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2014-06-18 平成26年第2回定例会(第2日目) 名簿
2014-06-18 平成26年第2回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2014-06-18
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    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    堀 口 文 治 君    柳   誠 子 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(池畑憲一君)代表質問であります。  堀口文治君に発言を許可いたします。    [堀口文治君登壇](拍手) 3 ◯堀口文治君 おはようございます。  平成二十六年第二回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問いたします。
     初めに、去る六月八日、桂宮宜仁親王殿下が薨去されました。謹んで哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げます。  さて、四月に実施されました衆議院鹿児島二区補欠選挙において、自民党公認で公明党が推薦する金子万寿夫候補が、直前までの接戦との情勢の中、当選いたしました。  公職選挙法違反事件に端を発した今回の補選は、消費税増税後初めての国政選挙でもあり、全国的にも注目を集めました。選挙戦では、政治と金の問題、景気と雇用、消費税増税なども争点に上がりましたが、結果的には、アベノミクスによる景気回復への期待や堅調な政権への支持率を背景に勝利をおさめることができました。しかし、投票率は、前回衆議院選挙を一四・五六ポイントも下回る四五・九九%と過去最低を記録したことは、まことに残念と言わざるを得ません。  一方で、金子候補の当選は、県議会から国政の場へという私どものかねてからの強い思いを実現できたものであり、御支持いただきました県民の皆様方に感謝申し上げますとともに、金子議員には、長年の県議会議員、議長としての地方自治の現場での豊富な実績を国政に反映させ、本県の発展のため大いに健闘されることを期待するものであります。  さて、消費税引き上げから二月が経過しました。増税による景気回復への影響が懸念されておりましたが、日銀鹿児島支店が六月五日に発表しました最近の県内金融経済概況によりますと、消費税率引き上げによるぶれを伴いつつも、緩やかに回復しつつあるとして景気判断を据え置いております。四月は小売店で駆け込み需要の反動減が見られたものの、五月に入り、落ち込み幅は縮小し、客足は戻りつつあり、減少幅も想定内、売り上げも夏までには前年並みに回復すると見る企業が多いなど、全体に底がたく推移しているようです。  また、観光面も、香港線就航効果もあって高水準で推移しており、雇用環境も、四月の有効求人倍率が四カ月連続で上昇し、二十年ぶりの高水準となるなど改善の動きがあるとのことであり、ひとまず安堵するところであります。  国政においては、集団的自衛権の行使容認の議論が大きな焦点となっております。首相の諮問機関である安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会─安保法制懇─は五月に、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認などを求める報告書を首相に提出しました。報告書では、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発など日本を取り巻く安全保障環境の悪化を考えれば、現在の憲法解釈は適当でないと指摘し、憲法上認められる必要最小限の自衛権の中に集団的自衛権も含まれると解釈して、行使を認めるべきと提言しました。  安倍首相は、安全保障環境の変化などにより、「一国のみで平和を守ることはできない」と述べ、憲法解釈変更の閣議決定に向け、与党調整を加速するよう指示いたしております。我が国の平和と安全を守る上で、これまで先送りされてきた安全保障の重要課題にようやく本格的な取り組みが行われようとしております。  安保法制懇の提言は、国家の最大の使命は国民の安全を守ることであり、安全保障環境の大きな変更にかかわらず安全保障政策が硬直化するようでは、国民の安全が害されることになりかねない。個別的自衛権集団的自衛権を明確に切り分け、個別的自衛権のみが憲法上許容されるという文理解釈上の根拠は何も示されていないと指摘しております。  ロシアによるクリミア編入や中国の南シナ海における力による現状変更の動きは、国際情勢の現実をまざまざと見せつけるものであり、尖閣諸島を含む中国の海洋戦略への対応が緊迫度を増しております。国際情勢の現実を直視し、安全保障上の徹底した審議を行い、グレーゾーン事態国際平和協力活動に関する法的問題を含めた実効的な安全保障法制の確立を強く望むものであります。  それでは、通告に従い、質問してまいります。  初めに、総務、県民生活関係について伺います。  公共施設等総合管理計画の策定についてであります。  近年、公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっております。全国の地方公共団体においては、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、財政状況は厳しさを増しております。施設等の利用については、人口減少等により今後の利用需要が変化していくことが予想されます。また、市町村合併後の施設全体の最適化を図る必要性があります。  国においては、昨年六月閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針─脱デフレ・経済再生─及び日本再興戦略において、インフラの老朽化が急速に進展する中、新しく造ることから賢く使うことへの重点化が課題であるとされ、国、自治体レベルの全分野にわたるインフラ長寿命化計画を策定するとされたところです。  また、十一月にはインフラ長寿命化基本計画が策定され、地方公共団体においても、インフラ長寿命化計画及び個別施設ごと長寿命化計画を策定するとともに、これらの計画に基づき、点検等を実施した上で適切な措置を講ずることが期待されております。  このようなことから、総務省は、各地方公共団体においては、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点を持って、更新、統廃合、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減、平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要であるとし、各地方公共団体に対し、本年四月、公共施設等総合管理計画の策定に取り組むよう要請するとともに、計画策定に当たっての指針を示し、本年度から計画策定に取り組む地方公共団体に対しては、策定に係る財政措置等を行うこととしております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、本県が策定する公共施設等総合管理計画に盛り込むべき内容及びスケジュールについてお示しください。  第二点は、計画策定後の計画の活用方法についてお示しください。  次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。  近年の核家族化、少子化等、家庭や家族の形態の変化や個人のライフスタイルの多様化、地域のつながりの希薄化により、子供や子育てを取り巻く環境は厳しさを増しております。  このような中、議会では、家庭教育は全ての教育の出発点であり、家庭教育が困難になっている家庭への支援は重要な社会的課題との認識のもと、昨年度、家庭教育支援の条例化に取り組み、昨年の第三回定例会で鹿児島県家庭教育支援条例を制定したところであります。  子供と子育てを応援することは、未来への投資であり、安心して子供を生み育てることのできる環境の整備は、社会全体で取り組むべき最重要課題の一つであります。平成二十四年八月には、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、保育の量的拡大・確保、地域の子ども・子育て支援の充実を目指して、子ども・子育て関連三法が公布されますとともに、国は昨年度、子ども・子育て会議を設置し、子ども・子育て支援新制度の内容については具体的な検討を進め、先ごろ、基本指針のおおむねの案が示されたところであります。平成二十七年度から、新制度による支援が開始されることとなっております。  県は、安心して子供を育てることができるような体制整備を行うため、国からの子育て支援対策臨時特例交付金等を活用して鹿児島県安心こども基金を造成し、平成二十一年度から、保育所等の計画的な整備、新たな保育需要に対応した認定こども園等の整備及び保育士の研修などに取り組んでいるところであります。  また、昨年度は、県子ども・子育て支援会議を設置し、今後、国の基本指針や市町村が行う利用希望調査等を踏まえ、幼児期の学校教育・保育の量の見込みや提供体制の確保の内容及び実施時期などについて協議を行い、本年度中に県子ども・子育て支援事業支援計画を策定するとしているほか、市町村が策定する子ども・子育て支援事業計画に対し、作成上の技術的事項について必要な助言等を行うこととしております。  本年度は、四月の組織機構改正で、支援計画策定に向け体制強化を図りましたほか、子ども・子育て支援新制度への円滑な移行を図るため、小規模保育支援などの新制度における給付事業などを先行的に実施する保育緊急確保事業を行うこととしております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県、市町村における事業計画はどのような内容になるのか、お示しください。  第二点は、新制度開始に向けた県の取り組みについてお示しください。  次に、危機管理関係について伺います。  川内原子力発電所の再稼働についてであります。  ことし三月、国の原子力規制委員会は、川内原子力発電所一、二号機に係る新規制基準への適合性審査について、基準地震動と基準津波の想定や過酷事故対策に大きな課題は残っていないとの判断から、審査を優先的に進めることを決めました。  東京電力福島第一原発事故の影響で稼働停止している国内の原発は四十八基、うち、昨年七月の新規制基準施行以来、安全審査の申請がなされたのは十一原発十八基となっております。審査に合格すれば、新規制基準に基づく国内初の再稼働となります。  四月には、規制委員会が、敷地内の断層や地震、津波対策を確認するため現地調査を実施し、調査に当たった島崎邦彦委員長代理は、「審査会合での九電との説明との相違点はなく、新たな課題は見つからなかった」と述べています。  九州電力においては、四月末、審査会合での指摘等を踏まえた補正申請書を提出しましたが、規制委員会は記載漏れを指摘し、再提出するよう求めているところであります。規制委員会は、審査終了後、審査書案を作成し、科学的・技術的意見を広く募集するため、意見募集を三十日間程度実施することとしております。  安倍首相は、三月の参議院予算委員会で、「国民生活や経済活動に支障がないよう、責任あるエネルギー政策を構築することが何よりも重要であり、原子力規制委員会が厳しい基準で安全と認めたものは地元の理解をいただいた上で再稼働していきたい」と述べております。  四月にはエネルギー基本計画が閣議決定され、この中で、原発を、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると位置づけ、政策の方向性として、安全性について、原子力規制委員会により、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めるとし、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むとしております。  一方、知事は、昨年十二月議会で、「再稼働に当たっては、国が安全性を十分に保証するとともに、公開の場で住民の方々に十分な説明を行い、理解を得ていく必要がある」と答弁するとともに、本年度予算に、国による住民説明会に係る経費を計上し、薩摩川内市といちき串木野市で計三回程度開催するとしていたところですが、その後、半径二十から三十キロメートル圏の阿久根市、日置市及びさつま町まで範囲を拡大し、計五回開くことを表明していらっしゃいます。  また、県では、住民説明会とは別に、UPZの九市町が策定した避難計画に係る住民説明会を、地元市町との共催により、これまで出水市や鹿児島市等において開催しているところであります。  さらに、県は、自治体の避難計画に反映させるため、三十キロメートル圏内の住民が車で避難するのにかかる推計時間や渋滞状況を予測したシミュレーションを五月二十九日に公表しました。  再稼働について、知事は、夏の電力不足に安定的に対応するための最低限の対応が必要であるが、規制委員会の審査の時期により、臨時議会や九月議会で判断する可能性についても言及しているところです。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、規制委員会の審査の状況及び九電の対応状況についてお示しください。  第二点は、避難計画に関する説明会のこれまでの実施状況や、説明会の中で提起された課題等についてお示しください。  第三点は、避難時間シミュレーションの結果の評価及び今後の活用、並びに今回の結果についての地元市町等の反応に対する考えについてお示しください。  第四点は、審査終了後の再稼働の判断に係る手続等、及び新規制基準適合性審査結果に関する説明会の計画についてお示しください。  第五点として、医療機関及び社会福祉施設に入所している要援護者の避難計画について、先般、知事は、十キロメートル圏までは夏ごろまでに作成するが、それ以遠の三十キロメートル圏までについては現実的でないという趣旨の発言をされたと報ぜられておりますが、十キロメートル以遠の避難計画の作成について、知事の考え方をお示しください。  次に、南海トラフ巨大地震についてであります。  平成二十四年八月に国が公表しました南海トラフ巨大地震の被害想定について─第一次報告─では、地震の発生する確率は、三十年以内にマグニチュード八から九級が七〇%と予想されております。最大級の地震と津波の場合、最大の死者数は、全国で三十二万三千人という甚大な被害が想定されており、九州地域においては五万九千人、鹿児島県では千二百人となっております。  昨年十二月には、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、これを受け、国は三月、南海トラフ巨大地震対策の基本方針となる南海トラフ地震防災対策推進基本計画を作成いたしました。この計画の中で、今後、津波対策などを進め、想定される死者数を今後十年間でおおむね八割減らす目標を明記しております。  特別措置法に基づき、県内では、地震防災対策を推進する必要がある防災対策推進地域に、出水市を除く四十二市町村が、このうち津波避難対策を特別に強化すべき必要がある津波避難対策特別強化地域に、八市町が指定されております。  基本計画では、推進地域における減災対策の具体目標を掲げており、これらの施策の実施により、人的・物的両面にわたって被害の絶対量を減らすとともに、可能な限り早期の復旧を図ることとしています。  県及び推進地域の市町村は、それぞれの地域防災計画に減災施策等を盛り込むよう努める必要があります。特別強化地域の市町は、今後五年間に行う津波避難対策緊急事業計画の基本となるべき事項も作成することができ、また、推進地域内の不特定多数の者が出入りする施設の管理者・運営者等には、指定から半年以内の対策計画作成が求められております。  県においても、三月、県内など十一震源と桜島海底噴火による地震・津波の災害想定をもとにした地震等災害被害予測調査の最終報告結果をまとめるとともに、この結果を踏まえて県地域防災計画の改訂を行いました。この中で、南海トラフ地震による建物の全壊・焼失は一万四千九百棟、死者二千人と予測しております。なお、この数字は、地震や建物の詳細なデータを活用したため、国が想定しております家屋の全壊・焼失五千九百棟、死者千二百人を上回り、より一層厳しい想定となっております。  そこでお尋ねいたします。  南海トラフ地震防災対策推進基本計画のポイントと、これを踏まえた今後の県、市町村における取り組みについてお示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)川内原子力発電所につきまして、十キロメートル以遠の医療機関等の避難計画の作成についてのお尋ねがございました。  原子力規制委員会におきましては、五月二十八日、規制委員会の審査に適合いたしました八十万キロワット級加圧水型軽水炉につきまして、一定規模の事故発生を想定した上で被曝線量の試算を行い、その結果に基づく緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算についてを公表しているところであります。  その中で、試算結果から得られる示唆といたしまして、まず、PAZにおける防護措置といたしましては、PAZでは、放射性物質の放出前に予防的に避難を行うことが基本である。それから、UPZにおける防護措置といたしましては、UPZでは、放射性物質の放出前に、予防的に屋内退避を中心に行うことが合理的であるとまとめているところであります。  この点につきまして規制委員会の田中委員長は、記者会見におきまして、五キロメートルから三十キロメートル圏内においては、他に避難することなく屋内退避のほうがよいという試算結果であり、これは大きな知見であり、自治体の避難計画に生かしてほしい旨、述べておられるところであります。  この発言等を受けまして、県といたしましては、まず、PAZの区域のみならず、UPZ区域内の十キロメートル圏内の医療機関及び社会福祉施設につきましては、避難計画を夏ごろまでに策定していただくこととしており、それ以遠の地域の対応につきましては、当面、国の動き等を見ながら、要援護者の保護を最大限図る観点から、今後、検討してまいりたいと考えているところであります。  なお、在宅の要援護者につきましては、関係市町において避難支援計画を作成することとしておりまして、薩摩川内市やPAZ内について、ほぼ作成を終了し、今後、UPZ区域内について、順次作成を進めることとしているところであります。 5 ◯総務部長(稲原 浩君)公共施設等総合管理計画に盛り込むべき内容等についてでございます。  本計画につきましては、四月に国から示されました指針等を参考に、県所有の全ての公共施設等を対象に、その現状を把握・分析した上で、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針といたしまして、施設の点検・診断、維持管理、長寿命化等の各実施方針を取りまとめることといたしております。  計画の策定に当たりましては、関係部局と十分な連携を図りながら進めることといたしておりまして、今年度中をめどに策定したいと考えております。  計画を策定した後には、当該計画に盛り込まれました公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針に基づき、長期的な視点から、維持管理、長寿命化などを計画的に行うことによりまして、財政負担の軽減、平準化を図ってまいりたいと考えております。 6 ◯県民生活局長(岩切剛志君)子ども・子育て支援制度につきまして、まず、県、市町村における事業計画の内容についてであります。  県及び市町村は、平成二十七年度から本格施行される子ども・子育て支援新制度の円滑な実施に向けて、今年度までに、それぞれ五年間を計画期間とする子ども・子育てに係る計画を策定することとされております。  市町村は、新制度の実施主体として、幼稚園や保育所等の現在の利用状況や今後の利用希望等を踏まえ、計画期間中の量の見込みや、これに対する施設の整備目標であります確保方策を盛り込んだ事業計画を策定いたします。  また、県は、市町村計画の数値の積み上げを基本に、市町村の区域を超えた広域的な調整を行った量の見込みやその確保方策、幼稚園教諭等の資質向上、障害児施策など、専門的な知識及び技術を要する事項等を定めた支援計画を策定することとしております。  次に、支援新制度開始に向けた県の取り組みについてであります。  子ども・子育て支援新制度は、消費税の引き上げによる恒久財源を確保することにより、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援の総合的な推進を図ろうとする大きな制度改革であります。  県としましては、こうした状況も踏まえ、担当課の体制強化を図った上で、現在、県子ども・子育て支援会議の意見も十分お聞きしながら、地域の実情に応じた県の支援計画の策定を進めるとともに、新たな幼保連携型認定こども園認可基準条例の準備など、必要な作業を鋭意進めているところであります。  また、これまで、市町村や幼稚園・保育所等事業者に対しては、必要な情報提供や助言等を説明会や個別の相談などを通じ、丁寧に行っておりますほか、国に対しては、必要な情報について時期を失することなく迅速に提供することなどを要望しているところであります。  今後とも、市町村や関係団体と十分連携を図りながら、新制度の円滑な実施に万全を期してまいります。 7 ◯危機管理局長(屋島明人君)川内原子力発電所の新規制基準適合性審査の状況についてであります。  九州電力川内原子力発電所一、二号機については、原子力規制委員会において、新規制基準に基づき、昨年七月から審査が行われておりますが、三月十三日に申請書の補正と審査書案の作成準備に入ることを決定しました。  九州電力は、四月三十日に、補正した申請書を提出しましたが、その後、再補正の指摘を受け、現在、再補正の作業を行っているところであります。再補正申請書の提出後、原子力規制委員会においては、審査書案を作成し、三十日間のパブリックコメントを行った上で審査書の作成に入る見込みであります。  県としては、今後とも原子力規制委員会における審査状況等を注視してまいります。  避難計画に関する説明会の実施状況等についてであります。  避難計画に関する説明会については、UPZ内の関係九市町において、県と各市町の共催により、四月二十四日から順次開催しております。これまで、薩摩川内市、鹿児島市など五市で十四回開催し、合計で約一千六百名の住民の方々に御参加いただいているところであり、今後は、いちき串木野市や長島町などでの開催を予定しているところであります。  説明会においては、県及び各市町の説明に続き、活発な質疑も行われ、住民の方々の避難計画に対する理解の向上に寄与しているものと考えております。  なお、説明会においては、避難計画の経路、集合場所や要援護者の避難等について意見や要望が出されており、今後、各市町は避難計画を一層充実させていきたいとしておりますことから、県としても必要な支援に努めてまいります。  避難時間シミュレーションの結果等についてであります。  今回の避難時間シミュレーションでは、PAZの住民の避難後、UPZの全ての住民が一斉に避難することを想定した十三のシナリオの結果を示しており、UPZの住民の避難時間予測は九時間十五分から二十八時間四十五分でありました。  原子力災害発生時には、空間放射線量の測定結果やSPEEDIの情報に応じて、地域を特定して一定の期間内に避難等を行うこととされており、今回の結果は、おおむねこうした行動がとれる避難時間になっていると考えております。  関係市町からは、避難時間を短縮するために、自動車の乗り合わせ人数をふやすことや、指示に基づかない避難を抑える対策が必要などとの意見をいただいており、今後、避難計画の実効性を高めるため、関係市町と一体となって周知・啓発に努めてまいります。  再稼働の判断に係る手続等についてであります。  原子力発電所については、安全性の確保が大前提であり、再稼働に当たって、まずは国が、安全性を十分に保証するとともに、公開の場で住民の方々に十分な説明を行い、理解を得ていく必要があると考えております。  県としては、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査の終了後に、薩摩川内市、いちき串木野市、阿久根市、日置市及びさつま町において、審査結果についての住民説明会を開催するとともに、国の説明内容に理解が得られたかなどについて、アンケート調査を実施したいと考えております。  その上で、薩摩川内市議会、薩摩川内市長及び県議会の意向などを総合的に勘案して、川内原子力発電所の再稼働について判断することとなると考えております。  南海トラフ地震防災対策推進基本計画等についてであります。  南海トラフ地震は、最大で死者約三十三万人、建物全壊約二百五十万棟などの被害が想定されており、南海トラフ地震防災対策推進基本計画は、今後十年間に死者数をおおむね八割以上、建物全壊棟数をおおむね五割以上減少させることを目標に、国、自治体、事業者等が取り組むべき建物の耐震化や避難の確保などの地震・津波対策、総合的な防災体制の整備、災害応急対策の実施方針等を定めております。  県としては、今後、この基本計画に基づき、地震防災上、緊急に整備すべき施設や津波からの防護、円滑な避難の確保及び迅速な救助に関することなどについて定めた推進計画の作成に取り組むとともに、推進地域に指定された市町村が取り組む市町村推進計画の作成に対して、助言や情報提供を行うなどの支援を行ってまいります。    [堀口文治君登壇] 8 ◯堀口文治君 それぞれ御答弁いただきました。  公共施設等総合管理計画の策定につきましては、厳しい財政状況のもと、人口減少等を踏まえ、今後の利用需要や維持管理コスト等を総合的に勘案し、公共施設の適切な配置や維持管理を図るために極めて重要となる計画であり、長期的視点に立った実効的な計画の策定を要望するものであります。  子ども・子育て支援新制度についてでありますが、子供を安心して生み育てる環境づくりは極めて重要な課題であり、総合的な施策の充実に向け、県の積極的な取り組みを要望いたします。
     川内原子力発電所の再稼働についてでありますが、原子力規制委員会の安全審査が近々、終了するものと見込まれており、いよいよ全国で最初となる再稼働に向けた判断を迫られる日が近づいております。  規制委員会の審査の結果を受け、県民の理解、地元自治体の判断も踏まえつつ、私どもは、議会において慎重な審議を進め、総合的な見地から、この問題に対する判断を行っていく必要があると考えるのであります。  南海トラフ巨大地震についてでありますが、県の想定でも、建物の耐震化対策や早期避難などの減災対策により、被害を大幅に抑えることが可能としております。引き続き、日ごろからの実効的な防災対策の充実に努められるよう強く要望いたします。  次に、産業経済関係について伺います。  初めに、雇用情勢等についてであります。  我が国経済は、アベノミクスの強力な推進により、円安・株高の流れが定着し、企業の収益回復の動きは大企業から中小企業にも拡大し、景気回復の裾野が地方にも着実に広がりつつあります。  四月の消費税引き上げによる景気回復への影響が懸念されましたが、本県の景況においても、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見られるものの、おおむね想定の範囲内であり、弱含みながら持ち直しの動きが続いております。  県内の雇用情勢については、新規学卒者の就職内定率が高校、短大、大学とも改善されてきていますが、有効求人倍率は、依然として全国との格差が大きい状況にあります。また、県外就職者の比率が高く、人材の流出が続いており、一方で、若者の早期離職者も増加しているなど雇用のミスマッチ対策も課題となっており、さらなる新規学卒者や若者の雇用対策が重要となっております。  一方、報道等によりますと、アベノミクスによる企業収益改善は大企業から中小企業にも広がっており、賃金も上昇しているとしています。今後は、地方の中小企業も含めた企業全般について、収益をどのように賃金上昇につなげていくかが大事であります。  本県の企業のほとんどは中小企業であり、増税後において、なおさらアベノミクス効果による従業員の賃金上昇が望まれるところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、本県の雇用情勢の動向及び新規学卒者、若年者の雇用対策についてお示しください。  第二点は、アベノミクス経済政策による本県中小企業従業員の賃金への波及状況についてお示しください。  次に、TPP等への対応について伺います。  TPP交渉においては、シンガポールなど多くの国が日本に対し、米を含む農産品や工業品の関税を全て撤廃するよう要求する中、日本は、米やサトウキビなど農産物重要五品目を関税撤廃の除外品目として取り扱うべきという基本姿勢をとってきております。  一方、日豪EPA─経済連携協定─交渉では、去る四月七日、安倍首相とアボットオーストラリア首相との会談を経て、牛肉関税の段階的引き下げなどで大筋合意したと報じられました。関税引き下げは、価格下落など国内生産現場へ相当の影響が心配されます。輸入数量が一定量を超えた場合は、数量制限で豪州産が一度に大量に入ってくることは避けられるとのことでありますが、生産現場での動揺は大きく、今後、政府は必要な支援策を示すべきものと考えます。  日豪EPA交渉の大筋合意後、TPP交渉の日米二国間の懸案解決のため、四月九日以降、日米の閣僚や首脳による会談が開催されたところでありますが、米国がこれまでの強硬姿勢を崩すことはなく、大筋合意に至らなかったところであります。  また、五月にシンガポールで開催されましたTPP閣僚会合の結果、市場アクセスなどの残された課題に集中的に取り組むこととなり、引き続き、日本にとって国益をかけた厳しい局面が続きます。  政府においては、今後とも国会決議を遵守した交渉が求められるところであり、交渉進展を見た分野についても、国会決議に反する内容が含まれていないか、詳細な国会での検証と国民的論議が欠かせません。交渉内容の徹底した情報公開と、課題や対策についての説明が求められます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、大筋合意した日豪EPA交渉の内容と本県への影響及び今後の対応についてお示しください。  第二点は、現在、把握しているTPP交渉の状況と今後の対応についてお示しください。  次に、豚流行性下痢対策について伺います。  豚流行性下痢は、昨年十月に沖縄県において国内で七年ぶりに確認されて以降、六月九日時点で、茨城県、宮崎県など三十八道県で発生が広がっております。本県でも、昨年十二月、平成十三年以来の発生となる豚流行性下痢の感染が鹿屋市を中心に広がり、その後、曽於地区、出水など県下に広がって、現在も終息の見通しは立っていないところであります。  現在、中国を初めとするアジア地域や米国でも継続的に発生しており、日本においても今後、感染がさらに拡大することが懸念されるところであり、発生予防対策と蔓延防止対策を徹底する必要があります。  現時点で病原体の侵入経路は不明でありますが、主として、ウイルスのついたふんが人や車両などを介して養豚場に入り、直接的または間接的に経口感染することで感染を広げると考えられております。  豚流行性下痢は、母豚はほとんど回復しますが、若い豚ほど重症化しやすく、特に生後十日以内の子豚で致死率は五〇%以上になることがあります。県内では、平成八年に流行し、約三万三千頭が死亡いたしましたが、今回はそれを倍超える被害が危倶されているところであります。  今回の豚流行性下痢の流行により、発生した繁殖農家においては、子豚出荷頭数が減少し、経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されるほか、繁殖農家のみならず、子豚を育てる肥育農家を含めた養豚農家全体において、豚流行性下痢の影響が出ているものと懸念しております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、現在の発生状況と発生予防対策及び蔓延防止対策の実情についてお示しください。  第二点は、現在の発生農家及び養豚農家全体への影響と支援策の活用状況についてお示しください。  次に、戦略的なPRの取り組みについてであります。  本県は、豊かな自然、個性ある歴史・文化、多様な食材など、全国、国外に誇れるすばらしい本物の素材にあふれております。これらのさまざまな魅力ある素材を戦略的に情報発信するため、「本物。鹿児島県」というキャッチコピーのもと、知事トップセールスを初め、芸能人を活用したイメージアップなど、国内外でさまざまなPRの取り組みが行われてきているところであります。  知事トップセールスについては、その効果を高めるため、トップセールスのときだけでなく、トップセールスを行った後も、経済団体、民間企業と連携した取り組みが大事であると考えます。  さて、本年三月三十日には、国際定期航空香港線が五年ぶりに再開され、本県の国際線は、ソウル、台北、上海と合わせて過去最多の四路線となりました。今後、経済発展が期待される環黄海経済圏のこれらの都市を初め、広く東南アジアからの誘客促進のため、効果的な本県のPRを行うことが求められるところであります。  さらに、本県では、来年には国民文化祭、平成三十二年には国民体育大会の開催が予定されているほか、明治維新百五十周年行事、明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域や奄美と沖縄の世界遺産登録など、話題性のあるイベントやプロジェクトが予定及び期待されているところであります。  今後、本県は、国内外に向けて知事トップセールスの効果的な実施など、より一層の戦略的なPRを行っていく必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、国内外での戦略的なPRの取り組みの現状、課題及び今後の取り組みについてお示しください。  第二点は、知事トップセールスの現状、効果及びトップセールス後の経済団体等との連携についてお示しください。  次に、企画関係について伺います。  初めに、エネルギー政策について伺います。  本年四月、国において、中長期的なエネルギー政策の指針となる新たなエネルギー基本計画が閣議決定されました。同計画においては、原子力発電が重要なベースロード電源と位置づけられ、その安全性については、原子力規制委員会の判断に委ねることとされたところです。  同計画において、原発依存度については、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入により、可能な限り低減させるとの方針のもと、再生可能エネルギーは、これまでに示した水準をさらに上回る導入を目指すとされました。  こうした中、県においては、国の新たなエネルギー基本計画等も踏まえ、鹿児島県再生可能エネルギー導入ビジョンを策定したところです。  本県においては、昨年十一月に国内最大規模のメガソーラー発電所が運転を開始するなど、再生可能エネルギーの導入に向けた動きが活発化しております。国のエネルギー基本計画において、将来のエネルギーミックスは明示されていない状況でありますが、東日本大震災以降のエネルギーをめぐるさまざまな課題等を鑑みると、再生可能エネルギーの導入促進は本県においても重要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、国のエネルギー基本計画の概要についてお示しください。  第二点は、県の再生可能エネルギー導入ビジョンの概要についてお示しください。  第三点は、再生可能エネルギー導入に向けての課題及び今後の県の取り組みについてお示しください。  次に、奄美群島の振興について伺います。  三月二十八日、改正奄美群島振興開発特別措置法が成立し、五月一日の奄美群島振興開発審議会において、今後五年間の指針となる基本方針案が了承され、五月七日に国の基本方針が策定されたところであります。  これらを踏まえ、県において、平成二十六年度から三十年度までの五年間の振興開発の基本方針と各島における振興方策を示す奄美群島振興開発計画が策定されました。計画では、地域の特色を生かした産業振興、定住の促進等を図るため、地域主体の取り組みの推進等五つの施策の柱を定めるとともに、広域的に取り組む施策、世界自然遺産に関連した施策など、奄美群島の最近の動向を踏まえた施策が追加されたところです。  知事は、四月の記者会見で改正奄振法について、「奄美群島振興交付金という大きな目玉もでき、画期的な法となった。世界自然遺産への取り組み、大島高校の甲子園出場、フェリーターミナルの完成と、次の時代を迎えつつある」と発言されました。  一方、奄美─成田に格安航空会社─LCC─、バニラ・エアが七月から運航予定であり、奄美と首都圏を結ぶ直行便が一日二便体制となり、奄美群島のさらなる観光発展につながることが期待されます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、新しい奄美群島振興開発計画の概要と知事の所感についてお示しください。  第二点は、奄美群島振興交付金を活用した主な事業について、具体的な内容等をお示しください。  第三点は、LCC、バニラ・エア参入による効果についてお示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 9 ◯知事(伊藤祐一郎君)TPP等への対応についてお尋ねがございました。  日豪EPA交渉の大筋合意の内容につきましては、まず、牛肉につきまして、冷蔵牛肉の関税を十五年かけて二三・五%に、冷凍牛肉の関税を十八年かけて一九・五%にそれぞれ削減する一方、現状以上の輸入量になったときには、関税率を現行に戻しますセーフガードが導入されることとなっております。  なお、米や砂糖につきましては、関税撤廃等の対象から除外または将来の見直しとするなど、現行の国境措置が基本的に維持されることとなっております。  国は、国内農林水産業の存立及び健全な発展と両立し得る合意に達成することができたとしておりますが、我が国の輸入牛肉における豪州産の割合は最も高く、低価格帯の国産牛肉との品質面での競合や牛肉価格全体の低下等によります本県畜産農家への影響が懸念されるところであります。  このため、県といたしましては、農家が安心して経営を継続できるよう万全な対策が講じられますように、県開発促進協議会等を通じて国に要請してまいりたいと考えております。  TPP協定交渉につきましては、関税や知的財産などの分野を含め、いまだ最終的な合意の姿が見えていないところであり、予断を許さない状況となっておりますが、TPPは、本県の基幹産業であります農林水産業などに大きな影響を及ぼすことが懸念されますことから、引き続き、最大の関心を持って、国会における議論や交渉の状況など、国の動向を十分に注視してまいりたいと考えております。  知事のトップセールスについてのお尋ねがございました。  トップセールスにつきましては、私みずからが先頭に立ちまして、県経済連や県漁連、県特産品協会など経済団体と一体となり、大手量販店や百貨店での農林水産物や特産品の売り込み、海外での鹿児島和牛等の県産品の販路の拡大、海外定期航空路線の誘致などを実施してきているところであります。  その結果、大手量販店におきます鹿児島フェア実施店舗や取扱量の大幅な増加や、海外の著名なホテル、レストランでの鹿児島フェアの開催、台湾、香港線を初めとする海外定期航空路線の開設などの一定の効果が得られていると考えております。  トップセールスの後につきましては、例えば、大手量販店での鹿児島フェアを開催した場合、経済団体等と連携いたしまして、フェア開催後の事業評価や同量販店のバイヤーを招聘した商談会、産地訪問の継続的な実施など、トップセールスの成果を最大限に活用できるような取り組みを展開しているところであります。  今後とも、国の内外を問わず、本県経済団体や県議会とも連携いたしました県産品の市場開拓や観光客の誘致など、本県の産業振興につながる効果的なトップセールスを展開してまいりたいと考えております。  新しい奄美群島振興開発計画についてのお尋ねがございました。  新しい奄美群島振興開発計画につきましては、平成三十年度までに延長されました奄美群島振興開発特別措置法の趣旨や奄美群島振興開発基本方針、地元市町村計画などを踏まえ、去る五月十五日に決定したところであります。  今回の計画におきましては、新設された奄美群島振興交付金を活用いたしました航空・航路運賃や農林水産物の輸送コストの軽減などの施策や、通訳案内士や旅行業代理業等に係ります特例制度の普及・定着、再生可能エネルギーの導入促進等を新たに盛り込みますとともに、世界自然遺産に向けた取り組みの推進や、島ごとに特性を生かしました振興開発を図ることとしたところであります。  私といたしましては、奄美群島が多様で豊かな自然や伝統文化を持ち、成長著しい東アジアに近接しておりますなど大きな発展可能性を有しており、世界自然遺産登録の動きを機会に国内外からの注目が集まってきていることを考えますと、奄美群島の振興開発につきましては、新たなステージに向かう時期に来ていると考えておりまして、国や地元市町村などと一体となりまして、新しい奄美群島振興開発計画の実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 10 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)本県の雇用情勢の動向及び新規学卒者や若年者の雇用対策についてでございます。  本年三月の新規学卒者の就職内定率は、高校生が九八・九%、短大生が九七・八%、大学生が九三・〇%といずれも前年を上回り、全国平均と比べても遜色ない水準にございます。一方、四月の有効求人倍率は〇・七五倍でございまして、四カ月連続で増加しておりますものの、全国平均の一・〇八倍に比べますと格差が大きく、依然として厳しい状況にございます。  新規学卒者や若年者の雇用対策につきましては、雇用確保ローラー作戦やインターンシップを実施いたしますとともに、若者就職サポートセンターにおきまして、各種セミナーやキャリアコンサルティングなどに取り組みますほか、各種就職面談会の開催、座学と企業実習を組み合わせた実践的職業訓練など、きめ細やかな支援を実施しております。  今後とも、国を初め、関係機関と連携を図りながら、新規学卒者や若年者の雇用対策に取り組んでまいります。  本県中小企業従業員の賃金の動向についてでございます。  県内企業の賃金につきましては、厚生労働省の毎月勤労統計調査によりますと、常用労働者一人当たりの所定内給与が昨年の十月以降、対前年比プラスで推移しておりまして、直近の三月を見てみますと、一・六%の増となっております。  また、県が行いました春季賃上げ状況調査によりますと、中間集計で回答のありました中小企業三十七社を含みます五十一社の平均で、賃上げ率は一・六八%の増、妥結額は三千八百七十一円となっておりまして、六年ぶりに三千円を超えております。  なお、五十一社のうち、前年にも回答があり妥結額が比較可能な四十五社の状況を見てみますと、前年を上回ったところが二十八社、六二・二%、同額のところが六社、一三・三%、下回ったところが十一社の二四・五%となっております。 11 ◯農政部長(福田博史君)豚流行性下痢対策についてでございます。  豚流行性下痢は、全国において三十八道県、七百六十六農場で発生し、約二十八万頭の子豚が死亡しており、本県では、養豚場が密集している肝属・曽於地域を中心に百六十九農場で発生し、約五万四千頭の子豚が死亡しております。  本県は、全国の中でも豚の飼養頭数や農場数及び屠畜場が多いことから、発生件数が多くなっておりますが、五月以降は新たな発生農場は少なくなっており、鎮静化の傾向にあると考えております。  県においては、発生予防と蔓延防止を図るため、防疫対策会議等を通じ、農家等に対し、情報提供と畜舎内外における徹底した消毒の指導やワクチン接種の啓発を行うとともに、全農家における防疫対策の実施状況の確認と疫学調査の結果を踏まえ、農場入り口での消毒体制や農場専用長靴等の設置など、改善指導を行っております。  また、農家個々の取り組みに加え、地域ぐるみでの消毒実施を徹底するために、生産者を中心とした防疫組織の設立を促進するとともに、屠畜場やトラック協会などに対しても車両等の消毒の徹底を指導してきております。  さらに、市町村等においても、地域内の道路への薬剤散布や農家への消毒薬の配布など、地域ぐるみでの蔓延防止に取り組んできたところであります。  現在、豚流行性下痢による子豚の死亡頭数は、県内の母豚から生まれる子豚の二%程度であり、養豚農家全体では、特に肥育用子豚の導入に支障が生じるような状況にはないと聞いておりますものの、発生農場においては、出荷頭数の減少により資金繰りの悪化が懸念されております。  このようなことから、各地域振興局等において、市町村等とも連携し、必要な運転資金を融資する農林漁業セーフティネット資金等の活用について周知を図ってきておりますが、六月十日現在、七件の相談があり、四件の貸し付けがなされております。  また、農家が農場入り口の防疫対策に必要な消毒機器整備や消毒薬の購入に必要な経費について、新たに国が消費・安全対策交付金の対象としたことから、県としては、この交付金を活用した防疫対策にも取り組んでいるところであります。 12 ◯観光交流局長(武盛武士君)国内外での戦略的なPRに関しまして、まず、取り組みの現状についてでございます。  本県のイメージアップを図り、観光客の誘致や県産品の販売促進等につなげるため、「本物。鹿児島県」をキャッチコピーとして、国内外で本県の多彩な魅力を積極的にPRしてきております。  昨年度は、テレビや雑誌等での情報発信を初め、関東及び東海地区等のJR主要駅でのイメージアップポスターを活用した広告の展開や、本県出身者でAKB48の柏木由紀さんによる県内公共交通機関での車内アナウンス、また、東京、大阪及び福岡の若者が集まるカフェでの柏木由紀さん監修の県産品使用メニューの販売などのPRキャンペーンを行ってきたところです。  また、海外におきましては、香港、台湾でのイメージアップコマーシャルの放映のほか、上海においては、中国人向けの訪日観光情報誌や著名ブロガーによる情報発信により、本県の多彩な魅力をPRしたところです。  次に、課題と今後の取り組みについてでございます。  今後のPRに当たっては、情報メディアの進化や消費者ニーズも踏まえ、若者や女性、シニア層など各年齢層に応じたPRの徹底や、本県産品の特徴や素材をより一層生かしたプロモーションの展開のほか、経済成長著しい環黄海経済圏など、海外における本県の認知度向上が課題であると考えております。  このため、今年度は、引き続き柏木由紀さんを活用したPRを初め、各年齢層に応じたテレビ、雑誌、ソーシャルネットワークサービスの活用、また、一流シェフによる本県の多彩な食の情報発信などを行うほか、海外向けイメージアップコマーシャルを新たに制作・放映し、鹿児島の本物の素材の魅力を海外でも広く認識していただけるような取り組みを行うこととしております。  さらに、来年以降も、国民文化祭や明治維新百五十周年関連行事など情報発信力の高いイベントの開催が予定されておりますことから、これらの機会を捉え、本県の豊かな自然や個性ある歴史・文化等の資源を生かした効果的なPRの展開に努めてまいります。
    13 ◯企画部長(古川仲二君)まず、エネルギー基本計画の概要についてでございます。  国の新たなエネルギー基本計画では、エネルギーをめぐる国内外の環境の大きな変化を踏まえまして、新たなエネルギー政策の方向性が示されたところでございます。具体的には、再生可能エネルギーについては、重要な国産エネルギー源として積極的に推進していくとともに、原子力を地熱や水力などと同様、ベースロード電源と位置づけ、その依存度については、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させる方針のもとで、我が国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減等の観点から確保していく規模を見きわめるとされるなど、各エネルギー源の位置づけと政策の基本的な方向性を明らかにしております。  一方、エネルギーミックスにつきましては、各エネルギー源の位置づけを踏まえ、固定価格買取制度に基づく再生可能エネルギーの導入等を見きわめて、速やかに示すとされております。  このほか、電力システム改革や国内エネルギー供給網の強靱化、水素社会の実現に向けた取り組みなど、今後二十年程度の中長期のエネルギー需給構造を視野に入れ、取り組むべき政策課題と長期的、総合的かつ計画的なエネルギー政策の方針が示されているところでございます。  次に、県の再生可能エネルギー導入ビジョンの概要についてでございます。  県では、国の新たなエネルギー基本計画等を踏まえ、去る四月、本県における再生可能エネルギーの計画的導入を進めるための指針として、平成三十二年度を目標年度とする再生可能エネルギー導入ビジョンを策定いたしました。  同ビジョンは、対象とするエネルギーをこれまでの太陽光や風力などに加えて、全ての水力発電や地熱発電、海洋エネルギーを含めた再生可能エネルギーに拡大するとともに、地域特性を生かした再生可能エネルギーの導入や地球温暖化対策への貢献などを導入の基本方針とし、利用可能量や導入実績等を勘案した上で、太陽光発電を平成二十四年度対比で六・八倍の百万キロワットなどとする新たな導入目標を設定したところです。  このほか、各エネルギー種別ごとの取り組みの方向性や普及啓発等、各種の取り組みについても示したところでございます。  次に、再生可能エネルギー導入の課題と県の取り組みについてでございます。  再生可能エネルギーは、既存のエネルギーと比較してコストが高いことや出力が不安定であること、設備利用率が低いことなどの課題がございますが、再生可能エネルギーの推進は、エネルギーの自給率の向上や低炭素社会の実現にとって重要であると考えております。  このため、県といたしましては、今回策定した導入ビジョンに基づき、再生可能エネルギーのさらなる普及・拡大に取り組むことといたしており、今年度は、未利用県有地に再生可能エネルギーを導入し、その収入を財源に再生可能エネルギー関連施策を展開する、かごしまグリーンプロジェクトの成立可能性についての調査・検討や、海洋再生可能エネルギー施設を導入した際の課題等を検討する地域協議会を設置するほか、木質バイオマスエネルギーの利用施設の導入に対する助成や、各種の普及啓発事業を行うことといたしております。  次に、奄美群島振興交付金についてでございます。  奄美群島の厳しい地理的、自然的条件不利性の克服等を目指した地域の裁量に基づく施策を推進するため、本年度創設されたものでございまして、これまでのハブ対策や観光施設整備等の奄振非公共事業に加えまして、新たに、農林水産物の輸送コスト支援や航空・航路運賃軽減の対策などがこの交付金の対象となったところでございます。  その主な事業内容について、まず、農林水産物輸送コスト支援事業につきましては、奄美群島で生産される農林水産物五十五品目を本土まで輸送するコストの支援を行い、本土産地と同一条件の環境を整えることによりまして、さらなる生産基盤の強化を図ることといたしております。  次に、航空・航路運賃軽減事業におきましては、奄美群島における移動コストの負担軽減を図りますため、七月十九日搭乗分より、群島住民等を対象とした航空・航路運賃の軽減を行うことといたしておりまして、例えば、これまで片道一万六千二百円でありました鹿児島─奄美大島間の離島住民向け航空運賃を一万二千五百円に軽減するなど、運賃負担の緩和を通じ、島外との往来の活発化による地域経済の活性化を図るものであります。  また、交流需要喚起対策特別事業では、奄美群島における交流人口の拡大を図りますため、東京─奄美間等における航空運賃の軽減措置や観光入り込み客の増大に向けたプロモーション等を試験的に実施することといたしており、現在、その具体的な内容について航空会社等と調整を進めております。  県といたしましては、関係機関と連携し、これらの事業を着実に実施し、今後とも奄美群島の自立的発展や定住の促進、交流の拡大等が図られるよう努めてまいります。  次に、奄美─成田線の就航についてでございます。  首都圏と奄美群島を結ぶ航空路線につきましては、来る七月一日からのバニラ・エアの就航によりまして、平成四年の奄美─羽田線開設以来二十二年ぶりの新規参入が実現することとなり、運賃につきましても、沖縄─成田線とほぼ同水準である片道八千円から二万九千五百円の間に設定されますなど、大幅な低廉化が実現することとなりました。  これまでの格安航空会社の就航におきましては、例えば、鹿児島─名古屋線への新規参入に伴い、同路線の利用者数が既存路線と合わせまして約四〇%増加するなど、交流人口を拡大する効果が見られているところでございます。  県としては、今回、奄美─成田線の就航による首都圏からの観光客誘致や住民の移動コスト低減といった効果を通じ、奄美群島全体の活性化につながることを期待いたしているところでございます。    [堀口文治君登壇] 14 ◯堀口文治君 御答弁いただきました。  雇用情勢等についてでありますが、新規学卒者の就職状況も着実に改善しており、県内企業の賃金上昇も広がっているようであります。引き続き、景気回復の効果が県内企業全体に波及することを期待するとともに、きめ細かな雇用対策の取り組みを要望いたします。  TPPについてでありますが、政府からの正確な情報が示されない中、現在の交渉状況及び今後の方向性はさっぱりわからないというのが実感であります。先般、県庁で政府の説明会が開催されましたが、焦点となっている牛・豚肉等の関税について、渋谷内閣審議官は、日米はまだ相当立場が離れており、何一つ合意に至ったものはないと強調しましたが、具体的な内容の説明はなく、出席者からは懸念する声が相次ぎました。引き続き情報収集に努め、県として対応していく必要があると思います。  豚流行性下痢対策についてでありますが、いまだ終息の兆しは見えておりません。養豚農家全体の経営や、枝肉価格の高騰により消費者にまで影響が及んでおります。発生・蔓延防止に向けた徹底した取り組みを強く要請いたします。  戦略的なPRについてでありますが、知事におかれましては、就任以来、積極的なトップセールスに取り組まれていることを評価するものであります。さらなる効果的かつ戦略的な本県のPRへの取り組みをお願いいたします。  エネルギー政策につきましては、固定価格買取制度を背景に県内各地で再生可能エネルギーの普及が着々と進んでおります。さらなる普及促進に向け、県の積極的な取り組みを要望いたします。  奄美群島の振興につきましては、新たな交付金制度の活用による各種事業の推進により、群島の自立的発展に大きく寄与することが見込まれます。また、首都圏と結ぶバニラ・エアの参入は、世界自然遺産登録の実現を見据えた新たな展開につながるものとして大いに期待するところであります。  次に、土木関係について伺います。  初めに、公共土木施設の老朽化対策について伺います。  国土交通省の有識者会議は四月十四日、市町村が取り組む道路橋やトンネルの老朽化対策で国が実施すべき支援策をまとめ、都道府県ごとに道路メンテナンス会議の設置など、メンテナンスサイクルの仕組みを構築することを提言しました。  また、県では四月十日に、県管理の道路橋保全のために、平成二十年度に策定した県橋梁長寿命化修繕計画の見直しを発表したところです。この計画においては、前回の計画策定後に実施した点検結果を踏まえ、損傷や劣化が進行してからの事後的対応ではなく、早目早目の予防的保全を推進していくこととしております。  公共土木施設の老朽化対策は橋梁だけに限らず、道路、港湾、河川、砂防など、高度成長期に集中的に整備された施設全般に共通する課題であり、これらの維持管理や更新に要する費用は今後、急増することが想定されるため、早急な対応が必要であります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県橋梁長寿命化修繕計画の見直しの内容についてお示しください。  第二点は、道路、港湾、河川、砂防などの公共土木施設の老朽化の現状についてお示しください。  第三点は、今後の公共土木施設の老朽化対策への取り組みについてお示しください。  次に、指宿有料道路について伺います。  指宿有料道路は、九州縦貫自動車道と直結し、指宿、鹿児島、霧島を結ぶ観光道路として、また、鹿児島インターから谷山インター間については、市街地の交通混雑の緩和や物資等の輸送の役割を担う道路であります。  二期区間は、建設から三十七年が経過し、のり面等の老朽化が進み、平成二十五年には二カ所ののり面崩壊が発生し、現在も片側通行を余儀なくされるなど、維持管理に課題があると聞いております。  また、三期区間にある山田インターは、鹿児島方面からの乗りおりしかできないハーフインターであり、利用者から利便性向上のためフルインター化を求める声が聞かれ、この山田インターのフルインター化については、平成二十九年度以降の有料道路事業の取り扱いの中で今後、検討するとされております。  県は、これまで議会において、「指宿有料道路は、平成二十九年度には償還を終える見込みであるが、本路線の改修や将来の維持管理に一定の財源が必要となることから、相当額程度を徴収することを検討している」と述べております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、指宿有料道路の今後のあり方についてお示しください。  第二点は、山田インターのフルインター化についてお示しください。  次に、教育関係について伺います。  教育委員会制度改革についてであります。  教育委員会制度の改革については、昨年四月に政府の教育再生実行会議が、地方自治体の首長が直接任命した教育長に地方教育行政の権限と責任を集中して担わせることを柱とした提言を安倍総理に提出しました。  これにより、文部科学大臣の諮問を受けた中央教育審議会ではさまざまな議論がなされ、昨年十二月に、地方自治体の首長に地方教育行政の最終的な決定権限を持たせるとした答申がなされましたが、それまでの議論の中で、首長の暴走を懸念する声が根強くあったことから、現行制度と同じく最終権限を教育委員会に残すとしたものについても、両論併記に近い扱いで記載されました。  自民党では、答申をもとに検討を行い、公明党との合意を経て、教育委員会を執行機関として残す一方、教育長と教育委員長を一本化した新教育長を設け、その任免は首長が議会の同意を得て直接行い、また、首長は、自身が主宰する総合教育会議で教育委員会と協議し、教育の振興に関する施策の大綱を定めるなど、首長の関与を強める与党案を決定いたしました。  この与党案では、首長の意向が教育行政に反映されやすくなるとの意見に対して、政治的中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会を引き続き執行機関とし、職務権限は従来どおりとすることとしております。また、いじめによる自殺の防止等、児童生徒等の生命または身体への被害の拡大または発生を防止する緊急の必要がある場合に、文部科学大臣が教育委員会に対して指示ができることを明確化しております。  与党案を受け、政府は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正案を今国会に提出し、六月十三日に可決・成立し、来年四月に施行されることとなったところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、改正法における首長と新たに任命される教育長の役割についてどのように考えるのか、お示しください。  第二点は、首長が総合教育会議において協議し策定する、教育の振興に関する施策の大綱とはどのようなものになるのか、お示しください。  次に、警察関係について伺います。  不祥事案の問題点と再発防止に向けた取り組みについてであります。  ことし三月、部下二名と恐喝事件の被害者の供述調書を改ざんしたとして、虚偽有印公文書作成などの罪に問われた県警の元警部に対し、鹿児島地方裁判所は、六月十三日、懲役一年六ヵ月、執行猶予三年の判決を言い渡しております。  新聞報道によりますと、これは、暴力団関係者が逮捕された事件で、数カ月間に及ぶ事情聴取の間に被害者の供述内容が変遷したにもかかわらず、最初の調書に供述の変遷がわからない形でまとめたものであり、鹿児島地検の指摘で発覚したとのことであります。  さらに、新聞報道によりますと、県警の警部が、交通事故の実況見分調書と当事者の供述調書との食い違う点について、部下に指示し、当事者に無断で書きかえさせていたとして、県警は、虚偽有印公文書作成などの疑いで警部及び部下を書類送検し、起訴猶予処分となっております。  供述調書や実況見分調書は、裁判における証拠としても用いられるものであり、重要な書類として改ざんはあってはならないものであります。県警察に対する県民の信頼を損なわないために、問題点の把握を行い、再発防止の取り組みをしっかりと行っていく必要があります。  そこでお尋ねいたします。  今回の事案に係る問題点と再発防止に向けた取り組みについてお示しください。  次に、環境厚生関係について伺います。  初めに、公共関与による管理型最終処分場についてであります。  産業廃棄物管理型最終処分場は、本県における循環型社会の形成や地域産業の振興を図る上で必要不可欠な施設であります。そのため、県は、薩摩川内市川永野町において、県内初の公共関与による管理型最終処分場について、平成二十六年九月の完成を目指して整備を進めており、平成二十三年九月の本格着工から二年半余りを経過したところであります。  整備に当たり、県は、平成二十年六月に本県議会で示した附帯決議に留意して対応しており、地域振興策については、薩摩川内市と連携して、道路整備や河川改修、簡易水道の上水道への切りかえ整備などを実施しているとのことで、関係自治会住民の方の理解に努めながら工事を進めているようであります。  本管理型最終処分場は、いよいよ本年度中の稼働が見込まれる状況であることから、今後は、事業主体である県環境整備公社による開業に向けた取り組みが重要となってくると考えます。  一方、第一回定例会における我が会派の代表質問において、進捗状況に関し、県は、「昨今の全国的な建設投資の増加により、資材や技能労働者の確保などが厳しいという状況の中、本年九月の完成を目指し、工事を進めている」と答弁しておりますが、五月二十七日に実施したエコパーク安全監視委員会の施工状況調査の結果については、労働者の確保が難しいため、予定されていた九月末の完成はおくれる可能性もあるとの報道がなされております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、管理型最終処分場整備の現在の進捗状況と、工期の延長はあるのかについてお示しください。  第二点は、開業に向けた取り組みについてお示しください。  第三点は、地域振興策の実施状況についてお示しください。  次に、新たな生活困窮者対策について伺います。  近年の社会経済状況の変化に伴い、生活困窮に至るリスクの高い人々や稼働年齢層を含む生活保護受給者が増大しております。  厚生労働省によりますと、本年三月時点の生活保護受給者は、全国で約二百十七万人で過去最多を更新しており、県内においても約三万二千人と依然として多い状況にあります。  近年は、社会保険制度などの第一のセーフティネットでは救済できない生活困窮者が増加するとともに、血縁や地縁の希薄化も指摘されており第二のセーフティネットの充実・強化が求められております。  また、我が国は、少子高齢化の進行等により、今後、労働力人口も減少することが見込まれ、稼働能力がありながら就労できない者が多数存在することは、活力ある経済社会を維持していく上で大きな損失であると考えられます。  このため、国においては、生活困窮者の自立に向けた支援が確実かつ適切に実施されるよう、新たな生活困窮者自立支援制度を創設し、来年四月一日から生活困窮者自立支援法が施行されることになっております。  この法律では、生活困窮者の自立に向け、本人の状況に応じた包括的かつ継続的な相談支援を行うとともに、就労等の必要な支援を行うこととされているとのことであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、生活困窮者自立支援制度の目的と内容についてお示しください。  第二点は、この制度の導入に向けた県の取り組みについてお示しください。  最後に、高齢者等の保健福祉の増進について伺います。  本県は、全国に比べ高齢化の進展が早く、医療・介護ニーズの高い後期高齢者が増加しております。また、全世帯に占める高齢単身世帯の割合が全国一位で、地域において見守りや多様な生活支援サービスを必要とする高齢者が多いことから、高齢者の保健、医療、福祉施策は県政においても重要な課題となっているところであります。  県においては、国の第五期介護保険事業計画の方針を踏まえ、平成二十三年度に心豊かで活力ある長寿社会を目指してを基本理念とする鹿児島すこやか長寿プラン二〇一二を策定し、市町村と連携して、介護施設の整備を計画的に進めるとともに、高齢者が安心して暮らせるよう地域包括ケアシステムを構築するため、認知症支援策の充実、医療との連携、高齢者の居住に係る施策との連携、生活支援サービスの充実に重点的に取り組まれているところであります。  このような中、鹿児島すこやか長寿プラン二〇一二は、今年度は、最終年度となることから、県では、第六期の介護保険事業支援計画を含む新たなプランを作成する必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、高齢者の保健福祉の増進に向けた取り組みにおける現行計画の推進状況と課題についてお示しください。  第二点は、次期計画の方向性と今後のスケジュールについてお示しください。 15 ◯土木部長(久保田 一君)橋梁長寿命化修繕計画の見直しについてでございます。  橋梁長寿命化修繕計画は、橋梁の長寿命化と修繕費用の縮減を目的として平成二十年度に策定しており、計画策定後に実施した点検結果等を踏まえ、今回、見直しを行ったものであります。  今回の計画では、県が管理する二千四百四橋のうち、早期措置段階にある全ての橋梁及び予防保全段階にある橋梁のうち損傷の大きいものや塩害影響地域にあるもの、合わせて六百二十橋について、おおむね五年間を目途に対策を終える予定としております。また、国の老朽化対策の動きを踏まえ、従来の遠方目視に変えて、五年ごとに実施する近接目視による点検や統一的な尺度による健全性の診断を新たに盛り込んだところであります。  今後、継続的に予防保全対策を推進することで、事後保全型の維持管理に比べ、五十年間で約一千百億円のコスト縮減を見込んでおります。  次に、公共土木施設の老朽化の現状についてでございます。  道路や港湾などの公共土木施設は、高度経済成長期以降に集中的に整備され、今後、一斉に高齢化が進むことが見込まれております。本県における建設後五十年以上経過する施設の割合は、平成二十六年三月と二十年後で比較した場合、二メートル以上の道路橋は二〇%が五八%に、トンネルは八%が三一%に、岸壁などの港湾施設は一三%が五六%に、河川の水門や樋門は〇・五%が四九%に、砂防堰堤などは二〇%が五八%になる見込みであります。  公共土木施設の老朽化対策の取り組みについてでございます。  県では、社会資本の老朽化に対する計画的な長寿命化対策を重点事業に位置づけ、優先的な予算配分に努めているところであります。また、本年五月に国が示したインフラ長寿命化計画を踏まえ、既に公表した橋梁のほか、トンネル等の道路や河川などの公共土木施設についても、それぞれの施設の長寿命化計画の策定を進めるとともに、県及び市町村の職員を対象とした研修の充実を図るなど、点検・診断等の技術力向上に取り組むこととしております。  このほか、先般、国、県、市町村等で構成される道路メンテナンス会議を設置したところであり、各道路管理者等が相互に連絡調整を行うなど、道路施設の老朽化対策の強化を図ることとしております。
     今後とも、予防保全対策などを計画的に実施し、長寿命化によるトータルコストの縮減、平準化を図ってまいります。  指宿有料道路についてでございます。  指宿有料道路については、谷山インターから頴娃インター間において、走行性や安全性の向上を図るため、急カーブ区間の解消や老朽化したのり面の対策が必要となっております。また、山田インターについては、利用者の利便性の向上を図るため、フルインター化などの要望が寄せられているところであります。  本道路は、平成二十九年度には償還を終える計画となっておりますが、これらの改修や将来の維持管理に一定の財源が必要となることから、有料道路事業の料金徴収期間を延伸し、改修等の費用を確保することを検討しているところであります。  今後、道路公社とも連携を図りながら、工事内容や事業収支などの事業計画の変更について、国と協議を進めてまいります。 16 ◯教育長(六反省一君)首長と新たに任命される教育長の役割についてでございます。  今回、成立いたしました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律では、首長は、議会の同意を得た上で直接教育長を任命いたしますとともに、総合教育会議を主宰し、教育の振興に関する施策の大綱を教育委員会と協議の上で策定することとされております。地域の民意を代表する首長が教育行政に連帯して責任を果たせる体制の構築を図るものと考えております。  一方、教育委員会は、執行機関として存続いたしますとともに、新たに任命される教育長が従来の教育委員会の事務局の統括及び所属職員の指揮監督に加えて、教育委員会の会議の招集など、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する権限を有することとされたところであり、教育長が第一義的な責任者であるということが明確になるものと考えております。  教育の振興に関する施策の大綱についてでございます。  改正法において、首長は、総合教育会議で教育委員会と協議を行い、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものとされております。  この大綱について、国会審議においては、地方公共団体の教育の振興に関する総合的な施策について、目標や施策の根本となる方針を定めるものであって、網羅的に詳細な施策まで定めるものではないといった考え方が示されておりますものの、現時点でそれ以上の詳細は示されていないところでございます。  今後、国においては、政省令の制定や改正法成立に係る通知の発出等が検討されているところでございまして、これらも踏まえ、大綱の内容について検討していく必要があるものと考えております。 17 ◯警察本部長(池田克史君)不祥事案の問題点と再発防止に向けた取り組みについてでございます。  虚偽の捜査関係書類作成等事案を相次いで発生させ、関係者や県民の皆様に多大な御迷惑、御心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。  このような非違事案を発生させた最も大きな要因は、基本原則の遵守、公文書の重要性及び文書犯罪の重大性に関する認識が職員に十分に浸透していなかったためであると考えており、改めて研修・指導を強化し、全職員に徹底して浸透させてまいります。  また、非違事案が起こりにくい業務の仕組みの構築、警察官の捜査関係書類作成能力のレベルアップ、ミスをした場合の正しいリカバリーに関する研修・指導にも努めていくほか、職員が仕事をしやすい職場環境の整備を図り、非違事案の再発防止に万全を期すこととしております。  その一方で、県民の安全・安心の確保という警察本来の目的を実現するため、全職員が一丸となって職務に邁進し、目に見える成果を上げ、もって県民の期待と信頼に応えていく所存であります。 18 ◯環境林務部長(新川龍郎君)管理型最終処分場整備の進捗状況等についてでございます。  公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場エコパークかごしまの整備については、現在、覆蓋施設の屋根や浸出水処理施設、遮水工、管理棟などの工事を進めているところであり、進捗率は五月末現在で八二%となっております。  これまで、本年九月の完成を目指して整備を進めてきたところでございますが、技能労働者の確保等が依然として厳しい中で、安心・安全を第一にして丁寧な施工を行う必要がありますことから、工期を延ばさざるを得ない状況にあり、現在、県環境整備公社においてその精査を行っているところでございます。  県としては、引き続き、公社と十分連携し、安全性の高い全国でもモデルとなるような施設の整備に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、エコパークかごしまの開業に向けた取り組みについてでございます。  エコパークかごしまについては、今年度中の開業に向け、県環境整備公社において産業廃棄物の受け入れや管理に係る維持管理マニュアルの作成を進めますとともに、去る三月、産業廃棄物の処理料金を決定したところでございます。また、県内の排出事業者や産業廃棄物処理業者、県産業廃棄物協会など関係企業・団体を対象として、産業廃棄物の受け入れの手続や処理料金について周知・広報を行うなど、開業に向けた準備を進めてきているところでございます。  県としても、エコパークかごしまの開業に向け、県広報誌等を活用し周知に努めますとともに、公社に対し、必要な助言・指導などを行ってまいりたいと考えております。  次に、地域振興策の実施状況についてでございます。  エコパークかごしまへの廃棄物の搬入道路となる県道百次木場茶屋線の道路整備については、これまでバイパス区間など約一・五キロメートルが完了したところであり、現在、残りの約四百メートルについて、現道の拡幅工事を進めているところでございます。  準用河川阿茂瀬川の改修については、現在、勝目川合流点から第二川永野橋までの間の測量・設計を実施しているところであり、設計完了後、用地買収を行い、阿茂瀬橋のかけかえ工事や河川改修工事を行うこととしております。  また、簡易水道から上水道への水道水源の切りかえ工事については、本年三月に完了したところでございます。  今後とも、施設周辺の方々のよりよい生活環境の整備や地域活性化につながる施策の円滑な実施に取り組んでまいりたいと考えております。 19 ◯保健福祉部長(松田典久君)生活困窮者自立支援制度の目的と内容についてでございます。  この制度は、近年、稼働年齢層を含む生活保護受給者が増加していることなどを背景に新たに創設されたもので、生活保護に至る前段階の生活困窮者に対し、自立に関する相談・支援等を行うことにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的としております。  内容としましては、福祉事務所を設置する県及び市町が新たに設ける相談窓口において、まず、生活困窮者からの相談を受け、一人一人の状況に応じ、自立に向けた支援計画を作成します。その後、それぞれの支援計画に基づき、再就職のため、住居の確保が必要な方に対し一定期間給付金を支給するほか、必要に応じて一般就労に向けた生活習慣の形成や社会的能力の習得などを図る支援、家計の再生に向けた支援、子供への貧困の連鎖を防止する学習支援など、自立に向けた包括的な支援を行うこととされております。  制度導入に向けた県の取り組みについてでございます。  県におきましては、五月に地域振興局・支庁ごとに市町村担当者会議を開催して、県の福祉事務所や市町村に対し、生活困窮者自立支援制度の趣旨や施行に向けた準備などについて説明を行い、意見交換したところであります。  また、制度の円滑な導入を図るため、今年度、二市一町において、生活困窮者からの相談対応や自立支援計画の作成などを試行的に行い、課題等を把握しますとともに、ハローワーク、社会福祉協議会等の関係機関との連携体制の構築に向けた取り組みを行うこととしております。  県としましては、今後とも、市町村に対する助言等を行いながら、相談支援員の養成や相談窓口の設置など業務執行体制の整備を進めるとともに、県民に対する制度や相談窓口の周知などに取り組み、生活困窮者自立支援制度が平成二十七年四月から円滑に導入できるよう努めてまいりたいと考えております。  高齢者保健福祉計画の推進状況と課題についてでございます。  現行の高齢者保健福祉計画の鹿児島すこやか長寿プラン二〇一二では、高齢者が住み慣れた地域で生きがいを持って、健やかで安心して暮らせる長寿社会を目指し、特別養護老人ホーム等の介護サービス基盤の計画的な整備に取り組むとともに、コーディネーターの設置などによる地域の見守り・支え合い体制の整備、認知症の専門的医療機関である認知症疾患医療センターの整備、認知症サポーターの養成を進めるなど、おおむね順調に推移しております。  このような中、さらに高齢化が進行し、後期高齢者の増加に伴う、支援を必要とする要介護認定者や認知症高齢者の増加、高齢単身や高齢夫婦世帯の増加が見られる一方、高齢者を支える担い手は減少する状況にあります。  このため、見守り・支え合い活動の促進、介護予防、重症化防止の充実・強化、高齢者のニーズに応じた医療・介護サービスの提供など、地域の特性に応じ、地域全体で高齢者を支える仕組みづくりをさらに進める必要があると考えております。  次期計画の方向性と今後のスケジュールについてでございます。  次期高齢者保健福祉計画では、団塊の世代が後期高齢者となり、介護需要が増大する二〇二五年を見据えて、高齢者が住み慣れた地域で医療・介護、生活支援など、必要なサービスを受けられる地域包括ケア体制づくりの構築を目指した計画とすることとしております。  具体的には、引き続き介護サービス基盤の計画的な整備を促進しますとともに、元気度アップ地域活性化事業を活用した介護予防や社会参加の促進、互助活動による生活支援サービスの整備促進、在宅医療・介護の連携の推進、認知症対策や高齢者の住まいの確保などを盛り込むこととしております。  県としましては、今後、昨年度実施しました高齢者実態調査の分析や市町村との協議を行いますとともに、保健、医療、福祉関係者で構成する計画作成委員会等において検討を行い、県議会や県民の方々の御意見も踏まえ、平成二十七年三月までに作成することとしております。    [堀口文治君登壇] 20 ◯堀口文治君 御答弁いただきました。  公共土木施設の老朽化対策については、厳しい財政状況の中で、国土強靭化施策等を踏まえ、計画的な更新整備が図られますよう、市町村に対する技術的な支援を含めて、今後の取り組みを要望いたします。  教育委員会制度改革につきましては、新教育長の新設で、責任の明確化や迅速な対応を可能とするとともに、首長と教育委員会との協議の場として総合教育会議を設置するとされており、教育行政の改革につながることを期待するものであります。  公共関与によります管理型最終処分場につきましては、いよいよ稼働開始に向け整備を推進するとともに、安定経営に向けた適切な事業運営を要望いたします。  新たな生活困窮者対策につきましては、昨年度から日置市が国のモデル自治体に選定され、就労支援等による社会参加の取り組みを進めており、着実な成果が出てきているとのことであります。非常に大事なことと考えており、今後の県の積極的な取り組みを要望いたします。  最後に、高齢者等の保健福祉の増進は、今後ますます重要性が増す県政の課題であり、総合的施策のさらなる推進を強く要望するものであります。  さて、先般、有識者らでつくる日本創生会議が、地方から大都市への人口流出が現在のペースで進めば、三十年間で若い女性が半減し、全国の自治体の半数、本県では実に三十市町村が自治体の運営が難しくなり、将来消滅する可能性があるという衝撃的な試算を発表しました。  総務省の昨年十月時点の推計では、十五歳から六十四歳の生産年齢人口が三十二年ぶりに八千万人を割り、ことし四月時点で十四歳以下の子供が三十三年連続して減少したとしております。人口減少社会が目の前の現実としてあらわれ始めてきております。  これからの社会は、人口減少や高齢化の進行という避けることのできない現実に直面せざるを得ないわけでありまして、国から市町村まで、行政施策の最優先の課題として危機感を持って対応していく必要があります。  先ほど来、質問してまいりました子ども・子育て支援新制度や雇用環境の整備、高齢者の保健福祉の増進等が県政の最重点の課題として、いかに重要であるかを再認識し、計画的な取り組みを進めていく必要があります。  また、産業振興・地域振興はもとより、今後の県政の全ての分野において共通するテーマとして、これからの人口減少社会を見据えた中長期的かつ総合的視点に立った施策の推進が極めて重要であると思うのであります。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  梅雨の最中にありますが、ことしは北海道の気温が全国一となったり、各地で集中豪雨が発生するなど異常な気象が続いております。最後に、災害対策に引き続き万全を期していただきますようお願い申し上げ、自由民主党県議団の代表質問を終わります。(拍手) 21 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十六分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 22 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  柳誠子君に発言を許可いたします。    [柳 誠子君登壇](拍手) 23 ◯柳 誠子君 平成二十六年第二回県議会定例会に当たり、県民連合の代表質問を行ってまいります。  憲法第九条の解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めるという安倍首相の意向を受けて、政府・与党内の議論が進み、国民の間で反対の声が高まってきています。  現在の憲法解釈は、歴代内閣が三十年以上積み上げてきたものであり、個別的自衛権は必要最小限の範囲にとどめ、自国が攻撃されていないのに他国の武力攻撃に反撃できる集団的自衛権の行使は、その範囲を超えるために憲法上許されないとしてきており、それは国民の間にも定着したものとなっています。  その時々の内閣が憲法解釈を自由に変えられるというのであれば、国民主権や基本的人権の尊重といった憲法の理念ですら、時の内閣の意向で左右できることになり、憲法の安定性と信頼性が揺らぎ、国家権力の暴走や為政者による恣意的な統治から国民を守るために縛りを課すという立憲主義にも反することになります。  昨年六月議会で伊藤知事の憲法観について伺いましたが、五月十六日の記者会見では、「従来から憲法解釈の変更という手法はあった。一方、それをやり過ぎると、立憲主義を冒するのではないかと批判が出てくるのは当然」と述べておられます。  そこで改めて、歴代内閣の憲法解釈と立憲主義への見解をお聞かせください。  自民党は六月十三日、自衛権発動の新しい三要件を公明党に示しました。そこには、我が国に加えて、他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされるおそれがあることを明記し、必要最小限に絞るという限定容認論に軌道修正しています。しかし、他国に対するとは同盟国に限定したものではなく、おそれの三文字は、時の政権の判断で裁量の幅はいかようにも変わります。公明党がどのような条件をつけようとも抜け道だらけの文言です。  日本が集団的自衛権を認めて海外で武力行使したとき、敵国からすれば、同盟国とともに宣戦布告をしたものと見なされ、全面的な報復攻撃を受け、戦闘に巻き込まれる事態になることは容易に予測されます。その場合、限定容認を理由に自衛隊が途中で引き返すことはできません。現実の問題として、歯どめのきかない戦争に巻き込まれることは必至であります。  憲法の解釈まで変えようとする安倍内閣です。限定の範囲はおそれの解釈で際限なく拡大していき、地理的限定もなく地球の裏側の戦争でも参戦できるようになります。  知事は、この集団的自衛権の行使容認論についてどのような見解をお持ちか、伺います。  福井地方裁判所は、大飯原発三、四号機の運転を差しとめた訴訟で、「大飯原発の安全技術設備は脆弱なものと認めざるを得ない」として運転差しとめを命じました。判決で樋口裁判長は、「原子力発電所の稼働は、法的には電気を生み出す一手段たる経済活動の自由に属するもので、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。人格権は法の分野において最高の価値を持つ」と述べ、大飯原発の基準地震動を七百ガルとした関西電力の想定を「信頼に値する根拠はない」と退けています。  また、判決は、「関西電力は、原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、極めて多数の人の生存そのものにかかわる権利と、電気代の高い低いの問題とを並べて当否を判断すること自体、法的には許されないことである」と結論づけています。  地球上に生を得、人間を含む全ての生き物、その子孫の持続可能性に責任を持つ現代人としては、実に当を得た判決であると思います。  そこでお尋ねします。  知事は、この判決についてどのような認識をお持ちか、見解をお聞かせください。  去る四月十一日、安倍政権がエネルギー基本計画を閣議決定しました。原発を重要なベースロード電源と位置づけ、再稼働を進めるとともに、将来にわたって一定規模の原発を確保する方針も示し、新増設にも道を開くものとなっています。  知事は、これまで、前民主党政権において取りまとめられた、二〇三〇年代に原発ゼロを含む革新的エネルギー環境戦略に沿って進められるべきであり、みずからも脱原発であると主張してこられましたが、今回のエネルギー基本計画についてどのような認識をお持ちか伺います。  知事は、本年五月十六日の記者会見において、避難計画に対する質問に対し、何度も「百テラベクレル規模の原発事故は百万年に一回発生する」と述べておられます。一九五六年に商業用原子力発電所が稼働し始めて五十八年ですが、重大な原発事故は、スリーマイル、チェルノブイリ、福島と三カ所で起こっています。また、二〇一一年十月に原子力委員会が、十年以内に福島原発事故と同規模の過酷事故が起こるという試算をしていたと言われています。百万年に一回とは余りにも乖離がありますが、この確率の根拠と安全神話から抜け出せない知事の責任を問うものであります。  現在、川内原発一、二号機が全国で最優先して適合審査を受けています。その根拠となったものが基準地震動を六百二十ガルとしたこととされます。しかしながら、福井地裁の判決では、「全国四つの原発に五回にわたり想定した地震動を超える地震が、平成十七年以降十年足らずの間に到来しており、地震の想定に誤りが重ねられてきている」と指摘し、「少なくとも既往最大の平成二十年六月十四日に発生した岩手宮城内陸地震で観測された四千二十二ガルを想定すべきである」としています。  二〇一一年三月の東北地方太平洋沖地震を目の当たりにした国の地震調査委員会委員が「全く予測していなかった」と絶句したように、予測困難なのであります。さらに、大阪府立大学の長沢啓行名誉教授は、「川内原発の基準地震動が過小評価されている。想定を大幅に引き上げるべき。市来断層帯市来区間などの断層モデルは、耐専スペクトルの二分の一から三分の一に過小評価されている」と指摘しています。  基準地震動の再検討が必要と考えますが、認識をお示しください。  新基準適合性審査において、火山噴火への対応が不十分と指摘された九州電力は、マグマのふえ方を通常の十倍から五倍以上になった場合に、警戒・緊急体制に移るとして規制委員会の了解を得たとされています。しかしながら、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授は、川内原発の運用期間中に破局的噴火が起こるかどうかについて、「起こるとも起こらないとも言えない」と述べており、東大地震研究所の中田節也教授は、カルデラ噴火の前兆は確実に捉えることができるとの見解を否定しています。  西日本新聞が行った全国の火山研究者へのアンケート調査では、火山灰や火砕流の最もリスクの高い原発は川内原発であるとされており、再稼働となれば、全国の原発は火山噴火リスクではフリーパス状態になってしまいます。  火山噴火リスクの再検討も必要と考えますが、見解をお聞かせください。  三十キロメートル圏内の避難計画がほぼ出そろい、より実効性のあるものにするために、県の避難時間シミュレーションを関係する自治体は大いに期待していましたが、期待に反するものだったと評されています。市町別の避難時間は調査せず、住民が一斉に避難を始めた場合や放射性物質の拡散に影響する風向きへの考慮はなく、避難経路である幹線道路も正常であることが前提となっています。要援護者の一人一人の誘導や避難方法、台風や津波の複合被害への対応、避難途中での除染場所、避難時間なども考慮されず、離島も対象外となっています。  一旦原発で過酷事故が起きると、最もシビアな場合、全電源喪失から二、三時間で放射性物質の放出が始まり、それから一、二時間で三十キロメートル圏に放射性物質が拡散すると言われていますので、五キロメートル圏からの優先避難も非現実的であります。  避難計画の実効性は誰がどのように担保するのか。避難計画の整備と実効性が担保されない限り再稼働すべきでないと考えますが、見解を伺います。  知事は、ことしの年頭会見で、川内原発の再稼働判断を六月県議会で行うことを表明していました。その際、「国の住民説明会場でアンケートをとり、その結果も参考にする」と述べています。六月の想定からすると、アンケートの内容は既にでき上がっているものと考えます。また、五月十六日の定例会見で知事は、「住民説明会を三カ所から五カ所にふやすと同時に、住民の理解に対する判断に会場の雰囲気を参考にしたい」と述べておられます。  知事の言うアンケートの内容と住民説明会を五カ所にふやした根拠、その会場での雰囲気を参考にするという意味についてお答えください。  知事は、鹿児島市の本港区ドルフィンポート跡地に整備を予定していた体育館建設計画を見直す決定をされました。その際、判断の根拠にされたのが、地元紙の反対意見が五〇・六%と半数を超えた世論調査でした。同じ地元紙が行った川内原発再稼働についての世論調査結果は、再稼働に「反対」、「どちらかというと反対」と答えた人が五九・五%を占めています。より多くの県民の再稼働反対の声を無視することがあってはなりません。知事の見解をお伺いします。  以上述べてきたような状況からすると、再稼働すべきでないと考えますが、知事が再稼働の是非を判断する時期はいつごろになるのかお答えください。  民間の有識者でつくる日本創成会議の分科会が、地方から東京圏を中心とした三大都市圏への人口流出が現在のペースで続けば、二〇四〇年には全国の半分に当たる八百九十六の市区町村で、子供を産む中心世代の二十歳から三十歳代の女性が半減するとの人口試算を発表しました。座長の増田寛也元総務相は記者会見で、「自治体の運営が難しくなり、将来消滅する可能性がある」として、大都市圏への一極集中の是正を初め、魅力ある地方の拠点都市づくり、自治体間の連携、出生率を上げるための対策を提言しました。  本県では、消滅可能性自治体として、四十三自治体中、枕崎市や阿久根市など三十市町村を挙げています。極論で、衝撃的などとした受けとめ方もありますが、本県の二〇四〇年の推計人口は約百三十万人、二〇一〇年に比べて四十三自治体全てで減少し、高齢化率も全市町村で三〇%を超えるとしています。  そこで、人口減少時代にあって、将来の鹿児島県地域社会像をどのように描くべきなのか、知事の認識をお聞かせください。
     どうすれば人口減少の流れを変えられるか、複数の有識者会議が相次いで報告を出しています。キーワードは、ほぼ同じであります。結婚したい、産みたいという環境にないと指摘し、これの改善のための対策を訴えています。その対策にも共通点が多く、支援策の拡充と働き方の改革を求めています。  他の先進国に比べて日本は、子育て支援が薄い、共働き社会に支援策が追いつかない、長時間労働が際立つなどの課題を挙げ、また、日本型の家族像とも言うべき制度・慣行や意識が障害となり、現実の社会に追いつけない構造的欠陥も指摘しています。  このような中で、安心して産み育てられる男女の賃金や労働環境の整備をどう展開していくのか、その展望について伺います。  六月二日の九州地方知事会は、人口減社会に対応するため、政府に総合戦略本部の設置や、地方が安定的に使える財源確保を求める決議を採択しました。日本創成会議の提言には、自治体間の連携構想を盛り込んだ地域版の長期ビジョンの策定もあることから、本県においても、長期的視点に立った人口減社会に向けた施策の検討を行うための、仮称でありますが、人口減少対策会議を設置する必要があると思いますが、見解をお聞かせください。  次に、人口減に備えた広域連携の観点から伺います。  複数の自治体が簡単な手続で行政サービスを分担できるようにする改正地方自治法が五月二十三日に成立しました。これは、人口減に伴い、税収が確保できず、単独自治体で全てのサービス提供が困難になる事態に備え、各自治体が協力して、医療機関や企業誘致などを進めるための地方都市圏を全国につくることで、三大都市圏への人口流出を防ぐ広域連携を促す内容となっています。  本県の基礎自治体は、平成の大合併を終え、八年から十年であります。改正地方自治法に設けられた連携協約の仕組みは、現状の市町村、既存の広域連携などの地方制度のシステムをどのように改革し、住民サービスの向上にどう寄与することになるのか、本県における今後の取り組みとあわせてお示しください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 24 ◯知事(伊藤祐一郎君)集団的自衛権に対する見解についてのお尋ねがございました。  集団的自衛権に関しましては、従来内閣法制局は、「国際法上これを有してはいるが、その行使は、自衛のための必要最小限を超えるものであって、憲法上許されない」との見解を示してきたところであります。一方、総理大臣の諮問機関であります安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が先月取りまとめた報告書におきましては、政府が適切な形で新しい憲法解釈を明らかにすることによって、必要最小限度の範囲の自衛権の行使には、個別的自衛権に加えて、集団的自衛権の行使が認められるとの判断も可能であると結論づけているところであります。  集団的自衛権の問題は、現在、安保法制懇から提言された内容を踏まえ、与党間で協議されておりますが、我が国の周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、安全保障政策に関する一義的な判断主体である国におきまして、国会を初め、政党間で幅広い議論が行われますことは重要なことであり、我が国が目指す平和国家などを前提とした上で、日本国憲法の基本理念である立憲主義の観点も踏まえて、慎重に議論されるべき問題であると考えております。  川内原子力発電所の再稼働の知事の再稼働判断時期についてのお尋ねがございました。  原子力発電所につきましては、安全性の確保が大前提であり、再稼働に当たりましては、まずは国が、安全性を十分に保証いたしますとともに、公開の場で住民の方々に十分な説明を行い、理解を得ていく必要があると考えております。  県といたしましては、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査の終了後に、薩摩川内市、いちき串木野市、阿久根市、日置市及びさつま町において、審査結果についての住民説明会を開催いたしますとともに、国の説明内容に理解が得られたかなどにつきまして、アンケート調査を実施したいと考えているところであります。  その上で、薩摩川内市議会、薩摩川内市長及び県議会の意向などを総合的に勘案いたしまして、川内原子力発電所の再稼働について判断したいと考えております。 25 ◯危機管理局長(屋島明人君)大飯原発三、四号機の運転差しとめ判決についてであります。  関西電力大飯原子力発電所の運転差しとめを求めた訴訟で、福井地方裁判所は五月二十一日、大飯原発の運転を認めない判決を言い渡し、これに対し関西電力は、翌日五月二十二日に名古屋高等裁判所に控訴しており、裁判は継続中であります。  事故の発生確率についてであります。  原子力規制委員会は、原子力発電所については、事故時のセシウム137の放出量が百テラベクレルを超えるような事故の発生頻度は、百万炉年に一回程度を超えないように抑制されるべきであるという安全目標を定めており、この安全目標は、原子力規制委員会が原子力施設の規制を進めていく上で、達成を目指す目標であるとされております。  基準地震動の再検討についてであります。  九州電力は、震源を特定して策定する地震動については、地震調査研究推進本部の活断層評価を反映した地震動評価を実施した上で、基準地震動を五百四十ガルとし、また、震源を特定せず策定する地震動については、二〇〇四年の北海道留萌支庁南部地震の地震動を考慮し、より安全側に評価した上で、基準地震動を六百二十ガルに見直しをしたところであります。  川内原子力発電所の基準地震動については、三月十三日に開催された原子力規制委員会の定例会合において、確定されたところであります。  火山噴火リスクの再検討についてであります。  川内原子力発電所の火山影響については、原発から半径百六十キロメートルの範囲で、原子力発電所運用期間中において、設計対応が不可能な火山事象が発生する可能性の評価が行われました。また、活動可能性が否定できない火山に対し、火山活動のモニタリングを実施することとされたところであります。  川内原発については、五月二日に開催された原子力規制委員会の定例会合で、火山影響がないということでおおむねその審議が終了したところであります。  避難計画の整備等についてであります。  川内原発から三十キロメートル圏内の関係九市町では、昨年十二月までに避難計画が作成されております。現在、県と各市町が共催により、避難計画等に関する説明会を開催しており、説明会では活発な質疑も行われ、住民の避難計画に対する理解の向上に寄与しているものと考えております。  なお、説明会においては、避難計画の経路、集合場所や要援護者の避難等について意見や要望が出されており、今後、各市町は避難計画を一層充実させていきたいとしておりますことから、県としても必要な支援に努めてまいります。  審査結果説明会等についてであります。  川内原子力発電所に係る新規制基準適合性審査結果に関する説明会においては、国の説明内容に理解が得られたかなどについて、アンケート調査を実施したいと考えております。  説明会の開催に関しましては、関係地域の方々から、広く説明会を開催してほしい旨の意見が寄せられたことから、薩摩川内市、いちき串木野市、阿久根市、日置市及びさつま町において開催することといたしました。  説明会においては、国の説明やそれに対する住民の反応、質疑・応答等の内容等を総合的に勘案することで、会場の雰囲気を参考にしたいと考えております。  地元紙が実施した原発世論調査結果についての評価は、差し控えさせていただきます。 26 ◯企画部長(古川仲二君)今回のエネルギー基本計画に対する認識についてでございます。  国の新たなエネルギー基本計画では、政府として、中長期的なエネルギー需給構造を視野に入れて、原子力を含むエネルギー政策の基本的な方針が示されたものと考えております。  県といたしましては、今回のエネルギー基本計画において示された我が国のエネルギー需給構造が抱える課題の解決に向けて、具体的な取り組みを着実に進めた上で、再生可能エネルギーの普及状況や産業社会への影響、エネルギーの安全保障等を考慮し、どのようなエネルギーミックスが可能かを国を挙げて検討することが重要であると考えております。  次に、鹿児島県の将来の地域社会像等についてでございます。  人口減少は、食料やエネルギー資源を減少させるなど、多消費社会を転換するという側面は持っておりますが、少子化の進行により、労働力確保の問題、消費の減少による経済成長への制約の問題、社会保障分野における現役世代の負担の増大など、我が国の社会経済システムが脆弱化するおそれがあるところでもございます。このような時代状況の中にあって、人々が将来において、みずからの暮らしに明確な見通しや希望を持ち、安心して生活できるようにすることが重要であり、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の形成が、より一層求められているものと考えております。  日本創成会議の人口減少問題検討分科会は、人口減少の深刻な状況の認識共有を図り、長期的・総合的な視点から有効な施策を促すため、ストップ少子化・地方元気戦略を公表したところでございます。国におきましては、安心して子どもを産み育てやすい国づくりを内閣の基本指針に掲げ、少子化対策に取り組むとともに、今月中に取りまとめます経済財政運営と改革の基本方針二〇一四において、人口減少問題を重要課題として取り上げ、今後、総合戦略本部を設置し、政府一体で少子化対策に取り組む見通しであります。  県といたしましては、これまで、かごしま子ども未来プランに基づいて、地域における子育て支援や児童の健全育成などの少子化対策を実施いたしますとともに、労働力人口の減少が進む中、女性や高齢者の能力を活用するなど、社会経済の活性化を図るためのさまざまな施策に取り組んでいるところでございます。  今後とも、国の動向に注視いたしますとともに、全国知事会や関係部局相互間の連携を図りながら、引き続き、人口減少問題に関連する各般の施策に取り組んでまいります。 27 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)安心して産み育てられる男女の賃金や労働環境の整備についてでございます。  安心して子供を産み育てる上では、安定した収入も重要な要因の一つでありますことから、県といたしましては、事業主に対する非正規雇用労働者の正社員化の促進や、離職者等に対する就職支援のための職業訓練の実施など、さまざまな施策を進めております。  また、働きながら子育てしやすい労働環境づくりを進めるため、出産・育児中の短時間勤務や、男性を含む育児休暇の取得の促進、地域におけるファミリーサポートセンターの設置促進など、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取り組みを行っております。  県といたしましては、今後とも、国や関係機関と連携を図りながら、雇用と収入の安定や、安心して子供を産み育てられる労働環境づくりに努めてまいります。 28 ◯総務部長(稲原 浩君)地方自治法改正による広域連携の促進についてでございます。  今回の法改正により創設されました連携協約制度は、地方公共団体間の広域連携を一層促進するため、事務の委託や協議会といった従来の事務分担や連携する地域全体のまちづくりの方向性などの政策面での役割分担を連携協約に位置づけることが可能とされたものであり、あわせて、協約に係る紛争が生じた場合の処理の方策に関する規定も設けられたところでございます。この連携協約制度を活用することで、地方団体間の柔軟な連携が可能となり、人口減少・少子高齢社会における行政の連携協力が進み、圏域全体の活性化につながることが期待されており、本年度、国においてはモデル事業を実施いたしますとともに、支援措置のあり方についても検討を行うとされております。  県といたしましては、国の検討状況も踏まえつつ、県内市町村に適切に情報提供するなど、新たな広域連携の取り組みを考えている市町村を支援してまいります。 29 ◯柳 誠子君 川内原発の問題で、知事に再度お伺いいたします。  知事は六月十三日、報道陣の質問に対して、「川内原発の三十キロメートルまでの要援護者の避難計画は、現実的ではなく不可能だ」と述べたと報じられています。しかし、県の地域防災計画では三十キロメートル圏まで盛り込むことになっています。午前の自民党の代表質問に対して、「十キロメートル以遠は今後、計画の策定を検討する」と答弁されましたが、この答弁は、六月十三日の発言を撤回し、要援護者の避難計画を策定するということですか、見解をお願いいたします。 30 ◯知事(伊藤祐一郎君)十三日に、記者と立ったままでのやりとりがありました。立ったままということでありますので、時間もありませんし、大変結論が早く出るのでありますが、その質問に対しましていろいろ答える中で、受け取り方によっては二つの受け取り方があったと思います。十キロメートル圏以遠はつくらない。ただ、最終的に取りまとめて発言したのは、きょう自民党の代表質問でお答えしましたように、十キロメートルまではつくる。それ以遠については国の動向等を見て判断するというのが、最終的な実は十三日の記者会見だと私は理解いたしております。したがいまして、きょうはそういう趣旨でお答えさせていただきました。  その理由は、午前中に述べたとおり、田中委員長の発言等々もありまして、やっぱりそのほうが、要援護者をどういう形で大切に扱うかというときに、寝たきりの人を余り動かすわけにもいかないので、私はそちらのほうが要援護者に対しての優しい気持ちだと思っております。  そして、今、今度は次の質問になるんでしょうか、防災計画の取り扱いについて、じゃどうするのという質問が出てくるのかもしれません。  防災計画は、一つの計画でありますので、それについてはそれを参考にしながら対応する。そもそも国のほうがたしか指針の中で、防災計画ないしは避難計画等において要援護者の施設等についての記述も求めたかと思いますが、いずれにしろ、福島の原子力発電所の事故があってすぐそのときにつくった基準、そしてまた、規制委員会が徹底的に議論した上で、先ほど指摘がありましたように、百万年に一度という百テラベクレルの事故が起こる確率まで事故の可能性を低めるべく最大限努力した結果とは、私はおのずから違うんだろうと思っているんです。  諸外国におきましてはPAZ、UPZ、全然圏域が違います。したがって、そこらあたりまだ未熟なままに動いていますので、十キロメートルまではつくるけど、それ以降については、国の動向を見た上で判断する、防災計画の見直しも、その動向を踏まえて私どものほうで判断するという形になるんだろうと思います。 31 ◯柳 誠子君 今、答弁いただきましたが、知事は必要性は認めるわけですね、要援護者の避難計画自体は必要であると、厳しい側面はあるけれども、計画はつくらなければいけないんだという御認識でいいんですね。 32 ◯知事(伊藤祐一郎君)十キロメートルまではつくります。といいますのは、十キロメートルまでは、ある一定の大きな影響がある。それが田中委員長の発言であった内容かと思いますが、PAZについてはなるべく早く迅速に避難する。UPZについては放射能が発出する前に屋内退避とする。そちらのほうがより合理的だという判断ですよね。  したがって、従来は、全てにわたってそういう避難計画をつくるべきだという議論もあったかもしれないけれども、現在の科学の知見でいけば、十キロメートルぐらい、原子力委員会は五キロメートルと言っているのでありますが、十キロメートルぐらいまできちっとつくっておけば、むしろそちらのほうがより合理的であり、しかも、実際何か異常なケースが起こった場合には、そのときの状況を最大限に勘案して、いろんな要素が出てまいりますので、そしてまた我々も相当の準備を進めていますので、より柔軟にいろんな対応をしたほうがいいのかなということではないかと思うんです。  例えば、計画でありますと、同時に事故が発生して、全方向に同時に避難するというのが前提になります。ところが、実際の事故は北風、南風、いろんなのがありますので、一定の方向にプルームといいますか、放射能は流れるわけですね。そうすると、降ってこない方向に逃げたほうがいいわけですので、たとえ近くても、十キロメートル圏内であっても、南のほうに風が吹くんだったら、北のほうに行けばいいのでありまして、そこらあたりを踏まえて判断するとなると、その事故が発生したときの社会状況、当時のいろんな気象条件等も踏まえて、交通事情もありましょう、それから季節の問題もありましょう、それらを踏まえて総合的に判断したほうが、より合理的で、より弱者救済に近いのではないかという見識、知見ですね、これが今、多分有力になりつつあるのかなと思っています。  いずれにしろ、国のほうにおいても一生懸命これから、どういう形でつくるのが一番最適かというのを考えるかと思いますので、我々もそれに的確に対応しながら、要援護者をいかにして安全に守るかを最大の目的に置いて、これから鹿児島県としての仕組みをつくる。それが我々の務めだと思っています。    [柳 誠子君登壇] 33 ◯柳 誠子君 御答弁いただきました。  二回目の質問を進めてまいります。  平成十九年に特別支援教育制度が始まり、本県でも鹿児島養護学校や鹿児島盲学校の移転新設、鹿児島高等特別支援学校の開設や特別支援教育支援員の配置、与論島、徳之島、沖永良部島で始まった訪問教育の拡充など進んできております。本県の公立の小学校の児童数は、平成二年の十五万九百七人が昨年には四〇%減の九万七百八十二人へ、中学校では、平成二年の七万七千三百四十五人が同じく四〇%減の四万六千六十七人へと著しく減少しています。  一方、公立の小学校の特別支援学級は、平成二年の二百十六学級八百五十八人が昨年には四百八十二学級千六百五十八人へ、中学校では、平成二年の九十九学級四百六十五人が二百二十学級六百四十九人へと増加しており、中でも小学校は、学級数、児童数とも約二倍の伸びとなっています。少子化が進む一方、特別な支援を必要とする子供の数はふえ続けております。  今後ますます特別支援教育の充実が求められますが、現在、本県の障害児等に関する行政の所管は、特別支援教育は義務教育課、幼児教育は義務教育課や青少年男女共同参画課、卒業後の就労支援は雇用労政課、また療育支援は障害福祉課となっており、縦割り行政の弊害も見られます。特別支援教育は、就学前の乳幼児期から小・中・高教育、学校卒業後の進路指導までの体系的・総合的な指導・支援が重要です。  そこで、教育や福祉・雇用などの関係部局が連携した相談体制の整備や、教育・指導内容の充実、県民の理解や啓発等に取り組むために、特別支援教育課の設置を強く望むものであります。既に全国三十九都道府県に課や室が設置されております。六反教育長の英断を求めます。  先月私ども県民連合は、長崎県五島において、地域の小学校や県立高校の中に設置された長崎県立鶴南特別支援学校の小・中学部の五島分教室と高等部五島分教室を視察するとともに、特別支援教育の現状を調査いたしました。  長崎県では、平成二十三年十月におおむね十年間の基本方針と施策を取りまとめた長崎県特別支援教育推進基本計画を策定し、第二次実施計画が取り組まれておりました。離島が多い長崎県では、既に平成十五年に策定した障害のある子どもの教育推進計画に基づいて、特別支援学校への高等部設置や高等部分教室の設置が順次進められ、身近な地域で高等部教育が受けられるようになり、卒業後の自立につながる環境が充実してきているとの話を伺ってまいりました。  私どもが訪問したそれぞれの分教室も、来年度から小・中学部、高等部の一貫した教育活動の充実や安全管理、学校行事等の円滑な実施、本校や併設高校等の事務負担を軽減するため、鶴南特別支援学校五島分校としてスタートするとのことでした。  そこで、本県においても、乳幼児から学校卒業後までの長期的な視点に立って、一貫した指導と支援を体系的・総合的に行う、仮称でありますが、特別支援教育推進計画を策定すべきでありますが、見解を伺います。  ことし三月に屋久島町議会議長名で、屋久島高校に中種子養護学校の分教室設置を求める意見書が教育長に提出されました。これは、屋久島高校において、障害のある生徒が後期中等教育を受けられるようにしてほしいというものです。  昨年度から、徳之島高校と沖永良部高校で大島養護学校の訪問教育が行われております。生徒数が二名となった徳之島では、午前だけの授業だったものが、生徒や保護者の強い要望でカリキュラムが見直され、午後三時まで学校で過ごせるようになりました。他の特別支援学校の生徒と同じように、同じ時数を確保してほしいという当たり前の要望に応えるためには、訪問教育ではなく、分校あるいは分教室の設置が必須です。離島に住む児童生徒の教育を保障するために、離島における高等部分校・分教室の設置を強く求めるものですが、見解を伺います。  平成二十四年度から、県内の県立高校三校に特別支援教育支援員が配置されています。話を伺った高校の先生によりますと、学習障害や注意欠如・多動性障害と思われる生徒がふえ、その対応に大変悩んでいるということでした。小・中学校における支援員は、交付税措置により、十分とは言えないまでもこれまで必要に応じて配置されてきました。  そこでお尋ねします。  現在、支援員が配置されている県立高校の取り組み状況とその成果、また、どのような課題があるのか、お示しください。  特別な教育的支援を必要とする生徒は、県内の他の高校にも在籍していると思われます。三校以外の高校における支援員の配置及び高校の教職員全体への特別支援教育の理解に関する研修等の必要性について、教育長の見解を伺います。  鹿児島市のまちづくりに大きくかかわる本港区ドルフィンポート跡地へのアリーナ構想、それに関連した鹿児島駅周辺整備計画、そして活用策検討が進まない県工業試験場跡地を含む中央駅西口地区開発など、先行きが見えないことへの不満と今後の展開に注目が集まっています。  アリーナ構想については、昨年八月に世論の動向等を踏まえて再検討を表明して約十カ月、知事は、この間一貫して「機運が高まり、機が熟すのを待ちたい」と述べ、内部検討を続けています。しかし、二〇二〇年には鹿児島国体が予定され、体育館建設を期待する競技関係者や、ドルフィンポートにかわるにぎわい空間形成を求める地元町内会や商店街などから、明確な整備方針を求める声が大きくなっています。また、施設の必要性やその内容、整備場所など計画が具体的に示されていない中で、何をもって機運を醸成するというのか、判断材料がないとの指摘もあります。  知事は、一体アリーナ構想をどのように展開しようとされているのか。知事の描くアリーナの姿をイメージできる具体的施設計画や事業費、スケジュールを示す必要があります。あわせて、現時点でどの程度の機運が高まり、機はどの程度熟していると感じておられるのか。内部検討は政策決定過程としてどの段階にあり、いつごろ判断されるのか、明らかにしてください。  霧島市は、県営スーパーアリーナ誘致実現へ向け、オール霧島で署名運動を始めています。さらに、姶良、日置、伊佐、薩摩川内、鹿児島の六市に加え、鹿屋市と周辺地域など、次々に県有施設の誘致表明がなされ、県への要請や署名活動、決起集会など誘致合戦が熱を帯びてきています。  知事は、「県有施設の地方分散の必要性と同時に、一万人くらいの人が集まれる会場建設は限られている。そういう施設を人を集めにくいところに持っていくわけにもいかない」とも述べておられます。県内の自治体・地域からこれだけ熱い誘致要望が出されている中で、地方分散に全て応えられるのか。知事の言う分散する県有施設とは何を念頭に置いてのことなのか。今後どのように対応していかれるのか。具体的方針をお示しください。  アリーナ構想の姿が見えない中で、鹿児島市の森市長は、スーパーアリーナを本港区に建設することにあわせて、市電延伸計画と一体的に検討が進むよう知事に要請しています。現在、鹿児島市は、鹿児島駅周辺都市拠点総合整備事業を推進中ですが、その中で、中核的な複合施設については、アリーナ整備と密接な関係があり、計画が留保されているとのことであります。  鹿児島市の中央地域北部における新たなにぎわい空間形成の観点からも、県のアリーナ構想、市電の延伸計画、鹿児島駅周辺整備は一体的なものとして捉え、検討していく必要があると考えますが、見解を伺うとともに、鹿児島市との協議はどのようになっているのか、明らかにしてください。  鹿児島中央駅西口地区開発については、二〇〇七年にまちづくりの基本的な考えが取りまとめられています。中央駅は鹿児島の陸の玄関口として、また県内の交通結節拠点として位置づけられており、九州新幹線の全線開業により、観光客を初め、交流人口の増加などが予測されたことから、同地区に土地を有するJR九州、郵政、鹿児島県、鹿児島市の四者によって、鹿児島中央駅西口地区開発連絡会が設けられ、これまで施設内容や開発手法等について検討が重ねられてきています。しかし、連絡会設置当初とは周辺の環境が大きく変わってきており、開発・整備が望まれる施設機能など、当時のまちづくりの基本的考え方も見直しを迫られています。  そこで伺います。  中央駅西口地区開発は再検討をすべきと考えますが、四者連絡会での検討状況と今後の方針についてお聞かせください。  選挙運動において、現金を選挙運動者に対する報酬や飲食等の費用、議員による票の取りまとめの報酬等として用いることは、選挙の公正を著しく侵害するものであり、民主主義の根幹を損なわせる極めて悪質な犯行であります。これらの行為は、公職選挙法において違法行為として厳しく処罰されることになっております。  本部長に一般論として伺います。公選法における現金買収事件は、その資金を供与した者と受け取った者の名前、その金額と使い道など資金の流れの全容を明らかにして初めて事件が解決したことになると思いますが、見解を伺います。  さて、徳洲会グループによる公選法違反事件は、三月五日に徳田毅前議員の姉スターン美千代に対する有罪判決が出されて以降、買収資金を交付した母親や長女、それを受け取った徳洲会幹部らに対する有罪判決が次々に確定しています。その結果、毅前議員への連座制の適用が決まり、五年間の立候補禁止が確定したとのことであります。  しかしながら、これによって今回の公選法事件が終わったわけではありません。私ども県民連合でこれらの判決文を入手してみたところ、判決内容は、徳田ファミリーから買収資金が交付され、これを受け取った徳洲会幹部らとの間における買収資金交付の罪や運動員買収の罪にとどまっています。したがって、県民連合では五月十二日、県警本部長に対して、事件の全容解明のための捜査を継続するよう申し入れを行いました。  まず、この申し入れに対してどのように対応されているのか伺います。  母親の判決においては、平成二十四年十一月、二回にわたり、毅の組織的選挙運動管理者である石川に現金一千万円を、屋田及び富田に対し五千万円を供与し、実際にその資金の多くの部分は選挙運動者や議員らによる票の取りまとめの報酬等として用いられており、極めて悪質な犯行であると指摘しています。  他方、姉二人の判決においては、全国の徳洲会グループの職員約六百名を鹿児島二区内に動員し、違法な選挙運動を行わせた資金として約一億五千五百万円供与したとし、この職員ら六百名については、判決の別表に一人一人の勤務先の病院や施設名、受け取った者の名前と場所、その金額などを具体的に記載されています。  県警としても今回の事件の捜査に参画されておられますので、本部長も重大な関心を持って判決文をごらんになったと思いますが、徳田親子や幹部らの判決内容をどのように評価されているのか、見解をお聞かせください。  東京地裁で三月三日に開かれた富田被告の初公判においては、検察側の冒頭陳述で、「県議は一人当たり三十万円、市議は十万円を手渡した」とする供述調書を明らかにしました。この調書は証拠採用され、富田被告は起訴内容を認め、「受け取った金は全部選挙資金に使った」と述べています。その結果、三月二十八日の公判で懲役一年、執行猶予五年の判決を受けました。  以上のような判決結果から見れば、姉二人の判決では供与を受けた者の名前や金額まで詳細に明らかにされているものの、母親側から石川や富田らに供与・交付された六千万円の資金が、違法な選挙運動の報酬として受け取った運動員や地方議員らの関係が明らかになっていません。母親の判決において「実際に、報酬として用いられており」と明確に指摘されている以上、これらの報酬を受け取った者の名前、金額と使い道など資金の流れの全容が明らかにされなければ、今回の事件が解決したことにはなりません。どのように認識されているのか伺います。  今回の公選法違反事件に関しては、各新聞にたびたび地元の県議や市議らの疑惑記事が掲載され、県民の間には地方議員に対する疑念が渦巻いています。  県選挙管理委員会と県警は、これまで幾多の選挙において、文書図画、ポスター等の違反事案には警告を繰り返し、改善されない場合、警察と協力して強制捜査に乗り出しています。  県選管は、公平公正な選挙を行う執行機関です。今回の徳洲会事件に係る選挙は、鹿児島二区の選挙です。裁判での証言や判決文の中に、地方議員らによる買収行為が行われたと指摘されていますが、この選挙について、選管委員長は公平公正な選挙であったと認識されているのか。また、選管委員長は、この事態に遺憾を表明し、県警に対して厳正な捜査を行うよう促すべきでありますが、見解を伺います。
     公選法の中で最も悪質である違法行為については、その真相を明らかにしなければ、政治への不信を増幅するとともに、県警察への信頼も失墜することになります。東京地検特捜部と合同捜査を行ってこられた県警としては、十分な証拠も把握されていると思います。把握されていなければ捜査を継続し、県警の威信と名誉にかけて事件の全容を解明する責務があります。本部長の決意をお聞かせください。 34 ◯教育長(六反省一君)総合的な特別支援教育の推進に関して、まず、特別支援教育課の設置についてでございます。  本県におきましては、義務教育課が特別支援教育を所管することで、小・中学校に対する指導事務と一体となった特別支援教育を推進しているところです。また、義務教育課が中心となり、総合教育センター、総務福利課、学校施設課、教職員課、高校教育課など関係課と連携しながら、特別支援教育の充実に努めているところです。こうした連携のもとに、鹿児島盲学校、鹿児島養護学校の移転整備、高等特別支援学校の開校、鹿児島市内の知肢併置化、離島における高等部訪問教育などを進めてきたところであり、現在は鹿児島聾学校の移転整備、幼稚園、小・中学校の支援体制の充実を図る事業などに取り組んでおります。  福祉、雇用などの関係部局との連携につきましては、関係部局の関係者から成る特別支援連携協議会を設置し、乳幼児期から就労期まで一貫した相談・支援の充実などに取り組みますとともに、障害者総合支援法に基づく自立支援協議会にも参画し、児童生徒の就労支援についても関係機関と連携して取り組んでいるところでございます。  各都道府県における特別支援教育を所管する組織は、本県のように関係課と連携した体制の県や、施設整備なども含めて、一つの組織で所管する県があるなど、さまざまな形態があるものと認識いたしております。  県教委といたしましては、今後とも、関係課間の緊密な連携を図りながら、特別支援教育のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。  特別支援教育推進計画の策定についてでございます。  特別支援教育の中長期的な計画につきましては、平成十八年度に今後の特別支援教育のあり方について、また、平成二十年度に特別支援教育施設整備のあり方及び教育振興基本計画の策定を行い、これらに基づいて体制整備等を進めてきたところでございます。  県教委におきましては、これまでの施策の推進状況等を踏まえ、本年二月に、平成二十六年度から三十年度までの施策の方向性及び主な取り組みを示した、新たな教育振興基本計画を策定したところであり、今後の特別支援教育の推進につきましては、本計画に基づいて施策を実施いたしますとともに、進捗状況等を把握・分析しながら、より一層の充実に努めてまいりたいと考えております。  離島における高等部分校・分教室の設置についてでございます。  特別支援学校のない離島におきましては、平成二十二年度から与論高校で、平成二十五年度から徳之島高校と沖永良部高校で、大島養護学校高等部の訪問教育を実施し、ニーズ等に応じた時間割の改善や放課後の補充指導の導入など、教育内容の量的・質的充実を図ってきているところでございます。  離島における高等部分校・分教室の設置につきましては、生徒数が継続して見込まれるのかということや、卒業後の実社会での活動を前提とした、高等部に求められる専門性や学習効果が少人数において得られるのか明らかでないことなどの課題が考えられ、今後、研究すべきものと考えております。  高校に配置された特別支援教育支援員の取り組みの成果と課題についてでございます。  平成二十五年度に特別支援教育支援員を配置いたしました川薩清修館高校、福山高校、財部高校におきましては、支援員は、授業中や放課後に生徒への声かけや観察を行うことで、生徒の特性を把握し、適切な対応の仕方を教職員にアドバイスするなどしております。また、情緒的に不安定な生徒との面談で得られた情報を教職員や保護者と共有することで、当該生徒が自己肯定感を高め、学校生活を送ることができるように支援しております。  具体的成果として、生徒が自分の感情をコントロールする方法を身につけるなど、社会生活へ適応するためのトレーニングを積み重ねた結果、平成二十五年度に継続的支援を行いました三年生九人につきましては、就職や進学など全員の進路を決定できたところでございます。  今後、各校におきましては、全教職員の連携のもと、一人一人の生徒に必要とされる支援の内容を踏まえた進路指導のあり方について、さらに工夫改善を進める必要があるものと考えております。  特別支援教育支援員の配置と教職員の研修の拡充についてでございます。  県立高校におきましては、配慮が必要な生徒に対して、これまでも授業における指示の仕方の工夫や教育相談等を行っております。今後、さらに生徒の自立と社会参加に向け、三校以外の状況及びニーズの変化等も適時把握し、支援体制の整備・充実に努めていきたいと考えております。  高校の教職員の研修につきましては、平成二十五年度は、特別支援学校の巡回相談等を活用した校内研修が六十四校中四十一校で実施されております。また、経験年次別研修、特別支援教育コーディネーター養成研修会等を毎年度実施しております。その結果、特別支援教育に関する研修をここ十年間で受講している高校の教員は、八五・八%となっております。  今後とも、特別支援学校や専門家の援助を活用しながら、生徒一人一人の具体的な指導法改善につながるよう研修の充実に努めてまいりたいと考えております。 35 ◯知事公室長(福壽 浩君)鹿児島市内のにぎわい形成の課題についてでございます。  まず、スーパーアリーナ構想につきましては、各方面からさまざまな意見が寄せられたことから、改めて検討することとしております。  県内各地から各種の誘致要望がなされており、本県の将来の発展の方向や地域の活性化の観点からの議論が深まることが望ましいと考えております。  また、この構想は大規模なプロジェクトであり、将来的に望ましい施設として機能を発揮していくためにも、いろいろな意見が出されてくるような状況を受けて、検討することが必要であると考えておりまして、現在のところ、今後の展開や判断時期について申し上げる状況にはございません。  内部検討の状況についてでございますが、本年度当初予算に、今後改めて検討を行うための準備として必要となる調査、資料収集等を行うための事務的経費を計上しておりまして、現在、類似施設等を参考とした内部の検討を行っているところでございます。  県有施設の分散等についてでございます。  本県の将来を考えます上で、大規模な国際会議が開催可能な会議場や多数の聴衆が音楽を楽しめる集会施設、環黄海経済圏との交流・物流などに対応するための産業展示場などが、時代の要請として必要になってくると考えておりまして、今後、このような施設のあり方について、施設の特性や時間軸を踏まえた上で十分な検討を行う必要があると考えております。  また、本年度から、今後の公共施設等のあり方について研究会を設置し、公共施設等の役割や地域間バランスなど、中長期的視点に立って幅広く総合的に検討を行うこととしているところでございます。  鹿児島市中央地域北部の一体的開発についてでございます。  県といたしましては、鹿児島市中央地域北部の振興は従来から重要な課題であると考えておりますが、去る四月二十三日に鹿児島市長から、鹿児島港本港区において集客力のある施設の整備を検討するとともに、路面電車観光路線の新設についても一体として検討を進めてほしい旨の要請書をいただいたところでございまして、必要に応じ、鹿児島市とも協議してまいります。  なお、鹿児島駅周辺整備につきましては、鹿児島市におきまして、土地利用基本計画を策定するなど検討を進めているものと承知しております。  鹿児島中央駅西口地区の開発についてでございます。  鹿児島中央駅西口地区の利活用につきましては、鹿児島市を含む土地所有者四者で構成します連絡会において、陸の玄関口にふさわしい都市機能の充実・向上等の基本的な考え方に基づき、想定される施設の内容や類似の公共用地の開発事例、運営手法等に関する調査を実施するなど、さまざまな検討を進めてきております。  御指摘ございましたとおり、中央駅周辺や天文館地区において、類似の機能を持つ施設の民間による開発が進んでいる状況がありますことから、その開発状況や今後の経済状況等も見きわめながら、今後の進め方について連絡会関係者と協議・検討を進めてまいります。 36 ◯警察本部長(池田克史君)まず、現金買収事件の全容解明、事件解決に関する見解についてでございます。何をもって事件の解決というのかを一律に述べることは困難な点もあるところですが、一般論としてのお伺いでございました。  捜査機関におきましては、刑事事件として取り上げるべきと考えるものがあれば、事案の真相解明のために捜査・調査を推進いたしますが、最終的に法と証拠に基づき判断した結果、立件に至るものもあれば、立件に至らずというものもあるところでございます。  次に、公選法違反事件の全容解明の申し入れに対する対応についてでございます。  県民連合より、資金の流れなど十分な証拠を把握していなければ、引き続き捜査を行い、当該事件の全容を解明するよう要請する旨の申し入れがなされたことは承知しておりますが、個別の事案に係る捜査状況については、捜査上の支障や関係者の名誉、プライバシーを侵害するおそれもあることから、答弁を差し控えさせていただきます。  次に、判決内容に対する評価についてでございます。  判決文の内容は把握しておりますが、県警察といたしまして当該判決を評価する立場にないことから、答弁は差し控えさせていただきます。  最後に、買収資金の流れの全容解明に向けた捜査と本部長の見解についてでございますが、捜査を継続するのか、しないのかといった個別の事案に係る捜査状況につきましては、繰り返しになりますが、捜査上の支障や関係者の名誉、プライバシーを侵害するおそれもあることから、答弁を差し控えさせていただきます。 37 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)まず、買収行為が行われました衆議院の鹿児島二区の選挙に関する認識の点につきましての御質問でございます。  選挙は、民主主義の根幹をなすものでございまして、国民が政治に参加いたしまして、その意思を反映させることができる大切な機会であります。当たり前のことですけれども。この認識に基づきまして、県の選挙管理委員会といたしましては、選挙が公正に行われ、国民の意思が政治に正しく反映されるよう、明るい選挙の推進に従来から取り組んでまいったところでございまして、本県内におきまして執行された選挙について、公職選挙法違反事件が発生したという事実につきましては、まことに遺憾、残念であると認識いたしております。  県警に対して厳正な捜査を行うよう促すべきではないかとの御質問でございましたが、具体的な事案に関する捜査につきましては、捜査機関におきまして、その責任と権限のもとに行われるものであると認識いたしております。  私ども県選挙管理委員会といたしましては、今後とも、不正のない明るい選挙の推進が行われますよう、市町村選挙管理委員会あるいは明るい選挙推進協議会等々、関係団体と連携を図りながら、今後とも根気強く啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。 38 ◯柳 誠子君 ただいまの選管委員長の答弁に対して再質問を申し上げます。  明るい選挙を推進するという執行機関である選管においては、今回の徳洲会事件、日本中から注目を集めておりますこの重大な事件に関して、遺憾は表明されましたけれども、県警に対して、県民の投票率の向上を目指すというのであれば、しっかりと県警に対しても遺憾の意を表明して、ともに明るい選挙を行っていこうという趣旨のもとに発言されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。再度お願いいたします。 39 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)法令上、捜査は県警、捜査機関が行うことになっているわけでございまして、選挙管理委員会がその捜査につきましてとやかく申し上げるのはいかがかと考えております。 40 ◯柳 誠子君 特別支援に関しまして、知事にお尋ねしたいと思います。  自治体の首長の権限を強める改正教育行政法が成立しまして、来年四月一日から施行されます。知事は、新たに設けられる総合教育会議を主宰し、教育行政の指針となる大綱などを話し合ってつくることができるようになります。  そこで、本県の特別支援教育に深い理解を示し、知事として、積極的にこれまで推進してこられた伊藤知事におかれては、特別支援教育課の設置の必要性をどうお考えか、見解を伺います。 41 ◯知事(伊藤祐一郎君)特別支援教育課の設置を図るべきではないかというお尋ねであります。  具体的に特別支援教育課がどういう所掌をするのか、いまだもって十分に把握いたしておりません。したがって、今の段階でこの席でお答えするのは難しいのでありますが、いずれにしろ、特別支援、いろんな形でこれから広範に新しい時代を迎えるのではないかと考えております。いろんな施設はつくっておりますが、その施設を超えて横断的に、ないしは、また年齢の範囲も広がるかと思います。それはそれぞれの時代時代の要請でもありますので、その要請を踏まえまして、今後とも、特別支援教育については、鹿児島県として積極的に取り組んでいくということだけをこの席では申し上げさせていただきたいと思います。    [柳 誠子君登壇] 42 ◯柳 誠子君 三回目の質問を続けてまいります。  国立社会保障・人口問題研究所がことし四月に発表した世帯数の将来推計を見ると、本県の場合、世帯主が六十五歳以上の高齢世帯が二〇三五年には四六・六%に、七十五歳以上は全国二位の三〇・五%になると予測されております。また、高齢化と同時に進行するのがひとり暮らしの増加であり、県内の六十五歳以上の独居世帯は、二〇三五年には全国一位の二〇・一%となる見通しです。高齢・独居世帯への対応は喫緊の課題であります。  社会福祉協議会や民生委員、民間ボランティア等が実施している見守り活動などが功を奏し、県警が行った独居高齢者の県指数は二年連続で減少しているようですが、老老介護など二人世帯の社会的孤立という新たな問題も浮上してきています。民生委員の方々に伺うと、地域とかかわりを持ちたがらない高齢世帯の見守りは難しく、支援に限界があると言われます。そのような世帯に対しては、警察の巡回を強化するなど、行政がより深く、注意深く見守っていく必要があります。  そこで伺います。  地域から孤立している世帯への見守りや介護サービスの充実へ向け、県はどのような手だてを講じているのかお示しください。  認知症で徘回中の九十一歳の男性が死亡した電車事故で、名古屋高裁から、監督不十分などとして八十五歳の妻に損害賠償を命じる判決が出され、介護関係者などから批判の声が上がりました。鹿児島県警が昨年受理した行方不明者届千百八十五件のうち、認知症による徘回が疑われるケースは六十五人に上り、十二人が死亡した状態で見つかっていたことがわかりました。国の有病率をもとに県で推計したところ、認知症高齢者は約七万人に上るとのことであります。  NHKの番組で紹介されたことがきっかけとなり、認知症による徘回で行方不明になっていた女性が七年ぶりに夫と再会し、話題となりました。群馬県警が全国の警察に迷い人として手配した際、女性の名前を誤って記載したことも判明しました。  警察における行方不明者の登録システムの効果的運用が求められますが、見解をお伺いします。  本県における認知症の人とその家族を見守る認知症サポーターは、二〇一一年三月末で約三万二千人養成されています。県は、今年度までに五万五千人の認知症サポーターを養成することを目標に、市町村と連携して取り組むとしておりますが、現在どのような状況にあるのか。また、日常生活にかかわる企業・団体等における認知症サポーターの養成についてもお答えください。  多くの県民が認知症に対する不安や心配があるとする一方、その相談窓口を知っている人はごくわずかであります。家族が安心して介護ができ、認知症の方が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、保健、医療、介護、福祉等のさまざまな分野の相談窓口の周知徹底を図る必要がありますが、県の今後の取り組みについてお尋ねします。  厚生労働省は、二〇一三年度から一七年度までの認知症施策推進五カ年計画、いわゆるオレンジプランを策定し、認知症初期集中支援チーム設置促進モデルとして全国で十四市町村の事業を採択しています。本県では南大隅町がその対象となり、医師会と町が一体となって取り組みを推進しているところです。  県においては、認知症対策と総合支援事業を推進しておられますが、本県においても、鹿児島県版オレンジプランの策定が必要だと思いますが、見解を求めます。  認知症高齢者の増加に伴い、特別養護老人ホームの入居待機者の数は全国で五十二万四千人に上ると言われ、急増する需要に供給が追いついていないのが現状です。本県においても、昨年度の待機者が七千七百八十二人となっており、特に問題なのは、介護度四、五の重度者でありながら自宅で待機している方々です。七千七百八十二人のうち重度者がどれくらいおられるのか。その方々が入所するまでの間、特別な手だてが講じられているのか、お伺いします。  待機者全員を特別養護老人ホームで引き受けるには現在の入所定員を倍増しなければならず、現実的には困難だと思われます。施設整備とあわせて、在宅医療・介護の仕組みを確立し、社会全体で支えられる仕組みを構築することが重要だと考えますが、県の考えをお示しください。  政府は、二〇〇九年度の介護報酬改定で人材育成を掲げ、制度創設以来初めて報酬を三%引き上げました。介護職の賃金は月額平均で九千円ふえたとされていますが、人件費にどれだけ回すという決まりはなく、経営者に委ねられています。過酷な労働の割に低賃金で、他業種との格差は依然として埋まっておらず、介護職の離職率は一七%で、全産業平均の一四・八%を上回っています。厚労省は社会保障審議会で、二〇一五から一七年度の介護報酬の使途について議論を進めておりますが、来年度から介護職員の待遇改善が実現できるかどうか、いまだ示されておりません。  そこでお尋ねします。  県内の介護従事者の賃金はふえたのか。介護従事者が働き続けられるよう、待遇改善について国に対し強く求めるべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。  国土交通省の調査によると、昨年一年間に九州七県の港を訪れたクルーズ船は、前年から半減したとされています。全国二位であった博多は七位に転落、鹿児島や別府もベストテンから外れています。一方で、横浜や神戸、台湾に近い石垣や那覇はにぎわっており、明暗が分かれているようであります。  そこで、まず伺いますが、昨年の本県への国内外のクルーズ船の寄港の現状と増減の要因をどのように分析されているのか。また、全国的なクルーズ船寄港の実績と増減の特徴をどのように把握され、どう分析されているのかについてもお示しください。  国交省の調査では、昨年、クルーズ旅行をした日本人は二十三万八千人で過去最高と報告されています。一方、世界に目を転じますと、世界のクルーズ乗客数は、一九九〇年の約三百七十七万人から二〇一二年には約二千三十三万人余と、およそ二十年間で五・四倍に増加し、特に二〇〇〇年代の年平均成長率は一〇・一%と急成長しています。  日本における主流なクルーズ形態は、世界一周クルーズのような従来型のラグジュアリークルーズ市場が中心でありました。しかし、現在、世界的には、特定地域を三日から七日間と短期間で周遊するカジュアルクルーズ市場が六割を占めるまでに成長してきているとされ、九州・沖縄に寄港している大部分がこのカジュアルクルーズであります。  大手の船会社は、成長著しいアジア、南米の新興国マーケットをターゲットに戦略を構築することでグローバルな視点で配船を決めていると、昨年十一月の九州経済調査月報は指摘しています。日本を含むアジア地域はクルーズビジネスの新たな再構築が求められており、大きなビジネスチャンスが来ていると捉えるべきであると考えます。  そこで伺いますが、県は、世界、特にアジア地域におけるクルーズ市場の動向をどのように把握しているのか。また、広大な海域と多くの有人離島を有し、中国や台湾、東南アジアと近い距離にあるという地理的優位性をどのように生かそうとされているのか、本県のクルーズ戦略をお聞きします。  カジュアルクルーズの普及に伴い、世界のクルーズ市場においては、クルーズ客船の大型化が進んでいます。一九九〇年代には平均が五万トン以下であったものが、現在では平均十万トン弱とおよそ二倍の大きさとなっており、一隻当たりの乗客は約三千人、クルーは約千人となっています。クルーズ船を受け入れるためには、この船の大型化に対応できる港湾の整備が重要であることがわかります。  本県においてクルーズ船を多く受け入れている港は、鹿児島港、西之表港、名瀬港など重要港湾が多いようでありますが、志布志港は実績が少なく、その他の港では、世界自然遺産の島として知名度の高い屋久島の宮之浦港の健闘が光っております。  そこで伺いますが、クルーズ船が大型化する中で、その受け入れの前提となる港湾の整備について、志布志港を含めた県内重要港湾の整備状況と今後の整備計画についてお示しください。  宮之浦港については、寄港の希望が多いものの、港湾の施設整備が整っておらず、せっかくのビジネスチャンスをみすみす逃すことになっていると関係者は指摘しています。  宮之浦港の整備の現状と今後の計画、計画の目標年次についても明らかにしてください。  また、宮之浦港については、昨年、今後の整備のあり方等について、国、県及び屋久島町の三者による検討のための意見交換が始まったとお聞きしますが、その設置目的や検討内容についてお示しください。  次に、クルーズ船の誘致事業についてでありますが、従来は土木部において所管していたものが、現在は観光交流局が担当しております。この所管がえの目的と、このことによって従来とどのように変わったのか、クルーズ船の寄港数は増加したのか、実績をお示しください。  クルーズの形態がカジュアルクルーズへと変化し、大型船化が進むとともに、アジア地域がその適地として脚光を浴びる中での本県のクルーズ船の誘致戦略はどうあるべきか。クルーズは一つの港にだけ寄るのではなく、魅力的な観光資源を持つ、乗客に感動を与える港を寄港しながら行うものでもあります。  そういう意味では、現在でも寄港が多い石垣や那覇、長崎や別府、博多といった港と本県の港湾群が連携した誘致活動が必要になると思料いたしますが、九州・沖縄の総力を挙げた取り組みはどのように構想され、推進されようとしているのか、本県の長期戦略について伺います。  政府が昨年十二月十日に決定した農林水産業・地域の活力創造プランに関連して質問いたします。  これは、農業・農村全体の所得を今後十年間で倍増させることを目指し、そのための方策として、農地中間管理機構を設立し、約五割の農地集積を十年間で担い手の農地利用が八割を占める構造にすることを柱にして、二〇一〇年度と比べ、農林水産物・食品の輸出額四千五百億円を二〇二〇年までに一兆円に、六次産業の市場規模一兆円を今後十年間で十兆円を目指すものであります。  この中で、担い手への農地集積を加速し、耕作放棄地の発生防止と解消を進める農地中間管理機構については、県地域振興公社を指定し、四月一日から職員も増員して業務を開始したとお聞きしています。  県の農地中間管理機構の推進に関する基本方針によると、この機構の事業が十分に機能を発揮できるように、県、地域、市町村段階の推進体制を整備するとし、原則として全ての市町村に業務を委託するとともに、六月から農地利用配分計画案を作成し、十二月から農地の貸し出しを始める計画とされています。  そこで、まず、この事業の推進体制の整備は現在どの程度進んでいるのか、農地利用配分計画案の作成の現状とあわせて伺います。  また、県内の平成二十四年度の担い手への農地集積率三七%を、十年後の三十五年度には国からの要請目標九〇%を目指すとの目標を設定していますが、今後の目標達成に向けた取り組みのスケジュールと課題についてお聞かせください。  次に、農業・農村所得倍増十カ年戦略について伺います。  この計画は、農業・農村全体の所得を今後十年間で倍増するというものですが、この農業・農村全体の所得とは何を示すのか。昨年五月二十九日の衆議院農林水産委員会で林芳正農林水産大臣は、「所得倍増の目標は、農家個人ではない。農業・農村全体の所得を増大させる観点で、多様な地域の状況を踏まえながら検討していく」と答えています。  担い手とは、農業を中心的に担う個別経営者であり、その農業所得とは、農水省統計の生産農業所得によって推定されますが、農村所得とは何を指すか曖昧です。一定の地理的範囲と思われますが、その具体的地域と所得はどのように設定し、把握するのか。その基準が明確でなければ、その地域と担い手の所得倍増目標を設定し、それぞれの具体的な方策を示すことはできませんが、見解を伺います。  本県の農業産出額は、平成四年の四千五百五十八億円をピークに平成二十四年が四千五十四億円と、ここ十年ほど横ばいであり、また、平成二十四年の生産農業所得は一千三十六億円で、十年前の平成十五年の一千三百三億円と比較すると二〇・五%減少していますが、このような実態の中で、どのような取り組みを行って所得倍増を目指すのか、その実現が可能なのか、率直な考えを伺います。  政府の規制改革会議は五月十四日、JA中央会の廃止などを柱とする農業改革に向けた提言を発表しました。この改革案をめぐっては、JAグループや与党内の反対なども踏まえ、規制改革会議は新たな答申を提出しました。今後、六月末を目途に農林水産業・地域の活力創造プランを改定するとされています。  戦後の農政において、農協は、営農指導や地域経済に大きな役割を果たしてきましたが、一方で、巨大化したJAがその原点から乖離し、准組合員が五二・五%を占める現状から、誰のための農協かと批判が強いのも事実であります。  県としては、本県農業を農協とともに推進してきた立場から、今回の農業改革の提言をどのように評価されているのか。農家のための農業改革はどのようにあるべきと考えられるか、見解を伺います。 43 ◯保健福祉部長(松田典久君)地域の孤立世帯の見守り等についてでございます。
     独居高齢者など地域で孤立しがちな方々に対しては、市町村において、民生委員、在宅福祉アドバイザー等による訪問、配食サービス等を通じた見守り、緊急通報システムの導入などに取り組んでおります。  県としましては、市町村の取り組みを支援しますとともに、新聞販売所団体等と協定を締結し、見守り活動を促進しており、これらの取り組みを通じて、高齢者に関する情報が得られ、必要な介護サービス等の提供や緊急時の対応につながるなど、一定の効果を上げております。  今後とも、市町村、警察、社協等関係機関・団体と連携して、地域ぐるみの見守り等により、孤立しがちな方々が安心して暮らせる地域づくりを支援してまいりたいと考えております。  本県における認知症高齢者の施策等についてでございます。  認知症サポーターにつきましては、県、市町村、民間企業等がそれぞれ関係機関と連携して、養成講座を開催しており、平成二十六年三月末現在で約七万四千人が養成されております。民間企業等におきましては、金融機関、コンビニエンスストア、JA等が市町村と連携し、社員研修等において養成に取り組んでおります。  認知症に関する相談窓口につきましては、市町村の地域包括支援センター、認知症疾患医療センター及び認知症の人と家族の会等にあり、県では、ホームページや県政かわら版で周知を図っているところであります。  また、今年度は県内全市町村において、認知症の人の状態に応じた医療・介護等の相談先等が記載される認知症ケアパスが作成・配布されることとなっております。  県としましては、市町村による認知症ケアパスの作成支援を行うとともに、今後とも、市町村と連携し、相談窓口の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。  県の認知症対策につきましては、現在、現行の高齢者保健福祉計画に基づき、認知症に対する理解の普及促進、認知症疾患医療センターの設置、介護従事者に対する研修実施など、総合的な認知症対策を推進しております。  県としましては、国の認知症施策推進五カ年計画を踏まえ、次期の高齢者保健福祉計画において、認知症施策を主要な柱として位置づけ、具体的な内容について検討してまいりたいと考えております。  特養の施設整備とあわせた在宅医療・介護の仕組みの確立についてでございます。  特別養護老人ホームの待機者数は、昨年六月一日現在の調査では七千七百八十二名となっており、この中で、要介護四、五の重度の待機者は四千四百四十六名、このうち三千五百十四名の方が老人保健施設等において施設サービス等を受けており、自宅での待機者は九百三十二名となっております。  入所に当たりましては、県が作成した指針に基づき、各施設が設置する入所検討委員会において、本人や家族の状況等を勘案し、入所の必要性の高い方を優先的に入所させる仕組みとなっております。  なお、入所までの対応といたしましては、地域密着型の施設の整備を初めとするサービス基盤の整備を図りますとともに、在宅でも必要な医療・介護サービスが受けられるような仕組みづくりを進めておるところでございます。  今後さらに高齢化が進行し、急増する要介護者の多様なニーズに対応するためには、自宅等で療養される方にも医療、介護、生活支援等必要なサービスを提供できる仕組みを構築する必要がございます。  県としましては、市町村や医療・介護関係者と連携し、住みなれた地域で状況に応じた医療、介護、生活支援等のサービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進してまいりたいと考えております。  介護労働者の待遇改善についてでございます。  事業者が平成二十一年度以降、国の介護職員処遇改善交付金や介護報酬における介護職員処遇改善加算を活用して取り組んでおり、平成二十四年度実績では、約八三%の事業者が賃金改善に取り組んだ結果、介護職員一人当たり月額約一万四千円の賃金改善が行われております。  県としましては、関係団体等を通じて、事業者に対し、介護職員処遇改善について働きかけますとともに、全国知事会を通じて、介護職員の処遇改善等による人材確保対策を講ずるよう国に要請しているところであります。 44 ◯警察本部長(池田克史君)まず、巡回等による見守り活動について、警察本部へのお尋ねでございました。  認知症など要保護高齢者対策といたしましては、自治会や町内会、民生委員を初め、新聞や牛乳の販売店など、民間の見回り団体からも情報を得て実態把握に努めるとともに、地域警察官による家庭への戸別巡回を強化して、徘回防止や早期発見の助言・指導を行っているところであります。今後とも、関係機関や地域と一体となった見守り活動に努めてまいります。  次に、行方不明者の登録システムの効果的運用についてでございます。  行方不明者届を受理した場合には、行方不明者に関する必要な事項を聴取しまして、警察庁の情報管理システムにより全国に手配しております。鹿児島県内におきましては、昨年、千百八十五件の行方不明届を受理し、過去の届け出を含めまして、昨年、千四十一人を発見しているところです。そのうち七割近くが、このシステム照会及び立ち回り調査、職務質問等により発見されているところであります。  ただ、同システムは、氏名や生年月日、身体特徴などに入力ミスがあれば、行方不明者本人であっても一致しないため、登録時の正確な入力とチェックを徹底するよう指導しているところであります。今後とも、同システムの効果的運用による行方不明者の早期発見・保護を行うため、誤りのない入力や積極的な照会に努めてまいります。 45 ◯観光交流局長(武盛武士君)クルーズ船に関しまして、昨年の本県及び全国の寄港実績と分析についてでございます。  まず、本県へのクルーズ船は、鹿児島港、宮之浦港、名瀬港を中心に寄港しています。昨年の県全体の実績は五十四回で、対前年比十五回の減となりました。  このうち鹿児島港については、日中関係の悪化により中国発着のクルーズ船が日本寄港を見合わせ、前年の十一回から二回に減ったこともあり、対前年比十一回の減となりました。宮之浦港については、世界自然遺産という魅力により外国クルーズ船の寄港もあったことから、対前年比二回の増となっております。名瀬港については、奄美独特の文化や豊かな自然などにより外国の船会社の関心が高まっていることもありまして、昨年は対前年比二回の減にとどまっております。  次に、昨年の我が国全体の実績は、外国クルーズ船が三百七十三回、国内船が六百二十八回、計一千一回となり、対前年比約一割の減となっております。  このうち特に九州においては、昨年は日中関係の悪化により中国発着のクルーズ船が寄港を見合わせたことや、韓国の船会社が集客不振により運航を中止したこともあり、博多港で前年の百十二回から約七割減の三十八回に、また、長崎港で前年の七十三回から三十九回に半減するなど、大幅な減となっております。  一方、横浜港や神戸港は、国内外のクルーズ船の発着港となっていることもありまして、寄港数は高い水準で推移しているほか、石垣港や那覇港は、三泊四日程度と期間の短い台湾発着のクルーズ船が寄港していることなどから、安定的な寄港実績となっているものと考えております。  世界のクルーズ市場と本県のクルーズ戦略についてでございます。  特に、アジア太平洋地区のクルーズ人口は、二〇〇五年の百七万人から二〇二〇年には五百万人に達すると言われており、今後、大幅な増加が見込まれております。  本県は、上海港、台湾基隆港など、東アジアの母港からほどよい場所に位置しているなど、地理的優位性を有しております。また、紺碧の錦江湾に浮かぶ桜島、屋久島や奄美大島など独自の魅力を有する豊かな自然、個性ある歴史・文化など、「本物。鹿児島県」の観光資源を有しております。このような利点を生かすため、東アジアを中心とした現地セールスの強化、無料Wi─Fiの整備、おもてなし隊の組織化などによりまして、誘致競争の激化に対処することとしております。  クルーズ船誘致の所管がえに伴う変化等についてでございます。  クルーズ船の運航については、おおむね一年から半年前に寄港地が決定されます。平成二十二年当時、国内外での誘致競争が激しくなったことや、外国の船会社が寄港地を多様化させる方針を打ち出したことなどにより、平成二十三年一月の情報では、特に鹿児島港への寄港回数が前年を大幅に下回る見込みとなりました。  そこで、平成二十三年度、新たに国際クルーズ船誘致促進事業を予算措置いたしますとともに、観光課に国際クルーズ船誘致担当を配置しました。これにより、観光をより前面に打ち出した船会社とのタイアップの強化、海外クルーズコンベンションへの参加、現地旅行エージェントの招請などの誘致対策を新たに行うとともに、受け入れ体制の充実・強化にも努めてきました。その後も東日本大震災や日中関係等で伸び悩んできたところですが、本年は県全体で六十三回の入港が見込まれるなど、徐々に回復してきております。  九州・沖縄との連携と長期戦略についてでございます。  本県は、クルーズ船の誘致活動については九州各県と競争する一方で、九州クルーズ振興協議会の構成メンバーとして、九州各県の自治体等と連携して、海外クルーズコンベンションへの出展などによりまして、九州全体の魅力発信や観光客受け入れの課題についての意見交換などに取り組んでおります。  また、沖縄とは、奄美大島と徳之島がともに世界自然遺産への登録を目指しているところであり、登録の暁には本県は日本で唯一、二つの世界自然遺産を持つこととなります。特に、屋久島は植生の垂直分布、奄美大島、徳之島、沖縄は生物多様性の水平分布という世界に類を見ない魅力がありますことから、これらの島々を結ぶ世界遺産クルーズの商品化促進や、このクルーズの定期化に向けた取り組みも検討したいと考えております。 46 ◯土木部長(久保田 一君)重要港湾の整備状況と今後の計画についてでございます。  大型観光船に対応した重要港湾の整備状況につきましては、鹿児島港、名瀬港、西之表港の三港で水深九メートル以上の岸壁、また、志布志港と川内港では水深七・五メートルの岸壁を整備したところでございます。これらの整備により、これまで、鹿児島港には十二万トン級、名瀬港には八万トン級、西之表港には五万トン級など大型の観光船も寄港しているところであります。  今後は、港内静穏度を高めるための防波堤工事などを着実に進めることとしており、大型化への対応については、国際情勢や船社の意向など、クルーズ船を取り巻く動向を注視してまいりたいと考えております。  次に、宮之浦港の整備等についてでございます。  宮之浦港については、三万トン級の観光船が接岸できる水深七・五メートルの岸壁を平成十八年度から供用しており、年間二十隻程度が寄港しているところであります。  現在、定期専用岸壁等の港内静穏度の向上を目的に防波堤工事を行っておりますが、大型観光船の航路確保等にも将来的につながることから、既存の防波堤を移設活用するなどの工夫を行っており、今後とも早期完成が図られるよう努めてまいります。  昨年七月に設置された意見交換会でございますが、観光船の大型化への対応に関し、国、県、町で情報を共有するとともに、現状における課題の整理や対応方策について検討することを目的にしております。これまで、船社やバス会社からヒアリングを実施するとともに、地元の受け入れ体制や自然条件等も踏まえた港湾施設整備における課題など、ソフト・ハード両面から幅広く意見交換を進めているところであります。 47 ◯農政部長(福田博史君)農地中間管理事業の推進体制の整備等についてでございます。  農地中間管理事業の推進体制につきましては、県段階に関係機関・団体等で構成する農地集積推進委員会を設置し、推進方策の検討等を行うとともに、ブロック別説明会等を実施し、事業の周知と活用促進に努めております。また、地域段階ではプロジェクトチームを設置し、市町村の農地集積の取り組みを支援することとしております。  市町村においては、機構との間で農地利用配分計画案の策定などの業務委託契約の手続を始めるとともに、話し合いが活発な地域などにおいて、農地の集積・集約化に取り組むモデル地区の設置を進めております。  農地利用配分計画につきましては、現在、機構において、貸し出し農地の募集を開始したところであり、今後、機構は、借り受けを希望する農家を公募し、市町村がマッチングを行った結果を踏まえ、計画を策定することとしております。  農地集積率の目標達成に向けた取り組みと課題についてでございます。  担い手への農地集積を図るため、これまで、農業委員会による農地の貸借等のあっせんや集落営農の育成などに取り組んできたところであります。今後、農家の高齢化や減少が急速に進むとともに、農業生産法人等の規模拡大に伴う農地の需要の増加が見込まれることから、農地の集積・集約化をさらに加速化させる必要があります。  このため、県としては、これまでの取り組みに加え、離農や経営転換する農業者に対して支払う機構集積協力金の活用や、分散した農地の再配分や集約、圃場の条件整備、広域での農地流動化などに取り組むこととしております。これらの取り組みにより、平成三十二年度の本県の農地集積率の目標である五〇%を前倒しして実現し、これに上積みする形で、国からの要請目標である九〇%を目指してまいりたいと考えております。  農業・農村全体の所得の定義及び所得倍増の取り組み等についてでございます。  農業・農村全体の所得とは、農家個人の所得ではなく、農業生産額から必要経費を差し引いた農業所得と、六次産業化による関連所得を合わせたものであります。  なお、六次産業化による関連所得は、国内における農産物の加工や直売所の総販売金額に地場産割合を乗じて得られた市場規模を基礎として、所得を算出したものであります。  国は、今後、農地中間管理機構等による担い手への農地の集積・集約化や水田フル活用、輸出の拡大を進めるとともに、観光業や医療・福祉産業などとの連携による六次産業化の推進などを通じて、農業の成長産業化を図り、農業・農村全体の所得倍増を目指すこととしております。  県においては、野菜等の大規模経営体の育成や担い手への農地集積などをさらに進めるとともに、大隅農業・加工技術研究プロジェクトによる高付加価値型農業への転換や、観光と連携したグリーン・ツーリズムの推進など、生産・加工・流通・消費に至る施策を一体的、重点的に展開し、所得の向上に努めてまいりたいと考えております。  農業改革についてでございます。  農協及び農業委員会は、地域農業の発展はもとより、地域生活、地域経済を支える社会基盤としても重要な役割を果たしており、農業・農村を取り巻く情勢が大きく変化する中、引き続き、時代のニーズに沿ってみずから改革を進める必要があると考えております。  国は、今回の答申を踏まえ、今後、農業改革の検討を行うこととしておりますが、改革に当たっては、農協等が果たしている役割を十分踏まえ、農業の担い手等から評価され、農家所得の向上や地域農業の発展につながるよう、関係者の意見を聞いた上で、慎重かつ丁寧な議論を行っていただきたいと考えております。 48 ◯柳 誠子君 介護従事者の件で一点、再度お伺いしたいと思います。  先ほどの答弁で、介護従事者の賃金改定を行った事業者、八三%の事業者が行ったと答弁をされましたが、残りの一七%の事業者がどういった状況にあるのか、全く賃金改定を行っていないのかお答えください。 49 ◯保健福祉部長(松田典久君)現在は、先ほども申し上げましたけれども、介護報酬における介護職員処遇改善加算、これを活用して処遇改善に取り組んでいただくように、関係団体、そしてまたいろんな関係者が集まる会議等でお願いしているところでございまして、残りの一七%についても強く働きかけをして、御理解を求めるように努力しているところでございます。 50 ◯柳 誠子君 連絡会等で要請をしているということでしたが、実際、一七%は依然としてまだそういった見通しが立っていないのか。実際やはり介護従事者、働いていらっしゃる方々の声を十分に県も吸い上げて、そういった協議会等に反映をさせていただきたいと思うんですが、そういった会合が、この改定があった後、何回ぐらい設けられて、県は助言等を行ったのか教えてください。 51 ◯保健福祉部長(松田典久君)手元にちょっと資料がございませんので、また後ほど御連絡したいと思いますが、いずれにしましても、関係団体等の会議があるときにそういうような働きかけ等もやっております。  ただ、これにつきましては、あくまでも事業主体の、事業体の判断でございますので、お願いをして理解を求めるということでやっているところでございます。    [柳 誠子君登壇] 52 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁いただきました。  高齢化社会へ本当にこれから大きくその支援策も充実を求められてくるわけです。特に、鹿児島は全国でも高齢化が十年早く進んでいると言われております。そこを支える介護従事者の処遇改善につきましては、県からも介護事業者等に対しましてお願いするということでございましたが、これまでとは違った強い姿勢でぜひ事業者にもお願いしていただきたいと思います。  鹿児島市のにぎわい形成についてでありますが、県有施設の地方分散は誘致合戦によって機運が高まっておりますが、これまでの知事の発言からすれば、スーパーアリーナは鹿児島市以外には考えられないわけです。だとすれば、地方への分散施設とはミニ体育館になるのか、武道館になるのか、あるいは国際会議場か展示場か、あるいはまた運動公園など、どういったものになるのか。あおるだけあおった結果、どこの自治体の要望にも応えられないということになりますと、逆に知事への反発が強くなります。これは決して県政運営にプラスにはなりません。具体的なアリーナ構想と地方への分散施設の方針を明らかにすべきであります。  特別支援教育につきましては、来年四月から、改正地方教育行政法の施行によりまして教育委員会制度が大きく転換することになりました。ここでは知事の権限が強化されることになります。教育行政の方針となる大綱を策定したり、新教育長を直接任命できるわけです。  知事、お願いです。この間、幾度も特別支援教育の重要性、必要性について知事の思いを伺ってまいりました。全国に誇る本県の一貫した総合的な特別支援教育の推進のためにも、ぜひ特別支援教育課を設置していただいて、総括的な一貫した支援が行われるように強く要望いたします。  憲法についての知事の政治姿勢を伺ってまいりました。  安倍首相の目指す集団的自衛権の行使容認の根拠に、一九七二年の政府見解の一部をつまみ食いし、引用するとのことですが、この見解は、明確に集団的自衛権の行使は憲法上許されないと結論づけているのであります。一部を切り取ることが許されるなら、どんな解釈も可能になります。時の政権が我が国の存立が脅かされるおそれがあると政治判断をすれば、他国同士の戦争に地理的限定を超えて参戦できるようになります。集団的自衛権行使の限定容認は何の歯どめもあり得ません。  一九九〇年代に専守防衛の方針を変更し、北大西洋条約機構の海外派兵に乗り出したドイツは、アフガンに駐留したドイツ軍幹部が、後方での治安維持や復興支援のはずが、毎日のように戦闘に巻き込まれ、五十五人の犠牲者を出したと証言しています。一旦戦争に巻き込まれたら、途中で引き返すことはできなくなり、自衛隊はもとより一般国民からも犠牲者を出す可能性も出てきます。  日本は、さきの大戦の反省のもとに憲法九条を定め、七十年近く平和を維持してきたのです。実績があるんです。九条を改正する必要はありません。国民の大多数が反対する解釈改憲に絶対反対であります。憲法第九十九条によって、憲法を尊重し、擁護する義務を負う知事としてのお立場から、憲法観を情報発信していただくようにお願いいたします。  知事は、十キロメートル圏内の避難計画はパーフェクトであると言われましたが、パーフェクトと思っている県民は誰ひとりいないでしょう。質問で指摘したように、実効性のある避難計画は困難であり、不可能なのであります。その避難計画ができない中での再稼働は、県民の命を軽視するものであります。  小泉元首相は、「再稼働すると核のごみもふえていく。原発に向けた費用をさまざまな再生可能エネルギー開発に振り向けていけばいい。日本の企業は技術を持っている。多少コストが高くても国民は協力する」と述べています。いずれも私どもがこれまで主張してきたことであります。  伊藤知事はこの間、エネルギー政策の方向性は、原子炉の運転期間は四十年、新増設は行わないとした上で、二〇三〇年時点で脱原発を前提にしつつ検討すべきであるとの立場を表明してこられました。知事のとるべき態度は、川内一、二号機の再稼働ではなく、脱原発社会の実現に向け、国の政策転換を迫る立場に立つことであります。そのことを強く要望して、県民連合の代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 53 ◯議長(池畑憲一君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 54    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)六月二十日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 55    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十一分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...