鹿児島県議会 2014-12-03
2014-12-03 平成26年第4回定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、代表質問
吉 留 厚 宏 君
ふくし山ノブスケ君
一、散 会
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2 △ 代表質問
◯議長(池畑憲一君)代表質問であります。
吉留厚宏君に発言を許可いたします。
[吉留厚宏君登壇](拍手)
3 ◯吉留厚宏君 傍聴人の方がお一人いらっしゃいますが、平成二十六年第四回定例会に当たり、
自由民主党県議団を代表して質問いたします。
国内最大の越冬地である出水のツルから、高
病原性鳥インフルエンザ感染が確認されたことは衝撃であります。拡大防止に向け、徹底した防疫対策に努めていただきますようお願いいたします。
さて、先般、十一月臨時会において、
川内原子力発電所の再稼働をめぐり、深夜に及ぶ審議を経て、議会としての判断を行い、知事におかれては、再稼働に同意する旨を表明され、当面の県政の重要課題に結論が出されたところでありますが、今度は国政において、急転直下の衆議院解散、総選挙という事態に相なりました。
安倍総理大臣は、来年十月に予定していた消費税率一〇%への引き上げを平成二十九年四月に一年半先送りすることを決定し、十一月二十一日に衆議院を解散したところであり、十二月十四日に投開票が実施されることとなりました。
安倍総理は、「再増税は個人消費を押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した」と述べました。四月の消費税増税の影響が長引く中、夏場の天候不順の影響もあって消費の持ち直しがおくれ、予定どおり再増税に踏み切った場合、景気の腰折れが懸念され、安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却が遠のくリスクがあると判断したものと思われます。その上で安倍総理は、「国民生活、国民経済にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだと決心した」と述べております。
衆議院解散により、第二次安倍改造内閣の最重要課題の一つである、地方創生に向けたまち・ひと・し
ごと創生法案と
地域再生法改正案は成立いたしましたが、女性の
活躍推進法案などは廃案となりました。今後、
税制改正大綱の決定や平成二十七年度政府予算案の編成は越年となることが見込まれるなど、県予算編成への影響は必至であり、今後の展開を注視していく必要があります。
それでは、通告に基づき、質問してまいります。
初めに、総務・
県民生活関係について伺います。
平成二十七年度当初
予算編成方針について伺います。
県では、平成十七年三月に策定した県政刷新大綱に基づき、歳入・歳出両面にわたり、全力を挙げて
行財政構造改革に取り組んできた結果、平成二十三年度からは財源不足が解消され、引き続き、平成二十四年三月には
行財政運営戦略を策定し、行財政運営の健全化に向けた取り組みを進めているところです。
平成二十五年度の県の一般会計決算の歳出の状況を見ますと、扶助費が
介護保険制度や
後期高齢者医療保険制度に要する経費の増などにより増加したものの、人件費、公債費が減少しており、これらを合わせた義務的経費は前年度比一・五%の減となっております。一方、
普通建設事業費は、国の経済対策への対応による前年度からの
繰り越し事業の規模が大きかったことなどから、前年度比一二・九%と大幅に増加したことなどにより、歳出総額は四・四%の増となっております。
一方、歳入では、県税が前年度比二・四%の増、地方交付税が
職員給与削減見合いによる普通交付税の減などにより二・六%の減となったほか、国の経済対策による交付金等の増により国庫支出金が二二・四%と大幅に増加し、歳入総額は四・五%増加と、歳入・歳出とも前年度を上回っており、この結果、実質収支は三十七億円余りの黒字となっております。
また、県債残高については、一兆六千八百十七億円と前年度より百六億円ふえ、過去最多となりましたが、
臨時財政対策債などを除く、県が独自に発行した県債残高は、前年度より三百五十五億円と大幅に減少し、一兆二千五百四十一億円まで縮小しております。
県では、十月に、平成二十七年度当初
予算要求基準について、さらに踏み込んだ歳入・歳出両面にわたる徹底した見直しや新たな歳入確保策の検討を行うとともに、
マニフェストの実現に向けた各種施策を推進するため、考え得るあらゆる方策を講じて適切な要求を行われたいとする予算要求の基本理念を、また、扶助費の増嵩や公債費も高水準で推移する中で、地方交付税等必要な財源が確保できるか予断を許さない状況にあること等を踏まえ、予算の要求基準として、公共事業、県単公共事業は
一般財源ベースで前年度当初予算と同額とするほか、知事の三期目の
マニフェスト「力みなぎる・かごしま」
プロジェクト枠事業については、新規事業は所要見込み額とするなどの基準を示しました。
国の平成二十七年度当初予算の概算要求については、消費税増税の扱いが決まっておらず、上限の設定が見送られたため、一般会計の要求総額で平成二十六年度当初予算の九十五兆九千億円を大きく上回り、百一兆七千億円と初めて百兆円を突破しました。
歳出では、地方創生に関する施策に重点的に取り組むとし、特別枠として設定した新しい日本のための
優先課題推進枠について、ほぼ上限である三兆九千億円の要望がありましたが、国は、先ごろ発足したまち・ひと・し
ごと創生本部を中心に、人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組むこととしております。
また、総務省の概算要求については、総額は本年度当初予算とほぼ同額の十六兆九千億円となっており、
うち地方交付税の自治体への配分は、五・〇%減の十六兆円となっています。
地方財政については、
中期財政計画等で示された方針を踏まえ、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の
一般財源総額について、平成二十六年度
地方財政計画の水準を確保するとしており、六十一兆六千億円程度が見込まれております。
国においては、平成二十七年度税制改正に向け、
法人税実効税率の引き下げと代替財源の確保や消費税増税に伴う軽減税率等について議論がなされてきたところでありますが、増税先送り、解散・総選挙により前提条件が大きく変わったことにより、
税制改正大綱の決定及び平成二十七年度政府予算の編成は越年となることが想定されます。
一方で、安倍総理は、増税先送りに伴う
財政悪化懸念には、
基礎的財政収支─プライマリーバランス─を平成三十二年度に黒字化する目標を堅持する考えを表明していることから、今後の国の
予算編成段階において、収支改善に向け一段の歳出削減に切り込むことも考えられ、地方財政の財源確保については不透明な部分もあります。
そこでお尋ねします。
第一点は、平成二十七年度の当初予算編成にどう取り組むのか、お示しください。
第二点は、平成二十七年度当初予算編成における
消費税増税先送りの影響についてお示しください。
次に、子ども・子育て支援新制度の実施に向けた取り組みについて伺います。
平成二十四年八月、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、保育の量的拡大・確保、地域の子ども・子育て支援の充実を目指し、子ども・子育て関連三法が公布されましたが、これを受け、来年度から、子ども・子育て支援新制度が開始されます。新制度では、
認定こども園などの普及を進め、待機児童の解消を図ることとしております。
県においては、本年度中に県子ども・
子育て支援事業支援計画を策定するとしているほか、さきの定例会で、
幼保連携型認定こども園の設備と運営に関する基準に加え、本県独自に非常災害の対応等を定めた条例を制定するなど、新制度の開始に向けた準備を進めているところです。
国は、骨太の方針において、新制度の開始とともに、新たな
少子化社会対策の大綱を今年度中に策定するとしております。また、成長戦略では、女性の活躍を柱に掲げており、
放課後児童クラブの受け皿の拡大や
放課後児童クラブと
放課後子ども教室の一体化等により、これまでの待機児童問題から、さらに小学校入学後に女性が仕事をやめざるを得なくなる、いわゆる小一の壁の問題に踏み込み、解決策を示すこととしております。
このような中、国は七月に、全国の私立幼稚園に対し、新制度への移行に関する意向調査を行いました。その結果、検討中も含め、「来年度新制度へ移行する」と回答した施設は二割程度にとどまっているとのことです。また、本県では、県内の幼稚園の約六割が新制度への移行希望を持ち、うち九割超が
認定こども園への移行を考えているとのことです。また、現制度下の
認定こども園の認定を返上して、保育所や幼稚園に戻ろうとする動きが表面化しているとの報道もあります。政府は、
補助単価見直しも検討する事態となっているとも聞きます。
国は、平成二十九年度末までに約二万人の待機児童をゼロにする目標を掲げていますが、
認定こども園への移行が進まないと、成長戦略に掲げる女性の活躍の促進の妨げにもなりかねません。
一方、今般の消費税増税の延期決定により、来年度政府予算の歳入不足や
予算編成作業のおくれが懸念されるところであり、新制度についても、財源の見通しが不透明な状況になっております。
そこでお尋ねします。
第一点は、子ども・子育て支援新制度が来年度から始まるに当たって、改めて、新制度の趣旨と県の支援計画の現在の進捗状況についてお示しください。
第二点は、本県における、現制度で認定を受けた
認定こども園の認定返上の動き、あるいは新制度による
認定こども園への移行の動きの状況及びそれらの動きに対する県の取り組み状況についてお示しください。
次に、
危機管理関係について伺います。
川内原子力発電所の再稼働についてであります。
原子力規制委員会は、川内原発一、二号機について、九月十日、全国の
原子力発電所に先駆けて、新規制基準に基づく審査書を最終決定し、
原子炉設置変更許可が出されました。
国は、四月に閣議決定した
エネルギー基本計画において、原子力発電については、重要な
ベースロード電源として位置づけ、
原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた
原子力発電所については、再稼働を進めることとしております。
原子炉設置変更許可を受けて、国は、知事の要請に応えて、九月十二日の
経済産業大臣から知事宛ての文書の中で、一、
原子力規制委員会が安全性を確認した原発の再稼働を進める、二、立地自治体など関係者に理解と協力を得るように取り組む、三、事故が起きた場合は政府の責任で対処することなどが示されました。
十一月三日には
宮沢経済産業大臣が本県を訪れ、知事や議長と面談を行い、改めて文書の内容について確認したところです。
このような中、十月二十八日に
薩摩川内市長は、再稼働に同意する旨を表明しました。
以上の経緯を受け、県議会では、
原子力安全対策等特別委員会におけるこれまでの三年半にわたる
川内原子力発電所の安全対策等に関する慎重審議の結果を踏まえ、十一月に開催された臨時会において、再稼働に賛成する陳情を採択し、議会としての判断を行ったところであります。
知事におかれまして、十一月七日に、これらを総合的に勘案して、「やむを得ない。原発再稼働を進める政府方針を理解する」とし、全国で初めて、新規制基準に基づく審査による再稼働に同意する旨の判断をされたところであります。
一方、県民及び国民の間には、依然として
原子力発電所の安全性に不安を持つ声が根強く存在するのが現状であります。また、本県の立地地域の自治体からは、実効性のある
住民避難計画の策定について、国の明確な関与を求める声も上がっております。
このような声を受け、国は、経済産業省の職員を県と薩摩川内市に派遣し、自治体における避難計画の充実に向けた取り組みについて支援を行っているところです。
九月の定例会で、県は、「避難計画等を含む
地域防災体制の整備については、完全や終わりはなく、継続的に取り組むべきものと考えている」とし、引き続き、関係市町と連携して避難計画等の充実に取り組むとしております。
そこでお尋ねします。
第一点は、今後、川内原発の安全性の確保に向け、県としてどのように取り組まれるのか。また、依然として原発の安全性に対して不安を持つ県民に対し、県としてどのように取り組まれるのか、お示しください。
第二点は、実効性のある避難計画及び
地域防災計画として、その充実に向け、今後どう継続して取り組まれるのか、お示しください。
第三点は、再稼働までに必要な手続及びスケジュールについてお示しください。
次に、
産業経済関係について伺います。
企業誘致の推進等についてであります。
企業誘致は、雇用創出や税収増加、地域産業の活性化など地域振興に大きく寄与するものであります。本県の企業誘致については、平成十八年度から、「産業おこしへの挑戦」を掲げ、次世代の基幹産業となる自動車・電子・食品の三分野を
重点誘致対象業種として位置づけておりましたが、平成二十三年度からは、
かごしま製造業振興方針に基づき、今後成長が期待される環境・新
エネルギー産業や健康・医療産業などを新たな
誘致対象業種に加えて、企業誘致に努めていると聞いております。
一方、経済環境は、前政権下の円高・株安から、現在は、
アベノミクス経済効果等により、円安・株高へと著しく変化しております。企業誘致は、本県の立地に関する条件はもちろんのこと、経済事情や社会情勢の変化などを踏まえた中長期的な産業振興の視点に基づく取り組みが重要であると考えられます。
さて、近年、本県においては、電子産業を中心とした企業撤退が相次いでおります。企業撤退は、地元の雇用や商業など地域経済に深刻な影響を及ぼすものであることから、企業誘致を推進する一方で、既に立地した企業に対するケアも重要であると考えます。
そこでお尋ねします。
第一点は、近年の本県の企業立地の状況と近年の経済情勢等の変化を踏まえた企業立地の取り組み方針についてお示しください。
第二点は、立地企業に対する
アフターフォローの取り組みについてお示しください。
次に、
観光交流関係について伺います。
国際交流についてであります。
本県は、日本本土の最南端に位置し、その地理的条件から、歴史的に外国との交流の門戸として重要な役割を果たしてきました。例えば、坊津は鑑真和上の上陸地となったほか、中国、
東南アジア等との貿易、宗教・文化交流の拠点として栄えました。また、種子島に鉄砲が伝来し、鹿児島にフランシスコ・ザビエルによってキリスト教がもたらされるなど、本県は、我が国が西洋文化に初めて出会ったところであります。さらに、幕末には、英国への留学生派遣や
パリ万国博覧会への参加など、本県独自の進取的な取り組みも行ってきた歴史があります。最近では、
霧島国際音楽祭の初の海外公演として、本年八月に台北市において、大観衆の中、公演を行い、台湾との交流促進の取り組みが行われたところであります。
さて、現在、日本は、中国、韓国など隣国との
中央政府レベルでの関係は、歴史認識等の問題もあり、冷え込んでいます。そのような中、本県では、地理的特性や歴史的なつながり等を生かしながら、アジア地域を中心にさまざまな国際交流が、県のみならず市町村においても展開されてきています。香港、シンガポール、
韓国全羅北道、中国江蘇省については、本県行政による定期的な交流会議等が開催され、経済、観光、芸術・文化、青少年等のさまざまな分野で交流を行っています。
一方、本県の民間の国際交流等の推進については、平成二年一月に鹿児島県
国際交流協会が、国際交流を推進するにふさわしい
中核的国際交流組織として、国から
地域国際化協会の認定を受け、約四半世紀にわたり、県や市町村行政と連携しながら、本県の民間の国際交流を推進してきたところであります。
国際交流、国際協力の基本は人であります。日本、鹿児島から海外に出ていく留学生等の派遣、海外から日本に来る留学生等の受け入れ、双方向の国際交流が大事であります。
さて、
グローバル化、国際化が進む中で、県内にはアジアを中心に留学生や国際交流員、
外国語指導助手など多くの外国人がいます。これらの方々は、帰国後は、自然、温泉、文化など本県の多彩な魅力をPRする貴重な人的資源とも言えます。本県の留学生等の
ネットワーク構築などの取り組みが求められるところであります。
中央政府レベルでの関係が冷え込んでいるときこそ、
地方行政レベル、民間レベル、草の根レベルでの交流の意義は大きいと考えます。
そこでお尋ねします。
第一点は、国際交流における県の役割と今後の取り組みについてお示しください。
第二点は、
公益財団法人鹿児島県
国際交流協会のこれまでの取り組みと成果及び行政との連携についてお示しください。
第三点は、本県の留学生等の活用の取り組みについてお示しください。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)再稼働に関連して、川内原発の安全性の確保等についてお尋ねがございました。
県といたしましては、国に対しまして、実際の再稼働までは
工事計画認可などの審査を厳格に行うこと、また、再稼働後は規制基準の不断の見直しを含め、安全対策について責任を持った対応を行うこと、また、電気事業者への監督・指導を徹底することなどを要請しているところであります。また、九州電力に対しましては、発電所の運転に当たりましては、安全性の確保を最大の目標とし、関係法令を遵守いたしますとともに、徹底した事故防止や安全対策を強化することを求めているところであります。
さらに、県民の理解を得るために、県におきましては、これまで避難計画の説明会や審査結果についての説明会、さらに質問・要望にこたえる形での補足的な説明会を実施するとともに、三十キロ圏内の全世帯に説明会の資料を配付したところであります。
さらに、県といたしましては、来年二月には住民の参加を得た
原子力防災訓練を行う予定であり、また、来年秋ごろを目途に、県民を対象といたしました原子力発電や
原子力政策等についての説明会も実施したいと考えており、これらの取り組みなどを通じまして、住民理解の促進に努めてまいりたいと考えております。
また、国に対しましても、再稼働の必要性や川内原発の安全性などにつきまして、今後とも、さまざまな機会を通じて、地元や住民の方々の理解が深まるよう努めますようお願いしているところであります。
国際交流における県の役割と今後の取り組みについてのお尋ねであります。
本県の国際交流につきましては、南に開かれたアジアの玄関口としての
地理的優位性などから、これまで、香港、シンガポール、
韓国全羅北道、中国江蘇省など
アジア各国地域との間で友好関係を結び、定期的に開催する交流会議などを核といたしまして、関係機関・団体との連携のもと、長年にわたり、経済、観光、芸術・文化、青少年など各般にわたる交流を展開してきているところであります。
これらの交流を通じまして、青少年等の人材の育成、
アジアかごしまクラブの設立などを通じました
人的ネットワークの形成、交流を通じた鹿児島の知名度の向上や
トップセールス、商談会、観光セミナーなどによる県産品の販路の拡大、観光客のさらなる誘致の面で、県としての役割を果たしてきているものと考えております。
また、昨年八月に、日中関係が厳しい中で、北京の清華大学との間で、今後の双方の交流・協力関係を促進するための包括協定の締結を行うことにつきまして、中国の外務大臣を務めた中日友好協会の唐家会長が、「民を以て官を促し、地方を以て中央を促し、経済を以て政治を促す」という表現で、その意義を高く評価されたところであります。
私といたしましても、地方レベルでの交流のフレームができたことによりまして、日中関係を正常化するささやかな一歩が踏み出せたのではないかと考えているところであります。今後とも、引き続き、これまで培ってきた人的交流などさまざまな分野での交流実績を踏まえ、
環黄海経済圏を初め、経済発展を続けるアジア地域の活力を取り込みながら、国際交流・協力と産業振興を一体的に推進するための取り組みを進めてまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(寺田雅一君)平成二十七年度の当初予算編成についてでございます。
平成二十七年度の国の予算編成におきましては、衆議院議員総選挙の実施によりまして、編成作業が例年に比べおくれるおそれがありますほか、消費税率一〇%への
引き上げ延期の対応、
地方財政対策、
地方法人課税等の税制の改正、
公共事業関係費の動向など、現時点において不透明な要素が多い状況にございます。
このような中、本県の当初予算編成に当たりましては、国の動向を注視しつつ、引き続き、
行財政運営戦略に基づきまして、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組みますとともに、地方交付税や
国庫支出金等の財源の確保に努め、経済情勢の変動や各般の制度改正にも的確に対応しながら、従来の諸施策に加え、医療、福祉、介護、教育等の新たな行政需要や地方創生に重点を置き、
マニフェストに基づく各種施策の推進が図られますよう編成作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、消費税の
税率引き上げの延期の影響についてでございます。
消費税率の引き上げの延期が平成二十七年度の本県の当初予算編成に与える影響といたしましては、まず、歳入面では、
地方消費税率について、現行の一・七%から二・二%への引き上げが延期されますことにより、来年度の地方消費税の税収に影響が生じるところでございます。来年十月に税率が引き上げられた場合と比較した影響額は、税率の変更の影響が税収にあらわれるまでには一定の期間を要するということもございまして、平成二十六年度当初予算ベースで試算いたしますと、七億円程度となります。
また、地方交付税の原資につきまして、現行の一・四%から一・四七%への引き上げが延期されることとなりますが、地方交付税は、
基準財政需要額と
基準財政収入額との差を基礎として算定されるものであり、地方消費税の減収に伴いまして
基準財政収入額が減少する一方で、来年度において
基準財政需要額に算入される社会保障の充実等の内容が明らかではないことなどから、その影響額を具体的に試算するということは困難でございます。
一方、歳出面といたしましては、引き上げ分に係る地方消費税を活用することとされております来年度における社会保障の充実分につきまして、国は、子ども・子育て支援新制度は来年四月から予定どおり実施するとしておりますが、その他の社会保障の充実についてはスケジュールの見直しが必要としておりまして、見直しによる地方負担への影響も含めまして、国の予算編成の動向を注視してまいりたいと考えております。
6 ◯県民生活局長(岩切剛志君)子ども・子育て支援新制度の趣旨と県支援計画の進捗状況についてであります。
新制度は、
認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付の創設や
放課後児童クラブなど地域の実情に応じた子育て支援などを行い、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するものであります。
県の支援計画については、これまで、市町村計画の積み上げを基本に、教育、保育の量の見込みやその確保方策の取りまとめなどを行ってきました。十一月十二日に開催した第五回県子ども・子育て支援会議においては、これらに加えて、従事する職員の確保や資質向上、障害児等特別な支援が必要な子どもに対する施策などを主な内容とする計画素案をお示しし、御意見をいただいたところであります。
国は、新制度は予定どおり来年四月から実施するとしており、県としては、今後、パブリックコメントを行い、県民の意見をお聞きし、県議会の御議論も踏まえ、本年度末の策定に向け、作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、
認定こども園への移行等についてであります。
県内の百四十八の私立幼稚園のうち
認定こども園は二十八園で、新制度への移行については、十月に行った調査では、「新制度に入らず、幼稚園に戻る」と回答したところは一園でございます。また、
認定こども園でない幼稚園百二十園のうち、平成二十七年度中に
認定こども園へ移行を予定しているところは、四十二園となっています。
認定こども園への移行については、国が示した公定価格の仮単価では、大規模な園において単価が低く設定されていることなどから、全国的には移行が進んでいない地域もあり、国は現在、仮単価の見直しなどを検討しているところです。
認定こども園は、幼稚園と保育所の機能をあわせ持ち、保護者の就労状況が変わった場合でも継続して利用できますことから、新制度においては、移行を希望する幼稚園、保育所については、認可・認定基準を満たす限り移行できるように配慮されており、県としては、こうした趣旨を引き続き関係事業者等へ説明してまいりたいと考えております。
7 ◯危機管理局長(屋島明人君)川内原発に関する実効性のある避難計画等への取り組みについてであります。
関係九市町において、避難計画の作成は終了し、避難支援計画の作成も早急に進めており、医療機関等については、原発から十キロ圏内は避難計画の作成は終了し、十キロ以遠については、避難施設等調整システムを十月整備し、避難先の調整にも活用することとするなど、防災体制の整備を進めているところであります。また、国の原子力防災会議において、川内地域の避難計画を含めた緊急時対応については、具体的かつ合理的なものになっていることが確認、了承されたところであります。
県としては、引き続き、国や関係市町と連携して、緊急時の情報連絡体制の確認強化、避難手段の確保に向けた関係機関との調整、関係市町が作成する避難支援計画の作成支援や防災訓練の実施などに取り組み、避難計画等の実効性を高めるよう努めてまいります。
再稼働までの手続等についてであります。
川内原発については、規制委員会において九月十日に
原子炉設置変更許可が出され、県としては、十一月七日に、県議会の御意向を初め、諸般の事情を総合的に勘案し、再稼働はやむを得ないと判断したところであり、九州電力に対して、同日付で安全協定書に基づく事前協議を了承したところであります。
今後の手続として、工事計画及び保安規定変更の認可を受けること、所要の工事を完了させた後に使用前検査を受けることが必要であります。現在、規制委員会において、
工事計画認可申請及び保安規定変更認可申請に対する審査が進められているところであります。
8 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)近年の企業立地の状況と取り組み方針についてでございます。
平成二十三年度から二十五年度までの三年間におきまして、事業所を新増設した件数は八十一件で、新規雇用者数は千三百九十九人となっております。企業立地を取り巻く環境は、製造業の海外強化の姿勢が継続するなど厳しい状況にありますものの、近年の景気の回復基調等に伴い、国内設備投資は、エコカーやスマートフォン向けなどの自動車・電子・環境関連や食品関連などの分野を中心に増加すると見られております。
このため、県といたしましては、自動車・電子・食品関連産業に加え、環境・新
エネルギー産業や健康・医療産業などの成長分野についても、設備投資情報の収集強化に努めますとともに、東アジアに近接するという
地理的優位性や豊富な農林水産物などの本県のポテンシャルを訴えながら、引き続き積極的な企業誘致活動を展開することといたしております。
立地企業に対する
アフターフォローについてでございます。
このことにつきましては、日ごろから、職員や進出企業アドバイザーによる企業訪問等を行っておりますほか、大手進出企業とは、毎年度、知事との意見交換の場を設け、これらの取り組みを通じ、各企業からの要望や相談にできる限りの対応をいたしております。また、企業の撤退を防ぎ、新たな設備投資につなげるためには、県内製造拠点のマザー工場化を図ることが重要でありますことから、設備の増設に対する財政支援を行うなど、県内での操業が維持・拡大されるよう努めております。
今後とも、さまざまな機会を捉え、企業からの意見・要望等を十分踏まえながら、きめ細やかな対応に努めてまいります。
9 ◯観光交流局長(武盛武士君)県
国際交流協会のこれまでの取り組み等についてでございます。
県
国際交流協会は、県民を対象とした国際理解講座、在住外国人を対象とした生活相談・防災講座、病院体験ツアー等を実施し、また、市町村等と連携して、イベントへの出展や地域レベルの国際交流等を推進するなど、国際性豊かな地域社会づくりに寄与してまいりました。今後、本県の活力の維持・発展を図るためには、海外からの交流人口を増加させていくこと、そしてそのために、県民が外国人との交流により国際感覚を養うことや外国人にとって住みやすいまちづくりを促進していくことが重要であります。
県としては、県
国際交流協会が地域の中核的な国際交流組織としての役割が果たせるよう、今後とも緊密な連携を図ってまいります。
本県の留学生等の活用の取り組みについてでございます。
国際交流においては、留学生等の受け入れや県民との交流を促進することで、人と人、地域と地域の友好関係を築いていくことが重要であります。このため、留学生等に対して、本県の旬の情報を紹介する多言語メールマガジンを配信したり、留学生等が講師となる国際理解講座を開催しております。また、今年度から、海外旅行エージェントの視察の際、留学生に同行してもらい、観光地の感想等を聴取する取り組みなども行っております。このような取り組みを通じて、留学生等が交流のかけ橋になったり、鹿児島は住んでよし、訪れてよしの地である、また、産物にも多彩な魅力があると口コミ等で発信する効果は大きいと考えております。
[吉留厚宏君登壇]
10 ◯吉留厚宏君 御答弁いただきました。
平成二十七年度当初
予算編成方針についてでありますが、消費税増税の延期、解散・総選挙により、政府予算案の編成に大きな影響が出ることが見込まれ、県の予算編成も極めて困難な状況が想定されますが、今後の推移を踏まえ、的確な対応をお願いいたします。
子ども・子育て支援新制度についてでありますが、子どもを安心して産み、育てる環境づくりは極めて重要な課題であり、総合的な施策の充実に向け、県の積極的な取り組みを強く要請いたします。
川内原子力発電所の再稼働についてでありますが、引き続き、さらなる安全対策と緊急時避難対策の実効性を高めるための不断の取り組みに最大限の取り組みを行うとともに、県民の理解の促進にも努めていただくよう強く要請しておきます。
企業誘致の推進についてでありますが、今後の人口減対策の上でも極めて重要なのは、安定した雇用の場の確保であります。積極的な企業誘致に努めるとともに、既存企業への
アフターフォローに向けた取り組みを要望いたします。
国際交流についてでありますが、本県の地理的・歴史的特性を踏まえつつ、官民を挙げた積極的な取り組みと
人的ネットワークの構築に引き続き努められるよう要望いたします。
次に、農政関係について伺います。
初めに、農畜産物の販路拡大等についてであります。
本県は、安心・安全で良質の農畜産物を安定的に出荷できる競争力の強い産地づくりと県産農畜産物のイメージアップを図るため、平成元年度にかごしまブランド確立運動がスタートし、四半世紀が経過しました。かごしまブランドという旗印のもと、本県の多彩で魅力ある農畜産物の販路拡大につきましては、量販店での鹿児島フェアの実施など、主に国内向けの取り組みが行われてきております。
かごしまブランドの長年の取り組みにおいては、高品質な農畜産物の提供はもちろんのことですが、かごしまの農林水産物認証制度のもと、安心・安全な農畜産物の提供を着実に行ってきたことが、かごしまブランドの確立に大きく寄与していると考えます。
さて、国においては、平成三十二年までに農林水産物・食品の輸出額を一兆円に倍増するため、昨年八月に農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略を策定し、オールジャパンでの輸出体制の整備、国際規格認証の取り組み支援等を通じて輸出環境整備に取り組んでいます。そして昨年十二月には、日本人の伝統的な食文化─和食─がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、農林水産物の海外への進出を後押しする環境が整ってきております。
また、現在、本県農政の指針であるかごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の見直しが行われていますが、農畜産物などの輸出拡大等による販売力の強化が重要項目の一つとして検討がなされております。海外への輸出拡大につきましては、輸出相手先国における品目の解禁状況や他県の産地との競争などがある中、より戦略的な取り組みが求められているところであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、かごしまブランド確立運動の現状と今後の取り組みについてお示しください。
第二点は、かごしまの農林水産物認証制度のこれまでの取り組みと成果についてお示しください。
第三点は、本県農畜産物の海外への販路拡大の取り組み、課題及び今後の推進方向についてお示しください。
次に、農業開発総合センターについて伺います。
農業技術の開発は、本県の基幹産業である農業を支えると同時に、本県の安心・安全・新食料供給基地の形成に不可欠であります。本県では、農業の総合的な拠点として、農業技術の開発と担い手の育成を効果的かつ総合的に推進するために、それまでの農業関係試験場や農業大学校を再編統合し、平成十八年四月に農業開発総合センターとして設置されております。試験研究においては、生産現場、流通加工現場、消費者等の多様なニーズのほか、安心・安全で環境に配慮した研究などが求められます。そして、研究成果をいかに効果的に普及させるかが重要であります。
さて、農業開発総合センターでは、試験研究部門のほか、農業の担い手育成等のため、農業大学校を運営しています。農業大学校卒業後は、本県農業を支える若手経営者、あるいは農村地域の指導者としての活躍が大いに期待されております。
TPP等の交渉が進展する中、農畜産物の国際競争力の必要性が高まり、本県農業の試験研究、担い手育成等を担う農業開発総合センターの役割は今後ますます重要となり、試験研究及び担い手育成教育の充実・発展が必要であると考えます。
そこでお尋ねします。
第一点は、農業開発総合センターのこれまでの主な研究の取り組みと成果及び普及状況についてお示しください。
第二点は、農業大学校のこれまでの主な取り組みと卒業生の就農を含めた進路状況についてお示しください。
次に、企画関係について伺います。
初めに、まち・ひと・しごと創生法及び地域再生法の改正について伺います。
政府は、九月二十九日、臨時閣議で人口減少の克服と地方創生のために、まち・ひと・しごと創生に関する基本理念などを定めたまち・ひと・し
ごと創生法案と、活性化に取り組む自治体を支援するための地域再生法の改正案を決定しました。いずれも、安倍政権が掲げる地方創生を実現するための重要法案であり、先般の臨時国会で十一月二十一日に可決・成立したところであります。
創生法は、政府が、今後五年間の総合戦略を策定し、地方創生の目標や施策の基本的方向を示すと規定されており、都道府県も総合戦略を策定するよう努めなければならないとされております。
一方、地域再生法の改正は、地域の個性や魅力を生かすため、地方公共団体みずからが新たな支援措置を首相に提案する仕組みを創設するほか、必要があると認める場合において、首相が事務の調整・勧告を行うと明記しております。
このような中、先般、九州地方知事会と経済団体首脳らでつくる九州地域戦略会議は、人口減少に歯どめをかけるため、雇用の場と教育環境づくりや希望する結婚、出産、育児がかなう社会づくり、安心安全な暮らしを支える新たな地域づくりに重点的に取り組むとした地方創生九州宣言を決議し、年内にプロジェクトチームを設立し、具体策を検討することとしたとのことであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、まち・ひと・しごと創生法の概要等についてお示しください。
第二点は、地域再生法の改正の概要等についてお示しください。
第三点は、本県の体制、考え方などの対応についてお示しください。
次に、再生可能エネルギーについて伺います。
国においては、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入を促進するため、再生可能エネルギーを国が定める価格で電気事業者が一定期間買い取る固定価格買取制度を平成二十四年七月から進めており、多くの事業者が本制度を活用し、再生可能エネルギーを導入しているところであります。
また、本年四月に策定した
エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーをエネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー源と位置づけ、平成二十五年から三年程度導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとしております。
県においては、国のエネルギー政策の動向や新しい
エネルギー基本計画などを踏まえ、新エネルギー導入ビジョンを見直し、ビジョンの対象とするエネルギーを新エネルギーから再生可能エネルギーに拡大するとともに、導入目標や導入促進に向けた取り組み等について見直しを行い、新たに、鹿児島県再生可能エネルギー導入ビジョンを本年四月に策定したところであります。
そのような中、九州電力は、想定を大幅に超える再生可能エネルギー発電設備の接続契約申し込みが集中し、全て接続した場合、電力の需給バランスが崩れて安定供給が難しくなることなどから、再生可能エネルギーをどこまで受け入れることができるかを見きわめる検討を行うため、九州本土の大規模太陽光発電所─メガソーラー─など、再生可能エネルギー発電事業者からの接続申し込みについて、九月二十五日から回答をしばらくの間保留すると発表しました。また、同様の動きは沖縄、北海道、東北、四国と広がってきており、全国的な問題となっております。
九州各地で開催された九州電力による発電事業者向けの説明会では、事業計画の大幅な見直しを迫られた参加者から、突然の対応に対して不満や動揺が広がっていると相次いで報道されるなど、各地での再生可能エネルギーの普及・促進に支障が生じるのではないかと懸念されます。
こうした事態を受け、国は、再生可能エネルギーの最大限の導入のため、中立な専門家により、電力会社の接続可能量の検証や拡大方策等について審議し、系統問題について対応策を現在、検討していると聞いております。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度そのものの見直しについても検討がなされているなど、再生可能エネルギーの普及拡大に向けて国を挙げての対応が必要となってきております。
そこでお尋ねします。
第一点は、現時点における県再生可能エネルギー導入ビジョンにおいて設定した導入目標の達成状況及び今後の県の取り組みについてお示しください。
第二点は、今回の発電事業者等からの接続申し込みに対する九州電力の措置等を踏まえた、県及び国の対応状況についてお示しください。
次に、土木関係について伺います。
災害に強い安全な県土の形成についてであります。
近年、全国各地で地球温暖化の影響とも言われる自然災害が頻発しており、特に本県では、本土の大半が水を含むと崩れやすいシラス土壌等の特殊土壌に覆われ、災害が発生しやすい危険箇所が多数あります。これまでも、平成五年に鹿児島市及び姶良郡などを襲った鹿児島豪雨災害や、平成九年の出水市針原地区土石流災害などを初めとして、毎年のように土砂災害等が発生しており、県民のとうとい生命や財産に大きな被害を受けております。
八月に広島市で発生した大規模土砂災害は、生活の身近に潜んでいる災害の危険性を浮き彫りにしたところであり、これを受けて、土砂災害警戒区域の指定促進のため、土砂災害防止法改正が先般の臨時国会で十一月十二日に成立したところであります。
一方、九月には長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山の噴火により、とうとい命が失われたところであり、国においては、今回の火山災害から得た教訓を踏まえ、我が国の今後の火山防災対策の一層の推進を図ることを目的に、中央防災会議にワーキンググループを設置し、火山監視観測体制や火山防災情報の伝達等について具体的な対応策の検討等を行う予定と聞いております。
本県では、全国の活火山百十火山の一割に当たる十一の活火山を有する全国有数の火山県であり、桜島を初め、活発な火山活動が続いております。
県では、
地域防災計画の中に火山災害対策編を位置づけ、さまざまな視点から火山災害に対する対策が図られているところですが、今回の御嶽山の災害を契機に、改めて火山災害に対する危機管理体制の強化が求められているところであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、土砂災害防止法の改正を踏まえた土砂災害対策への取り組みについてお示しください。
第二点は、本県の火山活動の監視体制及び防災対策等についてお示しください。
第三点は、県内における火山の土石流対策についてお示しください。
11 ◯農政部長(福田博史君)かごしまブランド確立運動の現状と取り組みについてでございます。
かごしまブランド確立運動につきましては、安心・安全で品質のよい農畜産物を安定的に供給できる産地づくりと県産農畜産物のイメージアップによる販路拡大に取り組んでおり、現在、東串良のピーマンなど十八品目二十七産地をかごしまブランド産地として指定しております。
具体的には、新たな産地指定に向けて統一した出荷基準の作成などの取り組みへの支援を行うとともに、高齢化の進行などにより生産量が伸び悩んでいる産地に対しましては、新品種の導入に向けた実証圃の設置など生産性向上に向けた支援を行っております。また、大消費地の量販店等において、鹿児島フェアを継続して開催するとともに、多くの消費者に直接PRするため、かごしまの食ウェブサイトを開設し、ブランド産品の紹介や県内外でのイベント情報の提供などを行っております。
県としましては、今後ともこれらの取り組みを進め、消費者の高い信頼を得られる産地づくりと、かごしまを前面に出した販路拡大に努めてまいりたいと考えております。
かごしまの農林水産物認証制度の取り組みと成果についてでございます。
県におきましては、本県農林水産物の安心・安全を確保するため、かごしまの農林水産物認証制度─K─GAP─を全国に先駆けて平成十六年度に創設し、認証基準の策定や生産者への認証取得の指導・支援、かごしまブランド産地のK─GAP取得の要件化、ホテルやコンビニエンスストアと連携したPR等により、制度の普及に努めてきております。
こうした取り組みにより、今年度、水産物で初めて認証したクルマエビを含め、本年十月末現在の認証取得は六十二品目二百八十六件で、取り組み生産者数は延べ一万三十九戸となっております。特に、サツマイモやソラマメでは全出荷量の約六割、ピーマンでは約九割が認証を取得しております。また、大手量販店ではK─GAP農産物をプライベートブランド商品として取り扱うなど、信頼のできる農産物として高く評価されるとともに、生産面では、生産履歴の活用による経営改善や産地体制の強化による品質向上につながっております。
本県農畜産物の海外への販路拡大についてでございます。
県におきましては、県産農畜産物の海外への販路拡大を図るため、海外量販店におけるフェアの開催、食品見本市等への出展、海外バイヤー等の招聘、相手国における輸入規制等の情報収集などを行っております。農畜産物の輸出拡大に当たっては、認知度の向上、新規市場の開拓や輸出ルートの確立、相手国の認証基準への対応に加え、香港やシンガポールにおいては、国内産地間の競争が起こっていることなどが課題となっております。
県としましては、今後とも、商談会の開催など既存品目の定番化に向けた取り組みや輸入商社等との連携、相手国の規制に適応した農畜産物の生産など、新規市場開拓に向けた取り組みを展開するとともに、国のオールジャパンの取り組みの活用も検討しながら、県産農畜産物の海外への販路拡大に努めてまいりたいと考えております。
農業開発総合センターの取り組みについてでございます。
農業開発総合センターでは、本県に適した優良品種の育成や優良種畜の改良・造成、栽培や飼養管理技術の開発、環境と調和した農業技術の開発などに取り組んでおります。これまでの主な研究成果としては、良食味の水稲品種あきほなみや実エンドウ品種まめこぞうの育成、肉量・肉質にすぐれた秀幸福などの種雄牛の造成や黒さつま鶏の作出、農薬使用量を三分の一以下に低減できる茶の防除機械や土着天敵を利用したIPM技術の開発、これらが挙げられるところです。
これらの研究成果の普及に当たりましては、普及指導活動と連携した取り組みを行っており、あきほなみは全国食味ランキングで最高評価となる特Aを獲得し、作付面積が二千ヘクタールを超え、さらに面積の増加が見込まれております。また、茶の節水防霜技術は、曽於東部、南部畑かん地区における茶園の九五%に当たる四百ヘクタールに普及するとともに、IPM技術は、施設ピーマンの九割以上で導入されております。さらに、黒さつま鶏については、平成二十五年には十五万羽が出荷されており、一層の拡大が見込まれております。
今後とも、産地間競争に打ち勝つための先進的な農業技術の開発を推進するとともに、その迅速な普及に努めてまいりたいと考えております。
農大の取り組みと農大生の進路状況についてでございます。
県におきましては、農業大学校をすぐれた技術と経営管理能力を備えた意欲的な新規就農者等を育成する機関として位置づけており、実技と理論の総合的な実践教育、先進農家や海外での研修、農業経営に必要な各種免許の取得支援に取り組むとともに、最新の専門的な知識を習得できるよう試験研究部署とも連携した学生教育に努めております。また、農業大学校の研修機能を活用し、就農意欲の高い方々を対象にした就農・就業チャレンジ研修や一般県民の方を対象にした夜間塾なども実施しております。
卒業生の進路状況につきましては、過去十年間で、直接就農や農業法人への就業を含めた就農者が約六割、農業団体や食肉処理加工業等の関連産業への就職者が約三割と、卒業生の約九割が農業や農業関連職種についている状況でございます。
12 ◯企画部長(古川仲二君)地方創生関連二法についてでございます。
まち・ひと・しごと創生法は、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的としておりまして、そのため、国及び地方公共団体の責務等を明確にした上で、総合戦略に基づき、地方創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施しようとするものでございます。
また、地域再生法につきましては、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取り組みを国が支援し、地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進することを目的としており、今回の改正により、地方公共団体が国に新たな措置を提案できる制度の創設などが盛り込まれたところでございます。
国におきましては、まち・ひと・し
ごと創生本部を中心に、現在、五十年後に一億人程度の人口維持を目指す長期ビジョンと、人口減少を克服し、将来にわたって活力ある日本社会を実現するための総合戦略の骨子を示し、年内の策定に向けた検討を進めているところでございます。
県といたしましては、これまで、地域における子育て支援や児童の健全育成などの少子化対策を実施いたしますとともに、地域の経済・雇用を支える足腰の強い産業の育成やU・Iターンによる定住・移住の推進など、地域経済の活性化を図るためのさまざまな施策に取り組んでいるところでございますが、今後、国における総合戦略等の策定や関連施策の検討状況を注視しながら、市町村等とも連携し、具体的成果が上がるような施策に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、再生可能エネルギー導入ビジョンの目標達成状況等についてでございます。
本県の再生可能エネルギーの導入実績は、平成二十五年度末において、太陽光発電が出力約四十四万一千キロワット、風力発電が約二十一万八千キロワット、水力発電が約二十五万六千キロワットなどとなっております。また、本県の再生可能エネルギー導入ビジョンにおける平成三十二年度末の導入目標に対する割合は、それぞれ太陽光発電が四四・一%、風力発電が七五・九%、水力発電が九一・七%などとなっております。
県では、再生可能エネルギーの導入促進に向けた取り組みとして、今年度は、市町村における避難所や防災拠点等への再生可能エネルギーの導入支援や木質バイオマスエネルギーの利用施設の導入に対する助成のほか、再生可能エネルギーフェアなど各種の普及啓発事業を行うこととしており、今後とも、県民、事業者、市町村と一体となって、本県の地域特性を生かした再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を目指してまいりたいと考えております。
次に、九電等の回答保留に対する県及び国の対応についてでございます。
国におきましては、今回の再生可能エネルギーの接続申し込みに対する回答保留について、総合資源エネルギー調査会の小委員会に系統ワーキンググループを設置し、現在、年内を目途に、電力会社が系統に受け入れるために講じている措置の検証や接続可能量の拡大方策等について検討を行っているところでございます。
また、県といたしましては、国に対し、県開発促進協議会等を通じ、送電網の強化等、速やかな系統連系対策の推進や回答保留の早期解除、接続が最大限可能となる対策の実施など、再生可能エネルギーの導入推進について、一層の充実・強化が図られるよう要望いたしているところでございます。
13 ◯土木部長(久保田 一君)土砂災害防止法の改正を踏まえた土砂災害対策への取り組みについてです。
土砂災害防止法の改正では、都道府県による基礎調査の結果の公表を義務づけるとともに、市町村においては、土砂災害警戒区域における警戒避難体制を整備する等の措置を講ずることとなっております。
本県においては、土砂災害危険箇所が一万六千二百四カ所あり、これまで計画的に基礎調査を進め、現在、三十五市町村で土砂災害警戒区域一万三千三百八十七カ所の指定を行っております。県としては、今後示される国土交通省令等に基づいて、基礎調査の結果を公表するとともに、土砂災害警戒区域等の早期指定に努めるなど、警戒避難体制の充実・強化に取り組んでまいります。
県内における火山の土石流対策についてです。
桜島においては、これまでも土石流が頻繁に発生していることから、国と県により砂防堰堤等の整備や除石等を実施しております。また、霧島山の新燃岳においては、火口周辺に火山灰等が堆積しており、土石流の発生が懸念されることから、現在、霧島川において砂防堰堤を整備中です。両火山においては、監視カメラ等の設置も行い、ハード・ソフト両面から土石流対策に取り組んでおります。さらに、本年八月に噴火した口永良部島や諏訪之瀬島、薩摩硫黄島等においては、砂防堰堤の整備を進めてきたところです。
今後とも、計画的な施設整備や適切な管理を行い、土石流による被害の防止・軽減を図ってまいります。
14 ◯危機管理局長(屋島明人君)本県の火山活動の監視体制及び防災対策等についてであります。
本県には十一の活火山があり、特に活動が活発な霧島山、桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島については、気象庁等により地震動や地殻変動等の常時観測が行われております。防災対策については、各火山ごとのハザードマップの地域住民への周知や情報連絡体制の整備等を盛り込んだ
地域防災計画を策定するとともに、桜島や火山を有する離島での防災訓練の実施など総合的な防災対策に努めているところであります。
今後とも、気象庁等に対し、火山観測研究体制の充実・強化を要望するとともに、各火山ごとに設置している火山噴火災害対策連絡会議の開催など、関係市町村や防災関係機関と連携して火山防災対策の充実に努めてまいります。
[吉留厚宏君登壇]
15 ◯吉留厚宏君 御答弁いただきました。
農畜産物の販路拡大等についてでありますが、輸出拡大に向けた国によるオールジャパンでの体制整備を進める一方で、他県との産地間競争をにらんだ本県としてのブランド戦略は重要であります。本県農畜産物の国内外への販路拡大に向けたさらなる取り組みを要望いたします。
農業開発センターについてでありますが、本県農業の振興において、試験研究の中核機関として極めて重要な役割を担っております。今後とも、研究・技術開発の推進と大隅農業加工拠点施設との連携による農産物の六次産業化、農業大学校における担い手の育成に向けたさらなる取り組みを期待するところであります。
まち・ひと・しごと創生法及び地域再生計画についてでありますが、鹿児島の将来を見据えた真に実効性のある総合戦略の策定・推進に向けて、総力を挙げて取り組まれるよう要望いたします。
再生可能エネルギーについてでありますが、ここ数年の太陽光発電などの急速な普及拡大は、固定価格買取制度によるものが大きかっただけに、今回の接続保留問題を受けて、国においては早急な対策を検討する必要があります。一方、再生可能エネルギーの普及が県民生活や企業活動にどのような効果をもたらすのかよくわからないとの県民の声もあることから、県においては周知・広報にも留意するよう要望いたします。
災害に強い安全な県土の形成についてでありますが、土砂災害警戒区域の指定を急ぐとともに、住民みずからが土砂災害の危険性を十分に認識することが重要であり、緊急時の避難対策とあわせて、繰り返し周知徹底する必要があります。また、有数の火山県として、改めて火山危機管理体制の充実・強化に努められるよう要望いたします。
次に、教育関係について伺います。
初めに、公立小・中学校における土曜授業について伺います。
新聞報道によると、県教委は、県内の全ての公立小・中学校で土曜授業を来年度から導入する方針を固め、関係団体と調整を図っているとのことであり、全国学力・学習状況調査で本県が低迷していることを受け、授業時間数をふやすことで学力向上を図ると見られるとのことであります。
昨年度の全国学力・学習状況調査によると、子供たちの土曜日の過ごし方について、全国の小・中学生の二割前後が「テレビを見たり、ゲームをしたりする」と答えているとのことであり、文部科学省では、子供たちに土曜日における充実した学習機会を提供する方策の一つとして土曜授業を捉え、推進することとしております。
今年度の文教警察委員会視察では、南さつま市立坊津学園を訪問し、私も委員として参加いたしました。ここは施設一体型の小中一貫校であり、今年度は文部科学省の土曜日の活用モデル事業の指定を受け、坊津学園ワクワク土曜授業を実施されております。授業は、月一回土曜日の午前中に行われ、学校、家庭、地域が連携・協力し、土曜日に実施することの利点を生かした豊かな教育活動を推進することとし、三つのコンセプトにより行われております。
一つ目は、教科等の学習内容を深める多様な学習や体験活動を行う飛び出せ教室!ノーかばんデイ、二つ目は、よりよい定着を目指し、確かな学力を高める学習を行う学びを深める日、三つ目は、思いやりのある豊かな心を育む学習を行う心を耕す日であります。
土曜授業は、保護者や地域の方々にも公開して行われ、学校、家庭、地域が連携・協力して取り組まれており、その成果が期待されるところであります。県内の公立小・中学校においては、モデル事業の成果を踏まえ、家庭や地域などと連携した土曜授業を推進していくことが必要であります。
なお、実施に当たっての教職員の勤務の振りかえについては、十分に留意すべきであると考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県内の公立の小・中学校における土曜授業の実施状況及び今後の導入見通しについてお示しください。
第二点は、想定される土曜授業の内容及び期待される効果についてお示しください。
第三点は、土曜授業を実施した場合の教職員の勤務の振りかえについてお示しください。
次に、国体に向けた競技力向上について伺います。
ことし長崎県で開催された第六十九回国民体育大会での県選手団の成績は、天皇杯二十七位、皇后杯二十六位であり、平成二十一年以来、五年ぶりに二十位台を確保しました。これまでの各競技団体と連携した競技力向上の取り組みにより、昨年の天皇杯三十六位から大きく順位を上げておりますが、六年後の平成三十二年に開催される鹿児島国体において、天皇杯・皇后杯の獲得を目指すためには、選手の競技力向上対策をさらに進めていく必要があります。
また、企業スポーツの少ない本県では、少年種別の成績が大きく影響することから、得点源として期待されるのは高校生であり、各競技団体は、県の支援を受け、六年後にこの年代に達する現在の小学校三年から六年の育成に本腰を入れ始めたとのことであります。
しかし、選手確保や継続的な強化に問題があり、競技を始めた小学生が中学、高校と進学する段階で指導が途切れるケースもあると聞いております。六年後に活躍が期待される選手の育成・強化のためには、小・中・高校が連携し、年齢や発達段階に応じた継続的な一貫性のある取り組みが必要であります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、これまでの競技力向上の取り組みの成果についてお示しください。
第二点は、今後のさらなる各競技団体と連携した取り組みについてお示しください。
第三点は、小・中・高校の連携した一貫性のある競技力向上への取り組みについてお示しください。
次に、警察関係について伺います。
子供を犯罪から守る対策についてであります。
子供が犯罪に巻き込まれる事件が全国で相次いでおります。報道によると、ことし七月に岡山県倉敷市で発生した下校中の小学五年の女児が監禁された事件では、五月と六月の二回犯人につきまとわれ、母親が警察に相談していたとのことであります。
県内においては、中学生以下の子供への声かけやつきまといなどが全体的にふえているとのことであり、これらは誘拐事件や性犯罪等に発展するおそれが極めて高いと考えられるため、十分な対策が必要であります。
一方、子供の夜間徘回も犯罪に巻き込まれる危険性が高いため、県内各地で防犯ボランティアによる防犯パトロールが行われております。
今年度の文教警察委員会視察では、大島郡瀬戸内町の自主防犯団体である安全安心きらめき隊の皆さんと意見交換を行いましたが、地域の安全・安心のための活動を積極的に行われ、子供の非行・犯罪被害防止に大きく寄与されております。このように、子供を犯罪から守るためには防犯ボランティアや地域と一体となった対策が不可欠であります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県内での中学生以下の子供に対する声かけやつきまといなどの発生状況についてお示しください。
第二点は、登下校時の子供を犯罪から守る対策及び子供の夜間徘回対策についてお示しください。
次に、環境厚生関係について伺います。
初めに、公共関与による管理型最終処分場についてであります。
産業廃棄物管理型最終処分場は、本県における循環型社会の形成や地域産業の振興を図る上で必要不可欠な施設であります。そのため、県は、薩摩川内市川永野町において、平成十九年五月の候補地選定から約七年半、平成二十三年九月の作業着手から約三年三カ月をかけて、県内初の公共関与による管理型最終処分場エコパークかごしまの整備を進めてきており、今月いよいよ完成し、来年一月の開業予定とのことであります。
同処分場は、県政の最重要課題の一つとして県が長期間にわたり取り組んできたものであり、議会も、平成二十年第二回定例会において、県に対し、地元の理解を得るため十分な説明責任を果たすこと、安全性確保のための徹底した検討を行うこと、地域振興策については、地元の意見を聞いた上で最大限の努力を行うこと等の附帯決議を付したところであります。
本年七月には議会の環境厚生委員会が行政視察を行い、安心・安全を第一に丁寧な施工を行っている整備状況や、県が薩摩川内市と連携して行っている地域振興策の実施状況等を確認したところであり、住民理解及び地域振興策などについては、地元の意見を聞いた上で取り組みがなされてきたものと評価しておりますが、一方で、まだ理解を得られていない自治会もあると聞いております。
また、エコパークかごしまの完成後は、諸手続を速やかに行い、一日も早い開業が期待されるところであり、あわせて、安全性の高い全国でもモデルとなるような施設として、適切な管理運営を行うことが重要であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、公共関与による管理型最終処分場エコパークかごしまの完成について、知事の所感を伺います。
第二点は、地域振興策の実施状況と今後の取り組みについてお示しください。
第三点は、住民理解の現状についてお示しください。
第四点は、エコパークかごしまの適切な管理運営についてお示しください。
次に、新たな木材利用に関する取り組みについて伺います。
本県は、県土面積の約六四%が森林であります。その森林資源の約半分であるスギ・ヒノキ等の人工林を中心に利用期を迎えつつあり、今後、これらの資源を有効に活用することが重要となっております。
このような中、志布志港を拠点に、木材需要が旺盛になっている中国を初めとする東アジアへの輸出が増加してきているほか、未利用間伐材等を利用する木質バイオマス発電施設が現在、薩摩川内市や霧島市において建設されるなど、需要の増加が見込まれております。一方で、住宅着工戸数の落ち込みなどによる需要の減少が予想されていることから、本県においても、県産材の利用拡大に向けた取り組みが重要となってくると考えます。
このような中、国においては、農林水産業・地域活力プランで、CLT─直交集成板─等の新たな製品及び技術開発並びに普及に向けた環境整備、公共建築物の木造化等によって、新たな木材需要の創出に取り組むこととされております。
本県においても、ツーバイフォー住宅部材を生産する大型木材加工施設が霧島市に、また、新しいタイプの建築資材となるCLTを生産する加工施設が肝付町に整備されていると聞いております。これらの施設の操業により、県産材の新たな利用が見込まれ、県内の林業・木材産業、ひいては山村地域の活性化及び持続可能な森林経営の構築につながるものと期待しております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、本県における県産材の利用拡大に向けた取り組みについてお示しください。
第二点は、ツーバイフォー住宅部材加工施設及びCLT加工施設の整備状況についてお示しください。
第三点は、こうした新たな木材利用に関する県の取り組みについてお示しください。
次に、奄美地域へのドクターヘリの早期導入について伺います。
ドクターヘリについては、平成二十三年十二月から本土・熊毛地域を範囲として運航開始し、平成二十四年度五百九十一件、平成二十五年度八百三十五件と出動件数も増加するとともに、搬送時間の短縮により、救命率の向上や後遺症の軽減など大きな成果が出ていると聞いております。また、本年十月からは、民間医療機関のヘリを活用した県ドクターヘリ補完ヘリの運航も始まり、救命救急医療体制の充実が図られております。
一方、奄美地域については、多くの離島を抱え、医療資源が十分とはいえず、また、高度医療が必要な場合は、自衛隊に依頼して県本土等地域外の医療機関へ搬送している状況であることから、ドクターヘリの導入が重要な課題となっております。県ドクターヘリ導入検討委員会奄美地域分科会においても、平成二十二年二月に導入することが適当と報告されており、これまで県において、導入に向けた検討がさまざまな角度から行われてきたと聞いておりますが、ドクターヘリの導入は、奄美地域の救命救急医療体制の充実を図る上で重要であります。
こうした中、本年六月には、奄美地域の救命救急医療体制の拠点となる救命救急センターが、屋上ヘリポートも含めて県立大島病院に整備され、順調に運営されており、ドクターヘリ導入に向けた環境は整いつつあると考えます。
また、去る十一月二十六日には、奄美群島市町村長会から朝山奄美市長や大久保伊仙町長ほか五名の町村長等が知事を訪問し、奄美地域へのドクターヘリの早期導入について要望書を提出されるなど、地元の皆さんの導入に向けた期待は高まってきております。
そこでお尋ねいたします。
奄美地域のドクターヘリの早期導入に向けた知事の決意をお聞かせください。
最後に、難病対策について伺います。
国においては、難病対策として昭和四十七年から四十年以上にわたり、難病対策要綱に基づき、各種事業が本格的に実施されてきたところであり、調査研究の推進や医療費の自己負担の軽減などの難病対策の柱に基づき、効果的な治療方法の開発に向けた難病研究の推進や特定疾患患者の医療費の助成、重症難病患者の入院施設の確保等といった各種支援を行ってきたところであります。
県においても、入院が必要となった重症難病患者等の受け入れを円滑に行うため、難病医療拠点病院や協力医療機関の整備を行っているほか、保健所においては、在宅難病患者及びその家族の不安の解消を図るための医療相談や訪問指導を実施してきたところであります。また、平成二十三年十月には県難病相談・支援センターが設置され、保健所や医療機関と連携を図りつつ、総合的な相談・支援が行われてきており、相談件数も年々増加していると聞いております。
これまで、国及び県において難病対策が推進されてきた結果、難病の実態把握や治療方法の開発、難病医療の水準の向上、患者の療養環境の改善等が図られてきたところであります。一方で、患者・家族のニーズの多様化や社会・経済状況が変化する中で、医療費助成の対象疾患の選定に関して不公平感があることや、難病患者の療養・社会生活を支える総合的な対策が不十分であることなど課題も指摘されたところであります。
このような中、新たに難病の患者に対する医療等に関する法律が本年五月二十三日に成立し、医療費助成対象疾患は、従前の五十六から来年一月一日には百十に拡大され、さらに同年夏ごろには約三百に拡大することとなることから、新たな医療費助成制度が円滑に推進されることが必要であると考えられます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県難病相談・支援センターのこれまでの活動状況についてお示しください。
第二点は、新たな医療費助成制度の概要についてお示しください。
第三点は、新たな医療費助成制度の実施に向けた県の取り組みについてお示しください。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
16 ◯知事(伊藤祐一郎君)エコパークかごしまの完成の所感についてのお尋ねがございました。
公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場につきましては、県内に管理型処分場が一カ所もないという状況の中で、平成十九年五月に薩摩川内市川永野地区を候補地として選定し、私もみずから現地に赴き、関係自治会など地域の方々への施設の安全性等についての説明や意見交換を行うなど、県政の重要課題の一つとして、安全性の高い全国でもモデルとなるような施設の整備に全力で取り組んできたところであります。
国内最大規模の覆蓋施設を有する産業廃棄物管理型最終処分場エコパークかごしまが今月中に完成し、来年一月に開業することとなりましたことは、本県の循環型社会の形成や地域産業の振興を図る上で大変意義深いものと考えており、今後、重要な役割を果たすものと期待しているところであります。
これまで、管理型処分場の建設に御理解、御協力いただきました県議会を初め、地元薩摩川内市や同市議会、関係自治会など関係の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。
今後は、万全な維持管理体制のもとで、安心・安全を第一とした施設の運営を図ってまいりたいと考えております。
奄美地域へのドクターヘリの早期導入についてのお尋ねがございました。
県におきましては、これまで、県本土・熊毛地域等でのドクターヘリの運用状況を分析いたしますとともに、奄美地域の医療機能や自衛隊ヘリ等による搬送事例等を踏まえ、導入に向けた検討を進めてきたところであります。
この間、奄美地域の中核的医療機関であります県立大島病院に救命救急センターを本年六月に開設し、救急専門医師等の配置により重篤な患者の受け入れが増加するなど、奄美地域の救急医療は大きく向上してきたと考えております。また、奄美群島の市町村長や医療関係者等地域の方々から、奄美地域における安心・安全な暮らしを確保いたしますため、ドクターヘリの早期導入を強く求める趣旨の要望や意見も多数いただいたところであります。
私といたしましては、奄美地域は多くの離島を有し、本土以上にヘリによる救急搬送ニーズは高く、さらに、搬送事例や県立大島病院等の症例を勘案いたしますと、大学病院などでの高度な医療が必要な事例も見られることなどから、県立大島病院への搬送とともに、県本土や沖縄県へ長距離搬送ができるドクターヘリを県立大島病院に導入する必要があるとの結論に至ったところであります。
今後、基地ヘリポートの整備や医療・消防等運航に係る関係機関・団体との調整等を進めまして、平成二十八年度を目標に導入を目指してまいりたいと考えております。
17 ◯教育長(六反省一君)土曜授業の実施状況及び導入の見通しについてでございます。
土曜授業につきましては、国のモデル校に指定されました南さつま市立坊津学園小学校及び同中学校並びに喜界町立喜界小学校の三校において、教育課程に位置づけた授業を月一回実施いたしております。
坊津学園では、確かな学力を高める学習、多様な学習や体験活動、思いやりのある豊かな心を育む学習という三つの内容で年間計画を作成し、家庭や地域の協力も得ながら授業を行っており、喜界小学校におきましては、土曜日を主に生活科や総合的な学習の時間に充て、外部人材を活用しながら学習活動の充実に努めますとともに、教科の補充学習も行っているところであります。
県教委といたしましては、モデル校の実施状況や県政モニターアンケートの結果等を踏まえ、来年度から市町村で土曜授業の円滑な実施が可能となるよう環境整備を進めてきたところであり、本日、実施に当たっての留意事項等についての通知を市町村教育委員会宛てに発出したところであります。
公立小・中学校における土曜授業の実施につきましては、設置者であります市町村教育委員会が判断するものでございますが、これまでの各市町村教育長との意見交換などの状況から、県教委といたしましては、来年度には多くの市町村が土曜授業に取り組まれるものと考えております。
土曜授業の内容と効果についてでございます。
土曜授業の内容につきましては、知識や技能を活用する力を育む補充・発展学習、外部人材を活用した体験的な活動、習熟度に応じた個別指導など、各学校の教育課題に応じたさまざまなあり方が考えられます。モデル校においては、児童が苦手な算数に時間をかけてじっくり取り組むことで、内容を理解でき、学習意欲が高まったなどの成果があったと聞いており、土曜授業の活用を通して、児童生徒の主体的な活動が展開されることにより、学校生活の充実が図られるものと考えております。
県教委といたしましては、学力向上を初めとする教育課題に対応し、児童生徒一人一人の生きる力の育成を図る上で、土曜授業の実施は有意義であると考えております。
土曜授業を実施した場合の教職員の勤務の振りかえについてでございます。
週休日の振りかえについては、鹿児島県学校職員の勤務時間に関する規則の一部を改正し、平成二十六年四月一日から、土曜授業に伴う週休日の振りかえ期間を前四週・後ろ八週から、前八週・後ろ十六週に拡大したところであります。現在、土曜授業を実施しているモデル校では長期休業中への振りかえが行われているところであり、今後、土曜授業に取り組む小・中学校においても、この規則を有効に活用し、振りかえを確実に行うよう指導してまいります。
競技力向上対策の成果についてでございます。
鹿児島国体に向けた競技力向上対策につきましては、平成二十四年度から二十六年度を育成期として、指導者の資質向上とジュニア選手の発掘・育成に重点を置いて取り組んできたところでございます。指導者の資質向上では、三年間で予定も含め、百七十一人の指導者やトレーナーを中央研修会等へ派遣いたしますとともに、中央競技団体の優秀な指導者三十人を招聘し、研修会等を開催することで、指導技術の向上が図られ、国体等で監督、コーチとして活躍していただいております。
ジュニア選手の発掘・育成では、各競技団体やコミュニティスポーツクラブが新たに開催するスポーツ教室が三年間で合計二千二百三十四回、延べ参加者数が約七万五千人になるものと見込まれており、継続的に参加している子供も多く、底辺拡大が確実に図られております。また、各競技団体においては、これらの参加者の中から才能豊かな選手の発掘に努めているところであり、カヌーや相撲競技において、小学生の全国大会等で優秀な成績を残し始めているところでございます。
今後の競技団体との連携についてでございます。
競技団体との連携につきましては、競技団体の要望や課題を把握いたしますため、ヒアリングやアンケートを実施いたしますとともに、選手発掘・育成の現場に出向き、現状を把握・分析しているところでございます。
県教委としては、具体的な強化対策を実施・推進できるよう指導者派遣、指導者の資質向上、競技用具の整備等に必要な予算の効率的な配分、指導者や練習場の確保を行いますとともに、他の競技団体や他県の強化方法等の情報提供などに取り組んでいるところでございます。来年度は、競技力向上計画の第二段階であります強化期に入り、競技団体の主体的な取り組みがより一層重要になりますことから、さらなる競技団体との連携強化に努めてまいります。
小・中・高校一貫した競技力向上についてでございます。
スポーツ教室等で発掘・育成した小学生が進学する際に、進学先の学校に希望する運動部がなく競技を継続できない場合があることを承知いたしております。このため、関係市町村教育委員会等と連携を図りながら、地元の学校に当該運動部や同好会の新設を依頼したり、創設が難しい場合には、平日の放課後や休日に競技団体やコミュニティスポーツクラブ等に練習会を開催していただき、児童生徒が参加できるようにするなど、競技や地区の実情に応じて、小学校から高校まで競技を継続できる環境を整え、育成期の取り組みが途絶えることなく強化期につながるよう努めてまいりたいと考えております。
18 ◯警察本部長(池田克史君)中学生以下の子供に対する声かけ等の発生状況についてでございます。
中学生以下の子供に対する声かけやつきまといなど性的犯罪の前兆事案は、本年十月末現在二百六十六件で、昨年同期と比べ百件増加しております。内訳は、声かけが百四十五件と最も多く、次は、つきまといが四十六件、公然わいせつが三十五件、痴漢が十六件などでありまして、被害者は小学生が百七十九人、中学生が八十五人、未就学児が二人となっております。発生時間につきましては、登校時間帯が三十六件、下校時間帯が百七十四件で全体の八割を占めております。
次に、子供を犯罪から守る対策等についてでございます。
県警察では、登下校時間帯を中心に防犯ボランティアや学校関係者と連携して、見守り活動やパトロール活動を強化しているほか、県警あんしんメール等により情報提供を行っております。また、子ども一一〇番の家への駆け込み訓練等を本年十月末までに約六百五十回行っているほか、集団登下校等も呼びかけているところであります。
子供の夜間徘回対策といたしましては、少年補導員やボランティア団体等と連携した夜間パトロールや補導活動を行いまして、本年十月末現在で二百五十九人を補導しているほか、少年非行防止教室等を通じて、規範意識の向上や各種犯罪の被害防止に必要な助言・指導を行っております。
今後とも、子供が犯罪に巻き込まれないための取り組みを強化してまいります。
19 ◯環境林務部長(新川龍郎君)エコパークかごしまの整備に伴う地域振興策の実施状況等についてでございます。
地域振興策については、廃棄物の搬入路となる県道百次木場茶屋線を本年十月に供用開始したところであり、今後、エコパークかごしまから百次大原野集落までの整備を進めることとしております。
準用河川阿茂瀬川の改修については、阿茂瀬橋付近の河川改修に向け、現在、用地買収を進めているところであり、順次護岸整備に着手することとしております。
また、簡易水道から上水道への水道水源の切りかえ工事及び処分場までの上水道整備については、本年十月に完了しているところでございます。
今後とも、施設周辺の方々のよりよい生活環境の整備や地域活性化につながる施策の円滑な実施に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、管理型処分場に係る住民理解の現状についてでございます。
管理型処分場の建設に賛同いただいていない大原野自治会の方々に対しては、これまで、戸別訪問や施工状況の現場視察などにより、施設の安全性等について説明してきており、去る八月末には、クリーンパークさがなどの先進地を視察していただいたところでございます。
また、県環境整備公社においては、処分場の完成が間近となりましたことから、改めて同自治会に対し、意見交換会の開催を依頼していたところ、先月二十八日に意見交換会が開催されたところでございます。その際に、施設について御理解いただき、環境保全協定の締結などをしていただくよう要請を行ったところでございます。
次に、エコパークかごしまの適切な管理運営についてでございます。
エコパークかごしまの維持管理については、県環境整備公社において、廃棄物の受け入れ基準や受け入れ時の審査等の内容や手順を定めた維持管理マニュアル等に基づいて行うこととしております。また、廃棄物処理法等や環境保全協定に基づき、地下水、騒音、悪臭、関係地域内の井戸水などの各項目について環境モニタリング調査を実施するとともに、調査結果について関係自治会等への報告やホームページでの公表を行うなど、情報公開にも努めることとしております。
県としては、安心・安全で適切な管理運営が行われるよう公社に対し、必要な助言・指導を行ってまいりたいと考えております。
次に、県産材の利用拡大に向けた取り組みについてでございます。
住宅着工戸数が減少傾向にある中で、県産材の生産量増大に向けた生産性の向上に取り組みますほか、県産材の利用拡大を図るために、需要者ニーズに対応できる供給体制を整備するとともに、住宅や公共建築物を初め、さまざまな分野における利用促進の取り組みを一体的に推進する必要があると考えております。
このため、製材工場の規模拡大やプレカット等の木材加工施設の整備、乾燥技術の確立・普及の取り組みなど、品質の確かな製品を低コストで安定的に供給できる体制づくりに取り組んできております。また、各種イベントや県政広報番組等を通じて、広く県民へ木のよさや県産材利用の意義についてPRを図りながら、緑の工務店によるかごしま木の家づくりや公共施設等への木材利用を推進するとともに、中国等の東アジアに向けた輸出や木質バイオマスエネルギーへの利活用など、さまざまな施策を総合的に展開し、県産材の利用拡大に努めております。
次に、ツーバイフォー住宅部材加工施設等についてでございます。
霧島市のツーバイフォー住宅部材加工施設については、これまで国産材がほとんど使用されていなかった部材を県産材で製品化しようとする全国でも先駆的な取り組みとなるものであり、既に木材の天然乾燥用の土場舗装工事が完成し、現在、加工施設の建設や乾燥設備の設置などの工事が進められており、来年四月に本格的な操業を開始する予定であると聞いております。
一方、肝付町のCLT加工施設については、高層の木造建築物の部材として利用が期待されるCLTを生産するものであり、今月、建屋の建設や製造機械の設置等の工事が完成し、操業を開始する予定であると聞いております。
次に、新たな木材利用に関する県の取り組みについてでございます。
ツーバイフォー住宅部材やCLTなどの新たな木材利用を促進することは、県産材のさらなる利用拡大につながり、本県の林業・木材産業の振興を図る上で重要なことと考えております。このため、県としては、ツーバイフォー住宅部材については、加工施設の整備等に対して支援を行いますとともに、必要な原料が安定的に確保されるよう事業者に対して指導・助言等を行っております。また、CLTについては、構造設計に関する試験や加工施設の整備に対して支援を行っており、今後、国の示したCLTの普及に向けたロードマップに沿って、断熱性や施工性等にすぐれ、環境に優しい木質構造材料となるCLTの普及啓発に取り組むこととしております。
今後とも、関係機関・団体と連携しながら、新たな木材利用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
20 ◯保健福祉部長(松田典久君)県難病相談・支援センターの活動状況についてでございます。
難病相談・支援センターにおいては、平成二十三年十月の開設以来、難病患者に対する相談機能、生活支援機能、自立支援機能の三つを柱に取り組んでおります。
相談対応については、専門医等がセンター内で対応するとともに、離島を含めた各地域を巡回して対応しており、平成二十五年度の相談件数は延べ四千四百九十三件で、対前年度比で約一割増加しております。主な相談内容としましては、特定疾患の認定や専門的な医療機関、福祉支援に関することとなっております。
また、難病患者の生活支援としては、就労支援のためのセミナーの開催や難病患者等を支援するボランティアの育成、入院が必要となった場合の難病医療拠点病院等との連携による入院施設の確保を行っております。
さらに、難病患者の自立支援としましては、当事者による相談活動や患者・家族交流会など難病患者団体が主体となって取り組む交流活動等への支援を行っております。
難病に関する新たな医療費助成制度の概要についてでございます。
難病に関する新たな医療費助成制度については、患者及び家族のニーズが多様化し、社会・経済環境が変化する中で、公平かつ安定的な制度とするため、これまで国の難病対策要綱に基づき実施されていたものを、いわゆる難病医療法を新たに制定して実施するものであります。
具体的には、来年一月から医療費助成の対象となる疾患について、従前の五十六疾患に新たにHTLV─1関連脊髄症などを加えて百十疾患とし、さらに来年夏には約三百疾患に拡大することとしております。また、患者の負担割合を従前の三割から二割に軽減して、所得に応じて負担限度額を設定するほか、人工呼吸器等装着者に対してさらなる負担の軽減を行うなど、各種措置が講じられることとなっております。
新たな医療費助成に向けた県の取り組みについてでございます。
今回の助成制度においては、県が指定する専門の医師による診断が必要とされたことから、現在、医療費助成の申請に必要な診断書を記載できる医師の指定を行っているほか、支給認定を行うために必要な指定難病審査会の設置、患者が治療を受ける医療機関等の指定に取り組んでいるところであります。また、対象となる患者や医療機関等への周知を図るため、現在、認定を受けている患者や難病を診療している専門医療機関等に個別の通知を行うとともに、県のホームページや県政かわら版、市町村の広報紙を活用しております。あわせて、新たな医療費助成制度に対応するシステムの改修や保健所職員を対象とした説明会を実施しているところであります。
県としましては、引き続き、難病相談・支援センターを中心に、各保健所や医師会等関係団体、市町村とも連携しながら、新たな医療費助成制度の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
[吉留厚宏君登壇]
21 ◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
公立小・中学校における土曜授業についてでありますが、子供たちの学習機会の充実に向けて、モデル事業の成果を取り入れつつ、効果的な実施が図られるよう要望いたします。
私も坊津学園を視察いたしましたので、小・中学校が統廃合され、地域の方が学校が縁遠くなった中で、土曜授業の中で地域のことを取り上げていただけるということで、子供たちも、「学力だけではなくて地元のことに愛着が湧く」、「地元のことがわかるようになった」という声がありましたので、ぜひ、モデル事業のようなことをほかの学校でもやっていただけるということでありますので、よろしくお願いしたいと思っております。
国体に向けた競技力向上についてでありますが、ことしは五年ぶりに二十位台を回復したとはいえ、まだまだというのが実感であります。鹿児島国体に向けて、各競技団体と連携したさらなる戦略的な競技力向上対策に取り組まれるよう強く要望いたします。
子供を犯罪から守る対策についてでありますが、県内各地での防犯ボランティア団体の活動が成果を上げているとのことであり、警察と地域との連携による一層の取り組みの強化を要望いたします。
公共関与による管理型最終処分場については、いよいよ来年一月の稼働開始にこぎ着けることができました。今後は、安定経営に向けた適切な事業運営と安全管理に努めていただくよう要望いたします。
新たな木材利用に関する取り組みについては、こうした木材加工技術の高度化や品質の向上、流通の合理化により県内木材産業の競争力の強化が図られ、国内及び東アジアに向けた県産材の利用拡大につなげるよう、県の積極的な取り組みを要望するところであります。
奄美地域のドクターヘリ導入についてでありますが、ただいまの知事の答弁により、平成二十八年度を目標に、奄美地域のドクターヘリの導入に向けた県の方針が示されましたことは、奄美群島の皆さんにとってまことに喜ばしいことであり、今後の具体化に向けた体制整備をよろしくお願いいたします。
私も昨年、環境厚生委員会で大島病院を視察させていただきまして、施設整備等を拝見させていただきました。また、ドクターヘリという意味では離島地域がかなり需要があるなというのを自分でよくわかったところであります。平成二十八年度ということでありますので、よろしくお願いしたいと思っております。
難病対策についてでありますが、国の制度見直しを踏まえ、新たな医療費助成制度の円滑な実施に取り組むとともに、県難病相談・支援センターを中心に、関係機関・団体と連携した難病対策の充実に努められるよう要望いたします。
以上、県政の各分野について質問してまいりました。
さて、残すところ一カ月足らずとなりましたが、慌ただしい年の瀬となりました。衆議院議員選挙が昨日公示され、十四日の投開票に向けた選挙戦がスタートしました。四月の消費税増税の影響が長引き、GDPが二期連続してマイナスとなる経済情勢のもと、再増税に踏み切った場合、デフレ脱却が危うくなる。アベノミクスの失敗を喧伝する声がある中、改めて経済政策・成長戦略への国民の信を問うとの安倍総理の決断を支持するものであります。
来る十二月十四日の総選挙に向けて、私どもは全力を結集して戦い抜くとともに、あわせて、鹿児島の発展と県民生活の安定のために最大限の努力を傾注してまいる所存であることを申し上げ、
自由民主党県議団の代表質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
22 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午後 零時 一分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
23 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。
ふくし山ノブスケ君に発言を許可いたします。
[ふくし山ノブスケ君登壇](拍手)
24 ◯ふくし山ノブスケ君 県民連合を代表して質問を行います。
安倍総理は、全く状況の異なるアメリカ独立戦争時に唱えられた「代表なくして課税なし」と意味不明のスローガンを持ち出し、唐突に伝家の宝刀を抜きました。十一月十八日の記者会見では、来年十月に予定していた消費税率一〇%への再増税を、二〇一七年四月まで延期し、みずからの経済政策であるアベノミクスの継続の是非で信任を問うと、二十一日に衆議院を解散しました。
浜矩子同志社大学教授は、「アベノミクスの失敗と衆議院解散・総選挙との間に脈絡はなく、将棋で負けそうになったから将棋盤をひっくり返すようなものだ。本来ならば、国会で説明し、論戦を経て、仕切り直しの方向を示すべきだ」と指摘していますが、まさにそのとおりであります。そもそも、景気悪化による増税先送りは、国会でしっかりと審議し、景気条項に基づく消費増税法を自民党など賛同する多数で改正すればできるのであり、何ら解散の理由にはなりません。
今回の解散・総選挙の争点は、アベノミクスの是非とともに、消費税率の引き上げには国会議員みずからが定数削減などの身を切る改革を行うと約束したことをほごにしたこと、有権者にワインを贈った公選法違反疑惑などを解散でリセットしようとしていること、憲法解釈によって集団的自衛権の行使を容認したこと、全体像が示されないまま原発の再稼働を推進することなど、この二年間の安倍政治への審判となります。
選挙に勝って、新たな四年間の任期でフリーハンドを確保しておきたいとして、解散・総選挙に打って出た安倍首相の解散の意義をどのように評価されているのか、知事の見解をお聞かせください。
たとえ安倍首相が総選挙に勝利し、アベノミクスが信任を得たからといって、成長戦略としてのアベノミクスの政策で今後、景気の好循環が生まれるとは限らないのであります。そのような状況での今回の解散は、アベノミクスの失敗と政治と金をめぐる二人の女性閣僚の辞任など、疑惑隠しのぼろが出る前解散などと、やゆされるのも当然であります。また、消費増税の先送りによって、再増税を前提にした社会保障改革や財政再建プランの見直しも迫られるなどの影響が出ることになります。
今回の解散は、まさしく大義なき解散と言わざるを得ませんが、景気条項に基づく措置で済むことをあえてせずに解散したこと、今回の消費増税の先送りによって生ずる影響について、伊藤知事はどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
再増税延期によって、自治体財政も大きな影響を受けることが懸念され、その額は一年間で一兆七千億円に上ると言われています。来年度スタートする子ども・子育て支援新制度などの財源措置が危惧されますが、消費増税先送りによる本県財政への影響と、それらにどう対応していくのか示してください。
アベノミクスは、企業の収益を引き上げ、業績が回復すれば設備投資と賃金がふえ、経済の好循環が生まれると説明されてきましたが、私どもは、一部の大企業は潤っても、中小企業や地方への波及は厳しいと指摘してまいりました。現状は、輸出価格の増加を期待した円安政策は生産拠点をさらに海外に移す結果になり、むしろ輸入価格を引き上げて物価上昇を招き、庶民の暮らしを苦しめることになっています。
安倍首相は、賃金引き上げを企業に要請する一方で、生涯にわたり派遣労働者で非正規雇用の増加につながる労働者派遣法改正を進め、公務員の賃金引き下げを図るなど、整合性のない施策を推進しています。これではアベノミクスも失敗するはずであります。
景気の低迷は数値にもあらわれています。七月から九月期のGDPは二四半期連続の減少、円安による物価上昇等で実質賃金も十六カ月連続の前年比マイナス、消費支出も前年を下回っているのが実態であります。安倍首相は、「中小企業や地方など全国の津々浦々まで景気回復の実感を届ける。それが私の責任だ」と言ってきましたが、その実感は全くありません。
知事は、アベノミクスの地域経済と雇用への効果をどのように捉え、評価されているか、伺います。
川内原発一、二号機の新規制基準適合性審査では、問題の多い審査ではありましたが、
原子炉設置変更許可申請は許可されました。しかし、現在も、工事計画、保安規定変更認可申請の審査が継続中であります。
原子力規制委員会も、九州電力も、全ての申請が認可されて初めて再稼働の要件が満たされるとしています。
そのような中で、十一月五日から七日開催されました臨時議会において、まず六日の
原子力安全対策等特別委員会で、三十二件三十八項目中の一件、
川内原子力発電所一・二号機の一日も早い再稼働を求める陳情を採択し、翌七日の本会議で同様の採決結果を経て、鹿児島県議会として再稼働容認という結論を出しました。時を置かず同日の午後、伊藤知事は記者会見において、「やむを得ない」として再稼働容認を表明いたしました。
この記者会見において、「三期目の選挙をやった二年前からのテーマだった。拙速をいとわず、的確に迅速に進めるというのが私の行政の哲学でもあり、県議会を踏まえる形でお願いして、迅速な手続をとらせてもらった」と発言しておられます。ここで言う迅速の哲学とはいかなる哲学なのか。また、再稼働同意の表現に「やむを得ない」という言葉を使った真意をお聞かせください。
知事は、会見において、川内原発で事故が起きても「避難の必要がない。普通に生活してもいい」、「もし福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない」とも発言しています。その根拠をお示しください。
また、知事は、再稼働に同意した責任を記者から問われて、「大変重い判断をすることになった。いろいろな事象が今後起こることも考えられるので、私自身、厳格な気持ちで臨みたい」と発言しています。ここで言ういろいろな事象とは何を指すのか。厳格な気持ちというのはどのような気持ちか。また、同意した責任をどのように認識しておられるのか、伺います。
知事は、同意を表明した根拠に、国が責任を持つとしたことを強調されました。小渕前大臣の「川内原発の再稼働を進めたい。原発事故の際は、国が責任を持つ」という文書、その後の宮沢経産大臣の「万一の事故の際は、国が関係法令に基づき責任を持って対処する」という発言が主な根拠とされています。しかしながら、国が関係法令に基づき責任を持って対処するということは当たり前のことであり、それ以上でも、それ以下でもありません。
また、国が責任を持つといっても、福島の事故後の現状を見たときに、国が責任をとれているでしょうか。溶融した燃料がどこにどういう状態であるのかも全くわかっておらず、放射能の漏出はいまだに続いています。広大な面積の山林や田畑等の除染は遅々として進んでおらず、住みなれた自宅に戻れない人々は、三年八カ月が経過した現在でも十二万人以上に上っています。長期の仮設住宅生活が心身に与える影響は大きいものがあり、震災による直接死より関連死が大きく上回る状況になっているのであります。
県民連合では、十月七日にいわき市の仮設住宅を訪問し、避難されている方々と意見交換会を行いました。その際にまず言われたことは、国や自治体に対する不信感でありました。このことは、「国が責任を持つ」という言葉がいかに空虚なものであるかを実感するものであります。どうして福島で責任がとれていないのに、川内原発ではとれると言えるのでしょうか、認識をお聞かせください。
また、福島の事故後の対応で、被災者の移転や生活補償、農林水産物生産の減収補償、事業活動の損失補償など、東京電力が幾らお金を負担し、国が幾ら拠出しているのか。また、住民の住宅建設やインフラ整備、山林や田畑・宅地等の除染費用にどれだけ拠出しているのか、それぞれお答えください。
十月九日から十月二十日まで、五つの会場で
原子力規制委員会による適合性審査結果の住民説明会が開催され、また、五回の住民説明会の参加申込者を対象に補足の説明会が開催されました。どの会場でも、避難計画の実効性を問う質問、地震や火山噴火リスクの過小評価など疑問が噴出し、とても理解が進んだとはいえない状況でありました。
六回の説明に参加したのは、対象住民のわずか一・五%の二千九百九十人です。世論調査では、県民の六割ほどが再稼働反対という結果もあります。再稼働の結果は、県民全体へ深刻な原発事故の影響を及ぼす可能性があります。であれば、三十キロ圏内の住民はもちろん、全県民の意向も十分に尊重すべきであります。理解イコール同意ではありません。
知事は、住民説明会によって県民全体の理解を得たと思うのか、見解を伺います。
知事は、七日の会見で、「原発について、理解や知識の薄いところで一定の結論を出すというのは、錯綜するだけで賢明なことではないと思う。姶良市議会は廃炉の決議をした」と述べておられます。これは、姶良市議会が、原子力について理解や知識が薄いと言っていることになります。福島第一原発事故の現実を見たときに、姶良市議会の判断は必ずしも理解や知識が薄い判断とは言えません。むしろ、電源三法交付金の恩恵が全くない自治体の判断は、福島の原発事故の教訓を純粋に反映したものであり、姶良市民の声を代弁する議会の意思として尊重すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
再稼働するとなると、当然、使用済み核燃料が発生します。いずれ川内原発の使用済み核燃料プールが満杯になります。使用済み核燃料の搬出先である六ヶ所再処理工場は、ことし十月としていた完成時期を二〇一六年三月まで延期しました。一九九七年完成予定以来二十一回目、建設費用は当初の九百七十億円から約三倍の二兆二千億円になっています。完成しても新規制基準の適合性審査をパスしなければなりません。また、再処理した燃料を燃やすプルサーマル計画も今後の見通しは立っていません。
このままで推移すると、中間貯蔵施設が不可避となってきます。玄海原発の使用済み核燃料プールが満杯になる状況が迫っている玄海町の岸本町長は、中間貯蔵施設を玄海か川内につくる必要性に言及しています。たまり続ける使用済み核燃料の処分について、鹿児島県としてどのように対応するつもりか、伺います。
現在、再生可能や新エネルギーの技術開発が飛躍的に進んできています。今回、問題になった太陽光発電を主にした接続問題は、再生可能エネルギーの急速な普及が進み、認定容量が夏場のピーク需要を超える状況になったためです。このことに対応する整備が進めば、さらなる再生可能エネルギーの普及に弾みがつきます。
また、家庭用燃料電池の普及も進み、販売単価も下がってきています。これに太陽光や電気自動車と蓄電池をセットし、ホーム・エネルギー・マネジメントシステムを活用すれば、自己完結型のスマートハウスも可能です。既にこの事業には経済産業省も経済的な支援をしています。福岡県では、水素タウンの構築という大規模な社会実証が進められています。
要は、政治が政策として明確な方向性を示す決断によって一気に進むのです。中途半端な政策は、経済界が投資リスクを考慮し、普及拡大の足を引っ張る結果しかもたらしません。今こそ、エネルギーをつくる、ためる、効率的に使う脱原発社会の構築に政策を転換すべきときです。知事の見解を伺います。
安倍首相は、衆議院の解散と来年十月に予定されている消費増税の延期を決断しました。政府は、二〇二〇年に
基礎的財政収支を黒字にするという公約を掲げておりますが、消費税を一〇%に増税しても達成が難しいと指摘する声もあり、増税延期で財政再建はさらに遠のくことになります。いずれ金利が上昇し、強制的な歳出削減に追い込まれるのか、あるいは同様の問題を抱えたまま、相次ぐ増税によって何とか状況を維持するのかのいずれかであります。こうした事態を避けるには、目覚ましい経済成長を実現し、税収をふやして財政再建をなし遂げることにありますが、現時点での見通しは極めて不透明であります。とりあえず、今回の解散と消費税スキップによって、財政再建問題の時間軸がさらに後退したことだけは間違いのない事実であります。
財務省は、二〇一五年度予算編成に当たり、歳出見直し案をまとめ、財政制度審議会に提示いたしました。国が自治体に配る地方交付税の上乗せ分である別枠加算の廃止や、国の支出の三割を占める社会保障費の削減、公立小学校の四十人学級の復活など多岐にわたっています。
そこで、以下四点伺います。
財務省は、二〇〇九年度から実施している別枠加算の廃止も求めています。減少する地方税収の一方、地域の財政需要が着実に拡大している中、歳出特別枠や別枠加算を通常の交付税枠におさめることが必要でありますが、伊藤知事は、財務省の別枠加算の廃止、圧力に対してどのように反撃していかれるのか、明確にお答えください。
また、財務省は財政制度等審議会において、二〇一五年度
地方財政計画における地方自治体が自主的に実施する地方単独事業について、前年比六%、約八千三百億円の削減を求めております。地域には、雇用対策や新エネルギー対策、老朽化する社会資本の維持管理施策、生活保護受給者の就労と生活支援に向けたパーソナルサポーター事業、地域での起業支援や空き家対策などといった喫緊の実需があります。
伊藤知事は、こうした地方自治体の共通する課題に対し、財務省が求める六%削減案にどう反論し、行動されるおつもりか、見解をお聞かせください。
一方、文教費で焦点となっているのは、公立小学校の三十五人学級制であります。財務省は、三十五人学級と四十人学級で目立った成果の違いがないとして、四十人に戻した場合、必要な教職員の数を四千人減らせた上、人件費の国負担分を年間約八十六億円削減できるとしています。
子供は国の未来そのものであり、教育に使う国家予算は未来への投資と考えるべきであります。目先の予算削減しか念頭にないかのごとき姿勢には強い違和感を抱くものでありますが、教育長は、四十人学級復活による予算削減主張に対してどのように対応されるのか、方針をお示しください。
厚生労働省が、二〇一五年度から介護事業者が職員の賃金引き上げの原資となる処遇改善加算を求めているのに、財務省は、介護サービスを行う事業者に支払われる介護報酬の六%引き下げも求めております。また、社会保障費の削減案で特に大きいのが、年金のマクロ経済スライド制の強化や生活保護給付水準の見直しなどであります。
財務省のこのような厳しい姿勢に対して、今後どのように対応をとられるのか、考えを伺います。
以上、一回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
25 ◯知事(伊藤祐一郎君)衆議院の解散・総選挙の意義に対する評価についてのお尋ねがございました。
今回の衆議院の解散につきましては、その権限を持つ内閣総理大臣としての判断に基づくものであること、また、現在、既に衆議院議員総選挙の期間中でもありますことから、私が評価することは差し控えたいと考えております。
知事の迅速の哲学と、「やむを得ない」との表現についてのお尋ねであります。
川内原子力発電所につきましては、九月に
原子力規制委員会により
原子炉設置変更許可が出され、県では審査結果等に対する住民説明会を行い、その後、薩摩川内市議会、
薩摩川内市長、県議会が御判断を示されたところであり、一連の手続がこのように進んだことにつきましては、その処理を速やかにする、すなわち迅速に進めることが行政運営にとって重要であると日ごろ考えているところであります。
なお、
原子力発電所につきましては、さまざまな意見の方がおられますことから、一律に賛成という立場はとりにくいこともある一方、私としては、再稼働の前提となる安全性の確保やエネルギー政策に占める原発の必要性など、諸般の情勢を総合的に勘案いたしますと、当分の間は
原子力発電所を活用せざるを得ないという結論に達したところであり、そういう意味で「やむを得ない」という言葉を使ったところであります。
知事の同意等の責任等に関連して、いろんな事象が起こるないしは厳格な気持ちというのはどういう気持ちなのか。また、同意した責任についてどのような認識をしているかという質問がございました。
いろんな事象が起こるとお話をいたしましたのは、原発の運営について、これまでのいろんな経緯を踏まえまして一般論を表現したものでありまして、それぞれの事象について臨む気持ちを厳格な気持ちと表現したものであります。
また、同意した責任につきましては、それぞれの事象が発生した段階で、みずから判断するテーマであると認識いたしております。
26 ◯総務部長(寺田雅一君)消費税率の
引き上げ延期の影響についてでございます。
消費税率の引き上げの延期によりまして、引き上げ分の消費税収を活用して実施することとされている社会保障の充実などの社会保障制度改革や、国の財政健全化の取り組みについて影響が生じることが考えられるところでございます。
社会保障の充実につきましては、国は、子ども・子育て支援新制度については、来年四月から予定どおり実施するとしておりますが、その他の社会保障の充実についてはスケジュールの見直しが必要としているところでございます。
また、国の財政健全化に向けた取り組みにつきましては、国は、国・地方を合わせた
基礎的財政収支について、二〇二〇年度までに黒字化を目指すとしている財政健全化目標を堅持し、来年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定することとしておりまして、今後、地方財政についても厳しい方針が示されることが懸念されるところでございます。
次に、本県財政への影響と対応についてでございます。
消費税率の引き上げの延期が来年度の本県財政に与える影響といたしましては、まず歳入面では、
地方消費税率について引き上げが延期されることによりまして、来年度の地方消費税の税収に影響が生じるところでございます。来年十月に税率が引き上げられた場合と比較した影響額は、税率の変更の影響が税収にあらわれるまでには一定の期間を要するということもありまして、平成二十六年度当初予算ベースで試算いたしますと、七億円程度となります。
また、地方交付税の原資についても引き上げが延期されることになりますが、地方交付税は、
基準財政需要額と
基準財政収入額との差を基礎として算定されるものでございまして、地方消費税の減収に伴って
基準財政収入額が減少する一方で、来年度において
基準財政需要額に算入される社会保障の充実等の内容が明らかでないことなどから、その影響額を具体的に試算することは困難でございます。
一方、歳出面といたしましては、引き上げ分に係る地方消費税を活用することとされています来年度における社会保障の充実分について、国は、先ほど申しましたとおり、子ども・子育て支援新制度は来年四月から予定どおり実施し、その他の社会保障充実についてはスケジュールの見直しが必要としております。
国における今後の検討状況を踏まえつつ、県として適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、地方交付税の別枠加算廃止の議論への対応についてでございます。
平成二十六年度の地方財政収支につきましては、十・六兆円の財源不足が生じており、国の一般会計からの六千百億円の別枠加算等による補填が行われているところでございますが、県といたしましては、地方交付税総額の安定的な確保を図るためには、このような毎年度の
地方財政対策による措置ではなく、法定率の引き上げなどによる恒久的な措置が講じられる必要があると考えております。また、恒久的な措置が講じられるまでの間は、別枠加算について、地方税収の状況を踏まえ、必要な額が確保される必要があると考えております。
このため、県といたしましては、法定率の引き上げなどを通じて、地方交付税を含む地方
一般財源総額の確保が図られるよう、引き続き、県開発促進協議会や全国知事会等を通じまして、国に対して強く要望しているところでございます。
財務省の財政制度等審議会において示された地方単独事業の削減策への対応についてでございます。
地方財政計画における一般行政経費の地方単独事業は、決算等の実態を踏まえつつ、地方自治体の自主性を尊重して、枠として計上されておりまして、国の制度に基づいて実施されるもののほか、地域の実情に応じた、きめ細やかなセーフティネットとしての住民の安心の確保などに貢献しております。
これまで、地方単独事業は、社会保障関係経費を含めまして据え置かれておりますが、地方分権改革の進展により、地方自治体の主体的な取り組みが求められることとなる中で、その重要性はますます高まっていくことになると考えております。
県といたしましては、社会保障関係経費や地方の実情に即した地域活性化の取り組みなど、地方単独事業を含めて、地方における必要な歳出を適切に
地方財政計画に反映した上で、安定的な財政運営に必要な地方
一般財源総額の確保を図る必要があると考えておりまして、県開発促進協議会や全国知事会等を通じまして、国に対して強く要望しているところでございます。
27 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)アベノミクスの地域経済と雇用への効果についてでございます。
県内の主な経済指標を見ますと、安倍政権が発足した平成二十四年十二月以降、個人消費は消費
税率引き上げによる影響を伴いつつも、総じて見れば底がたく推移しており、生産活動につきましても、全体としては持ち直してきております。また、県内の雇用情勢につきましても、有効求人倍率が全国の平均に比べて低いものの、平成四年以降最高の〇・七八倍となるなど、改善傾向にございます。
一方、足元では、大型小売店販売額や鉱工業生産指数が前年を下回るなど、一部に弱さが見られております。また、県内中小企業につきましては、県商工会連合会の景況調査などを見ますと、人口減少等による需要の縮小という経営環境の変化に加え、原材料価格の上昇などにより、依然として厳しい状況にあると認識いたしております。
国におきましては、エネルギー価格の高どまりへの対策などの生活者支援、生産者支援や、地方創生に向けた地域活性化などに重点を置いた経済対策について検討が行われているところでございまして、現下の経済情勢に鑑み、速やかに実効ある施策が展開されることを期待しているところでございます。
28 ◯危機管理局長(屋島明人君)川内原発における命の問題の発生についてであります。
新規制基準適合性審査書において、九州電力は、川内原発で一時冷却水が喪失し、炉心冷却装置による注水失敗や格納容器スプレイの失敗を想定した炉心損傷を伴う過酷事故が発生した場合、放射性セシウム137が約五・六テラベクレル放出されると評価しております。
一方、
原子力規制委員会は五月に、川内原発と同規模の発電所で、セシウム137が安全目標と同じ百テラベクレル放出された場合の被曝線量と防護措置の効果の試算を公表しております。
九州電力の評価を国の試算結果と比較するとともに、国の災害対策指針の防護措置の考え方を勘案すると、川内原発においては、福島の事故のときのような深刻な事態は現実的にはほとんど発生しないと考えております。
福島事故での国の対応と川内原発の事故の際の国の責任についてであります。
国においては、早期帰還と新生活の支援で福島を支える、事故収束に向けた取り組みを強化する、国が前面に立って福島の再生を加速するという方針のもと、福島の復興・再生に向け取り組んでいるところであります。
川内原発については、九月十二日付の
経済産業大臣からの文書及び十一月三日の宮沢大臣来鹿の際に、「万が一事故発生した場合には、国が責任を持って対処する」と政府の考え方が明確に示されていると認識しております。
福島事故の損害賠償や除染費用等への東電と国の負担についてであります。
東京電力による本年十月末現在の損害賠償実績は約四兆四千億円であり、内訳は、避難や就労不能等の損害に対し、約一兆六千億円、出荷制限や風評被害等の損害に対し、約一兆八千億円、財産価値の損失等に対し、約一兆円であります。
この賠償について、国は、東京電力に損害賠償補償金として一千二百億円を支払うとともに、東京電力へ資金援助を行う原子力損害賠償等支援機構に九兆円の交付国債を交付しております。
さらに、国は、原子力災害からの復興再生のため、復興特別会計において、平成二十五年度までに約一兆九千億円を支出しており、このうち除染費用が約一兆一千億円、公営住宅の整備等が約四百億円となっております。
県民全体の理解についてであります。
川内原子力発電所の新規制基準適合性審査結果については、県民誰でも参加できる形で薩摩川内市などの五市町において説明会を開催し、また、説明会資料について、三十キロ圏内の全世帯に配布するとともに、県ホームページにも掲載したところであり、県民の方々の理解はある程度進んだものと考えております。
姶良市議会の議決についてであります。
川内原子力発電所の再稼働について、市町村議会はさまざまな形で意見の表明をされており、姶良市議会の決議についても、その一つの意見表明であると考えております。
29 ◯企画部長(古川仲二君)使用済み燃料の処分についてでございます。
放射性廃棄物の処理につきましては、国が長期的な視点に立って、しかるべき対策等を責任を持って樹立すべきであると考えているところであります。現在、国において、最終処分の取り組みの見直しに向けた検討を行っているところであり、引き続き、今後の議論の動向を注視してまいりたいと考えております。
次に、脱原発社会の構築についてのお尋ねでございますが、県といたしましては、今後のエネルギー政策につきましては、国の新たな
エネルギー基本計画において、原発依存度については、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させるとの方針のもと、我が国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減、温暖化対策等の観点から、確保していく規模を見きわめるとするなど、今後二十年程度のエネルギー需給構造を視野に入れ、エネルギー政策の方針をまとめているところであり、このことを踏まえると、当分の間は原子力発電を活用しつつ、おおむね二〇三〇年代の時点において、将来のエネルギー基本政策を検討すべきであると考えております。
その際には、再生可能エネルギーの普及状況や産業社会への影響、エネルギーの安全保障等を考慮し、どのようなエネルギーミックスが可能かを国を挙げて検討することが重要であり、いわゆる脱原発の方向を模索しつつ、国の最も基幹的な政策の一つであるエネルギー政策として、その時点での最善の方策を検討すべきであると考えているところでございます。
30 ◯教育長(六反省一君)財務省の四十人学級復活による予算削減の主張についてでございます。
本県におきましては、かごしまっ子すくすくプランにより、小学校一、二年生の三十人学級を平成十七年度から順次実施してきており、義務教育の入門期における児童一人一人に対するきめ細やかな指導の充実につながっておりますことから、四十人学級に戻すべきではないと考えております。
文部科学省におきましても、教員が子供への指導に、より専念できる環境をつくるべきであるという考えのもと、四十人学級に戻すということは到底認められるものではないと反論していると聞いており、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
31 ◯保健福祉部長(松田典久君)社会保障費に対する財務省の削減姿勢への対応策についてでございます。
介護報酬の改定につきましては、現在、国の社会保障審議会介護給付費分科会において、給付費等の見直しの議論が行われております。また、年金制度や生活保護基準についても、社会保障審議会の各部会において、適正な給付水準や安定的な財政運営について議論が行われております。
県としましては、今後、審議会の検討結果を踏まえて、国において必要な予算措置等がなされるものと考えております。
32 ◯ふくし山ノブスケ君 自席から再質問させていただきたいと思います。
今、福島原発にかかわる国や東電の補償、国の責任についての御答弁をいただきました。
改めて伺いますけれども、いまだに膨大な量の水を注ぎ込んで、汚染水対策としての凍土壁あるいはコンクリート壁といったようなのも効果が出ていません。それに、除染にいたしましても、先般の台風のときもそうでしたけれども、風雨で汚染を繰り返しているというのが実態であります。廃炉作業は始まったばかりで、技術も未確立、四十年で終了するか計画すら立っていないというのが実態ではないでしょうか。
三年と八カ月、避難生活がいつまで続くのか、一体誰が責任を持ってこれらの事態を解決するのか。知事は、国が責任を持つとして同意したわけですけれども、こうした福島の現状を見るとき、国は責任を全てとっていると言えるでしょうか。それにもかかわらず、そのような国が川内原発で、これは事故が起きにくいといったような答弁がありましたけれども、事故が起きた場合、本当に責任がとれると考えているのか、再度お答えいただきたいと思います。
33 ◯危機管理局長(屋島明人君)国の責任につきまして、先ほど申し上げましたように、国は、福島の復興再生に向け、国が前面に立って取り組むということで取り組んでおられます。汚染水対策あるいは除染、時間がかかる部分もあるかと思いますが、国が前面に立って、その復興・再生に向けて現在、取り組んでいるところであると理解しております。
[ふくし山ノブスケ君登壇]
34 ◯ふくし山ノブスケ君 人口減少対策や地域活性化の基本理念を示したまち・ひと・しごと創生法と改正地域再生法が成立いたしました。この創生法の目的には、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、活力ある日本社会を維持していくために、国の総合戦略を勘案して、各自治体は、二〇一六年三月までに地方創生総合戦略を策定することとされています。
安倍首相や石破地方創生担当大臣は、異次元の大胆な政策を打ち出そうと鼻息は荒いものがあります。しかし、戦後一貫して歴代政権がさまざまな施策に取り組んできましたが、今日の地方の現状を見るとき、地方の自治体には期待と疑念が交錯しているのも事実であります。
これまで、条件不利地域への各種の地域振興策は、一九五三年の離島振興法、一九五四年の奄美群島復興特措法、一九七〇年の過疎地域対策法など延長を繰り返しながら、また、集中的な発展を期待した一九六二年の新産業都市構想以降、手を変え品を変え、何とかポリス、何とか地域構想などさまざま打ち出されてきました。しかし、大概は芳しい成果を上げたとはいえず、竹下政権のふるさと創生一億円もバブル時代のエピソードに終わってしまいました。
さらに、二〇〇一年からの小泉政権の構造改革路線は、三位一体改革による地方財源総額の抑制と、平成の大合併による周辺の旧町村部の人口減少と疲弊を加速させているのが現状であります。
そこで伺います。
戦後、政府が進めてきた施策によってもなお、少子高齢化と地方からの人口流出、都市圏への一極集中が進行してきた事態に対する検証とその総括がなければ、今回の地方創生も同じ轍を踏む可能性がありますが、見解を伺います。
政府は、人口の将来像を示す長期ビジョンの骨子案に、人口減少の歯どめに、一人の女性が生涯に産む子供の数を推計した合計特殊出生率を二〇一三年の一・四三から一・八程度に引き上げることを、まず目指すべき水準と明記しています。
一九九四年の国連主催の国際人口開発会議で、リプロダクティブ・ヘルス・ライツという、産むか産まないか、いつ何人産むかは個人とカップルが自由に決定できるとする概念が採択され、産む・産まないを決める権利は個人の人権の一部であり、政府が口を出すべきではないという理解が国際的にも定着しています。
創生法は、人口減少に歯どめをかけるために、東京一極集中の是正と地方の創生を手段として乗り切ろうとしています。人口は、出生率などの低下による自然減と地方から都市部への人口流出による社会的減があり、それぞれ異なる対策が求められるはずです。少子化の大きな原因の一つは、若者の雇用が安定せず、子供を産めるだけの経済状況になく、産みたいという希望と産めない現実のギャップを具体的な政策でどのように埋めていくかが重要な課題でもあります。
そこで伺います。
人口減少の原因をどのように分析されているのか。静岡県は目標を二%と掲げていますが、本県で出生率を目標に掲げることの是非と、人口の自然減と社会的減少への対応策をどのように展望されるのか、見解をお聞かせください。
創生法第八条に、国は、人口の現状や将来の見通しを踏まえ総合戦略を策定するとし、第九条、第十条には、都道府県は国の、市町村は、国や都道府県の総合戦略を勘案して策定に努めるとなっています。
地方創生といっても、各地域で置かれた状況はそれぞれ異なるのであって、この間、それぞれの自治体は各種の取り組みを懸命に推進してきております。自治体の総合戦略の策定が、国や県の総合戦略を勘案するとなっていることからすると、実質的に国の枠におさめられる中央集権的、上意下達的なものにならないのかという懸念があります。
国は、総合戦略の策定に当たって、地方公共団体の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとされていることから、県としては、法定の国と地方の協議の場において積極的な地方の意見反映に努めるべきでありますし、県の総合戦略の策定に当たっては、産業界はもちろん、大学や労働団体、NPOや市民団体など、地域と各界各層の多様な意見を反映した自発的で振興・発展の可能性を持つ責任ある総合戦略とすることが必要であります。
そこで、県としては、地域の自主性を踏まえた市町村の総合戦略の策定をどのように助言されるのか。また、本県の自主性を踏まえた総合戦略の策定にどのように取り組まれるのか、考え方をお示しください。
政府が検討中の政策パッケージには、都市から地方企業への就職を推進する地域人材バンクの設置、地方移住について一元的に情報提供・支援する全国移住促進センターの設置、出産・子育て相談・支援を一体的に行う子育て世代包括支援センターの整備、中山間地域などで生活サービス機能を集約した小さな拠点や新たな都市圏の形成、地域おこし隊と田舎で働き隊の統合、政府関係機関や企業の本社機能の一部移転の拡大、地方大学等への進学や地元企業への就職促進、農地転用許可などの権限移譲、新たな交付金制度の創設などが盛り込まれています。
また、九州地方知事会と九州経済連合会で構成する九州地域戦略会議では十一月十一日、地方創生九州宣言を採択し、重点項目として、雇用と教育環境、結婚・出産・育児、安心安全な暮らしの三本柱を示しました。
既に、これまでの人口減少と高齢化の中にあって、県や市町村はさまざまな過疎対策や地域振興策に取り組んできています。人口減少に歯どめをかけ、反転攻勢の方向性を見出すことは、並大抵のことではできないことであります。この間の施策の検証と総括を踏まえ、鹿児島県の地方創生戦略をどのように描いておられるのか、基本的な考え方をお示しください。
十月十六日の全国知事会議は、地方創生のための提言をまとめ、地方の自立と実効性の観点から、地方分権の推進や税財政基盤の確立など四点を提言しています。地方創生の財政措置として、政府の一般会計に五年間で五兆円程度の創生枠を創設し、うち毎年度数千億円程度を地方の責任で活用できる自由度の高い交付金に充当するよう要請しています。
それぞれの自治体が地方創生に思い切った施策を打ち出し、本気で取り組んでいくのであれば、毎年の予算折衝によるのではなく、自治体が責任を持って使途を決定できる五年間トータルでの安定的な財源が必要であり、特に条件不利地域の小規模自治体には十分に配慮した措置が不可欠であります。
財源措置についての考えと今後の取り組みについて、見解を伺います。
一九九六年に九州で唯一の中核国際港湾に位置づけられた志布志港は、二〇一一年五月に国際バルク戦略港湾に選定されて、三年以上が経過いたしました。国の一大事業に選ばれたことで地元は沸きましたが、その後は事業化への動きがなく、事実上の足踏み状態が続いています。現在は、選定の際に鹿児島県などが国に示した施設整備計画案について、事業費の負担が生じる可能性がある企業の要請などを聞きながら、検討している状態とのことであります。
国際バルク戦略港湾は、その目的として、ばら積み貨物で輸入される穀物や石炭、鉄鉱石などを扱う拠点のハブ港湾を整備し、安定的かつ安価な輸入を実現することで、我が国産業の国際競争力の強化、雇用と所得の維持・創出を図ることを目的にして、志布志港を初め、茨城県の鹿島港や千葉県の木更津港など全国十港が選定されました。取り扱い貨物として、背後地に農林畜産の国内有数の供給基地を抱え、畜産が盛んな大隅半島に位置する志布志港は、家畜の餌となる穀物の拠点港となる予定であります。
トウモロコシ、その他雑穀等の飼料原料が輸入されており、志布志港の港湾整備が行われれば、物流コストの削減による安価で安定した供給ができることから、地域の発展に大きく寄与することになります。また、コンテナ貨物では、畜産飼料のほか、ゴム製品の原材料等が輸入され、輸出では、ゴム製品、再利用資材、原木等が取り扱われており、外洋に面し、東アジアに近い
地理的優位性を生かした物流の拠点として、地域産業の発展に貢献することになります。
そこで伺いますが、施設整備計画案の検討状況と今後の整備スケジュールについてお示しください。
バルク港湾に選定された全国十カ所の港湾のうち、事業化されているのは北海道の釧路港と福島の小名浜港の二港でありますが、この二港の進捗状況と、ほかの港湾の進捗状況はどのようになっているのか。進展しない理由と課題をどう把握されているのか、お聞かせください。
志布志港の二〇一三年の貨物取扱量は、過去二番目に多い一千五十一万トンであります。現在、中国向けの木材輸出が好調のようでありますが、志布志港のメリットを生かした今後の輸出拡大に向けた課題と、輸出戦略についてお示しください。
また、志布志港と都城を結ぶ都城志布志道路は、大隅地域の農業や観光の振興並びに人口の交流拡大といった点から、一日も早い全線開通が望まれます。都城志布志道路の整備の進捗と、今後の整備促進に向けた取り組みについてお聞かせください。
鹿児島県発注の海上工事入札に絡む談合事件で、県から損害賠償請求を受け、県内外の建設業者二十八社から賠償金の減額を申し立てて、民事調停が続いていましたが、先般、県と建設業者の合意が調い、今議会に関連議案が提出されていますので、これまでの経過と県の基本認識について伺います。
昨年の三月議会の自民党の代表質問に対して、「建設業をめぐる経済情勢の変化、契約落札率の推移、災害発生時の建設業者の役割、各社の経営状況などを十分勘案するとともに、県議会の意向も踏まえ、今後、適切に対応したい」と答弁しておられます。
そこで第一に、県は、この間の民事調停の過程でどのようなことを主張されてきたのか。その結果、工事請負額の一〇%の損害賠償額を五%に減額し、来年六月末までに一括払いを求めることになった。その根拠を明らかにしてください。
第二点、調停を申し立てたのは三十一社のうち二十八社でありますが、公共工事の請負契約の上からは、今回の減額対応は異例の措置であります。これを先例とすれば不公平が生じることになります。もちろん今後、談合があってはなりませんが、今回限りの措置とすべきであります。見解を伺います。
第三点、損害賠償を求めた業者の経営状況を考慮するとされてきましたが、調停に応じた会社の経営はどのようなものであったのか。黒字経営も多かったのではないか、県民税の納付状況はどうであったのか。経営状況により支払い能力にも差があるはずであります。これらの企業に対して損害賠償額を一律に減額することになるのか。延滞利息も軽減した理由は何か。
第四点、JVを組んでいた工事に対する損害賠償額の案分はどのようになっているのか。
第五点、建設業が果たしている地域の雇用や経済の担い手、災害時の応急活動や復旧工事などの地域貢献をもって、公共工事における独占禁止法違反行為が許されることがあってはならないのであります。県としては、今回の措置について県民に十分な説明責任を果たす必要がありますが、どのように対応されるのか伺います。
第六点、建設業者の方々は、談合を行えばどのような結果を生むか十分に反省し、今回の民事調停の措置を重く受けとめ、二度とこのようなことがないように、企業倫理の確立と法令遵守を徹底し、再発防止に取り組むべきであります。また、県としても、再発防止策を具体的に講ずべきでありますが、見解をお聞かせください。
県では十一月十日、鹿屋市全域を豚流行性下痢─PED─の感染拡大が高まっているとして、特別防疫対策地域に指定されました。
昨年十二月からことしにかけて、曽於地区や肝属地区を中心に県内百六十九農場で二十七万頭余りのPED発生が確認され、子豚六万頭以上が死亡し、大きな被害を出しました。ことし八月に一旦鎮静化していたものの、十月から十一月にかけて、曽於市、志布志市、鹿屋市に相次いで再発生した中で、特に鹿屋市において、十一月三日から十日の一週間の間に二件の再発生事例が確認されたことから、特別防疫対策地域の指定を受けるに至ったとのことであります。
発生した豚からのPEDウイルス排出は数週間で終息するとの見解もありますが、なぜ鎮静化してから二カ月以上もたって発生したのか。冬場は豚の免疫力が低下するため発症リスクが高まると聞きます。今回の再発の原因を究明し、鹿屋市はもちろん、特別指定地域以外においても防疫体制を強化することが求められますが、どのように対応されているのか伺います。
鹿児島県では、二〇一二年度から畜産農家全戸への立入調査を実施し、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの予防を目的に定められている飼養衛生管理基準の遵守状況を確認しています。この二〇一三年度末の調査結果を見てみますと、県内で牛や豚を飼う農家の三二%が、農場に入る車両消毒について不十分であり、立ち入る者への消毒でも一九%が不備であると指摘されています。
また、規模別では、肉用牛二百頭以上、豚三千頭以上の大規模農家でそれぞれ五九%、六九%が指導を受けなかったのに対して、中小規模農家で完全遵守が確認されたのは、肉用牛では二七%、豚では三八%にとどまっており、消毒関連の指導率でも、大規模は五%から一%、中小規模は三三%から九%と大きな差があり、中小規模農家での不十分な管理の実態が明らかになっています。
そこで伺います。
この飼養衛生管理基準の遵守状況調査結果から見る家畜防疫対策上の問題点をどのように認識されているのか。また、今後の遵守徹底をどのように図っていかれるのか、明らかにしてください。
韓国では、夏場の七月に鳥インフルエンザの発生が確認され、十一月十七日までに韓国政府は、ドイツ・イギリス・オランダからの家禽類の輸入を全面禁止するなどの措置をとったと報じられています。一方、国内でも、千葉県などで感染した野鳥の死骸やふんが見つかっており、さらに先日、出水市のマナヅルにおいて高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことから、県では、十一月二十九日に対策本部を設置するなど、養鶏農家への侵入防止対策に取り組まれているところですが、今後の感染拡大が懸念されます。
そこで、国内外での発生状況と、今回の出水市でのツルの事例を踏まえた防疫対策の徹底についての取り組みをお聞かせください。
以上で、二回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
35 ◯知事(伊藤祐一郎君)海上工事の談合事件に係る損害賠償の調停案についてのお尋ねであります。
民事調停は、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とした制度であり、これまで、県は、建設工事請負契約書で定める損害賠償に関する規定に基づき請求を行った趣旨を、申立人からは、調停申し立ての内容やその理由をそれぞれの立場で説明してきたところであります。
このような中、これまでの一年九カ月にわたる調停協議を経て、裁判官等で構成する中立的な第三者機関であります調停委員会から、賠償金の減額や一括払い込みなどを内容とする当事者双方の歩み寄りを促した調停条項案が示されたところであります。
県としては、その内容を真摯に受けとめますとともに、建設業が地域の経済・雇用の担い手であることや、災害多発県と言われる本県におきまして、災害発生時に重要な役割を果たしていることなどを勘案し、さらに、調停の早期解決等を求めた二度にわたる議会の決議も重く受けとめ、調停を成立させるために今議会に議案をお諮りするものであります。
36 ◯企画部長(古川仲二君)まち・ひと・しごと創生法に関するお尋ねのうち、まず、政府が進めてきた地域振興策の検証と総括についてでございます。
まち・ひと・し
ごと創生本部におきましては、従来の地域経済雇用対策や少子化対策等について、個々のレベルでは一定の成果を上げたが、大局的には地方の人口流出がとまらず、少子化に歯どめがかかっていないとの検証をしているところでございます。また、従来施策につきましては、府省庁・制度の縦割り構造といった点や、地域特性を考慮しない全国一律の手法などを問題点として挙げているところでございます。
今後、人口減少の克服と地方創生を確実に実現していくためには、地方の抱える課題の要因が各地域により異なることから、地方の責任のもとで自主性、主体性が発揮できる、真に実効性を伴った施策が展開されることが望ましいと考えているところでございます。
次に、本県の地方創生戦略の基本的な考え方等についてでございます。
本県の人口は、昭和三十年に二百四万人を超えておりましたが、戦後の経済構造の変化の中で、一時期を除き継続的に減少しており、平成二十五年は前年から九千人余り減少し、百六十八万人となっております。人口減少の要因は、少子化や若年層の就職・進学による県外への転出がその主なものと考えておるところでございます。
県といたしましては、これまで、地域における子育て支援や児童の健全育成などの少子化対策を実施いたしますとともに、地域の経済・雇用を支える足腰の強い産業の育成や、U・Iターンによる定住・移住の推進など、地域経済の活性化を図るためのさまざまな施策に取り組んできたところでございます。
国においては、まち・ひと・し
ごと創生本部を中心に、現在、五十年後に一億人程度の人口維持を目指す長期ビジョンと、人口減少を克服し、将来にわたって活力ある日本社会を実現するための総合戦略の骨子を示し、年内の策定に向けた検討を進めているところでございます。
今後、国における総合戦略等の策定や関連施策の検討状況を注視しながら、具体的成果が上がるような施策に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、市町村が総合戦略等を策定する場合には、県といたしましても、市町村が地域の実情に応じて総合戦略等を策定できるよう、情報提供や連携に努めてまいりたいと考えております。
次に、地方創生に関する財源措置についてでございます。
人口減少の克服と地方創生を実現するためには、国と地方が連携・協力して対応するとともに、地域の実情に応じた取り組みが重要であり、財源措置につきましては、地方が自主性、主体性を最大限に発揮できる継続的な仕組みが必要であると考えております。
そのため、県といたしましては、国に対し、地方公共団体の自由度が高い包括的な交付金を創設するとともに、地方公共団体が自主的な取り組みができるよう、必要な歳出額を
地方財政計画に計上し、地方交付税を充実すること、また、その配分に当たっては、離島や過疎地域など条件不利地域に十分配慮した仕組みとすることについて、引き続き要望を行ってまいりたいと考えております。
37 ◯県民生活局長(岩切剛志君)出生率を数値目標に掲げることの是非についてでございます。
出生率を数値目標に掲げることについては、女性に対して出産を押しつけるかのようなメッセージに捉えられかねないことや、個人に特定のライフスタイルを押しつけているかのような印象を与えたり、また、プレッシャーにつながりかねないなどの懸念が指摘されております。一方、肯定的な見方としては、取り組み姿勢が伝わり、機運の醸成につながること、政策の進捗状況がわかりやすいことなどが挙げられています。
いずれにしても、出生率を数値目標に掲げることについては、県民全体、また家族にかかわるものであることに留意し、県民の理解と賛同を得られるよう十分配慮することが重要でありますことから、慎重に検討すべきことと考えております。
38 ◯土木部長(久保田 一君)志布志港の国際バルク戦略港湾としての検討状況等についてです。
志布志港は、畜産業を初めとする地域産業を支える重要港湾であり、九州で唯一、国際バルク戦略港湾に選定されているところです。
現在、国、県、志布志市、サイロ会社等の民間企業が連携して、バルク船の大型化に対応した港湾整備に向けて、必要となる施設、事業スキーム及び負担割合等について協議・調整をすすめているところです。民間企業の意向や国の公共事業予算の配分など、不透明な要素もありますが、今後とも引き続き協議・調整を進めてまいりたいと考えております。
国際バルク戦略港湾に選定された他港湾の進捗状況についてです。
国際バルク戦略港湾は、石炭、鉄鉱石、穀物の三品目について、全国十港が選定されており、穀物では釧路港や志布志港などの五港が選定されております。
このうち、穀物で選定されている釧路港については今年度から、石炭で選定されている小名浜港については平成二十五年度から事業化されております。その他の港湾においては、取り扱い品目や既存施設の現状、民間企業の利用状況など、各港湾ごとの特性に応じた検討が進められているところであり、事業費や民間企業を含む関係者間での負担割合などの課題があると認識しております。
志布志港の輸出拡大に向けた課題と輸出戦略についてです。
志布志港の輸出貨物量については、近年、原木及びゴム製品の好調もあり増加傾向にあるものの、依然として輸入超過の状況が続いているところです。今後の輸出拡大に向けては、高規格幹線道路や港湾等のインフラ整備、安定的なロットの確保などの取り組みが重要であると考えております。
今後とも、アジアへの近接性や国内有数の食料供給基地を背後に有する地域性などのメリットを生かしながら、物流基盤の強化や国際航路網の拡充など、物流ネットワークの構築を図り、さらなる輸出拡大に努めてまいりたいと考えております。
都城志布志道路の整備促進についてです。
都城志布志道路は、九州縦貫自動車道都城インターと志布志港を結ぶ地域高規格道路であり、鹿児島県側ではこれまでに、末吉インターから有明北インター間約八キロメートルを供用しております。現在、有明道路、有明志布志道路などにおいて用地買収や工事を進めるとともに、末吉道路については去る十一月に用地説明会を開催し、用地買収に着手するなど、全線にわたり事業を展開しております。
都城志布志道路は、大隅地域の農業や観光の振興を図る上で重要な道路であることから、必要な予算確保に努めるとともに、地元市や宮崎県とも連携を図りながら、引き続き重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、海上工事談合事件に係る損害賠償の調停案についての御質問のうち、損害賠償金の減額対応についてでございます。
公共工事の執行に当たり、談合はあってはならないものであります。県においては、公正取引委員会の立会検査直後の工事請負契約からは、全ての業者から、談合行為を行っていないこと、仮に談合行為が明らかになった場合に、契約書に基づく賠償請求に対して異議を申し立てないことを内容とする誓約書を徴求しているところです。したがって、仮に今後、談合が明らかになった場合には、契約書及び誓約書に基づき、賠償金が支払われるものと考えております。
次に、各社の経営状況や一律での減額等についてです。
民事調停の申し立て業者二十八社のうち、平成二十三年決算から三年間連続して当期純利益を計上した企業は、九社となっております。また、入札参加資格審査においては、県税の未納がないことを確認しております。
今回、申立人側は、賠償金割合の一律での減額や遅延利息金の免除を求めてきており、他県でも同様の調停が成立した事例があります。
県としては、これまでの一年九カ月にわたる調停協議を経て、調停委員会から示された一律での減額等を内容とする調停条項案を真摯に受けとめるとともに、建設業が地域経済や雇用、災害発生時に果たす役割などを勘案し、さらに、二度にわたる議会の決議も重く受けとめ、調停を成立させるため、議案をお諮りするものであります。
次に、JV工事に対する賠償金額の案分についてです。
共同企業体が受注した工事に対する賠償金額については、各共同企業体の構成員の出資割合に応じた案分となっているところです。
次に、県民に対する説明責任についてです。
今回の民事調停において、県としては、合意しようとする内容が県民の理解を得られる必要があると考え、慎重に調停協議を重ねてきたところです。このような中、調停委員会から調停条項案が示され、県としては、その内容を真摯に受けとめるとともに、二度にわたる議会の決議も重く受けとめ、調停を成立させるため、議案をお諮りしているところです。
県としては、県民の代表である県議会における議案審査を通じ、県民の方々への説明を果たしてまいりたいと考えております。
談合の再発防止策についてであります。
公共工事の執行に当たり、談合はあってはならないものであり、県としては、適正な競争の推進を図るため、指名業者名の入札執行後の公表など、入札制度の改善に取り組んできたところです。また、建設業者に対する研修会等を通じ、法令遵守について指導しており、県建設業協会においても、平成二十二年度に会員行動憲章の独占禁止法等の法令遵守に関する規定を強化するとともに、適正取引に関する講習会を開催し、法令遵守を呼びかけているところです。
県としては、今後とも、入札制度の改善に努めるとともに、建設業者に対し、法令遵守を徹底するよう要請するなど、談合の再発防止に取り組んでまいりたいと考えております。
39 ◯農政部長(福田博史君)家畜防疫体制のお尋ねでございますが、まず、豚流行性下痢の再発原因究明と防疫体制の強化についてでございます。
豚流行性下痢─PED─につきましては、八月上旬には全ての発生農場から沈静化の報告を受けておりましたが、十月以降、再発が確認されております。再発の原因につきましては、沈静化以降もウイルスが農場内から消失することなく残存し、気温の低下に伴い、ウイルスが活発化したことなどによるものと考えております。
国は、PEDの全国的な発生拡大を受けて、防疫対策を具体的に示した防疫マニュアルを本年十月に策定したところであります。
県としては、このマニュアルに基づき、発生農場に対しては速やかに消毒を徹底するよう指導するとともに、出入りする業者等に対して、発生農場名等を情報提供し、車両の消毒徹底等について協力を要請したところです。また、複数農場で発生があった鹿屋市を特別防疫対策地域に指定し、市と連携して緊急消毒を実施したところであります。
今後とも、県下全域において、農家等に対して徹底した消毒の実施やワクチン接種の指導を行うとともに、生産者を中心とした防疫組織の設立を促進するなど、発生予防と蔓延防止に努めてまいりたいと考えております。
飼養衛生管理基準遵守状況の問題点と今後の取り組みについてでございます。
飼養衛生管理基準につきましては、家畜伝染病予防法の改正に伴い、全戸巡回による周知と指導に取り組んでおりますが、牛・豚においては、小規模農家や高齢農家が多く、農場入り口での車両や人の消毒などに不備が多い状況にあり、防疫対応が十分でないと認識しております。
県としては、このような小規模農家等に対しては、農場入り口における消石灰の散布や畜舎入り口での消毒槽の設置など、具体的に指導しているところです。
今後とも、不備のあった農場への重点指導とあわせて、獣医師や農協などの技術員等との連携を強化し、農家巡回指導や競り市前の研修会などの機会を捉えて、粘り強く農家の防疫意識の向上に努めるとともに、集団で消毒器材を整備するなど地域ぐるみの取り組みを推進し、飼養衛生管理基準の遵守徹底に努めてまいりたいと考えております。
高病原性鳥インフルエンザの発生状況と防疫体制の徹底についてでございます。
高病原性鳥インフルエンザは、中国や韓国、ドイツ、オランダ等で発生しております。特に韓国では、本年一月から現在までに二百十三件の発生があり、約一千四百万羽が殺処分されております。国内では、本年四月に熊本県の養鶏農場で発生があり、本県においても先般、出水市のマナヅルで発生が確認されたところです。
このため、県におきましては、知事を本部長とする鳥インフルエンザ対策本部を設置するとともに、養鶏農場への侵入防止対策の徹底を図るため、関係機関・団体を招集し、緊急防疫対策会議を開催したところであります。また、防疫対策マニュアルに基づき、ツルの回収地点を中心とした半径三キロメートル圏内を監視区域に設定し、家禽百羽以上を飼養する三十三農場に立入検査を実施したところであり、半径十キロメートル圏内の養鶏農場に対しては、緊急消毒のための消石灰を配布することとしております。
県としては、県内各地域にも現地対策本部を設置し、畜舎内外や車両消毒の実施、飼養衛生管理基準の遵守、異常家禽の早期発見、通報の徹底を図るなど、引き続き、出水市を初め関係機関・団体一体となって、高いレベルでの防疫意識を持って、高病原性鳥インフルエンザの侵入防止対策に万全を期してまいりたいと考えております。
40 ◯ふくし山ノブスケ君 自席から、一点だけ再質問させていただきたいと思います。
先ほど、まち・ひと・しごと創生法について御答弁いただきました。
先ほども述べましたけれども、政府が検討中の政策パッケージにつきましては、県としてもこれまで、答弁にありましたように、さまざまな取り組みをしてこられているといったようなことでありました。これまで、地方へのU・Iターンの支援とか、中山間地対策、子育て支援など、同様の地域活性化施策に取り組んできていると理解しております。
これまでの本県の取り組みと政府の示す政策パッケージ、一体どこが異なるのか、果たして人口減少に歯どめをかける有効な施策を見出すことができるのか、そこがポイントだと思いますけれども、再度御答弁をいただけますでしょうか。
41 ◯企画部長(古川仲二君)再度のお尋ねでございますが、今お話がございましたように、人口減少の克服、それと地方創生、これは国と地方が連携し、協力し合いながら対応すべき重要な問題であると認識しているところでございます。
県といたしましては、引き続き、ただいま御質問にありましたような諸対策を初め、少子化対策を初めとする人口減少あるいは地方創生への施策に引き続き取り組みますとともに、今後、国において策定することとなります総合戦略と、あるいはそれに基づく関連施策等の検討状況等を十分に見きわめ、かつ検討しながら、必要な対応を今後、検討してまいりたいと考えております。
[ふくし山ノブスケ君登壇]
42 ◯ふくし山ノブスケ君 引き続き、新しい質問に入ります。
安倍内閣の成長戦略の一環として今国会で審議してきた労働者派遣法改正案は、突然の衆議院解散によって廃案となったものの、総選挙後の新内閣の動向を注視していかなければなりません。
現行制度は、通訳など専門性が高い二十六の業務は派遣期間に制限はありませんが、他の業務は、同じ業務で最長三年の受け入れ制限を設けています。これは、派遣はあくまで臨時的な業務であり、正社員の代替ではないとの考えに基づくものであります。
しかし、改正案は、この二十六業務の区分を廃止し、三年の上限もなくすとしています。企業は、人をかえればどんな業務でも無期限に派遣労働者に担わせることが可能となり、人件費抑制を狙う企業側にとっては大きなメリットになります。これでは、正社員の派遣労働者への振りかえや、派遣労働者の配置転換を繰り返す生涯派遣によって、格差の固定化、拡大が懸念されます。
このような不安定雇用を固定化する労働者派遣法の改正に対する知事の認識をお聞かせいただきたいと思います。
改正案は、派遣元の会社に派遣労働者への計画的な職業訓練や、派遣先企業に直接雇用を求めることなどを義務づけています。雇用の安定に向けた措置ですが、違反した場合の罰則規定はなく、しかも派遣元の多くは中小零細で、計画的職業訓練をする力のないところがほとんどであり、実効性には疑問の声が上がっています。
二〇一二年に厚労省が行った調査では、派遣労働者の四三%が正社員になりたいと望んでいます。法改正で正社員への道が狭まるのでは、雇用の安定に逆行するものであります。必要なのは、正社員と派遣労働者ら非正規社員の同一労働、同一賃金による格差是正であると思いますが、考えをお示しください。
安倍政権は、女性の社会参加を後押しする女性
活躍推進法案を閣議決定したものの、解散したことにより法案の成立には至っていません。女性の活躍を推進するための総合計画には、すべての女性が輝く政策パッケージとして、子育て・介護、仕事など六分野三十五項目を盛り込み、特に職場環境の改善やワーク・ライフ・バランスなど働き方改革に力点を置いたものになっています。
しかし、その多くは、各省庁がそれぞれ担当してきた既存の施策であります。これまでも女性の活用や職場定着を図る施策は行われてきましたが、第一子出産後に退職する女性の割合はいまだに六割に上り、非正規雇用で働く女性の割合もほとんど改善が見られません。働きたいのに働けない女性は三百十五万人に達しています。正社員の長時間労働は多くの企業で相変わらず行われており、子育て期の女性社員が重要な仕事につけない原因の一つとなっています。
女性登用の数値目標にばかり焦点が当てられているようですが、それを拒んでいる時間外労働の慣行の是正や、短縮労働や在宅勤務の推進、税制や社会保障制度の是正など、政府や企業は取り組みを強化すべきであります。男性社員の働き方を変えなければ、女性が活躍できる社会の実現は困難だと思います。見解をお示しください。
鹿児島県警は、本年度から、出産や子育て、介護などを理由に退職した元警察官の再採用を始めました。その対象としては、四年以上の勤務経験があり、退職から十年程度経過していること、また、警察学校への入校は免除され、階級は経験を考慮するとなっています。即戦力となる人材で、日々発生する児童虐待や、女性が被害に遭う性犯罪などの捜査を行うに当たっては、これまでの子育てや介護などで培った経験を生かし、より住民に寄り添った警察活動が期待できると思います。
女性警察官の採用計画については、二〇一八年に全体の八%にふやすことを目標に掲げておられますが、今後の女性警察官の採用計画、人数はどのようになっているのかお尋ねいたします。その中で、育児・介護退職後の再採用についてはどのような位置づけとなるのか、お聞かせください。
本年四月には、九州初となる女性だけの捜査班を発足させ、痴漢やストーカー対策など、本県の女性警察官の活躍の場はさらに広がっています。女性警察官が働き続けられるような職場環境の整備を図ることが、経験豊富な人材育成にもつながっていくと思いますが、本県における女性警察官の職場環境の改善へ向けた取り組みについてお尋ねいたします。
障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例が十月一日に施行されました。障害を理由とした差別をなくし、障害のある人もない人も一人一人の人格と個性が尊重され、社会を構成する対等な一員として安心して暮らすことのできる社会・鹿児島づくりを実現することをその目的としており、障害を持っている人の社会参加を権利として保障する条例として、実効あるものにしなくてはなりません。
二〇〇六年に国連総会において採択され、二〇〇八年五月に発効した障害者権利条約は、身体障害、知的障害、精神障害などあらゆる障害者の尊厳と権利を保障するための人権条約として、我が国においてもその締結が求められていましたが、昨年十二月に締結のための国会承認を得、ことしの一月に批准書を寄託し、二月十九日に効力を生ずることとなりました。
国においては、条約締結のために国内法の整備を進め、関係法の改正や制定に取り組んできましたが、その地域の実情に合った地域ごとの条例を整備することが重要であることから、都道府県などで条例制定の取り組みが始まりました。本県においても早速の取り組みで条例施行に至ったことには、障害者団体の方々や、知事を初め執行部の皆さんの御努力の結果であり、改めて敬意を表したいと思います。
さて、条例を実効あるものとするためには、県民の理解と協力が最も重要だと考えます。条例には、障害を理由として正当な理由なく行う不利益な取り扱いが具体的に定められていますが、具体的事例を用いるなど、わかりやすい説明が必要だと感じました。
条例について、県民の理解を深めてもらうために、これまで各振興局・支庁等で説明会も開催していますが、条例の意義と理解を深めるための取り組みの現状と、そこで明らかになった課題はどのようなものがあるのか。また、その課題解決に向けた今後の取り組みについて示してください。
さきの川内原発の再稼働をめぐる臨時会において、議会傍聴規則にのっとり、視覚障害者の白杖を預かろうとして抗議を受けるという事態が発生いたしました。このようなトラブルを招かないためにも、条例の施行を機会に、さまざまな場面で条例の意義に沿った対応のあり方について理解を深めるとともに、人権と個性を尊重した協力関係を築くための生き方の見直しが必要になってきています。障害当事者とともに県や市町村職員、配慮を求められる教育・商工・交通等の事業者に対する趣旨の徹底が重要と考えますが、どのように取り組んでおられるのかお聞かせください。
県の相談員配置については、障害者くらし安心相談窓口としての県庁障害福祉課、大隅地域振興局地域保健福祉課、大島支庁地域保健福祉課の三カ所になっているようですが、その他の地域振興局はどのような対応になるのか、相談員配置の現状と考え方について示してください。
また、相談窓口では、最も住民に身近な市町村での対応が重要になると思います。相談員などの配置と研修の充実、連携の強化が求められますが、どのように取り組んでおられるのかお聞かせください。
地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法令の整備に関する法律、いわゆる地域医療介護総合確保法が六月二十五日公布されました。厚生労働大臣による総合確保方針の策定や、基金による財政支援などが同日施行され、十月一日には病床機能報告制度など医療法関連、来年二〇一五年四月一日には介護保険法関連の改正内容が施行されます。
これらは、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、地域における医療及び介護を総合的に確保するために、二〇一三年十二月の臨時国会で成立した持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、今後の医療・介護分野における一体的改革を推進するもので、来年二〇一五年度から、
介護保険制度改革と医療サービスなどの供給体制の改革が具体化することになります。
これを受けて、地域医療介護総合確保基金が創設されました。現年度は医療を対象として、かかりつけ医普及啓発事業などがスタートすることになりますが、来年度以降の介護関係を含めた対象事業の取り組みについての考え方をお聞きします。これは、消費増税の延期によって影響を受けることはないのか、あわせてお聞かせください。
医療分野の内容は多岐にわたり、医療供給体制整備などの大改革につながるものであると同時に、その実施においては県の果たす役割が極めて大きなものとなります。また、医療介護総合確保法では、地域における効率的かつ効果的な医療体制の確保を図るとして、医療機関が都道府県知事に病床の医療機能、すなわち高度急性期・急性期・回復期・慢性期などを報告し、都道府県はそれをもとに、地域の医療供給体制の将来のあるべき姿となる地域医療ビジョンを医療計画において策定するとされています。
そこで、病床機能報告制度の運用と、地域医療ビジョン策定への取り組み状況を明らかにしてください。
十一月十三日から十四日にかけて、県議会環境厚生委員会の行政視察で、錦江町にある肝属郡医師会立病院が行っている在宅医療連携拠点機能強化事業について、関係者との意見交換が行われました。この大隅南部地域での医療・介護及び行政機関における多職種連携の先進的な取り組みの現状や二十四時間対応の在宅医療供給体制の構築などを学び、地域における医療と介護が連携した包括的かつ継続的な取り組みの必要性の共通認識を持ったところでもあります。
こうした実践事例も踏まえて策定する第六期計画では、医療・介護・住まい・予防・生活支援サービスが身近で包括的に確保される体制の構築が必須の課題であります。このような地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みの現状と課題についてお示しください。
一方、
介護保険制度については、現在、ほぼ全国共通の基準で要支援者に提供されている保険給付、要支援一及び二の訪問・通所介護サービスが、二〇一五年四月から三年間かけて市町村の地域支援事業へと移行が進められています。
この見直しについては、多くの関係者及び関係団体からは、地域資源や財政基盤による地域間格差の拡大や必要なサービスが提供されないことによる要支援者の介護の重度化及び介護労働者の処遇低下など、多くの不安や危惧が指摘されてきました。
こうした指摘を受けて、法案成立に当たっては、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護の地域支援事業の移行に当たっては、専門職によるサービス提供が相応しい利用者に対して、必要なサービスが担保されるガイドラインの策定を行った上で、利用者のサービス選択の意思を十分に尊重するとともに、地域間においてサービスの質や内容等に格差が生じないよう、市町村及び特別区に対し財源の確保を含めた必要な支援を行うこととする附帯決議が盛り込まれました。
二〇一二年から一四年のいわゆる第五期計画では、高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築するために必要となる認知症支援策の充実や、医療と介護の連携など重点的に取り組むべき事項を、地域の実情に応じて選択して計画に位置づけるなど、段階的に計画の記載内容を充実強化していく取り組みがスタートしております。
そこで、二〇二五年を見据え、第六期計画には、二〇二五年までの見通しを含めた介護保険事業支援計画の策定が求められますが、本県における事業支援計画策定の取り組み状況を明らかにしてください。
現状の地域医療介護総合計画でも、マンパワーの確保は重要な課題であります。医療・介護労働の現場では、仕事量に見合う勤務労働条件の処遇改善が叫ばれており、事業所と労働者のミスマッチも表面化し、人材の需給バランスが危惧されており、離職者も多い現状にあります。
しかしながら、財務省は、来年度の予算編成に向けて介護報酬の六%引き下げを求めるなど、厳しい姿勢を示しています。介護労働者の人材確保の現状はどのようになっているのか。この間、実施されてきた給与等処遇改善措置の実績と評価をどのように把握されているのか、明らかにしてください。
また、人材確保のためには介護労働者の処遇改善が何よりも重要でありますが、今後の取り組みについてお聞きいたします。
本年六月十三日に成立した改正地方教育行政法が、来年四月一日から施行されることになり、教育委員会制度が六十年ぶりに大きく転換することになりました。
今回の改正では、地方自治体の首長が、教育委員長と教育長を統合した新しいポストの新教育長を、議会の同意を得た上で直接任命・罷免できるとし、教育委員会のトップを新教育長と位置づけることで、責任体制の明確化を図るとともに、首長と教育委員会が協議する場として、総合教育会議を設置するとされています。
以下、三点伺います。
知事並びに教育長に基本的な考え方を伺います。
第一点、今回の制度改革の大きな特徴は、地方教育行政に関して自治体の首長、県の場合、知事の権限が強化されることであります。知事は、選挙によって交代する場合があり、交代するたびに知事の政治的な意向が教育行政に反映され、教育政策が転換されやすくなります。そこに、当該自治体における教育行政の政治的中立性や継続性、安定性が損なわれ、ひいては教育の自主性、自律性と子供の学習権、成長発達権にも影響を及ぼすおそれがあります。
今回の制度改革における教育の政治的中立性と継続性、安定性の確保をどのように図るのか。また、知事の権限の強化についての認識をお聞かせください。
第二点、新教育長は、知事が議会の同意を得て任命することになっていますが、教育委員会の職務権限は、旧法の第二十三条と改正法第二十一条の内容においては何ら変わるものではなく、引き続き執行機関として合議制による教育委員会制度が残されたことから、教育に係る知事と教育委員会の権限関係においても変更はないものと理解しますが、見解を伺います。
第三点、新たに設置される総合教育会議は、知事が招集し主宰して、政府の教育振興基本計画を参酌した教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を策定するものとされています。
この大綱は、文科省通知によると、教育行政における地域住民の意向を一層反映させる等の観点から、首長が策定するものとしています。教育行政に混乱が生じることがないようにするため、総合教育会議において首長と教育委員会が十分に協議・調整を尽くすことが肝要であること、政治的中立性の要請が高い事項については協議議題とすべきではないこと、調整がついた事項を大綱に記載した場合には、双方に尊重義務がかかるものであることなどが盛り込まれています。
そこで、この総合教育会議に臨む伊藤知事と六反教育長の基本的な姿勢及び大綱を策定する際の主な記載事項についての考え方をお聞かせください。
以上で、三回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
43 ◯知事(伊藤祐一郎君)教育委員会制度の改革に関連いたしまして、政治的中立性、継続性、安定性の確保等についてのお尋ねがございました。
教育委員会制度は、独立した合議制の執行機関として、教育の政治的中立性や継続性、安定性の確保などに一定の役割を担ってきた一方で、地域住民の意向が十分に反映されていないなどの意見が寄せられておりました。そこで、これまで中央教育審議会や与党間、法案審議において、選挙で示された民意を教育行政に反映する方策などさまざまな議論を経て、制度改正がなされたところであります。
今回の改正では、新たに、首長と教育委員会で構成いたします総合教育会議を設置することとなったところでありますが、教育委員会につきましては、これまでと同様に、独立した合議制の執行機関として存続いたしますとともに、教育委員会の職務権限にも変更はないことから、教育委員会の権限に関する事項は引き続き教育委員会で判断することとなっておりまして、教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保が図られているものと考えております。
また、知事の職務権限につきましては、今回の改正により、教育の振興に関する総合的な施策の大綱の策定が追加されたところでありますが、それ以外に変更がなされていないところであり、知事の権限が強化されるということにはなっていないと考えております。
総合教育会議に臨む知事の基本姿勢についてであります。
総合教育会議におきましては、大綱の策定に関する協議とともに、教育を行うための諸条件の整備や重点的に講ずべき教育施策等の協議・調整を行うこととなっております。また、会議におきまして調整が行われた事項につきましては、構成員はその結果を尊重しなければならないとされているところであります。
私といたしましては、教育は、将来の社会を担う人材を育成するという最も重要なテーマであると考えており、今回の改正で設置されます総合教育会議におきまして、教育委員会と協議・調整を行い、鹿児島のよき伝統や歴史・風土などのすぐれた特性を生かしながら、知・徳・体の調和のとれた教育がより一層推進され、将来の我が国や鹿児島を担う人材の育成が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
44 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)労働者派遣法の改正についてでございます。
今回の労働者派遣法改正案は、衆議院の解散により廃案となりましたが、平成二十四年三月に成立した労働者派遣法一部改正法の国会審議における附帯決議におきまして、現行制度について、「派遣労働者や派遣元・派遣先事業主にわかりやすい制度となるよう速やかに見直しの検討を開始すること」とされているところでございまして、同法の改正については、御指摘のございました正社員と派遣労働者等の非正規社員の格差是正などの問題も含め、今後、国において再度議論がなされるものと考えております。
女性が活躍できる社会の実現に対する見解についてのお尋ねがございました。
女性が活躍できる社会の実現のためには、女性が個性と能力を十分に発揮できる雇用環境の整備とともに、長時間労働の是正や、男性の家事や育児への参画などが重要であると考えております。
このため、県といたしましては、ワーク・ライフ・バランスやポジティブ・アクションの周知・啓発に努めますとともに、ファミリーサポートセンターの設置促進や、かごしま子育て応援企業の登録を進めているところでございます。
国におきましては、すべての女性が輝く社会をつくるための政策パッケージを取りまとめたところでございまして、今後、実効ある施策が展開されることを期待するところでございます。
45 ◯警察本部長(池田克史君)女性警察官の採用計画等についてでございます。
本年十一月末現在で、女性警察官の数は百六十七人で、全体の五・六%を占めております。今後、平成二十七年度から三年間で六十人を採用し、平成三十年度には全体の八%とする計画があります。
再採用につきましては、女性警察官の採用枠拡大の一環として導入した制度であり、本年十月に採用した女性警察官二人は、一人は被害者支援センター、もう一人は少年サポートセンターへ配置したところであります。彼女らからは、「育児等の経験が警察活動に生かされ、以前よりやりがいを感じる」とか、「ぜひ多くの後輩が後に続くよう、再採用を続けてほしい」などの感想が述べられております。
次に、職場環境の改善に向けた取り組みについてでございます。
女性の視点を警察業務に反映させることは、時々刻々と変化する社会情勢や治安情勢に的確に対応するという観点から、極めて重要と考えております。
県警察では、職場環境の改善のため、女性の視点を反映できるポストへ女性警察官と職員を登用すること、夫婦の警察官を隣接警察署や同一駐在所に配置すること、部外講師等を招いての女性警察官セミナーを開催すること、夜間・休日の緊急呼び出し時に子供を保育施設に預けた際の助成金の支給をすることなどに積極的に取り組んでいるところであります。
今後とも、女性の視点を一層反映した警察運営を推進してまいります。
46 ◯保健福祉部長(松田典久君)障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例の理解を深めるための取り組み等についてでございます。
条例については、その趣旨を県民に理解していただくことが重要であると考えており、鹿児島中央駅での街頭キャンペーンを本年七月と十月に実施したほか、八月から九月にかけて、障害当事者を含む県民を対象として、離島を含む県内七カ所で説明会を開催したところであります。また、四月から十一月までの間に、関係団体や事業者の会議、研修会等の場を利用して、延べ三十六回、条例の説明を行ったところであり、このほか、ポスター及びリーフレットの配布、県政かわら版や県政広報番組、県ホームページでの広報も行っております。
さらに、来年一月には、国と連携して、障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラムを本県で開催することとしており、今後とも、市町村や障害者団体等とも連携しながら、引き続き、きめ細かくわかりやすい説明を行うなど、県民の条例に対する理解促進に努めてまいりたいと考えております。
障害当事者等への条例の趣旨の徹底についてでございます。
障害当事者や県・市町村職員、障害への配慮を求められる福祉・教育・商工等の事業者に対しましては、県が開催した説明会及び事業者の会議や研修会等の場を利用して、条例の目的、県民や事業者に協力していただきたいこと、相談・紛争解決体制などについて説明を行い、条例の理解促進に努めているところであります。
県としましては、引き続き、障害当事者や事業者の会議等を活用して、条例の説明を行い、条例の趣旨の理解が深まるよう取り組んでまいりたいと考えております。
相談員配置の現状等についてでございます。
障害を理由とする差別に関する相談につきましては、各地域振興局・支庁、市町村等で受けることとしており、解決困難な事例につきましては、本県の地理的な特性を勘案して県内三カ所に配置しました障害者くらし安心相談員と連携して対応することとしております。
また、市町村におきましては、身体障害者相談員や知的障害者相談員、市町村職員等が相談に応じることとしており、本年八月から九月にかけて、相談員等を対象にして、相談スキルや条例の趣旨等に関する研修会を県内七カ所で実施したところであります。
県としましては、今後とも、市町村と連携を図りながら、相談員の研修等を実施するとともに、個別の相談事案に丁寧に対応し、障害のある人もない人も誰もが安心して暮らすことのできる鹿児島づくりを進めてまいりたいと考えております。
基金の創設による対象事業の取り組み及び消費増税の延期による影響についてでございます。
地域医療介護総合確保基金につきましては、消費税増収分を活用して、医療・介護サービスの提供体制の総合的・計画的な整備を推進するために設置するものであり、平成二十六年度においては、医療に関する事業のみが対象とされたところであります。平成二十七年度以降は介護に関する事業も対象とされますことから、関係団体等とも協議・調整を行いながら、介護サービスの施設設備の整備や介護従事者の確保のための事業等に取り組んでまいりたいと考えております。
今回の消費税率の引き上げの延期により、消費税増収分を活用して実施することとされている社会保障の充実についても影響が生じることが考えられますが、国は、予算編成過程において、社会保障の充実に向けてできる限り努力していくこととされており、県としましては、今後の対応を注視してまいりたいと考えております。
病床機能報告制度の運用と地域医療ビジョンの策定の取り組みについてでございます。
病床機能報告制度につきましては、医療機関が病床の機能の現状と今後の方向性等について、国を通じて都道府県に報告するものであり、本年十月から報告の受け付けが開始され、平成二十七年三月までには国から各都道府県へ集計結果が送付されることになっております。
また、国は、集計結果等を踏まえまして、二〇二五年の医療需要や各医療機能の必要量の推計方法を示した地域医療ビジョン策定のためのガイドラインを決定することとしております。
県としましては、平成二十七年度から、ガイドラインや報告制度を通じて得られた情報等を踏まえ、また、医師会など関係団体の意見もお聞きしながら、地域医療ビジョンを策定することとしております。
地域包括ケアシステムの構築についてでございます。
いわゆる医療介護総合確保推進法の制定に伴う介護保険法の改正によりまして、地域包括ケアシステムの構築に係る市町村の役割がより明確になったところであり、市町村におきましては、これまで取り組んできました地域の見守り・支え合いの体制づくりや、介護予防・介護サービスを提供する体制づくりなどに加えまして、在宅医療や医療介護の連携に取り組み始めたところであります。
今後の課題としましては、地域において、医療や介護のニーズの高い後期高齢者や認知症高齢者のさらなる増加が見込まれますことから、在宅医療と医療・介護の連携によるサービスの提供、認知症施策の推進や地域での生活支援サービスの充実等が必要であると考えております。
このため、県としましては、高齢者が可能な限り住みなれた地域で安心して生活していけるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される仕組みづくりを支援してまいりたいと考えております。
二〇二五年を見据えた介護保険事業支援計画の策定への取り組みについてでございます。
第六期の介護保険事業支援計画の策定につきましては、団塊の世代が後期高齢者となり、介護需要が増大する二〇二五年を見据えて、高齢者が住みなれた地域で医療、介護、生活支援など必要なサービスを受けられる地域包括ケア体制の構築を目指した計画とすることとしております。
このため、市町村と連携しながら、中長期的な観点から今後のサービス提供のあり方について検討を行いますとともに、本県の人口動態や医療・介護ニーズの将来推計及び昨年度実施した高齢者実態調査の結果を踏まえまして、計画における介護サービス提供や施策について検討を進めているところであります。
今後は、保健・医療・福祉関係者等で構成する計画作成委員会において協議を進めますとともに、県議会や県民の方々の御意見も伺いながら、平成二十七年三月までに策定することとしております。
介護労働者の現状と処遇改善による人材確保についてでございます。
本県における平成二十五年度の介護関係の新規求人倍率は一・七二倍で、全産業の一・〇二倍と比較しますとかなり高くなっており、介護人材の確保が困難である状況を示しております。
県におきましては、介護職員の確保のため、県福祉人材センターでの無料職業紹介や求人・求職情報のマッチング等を行っており、これらの取り組みにより、平成二十五年度は六百五十六人が福祉・介護職場に採用されたところであります。
介護職員の処遇改善につきましては、事業者が、平成二十一年度から二十三年度まで国の介護職員処遇改善交付金を、平成二十四年度からは介護報酬における介護職員処遇改善加算を活用して取り組んでおり、平成二十四年度実績では、約八三%の事業者が賃金改善に取り組んだ結果、介護職員一人当たり月額約一万四千円の賃金改善が行われており、一定の効果があったものと考えております。
県におきましては、これまで、事業者に対して介護職員の処遇改善等について積極的な取り組みを働きかけますとともに、介護人材確保支援事業による雇用の拡大や介護職員処遇改善紹介サイト開設による介護職場のイメージアップに取り組み、介護人材確保のための支援を行っているところでありますが、今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、介護職員処遇改善について、積極的な取り組みが図られるよう努めてまいりたいと考えております。
47 ◯教育長(六反省一君)教育委員会制度の見直しに関連して、知事と教育委員会の権限についてでございます。
今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律は、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化を図るため、地方教育行政制度の改革を行うものであります。
先ほど知事の答弁にもありましたとおり、知事の職務権限については、大綱の策定以外に変更されていないところであり、また、合議制の執行機関としての教育委員会の職務権限についても現行と同じでありますことから、教育に係る知事と教育委員会の権限関係に変更はないものと考えております。
総合教育会議に臨む教育長の基本姿勢についてでございます。
私といたしましては、総合教育会議においては、その設置の趣旨を踏まえて、重点的に講ずべき教育施策等について、知事と教育委員会が十分に協議を行い、教育の振興に資するよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大綱の記載事項については、知事の判断に委ねられているものでございますが、国の通知によりますと、総合教育会議における協議・調整を踏まえ、教育の振興に関する総合的な施策について、その目標や方針を定めるものであり、詳細な施策について策定することを求めているものではないといった考え方が示されておりますものの、それ以上の詳細は示されていないところでございます。
今後、国から発出される政省令の内容等も踏まえながら、知事との間で調整を図っていくことになるものと考えております。
[ふくし山ノブスケ君登壇]
48 ◯ふくし山ノブスケ君 それぞれ御答弁をいただいてまいりました。
平成二十七年度の政府予算編成と地方歳出削減案についてでありますが、来年度の政府予算編成については、地方交付税の別枠加算廃止や地方単独事業の削減など、地方歳出削減案が次々に打ち出されていますが、地方自治体では喫緊の課題が多く横たわっており、財務省の厳しい姿勢に対してしっかりと対応し、財源の確保に努めていただきたいと思います。
海上工事談合事件に係る損害賠償の調停につきましては、独占禁止法違反行為はあってはならないことであり、企業倫理の確立と法令遵守について徹底し、再発防止に取り組むと同時に、県民に十分な説明責任を果たされるよう御要請申し上げておきます。
女性が真に輝く社会の実現についてであります。
女性の登用については、数値目標を定めた取り組みが強調されていますが、女性が真に輝く社会の実現のためには、長時間労働など働き方の見直し、継続就業ができる職場環境の整備、非正規労働者の処遇改善など、女性も男性も仕事と家庭を大事にしながら働き続けられる課題解決があって初めて、女性の参画と登用が可能となるはずであります。そのような取り組みをなされるよう強く御要請申し上げます。
作家の加藤典洋氏はその著書で、「一体、今回の原発災害でどれだけの物的人的な、有形無形な社会的経済的損失を日本社会はこうむったのか。それを補填するのにどれくらいの時間と費用が必要となるのか。正当な再出発を確保するためには、国と電力会社に責任をとらさなければならない。しかし、両者が責任をとったからといってなお、問題は解決しない。というより、責任主体のとり得る限度をはるかに超えている。ここに起こっているのは、実は、そういう『新しい』事態なのである」と述べています。
国も、知事も、川内原発の再稼働と、それによって起こる事態に本当に責任を持ち、責任をとることができるのでしょうか。被災者への賠償、廃炉、汚染水対策、除染、汚染廃棄物処理、中間貯蔵施設など対応に膨大な費用がかかることは明らかであります。
再生可能エネルギーや新エネルギーは技術的にまだ不十分だとおっしゃる方がおられますが、技術的には飛躍的に進んでおり、原発の再稼働より、国や電力会社が原発事故処理にかかるうちの何分の一かの額をつぎ込むだけで、画期的な脱原発社会の実現が可能であると考えます。今こそ政治がそれを決断するときであります。
衆議院の解散については過去、「なれ合い解散」、「バカヤロー解散」、「郵政解散」などさまざまありましたが、今回ほど大義名分のない解散・総選挙がかつてあったでしょうか。安倍首相は、「アベノミクス解散」だと言っています。しかし、鳴り物入りで始まったアベノミクスは失敗に終わろうとしているのであります。
他方で、今回の選挙には重大な意味があると思います。世論調査でも、安倍政権が進めている集団的自衛権行使容認、原発再稼働、原発輸出、労働法制の緩和、TPP推進などは国民の願いや期待と大きくねじれており、批判の風は強くなっています。これらを含めて、安倍政治への審判を下すことこそが、私どもにとっての総選挙の大義であります。
私も全力でこのことを多くの県民に訴え、頑張る決意を申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
49 ◯議長(池畑憲一君)これで、本日の日程は終了いたしました。
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50 △ 日程報告
◯議長(池畑憲一君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。
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51 △ 散 会
◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。
午後三時十二分散会
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