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11月25日-03号

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  1. 宮崎県議会 2022-11-25
    11月25日-03号


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    最終取得日: 2023-05-20
    令和4年11月定例会令和4年11月25日(金曜日)   午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(37名)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  山 内 佳菜子  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  佐 藤 雅 洋  (  同  )    9番  安 田 厚 生  (  同  )   10番  日 髙 利 夫  (  同  )   11番  川 添   博  (  同  )   13番  中 野 一 則  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   16番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   19番  井 本 英 雄  (宮崎県議会自由民主党)   20番  徳 重 忠 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  山 下 博 三  (  同  )   23番  濵 砂   守  (  同  )   24番  西 村   賢  (  同  )   25番  右 松 隆 央  (  同  )   26番  日 高 博 之  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 髙 陽 一  (  同  )   34番  横 田 照 夫  (  同  )   35番  野 﨑 幸 士  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  丸 山 裕次郎  (  同  )   39番  二 見 康 之  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   日 隈 俊 郎  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策 部長   松 浦 直 康  政 策 調整監   吉 村 達 也  総 務 部 長   渡 辺 善 敬  危機管理統括監   横 山 直 樹  福祉保健 部長   重黒木   清  環境森林 部長   河 野 譲 二  商工観光労働部長  横 山 浩 文  農政水産 部長   久 保 昌 広  県土整備 部長   西 田 員 敏  会 計 管理者   矢 野 慶 子  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   吉 村 久 人  財 政 課 長   高 妻 克 明  教  育  長   黒 木 淳一郎  警 察 本部長   山 本 将 之  監査事務 局長   髙 山 智 弘  人事委員会事務局長 日 高 幹 夫 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   渡久山 武 志  事 務 局次長   坂 元 修 一  議 事 課 長   鬼 川 真 治  政策調査 課長   伊 豆 雅 広  議事課長 補佐   関 谷 幸 二  議事担当 主幹   佐 藤 亮 子  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   内 田 祥 太  議事課主任主事   山 本   聡──────────────────── △一般質問 ○副議長(二見康之) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、昨日に引き続き一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。まず、田口雄二議員。 ◆(田口雄二議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。県民連合宮崎の田口雄二です。 本日、11月25日は、国連が定める「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。卑劣な暴力は人権侵害です。シンボルカラーの紫色のライトアップを見たら、女性への暴力根絶の啓発と御理解ください。 さて、今月の15日に、国連の推計で世界の総人口が80億人を突破しました。2010年に70億人を超えてから僅か12年で10億人増加しております。この12年間を見ると、アジアとアフリカだけで増加分の約9割を占めています。今後、世界の総人口は2037年に90億人を超え、2058年には100億人を超え、2080年代には104億人でピークを迎えると試算されています。 現在、最も人口の多い国は中国の14億2,588万人ですが、インドとその差は僅かで、来年にもインドが首位になる見込みです。日本など人口減少が進む国が多くある中、増加する国は一部地域の偏りが顕著です。 国連によると、人口の急増は貧困を招く可能性が拡大し、水やエネルギーに限りがある中、食料不足による飢餓や栄養失調を引き起こしかねません。また、人口増が気候変動に与える影響も懸念されています。人が増えれば、物の消費や化石燃料の使用などによる温室効果ガスの排出量も増え、環境への負荷がさらに大きくなることが予想されます。格差や不平等を解消し、限りある資源を大切に分かち合っていく必要があります。80億人の一人一人が人間らしく安心して暮らしていける社会を構築していくことが、これからの世界に求められています。まさに地球に優しいSDGsを推進して、私たちの子孫から感謝されるような地球との接し方をしていかなければなりません。 それでは、質問に入ります。 まず、知事の政治姿勢からお伺いいたします。 12月8日からいよいよ知事選挙が始まり、河野知事は4期目の挑戦をいたします。そのような中、新型コロナの不穏な動きがあります。ようやくコロナが落ち着いて日常が戻りそうになるたびに、第7波まで繰り返されてきました。専門家は、コロナの第8波は来年の1月頃にピークを迎えるのではないかと予測しています。そして、2年間おとなしかったインフルエンザも同時に流行するのではないかと懸念されています。既に海外からの旅行の受入れも大きく緩和され、またこれから忘年会シーズンを迎え、人の動きが活発になってくる中、コロナの拡大でまたしても経済が冷え込むのではないか、不自由を余儀なくされるのではないかと心配する県民の声が聞こえてきます。 そこで、新型コロナ第8波にどのように対応していくのか、知事の決意を伺います。 世界経済フォーラムは、7月に、世界の男女格差の状況をまとめた2022年版の「ジェンダーギャップ報告書」を発表しました。日本の達成率は世界で116位と、先進主要国で、またしても最下位でした。日本は、会社や国の重大な決定を下す立場に女性が少ないことが課題です。 上智大学の三浦まり教授が中心となってつくる「地域からジェンダー平等研究会」は、「各都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表しました。政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析していますが、本県の指数は、教育が全国ワースト2位、政治は40位、行政は37位と軒並み厳しい結果です。ただ、経済だけは、家事や育児などに使う時間の男女差が小さいことが評価され、6位でした。 なお、各都道府県版ジェンダー・ギャップ指数では、気になるデータが出ていました。鳥取県は行政分野の格差が最も小さく、県と市町村の管理職の女性比率等は、9指標のうち4指標で全国1位です。1999年に就任した片山善博前知事が、「女性に庶務ばかりさせない」と推進したそうです。そして、2007年就任の平井伸治現知事も、「幹部候補の層を厚くしながら、適材適所で配置してきた。女性も意思決定に参加して初めて効果のある政策になる」と積極的に推進してきました。女性幹部は、「無理に管理職に押し上げるのではなく、着実にステップを踏ませてくれた」と話しています。片山前知事、平井現知事ともに総務省の出身で、ともに鳥取県の出身ではありません。河野知事と似た経歴です。ちなみに平井知事は、現在全国知事会の会長です。 女性の活躍をより推進するためには、知事のリーダーシップが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 次に、先日、文教警察企業常任委員会の視察で、川崎市の「かわさきエコ暮らし未来館」に伺いました。説明をしてくれた担当の女性に、「川崎市と宮崎県は連携協定を結んで、いろいろとお付き合いがあるんですよ」と言うと、彼女はそのことを知っていましたが、詳細は不明でした。川崎市長の応接室の応接セットが本県の綾町産の木材を使っていることなどを話しましたが、話していながら、その後の連携協定の取組はどうなっているのか、最近耳にしないことが気になりました。 そこで、川崎市と神戸市との連携協定に基づく取組状況について、知事に伺います。 以上で、壇上からの質問を終了いたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 まず、新型コロナ第8波への対応であります。全国的には、北海道や東北など北日本の地域を中心に、既に第8波が猛威を振るう中で、県内も10月中旬以降、新規感染者が徐々に、そして確実に増加傾向にあり、私も警戒を強めて、日々、感染状況を注視しているところであります。 この冬の第8波では、水際対策の緩和なども背景に、インフルエンザとの同時流行も懸念されております。県におきましては、現在、医師会等と連携し、検査や外来医療体制等のさらなる強化を図るとともに、オミクロン株対応ワクチンの接種の加速化に取り組みながら、同時流行にも対応できる保健医療体制の構築に努めているところであります。 コロナとの闘いが長期化し、県内経済も回復途上にある中で、私としましては、引き続き感染の再拡大や医療の逼迫を防ぎ、しっかりと日常生活や社会経済活動を維持しなければならないと考えております。 今後とも、感染状況等を注視しながら、これまでの経験や知見を踏まえ、私自身が適時適切に県民の皆様に注意喚起を行うとともに、市町村や関係団体とも連携しながら必要な保健医療体制を確保することで、第8波の脅威から県民の命と暮らしを守ってまいります。 次に、女性の活躍推進についてであります。 女性が意欲と能力を生かしながら活躍の場を広げることは、豊かで活力ある県づくりを進める上で大変重要であると考えております。このため、今年3月、女性の活躍推進を重点施策と位置づける「第4次みやざき男女共同参画プラン」を策定し、具体的な取組を進めております。 今年7月には、県内企業約350社で組織します「みやざき女性活躍推進会議」の方々と意見交換を行いました。女性の活躍を促すためには、家事・育児の負担を男女が共に担うことや、女性職員のキャリア形成を計画的に進めることなど、御意見を伺ったところであります。この会議のメンバーである女性の皆さんは、自ら女性の活躍ということを実践しながら、それでも様々な壁にも直面しておられる、その切実な思いというものが伝わってきたということと、リーダーである知事、それから様々な企業のトップという者がしっかりと女性の活躍の後押しをしてほしい、理解をしてほしい、そのような声を伺ったところであります。 今後とも、国や関係機関とも連携し、男性も含めた働き方改革や、女性が働きやすい環境整備、そして管理職員の意識改革など、女性活躍を推進する取組を、私が先頭に立って取り組んでまいります。 最後に、川崎市と神戸市との連携協定についてであります。 川崎市との連携協定は、平成26年に、県産材の活用や産業振興等を目的として締結したものであります。これまでに、川崎市の公共建築物の木質化でありますとか、「川崎モデル」ということで有名な取組がありまして、これを参考にしながら、開放特許を活用したビジネスマッチング等に取り組み、延岡市内の県内企業による商品化に至った事例も出ております。さらに、令和2年度からは、市内のホテルにおいて県産食材や県産材をPRする宮崎フェアを開催し、川崎市にはこのフェアの周知に御協力をいただいているところであります。 次に、神戸市とは、フェリー就航3周年を記念して、平成29年に協定を締結しております。主にフェリーを核とした交流事業を展開しているところであります。 今年度は7月に、神戸市の児童養護施設の中学生が本県観光地を周遊する「KOBE夢未来号みやざき」を実施したほか、先月には、久元神戸市長が自らフェリーに乗船して来県され、サイクルツーリズムやグルメイベントの取組など、連携強化に向けた意見交換も行ったところであります。 それぞれの市長とは、度々こうして意見交換も行っているところでありまして、今後とも都市と地方の共生に向け、お互いの特性や強みを生かして相乗効果を発揮する取組も、息長く進めてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(田口雄二議員) ありがとうございました。 コロナの今後が心配ですが、先日は韓国からのチャーター機も参りました。台湾のチャイナエアラインへ、本県への定期便復活の申入れもいたしました。年が明けると、スポーツのキャンプシーズンを迎えます。ワールド・ベースボール・クラシックの宮崎キャンプも決定しており、様々なイベントに支障が出ないよう、万全の対策をよろしくお願いいたします。 女性の活躍の場を増やすことは大切です。知事の先輩たちは、好事例をしっかりと残しています。鳥取県を参考に、ジェンダーフリーをぜひとも進めていただきたい、そのようにお願いいたします。 次の質問です。 最近、ランサムウェアという身の代金ウイルスによるサイバー攻撃が多発しています。ある企業は、部品製造に支障を来し納品できず、自動車の製造を一時中断せざるを得ない状況に陥っていました。要求された身の代金を支払えば業務再開ができるかは、何の保証もありませんし、仮に業務再開できても、犯罪を助長するようなものです。 そのサイバー攻撃の対象が医療機関に向けられ、幾つかの病院が既に被害に遭っています。電子カルテが使えなくなり、医師も看護師も患者情報を入手できず、ふだんどおりの診療ができなくなります。診療報酬の請求手続等の業務がストップすることが考えられます。昨年、徳島県の町立病院がロシアのハッカー集団からサイバー攻撃を受け、一部診療停止に陥った状況が報道されました。復旧までには相当な時間を要し、また、身の代金を払った、払っていないとの話題も提供しました。ハッカー集団電子カルテを暗号化し、復元と引換えに金銭を要求していました。県民への安心安全の医療を提供し続けるためにも、その対策が必要です。医療機関サイバー攻撃対策はどのようになっているのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 医療機関におけるサイバーセキュリティー対策につきましては、厚生労働省が、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を策定しており、各医療機関は、これに基づき、サイバー攻撃に強いシステムの構築やバックアップデータの保存、さらには攻撃を受けた際の対応など、必要な対策を講じることとなっております。 このような中、先日、大阪府の医療機関におきまして、サイバー攻撃によるシステム障害が発生し、手術や外来診療に影響が出るなど、その脅威は日増しに高まっており、医療機関における対策の充実は喫緊の課題となっております。 県としましても、今回の事案を踏まえ、改めて各医療機関に対し、これまでの対策が適切に講じられているか確認するよう注意喚起を行ったところであり、今後とも、関係機関と連携しながら、医療機関における取組を促進してまいります。 ◆(田口雄二議員) 同じく、県立病院はサイバー攻撃に対してどのような対策を講じているのか、病院局長に伺います。 ◎病院局長(??村久人君) 県立病院では、ネットワーク機器の管理を県内の専門業者に委託し、プログラム等を常に最新のものに更新することにより、サイバーセキュリティーに対応しております。また、サーバー内のデータについては、ネットワーク外磁気テープに毎日バックアップを保存し、万一、ネットワーク内にあるサーバーのデータが消失したとしても、復元できるようにしております。 さらに、病院が外部委託している業者の所有パソコン等については、病院のネットワークには接続させないこととしており、委託業者のサーバー等がウイルスに感染しても影響を受けない運用を行っております。 今後とも、本県の中核病院として、県民に良質で高度な医療が安定的に提供できるよう、サイバー攻撃の対策に努めてまいります。 ◆(田口雄二議員) ハッカー集団は、セキュリティーの甘いところを情報収集しているようです。絶えず対策を更新しながら、県民への医療提供に支障が出ないようによろしくお願いいたします。 さて、私の自宅は大きな団地の入り口にあります。この団地は住民の高齢化がかなり進んでおり、日に何度も救急車が出入りするのが日常の状況です。救急車は速やかに患者を運び出し、病院に救急搬送するのが任務かと思いますが、実際は、なかなか団地に入ってから戻ってきません。15分から20分ほどして出てくるのがほとんどです。適切な医療機関を探していることもあるかもしれませんが、救急救命士救命処置が現場で行われているのではないかと想像しています。 そこで、県内の消防吏員のうち、現場で活動する救急救命士の数の推移はどうなっているのか、また、現場で行える処置が増えていると考えていますが、その状況を危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 県内の消防吏員のうち、現場で活動する救急救命士の数は、平成23年4月1日には、消防吏員全体の16.3%に当たる183名でしたが、令和3年4月1日現在では、全体の20.2%に当たる247名となっており、10年間で64名、率にして3.9%増加しております。 また、現場で行える救急救命処置の範囲は、平成4年3月13日付厚生省健康政策局指導課長通知では19項目でしたが、平成26年までに、気管内チューブによる気道確保や低血糖発作へのブドウ糖溶液の投与など、33項目に拡大されております。 ◆(田口雄二議員) 現在では、救命救急処置が33項目まで拡大されているということは、ちょっとしたドクターカーになってきているのではないかと思ってしまいます。医師の治療を受ける前に多くの救命処置を受け、救命率が格段に向上しているのではないかと考えられます。ありがたいことです。 では、本県において、救急救命士はどのような場面で活躍しているのか、再度、危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 県内の消防本部・消防局の救急救命士は、救急隊の一員として救急車に同乗して現場に出動し、病気・事故等による要救助者を医療機関に搬送するまでの間、医療的措置が必要な場合に、救急車の中で救急救命処置を行っております。 また、県の防災救急航空センターに県内の消防本部・消防局から派遣されている8名の消防吏員のうち、半数以上は救急救命士であり、防災救急ヘリコプター「あおぞら」の機内で、医療的措置が必要な場合に、救急車内と変わらない救急救命処置を行い、救命率の向上に寄与しております。 ◆(田口雄二議員) 救急車以外の場での活動があることを初めて知りました。今回の質問で、救急救命士の活躍をかいま見ることができました。ありがとうございます。 次の質問に入ります。 これまで女性用トイレに限られた汚物入れ(サニタリーボックス)を、男性用も公共施設の個室トイレに置く自治体や商業施設が増えています。前立腺や膀胱のがん治療など、尿取りパッドやおむつを使う方が増えてきたのが一因です。特に、キャスターの小倉智昭さんが御自身の膀胱がんを公表した際、男性トイレに設置要請して反響を呼びました。前立腺がんは、男性のがんの罹患数1位となっており、人知れずその処置に困っている人が増えているのではないかと思います。 そこで、県内市町村庁舎における男性トイレへのサニタリーボックスの設置状況について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 膀胱がんや前立腺がんなどの影響により、日常的に尿漏れパッド等を使用する高齢の男性を中心に、「外出先でトイレを利用した際に、使用済みパッド等を捨てる場所に困る」との声があることは伺っております。 議員お尋ねの、県内市町村庁舎男性トイレへのサニタリーボックス設置状況について聞き取りをしたところ、7市町村が設置しているとのことでございます。 ◆(田口雄二議員) 県内の26市町村のうち7つの自治体に置いてあるというのには、ちょっと驚きました。 そこで、県庁舎の男性トイレサニタリーボックスを設置すべきと考えますが、総務部長の所見を伺います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 県では、県庁舎内に、障がいのある方を含め誰でも利用できるバリアフリートイレを整備しておりまして、ここにはサニタリーボックスを設置しておりますが、男性トイレには、男女共同参画センター等が入っている9号館に2か所設置しているのみとなっております。 御指摘のありました、男性トイレへのサニタリーボックス設置につきましては、膀胱がんや前立腺がんに罹患された方等のニーズが想定され、トイレの環境改善は、ユニバーサルデザインの観点からも必要であると考えますので、今後、9号館以外の設置についても具体的に検討してまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 全ての個室トイレに必要ではなく、所在を表す表示等があれば、必要な人がそこを利用することになります。それほどの経費がかかるとも思えませんので、出先機関や芸術劇場や図書館などの県の施設にも設置の御検討をよろしくお願いいたします。 次に、先日、林業活性化議員連盟の調査で、茨木県常陸太田市の株式会社「リグノマテリア」を訪問し、木質由来の新素材、世界初の改質リグニン製造実証プラントを見てまいりました。リグニンとは、木の強度を保っている成分で、国産杉の中に3割ほど含まれており、これを原料とし、ポリエチレングリコールを用いて改質したものです。耐熱性などの高い性能に加え、石油化学製品では達成できない環境適合性を併せ持ち、これまでにない工業材料として注目されています。実証プラントは、改質リグニンの日本独自の技術で、安定生産を実証する世界初のプラントで、年間約100トンの生産が可能です。今後、年産数千トン規模の商用プラントを近くに整備することを目指しています。 まだまだ実証プラントの段階で、商業ベースにいくまでには相当時間を要するとはいえ、資源のほとんどを輸入に頼っている日本、しかし、日本は世界有数の森林国家、また、杉丸太生産31年連続日本一の本県にとっては、夢を持たせてくれる調査となりました。私たち議連の視察前に、環境森林部長も現地に行かれたと聞きました。改質リグニン活用可能性について、工場を視察した環境森林部長の見解を伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 改質リグニンは、議員からもございましたように、杉の成分であるリグニンと、化粧品等にも使われる安全性の高い薬剤を化学結合させて生産される、環境に優しいバイオ素材であります。この素材は、高強度にも高耐熱にも加工しやすいという特徴があり、自動車部品等に使われるプラスチックの代替だけでなく、宇宙開発や医療機器等の最新技術にも活用可能性のある新素材と考えております。 本県の杉の新たな需要につながることを期待しまして、議員からございましたように、私も先月、工場を視察したところであります。現在は、年間30トン程度を試験製造している段階であり、商用化に向けては、1万トン程度の量産化技術の確立や需要の創出などが課題であるとのことでありますので、大変夢の持てる新素材ではありますが、産業化にはまだまだ時間が必要と感じたところであります。 ◆(田口雄二議員) 現地を視察して初めて知ったんですが、杉は日本固有の種類だそうでございまして、環境に優しい素材でもあり、地球環境保全においても、早期の商業ベースの開発を待ちたいと思っております。 次の質問に移ります。 一ツ葉海岸一帯の松くい虫被害について伺います。最近、新しいカーフェリーが就航し、私は、一ツ葉有料道路等を通る機会が増えてきました。残念なことに、一ツ葉有料道路の北部の東側と、シーガイアやフェニックスカントリークラブの前を通る道路―県管理の「パークウェイ」というそうですが―の南側から入ってすぐのところに松枯れが目立ちます。本数はそう多くないのですが、このすばらしい本県を代表する観光地では、景観が台なしの状況です。既に先週末にダンロップフェニックスゴルフトーナメントは終了しましたが、カーフェリーから観光バスに乗り、美しい松林が見え始めた途端に松枯れがあったのでは興ざめです。また、屋外型のトレーニングセンターも建設中で、トレーニングの拠点となります。美しい植栽がなされており、パークウェイというぐらいですので、枯れた松の一刻も早い撤去をお願いしたいのです。 そこで、一ツ葉海岸一帯の松くい虫被害の現状と対策について、環境森林部長に伺います。
    環境森林部長(河野譲二君) 一ツ葉海岸一帯を含む宮崎市の松くい虫による被害量は、この10年間において、平成27年度の3,300立方メートルをピークに、防除対策の強化に取り組んだ結果、ここ3年ほどは200立方メートル程度まで大きく減少しております。 また、対策としては、毎年、薬剤散布等による予防措置のほか、被害木の伐倒駆除を実施するとともに、松くい虫に強い抵抗性松等を植栽しているところであります。 議員御指摘のとおり、一ツ葉海岸一帯は景観もよく、観光面や保健・休養の場としても重要でありますので、引き続き、ゴルフ場や国有林の管理者等と連携を図りながら、松くい虫被害の早期把握に努め、被害木の伐倒駆除を実施するなど、海岸松林の保全に努めてまいります。 ◆(田口雄二議員) 私が東京にいたとき、フェニックスカントリークラブの知名度は抜群でした。ゴルフプレーヤーには憧れのゴルフ場でした。今でもネット等で見ると、「一度は行ってみたいゴルフ場、全国屈指の名門コース」でも取り上げられています。 松林が有名なところで、県内有数の観光地での松枯れはいただけません。松くい虫の広がりを止めるためにも、一刻も早く伐倒駆除をよろしくお願い申し上げます。 次に、私たちは、五ヶ瀬川の最上流部の熊本県山都町に管理型最終処分場の建設が計画されていることを、8月30日の新聞報道で初めて知りました。予定地は、阿蘇外輪山の外側になる南東部の峡谷です。予定地の柳谷川は下流で五ヶ瀬川と合流します。面積は19ヘクタールで、管理型最終処分場と中間処理施設の建設を予定しています。 産業廃棄物や一般廃棄物を熊本県や隣県から受け入れ、埋立て容量は東京ドーム約2杯分の200万~300万立方メートル、埋立て期間は40年から60年となるようです。2026年に着工し、2028年度から運用開始の予定です。 問題は、住民説明会は熊本県側では実施されていたにもかかわらず、下流の五ヶ瀬川流域の自治体や地域住民には全く説明がなされていませんでした。建設予定地の山都町の東竹原産廃阻止期成会の栗屋克範代表を招いて、延岡市で勉強会が開かれました。診療所の待合室が会場となりましたが、清流五ヶ瀬川への危機感からか、多くの参加者70名となりました。複数の県議や延岡市議が参加し、また、高千穂町や熊本県山都町の町議たちも駆けつけて、現地の声を聴かせていただきました。高額の用地買収や現地でのこれまでのトラブルなどの生の声を聴き、計画や建設業者への不信感が広がり、この計画を進めさせてはいけないという思いが広がりました。声を上げようとしたその矢先、産廃業者は9月14日、突然、計画見直しを発表しました。しかし、現在地に建設する方針は変更せず、来年度中に新たな事業計画を示すこととしています。 そこで、産業廃棄物最終処分場の設置計画について、事業者が、地域住民に対し説明責任を果たすべきと考えますが、県としてはどのように対応していくのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 御質問の処分場につきましては、法令上、熊本県が指導等を行うことになりますが、事業者は、関係する本県の自治体や住民に対して、しっかり計画内容を説明する必要があると考えております。 このため、県としましては、当初の計画について、熊本県を通じて事業者に住民説明会の開催を要請したところ、事業者において、本県側の不安の声に配慮して、一旦手続を取り下げ、本県側への影響も含めた調査を実施した上で、事業計画を見直すと表明されたところであります。 県としましては、引き続き、情報収集や関係市町への情報提供に努めるとともに、熊本県を通じ、事業者に対して、本県の関係市町や住民への説明責任を果たすよう働きかけてまいります。 ◆(田口雄二議員) 五ヶ瀬川は、県北の住民にとってはかけがえのない川であり、多くの五ヶ瀬川の恵みを頂いてまいりました。また、本県の観光の目玉である神話の宝庫・高千穂や高千穂峡を流れ、延岡市の風物詩・鮎やな等々への風評被害が出る可能性もあります。しっかりとした働きかけをよろしくお願いいたします。 続いて、事業承継について伺います。私はこの件につきましては何度も伺っておりますが、再度伺わせていただきます。 本県は、大企業も少なく、地元の中小企業がこれまで地域経済の発展や雇用を支えてきましたが、全国的に近年は、倒産ではなく、後継者不在等で休廃業する企業が多く、本県も同様の傾向にあると認識しております。 そこで、県内の事業承継の現状と事業承継・引継ぎ支援センターの取組実績について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 民間の調査によりますと、令和4年における県内企業の後継者不在率は約5割となっており、円滑な事業承継の推進により、地域経済の活力や雇用の場が失われないようにしていくことが重要な課題となっております。 こうした状況を踏まえ、事業承継・引継ぎ支援センターでは、県内中小企業の実情に応じたマッチング支援の強化を図っているところであり、9月末時点での実績は、新規相談件数が、昨年度の233件に対し、今年度は256件、成約件数は、昨年度の26件に対し、今年度は27件となっております。 また、市町村との連携が重要でありますことから、今年度から、センターと県が一緒に各市町村長を個別に訪問し、美郷町などでの好事例の紹介も交えながら、地域の事業承継推進について意見交換を行っているところでございます。 ◆(田口雄二議員) 美郷町の好事例が紹介されましたが、実はその方は、私が相談を受けましてセンターを紹介した経緯がございます。新規相談は、売手よりも買手のほうが多いと聞きました。広く情報を収集して、うまくマッチングさせてほしいものです。 先日の地元紙に、宮崎市のベンチャー企業の事業承継仲介サイトが掲載案件や成約数を伸ばしていると紹介されていました。事業承継・引継ぎ支援センターと民間仲介事業者との連携について、商工観光労働部長に再度伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 事業承継・引継ぎ支援センターでは、民間仲介事業者のノウハウや情報発信力の活用による第三者承継の促進を目的としまして、民間仲介事業者との連携を図っているところでございます。 例えば、企業名を公表して後継者とのマッチングを行っている県内の民間仲介事業者と連携し、同社が運営しますマッチングサイトに、センターが有します事業者の公募情報を掲載しております。また、中小企業庁が連携先として選定しております大手仲介事業者3社と、これらの事業者が運営するマッチングサイトの利用に関する協定を締結するなど、民間仲介事業者との連携による第三者承継のマッチング機会の拡大に取り組んでおります。 ◆(田口雄二議員) 今までとは違う形態での情報の発信等が行われているようです。様々なツールを利用して、1つでも多くの事業承継につながるように、よろしくお願いいたします。 次に、有機農業について伺います。 国は、脱炭素社会の実現に向け、環境に配慮した農業への転換を後押しする「みどりの食料システム戦略」を策定しました。安心安全の農畜産物を生産するために、輸入飼料や肥料を使う従来型農業ではなく、国内や地元のものを使用し、生産性の向上や持続可能性を推進する取組を進めています。 みどりの食料システム戦略では数値目標を設定しており、2050年に、耕地面積に占める有機農業の割合を25%、100万ヘクタールとしています。現在はわずか0.6%程度ですので、有機農業関係者からは、既に「できるわけがない」「EUの農業戦略のコピー」との声が上がっています。本県では、有機農業は全国的に見れば盛んなほうではありますが、本県の有機農業の現状と有機農業に取り組む生産者にどのような支援をしていくのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 国が公表した令和3年の本県の有機JAS認証面積は、431ヘクタールと全国第4位の規模であり、海外輸出に向けた有機茶の栽培や、大手量販店とタイアップした露地野菜の契約栽培などが行われております。 県といたしましては、有機農業の面積拡大に向け、指導者の育成や、新たに有機農業に取り組む農業者への支援、販路拡大への取組を支援していくこととしております。 また、県内の有機JAS認証機関は、既に認定を受けている綾町に加え、現在、高鍋町と木城町が合同で設立したNPO法人が国への登録申請を行っておりますので、今後、これらの認証機関が円滑に運営できるよう支援を行い、農業者が有機農業に取り組みやすい環境づくりを進めてまいります。 ◆(田口雄二議員) 今回、有機農業の関係者の御意見を伺いました。他県では、有機農産物を学校給食に活用している例や、行政が認証機関の認定を受け、有機農業を推奨しているところなど、行政が積極的に関わるところも出てきているようです。来年4月、本県でG7サミット農相会合が開かれます。農業県として、環境にも優しい有機農業の後押しをよろしくお願いいたします。 防災対策について伺います。 9月の台風第14号では、県内に大きな被害が出ました。延岡市においては、家屋の浸水被害が多く、床上浸水が318戸、床下浸水が189戸、合計で507戸に被害が出ました。私の知人も、何人も浸水被害に遭っております。私自身も、平成17年の台風第14号では、以前住んでいた自宅で床上70センチの浸水被害を経験しました。内水でしたので、比較的水はきれいではあったんですが、それでも普通に住めるようになるまでには1か月以上かかったことが思い出されます。 被災した祝子川下流で多くの家屋が浸水した富美山地区を訪ねると、祝子ダムの放流について御不満をたくさんいただきました。記録的な雨量が予報されたのに、なぜ事前に放流をしなかったのか、河川が増水しているときに放流したので被害が大きくなったという声がほとんどでした。 そこで、確認も込めて、台風第14号における祝子ダムの放流状況について、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 祝子ダムでは、台風第14号に備え、ダム管理者である県や、利水者である企業局などで締結した治水協定に基づき、発電などに使用するダムの利水容量の一部を放流し、新たに約58万立方メートルの治水容量を事前に確保していたところです。 台風の降雨による流入量の増加に伴い、ダムゲートを操作し、下流に急激な水位の上昇が起こらないように、適切に洪水調節を実施しておりました。 しかしながら、ダム上流で、予測を超える降雨により計画を超える流入量があったことから、ダムがためられる容量を超えると判断し、流入量と同量を放流する、いわゆる緊急放流を実施したところです。 今後とも、適切なダム管理に努めてまいります。 ◆(田口雄二議員) 祝子ダムも、台風接近前に貴重な水資源を放流したことは分かりました。加減が非常に難しいとは思いますが、適切なダム管理、今後もよろしくお願いいたします。 引き続き、台風第14号に関して質問します。 延岡市北川町の北川には、堤防が一部低くなっており、この部分から堤防の外の農地に水が流れ込む霞堤があります。治水対策の一環で、北川には霞堤が6か所あります。最大の家田地区の霞堤からの流木が水田等に流れ込む被害が度々発生し、我が会派の太田議員がこれまで、その対策について質問してきました。今回の北川家田地区の霞堤開口部から流入する流木等の対策にどのように取り組んできたのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 北川家田地区におきましては、霞堤開口部の樹林帯が洪水により消失したため、平成30年度から、これを復元するための竹や柳の植栽、さらに、川の流れを変える河川の掘削工事を行ってきたところであります。 今年度、流木が農地へ流入するのを防ぐための水に浮くフェンスや、出水時の状況を確認するための監視カメラを設置したところであり、今回の台風第14号では、開口部から流木等の流入はあったものの、フェンスがある程度流木等をせき止めており、一定の効果があったものと考えております。 今後とも、地域住民の方々や専門家の御意見を伺いながら、川の流れを一定方向に保つ新たな水制工の設置など、より効果的な対策について検討してまいります。 ◆(田口雄二議員) 今後も、流木流入の対策をしっかりと検討していただきたいと存じます。ただ、地元の人々は、下流の治水対策だと分かっていても、いつまで霞堤を受け入れ続けなければならないのか、複雑な心境だということを聞いておいてください。 今回も延岡市では、各地にパイピング現象も発生しました。地元の声を聴きながら、防災対策をよろしくお願いいたします。 次に、警察本部長に3点お伺いいたします。 最近は登山ブームになり、特にNHKでは登山の番組等も多く流されており、年齢等にかかわらず、各地の山に足を伸ばしています。祖母・傾・大崩山系が2017年6月にユネスコエコパークに登録されてからは、知名度も急速に上がり、大きく関心が高まりました。地元の関係者は、登山者が想像以上に増加したと感じています。岩が口を開けているように見えるパックン岩は、SNSで拡散され、若い世代に人気を集めているようです。 登山客の増加はうれしいことではありますが、気になるのは、登山による事故のニュースをよく耳にします。今年における県内及び祖母・傾・大崩山系での遭難事故発生状況及び警察で実施している訓練について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(山本将之君) 本年10月末現在、県内では19件、20名の方の山岳遭難事故が発生しております。このうち、祖母・傾・大崩山系での発生は8件、9名で、年間最多であった令和元年と2年の発生件数8件に、10月末現在で既に並んでおります。 警察におきます山岳遭難救助訓練についてでありますが、県内全警察署に山岳救助班を編成し、機動隊のレスキュー部隊の指導による山岳遭難救助訓練を行っているほか、平素から各警察署において、登山経路等の把握に努めております。 また、山岳遭難事故では、機動性を有するヘリコプターによる捜索・救出救助活動が有効でありますことから、機動隊レスキュー部隊と連携した、上空からの警察ヘリコプター「ひむか」のホイスト装置によるつり上げ救助訓練等を平素から実施しております。 ◆(田口雄二議員) 実は今週末、息子の中学校のときの同級生が東京から帰ってきて、大崩山に登るそうです。気をつけろとは言っておりますけれども、けがのないようにと思っております。 コロナが落ち着くと、さらに登山客も増加する可能性があります。関係機関との連携で、安全対策もよろしくお願いします。 次に、視覚に障がいがある方が横断歩道で事故に遭うケースが増加しているようです。昨年全国で、横断歩道を渡っている最中に6名が事故に遭い、うち1人が亡くなっています。視覚障がい者用の音で知らせる信号機があるところはいいのですが、多くの信号機には設置されておらず、視覚障がい者には色の判断ができず、非常に危険に感じているようです。また、視覚障がい者用の信号機も騒音と感じる周辺住民もおり、時間帯によっては、音が出る機能を停止しているようです。しかし、事故が減らない現状から、終日音を鳴らす信号に変更しているところが出てきており、先日は、鹿児島県警の取組が報道されていました。県内の視覚障がい者用信号機の設置、運用状況を警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(山本将之君) 県内には、音響により青信号とその方向を知らせる視覚障がい者用付加装置を設けた信号機を272か所設置してございます。その運用ですが、原則といたしまして、午前7時から午後7時までの時間帯に音が出るような設定としております。 一方で、午後7時以降の夜間帯に視覚障がい者の方々が通行されている実態と、その御要望に基づきまして、西橘通り入り口や宮崎駅西口広場前など14か所の信号機について、その運用時間を延長しております。 ◆(田口雄二議員) 視覚障がい者団体からの要望状況について、また、今後の視覚障がい者用信号機の運用時間の見直しについて、再度、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(山本将之君) 視覚障がい者団体から、この付加装置に関しまして、令和3年度までの過去5年間に19件の要望を受理し、本年度は、10月末までに5件の要望を受理しております。 その内訳でございますが、新たに設置していただきたいという要望が20件、運用時間の延長に関します要望が2件、音量の調整や音響の向きといった設定変更に関します要望が2件となっております。 運用時間につきましては、視覚障がい者の方々が夜間の時間帯に信号交差点を横断される実態を踏まえ、また、その安全を確保する観点に立ち、意見や要望を伺い、必要な見直しを図ることとしてございます。 ◆(田口雄二議員) 視覚障がい者の皆さんは、ハイブリッド車、歩きスマホ等も大変危険に感じているようです。私もハイブリッド車ですので、配慮して運転しないといけないと、質問をつくりながら感じたところでした。今後、もっと静かな電気自動車(EV車)が増えてくることは確実なので、視覚障がい者には、より配慮しなければならないと思っているところです。 次の質問に移ります。 昨年、福岡県で、幼稚園の送迎バスに園児を置き忘れて、熱中症で園児が死亡する痛ましい事故があり、胸が痛んだものでした。しかし、これは二度とこのような事故が起こらないような教訓になるものと思っていたら、静岡県で再び園児の置き去りで同様の事故が発生し、幼い命が奪われました。幸い短時間で発見され大事には至らなかった、特別支援学校の送迎バスの置き去り事件が10月に報道されました。気温、晴天率が高い本県では、特に気をつけなければなりません。幼稚園等における送迎バスの安全対策についてどのように指導しているのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 幼稚園等における送迎バスの安全管理につきましては、昨年7月の福岡県の事案を受けて、子供の乗降時の人数確認や欠席園児の保護者への確認徹底等を文書で要請しておりますが、改めて、今回の静岡県での事案の直後に文書で注意喚起を行ったところであります。 また、送迎バスの運営状況につきまして、9月に全施設の緊急調査を実施し、10月下旬からは市町村と連携しながら、実際に施設に出向いて、安全管理体制やマニュアルの整備状況等の実地点検も行っているところでございます。 現在、国において、送迎バスにおける園児の所在確認や安全装置の義務化が検討されておりますので、引き続き、市町村と連携しながら適切に対処してまいります。 ◆(田口雄二議員) 静岡県の事件の報道を見ていましたら、後部座席のガラス一面にキャラクターがラッピングされていました。子供たちは喜ぶかもしれませんが、外から中がほとんど見えず、子供の安心安全の面で、ぜひとも規制してほしいと思った次第です。実際は規制はされていないようです。 続いて、特別支援学校のスクールバスの送迎に係る安全対策について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 特別支援学校に対しましても、バス利用における安全管理の徹底について、文書で指導をしております。 現在、スクールバスは10校に20台導入しておりますが、各学校とも、児童生徒の座席を指定し、一人一人について乗り降りの把握ができる態勢となっております。また、添乗員を配置しておりまして、乗降時には、添乗員による人数確認を行っております。さらに、スクールバスを降りる際には、担任等が停車場で直接迎えているため、チェックは複数でできる態勢となっております。 特別支援学校におきましても、国において所在確認の徹底や安全装置の義務化が検討されておりますので、引き続き適切に対応してまいります。 ◆(田口雄二議員) 聞きますと、子供たちの座席は、特別支援学校では指定席になっているということでございまして、状況が把握しやすく、非常にいいアイデアではないかと思っております。今後とも、安全対策をよろしくお願いいたします。 次に、小中学校における教員の新たな人事異動制度導入から5年が経過いたしましたが、導入後の状況について教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 小中学校における新たな人事異動制度は、平成30年4月以降に採用された教員から導入された制度であります。新たな制度では、南那珂、西諸県、東・西臼杵を中心とした地域において、採用時から、希望する地域内での異動を考慮することとしております。 この制度の利用者数は年々増加傾向であり、今後、本制度の目的である、地域に根差した教育の推進等が一層図られていくものと考えております。 県教育委員会といたしましては、今後ともこの制度の検証を進めながら、教員の適正配置に努めてまいります。 ◆(田口雄二議員) お聞きしましたが、制度は、先生方にはおおむね好評のようです。先生方がやりがいの出るように、制度を進めていただきたいと思います。 次に、内閣府男女共同参画局は、全国の若者―16歳から24歳になりますが―を対象にした性暴力被害に関する初の実態調査の結果を公表しました。最も深刻な被害に遭った場所として、学校が最多だったことが明らかになりました。望まない性的な言動を「性暴力」と定義したようです。子供たちの学びの場が、子供たちにとって深刻な被害に遭うような環境ではいけません。性暴力による被害から子供たちを守るための取組について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 性暴力には、直接体に触れる行為だけではなく、「容姿をからかう」「裸を見せつける」なども含まれておりまして、いずれも被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であります。 県教育委員会といたしましては、まず、未然防止として、国の示す「生命(いのち)の安全教育」を推進しておりまして、その中では、子供たちを性暴力の当事者にしない教育に取り組んでおります。具体的には、デートDVやSNSを使った身近な被害の実態例を学ぶ授業実践なども報告されております。 また、万が一被害に遭ったときには、一人で悩まず、信頼できる大人や相談窓口へつなぐことを学ぶ「SOSの出し方に関する教育」にも積極的に取り組んでおります。 今後とも、子供を性暴力の被害から守るため、関係機関と連携して取り組んでまいります。 ◆(田口雄二議員) 今、教育長が申されました、国の示す「生命(いのち)の安全教育」について、具体的な内容と学校現場での取組を再度伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 「生命(いのち)の安全教育」におきましては、性犯罪や性暴力の根絶に向けた教育を推進しております。 その具体的な内容としましては、例えば小学校では、水着で隠れる部分を「他人に触らせない」「触られたら大人に言う」といった、自分の身を守る重要性を理解させる教育などに取り組んでおります。中学校や高等学校等では、友達が被害に遭ったら、信頼できる大人への相談を勧めることなど、傍観者にさえならないことを目指した教育に取り組んでおります。 さらに、これらの内容について、スライドや動画などを活用して、より分かりやすく示したり、話合いの活動を通して、自らどのような行動ができるかを考えさせるなど、発達段階に応じた取組が行われております。 ◆(田口雄二議員) 子供たちにとりまして、学校が嫌な思い出の場所とならないよう、しっかりとした対応をよろしくお願いいたします。 最後の質問になります。 県立延岡しろやま支援学校が開校して10年を迎えました。旧延岡西高校の跡地に、延岡市内にあった3つの聴覚障がい・知的障がい・肢体不自由の各特別支援学校を統合しての、全国初の開校となりました。ここ3年ほどは、新型コロナの拡大等で学校運営が難しい状況があったと思いますが、開校10周年を迎えた、延岡しろやま支援学校の評価について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 今、議員からもございましたように、延岡しろやま支援学校は、県北地区の特別支援学校3校を統合して、地域との連携や異なる障がいに対応した専門的な教育を行う総合的な学校として、延岡西高校跡地に平成24年に開校いたしました。 以降、地域の方々と避難訓練や作業学習に取り組むなど、温かい御支援を受けながら、県北の特別支援教育推進の拠点として、小・中・高等学校等への支援も行ってまいりました。とりわけ、障がいの異なる子供たちが、日常的に手話を用いて教育活動や部活動を共にする中で、お互いを思いやる豊かな心が育まれてきております。 今後とも、この10年の成果を礎に、地域で共に学び支え合う社会の実現に向け、さらなる教育の推進に取り組んでまいります。 ◆(田口雄二議員) ありがとうございました。しろやま支援学校に、コロナでなかなか行くことができないものですから、今の答弁を聞いて、少し安心いたしました。どうもいろいろありがとうございました。 以上で質問を終了いたします。(拍手) ○副議長(二見康之) 次は、重松幸次郎議員。 ◆(重松幸次郎議員) 〔登壇〕(拍手) 通告に従いまして質問を行いますので、知事をはじめ関係部長、教育長の皆様の明快な御答弁をお願いいたします。 先週の11月17日、同日に迎えました58回目の我が党の結党記念日に当たり、山口那津男代表が挨拶し、大網を次のように述べました。「「大衆とともに」の立党精神は、「生活現場の小さな声を聴く力」や「議員ネットワークを通じた政策実現力」に代表される党の行動原理であり、それを保ち、実践してきた。そのネットワークの力は全国で発揮され、国で決めたことが地方議員を通じて地域に浸透される。また、地域発の政策が国の政策として実施されていく。この双方向の政策実現力を磨いてきた。その一例が、10月に閣議決定した今回の総合経済対策にも盛り込まれている。政策実現に必要な財源の裏づけとなる2022年度第2次補正予算(案)が来週にも―今週になりましたが―国会提出される。早期成立を図りたい」とありました。 そこで、先月28日に閣議決定された総合経済対策について、その主な取組を紹介しますと、その柱の一つは、物価高を踏まえ、特にガソリンなど燃油の激変緩和策(1リットル補助額・上限35円)を調整しながら継続することに加えて、電気・ガス代の負担軽減策が盛り込まれました。詳細は割愛いたしますが、これらが実現すれば、来年1月から9月までに、標準家庭では、電気・ガス代、燃油の負担軽減策で約4万5,000円の負担軽減になる見込みになり、これを具体的に分かりやすく現場に伝えていく工夫をしたいとありました。 もう一つの柱は、子育て支援策です。特に、妊娠時から0~2歳児までの支援が十分でなかったことから、伴走型の相談支援とともに、その相談に応じて必要な支援策を組み合わせ、家事支援などのサービスの負担軽減を一体として実施されます。そのほかにも、新型コロナ感染の第8波への備えや、中小企業の事業再構築と借り上げの促進など、各種補助金を大幅に拡充、さらには、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、「予防保全」の考え方に基づく老朽化対策も進める方針のようであります。物価高やコロナ禍などから国民生活を守るため、先ほどの対策を速やかに成立させていただきたいと考えます。 そこで質問に移りますが、長引くコロナ禍と世界情勢の影響で、県民生活も、また地域経済も厳しい状況下にあります。本県の令和5年度の予算をどのように編成するのか、基本的な考え方を知事に伺います。 以上を壇上からの質問として、以下の質問は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 令和5年度当初予算は、骨格予算となりますが、基本的には、引き続き健全な財政運営を維持しつつ、人口減少対策、さらにはコロナ禍・物価高騰対策などをはじめとして、本県の諸課題に的確に対応し、県民生活や地域経済の着実な再生と、将来を見据えた新たな成長活力の創出に向けて、積極的に展開することとしております。 そのため、令和5年度の施策の構築に当たっての視点として、次のような5つの柱を揚げております。1、コロナ禍・物価高騰等からの再生・復興、2、中山間地域の暮らしの維持・活性化、3、経済・産業成長の促進、4、次世代育成、若者・女性活躍の推進、5、安全・安心な県土づくりの推進。こうした視点に基づいた効果的な施策を構築することとしております。 御指摘の国の総合経済対策は、これら5つの視点と重なる部分もありますので、次の任期を私が担うこととなりましたら、今後の予算編成において、しっかりと対応してまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(重松幸次郎議員) ありがとうございました。県民生活、地域経済を守るためにも、しっかりとした予算編成に努めていただくようお願いいたします。 引き続き、知事に伺います。 知事は、今月11日に国会内で我が党へ、全国知事会の地方税財政常任委員長として、2023年度の税財政の提案をされました。 改めて、11月11日、公明党の北川副代表、西田税調会長への要請の概要について、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 国が年末に決定いたします令和5年度の当初予算に向けて、特に、地方財政計画及び税制改正大綱に地方の意見を反映していただくために、地方税財政常任委員長として、毎年度、「税財政等に関する提案」を取りまとめ、全国知事会を代表して政府・与党の関係者に要請活動を行っているところであります。 その一環としまして、議員からお話がありましたとおり、今月11日には、公明党の北川副代表と西田税調会長に対しまして、令和5年度税制改正のポイントとなる内容について要望を行っております。 一つには、自動車の電動化に対応した車体課税の在り方、また、資本金1億円を境にした外形標準課税の適用法人の在り方、そして、多国籍企業などを念頭に置いた国際課税ルールの制度構築などについてであります。これらは、社会経済情勢の変化にしっかりと対応して、税負担の公平性や税収の安定性といった観点から税制を構築していただきたいと、要請を行ったものであります。 地方が責任を持って行政サービスを提供し、様々な重要課題に的確に対応していくためには、地方税財源の確保・充実が極めて重要だと考えております。今後とも各県と連携しながら、地方の声を国にしっかりと届けてまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 本県をはじめとする地方が、地域の実情を踏まえた事業を継続的に展開していくためには、地方税財源の安定的な確保が重要でありますので、全国の知事を代表して、今後とも政府・与党と連携しながら、しっかりと頑張っていただきたいと思います。 次に、災害時の避難について伺います。 10月22日、23日の2日間で、神戸市で行われました「第7回防災推進国民大会2022in兵庫」、略して「ぼうさいこくたい」に、宮崎県防災士ネットワークのメンバーと、23日のみでありましたが、参加してまいりました。神戸市内にある「人と防災未来センター」をメイン会場に、野外にも多くの展示ブースが設けられ、「忘れない、伝える、活かす、備える」をテーマに、各種セミナー・セッション、ワークショップ、プレゼンテーションなどが行われ、多くの方が来られておりました。 限られた時間の中での震災体験者セミナーや展示資料、災害映像の視聴でありましたが、どれも本当に充実かつ鬼気迫る内容で、いつ災害が起こっても対応できるように日頃から備えること、つまり、防災力を高めることの重要性を改めて認識しました。 防災について今回は、一時避難が終了し、その後も余震の心配や、電気・ガス・水道などのライフラインが停止しているときの災害時避難について、2点伺います。 1点目は、船舶による避難についてです。2016年4月に発生した熊本地震の際、政府(防衛省)からチャーターされたカーフェリー「はくおう」が、熊本県八代港において、厳しい生活環境に置かれている多くの被災者の方々に少しでも心身を休めていただくための支援の一環として、被災者の宿泊と食事、入浴のサービスを無償で提供していたことを知り、見学に行きました。また、熊本港では、「フェリーくまもと」や「オーシャンアロー」の2隻で、宿泊はできませんが、休憩や船上設備の提供を行ったようです。なお、先ほどの「はくおう」は、2018年7月にも、西日本豪雨の被災者にも船上設備を開放されています。 そこで、災害時における宮崎カーフェリーの避難施設としての活用について、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 県と宮崎カーフェリーでは、県内で大規模災害が発生した場合に備え、平成31年1月に、「災害時における船舶での輸送等の協力に関する協定書」を締結しております。 協定書では、カーフェリーの高い輸送能力を生かして、食料品などの救援物資や応急対策に必要となる要員・資機材等の輸送支援を担っていただくこととしておりますほか、入浴や食事、宿泊など、被災者の一時避難場所としての活用も考えられるところであります。 県といたしましては、災害の状況、局面によって、宮崎カーフェリーへの要請内容について、輸送の役割、あるいは一時避難所としての役割を見極めながら、しっかりと検討してまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 活用できることを確認できてよかったです。 また、宮崎海洋高等学校の実習船「進洋丸」も、災害時には、給電、造水、救助、避難所、携帯基地局等でも利活用ができるというふうに伺っております。 次に、車中泊避難について伺います。 こちらも熊本地震の際、我が会派で益城町に救援物資を届けにいった先では、避難所がいっぱいで、駐車場での「車中泊避難」が多く見受けられました。ネットでは、益城町全体で約3,000台に上るとの記事を見ました。 先ほど紹介しました「ぼうさいこくたい」でも、車中泊のパンフレットを頂いてきましたが、その中で、熊本地震のアンケートに、「最も長い期間避難した場所はどこですか」(複数回答)では、「自動車の中」と答えた人が、「指定避難所」と答えた人の2倍以上ありました。感染症対策やプライバシーの確保を考えると、やむなく車中泊避難を選択する方が多くなってくると思います。 そこで、車中泊避難について、県の考え方を危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 議員御指摘のとおり、車中泊避難は、感染症対策やプライバシーの確保などの観点で有効であると考えております。 一方で、エコノミークラス症候群、熱中症など健康上のリスクが伴うことや、市町村がその所在を把握できず、必要な情報や支援が十分に行き届かないことがあるなどの課題もあります。 このため県では、車中泊避難を積極的に推奨しておりませんが、災害時には、健康上の理由から避難所での集団生活が困難な方や、ペットと一緒の避難を望む方などがおられることから、車中泊避難をする場合の注意点として、適度な運動、換気、小まめな給水を行うことや、可能な限り市町村が指定する車中泊用の避難場所を活用することなどを周知しているところであります。 ◆(重松幸次郎議員) 車中泊避難のリスクや課題があるため、積極的に推奨していないことは理解しましたが、現実に車中泊避難される方は出てくると思います。車避難を考える方は、「どこの駐車場に避難できるのか」に始まり、安心かつ安全に避難するための準備を事前に確認することを周知していただくよう、お願いいたします。 次に、文化芸術の振興について伺います。 今開催中であります「美ら島おきなわ文化祭2022」に、県議会文化芸術振興会の4名で、今月12日、13日の2日間ではありましたが、参加してまいりました。この国文祭・芸文祭は、今月の27日、日曜日まで開催されております。 その中で、沖縄市アリーナでの「音楽フェスティバル」では、琉球王国の宮廷音楽として発達した古典音楽と、民衆で歌われてきた本島及び離島の民謡を、その背景の解説を交えて、三線を持参された多くの観客との合同演奏もあり、独特で心地よい音色に引かれました。 次に、沖縄市の小劇場あしびなーに向かい、「若者の息吹」という、若手芸人による琉球文化芸能の発表会があり、古典民謡の演奏とみやびやかな琉球舞踊に引き込まれ、ふだん見ることのない演目に皆、感嘆した次第です。 沖縄は、中国や日本、東南アジアとの交流の歴史の影響が深く及び、衣食住全てに独特の文化芸術が生まれ、それが力強い沖縄の人たちの生活の糧になっていると感じてきたところでございます。 昨年は宮崎県が開催県でしたが、オープニングでは、大会のテーマ「山の幸 海の幸 いざ神話の源流へ」と題して、その表現を、本県にゆかりのある演奏家や地元のメンバーによるダンスや伝統芸能等を織り交ぜて、華やかに開幕したことを思い出します。 しかしながら、コロナの感染が最も心配であった時期であり、演目の中止や入場制限も余儀なくされ、演じる側も運営側も、気落ちするところが多かったと感じています。 そこで、もう一度、国民文化祭・芸文祭で披露できなかった演目を復活できないか検討されてきたかと思いますが、国文祭・芸文祭で中止となった事業を改めて実施する「国文祭再チャレンジ」などの実績と今後の文化振興について、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 県では、コロナ禍の影響により制限を受けた文化活動の再開を支援するため、「文化で紡ぐ地域活力の再興応援事業」として、市町村への補助を実施しております。10月末現在で、国文祭・芸文祭で中止となった市町村事業を改めて実施する「国文祭再チャレンジ」に8件、県内各地に根差す地域文化の再活動に8件の支援を決定しております。 また、今後の文化振興に関しましては、国文祭・芸文祭の成果を生かし、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、本年3月に制定しました文化振興条例に基づく基本計画を策定中であります。 今後とも、県民誰もが身近に文化を感じ、楽しめるよう、市町村や関係団体等と連携を強化しながら、文化の裾野を広げるための施策に取り組んでまいります。 ◆(重松幸次郎議員) これからも文化芸術の振興に、私たち文化芸術振興会の議員メンバーも協力してまいりたいと思います。 さて次は、県内に甚大な被害をもたらした台風第14号について伺います。 県より、公共土木施設の被害状況の報告をいただきましたが、道路関係では、国道327号(諸塚村七ツ山)の道路崩壊を含み212件、市町村と合わせますと1,037件。河川関係では、銀鏡川(西都市)の護岸決壊を含み230件で、市町村を合わせますと370件、その他全ての施設を合わせると1,438件に及び、住民の生活不安や産業の衰退につながるなど影響が心配です。 現在、被害の詳細を調査の上で、これから復旧工事に取りかかるところだと伺いましたが、県土整備部長に3点伺います。 初めに、台風第14号で被害を受けた道路の復旧について、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の台風第14号による道路の被害については、県管理道路の122区間において全面通行止めとなりましたが、被災直後から仮道の整備を始め、流れ出た土砂や倒木の除去などの応急工事を実施し、これまで108区間の通行規制を解消してきたところであります。 被災箇所の復旧については、国の災害復旧事業を活用していくこととなります。このため、箇所ごとに測量、設計を行い、基本的には準備が整ったものから順次、災害査定を受けており、査定後は速やかに本格的な復旧工事に着手することとしております。 県としましては、引き続き、通行止め箇所の一日も早い解消に努めるとともに、被災箇所の早期復旧に向けて全力で取り組んでまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 分かりました。早期の復旧工事をお願いいたします。 では次に、河川についてですが、復旧工事の手順は道路と同じと聞きました。そこで、工事復旧のみならず、次の浸水被害の軽減が重要だと考えますが、浸水被害を軽減するために今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の台風第14号では、県北で線状降水帯が確認されるなど、平成17年の台風第14号に匹敵する豪雨により河川の水位が上昇し、現在、河川改修を進めている区間や未整備区間で被害が発生したほか、既に堤防等を整備した区間においても、家屋の浸水被害が発生したところです。 県では、今後の被害軽減を図るため、まずは、河川に再堆積した土砂を除去するほか、国土強靱化予算などを活用し、河川改修を進めている区間については整備を加速し、その他の浸水被害を受けた箇所については、被災状況を検証し、必要に応じて河川の掘削などの対策を進めてまいります。 一方で、近年の水害リスクの増大を踏まえますと、流域全体で水害を軽減させる、流域治水の取組が効果的なことから、国や流域の市町村、地域住民等と連携を図りながら、河川の浸水対策に取り組んでまいります。 ◆(重松幸次郎議員) ありがとうございます。浸水被害を軽減させるために、よろしくお願いいたします。 次は、盛土の崩落について伺います。 昨年7月に熱海市で発生した大規模な土砂災害で、衝撃的な映像は記憶に新しいところですが、9月の台風第14号の大雨で、美郷町と椎葉村に建設残土で造成した盛土が崩落し、土石流が発生したと新聞報道で知りました。 今回は、人的被害はなかったものの、農地に流入したり、林道の崩壊や会社の敷地になだれ込んで被害を受けたとあり、原因究明の調査検討委員会を立ち上げ、被災原因の特定・分析を行うと聞いております。 また、これを受けて県では、盛土の緊急点検を行ったと伺っておりますが、今回の台風第14号による盛土流出を受け、県が行った緊急点検の内容と結果についてお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 今回の緊急点検は、昨年の盛土総点検で抽出した174か所について再点検を行うとともに、県の工事による建設発生土の処分によって形成された盛土377か所を対象に、目視による現地調査を実施しました。 その結果、新たに椎葉村内の2か所で土砂の流出等が確認されましたが、これにつきましては、速やかに椎葉村及び土地所有者と協議を行い、応急対策の実施や流出防止対策の検討を進めることとしております。 今後は、今年5月に成立した盛土規制法に基づき、実施を予定しております基礎調査において、人家等に被害を及ぼし得る既存盛土の分布状況の把握や、安全性の確認等を行ってまいります。 ◆(重松幸次郎議員) よろしくお願いいたします。 盛土規制法の背景は、もちろん熱海市の土石流災害です。盛土等による災害から国民の生命・身体を守る観点から、土地の用途(宅地、森林、農地等)やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制することを、国交省と農水省による共管法として、今年5月に制定されたとありました。県内の盛土の安全確認をよろしくお願いいたします。 次に、高速道路の整備促進について伺います。 本年8月に、公明党宮崎県議団として、国土交通省の斉藤鉄夫大臣に、「みやざきの道路整備の推進」との要望書をお渡しする機会をいただきました。 その内容は、東九州自動車道南郷-奈留間、九州中央自動車道平底-蔵田間の早期事業化を、また、暫定2車線区間の早期の4車線化。さらには、高速道路の安全性と利活用促進のため、休憩施設の充実やアクセス道路等の整備などを大臣に訴え、そのため、ぜひとも今年度内に本県への視察をと要望いたしました。 斉藤大臣からは、「地域における利活用の状況及び、財源の確保等を踏まえて、事業化の検討を行ってまいります」との回答をいただきました。 本県の産業と観光の振興、そして、自然災害の備えや救命救急のための「命の道」を確保するために重要だと考えますが、高速道路の早期整備に向け、どのように取り組んでおられるのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 高速道路の早期整備には、事業中区間の整備促進に加え、未事業化区間の事業化の優先度を高めていくことが必要であるため、県や沿線自治体、経済団体等、関係者が一丸となって要望を行うとともに、開通直後からストック効果を最大限発揮させる地域活性化の取組などを先行して進めていくことが重要であります。 このため、高速道路の沿線では、日南市や串間市において道の駅の整備が進められているほか、延岡市において新たな産業団地の計画が公表されるなど、地域での取組が進められております。 また、県においては、テレビCMや新聞掲載等を通じて、開通情報や時間短縮効果を広く県民の皆様にPRすることにより、利用促進を図っております。 今後とも、関係機関と連携を図りながら、高速道路の早期整備に向け、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(重松幸次郎議員) なるほど。単に高速道路の利用台数だけでなく、周辺地域のストック効果を高めていくことも重要だということを理解いたしました。 開会日の知事提案理由説明でも、油津・夏井道路の着工式を開催したことを話され、県内高速道路の一日も早い全線開通を目指していくとの決意を示されました。 改めまして、高速道路の早期整備に向けた知事の意気込みをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 9月の台風第14号では、県内各地で主要幹線道路が通行止めとなるなど、大きな被害が発生したところでありますが、高速道路はその機能をしっかりと維持しております。今後発生が予想されます南海トラフ地震などの大規模災害時において、人命救助や救援物資の輸送を支え、迅速な復旧・復興を図るためにも、災害に強い高速道路の早期整備の必要性を改めて強く認識したところであります。 さらに、東九州自動車道及び九州中央自動車道は、本県経済の活性化はもとより、九州の一体的な浮揚につながる重要な道路であります。関係各県や市町村、経済団体等と一体となって、コロナ禍であっても、あらゆる機会を捉えて要望活動に努め、その必要性を強く訴えているところであります。 先日、斉藤大臣にも直接要望させていただく機会をいただきました。重松議員をはじめとする議員団の皆様にも力強く後押しいただいておりますことに、感謝を申し上げます。 今年度中には、待望の清武南―日南北郷間が開通予定であるなど、着実に高速道路の整備が進んでいます。 これからも、両路線の建設促進協議会の会長として、私が先頭に立って、九州各県や沿線地域との連携を図り、県議会の皆様の御協力をいただきながら、一日も早く全線開通するよう全力で取り組んでまいります。 ◆(重松幸次郎議員) よろしくお願いいたします。 私たち県議団も、道路等のインフラ整備、観光振興など、機会あるごとに国土交通大臣に直接陳情してまいりますので、早期整備に向けて引き続き御尽力ください。 次は、がん対策について、福祉保健部長にお伺いいたします。 1点目は、子宮頸がんワクチンについてです。この件は、今年の6月議会に、我が会派の河野議員も質問しておりましたので、少し引用させていただきますと、「子宮頸がんの主な原因となるHPVの感染を防ぐHPVワクチン接種を個別に呼びかける積極的勧奨が、本年4月から9年ぶりに再開されたが、それまで9年間接種できていない方がいたので、そのキャッチアップ接種を積極的に推進していただきたい」との内容でした。 そのことに対して、「県内のキャッチアップ対象者は約3万人であり、実施主体である市町村においては、現在、対象者への個別通知やホームページ、回覧板による広報等、積極的な接種勧奨を進めているところで、県においても、HPVワクチンの有効性・安全性に関する情報を掲載したリーフレットを作成し、市町村や学校等を通じて配布し、ホームページ、また県政番組等でもお知らせしているところである。また、対象者が安心して接種できるよう、医師会や大学病院等と連携し、接種後の症状に関する相談窓口や医療体制を整備したところであり、今後も市町村や医療機関等と連携して、キャッチアップ接種の推進に努めてまいる」との答弁でございました。 河野議員は、ワクチン接種が続いていれば数値は違っていたと前置きし、子宮頸がんを発症する女性が全国で年間約1万1,000人いて、約2,900人が亡くなっているのを防げたのではないかということを述べております。 そこで確認ですが、県内の子宮頸がんの罹患率と死者数についてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 厚生労働省の全国がん登録の統計によりますと、令和元年の子宮頸がんの人口10万人当たりの年齢調整罹患率は、本県88.2、全国58.5であり、このうち上皮内がんを除く年齢調整罹患率は、本県20.1、全国13.9となっており、いずれも全国と比較して高い状況にあります。 また、人口動態統計によりますと、令和2年の本県の子宮頸がんによる死亡者数は36名であります。 ◆(重松幸次郎議員) 罹患率も全国より高く、コロナ禍での様々な対応で大変お忙しい中ではありますが、さらにワクチン接種の推進をお願いいたします。 さて、現在、定期接種やキャッチアップ制度で使用できるHPVワクチンは、2価ワクチンと4価ワクチンとなっております。これらのワクチンよりも高い感染予防効果があるとされる9価ワクチンについては、厚生労働省は来年4月以降、早い時期から定期接種とする方針であることが報道されております。定期接種として新しいワクチンも選択できるようになることは、対象者にとって喜ばしく、接種を検討するための重要な情報だと思いますし、さらなる接種促進につながるものと期待しております。 HPVワクチンの積極的勧奨が再開され、接種が進んでいるものと思いますが、県内の接種状況と県の取組について、もう一度お伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 今年度の県内におけるHPVワクチン接種状況は、9月末時点で、小学6年生から高校1年生までを対象とする定期接種が約2,000件となっており、前年同時期と比較して約1.4倍に増加しております。また、今年度から開始されました定期接種の機会を逃した25歳までの方を対象としたキャッチアップ接種は、約1,600件となっております。 県におきましては、積極的勧奨の再開に伴い、HPVワクチンの安全性と子宮頸がん予防の効果、接種方法や相談窓口等を掲載したリーフレットを作成し、各市町村等において対象者に配布するとともに、ホームページや県政番組等を活用し、広報に取り組んでおります。 来年4月からは9価ワクチンも定期接種の対象となることが見込まれるため、引き続き、市町村や医療機関と連携し、HPVワクチンの接種について、県民への周知に努めてまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 来年4月はすぐ参ります。市町村においては、対象者全員に、郵送による個別通知を行っていると思われますが、県におきましても、引き続き市町村と連携して、HPVワクチンの接種促進に努めていただきますようお願いいたします。 次に、骨髄移植ドナー助成制度について伺います。 国立がん研究センターによると、白血病などの血液疾患の直近の発症数は、2019年では1万4,318例(男性8,396例、女性5,922例)であり、死亡者数は2020年においては8,983人であります。 この白血病の有効な治療方法の一つが、造血幹細胞移植であり、その造血幹細胞を提供してくれる方(ドナー)が不可欠であります。現在、全国で約54万人の方が骨髄バンクドナー登録されており、移植を必要とされる約2,000名のうち、年間1,300名ほどの患者に、骨髄バンクを介して造血幹細胞を提供されている状況です。残念ながら治療にまで及ばない方も4割近くおられます。 また、せっかくドナー候補者が見つかっても、候補者の6割が御自身の理由で提供を辞退されています。その主な理由が、「仕事への影響があるため」と「仕事の都合がつかなかったため」が挙げられます。ドナー提供には7日間の入院が必要となるため、会社の理解が得られないゆえです。そのために、日本骨髄バンクでは、ドナーになって造血幹細胞を提供するための休暇を、有給休暇ではなく「ドナー休暇制度」の導入を企業に求めていますが、この件につきましては、本県でも導入を呼びかけていることを承知いたしております。 一方で、ドナー提供には検査入院等の経済的な負担にも配慮が必要です。全国の34都府県では、市町村が骨髄・末梢血幹細胞を提供するドナーに対して助成する場合に、その経費の一部を補助する「骨髄移植ドナー助成事業補助金」を設けています。 では、県内市町村の骨髄移植ドナー助成制度の導入状況についてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 骨髄移植ドナー助成制度は、骨髄等の提供のために要する入院や通院等の日数に応じ、ドナーやドナーの勤務先に助成を行う制度であり、県内では宮崎市、都城市、小林市、えびの市、三股町、高原町、川南町の7市町で導入されております。 ◆(重松幸次郎議員) 県内7市町で導入とのことです。この制度に対して、具体的にはドナー提供者へ助成している市町村に対し、助成金の2分の1を都府県が負担する内容で、例として、1日につき2万円であれば、1万円を都府県が負担、ただし、1人1回の提供に対し7日間を上限とするとなっております。 そこで、ぜひとも、本県でもこの骨髄移植のドナー助成制度を導入していただきたく、本年10月4日に、みやざき骨髄バンク推進連絡会議の中村福代代表と共に、要望書を福社保健部長にお渡しさせていただきました。福祉保健部長、その節は大変ありがとうございました。 それを受けて今度は、ドナー助成制度を導入している都城市の池田市長とえびの市の村岡市長、また、関係市町の部長等が知事に、県としての助成制度導入の検討を要望されたと、新聞記事にありました。 県がこの助成制度を導入されると、県下の市町村が一気に骨髄移植ドナー助成制度の導入に踏み切るものと思いますし、それによりドナー登録者数が増えて、骨髄移植を待ち望んでいる患者さんにとっても、誠にありがたい結果につながると考えます。 知事に、県として、市町村の骨髄移植ドナー助成制度に対する支援を検討できないか、お伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 骨髄等の提供に当たりましては、ドナーの身体的・経済的負担を軽減することで、骨髄等を提供しやすい環境整備を進めていくことが大変重要であると考えております。 県では、これまで、みやざき骨髄バンク推進連絡会議と連携して、ドナー登録への普及啓発に取り組むとともに、県内の事業所や高等教育機関に対し、休暇制度や公欠制度の導入を働きかけるなど、ドナー登録の促進や必要な環境整備を進めてまいりました。 このような中、先般、みやざき骨髄バンク推進連絡会議から、また、その後、ドナー助成制度を実施している市や町から、県に対し、ドナー助成制度への支援を求める要望をいただいたところであり、私もその重要性を改めて感じたところであります。 県としましては、引き続きドナー登録などの普及啓発に努めるとともに、患者さんの命をつなぐために必要な骨髄移植を県全体でさらに推進していくため、市町村と連携した助成制度の導入について検討を進めてまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 九州では、鹿児島県と宮崎県だけがこの助成制度を導入しておりませんので、最後の最後になる前に御決断ください。よろしくお願いいたします。 次に、糖尿病等の重症化予防について、また伺います。 昨年2月の質問のときに、私は、「高齢化が進む中で、糖尿病患者数の増加が課題となっている。糖尿病は放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、糖尿病性腎症については、それが重症化し腎不全に陥ることで、人工透析を要する状態となり、患者のQOLを著しく低下させるのみならず、医療経済的にも社会的に大きな負担となります。(中略) 協会けんぽ宮崎支部のデータでは、新規透析導入患者率は、全国の中でワースト2位であり、一方、糖尿病と診断されている方の中で、現在治療を受けている人の割合は76.6%、つまり、有病者のうち23.4%が治療を受けていない。でありますので、市町村国保レセプトデータ等活用支援事業を導入し、過去に診療を受けたレセプトデータから抽出し、治療中断者に医療機関への受診勧奨の取組を推進することで、特定健診を受けていない方でも5年間遡って抽出できる事業を進めて、健康寿命の延伸のためにも、治療中断者への医療機関の受診勧奨に取り組まれる支援事業をお願いいたします」と述べました。 では、その後の受診率アップの取組はいかがでしょうか。糖尿病の重症化予防の推進は、実施主体となる市町村で取り組まれますが、推測するに、市町村担当者のマンパワー不足や、国保データベースシステムの活用スキルの問題が挙げられると思います。 そこで、埼玉県や高知県では、国保連合会と連携してレセプトデータを分析、糖尿病未受診者や健診未受診者を含めた治療中断者を抽出し、受診勧奨リストを市町村に提供しており、市町村が取り組みやすい環境となっているようです。また、大分県では、大分市、臼杵市、宇佐市などのモデル市から、医療機関受診のはがきによる勧奨通知を送付しておられるようです。 このように、県がスキルアップを促すパイロットモデルケースを進めるべきと考えますが、本県での糖尿病の重症化予防に向けた市町村支援の取組についてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 糖尿病の重症化を予防するため、市町村においては、これまでもレセプトデータや特定健診の結果により治療中断者や未治療者を抽出し、医療機関への受診を促す取組を進めてきたところであります。 県におきましては、市町村が行う対象者の抽出をより効率的に進めるため、国保データベースの利便性向上を図るシステムを整備し、本年4月から活用を始めたところであります。 また、市町村の保健指導を円滑に進める上では、医療機関との連携強化が重要でありますことから、医師向け研修会の開催などにより、糖尿病連携手帳を活用した連携体制づくりを進めているところであります。 引き続き市町村支援の充実を図り、糖尿病の発症・重症化予防に努めてまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 患者本人の健康寿命の延伸もですが、医療費の削減につながりますので、重症化予防への取組を、よろしくお願いいたします。 観光振興について2点伺います。 前半に質問しました「ぼうさいこくたい」の帰路には、宮崎カーフェリー「ろっこう」に乗船させていただきました。洗練された空間と、レストランや入浴施設などは快適で、何よりも気の合う仲間との語らいができる船内での時間は、最高の癒やしタイムでした。 そこで、新船就航による長距離フェリーの利用状況と今後の取組について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 長距離フェリーにつきましては、10月に2隻目の新船が就航したところでありますが、その効果もあり、10月の利用状況は、旅客、貨物ともに前年同月を上回り、特に旅客につきましては、コロナ前と比べても94.3%と、ほぼ以前の水準に回復しております。 今後、旅客におきましては、年明けに開催されます侍ジャパンやプロスポーツキャンプによる来県者の増加、また、貨物につきましても、冬場に最盛期を迎える農産物出荷の増加が見込まれておりまして、現在、会社では、新船の強みを生かした営業活動に取り組んでおられます。 県としましても、「本県経済の生命線」と位置づけております重要な航路を、将来にわたって安定的に維持するため、引き続き、オール宮崎の体制でしっかりと支援してまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 燃油高騰で大変だと思いますが、その対策と利用促進に努めていただきますようお願いいたします。 さて、ようやくコロナの鎮静化が見えてきたかと思いきや、徐々にまた感染が増加し始めているようです。感染拡大の予防に留意しながら、宮崎への観光誘客を進めることは大変重要であります。 そこで、全国を対象とした旅行需要喚起策「みやざき割」の展開について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 本県では、国の全国旅行支援を活用し、県内旅行割引事業「みやざき割」を10月11日に開始しましたが、対象範囲を全国に拡大したことから、県内外から多くの利用があるなど、大変好評を得ており、一部で販売上限枠に達する旅行業者や宿泊事業者もあったところでございます。 このため、国からの約14億円の追加財源について、さきの臨時会においてお認めいただき、各事業者へ配分したところでございます。 今後とも、国の動向や新型コロナの感染状況を見極めながら「みやざき割」を実施し、スポーツや食、自然、神話など、本県の強みを生かした観光誘客に積極的に取り組むことにより、県内観光産業の早期回復を図ってまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 観光振興の目玉として、来年は、WBC事前合宿や様々な宮崎キャンプの魅力を発信して、スポーツランドみやざきの知名度をさらに上げて、県内外からの観光誘客につなげていっていただきたいと思います。 商工観光労働部長にもう一問お伺いします。 活力ある地域社会を実現するため、話し合いながら共に働く団体に法人格を認める「労働者協同組合法」が、本年10月1日施行されました。地域福祉の向上など、多様な人材が意欲や能力に応じて主体的に働ける場を創出することが期待されていますが、その労働者協同組合法に対する県の認識と取組についてお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 労働者協同組合法は、働く人が自ら出資し運営に関わる、「協同労働」という新しい働き方を制度化したものであり、本年10月に施行されたところでございます。 この労働者協同組合では、介護や子育て、地域づくりなど幅広い事業が可能であることから、多様な就労の機会を創出するとともに、地域における様々な課題を踏まえた事業を行うことで、持続可能で活力ある地域社会の実現を後押しするものと期待しているところでございます。 国において、フォーラムの開催や相談窓口、特設サイトの設置により、組合の設立を支援しているところでありますけれども、県におきましても、ホームページ等で広報を行いますとともに、随時相談に対応しているところであり、今後とも国と十分連携しながら、さらなる制度の周知等に努めてまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 始まったばかりの労働者協同組合法ですので、制度の周知と活用事例をしっかりと広めていただきたいと思います。 最後の質問事項で、教育行政についてお伺いいたします。 初めに、いじめ対策です。学校でのいじめが増加傾向にあり、学校現場では、スクールカウンセラーの配置などが、いじめの早期発見・解決につながっているようであります。一方で、いまだに取り返しのつかない事態になるまで問題が発覚しないケースがあることも深刻に受け止める必要があり、しっかりと課題を洗い出し、改善策につなげてもらいたいです。 いじめ防止先進国として知られるフィンランドでは、大学教授が開発した「KiVaプログラム」といういじめ防止の教育プログラムを、小中学校でのカリキュラムに導入し、顕著な成果を上げているようです。 その内容は、月1回の授業で、「仲間意識からくる心理的圧力」「尊敬の念」などの感情に焦点を当て、いじめを防止するために自分がどう行動すべきかを学んでいく、もう一つは、実際にいじめが発生したことを想定し、傍観者にならない方法など、そのときの対処法をゲームを通じて学んでいくというものでありますが、日本では、徳島県の鳴門教育大学が開発した「予防教育プログラム」を県内30校の小中学校で試験的に実施して、NHKの番組で紹介されたようです。 では、いじめの未然防止に向けた小学校段階からの取組について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 県教育委員会では、みやざきの子どもを守る総合支援事業におきまして、いじめの未然防止に取り組む推進校に、中学校4校と、今年度から新たに小学校3校を指定し、県いじめ問題子供サミットを開催するなど、小学校段階からの子供たちの主体的な取組を推進しているところであります。 また、今年の3月に、いじめ未然防止に向けた指導資料を作成し、その中で、いじめを被害者・加害者のみならず、観衆・傍観者も加えた4つの立場で考えさせ、いじめを起こさないための具体的な態度の育成にも取り組んでいるところであります。 今後も、いじめの未然防止に向け、子供たちが自ら取り組む教育の充実を、小学校段階から推進してまいります。 ◆(重松幸次郎議員) ありがとうございます。 東京都世田谷区では、フィンランドの「KiVaプログラム」を参考に、世田谷バージョンにアレンジされて、いじめ防止へ取り組んでおられると、我が党の議員が発信しておりました。いじめ予防教育の導入と、いじめ対策をお願いいたします。 次は、学校教育における共生社会の取組についてお伺いします。 奈良県立の山辺高等学校では、農業系の学科を再編し、クラス34名のうち14名の知的障がいのある生徒も一緒に農業が学べるようにしたようです。公立高校では全国初の取組で、障がいの有無にかかわらず共に学ぶ「インクルーシブ教育」として注目されていて、奈良県議会公明党も後押ししてきたとありました。 それでは、本県の取組はいかがでしょうか。本県での県立学校における、共生社会へ向けた取組の現状について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 本県の県立学校における共生社会へ向けた取組といたしましては、文化祭における合同発表や部活動の合同練習、校外での販売活動など、全ての県立高校と特別支援学校で、障がいのある生徒と障がいのない生徒が共に学ぶ機会を設けております。 また、高千穂高校と延岡しろやま支援学校高千穂校、小林高校と小林こすもす支援学校のように、同じ敷地内に隣接する学校では、年間を通して様々な行事や学習を共同で行っております。それらの学校では、生徒同士が日常的に接する中で、互いに理解し認め合う姿が見られております。 県教育委員会といたしましては、今後も共生社会の形成に向けた県立学校の取組を推進してまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 障がいのあるなしに関わらず、共生社会の実現をよろしくお願いいたします。 最後の質問になりますが、北諸地区の議員から相談があり、医療的ケア児の通学について、「母親が毎日送迎しているが、体も大きくなると、体力がなくなっていくのでスクールバスを利用できないか」との内容でした。この件は、令和3年の2月議会で図師議員も質問されており、了承をいただきまして、そのときの内容をお話しさせていただきます。 そのときの答弁では、「医療的ケアが必要な児童生徒は、健康状態の維持のため、登校時の保護者との引継ぎが重要であることから、通学については、現在、保護者に送迎をお願いしている。 仮に、頻繁に医療的ケアが必要な児童生徒をスクールバスに乗せた場合は、ケアを行う際にバスを停車する場所の確保や、ケアに要する時間が必要となるなどの理由から-中略-現在、医療的ケアが必要な児童生徒の通学におけるスクールバス利用は行っていない」とのことでありました。 他県の例を紹介しますと、昨年の1月に滋賀県にて実施された事業は、県内の養護学校へ送迎する保護者の代わりとなって、通常のスクールバスとは別建ての専用車両で通学を支援し、保護者の負担軽減をするもので、片道1回とし、年間10回まで利用できるという事例でありました。 では、医療的ケア児に対する専用車両を利用した通学支援についてお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 本県におきましては、医療的ケア児を対象とした専用車両による通学支援は行っておりませんが、保護者の申請により、事業所の運営する福祉タクシー等を利用して通学する方法があります。この場合、通学に要した交通費は全額、就学奨励費の支給対象となり、保護者の同乗は必要ではありますが、運転や費用面における保護者の負担を軽減する支援となっております。 県教育委員会といたしましては、保護者や学校の意見を伺いながら、他の自治体における取組を参考とし、安全な医療的ケア児の通学支援を研究してまいります。 ◆(重松幸次郎議員) 福祉タクシーの利用ができることを知りました。 日常生活の中で医療的な支援を必要とする「医療的ケア児」と呼ばれる子供さんが年々増加しています。医療的ケア児は24時間、目が離せない場合が多く、家族に対するきめ細かい行政支援は急務の課題です。研究から検討レベルに、ぜひ上げていただきたく要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二見康之) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時50分休憩────────────────────    午後1時0分再開 ○議長(中野一則) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、太田清海議員。 ◆(太田清海議員) 〔登壇〕(拍手) 小説家の五木寛之という人の作品の中に、「大河の一滴」という作品があります。その中に、大変興味深い表現がありました。アウシュビッツの強制収容所から奇跡的な生還を遂げた、オーストリアのフランクルという精神科医がその体験をつづった「夜と霧」という題名の作品を引用して、次のように述べています。 ほとんどの人が死んでいくなかでフランクルがどのようにその極限状態を生き抜いて奇蹟の生還を遂げたか、ということが、ぼくにとっては興味の的だった。いろんなことがあります。でも、そのなかに、ひとつだけ印象的なエピソードがあるのです。 精神科医だったフランクルは、人間がこの極限状態のなかを耐えて最後まで生き抜いていくためには、感動することが大事、喜怒哀楽の人間的な感情が大切だ、と考えるのです。無感動のあとにくるのは死のみである。そして自分の親しい友達と相談し、なにか毎日ひとつずつおもしろい話、ユーモラスな話をつくりあげ、お互いにそれを披露しあって笑おうじゃないか、と決めるのです。(中略) あすの命さえも知れないような強制収容所の生活のなかでユーモアのあるジョークを一生懸命に考え、お互いに披露しあって、栄養失調の体で、うふ、ふ、ふ、と、力なく笑う。 こういうことをノルマのように決めて毎日実行したというのですが、むしろそういうことも、ひょっとしたらフランクルが奇蹟の生還を遂げる上での大事な役割を果たしていたのではないか、と思います。 ユーモアというのは単に暇つぶしのことでなく、ほんとに人間が人間性を失いかけるような局面のなかでは人間の魂をささえていく大事なものだ、ということがよくわかります。と述べています。 このことから、私は「笑い」というものは、人間のみに与えられた高度な文化、「笑い」というものは、絶望から生きる力を引き出す、人間にしか許されなかった高度な文化ではないかと思うのです。ですから、私は、笑うことができるのは人間しかいないと、長年ずっと思ってきました。 ところが、よく観察してみると、人間に近いと言われるある猿の仲間にも、笑うことができる猿がいることに気がつきました。その猿、確かに笑っている。その猿の名前は、「マントヒヒ」であります。笑うときに「ヒヒヒ」と笑うのであります。マントヒヒ。 それでは、知事に、政治姿勢についてお伺いいたします。 社会保障制度の国民の負担の在り方について、これまで報道されている国の議論を見てみますと、後期高齢者医療制度、介護保険制度、国民健康保険制度の改革において、高額所得者の負担増、いわゆる応能負担に近い議論がなされてきているように思います。私はこれまで、超過累進課税の強化やビルトインスタビライザー機能の充実を訴えてきただけに、大変喜ばしい議論であり、その議論をさらに深めてもらいたいと思っています。知事、このような国民負担の在り方をめぐる議論をどう思われるか、知事の所感を伺います。 次に、今日の世相についてであります。 例えば、新田原における日米共同訓練などが最近ひっきりなしに行われるようになりました。このほかにも、敵基地攻撃能力、武器輸出三原則、学術研究の軍事利用などの議論を見てみますと、何か大事なことが置いてけぼりにされて議論されているように思います。 確かに、ウクライナ問題や中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル開発などを見ると、国際環境は一筋縄ではいかないものがあるとは思います。また、外交防衛は、国の専管事項として県政のらち外であるという考え方もあります。 しかし、日本全土に漂う空気感を見ると、国民の生命と財産を守る地方自治の役割として、そう言ってばかりおれない状況に次第になってきているのではないかと思うのです。国の専管事項の問題は、歴史的に見ると、砂川事件などの最高裁で確定した、統治行為論という憲法判断を避ける考え方によって言いなされてきたものだと思います。 しかし、考えてみていただきたい。 近年、公務員はもちろん、企業人も含めコンプライアンスということが強く求められるようになりました。法令遵守というコンプライアンスは、社会の安寧と秩序維持のために国民全員に求められていると思うのですが、そうであればなおさらのこと、国は、国こそむしろ「憲法コンプライアンス」が求められていると思います。 こんなことを話すと、時々、「平和ぼけ」という言葉で反論されることがあります。しかし、日本は他国を侵略した歴史を持つ国であります。侵略した国がこの「平和ぼけ」という言葉を使うことは、その資格がないように思います。お門違いだと思うのです。 そうではなく、日本という国は、第2次世界大戦を経験して、国際政治の中で新たな次元に立つことが期待されていたのではないかと思います。そのことは、憲法前文の、我らは国際社会の中で「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という表現に込められていると思います。 新渡戸稲造が著した本に、「武士道」という本があります。武士道の国、日本が、なぜあんなひどい21か条の要求をしたのだろう。それは、私が中学時代、歴史を学んだときの最大の疑問でもありました。 戦後、鳩山内閣の後を受け第55代の首相となり、惜しくも病魔のために3か月足らずで首相の座を降りた石橋湛山は、軍部が台頭する戦前のジャーナリズムの世界で、21か条の要求に反対し、さらに、日本が勝ち取った植民地は中国や朝鮮に戻しなさいという論陣を張って、軍部に臆せず主張しています。石橋湛山という人が首相となって病に倒れなければ、日本という国は面白い国になっていたのではないかと思います。「面白い国」、それはまさに国際社会の中で「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という国になっていたのではないかと思うのです。 知事、今日の世相についてどう思われるか、知事の所感を伺います。 以下の質問は質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。まず、社会保障制度についてであります。 社会保障制度は、国民が健康で文化的な生活を営むため、極めて重要な社会基盤であります。一方、少子高齢化が進展する中、社会保障における現役世代の負担は、年々増加を続けております。 このような中、国においては、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、能力に応じてみんなが支え合うことを基本とする「全世代型社会保障」の考え方が示され、後期高齢者医療制度等においては、所得に応じた負担の在り方が議論されているところであります。 社会保障制度における国民負担につきましては、個々人の負担能力を考慮しながら、給付と負担のバランスを取ることにより、国民の信頼を得て持続可能なものとしていくことが重要であります。国民一人一人が生涯にわたり安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、さらに国民的議論を深めていく必要があると考えております。 次に、最近の世相についてであります。 御指摘のとおり、日本国憲法の前文には、戦争のない平和な世界を願う決意が込められております。この平和主義の理念は、世界に誇るべき我が国の貴重な財産であると考えております。 今、国際社会に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核ミサイル開発、中国の軍備拡大に加えて、ポピュリズムや保護主義の台頭などにより、国際情勢は不透明さ、不確実性が増しているものと考えております。日本は、アジアで唯一のG7メンバーであり、欧米諸国のみならず、諸外国とアジアを結ぶかけ橋としての役割が期待されております。平和主義を掲げる憲法の下、「自由」「民主主義」「法の支配」といった普遍的価値を有する諸外国との連帯を通じて、国際社会の平和と繁栄に、積極的かつ中心的な役割を果たしていくべきものと考えております。 一方、国内に目を転じますと、SNSによる誹謗中傷や、コロナ禍で人々の間に社会不安が広がる中での、例えば「自粛警察」と呼ばれる過激な言動や、ワクチンを接種していない人への非難など、他人への思いやりの欠如や不寛容が広がっており、大変憂慮すべき事態であると認識しております。こうした社会的課題に対し、私は、「対話と協働」の基本姿勢の下、偏見ではなく共感を、分断ではなく連帯をもって取り組むべきと考えております。 欧米諸国と比べましても、我が国というものが、格差を背景とした社会の分断でありますとか、ポピュリズムといった課題が大きく広がるような状況にはないものと考えておりまして、今後の我が国の歩みというものは今、非常に重要な局面を迎えているものと考えております。 私としましては、これまで以上に県内の市町村や関係機関との緊密な連携を進めるとともに、県民一人一人が、様々な立場、主義主張の違いを超えて、地域や人の豊かな絆の中で持てる力を発揮し、誰もが夢や希望を持ち、生き生きと活躍できる社会づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(太田清海議員) ありがとうございました。平和の問題とかは、恐らくその人の人生観とか生い立ち、経験、そういったものがあろうかと思います。私も私なりの体験をして考えたところがありまして、もし時間があれば、そこは後で述べたいと思いますけど。税の問題については、本当に能力のある人が納めていただきたい、みんなも納めないかんけど、能力のある人が納めるのが基本だと思います。 ですから、例えばビルトインスタビライザーとか超過累進課税のほかにも、「1億円の壁」とかいうのがありますが、そういったところからも負担をしていただくとか。復興特別所得税というのがありますけど、これは福島県の事故にみんなが税金を出し合おうじゃないかということですが、これは確定された所得税額に2.1%の復興税を掛けているわけですよね。もしこの基本的な所得税がもっと高く超過累進課税でかけられていたのであれば、復興税は2.1%じゃなくて1.5%でも十分賄えたかもしれないというような、いろいろな税の在り方の基本が超過累進課税にはあるのではないかと私は思います。 一応このくらいにしておきますが、次に、総合政策部長に、JR南延岡駅のバリアフリー化についてお伺いいたします。 JR南延岡駅のバリアフリー化について、県の取組をお伺いしたいと思います。総合政策部長(松浦直康君) JR九州は、バリアフリー化に関する国の基本方針にのっとり、利用者数が1日2,000人以上などの基準を満たす駅につきまして、順次バリアフリー化を進めており、対象となる県内の駅については、全て整備済みとなっております。 このような中、JR南延岡駅につきましては、直近の利用者数が1,500人程度と要件を満たさないことから、延岡市では、地元の熱意を伝えるため、市民団体が集めました約4万人の署名とともに、先日、JR九州に対し要望活動を行ったところです。 県としましては、これまで宮崎県鉄道整備促進期成同盟会を通じまして、未整備駅のバリアフリー化をJR九州へ要望するとともに、対象となった駅につきましては整備費用を支援してきたところでありまして、引き続き市町村と連携しながら、県内の駅の利便性向上に向けた取組を推進してまいります。 ◆(太田清海議員) 南延岡駅のほうは利用者が1,500人であると、2,000人を超えるといいんだがということです。ということであれば、やっぱり乗って残そうという気持ちを利用者のほうも考えていかないかんと思いますが、一つ情報として、南延岡駅は、今の状態でいうと、エレベーターだったら3基つけなきゃいけない。ところが、あそこはJR貨物の敷地があまり利用されないまま残されています。だから、今の2階建ての駅舎を1階建てにすれば、2基のエレベーターで可能であるという意見もあります。そしてまた、JR貨物の敷地を利用すれば、駐輪場が整備されたり、パークアンドライドで料金を取ることのできる施設としても活用できるんだがという意見を述べる人がいますので、一応、それも参考にしていただきたいと思います。 次に、総務部長に、会計年度任用職員の手当の改善についてお伺いしたいと思います。 会計年度任用職員の手当については、正規職員並みに充実を図るべきと考えるが、県としての考えをお伺いしたいと思います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 会計年度任用職員の手当につきましては、地方自治法において定められておりまして、その取扱いは国の通知等に沿っているところですが、その際、勤勉手当をはじめとした各手当の支給に当たっては、国において検討課題とされていたところです。 このような中、先般、内閣府の地方分権改革有識者会議の専門部会におきまして、会計年度任用職員の勤勉手当の支給については、「検討を行い、令和4年度中に結論を得た上で、当該結果に基づいて必要な措置を講ずる」という方針案が示されたところであります。 したがいまして、県としましては、引き続き国の動向について注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆(太田清海議員) 私は、正規職員が基本で、正規職員を増やしながらそういった人たちを雇っていくというのが基本だろうと思いますが、今答弁にあったように、内閣府の専門部会で、令和4年度中に会計年度任用職員の人たちの手当等についての結論を出したいということでありますので、期待をしております。できるだけ寂しい気持ちにならないような対応が取れたらいいなと思っております。 次に、危機管理統括監にお尋ねいたします。 実は、延岡市上空においてオスプレイが飛行いたしました。11月16日でありましたけれども、延岡市上空にオスプレイが飛来したわけですが、外国の飛行機が日本上空を飛来する根拠が法的にあるのかどうか、確認したいと思います。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 議員の御質問にありましたオスプレイの飛行につきましては、防衛省に確認したところ、11月10日から全国で実施された日米共同統合演習に参加した米軍の機体であるとのことでございました。 お尋ねの法的根拠につきましては、米軍の航空機等は、いわゆる日米安全保障条約第6条に基づく日米地位協定第5条2の規定に基づき、米軍が使用している施設及び区域に出入りし、これらのものの間を移動し、並びにこれらのものと日本の港、または飛行場との間を移動することが認められております。 また、日米安全保障条約が米軍の日本への駐留を認めていることは、米軍が、軍隊としての機能に属する諸活動を行うことを前提としていると解され、必要な訓練を日本において行うことは、この諸活動に含まれると解されております。 ◆(太田清海議員) 法的根拠としては、日米地位協定というところがあるということでありますが、考えてみると、新田原における日米共同訓練なんかでは、ある程度地元の人たちに情報を提供して、お互いの要望を出し合って、ガラス張りとは言わないまでも、そういう対話がなされていますよね。延岡市にオスプレイがバタバタバタと入ってきて、「姿が見えなかったけど今の音は何だったのか」という人がいっぱいいらっしゃったんです。我が物顔で日本の上空を通過している何かがあるということで……。 私は、新田原の共同訓練との情報提供の整合性が問われると思います。そしてまた、私は、今のままだったら、だんだんこういった行動がブラックボックス化していく、そういう危惧の念を持ちます。 宮崎では、小村寿太郎が不平等条約を変えさせていきました。今の日米の条約も、そういったものがあるんじゃないかなと思っています。やっぱり、対等な国としてどうだろうかということを問いかけていっていただきたいと思いますし、情報提供については強く求めていただきたいと思います。 次に、環境森林部長にお伺いいたします。 午前中に行われました、田口議員の熊本県山都町の最終処分場の質問と関連しております。 この処分場の建設について、環境影響評価手続において、環境影響の及ぶ関係地域として、隣接県も含まれることがあるのかという根拠についてお伺いしたいと思います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 環境影響評価は、事業者が廃棄物最終処分場などの開発事業を行うに当たり、あらかじめ環境に及ぼす影響調査等を行い、環境に配慮したよりよい計画をつくり上げていくための手続であります。この手続において、事業者は、環境保全に関する意見のある方や、環境影響の及ぶ範囲と認められる関係地域の市町村等から意見を聴くこととされております。 関係地域の範囲につきましては、法令等では具体的な基準を定めておらず、事業の内容や立地場所の特性等に応じて事業者が定めることになりますが、県境付近に処分場が設置される場合は、隣接県の市町村も影響が及ぶものとして関係地域に含まれることがございます。 ◆(太田清海議員) 分かりました。私はまだこの影響調査の法の不備といいますか、不備とは言わないまでも、もう少し完備していただきたいなという思いがあります。推測で言うと、本当に田口議員が言われたように、アユで生活している人たちもおる中で、宮崎県の側が関係ないということにはならぬと思いますので、今後、協議の相手も事業者が定めるということなのか、何かちょっと足りないなという感じがするんですね。ぜひ県も、こういった動きに対しては重大な関心を持っていただきたいと思っております。 続きまして、農政水産部長に、水門の管理についてお伺いいたします。 今回の台風第14号を踏まえて、県は、農業用用排水施設の管理について、どのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 農地に必要な水を安定して供給したり、速やかな排水を行うための農業用用排水施設のうち、県が整備したものは、地元の市町村や土地改良区が管理することとしております。 施設の管理者は、機能が十分に発揮できるように、日頃から施設の維持管理や保全に努めておりますが、河川と接続している取水工や排水樋門は、台風等により河川が増水する際には特に流入防止等の措置が重要であります。 県としましては、市町村や土地改良区に対し、平常時での保守管理や運営指導に加え、台風等の災害が発生した場合の連絡体制の確認や施設操作の訓練など、適切な管理が行えるよう支援してまいります。 ◆(太田清海議員) 答弁にありましたように、平常時や台風時の施設操作の訓練などが大事であるということであります。委託しっ放しということではなくて、平常時にマニュアルどおりに動いていこうねということでの訓練をしておかないと、どんなことが起こるか分からないなというのを、私も延岡市で体験いたしました。その中でも、やっぱり人命尊重という立場もありますので、危険なときに操作に出ていくということじゃなくて、安全にきちっとやっていただくような手法を今後研究していただきたいなと思っております。 次に、県土整備部長にお伺いいたします。 除草剤の堤防散布についてであります。実は、堤防の役割を果たしている県道に除草剤を散布している人を見て、地元の方から、これはやめてほしいと、道の堤防に除草剤をまくのは。水害が起こる。実際、台風第14号でそこは越水したところなんですね。ということで、道路の除草方法は、防災面も考慮して選択する必要があると考えますけれども、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 道路の除草につきましては、限られた予算の中、効果的な維持管理を行うために、従来の草刈りに併用して除草剤を使用しております。 除草剤の使用に当たっては、土地の利用状況などの周辺環境や近隣住民の皆様にも十分配慮しており、特にのり面部での使用に際しては、防災面を考慮し、のり面が壊れてしまわないよう、草の根を枯らさない種類の除草剤を使用しているところです。 しかしながら、場所によっては、さらに環境面や防災面に配慮が必要である箇所もありますので、除草方法の選定について検証を行いながら、道路の除草に適切に取り組んでまいります。 ◆(太田清海議員) 除草方法については、私は場所によっては薬剤はあまり使わずに人手を使って刈ってほしいなと、そういうふうに思います。特に堤防的な役割を果たす県道においては、注意を払っていただきたいなと思います。 それでは次に、同じく県土整備部長にお尋ねしますが、防砂堤の延長及び方財海岸の現状についてということであります。これは6月議会で私が質問して明らかになったところでありますけれども、もう少しお聞きしておきたいと思います。 延岡新港において新たに堤防を延伸するという防砂堤の整備状況について、お伺いしたいと思います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 延岡新港につきましては、船舶の安全な航行を確保するため、港内に堆積する土砂の撤去工事を毎年、実施する必要が生じております。このため、土砂堆積の主な要因である、海岸から港に流れ込む砂の抑制を目的として、港の北側にある既設の防砂堤の延伸を計画しております。 整備状況につきましては、令和3年度から測量・設計を行い、先月、計画延長150メートルのうち、その一部45メートルについて工事を発注し、今月末から現地着手する予定であります。 今後とも、必要な予算の確保に努め、早期完成に向けて取り組んでまいります。 ◆(太田清海議員) 150メートルのうちの45メートルをまず延伸するということでありますが、延岡新港は、砂が一度落ち込んだらもう戻らないんですね、自然の力では。だから、延ばすということは効果があると見て、期待をしております。 ということで、そのような評価をしますが、もう一方、方財海岸については、もう質問いたしませんけれども、私も台風の後にすぐ行ってみました。そうしたら、今まで船の航路を邪魔していた砂州が全部流れていました。私はいいことだと思います。その後に行ったら、わずかしか砂州が延びていませんでした。これは何か効果があるんだなと思ったのは、袋詰め玉石を波消しブロックの隙間にぱらぱら入れてもらったんですが、あの効果が出ているんじゃないかと私は思います。それで、まだ穴の開いたところもあるものですから、もう少し丁寧に置いていただいたり、もしくは、海側に波消しブロックに沿って5メートルでも延ばしてもらうと、また効果が現れるんじゃないかなと思っています。そこは検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次も、県土整備部長になります。 パートナーシップ導入市町村の県営住宅入居状況についてでありますが、県営住宅では世帯入居を原則としていますけれども、同性パートナーに対してどのように対応しているのか、お伺いしたいと思います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県営住宅の入居資格につきましては、これまで同居親族があること、もしくは、事実婚であることを要件の一つとしておりましたが、今年7月に、「宮崎県営住宅の設置及び管理に関する条例」を改正し、当該要件を緩和したところであります。 同性パートナーの方は、これまで入居が認められておりませんでしたが、この改正により、パートナーシップ宣誓制度を導入している市町村において宣誓をしていれば、その市町村内にある県営住宅に入居することができるようになっております。 今後も、入居募集の際に配布するチラシに要件を分かりやすく記載するなど、周知を図ってまいります。 ◆(太田清海議員) 条例を改正して、パートナーシップ宣誓制度を導入しているということであれば、入居できるということであります。ありがとうございます。 それで、今後の課題なんですが、パートナーシップ宣誓制度を導入していない市町村に県営住宅があった場合に、証明がもらえないということで県営住宅には入居できないという将来の問題が出てくるわけですね。これは分権制度の中では県と市町村は対等でありますから、どうこうということはできませんけれども、やっぱり、こういった制度を広めるためにも情報提供をしていただいて、こういった入居を広めるような動きを、県として取ってもらいたいなと思っております。 パートナーシップ宣誓制度の県内市町村の導入状況について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) パートナーシップ宣誓制度につきましては、令和元年6月に宮崎市が導入して以降、令和2年度に木城町、令和3年度に延岡市、日南市、えびの市、新富町、そして今年度、日向市、西都市、門川町が導入しておりまして、現在、合わせて9つの市町で導入されております。 ◆(太田清海議員) ありがとうございます。私、先ほど県土整備部長に政策を要求いたしましたが、総合政策部長のほうに言わないかんことでしたね。結局、情報提供をしながら、できるだけ広めていただきたいなという思いを伝えておきたいと思います。 次に、病院局長にお尋ねいたします。 県立病院の研修制度について。県立病院では、職員、特に看護師の資質向上等に向けてどのように取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。これは、私も県立宮崎病院に入院した経験があるものですから、その経験も含めて後でお尋ねしたいと思います。 ◎病院局長(??村久人君) 県立病院は、医療技術の向上はもとより、患者本位の医療サービスを提供するため、経験年数に応じた研修のほか、臨床実践能力を習得するためのOJTやeラーニングなど、様々な手法を組み合わせた職員研修により、看護人材の育成に取り組んでおります。 また、これらの研修には接遇やコンプライアンス、看護倫理等の内容も含まれており、生命の尊厳と人格を重んじ、社会ニーズに応えられる専門職業人として、幅広い人間性を持つ看護職員の育成に努めております。 引き続き、こうした取組を行いながら、医師をはじめ全ての医療スタッフと連携したチーム医療を推進し、患者や家族に寄り添った質の高い看護を提供してまいります。 ◆(太田清海議員) 私は、実は1か月ほど入院して、県立病院の人たちの対応に感動いたしました。こんなところとは思いませんでした。それぐらい、ああ、やっぱり入院してみらんと分からんなという思いであります。 例えば看護師さんでも―私の隣に脳性麻痺の40歳代ぐらいの男の人がいました、言葉を発することがちょっと難しいような。その人を車椅子から抱えてベッドに載せたり、もしくは、車椅子に乗せたりするときのあの女性の看護師さんたち―男の人もいましたけれども―掛け声をうまくかけて、本当にユーモアを持ってやるんですね。トイレに行くときも臭いがぷーんとするんですよ、部屋一面に。でも、「思い切ってやってちょうだい」というようなことを言って、気にしないでいいんですよということを本当にいい言葉で語ってくださるなという感じを持ちました。それで、その脳性麻痺の方と話したんですが、言葉がクリアではないんですけど、県病院の看護師さんはレベルが高いですねというようなことを言っておられました。 その若い看護師さんが私の部屋にも来てくれたものですから、「あなたたちは偉いね」と言ってあげたら、その若い看護師さんが、「私たちはコンプライアンスという言葉を教えられているんです」ということを言われました。ああ、こんな若い子たちが、研修の中で本当に徹底して、いい意味で教えられているんだなというふうにも思いました。 また、調理、給食、これも本当においしいんですよ。少量だけれども、私の栄養管理をしてくれているんでしょう。私の血圧は140から110に下がりました。体重も6キロ落ちました。ものすごくすてきな体になったんですけれども、また戻ってしまいました。私のように県病院に入院した人が、たまたまというか、よく来るんです。聞いてみると、「県病院の御飯はおいしいよね」と、みんなが言うんですね。これにはびっくりしました。 それと、もう最後にしますけれども、医者と看護師の会話。カーテンの閉められた部屋で、小学校1年生か2年生の女の子が痛い痛いと泣き叫ぶんですよ。恐らくそれは、先生と看護師さんたちがガーゼか何かを?ぎ取っているんだろうと思いますが、それが3回ぐらいありました。泣き声を聞いただけで、ああ、この子は小学生の低学年だなと。 ところが、最後の処置が終わったんでしょう、痛い痛いというのを10分ぐらいどうにかして処置したら、その処理が終わったんでしょう、医者がこんなことを言いました。「ああ、これであなたも人の痛みが分かったから、立派な看護師さんになれるよ」と言ったんです。看護師さんもそれに対して、「そうよ、あなたは立派な看護師さんになれるよ」と言ったんです。ということは、私は小学校1、2年生かなと思っていたけど、看護大学に行きたい人だったのか、中学生だったのか、夢を持った人だったのかなと思うと、人間の言葉というのは―こんな言葉がけ、技術、ノウハウ、県病院は鍛えられているなと。県立延岡病院にもそういう人がいらっしゃいました。 私は、県の行政は、末端にいる人たちが一生懸命支えているんだな、だから、県の行政が成り立っているんだということをつくづく感じましたし、私の思いをなかなか表現できませんけれども、ぜひ皆さんも県病院に入院していただきたい、きっとすぐに分かると思う。そんな気持ちであります。ありがとうございました。 続きまして、警察本部長にお尋ねいたします。 通信傍受法についてでありますが、犯罪捜査のための通信傍受の対象事象の拡大とその効果及び適正な運用について、お伺いしたいと思います。
    ◎警察本部長(山本将之君) 通信傍受法の対象事件につきましては、平成28年の法改正により、組織的な銃器・薬物犯罪等に加えまして、特殊詐欺や暴力団等による殺傷事件などの組織犯罪についても、通信傍受の対象となりました。 その効果につきましては、対象となる組織的犯罪に対しまして、ほかの捜査手法のみでは困難な犯罪の全容解明や、真に摘発すべき犯罪組織中枢の検挙に有用な捜査手法となるものと考えております。 組織犯罪をめぐる情勢が厳しさを増す中、警察といたしましては、今後とも、通信の秘密を不当に侵害することがないよう、法が定める厳格な要件・手続に従い、裁判官の審査を受けて通信傍受を実施することとしており、その上で、通信傍受の有効かつ適正な活用を含めた各種捜査により、組織的な犯罪の全容解明に努めてまいります。 ◆(太田清海議員) この通信傍受法というのは、神経を使う内容ではありますけれども。というのは、通信事業者の立会人がなくなるという改善もされましたが、それはもう国会で十分議論されましたので、ここでとやかく言うことでもないとは思いますが。私の思い出としては、小学校1年のときに、ある僻地におったんですけれども、自転車に乗って私たちと遊んでくれる駐在さんがいらっしゃって、その人が家族共々遊んでくれました。そういうイメージがあるものですから、小学校1年生のときに後藤巡査殺害事件というのがありました、洞穴の中に呼び込まれて殺害された。とうとう迷宮入りになりましたけれども。私はその事件を小学校1年生のときに聞いたとき、自分の好きな駐在さんが殺されたような気がして、非常にショックを受けたんです。何でそんなことをするのかというような。だから、私の中には、警察、お巡りさん、そういう人に対するDNA、親しいDNAがあるんです。だから、今、警察本部長が言われたように、適正な運用をぜひやって、犯罪を防いでいただきたいと思います。 最後の質問になりますけど、選挙管理委員長にお尋ねいたします。 選挙の外部立会人制度の現状について、指定施設の不在者投票における外部立会人の状況と県の取組をお伺いしたいと思います。 ◎選挙管理委員長(茂雄二君) 公職選挙法におきまして、投票管理者である施設長は、市町村選管の選定した外部立会人を投票に立ち会わせること等により、不在者投票の公正な実施の確保に努めなければならないこととされております。 指定施設における不在者投票につきましては、今年7月の参議院選挙では、300施設中160施設で投票が実施され、そのうち3割に当たる48施設で外部立会人が活用されております。 県選管といたしましては、施設への説明会におきまして、外部立会人の活用を促しますとともに、円滑に実施できるよう、市町村選管に対し、外部立会人名簿を作成することなどの対応を求めているところです。 今後、高齢化が進む中で、施設入所者等の投票機会の確保を進めていくとともに、公正な選挙の実現のため、外部立会人の重要性もますます高まりますことから、その積極的な活用につきまして、施設等に呼びかけてまいります。 ◆(太田清海議員) これは私も忘れていたんですけど、私が新人議員のときに、あるところで不正な選挙が行われたということで、何かどうにかしたほうがいいんじゃないですかと言ったら、そういう制度をつくっていただきました。ありがたく思っております。 それで、これも法的な根拠が、宮崎県独自でやったけれども、その後、努力義務として法の中に記述されたということも聞きましたので、よかったなと思いますが、努力義務ではありますけれども、ぜひ施設に広めていっていただきたいと思っております。 知事の答弁の中で、SNSによる誹謗中傷とか、ああいったのも今の世相として非常に悲しい出来事であります。人をそんなに誹謗しなくていいんじゃないのという、確かにそれも世相として、私たちは考えていかなきゃいかんと思います。 私も50年前、市役所の職員でケースワーカーをしました。そのときに、実は私たちの仕事として、変死体、身元の分からない死体を片づける仕事がありました。私の経験だと、10体ほど片づけましたけれども。棺おけに入れて火葬に付して、そして無縁仏に入れてあげるという。入水自殺によって、ボクサーからたたかれたぐらい顔が腫れて、唇とか耳とか末端組織が膨れ上がった、そういう姿も見ました。蛇口の両サイドにひもを引っかけて、自分の首に巻いて後ろに倒れかかって自殺した人もいました。手が曲がったまま、それを引き伸ばして棺おけに入れてあげました。それから、男女が100万円ずつビニール袋に背負って入水自殺した死体もありました。その中には、こんなことが書いてありました。「身元は絶対書きません。この100万円のお金を私たちの葬祭に充ててください」ということが。そうしてあげたいなと、いろんなことがあったんだろうと思いました。でも、法的には相続人が現れたから、どんな関係の人かは分からんけれども、そのお金は渡さざるを得ませんでした。ただ、どんな生き方をしてきた人だろうなということ、それから、失礼ながら腐乱死体の場合、首つり死体なんかはもう下に落ちていて、それを新鮮な空気を吸って来て、息を止めて運ぶわけです。自分の手があばら骨の中にずぼっと刺さったような気もいたしました。 そんなものを見ると、本当に手を合わせたくなるんですよ。人間とは何でこんなふうになるのか、いわゆる異なった形、異形の死ですよね。私は、人間の顔を見ると、みんなきれいだと思います。異形の死というのは、それ相当に訴えるものがあります。 それから、警察の方も、私の体験としては、若い警察官の人が来て、胃袋の中を吸引機ですぽすぽと引き抜いて毒物がないかどうかを調べて、私たちはびくびくものでしたけど、警察官の方は一生懸命仕事をされるんですよ。あれにも感動しましたね。そういう異形の死を遂げた人たちの姿を、私たち素人に見せてはいけないということだったんでしょうけど、ガーゼできれいにくるんで私たちに引き渡すようにもなりましたけど、私は、やっぱりその形を見たほうが本当は勉強になるんだがなと……。そういう意味では、警察の方もすごいと思いました。 それで、もういいのではないか、いわゆる人の死につながるような戦争の道はもういいじゃないかという気持ちが湧いてきます。むしろ、生きづらいこの世の中をいかに私たちが変えていくかを考えていくような世の中になってほしいなとつくづく感じるところであります。どうか県の皆様も、末端で一生懸命働いている人たちも含めて、ぜひいい県政を続けていっていただきたいなと思って、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で本日の質問は終わりました。 次の本会議は、28日午前10時から、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後1時46分散会...