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2014-09-12 平成26年第3回定例会(第2日目) 名簿
2014-09-12 平成26年第3回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2014-09-12
    2014-09-12 平成26年第3回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    桑 鶴   勉 君    き 久 伸一郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 会議録署名議員の指名(追加) ◯議長(池畑憲一君)先日指名いたしました会議録署名議員小幡兼興君が在席しておりませんので、本日の会議録署名議員に上野新作君を指名いたします。       ───────────── 3    △ 代表質問 ◯議長(池畑憲一君)代表質問であります。  桑鶴勉君に発言を許可いたします。
       [桑鶴 勉君登壇](拍手) 4 ◯桑鶴 勉君 平成二十六年第三回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問をいたします。  先般、八月二十日未明に、広島市北部を中心に発生した土砂災害は、死者・行方不明者七十四名という大惨事となりました。改めて、犠牲となられた方々に心より哀悼の誠をささげますとともに、被災された皆様方の一日も早い復興をお祈り申し上げます。  本県において、平成五年に鹿児島市及び姶良郡などを襲った平成五年八月豪雨や平成九年の出水市針原地区土石流災害、また、昨年十月の伊豆大島の土石流災害を思い起こさせる突然の悲惨な災害でありました。近年、地球温暖化の影響も指摘される中、異常現象や突発的なゲリラ豪雨は年々増加する一方であり、全国各地において災害が頻発いたしております。  今回の災害を受け、政府は、土砂災害警戒区域の指定促進に向け、土砂災害防止法改正の検討を始めたとのことであります。全国の土砂災害危険箇所のうち、土砂災害警戒区域の指定は七割弱にとどまっており、都道府県のばらつきも大きい状況にあります。土砂災害防止法は、平成十一年に広島県で発生した大規模災害を契機に制定されたのでありますが、今回の広島市の被災現場の多くは、いまだ警戒区域にも指定されていなかったとのことであります。  本県の指定状況は、九州では福岡県に次いで約八割となっておりますが、引き続き、残る地域の指定を急ぐ必要があります。警戒区域の指定によって、住民が土砂災害の危険性を十分に認識することが極めて重要であり、また、緊急時の避難対策について住民に繰り返し周知徹底する必要があります。  局地的豪雨の予測の困難さや避難勧告のあり方など、さまざまな課題が指摘されておりますが、最も基本にあるのは、住民みずからが今回のような災害が全国どこでも起こり得るということを前提に、自分たちの住む場所をよく知り、土砂災害の危険性を日ごろから認識しておくとともに、異常な雨が降った場合には、みずからの判断で行動を起こす自助・共助の意識を持つことが極めて重要であると思うのであります。  それでは、通告に基づき質問してまいります。  初めに、行財政関係について伺います。  まず、スーパーアリーナ整備に係る検討状況についてであります。  スーパーアリーナにつきましては、昨年五月末、鹿児島港本港区の、現在、ドルフィンポートのある県有地を整備予定地にするとの方向性が示された後、地元鹿児島市からの十分な協議を求める要請文の提出や、地元紙による世論調査での反対意見が半数を上回る結果などを受けまして、ゼロベースで見直すこととされました。  県は、スーパーアリーナ構想について、総合的かつ多目的で集客力の高い施設として、新たなにぎわい空間を創出し、都市構造の再構築を図ることを目的とし、また、中長期的には、経済発展が見込まれる環黄海経済圏における交流の拡大を見据えた施設群の一つとしても期待できるとし、今後、地元や関係者などさまざまな意見や動きなど機運の高まりを見ながら、施設の必要性や規模・機能などそのあり方や、整備のスケジュール等について十分な検討を行う必要があるとしております。  県は、本年度予算に調査費を計上し、今後改めて検討を行うための準備として、施設の必要性や規模・機能などそのあり方等を内部検討するとしております。  知事は、四月の定例会見で、「国体に間に合わせるかどうかの判断はいつごろまでにという考えか」との質問に対し、国体だけをテーマにしたら六年もあるので、まだ時間も十分あるという趣旨の発言をしておられます。  このような中、県内の自治体や団体からは、それぞれの地域を施設整備の候補地として、要望書等の提出のほか、決起大会や署名活動など誘致を求める動きが活発化しておりますが、自治体からは県の方針を早く示してほしいとの声が聞かれております。県において誠意ある説明を行うべき時期が来ていると考えます。  一方で、スーパーアリーナ構想は、総合的かつ多目的で集客力の高い施設の整備を目的としていますが、多くの集客交流が見込める国際会議や見本市等のビジネスイベント、いわゆるマイス─MICE─用の施設整備計画が、九州管内では熊本市や長崎市においても進行中とのことであります。県勢の発展を見据えて、本県でもこうした施設を早期に整備することも求められるのではないかとも考えます。  知事がイメージとして持っておられる、さいたまスーパーアリーナの場合、平成十二年度のオープンに向け、その六年前になる平成六年度にコンペに向けた審査会が設置されるなど具体の動きが出てきていますが、本県のスーパーアリーナの場合、規模こそ異なりますが、平成三十二年度の国体での活用を念頭に置きますと、本年がちょうど六年前になります。にもかかわらず、いまだ設置場所さえ決定していない状況であり、また、誘致に向け活動している市や町などの過度の競争を避けるためにも、設置場所を早急に決断すべきと考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、スーパーアリーナの整備について、県の方針をいつ示すのかお聞かせください。  第二点は、とりわけ、国体開催に向けたスーパーアリーナ整備スケジュールについてお示しください。  次に、県政刷新大綱及び行財政運営戦略に係る取り組み内容等について伺います。  本県においては、平成十六年度に四百五十一億円あった財源不足に対し、平成十七年三月、危機的な財政状況を踏まえ、あるべき行財政の構造の姿や、その実現に向けた改革の方向性を示す県政刷新大綱を策定しました。また、平成二十四年三月には、引き続き財政健全化に向けた取り組みを進めていくため、行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示す行財政運営戦略を策定いたしました。  県では、これまで、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業については、その財源を十分に確保しながら、職員数の縮減や職員給の見直しによる人件費の削減、普通建設事業費全体の水準の見直し、事務事業見直しによる一般政策経費の削減等のほか、組織機構改革、市町村への権限移譲など、歳入・歳出両面にわたり行財政構造改革に取り組んできたところであります。このような取り組みの結果、平成二十三年度からは財源不足が解消され、行財政運営の健全化が図られつつあるところであります。  一方、国においては、六月に閣議決定した骨太の方針の中で、地方財政改革について、中期財政計画に定められた方針に基づき、必要な地方の一般財源総額を確保しつつ、地方財政の健全化を図るとするものの、他方で、平成三十二年度までに、国・地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標のために、歳出の徹底した重点化・効率化を継続するとしており、今後の地方交付税制度の安定的な運営が不透明な状況にあります。  また、骨太の方針では、法人実効税率について、来年度から数年間で二〇%台に引き下げることを目指すとしておりますが、法人関係税の収入の六割は地方の財源となっており、法人実効税率が引き下げられた場合、地方財政への影響が懸念されます。  今後、少子高齢化の急速な進行による社会保障関係費の増嵩など、引き続き本県財政は厳しい状況が続くことが見込まれる中、持続可能な行財政構造を構築することが求められております。  そこでお尋ねします。  第一点は、これまでの県政刷新大綱及び行財政運営戦略による取り組み内容及び成果についてお示しください。  第二点は、これらの成果を踏まえ、今後どう取り組むのかお示しください。  次に、未利用財産の有効活用について伺います。  県では、平成二十年度に県有財産有効活用方策を策定し、平成二十四年度までの五年間で二百億円の売却目標を掲げ、取り組んできたところであり、二十五年度以降も、未利用財産の有効活用・処分の基本的な考え方を踏襲し、引き続き積極的な売却に取り組むとしております。  昨年度に売却した未利用県有地は、農業試験場跡地七十三街区や鹿児島西高校跡地など三十七件で、売却額は約二十九億六千八百万円となっており、活用方策を策定して以降六年間の売却実績は、二百二十六件、約百三十一億八千七百万円となっております。  未利用財産のうち、昨年度一般競争入札で売却することとしていた農業試験場跡地三十二、二十五、二十六街区につきましては、平成二十六年第一回定例会において、医師会等を中心に、医療法人徳洲会が進出することに対し強い懸念が示された状況を踏まえ、医師会と徳洲会双方より意見等を出していただき、必要に応じて調整を図ることとしたところであります。出された双方の考えに相当の隔たりもあり、売却時期について具体的に見通すことは困難な状況にあるとの答弁がありました。  工業試験場跡地につきましては、平成十六年に整地がなされてから、ことし七月で丸十年を過ぎたところであります。試験場跡地を含む鹿児島中央駅西口地区の土地の利活用につきましては、平成十八年度に、JR九州、日本郵政、鹿児島市及び県で構成される連絡会を設立し、鹿児島の陸の玄関口にふさわしい都市機能の充実・向上を図る等の観点から、一体的な利活用の検討を行っているとの答弁が繰り返しなされてきておりますが、現在までのところ、具体の進展が見られない状況にあります。  鹿児島養護学校跡地につきましては、さきの六月議会における私の一般質問に対し、教育長は、鹿児島市の吉野第二地区土地区画整理事業の対象地になっており、換地等の方向性がはっきりしていないことから、現段階で活用や処分を検討できる状況にないこと、今後、鹿児島市の利用意向も聞きながら、売却も含めた利活用について検討するとの答弁がありました。  県警察学校跡地については、民間への売却を含め検討することとなっていますが、地域住民からは、住民が広く利用できるような活用を図ってもらいたいとの強い要望が出ており、県としては、鹿児島市からの申し出があれば対応を検討するとのことですが、これも進展が見られない状況にあります。  谷山地区におきましては、鉄道高架事業や区画整理事業などが進められており、一方、鹿児島中央駅周辺では、アミュプラザの増床工事など民間企業を中心に開発が進められております。また、鹿児島養護学校跡地県警察学校跡地の活用について、住民からの強い要望もあります。そのような状況の中、いずれの跡地も、まちづくりを進めていく上で極めて重要な役割を担うものであると考えます。  そこでお尋ねします。  それぞれの跡地の利活用を促進するための、現在の取り組み状況と今後の取り組み方針をお示しください。  次に、県民生活関係について伺います。  まず、霧島国際音楽祭の成果等について伺います。  霧島国際音楽祭が、ことし、第三十五回の節目を迎えました。七月十六日から八月三日まで、みやまコンセールを中心に、国内外で活躍する若手音楽家やトップアーティストの多数の出演のもと、県内各地で多彩なコンサートが開かれました。  この音楽祭は、志があっても留学できない学生のために、すぐれた音楽家による教育と音楽会を聴ける機会をつくることを目的に、一昨年亡くなられたゲルハルト・ボッセ名誉音楽監督の指導・監督のもと、昭和五十五年に始まり、現在は、草津で開かれる音楽祭と並び、日本で最も歴史ある音楽祭の一つとなるまでになっております。  県が平成六年に整備したみやまコンセールは、第十五回から音楽祭主会場としての役割を担いつつ、本年で二十周年の節目を迎えました。コンサートと並び音楽祭の柱として、若手音楽家の育成を図るため開催しているマスタークラスでは、県内はもとより、県外、さらには国外から多くの受講生を迎え、一流の音楽家から直接実技を主体とした講習を受けることができ、年々受講生の水準の向上が図られております。  また、音楽祭の演奏会の期間中には、友の会の手づくりによる野外ビュッフェ・パーティーが開かれ、音楽家や受講生を地元の料理などで手厚くもてなし、お互いの交流の場となっております。  音楽監督としてボッセさんを引き継いだ堤剛さんにおかれましても、質の高い演奏や県内各地でのさまざまな趣向を凝らしたコンサートを開催しておられます。  ことしは、昨年の東京公演に引き続き、さらなる認知度向上や本県への誘客促進を図るため、キリシマ祝祭管弦楽団による海外初となる台湾公演が開催されました。本議会の海外経済交流促進等特別委員会が台湾を訪問した際、当委員会が海外との文化・芸術の交流促進を課題として掲げていますことから、当日、メンバーは台北の会場を訪れ、私も一員として演奏を聴かせていただきました。ベートーベンのプログラムによる、時に荘厳で迫力のある、また時に繊細で豊かな音色の演奏は、現地の約千四百人の聴衆の心を引きつけ、鳴りやまぬ盛大な拍手を耳にして、成功裏に終えたことを肌で感じることができました。鹿児島の人間として誇らしくもあった次第であります。  そこでお尋ねします。  これまでの成果と今後のさらなる発展に向けた取り組みについてお示しください。  次に、鶴丸城楼門の復元に係る取り組み状況等について伺います。  鶴丸城の楼門復元について、鶴丸城御楼門復元実行委員会では、明治維新百五十周年に当たる平成三十年の完成を目指しております。楼門復元に係る建築費用につきましては、建築費用七億五千万円のうち四億五千万円を民間からの寄附金で負担することとしており、実行委員会が昨年十二月以降、企業や個人に対して寄附金の募集を行ってきました。五月の新聞報道によりますと、寄附金が目標額に達する見通しとなったとのことであります。  一方、県におきましては、集められた寄附金を適正に管理・活用するために、三月に鶴丸城楼門復元協力寄附金基金を設置しました。楼門復元の着工までの手続につきましては、第一回定例会での我が会派の質問に対し、楼門の復元場所である鶴丸城跡が県指定史跡であることから、現存する遺構の保存・保護のための発掘調査や史跡全体の保存・整備、活用計画を策定した上で、平成三十年完成のためには、遅くとも平成二十七年度中に設計を終え、その後、建築工事が着工されることになるのではないかとの見通しを示しております。  本年度、県は、鶴丸城跡保全整備事業として、鶴丸城跡の石垣について、現状調査や修復箇所・方法の検討を踏まえ修復工事を実施し、その保全を図るため、平成二十六年度当初予算として一億四千万円余りを計上しています。鶴丸城跡の石垣については、議会の総務委員会の行政視察で現地を拝見しましたが、鶴丸城築城後四百年を超える長い年月を経る中で、戦災、天災等による損傷を受けつつも、幾度かの修復工事等によりこれに耐えながら、現況に至っているのとのことでありました。  そこでお尋ねします。  第一点は、現在の寄附金の状況についてお示しください。  第二点は、鶴丸城跡の石垣修復の進捗状況についてお示しください。  第三点は、復元に向けた今後の取り組み内容及びスケジュールについてお示しください。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 5 ◯知事(伊藤祐一郎君)私からは、霧島国際音楽祭についてのお尋ねについてお答えをさせていただきます。  霧島の雄大な自然の中で開催されております霧島国際音楽祭は、我が国でも歴史が古く、レベルの高い音楽祭として国内外に広く知られておりまして、これまでの講習生の中からも世界を舞台に活躍する多くの若手音楽家が生まれ、また演奏会の鑑賞者も近年大きく増加するなど、県民を初め多くの方々に愛着を持たれ、楽しんでいただける音楽祭として定着してきているところであります。  三十五回目を迎えた本年は約一万六千人の鑑賞者や講習会への参加者があり、講師や講習生と地元との活発な交流や、さらには霧島の地名を冠する音楽祭の情報発信によりまして、霧島、鹿児島のイメージアップにも大きく寄与していると考えております。  初の海外公演となりました台湾公演についてでありますが、当音楽祭の質の高さを示すとともに、あわせて開催いたしました記念レセプションなどによりまして、多様な食文化や豊かな自然など、本県の多彩な魅力を台湾の方々にアピールすることができたものと考えております。  県といたしましては、地元に密着し、若手音楽家を育成するこの音楽祭が今後とも県民に親しまれ、県内の芸術・文化の裾野が広げられますとともに、国内外へも広く情報発信し、アジアを代表する音楽祭としてさらに充実・発展していくことを目指してまいりたいと考えております。 6 ◯知事公室長(福壽 浩君)スーパーアリーナ構想についてでございます。  スーパーアリーナ構想につきましては、県内各地域から各種の誘致要望がなされており、また、屋内スポーツ競技関係者などから、国体に向けた整備についての期待が寄せられているところでございます。  この構想は大規模なプロジェクトであり、将来的に望ましい施設としての機能を発揮していくためにも、いろいろな意見が出てくるような状況を受けて、十分な検討をすることが必要であると考えておりまして、現在のところ、スケジュール等について申し上げる状況にはございません。  工業試験場跡地の有効活用についてでございます。  工業試験場跡地の利活用につきましては、これまで、周辺の土地と合わせた一体的な利活用が望ましいとの認識から、関係土地所有者から成る連絡会でさまざまな検討を進めてきております。  一方で、中央駅周辺や天文館地区において、類似の機能を持つ施設の民間による開発検討が進んでおり、大きく状況が変化してきておりますことから、これらの開発状況や経済状況等も見きわめながら、連絡会関係者で個別開発も含め、幅広に協議・検討を進めていくこととしております。 7 ◯総務部長(寺田雅一君)県政刷新大綱及び行財政運営戦略に係る取り組み内容等についてでございます。  県政刷新大綱及び行財政運営戦略に基づく主な取り組みといたしましては、歳出面では、人件費につきまして、一般行政部門における職員数を平成十六年度から一千三百人程度縮減いたしますとともに、職員給の見直しなどを行ったところでございます。また、事業の効率化・重点化を図りながら、普通建設事業費の水準の見直しを進めることなどによりまして、新規の県債発行額の抑制に努めたところでございます。その結果、臨時財政対策債等を除く県が独自に発行する県債の残高は、平成二十六年度末におきまして、平成十六年度末に比べ三千億円程度の減となる見込みでございます。  歳入面では、滞納縮減特別対策等による収入未済の縮減などによりまして県税収入の確保を図っておりますほか、未利用財産の売却や特定目的基金の有効活用などに努めているところでございます。  これらの取り組みの結果、平成十六年度に四百五十一億円ありました財源不足額は平成二十三年度以降解消され、平成二十六年度におきましても財源不足の生じない予算を編成したところでございます。  今後につきましては、ことし六月に閣議決定されました骨太の方針におきまして、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字化を目指すとされておりまして、特に地方財政につきましては、リーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めていくとされていること、また、本県における扶助費が増加傾向にありますとともに、公債費が高い水準で推移すると見込まれることなどを踏まえますと、今後とも本県財政は厳しい状況が続くことになると見込まれます。  このため、県といたしましては、引き続き行財政運営戦略に基づきまして、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。  農業試験場跡地の有効活用についてでございます。  農業試験場跡地のうち三十二、二十五、二十六街区につきましては、一般競争入札により売却することといたしておりますが、その売却方法を検討する過程におきまして、医師会等を中心に、医療法人徳洲会が進出することに対し、強い懸念が示されたこと等を踏まえまして、双方より意見等を出していただき、必要に応じ、調整を図ることとしたところでございます。  現時点におきましては、双方の考え方に相当の隔たりもあり、売却時期等につきまして具体的に見通すことは困難な状況にございますが、引き続き、売却に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 8 ◯教育長(六反省一君)鹿児島養護学校跡地の有効活用についてでございます。  鹿児島養護学校跡地につきましては、鹿児島市の吉野第二地区土地区画整理事業の対象地となっており、同事業に伴う換地等の方向性がはっきりしていないことから、現段階で活用や処分を検討できる状況にないところでございます。  今後、土地区画整理事業の進捗状況を踏まえ、全庁的な検討委員会において関係部局とも連携を図りながら、売却も含めた跡地の利活用を検討してまいります。 9 ◯警察本部長(池田克史君)警察学校跡地の有効活用についてでございます。  警察学校跡地は、平成二十一年三月策定の県有財産有効活用方策において、待機宿舎跡地などと合わせて一体的に売却する方針をお示ししたところであります。このようなことから、分筆など売却に向けた条件整備に努めてきたところです。  また、グラウンド跡地部分は、地元住民からの利用要望を踏まえ、鹿児島市と協議を重ねてまいりましたが、市からは利活用の意思は示されておりません。  現在、グラウンド跡地部分の雨水貯留施設について、必要性を含めて所管部において検討を行っているところであり、その結果を踏まえ、関係部局と連携して売却に向けた準備を進めてまいります。 10 ◯県民生活局長(岩切剛志君)鶴丸城楼門の復元に係る寄附金の状況についてであります。  楼門復元に係る寄附金については、八月末現在で約四億五千六百万円が既に県に納入され、募金の最終年となる平成二十八年を待たずに目標額である四億五千万円に達したところであります。鶴丸城御楼門復元実行委員会では引き続き募金活動を行い、今後、県外在住の郷土出身者等へも呼びかけることとしており、県としては、これまでと同様に、同委員会の募金活動や広報活動に必要な協力を行ってまいります。  鶴丸城跡の石垣補修の進捗状況についてです。  鶴丸城跡保全整備事業は、県指定史跡である鶴丸城跡の石垣について、鶴丸城石垣調査事業の結果を踏まえ、修復を要する部分の優先度を考慮し、順次工事に着手することとしています。今年度は、楼門復元計画を勘案して、楼門部の石垣について修復工事を実施することとしており、現在、実施設計に向けた作業を進めています。今後、県文化財保護条例に基づく手続を経た上で、石垣修復工事の支障となる記念碑や樹木の移設などに着手することとしています。  鶴丸城楼門復元に向けた今後の取り組み内容及びスケジュールについてであります。  楼門復元については、寄附金が目標額としている四億五千万円を超えたことから、建設主体のあり方など建設に係る諸課題について、実行委員会等と鋭意協議を行っております。実行委員会が目標とする平成三十年完成のためには、遅くとも平成二十七年度中に設計を終えて、その後、建築工事に着工する予定であり、今後とも、鹿児島市とも連携しながら必要な作業を進めてまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 11 ◯桑鶴 勉君 御答弁いただきました。  スーパーアリーナについてでありますが、知事は、定例会見等で、もう少し熟度を待ちたい。一定の機運が高まった段階で動きたいという趣旨の説明をしておられますが、県民にとっては、一向に今後の方向性が見通せないというのが実感であります。県民及び地元自治体、関係団体等の意向を踏まえ、早急に県としての明確な方針を示すことを強く要請いたします。  県政刷新大綱及び行財政運営戦略についてでありますが、危機的状況にあった本県の財政を立て直し、行財政運営の健全化が図られつつあることは、伊藤知事の大きな成果であります。しかしながら、社会保障関係費の増嵩が続く中、持続可能な行財政構造の構築はまさにこれからであり、引き続き着実な取り組みを推進されるよう要望いたします。  未利用財産の有効活用についてでありますが、工業試験場跡地及び農業試験場跡地については、財産の活用という観点以上に、都市機能の充実、都市再開発等の観点から極めて重要な意義を有するものであり、他の二件についても、まちづくりを進める上で大きな役割を果たす案件であることから、積極的かつ着実な取り組みを要望いたします。  霧島国際音楽祭についてでありますが、地域の人々に支えられつつ、年々発展を続けておりますことは、まことに喜ばしいことであります。初の海外公演を機に、内外の文化・芸術の交流促進に向けて、さらなる取り組みを強く要望するところであります。  鶴丸城楼門の復元についてでありますが、本年度から始まる鶴丸城跡保全整備事業については、楼門の復元工事により手戻り工事が発生しないよう十分調整を図るとともに、来年秋、黎明館で開催予定の国民文化祭については、工事による来客への支障が生じないよう十分留意するよう要望いたします。  次に、危機管理関係について伺います。
     川内原子力発電所の再稼働についてであります。  川内原子力発電所一、二号機については、国の原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査を先行して進めるとの方針に基づき、原子力規制委員会は、九州電力からの原子炉設置変更許可申請書の補正申請を受け、七月十六日に審査書案を公表しました。翌十七日から八月十五日まで、審査書案に対する科学的・技術的意見を募集し、約一万七千通の意見が寄せられたとのことであります。原子力規制庁では、届いた意見を精査し、去る十日に審査書を決定し、原子炉設置変更許可が出されたところであります。八月五日、九電は、工事計画認可の補正申請書類の提出が予定よりおくれ、九月末になることを明らかにしました。  県は、原子炉設置変更許可の後、十月九日から薩摩川内市ほか四市町で住民説明会を開くとともに、新規制基準に基づく国内初の再稼働の可否について、県としての判断をすることになりますが、補正申請書類の提出のおくれ等により、再稼働の時期は見通せない状況であります。  県は、原子力規制庁に対し、新規制基準に係る審査結果の説明のために、住民説明会への職員等の派遣を要請しているところと聞いております。一方、茂木前経済産業大臣は、経産省としてエネルギー政策の全体像や原子力政策を説明する考えを示し、立地自治体や関係者の理解を得るのは大変重要とし、国も役割分担してしっかり説明の努力をすると述べました。また、先般の内閣改造により就任された小渕経済産業大臣も、地元の理解を得ることが大切で、国として説明することが必要、立地自治体や関係者の声を聞きながらしっかりと対応したいと述べたと報ぜられております。  知事は、八月一日の定例記者会見で、県が再稼働の必要性を文書で示すよう経産省に要請したことを明らかにしました。これに対し、菅官房長官が記者会見で、経産省が適切に対応すると述べ、県の要請に応じ、文書で説明する意向を示しました。  国は、エネルギー基本計画において、原子力発電所について、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提のもと、その安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めるとし、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むとしております。  一方で、原子力規制委員会は、新規制基準に原発が適合しているかどうかを判断する立場で、絶対に安全であるということは言明しないとの姿勢であります。また、再稼働の是非についても判断しない方針であることを表明しております。  さて、昨年九月の関西電力大飯原発の稼働停止以降、原発が全く稼働しない状態で夏の需要時期を過ごしていますが、これは、昭和四十一年に国内初の原発が稼働して以降、ほぼ半世紀ぶりのことであります。九州電力では、他の電力会社からの応援融通受電等を織り込むことなどにより、電力の安定供給に必要な予備力を確保できる見通しでありますが、今後、トラブル等により大型火力発電所が停止した場合、大幅な供給力不足も懸念されます。  再稼働をめぐりましては、いろいろな課題が取り沙汰されております。  火山対策は、規制委員会が昨年、新たに規制基準に盛り込んだものですが、九電は、火山の巨大噴火の予兆を捉える判断基準の見直しや監視体制を強化する方針を示し、規制委員会はこれを了承しました。しかしながら、専門家からは、巨大噴火への対策には限界があるとの指摘もあります。一方、規制委員会は、原子力発電所における火山活動のモニタリングに関する検討チームを設置し、火山学上の知見や考え方の整理を進めております。  UPZの九市町が策定した住民避難計画につきましては、放射性物質の広がり方や方向を左右する風を考慮していないとの指摘があります。また、それぞれの計画では、避難先は一カ所しか指定していないところもあります。県や市町は、事故の状況を踏まえて対応するとしております。  要援護者避難計画のうち、病院や社会福祉施設につきましては、県は、七月上旬、川内原発半径十キロ圏内の十七施設について策定を完了したと発表しましたが、十キロから三十キロ圏内については、国の動向を見ながら、要援護者の保護を最大限図る観点から、今後、安全を確保するための仕組みづくりを検討するとしております。  また、在宅の要援護者につきましては、さきの県議会において、我が会派の質問に対し、関係市町において避難支援計画を策定することとしており、薩摩川内市は、PAZ内についてほぼ作成を終了し、今後、UPZ区域内について、順次作成を進めることとしているとの答弁があったところであります。  このような中で先般、経済産業省は、重大事故を想定した避難計画の充実に向けた取り組みを支援するため、県に三人、薩摩川内市に二人の職員を派遣する方針を決定したとのことであります。ようやく国の関与を強める動きが出てきたところであります。  汚染検査と除染の実施場所につきましては、県ではこれらを避難先とする予定でしたが、規制庁は六月に、三十キロ圏の境界からおおむね数キロ程度内に設けるとの考えを示しております。  安定ヨウ素剤につきましては、国が昨年、原子力災害対策指針を改定し、原発の半径五キロ圏内の住民に対し、前もって配布することとされたことを受け、薩摩川内市で七月末に全国で初めて、おおむね五キロ圏内の三歳以上の住民約四千七百人のうち、事前の問診で服用可能と判断された約二千四百人に配布されました。今月も三日間、追加配布に取り組んでおりますが、引き続き、配布を受けていない方々への対応が必要と考えられます。  そこでお尋ねします。  第一点として、川内原発一、二号機について、審査書が決定し、原子炉設置変更許可が出されたことにより、安全性が十分に保証されたと考えるか、知事の見解をお示しください。  第二点として、避難等に係る次の五つの点について、どう対応するかお示しください。  一つ目は、経済産業省から派遣された五人の職員について、国からどのような目的で派遣され、県としてどのような連携を図っていくのかお示しください。  二つ目は、九市町が策定した住民避難計画において、避難先や避難経路に風向きを考慮していないとされることに対し、県として今後どのような対応を図るのかお示しください。  三つ目は、十キロ以遠の病院や社会福祉施設に入院・入所している要援護者に係る避難計画及びUPZの区域内の在宅の要援護者に係る避難支援計画の作成についての県の考え方をお示しください。あわせて、要援護者に係る避難計画等の作成が再稼働の前提になるのかについて、県の考え方をお示しください。  四つ目は、汚染検査と除染の場所について、規制庁が示した考え方と、これまでの避難先で実施するとしてきた県の考え方と、どのように調整を図っていくのかお示しください。  五つ目は、安定ヨウ素剤の配布について、配布を受けていない住民の方々に対して、今後どのように対応していくのかお示しください。  以上、五つの課題についてお答えください。  続きまして、第三点として、住民説明会の概要、実施スケジュール、国のかかわり方についてお示しください。  第四点として、再稼働の必要性を文書で示すよう国へ要請したとのことでありますが、その要請内容と要請する意義についてお示しください。  あわせて、再稼働については、本来、国のエネルギー政策として、国が明確に責任を持って判断し、国民に対して説明責任を果たすべきであるというのが、私ども議会の意思であります。そこで、政府の責任ある立場にある者が、国民に対して十分な説明を行うよう求める考えはないのか、お示しください。  第五点として、今後、県は、再稼働に向け判断することになりますが、その手順とスケジュールについてお示しください。  次に、商工労働水産関係についてであります。  初めに、中小企業振興及び国の税制改革の影響について伺います。  本県の企業の九九・九%は中小企業であります。県では、中小企業の振興に関するかごしま県民条例に基づき、中小企業振興に関する推進計画を毎年度策定し、さまざまな中小企業振興対策を実施するとともに、地域での意見交換会等を通じて、各種施策の周知に努めております。県内景気は緩やかに回復しつつあるものの、中小企業者への支援は極めて重要であり、効果的な事業の推進が求められるところであります。  さて、国においては、今年六月に、経済財政運営と改革の基本方針二〇一四が閣議決定されましたが、その中で、日本の立地競争力を強化し、日本企業の競争力を高めることとし、その一環として、法人実効税率を国際的に遜色のない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手することとしています。具体的には、平成二十七年度から数年かけて、法人実効税率を二〇%台まで引き下げることを目指すとしています。  その一方で、減税により必要となる財源については、平成三十二年度でのプライマリーバランスの黒字化目標との整合性の確保が必要としながら、アベノミクス効果による景気回復に伴う法人税収の上振れ分を充てることも含め、外形標準課税の強化や租税特別措置の見直しなど、課税ベースの拡大により恒久財源の確保をすることとし、年末までに具体案を出すべく国において議論が進んでいるところであります。  法人税率の引き下げについては、大企業の内部留保をふやすだけの結果になりかねないと主張する政党もありますが、安倍総理は、日本の競争力を高めることによって、雇用の確保や国民生活の向上につなげていくことを目的とすると述べており、新成長戦略の中でも、コーポレートガバナンスの強化により、内部留保ではなく成長志向型に振り向けるなど、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくこととしております。  他方、これまで税制面で優遇されてきた中小業者からは、外形標準課税を中小企業まで拡大すること等について、地域の実情を無視するものとして懸念する声が上がっております。  そこでお尋ねします。  第一点は、県内中小企業への支援状況についてお示しください。  第二点は、法人税改革による本県内の中小企業への影響が懸念されるが、知事の所見をお示しください。  次に、食品関連産業振興プロジェクトについて伺います。  平成二十六年度、県では、アベノミクス経済効果を県内に行き渡らせ、地域経済の活性化を図るため、さまざまな施策を展開しております。中でも、食品関連産業の一層の振興のため、新たに、県内食品関連企業等が行う商品開発や新市場開拓の取り組みを支援するとともに、経営者向けセミナーの開催や専門家派遣による経営強化等を実施するとしている食品関連産業振興プロジェクトは、本県の基幹産業である農林水産業をベースとした県内の経済活性化を図る施策の一環として大いに期待し、注目しているところであります。  食品関連産業振興プロジェクトは、平成二十六年度から三年間かけて、食品関連産業のさらなる振興と雇用の創出・拡大を目指すものであり、行政だけでなく、関係企業・機関、地域が一体となって取り組むことが求められるところであります。  そこでお尋ねします。  第一点は、食品関連産業振興プロジェクトの今後の具体的推進方針についてお示しください。  第二点は、平成二十六年度の取り組み状況及び今後の課題についてお示しください。  次に、養殖業の振興について伺います。  県では、本県水産業の現状と課題を踏まえて、今後十年間を見据えた本県水産業等のあるべき姿を描き、それを実現するために必要な施策について、その基本的な推進方針等を示す鹿児島県水産業振興基本計画を平成二十三年三月に策定し、基本計画に沿ってさまざまな施策が展開されています。  本県水産業の特徴の一つとして、温暖な気候、静穏な海域や豊富な地下水等を利用して各地域で多様な養殖業が展開されています。海面養殖業ではブリ、カンパチが全国一位であり、本県の主要魚種として位置づけられているところです。  このような中、養殖ブリを中心とした本県水産物の北米などへの輸出が伸びているとのことであります。飼料の進歩により養殖魚の安定した品質の維持や、生産履歴管理等の成果のあらわれと思われます。今後、さらに輸出が拡大していくことが期待されるところであります。  一方、本県は、ウナギの養殖生産量日本一として有名であります。しかしながら、本年、国際自然保護連合─IUCN─が、絶滅のおそれがある野生生物を評価したレッドリストで、ニホンウナギを絶滅危惧種に分類しました。世界のウナギの七〇から八〇%を消費していると言われる日本は、ウナギの保全にも最も大きな責任を持っています。本県としても、ウナギ資源保全の取り組みと無縁ではいられません。  そこでお尋ねします。  第一点は、本県養殖業の現状、課題及び振興方策についてお示しください。  第二点は、海外輸出の現状とさらなる輸出拡大に向けた取り組みについてお示しください。  第三点は、本県の養鰻業の現状と課題及び国際自然保護連合がニホンウナギを絶滅危惧種に分類したことによる今後の影響についてお示しください。  次に、観光交流関係についてであります。  観光振興について伺います。  観光は、農林水産業、商工業などと深く関連し、裾野の広い総合産業であり、観光の振興による交流人口の拡大が雇用機会の創出や増大につながり、地域全体に大きな経済効果をもたらす原動力となることは論をまたないところであります。  本県は、平成二十二年三月に策定した観光振興基本方針に基づき、観光立県かごしまの実現に向け、おもてなしの心と本物の素材で形成する、世界を魅了する観光地KAGOSHIMAを基本目標として、平成二十二年度からおおむね五年間を推進期間として、さまざまな施策を展開してきているところであります。  また、本県では、観光振興に資するため、観光全般をコーディネートし、プロデュースする観光プロデューサーを平成十七年九月に設置しており、ことしで十年目を迎えたところであります。  さて、平成三十二年は国民体育大会が本県で開催されるほか、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される予定であり、国内外の観光客の動向が注目されるところであります。国においては、オリンピック・パラリンピック東京大会を見据え、ことし六月に、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四を決定し、訪日外国人二千万人という高い目標実現のために、ビザ要件の緩和、世界に通用する魅力ある観光地づくり、外国人旅行者の受け入れ環境整備などの柱を立て、従来の施策の改善や強化に加え、さまざまな新規の施策を打ち出しています。  本県においても、国の施策を踏まえつつ、本県の特性を生かしたこれまで以上の総合的・戦略的な観光施策の展開が求められるところであります。例えば、本県単独の取り組みだけでなく、隣県や九州各県などと連携した外国人観光客の広域的な誘致の強化が必要と考えます。  そこでお尋ねします。  第一点は、現時点の観光振興基本方針に掲げる数値目標の達成度合いについてお示しください。  第二点は、観光プロデューサーのこれまでの主な業績と成果についてお示しください。  第三点は、国の観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四を踏まえた今後の本県のインバウンド関連施策の展開についてお示しください。  第四点は、これまでの広域的な外国人観光客の誘致促進の取り組みの成果と今後の取り組みについてお示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 12 ◯知事(伊藤祐一郎君)川内原発の安全性についてのお尋ねがございました。  川内原発一、二号機につきましては、昨年七月に九州電力が原子炉設置変更許可申請を行い、原子力規制委員会におきまして新規制基準に基づく厳格な審査が行われ、去る九月十日に審査書が決定し、原子炉設置変更許可が出されたところであります。世界最高レベルの新規制基準に適合するとして原子炉設置変更許可が出されましたことは、川内原子力発電所につきましては、原子力規制委員会により安全性が確保されることが確認されたものと考えております。  再稼働の必要性を示す文書等についてのお尋ねがございました。  エネルギー政策は、基本的には国の責任であり、その中の極めて大きなテーマであります原子力発電所の再稼働の判断を地方公共団体に委ねるのではなく、国において明確な方向性と意思を示していただく必要があると考えております。  したがって、原子力規制委員会の審査結果を踏まえまして、原子力発電所の安全性の確保や再稼働の必要性について、国としての考えを示した文書を発出していただくようお願いしたところであり、御指摘のありましたとおり、先日の官房長官の記者会見で、政府を代表して経産大臣名で当該文書を発出する旨、発言があったところであります。  なお、再稼働についての国の判断等の国民への説明につきましては、当然、国におきまして、国として適切な対応がなされるものと考えております。 13 ◯危機管理局長(屋島明人君)川内原子力発電所関係でございます。  まず、経産省から派遣された職員についてでありますが、経済産業省から県に派遣された五名の職員は、原子力防災を所管する内閣府の併任を受けており、先般、鹿児島市及び薩摩川内市に着任したところであります。  派遣の目的は、立地自治体等における地域防災計画や避難計画の充実に向けた取り組みへの支援を強化するためであり、本県や関係市町等の要望を的確に把握していただき、関係省庁との連絡調整等にも適切に対応していただけるものと考えております。  住民避難計画における風向きの考慮と県の対応についてであります。  住民の避難については、原発から五キロ圏のPAZは、放射性物質の放出前から避難等の措置を講じることとしております。また、原発五キロから三十キロ圏のUPZは、まず屋内退避を行い、その後、空間放射線量の測定結果を踏まえて原子力災害対策指針の基準を超える地域は一時移転等を行うこととしております。このように、UPZでは同心円で一斉に一時移転等の指示を出す考えはとっておらず、万が一、予定した避難所のある方向の空間放射線量率が高く避難先として不適当である場合には、十月中に整備する原子力防災・避難施設等調整システムを用いて、他の避難所を使用するよう県において調整することとしております。  UPZ内の在宅の要援護者に係る避難支援計画についてであります。  UPZ内の在宅の要援護者については、各人ごとの避難支援者を確保し、一時集合場所や避難場所等を定めた避難支援計画を、十キロ圏内は関係市において今月末をめどに作成が進められており、十キロ以遠については、関係市町において早急に作成が進められるよう県として支援しているところであります。  要援護者に係る避難計画等と再稼働についてであります。  要援護者に係る避難計画等の作成は、法令上、原発再稼働の要件ではありませんが、要援護者の保護を最大限図る観点からは、避難支援者や避難先の確保を図ることが重要であり、関係市町では避難支援計画を、県では避難施設等調整システムを整備しているところであります。避難計画等を含む地域防災体制の整備に完全や終わりはなく、継続的に取り組むべきものと考えており、引き続き、関係市町と連携して避難計画等の充実に取り組んでまいります。  住民説明会についてであります。  住民説明会は、十月九日に薩摩川内市、十日に日置市、十三日にいちき串木野市、十四日に阿久根市、十五日にさつま町において開催することとしております。参加希望の方は、はがき、電子メールまたはファクスにより、必要事項を記載の上、薩摩川内市での開催では同市、それ以外は県に申し込んでいただくこととしております。申し込み期限は九月二十五日までであり、詳しくは県ホームページやリーフレット等に記載してあります。  なお、説明会では、新規制基準適合性審査の審査結果について原子力規制庁の職員に説明していただくこととしております。  再稼働判断の手順等についてであります。  川内原発の原子炉設置変更許可が九月十日に出されたことを受け、県では、十月九日以降、薩摩川内市などの五市町において審査結果についての住民説明会を開催し、国の説明内容に理解が得られたかなどについてアンケート調査を実施することとしております。その上で、薩摩川内市議会、薩摩川内市長及び県議会の意向などを総合的に勘案して、川内原子力発電所の再稼働について判断することとなると考えております。 14 ◯保健福祉部長(松田典久君)十キロ以遠の医療機関等の避難計画の作成についてでございます。  十キロ以遠の医療機関や社会福祉施設につきましては、空間放射線量の状況等に応じて避難先を選定する原子力防災・避難施設等調整システムを活用し、一時移転等が必要となった場合は、システムに登録した三十キロ圏外に所在する病院や社会福祉施設の中から、風向き等を考慮し、避難先を調整することとしております。  人の汚染検査と除染の場所についてでございます。  人の汚染検査と除染の場所につきましては、原則として、避難先となる市町の避難場所に設置する救護所において実施することとしており、このことについて、国からは問題ないという回答を得たところでございます。  安定ヨウ素剤の配布についてでございます。  安定ヨウ素剤の事前配布につきましては、薩摩川内市と連携し、六月十七日から七月二十二日にかけて説明会を九回開催した後、七月二十七日に五会場で配布会を行い、対象住民四千七百十五人に対し、二千四百二十人に配布したところであります。  説明会に参加せず配布を受けていない住民の方々に対しましては、九月中に五回の追加説明会を開催することとし、世帯ごとに再度通知を行ったところであります。今後につきましては、九月までの配布実績を踏まえ、薩摩川内市と協議しながら、引き続き安定ヨウ素剤の配布に努めてまいりたいと考えております。 15 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)商工労働水産関係についてでございます。  まず、県内中小企業への支援状況につきましては、県といたしましては、中小企業の振興に関するかごしま県民条例に掲げました十五項目の基本方針等を踏まえ、創業や新分野への進出などを目指す中小製造業者が行う研究開発、設備投資等への一貫した支援を行いますほか、中小企業者が取り組む経営革新や経営の合理化、資金繰りの円滑化や海外への展開などの支援に取り組んでいるところでございます。  また、各分野の若手経営者等を対象に、経営哲学や先進事例を学び、経営環境の変化を捉え、商品開発や異業種交流などを行う、かごしま産業おこし郷中塾を開催し、将来の県内中小企業の事業活動を担うべき人材の育成を図っているところでございまして、これらの施策を通じて本県中小企業の振興・発展に努めているところでございます。  法人税改革による本県内中小企業への影響についてでございます。  県内経済は、消費税率引き上げによる影響を伴いつつも、個人消費は総じて堅調な動きが続いており、また公共投資も堅調に推移するなど、景気は緩やかに回復しつつございますが、県内中小企業の現状は、人口減少等による需要の縮小という経営環境の変化に加え、原材料価格の上昇などにより、引き続き厳しい状況にあると認識いたしております。  県といたしましては、今回の法人税改革につきましては、法人の国際競争力の強化等の観点から議論が行われているものであること、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しいということ、中小企業に係る税率は経営に対する配慮から低く設定されているということなどを踏まえまして、慎重に検討する必要があると考えておりまして、全国知事会などを通じて、国に対して要請してまいりたいと考えております。
     食品関連産業プロジェクトについてでございます。  本県の食品関連産業は、工業製品出荷額に占める割合が全国一位の五三%となっておりまして、本県産業振興の重点業種でございますが、従業員一人当たりの付加価値額を見ますと、二十四位となっておりまして、今後、食品関連産業の一層の振興を図り、雇用の創出・拡大を実現するためには、付加価値額を高める取り組みを進めていく必要があると考えております。このため、今年度から三年間、新たに、県内食品関連企業が行う商品開発等の高付加価値化の取り組みを支援いたしますとともに、経営力の強化、人材の確保などに集中的に取り組むことといたしております。  今年度は、これまで、商工団体や農業団体等から成る協議会を開催いたしますとともに、マーケティング力強化セミナーを鹿児島、鹿屋、奄美の三市で開催いたしましたほか、企業とデザイナーとのマッチングなどを行ったところでございます。また、魅力ある商品の開発や販路開拓等の付加価値向上に向けた取り組みへの助成、安心・安全な食の認証取得に向けた取り組みへの助成、営業や企画等に携わる人材を正規雇用につなげるためのトライアル雇用などを実施しているところでございます。  国におきましても、本プロジェクトと連動して、設備投資に対する利子補給や雇用奨励金の上乗せ支給を行っているところでございまして、今後とも、関係企業や国、関係団体等と一体となって取り組んでまいります。  本県養殖業の現状、課題及び振興方策についてでございます。  本県の平成二十五年海面魚類養殖業の生産量は約五万五千トンで全国第二位、内水面養殖業の生産量は約五千九百トンで全国第一位となっておりまして、養殖されている水産物では、ブリ、カンパチ、クロマグロ、ウナギが全国第一位となっております。一方、養殖業を取り巻く環境は、人口減少などに伴う国内での水産物消費の減少により、生産過剰、魚価安の傾向が続いておりまして、さらに、燃油、飼料等の価格上昇に伴う生産コストの上昇など厳しい状況にございます。  このため、国におきましては、魚価安時に一定の漁業収入補填を行う積立ぷらすの加入に際し、ブリ、カンパチ生産量の一〇%削減を義務づけますとともに、県におきましては、生産コスト対策といたしまして、燃油や飼料の価格高騰時に一定の価格補填を行う漁業経営セーフティーネット構築事業への加入促進等に取り組んでいるところでございます。  また、消費流通対策として各漁協等が行っているフィレ加工等の施設整備に係る支援を行いますとともに、流通業者や量販店、外食産業等と連携いたしました消費拡大キャンペーン等を強化しているところでございます。  今後とも、県漁連等関係団体と一体となって養殖業の振興を図ってまいります。  海外輸出の現状等についてでございます。  本県産水産物の輸出につきましては、平成二十五年度は前年度比で約二〇%増の三千八百十一トン、金額で約三〇%増の約五十二億円となっておりまして、その約九割が北米向けの養殖ブリで占められておりますが、EU、香港向け輸出も伸びております。  県では、これまで、相手国の衛生基準に合致した加工施設の整備を支援いたしますほか、PR資材の制作や中国、北米における展示会出展等の取り組みを行ってまいりました。また、国に対しましては、各種証明書の発行手続の簡素化などを要請してきたところでございます。  特に、東アジア地域におきましては、さらなる需要拡大が見込まれますことから、今年度は、DVD等のPR資材を制作いたしますとともに、県漁連が行うタイやシンガポールにおける展示会等への出展を支援いたしております。また、新たに生産者等を対象としたセミナーを開催するなど、輸出拡大に向けた産地での機運の醸成を図っているところでございます。  今後とも、県漁連や関係団体等と一体となって、本県産水産物の輸出拡大に積極的に取り組んでまいります。  養鰻業の現状と課題及び今後の影響についてでございます。  本県の養殖ウナギは、生産量では全国第一位となっております。しかし、近年、シラスウナギの採捕量が減少傾向にありますことから、種苗の入手難や価格の高騰など、養鰻業は厳しい経営が続いております。  御指摘がございました、国際自然保護連合がニホンウナギを絶滅危惧種に分類したことにつきましては、これが直ちに漁獲や国際取引の規制につながるということはないと考えております。しかしながら、平成二十八年に予定されるワシントン条約会議におきまして、保護管理の必要な科学的根拠とされ、漁獲や国際取引の規制につながることが懸念されております。この対策といたしまして、国は、ニホンウナギの国際的な資源保護と管理を強化するため、関係各国と協調して、養殖生産量を制限する方向で調整を進めております。  県といたしましても、引き続き、シラスウナギの採捕期間の短縮や親ウナギの禁漁期間の設定等を行うことといたしておりますほか、県内養鰻業者みずからが組織いたしました養鰻管理協議会におきましては、養殖生産量の制限による資源管理を実施することといたしております。  今後とも、国や養鰻業界等と連携して、ウナギ資源の適正管理と資源保護・回復に取り組んでまいります。 16 ◯観光交流局長(武盛武士君)観光振興基本方針の数値目標の達成度合いについてでございます。  観光振興基本方針では、宿泊者数をふやす観点から延べ宿泊者数を、また、観光客の満足度を高め、リピーターをふやす観点から体験だより数を、推進期間の最終年度に達成すべき数値目標として設定しております。延べ宿泊者数については、従業員十名以上の宿泊施設を対象として平成二十六年末で五百五十万人、うち外国人十三万人、体験だより数につきましては、平成二十六年度末で年間五百通以上、かつ、本県観光に八割以上の評価をいただくことを目標としており、昨年の実績はいずれも目標値を上回って順調に推移しております。最終年度である今年度も数値目標が達成できるよう、関係団体等とも連携しながら、観光振興を積極的に推進してまいります。  観光プロデューサーの業績と成果についてでございます。  平成十七年九月の設置から二代にわたり、その専門的な知識や豊富な経験を生かし、県内各地の観光資源の磨き上げや商品化に対する指導・助言、人材育成などに尽力していただいております。初代には、県観光振興方策に関する提言や、かごしまよかとこ百選の選定に取り組んでいただきました。二代目の現プロデューサーは、かごしま観光人材育成塾の開始、年間約二百回を超える研修や講演会など積極的な情報発信に加え、特に教育旅行について、農家民泊など本県の特徴である受け入れ体制の整備や専用新幹線の実現に寄与されており、昨年の修学旅行生は十九年ぶりに十万人台を回復したところであります。  今後の本県のインバウンド施策の展開についてでございます。  観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四は、二〇二〇年に訪日外国人旅行者数二千万人の高みを目指すため、オリンピック・パラリンピックの開催効果を全国津々浦々に波及させるべく、六つの柱を立て、外国人旅行者を地方に誘客するための各種施策も盛り込まれております。  観光産業は、交通から宿泊、物販、飲食まで裾野が広く、本県にとっても極めて重要でありますことから、二〇二〇年のオリンピック等の開催効果を本県にも取り込めるよう、今回示されたプログラムや国の予算の状況も見ながら、当初予算編成において、実効性のある施策の展開について検討してまいります。  広域的な外国人観光客の誘客についてでございます。  海外からの誘客に当たっては、九州あるいは南九州一体となったPRが効果的でありますことから、これまで、国や九州観光推進機構、南九州広域観光ルート協議会などと連携して、商談会の開催、メディアの招請などに取り組んできました。その結果、九州や南九州を周遊する旅行商品が造成されているほか、昨年、本県の外国人延べ宿泊者数は、国の統計によりますと、二十一万五千人で過去最高を記録しました。また、県の動向調査では、ことしはさらに昨年を上回る伸びを示して、十七カ月連続で前年比増となっております。  今後とも、観光地としての魅力づくりは各県で競争し、我が国の魅力を伝えるセールスはお互い協調して取り組んでまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 17 ◯桑鶴 勉君 御答弁をいただきました。  川内原子力発電所の再稼働については、繰り返し申し上げますが、国のエネルギー政策として国が前面に立ち、国民に対して十分な説明責任を果たすべきであります。私どもは、原子力規制委員会の審査結果を受けて、住民説明会や地元自治体の判断、周辺自治体の意向等を踏まえつつ、原子力安全対策等特別委員会を中心に慎重な審議を行い、総合的見地から判断を行っていきたいと考えております。  中小企業振興及び国の税制改革の影響についてでありますが、引き続き、中小企業の振興に関するかごしま県民条例に基づき、積極的な施策の展開を要望いたします。法人税制の改正については、中小企業や地方経済への影響を慎重に踏まえた検討が必要であると考えます。  食品関連産業振興プロジェクトについては、本県の豊富な農林水産物を背景に、経済情勢に影響されにくく、成長可能性の高い産業として大いに期待するところであります。本県の成長戦略としてさらなる積極的な取り組みを要望いたします。  養殖業の振興についてでありますが、県産水産物の輸出が好調であることは、国内市場が縮小する中、大いに期待されるところであります。県及び関係団体の取り組みの成果であり、世界的な水産物消費の増加や日本食ブームを捉え、さらなる販路拡大に向けた取り組みをお願いいたします。  ウナギ資源保護については、全国に先駆けて設立された鹿児島県養鰻管理協議会を中心に、資源保護との共存に向けた取り組みを積極的に推進されることを期待するところであります。  観光振興についてでありますが、観光庁の統計によりますと、昨年の本県宿泊者数は前年比六・四%増の五百八十六万二千四十人、うち外国人は三五・一%増の十八万六千六百人で、調査開始以来最多を記録したとのことであります。今後は、観光拠点以外も含めた県内周遊ルートや、九州と連携した広域的な誘致に向けた取り組みを進めることが重要であると考えます。  次に、農政関係について伺います。  かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針について伺います。  本県では、平成十七年三月に、かごしま食と農の県民条例が制定されました。平成十七年十二月には同条例に基づく基本方針が策定されており、同基本方針は本県の農政推進の指針となってきました。  かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の期間は、平成十八年度から平成二十六年度までとされており、同基本方針には、農業産出額や食料自給率など、本県の食、農業及び農村の振興に関する目標が掲げられています。本年度、期間の最終年度に当たって、これまでの成果を検証するとともに、次期方針に向けた見直しが必要になると考えます。  このような中、国においては昨年十二月、農業・農村全体の所得を今後十年間で倍増することを目標に掲げた、農林水産業・地域の活力創造プランを策定しましたが、その後、規制改革会議や産業競争力会議における検討を踏まえて、本年六月には、農林水産業・地域の活力創造プランの改訂が行われたところであります。  そこでお尋ねします。  第一点は、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の目標に対する現状についてお示しください。  第二点は、農林水産業・地域の活力創造プラン改訂の概要及び改訂を受けた、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の見直しの基本的な考え方についてお示しください。  次に、農業の六次産業化について伺います。  関税の原則撤廃を主張するアメリカを初めとする関係諸外国と環太平洋連携協定─TPP─交渉を重ねる中、本年七月には、農業大国オーストラリアとの経済連携協定─EPA─に署名したところであります。  日本の農業は貿易自由化の波に直面しています。近い将来、国内に安い農産物が入ってきた場合、大規模化に限界がある日本は価格で勝負できず、貿易自由化の中で生き残るには、農産物の付加価値を高める六次産業化の取り組みが不可欠であります。  六次産業化への取り組みに対しては、これまでの補助金・融資に加え、新たに農林漁業成長産業化ファンドを通じた出資が行われるなど、六次産業化に取り組みやすい環境が整ってきたと言えます。しかしながら、これまで生産だけに専念してきた農家が、経営者となって消費者のニーズを捉え、販路を開拓しなければならない難しさも指摘されています。  このような中、本県では、農産物等の加工・流通技術の研究開発や販路拡大等を支援する大隅加工技術拠点施設─仮称─が今年度中に完成予定であり、その活用が大いに注目・期待されております。  そこでお尋ねします。  第一点は、六次産業化に取り組むに当たっての課題及び県の具体的推進方策についてお示しください。  第二点は、大隅加工技術拠点施設─仮称─の整備状況と施設活用に向けた県の取り組みについてお示しください。  次に、農地中間管理機構について伺います。  国において、攻めの農林水産業の取り組みの一つとして打ち出された施策の一つが、農地中間管理機構の創設であります。その目的は、農用地等を貸したいという農家から、農用地等の有効利用や農業経営の効率化を進めたいという担い手へ、農用地利用の集積・集約化を図ることであります。  本県では、公益財団法人鹿児島県地域振興公社を農地中間管理機構として指定し、本年四月一日から業務を開始しています。農地中間管理事業がスタートして半年が経過しました。平成二十六年度は貸し出し農地と借り受け希望者の把握を行い、順次マッチングが行われていると聞いております。農地中間管理機構の効果的な制度運用が求められるところであります。  一方で、農地中間管理機構が十分に機能を発揮する上では、不在地主等により利用権の調整が難しい点や、また、中山間地域の小規模農地などの条件不利地について、担い手への集約がどの程度進むのか懸念する声も多くあります。制度のスタートにより見えてきた課題を踏まえつつ、県として的確な支援を行っていく必要があると考えます。  また、国における農業改革の一環で農業委員会の見直しが行われようとしています。農地中間管理事業で実際に田畑等の調整業務を行うのは市町村や農業委員会であることから、農業委員会の改革の行方が懸念されるところであります。  そこでお尋ねします。  第一点は、農地中間管理事業の取り組み状況と課題についてお示しください。  第二点は、国による農業委員会の改革が検討されていますが、農地中間管理事業における本県農業委員会の役割についてお示しください。  次に、企画関係について伺います。  初めに、国際航空路線について伺います。  上海線は、尖閣諸島の問題や大気汚染の影響に加え、昨年は鳥インフルエンザの発生もあり、利用が低迷し危機的な状況にあったことから、緊急的な対策として上海派遣短期研修特別事業が実施されるとともに、経済団体等による同路線の積極的な活用もあり、路線廃止の危機的な状況を一時的に脱したところであります。本年三月三十日には、鹿児島─上海線の需要拡大に向けた総合的方針を策定し、同路線の維持・拡充に向けて取り組んでいるところであります。  しかしながら、鹿児島─上海線の搭乗率は四月以降再び低迷しており、七月は若干回復しているものの、安定的運航の確保に向けたさらなる対策が求められております。本県議会においても、県議会議員で構成される鹿児島・上海線利用促進協議会の会員が十月に上海へ渡航する計画であります。  また、台北線については、ほぼ昨年並みで推移しておりますが、鹿児島─ソウル線については、日韓関係の冷え込みが長引き、日本人利用客が低迷していると聞いております。  国際定期路線の利用状況は、自然災害、経済、国際情勢などさまざまな要因で左右されやすく、また、本県の出国率やパスポート発行件数率は全国下位にあることから、引き続き、各路線の利用促進と県民の海外旅行需要の創出に向けて取り組みを継続する必要があると考えております。  また、韓国、中国、台湾からの観光客誘致のため、航空会社や現地旅行会社と連携した誘客支援対策の充実・強化など、イン・アウト双方向からの利用促進を図ることが重要であります。  なお、香港線については、本年三月三十日に五年ぶりに週二便体制で就航したところであり、四月には香港航空本社等を訪問し、路線の安定運航や利用促進に取り組んでいくことを相互に確認したと聞いております。  そこでお尋ねします。  第一点として、国際線の各路線ごとの利用状況についてお示しください。  第二点として、上海線の現状、課題と需要喚起等に向けた取り組み及び民間団体の上海線利用促進の取り組み状況についてお示しください。  第三点として、海外からの誘客及び県内からの送客に向けた利用促進対策についてお示しください。  次に、肥薩おれんじ鉄道について伺います。  肥薩おれんじ鉄道については、沿線人口の減少等により、開業二年目以降、減価償却前赤字を計上するなど極めて厳しい経営状況に置かれており、県では、平成二十年度から経営安定基金を活用した公的支援を実施しておりますが、現在の同基金の残高は約九千七百万円となっており、県と沿線三市においては新たな支援策の構築に取り組んでいるところです。  また、同鉄道は、平成二十五年二月に中期経営計画を策定し、平成二十四年度から二十八年度までの五カ年の経営戦略を定め、沿線住民の利用促進や観光列車おれんじ食堂の運行による国内外からの誘客に努めるなど、経営改善に向けた取り組みを進めていると聞いています。  一方、同鉄道の施設・設備はJR九州からの譲渡を受けたもので、経年による劣化や損耗、塩害による損傷が相当進んでいることから、今後の輸送の安全に万全を期していくため計画的に整備していく必要があります。  このようなことから、同鉄道の新たな経営支援については、平成二十五年度から三十四年度までの十年間に見込まれる約三十三億円の赤字の本県側負担分約十七億円のうち、路線や枕木等の鉄道基盤、いわゆる下物の維持・更新に係る赤字額約十億円について、県市町村振興協会の基金の活用を要望していたところ、今般、同協会からの財政支援が決定したと聞いております。  肥薩おれんじ鉄道は、沿線住民の通勤・通学など日常生活を支える公共輸送機関であることや、本県の基幹物流ルートとして重要であることから、今後とも、沿線自治体や鉄道事業者と連携して、将来にわたって経営安定化に向けてさらなる取り組みが必要であると考えます。  そこで伺います。  第一点として、肥薩おれんじ鉄道の今後の経営見通しをお示しください。  第二点として、肥薩おれんじ鉄道の中長期的な経営安定化に向けた今後の取り組みについてお示しください。  次に、地域活性化モデルケースについて伺います。  平成二十六年一月に設置された地域活性化に関する関係閣僚会合において、成長戦略改訂に向けた地域活性化の取り組みについてが決定されました。この取り組みの基本的な考え方は、成長戦略の改訂に向け、地方において、新たな活力ある地域づくりのためのビジョンの提供・具体化を図ることで、経済成長の成果を全国に波及させることとしております。  このため、地域が直面する超高齢化・人口減少社会における持続可能な都市・地域の形成及び地域産業の成長・雇用の創出について、政府一体となった取り組みを推進するため、モデルケースを選定し、関係府省が税財政面、金融面、規制面等で最大限支援するとともに、民間、大学の協力も得て、先進的プロジェクトして実現させることとしております。  今回、本県を主体とした、清華大学との包括協定を核とした地域活性化モデルが鹿児島商工会議所主体の提案と一本化、連携した取り組みとして採択されたと聞いております。  そこで伺います。  第一点として、本県の地域活性化モデルケースの概要についてお示しください。  第二点として、当事業を実施することによる期待される効果についてお示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 18 ◯知事(伊藤祐一郎君)農林水産業・地域の活力創造プランの改訂の概要等についてのお尋ねであります。  ことし六月に改訂されました農林水産業・地域の活力創造プランは、今後の我が国の農政の基本方向を示したものでありまして、農業・農村全体の所得の向上を目指し、輸出促進などによる需要の拡大や六次産業化等の推進による付加価値の向上、農地中間管理機構の活用などによる農地の集約化、日本型直接支払制度を活用した農村の活性化に取り組みますとともに、農協、農業委員会等に関する改革などを推進することといたしております。  本県の農業・農村は、農業就業人口の減少や過疎化・高齢化の進行、農産物価格の低迷や生産コストの増加などによる農業所得の減少などの課題を抱えているところであります。このため、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の見直しに当たりましては、農業・農村全体の所得の向上を目指すという国のプランの基本方向も踏まえまして、まず第一に、農地中間管理機構を活用した農地の集積・集約化、第二に、農業生産の効率化等による生産力の強化、第三として、消費形態に対応した産地づくり、第四として、農畜産物などの輸出拡大等による販売力の強化、五番目といたしまして、六次産業化の推進、六番目として、食品関連産業との連携の拡大等による付加価値の高い農業への転換、七番目として、農村の多面的機能の発揮、いろんな項目がございましたが、そのような項目などを基本に、広く県民の意見を聞きながら、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。 19 ◯農政部長(福田博史君)かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の目標に対する現状についてでございます。  県においては、これまで、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針等に基づき、担い手の経営の大規模化・法人化への誘導や集落営農の取り組みの推進、畑かん地域における基盤整備の推進、K─GAPやIPM技術の活用による安心・安全を基本としたブランド化の推進、食品関連産業との連携による農畜産物の付加価値向上及び食育、地産地消の推進など、各般の施策に積極的に取り組んできたところであります。  その結果、基本方針の成果指標として設定した七つの目標の中で、食料自給率、かごしまブランド産地の中で安心・安全の認証を受けた産地の割合、畑地かんがい整備率などの項目についてはおおむね目標を達成しているものの、農業産出額については、農畜産物価格の低迷等から目標が十分に達成されていない状況にございます。  農業の六次産業化についてでございます。  本県の六次産業化・地産地消法に基づく農林漁業者等の総合化事業計画は、平成二十三年度から現在まで六十二件が認定され、五年後の計画実現に向けた取り組みが展開されておりますが、その実現に当たっては、販路がうまく見つからない、消費者の目を引きつける容器デザインがうまくいかない、食品衛生管理の知識を有する人材が見つからないなどの声を聞いており、農林水産物の生産・加工技術はもとより、販路拡大、人材の育成・確保、資金調達などが課題であると考えております。  このため、県では、鹿児島六次産業化サポートセンターを設置し、専門的な見地から商品開発などに関する助言・指導を行うプランナーの派遣や、各種補助事業を活用したソフト・ハード両面からの支援など、農林漁業者等の経営段階に応じたきめ細かな支援を行っております。また、農林漁業成長産業化ファンドを活用し、農林漁業者と販路や加工等のノウハウを有する企業との新たな事業体の設立を支援することとしております。  今後とも、本県の豊富な農林水産資源を生かして、付加価値を高める六次産業化への取り組みを積極的に推進し、農林漁業者等の所得向上と地域雇用の確保による地域活性化につなげてまいりたいと考えております。
     大隅加工技術拠点施設の整備状況等についてでございます。  大隅加工技術拠点施設の整備については、現在、建築・設備工事や加工機器の導入などを鋭意進めており、駐車場など外構工事を除く主要施設については本年中に完成する見込みであり、年度内完成に向け、おおむね順調に進んでおります。  県としては、この拠点施設を、六次産業化を志向する農業者や食品加工事業者が加工技術の習得・高度化を図るとともに、商品開発力や販売力を高める場として積極的に活用してもらいたいと考えております。このため、大規模農家や食品加工事業者等に対して、機会あるごとに拠点施設の整備目的や機能等の説明を行っているほか、各種広報媒体を通じて幅広く周知を図ってきております。また、本年四月からは、施設利用を計画している方々の会員登録も進めており、会員向けに導入機器等の詳細や食品加工に関する情報などを定期的に提供しているところであります。  今後とも、市町村や農業団体等と連携しながら、一層の周知を図るとともに、多くの農業者や食品加工事業者が活用しやすい体制づくりに努めてまいりたいと考えております。  農地中間管理事業の取り組み状況と課題についてでございます。  農地中間管理事業については、県においては、農地中間管理機構や市町村等と連携しながら、制度の周知に努めるとともに、県段階に設置した関係機関・団体で構成する県農地集積推進委員会で、事業の進捗状況や推進上の課題への対応策等について検討を行っております。また、人・農地プランが作成され、話し合い活動が活発な地域などを対象に、県下全域で四十七のモデル地区を設置し、関係機関・団体が一体となって重点的に農地集積・集約化の取り組みを支援しております。  機構においては、現在、借り受け希望者の公募を行っており、どの農地を誰に貸すかを定める農用地利用配分計画案の策定に向け、市町村等と業務委託契約を締結し、出し手と受け手のマッチング作業を進めております。この事業の推進に当たっては、地域の実情に応じてきめ細かな対応が必要と考えており、中山間地域など条件不利地域における基盤整備の推進や、担い手に対する協力金の拡充・強化、相続未登記農地の貸借の手続の簡素化などが課題となっております。  このため、県としては、地域の実情を踏まえた有効な仕組みとなるよう国に対し要請するとともに、制度のさらなる周知に努めながら、モデル地区を中心に、農地中間管理事業を活用した担い手への農地集積・集約化が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。  農地中間管理事業における農業委員会の役割についてでございます。  農業委員会は、農地の出し手と受け手の掘り起こしやあっせん等による農地流動化の推進、農地の権利移動の許認可や農地の利用状況を確認する農地パトロールの実施等による農地の適正管理の役割を担っております。今年度から新たに開始された農地中間管理事業においても、農業委員会には、農地を貸したい人の掘り起こしや機構の活用を促す取り組み、農地を借りたい人の掘り起こしや機構への応募を促す取り組み、農用地利用配分計画の策定に向けた権利調整の取り組みなどの役割が期待されており、県としては、農地中間管理事業を推進する上で農業委員会の役割は重要であると考えております。 20 ◯企画部長(古川仲二君)まず、鹿児島空港国際線の利用状況等についてでございます。  鹿児島空港国際線の本年八月の各路線の搭乗率につきましては、ソウル線が六二・八%、上海線が六三・三%、台北線が七五・五%、香港線が八七・六%となっております。  国際定期路線の維持・拡充を図りますためには、イン・アウト双方からの需要喚起が必要であると考えておりまして、県といたしましては、インバウンド対策として、現地でのセールス活動や海外の旅行エージェントの招請等に取り組みますとともに、アウトバウンド対策として、今年度から団体ツアー助成や海外ビジネスツアー助成制度において、乗り継ぎ利用者に対する助成額の拡充などを行うなど、安定的運航を確保するための対策の強化を図っており、引き続きこのような対策を推進するとともに、あわせて各路線の利便性向上を各航空会社に働きかけてまいります。  次に、上海線の需要喚起に向けた取り組み等についてでございます。  上海線につきましては、経済団体等の御協力をいただき、官民が一体となって利用促進に積極的に取り組んだ結果、平成二十五年度の搭乗率は五八・六%を確保し、路線の維持が図られたところでございます。本年四月から六月における搭乗率は四〇%前後で推移いたしておりましたものの、七月、八月における搭乗率は、航空会社からの送客協力も得て、それぞれ六六・九%、六三・三%と堅調に推移いたしております。  一方、アウトバウンド需要が伸び悩む中、その拡大が課題となっておりまして、県といたしましては、団体ツアー助成事業等の拡充や熊本・宮崎両県南部におけるPRの強化等に取り組むなど、新たな対策を講じております。また、民間等に対しましては、昨年に引き続き同路線の利用を呼びかけているところでありまして、経済団体に加え、企業や大学などにおきましても出張や研修による利用促進について御協力いただいておりまして、引き続き官民一体となって上海線の利用促進に努めてまいります。  次に、肥薩おれんじ鉄道についてでございます。  肥薩おれんじ鉄道につきましては、同鉄道が平成二十五年二月に策定いたしました中期経営計画をもとに、近年における利用者の減少や老朽化した線路、枕木等の鉄道基盤の更新や車両の定期検査費用の増加など、同鉄道を取り巻く状況を踏まえまして、県及び沿線市におきまして、平成二十五年度から平成三十四年度までの十年間の収支を試算いたしましたところ、約三十三億円の赤字が見込まれております。  一方、同鉄道は、通勤・通学など地域にとって不可欠な交通機関であるだけでなく、本県の基幹的物流ルートとしても重要であることや、新幹線の開業に伴い経営分離された経緯も有しております。  このような状況を踏まえまして、同鉄道の中長期にわたる安定運行を確保するため、今般新たに、資本費や管理費についても支援対象とするなど公的支援を大幅に拡充し、本県におきましては、県、沿線自治体のみならず鹿児島県全体で支える新たな方策を講じ、今後十年間に見込まれる赤字三十三億円の本県側負担分約十七億円のうち、線路、電路等の鉄道基盤、いわゆる下物に係る約十億円につきましては、県下全市町村に負担をお願いすることとし、その財源として市町村振興協会の基金を活用することにつきまして、今般、関係団体の御理解をいただいたところでございます。  この新たな支援スキームによりまして、同鉄道におきましては、現金ベースでの収支が改善され、安定的経営の確保が見込まれますものの、依然として今後十年間で約六億円の営業赤字の発生が見込まれている状況にございます。  このため、肥薩おれんじ鉄道では、ダイヤ等の見直しによる利便性の向上や、おれんじ食堂等の運行によりますさらなる定期外利用者の確保、車体広告、地域と連携した特産品の阿久根駅等での販売など、さまざまな増収策に取り組むことといたしております。また、このような増収策に加えまして、同鉄道におきましては、開業から十年間、燃料費が約一・八倍に上昇していることや、開業以来値上げを行っていないことなどを踏まえて、今後、運賃改定について検討することといたしております。  県といたしましては、引き続き、熊本県や沿線自治体と連携して同鉄道の利用促進を図りますとともに、経営安定化に向けた取り組みを支援してまいります。  次に、地域活性化モデルケースについてでございます。  地域活性化モデルケースにつきましては、地方における新たな活力ある地域づくりと地域産業の成長の具体化を図りますため、国がモデルケースを公募・選定し、税財政面、金融面、規制面等で支援することとしており、本年五月に、本県の提案を含め、三十三件が採択されたところであります。  本県の地域活性化モデルケースは、昨年八月に締結した清華大学との包括協定を核として、経済界の方々や学生などによるさまざまな相互交流を推進し、国際感覚を備え、将来、各産業分野で活躍する人材の育成及び中国における本県の認知度向上によるインバウンド強化を図ることといたしております。また、関係団体等と連携を図りながら、裾野の広い総合産業である観光を中心とした地域活性化の取り組みや、鹿児島の持つ地域資源の魅力をさらに充実・向上させるためのブランド化、六次産業化の促進などにも取り組むことといたしております。  県では、これらの取り組みによりまして、交流人口の拡大及び本県の豊かな地域資源を生かした観光や関連産業の振興が図られるものと考えておりまして、今後とも、経済団体等との連携を図りながら、各般の施策の充実に努め、地域産業の活性化に積極的に取り組んでまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 21 ◯桑鶴 勉君 御答弁いただきました。  かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針についてでありますが、本県農政推進の指針として、国の農林水産業・地域の活力創造プランを踏まえつつ、本県の実情に即した実効性ある基本方針の改訂に向けた取り組みを要望いたします。  農業の六次産業化についてでありますが、二〇一三年度版九州農業白書によりますと、平成二十四年度の本県の六次産業化による販売額は、全国で六位となっております。大隅農業加工技術拠点施設の活用と相まって、生産者が消費者の視点や経営感覚を高め、農業を成長産業に育てていくための官民挙げた積極的な取り組みに大いに期待するところであります。  農地中間管理機構についてでありますが、中山間地域の小規模の農地を集約し、担い手に貸し付けることが、円滑に機能するかが課題であります。市町村や農業委員会等との連携のもと、実効性ある施策の推進に向け積極的な取り組みを要望いたします。  国際航空路線については、国際・経済情勢などさまざまな要因により利用状況が変動するものであり、県の努力にも限界がありますが、引き続き、各路線の維持・拡充に向けた官民挙げた取り組みを要望いたします。  肥薩おれんじ鉄道についてでありますが、今回の財政支援により、今後十年間の経営安定に一定のめどが立ったわけでありますが、沿線人口が減少する中で、設備の老朽化対策等も考慮すれば、会社側の経営改善の努力だけでは限界があるのは明らかであります。新幹線効果や幹線物流ルートとしての意義を踏まえつつ、国による財政支援の拡充や新たな枠組みの構築に向け、引き続き取り組まれるよう要望いたします。  地域活性化モデルケースについてでありますが、官民連携による国内外からの交流人口拡大と地域産業の活性化を図ることを狙いとするものであり、国の成長戦略に向けた重点的な支援を引き出し、本県の地域活性化につながるよう積極的な展開を期待するところであります。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  午後は、き久伸一郎議員に引き継ぐこととし、これをもちまして自由民主党県議団の代表質問、午前の部を終わります。(拍手) 22 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十七分休憩       ─────────────        午後 一時 十六分再開 23 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  き久伸一郎君に発言を許可いたします。    [き久伸一郎君登壇](拍手) 24 ◯き久伸一郎君 午前中の桑鶴勉議員に引き続いて、代表質問を続けてまいります。  初めに、土木関係について伺います。  高規格幹線道路等の整備についてであります。  本県を含む南九州地域が交流連携を促進し、九州内の各地域と一体的に発展していくためには社会資本の整備が必要であり、陸・海・空の広域的な交流ネットワーク基盤の整備、特に高規格幹線道路の早急な整備が不可欠であります。  東日本大震災の経験により改めて認識された国土の脆弱性や高速道路などの価値を踏まえ、災害に強い国土を形成するため、未整備区間の解消によるネットワーク機能の早期確保も求められております。  本県内の高速道路が未整備区間を解消し、ネットワーク機能を果たすことは、本県のみならず九州の一体的浮揚に寄与するとともに、地域間の交流促進や産業・観光の振興などによる地域の活性化、災害時における緊急輸送道路や代替道路の確保など、今後の安心・安全な地域づくりを進める上でも必要不可欠であります。  特に、東九州自動車道や南九州西回り自動車道など本県の骨格をなす道路については、引き続き、道路整備の予算を安定的に確保し、本県の高速交通網が一日も早く完成するよう、国に対して強く要望する必要があります。  また、地域高規格道路についても、高規格幹線道路と一体となって本県の高速道路網を形成する道路であることから、事業中箇所について一層の事業推進を図るほか、早期にネットワークを完成する必要があります。  そこでお尋ねします。  第一点は、高規格幹線道路の現在の整備状況及び今後の早期整備に向けた県の取り組みについてお示しください。  第二点は、地域高規格道路の現在の整備状況及び今後の早期整備に向けた取り組みについてお示しください。  次に、港湾の整備について伺います。  港湾の整備は、アジア地域を初めとする各国・地域との国際交流の進展や物流ネットワークの形成とともに、離島、奄美地域との海上交通の安定性、信頼性の確保に極めて重要な役割を果たしております。また、近年の社会資本整備については、大規模災害に対応した防災・減災対策や戦略的な維持管理・更新などが重点的に進められております。  鹿児島港新港区については、本年三月に耐震強化岸壁やフェリーターミナル、ボーディングブリッジ等の供用が開始されたところであり、今後も岸壁や駐車場など残る施設の早期整備が待たれるところであります。  名瀬港については、離島、奄美の重要な拠点であり、緊急物資輸送等に対応した耐震強化岸壁等の早期整備が必要であり、また、岸壁の老朽化が著しく、荷役作業や旅客の安全性の確保が懸念されるところであり、予防保全に向けた取り組みも不可欠であります。  また、宮之浦港についても、今後、奄美群島の世界自然遺産登録が実現することで、クルージング需要の高まりなどによる観光客の増加が想定されることから、名瀬港はもとより、同港の大型観光船に対応した港湾整備も重要であると考えております。  平成二十六年度から国直轄事業として事業化された指宿港海岸については、砂浜侵食が著しく、台風時には越波被害が発生しており、防災機能の強化のため、突堤、離岸堤、護岸、養浜の整備が進められると聞いております。  そこでお尋ねします。  第一点は、鹿児島港新港区の整備状況とスケジュールについて、また、新たに整備される駐車場の利用料金の考え方についてあわせてお示しください。  第二点は、名瀬港本港地区における岸壁等の整備状況及びスケジュールについてお示しください。  第三点は、宮之浦港における整備状況及び今後の取り組みについてお示しください。  第四点は、直轄事業による指宿港海岸の整備に向けた取り組み状況についてお示しください。  次に、空き家対策について伺います。  本県の空き家については、総務省発表による平成二十五年の住宅・土地統計調査速報集計によると、利用目的のない空き家は、平成二十年の約七万五千戸から平成二十五年には約九万五千五百戸と、五年間で約二万戸増加しております。  空き家が適切に管理されないまま放置されると、老朽化が進み、災害時に建物の倒壊の危険性が高まるほか、景観の悪化や不法侵入、不審火、ごみの不法投棄などにつながるおそれがあります。このため、市町村とも連携を図りながら、空き家の活用方策も含め、実効ある空き家対策に取り組む必要があります。  一方、国会にも空き家対策に乗り出す動きがあり、自民党の空き家対策推進議員連盟は、空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、国や自治体の責務などを盛り込んだ空き家対策特別措置法案の秋の臨時国会への提出を目指していると聞いております。  県においても、ことし三月に本県議会から、空き家対策について、犯罪、火災等を未然防止するための関係者間の連携強化などの空き家の適正管理、空き家に関する情報発信機能・相談体制の充実・強化など空き家の利活用対策、市町村における空き家対策への助言・支援などの空き家対策の推進の三項目を提言したところであります。  空き家対策については、市町村が主に対策を行っておりますが、人口の減少、高齢化の進行等多様な要因が指摘され、また、犯罪や火災、生活環境の悪化など、管理不全の空き家が及ぼす影響は多岐にわたる困難な問題となっており、早急な対策が求められているところであります。  そこで伺います。  第一点は、空き家対策の現状と課題についてお示しください。  第二点は、市町村への指導・助言を含め、提言後における県の取り組み状況についてお示しください。  次に、海上工事独占禁止法違反事件に係る損害賠償金に関する民事調停について伺います。  本県発注の海上工事に関する独占禁止法違反事案に関しまして、県が平成二十五年一月に建設工事請負契約の規定に基づいて行った損害賠償金の請求について、請求を受けた建設業者によって、同年二月に賠償金額の減額等を求める民事調停の申し立てが行われたことは御承知のとおりであります。  この調停について、当議会は、本年第一回定例会において、県に対して、損害賠償の原則を踏まえるとともに、県内建設業者の果たす役割や建設業者をめぐる事情、県内地域経済の経営や雇用への影響及び再発防止への取り組みも十分考慮の上、減額に応じるなど円滑な調停結果となるよう強く要望する内容の決議を行ったところであります。  しかしながら、現在までのところ、当該事案について、調停成立に必要な議会の議決を求める議案は提出されておりません。  そこで伺います。  損害賠償請求に係る民事調停の状況及び今後の見通しについてお示しください。  次に、教育関係について伺います。  全国学力・学習状況調査の結果と対応について伺います。  ことし四月に全国学力・学習状況調査が行われ、その結果が先ごろ公表されました。調査結果は、小学校では、算数の知識に関する問題で全国平均を上回りましたが、国語の知識に関する問題や、国語、算数ともに活用に関する問題で全国平均を下回っております。また、中学校では、国語、数学ともに、知識に関する問題及び活用に関する問題で全国平均を下回る状況でありました。  学校教育においてテストの成績が全てではありませんが、子供たちが変化の激しいこれからの社会を生き抜いていくために、基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用してみずから考え、判断し、表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する能力を育むことは極めて重要なことであります。  また、昨年は調査結果の公表についてさまざまな議論がなされましたが、その結果、今回の実施要領では、市町村教委がみずからの判断で、個々の学校名を明らかにした調査結果を公表することが可能となり、また、県教委は、市町村教委の同意を得た場合は、当該市町村名または市町村立の学校名を明らかにした調査結果を公表することが可能となりました。  ただし、結果の公表については、学校の序列化や過度な競争を招くといった懸念もあることから、公表に当たっては、市町村教委が各学校と十分相談することや、数値のみの公表は行わず、分析結果や改善方策もあわせて公表することなど、一定の条件がつけられております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、今回の調査結果についてどのように受けとめているのか。また、見えてきた課題や今度の取り組みについてお示しください。  第二点は、県教委及び市町村教委における調査結果公表の取り扱いの状況はどのようになっているのか、お示しください。  次に、小中一貫教育について伺います。  本県においては、昨年四月から、南さつま市を初め、幾つかの市町で施設一体型小中一貫校が設置され、従来の小学校六カ年、中学校三カ年の六・三制ではなく、四・三・二制に分けている学校もあるとのことであります。これは、小学五年から中学一年にかけての中期を設けることにより、小学校から中学校への移行がスムーズに行われるようにするのが目的の一つであり、小中一貫校では小・中学校の複数の教員が協力して授業を行うなど、きめ細かな指導が行われているようであります。  また、薩摩川内市では、平成十六年から既存の小・中学校が連携する一貫教育に取り組まれており、小学五年から中学一年にかけての中期を軸にした教育が行われ、中学一年に進級した際の心理的なギャップや学習面でのギャップなど、中学校に進学した際に対応できない、いわゆる中一ギャップやそれに伴う不登校対策に成果を上げているとのことであります。  一方、政府の教育再生実行会議はことし七月に、義務教育九年間のカリキュラムを弾力的に運用できる、小中一貫校の制度化などを柱とする学制改革についての提言を行い、中央教育審議会の議論を経て、早ければ平成二十八年度に小中一貫教育の制度化がなされるとのことであります。  現行制度の改革については、学校によって学年やカリキュラムがずれるなどさまざまな意見があるようですが、県内の先進的な取り組みについては成果も上げつつあり、新しいあり方として期待したいところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県内公立学校における小中一貫教育の実施状況についてお示しください。  第二点は、小中一貫教育に期待される成果と課題についてお示しください。  次に、コミュニティ・スクールについて伺います。
     コミュニティ・スクールとは、市町村教委から任命された地域住民や保護者、有識者などで構成された学校運営協議会が設置された学校のことでありますが、学校運営協議会は、校長が作成する学校運営の基本的な方針を承認したり、学校運営に関して教育委員会や校長に意見を述べたりするなど、一定の権限と責任を持つものとされております。  私も参加しました昨年度の文教警察委員会視察では、三重県鈴鹿市の中学校を視察いたしました。鈴鹿市では、より一層地域に開かれた学校づくりを目指し、市内全ての小・中学校をコミュニティ・スクールに指定し、学校運営を行った結果、各小・中学校ではさまざまな教育課題について協議され、学校と地域とが学校教育活動の現状についてこれまで以上に理解を深めることができているとのことであります。その他、保護者や地域住民などが学校を訪れる機会がふえたこと、地域の学校支援ボランティア活動が推進されたこと、学校から保護者や地域への教育活動の情報発信が進んだことなどの成果があるとのことであります。  文部科学省では、平成二十四年度からの五年間でコミュニティ・スクールの数を全国公立小・中学校の一割、約三千校に拡大することを目標としているとのことであります。  近年、学校の統廃合により校区が広がり、地域とのつながりの希薄化が懸念されており、これらの事例は、学校が地域との連携を深めるための一つの方策であると考えられます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県内の公立学校におけるコミュニティ・スクールの指定状況についてお示しください。  第二点は、コミュニティ・スクールに係る県教委の取り組みについてお示しください。  これにて第一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 25 ◯知事(伊藤祐一郎君)いろいろな御質問のうち、高規格幹線道路、地域高規格道路の整備状況等についてお答えいたします。  東九州自動車道の曽於弥五郎インターから鹿屋串良間と、これに接続して県が整備を進めております大隅縦貫道の串良鹿屋道路、合わせて約二十四キロメートルにつきましては、年度内の同時供用に向け鋭意工事を進めているところであります。  鹿屋串良から志布志間におきましては、これまでに九割を超える用地を取得し、現在、橋梁工事等が進められております。また、事業化されていない志布志から日南間につきましては、概略ルートが決定されたところであります。  南九州西回り自動車道の事業中区間につきましては、薩摩川内都インターから薩摩川内高江インター間及び阿久根インターから阿久根北インター間におきまして、年度内の供用が予定されるなど、順次供用が図られるよう整備が進められております。  事業化されていない薩摩川内水引インターから阿久根インター間につきましては、本年七月、都市計画及び環境影響評価の手続が完了し、去る七月二十四日には東京におきまして、南九州西回り自動車道建設促進大会を開催いたしますとともに、財務大臣や国土交通大臣に直接面談し要望するなど、平成二十七年度の新規事業化がなされるよう強く働きかけているところであります。  高規格幹線道路は、本県の骨格をなす重要な道路でありますことから、県としては、早期整備を求める地方の声を国に届け、本県の高速交通網が一日も早く完成するよう要請してまいりたいと考えております。  地域高規格道路につきましては、国におきまして鹿児島東西幹線道路を、県におきましては北薩横断道路など、四路線十一区間の整備を進めております。  このうち、南薩縦貫道につきましては、平成二十七年度の供用に向け、知覧道路や霜出道路におきまして用地買収や工事などを進めており、本年十一月には知覧トンネルが貫通する予定であります。  都城志布志道路につきましては、末吉道路におきまして本年度から用地買収に着手することとしており、このほか、有明道路など全線にわたり用地買収や工事などを進めているところであります。  地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となりまして、広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路でありますことから、早期完成に向けて、整備に必要な予算確保に努めますとともに、地元市町と連携を図りながら、引き続き重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。 26 ◯土木部長(久保田 一君)鹿児島港新港区の整備状況等についてでございます。  鹿児島港新港区については、平成二十三年度から整備を進めており、本年三月に耐震強化岸壁やフェリーターミナル、ボーディングブリッジ等を供用開始したところであります。現在、残るフェリー岸壁や一般駐車場等を鋭意整備しているところであり、新港入口交差点寄りに計画している係留施設や埠頭用地などについても、順次整備することとしております。  このうち、一般駐車場については、百台程度が収容可能な有料の駐車場であり、エレベーターつきの歩道橋によりフェリーターミナルの二階へ直接連絡することができるよう計画しており、十二月中の供用を予定しております。  鹿児島港新港区については、奄美・沖縄航路の拠点機能の強化を図るため、今後とも早期供用に向けて着実な整備に努めてまいります。  鹿児島港新港区の駐車場料金の考え方についてでございます。  鹿児島港の駐車場料金については、現在、利用者の送迎等に配慮して最初の一時間までは無料とするとともに、離島航路利用者の長時間駐車にも配慮し、特に、十二時間を超える部分については一時間ごとに五十円となっております。  現在、整備中の新港区駐車場における料金設定に当たっては、さらに長時間の利用が見込まれることから、宿泊を伴う離島航路利用者への配慮として、十六時間を超えて二十四時間までの料金を徴収しないこととしております。あわせて、本港区における離島航路の待合所に近接する駐車場についても同様の見直しを行うこととしており、これにより、長時間の駐車となる離島航路利用者の負担軽減や利便性向上が図られるものと考えております。  名瀬港本港地区の整備状況等についてでございます。  名瀬港の本港地区では、地震等の大規模災害発生時における緊急物資輸送に対応するため、新たな耐震強化岸壁や荷さばき用地などの整備を進めているところであります。現在、岸壁の上部工や液状化対策などの工事を行っており、平成二十七年度当初には岸壁が暫定供用できる見込みとなっております。  また、隣接する既設フェリー岸壁については、直轄事業により老朽化対策を行うこととしており、あわせて、岸壁の直線化や荷さばき用地の拡張を行うなど、荷役作業時の安全性や利便性の向上を図ることとしております。  今年度は既設岸壁の撤去工事などに着手する予定であり、県としても、国と連携しながら、工事中における港湾利用者との調整などを行ってまいります。  宮之浦港の整備状況等についてでございます。  宮之浦港については、三万トン級の観光船が接岸できる水深七・五メートル、延長二百五十メートルの岸壁を平成十八年度から供用しており、年間二十隻程度が寄港しているところであります。  現在、定期船用岸壁等の港内静穏度の向上を目的に防波堤工事を行っておりますが、地元の要望である大型観光船の航路確保等にも将来的につながることから、既存の防波堤を移設活用するなどの工夫を行っており、今後とも早期完成が図られるよう努めてまいります。  観光船の大型化への対応については、国、県、町との意見交換会において、自然条件等も踏まえた施設整備における課題などについて協議を重ねているところであります。また、今月中には新たに、地元高校の協力を得て、観光船寄港による地元への波及効果などについて乗船客へのアンケートを予定しており、今後も引き続きハード・ソフト両面から幅広く検討を進めてまいります。  指宿港海岸の整備状況等についてでございます。  指宿港海岸については、護岸等の整備後約六十年が経過し、施設の老朽化や砂浜の侵食が著しくなっているところであります。当海岸の整備には、複雑な侵食メカニズムの解明や砂蒸し温泉の保全など高度な技術力を必要とすることに加え、大規模な工事となることから、国の直轄事業として本年度、事業採択されたところであります。  国の計画では、約二キロメートルの区間にわたり、離岸堤、突堤、護岸及び養浜などを十年間で整備することとしており、事業費約百二十億円を予定しております。本年度は、学識経験者や地元関係者から成る侵食対策検討委員会を設置し、施設の詳細な配置・構造等について技術的検討を行うとともに、設計に必要な地質調査等を行うこととしております。  今後とも、国、県、地元が一体となって事業の推進を図ってまいります。  空き家対策の現状と課題についてでございます。  空き家対策の現状について、県ではこれまで、市町村への先進事例の紹介や意見交換等の支援を行ってきたところであり、市町村においては、地域の実情に応じて、ホームページを活用した空き家住宅の情報提供、適正管理に関する条例の制定、改修や除却に対する助成等の対策を行っております。  空き家対策の課題については、空き家の把握や所有者の特定が困難なこと、対策には法律に関する幅広い知識が必要であること等、多岐にわたるものと認識しております。  政策提言後の県の取り組み状況についてでございます。  県では、議会からの提言を踏まえ、県広報紙に啓発記事を掲載するとともに、建築関係団体等に設置した相談窓口や市町村の空き家バンクについて、県ホームページで一元的に情報発信を行っているところであります。  また、毎年度、市町村職員等を対象に実施している研修会で管理適正化条例の事例を紹介するほか、本年度新たに、市町村や関係団体の相談窓口担当者を対象に法手続に関する弁護士の講演を行うなど、研修の強化を図っているところであります。  さらに、空き家対策マニュアルの年度内取りまとめに向けた情報収集や、関係部局の連携を強化するための協議等を行っているところであります。  県としては、国における法案の動向なども注視しながら、今後とも市町村の空き家対策の支援に取り組んでまいります。  損害賠償請求に係る民事調停の状況等についてでございます。  二十七社から合同で調停申し立てがなされた事案については、第十回調停が七月二十八日に行われたところであり、また、それ以外の二社の調停事案についても、七月二十四日にそれぞれ第六回、第七回の調停が行われたところであります。  民事調停については、調停申し立てから一年六カ月にわたり慎重に協議を重ねてきているところであり、現時点では、一定の結論に至る時期やその内容について申し上げられる状況にはありません。  県としては、引き続き真摯に調停協議に対応してまいりたいと考えております。 27 ◯教育長(六反省一君)全国学力・学習状況調査の結果についてでございます。  今回の調査結果につきましては、中学校の結果の一部にやや改善の兆しが見られましたが、小・中学校いずれにおいても、依然として知識や技能の活用に関する問題の正答率が全国平均を下回っており、この結果を厳しく受けとめております。  県教委といたしましては、これまで主として、中学校教員の授業力向上を図るため、全ての教員が研究授業や授業公開等に取り組む鹿児島県授業力向上プログラムや、公立の小学校五年生、中学校一、二年生の全児童生徒を対象に県単独で実施しております鹿児島学習定着度調査に活用に関する問題をふやし、意識調査も取り入れるなどの改善を図ってきたところでございます。  今回、同時に行われました学校への調査において、生徒の思考を深めたりする発問、あるいは生徒の発言や活動の時間の確保などの項目で全国との比較において低い傾向があり、中学校における指導のあり方に課題が見られるところでございます。  こうしたことから、今年度は新たに、授業の質を高めるポイントや具体的な指導法を示す学力向上指針を年内をめどに策定いたしますとともに、活用に関する指導法改善に役立てる、かごしま学力向上支援Webシステムを構築し、来年一月までの本格稼働を目指して、十月には試験的に運用を始めることとしております。  今後とも、結果を詳細に分析し、本県の児童生徒の学力向上に成果があらわれるよう積極的に取り組んでまいります。  調査結果の公表についてでございます。  県教委では現在、今回の調査結果の詳細な分析を行っているところであり、ことし十月をめどにその結果を報告書に取りまとめ、公表する予定でございます。県全体の分析結果については、教科ごとの課題と改善策、分析を踏まえた授業改善のポイント、県下七地区ごとの平均正答率などを取りまとめることとしております。  また、市町村ごとの結果につきましては、市町村教育委員会の同意を得て、県教委も公表できることになったことから、県教委としては、同意が得られた市町村の結果を県全体の分析結果とあわせて公表することとしております。  公表に当たりましては、市町村ごとの平均正答率ではなく、課題分析等に役立つ正答率の分布グラフを示しますとともに、当該市町村の児童生徒の学力の傾向・課題、その解消に向けた市町村教育委員会の対策を示すこととし、現状、課題、対策について、保護者を初め、地域の方々が情報を共有できるようにしたいと考えております。  なお、各市町村教育委員会が結果公表をどのように行うかについては、現在、確認中でございます。昨年度は、何らかの形で結果を公表したのは二十二市町村でございましたが、本年度は、ほとんどの市町村教育委員会が課題や対策などについて公表を行うものと考えております。  小中一貫教育の実施状況についてでございます。  現在行われております小中一貫教育につきましては、制度的に位置づけられたものではなく、市町村教育委員会において独自の取り組みとして進められているものでございます。  本県におきましては、お話がございましたとおり、薩摩川内市が、平成十八年度から既存の校舎を活用した施設分離型の小中一貫教育に取り組んでおり、平成二十一年度からは同市内全中学校区で実施しております。また、南さつま市立坊津学園小・中学校、鹿屋市立花岡小・中学校、長島町立獅子島小・中学校が、平成二十五年度から施設一体型の小中一貫教育に取り組んでおります。  これらの学校におきましては、九年間の教育課程の系統性に配慮した指導計画の作成や小・中学校間の授業乗り入れ、総合的な学習の時間や学校行事等の小・中合同実施、小中一貫教育を進めるための小・中合同の職員研修などに取り組んでおります。  小中一貫教育の成果と課題についてでございます。  小中一貫教育に取り組んだ成果として、本県の実施市町の教育委員会によりますと、中学校進学への不安感の解消、いわゆる中一ギャップの緩和などの成果とともに、授業が理解できると答えた児童生徒が増加したり、学習意欲が向上したなどの成果が報告されております。また、小・中学校の教員が交流することにより、指導方法の改善、指導内容の系統性に関する相互理解の深まりなど、教職員の意識の変化も見られます。  一方、児童生徒の人間関係が固定化しないような配慮、小・中学校の年間行事予定の調整や共通化、小・中学校間の連絡・調整を図るコーディネート機能の充実など、一貫教育を進めていく上での課題も挙げられております。  小中一貫教育の制度化につきましては、本年七月に中央教育審議会に諮問され、現在、特別部会において検討されており、県教委としてはその審議の状況を注視してまいります。  コミュニティ・スクールの指定状況についてでございます。  コミュニティ・スクールは、平成二十六年四月一日現在、全国の小・中・高・特別支援学校で千八百二十五校が指定されております。本県でも、ことし九月一日現在、昨年度より八校増の小学校五校、中学校五校の計十校がコミュニティ・スクールとして指定されております。また、これら全ての学校が、文部科学省のコミュニティ・スクールの推進への取り組みに係る委託事業を受けて、導入促進や充実改善に関する調査研究を進めております。  コミュニティ・スクールに係る県教委の取り組みについてでございます。  本県は、保護者だけでなく多くの地域の方々が学校行事に参加するなど、地域と学校のつながりが深いことが特徴であり、これを生かすため、県教委はこれまでも、全ての学校において学校関係者評価委員会の設置を図ってきたところであり、その他、学校評議員制度を導入するなど、保護者、地域住民等の意向を学校運営に反映させる取り組みを行い、地域に開かれた学校を目指すよう指導してきたところです。  現在、県内十校の小・中学校において、地域の支援・協力を基盤とした教育を行うためコミュニティ・スクールの仕組みを導入する取り組みが行われており、県教委としては、これら文部科学省の研究指定を受けている学校の研究成果も踏まえながら、今後も、市町村教育委員会が取り組んでおります、地域とともにある学校づくりを支援してまいります。    [き久伸一郎君登壇] 28 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁いただきました。  高規格幹線道路等の整備についてでありますが、高速交通ネットワークの整備は本県にとって長年の課題であり、今後一層の重点的な整備による事業推進のスピードアップについて、これまで以上に国への働きかけを行うよう強く要望いたします。  港湾の整備については、言うまでもなく交流・物流ネットワークの形成、海上交通の安定のために極めて重要でありますが、今後のクルージング需要等も見据えた計画的な整備推進をお願いいたします。  また、この際あわせて、鹿児島港の中央港区と鴨池港区を結ぶ臨港道路の整備は喫緊の課題となっており、早期事業化に向けた積極的な取り組みを特に要請しておきます。  空き家対策についてでありますが、全国的に空き家の数、率とも過去最高を更新し、本県の空き家率は全国でも八番目に高い一七%となっております。今後の人口減少を考慮すれば、対策は急務であります。国の動きも踏まえつつ、本県の実情に即した県の積極的な取り組みを要望いたします。  海上工事独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求金に関する民事調停については、議会の決議でも申し上げたところでありますが、県内建設業者の果たす役割や建設業者をめぐる事情、県内地域経済の経営や雇用への影響なども十分考慮の上、また、調停制度の趣旨や調停に応じた他県の事例も踏まえて、適切に対応されるよう改めて要望いたします。  全国学力・学習状況調査についてでありますが、本年度の結果も本県の低迷が目立っており、特に応用力が小・中ともに下位にとどまっております。都道府県別では、秋田、福井など過去の上位県が固定化する傾向が続いている一方で、これまで下位に低迷していた沖縄は、小学校の成績が大幅に改善するなど注目を集めております。先進県との人事交流や、近隣の学校で共同で授業の研究をするなどの対策が実ったとしております。徹底した分析により実効性ある改善策に向けて、県教委の本腰を入れた取り組みを強く要請いたします。  小中一貫教育については、薩摩川内市などの先進的な取り組みでは、世代間交流が図られたり、不登校の解消に成果が出るなどその効果があらわれているとのことであり、今後の導入に向けた検討を要望いたします。  コミュニティ・スクールについてでありますが、統廃合による学校と地域との距離感を解消し、地域ぐるみで学校を運営するこの試みは非常に理にかなったものであり、ぜひとも活力ある学校と地域づくりにつながるよう積極的な取り組みを期待するところであります。  次に、警察関係について伺います。  初めに、うそ電話詐欺の被害防止について伺います。  先月、警察庁は、ことし上半期に全国の警察が把握した振り込め詐欺などの特殊詐欺の状況を発表しましたが、被害総額は年間で過去最悪だった昨年同期を上回り、未遂を含めた認知件数も昨年を上回っております。  県警においては、昨年、被害者からのアンケート調査を実施したほか、ことし二月には、県内の振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害が急増していることなどから、県民の皆様に特殊詐欺の手口等を理解してもらい、被害に遭わないようにするため、名称をうそ電話詐欺と決定いたしました。  最近では、うそ電話詐欺の手口も多様化し、市役所職員を語り、医療費の払い戻しがあるなどと言葉巧みにだましてATMを操作させる手口や、警察官を語り、「口座が不正に使用されている。別口座に移すので全額おろすように」と指示する手口もあるとのことであります。  これらの多くは情報弱者である高齢者を対象としたものであり、被害の防止については、金融機関等の協力はもちろんのこと、詐欺の手口等について、高齢者やその家族に対し十分に周知を図ることが重要であります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、うそ電話詐欺の被害の状況についてお示しください。  第二点は、うそ電話詐欺の手口の周知方策についてお示しください。  次に、危険ドラッグ対策について伺います。  新聞報道によると、ことし二月に福岡市天神で乗用車による多重事故が発生し、運転していた男性は脱法ハーブを吸ったと話したとのことであります。また、六月には東京池袋で脱法ハーブを吸って運転した男性の車が暴走し、八人が死傷する事件が発生しております。これらに対し、警察庁と厚生労働省は、覚醒剤や大麻に似た作用があるにもかかわらず、脱法との表現が安易な使用を招いているとして、新しい呼称を危険ドラッグと決め、その周知を図るとしております。  危険ドラッグは、覚醒剤や大麻と似た作用がある化学物質を含んだ薬物で、粉末や液体などのものがあり、このうち、化学物質を乾燥した植物片に吹きつけたものを危険ハーブと呼んでおります。たばこにまぜたりパイプに詰めたりして吸引すると、興奮やけいれん、幻覚症状などがあらわれ、依存性も強いとのことであります。  警察庁の発表によると、危険ドラッグに絡んで、ことし上半期に所持や使用などの疑いで摘発した事件は全国で百二十八件に上り、昨年一年分を上回ったとのことであります。入手先は約六割が街頭店舗、約二割がインターネットとなっており、年齢別で二十代と三十代で七割近くを占めているとのことであります。また、厚生労働省は、国内で危険ドラッグを使ったことがある人は約四十万人に上ると推計しております。  国は、こうした覚醒剤や大麻と同様の作用がある化学物質を指定薬物として薬事法で取り締まっておりますが、東京都など六都府県では独自に条例を定め、規制に乗り出しております。こうした動きにより、条例で規制が強化された都府県から、独自の規制のない県への進出も懸念されており、これらの未然防止対策やインターネット対策などの対応も必要になると考えられます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、本県における危険ドラッグ対策の取り組み状況についてお示しください。
     第二点は、県内での所持等に係る摘発状況及び危険ドラッグに絡んだ事件・事故の発生状況についてお示しください。  第三点は、国や条例を制定している都府県の状況と本県の今後の対応についてお示しください。  次に、自転車の走行ルール指導と取り締まりについて伺います。  道路交通法が改正され、昨年十二月から自転車が路側帯を走行する場合は左側通行となりましたが、いまだに右側を通行するのを目にいたします。以前は自転車は路側帯の左右どちらでも通行できましたが、自転車同士の衝突や接触事故の危険性があるため法改正が行われ、右側通行が禁止されたものであります。  また、歩きながらスマートフォンを見る、いわゆる歩きスマホが問題となっておりますが、自転車を運転しながら携帯電話やスマートフォンを操作するなどの悪質なものも多いようであります。  さらに、児童生徒の自転車のマナーも問題となっており、一時停止でとまらなかったり、あるいは交通ルールを無視した運転をするなど、事故につながるような危険な運転も見かけるところであります。  全国では自転車が加害者となる死亡事故も発生しており、これらに対する十分な指導や厳しい取り締まりが必要であります。一方、道路を自転車で安全に通行するためには、十分な幅の路側帯等を確保する必要があります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、自転車が当事者となる事故の発生状況について、まずお示しください。  第二点は、自転車の走行ルールの周知と違反運転の取り締まりの状況についてお示しください。  第三点は、学校における自転車運転に係る安全教室等の実施状況についてお示しください。  第四点は、自転車の安全な通行のための道路整備状況についてお示しください。  次に、環境林務関係について伺います。  初めに、公共関与による管理型最終処分場について伺います。  産業廃棄物管理型最終処分場は、本県における循環型社会の形成や地域産業の振興を図る上で必要不可欠な施設であります。そのため、県は、薩摩川内市川永野町において、県内初の公共関与による管理型最終処分場エコパークかごしまの整備を進めており、平成二十三年九月の本格着工から三年を経過するところであります。  先般七月に、環境厚生委員会が処分場整備地の行政視察を行いましたが、整備については、県環境整備公社が安心・安全を第一に丁寧な施工を行っており、また、地域振興策についても、県は、薩摩川内市と連携して、道路整備や河川改修、簡易水道の上水道への切りかえ整備などを実施し、関係自治会住民の方の理解に努めながら工事を進めているようであります。  エコパークかごしまの完成時期については、本年九月の完成を目指して整備を進めていましたが、さきの定例会における我が会派の代表質問において、進捗状況に関し、県は、「工期を延ばさざるを得ない状態にある」と答弁しております。  完成後は、年度内のオープンに向けて諸手続を速やかに行い、一日も早い開業が期待されるところであり、あわせて、経営の安定化を図るためにも、より多くの産業廃棄物の処理委託契約の確保に向けた取り組みが重要であると考えます。さらに、安心・安全な処分場運営のためには、開業後、エコパークかごしまの適切な維持管理が重要になってくると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、エコパークかごしまの工期の延長及び工事費についてお示しください。  第二点は、開業時期及び開業に向けた許認可等の手続や料金設定など、産業廃棄物の処理委託契約の確保に向けた取り組みについてお示しください。  第三点は、安心・安全な管理型最終処分場の維持管理の取り組みについてお示しください。  次に、奄美・琉球の世界自然遺産登録について伺います。  県では、奄美・琉球の世界自然遺産登録に向けて取り組んできており、本年第一回県議会定例会における知事の施政方針において、知事は、平成二十八年六月の登録を目指して、国や地元市町村と連携し、登録後に予想される来島者の増加による自然環境への影響と、そのために必要となる対策や自然遺産を観光資源として生かす方策について検討を行っていく旨を発言しておられます。  また、世界自然遺産登録に必要な法的保護担保措置となる奄美群島の国立公園指定について、ことし四月に環境大臣が奄美大島を訪れた際、奄美群島国立公園について、「年内に指定できるよう努力したい」と語ったと報じられておりました。  しかし、新聞報道等では、今月八日に奄美大島で開催された奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会の中で、国は、国立公園指定や推薦書の策定等の国内作業に時間を要する見込みであると説明されたところであり、県が目指していた平成二十八年六月の登録が平成二十九年度以降になると報ぜられております。  奄美・琉球の世界自然遺産の登録は、屋久島に次ぐ県内二つ目の世界自然遺産誕生となるものであり、奄美群島の方々を初めとする県民の夢であります。奄美では地元の方々による主体的な取り組みも行われてきており、徳之島においては、NPO法人を中心とした、ごみの不法投棄や蘭などの不法盗掘防止のパトロールなども始まっていると聞いております。こうした地元住民を中心とした取り組みに応えるためにも、官民一体となって、できるだけ早期の登録に向けた着実な取り組みを行っていく必要があると考えております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、世界自然遺産登録の目標年度である平成二十八年度に変更があるのか。変更がある場合、いつを目標としていくのかお示しください。また、その前提となる奄美群島国立公園指定時期についての見通しをお示しください。  第二点は、世界自然遺産登録に向けた現在までの取り組みと今後の課題についてお示しください。  ここまでで二回目の質問といたします。 29 ◯警察本部長(池田克史君)まず、うそ電話詐欺の被害の状況についてでございます。  県内におけるうそ電話詐欺は、本年八月末現在、認知件数は二十八件、被害総額が約一億八百二十万円で、前年同期に比べ三件、約七千六百八十万円の減少となっておりますが、警察に被害届が出されていないものもあり、実際の被害はこれをかなり上回るものと思われます。  犯行手口は、個人情報の削除やトラブル解決等を口実とした架空請求詐欺、社債や未公開株の取引を装う金融商品等取引名目の詐欺が最も多く、ほかに、ダイヤモンドや外国通貨の購入、ロト6の当選番号などギャンブル必勝情報の提供等を名目にした詐欺もあります。一方、被害者は八割以上が高齢者となっており、送金方法も従来の口座振り込みだけでなく、レターパックや宅配便を利用したり、現金の直接手渡しなど多様化しております。  うそ電話詐欺の手口の周知方法についてでございます。  うそ電話詐欺は、最近、市役所職員や警察官等を名乗って、還付金の払い戻しやトラブル解決等を名目にだますなど、手口も多様化しております。そのような犯行手口等の周知につきましては、被害に遭いやすい高齢者宅や犯行グループから押収した名簿登載者宅などに警察官が直接出向いて指導・助言しているほか、各種会合等での講話や寸劇、県警ホームページやミニ広報紙、報道機関等の広報媒体により、被害情報の発信や注意喚起を行っております。  また、金融機関や宅配事業者等に対しても被害情報を積極的に提供するなど連携を強化しており、特に、高齢者等に対する窓口での積極的な声かけや犯行に使用された口座の凍結なども要請しております。  今後とも、各自治体や消費生活センターを初め、金融機関、郵便・宅配事業者など関係機関・団体とさらなる連携と情報の共有化を図りながら、被害防止のための広報啓発活動を推進してまいります。  危険ドラッグの摘発及び事件・事故の発生状況についてでございます。  インターネットや店舗で、お香、ハーブなどと称して販売された危険ドラッグを購入した者が、それを吸引するなどして体調不良を訴えて一一〇番通報された事案や相談を、昨年は十七件、本年は八月末現在で三十二件取り扱っておりますが、薬事法に規定する指定薬物の所持、使用等に係る検挙及び同指定薬物に起因する事件・事故の発生はございません。  取り扱った事案の中で、当事者等が所持していた危険ドラッグについては、法手続に従い、押収して鑑定中であり、鑑定により指定薬物と判断されれば、適正に事件処理することとしております。  自転車が当事者となる事故の発生状況についてでございます。  本年七月末現在の自転車事故の発生件数は四百十七件で前年比マイナス五十一件、死者数は二名で前年比マイナス二名であります。死者二名のうち一名は、自転車運転中に自動車と衝突した事故、もう一名は、壁に衝突した自損事故であります。また、自転車が加害者となる歩行者との事故も九件発生しており、自転車側の主な原因として、安全不確認と動静不注視が半数以上を占めております。  なお、自転車事故の全事故に占める割合は八・八%であり、全国平均の一九%より一〇・二ポイント低い状況となっております。  自転車の走行ルールの周知と取り締まり状況についてでございます。  県警察では、自転車利用者に対する走行ルールの周知を図るため、関係機関・団体等と連携しながら、朝夕の街頭指導や街頭キャンペーン、交通安全講話などを実施しているほか、あらゆる広報媒体を活用した広報活動に取り組んでおります。  本年七月末現在、自転車利用者に対する検挙はないものの、指導・警告は五百四十二件であります。携帯電話や音楽プレーヤー使用の違反は六十五件、一二・〇%、右側通行等歩行者に危険を及ぼす違反が三十四件、六・三%であり、無灯火と二人乗り違反の合計が違反の半数以上を占めております。  今後とも、関係機関・団体等と連携して、法の周知と交通ルールの遵守を図るとともに、悪質、危険な違反については検挙・指導を行ってまいります。  自転車運転に係る安全教室等の実施状況についてでございます。  県警察では、学校等と連携しながら、警察官を派遣し、交通ルールに関する講話や模擬交差点を利用した正しい通行方法等の実技指導を行っております。本年七月末現在、児童生徒等を対象とした自転車の正しい乗り方を内容とする交通安全教室を四百七十六回開催し、五万二千人余りの児童生徒が受講しております。また、スタントマンによる自転車事故を再現した安全教室を平成二十一年からこれまで、中学校や高校で九回実施しております。  県警察では今後とも、学校等との連携を図りながら、児童生徒に交通ルールやマナー遵守の大切さを理解させる安全教育を積極的に行ってまいります。 30 ◯保健福祉部長(松田典久君)危険ドラッグ対策の取り組み状況についてでございます。  県におきましては、これまで、危険ドラッグを含めた薬物乱用対策として、街頭キャンペーンの実施、中学生を対象とした薬物乱用防止教室、大学等への出前講座の開催等により、危険ドラッグの有害性等について普及啓発に努めているところであります。また、国、県の取り締まり行政機関等で構成する薬物乱用対策推進地方本部会議の場において、危険ドラッグについても、関係機関と密接な連携を図りながら対応することを確認したところであります。  危険ドラッグ販売店に関しましては、インターネットによる検索等で情報収集に努めますとともに、関係機関と情報の共有化を図り、把握に努めているところであります。このような取り組みにより、本年四月以降県内で把握された三店舗につきましては、九州厚生局麻薬取締部、県警と連携して立入検査等を行い、これまでに二店舗の廃業を確認したところであります。  条例制定都府県の状況と本県の今後の対応についてでございます。  東京等を含む六都府県は、従来の薬事法では規制薬物への指定に期間を要したことから、知事による迅速な薬物指定等を行うために条例を制定したと聞いております。一方、国においては、本年四月に施行された改正薬事法により、指定薬物の所持、使用、購入、譲り受けを禁止しますとともに、最近の危険ドラッグ使用者による人身事故等を受け、手続の特例による迅速な指定を行うなど改善が図られております。  また、県におきましては、九州厚生局麻薬取締部、県警と連携して立入検査等を行い、七月以降に営業を把握した二店舗のうち、一店舗については廃業届を提出させ、一店舗については検査命令及び販売禁止命令の措置を実施し、迅速な対応を行ったところであります。  今後とも引き続き、九州厚生局、県警と連携を図りながら、迅速な危険ドラッグ対策に取り組んでまいりたいと考えております。 31 ◯土木部長(久保田 一君)自転車の安全な通行のための道路整備状況についてでございます。  県管理道路約四千四百キロメートルのうち、自転車が通行できるものとして指定された歩道は約五百五十キロメートルとなっております。このうち、カラー舗装やポールの設置などにより歩行者と自転車の通行を分離した歩道を、自転車の交通量が多い鹿児島市等において約一・九キロメートル整備しております。また、指宿市の県道においては、十分な幅のある路側帯を活用して、自転車専用通行帯を約七百メートル整備したところであります。  自転車の安全確保に必要な対策については、歩道等の幅員や交通量など地域の実情を考慮するとともに、交通管理者と連携しながら今後とも取り組んでまいります。 32 ◯環境林務部長(新川龍郎君)エコパークかごしまの工期等についてでございます。  公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場エコパークかごしまの整備については、現在、浸出水処理施設、遮水工、管理棟などの工事を進めているところであり、進捗率は八月末現在で九一%となっております。これまで、本年九月の完成を目指して整備を進めてきたところでございますが、技能労働者の確保等が依然として厳しい中、県環境整備公社では安心・安全を第一にして丁寧な施工を行うこととし、工期は十二月末まで三カ月延長することとしております。  また、工事費については、物価変動等に伴い、建設工事請負契約書におけるスライド条項の適用による増額がありますものの、土質や土量の確定に伴う工事量の減少や工法の見直し等により、現時点では現契約額の範囲内におさまる見込みでございます。  次に、開業時期及び処理委託契約確保に向けた取り組みについてでございます。  エコパークかごしまについて、県環境整備公社は、来年一月の開業を目指し、施設完成後、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処分業の許可などの諸手続を速やかに行えるように準備をしているところでございます。また、公社では、県産業廃棄物協会の各支部総会等での説明や、排出事業者や中間処理業者などへの訪問を通じまして、エコパークかごしまの施設の紹介や受け入れ廃棄物の種類、受け入れ手続などの周知を図りますとともに、多量搬入や継続契約などに対する割引料金制度についても説明を行い、産業廃棄物の処理委託契約の締結確保に向けて積極的なPR活動に努めているところでございます。  県としても、エコパークかごしまの開業に向け、県広報紙等を活用し、同施設の周知に努めますとともに、公社に対し、必要な助言・指導などを行ってまいりたいと考えております。  次に、安心・安全な管理型最終処分場の維持管理の取り組みについてでございます。  エコパークかごしま完成後の維持管理業務については、基本計画等において、設計・施工・維持管理の各段階における責任の所在の明確化を図り、施設全体としての一体的管理を行うため、設計・施工を行った共同企業体またはその構成員を相手方として、維持管理業務委託契約を締結することとしており、現在、県環境整備公社において委託の準備を進めているところでございます。  また、開業後の廃棄物の受け入れ基準や展開検査等の内容や手順を定めた維持管理マニュアル等についても、作成作業を進めているところでございます。  県といたしましては、安心・安全で適切な維持管理が行われるよう、公社に対し、必要な助言・指導などを行ってまいりたいと考えております。  次に、世界自然遺産登録の目標年度等についてでございます。  奄美・琉球の世界自然遺産登録については、これまで県では、平成二十八年度の登録に向けた取り組みを国に要望してきたところでございますが、今月八日に開催された奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会において、環境省は、保護担保措置である国立公園の指定やユネスコ世界遺産センターに提出する推薦書の作成等の作業に時間を要する見込みであるとの認識を示したところであり、平成二十八年度の登録は難しい状況になったと考えております。  このため、県といたしましては、平成二十九年夏の登録を目指して、国に対し、必要な取り組みを講じるよう要望してまいりたいと考えております。  奄美群島の国立公園指定については、環境省は、できるだけ早期に指定できるよう関係機関との調整等の取り組みを進めており、県としても、引き続き国に協力してまいりたいと考えております。  次に、世界自然遺産登録に向けた現在までの取り組みと今後の課題についてでございます。  奄美・琉球の世界自然遺産登録について、県では、国や市町村等と連携して、保護担保措置である国立公園の指定、希少野生動植物の盗採防止やアマミノクロウサギ等を捕食するノネコ対策等の世界遺産候補地としての価値の維持、パンフレットの配布や勉強会の開催等の地域住民の機運の醸成等に取り組んできたところでございます。また、平成二十五年度から、観光客の増加を想定した過剰利用の未然防止対策や自然環境に配慮した公共事業等に係る調査・検討も行っております。  県といたしましては、平成二十九年夏の世界自然遺産登録を実現するため、引き続き、国や市町村等と連携して、これらの取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。    [き久伸一郎君登壇] 33 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁いただきました。  うそ電話詐欺の被害防止についてでありますが、最近は金融機関を経由しないレターパックや手渡しなど、詐欺の手口は日々、巧妙化、多様化しているとのことであり、特に、高齢者や周辺に対する防止対策の徹底した周知など、関係機関が連携したさらなる未然防止対策に取り組まれるよう要望いたします。  危険ドラッグ対策については、最近耳にしない日はないほど深刻な実態となっており、本県への浸透も十分に考えられることから、未然防止に向け、条例化も含めた対策の検討を強く要望いたします。  自転車の走行ルール指導と取り締まりについてでありますが、自転車関連の事故は多く、自転車側が加害者となる事故もふえており、小学生が起こした事故で九千五百万円の損害賠償を母親に命じるなど、高額判決が相次いでいるとのことであります。自転車の危険性を再認識させ、交通ルールの遵守を徹底させる取り組みが重要であります。  公共関与による管理型最終処分場の整備については、いよいよ稼働開始に向け、引き続き地域住民の理解に努めつつ整備を推進するとともに、今後の安定経営と適切な維持管理に向けた万全の体制整備を要望いたします。  奄美・琉球の世界自然遺産登録については、平成二十八年六月の目標年次がずれ込む見込みとなったことは残念でありますが、登録の早期実現に向け、国立公園指定等の保護担保措置について、国に対して早急な取り組みを要請するとともに、生態系、生物多様性の価値を維持するための体制強化及び地元の意識啓発にさらなる取り組みを強く要望いたします。  引き続き、環境林務関係について伺います。  次に、県産材の利用拡大について伺います。  近年、県産材丸太の輸出が急増しており、県のまとめでは昨年度の輸出量は四万八千三百五十立方メートルで前年度に比べて二・八倍となっており、中でも経済成長が著しい中国への輸出が大幅に増加したとのことであります。丸太は、全国丸太輸出量トップの志布志港などから輸出されており、韓国、台湾に加え、中国への販路が広がったことが主な要因となっているとのことであります。  また、本県の志布志港は、約八ヘクタールの丸太を集積するヤードを確保できたことから、昨年の全国丸太輸出量の約四割を占めております。  財務省の貿易統計によれば、全国では昨年、国内から中国に輸出された丸太は十二万九千立方メートルで、円安の効果もあり、前年の約九倍であったとのことであります。輸出される丸太は、主に幹に曲がりや節がある価格の安い低質材で、中国では輸送品を乗せるパレットや土木用資材として使われているとのことでありますが、今後は、住宅の建築材に使われる良質材や大径材の輸出に向けた取り組みが重要となってくると考えます。  県産材の利用拡大等については、一昨年以降、議会においても、志布志港を活用した輸出等も含め、たびたび議論されており、引き続き県産材の輸出について積極的に取り組む必要があると考えます。  一方、急速な輸出の拡大には懸念の声も出ているとのことであります。九州南部では製紙会社や木材商社の参入も相次いでおり、木材の高騰や乱伐が広がるおそれも懸念されているとのことであります。  さらに、隣県を含めた南九州においては、木質バイオマス発電施設の整備が進んでおり、宮崎県日南市、薩摩川内市、霧島市などでは来年度から木質バイオマス発電所が稼働する予定となっております。燃料には輸出向けと同じ低質材が大量に必要となりますが、県産材の輸出量が急増したことにより、来年四月の稼働予定の霧島木質発電株式会社を初めとする原料確保への影響も懸念されるところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県産材輸出の現状と取り組みについてお示しください。  第二点は、木質バイオマス発電施設の整備が進む中、発電用原料の確保に向けた取り組みについてお示しください。  次に、水俣病被害者の救済について伺います。  我が国における公害問題の原点とされる水俣病は、公式確認から既に五十八年が経過していますが、本県にも甚大な健康被害と環境汚染をもたらすとともに、長年にわたり地域社会に深刻な影響を及ぼし続けました。現在、水俣病については、公害健康被害の補償等に関する法律、いわゆる公健法と水俣病被害者救済特別措置法の二つの枠組みで対策が実施されているところであります。  御承知のとおり、平成十六年の関西訴訟最高裁判所判決を機に水俣病問題をめぐって多くの方々が救済を求め、国は、平成二十一年七月に、水俣病問題の最終解決を図ることをうたった水俣病被害者救済特別措置法を制定しました。本県においても、翌年五月から救済申請の受け付けが開始され、平成二十四年七月末の締め切りまでに約二万人の方が申請したところです。  県は先般、救済措置に係る判定結果を公表しましたが、約一万五千人の方が救済措置の対象とされました。
     昨年六月には、対象外とされた方などが、原因企業、国、熊本県を相手とする国家賠償等請求訴訟が熊本地裁に提起され、さらに、東京や大阪でも提訴の動きがあると聞いております。  一方、公健法については、昨年四月に、熊本県の認定棄却処分に係る判決が最高裁で確定しました。また、十月には、国の公害健康被害補償不服審査会は、熊本県が行った水俣病認定棄却処分に対し、取り消しの裁決をしました。これらを受け、十二月には、熊本県知事が、認定審査業務を続けていくことは非常に困難であるとした上で、国として責任を持って認定審査を行うよう要求しました。  本県の認定審査会も、昨年一月の認定審査会を最後に開催されておりません。  こうした中、国は、ことし三月に、最高裁判決を踏まえた認定における総合的検討の通知を発出するとともに、四月には臨時水俣病認定審査会を十二年ぶりに開催し、七月には具体的な審査を行ったところであり、県としては今後とも、国の状況等も見ながら、認定審査会の再開に向け準備を進めていくと聞いているところです。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、水俣病被害者救済特別措置法の救済措置の確定に関する評価についてお示しください。  第二点は、公健法に基づく水俣病認定審査の状況と今後の見通しについてお示しください。  次に、保健福祉関係についてであります。  初めに、医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな財政支援制度について伺います。  我が国においては、団塊の世代が後期高齢者となり、高齢化がピークを迎える二〇二五年問題に対応するため、病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、医師、看護師等の医療従事者の確保・勤務環境の改善、地域包括ケアシステムの構築といった医療・介護サービスの提供体制の改革が急務となっております。  このため、国は、医療法等の改正による制度面での対応にあわせ、消費税増税分を活用した医療・介護サービスの提供体制改革を推進するための新たな財政支援制度を創設することとし、平成二十六年度当初予算に総額九百四億円を計上したところであります。今後、各都道府県に基金を設置して、各都道府県が作成する計画に基づき、地域における医療及び介護の総合的な確保を図るための事業を実施することとしております。  こうした国の方針を踏まえ、現在、県においては、都道府県計画を策定しているところであると聞いております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、新たな財政支援制度の概要と計画策定に向けた県の取り組み状況についてお示しください。  第二点は、本県の計画の概要と今後のスケジュールについてお示しください。  次に、安心して子どもを産み育てられる環境づくりについて伺います。  平成二十六年版少子化社会対策白書によると、我が国の人口は、二〇一〇年の一億二千八百六万人から二〇三〇年に一億一千六百六十二万人、二〇四八年には九千九百十三万人と一億人を割る推計となっております。このため、政府は、六月に閣議決定した骨太の方針─経済財政運営の基本方針─の中で、五十年後も一億人程度の人口を維持するために少子化対策に本格的に取り組むこととし、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援などを行うこととしております。  本県においては、かごしま子ども未来プランに基づき、安心して子どもを産み育てることができる社会づくりを目指して母子保健対策に取り組まれており、乳児死亡率などの減少などの改善が図られております。  また、県の合計特殊出生率については、平成二十五年は一・六三で全国六位と高い水準にあります。特に、奄美の市町村については、平成二十六年二月に発表された人口動態統計特殊報告によると、伊仙町が二・八一で全国一位であったほか、三十位までに奄美の八町村が入っております。  このような中、妊娠・出産については、近年、核家族化などの社会環境の変化や、育児経験や子育て知識不足の母親の増加、女性の社会進出、高齢出産の増加などから、出産・子育てについて不安を抱える母親がふえているなど、県においても、安心して子どもを産み育てられる環境づくりが重要な課題となっております。  また、出生数が減少する中で、本県においては、低出生体重児の出生割合が全国平均を上回って増加しております。低出生体重児は発育や発達に支障を来す傾向があると言われていることから、低出生体重児の出生の低減は母子保健施策における重要な課題と考えます。  こうした低出生体重児の増加に対応するため、専門的医療機関における周産期医療体制に加え、在宅における療養・療育環境の整備が必要となってきております。  また、近年、児童虐待の問題も深刻化しており、全国的にも悲惨な事例が後を絶ちません。県が発表した平成二十五年度の児童虐待の認定件数は四百五十二件と前年度から百二十件増加し、これまでで最多となっております。  児童虐待については早期発見・早期対応が重要であり、専門的な機関としての児童相談所の役割は極めて重要となっております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、安心して子どもを産み育てられる環境づくりのために、母子保健対策としてどのような取り組みを行っているかお示しください。  第二点は、本県における低出生体重児の現状、今後の取り組みについてお示しください。  第三点は、児童相談所の相談体制の整備について、体制強化に向けた取り組みについてお示しください。  最後に、県立病院及びドクターヘリについて伺います。  県立大島病院救命救急センターについてであります。  県立大島病院救命救急センターが本年六月に開所しました。高度な医療機能を持ち、脳卒中や交通事故などの命にかかわる重症の救急患者を二十四時間受け入れる同センターの設置は、全国の離島としては初めてとのことであります。同病院は、奄美群島の中核的医療機関として、群島内の医療は可能な限り群島内で完結させることを目標としており、今回の開所により、特に救急医療体制の充実が図られたと考えております。  地元紙によれば、県立大島病院は昨年度、重症救急患者を千八百三十四人受け入れたが、ICUいわゆる集中治療室がないなど、設備や人員に限界があったと報ぜられております。  これまで、奄美群島の救急患者は、県本土と比べて距離が近い沖縄県の医療機関に沖縄県のドクターヘリや自衛隊ヘリで搬送することもあり、昨年度は群島全体で百二十九件に上ったとのことであります。同センターの開設で、徳之島や喜界島といったほかの離島の救急患者をより多く受け入れることにより、長距離輸送による患者の負担軽減も期待されております。  一方、同センターの開設により、本県の救命救急センターは、昨年度までの鹿児島市立病院一施設から、鹿児島大学病院を含め、三施設体制となったことで、県内重症患者の救命率向上も見込まれてくると考えます。今後、同センターは、大島地区の救急医療の中核として県民の命と心のよりどころとなるような役割を担い、地域医療に大いに貢献されるよう期待しております。  さらに、ドクターヘリの導入に関しては、現在まで、大島郡町村議会議長会からの陳情や地元関係者等からも要望がなされており、将来的な導入に向けた期待も高いところであります。  このような中、地元紙によると、先般七月三十日に開催された自民党奄美振興特別委員会において、厚生労働省側は、ドクターヘリについて、県立大島病院の救命救急センター開設を受け、かなり導入しやすい環境になっているとの認識を示した上で、二機目の導入ができるよう概算要求に盛り込む方針を決めており、導入する場合は予算計上し、対応していくと説明したと報ぜられております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県立大島病院救命救急センターの運用状況と地域医療への効果、今後の課題についてお示しください。  第二点は、将来的なドクターヘリ等の導入に向けた考え方についてお示しください。  これにて三回目の質問といたします。 34 ◯環境林務部長(新川龍郎君)県産材輸出の現状と取り組みについてでございます。  県産材の輸出については、中国、台湾等東アジアへ主に土木用資材としてスギ丸太等が輸出されており、その量は年々増加してきております。今年度の志布志港における第一・四半期の輸出量が昨年度の二・五倍に伸びていることから、県産材についても大幅にふえているものと考えております。  県においては、これまでの土木用の低質材に加え、建築・家具用としての大径材や良質材の販路拡大を進めるため、県産材輸出促進協議会の開催等を通じまして、関係者間の情報交換や連携強化を図りながら、商社が行う市場調査やトライアル輸出等に対して支援を行っているところでございます。  今後とも、関係者と連携して、さらなる県産材の輸出拡大に努めてまいりたいと考えております。  次に、木質バイオマス発電施設の原料確保の取り組みについてでございます。  木質バイオマス発電施設については、燃料となる木材を安定的に確保することが重要でありますことから、県といたしましては、発電事業者に対し、木材調達について関係者と事前に十分協議を行うよう指導いたしますとともに、燃料となるチップの生産が円滑に行われるよう、製造施設等の整備に対して支援しているところでございます。  こうした中、霧島市の発電事業者においては、林業事業体等と売買契約を締結するなど、必要な原料が確保できる見込みとなったところであり、また、薩摩川内市の発電事業者においては、系列のチップ工場等と協定を締結するなど、原料確保に努めているところでございます。  県といたしましては、木質バイオマスなどの新たな木材需要に対応して、関係機関・団体と一体となって、県産材を効率的に生産し、これを安定的に供給する体制づくりに努めますとともに、発電事業者に対しては、必要な木材が安定的に確保されるよう、引き続き指導・助言等を行ってまいりたいと考えております。  次に、水俣病被害者の救済についてでございます。  水俣病被害者救済特別措置法に基づく救済措置については、先月をもって全ての判定を終了したところでございます。  県といたしましては、これまで、救済を受けるべき人々があたう限り全て救済されるという法の趣旨に基づいて、できる限りの周知・広報に努めますとともに、関係機関の協力を得て丁寧に審査を進めてきたところでございます。  本県においては、約二万人の方々から申請があり、判定の結果、約一万五千人の方々に被害者手帳の発行などを行ったところであり、多くの方々の救済につながったと考えております。  公健法に基づく水俣病認定審査については、本県では、八月末現在で二百八十六人が未処分となっており、疫学調査や認定検診等、認定審査に必要な準備を進めております。  国は、去る七月に臨時水俣病認定審査会の答申を受け、処分を行ったところであり、県といたしましては、今後とも、国の状況等も見ながら、認定審査会の早期再開に向け、準備を進めてまいりたいと考えております。 35 ◯保健福祉部長(松田典久君)医療・介護サービスに係る新たな財政支援制度の概要等についてでございます。  国は、地域における医療及び介護を総合的に確保するため、消費税増収分を活用した新たな財政支援制度として、各都道府県に、国が三分の二、都道府県が三分の一を負担して基金を設置し、医療・介護サービスの提供体制の総合的、計画的な整備を推進することとしたところであります。  都道府県においては、基金の対象として示された病床の機能分化・連携、在宅医療・介護サービスの充実、医療従事者等の確保・養成の三つの課題に地域の実情に応じて取り組むものとされ、事業の内容や費用等を記載した都道府県計画を作成して、今年度から実施することとされたところであります。  このため、県では、四月に、県医師会を初め、関係団体や市町村を対象に説明会を開催して、計画作成の参考とするための事業提案を募集し、これまで関係団体等からの提案について協議・調整を行うなど、地域の現状、課題等を踏まえながら、県計画の作成に向けた検討を行っているところであります。  今後、都道府県計画や基金事業に関する基本的な事項を定めた国の総合確保方針を勘案しながら、在宅医療を推進するための医科歯科連携や医師・看護職員の確保・養成など、基金の対象とされた事業について県計画を作成し、医療関係者や学識経験者で構成する県地域医療対策協議会における協議などを経て、今月末までに国に提出することとしております。  母子保健対策の取り組みについてでございます。  母子保健対策につきましては、住民に身近な市町村において、母子手帳の交付や定期的な妊婦健診、出産後の乳幼児健診、保健師の家庭訪問や親子教室の開催など、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが行われております。  県におきましては、ハイリスク妊産婦の訪問支援のほか、出生後の障害発生防止を目的とした先天性代謝異常検査の実施、小児がんや先天性心疾患などの長期療養児に対する医療費助成や在宅療養における支援を行っております。このほか、早産や低出生体重児に対応するため、鹿児島市立病院を中心に五つの医療機関による周産期医療体制のネットワークを構築し、緊急時の支援体制を整えております。  県としましては、今後とも、市町村や医療機関と連携しながら、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えています。  低出生体重児への対応についてでございます。  本県における低出生体重児の出生数は、平成二十四年は千五百十人で、出生百人に対して十・二人となっており、全国平均の九・六人を上回っております。  低出生体重児につきましては、若い女性のやせ願望、喫煙、不妊治療による多胎出産の増加、妊婦の高齢化、医療技術の進歩などが要因として指摘されております。このため、市町村においては、医療機関に妊婦健診を委託し、妊婦の年齢や食生活等、個々の状況に応じた指導を行うとともに、胎児の発達に応じた指導等がなされております。また、NICUなどに入院している新生児については、県、市町村、医療機関が連携し、円滑な在宅療養への移行支援を行っております。  県としましては、引き続き、市町村、医療機関と連携しながら、妊婦の健康管理を通して早産の予防に努めるとともに、新生児については、周産期医療体制の充実を図るなど、低出生体重児への対策に取り組んでまいりたいと考えております。  児童相談所の体制強化に向けた取り組みについてでございます。  本県の昨年度の児童虐待認定件数の増加につきましては、虐待認定の見直しが主な要因でありますが、これを除いても依然として三百件を超える件数で推移しております。  児童相談所においては、虐待通告があった場合、訪問による児童の安全確認や保護者への指導を行うとともに、市町村の要保護児童対策地域協議会など関係機関と連携し、虐待の早期発見・早期対応に取り組んでおります。  また、虐待の原因は、保護者の経済的不安や育児能力の低下、望まない妊娠などさまざまな要因が重なり、複雑、多様化しており、児童福祉司を初め、児童心理司や精神科医、保健師などの専門職が連携して、専門的かつ継続的な指導・支援を行っております。  今後とも引き続き、市町村や警察、医療機関等と連携しながら、児童虐待に対応できるよう、ケース検討会の開催や職員の支援能力向上のための研修等によるマンパワーの充実を図り、専門的機関として体制の整備に努めてまいりたいと考えております。  将来的なドクターヘリ等の導入についてでございます。  県におきましてはこれまで、県本土、熊毛地域等での運用状況や奄美地域の医療の実態等も踏まえ、導入に向け検討を行ってきたところであります。  奄美地域に導入するヘリにつきましては、ドクターヘリ機能だけでなく弾力的な患者搬送等に広く活用できる機能の必要性や運用経費に係る安定的な財源の確保などの諸課題を引き続き検討しますとともに、六月に開設した県立大島病院救命救急センターの運用状況も踏まえ、導入の時期やスキーム等を判断してまいりたいと考えております。 36 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)県立大島病院救命救急センターについてでございます。  県立大島病院救命救急センターは、本院と連携して円滑に運用されており、六月の開所から八月末までの救急患者数は二千八百十九人、一日平均救急患者数は三十三・六人で昨年度を八・八人上回っております。そのうち、入院が必要な重症患者は一六・五%の四百六十四人、一日平均入院患者数は六・七人となっております。また、島外医療機関からの患者受け入れも、昨年度の同時期の五人から十人へと増加していることなどから、奄美群島の救急医療に一定の効果を発揮しているものと考えております。  今後の課題としましては、医師の負担軽減や、より一層の円滑な運用のため、あと一名の救急医を確保したいと考えており、さまざまなルートを通じて招聘に努めているところでございます。  県立病院局としましては、大島病院救命救急センターが持つ機能を最大限発揮できるよう、関係機関との連携を緊密にし、さらなる診療体制の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。    [き久伸一郎君登壇] 37 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁いただきました。  県産材の利用拡大についてでありますが、県内の森林資源は充実してきており、今後は付加価値の高い良質材の輸出拡大に努めるとともに、引き続き安定的な木材供給体制づくりに向けた積極的な取り組みを要望いたします。  一方、木質バイオマス発電の増加に伴い、今後は原料の安定確保が重要な課題となることから、しっかりとした取り組みを要望いたします。  水俣病被害者の救済についてでありますが、特措法の救済対象者が発表されましたが、石原前環境大臣は記者会見で、「これをもって救済の終了とは全く考えていない」と述べたとのことであります。公健法に基づく水俣病認定審査とあわせて、今後の推移を注視していきたいと考えます。  医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな支援制度については、消費税増収分を財源として、県が作成した計画に基づき事業が実施されることから、地域の実情に即した支援体制の強化が図られるよう期待するところであります。  安心して子どもを産み育てられる環境づくりは、今後の人口減少対策に向けた広範な取り組みの基礎をなす極めて重要な施策であります。県のさらなるきめ細かな施策の推進を要望いたします。  最後に、県立大島病院救命救急センターの運用開始により、奄美群島の救急医療体制の充実・強化に大きな期待が高まっております。ドクターヘリの導入には課題もあると思いますが、厚労省が運営費補助の方針を表明したことは大きな前進であり、ぜひとも実現に向けた、県、地元連携のもと積極的な取り組みを強く要請いたします。  さて、共同通信が八月に実施した主要企業を対象としたアンケート結果によると、年末の国内景気に関して、全体の九四%が拡大と予想した一方で、九州・沖縄では拡大が五二%、横ばいが四四%となっており、四─六月期の国内総生産が大幅なマイナスとなる中、先行きに慎重な見方も広がっていると報ぜられております。  政府は、来年十月に消費税率を一〇%まで引き上げるか、年末の予算編成までに最終判断することとしており、アベノミクスの真価が問われる正念場を迎えます。  一方、政府は、六月の経済財政運営の指針、骨太の方針で、五十年度に人口一億人程度の安定した人口構造を保持するとの人口目標を設定し、二〇二〇年をめどにトレンドを変えるため、抜本的な改革・変革を推進すべき時期に来ていると明記しました。これを受け、地方創生に力を入れることとして、首相が本部長となる、まち・ひと・しごと創生本部を創設したところであり、年内にも地方創生の総合戦略をまとめることとしております。  全国知事会では、七月に少子化非常事態宣言を採択したところであります。今後、国・地方が取り組むべき最大のテーマとして、真に地方の創生につながる地域活性化が図られるよう、地方の声を踏まえた実効性のある政策の具体化を望むものであります。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  さて、先般九月三日に第二次安倍改造内閣が発足いたしました。安倍総理は、「政策実現に邁進する実行実現内閣として国民の負託に応えていく」と決意を表明し、「引き続き、経済最優先でデフレ脱却と成長戦略の実行に全力を尽くす」と強調するとともに、「最大の課題の一つが元気で豊かな地方の創生である」と語っております。新体制による果敢かつきめ細かな政策を期待するものであります。  私ども自由民主党県議団は、引き続き、県内各地の地域の実情を踏まえ、県勢の発展と県民生活の安定のために、地方の声を届けつつ、最大限の努力を傾注してまいる所存であることを申し上げ、自由民主党県議団の代表質問を終わります。(拍手) 38 ◯議長(池畑憲一君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 39    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)九月十六日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問であります。       ─────────────
    40    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...