鹿児島県議会 2013-03-01
2013-03-01 平成25年第1回定例会(第2日目) 本文
昨今からことしにかけての冬は寒暖の差が激しかったものの、今、春を迎え、梅の花が咲き、カンヒザクラが咲き、今またモクレンの花が咲き乱れております。四季折々の花々や食材に恵まれた鹿児島県は、世界一住みよい地域であると、この季節、特に誇りに思うことでもあります。
さて、昨年十二月に実施されました
衆議院議員選挙の結果を受け、十二月二十六日に第九十六代安倍内閣が発足いたしました。
安倍総理は、新内閣を
危機突破内閣と位置づけ、デフレからの脱却に向けた経済対策を最優先に、経済再生に向け、国の支出が十三兆一千五十四億円と過去二番目の規模となる平成二十四年度補正予算の編成や、政府と日銀がデフレ脱却と経済成長に向けて連携を強めるため、二%の
物価上昇目標を明記した共同声明を発表するなど、矢継ぎ早の政策を打ち出しております。
先般発表された平成二十五年度予算案でも、景気重視型とする一方で、平成三十二年度までに
基礎的財政収支を黒字化する
財政健全化目標を堅持する方針を示しております。一連の政策に対し、財政規律を危惧する声もありますが、デフレからの脱却のためには、小手先の財政対策ではなく、即効性のある思い切った
緊急経済対策が重要であると考えます。
安倍総理のデフレ脱却に向けた
経済政策アベノミクスが市場で評価され、
民主党政権下で低迷していた
日経平均株価が続伸を続け、円高の是正が進んでいることは、政府の取り組みがこれまでの延長線上ではないものとして世界に強く受けとめられている結果でもあります。
共同通信が二月末に実施しました
全国世論調査によりますと、安倍内閣の支持率は、政権発足直後より四・七ポイント増となった一月の前回調査から、さらに六・一ポイント増の七二・八%となるなど異例の上昇ぶりであり、安倍総理が掲げる経済再生に対する国民の期待があらわれております。これらの政策の実施により、我が国経済の再生に道筋がつけられ、地域経済の活性化につながることを心から願うものであります。
一方、政府が今回、平成二十五年度
地方財政対策の決定に当たり、
地方公務員の給与を
国家公務員の
給与減額支給措置に準じて削減することを求めるとともに、それを反映して
地方交付税を削減したことは遺憾であると言わざるを得ません。
今回の措置は、現下の最大の使命である日本の再生に向けて、国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集する必要がある中、当面の対応策として平成二十五年度に限って緊急にお願いするものとされておりますが、もとより、
地方公務員の給与は地方が自主的に決定すべきものであり、地方の固有財源たる性格の
地方交付税を削減することにより実施した今回の措置は、極めて異例であることを指摘しておきたいと思います。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
初めに、行財政問題について伺います。
平成二十五年度当初予算についてであります。
平成二十五年度
政府予算案につきましては、
日本経済再生に向けて、
緊急経済対策に基づく平成二十四年度補正予算と一体的なものとし、来年三月まで切れ目なく経済を支える十五カ月予算として編成され、昨日、国会に提出、五月上旬に成立の見込みとされています。
また、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安全・地域活性化の三分野への予算の重点化とあわせて、歳出については、
一括交付金制度や
農業者戸別所得補償制度の廃止など新たな制度への移行、
地方公務員給与の削減などの見直しを行い、前年度比で
公共事業関係費が一五・六%、
社会保障関係費が一〇・四%の増などとなっており、一般会計の総額は、平成二十四年度当初予算から二・五%増の九十二兆六千百十五億円と過去最大となっております。
歳入では、税収は一・八%増の四十三兆九百六十億円、国債は三・一%減の四十二兆八千五百十億円となっており、新規国債が税収を上回る異常事態が四年ぶりに解消されております。
一方、
東日本大震災分を除いた通常収支分の
地方財政計画の規模は、平成二十四年度と比べて〇・一%増の八十一兆九千百億円で、
地方交付税等の
一般財源総額は〇・二%増の五十九兆七千五百二十六億円と、平成二十四年度と同水準が確保されております。
歳入では、地方税収は企業業績の回復で一・二%増の三十六兆三千六百四十五億円、
地方交付税の自治体への配分額は、
地方公務員給与費の臨時特例などで平成二十四年度と比べて二・二%、三千九百二十一億円減の十七兆六百二十四億円と、六年ぶりの減額となっております。
また、
地方交付税の不足を補うため自治体に発行を求める
臨時財政対策債は、一・三%増の六兆二千百三十二億円となっています。
なお、国と地方の借金を合計した
長期債務残高は、平成二十五年度末に九百七十七兆円程度に膨らむとの見通しが示され、平成二十四年度末より三十五兆円程度ふえ、過去最高を更新し、国内総生産比で二〇〇%を超え、先進国の中で最悪の水準となると予想されています。
県の平成二十五年度当初予算案につきましては、一般会計の総額で平成二十四年度当初予算額比〇・三%増の七千八百四十一億五百万円と五年連続のプラス予算となっているものの、国が要請する
地方公務員給与削減措置の反映による
地方交付税の減少等に伴い、三年ぶりに五十一億円の財源不足が生じるとされております。
なお、県では、平成二十四年度の政府の補正予算等と連携した経済・雇用対策として、三月補正予算と合わせて千三百二十六億円の経済・
雇用対策関係予算を、また、投資的経費につきましては二千四十九億円を計上されております。
知事は、第四回定例会で、「平成二十五年度の本県の予算編成に向けては、時代の変化に的確に対応しながら、百三十五項目の
マニフェストやかごしま将来ビジョンに基づき、全ての県民が郷土に夢と誇りを持ち、生涯を安心して過ごせるような『力みなぎる・かごしま』、『日本一のくらし先進県』の実現に向け、県政全般の施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えている」と答弁されました。
なお、鹿児島県では、例年、
政府予算案や
地方財政計画をもとに
予算編成作業を進められるところでありますが、平成二十五年度の
政府予算案は、当初予算としては十九年ぶりの越年編成となったこと、また、
地方交付税の総額などを決める
地方財政計画も同様に決定がおくれたことにより、県の平成二十五年度当初
予算編成作業もおくれ、本議会の開会も延期されるなど影響が出ました。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県税収入、
地方交付税の見積もりについてお示しいただきたいと思います。
第二点は、総務大臣から、
国家公務員の
給与減額措置を踏まえ、
地方公共団体においても必要な措置を講じるよう要請がありましたが、今後、本県はどのように対応していくおつもりか、お示しいただきたいと思います。
第三点は、予算編成に当たっての基本的な考え方と、平成二十五年度当初予算編成に当たって、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向け、県政の全般の施策に積極的に取り組むとされましたが、当初予算案に具体的にどのような施策が盛り込まれているのか、お示しください。
第四点は、平成二十五年度政府予算の編成がおくれたことが県の予算編成に与えた影響についてお示しいただきたいと思います。
次に、平成二十四年度の補正予算についてお伺いいたします。
日本経済再生に向けた
緊急経済対策等を実施するための国の財政支出など総額十三兆一千五十四億円の平成二十四年度
政府補正予算は、二月二十六日、参議院本会議で可決成立いたしました。
補正予算のうち
緊急経済対策を実行する経費は十兆二千八百十五億円で、復興・防災対策として三兆七千八百八十九億円、成長による富の創出に三兆一千三百七十三億円、暮らしの安心・地域活性化に三兆一千二十四億円などとなっております。
なお、補正予算では、その柱となる公共事業について、地方の資金調達に配慮し、経済対策の迅速かつ円滑な実施を図るため、
地域経済活性化・
雇用創出臨時交付金─地域の
元気臨時交付金─が盛り込まれました。
県の平成二十四年度三月
補正予算案は、一般会計で経済・雇用対策として、
日本経済再生に向けた
緊急経済対策に基づく政府の補正予算などに対応した公共事業や各種交付金などを活用した事業など六百五億七千八百万円を計上したほか、事業費の確定に伴う減額等を行うこととし、二百九十五億一千万円を計上しております。
そこでお尋ねいたします。
国の補正予算などに対応した県の三月補正予算における経済・
雇用対策関係予算の編成の考え方についてお示しいただきたいと思います。
次に、
錦江湾横断交通ネットワークについてお伺いいたします。
県では、平成二十一年度に基礎的調査、平成二十二年度に経済調査と
自然条件等調査を、平成二十三年度は
トンネル構造等調査を実施してまいりました。
知事は、昨年の第一回定例会で、錦江湾を横断する
交通ネットワークにつきまして、「平成二十四年度は、鹿児島─桜島間のトンネルにつきまして、国直轄事業を基本としつつ、
PFI事業等を導入した場合のスキームについて複数のフィナンシャルプランの策定等を行い、どのような条件のもとでこの事業が具体化し、円滑に事業を遂行できるのか、その可能性を最終的に検討してまいりたいと考えております」と答弁されました。また、「この事業が成立するためには、事業の採算性にあわせて、県民の総意としてこの
プロジェクトをどのように立ち上げるか、その機運をどういう形で醸成するかについて、関連する地域の方々はもとより、多くの方々が関連する形で、それが具体化される過程が必要なのではないかと考えております。県民の総意としてこの
プロジェクトを立ち上げることができるかどうかに最終的な判断がかかってくるのではないかと思う」と答弁されておられます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県は、トンネル案を前提として、
PFI等導入可能性調査を実施しておりますが、その考え方について改めてお伺いしたいと思います。
第二点は、今年度の
PFI等導入可能性調査の結果についてお示しいただきたいと思います。
第三点は、また、その調査結果を踏まえて今後どのように取り組んでいかれるのか、お示しください。
第四点は、今後、事業を進めるに当たり、関係自治体、特に鹿児島市との協議が鍵を握ると考えることから、県として積極的な連携を図っていくべきと考えておりますが、県の見解をお示しいただきたいと思います。
次に、
県民生活関係についてお伺いいたします。
初めに、
国民文化祭についてお伺いします。
平成二十七年度に本県で開催することとされている第三十回
国民文化祭につきましては、県の実行委員会に設置した企画委員会において、開会式や閉会式などの
総合フェスティバルを初め、
国民文化祭全体の基本的な構成や内容などについて協議が行われており、また、市町村が実施する
分野別フェスティバル等についても、県内全ての市町村から、民謡・民舞や文芸・美術展などの事業実施の意向が示されたと聞いております。
国民文化祭の開催に当たりましては、県民を初め、県内外に効果的な広報を積極的に展開し、県民総参加による
国民文化祭の実現に向けて機運を醸成することが重要であることから、県ではこれまで、第三十回
国民文化祭・かごしま二〇一五のホームページを開設するとともに、
県民文化フェスタや
県高校総合文化祭などさまざまな機会を捉えて広報を行ってきております。
また、県内の小・中・高校・大学生等を対象に募集したひっとべ!
かごしま国文祭の
大会愛称ロゴマークを去る一月に決定し、
愛称ロゴマークを活用したPRグッズやリーフレットの作成を初め、
千日前イベントを開催するなど、本県での開催を広く周知しております。
そこでお尋ねいたします。
国民文化祭の開催に向けた今後の取り組みについてお示しいただきたいと思います。
次に、第二次鹿児島
県男女共同参画基本計画について伺います。
県では、平成二十年三月に策定した
県男女共同参画基本計画が本年度末に終期を迎えることから、平成二十五年度からの新たな
基本計画策定の基礎資料とするため、
県民意識調査や現行計画の進捗状況についての中間評価を実施したところであります。これらの結果から、これまでの取り組みにもかかわらず、依然として固定的な性別による
役割分担意識が根強い状況にあることや、男女の地位の不平等感が存在しているほか、配偶者等からの暴力も依然として発生しているなどといった、
男女共同参画に係る課題が明らかになりました。
これらの結果を踏まえて作成された次期計画の素案について、昨年十一月に
パブリックコメントが実施され、本年三月には計画が決定されると聞いております。次期計画の着実な推進により、県民一人一人が
男女共同参画社会に関する理解を深めるとともに、社会のあらゆる分野に男女が対等な構成員としてともに参画することにより、
男女共同参画社会の実現を図っていくことが大切だと考えております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、
パブリックコメントの主な内容についてお示しください。
第二点は、次期計画を県民に周知するための取り組みについてお示しいただきたいと思います。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)行財政問題に関連いたしまして、国からの
給与削減要請を踏まえた対応についての御質問であります。
国におきましては、厳しい財政状況や
東日本大震災に対応する必要性に鑑みまして、一層の歳出の削減が不可欠であるといたしまして、
国家公務員の給与について、昨年四月から二年間、平均七・八%の削減が行われているところであります。
このような中で、平成二十五年度における
地方公務員の給与につきまして、国から、日本の再生に向けて喫緊の課題となっております防災・減災事業や、一層の地域経済の活性化に迅速かつ的確に対応する必要があり、また、消費増税につきまして国民の理解を得ていくために、まずは公務員が先頭に立って、さらなる行財政改革に取り組む姿勢を示すことが重要であるといたしまして、
国家公務員の
給与減額支給措置に準じて必要な措置を講ずるよう要請がなされるとともに、それを反映した
地方交付税の削減が図られたところであります。
もとより、
地方公務員の給与は、本来条例で自主的に決定されるべきものであり、今回の国の対応は極めて異例の措置であると考えておりますが、県としては、多額の財政赤字や財源不足額、債務残高を抱える国・地方を通じた現下の極めて厳しい財政状況を勘案いたしますと、今後、国の意向も踏まえ、一定の対応をせざるを得ないものと考えているところであります。
予算編成の基本的な考え方についての御質問がございました。
平成二十五年度当初予算案の編成に当たりましては、平成二十四年度三月補正予算と連携し、
行財政運営戦略を踏まえた行財政改革を着実に進めながら、経済や雇用の回復に努めつつ、明るい展望を持って着実に歩みを進め、県勢の発展を図る観点から、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向け、活力・改革・安心の予算としての編成を行ったところであります。
具体的には、国が最大かつ喫緊の課題としております経済の再生に呼応し、本県としても経済・雇用対策に積極的に取り組むこととし、投資的経費について、経済対策として四百五十二億円を計上した三月補正と合わせまして、前年度当初予算比で一二八・五%の伸びを確保したところであります。
また、
マニフェストに基づく各種施策に予算を重点配分することといたしまして、創業や新分野への進出、規模拡大を目指す
中小製造業者が行います経営計画の策定、研究開発、設備投資等に対する一貫した支援を新たに行いますほか、平成二十六年度中の完成に向けて、
農業開発総合センター大隅支場敷地内に農産物の
加工技術拠点施設の整備を進めますとともに、南大隅町や国と連携し、佐多岬とその周辺地域の整備を着実に進めることといたしております。
さらに、障害のある人もない人も共に生きる
鹿児島づくり条例─仮称─の制定に向けた取り組みや、現在の
高山高校敷地に県立初の
併設型中高一貫教育校を平成二十七年度に開校するために必要な準備、
鹿児島聾学校の移転整備や
高等特別支援学校の寄宿舎整備など
特別支援教育の充実、奄美群島の
世界自然遺産の登録に向けた取り組み、高
規格幹線道路の整備を初めとする社会資本の整備などを実施することといたしております。このほかにも、国の交付金に基づき設置した基金などを活用いたしまして、積極的な雇用機会の創出に取り組むなど、県政の各分野におけるさまざまな施策をきめ細かく丁寧に積み上げることができたものと考えております。
5 ◯総務部長(布袋嘉之君)県税収入、
地方交付税の見積もりについてでございます。
まず、平成二十五年度の県税収入につきましては、税制改正の影響や本県経済の動向、
地方財政対策における税収見込みなどを勘案して見積もったところであります。
税制改正により、県たばこ税の一部が市町村に移譲されることに伴い減収が見込まれる一方で、個人県民税が
年少扶養控除の廃止などの影響により増収の見込みとなるほか、
不動産取得税の大規模物件等の増や核燃料税の出力割の導入などにより、平成二十四年度当初に比べ一・一%増の一千二百二十一億二千五百万円を計上しております。
地方交付税については、平成二十五年度の
地方財政対策において、国が要請する
地方公務員給与減額措置の反映等により、
地方交付税が約四千億円の減となったことなどを踏まえ、
臨時財政対策債と合わせた実質的な
地方交付税として、平成二十四年度当初予算に比べ一・四%減の三千二百五十五億三千二百万円を計上しております。
国の予算編成のおくれが本県予算編成に与えた影響についてでございます。
本県の当初予算編成につきましては、例年、税制改正や
地方財政対策等に基づき、主な歳入である県税や
地方交付税等の見積もりを行うとともに、国の予算も踏まえて歳出予算の計上を行っております。衆議院議員総選挙の実施により、例年であれば十二月下旬になされる
地方財政対策の決定や
政府予算案の閣議決定が、本年度は一月下旬になるなど大幅なおくれとなったこと、加えて、国において過去最大規模の
補正予算案が一月十五日に閣議決定され、本県も三月補正予算において積極的な対応を行うこととしたことから当初予算との調整が必要となったことなどから、例年に比べて本県の平成二十五年度当初予算案の確定もおくれたところであります。
また、予算額の計上においても、
地方交付税について、総務省が示した推計手法が例年に比べて簡易なものになっていること、また、生活保護について、国において扶助基準の見直しを行うこととされておりますが、その詳細が不明であるため、現行制度を前提に計上していることなどの影響が生じているところであります。
三月補正予算における経済・雇用対策についてでございます。
平成二十四年度三月補正予算の編成に当たりましては、本県の厳しい経済・雇用状況を踏まえ、
日本経済再生に向けた
緊急経済対策に基づく国の補正予算などに積極的に対応することとし、産業・生活基盤の強化を図るための公共事業や各種交付金・補助金を活用した事業及び雇用創出、森林整備、
医療施設耐震化などのための基金への積み立てに要する経費など、六百五億円余りを計上したところであります。
国の補正予算に対応した公共事業等の県負担分の財源については、充当率一〇〇%の補正予算債が活用できるほか、地方負担額の八〇%相当分について、いわゆる地域の
元気臨時交付金が創設されるなど、地方の資金調達に配慮し、経済対策の迅速かつ円滑な実施を図ることとされたところであります。
このようなことから、公共事業について、
地域高規格道路や主要地方道の整備、大
規模畑地かんがい事業、鹿児島港新港区等の港湾整備のほか、ふれあい
スポーツランドの整備など、経済対策としては過去最大規模の四百二十二億円の事業費を確保することにより、工事の一層の進捗と事業効果の早期発現を図ることとしたところであります。
6
◯知事公室長(古川仲二君)
錦江湾横断交通ネットワークに関するお尋ねのうち、まず、今年度の
PFI等導入可能性調査において、トンネル案を前提としていることについてでございます。
錦江湾を横断する
交通ネットワークにつきましては、これまでの
可能性調査において、トンネル及び橋梁について、コスト、安全性、景観への影響など多方面からの比較検討を行ってまいりました。
トンネル、橋梁ともに、地質条件等によって工事費が増減する場合もございますが、特に橋梁につきましては、強風に対する構造上の安全性の確保や塩害による
腐食防止対策等のため、トンネルより整備費や維持補修費が多額になることが見込まれております。
また、橋梁は、観光資源になるとの意見がある一方で、雄大な桜島の景観に影響を与えるおそれがあるとともに、激しい降灰や強風に伴う通行規制など多くの課題があるものと考えております。
他方、トンネルについては、十分な地質調査を行うことにより、施工や構造上の安全性は確保できるものと考えられます。また、地下構造物でありますことから、強風や降灰等の影響を受ける可能性が低く、景観に与える影響も限定的であり、さらに、地震に追随するため、橋梁に比べてその影響が小さいなどの特色がございます。
このようなことを総合的に勘案し、
可能性調査の取りまとめにおきましては、構造はトンネルとすることが適当であるとしたところでございまして、本年度の調査におきましても、トンネル案を前提に検討を行ったところでございます。
次に、今年度の調査結果と今後の取り組みについてでございます。
今年度の調査におきましては、これまでの
可能性調査の結果を踏まえまして、PFI事業も含めた幅広い
事業スキームの検討及び県の財政負担の検証を行ったところでございます。調査の結果、
コスト縮減効果や県の財政負担を考慮いたしますと、国直轄事業または合併施行方式においてPFI手法を導入した場合に、県にとって相対的に優位であることが確認されたところでございます。
また、今後、検討を要する課題といたしまして、入念な地質調査等に基づく設計・施工や関係機関との協議・調整等が挙げられているところでございます。
平成二十五年度は、これらの課題を踏まえまして、まずは、これまでの調査結果を取りまとめて広く県民の皆様に周知を図りますとともに、鹿児島市を初めとする各関係機関との情報や意見の交換を行いながら、残された課題の整理等に取り組んでまいりたいと考えております。
7 ◯県民生活局長(平田武志君)平成二十七年度の第三十回
国民文化祭の開催に向けた今後の取り組みについてでございます。
国民文化祭につきましては、平成二十五年度は新たに、
総合フェスティバル、市町村事業、広報などの専門部会や市町村ごとに実行委員会を設置しまして、各事業ごとの具体的な開催要項や募集要項を定める事業別実施計画の策定に向けまして、検討・協議することとしております。
なお、市町村事業につきましては、四十三全ての市町村から事業実施の意向があり、その結果、事業数が全体で百を超えることになりましたことから、会期は一週間延長して十六日間としたところであります。
また、
国民文化祭の本県開催を県内外に広くPRするため、これまでの取り組みに加えまして、マスコットキャラクターの活用やイメージソングの作成など広報活動のさらなる充実・強化に努め、開催に向けた一層の機運の醸成を図ることとしております。
第二次
県男女共同参画基本計画の素案に係る
パブリックコメントについてでございます。
パブリックコメントでは、六十九の個人・団体から二百八件の意見が寄せられたところであります。主な意見としましては、子供のころからの
男女共同参画の理解を深めるための教育の充実、県、市町村における取り組みの強化、県や市町村、企業の管理職等への女性の登用促進、女性の就労継続に必要な雇用対策や子育て支援などでありました。このような意見や県
男女共同参画審議会での議論等も踏まえながら、計画を取りまとめたところでございます。
次期計画を県民に周知するための取り組みについてでございます。
計画につきましては、県のホームページなどに掲載しますとともに、地域振興局・支庁ごとに、県民を対象にした説明会や
男女共同参画の視点に立った地域づくりについての講演会、市町村や関係団体等を対象にした研修や意見交換を行うこととしております。
また、小・中学校等におきまして、子供たちや教職員、保護者等を対象にした参加型のセミナーを開催しますほか、企業経営者向けのセミナー等を開催することとしております。
県としましては、このような取り組みを進めることによりまして、広く県民の方々に計画の周知や
男女共同参画についての正しい理解の浸透を図ってまいります。
[
小園しげよし君登壇]
8
◯小園しげよし君 御答弁いただきました。
平成二十五年度当初予算及び平成二十四年度三月補正予算についてでありますが、厳しい財政状況の中で五年連続のプラス予算となり、
中小製造業者創業・新分野進出等支援事業や佐多岬観光整備事業、特別支援事業への取り組み、中高一貫教育校整備事業などの新たな取り組みに加え、経済・雇用対策についても当初・補正合わせて千三百億円を計上するなど、積極的な内容となっております。
錦江湾横断交通ネットワークについてでありますが、これまでの調査による本
プロジェクトの成立する条件に加え、今回の
PFI等導入可能性調査により、
事業スキームについての基本的な検討結果が示されました。今後、この大規模
プロジェクトの推進については、総合的な観点から判断されることとなりますが、私ども
自由民主党県議団では、錦江湾横断道路建設促進議員連盟におきまして、県内の各界の方々に御理解をいただきながら、計画実現に向けた機運醸成に努めているところであります。県におかれましても、ぜひとも次の段階に向けた積極的な取り組みを要望いたしたいと思います。
国民文化祭についてでありますが、本県の魅力を発信する絶好の機会として、ぜひとも県民総参加による鹿児島ならではの
国民文化祭の開催に向け、広く市町村を含めた機運の醸成を図るなどの積極的な取り組みを要望いたします。
第二次鹿児島県
男女共同参画計画についてでありますが、
県民意識調査や中間評価結果などの検証を踏まえ、さらに実効性のある次期計画の策定と県民への周知に取り組まれるよう要望いたします。
次に、産業経済関係についてであります。
初めに、TPP協定への対応についてお伺いいたします。
安倍総理は、TPP交渉参加問題について、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対する」とした公約を踏まえ、先月二十二日にオバマ大統領と日米首脳会談を行いました。「TPP協定交渉参加に際し、全ての関税撤廃が前提にはならない」とする共同声明を発表しました。
これを受け、安倍総理は、聖域なき関税撤廃の例外容認が確認されたとして自民党から交渉入り判断の一任を得たほか、党の外交・経済連携調査会も二十七日、国益確保を条件に事実上容認したと報道されました。
調査会は、TPPに関する決議として、農林水産品の米、麦、牛肉、乳製品、砂糖などは関税撤廃の例外とする。自動車については、排ガス規制などの基準を損なわないこと。国民皆保険につきましては、公的な医療給付範囲を維持、混合診療の全面解禁許さずとしたこと。食の安全につきましては、遺伝子組み換え食品の表示義務など安全・安心を損なわないこと。ISD条項は、国の主権を損なうような投資家保護条項は合意しないこと。金融サービスにつきましては、簡保・郵貯・共済などについて、我が国の特性を踏まえると決議を行いました。
しかしながら、これまでのTPP交渉の中で、自国産業を保護したいという思惑は各国に共通し、TPP交渉参加国の多くは「ほとんどの品目で関税を即時撤廃し、残りも段階的に撤廃する」との考え方を支持しており、国民の不安を増幅させております。
また、昨年十一月、県開発促進協議会では、「十分な国民的議論を行うことや、我が国の主張が反映されないような交渉には参加しないこと」などを政府等に対し、改めて要望したところであります。
今後は、国内の意見調整に加え、米国との事前協議の進展が鍵を握り、また、交渉参加に当たり、関係国からさまざまな要求が突きつけられてくると考えられ、動向を注視していく必要があると思います。
そこでお尋ねいたしますが、今後の鹿児島県の対応についてお示しいただきたいと思います。
次に、新規就農対策についてお伺いいたします。
これまで農業の主役だった昭和一桁世代の引退が加速化し、次代を担う若手農業者の確保・育成という課題はますます重みを増してきております。
このような中、青年・壮年である方が職業の候補として農業を考えること、また、定年退職を迎えた方が第二の人生のスタートとして農業・農村生活を考えることは少なくなく、農業人口の減少が続く中、新たに農業を始める新規就農者の動向が注目されております。
食料自給率向上の観点からも、地域農業の担い手となることが期待される意欲ある新規就農者をふやし、定着させることは待ったなしの課題であり、新規就農者の確保・定着に向けた手厚い支援が不可欠であります。農業の経験が全くない方が就農し、定着するには高いハードルがあります。せっかく就農しても、体力的にきつい、収入が少ない、土日も休めず自分の時間が持てない、農村の生活になじめないといった理由で短期間にやめてしまう方もおり、就農に当たっては、一定の経験を積み、基本的な技術や経営方法を身につけるとともに、農村のライフスタイルにもなじみ、自信を持って農業に取り組めるような対策が必要と考えております。
国においては、本年度、若手の新規就農者を毎年二万人定着させることを目標に、就農前の研修段階や経営の不安定な就農初期段階に給付金を給付する青年就農給付金制度を創設し、本県においてもその制度の活用が始まっております。
また、このような資金援助とあわせて、新規就農者が地域に定着していくためには、市町村や地域の理解と協力も必要であり、地域の話し合いを通じて市町村が作成する人・農地プランにおいて、地域の中心となり得る経営体として新規就農者を位置づけるなど、県内各地でプラン作成の取り組みが始まっているところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、次代の本県農業を担う新規就農者の確保状況についてお示しください。
第二点は、新規就農者の確保に向けた今後の取り組みについてお示しください。
次に、畜産の振興についてお伺いいたします。
現在、畜産経営におきましては、生産コストに占める飼料費の割合が高く、近年の配合飼料価格の高騰は畜産経営に多大な影響を及ぼしており、これからの畜産経営の安定のためには、畜産農家が安心して安定的に利用できる良質粗飼料の確保と飼料自給率の向上が求められております。
近年の米国における干ばつなどを原因とする穀物価格の高騰に加え、円安による輸入飼料原料価格の上昇が、飼料原料のほとんどを米国等に依存している日本の畜産経営を直撃しており、あわせて畜産物価格の相場も低迷していることから、急激な配合飼料価格高騰には現在の配合飼料価格安定制度で、また、高どまりした場合にはマルキン事業などの経営安定対策で対応されているところですが、今後、世界的な穀物需給が逼迫した場合、現在の飼料価格の高騰が長期的に継続する可能性があることから、引き続き県内の畜産農家の経営は厳しい状況にあります。
また、昨年十一月、中国大連市での口蹄疫発生により、現在、中国産稲わらの輸入が一時停止され、県内農家への影響が懸念されております。今後は、輸入飼料への依存体質から脱却して、自給飼料を有効活用した生産に転換していく必要があります。
そこで、自給飼料への転換のため、その利用におけるコストや設備投資が必要になることといった経営上の課題があることを踏まえ、中長期的な視点に立って、水田等地域資源の有効活用による自給飼料基盤の確立に向けて、飼料政策を展開することが重要と考えております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、配合飼料価格の動向についてお示しいただきたいと思います。
第二点は、飼料自給率向上に向けた取り組みについてお示しいただきたいと思います。
次に、経済・雇用対策についてお伺いいたします。
日本経済の現状は、これまでの円高や世界経済の停滞によって、足元はもとより、先行きも不透明で、デフレ脱却の糸口も見つからない中、生活の基盤である雇用の確保もままならない大変厳しい状況が続いております。
二月の月例経済報告では、経済対策の効果などを背景に景気回復へ向かうことが期待されるとする一方、海外景気の下振れが引き続き景気を下押しするリスクとなっており、雇用・所得環境の先行き等にも注意が必要であると指摘しております。
県内では、これまでの長引く円高などを背景に、大手製造業の工場撤退や縮小等が相次いでおり、離職者に対する雇用の受け皿は少なく、地域経済への影響ははかり知れないものがあります。
昨年十二月の有効求人倍率は〇・六六倍であり、前年同月から〇・〇二ポイント増と若干改善しておりますが、正社員求人の割合も低く、雇用情勢は依然として厳しい状況であります。
このような中、国は、厳しい雇用情勢を踏まえ、昨年十一月及び本年一月に閣議決定された
緊急経済対策により、雇用創出基金事業の実施期間を原則として二十五年度まで延長したところであります。
また、県は、二十五年度以降の雇用施策の基本的方向を示すため、相次ぐ工場閉鎖・縮小による離職者対策と若者雇用を重要課題とする雇用創出プラン二〇一三を策定しています。
現在、経済・雇用の問題は、県民生活の最重要課題であります。今後は、社会経済情勢の変化をしっかり見据えた上で、セーフティーネットとして早急に取り組むべき喫緊の課題と中長期的な課題の両面から、情勢の変化に対応した施策を講じていくことが重要と考えております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、撤退方針の表明や規模縮小した進出企業の離職者の状況と再就職支援についてお示しいただきたいと思います。
第二点は、雇用創出プラン二〇一三の概要と取り組みについてお示しください。
第三点は、国の緊急雇用基金による来年度の取り組みについてお示しください。
第四点は、基金事業における効果と、一時的ではない安定的な雇用に向けた取り組みについてお示しいただきたいと思います。
第五点は、若者の安定的な雇用に向けた研修や職業訓練などの継続的な取り組みについてお示しいただきたいと思います。
次に、中小企業の振興についてお伺いいたします。
中小企業を取り巻く環境は、円高などによる大手メーカーの海外進出や、デフレ下での内需縮小による売り上げの伸び悩みなど厳しい状況にあり、今後は電気料金の値上げや消費税増税などの負荷もかかり、ますます厳しい状況に追い込まれることになります。
さて、一年間延長されました中小企業金融円滑化法の期限が三月末に迫ってきております。この法律は、リーマンショック後の世界的な不況に中小企業を金融面から支援しようと始まった施策で、狙いは、金融機関が借入金の返済を猶予する間に中小企業の経営再生を促すことにありましたが、中小企業の経営環境が改善されないまま、この支援策は幕を閉じることになります。
円滑化法施行当初は、それなりの成果もあって中小企業の倒産も減りましたが、その後の円高などから業績不振となった大手企業は工場閉鎖などリストラを進め、下請などの中小企業はこうした波をもろにかぶり、経営不振に陥っている中小企業は多いと聞いております。
国は、円滑化法終了後も金融機関への監督、検査などを通じて、金融機関に対して借り手の条件変更や円滑な資金供給に努めるよう促していますが、不況克服の姿は見えず、消費税増税、エネルギーコストの上昇など経営環境の悪化は一段と進む見通しであり、さらに倒産件数がふえることが予想されております。今後も継続した金融支援や経営支援が必要と考えております。
議会では、昨年十月に、中小企業の振興を図るための基本となる中小企業の振興に関するかごしま県民条例を策定いたしました。県は、基本方針を踏まえ、中小企業の振興に関する施策についての毎年度の推進計画を策定し、実施するとされたところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、円滑化法終了による県内中小企業への影響についてお示しください。
第二点は、今後の中小企業金融対策や経営支援対策についてお示しください。
第三点は、中小企業の振興に関するかごしま県民条例に基づく来年度の中小企業振興の考え方と具体的取り組みについてお示しいただきたいと思います。
次に、水産業の振興についてお伺いいたします。
本県水産業の平成二十二年度の生産額は、約八百億円で全国四位、うち海面養殖業の生産額が約七割を占め、ブリ、カンパチ、クロマグロの養殖生産量がともに全国一位であります。しかしながら、本県の漁業を取り巻く情勢は、国内の魚価相場の低迷、燃油等の経営コストの上昇、漁業就業者の減少・高齢化など厳しい状況にあります。
水産物消費の動向は、魚介類と肉類の摂取量が平成十八年を境に逆転しており、三十から三十九歳の世代の魚の購入数量は六十歳以上の世代の約三分の一で、外食や調理食品の支出も増加し、水産物消費の外部化も進行しております。
また、平成二十三年の本県の水産物輸出は約三千六百トン、約四十五億円となっております。その約九割は北米への養殖ブリで、香港等を含めた東アジア向けはわずか五%であります。香港などへの輸出は、三年前から現地商談会にブリ・カンパチなどを出品し、徐々に伸びてきておりますが、まだ数量が少なく、今後も経済成長が見込まれている東アジアにおける販路拡大が課題であります。
また、世界で魚食と日本食が普及している現状の中で、一層の養殖ブリ・カンパチの刺身商材や、すしネタとしてのアピールを初め、本県産水産物の売り込みを図る対応も重要と考えております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、本県産水産物の販売・消費拡大の取り組みについてお示しください。
第二点は、本県産水産物の輸出促進の取り組みについてお示しください。
次に、観光の振興について伺います。
人口減少社会に突入した日本。人口の減少は、すなわち消費者の減少であり、内需の低下を意味し、観光は、その減った人口を交流人口で補う重要な意味を持っております。
このような状況を踏まえ、新幹線全線開業効果を持続させ、その効果を県内全域に広く波及させることが求められております。鹿児島を訪れた観光客は、まず鹿児島市を中心に観光することから、さらに各地域へ回遊性を高めるため、魅力ある観光地づくりなど観光基盤の整備や県内各地域の効果的な観光PRの取り組みが必要となります。
また、映画・テレビ等のロケ地は全国に向けた情報発信力が極めて高く、観光客誘致に効果があります。そこで、ロケ地の誘致にフィルムコミッションの果たすべき役割は大きいことから、その活動を支援し、鹿児島を舞台とした新たな映画やテレビドラマを制作しやすい環境を整えていき、本県の魅力発信の機会をふやすことが、本県の観光振興にとっても重要と考えます。
このような中、議会におきましては、昨年十月に観光振興について政策提言を行い、九州新幹線全線開業効果の県内全域への波及対策とフィルムコミッションへの支援等について取り組むよう求めたところでもあります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、九州新幹線全線開業後、三年目を迎える来年度の観光振興の取り組みについてお示しいただきたいと思います。
第二点は、フィルムコミッションへの支援とテレビドラマや映画等の誘致に向けた来年度の取り組みについてお示しいただきたいと思います。
以上で、二回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
9 ◯知事(伊藤祐一郎君)TPPの交渉参加に対する本県の対応についてのお尋ねがございました。
我が国がTPPに参加し、関税などの国境措置が撤廃された場合、国内の農業・農村のみならず、政府調達や医療制度を含む金融サービス等につきましても影響が懸念されますことから、これまで、県議会、関係団体と一体となり、情報や対応策をわかりやすく示した上で十分な国民的議論を行うことや、我が国の主張が反映されないような交渉には決して参加しないことを国に申し入れてきたところであります。
このような中、先般の日米首脳会談では、TPP交渉に参加する場合には全ての物品が交渉の対象とされ、包括的で高い水準の協定を達成していくことになること、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではなく、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることなどの共同声明が出されたところであります。
本県におきましては、サトウキビやでん粉用サツマイモ、牛肉などの農畜産物に係る関税が撤廃されますと地域経済が多大な影響を受けますことから、私としては、これらの農畜産物につきましては、従来どおり関税撤廃の例外品目として取り扱うべきであり、また、政府調達や医療制度を含む金融サービス等につきましても、我が国の主張が十分に反映される必要があると考えております。
今後とも、国内におけるさまざまな議論や国際交渉の協議の状況など、国の動向を十分に注視いたしますとともに、県議会の皆様や県選出の国会議員、関係団体の皆様とも連携いたしまして、本県として必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
中小企業の振興に関するかごしま県民条例に基づく施策についてのお尋ねであります。
本県の中小企業は、ものづくりの分野における重要な担い手として、また本県の基幹産業である農林水産業や環境産業を支える基盤として、さらには、地域雇用の受け皿になりますとともに、地域に密着した商品・サービスを提供することなどを通じまして、地域の経済・社会・雇用の各分野において大きな役割を果たしており、本県経済や社会の活力向上のためには、地域の経済や暮らしを支え、牽引する担い手である中小企業が発展、活躍することが重要であると考えております。
県としては、昨年十月に制定されました中小企業の振興に関するかごしま県民条例に掲げた十五項目の基本方針等を踏まえまして、中小企業の振興策に取り組むことといたしており、平成二十五年度は新たに、創業や新分野への進出、規模拡大を目指す
中小製造業者が行います経営計画の策定、研究開発、設備投資等に対する一貫した支援を行いますほか、県内
中小製造業者の新たな取引先の開拓支援などを行うことといたしております。
また、中小企業者が取り組みます経営革新や経営の合理化、資金繰りの円滑化や海外への展開などを支援いたしますとともに、農商工等連携など地域資源を生かした新産業の育成や、将来の県内中小企業の事業活動を担うべき人材の育成などにも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
10 ◯農政部長(中西 茂君)新規就農者につきましては、本県農業振興の中核となる認定農業者や農業法人等の担い手農家約一万戸を確保するため、毎年おおむね三百人を目指して取り組んできており、平成二十三年度の新規就農者は三百七名であり、平成十三年度以降、十一年連続で三百人台となっております。
現在、県におきましては、新規就農者を確保・育成するため、農業大学校での農業実践教育やかごしま営農塾、市町村農業公社等と連携した研修などに取り組むとともに、県内外での就農相談や、機械・施設整備の無利子資金の貸し付け、現地就農トレーナーによる助言指導などに取り組んでおります。
また、平成二十四年度には、国におきまして、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を目指して、青年就農給付金制度が新たに創設されたところでございますが、一月末時点で三百九十五人が申請または申請見込みとなっており、新規就農者の確保がさらに図られるものと考えております。
今後とも、これらの施策を積極的に活用し、就農準備から経営安定までの段階に応じた支援を通じまして、本県農業の将来を支える意欲ある新規就農者の確保・育成に努めてまいります。
自給飼料の確保対策についてでございます。
まず、配合飼料価格につきましては、主な原料であるトウモロコシの価格や海上運賃などの高騰により、平成二十年度第三・四半期に最高値となり、その後、一旦値下がりしたものの、昨年夏の米国における歴史的な干ばつの影響や最近の急激な円安に伴い、平成二十四年度第四・四半期はトン当たり六万三千二百五十円となっており、平成二十年の最高値に近づいている状況にございます。
このような中、飼料価格の変動のリスクや口蹄疫などの侵入を回避する観点から、自給飼料の生産・利用の拡大は極めて重要な課題と捉えております。このため、県といたしましては、県酪農・肉用牛生産近代化計画に基づき、水田を活用した飼料用稲や飼料用米の生産・利用拡大、焼酎かすやでん粉かす等の低・未利用資源の有効活用、飼料畑の造成などに取り組んでいるところであり、中でも、飼料用稲や飼料用米の作付面積につきましては、平成二十四年は約千八百ヘクタールとなっており、平成二十一年と比べまして約六倍に拡大しております。
また、肉用牛経営におきましては、担い手の高齢化や規模拡大の進展に伴い、自給飼料の確保が困難な状況も見受けられますことから、コントラクター組織の育成など飼料生産の外部化を推進しているところであり、今後とも、これらの取り組みを一層推進し、自給飼料基盤に立脚した畜産経営の安定に努めてまいりたいと考えております。
11 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)撤退方針等を表明した進出企業の離職者の状況についてでございます。
県内誘致企業の撤退・縮小の動きを受けまして、県では、地元市町などと連携し、従業員からの相談に応じますとともに、県内企業の受け入れ情報を提供するなどの再就職支援に努めているところでございまして、本年一月末現在で、パナソニック日置工場、アルバック九州及びヤマハ鹿児島の早期退職者約五百名のうち、二百五十八名の再就職が決定したところでございます。
一方では、勤務地や給与等の条件が合わず再就職に至らないケースも見受けられますことから、二月に県庁講堂において緊急就職面談会を開催いたしますとともに、企業への派遣研修により、研修先での常用雇用を目指す離職者等緊急雇用支援事業を実施するなどの支援に取り組んでいるところでございます。
今後とも、関係市町やハローワークと連携を図りながら、再就職支援に取り組んでまいります。
雇用創出プラン二〇一三についてでございますが、今回のこのプランにおきましては、現行プランの基本的方向である雇用の創出、支援、改善、維持の視点を踏まえた上で、新たな課題であります、相次ぐ工場の閉鎖・縮小や正規・非正規雇用の格差の顕在化、若年者の失業率の悪化などに対応いたしますため、今後の雇用施策の方向性と具体的雇用対策を示してございます。
特に、雇用の支援につきましては、若年、働き盛り、高齢の各世代ごとに課題を分析し、施策の方向性を示しておりますほか、雇用の維持のため、中小企業対策の強化や立地企業のフォローアップなどに取り組むことといたしております。
なお、プランの計画期間につきましては平成二十五年度からの四年間とし、数値目標として、新規高卒予定者の県内求人倍率一・〇以上と、新規雇用創出二万四千人に加え、新たに、かごしま子育て応援企業の登録数三百五十社と、離転職者等職業委託訓練の就職率八〇%を追加しているところでございます。
緊急雇用創出基金についてでございますが、今回、全国枠で千八百億円の基金の積み増しが行われ、事業の実施期間が原則として平成二十五年度まで延長されたところでございます。平成二十五年度は、地域に根差した事業や成長が見込まれる分野での雇用・就業機会の創出を目指すこととしておりまして、引き続き介護、子育て支援分野の事業に取り組みますとともに、新たに、
中小製造業者の取引先の開拓支援やキャラクターを使った誘客促進プロモーションなどを実施することといたしております。これらによりまして、県事業で約千四百人、市町村事業で約千百人、合計で約二千五百人の新規雇用を見込んでおります。
雇用創出基金事業の効果等についてでございますが、今年度までに二千六百九十一の事業を実施し、延べ約二万八百人の新規雇用が見込まれているところでございます。平成二十五年度は、国の経済対策を受けまして、起業支援型地域雇用創造事業を実施することといたしておりまして、短期的な雇用の創出だけではなく、地域に根差した雇用継続が期待できる事業を実施し、新規に雇用された方の事業終了後の就労状況を調査することとされております。
また、この事業におきましては、委託先が事業終了後も新規雇用者を正規労働者として継続雇用する場合に、一人当たり三十万円の一時金を支給することとしておりまして、この一時金も有効活用しながら、継続雇用に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
若者の安定的な雇用についてでございますが、県といたしましては、若者就職サポートセンターにおきまして、若者の就労意欲やコミュニケーション能力を高めるための各種の就職支援セミナーや、職業選択や職業訓練などを効果的に行うためのキャリアコンサルティング、新規雇用者の職場定着支援講座の開催などに取り組んでいるところでございます。
また、県立高等技術専門校におきましては、企業のニーズに対応した職業訓練を実施いたしますとともに、民間教育訓練機関を活用して、雇用の増加が見込まれる介護・福祉、情報通信分野などの職業訓練を拡充してきておりまして、特に、若年者を対象としては、座学と企業実習を組み合わせた実践的な訓練を実施しているところでございます。
今後とも、国と連携を図りながら、若者の安定的な雇用の確保が図られるよう推進してまいります。
中小企業金融円滑化法終了による県内中小企業への影響についてでございます。
この法律が施行されてから平成二十四年九月末までの同法に基づく県内中小企業者の返済猶予や返済期間の延長などの貸し付け条件の変更は、件数で約一万八千件、金額で約六千五百億円で、貸し付け条件変更の申し込みに対する金融機関の実行率は九割を超えておりまして、県内中小企業の経営改善や倒産の減少に一定の効果があったものと考えております。
国におきましては、中小企業金融円滑化法の期限到来後も引き続き金融機関に対して、貸し付け条件の変更や円滑な資金供給に努めるとともに、借り手の経営課題に応じた解決策を提案し、十分な時間をかけて支援するよう促すとの方針を示し、貸し渋りや貸し剥がし等が生じないよう金融機関に対する検査・監督を行うことといたしております。
今後の中小企業金融対策や経営支援対策についてでございます。
金融円滑化法の期限到来を踏まえまして、県といたしましては、県中小企業融資制度におきまして三百五十億円の融資枠を確保するなど、県内中小企業の円滑な資金繰りを支援することといたしております。また、資金繰り支援とあわせ、中小企業の経営改善、事業再生等の支援を実効あるものといたしますため、国、県、金融機関、商工団体などから成る、かごしま中小企業再生支援ネットワークを昨年九月に設立いたしましたほか、中小企業者の経営改善計画作成に係る相談等に対応いたしますため、新たに、鹿児島商工会議所及び県商工会連合会に経営改善アドバイザーを設置するなど、経営支援を行うことといたしております。
県といたしましては、引き続き、金融機関や商工団体などと連携し、県内中小企業の資金繰りの支援や経営支援に努めてまいります。
本県産水産物の販売・消費拡大の取り組みについてでございます。
消費人口の減少や魚離れの進行などによりまして水産物の消費が減少する中、魚価が低迷する一方、消費動向は、生鮮から加工・調理食品、外食にシフトしてきております。このようなことから、県では、ファストフィッシュなど消費者のニーズに対応した付加価値の高い水産加工品の開発や販路開拓等を支援しているところでありまして、また、外食産業とのタイアップキャンペーンや量販店フェアにおけるレシピの配布など、簡便でおいしい食べ方の提案などを実施しているところでございます。
平成二十五年度におきましても、県漁連等関係団体と一体となって、引き続き流通業者や量販店、外食産業等との連携を一層深めながら、本県産水産物の県内外での販売・消費拡大に取り組んでまいります。
本県産水産物の輸出促進の取り組みについてでございます。
本県産水産物につきましては、養殖ブリなどがアメリカを筆頭に香港、台湾などへ輸出されておりまして、海外における健康志向の高まりや日本食の普及などから、本県産水産物への需要はさらに高まるものと考えております。県では、これまで、香港やシンガポール、台湾等、経済成長著しいアジア地域におきまして、国際見本市への出展や商談会への参加、現地調査等を通じて、本県産ブリ・カンパチなどのPR及び輸出促進に取り組んできているところでございます。加えて、HACCPの導入など輸出相手国の衛生基準に合致した加工施設の整備支援等を実施しております。
今後とも、県漁連等関係団体と一体となって、本県産水産物の輸出促進に積極的に取り組んでまいります。
12 ◯観光交流局長(福壽 浩君)平成二十五年度の観光振興の取り組みについてでございます。
県の観光動向調査によりますと、本県への宿泊旅行者は、大幅に増加いたしました新幹線開業後に比べまして、昨年の六月から伸び率は減少し、平準化傾向にございますけれども、平成二十四年の一年間では対前年比三・一%の増となっておりまして、開業前よりも高い水準が維持されているところでございます。
ことしの国内旅行につきましては、首都圏への増加のほか、大河ドラマの舞台であります会津地方が注目されるなどの見通しを大手の旅行社が示している中、本県では、ことし五月から新幹線の専用車両を使った修学旅行の増加が見込まれております。
来年度は、新幹線や観光列車などの鉄道インフラを生かしたJRグループとのキャンペーンの実施に加えまして、県内市町村や観光団体等と連携し、明治維新百五十周年を見据えた広報宣伝、観光かごしま大キャンペーン推進事業の展開、セールス活動の強化、着地型観光の推進などを進め、本県の観光振興に取り組んでまいります。
フィルムコミッション等についてでございます。
話題性のありますテレビドラマや映画等は情報発信力が強く、誘客効果もありますことから、これまで、関係市町村や関係団体等と連携しながら、ロケの際に撮影協力等を行ってきております。こうした撮影協力やロケ地情報の提供を行いますフィルムコミッション活動を支援する経費を平成二十五年度の県当初予算に計上しております。
また、これまで、県、県議会、観光誘致促進協議会など関係者が一体となって、例えば島津義弘公の大河ドラマ化などに向けて誘致活動などを展開してきておりまして、引き続き、映像コンテンツの制作者や企画者に対して、本県が有します歴史的資源や豊かな自然・風土などの情報発信に努めますとともに、取材やロケの支援等に取り組み、本県の観光振興につながりますようなテレビドラマや映画の誘致を図ってまいりたいと考えております。
13
◯小園しげよし君 TPPについてお伺いしたいと思います。
私どもの地区でここ二週間ほどの間に、区民祭、農民祭が開かれた地区がございます。そこの地区は、県の農政部やあるいは共生・協働のほうから表彰をいただいたりしまして、とても熱心に自分たちが一生懸命つくった農産物を会場に並べて、それに金賞、銀賞、銅賞とつけて、お互いに励まし合いながら、模範にしながら頑張ってくださっている地域でもあります。
実は、TPPの問題は、ここ数週間の間に目まぐるしくいろいろ変わってまいりまして、私ども自民党県議団としても、それぞれの議員の皆様方がいろんなことを考えながら、今回の一般質問等をされてこられるのではないかなと思っております。
TPPの問題について話をするときに、「韓国を見ればこれからの日本のTPPの行方がわかる」という話が出てくるんですけれども、韓国では今、ISD条項によりまして投資ファンドの会社が国を訴える。TPPではこれは当たり前のことだそうでして、アメリカの投資ファンド、ローンスターという会社ですけれども、国際投資紛争解決センターに数千億円の損害賠償を提訴しているということでございます。二〇一〇年までに四百件ほど発動しているということでございますので、一企業から国が訴えられて、そのことをいろいろと処理していく作業は大変なことだと思っておりますし、また、韓国では、アメリカより自動車の排ガス規制が厳しいから輸出ができないんだといったことで訴えられているとも聞いております。
それで、昨晩ニュースを見ておりましたら、自動車に関しては日本は関税はゼロだそうでして、アメリカのほうが関税を取っているということでありますので、そういう面からすると、日本人というのは正直といいますか、「卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ」と会津藩「什の掟」で言ったりしますから、そういう教えの中で、まじめにまじめに頑張っている方がたくさんたくさんいらっしゃるということを感じておりますし、そういうことを聞きますと、やはりそれはアメリカ人と日本人との民族性の違いもあるのではないかなと感じています。
そこで、一番大事なことは、私どもは鹿児島県の農業、農業だけではなく食の安全もそうですし、医療のほうもそうですけれども、特に県の農政部で約五千七百億円、農産品への被害があるという試算も出されているところでございます。これから相当な要請・要望を国に対して、あるいは私どもは自民党の本部に対していろいろと言っていかなければならないと思っておりますが、そういう中で、やはり今のような組織体制だけではちょっと足りないのではないかなと感じております。
そういう中で、これから県の農政部を中心にどういったような体制をしかれていかれるおつもりなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
それから二点目に、商工労働水産部長に、わかっている範囲で結構ですのでお伺いしたいんですが、アルバックとかパナソニックとかNECとか富士通とか閉鎖されました。閉鎖された企業に勤めていた若者たちが今、コンビニで働いているとか、あるいはトマトをつくる農業をやっているとか、そういう報道を聞いて、ああ頑張ってくれているんだなと、家族を養うために一生懸命なんだなと感じたんですけれども、その後、あそこを退職した皆さん方がどういう生活をされておられるのかというのがとても気になるところでございまして、事前にもうちょっと詳しく言っておけばよかったんですが、わかっている範囲で結構ですのでお答えいただければと思います。
それから三点目に、観光の振興についてお伺いしたいと思います。
私どもも、県議会観光振興議員連盟、全議員五十一名入っておりまして、宮崎や熊本、鹿児島、三県の県議会の皆さん方といろんな視察等を兼ねたりしながら、観光でこの鹿児島県を訪れてくれる方がもっともっとふえてくれるようにということで、実はいろんな取り組みをさせていただいております。
そういう中で、よく聞くのは、鹿児島県で日本一、桜の花が早く咲くことに、北海道や東北から来た皆さんがびっくりされる。まだ雪一面なのに緑がある、花が咲いている。そういった話をよく聞きます。面的な整備をしますとお金がかかるわけですけれども、桜とか、先ほど私はモクレンの花や梅の花のことも言いましたけれども、そういったことを鹿児島を訪れてくれる方にPRしなきゃいけません。いろんな観光施策やらなきゃいけないと思っております。そういった鹿児島県の観光地としての地理的な優位性の中で、鹿児島に来て感動して、そして風景を見る、あるいは花を見る。一月に桜の花が咲いている、カンヒザクラが咲いている。そういうのを見て感動して帰られることが多いということを、後で観光客の方からお聞きすることが多いんですけれども、そういった方向性はそんなにお金がかかることではないのではないかと思います。そういったまちづくりをするために、鹿児島県のどこの地区からでもいいので、地域住民の皆さん方を巻き込んで、NPOさんなどが中心になってそういうことをすべきではないかと思っております。その積み重ねをすることによって成功したのが熊本の黒川です。観光資源として観光交流局のほうでそこら辺のところについてはどんなふうに考えておられますか。
この三点をお伺いいたします。
14 ◯農政部長(中西 茂君)TPPに関しての組織体制のお話であったと思います。
TPPにつきましては、農業・農村のみならず幅広い分野、あるいは雇用などへの大きな影響が懸念されますことから、県におきましては、庁内に部局横断的な体制を整備いたしまして、情報の収集・共有あるいは国への働きかけ、団体との連絡調整を一体となって進めてきたところでございます。また、農政部に担当職員を二名配置しまして、国との連絡調整でありますとか取りまとめ作業などを行っているところでございます。
TPPにつきましては、交渉に向けまして動きが活発化し、またその動向も極めて流動的でありますことから、引き続き、国の動きに的確に対応できるよう全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
15 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)撤退・縮小等により離職を余儀なくされた方々の就職の状況ということでございます。
いろいろな相談の内容などを見ますと、やはり地元で就職したいという希望が非常に強うございまして、先ほど申し上げましたパナソニック、アルバック、ヤマハの約五百名のうち、二百五十八名が既に再就職しておられますが、多くの方が地元で就職先を見つけられたものと思っております。具体の数字を現在、把握はいたしておりませんけれども、そのように考えておりまして、残りの方々も現在、雇用保険などを受けながら就職活動をしておられると考えております。
16 ◯観光交流局長(福壽 浩君)花々を生かした観光振興ということでございますけれども、私どもは、観光立県かごしま県民条例に基づきます観光振興の基本方針に従いまして、施策を展開しているわけでございますけれども、その中におきまして、四季折々の多種多様な花を観光資源として、花との触れ合いによって旅行をさらに意義深いものとする観光ということ、これを促進するということが掲げられているわけでございまして、御案内のように、県内各地におきましては、菜の花、それから桜、梅ですね、こういった花々を生かした景観づくりが進められておりますし、また、あわせまして、開花時等に例えばマラソンでありますとかウオーキングでありますとかそういうイベント等が開催されまして、誘客効果もあるところでございますので、そうした花々を生かした景観づくりの取り組みを進め、本県の観光振興に生かしていきたいと考えております。
[
小園しげよし君登壇]
17
◯小園しげよし君 御答弁ありがとうございました。
商工労働水産部長、済みませんでした。一生懸命、一生懸命、課の皆さん方が頑張っておられることはよく理解しているつもりでございますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
TPPの御答弁もいただきました。
この議場にいらっしゃる執行部の皆さん方も同じ気持ちを共有しているのではないかなと思っております。
昨日の地元紙に「鹿児島県知事 参加やむなし」という表題がついておりました。参加するのは仕方がないと受けとめられますけれども、伊藤知事さんは実はそうじゃないのではないかなと、私どもと同じような気持ちでTPPの交渉をずっと見ておられるのではないかなと思っております。
この問題は、鹿児島県をどう守っていくのか、鹿児島県の産業・雇用をこれからどう発展させていくのか、農政部の政策と方向性が違う形にならないように最大限の努力を私ども県議会もしていかなければならないと思っておりますし、執行部の皆さん方にもそれなりの御努力、組織的な対応もしていただかなければいけないと思っておりますので、どうか国に対しましては、鹿児島県の置かれている立場をしっかりと要請していかれますようにお願いしたいと思います。
新規就農対策につきましては、平成十三年度以降十一年連続で三百人台を維持し、新規参入者も相当数確保できていることは、県内外での就農相談や、働きながら学べるかごしま営農塾の開催を初め、初期資金の貸し付け、経営改善支援など、きめ細やかな支援策のたまものであります。今後とも、本県の農業を担う新規就農者の確保と定着のために可能な限りの支援策の充実に努めていただくよう強く要請いたします。
畜産の振興でありますけれども、このところの円高の修正傾向は、輸出産業や観光業には追い風となる一方で、輸入穀物を原料とする飼料価格の高騰により、畜産農家の経営には大きな圧迫要因となります。また、世界の穀物需給に大きく左右されることからも、輸入飼料への依存を減らし、自給飼料への転換のための基盤確立に向け、県の積極的な取り組みをお願いいたします。
経済・雇用対策でありますが、鹿児島労働局によりますと、昨年十二月時点で、有効求職者のうち四十五歳以上が三カ月連続で前年同月を上回っており、雇用のミスマッチや中高年層の苦戦が続き、依然厳しい雇用情勢としております。今月から県では、離職者や若者らを緊急雇用する支援事業を始めておりますが、長期的で安定的な雇用につながる支援対策の充実に努めていただくよう要望いたします。
中小企業の振興についてでありますが、民間の調査によりますと、昨年の九州・沖縄での倒産は前年度比七・五%増の八百三件だったとのことであります。金融円滑化法が三月に終了するのを前に、多くの中小企業が再び苦境に陥るおそれがあります中小企業の振興に関するかごしま県民条例、及び県民条例の制定に伴い議会として要望した具体的事項について、積極的に施策に反映されるよう強く要請いたします。
水産の振興につきましては、魚価の低迷や生産コストの高騰による漁業者の厳しい経営環境は近年、恒常的なものとなっております。知事の
マニフェストでも、消費者や市場ニーズに対応した水産物の供給や商品づくり、低コスト化による経営安定を掲げており、昨秋から、消費拡大を図るための緊急販売対策に取り組んでおりますが、さらに、本腰を入れた魚価対策や経営安定対策、並びに輸出促進に受けた強力な取り組みを要請するところであります。
観光の振興についてでありますが、十二月の県観光動向調査によりますと、宿泊客数は七カ月連続で前年割れとなったものの、これは好調だった昨年の反動であり、大隅・奄美地区などでは増加したとのことです。
また、県観光連盟によりますと、関西からの新幹線による修学旅行は、来年度は本年度に比べ九校ふえて三十四校が見込まれるとのことであり、新幹線開業効果の持続に向けた取り組みが効果を上げております。さらなる対策の強化に加え、フィルムコミッションへの支援やテレビドラマ・映画等の誘致、景観づくりなど官民挙げた積極的な取り組みを強く要望するものであります。
次に、教育関係についてお伺いいたします。
まず、防災教育の推進についてお伺いいたします。
東日本大震災を教訓に県内各学校におきましては、地震、津波、火災等の災害に対応した避難訓練が行われており、来年一月に、大正三年の大規模噴火から百年を迎える桜島においても、避難訓練のほか、昭和噴火を体験した地元住民や専門家を招いた防災教室などが開かれるなど、さまざまな取り組みがなされております。
また、県教委では、教職員や児童生徒等の防災に対する意識の向上を図り、安全を確保するため、
東日本大震災の教訓を踏まえた防災に関する指導方法等の開発・普及等のための支援事業を実施するとともに、地域の防災関係機関との連携体制を構築・強化することとしております。
今年度の防災教育モデル実践事業では、南海トラフ地震が発生した場合の津波災害を想定した志布志市内の小・中・高校各一校と、平成二十三年一月に活動が活発化した新燃岳の火山災害を想定した霧島市内の小・中・高校各一校をモデル校に指定し、実施してきております。
議会においても、昨年十一月の文教警察委員会行政視察におきまして、モデル校である霧島市立大田小学校を訪れ、被害の状況やモデル校としての熱心な取り組み状況について視察させていただいたところであります。
これまでも県内各学校におきましては、児童生徒の発達の段階、地域やそれぞれの学校の実情・特性等に応じた防災教育が行われておりますが、この防災教育モデル実践事業の成果をほかの学校へ波及させ、児童生徒がみずから判断し、臨機応変な行動がとれるよう、防災教育をさらに推進させる必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、平成二十四年度防災教育モデル実践事業の実施状況及びその成果についてお示しください。
第二点は、事業成果の他校への波及の取り組み及び平成二十五年度事業内容についてお示しください。
次に、コミュニティ・スクールについてお伺いいたします。
新聞報道によりますと、南さつま市の小中一貫校坊津学園が、ことし四月から鹿児島県初のコミュニティ・スクールとしてスタートするとのことであります。
コミュニティ・スクールとは、教育委員会から任命された地域住民や保護者、有識者などで構成された学校運営協議会が設置された学校のことでありますが、学校運営協議会は、校長が作成する学校運営の基本的な方針を承認したり、学校運営に関して教育委員会や校長に意見を述べたりするなど、一定の権限と責任を持つものとされております。文部科学省によりますと、全国で統廃合した学校で導入するケースがふえているとのことであります。
坊津学園は、平成二十二年に南さつま市坊津町内の小学校四校と中学校二校が統合し、小中一貫校となりましたが、校区が広がったため、住民とのかかわりを強めるのが狙いとのことであります。ことし一月に完成した新校舎には、地域に開放する施設も設け、統廃合が進む学校のあり方のモデルとして注目されております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、コミュニティ・スクールとして運営する利点についてお示しください。
第二点は、これまで本県で導入がなかったわけでありますが、その理由及び今後の導入見込みについてお示しください。
次に、家庭教育支援について伺います。
自由民主党は、政権公約で、危機的状況に陥った我が国の教育を立て直す教育再生を実行し、家庭などでの子育て支援を充実させるとしております。
一月には安倍首相を本部長とする教育再生実行会議が発足し、いじめ対策などが議論されておりますが、安倍首相におかれては、第一次内閣で改正教育基本法を成立させ、我が国と郷土を愛する態度を養うことなどを義務教育の目標とした改正学校教育法を成立させるなど、教育政策について強い意欲を持っておられます。改正された教育基本法には、保護者が子供の教育について第一義的責任を有することや、国や
地方公共団体が家庭教育の支援に努めるべきことなどが新たに規定されております。
教育基本法に規定する、子供の心身の調和のとれた発達を図るためには、発達段階に応じたかかわり方についての学習が必要であり、県は、保護者に対する学習の機会や情報の提供などに努めなければなりませんが、学習機会があっても時間的にゆとりがないなどの理由で参加できない保護者も多く、早急な対策が求められている状況にあります。
これについては全国的に、学習プログラムなどを作成し、積極的に取り組んでいる県も多く、埼玉県では親の学習として、子育て中の親を対象とした親が親として育ち、力をつけるための学習と、近い将来親となる中学生や高校生を対象とした親になるための学習に積極的に取り組んでおられます。
また、熊本県では、保護者が集まるさまざまな機会に活用できる「親の学び」プログラムを作成し、その普及に力を入れておられ、さらに、熊本県議会におかれては、昨年十二月に全国に先駆けて、議員提案によるくまもと家庭教育支援条例を制定し、家庭や各分野の役割や責務などを明らかにして、県民皆で家庭教育を支えることとしておられます。
我が会派におきましても、保護者、学校、地域、行政などの役割などを明確にし、県全体で計画的に家庭教育の支援に取り組んでいくことが重要であると考え、趣旨に賛同される会派と、議員提案による家庭教育支援条例の策定について検討を重ねているところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、家庭教育における県教委、保護者、学校、地域、それぞれの役割をどのように考えるか、お示しください。
第二点は、全国的に家庭教育の充実が図られる中で、県教委としてどのように取り組んでいくか。また、くまもと家庭教育支援条例の内容についてどのように考えておられるか、お示しください。
次に、大隅地域の公立高校のあり方についてお伺いいたします。
大隅地域の公立高校のあり方につきましては、在り方検討委員会のとりまとめを踏まえて、順次、具体化が進められております。
まず、有明高校については、来年度から生徒募集を停止し、串良商業高校に統合することとしており、跡地につきましてはスポーツ合宿の拠点となる施設の整備が検討されております。
また、南大隅高校につきましては、来年度から学科再編を行い、自転車競技を教育課程に取り入れるなど学校の活性化を図るとされております。
そして、高山高校につきましては、県立初の併設型中高一貫教育の導入に向け、有識者から意見を聴取するとともに先進事例の調査を行うなど、平成二十七年四月の開校に向け検討が進められており、学校の基本となる考えを年度内に取りまとめたいとされておりました。
また、財部、末吉、岩川の曽於市内三高校につきましては、できるだけ早い時期に三校を統合し、魅力ある高校をつくることが、曽於市全域の高校教育の維持・発展にとって必要であるとして、平成二十六年度の新設校の開校を目指して地元と協議を行い、今年二月までに、設置場所、開校時期等について関係者の理解を得たいとされておりました。
そこでお尋ねいたします。
併設型中高一貫教育校及び曽於市内三校統合の具体的内容及び今後のスケジュールについてお示しください。
次に、警察関係についてお伺いいたします。
初めに、地域警察の体制強化に向けた再編整備実施計画について伺います。
県警では、交番・駐在所の統廃合などの方法により、地域警察の体制強化を図るための再編整備を行うこととし、昨年二月、鹿児島県警察における地域警察の体制強化に向けた再編整備実施計画を策定して再編整備を実施し、計画の終了は平成三十一年三月を目標としております。
再編整備の実施に当たりましては、各年度ごと、順次実施に向けた具体的対応をとることとしておりますが、積極的な広報等により確実な周知に努めるほか、交番・駐在所の廃止に伴う地域住民の不安解消のための施策の推進により、再編整備の円滑な推進に努めるとしております。
また、これまでの地域住民等に対する説明により、十分な賛同等を得られたと言えない状況にあると判断された県下五地域については、再編整備の実施に向けた継続検討案件として、引き続き、住民不安解消のための各種方策を粘り強く説明するなどして対話を重ね、地域住民の納得が得られるよう努力するとしておりました。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、再編整備実施計画の継続検討結果についてお示しください。
第二点は、住民の不安を解消するための方策についてお示しください。
次に、サイバー犯罪から県民を守るための対策の強化についてお伺いいたします。
国内のインターネット利用者は九千四百万人を超え、インターネット等の情報技術を利用したサイバー空間は、単なる情報通信インフラではなく、国民の日常生活を支え、社会経済の活性化を図る重要な公共空間となっております。それと同時に、情報技術を利用したサイバー犯罪はますます多種多様化しており、県民をサイバー犯罪の被害から守るべく、サイバー空間の安全と秩序の維持が喫緊の課題となっております。
このような現状を踏まえ、県警では新「あんしん・かごしま」創造プログラムにサイバー空間の安全確保を掲げ、サイバー犯罪の取り締まりを強化しているところでもあります。しかしながら、サイバー空間における違法・有害情報の氾濫や、新たな手口の事件は後を絶たない状況であり、依然として県民にとって身近な脅威であることから、広報啓発活動をさらに推進し、その被害防止に努める必要があります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県内におけるサイバー犯罪の現状についてお示しください。
第二点は、サイバー犯罪への対応状況についてお示しください。
次に、不祥事案の防止に向けた取り組みについてお伺いいたします。
県警は、二月十四日、県警察学校長補佐を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕しております。職員は、県警察学校の会計責任者であり、旅費と警察学校の給食委託料名目でうその記録を作成し、県の会計口座から自分名義の預金口座に公金を振り込ませた疑いであります。また、前任の所属でも同様の手口で公金をだまし取っていた疑いもあるとのことであります。
昨年第三回定例会における我が党の代表質問において、職員の綱紀保持等への取り組みについて、県警本部長は、再発防止のため、職務倫理教養等の徹底について緊急の通達を発出したほか、所属での職務倫理教養や個別面接、副署長等を対象にしたブロック別研修会等を実施したところであり、問題点を常に検討し、効果の上がる施策を着実に推進してまいりたい旨の答弁をされておられます。
また、県警は、報償費を不正受給したとして、昨年九月に徳之島警察署職員を懲戒処分したことを受け、公金の適正な管理・運用の指導を徹底し、再発防止に努めたいとしておりましたが、このような事件が発生したことにより、県民の信頼を大きく損ねることとなっております。
なお、警察庁の発表によりますと、全国で平成二十四年に懲戒免職処分を受けた警察職員は前年より十七人多い六十二人で、警察改革が始まった平成十二年以降過去最多となっております。警察の規律の低下が憂慮されるところでありますが、お尋ねいたしたいと思います。
今回の事案を受けての問題点と再発の防止に向けた取り組みについてお示しいただきたいと思います。
18 ◯教育長(六反省一君)防災教育モデル実践事業の実施状況と成果についてでございます。
志布志市のモデル校におきましては津波災害を、霧島市のモデル校におきましては火山災害を想定して、模型等を活用した津波・火山噴火のメカニズムについての学習や、災害の状況に応じた身の守り方等について、防災アドバイザー等から直接指導を受けるなど、防災教育についての実践・研究を進めてきたところでございます。
また、緊急地震速報等を活用した避難訓練におきましては、その訓練結果を踏まえた避難経路や避難場所の見直しに努めますとともに、時間帯や自分のいる場所などさまざまに状況設定を変えながら繰り返し訓練を実施し、避難の際は児童生徒が自分の命は自分で守る行動がとれるよう、判断力・実践力の育成に努めているところでございます。
さらに、鹿児島大学や気象台などの専門家の協力を得て、保護者や地域住民を対象とした講演会等を実施するなど、防災教育の一層の推進に努めているところです。
これまでの成果としては、昼休みに予告なしで実施した避難訓練で、遊んでいた児童がいち早く運動場に座って身を守る行動をとった後、所定の避難場所に走って避難するなど、みずからの安全を確保するための迅速な行動がとれるようになってきているところでございます。
この事業成果の他校への波及等についてでございます。
このモデル事業は、二年間の事業であり、来年度も引き続き、志布志市と霧島市の小・中・高校各一校を指定し、防災教育に係る実践や研究に取り組むことといたしております。
事業内容としては、一年目の取り組みを継続いたしますとともに、鹿児島大学や気象台等とのさらなる連携のもと、授業等で活用できるリーフレットの作成や教職員を対象とした防災教室等において、モデル校の実践事例を活用した研修などを行うこととしております。
さらに、保護者や地域住民と連携した地域ぐるみによる防災力の向上に力点を置いた取り組みを展開し、防災教育をさらに推進してまいりたいと考えております。
また、これまでの成果につきましては、県教委のホームページに随時掲載し、県民に広報啓発いたしますとともに、学校関係者に対しても、実践発表の機会を設けたり、各学校へ研究の成果を周知し、その活用を促すなど、この事業の成果が全ての学校に波及するよう努めてまいります。
コミュニティ・スクールの利点についてでございます。
コミュニティ・スクールは、お話がございましたとおり、学校と保護者、地域住民等が学校運営についての目標を共有し、それぞれの立場で主体的にあるいは連携して、地域の子供たちの成長を支えていくことを通じ、地域とともにある学校づくり、きずなを深める地域コミュニティづくりを進めることが狙いでございます。
こうした取り組みにより、地域全体で子供を守り育てようとする意識が高まり、多くの保護者や地域住民が先生役や見守り役として学校に協力する姿が見られるようになった、あるいは地域行事に参加する子供たちがふえるなど地域の活性化にもつながっていることなどが全国的に示されているところでございます。
コミュニティ・スクールの導入がこれまでなかった理由等についてでございます。
コミュニティ・スクールの狙いであります学校と地域との連携につきましては、本県では、保護者だけでなく多くの地域の方々が学校行事に参加するなど、地域と学校のしっかりとしたつながりが残されておりますこと、また、全ての学校において、保護者、地域住民等の意向を学校運営に反映させるための学校関係者評価委員会等の組織が設置されていることなどから、これまで導入に至っていないものと考えております。近年、統廃合等により校区が広がり、地域とのつながりの希薄化が懸念される中、地域との連携を深めるため、南さつま市やその他の複数の市町においても導入が検討されているところでございます。
今後とも、県教委といたしましては、コミュニティ・スクールへの取り組みも含め、開かれた学校づくりを支援してまいります。
家庭教育における保護者や県教委等の役割についてでございます。
家庭教育は、全ての教育の原点であり、学校、家庭及び地域住民等がそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携・協力に努める必要があると認識いたしております。保護者は、子供の教育について第一義的責任を有するもので、基本的生活習慣、命の大切さや他人への思いやり、善悪の判断等の倫理観を身につけさせ、また、地域は、家庭を支えますとともに、子供が地域での交流や体験を通して自立した個人として成長する機会を与えるなど、それぞれ大きな役割を担っていると考えます。また、学校は、望ましい生活習慣や学習習慣などに関する情報を保護者へ提供いたしますとともに、子育てについて学ぶ機会となるPTA活動等の充実に努める役割がございます。
県教委といたしましては、家庭教育の自主性を尊重しつつ、市町村教育委員会等と連携し、地域ぐるみで子育てを支援する環境の整備、学習機会や情報提供、相談体制の整備など家庭教育を支援するために必要な施策を講じ、これを推進していかなければならないと考えております。
県教委の家庭教育の取り組みと、熊本県の条例の内容等についてでございます。
家庭教育の現状につきましては、核家族化や都市化、共働き世帯の増加等による、身近な人から子育てを学ぶ機会の減少、地域とのつながりの低下など家庭教育を支える環境が大きく変化してきており、子育て家庭を社会全体で支える必要性は高まっているものと捉えております。このような中、特に子育てに悩みを抱えながらも相談できない、学習機会があっても時間的にゆとりがなく参加できないなどの状況にある保護者への対応が必要であると考えております。
県教委といたしましては、地域ぐるみで支援する環境や相談体制の整備を図りますとともに、身近な場所での学習機会の拡充や家庭への情報提供の充実などに努めていくこととしております。また、本年度から、県社会教育委員の会議において、家庭教育支援のあり方等について審議していただいており、その提言も踏まえて、さらなる充実につなげてまいりたいと考えております。
くまもと家庭教育支援条例につきましては、家庭教育の役割を改めて確認し、学校、地域、事業者、行政、その他県民全てで家庭教育を支えていこうとするものであり、それぞれの責務や役割を明らかにするとともに、家庭教育を支援するための施策の必要性などについて示しているものと認識いたしております。
併設型中高一貫教育校の内容等についてでございます。
併設型中高一貫教育の導入につきましては、大隅地域の公立高校の在り方検討委員会のとりまとめを踏まえ、有識者の意見や先進事例等を参考に検討を行い、現在の高山高校の敷地に、県立の中学校と高校を平成二十七年四月に同時に開校することとしたところでございます。
新設校につきましては、立地の特性や生徒を県内外から募集することとしていることなどから、全寮制とし、学校と寮での教育活動や生活を通して、生徒が切磋琢磨しながら、豊かな人間性やリーダーシップを育む全人教育に取り組みたいと考えております。
また、学校規模につきましては、きめ細やかな指導の展開や既存校舎の活用、周辺校への影響緩和などの観点から、一学級三十人で、中学校は一学年二学級、高校は最終的に一学年三学級にしたいと考えております。
さらに、一学年の生徒数が少人数であることや全寮制とすることなどを踏まえ、教育効果を最大限に発揮するため、男女別学の学校とし、全国、県内、大隅における男子校、女子校の状況や生徒募集の見通しなどから、男子校とすることを考えております。
今後は、開校に向けて、早急に寮の整備に取り組みますとともに、具体的な教育課程の編成や地域の特性を生かした教育活動の導入、生徒募集、入学者選抜の方法等を検討していくこととしており、来年度のできるだけ早い時期に学校説明会ができるようにしてまいりたいと考えております。
曽於市内三校のあり方についてでございます。
曽於市内三校につきましては、中学生の進路希望調査の結果などから、在り方検討委員会のとりまとめに沿った三校統合が早期に必要であると判断し、三校の関係者と協議した上で、平成二十六年四月に新設高校を開校することとしたところでございます。
新設高校につきましては、地元の大学進学へのニーズに対応するため、新たに文理科を設置いたしますとともに、これまで三校に設置しております学科をさらに充実・強化した普通科、畜産食農科、機械科、商業科を設置し、それぞれ特色あるコース制を導入することとしております。これらにより、普通科系に加え、農業、工業、商業を学べる県内唯一の高校として、地域に根差した教育活動を展開し、地元の期待に応えられる学校づくりに取り組んでまいります。
なお、設置場所につきましては、曽於市内旧三町の児童生徒数の状況、農場実習地の確保の問題等を総合的に勘案して、末吉高校の場所としたところでございます。
今後、四月には開校準備室を設置して、校名や教育内容などを検討し、開校に向けた準備を速やかに進めてまいりたいと考えております。
19 ◯警察本部長(杉山芳朗君)再編整備実施計画の継続検討結果についてです。
継続検討としていた五地域のうち、おおむね住民の理解が得られたと判断した霧島署管内の国分東部・福山、曽於署管内深川の二地域につきましては、計画案に従い、実施することといたしました。残る鹿児島西警察署管内吉田、指宿署管内開聞、種子島署管内南種子の三地域につきましては、住民の十分な理解が得られたとは言いがたく、ことしの十二月をめどとして引き続き理解を得るための説明や対話を重ねてまいります。
次に、住民の不安を解消するための方策であります。
県警察では、住民の要望を踏まえた立寄所の見直し等によるパトロール活動の強化、自治会役員等との緊密な連絡、地域行事への積極的参加による自治会等との連携強化など、駐在所という活動拠点の廃止によって生じる警察の存在感の希薄化を防ぐ取り組みを進めております。また、廃止する駐在所の約半数を公舎として利活用する取り組みも進めております。
県内のサイバー犯罪の現状についてであります。
五年前に比べて大幅に増加しておりまして、平成十九年中の検挙が詐欺、著作権法違反など二十九件であったのに対し、昨年の検挙は、自動車オークションサイトに対する不正アクセス禁止法違反のほか、インターネットを利用した詐欺、著作権法違反、児童ポルノ法違反など四十三件を検挙しております。また、昨年は、詐欺・悪質商法、名誉毀損・誹謗中傷、迷惑メールなど、インターネットに関連する相談を約千七百件受理しております。
次に、サイバー犯罪への対応でございますが、県警察では、昨年四月にサイバー犯罪対策室の体制を強化し、インターネット上の違法情報等を把握し、検挙、サイト管理者等に対する削除要請等を行っております。また、情報セキュリティ意識の向上を図るため、児童生徒、保護者等を対象としたサイバーセキュリティカレッジの開催、民間団体との合同による研修会、相談者に対する対処方策の個別指導等を推進しております。
なお、今議会に、サイバー犯罪対策等の強化に向けた鹿児島県地方警察職員定数条例の一部改正をお願いしているところであります。
次に、不祥事案の問題点と再発防止に向けた取り組みであります。
先般、警察学校会計担当の幹部職員によります公金の着服事案が発生し、県民の信頼を損なうこととなり、県民の皆様におわび申し上げます。
県警察では、公金の管理・運用に責任を有する職員による犯行を防げず、また、早期に把握できなかったことを深刻に受けとめております。現在のところ、決裁のあり方や部内の監査手法等に問題点があったと認識しております。
そこで、日々の歳出状況確認のための日ごと決裁や抜き打ち的な書面監査の導入等、決裁や部内の監査手法を見直し、会計業務の管理の充実を図るとともに、職員の規範意識を喚起するための通達等を発出いたしました。
今後、さらに幹部研修の内容を見直し、会計業務関係を充実させるなど、再発防止に向け一層の取り組みを推進してまいります。
[
小園しげよし君登壇]
20
◯小園しげよし君 御答弁いただきました。
防災教育の推進につきましては、防災教育モデル実践事業の成果を検証し、全ての学校に波及させることにより、日ごろからの実践的な防災体制の強化が図られるよう、さらなる取り組みを要望いたします。
コミュニティ・スクールは、本県初のモデルケースとして、ぜひとも活力ある学校と地域づくりにつながるよう期待するところでありますので、よろしくお願いいたします。
家庭教育支援についてでありますが、先般、我が会派の家庭教育支援条例─仮称─策定検討委員会では、昨年に引き続き、明星大学の高橋史朗先生を招き、勉強会を開催いたしました。教育基本法改正の趣旨を踏まえた家庭教育支援条例の制定に向けて、私どもとしても引き続き検討を進めてまいる所存であります。
大隅地域の公立高校のあり方につきまして、今後は、いかに魅力ある学校づくりを進め、生徒の確保を図るかにかかっております。大隅地域をぜひとも高校再編と地域振興を両立したモデルケースとするために、県及び地域の奮起を期待するものであります。
地域警察の体制強化に向けた再編整備実施計画についてでありますが、限られた警察力で安心して暮らせる地域社会をつくるための体制整備は極めて重要でありますが、地域情勢を十分に踏まえた対応が今後なされるよう要望いたしたいと思います。
サイバー犯罪から県民を守るための対策につきましては、犯罪被害の未然防止に向け、さらなる対策の強化を図っていくことを要望いたします。
不祥事案の防止に向けた取り組みについてでありますが、県民の信頼回復に向けて、危機感を持ってさらに取り組んでいかれますよう強く要請いたしたいと思います。
さて、本日は、全県下の高校で卒業式が行われています。今の時間ですと、ちょうど先生と最後のお別れをしているころではないかなと思っております。公立、私立合わせて九十校、一万六千五百三十八人が卒業すると聞いております。
私どもは、せんだって産業経済部会でベトナムに行ってまいりました。鹿児島県のマルセ工販やネジをつくる九州新城、霧島市の居酒屋を営む若大将も訪ねさせていただきましたけれども、多くの日本人がベトナムで頑張っておられました。鹿児島県のアジアに向けた貿易港、また、食材を供給していく六次加工化もあわせてしていく、そういう方向性は間違っていないものと思っております。ぜひ今後とも一生懸命頑張っていただきたいと思っております。印象的だったのは、ベトナムのホーチミンのマルセ工販の瀬戸口所長さんが、日本のあらゆる工業製品の技術力や製品のすばらしさを話してくださいました。
これからも、国も地方自治体も大きな変革期を迎えるものと思われます。TPPも含め、本日高校を卒業した子供たちが希望や夢に満ちあふれ、ふるさとに誇りを持ち、頑張ってくれるような鹿児島県土づくりをするために、私ども自民党県議団頑張ってまいりたいと思います。
西郷南洲翁は、「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹を勉め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其の勤労を気の毒に思う様ならでは、政令は行われ難し」と言われました。この遺訓を胸にしながら頑張ってまいりたいと思います。
午後は吉留厚宏議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、
自由民主党県議団の代表質問午前の部を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
21 ◯議長(
金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午後零時 一分休憩
───────────
午後一時十五分再開
22 ◯議長(
金子万寿夫君)再開いたします。
吉留厚宏君に発言を許可いたします。
[吉留厚宏君登壇](拍手)
23 ◯吉留厚宏君 昼食の後の眠たくなる時間でありますが、平成十八年以来の七年ぶりの代表質問でありますので、目の覚めるような質問を行っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、午前中の
小園しげよし議員に引き続いて、代表質問を続けてまいります。
初めに、危機管理局関係について伺います。
県地域防災計画の見直しについてであります。
県地域防災計画については、
東日本大震災等の災害を踏まえ、昨年三月時点で見直し可能な部分について修正がなされたところですが、今年度も引き続き、国の防災基本計画に伴う修正や、県が今年度から実施している地震等災害被害予測調査の結果などを踏まえた地震・津波等の災害想定の変更などについて見直すこととされています。
地震・津波等の災害想定について国の検討会は、南海トラフで想定される巨大地震について、地震の強さや津波による浸水の想定及び被害想定の公表を行いましたが、県では、この南海トラフの巨大地震も含め、有識者会議の意見も踏まえながら、今後、海溝型地震などによる災害や被害の想定を行うと聞いています。
そこでお尋ねします。
第一点は、今年度の県地域防災計画の見直しの要点についてお答えください。
第二点は、地震等災害被害予測調査の進行状況についてお答えください。
次に、県地域防災計画の原子力災害対策編の見直しについて伺います。
国の原子力規制委員会は、昨年十月三十一日、原子力災害対策の技術的・専門的事項について定めた原子力災害対策指針を策定しましたが、これによると、従来の防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲の目安としての半径約八キロメートルから十キロメートルに相当する原子力災害対策重点区域について、おおむね三十キロメートルが目安として示されています。
また、国の原子力規制委員会は、昨年十一月末に、大規模な事故を想定した防護措置の被曝低減効果の評価を、また、昨年十二月には、同年十月に公表した放射性物質の拡散シミュレーションでミスが相次いだことから、訂正した試算結果を公表しました。
本県においては、一昨年十二月、国の防災指針の見直しまでの間、大規模な原子力災害に対応するため、県原子力災害対策暫定計画を策定し、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲をおおむね半径二十キロメートルとされていましたが、去る二月十三日に、国の指針等を踏まえておおむね三十キロメートルとし、鹿児島市、日置市など県内の九市町に説明されたと聞いております。
これらの指針や放射性物質の拡散予測等を参考にして、原発立地自治体や周辺自治体は、本年三月をめどに、地域防災計画を修正または策定することとされています。
そこでお尋ねします。
第一点は、国の指針等を踏まえた県・関係市町の地域防災計画原子力災害対策編の見直し状況についてお答えください。
第二点は、今回の見直しの概要についてお答えください。
次に、川内原子力発電所の安全対策の進捗状況と新たな安全基準の検討状況について伺います。
川内原子力発電所の安全対策については、福島第一原子力発電所事故以降、各種の安全対策がとられており、昨年九月に発表された原子力安全・保安院のストレステストに関する審査結果取りまとめにおいては、審査の中で確認された課題と、一層の取り組みを求める事項が示され、課題として、地震・津波時における電源確保をより確実にすることや、事故発生時の指揮をとる緊急時対策所の代替施設の対応をより確実にするための強化が挙げられています。
原子力発電所に係る新たな安全基準の策定については、国の原子力規制委員会において、地震・津波関係の設計基準やシビアアクシデント対策規制を含む基準等の検討が行われていると聞いています。
そこでお尋ねします。
第一点は、川内原発でこれまで行われた安全対策と今後の取り組みについてお答えください。
第二点は、原子力規制委員会における新安全基準の検討状況についてお答えください。
次に、桜島大正噴火百周年記念事業について伺います。
桜島は、来年一月に大正噴火から百年目を迎えるところですが、桜島の爆発回数は、昨年も八百八十五回と平成二十二年から三年連続で八百回を超え、依然として活発な噴火活動が続いており、降灰などにより、周辺の市町の農業や住民生活に影響が出ています。県では、桜島の今後の噴火活動や防災対策について、鹿児島市や気象台などと定期的に協議をしていると聞いています。
このような中、平成二十五年度に本県において国際火山学会が開催されるのに合わせ、県と鹿児島市が中心となって実行委員会を立ち上げ、桜島大正噴火百周年事業として、一般県民向けの防災啓発事業などに取り組むこととされたところです。その具体的な内容等については、昨年、実行委員会において事業実施計画書が決定され、過去、現在、未来をコンセプトにさまざまなイベント等に取り組まれると伺っているところです。
そこでお尋ねします。
桜島大正噴火百周年事業の意義、事業内容並びに周知についてお答えください。
次に、企画部関係について伺います。
初めに、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けた取り組みについて伺います。
現行の特別措置法が平成二十五年度末で期限切れを迎えます。県では、奄美群島の社会・経済の現状、課題及び奄美群島振興開発事業の成果等を総合的に調査し、今後の振興開発の方向及び方策を明らかにするため、今年度、奄美群島振興開発総合調査を実施しており、年度内に取りまとめることとしております。
奄美群島は、ことし十二月二十五日に復帰六十年を迎えます。これまで、奄美群島復興、振興、振興開発と計画の名称を変えながら、五年ごとに延長・改正を重ねてきた特別措置法に基づき、各般の施策が講じられ、交通基盤の整備や産業の振興、生活環境の整備など、さまざまな面において相応の成果を上げてきており、特にハード面においては格段の整備が進んでおります。
しかしながら、外海離島という地理的条件、台風常襲地帯等の厳しい自然条件下で、依然として、本土との所得水準を初めとする経済面における諸格差や人口の流出など、解決すべき課題が残されております。奄美群島の置かれている状況に鑑み、真の自立的発展に向けた奄美群島の振興を図るため、奄美群島振興開発総合調査で明らかになった課題等を踏まえ、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けた取り組みを着実に進めていく必要があります。
そこでお尋ねします。
第一点は、今年度、県が実施した奄美群島振興開発総合調査の取りまとめの状況についてお答えください。
第二点は、総合調査の結果で明らかになった課題等を踏まえ、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けた今後の取り組みについてお答えください。
次に、九州・山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録に向けた取り組みについて伺います。
九州・山口の近代化産業遺産群は、平成二十一年一月にユネスコの世界遺産暫定一覧表に追加記載され、現在、伊藤知事を会長とする八県十一市で構成する世界遺産登録推進協議会において、世界遺産登録に向けた取り組みが進められているところであります。
本県の集成館を初めとする九州・山口の近代化産業遺産群が持つ世界文化遺産としての価値や構成資産の範囲等について、これまで国内外の専門家で構成される専門家委員会において検証を進めてきたほか、世界遺産シンポジウムの開催による地域の機運醸成に向けた取り組みなどが進められてきたところであります。
本年度は、推薦書案及び保存管理計画案を年度内に策定する予定と聞いております。今後、平成二十七年度の世界遺産登録に向けた着実な取り組みの推進を期待するものであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、推薦書案及び保存管理計画案に係る取りまとめ状況など、世界遺産登録に向けた取り組みの現状についてお答えください。
第二点は、平成二十七年度の世界遺産登録に向けた今後の対応についてお聞きします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
24 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄美群島振興開発特別措置法、いわゆる奄振法の延長に向けた取り組みにつきまして御説明いたします。
奄美群島振興開発総合調査におきましては、県が設置いたしました奄美群島の在り方検討委員会の提言や、地元で策定されました奄美群島成長戦略ビジョンなどを踏まえまして、調査を実施してきたところであります。今後、議会に御説明の上、今月末までに調査報告書を取りまとめたいと考えております。
奄美群島は、急速に進む人口減少や高齢化による地域の活力の低下が懸念される状況にある中で、国境離島として我が国の領域の保全等の機能を果たしていることを踏まえますと、国全体の課題として、群島における定住促進や交流の拡大、群島が抱える条件不利性の改善等に取り組む必要があると考えております。
このため、奄美群島振興開発特別措置法を延長した上で、人の往来、物資の輸送に要する費用の低廉化などに活用できます新たな交付金制度の創設を含めた諸般の振興開発の取り組みが、今後必要になると考えておりまして、調査報告書を取りまとめた上で、奄美群島振興開発審議会に提出し、その内容が法改正等に十分に反映されますよう、県選出の国会議員や県議会の皆様方と一体となって、国に働きかけてまいりたいと考えております。
25 ◯危機管理局長(平田浩和君)まず、県地域防災計画見直しの要点等についてでございますが、今年度の県地域防災計画の見直しにつきましては、県有識者会議の意見等を踏まえまして、国の防災基本計画の修正や災害想定の見直しなどを基本に検討を進めてきているところでございます。
見直しの要点といたしましては、まず、計画の理念に、複合災害を認識した備えの充実を追加いたしますとともに、津波災害対策編を新設して、津波災害対策の一層の充実を図りますほか、県民みずからが災害教訓の伝承に努めることや、業務継続計画策定等による業務継続性の確保、それから広域応援における行政機関の対応の充実、避難所運営における女性の参画推進や男女双方の視点への配慮などを掲げ、今年度中に計画を修正したいと考えております。
地震等災害被害予測調査につきましては、二十四年度から二十五年度にかけまして、南海トラフの巨大地震も含めた海溝型地震や桜島の海底噴火に伴う津波など十一の震源等について、災害の大きさの想定や災害に伴います被害予測の調査を行うこととしております。
二十四年度は、現在、災害想定の策定に向けた基礎資料の整理や予測方法の設定などをおおむね終了し、地震動や津波高等の想定の取りまとめに向けた作業を進めておりまして、引き続き二十五年度は、災害想定を踏まえた被害の予測を実施することとしております。
次に、県地域防災計画原子力災害対策編の見直しについてでございますが、地域防災計画原子力災害対策編につきましては、国の原子力災害対策指針や地域防災計画作成マニュアル、それから一昨年、県で策定いたしました原子力災害対策暫定計画などに基づきまして、見直しを行っているところでありまして、今月開催する県防災会議で計画を修正することとしております。
また、関係九市町においても、地域防災計画の策定や見直しが進められており、県といたしましても、引き続き、関係市町に対し助言等を行い、早期に策定されるよう努めてまいりたいと考えております。
今回の見直しの主な内容といたしましては、原子力災害対策の重点区域について、予防的防護措置を準備する区域であるPAZを発電所からおおむね五キロメートルに、緊急時の防護措置を準備する区域であるUPZを発電所からおおむね三十キロメートルに設定いたしますとともに、緊急時の判断基準のOIL、EALに基づき、避難、屋内退避、安定ヨウ素剤の服用などの対応を行うこと、国の災害対策本部が立ち上がる前でも、事故の進展が早く、緊急に必要と判断した場合は、県が薩摩川内市と連携して避難を直ちに実施すること、事故時でも継続的に活動可能なように、オフサイトセンターや代替オフサイトセンターを整備することなどについて規定することを予定しているところでございます。
続きまして、川内原子力発電所の安全対策についてでございますが、九州電力におきましては、福島第一原発事故を踏まえた国の指示を受けまして、津波による電源喪失時においても、原子炉の冷却機能を回復するなどの緊急安全対策を実施し、対策が適切に講じられている旨の国の確認を受けているところでございます。さらに、高線量対応防護服やホイールローダ等の配備などのシビアアクシデント対策及び高圧発電機車や移動式大容量発電機からのケーブルのつなぎ込みなどを実施いたしますとともに、免震重要棟や格納容器フィルタ付きベント装置の設置等につきましても、現在、取り組みを進めているところでございます。
九州電力では、今後、国の原子力規制委員会において決定されるシビアアクシデントへの対策や、地震・津波にかかわる設計基準の強化に係る新安全基準に適合するように、積極的に取り組むこととしていると聞いているところでございます。
続きましては、新安全基準の検討状況についてでございますが、国の原子力規制委員会におきましては、専門家から構成される検討チームを設置して、シビアアクシデントへの対策や地震・津波にかかわる設計基準の強化に係ります新安全基準について検討がなされ、一月三十一日に基準骨子案が取りまとめられ、二月七日から二月二十八日まで
パブリックコメントが実施されているところでございます。
今後は、さらに専門家へのヒアリングを実施した後、その結果を踏まえて、四月に原子力規制委員会規則条文案として取りまとめられ、再度
パブリックコメントを経て、七月に、新安全基準が公布・施行される予定であります。
桜島大正噴火百周年事業の意義等についてでございますが、桜島大正噴火百周年事業は、平成二十五年度が大正噴火から百年という節目に当たりますことから、桜島を初めとする火山に関する情報発信や自助、共助による取り組みの促進を目指し、大正噴火の教訓を後世に伝えますとともに、県民の防災意識の高揚を図ろうとするものでございます。
事業内容につきましては、県と鹿児島市が中心となって実行委員会を組織し、「見直そう!火山の力 活かそう!桜島の魅力」をテーマといたしまして、具体的には、平成二十五年七月の火山に関する国際的な学術会議と連携しながら、火山シンポジウムやふれあい火山フェアなどの防災啓発、桜島における魅力体験イベントなどの魅力発掘、百年を総括した記念誌や小・中学生を対象としたやさしい内容のダイジェスト版の発行による教訓継承の視点に立った各種事業を予定しているところでございます。
事業の周知につきましては、ホームページの開設のほか、テレビ、ラジオやポスターなど各種媒体を活用いたしますとともに、桜島に関連したイベントと連携した広報など、あらゆる機会を捉えて広報・PRを図ることとしております。
26 ◯企画部長(稲原 浩君)九州・山口の近代化産業遺産群の取り組み状況等についてでございます。
去る一月に開催いたしました第九回専門家委員会におきまして、今年度内の策定を予定しております推薦書案の最終的な取りまとめに向けた意見集約を行ったところであります。
また、保存管理計画案につきましては、構成資産が広域的に存在することなどから、統一的な管理保全体制を構築する必要があり、国の支援を受けつつ、各構成資産が所在する
地方公共団体が中心となりまして、開発などから資産を保護するための法的規制の具体化などの作業が進められております。
さらに、本
プロジェクトの世界遺産登録に向けた理解の促進や機運醸成を図りますため、産業遺産に関する国際会議等において構成資産の紹介を行いますとともに、去る一月二十七日には世界遺産シンポジウムを北九州市で開催したところであります。
県といたしましては、来年度の早い時期に、国に対し推薦書案を提出いたしますとともに、国際会議などの機会を捉えて、海外の専門家等への積極的な周知を図るなど、国等と連携しながら、平成二十七年度の世界遺産登録を目指してまいりたいと考えております。
[吉留厚宏君登壇]
27 ◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
県地域防災計画の見直しについてでありますが、津波避難計画については、策定指針に基づき沿岸全市町村において、各地域の実情を踏まえた計画を策定するとともに、住民への普及啓発や避難訓練、防災教育など、日ごろの実践的な取り組みを推進することが重要であります。特に、南海トラフ等で志布志沿岸地域の被害が予想されていることがありますので、よろしくお願いいたします。
県地域防災計画原子力災害対策編の見直しについてでありますが、最終的に県が原子力災害対策重点区域を三十キロメートル圏域と決定したことにより、関係市町と連携しつつ、今後の策定作業を進めるよう要望いたします。
川内原子力発電所の安全対策等についてでありますが、原子力規制委員会が一月末に示した新安全基準の骨子案では、地震・津波対策に加えて、大規模な自然災害やテロなど過酷事故への対策を盛り込んでおり、厳しい内容となっております。原発の再稼働は、津波や活断層のリスクが比較的小さい西日本から進む見通しであり、九州電力は、「本年七月中には再稼働のための申請をしたい」と、きょうの地元紙にもあるように、九州電力の川内原発や四国電力の伊方原発が有力とのことであります。今後の推移を注視し対応していく必要があります。
桜島大正噴火百周年記念事業については、一昨年、噴火回数が九百九十六回と、気象台が観測を始めた一九五五年以降、最多を記録するなど活発化している桜島の現状から、大噴火の教訓を伝え、防災意識の高揚に資するために、効果的な開催が図られるよう積極的な取り組みをお願いします。
奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けた取り組みについては、奄美群島の在り方検討委員会の提言及び地元市町村が策定する奄美群島成長戦略ビジョンを踏まえ、奄美群島の今後の振興開発の方向を明らかにし、法延長に向け、最大限の取り組みを行うよう要望いたします。
九州・山口の近代化産業遺産群についてでありますが、平成二十七年度の世界遺産登録に向けた当面の目標は、来年度の国による正式推薦であり、今後とも、国・関係県と連携を図りながら、世界遺産の早期登録に向けた着実な取り組みを進めていくことを要望いたします。
九州でも長崎県がキリスト教の教会群で別途世界文化遺産を目指しているということでありますので、その辺のところは長崎県ともよく協議しながら、近代化遺産のほうをぜひ世界遺産登録に向けて頑張っていただければなと思っております。
引き続き、企画部関係について伺います。
初めに、エネルギー政策について伺います。
福島原発の事故を契機に、我が国のエネルギー政策が大きな転換期を迎えており、これまで、国においても、再生可能エネルギーの割合を引き上げ、原子力発電への依存度をできる限り低減させる方向で議論が行われていたところでありますが、その途中で民主党から自民党への政権交代がありました。
野田前政権は、二〇三〇年代に原発ゼロを掲げた革新的エネルギー・環境戦略をまとめたところでありましたが、アメリカや経済界の反発で閣議決定には至らなかったところであります。
安倍総理は、一月に開催された
日本経済再生本部会合で責任あるエネルギー政策の構築を掲げ、民主党政権のエネルギー・環境政策をゼロベースで見直すよう指示したと報じられております。
本県においては、県内各地で太陽光発電施設の設置、小水力発電所施設の建設などの動きが活発化しているところであります。県においても、本年四月の組織改正において、新たに、県のエネルギー施策を総合的に推進するためエネルギー政策課を設置し、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱等の再生可能エネルギーのさらなる普及・拡大に具体的な
プロジェクトベースで積極的に取り組むこととしております。今後、国のエネルギー政策の方針・動向等を踏まえつつ、本県のエネルギー施策に取り組んでいく必要があると考えております。
そこでお尋ねします。
第一点は、現在進められている国のエネルギー政策に対する県の認識についてお答えください。
第二点は、国のエネルギー政策の方針・動向等を十分に踏まえた上で、本県の今後の再生可能エネルギー施策の取り組みがどういうものか、お聞きいたします。
次に、離島振興計画について伺います。
改正離島振興法が昨年六月二十日に成立し、平成二十五年四月一日から十年間施行されることになっております。改正法では、離島振興の目的として、無人島の増加や人口の大幅減少を防ぎ、定住の促進を図ることなどを新たに加え、定住促進の幅広いソフト施策に活用できる離島活性化交付金の創設など、従来のハード整備重視からソフト施策を拡充した点が特徴となっております。
これを受けて、国は、離島地域の振興を図るため、離島振興基本方針を定め、県は、この方針に基づいた離島振興計画を策定することとなります。県においては、新たな離島振興計画の策定に当たり、市町村から提出された計画案を十分に踏まえ、計画に反映していくことが重要であります。
また、今回の改正により、計画で定める事項について新たに追加された項目があり、より充実した計画になるものと期待しております。追加された項目のうち、主なものは、就業の促進、介護サービスの確保、自然環境の保全・再生、エネルギー対策に対する項目の新設、人の往来や物資の流通費用の低廉化、地震災害防除・防災対策の明記等となっております。
県においては、現在、新たな計画の策定に向けて最終調整の段階であるとのことであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、現在作業中の新たな離島振興計画の策定状況及び計画案の概要についてお答えください。
第二点は、平成二十五年度の離島振興の取り組みについてお聞きします。
次に、土木関係について伺います。
初めに、社会資本整備についてであります。
平成二十四年十二月二日、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落する事故が発生し、九名の方が死亡しております。本県においては、笹子トンネルと同タイプのトンネルはありませんでしたが、県によると、県管理トンネル十四カ所の緊急点検を実施した結果、異常は見られなかったとのことでありました。
国土交通省によると、全国のトンネルの四割強が完成から三十年以上が経過しているとのことです。今後の課題は、いかに老朽化するインフラを維持管理するかであります。国土交通省は、道路、河川、港湾等のインフラ全般の維持管理を徹底するため、点検基準の見直しなど対策強化に乗り出す方針を固め、現在、作業を進めております。国においては、トンネルに限らず、社会資本全般について検討が進められており、今後、国土強靭化基本法を制定し、事前防災を重視した国土強靭化を図ることとしております。
そこでお尋ねします。
第一点は、県及び市町村が管理している県内のトンネルに関し、今後、どのような形で点検、検査及び維持管理を図っていくのか、お答えください。
第二点は、国の国土強靭化の方針・動向等を踏まえた上で、今後、どのような形で県内の社会資本整備を進めていくのか、お聞きします。
次に、高速交通網の整備について伺います。
東九州自動車道、南九州西回り自動車道など、本県の高
規格幹線道路の供用率については、平成二十五年一月一日現在で六〇%と、全国平均七四%と比べ低い状況にあります。また、都城志布志道路、南薩縦貫道、大隅縦貫道などの
地域高規格道路については、県内七路線のうち五路線が整備中でありますが、供用率は二一%と、全国平均三二%と比べても特に整備がおくれております。
平成二十五年度
政府予算案における
公共事業関係費は、
東日本大震災復興経費を除くと対前年度比一五・六%増となっております。
高
規格幹線道路は、
東日本大震災発生時に一日で応急復旧し、緊急輸送道路として機能しており、また復興にも大きな役割を果たしていることからも、ミッシングリンクの早期解消を図る必要があります。また、半島地域など地形的な制約を受け、移動手段を自動車交通に大きく依存している本県にとって、
地域高規格道路についても、高
規格幹線道路と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な路線であり、早期整備に向け、重点的な取り組みが必要であります。
そこでお尋ねします。
第一点は、高
規格幹線道路及び
地域高規格道路の現在の整備状況についてお答えください。
第二点は、高
規格幹線道路等の早期整備に向けた今後の県の取り組みについてお答えください。
次に、独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求について伺います。
平成二十二年十一月九日に公正取引委員会が、県発注の海上工事に関して、独占禁止法に違反していたとして、建設業者三十一社に対して排除措置命令、二十七社に対して総額約十四億四千万円の課徴金納付命令を出しております。
本県では、当該措置を受けて、同年十一月十日に、三十一社に対して、三カ月から六カ月の指名停止措置を実施、また平成二十三年一月二十五日に、県知事許可業者二十社に対して、三十日間の建設業法に基づく営業停止処分を行っております。
さらに、県においては、平成二十三年五月に、この独占禁止法違反事案を踏まえて、適正な競争の推進を図るとともに、談合が行われにくい入札環境を整備する観点から、予定価格の事後公表を一億円以上から五千万円以上に拡大、指名業者名の公表時期を入札前から入札後に変更するなどの入札制度の見直しを行ったところであります。
県では、工事請負契約書で、請負者が独占禁止法の排除措置命令や課徴金納付命令が確定したときなどに賠償金を県に支払うことを予約条項として定めていることから、この請負契約書に基づき、本年一月十五日に、請求対象業者三十一社に対し、総額約三十六億四千五百万円の損害賠償金の請求を行ったところであります。
昨年十二月の地元紙では、県からの請求方針の報告を受け、「まともに払うと潰れる会社も出てくるのではないか」との請求対象業者の声が紹介され、民事調停で減額された沖縄県と同様の対応を求めたいとの記事が出ていたところでありますが、先般二月二十二日に、鹿児島簡易裁判所に民事調停の申し立てがなされたとのことであります。
そこでお尋ねします。
第一点は、今回の損害賠償請求の内容について、改めてお聞かせください。
第二点は、賠償金の減額を求める民事調停の申し立てが行われましたが、県としてどのように対応されるのか、お答えください。
次に、マリンポートかごしまの整備等について伺います。
鹿児島港のマリンポートかごしまは、平成十九年に大型観光船が接岸できる岸壁を備えた一期一工区が供用されて以来、平成二十三年は十八隻、平成二十四年は三十二隻の国内外の観光船が寄港しております。
また、一期二工区については、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間を整備するとともに、災害が発生した場合の対応空間として活用することとされており、平成二十三年三月に、県民からの御意見も勘案されたマリンポートかごしま─一期二工区─緑地基本整備計画が策定され、昨年三月には埋め立て工事が竣功したところであります。
一方、マリンポートかごしまにつながる鹿児島市の南北方向の幹線道路は、近年の大型商業施設の相次ぐ進出も相まって交通量が増加しており、特に土曜、日曜は渋滞が激しさを増しております。こうした中、国において、金属団地と木材団地を結ぶ橋梁の工事が進められておりますが、将来的に鴨池港区と結ぶルートが開設されない限り、交通渋滞の抜本的解決にはつながらないことは明らかであります。
現在、県においては、中央港区と鴨池港区を結ぶ臨港道路について調査・検討が行われておりますが、事業の早期推進が求められております。
そこでお尋ねします。
第一点は、マリンポートかごしまについては、観光船などで訪れた観光客も楽しめる整備が必要であると考えますが、現在の整備の進捗状況及び今後の取り組みについてお答えください。
第二点は、県が調査を行っている鴨池港区と中央港区を結ぶ臨港道路について、現在の検討状況と今後の取り組みについてお聞きします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
28 ◯知事(伊藤祐一郎君)独禁法の違反事案に係ります民事調停の対応についてのお尋ねがございました。
本県の行いました損害賠償請求に対しまして、二月二十二日に請求対象業者のうち二十七社から、鹿児島簡易裁判所へ民事調停の申し立てがなされたところであり、その申し立ての内容といたしましては、賠償額の減額や支払い能力等に応じた分割払いなどを求めているところであります。
今回の損害賠償の請求は、本県と個々の落札企業との工事請負契約の規定に基づきなされたものでありますが、建設業をめぐる経済情勢の変化、契約の落札率の推移、災害多発県と言われる本県における災害発生時の建設業者の役割、各社の経営状況等を十分勘案いたしますとともに、県議会の意向等も踏まえて、今後適切に対応してまいりたいと考えております。
29 ◯企画部長(稲原 浩君)エネルギー政策についての御質問でございます。
現政権におきましては、社会・経済活動を維持するための電力を確実に確保するとともに、原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指すことをエネルギー政策の基本的な方針としているものと承知いたしております。その実現に向け、当面の課題として、三年間、再生可能エネルギーの最大限の導入と省エネの最大限の推進を図りますとともに、原子力発電所の再稼働の可否について三年以内に順次判断することといたしております。また、中長期的エネルギー政策といたしまして、遅くとも十年以内には、将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立することといたしておりますが、個別の施策の具体化には時間を要するものと考えております。
県といたしましては、新たに設置することといたしておりますエネルギー政策課において、太陽光、水力等の再生可能エネルギーのさらなる普及・拡大に取り組むことといたしておりまして、具体的には、太陽光発電所の事業適地に関する情報提供や中小水力発電についての賦存量の調査、住宅用太陽光発電システムの設置に対する助成、海洋再生可能エネルギーの導入の
可能性調査などを実施いたしますとともに、国が改定するエネルギー基本計画等を踏まえて、県の新エネルギー導入ビジョンの見直しを行うことといたしております。
次に、離島振興計画についてでございます。
これまで、関係市町村と連携しながら計画案の作成を進めてきており、今後、議会に御説明の上、四月には国に提出したいと考えております。
計画案の概要といたしましては、本県の七つの離島地域それぞれについて、交通体系の整備、産業振興、医療の確保といった、従来、計画に位置づけてきた分野に加えまして、改正離島振興法で新たに規定されました人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化、就業の促進、介護サービスの確保などの分野も新たに盛り込んだところであります。
平成二十五年度におけます離島振興施策につきましては、引き続き、国庫補助事業による社会資本や生活環境の整備等を進めるとともに、特定離島ふるさとおこし推進事業により、住民生活に密着したきめ細かな諸事業を実施することといたしております。
また、新たな取り組みといたしまして、国において創設されました離島活性化交付金を活用し、産業の活性化、交流促進、防災体制の見直しといった市町村の取り組みを支援することといたしております。
さらに、商品開発や情報発信等に関する専門的知見を持った人材による支援体制を構築し、離島における地域おこし活動の活性化を図るためのモデル事業も実施することといたしております。
30 ◯土木部長(栗原淳一君)トンネルの点検及び維持管理についてです。
県管理トンネルは、県全体で九十本あり、このうち建設後三十年以上経過したトンネルは、約三割の二十三本でありますが、十年後には約五割に達し、今後、急速に老朽化が進むと見込まれています。
これらのトンネルについては、これまで、道路パトロール実施要領等に基づき点検を実施していますが、笹子トンネルの事故を受け、国において、診断・点検の方法を統一する観点から基準を見直すと聞いており、その結果を踏まえ、適切に点検業務を進めてまいりたいと考えております。
今後、国の補正予算を活用し、トンネル等の道路施設の総点検を速やかに実施することとしており、その結果等を踏まえ、緊急性の高い箇所から補修に取り組んでまいります。
なお、市町村についても、適切な維持管理が図られるよう技術支援や情報提供を行うこととしております。
次に、今後の社会資本整備の推進についてです。
国においては、国民の命と暮らしを守るため、平成二十五年度予算と二十四年度補正予算を一体として、社会資本の安全性の調査・総点検などを行うとともに、老朽化対策や事前防災・減災対策を推進することとしております。
また、報道等によりますと、防災・減災対策や老朽化対策等を推進するための国土強靭化に関する基本法案等の検討がなされていると聞いております。
本県においても、厳しい財政状況の中、平成二十五年度予算と二十四年度補正予算を合わせ、老朽化対策と事前防災・減災対策について、対前年度比で一・五倍となる予算を計上しているところです。
今後とも、
交通ネットワークの早期構築、基幹的な継続事業の早期完成などを念頭に置きながら、社会資本の適切な維持管理に努めつつ、災害に強い県土づくりに取り組んでまいります。
次に、高
規格幹線道路の整備状況等についてです。
東九州自動車道については、曽於弥五郎インターから鹿屋串良間において、平成二十六年度の供用を目標に鋭意工事が進められております。また、地元の強い要望により設置が実現した野方インターについては、県において、本線との同時供用に向け整備を進めているところです。これに続く鹿屋串良から志布志間においても、用地買収や橋梁工事等が進められております。事業化されていない志布志から日南間については、現在、計画段階評価に向け、概略ルートや構造の検討など調査が進められています。
南九州西回り自動車道については、薩摩川内高江インターから薩摩川内水引インター間が、今月十日に開通する予定です。
また、薩摩川内都インターから薩摩川内高江インター間及び鶴川内から阿久根北間が二十六年度、阿久根北から野田間が二十七年度、野田から高尾野間が二十八年度の供用予定であり、これに続く高尾野から県境間においても、測量や用地買収が進められています。
薩摩川内水引インターから阿久根間については、昨年九月に都市計画及び環境影響評価の手続に着手したところであり、未事業化区間の早期事業化に向け、できる限り早期に手続を終えたいと考えています。
高
規格幹線道路は、
東日本大震災において緊急輸送や防災機能を発揮するなど、その役割や整備の重要性が再認識されたところであり、県としては、今後とも、繋げてこそのネットワークの視点に立ち、本県の高速交通網が一日も早く完成するよう、国に対して強く要請してまいります。
次に、
地域高規格道路の整備状況等についてです。
地域高規格道路については、国において鹿児島東西幹線道路を、県において南薩縦貫道など四路線十区間の整備を進めています。
このうち北薩横断道路については、広瀬道路において用地買収を進めており、泊野道路においては、今月下旬に県内最長となる北薩トンネルが貫通する予定です。
都城志布志道路については、未事業化区間である末吉インターから宮崎県境までの区間について、平成二十五年度の新規事業として採択されるよう、国に対し強く要望しているところです。
また、大隅縦貫道の串良鹿屋道路については、東九州自動車道に合わせ、平成二十六年度の供用に向け整備を進めているところです。
地域高規格道路は、本県の骨格をなす道路であることから、早期完成に向け、引き続き重点的な整備に努めてまいります。
独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求の内容についてです。
独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求については、公正取引委員会の課徴金納付命令の対象となった三百十一件の工事について、建設工事請負契約書の規定に基づき、請負代金額の十分の一に相当する額を一月十五日に対象業者に対して請求したところです。請求対象業者数は、県内三十社、県外一社の計三十一社、賠償金の総額は約三十六億四千五百万円であり、一社当たりの平均請求額は約一億一千八百万円となっております。
次に、マリンポートかごしまの整備状況等についてです。
マリンポートかごしまについては、これまで、大型観光船埠頭を整備するとともに、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備を進めているところです。
昨年三月には一期二工区の埋め立て工事が竣功したところであり、現在、県民の方々からの御意見も勘案の上で策定した緑地整備基本計画に基づき、イベントなど多目的に活用できる芝生広場や、錦江湾や桜島の雄大な景観を満喫できる観覧席、災害や救急搬送等に対応したヘリポートなどの設計を行っているところです。今後は、この設計を踏まえ、樹木などの植栽工事や噴水、休憩所等の上物工事などを進め、早期供用が図られるよう着実な整備に努めてまいります。
臨港道路の検討状況等についてです。
鹿児島港の鴨池港区と中央港区を結ぶ臨港道路については、港湾物流を円滑に処理するとともに、臨海部の交通渋滞の緩和を図る観点から、ルートや道路の構造、周辺環境へ与える影響などについて検討することとしています。
これまで、環境現況調査を行うとともに、ルートについて、走行性や経済性のほか周辺環境へ与える影響などの観点から幅広く検討を行っているところであり、今後は、この結果を踏まえ、現地において測量などの調査も行いながら、さらに検討を進めてまいります。
[吉留厚宏君登壇]
31 ◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
エネルギー政策についてでありますが、政権がかわり、エネルギー政策の見直しの動きもありますが、将来的に原発への依存を減らし、再生可能エネルギーの普及促進を図る方向性に変わりはありません。今後とも、本県が再生可能エネルギー導入の先進県となるよう、積極的な取り組みを推進するよう期待いたします。
離島振興についてでありますが、新たな離島振興施策では、本土への特産品等の輸送費補助や幅広いソフト事業に使える離島活性化交付金の導入などの方針が示されておりますが、離島の実情を踏まえた真に実効性のある施策の充実が図られるよう強く要請いたします。
私も過去、十島村や三島村、また奄美地域にも離島に何回となく行かせてもらいました。ある面では国境を抱えた島でもありますので、これは県だけではなくて、国がどうするかという観点も強くあるかと思いますので、離島のために離島振興をよろしくお願いしたいと思っております。
社会資本整備についてでありますが、公共施設の老朽化は、トンネルだけでなく道路、河川、港湾など高度成長期に集中的に整備されたインフラ全般に共通する深刻な問題であり、これらの維持管理、更新は、今後、急増することが想定されます。厳しい財政事情の中で、今後の国の国土強靭化施策等を踏まえ、計画的な更新整備が図られるよう要望いたします。
私の地元の公明党の市議会議員さんから指摘を受けまして、県が管理する橋梁、橋を見に行って、そこが腐食して大変だということで、改めて県で調査を行うことになりました。私も議員活動で回っているんですが、日常なかなか気がつかないところを、公明党の地方議員の方が、各地方の橋梁、橋の長寿命化に関して調査をやっているということでありましたので、我々自民党の議員もこうしたことを日々、少しはやっておくべきだなと、改めて思い知ったわけであります。
高速交通網の整備についてでありますが、本県にとって高速交通体系の早期整備は長年の課題であり、今回の安倍政権による
緊急経済対策は大きなチャンスとして、ミッシングリンクの解消に向けた事業のスピードアップについて、国への積極的な働きかけを行うよう強く要望いたします。
独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求については、同種事件の再発防止を図るため、県として断固たる対応を行う必要がありますが、民事調停の申し立てがなされておりますので、今後、司法の判断を踏まえ、適切に対応されるよう要望いたします。
マリンポートかごしまの整備等についてでありますが、引き続き整備を推進するとともに、特に臨港道路については、木材港区と金属団地間の橋梁が完成した場合、今度は金属団地から産業道路への乗り入れが混雑するのは明らかであることから、鴨池港区と結ぶルートの早期整備に向けた計画の推進を強く要望いたします。
次に、環境林務関係についてであります。
初めに、公共関与による管理型最終処分場について伺います。
県は、薩摩川内市川永野町において建設中の県内初の公共関与による管理型最終処分場について、平成二十五年度中の完成・稼働を目指して進めているところであります。
平成二十三年九月の本格着工から約一年半となりますが、昨年八月二十八日には、工事に賛成、反対それぞれの地元全五自治会の住民の方々の視察が実施されたとのことであり、また八月三十一日には、処分場建設に同意した地元の四自治会、学識経験者及び薩摩川内市で構成されるエコパークかごしま安全監視委員会が視察、さらに十一月には、当議会の環境厚生委員会において現地を視察し、工事の状況等を確認したところでありまして、周辺の住民の方を初め、県民の理解を得ながら工事を進めているようであります。
一方、昨年十二月、当初予定の平成二十五年度中の完成、稼働の見直し、七十七億七千万円とされていた工事費の増額の可能性が示されたところでありますが、先般、工事費が約十八億円増加し、完成が半年ほど延びる見込みであることが明らかにされました。
環境先進県かごしまにおける全国でもモデルとなるような管理型最終処分場の完成に向けて、万全の体制で建設工事に当たっていただくことはもとより、住民の不安を解消する努力を継続しながら、その十分な管理体制のもとで、安全を最優先し、工事の進捗を図っていただくよう強く望むものであります。
そこでお尋ねいたします。
工事がおくれたことの経緯、現在の建設工事の進捗状況と今後のスケジュール及び想定する総工事費と工事費増額の要因についてお答えください。
次に、水俣病被害者の救済について伺います。
平成二十二年五月に受付を開始した水俣病被害者救済特別措置法に基づく救済措置の申請受付は、昨年七月末をもって終了しました。本県の申請数は二万八十二件となり、熊本県との合計では六万三千件を超え、国が想定した三万件を大幅に上回ったところであり、特措法に定める救済措置の開始後三年以内を目途に救済対象者を確定することについて、当時の細野環境大臣は、平成二十五年四月末までの対象者の確定は難しい状況であると述べております。
一方で、救済策の居住地域や出生年に該当しない方にも、水俣湾のメチル水銀に汚染された魚介類を多く食したために水俣病に見られる症状が認められるとして、国の救済策の不備を指摘する被害者団体等もあります。
また、救済策の対象にならなかった方などが、熊本・鹿児島両県に行政不服審査法に基づく異議を申し立てておりますが、熊本県は、昨年七月の環境省見解に従い却下する方針を示しました。
本県においては、「判例を検討し、慎重に判断する」とのことでありましたが、先月十九日に、環境省見解に従い異議申し立てを却下することを正式決定されたとのことであります。
水俣病の公式確認から五十六年がたち、特別措置法の救済の申請も締め切られた今、被害者の救済問題は大きな節目を迎えておりますが、特別措置法による確かな被害者の救済が図られることが重要であると考えております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、本県における特別措置法に基づく救済措置の判定の確定状況についてお答えください。
第二点は、異議申し立て者への対応についてお聞かせください。
次に、奄美群島の
世界自然遺産登録に向けた取り組みについて伺います。
国は、一月末に、奄美・琉球を世界遺産登録のための政府推薦の前提となる世界遺産暫定一覧表に掲載することを決定しました。県では、屋久島に続いて、平成二十八年六月の奄美・琉球の
世界自然遺産登録に向けて取り組んできており、県内二つ目の
世界自然遺産誕生が現実となる日も一歩近づいたわけであります。
地球の宝とされる奄美群島の顕著で普遍的な価値を世界に示すため、登録に向けた動きが本格化する中、自然と共生する文化を有し、こうした価値を守り育んできた地元の方々による主導的な活動が重要となるところであります。
世界自然遺産の対象地域となる奄美大島と徳之島は、生物多様性が魅力の一つであり、大型のシダなど亜熱帯を代表する植物や、絶滅危惧種と言われる植物などが道沿いにありますが、世界遺産としてどのようなものに価値があるかを明確にし、地域と行政が一体となってその保護に取り組んでいくことが必要であります。
また、奄美では、二十五年度中に、
世界自然遺産登録の前提となる国立公園としての指定が行われ、法的な保護措置が実施される見通しとなっておりますが、貴重な自然を保護し、将来世代に伝えていくとともに、林業等の振興を図るべきところは図り、持続的に共存し続けられるよう知恵を出し合っていくときが来たと思っております。
また、エコツアーガイドの組織化など、持続的な地域発展につなげるための事前の体制整備や自然保護対策など、価値ある自然の持続可能な利用に向けた方策等の検討が重要となるところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、
世界自然遺産登録に向けた現在の状況と今後の取り組みの方向性についてお答えください。
第二点は、林業と自然環境保全との共存に向けての対応についてお答えください。
次に、低炭素社会の実現に向けた森林整備について伺います。
国においては、京都議定書の発効を受け、温室効果ガスの削減目標達成に向け、千三百万炭素トンを森林による二酸化炭素吸収により確保することとしてきたところであります。我が国の森林は、高齢級化が進行しているため、適正伐採、広葉樹の利用推進、萌芽更新等により森林の若返りを図ることで、CO2吸収能力を最大限生かすことが可能となるわけであります。
このような中、国は、これまで毎年約二十万ヘクタールの追加的間伐等を実施したところであり、平成二十五年からは、必要な森林整備・保全を行うとともに、木材利用等の推進により、CO2吸収量、平均三・五%確保を目指すとしております。
本県においても、間伐推進五カ年計画に基づく間伐や伐採跡地の再造林を進めているところでありますが、本県は、温暖な気候と多雨に恵まれていることから、特に森林の再生力にすぐれていると言われております。天然広葉樹林も、公益的機能の発揮や有用樹種の育成を図るため、必要に応じた不用木の除去や、再生力を生かした萌芽更新等による若返りを進めていくべきと考えます。間伐など森林整備の積極的な推進は、低炭素社会の実現の鍵となるところであります。
そこでお尋ねいたします。
本県における低炭素社会の実現に向けた森林整備の取り組みについてお聞かせください。
次に、保健福祉関係についてであります。
初めに、県保健医療計画について伺います。
県では、県民が健康で長生きでき、また、いつでも、どこでも安心して医療を受けられる鹿児島を目指し、今年度中に県保健医療計画を策定することとしております。六十五歳未満での早世の減少、健康寿命の延伸、QOL─クオリティー・オブ・ライフ─、すなわち個人の生きがいや精神的な豊かさのある生活の質の向上の三つの基本理念のもと、県民の健康保持・増進を目指した社会、患者の視点に立った安全で質の高い医療サービスを受けられる社会、県民が安心して生活できる環境を鹿児島の未来像として目指していくわけであります。
次期計画は、平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間でありますが、国の動向やさまざまな調査・分析・評価を踏まえ、県民のニーズを十分に把握した上で、広い視点からの検討を行って、次期計画に生かしていくべきと考えます。
特に、県民の意識調査の結果等や人口構造、死亡原因、傷病別の受療状況等の観点から、本県の保健医療に係る県民のニーズやさまざまな地域的課題が見えてくるのだと思っております。これらの結果を踏まえ、県民にどういう医療を提供すべきか十分検討して、次期計画へ有効に反映させていただきたいと希望します。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、これまでの調査や分析結果による本県の保健医療施策に係る課題についてお答えください。
第二点は、次期計画に反映される事項についてお聞かせください。
次に、医師及び看護師等の確保対策について伺います。
南北六百キロメートルに及ぶ県域を持つ本県においては、地理的要因等から、県民の健康と密接にかかわる地域医療における地域間・診療科ごとの医師の偏在などの地域間格差等が大きな課題となっております。
県内の医師の数は、平成二十二年は四千百三十五人で、平成二十年と比較して七十七人増加しており、人口十万人当たりの医師数は、全国平均より十一・九人多い二百四十二・三人となっていますが、鹿児島、南薩、川薩、出水、姶良・伊佐、曽於、肝属、熊毛、大島の九つの二次保健医療圏ごとに見ると、医師数は、鹿児島保健医療圏を除き、いずれも全国平均を下回っております。中でも、曽於保健医療圏は、人口十万人当たりの医師数が百十一人と県内で最も少なく、県平均の半分にも満たない状況であり、最大の鹿児島保健医療圏との比較では三・一倍もの格差が生じているところであります。
深刻な医師不足と効率主義によって地域医療は危機に瀕しています。医療過疎は極限まで進み、地域医療のとりでが崩壊しかねない深刻な状況をどう打開していくか、抜本的な取り組みが求められております。
来春卒業する大学生が研修する病院を選ぶ医師臨床研修マッチングについて、本県では、募集定員百六十五人に対して、病院と学生の双方の希望が合ったのは八十七人とのことで、前年より十人ほど減少しております。
特色のあるプログラムや生活支援策などにより、都市部の病院では得られない地域の魅力を発信して、気概のある若い医師たちが地域医療に従事したいと思うようなアイデアと知恵を出し合い、ぜひとも成果につなげていただきたいと願うものであります。
また、看護師等の養成・確保も重要な課題であります。
県内の看護師養成学校の新卒者の半数以上が県外に流出、さらに、新人看護師の離職率も全国平均に比べ二・七ポイント高いとのことであり、医師を支える人材の確保及び環境の充実についても工夫が必要と考えます。
医師や看護師等の地域偏在解消は急務でありますが、人材の育成・確保は一朝一夕にはできない課題でありますので、県医師会及び鹿児島大学病院に設置された地域医療支援センターなど、関係機関との密接な連携を図り、県民が安心して暮らせる鹿児島づくりに向けて取り組んでいただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県内の医師、看護師等の数の現状、推移と課題についてお答えください。
第二点は、医師、看護師等の不足解消に向けた今後の取り組みについてお答えください。
次に、県こども総合療育センターについて伺います。
県は、障害のある子供の早期発見・早期療育、専門的な診療や地域における療育の推進等を図るため、平成二十二年六月に、障害児全般にわたる総合相談窓口を備え、あわせて、医療的側面から発達障害等の子供を対象とした外来による診療・療育及び地域療育支援などを行う、県こども総合療育センターを開設したところであります。
しかし、県内で唯一の施設であることなどから利用者が集中し、待機期間が数カ月に及ぶなどの課題も生じ、医師や専門職員を増員するなどの対応も行っておりますが、依然として厳しい状況が続いていると伺っております。
そもそも発達障害は、専門の医師が少ないこともあり、本人や周囲の人たちも障害があることに気づきにくいと言われており、早期発見・早期支援を期待する声が大きいわけであります。
障害児支援の拡大が期待される中、先日のマスコミ報道において、鹿児島市における発達支援施設設置の陳情が鹿児島市議会に提出され、既に八年間採択されずに経過しており、今回の委員会の結論としては、「障害児支援の役割分担について、県と市の協議を見守りたい」などとしていますが、障害児のケアを日々行っておられる家族の皆さんを支えるべき利用者目線の療育支援に向けて、早急に必要な対策が求められていると考えます。医療・療育のさらなる充実のため、利用者のニーズを把握し、県と鹿児島市双方において、総合的な対策を図っていくべきではないかと考えるところであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県こども総合療育センターが利用者の期待に応え、本来果たすべき役割を十分に発揮するために、今後どのような対策を講じていくお考えか、お答えください。
第二点は、障害児支援の役割分担について、これまで県と市は協議を行ってきていると聞いておりますが、これまでの協議の経過と内容について具体的にお答えください。
第三点は、センターの整備を十分に行ったとしても、県こども総合療育センターの受け入れ能力に限界があれば、県として、鹿児島市に率直に市独自の施設を設立すべき旨を伝えるべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
次に、県立病院について伺います。
県立病院事業は、依然として赤字の続く病院の経営改善が今後の大きな課題となっており、平成二十三年度からの五カ年を計画期間とする中期事業計画に基づき、収支目標である経常収支の黒字化の達成に向け、経営安定化に取り組んでいるところであります。
また、同計画においては、県民のニーズに対応し、高度・良質な医療を確保することを基本とし、地域の中核的医療機関として、他の医療機関との適切な役割分担・連携を図りながら、公的医療機関でなければ対応困難な政策医療等に努めるほか、各病院においては、それぞれの持つ医療機能を最大限発揮するなど、医療の質の向上を図ることとしております。
このような中、県立大島病院は、奄美群島内の中核的医療機関として、群島内の医療は可能な限り群島内で完結させることを目標としており、県が平成二十一年度に策定した地域医療再生計画奄美地域版に基づき、現在、地域救命救急センターの整備に取り組んでいるところであります。
当救命救急センターは、昨年十月に着工し、平成二十六年四月の開設を目指しているところですが、奄美地域の救急医療の中核的施設として、地域医療に大いに貢献されるよう期待しております。
この救命救急センターの整備とあわせて、多くの離島を有する本県においては、さらなる救急医療体制の充実を図る上で、ドクターヘリが有効なシステムと考えます。奄美地域におきましても、ドクターヘリの導入に向けて、救命救急センターに近接するヘリポートや搭乗する救急医療専門医師の確保、運航経費の確保などに取り組み、ぜひとも奄美地域ドクターヘリ導入を実現していただきたいと切望するものであります。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、中期事業計画に掲げた収支目標の平成二十四年度の達成見込みについてお聞かせください。あわせて、特に経営の厳しいとされる北薩病院及び薩南病院における今後の取り組み方針についてお答えください。
第二点は、公的医療機関でなければ対応困難な政策医療など、医療の質の向上が県立病院の重点方針とされておりますが、平成二十五年度の取り組みについてお答えください。
第三点は、来年度中の完成を目指して整備中である県立大島病院地域救命救急センターの施設や設備の概要についてお聞かせください。
第四点は、救急医療の充実・強化のための、奄美地域ドクターヘリ導入に対する県の考えについてお聞きいたします。
32 ◯環境林務部長(新川龍郎君)公共関与による管理型最終処分場についてでございます。
公共関与による管理型処分場につきましては、平成二十五年度中の稼働を目指して整備を進めてきていたところでございますが、作業の着手が当初予定から半年近くおくれたことを初め、この間に、くぼ地にたまった水の排水作業が長期化したことや、その後の大雨等により作業がおくれたことのほか、工事の進捗に伴って埋立地側面部の施工範囲の拡大や工法の変更が必要となったことなどにより、工期を見直さざるを得ない状況になったところでございます。
建設工事につきましては、現在、貯留構造物や覆蓋施設の柱の基礎、地下水や雨水の集排水施設、浸出水処理施設などの工事を行っているところであり、進捗率は一月末現在で三九%となっております。今後、覆蓋施設の屋根や管理施設、遮水工などの工事に順次着手することとしておりますが、管理型処分場の完成は、来年九月ごろとなると見込んでおります。
工事費につきましては、くぼ地にたまった水の排水の長期化や防災調整池のかたい岩の掘削、埋立地側面部の施工範囲の拡大や工法の変更、環境保全協定に基づく交通安全対策、濁水処理などの増加要因があり、これらを含めた建設費の総額は、現在の七十七億七千万円から約十八億円増加し、約九十六億円となる見込みでございます。
次に、水俣病被害者の救済についてでございます。
水俣病被害者救済特別措置法に基づく救済措置につきましては、申請期限となっていた昨年七月末までに二万八十二件の申請があり、本年一月末までにその八割強の判定が確定しているところでございます。県といたしましては、今後とも、できる限り迅速な救済措置対象者の確定に努めたいと考えております。
救済措置の判定に対する異議申し立ての取り扱いについて、環境省は、昨年七月に、判定は法令の規定に基づくものではなく、当事者の合意に基づく行為であるため、行政不服審査法の処分には該当しないとの見解を示しておりましたが、先日、判例の基本的な考え方に照らしても処分性は否定されるとの見解を追加したところでございます。
県といたしましても、司法判断を踏まえる必要がありますことから、判例等を慎重に検討した結果、救済措置の判定は行政不服審査法に言う処分には該当せず、これに対する異議申し立ては、不適法なものとして却下の決定を行わざるを得ないとの判断に至ったところでございます。
なお、異議申し立てをされた方に対しましては、救済措置の対象とならないと判定した理由を文書で丁寧に説明したいと考えております。
次に、奄美群島の
世界自然遺産登録に向けた取り組みについてでございます。
奄美群島の
世界自然遺産登録につきましては、先月、奄美・琉球を記載した世界遺産暫定一覧表がユネスコ世界遺産センターに提出され、正式に世界遺産の候補地として位置づけられたところでございます。
今後、ユネスコに推薦書を提出するためには、国立公園の指定等、国による保護担保措置や外来種対策の徹底などによる世界遺産としての価値を維持するための措置を講じていくことが必要となります。
県では、これまで、関係市町村やNPO等と連携して希少植物の盗掘対策やノヤギの駆除等の取り組みを進めてきておりますが、来年度からは、登録後の観光客増加を想定した自然環境への影響予測や、過剰利用の未然防止対策の検討などを行うこととしているところであり、平成二十八年六月の世界遺産登録を目標とした取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
次に、奄美群島における林業と自然環境保全との共存についてでございます。
奄美地域の森林が林産物の生産や生物多様性の保全、温暖化対策等の機能を十分発揮するためには、守るべき森林は守り、活用すべき森林は適切に活用し、管理していく必要があると考えております。
環境省では、平成二十一年に公表した奄美地域の自然資源の保全・活用に関する基本的な考え方の中で、奄美地域においては、林業と国立公園との関係について新たに検討していく必要があるとし、県や地元林業事業体の意見も求めながら、現在、伐期・伐区の適切な設定など、国立公園内における森林施業のあり方について検討を進めているところでございます。
県といたしましては、こうした検討の場への参画のほか、自然環境への負荷を軽減するための伐採技術の確立などを通じて、奄美地域における林業振興と自然環境保全の共存に取り組んでいるところでございます。
次に、低炭素社会の実現に向けた森林整備についてでございます。
森林は、二酸化炭素の吸収や、再生産可能で長期にわたって炭素を貯蔵できる木材の生産を通じて、地球温暖化の防止に向けた低炭素社会の実現に重要な役割を果たしております。このため、県におきましては、県森林・林業振興基本計画に基づき、植栽など伐採跡地の適切な更新や、スギ・ヒノキの人工林における計画的な間伐、天然広葉樹林における不用木の除去などの森林整備に積極的に取り組んでいるところでございます。
また、間伐等の森林整備をより一層促進するためには、効率的な施業の実施や生産性の向上などを進めることが重要であると考えており、林道など路網の整備や高性能林業機械の導入等を推進しているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを一体的に進め、低炭素社会の実現に向けた森林整備に努めてまいりたいと考えております。
33 ◯保健福祉部長(松田典久君)県保健医療計画についてでございます。
今回の計画見直しに当たりましては、現計画の評価を踏まえますとともに、保健医療に係る各種指標や県民の意識調査等に基づき、本県の地域的な課題の分析を行ったところであります。
この結果、高齢化の進行等を背景とした腎疾患、運動器疾患、認知症高齢者への対応や、がん、脳血管疾患、精神疾患などに対応する入院から在宅までの医療・介護の提供体制の整備などが必要となってきております。あわせて、医療従事者の確保や救急医療体制の充実、
東日本大震災などを踏まえた災害医療体制の整備、高度な医療を提供できる体制の整備などが、今後の保健医療施策を進める上での課題と考えているところであります。
こうした課題を踏まえ、次期計画におきましては、慢性腎臓病、ロコモティブシンドローム等の発症・重症化の予防、認知症に対応する相談・医療の体制強化、在宅医療と介護の連携を含めた地域包括ケア体制の整備、精神疾患に係る医療連携体制の整備と地域移行支援などの取り組みを進めることとしております。
また、若手医師の育成、看護師の県内就業の定着などによる医療従事者の確保、ドクターヘリの活用などによる救急医療体制の充実、災害拠点病院の機能強化、高度な医療を提供できる環境整備促進など、医療提供体制の充実・強化に向けた取り組みを進めることとしているところであります。
今後、市町村や関係機関・団体と連携を図りながら、次期計画を着実に推進することにより、県民の方々が健康で長生きでき、いつでも、どこでも安心して医療を受けられる鹿児島の実現に努めてまいりたいと考えております。
医師・看護師等の数の現状及び推移等についてでございます。
県内の医師数は、平成二十二年が四千百三十五人であり、過去十年間では三百十七人増加しておりますが、増加率は、全国の一一五・三%に比較して、七ポイント低い一〇八・三%の伸びにとどまっております。
一方で、人口十万人当たり医師数は、鹿児島医療圏以外の医療圏は全国平均を下回っており、こうした医師の地域的偏在に加え、小児科・産科等の特定診療科の医師不足の解消が大きな課題となっております。また、看護師等の就業者数は平成二十二年が二万九千九百二十九人であり、過去十年間で約五千人増加しておりますが、就業先の介護保険施設等への広がりや医療機関における看護師配置基準七対一の導入等に伴い、需要が増大していることなどから、看護師等が不足している状況であります。
また、新卒者のうち県内就業者が約半数にとどまるとともに、離職率も高く、看護師等の鹿児島医療圏への集中が見られますことから、新卒看護師等の確保と地域偏在の解消が大きな課題となっております。
次に、医師・看護師等の不足解消に向けた取り組みについてでございます。
医師確保につきましては、医師修学資金の貸与、医師の勤務環境の改善等のほか、最近では、県内臨床研修病院の魅力を積極的にPRするため、県外医学生等を対象とした臨床研修病院見学ツアーや県外説明会の開催、全国的な情報誌の活用などにも積極的に取り組んでおります。
また、平成二十五年度に鹿児島大学病院内に開設予定の総合臨床研修センターにおいて、研修医や勤務医の県内定着に向けた研修体制の充実を図りますなど、総合的な医師確保対策を推進することとしております。
さらに、医師の地域的偏在等の解消につきましては、昨年度策定いたしました地域医療支援方策等も踏まえまして、地域医療支援センターなど関係機関と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
看護師等につきましては、修学資金の貸与や看護師養成所運営費の補助等を活用して、新卒者の県内就業の促進を図りますとともに、再就業希望者に対する看護セミナーの開催や看護に関する広報等を行いますナースセンター事業を活用した再就業の促進に努めているところであります。
また、病院内保育所への助成や新人看護職員への院内研修体制の充実等により、離職防止に努めますとともに、医療機関を中心に関係機関・団体と連携して、ワーク・ライフ・バランス等の取り組み等を促進することにより、働き続けられる環境づくりの推進に努めてまいりたいと考えております。
県こども総合療育センターが役割を発揮するための対策についてでござます。
県こども総合療育センターは、発達障害児等を対象に専門的な相談・支援や診療・療育を行うとともに、地域療育の支援を行う拠点施設であります。
県としましては、このような機能が十分に生かせるよう、これまで、センターにおける臨時医師や心理士、作業療法士等を増員するとともに、国が実施する専門研修への参加、外部講師等による実践的な研修などにより、職員の資質の向上に努めてきているところであります。
今後は、センターの拠点機能をさらに高めるため、市町村や地域の療育施設、教育機関、かかりつけ医等との一層の連携強化に取り組み、障害児が身近な地域で必要な支援を受けることができるよう、地域療育支援体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
また、再診時の療育効果の確認、地域でのケース検討会議への参加など、多くのケースにかかわることなどにより、引き続き職員の資質向上にも努めてまいりたいと考えております。
障害児支援の役割分担に係る鹿児島市との協議の経過と内容についてでございます。
県としましては、これまでも、県こども総合療育センターの職員が鹿児島市内部の障害児支援に係る会議にオブザーバーとして出席し、就学児に係るセンター受診のあり方やセンターと市保健所との情報共有など、業務上の具体的な課題等について意見交換や情報交換を行っているところであります。
今後は、鹿児島市における障害児の療育指導について、相互の機能分担・機能連携に係る協議を行うなどしまして、鹿児島市における地域療育支援体制の整備を支援してまいりたいと考えております。
鹿児島市独自の発達支援施設の設立についてでございます。
子供の発達には個人差があり、障害の有無を判断するには長期的な経過観察を要することもありますことから、まず、地域の保健センターや療育施設での相談・支援、親子教室などを経て、必要に応じ、県こども総合療育センターでの専門的な診断・療育を受けていただくことが望ましいと考えております。
県内においては、現在、伊佐市などにおいて、障害児が可能な限り身近な場所において療育を受けられるよう、地域の拠点となる療育施設を中心とした地域療育支援体制のもと、県こども総合療育センターとも連携しながら障害児支援に取り組まれております。
このような状況の中で、鹿児島市においても、地域の療育施設と連携して、個々の障害児に応じた、より効果的な支援を円滑に行うための拠点となる施設を整備されることは望ましいことであると考えております。
次に、奄美地域におけるドクターヘリについてでございます。
県においては、これまで、県本土・熊毛地域等での運用状況や奄美地域の医療の実態等も踏まえまして、導入に向けた検討を行ってきたところであります。その中で、奄美地域における医療機能や急患搬送の実情等から、本来のドクターヘリ機能だけでなく、弾力的な患者搬送や災害対応等に幅広く活用できるヘリコプターの導入の検討も必要となってきております。
一方、運航経費に係る国庫補助金が減額されてきていることから、安定的な財源確保も重要な課題となってきており、また、平成二十六年度に開設予定の県立大島病院地域救命救急センターの運用状況等を見きわめる必要があると考えております。
このようなことから、奄美地域のドクターヘリについては、これらの諸課題を引き続き検討した上で、導入の時期やスキーム等について判断してまいりたいと考えております。
34 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)県立病院事業の収支目標の平成二十四年度達成見通しについてでございます。
診療収益が、大島病院の神経内科や皮膚科の常勤医不在等の影響を受け、減収となることから、前年度より収支が悪化するものの、全体としましては、経常収支及び資金収支の黒字化という目標は、本年度も達成できる見通しとなっております。
しかしながら、個々の病院ごとに見ますと、御指摘がございましたように、医師不足や立地条件など厳しい経営環境にある薩南病院や北薩病院は、いずれも地域にとって必要不可欠な病院であるものの、依然として黒字達成が困難な状況にあります。
このような中、薩南病院の内科につきましては昨年十二月から、また、北薩病院の呼吸器科は平成二十五年四月から医師が増員されることとなり、地域医療連携の一層の推進ともあわせて、患者の確保に努めるとともに、費用の節減などにも取り組みながら、さらなる経営の安定化を図ってまいりたいと考えております。
続きまして、医療の質の向上に向けた取り組みについてでございます。
医療の質の向上に向けた平成二十五年度の取り組みにつきましては、まず、姶良病院におきまして、県内で初めて、精神科救急医療を中心に担うスーパー救急病棟が運用を開始することとなっております。また、医療設備につきましては、薩南病院に高速・高画質の六十四列CTを、また、鹿屋医療センターには最新の放射線治療に対応するリニアックを導入するなど、地域がん診療連携拠点病院としての機能を充実いたします。
さらに、鹿児島大学への医師派遣要請などの結果、大島病院の皮膚科や北薩病院の呼吸器科など、四月から常勤医が増員されることになっております。
このような取り組みにより、患者サービスの向上や地域の医療ニーズへの的確な対応を図るとともに、より質の高い医療の提供を目指し、地域の中核的医療機関としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
最後に、大島病院地域救命救急センターの概要についてでございます。
大島病院の地域救命救急センターの施設概要につきましては、建物は、病院本館に隣接して七階建ての別棟を新設し、屋上にはヘリポートを整備いたします。建物内部は、一階から三階までが地域救命救急センターとして検査室や緊急手術室、ICU四床を含む専用病床十床を設置することとしております。また四階から六階までは、研修医等のための学習室や宿泊施設などを備えた臨床研修センター、さらに七階には電気室を整備することとなっております。
県立病院局としましては、大島病院と緊密な連携のもとに、同センターが計画どおり平成二十六年四月から運用開始できるよう積極的に取り組んでまいります。
35 ◯吉留厚宏君 保健福祉部長に再度確認いたしますが、こども療育センターのことで、これは、鹿児島市には市独自の施設を設立すべきだと答弁されたと理解していいんですね。
36 ◯保健福祉部長(松田典久君)先ほどもお答えいたしましたけれども、鹿児島市においても、地域の療育施設と連携いたしまして、個々の障害児に応じた、より効果的な支援を円滑に行うための拠点となる施設を整備されることは、望ましいと考えているということでお答えいたしました。
[吉留厚宏君登壇]
37 ◯吉留厚宏君 それぞれ御答弁いただきました。
公共関与による管理型最終処分場の整備については、引き続き、地域住民の理解に努めつつ、早期稼働に向け整備を推進するよう要望いたします。
水俣病被害者の救済については、速やかな対象者の確定や認定申請者の審査の円滑な実施に努めていただくよう要望いたします。
奄美群島の
世界自然遺産登録が実現すれば、奄美の観光や地域活性化に大きなインパクトをもたらすだけでなく、屋久島とともに、本県の多彩な自然が世界に発信され、その波及効果が大きく期待されるところです。沖縄県とも連携しつつ、官民一体となった登録実現に向けた取り組みを強く要請いたします。
低炭素社会の実現に向けた森林整備については、つまるところ、持続的な林業経営を確立するなど林業の振興を図ることが必要であります。県内の森林資源は充実してきており、引き続き、県産材の需要拡大と低コストで安定的な木材供給体制づくりに向けた各般の施策に積極的に取り組んでいくことを要望いたします。
県保健医療計画についてでありますが、県民のニーズや地域課題を踏まえ、地域において切れ目のない医療を提供するための医療連携体制の構築を初め、戦略的な計画となることを期待いたします。
鹿児島県は、長寿ランキングでは全国で真ん中ぐらいだということであります。長野県が全国一だということで、減塩の食生活といった生活習慣病の予防を県として取り組んできているということでありますので、そうしたことも踏まえて、県民の健康を守るために頑張っていただくことを要望いたします。
医師及び看護師等確保対策についてでありますが、地域の医療提供体制の維持・充実を図るため、引き続き、総合的な医師及び看護師等確保対策に取り組まれるよう要望いたします。
人口百七十万の我が県でお医者さんが四千人以上いらっしゃる。これが不足なのかどうか。偏在だということでありますので、これは幾ら医学部をふやして、幾らお医者さんをふやしても偏在であれば同じことだと思います。これは鹿児島県だけではなくて、国の制度の問題かと思いますので、今後そういう課題を解決できるようによろしく要望しておきます。
県こども総合療育センターについてでありますが、障害児支援の充実については、県と鹿児島市との連携を図ることが重要であり、今後さらに協議を進めていくことを要望いたします。
県立病院についてでありますが、各病院における経営の安定化とさらなる医療の質の充実に取り組まれるとともに、県立大島病院については、救急医療体制の充実・強化のため、地域救命救急センターの整備に合わせて、ぜひとも奄美地区におけるドクターヘリの導入実現に取り組まれるよう要望いたします。
以上、県政の課題について質問してまいりました。
さて、今議会冒頭で北朝鮮の核実験に抗議する決議を採択したところでありますが、先月十二日、北朝鮮は、平成十八年、二十一年に続いて三回目の核実験を強行しました。核弾頭の小型化や軽量化に成功したと主張しており、また、これまでのプルトニウム型ではなく、北朝鮮が豊富な埋蔵量を有する天然ウランを用いた核実験に成功すれば、核兵器量産への懸念も深まります。
北朝鮮は、昨年末には米本土にも達する射程を有する長距離弾道ミサイルの発射に成功しており、また、日本全土の大半を射程におさめる中距離弾道ミサイルノドンを既に実践配備済みであることから、小型化した核弾頭を搭載したミサイルが実用化された場合、日本にとっての脅威が格段に増すこととなります。
国連の安全保障理事会は、制裁強化に向けた折衝を続けておりますが、国際社会にも手詰まり感がある中で、北朝鮮の核は新たな段階を迎えております。
今後、何かあるたびに北朝鮮が我が国に強い態度で出てくることが十分に予想されます。これに対抗するために、核兵器を持たない、持てない我が国にとっては、日米安保条約によるアメリカの核の傘のもと、核抑止力を維持しながら、我が国の安全保障を確保していかなければなりません。
一方、尖閣諸島をめぐる中国の挑発もエスカレートしております。
一月三十日には、中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制レーダーを照射したことが判明しました。一月十九日には、海上自衛隊のヘリコプターにも照射した疑いがあるとのことであります。
射撃管制レーダーは、相手を攻撃する際に照準を合わせるためのものであり、平時、公海上で外国艦艇に射撃管制用レーダーを照射することは、国際的には異常な挑発的行為とみなされます。レーダー照射は、国際法上、正当防衛の目的で反撃しても違法とならないとされており、衝突につながりかねない極めて危険な行為であります。
しかしながら、中国は、日本国政府の抗議に対して、日本の発表は事実と異なる捏造であり、日本が緊張を高めていると主張するなど、大変遺憾な対応を行っております。
北朝鮮や中国の動きは、これまでとは様相を異にする新たな次元に入ってきております。このような国際情勢の現実を前に、我が国は、これらの動きに対して冷静に情勢を分析し、その意図を見きわめるとともに、日米同盟を中心とする国際社会との連携をさらに強化しつつ、対応していくことが重要であります。
さきの
民主党政権下では、日米と日中を同等に扱う、日・米・中、正三角形論が唱えられたり、米軍は海軍の第七艦隊が一つあれば十分だとか、有事のときだけ米軍は日本に来ればいいという有事駐留論が言われたりしたことがありました。これらが深い考えや長い間の議論を経て出されたものであれば、それは一つの見識だと思われますが、ただの思いつきで言われたのでは、我が国の国益を損ねたものであったと言えます。
一説によりますと、安保条約による日米同盟の維持コストは、一年間で約一兆八千億円余り、これをやめて日本独自の自主防衛をした場合のコストは、年間約二十五兆円余りという試算もあります。
自主防衛とは、日本独自の核戦力を持つことであり、アメリカの第七艦隊のかわりに貿易立国日本のシーレーン防衛のため、日本独自の空母機動部隊を持つということであります。今の日本にそういうことはできますか。現状ではできません。こうしたこともあり、自民党政権下では、日米安保条約による日米同盟によって我が国の安全保障を確保することが最も我が国の国益にかなっているとされてきましたし、国民の多くの皆様のコンセンサスも得られてきたものと思われます。
また、一方で、集団的自衛権の問題を初めとして、これまで先送りされてきた現実の防衛を可能とするための法整備や防衛態勢の整備に真剣に取り組むべき局面に現在は来ているものと考えるのであります。きのう安倍総理は施政方針演説の中で、今そこにある危機ということでこのことを強調されておりました。
政権交代により、自民党は、日本再生に向け、喫緊の課題である経済対策を初め、被災地復興、成長戦略、外交・安全保障など、直面する重要課題に全力を傾けております。安倍政権は発足後、二カ月連続して支持率が上がるなど、国民の期待が高まっております。日本再生に向け、力強い政権運営を期待するところであります。
内外の情勢は大きく変動する中、私ども
自由民主党県議団は、今後とも、地域の声を踏まえつつ、県勢の発展と県民生活の安定のために誠心誠意、取り組んでまいる決意であることを申し上げ、
自由民主党県議団の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
38 ◯議長(
金子万寿夫君)これで、本日の日程は終了いたしました。
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39 △ 日程報告
◯議長(
金子万寿夫君)三月四日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、代表質問であります。
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40 △ 散 会
◯議長(
金子万寿夫君)本日は、これで散会いたします。
午後三時九分散会
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