は、鴨池ニュータウン駐車場について伺います。
この駐車場については、県住宅供給公社に随意契約で貸し付けが行われておりますことから、この本会議場でも私、何度も問題提起し、また議論も行わせていただきました。
今回は、貸付金額の妥当性に絞って議論したいと思っております。
この鴨池ニュータウン駐車場の県住宅供給公社に対する貸付金額は、入ってくる利用料収入から住宅公社が使用する管理経費を差し引いたものが、貸付料として県に入るという仕組みになっておりますが、この貸付料金についての直近の動向と算定根拠について改めて示してください。
そして二点目は、実は数年前にこの算定根拠を議論した際に、私としては、実際に直接はこの駐車場管理に当たっていない公社の職員経費が含まれているのではないかという指摘をさせていただきました。その結果、それは外す形で対応していただきましたけれども、今度は、県に返す際の原状回復積み立てをやっていないから、それを五年間やるんだということで積み立てに回った結果、県に入ってくるお金はほとんど変わらなかったという状況がありました。
それから五年がたとうとする今、今後、この積み立てが終了した後の貸付金額についてどのように考えるか、示してください。
六点目は、県庁東側の土地についてであります。
こちらは現在、約十一億円ほどで取得した土地を、たしか二千五百万円ほどで民間に一括で貸して、そしてその民間が駐車場用地として個々の車、利用者に貸与していると聞いておりますが、こちらの土地については、あくまで駐車場利用は暫定措置であって、恒久措置であってはならないと考えております。
かつてはこの地に新県体育館を建てるという構想があり、また、その一部として活用されることになっていたと思いますが、その計画が白紙に戻った今、果たしてこの県庁東側の土地はどのようになっていくのか、しっかりと検討があってしかるべきであると考えております。
そこで、この県庁東側の現在、駐車場として使われている敷地について、今後の活用に関する検討状況について示してください。
以上、三回目の質問といたします。
25 ◯総務部長(寺田雅一君)県有地等の活用についての御質問のうち、農業試験場跡地の活用についてでございます。
農業試験場跡地二十五・二十六・三十二街区につきましては、御指摘がありましたように、一般競争入札により売却することとしているものの、売却時期について具体的に見通すことは困難な状況にあると申し上げてきているところでございます。その後におきましても、その状況に変化はないところでございます。
農業試験場跡地における建築物の用途につきましては、鹿児島市の地区計画や建築条例によりまして、住宅、病院、福祉関連施設、学校などに制限されているところでございます。当該街区は、まとまった一団の土地であり、地区計画等に基づきまして、地域の活性化に寄与する都市施設や住宅が整備されるものと考えております。
農業試験場跡地の暫定利用につきましては、売却に支障がない範囲で行う必要があると考えておりまして、これまで、学校行事の際の臨時駐車場や工事現場事務所用地として貸し付けを行ってきているところでございます。広く県民の方々が利用できるような形態での暫定利用につきましては、利用者の安全確保や管理運営体制などの課題があるものと考えております。
魚見町高校グラウンド跡地についてでございます。
魚見町の県有地につきましては、関係部局と連携を図りながら、利活用について検討を行ってきたところでありますが、崖地規制による建築制限があること、埋蔵文化財があることなどから、具体的な方針が定まっていないところでございます。
また、暫定的な利用につきましては、安全管理上問題がないと考えられる範囲で行っており、これまで資材置き場等として貸し付けを行っているところでございます。広く県民が利用できるような形態での暫定利用については、利用者の安全確保や管理運営体制などの課題があるものと考えております。
なお、埋蔵文化財の発掘調査につきましては、当該土地の具体的な利活用の検討状況を踏まえた上で、必要に応じて実施してまいりたいと考えております。
続きまして、県庁東側の土地の活用についてでございます。
県庁東側の土地は、将来、公用・公共用地としてさまざまな形で有効活用が見込まれる土地であり、また、県庁舎の展望ロビーなどからの景観を確保する観点から、平成十八年三月に取得したところであり、これまで、民間事業者に貸し付けて、県民を対象とした一般駐車場として活用しているところでございます。
今後の活用方法につきましては、県庁周辺の土地の利用状況や県の財政事情等も踏まえる必要がございますが、当面は、現在の一般駐車場を目的とした貸し付けを継続してまいりたいと考えております。
26 ◯工業用水道部長(山重秀行君)工業用水道施設の移行スケジュール等についてでございます。
工業用水道の永田川施設は、老朽化や安定的な水量確保の観点等から、万之瀬川導水施設へ移行し、平川地区に浄水場を整備することとしており、平成三十年度の完成に向け、本年度、工事に着手する予定です。
永田川施設は、産業道路に近接し、約一ヘクタールありますが、移行後は工業用水道施設として利用しないことから、今後、関係部局や鹿児島市などに土地利用の意向等について情報収集などを行い、土地の処分等につきまして検討してまいります。
27 ◯土木部長(久保田 一君)谷山緑地の整備と活用についてです。
谷山緑地は、臨海部の工業用地や産業道路と背後の住宅地との緩衝緑地として設置されたものです。ヤシ類や常緑樹が植栽され、また、遊具や休憩所、トイレなども備えており、地域の方々の休息やレクリエーションの場としても利用されております。緑地内の施設については、計画的な補修等に努めており、近年では、遊具や案内看板の補修のほか、園路のカラー舗装や街灯の増設等を行ったところであります。
今後とも、適切な維持管理に努め、地域の方々の憩いの場として活用していただきたいと考えております。
鴨池ニュータウン駐車場の貸付料についてです。
県住宅供給公社への貸付料は、平成二十六年度が四千万円、二十七年度と二十八年度が四千九百万円となっております。平成二十八年度の貸付料は、駐車場の収入見込み額約一億二千三百万円から、人件費約一千百万円、原状回復引当金約一千百万円、管理費等約五千二百万円を差し引いた額としております。
原状回復費用につきましては、必要な経費を平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間で引き当てており、総額五千三百万円余りとなっております。来年度の貸付料につきましては、今後検討することになりますが、原状回復引当金相当分は増加することが見込まれます。
28
◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)谷山緑地の維持管理の財源となる基金の状況についてでございます。
鹿児島臨海工業地帯の環境整備を図るために設置された鹿児島臨海環境整備基金につきましては、平成二十七年度末時点の基金残高が約四十七億二千百万円となっており、運用益につきましては、金融機関への預金利子により、平成二十七年度は約一千二百万円の収益となっております。
また、同基金は、基金設置条例に定められた使途に限り処分できることとされており、平成二十七年度については、鹿児島臨海工業地帯緑地維持管理事業や万之瀬川導水負担事業などに約八千八百万円支出したところであります。
[下鶴隆央君登壇]
29 ◯下鶴隆央君 続いて、稼ぐ力を身につける教育について、四点伺います。
一点目は、英語教育についてであります。
人口減少に伴う内需縮小を考えると、本県は今後、あらゆる産業において、輸出や外国からの誘客を視野に入れて取り組まなければなりません。したがって、今後はあらゆる分野において英語が必要不可欠になると考えます。
近年では、徐々に小学校における英語の早期教育の取り組みが進みつつありますが、教育できる人材の確保が大きな課題であります。また、会話や発音を習得するためには、なるべくネイティブスピーカーと話し、聞くことが重要ですが、地方におけるそれらの人材確保も大きな課題であります。
そこで伺います。
英語教育におけるこれらの課題への対応、そして、ICT活用について考えを示してください。
二点目は、プログラミング教育についてであります。
都心部から離れている本県にとって、IT産業は今後、重点的に取り組むべき産業の一つであります。また、将来IT産業に就職しないとしても、論理的思考力を養うことができるとして、プログラミングは近年、人気がある習い事だそうであります。
そこで、プログラミング教育の必要性について、基本的な認識をお示しください。
三点目は、ICTの活用についてであります。
離島・中山間地域において、ICTを活用した授業配信を行うことで、より学力を身につけることができ、ひいては、それを目当てに移住してくる若者も期待できるのではないかと考えますが、県の考えを示してください。
四点目は、希望する地域における先行実施についてであります。
英語教育、プログラミング教育、ICT活用いずれも、最初から県下全域でやろうとすると、人員、費用ともに難しいのではないかと考えます。まずはスモールスタートとして希望する地域から始めること、そしてその意欲的な教育内容を目当てに若者が移住してくることも見込まれることから、地域活性化も見込めるのではないかと考えますが、県の考えを示してください。
最後に、投票率向上策について二点お伺いいたします。
この定例会が終わりますと、知事選、参院選が行われるわけでありますが、近年の選挙の低投票率は目を覆うばかりでございます。この四月に行われた鹿児島市議選挙、そして昨年の県議選の鹿児島市内における投票率はいずれも四〇%そこそこと、十人に六人が投票に行かないという状況であります。
選管でも、これまで投票率向上策をさまざま講じているかと思いますが、ここで改めて、それぞれの向上策について効果を測定し、そしてそれを踏まえて、次の打ち手につなげていくということが重要であるかと思います。
そこで一点目は、これまでの投票率向上策の評価と今後の対応についてどのように考えているか、示してください。
二点目は、投票済証明書の活用を提案したいと思います。
これは、投票に行って請求すると、投票に行きましたという証明書をもらうことができます。この証明書を生かして、例えば民間の商店街等に呼びかけて、これを持ってきたら割引する、ワンドリンクサービスとかというキャンペーンに協力してくれないかということを呼びかけることはできるのではないか。そして県としての支出も、例えば子育てパスポートのように、普及啓発は県がやりますと、実際の割引施策とかは店の財源でやりますと、こういう形はとれないかと考えております。
そこで、投票済証明書について、県内市町村での発行状況並びにこれを活用した投票率向上策についての考えを示してください。
以上、最後の質問といたします。
30 ◯教育長(古川仲二君)英語教育に係る人材確保とICT活用についてでございます。
グローバル化の進展の中で、小学校からの英語教育の充実により、国際的な視野を持ったコミュニケーション能力を育成することが求められており、教員の英語力を高めていく必要がございます。そのために、英語教育推進リーダー中央研修に中核となる教員を派遣し、各地区での研修の指導者として養成しています。
また、教員採用選考試験において、英検一級の取得者などについては実技試験を免除するなど、英語の運用能力の高い者を採用するための工夫をいたしております。
さらに、生きた英語に触れる機会を確保するため、全市町村でALTを活用しています。
ICTの活用については、コンピューターなどの教育機器を用いて音声や映像を活用した指導が、児童生徒の英語学習への興味・関心を高める上で有効であると考えております。ネイティブの発音を一斉送信するICTの活用については把握いたしておりませんが、文部科学省から、音声と映像がおさめられたデジタル教材が配布され、各小学校で英語を聞く活動や話す活動に積極的に取り組んでおり、まずはこうした教材の活用を促してまいりたいと考えております。
次に、プログラミング教育の必要性についてでございます。
急速な情報化などの変化の中で、プログラミング教育は、論理的思考や問題解決能力などを育む上で有効であると考えます。義務教育では、小学校において、コンピューターや情報手段になれ親しみ、基本的な操作や情報モラルを身につけるための学習を行うとともに、中学校の技術・家庭科において、コンピューターでプログラムを作成し、模型を動作させるなどの学習が行われているところでございます。
また、文科省では、子供たちが自信を持って人生を切り開き、よりよい社会をつくり出していくことができるよう、小学校段階におけるプログラミング教育のあり方について議論されると聞いております。
県教委といたしましては、プログラミング教育などを通じた情報活用能力の育成は欠かせないものであると考えておりまして、今後も国の動きを注視してまいりたいと考えております。
次に、ICTの活用についてでございます。
本県の離島の小・中学校においては、複式・小規模校が多く、きめ細やかな指導が行われる一方、集団で学習を深める場が十分確保しにくいなどの課題があります。
小・中学校における各教科等の指導に当たりましては、個別指導やグループ別指導、習熟度に応じた指導など、個に応じた指導の充実が求められております。このようなことから、授業映像を通常の授業にかえて用いることは慎重であるべきと考えておりまして、仮に用いるといたしましても、地域や学校、児童生徒の実情に応じ、指導方法が工夫される必要があると考えております。
なお、離島の小・中学校における課題を補うためにICTを活用することは有効であり、徳之島町の小学校三校において、テレビ会議システムやタブレット等を活用した合同学習などが行われているところでございます。
希望する地域における先行実施についてでございますが、学校教育上の諸問題を解決し、教育方法の改善を図るために、各教科・領域等にわたってICTを有効に活用することは好ましいことと考えております。
県内でも、ICTを活用した取り組みが既に行われておりますが、それぞれの学校の所在地や規模、学習内容等に応じた取り組みが求められるものと考えておりまして、今後とも、各学校等の要望を踏まえ、実証授業などの展開を図りながら、取り組み事例の蓄積を図りますとともに、全国の取り組みについても情報収集しながら、各学校の実情に合わせた有効活用について、指導・助言してまいりたいと考えております。
31 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)投票率向上策の評価と今後の対応についてお尋ねがございました。
前回の知事選挙後に、県政モニターを対象に実施いたしましたアンケートにおきましては、選挙啓発について、「効果があった」との回答が約四割、「効果なし」との回答が約二割などとなっております。また、啓発を見聞きした媒体につきましては、ポスター、チラシ、テレビ・ラジオ広告、新聞広告などの回答が多く、これらにつきましては、選挙広報に一定の役割を果たしていると考えております。
選挙権年齢引き下げを受けまして、ことしの夏の選挙におきましては、新たに、学生団体が企画した学生向けのポスターを作成するほか、繁華街での若者向けのイベントなどの啓発も行うことといたしております。
当委員会といたしましては、関係団体とも連携し、一人でも多くの方々が投票に向かわれるよう、今後とも根気強く選挙啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、投票済証明書の活用につきましてでございます。
投票済証明書は、法的な根拠はございませんで、市町村において任意に交付されるものでございます。県内では五つの市で交付されております。
この証明書は、主に、投票日に勤務のある方が、職場の理解を得て投票へ行きやすいようにとの配慮と考えられております。その一方、投票誘導に利用されるおそれがあるとの意見もありまして、平成二十一年の衆議院議員総選挙の際には、国から、不適切に利用されるおそれがあることが指摘されており、その必要性について十分に検討すべきである旨の通知がなされたところであります。
このため、証明書の交付につきましては、市町村選管におきまして慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。
32 ◯議長(池畑憲一君)申し合わせの時間を経過しておりますので、下鶴議員の質問はここで終了いたします。
ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午前十一時五十六分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
33 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。
大久保博文君に発言を許可いたします。
[大久保博文君登壇](拍手)
34 ◯大久保博文君 鹿屋市・垂水市区選出の大久保博文です。
質問に先立ちまして、平成二十八年熊本地震で被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。お亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興、並びに被災された皆様が一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻すことを願うものであります。
さて、先日、伊勢志摩サミットが開催されました。G7─先進七カ国─が集い、世界が直面するさまざまな課題、例えば世界経済の下方リスク、国際秩序に対する一方的な行動による挑戦といった喫緊の課題に対し、G7が連携して国際社会の取り組みを主導していく明確な意志が、G7伊勢志摩首脳宣言として発信されました。
初代天皇である神武天皇崩御から二千六百年の節目の年に、皇祖、皇室ゆかりの地でサミットが開催されましたことは、日本国民の一人として感慨深いものがあります。神武景気という言葉もありました。伊勢志摩サミットの成果が世界経済の安定及び世界平和につながることを期待するところであります。
財政についての質問であります。
景気回復のための地方財政の役割について質問いたします。
六月二日、
経済財政運営と改革の基本方針二〇一六─六百兆円経済への道筋─、いわゆる骨太の方針二〇一六が閣議決定されました。景気回復の腰折れを回避し、GDP六百兆円と平成三十二年度の財政健全化目標の達成の双方実現を目指す内容となっています。
また、回り始めた経済の好循環を持続的な成長路線に結びつけ、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現を目指し、日本再興戦略二〇一六を閣議決定いたしました。今後は、この戦略に基づき、一、潜在需要を掘り起こしGDP六百兆円に結びつく新たな有望成長市場の戦略的創出拡大、二、人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する生産性革命、三、新たな産業構造への転換を支える人材強化の三つの課題に向けて、さらなる改革に取り組んでいくことになります。
具体的には、官民プロジェクト10を掲げ、有望成長市場の創出、ローカル
アベノミクスの深化、国内消費マインドの喚起によって、GDP六百兆円の実現を目指す考えであります。
失われた二十年とも言われるデフレによる日本経済の低迷の要因は、現在、十兆円から二十兆円規模で存在していることが危惧されている需要不足、いわゆるデフレギャップと言われています。このデフレギャップを埋めることにつながる日本再興戦略であることを期待いたします。
また、需要創出には財政政策も必要と考えられます。
地方財政計画の平成二十八年度の通常収支分の歳入歳出規模は八十五兆七千五百九十三億円となっており、国家財政と並ぶ水準であります。その存在意義、役割は大きいと言えます。国家財政とあわせて、景気回復のために果たす役割も大きいと考えます。
そこで、景気回復のための地方財政の役割についてどのように考えているのか伺います。
次に、地方財政にかかわる制度改革についてであります。
骨太の方針二〇一六に、地方交付税を初めとした地方の財政に係る制度の改革として、先進的自治体の経費水準の基準財政需要額算定への反映、いわゆるトップランナー方式の導入に際し、その趣旨、経費の算定基準、今後のスケジュールをホームページで公表し、周知を図るとあります。多くの自治体がみずから、歳出効率化を含む先進的な取り組みを応用・実施することにより、全体の地方財政の健全化を図る狙いであると思われます。
また、国の歳出改革において、国庫支出金の性格に応じ、成果の向上と見える化に一段の工夫が必要とし、地方の裁量度が高いものは、国庫支出金のパフォーマンス指標の設定・評価のための分野横断的仕組みを構築する動きがあります。
県の平成二十八年度予算を見れば、地方交付税二千六百八十二億五千四百万円、国庫支出金は千五百四十九億七千八百万円となっています。県の一般会計歳入に占める割合はそれぞれ、三二・六%、一八・八%となっており、無視できない動きであります。
そこで、県において、トップランナー方式及び国庫支出金のパフォーマンス指標にどのように対応を考えているのか伺います。
農政についての質問であります。
まず、農業農村整備事業の予算確保の状況及び取り組みについて伺います。
私は、平成二十七年第四回定例会において、農業農村整備事業の予算に関して質問いたしました。限られた予算の範囲で、予定していた継続地区や新規要望地区において、次年度以降に工事を先送りしたり、各地区の必要性・緊急性に配慮し、営農に支障が生じないよう工事の内容の見直しなどを行ったりなど、事業量の確保に努めてきたという厳しい状況を伺いました。
台風、干ばつなどの自然状況が厳しい本県において、営農を推進していくためには、圃場整備、高生産性実現のための大規模畑かん事業、農道整備、農地・農業用水路整備などの基盤整備等が欠かせません。あわせて、農地・農村の防災・減災対策も求められます。計画的かつ効果のある事業を進めていくには、安定した予算が確保される必要があります。
これまでも、県は国に対し、農業農村整備事業に必要な予算を確保するよう強く要請してまいりました。国の平成二十七年度補正予算と平成二十八年度当初予算を見れば、農業農村整備事業予算総額が千二百二十二億円の増額となっています。県としては、事業の計画的な推進ができるレベルまで農業農村整備事業の予算確保ができたのか、気になるところであります。
そこで、農業農村整備事業の予算確保の状況及びこれを踏まえどのように取り組んでいかれるのか、質問いたします。
次に、日本型直接支払制度についてであります。
農業・農村は、国土保全、水源涵養、自然環境保全、景観形成等の多面的機能を有しており、その利益は広く国民全体が享受しています。しかしながら、近年、農村地域の高齢化、人口減少等により、地域の共同活動等は困難化しています。農業・農村の多面的機能の発揮のための地域活動や営農の継続等に対する支援が必要であります。
日本型直接支払制度は、農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図るため、地域の共同活動、中山間地域等における農業生産活動、自然環境の保全に資する農業生産活動を支援する制度であります。農村地域の活性化に資する取り組みとして評価されます。
ちなみに、私の地元においても、五月に、日本型直接支払制度のうち多面的機能支払交付金を活用するための組織を立ち上げ、活動を始めたところであります。地域の農家の交流、子供育成会など地域の非農家との交流、地域の伝統芸能活動による世代間交流など、農業だけでなく地域の活性化につながる活動として期待しているところであります。
そこで、日本型直接支払制度における多面的機能支払交付金の
取り組み状況について、また、今後どのようにこの取り組みを他の地域へ広げていくのか、今後の推進について質問いたします。
水産業についての質問であります。
カンパチの人工種苗の
取り組み状況についてであります。
カンパチの人工種苗の取り組みについて、養殖カンパチは、本県有数の特産物であります。私は、これまでもカンパチの人工種苗に関して質問してまいりました。カンパチの人工種苗導入は、寄生虫のアニサキス対策、計画的な養殖生産、海上作業の効率化、生産コストの削減、品質の統一化につながるものであり、本県養殖業の発展に必要不可欠なものと考えられます。
人工種苗導入からことしで五年目を迎えました。しかしながら、養殖業者、県、人工種苗を生産する豊かな海づくり協会の皆さんの懸命な思いとは逆に、当初予見できなかったさまざまな課題に直面し、多くの損害が養殖業者に発生したところであります。養殖業者の求める優良な種苗を安定して供給することができるような体制の整備が急がれると思います。
国立研究開発法人水産研究・教育機構では、養殖親魚の産卵時期を自在にコントロールする技術、養殖経費の低減に貢献する早期種苗生産技術など、いち早く開発しています。これらの知見を導入して、事業の改善に生かすことも考えられます。
卵から成魚に成長させて資金回収を図るといったサイクルが確立されていない状況では、事業参加者間の信頼関係も薄れ、従来の延長線上での人工種苗事業の継続も難しいと思われます。新たな対応を検討する時期にあると考えます。
そこで、これからのカンパチの人工種苗の取り組みをどのように行っていくのか伺います。
公共事業についてであります。
公共事業の予算執行前倒しについてであります。
安倍首相は、平成二十八年度当初予算について、可能なものから上半期に前倒して実施する旨を述べました。また、財務大臣からも、公共事業等について、上半期末において予算現額の八割程度が契約済みになることを目指す発言がありました。
一方、本定例会において、知事の提案理由説明においても、公共事業などの執行に当たり、早期発注や県内企業への優先的な発注に努めている旨の発言がありました。
首相は、今年度予算を、戦後最大のGDP六百兆円に向けて、強い経済を確かなものとする予算と位置づけています。景気対策に財政政策を活用する考えであります。
景気のよい状態を実現するには、名目GDPを増加させていくことが不可欠であります。そのためには、輸入を抑えて、個人消費の増加、法人投資の増加、輸出の増加、公共事業の増加のいずれかを図らない限り、名目GDPを増加させることは不可能であります。
特に、公共事業が景気回復において果たす役割については国も十分認識しており、また、伊勢志摩サミットにおいても、G7伊勢志摩首脳宣言の附属文書である「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」の中にも、「強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長を促進し、我々の社会における強靱性を向上させるとともに、持続可能な開発目標達成のための世界的な取り組みに貢献するため、ステークホルダーが、質の高いインフラ投資の推進を通じて、インフラ投資の現存する世界的な需給ギャップを埋めるために一貫して取り組むことが極めて重要であることを再確認」とあります。
このように、公共事業は、国内外にわたり景気対策としての役割が認められていると言えます。
また、名目GDPを増加させることは、景気回復だけでなく、サミットで合意された債務残高対GDP比の発散防止にも資するものであります。
ちなみに、国際社会において財政再建目標とされているのは、債務残高対GDP比の安定化と引き下げであります。プライマリーバランスの黒字化は、債務残高対GDP比の縮減のための手段にすぎず、目標とはされておりません。例えば、G20における各国の財政再建目標を記載するフォーマットには、債務残高対GDP比目標─Debt-to -GDP ratio objective─という欄はありますが、プライマリーバランス目標の欄は存在しておりません。
そこで、公共事業の予算執行前倒しについて県はどのように対応しているか伺います。
今後の景気対策への備えについてであります。
先ほども申し上げたとおり、国は、GDP六百兆円を目標に掲げており、そのための景気浮揚に公共事業は必要不可欠と考えていることから、国は、参議院議員選挙後に大型の経済対策補正を秋に成立させる考えであります。
県としては、補正予算の確保に努めていくとのことでありますが、東日本大震災の際には入札の不調・不落が多かったとお聞きしていますし、現在、熊本県での震災の直後であり、資材調達や人手不足など円滑な施工が可能かどうか懸念されるところであります。
県としては、公共事業の円滑な執行に対しどのように考えているのか、見解を伺います。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
35 ◯知事(伊藤祐一郎君)景気回復のための地方財政の役割についてのお尋ねであります。
今月二日に閣議決定されました日本再興戦略二〇一六におきましては、名目GDP六百兆円に向けた成長戦略として、観光立国の実現や、攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化などが示されているところであります。
地方公共団体は、地域の個性を生かしました産業振興、雇用創出等によります地域経済の活性化策を展開しておりまして、国とともに経済活性化の役割を果たしていると考えております。
本県におきましても、本県経済を下支えし、将来の鹿児島の成長につながる施策の展開に努めているところであります。具体的には、地域経済の活性化を図る観点から、三年間で百億円規模のプロジェクトであります観光かごしま新時代への挑戦や、農業団体などが行います輸出力強化に向けた取り組みへの支援、海外輸出拡大に向けたブリの人工種苗の導入など、引き続き、本県の強みであります観光や農林水産業を初めとする諸産業の振興に重点的に取り組んでいるところであります。
36 ◯総務部長(寺田雅一君)地方財政に関係する制度改革への対応についてでございます。
トップランナー方式につきましては、多くの団体が民間委託等の業務改革に取り組んでいる業務について、その経費水準を地方交付税の単位費用の積算基礎とするとされているところでございます。
県といたしましては、民間委託については、業務の執行方法の改善などによる行財政運営体制のスリム化や財政の健全化の推進等といったこれまでの基本的な考え方のもとで、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
しかしながら、トップランナー方式の導入に際しましては、地方の行政コストの差は、人口や地理的条件など歳出削減努力以外の要素によるところが大きく、一律の行政コスト比較にはなじまないことにも十分留意する必要があるものと考えております。
また、国庫支出金のパフォーマンス指標につきましては、国庫支出金の性格に応じ、その政策目的が実現したかどうかを地方自治体ごとに評価する指標を設定し、その配分に当たっては、地方自治体ごとの
取り組み状況や達成度合い等に応じて、めり張りをつけるとされております。
具体的には、今後、国において検討が行われると考えられますことから、県といたしましては、その動向を十分注視し、必要とする社会資本整備など各般の事業が着実に実施できるよう、国庫支出金の確保を図る必要があると考えております。
これらの点につきましては、県開発促進協議会等を通じまして、国に要望してまいりたいと考えております。
37 ◯農政部長(川野敏彦君)農政に関する御質問のうち、まず、農業農村整備事業の予算確保の状況等についてでございます。
平成二十八年度の農業農村整備事業予算につきましては、当初予算額二百二十五億円に対して、現時点までの国からの内示は、予算額の七六%に当たる百七十一億円となっております。これに平成二十七年度のTPP対策等の補正予算分二十二億円を加えますと、百九十三億円となり、昨年度を二十億円、一二%上回っております。
県では、農業産出額の向上に資する大規模畑地かんがいの整備や、農業の競争力強化を図るための基盤整備などを重点事業と位置づけており、これらの事業や、事業効果の早期の発現が期待される事業などに優先的に取り組むこととしております。
今後とも、国の補正予算の動向も注視しながら、引き続き、県開発促進協議会などあらゆる機会を通じ、国に対し、農業農村整備事業に必要な予算の確保について強く要請してまいります。
多面的機能支払交付金についてでございます。
本県では、多面的機能支払交付金を活用した水土里サークル活動等の推進を図っており、平成二十七年度は、三島村と十島村を除く四十一市町村におきまして、農地を有しております県下五千六百余りの集落のうちの四八%に当たる約二千七百集落で取り組まれております。
この活動では、農地のり面の草刈りや水路の泥上げ、農道の補修、耕作放棄地の解消など、農地や農業用施設の維持管理に加え、景観作物の植栽等による農村環境の向上など、地域ぐるみの取り組みが行われております。
かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針におきましては、多面的機能支払交付金等の活用により、地域共同で保全活動を実施する集落の割合を平成三十七年度に五五%とする目標を設定しております。
県としては、市町村や関係団体と連携し、県内各地域での活動事例の情報発信や集落リーダーの育成等に努めながら、水土里サークル活動の充実・強化に取り組んでまいります。
38
◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)カンパチの人工種苗の
取り組み状況についてでございます。
カンパチの人工種苗につきましては、平成二十三年度から供給を開始し、昨年度までに百五十万尾を供給してきておりますが、養殖段階におきまして、病気に弱いこと、生残率が低いこと、成長が遅いことなど、養殖用種苗としての課題が明らかになってきております。
これまで、主に、種苗生産技術の改善による優良種苗づくりに取り組んできておりますが、十分な成果が得られるまでには至っておらず、課題解決のためには、養殖に適した系統づくりが必要であると考えております。
今後は、従来から実施しております選抜育種に加え、先ほどお話もありましたが、高度な技術を有する国立研究開発法人水産研究・教育機構の協力を得まして、養殖に適した系統づくりを加速することといたしております。
人工種苗を用いた養殖の確立につきましては、種苗の生産から養殖、出荷までの連携した取り組みが不可欠であることから、かごしま豊かな海づくり協会、養殖業者、県漁連等、関係機関が一体となった取り組みを推進してまいります。
39 ◯土木部長(久保田 一君)公共事業の予算執行前倒しについてです。
公共事業につきましては、これまでも、年間を通じて工事量を平準化するなど計画的な予算執行に努めてきたところです。
平成二十八年度予算につきましては、国から、できる限り上半期に前倒して実施するよう要請されていることも踏まえ、今年度は特に、四月から六月の第一・四半期に前年度の約一・九倍となる約六百件の工事発注を予定しており、前年度末に契約したゼロ県債や平成二十七年度補正予算による工事とあわせ、年度当初の工事量の確保に努めたところであります。
公共事業は、本県の経済に占めるウエートが高く、地域の経済や雇用を支える効果が大きいことから、今後とも、公共事業予算の早期かつ計画的な執行に努めてまいります。
公共事業の円滑な執行についてです。
公共工事を円滑に執行するには、受注企業が技術者、技能労働者を適切に配置し、適正な価格で資材調達できることが重要であると認識しております。
東日本大震災後には、本県においても、技術者、技能労働者不足などによる入札不調が見られたことから、主任技術者、現場代理人の配置要件を緩和するとともに、設計労務単価の大幅な引き上げや、実勢価格の変動に応じた資材単価の改定などの対応を行ってきたところであります。
県としては、今後とも、熊本地震の影響や国の補正予算の動向を注視しながら、必要に応じて対策を講じることなどにより、公共事業が円滑に執行されるよう努めてまります。
[大久保博文君登壇]
40 ◯大久保博文君 答弁いただいたことに関しまして申し上げます。
財政についてであります。
国家財政に関してのことでありますが、財政規律を根拠づける理論に、ドーマー条件というものがあります。政府もドーマー条件を認めています。債務残高対GDP比が増加することを防ぐためには、プライマリーバランス黒字化でもGDP増加でも構いませんが、統計的な分析を踏まえれば、デフレ期においては、プライマリーバランスに配慮する以前に、デフレを脱却し、名目GDPを増加させることが財政再建に資するという専門家の指摘も見られます。
プライマリーバランス黒字化は、デフレ脱却後、あるいはインフレ時に考慮されるべきという考え方にはうなずけるところであります。デフレ脱却まで、日本政府のプライマリーバランス黒字化へのこだわりが弱まることを期待するところであります。
地方財政は、国の財政と異なり、財政健全化法など厳しい制約の中で運営が図られていることは承知しています。今後も、財政規律を図りながら、地域経済への財政的配慮がなされることを期待いたします。
農政についてであります。
農業・農村の強靱化のための予算確保がある程度できた状況を伺うことができました。今後、農業・農村の強靱化を図り、食料安全保障や生産性を促進し、防災・減災対策が実現されることを期待いたします。
水産業についてであります。
これまでのカンパチの人工種苗への取り組みで疲弊した養殖業者も少なくありません。養殖業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、一日も早く、養殖業者の求める優良な人工種苗を安定して供給することができるようになることを期待いたします。
公共事業についてであります。
安倍政権の誕生以降、土木やインフラへの理解が深まってきつつあるところであります。失われた二十年と言われるこの間、景気低迷とともに、土木、公共事業への信頼と理解も失われたように感じます。
日本は、自然の美しい国ですが、厳しい気象や地形のため災害も多く、災害に対し脆弱で危険な国でもあります。こうした国で人々が安全に暮らし、経済活動を営むには相当なインフラ投資が必要であります。厳しい自然条件によって、他の先進国と比較して我が国ではインフラ整備にはコストもかかるところであります。
未来への投資だけでなく、既存インフラの維持更新も行っていかなければなりません。五十年、百年先を考えて、どういったインフラ投資を続けるか、どの程度の規模の投資が妥当なのかといった本質の議論も十分なされていないようであります。
今回の景気対策を機会に、国民生活や経済活動を各地域でどうしていくかを踏まえた、長期的なインフラ整備計画の議論が国全体でなされていくことを期待いたします。
それでは、第四次産業革命についての質問に入ります。
世界では、第四次産業革命またはインダストリー四・〇とも呼ぶべき大変革が、従来にないスピードとインパクトで進みつつあります。
ちなみに、第一次が蒸気機関という動力の獲得、第二次は動力が電力・モーターにシフト、第三次がコンピューターによる自動化であります。
第四次産業革命では、IoT、ビッグデータ、AIいわゆる人工知能、ロボットといった先端技術を活用して、ITと実世界を緊密につなぐ仕組みによってもたらされる変革を言います。
昨年は、概念や言葉のみが飛び交う状況でしたが、これから、今申し上げたような先端技術の発展がどのような経済・社会的インパクトをもたらし、これに向けてどのような対応をとっていくべきか、官民でビジョンを共有し、戦略的に対応することが必要になります。
民間企業の現場において、ことしから第四次産業革命を意識した技術の実践的導入が本格化してくると言われています。この技術革新を的確に捉え、これをリードするべく大胆に経済社会システムを変革することこそが、我が国が新たな成長フェーズに移行するための鍵となります。
国は、日本再興戦略二〇一六において、第四次産業革命関連の技術を活用し、GDPを三十兆円増加させることを明記しています。また、経済財政骨太の方針二〇一六において、地方創生の本格展開に向けて、IoTを活用した地域サービス産業の
生産性向上、中堅・中小企業者が第四次産業革命に対応できるよう、IT専門家の派遣等により、IT投資・IT人材の育成を支援するとあり、第四次産業革命の中小企業、地域経済への波及も目指しています。
そのような中、本県においても、製造業の振興について、IoTを活用した新たなビジネス展開などの支援を行う旨の知事からの説明がありました。
IoTは、
インターネットが人と人をつなぐ技術から、物と物をつなぐ技術に進化させた技術で、あらゆる業務プロセスをIT化、デジタル化を可能にする技術と言われています。
また、国によるIoT活用のための環境整備もこれから検討が進められます。データ利活用ルール、プライバシー保護、知的財産権のあり方、企業秘密の保護、サイバーセキュリティー対策、ネットワーク環境整備、経営者の理解を深める方策、デジュールまたはデファクトになるのか、今、競われている国際標準の行方の見きわめなどであります。
そして、先端技術の開発では、産学連携について、今後十年間で、企業から大学・研究開発法人への投資を三倍にふやすとしています。
また、行政サービス分野においても、IoT、ビッグデータの活用など、第四次産業革命が今後進んでいくと考えられます。
経済産業省産業構造審議会が中間整理した、新産業構造ビジョン─第四次産業革命をリードする日本の戦略─では、公共サービスの領域でIoTの付加する経済価値が大きいとの主なシンクタンクの試算を紹介しています。
さらに、行政が保有するデータの公開・利活用について、さらなる推進の必要性及び行政が保有するデータ活用上の課題、例えば、使い勝手が悪い、活用できるデータ形式で提供されていない、機関ごとにフォーマットが異なるなどを指摘し、行政システムのAPI整備の徹底を提案しているところであります。
そこで、IoTの活用メリットについてどう考えるのか。
IoT活用による製造業の支援にどのように取り組むのか。
IoT活用のための環境整備、特に光ファイバーの整備及び地元IT企業の活用についてどう考えるのか。
インダストリー四・〇を見据えた取り組みとして、先端技術開発にどのように取り組むのか。
行政サービスにおける県保有データ活用等の取り組みについてどう考えるか伺います。
児童福祉についての質問であります。
まず、児童福祉法改正についてであります。
家庭内暴力、虐待、障害、不登校、ひきこもり、非行など、子供の抱える問題が増加・深刻化しています。
そのような中、五月二十七日、改正児童福祉法が成立いたしました。全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について、発生予防から自立支援まで一連の対策のさらなる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、母子健康包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の所要の措置を講ずる内容となっています。児童福祉の課題解決に資する対応であると期待されます。
そこで、児童福祉法の改正で新たに明確化された理念及び県の役割についてどのように考えているのか、質問いたします。
次に、児童虐待防止対策についてであります。
本定例会の自民党県議団の代表質問に対して、県においては、児童虐待の通告・相談件数、児童虐待の認定件数、いずれもふえているとの厳しい実態について答弁がありました。また、県としては、国の動向を注視し、児童相談所の体制整備に努める旨の答弁もありました。児童虐待防止対策の強化が望まれるところであります。
国においては、児童虐待防止対策強化プロジェクトとして、発生予防の強化、関係機関の情報共有による最適な支援、被虐待児童の自立支援とフォローアップの取り組みが掲げられています。
発生予防の強化においては、さまざまな事情により、行政機関や子育て支援の拠点とみずから接点を持ちにくい、あるいは持とうとしない子育て家庭が存在することから、アウトリーチ型支援が検討されています。アウトリーチ型支援とは、援助者が被援助者のもとに出向いていく支援、つまり、家庭訪問等により、子育てに関する情報の提供、乳児及び保護者の心身の状況や養育環境の把握、養育相談・助言などの支援を行うことであります。アウトリーチ型支援は、子供虐待を防ぐための最も必要なアプローチとして期待されます。
関係機関の情報共有による最適な支援においては、児童相談所や市町村の役割と責任の分担を明確にして、連携を図るとしています。
被虐待児童の自立支援とフォローアップにおいては、個々人の状況を踏まえて、家庭的な環境で養育することを推進するとともに、施設退所児童の心のよりどころとなる居場所づくりの推進等のフォローアップを行い、自立に結びつけるとしています。
そこで、発生予防の強化として、アウトリーチ型支援にどのように取り組むのか。
関係機関の情報共有による最適な支援として、児童相談所を初め、関係機関の連携をどのように図るのか。
被虐待児童の自立支援とフォローアップをどのように図るのか、伺います。
次に、社会的養護についてであります。
保護者のいない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任で社会的に養護することを社会的養護といいます。施設の例として、乳児院、児童養護施設などがあります。
全国的に、ここ十数年間の要保護児童の数の推移を見れば、里親への委託児童数、児童養護施設入所児童数及び乳児院の入所児童数はいずれも増加している状況であります。
社会的養護の原理として、家庭的養護と個別化、発達の保障と自立支援、回復を目指した支援、家族との連携・協働、継続的支援と連携アプローチ、ライフサイクルを見通した支援が挙げられています。
現在、社会的養護においては、一人一人の子供をきめ細かく育み、親子を総合的に支援していけるよう、家庭的養護の推進に向けてハード・ソフトを変革しようとしています。
私は、子供の健全な育ちは、まず家庭にあると思います。どんな親であっても、子供にとってはかけがえのない存在であります。親の存在は、子供の成長に影響いたします。子供であるときはもちろん、社会人になっても特に若いうちは、心の支えとしてどこかで親を求めることが多いものであります。ですから、家庭またはそれにかわるものが子供には必要であり、家庭的養護は推進されるべきと考えます。また、施設養護も家庭的養護の推進に向けた対応が望まれると思います。
さて、県が設置を検討している児童家庭支援センターは、法律で児童相談所を補完する機能を有する施設として位置づけられています。
厚生労働省は、その事業内容等を児童家庭支援センター設置運営要綱に定めています。また、親子関係再構築の支援など、さらなる活用も検討されています。将来、児童養護施設や乳児院に標準装備することも検討されています。これからの国の児童福祉政策としては、児童相談所の体制・専門性を強化するとともに、児童家庭支援センターをふやすこととしています。児童家庭支援センターの役割が大変期待されるところであります。
昨年四月、
生活困窮者自立支援法が施行されました。この法律は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、
生活困窮者に対し、自立相談事業の実施、住居確保給付金の支援その他の支援を行うための所要の措置を講ずる内容となっています。
県は、この法律を根拠に、
生活困窮者自立支援事業として、
大隅地域振興局内に
大隅くらし・し
ごとサポートセンターを設置し、この地区での貧困対策に今年度から取り組んでいます。大隅地域の貧困対策に資する施設として大きな役割が期待されるところであります。
一方、国は、子供の貧困対策に関する大綱を定め、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、子供の貧困対策を総合的に推進しているところであります。子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る内容であります。
県においても、子供の貧困対策については、三月に策定した子どもの貧困対策計画に基づき、ひとり親家庭等の学習や就労に対する支援などに取り組んでいるところであります。
児童福祉にかかわる問題は、家庭の貧困に起因することが少なくないと言われています。私は、
大隅くらし・し
ごとサポートセンターが、児童福祉の関係機関と連携を図り、
生活困窮者自立支援を行うことが必要であると考えます。
そこで、社会的養護において、家庭的養護推進の取り組みの内容はどのようなものか。
家庭的養護推進に向けて、社会的養護施設の将来像をどのようにしていくつもりか。
児童家庭支援センターについて、どのような役割を期待しているのか。
子供の貧困対策の観点から、
大隅くらし・し
ごとサポートセンターと児童福祉の関係機関との連携をどう図っていくのか、伺います。
41
◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)まず、IoTの活用メリットについてでございます。
二〇一五年版ものづくり白書によりますと、IoTとは、全てのものが
インターネットでつながるという概念であり、製造業においては、工場の生産、品質、安全にかかわる全てのデータをネットワークで有機的に結合することで、どこで何が起きているかを可視化し、そのデータを使った最適な経営の実現が可能となるとされております。
具体的には、工場内の機械にセンサーを設置し、全体の工程を見える化することにより、生産工程の効率化や省エネルギー化が図られるほか、アフターサービスの高度化や熟練の技術の継承、受注情報や顧客情報の解析による業務の効率化などが期待されているところであります。
次に、IoT活用による製造業の支援のあり方についてでございます。
IoT活用による製造業の支援につきましては、先月、県内の製造業者等を対象に、大手通信メーカーのIoTビジネスの責任者を招聘し、IoTの事例や活用方法等についてセミナーを行ったところであります。また、今後は、県内の製造業者とIT関連企業とのマッチングにより、工場の「見える化」などの製造現場でのIoT活用や、IT関連企業による設備監視システムの開発等のIoTビジネスの創出を推進することとしております。
県といたしましては、今後とも、県内製造業におけるIoTの活用やその普及に努めてまいります。
インダストリー四・〇を見据えた取り組みについてでございます。
今月二日に閣議決定された日本再興戦略二〇一六におきまして、第四次産業革命は、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット・センサーの技術的ブレイクスルーを活用するものであり、今後の生産性革命を主導する最大の鍵とされているところでございます。
国におきましては、同戦略に基づき、第四次産業革命官民会議を設置し、我が国の強みを生かして世界と勝負できる重点分野の戦略や、イノベーション、人材育成を初めとする横断的な政策の検討を行うこととしております。
県といたしましては、県内のIoTの普及に努めるとともに、ビッグデータや人工知能に関しては、国の動向も踏まえ、産学官による研究など、今後、対応について検討してまいります。
42 ◯企画部長(岩切剛志君)IoT活用に関連して、光ファイバーの整備についてであります。
県内の各市町村における光ファイバーの敷設の現況については、ほぼ全域で整備されているのは十五市町村、一部地域で整備されているのは二十一市町であり、全域で未整備となっているのは七町村となっております。
これまで、離島や過疎地などは、その多くが不採算地域であるとして民間事業者による整備が進まないことから、市町村が国の補助金等を活用しながらその整備を進めてきたところであります。
県としましては、光サービスは、いわゆるナショナルミニマムとして地域住民がひとしくその利便性を享受するとともに、IoTの活用においても重要であると考えており、今後とも、国に対し支援要請を行うなど、光ファイバーの整備促進に努めてまいります。
地元IT企業の活用についてであります。
地元IT企業の受注機会の確保につきましては、情報システムに係るガイドラインに基づいて、調達単位を設計、開発、運用、保守などに分離することや、ハードウエア、ソフトウエアに分離するなど、地元IT企業が入札に参加しやすい環境づくりに努めているところであります。
行政サービスにおけるデータ活用等の取り組みについてであります。
産業構造審議会等において、第四次産業革命に対応して、我が国がその潜在力を余すことなく発揮し、競争力を高めていくには、データの徹底的な利活用が鍵であるとされており、行政の保有するデータの公開、積極的な利活用の徹底が求められているところであります。
現在、県では、一部の統計情報について、ホームページを通じ、エクセルファイルなど再利用可能なデータ形式で提供しているところでありますが、今後、まずは利用しやすい形での提供や二次利用に関するルールの策定など、民間での活用が促進されるよう、県が保有するデータについて積極的な公開を進めてまいります。
43
◯保健福祉部長(古薗宏明君)児童福祉法の改正についてであります。
改正児童福祉法におきましては、全ての児童は、適切に養育されること、愛され、保護されることなどを等しく保障される権利を有するとした上で、児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うこと、国及び
地方公共団体は、保護者とともにその責任を負うこと、さらには、国民にも努力義務があることなど、児童の福祉を保障するための原理、理念が明確にされたものと考えております。
また、県の役割につきましては、市町村に対する必要な助言及び適切な援助を行うとともに、専門的な知識及び技術並びに各市町村の区域を超えた広域的な対応が必要な業務として、児童福祉法に基づく児童の福祉に関する業務を適切に行うものとするとされたところであります。
県といたしましては、改正児童福祉法に掲げる、児童の福祉を保障するための原理を尊重し、国や市町村等と連携を図りながら、児童の健全育成、児童福祉の増進に努めてまいります。
児童虐待の発生予防のためのアウトリーチ型支援についてであります。
子育て家庭へのアウトリーチ型支援につきましては、これまで、市町村におきまして、生後四カ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問し、乳児及び保護者の心身の状況や養育環境の把握、養育相談・助言を行う乳児家庭全戸訪問事業や、養育支援が必要となった家庭に対して、養育に関する助言・指導等を行う養育支援訪問事業などが行われております。
国におきましては、さまざまな事情により、行政機関や子育て支援の拠点とみずから接点を持とうとしない子育て家庭などが存在することや、里親の負担軽減のための支援の充実が必要であることなどから、そのような子育て家庭や里親家庭に対するアウトリーチ型支援のあり方について検討することとしております。
県といたしましては、国の検討状況も注視しながら、子育て家庭へのアウトリーチ型支援が市町村において適切に行われるよう努めてまいります。
関係機関の情報共有による最適な支援についてであります。
児童虐待につきましては、児童相談所及び市町村がそれぞれ通告を受けておりますが、虐待事案の軽重と対応する機関の間にミスマッチが生じたり、初期対応すべき機関を判断する共通の基準がないなど、児童相談所と市町村の役割分担が不明確であったところであります。
今回の児童福祉法の改正により、これらの役割分担が明確にされるとともに、国におきましては、児童相談所、市町村などの関係機関の判断に当たって、共通の基準となるアセスメントツールを作成することといたしております。
これらにより、虐待事案が発生した場合におきまして、児童相談所、市町村などの関係機関が共通の判断によりアセスメントを行う新たな仕組みを通じて、情報が共有されるとともに、連携が強化されることとなり、全ての児童に対し、質の高い最適な支援を実現することが可能となるものと考えております。
被虐待児童の自立支援とフォローアップについてであります。
被虐待児童の自立支援につきましては、自立に向けた生活習慣、金銭管理等を習得するための支援や、進学のための学習指導、就職のための職業指導の実施に加えまして、児童相談所が主体となり、親子関係の再構築を図るための支援も行っているところであります。
被虐待児童につきましては、自立や親子関係の再構築に時間を要する場合が多く、十八歳到達後を含め、個々の児童の発達に応じた支援を実施し、自立に結びつけることが重要でありますことから、国におきましては、改正法の施行に向けまして、十八歳到達後の支援のあり方について検討するとともに、被虐待児童が施設退所後に中途退学や短期間で離職した場合には、施設等が相談に応じるなど、心のよりどころとなる居場所づくりの推進などのフォローアップを行うことにより、確実な自立に結びつけることといたしております。
県といたしましては、国の検討状況も注視しつつ、被虐待児童の自立に向けた適切な支援が行われるよう努めてまいります。
家庭的養護推進の取り組み内容についてであります。
社会的養護は、できる限り家庭的な養育環境の中で、特定の大人との継続的で安定した愛着関係のもとで行われる必要があるとされており、県におきましては、昨年三月に策定した家庭的養護推進計画の中で、里親の新規開拓、里親支援の充実、ファミリーホームの開設及び支援など、家庭養護の推進を図るとともに、児童養護施設等の小規模化や施設機能の地域分散化など、家庭的養護の推進を図ることといたしております。
このうち、里親の新規開拓につきましては、昨年度は三十一人の増加が図られ、本年三月末には二百五人が登録されており、また、児童養護施設等のうち八施設において小規模グループケアが行われております。
県といたしましては、今後とも、同計画に基づく施策を着実に推進することにより、家庭養護及び家庭的養護の推進に努めてまいります。
社会的養護施設の将来像についてであります。
児童養護施設等につきましては、国の社会保障審議会の専門委員会が平成二十三年七月に取りまとめました社会的養護の課題と将来像におきまして、児童養護施設等における施設養護も、できる限り、小規模グループケアなどの家庭的な養育環境の形態に変えていく必要があるとされております。
県では、家庭的養護推進計画に基づき、一グループ六人から八人を生活単位とし、一人または二人部屋の居室で、グループ担当職員を置く小規模グループケアの実施や、定員六人で民間住宅等を活用して運営するグループホームの設置を促進することとしており、これらの取り組みにより、児童養護施設等におきましても、少人数の家庭的な養育環境の中、担当職員等との継続的で安定した愛着関係のもとで家庭的養護が行われていくものと考えております。
児童家庭支援センターについてであります。
児童家庭支援センターは、地域、家庭からの相談や市町村の求めに応じた援助、児童相談所からの受託による指導、関係機関との連携・調整などを行う児童福祉施設であり、虐待が急増する中で、児童相談所の補完的役割を担う住民に身近な相談機関であります。
当センターにつきましては、施設を退所後、間もない児童など、継続的な指導措置が必要な児童及びその家庭について、児童相談所からの受託による指導を行うことや、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行うことなどが期待されており、現在、設置に向けまして、児童相談所や市町村との役割分担や連携のあり方などについて検討しているところであります。
大隅くらし・し
ごとサポートセンターと児童福祉の関係機関の連携についてであります。
大隅くらし・し
ごとサポートセンターにおきましては、子供の貧困対策として、生活困窮世帯の子供を対象に、
学習支援や居場所づくり、日常生活の支援のほか、親への養育支援を行っております。また、子供の
学習支援等を入り口として、必要に応じて、親の就労や
家計管理等の支援など世帯全体の支援を行うことにより、子供の将来の自立を後押しし、貧困の連鎖を防止することといたしております。
生活困窮者は、多様で複合的な課題を有していることが多いことから、関係機関の連携による包括的な相談・支援が必要であり、特に、子供の貧困対策の観点からは、大隅児童相談所を初めとする児童福祉の関係機関や児童福祉施設とも緊密に連携を図りながら、一人一人の子供や個々の世帯の状況に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
[大久保博文君登壇]
44 ◯大久保博文君 答弁いただいたことに関しまして申し上げます。
第四次産業革命についてであります。
グローバル市場での競争において、日本企業が勝ち抜くことができるような、また、GDP創出及び地域経済活性化につながる第四次産業革命の取り組みが行われることを期待いたします。
児童福祉に関してです。
児童問題対策としてさまざまな政策がとられていますが、問題件数は増加する一方であります。児童相談所や市町村窓口等行政機関の面接室に相談を待っているだけでは、限界があるところでもあります。法的に未整備なところもあるかもしれませんけれども、支援が必要な人に十分支援するために、さらなるアウトリーチの取り組みがなされることを期待いたします。
また、問題の発生している子供たちの多くは、生活困窮、虐待、DV、保護者の精神疾患、依存症など、生育環境に解決すべき問題を抱えています。本人だけでなく家族も支援するなど、生育環境を安定させる支援が必要であり、そのような取り組みがなされていくことを期待いたします。
児童家庭支援センターについてでありますが、先日、大分県別府市にある施設を視察してまいりました。そのセンターは、児童養護施設に併設してあるセンターでありました。話の中で、二十四時間対応の覚悟が経営者と職員に必要である。限られた人材と予算でやりくりが大変であり、
厚生労働省も検討している措置費化が求められる。乳児院・児童養護施設の附帯施設でないと機能しにくい。児童相談所とセンターは隣接したほうが一時保護など連携面でメリットがある。児童養護施設が一時保護を行う場合、一時保護される児童はケアされる存在であるので、しつけを受けることもある施設入所児童の目に触れないようにする配慮が必要などの指摘がありました。県も児童家庭センター設置の検討をされているということなので、御紹介をいたしました。
どんな環境や立場の子供も、安心と希望を見つけ出して成長していけるような児童福祉の取り組みがなされることを期待いたします。
さて、神武東征は、稲作の普及を目指したものとも言われています。和食がユネスコ世界無形文化遺産となり、世界に認められましたが、主食として和食の中心をなすのが米であります。日本の豊かな食文化の原点が、皇祖、皇室にあることを感じさせる話であります。「豊葦原の瑞穂の国」という言葉があります。瑞穂は稲穂のことであります。葦は鉄分を吸着することから、葦原という言葉に鉄文化の存在を指摘する説もあります。つまり、古代日本には鍛鉄の技術と稲作文化がともに存在したということであります。日本文化の豊かさ、奥深さを感じさせる話であります。
神武天皇が崩御された四月三日は、私の誕生日でもあります。将来の世代のためにも、豊かですばらしい日本の歴史、伝統、文化を守り伝えていくことを考えさせられたことしの誕生日でありました。
翻って現在の日本の置かれた状況を見れば、新自由主義、グローバル化、ボーダレス化、規制緩和の脅威にさらされている厳しい状況と言えます。
今回のG7サミットにおいて、日本はホスト国としての一定の責任を果たしたと言えると思います。しかしながら、外交においては、日本は必ずしもキーパーソンたり得ない状況ではないかと思います。さきのTPP交渉において、英語、フランス語、スペイン語はTPPの枠組みの中で公用語となりました。一方、我が国の申し入れにもかかわらず、日本語は公用語として採用されませんでした。
また、現在、WTOの枠組みのもと、外務省が交渉を進めているTiSA、いわゆる新サービス貿易協定では、物以外の全ての貿易、例えば金融、電気通信、流通、運送、建設、教育、観光などを対象に、さらなる貿易の自由化が進められようとしています。TPP同様、交渉過程はブラックボックスですが、年内に締結を目指しているようであります。日本経済への脅威にならなければと願うところであります。
グローバル化、第四次産業革命の波が押し寄せる中、私はこれからも、日本人であること、大和心の雄々しさを忘れることなく県政で務めていくことをお誓い申し上げ、全ての質問を終わります。(拍手)
45 ◯議長(池畑憲一君)次は、井上章三君に発言を許可いたします。
[井上章三君登壇](拍手)
46 ◯井上章三君 今回の定例会もいよいよ最後となりました。私も最後というのは初めてですので、初めての最後ということで、一時間でございますが、歴史を刻む一時間として質問させていただきたいと思います。
やはり最初は、熊本の地震災害のことを言わなければいけないと思っております。被災された皆様と、それから不幸にしてお亡くなりになられた方々に心からの御冥福をお祈りしたいと、一日も早い復興をお祈り申し上げる次第でございます。
災害は忘れたころにやってくると言われます。私も、地元の町長を務め始めて三年目でありましたが、平成九年三月と五月に大きな地震に遭遇しました。川内から我がさつま町のほうに向けて、マグニチュード五・五から六・五に至る地震が二回も起き、また余震もたくさんあり、そして大きな突然の被害を受けたのでございます。県北西部地震と命名されました。
また、合併後の二年目に当たる平成十八年に、今度は県北部豪雨災害と言われる大きな豪雨災害が直撃しました。出水市の米之津川も含め、川内川の流域全体が大きな被害を受けたわけでありますが、特に我が町は甚大な被害でした。
被災した方々の苦しみと現場の混乱の中で、それを懸命に支え、復興に御尽力くださる国や県、自衛隊や多くのボランティアの力強い御支援と真心に、助け合いのありがたさを痛感させられたことを思い出します。その教訓を忘れることなく、これからも世のため人のため、そして助け合いのために、公益に尽くしたいと思っております。
それでは、通告に基づきまして質問に入ります。
一番目は、海外との大交流時代を迎える鹿児島県の今後行くべき道についてであります。
伊藤知事は、十二年前、知事選に出馬されたときの講演会のパンフレットに「帰りなんいざ、田園まさに荒れなんとす」という陶淵明の詩を入れられ、陶淵明と重なるような、みずからも未来ある役人生活にきっぱりと別れを告げ、破綻寸前とも言われた鹿児島県の財政の立て直し、そして郷土の立て直しのために強い決意でふるさとに帰り、知事選に挑戦されたのであります。この陶淵明の詩は、余りにもそのときの知事の姿を写し出すような気がいたしまして、私は大変感動したことを思い出します。
以来、短期間に財政不足を解消され、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向けて力強く取り組んでこられたと感じております。
その中で知事は、鹿児島は日本の南の玄関口だ。その地理的特性、歴史的特性を生かし、環黄海圏の振興著しい巨大な都市であるソウル、上海あるいは台湾や香港、またシンガポールなどとの交流は鹿児島のこれからの発展に欠かせないと、そういう強い信念を持って近隣アジアとの国際交流を推進してこられました。私は、その先見性と英断に敬意を表しつつ、議会の立場から、観光、経済、文化、スポーツ等々の交流を支援してきたところであります。
政府は、ことしの三月末、明日の日本を支える観光ビジョンを出し、世界が訪れたくなる日本として、安倍内閣三年間の成果をあらわしながら、今後の目標を発表されました。三年間の成果として、「戦略的なビザの緩和、免税制度の拡充、出入国管理体制の充実、航空ネットワーク拡大など大胆な改革を断行してきた」とし、その結果、訪日外国人旅行者数は、二〇一二年に比べ、二〇一五年は二倍増の約二千万人となり、訪日外国人旅行消費額は、二〇一二年に比べ、二〇一五年は三倍増の約三・五兆円へ増加した。そして、新たな目標への挑戦として、訪日外国人旅行者数を四年後の二〇二〇年にさらに二倍増の四千万人、訪日外国人旅行消費額を二〇二〇年にさらに二倍強の八兆円と掲げております。
鹿児島県も、観光立県かごしまの実現のため、二〇一五年からオリンピックの二〇二〇年まで宿泊者数をふやす目標として、延べ宿泊者数を一・三倍の九百五十万人へ、うち外国人延べ宿泊者数を二倍増の四十三万人へと数値目標を立てながら、取り組みを始めておられるのであります。今後、海外から何倍もの外国人がやってくる大交流時代が始まることを示しております。
その時代に、鹿児島県は、アジアの諸国からすばらしい隣人として感謝され、歓迎される国際交流都市として成長できるのか。「本物。鹿児島県」の真価が問われていくことにもなります。
また一方で、未来を担う青少年にとっても、外国人の急増、異文化圏の人々との国際交流はとても大切なことであると思っております。世界に目を開き、大きく成長するチャンスであると思います。そして、青少年が相互に理解を深め、気持ちが通じ合う交流ができる時代になれば、自然と誤解が解け、国境の壁を越える道が開かれていくのではないでしょうか。当然、日本のよさの再発見や、日本及び日本人の役割をきちんと再認識するチャンスもふえることと思われます。
そこで伺います。
第一点は、南に開かれたアジアの玄関口として、本県の今後の取り組みに関する知事の見解についてお示しください。
第二点は、小・中・高校における、中国や韓国など近隣諸国への理解と交流を進める取り組みについてお示しください。
次に、地方創生と竹の資源化時代に関連して伺います。
昨年度は、まち・ひと・しごと地方創生総合戦略が策定され、いよいよ本年度から三十一年度までの四年間、その成果を上げるときになってまいりました。
地方創生担当大臣の石破茂大臣は、月刊事業構想の中で、「地方再生と言う方がいらっしゃいますが、今、我々が
チャレンジしているのは再生ではなくて創生なんだと、クリエーションです。今まで地方が発揮してこなかった、時代に合わせて変革してこなかった第一次産業や地域のサービス業の持つ潜在力を最大限に引き出す試みです。それぞれの地域がみずからの創意工夫で活力を取り戻す。価値を付加し、コストを低減し、生産力を上げ、それぞれに合った方法で、みずからの地域を活性化していくことです」と語っておられます。
小泉進次郎氏はあるところで、東日本大震災からの復興、人口急減、少子高齢化などの課題を抱える日本。その中で、いかにイノベーションを創出し、新たな日本の発展モデルをつくり出すかは、今を生きる私たちの未来に対する責任だと、そういう思いで取り組んでいるということを強く述べておられました。
知事は時々、英語で語られる場合がありますが、PROJECT FINDINGという言葉を時々使われているのを聞いて、どういう意味で使われているのかと思って聞いておりました。地方創生につながる、今までになかったプロジェクトの発掘の重要性を指摘されているんだろうと認識しておりますが、そういうことですか。英語に弱いものですから。
地方創生は、疲弊する地方にとって生き残りをかけた重大事です。私は昨年、地方創生総合戦略等特別委員会へ所属しながら、県や我が地元の課題を念頭に、創生の糸口を求めて模索を続けてまいりましたが、昨年の秋、政府が放置竹林を解消する施策として、竹のバイオマス発電に一キロワット当たり四十円の固定買取価格をつけたという話を聞きました。
鹿児島県は、現在、一万六千ヘクタールという全国一の竹林面積を抱える竹林県であります。その中でも、我がさつま町や薩摩川内市は竹林面積も多く、そして放置竹林の面積も半端ではありません。竹の成長力、繁殖力は驚くほど強い特性を持ち、また、エジソンの発明した電球のフィラメントが竹の繊維で初めて成功したごとく、その素材能力にもすごいものがあると言われてきましたが、利活用の道はなかなか開かれず、現在、手のつけられない厄介者になっています。
薩摩川内市では、原発に頼るだけではなく、新エネルギーの研究やスマートシティづくりを目指す取り組みに着手しておられ、昨年来、竹バイオマス産業都市協議会を設置し、産官学で竹の利活用の検討がなされていると聞いておりました。先般、中越パルプ工場が本格的な竹のセルロースナノファイバーの生産拠点をつくるとの報道もなされたところであります。
本県の調査でも、竹の利活用には、タケノコのほか、竹工芸品、養殖用いかだ、竹炭などで約五千三百七十トンが活用されているというデータが出ており、今日、一番の利用がなされているのは、竹パルプ用の一万六千百四十トンとなっているようであります。
発電事業が実現すれば、その成長力の速さのため原料の確保は継続的に可能となり、大きな竹林の整備と美しい景観がよみがえることにつながってまいります。竹が資源に変わり、利益を生み、雇用を生む仕組みをつくり上げることができれば、まさに地方には大きな朗報となり、地方の創生の後押しをしてくれると思っております。
このような中で昨年の秋ごろから、今までエネルギーを手がけてきた事業家の方々や研究者、森林組合あるいは地元の関係者の方々と、プロジェクトチームをつくり、精力的に研究と検討を重ねてまいりました。
私もまた、議会活動の傍ら、このチームに参加してきましたが、竹発電のための竹の収集や伐採、運搬、また燃焼の問題、水分の乾燥の問題、高熱炉とクリンカの問題、そしてどういう発電機を使うかという問題等々いろいろな課題があり、今まで竹の発電というのはなかなか日本では成功しなかったのであります。産学官の先端の方々を含み検討が進み、新しい技術や新しく開発された発明などが次々に集結するようになり、まさに、竹の資源化を実現するということに対して、先端の技術と民間活力が結集してイノベーションが始まってきたという感じがしております。
さらに、竹の集成材事業と組み合わせることで、切った竹は捨てるところがなくなり、事業効率が格段に向上し、新しい発明や技術を利用することで、さらに次の事業への展望が広がり、事業の拡大、雇用の拡大が期待されるようになってきております。
このたび、竹の町・さつま町からまずモデル事業を立ち上げ、そして県内外に広げていくために、非営利の一般社団法人バイオマスタウンを設立したところであり、少なくとも七、八社が事業に取り組む用意をしながら参加してきているところであり、近くプレス発表を準備しているところでございます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県内における竹材利用に向けた
取り組み状況について、第二点は、竹林整備促進のための県の施策について、どのように取り組んでおられるかお尋ねいたします。
47 ◯観光交流局長(本 重人君)海外との大交流時代を迎えた中で、国際交流への今後の取り組みについて御質問がございました。
本県ではこれまで、香港、シンガポール、韓国全羅北道、中国江蘇省などアジア各国・地域との間で友好関係を結び、定期的に開催する交流会議などを核として、関係機関・団体との連携のもと、長年にわたり、経済、観光、芸術・文化、青少年など各般の交流を展開してきております。これらの交流を通じて、海外における鹿児島の知名度向上や県産品の販路拡大、観光客のさらなる誘致などの面で着実な成果を上げてきているものと考えております。
さらに、平成二十五年には、中国北京の清華大学との間で、双方の交流・協力関係を促進するための包括協定を締結し、人材育成や人的ネットワークの構築を図ってきております。
県では、今後とも引き続き、これまでのさまざまな分野での交流を促進し、環黄海経済圏を初め、経済発展を続けるアジア地域の活力を取り込みながら、国際交流・協力と産業振興を一体的に推進してまいります。
48 ◯教育長(古川仲二君)青少年の近隣諸国への理解と交流の取り組みについてでございます。
小・中学校におきましては、近隣諸国への理解を深めるために、社会科で、経済や文化などの面でつながりの深い中国、韓国などの人々の生活の様子を調べることを通じて、異なる文化や習慣を理解することを学習いたしております。
また、総合的な学習の時間などにおいても、異なる文化を受け入れ、共生することのできる態度や能力を育成するために、教育旅行等で来日した中国、韓国などの青少年との交流活動を実施している学校もございます。
県立高校におきましては、開陽高校など四高校で中国語及び韓国語の授業を行い、日常会話などの学習をいたしております。特に、鹿児島東高校では、中国及び韓国の高校と姉妹校盟約を結び、ほぼ毎年、相互に生徒を派遣し、授業体験等を通して交流を深めているところでございます。
また、中国語研修プログラム事業において、中国や中国語に興味を持っている高校生に対しまして、清華大学で語学研修等を行い、中国に対する理解を一層深めさせる取り組みも行っているところでございます。
さらに、知事部局におきましては、香港、シンガポールの青少年と交流いたします青少年海外ふれあい事業等を実施しているところでございます。
今後も、これまでの取り組みの成果を踏まえ、さらに、青少年の近隣諸国への理解と交流の促進に努めてまいります。
49 ◯環境林務部長(東條広光君)竹の資源化についての質問のうち、まず、県内における竹材利用に向けた新たな動きについてであります。
本県の竹林面積は、平成二十六年度末で全国一位の約一万八千ヘクタールで、この豊富な資源を生かして竹材やタケノコの生産が行われており、現在、竹材は、主に竹パルプや農林水産業用資材等として利用されております。
このような中、竹材の利用に関します新たな動きとしましては、ただいま議員から紹介のありましたように、昨年七月には薩摩川内市が、竹を活用した産業振興や関連雇用の創出等を図ることを目的として、産学官で構成します竹バイオマス産業都市協議会を設立し、竹材のバイオマス発電への活用や、脱臭・抗菌性等を備えた高性能内装材の製品開発等の検討を行っているところであります。
また、ことし三月には、薩摩川内市に工場を持つ製紙会社が、竹材も原料とします、プラスチックの補強材料などとして需要が期待されますセルロースナノファイバーの製造プラントを建設し、来年四月から稼働する予定であると発表したところであります。
次に、竹林整備促進のための施策についてであります。
県では、手入れの行き届かない竹林を、早掘りタケノコを主体とした収益性の高い生産林等に誘導するため、竹林の改良や管理道の開設、林内作業所等の整備に対して支援しますとともに、竹林所有者等を対象とした竹林管理技術の研修などを行っております。また、幹線道路の沿線など、景観保全上の対応が求められる竹林につきましては、森林環境税を活用して伐採等を行っております。
今年度は、こうした取り組みに加え、新たに、所有者の不在村化や高齢化の進行等により放置された個人の竹林を取りまとめて、事業体へ管理を委託することにより、タケノコ生産林等として再生させる取り組みを行うこととしております。
今後とも、関係団体等と連携しながら、竹林の整備を促進してまいりたいと考えております。
[井上章三君登壇]
50 ◯井上章三君 御答弁いただきました。
大交流時代の鹿児島をさらに前進させていくためには、継続が大切だと思っております。知事は、トップリーダーとしてさまざまな国を回りながら、直接いろんな方々と信頼関係を結び、そして話を進めてこられたと思っております。さらに、国際化時代が進んでいくこの時代にありまして、このトップリーダーの継続した働きというのは不可欠であると私は思っております。そういう点で、知事には、ぜひ四期目に向かって堂々とこれを乗り越えて、さらに鹿児島を前に進めてもらいたいと期待するところであります。
地方創生という趣旨に賛同しながら、一緒に地方創生に取り組もうという、そして仕事を通じて得た利益の一定割合を、ただ会社の利益としてとどめるのでなくて、地方の新たな創生のために活用しようという、そういう仕組みを持ちながら、国や県、行政の補助金に頼る事業ではなく、民間企業も一緒になって、民間活力と、そしてさらに高い技術力を持って新しい事業を起こしていこうという動きが今、始まろうとしているところでございます。そのような地方の動きを県としても適切に御指導・支援していただきたいと思っております。
次に、再造林の推進に向けた
取り組み状況について伺います。
県内の民有林においては、人工林を中心に本格的な利用期を迎えており、人工林の伐採面積が年々増加しております。今後も、大型木材加工施設や木質バイオマス発電施設の操業、東アジアへの木材輸出等により、人工林の伐採面積は大きく増加することが予想されます。
一方で、木材価格の低迷や林業労働力の不足など、林業経営を取り巻く環境は依然として厳しく、伐採されても枝葉等がそのまま放置され、再造林が行われていない森林も多くあります。
近年は、再造林のために必要な苗木生産者の減少や高齢化により、優良苗木の生産量をいかに確保するかということも大きな課題となっております。
再造林の推進は、林業の持続的な経営のみならず、山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能発揮の面からも重要であります。木材の安定供給や森林の公益的機能の発揮のためにも再造林を推進し、健全な森林を次世代に引き継いでいくことが重要であると思います。
県では、昨年二月に策定した、未来の森林づくり推進方針において、平成三十二年度の再造林目標を九百ヘクタールとし、この目標の実現に向け、具体的な展開方策が示されたところであります。
一方、ことし二月、鹿児島県森林組合連合会と鹿児島県素材生産業協同組合連合会の両団体が連携して、共同指針としては全国で初めてとなる、責任ある素材生産業のための行動規範及び伐採・搬出・再造林ガイドラインを策定し、伐採・搬出から再造林までのルール等を細かく定めたと聞いております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、未来の森林づくり推進方針に基づく再造林の
取り組み状況についてお示しください。
第二点は、両団体が連携して定めた行動規範等の概要及びその中における再造林に向けた考え方並びに行動規範等の確実な実行に向けた県の今後の取り組みについてお示しください。
続いて、県立北薩広域公園の整備について質問いたします。
さつま町の県立北薩公園が、第二期工事としてのテーマゾーンの完成に向け、急ピッチで工事が行われております。
今までのふるさとゾーンは、山林を背景に谷川や田園があり、古民家等のあるふるさとの風景の中で親子連れで遊べる公園としてつくられてきました。
テーマゾーンは一変して、川内川を眼前に見下ろす広々とした広場がメーンで、その向こうには、地元で金吾様として慕われる島津四兄弟の三男、金吾歳久公の居城であった虎居城址が半島のようにそびえており、まさに、つわものどもの夢のあとを一望にする爽やかな広場となっております。
これからはイベント広場として期待される場所であり、その完成が待たれてきました。今まで町内で二輪・四輪オールジャンルミーティングやウエディングフェスタなどを企画して、さつま町青年の意気を示してきた地元の商工会やエンジョインさつまの青年たちは、チームさつま連絡協議会をつくり、この完成を待ちわびながら、今から企画を練っております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、テーマゾーンの整備状況について、第二点は、歴史ゾーンの今後の整備予定についてお知らせください。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
51 ◯知事(伊藤祐一郎君)県立北薩広域公園テーマゾーンの整備状況についてのお尋ねがございました。
北薩広域公園は、河川や森林などの豊かな自然景観を生かし、北薩地域のシンボル的な役割を果たす公園として、ふるさと、テーマ、歴史の三つのゾーンに分けて整備を進めており、これまで、民俗文化の体験工房やキャンプ場などから成ります、ふるさとゾーンを供用しているところであります。
テーマゾーンにつきましては、川内川に面した一帯に、家族連れがのびのびと過ごせる芝生の広場やイベントに利用できるステージ、水辺を生かした親水護岸、自然観察池などの整備を進めてきておりまして、本年十月中旬に供用を開始したいと考えております。
供用時には地元さつま町などによりますイベントも計画されておりまして、ふるさとゾーンや運動広場などをあわせ、多彩な魅力にあふれる公園として、さらに多くの方々に楽しんでいただけるものと考えているところであります。
52 ◯環境林務部長(東條広光君)まず、再造林の
取り組み状況についてであります。
未来の森林づくり推進方針は、県内の人工林が利用期を迎える中、森林の適切な更新を図る観点から、森林・林業関係者が再造林に関する課題を共有し、その解決に向けて一体となって取り組むために定めたものであります。
県では、この方針に基づき、造林コスト等の低減を図るため、伐採から植栽までの作業を一貫して行う低コスト施業の取り組みに対する支援や、森林環境税関係事業による苗木購入への助成等を行っております。
また、再造林等に必要な労働力の確保・育成を図るため、県林業担い手育成基金等と連携して、林業従事者の技術向上や新規参入者の確保に取り組みますとともに、優良苗木の安定供給体制づくりを進めるため、植栽の省力化が可能なコンテナ苗の生産施設の整備や新規苗木生産者の技術習得等に対する支援を行うこととしております。
今後とも、関係者と一体となって、再造林の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、行動規範等の概要と県の今後の取り組みについてであります。
林業関係団体が連携して定めました責任ある素材生産業のための行動規範と伐採・搬出・再造林ガイドラインは、伐採時の林地保全や再造林による森林資源の循環利用等を図ることを目的として、素材生産業者が社会に対して果たすべき役割や、伐採から再造林に至る各作業において技術的に留意すべき点について定めたものであります。
このうち、行動規範におきましては、再造林が行われなければ、木材の安定的な供給や森林の有する公益的機能の発揮に支障が生じますことから、素材生産業者は積極的に再造林に取り組み、森林資源の循環利用に貢献していく必要があるとしているところであります。
県としては、林業関係団体が連携して、再造林についてみずから行動規範等を定めましたことは大変意義深いものと考えており、造林補助事業等の各種施策を活用しながら、関係団体の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
53 ◯土木部長(久保田 一君)県立北薩広域公園歴史ゾーンの今後の整備予定についてです。
歴史ゾーンにつきましては、虎居城跡などの地域の歴史的資産と川内川に三方を囲まれた景観を生かし、広場や散策園路、歴史ゾーンとテーマゾーンとを結ぶつり橋などの整備を計画しております。
現在、埋蔵文化財の調査を進めているところであり、引き続き、他の県立公園の整備との調整も図りつつ、整備を進めてまいりたいと考えております。
[井上章三君登壇]
54 ◯井上章三君 御答弁いただきました。
今まで緑豊かだった山が、伐採によって跡が非常に汚くなっている、荒れているというところをあちこちに見受けます。これをもっときれいにならないものかなと、あるいは、昔はワイヤで運び出していた木材の搬出が、最近はユンボで上がっていくものですから、その進入路といいましょうか、管理路といいますか、その跡が非常に山をおかしくしてしまうという感じもいたします。山を守るという長い努力の中で、今の時代にそういうものが全く崩れてしまったということでは困るわけでありますので、そういうことも含めて、ぜひ今後とも、再造林、そして山を守るという努力はしっかりと見届けてまいりたいと思うところであります。
そして、北薩広域公園に対しましては、鋭意努力をしていただきまして感謝を申し上げます。
十月ごろにテーマゾーンが開園になるということは大変うれしいニュースでありますし、それをできるだけ盛り上げながら、そこがいろんな形で使われる、いい場所になるように、地元としてもそうですし、また県としてもいろいろ研究していただきたいと思うところであります。
それでは、続きまして、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みについて伺います。
地球温暖化は、その予想される影響の大きさや深刻さから考えて、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題であり、地球温暖化を防止することは人類共通の喫緊の課題となっております。
こうした中、国は昨年七月、長期エネルギー需給見通しを決定し、これを受けて、内閣に設置されている地球温暖化対策推進本部は、温室効果ガスを二〇三〇年度までに、二〇一三年度に比べて二六%削減することを目標とする、日本の約束草案を決定し、国連に提出しました。
また、昨年十二月には、パリで開催された国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21において、二〇二〇年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組みとなる、パリ協定が採択されたところであります。
国は、四月二十二日、パリ協定に署名し、また先日、日本の約束草案及びパリ協定を踏まえ、地球温暖化対策計画を策定したところであります。
県は、ことし三月、二〇一三年度の温室効果ガス排出量を発表しました。総排出量は、二酸化炭素換算で一千六百四十六万トンと、前年度に比べ〇・一%、二万一千トン減少しております。
しかしながら、基準年の平成二年度の総排出量と比べると、東日本大震災以降の火力発電の増加による化石燃料消費量の増加等により、四百六十七万三千トン増加しております。
このようなことから、県も、国の地球温暖化対策計画の策定に伴い、温室効果ガスの削減目標や取り組むべき対策など、県地球温暖化対策実行計画の見直しを進めることとしております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、温室効果ガス排出量削減に向けた、これまでの県の取り組み内容及び成果についてお示しください。
第二点は、国の新たな計画を踏まえた県の対応についてお示しください。
次に、特別支援教育の推進について伺います。
障害を理由とする差別の禁止を明記した障害者差別解消法が四月一日から施行され、国公立学校は、障害のある児童生徒が他の児童生徒と同様に、十分な教育を受けられるようにするための合理的配慮の提供が義務づけられることとなりました。
文部科学省によると、学校における合理的配慮とは、可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒とともに教育を受けられるよう必要な環境整備などの配慮を行うこととされております。
また、障害者差別解消法は、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があり、実施に伴う負担が過重ではない場合、障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じた合理的配慮を求めており、実施に当たっては、保護者や児童生徒から出される合理的配慮の要望に対して、学校としてどこまでが対応可能で、どこからが対応困難なのか、教育委員会、学校、教員が正しく認識して取り組むとともに、本人及び保護者に適切な情報提供を行うことが求められております。
そのためには、現在必要とされている合理的配慮とは何か、何を優先して提供するかなどについて、関係者の間で共通理解を図ることが重要であります。
このように、障害のある子供を取り巻く環境の変化、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化への対応を図るとともに、障害者差別解消法の円滑な運用などの諸課題に適切に対応するため、本年四月に、義務教育課内に特別支援教育室が設置されたところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、新たに設置された特別支援教育室の体制及び今後の具体的な取り組みについてお示しください。
第二点は、合理的配慮について、教職員の意識改革及び共通理解を図るための取り組みについてお示しください。
次に、県における感染症対策への取り組みについて伺います。
近年、中南米を中心にジカウイルス感染症が多数報告されております。ジカウイルスは、母体から胎児へ垂直感染することで、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があるとされております。これまで、日本国内で感染した症例はありませんが、海外の流行地へ出かける際は注意が必要です。ジカウイルス感染症は、ことし二月、感染症法の四類感染症に追加されました。
中東呼吸器症候群─MERS─については、昨年、韓国において中東地域からの帰国者の感染が確認され、医療従事者や家族等への二次感染も含め、三十八人の死亡者が発生しました。
これまでも、重症急性呼吸器症候群─SARS─や新型インフルエンザなど重大な感染症が世界で発生した際には、国を挙げての検疫体制がしかれ、もし万が一感染者が国内に発生した際の治療体制や医療器材も整備がなされてきました。
一方、一昨年、西アフリカで大流行したエボラ出血熱は、致命率が高く世界を震撼させました。国は、第一種感染症指定医療機関のない県に指定を要請していたところであります。
第一種感染症指定医療機関は、エボラ出血熱やペストなど、感染力が強く、重篤になる危険性が極めて高い一類感染症の患者を受け入れる医療機関であり、厳しい基準をクリアする必要があります。
本県では、これまで指定がなされておりませんでしたが、総事業費約一億九百万円をかけ、鹿児島大学病院に整備費用を助成し、ことし三月、第一種感染症病室一床が完成し、県は、当該病院を県内で初めて、第一種感染症指定医療機関に指定しました。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、本県における感染症対策についてお示しください。
第二点は、第一種感染症指定医療機関に指定された鹿児島大学病院の病室の概要と特徴をお示しください。
第三点は、第一種感染症指定医療機関指定後の課題及び取り組みについてお示しください。
55 ◯環境林務部長(東條広光君)温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みについての質問のうち、まず、これまでの県の取り組み内容及び成果についてであります。
県ではこれまで、地球温暖化対策推進条例や実行計画に基づき、地球環境を守るかごしま県民運動を展開しますとともに、低炭素社会の先進的な地域づくりである屋久島CO2フリーの島づくりや、二酸化炭素排出量を森林整備による吸収量で埋め合わせるかごしまエコファンドなど、温室効果ガス排出抑制のための取り組みを推進しているところであります。
また、相当程度の温室効果ガスを排出する特定事業者に対して、排出抑制計画の作成・提出と実施状況等の報告を義務づけ、その意欲を高めるための表彰制度を設けたところであります。
こうした取り組みもあり、本県の平成二十五年度における温室効果ガス排出量は、前年度に比べ、産業部門や運輸部門のエネルギー消費量の減少等により、四年ぶりに減少したところであります。
次に、国の新たな計画を踏まえた県の対応についてであります。
国においては、COP21におけるパリ協定の採択を踏まえ、先月、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく、地球温暖化対策計画を作成したところであります。
この計画では、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年度に、二〇一三年度比で二六%削減する目標を掲げているほか、
地方公共団体に対しては、実行計画の策定や地域の自然的・社会的条件に応じた施策の推進などを求めております。
県としては、国が今後、
地方公共団体向けに、新たな削減目標の作成方法や目標達成に向けた対策例などを盛り込んだ実行計画策定マニュアルを示す予定としておりますことから、そのマニュアルを活用して、国の地球温暖化対策計画等を踏まえた県実行計画の見直しを行い、本県の自然的・社会的条件に応じた地球温暖化対策の施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
56 ◯教育長(古川仲二君)特別支援教育室の体制と今後の取り組みについてでございます。
本年四月、特別支援教育体制の一層の強化を図るため、義務教育課内に特別支援教育室を新設し、室長及び室長補佐のもとに特別支援教育係を配置したところでございます。
県教委といたしましては、これまで、小・中学校等の特別支援教育の充実や特別支援学校の教育環境の整備等に取り組んできたところでありますが、特別支援教育室におきましては、これまでの取り組みの充実に加えて、高等学校における特別支援教育のさらなる推進のため、各高等学校への指導・助言による校内支援体制の整備促進や、発達障害等の生徒の就労をサポートする関係機関との連携の強化を図るとともに、障害者差別解消法に対応するため、合理的配慮協力員の配置などについて新たに取り組んでいるところでございます。
今後とも、関係部局とも連携して、これらの取り組みを計画的に進め、障害のある子供一人一人の自立と社会参加に向けた特別支援教育の一層の充実に努めてまいります。
次に、合理的配慮の共通理解のための取り組みについてでございます。
各学校における合理的配慮の提供については、教職員一人一人の共通理解や、組織としての対応が極めて重要なことから、理解啓発のための取り組みを順次進めてまいりました。
具体的には、本年二月に、学校向け啓発資料を作成・配布し、合理的配慮の概念や観点、提供までの手順等について基礎的理解を図ったところでございます。また、四月当初には、各市町村教育長や公立高等学校長に対して改めて説明するとともに、現在、各市町村教委と県立高校を訪問して、合理的配慮の具体例等に関するより詳細な周知を図っているところでございます。さらに、本年度から、教育事務所に合理的配慮協力員四名を配置し、合理的配慮に関する相談に対応をいたしているところです。
県教委といたしましては、市町村教委及び各学校が児童生徒本人や保護者と配慮の内容等について適切に合意形成できるよう、継続して指導・支援してまいります。
57
◯保健福祉部長(古薗宏明君)県の感染症対策についてであります。
県では、感染症の入院患者に対する適切な医療の提供を図り、感染症の蔓延を防止いたしますため、感染症指定医療機関に対する運営費助成のほか、例えば、新型インフルエンザ対策として、人工呼吸器、院内感染症防止機器や感染防護具等の整備に対する助成、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄や、MERS対策として、簡易陰圧装置の整備助成などを行っております。また、感染症患者発生時に関係機関が連携して迅速かつ的確な対応ができるよう、対応訓練も随時実施しております。
このほか、県民の方々に対しまして、市町村や医療機関と連携しながら、感染症に関する正しい知識や予防接種の意義、効果について啓発も行っております。
第一種感染症指定医療機関の病室の概要と特徴についてであります。
本年三月三十一日に、第一種感染症指定医療機関に指定いたしました鹿児島大学病院の病室は、一類感染症の患者等の入院治療を行いますため、トイレやシャワー室を備えた感染症病床一床に加えまして、汚物処理室、機械室、医療従事者が防護服を着脱する前室、独立した排水処理施設等を有する施設となっております。
病室は、接触感染、飛沫感染に加え、空気感染にも対応できるよう、室内の空気が外部に漏出しない構造となっており、また、テレビ電話を設置するなど、患者の生活の質にも配慮されたものとなっております。
第一種感染症指定医療機関指定後の課題及び取り組みについてであります。
感染症対策につきましては、感染症の類型に応じた適切な医療を提供する能力を備えた医療機関におきまして、感染症の発生後、速やかに患者を治療し、当該感染症の蔓延を防止することが重要であり、患者発生情報の入手から患者の搬送、受け入れ等も含めた関係機関による相互の円滑な連携が課題であると考えております。
このため、県ではこれまで、感染症発生時に迅速かつ的確な対応を行いますため、新型インフルエンザ等対策訓練やエボラ出血熱対応訓練などを実施してまいりました。今年度は、第一種感染症指定医療機関である鹿児島大学病院等と連携し、患者搬送や受け入れ訓練等を実施することとしております。
県といたしましては、今後とも、感染症指定医療機関や検疫所等と連携しながら、エボラ出血熱を初めとする感染症が発生した場合にも迅速かつ的確な対応ができるよう、引き続き、感染症の予防及び蔓延防止体制の整備・充実に努めてまいります。
[井上章三君登壇]
58 ◯井上章三君 温室効果ガスの排出削減の問題は、これは、地球の異常気象とか、昨今の私たちの周りにも押し寄せてくるいろいろな大きな深刻な課題を惹起しているということはよく知られてきているところであります。それだけに、鹿児島県としても、この対策の実行に対してはぜひこれからも力を入れていただきたいと期待しております。
また、特別支援教室の設置に関連して、合理的配慮の問題等をお聞きいたしました。障害者差別解消法に基づくこのような取り組みというのが順調に、そして、弱い立場の方々を守っていけるような鹿児島県にしていっていただきたいとお願いを申し上げたいと思っております。
感染症対策の取り組みに対しましては、いよいよ鹿児島大学病院の中に一つの部屋が設けられたということでございます。なかなか簡単なことではないと思いますけれども、どうかそのような取り組みがさらにいい形で広がってまいりますように期待するところでございます。
さて、今回の議会、一般質問の最後のバッターとして今回、立たせていただきました。この時間まで待つのは大変だったと、本当になかなか大変だなと思いましたし、また、みずからの不徳のいたすところで、いろんなことに追われてなかなか準備がおくれて御迷惑もおかけしましたが、とにもかくにも無事に終われたことを感謝したいと思っております。
この一般質問が終わり、そして委員会と最後の二十日の閉会日を迎えると、もうすぐ参議院選が始まり、知事選が告示されるということになります。
日本もそうですけれども、大久保議員からも言われました、二十年間デフレで苦しんできた、失われた二十年間と言われながら苦しんできた日本を立ち直らせるために、今ようやく、安倍総理は世界を回りながら、そしていろいろな課題に対して積極的に取り組んで信頼をかち得ながら、いろいろな問題を解決できる日本になろうとしております。
また、伊藤知事は、十二年前の非常に厳しい状況の中から、きのうのいわしげ議員の表現で言うと崖っぷちという言葉が出ましたけれども、言うならば崖っぷちというのはそのときのことを言えることであり、そこから一生懸命に努力しながらここまで前に進んでこられたと、そしていろいろな展望が開けるようになってきたというのは、ひとえに伊藤知事の御尽力、リーダーシップというのが大きかったと私は思っております。
リーダーが次々とかわればいいというものではありませんので、継続しながら、もっとこの大切な時期を前に進めると、そして成果を出すと、そして本当によかったと言われるような国をつくる、鹿児島県をつくるというふうに、今回の選挙をぜひ乗り越えていきたいものだと思うところであります。
皆さんとともに、あすの鹿児島県、あすの日本に希望を感じられるように頑張っていこうではありませんか。
以上で終わらせていただきます。(拍手)
59 ◯議長(池畑憲一君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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60 △ 議案第六八号上程、質疑
◯議長(池畑憲一君)次に、議案第六八号を議題といたします。
これより、質疑に入ります。
まつざき真琴君から質疑の通告がありますので、発言を許可いたします。
[まつざき真琴君登壇]
61 ◯まつざき真琴君 私は、日本共産党県議団として、追加提案されました議案第六八号平成二十八年度鹿児島県一般会計補正予算について、質疑を行います。
今回の補正予算は、平成二十八年熊本地震により影響を受けた旅行需要を早期に回復するため、九州各県等と連携した観光プロモーション及び割引旅行商品の造成支援に要する経費として、十七億五千万円が計上されているものです。
今回の熊本地震は、本県の観光関連産業にも多大な影響を与えたと考えられます。例えば、本県の観光を牽引してきた九州新幹線の運休が続いたことから、鹿児島中央駅とその周辺の人通りは激減しました。当然ながら、土産物店、タクシー、ホテルや旅館、飲食店、そこに食材、飲料を納める業者など、影響ははかり知れないと思われます。
そこで、質問の第一は、今回の熊本地震によって、観光関連のどのような業種にどれほど影響が及んでいると考えられるのか。今回の補正予算によって、関連業者も含めて、どのような効果が期待できるのか、お示しください。
今回の補正予算による事業費は、七月から九月は旅行代金の上限五〇%、十月から十二月は同じく四〇%が割引されることになり、その分が旅行会社に助成されることになります。直接的に旅行者に助成されるのではなく、旅行商品を通して旅行者に助成が及ぶことになり、この予算が効果を上げるには、旅行商品を通して旅行予定者に割安感を実感してもらい、鹿児島を訪れてもらわなければなりません。その結果、裾野が広いと言われる観光業の隅々までその効果が行き渡ることが求められます。
しかしながら、もともと旅行商品には定価があるわけではなく、観光ルートや宿泊先、食事内容で価格は違います。また、季節や曜日などでも違ってきます。
質問の第二は、そういう中で、この事業費が間違いなく旅行者の増加につながり、効果が広がるための仕組みはどこが責任を持って行うのか、設定された価格が適正であるのか、どのように確認や検証がなされるのか、お尋ねいたします。
最後にもう一点、県が先行して行った鹿児島お得旅とダブっている期間についてはどのように扱われるのか、お示しください。
以上、質疑といたします。
62 ◯観光交流局長(本 重人君)御質問をいただきました。
まず、熊本地震による影響と予算の効果についてであります。
熊本地震は、九州全体の観光に大きな影響を与え、本県におきましても、修学旅行の方面変更や延期が多数発生しましたほか、韓国や中国からの団体ツアー等の取り消しも生じ、全体で十万人を超える宿泊キャンセルが発生したところであります。
また、団体旅行や修学旅行の減少により、貸し切りバス業者や飲食店、土産物屋、有料観光施設など、観光に関連する幅広い業種に影響が及んでおります。
今回の補正予算は、国の予備費による九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度を活用して、熊本地震により影響を受けた旅行需要を早期に回復するため、九州各県等と連携した観光プロモーション及び割引旅行商品の造成支援を行うものであります。
この事業により創出する旅行者数を二十一万人と見込んでおり、宿泊や貸し切りバス、食事等を組み込んだ旅行商品も販売されますことから、県観光の復興に十分な効果があるものと考えております。
次は、予算の適正な執行についてでございます。
九州観光復興対策事業の実施主体は県でありまして、国内外の旅行会社と連携して、割引旅行商品の造成・販売を行います。
旅行商品の造成・販売に当たりましては、六月から緊急対策として実施しております鹿児島お得旅事業と同様に、補助金額や補助を受けた後の販売価格をパンフレット等に明示するとともに、本事業を活用した割引旅行商品であることを表示することになっております。
また、事業終了後には、宿泊証明書や日帰り旅行の際に立ち寄った食事代の領収書など、旅行が実行されたことがわかる証拠書類を旅行会社から県に提出することになっております。このような手法をとることにより、事業が適正に執行されるよう担保しているところであります。
三番目に、県の同様な事業との関連についてであります。
緊急対策として六月から実施しております鹿児島お得旅事業につきましては、七月末の出発分までを対象としておりまして、即効性のある取り組みとして、主に県内からの誘客をターゲットにしておりますが、早いところでは既に売り切れの商品も出ております。
一方で、国の復興予算によります割引旅行商品は、夏場以降の対策を主眼としておりまして、全国の主要都市や海外を主なターゲットとしておりますことから、対象期間が余り重ならず、また目標とする市場が異なりますことから、それぞれの旅行商品の販売に影響はないものと考えております。
63 ◯議長(池畑憲一君)以上で、質疑は終結いたします。
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64 △ 議案第五八号─議案第六八号(議案第六五号─
議案第六七号を除く)及び報告第二号委員会
付託
◯議長(池畑憲一君)次に、議案の委員会付託であります。
今回提出されました議案第六五号から議案第六七号を除く、議案第五八号から議案第六八号まで及び報告第二号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。
議案第六五号から議案第六七号は、会議規則第三十九条第三項の規定によって、委員会付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
65 ◯議長(池畑憲一君)御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
これで、本日の日程は終了いたしました。
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66 △ 日程報告
◯議長(池畑憲一君)六月二十日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。
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67 △ 散 会
◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。
午後三時二十一分散会
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