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2 △ 一般質問
◯議長(
金子万寿夫君)まず、一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
くしげ勝美君に発言を許可いたします。
[くしげ勝美君登壇](拍手)
3
◯くしげ勝美君 おはようございます。
早速質問に入ります。
まず、
大隅地域発展の課題等について伺ってまいります。
私は、一九九一年、平成三年に、県民の皆様の御支援によりまして県議会に活動の場を与えていただきました。この間、郷土鹿屋と大隅地域の現状を訴え、将来のあるべき姿を議論をしてまいりました。それぞれの立場で多くの方々の努力にもかかわらず、いまだに薩摩半島などほかの地域以上に多くの課題を残しております。
大隅圏域の人口をとってみますと、平成二十三年一月現在、二十五万二百八十八人で、県人口の一四・六七%を占めております。昭和三十年をピークに減少の一途をたどり、今でも歯どめがかかっておりません。鹿屋市では、大隅圏内の人口移動によって微増傾向にありますが、ほかの地域は減少をしており、特に南部地域の減少は著しいものがあります。
昭和三十年のピーク時と比較をいたしますと、県全体では約一六%の減少でありますが、大隅圏域内は、これを大幅に上回る約三六%の減少率という厳しい状況にあります。高齢化率も圏域全体で三二・七%と高く、少子・高齢化と生産年齢人口の先細りによって、大隅半島が薩摩半島などほかの地域と比較をして、経済格差が顕著にあらわれることは容易に予測をされます。
伊藤知事は、いろんな機会を通じ、大隅半島は素材が多く、宝の宝庫だとも言われてこられました。平成二十三年度予算案において、大隅農業・
加工技術研究プロジェクト事業やおおすみ新観光百選作成事業、
大隅地域レンタカー無料プラン事業、公立高校の再編整備については従来の手法を見直し、具体的な方法を検討するなど、大隅半島の振興に重点を置いた事業を展開しようとされていることは、まことにありがたいことであります。
そこで、伊藤知事に伺います。
今後の大隅半島の発展の方向性をどのように展望をされているのか。その際、克服すべき課題と発展の原動力は何であると考えていらっしゃるのか。知事の思いと取り組みへの決意をお聞かせください。
大隅農業・
加工技術研究プロジェクトについて、代表質問で考え方が示されました。これまで、
農業開発総合センター大隅支場は、大隅地域の農業発展の基礎的研究と普及の課題解決に向けて指導的役割を果たしてきましたが、今後、大隅支場はどのような役割を担うことになるのか。その機能と広大な土地の扱いはどのようになるのか、伺います。
今回新たに、県内各地の着地型観光の体験・
交流型観光ビジネスモデル確立事業として、大隅地域の魅力を再発見するおおすみ新観光百選の作成を進めるとされていますが、その取り組みに期待するものであります。選定の対象は、名所旧跡、景勝地にとどまらず、住民の古くからの営みや食文化、貴重な自然、新しい農業の展開など、大隅のさまざまな特色を生かしたものが必要だと思いますが、選定の方法、選定までのスケジュールとあわせてお示しください。
新幹線全線開業効果を波及させるために、大隅地域での宿泊等の要件を満たす場合、
レンタカー料金二十四時間分を無料にする事業費が計上されております。車も小型から大型までありますが、その対象はどうなるのか。宿泊地の区域、無料の精算手続、開始の時期など、事業内容について伺います。
また、大隅への波及効果を拡大させるために、宿泊等の要件について工夫をするなど、大隅地域における連泊を促す
仕掛けづくりも必要と思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
次に、
九州新幹線全線開業効果の展開について伺います。
三月十二日の
九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けて、記念イベントや物産展の開催、国内外への誘客対策など準備も大詰めを迎えるとともに、県民の期待も高まっております。県においては、この新幹線効果を沿線や一部地域のみでなく、大隅、離島も含めた県内各地に普及・定着させ、県全体の持続的活性化を図る目的で、
新幹線効果活用プランを平成二十年三月に策定をし、これまで、「増やす」・「広げる」・「活かす」を基本的視点に置き、具体的な取り組みを展開してこられたところであります。
そこで、この間の取り組みと成果と今後の課題について伺ってまいります。
まず、第一点でありますが、全線開業によって移動時間の大幅な短縮が図られますことから、商業圏の拡大による交流人口の増加が見込まれますが、ここに来まして県内から福岡へ買い物やレジャーを楽しむための県外流出の懸念が高まっております。三月三日、本日でありますが、開業する博多駅、大々的に新聞も報道いたしておりましたけれども、
JR博多シティは延べ床面積が
鹿児島アミュプラザの三・五倍、二十万平方メートルと言われ、天神には
ファッションビル「福岡パルコ」が開店し、
キャナルシティ博多の隣接地には第二キャナル構想が発表されています。
日本政策投資銀行九州支店によりますと、「新幹線は強いものをより強くする装置、伸びる分は九州・山口のほかの地域から吸い取る形となる。九州で
福岡ひとり勝ちの構図が強まる」と分析をいたしております。
新幹線効果活用プランでは、特に関西・中国地方に目を向け、ターゲットを絞った情報発信、来訪者に二度の驚きを与える仕掛けをつくるとして取り組んでおられますが、福岡に対抗した取り組みの成果はどのように期待できるのか、残された課題と今後の取り組みの重点についてお示しください。
二点目でありますが、県内各地に新幹線効果を波及させるためには、新幹線から二次、三次の
交通アクセスの利便性の向上が課題として挙げられてまいりました。その点で、山川・根占航路が三月一日からの暫定運航、一年ぶりの運航は両港ともに大変な歓迎ムードに包まれたと聞いております。ことし夏からの新船導入による本格運航を目指していることは大変喜ばしいことであり、関係者の努力に感謝をいたしたいと思います。
そこで、これまで取り組んでこられた鹿児島中央駅からの二次、三次アクセスの拡大と交通機関との連携の具体的成果と今後の課題等について、特に大隅へのアクセス、大隅と薩摩半島を結ぶ効果的なアクセスについて伺います。
三点目でありますが、大隅地域での宿泊等の要件を満たす場合、私どもは、鹿児島中央駅からのアクセスだけではなく、航空機を利用した鹿児島空港から県内を周遊して中央駅へ、サンフラワーを利用して志布志港から県内を周遊して中央駅への逆ルートの重要性も提案をしてまいったところでありますが、観光の周遊化にどのように取り組んでこられたのか、今後、どう取り組んで行かれるのか、考えをお聞かせください。
四点目であります。新幹線の全線開業で一本化が加速する九州を
外国人観光客にどのように売り込み、南九州、鹿児島に呼び込むことができるのか。中でも、増加が見込まれる中国への期待は高いものがあります。鹿児島・上海線が三月末から週四便体制になることは大いに歓迎すべきことであります。鹿児島・ソウル線の利用も好調に推移しており、外国人を対象にした
受け入れ体制の充実、九州全体を視野に入れた周遊コースの商品化、
交通アクセスの利便性の向上など重要でありますが、これまでの取り組みの成果と今後の課題について伺います。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)大隅半島の発展の可能性等についてのお尋ねがございました。
大隅半島につきましては、特に、農業や観光の分野で今後、大きな発展可能性を有していると考えているところであります。
それを実現いたしますためには、素材提供型の農業から、一次加工などによる価格支配力を高めた付加価値の高い農業への展開や高規格道路網の整備、志布志港の活用促進などの物流機能の強化が必要であると考えております。また、観光分野におきましては、鹿児島中央駅や鹿児島空港からの良好な
交通アクセスの構築、魅力的な多くの観光資源の掘り起こしとさらなる情報発信などが課題であると考えているところであります。
これらの課題の取り組みを進めることで、大隅半島は、農業が一次産業から三次産業まで含めて体系化された産業として構築され、アジアの時代における食の供給基地として発展することが期待できますとともに、美しい風景や豊かな食材など、魅力ある素材にあふれる観光地としての可能性が広がっていくものと考えているところであります。
私といたしましては、このような観点から各般の施策を着実に推進をいたしまして、魅力ある安心・安全・新食料供給基地としての大隅半島の振興を図ってまいりたいと考えているところであります。
5 ◯農政部長(弓指博昭君)大隅農業・
加工技術研究プロジェクトに関連しまして、大隅支場の今後の役割などについてお尋ねがございました。
大隅地域は、畑地かんがいの整備が進みまして、付加価値の高い農業経営の展開や、アジアの時代におきます食の一大供給基地として発展する可能性があります。
その実現のためには、大規模経営体の育成や低
コスト安定生産技術の確立とあわせまして、素材提供型の農業から、一次加工などにより価格支配力を高めた高
付加価値型農業への展開などが必要でありますことから、これらに対応した試験研究を加速させますとともに、その研究成果を農業者、食品加工業者などの民間に迅速に波及させまして、経営発展へのさまざまな取り組みを総合的に支援していくことが重要であると考えております。
このため、県といたしましては、新年度に行います大隅農業・
加工技術研究プロジェクトにおきまして、民間や地元関係者、学識経験者から成る検討委員会を設置いたしまして、大隅地域に必要な試験研究や支援体制のあり方などを具体的に検討することといたしておりまして、大隅支場につきましては、この検討過程を通じましておのずとその方向性が定まるものと考えております。
6
◯観光交流局長(福壽 浩君)おおすみ新観光百選についてでございます。
おおすみ新観光百選、仮称でございますが、この作成を通じまして大隅地域の観光の魅力を改めて掘り起こしますとともに、情報発信することにより、大隅地域の観光のイメージアップや誘客を図りたいと考えております。
作成に当たりましては、「かごしまよかとこ百選」あるいは「かごしまよかとこ旅」でこれまで紹介されております、地域の自然、食、伝統文化などに加えまして、「よかとこ博覧会」の取り組みを通じて、大隅の新たな魅力となりつつある着地型の観光資源などを取り上げてまいりたいと考えております。
今後、
調査選定委員会の設置や
選定スケジュールにつきましては、観光関係者や地元市町の意見も伺いながら、具体的な作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、大隅地域の観光の周遊化についてでございます。
大隅地域におきましては、これまで、食の楽しみや体験型観光などの
着地型メニューを集積をしました「かごしまよかとこ博覧会」を開催しますとともに、えりすぐりの魅力的な旅行プランを提案する「かごしまよかとこ旅」などを活用し、観光の周遊化のための旅行商品造成などに取り組んできたところでございます。また、鹿児島中央駅から鹿屋や志布志への直行バスが運行されるなど、二次
交通アクセスの改善も進みつつあります。
県としましては、さらに
新幹線全線開業効果を波及させますために、今議会に提案しております、大隅地域を訪れる
レンタカー利用者に対する助成制度や、大隅地域などへの宿泊につながります旅行商品の造成を目的とした「鹿児島もう一泊キャンペーン」の展開、大隅地域の観光資源を選定したおおすみ新観光百選による情報発信などを通じまして、大隅地域の観光の周遊化を促進してまいりたいと考えております。
九州新幹線全線開業に関連いたしまして、
外国人観光客の誘致対策についてでございます。
国が進めます
ビジットジャパン事業等とも連携をしながら、中国、韓国、香港、台湾などを対象に、現地セールスや旅行会社、マスコミの招待等を通じた誘客に取り組んでいるところでございまして、平成二十二年の本県への
外国人観光客数は、国の宿泊旅行統計によりますと、過去最高でありました平成二十年と同水準の十二万人並みとなっております。他方、福岡県等の九州北部と比べますれば、本県を含む南九州への外国人の入り込みは少ない現状にございます。
こうした中、
九州新幹線全線開業に伴います九州北部との時間短縮によりまして、今後は、仁川や上海から福岡空港に入り、九州内を新幹線で移動した後に鹿児島空港から帰る、福岡イン・
鹿児島アウトの行程や、仁川から航空機で鹿児島に入り、新幹線で福岡へ、高速船で釜山へ、さらにKTXでソウルへ帰るという鹿児島イン・福岡アウトの行程など、新しい流れを形成する誘客対策の強化や、
外国人観光客のニーズに的確に対応できる
受け入れ体制の充実などが必要であると考えております。
7 ◯企画部長(六反省一君)
大隅地域レンタカー無料プランの事業内容等についてでございます。
まず、事業内容でございますが、あらかじめ県の登録を受けた事業者からレンタカーを借りた方が、レンタル期間内に
大隅地域振興局管内にあります指定宿泊施設に宿泊し、かつ周遊を目的といたしまして、大隅半島を北部、中部、南部の三つのブロックに分け、このうち二つのブロックにまたがる二カ所以上の周遊ポイントを訪問した場合に、前払いした利用料金のうち、小型の普通乗用車及び軽自動車につきましては、最初の二十四時間までの基本料金の全額、それ以外の車種についても、一定の額を
レンタカー事業者が返金するという仕組みとしております。
返金後の精算手続につきましては、
レンタカー事業者が返金実績を月単位で取りまとめて県に申請し、県において、内容の審査の上、必要額を事業者に助成することとしております。
事業の開始時期につきましては、
全線開業効果を大隅地域に波及させるため、全線開業日であります三月十二日からの貸し出しについて対象とすることとしております。
次に、連泊を促す
仕掛けづくりでございます。
レンタカー無料プラン事業は、
全線開業効果を波及させる上で、広域的な
公共交通手段が必ずしも十分でない大隅地域において代替手段を提供することで、同地域への入り込み客増を図るものでございます。最初の二十四時間を無料とすることで、大隅地域への来訪の動機づけとする一方、施策と費用対効果の観点から、同地域での一泊以上の宿泊と二施設以上の周遊を要件としているところでございます。
連泊させるための
仕掛けづくりといたしましては、
観光かごしま大
キャンペーン推進事業の中で、県内でもう一泊、もう一カ所の楽しみを提供し、宿泊につながる旅行商品の造成を行う「鹿児島もう一泊キャンペーン」を展開するなど、
全線開業効果を大隅半島など県内各地へ波及させるための多様な
メニューづくりを進めることとしておりまして、大隅地域におきます地元の取り組みとも相まって、
レンタカー無料プラン事業との相乗効果が発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、九州新幹線の全線開業に関連して、福岡に対抗した取り組みの成果等についてでございます。
福岡は、買い物等の都市機能が充実しており、全線開業を機に来訪者の増加が予想されるところでございますが、本県も、世界に誇れる自然環境や豊かな食文化など多くの本物の素材に恵まれており、新幹線沿線のおよそ二千八百万人を初め、国内外の多くの方々に訪れていただけるだけの十分な魅力があるものと考えております。
本年一月の民間調査では、開業後に行ってみたい九州の県として、調査対象となった東京と関西、中国地域の七都府県のすべてで、本県がトップに挙げられたところでございます。福岡とは一時間余りの近さとなりますことから、連携の視点も重要であると考えておりまして、協調して九州全体への交流人口の増加を図るとともに、本県の魅力をさらに高め、より広く情報発信していくことが課題と考えており、全線開業後におきましても、「増やす」「広げる」「活かす」の取り組みを一層推進し、効果を最大限に生かせるように取り組んでまいりたいと考えております。
鹿児島中央駅から大隅地域へのアクセスについてでございます。
県内各地におきましては、全線開業に向けて、鹿児島中央駅からの二次、三次アクセスの拡大等に向けた取り組みが進められてきたところでございます。特に、大隅地域へのアクセスにつきましては、平成二十一年十二月から鹿児島中央駅と鹿屋を結ぶ直行バスが運行されたことにより、バスとフェリーとの二回の乗り継ぎが必要なくなり、利便性が格段に向上したところでございます。また、大隅半島と薩摩半島を結ぶアクセスにつきましても、昨年三月から運航を休止しておりました山川・根占航路が、去る三月一日から小型フェリーにより暫定的に再開されたところでございます。
県といたしましては、大型車の積載が可能な船舶によるできるだけ早期の運航再開を目指しますとともに、バスやフェリー等の
公共交通機関だけでなく、レンタカーを含むさまざまな移動手段を組み合わせつつ、関係者と一体となって、大隅地域へのアクセスの改善に取り組んでまいりたいと考えております。
[くしげ勝美君登壇]
8
◯くしげ勝美君 質問をさせていただきます。
錦江湾横断交通ネットワークの可能性について伺ってまいります。
先日、大隅・薩摩半島を結ぶ
錦江湾横断交通ネットワークの可能性調査について、平成二十二年度の調査結果が公表されたところであります。
それによりますと、三ルート案のうち最も優位性の高い鹿児島─桜島案について、走行時間が短縮、経費減少などの効果を費用で割った費用対便益比が、橋梁で一・四、トンネルで一・五と、いずれも国土交通省の基準で事業継続の目安となる位置を上回っています。しかし、橋梁は、風によるたわみやねじれへの懸念、降灰による安全走行への支障、さらに、橋梁主塔やケーブルが桜島と重なり、鹿児島からの景観に及ぼす影響が大きいとされています。
錦江湾横断交通ネットワークは、大隅半島の住民にとりましては、通勤・通学そして救急医療、産業の活性化などに寄与することが大きな期待がある一方で、大隅地域の消費者流出による地域商業への影響など懸念をする課題もまた挙げられております。
そこで伺いますが、二十三年度予算には、
トンネル構造に関する調査などを実施するための予算として千九百七十五万円の事業費が計上されています。調査の具体的内容を明らかにしてもらいたいと思います。また、可能性調査は二十三年度で終了することになるのか、明らかにしてください。
基礎的調査の結果では、トンネルの形式は
シールド工法が適切であるとされていますが、二十三年度調査は
シールド工法のみなのか、あるいは沈埋工法もあわせて検討されるのか、伺います。
トンネル延長は六千四百メートル程度と、橋梁の二倍近くとなっていますけれども、入り口、出口はどこを想定されているのか、お尋ねいたします。
桜島は、百年から二百年間隔で大正噴火級の噴火が起きる可能性があるとされ、その際の地震は、県防災計画では鹿児島─桜島間の海底を震源にしてマグニチュード七・一と想定しています。基礎的調査では、噴火の影響は少ないと評価されていますけれども、地震の影響とトンネルの安全性についてはどのように評価されているんでしょうか、伺います。
この
錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査は、伊藤知事が平成二十年の知事選挙でマニフェストに掲げたものでありますが、昨年の三月議会の答弁では、「これらの調査結果も踏まえ、その必要性や実現可能性について判断をしたい。具体的な事業着手時期等は言及できる段階ではない」と述べられております。
伊藤知事の今任期は来年七月でありますが、二十三年度の
トンネル構造の調査を踏まえて、今任期中に、必要性、実現性、事業着手時期などを判断されるのか、さらに、今後その他の調査を継続して、今任期中の判断はなされないのか、明らかにしていただきたいと思います。
次に、
消費生活相談員の継続雇用について伺います。
長年私どもの要求してまいりました、消費者保護のための相談窓口である
消費生活センターについては、去る一月四日に鹿児島市新屋敷町の
県住宅供給公社ビルに移転・開所し、執務室の拡大や相談コーナー、資料展示室の拡充など、ワンフロアで整備をされたところであります。
また、県民からの消費生活の相談業務に当たっている非常勤の職員の処遇については、昨年四月から日額報酬の引き上げが行われました。今後、さらに市町村や関係機関との充実・強化が図られることを期待をするものであります。
ますます巧妙・悪質化する振り込め詐欺、違法な契約案件など、県民からのトラブルや悩みの相談も複雑・困難なものが多くなり、相談員の関係法令等の専門的知識と多様な事例に対する粘り強い説得技術も要求されるところであります。その知識や技術は一朝一夕で身につくものでありません。そのためには、豊富な経験と専門性を持った相談員が長期にわたって実務に携わり、安定的に業務に従事できることが必要であります。
このような現状を踏まえ、国の消費者庁長官は、去る二月十日付で「
消費生活相談員に対するいわゆる雇止めについて」と題する通知を各都道府県知事と
市区町村長あてに出しております。この通知は、「非常勤職員である
消費生活相談員の任用回数に制限を設けないことに、法令上の問題があるわけではない」として、継続雇用を促す内容となっています。
そこで伺いますが、専門的な知識と技術を有する人材の確保は、消費者行政の充実のために必要不可欠なことであります。せっかく専門性を高め、能力を習得した相談員を雇いどめにし、新たな人材を育成するために時間と労力を費やすことは、県の消費者行政の上から大きな損失であります。本県においても、雇止めをなくし、継続した雇用ができるようにすべきと思いますが、見解を求めます。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
9 ◯知事(伊藤祐一郎君)
錦江湾横断交通ネットワークの必要性等の判断時期についてのお尋ねがございました。
錦江湾を横断する交通ネットワークにつきましては、現在、どういう条件のもとにプロジェクトが成立するかにつきましての可能性調査を行っているところであり、平成二十三年度中の取りまとめに向けて取り組むことといたしているところであります。
本プロジェクトについては、この可能性調査の結果も踏まえ、その時点での地域住民の意向等を含む、社会経済情勢や時代の要請、事業実施のための財源計画等を総合的に勘案いたしまして、必要性を判断したいと考えており、判断の時期について明らかにできる段階ではないと考えております。
10 ◯知事公室長(布袋嘉之君)
錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査についてでございますが、平成二十三年度は、これまでの調査において最も効率的なルートとされました鹿児島─桜島間のトンネルについて、さらに詳細な調査を行うこととしております。
具体的には、基礎的調査において検討課題とされたトンネル延長の短縮を図るための勾配の検討や、勾配の変化に伴います自動車の排出ガスの換気方法の検討などを行うこととし、これらの結果も踏まえ、来年度中に可能性調査の取りまとめを行いたいと考えております。
また、トンネルの形式については、沈埋トンネルより船舶の航行や周辺環境への影響が少ないとされるシールドトンネルを想定しております。
なお、トンネルの出入り口については、交通需要や土地利用状況等を詳細に把握した上で、既存道路との適切な接続位置を検討する必要がありますことから、可能性調査を行っている現段階においては、その具体的な位置は設定していないところでございます。
地震の影響とトンネルの安全性についてでございます。
トンネルは、地震による地盤の変動に追随して振動いたしますことから、橋梁等の地上構造物に比べ、振動の増幅が生じにくく、特に、シールドトンネルについては、地盤の変化により柔軟に対応できる耐震技術も開発されておりますことなどから、一般的に地震による影響は小さいと考えられております。
本ネットワークの整備について具体的な検討を行う場合には、海底の地質や断層の把握を含め、十分な調査等を行い、トンネルの安全性を確保する必要があると考えております。
11 ◯県民生活局長(灰床義博君)
消費生活相談員の雇止めについてでございます。
御指摘のありました文書につきましては、平成二十三年二月十日付で消費者庁長官から各地方公共団体の長あてに発出されたものであり、
消費生活相談員に対するいわゆる雇止めについて、「
消費生活相談員の任用は、それぞれの自治体の判断によるものであるが、非常勤職員である
消費生活相談員の任用回数に制限を設けないなど、
消費生活相談員の専門性の向上に配慮いただきたい」旨の要請がなされたものであります。
本県としましても、
消費生活相談員に専門的な知識、技術を有する人材を確保するためにはどのような取り扱いがよいのか、各都道府県の取り扱いなども勘案しながら、今後、検討してまいりたいと考えております。
12
◯くしげ勝美君 自席から、ちょっと失礼でありますけれども、巷間言われていることを交えて再質問させていただきます。
錦江湾横断交通ネットワークの可能性の問題であります。
過去もいろいろと議論をされてまいりました。可能性の調査をするということは、意思は、いつかはかけると、具現性を持って努力をするという意思がないと可能性調査は存在をしないというふうに思います。
巷間言われておりますことは、その前に、一つ問題になるのは、何を可能性調査するかというと、日本の技術では、技術は遅れていないと思います。技術的な可能性は十分にあるわけなんです。あとは費用対効果の問題であり、お金の問題だというふうに理解をするのであります。
お金はいつかまた回収するわけでありますから、遠い将来になるか、あるいはそのあたりはよくわかりませんけれども、率直に巷間言われていることを申し上げますと、可能性調査は、調査だけに終わるということが目的になっているんではないかといううわさもないわけじゃないのであります。
大隅の住民の皆さん、また鹿児島も、薩摩半島もそうでありましょうけれども、長年の懸案でありますから、ひとつその方向性とあるいは可能性、今申し上げたようなことでありますが、ある程度の時期は示すということが必要なんではないかと思いますが、そのあたりについてお答えいただければありがたいというふうに思うんですが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。