鹿児島県議会 > 2014-10-27 >
2014-10-27 平成26年原子力安全対策等特別委員会 名簿
2014-10-27 平成26年原子力安全対策等特別委員会 本文

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  1. 鹿児島県議会 2014-10-27
    2014-10-27 平成26年原子力安全対策等特別委員会 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 八、審査経過        …………………………         午前十時一分開会        ………………………… ◯中村委員長 定足数に達しておりますので、ただいまから原子力安全対策等特別委員会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  傍聴について八名の方から申し出があり、これを許可いたしました。 2 ◯成尾副委員長 暫時休憩をお願いします。 3 ◯中村委員長 暫時休憩いたします。         午前十時一分休憩      ────────────────         午前十時四分再開 4 ◯中村委員長 再開いたします。  ここで、審査日程協議等のため暫時休憩いたします。         午前十時四分休憩      ────────────────         午前十時十分再開 5 ◯中村委員長 再開いたします。  本日の参考人の出席要求についてお諮りいたします。  まず、本日出席を求める参考人といたしましては、経済産業省資源エネルギー庁から、審議官吉野恭司君、電力・ガス事業部原子力立地核燃料サイクル産業課長小澤典明君、また内閣府から、政策統括官付参事官森下泰君、そして原子力規制委員会原子力規制庁から、原子力規制企画課長佐藤暁君、原子力規制部安全規制管理官市村知也君、原子力規制部安全規制管理官付安全規制調整官浦野宗一君、原子力規制部安全規制管理官付安全規制調整官森田深君、新基準適合性審査チーム員蔦澤雄二君、新基準適合性審査チーム員岩永宏平君、新基準適合性審査チーム員柴茂樹君、新基準適合性審査チーム員岩田順一君の計十一名としたいと思いますが、御異議ありませんか。
       [「異議なし」という者あり] 6 ◯中村委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。  また、本日の審査日程につきましては、お手元に配付してあります日程案のとおり、経済産業省及び内閣府をこの後、午前中に招致し、原子力規制庁を午後一時十五分から招致することといたしております。  意見を聞こうとする案件につきましては、経済産業省からは、エネルギー政策及び川内原子力発電所の再稼働に向けた政府の方針について、内閣府からは、原子力防災体制について、原子力規制委員会からは、新規制基準適合性審査結果等についてとし、進め方は、午前の審査につきましては、まず経済産業省から三十分程度の説明をいただき、その後、経済産業省及び内閣府に対し、委員から質疑をすることとしたいと思います。また、午後の審査につきましては、原子力規制委員会から一時間程度の説明をいただき、その後に委員から質疑をするという形をとりたいと思いますが、そのように進めることに御異議ありませんか。    [「異議なし」という者あり] 7 ◯中村委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。  次に、明日の請願・陳情に係る参考人の出席要求についてお諮りいたします。  出席を求める参考人といたしましては、再稼働に賛成する趣旨の請願・陳情の中から、陳情第一一〇三四号の陳情者である薩摩川内市原子力推進期成会の山元浩義君、手打一也君、廣瀬十士君、橋口知章君の四名、次に、再稼働に反対する趣旨の請願・陳情の中から、陳情第一一〇一四号の陳情者である川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子君、陳情第一一〇二四号及び陳情第一一〇二五号の陳情者である原発ゼロをめざす鹿児島県民の会の井上森雄君、陳情第一一〇三〇号及び陳情第一一〇三六号の陳情者である川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の荒川譲君、陳情第一一〇〇五号、陳情第一一〇〇七号、陳情第一一〇三一号及び陳情第一一〇三八号から陳情第一一〇四〇号までの六件の陳情者である反原発・かごしまネットの向原祥隆君の計四名としたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」という者あり] 8 ◯中村委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。  また、明日二十八日の審議日程につきましては、お手元に配付してあります日程案のとおり、開会後おおむね午前十時十分から順次招致し、各参考人ごとに五十分程度を考えております。  意見を聞こうとする案件については、陳情提出の趣旨等について、進め方は、参考人から二十分程度の趣旨説明をいただき、その後、委員から質疑をするという形をとりたいと思いますが、そのように進めることに御異議ありませんか。    [「異議なし」という者あり] 9 ◯中村委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。  次に、委員外議員から発言の申し出があった場合は、当委員会所属委員の発言が全て終了し、時間があればこれを許可することとしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」という者あり] 10 ◯中村委員長 御異議ありませんので、そのように進めることに決定いたしました。  それでは、これより順次参考人をお呼びし、意見聴取を行います。  ここで、準備のため暫時休憩いたします。         午前十時十六分休憩      ────────────────         午前十時十六分再開 11 ◯中村委員長 再開いたします。  傍聴について一名から傍聴の申し出がありましたので、これを許可することといたしました。  最初に、参考人を御紹介いたします。  まず、経済産業省資源エネルギー庁審議官吉野恭司君でございます。 12 ◯吉野参考人 よろしくお願いします。 13 ◯中村委員長 次に、経済産業省資源エネルギー庁電力ガス事業部原子力立地核燃料サイクル産業課長小澤典明君でございます。 14 ◯小澤参考人 小澤でございます。よろしくお願いします。 15 ◯中村委員長 次に、内閣府から、政策統括官付参事官森下泰君でございます。 16 ◯森下参考人 森下です。よろしくお願いいたします。 17 ◯中村委員長 ここで、当委員会を代表して当席から一言御挨拶を申し上げます。  皆様におかれましては、御多忙の中を当委員会に御出席いただき、ありがとうございます。心から感謝申し上げます。  本日は、川内原子力発電所一、二号機再稼働に関して、国のエネルギー政策、防災体制など、原子力政策に関する考え方について確認する必要があることから、当委員会として皆様をお招きして、委員の質疑に対し、御意見をいただくこととなりました。よろしくお願いいたします。  それでは、時間の都合もありますので早速始めさせていただきます。  最初に、審議の進め方について申し上げます。  まず、エネルギー政策及び川内原子力発電所の再稼働に向けた政府の方針につきまして御説明をいただき、その後、各委員が質疑を行い、それについてお答えいただくということでお願いいたしたいと思います。  なお、参考人の説明はおおむね三十分程度、参考人に対します質疑はおおむね八十分程度と考えておりますので、委員各位及び参考人におかれましては、進行につきまして御協力のほどよろしくお願いいたします。  質疑に先立ち、参考人に対して留意事項を申し上げます。  まず、参考人が発言される場合は、着席のまま、当席の許可を得た上で、簡潔に意見を述べていただきたいと思います。  次に、参考人の発言は、お尋ねする範囲内でお答えをいただきたいと思います。  なお、参考人の発言が質疑の範囲を超え、また不穏当な発言があるときは、発言を制止し、もしくは退席していただくことになりますので、念のため申し上げておきます。  また、参考人は、委員に対し質疑を行うことはできませんが、質疑の内容がわかりづらい場合などは、委員に対し御確認いただいても結構です。  それでは、参考人に国のエネルギー政策について説明を求めます。 18 ◯吉野参考人 よろしくお願いいたします。  お手元にエネルギー政策についてという横長の資料をお配りしておりますが、これに従いまして御説明をいたしたいと思います。早速よろしくお願いいたします。  お開きいただきまして、まず二ページ目でございます。  東日本大震災以降の新たなエネルギー制約ということで、一番初めに、海外からの化石燃料に対する依存度の増加ということで、二〇一三年度の実績でございますが、化石燃料の海外依存度が八八%になっていると、これは、第一次石油ショックのころの海外依存度七六%よりも深刻な数字ということでございます。  それから二つ目に、国民生活・経済への影響ということでございます。  震災以降、化石燃料の輸入額が十兆円増加をしていると、このうち、原発停止に伴う燃料増加分が三・六兆円というふうに試算をされております。  電気料金につきましては、震災前と比べて二割以上上昇している。  それから、地球温暖化に関しましては、一般電気事業者、これは大手電力十社ですが、このCO2排出量が一・一億トン増加と、これは日本の排出量の九%に当たるというものでございます。  続きまして、三ページ目でございます。  エネルギーの安全保障、自給率の推移でございますが、我が国の一次エネルギー自給率、これは二〇一〇年には一九・九%ありましたが、これが原子力発電所の停止によりまして、二〇一二年の時点では六%、これはOECD三十四カ国中二番目に低い水準と、下にはルクセンブルクしかないということでございます。  原子力につきましては、燃料の備蓄効果ですとか安定的な運転が可能ということで、IAEAによる国際的な統計上は国産エネルギーというふうに位置づけられております。  四ページ目でございます。  原油・石油製品価格の推移でございますが、原油価格は、中東情勢などを背景にしまして高水準で推移をしてきましたが、七月以降は少しずつ下落傾向にはあるということでございます。  一方、国内の石油製品価格は、このところ十四週連続で下落をしているんですが、円安の影響で下げ幅は限定的、比較的高どまりをしている状況というふうに理解をしております。  それから、五ページ目でございます。  電気料金の詳細でございます。  このグラフのとおり、家庭向けに当たります料金が一九・四%のアップ、産業用途に当たるものが二八%のアップということでございまして、加えて、右側にございます賦課金単価とありますが、再生可能エネルギーの買い取りの単価の部分も年々ふえてきているという状況でございます。  六ページ目に、電力各社の経営状況がございます。  電気料金、値上がりはしているんですが、電力五社に関しましてはこの表のとおり、三期連続の赤字ということでございます。  右側から四列目に値上げ率とございます。各社それぞれ値上げはしているんですが、想定しておりました原子力発電所の稼働想定時期がずれ込んできているというところで、各社それぞれこうした収支状況になっているということでございます。  下に、注がございますけれども、北海道電力におきましては先般、値上げの申請が一月に行われまして、この認可が十月十五日に行われたということで、一五・三三%の値上げに今回なりますと。ただし、年度内いっぱい、三月三十一日までは激変緩和措置として一二・四三%ということになっております。  七ページ目以降でございます。  福島における廃炉に向けた取り組みの状況でございます。  福島第一原子力発電所の廃炉につきましては、中長期のロードマップを定めて対応してきておりまして、四号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出し、これを本年末ごろの完了を目途に進めております。三号機についても、上部の瓦れきの撤去は済んでいるということでございます。  また、この資料にありますとおり、海外からの専門家も参加をして、対策を推進してきているところでございます。  八ページ目を見ていただきますと、汚染水対策のほうでございます。  地下水バイパスなどをつくりまして、汚染源に水を近づけない対策といったものを講じてきております。おおむね日量四百立米ほどの地下水が建屋に流れ込んできているということなんですが、ここのところ、今申し上げました地下水バイパス、それから建屋の止水といったものによりまして、これは東電の推計ではございますけれども、百から百三十立米の流入が抑制されているのではないかということでございます。  それから、汚染源を取り除く対策ということでございますが、ここにあります多核種除去装備、これはALPSと呼んでおりますが、この装備を既存のものに追加設備を加え、さらに高性能設備を加えておりまして、資料中は、済みません、建設中になっているんですが、高性能設備のほうも先般稼働を始めております。これによりまして、一日に二千立米の処理が可能となる予定でございまして、これによりまして、今タンクにたまっております汚染水の核種の除去というものを年度内を目途に進めていければというふうに思っているところでございます。  九ページ目は、同じく汚染源に水を近づけない対策として進められております凍土方式の遮水壁の概要でございます。  六月に本格工事に着工しておりまして、二〇一四年度中に凍結開始を目指しているところでございます。図はちょっとわかりにくいんですが、右上の写真を見ていただきますと、1)2)3)4)とございます。この四つの原子炉の周りを取り囲む水色の破線に沿って、この凍土壁の今、工事が進んでいるという状況でございます。  それから十ページ目は、御地元の避難指示の解除の推移でございます。  田村市に関しましては二十六年四月一日に避難指示を解除しまして、川内村に関しましては十月一日に同じく避難指示を解除と、一部でございますけれども。それからこのうち楢葉町、それから葛尾村、川俣町とこういったところにおきまして、引き続き除染などの作業を進めていくということにいたしております。  十一ページ目以降、エネルギーミックス、それからエネルギー基本計画の全体像ということでございます。  ここにございますとおり、エネルギー基本計画につきましては、本年の四月十一日に閣議決定をいたしました。ここにございますのがエネルギー政策の基本的視点でございまして、安定供給、コストの低減、環境負荷低減、それから安全性と、この三つのEとS、これがエネルギー政策の基本的視点というふうに考えております。  その下の二重枠にありますとおり、今申し上げました安定供給、コスト、環境、安全性とあらゆる面ですぐれたエネルギー源はないということで、現実的かつバランスのとれた需給構造を構築していくことが、このエネルギー政策の基本ということでございます。  十二ページ目に、ごく簡単に今の点を電源ごとに整理しております。  再生可能エネルギー、原子力、石炭、LNGでございますけれども、まず安定供給の観点からいえば、再生可能エネルギー国産エネルギーである、原子力も準国産であると、石炭は化石燃料でありますけれども、中東依存度はゼロであると、LNGは中東依存度三〇、石油が八三%といったこと。  コストに関しましては、原子力が八・九円で安い、石炭はそれに次ぐと、LNG、石油となりますと徐々に高くなっていくと、再生可能エネルギーはまだまだコストの問題を抱えているという状況かと思います。  それから環境負荷の低減についていえば、これは石炭を十とした場合のCO2の排出量の比較をしております。天然ガスが六、それから石油が八と、こういった排出量になるということでございます。  今申し上げましたような電源ごとの性格を踏まえまして、十三ページ目にございますエネルギーミックスの中で、各エネルギー源の位置づけをしております。  再生可能エネルギーに関しましては、温室効果ガス排出のない有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー源、三年間、導入を最大限加速をする、その後も積極的に推進をするという位置づけでございます。  原子力に関しましては、すぐれた安定供給性と効率性を有している、運転コストが低廉で変動も少ない、運転時に温室効果ガスの排出もないということで、安全性の確保を大前提に重要なベースロード電源と位置づけてございますが、一方、依存度に関しましては、省エネ・再エネの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減をさせるという方針を示しているところでございます。  十四ページ目は、これは電源の構成と需要変動に即した電源構成を記しております。  下からベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源というふうに申しますが、これまで例えば二〇一〇年の縦棒を見ていただきますと、石炭、原子力、水力、このベースロードと言われる部分で六割ほどを確保してきておりましたけれども、目下、四割程度の水準になってきているということでございます。  十五ページ目は、今後のエネルギーミックスに関する検討スケジュールでございます。  エネルギー基本計画は、先ほど申し上げましたとおり決定をいたしましたが、現在、省エネルギーの小委員会、新エネルギーの小委員会、それから原子力の小委員会と、各委員会におきまして、個別の論点についての検討をしているところでございます。  このうちCOP21、この図の一番右端ですけれども、これが来年の十二月に控えておりますので、これに向けて日本としては約束草案を出していかなければならないと。これに向けまして、エネルギーミックスがその前提になるわけでありますけれども、今後、原子力発電所の再稼働の状況、再生可能エネルギーの導入の状況、またCOP、温暖化問題に関しましては、国際的な議論の状況なども踏まえて、できるだけ早くミックスの設定をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、十六ページ目でございます。原子力発電所の運転状況でございます。  現在、商業用原子炉が四十八基ございまして、新規制基準への適合性確認は十三原発二十基が申請をしているということでございます。この水色で囲ったところが申請を済ませている発電所ということでございます。それぞれの申請済みの発電所に関しましては、十七ページ目にございます、新規制基準のもとで審査が行われているということでございます。ここらあたりの詳細につきましては、午後に規制委員会のほうからまた御説明があるというふうに理解をしております。  十八ページ目に、原子力政策の再構築ということで、原子力政策に関する議論の視点を七項目書いております。  まず1)には、先ほども基本計画の方針の中で示しましたとおり、原発依存度は可能な限り低減をさせる方針であると、今後増加する廃炉を円滑・安全に行わなければならないということでございます。  2)のところは、技術・人材でございますが、原発の利用・廃炉を安全に進めていくためにはやはり技術・人材が必要であるといったことでございます。  それから3)は、いかなる事情よりも安全性を最優先するということで、安全確保に係る規制の強化のほうは行われておりますけれども、安全神話と決別をして、安全性向上をこれは事業者も規制当局も不断に追求していかなければならないというふうに認識をしております。  それから4)でございますけれども、今申し上げました廃炉を円滑・安全に進めていく、それから人材の維持等々を考えましたときに、原子力を取り巻く事情として、電力システム改革が進んでいっていると、競争環境が進展しているということもございます。こうしたことを踏まえながら、それぞれの事業環境を考えていかなければならないというふうに考えております。  それから5)は、使用済み燃料問題です。これは、将来世代に負担を先送りしないように対策を確実に進めなければならないと考えております。  6)は、国民の行政それから事業者への信頼が低下している点でございます。加えまして、自治体もさまざまな不安を抱えておられます。経済的にも影響があるといったところを認識しておりまして、これらの対応も必要ということでございます。
     それから7)は、新興国の原発導入の拡大でございます。これは、世界のエネルギー事情を踏まえまして、アジア、新興国におきまして原発導入が進みつつある状況でございますけれども、我が国としては、事故の教訓を国際社会に共有をする、原子力の平和利用・核不拡散に貢献することが責務であるというふうに考えております。  十九ページ目は、核燃料サイクルの基本的考え方でございます。  少し長々引用しておりますけれども、基本計画の本文でございます。  我が国は、使用済み燃料を再処理して、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的な方針としております。一方、核燃料サイクルに関する諸課題は、中長期的な対応を必要とします。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等のさまざまな不確実性に対応する必要があるということで、対応の柔軟性を持たせることが重要であると。これが今の方針でございます。  二十ページ目に、核燃料サイクルの模式図が書いてあります。  四角枠の中の(二)ウラン資源の有効利用もそうなんですが、高レベル放射性廃棄物の減容・有害度の低減の観点からも重要と考えておりまして、米印のところにありますとおり、再処理を行うことによりまして、高レベル放射性廃棄物の体積を四分の一にできると。また、その有害度が天然ウラン並みになるまでの期間を約十二分の一にすることができると、こういうメリットもあるということでございます。  それから二十一ページ目は、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関してでございます。  二〇一三年の十二月に第一回の最終処分関係閣僚会議がございまして、見直しの方向性が確認をされております。  丸の一つ目にありますとおり、現世代の責任として、地層処分を前提に取り組みを進める。他方で、将来世代が最良の処分方法を再選択できるように、可逆性・回収可能性を担保するといったこと。それから丸の三つ目にありますように、国が、より適性が高いと考えられる地域、科学的有望地を提示して、重点的な理解活動を行った上で、複数地域に対し申し入れを行うといったことでございます。  こういった方針は、エネルギー基本計画でも決定をされまして、その後、その下にあります放射性廃棄物ワーキンググループといったものの中で、取り組みや体制の改善策などを専門家から提言をいただいております。  二十二ページ目にありますとおり、最終処分地の選定に関しましては、この下の右図にありますとおり、まず文献調査をする、その後、概要調査、ボーリングなどの実施をする、さらに精密調査を実施をした上で、最終的に施設建設のほうに入っていくということなんですが、1)から2)、2)から3)、3)から施設建設に至るところに関しましては、都度、地元の意見、立地市町村、それから県の意見を聞いて、同意を得ながら進めていくということになっているということであります。  今回はそのプロセスの前でありますから、左側になります。前のところに、今申し上げました国による科学的有望地の選定、マッピングを行うと、重点的な理解活動を行っていくということでございますが、次のページ、二十三ページ目でございます。  今後、こうした方針で進めていくことになりますが、さらに具体的な科学的有望地の要件ですとか基準ですとかこういったことの議論が必要ということで、つい先日、十月二十三日から放射性廃棄物ワーキンググループを再開しております。このうち、進めていくわけでありますけれども、丸の二つ目にありますように、選定の考え方、進め方に関して地域の理解を得ていくことが第一と。政府として、全国の自治体に情報提供を緊密に行いまして、丁寧に対話を重ねていきたいというふうに考えております。有望地の選定をする作業が、地元の方々にとって文字どおり寝耳に水にならないようにということで、丁寧に説明をしていきたいというふうに考えている次第でございます。  それから二十四ページ目以降、再生可能エネルギーでございます。  ここにありますとおり、我が国の今、再生可能エネルギーの状況ですが、比率として一〇・七%のところまで来ていると。水力発電が八・五ありまして、それを除くと二・二%ということになります。そういうことですので、風力、地熱などまだまだ拡大の余地はあるというふうに考えております。  二十五ページ目、導入状況でございます。  二〇一二年に御存じの固定価格買取制度の導入が図られまして、これによりまして、その後の導入量が一・五倍、五割増しになっているということでございます。この図のとおりでございます。  ただ、他方で買い取りのための賦課金、これは電力料金にプラスアルファでかかっているものでございますけれども、この総額が二〇一四年度の見通しで六千五百億円になっているということでございます。大きく増加をしております。そうしたもとで、認定容量といいますが、これは国が設備の認定をする容量ですが、これが上のグラフのオレンジの棒グラフのとおり、七千百五十万キロワットまでふえてきているということでございます。このふえ方が非常に急激であったところもございまして、二十六ページ目にありますような再生可能エネルギー発電設備の接続問題といったことが生じております。  二十六ページ目は、九州電力さんのケースを掲げておりますが、このグラフにもありますとおり、発電設備の系統への申し込み量なんですが、まず、その接続済み分が三百九十万キロワットありまして、ここに至るまでのところ、接続申し込み分が八百七十万キロワット、合計千二百六十万キロワットの申し込みが来ております。九州電力の場合、電気の使用が少ない時期の昼間の需要が八百万キロワットということですので、これを大きく上回る申し込み量になっていると。実はそれ以外にもまだ接続の検討分がございまして、この状況を踏まえて、九州電力としては、需要と供給のバランスが大きく崩れるおそれがあるということで、先月九月二十四日に申し込みに対する回答を保留する旨を発表されたということでございました。  二十七ページ目でございます。  今のような問題はありますけれども、再生可能エネルギーの導入を進めていくために、コスト高の克服、出力の不安定性への対応、立地制約の克服といったところの課題については対応していかなければならないと思っております。  固定価格買取制度に関しましては、最大限の導入をということでありますが、一方で国民負担の抑制の両立を図る観点がありますので、今後、見直しを行っていきたいと思っております。また、低コスト化・高効率化のための技術開発・実証も進めてまいりたい。  それから、出力の不安定性への対応ということでは大型蓄電池の活用、送配電技術の一層の高度化を図るといったところを目指しております。  立地制約ということでは、環境アセスメントの迅速化、それから風力に関しましては、北海道・東北から大消費地へ送るための送電網の強化を図るといったところを掲げております。  二十八ページ目に、再エネの取り組み強化の例を示しております。  左上が、洋上風力の開発・実証ということで、今、福島沖ですけれども、浮体式の大規模な洋上風力の実証をしております。  左下は、九州電力の八丁原の写真が載っておりますけれども、地熱発電に関しましても資源量の調査といったところに努めているところでございます。  右下のほうは、地域分散型の再生エネルギーの導入ということですが、ここにあります雪氷熱とか小水力とか、そういったさまざまなものに対する支援を個別に行っているところでございます。  それから二十九ページ目以降は、省エネルギーについてでございます。  グラフは、これまでの日本におけるエネルギー消費の状況を図示したものでありますが、オイルショックの後、GDPが二・四倍になっているのに対しまして、最終エネルギー消費のほうは一・三倍と、産業用についてはそもそも減っているとか、運輸部門もそれなりに抑制されているんですが、家庭・業務といったところはほぼGDPと同じような比率でふえてきているということでございます。  こうした状況を踏まえまして、さらなる省エネの推進ということで、三十ページ目にありますような対策を進めております。  まず、産業部門につきましては、これまでの省エネによりまして、それぞれ限界的な省エネのためのコストがふえてきているということもございますので、さらなる省エネ設備導入のための支援策ということで補助金の増額・拡充を要求させてもらっております。  それから右側でございます、家庭・業務部門の省エネ対策ということでありますが、家庭ではゼロ・エネルギー・ハウスというものを普及していきたいということで、一件当たり百三十万円の補助を予定して予算要求をさせていただいております。そうしたことも含めて、この部分につきましても予算の増額をお願いしているところでございます。  それから三十一ページ目、運輸部門の省エネ対策でございます。  この運輸部門につきましては、省エネルギー法などに基づくトップランナー制度などによりまして非常に省エネに成功している分野でございますけれども、今後は次世代自動車の導入が課題と、エネルギー基本計画では、新車販売に占める割合を二〇三〇年までに五割から七割にするんだという目標を掲げてございます。足元の動きを申せば、燃料電池自動車がいよいよ発売をされるということもありまして、これについて、これまでのクリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助、こういったものの対象にしていきたいとも思っておりますし、水素ステーションに関しましても、ことし、来年で百カ所の整備を目指しているということでございます。  以降、エネルギー基本計画の概要をつけておりますが、ここは説明も重複しますので、飛ばさせていただきます。  五十一ページ目以降でございます。  川内原子力発電所の再稼働へ向けた政府の方針についてということでございますが、まず五十二ページ目は、九月十日の原子力規制委員会委員長の定例会見の発言内容でございます。  中段にありますとおり、「九州電力川内原子力発電所については、原子力規制委員会として、法律に基づいて、運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認したことになります。」といったところが表明されております。  それから、五十三ページ目でございます。これは、同日九月十日の菅官房長官の会見の中身でございます。  二段落目にありますとおり、基本方針としましては、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると位置づけるとともに、規制委員会によって、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めることといたしております。」と、この方針をまずお示しした上で、川内原発に関しましては、規制委員会によりまして、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました。したがって政府としては、基本計画に基づいて、川内原発の再稼働を進めることといたしておりますといったところを表明させていただきました。  この方針に関しましては、政府として、立地自治体等の関係者の理解と協力を得ることに取り組むとしまして、新規制基準への適合審査の結果、エネルギー政策、原子力政策の内容、原子力災害対策の内容などを丁寧に説明をしてまいりますといったところに触れております。  避難計画を含む地域防災計画に関しては、政府として、計画のさらなる充実のための支援、その内容の確認を行うとともに、計画の改善強化に継続して取り組んでいく旨を説明しております。  それから、下から二つ目の段落ですが、実際の再稼働は、今後、原子力規制委員会によって工事計画認可などの所要の法令上の手続が進められた上で行われますということに加えまして、さらに、再稼働後についても、政府は、関係法令に基づき、責任を持って対処してまいりますといったことを表明されました。  その後でございます、十二日付で小渕経産大臣のほうから伊藤鹿児島県知事のほうに文書を発出させていただいております。  ほぼ同内容の内容でございますけれども、レターの冒頭のところでまず、三段落目でございますけれども、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の皆様の懸念の解消にしっかり取り組みながら、原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めてまいります。」といったことを申し述べております。  それから、下から二つ目の段落、福島第一原子力発電所の事故を受けて、今なお、国民の皆様の中に原子力発電所の再稼働について不安の声があることは承知と。こうしたことに正面から向き合いまして、立地自治体等関係者の皆様を初め、国民の皆様の理解や納得が得られるよう、丁寧に説明を尽くしてまいります。同じく、万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任を持って対処いたしますといったことをお示ししたものでございます。  五十五ページ目、記とございますが、内容が重複しますので省略いたしますが、以上のとおり、菅官房長官、それから小渕経産大臣のほうから、川内原子力発電所に関する政府としての考え方をお示ししたということでございます。  以上、私のほうからの説明は終わらせていただきます。 19 ◯中村委員長 説明は以上でよろしいですか。 20 ◯吉野参考人 以上です。 21 ◯中村委員長 ありがとうございました。  説明が終わりましたので、通告した委員から質疑をお願いします。  まず、吉留委員。 22 ◯吉留委員 最初ですので、今いろいろ御説明いただいた各論についてはそれぞれ質問があるかと思いますが、今般の三・一一の後の福島第一原発事故の後、国民の皆さん、県民の皆さんが考えている不安の声がありますので、その点について若干御質問したいと思います。  原子力規制委員会は、いろんな場で「一〇〇%絶対に安全とは言えない」とおっしゃっております。また、今般行われました住民説明会におきましても、規制庁の担当者の方が「一〇〇%安全ではない」と、私の地元のいちき串木野市の会場でもおっしゃっておりました。  それに対して、自然界において絶対にとか一〇〇%ないというのは、技術者や科学者の方の観点ではそうなんでしょうが、現実に福島第一原発の事故を見ておりますと、「一〇〇%安全とは言えません」と言われた側は、なかなかやはり不安感がぬぐえないというようなお声がよく聞かれます。私のほうにもそういうお話をお聞きしますので、こういう国民の、県民の不安の声にどう応えていかれるか、国として、政府としてですね。その点についてまず御質問いたします。 23 ◯吉野参考人 まず、福島の原子力発電所の事故、これは私どもとしても大変重く受けとめておりまして、今、足元での被災地への対応、それからオンサイト、原子力発電所自体の汚染水、廃炉対策といったところを着実に進めていくというところが私ども、いずれにしても出発点というふうに考えております。  その上ででありますが、原子力発電につきましては安全性の確保が大前提ということであります。この利用に当たりましては、世界で最も厳しい水準の規制に適合するかどうかと、その審査を独立した規制委員会のもとで適合性の評価をしていただいた上で、適合していると評価されたものについて利用させていただくということでありますが、まず、その新しい基準に関しましては、福島の事故の状況を踏まえ、それから国際的にもIAEA、欧米の基準を見、また、日本の場合には地震・津波といったさまざまな自然事象があるところを、これもやはり従来にも増してとても厳しくごらんになっていると、それから火山、テロとさまざまな要素について基準に定められた上で、それに適合するかどうかというところを極めて慎重に審査をしてこられたんだと思っております。  きょうの午後の部かもしれませんが、まずはそうした規制委員会が安全確保に必要だと思われる基準に関して、それぞれどう適合しているのかというところをやはり、細かな内容にはなるんですけれども、丁寧に説明をしていただかなきゃならないというふうに思っているところでございます。  他方で、一〇〇%の安全はないんだという点に関していえば、これはおのずと、再稼働をしても構わないという基準についてはそれはクリアしているということなんだけれども、おのずと残余のリスクというものはあるんだろうと。そういうところに関しては、安全神話と決別をする、さらなる安全性の追求をしていくということで、事業者も、それから規制当局の方々も、我々もかもしれませんが、さらなる安全性の追求をしていくと、より残余のリスクを下げていくといった取り組みをしっかりしていく。それを地域の方々、国民の方々の不安ということにしっかり耳を傾けながら、説明を丁寧にしていくということかというふうに思っております。 24 ◯吉留委員 私も川内原発から直線距離で十五キロのところに住んでおりますし、そこを活動拠点にしておるものですから、ぜひ、安全なんだということを今いろいろおっしゃいましたので、広報を国民、県民の皆さんになるたけ多く周知できるように、私ども地方議員に大変いろんなお声が来ておりますから、よろしくお願いしたいと思います。  あと重大事故の、過酷事故ですよね、発生についてどのような現実的な認識として捉えられているのか。また、万が一、重大事故が発生した場合どのような対応を図られるのか。責任はどこが持つのか。事業者なんですよというお話が以前からいろんな場面であるんですが、国がやはり全面的に出ないと、事業者に任せていいのかというのがやはり住民の方の不安感がありますから、その辺について御質問いたします。 25 ◯吉野参考人 重大事故に関しましては、福島の事故があったわけでありますけれども、二度とこうしたことは起こしてはならないということで、具体的に、想定された原因が何であったのかと、津波対策、それからシビアアクシデントの対策が十分ではなかったといったようなところに関して、そこは徹底的に基準をつくる中での議論をいただいたものを踏まえて、さらにその基準に適合するところを審査をされているということなので、その点に関してはしっかり評価をされているということを前提に、再稼働のほうを進めていければと思っておりますが、この後の責任ということに関しましては、まず、規制基準に適合した後の運転をするかどうかの判断は、これは基本的には事業者ということでございます。ただ、御地元の理解を得ていかなければならないということでありますので、そこは国も前面に出て、きちっと御説明には当たりたいというふうに思うところでございます。  他方で、国の責任ということに関して申せば、これはもちろんあってはならないことでありますけれども、事故が発災をすれば、それに関する原子力防災への対応ですとか、それから原子力賠償への対応ですとか、こうしたものは既にそれぞれ関係の法令もございますので、そうしたものに従って、国はしっかりと責任を果たしていくというふうに理解をしております。 26 ◯吉留委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。特に避難計画で市町村、自治体が第一義的に云々というのはありますけど、ぜひ原子力災害については、国が前面に出て、全面的にやるんだということをぜひ示していただければと思っております。  以上で質問を終わります。 27 ◯中村委員長 次は、井上委員。 28 ◯井上委員 今の吉留委員の質問にかぶる形にもなりますが、私も原子力防災という対策について質問させていただきたいと思います。  福島の原発事故の状況を見ながら、あのような事故が二度と起こらないようにということで何重もの安全対策を推進してこられたということを、私たちも見させていただいてまいりました。ただ、万が一ということがあった場合にどうするかということを、住民の方々はどうしてもそれが頭をよぎるということになりますし、そういう点での心配を絶えずされるわけでございます。  それで、本県においても、防災対策あるいはまた避難計画というものについてはそれぞれ取り組んできているということでありますが、基本的に、防災対策については、国が前面に立って継続的に充実・強化を図るべきであるというふうに思っております。また、避難対策については、国の責任において、災害時に確実に機能する体制を構築する必要があるというふうに思うわけであります。  そういう点で、第一点は、原子力防災対策の充実・強化策と、先ほどもちょっと話がありましたけれども、原子力防災対策の充実・強化策ということに対しての今後の国の対応ということについてお尋ねしたいと思ったことと、もう一つは、地域の避難計画に対する支援について、今後どのように取り組んでいこうとしておられるかということについてお伺いしたいと思います。 29 ◯森下参考人 内閣府の森下です。  国による地方自治体の計画づくりの充実・強化、それから地域への支援の取り組みについてでございますけれども、昨年の九月からでございますけれども、総理が議長を務められております原子力防災会議で、国の関係省庁が関係自治体と一体となって、各地域の防災体制の充実・強化、これを支援するようにという指示を受けております。昨年の九月から、その方針に基づきまして内閣府が、私のところが中心になりまして、防衛省、警察庁等々の実動省庁も含めまして調整を図りながら、地域ごとにワーキングチームを設置して、この川内地域についても同様でございますけれども、支援を行ってまいりました。  その結果でございますけれども、九月五日に川内地域につきまして、全国に先駆けて緊急時の対応ということが確認できたところでございますけれども、それにつきましては、万が一、自治体があらかじめ計画されたとおりにいかない場合、そういう場合も想定いたしまして、自衛隊や警察、消防等の国の実動機関等が必要な支援を行うということも含めて確認をしてまいりました。今後とも、まだ調整事項もございますので、国といたしましても引き続き、川内地域の計画の充実・強化のために引き続き支援をしてまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 30 ◯井上委員 防災対策の充実・強化ということにつきましては、今までの住民説明会であったり、いろんなところでの住民の皆さんの声を聞く中においても、本当に大丈夫だろうかという心配を絶えずされます。それで、一〇〇%大丈夫だと言えるような状況を示すというのは、一度に示す、全部を見渡してそれを示すというのはなかなか難しいことだと思いますが、やっぱり継続的に充実・強化を図るということをしっかりと国のほうで宣言をしていただき、またそのような説明を、国の防災会議の中でそういうような取り組みをしているんだということができるだけ見えるように、今後とも取り組んでいただきたいというふうに思っているところでございます。  また、地域の避難計画に対しましても、一応避難計画というのをそれぞれの市町村で立てたわけですけれども、それがやっぱり大丈夫なのかと、私たちの町でも、いざというときには鹿児島の谷山のほうに避難するんだということで、何でそんな遠いところに、またその方向に行かないといけないんだろうかと、もっと別の方向にはなかったんだろうかというような声があったり、当然ちょっと混乱するような意見もいろいろとございます。  その後、やっぱり風向きによって避難をどうしたらいいかということが、それを考えながら誘導しなきゃいけないということもありまして、そこらのまた対策を検討していくんだということが言われているわけでありますが、そういう点で、災害時に確実に機能する体制を構築するということにおいて、県ごとにどうするというだけでなくて、国のほうでやっぱりしっかりと責任を持ってそこらを見渡しながらまとめていく、そして示していくということをやっていただく必要があるというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。 31 ◯中村委員長 答弁はよろしいですか。 32 ◯井上委員 何かあれば。 33 ◯森下参考人 委員おっしゃるとおりに、防災対策の面でも、原発と同じで安全神話をつくることなく、むしろ、おっしゃったとおりに一〇〇%はない、取り組みに完璧はないんだと、常に改善の余地があるという考え方で、これからも我々国と鹿児島県初め関係自治体が連携して、やっぱり継続的に充実・強化をしていくということが最も大事だと思っております。  今後のアイデアということになりますけれども、それには一番はやっぱり訓練だと思っております。それを計画の実効性の観点から訓練を行って、計画で定めた内容をまず実施してみると。その結果を国とやっぱり地元の住民の方の意見も聞きながら評価をして、その評価に基づいてやはりまた次の継続的な改善につなげていくと、そういうことが重要だと考えておりますので、引き続きそういう観点から取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。 34 ◯中村委員長 通告された質問の中に関連したものがありますので、ここで質問していただきたいと思います。  まず、遠嶋委員、ありませんか。 35 ◯遠嶋委員 今の避難計画のことで、先ほどおっしゃいました、国と地方自治体と連携をとって充実をさせていくというお話だったわけですが、今、避難計画、県内関係自治体でずっと説明会を開催をしてきましたけど、どこも不満が沸騰しているわけですね。その主たる内容は、さっきもありましたけど、風向きの問題とか、それから避難先の状況の問題とかあるわけですが、その中で避難時間シミュレーションをそれぞれの自治体がやったと思います、関係自治体がですね。その際に鹿児島県の場合、風向きとか、それからそれを反映した避難経路、避難場所の提案というのが、依頼した事業者との話、契約の中身には入っていたんですけど、途中で不要ということになったわけですね。  この件に関しては、国の指示もあって各自治体で取り組まれたことだと、各都道府県で取り組まれたことだと思うんだけど、これに対するかかわりというのはどんなふうにされたのかですね、ちょっと。より充実をさせるためには私は、風向きとかそれを反映した避難経路とか避難場所とか成果品として求めるということが、より充実した中身になったであろうと思うわけですが、この点についての国のかかわり、指示はどんなふうにされたのか、お伺いしたいと思います。 36 ◯森下参考人 今、委員から、鹿児島県が行った避難時間シミュレーションの件、我々も承知しておりまして、鹿児島県がたしかさまざまな条件を書いてされまして、たしかおおむね五時間から十六時間半というような結果が出ていたというふうに承知しております。五キロ圏内の住民の方が避難に要する時間ですね。  まず、我々の原子力規制委員会が出している指針、それにのっとってつくっておりますけれども、その考え方は、まず五キロ圏内の住民の方々は放射性物質が放出される前に、予防的にと言っていますけれども、まず出る前に退去するということなので、これは風向きというよりもですね、どれだけ早く移動できるかと。行き先ももう鹿児島県の場合は決められておりますので、薩摩川内市であれば鹿児島市の四カ所ということに、ですから、まずそこにどれだけ早く行けるかということが最も大事というふうな考え方で計画をまずつくっております。  それから、万が一、放射性物質が出た後、これは国のほうで自治体と一緒になりまして、環境の放射線のモニタリングをして、実測値で線量が一定値を超えたところを一週間程度で移転をしていただくということになりますけれども、そのときには委員おっしゃったように、どの方向が線量が高いか、多分風向きと一致すると思います、風向きとか雨とかそういう気象条件によってそういう高いところというまずそこを把握して、そこを通らないような形で組むというような臨機応変さは必要と思っておりますので、そういう考え方は組み込んで鹿児島県と一緒につくってきておりますので、今おっしゃった視点についても、県と国のほうでは入れて対応してきておりますので、引き続きそれの精度を上げていくとか、うまくいくかとか、訓練をしながら検証していきたいと思います。 37 ◯遠嶋委員 鹿児島県とほぼ同様の回答だと思います。課題が非常に大きいですので、やはり実効性をより高める努力をですね、これはもう並大抵のことじゃないと思いますけど、よろしくお願いしたいと思います。 38 ◯中村委員長 関連して、まえの委員。 39 ◯まえの委員 原子力防災計画の実効性について、今もありましたけれども、実効性が確保されているか否かについての原子力防災災害対策指針などの適合性審査というのは、川内に関してですけれども、去る九月五日の会合で行われたということで理解をしておいていいんでしょうか。 40 ◯森下参考人 今おっしゃったのは、少し確認をさせていただきたいんですけれども、内閣府のほうで鹿児島県と関係市町村と確認をしてきました緊急時の川内地域の対応ということでございましょうか。 41 ◯まえの委員 はい、そうです。 42 ◯森下参考人 それについては、九月五日にまずは関係省庁と県、関係市町で確認をした結果を、九月十二日に総理が御出席される原子力防災会議のほうに報告をして、了とされたということでございます。 43 ◯まえの委員 わかりました。  国民への周知という意味で、防災計画の適合性審査、これをいつどこで行ったのか。また、その審査内容を含めて公表するということは考えておられませんか。 44 ◯森下参考人 まず、まえの委員のおっしゃっている審査という言葉については、少し私のほうから説明をさせていただきたいと思います。  今回の川内地域の計画の確認というのは、審査という形ではやっておりません。なぜならば、災害対策基本法上、避難計画は自治体が作成するということになっておりますけれども、実際の災害時の緊急時の対応は、自治体の計画も含めて、うまくいかなかった場合に、先ほども申し上げましたけど、国の実動組織が支援するとか、そういう国の役割も含めて確認をしたものでございます。いわば国も対策の当事者であって、上から目線で自治体のものをマル・バツとかやるような立場でそもそもかかわってきていないと。自治体からの御要望も、今おっしゃったように、国が積極的に支援をしてほしいと、計画づくりに関与してほしいということで、第三者として審査をしてくれという要望は受けておりません。  そういうことを踏まえまして、冒頭申し上げましたけれども、総理からの御指示で、自治体と一緒になって計画づくりを支援して行うようにということでやってまいりましたので、審査ということではないということをまず御理解いただいて、自治体と一緒に同等な立場でつくってきたものと。それが原子力規制委員会の出している指針という基本的な考え方にものっとっているし、避難される方の避難手段の確保とか住民の数の把握とか非常に具体的であるということをみんなで確認したと、そういうふうに御認識いただければと思います。
    45 ◯まえの委員 今ありましたように、決して国は上から目線ではないんだと、自治体と一緒になって避難計画についてもちゃんとつくっていくんだ、あるいは一緒に考えていくんだというお話がありました。そのとおりやっていただければいいと思います。  それと、先ほどありました避難訓練です。昨年、約二十二万人と言われる住民の方々がおられて、訓練が行われたわけですけれども、わずか三百七、八十の方が参加をしているわけですよね。だから、そのあたりについて、訓練という形ですからなかなか住民の方々が参加をするということが、動かす意味では、なかなか住民の方々が動くということにならないと思うんです。しかし、過酷事故ということが起こるかもしれない、起こった際にどうするんだ、住民個人個人がどうすればいいんだということを認識をするためにも、毎年あるいは回数を多く訓練をするということが必要な気がするんですね。そのあたりについての県あるいは自治体との、国とのかかわりというんでしょうか、あるいは支援という言葉も何回も出てきましたけれども、そのあたりについての考え方をお聞かせください。 46 ◯森下参考人 昨年行いました薩摩川内での総合防災訓練のことをおっしゃったと思いますけれども、確かに住民の方の参加された人数は、おっしゃったように全員というわけではありませんけれども、国のほうも二千人ぐらいの規模で、まず、国とか関係機関がどう動くかということは昨年確認といいますか、訓練をやってきているということがございます。それから、委員おっしゃったように、住民一人一人の方が何をすればいいのかという認識をするためにやっぱり訓練が必要だというのはおっしゃるとおりでございまして、先ほども申し上げましたけれども、今後の取り組みとしては、まずは計画をつくりましたので、計画のとおりその内容を実施してみるということ、それからその結果をやっぱりちゃんと評価をすると、そのときにやはり参加された住民の方々も含めて御意見を反映できるような形で評価を行うと、その評価結果に基づいて計画をまた練り直していくと。そういうことは、やはりこれをやるのは国だけではとてもできませんので、やっぱり地元の実情のことをよくわかっておられる薩摩川内市役所とか鹿児島県さんと一緒になって、どういうふうに今申し上げたようなことを具体的にやっていくかというようなことも、今後、相談してやっていきたいと思っております。 47 ◯中村委員長 関連して、まつざき委員。 48 ◯まつざき委員 共産党のまつざきです。よろしくお願いします。  今、避難計画について、国において原子力防災会議で確認されたと、その中身についても、上から目線ではなくて、市町村や県と協議しながら一緒につくっていったんだという御説明でした。  この避難計画については、鹿児島県においては四月、五月、六月、八月かけて、避難計画についての住民説明会というのがそれぞれの市町でありました。その中で、住民の皆さんからさまざまな不安の声が出されました。今、御説明あったのは、そういう自治体と市とか町、あと県と協議したということですが、市や町が説明した住民説明会の中で、実際の避難する住民からいろんな疑問が出されたんですね。その中身についてはしっかりと内閣府のほうにも伝わって、それも含めた議論というのがなされているんでしょうか。 49 ◯森下参考人 はい、なされております。鹿児島県のほうからは、まさに四月からかけて行われた住民説明会の議事録とか、住民の方から出された不安の声というのを整理されておりまして、それを我々のほうはいただきました。  その上で、先ほど申し上げましたワーキングチームで九月に、緊急時の対応というのを原子力防災会議にかけていったと申し上げましたけれども、そのいただいた声をそれに反映させる形で緊急時の対応計画をまとめまして、特に、例えば本当にうまくいかない場合にちゃんと自衛隊とか出てきてくれるのかというような、最後、国は救ってくれるのかというような話とかも出ておりましたようなものもちゃんと盛り込んで、関係省庁に私のところが中心に働きかけて、きちんと最後、支援するというようなことを、先ほどの鹿児島県や関係市町のいらっしゃる方のところでコミットメントをしてもらうというようなプロセスも経て、まとめてきております。  もちろん完璧というものはございませんので、まだこれでもやっぱり不安の声とか、いろいろ訓練もすればこうしてほしいということは出てくると思いますので、それはもう継続的に取り入れる形で、よりよいものにしていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。 50 ◯まつざき委員 実際に避難されるのは住民で、その住民の方たちが直接に、実際に避難計画にある経路を避難してみて、危険な場所があったりとか、本当にこれで大丈夫なんだろうかという疑問を自治体に投げかけられて、それについての解決というのは住民のところまでは届いていないのが今、現状なんですね。  例えばバスの確保というところでは、内閣府の説明の中の概略の資料にも、詳細の資料にも、住民が何人いて、バスが何台必要で、運転手はどこからどういうふうに持ってくるとありますが、実際に例えば日置市のほうで運転手の確保については、バス会社というのは、例えば日置市の場合はUPZですから、全面緊急事態になってからの避難という形になりますから、放射性物質の拡散が始まってから本当にバスの運転手さんが、自分の家族もいたり自分の健康もあるわけですけれども、運転手として仕事に従事ができるのか、するのかと。そういう点では、そういう保険の関係も整備されていないので何とも言えないと、確保できるという約束はできないというバス会社の声もあったりする、そういうこともあります。  また、例えば屋内退避についても大変疑問の声も出ておりまして、小・中学生、幼稚園児、保育所の児童というのは警戒事態のときに保護者に引き渡すことになっていると。そうなりますと、保護者のところの職場に連絡が行くわけですね、警戒事態となっているので迎えに来てくださいと。そうなれば、職場に当然理由を言って、私はこうこうこういうことで仕事を抜けなければならないからというふうになると、川内原発で警戒事態となった、警戒事態とか施設敷地緊急事態、全面緊急事態というのもなかなか一般の住民は区別がつきませんから、事故が起きた、とんでもないことになるということで、それこそ計画にあるような形で、まずどこどこの五キロ圏内がどうして、それ以外のところは屋内退避でという形の段階的な避難ではなくて、一斉に「さあ大変だ」ということになることもあり得ると。  そういう住民感情に合わせた形での計画でなければ、住民の皆さんが言われる、やっぱり机上の空論となってしまうと思うんですけど、その防災会議の中では、出てきて、住民の方の声もそういうふうに自治体から伝えられて、その上でできた、これを見ても、その住民の不安がとても解消されているとは思えない中身なんですが、その点についてはいかがでしょうか。 51 ◯森下参考人 バスの協力の件につきましては、まず県や関係市町でつくられました地域の防災計画のほうに、協力機関として協力していただけるということはもう入っておるということでございます。そういうことを前提にして、今おっしゃったのは、具体的にはやはり協力するに当たって、やっぱり放射線防護の面での不安はあるだろうと。これについては内閣府のほうもいろいろ、線量計とかいうものを予算的に措置してあらかじめ配備しておくとか、研修をするとか、そういう形で不安を解消することにはできると思いますので、そういう形で今、県と話を進めているところでございます。  それから屋内退避について、先ほど、学校で親御さんの方が途中で引き取りに行けるのかという話でございますけれども、それもやっぱり想定はしておりまして、県の計画では、そのような場合はまず子供さんだけを避難場所のほうにバスを確保してお連れして、そちらのほうで引き渡すというふうな二段の構えにしておりますので、そういうことも考慮しておるということ。  それから、一斉の避難のところは非常に大事なところなんですけれども、この地域の皆様が全体として、ちょっと表現が適切かどうかわからないんですけれども、そのようなときにハッピーな逃げ方というんでしょうか、全体としてですね、というところを考えるときに、自助、共助、公助のうちの共助というのが非常に大事だという思想でつくっております。  ですから、逃げるに当たっても、要支援者の方が先であるとか、みんなが一斉に動くとやはり混雑をして、みんなが立ちどまるといいますか動けない状況になって、そこに放射性物質が来るとなったら、みんなの被ばく状況が増すわけです。ですから、原子力規制委員会のほうで、段階的に逃げると、落ちついて準備ができてから逃げると、そういう考え方を示されておりますので、これについてはよくよく、関係の自治体と住民の方々に丁寧に説明をしていくということがまず必要だと思っております。  その上で、先ほど申し上げたような、UPZは一斉に避難することはまずないですから、実測によってある一定値が出てきたところについて、準備が整って逃げるということ。その値も、きょうはちょっと資料を持ってきておりませんけれども、IAEAが示している基準よりも低い値で日本国の場合はアクションを始めるというふうに規制委員会のほうが出しておりますので、その辺を御考慮いただいて、全体としてみんなが被ばくが少なくなると、そういう発想で地域の避難というものを考えていただきたいと、そういうふうに思っております。 52 ◯まつざき委員 計画は計画、逃げるのは住民の皆さんですから、住民の皆さんがどういうふうに受けとめて、どういう行動をするかというところで、私は、住民感情に配慮したものでなければそれこそ机上の空論だというふうに申し上げているわけです。  二十九日には内閣府も見えて、また補足の住民説明会がありますので、そこで住民の声をしっかり直接聞いて、本当に安心・安全が図られる形のためには何をすべきかというのをぜひ御検討いただきたいと思います。  以上です。 53 ◯森下参考人 承知しました。 54 ◯遠嶋委員 だんだん時間が心配になってきましたけど、福島第一原発事故の現状を私の会派は先日視察をしてきましたけど、非常に深刻な状況が今も続いているというふうに、もうつぶさに見てまいりました。非常に本当に深刻だと思います。私のイメージとしては、新聞等で見るには、一筋の町並みに家畜がいたりとか、そういう比較的エリアが小さいのかなと、そういうイメージ、結果として小さかったなと。もう広大な町とかが人が住めない状態になっているわけですよ。この福島第一原発事故の認識をまずお伺いしたいと思うんですけど。 55 ◯吉野参考人 まず、福島の事故に関しましてですが、一つには、いかなる状況のもとで事故が発生したのかという点に関しては、国会、それから政府の事故調、民間にもございましたけれども、さまざまな調査の結果が報告書として取りまとめられていると。地震・津波の想定対策が不足をしていたとか、それから炉心の溶融等の重大事故の対策が不足をしていたと、それから既存の原発に最新の知見を取り入れる体制、いわゆるバックフィットですね、こうしたものが制度化されていなかったと、さまざまな問題があったと。加えて、一〇〇%の安全ゼロリスク、いわゆる安全神話に陥っていたと、こうしたことが福島事故の原因だったんだろうということで、今回まず、原子力発電の利用を仮に進めるとすれば、そうしたところをきちっと押さえて、基準の形に具体化させて、それがクリアできるかどうかといったところをつくり上げていくというところをここまで進めてきたというふうに思っております。  さらに言えば、それだけで一〇〇%の安全と言えないところを、残る残余のリスクをどう減らしていくのかということに関して、引き続き継続的に事業者、規制委員会などの取り組みが必要だと、そこは福島の事故を踏まえての一つ、出発点だというふうに考えております。  それから、汚染水対策は先ほどかなり詳細に御説明申し上げましたけれども、ここについても、まず福島の復興ということを考えても、着実に進めていかなければならないというふうに思っております。汚染水の汚染源を取り除く、近づけない、漏らさないといったことで、それぞれの目的、対策に従って具体的な対応を進めてきております。時に水が少し漏れたといったことで報じられることもあって、また不安をあおる面もあるんですが、これまでのところ、ロードマップに従って着実に進んできているというところかと思っております。  他方、やはり最大の問題は地元の復興ということでございます。これも先ほど説明申し上げましたように、田村市、それから川内村と徐々に、段階的にではありますけれども、除染を進め、帰還いただけるためのインフラ整備を進めるといったことで一歩一歩進めてきておりまして、この取り組みをさらに一つ一つ進めていければと思うところでございます。  他方で、どうしても長期帰還が困難であるといった問題がございます。こうしたところに関しましては、原子力の賠償での対応といったところもきめ細かに進めていくといったことなどには引き続き努めていくと。さらには、帰還できない方々の生活が成り立つようなさまざまな地域の活性化ということに関しましても、新たな産業の立地、再生可能エネルギーを活用した地域の振興といったようなさまざまな施策にも取り組んでいきたいと。  いずれにしても、こうした福島の復興・再生といったところが、私どもエネルギー政策を今後進めていく上での出発点だというふうに考えております。 56 ◯遠嶋委員 非常に何か言葉が軽いというのかな、私はそういう印象を持ちます。経産省というのはいわば原子力政策の推進官庁ですよね。その結果として、今回のあの重大な結末を招いたわけですよ。そのことに対する責任というか、その辺の認識はどうですか。 57 ◯吉野参考人 私自身も電源立地の担当の課長をしておりましたこともございまして、福島の地元の首長さん方とも過去さまざまな形で議論もしてきたところでございます。その結果としてあのような重大事故が起こったということで、私自身の問題としても非常に重いものであったというふうに思っております。  その後の対応としては、繰り返しになりますけれども、福島のオンサイトの汚染水対策、廃炉対策と、それから地元の復興支援ということでは政府もさまざまな対策を講じてきております。そうしたことをまずもって進めていくことが私どものエネルギー政策の出発点と、これはもう基本計画の中でも繰り返し繰り返し議論もされ、実際に方針の中にも定めておるわけでありますけれども、ここはやはり引き続きより早く、できるだけ早く福島が復興・再生をしていくように引き続きこれは努めていきたいと。これは思いとしても私自身、ぜひそうしたものを胸に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。 58 ◯遠嶋委員 先ほども言いましたけど、十月六日から八日まで浪江町、それから双葉とか、国道六号をずっと下って、いわきまで見てまいりました。浪江町は二万余りの人口がもうほとんどゴーストタウンですよね、人が住めないわけですよ。そういうところの人たちも、いわき市の仮設住宅にいらっしゃいましたけど、そういう人たちとも意見交換させてもらいました。彼らの意見は、国とか自治体に対する不信感が物すごく大きいわけですよ。これは裏返していけば、さっきいろいろおっしゃいましたけど、復興の現実をやっぱりそういう方々が言葉で発しているわけですよ。その重みが何か私には余り伝わってこないんですけど、先ほどこれは小渕経産大臣がうちの知事に発出した文書が一番最後のほうに載っていますけど、この中に「また、万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処いたします」というふうに書いているわけですけど、福島第一原発の今の現状を見たときに、国が責任を持って今、対処できていると、瓦れきの処理とかそういうのは物理的なあれですけど、やっぱり教育の問題とか医療の問題とか人間の問題、生活の問題ですね、国が本当に責任を持って対処できているというふうに自信をお持ちですか。 59 ◯吉野参考人 さまざまなお声があるというところは私どもも重々認識をしております。県の方々、地元の市町村の方々、場合によれば住民の方々とも極めて頻繁にコミュニケーションの場がございまして、さまざまなやはり御要望、不満、不安な点といったところを日々お伺いをしているところでございます。  それを踏まえつつでございますけれども、実際私どもの取り組みに関して、やはりこれは時間がかかる取り組みであるといったところはどうしてもあるかと思いますけれども、それにしても一歩一歩着実に進めていかなければならないということで、繰り返しになりますけれども、まず賠償の問題に関しましても、原子力賠償法でカバーし切らない部分に関して、原子力損害賠償支援機構法もつくり、国もサポートする形で東京電力からの地元の関係者への賠償といったところ、これも着実には進めてきていると。ここに至るところまで四兆円を超える賠償を行ってきているというところでございます。その中には、風評被害対策ですとか、教育その他に関するさまざまな課題も含めて対応してきているものというふうに考えております。  一方、地元の復興のためには、やはり除染を進め、帰還をいただける環境をつくっていくことが大事と。これに関しても、環境省を中心に政府を挙げて取り組みを進めてきているところでございますし、さらにいえば、長期的にはその地域に雇用の場ができなければならないということもありますので、一つのプランとしてイノベーション・コースト構想といったことで、再生可能エネルギーですとか、今後の除染作業、福島の廃炉作業に必要なロボットといったものを一つの核にしながら、産業を集積できないかとか、さまざまな取り組みを進めていこうとしております。非常に長い時間を要する取り組みにはなるかと思うんですけれども、国も前面に出て、予算、それから法令上の措置、さまざまなものを含めて対応しているところでございます。 60 ◯遠嶋委員 福島は本当に不幸なことにああいう事故になってしまったわけですけど、今、先ほど冒頭いろいろ説明をされたのは、再稼働に向けてこうすると、それから、もし万が一、事故が起きたときには、リスク低減のために避難訓練も含めて、避難計画も含めてやると、最終的には国が責任を持って対処しますと。これ県民とか国民がこの言葉を素直に「ああそうか」と信じてもらえると思いますか。 61 ◯吉野参考人 それを信じていただけるように、しっかり御意見に耳を傾けながら御説明をしていくということかと思います。 62 ◯中村委員長 遠嶋委員、当席から申し上げます。  きょうは意見を聞くという会になっておりますので、その辺に絞って質問をお願いします。 63 ◯遠嶋委員 はい。  私は、本当に国民が信じられないというふうに思っていると私は確信をしております。さっきの説明を聞きながらも改めてそう思いました。  その後始末を今、国があるいは東電が一緒になって一生懸命やっているわけですけど、現状は先ほども何度も申しましたように、住宅の問題、家計の問題、仕事の問題、それから教育の問題、医療・福祉の問題、もうほとんど解決していないと言ってもいいような現状だと思うんですよね。だから、一旦事故が起こればこういうことになるということですので、この最後のページに載っていますけど、国が責任を持つというのは私はそう簡単なことじゃないと思うんですよ。だから、それを二度と繰り返さないと、リスクはゼロにするというぐらいの構えが私は国にはなくてはならないというふうに思います。この項はこれで終わります。  あと、使用済み核燃料の問題なんですが、今、もし万が一、再稼働をすると、九州電力でいえば玄海原発はもうほぼ満杯になるでしょう、ここはあと数年余裕があるわけですが、間違いなくふえていくわけですよね。このことについてやっぱり経産省としてどのように認識をされているのか、どう責任をとられるつもりなのか、教えてください。 64 ◯吉野参考人 まず、核燃料サイクルについての基本的な政府の方針というのは先ほども御説明をしたとおりで、資源の有効活用ですとかそれから廃棄物の有害性を下げ、また量を減らすといった効果のある国のサイクルは着実に進めていくということが、政府の方針であるということでございます。  国のサイクルに関しましては、六ヶ所再処理工場の竣工がおくれているですとか、もんじゅにおける各種のトラブルですとかいった問題があるわけですけれども、再処理工場に関しましては、まず最終的な使用前の試験、アクティブ試験のほうは終了しまして竣工に近づきつつあったところ、今回、新しい基準が設定をされましたので、その基準に適合するかどうかということに関して今後、審査が行われていくということかと思っております。それを経た上で、やはり安全性が確認されれば再処理のほうは進んでいくということだと理解をしております。  それから一方で、核燃料サイクルに関していえば、今申し上げたような技術的な問題ですとか、世界の情勢ですとか、さまざまな中期・長期的な環境の変化といったことも想定をされますので、ここにいかに柔軟に対応していけるのかということも課題かと思っております。その点、使用済み燃料が安定的に安全に管理されるような方法をしっかり確保していくということも、核燃料サイクルを進めていく上での重要な課題だと思っております。具体的には、中間貯蔵でありますとかそういったことに関する容量をさらにふやしていくといったところを、一つの政策課題としているところでございます。 65 ◯遠嶋委員 いろんな要素が今、入っていたと思うんですが、まず、プルサーマルもおっしゃいましたから、福島第一原発の三号機はMOX燃料を使っていたわけですよね。あれの事故の検証というのは、経産省としてはどんなふうに認識をされているんでしょうか。 66 ◯吉野参考人 その点は午後の規制委員会での参考人質疑でお伺いくださればと思いますけれども、私どもが承知する限りでは、三号機に関してプルサーマルが何らかの原因であったということは聞いておりません。 67 ◯遠嶋委員 それは規制庁に後でまたお伺いするつもりでいるんですけど、特にあそこの三号機の爆発の状況とか、他の機と違うというようなのも聞いております。中身はまだ詳細にはわかりませんけど、いずれにしてもプルサーマルというのは、もんじゅも使えないような状況の中でどうプルトニウムを消化していくかと、こういう何というか、非常に厳しいというか難しい処理の仕方だというふうに思いますが、もんじゅも実質、今、稼働停止というか運転停止と、ほぼ稼働の可能性は私はないと思っているわけですが、そうなってくると、使用済み核燃料の処理というのは非常に大きな問題になってくると思うんですね。  さっきちょっと中間貯蔵のお話もされましたから、高レベル放射性廃棄物の処理も含めて、今回、日本学術会議に諮問をされて回答があったわけですけど、日本学術会議の中では、新たに生じる高レベル放射性廃棄物の対策が曖昧なまま原発を再稼働するのは、将来世代に対して無責任だと、だから再稼働をするべきではないという回答だったわけですけど、このことについてはどういう御認識をお持ちでしょうか。 68 ◯小澤参考人 お答えいたします。  今ちょっといろいろあったんですけれども、我々、核燃料サイクル、それから使用済み燃料の処理、これについては再処理を行って、それで出てきたプルトニウムをMOX燃料の形にしてプルサーマルで使っていこうということを今、基本方針にしておりますし、今回もそういう基本計画をまとめているという状況でございます。プルサーマルにつきましては、これはもちろん原子力規制委員会による新規制基準、これをクリアしないともちろん進められないというものでございますので、それをしっかりとクリアして対応していくということは必要かと思います。  今、全国では十三サイト二十基の新規制基準への適合性申請出ておりますけれども、その中でプルサーマルをもともと計画していたものは八基ございます。もちろんこれは厳しい新規制基準をクリアしないと活用していけないものでございますけれども、それをしっかりと確認していただいた上で、その上でプルサーマルを進めていくということが基本になろうかと思います。  それから、使用済み燃料の最終処分につきましては、これは我々も正面に向き合って、しっかり国が前面に立って対応していく必要があるということで、先ほども吉野のほうが申し上げましたけれども、関係閣僚会議をつくって、基本的に地層処分を前提に、そうはいいながらでも将来的には可逆性・回収可能性を担保して、その上で今後、地底を見つけていく作業というものを国が前に立ってやるという方針で臨んでおります。  委員御指摘の学術会議の答申というのは、原子力委員会が学術会議にお願いして返ってきたというものがございますけれども、これを踏まえて基本計画というものをつくらせていただいています。それは地層処分というものは、やはり国際的にも技術的にも最もこれが一番有望だと言われておりますので、それを進めることを前提に、ただし、将来世代の選択とか、我々としても、技術的な進歩とかそういうことがもちろんあり得るだろうということで、可逆性・回収可能性を担保する形で進めようということ。その上で、しかしそうはいっても、既に使用済み燃料が一万七千トン分、国内にございます。海外分も入れると、ガラス固化体というレベルでいうと二万五千本相当になりますので、これをいずれにせよ最終処分というのは逃げては通れませんので、どこかの地で進めなければいけないということで、この選定作業というものをしっかり進めていくということで今、作業を進めているところでございます。 69 ◯遠嶋委員 最後の質問にします。  使用済み核燃料あるいは核燃サイクルの件なんですけど、今、六ヶ所村も使用済み核燃料の容量というのはもうほぼ満杯に近いですよね。ですから、今どこかの原発、今、川内原発になっているわけですけど、再稼働をすると、使用済み核燃料が間違いなくふえていくわけですよね。今おっしゃったように、六ヶ所村も、もんじゅもいわば核燃サイクルに基づいてずっとこの間計画、そして施工もされてきたと、六ヶ所村に至っては十九回から二十回延期をされているわけですよね、予算も相当費やされていると、いまだに新規制基準の審査も含めて見通しがつかないと。  そういう中で、やはり使用済み核燃料をふやすというのは私はするべきではないと。日本学術会議がこれは十月じゃなかったですか、この回答をしたのは、その中でも改めて、こういう状況の中で再稼働をすべきではないと、私は言い切っているというのは当然のことだというふうに思います。  そういうことを含めて、経産省としても再検討をしていただきたいということを言って、終わります。 70 ◯中村委員長 遠嶋委員の質問に関連して、まつざき委員のほうから、福島第一原発の現状についての認識というのがありますので、これから整理をさせていただきたいと思います。 71 ◯まつざき委員 ありがとうございます。  福島の現状について、対応についてもきょう御説明をいただきました。私は、収束の見通しは立っていないというふうに見受けるんですが、きょうのお話を伺うと、着実な前進という表現で進められているように、そういう表現になっているんですが、収束の見通しというのは大体どのくらいというふうにお考えなんでしょうか。 72 ◯吉野参考人 まず、福島のオンサイトの廃炉汚染水対策に関しましては、中長期のロードマップをつくっておりまして、三十年から四十年はかかりますと、これまで世界のどこも経験したことがない非常に難しい仕事であるというところを認識しております。  そのロードマップの中では、まずは使用済み燃料プールの使用済み燃料を取り出す、それからその上で将来的には、溶けた燃料の取り出しを進めていくといったようなところをスケジュールに従いながら進めているところでありますが、足元でいえば、使用済み燃料プールからの燃料の取り出しといったところは、四号機の作業、それから三号機、一号機の屋根の部分の瓦れきの撤去といった作業は、ここはロードマップに掲げられたスケジュールに比較的近いような形で進められてきているというところでございます。  他方で、溶けた燃料を取り出していく作業というのは、これは非常に大変な、技術的にも非常に困難な作業でもございます。この点は、新しく技術研究組合をつくりまして、世界中からいかなる方法で対応が可能なのかといったところを、世界の英知を集めるような形で今、進め方についての基本的な検討を引き続きやっているところ、今後もこれは相当研究活動が要る部分ではないかと思っております。  それから、あと全体の作業を進めていく上では、これも繰り返しになりますけれども、汚染水対策をどうしていくのかと、入ってくるものを減らしていくと、それからたまっているものをきれいなものにしていくといったところ、この作業は当面の一番大きな課題なんですけれども、これに関しましては、繰り返しになりますけれども、地下水バイパスなどをつくることによって少しずつでも量を減らしていく、今後は凍土壁で流入を抑制する。たまっているものに関しては、ALPSのほうは、多核種除去装置のほうは日量二千立米の処理が可能になってきているということで、年度内を一応目指しておりますが、そうしたスケジュール感のもとで六十二核種の告示濃度以下への精製といったところが実現できるようなめどが立っているというふうに思っております。  そうしたことで、ロードマップに従って進んできている点と、それからロードマップ上まだまだ技術的にも課題が残っている点と、ここはやはりございます。他方で、技術的な課題も克服できるように、申し上げたように世界の英知も集めて、一歩ずつ着実に進めていければと思うところでございます。 73 ◯まつざき委員 確認させてください。  私は四月に福島第一原発の中にも入ったんですが、そのときちょうど凍土方式の実験中でありました。結局これもやってみたけど凍らないという状況ですが、そして地下水バイパスのお話もきょうされました、合計百から百三十立米、一日ですね、建屋流入量の抑制が認められる。もともときょうのお話にもあったように三百立米ですか、一日、(「四百立米」という者あり)四百立米ですかね、からすると、じゃ二百七十から三百立米は建屋のほうに流入しているという計算になるわけで、そうすると私は、着実な前進と、まあ一生懸命頑張っていらっしゃるのは認めるところですが、この放射性物質の拡散、特に汚染水の問題では私はまだ進行中というか、拡大中であるというふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。 74 ◯吉野参考人 流入のほうは抑制されているというのは続いておりますので、したがって、精製された、核種除去されたものに関しましても引き続きタンクにたまっている状況でございます。タンクに貯蔵されている量は引き続きふえていっている状況ということかと思います。他方で、凍土壁の工事のほうはこの六月に着工して、これ自体は順調に進んでいるということかと思います。  それから、今、凍らない部分があるというお話があったんですが、これは凍土壁のことではなくて、二号機、三号機のトレンチという配管だとか配線を通すトンネル部分の汚染水を、ここを取り除きたいという作業の一環として、建屋とトレンチの間の開口部のところ、ここの流入を凍らす形でとめられないかという作業をしたところ、十分にはとまらないということになっておりまして、凍土、凍らす方式で不十分なところを、別途の充填物を入れ込むという作業を今しているところでございまして、そうしたところについても少しずつではございますけれども、目指すべき方向に従って進めているというところでございます。 75 ◯まつざき委員 必死の、今あらゆる英知を集めて努力をされている。でも、やはり地下水という自然、そして放射性物質という人類の手ではコントロールできないこれに対して、やはり非常に現地では苦戦、そして私は、放射性物質の拡散という形で、汚染水という形で広がっている、まだ進行中であるというふうに思います。住民の皆さんは、福島第一原発のこういう状況の中でどうして再稼働の議論ができるかというふうに言われるわけですが、最後にそれについて見解をお聞かせください。 76 ◯吉野参考人 私、きょうの御説明の中で、日本を取り巻くエネルギー情勢、原子力の停止に伴って国民経済、それからCO2の問題、さまざまな問題に大きな影響が出ている点はお伝えをしたかと思います。こうした状況を踏まえまして、これも繰り返しになりますけれども、規制委員会において、厳しい基準のもとで適合性が確認された発電所に関しましては再稼働させていくと。それに当たって、必要な地域の皆様への御説明、国民の方々への御説明についてはしっかり国も前面に出てやっていくと、この方針で進めていきたいというふうに思っております。 77 ◯まつざき委員 これについては結構です。 78 ◯中村委員長 先ほど再稼働の質問がありましたので、これに関連して、成尾委員、まつざき委員のほうからも通告をいただいておりますので、それを進めていきたいと思います。 79 ◯成尾委員 先ほどありましたとおり、五十四ページに、経産大臣から知事に宛てた安全性の問題がありました。再稼働に向けた政府の方針ということを示されました。その中でも、いわゆる福島原発事故を受けての不安の声を承知し、正面から向き合い、立地自治体等関係者や国民の理解や納得が得られるよう、丁寧に説明を尽くしてまいりますと。そして、また、万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任を持って対処いたしますというようなことが書いてあります。  何点か考えておりましたけれども、重複しますので、一つだけ。  やはり避難計画の問題でいきますと、先ほどからるる説明があるんですけれども、皆さんの不安は、避難計画は本当に大丈夫なのかということがやっぱり一番ありますので、そういう意味では、例えば訓練の参加者が少なかったとかいろいろ今ありましたけれども、関係市町村で実際にその日に防災訓練なりやってみて、こういう混乱が起こった。であれば、それを変えていけばいいというような、そういう九市町村、いわゆる関係市町村で一斉にやるというような、具体的に一回やってみて、そこで出た問題に対して国としてしっかりと市町村または県と連携しながら、ここを解消しようとかいろんな問題というのをしていくことも大事なんじゃないかと思うんですが、そこについてはどうですか。 80 ◯森下参考人 全くそのとおりと思いますので、そのようなことができるようにやっていきたいと思います。 81 ◯成尾委員 ぜひここはしっかりそういうような、いわゆる参加者が少ない中で云々というのではなくて、やっぱり道路とかいろんな問題に、避難経路についても皆さんやっぱりすごく不安があられるわけですから、そこらあたりを責任を持つ、真正面から持つというのであれば、やはり九市町にしっかりと連携をとって、この日にやりましょうと、そして皆さんも協力してくださいと、実際にこれはまた市町村の避難計画の部分での改善にもなるでしょうし、いろいろなると思うので、これはぜひとも今後、国として、内閣府としてそういう責任を持つのであれば、市町村はなかなかいろいろと全部まとめるのはなかなかですけれども、国としてしっかりそういうような何か計画を持って、しっかりとそれを県民の方々、国民の皆さんにしっかり示すことも大事なことなんじゃないかなと思いますので、そこはぜひ前向きに取り組んでいただければと思っておりますので、よろしくお願いします。 82 ◯中村委員長 よろしいですか。  関連して、まつざき委員。 83 ◯まつざき委員 二点確認させていただきたいと思います。  きょうの資料の一番最後ですね、経産大臣、当時の小渕大臣から出された文書の中で、特に五十五ページ、方針一の中で、「規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めることとしている」というふうにありますが、この表現では、規制委員会が適合審査で川内原発の再稼働を認めたかのような表現ですが、規制委員会の田中委員長は九月十日の記者会見で、「再稼働するかどうかということについては、私どもは判断していない」というふうに表現されていますよね。確認させていただきたいのは、規制委員会が再稼働について判断したわけではない、これは間違いないですか。 84 ◯吉野参考人 規制委員会に関しましては、原子力発電所の稼働の前提になる基準に適合しているかどうかという判断をされたということかと思います。一方で、実際に発電所を動かすのは事業者の判断であり、その稼働に伴うさまざまな、これは万が一、あってはならないということでありますが、何らかの事故が起こった場合の責任に関しては、国は、関係法令に基づいて、その責務を果たしていくという整理かと思っております。繰り返しになりますけれども、以上のとおりでございます。 85 ◯まつざき委員 私がそういうふうに申し上げるのは、規制委員会で、適合審査で一番目の原子炉設置変更許可について合格だということなので、再稼働するというふうに言われるので、適合審査では、決して再稼働について判断したわけではないと、あくまでも判断するのは、ここで文章にありますが、「再稼働を進めることとしている」というふうにありますが、再稼働を進めるのはどこですか。 86 ◯吉野参考人 規制委員会によって「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めることとしている」というのは、エネルギー基本計画で閣議決定された政府の方針でございます。 87 ◯まつざき委員 表現で、いかにも規制委員会が判断したかのように、安全を担保して再稼働がオーケーだというような表現をされるので、私はあえてそういう確認をさせていただきました。  あともう一点、方針二に、「原子炉設置変更許可が行われた。これにより、川内原子力発電所については、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認された」というふうにありますが、規制委員会による住民説明会でも適合審査はあと二つ残っています。工事計画認可と保安規定認可。住民説明会で、安全対策で今できているもの、できていないものについて示してほしいという質問が出されて、これに対して規制管理官は、今は原子炉設置変更許可を得ただけでは使うことはできないと、これは安全の方針が定められているかどうかを審査して許可が出たということで、具体的に許可されたものをつくったかどうかという工事計画書認可がある。さらに、認可したものができているかどうかを検査すると言われている。ということは、それだけ全てそろってから、ここで言われる安全性が確保されたというふうなことになると思いますが、その点についてはいかがですか。 88 ◯吉野参考人 手続に関しましては今、委員がおっしゃったとおりでございますけれども、基本的に、原子力発電所を運転していいかどうかという判断をする、稼働することについての新しい基準を満たしているかどうかという点に関していえば、今回の設置変更許可の手続の中でなされているというふうに考えております。それの具体的に設備がどうなっているかといったところなどを、この後の工事認可その他の手続の中で確認をされていくということかと思っております。 89 ◯まつざき委員 一点、最後、確認させてください。  あとの二つの認可があるわけで、それが全て終わってからが審査の終了というふうに九州電力も言っていますし、規制庁も言っている。経産省も同じ考えでよろしいですか。 90 ◯吉野参考人 いずれにせよ、そうした手続が済まないことには稼働はできないというふうに考えております。 91 ◯まつざき委員 はい、結構です。 92 ◯中村委員長 よろしいですか。  次は、まえの委員。一つ残っているんですよね。 93 ◯まえの委員 はい。  前小渕大臣は、原発の再稼働について、規制委員会の審査に適合した川内原発については、まず地元の要望や意見を聞いてから対応するということをコメントしておられます。地元自治体、そして議会、県議会、知事の判断があると思うんですけど、それ以外に考えられる再稼働についての何を根拠とされるのかということについて教えてください。
    94 ◯吉野参考人 まずは原子力発電所の再稼働に関して、規制委員会の基準への適合性の評価があり、その上で、再稼働に関して、国は関係市町村などへの説明をしっかりしていくというところでございまして、その上で、理解を得ながら進めていくという以上の見方はないというふうに思っておりますけれども。 95 ◯まえの委員 聞きたいことはありますが、時間が余りないですから、あと一点だけですね、全国の十三原発二十基について新基準による審査がされている、申請がされているというお話がありました。実はこの鹿児島県でも、川内原発の再稼働に関するいわゆる地元の範囲です、地元同意の範囲、これらについて、先ほどもいちき串木野の出身の議員の方からも御意見がありましたけれども、そのあたりのいわゆる今後の国が、地元という概念ですね、それらについて整理をしていかれる考えはないのかどうなのか。 96 ◯吉野参考人 地元の範囲というのは、いずれの御地元でもしばしば御議論がある点ではございますけれども、やはり地域ごとにそれぞれさまざまな事情がございます。立地市町村と周辺の関係、県と、県をまたぐようなケースもございますけれども、さまざまな事情がございますので、なかなか国が一様に地元の定義とはこういうことだということを決めることは難しいとは思っております。他方で、御地元からの御要請を踏まえて、私どもはいつでもこうした説明の会も含めまして、しっかりと御意見に耳を傾け、説明に対応していくということは私どもの責務だというふうに考えております。 97 ◯まえの委員 冒頭申し上げましたように、地元同意をめぐる、いわゆる知事は薩摩川内市と鹿児島県だけでいいということで言っているんですが、せんだっての地方の自治体の議会では意見書まで上がってきたわけですね。そういった問題というのが、事鹿児島に限らずにほかの県にも恐らくこの問題は出てくる問題だろうと。今おっしゃったように、国が一律に決めるのではなくて、これは地域のさまざまな事情があるということで、いえば国は、地域の問題ですよ、地域で考えてくださいよというスタンスというふうに受け取るんですが、そのあたりが大きな課題になってきそうな気がするんです。今後、方針を示すということも今のところは考えておられないですか。 98 ◯吉野参考人 そこはやはりあくまで御地元ごとにそれぞれの御事情を踏まえて、国としては対応していくということだと思っております。 99 ◯中村委員長 いいですか。  次は、成尾委員。 100 ◯成尾委員 私のほうからは一点だけ。  経済産業省のほうで再生可能エネルギーの固定価格の買取制度、これについてお聞きしたいと思いますが、これはいろいろとあって九電が先に出まして、そのことによって、二十六ページのほうには接続問題の話ということであったわけですけれども、どうも最初からいわゆる買取制度自体の、経産省自体の甘さがあったのではないかというような御指摘等があるんですが、そこについての御認識はどうなんですか。 101 ◯吉野参考人 この問題が公になってまいりましてから、以来、審議会の席、それから国会の場等々でさまざまな御意見をいただいております。価格の設定がそれで正しかったのかとか、それから手続に関しても、国が設備を認定する手続と、それから電力会社のほうで接続可能かどうかという判断をする手続とが二つのトラックになっている点がどうなのかと、さまざま議論がございました。  今、そこを受けとめて議論をしているところでございますけれども、今回の事態に至った点についていえば、これはまさに九州電力さんのケースなんですけれども、昨年度末、三月一月のうちに九州電力さんは七万件余りでしょうか、の接続申し込みがあったと、それはそれまでの一年間で申し込まれてきた件数にほぼ匹敵するだけのものが来たと。この原因は、買取価格を三十六円から三十二円に下げるというタイミングであったことと、それから、太陽光発電を導入される事業者の方々の中で、分割をして少し負担を逃れようというようなものが散見されたので、それはだめにしようと、こういう一部規制強化をすることも四月一日から施行したんですけれども、そのために今申し上げた極端な駆け込みが起こったといったこともございました。  九州電力さんのほうからは、基本的に個別の申し込みに対する回答をしていくということなので、案件ごとにそこは難しい点を説明をされたかと思うんですが、事これだけのボリュームになって、やはり一旦状況を公にした上で、どれだけの導入が可能なのかという見きわめをするということで、一定の時間が必要だということをおっしゃっておられる。  国としては、それを受ける形になりますけれども、系統ワーキンググループという専門家による検討の場をつくりまして、今後、年内三、四回の審議をした上で、どれだけ各電力会社、九州電力さん以外にも接続困難だと回答を留保されている会社がございますので、それぞれ各事業者からのどれだけの容量が可能なのかといった説明をさらに詰める作業と、それから、とはいってもさらに接続容量を拡大していくための方策にどういうことがあるのかといったところをしっかり議論をしていこうということにしております。  そうした接続問題に加えて、FIT制度そのものについてもさまざまな議論がございますので、これは今のワーキングの上に当たります、新エネルギーの小委員会の場で全体的な議論をあわせて進めていくということになろうかかと思っております。 102 ◯成尾委員 今の中では、今おっしゃったんでしょうけど、ただ、やっぱり県民の中に、今回の九電が先に買い取りしたのは、先ほどの二十六ページを見る限りでは今おっしゃったような説明なんですが、どうも買い取りの手続を中断したという中で、何かどうも今回の原発の再稼働で十分間に合うので、そういう自然エネルギー、再生エネルギーというのをちょっと控えて、それで再稼働がないとこうなるというようなことをするために、再生可能エネルギーの買取制度の申請を中止したんじゃないかというような話等を仄聞するんですが、そこあたりについてはどうなんでしょうか。 103 ◯吉野参考人 その点は全くかかわりのないものとして議論をされてきているという整理かと思います。実際に規制委員会の審査のスケジュールがこういう時期に至るのかな、どうなのかなということについて相当見通しがずれてきている点もございますし、それから再生エネルギーの問題もこれとして起こってきている問題なので、何かこれが関連をして議論されてきているという問題ではないと思っております。  他方で、現実問題としては、稼働率が一二%にすぎない太陽電池、天候によって出力が大きく変動する太陽電池を原子力や石炭、ないしは九州の場合には地熱も結構重要な電源なんですが、それをベースロード電源と一様に議論するというのは、少しこれは技術的にもあり得ないことかと思っておりますので、いずれにしても、再生可能エネルギーは最大限導入できるように議論はするものの、そうした再稼働の議論とは別の議論というふうに私どもは理解をしております。 104 ◯成尾委員 今おっしゃったように、分けてということなので、そういうような捉え方をされて、そういうふうに捉えている人もいらっしゃるんじゃないかなと。  あと、エネルギーの鹿児島においても地消地産ということを考えると、うちの場合はやっぱりバイオマスですとか地熱、ここあたりをさらに促進していくべきだと、その地域によってというふうに思いますので、何か全部が、再生可能エネルギー全てがストップという話ではなくて、やはり地消地産でできるところ、また進められるところについては、太陽光は今おっしゃったような形でしょうけれども、地熱なんていうのはベースロードになると思いますので、そこあたりの一斉に全部を全てやめるというわけではなくて、そこあたりを少しきちっとした形で精査しながらやっていただきたいというふうに思いますが、いかがなものですか。 105 ◯吉野参考人 御指摘、大事なポイントかと思っております。  現状に関しましても、九州電力のほうは、地熱、バイオマスのように、出力を昼間は流さずに夜だけ使いますといったような提案をされる事業者との間では協議には対応いたしますということは、これはアナウンスされています。他方で、今の問題は、想定される需要よりもはるかに大きな容量が入ってきそうだということなものですから、買取制度をそのまま適用する形での接続のお約束というのは、回答を保留せざるを得ない状況かとは思っております。多分この後のFIT制度の見直し、再生可能エネルギー導入のための一連の施策の見直しの中では、今おっしゃられましたように、比較的コストが安い電源、それから安定的な電源、再生エネルギーでもそうしたものはあるわけでありますので、より限られた系統の容量、当然おのずとコストに関してもこのぐらいが限度だろうというのはあると思うんですが、その中で再生可能エネルギーをどれだけ多く、キロワットアワーで入れていこうとすることを考えたときには、やはりおっしゃられましたバイオマスとか、県内でも小水力を非常に熱心に取り組まれていると聞きましたが、そういうところについてもやはりうまく入っていくような方策を考えていくべきだというふうに思います。 106 ◯成尾委員 わかりました。 107 ◯中村委員長 まつざき委員。 108 ◯まつざき委員 一点お尋ねさせていただきます。  再稼働についての住民への説明についてということで、九月十二日付の経産大臣の文書には繰り返し、住民とか自治体の理解や納得が得られるように丁寧に説得を尽くしてまいりますというふうにあります。  先ほど申し上げましたように、二十九日には日置市で補足の説明会があります。でも、これも経産省にかかわっては、エネルギー基本計画について二十分という説明と、あとそのほかも含めて、質疑応答の時間としては三十分しか予定されておりません。  せんだって五カ所で行われました適合審査に係る住民説明会については、住民から、わからないという質問があったことに対して、説明した規制管理官自身が、「審査に百人程度の人を投入して、一年以上にわたって審査をしてきた内容で、それをたった数十枚のスライドで、この時間でわかってくださいというのは難しいと思う」というふうに発言しておられます。田中委員長も二十三日には、「一回で理解するのは難しい」というふうに言われているわけですね。  でも、内閣府ではやはり大臣で、理解や納得が得られるように丁寧に説明をしていくと言われるわけですから、今回二十九日に予定されていますが、やはりもっと、この人数も限られていますから、もっと県民に理解と納得が得られるように、十分に時間や回数を確保すべきではないかというふうに考えます。また、どのような状況になったときに理解や納得が得られたというふうに考えられるのか。その二点、お願いします。 109 ◯吉野参考人 まず、これまでの五回の規制委員会からの説明、それから御質問にありました、二十九日には私どもまた同僚の者が参って説明をさせていただくことになると思います。こうしたエネルギー、こうした再稼働その他に関する問題ですが、極力やはり住民の方々とも相対する形で御説明できることが大事だというふうに思っております。さまざまな機会を通じて、一つ一つ丁寧に進めていきたいというところは変わりはございません。他方で、一〇〇%全ての方が納得いただくというところはこれまた難しい点ではございます。いただける機会を大切にしながら、丁寧にやっていきたいと思っております。  私ども五人ほどの関係職員が御地元にも派遣をされておりまして、関係の地元の方々とも相当綿密にディスカッションさせていただいていると聞いております。そうしたことも含め、今後とも引き続き、さまざまな機会を通じて、機会を与えられれば幾らでも御説明に参上したいというふうに思っております。以上でございます。 110 ◯まつざき委員 さまざまな機会を与えられればということでしたので、自治体や県や住民の皆さんから、また説明を聞きたいと、意見を聞きたいということがあれば、それには応じる用意はあるというふうに理解してよろしいですか。 111 ◯吉野参考人 エネルギー、原子力の問題、当然規制、安全の問題もそうかと思うんですが、非常にその中身を御説明するのにも丁寧さは要ると思っています。通り一遍の広報でできるものでもないと思っておりまして、直接お話をさせていただける機会というのは、これは私自身のこれまで電源地域対策をやってきた経験からも、直接お話のできる機会というのは非常に大事だというふうに思っております。 112 ◯まつざき委員 ぜひ、要望があればそれに応えていただきたいと思います。  以上です。 113 ◯中村委員長 通告のあった委員の質疑は終わりましたが、ほかに質疑はありませんか。 114 ◯藤崎委員 六ページの資料で御説明いただいたんですけれども、電力各社の経営状況の中で、電力会社の資金調達が滞り、安定供給・原発の安全対策等にも支障が生じるおそれがあるというふうに、経営状況が改善されないとというのがありますが、この辺の実情についてもうちょっと詳しく教えていただければと思います。 115 ◯吉野参考人 まず、この表にありますとおり、数字を見ていただくそのとおりなんですが、やはり普通の事業会社にとりまして、三期連続の赤字というのは非常に厳しい状況であるかと思います。あと例えば真ん中ですね、繰延税金資産というところがございます。これは、過去の損金が繰り越される形で、将来もうかればその分が税金が引かれますよということで資産計上されている部分なんですが、これ以上の赤字が続くと、こうしたものが会計認識上資産としては認められないかもしれないとなれば、その分がまた特損で落ちると、こうした非常に厳しい状況にありまして、金融機関などから電力各社が資金を調達する状況が、環境が非常に厳しくなってきていると。  一方で、当然のことながら、安全対策ほか、電力の安定供給にしっかりとした対応をしていかなければならない状況でございますので、置かれている状況は非常に厳しいと。北海道電力の場合には、その厳しい状況のもとで値上げ申請に踏み切らざるを得なかったという状況にあったかというふうに認識をしております。 116 ◯藤崎委員 安全基準が厳しくなって、電力会社に求められているものはまたハードルが高くなっているわけでありますが、だけれども、それを不断の努力で安全対策を高めていく必要性はあるんでしょうけど、そのための財源という部分ではなかなか収益が悪いというような理解でよろしいでしょうか。 117 ◯吉野参考人 電力の供給のためには、発電所のみならず、送電網をどう整備していくのかとかいった別の設備の問題もございます。先ほど再生可能エネルギーに関しても、そうした資本コストが将来的にかかってくるわけでありますけれども、それを支えるための電力会社の財務状況が極めて悪くなってきていると。何とか利益を計上するために、想定されていた補修の工事を先に繰り延べるとかいったようなぎりぎりの努力もしながらといったことも仄聞をしておりまして、こうした状況にあることは事実として御認識をいただければと思うところでございます。 118 ◯藤崎委員 最後に一点、いいですか。  あと、去年国会の議連に対して、停止中の原発でも維持コストがかかっていると、その金額が年に一兆二千億円であるというような試算を経産省は提出したようですが、もしその辺の事実関係の情報がありましたら教えてください。なければ結構です。 119 ◯吉野参考人 ちょっと今、手元に資料がございませんので、確認をしてみたいと思います。 120 ◯中村委員長 よろしいですか。  ほかにありませんか。    [「なし」という者あり] 121 ◯中村委員長 ないようですので、委員の質疑をこれで終わりたいと思います。  委員外議員からの質問は時間の範疇でという話をしておりますけど、せっかくですから指名をして、一点だけ、短くやってください。 122 ◯下鶴議員 ありがとうございます。私から一点。  国全体のエネルギー政策について、原発に関する受益と負担をどのように捉えているのかということからお伺いいたします。  原発に関する受益というのは当然全国民に、この九電管内で見ても九電管内全住民に及ぶものでありますが、一方で負担、すなわち原発そのもの、そして将来的にあり得る使用済み核燃料の処分、処分場といった、重大事故が発生したときに重大なリスクを負うということがあります。  その中で、十六ページの地図にありますように、九州管内では玄海と川内、二カ所のみ、全国で見ても偏在が見られるわけであります。その中で、本県においても原発が立地している、そしてまた本県議会においても、県内に最終処分が立地するのではないかという疑念から質問も行われたところであります。  そこで、今回もし再稼働をしたとしても、約十年後に川内原発が四十年という寿命を迎えることになります。そのときの二〇二五年の世界というのをぜひ想像していただきたいんですけれども、ただ、国のほうでは今、新規建設は行わないということを表明されておりますが、それでは、二〇二五年の世界において原発への依存がゼロになるということはなかなか考えにくい。また、本日の資料であります技術・人員の維持という観点も、恐らく一定箇所が動かすことを前提にした記述であろうというふうに考えております。  では、国として、国全体のエネルギー政策として、この原発に関する負担というのを今後とも一定のところへ偏在させ続けるのか、それとも全体で共有していこうという考えにあるのか、その現状の考えをお聞かせいただきたいと思っております。 123 ◯吉野参考人 まず、将来のエネルギーの需給構成、いわゆるエネルギーミックスに関しましては、この後、前提が整ったところで議論を進めていきたいと思っておりますが、位置づけとしては、安全性が確認された原子力発電所は重要なベースロード電源として活用していくという方針のもとで、そうしたところについては議論をしていきたいと思っております。  他方で、原子力発電の立地、負担の問題に関していえば、これは、長い経緯の中で立地を受けとめてくださっている地元の方々の非常に深い理解、エネルギー政策に対する御協力といった点があったので、ここまで、現在四十八基の発電所の立地ができているんだろうと思います。こうした御地元の御理解、御協力に対して、経済産業省としては、電源地域対策、さまざまな交付金制度といったもので地域の活性化等に御協力を一方でしてきているという状況でございます。  こうした状況というのは、個々の立地問題でございますので大きく変わらないと思いますけれども、引き続き、まず原子力発電所の立地、その後の対応といったことに御理解をいただける御地元の関係では、その地域の振興策、経済的なさまざまな課題といったものについてもしっかり国としても受けとめて、対応していかなければならないというふうに思っているところでございます。 124 ◯下鶴議員 国としての考え方自体は今の説明で理解はできましたので、本日はこれまでにしたいと思います。 125 ◯中村委員長 ほかにありませんか。    [「なし」という者あり] 126 ◯中村委員長 ほかにないようですので、参考人に対する質疑を終了いたします。  ここで、当委員会を代表して参考人に一言お礼を申し上げます。  本日は、大変お忙しい中を当委員会に御出席いただき、御意見をお聞かせいただきました。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  これで、参考人交代、昼食等のため暫時休憩いたします。  再開は、おおむね午後一時十五分といたします。         午後零時二十四分休憩      ────────────────         午後一時十五分再開 127 ◯中村委員長 再開いたします。  最初に、参考人の御紹介をいたします。  まず、原子力規制委員会原子力規制庁から、原子力規制企画課長の佐藤暁君でございます。 128 ◯佐藤参考人 佐藤でございます。よろしくお願いします。 129 ◯中村委員長 次に、原子力規制部安全規制管理官、市村知也君でございます。 130 ◯市村参考人 市村です。よろしくお願いします。 131 ◯中村委員長 次に、原子力規制部安全規制管理官付安全規制調整官、浦野宗一君でございます。 132 ◯浦野参考人 浦野でございます。よろしくお願いします。 133 ◯中村委員長 次に、原子力規制部安全規制管理官付安全規制調整官、森田深君でございます。 134 ◯森田参考人 森田でございます。 135 ◯中村委員長 次に、新基準適合性審査チーム員、蔦澤雄二君でございます。 136 ◯蔦澤参考人 蔦澤でございます。よろしくお願いします。 137 ◯中村委員長 次に、新基準適合性審査チーム員、岩永宏平君でございます。 138 ◯岩永参考人 岩永でございます。 139 ◯中村委員長 次に、新基準適合性審査チーム員、柴茂樹君でございます。 140 ◯柴 参考人 柴でございます。 141 ◯中村委員長 次に、新基準適合性審査チーム員、岩田順一君でございます。 142 ◯岩田参考人 岩田でございます。 143 ◯中村委員長 ここで、当委員会を代表して当席から一言ごあいさつを申し上げます。  皆様方におかれましては、御多忙の中を当委員会に御出席いただき、ありがとうございます。心から感謝申し上げます。  本日は、川内原子力発電所一、二号機再稼働に関して、新規制基準適合性審査結果等について確認する必要があることから、当委員会として皆様をお招きして、委員の質疑に対して御意見をいただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。  それでは、時間の都合もありますので、早速始めさせていただきます。  最初に、審査の進め方について申し上げます。  まず、新規制基準適合性審査結果につきまして御説明をいただき、その後、各委員が質疑を行い、それについてお答えをいただくということでお願いいたしたいと思います。  なお、参考人の説明はおおむね一時間程度、参考人に対する質疑はおおむね二時間程度となっておりますので、委員各位及び参考人におかれましては、進行につきまして御協力のほどお願いいたします。  質疑に先立ち、参考人に対して留意事項を申し上げます。  まず、参考人が発言される場合は、着席のまま、当席の許可を得た上で、簡潔に意見を述べていただきたいと思います。  次に、参考人の発言は、お尋ねする範囲でお答えをいただきたいと思います。  なお、参考人の発言が質疑の範囲を超え、または不穏当な発言があるときには、発言を制止し、もしくは退席していただくことになりますので、念のために申し上げておきます。  また、参考人は、委員に対し質疑を行うことはできませんが、質疑の内容がわかりづらい場合などは、委員に対し御確認いただいても結構です。  それでは、参考人に新規制基準適合性審査結果について説明を求めます。 144 ◯市村参考人 原子力規制庁の市村でございます。
     私からは、今、委員長からお話がありましたように、一時間ほど時間をいただきまして、九州電力川内原子力発電所の設置変更に関する審査結果の概要についてお話を申し上げたいと思います。  お手元に恐らく資料がお配りされていると思いますけれども、スライド資料でございます。これを順に御説明をしていくような形をとりたいと思っております。  この説明資料ですけれども、できるだけわかりやすくということで少しかみ砕いた表現等を使ってございます。そういう意味では、科学的な厳密性を追求したり、法律的な用語をかっちり使うというよりは、できるだけ皆さんにわかっていただけるようなというつもりで書いたものでございますので、これを順に御説明を申し上げたいと思います。  まず、「はじめに」というページがございますけれども、きょうの話の主題は、審査の結果でございますけれども、その前に、我々原子力規制委員会について、それから新規制基準の話をさせていただいて、その後、審査の話に入っていきたいというふうに考えてございます。  まず、スライドの二ページ目をごらんいただきたいと思います。  二〇一一年の三月でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生をいたしました。この事故の反省を踏まえまして、原子力規制委員会はその翌年、二〇一二年の九月でございますけれども、新しく発足したものでございます。  先生方は御案内のとおりと思いますけれども、原子力規制というのは国のほうでは、この事故以前は経済産業省、文部科学省あるいは内閣府の各機関が分担をしてございました。その状況から、福島原発の事故を踏まえまして、それぞれの安全規制部門というのが分離をされて、新しく独立性の高い機関として原子力規制委員会というものがつくられたものでございます。  原子力規制委員会自体は、五人の委員で構成をされてございまして、委員は、いずれも国会で同意をされた専門家でございます。  原子力規制庁は、原子力規制委員会の事務局でございまして、およそ千人の職員が所属をしております。千人の職員で委員をサポートしているという、こういう形になってございます。  規制委員会では発足以降、そのページに書いてございますようなさまざまな取り組みを進めてまいりましたけれども、特に力を入れておりましたのが、三番目に赤字で書いております部分ですけれども、規制の徹底的な見直しを行ったということでございます。  福島原発事故のようなものを二度と起こさないために、福島原発事故の教訓あるいは海外を含めたさまざまな指摘を取り入れまして、一年弱をかけて新しい規制基準というものをつくり、これは昨年七月に施行されたものでございます。  三ページ目でございますけれども、新しい規制基準は、福島原発事故の反省を踏まえまして、これまでの基準を大幅に強化をしたものでございます。  幾つかのポイントがございますけれども、最大のポイントは、(二)に書いてございます、万が一、重大事故が発生した場合の対策を求めているということでございます。重大事故というのは、原子力発電所で核燃料が溶けてしまったり、あるいは放射性物質が大量に放出される可能性があるような事故を指しております。以前は、ともかく事故を起こさないという、このための対策を重視しておりました。もちろんこの部分も、(一)に書いてございますけれども、重大なポイントでございまして、大幅に強化したわけでございますけれども、対策をしているから事故は起こらないということではなくて、それでもなお事故が発生し得ると考えて、あらかじめ可能な限り対策を講じておくべきと、こういうふうに発想を大きく転換をしたものでございます。  もう一つの大きな特徴は、下のほうに書いてございますバックフィット制度の導入でございます。これは、過去に許可を受けた施設に関しても、基準が新しくなるたびに、その新しい基準に合っていることを求めるという制度でございます。新しい基準に合致していない場合は、発電所として運転することを認めないということになります。まさに今回の審査でもこのバックフィット制度を適用いたしまして、既に許可を受けて営業運転をしていた川内原発について、改めてこの新しい基準に合致しているかということを確認することとなったというものでございます。  四ページ目をごらんいただきたいと思います。  このスライドは、川内原子力発電所の審査に関する主な経緯を示してございます。  新しい規制基準が昨年の七月八日に施行されまして、同じ日に九州電力から、川内原発がその基準に適合するかどうかということで設置変更許可申請という申請書が規制委員会に提出をされております。  それ以降、川内原子力発電所について、我々は公開の審査会合を六十二回開催をし、また、事業者に対するヒアリングというものも約七百回に及んで開催をしてまいりました。  こうした審査を経まして、九州電力の申請内容が新規制基準に合致しているという判断をいたしまして、ことしの七月、審査書案を取りまとめました。この審査書案につきましては、一カ月間の意見募集というものを行いまして、国民の皆様から合計一万七千を超える意見を頂戴いたしました。  これを踏まえて審査書案の修正を行いまして、最終的に九月十日の日に、川内原発について設置変更許可というものを決定したということでございます。  五ページ目でございます。  五ページ目に、きょう、この先の説明の内容というか目次を書いてございます。  まず、今、出てきました新しい基準の概要を少し説明をさせていただきまして、その後、二番目でございますけれども、審査結果の説明をしたいというふうに考えてございます。  審査結果の説明に当たりましては、まず、重大事故の発生を防止するための対策、事故を起こさないための対策という話をさせていただいて、その後、それでもなお重大事故が発生するということを考えた、発生を想定した対策というものについて御説明を申し上げたいと考えてございます。  それではまず、新しい基準の話から御説明を申し上げたいと思います。  七ページをお開きいただければと思います。  今回の基準づくりに当たって最も重要なこと、それは東京電力福島原発事故の教訓をしっかり酌み取るということでございました。  図の中に1)から7)の番号が振ってございますけれども、これが福島原発事故の流れ、進展でございます。  福島原発事故の大きな反省の一つは、地震・津波というものによって安全確保に必要な機能が一斉に失われてしまったということでございます。  福島原発事故では、地震発生後、原子炉の反応をとめること、これはできました。けれども、1)にございますとおり、送電線の鉄塔が倒壊したり、あるいは電気設備の一部が壊れたりしまして、発電所の外部から電力を受け取るということはできなくなりました。  ただ、当初の段階では、発電所内に設置をされておりました非常用発電機で必要な電源を確保いたしまして、冷却用のポンプなどを動かしておりました。御案内のとおり、原子力発電所は原子炉が停止をしても熱を持っておりますので、これを冷やし続ける必要があるということで、このための電気が必要ということでございます。このときは、地震の直後は非常用発電機という所内の電源でこれを賄っていたということでございます。  その後、2)にございますけれども、大規模な津波も到達いたしまして、発電所のほぼ全域が浸水をして非常用発電機も使えなくなって、原子炉を冷却することができなくなったということでございます。  地震・津波といったある一つのきっかけ、これを専門的には共通要因と呼んだりしておりますけれども、これによって複数の機械などが一斉に壊れることがないようにしっかりとした対策をとることが必要であるという、これが一番目の教訓でございました。  そしてもう一つの反省点でございますけれども、そういう状態になったときに、重大事故の進展を食いとめることができなかったということでございます。  3)から7)に書いてございますけれども、電源がなくなって冷却ができなくなり、燃料が溶け落ちて、溶けた燃料と水との反応によって水素が発生をして、この水素が最終的には原子炉を取り囲む建物の水素爆発を引き起こし、これで放射性物質が放出される事態に至ったと、こういう流れでございました。  従来の基準では、既に申し上げましたけれども、事故を発生させないことということ、これを重視しておりました一方で、事故が発生してしまった、起きてしまった後、燃料が溶けてしまった後の対応というのは規制の対象になっておりませんでした。こうした大きな事故も発生すると考えて、あらかじめ可能な限り対策をとっておくべきだということが、二つ目の大きな教訓でございました。  八ページにいっていただきまして、これらの教訓を踏まえて、規制委員会で基準を大幅に見直したということでございます。これは基準を模式的にあらわしてございますけれども、左側の低いほうが古い基準で、右側の高いほうが新しい基準を示してございます。  一つ目の見直しは、重大事故の発生防止に関する対策の強化でございます。一番下の青色の部分ですけれども、これは地震・津波への対応の強化を示してございます。その上の緑色の部分でございますけれども、火山・竜巻などの自然現象への対策、火災対策、電源確保対策などを新たに設けたあるいは強化をしたものでございます。その上で、黄色の部分が載っておりますけれども、それでもなお万が一、重大事故が発生した場合の対処の部分、これが新しくつけ加わった部分でございます。この中には細かなことが書かれておりますけれども、要するに、重大事故のような場合でも原子炉をとめたり冷やしたりして事故の進展を食いとめる対策をできること、放射性物質の大量放出を防止する対策など、こういうものを新たに求めているということでございます。  以上、簡単ではございますけれども、新しい基準の話をさせていただきました。  ここから、川内原子力発電所が実際にこの新しい基準に合っているかどうかという、こういう審査をした結果をお話しさせていただきたいと思います。  まず、重大事故の発生を防止するための対策からスタートしたいと存じます。  十ページをごらんいただければと思いますけれども、ここからスライド一枚で大体一つの主要な論点を書いてございますが、これを順番に御説明を申し上げていきたいと思いますけれども、十ページ目は、最も基本的な部分でございます地盤の話でございます。川内原発が建っている地盤に問題はないかという点でございます。  具体的には、新規制基準では、地盤の中で地震の波が増幅されるような特性はないかどうか、伝わってくる地震の揺れを大きくしてしまうような特徴を持っていないかどうかと、そういう性質、特徴を調べるということを求めてございます。  九州電力は、地質や地下の構造の調査、またこれまでの地震観測結果などを分析いたしまして、コンピューターで解析できるような地下構造のモデルを組み立てて評価をしているということでございます。  もう一つ、地盤が不安定でないかという点、こういうことについても確認を求めてございます。すなわち、地盤が原子力発電所という重要な施設をしっかり支えられるかどうか、地盤が沈んでしまったり、あるいはずれたりしないかというようなことについて確認を求めているものでございます。  九州電力は、地質の調査、あるいは地震が起こったときに地盤がどのように動くか、どのような力が働くかというようなことについて、コンピューターを用いた計算をして確認を行ってございます。  審査の結果、川内原発が建つ地盤には、地震の波を異常に増幅するような性質はないこと、また、地震によって沈み込んだり、傾いたり、断層がずれたりしないということを確認したものでございます。  十一ページに行っていただきまして、こちらは地震の話でございます。  発電所は、そこを襲う可能性のある地震に耐えないといけません。どのくらいまでの地震に耐えなければいけないかということでございまして、発電所を設計するために定める地震の大きさを基準地震動と呼んでございますけれども、ここでは、この基準地震動、これが適切に定められているかどうかということを確認したもの、その結果を書いてございます。  先に結論から申し上げてしまいますと、基準地震動は、川内原発では、もともとこの発電所自身を設計した時点では四百ガルという大きさのものでございました。ガルというのは、御案内と思いますけれども、地震の加速度を示すものでございまして、地震の大きさを示すものの一つの指標でございますけれども、もともと四百ガルとしていたものが、今回の審査の結果、六百二十ガルという値まで引き上げられたというものでございます。  これがどのように導き出されたかということでございますけれども、新規制基準では、二つの方法によって基準地震動を定めることを求めてございます。一つは、震源を具体的に特定をして、その震源から受ける地震動を定めるものでございます。もう一つは、震源が特定できないけれども、発生する可能性を否定できない地震動を定めるものでございます。  震源を特定して策定する地震動のほうでございますけれども、九州電力は、地形学、地質学、地球物理学といった科学的な知見を用いまして川内原発周辺の調査を行って、将来活動する可能性のある断層というものを選択してございます。その上で、川内原発に影響を与えると予想される地震ということで、市来断層帯市来区間など三つの地震を選定してございます。これによって定められた地震動の大きさは、五百四十ガルということでございます。  もう一つの震源を特定せず策定する地震動でございますけれども、こちらのほうについては、九州電力は二〇〇四年に北海道で発生した地震の観測結果というものを用いまして、地震動を設定してございます。これによる地震動の大きさは六百二十ガルということで、先ほどの冒頭に申し上げた六百二十ガルというのは、この震源を特定せず策定する地震動のほうの値でございます。  九州電力は、川内原発がこの新しい基準地震動に対しても耐えられるように必要な対策をするということでございます。  規制委員会は、これら九州電力の地震に対する対応が新しい知見を踏まえたものであり、基準に適合しているものであるという判断をしたものでございます。  十二ページにいっていただきまして、十二ページは津波でございます。  原発に対して影響を与える可能性のある津波を適切に定めて、このための対応をしていくこと、これは福島原発事故の大きな教訓でもございました。新規制基準では、海底で発生する地震による津波、あるいは地すべりなど地震以外の要因によって発生する津波、またこれらが組み合わさって発生する津波、こういうものを検討することを求めてございます。  こちらも結論から申し上げれば、基準津波というものは、取水口、水の発電所への取り入れ口でございますけれども、この場所でもともと二・三一メートルという高さであったものが、今回の審査の結果、一メートル以上高くなりまして、三・五二メートルとなったものでございます。  これも、この値がどういうふうに導き出されたかということでございますけれども、九州電力は、海底で発生する地震による津波ということで、南海トラフあるいは琉球海溝北部から中部のマグニチュード九・一の地震を想定してございます。また、海底地すべりによる津波とこの活断層による地震との組み合わせ、これによる津波というものも考慮をしているということでございます。  これらの結果、設計のベースとなる基準津波でございますけれども、これは施設から約八キロ沖合、水深約五十メートルの沿岸域で決めておりますけれども、この津波が川内原発の取水口付近に到達すると、先ほど申し上げた高さ三・五二メートルの津波になると。さらに、この津波が敷地に上がってきたときに最も高いところ、どこまで行くかというのは、これは約六メートルになるということでございます。  写真が添付されていると思いますけれども、川内原発では、この津波に対して影響を受けることがないように、海水ポンプという海の水を取り入れる非常に重要なポンプがございますけれども、この周りを約十五メートルの壁で取り囲むと、さらにその周囲を防潮堤で防護するということでございます。  また、引き津波のときにも取水口からの取水が途絶えないようにと、そういう場合でも水が取れるようにということで、海の中に堰をつくってございまして、ここに水をためるようにしているということでございます。  規制委員会でこれらについて審査を行いまして、津波の評価、対策が適切に行われるという確認をしたものでございます。  十三ページからは、火山による影響でございます。  ちょっと一枚に入り切らなかったので、何枚かにまたがって火山のお話を書いてございます。  新規制基準では、原子力発電所の安全に影響を及ぼす可能性のある火山について、影響評価をして必要な対策をとるということを求めております。  九州電力は、発電所から半径百六十キロメートルの範囲、これは今、図の中で大きな丸で囲ってある部分があると思いますけれども、これが百六十キロの範囲でございますけれども、この中に存在する三十九の火山というのがございまして、このうち将来活動する可能性がある火山ということで十四の火山、これは赤字で書いたものでございますけれども、この火山を選んでございます。  そして、これらの火山の活動の規模、影響の評価を行いまして、例えば最近では御嶽山というものが噴火をしておりますけれども、これよりはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提にしまして、それでも、火砕流や溶岩流などが敷地に到達するというような設計で対応できない事象が発生する可能性が十分小さいということを確認をしてございます。  設計で対応できない事象ということですけれども、これは、設備的な対応では被害を避けることができないという事象なのですけれども、これについてはまたもう一度、次のスライドで御説明を申し上げたいと思います。  このような確認をした上で、火山活動によって川内原発の安全性に影響を与える可能性があるものということで、火山灰の影響を評価してございます。ここでは、約一万二千八百年前の桜島薩摩噴火と同規模の噴火は起こり得るというふうに考えまして、それに余裕を見まして火山灰が積もる厚さを十五センチと設定をいたしまして、これに対して必要な対応を行うということでございます。火山灰の対策についても、もう一度この後、出てまいります。  十四ページにいっていただきまして、先ほどのスライドで、設計で対応できない事象という話をさせていただきましたけれども、この部分についてもう少し詳しく話をさせていただきたいと思います。  設計対応不可能な火山事象というのは、例えば九州全域に破壊的影響をもたらすような破局的な噴火、カルデラ噴火によるものでございます。このような噴火は、ある周期を持って発生するとされております。姶良を含む鹿児島地溝でのカルデラ噴火が発生する間隔は、平均して約九万年とされてございます。一方で、最新のカルデラ噴火から現在までの経過時間は約三万年でございまして、九万年に比べて十分に小さいこと、また、現在、マグマだまりが浅いところにあるという情報はないことから、川内原発周辺のカルデラが巨大な噴火をする可能性は十分に小さいと判断をしてございます。  新規制基準では、このような可能性が十分に小さいという場合であっても、念のため噴火可能性が十分にさいということを継続的に確認すること、モニタリングをすることを求めてございます。九州電力は、これを適切に実施をするとしております。  これらの審査結果として、規制委員会は、九州電力の評価が最新の知見を踏まえたものであり、川内原発に影響を及ぼす破局的噴火の可能性は十分小さいというふうに判断をしたものでございます。  十五ページにいっていただきまして、これが火山の最後のスライドでございますけれども、火山灰の影響の話でございます。  川内原発では、十五センチの厚さの火山灰が積もったとしても、その重さに建物や設備が耐えられるということが必要でございます。その評価に当たっては火山灰の上に雨が降ったり雪が降ったりして水分を含んで重くなった状態というものも考えて、それでも建物や設備が耐えられるという設計にしていることを確認してございます。  また、火山灰が設備の内部に入り込んで機械に悪影響を与えないようにということで、このために空気の取り入れ口にフィルターを設置するということでございます。また、それでもなお設備の中に入り込んだ灰、これらが機械などに悪影響を及ぼさないということも確認をしているということでございます。  それから、火山灰については、これらのほかに発電所の外の状況も考慮してございます。火山灰が降り積もると発電所に電気を送る送電線が故障したり、あるいは発電所への交通が遮断をしたりということが考えられます。そのため川内原発では、少なくとも七日間は発電所内部の機械や燃料によって電気を確保できる設備を設けているということでございます。  写真が載せてありますけれども、十五センチの厚さの火山灰を実際に敷いて、ブルドーザーの走行試験、除灰試験などを行って、必要な作業を実施できることを確認しているということでございます。  これらを踏まえて、川内原発は、火山の影響に対する基準に適合しているものという判断をしたものでございます。  十六ページでございます。  ここまで、最初、地盤の話からスタートいたしまして、地盤、地震、津波、それから今、火山の話をさせていただきました。ただ、川内原発を襲う厳しい環境というのはこれだけではございませんので、そのほかのものについての考慮についてでございます。  自然現象については、そこに赤字で書いてございますけれども、洪水、台風、竜巻等々の影響を想定いたしまして、これでも安全機能が損なわれないように設計するということを確認してございます。この際には、自然現象が組み合わさって発生する場合も考慮をしているということでございます。  例えば竜巻については、薩摩川内では、記録が残っている最大のものは毎秒四十九メートル程度の風速とされておりますけれども、川内原発は、百メートルの風速の竜巻にも耐えられる設計ということでございます。また、竜巻によって発生する飛来物、飛んできてしまうものでございますけれども、こういうようなものについても、重要な設備には防護ネットを設置する等の対策をするということでございます。  また、発電所周辺で発生する森林火災について、これに影響を受けないようにということで、川内原発の場合は、発電所周辺の全体にぐるっと一周、発電所を取り囲むように二十メートル幅の防火帯を設けてございまして、これによって森林火災の影響を防止するということでございます。  また、自然現象だけではございませんで、人為的な事象である航空機落下、近隣工場の火災・爆発等についても、安全機能が損なわれないように設計をするということでございます。  これらのことから、川内原発については、自然現象や人為事象に対して適切に設計される方針であるということを確認したものでございます。  十七ページにいっていただきまして、こちらは火災の話でございます。先ほどの森林火災とは異なって、発電所の中で発生する火災の話でございます。  発電所の中で火災が発生して、これが拡大をしてしまいますと、安全のための設備が同時に幾つも壊れてしまうということが考えられますので、この火災対策をまとめてございます。  一番上の四角の箱の中に書いてございますけれども、重要なことは、火災の発生を防止すること、火災が発生しても早期にこれを発見して消火すること、さらに、火災が発生してもその影響をできるだけ軽減させることと、こういうことが重要でございます。  この基準を受けまして、川内原発では、燃えにくい電線の使用、異なった種類の火災感知器、これは例えば熱感知器と煙感知器とか、そういう異なった種類の感知器を設置して確実に火災を発見するということでございます。また、消火設備については、消火ガスであるハロンというものを使った設備を新たに設置して、消火対策をするということでございます。  また、火災の影響をできるだけ軽減させるという観点からは、例えば同じ使い道のポンプがAとBと二つあっても、これが一緒に燃えてしまうといけませんので、そういう場合には、これらを耐火性能を持った壁で仕切って両方が一緒に燃えてしまわないようにすると、こういう対策を講じるということでございます。  十八ページにいきまして、内部溢水の対策でございます。  内部溢水というのはちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんけれども、発電所の内部には、原子炉とか機械を冷やすためにタンクとか配管にたくさんの水がございますので、これがあふれ出てしまうと機械に入り込んで、機械を使えなくなるようにしてしまうという可能性があるので、こういうような対策を求めるということでございます。  川内原発の場合は、内部溢水が発生した場合を想定しまして、必要なものについては設備の設置高さを上げる、あるいは設備にカバーを設置するというような対策を講じるということで、内部溢水対策をするということを確認してございます。  それから十九ページにいっていただきまして、ここから電源設備の強化の話でございます。ここも電源の話はちょっと複数枚にわたっております。  福島原発事故の話を冒頭に申し上げましたけれども、やはり電源設備の重要性というのは改めて大きな課題となったわけでございまして、この新しい基準では非常に厳しい要求を課しているものでございます。  電源強化には幾つかの段階がございますけれども、今、十九ページをごらんいただいているスライドで説明をしているのは、発電所の外部から電源を受け取ることができる、その信頼性の強化についてでございます。  川内原発では、外部と三つの回線、五十万ボルトの送電線二回線と、それから二十二万ボルトの送電線一回線、合計三回線でございますけれども、ここと接続をしておりまして、そのうちのどの二回線が使えなくなっても、あるいは一回線残っていれば電源供給ができると、必要な安全機能を保持できるというこういう設計にするということでございます。  二十ページにいっていただきまして、このような外部からの電源の強化対策をしても、それでも外部からの電源が得られない場合、そういうことを想定した対策でございます。
     川内原発では一号炉、二号炉、それぞれに二台ずつのディーゼル発電機を設置いたしまして、一つの設備が故障しても、残りの一つで安全を確保できるということでございます。また、これらの非常用電源設備を運転するために、発電所内に七日分の燃料を確保するように求めてございます。川内原発は、もともと三・五日分の燃料タンクを持っていたわけでございますけれども、新規制基準に適合させるために、新たに敷地内にタンクを増設いたしまして、七日以上の連続運転が可能であるという対策をしてございます。  増設したタンクに保管される燃料については、タンクローリーで輸送することになりますけれども、タンクローリーを発電所内に四台設置をいたしまして、大きな自然災害によって同時に全てのタンクローリーが使用できなくなるということがないようにというこういう対策をとっていると、それぞれ別々の場所に設置をするということでございます。  二十一ページにいっていただきまして、これが電源について最後のスライドでございますけれども、今、御説明したような外部からの電力供給、これもだめになって、さらに発電所内の非常用電源というものも使えなくなるという場合を想定して、そのような場合でも電力を切らさないようにという対策を求めているというものでございます。  ここにスライドでは、設備の状況について交流と直流に分けて示してございます。上の段に交流が書いてございますけれども、川内原発では、1)にありますように、十分な電力を供給できる大容量の空冷式の発電機、これはもしかしたらごらんになられた方もいるかもしれませんけれども、大型トレーラーほどの大きさの大きな電源でございますけれども、これを一号炉、二号炉に一台ずつ、津波の影響を受けない場所に設置をするということでございます。またこれに加えて、もう少し小ぶりになりますけれども、電源車を2)と3)に書いてございますけれども、合計六台、発電所内に別々に配置をするということでございます。  それから、これらの電源車などを接続して交流電力の供給を再開するまでの間、この間も電力を切らさないようにということで、直流電源の強化を求めてございます。下の段に書いてあるのが直流でございますけれども、そこの1)から3)に書いてありますように、蓄電池も増強をすると、直流電池も増強するということでございます。  それから、これらの電源車からの電線、ケーブルのつなぎ込みでございますけれども、これも一号炉、二号炉、それぞれに二カ所ずつ接続口を設けておりまして、仮に片方の接続口が使えなくなっても、残りの接続口から電気を供給できるようにという対策をするということでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、以上が電源の話でございました。  ここまで、およそ重大事故の発生を防止するための対策という話でございまして、この後、二十三ページ以降、重大事故の発生を想定した対策の説明をさせていただきたいと思います。もう少しお時間をいただいて説明をしたいと思います。  二十三ページでございますけれども、これはもう既に何度か述べておりますけれども、発生を想定した対策というのは、防止するための対策を重ねた上で、それでもなお発生を想定した対策をするということで、そういう重大事故が発生してしまうような状況においても、原子炉を確実にとめる、あるいは核燃料が溶けることを防ぐために冷やす対策、あるいは放射性物質を格納容器内に閉じ込める対策、それでもなお放射性物質の放出が避けられない場合にも、拡散をできるだけ抑えるというこういう対策を求めるということでございます。  この後、とめる、冷やす、閉じ込める、あるいは抑えるということで少しずつ説明を申し上げたいと思います。  二十四ページにいっていただきまして、二十四ページが、原子炉をとめる対策でございます。  原子炉に異常が起きた場合に、原子炉をとめることが必要になります。通常は、この赤い枠の吹き出しで指しております制御棒、これはもう御案内のところと思いますけれども、制御棒というものを原子炉に入れまして反応をとめるということでございます。しかし、図に赤くバツ印を書いておりますけれども、この制御棒が入らない場合、入れられない場合、そういう場合にも原子炉をとめる対策というのを求めているというのが、新規制基準でございます。  このような場合、川内原発で、図の右上の吹き出しに書いてございますけれども、蒸気を閉じ込めて強制的に水の温度を上げて原子炉の出力を下げる対策をとるということでございます。これは、原子炉の温度が上がると出力が下がるという原子炉の特性を利用したものでございます。加えて、右下の吹き出しにございますけれども、原子炉の出力を下げる効果のあるホウ酸水というものを入れまして、原子炉を確実に停止させていくということでございます。  二十五ページにいっていただきまして、ここは原子炉を冷やす対策でございます。  原子炉につながる配管が壊れるというようなことによって、原子炉から水が抜けてしまうような事故が発生をした場合、もともとそのような場合に備えて、原子炉に水を入れるためのポンプというものが設置をされております。これは川内原発の場合は全部で五台ございますけれども、新規制基準では、これらが全て使えないということとして、その場合でも原子炉を冷やすことができるようにと、こういう対策を求めているということでございます。  川内原発では今回新たに、図の真ん中辺に書いてございますけれども、常設電動注入ポンプというポンプを設置いたしまして、原子炉に水を入れるということでございます。また、このポンプが使えないときでも、別の場所にあるポンプを準備して同様の対応が可能ということでございます。  また、水を入れやすくするために原子炉の圧力を下げるということが必要でございますけれども、この圧力を下げる作業は、弁をあけることによって圧力を下げます。この取り組みとして、電気がない場合でも弁を動かすことができるように、現場で操作できるように工夫をするということでございます。  二十六ページにもう一つ、冷やすための対策を書いてございます。  今ほどのスライドによりまして、新しいポンプで原子炉へ水を入れることができるということをしますけれども、それができたとしても最終的に熱を逃がしてやらないと、原子炉内に熱がたまり続けてしまうことになります。通常は、これも御案内のとおり、海水ポンプというもので海水を取り入れて、これを必要なところに循環をさせることによって、熱を海に逃がしていくわけでございますけれども、川内原発では、この海水ポンプが使えない場合でも冷やせるようにということで対策を講じてございます。  このために、左下のほうにありますけれども、移動式の大容量ポンプ車というものを設置いたしまして、図に示しておりますように、強制的に海水を冷却クーラーに送り込んで、海水を放射性物質で汚染させることなく間接的に原子炉内の水を冷やすということでございます。これによって最終的な熱の逃がし場を確保することができるということでございます。川内原発では、この大容量ポンプを発電所全体で三台設置をするということでございます。  それから二十七ページにいっていただきまして、これが、冷やすためのスライドの最後でございますけれども、今、前の二枚では、原子炉の水を直接冷やす対策について説明をしてございますけれども、新規制基準では、原子炉に水を入れるこれらの全ての手段が失われた場合、これも想定して原子炉を冷やせる対策というものを求めてございます。  川内原発では、こういうような場合には、図の右側に示すような、これは御案内のとおりと思いますけれども、蒸気発生器二次系に水を入れることによって間接的に原子炉を冷やすこととしてございます。この場合は、原子炉の熱は最終的に蒸気という形で大気に逃げていくということになります。この二次系の水は通常の水でございますので、放射性物質が含まれずに大気に出すことなく冷却をすることができるということでございます。  規制委員会は、これらの対策を審査して、既存の対策が機能しなくても、冷やす対策ができるという判断をしたというものでございます。  二十八ページからは、閉じ込める対策でございまして、これまでのとめる対策、冷やす対策を説明してございますけれども、それでもなお原子炉の燃料が溶けてしまうような事態、こういうものを想定して、放射性物質を閉じ込める対策というものを求めているということでございます。  例えば、急激に大量の水が原子炉から失われるような場合、この場合には、前に述べた新しいポンプを使っても原子炉への水の補給が間に合わないということが考えられます。その状態が続くと、原子炉内の燃料が溶け落ちてしまうということもあるわけでございます。さらに、溶け落ちた燃料が、図に示すように格納容器の下のコンクリートを浸食して、格納容器の閉じ込める機能が失われるおそれがあるということでございます。  川内原発では、格納容器の上から水を降らすこと、これを格納容器スプレイと呼んでおりますけれども、これによって格納容器内の温度と圧力を下げるということでございます。上から降らした水は格納容器の底、絵では水色に下のほうを塗ってありますけれども、ここにたまりますので、これで溶けて落ちてくる燃料を受けとめてこれを冷やすと、コンクリートの浸食を抑えるというこういう効果を持つというものでございます。  二十九ページにいっていただきまして、似たような絵が載っておりますけれども、これが閉じ込める対策のもう一つ続きでございまして、新しい基準ではもう一つ、水素爆発、水素対策というものを求めてございます。これは冒頭にもありましたように、福島原発事故では水素爆発というのが、これは建物でございましたけれども、発生をしましたので、水素対策というのは非常に重要であるということでございます。  もちろん川内原発の場合は福島原発と異なりまして、格納容器、炉を取り囲んでいる容器の大きさが大きいものですから、相対的には水素爆発に対して余裕があるといえると思いますけれども、十分な対策が必要なことには変わりがないということでございます。  核燃料が溶けまして、その燃料などが水と反応してしまいますと、水素が発生をするということでございます。この水素が格納容器にたまって、ある一定の濃度を超えると水素爆発を起こす危険性があるということでございます。これが大きな爆発でございますと、格納容器の閉じ込める機能というものを壊してしまう可能性があるということになります。  川内原発では、この水素爆発を防ぐための対策ということで、水素を強制的に小規模に燃焼させまして人工的に減らしていってしまうと、水素を燃やしてしまうという着火装置を十三台設置するということ、あるいは電源がなくても水素を酸素と反応させて水に変える装置を設置すると、こういうことで水素対策をとるということでございます。  規制委員会は、これらの対策について審査を行いまして、格納容器の破損対策が有効であるという判断をしてございます。  それから三十ページにいっていただきまして、これまで説明をしてきておりますけれども、とめる、冷やす、閉じ込めるという対策を幾十にも重ねてきておりますけれども、基本的には、これらによって放射性物質を放出させないということが基本でございます。これらの有効性についても確認をしてきているわけでございます。  ただ、それでもなお放射性物質が漏れ出してしまうという状況に備えて、そういう場合でも放射性物質の拡散をできるだけ抑えるというこういう対策を求めているというものでございます。これがこの図で説明をしているところでございます。  川内原発では、強力な水圧を持つ放水砲二台、移動式大容量ポンプ一台を配備いたしまして、これによる放水によって、放射性物質の放出が万が一避けられないという場合にも、格納容器に向かってその水を霧状にまいて放射性物質を捉えることによって拡散を防ぐと、こういう対策をとるというものでございます。  三十一ページにいっていただきまして、これまで重大事故対策というものを御説明申し上げましたけれども、主に設備面の説明が多くなりましたけれども、審査において我々が確認をしたのはこれら設備だけではございませんで、むしろ、これらを使うための人がいるか、体制ができているか、あるいは手順が準備されているか、実際に使えるための訓練ができているかという点についても長い時間をかけて審査をしてまいりました。  設備や機械などをハードと呼んでおりますので、これはむしろソフト対策というふうに呼んでおりますけれども、少しソフト対策について、その審査についても御説明を申し上げたいと思います。  川内原発では、発電所長を本部長とする対策本部の設置、本部長がいない場合には誰が代理をするのかということであるとか、指揮命令系統、役割分担の明確化等々を行いまして、重大事故時にも混乱なく作業ができる体制を整えております。また、休日、夜間を含めて、常に最低でも五十二名の要員を確保するということでございまして、これは、一、二号機同時に重大事故が発生した場合でも対応できる体制ということでございます。それから、事故後に約二百六十名の人員が緊急参集する体制、あるいは外部への情報提供体制も整えているということでございます。  さらには、重大事故の発生時には直ちに外部からの支援が受けられない、発電所の外からの支援が受けられない可能性というのもございますので、少なくとも七日間は発電所内の機材や燃料によって自力で事故収束ができる体制を整えるということでございます。それと同時に、六日以内に外部の機関の支援が受けられる体制を整えるということでございます。  三十二ページにいっていただきまして、このスライドもソフト対策の続きでございますけれども、重大事故の発生を念頭にしてあらかじめ手順を整えておくこと、これも非常に重要でございます。川内原発においては、状況を把握して進展を予測すること、得られた情報を踏まえて適切な判断を行うための基準を明確にすること、またもちろん、設備をしっかり使えるような手順を定めておくことということでございます。  また、整備された手順に基づいて実際に適切な活動をするために、これを要員がしっかり身につけておくことが必要でございます。川内原発では、例えば全面マスクをつけていても活動ができるかとか、夜間でも活動ができるか、あるいは悪天候、大雨のときでも活動ができるかというようなこと、さまざまな条件で活動することができるようにということで訓練や教育を繰り返して実施をするということでございます。  また、設備についても、適当に置いておくということではなくて、地震や津波などで同じ機械が、せっかく複数持っていても同時にやられてしまうということがないように、幾つかの場所に分散して配置をするということであるとか、あるいは分散したところから必要な場所に持ってこれるというように、経路を複数確保しておくというようなことも考慮するということでございます。それから通信手段の確保も重要な点でございまして、発電所内で必要な意思疎通ができるように、複数の通信連絡手段を確保するということでございます。  今のようなソフト対策についても審査をしてきたということを御紹介申し上げたいと思います。  三十三ページでございます。  これは緊急時対策所、緊対所と呼んでいますけれども、これについての審査内容でございます。緊対所というのは、重大事故発生時に指揮命令系統の拠点、かなめになる場所でございます。福島原発事故の際にも緊急時対策所、緊対所というのが大きな話題となったものでございます。  川内原発では、地震や津波に対しても耐えられるように新たに緊急時対策所用の建物を設置してございます。この緊急時対策所は、事故時に必要な要員が最大百名収容できるということでございます。この場合に、福島原発事故と同じような放射性物質の放出があったとしても、この要員を被曝から守ることができるということでございます。  また、緊急時対策所には、情報を収集して集約するための装置、あるいは外部と通信連絡できる設備、専用の電源設備も設けているということでございます。また、この中には少なくとも七日分の要員のための食料というものも保管をしておりまして、七日間自力で作業を作業員が継続をすることができるというこういう対策もとっているということでございます。  三十四ページでございます。  ここまで、重大事故の発生を想定したさまざまな対策について、審査の内容を説明してきてございます。  ただ、福島原発事故の教訓の一つは、想定の枠内で満足をするなということ、絶えず一層の安全を追求する姿勢が重要であるということでございました。このため、新規制基準では、これまでお話ししたような発生防止であるとか重大事故対策、そういう状況を超えるような、例えば故意による大型航空機の衝突であるとか、テロリズムであるとかそういうもの、そういうような大規模な損壊が発生した場合も考えて、体制や手順の整備というものを求めてございます。  このような厳しい状態になった場合でも、環境への放射性物質の放出をできる限り低減するように、そのことを最優先に考えた対応を行える対応、手順等を整備するということを求めているものでございます。こういうものについても今回の審査で確認をしたものでございます。  最後の結論でございますけれども、三十六ページに書いてございますが、以上の審査の結果として、川内原子力発電所の申請、設置変更許可の申請でございますけれども、これが法律で定める基準に適合していると認められましたので、九月十日に設置変更の許可をしたところでございます。  あと、恐らく皆様のお手元の資料はこの先幾つかのスライドがまだつけてございますけれども、これは特に御説明申し上げませんけれども、恐らく関係するということで御参考までにということでおつけしているものでございますので、適宜ごらんいただければというふうに思います。  以上、長くなりましたけれども、私からの説明を終わらせていただきます。 145 ◯中村委員長 ありがとうございました。  ここで、傍聴について二名の方から傍聴の申し出がありましたので、これを許可いたしました。  それでは、説明が終わりましたので、通告に沿って委員からの質疑をお願いいたします。  まず、岩崎委員。 146 ◯岩崎委員 きょうはこうして本当にたくさんの規制庁の皆様方にお越しをいただき、そしてまた懇切丁寧に説明もいただきました。さらにはまた先般も県内で、三十キロ圏内の自治体、五市町の中で市民の皆様方に御説明もいただき、まず感謝申し上げたいと思います。  実は私も十月十日、夜の日置市の、地元ですので、そちらのほうに参加いたしました。その後のマスコミ情報によれば、その説明会に対し、県は、「ある程度の理解が進んだ」とのコメントを出しております。そしてまた地元薩摩川内市の岩切市長さんは、「いい判断材料になった」とコメントされております。実は私も市長と同じような考えを持ちましたけれども、ただ、その会場に自分も参加して、規制委員会の田中委員長もお話しされておりますけれども、確かに、初めてこのような話を聞く方にとってはやはり理解はなかなか難しかったんじゃないかなと。私の場合は、もう三年半前からこの委員会ができておりますので、その中で、九州電力さんや県のほうからいろいろと原発の問題等について話を聞いておりましたので、事前の知識がありましたので、さらにまた、岩切市長さんじゃないけれども、理解が深まったというような形を自分では思っております。  そういうことで、きょうはまたさらに理解をまた深めるためと、そしてまた確認の意味で簡潔に、午前中も思ったより時間がかかりましたので、私の後からもまだ再質問、さらにはまた追加の質問もされる方もいらっしゃると思いますので、簡潔に質問させていただきたいと思いますので、通告してございました件について質問させていただきたいと思います。  まず、新規制基準についてでありますけれども、先ほど説明をいただきました福島第一原発事故の反省等を踏まえ、これまでの基準を大幅に強化した新規制基準が策定されたとの説明でありました。そこで、再度の確認になりますけれども、従前の基準との違いは何なのかということをちょっと教えてください。 147 ◯佐藤参考人 ありがとうございます。  スライドの八で御説明いたしましたとおり、これまでの基準と大幅に内容を拡充・充実したものでございます。まず大きく分けて、説明の中でございましたけれども、まずは共通要因による安全機能の一斉喪失を防止すると、いわゆる事故の防止というのをまず内容として充実させたということと、それに加えて、この部分はなかったわけですけれども、事故が起きても、発生しても対処できる、いわゆる拡大防止ですね、そういう大きく二つ、発生を防止するということと拡大を防止すると、そういうところでまず大きく二つの部分で拡充あるいは新しく設けたということでございます。  それで、当然のことながら、御説明の中で申し上げましたけれども、これらについては福島第一の事故を踏まえて、基本的な事故の流れと、こちらについてもまたスライドの七ページで御説明しましたけれども、基本的な事故の流れというのは把握できておりましたので、そういったものを十分に生かして、基準を拡充してきたというものでございます。 148 ◯岩崎委員 従来は、事故を発生させないこと、さらにはまた重大事故の発生を防止するための対策のまた強化をされたと、それとまた、万一事故が発生した場合は拡大の防止に努めるということでありますけれども、それではちょっと確認をさせていただきたいと思いますけれども、ということは、新規制基準については、テロ対策、重大事故対策が新設されて、従来の指定基準についても強化または新設がなされ、基準が確実に強化されたということで認識してよいか、それについてお答えください。 149 ◯佐藤参考人 今、委員から御質問いただきましたとおり、これまでよりも、これまでになかった対策など、あるいは従来あったものについても拡充したということについてはそのとおりでございます。 150 ◯中村委員長 岩崎委員、よろしいですか。 151 ◯岩崎委員 はい。 152 ◯中村委員長 全部一通りやってもらってからしますかね、自民党の岩崎さんのほうは。ほかにも関連するのがありますから、そこでみんなやりたいと思いますので、続けてやってください。 153 ◯岩崎委員 了解しました。  それでは、また二点目なんですけれども、自民党もなんですけれども、午前中も資源エネルギー庁、内閣府の方の説明をいただきましたけれども、新規制基準に適合した原発は再稼働を進めるというのが、今も言いましたように自民党並びに政府の基本方針と理解しますけれども、私も先ほどの説明等を聞いていれば、やはり再稼働については、もちろん安全が担保されるのが基本ですけれども、やはり環境とか経済とかいろんなことを考えれば、再稼働についてはしっかりとした確認ができれば進めていくべきだと思いますけれども、ちまたには、それこそ福島第一原発事故について原因が解明されず、収束していない中、許可を出したのは問題であるという意見も多いこと、そういう声も聞きます。それについての見解があればお示しください。 154 ◯佐藤参考人 今回も、きょうの資料でもスライドの七ページで御説明させていただきましたけれども、基本的な福島第一事故における事故の進み方、進展、どういった事柄が起きたのかということについては、これはもう既に事故報告書が国会や政府や、またいわゆる民間というような形でさまざまな報告書を出されております。そうした中で指摘いただいているそうした基本的な事故の進展、これらについて対応できるような形で私ども今回、規制基準を制定したということでございます。  ただ、これで全て解明されているのかということにつきましては、なお解明できていない部分は残っているところでございまして、それらについても規制委員会、規制庁としては、今、大変放射線高い状況でございますので、そうしたことについて、そうした放射線が低くなるような状況で調査などを進めていって、なお、新しく出てきたものについてはこの規制に取り入れていくというふうに考えておりますけれども、繰り返しになりますが、基本的な事故の進展、福島第一における事故の進展というのは解明できているものというふうに理解しております。 155 ◯岩崎委員 また、ちょっと教えていただきたいんですけれども、私は先ほど「原因が解明されず」という言葉も使いました。ただ、マスコミとかそれこそ情報誌とかいろんなところで私が仕入れた知識では、福島の場合は、地震が発生し、そしてまた津波が原因で電源を喪失して、電源が確保できず、それこそ原子炉を冷やすことができずに現在に至っているというようなふうに自分の場合は認識しているんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。 156 ◯佐藤参考人 今、委員御指摘のとおりでございまして、それらのそういった基本的な事故の進展については、まさに七ページで御説明したとおりでございます。 157 ◯岩崎委員 ということは、ここでもう一回確認なんですけれども、地震で原発はしっかりと停止したということで理解してよろしいんでしょうか。 158 ◯佐藤参考人 その点につきましては、実は私ども最近、規制委員会のほうで、今、福島第一事故のまだ未解明な部分についてそういった調査を行っておりまして、今、委員が御質問ございました、いわゆる地震によって機器、例えば配管が損傷して大量の水が出たのではないかとか、そういったお話ございましたけれども、実はその点については私どもが現地調査をさせていただきました。  二年ほどかかりましたけれども、やはり線量が高いものですからなかなか短時間しか調査できませんけれども、そうした調査のまとめたところによると、これまでのところ、地震によって何か大きな影響があったということではなくて、あくまで津波による影響であるというふうに、今の時点ではそのように解釈しております。 159 ◯岩崎委員 ありがとうございます。  続いて、午前中も資源エネルギー庁さんのほうに質問をさせていただいたことなんです。今回の説明会で、やはり県民の皆さん、特に参加された皆さんの多くが、「安全について一〇〇%国が示すべきじゃないか」という声が多いわけです。それこそ田中委員長も、「科学技術に一〇〇%リスクゼロということはない」と、「世界一安全だと言っているのではなく、世界最高レベルである」と。さらにはまた、先般私も日置市で、先ほど言いましたように会場におりましたので、その中でたしかこの問題が出て、ここにいらっしゃる市村参考人が、「絶対安全には到達できず、必ずリスクは残る。リスクをできるだけ下げる作業が必要」ということで答弁もされました。そして、先ほどからもちろん説明もあるわけです。  そこで、規制委員会の「絶対に安全とは言えない」との見解は、科学者や専門家の見解として理解はできますけれども、国民、県民の多くは、やはり安全性の懸念は残ると受けとめております。そこで、このような国民、県民の方々の不安に対して皆様方はどうお答えされるか、まずこれが一点です。  続いて、これも先ほどもちょっと説明をいただきましたけれども、重大事故、それこそ核燃料が溶けたり、放射性物質が大量に放出される危険性のある事故について、そのような重大事故の発生について、現実的な認識としてどう捉えておられるか、これについてもお答えください。  それと、あってはならないわけですけれども、万が一、重大事故が起きた場合の責任はどこが持たれるのか、このことについてもお答えください。 160 ◯佐藤参考人 今、委員から三点ほど御質問いただいたかと思います。  まず、そういう国民の皆さんの不安の声にどう応えていくかということでございます。  住民説明会の場でも御質問いただきましたけれども、我々もついつい「リスクはゼロでない」という、その部分だけどうしても強調されてしまいがちですけれども、私どもの姿勢は、リスクはゼロでないというよりは、リスクはゼロでないんだということで、それを絶えずリスクを下げていく努力をしていくということについて、ぜひ御理解いただきたいと思います。  「これで大丈夫です」と言ってしまうと、科学技術が今、日々進歩している中で、これ以上基準というものが変わらないということでございますけれども、こうした技術が日々進歩していく中で、私どもが新しいそういった知識などを国内外から貪欲に吸収して、それを規制に生かしていくんだと、これがその裏返しとして、リスクはゼロでないから、それをしっかりと下げていくという取り組みであると、この姿勢をぜひ御理解いただきたいと思っております。  したがいまして、私どもとしても、そうした姿勢を国民の皆様にお伝えするとともに、またこのような機会、きょういただきましたけれども、私どもが行いました行政の判断について、できるだけわかりやすく説明してお伝えするということ、さらには、審査を行うに当たっても透明性の高い形で、いわゆるネット中継のようなことで審査を皆さんに見ていただきながら、そうしたものを進めるということも大事かと思っておりまして、そういうものを通じて、そういった不安の声に応えていければというふうに思っております。  二点目が、重大事故が発生したときの対応というようなことでございますけれども、まずは、これも説明会の場で御説明してきましたけれども、安全確保に対する一義的な最大の責任者はこれはもう事業者であると、まずこれは何よりも認識していただかなければいけないと思います。何かあればすぐ国とか自治体に頼るということでは、これは発電所を運営する資格はないというふうに思いますので、これはまず事業者としての責任はまずしっかりと認識してもらうと。  その上で、規制当局としては、事故が起こった場合には、事業者が法律、原子力災害対策特別法などございますけれども、この法律に従って活動しているかをしっかりと確認していくということでございます。この確認ということについても、運転や事故時にどのような対応をしているか、必要な手順や体制が実際にとられて行われているか。きょう資料で御説明しましたけれども、しっかりとソフト面の対応で人員を確保して設備を用意するというようなことですけれども、そうしたものが適切に運用されているかについても、これもずっと確認していくということでございます。  三つ目が、責任の所在ということでございます。  事故が起きた場合には、当然のことながら事業者が責任ということはこれは繰り返し申し上げておりますけれども、原子力規制委員会を含め、政府としては、国を挙げて政府として全力を挙げて事故の収束に対応していくことは言うまでもないというふうに思っているところでございます。以上です。 161 ◯岩崎委員 ちょっとまた確認なんですけれども、ということは、新規制基準の審査については、やはり安全性を保証するのではなく、新規制基準に基づいて審査され、川内原発は安全対策が基準を満たしたことを確認され、安全性が確保されることを確認されたということでまず理解していいのか。  それと、あと一点です。川内原発については、万一重大事故が発生しても対処できる設備、手順の整備が確実になされていると思ってよいのか、このことについて教えてください。 162 ◯佐藤参考人 委員から今、二点質問をいただきました。  まず、基準というものについてですけれども、私ども今回の規制基準をつくるに当たっては、国際機関や諸外国の水準を参考にして、そういうのをまず確認して、なおかつ、我が国の厳しい自然状況、台風や地震あるいは火山と、そういったものがございますので、そういったものを考慮してつくり上げた基準でございまして、この基準に合致するものということでございます。  そういう意味では、少ししゃくし定規な言い方でございますけれども、ある意味、法律やそうしたものに定められたものについては、十分それを遵守しているということは確認できました。ただ、ちょっと繰り返しになりますけれども、事業者においては、責任を持ってさらに自主的な安全の取り組みをしていただくということは期待しているところでございます。  それと、済みません、二つ目の質問は何でしたっけ。 163 ◯岩崎委員 もう一回、繰り返しますけれども、二点目は、川内原発について、万一事故が発生したとき対処できる設備、手順の整備が確実になされていると理解してよいかということの確認です。 164 ◯佐藤参考人 ありがとうございます。
     そちらについても、きょう資料のほうで御説明させていただきましたけれども、事故の拡大を防ぐ措置ということで、冷やす、閉じ込めるなどの措置、ソフト面も含めて、基準には合致していることを確認したところでございます。 165 ◯岩崎委員 わかりました。  続いて、四点目です。また重複するところがあって申しわけございません。  川内原発については、原子力規制委員会において、新規制基準への適合性審査が先行して進められたわけですけれども、新基準第一号として原子炉の設置変更許可がなされました。そこで、先ほども説明をいただきましたけれども、まず、九州電力による基準地震動、基準津波の規定について、どう評価されているか。  続いて、同じく九州電力による火山対策、巨大噴火対策について、これもどう評価されているかですね。  さらにはまた、同じく九州電力による重大事故が発生した場合の対策等についてどう評価されているか。  さらにはまた、許可による安全性はどのように担保されたのか。重複するところもあるかもわかりませんけれども、よろしくお願いします。 166 ◯森田参考人 津波対策と火山対策についての御質問がございましたので、お答えいたします。  本日の資料の十二ページの資料において、市村のほうから説明させていただきましたけれども、津波の評価に関しましては、新しい新規制基準においては、従来の規制基準に比べて大幅に津波の規制については強化をいたしました。例えばプレート境界型という、地球上における地殻がぶつかり合っているところでの地震については、少なくともマグニチュード九以上の地震を想定する、それによる津波を考えるというようなこと、それから、海底や陸上の地すべりとの重ね合わせを評価するというようなこと、それから、最新の知見を反映した評価を行うというようなことを事業者に求めてございます。  この点に関して九州電力は、市村の説明にもありましたけれども、従来の二・三メートル、上げ潮側で二・三メートル、下げ側で一・九四メートルという数字を大幅に延ばしまして、三・五二メートル、上げ潮側でですね、それから下げ潮側で三・八〇メートルという形の津波の高さの強化をいたしました。これに応じた設備の強化を図るということを述べているところでございます。原子力規制委員会の審査においては、これらが要求水準に満たしているということで、許可まで至ったというものでございます。  それから、火山対策についてのお話がございました。  これは本日お配りした資料の中では十三ページにあり、また十四ページには、設計対応できないような火山事象ということを評価を行っております。  まず、その設計対処できる火山事象ということに関しては、火山灰の効果というものを、シミュレーションも含めまして、十五センチメートルということが堆積するということを計算した結果を確認いたしまして、妥当であるという判断をいたしております。一方で、設計対応できないような火山事象というようなものがございます。これは例えば南九州地方では三万年前に起こった姶良カルデラの噴火、こうしたものが当たるわけですけれども、この三万年前の噴火は、マグマの噴出量が四百五十立方キロメートルという非常に莫大なマグマ噴出量がございまして、南九州が入戸火砕流堆積物という堆積物でほぼ覆われるような大規模なものでございました。九州電力は、こうした大規模な、発生すれば南九州全体が壊滅するような噴火は起こる可能性は非常に小さいという評価をしておりまして、原子力規制委員会も審査において、まず桜島周辺の姶良カルデラの地下の浅い部分に、カルデラ爆発をするような大きなマグマだまりはないというふうに評価をしておりまして、こうしたカルデラ噴火が近い未来に起こるという可能性は十分小さいというふうに判断してございます。  津波と火山についての御質問に対して、森田からお答えいたしました。 167 ◯市村参考人 今、委員からの御質問の中に、重大事故時の対応あるいは安全性についてはどうかという御質問がございました。  これは既に先ほど佐藤から答弁したことと重複いたしますけれども、今回の審査では、重大事故が発生するということも前提に、対応、対策ができるかということを審査をしておりまして、その中では設備的な対応はもちろんのこと、いわゆるソフト的な対策ということで、手順あるいは訓練というものもできているかということを含めて、対策が実施できるということを確認してございます。  また、その上で、安全性をどう評価するかということでございますけれども、これも既に何回か委員と佐藤との答弁で往復がございましたけれども、基本的には、法律に基づいて、運転に当たり求めてきたレベルの安全性は確保されるということでございます。  実際には、今回、重大事故が起こることを想定した審査ということで、実際に川内原発で起こり得る、燃料が溶けてしまうような事故というのを想定して審査をしていますけれども、その非常に厳しい状態、例えば電源が一斉になくなって、さらに原子炉から水が抜けていってしまうというような状況ですね、非常に厳しい状況を考えた評価を行っておりまして、その場合でも、福島原発事故に比べて千分の一以下の放射性物質の放出にとどまるというような評価をしています。  ただ、これも既にやりとりがあったように、じゃそれで絶対なんですかということについては、やはりこれは科学技術でございますし、絶対ということは申し上げられないと。しかしながら、こういうことまでも評価をして対策を求め、さらに一層の安全向上対策を常に求めると、あるいはこれは事業者に求めるのみならず、我々規制当局も絶えず新しい知見を取り入れて必要な規制を強化していくということによって、このリスクというものを一層下げる努力を怠らないということが大事だと、こういう姿勢でやっているということでございます。 168 ◯岩崎委員 確かに、絶対とか一〇〇%とかそれについては先ほどから、もう難しいということはわかっていますけれども、もう一回ちょっと確認させていただきますけれども、川内原発について、地震・津波・火山対策等について最新の知見を踏まえたり、さらにはまた国内外の基準や文献等に基づき、安全対策が確実に講じられていることを評価されたということでよろしいでしょうか。 169 ◯森田参考人 地震と津波と火山についての御質問ですので、私からお答えいたします。  私どもが審査において使いました原子力規制委員会の昨年七月に定めました新規制基準においては、内外の最新知見をもって、原子力発電所を利用するに当たって準ずべき技術レベルということ定めてございまして、こうした基準に対して、九州電力川内原子力発電所の津波・地震・火山に対する安全対策は十分とられているというものを確認してございます。 170 ◯岩崎委員 続いて、先ほどもちょっと触れましたけれども、住民説明会に関する理解の問題ですけれども、十月九日から二十日まで、五市町で審査結果等について説明をいただきました。そこで、先ほど言いましたように、県は、「ある程度理解が進んだ」というふうにマスコミ等の情報からいえばコメントをされていますけれども、それこそ規制庁としては、この問題についてどのように理解が進んだと思っていらっしゃるのかどうなのか、それについてお答えください。 171 ◯佐藤参考人 私ども今回、機会をいただきまして、五回にわたって、新規制基準の適合性審査の審査結果について御説明させていただきました。簡単には理解できるような内容ではないというふうに私どもも認識しております。その上で、できるだけわかりやすくということでございますので、専門用語をできるだけ使わないとか、あるいはどうしても専門用語を使わざるを得ないときは、その用語を解説するということ、さらには、限られた時間でありますので、説明資料もできるだけストーリー立てて説明資料をつくるというようなことの工夫をいたしました。さらに、質問などに対しても、時間が限られている中ではありましたけれども、その中で私どもとしては御説明させていただけたのではないかと思っております。  住民の皆さんが理解していただけたかどうかというのはやはり住民の皆さんが最終的には御判断いただくことかとは思いますけれども、私どもとしては、そうした努力をさせていただいて、多少なりともは理解していただけたのではないかというふうに感じております。 172 ◯中村委員長 ちょっと関連で発言したいという話ですので、山田委員。 173 ◯山田委員 先ほど、五つの会場でそれぞれ御参集をいただいた方々の御意見を聞かれたというそういう答弁だったんですけど、私も説明会場に行きました。時間的な制約、説明、私も聞かせていただきました。  あの雰囲気の中で私なりに感じたのは、原発に対してはいろんな考え方があるんですけど、三つ挙げれば、「俺は賛成よ」という意見、そしてもう一つは、「誰が何と、どういう説明をしても俺は絶対反対だ」とそういう意見、そして、「ちゃんとした形で説明をしていただいて、自分が考えている疑問に対するちゃんとした回答が得られれば、それは必要よ」と、そういう人たちが集まっておられた、いろんな人たちが集まっておられた。  それでも、先ほど言ったように時間の制約、いろんなものがありまして、それはいろんな事情があってそうなっているんだと思いますけど、不安を抱いておられる、その払拭するのに、やっぱり聞いていて必要なことというのは、「絶対安全よ」とそれを言わない限りは、「絶対安全ですか」と聞かれたときに、規制基準とか新規制基準とか、我々の検討する中ではこういう状況です。「それなら絶対安全なんですね」と聞いても、絶対安全という言葉が出てこないわけです。  そうしたら、事故は起こさないというのが前提なのに、今度は逃げる道を確保したり、何キロ圏でどういう対応をしますとそういうところに移っていけば、「それなら事故は起こるんですか」、もし事故が起きたときは、それを想定して我々は対策を打っているんだ。こう言われれば、もう聞きに来ている人も何を聞いていいかわからんわけですよ。本当は絶対安全だということを国のほうでも、しかるべき人たちもそういう言葉を期待して来ているんです。「絶対安全か」と聞けば、「絶対安全ということは我々は言えない」と、こう言えば、誰を信じていいかわからんわけですよ。  その辺をしっかり整理をしていただいて、「絶対安全よ」と、「任せ」と、福島の事故やらいろんなことを、外国の原発の事例やらいろいろ我々は踏まえた上で、「絶対安全よ」という言葉を聞きたくて、みんな国民は全部、ほとんど理解が得られたなんかいっても、「絶対安全」を使わない以上は、まあ仕方がないだろうなと、電力事情とかいろんなことを考えたときに大方仕方がないだろうと。そしてあなた方もそう言われるのを聞いていて、まあこれは、ほとんど理解したという人もいるかもしれないけど、「絶対安全」という言葉を使わんとこれは理解が得られない。  その辺を、何でかというと、その延長線上に国民の不安というのを払拭するという大問題があるんですよ。ここをそれでどんな説明会場に行かれても、やはりしかるべき会合でしかるべき立場の人たちとすり合わせをして、来られて、厳しいことを聞くというのは大変つらいと思うんです。だけど、そこまでしか言えないというのは、いろんなことをあなた方も踏まえた上で、ここまでしか言えないというそういう結論に達して来ておられるということもわかるけど、国民は何を望んでいるかというところも基準に置いてこれからも対応をしていただきたいと思うんですよ。  せっかく来ていただいてこういう質問をするというのは非常に御無礼かもしれないけど、そういう今、私が聞いたようなことを誰か答弁ができれば、それは絶対ということは使えないということをまた前提にしないで、もしということがあったときは腹を切ると、そのぐらいの覚悟でこの問題は取り組まんと、ほかの事故とは違うんですよ、ほかの事故とは違う。違うということは、例えば交通事故にしても火事にしても、絶対ということは言えない。起こる可能性がある。それでも、交通事故とかそういうのは社会が動いていく以上は仕方がないことなの。それでも原発にとっては仕方がないでは許されんから、だから、みんなが、私は自民党ですけど、しかし、この問題についてはあなた方の対応というのをぜひともしっかりした形で私は聞かせていただきたい。どなたか答弁ができればよろしくお願いします。 174 ◯佐藤参考人 今、委員のおっしゃられたことは私どもも認識しております。やはり私どもが規制をする以上は、限りなく安全を確保するというために私ども規制を行っているということでございます。それで、やはり地元の方を含めて、原子力発電所が事故を起こさないということを求められているということも重々承知しております。他方で、私どもが今回、福島の事故の反省というところの最も大きなところは、そういった安全に対して過信をするとか、その上にあぐらをかいてしまってはいけないということでございます。  今、委員からお話がありました自動車事故などとの比較で、「絶対はない」という言い方ではだめだということでございましたけれども、私どもも、原子力発電所の事故が及ぼす影響というのがとても大きいものということは、福島の事故で十分認識しているつもりではございますけれども、そうした上で、あえてまた私どもとしては、限りなく安全を追求していくということで御理解いただきたいと思います。  それで、これも繰り返しになりますけれども、私どもが今回、審査した基準、物差しというのは、これは国内外のこうした基準を参考にし、なおかつ我が国のこうした自然環境も加味して、今、考え得る中ではかなりのレベルで基準を定めて、その基準については合致しているということを、私どもが審査の結果としてきょう皆様方に御説明しているわけでございまして、そういう意味においては法律、少なくとも今、私どもが考えるレベルには合致していると。ただ、それについて、絶対かと言われることについては、それは私どもは、なお努力するということでぜひ御理解いただいて、限りなく絶対に近づいていくんだということを御理解いただければというふうに思います。 175 ◯山田委員 何でこんなに言うかといえば、ほかのところに前例がないんですよ、原発の再稼働というのは。あそこもした、ここもしたということで、そこを参考にしながら「本当に安全よね、大丈夫だね」と、そういう担保がないわけですよ。うちが日本の中で一番先に稼働させるわけですよ、稼働するということになれば。今、我々も原特委でいろいろやっています。仮に稼働をさせるということになれば日本で初めてなんですよ。  そういう認識を持って、我々が望んでいるのは何かと、絶対安全よと、それをあくまでも「それに近い状態を」と今、表現されたけど、その言葉が、反対をする、さっき言ったように、不安を持っていて反対をされている、それを払拭してあげるにはさらなる努力をしないといけない。我々も含めてですよ。  そういうことも踏まえて、せっかく来ていただいて変なことを言うようですけど、我々のこれは本当に痛切なお願いですので、ぜひこれからもそういう気持ちで対応をしていただくように御要望を申し上げておきます。よろしくお願いします。 176 ◯岩崎委員 もう大分時間をとりましたので、私、やめたいと思いますけれども、その住民理解の問題です。  県のアンケートについて、参加した感想を「よくなかった」「余りよくなかった」という方が四七%、そしてまた「よかった」「まあまあよかった」、さらにはまた「普通」、私は、「普通」というのはもう恐らく場合によってはもう肯定していると捉えてもいいんじゃないかなと思いますので、そうすれば、先ほど私は冒頭に言ったように、初めて聞かれる方々も少しは理解してくださったんだなというふうに、このアンケートの結果から見ればとるわけです。  そういうところから県としては、ある程度理解が進んだというふうに捉えたのかなというふうにも、また自分の場合は受け取りますけれども、そういうことで、規制庁におかれては、さらに今後も県民の皆さんにこの問題について理解が深まるように取り組みをしていただけたらありがたいと思いますので、よろしくお願いし、実は六項目めも入れておりましたけれども、大分時間を自分がとりましたので、六項目めは割愛させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 177 ◯中村委員長 ここで、岩崎委員がこれまで質問されたそれに関連するものを全部整理をして、質疑を進めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  関連として遠嶋委員から、新規制基準は万全かというのが出ておりますので、遠嶋委員からお願いします。 178 ◯遠嶋委員 新規制基準について、それに適合したら安全かというのは、今るる御見解をお伺いいたしました。  その中で、技術というのは日進月歩進歩するわけですから、規制基準そのものも変わっていくだろうというふうには思います。そういう意味で、現時点で完璧というのは基本的にあり得ないというのは全く私も同感であります。  ただ、今回の福島第一原発事故の要因というか原因は、自然現象ですよね、地震・津波。この解明についてはほとんど緒についたと言ってもいいぐらいの、歴史的な流れでいえばそういう時期だろうと思います。今回、新規制基準に火山噴火リスクが入ったわけですけど、これについてはなお、もう本当に緒の緒についたぐらいのレベルであって、今からそういった意味では、規制基準も知見がどんどん深まっていくというか、進んでいく中で変わっていくんだろうというふうに思います。そういう意味では、一〇〇%安全だというのは私は言うべきじゃないし、あり得ないというふうに思います。  そういった意味でお伺いをしたいんですけど、安全ではないというのはもうおっしゃいましたので、リスク低減に努めたとか、安全とは言わないという部分、まだ残っているということで私も今ちょっと少し申し上げさせていただきましたけど、その辺の認識というんですかね、まだ、リスク低減に努めたということはリスクが残っているということですよね、逆に言えば。それと、安全とは言わないというのは、逆に言えば安全とは言えないところがあるということだろうと思うんですね。  それともう一つは、どういう場合に事故が起こるのかと。さっき、今回の新規制基準については、大量の放射能が漏れるというのも想定した基準であるとそういうお話でしたけど、であれば、事故が起こるという想定もされると思うんですけど、その点についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。 179 ◯市村参考人 お答え申し上げます。  今、委員御指摘のように、今回の審査では、まず重大事故も起こるということを前提に審査をして、先ほど私が申し上げましたけれども、実際に放射性物質が出るということも前提に、その対策も求めているわけでございます。  ただ、委員御指摘のように、地震・津波・火山という自然の想定、あるいは重大事故が起こったときの対策、これは設備のみならずソフト対策、手順、訓練等々申し上げましたけれども、一つ一つが我々相当厳しく審査をしてまいりまして、自然の想定もそれから重大事故の対策も非常に厳しく審査をしてまいりました。  ただ、これもまた先ほどの議論のやや繰り返しになりますけれども、これで絶対、いついかなるときも絶対、これを上回ることが一切ないかということ、これは我々も非常に厳しく審査をしましたので、その可能性というものは物すごく小さくなっていると思います。ただ、その可能性をゼロかどうかという問いであるならば、それはやはりゼロではないと。したがって、そこに残されたリスクがあり得るんだということを我々は肝に銘じて、それを潰す努力を日々していく必要があるということを申し上げているわけでございます。  そのやり方には、海外の知見を取り入れて、海外の些細な事象も取り上げて、それが大きな事象にならないかどうかということ、場合によってはそれを取り入れて基準を変えたほうがいいんじゃないかというやり方もあると思いますし、あるいは審査の中で、事業者にさらにこういう場合は大丈夫かというのを問い詰めるというやり方もあると思いますし、あるいは事業者がみずから努力をする部分もあると思います。  ただ、いずれにしろ、我々原子力安全に携わっている当事者が、どこかに残されているかもしれない、自然の想定かもしれない、あるいは事故が起こったときの対策かもしれない、ソフト対策かもしれない、どこかに残っているかもしれないリスクというものを絶えず忘れずにこれを潰していく努力を日々していくことが重要だと、こういう認識で対応しているものでございます。 180 ◯遠嶋委員 不幸にも、今から国内の原発がどんなふうに進んでいくのかわかりませんが、事故が起こった際には、今回の規制基準というのも、やっぱりどこが不十分だったのかというのも再度の見直しは迫られると思うんですね。  それと、政府事故調だったかな、の委員長さんも、「今回、国内で原発事故が起これば世界の笑い者になる」というような評価もされていますよね。だから、そういった意味では、おっしゃったことはもうそのとおりだし、それでもなおかつ私はやっぱりリスクはあるんじゃないかなと。基準で津波と地震のこともおっしゃいましたけど、そのことについては後ほどちょっとお伺いしたいというふうに思います。  姿勢は、姿勢というかおっしゃる、この間ずっと、私は薩摩川内市でお聞きしましたけど、もう連続五、六日ぐらいですかね、もう本当に御苦労さんだと思います。一生懸命されているのはもう拝見してわかるんですけど、ぜひ、やっぱり事故が起こってしまったら皆さん方の御苦労も泡になるわけですから、今後、引き続き、また私もここは不十分じゃないかなというのは後ほど質問させていただきますので、ひとつよろしくお願いします。 181 ◯中村委員長 規制基準に関連して、まつざき委員。 182 ◯まつざき委員 先ほどからの議論の中で、基準について、今、考え得る中ではかなりのレベルで、そして相当厳しく審査をしてきたというお話でした。今、私どものところには、この再稼働について同意をどう考えるのかというところで非常に重大な局面に来ておりまして、知事にしても、やはり何でもってこれが同意ができるかというのは、やはり規制委員会の審査の結果なんですね。  そういう面では、本当にそこにどういう審査が行われてきたのかというところがあるわけですけど、それでやっぱりもとになるのが、先ほどお話があるような適合性の審査ですから、基準に基づいてということで、この基準がどういう基準なのかというところが非常に問われると思います。  そういう中で先ほど、かなりのレベルでとかお話しでしたが、世界最高なのか、最も厳しい水準なのかとか、いろんな言葉が飛び交っておりますが、実際に今回の新規制基準というのは、世界で見るとどういうものなんでしょうか。 183 ◯佐藤参考人 どういうレベルというのを客観的に比較するすべはないんですけれども、これも繰り返しになりますが、少なくとも私どもが国際機関や諸外国の基準を十分に勉強して、それを十分に取り入れたというふうにも認識しております。それでその上で、これも繰り返しになりますけど、我が国特有の自然条件ということも加味しています。  例えばというので一例でいきますと、説明の中でも申し上げましたけれども、地震とか地すべりなどのさまざまな津波の発生要因を想定して、過去最大を上回るような津波高さを想定していることということや、あるいは全ての既存の発電所に例外なく新しい基準を適用するということは、これは海外と比べても厳しい要求であるというふうには自負しているところでございます。 184 ◯まつざき委員 具体的にじゃ火山がどうなのか、津波・地震がどうなのかとかは後でやりますが、この基準の評価についてさまざまなところからいろんな意見がありますが、一つに、ことしの四月に国会の委員会で舩橋法政大学教授は、安倍首相がこの新規制基準について世界最高レベルと、世界最高水準だというふうに発言をしておられることについて、欧州と比べても明確に劣っていると、こういう世界最高水準だという言葉を使うのは、無知か錯覚かうそをついているかだと、政府の関係者には使ってほしくないという、こういうことを言われました。私はこれは非常に厳しい批判だというふうに思うんですが、こういう評価をしておられる学者もおられる。これについてはどういうふうに反論されますか。 185 ◯佐藤参考人 私どもも、私どもの策定した基準についてさまざまな御意見があるというのは承知しております。その中には、やはりある種の学説のようなものを基本にしておっしゃられる方もいるやに聞いております。ただ、私どもは、いろいろなそういう基準に対する考え方の中でも、やっぱりそういった、何と申し上げたらいいんでしょうか、かなり普遍的な、多くの支持を受けている学説とか考え方、そうしたものを取り入れること、これはある意味で科学的であるということの一つの判断材料にはしているんですけれども、やはりまだまだ私どもの基準に対して足りないとおっしゃられる方の御主張などを聞いていると、これは例えばですけれども、そういった御主張が学説的に十分に根拠があるのかとか、そうしたものについてまだ学説が固まっていないというんでしょうかね、そういったものもあるやに聞いていますので、私どもとしては、やはり科学的・技術的内容、そういった知見をあくまで基準に取り入れていくという姿勢でおりまして、そういった姿勢で今の基準ができ上がっているというふうに御理解いただければと思います。 186 ◯まつざき委員 個々の中身については後ほどやりたいと思います。 187 ◯中村委員長 次は、福島第一原発の事故に関連して質問がありましたので、まつざき委員から通告をいただいております福島第一原発の現状について、これについて、まつざき委員にお願いしたいと思います。 188 ◯まつざき委員 国策において進められてきた原発において、福島ではああいう事故が起きました。当時は保安院でもって基準を決めて、そしてそれに合格したという形であったのが、ああいう事故が起きたわけですね。きっと当時もそのレベル、水準、当時のさまざまな知見に基づいてつくられた基準に基づいて、それが合格していたにもかかわらずああいう事態に陥ったということだと思うんですが、そういう意味で、その基準について、原発の、絶対安全ではないと先ほどから繰り返しておられますけれども、新しくできた規制委員会、規制庁で新基準を設けて、そして今度、再稼働するのかどうかという審査を行っておられる。そういう意味で、この福島の事故について、そういう立場としてどういうふうに受けとめられて、今、審査に向かっておられるのかというそこについてお聞かせいただきたいと思います。 189 ◯佐藤参考人 私どもの組織は、福島の事故の教訓を最大限生かすべく、それに基づいてできている組織というふうにまず認識しております。そういう意味では、福島の事故を繰り返してはならないということをしっかりと肝に銘じて対応しているところでございまして、きょうの資料の御説明でもございましたけれども、まずはこうした福島の事故でどういうふうに事故が進展していったのかと、それを踏まえて、じゃそういうのが起きないためには、どういう対応が今、最善のものとして考えられるかというところで基準をつくり上げているというのは、一つの柱でございます。そういった意味で、福島の事故を最大限教訓として生かしていくというのが我々の一つの使命であるというふうに認識しております。 190 ◯まつざき委員 はい、結構です。 191 ◯中村委員長 よろしいですか。  では、ここで、速記の関係もありますので、暫時休憩いたします。  再開は、おおむね三時二十五分といたします。         午後三時  八分休憩      ────────────────         午後三時二十五分再開 192 ◯中村委員長 再開いたします。  次は、新規制基準に係る適合性審査の関連で関連質問をしていただきます。  まず、遠嶋委員の通告の三番、四番、六番は関係があると思いますので、一括質問をしていただきたいと思います。 193 ◯遠嶋委員 それでは、基準地震動についてお伺いをしたいと思います。  まず、今回の六百二十ガルの根データといいましょうか、これについては五つの機関が、一九九七年五月十三日の鹿児島県北西部地震、このデータをもとにして六百二十ガルが出されたというふうにされているわけですが、この同じ地震を観測した五つの機関でそれぞれ異なるデータが出ているわけですね。それはもう十分御存じだと思いますけど、気象庁から発出した文書で私もそれを知りましたので。その中の菊地・山中の数値を採用した理由をちょっと説明していただきたいと思います。 194 ◯森田参考人 お答えいたします。  今、委員御指摘の関連は、本日配付しました資料の十一ページの地震の関連でございますけれども、今、委員から六百二十ガルというお話がありましたけれども、この六百二十ガルというのは、震源を特定しないで策定する地震動でございますので、十一ページの資料でいいますと五百四十ガルのほう、五百四十ガルの震源を特定して策定する地震動において、菊地・山中の知見を用いているものでございます。  御質問の菊地・山中の知見を用いて、その他の知見を用いなかった理由は何かということでございます。この観点では、私どもが行った審査書に対するパブリックコメントでも指摘をいただく意見がありました。より大きな気象庁のデータであるとか、あるいは世界的なプロジェクトでやっているデータを用いるべきじゃないかということであります。これは私どもの判断としましては、一九九七年の地震については、複数の文献などで地震モーメントという震源の大きさをあらわすデータが発表されているのは、委員御指摘のとおりでございます。  九州電力は、菊地・山中というお二人が書かれた論文に基づく地震モーメントという大きさを用いています。この理由は、菊地・山中の地震モーメントを用いて設定した場合では、観測記録とそれから計算による評価結果が整合するという結果になるものですから、これを採用してございます。それ以外のものはどうなのかといいますと、これは気象庁のデータでありますと、理論的な波形と観測上の波形が一致していないということで、精度が悪いであろうということで評価には用いていないというふうにしてございます。  それから、グローバルCMTという世界的なプロジェクトで九七年鹿児島県北西部地震を評価したものも、これも震源の情報としては不正確な情報になるだろうということでございまして、あくまでも地震モーメントという値の大小で判断するのではなく、科学的に観測記録と合うかという判断からこのような評価になっておりまして、原子力規制委員会としては、そのやり方は妥当であるというふうに判断してございます。 195 ◯遠嶋委員 今、気象庁のデータは精度に欠けるというふうにおっしゃいました。私は、県議会の一般質問でもこの件を質問させていただきました。県の回答では、精度に欠けるプラス信頼性に欠けると、これは九州電力がそういうふうなアドバイスをしたのか、規制庁のほうがアドバイスをしたのか存じ上げませんが、一般質問の中では危機管理局長が、精度に欠ける、信頼性に欠けるというような話をしました。その修飾語みたいにして、速報値であるというような回答もありましたので、私は参考までに気象庁に電話をしてみました。精度に欠けるとか、信頼性に欠けるということで気象庁のは採用しなかったと。そうすると気象庁は大変、私、言葉は非常に穏やかでしたけど、怒っていらっしゃるようなそういう返答でありました。  気象庁がおっしゃるには、観測体制といいますか物理的な条件のことをおっしゃっているんだと思うんですが、そういう意味でいえば、ほかの機関よりもうちのほうがそろっていると思っていますと、だから、信頼性に欠けるとかあるいは精度に欠けるというのは、規制委員会にしっかり説明をしてもらいたいというような話でしたが、その辺についてちょっと見解をお伺いしたいと思います。 196 ◯森田参考人 今お話の気象庁のコメントは、私も気象庁から聞いたわけではございませんので、今、委員からお聞きしただけですので、その内容についてはちょっとコメントできかねますけれども、気象庁のデータというのは、ちょっと難しい話になりますが、震源を一つの断層が起こした地震と仮定した上で、つまり断層が一個だった場合と仮定して、観測結果からその断層の大きさを評価しています。菊地・山中の論文は、この断層が一個だという仮定は置かずに、断層が複数あるかもしれないという仮定を置いて研究したものでございまして、断層が一個だということで速報値、今、速報値というお言葉もありましたけれども、そういう速報性を優先して観測結果から震源を求めていくと、やはりこのような複数の機関で異なった結果ということになりかねません。  今回の川内原子力発電所の地震を評価する際の基本的なデータとして、この菊地・山中論文の知見を用いたわけですけれども、これはやはり先ほど申し上げましたように、観測記録と評価結果が整合するという適切さが証明されているものですから、これを用いることが妥当であろうというふうに判断しておりますので、県の理事者の方が、信頼性に欠けるという御発言をされたとおっしゃいましたけれども、精度の問題としてはございますので、そういう点で審査においてはそうしたデータではなく、信頼性の高い菊地・山中論文のデータを使うということは、私は妥当であろうというふうに考えます。 197 ◯遠嶋委員 ちょっと今の御説明は私は理解できないんですけど、気象庁が観測地点も菊地・山中よりも多分たくさん持っていると思うんですよね、そういうのを総合して判断をした。だから、速報値というのもちょっと、「速報値というふうに気象庁のほうがおっしゃったんですか、問い合わせについて」と言ったら、「いや、速報値というのはありません」と、データとして最終的に出しているわけですから、これはもう自分たちが自信を持って出しているデータだと言わんばっかりの回答でありました。ですから、私は信頼度は高いと。  もうこれは気象庁の数値が信頼性に欠けるとか精度に欠けるとかいうことになってきますと、今、日本国民はほとんど天気予報を含めて気象庁の情報をもとにして生活をしているわけですから、国民文化を揺るがしかねないような私はそういう見解じゃないかなと。  そしてその上で、やはり福島第一原発事故の教訓というのは、最悪のシナリオを取り入れるというのが教訓であるというふうに私は認識しています、もう恐らく皆さんも変わりないと思いますが、そういった意味では、同じ地震の観測データの中で最も大きい数値を採用するというのが、私は教訓を最も生かしている立場であるというふうに思います。そこは違いますかね、御見解をお伺いします。 198 ◯森田参考人 繰り返しになりますが、大小のみで判断するのではなく、科学的に合理的なデータはどれにあるのかということを求めていった結果、菊地・山中が共著で一九九七年に出した論文のデータに信頼度があるというふうに考えてございます。  気象庁のデータを使う際に、私は気象庁のデータを一般的に信頼できないとか精度が悪いということを申し上げているわけではございません。この川内原子力発電所というサイトにおいて、今後、市来断層あるいは甑断層から受ける地震がどの程度の大きさなのかということを計算し、評価する際の信頼が置けるデータはどこにあるのかということを議論した際に、複数ある文献からどのデータを選ぶのかということの妥当性の中で、菊地・山中が記したデータが最も信頼性が高いということで、将来の評価としては妥当であろうということでございますので、その点、気象庁の信頼性を一般的に否定しているというようなつもりはございませんので、よろしくお願いいたします。 199 ◯遠嶋委員 ここの部分の質問はもうこれで終わりにしますが、とにかく同じ地震を計測をした五つの機関の中で、今、議論をしている気象庁の数値が一番大きかったわけですけど、おっしゃる中身を聞いていれば、まあそうじゃないとは言いつつ、やはり気象庁の数値は信頼性というか精度に欠けるというふうにおっしゃっていると、そうだと私は認識せざるを得ません。  そういう意味で、気象庁は、自分たちは正確さはあるというような趣旨で対応していただきましたので、私としては、やはり気象庁の数値を当てはめた計算をするべきであったというふうに指摘をしておきたいと思います。  加えて、一応原子力規制委員会あるいは気象庁としては、次のザ・グローバルCMTプロジェクト、これについての計算もしてあるというふうなパブリックコメントの回答の中にありましたが、この数値がどれぐらいだったものか。Ss─Lと同規模だったというような表記があったと思うんですけど、ちょっとその辺の数字を言ってください。 200 ◯森田参考人 御質問は、地震モーメントという値がどの値を使うかということで、複数あるデータから、将来、市来断層あるいは甑断層から川内原子力発電所が受ける地震動の計算をする際に幾つかのデータを使った場合の中で、グローバルCMTプロジェクトという機関が出している数字を使った場合、どのような値になるかという御質問でございます。済みません、ちょっとデータについては少しお待ちください。
     それで、委員御指摘の計算をというのは、このグローバルCMTプロジェクトというプロジェクトが、また同じく九七年の鹿児島県北西部の地震についてデータを出しています。それを使って計算した場合、川内ではどれぐらいの大きさになるかということを、これは念のため計算をしていますということをパブリックコメントの回答で書かせていただいて、それは委員御指摘のとおりでございます。  委員御指摘のSs─Lというのは基準地震動の一つでありまして、長周期のゆっくりした振動の速さの波をあえて評価する規制もございまして、その規制に基づいて九州電力が計算したものであって、この値は、まず加速度が最大で四百ガルと、それから速度が最大で二百カインという値になってございます。 201 ◯遠嶋委員 この数字は今、四百ガルとおっしゃいましたけど、長周期波ですよね。短周期波はどれぐらいだったんでしょうか。 202 ◯森田参考人 今、御指摘の長周期の地震については、グローバルCMTプロジェクトというデータを用いた値を評価してございまして、これは長周期ですので二百カインという値になってまいります。二百カインというのは、一秒当たりのセンチメートルの速さなんですが、二百カインという値が長周期の値でございまして、Ss─Lと同等レベルだと考えています。  短周期方向に関しては、グローバルCMTプロジェクトの計算した結果の短周期というものは、さらに正確性が落ちるだろうというふうに考えてございます。というのは、先ほど少し申し上げましたが、一九九七年の鹿児島県北西部の断層が、気象庁もグローバルCMTプロジェクトも断層が一枚だという仮定のもとでデータを出しています。ただ、菊地・山中の論文は、断層は二つあるという評価をしています。これは複数あるということで破壊した形が、破壊というのは地盤の破壊ですけれども、断層面の破壊ですが、この破壊領域を二つ持っているというのが菊地・山中の論文の特徴であって、こうしたものとグローバルCMTプロジェクトを比較することは適切ではないと考えておりまして、この点において、短周期においてグローバルCMTプロジェクトを評価することは行っておりません。 203 ◯遠嶋委員 そうだと思います。私もちょっと専門家にお伺いをしていろいろ勉強をしてきましたけど、なかなか難解でわからないところも多いわけですが、短周期は計測、計算をしていないということでした。短周期というのが、原発の建屋を含めて与える影響が大きいということでいえば、でも、計算はできるわけですよね、すればできるわけですよね。私はするべきだったというふうに思います。  それと、私が勉強をしに行った方は長沢さんという方で、よく御存じだと思いますが、大阪府立大学の名誉教授のですね。彼が、断層が一つだ、二つだというお話ですけど、断層が二つというのは、L字に曲がっているという意味でおっしゃっているわけですかね。 204 ◯森田参考人 はい、そのとおりでございまして、九十度の角度で断層が二つあるという評価をしております。 205 ◯遠嶋委員 長沢教授もそのことは十分よく理解した上でいろいろ説明を受けたわけですが、それでもなおかつ、例えばザ・グローバルCMTプロジェクトの数値とか、この短周期とか、それから気象庁とはいわずそういうほかのデータもやはり検討して採用すべきではなかったのかという指摘をされているということを申し添えておきたいというふうに思います。そういった意味では、私は、基準地震動の過小評価というのは実際にあるんじゃないかというふうに考えております。  それと、今回のこれは六百二十ガルですかね、市来断層帯市来区間ですね。これよりもマグニチュード、いわば断層の長さが長い市来断層帯甑海峡中央区間あるいは市来断層帯甑区間、それぞれマグニチュードは七・五ですよね。マグニチュードでいえば、〇・二マグニチュードが大きくなることによってそのエネルギーが二倍になるというふうに、いろいろ調べたらそういうことになっているようです。  そうすると、市来断層帯の市来区間を採用されて数字を今回、九州電力が出しているわけですけど、この市来断層帯甑海峡中央区間とか市来断層帯甑区間を採用していれば、エネルギーが二倍になると。なぜこういうほかの二つの長い断層を採用しなかったのかというところをちょっと教えていただければありがたいんですが、私もここ辺がちょっと、なぜそうなっているのかなというのがわからないものですから。 206 ◯森田参考人 お答えいたします。  委員御指摘のように、断層の名前はおっしゃられたとおりでございまして、三つ断層がございまして、九州電力はその三つについて、甑海峡中央区間という区間と、それから市来区間という区間と、それから甑断層帯の甑区間という三つのグループに分けてそれぞれの断層を、これは最新の知見を用いた長さに拡大して、地震動の評価を行っております。  この点に関しては、今、断層の大きさがということの御質問かと思いますので、断層の大きさに関しましては、国の機関である地震調査委員会という機関が、甑海の海域で存在している断層について二〇一三年に発表したデータに基づいて、最新の知見を用いて評価をするということを求めまして、九州電力は、その評価で再計算をして提出をしてございます。  また、甑断層帯の甑区間という断層に関しましては、北東側にさらに延長することを原子力規制委員会は求めまして、この審査において申請者はこのやり方を、断層の長さをさらに川内原子力発電所のほうに延長させた結果を用いた計算などを行っておりまして、こうした最新の知見と、それから想定される不確かさの情報も含んだ地震動評価になるような評価をしておりましたので、このやり方は妥当であろうというふうに原子力規制庁の審査では判断いたしました。 207 ◯遠嶋委員 これは本当に算数の問題だと思うんですけど、活断層の長さが甑海峡中央区間と甑区間と長いわけですね。マグニチュードも七・二じゃなくて七・五だと、〇・三大きいわけですね。だから、地震エネルギーでいえば二倍強というふうになるわけですが、それが採用されなかった。多分計算上採用しなかったのは九州電力が採用しなかった、それを規制委員会がよしとしたということだろうと思うんですが、この件も私は一九九七年五月十三日のデータの五つの機関の最小を採用したというのと同じような理由で、非常に納得がしがたいというふうに思います。これはもう恐らく回答はこれ以上前進しないと思いますので。  それともう一つは、JNESの研究報告ですね、千三百四十・四ガル、これをどうして基準地震動に採用しないのか教えていただきたいと思います。 208 ◯森田参考人 御指摘のJNESのお話を申し上げます。  JNESと申しますのは、ことしの二月まで存在していた国の独立行政法人でした。二月末に解散をいたしまして、その職員と成果物は全て原子力規制庁に三月一日から移ってございます。  委員御指摘のJNESの千三百四十ガルと申しますのは、これはかつてJNESという組織があったときの調査研究報告書に書かれている数字でございまして、この数字自体は御指摘のとおりでございます。この調査の目的なんですけれども、これは震源を特定しない地震動が確率的にどのような大きさが起こるかということを研究したものでございます。仮想的に地表に地震の断層があらわれない地震として、小さいものから大きいものまでどれぐらいのものが起こるかということを研究いたしまして、そこで可能性があるものとして取り上げた、さまざまな条件を置いて計算するわけですが、その中で最大値が千三百四十という数字でございました。  なぜこれを九州電力の震源を特定しないもの、六百二十に入れないのかという御質問なんですけれども、私どものルールといたしましては、震源を特定しないで発生する地震動に関しては、まず観測結果に基づいた地震から評価をしなさいということを事業者に求めています。これは実際に国内で起こった内陸地殻内地震というものの観測記録を集めた上で評価をするというのが一つのルールで、こうした調査研究の目的で行ったものは対象にならないということが一つでございます。  それから、この調査研究は、大きな地震は非常に小さい確率でしか起こらないと、中くらいの地震はそこそこの確率で起こるという確率的な起こりやすさの研究でございましたので、こうした震源を特定しないで策定する地震動というものには入れる必要はないというふうに考えました。  こうしたJNESの調査研究、千三百四十というものも入っている調査研究は私どもの組織に引き継がれておりまして、現在の審査の規制においても、確率論的な技術を議論する際には使っている情報でございます。 209 ◯遠嶋委員 確率論的で、今でも使ってはいるというお話でした。私は、この千三百四十・四ガルがどういうふうに出されたのかと、およそ八年か九年かけて研究した成果ですよね。十六の地震をずっと調査をして、その中で断層があらわれていないものとか特定しにくいものとかそういうのを省いた、最後に残ったのが一九九七年の北西部地震だったと。それにアメリカの地震の五つだったかな、足して再度出したのが千三百四十・四ガルと。  そういう意味でいえば、鹿児島県北西部地震というのがある意味では大きな基礎というかベースとしてそこに反映されているというふうに思うわけですよね。ですから、この千三百四十・四ガルというのは、私は、鹿児島県のいわば川内原発周辺の地震動については採用されてしかるべきだというふうに思うわけです。  と申しますのは、このJNESの千三百四十・四ガルが出された後も、二回ほどこれを超えた数値も観測をされていたんじゃないですかね。そういった意味では、全くあり得ない確率の数値ではないということが一つはあると思います。  それともう一つは、確率の問題といっても、例えば東北の東北沖地震ですか、今回の名称は、ちょっと正確には思い出しませんけど、確率論的にいうと、川内原発の確率よりもずっとあそこが低かったわけですよね、それが一点。  それともう一つは、あそこに津波が十五・七メートル来るという指摘があったにもかかわらず、確率が低いということで否定された結果が今回の事故につながっているわけですよね。そういうことを考えると、全然縁もゆかりもない千三百四十・四ガルじゃないわけですから、これを私は採用すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 210 ◯森田参考人 お答えいたします。  この千三百四十ガルのほかにも、今月初めから県内でやらせていただきました説明会では、四千ガルということを御質問される方もいらっしゃいました。四千ガルという地震動は、二〇〇八年の宮城・岩手内陸地震という地震がございまして、ここで観測された、今現在日本の中で観測された地震としては、地震動は一番大きなものだったと思います。そうした四千という数字を入れないのはなぜかというような御質問もございました。  私ども、現在の規制においては、震源を特定しないで策定する地震動というのは、まず国内で断層を地表にあらわさない地震が、どのような地震が起こるかという観測記録をまず集めようということを求めていて、それは断層が地表にあらわれていないものですから、これはもしかすると九州電力の断層調査では見つかっていない断層があるかもしれないという前提で、それに対する対処としてこうした地震動を策定することを求めています。その際に、今回、今も御指摘ありましたけれども、一九九七年の鹿児島県北西部地震というのもその中の一つでありまして、こういった地震が不意に起こった場合にどのような地震動になるかということには備えなければならないと考えています。  ただ、四千とかあるいは千三百四十という特別な条件下で観測された地震あるいは評価された地震については、やはり川内原子力発電所が立地している環境とは異なる条件で発生している地震、例えば岩手・宮城内陸地震でいいますと、地震計の設置の場所が岩盤の上ではなかったとかそうした条件がありますので、あくまでも川内原子力発電所が設置されている条件下で策定されるべき地震動ということを求めるのが私どものルールでございますので、九州電力が今回申請してきた内容については、この六百二十ガルという震源を特定しない地震動で妥当であろうというふうに考えています。 211 ◯遠嶋委員 この件についてはもう多分平行線だと思いますので、これ以上申し上げませんが、今言った四千ガルとかそのことをここで採用しなさいというふうに言っているわけではないわけですよね。例えば福井地裁が大飯原発三、四号機に対しては四千三百三十ガルだったかな、既往最大の数値を当てはめてもどうのという判決になっているわけですから、それはそこに由来する数字が挙げられているわけです。  ただ、私が言っているというか、JNESが一生懸命研究した千三百四十・四ガルというのは、震源が特定されない、断層も表に出ていない、そういう共通するようなところをずっと研究をして、さっき申し上げましたように鹿児島県北西部地震もその対象になっているわけですから、全く縁もゆかりもない数字ではないわけですよね。だから、この数字については、しかも、JNESの数字を出すに当たって、国内の地震で最後に残ったのは鹿児島県北西部地震だけだというふうに資料を見ればなっているようですから、そういった意味では、一番かかわりの深いところの地盤といいますか、基準地震動の数値というふうに言っても過言じゃないと私は考えます。  そういった意味で、これは全原発に千三百四十ガルを適用しろという長沢さんのお話のようですけど、私は少なくとも川内原発は千三百四十ガルが適用されるべきだと、今回の基準地震動は過小に評価されている、そんなふうに言わせていただきたいと思います。  次は、火山噴火リスクに移りたいと思います。  今回、新規制基準に火山噴火リスクが取り入れられた理由というのはどこにあるんでしょうか。 212 ◯森田参考人 今回、火山リスクが取り入れられた理由は、本日お配りした資料の八ページ目に重箱を重ねたような絵があったかと思いますけれども、自然災害に対する考慮を強化しようということ、これは福島第一原子力発電所における事故のみならず、自然災害に対する構えが十分に達成されるようにということで強化した中の一つでございます。古い従来の規制基準では火山に関する評価というものは存在しておりませんで、今回の新規制基準では、火山、竜巻、森林火災ということを新設したものであります。  火山を新設しようということは、一つには、大きな影響の要因としては、国際原子力機関が持っている安全ガイドの類いが火山や外部火災ということを対象にしているものですから、国際レベルに合った規制を国内でも実施しなければならないということが背景にはあったろうというふうに考えます。 213 ◯遠嶋委員 わかりました。  あと、規制委員会、規制庁の皆さんはよく御存じだと思いますが、川内原発一、二号機というのは、火山研究家からは火山噴火リスクも最も高いところだと、そして再稼働もしてはならないという研究家が最も多い原発であったということは御存じだと思います。そういった意味では、火山噴火リスクが最も高い、火山研究家から再稼働すべきじゃないと言われている原発が、今回、規制委員会の適合性審査でパスをしたわけですけど、このことは、私は、ほかの原発はもう火山噴火リスクは別に審査する必要がないというぐらいの重たい結論になっているというふうに思うわけですが、このことについてちょっと見解をお示しください。 214 ◯森田参考人 原子力発電所、これは川内に限らず原子力発電所が存在するところについては、どのような自然災害要因があるかということを正しく評価、把握する必要があって、それは一つ一つの発電所の立地ごとに正当に評価しなければならないだろうと考えています。  川内原子力発電所というサイトについては、南九州に火山が存在するのは事実でございますけれども、九州電力が評価した火山が半径百六十キロメートルの中に三十九あり、それから将来活動する可能性があるとしているのは、カルデラも含めて十四火山あるという環境でございます。  ただ、火山活動が盛んな地域なので即立地不適にするということではなく、サイトが置かれている場所が、設計対応できないような火山事象から将来受ける可能性があるかと、設計対応できないというのは溶岩流とか火砕流とかそうしたものなんですが、五つそういう事象があるんですけれども、それがどのような可能性があるかということを評価した上で適・不適の判断をすると、立地の適・不適ですね、立地が適格か不適切かという判断をすべきというのが原子力規制委員会が定めたガイドでございます。  こうした影響が及ぶ可能性があるかということ、可能性の評価を行うというのが規制基準のルールになってございまして、火山の活動がある地域だから即不適切だということではなく、個別に評価するべき問題だろうというふうに考えまして、この九州電力の評価は妥当であるという結論に達してございます。 215 ◯遠嶋委員 今、私が申し上げましたように、火山研究家が最もリスクが高い原発が川内だというふうに言っているのはもうよく御存じのことだと思います。それが審査でパスをしたということは、個別に審査はするとおっしゃっていますけど、リスク面からいくと、審査の対象あるいは審査の期間も含めて、一番川内原発が重要度が高いということだったと、私は、規制委員会、規制庁としてもそうだったというふうに思います。そこがパスしたということは、私は本当に今回、立地基準の中に火山噴火リスクが入った意味があるのかなというふうに思ったりするんですが、ないんじゃないかと、三・一一以前と変わらないじゃないかというふうに思うんですけど、それはやっぱり変わったと言えますか。 216 ◯森田参考人 その点は、最初のお答えと共通なんですけれども、やはり今まで規制されていなかったものに対しても、そのリスクに対して身構えると、構えを持っておくということは必要だろうと思います。リスクはゼロにならないかという休憩前の議論とつながるかもしれませんけれども、リスクを認識した上で、九州電力はそれに対して身構えなければならないと思います。古い規制基準では火山の評価というのは規制に入っておりませんでしたので、九州電力の態度も、規制対象になっていなければ正当な評価がなされない可能性もありますので、規制対象としてそのリスクに対する構えをとると、そのリスクをできるだけ小さくするという態度に繰り返し改善の努力をするという違いは十分にあるのではないだろうかと思っております。 217 ◯遠嶋委員 構えが今まではあったかもしれないけど不十分だったのを、よりしっかりと構えてもらうということに意義があると、こういう趣旨かなと思いますが、私は今からちょっとまた具体的に質問しますけど、火山噴火リスクが新しく入ったという意味でいえば、私は今回の審査は非常に甘かったと、私はそう断じさせていただきます。  そこで、九州電力が今回、火山噴火対応では、兆候が把握されてから破局的噴火までの期間を六十年前後というふうにしていますよね。これは規制委員会もそれをオーケーというふうにしているわけですが、なぜこれを規制委員会は妥当とされたのか、教えてください。 218 ◯森田参考人 これは九州電力からは、数十年程度の前兆が確認できる期間があるだろうというふうに説明を受けました。  これについては、今、話題にしていますのは巨大な噴火という本日お配りした資料の十四ページの話ですが、こうした巨大な噴火というのは、特に三万年前に姶良カルデラで起こったものは四百五十立方キロメートルという膨大なマグマの蓄積がありました。これが噴き出すためには、地表のすぐ下に、浅いところに四百五十立方キロメートルたまっていないと起こらないものです。たまる際には、やはり四百五十立方キロメートルという膨大なマグマであれば、これは地殻の変動とかあるいは火山性の地震ということで前兆は起こり得るということが考えられます。その他、火山性ガスとかその他の現象もあると考えています。  こうしたことがどの程度の期間をもって前触れとして観測可能であるかということを考えた際に、現在の知見では、六十年と九州電力は考えているようですが、概して数十年程度ということで、そうした程度の前兆現象、これは地殻の変動であるとかいうことですが、それは観測できるだろうという説明は、現在の状態では妥当であろうというふうに考えておりますので、そのような期間をもって変状があらわれるということを観測していくという必要があろうかと考えています。 219 ◯遠嶋委員 規制委員会、規制庁に出した九州電力の資料で、例えば六十年とかという数値を出した根拠は、ドルイットが出した論文の報告を参考にしているというふうになっていますが、それはそうなんですか。 220 ◯森田参考人 現在、今、御質問いただきましたドルイットという人物が書いた論文の主要部分をもとに、数十年という数値の計算のベースになっていることは事実でございます。 221 ◯遠嶋委員 このドルイットの論文については、藤井噴火予知連絡会の会長さんが直接本人に確認をされているんですけど、そのことは、内容について確認をされているんですけど、御存じですか。 222 ◯森田参考人 お答えいたします。  東京大学名誉教授藤井敏嗣先生が、私どもの原子力規制委員会の本年八月二十日(後ほど「八月二十五日」に訂正発言あり)の火山のモニタリングに関する会議において、そうした御発言をされていたのは記憶にございます。 223 ◯遠嶋委員 そうした内容というのは私はまだ申し上げていないんですけど、この件に関しての何を確認したかというと、ドルイットの研究報告では、百年間かけてマグマが供給されていくと、その際は地表では数十メートルの隆起あるいは年間で一メートル近くの上昇があるはずであるというような研究内容になっているそうですが、藤井さんが確認したところ、余りにも数値が大きいものだから、マグマが上に隆起するのではなくて下にたまっていくと、下のほうに下がっていくんじゃないかと、そういうことも考えられるというようなことをドルイットさんが言ったと。そして、これはチリのチャイテン火山ですかね、違いますね、チリの、まあ名前はいいや、その固有の火山というかマグマの研究であって、一般的にはこれは採用できないと、一般的ではないというような見解を述べているわけですね。  九州電力にしても、あるいはそれを容認した規制委員会あるいは規制庁としても、百年あるいは六十年前後を予知期間というふうにしているのは、唯一このドルイット論文しかないというふうに認識をしているわけですが、それはそう捉えてよろしいでしょうか。 224 ◯森田参考人 今、御指摘の八月に藤井教授がお話になられた、先ほど私がそうした発言があったと申し上げたのは、ドルイット氏本人に連絡をとったという話があったことと理解してそのようにお答えしました。今、委員がおっしゃられたようなお話はありましたけれども、藤井先生は、私、記憶している中では、これはギリシャのサントリーニ島という島の火山についてドルイットという人物が研究を行った成果であって、ということで藤井先生は確認をされて、そうしたお話はございました。  私ども、このドルイットの論文に関してどう考えているかといいますと、これは一つの比較的新しい論文なんですけれども、最新の知見であるということで評価には入れるべきだろうということを考えました。それから、マグマがカルデラ噴火する際にどのような形態を示すかということを岩石学な手法で科学的に証明したのは、これは一つの成果だろうと思っています。日本の国内でもこの論文に関してプラスに評価する評価があるように考えております。  したがって、この論文は一つの知見ではありますけれども、川内原子力発電所のリスクを考える際には、この論文以外にも、実際の姶良カルデラの地下にあるマグマの状況であるとかそうしたことを、あるいはこれまでの姶良カルデラ付近の噴火の形態であるとかということを総合的に判断しておりますので、ドルイット氏の論文のみが、火山リスクの評価に一つだけの論文が貢献をして判断の支えになっているというようなことではないものでございます。 225 ◯遠嶋委員 藤井名誉教授のいろんなところでお話をされている中身では、一般的な捉え方ではないと。先ほど佐藤参考人もおっしゃっていましたけど、論文とか新たな知見とかをする際には、個別でなくて一般的な論文を採用するというようなお話もありましたので、この火山噴火リスクというのは直接県民、国民の命にかかわる問題ですから、やはりそこは、よりリスク低減という意味でいえば厳しい内容を採用すべきだと。非常に何か、これがあったからよかったと言わんばっかりの、百年ぐらいのマグマだまりが年に一メートルの間隔で計測ができるというようなのはあり得ないと、みずからが余りにも数字が大き過ぎるというふうに評価しているわけですから、私はこれはもう一回再検討すべきだというふうに思います。  それと、九州電力の火山噴火リスク対応では、使用済み核燃料の搬出は最低五年は冷やし続けなければならないと、その後、搬出をするということになるわけですが、それはそれで大体そんなものですかね。 226 ◯森田参考人 今の御質問は、予兆を捉えた場合に巨大噴火が起こる可能性があるかどうか評価して、起こった場合には燃料を搬出するという対応になりますという前提でお話になられていまして、これは数年単位の前兆の確認ということを行わなければならないと考えておりますので、これはどのような原子炉燃料が川内原子力発電所に存在するかということによりますけれども、冷却をし、搬送できる、輸送できる状態になってから輸送するということでございますので、私どもとしては、前兆を把握する際には数年単位の前兆を確認する時間的余裕がある観測網をしく、観測体制をしくということは必要であろうというふうに考えています。 227 ◯遠嶋委員 使用済み核燃料を搬出する際には、やっぱり放出熱をずっと鎮静化するというか冷まさないといけないと、その期間として最低五年は必要だという見解をよく聞くんですが、それはそうなんですか。 228 ◯森田参考人 ちょっと私も核燃料の使用済みの発熱量について詳しくはないんですけれども、現在、通常行われている使用済み原子燃料の輸送に関しては、そうした数年程度プールで冷却されたものを運んでいるという現状があるというふうに認識しています。 229 ◯遠嶋委員 大体五年以上は必要だというふうに聞いております。そこで、その五年以上前に巨大噴火あるいはカルデラ噴火の予兆が観測できた例というのがありますか。 230 ◯森田参考人 これは噴火の予知ということに関連してくるんだと思うんですけれども、時期やあるいは規模を事前に詳しく特定したそうした予知というのは非常に難しいんだろうと思っています。国内でも、住民避難をあらかじめ行って被害から逃れたという火山噴火はありますけれども、あるいは住民避難ができなくて被害があったという火山噴火ももちろんございます。時期や規模を特定した予知ということは難しいと考えていますが、ただ、こうした現在、委員が議論していただいている非常に大きな巨大噴火に関しては、数百立方キロメートルというマグマが存在しなければなりませんので、その点に関しては何らかの前兆現象がある可能性が高いというふうに考えています。 231 ◯遠嶋委員 使用済み核燃料を搬出するという意味でいえば、最低五年以上は冷やさないと搬出ができないというふうに聞いています。逆に考えれば、五年以上前に噴火の予兆が確認できないと核燃料の搬出もできないということになりますので、しかも、今、聞きましたけど、五年以上前に予兆を観測できた例はないということですから、この辺は火山噴火リスクを避けるという意味では、私は現段階での規制基準審査は非常に結果的に甘くなっているというふうに、私は言わせていただきます。  それと、参考までに、二〇〇八年のチリ南部でチャイテン火山というのが噴火をしたそうです。これは九千四百年の休止期間があったにもかかわらず前兆の期間はたった二十七時間だったそうです。たった二十七時間ですよ。もうこれは人間が逃げるのも精いっぱいというそういうレベルですので、そういうことも考えながら、私は審査をやり直していただきたいと思います。  あと二点ですね。  十月二十二日、つい最近ですけど、神戸大学の巽教授のチームが巨大噴火の発生確率を百年に一%というふうに解析結果を発表したとされております。これは御存じでしょうか。 232 ◯森田参考人 神戸大学の巽教授のたしか報道発表資料であったかと思いますが、私も読みまして、そうした見解を述べられていることは読んだ記憶がございます。 233 ◯遠嶋委員 百年に一%の確率というのは、一万年に一回ということになるわけですが、姶良カルデラは、爆発の履歴は三年前に爆発した以外は全くわかっていないわけですよね。鹿児島地溝全体でいうと、マグマが堆積し続けている、マグマだまりが膨張し続けているというのは、もうこれは既知のことですから、そういった意味で、巽教授のこの解析は、一万年に一回という意味でいえば、私は、鹿児島地溝がこれはもう次はどこで噴火するかわからないというふうに神戸大学の研究は言っているわけですよね。そういった意味では、姶良カルデラだってもう三万年過ぎているわけですから、一万年に一回という確率でいえば、姶良カルデラを含めて、鹿児島地溝で起こる可能性はほかのところよりも私は高いというふうに言わざるを得ないと思います。そういうこと、これはもう田中委員長も検討するということを言っておられるようですから、ぜひこのことも厳しく検討していただきたいと思います。  最後に、巨大噴火があわよくば五年前以上に予知をされたときに、炉心の燃料とかあるいは使用済み核燃料をどこに搬出するのか、搬出場所というのが確保されているのでしょうか。 234 ◯森田参考人 搬出をするという体制をとっていることは九州電力は表明しております。その内容がどのような体制、社内体制も含めてですが、輸送手段、それから輸送先、あるいは輸送が必要になった際の計画をつくる体制、あるいはそうした判断に至るまでのモニタリングの評価を行う実施体制がどのようにとられているかということは、今後、保安規定の認可とか検査などで確認をしていく方針でございます。  どのような搬出を行うのかということに関しましては、九州電力がモニタリング対象としている五つのカルデラ火山が破局的噴火、九州を壊滅的に被害を受けさせるような噴火をする可能性があるという条件になった際の置かれているもろもろの条件において、判断するべき問題だろうというふうに考えています。 235 ◯遠嶋委員 何かそれは少し僕は違うんじゃないかなと思うんですけど、いつ爆発してもおかしくないというのが火山研究家の見解ですよね。もしかしたら五年以内に起こるかもしれないと。そのときに使用済み核燃料をどこに持っていくかと、確保するのかということは、私は、国民、県民、安全をあるいは命を守るという意味でしっかり審査をしなければならないんじゃないかなというふうに思うわけですが、それを九州電力がするべき問題だということであれば、今までずっと議論してきたことも九州電力がするべきことですから、あとは期待値も含めて九州電力に今後努力をしてもらいたいと言えば、それで終わるわけですよね。それではやっぱりいけないと思うんですよ。  ですから、使用済み核燃料プール、いえば五年以内にもし火山噴火が、これは島崎委員長代行が九州電力に対して、火山のマグマだまりがふえ続けたその瞬間に原子炉をとめるんですかと何回も聞いていますよね。九州電力はそのとき、とめるんですと、はいと答えているわけですよ。だからそういった意味でも、やはり搬出先が確保されていないというのは、私はやはりリスク低減には直接現状ではつながっていないというふうに思います。そうではないでしょうか。 236 ◯森田参考人 済みません。ちょっと繰り返しになってしまうかもしれないんですが、委員御指摘のいつ起こっても、あるいは五年後に起こる可能性もあるということについては、私はそう考えておりません。神戸大の先生が一%というお話をされたという論文が発表されましたが、これは私が読んだ記憶では、日本全国の、つまり北海道、東北にもあるカルデラも含めた可能性のことを論じておられます。南九州のカルデラだけをおっしゃっているのではありません。日本全体のお話です。現在、九州にある五つのカルデラ、これは鬼界も含めてですが、五つのカルデラに関して破局的噴火の直前であるというふうには私、思っておりません。非常に可能性は小さいと。  ただ、やはりどのようなリスクでも、小さいと考えていてもそれに構えをとっておくということが大事だろうと思いますので、委員御指摘のそうした体制が実行されるように、これは私どもの日ごろの検査なども通じて九州電力の体制を引き上げていきたいというふうに思っています。  したがって、そうした措置を講じて九州電力の体制という、これは原子力発電ということをこの地で行う事業者においては責任ですので、そうした体制が実行されることを私どもも確認していきたいというふうに考えています。 237 ◯中村委員長 遠嶋委員、当席からちょっとお願いを申し上げます。  もう遠嶋委員、一時間ぐらい時間をとっていらっしゃっておりますので、皆さんも質問をしたいことがまだたくさんありますから、簡単に質問していただきたいということをお願い申し上げます。 238 ◯遠嶋委員 はい。  今の件ですけど、日本学術会議が高レベル放射性廃棄物の処理もまだ確定しない中で使用済み核燃料をふやし続けることは相ならんと、将来の子供たちのためにですね。これは私はこのことについても同じことを申し上げます。ですから、使用済み核燃料の搬出先もまだ確定できていないのに、再稼働というのは私はやるべきではないということを申し上げておきたいと思います。  次に、この関連の質問の最後になりますけど、使用済み核燃料についてです。  使用済み核燃料プールの耐震性についてはしっかり確認をされたんでしょうか。 239 ◯森田参考人 九州電力の川内原子力発電所においては、使用済み核燃料は使用済み燃料ピットというところに保管してございます。一号機、二号機ございます。これは原子炉建屋あるいは原子炉建屋周辺の関連建屋の重要な構造物でありますので、耐震性が高いSクラスという強固な設計をするということになります。これは以前の規制でもそうでしたし、今後の規制でもそうですので、新しいSSですね、六百二十ガルとか五百四十ガルといったそうした値で設計がなされるということは、九州電力は申請書の中で説明をしておりますので、そうした強固な設計の置かれた施設の中で保管されるということになろうかと思います。 240 ◯遠嶋委員 ずっと気になるんですけど、九州電力がそう言ったとかそう説明したと、それを容認したというような趣旨の御指摘が非常に多いんですけど、私は、やっぱり規制委員会あるいは規制庁というところは新たに規制をする立場で設けられている組織ですから、もうちょっと踏み込んで、みずからの力で一つ一つ解析をしたり点検をしたり直接やってもらいたいと思います。これはちょっと補足ですけど。  あと、リラッキングを川内原発一号機、二号機しているわけですが、このリラッキングのリスクというのはどうなんでしょう、耐震性という意味でいうと。 241 ◯市村参考人 プールの安全性、耐震性の問題は今、森田がお答えしたとおりなんですけれども、これはこれから、今、Sクラスということで耐震をしっかり確認をしますという宣言がなされています。今後、工事計画認可という手続によって具体的な耐震性を確認していくことになりますけれども、その中では当然、現行の設備がリラッキングということで稠密化が図られているということであればそれを前提にした耐震評価をするということになろうと思います。 242 ◯遠嶋委員 それは今からということですね。 243 ◯市村参考人 工事計画認可という手続は、もう委員御案内のとおりと思いますけれども、現在、もともとの工事計画認可の申請というのは昨年の七月の設置許可申請と同じタイミングで出ておりましたけれども、結局、設置変更許可のほうが大きく審査の結果、内容が変わってきましたので、それで我々許可をしています。そうすると、それに合わせて当然、工事計画認可申請も変えていただく必要がございますので、これについては一号炉部については去る十月八日、二号炉部についてはつい二十四日でございますか、補正の申請が出てございますので、これをこれから審査をするという段階でございます。 244 ◯遠嶋委員 やはりリラッキングをしていること自体で、通常の使用済み核燃料プールよりもリスクが高いわけですから、そこについての安全性についてはより厳しく対応していただきたいというふうに思います。  あと最後に、福島第一原発事故の際に、一、二、三号の爆発の様子がテレビで放映されたわけですが、三号機の爆発の様子は一号機、二号機と比べると、一号機、二号機は白煙が横に広がっていたと、三号旗は黒煙が縦に上っていったと、これはよく言われる話で、私も目で確認をして確かにそうだなと思っているわけです。これは、三号機はいわゆるプルサーマル計画、MOX燃料を装荷している原子炉なんですが、このことの影響というのは規制委員会としてどう評価されているんでしょうか。 245 ◯市村参考人 事故の原因の分析の話はきょう冒頭、それから少し前にも話がありましたけれども、今、できる限りの情報収集をして我々としての見解を出しているところです。その中では、おっしゃるとおり、福島第一の三号炉にはMOX燃料が使われていたことは確かでありますけれども、それによる影響あるいはそれによる放射性物質の放出に何か差があったかということについては、我々が得ているデータ、詳細に分析した結果でも、その違いというのはあらわれてきていないと認識してございます。 246 ◯遠嶋委員 MOX燃料というのは、もう皆さん御専門家ですからよく御存じだと思いますが、私どもの薄学な知識の中でも、非常に毒性も高くて危ないと。燃料の消化、いえば燃料のむらもあったり、安定度で非常に普通のウラン燃料よりも管理が厳しいというような話も聞いています。ですから、今お話があったのがそのまま本当にそうかなと私は思わざるを得ないということでございます。  そういった意味では、プルサーマル計画というのが今後どうなるのかわかりませんが、非常に原発というのは取り扱いが、人間にはとても手に負えるものではないということははっきりしていると思いますので、ぜひプルサーマルも含めて根本的な見直しを進めていただきたいというふうに思って、この関連質問は終わります。
    247 ◯中村委員長 次は、関連で成尾委員に発言を求めます。 248 ◯成尾委員 私どもも巨大噴火の可能性が高いと判断をしたときに運転を停止できる、原子力規制委員会がですね。この根拠というのが、原子炉等規制法の六十四条の危険時の措置と言われているんですが、それでいいのか確認です。そういうので、いわゆる噴火の可能性が高いと判断したときに運転停止を求めることができるというふうに言われているんですが、それは確かなのか。また、その根拠は原子炉等規制法の六十四条でいいのかどうか。 249 ◯森田参考人 私どもの規制委員会の中では、モニタリングによって万が一異常な状況が認められた場合には、安全側に判断をして原子炉の停止を求めるなどの対応を行うという方針は持ってございます。そういう方針で対応してまいりたいと考えています。  これをどのような法的根拠で求めるかという点に関しては、私は、現時点では法律の何条を使うということを確定しているものではないだろうと考えています。これは、求めるということによって九州電力の対応を促すということもございますし、それによってどのような対応なのかということを見きわめた上でのさらなる対応ということもあろうかと思いますので、現時点で、何条に基づくもの、どの措置ということはまだ考えていないだろうと考えています。 250 ◯成尾委員 いわゆる先ほどから言うように、規制庁自体はどっちかというと、車に例えれば車検が通ったという部分を調べ、あとは運転する人がどうかということですけど、これは九電ですという話なんだと思うんですよ、今のお話。ただ、そう言いながらも、危ないという判断はやはり規制委員会のほうが指示しないと、いわゆる何かが起こる前にとめないといけないというのも、そこがやはり規制委員会の仕事だと思うんですよ。安全は、車は大丈夫だけど、危ないよというときにはとめるというのがやはりここの仕事だと思っています。そういう意味では、指示、停止できるというここがきちっとできていないと、起こってからでは遅いんだと思っているんです。  そういう意味で、常日ごろの監視ですとかそれから観測というのをある意味でいうと、先ほど来意見されているんですけれども、その中でいくと、どうも九電、いわゆる運転者に任せているので、運転者がある程度いいといっているのでそれでやっていますよということなんですが、ここあたりを何か起こる前にとめられるということさえあれば、今回の事故みたいなことにならないんじゃないかと思うんですけど、そこのところが、どうもよく言われるのは、監視とか観測を電力任せで本当に大丈夫なのかという多くの疑問を聞くわけです。皆さん方は車検、車として、原子炉としては安全ですというだけであって、運転者がしっかりしてもらうように注意をしますということだけなのかですね、そこのところをちょっと教えてほしいんです。 251 ◯森田参考人 巨大噴火に至る兆候が確認された場合の対応としては、二段階だろうと思います。まずは九州電力が会社のしかるべき人間がそれを判断して、会社として原子炉の運転は停止すると、燃料を搬出するという判断がきっちり行われて、対応するということを確実にするのが一つの段階だろうと思います。もう一つの段階は、原子力規制委員会が規制当局として、それでもなお九州電力の対応が悪い場合には、私どもの権限でそれを九州電力にその対応をさらに促すと、この二段階が必要なんだろうと思います。  一段階目は、委員御指摘のように、私どもも保安検査官という検査官がおりますので、常時発電所の中で行われている議論については議論に参加をして、どのような発電所での判断が行われているのかということは監視しています。こうした中で、九州電力の中で火山のモニタリングに対して情報がきちっと責任者に上がって適切な判断が行われているかということは監視して、一段階目のものは確実に行われるようにいたします。それでもなお、九州電力の対応が規制当局からして甘いと考えた場合には、御質問いただいた最初の話ですけれども、規制委員会としては運転の停止を求める方針は現在でも持っておりますので、それを行っていきたいというふうに考えています。 252 ◯成尾委員 まず、先ほどの絶対の話もですけど、いわゆる何かが起こった場合、重大事故に対応するのはいわば事業者ですと、国もそれを支援しますというお話なんですけど、再稼働をするのも事業者がされるという話なんですけど、再稼働していいよというのは要するに誰の責任になるのかなというのが明確にないからどうも、いや、それは事故が起こったらそれはもう事業者ですと、国としても支援する。再稼働もこれを判断するのは、材料は与えるけど、判断するのは九電ですというここにあるものですから、じゃ誰が責任を持つのというのがどうも不明確になって、非常に県民の方々にもわかりづらいんだろうと思うんです。そこについてはどうなんでしょうか。 253 ◯佐藤参考人 今のお話は、やはり事故が起きた際とかそういった少し大きな話でございますので、私からお答えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど来から私も御答弁申し上げておりますとおり、まず事業を行っている者、これが責任が一番あるというのはこれは言うまでもないことだと思っています。その上で、政府においては、私どもは例えば規制についてしっかりと見ると。例えば防災については内閣府防災、きょうの午前中にも説明に参ったかと思いますけれども、内閣府防災が責任を持ってというようなことで、政府自身もこうした規制をすることあるいは防災をすることなどのそれぞれの役割を十分に持ってやっているということでございまして、決して政府がそうした責任をとらないということでは決してございません。  ただ、こうして事業者が一義的に責任を持つというふうに申し上げている趣旨は、やはりそういった覚悟がなければこうした原子力事業は行えないんだということについては、これは間違いないことだと思っておりますし、私どもも、これは委員長が常々申し上げておりますけれども、規制というのは安全にとっての最低の要求水準であって、事業者というのはそれに満足することなくしっかりとそうした対応、安全についてもそうですし、防災についてもやはり事業者が我がことということで取り組んでいただくということが大事だというふうなことで申し上げているところでありまして、政府としてそうした責任を回避するということでは全くないということだけは御理解いただきたいと思います。 254 ◯成尾委員 今、事故が起こったような話でした。再稼働をするかしないかというのは、規制庁さんは今さっき言ったようにいわゆる車の、原子炉の建屋その他の安全性だけ確認をして、再稼働いいですよというのはどこがやるんですか。 255 ◯佐藤参考人 これはやはり私どものつかさつかさというか、役割でやっていると思います。例えば再稼働するという意味が、日本国において原子力発電を続けていくということにつながるその再稼働ということであるならば、これはやはりエネルギー政策にかかわる部分だと思っておりまして、私どもからお答えすることはできないということでございます。他方で、じゃ安全のところで、再稼働というのは安全の面からどうかというふうなお尋ねであれば、私どもがきょうこうやって説明に参ったとおり、今、求められている基準、これに合致しているという意味では、ある意味法的レベルの安全というのは担保できているというふうに考えるところでございます。 256 ◯成尾委員 ちょっとこれじゃなかなか、分野分野なんでしょうけど、ただ、先ほど言われたように、安全性、再稼働というのが最終的には総理なのか、判断をして九電でやるのかですね。だから、そこがまだ明確に、こういう万が一、事故の場合はこうです、こっちはこうです、再稼働はそれは九電がしますという、何かちょっとかみ合わないというか、皆さん方は自分たちの持ち前というか、自分たちの役割でやっているんですけど、それが国民の側に、最終的に責任を持つというけど実際はそこが、じゃ私が言うから再稼働しますと、させますというそこがまだ明確じゃないものですから、非常に不信がちょっとあるのかなという気がしていて、そこを聞いているんですけど、これ以上言っても多分、安全性しか答えられませんということですから、結構です。 257 ◯中村委員長 関連で、まつざき委員。 258 ◯まつざき委員 私も、私の質問の五番目に火山の影響というのを入れておりましたので、ここでお尋ねさせていただきます。  きょうの御説明の中で、巨大な噴火の過去の発生間隔が約九万年ということで、川内原発の運用中にそういうふうな破局的噴火が起きる可能性は極めて低いと、そしてモニタリングで予知でき、もし必要があればそれをとめて、使用済み核燃料はほかに移すんだと、移す場所はまだ決まっていないという、そういう説明でした。  先ほどから火山学者の名前が何人か出てきておりますが、地元の新聞、六月十二日付に東大地震研究所の中田節也教授のコメントが載っております。これは、原子力規制委員会が火山影響評価ガイドを策定するに際して唯一ヒアリングを受けた専門家です。その中田教授が言われるには、「何らかの噴火の前兆はつかめるが、それが大きな噴火か小さい噴火のままの兆候か、火山学的にはその時点ではわからない。異常のサインをいつ出せるか、カルデラ噴火に至る時間的プロセスもわかっていない。それなのに大規模噴火の前兆を捉えられるという話にすりかわった。規制委員会が要請すべきは、燃料を運び出す余裕を持ってカルデラ噴火を予測できるモニタリングのはず、それは無理だと規制委員会にコメントしたが、全然通じていない」と言われているわけですね。  また、火山噴火予知連絡会の会長の藤井敏嗣氏も、「我々は巨大噴火を観測したことがない。どのくらいの前兆現象が起こるか誰も知らない。これまで前兆現象を認識できたのはせいぜい数日前で、ほとんどが数時間前。モニタリングで噴火時期が判定できるというのは火山学の常識から外れています」と、日本大学教授の火山地質学の高橋正樹教授は、「火山影響評価をめぐる原子力規制委員会の基準は、できもしないことをできるかのように定めている。結果的に国民にうそをつくことになりかねない」というような厳しいコメントを出しておられるわけですね。きっと御承知のことと思います。  それでも今回の適合審査の中では、先ほど冒頭に申し上げたように、九州電力が平均で九万年に一回なんだから破局的噴火は運用中は起きないと、モニタリングで前兆現象を予知できるんだというふうに言われる。これだけの先ほど申し上げた火山学者が違うと言っていることに対して、九州電力が言っているのが妥当だと言われる。ということは、規制委員会は先ほど名前を申し上げた火山学の知見以上の知見をお持ちだということなんでしょうか、教えてください。 259 ◯森田参考人 お答えいたします。  前兆や予知に関してですけれども、私どもどう考えているかと申し上げると、巨大な噴火というものが、人類が観測したものは非常に少ないというのは事実だろうと思います。巨大な噴火というのは三万年前に起こった姶良カルデラの噴火といったようなものですね、これを直接観測すると、その周りは観測している機器も含めて全部火砕流で押し潰されてしまいますので、できないですし、それから起こった歴史が非常に古いということで、記録が少ないというのは事実だろうと思っています。  しかし、一八一五年にインドネシアのタンボラ火山というところで同様の噴火は起こっております。十九世紀でございますので情報はございますし、それを研究されている方々もいらっしゃいます。それから、これはテレビの話で恐縮ですが、九月の末にNHKスペシャルで、アメリカのイエローストーンというこれも非常に巨大な噴火をするだろうと将来予測されているところですが、これも観測網をしいてカルデラの火山というのはどのように起こるかということの研究が行われております。  そうした情報はございますので、全く経験がないとか全く知識がないということではなくて、私ども最新の知見で持っている情報はあると。恐らく今、委員がおっしゃられた記事に掲載されている先生方もそういう知識は踏まえられた上でのことだと思いますけれども、知見というのは存在しているんだろうと思っています。  ただ、四百五十立方キロというようなマグマの噴き出しが起こり得るような火山については、これはやはりそれだけ大きなマグマの供給があるのであれば地殻変動とかあるいは火山性地震というのは必ず非常に高い確率で起こるだろうと考えています。現在、姶良カルデラは隆起している状態にあります。これは、桜島の大正噴火以降も隆起を続けています。この隆起のスピードというのは、これはもう火山学者の方々は観測していただいて評価もされています。それが異常な状態になっていくのであれば、それは姶良カルデラが何らかのこれまでの条件とは異なる動きをし始めているという判断ができるのではないかと考えています。  したがって、現在この姶良カルデラの地下にそのような大量のマグマがあるという知見はないんですけれども、近代的な観測経験はないのは事実でありますけれども、このマグマ供給量が変化してくる、大きなマグマ供給量になってきて隆起のスピードが上がってくるというようなことがあれば、これは前駆現象と捉えて対応するべきだろうというふうに考えまして、そのような評価をし、運転する九州電力は原子炉停止まで判断をするような制度、体制をつくるように求めているものであります。 260 ◯中村委員長 ここで、暫時休憩いたします。         午後四時四十八分休憩      ────────────────         午後四時四十九分再開 261 ◯中村委員長 再開いたします。  ここで、あらかじめ時間の延長をしておきます。  会議は、おおむね五時三十分までといたします。 262 ◯まつざき委員 さまざまな知見があるというふうなことを御紹介いただきました。確かにそうであると思います。九州電力としては電力事業者として再稼働したいわけですから、より再稼働に有利な知見の立場で、モニタリングできるんだと、破局的噴火は運用中は起きないんだという立場に立つことはわかります。ただ、先ほどから議論になっているように、いかにリスクを低く抑えるかということがこの原発にかかわっては重大な課題ですね。ゼロにはできないけれども、いかに低く抑える努力をするか。  そういう点で考えると、規制委員会としての立場としては、一方ではモニタリングできない、一方ではモニタリングできるとすれば、リスクをいかに低く抑えるかという点では、モニタリングできないという立場に立って、私たち鹿児島県民の命がかかっているわけですから、そういう立場に立つべきだと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。 263 ◯森田参考人 これは私の答弁からもう御推測ついているかもしれませんが、私どもは、前駆現象が数カ月、数年の単位をもって発生すると考えてございます。こういうことに関して火山学者の中には、「巨大噴火は何らかの前駆現象が発生する可能性が高い」とおっしゃる先生もおられますので、これはそうでないとおっしゃる火山学者はいらっしゃるのかもしれませんけれども、前駆現象が発生する可能性が高いということについて妥当性はあるだろうというふうに考えてございますので、そうした対応は可能であろうと。ただし、注意すべき点があるのは事実だろうと思っています。  例えば前駆現象があったとして、それが巨大噴火に至るかどうかというところの判断をどのように行うのかというようなこと、それから前駆現象をどのような手段で観測していくのかと、現在、桜島とか九州のカルデラで行われている観測網でどの程度のカルデラの状況変化を信頼性を持って確認できるかということについては、これは慎重な検証をして十分な観測体制をしけるような形に持っていくべく、これは問題がありましたら規制委員会としても対応していきたいというふうに考えています。 264 ◯まつざき委員 じゃこの問題の最後に、四月二十三日の適合審査の中で当時の島崎委員長代理は、火山学者の専門家から意見を聞くということについて、九州電力も必要だろうし、委員会としても判断基準というのをあらかじめ持っておくことが大事だと思うと、もう少し慎重な検討が必要だと思うというふうに述べられたにもかかわらず、それはなされないまま審査書ができ、そして専門家による原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームということで、会合はその審査書ができてから、モニタリングに関してということで持たれました。  出席した先ほど紹介したような学者の方たちが参加されて、こういう会合はどういうことだと、どういう中身だと、どういう趣旨なのかということで、実際にも適合審査に審査書ができてから、今度は具体的なモニタリングということで呼ばれたということで、非常にこの会合の趣旨にしても疑義を持っておられましたが、審査中に専門家から意見を聞くことなく、審査書ができてしまってからこういう会合を持たれた、そのことはなぜなんでしょうか。 265 ◯森田参考人 今、委員御指摘の検討チームという指摘がありましたけれども、これが先ほど私が八月二十日に開かれたというふうに申し上げた会議でございます。その際の配付資料の中に原子力規制委員会が、済みません、開催日は八月二十五日でございました。済みません、先ほど二十日と申し上げたかもしれませんが、第一回の会合は八月二十五日でございます。この開催を決めたのが、原子力規制委員会が八月二十日に開催を決めてございます。  この原子力規制委員会の決定の内容は、川内原子力発電所の設置変更許可の申請の審査に当たっては、噴火の可能性が十分小さいことを継続的に確認するという目的でモニタリングを行うということを審査対象にしておりますので、原子力委員会として申請者、つまり九州電力がモニタリングについて異常を検知した場合の原子力規制委員会の対応を行うということを考える、そのことを検討するチームを設けるということを八月二十日に決定してございます。  つまり九州電力の個別の申請内容については、これは破局的噴火と呼んでいる巨大な噴火が起こる可能性は十分小さいという判断をしている一方で、規制委員会の対応が今後求められる可能性があるので、そのための対応を検討するということでございまして、九州電力の個別の評価とは別に、規制委員会の対応が今後必要になってくるという問題意識から、八月にこうした会合を開いたものでありまして、カルデラの巨大噴火ということに関するものと規制委員会の対応というのはまた別の対応として、この会合を開催しているという根拠になってございます。 266 ◯まつざき委員 火山の影響について、申し上げたように九州電力の主張が妥当ということで、専門家の意見が、審査書ができ上がってから規制委員会の対応という今、御説明ですが、ということで開かれたということで大きく疑問を持つものですが、きょうのお話については承っておきます。以上です。 267 ◯中村委員長 次に、住民説明会について関連質問を提出されておりますので、まつざき委員に発言を求めます。 268 ◯まつざき委員 住民説明会が五カ所で開かれまして、私はそのうちの四カ所に参加いたしました。やりとりを聞かせていただきましたが、その中で、先ほどもお話があって、なかなか簡単に理解できる内容ではないと思うと、でも、理解されるようにいろんな工夫をして努力したというお話がありました。  当日も、住民の皆さんから「わからない」という質問があったことに対して、市村規制管理官が、「審査に百人程度の人を投入して、一年以上にわたって審査をしてきた内容を、たった数十枚のスライドでこの時間でわかってくださいというのは難しい」というふうに発言されています。田中委員長も二十三日に、「一回で理解するのは難しい」というふうに言われております。  ところが、五カ所の会場で県が行ったアンケートには、「わからなかった項目に丸をつけてください」というふうになっていて、その結果の集約でそれぞれの項目ごとに、十二項目あったと思うんですが、それぞれの項目ごとに大体二十数%、三十数%の人が丸をつけているということになっているわけです。平均が、丸をつけた人は三〇%程度の人がわからない項目ということに丸をつけた。説明者として参加をされて、じゃ丸をつけなかったあと七〇%の人はどういう評価だったというふうにお感じでしょうか。 269 ◯佐藤参考人 私も先ほどちょっと御説明したときに申し上げましたけど、最後、住民の方がどのように理解されるかというのはやはり住民の方にお聞きいただくのがとは思いますけれども、私どもとして先ほども申し上げた工夫、できるだけわかっていただけるような工夫というのが多少なりとも反映して、もちろん、三割程度で「わからない」というふうに言われたことについては、今後、我々がこの件にかかわらず、対外的に説明する際にはやはりこの点も努力しなくてはいけないとは思いますけれども、我々のそういった今回の努力というか工夫がある程度通じたというか、わかっていただけたというのは少し励みになるかなという気はしています。 270 ◯まつざき委員 通常アンケートであれば、「わかった項目に丸をつけてください」というのならば、はっきりとわかったと、これだけの人がわかってくれたんだというふうにきっと受けとめられると思うんですけれどもね、わからなかったことに丸をしてというふうに言われて、三〇%が丸をつけた。じゃ、あとの七〇%の人はわかったと言えるのかというところでは、会場の雰囲気からして、この七〇%の人たちが全てわかったというふうにお思いですか、どうでしょう。 271 ◯佐藤参考人 なかなか難しい質問かと思います。何分アンケートは県がされたので、ちょっと私どもでそこはどうお答えしたほうがいいのかというのは難しいところだと思いますけれども、物の見方として三割の人がわからなかったというのの裏返しが、じゃ全部わかったのかというふうに理解するのも、委員おっしゃるとおり少し乱暴な話かもしれませんし、他方で、そういうふうに理解したという項目でアンケートすればというところは、ちょっと我々も少しその点は、アンケートにかかわっていませんので何とも言いようがございませんけれども、私から申し上げることができるのは、説明に、できるだけわかりやすく説明することに心を砕いたというふうに御理解ください。 272 ◯まつざき委員 私がこういう質問を申し上げたのは、住民の人から聞くと、ずらっとある項目の中でわからなかったのはというふうに聞かれたので、比較してこれはわからなかった、これはわからなかったというふうにつけたのであって、つけなかったからといってそれがわかったわけではない。ところが、県は、三〇%の人が「わからなかった」に丸をつけたので、七〇%はわかったというふうに、先ほど本当に、乱暴なという言葉を使われましたが、本当に乱暴な解釈をしたので、感覚としてどういうふうに受けとめられたかなというのをお聞きしたところです。以上です。 273 ◯中村委員長 これで、関連する質問を終わりたいと思います。  質問通告をされて一回も発言の機会のない、次は、まえの委員にお願いします。 274 ◯まえの委員 午前中もお聞きをしたんですが、規制庁は専ら原発の施設に関する新しい規制基準の適合性審査をされてきているわけです。そして今現在、再稼働に向けた住民説明が行われたり、あるいは薩摩川内市議会あるいは県議会でさまざまな調査が行われているということであるわけですが、ただ、本日の委員からも、安全性に関すること、それから避難計画に関することの質問が多岐にわたっているわけです。直接専門というか所管ではないかもしれませんけれども、今後、施設の安全性、それから各市や町が作成をする避難計画と一体的に議論をするというシステムが私は必要のような気がするんですが、そこあたりに関する規制庁の見解をお聞かせください。 275 ◯佐藤参考人 私どもが審査をして、きょう結果を皆様に御説明申し上げたのは、一つに所管する法律、私ども法律に基づいて仕事をしているわけでございまして、それはまさに原子炉等規制法と言われる、この法律自身はまさに原子力施設の安全に係る規制ということでございます。他方で、避難計画とかそういったものについては別の法律がございます。もう御存じのとおり、原子力災害対策特別措置法とかあるいは災害対策基本法という法律のつくりがある。  もう一つ実態面で申し上げると、やはり避難というようなことになると、これは規制庁だけではなく、政府でいけばもうまさに警察、消防、自衛隊等々あるいは地元の自治体というようなことで、これは関係者といいますか、そうしたかかわりを持つ人たちが多岐にわたっているということでございまして、そうした観点からは、私どもはもちろん、避難については原子力災害対策指針といって、できるだけ科学的・技術的な観点からそうした指針で貢献をさせていただいているということでございますけれども、そういった避難計画というようなものについてはこれは政府一体として取り組むというような方針のもと、実際に、午前中にも説明あったかと思いますけれども、安倍総理がヘッドとなる原子力防災会議などでしっかりと確認しているという状況でございまして、そういう意味においては、政府としてもこうした避難計画についてしっかりと確認し、そうしたものを後押ししているんじゃないかというふうには認識しております。 276 ◯まえの委員 けさほども避難計画等々については内閣府から説明がありまして、極力国のほうも避難計画等々についてのアドバイスとか支援についてはこれはやっていきたいということだったわけですね。規制庁の場合は直接はそっちに関与しておられませんから、見解だけをお聞きしたところでした。  ほかの質問に移りますが、よく一体審査ということが言われます。もちろん設置変更許可については規制庁のほうでやられているわけですよね。この後に、九電の方々もさきの委員会で今後、工事計画認可、そして保安規定変更認可を受けないと事業者としては再稼働はできないということを明言をしておられるんですね。今の段階というのは、設置変更許可が出ただけで、それに伴う工事の計画認可あるいは保安規定の変更認可たるものは今まさに審査中だというふうに理解をしているんですが、それでいいわけですね。 277 ◯市村参考人 委員御指摘のとおり、工事計画認可あるいは保安規定変更の認可については、申請を受けて、現在審査中という状況でございます。 278 ◯まえの委員 それじゃ、きょうは十月二十七日ですが、きょう現在で適合性審査は終了していないという認識をしたらいいんでしょうか。 279 ◯市村参考人 言葉の使い方をどのようにということかもしれませんけれども、適合性審査ということで、まずやっぱり許可というのは、ほかの工事計画認可あるいは保安規定認可という名前が違うとおり、許可というのは、基本的には禁止、原子力を使うというのは禁止をした上で、特定の要件を満たしたものについて許すという、許可をするという非常に大きな判断でございます。  工事計画認可あるいは保安規定認可というのは、その許可をもらった中において、例えば工事計画、先ほどの御質問いただいたのは耐震性の評価でございますとか、あるいは保安規定の認可であれば、許可を得た上での具体的な発電所の運営とか運転とかというものがしっかりできるかというものを認可をするということで、その位置づけとしては大きく異なるものでございます。  そういう意味では、今回許可を出したというのは、先ほど佐藤の答弁にもありましたように、法律に基づく安全性、運転に当たっての安全性というのを確認をしたという段階でございますけれども、他方で、委員御指摘のように、全体的な新しい規制基準に対する審査全体としては、やはり工事計画認可あるいは保安規定認可というのも残っておりますので、そういう意味では全部が完了した段階ではないということは申し上げられると思います。 280 ◯まえの委員 全く県民目線でお聞きをしているんです。今、初めてお聞きをしましたけれども、いわゆる許可というものと認可というものの違いを私も改めて認識をしたようなことなんですが、県民の皆さん方は、もう許可がおりたんだからもう全てが、マスコミも含めてそうですけれども、もう再稼働の許可がおりたみたいな理解をしておられるんですね。ですから、そのあたりがまだ手続的には、事業者九電としては手続的にはこれこれこれこれ残っていますということを明言をされたんですね。そのことをもって全てが終わった段階がいわゆる一体審査ということになるのかなということがあって、どうも県民の皆さん方のそのあたりの理解というものについての説明のあり方というんでしょうか、そのあたりについて理解を深めるという意味でいうと、あとどういうことを考えておられますか。 281 ◯佐藤参考人 いわゆる国民の皆さんに理解していただくということでございまして、いろいろと私ども、週に三回ですか、会見の場もあります。委員長一回、あと報道官二回と。また、ホームページでは各種資料を掲載するなどしてそういうことをやっておりますので、こうした機会を捉えて節目節目に何らかの形で、そういったものを活用しながら理解していただくということも少し考えていきたいとは思っております。 282 ◯まえの委員 最後ですけれども、七月三十日に原子力規制委員会の記者会見でまさに佐藤原子力規制企画課長が、住民説明会の開催時期について、設置変更許可がおりた段階でも、三つの認可が全部そろってからでも対応はできると言っておられます。住民説明会では設置変更許可に関してのみ説明がされたわけですね。工事計画と保安規定変更認可の決定の後に、地元から要請があれば説明会を開催をされるおつもりがありますか。 283 ◯佐藤参考人 この件につきましては鹿児島県さんとは調整をさせていただいておりまして、県からお伺いしているのは、今回の設置変更許可の審査が終わった段階で説明をしていただきたいということでございましたので、そういう意味で今月ずっと回ったわけでございます。そういう意味では、現状においては、県からはそういうふうなお話を聞いておりますので、私どもは今、設置変更許可の説明ということだけでやらせていただいております。 284 ◯まえの委員 残るいわゆる認可、二つの認可ですが、これらのスケジュールといったようなものはまだ補正書が出されたばっかり、二号機についてですね。それらのめどというのは今この場ではもちろん言えないと思いますが、どういう流れでいくんでしょうか。 285 ◯市村参考人 お答え申し上げます。  委員が答えを言っていただいたとおり、我々、安全の側面から一つ一つステップを踏んで確認をしてまいりますので、スケジュール的なことは関係なく、むしろ、きょう我々、代表何人か来ていますけれども、先ほどほかの委員からも御指摘があったように、我々と一緒に働いている審査官が数十名おりまして、それらの者が一つ一つ確認をしていく作業をしている段階でございますので、今時点でスケジュールというものは特段持っておりません。  ただ、ステップを申し上げれば、工事計画認可というのを、先ほど何度か出てきた耐震性を含めた具体的な確認をするわけですけれども、それをした上で、工事計画認可の対象になったものについては使用前検査という検査行為がございますので、検査行為をして問題なければ発電所を使っていくという、こういう段階になっていくものでございます。 286 ◯まえの委員 わかりました。  工事計画認可、そして保安規定変更認可という言葉であるわけですが、これはほとんどペーパーだということで理解をしているんですね。今おっしゃったように、現地で許可に基づく規定どおりの工事がされているかというものについての確認のあり方について教えてください。 287 ◯市村参考人 お答え申し上げます。  使用前検査の対象も工事計画認可の対象物ですので、相当の量があります。それから今回の場合は新設の発電所ではございませんので、今回、工事計画認可で改めて確認するものも、もともとできていたというものがございます。もともとできたものを改めて耐震性が大丈夫かという確認をしたようなものもございますので、そういうものは恐らく現地で物を見る行為というのは過去にやられていますので、改めて見る必要がないものもあるかもしれません。  そういう意味では、今回やや特殊な、最初に冒頭説明したバックフィットという、もう既に許可を得て運転をしていたものに改めて基準を適合してという非常に新しいシステムを適合していますので、この体系のもとでの使用前検査というものをどうやっていくかというのは、もちろん事業者からの使用前検査申請というものを踏まえたものになりますけれども、我々として具体的にどういう合理的な確認が、過去にさかのぼった例えば書類の確認であるとか、これはやっぱり新しいものだから現地で当然見るべきだとか、幾つかのやり方があると思いますので、これは申請を踏まえてしっかりした確認をしていきたいというふうに考えてございます。 288 ◯まえの委員 最後に確認ですが、この二つの工事計画認可、保安規定変更認可、この認可がされたとき、認可がされた後でないと、もちろん事業者は使用前検査の申請は出されないということですね。 289 ◯市村参考人 使用前検査というのは基本的に施設、ハード物の確認になりますので、工事計画認可というのが必ず必要になります。これが出たものに対して使用前検査をするということになります。他方で、保安規定変更認可というのは、保安規定というのは発電所を運転するために必ず必要なものですから、今も事業者は持っています。今、持っていますけれども、新しい基準に適合したものとして今、変更をしようとしている、変更の申請が来ているものでございます。これについては、この保安規定変更認可がないと検査そのものができないというわけではないので、これとはちょっと別でございます。むしろ、保安規定というのは別の体系で保安検査というのがありまして、これは通常は四半期に一回定期的に、現地に常駐をしてございます保安検査官というのが実施をしますけれども、保安規定という発電所を運転するために必ず守らなきゃいけない行為が常に守られているかどうかというのは、別途の保安検査という体系のもとで定常的に確認をされていくということになります。 290 ◯中村委員長 まえの委員、いいですか。 291 ◯まえの委員 はい。 292 ◯中村委員長 関連して、もう時間の関係で、成尾委員を最後にさせていただくことを御了解いただきたいと思います。 293 ◯成尾委員 SPEEDIのことも聞こうとしましたけれども、スピードアップのために最後だけ。  いわゆる運転期間、原子炉は四十年とするということで、民主党政府の時代に、原子炉運転期間四十年、一回だけ二十年延長できるという原子炉等規制法の改正が提出されました。そのときにその審議の中で原子力学会が、原子力安全規制に係る国会審議に向けての提言を公表して、四十年運転期間は技術的な根拠がないと指摘をした。ただ、法案提出側は、四十年というのは科学的根拠はないが、政治的に出された期間であり、新設された委員会、皆さん方ですが、専門的な観点から正しく判断し、この期間をゼロベースから見直すと答弁をしていました。そこで、四十年という運転期間というのは、原則はどのように考えていらっしゃるのか、そこについて教えていただきたい。 294 ◯佐藤参考人 法案の審議でございますし、議員立法でございますので、私どものいわゆる政府から出した法律ではないので、詳しくはその根拠について御説明申し上げることはできませんけれども、私どもなりに解釈しているものとしては、これまでの原子炉設置許可などの審査において、運転開始後四十年の使用を想定して重要設備などの設計上の評価をしているものが多いというこういう実態がございまして、こうしたものを考慮したものではないかというふうに理解しております。 295 ◯成尾委員 そうすると、規制委員会自体も四十年というのを一つの運転期間と、もうこれ原則だというふうに認識されているということでいいんですか。いわゆる法案を出したのは議員提案でしたけれども、いわゆる規制委員会自体もそれを原則四十年ということで認識されていて、それに向けて、またそういう状況でやっていかれるのかどうか。 296 ◯佐藤参考人 原子炉等規制法、いわば法律でそのように決まっている以上は、私どもは法律にのっとって粛々と審査、仕事をしているという意味においては、発電所の原子炉の運転期間は四十年が一つの区切りであるという理解でございます。 297 ◯成尾委員 一回だけ二十年延長できると、このときはもう一回また検査しないといけないと思うんですけれども、それについては現時点ではまだ、原則四十年してみないとわからないというふうに言うかもしれないんですけど、要は四十年の、それから一回に限り二十年というこのときの検査というのは、近々迎えるというのは余りないかもしれませんし、四十年を過ぎてどうする、廃炉にするかというのも各電力会社に今、実際には政府としても、経産省も言っているようでございますけれども、そこあたり今後、例えば川内であっても、あと十年したら四十年を迎えるわけですので、そういう部分も見越していろんな形のシミュレーションをしながらされるのかですね、そこあたりはどうなんでしょうか。 298 ◯市村参考人 この四十年の制度というのは、先ほど答弁があったように法律で決められて、そのもとで政府のほうでつくる政令でございますとか、あるいは省令と言われる具体的な基準、規則等を既に整備をしてございまして、具体的に四十年の、仮に延長をしたいということなのであれば、どういう点検をすべきということであるとか、あるいはそのためにはどういう書類を備えて申請をしてくるべきかということは既に定まっておりますので、川内の場合は確かに三十年程度でございますので、まだ先輩がいるということかもしれませんけれども、恐らく既に四十年に近いプラントというのが相当数ございますので、これらについては我々がそういうもので示した、政令、省令で示したものを踏まえて、もし申請をされるのであれば準備をされるということになると思います。 299 ◯成尾委員 東日本大震災から三年過ぎまして、ある意味でいうと、この福島第一事故を再発させないための規制委員会の体制がしてある。ただ、東京工業大学の西脇先生に言わせると、規制委員会は発足して一年半、若い組織であって、規制行政を軌道に乗せるために全力で疾走してきた感があると、ともすれば、役所は前例踏襲、自己正当化に陥りやすいと、しかし、規制委員会には、安全文化を根づかせる観点からも、規制基準、委員会審議のあり方、委員会と事務局の関係、監査機能とかこれまで構築した許認可や運営体制を不断に見直していくことが必要であるというふうにありましたけれども、ぜひそういうことも含めてしっかりとした、合わせ役じゃなくてきちっとした安全性を確保していただきたいということを申し上げまして、終わります。 300 ◯中村委員長 これで、参考人に対する質疑を終了いたします。  ここで、当委員会を代表して参考人の皆さんに一言お礼を申し上げます。  本日は、大変お忙しい中を当委員会に御出席いただき、御意見をお聞かせいただきました。時間も予定の時間を大幅に延長してしまったことを委員長として深くおわびを申し上げます。  本当にきょうはありがとうございました。  以上で、参考人に対します意見聴取を終わります。  明日は、午前十時から、請願・陳情の意見聴取を行います。  本日は、これをもちまして散会いたします。  御苦労さまでした。         午後五時二十四分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...