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御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、各案は委員長の報告のとおり可決されました。
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△日程第2 特別委員会の報告(
新型コロナウイルス感染症対策)
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御手洗吉生議長 日程第2、特別委員会の報告を議題とし、これより
新型コロナウイルス感染症対策特別委員長の報告を求めます。
新型コロナウイルス感染症対策特別委員長平岩純子君。 〔平岩議員登壇〕
◆
平岩純子新型コロナウイルス感染症対策特別委員長 新型コロナウイルス感染症対策特別委員会のこれまでの調査の経過を御報告します。 本委員会は、県民生活に甚大な影響を及ぼしている
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、安全・安心な日常を取り戻す新しい生活様式への対応と、経済活動の活性化を促進することを目的として、昨年第2回定例会において設置されたものであり、感染症対策など、3件が付託されています。 報告書はお手元に配付しているので、簡潔に申し上げます。 まず、広く県民の声を伺うことが何より重要であることから、
新型コロナウイルス感染症の影響について、昨年9月から11月初旬にかけてアンケート形式で御意見を伺い、420人の方から御回答いただきました。 収集期間中に感染者が急速に減少したことも影響したのか、最も困ったことは何ですかとの問いに対する回答で最も多かったことは、感染の不安ではなく、外出自粛等により出かけられないことや人と会えないことでした。 また、外出自粛は飲食業以外の業種にも大きな影響を及ぼしたことなどを訴える声も届いています。 支援策として、感染症対策では、ワクチンに関することも含め、正しい情報を迅速に発信すること、事業支援では、業種や規模などによる不公平感の解消や、支援条件の緩和が求められています。 県民の方の情報の入手先として、県からの情報発信は重要な位置を占めており、正確な情報を迅速に発信することが求められていることが分かりました。 アンケート調査のほかにも、参考人からの意見聴取や、
福祉保健生活環境委員会と合同で県の対応状況の確認なども行ってきました。 参考人からの意見について、詳細は報告書に譲りますが、医療関係では、中等症以下の患者を受け入れた社会医療法人三愛会の
三島康典理事長と、重症患者を受け入れた
県立病院井上敏郎病院局長からお話を伺いました。 どちらの病院も、リソースが限られる中、知恵を絞って臨機に対応していること、そして何より、職員の高い使命感に支えられて、ぎりぎりの状況でも乗り切ることができたことを実例を挙げて御説明いただきました。 医療関係者の皆様に対し、改めて心からの尊敬と感謝を申し上げます。 中小事業者等の支援に関しては、
大分商工会議所の
中島英司専務理事と大分県よろず支援拠点の
関谷忠チーフコーディネーターからお話しいただきました。 外出自粛やテレワークの増加による影響は、外食や弁当注文の減少といった分かりやすいものだけでなく、飲食店以外の事業者からの、来客自体の激減による売上減少という切実な相談も寄せられていることを伺いました。 アンケート結果とも一致する内容なので、県民の痛みに寄り添いながら、解決を目指して立ち向かう覚悟を新たにしたところです。 これまでの調査、研究により、いくつもの課題が明らかになってきました。 今後は、これらの課題の解決と、コロナ禍を契機とする価値観の大きな変化を有利なものに導くウィズコロナ、ポストコロナへの対応を中心に、さらに調査、研究を進めていきます。 報告は以上です。
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御手洗吉生議長 これをもって特別委員会の報告を終わります。
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△日程第3 代表質問
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御手洗吉生議長 日程第3、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。三浦正臣君。 〔三浦議員登壇〕(拍手)
◆三浦正臣議員 15番、自由民主党の三浦正臣です。本日は会派を代表して代表質問をします。質問の機会をいただき、会派の皆様方には感謝します。 その代表質問の前に、緊迫する
ウクライナ情勢について触れます。 ロシアは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現在も緊迫した状況が続いています。国連においても停戦と平和を求める動きが広がり、昨日の緊急特別会合でウクライナに侵攻したロシアを非難し、即時撤退を求める議案を賛成多数で採択しました。 また、両国による直接交渉も続いていますが、両国の主張の開きは大きく、依然として先行きは不透明です。 日本国内でもロシア軍の即時撤収を求める声が各地で上がっており、国会でも衆参両議院でロシアによるウクライナ侵略を非難する決議を採決しました。現在、子どもを含めた市民の犠牲や女性、子どもが難民となって出国している痛ましい状況が報道されており、我々も人道的な支援についてしっかり取り組んでいかなければと考えます。 政府においては、引き続き国際社会と連携してウクライナの主権維持のための停戦と平和の回復並びに
ウクライナ在留邦人の安全確保に全力を尽くしてもらいたいと願っています。また、経済制裁等による経済及びエネルギー不安への対応にも力を尽くしていただくようお願いします。 それでは、代表質問に入ります。知事はじめ、執行部の皆さんは御答弁よろしくお願いします。 まず初めに、この1月から再び感染が拡大した
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 今回のオミクロン株に起因すると思われる
新型コロナウイルス感染症の特徴は、学校現場や保育所、幼稚園といった子どもたちの感染が多かったことにあると思います。感染力も強く、発症までの期間が短いため、学校のようなところでは、教職員の皆様が懸命な努力をし、注意を払ったとしてもなかなか防ぐことができなかったと思います。そのため、これまでの5回の感染の波に比べ、多くの罹患者が生じ、医師、看護師をはじめとする医療従事者や保健所などの公衆衛生関係の皆様には、一方ならぬ負担が生じたことと思います。この間の御奮闘に厚くお礼と敬意を表します。 幸いなことに比較的軽症な方が多かったことから、
重症者用病床使用率は10%未満で推移しているものの、病床使用率はステージⅢまで上がり、医療提供体制に負担がかかっていたと思います。県では宿泊療養施設の確保に万全を図り、3回目のワクチン接種を勧奨し、
県営接種センターの再開を迅速に行ったと思います。また、先月の3連休期間を
感染対策短期集中期間として、ステイホームを呼びかけ、接触による感染拡大を防止する取組を行いました。一方で、直近の実績としては新規感染者数は横ばいの状況が続いています。 今後も、同感染症に対する医療提供体制の安定的な確保に尽力していただきたいと思います。しかしながら、全国的な問題として、今回のオミクロン株が比較的軽症な方が多いものの、感染が急拡大したことから、他の救急医療との競合が問題となった例もあります。また、感染の波が落ち着いた後にはしっかりとした感染防止のための検証をしていく必要があると思います。特に、県下には24医療機関で34人の
感染管理認定看護師がいらっしゃいます。今後の対応について、こうした方々の知見を生かしていくことで、地域の感染対策を向上させていくことが重要ではないかと思います。
新型コロナウイルスへの
感染拡大防止対策と今後の地域の感染対策の向上について、どのように取り組むのか知事の見解を伺います。 次に、県経済の再活性化について伺います。 一昨年から続いたコロナ禍も、県、医療機関をはじめとする関係者による医療提供体制の確保とワクチン接種が進んだものの、感染力の非常に強いオミクロン株による急激な感染拡大により、
まん延防止等重点措置を県内全市町村に適用し、飲食店には営業時間の短縮を要請するなど、県内経済にも影響が出てしまいました。影響の幅は、知事をはじめ、執行部と医療関係者の迅速な対応や県民の皆さんの落ち着いた対応により最小限に抑えられたと思いますが、飲食業や観光業の方々には、たび重なる行動制限により経営再建に向けた足取りが非常に重く感じられていると思います。 一方、経口薬の開発も着実に進み、昨年12月にはメルク社の経口治療薬が、先月には
ファイザー社製のものが承認され、今後、国内メーカーも含め治療薬が承認される見通しと聞いています。この感染症は、対応を間違えば死に至る病であり、軽々な取扱いはできませんが、医療の進展により、徐々に
新型コロナウイルスとともにあるウィズコロナの世界が見えてきたと思います。 今年こそ県経済のエンジンを回し、県民所得の向上への取組を加速化していくべきであると考えます。知事は、
まん延防止等重点措置期間の延長を国に申請しませんでした。感染状況を考慮した上での判断と伺っています。そういった中、
日本銀行大分支店が先月発表した大分県内の景気動向によると、オミクロン株の急拡大以前に続き、企業の設備投資は依然として増加傾向であるものの、景気を支える個人消費の持ち直しの動きが鈍化し、全体として、緩やかに持ち直していた動きも鈍化に転じています。オミクロン株の流行が県経済に暗い影を落とす中、個人消費や企業の設備投資をいち早くコロナ禍前の水準に持っていくべく、県は新年度予算の各政策を実行すべきと考えます。 また、飲食業、観光業の落ち込みは非常に深刻なものがあります。昨年末から年始にかけては久しぶりににぎわいを取り戻し、低い水準ながら回復の萌芽を見せていました。しかし、オミクロン株の影響や、今後も新たな変異株への警戒も必要であり、回復に向けた角度を上げることが難しい状況です。また、2年にわたるコロナ禍により、従業員の確保がままならないとの声も聞いています。オミクロン株の影響も受けた飲食業、観光業には特に重点的な支援が必要ではないでしょうか。 県として、現況の県経済をどのように分析し、今後の県経済の再活性化に向けて、中小企業や観光業をどのように支援し、個人消費をどのように回復させていこうと考えているのか知事に伺います。 次に、県政運営について伺います。 広瀬知事は平成15年の就任以来、県民中心の県政を掲げ、安心・活力・発展の大分県政を一貫して進めてこられました。また、就任当時は国の三位一体改革の影響等により厳しい財政状況でしたが、直ちに
行財政改革プランを策定し、他県に先駆けて徹底した聖域なき行財政改革に取り組み、県政を支える強固な行財政基盤を構築してきました。 一昨年度に改訂した県行政運営の長期的、総合的な指針である安心・活力・発展プラン2015では、大分県版地方創生の加速前進、先端技術への挑戦、強靱な県土づくりを柱に関係施策を着実に進めており、特に本県最大の課題である少子高齢化と人口減少に歯止めをかけるための対策を積極的に展開されています。 こうした取組により、例えば、昨年4月の
保育所待機児童ゼロの達成や、平成29年度以降、毎年千人を超える勢いで推移する移住者数の増加、地域に雇用や新たなビジネスチャンスを生み出す企業誘致の積極的な推進、東九州自動車道の開通をはじめとする社会資本の整備など、今日まで大きな成果を上げています。さらには、記憶に新しいラグビーワールドカップ2019の大分開催など、県民に元気と希望を届けるプロジェクトも積極的に進めてきました。直近では、健康上問題のない状態で日常生活を送ることができる期間である健康寿命について、男性は目標の日本一を達成し、女性は4位と飛躍的に全国順位を伸ばしました。 他方、思いもかけなかった
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、県民生活や社会経済活動に深刻な影響を与えています。今年の第1四半期もオミクロン株の影響により、飲食業を中心に3度目となる営業時間の短縮も余儀なくされました。今後も新たな変異株の発生が懸念される中、国においては、岸田内閣が発足し、成長も分配も実現する新しい資本主義を掲げ、科学技術によるイノベーションや発展著しいデジタルを活用した地域活性化など、ポストコロナを見据えた成長のための大胆な投資にも力を入れています。 このように、ポストコロナに向けて大きな転換期を迎える中、5期目県政の最終年度、仕上げの年に臨むにあたり、どのような県政運営のかじ取りを行っていくのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、今後の財政収支の見通しについてです。 令和4年度の一般会計当初予算では、
新型コロナウイルスへの適切な対応を図りながら、その先にあるポストコロナの時代に向けて、県民が夢と希望にあふれる安心・活力・発展の大分県づくりを力強く進めていくとされています。 特に、新型コロナの影響が大きい中小企業者等の再興を図りながら、引き続き人口ビジョンの実現を目指して大分県版地方創生を加速させるとともに、多様な分野でのDXの推進や先端技術の活用による地域課題の解決を図り、変革の波を起こし、新産業の創造や宇宙への挑戦など、ポストコロナに向けた構造改革につなげていくため、9年連続プラスの積極予算となっています。 中でも歳入面に目を転じると、県税収入は法人2税や地方消費税を中心に155億円の増額となるとともに、借金である臨時財政対策債を228億円も減額するなど体質改善が図られているようです。 一方、財源不足を補う財政調整用基金は65億円が取り崩されることとなり、令和3年度末には一旦320億円を確保できるものの、4年度末には自然体で約257億円と、再び目減りしてしまう見込みとなっています。コロナ禍での突発的な対応を余儀なくされる可能性を勘案すると、行財政改革推進計画における財政調整用基金残高の目標330億円を早期に確保しておきたいところです。 県債については、発行額が減少したようですが、防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策の積極的な受入れに伴う本格的な償還が始まることから、今後の公債費の増嵩が懸念されます。加えて、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることから、社会保障関係費の高い伸び率が確実であり、今後の財政運営について心配しています。 そこで、目標としている財政調整用基金残高330億円の確保及び県債残高の適正管理を含め、今後の財政収支の見通しをどのように考えているのかお聞かせください。 次に、財務事務の業務効率化について伺います。 財政運営の先々を見通し、次の手を打っていくのも重要ですが、その結果を検証することも大事です。その意味では会計、監査業務を着実に実行していくことも県政には不可欠であると言えます。 さきほども述べたように、広瀬知事は就任以来、常に行財政改革を進めており、職員定数の適正化や地方機関の再編などを実施し、行政の効率化を図り、大きな成果を上げています。 その一方で、地球環境や国際情勢など社会環境が大きく転換していく中で、行政に対するニーズはますます増加しています。加えて、毎年のように発生する大規模な自然災害に備えるため、県土強靱化と防災・減災対策は喫緊の課題であり、深刻化する地球温暖化への対策も必要です。また、2年にわたって県民の身体生命はもとより社会経済活動にも大きな打撃を与え続けている
新型コロナウイルス感染症等、前例のない事象への対応も想定する必要があります。 このように多様化し、増大する行政ニーズに限られた人員体制で即応していくためには、安易に職員定数を増加させるのではなく、最も重点的に取り組むべき課題に職員を手厚く配置できる柔軟な組織体制の整備が必要です。そのためには、選択と集中は当然のこと、DX推進などにより県庁全体の業務の効率化、省力化を図り、一層進めていくことが必要ではないかと考えます。 特に、県の内部管理的な業務、具体的には予算編成、会計処理、庶務経理等の財務事務は県庁全体に共通する事務であり、ICTの活用による負担軽減と効率化が顕著に認められる分野と考えます。 現在、財務事務の根幹をなす財務会計システムの再開発に取り組んでいると聞いていますが、このシステム開発を通じ、財務事務全体の省力化、効率化をどのように図ろうとしているのか伺います。 次に、監査業務の効率的な実施についてです。 地方公共団体の財務に関する事務と経営に係る事業の管理については、毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて監査を行う必要がありますが、昨年度と今年度は、
新型コロナウイルスの感染拡大や大規模な自然災害の発生に伴う業務対応のため、監査対象期間の受入体制等が整わないなどの理由により、監査実施に少なからず影響が生じるような事例があったのではないかと思います。 監査委員事務局では、これまでの対応等を生かし、関係部署における不測の事態や変化がある中にあっても適正に監査ができるよう対応してきたと思いますが、コロナ禍での対応と今後の効率的な監査の実施に向けた取組について伺います。 次に、県勢の浮揚に向けた政策展開についてです。 まず、スペースポートがもたらす本県への影響について伺います。 石油化学コンビナート、半導体、自動車など、時代の移り変わりとともに、様々な産業が集積し、本県の経済を牽引してきました。さらに県では、これに満足することなく、医療、エネルギー、近年ではドローンなど、新たな産業創出に向けた挑戦を続けています。常にアンテナを高く保ち、新しい産業の芽を探し続けることは、将来世代のために取り組むべき重要な役割の一つであると考えます。 こうしたことを前提に改めて産業を取り巻く状況を俯瞰したとき、脚光を浴びているものとして宇宙産業があります。 近年の宇宙産業の特徴は、民間企業の参入が活発化していることです。ロケットの回収や再利用で価格破壊を起こしたスペースXや、昨年相次いで宇宙旅行に成功したブルー・オリジン社、本県とパートナーシップを結ぶヴァージン・オービット社などはその代表です。 国内企業に目を転じると、宇宙と異業種、例えば、農林水産や運輸などを組み合わせることによる価値創造を目指したベンチャー企業が多く現れていることが印象的です。宇宙産業には、ベンチャー企業から大企業まで、規模や業種において様々な企業が参入してきており、今後は、データ通信やロボット、さらには旅行など様々なビジネスや産業とつながっていくのではないかと考えます。 また、人材という観点からも波及効果がありそうです。宇宙は探求的な学習を行う上で格好の素材だと思います。既に、県内の高校生を対象に、宇宙を題材として、科学、技術、工学、芸術、数学から構成されるSTEAM教育が展開されており、子どもたちの今後の成長が楽しみです。 このように宇宙産業への期待が高まる中、先月26日、27日には、私も参加しましたが、宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)大分別府大会の県民向けイベントおおいたそらはくが開催され、ISTSの学会はオンラインで今週末まで開催されています。 大分空港がスペースポートとなれば、これを契機に宇宙に関わる研究者や企業との交流が一層盛んになっていくことも予想され、予測できないような相乗効果が生まれてくることも期待できると考えます。 様々な可能性を秘めているスペースポート化ですが、県民の中には、自分たちに何が還元されるのか今一つ分からないという声があることも事実です。県としては当然、大分空港を単にロケットの水平型発射の拠点とするだけでなく、産業振興から人材育成まで様々な可能性を視野にこの事業を進めようとしていることと思います。 今後、スペースポート化にどのような期待をしているのか、また、産業や人材をどのように育てていこうとしているのか、知事の見解を伺います。 次に、物流の拠点化に向けた交通インフラの整備について伺います。 本県は九州の東に位置していることから、関西及び関東に近い地理的優位性を有しており、九州と本州、四国との間を結ぶフェリーの約8割が発着しています。また、北九州-宮崎間の東九州自動車道が平成28年4月に開通した効果もあり、人の流れ、物の流れの結節点、すなわち九州の東の玄関口としてのポテンシャルが高まっています。 県では、こうした強みを生かし、広域道路ネットワークと港湾や空港をつなぎ、人や物の流れをさらに活性化させるため、平成29年3月に九州の東の玄関口としての拠点化戦略を策定し、交通インフラの整備などを進めています。 こうした中、大分港大在地区では、デイリー運航されている清水港行きをはじめ、関東向けのRORO船便数が九州1位となるなど、海上輸送のニーズは高まっています。大分港を発着するRORO船が運搬する貨物数は増加傾向にあります。 また、フェリー航路が就航している別府港や臼杵港では、コロナ禍の移動制限の影響もあり、旅客や乗用車の乗船台数は大きく減少していますが、トラックなどの貨物輸送への影響は少なく、依然として貨物輸送のニーズは高い状況です。これら取扱貨物量は、東九州自動車道の北九州から宮崎までの開通後に伸びています。これを踏まえると、現在着実に整備が進められている中九州横断道路が、今後、順次開通されていくのに伴い、熊本方面からのアクセスが向上し、さらに取扱貨物量が増加していくのではないかと考えています。 一方、運送業界においては、働き方改革の推進により、令和6年度から時間外労働時間の上限規制が適用され、現状にも増してトラックドライバー不足が予想されることから、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトがさらに進み、海上輸送のニーズは今後ますます高まっていくと考えています。 このような増加する海上輸送ニーズに対応するため、港湾の整備は待ったなしの状況です。そこで、ポストコロナを見据え、九州における物の流れの拠点化に向けて、今後どのように港湾や道路などの交通インフラの整備を進めていくのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、県民の安全安心の実現についてです。 まず、今後の防災対策について質問します。 近年、大雨による災害が激甚、頻発化しています。気象庁の資料によると、1時間降水量50ミリ以上の年間発生回数は、45年前の昭和51年から60年の10年間と、直近の平成22年から令和元年の10年間とで比較すると、約1.4倍の発生回数となっています。気候変動は、もはや気候危機と言える状況であり、毎年のように全国各地で甚大な自然災害が発生し、多くの尊い生命が奪われています。近年では、平成30年7月豪雨で271人、令和元年東日本台風で108人、そして、記憶に新しい令和2年7月豪雨では、県内の6人を含む86人の方々が犠牲となっています。また、南海トラフ巨大地震は、今後30年以内の発生確率が70から80%と予測されており、発生した場合には、激しい揺れや押し寄せる津波などによる甚大な被害が想定されています。 これまで、我が会派からも強く要望してきた県土強靱化対策などによりハード対策は着実に進んでいると思いますが、まだ急傾斜地など多くの危険箇所も未整備であるところもあり、さらに迅速に整備を進めていただくことを重ねて要望します。一方、これまでの経験や想定を超える災害は、いつ、どこででも発生するおそれがあることを県民一人一人がしっかりと認識する必要があります。そのためには、これまで以上に効果的なソフト対策を講じる必要があると考えます。 ここ2年ほどはコロナの影響により、防災訓練や講演会など多くの人が集まる取組が低調と聞いています。密を避けるため、感染拡大を防ぐためには仕方のないことかもしれませんが、県民の防災活動の停滞は、個々の防災意識や地域の防災力の低下を招くのではないかと危惧しています。 一方、目覚ましい進化を見せるICTや新たなテクノロジーなど先端技術を積極的に活用し、適切に社会に実装することは、人命最優先とする観点から早急に取り組むべきと考えます。 今後の県の防災対策について、何を課題と捉え、どのように推進していくのか、知事の見解を伺います。 次に、子どもたちの通学の安全確保への対策について伺います。 近年、全国的に通学路での交通事故が多く、県民にとっては、ある意味で災害以上に身近な危険であり、大変危惧している事案です。 昨年6月28日に千葉県八街市において、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5人が死傷する痛ましい事故が発生しました。 その後も、昨年12月9日には静岡県菊川市で、登校中の小学生の列に軽自動車が衝突し、5人が負傷するなど、登下校中の小学生が被害に遭う事故が後を絶ちません。 本県では、千葉県八街市の事故を受け、学校関係者と警察、道路管理者による通学路の合同点検が例年より1か月前倒しで実施されました。 八街市の事故現場が見通しのよい直線道路であったことから、点検を行う際の新たな観点として、幹線道路の抜け道など速度が上がりやすい箇所や、大型車の進入が多い箇所、ヒヤリ・ハット事例があった箇所、保護者や地域住民などから改善要請があった箇所が加えられました。 その結果、記録の残る過去5年間では最多となる900余りの危険箇所が確認されています。 危険箇所の対策としては、一般的に、警察による信号や横断歩道の設置のほか、学校関係者による交通指導なども行われると聞いているが、特に、道路管理者による歩道の整備やガードレール等の設置など、車両から直接子どもたちを守る対策を行うことが重要であると考えます。 県では、過去に点検を行った箇所については、一部前倒しで工事を行うほか、歩道の整備など完成までに時間を要する箇所についても、路肩部の歩行者空間をカラー舗装で明示するなどの暫定的な対策を行うと聞いています。 今回の点検により確認された危険箇所についても、早期に対策を進めていただきたいと考えていますが、箇所数が過去5年で最多であるとのことから、対策に時間を要するのではないかと懸念しています。 今回の点検結果を受け、道路管理者としてどのように対策を進めていくのか、部長に伺います。 次に、農林水産業について伺います。 農林水産業の振興は、県勢の発展にとって欠くことのできない課題であり、長期的な視野とスピード感を持った取組が必要だと思います。 まず、農業振興についてです。農業総合戦略会議の取組を受けた振興策については、昨年第4回定例会、我が会派の木付政調会長から質問を行いましたので、ここでは、もう一つの柱である担い手確保対策を中心に伺います。 2020年農林業センサスによると、本県の農業経営体数は1万9,133経営体と、5年前の平成27年と比べ6,283経営体、率にして24.7%の大幅な減少となりました。基幹的農業従事者のうち、65歳以上の割合は77.3%となり、5年前と比べて4.5ポイント上昇するなど、本県農業は経営体が減る中で、頑張る高齢者によって何とか支えられているのが実態です。こうした構造的な問題が結果として大分県農業非常事態宣言につながったものと考えています。 昨年10月にJAグループ、生産者、県、市町村など関係者が議論を重ね、農業システム再生に向けた行動宣言が取りまとめられ、担い手の育成、確保については、取り組むべき重要課題として明記されました。農業生産のバトンを次世代に確実につなぐことは、農山漁村の維持や食料自給率の改善、何より本県農業の発展につながる根本的な政策であり、今後の巻き返しに大いに期待しています。 一方で、本県の令和2年農業産出額が4年ぶりの増加といううれしいニュースも昨年末に飛び込んできました。こうした産出額の増加は、農業をなりわいとして発展させていく希望の光であり、農業のモチベーションを上げるとともに、次代を担う後継者の確保にもつながるものと考えています。この流れを続けていけば、令和6年度の農林水産業創出額2,650億円という目標も達成できると期待しています。 また、最近では、コロナによる都市部から地方への人の流れや、働き方の多様化などを背景に、希望を持って農業にチャレンジする若者も増えています。こうした担い手確保には絶好の環境が整った今、どのように担い手の確保、育成を進めて本県農業の振興に取り組んでいくのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、日向灘地震による水産業関係の被害について質問します。 1月22日未明に日向灘を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、県内でも大分市、佐伯市、竹田市で震度5強の非常に強い揺れを観測し、各地で水道管の破裂や建物被害等、多くの被害が発生しました。被害に遭われた方々に対してこの場を借りて心よりお見舞い申し上げます。 今回の地震では、地域的には震源に近い県南部の水産業を中心に被害が生じており、農林水産関連の被害額は2月18日の時点で39件、7.5億円となっています。このうち38件、7.4億円が佐伯市で発生しており、漁港施設や水産関連施設を中心に被害が発生しています。 実際に現場を確認した我が会派の清田議員によると、漁業者のライフラインとも言える漁港においては、長さ100メートルにわたり、段差や亀裂によって車で船まで近づくことができず、漁の準備や水揚げに支障を来しているとのことです。 また、陸上養殖施設においても配管の破損等が発生したため、応急復旧で急場をしのいでいますが、次に同規模の地震が来たら、さらに被害が広がり、養殖自体が続けられなくなるのではないかという不安の声があると聞いています。加えて、漁協設置の製氷・貯氷施設や荷さばき施設などの共同利用施設も被災しており、指定量の氷が出てこなかったり、沈下により荷さばき場の一部に水がたまってしまうなどの問題も生じており、現場ではその対応に大変苦労されていると聞いています。 県内の水産業者は
新型コロナウイルス感染症拡大や燃料費等の高騰の中、必死で頑張っています。水産業関係者が今回の災害から一日でも早く立ち直り、安心して生産活動ができるよう県としてどのように復旧支援を行っていくのか伺います。 次に、福祉政策について。 まず、本県が掲げる三つの日本一の一つ、障がい者雇用率日本一についてお尋ねします。 障害者の雇用の促進等に関する法律では、障がいに関係なく、希望や能力に応じて誰もが職業を通じた社会参加のできる共生社会の実現という理念の下、民間企業や国、地方公共団体において一定割合以上の障がい者を雇用しなければならないとされています。この法定雇用率は、昨年3月に0.1%引き上げられ、民間企業では2.3%となっており、対象となる事業主の範囲が従業員45.5人以上から43.5人以上へと拡大されました。 法定雇用率の引上げ後、初めてとなった本県の令和3年6月1日現在の障がい者雇用状況集計結果は全国順位7位に据え置かれました。しかしながら、
新型コロナウイルスの感染拡大により解雇や雇止めが危惧される中、雇用障がい者の実人数は2,937人と前年の2,905人から32人増え、実雇用率も2.59%と前年比で0.04ポイント上昇しています。また、県内900の対象企業のうち法定雇用率達成企業の割合は、前年の60.8%から0.4ポイント上がり61.2%、全国順位は前年の13位から7ランク上昇して6位となっており、民間企業での障がい者雇用への理解も広がりつつあるとうかがえます。 本県は、40回の長い歴史を誇る大分国際車いすマラソンの提唱者、中村裕博士が保護より働く機会を理念として設立した太陽の家の存在もあり、障がい者雇用の先進県として、今回も身体障がい者の雇用率は1位を堅持していますが、知的・精神障がい者の雇用率は依然として下位にあり、障がい者全体での雇用率日本一は平成18年を最後にしばらく遠ざかっています。 本県が障がい者雇用率日本一を実現するためには、やはり知的及び精神障がいがある方の雇用促進が大きな壁になると思います。今後どのようにして障がい者雇用率日本一の奪還を目指していくのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、医療的ケア児への支援について伺います。 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が昨年9月18日に施行され、半年が経過しました。 同法の趣旨は、医療的ケア児を育てる家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的でつくられ、障がいや医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指すことにあります。 その中で、地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有すると定められました。 県内の医療的ケア児を持つ保護者からは、子どもの成長発達を促すため、他の子どもとの関わりを増やし、様々な体験をさせてあげたい。そのためには児童発達支援事業所や保育所等を利用することが必要であり、また、利用することが私たちのレスパイトにつながるが、受け入れてもらえる施設が少ない。災害時にはどのように避難したらよいのか分からない、避難所が受け入れてくれるのかも不安があるとの声を伺っています。医療的ケア児とその保護者への支援には、不安や困り事をしっかりと把握し、適切な支援を提供することが求められます。 県は、今回提案された予算案において、医療的ケア児支援センターの新設や災害時の非常用発電装置の購入費の助成を盛り込んでいますが、保護者の求めや不安にどのように応えることとしているのか、部長の考えをお聞かせください。 次に、誰もが安心できる社会づくりについて質問します。 まず、女性の活躍について伺います。少子高齢化や人口減少が進む中で、大分県版地方創生を推し進め、その道筋を確かなものとするためには、老若男女、障がいの有無を問わず、誰もがその個性を尊重され、活躍できるような社会づくりが重要です。男女が共に責任を分かち合い、性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮できる機会の確保は、その実現に向けて非常に重要な要素の一つです。 県では、男女共同参画を推進するため、昨年3月に第5次おおいた男女共同参画プランを策定しており、その目指す姿として、誰もが人権を尊重され、尊厳を持って暮らせる大分県、女性はもとより多様な人材を生かすダイバーシティー社会を実現し、誰もが個性と能力を発揮できる大分県、暴力やハラスメント等が根絶され、誰もが生涯を通じて心身ともに健やかに暮らせる大分県の三つを掲げ、取り組むこととしています。 しかし、
新型コロナウイルスの感染拡大は、男性と女性に対して異なる影響を及ぼしており、特に女性に対しては就業から生活面において様々な形で深刻な影響を及ぼしています。国の研究会がまとめた報告書では、新型コロナの影響は短期的に見ると、業種間や正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の格差を拡大する方向に及んでおり、結果として女性への影響として現れている。我が国においては、既に存在した固定的な性別役割分担意識等に基づく構造的な問題が加わることによって、男女間の格差が拡大していく可能性をはらんでいるとしています。 このようにコロナ禍を契機として、これまで戦後日本の社会の根底を支えてきた家族像やライフスタイルを前提とした固定的な性別役割分担意識、無意識の偏見が進んでいるとすれば、非常に重大な問題です。 私はこの1年間、県議会の政策検討協議会の会長として、このジェンダーギャップの解消について有識者の方々からアドバイスをいただきながら、県議会議員の皆様と会派を超えて議論してきました。今議会会期中に議長に中間報告をする予定ですが、固定的な性別役割分担意識や無意識の偏見によって、女性の活躍の可能性を決して奪うことのないよう、県、市町村、企業、地域団体やNPOなどとそれぞれの立場で、連携、協働を図りながら取り組む必要があると思います。 今後、県として、女性がさらに活躍できる社会を実現させるため、どのように女性の就労機会の確保や格差の是正を図り、男女共同参画を推進するのか、知事の考えをお聞かせください。 また、今後の県政発展のためには、民間企業での人材確保だけでなく、政策県庁を担う人材確保も不可欠です。近年、本県を志望する受験者は、行政職では民間企業の採用意欲の高まりなどにより平成24年度の523人をピークに減少傾向にあり、令和元年度は311人まで落ち込んだと聞いています。令和2年度からは、特別枠の上級試験も実施するなど、行政職の受験者確保に向けた対策を講じましたが、退職者の増加に伴い、より多くの採用予定者が必要となったことから、競争率は低水準のまま推移するなど受験者の確保にはまだ課題があると思います。 加えて、技術職の中でも土木系の人材は民間企業を含めて全国的に人手不足が続いています。本県の採用状況も国や他の地方公共団体との競合などにより厳しくなっているのではないかと思います。 ここ最近の状況を見ると、上級試験の総合土木については、平成30年度は受験者29人に対して合格者は15人、競争率は1.9倍、令和元年度は受験者37人で合格者は14人、競争率は2.6倍、令和2年度は受験者32人に対して合格者は19人、競争率は1.7倍となっており、上級試験全体では4倍から5倍の競争率がある中で、特に低調な職種の一つになっています。 県の総合土木職の方は主に土木建築部や農林水産部で、頻発する自然災害への復旧、復興に向けた対応や地方創生を実現する社会インフラの整備などの役割を担っており、今後多様化する行政ニーズの中でますますその存在が重要になってくるものと思います。 さきほど述べたように、県職員の確保については厳しい状況が続いていますが、特に総合土木職の確保に向けたこれまでの取組と今後の対応策について伺います。 さらに、本県で働く環境を整えることも重要です。近年、労働環境をめぐる状況は大きく変わってきています。特に平成31年4月以降順次施行された働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制や正規、非正規の不合理な処遇差の解消に向けた取組が進んできています。また、男性の育児休業をより柔軟に取得できるようにする育児・介護休業法の改正が令和4年4月1日から段階的に施行され、男性が育児により参加しやすい環境が整備されるなど、使用者にとっても求められる対策が変わってきています。 一方で、近年の働き方改革とともに大きな出来事は、
新型コロナウイルスの感染拡大であったと思います。感染者が国内で確認されて以降、在宅での勤務など、これまであまり進んでいなかったテレワークやリモートワークといった、職場に必ずしも常駐しない働き方の進展は、労使共に働き方の大きな変革を余儀なくされた事態だったのではないでしょうか。 働き方改革の進展とコロナ禍での働き方は、本県においても、使用者側、労働者側双方に大きな影響を与え、それに伴い労使紛争の増加や新しい形の労使紛争の発生も懸念されます。 そこで、今年度1年間で労働委員会が扱った労使紛争の状況及びその特徴と労働委員会が果たすべき役割について、
労働委員会事務局長に伺います。 最後に、地方創生につながる社会全体の教育力の向上について伺います。 近年、ライフスタイルの変化とともに、共働き家庭の児童数が増加し、放課後の子どもたちの居場所づくりが大きな課題となっています。また、少子化、核家族化が進み、子どもたちが様々な世代の人々と生活する機会は減少しています。このような社会の変化を受けて、地域社会は全ての子どもたちに対して安全・安心な放課後の居場所を確保するだけでなく、地域の人々と触れ合い、地域の人々から様々なことを学ぶ機会を提供することが必要ではないでしょうか。 また現在、小中学校では、様々な教育活動等の中で自分たちの住む地域に関する学習を行っています。しかしながら、学校の教職員は必ずしもその地域出身者ではなく、人事異動により他の地区から赴任してきた教職員も多いと思います。このような状況の中、子どもたちが自分たちの住む地域について学習し、郷土に対する愛着を深めるには、地域のことをよく知る方々との関わりの中で学習することも有効ではないでしょうか。 近年、子どもたちを取り巻く環境や学校が抱える課題は複雑化、多様化しており、それらの課題解決のためには、社会総掛かりでの教育が求められています。そのため、国は学校と地域住民が力を合わせて学校運営に取り組むことができるコミュニティースクールを推進しています。県もその方針を踏まえ、小中学校を中心にコミュニティースクールの導入を促進し、現在、県内の小中学校への導入率は約85%と、全国で3番目に高いと聞いています。これら県内に広がるコミュニティースクールと地域における教育活動を連携させることで、それぞれの活動が充実するとともに、地域の教育力の向上につながるのではないでしょうか。また、多くの地域住民が活動に参加することにより、地域住民それぞれの生きがいづくりや、地域の活性化、地方創生につながると考えますが、コミュニティースクール等を通した社会全体の教育力の向上について、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。 以上で自由民主党会派を代表して質問を終わります。 皆さん御清聴ありがとうございました。
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御手洗吉生議長 ただいまの三浦正臣君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 三浦正臣議員から、自由民主党を代表して種々御質問をいただきました。 冒頭、ロシアのウクライナ侵略についてお話をいただきました。私もこのたびのロシアの暴挙は国際法を無視したものであり、国際法秩序の下で日本の安全保障を採ろうという我が国にとって、決して他人事ではないと思います。大変緊張感を持って成り行きを見守っています。 さて、感染症への対応について御質問をいただきました。本県では年明けからオミクロン株による感染が急拡大し、病床の逼迫が懸念されたことから、1月27日から2月20日の間、国の
まん延防止等重点措置を適用し、加えて、2月11日からの3連休を県独自の
感染対策短期集中期間と位置づけ、県を挙げて感染拡大の防止に取り組みました。 その結果、県民の皆様の御理解、御協力のおかげで県内の感染状況は明らかに改善し、当初の予定どおり、重点措置の解除に至りました。 この2年間のコロナ対策の経験から、感染拡大防止には次の3点が重要だと考えます。 一つは、検査体制です。行政検査の体制整備に加え、無料検査場を54か所まで拡充し、クラスターが発生しやすい学校や社会福祉施設等に抗原検査キットの配布も行いました。こうした検査機会の確保は、県民の不安解消と早期診断に結びついています。 二つは、医療提供体制です。受入病床を508床確保し、宿泊療養施設は11棟1,360室まで拡大しました。さらに、重症化リスクの低い患者は自宅療養も可能とし、スマホを活用して迅速な健康観察を行っています。 このように症状に応じて療養先を適切に使い分けることで、医療への負荷を軽減し、救急医療を含む一般診療との両立に努めています。 三つは、ワクチン接種です。3回目接種による感染予防と重症化予防の効果は明らかです。引き続き市町村と一体となって3回目接種を加速します。 さらに、御指摘いただいた地域の感染対策の強化も重要です。第6波では、クラスターが多発していますが、
感染管理認定看護師を派遣し、感染拡大を抑えた事例もありました。しかし、認定看護師の地域偏在が課題となっており、豊肥や西部など手薄な地域の医療機関に勤務する看護師の資格取得を支援したいと考えています。 また、県に感染管理アドバイザーを配置し、施設等に対する研修を随時行うとともに、クラスター発生時には施設へ出向き、直接指導に当たります。 引き続き、この流行の収束に向け、全力で取り組むとともに、今後の新たな感染拡大にも万全の備えを講じたいと思います。 新型コロナのもう一つの課題、県経済の再活性化についても御質問をいただきました。 直近1年間の状況を見ると、本県の解雇見込労働者数は全国より低い水準で推移しており、有効求人倍率も全国を上回って回復しています。コロナ禍が長期化する中、金融機関、市町村と連携した下支えにより、経済への打撃は最小限にとどめられてきました。しかし、コロナ第6波により、足元の観光や個人消費の動きは再び弱まっています。 1月の宿泊客数は、コロナ前の令和元年同月比で35%の減少と、依然低調です。中小企業団体の調査でも年末に向けて好転傾向にあった景況感は、1月には大幅に悪化しており、飲食店からは時短要請が解除になっても、すぐに客足は戻らないだろうとの声も聞かれ、これ以上のダメージを避けるためにも、オミクロン株の感染状況を分析し、有効な感染防止対策を重点的に強化した上で、社会経済の再活性化にもしっかり取り組んでいかなければならないと思います。 まず、営業時間の短縮要請に協力いただいた飲食店には、協力金を申請から2週間程度で迅速に支給します。加えて、売上げが30%以上減少し、打撃を受けている全ての事業者には、国の事業復活支援金の活用を促します。 また、観光では、県民の県内旅行を促進する新しいおおいた旅割を2月21日から再開しました。地域クーポン券をセットにすることで、県内の旅先での消費を促進します。 さらに加えて、個人消費のテコ入れとして、市町村と連携したプレミアム商品券事業を順次実施します。プレミアム率は30%に統一し、県民が地元に限らず、全市町村で購入できるスキームとすることで、県下一体となり消費を盛り上げていきます。 もう一つ忘れてならないのは、長期的な観点を持った対応です。経営体質を強化し、持続的成長を可能にする生産性の向上に取り組みます。作業の自動化などを業務改善助成金等で支援するほか、商工団体による経営指導のデジタルトランスフォーメーションを進め、経理や在庫管理などのバックオフィスの効率化を図り、営業や企画業務に注力できる環境をつくり出していきたいと思います。 長らく続くコロナ禍で、県内事業者の体力も限界に近づいていると心配しています。様々な活性化策を的確に実行することで、社会経済の再起動、その先の成長に向けた局面転換を着実に実現していきます。 県政運営についても御質問をいただきました。 令和4年度の県政運営に当たっては、目まぐるしく変化する時代の流れをしっかりと読み取りながら、三つの柱を基本方針として取り組んでいきます。 第1は、足元の課題である新型コロナ感染拡大防止と社会経済の再活性化です。コロナ対応はこれまでの経験を生かし、前広に対応することが肝要です。引き続きワクチン追加接種の体制整備や入院病床、宿泊療養施設の確保など、一連の対応に万全を期します。 あわせて、社会経済の再活性化も重要です。コロナ禍で苦しむ生活困窮者への支援や中小企業、小規模事業者の事業継続に向けた支援にもしっかり取り組んでいきます。 第2は、本県最大の課題である少子高齢化、人口減少への対応です。コロナ禍にあっても、人を育て、仕事をつくり、人と仕事の好循環で地域を活性化する大分県版地方創生のさらなる前進は不可欠です。 人の分野では、引き続き子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一の実現に向けた取組を強化します。また、好調が続く移住についても、スキル習得から移住、就職までのワンストップ支援などをさらに拡充します。 仕事の分野では、県下全域で仕事の場を産み出す農林水産業の成長産業化を図ります。地域経済を支える商工業では、産業の基盤を拡大する企業誘致について、需要が高まっている大規模工業団地の整備に対する支援等に力を入れます。裾野の広い観光業では、コロナ禍で人気が高まる自然体験型の観光コンテンツをさらに拡充させ、復活を図っていきます。 地域の分野では、発展の基盤をつくり上げるため、県土の強靱化を着実に進めます。また、本県が誇る魅力的で多彩な文化を生かした日中韓交流の東アジア文化都市2022を開催し、芸術、文化の振興にも取り組みます。 第3は、未来を切り拓くためのポストコロナ社会への挑戦です。デジタルトランスフォーメーション、デジタル革命の波が押し寄せる中、発展著しいドローンやアバターなど、先端技術の活用により、地域課題の解決を図りながら、新産業の創出やデジタル人材の育成につなげていきます。 さらに楽しみなのは、世界的に成長する宇宙産業です。つい先日、ヴァージン・オービット社との提携に続き、米国のシエラスペース社等との間で宇宙往還機「
ドリーム・チェイサー」の大分空港の活用に向けたパートナーシップを締結しました。これをはずみに宇宙関連企業とのネットワークを広げ、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指します。 こうした新型コロナへの守りとポストコロナ社会に向けた攻めの両面から、夢を追い、希望あふれる大分県づくりに力強く取り組みます。 次に、今後の財政収支見通しについて御心配をいただきました。
新型コロナウイルス感染症という歴史的危機にスピード感を持って対処する。そして、少子高齢化、人口減少に大分県版地方創生で対応する等のため、これまで当初予算に加え、課題を踏まえた累次の補正予算を編成してきました。 予算編成に当たっては、国の臨時交付金等を効果的に活用するとともに、こういうときのために蓄えていた財政調整用基金を取り崩して対応しました。 こうして迅速に対処できたのも、不断の行財政改革による財政基盤の構築があったからだと思います。したがって、今後とも常在行革の心がけを忘れずに中期的な見通しを持ちながら財政運営を行います。 お手元の財政収支見通し、参考の表を御覧いただきたいと思います。 左側上段の表の歳入歳出の見通しです。左側3段、上段、中段、下段と表がありますが、上段の歳入歳出の見通しです。これは今後の世界的な社会経済情勢には不透明感が漂っているものの、国が本年1月に示した経済成長率等をベースに機械的に試算したものです。 経済成長率等々により、税収の見込み等々が計算できるわけですが、こういう形で計算したものがこのとおりです。 左側中段の表、中段と言いましたが、だいぶ下ですが、中段の表の財政調整用基金残高を御覧ください。県税の回復等により、行財政改革推進計画の目標よりも前倒し、5年度末までに330億円を確保できる見通しが立ったところです。 今後とも行財政改革を徹底し、さらなる前倒しを目指します。 一方で、7年度以降は高齢化の進展による社会保障関係費の伸びや、防災・減災、国土強靱化の推進等による公債費の増嵩などにより、基金の取崩額はまた増えていき、330億円を切ることになります。このため、県有施設整備基金を有効に活用することなどにより、可能な限り財政調整用基金の取崩額を抑制するとともに、安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保、充実を国に対し、強く求めていきます。この一般財源総額の確保は、国によるところが大きいので、ここは国に対して強く求めていくということです。 さて、続いて左側、今度は下段一番下の表ですが、県債残高が書いてあります。これを御覧いただくと、国土強靱化のための5か年加速化対策事業の積極的な受入れなどにより、一時的に県債残高は増加しますが、行財政改革推進計画で目標とする臨財債等を除く実質的な県債残高は下段の表の一番上に、この実質的な県債残高は行財政改革推進計画でも6,500億円以下を堅持するということが書いてあり、その見通しの範囲内に入っています。 今後とも、交付税措置率の低い県債の発行をできる限り抑制するなど、引き続き県債残高の適正管理に努めたいと思います。 今後の財政運営を展望すると、社会保障関係や公債費などの義務的経費が増加する見込みで、そのような状況下で必要な事業に対する投資と財政健全化の確保をどのようにバランスよくさせるかが肝要です。 新型コロナや不安定な世界情勢など、先行きが見通しにくい中ではありますが、計画の目標を念頭に置きながら、安定的な財政運営が行えるよう、行財政改革の取組を徹底し、確固たる行財政基盤の構築に努めていきます。 続いて、スペースポートがもたらす本県への影響について御質問をいただきました。 2月26日、大分県は米国シエラ・スペース社、兼松株式会社と宇宙往還機
ドリーム・チェイサーの活用検討に向けたパートナーシップを締結しました。これはヴァージン・オービット社に続く二つ目の提携となります。 本県は宇宙港を通じ、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点となることで、日本を含むアジアの企業や人々に、地球を越えた新たなビジネスや暮らしの選択肢を提供するというビジョンを持って、この取組を進めています。 今回の提携は、まさにこのビジョンと宇宙港という基盤が、新たなビジネスを呼んだ結果であると言えます。 このようにビジョンを掲げることで、県経済の活性化につながる国内外の企業との連携が可能になると考えます。 先日のおおいたそらはくでも議論されましたが、お許しを得て夢のような将来の期待を述べさせていただくと、人工衛星などのものづくり施設や地球観測、解析の拠点が県内にできることで、県民生活が豊かになることが期待されます。 また、製造工程の一部が宇宙ステーションで行われることもあるかもしれません。そうすると、宇宙に近い大分に立地したいと材料開発やバイオ等の産業が県内で活躍する可能性があります。 また、そうなると大分が宇宙を巻き込んだサプライチェーンの一翼を担うことになるわけです。大きなサプライチェーンがこれからはできていくことになります。 また、既に挑戦を始めている県内企業も出てきています。衛星画像を用いた海上ごみの検出や、土砂崩れ箇所の特定手法の開発など、アジアに貢献可能な取組も始まっています。日本やアジアの人々になじみのある食べ物を宇宙食にする取組も進んでいます。加えて、地球を越えた新しいビジネスとして、宇宙人を歓迎する店舗が県内に100以上生まれています。県としても、宇宙企業とのマッチングや人材育成支援により、宇宙利用を進める皆さんの挑戦を後押しします。 ビジネスだけにとどまらず、教育分野の可能性も拡がります。本年度のSTEAM教育のプログラムでは、宇宙で着用できるスカートなどの研究が行われたほか、英国で宇宙港の取組を進めるコーンウォール州の学校と国東高校との国際交流も始まりました。 今後も県内のみならず、世界にまで目を向けて、ビジョンの共有を通じた価値創造、未来を担う人材育成を進めていきたいと思います。 物流の拠点化に向けた交通インフラの整備についても御質問をいただきました。 本県が競争力をもって発展していくためには、多くの人と物が本県を介して九州内外を行き来する状況をつくり出し、経済の活性化や雇用創出等につなげることが重要です。 このため、平成29年3月に策定した九州の東の玄関口としての拠点化戦略に基づき、港湾や道路のインフラ整備に加え、定期航路の誘致や海上輸送の利用促進などのポートセールスにも力を入れています。 こうした取組により、大分港では外国貿易のコンテナ数が年々増加するとともに、RORO船の取扱シャーシ台数も5年間で約3.7倍となるなど、定期航路がある各港湾の取扱貨物量が大変増加しています。 このような海上輸送の需要増加に対応するため、大分港では2隻同時に着岸できるRORO船ターミナルを整備するほか、増加するシャーシを自動管理する新たなシステムを導入し、物流分野の効率化を図るDXも進めています。 また、隣接するコンテナターミナルでは、ガントリークレーンが老朽化しているため、本年度から更新事業に着手しました。 次に、別府港では、12月に予定されている大阪航路フェリーの大型化に伴い、必要となるシャーシ置場の拡張等、埠頭の整備を進めています。 さらに、臼杵港では、フェリーの需要が多く、トラックが乗船できない便もあることから、今後予想される増便や大型化に対応するため、一つだけではなく、2バース目の岸壁整備にも着手したところです。 一方、九州内外の潜在的な海上輸送の需要を県内の港に呼び込むためには、港湾整備とあわせ、陸送時間の短縮や定時性向上により、集荷エリアを拡げる広域道路ネットワークの整備が不可欠です。 現在、東九州自動車道では、信頼性の高い物流網の構築に向け、県北、県南それぞれで4車線化が進められています。 実はこの4車線化は、全国から要望が出ており、限られた資金の争奪戦になっています。大分県としては皆さんのお力をいただきながら、ぜひ4車線化の予算を確保し、これをさらに進めていきたいと考えています。 さらに、中九州横断道路では、竹田阿蘇道路の進捗とともに、大分宮河内-犬飼間の早期事業化に向け、熊本県と連携し、国に強く要望しています。 海上輸送へのモーダルシフトの進展を見据え、港湾と道路網を両輪とする交通インフラの整備を戦略的に進め、九州の東の玄関口としての拠点化を実現していきます。 今後の防災対策です。 近年、気象現象の激化により、経験値を上回る災害が毎年のように各地で起きています。 本県では、これまで豪雨や台風、火山噴火、それに切迫度が増す南海トラフ地震など、様々な自然災害に備え、県民とともに地域の防災力向上に取り組んできました。しかし、最大の課題はやはり避難です。安全な時期に、安全なルートで、安全な場所に避難することが何よりも大事です。 そのため、まず一つは、日常からの心の備えが重要です。自宅周辺のリスクや避難場所までの経路の把握、誰と、いつ避難するかをあらかじめ決めておくマイタイムラインの普及を一層進めていきます。 二つは、近所の人や家族からの声かけなど、避難行動の後押しが重要です。私は大丈夫という正常性バイアスの払拭に取り組み、避難に対する意識と行動の変容を促します。 このため、人的被害を防いだ日田市天瀬町杉河内班での声かけ避難の事例などを参考に、地域の皆さんが誰一人取り残されることなく避難できる取組を進めていきます。 また、防災VRなど、コロナ禍でも有用なデジタル技術も積極的に取り入れていきます。 防災アプリの機能を拡充し、あらかじめ設定した水位情報などを避難スイッチとして通知できるようにします。 さらに、遠く離れたお子さんやお孫さんにも避難情報を知らせ、声かけしてもらうことで、早期避難を促していきます。 三つは、地域による要配慮者の避難支援の態勢づくりが重要です。過去3年の大規模災害では、高齢者が犠牲者の約7割を占めています。このため、避難のタイミングと手助けする人をあらかじめ決めておく要配慮者向けマイタイムラインと地区タイムラインの普及を図っていきます。 あわせて、避難所のバリアフリー化や福祉避難所の環境整備に対する新たな助成制度を設け、誰もが避難を躊躇しない避難所づくりを支援していきます。 今後も災害から尊い命を守るため、市町村や関係団体と連携し、早期避難が本県の防災文化となるよう取り組んでいきたいと思います。 次に、農業振興についても御心配をいただきました。 本県農業を成長産業へと押し上げるには、その原動力となる担い手の確保、育成は大変重要です。これまでも5年連続で過去最多となる新規就農や、累計300社を超える企業参入などに成果を上げてきました。 その結果、例えば、販売額が3千万円以上の大規模経営体が10年前と比べ、約10%も増加するなど、生産現場では構造改革の動きも出てきており、園芸品目を中心とした農業産出額の増加につながっています。 この流れを加速し、農業システム再生に向けた行動宣言を早期に実現するため、次の3点に重点を置いて取り組んでいます。 一つは、産地による若手人材育成の体制づくりです。産地自らが目指すべき目標を掲げ、しっかりと発信するとともに、若手農業者の技術習得から生活支援まで、責任を持って支えていく取組を強化し、産地の継続、発展につなげていきます。 二つは、時代の潮流を捉え、変革に果敢にチャレンジする企業家として、農業者自身がスキルアップしていくことが重要です。そのために必要となる経営戦略が先進的な生産技術、ネット販売といった多様な流通の仕組みなど、学び続けられる環境を整えます。 三つは、次の世代への経営資源の引継ぎです。園芸や畜産の施設などは、一旦廃止すると、生産を再開することが難しいことから、あらかじめそうした経営資源情報のデータベース化や簡易的な資産評価を行い、第三者への円滑なマッチングを進めます。 さらに、親子間での継承を促進するため、後継者が同業他社から技術や経営の実践的な研修を受けられるように支援します。なかなか親からは学びにくいので、同業他社の人や第三者から学ぶということです。 最近、県内各地で頑張っている農業青年の話をよく聞きます。親元就農後、親とは異なる品目で独立した方や、自ら販路を開拓し、それに合った商品を生産する方、そして雇用から独立自営の夢をかなえる方など、研さんを重ねるその姿を非常に頼もしく思っています。 今後もこうした若者を県内各地域に増やして、産地の活力向上につなげられるよう、本県農業の再生に向け、全力で取り組んでいます。 障がい者雇用率日本一に向けた取組についても御心配をいただきました。 昨年末公表された障がい者雇用率では、2年ぶりに率は上昇に転じたものの、全国順位は7位と横ばいでした。 県ではこれまで、雇用アドバイザーによる仕事の切り出しの助言や企業とのマッチング支援、定着アドバイザーによる就職後の職場定着に力を入れ、雇用の拡大を図ってきました。 今年度は、障がい者雇用の優良事例を紹介する情報誌の創刊や、障がい者団体と企業の経営者が参画する障がい者雇用支援合同会議を設置するなど、企業との連携を深め、障がい者の就労促進に努めてきたところです。 今回は、法定雇用率引上げ後、初の調査であり、対象企業数は増加しましたが、雇用率達成企業の割合が全国的に減少する中、本県はその割合を伸ばし、全国3位の伸び率となっています。これまでの取組が、県内企業へ着実に浸透してきたものと考えています。 しかし、議員御指摘のとおり、今回も知的、精神障がい者の雇用率は低迷したままです。かねてから課題解決に向け、新年度は知的、精神障がい者の雇用促進に重点を置いた新たな取組を考えています。 まず、知的、精神障がい者を年間5人以上新たに雇用しようとする企業への支援です。就労の場となる専用作業室の設置や、体調管理システムの導入など、多数雇用に伴う経費を助成し、企業の環境整備を後押しします。 次に、就労系福祉事業所に対する支援です。これらの事業所では、利用者の大半が知的、精神障がい者で占められており、企業へ送り出した事業所に対し、実績に応じた奨励金を支給することで、福祉的就労から一般就労への移行を促進します。 また、4月に開校予定のさくらの杜高等支援学校は、一般就労100%を目指し、職業教育を充実させた新設学校であり、今後の成果が大いに期待されます。 同じく昨年末公表された健康寿命では、本県男性は日本一を達成し、大変勇気づけられました。障がい者雇用においても、先進県としての矜持を持って、日本一の早期奪還を目指します。 次に、女性の活躍について御質問をいただきました。 昨年暮れの小学生プログラミングコンテストでは、大分県内の女子児童が見事日本一に輝きました。また、スポーツの世界でも、さきの冬季オリンピックで最多となる18個のメダル獲得に女性選手が大きく寄与し、勇気づけられました。 この勢いを大分県版地方創生の加速にもつなげるため、これまで以上に女性の活躍に力を入れていきたいと考えています。 そこで、女性の活躍の推進を柱の一つとして掲げた第5次おおいた男女共同参画プランに基づき、様々な取組を着実に進めます。中でも、働く場における女性の活躍は重要です。県では、経済界と連携し、女性が輝くおおいたアクションプランを策定し、三つの視点で取組を強化しています。 一つは、働きたい女性への支援です。自分に合った仕事や職種があるか分からないという方に向けて、合同企業説明会の開催や、インターンシップの導入により、再就職を支援するほか、女性の創業や起業、スタートアップを後押しします。 二つは、働いている女性への支援です。初めは働きたい女性、今度は働いている女性への支援です。女性の継続就労や、職域拡大、管理職登用に向け、障壁となっているのが家庭の仕事は女性がするものや、子育て中の女性に出張は無理といったアンコンシャス・バイアス、すなわち無意識の思い込みです。これまでの習慣や経験から、当たり前と思っていたことが、実は女性の活躍を阻む要因となっているおそれがあります。そのため、来年度は、職場におけるアンコンシャス・バイアスに気づき、その解消に向けての意見交換をするセミナー等を実施します。 三つは、仕事と家庭を両立できる環境づくりです。女性の活躍には、男性の家事参画や働き方改革も不可欠です。そのため、今年度は男性の家事力を向上させるセミナーを開催するとともに、夫婦やカップルで家事をシェアするための大分県版家事シェアブックを作成し、先月から市町村の婚姻届窓口での配布を始めたところです。また、男性の育休取得促進やテレワーク促進など、働き方改革の取組にも引き続き支援していきます。 このような取組をしっかりと進め、女性がさらに活躍できる男女共同参画社会の実現を目指していきます。 私からは以上です。その他の御質問については、担当部長からお答えします。
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御手洗吉生議長 和田総務部長。 〔和田総務部長登壇〕
◎和田雅晴総務部長 私からは、今後の財政収支見通しについて、知事答弁に補足的にお答えします。 お配りしている資料、今後の財政収支見通し試算を再度御覧ください。 右側に試算の前提条件を記載していますが、まず1の歳入についてです。 表の2段目、県税については、国が1月に公表した中長期の経済財政に関する試算における成長実現ケースの名目成長率を反映し、試算しています。 国においては、経済がコロナ前の水準に回復すると見込んでおり、本県でもさきの2月補正で県税が過去最高額となったところです。 その下の交付税・臨財債については、令和5年度以降の一般財源総額が引き続き同水準で確保されるという仮定のもとで試算しています。 その結果、左の表になりますが、県税は8年度には4年度と比較し、177億円増の1,475億円となる見込みです。 他方、交付税・臨財債は、財政需要の増加の一方で、税収の伸びにより減少し、8年度には1,854億円になるものと試算しています。 このほか、(2)国庫支出金や(3)県債は、投資的経費等に連動させて試算しており、国庫支出金は、コロナ対応の臨時交付金の減等により、8年度には338億円減の973億円と見込んでいます。 県債は、国土強靱化5か年加速化対策事業が現在のところ、令和7年度までとされていることから、一旦は増加するものの、8年度には530億円となる見込みです。 次に歳出です。(1)の義務的経費のうち、①人件費は職員の若返りによる新陳代謝等に伴う減が見込まれ、令和8年度には4年度と比較して48億円減の1,474億円と試算しています。 なお、段階的な定年の延長に伴い、退職手当は隔年で所要額が少ない年度が発生する見込みとなっています。 ②社会保障関係費は、団塊の世代の後期高齢者入りに伴い、4年度と比較し72億円増の954億円と見込んでいます。 また、③公債費は、県土強靱化関係の償還が始まることから、毎年度30億円程度増加し、令和8年度には882億円になるものと試算しています。 この結果、義務的経費全体では、8年度には4年度から約114億円増の3,310億円となる見込みです。 その下の(2)投資的経費は、①補助・直轄、②単独とも、令和4年度と同額を基本としつつ、5か年加速化対策事業については、今年度の予算額と同規模が7年度まで継続するものとして試算しています。 加えて大分空港の海上アクセス整備や特別支援学校再編など、個別事業の影響を反映させています。 なお、(3)その他の経費では、コロナ対応の医療機関の空床確保料等のコロナ関連事業を令和5年度から皆減させて試算しています。 二つ目の表の一番上には、各年度の歳入から歳出を差し引いた財源不足を補うための財政調整用基金取崩額を、一番下には基金残高を記載しています。今後、令和5年度末には330億円を確保できる見通しが立ったところです。 一方で、団塊の世代が75歳以上の高齢者になることによる社会保障関係費の伸びや、防災・減災、国土強靱化の推進等による公債費の増嵩などにより、基金の取崩額が増えていく見込みです。 また、一番下の表には、県債残高を記載しており、その一番上の臨財債等除きの実質的残高は、適正管理の目安である6,500億円以下で推移させることができる見込みとなっています。 今後とも、安定的な財政運営が行えるよう、より一層の歳入確保や節約等、常在行革の精神で不断の取組に努めていきます。
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御手洗吉生議長 森山会計管理者兼会計管理局長。 〔森山会計管理者兼会計管理局長登壇〕
◎森山成夫会計管理者兼会計管理局長 財務事務の業務効率化についてお答えします。 現行の財務会計システムは、予算管理や公金の収入、支出、決算データの出力など、県の予算執行に係る機能を備えており、ほぼ全ての職員が関わっています。 そのほかにも、財務に関連するシステムとして、予算編成、公会計、県有財産管理などがありますが、これらは随時、個別に開発、運用されてきており、システム相互の連携ができていない部分も多く、業務が非効率となる一因となっています。 このため、これらのシステムを統合するとともに、関連の深い人事給与、総務事務、税務等のシステムとデータ連携させる財務総合システムを開発中で、令和6年度予算編成業務からの稼働を目指しています。 この新しいシステムでは、毎月の公共料金等、定例的な支払いの自動化機能を加えるほか、収納のキャッシュレス化や証拠書類の削減、決裁の100%電子化などを行うこととしています。 あわせて、財務事務の適正化を確保しながら、業務フローや規則なども思い切って見直し、多様化する行政ニーズに職員が集中して取り組めるよう、効率化、省力化を図っていきます。
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御手洗吉生議長 牧
監査委員事務局長。 〔牧
監査委員事務局長登壇〕
◎牧敏弘
監査委員事務局長 私からは監査業務の効率的な実施についてお答えします。 この2年、
新型コロナ感染症の拡大状況や、監査対象機関の感染対策業務等を考慮し、所属ごとに実施時期を定めた年間計画を逐次見直しながら財務監査を実施した結果、全ての対象機関の監査を終えることができました。 具体的には、陽性者対応等で繁忙な保健所の監査時期を柔軟に調整したほか、飛沫防止シートの設置、短時間、最少人数対応など、感染防止対策を徹底し、実施しました。 また、県外事務所の監査をリモートにより行ったほか、一部の土木事務所等においては、電子化した財務書類の提出を求め、書面のみでの監査を試行的に取り入れました。 効率性の面では、今年度から事務局職員に貸与している個人用パソコンを監査場所に持ち込み、法令や規則、過去の監査事例等の検索をその場で行っています。 さらに、財務会計システムの収入や支出のデータを分析し、不自然な会計処理を事前に把握するなど、監査の精度と効率性を高めています。 今後ともICTの活用などを図り、災害等不測の状況下においても、行政の質の向上を下支えする監査に取り組みます。
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御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 〔島津土木建築部長登壇〕
◎島津惠造土木建築部長 私から通学路の安全対策についてお答えします。 今年度の通学路合同点検の結果、県全体で対策が必要な約900か所のうち、歩道の新設など、道路管理者が対策を実施する箇所は約6割、543か所で、このうち県管理分は202か所です。 県では、点検完了後、速やかに対策工事の計画を策定し、視認性を高める区画線の更新やガードレールの設置など、即効性の高い対策を県単独費で優先的に実施してきました。 加えて、八街市の事故を受け、国が措置した補正予算も活用しながら、歩道新設等の進捗を図っています。 その結果、2月末時点で県管理分の約9割に当たる177か所の工事に着手しており、このうち、82か所について対策を完了しました。 令和4年度には、速度規制や通学路の変更などのソフト対策と歩道設置などのハード対策を組み合わせ、総合的に安全対策を講じる際の国の補助制度も新設されることとなっています。 引き続き、国や市町村、県警や学校関係と緊密に連携し、新たな補助制度も積極的に活用しながら、スピード感を持って安全、安心な通学環境の確保に努めます。
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御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 〔佐藤農林水産部長登壇〕
◎佐藤章農林水産部長 日向灘地震による水産業関係の被害についてお答えします。 今回の地震では、佐伯市を中心に災害が発生し、10漁港などで係留施設や荷さばき施設での地盤沈下、ひび割れ、製氷貯氷施設の傾斜などの被害が確認されています。 まずは、係留施設などの日常的に使用する施設について、鉄板やアスファルトによる段差解消などの応急措置を講じています。 その上で県では、一日も早い復旧に向け、地震発生翌週の1月27日、28日に国に出向き要望活動を行いました。 これを受け、早速2月2日から3日にかけて国による事前調査が行われ、早期復旧に向けた助言をいただきました。 その結果、3月上旬に通常より前倒しして、災害査定が実施されることとなりました。 査定終了後は速やかに入札手続を進め、本年度内に復旧工事に着手します。 また、陸上養殖施設については、県独自の災害パッケージを活用し、施設の修繕を支援します。 今後も国や佐伯市などと連携し、水産関係施設の早期復旧に努めます。
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御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 〔山田福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文福祉保健部長 私からは医療的ケア児への支援についてお答えします。 県内の医療的ケア児は、約130人と把握しています。昨年7月にその保護者にアンケートを実施したところ、児童の病状に応じた福祉サービスの利用などについて、相談先も分からず不安があった等の声が多く寄せられました。 そこで、来年度早々にワンストップで相談を受ける医療的ケア児支援センターを新設し、入院時から在宅生活の不安や困りの相談に応じ、地域のコーディネーターと連携し、退院後も速やかに支援につなげる体制を整備したいと思います。 また、保育所や福祉サービス事業所等での医療的ケア児の受入れが進むよう、訪問指導や助言を行うこととしています。 アンケートでは、災害時に医療的ケアを継続できるか不安との声も寄せられました。特に、人工呼吸器等を使用している成人も含めた医療的ケア児者にとって、災害時等の停電は命に関わるため、早急に全ての対象者に非常用発電装置等が行き渡るよう、市町村と連携し、その購入費を助成します。 あわせて、福祉専門職に対する研修等を通じ、市町村の個別避難計画作成を後押しし、災害時の安全確保を図ります。
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御手洗吉生議長 法華津
人事委員会事務局長。 〔法華津
人事委員会事務局長登壇〕
◎法華津敏郎
人事委員会事務局長 総合土木職の確保についてお答えします。 公務員志望者が減少傾向にある中、次代の大分県を担う優秀な人材を継続的に確保するため、受験者拡大に取り組んでいます。 総合土木職については、令和2年度から民間志望者も受験しやすいように、上級職の基礎能力試験を民間企業で導入実績の多いSPI3に変更しました。 3年度は、試験を他県より1か月早めて5月に実施したほか、11月に2回目の試験を追加で実施しました。これにより、受験者は増えたものの、辞退率も上昇しました。 このため、4年度は上級試験をさらに早め、1回目を4月に、2回目も他県の1回目試験と同時期の6月に実施することとし、現在周知を図っています。 あわせて、高専の学生等が対象の中級試験も9月から6月に前倒して実施する予定です。 受験者拡大と辞退防止には情報発信も重要です。4年度の試験に向け、SNSはもとより、大学訪問やガイダンス等を通じて県職員の魅力を伝えています。 また、昨年12月に工事現場等を見学するバスツアーを実施しました。参加者からは、仕事のやりがいを実感できたとの評価を得ました。 今後とも、試験方法や情報発信の工夫、改善により、受験者の拡大を図り、総合土木職をはじめ、県職員の確保に努めます。
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御手洗吉生議長 稲垣
労働委員会事務局長。 〔稲垣
労働委員会事務局長登壇〕
◎稲垣守
労働委員会事務局長 労使紛争解決に向けた取組についてお答えします。 労働委員会では、コロナ禍で雇用環境が厳しくなり、労使紛争の増加が懸念されたため、労働組合や経営者団体、企業等を訪問し、状況の把握に努めるとともに、特別相談会を開催するなど、取組を強化しました。 多くの労働組合で、コロナ禍の厳しい環境を労使一体で乗り越えようとしており、本年度の労使紛争対応件数は5件と例年並みの件数で、内容はハラスメントや解雇、賃金等に関するものとなっています。 一方、労働者等からの相談件数は、令和4年1月末現在239件で、対前年度同期比約40%増となっており、産業別では医療、福祉分野が最多の23%を占め、内容別ではハラスメント、退職、賃金未払いの順で多くなっています。 議員御指摘のとおり、働き方改革やコロナ禍をきっかけにリモートワーク等、働き方がより多様化しています。 育児や介護など、労働者の個々の事情に応じて、働く時間や場所を決定する柔軟な働き方については、労使双方で話し合い、納得した上で導入していくことが重要と考えます。 こうした働き方の変革をしっかり捉えながら、引き続き労使紛争の早期解決と将来の健全な労使関係の構築に努めていきます。
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御手洗吉生議長 岡本教育長。 〔岡本教育長登壇〕
◎岡本天津男教育長 地方創生につながる社会全体の教育力の向上についてお答えします。 県では平成19年から、公民館を拠点として地域の皆さんにも教育活動に協力していただくネットワーク整備を推進してきました。この枠組みの下、学校と地域をつなぐコーディネーターを中心に、現在、述べ10万人を超える地域ボランティアが活動しています。 この地域ボランティアは、様々な体験活動や学習支援を行うほか、学校でも文化財や伝統産業などの郷土学習、本の読み聞かせなどにゲストティーチャーとして参加していただいています。 あわせて、県内の多くの小中学校で地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールの導入を進めてきましたが、どんな学校、どんな地域をつくりたいかというビジョンの共有が活動のさらなる充実につながると考えます。 そのため、コミュニティ・スクールの委員に豊富な活動実績を持つコーディネーターを加えるよう進めており、令和3年度は県内の小中学校の約50%に当たる192校で委員として活動しているところです。 また、日出総合高校の生徒が先生役となり、地元の農家や洋菓子店の協力を得て小学生にマーケティング活動を指導するなど、高校生を地域人材とする新たな取組も進めています。 このような事例を共有し、地域住民のつながりや生きがいを生み出すことで、地域の教育力向上を図り、地方創生につなげたいと思います。
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御手洗吉生議長 以上で三浦正臣君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の代表質問はこれまでとしたいと思います。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の代表質問を終わります。
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御手洗吉生議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。
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御手洗吉生議長 本日は、これをもって散会します。 午後0時24分 散会...