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2015-06-17 平成27年第2回定例会(第5日目) 本文
2015-06-17 平成27年第2回定例会(第5日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2015-06-17
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    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、特別委員会の委員長及び副委員長の互選結果報告  一、一般質問    林   健 二 君    堀 口 文 治 君    上 山 貞 茂 君    大 園 清 信 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 特別委員会の委員長及び副委員長の互選結果      報告 ◯議長(池畑憲一君)報告いたします。
     昨日設置されました特別委員会の委員長及び副委員長につきましては、互選により、地方創生総合戦略等特別委員会の委員長に日高滋君、副委員長に成尾信春君、海外経済交流促進等特別委員会の委員長に大園清信君、副委員長に前野義春君を決定した旨の報告がありました。  以上で、報告を終わります。       ───────────── 3    △ 一般質問 ◯議長(池畑憲一君)次に、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  林健二君に発言を許可いたします。    [林 健二君登壇](拍手) 4 ◯林 健二君 おはようございます。  平成二十七年第二回定例会に臨み、通告に従いまして一般質問を行います。  質問に入る前に、先月二十九日、口永良部島の新岳で爆発的噴火が発生し、全島民が島外へ避難するという事態が発生いたしました。避難生活を余儀なくされておられます島民の皆様方に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い全島民の帰島が実現しますことをお祈り申し上げる次第でございます。  引き続き、厳重な警戒と情報提供並びに避難生活を送られておられます島民の方々への支援に全力で対応していただきたいと考えております。  また、先月十二日には、台風六号が奄美群島に最接近いたしまして、伊仙町の検福、面縄の両集落で発生したとみられる竜巻によって、六名が重軽傷、十二棟の家屋等にも甚大な被害が発生いたしました。被災されました住民の皆様方に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を願うところでございますが、このこともあわせて、被災者への対応を引き続きお願い申し上げる次第でございます。  さて、今回の一般質問が県議会改選後初の登壇となるわけでございますが、このたびの統一地方選挙鹿児島県議会議員選挙におきまして初当選させていただきました。このことに対しまして、県民の皆様方、奄美群島の皆様方に心から御礼申し上げる次第でございます。  また、当選後に自民党の追加公認をいただきまして、さらには、今回こうして早速登壇する機会を与えていただきました諸先輩方に感謝申し上げますとともに、県議会第一会派の一員として、県民の皆様方の負託にお応えできますよう、県勢発展、福祉の向上、民生の安定のために努力してまいりたいと考えております。  投票率に関しましては、大島郡区は、県内二十一選挙区の中では最高となる六七・五八%だったものの、前回選挙が行われました十二年前と比較しますと、七ポイント低下しており、このことも重く受けとめなければならないと考えております。  ネット選挙運動が解禁され、今後、選挙権年齢が十八歳以上へと拡大される流れの中で、選挙の形が変わりつつありますが、若者の政治離れがこれ以上進まないためにも、従来の形にIT、SNS等を含めたさまざまな媒体でしっかりと議会活動等を発信し、若者世代の一人として、投票率向上に向けた取り組みに自分なりに努力してまいりたいと考えております。  さて、今回の統一地方選挙におきまして最大のテーマの一つとなったのが、地方創生だったのではないかと思っております。アベノミクスの効果に対しましてはさまざまな意見があるわけでございますが、長きにわたる経済の低迷から復調の兆しが感じられることも事実であり、各分野ごとの数字等も回復してきていると言えるわけでございます。あとは、これを国民一人一人が肌で実感することができるように、さらに力強く推し進めていく必要があると考えるわけでございます。そこで重要となってくるのが、自治体を核としたローカルアベノミクスであり、地元企業の雇用吸収力を高めていく後押しの必要性が求められると思っております。  私が地元の瀬戸内町議会議員に初当選させていただいた平成十六年は、伊藤県政のスタートした年でありました。知事の財政非常事態宣言を受け、市町村でも集中改革プランを作成し、県の方針に沿って、それぞれが財政健全化に向け懸命に努力してきたわけでございます。そして今年度、県の当初予算は、これまでの財政健全化策の成果をあらわすような積極的な予算編成となっており、地方創生の流れの中で成長戦略が軌道に乗ることを期待するところでございます。  これまでの地方議会での私の議会活動は、まさに伊藤県政とともに難局を乗り越える努力の連続であったわけでございますが、この任期四年間が本県のさらなる飛躍を遂げるための重要な時期であると考えておりますので、基礎的財政収支の健全化にさらなる挑戦をしながら、大胆な県勢発展の施策を展開していかなければならないと考えております。  そういった中で、明治日本の産業革命遺産世界文化遺産登録へと大きな前進が見られ、その期待が膨らむ中、国民文化祭の開催を初め、今後、奄美群島の世界自然遺産登録や明治維新百五十周年関係、鹿児島国体の開催等に向けた各種取り組み、そして鹿児島県版のまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定など、この任期四年間の重要性を改めて感じながら、歴史的な使命感を持って当たらなければならないと考えております。  今回の一般質問は、選挙戦を通して有権者の皆様方に、島の皆様方に訴えてきたことを基本に、大局的な政策に関する質問を行いたいと考えております。忌憚のない答弁をお願いしたいと思っております。  まず、奄美群島の振興についてでありますが、一昨年、奄美群島が日本復帰六十周年を迎え、式典、各種行事等が行われ、意義深い節目の年でありました。昨年は、改正奄振法の施行に伴い、奄美群島振興交付金制度、本当に自由度の高い交付金制度の創設は群島民の悲願でもあったわけでございますが、航路・航空運賃の軽減事業や農林水産物輸送コスト支援事業交流需要喚起対策特別事業などは、奄美の自立的な発展の後押しになるのではないかと群島民の大きな期待を受け、スタートいたしました。  先ほども述べさせていただきましたが、今回の統一地方選挙におきまして最大のテーマの一つであった地方創生について、奄美群島の振興とそして奄美の地方創生について、知事のお考えをお聞かせください。  県は、鹿児島県版のまち・ひと・しごと創生総合戦略を今年度中にまとめ上げるということでありましたが、奄美群島の市町村におきましても、地方創生推進室を設置いたしまして、総合戦略の策定に取りかかっているところであります。  奄美群島各市町村は、奄振法の延長に合わせて、奄美群島広域事務組合が音頭を取って、成長戦略ビジョンを作成いたしました。島別に、市町村別に、みずからの手で成長戦略ビジョンを作成したわけでありますが、これから市町村が新たに策定するまち・ひと・しごと総合戦略に、この成長戦略ビジョンの考え方が反映されるものなのか、成長戦略ビジョンと総合戦略の違いも含めて、県の見解をお聞かせください。  それから、特定離島の振興ビジョンについてでありますが、県では、本県離島の中でも特に自然条件等が厳しい離島、いわゆる特定離島を対象として特定離島ふるさとおこし推進事業を実施されております。特定離島は、台風常襲地帯であったり、離島の中の離島という表現をされたりする、最も条件不利離島と言えるわけでありますが、これまでの特定離島ふるさとおこし推進事業によって、文字どおりきめ細かな事業が施されてきたと認識しております。そして、一定の成果を上げてきていることに対しましても感謝する声が聞こえてきております。  この特定離島ふるさとおこし推進事業の今後の方向性について、県のお考えをお聞かせください。  次に、琉球・奄美群島の世界自然遺産登録についてでありますが、当初の予定から少し登録の時期がずれ込む見込みであるということでございました。地元としましては、世界自然遺産登録に関する説明会を開催したり、また保護担保措置、こういったものの重要性を周知させる努力を行いながら、受け入れの準備を進めているところでございます。そして、この時期がずれ込んだことを、さらに受け入れ準備期間をいただいたと前向きに受けとめる方が大勢を占めているところでございます。  前段となる国立公園化と、その後の世界自然遺産登録までのスケジュールについて、改めて県当局の見解をお伺いいたします。  次に、外国人観光客の増加に伴うインバウンド対策についてでありますが、LCCの成田─奄美間の就航に伴い、奄美に訪れる個人観光客数は明らかに増加しているところであります。その波及効果は奄美大島本島にとどまらず、加計呂麻島、請島、与路島を含む奄美八島全ての離島へと少しずつ新たな人の流れが生まれつつあるようでございます。これも、交流需要喚起対策特別事業の事業効果であるといえるわけでありますが、事業費から見た効果を考えたときに、この事業の継続の必要性を早くも訴えなければならないと考えております。  また、関西方面から新たなLCC就航の可能性への期待もあり、世界自然遺産登録も進む中で、外国人の観光客の増加も当然ふえると考えられるわけでありますが、多言語化はもとより、外国人観光客に対するインバウンド対策、しっかりとした受け入れ体制を整えていかなければならないと考えております。  奄美観光は、近年、目まぐるしいスピードでその魅力が注目され、発展してまいりました。奄美らしさ、これを守りつつ、その受け入れ体制には新たな取り組みと準備が必要ではないかと考えております。外国人観光客に対するインバウンド対策について、県当局としての見解をお伺いいたします。  次に、離島におけるブロードバンド環境についてでありますが、現代社会において、IT通信網はライフラインと同等の社会基盤と言っても過言ではありませんが、年々増大する経済活動、教育や医療、さまざまな分野において、既設のISDNやADSL回線では、その回線速度やデータ通信量において利用者のニーズに応え切れていない状況となっております。  奄美群島は、奄美群島振興開発計画成長戦略ビジョンの中でも、情報通信格差の解消とICTを活用した経済活性化の推進は重要課題として位置づけられておりますが、一部の地域を除いては、通信事業者の採算面などの問題等から、いまだに未整備地区が残されて現在に至っております。  過疎に歯どめをかけるためにも、IターンやUターンなどの定住促進対策を進めたい離島・過疎地域において、企業誘致などの面からもこのことが大きな阻害要因となっているのが現状であります。  超高速ブロードバンド環境の整備は、本来最も必要とされるべき過疎地域が、採算面などの理由から、未整備のままで情報通信格差が解消されていないという現状を踏まえて、奄美群島における光回線未整備地区の対策について、県当局のお考えをお聞かせください。  また、光整備後もなかなか本土並みの通信速度が上がってこない地域もあるようでございますが、その要因として考えられるボトルネックの解消につきまして、どのような見解をお持ちなのか、お聞かせください。  次に、IT分野における人材育成についてでありますが、奄美群島振興開発計画の情報通信に関する施策の方向性の中で、ICTの専門知識・技術を有する人材の育成や住民の学習機会拡充など、情報活用能力の向上を図ると記されておりますが、地方へ行けば行くほど、ICTの専門知識・技術を有する人材が不足しており、なかなかこの分野において住民を引っ張っていく人材が不足がちであります。  第一次産業から第三次産業、これを一体とした六次産業化を図る上で、全ての分野においてITは必須であるわけであります。このITの分野における人材育成について、県当局の見解をお伺いいたします。  次に、小規模校におけるICTの活用状況と今後の課題についてでありますが、少子化に伴い、学校の統廃合が進む中で、学校統合は地域の衰退を招くという住民の思いと、教育機会均等という観点から学校統合を願う児童生徒や保護者の意見との間に温度差があり、非常に難しい問題でありますが、今この瞬間も、特別な環境で学校生活を送っている児童生徒はたくさんいるわけであります。  私自身も加計呂麻島の俵小学校で、六年間同級生が二人しかいないという環境で学校生活を送りました。俵中学校では学年六名という、義務教育の九年間で男子生徒が僕一人しかいなかったという、ある意味特別な、極小規模校での義務教育の生活を送らせていただきました。恐らくこの議場にもそのような経験をした方はなかなかおられないと思いますが、こういった小規模校あるいは、極小規模校などにおいて、ウェブ・テレビ会議システムなどを活用するなどといったことは考えられないのか、ICTの活用状況をお示しください。  また、タブレット等を学校の授業で活用している事例もあると思いますが、その成果と今後の課題について県当局の見解を求めます。  以上で、一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 5 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄美群島の振興と地方創生の関連についてのお尋ねであります。  奄美群島の振興は、奄美群島振興開発特別措置法を受けて策定いたしました奄美群島振興開発計画に基づきまして、地域主体の取り組みを推進いたしますとともに、定住促進、交流拡大、条件不利性の改善、生活基盤の確保などの各種施策を推進しているところであり、既にこれまでに二兆円を超える事業を実施しているところであります。  一方、地方創生は、少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある社会を維持するため、地域の将来を見据えた実効性を伴う施策の展開に取り組むものでありまして、両者は、地域の振興を図り、経済を活性化して雇用の場を創設し、人々の生活の安定を図るという点で、大宗において重複する側面が大きいと考えております。  県といたしましては、地元の市町村と一体となり、平成二十六年度に、地域が主体的に施策を実行する仕組みとして新たに創設されました奄美群島振興交付金による取り組みをさらに進めますとともに、地方創生に関連する施策との連携も図りながら、引き続き、奄美群島の自立的発展や定住の促進等に向けた取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。 6 ◯総務部長(寺田雅一君)奄美群島各市町村における総合戦略と奄美群島成長戦略ビジョンについてでございます。  奄美群島成長戦略ビジョンは、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けまして、群島十二市町村が共同で策定したものであり、雇用の創出に重点を置いて、農業、観光・交流、情報等の分野について、群島一体となって広域的に取り組むべき方策等を取りまとめたものでございます。  また、地方創生に係る総合戦略につきましては、人口減少に歯どめをかけ、活力ある社会を維持することを目的とするものでありまして、その策定に当たりましては、雇用の創出に加えまして、若い世代の結婚・出産・子育ての希望の実現等に向けた取り組みを幅広く盛り込むこととされております。  このため、奄美群島の市町村におきましては、奄美群島成長戦略ビジョンに示されている方策等を踏まえつつ、少子化対策などの視点も加えて、今後新たに策定する総合戦略について検討が進められるものと考えております。 7 ◯企画部長(岩切剛志君)特定離島ふるさとおこし推進事業の今後の方向性についてであります。  三島村、十島村、加計呂麻島等の特定離島は、特に地理的、社会的に厳しい条件下にあり、そこに住む方々が希望を持って、安心して暮らし続けられるような地域づくりをすることは重要な課題であると考えております。当該事業は、これら特定離島におきまして、住民生活に密着したきめ細かな事業を実施し、それぞれの島の活性化を図るものであります。  これまで、地域の要望を踏まえて対象事業の拡大など内容の充実を図りつつ、物産館など観光交流施設の整備やモニターツアーを通じた観光の振興、定住促進のための住宅整備などを実施してきており、さまざまな面で相応の成果を上げてきております。  県としては、今後とも、各島の特性に応じた個性豊かな地域づくりが図られるよう、同事業を活用して特定離島地域の振興に努めてまいりたいと考えております。  光未整備地区の対策についてであります。  奄美群島は、多くの地域が不採算地域であるとして民間事業者による光整備が進まないことから、これまで、市町村が国の補助金を活用しながらその整備を進めてきたところであります。  県としては、光サービスは、いわゆるナショナルミニマムとして、地域住民がひとしくその利便性を享受できるようにしていくことが重要であると考えております。  一方、昨年十二月の国の情報通信審議会において、固定電話の維持等に特化した現行のユニバーサルサービス制度のあり方について、見直しの検討を行うことが適当であるなどの答申が出されているところであります。  県としては、これまでの光サービス等の整備を促進するために必要な支援策に加えて、ユニバーサルサービス制度を時代に合わせて見直し、光ファイバーなどの整備も対象に含めることを、今年度新たに県開発促進協議会等を通じ、国に対して要請することとしております。  通信速度のボトルネックの解消についてであります。  インターネットの通信速度が遅くなる要因としましては、利用者のパソコン環境、ネットワークの混雑状況、接続先のサーバーの性能、利用者と通信先との物理的な距離などが考えられますが、国内では、データの集積地である東京から遠距離となる地域ほどおくれが生じ、これについては現行の技術では改善は困難であるとされております。  光ファイバー整備後は、通信速度が一定程度向上し、ADSLのように交換局からの距離による通信速度の差は生じなくなり、一般的な利用においては、さほど不自由を感じさせない環境になっておりますものの、大容量のデータ通信などの業務レベルでは十分でないとの指摘もありますことから、県としては、通信事業者には、通信速度のおくれについての十分な説明と利用者への丁寧な対応が求められると考えており、引き続き関係事業者等に要請してまいりたいと考えております。  IT分野の人材の育成についてであります。  県では、人口減少、高齢化、雇用機会の減少等のさまざまな課題を抱える地域において、地域活性化を図るためにも、IT分野での人材育成は重要な課題であると認識しております。このため、県では、市町村と組織する県電子自治体運営委員会において、九州総合通信局等と協力し、自治体職員を対象とする勉強会や事例研究講座の実施などにより、ICT利活用の能力向上を図っているところであります。また、県内の情報通信関連企業や団体などにおいても、自治体や一般企業、県民等を対象に、技術の普及を目的としたセミナー等が開催されているところであります。  県としては、こうした取り組みを通じて、県内のIT分野における人材育成に努めてまいりたいと考えております。 8 ◯環境林務部長(川野敏彦君)奄美群島の国立公園化世界自然遺産登録までのスケジュールについてでございます。  奄美群島の世界自然遺産登録に向けては、保護担保措置としての国立公園の指定や希少野生動植物の保護等の世界遺産としての価値の維持が必要とされております。  国立公園の指定については、昨年の九月に開催された奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会において、環境省から、指定作業に時間を要するとの見込みが示され、現在も関係者との調整等が進められているところです。  また、平成二十九年夏の世界自然遺産の登録を実現するためには、平成二十八年二月一日までにユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出し、世界遺産委員会による所要の審査等を受ける必要があります。  県としては、世界自然遺産登録を実現するため、引き続き国や市町村等と連携して、必要な取り組みを着実に進めてまいります。 9 ◯観光交流局長(長野信弘君)奄美群島への外国人観光客の増加に伴うインバウンド対策についてでございます。  世界自然遺産登録により、奄美を訪れる外国人観光客は増加すると想定されますことから、県では、昨年度奄美市において、免税店制度やWi─Fi環境の整備促進等についての研修会を開催するとともに、外国語ガイド育成に係る研修を実施いたしました。また、奄美の代表的景勝地等を紹介した多言語のDVDや観光マップの作成等に取り組んでおりますほか、奄美市では、大浜海浜公園など観光地等へのWi─Fi環境の整備を進めております。  さらに、外国クルーズ船の寄港やバニラ・エアの就航などにより増加が見込まれる外国人観光客の受け入れを支援するボランティア団体が、昨年七月設立されたところであります。  県といたしましては、今後とも地元と連携して、世界自然遺産登録を見据えた外国人観光客受け入れ体制の充実に努めてまいります。 10 ◯教育長(古川仲二君)小規模校などにおけるICTの活用状況と今後の課題についてでございます。  小規模校においては、子供同士の多様な意見の交流やコミュニケーションの機会の充実のために、ICT機器を活用した授業改善が有効であると考えております。  本県では、例えば与論町において、電子黒板やタブレットを活用した授業実践に取り組んだ結果、学習意欲や学力の向上が図られるなどの成果が得られたところでございます。  県教委では、昨年度から、ICTを活用した教員の指導法改善に取り組みますとともに、本年度から、徳之島町の小学校三校を研究協力校に指定し、複式学級において、日常的にテレビ会議システムやタブレットなどを活用した合同授業等を行い、多様な意見に触れる機会を確保することを通じ、教育の質の維持向上に取り組むことといたしております。  今後とも、市町村教育委員会との連携を図り、小規模校でのICTを活用した授業改善を一層進めますとともに、情報化に関するフォーラム等を通じて、県下の小規模校への普及に努めてまいりたいと考えております。    [林 健二君登壇] 11 ◯林 健二君 それぞれ答弁いただきました。まず、奄美群島の振興と地方創生についてでありますが、県が策定する創生総合戦略をもとに、市町村と連携を図り、奄美群島の成長戦略ビジョンともマッチングさせながら、各種の事業を推進していただきたいと考えております。  地方の人口減少に歯どめをかけて、首都圏への人口集中を是正し、地方の自律的な活性化を促すということがこの地方創生の定義とも言えるかもしれませんが、奄美大島本島の五市町村では、朝山毅奄美市長の呼びかけで、連携して奄美大島総合戦略推進本部を設立し、大島本島の将来人口ビジョンと総合戦略策定に向け、スタートしたところでございます。  行政の枠組みを超えて、複数の自治体が連携・共同で戦略策定に当たるのは珍しい事例であると考えておりますが、今後策定する奄美大島総合戦略は、この成長戦略ビジョンに掲載されている施策に加え、さらに同ビジョンにはない、若い世代の結婚や出産、子育てなどの少子化対策も重点的に盛り込んでいく方針ということでございました。  このような全国的にも特異なケースに関しましては、国家戦略特区における地方創生特区として指定していただくことによって、地域の新規産業・雇用創出につながるのではないかと考えているわけでございますが、このことも研究していただきたいと要望を申し上げるところでございます。  特定離島の振興に関しましては、特定離島ふるさとおこし推進事業が振興施策の命綱と言っても過言ではないと思っております。特定離島地域とそれ以外の地域が同一の行政区域内にある場合、その予算配分にも気を配らなければならないと考えております。特定離島ふるさとおこし推進事業がただの財源の一つとならないように、バランス等も含めた指導を行っていただきたいと考えております。  そして、ぜひこれまで同様の予算規模を維持していただきながら、今後もきめ細やかな事業の推進に特段の配慮をお願いしたいと考えております。  琉球・奄美群島の世界自然遺産登録に関しましては、スケジュール等も含めて、今後も地元の市町村と連携して進めていただきたいと思っております。  奄美群島が世界自然遺産登録を機に、地勢的な特性や文化などの潜在能力にさらに磨きをかけて、世界に向けて発信することで、飛躍する無限の可能性を秘めておりますので、このことも、オール奄美という視点で奄美全体が共有できる取り組みを進めなければならないと思っております。  屋久島の世界自然遺産は、縄文杉という絶対的で象徴的な、ビジターを満足させる対象物があるのに対して、奄美の場合は、生物多様性という部分での保護すべき自然環境ということでありますので、アマミノクロウサギがその象徴的な対象になるのかなと思っております。したがって、奄美に来島して、必ずアマミノクロウサギに遭遇できるわけではありませんので、整備されるであろう国や県管理の世界自然遺産センターのような施設で、その姿を見ることが可能なのかどうかも今後の課題になるのではないかなと考えております。  屋久島とも連携しながら、本県離島の魅力を発信し、県全体の観光振興にも結びつけていかなければならないと考えております。  インバウンド対策につきましては、ICTの人材育成とリンクしてくると思っております。フリースポット、Wi─Fiを活用したそういった取り組みが必要であると考えておりますので、このことにつきましても地元と連携をとりながら指導していただきたいと、このように思っております。  離島におけるブロードバンド環境の改善についてでありますが、この分野の雇用吸収力という点に関しましては期待できると思っておりますので、情報通信基盤の整備をしながら、情報格差の解消とこの分野の人材育成を図りながら、地方発のイノベーションの創出につなげていかなければならないと思っております。  小規模校におけるICTの活用に関しましても、離島において世界一の教育環境の整備を進めなければならない。そのためにもこのICTは必須であると考えますので、今後もこのことに積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  先ほど教育長から御答弁ございましたが、文科省の事業で、人口減少地域におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証実験ということで、先ほど御紹介いただきました徳之島の三校でのウェブ・テレビ会議システムを活用した授業の実証実験が三年間行われるということでございました。  母間校が全校生徒三十五人、花徳校が三十二名、山校が二十一名ということでございますが、小規模校、これよりもさらに小さい学校という極小規模校が奄美群島には数多くございます。ぜひこの三年間の実証実験を検証しながら、県独自でもこういった取り組みが可能でないか研究を進めていっていただきたいと、このように思っております。  次に、奄美群島の農林水産物の振興についてであります。群島の発展・振興を図る上で最も重点を置くべき施策とされているところでございますが、農林水産物輸送コスト支援事業がスタートいたしまして、条件不利性の解消に大きな期待を寄せるものであります。農林水産物輸送コスト支援事業の成果と今後の課題についてお示しください。  次に、六次産業化の推進につきましては、先日も産業経済委員会の行政視察で龍郷町のみなみくんの卵などの事業所を視察してまいりましたが、奄美群島でも少しずつ六次産業化に向けた取り組みが活発化してまいりました。
     先日の代表質問の中でも同様の質問がございましたので、特に奄美群島における六次産業化の取り組み状況についてお示しください。  次に、畜産クラスターの構築についてでありますが、奄美群島は県内でも有数の肉用子牛生産地であります。安定的な粗飼料の確保を図るため、サトウキビ等、地域の飼料資源の有効活用を図りながら、生産頭数の拡大に向け努力しているところでありますが、国はこのたび、生産基盤の立て直しのために、地域ぐるみで畜産の収益拡大を目指す高収益型畜産体制、いわゆる畜産クラスターづくりを進めていると認識しております。  そこでお尋ねいたします。  畜産クラスター構築のために、国はどのような事業を措置しているのか、お示しください。  また、本県における取り組み状況についてお示しください。  次に、沖永良部島の農作物の防風対策についてでありますが、台風常襲地帯という厳しい気象条件であるということは言うまでもありませんが、同島が持つ地形的な特徴もあり、防風対策に苦慮しているという話を農家からお伺いすることができました。農作物を風から守るために防風対策の現状はどうなっているのか。また、今後の農作物の防風対策についてどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねします。  次に、浜の活力再生プランについてでありますが、水産業を取り巻く環境は、燃油や資材の高騰、漁獲量の減少や魚価の低迷、担い手の減少など、長年厳しい状況が続いております。このことは、漁村の荒廃につながり、漁業の衰退につながるおそれがあるわけでございますが、将来自分たちのあるべき姿、取り組むべき課題を浜みずからが考え、作成することによって、浜の活力を再生するための取り組みであると理解いたしますが、本県の浜プランの取り組み状況についてお示しください。  次に、国土強靱化と長寿命化についてでございますが、どのような災害が発生しても、被害を最小限に抑え、迅速に復旧・復興できる強さとしなやかさを備えた国土、地域、経済社会の構築を目指すという理念で、この国土強靱化は安倍政権の重要施策の一つでありますが、全国のあらゆるインフラの安全性の向上と効率的な維持管理の実現を図るために、長寿命化対策の重要性も高まっているところでございます。  そこでお伺いいたしますが、台風常襲地帯である奄美群島では台風のたびに電柱が倒壊しております。無電柱化の概要と現状、課題について、県当局の見解をお示しください。  また、東日本大震災後、自然災害に強い漁港整備の必要性が求められているわけですが、本県の取り組み状況と漁港施設の長寿命化対策の事例についてお示しください。  以上で、二回目の質問を終わります。 12 ◯企画部長(岩切剛志君)輸送コスト支援事業の成果と課題についてであります。  奄美群島農林水産物輸送コスト支援事業については、奄美群島における流通条件の不利性を軽減し、本土産地と同一条件の環境を整えることを目的としており、昨年度は、四十三団体の四十六品目について総額約三億五千万円の交付金が支給され、輸送コストの負担軽減が図られたところであります。  また、それぞれの団体が、交付金により生じた余力で生産設備の充実や安定的な販路の確保に向けた取り組みを行いましたほか、経営の安定化のめどが立ったことから、農業後継者のUターンにつながったとの事例もあると聞いております。  他方で、初年度ということもあり、事業の定着が十分でなかったことから、今後、市町村や出荷団体への周知徹底を行いますとともに、対象品目の見直しや作柄等の十分な把握に努め、当該事業を活用して、農林水産業の生産額や所得の向上につながるよう支援してまいりたいと考えております。 13 ◯農政部長(福田博史君)六次産業化の推進についてでございます。  六次産業化・地産地消法に基づく農林漁業者等の総合化事業計画は、現在、県内で六十三件が認定され、このうち奄美地域においては、農畜産物関係が三件、林産物関係三件、水産物関係四件の計十件が認定されており、黒糖やマンゴーなどの地域特産品を活用したお菓子、ジェラートなどの商品開発・販売や奄美大島産真珠を利用した装飾品の加工・販売などの取り組みが行われております。  県におきましては、奄美地域におけるこれらの取り組みに対し、プランナー派遣等による総合化事業計画の作成支援や個別相談会の開催などにより、専門的な見地からの商品開発などに関する助言・指導を行っておりますほか、県が主催する商談会、食品コンクール等におけるバイヤーとの意見交換や売れる商品づくりに向けた研修会の開催など、計画実現に向けた支援を行っております。  今後とも、市町村等と連携を図りながら、奄美地域の特色ある地域資源を生かし、付加価値を高める六次産業化の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。  畜産クラスターの構築についてでございます。  国においては、配合飼料価格の高どまりや生産基盤の脆弱化、混住化の進展による畜産環境問題等が課題となっておりますことから、畜産農家を初め、地域に存在するコントラクターやTMRセンター等の支援組織が有機的に連携し、地域ぐるみでの収益性向上の取り組みを行う体制、いわゆる畜産クラスターの構築を進めております。  畜産クラスター事業は、地域の中心的な経営体が行う、収益性の向上に必要な畜舎や堆肥舎等の施設整備、飼養管理機械や飼料収穫機械等の機械リース整備を支援するものであります。  県内では、各地域において、畜産農家を初め、県、市町村、農協、コントラクター、獣医師等で構成する畜産クラスター協議会が設置され、繁殖牛舎や豚舎の整備及び堆肥処理施設等の整備を行うとともに、自動給餌器等の導入を行うこととしており、奄美地域におきましても、分娩監視装置や飼料収穫機械等の導入が予定されております。  県としましては、今後とも、畜産クラスター協議会を中心に、地域の関係者が連携し、生産コストの低減や収益性の向上による生産基盤の強化が図られるよう支援してまいりたいと考えております。  沖永良部島の防風対策の現状と今後の取り組みについてでございます。  沖永良部島においては、サトウキビを初め、野菜、花卉、葉たばこなどを中心とした農業が営まれておりますが、地形が平坦で台風等の影響を受けやすいことから、生産の安定や品質の確保のためさまざまな防風対策が講じられているところであります。  これまで、基盤整備と合わせた防風林の整備、花卉の平張り施設の整備、葉たばこや野菜の防風ネットの設置などが行われてきております。一方、防風林の整備は、用地の確保が必要なことや維持管理の負担が大きいことから、農家の理解が得られにくい場合もあります。  このようなことから、平成二十五年度に大島支庁が中心となって、地域や作物に適した防風垣のつくり方や管理方法などをまとめた奄美地域における防風樹の手引きを作成したところであり、今後とも、この手引きを活用し、関係機関・団体と一体となって、農家の防風対策に対する意識の醸成を図るとともに、地域に適した防風林、防風垣、平張り施設の整備などに取り組んでまいりたいと考えております。 14 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)浜の活力再生プランについてでございます。  このプランは、御披露されました考え方のもとで具体的には、地域の漁業所得を五年間で一割以上アップすることを目標に、収入向上の取り組みやコスト削減の取り組みなどをまとめ、国の承認を受けることとなっております。  本県におきましては、平成二十七年五月末現在、十四地区、うち奄美四地区でプランが承認され、十二地区、うち奄美二地区で策定中となっております。例えば瀬戸内地区におきましては、マグロ類の内蔵やシイラなど低利用・未利用資源を活用した新商品開発の取り組みや省エネ型操業の推進による漁業コストの削減に取り組んでおります。  国の承認を受けますと、国庫補助事業等で優先的に採択されます。また、漁業収入の向上や流通改善に関する取り組みで国の支援対象とならないものにつきましても、県において、浜の活力再生支援事業により支援を行うことといたしております。  自然災害に強い漁港施設の整備等についてでございます。  国におきましては、平成二十五年八月に、平成二十三年東日本大震災を踏まえた漁港施設の地震・津波対策の基本的な考え方を取りまとめ、昨年一月に一部改正しております。本県におきましても、国の考え方を参考に、昨年度から施設の機能診断に着手したところでありまして、今後、その結果をもとに対策を検討することとしております。  漁港施設の長寿命化対策につきましては、年次的に計画策定を進め、老朽化が著しい施設について、平成二十二年度から優先的に保全工事を実施しております。平成二十六年度末現在で、十七漁港において防波堤や護岸等に使用されている鋼材の腐食対策、橋梁や防波堤等に使用されているコンクリートのひび割れ対策、道路の舗装・補修対策などを行っております。  今後とも、自然災害に強い漁港施設の整備や計画的な長寿命化対策に取り組んでまいります。 15 ◯土木部長(久保田 一君)奄美群島での無電柱化についてでございます。  無電柱化は、安全で快適な通行空間の確保、良好な景観、住環境の形成や災害の防止等に資することを目的としており、県では、電柱や電線がふくそうしている都市部を中心に約十一キロメートルの区間で実施しております。  奄美群島での無電柱化は、台風等の防災対策や良好な景観づくりに資するものと考えますが、多額の費用を要することから、電線管理者の理解が得られていない状況であります。  自民党におきましては昨年十一月に、政府は必要な財政上、税制上の措置を講じなければならないことなどを盛り込んだ無電柱化の推進に関する法律案を取りまとめており、また、国におきましては現在、コスト縮減を図るための技術基準の見直しを進めております。  県としては、国の動向等を引き続き注視してまいりたいと考えております。    [林 健二君登壇] 16 ◯林 健二君 農林水産物輸送コスト支援事業についてでありますが、奄美の一次産業従事者が抱える条件不利性の解消に向け、大きく前進したすばらしい事業だと思っておりますので、見えてきた課題の解決を図りながら、さらにその制度の中身を充実していただきたいと思っております。  そして、条件不利性の解消が図られ、奄美群島の農林水産物が本当に世界でも勝負ができるように、この事業効果を最大限に引き出していかなければならないと考えております。  六次産業化の推進の現状につきましては理解いたしました。今後も六次化のプレーヤーの増加と多様化が進むと予想される中で、六次化の取り組みを今のまま個別的、分散的に行うと、共倒れ的なリスクが高まるとの懸念もございますので、六次化をそれぞれの地域の面的振興という視点で捉え、地域と一緒になって六次化の推進をしていく取り組み、指導が不可欠だと考えておりますので、このことに対しましても、市町村と連携を図りながら、力強く進めていっていただきたいと思っております。  畜産クラスターの構築につきましては、地域ぐるみで収益力を向上させる取り組み、特徴的な飼料による畜産物の生産やブランド化などの実証・普及活動を今後とも進めていっていただきたいと思っております。  奄美における集合牛舎の整備や放牧などの取り組みも始まってまいりましたが、依然として担い手不足の問題等も抱えております。イニシャルがかかり過ぎてしまうという課題を乗り越えて、新規の畜産農家がふえ、生産頭数も増加し、農家所得の向上が図られますよう、今後も一層の努力をお願いしたいと考えております。  沖永良部島の農作物の防風対策につきましては、町単独補助で防風苗の購入費の補助を行っているようでありますが、苗木の島内での生産がほとんどなく、島外産を供給している状態ということでございました。輸送コスト等を考えると、島内産で供給する体制を整えることが必要であると考えております。  植栽後の管理不足から枯死してしまう苗木も多く、台風や干ばつの影響も考えられるということですが、適正な管理を行った防風苗は順調に生育しているということから、植栽の仕方や管理作業などに関する技術・知識を習得する機会も必要であると考えております。  現在、基盤整備事業の完了地区においても、防風垣の設置を希望する農家の声が多く上がっているということでございますが、予算や苗木の供給量も不足しており、十分な対応が難しい状況ということでございますので、このことも課題解決に向け、地元と対応・協議していただきたいと要望を申し上げたいと思います。  浜プランにつきましては、御答弁いただきました浜の漁業所得が五年間で一割以上アップすることを目標としているということでございます。それを実現するためのあらゆる取り組みを、浜がみずからまとめ上げたプランを進めていくということで理解いたしました。  この浜プランは、六次産業化の取り組みのみならず、必ず地域創生に資する取り組みでもございますので、そのような意味でも非常に大きな、浜の取り組みだと考えております。今後とも、水産振興につながる取り組みの後押しを強く要望いたしたいと思っております。  国土強靱化、無電柱化に関しましては、低コスト施工技術の研究もこれに期待するところでございます。  長寿命化対策に関しましては、これからこのボリュームが非常に大きなウエートを占めてくると思っております。しかしながら、それぞれの地域で施工技術がかなり専門性を帯びているということもあって、しっかりとその地域でこの事業に取り組んでいける事業者が育成できていないという面があると考えております。このことも、しっかりとその地域でその施設を維持管理していける、長寿命化に対する取り組みが行っていけるように指導していただきたいと考えております。  以上、今回通告いたしました全ての質問を終了いたしますが、今回の統一地方選挙におきまして、みずからが選挙区で訴えてきましたことを基本にお尋ねさせていただき、知事、関係部局のお考えをお聞かせいただきました。今後も一般質問を通して建設的な提言を行ってまいりたいと考えております。  さて、国会では平和安全法制の審議が行われております。先日、自民党県連の青年局で街頭活動を行ったわけでございますが、安全保障をめぐる環境の変化と国際社会における我が国の役割、国民の生命・財産を守り抜くための平和安全法制であるという理解が得られますよう、さらなる努力を行っていく必要があると考えております。  また、私たち奄美大島に陸上自衛隊基地の配備が決定し、配備に向けた準備が進められておりますが、奄美群島を含む南西諸島が日本の安全保障上、非常に重要な役割を果たしているということだと受けとめております。  第一列島線と言われる非常に重要な地域であれば、対馬や北海道、与那国等と同様に、特定国境離島保全・振興法の対象離島に位置づけられてもよいのではないかと個人的には考えております。  漁船漁業者の支援を図りながら、民間監視力を高めていくという目的も盛り込まれておりますが、このことに期待する漁業従事者もおられますので、研究していかなければならないと思っております。  さて、本年は、地方創生元年ということでありますので、本県と奄美群島への追い風をしっかりと感じながら、県当局におかれましては、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」を目指して、より一層の努力をされますことを要望いたしまして、一般質問を終わります。(拍手) 17 ◯議長(池畑憲一君)次は、堀口文治君に発言を許可いたします。    [堀口文治君登壇](拍手) 18 ◯堀口文治君 池畑議長の許可を得ました。自由民主党県議団、堀口文治でございます。  冒頭に、去る五月二十九日の口永良部島新岳の爆発的噴火によりまして、全島民の皆様方が島外に避難されましたこと、県民の一人として、被災されました方々に対し心からお見舞い申し上げますと同時に、一日も早く平穏な日々、生活が訪れることをともに願っております。  私、去る四月の統一地方選挙におきまして、出水市県民の皆様方の御支持、御支援を賜り、二期目のスタートを切ることができましたこと、熱く御礼申し上げる次第でございます。  二期目最初の一般質問、県議として九回目の壇上質問でありますので、初心を忘れることなく、心新たに質問してまいりたいと思います。  初めに、通告いたしておりました県議会議員選挙の低投票率につきましては、既に代表質問、一般質問とお尋ねがあり、ほとんど重複しておりますので省略いたします。  ただ、私は、四年前の選挙のときに、選挙民の皆様方より、「一番身近な市議会議員や国で働く国会議員からすると、県議会議員の活動が見えない、わかりにくい」と言われまして、四年間、県議会をもっと身近にという思いで、議会傍聴に出水から約百五十名、その後、一般質問後の自分自身の議会だよりを出水市全世帯主に年二回、計八回配布してまいりました。しかし、投票率は四年前より低うございました。残念であります。  しかしながら、これから四年間、さらに、地域の身近な議員として、わかりやすい、あなたのそばの県議会として、一人でも多くの県民の皆様と県政に対して、これからの地方創生に対して、膝を交えながら話し合ってまいりたいと考えておりますので、皆様方の御指導よろしくお願い申し上げます。  まず、地方分権の推進についてお伺いいたします。  この質問は、四年前、一期生として初めての質問でもやり、あえて四年たって質問させていただきます。  地方分権改革につきましては、国において、地方分権改革推進検討委員会の勧告事項について検討がなされ、昨年度まで、四次にわたる地方分権一括法等により、国から地方公共団体への事務・権限の移譲や義務付け・枠付けの見直し等が進められてきました。このうち、いわゆる第四次一括法においては、四十三法律に係る事務・権限等が国から地方公共団体へ移譲されることとなりました。  国は、新たな局面を迎える地方分権改革において、これまでの成果を基盤とし、地方の発意に根差した新たな取り組みを推進することとして、平成二十六年から、地方分権改革に関する提案募集方式を導入いたしました。提案募集は、昨年五月から七月にかけて実施されまして、本県においては、九州地方知事会としての提案も含め、三十一件の提案がなされたとのことであります。  国は、地方分権改革の推進は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであるとしておりまして、まち・ひと・しごと創生総合戦略も踏まえ、地方公共団体への事務・権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等を進めることとしております。  このため、地方公共団体等から提案のあった事務のうち、法律の改正により措置すべき事項については、所要の整備を行うため、第五次地方分権一括法案として、現在開会中の通常国会に提出がなされているところであります。  また、移譲された事務・権限が地方公共団体において円滑に執行できるよう、地方税、地方交付税や国庫補助負担金等により確実な財源措置を講ずるとともに、必要な支援を実施するとしております。  新聞報道等によりますと、平成二十六年度の地方分権改革の成果について、都道府県、政令指定都市へのアンケート調査の結果、八二%が「評価している」と回答したとのことであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、昨年度、本県からはどのような事務・権限の移譲等について提案を行ったのか。また、それに対する成果はどうであったのか。  第二点は、第一次一括法以降のこれまでの地方分権改革の成果についてどう評価されるのか、お示しください。  次に、共生・協働の地域社会づくりについてお伺いいたします。  近年の少子高齢化の進行や人口減少の一方で、複雑多様化する住民ニーズ等に対し、各自治体では、行政だけでなく、地域の自治会やボランティア、NPO、企業など多様な主体が地域づくりの担い手となり、それぞれが連携・協力し、地域の皆で支え合う共生・協働の地域社会づくりが進められております。  知事は、マニフェストやかごしま将来ビジョンにおいて、共生・協働による温もりのある地域社会づくりを掲げるなど、就任以来一貫して、二十一世紀の地方自治の新しい姿として、共生・協働の地域社会づくりを推進していらっしゃいます。  県は、平成十七年度から、共生・協働の理念普及、地域コミュニティ組織やNPO等の活動支援、地域リーダーの養成、協働による県事業の推進、市町村の取り組み促進等に取り組んできております。また、地域や市町村に身近な地域振興局・支庁においても、地域共生・協働推進協議会を設置し、課題解決に向けたセミナーの開催や地域リーダーの育成等の取り組みを進めております。  これらの取り組みにより、地域においては、地域コミュニティ組織とNPOとの協働によります地域づくりが活性化するとともに、市町村においても、地域コミュニティの再編・構築の機運が高まりつつあるとのことであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、共生・協働事業のこれまでの成果と今後の取り組みについて。  第二点は、地域コミュニティ組織とNPOとの協働による地域づくりの取り組み事例及び市町村における地域コミュニティの再編・構築に向けた取り組み事例についてお示しください。  続きまして、公立学校の原発避難訓練についてお伺いいたします。  平成二十四年十月に策定されました原子力災害対策指針で、原子力施設からおおむね半径三十キロ圏内においては、事故に備えた避難、屋内退避、安定ヨウ素剤の予防服用等、十分な対策が必要とされております。  文部科学省が隔年で実施する全国の小・中学校や中等教育学校、特別支援学校、幼稚園を対象とした学校安全調査によりますと、本県においては、原子力施設からおおむね三十キロ圏内に百二十八校の公立の小・中学校や特別支援学校、幼稚園がありますが、そのうち、平成二十六年三月末時点における、原子力災害を想定しました危機管理マニュアルの策定状況は百二十四校、策定率九七%、避難訓練の実施状況は六十九校、実施率五四%となっております。  なお、報道によりますと、玄海原発が立地する佐賀県では、原子力施設からおおむね三十キロ圏内にある公立九十九校全てにおいて避難訓練を実施しておりまして、さらには、平成二十年以降、放射能漏れを想定した危機管理マニュアルを策定し、訓練で浮上した課題を年度ごとのマニュアル改訂に反映させるなど、万全の備えを進めているとのことであります。  ただし、文部科学省によりますと、原発事故への学校側の対策を定めた法令や指針はなく、取り組みは各学校に委ねられているとのことですが、川内原発の再稼働に向け、原発事故を想定した避難訓練の実施が急がれるものと考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、原子力施設からおおむね三十キロ圏内の公立学校百二十八校における平成二十七年三月末時点のマニュアル策定状況及び避難訓練実施状況についてお伺いいたします。  第二点は、避難訓練の内容はどのようなものか。また、避難訓練実施後の課題をマニュアルに反映させているのか、お示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 19 ◯知事(伊藤祐一郎君)地方分権の推進についてのお尋ねであります。  平成二十三年四月に成立いたしました第一次一括法以降の地方分権改革につきましては、四次にわたる一括法によりまして、義務付け・枠付けの見直しや国から地方への事務・権限の移譲などが進められましたほか、国と地方の協議の場の法制化が図られますとともに、昨年度からは地方自治体等からの提案募集方式も導入されるなどしておりまして、これらの一連の地方分権改革の取り組みにつきましては、現時点では、実効的な改革を進めるという点で、一つ一つは小さくても全体としては一定の評価をしているところであります。  本県としては、真に実効性のある地方分権を実現いたしますためには、国から地方へのさらなる権限移譲や地方税財源の充実・確保が必要であると考えており、今後とも、地方分権を目指す各種の改革が、地方の権限と財源が十分に確保された実体を伴った実質的なものとなりますように、全国知事会とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
    20 ◯総務部長(寺田雅一君)昨年度の地方分権改革に関する提案募集における、本県の提案内容とその成果についてでございます。  地方分権改革に関する提案募集につきましては、昨年度、九州地方知事会において二十六項目を提案いたしましたほか、本県といたしましても、事務・権限の移譲関係三項目と規制緩和関係四項目を提案したところでございます。  これらのうち、四ヘクタールを超える農地転用許可の都道府県への権限移譲や、二ヘクタール超四ヘクタール以下の農地転用許可に係る大臣協議の廃止につきましては、提案の趣旨を踏まえ対応するとされ、先ほど御指摘いただきました今国会に提出されております第五次一括法案の中に、関係法の改正が盛り込まれているところでございます。 21 ◯県民生活局長(三角浩一君)共生・協働の地域社会づくりについて、まず、その成果と今後の取り組みについてでございます。  共生・協働の地域社会づくりにつきましては、行政だけでなく、NPOや地域コミュニティ等の多様な主体が連携・協力し、支え合う共生・協働の地域社会づくりを促進しますため、地域に必要なサービスを提供する新しい仕組みの形成と共生・協働型コミュニティの形成を二本の柱とします施策を展開してきました。  この結果、県内のNPO法人数はこの四月で八百六十五となり、平成十六年度末と比べて約五倍に増加しますとともに、全市町村で共生・協働の視点に立った取り組みが進められております。さらに、自治会とNPOなどとの協働によります地域づくりや地区コミュニティ協議会での取り組みも盛んになってきております。このように、共生・協働の取り組みは県内全域に着実に広がっております。  県としましては、これらの取り組みを一層促進しますため、今後とも、相談会やセミナーの開催によりますNPOの活動促進と運営基盤の強化、地域コミュニティ組織やNPO等によります地域課題解決の取り組みに対します支援、市町村と連携しました共生・協働型地域コミュニティの基盤づくりのモデルの創出、地域リーダーの養成など、共生・協働の地域社会づくりに積極的に取り組んでまいります。  協働による地域づくりの取り組み事例についてでございます。  地域コミュニティ組織とNPOとの協働による地域づくりの取り組み事例としましては、南さつま市の長谷集落では、地元に拠点を置くNPO法人が農業体験や自然体験など集落外住民との交流活動を通じて、過疎・高齢化の進む集落の活性化に取り組んでいます。  また、南九州市の頴娃地域では、NPO法人と商工会を初め、地域の多様な団体が連携し、地元の観光資源を用いましたまちおこしに取り組んでいます。  このほか、垂水市の大野地区では、地区と交流のあった学生たちがNPO法人を設立し、地域と協働しまして、特産品の開発や伝統芸能の継承、自然学校や集落のイベントなどに取り組んでいる例などがございます。  次に、市町村における地域コミュニティの再編・構築に向けた取り組み事例としましては、薩摩川内市やいちき串木野市では、自治会等の地域の各種団体が参加する自治基本条例に基づくコミュニティ協議会を設置し、地区住民みずからが策定した振興計画に基づき、地域課題の解決のための自主的な活動を展開しています。  また、日置市や垂水市、志布志市、南さつま市などでは、自治基本条例には基づいておりませんが、コミュニティ協議会で同様の取り組みが行われています。  このほか、鹿児島市や鹿屋市、出水市のように、一部の地域でモデル的にコミュニティ協議会を設置し、将来的に市内他地域への普及を目指している自治体もございます。 22 ◯教育長(古川仲二君)公立学校の原発避難訓練についてのお尋ねのうち、まず、避難マニュアルの策定状況及び避難訓練の実施状況についてでございます。  平成二十七年三月末時点では、原発三十キロ圏内の全ての公立学校において避難マニュアルは策定済みであり、また、避難訓練については百二十八校中百五校、八二%の学校が実施いたしております。  なお、本年度は、原発三十キロ圏内の全ての公立学校において避難訓練を実施する予定でございます。  次に、避難訓練の内容と訓練実施後の課題の反映についてでございます。  原子力災害に対する避難訓練の内容といたしましては、多くの学校で、屋外で活動中に原子力災害が発生することを想定した屋内退避訓練や、緊急時の引受人等が記載された引き渡しカードを活用し、確実に保護者へ引き渡す訓練のほか、帰宅準備をして自治会ごとに集合する訓練などを行っております。  避難訓練の実施によって、例えば、保護者へ引き渡す際の車の進入路変更や誘導員配置、引き渡しカードの項目の見直し、近隣の小・中合同の引き渡し方法についての検討などの課題が明らかになったところでございまして、このことを受けて、避難訓練実施校のうち約七〇%に相当する七十二校において、マニュアルの改善を行ったところでございます。  県教委といたしましては、今後とも、実効性のある避難訓練が実施されますよう指導してまいりたいと考えております。    [堀口文治君登壇] 23 ◯堀口文治君 一回目、それぞれ御答弁いただきました。  地方分権改革につきましては、地域がみずからの創意工夫により地方創生を図る上でも、基盤となるものでありますから、必要となる事務・権限の移譲や規制緩和が、地方の権限と財源が十分に確保されるよう取り組んでいただきますよう要望いたします。  共生・協働の地域社会づくりについてでありますが、人口減少、少子高齢化が進む中、それぞれの地域の特性を生かしつつ維持・活性化を図る上で、市町村と連携した共生・協働型地域コミュニティの基盤づくりに取り組む上で、その根幹となるのが共生・協働の地域社会づくりであると考えます。引き続き積極的な取り組みを要望いたします。  公立学校の原発避難訓練につきましては、ただいま、マニュアル策定状況一〇〇%、避難訓練の実施状況八二%と答弁いただきました。口永良部島の皆様方の避難訓練の成果は御存じのことと思います。  もしもの避難時、時間帯によりますけれども、学校にいるとき、家庭にいるとき、朝昼夜とその時点で一番落ちついて機敏に行動できるのは、この学生たちではないかとも考えております。  訓練で浮上しました課題をマニュアル改訂に反映させまして、万全の備えを進めていただきますよう要望いたします。  次の質問に入ります。  これからの質問は、これまで四年間、毎年一回ずつ必ず質問してまいりました。引き続きこの四年間も続けてまいりたいと思います。  まず、家畜防疫対策についてお尋ねいたします。  まず、県におかれましては、昨年の出水市のマナヅルにおきます高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、知事を本部長といたします緊急防疫対策会議を開催され、養鶏農場への侵入防止対策の徹底を図っていただきましたこと、事なきを得ましたこと、深く感謝申し上げる次第でございます。  伊藤知事は、提案理由の説明要旨の中で、「東アジアなど近隣諸国において口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが続発しており、依然として国内への侵入リスクが高い状況にあることから、高いレベルでの防疫意識を持って、侵入防止対策に万全を期してまいります」とし、また、県内で発生している豚流行性下痢につきましては、「各農場における飼養衛生管理基準の遵守徹底を図り、蔓延防止に取り組んでいるところである」と説明がございました。  確かに知事の言われるとおりであります。国内への侵入リスクは高い状況のままであります。畜産県鹿児島としては何としてもこの侵入を防止せねばなりません。特に、ツルの越冬地であります出水市の養鶏農家の方々は、常にこのリスクを抱えながら頑張っていらっしゃいます。  先日、出水市ツル博物館クレインパークに行きまして、環境省の野生鳥獣感染症対策専門官の中村陽子獣医師と話をしてまいりました。本年四月より、クレインパークの施設の中に、中村感染症対策専門官の部屋が設けられ、常駐されております。大変心強く感じた次第でもあります。高病原性鳥インフルエンザのことやその発生源、感染症のこと、またさらに、ツルの分散化等について話をしている中で、カモによるノリの被害も大きいとのことでありました。  そこでお尋ねいたします。  一点目、本年一月からこれまでの間、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの国内外での発生状況について。  二点目、一極集中によります感染症のリスクを低減するためのツルの分散化の取り組み状況についてと検討会の日程等について。  三点目に、これまでカモはおおよそ何羽飛来しているのか。また、そのカモによります被害状況、対策等をお示しください。  四点目に、PEDの取り組み状況についてもお示しください。  次に、南九州西回り自動車道の整備促進についてお尋ねいたします。  南九州西回り自動車道の川内隈之城道路につきましては、本年三月七日に薩摩川内都インターから薩摩川内高江インター間が、出水阿久根道路につきましては、三月二十九日に阿久根インターから阿久根北インター間が供用開始されまして、地域住民の皆様方は、着実に事業推進が図られていることを実感いたしております。  本自動車道は、本県の骨格をなす重要な道路でありまして、人・物・情報等の広域的な交流ネットワークの形成や地域活性化に寄与するものとして、また、大規模災害時における避難道路と、命の道路としての大きな期待が寄せられていますが、全線開通に向けた課題は少なくありません。  平成二十六年度の本自動車道の本県分の予算が、前年度の補正と合わせ約百七億円でありました。  平成二十七年度野田インターまで、平成二十八年度高尾野インターまで、平成二十九年度出水インターまでと供用予定がされておりまして、国としても、供用目標に向け、予定どおり用地買収や工事が進んでいるとされ、出水北から県境間において、これまでに全体の約三割の用地を取得していると昨年の十二月議会の質問に答弁されております。  平成二十七年度の南九州西回り自動車道の本県分の当初予算が約九十億円であります。補正がない分、少なく感じるのですが、毎年百億円以上の予算が必要ではないかと考えております。  そこでお伺いいたします。  一点目、南九州西回り自動車道の早期完成に向け、予算確保など、今後どのように取り組むのかお示しください。  二点目、芦北出水道路の出水インターから出水北インター間についての整備状況と、供用予定年次の明示の見通しについてお示しください。  三点目、今年度、新規事業化されました阿久根川内道路の現在の状況についてお示しください。  続きまして、地域高規格道路北薩横断道路の整備促進についてお尋ねいたします。  本地域の地域高規格道路の整備は、候補路線として島原天草長島連絡道路、計画路線として北薩横断道路が指定を受け、北薩地域と鹿児島空港を結ぶ延長七十キロメートルの地域高規格道路であります。  これまで、紫尾道路の一部や薩摩道路など合わせて約十四キロメートルが供用されており、現在、広瀬道路と泊野道路の合わせて約十五キロメートル区間の整備が進められております。  泊野道路につきましては、一昨年三月に総延長四千八百五十メートルという北薩トンネルが貫通いたしましたが、予想以上の湧水があり、その処理のため工事の進捗がおくれております。  また、昨年十二月議会で知事は、紫尾道路から国道三号までの区間について、「これまで複数のルートを検討してきたところであるが、北薩地域の今後の道路網のあり方や地元の要望等を総合的に勘案しまして、西回り高速自動車道の阿久根北インターに向かうルートを選定した」と答弁されております。  御承知のとおり、これらの路線は、南九州西回り自動車道を基軸として、南九州地域における長崎、熊本、鹿児島にわたる広域的な交流及びネットワークの形成を図る上で最重要な路線でもあり、これらの路線が整備されますと、本地域が天草地域と行っております県際交流など、県内外との広域的な観光ルートになると確信するところであります。  そこでお伺いいたします。  一点目、泊野道路の北薩トンネルについて、湧水対策を含め、整備状況についてお示しください。  二点目、紫尾道路から阿久根北インター間の検討状況についてお示しください。  最後に、肥薩おれんじ鉄道の経営安定化についてお伺いいたします。  肥薩おれんじ鉄道は、地域住民の日常生活に欠かすことのできない、特に、高校生たちにとっては貴重な交通手段として極めて重要な役割を担っているとともに、国の物流政策や大規模災害時における物資輸送のリスク分散の観点から、貨物鉄道の広域ネットワークの不可欠な一部分を担っております。  平成二十三年度、国の貨物調整金制度の拡充によりまして、JR貨物からの線路使用料が大幅に増額されましたことは、地元負担軽減につながるとともに、同鉄道の安定経営に向け前進したものと歓迎しております。  また、平成二十五年度に運行を開始しました観光列車おれんじ食堂や、さまざまなイベントなどで目的に合わせて自由に利用できます、おれんじカフェの導入などにより、定期外利用者の確保や海外からの観光列車としての利用の営業努力もされているところであります。  さらに、平成二十六年には、県市町村振興協会の基金を毎年一億円、十年間支援していただくなど、鹿児島県全体で新たな支援スキームを構築されたところでもございます。  昨年十二月の質問に対し、「今回の新たな支援制度によりまして、同鉄道の現金ベースでの収支が改善され、安定的経営の確保が見込まれますものの、依然として営業赤字の発生が見込まれておりますことから、同鉄道におきましては、さまざまな増収策に取り組みますとともに、運賃改定についても検討することとしているところである」と答弁されております。  そこでお伺いいたします。  一点目、施設設備の老朽化等に対する本年度の取り組みについて。  二点目、要員の確保・養成に対する取り組みについて。  三点目、これからのおれんじ鉄道の増収策、運賃改定などの検討状況についてお示しください。 24 ◯農政部長(福田博史君)家畜防疫対策についてでございますが、まず、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの発生状況についてでございます。  口蹄疫については、国外においては韓国、中国、台湾などアジアを中心に発生し、特に、隣国の韓国では本年一月以降百五十件発生しておりますが、国内では平成二十三年以降の発生はありません。  また、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、国外において、台湾、韓国、中国などのアジアを初め、北米等で発生しており、特に、台湾では本年一月以降九百二十四件発生しております。国内においても、本年一月以降は岡山県、佐賀県の二養鶏場において発生しております。  また、議員が述べられたように、出水市においてもツルなどの野鳥での発生が確認されましたが、市町村を初め、関係機関・団体と一体となった防疫対策により、県内の養鶏場では発生しておりません。  県としましては、アジアなど近隣諸国において口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが続発しており、依然として国内への侵入リスクが高い状況にあることから、今後とも、高いレベルでの防疫意識を持って、侵入防止対策に万全を期してまいりたいと考えております。  豚流行性下痢についてでございます。  豚流行性下痢─PED─については、一旦沈静化しておりましたが、昨年十月以降、三十三農場で発生し、うち二十三農場が沈静化しており、本年四月中旬以降は新たな発生は確認されておりません。  県におきましては、国が示した防疫マニュアルに基づき、発生農場に対しては速やかに消毒を徹底するよう指導するとともに、屠畜場や出入りする業者等に対しては、発生農場名等を情報提供し、車両の消毒を徹底するよう要請するなど、蔓延防止を図ってきております。  また、養豚農場の多い地域で発生のあった鹿屋市など五市二町を特別防疫対策地域に指定し、市町村を初め、関係機関・団体と連携して消毒を実施するなど、徹底した防疫対策に取り組んでいるところであります。  今後とも、農家等に対して消毒の実施やワクチン接種の指導を継続するとともに、地域ぐるみで一体となった防疫対策に取り組み、発生予防と蔓延防止に努めてまいりたいと考えております。 25 ◯環境林務部長(川野敏彦君)ツルの分散化への取り組み状況等についてでございます。  出水地域は、ツル類が集中する越冬地となっていることから、感染症等による種の絶滅リスクの軽減のため、新越冬地の形成、いわゆる分散化を進める必要があると考えております。  分散化の取り組みとしては、出水市と山口県周南市との連携により、平成十七年度から傷病ツルの移送と放鳥が行われてきたところです。  また、環境省は、平成二十二年度のナベヅルの高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、翌二十三年度に、分散化に関する検討会を設置し、ナベヅルを出水地域以外で安定的に千羽以上越冬させることを当面の目標に、これまで六回にわたり検討を重ねてきたところです。今年度は、第一回目を来月十日に出水市において開催する予定であり、新越冬地形成に向けた環境整備の具体的手法やツルをシンボルとした地域振興の手法等について、議論することとなっております。  環境省は、十分に地元の意見を聞きながら、分散化に取り組むとしておりまして、県としましても、引き続き地元や関係機関と連携しながら対応してまいります。 26 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)カモの飛来と被害についてでございます。  カモ類の飛来数につきましては、環境省が取りまとめた出水市の七地点でのガン・カモ類の生息調査によりますと、平成二十三年度から二十五年度までの三カ年の平均で約一万四千羽となっております。  出水市では、十一の経営体がノリの養殖を営んでおりまして、その生産規模は、平成二十二年度から二十六年度の五カ年の平均で、ノリ網約四千六百枚となっております。  その養殖場は、国が指定した鳥獣保護区に面しており、ツルと同時期に飛来するカモは、この保護区をねぐらにしながら、その一部が養殖場に飛来してノリを食害しております。出水市によりますと、カモにより食害に遭ったノリ網の枚数は、同じく五カ年の平均で七百枚、その割合は生産規模の約一五・六%となっております。  この対策として、養殖業者は、ノリ網の周囲と水面を網で囲い、カモの侵入防止に取り組んでおりまして、県は、これに対して事業費の三分の一を補助しているところでございます。 27 ◯土木部長(久保田 一君)南九州西回り自動車道の予算確保に向けた県の取り組みについてです。  南九州西回り自動車道は、九州縦貫自動車道などとともに広域的な高速交通ネットワークを形成し、産業や観光の振興など、地域の活性化を図るために極めて重要な道路であります。このため、これまで南九州西回り自動車道建設促進協議会等による要望活動などあらゆる機会を通じ、予算の確保を強く訴えてきたところであります。  しかしながら、道路整備においては、全国的に老朽化対策など取り組むべき課題が山積しており、おくれている地方の高規格幹線道路の整備を計画的に進めるためには、国の道路関係予算総額を確保する必要があると考えております。  県としては、引き続き、県議会の皆様方を初め、県選出の国会議員、関係団体の皆様と一体となり、地方における道路整備の必要性を訴え、道路関係予算総額を確保した上で、本自動車道に必要な予算が配分されるよう、国に対し強く要請してまいりたいと考えております。  南九州西回り自動車道の整備状況等についてです。  南九州西回り自動車道の芦北出水道路につきましては、出水から出水北間において、去る三月に用地説明会が開催され、本年度、用地買収に着手する予定であります。出水北から県境間においては、用地買収等が進められており、これまでに約八割の用地を取得しております。  高規格幹線道路の供用予定年次につきましては、国が用地所得の進捗や工事の工程などを見きわめた上で公表することとなっており、芦北出水道路の本県域につきましては示されておりません。  県としては、引き続き、沿線市と連携し、用地取得への協力など整備促進に取り組むとともに、供用予定年次の明示と所要の事業費の確保につきまして、国に対し強く要請してまいりたいと考えております。  また、ことし四月に新規事業化されました阿久根川内道路につきましては、本年度、測量に着手することとなっており、来月には測量立ち入りの地元説明会が開催される予定であります。  県としては、沿線市とともに、早期着工が図られるよう取り組んでまいります。  北薩横断道路の整備状況についてです。
     泊野道路につきましては、北薩トンネルにおきまして、現在、トンネルの湧水対策として岩盤の亀裂にセメントを注入する工事などを行っております。今後、トンネル内部を覆うコンクリート工事、舗装工事、照明設備工事などを順次行うこととしており、本トンネルを含む出水市側約五キロメートル区間につきまして、平成二十九年度の供用を見込んでおります。  また、さつま町側約四・二キロメートル区間につきましては、橋梁等の工事を進めることとしており、平成三十年度の供用を見込んでおります。  紫尾道路から南九州西回り自動車道の阿久根北インター間につきましては、早期事業化に向け、環境調査や予備設計など、必要な調査等を進めているところであります。  北薩横断道路は、南九州西回り自動車道と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であることから、早期完成に向け、引き続き重点的な整備に努めてまいります。 28 ◯企画部長(岩切剛志君)肥薩おれんじ鉄道の経営安定化のうち、まず、施設整備の老朽化等に対する本年度の取り組みについてであります。  肥薩おれんじ鉄道では、レールや枕木等の老朽化に対応するため、国庫補助やJR貨物から支払われる線路使用料等を活用して、計画的な補修や更新に努めてきており、本年度は、レール更新や橋梁のかけかえ、車両の検査・整備等を実施することとしております。  県におきましては、平成二十六年度に新たな支援スキームを構築し、これまで支援対象としていなかった橋梁、コンクリート枕木、遮断機、信号機などの資本費に係る支出についても支援対象とするなど、公的支援を拡充してきたところであり、引き続き、同鉄道においては、同支援スキームに基づき、計画的かつ集中的に老朽化した施設を整備することとしております。  要員の確保・養成に対する取り組みについてであります。  肥薩おれんじ鉄道の要員については、開業時の協定では、JR九州からの運転士や専門知識・経験を有する職員の出向は平成二十五年度限りとされておりましたが、新たな協定の締結により、平成二十六年度以降も引き続き、同鉄道の運行に必要となる社員がプロパー社員となるまでの間、JR九州からの職員出向が継続されることとなったところであります。  同鉄道におきましては、安全かつ安定的な運行及び保守管理を確実に遂行するために必要な知識や技術の習得について、今後とも、JR九州の協力を得ながら、プロパー社員の養成を進めることとしております。  増収策、運賃改定などの検討状況についてであります。  肥薩おれんじ鉄道では、ダイヤ等の見直しによる利便性の向上、おれんじ食堂の運行によるさらなる定期外利用者の確保、車体広告のほか、今年度は新たに、土日・祝日限定の一日フリー乗車券わくわく切符の販売や沿線で開催されるイベントと連携し、定額で乗車できる、おれんじ鉄道感謝デーの実施など、沿線利用者の掘り起こしを図るさまざまな増収策に取り組んでおります。  また、同鉄道におきましては、このような増収策に加えて、運賃改定についても検討を進めることとしております。  県としましては、昨年、市町村の協力も得て構築した新たな支援スキームに加え、おれんじ鉄道のこうした増収策は、同鉄道の営業赤字を削減する上で必要な取り組みと考えており、今後とも、同鉄道と連携して、経営の安定化に努めてまいりたいと考えております。 29 ◯堀口文治君 自席より、一点だけ再質問させていただきます。  先ほど商工労働水産部長より御答弁ございました。平均して約一万四千羽ということでございますけれども、私は、これはツルの数であって、本当は倍近く来ているのではないかと思っております。それぐらい多く感じております。  そのカモが、ツルのねぐらに一緒にいます。ツルに餌をまきます。その半分以上はカモが食べているんです。ツルにやっていると思っていらっしゃるかもしれませんけれども、カモも食べております。そのカモの一部がノリ被害をやっております。一番ひどいときは二億円近くあったと私は記憶いたしております。それほど被害が大きかったわけですけれども、今、対策をとっていただいておりますから、年々少なくはなってきているんですけれども、それでも多うございます。  そこでですが、このカモのノリ養殖場の食害を軽減するために、積極的なカモの捕獲が必要ではないかとも思っております。カモの食害軽減のためにも、カモ捕獲等の取り組みを積極的に行う考えはないか、お示しください。 30 ◯環境林務部長(川野敏彦君)カモによりますノリの食害軽減のために、カモの捕獲等を積極的に行うべきではないかとのお尋ねでございます。  農林水産物への鳥獣被害の防止・軽減策といたしましては、寄せつけない、侵入を防止する、個体数を減らす、この三つの対策を進めていく必要があるものと考えております。  地元の出水市では、カモの個体数を減らす取り組みといたしまして、市の鳥獣被害防止計画に基づきまして、鳥獣保護区外での狩猟による捕獲に継続的に取り組んでおられまして、昨年度は約八十羽の捕獲実績があったと聞いております。  県といたしましては、寄せつけない、あるいは侵入を防止する対策といたしまして、カモの追い払いの取り組みに対する補助、あるいは先ほど担当部長から答弁がございましたとおり、ノリ網の周囲と水面を網で囲う取り組みに対する補助といったことを実施しているところでございます。  県といたしましては、地元出水市の考え方も聞きながら、他県における取り組み事例の情報収集等にも努めてまいりたいと考えております。    [堀口文治君登壇] 31 ◯堀口文治君 それぞれ御答弁いただきました。  アジア、隣国で蔓延しています口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等は、その農場で発生しますと、農場内全てのものを殺処分しなければなりません。発生・感染ルートがまだ解明されていない中、それぞれの農家の方々は常にそのリスクを負いながら、一生懸命頑張っていらっしゃいます。そのリスクを少しでも少なくするためにも、アジア、隣国を含め、国際的な研究・解明が喫緊の課題であると思っております。  今のところ、畜産県鹿児島として、防疫意識、防疫体制は日本一、世界一であると思っております。さらに安心・安全な食料供給基地として、さらなる構築を図っていただきますよう要望いたします。  南九州西回り自動車道と北薩横断道路につきましては、両道路一体となって本県の骨格をなし、広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であると認識しておりますので、引き続き、早期完成に向け、所要の予算が確保されるよう、そして重点的な整備に努めていただきますよう要望いたします。  肥薩おれんじ鉄道につきましては、引き続き、熊本県や沿線自治体と連携し、経営安定化に向けた取り組みを、さらに国やJRの支援策も強くお願いし、要望いたします。  以上、地域の課題を中心に質問してまいりました。  今回も、出水市全世帯主に議会だよりとして配布いたします。きょうは偶然にも、知事、議長、そして私、ネクタイが黄色で大変映えているのではないかと、議会だよりも映えるのではないかと思っておりますので、ありがたく感じております。  これからも地域の代表といたしまして、地域の身近な議員として、小さな声から大きな声まで、市民・県民の声なき声をしっかりと議会に、県政に届けてまいり、信念を持って議員活動を続けてまいりますことを申し上げ、質問を終わります。(拍手) 32 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十九分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 33 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  上山貞茂君に発言を許可いたします。    [上山貞茂君登壇](拍手) 34 ◯上山貞茂君 こんにちは。鹿児島市郡区から選出されました県民連合の上山貞茂でございます。初めての県議会で一般質問をいたします。至らないところもあると思いますが、新人として温かい目でお許し願いたいと思います。  二元代表制の一翼を担うことに重責を感じながら、県民・市民の負託を受けた県議として、県勢の発展に寄与すべく精いっぱい取り組んでいく決意を述べさせていただき、一般質問に入らせていただきます。  まず一つ目に、桜島の防災及び降灰対策についてでございます。  五月二十九日午前九時五十九分、屋久島町口永良部島の新岳が爆発し、火砕流が発生しました。鹿児島地方気象台は、噴火警戒レベルを五─避難─に引き上げ、町は、全島民に避難指示を発令、島民百三十七人は、町営船や第十管区海上保安本部の巡視船搭載ヘリなどで屋久島に無事避難しました。関係者の皆様の迅速な対応に敬意を表しますとともに、今後は、島民の方々の一刻も早い帰島と平穏な生活を願うものです。  気象台は、「有感地震時に表面現象や傾斜変動に異常は見られず、直ちに大きな噴火が起こるという判断はできなかった」としています。昨年八月に三十四年ぶりに噴火して以降、火山ガス増加や有感地震など活発化の傾向は見られたものの、気象庁はレベルの引き上げには至らず、改めて予知の難しさが浮き彫りになりました。  鹿児島大学の井村准教授は地元紙の紙面で、三月の火映の観測後に職員を常駐させていたことを挙げ、「予測はされており、想定されていた噴火。噴火することはわかっていても、それがいつというのは難しい。その限界を理解し、噴火に備えてほしい」と述べております。  一方、桜島では、五月三十日で年間爆発回数が六百回を超え、これまで年間最多、九百九十六回の爆発を観測した二〇一一年より三カ月も早くなっています。鹿児島地方気象台によりますと、ことし一月一日ごろから山体の膨張と考えられる変化が観測されており、多量の火山灰を噴出する噴火に注意を呼びかけています。  そこで、現在の桜島のマグマの上昇及び山体膨張の現状、溶岩流出を伴う噴火の可能性について見解をお聞かせください。  また、昨年十二月議会での鹿児島市の地域防災計画について、危機管理局長は、「住民の島外避難方法として、地区ごとにあらかじめ指定された二十二の避難港から、六隻の桜島フェリーや漁船等を使用し、避難を行う」と答弁されています。  今回の口永良部島新岳爆発に対する全島避難がスムーズにできたのは、綿密な防災計画や住民の防災意識、日ごろの訓練と言われています。桜島においては日常的に噴火していることもあり、フェリーによる島外避難の危機意識は低いように思われます。島民だけでなく、島外に住んでいる家族や親戚の方々も含めた防災意識の向上が求められています。  改めて、島民の防災意識の向上、さらには実効性のある避難訓練の取り組みなど、フェリーによる島外避難への心構えに対する島民等への周知が必要だと考えます。見解を求めます。  次に、昨年十二月議会において土木部長は、「土石流が発生しやすい箇所に国と県でこれまで砂防堰堤を六十二基設置し、さらに、西道川、松浦川に整備中である。堆積状況に応じて除石を実施しており、平成二十五年度の除石量は六十万立方メートルとなっている」と答弁しております。  藤野地区山裾の砂防堰堤を確認しますと、岩や木々、瓦れきなどで上部までいっぱいになっているところも見られます。土石流を防ぐ砂防堰堤としての効果に疑問を抱いている住民もおり、不安の声も上がっています。  そこで、砂防効果を維持するためにも、堆積した土砂や木々等を定期的に除去し、砂防堰堤としての機能を保つ必要があると感じます。予算の問題も含め、県としてどのように対応しているのか、具体的な答弁を求めます。  次に、降灰対策についてお伺いします。  県が実施した桜島の降灰量観測結果に基づき、昨年一年間十二カ月分と、ことし四月までの四カ月分の降灰量を比較しますと、桜島の降灰観測点十四カ所では既に昨年の七九・三%に達して、垂水市五カ所では昨年何と、もう既に一〇〇%にも達しております。鹿児島市でも既に五二・一%に達していることから、明らかに降灰量は多くなっているのがわかります。桜島住民からも、「例年以上に降灰量が多く、灰袋の数も二倍、三倍と多くなっている。降灰の清掃が追いつかない」、そういう声も多く聞かれます。  そこで、降灰除去事業の充実と、対象を体育施設や公民館などの公共施設、ホテルや商店街等の一般事業施設に広げるとともに、高齢者住宅への降灰除去サービスなど、安心・安全な生活が営める事業も必要と考えます。県としての見解を求めます。  さらに、降灰による農産物被害も平成二十六年度は県全体で、野菜で三十億円、花卉で四億五千万円、果実で四億二千万円などとなっています。火山活動が活発化している現状において、ハウスの支柱や被覆資材の劣化が著しくなっており、ことしは昨年以上に被害が拡大することが推測されています。  桜島は、鹿児島市に合併して十年、過疎化が顕著に進んでおり、高齢化率も高くなっている地域でもあります。鹿児島市からフェリーで出荷しないといけない現状及び大量の降灰量のハンデを背負って農林畜水産業を営んでいます。後継者育成も深刻な課題です。農業の経営安定、地域農業の健全な発展に向けた事業の必要性を感じます。  そこで、桜島地区における降灰による農作物の被害状況と桜島防災営農対策の取り組みについて、答弁を求めます。  桜島の火山活動の活発化に伴い、噴火の報道がテレビやラジオで全国に報道されることが多くなっています。そのたびに、桜島から避難している。住めなくなっている、そう受け取る方々もおられ、ホテルへの問い合わせやキャンセルが相次いで発生し、経営上、大きな被害を受けている現状にあります。  観光客の減により、古里観光ホテルの廃業は記憶に新しいことですが、五月の連休後にはタクシー会社も廃業に追い込まれています。地元では、平成二十三年一月の新燃岳噴火、平成二十六年九月の御嶽山噴火の影響も少なからずあったのではないかと考えられています。  火山、地震への防災対策に万全を期すことは重要ですが、一方で、風評被害による損失を起こさない報道・広報のあり方も問われているのではないかと思います。  そこで、噴火が桜島の観光に与える影響の現状について、県としての見解を求めます。  また、火山を抱える県として、安心・安全な桜島の観光地としてどのような情報発信の仕方に取り組むのか、県としての見解を求めます。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 35 ◯知事(伊藤祐一郎君)桜島の防災等についてのお尋ねがございました。  桜島につきましては、県及び鹿児島市の地域防災計画に基づきまして、大規模な噴火が発生するおそれがあるといたしまして、島外への避難指示等が発令された場合、住民は避難港からフェリー等により避難を行うこととされているところであります。  県におきましては、住民の防災意識の高揚を図ることなどを目的といたしまして、毎年、鹿児島市と共催で、多くの住民の参加のもと、情報伝達や島外避難、救出・救護などを主な内容といたします桜島火山爆発総合防災訓練を実施しているところであります。  県といたしましては、今回の口永良部島新岳噴火に伴います島外避難指示の発令を受けて、島民や関係機関の対応状況等を防災関係機関で情報を共有いたしますとともに、桜島にも共通する部分は、今後の防災訓練に取り入れるなど、引き続き、住民の方々の避難経路や手順等の周知に努めてまいりたいと考えております。 36 ◯危機管理局長(永野 司君)桜島の山体膨張の現状と溶岩流出を伴う噴火の可能性についてでございます。  桜島の活動状況につきましては、本年二月に開催された火山噴火予知連絡会におきまして、依然活動が活発な状態であり、本年一月から山体の膨張と考えられる変化が継続しているほか、鹿児島湾奥部では長期的に膨張が進行しており、マグマの量は大正噴火時の約九割まで回復していると評価されております。  気象庁によりますと、今後、大量の降灰に見舞われた平成二十四年七月の南岳山頂火口の噴火や、噴煙が火口から五千メートルまで達した平成二十五年八月の昭和火口の噴火と同規模、もしくはそれ以上の噴火が発生する可能性があるとしております。  なお、京都大学防災研究所によりますと、現状ではすぐに大規模噴火につながる兆候は見られないが、溶岩流出を視野に入れた溶岩の上昇を注意深く監視する必要があるとしております。 37 ◯土木部長(久保田 一君)砂防堰堤の効果確保についてでございます。  砂防堰堤は、土石流を受けとめるとともに、堰堤に土砂を堆積させることで渓流の勾配を緩やかにし、土石流の勢いを弱めて流出を抑制するなどの防災効果があります。このことから、県では、堰堤の堆砂状況を点検し、必要に応じて除石を行うこととしており、平成二十五年度には西道川で除石を実施しております。  桜島の火山砂防対策に必要な予算確保につきましては、県開発促進協議会等を通じて国に強く要望しているところであり、今後とも適切な施設管理を行い、土石流による被害の防止・軽減を図ってまいります。  次に、降灰除去事業の充実と拡大についてございます。  市町村が行う降灰除去に係る運搬・処分等に対する国の補助制度として、活動火山対策特別措置法に基づく降灰除去事業があり、市町村が管理する道路、下水道、都市排水路、公園、宅地が対象とされております。  御指摘のありました体育施設、公民館、ホテルや商店街の降灰除去は、現在もこの制度の対象となっております。しかしながら、県が行っている県管理道路の降灰除去につきましては、制度の対象となっていないことから、県開発促進協議会を通じて、対象とするよう制度の充実を国に要望しているところであります。  また、現在、宅地内の降灰の収集につきましては、この制度の対象となっておりませんが、高齢者宅地の降灰除去につきましては、まずは関係する市町村において検討されるべき課題であると考えております。 38 ◯農政部長(福田博史君)降灰による農作物の被害状況と桜島防災営農対策の取り組みについてでございます。  桜島地区においては、ビワや小ミカン等の果樹や葉ネギ、桜島大根等の野菜が生産されておりますが、土壌の酸性化に伴う落葉や枝枯れ等の生育障害、灰が果実や葉に付着し、傷果等が生じることに伴う商品価値の低下、ビニールハウスに灰が堆積し、日照不足に伴う生育遅延等の被害が発生しております。  このため、これまで活動火山周辺地域防災営農対策事業により、土壌の酸度矯正や野菜の洗浄機の導入、被覆施設の整備や被覆資材の更新等を実施してきており、平成二十七年度においては、桜島地区においては二地区で土壌の酸度矯正を実施しているところであります。 39 ◯観光交流局長(長野信弘君)桜島の噴火による観光への影響と情報発信の取り組みについてでございます。  桜島の火山活動による観光への影響につきましては、活動が活発化した平成二十一年度以降、桜島地区の宿泊者数の減少傾向が続いております。また、本年一月の山体膨張の報道以降、観光客から、桜島や周辺の状況のついての問い合わせがふえており、宿泊のキャンセルもふえていると聞いているところです。  このような中、桜島の状況を正確に情報発信することが重要でありますことから、鹿児島市や県観光連盟とも連携の上、噴火警戒レベルや入山規制は長年変わらないこと、入山規制の範囲内には観光施設はないこと、また、桜島フェリーも通常どおり運航しており、観光に支障はないことを県や市のホームページで周知いたしましたほか、平成二十六年に修学旅行で来訪した学校宛てに、同様の趣旨の文書を送付したところであります。  県といたしましては、今後とも正確な情報発信に努めてまいります。 40 ◯上山貞茂君 ただいま回答いただきました。  まず、防災意識の向上と避難訓練なんですが、桜島広域火山防災マップによりますと、大正噴火クラスの場合、降灰堆積量が鹿児島市内一円でも五十センチ以上が予想されるということになっています。ライフラインの相当な混乱も想定されることから、国への防災予算の十分な確保というのは重要ですが、鹿児島県全域に及ぼす影響を含めた防災意識の向上、これも図っていかなければならないと思っています。  それと、農作物の被害対策なんですが、やはり付加価値の高い農畜産物の生産に当たって、桜島、垂水地区は、他の地区とは比較にならないほど降灰の被害が顕著にあらわれてしまいます。ハウスの支柱の更新とか、被覆資材についても透過率七〇%、これは本当に厳しいんじゃないかなという意見も多く聞かれますので、そういった地域の実情を加味した形での桜島防災営農対策事業を今後も検討していただきたいと要望しておきたいと思います。  あと観光なんですが、どの火山地域でも火山災害と観光地としての課題は非常に重要な課題だと思います。PRの仕方は他の地域と異なってくると考えます。ぜひとも鹿児島市とも研究、協議していただいて、桜島を遠目から眺めるのではなくて、火山で生活している現実を伝えられる世界でも貴重な地域としてアピールしていただきたい。これは要望とさせていただきます。  最初の防災意識の向上と避難訓練については、桜島だけじゃなくて鹿児島市まで五十センチまで灰が積もると車の移動も困難だと思います、公共交通機関も。それについての見解をよろしくお願いします。 41 ◯危機管理局長(永野 司君)桜島につきましては基本的には、避難港、避難先、緊急連絡先とこれを三点セットで、ハザードマップは全世帯にお配りして、それが書き込んでございますので、今言われた、降灰が積もってから行動を起こすというようなことではなくて、爆発がある、前兆がある段階で避難がなされるものと考えております。    [上山貞茂君登壇] 42 ◯上山貞茂君 答弁いただきました。  桜島に関しては、早目の避難の指示あるいは初動行動ということで再度要望したいと思います。  二点目については、本県の行財政改革と行政サービスの現状ということで質問したいと思います。  鹿児島県は、平成十六年度における四百五十一億円の財源不足の解消に向け、県政刷新大綱を策定し、人件費全体の一割程度の削減、出先機関の統廃合を含めた見直し、県有施設の休廃止など推進してきました。その結果、財源不足額については平成二十三年度以降、実質解消され、今年度においても財源不足が生じない予算編成となっています。  県政刷新大綱が策定されて以降、この十年で一般行政部門において一千三百人を超える職員が削減されています。一般財源の人件費の推移を見てみると、平成十六年に比べ、職員給ベースで二百九十四億円削減されています。費目ごとに見てみますと、農林水産業費で百七十八億円から百四十一億円と二〇・八%の減、土木費で百六億円から七十四億円と三〇・二%の減、民生費で六十二億円から四十八億円、二二・六%減と顕著に削減されています。
     その手法として、地域振興局体制への再編、出先機関の統廃合、市町村への業務委託、民間委託などです。職場の統合、業務の広域化による職員や県民への負担増と行政サービスの低下を懸念いたします。  その一つとして、鹿児島県大島紬技術指導センターの現状があります。鹿児島の伝統的工芸品である大島紬を地場産業として振興を図るために設置された県大島紬技術指導センターが、平成二十二年四月に県工業技術センター大島紬部に再編され、平成二十六年には、同センター企画支援部奄美市駐在機関として再々編され、現在、再任用職員四人が職員として配置されています。  これは、大島紬技術指導センターの果たしてきた役割、業務が不要になったからではなく、県行政改革における人員削減の対象施設として現在に至った感が否めません。  これまで、同センターは、機織、デザイン、染色研究室の三つの研究室と総務課を有した研究施設で、平成十六年には十八人の職員が業務に当たっていました。試験研究を初めとして、後継者育成、技術相談業務など、大島紬業界の産業育成へ寄与してきました。現員の方々の年齢を鑑みても、以前の機能・役割を有した機関としては風前のともしびの感があります。  少なくとも、大島紬は離島における地場産品として雇用を生み出してきた歴史があり、紬の減反は顕著ではありますが、職業として頑張っている方々も多くおられ、産業としても成り立っております。  大島紬産業の育成に向け、同センターの果たしてきた役割も少なくないと考えます。伝統工芸品は一夜にしてできるものではありません。厳しい時代だからこそ、県のこのような施設が必要ではないか。地域創生は、現在有している価値を生かすことが出発点ではないかと考えます。  そこで質問します。  県大島紬技術指導センターが現状の再任用職員のみになった理由について、また、大島紬の技術指導を県としてどのようにバックアップされていこうとしているのか、答弁を求めます。  さらに、同施設は、国の奄美群島開発振興事業を活用して現在の奄美市名瀬浦上町に新設されたと聞いております。県工業技術センター奄美市駐在機関の今後の活用について、見解を求めます。  一方、鹿児島県は、国・地方を通じた厳しい財政環境や自主財源に乏しい脆弱な財政構造のもとで、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組むとして、平成二十四年三月に行財政運営戦略が策定されました。歳出面では、職員数の削減として、民間活力の活用、民間委託の推進等による現業業務などの見直しが推進され、先般、職員団体に現業職の全廃方針が示されたと聞いております。  農林水産業務では研究機関が多く、研究員と研究を補佐する技術補佐員が業務に当たっています。三月末に退職された現業職員の後補充がされなかったため、農政部では、その穴埋めとして非常勤職員を採用して業務を遂行していると聞いております。農畜産物の管理業務において研究に支障を来さないためにも、最低限、非常勤職員による業務遂行を選択したものと判断します。  研究業務は、米や野菜、果樹、花卉、家畜など圃場や畜舎の管理、動植物の管理が重要です。職員は、土日の管理も含め業務に励んでおり、営農指導も現場に駆けつけ、農業者への指導・育成に努めています。鹿児島県ブランド力の強化になくてはならない業務を担っています。  そこで、農政部における研究員及び技術補佐員の職員数を平成十六年度と今年度についてお示しください。  土木部においては、一部、民間委託で業務の穴埋めを行っていると聞いています。土木業務では、日ごろの道路維持作業や苦情、風水害等の災害時に対応する業務を担っており、地域や住民の安心・安全に直接かかわる業務を担っています。現場を熟知した者が現場の第一線で業務を遂行することは、危機管理体制においても重要な意味があると考えます。  最近、道路のふぐあいや清掃、除草など、以前に比べて苦情も多くなったと聞いております。職員の減少や民間委託が県民サービスの低下につながっているのではないかと危惧します。道路の安全がおろそかにならないようにすべきです。  そこで、道路維持に関する苦情の件数及び内容について、ここ三年の推移と増減について答弁を求めます。  県民へしっかりとした行政サービスを提供するためには、その場しのぎの人員配置ではなく、年齢構成を把握した上で十年先、二十年先の将来を見据えた観点が必要ではないかと考えます。コスト削減のみではなく、住民の安心・安全が維持される職員配置が必要と考えます。  農政部、土木部としての見解を求めます。  二回目の質問でございました。 43 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)工業技術センター奄美市駐在機関についてでございます。  大島紬技術指導センターにつきましては、平成二十二年四月に、デザイン・染色の試験研究の一部と庶務業務を県工業技術センターに集約し、組織を工業技術センター大島紬部といたしました。また、平成二十六年四月には、他分野との連携をより密にした研究を行うことを目的に、研究業務を工業技術センター本所に集約し、技術指導及び相談業務を担う奄美市駐在機関としたところでございます。現在、四名の職員がその業務に従事しております。  大島紬に係る技術指導等、お尋ねの点につきましては、奄美市や地元関係団体の意向もお聞きしながら、今後検討することといたしております。 44 ◯農政部長(福田博史君)農政部の職員数の推移及び職員配置についてでございます。  農政部における研究員及び技術補佐員の職員数につきましては、平成十六年度は研究員百八十三名、技術補佐員百二十六名であり、今年度は研究員百四十八名、技術補佐員九十九名となっております。  農政部における職員配置につきましては、各種施策に基づく各事業の業務量を踏まえますとともに、本県農業の特徴を生かし、次代のニーズに対応した農業技術の開発や地域農業の課題に的確に対応した普及活動の推進、安心・安全な畜産物を生産するための家畜防疫対策の推進、農業・農村における基盤整備の推進などを考慮しているところであります。  今後とも引き続き、多岐にわたる行政需要への対応など、行政サービスの充実にも留意しながら、適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。 45 ◯土木部長(久保田 一君)道路維持に関する苦情及び土木部の人員配置についてでございます。  道路維持に関する苦情相談件数につきましては、平成二十四年度が約四千百件、平成二十五年度が約三千八百件、平成二十六年度が約四千七百件となっております。主な内容は、動物の死骸や落下物の通報、草刈りや舗装の要望などであります。  土木部における人員配置につきましては、毎年度、事業費や事業箇所等に基づく業務量を踏まえるとともに、道路、河川等の公共土木施設の適切な維持管理や災害時の初動体制の確保などを総合的に勘案し、決定しているところであり、できる限り県民の方々への行政サービスの水準が維持されるよう配慮しているところであります。  今後とも引き続き、各地域振興局・支庁とも十分連携しながら、適正な人員配置に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯上山貞茂君 一点だけ。大島紬の今後の検討とおっしゃいましたけれども、これは公開なんでしょうか。要するにどういった形での、いわゆるプロジェクトなのか、あり方検討委員会なのか、それとも個別対応なのか、そこを教えてください。 47 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)今後の検討につきましては、現段階でこういう方法でやると決めた確たるものはございません。    [上山貞茂君登壇] 48 ◯上山貞茂君 ただいま答弁いただきましたけれども、大島紬の指導のバックアップあるいは今の現施設の活用については、私としては、あり方検討委員会等、奄美市、地域の関係者、センター経験者、いろんな応援をもらえる方々がいらっしゃると思いますので、そういった公開的な討論の場があればいいかなと思っておりますので、要望したいと思います。  苦情は、県民が困っている、改善してほしい、何とかしてほしいという県に対する期待のあらわれでもございます。その期待に応えるためにも、職員への負担と県民サービスの充実のバランスをもって、現場の状況を鑑みながら適切に対処していただきたいと思います。  研究業務については、すぐには成果は出ないものです。地場産業育成や相談なども、経験を積まなければ対応できない事項も多くあります。県民の要望、地域の実情を把握しながら、行政責任をしっかりと全うできる人員体制、鹿児島県の発展に寄与できる人材育成に力点を置きながら行政に取り組んでいただきたい。これが行政責任だと考えますので、よろしくお願いいたします。  では、次の質問に入ります。  大島地区における松くい虫被害対策、枯損木対策についてでございます。  大島地区では、平成二年に瀬戸内町加計呂麻島で最初の松くい虫被害が確認されて以降、被害区域が徐々に拡大しています。三年ほど前から奄美大島南部の被害が大きくなり、新たに島の北部のほか、徳之島や沖永良部島でも被害が拡大している状況と聞いております。  大島地区では、効果が期待できる薬剤の空中散布は、ルリカケスやオオトラツグミなど希少な鳥類が食べる昆虫の減少につながるとして、国の防除実施基準により行われていません。既に被害が広範囲に及んでおり、駆除を全てに対応することは現実的に困難な状況と聞いていますが、世界自然遺産を目指す地域として景観に配慮した対策を求めたいと思います。  そこで、大島地区各島における松くい虫の被害状況、駆除対策予算及び松くい虫被害対策の現状について答弁を求めます。  また、民家裏山や道路沿いの枯れ松が倒れて道路を塞いだり、電線を切断した事案も発生していると伺っています。梅雨時期に入り、また台風被害も多くなる季節を迎える中で、生活圏への影響が懸念されます。特に、沿道沿いの枯損木の倒木による被害が危惧されるところです。  そこで、枯損木対策の現状と県としての今後の対策について、答弁を求めます。  次に、自転車事故への対応及び自転車保険の普及活動について質問いたします。  悪質な自転車運転者に安全講習を義務づける改正道路交通法が六月一日施行されました。信号無視や酒酔い運転など十四項目を危険行為に指定し、十四歳以上で三年以内に二回以上摘発された運転者が受講対象となります。自転車利用者が加害者になる深刻な事故を防ぐのが狙いとも言われています。  鹿児島県では、自転車関連の交通事故が平成二十六年は七百十六件発生しており、そのうち自転車乗用中死者が四人、負傷者が六百九十人に上っています。ことしも二百十六件発生しており、発生件数は横ばい状態となっています。自転車と歩行者の事故は平成二十六年で十五件、そのうち重傷者は七人に上っています。  現在、自転車関連事故に対する交通政策を推進しているとのことでありますが、今回の法改正を受けて、法の周知徹底の方策について答弁を求めます。  また、自転車は走る凶器であるという認識を高めるためにも、児童生徒を対象とした日常の安全講習は重要です。  そこで、警察における安全教育の実施状況、また、教育現場での交通安全教育の取り組みについて答弁を求めます。  また、自転車が歩行者にぶつかる事故では、自転車側が加害者になる例が多く、未成年の者が事故を起こした場合、児童生徒の保護者に賠償責任が負わされます。平成二十五年には、自転車に乗った児童が六十代の女性をはねて重い後遺症を負わせ、神戸地裁が児童の保護者に一億円近い賠償を命じる判決が言い渡されています。  これを受けて、兵庫県はことし三月、被害者救済のため、自転車購入者に保険加入を義務づける条例を設けています。実際は、取り締まりが難しいことから事実上の努力義務となっているということですが、自転車保険の加入については、京都府や愛媛県、熊本県など五都府県も努力義務を定めています。  そこで、自転車保険加入促進の県における取り組みの現状について、答弁を求めます。  次に、高レベル放射性廃棄物最終処分地問題及び川内原発再稼働について質問いたします。  地元紙によれば、六月十日、経済産業省は資源エネルギー庁が鹿児島市において、原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分地選定についての県内自治体向けの説明会が開かれています。県のほか、約二十市町村が参加したとみられています。同紙によると、エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長の談話として、「説明会は、処分地を探すという話ではなく、最終処分の必要性を理解していただくのが目的。全市町村に呼びかけた」と報道していますが、政府主導で進められていることからも、適地と選定した場合、受け入れざるを得ない体制づくりではないかと危惧いたします。  原発を稼働させても、原発をやめ全廃しても、絶対に解決しなければならない問題が放射性廃棄物の処分問題です。現在のところ、極めて安定した地層の地下深くに格納するのが唯一の解決法とされています。しかし、日本は火山があり、地震があり、常に地層が安定せず、水脈も多く、最終廃棄物処分場がつくれない国だとも言われています。  知事としては、県内での最終処分場建設に反対の立場を堅持していますが、五月二十二日の定例会見では、県内を有望地に挙げた場合の対応について、「仮定の質問に答えるべきではない」と答弁され、態度を保留していました。今議会での代表質問に対し、「受け入れない考えは変わっていない」と答弁されていますが、政府が新方針を閣議決定して以降、候補地選定に動きが出始めている現状において、一貫した考え方と捉えていいのか不安を感じます。  受け入れない理由を含め、答弁を求めます。  五月二十七日、九州電力川内原発一、二号機の運転管理ルールの保安規定を原子力委員会が認可し、再稼働に必要な審査手続を全て終了いたしました。  一方、九州電力は、三月末に始まった機器の性能などを確認する使用前検査の検査項目の見直しを原子力規制委員会に提出したため、一号機の再稼働は八月中旬にずれ込む見通しを明らかにしています。  四月二十三日には原子力規制委員会から、再稼働計画書が現実的ではない、見通しが甘いと指摘を受け、再稼働の時期を見直しており、再稼働ありきの姿勢が問われたこともありました。  福島原発の事故後、原発への不信は高まり、世論の多くは再稼働に反対しています。背景には、四年たってもいまだ収束されない福島第一原発事故の現状、二点目に、避難計画についても、入院患者ら要援護者を避難させるバスの確保、渋滞対策など避難計画の実効性が懸念されること、三点目に、高レベル放射性廃棄物の処分方法が決まっていないこと、四点目に、原発回帰よりも再生可能エネルギーへの期待を望む声が大きいことなどが考えられます。  十一月五日から七日の臨時議会において、県議会、知事が川内原発一、二号機の再稼働を容認しましたが、現在でも、川内原発一、二号機の再稼働に当たって九州電力に住民説明会を求める陳情など、再稼働に対する説明や白紙撤回を求める意見が多く寄せられていることからも、県及び県議会には再稼働に当たっての説明責任があると考えます。  また、川内原発再稼働に当たり、当時の企画部長は、「川内原発一、二号機について、再稼働の前提となる安全性の確保やエネルギー政策に占める原発の必要性など諸般の状況を総合的に勘案し、再稼働はやむを得ないと判断した」と答弁しています。私は、やむを得ないの理由がわかりません。安全が確保されたから再稼働を容認したのではないと受け取れます。原発の依存度を二〇%に設定したエネルギー政策は、原発の延命を前提にした内容であることからも、安全性はますます脅かされていくものではないかと危惧いたします。しっかりとした避難計画、実効性のある避難訓練は、再稼働に当たり重要です。  各自治体に対しても、川内原発一、二号機の再稼働に当たって九州電力に住民説明会を求める陳情書、意見書が出され、三月議会では出水市議会、伊佐市議会、肝付町議会、屋久島町議会、南種子町議会、六月議会では日置市議会で採択されています。安全性を九州電力に確認してから再稼働を求めるのは、当然の意見だと考えます。  そこで、県としても、九州電力に対して、住民に対してきっちりと説明責任を果たすよう強く申し入れるべきだと考えますが、県としての見解を求めます。  また、住民の不安を解消する意味でも、住民避難計画について再稼働を前に原子力防災訓練を実施し、検証していく考えはないのか、答弁を求めます。  よろしくお願いします。 49 ◯環境林務部長(川野敏彦君)大島地区の松くい虫被害対策等についてでございます。  昨年度の大島地区の松くい虫による被害量は約六万八千立方メートルであり、その内訳は、奄美大島が約六万三千立方メートル、徳之島が約三千立方メートル、沖永良部島が約二千立方メートルとなっております。  大島地区では、希少な野生生物保護などの観点から薬剤散布が実施できないため、防除対策はもっぱら伐倒駆除によって行っております。伐倒等に当たりましては、被害の状況等を踏まえながら行っておりまして、昨年度は奄美大島で約七千五百万円、徳之島で約二千五百万円、沖永良部島で約三百万円の合計約一億四百万円の事業を実施したところです。  また、人家や道路などに倒れるおそれがある枯損木につきましては、県、市町村、九州電力等が役割分担を行い、伐倒、除去に取り組んでいるところでありまして、道路沿線の景観の向上にも寄与しているものと考えております。  今後とも、地元市町村等と連携を図りながら、松くい虫の防除対策や枯損木の除去など、必要な対策を講じてまいります。 50 ◯警察本部長(種部滋康君)法改正の周知徹底方策についてでございます。  自転車の運転による交通の危険を防止するための講習につきましては、平成二十五年六月十四日に公布された道路交通法の一部改正により整備され、本年六月一日から施行されているところであります。  講習制度に係る県民への周知につきましては、これまで交通安全教室や各種講習等で行っているほか、テレビ、ラジオ、新聞等による広報にも努めているところであります。  今後も、学校等との連携による周知や街頭キャンペーン等の各種交通安全活動の機会を利用いたしまして、県民への広報に努めてまいります。  児童生徒への教育の実施状況についてでございます。  県警察では、平成二十六年中、小・中・高生に対し、自転車安全教育を五百九十六回、延べ約八万一千人に実施しております。小学生に対しましては、基本的な交通ルールを習得させ、安全に自転車を利用して道路を通行することができるよう、安全確認の方法や道路の横断方法等についての教育を行っております。また、中・高生に対しましては、歩行者保護意識の醸成や正しい通行方法等に関する教育のほか、スタントマンによる交通事故再現や実際の事故事例を挙げるなどして、交通ルールを守らなかった場合の危険性を理解させるための教育を行っているところであります。  今後とも、学校等との連携を図りながら、児童生徒に対する交通安全教育を積極的に推進してまいります。 51 ◯教育長(古川仲二君)教育現場での交通安全教育の取り組みについてでございます。  学校では、授業において、危険予知トレーニングなど、交通事故を予測し回避する能力の向上に努めているほか、日々の教育活動において、機会を捉えて交通安全指導を繰り返し行っております。また、警察や交通安全協会と連携して実施いたしております交通安全教室では、校庭に模擬の道路や交差点を設け、自転車で運転させるなど、臨場感のある指導を行っております。  さらに、自転車運転者が加害者となる重大事故の社会問題化を踏まえ、悪質な運転者には安全講習の受講が義務づけられたことを受けて、信号無視や右側通行などの危険運転の禁止についても指導してきているところでございます。  県教委といたしましては、今後とも、日々の交通安全指導の充実や実効性のある交通安全教室を実施し、児童生徒の交通ルールの正しい理解とマナーの向上が図られるよう指導してまいります。 52 ◯県民生活局長(三角浩一君)自転車保険加入の促進についてでございます。  お話にもありましたように、全国的に自転車事故に伴う高額賠償を命じる判決が出される中、兵庫県では自転車保険加入を義務づける条例が制定されるなど、自転車保険への関心が高まっております。  本県におきましては、交通安全県民運動の重点項目として、自転車の安全利用を掲げており、街頭キャンペーンやチラシ配布などの取り組みの中で自転車保険への加入を促しているところです。  今年度は特に、自転車利用者を対象にした改正道路交通法や交通マナーなどに関する啓発資料を作成し、学校などへも配布することにしていますが、その中に保険加入の必要性なども盛り込むこととしています。  県としましては、自転車が加害者となることが多い歩行者との事故に備え、今後とも学校や自転車販売店などと連携して、自転車保険への加入促進を図ってまいります。 53 ◯企画部長(岩切剛志君)最終処分地に対する県の判断についてであります。  放射性廃棄物の最終処分については、五月に改定された基本方針に沿って、今後、国が前面に立って科学的有望地の選定などを行うこととなっておりますが、県としましては、安心・安全な食の供給基地を形成するとともに、観光の振興による地域の発展を目指しているところであり、鹿児島県において最終処分場を立地する意思がないことは現在も変わらないところであります。 54 ◯危機管理局長(永野 司君)原発再稼働に係る九州電力による住民説明会の開催についてでございます。  九州電力によりますと、これまで、川内原子力発電所展示館やホームページ、広報誌などによる情報発信に加え、訪問活動や発電所見学会等を実施していると聞いております。また、昨年十月二十九日に県が日置市で開催しました、川内原子力発電所に係る住民説明会におきましても、九州電力から、川内原発の安全確保に向けた取り組みにつきまして説明がなされたところであり、説明資料につきましては、県ホームページにも掲載しております。  県といたしましては、説明会の開催につきましては、九州電力において判断されることであると考えております。  避難計画検証のための再稼働前の訓練の実施についてでございます。  九州電力によりますと、現在、川内原子力発電所において原子力規制委員会による使用前検査中であり、最大限の人員体制で対応を行っていると聞いております。このため、使用前検査中は現実的に九州電力の訓練への参加が困難なことから、原子力防災訓練の実施時期につきましては、再稼働後を考えております。  今後、国や関係市町、関係機関と、より実効性の高い防災訓練が実施できるよう、日程や訓練の内容を調整したいと考えております。 55 ◯上山貞茂君 今、再稼働の後に訓練とおっしゃいましたけれども、年度内の可能性はあるんでしょうか。 56 ◯危機管理局長(永野 司君)先ほど説明いたしましたとおり、九州電力の使用前検査の間は物理的にできません。今のところ、使用前検査がいつ終わるかというところも見通せない状況でございますので、時期等については明確に申し上げることはできないところでございます。    [上山貞茂君登壇] 57 ◯上山貞茂君 ただいま回答いただきました。
     私は、暮らしと平和に全力投球、これをモットーとして、安心・安全なまちづくり、県民・市民が主役の思いやりのある社会を目指すことを公約にして当選いたしました。  今回、桜島火山の防災、降灰対策、行政サービスの充実、松くい虫と枯損木対策、自転車事故への対応、高レベル廃棄物最終処分場問題を取り上げました。いずれも、平和に安心して暮らすための課題だという認識をしております。  高レベル廃棄物処分場の問題については、実際上、世界ではフィンランドにあります、オンカロと呼ばれる施設のみです。世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の処分地です。二〇二〇年までに運用を開始し、その後百年間にわたり埋設処分に利用される予定となっています。施設が満杯になった後は、道を閉めて完全に封鎖する計画だと聞いています。  使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの半減期は二万四千年、生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるにはおよそ十万年の月日を要すると言われています。あくまでも地下深くに格納するだけです。放射能がなくなるわけでもなく、問題が解決するわけでもありません。  九州には阿蘇山、桜島、硫黄島、諏訪之瀬島のラインで火山が点在し、活断層があり、太平洋側には南海トラフもあります。地層は不安定だと考えます。そこをしっかりと押さえて、こういう処分場は日本にはつくれない。ましてや鹿児島には離島も含めてそんな場所はないというのが私の気持ちでございます。  県としても、農業県だから、観光振興だからではなくて、こういった土地、危険な地域だという認識を持った上で、国と接していただきたいと考えているところでございます。  避難計画についても、要支援者の搬送計画や被曝者への対応、学校における避難経路の確保、渋滞の検証、自治体職員、行政、我々県議も含めて、こういった行動計画はどうなのか、全く理解はできていないと思います。再稼働前が一番望ましいのですが、再稼働後も早急な計画を立てていただきたいと考えています。  政治は、私たちの生活に直接影響がある課題を議論しているのですが、選挙では無関心層と言われる方々が多く、投票率は年々下がっています。議会にもその責任の一端があるのではないかと考えます。県民にわかりやすい議論、納得のいく議会運営に心がけていく必要性を感じています。  国会でも、私たちの暮らしに相当影響がある議論をされています。現平和憲法に関する法案審議もされております。  六月四日、集団的自衛権の行使などを可能とする安保関連法案について、衆議院憲法審査会の参考人質疑で、出席した三人の参考人全員が憲法違反だという見解を示しました。そのうちの一人である慶応大学名誉教授の小林節氏は、「法案は憲法九条に違反する。九条一項は自衛のための武力行使はできると留保されているが、二項で軍隊と交戦権が与えられていないから、海外で軍事活動をする法的資格はない。その意味でこれは露骨な戦争法案だ」という指摘をしています。  集団的自衛権の行使を可能にする関連十一法案の論理的土台が崩れたにもかかわらず、菅官房長官は、「憲法解釈として法的安定性や論理的整合が確保されている。違憲との指摘は全く当たらない」とコメントしています。集団的自衛権の行使を憲法解釈で行うことの法的根拠は失われたと言っても過言ではありません。  一方、東証株価が二万円を回復し、既に日本経済は絶頂期に達しているかのように見まがう数字が躍っています。一方では、三月の勤労統計調査では、実質賃金は二・六%減と発表され、生活保護世帯は二〇一五年一月で百六十一万八千世帯、二百十七万人とふえ続けています。非正規労働者は二百万人を超え、その半数は年収二百万円未満となっています。  このような現状にありながら、政府は、労働者派遣法を変えようとしています。政府案では、働き手さえかえれば無期限で派遣労働者を受け入れることができるようになります。直接雇用や正社員への道を奪うもので、非正規労働者をますますふやすことにつながりかねません。あらゆる格差をなくし、暮らしを豊かにするための法案づくりの必要性を痛感しています。  現実を直視し、現場の意見を県政に反映する。これが我々県議の、そして国の責任だと思っております。私として精いっぱいその観点で取り組んでいくことをお約束し、私の質問を終わります。(拍手) 58 ◯議長(池畑憲一君)次は、大園清信君に発言を許可いたします。    [大園清信君登壇](拍手) 59 ◯大園清信君 去る五月二十九日の口永良部島の火山噴火で甚大な被害をこうむられた住民の方々にお見舞い申し上げ、一日も早く火山活動が終息し、被災者の皆さんがふるさとに帰れることを御祈念申し上げます。  国、県、町においては、火山活動の状況をしっかり観測し、調査する中で、安全確保を条件に、一時的に帰島できる体制もとっていただきたいと思います。  私は、燃える鹿児島心いやす県政を目指して、この四月の県議選を戦ってまいりましたが、大変厳しい選挙であったと思っております。今後は、県政での取り組みをもっと有権者に理解していただけるような取り組みをしながら、日々精進したいと気持ちを新たにしているところであります。  まず、教育行政について。  古川教育長におかれましては、新教育長就任を心からお祝い申し上げます。  さきの我が会派の代表質問において、教育長としての抱負をお伺いいたしました。子供たちを取り巻く教育環境は大変難しくなっています。また、学校現場における教職員の皆さんも大変なストレスの中で勤務され、時に心の病を発症する先生もおられます。教育長には、ぜひ子供たちや教職員のそれぞれの視点から現場を見ていただき、最良の教育が県内で展開されるようにお願いして、質問に入ります。  元鹿屋市立中学校校長の退職金返還についてであります。  私は医療に携わる医師です。医師の使命は、悪いものを治す仕事です。それは心も体も病んでいる人を治すことです。  学生時代にこんな言葉に出会いました。「自分が心から信頼できる友達に、もし一つの問題が生じて、百人のうち九十九人が正しいと主張しても、ただ一人、友達が間違っていると主張したら、その友達を信じてあげなさい。逆も同じです。百人の中で九十九人が間違いだと主張しても、ただ一人、友達が正しいと主張したら、その友達を信じてあげなさい。それが真の友です。しかし、その真の友とは、かねてからお互いを知り尽くし、お互いの信頼関係がなければ、いざというときには友達は守れません」という内容でした。  ところで、今議会に提案のあった議案のうちの諮問一件については、我々議員に大変重たい選択を求める大切な議案ですので、この諮問についての背景を紹介し、質問してまいります。  私は昨年二月、元校長先生と出会い、真剣なまなざしを見、現在の難しい子供たちに寄り添い、子供たちの心を開くことができる真の教育者との思いに至り、元PTAの方々と元校長先生の自分はセクハラはしていないとの思いに応えてあげたいとの思いでこの問題に取り組んできました。  この事件が明るみに出てからこれまで、元校長は、元教え子のことを思い、教え子の心に傷が残らないように最大限配慮した結果、校長の思いと反対に民事でセクハラ認定がなされ、元校長の元教え子に対する思いは踏みにじられた結果になりました。  元校長は、自信を持って刑事事件では不起訴になると信じ、なぜ民事でセクハラ認定がされたのか、自分の思いが通じなかったのは、自分のおごりと甘さがあったのではないかと話されています。  ただ、私も、元PTAの皆さんも、元女生徒を決して責めることはありません。むしろ、元女生徒は、この事件では蚊帳の外に置かれた被害者だとも思っています。  今回の事件で県教委は、民事の判断だけで司法が出した結果のみを重く受けとめ、今回の処分を決めていいのですか。民事は、あくまでも当事者間の二人にしか真相は知り得ないもので、確実な証拠もないまま、裁判での証言能力にまさるほうが勝訴するものではないかと思います。明らかな証拠も出せない元校長に新しい証拠を出せと言い、出せなければ、あなたはセクハラをしたと決めつけている県教委の主張です。あたかも、砂漠に行って水を探しておいで。なければ死しかありませんよというようなものです。  裁判で出された証拠が信頼に足りるものかどうかは、元女生徒のそれまでの学校での言動や母親の日々の生活、担任の生徒指導の態度を県教委みずから検証しなければいけないのではないでしょうか。それが、県教委が独自に調査するということではありませんか。見解をお伺いいたします。  皆さんのお手元に、今回の事件の経過を示した資料を配付させていただきました。後ほど、刑事事件や裁判の中での矛盾点を幾つか示しますが、元女生徒、母親、元担任の証言に刑事調書や裁判の中で多くの矛盾点を感じているのは、私一人ではないと思っています。  今議会に出された諮問は、一人の元校長の人権、生きる権利まで奪う大変な決定であることを議場内の皆様方に考えていただきたいのであります。  平成十九年に教育委員会は、国の指針を受けて、学校職員の懲戒処分の指針を出しています。平成十九年度から平成二十六年度までの間、教育委員会における教職員のわいせつ、セクハラ事件について。そして、その事件が明るみになった経緯、事件に対する本人の認否について示し、科せられた行政処分についてお示しください。  ところで、今回の事件は特異なケースと思われます。刑事事件で証拠に基づいて厳しい取り調べがなされた結果、二度にわたって不起訴となっております。しかし、原告は、損害賠償を求めて民事訴訟を起こし、一審においては、セクハラを認め、約千六百七十一万円の請求に対し、約六十七万円の支払いを命ずる判決が言い渡されております。  しかし、元校長は、事件が明るみに出てから、関係者に対しても、刑事事件、一審の民事訴訟においても一貫して無罪を主張しています。しかし、鹿屋市は、元校長のセクハラは一切していないとの悲痛な叫びにもかかわらず、控訴はしていません。確かに原告と被告は、元校長と元生徒、保護者の関係において争われているもので、鹿屋市教委が板挟みになったことは理解するものの、元校長の無実の訴えは、現職の教職員や生徒、保護者の今後の教育の信頼にかかわるものであり、心を鬼にしてでも控訴すべきであったと思います。なぜ鹿屋市は控訴しなかったのか、お示しください。  当然、控訴する、しないの段階で県教委にも相談があったものと思いますが、県教委のその際の判断と対応についてお示しください。  次は、元PTA会員の方からの便りです。  平成十五年、鹿屋市立中学校入学の前の年、中学校の実態を知れば知るほど恐ろしく、子供たちの将来に不安を覚えた。  平成十六年、うわさどおりの荒れた学校で、危機感を感じていた。  平成十七年、校長交代。四月、校長室に保護者三名、当時の中学校に関する要望を伝えに行く。成績は出してほしい。中間テストを行ってほしい。夏休み明けの実力テストを行ってほしい。フリー参観日を設けてほしい。元校長に学力の定着を第一にお願いした。私たちは、元校長を信じ、すがるような気持ちで救いを求めた。それまで胸に抱えていた大きな苦しみ、不安が解き放たれた瞬間だった。それから鹿屋市立中学校は見る見る明るさと活気を取り戻し、好転していき、開かれた学校となり、保護者からも意見を出せるようになっていった。  このように、元校長は中学校のために御尽力くださり、多くの保護者が感謝と尊敬の念を抱いている。私たちも、子供たちも数多くの先生に出会う。しかし、本当に信頼できる先生に出会えることはそう多くはない。その中で元校長は最も信頼と尊敬に値する先生であり、この信頼と尊敬は数多くの保護者が思っていることである。それは今も、そしてこれからも変わることはない。  このように、元PTA会員の皆さんは元校長の手腕を高く評価しています。  県教委は、この事案が発生した中学校は当時、生活指導面で困難を抱える学校であり、生徒指導に力量のある校長を求めるという地元教育委員会からの要望を受け、それに応えられる人材として当該校長を派遣したとのことであります。  ここで、今回の事件についての矛盾点を提示します。  元女生徒については、事件のあった平成十九年の四月から五月ごろ、昼休みに校長から校長室に呼ばれ、ソファーのところで十回くらい抱きつかれたと刑事事件や民事裁判の中で証言しています。それに対し、元同僚の先生、元PTA関係者は、校長室はいつもカーテンがあけられ、ドアも開かれており、校長室の中はよく見え、校長室はそんなことができる場所ではないと証言しています。  また、他の女生徒も元校長にセクハラを受けたとされておりますが、当時の女生徒の担任の調査で、セクハラの事実はなかったと判明しております。  また、元女生徒が鍵を紛失した事件については、当時の現状を知る先生方は、おかしいとの認識を持っています。  次に、セクハラを受けたとする場所は、元女生徒は木が茂って暗い場所と証言していますが、我々の現地調査では、周囲は畑で近くに民家もあり、車も往来する場所であった。  元女生徒の担任について、元担任は、校長室は校庭側のカーテンは閉められ、廊下側のドアは閉められていたと証言しておりますが、先ほど申し上げましたように、元同僚の先生、元PTAの関係者は、校長室はいつもカーテンをあけられ、ドアも開かれていたと証言しております。  また、元担任の体罰・いじめについて、元担任の生徒、保護者が証言しております。  元担任は、クラスの女生徒の頭を殴り、血がにじむ大きなたんこぶをつくる体罰を加え、そのことで当時の校長が同伴して謝罪に行ったが、反省の色は全くなかった。その場は校長に免じて許してもらったとのこと。しかし、その後、教諭はその生徒に対して、水泳の時間、生理中にもかかわらず運動場十周のランニングを命じるなど、いじめともとれるようなことをしていた。女子生徒への体罰に対しての校長の指導にみずからの反省はなく、逆に、担任は校長に対して不満を持っていたのではないかと言われています。  また、元女生徒の母親について、女生徒が校長室に出入りするようになった経緯を元学校関係者が以下のように証言しています。二年生三学期に元女生徒からある先生に、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━相談があった。(傍聴席で発言する者あり) 60 ◯議長(池畑憲一君)傍聴人は御静粛に。 61 ◯大園清信君 相談終了後に、女生徒が元校長先生のことを信頼していることを知っていたので、その先生は、校長先生に相談してみたらとアドバイスをした。その後、職員室側の入り口から校長室に女生徒が来ているのを見かけたので、相談しに来たんだなと思ったとあります。  以上、私は、これらのいろいろな矛盾点については、裁判記録、刑事記録、そしてまた当該のPTA、元教職員に対して調査を行ったものであります。  また、陳情・記者会見によって元PTAの方々の思いが述べられています。  陳情内容は、私たちは、この事件のありとあらゆる調査を全精力を傾けて行いました。これまで訴えてきた内容は全て事実・証言に基づく真実であります。私たち元校長を守る会の人々は、当時、問題校とされていた現場の関係者として、親も、教え子も、元同僚の先生たちも心底校長先生の潔白を確信しております。私たちは要請があれば、全て事の次第・事実を説明申し上げます。  この件に関して、県教委として刑事・民事裁判判決以上の責任を負わそうとしているのであるから、県教委として公平に徹底した原告側・被告側の独自の調査を行い、刑事事件以上の証拠を示さなければならない。この事件の背景の全容を明らかにするとともに、真相究明することを求めます。  また、昨年、記者会見におきまして、これまで県教委に対して真相究明調査をしていただきたいということで申し上げてきたが、一度も誠意ある回答はありませんでした。県教委の、私たちの意見に耳をかさない態度や、当時の学校の状況も十分な調査もせず元校長に対する処分を決定したことなど、極めて遺憾に思います。  これまで原告女生徒が未成年であったことから、最大限配慮して対応してきましたが、判断のできる大人になりました。  県議会へも真相究明を求める陳情書を第三回定例会に提出しましたが、プライバシーの問題もあることから取り上げていただけませんでした。  私たちは、当時の学校の異常な状況や生徒の複雑な状況、それに対して、正常化へ向けて一生懸命に取り組んできた元校長の無実を信じております。  私たちは、ここで報道関係の皆様に御理解をいただき、当時の関係者がしっかり声を上げることで、本当にあった学校教育現場の実態というものを御理解いただき、県教委の皆様に再度、県教委が掲げる、心の通う教育の実例を示していただきたいと願うものです。  以上のとおり、元PTAの方々は述べておられます。  県はこれまで、元PTAや我々会派の議員の疑問に対し、誠実な対応をされていません。  また、元PTA関係者が昨年第三回定例会に提出した、鹿屋市立中学校元校長のセクハラ問題についての陳情に賛同する約千五百名の署名が集まっています。この署名は、関係者が一人一人に対面してセクハラ事件を説明して、署名への同意をもらっているとのことです。この約千五百名の署名の重みと元PTAの県教委に対する悲痛な訴えを県教委はどのように認識しているのか、お示しください。  元校長は、退職金返還命令に対して、自分は無実であるから返還しないとしています。その不服申し立ての内容についても見せていただき、それに対する県教委の意見も見せていただきましたが、県教委は、裁判でのやりとり以上の調査は何もしていないと思います。なぜ県教委独自の調査もしないで元校長に退職金を返せ返せと言っているのか。誠意が感じられません。  民事はあくまでも当事者間の事案であり、どちらも明白な証拠を出せるはずもありません。多くの客観的事実に照らして、多くの関係者の聞き取り調査等あらゆる証拠に基づいて、徹底した厳しい取り調べがなされた刑事事件において、二度にわたって嫌疑不十分として不起訴となっています。刑事事件における不起訴の重みをどう考えているのか。  また、民事事件において元校長のセクハラ認定がなされていますが、県教委のどのような調査内容と裁判のどのような証拠内容が合致して今回の判断を下すに至ったのか、県教委の判断について説明をお願いいたします。  今議会に提案のあった議案のうちの諮問一件について、改めてお伺いします。  諮問第一号は、退職手当の返納を命ずる処分についての審査請求について県議会の意見を求めるもので、審査請求の趣旨は、処分庁─県教委─が平成二十六年二月十二日付で審査請求人に対して行った退職手当の返納を命ずる処分の取り消しを求めるものです。  私は、昨年二月末に複数の元自民党同僚議員から、鹿屋市立中学校における元校長セクハラ事件について相談を受け、当時の関係者や刑事事件、民事訴訟の多くの資料を参考にする中で、この事件の本質が従来のわいせつ、セクハラ事件とは異なるものであるとの認識に至り、これまで元校長を支援してきた一人として、この問題についてしっかり対応していくことが議員の責務であると思っています。多くの私の支援者からは、「余計なことに首を突っ込むな、自分の損になることは口出しするな」とも言われました。しかし、一連の事件の経過の中で、また、審査請求がなされてからの県教委の対応に納得できるものではありません。  県教委は、この事件が平成二十四年十月二十二日、最高裁が原告の上告を上告審としてなじまないとして受理しないとして却下し、そのことによって控訴審判決が確定したことを受け、種々の手続を経て、平成二十六年二月十二日付で退職手当返納命令書を発しました。  これに対し、平成二十六年四月三日、請求人は、本件処分に対して審査請求を行ったもので、約一年の審査の末に、今回審査庁は、審査請求を棄却するとの裁決を出して、議会に意見を求めているものです。  この議案については委員会で詳しく議論されることになると思いますが、二点、処分庁、審査庁にお伺いします。  まず、県教委は、司法の判断─民事の判断─をよりどころに元校長を処分しようとしていますが、教育委員会はみずから独自の調査もせずに、セクハラはしていないと八年の長きにわたり無実を訴える元校長に対し、民事訴訟判決以上の重荷を負わせようとしていることに対し、見解を求めるものです。  また、審査庁は、請求人から審査請求を受けて、処分庁と請求人から出された具体的な弁明書や内容説明に基づいて、さらには実際の聞き取り等もなされて審査されていると思いますが、どのような審査をされたのかお示しください。  一人の人権や生きる権利まで奪う大変な決定を求めている問題でありながら、ほとんど事件の内容もこれまでの経緯も説明することなしに議会に意見を求めることに対して、審査庁の認識を問うものであります。 62 ◯教育長(古川仲二君)順次答弁させていただきたいと思います。  まず、県教委の独自の調査についてでございます。  事案発生当時、県教委の指導のもと、学校設置者であり、服務監督権者である鹿屋市教育委員会が平成十九年九月から十月にかけて、元校長に対して三回、保護者に対して二回、教頭や担任の教諭等に対して四回など、少なくとも九回の調査を行っており、この調査結果を取りまとめ、作成した事故報告をもとに、県教委としても、元校長本人への事情聴取を行ったところであります。  今回の返納命令処分については、元校長のわいせつ行為を認めた司法の判断を重く受けとめて行ったものであり、必要な手続を進めるに当たっては、本人の聴聞を実施し、意見陳述、証拠書類等の提出や質問等の機会を設けており、事案発生当時を含め、調査が不十分だったとは考えていないところでございます。  なお、当初調査における把握内容は、裁判において原告、被告双方が主張、立証したそれぞれの内容と特に異なる点は見られなかったところでございます。  次に、わいせつ、セクハラに係る懲戒処分についてでございます。  平成十九年度から二十六年度までに、わいせつ及びセクハラ事案により懲戒処分を行った件数は十九件であり、処分の内訳は、免職十三件、停職三件、減給三件であり、いずれの事案も本人は当該行為を認めております。また、事案の発覚の経緯は、警察による逮捕・検挙等が七件、被害者からの相談等が十二件であります。  次に、鹿屋市の控訴についてでございます。  鹿屋市は、学校設置者として裁判に臨んでおり、元校長が鹿屋市が設置している中学校に勤務していたことや部活の副顧問であったことなどの客観的事実を認めているのみで、わいせつ行為そのものについては不知、つまり、知らないという立場をとっており、当該行為の認定については争っていなかったと聞いております。  控訴しなかったことにつきましては、訴訟当事者である鹿屋市が判断されたものであり、その判断について県教委として言及することは差し控えたいと存じます。  次に、署名の重みについてでございます。  昨年九月、元校長を守る会代表から県議会に提出された陳情書の内容や、その陳情書に署名が添えられていたことについては承知いたしております。  教職員にとりまして、生徒、保護者から信頼されることは非常に重要なことであると考えておりますが、信頼を裏切る行為が認定されるに至ったことについては、まことに残念でございます。  次に、不起訴の重みについてでございます。  二度の不起訴処分は、嫌疑不十分としての行政庁の判断であり、刑事事件における司法の判断が示されたものではなかったと考えております。  なお、その後の民事訴訟において、元校長のわいせつ行為があったと認定されたものであり、県教委といたしましては、この民事訴訟における司法の判断を重く受けとめ、懲戒免職処分に相当する行為があったと認めて、返納命令処分を行ったものでございます。  次に、県教委の調査と民事訴訟の証拠の合致についてでございます。  県教委の当初調査における事情聴取等によって把握した内容と、訴訟において双方が主張等を行った内容には、特に異なる点は見られなかったところであり、その後の民事訴訟の判決でわいせつ行為が認定されたところでございます。  今回の返納命令処分は、最高裁の決定により確定した判決で、わいせつ行為が認定されたことを重く受けとめ、退職手当の返納を求める手続を行ったものであり、処分の検討に当たりましては、本人の聴聞を実施し、本人の意見陳述、証拠書類等の提出や質問等の機会を設けた上で、人事委員会への諮問を経て、平成二十六年二月十日の教育委員会定例会において、当該処分を行うことについて議決したものでございます。  なお、元校長を当事者とする聴聞におきましては、元校長からは、わいせつ行為を否定する新たな事実は出されなかったところでございます。
     次に、無実を訴えている元校長への処分についてでございます。  県教委としては、元校長がわいせつ行為を一貫して否認していたことなどから、当時、わいせつ行為を認定するだけの確証が得られず、在職中には免職等の懲戒処分を行わなかったところでありますが、その後の最高裁の上告棄却決定により確定した判決において、わいせつ行為が認められたことを重く受けとめ、今回の返納命令処分を行ったところでございます。 63 ◯総務部長(寺田雅一君)退職手当返納命令処分に対する審査請求の審査の経過等についてでございます。  審査請求の審理は、行政不服審査法の規定に基づき、書面等により行うこととされているところであり、本件につきましては、昨年の四月三日付で知事に対して審査請求が行われた後、処分庁である県教育委員会からは弁明書が、請求人からは反論書がそれぞれ二回ずつ提出されたところでございます。また、同法の規定に基づく請求人からの申し出を受けまして、直接口頭で意見を述べる機会を設けますとともに、証拠書類の提出を受けたところでございます。  審査庁といたしましては、県職員退職手当支給条例に基づく退職手当の返納命令処分に関し、処分庁の判断が違法、不当なものでないか。また、本件処分を行うに当たっての手続が適正になされたかについて判断することとし、これまで、書面等による双方の主張及び提出のあった証拠書類などを審査してきたところでございます。  給与その他の給付に関する処分についての審査請求があった場合は、地方自治法二百六条に基づきまして、審査庁は、議会に諮問してこれを決定しなければならないとされております。また、議会は、諮問があった日から二十日以内に意見を述べなければならない旨規定がございます。  審査庁といたしましては、今般、本件審査請求についての裁決案がまとまりましたことから、地方自治法に基づき、今定例会に諮問を行ったところでございます。  審査請求について、審査庁の案がまとまっていない段階で事案の内容や経緯などを議会にお示しするということは難しいと考えております。 64 ◯大園清信君 自席から、教育長に一点だけお伺いします。  セクハラをしていない者に対して、その確かな証拠を出しなさいと、これには少し無理があるんじゃないかと。恐らくセクハラをされた方に、あなたがセクハラをされたという確かなその証拠を出しなさいと、当然お互いに無理があるわけです。それならば、鹿屋市教委や県教委は、原告、被告の事件背景にあらゆる角度から調査することが私は本来のあるべき姿だと思いますが、いかがでしょうか。 65 ◯教育長(古川仲二君)先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもといたしましては、学校設置者である市教委からの事故報告に基づきまして、本人や関係者等々の事情聴取等々を繰り返しまして、事実確認も行ったところでございますが、当初においてはその確証を得るに至らなかったということでございまして、最終的に最高裁判所において棄却が決定されて、確定された判決において元校長のセクハラ行為が認定されたと、その事実を極めて重く受けとめまして、今回の返納処分という処分に至ったところでございます。    [大園清信君登壇] 66 ◯大園清信君 後もって、この問題については私の思いを述べさせていただきます。  次に、保健・福祉行政についてお伺いします。  医師の地域並びに診療科の偏在についてであります。  新臨床研修医制度が始まり、医師の都会志向に拍車がかかり、それに伴い、地方の医師不足が深刻となり、地域医療を維持するのが困難となっています。しかし、各都道府県行政や医師会等の努力によって地域枠が拡大され、少しずつ地方に残る医師が確保されるようになってきています。ただ、現状にあっても、医師の地域並びに診療科の偏在は解消されていません。私も医療に従事する一人として本県の現状を評価する中で、地域並びに診療科の偏在については大きな課題が残っていると思います。  医師の地域偏在については、二次医療圏ごとの拠点病院をしっかりと定め、その病院に十分な医師を確保し、地域住民が不安のない拠点病院づくりを行うことが必要と思われます。県における拠点病院の考え方と、拠点病院の現状の課題と課題への対応についてお伺いします。  例えば大隅地域にあっては、その中心となるのは鹿屋医療センターと大隅鹿屋病院であるのは異論のないところであります。特に、鹿屋医療センターの医療の充実を図ることが求められております。鹿屋医療センターに求められている診療科として現在不足している診療科を示し、どのような対応をされているのかお示しください。  次に、県内一円にわたって、少子化対策に必要な産科医師の不足、そして、産科、小児科の地域偏在が言われています。産科、小児科の地域の現状についてお示しください。  また、県内の産科医師不足が指摘されていますが、産科医師確保のための具体的な施策についてお示しください。  次に、救急医療体制についてお伺いします。  本県においては、隣県熊本県の日赤病院、済生会病院のように、一次から三次まで同一施設で医療を完結する医療機関がないために、一次、二次、三次病院の連携がスムーズになされることが大切です。特にこの二、三年の間、鹿児島市立病院や複数の民間病院が病院を新築し、高度医療を展開するようになってきており、ハード面においてはほぼ整備がなされているものと思います。ただ、救急医療に携わる医師として本県に強く望むのは、一次、二次、三次の連携システムを早急に、そして使い勝手のよいシステムを構築することが何よりも求められています。  そこでお伺いしますが、行政として、大学病院、医師会と協議して、一次、二次、三次のシステム化を構築することを検討することが必要と思いますが、見解をお伺いします。  システムづくりを医師会任せにするのではなく、行政が県内や鹿児島市の現状を客観的に評価し、体制づくりの牽引役となることが大事だと思いますが、その心構えについてお伺いします。  次に、本年度から精神科救急が二十四時間・三百六十五日体制になると聞いていますが、どのような取り組みを行うのかお示しください。  次に、感染症対策についてお伺いします。  医療の最後の戦いは感染症と言われています。昨年から、致命率の高いエボラ出血熱の流行がアフリカで続いており、世界を震撼させています。本県においてはこれまで、患者受け入れ可能となる第一種感染症指定医療機関がなく、今後、鹿児島大学病院を指定する予定と聞いていますが、進捗状況についてお示しください。  今回、再びMERSが韓国で発生したことを受けて、MERSに対しての情報を県民にわかりやすく知らせる必要があると思います。MERS対策について、現在、保健所、感染症指定医療機関や検疫所等と連携して対応を進められていると思いますが、県の対応についてお示しください。  次に、障害児の医療体制についてお伺いします。  県や市町村では多くの障害児施策を進めています。例えば鹿児島市では地域の幼稚園や保育所において、障害児の受け入れ促進を図るための幾つもの事業を展開しています。特に、発達障害児のための就学前早期療育に積極的に取り組んでおられることに対しては、敬意と感謝を申し上げます。  ところで、現在、発達障害児に注目が集まり、肢体不自由児や重症心身障害児の対応のおくれが指摘されています。これらの障害を持つ保護者の方々には、鹿児島市へ診療機能を持つ発達支援センターを設立していただきたいとの強い希望があります。私も同じ気持ちです。ぜひ思い切った施策を鹿児島市に求めたいと思います。  まず、現在、県下における障害児の受け入れ医療体制の中で、特に本県で弱いとされている肢体不自由児、重症心身障害児の受け入れ医療体制についてお示しください。  さらに、私は、障害児を持つ家族の方々が現在不安に思っているのが、障害児の急変時の専門的対応病院がないことだと伺っています。私もそのように思っております。  そこでお伺いしますが、障害を持つ子供たちの急変時の対応は現在どのようになっているのか、お示しください。  ここで提案ですが、例えば、鹿児島市立病院は高度な医療機関として機能していますが、特に難しい疾患、障害を持つ子供さんは市立病院等に登録し、急変時は市立病院等で診療できる体制ができないか、お伺いいたします。  次に、土木行政についてお伺いいたします。  まず、山田インターのフルインター化については要望にかえさせていただきます。  さきの我が会派の代表質問の指宿有料道路の改修についての質問に対し、土木部長は、「山田インターのフルインター化については、インターの形状や料金所の設置位置などを、またETC設置については管理システム等の検討を進めている。これらの改修には約百九十億円の事業費を見込んでおり、また維持管理にも一定の財源が必要となることから、有料道路事業の料金徴収期間を二十五年間延伸したいと考えている。今後とも、事業主体となる道路公社と連携を図りながら、国と協議を進め、本年中に事業計画を取りまとめたいと考えている」と答弁されています。  山田インターのフルインター化、ETC設置などについて前向きに検討されている旨の発言には心から感謝いたします。ただ、高額な事業費約百九十億円と料金徴収期間二十五年間の延伸については、前もって地元議員には説明をしてほしかったと思います。  六月十日、谷山北部地域を考える会が開催されました。当然に、山田インターフルインター化を含めて、山田インターチェンジ周辺の地域まちづくり構想の議論があったところです。今後は、地元にとって山田インターフルインター化の問題は、接合する県道入佐鹿児島線の整備も含めて議論されなければなりません。北部地域のインフラ整備の情報については、地元議員へは特段の計らいをお願いしておきます。  次に、県道二百六号の整備についてお伺いします。  平成二十四年の九月議会において、土木部長は、県道徳重横井鹿児島線の改良について答弁されていますが、「県道徳重横井鹿児島線の早馬峠付近については、道路改良のルート検討を進めているところです。同路線においては、現在、横井工区において整備を進めているところであり、同工区の進捗状況を踏まえながら、早馬峠の整備について検討しております」と答弁されています。  現在、横井工区は整備が進んでいますが、当初の計画よりかなりおくれており、また、事業計画に横井交差点の改良が含まれていません。地元代表が交差点改良を振興局に要望書を提出していると聞いています。私も現場を見るとき、どうして交差点改良まで計画されなかったのか疑問に思います。交通量が多いこの地域では、雨の日に歩行者が傘を差して通れる状況にはありません。歩行者の安全を確保するためにも、早急に横井交差点までの改良計画も進め、現整備と一体化した整備計画にしていただき、当初のおくれも踏まえて対応していただきたい。  また、早馬峠については、地元の地権者や小野区画整理組合も協力する旨の同意をいただいておりますので、ルート検討を急ぎ、ルート決定を早急にしていただきたいと思います。見解をお伺いいたします。  次に、マリンポートかごしま・旧南港の整備についてお伺いします。  マリンポートかごしまにつきましては、本年四月から救急ヘリポートが運用され、防災拠点として、また市民の憩いの場として緑地ゾーンが今後整備されると聞いていますが、今後の整備計画についてお示しください。  また、旧南港につきましては、かねがねお願いしている環境整備がなかなか進んでいません。平成二十三年十二月の地元紙に、鹿児島港の旧南港について、「金属くずを扱う民間三社が同港からの移転に合意したことが、八日わかった。これにより、同港の県有地にある全ての事業所の移転にめどが立ったことになる。県と三社は今後、移転の場所や時期について交渉する」と掲載されました。  また、平成二十四年第三回定例会の私の質問に対し、部長は、「旧南港においては、さまざまな港湾活動が行われ、商業地や観光地としての景観にはそぐわない状況もあると認識しております。このことから、旧南港を使用していた砂・砂利取り扱い事業者二社及びスクラップ取り扱い業者三社と協議を行い、砂・砂利取り扱い業者については、平成十七年度に移転していただいているところでございます。残るスクラップ取り扱い業者三社については、多額の費用負担が困難などの理由により、移転の時期に関する合意には至っておらず、引き続き協議を行っております。県としては、引き続き、スクラップ取り扱い業者と移転に向けた協議を進めてまいりたいと考えております」と答弁されています。しかし、三年以上経過してもなかなか改善されません。  県は、事業者に、どのような指導をしてきたのかお示しください。  最後に、行政処分についてお伺いします。  昨年末、土木部が行った指名停止のあり方についてお伺いします。  私は、昨年十二月地元紙に掲載された記事について大変な憤りを覚えています。取材に来た二人の記者の意図が何だったのか。マスコミの報道のあり方としていかがなものかと思っています。  さて、指名停止については、昨年、執行部にお願いもしましたが、警察情報だけで措置を決めるのではなく、当事者からも意見聴取して、総合的に措置を行うのが指名停止のあり方だと思いますが、見解をお伺いいたします。  また、今回の問題で、公務員の守秘義務はしっかり守られているのか疑問を持っています。県職員の守秘義務についてはどのような対策をされているのか、お示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 67 ◯知事(伊藤祐一郎君)拠点病院についてお尋ねがございました。  限られた医療資源を有効に活用し、地域における医療提供体制を確保するためには、一定の機能やマンパワーを集約させた拠点病院を二次医療圏ごとに整備することが有効な方法の一つであると考えているところであります。  一方、新臨床研修制度によります研修医の県外への流出や医師の労働環境の悪化などの影響によりまして、地域の拠点病院におきましても医師の確保が困難となっている現状を踏まえますと、まずは医師の絶対数を確保することが急務であり、県としては、いわゆる地域枠を含む医師修学資金の貸与や臨床研修医の確保、医師の勤務環境の改善など、総合的な医師確保対策に引き続き取り組み、地域における医療供給体制の確保・充実を図っていきたいと考えております。 68 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)鹿屋医療センターで不足している診療科についてでございます。  鹿屋医療センターにおいて、地域の医療ニーズや医療サービスの現況を踏まえ、不足していると考える診療科は、大隅地域に入院施設のない現在休診中の耳鼻咽喉科を初め、現在の診療体制では十分な医療提供ができていない消化器内科、麻酔科、産婦人科などであります。このうち消化器内科や麻酔科は、常勤医師に加え、鹿児島大学等からの応援医師により対応している状況であります。  医師確保対策としては、鹿児島大学への派遣要請を初め、保健福祉部におけるドクターバンクや民間医師紹介業者等の活用、さらに、ホームページ等による全国公募を行っております。  県立病院局としましては、このような取り組みにより、不足する医師を確保し、さらなる診療体制の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。 69 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)産科、小児科の地域の現状と産科医確保対策についてであります。  本県の出生千人当たりの産科医数は九・五人でありまして、全国の十・五人より一・〇人少なく、同じく小児人口一万人当たりの小児科医数は七・六人でありまして、全国の九・九人より二・三人少ない状況にあります。  また、二次医療圏ごとの産科及び小児科の医師数につきましては、いずれも、鹿児島医療圏以外の全ての医療圏で全国平均を下回っておりまして、最大の鹿児島医療圏と最小の曽於医療圏の格差は、産科で約九・二倍、小児科で約三・四倍となっております。  県では、産科医や小児科医の過重な負担を軽減するための勤務環境改善のほか、産科や小児科等の専門研修を受ける医師に対する研修奨励金の支給などを行うことによりまして、産科や小児科の医師の確保に努めているところであります。  救急医療体制についてであります。  県内の一次救急から二次救急、三次救急の連携システムの構築につきましては、救急医療需要の増加や受け入れる医療機関側の体制不足などが課題として考えられます。  このような中で、県では、第二次救急医療を担います共同利用型病院の運営費の支援などを行っておりますほか、昨年、鹿児島大学病院と県立大島病院を救命救急センターとして指定し、第三次救急医療体制を充実・強化したところであります。  また、救急医療の評価、検証等を適切に行うことは重要なことであると考えておりまして、救急災害医療対策委員会、救急業務高度化協議会、ドクターヘリ事後検証部会などさまざまな協議の場において行っているところであります。  今後とも、先ほど牽引役というお話もいただきましたけれども、行政機関、医師会、大学病院など関係者の御協力をいただきながら、救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。  精神科救急医療体制についてであります。  県では、夜間、休日等に精神疾患患者及び家族等からの医療相談に対応いたしますため、県内の精神科病院に輪番で電話相談窓口を設置し、精神保健福祉士等が専門的な支援、助言を行うこととしております。また、精神科救急地域拠点病院を県内に二カ所指定いたしまして、県立姶良病院と連携して、かかりつけの病院や休日等の当番病院が対応困難な精神疾患患者の救急医療に対応することとしております。  このような相談・医療体制を整備することによりまして、これまでの休日等の輪番制による当番病院とあわせまして、今後は二十四時間・三百六十五日対応可能な精神科救急医療体制が整うものと考えております。  県といたしましては、今後とも、県立姶良病院を中心に、精神科病院協会や医師会等と連携し、精神障害者等が安心して地域で生活できるよう精神科救急医療体制を充実してまいりたいと考えております。  第一種感染症指定医療機関の指定等についてであります。  エボラ出血熱など危険性が極めて高い一類感染症の患者につきましては、いわゆる感染症法によりまして、都道府県知事が指定する第一種感染症指定医療機関などが入院治療を行うこととなっておりますが、県内にはその施設基準を満たす医療機関がありませんでしたので、指定に向けまして、鹿児島大学病院と協議を行ってきたところであります。  その結果、昨年のエボラ出血熱の流行や、今後、海外との交流人口の増加が見込まれることなども踏まえまして、今年度中の指定を目指して、同病院に、一類感染症の特性に応じた病室や排水処理施設等を整備することで協議が調ったところであります。現在、同病院におきまして、これらの施設設備の整備に向けた作業を行っていると聞いております。  中東呼吸器症候群─MERS─対策の県の対応についてであります。  MERSは、平成二十四年九月以来、アラビア半島諸国を中心に発生が報告されまして、本年五月には韓国において発生し、特定の医療機関を受診した患者を中心に感染が拡大しております。  現在、国におきましては、中東地域に加えまして、韓国からの入国・帰国者に対する検疫体制を強化するとともに、MERS疑い患者が国内で発生した場合の暫定的対応を示して、都道府県等へ通知したところであります。  県におきましては、医療機関等へ、疑い患者の定義、検査体制や院内感染対策等の情報提供を行いますとともに、県ホームページにMERSに関する相談・連絡窓口やQ&A等の情報を掲載したところであります。また、今月九日には、MERS対策に関する情報の共有と疑い患者への対応などにつきまして、県医師会、検疫所、第二種感染症指定医療機関等と意見交換を行ったところであります。  肢体不自由児、重症心身障害児の医療体制についてであります。  肢体不自由児につきましては、鹿児島大学病院や鹿児島市立病院を中心に診断や手術が行われておりまして、これらの医療機関との連携のもと、地域の脳神経外科や整形外科等の医療機関におきまして、継続的な治療あるいは回復期リハビリテーションを行っております。また、こども総合療育センターにおきましても、成長段階に応じた維持期リハビリテーションを行っております。  重症心身障害児につきましては、国及び県が指定いたしました三カ所の施設等におきまして、入所児童に対して、障害の特性に応じた専門的な医療やケアが提供されておりまして、地域の医療機関におきましても、その医療機能に応じまして専門的な診療やリハビリテーションが行われております。  障害児の急変時の対応についてであります。  障害児等の急変時の医療体制につきましても、かかりつけ医が一次医療を担っておりますが、かかりつけ医が対応困難な場合は、地域の二次救急医療機関の鹿屋医療センターなどや三次救急医療機関の鹿児島大学病院、鹿児島市立病院と連携して対応しているところであります。  障害児等の急変時の対応につきまして、先ほど登録制という御提案もいただきましたけれども、通常は、医学的知識は乏しくても、やはりその保護者がどう変わったかというのは一番知っているかと思います。さらに、日ごろからその疾病の特性等を十分把握しているかかりつけ医、まずはそこを受診し、かかりつけ医の判断のもとで、二次・三次救急医療機関と連携して対応するのが基本ではないかと考えております。  県といたしましては、小児の在宅医療を推進いたしますため小児在宅医療推進会議を開催しておりまして、その場を活用して、鹿児島大学病院や鹿児島市立病院などと、かかりつけ医とのさらなる連携を促進してまいりたいと考えております。 70 ◯土木部長(久保田 一君)県道徳重横井鹿児島線の整備についてであります。  県道徳重横井鹿児島線の横井地区につきましては、未改良となっている五百四十メートルのうち、特に幅員が狭く急カーブの続く三百五十メートル区間につきまして、横井工区として平成二十一年度から整備を進めております。これまでに用地買収を終え、現在、橋梁工事や道路改良工事を行っているところであります。  残る横井交差点を含む区間の整備につきましては、未改良ではあるものの見通しもよいことから、事業中箇所の進捗状況や優先度を踏まえながら、今後検討してまいりたいと考えております。  また、早馬峠付近につきましては、これまで、隣接する小野土地区画整理事業区域内を通るルートや同区域を迂回するルートについて検討してきたところであります。同区画整理事業につきましては、当初計画の平成十六年度から二十三年度までの施工期間を十年間延伸したものの、いまだ工事着手に至っていない状況であり、また、同区域を迂回するルートにつきましても、関係者の了解が得られていないなどの課題があります。  いずれにしても、県道徳重横井鹿児島線につきましては、まずは事業中の横井工区の整備を進めることとしており、早馬峠の整備につきましては、その進捗を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。  マリンポートかごしまの緑地整備計画についてでございます。  マリンポートかごしまにつきましては、大型観光船埠頭とあわせて、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備を進めるとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用することとしております。これまで、一期二工区におきまして、多目的な利用が可能な芝生広場や子供たちが水と触れ合うことのできる親水広場、散策やジョギングを楽しめる一周一キロメートルの園路、救急搬送に使用するヘリポートなどの整備を進めてきているところであります。  このうち、ヘリポートにつきましては、四月に供用を開始したところであり、親水広場などヘリポート周辺部につきましては、来月中の供用開始を予定しております。残る芝生広場や園路などにつきましても、早期の供用に向け、今後とも整備推進に努めてまいります。  鹿児島港旧南港区の環境整備についてでございます。  鹿児島港旧南港区周辺につきましては、県としても、観光地としての景観にそぐわない状況にあると認識しており、これまでも、スクラップ取り扱い事業者三社と移転について協議するとともに、景観に配慮した沿道の植栽や歩道の整備を行うなど、環境対策に取り組んできたところであります。  事業者との協議につきましては、平成二十四年以降も、企業活動の状況や移転に伴う負担を聞き取るなどして早期の移転に向け取り組んでおりますが、いまだ合意に至っていないことから、引き続き、当該事業者と協議を継続してまいります。
     建設業者に対する指名停止についてでございます。  県におきましては、県が発注する建設工事等の適正な施工を確保するため、県建設工事等有資格業者の指名停止に関する要綱を定めております。また、県と県警察本部は、県が行う契約等からの暴力団排除に関する合意書を締結しており、県警察本部は、暴力団排除措置の対象となる業者が県の契約等の相手方となっていることを認めた場合は、速やかに県に通報することとなっております。  県としては、この通報があった場合、当該業者が同要綱に規定する措置要件に該当するものと判断し、指名停止を行っているところであります。 71 ◯総務部長(寺田雅一君)県職員の守秘義務につきましては、新規採用職員研修、係長や課長補佐、課長等の各階層の研修におきまして、地方公務員法に定めのある守秘義務を含む公務員倫理の科目を設けておりますほか、年度当初や年末において全ての所属長に対し通知を行うなど、職員に対する指導の徹底に努めているところでございます。    [大園清信君登壇] 72 ◯大園清信君 保健福祉部長にお願いしておきます。  重症心身症の患者さん、子供さんというのは夜間とか日曜・祭日に急変するのであって、そういうときにかかりつけの開業医があいていれば問題はないんですけれども、そういうときのために高度な医療機関と登録制をしたほうがいいんじゃないかということですので、今後検討していただきたい。  先ほど土木部長は、今回、指名停止の問題を言われましたけど、私が質問したのは、とにかく総合的に当事者からも聞くのが本来のあり方だということを言っておりますので、再度、そういったものも含めて、警察情報だけじゃなくて、総合的に判断するのが本来の姿だと思っておりますので、また今後の課題にしていただければと思っております。  教育問題、古川教育長には、当時、当事者でなかった教育長に質問をぶつけること自体、大変心苦しい思いなんですけど、ただ、今回のこの問題というのは、初動対応に大きな問題があったと。私は、こういう本当に悩ましい問題は、本来は関係者において解決されるべき問題だと思います。  そういう意味で、今回このような大変厳しい選択を我々議会に求めている以上は、この初動対応がどうであったのかというのも、教育委員会は、今後、みずからもどうやったほうがいいのかは検討していただかないと。ただ司法判断、司法判断と、こういう民事で判決が出ましたと、しかし、本人は実際はやっていないという中で今回みたいな判断を下すというのは、それでいいのかなと。  私もいろいろ弁護士等にも聞いたけれども、司法判断だけによること自体、ちょっと問題があるのではないかという方も多いですので、私は、市教委あるいは県教委、もう少し我々が求めている内容については真摯に、きょうも関係者のPTAの方も来ておられますけれども、その思いというのは、こういう方々に対して今回このような判断を下すことは、私は、鹿児島県の県政史上に大きな禍根を残すことになるんじゃないかということも危惧しておりますので、大変難しい問題だと思うんですけど、慎重には慎重を期していただきたいと。我々県議会議員も、そのような中で一つの判断を委ねられて大変困っていることもわかっていただきたいと思います。  いろいろ話をしてきましたけれども、今回、教育問題、大変難しい問題ですけれども、また委員会の中でしっかりこの問題については深めていきたいと思っております。  今後また、ますます県勢が発展することを祈念いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)(「議事進行」と呼ぶ者あり) 73 ◯まつざき真琴君 ただいま、大園議員の一般質問の発言の中で、本事案と関係のないことでプライバシーを侵害する発言、事実と違う点や人権を侵害すると思われる表現がありました。その部分の削除を求めます。  もう一点、議長にお願いいたします。  本日、議場に配られた資料、この二枚のペーパーは議長の許可を得て配られているものです。その冒頭に、今申し上げたような、事案に関係ないプライバシーの侵害と思われるものが表記されている点。もう一つ、事実と違うことが述べられている点、二ページの三行目、「校長は教頭が謝罪したことに対して激怒」とありますが、これについては、一審でも控訴審でも判決の中で、「被告本人による尋問の結果、原告は、教頭及び担任教諭が原告方に謝罪及び報告に出向いたことを知ったが、両名に対し、特段異議を述べることはなかった」。こういうふうに判決でなっており、これは本人の尋問によってこういうふうに一審でも、控訴審でも書かれており、この激怒とは全く事実と違うことであります。  それともう一点、十六に、十月九日の臨時職員会議について、「事件については否定」とありますが、ここには書かれていないことで、九月二十七日、教職員の緊急集会があって、これには元校長は出席せずに、これについても異議を唱えなかったということが判決の中で述べられている。これも本人への尋問の結果です。  また、書かれていないことで、その前日に元生徒の両親が元校長を訪ねて事実経過について問いただしたところ、本件告白の内容を明確に否定したり、弁明したりするようなことはしなかったと、これも本人への尋問の結果です。  よって、この二枚のペーパーというのは、表題を事件の経過としていながら、大園議員が元校長を擁護する立場で、事実について都合のいいことを書き、都合の悪いことは書かないという中身ですので、これについては、この事件の経過としてこの資料が出されたということについて非常に不適切だと考えますので、許可をした議長の権限でこれを回収していただきたい。そういうふうに要請いたします。  以上です。 74 ◯議長(池畑憲一君)ただいまの大園清信君の発言につきましては、当席への要望と思われますので、この取り扱いにつきましては、後刻精査の上、検討いたしたいと思いますので、御了承をお願いを申し上げ、引き続き……(「議長」と呼ぶ者あり) 75 ◯まつざき真琴君 発言についてはそれで結構です。  ただ、この資料については、この議場を出てしまうとこれが公になってしまうおそれがあります。であれば、ここで回収していただいて、議長のほうで精査していただいて、これが事件の経過としての資料として適切であると判断されれば、再配付をする。そういう取り扱いをお願いしたいと思います。(「議長」と呼ぶ者あり) 76 ◯柳 誠子君 私からも同様のお願いを申し上げます。事実と異なることが記載されておりますので、議長のほうでぜひ適切な御判断をお願いしたいと思います。 77 ◯議長(池畑憲一君)私といたしましては、判断をした上で皆様方に配付させていただきましたので、今のお二人の発言、要望につきましても、精査の上、検討させていただき、また後日、御返答を申し上げたいと思います。  以上で、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 78    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案の委員会付託であります。       ───────────── 79    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十八分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...