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2011-03-03 平成23年第1回定例会(第6日目) 名簿
2011-03-03 平成23年第1回定例会(第6日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2011-03-03
    2011-03-03 平成23年第1回定例会(第6日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    くしげ 勝 美 君    川 野 威 朗 君    宮 島 孝 男 君    永田けんたろう 君    山 田 宏 之 君  一、議案第四八号の上程  一、同右議案の質疑  一、議案第一号から議案第四八号まで及び報告第一号    の委員会付託  一、散  会
          ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(金子万寿夫君)まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  くしげ勝美君に発言を許可いたします。    [くしげ勝美君登壇](拍手) 3 ◯くしげ勝美君 おはようございます。  早速質問に入ります。  まず、大隅地域発展の課題等について伺ってまいります。  私は、一九九一年、平成三年に、県民の皆様の御支援によりまして県議会に活動の場を与えていただきました。この間、郷土鹿屋と大隅地域の現状を訴え、将来のあるべき姿を議論をしてまいりました。それぞれの立場で多くの方々の努力にもかかわらず、いまだに薩摩半島などほかの地域以上に多くの課題を残しております。  大隅圏域の人口をとってみますと、平成二十三年一月現在、二十五万二百八十八人で、県人口の一四・六七%を占めております。昭和三十年をピークに減少の一途をたどり、今でも歯どめがかかっておりません。鹿屋市では、大隅圏内の人口移動によって微増傾向にありますが、ほかの地域は減少をしており、特に南部地域の減少は著しいものがあります。  昭和三十年のピーク時と比較をいたしますと、県全体では約一六%の減少でありますが、大隅圏域内は、これを大幅に上回る約三六%の減少率という厳しい状況にあります。高齢化率も圏域全体で三二・七%と高く、少子・高齢化と生産年齢人口の先細りによって、大隅半島が薩摩半島などほかの地域と比較をして、経済格差が顕著にあらわれることは容易に予測をされます。  伊藤知事は、いろんな機会を通じ、大隅半島は素材が多く、宝の宝庫だとも言われてこられました。平成二十三年度予算案において、大隅農業・加工技術研究プロジェクト事業やおおすみ新観光百選作成事業、大隅地域レンタカー無料プラン事業、公立高校の再編整備については従来の手法を見直し、具体的な方法を検討するなど、大隅半島の振興に重点を置いた事業を展開しようとされていることは、まことにありがたいことであります。  そこで、伊藤知事に伺います。  今後の大隅半島の発展の方向性をどのように展望をされているのか。その際、克服すべき課題と発展の原動力は何であると考えていらっしゃるのか。知事の思いと取り組みへの決意をお聞かせください。  大隅農業・加工技術研究プロジェクトについて、代表質問で考え方が示されました。これまで、農業開発総合センター大隅支場は、大隅地域の農業発展の基礎的研究と普及の課題解決に向けて指導的役割を果たしてきましたが、今後、大隅支場はどのような役割を担うことになるのか。その機能と広大な土地の扱いはどのようになるのか、伺います。  今回新たに、県内各地の着地型観光の体験・交流型観光ビジネスモデル確立事業として、大隅地域の魅力を再発見するおおすみ新観光百選の作成を進めるとされていますが、その取り組みに期待するものであります。選定の対象は、名所旧跡、景勝地にとどまらず、住民の古くからの営みや食文化、貴重な自然、新しい農業の展開など、大隅のさまざまな特色を生かしたものが必要だと思いますが、選定の方法、選定までのスケジュールとあわせてお示しください。  新幹線全線開業効果を波及させるために、大隅地域での宿泊等の要件を満たす場合、レンタカー料金二十四時間分を無料にする事業費が計上されております。車も小型から大型までありますが、その対象はどうなるのか。宿泊地の区域、無料の精算手続、開始の時期など、事業内容について伺います。  また、大隅への波及効果を拡大させるために、宿泊等の要件について工夫をするなど、大隅地域における連泊を促す仕掛けづくりも必要と思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。  次に、九州新幹線全線開業効果の展開について伺います。  三月十二日の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けて、記念イベントや物産展の開催、国内外への誘客対策など準備も大詰めを迎えるとともに、県民の期待も高まっております。県においては、この新幹線効果を沿線や一部地域のみでなく、大隅、離島も含めた県内各地に普及・定着させ、県全体の持続的活性化を図る目的で、新幹線効果活用プランを平成二十年三月に策定をし、これまで、「増やす」・「広げる」・「活かす」を基本的視点に置き、具体的な取り組みを展開してこられたところであります。  そこで、この間の取り組みと成果と今後の課題について伺ってまいります。  まず、第一点でありますが、全線開業によって移動時間の大幅な短縮が図られますことから、商業圏の拡大による交流人口の増加が見込まれますが、ここに来まして県内から福岡へ買い物やレジャーを楽しむための県外流出の懸念が高まっております。三月三日、本日でありますが、開業する博多駅、大々的に新聞も報道いたしておりましたけれども、JR博多シティは延べ床面積が鹿児島アミュプラザの三・五倍、二十万平方メートルと言われ、天神にはファッションビル「福岡パルコ」が開店し、キャナルシティ博多の隣接地には第二キャナル構想が発表されています。  日本政策投資銀行九州支店によりますと、「新幹線は強いものをより強くする装置、伸びる分は九州・山口のほかの地域から吸い取る形となる。九州で福岡ひとり勝ちの構図が強まる」と分析をいたしております。  新幹線効果活用プランでは、特に関西・中国地方に目を向け、ターゲットを絞った情報発信、来訪者に二度の驚きを与える仕掛けをつくるとして取り組んでおられますが、福岡に対抗した取り組みの成果はどのように期待できるのか、残された課題と今後の取り組みの重点についてお示しください。  二点目でありますが、県内各地に新幹線効果を波及させるためには、新幹線から二次、三次の交通アクセスの利便性の向上が課題として挙げられてまいりました。その点で、山川・根占航路が三月一日からの暫定運航、一年ぶりの運航は両港ともに大変な歓迎ムードに包まれたと聞いております。ことし夏からの新船導入による本格運航を目指していることは大変喜ばしいことであり、関係者の努力に感謝をいたしたいと思います。  そこで、これまで取り組んでこられた鹿児島中央駅からの二次、三次アクセスの拡大と交通機関との連携の具体的成果と今後の課題等について、特に大隅へのアクセス、大隅と薩摩半島を結ぶ効果的なアクセスについて伺います。  三点目でありますが、大隅地域での宿泊等の要件を満たす場合、私どもは、鹿児島中央駅からのアクセスだけではなく、航空機を利用した鹿児島空港から県内を周遊して中央駅へ、サンフラワーを利用して志布志港から県内を周遊して中央駅への逆ルートの重要性も提案をしてまいったところでありますが、観光の周遊化にどのように取り組んでこられたのか、今後、どう取り組んで行かれるのか、考えをお聞かせください。  四点目であります。新幹線の全線開業で一本化が加速する九州を外国人観光客にどのように売り込み、南九州、鹿児島に呼び込むことができるのか。中でも、増加が見込まれる中国への期待は高いものがあります。鹿児島・上海線が三月末から週四便体制になることは大いに歓迎すべきことであります。鹿児島・ソウル線の利用も好調に推移しており、外国人を対象にした受け入れ体制の充実、九州全体を視野に入れた周遊コースの商品化、交通アクセスの利便性の向上など重要でありますが、これまでの取り組みの成果と今後の課題について伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)大隅半島の発展の可能性等についてのお尋ねがございました。  大隅半島につきましては、特に、農業や観光の分野で今後、大きな発展可能性を有していると考えているところであります。  それを実現いたしますためには、素材提供型の農業から、一次加工などによる価格支配力を高めた付加価値の高い農業への展開や高規格道路網の整備、志布志港の活用促進などの物流機能の強化が必要であると考えております。また、観光分野におきましては、鹿児島中央駅や鹿児島空港からの良好な交通アクセスの構築、魅力的な多くの観光資源の掘り起こしとさらなる情報発信などが課題であると考えているところであります。  これらの課題の取り組みを進めることで、大隅半島は、農業が一次産業から三次産業まで含めて体系化された産業として構築され、アジアの時代における食の供給基地として発展することが期待できますとともに、美しい風景や豊かな食材など、魅力ある素材にあふれる観光地としての可能性が広がっていくものと考えているところであります。  私といたしましては、このような観点から各般の施策を着実に推進をいたしまして、魅力ある安心・安全・新食料供給基地としての大隅半島の振興を図ってまいりたいと考えているところであります。 5 ◯農政部長(弓指博昭君)大隅農業・加工技術研究プロジェクトに関連しまして、大隅支場の今後の役割などについてお尋ねがございました。  大隅地域は、畑地かんがいの整備が進みまして、付加価値の高い農業経営の展開や、アジアの時代におきます食の一大供給基地として発展する可能性があります。  その実現のためには、大規模経営体の育成や低コスト安定生産技術の確立とあわせまして、素材提供型の農業から、一次加工などにより価格支配力を高めた高付加価値型農業への展開などが必要でありますことから、これらに対応した試験研究を加速させますとともに、その研究成果を農業者、食品加工業者などの民間に迅速に波及させまして、経営発展へのさまざまな取り組みを総合的に支援していくことが重要であると考えております。  このため、県といたしましては、新年度に行います大隅農業・加工技術研究プロジェクトにおきまして、民間や地元関係者、学識経験者から成る検討委員会を設置いたしまして、大隅地域に必要な試験研究や支援体制のあり方などを具体的に検討することといたしておりまして、大隅支場につきましては、この検討過程を通じましておのずとその方向性が定まるものと考えております。 6 ◯観光交流局長(福壽 浩君)おおすみ新観光百選についてでございます。  おおすみ新観光百選、仮称でございますが、この作成を通じまして大隅地域の観光の魅力を改めて掘り起こしますとともに、情報発信することにより、大隅地域の観光のイメージアップや誘客を図りたいと考えております。  作成に当たりましては、「かごしまよかとこ百選」あるいは「かごしまよかとこ旅」でこれまで紹介されております、地域の自然、食、伝統文化などに加えまして、「よかとこ博覧会」の取り組みを通じて、大隅の新たな魅力となりつつある着地型の観光資源などを取り上げてまいりたいと考えております。  今後、調査選定委員会の設置や選定スケジュールにつきましては、観光関係者や地元市町の意見も伺いながら、具体的な作業を進めてまいりたいと考えております。  次に、大隅地域の観光の周遊化についてでございます。  大隅地域におきましては、これまで、食の楽しみや体験型観光などの着地型メニューを集積をしました「かごしまよかとこ博覧会」を開催しますとともに、えりすぐりの魅力的な旅行プランを提案する「かごしまよかとこ旅」などを活用し、観光の周遊化のための旅行商品造成などに取り組んできたところでございます。また、鹿児島中央駅から鹿屋や志布志への直行バスが運行されるなど、二次交通アクセスの改善も進みつつあります。  県としましては、さらに新幹線全線開業効果を波及させますために、今議会に提案しております、大隅地域を訪れるレンタカー利用者に対する助成制度や、大隅地域などへの宿泊につながります旅行商品の造成を目的とした「鹿児島もう一泊キャンペーン」の展開、大隅地域の観光資源を選定したおおすみ新観光百選による情報発信などを通じまして、大隅地域の観光の周遊化を促進してまいりたいと考えております。  九州新幹線全線開業に関連いたしまして、外国人観光客の誘致対策についてでございます。  国が進めますビジットジャパン事業等とも連携をしながら、中国、韓国、香港、台湾などを対象に、現地セールスや旅行会社、マスコミの招待等を通じた誘客に取り組んでいるところでございまして、平成二十二年の本県への外国人観光客数は、国の宿泊旅行統計によりますと、過去最高でありました平成二十年と同水準の十二万人並みとなっております。他方、福岡県等の九州北部と比べますれば、本県を含む南九州への外国人の入り込みは少ない現状にございます。  こうした中、九州新幹線全線開業に伴います九州北部との時間短縮によりまして、今後は、仁川や上海から福岡空港に入り、九州内を新幹線で移動した後に鹿児島空港から帰る、福岡イン・鹿児島アウトの行程や、仁川から航空機で鹿児島に入り、新幹線で福岡へ、高速船で釜山へ、さらにKTXでソウルへ帰るという鹿児島イン・福岡アウトの行程など、新しい流れを形成する誘客対策の強化や、外国人観光客のニーズに的確に対応できる受け入れ体制の充実などが必要であると考えております。 7 ◯企画部長(六反省一君)大隅地域レンタカー無料プランの事業内容等についてでございます。  まず、事業内容でございますが、あらかじめ県の登録を受けた事業者からレンタカーを借りた方が、レンタル期間内に大隅地域振興局管内にあります指定宿泊施設に宿泊し、かつ周遊を目的といたしまして、大隅半島を北部、中部、南部の三つのブロックに分け、このうち二つのブロックにまたがる二カ所以上の周遊ポイントを訪問した場合に、前払いした利用料金のうち、小型の普通乗用車及び軽自動車につきましては、最初の二十四時間までの基本料金の全額、それ以外の車種についても、一定の額をレンタカー事業者が返金するという仕組みとしております。  返金後の精算手続につきましては、レンタカー事業者が返金実績を月単位で取りまとめて県に申請し、県において、内容の審査の上、必要額を事業者に助成することとしております。  事業の開始時期につきましては、全線開業効果を大隅地域に波及させるため、全線開業日であります三月十二日からの貸し出しについて対象とすることとしております。  次に、連泊を促す仕掛けづくりでございます。  レンタカー無料プラン事業は、全線開業効果を波及させる上で、広域的な公共交通手段が必ずしも十分でない大隅地域において代替手段を提供することで、同地域への入り込み客増を図るものでございます。最初の二十四時間を無料とすることで、大隅地域への来訪の動機づけとする一方、施策と費用対効果の観点から、同地域での一泊以上の宿泊と二施設以上の周遊を要件としているところでございます。  連泊させるための仕掛けづくりといたしましては、観光かごしまキャンペーン推進事業の中で、県内でもう一泊、もう一カ所の楽しみを提供し、宿泊につながる旅行商品の造成を行う「鹿児島もう一泊キャンペーン」を展開するなど、全線開業効果を大隅半島など県内各地へ波及させるための多様なメニューづくりを進めることとしておりまして、大隅地域におきます地元の取り組みとも相まって、レンタカー無料プラン事業との相乗効果が発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、九州新幹線の全線開業に関連して、福岡に対抗した取り組みの成果等についてでございます。  福岡は、買い物等の都市機能が充実しており、全線開業を機に来訪者の増加が予想されるところでございますが、本県も、世界に誇れる自然環境や豊かな食文化など多くの本物の素材に恵まれており、新幹線沿線のおよそ二千八百万人を初め、国内外の多くの方々に訪れていただけるだけの十分な魅力があるものと考えております。  本年一月の民間調査では、開業後に行ってみたい九州の県として、調査対象となった東京と関西、中国地域の七都府県のすべてで、本県がトップに挙げられたところでございます。福岡とは一時間余りの近さとなりますことから、連携の視点も重要であると考えておりまして、協調して九州全体への交流人口の増加を図るとともに、本県の魅力をさらに高め、より広く情報発信していくことが課題と考えており、全線開業後におきましても、「増やす」「広げる」「活かす」の取り組みを一層推進し、効果を最大限に生かせるように取り組んでまいりたいと考えております。  鹿児島中央駅から大隅地域へのアクセスについてでございます。  県内各地におきましては、全線開業に向けて、鹿児島中央駅からの二次、三次アクセスの拡大等に向けた取り組みが進められてきたところでございます。特に、大隅地域へのアクセスにつきましては、平成二十一年十二月から鹿児島中央駅と鹿屋を結ぶ直行バスが運行されたことにより、バスとフェリーとの二回の乗り継ぎが必要なくなり、利便性が格段に向上したところでございます。また、大隅半島と薩摩半島を結ぶアクセスにつきましても、昨年三月から運航を休止しておりました山川・根占航路が、去る三月一日から小型フェリーにより暫定的に再開されたところでございます。  県といたしましては、大型車の積載が可能な船舶によるできるだけ早期の運航再開を目指しますとともに、バスやフェリー等の公共交通機関だけでなく、レンタカーを含むさまざまな移動手段を組み合わせつつ、関係者と一体となって、大隅地域へのアクセスの改善に取り組んでまいりたいと考えております。    [くしげ勝美君登壇] 8 ◯くしげ勝美君 質問をさせていただきます。  錦江湾横断交通ネットワークの可能性について伺ってまいります。  先日、大隅・薩摩半島を結ぶ錦江湾横断交通ネットワークの可能性調査について、平成二十二年度の調査結果が公表されたところであります。  それによりますと、三ルート案のうち最も優位性の高い鹿児島─桜島案について、走行時間が短縮、経費減少などの効果を費用で割った費用対便益比が、橋梁で一・四、トンネルで一・五と、いずれも国土交通省の基準で事業継続の目安となる位置を上回っています。しかし、橋梁は、風によるたわみやねじれへの懸念、降灰による安全走行への支障、さらに、橋梁主塔やケーブルが桜島と重なり、鹿児島からの景観に及ぼす影響が大きいとされています。  錦江湾横断交通ネットワークは、大隅半島の住民にとりましては、通勤・通学そして救急医療、産業の活性化などに寄与することが大きな期待がある一方で、大隅地域の消費者流出による地域商業への影響など懸念をする課題もまた挙げられております。  そこで伺いますが、二十三年度予算には、トンネル構造に関する調査などを実施するための予算として千九百七十五万円の事業費が計上されています。調査の具体的内容を明らかにしてもらいたいと思います。また、可能性調査は二十三年度で終了することになるのか、明らかにしてください。  基礎的調査の結果では、トンネルの形式はシールド工法が適切であるとされていますが、二十三年度調査はシールド工法のみなのか、あるいは沈埋工法もあわせて検討されるのか、伺います。  トンネル延長は六千四百メートル程度と、橋梁の二倍近くとなっていますけれども、入り口、出口はどこを想定されているのか、お尋ねいたします。  桜島は、百年から二百年間隔で大正噴火級の噴火が起きる可能性があるとされ、その際の地震は、県防災計画では鹿児島─桜島間の海底を震源にしてマグニチュード七・一と想定しています。基礎的調査では、噴火の影響は少ないと評価されていますけれども、地震の影響とトンネルの安全性についてはどのように評価されているんでしょうか、伺います。  この錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査は、伊藤知事が平成二十年の知事選挙でマニフェストに掲げたものでありますが、昨年の三月議会の答弁では、「これらの調査結果も踏まえ、その必要性や実現可能性について判断をしたい。具体的な事業着手時期等は言及できる段階ではない」と述べられております。  伊藤知事の今任期は来年七月でありますが、二十三年度のトンネル構造の調査を踏まえて、今任期中に、必要性、実現性、事業着手時期などを判断されるのか、さらに、今後その他の調査を継続して、今任期中の判断はなされないのか、明らかにしていただきたいと思います。  次に、消費生活相談員の継続雇用について伺います。  長年私どもの要求してまいりました、消費者保護のための相談窓口である消費生活センターについては、去る一月四日に鹿児島市新屋敷町の県住宅供給公社ビルに移転・開所し、執務室の拡大や相談コーナー、資料展示室の拡充など、ワンフロアで整備をされたところであります。  また、県民からの消費生活の相談業務に当たっている非常勤の職員の処遇については、昨年四月から日額報酬の引き上げが行われました。今後、さらに市町村や関係機関との充実・強化が図られることを期待をするものであります。  ますます巧妙・悪質化する振り込め詐欺、違法な契約案件など、県民からのトラブルや悩みの相談も複雑・困難なものが多くなり、相談員の関係法令等の専門的知識と多様な事例に対する粘り強い説得技術も要求されるところであります。その知識や技術は一朝一夕で身につくものでありません。そのためには、豊富な経験と専門性を持った相談員が長期にわたって実務に携わり、安定的に業務に従事できることが必要であります。  このような現状を踏まえ、国の消費者庁長官は、去る二月十日付で「消費生活相談員に対するいわゆる雇止めについて」と題する通知を各都道府県知事と市区町村長あてに出しております。この通知は、「非常勤職員である消費生活相談員の任用回数に制限を設けないことに、法令上の問題があるわけではない」として、継続雇用を促す内容となっています。  そこで伺いますが、専門的な知識と技術を有する人材の確保は、消費者行政の充実のために必要不可欠なことであります。せっかく専門性を高め、能力を習得した相談員を雇いどめにし、新たな人材を育成するために時間と労力を費やすことは、県の消費者行政の上から大きな損失であります。本県においても、雇止めをなくし、継続した雇用ができるようにすべきと思いますが、見解を求めます。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 9 ◯知事(伊藤祐一郎君)錦江湾横断交通ネットワークの必要性等の判断時期についてのお尋ねがございました。  錦江湾を横断する交通ネットワークにつきましては、現在、どういう条件のもとにプロジェクトが成立するかにつきましての可能性調査を行っているところであり、平成二十三年度中の取りまとめに向けて取り組むことといたしているところであります。  本プロジェクトについては、この可能性調査の結果も踏まえ、その時点での地域住民の意向等を含む、社会経済情勢や時代の要請、事業実施のための財源計画等を総合的に勘案いたしまして、必要性を判断したいと考えており、判断の時期について明らかにできる段階ではないと考えております。 10 ◯知事公室長(布袋嘉之君)錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査についてでございますが、平成二十三年度は、これまでの調査において最も効率的なルートとされました鹿児島─桜島間のトンネルについて、さらに詳細な調査を行うこととしております。  具体的には、基礎的調査において検討課題とされたトンネル延長の短縮を図るための勾配の検討や、勾配の変化に伴います自動車の排出ガスの換気方法の検討などを行うこととし、これらの結果も踏まえ、来年度中に可能性調査の取りまとめを行いたいと考えております。  また、トンネルの形式については、沈埋トンネルより船舶の航行や周辺環境への影響が少ないとされるシールドトンネルを想定しております。  なお、トンネルの出入り口については、交通需要や土地利用状況等を詳細に把握した上で、既存道路との適切な接続位置を検討する必要がありますことから、可能性調査を行っている現段階においては、その具体的な位置は設定していないところでございます。  地震の影響とトンネルの安全性についてでございます。  トンネルは、地震による地盤の変動に追随して振動いたしますことから、橋梁等の地上構造物に比べ、振動の増幅が生じにくく、特に、シールドトンネルについては、地盤の変化により柔軟に対応できる耐震技術も開発されておりますことなどから、一般的に地震による影響は小さいと考えられております。  本ネットワークの整備について具体的な検討を行う場合には、海底の地質や断層の把握を含め、十分な調査等を行い、トンネルの安全性を確保する必要があると考えております。 11 ◯県民生活局長(灰床義博君)消費生活相談員の雇止めについてでございます。  御指摘のありました文書につきましては、平成二十三年二月十日付で消費者庁長官から各地方公共団体の長あてに発出されたものであり、消費生活相談員に対するいわゆる雇止めについて、「消費生活相談員の任用は、それぞれの自治体の判断によるものであるが、非常勤職員である消費生活相談員の任用回数に制限を設けないなど、消費生活相談員の専門性の向上に配慮いただきたい」旨の要請がなされたものであります。  本県としましても、消費生活相談員に専門的な知識、技術を有する人材を確保するためにはどのような取り扱いがよいのか、各都道府県の取り扱いなども勘案しながら、今後、検討してまいりたいと考えております。 12 ◯くしげ勝美君 自席から、ちょっと失礼でありますけれども、巷間言われていることを交えて再質問させていただきます。  錦江湾横断交通ネットワークの可能性の問題であります。  過去もいろいろと議論をされてまいりました。可能性の調査をするということは、意思は、いつかはかけると、具現性を持って努力をするという意思がないと可能性調査は存在をしないというふうに思います。  巷間言われておりますことは、その前に、一つ問題になるのは、何を可能性調査するかというと、日本の技術では、技術は遅れていないと思います。技術的な可能性は十分にあるわけなんです。あとは費用対効果の問題であり、お金の問題だというふうに理解をするのであります。  お金はいつかまた回収するわけでありますから、遠い将来になるか、あるいはそのあたりはよくわかりませんけれども、率直に巷間言われていることを申し上げますと、可能性調査は、調査だけに終わるということが目的になっているんではないかといううわさもないわけじゃないのであります。  大隅の住民の皆さん、また鹿児島も、薩摩半島もそうでありましょうけれども、長年の懸案でありますから、ひとつその方向性とあるいは可能性、今申し上げたようなことでありますが、ある程度の時期は示すということが必要なんではないかと思いますが、そのあたりについてお答えいただければありがたいというふうに思うんですが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
    13 ◯知事(伊藤祐一郎君)錦江湾横断交通ネットワークについての再質問をいただきました。  このプロジェクトは、従来から鹿児島県民の願いである大プロジェクトであると考えております。そして現在改めて、必要性についてのフィージビリティースタディーをやっているところであります。  従来三千億円と言われておりました事業費も、今の試算で大体千二百億円程度、さらにはそれを、工事のやり方を工夫することによって、八百億円から一千億円程度の事業費に最終的に落ちつくのではないかと考えております。  そして先ほど、具体的な判断の時期についてはもう少し時間をいただきたいというお話をいたしましたのは、実は最終的には財源構成に尽きるかと思います。技術的には非常にシールド工法が進んでおりますし、二十四時間ずっと掘削してまいりますので、そう大して時間はかからないだろうと思います。あとは財源対策であります。  そして、その財源対策につきましても、いろんな工夫をしたいと考えているわけでありまして、特に最近、民間の資金を活用するPFI事業というのがございます。それと、この事業をどういう形でドッキングさせるかが我々の課題であります。ドーバー海峡のトンネルは、日本のお金を使ったPFI事業でありました。したがって、この桜島のトンネルに、国の事業とあわせてPFI事業をどういう形で絡ませることができるか、その見きわめをするのが最終的な判断の時期ではないかと思います。  そしてまた、そういう財源構成ができますれば、むしろ県費がほとんど要らない形でこの事業も可能になるわけでありますので、そこをどういう形で今後、我々として、国会の先生方のお力もかりなければいけませんが、追求していくかが、このプロジェクトの最終的な可能性を握っていると考えております。    [くしげ勝美君登壇] 14 ◯くしげ勝美君 答弁をいただきました。  可能性調査の問題でありますが、知事も率直に言っていただきました。技術的には問題はないが、財源構成をどうするかという問題だというふうに思いますが、ぜひそういう立場で問題解決のための努力もしていただきたい。もっと言わせていただければ、やろうとすれば伊藤知事の時代に判断をしないと、財源構成の可能性は出てこないと思うから聞いているわけであります。ぜひ十分な調査と、そして可能性の具現性について頑張っていただきたいことを要望いたしておきたいと思います。  今回の質問が最後となりましたので、大隅半島の現状認識を深いものにしていただくために、大隅の問題を特化して質問をいたしてまいりましたが、改めて、大隅に深い造詣をいただいておりますことに感謝を申し上げます。  かつて多くの人々がかかわり、にぎわいを見せていた地域コミュニティーは、時代の移り変わりとともに多くの地域が衰退傾向にあります。大隅半島はそれを象徴する地域と言っても決して過言ではないというふうに思います。大隅の中心都市と標榜してきた鹿屋市も、諸般の影響を受けて空き店舗もかなり目立つようになりましたし、しかし、あのころはよかったと嘆いてばかりでは何も始まらないと、地域でもさまざまな活動が展開されつつありますが、点が線となり面とならないことに、県としての大きな力を注いでいただきたいと思うのであります。  極度に行政予算に依存してきた大隅の経済を大きく変えるためには、お答えのありましたとおり、食料基地としての新たな産業構造の創造が必要であるというふうに思います。地域の発展のためには、若者のための雇用創出が必要であり、雇用を図るためには、製造から販売が行える食品製造業の開発が必要となります。そのことが、地場産業の育成も図られ、志布志港を経由した農林水産物の輸送強化も期待できると思うのであります。  知事の言でありますが、素材提供型の農業形態から脱却して、少なくとも三次産業の流通まで含めた体系をつくらないと本当の付加価値は高まらない。あわせて価格支配力を持つための努力が必要とも言っていらっしゃいます。まさにそのとおりだというふうに思います。  大隅ルネッサンス創造に向けて大きな力をおかしいただきますように、選挙戦ではありませんけれども、県議会議員としての最後のお願いであります。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、お許しをいただき、一言ごあいさつをさせていただきます。  光陰矢のごとしと申しますが、時の流れの速さを今さらながら強く感じ、感慨を深くいたしております。  私は、一九九一年、平成三年四月に執行されました第十二回統一自治体選挙におきまして、伝統ある鹿児島県議会に在籍を許されました。平成七年の選挙で一回お休みをいたしましたが、以来、現在在職の金子万寿夫議長を含め、五人の議長、土屋、須賀、伊藤知事三代の知事とともに県政に参画をさせていただきました。  当時の日本経済は、バブル経済の終えんを迎え、地方の経済もその影響を受け始めるころにありました。一九九五年の選挙で失敗をいたしまして、返り咲きの一九九九年には県政も大きく変わり、財政再建が大きな課題となっておりました。あわせて、二〇〇〇年四月からは地方分権一括法の施行による機関委任事務の廃止、市町村合併や三位一体改革などなど、地方行政の運営や地方経済に大きな影響を与えると同時に、小泉改革路線の原点でありますアメリカの新自由主義政策の破綻、金融危機は全世界の金融を混乱させ、経済にはかり知れない打撃を与え、我が国も深刻な情勢を招き、特に地方は憂慮すべき時代に入っております。  私はこの間、秀でたる成果もありませんでしたけれども、「生きがいのある生活と豊かな郷土」をモットーに、微力ではありますが、鹿屋市役所での二十年余の行政経験を生かすことができたのではないかと思っております。  現在、基礎自治体は、高齢人口の増加による当然増、都道府県からの権限移譲による仕事の不可避的な増加、税収減、職員減という四重苦に陥りつつあります。今まで不変と言われた区域や役場の位置、自治体の名称まで変更を余儀なくされた市町村合併、残念ながら、市町村合併それ自体を自治体の歳入確保に矮小化をされて、合併すれば交付税が確保されるといった明白なうそや、サービス水準は高いほうに、負担は低いほうに統一するといった将来に対する無責任な言説がまかり通ったことは事実であります。幸い、巷間議論の的になっております政権交代は、地方再生の政策転換に期待の持てる時期を迎えたと私は思っております。  このような情勢の中、今回一身上の理由をもちまして、今期をもって退任することを決意をいたしました。これまで元気に頑張ってこられましたのも、ひとえに県民、選挙区の皆様の温かい御支援と、知事を初め、執行部、職員、そして同僚各議員の皆様の御協力、支援のたまものであり、心からお礼を申し上げます。  伊藤知事、執行部の皆様、御自愛の上、さらなる御努力と御活躍を衷心からお願いを申し上げます。  議員諸氏におかれましては、長きにわたり御指導いただきましてまことにありがとうございました。選挙戦の健闘を祈りますとともに、今後の御活躍を御期待申し上げ、質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(金子万寿夫君)次は、川野威朗君に発言を許可いたします。    [川野威朗君登壇](拍手) 16 ◯川野威朗君 初めに登壇したときは姶良郡区という言葉を使いましたけれども、今回は、姶良市区選出の川野威朗でございます。合併がありまして時の流れをつくづくと感じているところでございます。  それでは、通告に従いまして発言させていただきたいと思います。  初めに、奄美島唄保存伝承事業についてであります。  現在、奄美大島では、昨年十月の豪雨被害からの復興に向け、島民一丸となった取り組みが行われており、また、住用村や大和村など被害の大きかった地域は局地激甚災害に指定され、社会資本整備の復旧が懸命に行われております。  昨年十二月には、奄美大島を元気にしようと、元ちとせさんや中孝介さんなどを初めとする奄美出身の歌手が、東京の新木場で奄美豪雨災害の復興を支援するチャリティーコンサートを行い、収益金の一部を災害復旧費用に寄附されております。  このように、奄美地方では、人を思いやり、助け合う島伝統の結いの心が脈々と人々に受け継がれており、豪雨災害においても、結いの心が人的被害を小さくできたのではないかと思っているところです。  県では、平成二十三年度予算案に奄美島唄保存伝承事業を盛り込んでおられますが、結いの心を醸成してきたのは、奄美の八月踊りなどの伝統文化や、その時々で人々が一体となり歌う島唄などであり、これらが地域の共通基盤となり、地域を一つに結びつける役割を果たしてきたものであると考えるところであります。  しかし、最近では、奄美地域でも方言が使われなくなり、方言で歌われている島唄を理解する人や歌える人が少なくなっていると聞いております。このような中、奄美島唄の保存・伝承を図っていくことはまことに時宜にかなったものではないかと思うところです。  そこでお尋ねしますが、奄美島唄保存伝承事業の概要及び事業の進め方についてお示しください。  次に、新燃岳の噴火活動に関連し、お伺いいたします。  新燃岳は、平成二十三年一月十九日の小規模な噴火に始まり、一月二十六日からマグマ噴火が発生し、一月二十七日以降、爆発的な噴火が頻発しているところであります。このような状況において、県当局におかれましては日夜を問わず噴火災害への対応に奮闘され、その御努力に心から敬意を表する次第であります。  そこでお伺いいたしますが、新燃岳の噴火の現状とあわせ、今後の活動をどのように予測されておられるのかお答えください。  二点目として、一月二十七日以降の爆発的なマグマ噴火による降灰の影響の範囲はどこまで及んでいるのか、また、県におきましては、霧島火山帯を抱え、地質年代からして約三十万年前から今日までの火山活動を繰り返してきた霧島山火山の状況を踏まえ、平成八年、関係町によって、新燃岳等四つの火口のいずれかを想定し、火山噴火災害危険区域予想図が作成され、この想定をもとに、平成十三年度に鹿児島県地域防災計画─火山災害対策編─が策定され、防災行政を推進されてこられたと伺っています。  本計画での災害予防に関する火山災害に強い地域づくりを見ますと、砂防施設等防災に関する諸施設を宮崎県との連携のもとに整備することや、災害に強いまちづくりに関する総合的な計画を策定し、これに基づき計画的、一体的な災害に強い地域づくりを推進することになっています。  つきましては、三点目として、これまで県におかれましては、災害予防としてどのような施設整備を実施されてこられたのか、その取り組み状況並びに今後についてどのように考えているのか、御説明ください。  最後に、四点目といたしまして、今後、新燃岳の噴火が続いた場合、鹿児島空港における風向きの一年間の統計、風配図によると、夏季にかけては南南西から南東の風が卓越しており、湧水町からえびの市、小林方面への影響が危惧されます。これらの影響範囲においては集落が点在し、土石流や泥流の流出が予想される土石流危険渓流などが存在しております。  火山の噴火を原因とする土石流対策として、一定の条件を満たせば緊急調査を行うことができると伺っていますが、どのような場合に緊急調査を行うのか。また、どのような緊急調査を考えているのか。あわせて、緊急調査を受けてどのような対応を考えているのか、お伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 17 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄美の島唄の保存事業についてのお尋ねがございました。  奄美の島唄は、先人から連綿と伝承されてきておりまして、「歌半学」とも言われ、例えば「島朝花」、「空のたくさんの星は数えようと思えば数えられるが、親の教えや言いつけは数えることができない」などに代表されますように、さりげなく人生の教訓を与え、奄美の人々に生きる力を与えるとともに、人々の間の深いつながりをつくってきたものと伺っております。  私は、このようなことから、奄美島唄保存伝承事業を実施をいたしまして、島唄の歴史的な意義を踏まえ、島唄を後世に残しますとともに、まちづくりや全国への奄美の魅力の発信などに活用したいと考えているところであります。  島唄の保存に当たりましては、データベースとして、約三千曲と言われる島唄の歌詞集やメロディーの原形を残すためのCD、DVDを作成することといたしておりまして、事業期間は平成二十三年度から三年間を予定しているところであります。  事業の進め方としては、二十三年度はまず、学識経験者や島唄の専門家などから成ります実行委員会を立ち上げ、島唄の全体像やこれまでの保存の取り組みなどの基礎調査を行うことといたしております。その後、平成二十四、五年度におきまして、島唄のデータベース作成を行い、若い世代への伝承や県内外への情報発信などに活用することといたしております。  県といたしましては、関係機関・団体等との連携により、本県の貴重な地域文化の継承・発展と地域の活性化に向け、積極的な取り組みをしたいと考えているところであります。 18 ◯危機管理局長(中西 茂君)新燃岳の噴火の現状と今後の活動についてでございます。  新燃岳の火山活動につきましては、本年一月二十六日から本格的なマグマ噴火が始まりまして、多量の火山灰等を放出し、また火口内に溶岩が噴出、爆発的な噴火が繰り返されたところであります。  二月四日以降におきましては、ほぼ連続的に火山灰を放出していたところですが、九日ごろから噴火は断続的となり、爆発的噴火は現在までに十三回を数えておりますが、噴火の頻度は低くなってきているところであります。  今後の活動につきましては、二月十五日に開催されました火山噴火予知連絡会におきまして、引き続き爆発的噴火は続くと思われるが、新燃岳に上昇するマグマの量は現在は低下しており、多量の火山灰等を放出するような噴火の可能性は低くなっているものの、多量のマグマが再上昇すれば噴火活動が再び活発化するという見解が示されております。  今回のような噴火の推移は、活動期間が約一年半に及びました享保の噴火でも見られたところでありますが、今後の推移の予測は極めて困難であるとされていることから、当分の間、その推移について慎重な監視をする必要があると考えているところであります。  噴火による降灰の影響の範囲についてでございます。  新燃岳におきましては、一月二十六日から噴火活動が活発になり、現地で相当程度の降灰が確認されたことから、国土交通省が一月二十七日から二十九日にかけまして、上空から降灰範囲を確認し、地上でも百二十八地点で降灰状況を調査したところであります。それによりますと、宮崎県では都城市、高原町など、新燃岳火口から南東約二十五キロの帯状のエリアで一センチ以上の降灰が確認されているところであり、遠くは宮崎市、日南市までその影響は及んでいるところであります。また、本県でも、曽於市及び志布志市で降灰の影響を受け、農作物に被害が発生したところであります。  今後、火山活動が活発化、長期化した場合、風向きによりましては本県への降灰量の増加と影響の範囲の拡大が予想されますことから、国や地元市町とも緊密な連携をとりながら、引き続き降灰対策に取り組んでまいりたいと考えております。 19 ◯土木部長(渡 正昭君)新燃岳に関する砂防施設の整備状況と今後の取り組みについてでございます。  新燃岳山麓を流域に含む霧島川の上流部におきましては、これまでに砂防堰堤を十五基整備してきておりますほか、ワイヤーセンサーなどによる土石流監視等を行うなど、ハード・ソフト両面から土石流対策に取り組んできております。  また、噴火後は、既設砂防堰堤の空き容量を調査いたしますとともに、降灰状況を把握するための観測を開始したところでございます。  さらに、現在、霧島川の砂防堰堤の除石を行っており、支川の神宮川におきましても、除石のための工事用道路の準備に着手したところでございます。  今後は、噴火活動の推移に伴う降灰の状況や既設砂防堰堤の空き容量等に応じて、土石流発生の基準雨量の引き下げや既設砂防堰堤の除石、新たな砂防堰堤の整備等について検討してまいりたいと考えております。  噴火活動に関連した土石流の緊急調査についてでございます。  火山の噴火を原因とする土石流の緊急調査につきましては、本年五月から施行されます改正土砂災害防止法に基づき、河川の勾配が十度以上の流域のおおむね五割以上の区域で降灰等が一センチメートル以上堆積していると推計され、保全対象がおおむね十戸以上である場合に、国により実施されることとなっております。  緊急調査は、降灰量などの流域状況を把握するために実施されるものであり、その結果に基づいて、国は、土石流が想定される区域及び時期に関する情報を、土砂災害緊急情報として市町村等に通知することとされております。  県といたしましては、土石流災害の防止・軽減を図りますために、土砂災害緊急情報等に基づいて、既設砂防堰堤の除石などのハード対策や土石流発生の基準雨量の引き下げなどのソフト対策に、関係機関と連携し、迅速かつ的確に取り組んでまいりたいと考えております。    [川野威朗君登壇] 20 ◯川野威朗君 御答弁ありがとうございました。  奄美の島唄伝承保存事業についてですけれども、奄美の地域文化であった島唄は、多くの唄者を経て、元ちとせさん、中孝介さんなど若い人に引き継がれ、独特の歌唱と音階は癒しの響きとなり、全国デビューを果たしております。新幹線開業キャンペーンソングとして二人の歌う「春の行人」は、鹿児島を全国にPRすると同時に、島唄を本県固有の文化として感じていただけるものと思います。島唄が後世に大切に伝えられていくことを望むところであり、継続した取り組みを要望いたしておきます。  ところで、県内には保存したい伝承・伝統文化はほかにもたくさんございます。奄美の島唄ももちろんですけれども、こういったほかの文化の伝承・保存にも力を注いでいただきたいものとお願い申し上げておきます。  今回の新燃岳の噴火につきましては、防災対策を徹底するとともに、農作物への被害対策や、多大な影響が出ている観光面での振興対策など、多くの課題を抱えています。そのための十分な対策を重ねて要望いたします。  また、霧島火山地域にあっては、地域における経済・産業活動上の大動脈である九州縦貫自動車道や宮崎道を初めとして、緊急輸送道路に指定されている国道二百六十八号等の多くの道路が存在しています。ライフラインとしての道路交通機能が損なわれないよう、県として積極的にそのための協議を進めていく必要があると思います。  このため県におかれては、既存の事業手法だけでなく、きめ細かな地域保全のための防災対策が可能となるよう、国、県、市町村が一体となって、災害を未然に防ぐ積極的な取り組みがなされるよう強く要望いたします。  次に、鹿児島県におけるペット動物保護の取り組みについてお尋ねします。  平成二十三年度当初予算に、動物愛護センター整備に関する経費が計上されております。愛護というからには、ペット動物保護のための施設だと私は思っております。  最近では、子供の数よりペットの数のほうが多いと言われているようでして、かわいい格好をしたペットを連れている方を多く見かけます。それを裏づけるように、平成二十二年九月の動物愛護に関する世論調査では、ペットを飼うのが好きな人は七二・五%で、実際に飼っている人は三四・三%になるのだそうです。およそ三人に一人はペットを飼っているという計算になります。  ペット動物に関する法制としては、動物の愛護及び管理する法律、狂犬病予防法などのほか、環境省の家庭動物等の飼養及び保管に関する基準や、本県においても、動物の保護及び管理に関する条例などのペット動物に関するさまざまな基準、通知があるようでありますが、いま一つ社会に浸透していないのではないでしょうか。ペットの飼い主により動物が安易に保健所に持ち込まれ、殺処分されてしまうケースや、ペットの飼い主のマナー違反を原因とするトラブルを見聞きすることがふえてきているように感じます。  先ほどの動物愛護に関する世論調査によりますと、動物愛護管理政策に対する要望として最も多かった回答は、「飼い主の迷惑行為に対する規制や指導を強める」の五七・三%で、続いて「ペットを取り扱う業者に対する規制や指導を強める」の四七・九%、「テレビ、新聞、ポスターなどでペットの愛護や正しい飼い方の重要性を訴える」の三七%、「ペットの愛護や正しい飼い方について、学校や社会教育の場で十分に取り上げる」の三五・五%となっています。ペット動物に関する愛護政策の強化への期待がかなり高いものとしてあると私は感じております。  以上を踏まえてお尋ねしますが、鹿児島県内で保健所などに引き取られたペットの数、そしてそのうち殺処分された数の状況、年次的推移についてお示しいただきたい。  さらに、今回の動物愛護センターの設置を契機として、県としてペット動物に関する愛護対策にどのように取り組むのか、お答えください。  がん検診受診率向上対策についてお尋ねいたします。  私は昨年十一月に、県政の課題研究のためがん政策サミットに同僚議員と参加してまいりました。全国のがん対策推進協議会などの患者関係委員、公募の患者リーダー、都道府県議会議員、国会議員、都道府県庁の担当者の総勢約百名が参加していました。  そこで、他県の議員の発言やがん患者さんのお話を伺いまして、改めて、がんについて深く考えることでした。  がんというと、不治の病とか、死というイメージを浮かべがちですが、医学の進歩で、早期に発見し、早期に治療すれば治る確率が高くなってきているということです。鹿児島県には、全国に誇る先端医療であります粒子線がん治療研究センターもございます。切らずに治せるということで県内外からの関心も高いと聞いております。  また、先日NHKの番組を見ていましたら、日本人男性が生涯でがんになる確率は五四%、女性の場合は四一%なんだと国立がん研究センターの研究成果を紹介していました。大ざっぱに言って、二人に一人ががんにかかるということです。  これほどがんが身近な病気になっているのに、がん検診を受ける割合は二割程度で、鹿児島県の場合は、一番受診率の高い肺がん検診でも、平成二十一年度に市町村が実施した検診の受診率が二八・七%にとどまっています。その一方で、検診で見つかるがんは早期のものが多いのだそうです。  最近では、テレビコマーシャルでがん保険、先進医療特約とか目にしますが、がんになりますと、身体的な負担だけでなく経済的な負担も大きいようであります。こういったことからも、定期的ながん検診受診で早期発見・早期治療につなげることが大事だということがわかります。  実際、がん検診を実施するのは市町村で、土日に検診日を設定したり、七十歳以上の検診料を無料にしたり、いろいろと工夫を凝らしているようですが、それでも受診率がなかなか伸びないようであります。  県は、直接県民に対してがん検診を行うわけではありませんが、市町村が現場でいろいろと工夫して受診率を伸ばそうという、その努力をバックアップすることも役割の一つだと考えます。  平成二十年三月に策定された県のがん対策推進計画でも、がん検診受診率を五年以内に三〇%以上、十年以内に五〇%以上と目標を設定しているわけですから、県としても積極的に受診率向上に取り組むべきではないでしょうか。  そこでお伺いしますが、県におかれては、がん検診受診率向上のため新たな取り組みをするお考えはないのか。  また、予防ワクチン接種の助成が始まっている子宮頸がんの検診は、二十歳から受診できるわけですが、この年代というのはまだまだ元気で健康に自信があり、がんということに思いをいたすというのは余りないのではないかと思います。こういった若い方々への普及啓発にどのように取り組まれるのか、お答えください。  次に、姶良警察署の整備計画について伺います。  あんしん・かごしま創造プログラムでは、第一に、日本一犯罪の少ない鹿児島づくり、第二に、日本一交通事故の少ない鹿児島づくり、第三に、子どもが安心して安全に暮らせる地域社会づくり、第四に、さまざまな危機事象への適切な対応と、四つの基本の柱が掲げられています。  合併した地域住民の一番の願いは、安全・安心なまちづくりだと思います。警察署や交番等の整備につきましては、治安情勢を見据えた全県下的な視点の中で整備するものであり、治安の拠点という意味から、安心・安全に暮らすまちづくりの第一歩だと思っております。  現在の姶良警察署は老朽化、狭隘化が著しく、速やかな建てかえが必要だったわけですが、今議会の当初予算で姶良警察署の新庁舎の基本・実施設計の予算が計上されました。建設予定場所につきましては、免許試験場の一画と聞いておりますが、合併後の新市にふさわしい警察署庁舎となることが望ましいと考えております。  そこで、姶良警察署の整備計画についてですが、設計、完成予定等、具体的な計画についてお示しください。 21 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)ペット動物保護の取り組みについてお尋ねがありました。  引き取り、処分数の推移についてでございます。
     犬や猫の捕獲・引き取り数は、平成十七年度から平成二十一年度までの五カ年につきましては、順に八千百七十頭、七千九百十一頭、七千三百五十七頭、七千四百七十一頭、六千二百三十七頭となっております。  そのうち処分したものは、平成十七年度から順に、七千四百四十九頭、七千三百二十八頭、六千五百九十八頭、六千七百三十頭、五千三百三十二頭でございます。  過去五年間の推移は、犬、猫合わせた捕獲・引き取り頭数が約二四%の減少、処分頭数も約二八%の減少となっております。  動物愛護への取り組みについてでございます。  動物愛護センターは、人と動物が共生できる地域社会の実現を目指して、地域における人と動物との触れ合い、共生活動を支援する拠点施設として整備するものでございます。  動物愛護センターの設置により、動物愛護団体等と連携しまして、譲渡会や研修会などの開催を通じ、動物の命の大切さ、適正飼養や終生飼養の重要性など、動物愛護思想の普及啓発を推進することとしております。  がん検診受診率向上対策についてでございます。  がん検診につきましては、市町村において、個別通知や行政無線を活用した啓発を図ります一方、夜間検診や医療機関検診など受診しやすい環境整備に取り組み、受診率向上に努めてきております。  県といたしましては、今後、鹿児島産業保健推進センターや県内企業等と連携いたしまして、がんの罹患率が高くなる中高年の受診率向上に努めますとともに、平成二十三年九月に本県で開催予定のがん征圧全国大会を通じ、早期発見の重要性を普及啓発し、がん検診受診の一層の向上に努めることとしております。  がん予防対策につきましては、若い世代への啓発が重要でありますことから、フリーペーパーやタウン誌を活用する一方、専門学校生や大学生を対象とした女性の健康支援セミナーなどを開催し、また、若い世代に発症がふえております子宮頸がんにつきましては、予防ワクチンの啓発の一環として、市町村と連携して検診受診の啓発に努めております。  県といたしましては、今後とも、市町村、医療機関、女性団体等との連携を推進いたしますとともに、地域・職域・学域連携推進委員会の活用を図って、がん検診の受診率向上に努めてまいりたいと考えております。 22 ◯警察本部長(笠原俊彦君)姶良警察署の整備計画についてでございますが、姶良警察署につきましては、昭和四十四年に建設され、来年度で築後四十二年が経過することとなり、施設の老朽化、狭隘化が著しく、業務に支障を来しているほか、耐震工事につきましても未実施となっております。  また、市町村合併によりまして、警察署が立地的に管轄区域の中心から外れており、事件・事故への対応を初め、地域住民サービス上も不便が生じているため、早急に新庁舎を整備する必要がございますことから、平成二十三年度予算で新庁舎の基本設計、実施設計等の委託料八千九百六十四万円を計上したものであります。  新庁舎につきましては、現在建設中である運転免許試験場の新庁舎が完成いたしました後、その跡地に建設する構想であり、平成二十三年度に基本設計、実施設計を行い、平成二十四年度から工事に着手、二十五年度に完成予定でございます。    [川野威朗君登壇] 23 ◯川野威朗君 ペットの動物保護についてであります。  命は地球より重いと言うときの命は、人も動物も同じであります。人が他の動物よりも進化している、高度な知性を有しているというのであれば、他の生き物の命をおもんぱかることができるはずであります。鹿児島では弱い者をいじめるなと教えられます。物言えぬペットたちに思いをいたすことが、他者への思いやりの心を育てることにも通じるのではないでしょうか。動物愛護センターが仏つくって魂入れずということにならないよう、整備後の運営にも注目していきたいと考えております。  がん対策基本法には、がん対策に関する国の責務や地方公共団体の責務が定められていますが、その第六条には、国民の責務として、「国民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めなければならない」と定められておりまして、このことは、私も含め、一人一人が自分の健康に責任を持たなければならないということだと思っています。  この法律の条文からも、鹿児島県のがん対策について、だれがではなく、みんなで推進していくことが大事だと私は感じておるところでございます。  今後も、県議会の中で、鹿児島県のがん対策について引き続き勉強してまいりたいと考えておりますので、執行部の皆様方の御協力をお願いしておきます。  次に、姶良警察署の整備についてであります。  姶良市民が安心して安全に暮らせるためにも、姶良警察署の早期着工、そしてまた早期完成を願っているところであります。  一般質問も時間が大分余ってまいりましたけれども、県議会議員としてここ四年間、一生懸命取り組んだわけですけれども、議員としてこういうことを頑張ってきた実績じゃないんですけれども、一つお話を申し上げたいと思います。  議員としていつも自分自身を見詰めていたときに、足腰の強いしっかりした人間力や実践力を身につけているのかなと、いつも反省しております。この腰の重いというのは、昔から言われておりますように、胆力があるかということであり、物事に動じないそういった気力を持っているかということであります。しかし、物事に動じないというのは、やはり議員として誠実であるのか、そしてまた誠意を持って住民と接してきたのか、それが基礎になって胆力がついていくんじゃなかろうかと思います。  今、家庭力とか地域力、いろいろ「力」という言葉が使われておりますけれども、私は一つ、人間力、人間力を高めるために努力してきたと、このように思っております。  この人間力というのは、一般的には、あの人は人間ができているな、あの人はなかなかの人間だ、そういったのが一般に言われている人間力なんですけれども、議員としての人間力というのは、どのような状況に遭遇しても取り乱したり悲観したりすることなく、平常心を常に保って、的確に正しい判断をすることができる力、これが人間力ではないかと、このように思います。  ただ、人間力だけで議員が務まるわけではございません。プラス、先ほど言いました的確な判断をし、平常心を保つということはすなわち、自分にできることを着実に継続的に実行していく力、これが実践力だとこのように思います。  実践力すなわち、これは行動力とは違います。行動力というのは動物的な動きでありまして、行動を起こすのが行動力ですけれども、私の言う実践力というのは、倫理観に基づいた、道徳的にも人間としてもすぐれ、そしてこれを実践することによって社会がどうなっていくのか、それをやっていくのが実践力、私流の実践力でございます。人間力プラス実践力、そしてまた社会においては決断力が必要なときもあろうかと思います。  今回、二期目の選挙を迎えるに当たり、人間力プラス実践力は身につけたつもりでおりますけれども、四月を迎えて、決断力でもって頑張っていきたいなとこのように思っております。  そして一般的には、私たちの不幸のほとんどは、的確な判断ができないこと、あるいは何もせずに悩んだり逡巡したり、ただ怠けているところから生じているんじゃないかと、このようにも言われております。  これからも議員として、人間力、実践力の向上に自己研さんに励んでいきたいとこのように思っております。  どうもありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時五分といたします。        午前十一時二十五分休憩       ─────────────        午後 一時  五分再開 25 ◯議長(金子万寿夫君)再開いたします。  宮島孝男君に発言を許可いたします。    [宮島孝男君登壇](拍手) 26 ◯宮島孝男君 摩郡区の宮島孝男であります。  八回目の一般質問となります。早速、質問に入ります。  まず、政策的投資の今後の見通しについてお伺いします。  本県の財政状況は極めて厳しい状況でありますが、伊藤知事就任時には四百五十一億円あった財源不足額が、平成二十三年度予算ではゼロにまで回復しました。ここまで財政の立て直しに尽力された伊藤知事の手腕については、高く評価したいと思います。  一方で、この間の政策的投資について見ると、平成十七年度決算の普通建設事業費は二千百四十二億円ありましたが、平成二十三年度予算では千五百三十一億円になっています。六年間の間に実に六百十一億円、率にすると二八・五%も減少しております。  もちろん扶助費が増加する中で、人件費の抑制に努めるなどの努力があったことも認めますが、財政の立て直しのために普通建設事業費の抑制・削減が大きく貢献してきたことは明らかです。財政状況が緊急事態であったことを考えるといたし方なかった面もあると思います。  ただ、本県の場合は、産業基盤が依然脆弱であり、農林水産業及び関連産業の振興、製造業の立地促進、観光・交流の拡大などに力を入れているものの、本県の経済の浮揚には、まだまだ公共事業に依存する面が大きいと思われます。  こうした中、知事は、平成二十三年度予算の編成に当たり、依然として財政は非常事態にあるとしており、厳しい財政見通しをお持ちのようですが、地域経済の活性化のためには、ある程度公共事業の量を復活させていくことも必要なのではないでしょうか。  そこで質問ですが、毎年度減少を続けている普通建設事業費ですが、平成二十四年度以降も削減を続けていく予定ですか。それともある程度は増加に転じていく計画ですか。公共事業の中長期的な見通しについてどのようなお考えをお持ちかお聞かせください。  今後は、体育館の整備などが予定されているようですが、今後予定している大型の建設事業の内容及びスケジュールを示していただきたい。  次に、広域行政の推進について伺います。  ここ数年、地方分権という言葉にかわり地域主権という言葉が使われることが非常に多くなってきています。愛知県知事選、名古屋市長選に見られるように、地域色を打ち出すことにより、県民、市民の圧倒的な支持を受けている状況もあります。また、道州制の導入についても推進に向けた積極的な論調がふえてきています。  こうした中、九州地方知事会では、昨年十一月に九州広域行政機構の設立を発表しています。この機構は、国の出先機関の事務・権限・人員・財源等を地方で丸ごと受け入れることを目的に設立しようというものです。他の地方の広域連合等と比べ、より具体的かつ現実的な姿を見せていることから、全国的にも大変注目されています。  政府の地域主権戦略会議でも九州の構想をモデルにしたいという考えのようです。私自身も今回の取り組みについては、基本的には賛成であり、大いに推進していただきたいと考えております。  ただ、大分県知事が、「これは道州制とは全く別のものである」と発言しているように、あくまでも地方分権の推進にとどまるものとしてとらえている向きもあるようです。  また、機構の詳細な内容が明らかにされていない状況ではありますが、示された内容を見ると、幾つか本県にとって懸念される点があります。  そこで質問です。  九州広域行政機構について、知事は、地方分権の一つの手段か、それとも将来的な道州制への一歩と考えているのか、どのような認識をお持ちかお聞かせください。  次に、九州広域行政機構の具体的な内容についてでありますが、九州広域行政機構に設置される知事連合会議は、委員長への権限集中を回避するために合議制を取るとされています。ただ、これでは責任体制が不明確になると思われますが、この点についてはどのように考えておられますか。  また、国の出先機関の大部分は福岡県に集中しており、機構の人員等が福岡県に集中し、結果として運用についても福岡県主導になってしまうのではないかという点が危惧されますが、どのようにお考えですか。  関連してですが、以前、知事は、前宮崎県知事との新聞紙上の対談で、道州制を考える上で、「現実的にはその前に南九州三県の合併がある」という趣旨のことを述べておられましたが、現在ではどのように考えておられますか。  続いて、二重行政の解消に向けた取り組みについて伺います。  さきに述べた広域連合とは違う形で地方自治の形を見直そうという動きも急速に広がってきています。大阪都構想や中京都構想などが広く知られておりますが、こうした動きは大都市圏だけにとどまらず、地方にも広がってきています。  代表的なものが新潟州構想です。これは、新潟県と新潟市を合併し、二重行政を解消しようとするものです。簡単に言えば、県庁所在地においては、県立と市立という形で同じような施設が並立しており、こうした二重行政を解消するために県と市を合併しようという構想です。  そこで質問ですが、都道府県と県庁所在地の二重行政の問題が、近年大きくクローズアップされてきていますが、二重行政の解消に向けて、鹿児島県と鹿児島市の合併等を検討する考えはないでしょうか。  次に、農業及び食品関連産業の振興についてお伺いします。  まず、耕作放棄地解消に向けた対策の実施状況について伺います。  全国の耕作放棄地の面積は、埼玉県に匹敵する広さまで拡大しており、農業の振興に当たっては、就農者の平均年齢が六十五歳になろうという高齢化の問題とあわせ、土地の問題も極めて深刻な問題となっています。  こうした中、県が平成二十年度に行った実態調査では、本県の耕作放棄地は二万ヘクタール以上に上ることがわかりました。この結果は、それまで農業センサスで示されていた耕作放棄地の面積を大幅に上回るものであり、非常に深刻な事態であることが改めて浮き彫りにされました。  また、実態調査では、耕作放棄地のうち一万へクタール以上が山林化するなどして、回復が不可能であるとされ、県では農業振興上、特に重要な地域である農用地区域内の約五千ヘクタールを中心に当面その解消を目指すとしています。  そこで質問です。  耕作放棄地解消に向けた取り組みは、実質的に平成二十一年度から始まったようですが、その実績はどのようになっていますか。  耕作放棄地の解消の状況は、市町村によって異なると思われますが、耕作放棄地の解消が進んでいる市町村では、どのような取り組みが見られるか教えてください。  次に、食品加工業の育成について伺います。  本県は、長年、南の食糧供給基地を標榜していますが、農産物の出荷額に比べて食品の出荷額は非常に少ない状況です。  実際の数値を見てみますと、本県の農業粗生産額は約四千億円あるのに対して、食料品の製造品出荷額は約六千億円しかなく、単純に比較すると、農業粗生産額の一・五倍にとどまっています。  一方、全国で見ると、農業粗生産額約八兆円に対して、食料品の製造品出荷額は約二十四兆円あり、農業粗生産額の約三倍となっています。  この数字だけで判断できるわけではありませんが、本県の場合は、生のまま原料のままで出荷することが多い、あるいは付加価値の低い加工レベルにとどまっている姿がうかがわれ、地域に付加価値が落ちない要因の一つとなっていることがわかります。  本県の場合、林業、水産業も含めた第一次産業を基幹産業としている現状から、食品関連産業のさらなる振興が不可欠であることは言うまでもありません。  こうした中、平成二十三年度予算において、大隅地域の振興策の目玉の一つとして、大隅農業・加工技術研究プロジェクトが新規事業として上げられ、将来的に加工研究指導の拠点づくりが行われる見通しです。  こうした取り組みについては、県としても食品加工に力を入れようという姿勢がみられ、本県の産業発展・振興に大きく寄与するものとして大いに評価するところであります。  そこで質問です。  本県では、食品、電子部品、自動車を企業誘致も含めた製造業振興の大きな柱としていますが、食品製造業の出荷額等の目標値はどのように設定しているのでしょうか。また、今後の県内食品製造業の振興に向けた取り組みについて見解を伺いたい。  第二に、食品産業の振興のためには、食品関連企業の誘致が不可欠と思いますが、過去十年間に本県に進出した食品関連企業の企業誘致件数及びそれに伴う雇用者数はどのようになっておりますか。また、今後の食品関連企業の誘致に向けた取り組みについて見解を伺います。  平成二十三年度予算で、大隅農業・加工技術研究プロジェクトが新規事業として上げられ、大隅地域における加工技術研究の拠点づくりが検討されることとなっています。農業総合開発センターとあわせ、将来的に南薩と大隅に加工技術研究の拠点ができることになります。  しかし、北薩地域や県央地域からは、いずれの場所も離れた立地にあり、加工技術研究の拠点ができたとしてもなかなか利用しづらい状況にあります。  そこで、これらの施設の分室のような形でもよいので、北薩地域等にも加工技術研究の拠点づくりを進める考えはないでしょうか。お聞かせください。  次に、中国への農畜産物の輸出状況について伺います。  人口減少時代を迎える中、国内の農産物市場は高い成長が見込めません。一方で、国連が発表している食糧指数が急騰し、最高値をつけようとしているように、世界的には食糧需給が逼迫しております。その背景にはさまざまな要因があると言われていますが、中でも新興国の需要の急拡大が大きな要因と言われています。  成長著しい新興国の中でも隣国である中国は、十億人を超える市場を持ち、経済的な発展を背景に富裕層も急速に増加しており、農畜産物販売の市場として大いに注目され、期待されています。  こうした中、我が国から中国への農産物の輸出は急速に拡大しており、例えば昨年の我が国の米の輸出量は、前年比四五%増の千八百九十八トンで、特に中国向けは前年の三倍にふえています。  また、香港や上海等の大都市では、日本から輸出された野菜や果物が、おいしさと安心を武器に飛ぶように売れていると聞いております。  そこで質問です。  本県から中国への農畜産物の輸出金額はどのように推移していますか。また、主な農畜産物は何ですか。  本県には、質、量ともに優位性を持った鹿児島ブランドがあり、県もその販売にも力を入れています。青森のリンゴや鳥取のナシなど他県には輸出強化を図っている戦略作物がありますが、本県ではどのような作物を輸出に向けた戦略作物と考えていますか。  次に、農畜産物の輸出に関連した質問となりますが、本県では、平成二十一年度からは上海マーケティングプロデューサーを置いており、平成二十二年度には単独での上海事務所をオープンいたしました。  こうした取り組みは、農産物等の輸出促進や企業等の海外展開をサポートするための取り組みとして有効に活用していくことが必要と考えます。  そこで質問ですが、上海マーケティングプロデューサーは、設置の際は話題となりましたが、実際にはどのような活動をしておられるのか、具体的に教えていただきたい。  上海マーケティングプロデューサーの設置による企業取引や輸出等の成果について教えていただきたい。  さらに、関連した質問ですが、平成二十三年度予算では、県内製造業の海外展開を支援するために、海外進出セミナーの開催や商談会への参加支援などを行う県内製造業海外販路開拓支援事業が新規事業として上げられています。
     人口減少時代においては、中小企業においても国内市場だけでは十分ではなく、海外市場をターゲットとした事業展開は欠かせないことから、非常に大切な事業であると思います。  そこでお伺いします。  海外進出セミナーは、九州経済産業局やジェトロ等がこれまでにも実施してきており、また、商談会は、地元金融機関等が長年にわたって開催してきております。県が取り組む事業は、これらとどのような点が違うのか具体的にお答えをいただきたいと思います。  以上で一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 27 ◯知事(伊藤祐一郎君)九州広域行政機構と道州制の関係についてのお尋ねがございました。  九州広域行政機構の構想につきましては、国が地域主権改革のため、出先機関改革を推進していることに対応いたしまして、全国知事会としても各ブロックの知事会ごとに受け皿づくりを検討するという動きの中でまとめられたものでありまして、九州地方知事会としては、ひとまず道州制とは切り離して考えているところであります。  ただ、この構想は、当面、本格的な広域行政の仕組みが導入されるまでの過渡的な制度として設計をしておりまして、このような構想をもとに国から地方への権限委譲が進み、地方分権が進展してまいりますれば、国の役割は国家の存立等に必要なものに限定し、内政に関するほとんどの権限を現在の県域を越えた広域的な行政主体が担うといういわゆる道州制に近い姿に近づいていくことも、将来的には十分に可能性があるものと考えているところであります。  南九州三県の合併への言及についてのお尋ねがございました。  お話のありました前宮崎県知事との対談におきまして、道州制への移行は、道州制への移行の過程におきまして、南北の九州各県の社会資本の整備状況や当面の県政上の課題がそれぞれ違いますので、それぞれ地域間の格差がございますので、まずは南九州の三県と北部九州の四県がそれぞれ合併をした上で、おおむね十年ぐらい広域的な行政をやり、その運営を経験した上で北と南が合併するのが現実的な選択ではないかと考え、その旨を述べたものであります。  南九州三県が合併いたしますと、おおむね四国全体と人口、経済規模等が同規模でありますので、基本的には過渡的な形態の一つとして、私は十分にあり得ると考えておりますが、現在、政府の道州制の対応は不透明でありまして、しばらくは国の動きも注視する必要があると考えているところであります。 28 ◯総務部長(三橋一彦君)普通建設事業費の中長期的見通し等についてのお尋ねでございます。  県政刷新大綱におきましては、他県と比べても高い水準にありました普通建設事業費につきまして、新規に発行する県債の抑制という観点から、三割から五割程度削減の方針を示して、事業の効率化・重点化を図っているところであります。  他方で、県内経済の情勢や国の経済対策を踏まえ、所要の事業量の確保にも努めてきたところであります。  平成二十三年度当初予算においては、財源の確保に努めながら、普通建設事業費について、平成二十二年度当初予算比〇・五%増の千五百三十一億円を計上いたしますとともに、これに災害復旧事業費を含めますと、対前年度当初予算比一・三%増の千六百二十七億円、さらに平成二十二年度三月補正予算における経済対策分を合わせますと、前年度比五・三%増の一千六百九十一億円の投資的軽費を計上しており、地域経済を下支えするよう可能な限り配慮しているところであります。  中長期的に見た普通建設事業費につきましては、新たな大綱策定の検討に際し、収支見通し等の改定を行う中で、国の公共事業費の動向や本県の社会資本整備のあり方、県債残高の推移などを総合的に勘案して検討する必要があるものと考えております。  今後の大規模な建設事業につきましての例示でございますが、例えば公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場エコパークかごしまにつきましては、本体事業費が約七十八億円であり、平成二十五年度の供用開始を予定しており、鹿児島養護学校の建設につきましては、総事業費約四十八億円であり、平成二十五年度の移転開校を予定しているところであり、総合体育館等の整備につきましては、今年度末に基本構想を策定した上で整備に向けて取り組んでいくこととしているところであります。  九州広域行政機構の責任体制についてのお尋ねでございました。  九州広域行政機構におきましては、執行機関として、機構を組織する県の知事による知事連合会議を設置し、予算・決算の調整、組織・人事の決定等を行うこととしております。  知事連合会議におきましては、九州広域行政機構の持つ事務・権限の規模や内容等を踏まえ、権限集中を回避する観点から合議制としているところでありますが、知事連合会議の委員である各県知事は、地方整備局や農政局などの各部門を分担して執行することを想定しているところであります。  また、詳細な管理や執行体制のあり方につきましても機構の条例等で定める方向で議論されているところであります。  九州広域行政機構の運営についてでございますが、九州広域行政機構におきましては、国の出先機関の事務・権限・人員・財源等を丸ごと受け入れることから、現在の国の出先機関の事務所は、そのまま機構所管の事務所とすることを想定しているところであります。  機構の執行機関として設置される知事連合会議は、各県知事による合議制の機関であり、また、委員である各県知事が各部門を分担して執行することとしていることから、機構の設立により、事務所や人員が特定の県に集中し、当該県が機構の運営を主導するということにはならないものと考えております。  鹿児島県と鹿児島市の合併についてでございます。  御指摘の新潟州などの構想は、一部の自治体の首長が府県と政令指定都市の二重行政の解消を目指すことなどを目的に提案されているものと承知をしております。  現行法のもとでは、都道府県と基礎自治体である市町村とが合併することは想定されていないところでございますが、大都市制度のあり方につきましては、従来より議論がなされてきており、現在も国の地方行財政検討会議において、大都市について都道府県との二重行政解消のために一層の権限移譲を進めることや都道府県に属さない大都市などを構想し得るかなどについて検討がなされているところであります。  本県と鹿児島市との間におきましては、従来から鹿児島県・鹿児島市意見交換会などさまざまな機会を通じ、県、市間で調整を要する課題について協議を行うなど、テーマに応じた連携や役割分担を図っているところであり、今後もこのような連携等に基づき、県と市の共通の課題に対処してまいりたいと考えております。 29 ◯農政部長(弓指博昭君)耕作放棄地対策の進捗状況などについてお尋ねがございました。  耕作放棄地の解消につきましては、これまで市町村の協議会を中心に障害物の除去など農地の復元、耕作主体となります担い手などの確保、それから各地域の特性を生かした推進品目の営農定着などに取り組んできておりまして、二十一年度の解消面積は三百四十ヘクタールとなっております。  耕作放棄地対策の進んでおります市町村におきましては、市町村や農業委員会などが積極的に調整・仲介を行いまして、担い手の経営規模の拡大につなげております取り組みや水土里サークル活動を活用して、再生農地を利用した集落ぐるみで伝統野菜の振興を図っております取り組み、あるいは市町村などが支援しまして新規就農者や参入企業が営農を開始しております取り組みなどが見られておるところでございます。  県といたしましては、新年度から新たに耕作放棄地を含みます農地をまとまった形で、認定農業者などの担い手や参入企業などに集約します市町村の取り組みを支援いたしまして、耕作放棄地の解消と農地の有効活用をさらに促進することとしております。  次に、北薩地域での加工技術研究についてお尋ねがございました。  農産物の加工技術等の研究につきましては、現在、吹上・金峰地区の農産物加工研究指導センターで、県内全域を対象に県産農産物を活用した新商品の開発などに取り組んでおります。  しかしながら、これからの本県農業の飛躍的な発展を図りますためには、素材提供型の農業から一次加工などにより価格支配力を高めた高付加価値型農業への展開などが求められておりまして、特にこうしたダイナミックな転換が可能と思われます大隅地域において、生産から加工、流通面に至る多岐にわたる課題に対応できます今後の試験研究や支援体制のあり方につきまして、新年度に大隅農業・加工技術研究プロジェクトによりまして、検討委員会を設置して具体的に検討することといたしております。  この検討の過程で、現在の農産物加工研究指導センターの取り扱いや県内の各地域におきます加工技術開発に関する需要への対応については、その方向性が定まるものと考えておりますが、一方で、研究の高度化・効率化や限られたマンパワーの有効活用を図らなければならないことなどを踏まえますと、施設、機能を余り分散させることは難しい面があるのではないかと考えております。  それから、中国への農畜産物の輸出についてでございます。  現在、我が国から中国へ輸出可能な品目は、実質的に、米、リンゴ、ナシなどに限定されておりますことから、これまで本県からの中国への輸出実績は確認されておりません。  このため、県としては、中国へのゲートウエーとしての機能を有します香港やシンガポール、台湾を対象にサツマイモや鹿児島黒牛・黒豚など本県の有利性が発揮される品目について、商談会等を継続的に実施してきているところでございまして、その結果、これら品目は知名度が着実に上昇してきております。  今後ともこうした品目を戦略的な品目として位置づけまして、当面、香港などに対する輸出実績の拡大に努めますとともに、中国における来るべき輸入規制の緩和なども見据えまして、上海事務所を拠点といたしまして、商談会や求評会等の取り組みを着実に積み重ねてまいりたいと考えております。 30 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)食品製造業の振興についてでございます。  食品製造業の平成二十一年の製造品出荷額は、全製造品出荷額一兆七千百五十二億円の約五八%の九千九百二十六億円を占めているところであり、現在策定中の製造業振興方針におきましては、五年後の平成二十七年に製造品出荷額全体として、現在の約一割増を目指すこととしております。  今後の食品製造業の振興につきましては、同振興方針を踏まえ、本県の恵まれた農林水産資源を生かした農商工等連携のさらなる推進を図るとともに、かごしま産業支援センターの産業おこし挑戦基金を活用した新商品の開発や販路開拓等に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、食品関連企業の企業誘致についてでございます。  過去十年間における食品関連企業の誘致件数は五十七件で、これに伴う新規雇用者数は一千九十一人となっております。  今後の食品関連の企業誘致につきましては、本県の恵まれた農林水産資源を生かした産地立地型の企業誘致の強化を図ることとしております。  なお、今年度実施しました食品産業の誘致可能性調査によりますと、カット野菜業や水産食品加工業、健康食品製造業などが誘致可能性の高い業種とされており、この結果も活用しながら、より効果的な食品関連企業の誘致活動を展開してまいりたいと考えております。  県内製造業の海外販路開拓への支援策についてでございます。  九州経済産業局による海外輸出等を目指す企業を対象とするセミナー等は、北部九州での開催が中心となっており、また、地元金融機関やジェトロ鹿児島等による海外商談会への出展支援等は、食品製造業を中心とした取り組みとなっております。  このようなことから、県内製造業海外販路開拓支援事業では、主として機械金属製造業や電子部品製造業などを対象に県内企業ニーズを踏まえたセミナー等の県内開催や海外商談会等への出展支援等に取り組むこととしております。  なお、事業の実施に当たりましては、九州経済産業局やジェトロ鹿児島等関係機関と十分連携を図ってまいりたいと考えております。 31 ◯観光交流局長(福壽 浩君)上海マーケティングプロデューサーの活動等についてでございます。  上海マーケティングプロデューサーは、就任以来、上海の輸入業者を招聘しての商談会の実施、現地の百貨店での日本食フェアへの出展などを行うとともに、県内企業の商談のフォローアップや中国展開に係る助言等に取り組んでおります。  また、中国においては、ほとんどの農畜産物の日本からの輸出が困難な状況のもと、中国の消費者からの評価も高い我が国の加工食品、特に菓子の取引拡大等に取り組んでいるところでありまして、昨年十二月には、菓子関係の有力な輸入業者を本県に招聘して商談会等実施し、また、本県一月には、同事業者と連携し、上海のショッピングセンターで物産展を開催したところでございます。  県内事業者の中国との取引や県産品輸出についての意欲や機運が高まりつつある中、上海マーケティングプロデューサー設置後、上海事務所における県産品輸出に係る相談や訪問件数が増加をしております。  また、同プロデューサーによる物産展、商談の企画や実施によりまして、上海におきまして新たに黒酢やそうめんなど九品目がスーパー等で販売等がなされるようになっております。  今後とも同プロデューサーの人的ネットワークの構築や市場情報の収集、県産品アイテムの掘り起こしや商品提案等によりまして、県産品の輸出ルートの確保を図ってまいりたいと考えております。    [宮島孝男君登壇] 32 ◯宮島孝男君 御答弁ありがとうございました。  まず、行政改革についてでありますが、財政事情が依然厳しい状況にあることは十分に理解しております。ただ、知事が就任以来、公共事業費が三割削減されてきており、本県の基幹産業の一つである建設業は非常に厳しい状況が続いています。  建設業界としても農業等の新規事業分野への進出を図りっておりますけれども、なかなか成功している例は少ないのであります。以前のような公共事業費の額へ戻せなどとは申しませんが、これ以上の削減が進むと、多くの建設業者が苦境に立たされることは必至です。  中長期の財政計画や予算編成においては、公共事業費についてある程度の水準が維持できるよう、さらに十分な御配慮をしていただきたいと要望しておきます。  また、広域行政についてでありますが、九州広域行政機構については、全国に先駆けたモデルとして積極的に推進していただきたいと思います。  ただし、今のままのスキームでは、福岡への一極集中が懸念されます。答弁では、そのようなことはないのではないかという感じでありましたけれども、今後、知事会等で行われるでありましょう運営組織等の詳細な検討に当たっては、福岡への一極集中が進まないように十分な配慮を重ねてお願いをしておきたいと思います。  一方で、県民にとってより身近で現実的な問題は、二重行政の解消についてです。鹿児島市が政令都市じゃなくて中核都市であるということはわかっての質問でありました。  「何で図書館が二つあるのだろう。一つにして運営すれば蔵書もふえるし、本を探すのに行ったり来たりしなくても済むのに」とか、「何で県立と市営の野球場が二つあるんだろう。一緒につくればもっと立派なものがつくれるんじゃないか」とか。こうした疑問は、長い間、県民が思い続けてきたことではないでしょうか。  行政の形を変える、答弁にありましたとおり、つまり県と市の合併となると、法律のこともありますが、鹿児島市の理解はなかなか得られるものではないでしょう。しかし、二重行政の解消に向けた話し合いや政策・事業を一緒に進めることは十分に可能です。これまでにも県と市が連携して整備した施設としてふれあいスポーツランドなどがあります。  これからも、答弁にありましたが、新たな施設の整備を行う際などは、お互いが持っている施設と重複がないか、両者の施設を統合したら充実した施設になるのではないか等々県と市がもっと緊密に連携し、事業を進めることにより、実質的に二重行政が解消されるような取り組みを進めていただきたいと思います。  次に、農業関連についてです。  耕作放棄地対策については、阿久根市のでん粉業者による耕作放棄地を利用したカンショ栽培への取り組みや肝付町の「えこふぁーむ」による豚を活用した耕作放棄地の再生など、耕作放棄地対策について本県は全国でも先進的な地域として認識されています。  また、答弁にあったような取り組みを県全体に広げていくよう努力していただき、目標である五千ヘクタールの耕作放棄地の解消を早急に進めていただきたいと思います。  また、農産加工技術の研究拠点についてでありますが、農産加工は小規模な事業者も多く、地域に密着した形で行うことが多い事業です。このため、加工の指導や研究を行う拠点もより身近な場所にあることが望ましいのではありませんか。「分散は難しいのでは」との答弁でありましたが、大隅への研究拠点の整備は第一歩として、北薩や奄美など分散型で整備していってはいかがでしょうか。  予算その他の点から、県単独での新たな施設の整備は難しいかもしれませんが、例えば合併前の旧役場等の空きスペースを活用して、施設・設備の整備は地元の市町村が共同で行い、人材やノウハウを県が提供するといったように、県と地元市町村が共同でつくる研究拠点などは考えられないのでしょうか。  地元のニーズ等も十分に把握しながら、北薩地域にもぜひ加工技術研究の拠点整備を検討していただきたいと要望しておきます。  中国への農畜産物の輸出については、実績がゼロというのは非常に残念です。国内市場は大きな成長が期待できないだけでなく、どの産地でもブランド化を進めており、かごしまブランドを標榜しても圧倒的な優位性を持つことは難しい状況です。  一方で、成長著しいアジア市場こおいては、日本産の農畜産物に対する質の高さと安全・安心に対する評価は非常に高いものがあります。新たな時代の農業のあり方として、海外、特にアジア市場への展開は必須条件の一つです。農林水産省でも米の輸出量について、将来的には百万トンを目指すとしているように、対中輸出を農業再生の重要な手段としています。  本県においては、これまでのおくれを取り戻すために、輸出促進に向けた戦略品目を選び、目標年度、目標数量などを定めたロードマップをつくり、輸出への取り組みを早急に進めていただきたいと思います。  また、関連してですが、上海事務所、上海マーケティングプロデューサーについても、もっと目に見える形で活用をしていってほしいものです。  今回、上海事務所が改めてオープンしたのを契機に、もっとマーケティングプロデューサーの存在を広く知らしめ、県内企業等が我さきにと活用したがるような体制づくり、気運づくりをしていただきたいと思います。  引き続き、質問に移ります。  まず、本県にかかわる国際問題への対応についてお伺いします。  経済のグローバル化が進む中、世界各国の間では、FTAやEPA等の交渉、締結が進みつつあります。  TPP協定については、農業問題がクローズアップされていますが、農業だけでなく、サービスから金融など二十四の分野で議論が進められていることは周知のことです。  TPP協定は、関税撤廃の例外を認めないなど完全な貿易自由化を目指しており、幅広い分野に深刻な影響が及ぶことが懸念され、TPP協定参加については、私自身絶対反対であり、県としても強い意志を持って反対していただきたいと考えます。  ところで、昨年の四月以降動きがなかった日豪EPA交渉が、二月から再開され、六月までの交渉妥結を目指すといった報道もあります。  オーストラリアは日本に対して、砂糖、牛肉、乳製品等の関税撤廃を要求しております。  そこで質問です。  日豪間でEPA交渉がまとまれば、本県農畜産業に与える影響は深刻なものになると予想されますが、県としてはどのように考えているのか伺います。  次に、外国人の土地取得に対する規制についてでありますが、この件につきましては、十二月議会でも同様の質問がありましたので、予定していた質問を割愛して、要望にかえさせていただきます。  近年の経済成長を背景に、別荘地や森林等を中心に中国人により買収される状況が進んでいると言われ、買収された地域の人々は、不安や懸念を持ちながら生活していかなくてはなりません。  こうした中、総務省でも緊急に外国人の土地所有の状況について調査を開始したところですが、我が国には外国人の土地所有を規制する法律はあるものの、政令等が施行されておらず、実効力が伴っていません。  また、尖閣諸島の問題にしろ、北方領土問題にしろ、現在の民主党政権は外交音痴と言わざるをえません。現在の政権では物事がなかなか決められない状況が続いており、政府による外国人の土地取得に対する規制についても進まないことが懸念されます。  一方で、防衛省では、南西諸島の防衛力強化を打ち出しています。  特に本県は、奄美諸島や甑島などに防衛関連施設を抱えているだけでなく、川内原子力発電所等の重要施設もあり、外国人の土地取得の問題は、安全保障上の問題からも憂慮されます。  防衛は、第一義的には国の問題ではありますが、県民の安全を確保するのは県政の重要な課題の一つでもあります。  そこで、本県独自の条例等により、外国人の土地取得に対して何らかの規制等を行うなど県民の安全・安心を担保するためにもぜひ何らかの対応を検討していただきたいと要望しておきまず。  最後の質問は、鹿児島の歴史・文化・芸術の玄関口、鹿児島のイロハが学べる歴史資料センター黎明館の運営についてであります。  私は、昨年の九月議会において、九州新幹線の全線開業に関連し、県民へのサービスと観光客へのおもてなしという視点から、現在午後五時までとなっている黎明館の閉館時間について、九州・沖縄の歴史館、博物館、美術館など類似施設の状況や午後五時閉館は早いとの県民からの指摘を踏まえ、「閉館時間を見直すとか企画展では柔軟な運用を図るとかの考えはないか」と質問したところ、県民生活局長から「企画展における柔軟な対応を含め、研究してまいりたい」との答弁がありました。  その後、研究の成果を心待ちにしておりましたが、先日発表された平成二十三年度当初予算案において、九州新幹線全線開業に伴い、黎明館の開閉時間が、現在午前九時から午後五時までであるのを午後六時まで一時間延長する取り組みが示されたところであります。  そこで質問です。  黎明館の閉館時間が午後六時まで一時間延長されることによって、県としてどのような効果などを期待されるのかお尋ねします。
     以上で二回目の質問を終わります。 33 ◯農政部長(弓指博昭君)日豪EPA交渉についてお尋ねがございました。  現在進められております日豪EPA交渉におきましては、豪州側は、牛肉、砂糖、乳製品の関税撤廃などを求めておりまして、我が国の主張と大きな隔たりがございます。  本県にとりまして、仮に牛肉や砂糖の関税が撤廃された場合、農業はもとより県の経済全体に大きな影響が及ぶことが懸念されますことから、県といたしましては、これまでも県開発促進協議会等を通じまして、牛肉、砂糖などの重要品目について、関税撤廃の除外対象とすることなどを要請しているところでございます。  このような中、国は、昨年閣議決定いたしました包括的経済連携に関する基本方針の中で、日豪EPA交渉につきまして、妥結に向けた取り組みを加速化するとしたところでございまして、今後、交渉妥結に向けた動きが早まっていく可能性もございます。  このため、県といたしましては、今後、交渉の動向を一層注視していきますとともに、局面に応じまして関係団体などと連携いたしまして、国に働きかけを行ってまいりたいと思っております。 34 ◯県民生活局長(灰床義博君)黎明館の閉館時間延長についてでございます。  黎明館の閉館時間につきましては、九州新幹線全線開業に伴い、県外観光客の増加が見込まれることから、本年四月から午後六時までに一時間延長することとしております。  なお、実施に当たりましては、解説などのサービスの向上を図るとともに、屋外歩行の安全確保のための外灯も増設することとしております。  また、閉館時間を文化ゾーン内の周辺施設と同じとすることで回遊性が増し、ゾーン全体の利用促進が期待されるとともに、企画展の主催者におきましてもより多くの来館者を受け入れることができるものと考えております。  さらに、閉館時間の延長につきましては、県のホームページなどさまざまな広報媒体を活用して周知することとしております。  県としましては、これらの取り組みにより、九州新幹線全線開業に向けた県の取り組み姿勢をアピールするとともに、利用者の利便性向上に努めてまいりたいと考えております。    [宮島孝男君登壇] 35 ◯宮島孝男君 御答弁ありがとうございました。  日豪EPA交渉では、日本側は米の輸入制限を持ち出しているようですが、オーストラリアにとっての本丸は牛肉と乳製品であります。幾ら質では上回っているとはいえ、安価な牛肉が大量に入ってきましたら、我が国の畜産はひとたまりもありません。特に肥育王国である本県にとっては死活問題であります。  日豪EPA締結の阻止に向け、関連業界とも十分に連携しながら、答弁どおり適切な対処を図ってほしいと要望をいたします。  次に、黎明館の運営についてでありますが、黎明館の閉館時間が、新幹線全線開業のこのタイミングに、午後六時まで一時間延長されたことは大変喜ばしいことであり、黎明館及び文化ゾーン内周辺施設の利用促進がさらに図られることを期待をします。  なお、延長後の利用状況を見ながらではありますが、特に好評な企画展などは、より柔軟な運用を御検討いただくよう要望します。  質問は以上ですが、終わりに、一期最後の締めくくりとして、要望など幾つか申し述べておきたいと思います。  一点目は、薬剤師に関してであります。  現在、県では、鹿児島医療圏と奄美医療圏を中心に地域医療再生計画を策定し、救急医療体制の充実・強化及び医師確保対策に重点的に取り組んでおります。  そこで、医療の現場においては、医師、看護師だけでなく、薬剤師の果たす役割が重要なことから、県薬剤師会では、地域医療再生計画に基づく事業への参画を申し出ておられると聞いています。  医薬品のあるところすべてに薬剤師がかかわっていますが、私としましても薬物療法において有効性と安全性を担保する上で、薬剤師は不可欠と考えております。  したがいまして、引き続き、医療連携体制のもと、薬に対する薬剤師の専門的知識が、また、医療提供施設としての薬局が、地域医療再生計画とのかかわりの中で地域医療へ貢献できますことを強く要望するものであります。  二点目は、河川激特工事についてであります。  事業期間は五カ年から六カ年、平成二十三年度までに延長されたところであります。六カ年と限られていることから、計画的に事業の推移を図っていただきたい。  また、工事現場の管理については、関係機関と協議して、円滑な交通処理を行うなど安全な施工に努めていただきたいと思います。  三点目は、薩摩大使についてであります。  私は、初当選以来これまで、より実効性のある制度への見直しを強く要望してまいりました。幸い九州新幹線全線開業等を踏まえ、現在、薩摩大使の任期のあり方、任命者数の規模等について検討を進めているとのことであります。できるだけ早い時期に新たな制度に移行されるよう期待をします。  四点目は、過疎・中山間地域の振興についてであります。  地元さつま町の周辺部を改めて歩いてみますと、過疎の深刻さをひしひしと感じます。知事を初め執行部の現状は危機感が薄いと思えてなりません。  市町村が主体というだけではだめで、本県も高知県等のように職員そのものが、間接的ではなく直接現場へ入り、市町村や地域、集落と一体となって過疎対策や中山間振興に当たるべきと改めて強く要望するものであります。少なくとも過疎のブレーキ役にはなっております。  五点目は、グリーンツーリズムであります。  私はこれまで一般質問や委員会でも取り上げてまいりましたが、「さつま町を本県のグリーンツーリズムのモデルに」とアピールしながら、大分県や宮崎県と比べておくれている本県のグリーンツーリズムの振興に努めてまいりました。  県庁内でも農政部のみならず観光交流局等と横断的に取り組むべきだとして、前任の観光交流局長や観光課長に、実際、農家民宿を体験してもらうと同時にさつま町のグリーンツーリズム関係者と意見交換をしていただく機会を得ました。  そして、地元の関係者の頑張りもあって、徐々に受け入れ等の環境が整い、去る二月十八日、さつま町でかごしまグリーンツーリズムフォーラムが開催されましたが、この勢いに乗じて、十一月には九州フォーラムまで開催する運びとなりました。  県内には、ほかにもモデル的に取り組んでいる地域があり、全県的に輪が広がりつつあります。九州新幹線全線開業も追い風です。グリーンツーリズム支援の予算措置などもさらに研究・検討していただきたく要望するものであります。  以上で、私の一般質問のすべてを終わります。  御静聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(金子万寿夫君)次は、永田けんたろう君に発言を許可いたします。    [永田けんたろう君登壇](拍手) 37 ◯永田けんたろう君 自由民主党の一人として、一般質問をしてまいります。  まず、奄美豪雨災害における公共土木施設等の復旧状況についてお伺いしたいと思います。  奄美地方においては、昨年十月に、いわゆる百年に一度の例えを超える未曾有の記録的な集中豪雨に見舞われ、三人の方が亡くなるなどの人的被害を初め、公共土木施設等においても土砂災害、河川災害、道路災害など甚大な被害が発生しました。道路・河川等災害で三百九十三カ所、金額にいたしまして六十一億三千万円の被害額と承っております。  また、十一月十九日の地元新聞によりますと、被災された方々が普通の生活にまだ帰ることができず、困難な状況を過ごしているということが書かれておりました。  災害復旧事業については、昨年十一月に奄美市の旧住用村、大和村及び龍郷町が局地激甚災害の指定を受け、また、一月には、局地激甚災害の指定基準の改正により、奄美市や瀬戸内町も局地激甚災害の指定の対象となる見込みとの報道がなされました。これら局地激甚災害の指定箇所はもちろん、全被災地の一刻も早い完全復旧が望まれるところであります。  そこでお尋ねいたしたいと思いますが、第一点は、昨年の奄美豪雨災害により多大な被害を受けた公共土木施設のその後の復旧状況及び今後の見通しについてお示しください。  また、この奄美豪雨災害では、通信が途絶えて被害把握に時間がかかったということが指摘されておりました。災害時の情報空白がクローズアップされたのは、二〇〇四年の新潟県の中越地震のときであります。このとき、旧山古志村が孤立いたしまして、このことが大きく取り上げられたわけでございますが、その後、国も全国調査を行いまして、災害時における孤立可能性のある集落が一万九千集落あるということを公表いたしております。  県は、奄美大島のこの災害時における情報通信の検証をする事業を有識者らによって行っておると聞いております。  また、先日行われた桜島総合防災訓練でも、奄美豪雨の教訓を生かし、通信手段確保の訓練もなされたようでありますが、奄美における災害時の通信手段確保策は、その後どうなっているのかお示しください。  次は、大島病院救急センター棟の整備についてであります。  八つの有人離島で構成される奄美医療圏においては、県本土から四百キロメートルの距離にあり、さらには、医療資源も十分でないことから、高度救急医療が必要である重篤な患者は、自衛隊等の協力を得て、県本土や沖縄県の医療機関にヘリコプター搬送されております。  この状況を県のほうに対しましてお伺いいたしましたところ、離島から島外や医療圏外への救急搬送状況としては、奄美大島で百二十二件あるとのことで、なお、これは増加傾向にあるとのことであります。  その主な搬送先は、奄美大島は鹿児島市へ、喜界島は奄美大島、沖永良部・与論島は沖縄県へとなっておるみたいでございます。  医療圏内の医療機関への搬送は一四・八%、医療圏外への搬送は八五・二%と、圧倒的に医療圏内における搬送ということができない状況になっているのがうかがわれます。  沖永良部は、その中でも四十六件中四十五件が医療圏外への搬送、また、与論島は十九件すべてが医療圏外、いわゆる沖縄県への搬送になっているとのことであります。  また、搬送手段といたしましては、沖縄県の陸上自衛隊機、鹿屋市の海上自衛隊機を活用しているとのことで、沖永良部・与論島は、沖縄の浦添総合病院が運航しているドクターヘリを使っているとのことであります。  また、搬送時間は、奄美大島で二時間五十分、喜界島で一時間五十分、徳之島で二時間、沖永良部で一時間五十分、与論島で一時間二十分と相当な時間を費やしておることがわかります。  いずれに搬送する場合でも距離的な問題から、相当の時間を要しているのが実態であります。  県は、こうした課題に的確に対応するため、平成二十一年度に国の地域医療再生臨時特例交付金を活用し、鹿児島医療圏、奄美医療圏にかかわる地域医療再生計画を策定されたところであります。  その中で、奄美地域については、大島病院に救急センター棟を整備し、同病院を実施主体としたドクターヘリの導入を進めるなど救急医療、救急搬送体制を強化するとされておられます。  このため、県立大島病院においては、本年度から救命救急センター設立準備室を設置し、救急センター棟の準備に向けた設計委託などの諸準備を進めておられます。  昨年十二月には、大島病院救急センター棟基本実施設計公募型プロポーザルにかかわる審査結果が公表されたところであります。  そこでお尋ねいたしますが、救急センター棟の整備に向けた現在の進捗状況及び今後のスケジュールについてお示しください。  これで第一回目の質問といたします。 38 ◯土木部長(渡 正昭君)奄美豪雨災害の復旧状況についてでございます。  公共土木施設の災害復旧事業につきましては、おおむね昨年十二月末までに災害査定を終え、県、市町村合わせて、道路二百三十九カ所、三十二億七千万円、河川百十八カ所、十二億一千万円、そのほか海岸など五カ所、一億四千万円、合計で三百六十二カ所、四十六億二千万円となっております。  これらの被災箇所につきましては、ことしの出水期までに安全性の向上を図る必要がありますことから、現在、鋭意工事発注に努めており、これまでに県発注工事につきましては、約八割の入札手続を終えたところでございます。  今後とも早期発注に努めますとともに地域の安心・安全の確保を図りますため、一日も早い完成を目標に取り組んでまいりたいと考えております。 39 ◯危機管理局長(中西 茂君)災害時の通信手段確保策についてでございます。  奄美豪雨災害では、通信網寸断により、災害情報の収集、通報連絡や住民の安否確認等に時間を要し、非常時の通信手段の確保等についての課題が指摘されたところであります。  災害時における通信手段の確保は、迅速な初動や適切な応急対策を実施する上で非常に重要でありますことから、そのあり方等につきまして、昨年十二月に設置しました検証委員会におきまして、本年度中に検証結果を取りまとめることとしており、平成二十三年度におきましては、災害時における孤立集落との通信体制の強化を図りますため、市町村が実施する衛星携帯電話等の整備に対しまして助成する、衛星携帯電話による災害時通信網整備事業を今議会に提案させていただいているところであります。 40 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)大島病院救急センター棟の整備についてでございます。  県立大島病院に整備する救急センター棟は、ICUや手術室、屋上ヘリポート等を備えた専門性の高い施設であることから、その設計委託に当たりましては、公募型プロポーザル方式により、救急医療施設に対する豊富な知識と経験を有する県内外の設計業者で構成する設計共同企業体を選定し、去る一月に基本・実施設計委託を発注したところであります。  今後のスケジュールとしましては、基本・実施設計のうち基本設計につきましては、本年度末までに、実施設計につきましては、平成二十四年一月ごろまでに完了する予定であり、さらに救急センター棟の建築工事につきましては、平成二十五年度中の完成を目指すこととしております。  県立病院局としましては、このスケジュールに沿った救急センター棟の整備に向けて、設計業務が円滑に進むよう引き続き努めてまいりたいと考えております。    [永田けんたろう君登壇] 41 ◯永田けんたろう君 豪雨災害の経験が防災面に広く生かされようとしておりますが、貴重な体験の積極的活用を望むところであります。  八〇%の入札手続を済ましておられるとのことでありますが、ことしの災害発生時の備えもありますので、早急な復旧に全力を傾けられるよう要請いたします。  また、大島病院救急センター棟の整備につきましては、平成二十五年建築完成ということでございました。ドクターヘリへの体制整備と同時進行で、奄美地域での救急受け入れ機関としての整備を急いでいただきますよう要請しておきます。  次は、若者自立支援についてであります。  県では、昨年七月一日に子ども・若者総合相談センターを開設するとともに、子ども・若者支援地域協議会を設立するなどNPO等の関係機関・団体と一体となって、若者の自立支援に取り組まれてきております。  内閣府作成の平成二十二年版子ども・若者白書を見てみますと、全国のフリーターの状況は、平成二十一年は百七十八万人と六年ぶりに増加したとなっております。  また、ひきこもりについては、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する、自分の趣味がないときには、家の中かあるいは自分の部屋にひきこもっているという状況なんでしょうね。という準ひきこもりまで含めますと約七十万人という数値が示されております。  先日、十一月二十六日に山陽自動車道で、これは地元の南国交通のバスが横転するという事故が報道されておりました。鹿児島大学三年生、二十二歳の男性で、就職活動に行かれてのその帰りだったそうでありますが、就職に対する不安感といったものが精神的に大きな圧迫になっていたんでありましょうか。  この事件そのものは、これは決して許すことのできないことでありますけれども、しかしながら、今日の若者を取り巻く就職状況、就労のこの困難な状況といったものを考えますときには、その点では大変その気持ちに対して同情もし、また、心の痛む思いもいたしたところであります。  この事件と、いわゆる若者支援、ニート、フリーター、ひきこもり等とは、直接結びつくものはないような気はいたしますけれども、しかしながら、このような事件の背景に、私は若者を取り巻く複雑な状況があるような気がしてなりません。  そこでお尋ねいたしたいと思いますが、第一点は、子ども・若者総合相談センターで取り扱われたこれまでの相談件数をその内容別にお示しいただきたいと思います。  第二点は、子ども・若者総合相談センターの存在について、積極的に県民への周知を図り、潜在的な対象者の掘り起こしに努める必要があると考えますが、平成二十三年度の子ども・若者総合相談センターのさらなる相談業務の充実や子ども・若者支援地域協議会等、関係機関・団体との連携強化、自立に向けた意識啓発等のための各種施策についてお示しをいただきたいと思います。  次は、動物愛護行政についてであります。  このことは、さきに代表質問でも取り上げられておりましたし、また、午前中は、我が自民党の川野議員も取り上げておられましたので、重複を避けまして質問していきたいと思います。  特に設置場所あるいは整備の概要及びスケジュール等については、代表質問に対する御答弁でもよく理解いたしましたので、この点は割愛していきたいと考えます。  愛玩動物を大切な家族の一員として位置づける飼い主がふえております。  先日、サラリーマン川柳を読んでおりましたところ、おもしろいなと思った川柳がございました。情景としては、自分が仕事から疲れて家に帰って「ただいま」と玄関をあけたときに、女房も子どもも「おかえり」の声一つない。いわゆる「しれっとん」とした状況なんですね。だけど、跳ねるようにして、そしてもう心から喜んで自分を待ち受けてくれているのは犬だけだといったような内容の川柳でありましたけれども、こういった犬を持っていると、本当に心も安らぐ、癒されるんじゃないかというふうに思います。  人生の伴侶や家族の一員として生活の中で欠かせないものとなってきているとのことであります。  また、心身の健康や円滑なコミュニケーションに動物の果たす役割は注目されるとともに、高齢者にとっては、心の支えや心身の健康の維持など精神面や身体面においてよい効果があるとの研究結果が示されております。アニマルセラピーと言うんだそうであります。  しかしながら、一方では、いまだに放し飼いや飼育放棄等により保健所に収容されたり、飼い主の身勝手により保健所へ持ち込まれる犬、猫が多数いると聞いております。  このような現状を踏まえて、知事は、マニフェストに「動物愛護団体や獣医師会などと連携・協力して、動物の愛護と適正な飼養についての県民の関心と理解の増進を図るとともに、地域における人と動物との触れ合い、共生活動を支援する拠点設備の整備を進めます」と掲げておられます。そして、その施設を霧島市隼人町の県工業技術センターの隣接地に予定しているとのことでありました。  また、本県は、加世田、宮之城、牧之原に狂犬病対策としての畜犬管理センターを運営しておられます。  あるいはまた、鹿児島市においては、中央保健所による保健行政として、その取り扱い業務も同じような動物行政、管理行政になっているみたいでありますけれども、動物管理事務所を田上町に置いておられます。
     こういうような状況を踏まえまして、二点だけ質問していきたいと思いますが、この施設整備の目的についてお尋ねしたいと思います。  それから、設置場所を霧島市隼人町、県工業技術センターの隣接地に選定された理由についてお聞かせ願いたいと思います。  これで第二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 42 ◯知事(伊藤祐一郎君)動物愛護センターの目的と役割についてのお尋ねがございました。  動物愛護センターは、人と動物が共生できる地域社会の実現を目指しまして、動物愛護思想の普及啓発の徹底や動物愛護団体等との連携によります譲渡会の開催等を通じまして、譲渡する犬、猫の大幅増を図ることにより、処分頭数を減らすなど動物愛護管理推進計画の着実な推進を図ることとしているところであります。  また、終生飼養することの重要性の浸透や子供たちが命の大切さを実感できるようにするなど、動物愛護団体等とも連携をいたしまして、地域における人と動物の触れ合い共生活動を支援する拠点施設として整備することを予定をいたしております。 43 ◯県民生活局長(灰床義博君)かごしま子ども・若者総合相談センターでの相談状況についてでございます。  センターでの相談状況につきましては、昨年七月に開設してから二月末までの八カ月間の相談件数は、全体で四百十八件であります。  内容としましては、ひきこもりが百十一件、不登校が九十六件、ニートが七十一件、フリーターが三十四件、その他非行や発達障害に関するものなどが百六件となっております。  なお、相談につきましては、熊毛地区、大島地区を含め、全県的に寄せられているところであります。  また、相談内容も多岐にわたっていることから、センターでは、必要に応じ、子ども・若者支援地域協議会を構成する専門の支援機関・団体であるNPO法人や精神保健福祉センターなどへ個別につなぎ、きめ細かな支援に努めているところであります。  今後とも市町村や関係部局などとも連携・協力しながら、センターの積極的な広報に努め、潜在的な対象者の掘り起こしを図ってまいりたいと考えております。  次に、若者自立支援対策の平成二十三年度の取り組みについてでございます。  平成二十三年度の取り組みにつきましては、かごしま子ども・若者総合相談センターにおきまして、センターに来所しての相談が困難な離島などの地域での巡回相談の実施や保護者等を対象としたセミナーの開催回数の増などセンターのさらなる周知・PRや対象者の掘り起こしに努めることとしております。  また、子ども・若者支援地域協議会につきましては、引き続き必要に応じて実務者による連絡会議を開催するなどして、個別ケースの状況に応じ、支援方針の策定や役割分担の協議などを行うこととしております。  さらに、当事者本人の自立や社会参加の機会をふやすため、アウトリーチ、いわゆる訪問支援や各種体験活動などの事業をNPO等に委託するなどして、そのノウハウを生かした自立支援活動の促進を図ることとしております。  今後ともセンターや協議会を中心とした相談体制の充実、行政やNPO等との連携強化など、関係機関・団体が一体となった総合的な若者自立支援策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 44 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)動物愛護センターの設置予定地の選定理由についてでございます。  動物愛護センターは、動物愛護団体等と連携し、譲渡会、しつけ方教室や研修会を通じ、動物愛護思想の普及を図るための拠点施設でありますことから、子供から大人までの幅広い利用層を想定しております。  あわせて県内各地からの交通アクセスや動物との触れ合い教室を開催するための屋根つき広場など一定の敷地を考慮し、県有地の中から選定したものでございます。    [永田けんたろう君登壇] 45 ◯永田けんたろう君 若者自立支援対策について御答弁をいただきましたが、就業は社会生活の基盤であります。  平成二十二年版子ども・若者白書では、若者の失業率は、常に高い状態が続いているとしております。いじめ、ひきこもり、ニートなどそれぞれが要因となり、結果となっているようでありますが、まさに若者の自立支援は縦割りでなく、横断的に総合的に取り組んでいかなければならないところであります。  子ども・若者総合相談センターの機能が十分発揮できるようさらなる刷り込みを要望いたします。  私は、今の若い方々の就労の場が、就職の場が少ないということは、一昨年のリーマンショックの倒産によります世界的な大不況、これだけが原因じゃないと思うんです。経済のグローバル化が急速な勢いで進化していって、そして日本の産業構造が大きく変化してきている。いわゆる日本の生産拠点が振興国に急速に移行してきております。そういう産業の空洞化といったことが背景にあるんじゃないかというふうに思います。  このことを考えるときに、若者が高校を卒業しても大学を卒業しても半数ぐらいは就職が決まっていない。こういうような社会が夢と誇りを持てる社会かというふうに思うんです。  この面については、私どもも政治的な光を当てて、若い人たちが夢を誇りを持って社会に巣立つことができるような、そういう状況をつくっていかなければいけません。そうでないと、このことは構造的な恒常的な日本の若者の就労の現象だというふうに考えております。  そういったことも考えながら、若者自立支援対策について幅を持たせた活動といったことが必要ではないかというふうに思うわけであります。  次に、動物愛護行政について御答弁をいただきましたが、動物愛護には飼い主責任が不可欠であることを十分啓発された上で、動物との触れ合いの楽しさなど県民へ広げていっていただきますように御要望いたします。  少し時間を、少しというかたくさん時間を残したみたいでありますが、私を含めまして、皆さんしりに火がついた方々が多いみたいでありますので、これで私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 46 ◯議長(金子万寿夫君)次は、山田宏之君に発言を許可いたします。    [山田宏之君登壇](拍手) 47 ◯山田宏之君 今期最後の一般質問の機会を与えていただきました議長を初め同僚議員の皆さんに感謝を申し上げながら質問をいたします。  質問も最後になりますと、今までの代表質問や一般質問と重複するものも多数ありますが、自分なりの切り口で重複を避けながら質問をいたしてまいります。  まず、共生・協働の地域づくりについてであります。  ジャパンシンドロームという言葉がありますが、人口減少による少子・高齢化がもたらす経済低迷のスパイラルと、それがもたらす社会現象を指しております。少子・高齢化の急速な進行により行政需要が多様化する中においては、行政だけでなく地域の自治会、ボランティア、NPO、企業などさまざまな主体が連携・協力し、支え合う共生・協働の地域社会の実現が求められております。本県のNPO法人の認証数は、平成十六年五月末には百七十一で、人口十万人当たりでは全国最下位でありましたが、現在では全国八位で、その数も一月末では六百十六となっております。これは知事が就任以来、一貫してNPOの育成や住民自治の充実につながる仕組みづくりを推進してこられた成果であろうと評価するものであります。一方、国においては昨年の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策において、新しい公共支援事業を創設の上、各都道府県に対して事業費を交付し、NPOの自立的活動に対する支援を行うこととしております。  こうした国の施策等を活用し、市町村とも十分連携を図りながら地域の自治会、NPO等の活動の促進や協働の推進など、共生・協働によるぬくもりのある地域社会づくりを一層促進する必要があると思います。  そこでお尋ねします。  県においては、これまで共生・協働の取り組みを積極的に推進されておりますが、国の新しい公共支援事業を、本県の共生・協働によるぬくもりのある地域社会づくりにどのように受け入れ、活用し、取り組みを進めていくこととされるのか、お示しください。  次に、県は平成十七年十二月に自然環境及び景観の保全に配慮しつつ、採石に伴う災害を防止し、あわせて採石業の健全な発展を目的とする鹿児島県採石条例を制定され、既に五年を経過いたしております。このことは奄美市住用の事故により県の行政代執行のあり方や、採石業界のあり方等模索された結果でもありました。当時の地域のおかれた状況から判断いたしましても、早急な対応が必要であったことから、全国都道府県でも三番目に制定されたもので、中でも本県のものが最も厳しい条件であったと記憶いたしております。条例制定後、毎年県と業界が全採石場を安全パトロールを行い、その安全状況等を調査し、強い指導と安全に向けての改善を求めてきたことから、安全な採石場づくりが進められるなど条例制定の効果が見られるところであります。  しかしながら、垂水市の経営的に破綻状態にある採石場に対し、県の採石条例に基づき改善命令が出されましたが、その採石場が適切な措置をしなかったため、連帯保証人である鹿児島県砕石協同組合連合会が、災害防止措置や跡地整備を求められました。連合会は平成二十一年五月と平成二十二年八月に、約一千万円を超える災害防止、跡地整備工事を実施されたのでありますが、積立金の準備はしているもののその費用負担には相当苦慮されたと聞いております。また、同連合会のその採石場跡地の災害防止の連帯保証は、平成二十四年八月まで続くものの、連合会としては砕石の出荷もこの三年で四割近い急激な減少をしていることなど、厳しい経営状況にあることから、今後経費負担が発生しても再三の負担には応じられないような課題も抱えているようであります。  そこで第一点、県採石条例の制定の効果についてどのように評価をしているのか、今までのパトロールの結果等も含めお尋ねいたします。  第二点は、鹿児島県砕石協同組合連合会が、連帯保証人として災害防止工事を施工した垂水市の採石事業者に対するこれまでの経緯と、今後の指導対応について。  第三点は、砕石協同組合連合会から採石業者が法令に違反する行為を行い、県の再三の改善措置の指導、命令にも従わない場合には、県採石条例に規定する連帯保証人の対象から除外すること、または負担を免除すること、また保証の限度額が不明確であり、県が行政代執行を行った奄美市住用の事例のように、多額の経費を要する場合は対応が困難であることから、限度額を設定することなどの要望がありますが、昨今の経済状況等や公共事業を取り巻く環境を考えると、当然の要望であると思われます。この要望に対する対応はどのように考えておられるのか。  第四点は、砕石の安定供給及び採石場の災害防止と適正管理のためには、法令等に基づく適切な指導と業界の経営の健全化の必要があると思われます。今後の業界の指導はどのようになされるのかお尋ねいたします。  次に、浄化槽の保守点検回数についてであります。  私はこの問題につきまして、平成十五年にも質問をいたしました。点検回数の変遷は昭和四十二年に策定されました県浄化槽事業取扱要領では、浄化槽の保守点検回数は毎月一回と規定をされております。その後、昭和五十八年に浄化槽法が制定されました。法成立までは保守点検業務と清掃業務の一体化や点検回数の問題等さまざまな問題がありましたが、現行法が決定をされました。この法の中で点検回数は年三回以上とされておりますが、当時の浄化槽は単独浄化槽が主流であり、鹿児島県では水質保全の観点から、毎月一回以上の保守点検の実施を義務づけてまいりました。  その後、平成十六年に事務取扱要領が「保守点検の回数は法第十条第一項及び環境省令第六条の規定によるものとする。ただし処理対象人員が五十人以下の浄化槽については、環境省令第六条第四項に規定する駆動装置、またはポンプ設備の作動状況の点検及び消毒剤の補給回数は、同条第一項及び第二項に規定する保守点検回数と合わせ、浄化槽の種類や使用状況等に応じておおむね十二回程度とする」と改定されました。しかしながら、処理対象人員が五十人以下の浄化槽については、おおむね十二回程度とされたにもかかわらず、保守点検回数は年三回、四回、六回及び十二回と、実施する業者が多様化し、県内ばらばらに固定されてきております。点検回数の違いにより水質の悪化等につながることが懸念されます。  また、法第十一条、これは浄化槽が正常に機能しているかどうかの定期検査でありますが、平成十六年度まで十一人槽以上の浄化槽を主体的に実施されてきましたが、浄化槽全体の受検率の向上のため、平成十七年度から平成二十一年度までの第一期五カ年計画を策定し、十人以下の家庭用の浄化槽まで対象として実施されております。平成二十一年度の実施率は検査対象数約二十七万一千基に対し、受検数は約六万七千基で、実施率は二四・七%であり、今後の受検率の上昇を望むものであります。  ここに公益財団法人鹿児島県環境センターよりいただいた検査結果の資料が二種類あります。一つは平成十七年度から平成二十一年度までの十一条検査の結果であり、浄化槽の機能・評価を三段階で評価し、イ、適正、ロ、おおむね適正、ハ、不適正に分類されております。平成十七年度は受検数二万七千百四十五基、うち適正八九・三%、おおむね適正五・六%、不適正五・一%、平成二十一年度は受検数六万七千五基、うち適正九三・八%、おおむね適正三・二%、不適正三%となっており、年々受検率の向上と不適正の基数の割合が減少していることは評価できると思っております。  次の資料は、点検回数の違いによって不適正の発生率に差が出てくるかどうかを検証された資料であります。これは統計学の手法を用いたもので、詳細の説明は省きますが、結論として年三回、四回、六回の保守点検を実施している浄化槽と、年十二回保守点検をしている浄化槽とでは、明らかに検査結果に差があることが認められているということであります。  そこで質問でありますが、第一点は、この検査結果の検証についてどのように評価をされるか。  第二点は、適正な状態の割合は約九五%以上であり、数字から見ると完璧なものに見ることもできますが、逆に不適正な装置は環境汚染の直接原因でもあり、仮に約三十万基の三%、九千基が不適正で、その不良な排水を垂れ流すことになれば環境対策上容認できないものと考えますが、この対策はどのようにされるのか。  第三点は、不適正な検査結果で保守点検に起因するものについては、その点検業者にどのような指導を行っているのか。  第四点、検証結果の中で指摘されておりますが、点検回数が少ない業者は駆動装置やポンプ設備の点検や消毒剤の補給等をいかに実施するか。また、送風機等の故障など長期間放置されるおそれが大きいことを指摘しています。目視点検でも月一回行うような指導強化は考えられないか。  第五点は、本県の約二十七万一千基の浄化槽中、約十三万二千基はいまだに単独浄化槽であります。このことはし尿の処理はできているが、生活雑排水の処理はなされていないということであります。生活雑排水対策を実施する上で単独浄化槽から合併槽への転換が急がれますが、合併浄化槽の設置促進についてどのような取り組みがなされているのか。  第六点は、生活排水の処理方法は公共下水道によるものと合併浄化槽によるものと大きく二つに分かれます。公共下水道の整備計画は経済状況にも左右され、なかなか思うように進んではおりません。また多額の建設費、維持費等が市町村財政にも重くのしかかっているようにも思います。市町村の中には公共下水道計画を今後凍結し、合併処理槽の普及に切りかえるほうがよいのではないかとの議論もあるようでありますが、このような動向に対し、県はどのように考えておられるかお尋ねいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 48 ◯知事(伊藤祐一郎君)国の新しい公共支援事業の活用についてのお尋ねがございました。  国の新しい公共支援事業は御指摘にもありましたように、私が就任以来進めてまいりました共生・協働の地域社会づくりの概念と相通ずるものがありまして、国の交付金につきましては、鹿児島県共生・協働の地域社会づくり基金へ積み増しを行いまして、その積極的な活用を図ることといたしております。具体的には新たに共生・協働センターにおきまして、自治会やNPO法人等に対する税理士等の専門家による定期的な運営相談支援、また地域課題の解決に向けて協働の仕組みづくりの事業を導入いたします市町村に対する助成などを実施をいたしまして、多様な主体が連携・協力し支え合います共生・協働の地域社会づくりの実現に向けて、より一層積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 49 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)鹿児島県採石条例につきまして幾つかお尋ねがございました。  まず、県採石条例の制定の効果についてでございます。  鹿児島県採石条例は採石関係法令に定めるもののほか、採石業者が遵守すべき事項、知事がその指導監督を行う際の基準等を定め、自然環境及び景観の保全に配慮しつつ、採石に伴う災害を防止し、あわせて採石業の健全な発達を図ることを目的として、平成十八年四月一日に施行されたところでございます。条例施行以降、労働災害の発生や採石法に基づく災害防止のための緊急措置命令等の件数はいずれも減少傾向にあり、鹿児島県砕石協同組合連合会との合同パトロールの効果も相まって、法令遵守と災害防止の意識の高まりなど一定の効果があらわれていると考えております。  次に、砕石連合会が施工した災害防止工事についてでございます。  鹿児島県砕石協同組合連合会が保証人として工事を行った垂水市の採石場につきましては、土石等が場外へ流出するおそれがあったことから、平成二十一年二月に当該採石場の事業者に対し、採石法に基づく緊急措置命令を行ったところでありますが、事業者は事実上倒産状態にあったことから、同連合会が保証人として防災工事を代理施工したところであります。その後、事業者から採石場の廃止の届け出がなされましたが、必要な跡地整備工事が未施工であったことから、同連合会が再度代理施工し、工事完了後の平成二十二年八月に廃止届けを受理したところであります。  採石場を廃止した事業者へは、採石法により廃止後二年間は災害防止のための必要な措置を命ずることができることとされており、県では同連合会と立入検査を実施し、防災施設等の状況を把握しているところであり、必要に応じ当該事業者に対して安全管理のための措置について指導を行うなど、災害防止に努めているところでございます。  次に、採石条例に対する業界からの改正要望についてでございます。  採石条例における保証人制度は、奄美市住用町の採石場において大規模な亀裂が発生した際、採石業者と保証人である建設業者、いずれにも施工能力がなかったことを踏まえ設けられたものでございます。この制度は採石に伴う災害の防止や復旧をより確実なものにするために、事業者から出された採取計画の認可に当たっては、事業協同組合に連帯保証を求めることとしたものであり、当該事業者の法令違反等を理由として組合の連帯保証を免除することなどにつきましては、条例制定等の経緯、趣旨からして妥当ではないと考えております。  保証について限度額を設けることにつきましては、保証人には採石業者と連帯して知事が発した緊急措置命令、災害防止命令を履行してもらう必要があることから、保証額の上限は設けていないところであります。なお、保証人による代理施工に当たりましては、採石場の規模、周辺の状況等により緊急措置命令等の内容も異なってくることから、個別の事案ごとに検討を行い、適正な対応をしてまいりたいと考えております。  採石場の適正管理等についてでございます。  採石業は社会基盤整備に必要不可欠な基礎資材を、安定的に供給する上で重要な役割を担っておりますが、環境問題等に対する意識の高まりなどから、従来にも増して採石に伴う災害の防止、環境保全、地域社会との調和を図ることが必要となってきております。このような中、県としては採石法や県条例に基づく適切な指導監督を行うとともに、鹿児島県砕石協同組合連合会との合同パトロールの実施や同連合会との意見交換、安全管理のための研修会の開催などにより、採石に伴う災害防止に努め、採石業の健全な発達を図ってまいりたいと考えております。 50 ◯土木部長(渡 正昭君)浄化槽の保守点検等に関しまして、まず法定検査結果の評価についてでございます。  指定検査機関であります鹿児島県環境検査センターが実施した検査により、不適正と判定されました浄化槽の割合は、御指摘のように平成十七年度の五・一%から毎年減少し、平成二十一年度は三・〇%となっております。これは近年浄化槽の性能が向上いたしますとともに、保守点検の管理技術も進んできたためと考えております。また、保守点検は業者によって年間に三回から十二回行われており、地域的なばらつきがございますものの、年間の保守点検回数が多いと検査結果が不適正と判定される割合は低くなる傾向を示しております。  管理の不適正な浄化槽の対策についてでございます。  浄化槽法の定期検査で不適正と判定される原因といたしまして、浄化槽本体に起因する機器の故障や多量の油等の流入、消毒剤切れなどがございます。不適正と判定された浄化槽につきましては、鹿児島県浄化槽指導監督要領に基づき、浄化槽管理者や保守点検業者等に対し文書で通知いたしますとともに、必要に応じて改善報告を提出させるなど指導を行っているところでございます。  保守点検業者への指導についてでございます。  消毒剤切れなど保守点検に起因して不適正と判定された浄化槽が、検査総数の五%を超えた保守点検業者に対しましては、適正な保守点検が行われますように文書等による指導を行っているところでございます。県といたしましては、今後も指導等を徹底し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ってまいりたいと考えております。  保守点検の頻度についてでございます。  浄化槽のポンプ設備等の作動状況の点検及び消毒剤の補給につきましては、鹿児島県浄化槽事務取扱要領において、おおむね年十二回程度としておりますが、浄化槽の種類や使用状況等に応じて回数にばらつきが生じております。保守点検に当たりましては、水質が悪化しないよう処理方式や対象人員等に応じた点検となるよう指導してまいりたいと考えております。  合併処理浄化槽への転換促進についてでございます。  単独処理浄化槽は生活雑排水を処理しないため、環境に与える負荷が大きく、合併処理浄化槽への転換が課題となっております。県では、平成二十二年度から単独処理浄化槽を撤去して合併処理浄化槽を設置する場合に、撤去費の一部を助成することといたしました。平成二十二年度は県の助成開始にあわせて新たに十四市町において助成を開始し、現在二十八市町が実施しております。今後とも事業主体である市町村に助成制度を周知し、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の促進を図ってまいりたいと考えております。  生活排水処理施設の整備手法についてでございます。  下水道や合併処理浄化槽などの生活排水処理施設の整備に当たりましては、地域の特性にあった効率的な施設を選択することが重要であります。このため、県では事業主体である市町村が策定した原案をもとに、住民の御意見も聞きながら、県と市町村が協議を重ね、各地域において施設整備を進めていく上での指針となります生活排水処理施設整備構想を、平成二十一年三月に策定したところでございます。  県といたしましては、同構想に基づき市町村に対し情報提供及び助言等を行うことにより、地域の実情に応じた効率的な生活排水処理施設の整備の促進を図り、公共用水域の水質の保全等に努めてまいりたいと考えております。    [山田宏之君登壇] 51 ◯山田宏之君 それぞれお答えいただきました。  共生・協働の地域社会づくりでありますが、奄美豪雨災害の際も地域の人々が支え合う地域集落のあり方が、災害要支援者の避難や事業後のボランティア活動に大きな力を発揮いたしました。かごしま将来ビジョンで示す共生・有徳の視点に沿って、本県地域振興のバックボーンとして、今後も幅広く取り組んでいただきますよう要望いたします。  採石条例につきましては、少々不満な回答であるわけであります。採石場での災害の発生や景観対策は軽微な投資でできるものから、住用の例にありますように、数億円を要するようなものまでさまざまあります。砕石協同組合で保証しきれないものについては、今後の議論に譲りたいと思いますが、業界の現状をよく調査研究され、よりよい協議ができますように強くお願いをいたしたいところであります。  浄化槽の点検についてであります。浄化槽による環境保全対策は設置者の─これは個人でありますが─浄化槽に対する認識を高めることが大切なことであります。事業所や一般住宅など七条検査実施時点で啓蒙活動の強化を望むところであります。また、点検回数につきましては、ブロアの運転状況や消毒剤の点検は目視でもできるものであります。毎月一回のそれらの点検は強く指導すべきであると思いますので、善処されるよう要望いたします。  長年の県政の重要課題でありました九州新幹線が、本年三月十二日に全線開通いたします。鹿児島県の大きな夢が現実のものとなり、整備新幹線のときからかかわってきたものの一人として感慨深いものを感じております。この全面開通により、県外に対しての空路、陸路の整備が整い、鹿児島県の発展の方向性が見出されようといたしております。知事におかれましても、各種の政策が全面開通の好影響が出るようにと配慮がなされているものと感じているところであります。特に大隅半島の振興の各種施策につきましては、例年になく数多くの重点施策が盛り込まれており、大隅半島の出身者としてはお礼を申し上げます。  知事が念頭の地元紙に話しておられたように、「新幹線の開業効果を県全域に広げるために、大隅半島には相当重点的な事業が入っていく」と語られたことは、大いに歓迎すべきものであります。大隅半島の課題の中で、交通網整備は山川・根占航路、錦江湾横断交通ネットワークの可能性調査、東九州自動車道並びに地域高規格道路の建設促進、都城志布志道路の建設促進等が盛り込まれ、これらが完成しますと大隅半島の幹線道路網が有機的に機能し、「陸の孤島」という言葉が大隅半島の代名詞とも言われていましたが、この言葉を返上できるのではないかと思います。  また、志布志港では若浜、新若浜と港湾整備が進み、今また国際バルク港としての名乗りを上げております。今後穀物輸送、コンテナ輸送等が順調に進みますと、国際港湾としての活躍が期待され、またそれに伴う各種産業の誘致も間近になってまいります。  また、農業政策におきましても、国営第一号である笠野原畑地かんがい事業を初めとし、既に約三千六百ヘクタールの畑地かんがい施設が整備され、さらには曽於地域を中心に約一万ヘクタールに及ぶ整備事業が展開されております。また新年度予算の中で大隅の農業・加工技術研究プロジェクトを盛り込まれ、大隅地域の農業の新しい可能性に夢が描けるものであります。  また、大隅半島では鹿屋市を中心に定住圏構想を策定し、その実現に努力されているところでありますが、さきに述べましたように、県の施策が進めば進むほどこの構想も現実へと進むのであります。このような状況下で人材の育成等を考えますとき、今回大隅地域高校振興事業が実施されますことは、まことにタイムリーな事業であると評価いたしているところであります。  そこで、大隅半島の諸施策につきまして多くの質問を予定しておりましたが、大隅半島の振興に情熱を燃やす同僚各位が先に質問をされておりますので、重複を避け以下の三点に絞り質問をいたします。  まず第一点でありますが、志布志港の将来像であります。志布志地域は過去大隅開発計画や国家石油備蓄計画、アジアポート計画などさまざまな開発計画とその事業の進展により現在の様相を呈しております。そして今年度予算の中にも重点施策として、国際交流港湾としての国際バルク戦略港湾に向けた取り組みがなされようといたしております。このように志布志港に対しましては、従来よりいろいろなコンセプトの中で開発・拡充計画が実施されてきております。今後県としてはどのような整備計画を考えておられるのか。  第二点でありますが、地域の発展があれば、安心した生活圏の創造も同時に行わなければなりません。高度救急医療の整備については、大隅半島はまだまだ力を入れていかなければならない課題であると認識をいたしております。そのような中、平成十二年より鹿屋医療センターが開設され、大隅半島の中核病院としてのその機能が十分発揮されることを期待されておりますが、県立病院の収支改善などを求めた県立病院事業改革や医師不足問題などがあり、創設当時より診療科目が減じられております。今後県立病院事業改革が所期の目的が達成されたり、医師不足が解消されたとき、県立鹿屋医療センターはどのような展望が開けてくるのか、将来展望をお聞かせください。  三点目は、先ほど申しましたように、大隅半島振興のために予定されている多くの重点施策は、知事公室、企画部、観光交流局、農政部、土木部、教育委員会など多くの部局が連携しております。これらは単品処理されることなく、有機的に機能しなければ所期の目的は達成されないと思いますが、知事は大隅半島の将来像をどのように描き、その実現に向けこれらの施策をどのように関連づけるのか、お示しをください。
     次に、最後に二元代表制と議会のあり方についてであります。  この質問も、先日県民連合と公明党の代表質問にもあり、知事も持論を展開されながら答弁され、よく理解したところでもありますが、私なりに私見を交えながら知事の所見をお尋ねします。  近年、議会への批判の中で、議会は知事の追認機関ではないかということが言われております。知事と議会の関係は私が言うまでもなく、知事には各種施策の策定や予算の編成、執行権があり、議会は知事の行う予算編成や執行のあり方を審議する機関であり、知事の県勢発展への方向性と議会の方向性が同じ方向であれば、当然予算案は可決されるべきものであります。私は追認という言葉は当てはまらないのではないかと思っております。県議会は委員会主義であり、各委員会では委員会ごとに各種施策の実施状況であるとか、地域の要望などきめ細かな議論がなされておりますし、平成十九年度からは政策立案推進検討委員会も設置され、この四年間で十項目の政策提言と二件の議員提案の政策条例を制定し、現在も議会の活性化のために議長を先頭に各種課題に取り組んでいるところでありますが、議会は知事の追認機関ではないかと、この指摘に対し知事の認識をお聞かせください。  また、執行部と議会の関係でありますが、現在は県勢の発展のために車の両輪として良好な関係であると認識をいたしております。執行部は法律、条例の中で、県民全体に公平性、平等性を保ちながら各地域の施策を策定をされ執行されます。我々議員は県政全般の施策については当然のことながら慎重、そして積極的に議論いたしますが、それに加えまして、我々は選挙で選出された地元の声も大切にし、それが県政の中で施策に盛り込めないか、地域の課題をいかにして解決していくかということも議員に課せられた仕事であると思っております。  地域の要望には、県全体の平等性や公平性を保つには無理のあるものもありますが、地域的にはどうしても必要と思われる要望もあります。つまり条例や法のはざまにあると思われる事案が発生し、議会の総意として執行部に施策として取り入れるように要望があった場合、執行部と議会の意見の対立というようなことになりかねません。このようなことは実際はないかも知れませんが、万が一そういう事態が発生した場合、知事はどのような対応をなされるのがベターであると考えておられますか。  以上、二点についてお尋ねいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 52 ◯知事(伊藤祐一郎君)まず大隅地域の振興についてのお尋ねがございました。  御指摘のように、大隅半島振興のために予定されている事業がたくさんあるわけでありまして、それを有機的に連携しなければいけないことは御指摘のとおりであります。大隅地域は特に農業や観光の分野におきまして、私は大きな可能性を有していると考えているところであります。高規格道路網や志布志港などの整備とあわせまして、第一次産業から第三次産業まで含めて体系化された産業として農業を構築することによりまして、アジアの時代における食の供給基地としての発展を期待できますとともに、美しい風景や豊かな食材など、魅力ある素材の発掘やPR等に努めることによりまして、観光地としての可能性が広がっていくものと考えているところであります。  私といたしましては、このような観点から農業・加工技術の研究やレンタカーの無料化、山川・根占航路への支援など、各般の施策を推進することといたしているところでありまして、こうした取り組みを通じて、魅力ある安心・安全・新食料供給基地としての大隅地域の振興や、それを支える人づくりに努めてまいりたいと考えております。  議会が知事の追認機関であるとの指摘についてのお尋ねがございました。  議会は監視機関としての役割とともに、地域住民の意向を反映したさまざまな意見を集約をいたしまして、その活動を通じて地域住民の意向を地方公共団体の政策や施策に反映させる機能を担っていると考えております。このため、執行部が政策を立案するに当たりましては、さまざまな機会を通じて議会の御意見の把握や御説明等を行い、またその政策を議案として議会に提出した後におきましても、その審議過程でいただいた御意見等につきましては、執行部として十分に留意しているところであります。  このように、議案や政策の形成、審議、執行の過程におきまして、議会のチェックやその意向の反映がさまざまな形で行われておりまして、執行部提出の議案がおおむね原案どおり可決されることのみを持って、議会のあり方を批判的に論じるのは、私はいささか早計ではないかと考えております。  議会と執行部の意見が対立した場合の対応についてのお尋ねがございました。  本県における県議会と執行部は、いわば車の両輪といたしまして、お互いが知恵を出し合いながら活発な議論を重ね、地域間競争の中で一体となって県政の重要な課題に適切に対応しているものと考えております。しかしながら、長と議会はそれぞれ住民の直接選挙で選ばれておりまして、託された民意を背景としてそれぞれの立場を主張し合う関係にありますことから、場合によりましては、お互い異なる立場をとることは想定されるところであります。私としましては、そのような場合でありましても、県と議会がそれぞれの立場を踏まえて十分に議論を重ね、一致に向けて最善を尽くすことが求められていると考えているところであります。 53 ◯土木部長(渡 正昭君)大隅地域の振興に関しまして、志布志港における取り組みについてでございます。  志布志港におきましては、これまでに長距離フェリー埠頭や穀物用貨物船埠頭並びに国際コンテナターミナル等の整備を行いました結果、港湾貨物取扱量は平成二十年で外貿、内貿含め約一千七十万トンとなっており、とりわけ外貿コンテナ貨物の取扱量につきましては、過去十年間で二十倍以上と飛躍的に増加するなど、流通拠点港湾として重要な役割を果たしてきております。さらに、国際バルク戦略港湾への選定に向け、一括大量輸送に対応した岸壁等の提案を行っており、これにより背後の農畜産地帯への飼料供給基地としての機能がより発揮されるものと考えております。  県といたしまして、今後とも関係者と一体となって志布志港のさらなる利活用に努めてまいりたいと考えております。 54 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)鹿屋医療センターの将来展望についてでございます。  鹿屋医療センターは地域の医療機関との機能分担や連携を図りながら、地域医療支援病院や地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター等の指定を受けるなど、大隅地域の中核的医療機関としての役割を果たしてきております。しかしながら、御指摘ございましたように、医師不足の影響を受けまして、現在耳鼻咽喉科などが休診となっております。現時点におきましては医師不足解消の見通しは立っていませんが、仮に医師不足が解消されれば休診している診療科の再開等を含め、現在よりもさらに充実した医療を提供できるものと考えております。  鹿屋医療センターとしましては、引き続き他の医療機関との役割分担を図るとともに、本年四月に鹿屋市が新設する大隅広域夜間急病センターの後方支援など、地元医師会とも連携しながら民間医療機関では対応困難な高度医療や政策医療、救急医療の提供など、今後とも地域の医療ニーズに的確に対応してまいりたいと考えております。    [山田宏之君登壇] 55 ◯山田宏之君 志布志港と言いますのは、昭和二十年代から大隅開発計画というもので、大隅半島の経済の爆発の起点であるというような位置づけの中でやってこられた港であります。今からいろいろ考えられる施策があると思われますが、積極的に事業に取り組んでやっていただきたいというふうに思っております。  また、鹿屋医療センターにつきましても、増進センターと一体となって大隅半島地域の高度医療に資するという目的を持った病院であります。非常に財政が厳しいことは重々承知をいたしておりますが、やはり命にかえるべきものは何もないわけでありますので、さらなる充実をお願いをいたしたいと思います。  今議会におきまして二元代表制、つまり知事と議会のあり方について、各種の質問がありました。二元代表制のあり方につきましては、時代の変遷や社会構造の変化により、常に時代にあったものが求められ、その課題は永久に続くものと考えております。現在も全国議長会の金子会長を先頭に、全国の都道府県で地方議会制度の改革に取り組んでおり、その成果が期待されるところであります。  また、知事におかれましても議会からの政策提言を真摯に受けとめられ、施策に反映していただいていることは評価すべきことだと思っております。私は最初の政策立案推進検討委員長として、政策の提言や条例の制定をするとき、予算の裏づけや罰則規定的なものが設定されなければ、その提言は効果は半減するのではないかと思いながら、全会派一致ができ、そして早急に検討しなければならない課題に絞って集中的に議論したことを思い出しております。議会が真剣に議論し、全会派的に一致を見た政策提言につきましては、知事も真摯に受けとめられ、施策に反映をされている。このことにつきましては新しいスタイルの知事と議会の関係ができたのではないかと喜んでいるところであります。  さて、私は今議会をもって議員を勇退いたします。五期二十年にわたり同じ志を持って活動した同僚議員の皆さん、また選挙におきまして御支持いただきました支持者の皆さん、議員活動の中で議論を戦わせそして御協力いただきました執行部の皆さん、そして二十年の議員活動を支えてくれました家族に対し、この場をおかりいたしまして感謝のまことを捧げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)  今、この壇上に立っていますと、二十年間の思い出が走馬燈のように浮かんでまいります。八・六水害や五石橋移設問題、マリンポート建設や川内原発増設問題、鹿屋医療センターや増進センターの新設、BSEに口蹄疫対策、鳥インフルエンザの問題、そして新燃岳の噴火など、挙げれば枚挙にいとまがありません。そしてこの三月十二日、新幹線もいよいよ全線開通しようといたしております。だれかが語った夢が少しずつ形をつくり、そして世代や時を超え、その情熱が受け継がれ、ようやく長い歳月を経て夢が現実のものとなる時を迎えるのであります。いつの時代でも困難な中に夢を持つことこそが、私たちの生きる原動力になると私は思っております。  この演壇を去るにあたり、こみ上げてくる思いを伝えるには気のきいた言葉が見つかりません。四月の統一地方選挙に出馬される皆さんが、連続当選を果たされ、そして鹿児島県政の悠久の歴史の流れの中で、県民に夢とロマンにあふれたわくわくするような県政の展開がなされますことを心からお祈りいたしまして、私の最後の一般質問を終わらせていただきます。  政治という仕事を通して、皆さんとともに過ごし、そして少なからずも県民の方々のお役に立てたのではないかという自負を持つことができた充実したこの二十年間、本当に幸せでありました。  長い間、本当にありがとうございました。(拍手) 56 ◯議長(金子万寿夫君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。  これで、質問は終結いたします。       ───────────── 57    △ 議案第四八号上程 ◯議長(金子万寿夫君)次に、議案第四八号を議題といたします。       ───────────── 58    △ 質  疑 ◯議長(金子万寿夫君)これより、質疑に入ります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  まず、寺田洋一君に発言を許可いたします。    [寺田洋一君登壇] 59 ◯寺田洋一君 自由民主党県議団を代表して、追加提案されました議案第四八号平成二十二年度鹿児島県一般会計補正予算(第九号)について質疑をいたします。  出水の鳥インフルエンザ対策と新燃岳噴火対策については、さきの私どもの代表質問において格別に取り上げ、それぞれについて総合的に各面から質問をし、国、県等の対応についてただしたところでありました。その際、それぞれの現場で私どもが事業者や住民の方々を初め関係機関・団体等からお聞きした要望を踏まえると、さらなる緊急な支援策等が必要と感じておりましたので、平成二十二年度三月補正予算に追加しての予算を要望したところでありました。県においてはこれらの事態の推移を踏まえ、さらなる支援策等を迅速に行うため、今回平成二十二年度三月補正予算の追加分としての補正予算案を提出をされました。まことに時宜を得た措置で、迅速に対応する県当局の姿勢が伺われ、高く評価するものであります。  今回の補正は、鳥インフルエンザや新燃岳噴火へさらに対応するもので、一般会計で農林水産業費、商工費、土木費、災害復旧費など七億六千万円、債務負担行為として緊急経営支援利子補助事業及び霧島地域雇用安定推進事業で、限度額三億二千九百万円を内容とするものであります。本県浮揚に千載一遇のチャンスである新幹線全線開業に伴う開業効果を、少しでも損なうことのないように配慮すべきでありますが、その意味でも新燃岳噴火や鳥インフルエンザで影響をこうむっている地域経済のタイムリーな下支えが肝要であります。  県当局においては、補正予算の波及効果を最大限にもたらすためにも、年度内の速やかな執行に努めていただきたいと思います。  また、今回の補正の財源としては、国庫支出金と繰入金となっておりますが、緊急の財政出動の場合、一般財源によらざるを得ないもの、家畜伝染病とか火山の噴火などの天災地変は突然に発生し、終わりが定かではなく、かつ多方面に広大な影響を及ぼすことから、安定した支援策を効果的に継続するためには、なるべく国庫の裏打ちがあることが望まれるところであります。地元としては常に国に対して被災の実情等を詳細に説明をし、住民生活や地域産業を守る国の強力なバックアップについても要請していく必要があろうと思うところであります。  そこで、以下お伺いいたします。  第一点、補正額七億六千万円の財源のうち繰入金五億五千四百万円となっておりますが、今後特別交付税の対象や新たな国庫補助金の対象と見込めるものについて、極力対象となるよう国に働きかけていく考えはないのか。  第二点、霧島地域雇用安定推進事業でパート従業員等の雇用安定を図ろうとしていますが、具体的にどの程度の規模でどのような事業内容を考えておられるのか。  第三点、観光客の誘客対策としてのPRについて、CM内容、媒体、情報発信機関など、どのように考えておられるのか。  第四点、養鶏農家等の支援について農家の手元に届くのはいつごろを予定しておられるのか。また、法に基づく移動制限区域外において出荷できなかった農家がありましたが、今回の支援対象に含まれているのか。  第五点、道路維持補修、砂防修繕など今後とも引き続き事業執行をしなければならないと考えられますが、新年度予算においての事業継続はどのように対応されるつもりなのか。  第六点、平成二十二年度の補正という性格からしますと、年度末が迫っており、速やかな執行が望まれますが、事業執行計画はどのように見込んでおられるのか、それぞれお答えをいただきたい。  以上、自民党県議団を代表しての質問といたします。 60 ◯総務部長(三橋一彦君)追加補正財源の国への働きかけについてでございます。  今回の高病原性鳥インフルエンザの発生や新燃岳の火山活動に伴い必要な対策に係る支援につきましては、養鶏事業者や観光業者、商工業者の支援等について、機会あるごとに関係大臣等に要請を行ってきたところであります。また、養鶏農家への支援対策や降灰被害対策、雇用や地域活性化対策等に係る経費などにつきまして、一般財源として生じる県負担につきましては、特別交付税の算定に際し、総務大臣に対して特段の配慮をいただくよう要請したところでございます。  新燃岳の火山活動や高病原性鳥インフルエンザに係る本県への影響につきましては、引き続き地元市町や関係機関と緊密な連携をとりながら対応を行いますとともに、国に対して必要な要請を行ってまいりたいと考えております。  事業執行の見込みについてお尋ねがございました。  今回の追加補正は、既に既定予算等で対応している各種対策に加え、速やかな執行に留意しながら必要な予算措置を行おうとするものであります。主なものといたしましては、降灰被害対策等のうち砂防堰堤の除石工事や農作物等の降灰対策支援につきましては、緊急性のある箇所は既に既定予算により対応しており、今回の追加補正に係る事業につきましても、年度内には完了する予定であります。  また、老人福祉施設等の災害復旧につきましては、災害査定前の三月中に事前着工が可能となるよう取り組んでおります。  雇用・中小企業・地域活性化対策のうち、緊急経営支援利子補助事業につきましては、追加補正の議決をいただければ、二月一日以降の融資申し込みに係る資金の利子から助成対象にしたいと考えております。ホテル・旅館等における雇用対策につきましては、三月上旬からの事業実施分について、既定予算により対応することとしており、今回の追加補正の債務負担行為により、新年度四月から六月までの事業実施に係る委託契約を年度内に締結することとしております。地域の活性化や誘客対策につきましても関係機関等と必要な諸準備を整えており、予算成立後速やかに実施したいと考えております。  さらに、高病原性鳥インフルエンザに係る農家支援等につきましても、予算成立後速やかに補助金の交付手続を進めることとしております。県としては、今回の対策の趣旨にのっとり速やかな事業執行が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。 61 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)霧島地域雇用安定推進事業の具体的な内容についてでございます。  霧島地域雇用安定推進事業につきましては、新燃岳の噴火活動に伴う宿泊予約のキャンセル等により、従業員の雇用の維持が困難な牧園・霧島地区のホテル・旅館等に対し、県が従業員の接遇等の研修を行う業務等を委託し、雇用の維持を支援することとしております。具体的には国の雇用調整助成金の対象とならない短時間勤務のパート従業員や、立入禁止区域内のホテル・旅館等の従業員を対象に、三月から六月末までの間、研修等を行うこととしており、研修等を受講した従業員一人当たり日額四千円を支給することとしております。また事業規模につきましては約七十のホテル・旅館等の従業員約四百人を予定しております。 62 ◯観光交流局長(福壽 浩君)観光客の誘客対策としてのPRについてでございます。  新燃岳の噴火によりまして、宿泊キャンセルが発生した霧島地区への誘客を促進いたしますため、これまで旅行会社や報道機関等に対し正確かつ適切な情報提供について説明や要請を行ってきておりますが、今回の追加補正予算によりまして、さらにテレビCMや新聞広告のマスメディアを通じて広く情報発信をしようとするものでございます。  CMや広告の内容といたしましては、ほとんどの霧島地区のホテル・旅館が通常どおり営業していることや、地域の皆さんが元気に頑張っていることを発信することとし、霧島市や地元観光関係団体と具体案についての協議や広告媒体の選定など、予算の成立を前提に現在準備作業を行っているところでございます。広告やCMの作成などを可能な限り速やかに行い、第一弾として霧島地区への入り込み客が多く、早目の誘客効果が期待できる北部九州を中心に、おおむね三月下旬から四月にかけての発信を想定をいたしております。 63 ◯農政部長(弓指博昭君)高病原性鳥インフルエンザ発生に伴います養鶏農家などへの支援の時期等についてお尋ねございました。  法に基づく発生農家に対します手当金につきましては、殺処分された鶏などの評価額に対する五分の四に相当する額を、既に国に対して交付申請したところでございまして、県が助成をいたします残りの五分の一に相当する額につきましては、補正予算成立後速やかに支払うことといたしております。また周辺農家に対します支援につきましては、移動制限区域内に選卵場や食鳥処理場が含まれておりましたことから、そこに出荷できなかった区域内の農家はもとより、区域外の農家も支援の対象としているところでございます。  なお、これらの農家も含め発生により影響を受けた農家に対する助成につきましては、国は平成二十二年度予算で対応をするとしておりますことから、現在各生産系列を通じ支払いに向けた事務手続を進めておりまして、県予算が成立し、国との協議が整い次第、養鶏農家へ早急に支払うことといたしております。 64 ◯土木部長(渡 正昭君)道路維持補修及び砂防修繕の事業継続への対応についてでございます。  土木費の追加補正予算につきましては、新燃岳の火山活動に伴う噴火・降灰対策といたしまして、既定予算による対応に加え道路維持補修事業による道路降灰除去や砂防修繕事業による既設砂防堰堤の緊急除石に係る経費の追加計上を行うものでございます。新年度におきましても、新燃岳の噴火活動の推移に伴う降灰の状況等に応じて、住民生活に支障がないよう道路降灰の除去や既設砂防堰堤の除石等に取り組んでまいりたいと考えております。 65 ◯議長(金子万寿夫君)次は、まつざき真琴君に発言を許可いたします。    [まつざき真琴君登壇] 66 ◯まつざき真琴君 私は日本共産党県議団として、追加提案されました議案第四八号について質疑を行います。  まず、今回の追加提案に至った経過について伺います。  今回の補正は、議会の途中の昨日、三月二日に提案されました。もちろん鳥インフルエンザの養鶏農家への感染や新燃岳の噴火は一月末であり、予算の調整上、日程的な限界や国の支援策の決定という都合もあったかと思います。しかしながら、出水市のツルへの感染は昨年末であり、年末・年始の休みもなく、いつ終息するのか見通しもわからない中、ツルの監視や養鶏農家への感染防止対策に疲労こんぱいされていた農家や業者、自治体、また例年ならツルを目当ての観光客でにぎわうホテル・旅館、土産物屋の業者の皆さんにとって、できるだけ早く県が財政的な支援の姿勢を示すことが、被害を受けている皆さんを励ますことになったと思われます。  今回提案された新たな融資の利子補助や市町村の防疫対策費の助成なども、もう少し早く具体的な支援のメッセージとして発することができなかったのかと思うものですが、今回の追加提案の経過について示してください。  二点目に、降灰被害対策等についてお尋ねします。  今回、道路の降灰除去やビニールハウスなどの営農支援の予算が計上されていますが、桜島の降灰については、活動火山対策特別措置法において対策事業の採択基準が設けられ、市、町の降灰除去について国の補助が受けられるようになっています。しかしながら、桜島の降灰についても採択基準を満たさず、実際に灰が降って除去事業を実施しても、国の補助金が受けられない年もありました。またビニールハウス等の施設整備については、国の基準においておおむね一年間における農作物の被害が要件となっており、そうなればどんなに早く県が防災営農施設整備計画を立てたとしても、一年後でなければ国の支援策は受けられないことになります。実際に甚大な被害が起きている宮崎県と連携し、活動火山特別措置法における降灰除去や防災営農の採択基準について、国に要件緩和を求めるべきであると考えますが、見解を伺います。  今回、県管理道路の降灰除去等の予算が計上されていますが、今後の風向きを考えたとき、多くの降灰が予想される霧島市や湧水町ではロードスイーパーを有しておりません。そこで県管理道路に限らず必要に応じて市道、町道も含めた降灰除去並びに路面清掃も検討されるべきではないかと考えますが、見解を伺います。  また、老人福祉施設の空振被害に対する災害復旧事業費が計上されています。速やかな復旧はもちろんですが、安心・安全に老人福祉施設で過ごすためには、予測できない空振被害を防止するために窓ガラスにフィルムを張るなどの予防対策への助成も必要であると思われますが、見解を伺います。  三点目に、雇用・中小企業・地域活性化対策についてお尋ねします。  出水市でも霧島市でもホテルやタクシー会社など観光関連の業種において、宿泊者や宴会のキャンセルによって大きな損害を受けておられます。緊急経営支援利子補助事業について、新たな融資の金利の全額補助は大変有効な支援策であると思いますが、収入が激減している中で、既にある債務の返済に苦慮しておられる業者もあり、制度をつくっても新たな融資自体が困難であることも予想されます。この制度を絵にかいたもちとしないために、運転資金として新たな制度融資が受けられるようにするための県の取り組みについてお聞かせください。  霧島地域雇用安定推進事業については、今質疑の答弁で具体的に示されましたが、特にその対象者について、国の雇用対策とのすみ分けについて御説明ください。  最後に、高病原性鳥インフルエンザ関連対策についてお尋ねします。  養鶏農家緊急支援対策事業によって、養鶏農家の売り上げの減少額や費用の増加について、全額助成が受けられることは歓迎するものですが、関連の肉の加工業者や運送関係の業者についてはどのような支援策があるのでしょうか、伺います。  感染を食いとめるための防疫対策に、県や市町村も大変尽力されました。今回市町村の防疫対策の経費に、全額国庫で二分の一の助成がなされることになりますが、残りの二分の一について、県が加えて助成を行うことで市町村の負担を軽減することができると考えますが、見解をお聞かせください。  以上、質疑といたします。 67 ◯総務部長(三橋一彦君)高病原性鳥インフルエンザ関連対策の追加提案の経過についてのお尋ねがございました。  今回の高病原性鳥インフルエンザに関連する対策につきましては、一月二十六日に出水市の養鶏農家において発生した後、二月三日に専決処分により発生農場における鶏の殺処分や蔓延防止対策等に要する経費を予算措置したところでございます。その後、関係者による懸命な防疫対策等の結果、二月十七日にすべての移動制限が解除され、出荷が全面的に再開されたことに伴い、出荷遅延等による売り上げ減少額など事業の対象経費等の算定が可能になったところでございます。これを受け、地元事業者や市町村、国などとの協議・調整を行いつつ速やかに必要な予算の編成作業を進めてきたところでございます。また、中小企業者への利子補助事業等につきましては、地元経済への影響等を把握しつつ、既存の支援制度の関係を整理した上で、今回追加提案させていただいたものでございます。 68 ◯土木部長(渡 正昭君)降灰被害対策等に関しまして、道路降灰除去に関する補助要件緩和についてでございます。  活動火山特別措置法における市町村道の降灰除去事業につきましては、国から市町村へ直接補助される事業であり、年間の降灰量などについて国庫補助の採択要件がございます。この要件の緩和に関し、霧島市から国に要望が出されており、国からは今後の噴火状況や風向きによる降灰地域の変化を見守りつつ相談させていただくとの回答があったところでございます。  道路の降灰除去と路面清掃についてでございます。  道路の降灰対策につきましては、霧島市など新燃岳周辺の県内市町に対して、国や鹿児島市とともに連絡調整会議を開催し、路面清掃車等の配備状況や派遣の手続等について説明を行ったところでございます。今後とも連絡調整会議を活用し、必要に応じて国の支援も要請しながら路面清掃車等の派遣の調整など、関係市町に対し協力してまいりたいと考えております。 69 ◯農政部長(弓指博昭君)新燃岳の降灰被害対策に関連しまして、防災営農対策事業についてのお尋ねございました。  防災営農対策事業につきましては、火山の爆発によって生ずる農作物被害が、農業経営に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる地域を対象としておりまして、その基準としてはおおむね一年間における農作物の損失額が総収入額の百分の十以上と定められております。しかしながら、今回の新燃岳の噴火につきましては、国は現時点におきます今後一年間の損失見込み額で認めるとしておりますことから、宮崎県におきましては、桜島にかかわる現行の防災営農施設整備計画に新燃岳分だけを追加・変更し、事業実施すると聞いております。  本県といたしましては、現在までのところ県域内の降灰量が宮崎県に比べ少ないことや、現に降灰により被害を受けている地域が桜島にかかわります防災営農施設整備計画の対象地域でございまして、一定の対応が現在でも可能でありますことから、計画の変更までは行っていないところでございます。ただ、今後風向きの変化に伴いまして被害が拡大してくる場合には、降灰の動向等を見きわめ、現行の計画の追加・変更を行い、防災営農対策に万全を期してまいりたいと考えております。  高病原性鳥インフルエンザ発生にかかわります食鳥処理場など関連業種への支援策についてでございます。
     県といたしましては、今回の高病原性鳥インフルエンザの発生に伴います制限区域の設定に当たりまして、区域内にあります養鶏農家や食鳥処理場などに与える影響をできるだけ軽減いたしますため、区域縮小に必要な清浄性確認検査等を迅速に行うよう努めたところでございます。また移動制限区域外の家禽を区域外の食鳥処理場で内蔵を抜き取った屠体にして、区域内の食鳥処理場で解体処理をしました場合に要したかかり増し経費について、一羽当たり二十五円を上限にして支援する事業を国が措置しておりまして、県といたしましては、この事業の積極的な導入を図ることで、食鳥処理場における移動制限期間にかかわります影響を最小限にとどめるよう努めたところでございます。  それから、防疫対策を実施した市町村の負担についてでございますが、高病原性鳥インフルエンザの蔓延を防止いたしますため、市町村が自主的に実施いたしました消毒などの防疫対策に要した経費につきましては、国において消費・安全対策交付金により、その二分の一相当が助成される見込みでございまして、県としても必要な補正予算を今議会に追加提案させていただいたところでございます。また残りの二分の一につきましても、本年度の三月の特別交付税におきまして一定の措置がなされるものと考えておりまして、これらの支援により市町村の負担は相当程度軽減されるものと考えております。 70 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)老人福祉施設等における空振被害の復旧と被害防止についてでございます。  今回追加補正予算に計上しております老人福祉施設等災害復旧事業につきましては、厚生労働省の社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金を活用するものであり、該当する一施設に対し補助を行うこととしているものでございます。この国庫補助金は災害で直接被害を受けた部分の原形復旧を対象としておりますが、フィルムを張るなどの未然防止対策につきましては、独立行政法人福祉医療機構の融資制度が融資対象としており、対策を講じられる施設につきましては、この制度を活用していただきたいと考えております。 71 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)緊急経営支援利子補助事業の活用についてでございます。  今回の利子補助事業の対象としている県中小企業融資制度の中小企業振興資金などにつきましては、県はかねてから保証機関への損失補償を行うなど、保証機関の積極的な保証を促進し、中小企業者への円滑な融資が図られるよう努めております。また、今回商工団体に対しましては、資金繰りなどの相談窓口の設置を、金融機関や保証機関に対しては追加融資や新規保証への特段の配慮をお願いしているところでございます。既往の保証つき融資につきましては、中小企業振興資金などによる借りかえ等ができることとしており、借りかえた資金について今回の利子補助事業の活用が可能となっております。県としましては今後ともこれらの制度を活用しまして、県内中小企業者の円滑な資金繰りを支援してまいりたいと考えております。  次に、霧島地域雇用安定推進事業の対象者についてでございます。  霧島地域のホテル・旅館等の従業員の雇用対策につきましては、二月二十二日に国の雇用調整助成金の要件緩和が行われたところであり、県としても鹿児島労働局と連携しながら、制度の利用が促進されるよう広く周知しているところであります。しかしながら、雇用調整助成金は入山規制など噴火を直接的な理由とする場合や、雇用保険の被保険者の要件に該当しない従業員については対象外とされております。このため、霧島地域雇用安定推進事業では雇用調整助成金の対象とならない短時間勤務のパート従業員や、立入禁止区域内のホテル・旅館等の従業員を対象に、接遇の研修を行う業務をホテル・旅館等に委託し、雇用の維持を支援することとしております。  高病原性鳥インフルエンザ関連でございます。  運送業などの関連業者への金融支援についてでございます。高病原性鳥インフルエンザの影響により、経営に大きな影響を受けた運送業などの関連業者への支援については、今回追加提案しました緊急経営支援利子補助事業により、売り上げの状況等一定の条件を満たす場合には経営安定化のために借り入れた県制度資金などの運転資金の利子について、五年間全額補助することとしております。 72 ◯議長(金子万寿夫君)以上で、通告による質疑は全部終了いたしました。  これで、質疑は終結いたします。       ───────────── 73    △ 議案第一号─議案第四八号及び報告第一号委      員会付託 ◯議長(金子万寿夫君)次に、議案等の委員会への付託の件を議題といたします。  今回提出されました議案のうち議案第一号から議案第一八号まで、議案第三一号から議案第四八号まで及び報告第一号は配付いたしております議案等付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。  お諮りいたします。  議案第一九号から議案第三〇号までは、予算特別委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 74 ◯議長(金子万寿夫君)御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。       ───────────── 75    △ 報  告 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、報告いたします。  ただいま関係の常任委員会に付託いたしました議案等のうち議案第四一号及び議案第四六号につきましては、当席において地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、県人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり意見書が提出されております。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 76    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君)三月十七日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、議案等及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。       ───────────── 77    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君)本日は、これで散会いたします。        午後三時四十一分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...