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2014-03-03 平成26年第1回定例会(第4日目) 名簿
2014-03-03 平成26年第1回定例会(第4日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2014-03-03
    2014-03-03 平成26年第1回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    柚 木 茂 樹 君    まつざき真 琴 君    与   力 雄 君    柴 立 鉄 彦 君  一、請願・陳情の委員会付託  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(池畑憲一君)まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。
     柚木茂樹君に発言を許可いたします。    [柚木茂樹君登壇](拍手) 3 ◯柚木茂樹君 おはようございます。  今回は冒頭での一般質問となりました。緊張感を持って臨んでいきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、農業の振興、とりわけ、今後期待される薬用作物の取り組みとお茶の輸出、南薩畑かんについて質問いたしてまいります。  近年、我が国の伝統医療の漢方薬を含む漢方製剤は、健康に対する意識の高まりを背景に国民の関心が高まってきており、また、漢方治療の科学的根拠の解明が進んでいることもあり、医療現場においてもそのニーズが高まっています。  漢方製剤に必要不可欠な生薬は、中国からの輸入に依存していますが、中国国内での需要が拡大する一方で、乱獲によって自生する薬用作物の減少があり、カンゾウなどの一部の薬用作物では、環境保全等を目的として、採取規制や輸出規制が見られ、日本国内での生薬の安定的な調達が難しくなる傾向にあります。  このため、漢方薬メーカーを初めとする実需者からは、生薬の原料となる薬用作物の国内での安定的な確保を望む声が高まってきております。他方、後継者不足や耕作放棄地に悩む生産者サイドは、新たな地域特産作物として一定の安定したニーズが期待できることから、薬用作物への関心が高まってきています。  今ここで、漢方薬製剤等の需要の動向で見ますと、平成二十三年で生産額は一千四百二十二億円であり、平成十八年度に比べて二二%増加しています。約二万トンの八三%が中国からの輸入であり、国内での生産は、約一二%ということであります。また、使用実績のあった生薬の品目は二百四十八品目にも及び、そのうち、日本国内で賄っている生薬は八十九品目となっています。  公益財団法人日本特産農産物協会の薬用作物に関する資料によれば、国内生産で専ら医薬品に用いられている二十七種類の薬用作物の生産量は、年次ごとの増減はあるものの増加傾向に推移している一方、栽培農家戸数は、生産者の高齢化もあり減少傾向で、近年、下げどまりとのことであります。  また、産地化へ向けての推進でいうと、薬用作物については、他の農産物のように一般的な取引市場が存在せず、漢方薬メーカーなどの実需者と生産者との契約による栽培で、生産開始に当たっては、まず、生産者は、利用先である漢方薬メーカーなどの実需者と契約栽培を行う必要があります。しかしながら、生産者サイドでは、薬用作物を栽培したくても誰が買ってくれるのか、どれぐらいの価格で売れるのかなどの不安があり、栽培着手にちゅうちょしてしまう傾向があります。漢方薬メーカーサイドにおいても、誰が栽培してくれるのか、安定供給は可能なのかなどの不安を抱えています。このことが、国内において薬用作物の生産が拡大しない大きな課題要因となっていると思われます。  漢方製剤は、高まる需要の一方で、約八割を超える中国からの輸入に依存しているということは、今後ますます調達が不安定になると言えます。このことから農林水産省では、薬用作物をめぐる情勢・課題について、漢方・生薬関係団体、生産者団体、主な産地である生産県での認識の共有ができるよう、厚生労働省と連携し、両省の共催をもって全国各地で薬用作物に関する情報交換会を開き、産地を志向する地域と実需者との情報の共有・交換を進めております。  しかしながら、産地化に向けては、地域の気候・土壌条件等に応じた栽培技術の確立・機械化の促進などの安定した生産上の課題を解決する必要があります。そこで農林水産省では、このようなことから、平成二十六年度予算では、薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業を創設し、地域ごとの気象条件・土壌条件等に適した品種の選定や栽培マニュアルの作成、安定した生産に資する栽培技術確立のための実証圃場の設置、低コスト生産体制の確立に向けた農業機械の改良等の取り組み等を支援していくこととしております。  私は、高齢化等で耕作放棄地のふえる中山間地域にあっては、地域活性化の有望な作物の一つになるのではないかと考えております。  そこで質問します。  本県の薬用作物に関し、栽培の現状や取り組みの現状はどのようになっているのか、お尋ねいたします。  また、薬用作物の産地化に向けた課題と今後の取り組みについてお尋ねいたします。  次に、お茶の輸出について質問いたします。  私は過去二回ほど、定例会において、お茶の振興について一般質問いたしました。長引く荒茶価格の低迷は、リーフ茶離れよる需要と供給のバランス崩れによるものではないか。経営体質を強化するために、担い手への円滑な利用集積がさらに必要ではないか。また、県のかごしま茶地力向上プランの一定の見直しも考えるべきではないかなどとただしたものです。  荒茶価格の低迷などで厳しい茶業界の現実にあって、少しでも多くの人にもっとたくさんのお茶を飲んでもらうことが、最も重要だと考えております。  リーフ離れ対策として、お茶の輸出は世界的な日本食ブームを背景に急増しており、特にアメリカにおいては、緑茶の健康的なイメージなどから、さらに輸出増大が期待されております。  県としても、お茶の輸出になお一層力を入れ始めた印象を持ちますが、本県の茶業界においても、米国での市場調査や商談会への参加などのプロモーション活動が行われているようですが、そこで質問いたします。  その活動内容と現地のかごしま茶の評価はどうであったのか。また、今後の輸出に向けた取り組みについてお尋ねいたします。  続きまして、南薩畑かん事業についての質問ですが、南薩の大地に昭和二十七年から、コラ層を除去する事業が始まり、その後、本格的調査を経て、昭和四十五年から国営南薩台地畑地かんがい事業が始められ、およそ十四年かけて昭和五十九年に完了しております。  かつてこの大地は、サツマイモやアブラナなど干ばつに強い作物しかできなかったものが、この事業後、お茶や根菜類・葉菜類などの収益性の高い作物が可能になり、東は指宿から西は枕崎に至るまでの地域では、飛躍的に農業収入を増大させ、県下でもトップクラスの収益を上げる農業地帯に変貌いたしました。今では、池田湖の水はかけがえのないのものになっております。  私は、整備後二十年から四十年を経て老朽化の進む施設の改善について、平成二十三年第四回定例会で質問いたしました。  県では、国営造成施設については、国直轄による機能診断等の調査が行われ、補修計画を立て、更新整備を行うとの答弁でした。また、県営造成施設については、機能保全計画を策定し、今後、計画的に更新整備を行うとの答弁でもありました。  そこで質問します。  国営造成施設の補修の計画とそのスケジュールについてどのようになっているのか、お尋ねいたします。  次に、同様に、県営造成施設ではどのようになっているのか、お尋ねいたします。  私は以前、溝辺で認められて効果を上げている間欠散水が、なぜ南薩ではできないのかともただしました。間欠散水は、水を出したりとめたりして、水の有効利用と節電、クワシロカイガラムシなどの減農薬対策、また根腐れや根痛み防止等の効果があるものと思っておりますが、南薩土地改良区では、頻繁な運転と停止が加圧ポンプの故障になるなどとし、また、圧力変動により老朽化した管路が破損する危惧から、行われていないとするものでした。  そこで質問ですが、今回の補修を受けて、間欠散水に今後どのように取り組まれていかれるおつもりなのか、お尋ねいたします。  登壇による一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)お茶の輸出についてのお尋ねがございました。  国内におきましては、リーフ茶の消費が減少傾向にある中、かごしま茶の販路の拡大を図りますためには、海外への輸出の取り組みも必要でありますことから、県茶業会議所が中心となりまして、日本茶の最大の輸入国であります米国でのプロモーション活動に、平成二十三年度から取り組んでいるところであります。  これまで、ロサンゼルスのお茶専門店での市場調査や、消費者を対象とした試飲宣伝、嗜好調査などを行ってきております。今年度は、サンフランシスコで行われた米国最大級の食材見本市での商談会に参加し、現地のバイヤーからは、色が鮮やかで香りも味もよい、品種や製品が多彩である、栽培基準が明確で安全なお茶であるなどの評価を得ているところであります。また、販売に当たりましては、お茶の入れ方のほか、茶の機能性や文化、歴史などの情報発信も重要であるとの助言もあったところであります。  現在、本県の茶商の中には、米国やEU等にお茶を輸出しているところもあり、県としては、一層の輸出の拡大を図りますため、今後、生産者や関係機関・団体と一体となって、輸出相手国の残留農薬等の基準や嗜好等の把握、それに応じた生産・流通体制の確立などに取り組んでまいりたいと考えております。 5 ◯農政部長(福田博史君)薬用作物の取り組みについてでございます。  薬用作物につきましては、近年、中国からの輸入量の減少に伴い、製薬会社の国内産に対する需要拡大が見込まれますとともに、耕作放棄地の活用や中山間地域の活性化の面で期待できる作物として注目されております。  本県における薬用作物は、平成二十三年度の市町村報告によりますと、生産者は三百戸、栽培面積は五十九ヘクタールで、主な品目は、ガジュツ、ウコン、ケールなどとなっております。  県内においては、熊毛地域でガジュツを約百九十戸の農家が、市町村単位の振興会組織で製薬会社との契約栽培を行っており、現地研修会等により技術向上に取り組み、産地化されております。また、最近では、肝付町で民間企業との共同事業により、平成二十三年度からカンゾウの生産に取り組んでおりますほか、昨年、製薬会社等で構成する団体が、市町村や農家を対象に、製薬会社との契約栽培を目的としたマッチング活動を実施したところ、県内からも生産希望や問い合わせがあるなど、薬用作物に対する関心が高まりつつあります。  薬用作物はまだ国内での生産が少ないことなどから、産地化を図る上では、契約栽培の相手先を見つけること、種子・種苗が一般販売されていないこと、一定水準の品質規格を満たすための栽培技術の定着が必要なこと、使用できる農薬や農業機械が少ないことなどが課題となっております。  このため、国は、平成二十六年度から、薬用作物の産地形成に向けて、地域に適した品種の選定や栽培マニュアルの作成、栽培技術確立のための実証圃の設置、低コスト生産のための農業機械の改良などの取り組みを支援することとしております。  県としては、市町村等との連携を図りながら、県内の産地化の取り組みに関する情報収集や、国と関係機関・団体が行うマッチング活動に対する情報提供、栽培管理機械の導入など、地域における薬用作物の産地化を支援してまいりたいと考えております。  南薩畑かん事業についてでございます。  南薩畑かん国営造成施設につきましては、国は、平成二十三年度から本年度まで機能診断等の調査を行っており、平成二十六年度は、今後の補修計画を策定するとともに、間欠散水方式を含む、防霜や防除かんがいなど、新たな水利用に向けた検討を始めることとしております。  また、県においては、県営造成施設について、平成二十三年度に行った機能診断等に基づき、平成二十五年度から十年間の計画で、制水弁や空気弁等の弁類、給水栓、埋設管の補修整備を行っております。  今後、新たな水利用に向けての検討状況を踏まえて、まとまった地域から間欠散水の要望があれば、加圧ポンプを含め必要な整備について、南薩土地改良区など関係機関と連携して、対応を検討してまいりたいと考えております。    [柚木茂樹君登壇] 6 ◯柚木茂樹君 それぞれ前向きな答弁をいただいたと思っております。  薬用作物についてでありますが、漢方薬のトップメーカーである株式会社ツムラでは、ことしの三月十四日、薩摩川内市で、セリ科のミシマサイコの試験栽培をすることから、栽培希望者を募るために説明会を開くと聞いております。ミシマサイコは、かつて霧島山麓に自生し、現在はほとんど見られないとのことで、当漢方薬メーカーでは、種子の全量無償提供と収穫物は全て買い取りの予定だと聞いております。  島津藩が江戸時代から神の草として用いていたヒュウガトウキは、高血圧防止や糖尿病などに効くとされていますが、自生地は南九州の山岳地帯です。また、離島では、先ほどもありましたようにウコンの栽培も見られ、南北六百キロに及ぶ鹿児島には、ある一定の品種で薬用作物として適する地域が必ずあるものと考えております。  しかしながら、先ほども述べたとおり、医薬品としての特性を持つことから、生薬の取引には市場が存在せず、中山間地での地域活性化の有望な作物としての期待がありながらも、産地化に向けては各種のハードルがあります。また、中国からの生薬の輸入は、国産よりも相当安く、国産化に向けては、栽培技術の確立や低コスト化への機械化も今後取り組む必要があると考えております。そして、生薬は乾燥しての取引になることから、乾燥施設などの六次化的取り組みも必要になると考えております。  これらのことから、やはり国、県、市町村の後押しなくしては、産業化・産地化は難しいと思います。県としても、薬用作物の産地化に向けて、その可能性調査も含めて、果敢な取り組みを改めて要望したいと思います。  お茶の輸出について述べます。  二月二十八日付の地元新聞に、寒いロシアで緑茶で一服の記事が載りました。記事によると、世界最大のお茶の輸入国ロシアで緑茶人気が高まり、日本の茶どころが熱い視線を送っている。モスクワで今月開かれたロシア最大級の商品見本市には、鹿児島、福岡、島根三県の四業者が出展。昨年、本格的な対ロシア輸出が始まった静岡茶を追う構え。安い中国茶が席巻するロシア市場で、富裕層や中間層に高いがひと味違う一服を根づかせようと懸命だとするものです。  また、記事の末尾には、農林水産省では昨年、日本茶の輸出戦略を策定。ロシアなどを輸出拡大の重点国として、二〇一二年の日本茶の輸出額五十億五千万円を、二十年には約三倍の百五十億円にする目標を掲げていると記載されておりました。  国内消費が頭打ちの中、かごしま茶の荒茶は全国シェアの三割と高く、本県では、荒茶としてお茶の生産量の約七割を県外へ出荷しております。このことは、かごしま茶が仕上げ茶として直接消費されていないということであり、県としても、かごしま茶ブランド産品として指定し、かごしま茶のブランド力のアップに取り組んでおります。  そこで、輸出ですが、輸出は先手必勝が重要だと考えております。輸出に向けて、お茶どころの各県が躍起になって取り組もうとしている中で、決して本県がおくれをとることのないよう、なお一層のブランド力のアップと輸出への取り組みを強く要望いたします。  ここで、輸出とリーフ茶の推進ということで提案させていただきます。  お茶好きの方から、最近のお茶は緑は鮮やかだが、お茶らしい昔のような風味がなくなったとよく聞きます。これは、鹿児島のお茶が一旦静岡に流れ、緑茶を好む消費者のニーズに応じるため、クレモナ等をかぶせ、味よりも色を出すお茶づくりをしていることが一因と考えております。アメリカやロシアの富裕層は舌がこえていると思われますが、かごしま茶は、色は少々落ちても昔の味わい深い風味のあるお茶で勝負し、そのようなお茶をつくる農家の産地づくりも取り組みながら、他産地との区別化を図ることも戦略の一つではないかと提案いたします。  また、外国の富裕層は、日本茶の安心で安全なおいしいお茶を求めております。オーガニックと言われる有機によるお茶も人気があると聞いておりますが、オーガニックJASの認定を持つことが、輸出に向けてはとても重要です。しかし、JAS認定の有機栽培は、畑に三年間は農薬や化学肥料を使っていないことなどを証明することが求められ、オーガニック茶の売れ筋が見えないと農家にとっては取り組むのが実に難しいものがあります。  私は、輸出に向けては、オーガニックへの栽培技術の確立と産地化にもぜひ取り組んでほしいと思いますが、その取り組みも改めてお願いしたいと思います。  ところで、お茶の振興に関する法律では、お茶の文化の振興とあわせて、もっとお茶を飲んでもらうことを推進する法律と理解しております。私は、この法律の趣旨に基づき、若者のリーフ茶離れ対策として、幼稚園、保育園を初め、学校や福祉施設などで昼食時などにお茶を飲んでもらえればと考えております。  私の一般質問の答弁の中で、本県の学校でのお茶の飲用は二八%ということですが、昼食時の飲用や給茶器の設置など、行政の政策支援として取り組んでいただければと提案いたします。  ちなみに、お茶どころ静岡では、学校の四割が飲用しているということですが、まずは鹿児島がリーダーシップをとりながら、お茶どころの静岡や三重も巻き込んで、学校現場等で子供たちの舌にお茶の味を覚えていただいて、全国へ広めていただければ、リーフ茶離れの対策につながると考えております。これも知事のトップセールスの一環の一つになるのではないかと思います。御検討お願い申し上げます。  南薩畑かんについてコメントいたします。  南薩畑かんには非常に前向きな答弁をいただきました。  畑かんの補修については、国と県でよく連携をとりながら、南薩土地改良区等の意向も踏まえた補修をお願い申し上げます。また、間欠散水に関しましては、農家にとってよりよい有益な対応になるよう取り組んでいただくようお願い申し上げます。  質問に入ります。  外国人技能実習制度は、日本の企業において、発展途上国の若者を技能実習生として受け入れて、実際の実務を通じながら、実践的な技術や技能・知識を学び、帰国後、母国の経済発展に役立てる国際貢献を目的とした公的制度です。現行三年を上限とされている在留期間を五年に延長すべきとの提言が規制改革会議でも出され、政府・与党では見直しが急がれています。  中小企業や農業分野でも、人手不足の切り札として期待されている一方で、賃金未払いや人権侵害行為が数多く報告されています。  本県でも、耕種部門で従業員数を多く抱え、企業的農業経営を行いながら、六次化をにらんだ対応もできる農家もふえていますが、このようなところでは、この制度を活用して中国や東南アジアの実習生を受け入れているところも幾つか見られます。  そこで質問いたします。  まず、この制度の概要をお尋ねいたします。  次に、この外国人技能実習制度を活用して国内にいかほどの外国人がいるのか。また、本県ではどうなのか。また、どのような業種で働いているのか、お尋ねいたします。  次に、この制度は国の制度ですが、県としてのかかわりはどうなるのか。また、賃金の不払いや人権侵害などの事例もあるようですが、この制度の運用は適正に行われているか。県としての把握はどの程度されているのか、お尋ねいたします。  次に、本県で働いている技能実習生と経済交流という視点で質問いたします。  私は、海外経済交流促進等特別委員会の委員として、上海を視察させていただきました。今、日中間は、政治的には危機的状況にありますが、中国の一般庶民は、日本のすぐれた農産物を初め、日本製品を欲しているのではないかという印象を受けました。  しかしながら、中国は共産圏であることから、輸入に関し、あらゆる規制をかけています。この大国は、やがて二〇二五年ごろにはGDPでアメリカを抜き、世界第一位になるであろうとも言われております。世界一位の経済大国への道を進む中国は、豊かになっていく中国人民を満足させるには、いずれ貿易を自由化の方向へ向かわさざるを得ないでしょう。とすれば、伊藤知事の申される、伸びる経済大国のエネルギーを本県の発展において捉え、本県の産業政策をとるということは本意を得たものと言えます。  しかしながら、現下では国々でさまざまな規制もあり、現時点でとるべき戦略として、何をして将来の経済交流に備えるかは実に重要な課題であります。  今、中国を中心に、東南アジアなどの技能実習生の多くが本県で頑張っております。彼らは、帰国後に日本で身につけた技術や知識を生かすこともさりながら、日本で働いて貯金をし、自国での成功を夢見ているのも事実でしょう。とすれば、彼らにとっては、彼らの人生をかけた挑戦なわけであります。  二十歳前後の若者が、その多感な時期に三年間、この鹿児島で暮らすわけであります。私は、彼らに第二のふるさとは鹿児島だと言ってもらいたい、自分の今は、鹿児島に原点があると言ってもらいたいと思っております。彼らは強い向上心を持って日本に来ています。彼らの何人かは将来、自国で成功をおさめ、今現在は規制があって経済交流の妨げはあるにしても、いずれ近い将来に規制緩和の時期が来れば、彼らが日本や鹿児島の経済交流のかけ橋となり、礎となる日が来ると信じております。  ところで、技能実習生の九割が中小零細企業に受け入れられており、当然、労働力として期待されている部分もあり、また、一部には賃金未払いなどの事案も確認されているようです。  このような状況にある技能実習生について、受け入れ先には労働力として喜ばれ、技能実習生には技能習得の機会として喜ばれるような環境を支援することは、県としてもできるはずです。  そこで質問いたします。  技能実習生が将来、本県との経済交流のかけ橋になると信じますが、このことについて県のお考えをお伺いいたします。  また、受け入れ先にも喜ばれ、技能実習生にも喜ばれる環境を支援するためには、県としてどのようなことが考えられるのか、お尋ねいたします。  公共事業についての質問をいたします。  国においては、好循環実現のための経済対策に基づき、平成二十五年度補正予算と合わせて、デフレ脱却・経済再生と財政健全化の両立に向けて取り組むとしております。  県としても、国の経済対策にも呼応しながら、地域経済の活性化、雇用の安定・確保が図られることが重要とし、県経済を下支えする、将来の本県の成長につながる予算展開に努めたものと思われます。このことは、公共事業費で平成二十五年度の三月補正に加えて、二十六年度当初予算が一一四・三%の伸びとなっていることからもうかがえます。  私は、平成二十五年第一回定例会の一般質問で、平成十年度から二十三年度の十三年間で、公共事業投資額が五六%減じている中で、一転、二十五年度は公共事業費が大幅に急増したことへの県の対応方を質問いたしました。また、同じく十三年間で、建設業従業者数が五四%減じたことや、県の土木・建築及び農業土木の技術職員が約二割減じたことで、執行の円滑な対応をどう図るのか質問いたしました。  一年がたち、平成二十六年度予算も前年度以上の公共事業費であることから、前回の質問に照らし、どう対応されたかを質問いたします。  まず、職員のマンパワー不足による事業の進捗への影響は出なかったのか。その対応はどうとられ、十分と言えたのか。今後、新たな対応があればお示しください。  また、公共事業に係る繰越額はいかほどあり、昨年度と比べてどうなのか、お尋ねいたします。  次に、適切な工期の設定や計画的な工事発注はできたと考えるのか。また、道路舗装工事が目立った印象がありますが、安易に予算執行ができる発注に偏重しなかったと言えるのか、お尋ねいたします。  一年がたち、現場では資機材の高騰と技能労働者の不足があるようですが、通告いたしました、落札に至らない公共工事の入札不調の割合は、昨年と比べてどうだったのか。その要因は何で、どのように対応していくお考えかとの質問は、さきの代表質問での答弁いただきましたので割愛いたします。  私は、自主財源の確保に乏しい本県にあって、公共事業は経済の下支えをする重要な分野と考えております。通告いたしました、現場では技能労働者等が不足していることから、技能労働者の育成、建設産業への入職対策についての質問についても、土木部長から答弁がありましたので割愛いたします。  そこで、重複しない観点から教育長に質問いたします。
     県内の建設業界からは、地元から土木・建築系の学科がなくなっており、土木技術者として高校から採用したくてもできないというような声を聞いております。  そこで、土木・建築系学科の就職の状況はどうなっているのか。また、これまで土木・建築系の学科の定員削減を行っているが、その削減した理由は何なのか。今後、土木・建築系の学科を設置する考えはないのか、お伺いいたします。 7 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)外国人技能実習制度についてでございます。  まず、技能実習制度の概要についてでございますが、この制度は、技能・技術・知識の移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としておりまして、平成五年度から実施されております。  受け入れは、主に商工会や中小企業団体など営利を目的としない団体が行いまして、技能実習生は、入国後に講習を受けた後、企業等と雇用契約を結んだ上で、一年間の実習を受けることになります。そして、技能検定により一定水準以上の技能習得が認められた場合には、さらに二年間の実習が認められることとなっておりまして、全体で最長三年の実習が可能となっております。  外国人技能実習制度の現状と県のかかわりについてでございます。  国の調査によりますと、平成二十五年十月末現在で、国内の実習生数は十三万六千六百八人、本県の実習生数は千六百七十人でございまして、県内では主に、食料品製造業、農業、繊維・衣服業に従事いたしております。  県といたしましては、実習生が二年目以降も従事することのできる在留資格変更許可に必要な技能検定を、婦人・子供服製造など一部の職種において実施いたしております。  なお、本制度の適正化のためには、全国レベルで技能実習制度の支援を行っている公益財団法人国際研修協力機構における受け入れ団体等への巡回指導が行われておりますほか、問題事案等につきましては、労働基準監督署における監督指導が行われております。  本県における労働関係法令違反といたしましては、鹿児島労働局によりますと、平成二十二年度に一件、平成二十四年度に一件の賃金不払いがございまして、いずれも書類送検がなされ、うち平成二十二年度の案件につきましては、当事者の裁判において和解金が支払われ、平成二十四年度の事案については、法律に基づき、独立行政法人労働者健康福祉機構から未払い賃金の一部の立てかえ払いが行われたと聞いております。  外国人技能実習生の雇用環境に係る県の支援についてでございます。  公益財団法人国際研修協力機構が技能実習生に対し実施した調査結果によりますと、帰国後、役立ったことといたしましては、技能習得、日本での生活経験、日本でためたお金などが、また、受け入れ団体からは、技能実習の効果として、途上国の人材育成、日本との人的交流、日本企業の人材確保などが挙げられておりまして、技能実習制度は、受け入れ先及び技能実習生から一定の評価がなされていると考えております。しかしながら、技能実習に係る労働関係法令違反の事案が発生していることを踏まえますと、技能実習生の雇用環境を確保することは重要なことであると考えております。  本県の受け入れ団体の連携組織でございます鹿児島県外国人技能実習生受入組合連絡協議会におきましては、制度の円滑な運営に向けまして、受け入れ企業等に対する研修を実施いたしておりまして、県といたしましては、当協議会など関係機関と連携し、技能実習生の雇用環境の整備が図られるよう努めてまいります。 8 ◯観光交流局長(武盛武士君)交流のかけ橋についてでございます。  鹿児島県の人口は、三十年間で約四十万人も減ることが予想されております。これは全国的な傾向でもありますことから、本県の活力の維持・発展を図るためには、海外からの交流人口を増加させ、貿易を拡大していくことが不可欠です。  御指摘の技能実習生に限らず、本県に滞在する外国人が帰国後、本県との交流のかけ橋になったり、鹿児島は住んでよし、訪れてよしの地である。また産物にも多彩な魅力があると、口コミやネットで発信する効果には大きいものがあります。また、県民にとっても、外国人との交流により国際感覚を養うとともに、もてなすことも重要です。  経済交流に先立つ人と人との交流に当たっては、地域レベルでの地道な積み重ねが基本でありますことから、昨年、マスコミで紹介された山川港における住民と技能実習生との交流のように、県民の方々がそれぞれの地域に住む外国人と交流を重ねることが必要であると考えます。  県としては、市町村や国際交流団体を通じて、このような趣旨の周知を図ってまいります。 9 ◯土木部長(栗原淳一君)公共事業予算の執行体制と繰越額についてです。  平成二十四年度の経済対策補正及び平成二十五年度当初予算の公共事業の執行に当たっては、設計積算や施工監理の外部等への業務委託を初め、概算数量発注方式を活用するなど、職員の負担軽減を図りながら、閲覧期間の短縮など入札手続の迅速化などにより、予算の早期執行に努めたところです。  また、本年度の公共事業等に係る繰り越しは、今議会で提案している国の経済対策に伴う補正予算の大半を繰り越すことから、通常予算を含めた全体では約五百二十四億円で、補正予算規模が大きかった昨年度と比較すると、約三百七億円の減となっております。なお、補正予算を除いた通常ベースで比較しても、対前年度比約四十億円の減となっております。  次に、計画的な工事発注についてです。  公共工事の発注に当たっては、年間の発注計画を策定し、その見通しを公表するとともに、定期的な進行管理を行い、適切な工期の確保や計画的な工事発注に努めたところです。  また、平成二十四年度補正予算においては、平成二十四年十二月に発生した中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を契機に、インフラの長寿命化対策が求められていることから、道路舗装・補修や橋梁などの老朽化対策に重点的に取り組んだところであります。 10 ◯教育長(六反省一君)県立高校の土木・建築系学科生の就職状況についてでございます。  本県県立高校には、土木・建築系学科が現在五校に八学科あり、今年度の卒業予定者のうち就職希望者は百六十五人で、全員が内定いたしております。このうち、県内への就職者が五十二人で三二%、県外への就職者が百十三人で六八%となっております。なお、土木・建築関連の業種への就職内定者は、全就職者の七三%で、この割合は近年ふえる傾向にございます。  次に、土木・建築系学科の削減理由についてでございますが、本県では、中学卒業者数が十年前と比べ約四千六百人減少したことに対応いたしまして、公立高校の募集定員を三千人削減いたしております。このうち土木・建築系学科につきましては、二百人、五学級削減いたしておりますが、削減の主な理由といたしましては、この間の経済状況の変化等による希望者の減少があり、高校入試の出願状況を見ますと、十年前の出願者五百二十一人に比べ、平成二十五年度の出願者は二百八十五人に減少いたしております。また、平成二十五年度入学者の募集定員に対する充足率は〇・八三と、定員割れとなっております。  県教委といたしましては、このような現状や今後も続く中卒者数の減少、中学生や保護者の希望状況等をあわせて踏まえますと、土木・建築系学科の新設は難しい状況であると考えておりますが、同系学科は、災害に強い安心・安全な県土づくりや地域社会づくりを担う人材を育成する重要な学科であると認識いたしており、今後とも、同系学科の魅力などについて情報発信し、生徒募集に取り組んでまいりたいと考えております。 11 ◯柚木茂樹君 自席から土木部長に二点ほど再質問したいと思いますが、予算が急増した中で非常に円滑に、非常に評価のいただけるような取り組みをしているというふうに感じました。平成二十五年度の当初予算は、二十四年三月の経済対策に伴う大型補正に連動して、過去十年間公共事業が減り続ける中、大幅増の公共事業の執行となったわけでありますが、土木・建築及び農業土木の技術職員が二割減少する中で、予算を執行する職員の超過勤務の実態はどうであったのか、平成二十四年度と比較してふえているのかということをまずお伺いします。  次は、私は前の質問で、分離・分割発注して、下位のB、C、Dクラスの建設業へも入札機会を与えるべきだという質問をいたしました。それに関しましては、分離・分割発注に努めたいという答弁をいただいたわけであります。予算が減る中で、格付A級も同様に減りまして、比較的A級は仕事が今まであったわけですが、円滑発注する上からも、B、C、D級の発注機会をふやすべきだということを申し上げてきたわけであります。  本年度の発注に当たっては、分離・分割発注に努めていくということでありましたけれども、分離・分割発注によってB、C、D級への発注機会はふえたのか、平成二十四年度と比べてどうだったのか。二点お尋ねいたします。 12 ◯土木部長(栗原淳一君)まず、超過勤務の関係ですけれども、土木部関係職員の超過勤務全体の時間については、平成二十五年度は、災害の発生が少なかったこともあり、平成二十五年度と平成二十四年度のそれぞれの超過勤務について十二月末現在で比較をしますと、増加はしていないという状況にあります。  それから、B、C、D級業者への受注機会確保というお尋ねでありますけれども、平成二十五年度の県土木部が発注した土木一式工事のうち、指名競争入札におけるB、C、D級については、平成二十六年一月末時点の発注金額ベースで申し上げますと、おおむね例年の割合を確保しているところであります。  公共工事の発注に当たっては、県内企業への優先的発注はもとより、地域性に配慮し、引き続き地元企業の受注機会の確保に努めてまいりたいと考えております。    [柚木茂樹君登壇] 13 ◯柚木茂樹君 それぞれにコメントいただきました。  外国人技能実習制度についてでありますが、制度上、抱える問題点に触れて、私見を申し上げたいと思います。  同制度は、技能実習生が就労を前提に技術習得し、母国に技術移転をするという国際貢献が目的でありますが、現実的には、農業・漁業・縫製などで労働力不足の解消に利用される実態や不適切な運用が指摘されております。  具体的には、技能実習生は、受け入れ機関を特定した上で在留資格が与えられますが、原則として職場を変える自由がありません。したがいまして、受け入れ機関の処遇に不満を持ったからといって、他の職場に移転することはできません。あるいは、受け入れ機関の不正行為などを告発すれば、次の受け入れ先が見つからない限り、契約の継続が困難になり、本国への送還となります。受け入れ先と技能実習生の関係は、構造的に支配従属的な関係に陥りやすいとの指摘もあります。  私も、制度設計上の多くの問題があると思っていますが、いずれにせよ、今、本県で多くの技能実習生が働いているわけです。彼らに日本や鹿児島に親近感を持っていただくよう、受け入れ先にも対応をお願いしたいところですが、県としても、国の制度であるとはいえども、技能実習生の環境整備を初めとするあらゆる取り組みに努めていただきたいと思います。切望いたします。将来、技能実習生は、きっと日本や鹿児島に貢献する存在になり得るものと信じております。  公共事業についてですが、例年と比べて急増した公共事業費への対応は、おおむね順調に円滑に執行できているという印象を持ちました。特に、職員が頑張ってくれていることを感じました。ありがたいことだと思っております。しかし、これに甘んじることなく、職員に過重負担が今後ともいかないように、しっかりひとつ対応をお願いしたいと思います。  安倍政権は、日本中くまなく経済の好転を実感できるようにするための予算だと述べています。公共工事設計労務単価も見直され、建設業はにわかに活気づいてまいりました。しかしながら、労務単価の見直しの恩恵も、元請会社が下請まで回さなければ、くまなくということにはつながりません。そうであれば、分離・分割発注を今後も推し進め、直接恩恵を下請会社であるB、C、D級に届けるのも効果的でしょう。可能な限りと申しますが、現状の制度の中で可能な限りというのではなく、制度設計の見直しも含めて、可能な限りの分離・分割発注をし、格付下位の建設業にも政策の恩恵が行き渡るよう努めていただきたいと思います。  時間を少し余しましたので、経済交流という観点で少し述べたいと思いますが、私、議会活動の一環として台湾を視察させていただきました。台湾から日本に旅行に来たりするわけですが、そのとき台湾の旅行者の方々は何をお土産に持って帰るかと思いましたら、家電とか工業製品かと思いましたら、実はそうではなくて、カップラーメンみたいなものとか、驚くことは、薬を買って帰るということなのであります。  知事がおっしゃる環黄海圏の経済の発展、あるいは今後、東南アジアも含めて発展するでしょう。そういうところは、恐らく薬というのは日本の輸出産業として非常におもしろいのではないかと感じたわけであります。まとめ買いをして帰るそうであります。  薬用作物ですが、今後、生産現場とメーカーが直結した産業になるということは、これも強みだと考えております。ぜひともこの薬用作物に関しましては、これからなかなか課題も多くて、取り組む内容も少し数が多いところはあるわけですが、六百キロに及ぶ長い鹿児島県にあって、非常に特徴のある産業になり得ると信じておりますので、ぜひ取り組みを再度お願いしたいと申し上げておきます。  リーフ茶の振興について少し申し上げます。  お茶の振興に関する法律は、このように書いてあるんです。第七条ですが、国及び地方公共団体は、お茶を活用した食育の推進がお茶の消費の拡大に資することに鑑み、児童に対するお茶の普及活動への支援その他お茶を活用した食育の推進に必要な施策を講じるよう努めるものとすると書いてあります。  また、輸出に関しましては、国、地方公共団体は、海外市場の開拓等がお茶の需要の増進に資することに鑑み、お茶の輸出の促進に必要な施策を講じるよう努めることと書いてあります。  また、第十一条には、国は、地方公共団体が振興計画に定められた施策を実施するときは、当該施策が円滑に実施されるよう必要な情報の提供、助言、財政上の支援その他措置を講ずると、財政支援もしなさいというふうに書いてあるわけです。  先ほど申し上げましたことですが、やはり学校現場でお茶を飲んでいただくと、あるいは幼稚園とか福祉施設で飲んでいただくということは非常に重要で、これは、産地県である静岡、鹿児島、三重あたりからそういう運動といいますか、動きをとって、傾向をつくっていただきたいと。ぜひ知事がトップセールスの一環として、繰り返しなりますけれども、お茶を学校現場で子供たちに飲んでいただいて、茶の味を覚えていただくということはとても重要だと思っております。お茶の振興に関する法律の趣旨にのっとれば、そのことは十分に取り組める意味のあるものだと思っております。  今後とも、私は南九州市、市町村で日本一の茶の産地です。基幹産業が衰退していく中で、各市への影響は非常に強いものがあります。まちの活性化はお茶の売れ筋一つで左右されるようなところがあります。ぜひとも、ほかにも曽於とかお茶の産地、鹿児島は茶の産地でありますから、ぜひとも取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。  少し時間を余しましたけれども、これで質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) 14 ◯議長(池畑憲一君)次は、まつざき真琴君に発言を許可いたします。    [まつざき真琴君登壇] 15 ◯まつざき真琴君 私は、日本共産党県議団として一般質問を行います。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  安倍政権は暴走ぶりを強めています。昨年末の秘密保護法は、弁護士、ジャーナリスト、出版関係者、演劇関係者を初めとして、元自民党幹部などの保守層も含めて反対表明が相次いだにもかかわらず、実質わずか七日間の審議で強行採決されました。  さらに、今、集団的自衛権の行使の容認に向け、「最高責任者は私だ」、「閣議決定してから国会で議論」と、憲法解釈の変更を独断で行おうとする安倍首相の手法に対し、護憲・改憲の立場を超えて内外から反対の声が沸き起こっています。自民党内からも、「その時々の政権が解釈を変更できることになる」村上誠一郎元行革担当大臣、「立憲国としてとても考えられない」古賀誠自民党元幹事長、「憲法上から、今の内閣の歩んでいる道は非常に誤りつつある」野中広務自民党元幹事長などと厳しい批判の声が相次いでいます。法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授は、「保守や改憲論者でも、民主主義や憲法とはどういうものであるべきかという常識ぐらいは持っている。それを全く理解していない安倍首相の異常さが際立っている」と述べています。  知事は、特に平和と民主主義に関する諸問題にかかわる安倍政権の言動について、どのような所感をお持ちでしょうか、お聞かせください。  次に、消費税増税についてお尋ねします。  本年四月から、消費税が八%へ増税される予定になっています。  アベノミクスの金融緩和で加速された円安により、輸入に依存している重油や小麦、食用油、飼料などが高騰しました。農業や漁業にも悪影響を与え、トラックの輸送コストを増加させた結果、家庭用食料油や小麦粉、ハム、ソーセージ、食パン、牛乳など、食卓に欠かせない食品が次々と値上げされました。  一方、収入はどうでしょうか。県内どこに行っても、アベノミクスの効果は自分たちのところには届いていない、こういう声が寄せられています。それどころか、昨年十月からは年金が一%削減され、この四月からはさらに〇・七%削減です。四月以降に七十歳になる人から、医療費の窓口負担は一割から二割へと倍になります。六月からは住民税の復興増税がスタートし、十月からは厚生年金保険料が引き上げになります。そして、今回の議案には、県の使用料・手数料の増額改定が多数提案されています。  お尋ねします。  消費税が八%に引き上げられて、県民の暮らしへはどのような影響が出てくると思われますか。また、消費税増税が地域経済に与える影響と、県財政への影響について、見解をお聞かせください。  県議会は先週、TPP交渉に関する意見書を全会一致で採択しました。政府に、農林水産分野の重要五品目などの聖域確保を優先し、確保できない場合は脱退も辞さないこととした衆参農林水産委員会の決議を必ず実現することを求める内容です。  安倍首相は、せんだって行われたシンガポールでの閣僚会議に先立ち、TPPは成長戦略の柱、国家百年の計と強調し、甘利明TPP担当大臣は、「五項目中の品目が一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と述べ、米や牛肉・豚肉など重要五項目も対象に、関税引き下げなどの譲歩案を提示する考えを表明いたしました。  米国は、農産物を含む全品目の関税撤廃を求め、経団連、日本商工会議所、経済同友会の財界三団体も共同提言書を安倍首相に提出し、早期妥結のために、守るべき分野を核心部分に絞り込むことを含め、柔軟に対応するよう求めています。交渉の継続は、関税の縮小・撤廃への道、鹿児島の農業と地域経済破綻の道ではありませんか。  知事、TPP交渉から直ちに撤退することを政府に強く求めるべきだと考えますが、見解をお聞かせください。  次に、川内原発再稼働の問題についてお尋ねします。  知事は、再稼働について、まずは国が安全性を十分に保証することを前提にしており、この間の規制委員会での審査についても、世界最高レベルの審査という評価をしておられます。  そこでお尋ねしますが、知事は、この適合審査で川内原発の安全性が一〇〇%保証されると思われるのでしょうか。この審査は、規制基準に基づく適合審査となっており、この規制基準そのものが、原発事故が発生し、放射性物質の拡散が起こることを前提とした基準になっています。今、行われている審査は、この基準に適合するかどうかであって、安全であるかどうかの審査を行っているわけではありません。それでも知事は、「国が安全性を十分に保証する」と言われるのか、見解をお聞かせください。  次に、避難計画の問題です。  現在、自治体の計画は策定されていますが、保育所、幼稚園、小・中学校の児童生徒、自宅で療養している人たち、病院の入院患者や社会福祉施設の入所者などが、どんな手段で、どこを通って、どこに避難するのか、避難先にベッドがあるのか、車椅子はあるのか、全く策定が行われておりません。このような状況をどのように認識されていますか。  知事は、避難計画の策定は再稼働の要件とはなっていないと言われます。避難計画もないまま、再稼働の判断をされるということですか。知事は、避難しなければならなくなるような事故は起こるはずはないと思われているのではありませんか。  福島第一原発事故が起きる前までは、我が国では過酷事故は起きないと電力会社も言い、国も言い、そして鹿児島県も住民にそう説明してきました。しかしながら、事故は起きました。いまだに十四万人もの人たちがふるさとに戻ることができず、暮らしを丸ごと奪われた状態です。  知事は、避難を必要とするような事故は起こるはずがないという安全神話にとりつかれているのではありませんか。もしくは、事故は起きるかもしれない、避難計画はできていないが仕方がない、何とかなるだろうと思われているのでしょうか、これは人命軽視です。知事の見解をお聞かせください。  次に、再稼働の同意と住民説明会についてお尋ねします。  知事は、再稼働に当たり、薩摩川内市長と薩摩川内市議会及び県議会の意見を聞くと言われています。また、住民説明会の参加者については、主に三十キロ圏内の住民を対象にすると言われています。しかし、福島の事故を見れば明らかなように、放射能の影響は原発立地自治体にとどまりません。三十キロ圏内にもとどまりません。知事の手でも、誰の手でも、目に見えない死の灰をとどめることはできない。これが原発事故です。  県議会の意見も聞くと言われていますが、私たち県議会議員は地域住民から選ばれてここにいますが、全ての県議会議員が川内原発の再稼働の是非について問われて、選挙に当選しているわけではありません。  これらを考えると、再稼働の是非を判断するに当たっては、幅広く県民の意見を聞くべきではないでしょうか。知事が、その同意を要する対象として、薩摩川内市長、薩摩川内市議会及び県議会の三者に限定する理由をお示しください。  住民説明会については、鹿児島市も出水市もそれぞれの市内での説明会を要望しています。県民や市町村の要望に応じて、県内の各地で説明会を開催し、県民の知る権利を保障すべきです。また、会場の規模や開催地によって、どうしても参加できない人がいることも想定されることから、説明会のネット中継も行い、ネットでの意見も募集するなど、県民のさまざまな意見を聴取すべきではありませんか。見解を伺います。  次に、徳洲会問題と知事選支援についてお尋ねします。  徳田毅氏が衆議院議員を辞職しました。この問題は、民主主義の根幹である選挙にかかわって、金の力で議席を得ようとする違法行為と、そのようにして得た政治の力で利権を強めようとするものであり、到底許されるものではありません。徳田元衆議院議員は、みずからの責任を認め、有権者に対して謝罪し、説明責任を果たすべきであります。  徳洲会グループは、県内では、伊藤知事の認定により鹿児島愛心会が、大隅鹿屋病院が救急医療を行っているということで社会医療法人として認定を受け、四病院、十一診療所、十二介護施設等について、法人税や固定資産税が非課税となる優遇措置を受けています。  ところで、報道によると、知事は、二〇〇四年の知事選挙の際、徳洲会所有のセスナ機に乗せてもらい、奄美諸島を遊説して回ったとされています。  我が党は、当時の県知事選挙に党公認で候補者を擁立して戦いました。十七日間という限られた日数の中で、広大な県下をいかに効率よく回るのか日程を組むこと、遊説先の支援者や支援団体と日程の調整を行うことが、選挙対策の一番の悩みどころです。  当時の地元紙の候補者の予定を見ると、我が党の候補者A氏は奄美大島一島のみ、候補者M氏は徳之島と奄美大島の二島、T氏は奄美には渡らずじまいでした。伊藤候補だけが喜界、与論、沖永良部、徳之島、奄美大島と五島を一日で回っています。当時の奄美の地元紙には、「徳田虎雄代議士が理事長を務める徳洲会のセスナ機があればこその離れわざだ。奄美の遊説には、徳田代議士の秀子夫人、S県議、O県議が常に同行」と書かれています。  伊藤知事は、十一月末の記者会見で、「徳田夫人が選挙区を回られるときに軽飛行機を使われて、私も便乗させてもらった」と発言されておりますが、徳田夫人は、ほかでもない伊藤知事の選挙運動として、現職県議とともに日程調整の上、選挙区を回ったのであり、たまたま近くを通りかかって一緒に行きませんかと声をかけられて、車に便乗するのとはわけが違います。  収支報告書に記載しなかったことについて、「経費なんか発生していない」と答えておられますが、セスナ機を飛ばすには、燃料費、パイロットの人件費、空港の使用料などの経費が必要であり、徳田夫人がその経費を負担したから、知事の側には経費が発生しなかったということです。まさしく利益供与ではありませんか。当時、選挙事務所の指示に従った結果であったとしても、候補者としてその結果に責任を持つべきで、単に動くだけだから、考えたこともないと開き直るべきではないでしょう。  当時の徳洲会新聞には、「伊藤祐一郎氏が他の三候補を破って初当選。選挙中は、徳田秀子、徳田毅の両徳洲会理事を初め、自由連合鹿児島・奄美の両本部が総力を挙げ応援に走り回った」とあります。  そこでお尋ねします。  まず、伊藤知事が、二〇〇四年の知事選挙の際に徳洲会から支援をもらうことになった経緯についてお聞かせください。  過去に、保徳戦争などで知られるように、徳洲会グループが選挙活動において違法行為を行ってきたことについては、誰もが知る事実であります。自身の選挙において、その徳洲会から支援をもらうことについて、知事は当時、何の懸念も抱かれなかったのか、お聞かせください。  これだけ全面的な支援を行った徳洲会は、知事を利用しようとする意図はなかったのでしょうか。伊藤知事の側にそのような認識がなかったとしても、徳洲会側は何かの見返りを求めて選挙支援を行ったのではないかと思われますが、そのような事実はありませんでしたか。見解をお聞かせください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 16 ◯知事(伊藤祐一郎君)TPP交渉についてのお尋ねがございました。  TPP交渉は、先月開催されました閣僚会合におきましても、物品市場アクセスなどで交渉が難航し、今回の会合においても妥結には至らず、引き続き交渉を継続するとされたところであります。  TPPは、高い水準の自由化を目標としており、本県の基幹産業である農林水産業などに大きな影響を及ぼしますことから、本県としては、米やサトウキビ、でん粉用サツマイモ、牛肉、豚肉などの農畜産物につきましては、従来どおり関税撤廃の除外品目として取り扱うべきであり、また、政府調達や医療制度を含む金融サービス等についても、我が国の主張が十分に反映される必要があると考えており、このような国益が十分に担保されない場合には、交渉からの脱退も辞さないこととすべきであると考えているところであります。
     徳洲会問題と知事選の支援についてのお尋ねがございました。  平成十六年の知事選挙におきましては、多くの方々の御支援をいただいており、徳洲会もそうしたグループのうちの一つでありますが、十年前の支援につきましては、現在におきましても特に問題はないと考えております。 17 ◯企画部長(古川仲二君)安倍首相の言動等についてでございます。  集団的自衛権に関する安倍総理の発言の趣旨は、総理みずから国会で答弁されておりますように、総理大臣一人の判断で政府見解を変更できるものではないという趣旨であると理解いたしており、集団的自衛権に関して、今後、政府として、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会における結論や与党との協議を踏まえ、その見解を改めて検討することとされているものと承知いたしております。  また、昨年十二月に成立した特定秘密保護法については、適正な運用を図るため、現在、マスコミや弁護士等で構成される情報保全諮問会議において、特定秘密の指定等に係る運用基準などが議論されているところであります。  県といたしましては、我が国が直面する国政上のさまざまな課題について、国会を初め、政党間で十分な議論が行われるとともに、国として十分に説明責任を果たすことが重要であると考えております。 18 ◯県民生活局長(岡田和憲君)消費税増税の県民の暮らしへの影響についてでございます。  政府の平成二十六年度経済見通しによりますと、消費者物価は三・二%程度のプラスとなっており、このうち、消費税率引き上げによる影響は二・一%程度と見込まれております。  また、県内金融機関等が、昨年十月に来店者を対象に行った消費増税の影響についての調査によりますと、家計への影響につきましては、大いにあるが約五割、ややあるが約四割でありました。さらに、影響がある場合の対応としましては、約六割が支出を減らすと回答しており、その品目は、外食などが最も多く、次いで、衣服・履物、娯楽・教養の順となっております。  県としましては、家計の支出面では県民の暮らしへの影響がありますことから、今後とも物価動向等を注視してまいります。 19 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)消費税率の引き上げが消費に与える主な効果としましては、一般的には、消費税率引き上げ前に消費を前倒しする効果、いわゆる駆け込み需要と、実質所得の低下によって消費水準を低下させる効果があるとされております。  このため、国におきましては、好循環実現のための経済対策に基づく平成二十五年度補正予算によりまして、消費税率の引き上げの影響緩和を図りますとともに、平成二十六年度予算におきまして、経済成長に向けて取り組むことといたしておりまして、県といたしましては、国の経済対策にも呼応しながら、本県経済を下支えし、将来の鹿児島の成長につながる施策の展開に努めてまいりたいと考えております。 20 ◯総務部長(稲原 浩君)消費税増税が県財政に与える影響についてでございます。  今回の消費税率の引き上げが本県財政に与える影響といたしましては、まず、歳出面では、消費税の課税対象となる経費につきまして、一般財源ベースで二十五億円程度の負担増を見込んでおります。また、引き上げ分に係る地方消費税収を活用し、子ども・子育て支援や医療・介護等の充実を図ることとされており、保育緊急確保事業や国民健康保険及び後期高齢者医療制度における低所得者の保険料軽減の拡充などの社会保障の充実に要する経費として、十八億円を計上いたしております。歳入面では、地方消費税率が現行の一%から一・七%に引き上げられることにより、来年度の引き上げ分に係る増収を三十億円程度と見込んでおります。  地方交付税におきましても、消費税率の引き上げに伴う社会保障の充実に係る経費や歳出の増等を、基準財政需要額に計上することとされております。  また、使用料・手数料につきまして、税負担の適正な転嫁を行う観点から、消費税率の引き上げに伴う改定を行い、その影響分として六千六百万円程度の増を見込んでおります。 21 ◯危機管理局長(屋島明人君)川内原発関連でございます。  まず、新規制基準適合性審査における国の安全性の保証についてであります。  新規制基準については、福島第一原発事故の教訓やIAEA等の国際基準を踏まえ、地震・津波等による施設の損傷を防止するための設計上の基準を強化するとともに、万一のシビアアクシデントにも対処できる基準を設けた、世界で最も高いレベルの安全を確保するための規制であると考えており、審査の結果、新規制基準に適合すると認められた場合には、原子力規制委員会を設置している国において、安全性が保証されたものと考えております。  要援護者避難計画の作成状況と再稼働についてであります。  災害時要援護者避難支援計画については、一般災害における既存の避難支援計画を活用するなどして、関係九市町で作成を進めております。  病院及び社会福祉施設の避難計画については、まずはPAZ内の施設を対象として、今年度中をめどに作成をお願いしております。  このため、先月、薩摩川内市と連携して説明会を開催し、対象施設と意見交換を行うとともに、県で調整した受け入れ先の病院等施設及び避難計画作成例を提示しております。  また、学校の避難計画については、その指針となる学校における危機管理の手引を昨年七月に示し、その活用を促してきており、まずはPAZ内の学校を対象として、今年度中に計画作成を完了することとしております。  再稼働を判断するに当たりましては、新規制基準適合性についての審査結果、安全性に対する国の説明、薩摩川内市議会、薩摩川内市長及び県議会の意向などを総合的に勘案して、判断することとなると考えております。  再稼働の判断に係る同意の対象についてであります。  再稼働に当たっては、地元の同意が求められているという法的なスキームはありませんが、原子力発電所の建設からこれまでの経緯や、立地自治体として担ってきた重い責任等を踏まえますと、鹿児島県と薩摩川内市の同意が必要であると考えております。  住民説明会の開催等についてであります。  住民説明会については、薩摩川内市及びいちき串木野市において、一回目は薩摩川内市民を対象に、二、三回目はUPZ内の住民等を対象に開催することを予定しております。  なお、住民説明会は、一千人規模の会場での開催を予定しており、インターネットによる中継等は考えておりませんが、多くの住民の皆さんに御参加いただき、原子力規制委員会の審査結果の説明を会場で直接聞いて、理解していただきたいと考えております。 22 ◯まつざき真琴君 自席より知事に再質問いたします。  知事は、徳洲会グループからの支援について、特に問題はないと一言で済まされました。知事も私も公職にある者として、社会的責任、道義的責任を有します。そして、県民に対して説明責任を有していると考えます。  私は、県議会議員として県民の負託を受けてここの議場におり、その県議会の本会議の一般質問の場で知事に質問しているわけです。その質問に対して真摯にお答えいただきたいと思います。特に問題はないと言われるのであれば、どうして問題はないと思われるのか。  県議会では、谷山の農業試験場跡地の三十二、二十五、二十六番街区について、現在、一般競争入札により売却するという、このようなことが行われる準備が行われています。  これに先立って、二〇一〇年の六月議会本会議で、この谷山の農業試験場跡地を医療・福祉施設として売却する計画が明らかになり、議論を呼びました。六月に発表し、八月にコンペを行い、十一月に決定するというスケジュール自体が、先に売却先ありきで進められているのではないかと思わざるを得ないような状況でした。そして、それが今現在に至っているわけです。  この土地の売却について、徳洲会グループから便宜を図ってほしいなどの要請が知事支援の、私は先ほど見返りがなかったかと質問いたしましたが、そういう要請等はなかったでしょうか。お答えください。 23 ◯知事(伊藤祐一郎君)再度の質問であります。  まず、農業試験場跡地のほうからお答えしたいと思いますが、農業試験場跡地につきまして、徳洲会のほうからそういう具体的な要請があったことはありませんでした。  特に問題はないとお答えいたしましたのは、いろいろ政治活動、選挙運動活動をやっている中において、一定の法的評価を受けるわけでありますが、私は、十年前のケースでありますが、今回の私の行動は公職選挙法等に照らして何ら問題はない、そういう意味でお答えいたしております。 24 ◯まつざき真琴君 刑事的な責任は別として、先ほども申し上げましたが、社会的責任、道義的責任を有するわけです。  これについては、徳洲会グループという今回明らかになった公職選挙法違反事件で、現職の議員が、連座制を問われる前ではありますが、辞職するという、そういう重大な問題です。  この徳洲会グループにかかわって、一般の支援とは違って本当に、先ほど新聞でも紹介しましたが、熱烈な支援を受けている。その背景についてやはり私は、公職、選挙に出る身として慎重にやっぱり考えるべきというふうに思います。  あと一点、原発についてお尋ねいたします。  先ほどから同じように、国において安全性を一〇〇%保証するというふうに言われておりますが、知事にお尋ねします。  安倍首相は、国が責任を持つというふうに言っていますし、県も、安全審査基準に適合することは国が安全性を保証することだというふうに言われていますが、福島の事故でさえ責任が持てていないではないですか。汚染水はあふれ続け、いつふるさとに帰れるか見通しも立たず、保証もされていない。このような状況のもとで、本当に国が川内原発の安全性を保証されると思うのか。私には、どうしても再稼働させたいがために、できもしないこととわかっている国による安全性の保証を口実にして、再稼働にゴーサインを出そうとしているとしか思えないんですが、見解を求めます。 25 ◯知事(伊藤祐一郎君)川内原子力発電所の再稼働についてのお尋ねであります。  今、再稼働につきましては、規制委員会等が技術的かつまた非常に詳細な科学的な検討を行っているわけであります。  それを踏まえて、国は、規制委員会が再稼働についてその安全性を認めたものについては、再稼働する方向で対応する。それが今の政府の基本的な方向であると思いますが、私どももその背景の中で、規制委員会においてしっかりと安全性を保証されたものについては、再稼働の道が開ける。そのように理解いたしております。  ただ、規制委員会においてその安全性が保証されたものでありましても、地域において住民に明確な説明会を開催し、住民の方のある程度の御理解が必要かと思いますので、住民の方々に説明した上で再稼働についての最終的な判断を、薩摩川内市の市議会、市長並びに県議会の皆さん方の御理解を得た上で最終的な判断をするというのが、今後の進むべき方向であると認識いたしております。    [まつざき真琴君登壇] 26 ◯まつざき真琴君 徳洲会問題について、私は谷山の農業試験場跡地の問題も取り上げました。  この農業試験場跡地については、現在は一般競争入札により売却するとされていますが、これは鹿児島市内における県民の貴重な財産であります。この土地が今後、一個人、一団体の利益のためではなく、広く県民のために活用されることを願うものです。公平・公正な県政を願います。  川内原発の再稼働については、国の判断任せにするのではなく、県民の命と暮らしを守る立場で知事には再稼働反対の立場をとっていただきたい。強く求めます。  TPPについては、交渉合意のためには、日本政府は、公約や国会決議に反した譲歩をこれから余儀なくされていくことは明らかです。鹿児島の農業や県民の暮らしを守るためには、即刻交渉から撤退する。そのために知事としても動かれることを望みます。  次の質問に移ります。  原良地区の都市計画案の見直しについてお尋ねします。  都市計画見直しの状況について、事実経過を調査いたしました。問題の原良地区については、民間会社からの開発の要望は出されていましたが、鹿児島市と県は協議した上で、その内容は実現可能性の低い構想レベルであると判断し、県が国との協議も行った上、市街化調整区域に変更する案がつくられたものです。市と県と情報の共有を行い、その積み重ねの上に、県案として策定され、公告・縦覧がなされました。  そのような状況下で、知事の判断により、実現の可能性があるとして、県が都市計画案を修正することとなったものです。今回の事態は、困ったときには知事に直談判すれば、知事の一声で結果を覆すことができるということになってしまうのではないでしょうか。  そこでお尋ねします。  当初、市と協議して、開発の可能性がないと判断した根拠をお示しください。  その後わずか一、二カ月後に、開発の可能性があると判断した根拠をお示しください。  地方自治法には、市と県は対等・平等であると規定されていますが、今回、このような形で県が結果を覆らせたことについて、鹿児島市の理解は得られているのでしょうか。この原良地区の都市計画の見直しについて、どこからやり直されるのか、住民説明会の実施などを含めて、今後の見通しについてお示しください。  人工島は、これまで総事業費二百二十五億円を費やして整備されてきました。私は、これまでも、無駄な大型開発の象徴として人工島の問題を取り上げてきました。その人工島に、一期二工区の整備計画として新たな上物の整備が幾つか示されました。  その中の噴水広場については、国が補助事業の対象としていないため、県単独事業として一億五千万円を費やすことになっています。イメージ図には、デザインコンセプトとして桜島に見立てた築山をつくり、錦江湾や薩摩・大隅半島、さらには離島まで南北六百キロに及ぶ広大な県土を表現するとあります。  私は、目の前に雄大な錦江湾が広がり、そびえる桜島を望むロケーションの中で、一億五千万円もの経費を使って、築山や噴水を県単独で整備することに甚だ疑問を感じるものです。本県はそんなに財政的余裕があるのでしょうか。噴水広場を整備しなければならない必要性についてお示しください。  このような人工島に税金が使われる一方で、今回も医療費の助成制度について、現物給付は実施されませんでした。この間、県市長会、障害者団体、母子寡婦福祉会から現物給付を求める要望書が出され、鹿児島市議会、出水市議会からも県に現物給付を求める意見書が提出されています。  知事は、このような県民の願いをどう受けとめられますか、見解を伺います。  私は、三十数年前、大学の教育学部の小学校教員養成課程に入学しましたが、途中、養護学校教員養成課程に転科しました。そのきっかけとなったのが、身体障害者河野勝行氏の著書「日本の障害者」でした。日本の障害者は二つの不幸を背負っている。一つは障害を持って生まれた不幸、もう一つは日本に生まれた不幸。このようなくだりがありました。車椅子でヨーロッパにひとり旅をした著者は、バリアフリーで差別のないヨーロッパと比較して、日本の障害者の置かれた状況を不幸だと表現したのでした。  障害を持って生まれたこと自体は不幸ではありません。現在、障害を持つ子供たちは、私たちと異なる特殊・異質な存在ではなく、私たちと共通の人間的な願いを持ちながら、その実現のために特別な支援を必要としている存在として、特別支援教育としてそのニーズに応える教育を行うこととされています。このニーズに応える教育や支援がなされなければ、それがハンディとなり、不幸となることもあり得るかもしれません。  私は、障害児や保護者たちが、鹿児島に生まれてよかったと言える特別支援教育であってほしいと願い、以下の質問をするものです。  二〇〇九年度から指宿養護学校に、二〇一二年度から中種子養護学校にそれぞれ高等部が設置されました。また、二〇〇七年度から県内の養護学校において知肢併置による対応がとられており、障害を持つ児童生徒が、より身近な地域の学校に通えるようになりました。まず、その教育効果、保護者や生徒の感想はどうでしょうか、お聞かせください。  ここで、本県における特別支援学校の配置にかかわる現状について取り上げます。  現在、桜丘養護学校の中学部を今春十名の生徒が卒業しますが、桜丘養護学校には高等部がないため、北部の鹿児島養護学校か、中部の武岡台養護学校の高等部に移ることになり、これまでより朝夕の通学に時間がかかることになります。  今議会に、桜丘養護学校保護者・OB会、全国重症心身障害者を守る会鹿児島県支部から請願が出されています。桜丘養護学校に高等部を設置し、当面の対応として県立学校の空き教室を分校として使用できるようにしてほしい。鹿児島市南部地区へ新たに養護学校を設置してほしいというものです。  また、屋久島においては養護学校がないために、屋久島の子供たちは、小学校入学時から親元を離れて種子島の中種子養護学校に行かなければなりません。  屋久島に住む方からお手紙をいただきました。「特別支援学級でも学ぶことが難しい子供は、小学一年のときから親元を離れて中種子養護学校に入学し、隣のあかつき学園で生活することになります。家族ばらばらになるのです。小さいときから、親を必要とするときから。それを決定するには、親ははかり知れない葛藤があります。皆さん、考えてみてください。自分の子供を小学一年のときから親元から離せますか。それでも、きちんと教育を受けさせたい、学校に行かせたいという思い、願いから決めるんです。屋久島にも養護学校の分教室があれば、家族ばらばらになることなく、親元から安心して学校に通わせることができます」。  この四月、小学校入学の障害児を持つお母さんは、「小学一年生になる我が子を見ず知らずの土地にお願いするという決断は、母親としてとてもつらく、寂しく、大きな不安、心配と今、闘っています」と書いています。  もう一人、五歳の障害児を持つお母さんは、「私は生まれも育ちも屋久島です。私の子供も同じように屋久島で子育てがしたいです。それが私の願いです」。こう書いています。  また、出水養護学校では遠方からスクールバスで通っており、バスが増便され、ほぼ直行で運行するようになっていますが、学校までの距離が遠いことから、ハンディを持った子供たちが朝夕、自宅から学校まで六十分をはるかに超える時間をかけて通学しなければならない現状にあります。  教育長、このような現状についてどのように認識しておられますか。  今議会には、障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例が提案されています。その第十三条において、教育委員会は、障害のある人が教育を受ける場合において、障害のある人の年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするための教育上必要な支援を講じなければならないと規定されています。  この規定にあるように、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするための教育上必要な支援を行っていく上で、教育委員会は、障害を持つ児童生徒が、より身近な地域で親元から通学できる環境を保障することが必要だと考えますが、本県における養護学校の配置のあり方についてどうあるべきだと考えられるか、見解をお聞かせください。  医療的ケアを実施する看護師の配置についても、私は二〇〇八年の三月議会で、看護師がいない日がある実情を訴え、複数の看護師配置を要請してきました。現在は、看護師が不在となることがないように複数の看護師の確保がなされているものと理解していますが、中種子養護学校においては、看護師の不足から複数の看護師の確保がなされておらず、看護師不足の状況が生じていると聞いています。他の養護学校を含めて、生徒が在校する日には必ず看護師が配置されるようになっているのか、現状をお聞かせください。  ブラック企業に対する社会的批判の高まりを受け、厚生労働省は、昨年九月に、若者の使い捨てが疑われる企業などへの重点監督を実施し、十二月十七日にその結果を公表しました。それによると、何らかの労働基準関係法令に違反していた企業が、実に八二%となっています。  本県でも例外ではなく、劣悪な労働環境で使い捨てのように働かされている現状があります。  封筒の裏に、「助けてください」と書いた手紙が、我が党の事務所に届きました。中には、「ブラック企業です。助けてください」と始まって、「勤務時間が朝八時から夜八時まで、この三カ月間は午後十一時になる日が続いていて、全てサービス残業。休日出勤をしても、休日日当は、上からの指示で出せないと言われる。代休をとれと言われても、実際にはとれる状況にない。もう疲労こんぱいです」とつづられていました。  また、二十代のAさんは、食品販売の営業員ですが、家を朝六時半に出て、帰ってくるのは毎日夜の十一時、十二時、ひどいときには夜中の二時。お母さんは本当にそんな仕事をしているのか心配になって、朝、息子さんの跡をつけてみたら、本当に会社に出勤していて、本当にひどい働かせ方をしていることがわかったと話されておりました。  これらはほんの一例です。  県として、相談を受ける窓口はどのように確保されているのか、どのような相談が寄せられているのか、このような状況の改善のために、県としてどのような対策を講じてこられたのか、お答えください。  県内の労働者、特に若い世代が労働法規違反の状態で働かされている現状について、どのように認識しておられるか、お尋ねします。  私はこの間、若い人たちが劣悪な労働環境で働かされている問題を取り上げ、その対策を求めてきました。二〇〇六年の時点では、キャッチワークナビという若者のための仕事の基本と、労働者の権利や労働法規や相談窓口が掲載された冊子は、一つの高校に三冊ずつしか配布されていませんでした。私はこの問題を委員会でも取り上げ、この増刷と普及を要請し、現在、高校で就職希望者の数に合わせて、一人一冊ずつ配布が行われています。また、相談先の電話番号などを示したカードを作成し、若い人たちが行くコンビニやゲームセンターなどのトイレやレジのところに置いていただきたいと要請していましたが、これも、二〇一一年に労働局と協力して、相談カードの作成が行われました。  そこでお尋ねします。  現在、配布されているキャッチワークナビが高校においてどのように活用されているのか、お示しください。  どの高校生もいずれ就職することから考えても、全ての高校生を対象に配布し、教育委員会と連携して、学校の現場で活用するようにしていただきたい。見解を伺います。  県教育委員会と商工労働水産部では例年、高校生の就職先の確保のために、雇用確保ローラー作戦として、直接経済団体や企業に対し、新規学卒者の雇用確保について協力を要請しておられますが、その際に、各企業への労働基準関係法令の遵守についても要請していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。 27 ◯土木部長(栗原淳一君)原良地区の都市計画案の見直しについてです。  原良・常盤町の逆線引きについては、鹿児島市が開催した住民説明会以降、同市において一定の整理がなされ、県としてはその状況について報告を受けていたものであります。  県においては、市の案をもとに都市計画案を作成し、昨年十一月末から十二月初めに実施した公告・縦覧中に意見書が提出されたところであります。その内容について詳細に検討したところ、地理的条件や開発へ向けた計画の進捗状況等から開発可能性が認められると判断したものであります。  次に、修正案の今後の手続等についてです。  都市計画案の修正については、現在、国の関係機関と調整を行っているところであり、鹿児島市からは、今後の手続も含め、県と協議していきたいと伺っているところです。
     県としては、変更案がまとまった時点で、公告・縦覧から手続を行いたいと考えており、鹿児島市と連携を図りながら、できるだけ早く都市計画決定できるよう努めてまいります。  次に、マリンポートかごしま一期二工区の整備計画についてです。  マリンポートかごしまの一期二工区については、在り方検討委員会の提言や県民からの御意見等も踏まえ、平成二十三年三月に緑地整備基本計画を策定したところです。先般公表した実施計画は、この基本計画をもとに策定したものであり、御指摘の噴水についても、子供たちが水と触れ合え、その様子を周りで大人たちが見守ることができるような、親水性のある広場として計画したところであります。  今後は、この実施計画に基づき、沖合側のヘリポート周辺部から優先的に整備を進め、平成二十七年度中の一部供用を図ってまいります。 28 ◯保健福祉部長(松田典久君)現物給付に係る要望書等に対する受けとめについてでございます。  県単三医療費助成制度の現物給付に係る要望書や意見書については、市長会、県身体障害者協会連合会や鹿児島市議会など、それぞれの立場からの声をいただいたと認識しております。  県としましては、これらの医療費助成制度につきましては、対象者の経済的負担の軽減を図るため実施しておりますが、受診される方々に受診に伴うコスト意識を持っていただくという健康保険制度の趣旨を踏まえて、償還払い方式を導入しております。  現物給付方式を導入した場合、他県の導入例から医療費助成額の増嵩が見込まれることや、市町村の国民健康保険に対する国庫負担金が減額されるため、県だけではなく市町村及び国保保険者へ影響が予想されることから、現物給付での対応については現時点では考えていないところでございます。 29 ◯教育長(六反省一君)特別支援学校への高等部設置及び知肢併置化による教育効果等についてでございます。  高等部を設置いたしました指宿養護学校及び中種子養護学校におきましては、高等部までの一貫した教育体制が整い、卒業後の地元での自立と社会参加に向けて、企業等と連携した進路指導の充実が図られております。保護者からは、地元の学校に通学できる安心感や学校行事等が活性化したという声を、また生徒からは、これまでより多くの友達と学校生活を送ることや、上学年の生徒が実習等に取り組む姿を間近で見ることができるよさ等の声を聞いております。  知肢併置化につきましては、知的障害のある児童生徒と肢体不自由のある児童生徒がともに学ぶことにより、日常の触れ合いが図られ、お互いの思いやりの気持ちに育成に寄与しております。保護者からは、特に肢体不自由児が身近な学校への通学が可能になったことの効果を、また児童生徒からは、学校行事等の盛り上がりに対する喜びの声を聞いております。  特別支援学校への就学・通学の現状認識についてでございます。  特別支援学校のない離島において、島外の特別支援学校に就学せざるを得ないケースがあることや、特別支援学校が遠距離にあるため通学時間が長くなるケースがあることにつきましては、県教委としてもそれらの状況を把握しているところでございます。  これらの状況を改善するために、これまで、知肢併置化や高等部の設置、高校校舎を活用した大島養護学校訪問教育の実施、また、通学バスの増便やリフトつきバスの導入など、通学バス路線網の充実にも取り組んできたところです。  今後とも、各学校の状況を十分に把握しながら、教育環境の充実に努めてまいりたいと考えております。  特別支援学校の配置のあり方についてでございます。  特別支援学校につきましては、平成二十一年二月の県特別支援教育施設整備検討委員会の提言等を踏まえ、知肢併置化や高等部未設置校への対応、また、本県初となる高等特別支援学校の開校等を進めてきたところでございます。  特別支援学校の配置のあり方につきましては、地域バランスの観点とともに、本来、特別支援学校に求められる専門性や学習効果等を担保できる児童生徒の学習集団や教職員の指導体制、専門的施設等の確保などを総合的に判断すべきものと考えておりまして、本県におきましては、そうした観点からはおおむね適切な学校配置になっているのではないかと考えております。  特別支援学校の看護師についてでございます。  医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍しております特別支援学校には、対象児童生徒数及び医療的ケアの行為数に応じて、看護師を配置しており、現在の配置数は、十三校で二十五人となっております。勤務時間帯は、対象児童生徒の在校時間帯を踏まえ、看護師不在の状況が生じないように各学校で調整しております。  中種子養護学校につきましては、お話がございましたとおり、対象児の小学部入学に合わせ、本年度から看護師一人を配置いたしておりますが、当該看護師が年休により不在の場合には、対象児の保護者の協力を得て対応しているところです。  県内の特別支援学校で複数の看護師を確保できていないのは同校だけであり、同校では、看護師不在の状況の解消を図るため、地域の医師会等と連携して、複数の看護師を確保できるよう検討しておりますことから、県教委としてもその取り組みを支援してまいります。 30 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)労働者の相談窓口の状況と、県の対策についてでございます。  県の相談窓口といたしましては、社会保険労務士の資格を持つ労働相談員を雇用労政課内に配置し、さまざまな相談に対応いたしております。このうち、労働関係法令が疑われる相談内容といたしましては、超過勤務が常態化しており休みもとれない、残業手当が支払われないなどの相談がなされておりまして、このような相談に対しましては、労働関係法令に基づいた正当な権利を行使できるよう必要な資料や手続を示した上で、労働基準監督署へ届け出て、調査・指導を求めることなどを助言しているところでございます。  また、鹿児島労働局では、通報などに基づきまして、過重労働について、より深刻・詳細な情報のありました六十六の事業所を対象に、昨年九月に重点監督指導を実施しておりまして、このうち、違法な時間外労働があった三十二事業所を含む五十七の事業所において、労働基準関係法令違反がございまして、是正勧告を行ったとのことでございます。  若者の適切な労働環境を守ることは重要でありますことから、労働基準監督署とも連携を図りながら、県といたしましては、就労に関する基礎知識や労働関係法令、労働に関する相談窓口等をまとめた就職ハンドブックを作成し、県内の高校や大学に配布して、周知・啓発を図っているところでございます。また、県の広報紙などを活用して、労働局の総合労働相談コーナーなどの各種相談窓口の広報に努めているところでございます。  今後とも、鹿児島労働局など関係機関と連携しながら、若者が安心して働ける労働環境の確保に努めてまいります。  就職ハンドブック、キャッチワークナビの活用についてでございます。  この冊子は、昨年五月に約一万一千部作成いたしまして、うち約五千三百部を就職希望の生徒数に応じまして県内の高校に配布いたしましたほか、大学やハローワークへ配布するなどいたしまして、内容の周知・啓発を図っております。このうち高校では、就職が決まった生徒への説明の場や個別の就職指導の際に活用されております。  なお、御提案のありました全ての高校生への配布につきましては、記載している労働関係法令の内容などが、進学後の学生の期間中に改正されることもあることなど考慮いたしますと、困難でございますが、別途、高校三年生全員に対しまして、鹿児島労働局と協力して、職場で困ったときなどの相談窓口を案内するカードを配布しているところでございます。  今後とも、鹿児島労働局などの関係機関と連携しながら、若者の雇用に対する必要な支援を行ってまいります。  雇用確保ローラー作戦における労働基準関係法令の遵守の要請についてでございます。  県、鹿児島労働局、県教育委員会が連携して実施しております雇用確保ローラー作戦におきましては、新規学卒者の採用枠の確保や採用選考の早期実施、並びに若年者中高年齢者、障害者等の雇用の確保、非正規労働者等の処遇改善、労働環境の整備に向けた取り組みについて、協力を要請してきているところでございます。  また、企業に対する労働基準関係法令の遵守につきましては、事業主に対しまして、県の広報誌等を通じ、労働環境の整備に向けた取り組みなどについて、周知・啓発を図っているところでございます。  御提案のありました、雇用確保ローラー作戦の際に、各企業へ労働基準関係法令の遵守を要請することにつきましては、今後、鹿児島労働局や県教育委員会とも協議し、検討してまいります。 31 ◯まつざき真琴君 自席より土木部長にお尋ねいたします。  噴水広場について、県民からの意見が寄せられたというお話でした。募集期間二十二日間として、県民からこの計画について意見の募集をされましたが、それに寄せられた提出意見は二十名だったと思います。その中で、浅い池、噴水広場という意見は何名あったのでしょうか、署名でも添えられていたのでしょうか、教えてください。 32 ◯土木部長(栗原淳一君)御指摘の件については、申しわけありませんが、今、データを持ち合わせていませんが、私が先ほど申し上げた県民からの御意見というのは、平成十七年にマリンポートかごしまの在り方検討委員会が開かれていて、二十四名の委員の方、この中には公募の委員の方もおられました。このときに基本的な骨格の案がつくられ、パブリックコメントなども行われて、大きな柱みたいな考え方ができ上がって、これが平成二十三年三月に再度、計画として位置づけられ、今回公表したのは、それを具体的に実施するというのを絵に描いたということでありまして、今回、突然そういうふうに噴水をというものではないと御理解いただければと思います。 33 ◯まつざき真琴君 もちろんその計画については私も承知しています。でもまさか、桜島を見立てた築山をつくり、そこから水が流れるようにして噴水広場をつくる。それも国からの補助が認められず県単独で行う。こういうことは今回初めて知ったわけであります。  要望する人数の多い少ないというのは、私はやっぱりどうしても必要なものであればそれは関係ないと思います。しかしながら、桜島を眺めながら、どうしてそういうふうな築山が必要なのかと疑問に思うわけです。  乳幼児医療費の助成の現物給付については、部長答弁でしたが、私はどうしても知事にお尋ねしたいと思います。  今あったような噴水広場等については県単独でもお金を使われる。乳幼児医療費助成を含めて、現物給付については、知事宛ての一万七千筆を超える署名が提出されています。県の市長が入っている市長会からも要望として出されている。先ほど部長答弁の中では、市町村の負担、保険者の負担がペナルティーが出てふえるからということでしたが、その市町村から、市長から現物給付を実施してほしいという要望が出されているわけです。  川内原発の再稼働に当たって、知事は、薩摩川内市長の意見を住民を代表するものとして尊重されるというわけですから、県内全ての市の市長から成る県市長会から提出されている、中学校卒業まで現物給付を実施してほしいという要望をもっと重く受けとめ、現物給付の実施に向けて踏み出すべきではないでしょうか。知事、お答えください。 34 ◯保健福祉部長(松田典久君)ただいま御質問いただきました。  今回の要望書、意見書につきましては、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの団体、そして議会の立場からの声をいただいたと認識しております。  これまでも申し上げておりますけれども、現物給付を導入した場合に、他県の導入事例から見ますと、医療費の増嵩が見込まれております。現行制度のまま単純に試算いたしますと、県、市町村分合わせますと約三十七億円の負担増となり、全て一般財源で賄うこととなります。あわせて、市町村では相当額の国保の国庫負担金の減額が見込まれます。県だけではなくて、財政力の脆弱な自治体にとっては非常に厳しい問題と考えられます。  県としましては、財源確保につきましてはこれまでも、国において新たな医療費助成制度を創設するよう、鹿児島県開発促進協議会などを通じて、国に対し要望しているところでありますが、御案内のとおり実現していない状況でございます。したがって、県といたしましては、現物給付での対応につきましては現時点では考えていないところでございます。    [まつざき真琴君登壇] 35 ◯まつざき真琴君 私は、県民の命と暮らしを守る立場で、国政の場においても、そして県政の場においても全力を尽くして奮闘する決意を申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。 36 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十六分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 37 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  与力雄君に発言を許可いたします。    [与 力雄君登壇](拍手) 38 ◯与 力雄君 皆様、御苦労さまでございます。  午後一番の登壇ということで、タイム的には眠気の差す時間帯でありますが、いましばらくおつき合いいただきたいと存じます。  早速、質問に入りたいと思います。  私は、自由民主党県議団与力雄でございます。平成二十六年第一回定例会に当たり、県政及び奄美地域に当面する課題について、一般質問をいたしてまいりたいと思います。  まず初めに、奄美・琉球世界自然遺産登録について伺います。  奄美の世界自然遺産登録については、二〇〇三年、環境省と林野庁の世界自然遺産候補地に関する検討会において、日本の中で世界自然遺産の登録基準を満たす可能性の高い地域の一つとして選定を受け、鹿児島県が主体となり、二〇〇三年から三年間にわたり、奄美群島重要生態系地域調査が実施され、奄美地域には、他の地域に類似しない希少価値の高い固有動植物や自然が身近にあり、その身近な自然と共生した生活文化が根づいている地域であるとの調査をもとに、奄美世界自然遺産登録を目指してきたところであります。  昨年一月には、国の正式な世界自然遺産登録候補地となり、暫定リストに掲載が決まり、奄美群島の世界自然遺産登録を目指す動きが活発になり、登録に関するさまざまな会議や取り組みが連日のように開催されておりますことは、地元紙で知るところであります。  国は、奄美群島の世界自然遺産登録の保護担保措置である国立公園の指定に向けて、奄美群島の地域的・文化的特性から、亜熱帯照葉樹林を中心とする生態系管理型と、人間と自然が深くかかわり、調和してきたことによる環境文化型のコンセプトに基づく国立公園指定を目指しております。これまでの国立公園に類例がない二つの視点からの論議と取り組みが行われております。  最近、特に、環境省、林野庁、鹿児島県、地元等で世界自然遺産登録に関する奄美大島生物多様性や国立公園化に関する各種会議等が頻繁に行われております。例を挙げますと、奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会、奄美群島世界自然遺産登録推進検討委員会、奄美大島生物多様性地域戦略策定運用協議会、奄美群島希少野生生物保護対策協議会、奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会、奄美希少野生生物保護増殖検討会等である。平成二十八年度の奄美群島世界自然遺産登録実現に向けて、それぞれの分野で専門的知見のもと、活発な議論と積極的な取り組みが行われていることに、心から敬意と感謝を申し上げます。  かつて奄美群島を含む南西諸島は琉球弧と呼ばれ、種子島・屋久島から十島の悪石島まで北琉球、小宝島から奄美群島・沖縄本島を経て慶良間諸島まで中琉球、宮古列島から先島八重山列島までの南琉球で構成されていた。  沖縄県のやんばる野生生物保護センターの記述を引用すると、一千万年前は種子島から八重山諸島までの南西諸島は大陸と陸続きになっており、約二百万年以降の地殻変動に伴いユーラシア大陸から分離されるとともに、気候変動に伴う海面の上昇や低下なども加わり、大陸や近隣島嶼間で分離・結合を繰り返しました。  このような中、奄美群島を含む中琉球は、二百万年前の大陸からの分離以降、一度も陸続きとなったことの地勢的、形勢の確証がなく、大陸との分離・結合によって形成された島々は、奄美で有人島が八つ、沖縄で四十九となっており、奄美、沖縄の無人島を含めると四百近い島が点在しております。  このような地殻変動の奇跡が生み出した自然の中で、奄美群島や琉球諸島の生物群がそれぞれの地域に適合して生き続けてきた動植物群の多様性の存在が、今日の世界自然遺産登録につなげてきた要因であろうと考えます。貴重な奄美の自然の保全を図りながら、地域振興につなげていくことが必要であると考えます。  そこで伺います。  一点目は、環境省及び林野庁が主体となって組織している会議の数と、それぞれの活動状況及び今後の方向性について伺います。  二点目は、世界自然遺産登録を目指した各種会議で論議されております、仮称自然史博物館、世界自然遺産拠点施設、内外からの情報収集・発信、学習などができる自然センター等の設備整備について論議等がされております。私もこれまでの一般質問において施設整備の必要性を訴えてまいりました。  先般、伊藤知事は、奄美の地元紙の南海日日新聞社の新春インタビューの中で、奄美の世界自然遺産としての奄美の生物の見せ方の仕組みづくりや山道づくりなど、土地所有者とも調整しながら進めることが必要だと述べられております。  これらの施設整備の主体と今後の県の取り組みについて伺います。  三点目は、世界自然遺産にふさわしい海岸地域の景観醸成や、生物と人のつながりを高め、生物に優しい海岸再生のための論議が行われているようでありますが、県としてどのような見解を持っておられるのか伺います。  四点目は、奄美の世界自然遺産登録の柱の一つである環境と文化の融合についてであります。この取り組みは、これまでの遺産登録に例を見ないところであり、これからの世界自然遺産登録の先例地になり得る、極めて貴重なテーマであると考えます。今後、環境と文化の融合という取り組みの方向性について伺います。  次に、奄美群島国立公園化について伺います。  奄美群島において国立公園を指定することは、奄美の世界自然遺産登録への前提ではありますが、その地域に生息、生育する希少種の保護や外来種の駆除対策等も不可欠であると考えます。  国立公園指定においては、その地域の歴史や自然とかかわりを持ちながら、人々の暮らしと文化が深く息づいてきた歴史が大切であると考えます。国立公園指定においては、我が国最大の亜熱帯照葉樹林を初め、多様な生物群が生き続けてきた森や海、河川、畑や湿田等も重要であると考えます。  現在、日本で三十カ所の国立公園が指定されております。沖縄県の慶良間諸島が今年三月、国立公園に指定される見通しであります。新規の国立公園の指定は、一九八七年の北海道の釧路湿原以来ということで高い関心を持っております。  国立公園指定の範囲については、特別保護地区においては、原生的な自然景観を有する地域を厳重に維持するため、全ての開発行為が最も厳しく規制されており、第一種特別地域は、特別保護地区に準じて、現状を極力保護するため、ほとんどの開発行為が厳しく規制されている。第二種特別地域は、比較的自然状態をよく保全することを定め、産業開発などの行為は景観維持の観点から必要な規制が行われる。第三種特別地域は、通常の農林漁業活動は原則として容認されるが、景観に重大な影響がある行為は規制される。海域公園地区は、熱帯魚、サンゴなどの生き物の生息環境や海底地形に影響を及ぼす行為が規制される。普通地域は、特別地域と公園区域外との緩衝地域であり、小規模の集落や農耕地などが含まれる。人の住んでいる市街地などは公園区域外となっておりますが、民間の山林等の取り扱いについても注目しているところであります。  そこで伺います。  一点目は、特別保護地区から海域公園地区までの選定地域とその面積について伺います。  二点目は、民間所有の山林などの指定見込みと経過状況と国立公園指定の見込み時期について伺います。  三点目は、国立公園指定等に伴う経済的波及効果に関する県の見解を伺います。  四点目は、環境、生物多様性についての小・中学校における教育の取り組みについて伺います。  次に、奄美群島振興開発特別措置法について伺います。  平成二十五年度末で期限切れの奄美群島振興開発特別措置法の延長法案は、開会中の通常国会で可決するものと期待いたすところでありますが、今回の延長に関しましては、知事を先頭に、企画部長及び関係各部課長の皆様方に大変な御尽力を賜り、心からお礼申し上げます。また、県選出国会議員、県議会の皆様方にも党派を超えた論議と御支援をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。  事業化予算は昨年十二月二十四日に、平成二十六年度の奄美群島振興開発事業に対する予算が閣議決定されたところであります。初年度予算は、前年度対比六%増の二百五十二億三千百万円である。公共事業費二百三十億八千万円、非公共事業費二十一億五千百万円、前年度比で三一〇%である。そのうち、交付金二十一億三千万円、その支援メニューは、農林水産物の県本土までの輸送費の支援、航路・航空路運賃の支援、世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーンとして、東京などからの航空路線を利用する旅行者を対象としたモニター事業の支援、台風対策としての平張りハウスの整備等である。  交付金事業に係る国の負担割合は、農林水産物輸送費支援は特別交付税一五%を含む八五%である。航路・航空路運賃支援や平張り施設の整備等は、特別交付税二〇%を含む八〇%である。それ以外の事業は五〇%である。今回の改正奄振事業の目玉は、交付金の制度化にあります。  交付金の制度化は、地元においての長い間の課題でありました。今回の制度化については、財務省などは難色が強かったと認識いたしております。関係省庁から審議会に提出された意見具申の文案については、知事が国の奄振審議会の席上において、交付金の創設について明記していただきたいと強く求められたと後日伺いました。  当時を振り返りますと、第二回定例会で上海線維持問題で白熱した議論が行われている最中の奄振審議会出席や、文案の調整の公務であっただけに、知事においては、従来の延長時にない御苦労があったものと考えます。  また、自由民主党の航空路対策特別委員会から、地元県議らへのオブザーバーとしての出席依頼を受け、私とき久伸一郎議員が代表で出席した委員会の席上において、奄美の現状、さまざまな課題についての意見の開陳を求められ、国会議員や国交省関係局長・部長ほかに対し、交付金化の制度創設による航路・航空運賃及び農林水産物輸送の軽減に関して、意見具申を行ってきたところであります。  そこで伺います。  一点目は、奄美群島振興開発特別措置法の延長に伴う知事の所感と、地元にどのような期待を持っておられるのか伺います。  二点目は、昨年、第三回定例会の補正予算で、奄美の農産物輸送コスト支援パイロット事業費として予算化され、平成二十五年十一月から事業を実施されておりますが、実施事業の内容とその効果について伺います。  三点目は、交付金による海上輸送費等支援や航路・航空運賃の逓減事業の早期の支援事業の実施について、国と調整を図っていただきたいと思いますが、県としての見解を伺います。  四点目は、奄美の市町村で策定した成長戦略ビジョンの推進について、県の助言・指導は欠かせないと考えますが、県としての支援のあり方について伺います。
       [知事伊藤祐一郎君登壇] 39 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄美群島振興開発特別措置法の延長についてのお尋ねがございました。  奄美群島振興開発特別措置法の延長並びに新たな交付金の確保は、本年度の県政の重要なテーマの一つとして、県議会の皆様方や県選出の国会議員並びに地元市町村と一体となって、その実現に取り組んできたところであり、地元の熱意を踏まえ、奄美群島振興交付金の創設などが盛り込まれた改正法案が、今国会に提出されたことは、奄美群島の自立的発展にとって大変意義深いものと考えており、法案の早期成立を願っております。  改正法案には、地域がみずからの責任のもと主体的に施策を実行する仕組みとして、同交付金のほかにも、通訳案内士法や旅行業法、税制等の特別措置が受けられる市町村産業振興促進計画制度の創設が盛り込まれたところであり、地元市町村におきましても、これらの施策を活用しつつ、地元の発想、創意工夫を生かした取り組みを行政、民間一体となって推進されることを期待しているところであります。 40 ◯環境林務部長(新川龍郎君)奄美群島の世界自然遺産登録に関する組織についてでございます。  環境省と林野庁は、本県及び沖縄県と共同で、奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会を設置しているほか、環境省は、奄美地域の国立公園指定・世界自然遺産登録に向けた地域づくり検討会など三組織を、林野庁は、奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会など二組織を設置しているところでございます。  これらの組織は、いずれも奄美群島の世界自然遺産登録に向けて、法律等に基づく保護担保措置の導入や価値の維持のための希少野生生物の保護等の取り組みを進めているところであり、県としては、今後とも、これらの関係機関と連携して、世界自然遺産登録に必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、世界自然遺産関係の施設整備の主体と今後の県の取り組みについてでございます。  現在、国内の世界自然遺産地域においては、世界遺産センターや森林生態系保全センター、ビジターセンターなど、国、県、市町村等が環境学習、体験、観光等を目的として、各種施設を設置しているところでございます。  県においては、今年度から、国や市町村、関係団体等と連携して、奄美群島の世界自然遺産登録後の観光客の増加を想定した必要な施設のあり方等について、役割分担も含め、検討を行っているところでございます。  次に、環境と文化の融合という取り組みの方向性についてでございます。  奄美群島は、世界に類を見ない固有種、希少種が生息する照葉樹林を中心とする生態系を有しておりますが、これらの自然は、伝統的な人々の暮らしなどの文化とのかかわりの中で受け継がれてきたものと言われております。環境省は、国立公園の指定に当たり、奄美群島において自然と人とが長きにわたり深くかかわり、調和してきた関係を環境文化と捉え、この概念に基づいて、自然を保全・活用する新しいタイプの国立公園を目指しております。  県においても、この環境文化の概念を十分に踏まえて、世界自然遺産登録に向けた課題の検討を進めているところであり、その成果を奄美群島の自然環境の保全と活用に生かしてまいりたいと考えております。  次に、国立公園の選定地域についてでございます。  環境省においては、現在、主に海岸部が指定されている奄美群島国定公園の区域に加え、アマミノクロウサギなど固有の動植物の主要な生息・生育地である内陸部の亜熱帯照葉樹林などの区域を中心として、国立公園の指定に向けた取り組みが進められているところでございます。  具体的には、亜熱帯照葉樹林がまとまって存在し、原生的な森林景観を有する陸域等を特別保護地区に、当該地区と一体的に保護を図る森林や、すぐれた海岸景観を有する陸域等を特別地域に、サンゴ礁が発達した海域等を海域公園地区に指定するほか、人と自然のかかわりを感じさせる文化景観を構成する集落等を普通地域とする方向で検討されております。その区域につきましては、現在、関係省庁と調整中であり、確定しておりませんが、陸域が四万三千ヘクタール程度、海域が三万三千ヘクタール程度となる見込みであると聞いております。  次に、民有地の指定見込み等についてでございます。  奄美群島の国立公園指定については、区域内に民間所有の山林など民有地が含まれる見込みであり、これまで環境省は、奄美群島内の各市町村において地元への説明会を開催するなど、地域の理解と協力が得られるよう取り組んできているところでございます。  国立公園の指定時期については、中央環境審議会への諮問・答申などを経て、来年度の早い時期を目指すとしているところでございます。  次に、国立公園指定等に伴う経済的波及効果についてでございます。  国立公園は、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地であり、そのすぐれた自然の風景地の保護と活用を通じて地域振興にも寄与するものであり、その指定は、世界自然遺産の重要な保護担保措置の一つともなっております。  また、奄美群島の国立公園指定は、世界自然遺産候補地域である奄美大島、徳之島のみでなく奄美群島内の全ての島々が対象となっておりますことから、世界自然遺産登録の波及効果を群島全体に行き渡らせる上でも大きな意義があるものと考えております。  県としては、世界自然遺産登録後の屋久島において観光産業の発展などの経済的波及効果があったことも踏まえ、国、市町村、関係団体等と連携を図りながら、奄美群島の島ごとに異なる多様な自然環境や文化を生かした魅力ある国立公園づくりに努めてまいりたいと考えております。 41 ◯土木部長(栗原淳一君)奄美群島における海岸整備についてです。  世界自然遺産候補地として選定された奄美群島は、美しい砂浜やアダンなどすばらしい自然環境を有していることから、海岸整備に当たっては、奄美地域における海岸保全基本計画に基づき、海岸の防護だけでなく環境の整備や保全を進め、ウミガメなどの生息場やすぐれた景観の保全に努めることとしております。  具体的には、これまで、奄美の自然環境に配慮し、与論港海岸や阿木名海岸で養浜等を整備してきており、さらに本年度から、大金久海岸や網野子海岸において人工リーフ等による整備を進めているところであります。  今後とも、地元の方々の御意見を伺いながら、防災と環境の調和を図り、安全で奄美の豊かな自然を生かした海岸の再生と保全に取り組んでまいります。 42 ◯教育長(六反省一君)環境や生物多様性に関する教育についてでございます。  県教委といたしましては、児童生徒に多様な動植物を育む自然の豊かさに気づかせ、保全活動に主体的に参加しようとする態度を養うことが大切であると考えております。現在、本県の全小・中学校で、地域の自然に親しむ活動、環境保全活動、リサイクル活動など体験的な学習活動を行っております。  特に、希少性が高い野生生物を有する奄美群島におきましては、リュウキュウアユやアサギマダラの調査、オオゴマダラの飼育やウミガメの放流など、特色ある活動に取り組む学校があり、奄美固有の自然を生かした活動をより一層広げていく必要があると考えております。  今後とも、大島地区の児童生徒が奄美の自然に誇りを持ち、みずから保全活動を実践する資質を養うための取り組みを、県教委としても推進してまいりたいと考えております。 43 ◯農政部長(福田博史君)輸送コスト支援パイロット事業の内容と効果についてでございます。  奄美群島農産物輸送コスト支援パイロット事業につきましては、来年度から実施される輸送コスト支援事業の本格実施に向けて、事業の実施プロセスを野菜、花卉などの農産物において実証するものです。  具体的には、奄美大島のカボチャ、喜界島のキク、徳之島のカボチャとソリダゴ、沖永良部島のユリ、与論島のソリダゴを対象として、流通の実態把握や海上輸送費の一部助成を行いますとともに、各地域において、輸送コスト支援による産地体制の強化に向けた取り組みを検討しているところです。  県としましては、これらの取り組みを踏まえ、地元関係機関・団体とも十分に連携を図りながら、来年度以降の事業が円滑に実施できるよう努めてまいりたいと考えております。 44 ◯企画部長(古川仲二君)奄美群島振興交付金事業の早期実施についてでございます。  同交付金事業を実施いたしますためには、改正奄美群島振興開発特別措置法に基づいて、新たな奄美群島振興開発計画を策定する必要がありますことから、同法施行後、国が定める基本方針に基づき、早期に計画を策定し、策定後の速やかな事業実施を目指すことといたしておりまして、現在、国との調整を鋭意進めているところでございます。  次に、奄美群島成長戦略ビジョン推進への県の助言・指導のあり方についてでございます。  奄美群島十二市町村が昨年二月に策定した同ビジョンの推進については、県におきましても、平成二十六年度政府予算案に盛り込まれた奄美群島振興交付金を活用して、県予算案に奄美群島成長戦略推進交付金を計上するなど、市町村等による地域の裁量に基づく施策の展開を支援することとしており、事業の実施に当たりましては、効果的な取り組みとなるよう、大島支庁とともに、広域事務組合、市町村と一層の連携を図ってまいります。  また、成長戦略ビジョンの評価・検証を行い、施策に反映させるため、市町村が設置している奄美群島成長戦略推進懇話会に県も参画しているところであり、このような場も活用しながら、必要な助言等を行ってまいります。    [与 力雄君登壇] 45 ◯与 力雄君 それぞれお答えいただきました。  奄美・琉球世界自然遺産登録については、世界自然遺産登録、生物多様性地域戦略の関係機関において、さまざまな論議や取り組みを重ねていかれるものと考えます。各会の委員の皆様方には、世界自然遺産登録の喜びを旨として御尽力賜りますようお願い申し上げます。  また、世界自然遺産関連施設整備等については、今年度、自然保護課において、世界自然遺産登録後想定される観光利用の増大を踏まえた利用適正化方策や施設整備等に資するための予算化がされており、なくてはならない不可欠な施設であると考えます。今後の県の積極的な取り組みとモデル的な施設の整備をお願いいたします。  海岸地域の再生については、地域住民と海浜生物群との共存を目指す視点、世界自然遺産登録、生物多様性地域の景観を念頭に取り組んでいただきますようお願いいたします。  奄美群島国立公園化については、特別地域から普通地域までの指定方法や、それぞれの指定地域内の民有地等においての指定手続等に関しては困難を要する作業であるものと考えます。本事業についての住民への情報提供や国立公園区域指定の範囲についての周知徹底が大切であると考えます。  奄美群島振興開発特別措置法については、向こう五年間の成長戦略ビジョンの推進のため、毎年度の事業予算の確保及び成長戦略ビジョン策定の参画職員の常態化や、毎年度の事業の検証が必要であります。  復帰六十年を経過した現在でも、国、県との所得格差は依然として改善されず、人口の激減が続いております。奄美の人口は、復帰直後と比べると若者たちを中心に四二%も減少しております。人が定住する要件としては、積極的な施策の展開や産業の立脚であります。振興開発事業による国・県の公共事業の発注のあり方、不均衡の是正も必要と考えます。  交付金による各種事業の展開は、今後の産業振興と雇用や所得の安定に大きく寄与できるものと期待しているところであります。  次に、奄美大島地域の道路整備について伺います。  奄美群島が日本に復帰して六十年がたち、地理的にも自然的にも条件の厳しい群島内の道路は、奄美群島振興開発特別措置法に基づいて道路整備が図られ、目覚ましく整備が進んできました。  特に、大島本島の産業、経済、観光を支える幹線道路の国道五十八号は、険しい峠を幾つものバイパスにより改良され、安全に通行できるようになりました。現在、最後の難所である網野子峠のバイパスや、奄美市街地の渋滞対策のため、おがみ山バイパスの整備が進められているところであります。網野子バイパスは間もなく完成すると聞いております。この網野子バイパスの完成により、名瀬から古仁屋までの所用時間は一時間以内となり、人と物の交流が活発になり、安全で快適な移動が可能になるものと考えております。  また、各集落を結ぶ生活道路についても順次整備が進められており、県道名瀬瀬戸内線の久根津トンネルにおいては、先月、貫通式が行われたところであり、早期完成が望まれます。  このような中、奄美大島においては、平成二十二年の集中豪雨により、奄美大島全地域において、のり面崩壊や路肩決壊による多数の通行どめが発生し、住民生活に甚大な被害を受けました。平成二十三年、二十四年の集中豪雨や台風でも、奄美大島南部を中心に、災害により多数の通行どめが発生しました。この通行どめにより孤立集落が多数発生し、孤立した住民は徒歩や船での移動を余儀なくされ、緊急物資の運搬も船で行われるなど、住民生活に大きな影響を与えました。  県道名瀬瀬戸内線の大和村国直地区においては、平成二十二年の集中豪雨による災害で五日間通行どめになり、大棚地区の災害ともあわせて、大和村内の五集落が孤立し、人工透析の患者を海上保安部の巡視船で奄美の医療機関に搬送するなど、住民生活に甚大な影響が生じました。  このようなことから、地元では、根瀬部─国直トンネルの早期実現に向けて五千二百六十二人の署名を集め、要望書を提出し、また、奄美選出四名の県議にも、災害に強い道路整備を求める強い要望が寄せられました。  一方、児童生徒の安全な通学を確保するために、現在、奄美市笠利町須野や赤木名地区で整備が進められているが、他の地区からも、道路の拡幅や歩道の設置など日常生活に密着した道路の整備を求める声が多く聞かれます。  この三月に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法が、今国会において延長が審議されておりますが、地域で要望の高い道路整備は、奄美大島の地域振興に資するためにも緊急な対応が求められていると考えます。  そこで伺います。  一点目は、現在、整備を進めている国道五十八号の網野子バイパス及びおがみ山バイパスの進捗状況について伺います。  二点目は、最近においては年ごとに災害が発生し、地域の人々の生命と健康、住民生活等に重大な影響が生じております。これらを踏まえて、根瀬部─国直トンネルの早期実現が必要であると考えますが、県としての見解を伺います。  三点目は、奄美大島地域の道路整備について要望が多い中、どのように整備を進めていかれるのか、県の方向性について伺います。  子どもの貧困対策について伺います。  日本は戦後、豊かな国を目指し、高度経済成長を契機に一億総中流層という認識が定着し、自分さえよければよいとした。他人や恵まれない人々や社会的弱者にある人たちを思いやることができない人たちが多く存在し、自己中心的、経済主義、高学歴社会が幅をきかすといういびつな社会がはびこり、また、政治や行政、関係機関も、対策を講じなければならない問題から目をそらし、タイムリーに適切な対策を講じなかったことが格差を広げ、その結果、子どもの貧困や経済的弱者を生み出す要因になっているものと考えます。  きょう、あすの食料の確保もできない状況を行政に相談しても、敏速に対応しない。対策が先送りされ、親子で餓死する事案などは強烈に胸が痛みます。豊かさを追い求めてきた結果、社会の片隅に貧困の子どもや恵まれない家庭が多く存在していることは、成熟社会ではなく、むしろ貧困大国日本と言わざるを得ないのであります。  日本の子どもたちの貧困率は、国際的レベルで比較しますと、OECD加盟三十カ国中、五番目に高い貧困率であります。また、平成二十一年度厚生労働省の資料では、子どもの貧困率一五・七%である。  OECDでは貧困率を、国民の標準所得の半額を下回る所得にある人を貧困と定義している。日本の一人世帯当たりの中央値は四百五十一万円、OECDの貧困率の算出方法によれば、中央値の半分、二百五十二万円より所得の少ない世帯が貧困層となる。子どもの貧困の要因は、ひとり親世帯の所得の低さが大きな要因の一つである。  日本は、ひとり親世帯の貧困率が高く、格差大国のアメリカの四八・九%に対し、日本は五七・三%と、先進国の中でも断トツであります。また、働いているひとり親世帯の子どもの貧困率が、働いていないひとり親世帯の子どもの貧困率より高いことも明らかになっており、働く者が報われない実態が存在している。病気や障害等で物理的に働けないという状況でない限り、福祉の支援は受けられない。福祉を必要としている人たちが享受できない福祉は、貧弱な福祉政策と言われても仕方のない現状もあります。  日本のひとり親世帯の八三%の親が働いており、この就業比率を国別で比較しますと、イギリス四〇%、イタリア約七〇%、アメリカ七〇%である。日本のひとり親世帯の就業率は高いが、働いても働いても経済的安定にはつながらない。その最大の要因は、働いているひとり親世帯の六割以上が非正規雇用で、雇用条件が不利な状況にあり、ワーキングプアをつくり出しているからだと考えます。スウェーデンにおいては、働くひとり親については三分の二以上が正規雇用であります。  派遣労働法などは、質の悪い雇用環境を生み出し、企業のための都合のよい制度であり、このような制度のもとで働かざるを得ないひとり親世帯は、現状から抜け出すことは難しく、弱者はいつまでも弱者、強者はいつまでも強者という構図が定着し、さらに、家庭の貧困が子どもの貧困へと連鎖、この負の連鎖が長年続いているケースもあります。  国や地方自治体では、これまで高齢者対策等や他の福祉対策に重点が置かれ、貧困で苦しんでいる子どもたちやひとり親世帯への公的な福祉政策が十分でなかったと理解するものであります。  昨年六月、国において、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立し、推進法では、国は、子どもの貧困率の改善につながるよう大綱を定め、基本理念として、教育の支援、生活の支援、親の就労支援、経済的支援対策など、子どもが生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講じ、推進しなければならないと定めております。  また、地方公共団体は、国の基本理念にのっとり、子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、実施するよう、国や地方公共団体、国民の責務が明記されました。  都道府県は、大綱を勘案し、当該都道府県における子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努め、計画を定め又は変更したときは、遅滞なくこれを公表しなければならないと規定されております。  この法律により、国や都道府県、地方自治体は、法の基本理念に基づいて各施策を策定し、実行することになっております。  そこで伺います。  一点目は、国の子どもの貧困対策の推進に関する法律の可決後、都道府県の責務が明記されましたが、県としてどのような対応をなされているのか伺います。  二点目は、本県の子どもの貧困対策の現状と貧困率について伺います。  三点目は、本県のひとり親世帯とその雇用形態の実態について伺います。  四点目は、本県の就学援助を受けている小・中学校児童生徒数について伺います。  五点目は、国の定めた子どもの貧困対策の推進に関する法律の市町村への周知徹底について伺います。 46 ◯土木部長(栗原淳一君)まず、網野子バイパス及びおがみ山バイパスの進捗状況についてです。  国道五十八号網野子バイパスについては、奄美市住用町役勝から瀬戸内町勝浦間の約六・八キロメートルについて整備を進めており、これまでに勝浦トンネルを含む約一・五キロメートルを供用しております。残る区間については、網野子トンネルの本体工事を終え、現在、平成二十六年度の供用に向け、舗装や電気設備等の工事を進めているところです。  また、おがみ山バイパスについては、用地買収を終えた区間のうち、奄美市から市街地部の交通混雑の緩和に効果があるとして強い要望のあった永田橋交差点から末広交差点間について、ことし秋の完成に向け、右左折レーン設置等の整備を進めているところです。  次に、今後の奄美大島の道路整備についてです。  奄美大島の道路については、近年、集中豪雨や台風により多数の交通途絶箇所が発生し、集落が孤立するなど、住民生活に多大な影響が生じたことから、島内を南北に貫く国道五十八号の整備、国道五十八号の代替道路の整備など、災害に強い道づくりを進めているところです。  県道名瀬瀬戸内線の奄美市根瀬部から大和村国直間については、平成二十二年、二十四年と相次ぐ災害で数日間通行どめとなり、通勤・通学など大和村民の生活に多大な影響が生じました。同路線は、国道五十八号の代替道路となる重要な道路であり、また、地元から根瀬部─国直間のトンネルの早期整備を求める強い要望も出されたことから、平成二十六年度から同区間の整備に着手することとしております。  県としては、奄美大島の産業の振興と島民の安心・安全な生活を守る道路整備に引き続き取り組んでまいります。 47 ◯保健福祉部長(松田典久君)子どもの貧困対策の推進に関する法律可決後の対応についてでございます。  国におきましては、去る一月十七日に施行されました子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき、今後、関係閣僚で構成される子どもの貧困対策会議を設置するとともに、貧困対策を総合的に推進するため子どもの貧困対策に関する大綱を定めることとしております。大綱には、基本的な方針のもとに、子どもの貧困に関する指標や当該指標の改善策に向けた施策、教育の支援や生活の支援、保護者に対する就労支援、経済的支援などを定めることとなっております。  県としましては、今後示される国の大綱などを踏まえながら、必要な施策を検討し、貧困の状況にある子どもが健やかに育成されるよう努めてまいりたいと考えております。  子どもの貧困対策の現状と貧困率についてでございます。  県におきましては、現在、母子家庭や父子家庭等のいわゆるひとり親家庭の生活の安定と自立を支援するため、児童扶養手当の支給や母子寡婦福祉資金の貸し付け、ひとり親の医療費助成を行うとともに、ひとり親家庭の親が就職に有利な資格を取得する場合に、その期間中の生活費の一部を支給する母子家庭高等技能訓練促進事業などを実施しております。  また、子どもの貧困率につきましては、定義が国の告示で示されており、平成二十一年の我が国の子どもの貧困率は、先ほど言われたとおり一五・七%となっておりますが、都道府県ごとの子どもの貧困率は、現時点では基礎的データがないことから、把握できないところでございます。  ひとり親世帯の世帯数と雇用形態についてでございます。  本県のひとり親世帯数は、市町村への調査結果によりますと、平成二十五年七月一日現在で母子世帯が二万五千八百四十七世帯、父子世帯が三千五百三十七世帯で、合計二万九千三百八十四世帯となっております。また、雇用形態につきましては、平成二十二年の国勢調査の結果から推計しますと、母子世帯では正規雇用者が四二・四%、非正規雇用者が五一・二%、父子世帯では正規雇用者が六八・八%、非正規雇用者が八・五%となっております。  法律の市町村への周知徹底についてでございます。  ことし一月十一日付で内閣府、文部科学省、厚生労働省の三省連名により発出されました、子どもの貧困対策の推進に関する法律の施行についての都道府県知事宛ての通知文を受けまして、県内市町村に周知したところであります。  県としましては、今後、国の説明会や大綱を踏まえ、大綱の趣旨や施策等について、関係部局と連携し、説明会や研修会などさまざまな機会を捉えて、県内市町村への周知に努めてまいりたいと考えております。 48 ◯教育長(六反省一君)就学援助を受けている児童生徒数についてでございます。
     就学援助制度は、経済的理由によって就学が困難な児童生徒の保護者に対し、学用品等必要な経費を市町村が援助を行うものであり、平成二十四年度に就学援助を受けた児童生徒数は、小学校一万八千四百三十九人、中学校九千九百七十六人、合計二万八千四百十五人となっており、公立小・中学校児童生徒数全体の約二〇%となっております。    [与 力雄君登壇] 49 ◯与 力雄君 それぞれお答えいただきました。  奄美地域の道路整備については、国・県の積極的な事業推進により、道路改良率も、国・県の道路改良率七九・二%と、ほぼ同水準となっており、国・県の積極的な取り組みに心から敬意を表するものであります。  奄美大島の地形は、山が高く、急峻で急カーブ等が多く、台風時の雨量でも、道路やのり面等の崩壊が多発するおそれのある箇所が多く存在しているため、タイムリーな対策が求められております。今後の積極的な取り組みを期待するものであります。  子どもの貧困対策については、国において昨年六月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定されてから、もうすぐ一年を経過しようとしております。第一条の目的、第二条の基本理念の策定、第三条の国の責務にのっとり、実効性の高い大綱の策定が求められます。本県の子育て支援に関する予算の中で、さまざまな取り組みが見られますが、子どもの貧困、ひとり親世帯の各種支援については、国や他の都道府県同様の福祉対策等でなく、特に、子どもの貧困、ひとり親世帯の対策については、先進県となるよう取り組んでいただきたいと思います。  さて、これまで五項目、二十の課題について質問を行いました。  新しい振興開発事業のスタートの年であり、成長戦略ビジョンの着実な推進が重要であります。  今、奄美は、国内外から熱い視線と力強い動きが芽生え始めております。奄美を取り巻く課題が大きく動き出そうとしています。課題をプラスに転換するときが到来したと考えております。このチャンスを生かすためには、国、県、県議会、地元が一体となって取り組んでこそ、大きな成果が期待できるものと考えます。  交付金については、地元市町村の創意工夫はもちろんのこと、確実な成果を得るためには、国、県の助言・指導が必要不可欠であります。今後とも御支援、御指導賜りますようお願い申し上げます。  最後に、本日、本県が誇る特産品である本場奄美大島紬の着物、ネクタイ等を着用して出席されている全ての皆様方にお礼を申し上げ、一般質問を終結いたします。  ありがとうございます。(拍手) 50 ◯議長(池畑憲一君)次は、柴立鉄彦君に発言を許可いたします。    [柴立鉄彦君登壇](拍手) 51 ◯柴立鉄彦君 早速、質問に入ります。  まず、林業・木材産業の振興についてお伺いいたします。  本県は、県土面積約九十二万ヘクタールの約六四%に当たる五十八万ヘクタールが森林であり、その約半分の二十九万ヘクタールがスギ・ヒノキを中心とした人工林であります。これらの人工林は、引き続き、間伐等の森林施業により適切に管理していく必要がありますが、林齢三十一年生以上の利用可能な資源が八八%を占め、資源として毎年二百五十万立方メートルずつ増加している中で、主伐が可能な本格的な利用期へと移行しつつあります。  今後、これらの資源を有効に活用することが、林業・木材産業のみならず、地域の活性化に必要であります。そのためにも、今こそ行政として林業・木材産業振興のための具体的な取り組みが望まれます。  このような中、平成二十二年十月、国において公共建築物等木材利用促進法が施行され、県内でも、公共施設等の木造化や内装等の木質化が進みつつあります。さらに、今国会には、学校等における三階建て木造建築物の建築促進に向けた建築基準法の改正案が提出されると聞いております。  また、平成二十三年に成立した再生可能エネルギー特別措置法に基づく、再生可能エネルギー固定価格買取制度が一昨年度から始まり、本県でも、薩摩川内市や霧島市で木質バイオマス発電施設が整備されると聞いております。  さらに、志布志港を拠点に、木材需要が旺盛になってきている中国を初めとする東アジア向けの木材輸出が進められてきており、本県からの輸出量が増加してきております。  このような木材需要拡大等の動きに伴い、今後、本県でも、人工林を中心として森林の伐採が進んでいくことが想定されます。本県の平成二十四年度の生産量は約六十九万立方メートルで、五年前に比べると一・四倍となっていると伺っておりますが、平成二十七年度から本格操業される県内の二つの木質バイオマス発電施設の木材消費量が、それぞれ約三十万立方メートルと約十万立方メートル程度と聞いております。  県は、県森林・林業振興基本計画において、県産材の生産量の目標を平成三十二年度に百万立方メートルとしていますが、いよいよその実現が目前であります。低迷しておりました本県の木材産業界にとりましても、これからいよいよ少しずつ明るい兆しが見えてきているようであります。しかしながら、同時に対応していかなければならない課題も見えてきております。  そこで、以下お伺いいたします。  まず、伊藤知事にお伺いいたします。  県産材の生産量百万立方メートルという目標について、ようやくその実現に向けて具体的な動きが見えてきましたが、知事として、このような本県の林業・木材産業の現状及び将来の可能性についてどのように感じておられるのか、お伺いいたします。  次に、今後の取り組みについてであります。  スギ・ヒノキを中心とした人工林からの素材生産体制は、これまでの間伐材中心から主伐へと変化していかなければ、その需要に対応できなくなります。本県の人工林の蓄積は先ほど述べたとおりでありますので、数字から判断すると、まず大丈夫であると思われますが、主伐となりますと、その対象山林でも、成長の早い木、遅い木、そして直材や曲がり材など、成長過程で多様な特性が見られます。これらは業界では、いわゆるA材、B材、C材と区分されており、A材、B材は製品化した上で住宅材や家具材として活用され、C材はチップなどとして、発電施設のエネルギー源や紙、新聞紙等の原料等に使用されることになります。  本県における県産材の生産の現状から分析すると、主伐へ移行する中で、その供給体制強化のための労務確保、コスト削減策、さらには、A材、B材、C材に応じた木材利用推進策等の課題があり、行政としてそれぞれの課題解決に積極的に取り組んでいただきたいと願っております。  そこで、以下お伺いいたします。  一点目、今後、増大する需要に対応した原木を安定的に供給する体制づくりが不可欠と考えますが、県としてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。  二点目として、一つの人工林から生産されるA材、B材、C材、それぞれの利用方法についてであります。  それぞれの人工林の林相、すなわち山の状況によって、A材からC材までの生産量の比率が変化するのは必然であります。C材についてはエネルギー源としての利用が見込まれますが、A材、B材については、本県の現在の生産体制及び使用量から判断すると、本県内で全て製品化し、消費するには難しい課題があると思われます。  そのような中、先月、ツーバイフォー工法の住宅部材を生産する大型木材加工施設の立地が霧島市に決定し、木材の利用拡大につながるものと期待されます。  そこで、県としてこの大型木材加工施設の立地をどのようにとらえておられるのか、お伺いをいたします。  三点目は、再造林対策についてであります。  森林は、県民の生活になくてはならない共有の財産であり、再生可能な資源であります。将来にわたって森林の持つ機能を持続可能なものにする必要があります。そのためにも、伐採した森林は植えて、守り、育てるといった健全な森林経営を確立し、適正に管理していくことが最も大事なことだと考えます。  しかしながら、木材価格が低迷するなど林業を取り巻く環境が依然として厳しく、森林所有者の山に対する施業意欲が低下している状況の中で、再造林をいかに進めるかが課題となってきています。また、再造林を進めるためには、それに必要な苗木を安定的に供給することが不可欠でありますが、近年、苗木の生産者は減少し、高齢化も進んでおり、苗木の生産量をいかに確保するかも大きな課題であります。  そこでお伺いいたします。  今後、伐採が進むことが予想される人工林における再造林の現状と苗木の生産状況についてお示しください。  次に、再造林を進めるための取り組みと、それに必要な苗木の生産に向けた取り組みについてお伺いいたします。  次に、私立幼稚園の振興策、子ども・子育て支援新制度についてお伺いいたします。  次代を担う子供たちはまさしく国の宝であり、よりよい子育て環境をつくることが私たちの世代の責務であります。中でも、幼児教育の中心を担う幼稚園教育の重要性は県当局としても十分認識され、本県の幼稚園のほとんどを占める私立幼稚園の振興策として、平成二十六年度も積極的に取り組んでいただいています。  このような中、伊藤知事は今議会冒頭の施政方針で、幼稚園の今後の運営に大きくかかわる、子ども・子育て支援新制度について、平成二十七年度からの本格施行に先行して、新制度へ円滑に移行できるよう、平成二十六年度中に子ども・子育て事業支援計画を策定すると述べられました。  この子ども・子育て支援新制度とは、平成二十二年六月、当時の民主党政権下でまとめられた子ども・子育て新システムの基本制度要綱で、幼稚園と保育所について、仮称こども園に一本化し、新しいシステムに位置づけることになったというのがそもそも出発のようであります。その後、いろいろな議論を踏まえ、現在の私どもの自公政権への交代もあり、この間、さまざまな修正案が加えられ、平成二十七年度から新制度としてスタートするとのことであります。  私は、この新制度の関係資料を読ませていただきました。また、私立幼稚園に直接携わっている方々のお話をお伺いいたしますと、私立幼稚園には、一、認定こども園に移行し、施設型給付を受ける。二、幼稚園のままで施設型給付を受ける。三、幼稚園のままで私学助成を受ける。という大きく三通りの選択肢があり、このいずれかを選択しなければならない時期に来ているということであります。しかし、現在のところ、これらの財政支援の内容も不透明であり、その選択に苦慮しているとのことでありました。  また、この制度については、市町村の対応も、施設の確認や指導監督、また利用定員の設定等、非常に大きなウエートを占めております。  そこでお伺いいたします。  第一点は、県としては、平成二十六年度県子ども・子育て支援事業支援計画を策定する中で、市町村への助言など、どのような方針で取り組んでいかれるのか御説明ください。  二点目として、この制度は、新・認定こども園への移行を促進するために、移行を希望する幼稚園・保育所があれば、認可・認定基準を満たす限り、認可・認定が行われるように設定することが基本としており、希望する全ての園が移行できるよう市町村を御指導いただくべきと考えますが、お伺いいたします。  三点目、認定こども園・幼稚園・保育所を通じた共通の給付である施設型給付による財政支援についてはどのように対応していかれるのか、お伺いいたします。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 52 ◯知事(伊藤祐一郎君)林業・木材産業の振興についてのお尋ねがございました。  本県の森林資源は、スギ・ヒノキ等の人工林を中心に利用期を迎えつつあり、私は、これらの資源を持続させながら最大限に活用していくことが、本県の林業・木材産業の振興を図る上で極めて大切であると考えており、マニフェストにおきましても、木材供給基地かごしまの実現を掲げ、木材の生産体制づくりや県産材の需要拡大に取り組んでいるところであります。  このような中、県内では、東アジアへの県産材の輸出量が年々増加し、また、昨年は二つの企業が木質バイオマス発電の事業化を決定し、さらに、ことしに入りましてからは、ツーバイフォー住宅部材の大型加工施設の立地が決まるなど、木材需要拡大の動きが出てきているところであります。  中でも、木質バイオマス発電とツーバイフォー住宅部材の大型加工施設につきましては、合わせて年間約五十万立方メートルの木材を必要とするとされており、この木材の需要は本県の林業・木材産業を活性化させる好材料になるものと考えております。  県といたしましては、こうした新たな需要の動きに対応いたしまして、県産材を効率的に生産する体制の強化を図り、これを安定的に供給いたしますとともに、今後もさらなる県産材の需要拡大に努め、木材供給基地かごしまの実現を目指してまいりたいと考えております。 53 ◯環境林務部長(新川龍郎君)原木の安定的な供給体制づくりについてでございます。  増大する需要に対応して原木を安定的に供給するためには、生産量の増大と、需要と供給のマッチング機能の強化を図る必要があると考えております。このため、生産量の増大については、伐採・搬出作業を担う素材生産業者の育成を図りながら、森林施業の集約化や、路網と高性能林業機械を組み合わせた低コスト作業システムの普及・定着を進めますとともに、木質バイオマス発電用原料として需要が見込まれます、未利用間伐材等の効率的な集荷・運搬手法等の実証などに取り組んでいるところでございます。  また、需要と供給のマッチング機能の強化については、県森林組合連合会に設置されている原木流通情報センターや、発電事業者が組織した原木安定供給協議会等において、関係者の合意形成を図りながら、長期的な協定締結に基づく取引を促進することとしております。今後とも、関係機関・団体と一体となって、原木の安定的な供給体制づくりに努めてまいりたいと考えております。  次に、大型木材加工施設の立地についてでございます。  霧島市に立地する大型木材加工施設については、木材の集荷・販売等を行う県外の大手企業と県内の木材関連企業・団体が整備するもので、これまで国産材がほとんど使用されていなかったツーバイフォー住宅の部材を県産材で製品化しようとする、全国でも先駆的な取り組みとなるものでございます。  この施設の立地により、資源の充実に伴って供給量の増大が見込まれますスギの大径材や良質材の新たな需要が創出されますとともに、県内各地の製材工場で一次加工された木材が材料として使用されますことから、本県の林業・木材産業の振興に大いに寄与するものと考えております。  次に、再造林の現状と取り組みについてでございます。  県内の民有林においては、平成二十四年度までの五年間で、伐採された約二千二百ヘクタールの人工林のうち約四割に当たる七百七十ヘクタール余りで再造林が行われており、また、平成二十四年度の苗木生産本数は約百四十万本となっております。  再造林の推進については、資源の持続的利用のみならず、森林の持つ多面的機能の発揮の面からも重要でありますことから、造林補助事業等により人工林伐採跡地の植栽について助成するとともに、来年度からは、伐採と植栽を一貫して行う低コスト施業の取り組み等に対して支援することとしております。  また、優良苗木の安定的な供給を図るため、植栽における省力化が可能なコンテナ苗などの生産に必要な施設等の整備や、林業事業体と連携した労働力確保の取り組みにも支援することとしており、今後とも、これらの取り組みを積極的に進め、再造林の推進に努めてまいりたいと考えております。 54 ◯県民生活局長(岡田和憲君)県子ども・子育て支援事業支援計画策定に係る方針についてでございます。  県と市町村は、平成二十六年度までに、子ども・子育て支援法に基づき、平成二十七年度から五年間を計画期間とします子ども・子育て支援に係る計画を策定することになっております。子ども・子育て支援新制度の実施主体であります市町村は、現在、幼稚園や保育所等の利用状況や利用希望等を把握した上で、教育保育と地域子ども・子育て支援事業の量の見込みや提供体制の確保の内容、その実施時期等を盛り込んだ市町村子ども・子育て支援事業計画を策定しているところです。県は市町村の計画策定に当たりまして、必要な情報提供や技術的な助言等を行いますとともに、市町村と連携を図りながら、専門性の高い施策や市町村の区域を超えた広域的な調整、幼稚園教諭等の人材の確保、資質の向上に係る方策等を行うこととしております。  県としましては、今後とも、県子ども・子育て支援会議におきまして、市町村や私立幼稚園などの関係者の意見を聞きながら、県子ども・子育て支援事業支援計画を策定し、一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会の実現に努めてまいります。  次に、認定こども園への移行についてでございます。  認定こども園法におきましては、認定こども園の認可・認定につきましては、供給過剰による需給調整が必要な場合等を除き、認可・認定することとされております。昨年十二月に国から、幼稚園や保育所が認定こども園に移行する場合における需給調整に係る特別措置につきまして、再度市町村に周知するよう依頼があり、その趣旨は、認定こども園が幼稚園と保育所の機能をあわせ持ち、保護者の就労状況の変化等によらずに柔軟に子どもを受け入れられる施設であることを踏まえ、認定こども園への移行を希望する幼稚園・保育所があれば、認可・認定基準を満たす限り、認可・認定を行えるようにするというものでありました。  県としましては、この趣旨を踏まえ、市町村に周知しますとともに、私立幼稚園等の認定こども園への移行の希望には、十分配慮するよう助言してまいります。  施設型給付による財政支援についてでございます。  新制度におきましては、創設されます施設型給付は、国が定める基準により算定した教育・保育に係る費用の額である公定価格から、市町村が定める利用者負担額を控除した額で、幼稚園等の運営上の財政支援として国、県、市町村が負担するものでございます。現在、国の子ども・子育て会議におきまして、公定価格の設定について、幼稚園・保育所ごとに地域別・規模別に区分し、経営実態や施設設備の状況等の調査を行い、具体的な水準が検討されておりまして、国からは四月から六月ごろには仮単価の提示が行われる予定と聞いております。  県としましては、新制度の根幹をなします施設型給付の設計に当たりましては、施設型給付に移行する私立幼稚園の安定的な運営に向けて、施設の運営実態を反映した公定価格が設定されるよう、引き続き全国知事会等を通じて国に対して要望してまいります。    [柴立鉄彦君登壇] 55 ◯柴立鉄彦君 御答弁いただきました。  林業・木材産業の振興につきましては、知事の御答弁にもありましたように、平成二十六年度から二十七年度にかけて、木質バイオマス施設の稼働など、県内の林業・木材産業界で大きな変化が出てくるものと思われます。行政としても、いわゆる業界の川上から川下までのこの大きな変化に即応しつつ、的確かつ適切な対応を望むものであります。  私立幼稚園の今後の運営に大きくかかわるであろう子ども・子育て支援新制度につきましては、平成二十七年度から新制度としてスタートするとのことでありますが、私立幼稚園を運営する方々にとりましては、国や県の応援体制や、また、今まで余りコンタクトのなかった市町村の財政支援の内容等が大きくその運営に影響されることになります。本日は関係者の方々も傍聴に来ておられますが、県としても、できるだけこの新制度の内容を的確に把握され、現場の方々の声を反映されるような取り組みと御指導を切に要望しておきます。  次に、平成二十六年度新規事業として、安心・安全な社会の形成と県土づくりの中に位置づけられている建築物耐震化促進事業についてお伺いいたします。  この事業は、大規模な地震に備えて、県民の生命等の安全性を確保するため、法律で耐震診断を義務づけられた大規模建築物の耐震診断費用の一部を助成するものであります。この対象建築物は、昭和五十六年以前に建築された三階以上で、かつ延べ面積五千平方メートル以上のホテル、旅館、百貨店、店舗などとのことであります。  先日、観光業界の方々との勉強会に出席いたしましたが、特にホテル・旅館業界の方々から、この耐震診断費用の一部助成について強い要望がありました。この法律は、さきの東北地方の大震災を受け、国において昨年十一月二十五日から施行されることが義務づけられたとのことでありますが、耐震診断を受けるに際しても多額の費用がかかることから、国による単独補助があるとしても、県による補助制度の創設を県議会としても県当局に強くお願いしたいとのことでありました。  観光振興は知事も本県の基幹産業として力を入れておられますので、早速お願いしたところであり、今回の新規事業になったものと評価いたしております。  そこでお伺いいたします。  今回の新年度予算で三千八百八十三万三千円計上されておりますが、県内でその対象建築物は何棟ぐらいになるのか。耐震診断に係る国や県の補助はどのような内容になっているのか、お示しください。  また、耐震診断がなされた後、耐震改修の必要性が出てきた場合、対象建築物によっては膨大な費用がかかると予想されますが、県は耐震改修の助成を今後どのように考えていくおつもりか、お伺いいたします。  続いて、鹿児島東西幹線道路の整備促進についてお伺いいたします。  鹿児島東西幹線道路は、九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道から県都鹿児島市へアクセスする骨格道路であります。県都鹿児島市への陸の玄関口であることから、現在、鹿児島インターチェンジから甲南インターチェンジが鹿児島東西道路として国において事業化され、整備が進められています。  このうち、鹿児島インターチェンジから建部インターチェンジ間については、昨年九月供用開始され、その結果、武岡トンネル内での市街地方向が一車線から二車線となり、車の渋滞が大幅に緩和されることになりました。しかしながら、その先の武町交差点から曙陸橋付近は引き続き渋滞が続いています。  当道路は、甲南インターチェンジまで完成してこそ、初めて十分な整備効果が発揮できるものと考えており、引き続いての同区間の整備が不可欠であります。県議会においても、昨年六月議会に、地元の武町内会を初めとした八町内会会長名で提出されました東西幹線道路の整備促進を求める陳情について、採択しているところであります。  このように、鹿児島東西幹線道路の整備促進に対する地域住民の方々の期待も非常に大きく強いものがあります。また、自民党県議団としても、その整備促進について、昨年五月八日に伊藤知事あてに要望書を提出いたしております。  私は、この東西幹線道路の整備促進については、一昨年九月、そして昨年三月の本会議でも取り上げております。その際の栗原土木部長の御答弁では、新武岡トンネル供用により、トンネル内の渋滞は一定の緩和がなされるものの、建部神社前から曙陸橋付近の渋滞は引き続き残るものと考える。これらを緩和するには、建部インターチェンジから甲南インターチェンジ間の東西幹線道路の建設が急がれるが、これについては解決すべき課題が多々あるため、現在、鹿児島東西道路整備検討会において検討中であり、引き続き国に対して要望していくとのことでありました。  そこでお伺いいたします。  第一点として、知事は、去る二月二十一日、今議会開会日の冒頭の施政方針の中で、県内の高規格幹線道路や地域高規格道路等の整備について述べておられますが、この鹿児島東西幹線道路の整備については触れておられません。昨年四月の地元町内会からの陳情書や、昨年五月八日の我が党県議団の知事あての要望書も提出いたしておりますので、今、改めて知事として、この鹿児島東西幹線道路の整備促進に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  第二点、土木部長の昨年三月六日での私への答弁でありました、鹿児島東西道路整備検討会での解決すべき課題が多々あるとのことでありましたが、その検討事項については現在どのような内容になっているのか。また、その後の対応策について現時点ではどのようになったのか、お示しください。  第三点、本年一月二十一日付の地元紙に東西道路百五十八億円増との見出しが大きく掲載されました。それによりますと、福岡市で開かれた九州地方整備局事業評価監視委員会で鹿児島国道事務所が報告したもので、鹿児島東西幹線道路の鹿児島インターチェンジから甲南インターチェンジ間の延長三・四キロメートルについて、山岳部に通す計画の三つ目のトンネル外壁強化等により、全体事業費が当初計画の約六百五十億円から、約百五十八億円ふえ、約八百八億円になることがわかったというものであります。評価委員会は、原案どおり事業継続を了承したとも掲載されていましたが、私はこの総事業費を見て、三つ目のトンネル工事費がそんなにかかるものなのかと、正直少々驚いた次第であります。  そこで、土木部に問い合わせてみると、総額八百八億円の工事費は、三つ目のトンネル工事費ではなく、これまでの東西道路の総額事業費であり、読む人に誤解を招きやすいとのことでありました。  そこで、新しく計画されている甲南インターチェンジまでの平成二十六年度以降の事業費はどのようになるのか。平成二十五年度までに投資された事業費はどのようになっているのか。県の負担分はどのようになっており、今後どのようになるのかお示しください。
     また、今後、新しいトンネルの計画について、わかりやすく御説明ください。  第四点として、新武岡トンネル開通後の交通状況についてであります。  新武岡トンネル内の特に市街地方向への渋滞は確かに緩和されました。しかしながら、地元に住む者として感じることは、新武岡トンネルの利便性が向上するたびに、周辺の県道、市道の混雑状況は、朝夕だけでなく、時には昼間時においても一層悪化しているように思えてなりません。そこで、新武岡トンネル開通後の交通渋滞の変化、交通量の変化等は現在どのようになっているのか、明らかにしてほしいと思います。  さらに、利用されている事業者、特にバス事業者等の声はどのように届いているのか、お伺いいたします。  また、この交通渋滞状況について、県警としてどのように把握されておられ、どのように対応していくお考えか、お伺いいたします。  第五点目として、中洲電停交差点の車線拡幅工事についてであります。  前回、新武岡トンネル開通後の当面の交通渋滞対策としての質問に対して、土木部長御答弁によりますと、中洲電停交差点の拡幅工事は平成二十五年度中に着工するとのことでありました。しかしながら、現時点において、具体的にどのように着工されているのか見えてきておりません。拡幅予定地には荒田川の河川もありますが、今後どのような工事をされるのでしょうか。平成二十六年度中に完成されるとのことでありましたが、予定どおりの完成が大丈夫なのか心配いたしております。  そこでお伺いいたします。  現在の拡幅工事への取り組み状況について、どのようになっていますか。また、平成二十六年度中のいつごろの完成を目指して、今後どのように工事に取り組んでいかれるのか、完成までの日程、工事事業費等についてもお示しください。  以上で、二回目の質問といたします。 56 ◯土木部長(栗原淳一君)まず、建築物耐震化促進事業についてです。  耐震診断の補助対象となる県内の建築物は、耐震診断が義務づけられた大規模な民間建築物のうち、耐震診断が未実施の約三十棟と見込んでおります。平成二十六年度の当初予算案では、アンケート調査の結果を踏まえ、約半数分について耐震診断に必要な経費を計上しているところであります。  耐震診断に係る補助については、今回、県が耐震診断の補助制度を創設することにより、国の補助割合が拡充され、その負担割合は、国が二分の一、県と市町村がそれぞれ六分の一となり、建物所有者の負担は六分の一に軽減されることとなります。耐震改修の費用に対する県の補助については、耐震診断の結果や国及び他県の動向も見きわめながら、平成二十七年度に向けて、今後、検討してまいりたいと考えております。  続きまして、鹿児島東西道路の今後の取り組みについてです。  鹿児島東西幹線道路は、鹿児島インターから鹿児島市街地へのアクセス機能を強化するとともに、交通混雑の緩和を目的とした道路であり、国において鹿児島インターから甲南インター間の整備が進められており、このうち新武岡トンネルが昨年九月に供用されたところであります。この供用により、トンネル内の渋滞については一定の緩和が図られたものの、曙陸橋付近においては引き続き渋滞が残っております。  県としては、建部神社前交差点から曙陸橋付近の抜本的な渋滞解消のためには、鹿児島東西道路の整備が必要であると考えており、引き続き事業が推進されるよう、国、県及び鹿児島市と一体となって取り組んでまいります。  次に、鹿児島東西道路整備検討会における検討内容についてです。  鹿児島東西道路の甲南インターまでの整備については、鹿児島東西道路整備検討会において、曙陸橋やJR線の直下を通るトンネル工事であること。甲南高校前のインターチェンジ建設においては、限られた空間の中で多くの車両を通しながら施工をすることなどの課題について検討され、ルートの変更や開削工法からシールド工法へ変更をするなどの対応策が取りまとめられました。これら検討会の意見を踏まえ、ルートや工法が決定され、昨年十二月に都市計画の変更を終えたところであります。  鹿児島東西道路の事業費と今後の計画についてです。  鹿児島東西道路の事業費については、全体事業費約八百八億円、これまでに約二百六十三億円が投資され、平成二十六年度以降の残事業費は約五百四十五億円です。また、県は、事業費のおおむね二割を負担しており、これまでに約五十五億円を支出しております。  今後の計画については、市街地向けとして、武岡トンネルの北側に田上から甲南高校前付近までのトンネルを、また、郊外向けとして、甲南高校前付近から昨年九月に開通した新武岡トンネルに接続するトンネルを、新たにおのおの掘削する計画となっております。  新武岡トンネルの開通後の渋滞状況についてです。  新武岡トンネルの開通後の渋滞状況等については、国の公表資料によると、交通量が開通前に比べ、トンネル内においては約一六%、曙陸橋付近においては約九%ふえております。また、中洲電停交差点の東西方向や建部神社前交差点の南北方向に流入する車線等においては、以前より渋滞が長くなるなど、渋滞は解消されておりません。  バス事業者等からは、トンネル内は四車線化されたことから、トンネルの通過時間が短縮されたなどの意見がある一方、曙陸橋においては現在も渋滞が発生しており、今後、甲南インターまでの整備が進めば、より定時性が確保されるなど、さまざまな意見がありました。  中洲電停交差点の車線拡幅工事についてです。  県道鹿児島東市来線の中洲電停交差点については、曙陸橋側から市街地直進方向の流れをより円滑にするため、市街地向けの車線を三車線から四車線にふやすこととし、昨年十二月に工事着手したところです。全体事業費は約二億円で、現在、道路の拡幅予定地にある荒田川のつけかえに必要な水路用ボックスの製作や、下水道管の移設工事を行っており、荒田川を市道の下につけかえた後、道路本体の擁壁や舗装などの工事を行い、ことしの夏ごろには拡幅工事が完了する予定であります。 57 ◯警察本部長(池田克史君)新武岡トンネル開通後の交通渋滞対策についてでございます。  新武岡トンネル開通前は、建部神社前交差点を先頭として、鹿児島市街地向けがピーク時には鹿児島西インターチェンジ付近まで約二キロメートルを超える渋滞が常態化しておりましたが、開通後は改善が見られております。しかしながら、田上方面や鹿児島中央駅方面から接続する道路におきましては、依然として朝夕を中心に渋滞が見られることから、現在、接続道路からの交通流にも考慮した信号制御システムの整備を進めているところであります。  今後とも、道路管理者等と連携し、交通流の変化に応じて交通の安全と円滑化の確保に努めてまいります。    [柴立鉄彦君登壇] 58 ◯柴立鉄彦君 御答弁いただきました。  建築物耐震化促進事業の対象建築物を所有している方々にとりましては、大変な費用負担になることが予想されます。特に、ホテル・旅館等観光業界にかかわる方々にとりましては、その負担の膨大さから廃業せざるを得ない状況が生じるかもしれません。本県の観光振興の一翼を担っている宿泊部門の維持・拡大のためにも、できるだけの行政としての支援をお願いしておきます。  また、東西幹線道路の整備につきましては、事業費も明らかにしていただきました。また、現在の交通渋滞等の現状をよく分析していただきたいと思います。そして、地元町内会等の地域の声を十二分に取り上げていただくなど、その対策を考えていただきたいと思っています。その上で、今後の整備促進になお一層の御努力を心からお願いしておきます。  次に、錦江湾におけるマリーナ計画についてお伺いいたします。  私は、観光振興の観点から、本会議の中でもこれまで幾度となく、錦江湾を生かした観光振興について持論を展開し、質問してまいりました。  県は、平成二十四年度から、海洋性レクリエーション需要増大に対応し、県民や観光客が海に親しみ、触れ合える環境を創造するため、錦江湾においてクルーザーヨットに対応したマリーナについての適地の検討を行っておられます。日ごろから、「全国に誇れる雄大な桜島を目の前にした波静かな錦江湾にマリーナ建設を」と議会でもたびたび取り上げていた私にとりまして、一日も早い実現を望んでおります。  この件につきまして、私は、東開町の旧木材港は波静かであるにもかかわらず、現在、ほとんど利用されていない状況でありますことから、マリーナとしては最適地だと考えており、ぜひ候補地として検討していただきたいとの思いを込めて、昨年三月の第一回定例会で、「錦江湾において、県民や観光客が海に親しみ、触れ合える環境の適地として現時点ではどのような地域がふさわしいと考えるか」と伺ったところ、土木部長から、「鹿児島港も錦江湾マリーナの候補地の一つである」との答弁をいただきました。  また、鹿児島港旧木材港区再開発調査についても、やはり平成二十四年度から調査を行っておられることから、木材港のマリーナとしての活用を期待し、「ある程度の水域を生かして活用する施設が考えられるのではないか」とお伺いしましたところ、「他港における水域の活用を含めた再開発の事例収集などを行っており、今後、これらを参考にしながら、活用策や整備手法等について検討する」との答弁でありました。  それからほぼ一年、来年度の予算の中で、二十五年度に引き続いて、錦江湾におけるマリーナの計画調査費として一千万円、旧木材港の再開発計画の調査費として一千五百万円が計上されております。  そこでお伺いいたします。  第一点、錦江湾マリーナの計画調査について、候補地の選定状況など、これまでの検討状況と今後の取り組みについてお示しください。  第二点、旧木材港区の再開発調査について、水域を生かした活用をするのかどうかを含めて、これまでの検討状況と今後の取り組みについてお示しください。  最後に、本県の体育館整備計画、いわゆるスーパーアリーナ構想についてお伺いいたします。  この計画は、二〇〇八年六月、伊藤知事が県庁東側の県有地等を次期国体を見据えた体育館施設整備予定地として活用する方針を示して以来、今日までさまざまな経過を経てまいりました。昨年五月には、整備予定地を鹿児島港本港区のドルフィンポート敷地に変更し、施設は多目的機能をあわせ持つ総合体育館と発表されました。ところが、同年七月、地元紙の世論調査で整備反対の意見が五〇・六%となり、直後の八月二十三日の定例記者会見で、世論が厳しいということで全面的に見直すと発表されました。  私は、この報道を受け、昨年九月の県議会本会議で、総合体育館いわゆるスーパーアリーナ構想について質問いたしました。その内容を要約いたしますと、大きく三点になります。  一点は、スーパーアリーナ構想の本港区からの移転もあり得るとの知事発言を受けて、他の自治体の誘致の動きから、当初慎重意見の出ていた鹿児島市や鹿児島市議会へ本港区を念頭にアプローチする考えはないか。  二点目として、スーパーアリーナ構想について、県民は、現在、鴨池にある県立体育館の形状が本港区へ移転するような認識を持たれているのではないか。スーパーアリーナ構想の内容をもっと県民に知らせる努力と必要性についてどのように考えているか。  三点目として、スーパーアリーナは集客性のある立地場所を考えていかなくてはならないと思うが、どのように考えるか。以上の質問でありました。  その際の答弁を要約いたしますと、提案しました総合的かつ多目的で集客力の高い施設は、大小のホールや飲食施設等を有する大規模な施設であり、改めて地域や関係者の方々の御理解をいただくことが必要であると考えている。その施設のあり方や必要性など、幅広く多くの方々から御意見を聞くなど、整備予定地を含め改めて検討したい。今後、専門家や天文館地区の方々、鹿児島市議会の意見の反映等、その熟度をしっかり見ながら判断したい。その過程で、質問のありました施設の基本的なイメージを示したいと考えております。これで答弁は終わりでありました。  先週の我が党の代表質問でも取り上げていただいておりますが、六カ月前とほとんど同じ趣旨の答弁であったように私には思えました。私は、自身の県政だよりでも掲載させていただきましたが、スーパーアリーナの本港区整備につきましてはぜひ実現していただきたいと思っています。  まず、本港区の敷地は、ドルフィンポート敷地が三万八百五十四平方メートル、その眼前の中央緑地帯の面積が三万四千二百十七平方メートル、合計六万五千七十一平方メートル、約一万九千七百二十坪もあるのであります。  皆さん、本港区でのスーパーアリーナを想像していただきたいと思います。目前に広がる錦江湾と桜島、そして、多くの方々が利用できる運動施設、それに付随した飲食店街、そこから広がるウッドデッキのプロムナードなどなど考えると夢が広がります。そして何よりも、多くの集客可能な複合施設が本港区にできることで、中央駅から天文館、そして本港区へと人の流れが出てまいります。そのことが昼間の天文館の活性化にもつながると考えるのであります。  ここで再度、改めてお伺いいたします。  第一点、この六カ月の間に、上町、城南、天文館地区の通り会や町内会でつくる鹿児島湾岸デザイン会議の方々が、本港区へのスーパーアリーナ構想の実現に向けて陳情活動をされたと伺っていますが、このような新たな動きをどのように評価されますか、お伺いいたします。  第二点、鹿児島市長、鹿児島市議会とのコンタクトについてであります。  スーパーアリーナ構想の本港区での実現については、鹿児島市長及び鹿児島市議会の考え方も重要ではないかと思っております。知事は先日、市議会議長とも会われたと伺っておりますが、その内容をお伺いいたします。  また、去る二月二十五日、鹿児島市議会で森鹿児島市長が、スーパーアリーナの本港区への誘致を表明されたとのことでありますが、この表明を受けてどのように感じておられるのかお伺いいたします。  三点目として、平成二十六年度予算のスーパーアリーナ調査検討事業は二百万円を計上されておりますが、具体的に施設の内容等を検討し、イメージを示す作業等を考えると、少額過ぎるのではないかと思われますが、お伺いいたします。  以上で、三回目の質問といたします。 59 ◯土木部長(栗原淳一君)錦江湾マリーナの計画調査についてです。  錦江湾マリーナの計画調査については、錦江湾を湾奥、鹿児島港、湾口西、湾東、湾口東の五つのゾーンに区分した上で、県内外のマリーナ管理者やヨット利用者などの意見を踏まえ、さまざまな観点から、各ゾーンの地域特性を整理・分析したところであります。その結果、波や水深に関する安全性、物資調達やメンテナンスなどの利便性など、総合的にすぐれている鹿児島港をマリーナの候補ゾーンとしたところであります。今後、鹿児島港内における具体的な設置箇所や施設の配置・規模等について、さらに検討を進めてまいります。  次に、鹿児島港旧木材港区の再開発調査についてです。  鹿児島港の旧木材港区については、輸入原木の取り扱いの減少に伴い、利用が低下していることから、その有効活用を図るため、遊休化している水面貯木場等の埋め立てや同港区の再開発に関する調査を行うこととしております。  これまで、周辺を含めた同港区の現況調査や他港における水域の活用も含めた再開発の事例収集などを行ってきたところです。これらの調査結果を踏まえ、南側の水面貯木場など約二十ヘクタールについては埋め立てを行い、周辺と一体となった活用を図るとともに、一部を小型のヨットなどの係留水域として活用したいと考えております。今後は埋立地の具体的な活用方策等について検討を進めてまいります。 60 ◯知事公室長(福壽 浩君)スーパーアリーナに係る鹿児島市などの動きについてでございます。  スーパーアリーナにつきましては、県内各地域からの誘致要望やさまざまな御意見をいただいているところでございまして、このような動きの一つとして、昨年の十二月に、天文館地区等の通り会や町内会で構成します鹿児島湾岸デザイン会議から、ドルフィンポート敷地等におけるスーパーアリーナ実現の要望がなされたところでございます。  スーパーアリーナ構想につきましては、改めて検討することとしておりますが、まちづくりの観点からさまざまな意見が出され、議論されるとともに、そのコンセプトについて、地域や関係者の理解が深まっていくことは望ましいことであると考えております。  昨年の六月に提出されました鹿児島市議会からの意見書につきまして、ことし一月に鹿児島市議会議長から改めて趣旨の説明があった際には、知事から、地元の市議会として、県都鹿児島市の将来の発展や地域の活性化のため、今後のドルフィンポート敷地等はどうあるべきか、どのような施設が望ましいかなどについて十分に議論を重ね、御意見をいただきたい旨要請したところでございます。また、鹿児島市中央地域北部の振興は従来からの課題であり、今後とも、県、市が力を合わせて新しい鹿児島をつくるために努力していくこととしたところでございます。  今般、鹿児島市議会で鹿児島市長が、鹿児島市中央地域北部において新たなにぎわい空間の形成が必要であるという認識を示されるとともに、スーパーアリーナに関して、本港区において施設整備と路面電車新設が一体となって道筋がつけられるよう県に要請していくと表明されたところでございまして、鹿児島市とも協議してまいりたいと考えております。  スーパーアリーナ調査検討事業についてでございます。  スーパーアリーナ構想につきましては、今後、本県の将来の発展の方向や地域の活性化などを念頭に置きつつ、十分な検討を行うこととしており、今後の進め方については着実かつ丁寧に検討することといたしております。  平成二十六年度当初予算には、今後、改めて検討を行うための準備として必要となる調査、資料収集・整理等を行うための事務的経費を計上したものでございまして、具体的な整備計画の検討経費は含んでいないところでございます。    [柴立鉄彦君登壇] 61 ◯柴立鉄彦君 御答弁いただきました。  錦江湾マリーナ計画の候補地として鹿児島港をということで決定したとの答弁もいただきました。錦江湾を生かした鹿児島振興のためにも、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  また、旧木材港区の再開発調査についても、南側を二十ヘクタール埋め、埋め立てないそのほかの残りについては、一部を利用して生かしていきたいとの御答弁もいただきました。私はこれまで何回となく質問してきた議員として、今回初めて、一部具体的な御答弁をいただいた気がいたしております。今後の取り組みを注視して、これからも質問してきた議員として注視していく所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  また、スーパーアリーナ構想につきましても、県内の六つの地域と同様に、いよいよ鹿児島市当局や地元の皆さん方の誘致に向けての動きが顕著になってきたように思います。御答弁にありましたように、要は県のコンセプトをどのようにわかっていただくかということもあるかと思います。これからであります。天文館を中心とした鹿児島市中央地区の振興のためにも前向きな御検討をお願い申し上げておきたいと思います。  最後に、知事に一点だけ要望させていただきます。  本日は、紬着用として、議員の皆さん方も二十名を超す議員が大島紬を着用してきました。知事は大島紬のネクタイを締めておられるようでありますが、行政を代表して、次の議会には知事はぜひ大島紬そのものを着ていただいて、しかも自分の持っている大島紬をぜひ着ていただいて御出席いただければと思います。  以上で、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)       ───────────── 62    △ 請願・陳情の委員会付託 ◯議長(池畑憲一君)次に、請願・陳情の委員会付託であります。  お諮りいたします。  配付いたしております請願・陳情特別委員会付託表に記載の陳情につきましては、同表のとおり、関係の特別委員会に審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 63 ◯議長(池畑憲一君)御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。  次に、ただいま特別委員会に審査を付託することに決定いたしました陳情を除く請願・陳情につきましては、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 64    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 65    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...