令和 3年 第3回定例会(9月) 令和3年第3回
大分県議会定例会会議録(第2号)令和3年9月14日(火曜日
) -------------------------------議事日程第2号 令和3年9月14日 午前10時開議第1 第102号議案 (議題、提出者の説明)第2
代表質問 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 第102号議案 (議題、提出者の説明)日程第2
代表質問 -------------------------------出席議員 42名 議長
御手洗吉生 副議長 三浦正臣 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美
後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次
古手川正治 嶋 幸一 元吉俊博 麻生栄作 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 高橋 肇 木田 昇 羽野武男
二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 末宗秀雄
小川克己欠席議員 1名 志村 学
-------------------------------出席した
県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 黒田秀郎 教育長
岡本天津男 代表監査委員 首藤博文 総務部長 和田雅晴
企画振興部長 大塚 浩 企業局長 浦辺裕二 病院局長 井上敏郎
警察本部長 松田哲也
福祉保健部長 山田雅文
生活環境部長 磯田 健
商工観光労働部長 高濱 航
農林水産部長 佐藤 章
土木建築部長 島津惠造
会計管理者兼
会計管理局長 森山成夫 防災局長 梶原文男 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 法華津敏郎 労働委員会事務局長 稲垣
守 ------------------------------- 午前10時 開議
○
御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第2号により行います。
-------------------------------
△日程第1 第102号議案(議題、提出者の説明)
○
御手洗吉生議長 日程第1、第102号議案を議題とします。
-------------------------------第102号議案 令和3年度大分県
一般会計補正予算(第10号)
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 提出者の説明を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま追加提案した第102
号議案令和3年度大分県
一般会計補正予算(第10号)について説明します。 本議案は、
新型コロナウイルス感染症対策に関するものですが、まずもって県民の皆様には対策に御理解、御協力をいただき、心より感謝申し上げます。また、
医療従事者や
病院スタッフの皆様には、昼夜を分かたぬ献身的な対応をいただいており、厚く御礼申し上げます。 おかげさまで県内は、明らかに改善の兆しが見えてきました。
新規感染者数は過去最多の215人を記録した8月21日を境に、安定的に減少傾向が続いています。
感染経路不明者も徐々に減少し、その割合は30%台まで低下しています。また、
ワクチン接種も今月下旬には、全県民の7割が少なくとも1回目の接種を終える見通しとなりました。 しかしながら、デルタ株の感染力は驚異的であり、予断を許しません。一時心配された
病床使用率は、40%を切るところまで下がってきましたが、依然、高い水準にあります。今回の感染拡大を抑え切るかどうか、今が大変大事なときであり、もうしばらくの警戒が必要です。 そのため県民の皆様には、
マスク着用や密の回避、小まめな換気といった基本的な
感染防止策に加え、不要不急の外出自粛など、これまでの行動抑制を今月26日まで継続していただくよう、お願いしています。 また先月20日からは、飲食店等に対し、営業時間の短縮を要請していますが、こちらも今月12日としていた要請期限を同26日まで、2週間延長させていただきました。今回の補正予算は、この延長に伴う
時短要請協力金の所要額を措置するものです。補正額は23億円であり、財源は
国庫支出金18億4,600万円、おおいた
元気創出基金繰入金4億5,400万円です。なお、今回延長した
時短要請等の影響を受ける、
酒類販売事業者や
交通事業者などに対しては、既に予算措置をしている県独自の
事業継続支援金で幅広く応援します。 県民の皆様には、長きにわたり御不便等をおかけしていますが、今しばらくの御協力を賜りながら、
病床使用率等の改善を確かなものとし、
ワクチン接種の加速とあわせ、一日も早い感染収束につなげていきます。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願いします。
○
御手洗吉生議長 以上で提出者の説明は終わりました。
-------------------------------
△日程第2 代表質問
○
御手洗吉生議長 日程第2、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。嶋幸一君。 〔
嶋議員登壇〕(拍手)
◆
嶋幸一議員 自民党の嶋幸一です。会派を代表して質問します。
コロナ禍への対応ということで、まず初めに県経済について質問をします。 今年は、1年延期になった
東京オリンピック・
パラリンピックが開催された記念すべき年です。7月23日から今月5日まで1か月半にわたる選手たちの激闘については、テレビなどのメディアを通じて、見ている私たちに多くの感動を伝えるすばらしい大会であったと思います。
大会そのものは成功であったと思いますが、残念なのは
コロナ禍であったがために、
オリンピック・
パラリンピック開催に期待していた
経済波及効果がそこまで大きくなかったことです。競技は多くの会場において無観客で実施され、選手との交流も制限されたため、中心であった首都圏においても限定的な効果しか見受けられていません。日本全国に波及する状況にはなかったということです。 先月16日に内閣府が発表した今年4月から6月の
GDP速報値は、年率換算で1.3%増であり、海外経済の拡大を背景に輸出が好調であるが、
コロナ禍により個人消費が伸び悩んだと分析されています。
日銀大分支店が昨日発表した大分県内の景気動向では、県内の経済状況を次のように分析しています。公共投資や企業活動のうち、特に
製造業関係の設備投資の動きについては、高めの水準で推移している。一方、個人消費については、持ち直しの動きが見られているものの、専門店等では戻りつつあった客足が減少しており、
コロナ禍の影響により
下押し圧力が強い状態にある。また、
個人向けサービスに関わる飲食や観光などの業態は、
コロナ禍の影響により、いまだに厳しい状況にあり、業態によって景況感が二極分化しつつあると分析されています。 下向きのマインドとなっている飲食、観光業に対して、おおいた味力食うぽん券や新しいおおいた旅割のような、直接的な支援は大変ありがたいものであり、感染の波の谷になる時期を見計らって、
GoToキャンペーンの再開と観光誘客の緊急対策をあわせて実施することは、今後の県経済の再活性化には必要な政策と思います。 一方で、本県の大きな強みの一つとして、これまで企業立地や産業振興で培われてきた多様で重厚な産業構造があります。
コロナ禍で指摘された日本国内における
サプライチェーンの
ミッシングリンク解消も念頭に置きながら、上向きのマインドを持つ
本県製造業の投資をより活発化させ、県内に幅広くビジネスチャンスを創出するといったダイナミックな政策も必要です。厚みのある産業構造を活性化させることにより、下向きのマインドとなっている飲食や観光業などの業態を牽引することも重要です。 先週9日に決定した26日までの営業時間短縮要請の期間延長については、第5波の波を再び隆起させることなく、鎮静化させるための重要な決定であったと思います。これまで、
まん延防止等重点措置を国に要請してきませんでしたが、仮に、今後、事態が急変し悪化する場合は、県独自の宣言を出すなどしっかりと県民に警鐘を鳴らすことも大事だと思います。
ワクチン接種の進展、治療薬の治験開始や
国内産ワクチンの開発などが
新型コロナウイルス感染症の収束に向けて期待されていますが、
コロナ禍後も見据えて県経済を立て直すために、これまで予算化した政策も含め効果的な対策を打ち出すべきであると考えます。知事の御見解を伺います。 次に、
医療提供体制について伺います。
オリンピック開催期間中に首都圏や大都市において、デルタ株を中心に
新型コロナウイルス感染症が再拡大しました。本県においても第5波が発生し、8月20日には200人を超え、連日多くの感染者が発生するなど厳しい状況が続き、2度目の営業時間短縮要請など対応に追われたところです。
医療従事者の皆さんをはじめ、関係者の方々の御尽力に敬意を表します。 国内での感染確認から今月で1年9か月となり、この間に幾度も感染の波が繰り返されています。現段階では、全世代に対して早期に
ワクチン接種を完了させ、多くの方々に免疫をつけてもらうことが重要です。県では、7月末までに65歳以上の高齢者の約8割の方の接種が終了したとのことでした。このため、高齢者の感染が格段に減少しています。全国的にもこうした傾向があり、いわゆる第5波については、高齢者層ではなく、現役世代や若年層を中心に感染が拡大したということです。 我々としては、
ワクチン接種が県民全体である程度終わるまでに、もう一度感染の波が来ると想定して生活することが大切です。デルタ株以外の変異種も発生していることから、気を緩めることなくしっかりと感染対策をすることが自己防衛であり、医療体制の安定化につながっていくということも、県民一人一人が理解し行動する必要があります。 一方、こうした状況が長引くにつれて、
医療従事者をはじめとする関係者の皆さんの疲労は蓄積し、医療体制が機能不全に陥るのではないかと懸念しています。そういう中、国は先月、新たな入院医療の方針を示しました。中等症以下の患者の中で、特に重症化のリスクの高い方に入院治療を重点化し、それ以外は自宅療養を基本とすることが国の基本的な考え方であると思います。ただし、この方針はそれぞれの地域の事情に応じて行うべきであり、一律にこの原則が適用されるものではないと考えます。本県においては、入院治療が必要であれば、確実に入院できる体制を取るべきです。それを実行するために、
重症者対応病床、
コロナ患者対応病床、
宿泊療養施設の拡充など
医療提供体制の確保は、極めて重要な課題であると思います。 今後の
医療提供体制の確保についてどうお考えなのか、知事の御見解を伺います。 次に、今後の県財政について2点質問します。
新型コロナウイルス感染症に係る
感染拡大防止やその後の社会経済の再生を図るための経済対策など、昨年、今年と近年にない県からの
財政的支援が必要な状況が続いています。 令和2年度の決算を見ると、
コロナ禍への対応と令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興に向けた事業の実施、さらに国の防災・減災、
国土強靱化のための対策に基づく事業の積極的な受入れにより、
歳入歳出ともに大幅に増加し、かつてない規模になりました。 その一方で、財政基盤に目を向けると、
財政調整用基金残高は平成27年度以降減少し続けており、令和2年度決算では299億円と
行財政改革推進計画の目標額である330億円を割り込んでいます。また、県債残高も1兆556億円とこの2年増加しています。
コロナ禍や災害といった危機対応として考えられる財源を全て活用した結果とは思います。ただし、
コロナ禍はいまだ収束しておらず、11月末までの希望者の
ワクチン接種の終了により、県民にある程度の免疫がつくまでは、予断を許さない状況が続きます。また、その後の経済再生に向けては、県の支援が必要となることは明らかです。これまで以上に難しい
財政運営が見込まれると考えます。 7月に国が策定した
経済財政運営と改革の基本方針2021によると、骨太方針2018で掲げた
財政健全化目標である令和7年度の国、地方を合わせた
プライマリーバランス黒字化と、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す目標を堅持することとし、令和4年から6年度までの3年間については、これまでと同様の
歳出改革努力を継続するとしています。また、地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な
財政運営に必要となる一般財源の総額について、2021年度
地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとしています。 つまり、国は
一般財源総額を令和3年度並みに抑えつつ、今後3年間の歳出改革を進め、令和7年度の
プライマリーバランス黒字化を達成しようとしており、経済再生と地方創生についてどこまで協力してもらえるのか不透明な状況です。県としては、来年以降の
財政運営にあたり、自主財源に頼らざるを得ない状況が生じるのではないかと危惧しています。 今後も、
地方財政措置のある有利な県債の発行や、特定財源の活用を十分に行い、万が一に備えた
財政調整用基金の余力を残していくことも必要です。その意味でしっかりとした
財政見通しと財源の確保が重要です。 今後の
財政運営に対する知事の考えを伺います。 もう一つ気になるのが県税収の動向です。
コロナ禍は依然として続いており、さきほども申したように、全国的にも外出自粛などの影響で個人消費は伸び悩んでいます。一方で、海外経済の拡大傾向に伴い輸出が好調に推移し、上向きの業績を示す業種も出てきています。 昨年度は、当初予算において
コロナ禍を見込んでいなかったため、3月補正予算において、県税収入が87億円減額となりました。一方で、今年度は
コロナ禍の影響を踏まえ、厳しく
税収見込みを立てて予算編成を行っていると思います。景況感が二極分化する中にあって、今年の税収をどう見込むかは非常に難しいと推察しています。 しかしながら、これから令和4年度予算の編成に向けて、本格的な事業構築が始まっていくと思います。歳入の根幹となる税収の見込みは、歳出予算の枠組みに直接影響することになると考えます。 今年度のこれまでの税収の状況を踏まえ、今後の見通しをどのようにお考えなのか、総務部長の御見解を伺います。 次に、
広域道路交通計画について質問します。 平成28年4月に
東九州自動車道の北九州市と宮崎市の間が全線開通してから5年が経過しました。その間、沿線の企業立地や物流の活性化など様々な効果が確認されており、平成31年4月から
宇佐-院内間と
大分宮河内-津久見間の4
車線化事業が着手され、本県の南北間をつなぐ基幹道路としての役割強化が期待されています。 一方で、この縦軸の要となる
東九州自動車道に接続する道路のうち、全線供用されているのが
九州横断道路大分自動車道以外なく、
中九州横断道路、
中津日田道路はいまだ整備途上の状況です。まずは南北、東西の高規格道路の
ミッシングリンクを解消し、人流、物流の活性化や災害時の
リダンダンシーの確保を図るとともに、沿線住民の医療や買い物などの生活利便に資する
広域道路ネットワークを形成する必要があります。また、重要港湾や空港、鉄道駅との結節も重要です。これらの交通機関の拠点とのアクセスを改善することも道路行政の重要な役割であり、交通網としての効果が最大限見込まれる道路を整備していくことが県民にも望まれています。 県では今年6月に大分県新
広域道路交通ビジョンを作成し、一定規模の都市を核とした
ブロック都市圏同士を
道路ネットワークで接続することや都市圏内での交通の確保、
空港等交通拠点への
アクセス強化、
リダンダンシーの確保と国土の有効活用といった新たな
広域道路交通ネットワークの強化の方向性を提示されました。また、このビジョンに基づく大分県新
広域道路交通計画では、今後20年から30年の中長期的な視点での広域的な
道路ネットワークの形成やICT等の革新的な技術を活用した
交通マネジメントの強化について、対応策を立案されています。 この計画の中で注目すべきは構想路線です。計画では高規格道路や
一般広域道路の要件に合致する可能性があるものの、現時点で事業化に向けた環境が整っていない路線を構想路線と定義しています。具体的には、
宇佐国見道路、
豊後伊予連絡道路や大分港
大分宮河内インターチェンジ連絡道路などが上げられており、実現すれば、現在取り組んでいる各路線をさらに補完する
広域道路ネットワークの構築が期待できるものです。現在の
ミッシングリンクの解消もさることながら、ぜひこの構想路線の具現化についても進めていただきたいと考えます。 今回の
広域道路交通ビジョンの策定の考え方と、今後の
広域交通ネットワークの整備の方向性について、知事の考えを伺います。 次に、通学路の安全対策について伺います。 県民生活に寄り添った生活道を整備することも道路行政の重要な役割です。 今年6月に千葉県八街市において下校中の小学生の集団に、飲酒により
居眠り運転状態であったトラックが突っ込み、5人の児童が死傷し、うち2人の尊い命が犠牲となる事故がありました。被害者、御家族の方々に心より哀悼の意を表するとともに、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。 そもそも、飲酒してトラックを運転すること自体が許されることではありません。そのこと自体も問題ですが、事故現場の状況を見てみると、トラックなどの抜け道として使われている状態にあったにもかかわらず、通学路として歩道や
ガードレールがない状況でした。通学路を指定する際の問題もあるかと思いますが、学校に行くのにその道しかない場合もあります。その意味で、交通量や道路の使用状態を勘案し、通学路として使われている箇所には歩道や
ガードレールを整備する必要があると思います。 今回の事故を受け、政府は、全国1万9千校の
公立小学校の通学路を対象に、危険な箇所だけでなく、見通しのよい道路や、抜け道となっていて車の速度が上がりやすい箇所なども含め、今月末までをめどに点検を行う方針を示しました。本県でも通学路において八街市のような状況があるのではないかと危惧しています。しっかりと状況を把握し、整備を推進していただきたいと思います。 県として今回の事故を受け、通学路の安全確保に向けてどのような整備を検討しているのか、
土木建築部長に伺います。 次に、災害関連について伺います。 先月の前線による1週間近い長雨により、県内でも人的被害こそなかったものの、日田市、玖珠町、中津市、由布市、日出町と広範囲にわたり建物被害が相次ぎ、道路の寸断や護岸の浸食など多くの被害が発生しました。この場を借りて、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げ、現地の一日も早い復興に尽力していきます。 先月の災害では、大規模な土砂災害はありませんでしたが、小規模なものは複数確認されています。また、7月には、別府市の姉妹都市である熱海市
伊豆山地区において大規模な土石流が発生し、建物131棟が流され20人以上の方がお亡くなりになるという大変大きな被害が発生しました。報道等でも黒い濁流が山を下り、人家を飲み込んでいく衝撃的な映像が放送され、災害のすさまじさが画面越しにも伝わってくるものがありました。 その後、この土石流の引き金となったものが、土石流の最上流部分にあった盛土の崩壊が原因ではないかとの報道がなされました。静岡県、熱海市ともこの盛土の造成に対して、何回も行政指導を行った
いわくつきの箇所であり、また、
伊豆山地区は
土砂災害警戒区域に指定されていました。県内、私たちの周辺にも住家付近に熱海市のような危険箇所がないのか、不安に感じる県民は少なくありません。 知事は7月6日の記者会見で、
土砂災害警戒区域等上流部の盛土箇所の調査実施をいち早く表明され、9月1日に調査結果を公表しています。調査対象410か所のうち盛土でなかった15か所を除く395か所で異常がなかったとのことで、ひとまず安心することができました。 一方で、県は
土砂災害警戒区域や
土砂災害特別警戒区域を指定しています。先月の前線による豪雨のように、
線状降水帯の通り道になっている北部九州では、危険箇所がいつ崩れるか分かりません。盛土についてもひとまずは安全を確保できても今後の状況の変化によっては、やはり対処する必要が出てくるかもしれません。こうした区域に対してどのような対策を検討しているのか、
土木建築部長の御見解を伺います。 他方、
ハード整備や民間との調整はどうしても時間がかかるため、いつ起こるか分からない災害に間に合わない可能性もあります。そこで、県民の生命を守るため、ソフト面での対応が必要であると考えます。市町村と連携し、避難誘導の方法や警戒態勢について協議する必要があると考えます。今回の調査を受け、どのような防災態勢を構築していくお考えなのか、防災局長に伺います。 次に、
公社等外郭団体について、2点質問します。 まず1点目は、
赤字団体等への指導についてです。 毎年第3回定例会において、
地方自治法第243条の3に基づき、
県出資割合が25%以上の
公社等外郭団体について、毎事業年度の経営状況を議会に報告していただいています。そのうち、今年度の報告に上がった二つの地方公社と二つの
地方独立行政法人を含む23団体のうち5法人が赤字を計上していました。 今年度の赤字計上が
コロナ禍により突発的に生じたようなものであれば仕方のない面もありますが、恒常的に赤字を計上している団体については、その経営状況を分析し、人員配置や報酬、事業の見直しを指示するべきと考えます。
外郭団体の運営は、県の
行財政運営全般に影響を及ぼすものであることは言うまでもありません。広瀬県政始まって以来、絶えず
行財政改革を行い不断の見直しを実践し、外郭団体に対しても随分と統廃合を進めたと思いますが、近年赤字を何年も計上している団体については、必要性を今一度見直すことが大事だと思います。 また、出資割合の都合で議会報告の対象となっていない
外郭団体については、こうした赤字団体はないのか。団体の必要性を今一度精査し、赤字の原因を詳細に分析することが大切です。公益上残す必要がある団体については、自主財源の確保に向けた取組を県がしっかりと指導監督をする必要があると思います。 県として、
公社等外郭団体への指導をどのように行っているのか、総務部長に伺います。 次に、
外郭団体であるツーリズムおおいたにおける使途不明金の発生についてです。 去る6月17日に、県観光を先導する役割を担っている公益社団法人ツーリズムおおいたにおいて、令和2年度決算作業中に使途不明金が発覚したとの記者会見がありました。
コロナ禍において、大きな損失を被っている県観光を牽引していく役割を担っているツーリズムおおいたで、このような状況が生じているのは大変残念でなりません。 県は、ツーリズムおおいたに対し、出資はしていませんが、毎年、観光関連の多くの事業を委託し、また、職員を派遣して同法人の業務に従事させるなど密接な関係があります。 また、大分県
公社等外郭団体に関する指導指針には、県の指導監督を受けるべき
外郭団体の定義として、県の補助金、交付金等の額または委託料の額が、継続的に団体の財政規模の50%以上である団体と書かれており、同法人はこれに該当すると考えます。所管する観光局としてはしっかりと指導監督していくべきであると思います。これまでの同法人に対する指導監督の状況を含め、使途不明金に関する調査の状況と今後の対応について、観光局長の御見解を伺います。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○
御手洗吉生議長 ただいまの嶋幸一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 嶋幸一議員には、自由民主党を代表して、
県政諸般の重要課題について御質問をいただきました。まず、私から答弁します。 初めに、
コロナ禍への対応についてです。県経済について御質問がありました。 新型コロナウイルス感染拡大第5波については、ようやく収束の明かりが見えようとしています。ここが大事なところです。しっかりと感染防止対策に取り組んでいきます。 県が夏前に行った直近の500社企業訪問の結果によると、飲食・宿泊業や卸・小売業の景況感は、昨年に引き続き大幅に悪化しています。また、飲食業と関係の深い食品加工業も厳しい状況です。 これまで、
コロナ禍に苦しむ多くの事業者に対して、無利子・無担保融資や応援金、
事業継続支援金等により、その事業と雇用の継続を支援してきました。特に打撃の大きい飲食店に対しては、味力食うぽん券や
時短要請協力金等による支援を行ってきました。宿泊業者には旅行代金の割引支援のほか、新たな需要に対応する施設改修の助成を行っています。 今後は、このような苦しい経営を下支えする支援のみならず、製造業など、大分の厚みのある基幹産業の投資を活性化させ、それにより消費行動を回復させていくといった視点での対応も重要となってきます。 県内では、EC販売に活路を見出し冷凍設備の増設を行う食品加工企業や、医療分野への進出に伴い新工場を計画するものづくり企業など、
コロナ禍による社会変化を踏まえた投資の動きが始まっています。こうした動きを、国の事業再構築補助金など、様々な支援策を活用して、引き続き後押ししていくことにしています。 企業誘致は、昨年後半から既に回復基調にあり、
サプライチェーンの国内回帰の動きに合わせた県内投資も発生し始めています。今後は半導体や蓄電池などカーボンニュートラルを見据えた大型投資が活発化することも予想されます。そうした案件の誘致に向けては、大型用地の確保といった課題もあるため、民間活用なども含めて、よりスピーディーな用地の整備手法を検討していきます。 さらに、新たな成長モデルへの転換も進めていきます。先端技術への挑戦ではドローンの性能評価機器を開発する企業や、ロボットの量産化に対応する企業も現れています。大分空港のスペースポート化も含め、先端技術を活用した新しい産業の創出につなげることができるように一層力を入れていきます。 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が社会全体に求められています。県内企業とIT企業が共創できる仕組みづくりを進め、既存産業のビジネスモデルを変革することにより、ITや人への投資も広げていきます。 こうして足下の事業者支援に加え、基幹産業の発展や構造転換、新産業の創出などに取り組んで、社会経済の再活性化を図っていきます。 次に、
新型コロナウイルス感染症に係る
医療提供体制の確保について御心配をいただきました。 デルタ株への置き換わりが進んで、全国的に感染が急拡大する中、本県でも、8月21日には過去最多となる215人の新規陽性者が確認されるなど、感染が急増しました。
病床使用率も一時は60%に達して、実は私としても状況を大変心配したところです。 感染者の急増地域において、国は、特に重症化リスクの高い方を除き、中等症以下の患者は自宅療養を基本とする方針を示しています。しかしながら、本県としては、入院、若しくは宿泊療養の原則を守っていくという強い思いで、入院病床や
宿泊療養施設の追加確保を急いだところです。 この結果、入院病床については、第4波の際に71床を追加して438床まで拡大していましたが、医療機関にもう一段の御協力をいただいて、さらに22床を加え460床が確保できています。
宿泊療養施設についても、第4波時の3棟444室から、大分市に3棟、中津市と日田市に各1棟を急ぎ増設し、計8棟1,019室まで拡大しています。 また、療養中に症状が悪化した方などが入院を待つ間、酸素吸入等が行えるように、施設の一つを医師や看護師が常駐する臨時の医療施設として、入院と宿泊療養の効果的、効率的な運用体制を一層強化したところです。 加えて、重症化を防ぐ効果の高い抗体カクテル療法の積極的な活用に取り組み、入院病床の回転率向上にも努めています。 国に対して、使用薬剤の安定供給を要請し、必要量を確保した上で、軽症の患者のうち基礎疾患がある方などを対象として、これまでに300人以上の方に投与されています。 この治療にあたっている医療機関によると、早めに投与した場合の改善効果は非常に高いものがあるということです。このため、現在32の医療機関で実施可能ですが、対応医療機関のさらなる拡大に努めるとともに、必要に応じて、先般設置した臨時の医療施設でも実施したいと考えています。 今回の波は第4波に比べはるかに大きく、感染者が減少に転じた現時点でも、
病床使用率は40%程度と依然高い水準にあります。 しかしながら、入院日数は
ワクチン接種と抗体カクテル療法により確実に短くなっており、また、宿泊療養との機動的な運用を行うことにより、治療の必要な方が円滑に入院できる体制は維持できています。 今後とも、
感染拡大防止と入院病床等の確保を通じて、
コロナ禍にあっても、県民の皆様が安心して生活できるように、
医療提供体制の維持、強化に努めていきます。 次に、今後の
財政運営について御質問をいただきました。
新型コロナウイルス感染症という未曽有の災禍の中、昨年来、感染防止対策の徹底と県民の生活、雇用の維持、再活性化に全力で取り組んでいます。今後も状況に応じ、躊躇なく財政出動を行って、必要な対策を迅速に講じていかなければならないと思います。 一方、
コロナ禍にあっても、激甚化する自然災害への備えや大分県版地方創生の取組は、着実に前進させていかなければなりません。 こうしたあまたの政策の実行と安定的な
財政運営との両立は、なかなか難しいものがありますが、刻々と変化する世の中の動きに的確に対応し、この試練を乗り越えていくことが、県政を預かる者の使命だと考えています。 そこで、今後の
財政運営にあたっては、将来を見据えた持続可能な財政基盤の確立に向け、歳入歳出の両面から次の取組を進めていきます。 まず、歳入の確保、充実です。喫緊の課題に対しては、コロナ臨時交付金や
国土強靱化5か年加速化対策など、国の財政措置を積極的に受け入れるほか、交付税措置の有利な県債を最大限活用し、財源を確保していきます。 また、中長期的には、企業誘致や新産業創出等による経済成長を促すことで、県税収入の増加を図るなど、自主財源を充実させていくことも重要です。 そのような中、地方交付税のよりどころとなる
一般財源総額について、さきの骨太の方針において、令和6年度まで今年度の水準を実質的に確保する方針が示されました。今後も高齢化に伴う社会保障関係費の増加が見込まれることから、増加する財政需要を的確に反映した、安定的な
財政運営に必要な
一般財源総額の確保、充実を国に強く求めていきます。 歳出面では、選択と集中、それに節約の徹底が大事です。予算編成過程では、予算特別枠の設定やスクラップ・アンド・ビルドの徹底による重点化を図っていきます。予算執行段階においても、行革の精神を常に持ちながら業務効率化に取り組んでいます。 このような歳入歳出の両面にわたる取組を着実に進めることにより、
財政調整用基金残高を、
行財政改革推進計画の目標である令和6年度末までに、330億円に回復させていきます。 また、臨時財政対策債等を除く実質的な県債残高についても、次の世代への責任として必要なことは行いつつ、目標である標準財政規模の約2倍にあたる6,500億円以下を堅持できるように、引き続き適正管理に努めます。 今後もたゆまぬ努力を重ねて、安心・活力・発展の大分県づくりを下支えする確固たる行財政基盤を構築していきます。 次に、道路行政について、
広域道路交通計画について御質問をいただきました。 県土の骨格となる
広域道路ネットワークは、平成6年に策定した大分県広域道路整備基本計画に基づき、その整備を進めてきました。 計画策定当時を振り返ると、県内の高速道路は湯布院-大分間と院内-速見間の僅か2区間が開通している程度で、まだネットワークと呼べるものではありませんでした。 その後、四半世紀にわたる重点的な取組の結果、平成17年には大分自動車道の全線4車線化、平成27年には
東九州自動車道の県内区間全線開通など、着実に成果が現れてきたところです。 さらに今年は、
広域道路ネットワークの整備が大きく進展する年となりました。
東九州自動車道の4車線化では、新たに大分宮河内-臼杵間が採択され、既に着工した区間とあわせて3区間で事業が進められています。
中津日田道路では、耶馬渓道路の開通とともに、耶馬渓山国道路が新規事業化されたことにより、路線の全体像が見えてきました。
中九州横断道路においても、県内唯一の未事業化区間である大分-犬飼間について、計画段階評価に着手したところです。 このような中、自然災害の激甚化、頻発化や、ポストコロナ社会における都市への集中から地方への分散など、時代は大きな変革期を迎えており、その潮流を踏まえ、広域道路の計画を見直す必要が生じています。 そこで本年6月、広域道路交通に関する今後のビジョンを定め、中長期的な
道路ネットワークの形成を図るため大分県新
広域道路交通計画を策定しました。 新計画では、高規格幹線道路とこれを補完する地域高規格道路をあわせて高規格道路と位置づけることにしました。 高規格道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送の確保や
ミッシングリンクの早期解消に向けて、戦略的、一体的に整備を進めていきます。 また、国道10号をはじめとする幹線道路は
一般広域道路と位置づけ、高規格道路被災時の
リダンダンシー確保や渋滞対策など、優先度を考慮しながら、現道の課題解消を図っていきます。 議員御指摘の構想路線は、将来において、重要な役割を担う可能性がありますが、その具現化には、必要性や効果、周辺環境への影響など多くの課題があることから、長期的な視点で検討を重ねていきます。 今後も、産業や文化交流の動脈として、大分県版地方創生の礎となる
広域道路ネットワークの整備に全力で取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 和田総務部長。 〔和田総務部長登壇〕
◎和田雅晴総務部長 私からは、2点お答えします。 まず、県税収の見込みについてです。 令和3年度当初予算の県税収入については、国の
地方財政計画や新型コロナの影響等を勘案して、前年度当初比10.7%減の1,143億円を見込んだところです。 地方税収の動向と強く関連する国税収入の状況を見ると、令和2年度税収が過去最高となっています。これは、企業業績の改善等により法人税収が堅調に伸びたほか、消費税率引上げの効果等で消費税も増収になったことなどによるものです。 こうした国税収入の増加要因の一部は、地方税では翌年度に反映されるため、これまでの徴収状況を見ると、本県税収の約5割を占める法人二税や地方消費税は前年度を上回っており、当初の
税収見込みから上振れることも期待できるのではないかと考えています。 しかしながら、年度後半については、新型コロナの第5波による景気の下押しリスクも懸念され、年度を通じた税収確保についてはまだまだ予断を許さないと考えています。 今後とも、景気動向や毎月の税収の推移等を注視しながら、県税収入を適切に確保するとともに、令和4年度予算編成においても、的確な
税収見込みに努めていきます。 次に、
公社等外郭団体への指導についてお答えします。
外郭団体の経営状況は、県の行
財政運営にも影響を及ぼすため、大分県
公社等外郭団体に関する指導指針に基づき、各団体の統廃合の検討や事業運営の見直しに関する指導等を不断に行っています。 今回、議会報告の対象になった団体のうち、5団体が赤字を計上していますが、その要因については所有建築物の減価償却費の計上や
新型コロナウイルス感染症の影響による収入減等がその要因となっています。 また、報告対象外が22団体あり、このうち赤字を計上している団体が8団体あります。この8団体のうち、100万円以上の赤字となったものが5団体ありますが、いずれも
新型コロナウイルス感染症の影響により収入の大幅減等が生じたことによるものです。 各団体への指導監督については、毎年度、団体に対して、経営状況に係るヒアリングを実施した上で、財政基盤の強化、業務運営の効率化、適正化や黒字化に向けた方策等について、指導助言を行っています。 今回赤字を計上した団体の多くは、新型コロナの影響という特殊要因によるものですが、今後とも、構造的な課題がないかも含めて各団体の経営状況や財政基盤の強化等について、しっかりと指導監督していきます。
○
御手洗吉生議長 島津
土木建築部長。 〔島津
土木建築部長登壇〕
◎島津惠造
土木建築部長 私から、2点についてお答えします。 まず、通学路の安全対策についてです。 平成24年に京都府亀岡市で登校中の児童など10人が死傷した交通事故を受け、本県では学校関係者と警察、道路管理者による通学路の合同点検を毎年行っています。 この点検結果を踏まえ、道路管理者として、歩道や防護柵、注意看板の設置などを順次進めており、昨年度までに県管理道路で539か所、率にして74%の対策が完了しました。 このような中、6月に千葉県八街市で悲惨な交通事故が発生しました。 今年は合同点検を1か月前倒しし、8月末までに対策が必要な箇所を抽出したところです。今後は詳細な対応方針を検討した上で順次対策を講じていきます。 加えて、過去の点検により今年度以降工事を計画していた箇所について、再度点検を行い、19か所を前倒しして実施することとしました。 さらに、完成までに時間を要する歩道新設等の箇所については、早期の安全性向上を図るため、路肩部の歩行者空間をカラー舗装で明示する暫定対策を11か所で実施します。 今後とも、安全・安心な通学環境を確保するため、関係機関と連携を密にして、知恵を絞りながらスピード感を持って対策に努めていきます。 次に、土砂災害への対応についてお答えします。 熱海市での土石流災害を受け、本県では人家が5戸以上ある
土砂災害警戒区域等を対象に、その上流部の盛土について緊急調査しました。 その結果、陥没や亀裂、排水施設の破損などは認められなかったところです。 一方で、自然斜面の土砂災害は毎年のように発生しており、土石流の対策が必要な2,224か所について、危険度や優先度を考慮しながら、砂防堰堤等を順次整備しています。 対策が完了していない箇所については、国の5か年加速化対策予算を積極的に活用し、今年度から約50か所の新規事業化を進めており、整備を加速していきます。 また、こうした施設の新設とともに既存施設の機能維持・向上も大切です。 このため、老朽化した石積堰堤をコンクリートで補強する工事や、堰堤に堆積した土砂の撤去等を実施しています。 今後とも、土砂災害への備えとなる砂防堰堤等の整備を推進し、適切な維持管理を行うことにより、県民の安心・安全の確保に取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 梶原防災局長。 〔梶原防災局長登壇〕
◎梶原文男防災局長 私からは、土砂災害危険箇所周辺の防災態勢についてお答えします。 本県は中山間地域が多く、これまでも積極的に土砂災害の防災態勢を強化してきました。 まず、市町村や関係機関との相互連携の推進です。例年、出水期を前に合同で危険箇所を点検し、被害防止対策等について具体的に協議を行い、警戒態勢を確認しています。 また、土砂災害警戒情報など気象情報に基づき、市町村と災害発生の切迫度や警戒感を共有し、避難情報の早期発令を徹底しています。 次に、地域の避難態勢の確立に向けた訓練の支援や防災教育の推進です。 ハザードマップで危険箇所を把握し、避難スイッチを決めておくマイ・タイムラインを通じ、安全な時期、ルート、場所を確認することで早期避難の習慣化を進めています。 また、市町村やNPO、防災士会等と連携し、地域や高齢者施設の避難訓練を支援しています。 加えて、災害を疑似体験できる防災VRや啓発動画をSNS等で配信し、個人の防災意識の醸成を図っています。 引き続き市町村や関係機関、防災士会等と連携し、防災態勢の強化に取り組み、人的被害ゼロを目指していきます。
○
御手洗吉生議長 秋月観光局長。 〔秋月観光局長登壇〕
◎秋月久美観光局長 私からは、ツーリズムおおいたにおける使途不明金の発生についてお答えします。 県では、事件判明後、直ちにツーリズムおおいたに対して、原因究明と再発防止に向けた措置を講じ、随時報告するよう求めました。その後も必要な都度、指導を行っています。 ツーリズムおおいたでは、7月8日から問題発生に至った経緯の解明と再発防止に向け、外部調査委員会を立ち上げました。 委員会の調査はまだ継続中と聞いていますが、その過程で明らかになった会計処理上の問題点は、随時ツーリズムおおいたに伝えられており、銀行印の管理方法や押印手続の見直し、支出状況の確認厳格化は直ちに実施されました。 さらに、チェック機能の強化を目的に、外部監事としての公認会計士の選任に向けた手続や、会計処理に関する規程の改正等が進められており、県も事前に協議を受け、必要な助言、指導を行っています。 また、ツーリズムおおいたでは、並行して刑事手続による問題解明を進めるため、大分中央警察署に告訴を行ったと聞いています。 ツーリズムおおいたは本県観光振興の中心を担ってきています。本事案により本県観光の信頼が損なわれることがないよう、外部調査委員会の調査、提言も踏まえ、指導監督を行っていきます。
○
御手洗吉生議長 以上で嶋幸一君の質問及び答弁は終わりました。馬場林君。 〔馬場議員登壇〕(拍手)
◆馬場林議員 こんにちは。県民クラブの馬場林です。県民クラブを代表して質問しますので、よろしくお願いします。 まず冒頭、
新型コロナウイルス感染症の第5波の中で、昼夜を問わずに治療に取り組んでいただいている医療関係者の皆様、そして、宿泊療養や検査などに取り組まれている保健所や検査機関の皆様に心から感謝します。 2020年1月16日に、日本で初めて新型コロナウイルスの感染が確認され、大分県においても3月3日に感染が確認されてから1年半以上が過ぎました。1年半前には今のような状況になるとは予想もできませんでしたが、8月27日には、緊急事態宣言は21都道府県に拡大され、
まん延防止等重点措置は12県に適用されており、全都道府県の7割に及ぶ事態となっています。 また、そうした措置が取られているにもかかわらず、国内における新規感染者は増加の一途をたどり、8月31日現在では、感染者は149万640人、死者は1万6,070人にまでになっており、出口の見えない制御不能の感染爆発の状況になっていました。現在は、全国的にも感染者数は減少の傾向になってきています。 一方、本県では、6月28日に感染状況がステージ1に引き下げられ、一旦、好転したかと思われましたが、8月3日にはステージ2に、その2週間後の8月17日にはステージ3に引き上げられました。8月31日現在では、累計陽性者数は6,987件、累計死亡者数は68人となっています。また、新聞報道によると、入院や
宿泊療養施設への入所を待つ、いわゆる待機者は500人から600人台で推移し、調整に3日以上かかるケースもあるとのことでした。現在は、感染者数や待機者数とも減少が続いて、今が正念場のときになっています。 首都圏では、入院できない自宅療養者の症状が急激に悪化し、死亡するケースや救急搬送しても受入先が見つからないなどのケースが相次いでいます。本県でそうした事態が起こらないよう
医療提供体制を強化する必要があると考えますので、県はしっかり取り組んでいただきたいと思います。 それでは、質問に入ります。 まず、
ワクチン接種の現状と今後の見通しについてです。
新型コロナウイルス感染症を収束させていくためには、
医療提供体制を整えることはもちろんですが、やはり一日も早く希望者への
ワクチン接種を進めていくことが肝腎です。 感染者の年齢構成を見ると、65歳以上の
ワクチン接種が進んでいない第4波までの状況は、60歳以上の割合が高かったのに比べ、現在では若年層の感染割合が増加しています。変異株への効力など不明な点もありますが、
新型コロナウイルス感染症予防に
ワクチン接種が一定の効果を持つのは間違いないと考えます。 県内では、8月24日現在で、65歳以上の高齢者の
ワクチン接種率は1回目90.4%、2回目87.9%となっており、希望する高齢者への接種はおおむね完了したとのことで、8月以降は、各市町村において64歳以下の人の接種が進められています。 また、9月1日からは、県庁新館14階展望ホールに、住所地を問わず、全年代の方を対象とした県営接種センターを設置し、
ワクチン接種が実施されています。若年層への接種を促進し、希望する方への一日も早い
ワクチン接種を完了するためのとてもよい取組であると思います。 一方で、副作用が怖い、行きたいけれどかかりつけ医の予約が取れないといった声も聞いています。早期の
ワクチン接種のために県が主導し、市町村に対して全世代で希望者がワクチンを打ってよいことなどをしっかりと周知し、早期接種を促進する体制をさらに充実させてはいかがでしょうか。現在の
ワクチン接種の状況と今後の接種の見通しについて知事の御見解を伺います。 次に、ワクチン供給の情報についてお尋ねします。 ところで、我が会派で県南豊肥地区の市の新型コロナ対策の調査を7月に行ったところ、いつどれだけのワクチンが届くのかという情報が伝わらない、早めに情報が欲しいという切実な声を伺いました。現在は改善しているのかもしれませんが、市町村にどのようにワクチン供給関係の情報を提供していくのか、また、11月末までに希望する方への
ワクチン接種を完了するために、県としてワクチン量をどのように調整していくのか、お尋ねします。 次に、児童生徒に対する
新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。 現在、従来株から置き換わりが急速に進んでいるデルタ株は、感染力が格段に強く、感染スピードも速く、若年層を中心に感染が増加していると言われており、その対策が求められます。家庭内感染が増加する中、特に児童生徒への感染を防止する必要があると考えます。 夏休み期間中の8月17日から20日までの4日間で小、中、高校生の感染者は80人になっていますが、夏休みが終わり、県内の小、中、高等学校で2学期が始まった現在では、子どもたちへの感染の危険性は増加していると考えます。そこで、児童生徒への感染の予防対策をどのように徹底していくのか、教育長に見解を伺います。 また、各学校内で新型コロナウイルス陽性者が判明した場合、大分市などでは休校への取扱いについて基準を設けたと報道されていますが、県としてどのような対策を講じていくのか、あわて伺います。 次に、生活困窮者向けの支援についてお尋ねします。
新型コロナウイルス感染症が発生してから1年半が過ぎ、社会経済に厳しい影響が出ています。そうした中、7月終わり頃から8月にかけて感染者が急激に増加したことを受け、県は、8月20日に県内全域の飲食店等に9月12日までの営業時間短縮を要請し、さらに今月9日には、これを26日までに延長しました。要請に応じた飲食店等に協力金が支給され、外出自粛や営業時間短縮の要請の影響を受けながらも、国の支援金や県の協力金の対象とならない事業者には支援金が支給されます。 国、県、市町村は、生活困窮者をはじめ、事業者に種々の支援を実施してきました。これまで行われてきた生活福祉資金や雇用調整助成金、緊急事態措置、または、
まん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金など、様々な貸付金、支援金制度がありますが、まずは生活福祉資金の受給の現状を聞きます。また、
コロナ禍の収束が見通せない中において、県は新たな支援策を考えておられるのか、あわせてお尋ねします。 また、企業、事業者向けの支援についても、雇用調整助成金と営業時間短縮要請に伴う協力金の支給状況と今後、新たな支援策を考えておられるのかについて伺います。 二つ目に、県政運営についてお尋ねします。 まず、ウィズコロナにおける県政運営についてお尋ねします。 2015年度から2024年度までの10年間を計画期間とする大分県長期総合計画安心・活力・発展プラン2015が計画期間の折り返しにあたり、昨年6月に改訂されました。 改訂版では、従来の常識をはるかに超えた速度で変化している社会経済情勢を踏まえ、長期的な視点に立って将来の大分県の礎となるような政策、施策を見直しています。そして、大分県の未来を切り開いていくために、大分県版地方創生の加速前進、先端技術への挑戦、強靱な県土づくりを柱に、関係施策を着実に進めていこうとしています。 また、知事は計画改訂にあたり、
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行にも柔軟に対応していかなければならないとの思いも語られています。 しかしながら、改訂当時は1年あまりで新型コロナウイルスがここまで社会経済に大きな影響を与えることになることは考えられなかったと思います。今議会に報告のあった県長期総合計画の実施状況には、目標指標の進捗状況をして、達成不十分もしくは著しく不十分と区分された指標が29と昨年より15指標増加し、総合評価においてはC、Dに評価となった施策が13と昨年より12施策増加しています。
コロナ禍に阻まれて思うように事業が実施できず、大変悔しい結果であったと推察します。 計画の最終年の2024年度末まであと3年半、県政運営は日々、大変難しい局面を迎えていると思われます。県民とともに築く安心・活力・発展の大分県を目指すとき、しばらくはウィズコロナの社会を想定し、県政の発展を展望していく必要があると思います。 知事は、これからどのように
コロナ禍を乗り越え、県政のかじを取っていくよう考えているのか、見解を伺います。 次に、ツーリズム戦略についてお尋ねします。 大分県観光統計調査によると、2020年の県内宿泊客数については、
新型コロナウイルス感染症の拡大及びその対策による移動制限等に伴い、年間で対前年比43.7%の減となっています。特に、外国人宿泊客については、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う入国規制が影響し、88.6%減少しています。また、2021年7月の県内の宿泊客数は、昨年よりは増加しているものの、
コロナ禍前の一昨年と比較すると、やはり37.8%減少しています。 このような大変な状況の中、日本一のおんせん県おおいたツーリズム戦略は、来年度改訂の時期を迎えます。 観光は、
経済波及効果が大きく、幅広く消費と雇用を生み出す重要な産業であり、元気で魅力あふれる大分県づくりを進めていくためには、落ち込んだ観光需要をいかにして立て直し、観光産業を振興していくかが重要であると考えます。ここは観光局だけではなく知恵を絞り、ウィズコロナの社会にあって新しい方向性を示した観光戦略を全庁を挙げて検討してみてはどうでしょうか。県は、どのような日本一のおんせん県おおいたツーリズム戦略を改訂していくのか、基本的な考えをお聞きします。 次に、地球温暖化対策についてお尋ねします。 8月11日から前線の停滞で西日本を中心に梅雨末期のような大雨が続きました。気象庁も記者会見で今までに経験したことのない大雨になっていると説明しました。50年に1度の記録的な大雨という表現もよく聞きますが、2012年九州北部豪雨、2017年九州北部豪雨、台風18号による豪雨、2018年西日本豪雨、2020年7月豪雨、そして、今年8月豪雨など、50年に1度ではなく、今まで経験したことのない豪雨が毎年日本のどこかで起こっているように感じます。 なぜこのような豪雨が日本で起こるのか、様々な原因は考えられますが、地球の温暖化も大きな原因の一つではないかと思います。 8月9日に公表されたIPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書では、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がないと断言し、地球温暖化の進行で極端な高温や大雨が増えるとしています。 今年6月以降を限って見ても、カナダ、アメリカ西海岸の熱波、ドイツ、中国河南省での洪水、ギリシャ、トルコでの山火事、そして、日本の豪雨災害など、世界で気候変動による災害が起きています。 気候変動問題は、国際社会が一体となって直ちに取り組むべき重要な課題であり、我が国においても、昨年10月に、政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと表明し、さらに、今年4月には2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減するという新たな目標を発表しました。これは、日本政府がパリ協定後に国連に提出した削減目標2013年度比26%減から大幅に引き上げたものです。 2030年度に2013年度比26%減を達成するには、家庭部門における約4割の削減が必要と高い目標でありましたが、46%減という新たな目標を達成するためには、さらに厳しい取組が必要になると思います。 本県においては、今年3月に、今後5年間を計画期間とする第5期大分県地球温暖化対策実行計画が策定されました。計画では、2030年度の二酸化炭素の削減目標を、2013年度比で、家庭部門で39%、業務部門で40%、運輸部門で28%、それぞれ削減するよう設定しており、温室効果ガスの排出削減対策の推進、エコエネルギーの導入・利用促進、森林吸収源対策の推進という三つの重点戦略を立てて、省資源、省エネルギー行動の普及促進、エコエネルギーの導入・利用支援、森林の適正な管理・保全などに取り組むこととしています。 これらの目標や目標達成の取組について、国の2030年度の削減目標が46%に引き上げられたことから、今後見直しが行われるものと思いますが、非常に高い削減目標が設定されることになるものと考えます。 そこで、地球温暖化対策推進法の改正や2050年までの脱炭素社会の実現に向け、大分県では、今後どのように対応を進めていく考えであるのか、お尋ねします。 次に、大規模盛土の災害防止対策について伺います。 2020年7月6日から記録的な豪雨により、日田市、由布市、九重町、玖珠町を中心として河川の氾濫や土砂崩れなどが発生し、6人の方の尊い命が奪われ、また、住家、道路河川、農林水産業、観光業などに甚大な被害を受けました。 県では、復旧、復興に向けて災害対策会議を立ち上げ、被災市町との被災状況や復興、復旧に向けた課題、要望などを聞いた上で、特に甚大な被害を受けた4市町別の大分県復旧・復興推進計画を策定し、同計画に基づいて計画的に復旧・復興に取り組まれていることと思います。 そうした中、先月には台風第9号や停滞する前線の影響による大雨で新たな被害も発生しました。被災市町の住民の方々は、不安な気持ちを抱えながら、一日も早い復旧、復興を待ち望んでいることと思います。県職員の皆様、そして、各市町村の皆様とも一丸となって取り組まれていると承知していますが、スピード感を持って復旧、復興を進めていただきますようお願いします。 一方、県外に目を向けると、今年7月に静岡県熱海市で大規模土石流が発生し、多くの人や家屋、車などを巻き込む災害で、8月22日現在24人の方が亡くなられ、なお、3人の方が行方不明になっています。新聞記事によると、この土石流災害で、静岡県は違法な盛土が災害の原因との見解を打ち出したとのことです。静岡県では、土地の掘削や埋土、盛土をする行為を規制し、土砂の崩壊や流出等による災害を防止することなどを目的とした静岡県土採取等規制条例が制定されています。 また、国土交通省は、2001年からの15年間に、全国で14件の崩落事案が発生したことを確認していますが、この14件の中には、土砂による埋立て等を規制する条例が制定されていた県、市で発生した事案もありました。 熱海市での大規模土石流の発生を受けて、本県においても、
土砂災害警戒区域及び山地災害危険地区のうち、人家が5戸以上ある箇所の上流部を対象に調査を進められた結果、395か所で最大10万平方メートルの盛土があったが、異常は見つからなかったとの調査結果が発表されました。 本県においても、2006年に大分県土砂等のたい積行為の規制に関する条例が制定されています。この条例は、埋立て等の基準、不適正な埋立て等の禁止、3千平方メートル以上の区域において、その区域外から採取された土砂等のたい積を行う特定事業に対する許可制などを規定しています。 そこで、今回調査をした395か所のうち、この条例の規制対象となる3千平方メートル以上の盛土がされた箇所は何か所あるのか、また、危険はないとのことですが、規制対象とならない3千平方メートル未満の盛土箇所も含めて崩壊等の防止措置は取られていたのか、さらに、熱海市で問題になったように盛土を形成する埋立土砂の中に産業廃棄物等が交ざっていないかの検査をしているのか、以上お伺いします。 次に、農業分野への企業参入についてお尋ねします。 農業非常事態宣言が出されている中、この危機的な状況を打開するのに期待が持てる農業分野への企業参入について質問します。 2007年に県が取組を始めた農業分野への企業参入は、今年で15年目を迎えています。 参入効果としては、地域農業の活性化、栽培先端技術の導入、省力化、遊休農地の活用、雇用の増進、農業産出額の向上等が期待できます。 建設業からの異業種参入など、2020年度までに317社が参入し、2019年度の参入企業全体の産出額は約149億円に上っており、県農業産出額1,195億円の底上げに十分寄与しています。雇用面でも2021年3月末現在の従業者数は、常時雇用801人、パート雇用862人の合計1,663人となっており、毎年かなりの新規就業者が参入企業へ雇用されている実態があります。また、最近の参入実績を見ると、県が目標としている年20社を上回っており、今後も企業参入に対する期待は大きいものがあります。 一方で、これまで撤退した企業が46社、休止した企業が33社と、全体の25%を占めています。農業の企業参入に取り組んでいる県としては、この数字は無視できるものではありません。生産面、雇用面で考えれば、企業参入は大分県農業にとってなくてはならないものとなっています。本県農業従事者が高齢化し、担い手が減少する中で、安定した収入が見込め、若い方が長期にわたり従事することのできる農業の形とするためには、やはり企業参入を鋭意進めていくことが重要です。そのためには、撤退の理由等をしっかり検討し、措置を講ずる必要があると考えます。これまで参入してきた企業の主な撤退理由をどのように分析しているのか、また今後、企業参入をより促進するため、撤退理由の分析を踏まえ、どのような取組をされているのか、お尋ねします。 最後に教育について、夜間中学校について質問します。 公立の夜間学級、いわゆる夜間中学校は、戦後の混乱期に学べなかった人のために昭和20年代に設けられました。2010年の国勢調査によると、義務教育の未就学者数は全国で12万8千人、大分県で998人となる中、最近では、不登校や家庭の事情で義務教育を受けられなかった人や外国籍の人など、様々なバックグラウンドを持つ方の学びを保障するセーフティーネットとして、その役割への期待が高まっていると感じます。 2016年12月に公布された、いわゆる教育機会確保法においては、全都道府県、市町村に対し、夜間中学校等の設置を含む就学機会の提供、その他必要な措置を講ずることが義務づけられました。 2021年1月には、衆議院予算委員会において菅内閣総理大臣から、今後5年間で全ての都道府県、指定都市に夜間中学校が少なくとも一つ設置されることを目指し取り組んでいきたいという趣旨の答弁もなされ、本年2月に文部科学省が一層の取組推進に向けた通知を発出しています。 私は2018年の一般質問で、夜間中学校の設置について見解を伺ったところ、当時の教育長から、需要把握のため、アンケートを取ったが、極めて限られた方からしかアンケートが取れない状況になっており、全国と情報交換をしながらいろいろ研究している段階だという答弁がありました。 また、本年の第2回定例会での公明党の吉村議員の質問に対し、教育長は、他県の動向等も注視しつつ、引き続き市町村と協議しながら検討していくと答弁されました。新聞の報道によると、福岡市が夜間中学校の設置方針を固め、9月定例会に提出予定の
一般会計補正予算案に関連経費を盛り込むとのことですし、ほかにも大牟田市や長崎県でも具体的な検討が進められているそうです。 こうした九州内の自治体の動向を踏まえ、改めて、公立の夜間中学校の設置についての考えを伺います。 県立高等学校入学者の定員割れについてお尋ねします。 本年度の全日制県立高等学校の入学者は、例年を大きく上回る定員割れが生じています。定員割れの総数は430人で23校に及びます。その23校の中には、2007年度に進学指導重点校に指定された普通科高校8校中、5校が含まれています。 そのような中、大分市内の全日制県立高等学校で欠員が生じたのは2校のみでした。また、一次入試の志願者数を見ると、大分市内の全日制県立高校は募集人員に対し、700人以上多い志願状況でした。 高校入試は2008年度から現在の普通科全県一区制に移行しています。大分県の入試改革に関わられた元教育委員の方も、大分市内の高校への一極集中、地域の学校の定員割れがこんなに進むと思ってもいませんでしたと述べられています。 また、2007年第4回県議会定例会で、内田議員からの全県的な地域間格差や学校間格差が広がり、周辺部から中心部への流入により、地元の学校に行けない、行かない生徒が増えるという指摘がそのまま現実のものになっています。 教育委員会議事録を読むと、本年度の定員割れの総括として、地域の高校魅力化・特色化推進事業等による各学校の努力だけでは入学者を増やすことはできないので、地域社会で教育について議論をしていく必要を確認し、今後どのようにしていくのか考えていくと締めくくっています。 そこで、本年度の定員割れに対しどのような認識を持たれているのか、また、今後どのように対応していくのか、具体的な展望をお聞かせください。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○
御手洗吉生議長 ただいまの馬場林君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 馬場林議員から市民クラブを代表して種々御質問をいただきました。 まず、私から答弁します。 初めに、
ワクチン接種の現状と今後の見通しについて御心配いただきました。 県民の命と生活を守り県経済の再活性化を図るには、希望する県民に対して一日も早く
ワクチン接種を行うことが大変重要です。 県内では、7月末までに高齢者への接種を終え、現在、全ての市町村において12歳以上の全年代を対象として接種が進んでいます。 また、6月中旬からは、企業や大学での職域接種も順次開始され、県内28団体30会場で約6万5千人の接種を見込んでいます。 これに加え、県では7月から昭和電工武道スポーツセンターにおいて保育士などへの優先接種を行い、今月からは医師会等の協力により、県民誰もが利用できる県営
ワクチン接種センターを県庁内に開設しました。 このセンターでは、現役世代の利便性を考慮して、夜間・休日に接種を行うとともに、妊娠中の方やその御家族に対しては優先接種ができる体制を整えています。 8月下旬から予約を開始したところ、大変好評なため、第1クールに2,500人分を追加して1万人に拡大しました。昨日までに約5千人の接種を終えたところです。また、その後、第2クールも7割を超える予約をいただいています。昨日から大分市も接種枠を拡大し、全県で接種が加速していますが、さらに、必要があれば躊躇なく接種体制の拡充を図ります。 こうした取組により、本県では既に県民の半数が2回の
ワクチン接種を終え、順調に推移していますが、今後の課題は、議員御指摘のように若い世代の接種率の向上です。 ワクチンを2回接種すれば発症するリスクは10分の1以下になり、重症化予防の効果も合わせ、副反応等のデメリットを上回るとされています。また、コロナに感染した場合には、回復後も強い倦怠感や思考力の低下、味覚障害や脱毛など、様々な後遺症が残る事例が報告されています。 このような事実を若い世代にしっかりと伝えるため、新聞、テレビ、ラジオを通じた広報に加え、SNSによる啓発動画の配信や大規模商業施設での館内放送など、あらゆる機会を捉え情報発進に力を入れています。 今後、10月上旬までに県民の8割以上の方が2回接種できるワクチンが国から供給される見通しであり、14市町村では10月中の接種完了が見込まれています。 県としても、希望する全ての県民への
ワクチン接種をさらに加速し、11月末までの接種完了目標をできるだけ前倒しできるように市町村と連携して全力で取り組んでいきます。 次に、ウィズコロナにおける県政運営について御質問をいただきました。 新型コロナの世界的流行は、国民生活や社会経済活動に大きな影響を与えています。こうした時代の転換期に際しては、次の3点を念頭に本県の未来を切り開いていきます。 第一は、感染症対策の徹底と社会経済の再活性化です。県内でもデルタ株への置き換わりによって、先月、感染が急拡大しました。県民の命と健康を守るため、不要不急の外出自粛要請や飲食店への時短要請など、あらゆる対策を迅速かつ弾力的に実行してきたところです。引き続き、
医療提供体制の維持、強化を図りつつ、希望する全ての方への
ワクチン接種の完了に向けて急ぎ取組を進めます。 また、忘れてはならないのが、社会経済の再活性化です。生活支援については、緊急小口資金の特例貸付、生活困窮者自立支援金の給付などを継続します。事業者支援については、県制度資金や県独自の
事業継続支援金など、広範多岐にわたる支援を迅速、着実に実施します。加えて、新分野への進出や事業転換など、積極的に投資を行う事業者をしっかり後押していきます。 第二は、人口や資源の地方への移転です。コロナを契機として、大都市への集中リスクが改めて浮き彫りになり、地方への移住の関心が高まっています。昨年度の県外からの移住者は1,287人と過去最高であり、今年度も前年を上回るペースで推移しています。この流れを加速させるため、リモートワーク、ワーケーションなどの新しい働き方に対応した環境整備やITスキルなどの習得を通じた移住促進、新たな工業用地確保の準備などを進めていきます。 第三は、先端技術への挑戦など、ポストコロナに向けた産業構造の構築です。
コロナ禍で加速するデジタル化の流れと相まって、先端技術の発達は著しく、世の中の在りようまで変える勢いです。こうした動きを捉え、あらゆる分野で新産業を創出、育成します。あわせて、来る宇宙時代に備え、アジア初の水平型宇宙港の開発やホーバークラフトの導入によるドリームポートの実現など、将来に期待を持てる成長基盤を創っていきます。 また、本県基幹産業の一翼を担う観光業や飲食業などは、非常に厳しい状況に直面していますが、
コロナ禍が落ち着けばいよいよ反転攻勢です。アウトドア需要の高まりなど、新しい旅のかたちづくりにも取り組み、全力で観光関連産業の復活を図ります。 折しも、国では
ワクチン接種後の行動制限緩和が議論されるなど、ポストコロナに向けた動きが見えつつあります。今後とも、一刻も早いコロナの収束を目指すとともに、こうした大分県版地方創生の加速により、県民が夢と希望にあふれる大分県づくり進めていきます。 次に、地球温暖化対策について御質問をいただきました。 本年6月に改正された地球温暖化対策推進法では、2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念として位置づけられました。 ネイティブアメリカンのナバホ族の言い伝えでは、この自然は我々の子孫から借りているものなのだそうです。私どもは、この環境を温暖化から守り、天然自然の恵みを子孫にリレーしていかなければなりません。 脱炭素社会の実現に向けては、国、地方脱炭素実現会議が策定したロードマップや、今後、改定される国の地球温暖化対策計画を注視しながら、本県としての取組を戦略的に進めていく必要があります。 そこで、当面は次の三つの観点から進めます。 一つは、温室効果ガスの排出削減です。一人一人のライフスタイルの転換を促す取組として九州7県連携による環境アプリ、エコふぁみの普及や
コロナ禍でネット通販の需要が高まる中、急増する宅配物を不在時でも受け取れる宅配バッグの実証実験等を実施しています。 また、資源の循環を進め、CO2の排出を減らすため、県内6市で行っているプラスチックごみの分別回収や焼却灰のセメント原料化などを今後、県内全市町村に広げていきます。 二つは、水素社会への挑戦です。 本県は、水素の生産にかなり優位な状況にあります。例えば、九重町には地熱発電があり、ここで得られた電気を活用して水素を作るという先進的な実証実験が行われています。 また、大分コンビナートでは、石油精製や製鉄の過程で副産物として水素が発生しています。その量は日本全体のコンビナートから発生する水素の約10%に相当するとも言われています。これをうまく精製、活用することで、大分は水素生産の拠点となる可能性を秘めています。 このような本県の有利な条件を生かして、水素社会の形成に全力で取り組んでいきます。 三つは、森林によるCO2の吸収源対策です。成長の早いエリートツリーやコウヨウザンなどの早生樹の導入、資源が充実し大径化した人工林の利活用を推進し、森林の若返りを進めます。また、電力会社や製造業など、企業等の森林づくり活動への支援に取り組みます。 2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする挑戦は大変厳しい道のりですが、環境と経済、社会のバランスを保ちながら本県の優位性を生かして、むしろこれを新たなチャンスと捉えて積極果敢に挑戦していきます。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。 〔山田
福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文
福祉保健部長 私からは2点お答えします。 まず1点目は、ワクチン供給の情報についてです。 議員御指摘のとおり、7月は市町村の接種ペースに対して全国的にワクチン供給が追いつかず、県としても市町村と同じ思いで全国知事会等を通じて極力早期の配分提示を国に対して強く求めてきました。 その結果、先ほど知事からも申しましたが、10月上旬までに県民の8割以上が2回接種できるワクチン量が確保できる見込みです。 県は、これまでも国から示された配分枠を基に、各市町村の接種計画や未接種ワクチン量を丁寧に聞き取った上で、2週間単位の各クールの配分量をきめ細かく調整してきました。 現時点で10月上旬までの6週間の配分量を市町村ごとに既に示しており、これにより多くの市町村では接種を早め、10月中の完了を見込んでいます。 引き続き、市町村との情報共有を密にしながら希望する全ての県民にワクチンが行き渡るようしっかりと取り組んでいきます。 次に、生活困窮者向けの支援についてお答えします。 最大200万円の生活福祉資金の特例貸付は、昨年3月から本年8月末までの間、2万4,131件、133億9,042万1千円を決定したところです。 職種別では、飲食業、タクシー業、建設業の3業種で全体の47.3%を占め、年代別では40代以下の若い世代が56.1%に上っています。 また、特例貸付が限度額に達しても、なお生活が困窮している世帯には、7月から最大30万円を給付できる自立支援金が新設されたところです。既に8月末までに638世帯に対し4,472万円を支給しています。 このほか、市町村社協等に設置された自立相談支援機関において、一般就労に向けた就労体験や訓練、家賃支援など、個々の実情に応じた支援策を講じています。 なお、特例貸付と自立支援金の申請期限が11月末まで3か月間延長されたことから、新たな支援策は当面考えていませんが、まずはこれらの生活困窮者支援策の周知に努め、活用を促していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。 〔岡本教育長登壇〕
◎
岡本天津男教育長 3点お答えをします。 まず、児童生徒に対する
新型コロナウイルス感染症対策についてです。 国が示す衛生管理マニュアルに基づき、児童生徒のみならず、同居家族にも風邪症状がある場合は登校を回避するなどの基本的な感染防止対策の十分な周知や、部活動での県内外の学校との交流などを制限しています。 また、クラス等で陽性者が確認された際、濃厚接触者から外れるとしてPCR検査の対象外となった場合や、県外から帰県した生徒などには抗原検査キットを活用し、感染の蔓延を防いでいます。 さらに、通学時の感染リスクを減らすため、密集が想定される区間でJRを利用する高校生を対象に登校時のバス輸送を実施しています。 陽性者が確認された場合は、保健所の見解を踏まえ、臨時休業の必要性やその範囲について判断しています。 また、先月末には保健所業務が逼迫している際においても学校現場で速やかに対応できるよう、学校が濃厚接触者等の候補者リストを作成することや、臨時休業の考え方を盛り込んだガイドラインを示しました。 新学期を迎え、児童生徒の学びを保障するため、感染防止対策を徹底していきたいと考えています。 次に、夜間中学校についてお答えします。 平成29年度に夜間中学検討会議を設け、その必要性や設置方法などについて、市町村教育委員会関係者などと検討を行ってきました。 あわせて、夜間中学のニーズ把握のため、これまで複数回、県内在住者にアンケートを行いました。しかしながら、入学対象と思われる方はごく少数にとどまっています。 既に夜間中学を設置している自治体においては、生徒の8割程度が外国籍であることから、今年度、外国籍の方を中心とした実態把握を進めているところです。 先月以降、国際交流団体等の協力の下、会員にアンケートを送ってもらい、入学の意向の有無などを回答するようお願いしています。 こうした調査で、入学対象者の実情をより正確に把握するとともに、他県の動向等も注視しつつ、引き続き市町村と協議しながら検討を重ねていきたいと考えています。 最後に、県立高等学校入学者の定員割れについてお答えします。 大分市内の普通科高校への市外からの志願者数は直近3年平均で9.5%となっています。全県一区導入前の区域外入学枠10%を上回っていない状況です。 入学定員は、中学卒業予定者数や、その進路希望などを参考に設定しています。地域での学びを保障するため、学級定員を35人、あるいは30人までとするなど、現行学級数を維持し、教育環境の整備に尽力しているところです。 地元の高校の理解を深め、その魅力を生徒に伝える取組として、昨年度から中学校教員を対象に進路ガイダンスを実施しています。 宇佐高校では、情報科学高校が企業と連携した最先端の取組を参考に、外部人材を入れての課題解決学習に取り組んでおり、参加者からは宇佐高校では既にプログラミングをやっているのかとの声もありました。 佐伯豊南高校では、介護福祉士国家資格の受験資格が得られ、高い合格率となっていますが、参加者からは知らなかったという声もあり、一層のPRに取り組みたいと考えています。 本年度、地域協働によるコンソーシアム構築も推進し、地域の子どもは地域で育てるを念頭に地域、高校一体での学校づくりに取り組んでいます。引き続き、地域ニーズに応え、地域に必要とされる学校づくりを進めます。
○
御手洗吉生議長 高濱
商工観光労働部長。 〔高濱
商工観光労働部長登壇〕
◎高濱航
商工観光労働部長 企業、事業者向けの支援についてお答えします。 雇用調整助成金は、昨年4月の特例措置創設以来、9月10日現在、県内3,275事業所が利用し、291億3千万円が支給決定されています。この数字の評価ですが、全国と比較すると件数、金額ともに若干低く抑えられており、県内の雇用環境は全国と比較すると一定程度維持されていることがうかがわれます。 営業時間短縮要請に伴う協力金は、9月13日現在、5月分は5,245件、6月分は5,159件であり、合計45億8千万円が給付済みです。申請受付後、通常13日から15日で支給できており、迅速に対応しています。 今後の支援策については、まずは8月、9月分の時短協力金の迅速な支給を進めていきます。 加えて、時短協力金の対象とならない厳しい状況にある事業者を支援する
事業継続支援金についても8月、9月分を支給します。 さらに、本県では最低賃金が30円増と大幅に引き上げられることとなったが、コロナで厳しい状況にある事業者が設備投資等生産性向上に取り組む場合、国の助成金に加え、県として奨励金を支給することとし、補正予算案として提案しています。 引き続き、経済停滞の長期化で厳しい環境に置かれている事業者の実情をしっかりと把握し、国の追加支援の動向等も踏まえながら、さらなる対策を検討していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 秋月観光局長。 〔秋月観光局長登壇〕
◎秋月久美観光局長 私からは、ツーリズム戦略についてお答えします。 ツーリズム戦略は、旅館、ホテルや観光施設、交通などの観光関係事業者や観光地域づくりのリーダーなどで構成するツーリズム戦略推進会議において現在見直しを進めているところです。 推進会議では、国内外の観光事情に精通する専門家から直接意見を聞き、観光業の現状やインバウンドを含む今後の観光需要の見通しを分析し、課題の抽出を行いました。それを踏まえ、戦略の終期となる3年後の本県観光のあるべき姿を旅行者、観光事業者、地域住民、観光資源のそれぞれの視点からイメージし、その実現に向けた取組を検討中です。 例えば、旅行者は大分の多様な魅力を堪能するために繰り返し訪れ、体験と交流を楽しんでいる、また、観光事業者は高付加価値化などで安定的に収益を確保し、観光産業が県経済を牽引する確固たる存在となるといった姿です。そのためには、インバウンドの完全復活に向けた攻めの誘客や国内観光の再認識と活性化、多様な旅行ニーズを捉えた受入環境の整備、DXや先端技術の活用などが重要と考えます。 今後も、庁内はもとより市町村や観光協会などからも幅広く意見を伺い、新たなステージへと挑戦する戦略の策定に注力していきます。
○
御手洗吉生議長 磯田
生活環境部長。 〔磯田
生活環境部長登壇〕
◎磯田健
生活環境部長 大規模盛土の災害防止対策についてお答えします。 本県では、区域外からの有害物質を含んだ土砂の搬入を防ぎ、盛土の崩落等を防止するために、大分県土砂等のたい積行為の規制に関する条例を制定しています。 また、産業廃棄物については、廃棄物処理法に基づき排出者に適正処理が義務づけられており、盛土の中に混入することは違法となります。 今回、
土砂災害警戒区域等の上流部の盛土について調査した395か所のうち、土砂条例の許可対象に該当するものは3か所です。いずれも法の勾配、排水施設等について申請書どおりの盛土形状となっており、崩落等の発生のおそれはありませんでした。 また、3千平方メートル未満の盛土についても、陥没、亀裂、法崩れ等の有無について点検を行い、崩落等の防止措置について指導が必要なものはありませんでした。 産業廃棄物の有無については、市町村、保健所に苦情がないか聞き取るとともに、現地においても目視による点検を行い、廃棄物は確認されていません。 今後も、条例に基づき崩落等の防止措置など、適切な指導を行い、住民が安心して生活できるようにしっかりと対応していきます。
○
御手洗吉生議長 佐藤
農林水産部長。 〔佐藤
農林水産部長登壇〕
◎佐藤章
農林水産部長 最後に、私から農業分野への企業参入についてお答えします。 農業への企業参入は、産出額アップはもとより、雇用の場の確保や農地の有効活用など、地域への大きな波及効果があります。 平成19年度から317社が参入し、令和元年度の産出額は149億円と順調に増加しています。1億円を達成した企業も25社と着実に伸びてきています。 県としても、振興局を中心としたプロジェクトチームにより、早期の経営安定に向けたフォローアップに努めています。 しかしながら、やむを得ず撤退した企業もあります。その主な要因は親会社の経営悪化による方針の転換や販売先の縮小、労働力の不足等でありますが、施設や農地のほとんどは新たな企業等に継承されています。 企業参入の推進にあたっては、品目に適した農地の選定や栽培技術の習得はもとより、販売先、労働力の確保、営農資金の準備など、安定した経営に向けた丁寧な支援を行っていきます。 現在は
コロナ禍のため、対面での誘致活動は制限されていますが、ドローンを活用した農地のリモート視察やオンライン相談など工夫を重ね、機を逃さないよう努めていきます。
○
御手洗吉生議長 以上で馬場林君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午後0時11分 休憩
------------------------------- 午後1時 再開
○三浦正臣副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を続けます。戸高賢史君。 〔戸高議員登壇〕
◆戸高賢史議員 こんにちは。公明党の戸高賢史です。会派を代表し、質問をします。 まず初めに、県経済再興の取組について伺います。 いまだ
コロナ禍の終息にめどが立たない中で、なかなかV字回復のフェーズへと移行できない状況ですが、深刻な打撃を被った本県経済の再生へ、アフターコロナを見据えて再チャレンジする事業者や個人を応援していく土台を築く必要があります。特に、打撃を受けた観光、宿泊、飲食などに対する強力な支援策は重要です。 誘客策については、
コロナ禍で近県旅行、県内旅行が見直され、地元の観光資源の再発見といった新たなツーリズムの価値も生まれています。また、テレワークも導入が進み、多様なワーク・アンド・ライフスタイルが注目されました。こうしたマイクロツーリズムやワーケーションといった動きも県内交流に結びつけていかなければなりません。オンラインとのハイブリッドでのイベントも開催が多くなり、通常のイベントにはない便利さを感じる人も少なくないと思います。ハイブリッドを経験したことにより、リアルを体験する価値も見直されています。また、オンライン体験ツアーなどでは、終息後は現地に行きたいという方も多くいらっしゃいます。
コロナ禍で生み出された新たな旅の形は、コロナ後も必ず生かされていくと思います。 さらに、デジタルトランスフォーメーションを進め、各企業がその投資を行うことで、リスク対応能力の強化につながることも、この
コロナ禍で浮き彫りになりました。こうしたデジタル化への社会変革の取組をさらに進めていく必要があります。 政府が強力に推進する脱炭素化では、経済・雇用効果は2030年に約140兆円、約870万人に拡大すると言われています。世界的に進む脱炭素社会を目指すグリーン化を本県でも成長や雇用拡大につなげていく必要があります。 本格的な消費喚起策はコロナ終息が前提となりますが、アフターコロナでV字回復を図るため、県内中小企業の再建や販路開拓支援、
コロナ禍後の観光誘客戦略、新たな雇用の創出など、終息前の今の取組が大事です。 今回の第5波では、大分県は九州の中で唯一、
まん延防止等重点措置を国に要請せず、県による不要不急の外出自粛と飲食店への営業時間短縮要請にとどめました。まん防と時短に支援の差はなくとも、県民意識に影響する。さらに、他県への移動自粛は九州全体で協力すべきではないかとの声もありました。一方で、飲食店経営者などからは、支援の差がなければ時短でよいとの意見もありました。この判断は、知事がそうした事業者の声、悲痛な叫びをこれまで幾度も聞き、時勢をうかがいながらV字回復への先手を打つ、その決意の表れだと感じます。知事を先頭に、職員、医療関係者の昼夜を分かたぬ御努力で、医療体制の強化や
ワクチン接種の対応も先陣を切る取組で進められています。県経済もV字回復できることを信じています。
まん延防止等重点措置を要請しなかった真意も含め、県経済再興の取組について広瀬知事に伺います。 次に、最低賃金引上げへの対応についてです。 2021年度の地域別最低賃金は全都道府県で初めて時給が800円を超え、全国平均は930円になり、前年度と比べた上げ幅は過去最大の28円となりました。大分県では現行から30円引き上げ、今年10月より822円となる予定です。 最低賃金の引上げは、
コロナ禍の打撃が深刻なサービス業をはじめ、働き手を支える意義があり、個人消費の活発化を促し、今後の経済回復につなげるためにも欠かせないものですが、企業にとっては人件費の負担が増加します。特に、体力の弱い中小企業に与える影響は大きくなります。最低賃金の引上げが雇用の維持を困難にするような事態となれば本末転倒です。 我が党でも最低賃金引上げに取り組む中小企業の負担を軽減するよう政府に緊急提言を行いましたが、その中で、事業再構築補助金が拡充されました。事業再構築補助金は
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促し、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。 今回の拡充では、第3回公募分から最低賃金枠を新たに設け、従業員の1割以上を最低賃金プラス30円以内で雇用する中小企業を対象にしたもので、補助率も4分の3となっています。通常枠の補助額の上限も、従業員数が51人以上の中小企業は8千万円に引き上げられ、申請要件も緩和されました。
コロナ禍の中、最低賃金の急激な引上げは、小規模事業者をはじめ、県内事業者の経営圧迫が懸念されることから、県では緊急相談窓口を設置し、最低賃金を引き上げた場合の業務改善経費を助成する国の業務改善助成金などの情報提供も行っていただいています。 県でも補正予算を編成し、対応を強化する予定と聞いていますが、国の助成金、補助金の活用も踏まえ、引き続き影響を受ける県内企業に寄り添いながら、必要な情報提供も含め、雇用維持や負担軽減のために支援を行っていただきたいと思います。最低賃金引上げに対していかに対応するのか、考えを伺います。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策について、まず、妊産婦の支援について伺います。 感染力の強いデルタ株の蔓延により、県内でも一時、感染拡大に歯止めが利かない状況となりました。デルタ株の拡大が進むにつれて、家庭内感染や職場内感染の割合が増えました。今までは家族で1人感染しても、他の家族は陰性である場合が多かったのですが、デルタ株では1人感染すると全員が感染する事例が多く、これまでとは大きく性質を変えています。重症化リスク、死亡者も倍増し、若い方も重症化するとの認識が我々には必要です。県としても、若者の
ワクチン接種も進むよう取組を進めていただきたいと思います。 また、妊婦が感染した場合、特に妊娠後期は重症化しやすく、早産のリスクも高まるとされ、関係学会が妊婦への
ワクチン接種を呼びかけています。以前、妊婦が新型コロナワクチンを接種すると流産するなどといった虚偽の情報が流れ、
ワクチン接種を躊躇する方もいたようですが、日本で承認されているワクチンについて、妊婦、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はありません。感染による重症化リスクやワクチンに関する正確な情報提供を今後も行っていく必要があります。 さらに、感染した場合の体制強化も大変重要です。8月に千葉県柏市で新型コロナウイルスに感染し、在宅で入院調整をしていた妊婦が自宅で早産し、新生児が亡くなった痛ましい事案が発生しました。県では、出産が迫り、リスクが高い場合などには、大分県周産期医療協議会で決めた入院調整コーディネーターが複数の医師がいる受入可能な病院から入院調整をし、受入先病院はかかりつけの産婦人科と妊娠の経過などについて情報を共有し、妊婦が安心して出産できる体制を取っているということです。 妊産婦に感染が判明し、自宅療養を余儀なくされている場合には、彼女らが入通院できる医療機関をあらかじめ指定しておくことも必要と考えます。また、新型コロナウイルスに罹患していなくても、
コロナ禍で妊産婦の方々はより一層の不安を募らせています。妊産婦が安心して出産できる体制の充実が必要です。知事の見解を伺います。 次に、後方支援医療機関の体制についてです。 感染の第5波の影響により、新型コロナウイルス患者の診療に関わる医療機関の負担が増大しています。重症化した患者が回復に向かった場合には、回復期の病床、さらには宿泊療養に移す取組は、コロナ診療に関わる医療機関の負担を軽減することにつながります。一方で、感染リスクの不安や感染防止対策のコスト負担などから転院が容易でないケースもあり、臨時的に診療報酬上の措置も講じられています。確かに感染症患者を後方支援医療機関に転院させることは受入病院にとっては非常にリスクを伴うものとなるため、受け入れづらい現状ですが、
コロナ禍において重症化病床の有効活用は避けて通れません。 そこで、本県における後方支援医療機関の体制についての現状をお聞かせください。 もう一つ、感染症研究の人材育成について伺います。 大分大学では、本年10月1日に全国共同利用型の研究施設として、大分大学グローカル感染症研究センターを設置し、日本の最先端の感染症研究を共同で推進するとともに、若手研究者の育成を図っていくとしています。将来的には本センターの特色となる新興・再興ウイルス・細菌感染症、創薬を生かし、九州圏内の関連大学と連携を進めつつ、ネットワーク型の共同利用・共同研究拠点を目指すと聞いています。 大分大学においては、北野学長を先頭に世界最高峰の研究を実施している狂犬病研究やピロリ菌研究も有名です。ピロリ菌が薬剤耐性を持って除菌ができなくなれば、胃がんを予防することができなくなるとの問題意識から、我が党より薬剤耐性ピロリ菌を5類感染症とすべきではないかと提案し、厚生労働省は研究班を設置して検討しているところですが、その背景となるのが大分大学にある世界各国から収集した延べ1万株以上の世界最大規模のピロリ菌バンクです。これらの研究は地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムに採択され、ブータン国との連携の下、発展が期待されています。 また、新型コロナウイルスに対して海外で先行開発されたメッセンジャーRNAワクチン等の接種が国内においても開始されています。しかし、これらのワクチンの供給量は十分でなく、また、デルタ株を含むウイルス変異株の出現によりワクチンの効果が減弱するとも懸念されています。 これらの問題点を解決するために、大分大学はVLPセラピューティクス社や全国の研究機関と連携し、新しいタイプのワクチンの臨床試験を開始する準備に入りました。9月9日に公明党医療制度委員会でも進捗が報告され、私も同会合に参加をしたが、今月にも第1相試験に入る旨の報告がなされました。大分大学が開発しているワクチンは自己増殖型メッセンジャーRNAワクチン、リプリコンワクチンです。自己増殖型であるため、少量の接種により体内で十分な抗体が作られ、持続時間も長くなることが期待されます。また、このワクチンはウイルス表面にある突起状のSたんぱく質全体のうち、人の細胞に結合して感染するRBDと呼ばれる部分のみを標的にしているもので、容量を小さくすることで大量生産を可能にしようとしています。変異株についても、効果が弱まる現象は起こりにくいワクチンとなることが期待されています。 私は北野学長が率いる大分大学の取組に感動しています。ポストコロナにあっても、新興、再興感染症の流入は避けられません。21世紀に入ってウイルスのパンデミックが起こったわけですが、大分大学においては狂犬病やピロリ菌を通して、細菌学の分野にも目配りしているだけではなく、メッセンジャーRNAワクチンよりも先行したワクチン開発を行っています。 大分大学を細菌学の研究拠点とすることを国に働きかけていく必要もあると思いますが、こうした取組は、日本のみならず、世界にとっても大変な価値があります。感染症分野の寄附講座を設置するなど、感染症の人材育成に積極的に支援すべきではないかと考えますが、見解を伺います。 次に、治水対策について伺います。 今年も停滞する前線の影響で、西日本などで記録的な大雨となり、気象庁は佐賀、長崎、福岡各県の一部に大雨特別警報を相次いで発表し、九州3県では雨雲が連なる
線状降水帯の発生で顕著な大雨に関する情報も出され、長引く大雨で土砂災害や河川の氾濫、家屋の浸水、排水施設の冠水で内水氾濫の危険性も高まりました。今後も秋雨前線が停滞する傾向があり、台風も警戒が必要です。 本県では近年、平成29年九州北部豪雨や令和2年7月豪雨など、国管理1級河川で氾濫が起こり、大きな被害を受けましたが、着実に整備を進めたことで、今回のような大雨でも堤防の決壊や越水等の被害はほとんどありませんでした。しかし、自治体管理の小さな河川では排水が追いつかず、大雨が降るたびにいまだに被害を受けています。準用河川の基準指定とならない法定外河川では氾濫が繰り返され、今後、人的被害につながる可能性があることが分かっていても、整備されずに住民の方は不安を抱えています。 先般、二級水系流域治水プロジェクトが完成したとの報道があり、2級河川156本を対象とした県管理河川全てが網羅された計画となったとの内容でした。流域治水の考え方の下、総合的な治水対策を進めるとともに、市町村と連携し、喫緊に必要な河川改修や渓流保全工などの
ハード整備をさらに進める必要がありますが、見解を伺います。 さらに、市街地では雨量増によりこれまでの規格では対応できず、排水の役割を担う用水路などが機能不全となり、内水氾濫が発生するところもあります。内水氾濫ハザードマップを作成するだけではなく、住民に理解していただく取組を進めるとともに、内水氾濫にも計画的な整備が必要と考えます。策定された二級水系流域治水プロジェクトを踏まえ、今後どのような対応をしていくのか、知事の見解を伺います。 もう一点、聴覚障がい者への防災情報発信について伺います。 地震発生時や近年急増しているゲリラ豪雨などの大雨による被害、また、台風情報など、テレビやラジオからの気象・防災情報をはじめ、いざというときの避難情報は命に関わるとても重要なものですが、聴覚に障がいがある方にとっては、画面に表示される文字や記号による情報に頼らざるを得ず、アナウンサーや気象庁の専門家などが音声で伝えている内容が伝わりにくい現状があります。 そこで、気象庁は震度5以上の地震が発生した際や気象に関する特別警報を発表した際、台風、大雨が発生、または予想された場合などに開催する緊急記者会見には、昨年7月1日から手話通訳を配置する運用を開始しています。しかし、これは緊急の記者会見に限られているので、その他の臨時記者会見や災害発生後に刻々と変化するその後の気象情報や避難情報などを懸命に伝えるアナウンサーの声は、残念ながら聴覚に障がいのある方には伝わらず、手話通訳が必要となります。 令和元年10月の台風19号で甚大な浸水被害などが発生した長野市に、被災後、避難所に真っ先に駆けつけた手話通訳チームは400キロ離れた鳥取県からでした。これは手話を広める知事の会、もちろん大分県も入会していますが、聴覚障がい者団体と連携して実現したもので、被災地側の要請を待たずに手話通訳者を派遣することが決まったとのことです。 NHK支局や民放のキー局が私どもの生活圏内に重要な気象や防災情報を伝える際には、手話通訳者を配置できるように放送局とも連携し取り組んでいただきたいと思いますが、聴覚障がい者に対する災害時の情報伝達について、現在の取組と考えをお聞かせください。 次に、女性の就労支援について伺います。 日本では、働く場面において女性の力は十分に発揮されているとは言えない状況にあります。女性が個性と能力を発揮し、生き生きと活躍できる社会の構築のため、本県においても様々な取組がなされていますが、
新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、我が国ではその影響は特に女性に強く表れています。
コロナ禍は経済や生活に直接影響を及ぼしただけでなく、ジェンダー平等、男女共同参画の取組を遅れさせている状況もあると考えます。本年5月、公明党女性の活躍推進本部は担当大臣に対し提言を行いました。提言では、女性の就労支援に関わるものとして、女性のデジタル人材育成の観点から、
コロナ禍の影響を強く受けた非正規労働の女性がデジタル技能を取得、向上できる学び直しや、その能力を生かして再就職、転職できる取組を地域女性活躍推進交付金で支えること、女性が働く環境の改善を目指す観点から、生理痛は病気との認識を広め、生理休暇を必要とする女性が取得できるよう、職場や教育現場における環境を整備するとともに、生理休暇制度について広く周知、広報すること、女性登用の拡大の観点から、民間分野での女性の登用として、女性起業家の事業環境の向上や支援体制、支援内容を充実させることや、農林水産分野での女性の登用として、女性が扱いやすく、かつ高性能な機械の開発や普及によるスマート農林水産業を推進するなどを要請しました。 さらには、女性活躍のための環境整備として、ワーク・ライフ・バランスの実現の観点から、配偶者が出産を控えた男性労働者等に対する育児休業の意義、目的の周知や助成金による十分な支援等を実施することなども求めてきました。これらの提言は、先般、政府が策定した女性活躍・男女共同参画の重点方針2021に盛り込まれています。 女性活躍を加速させるにあたっては、就労は大切な要素の一つとなります。ましてや
コロナ禍で厳しい環境に置かれている女性にとっての就労の重要性は言うまでもありません。
コロナ禍で苦しい立場に置かれている女性に最大限配慮するとともに、平時の構造的な問題への取組にも対応していただきたいと思います。 一人一人の女性が生き生きと活躍できる社会の構築を目指して、女性の就労をさらに支援していただきたいと思いますが、県内の状況と今後の取組について知事に伺います。 福祉行政について何点か伺います。 まず、ヤングケアラーについて、家族の介護や幼いきょうだいの世話に追われる子ども、ヤングケアラーの存在が注目されています。過度な負担が学業や人生に深刻な影響を及ぼすことが指摘されており、政府は本年5月に初の支援策を盛り込んだ報告書を取りまとめました。 ヤングケアラーは、本来は大人が担うべき家事や家族の介護、身の回りの世話などを行っている18歳未満の子どもの総称ですが、ケアがお手伝いの範囲であれば問題ないのですが、負担が大きいあまり学校に行けなくなったり、友人関係の行き詰まりや就職機会の喪失といった深刻な問題に発展するケースが指摘されています。 ヤングケアラーになってしまった原因については、少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、家庭の経済状況の変化といった様々な要因があると思われます。彼らは誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまいがちな状況もあり、自身の状況を普通と思っている子も多く、また、誰かに相談したくても、昔に比べて頼れる親類が少ない現状もあるとのことです。 要保護児童対策地域協議会や子ども本人、学校を対象として、初めて全国規模の調査研究事業、ヤングケアラーの実態に関する調査研究において作成された報告書によると、世話をする家族がいると答えた割合は、中学2年生の場合5.7%、17人に一人の割合です。また、ケアの対象はきょうだいが最多で、特に、年の離れた幼いきょうだいの世話に追われている子どもが多くいることも明らかになっています。 厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームがまとめた支援策には、福祉、介護、医療、教育などの関係機関がヤングケアラーについて理解を深めるとともに、各機関が連携した支援体制の検討が盛り込まれています。支援策では、自治体における実態調査を進め、相談体制ではSNSなどオンラインで相談を受け付ける取組を進めるとしています。また、家庭での家事や育児を支援する新たなサービスの創設や、子どもが主に介護を担っている家庭には在宅向けの介護サービスの提供を十分検討するよう自治体などに周知するとしています。 本県において、まずはヤングケアラーの存在を多くの人に知ってもらう取組を推進し、早期発見、把握から適切な支援につなげる環境をつくっていく必要があると考えますが、県の見解を伺います。 次に、強度行動障害について、昨年9月の第3回定例会で強度行動障害と共に生きる方の支援体制及び環境整備の必要性について質問したが、
福祉保健部長より県内の強度行動障害のある方は500人程度で、行動援護や施設入所等の障がい福祉サービスを利用しており、障がいの特性を理解し、騒音が苦手など、本人の感覚過敏やコミュニケーションの困難さに合わせた環境を用意することが重要であり、施設整備については、強度行動障害のある方等、重度障がい者が安心して暮らせるグループホームの整備を進めるとともに、施設で落ち着ける場の確保、障がい特性に応じた環境づくりにも配慮するよう指導すると答弁がありました。 その後、障がい福祉サービスに報酬改定で、グループホームにおける重度障がい者の受入体制を整備するため、障がい支援区分4以上の強度行動障害を有する者を算定対象に加えることとなりました。加算されたことは評価できますが、支援区分の認定は医師の意見にも左右されると伺っています。また、症状が一番悪化した状態で評価されるべきところを、一定期間の平均的な症状で判断するのは疑問です。支援区分の認定をさることながら、事業者の評価にも疑問があります。事業者は症状が出ないように、悪化しないように細心の注意を払い、環境を整えることに努力しています。人員配置も負担となっています。症状が急変した場合の危険も覚悟し、受け入れている施設を評価できていないところに問題があります。 さきほど紹介した前回の部長答弁の障がい特性に応じた環境づくりに努力している事業者、職員に対し、評価できていない現状をどのように認識しているのか、また、地域で継続して生活ができるようどう取り組むのか、伺います。 次に、県産木材の利用促進についてです。 ウッドショックの影響について、今年から輸入木材の価格が高騰しています。代替需要の高まりから、国際木材の価格も上昇し、関係業界では1970年代のオイルショックになぞらえてウッドショックとも呼び、6割を輸入木材に頼っている日本の住宅メーカーや家具産業にも影響を与えています。 ウッドショックの背景には、米国における木材需要の高まりがあります。超低金利政策と新型コロナウイルスの拡大が重なり、リモートワークが進んだため、郊外に住宅を購入する人が増え、これに応じて欧州やカナダなどが米国向けの木材供給を増やした結果、日本向けの供給量は減り、日本国内で価格が高騰しました。海外からの木材輸送に使われるコンテナが世界的に不足していることも輸入木材の価格を押し上げている要因の一つです。
コロナ禍からの経済回復が進む中国でも木材需要が伸びるなど、その要因は複雑に絡まっています。 輸入木材の価格上昇で国産木材の需要が高まり、価格も倍増し、ホワイトウッドなどを主とした資材として使用している工務店は販売価格に転嫁せざるを得ない状況にあります。本県でも影響が出ていますが、当面の価格動向は不透明です。 県内の木材需要動向、価格、住宅新築着工など、ウッドショックの影響について、県産材の流通に与える影響を踏まえて見解を伺います。 県民の森での木製
ガードレールの使用についてです。 県では、公共建築物については、これまで武道スポーツセンターなど、県産材を活用してきました。木の温もりは人々に安らぎや安心を与え、デザイン性でも木の質感は建築物の価値を高め、また、屋外の構造物も木を使うことにより自然、環境との調和が図れます。 先日、県民の森に伺う機会がありました。第1回定例会では井上明夫議員から県産材の活用について質問があり、県民の森の木製
ガードレールの話がありました。現在は老朽化が進み、耐久性の観点から鉄の
ガードレールに改修するようですが、全国の県民の森でも多く木製の
ガードレールが使われています。 価格や耐久性の課題があるのは当然ですが、県民の森の目的は、県民の森林への理解、保全、育成、活用、森林振興にあります。そうした県民の森の目的にかなった改修を行うべきと考えますが、見解を伺います。 最後に、交通安全対策、まず、飲酒運転根絶に向けた取組について伺います。 6月28日に千葉県八街市で、飲酒運転によって児童5人が死傷する痛ましい事故が発生しました。マスコミ等では通学路の整備に焦点が当たっていますが、この事故の主な要因が飲酒運転であることは明らかです。 大分県内では今年に入って7月末までに飲酒運転で138件が摘発され、死亡事故1件を含む14件の人身事故が発生しています。 県では県民大会や啓発イベント、団体等が主体的に取り組めるよう推進を行っていますが、飲酒運転をしない、させないという明確な意識を浸透させる必要があります。一層の促進を図り、飲酒運転を許さない社会環境を醸成するための今後の展開を伺います。 最後に、平成11年に東名高速道路において幼児2人が犠牲となる事故を契機に、飲酒運転に対する厳罰化が進みましたが、アルコール依存症に由来するものなど、根の深い問題に対しては依然として十分に対策が進んでいるとは思えません。 県の飲んだらのれん条例は、平成18年8月、福岡市において幼い3人の尊い命を奪った飲酒運転による交通事故の発生を契機とし、飲酒運転根絶の機運高まりとともに、県民、事業者が一体となって飲酒運転根絶を実現するためにできたものと認識していますが、依存症対策についても、飲酒運転根絶の観点から具体的に進める必要があると考えます。 福岡県議会では議員提出である飲酒運転撲滅条例を昨年改正し、飲酒運転者のうち、検出されたアルコール濃度が基準値未満であったため、検挙に至らず警告にとどまった者に対し、飲酒行動に関する指導を受ける努力義務とアルコール依存症受診を勧告する制度を新設しました。さらに、警告を受け5年以内に検挙された者等には、アルコール依存症受診命令を出し、治療や飲酒行動是正プログラムなどに参加させるとしています。 なお、受診及び治療を促進するため、受診費用等を助成できると明記しています。 本県においても、県民の意識醸成や罰則強化とともに、アルコール依存症に対する受診サポートも必要と考えます。福岡県のように条例を改正してはいかがかと考えますが、見解を伺います。 以上で質問を終わります。
○三浦正臣副議長 ただいまの戸高賢史君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 戸高賢史議員には、公明党を代表して県政重要課題について御質問をいただきました。まず、私から答弁を申し上げます。 初めに、県経済再興への取組について御質問をいただきました。 県内の新型コロナ感染者数は、一時は1日200人を超える危機的状況でしたが、県民の皆様に一段強い対策に御協力をいただき、どうにか落ち着きを取り戻す兆しが見えてきました。新型コロナ対策の基本は、
感染拡大防止と社会経済の維持、活性化を両立させることです。あらゆる情報を集め、地域の実情に合った対策を迅速に講じていきます。 まず、
感染拡大防止については、法に基づく
まん延防止等重点措置による国の横並びの指示に従う前に、県の実情に合った積極的疫学調査や病床、
宿泊療養施設の確保、抗体カクテル療法の導入など、取り組めることを着実に実行してきました。時短要請には97%の飲食店に御協力をいただいています。本県の感染者数や病床の状況を踏まえたシミュレーションにより、
時短要請等の強い措置の期限を国より短い今月26日に設定したところです。 そして、県経済再興については、コロナ終息後に反転攻勢ができるように、まずは中小企業、小規模事業者等の経営基盤をしっかり支えることが大事だと思っています。応援金、
事業継続支援金、時短協力金は申請受付から通常13から15日で支給しています。GoToEatも第1弾を全国2番目の早さで完売し、第2弾と合わせて84億円を消化しました。 観光も全国に先駆けて、昨年3月から安全・安心の確立に取り組んでいます。現在はなかなか難しい状況ではありますが、足下の需要回復に加え、関係者が前を向いて頑張ろうと思えるような長期的な目標を掲げています。 本県を支える製造業へは、将来に向けた設備投資や販路開拓等を支援するものづくり再興支援事業により、235社の新たな挑戦を応援しました。6月、7月の県工業連合会調査では、57.4%の企業が既に回復した、または回復傾向にあると回答しており、再活性化への動きが出始めています。 企業立地にも明らかに回復の動きが見られます。サテライトオフィスやワーケーション等への対応や新たな工業用地確保の準備も進めていきます。宇宙やアバターなど、先端技術の動きにも先手を打っています。子どもに大分での将来が想像できるような未来をつくっていきます。 言及されたデジタルやグリーンの動きも大きなビジネスチャンスとして、しっかりとフォローします。 今月末には県民の7割以上の方が少なくとも1回は
ワクチン接種を終える見通しです。国では
ワクチン接種による行動制限緩和の議論も開始されています。まずは足下の感染を抑えることが最優先ですが、あわせて、再活性化の準備もしっかり進めていきます。 次に、妊産婦の支援について御心配をいただきました。 子育て満足度日本一の実現を掲げる本県にあっては、
コロナ禍においても安心して出産、子育てを行えるように特段の配慮をしており、とりわけ妊産婦の方々には三つの対策を講じています。 一つは、
ワクチン接種です。新型コロナウイルスの感染防止と重症化予防の観点から、
ワクチン接種は大変有効とされています。県では、産科医療機関から妊娠中の方やその御家族に対して、
ワクチン接種についての丁寧な説明をお願いし、早期の接種を呼びかけていただいているところです。 また、県営接種センターでは、住所地を問わず、妊産婦やその御家族向けの優先予約枠を設けて、産科医療機関等を通じて情報提供を行うなど、希望される妊産婦の皆さんが一日でも早く接種できるよう配慮しています。予約開始以降、既に100人を超える方に申込みをいただき、順調に接種が進んでいます。 二つは、万一コロナに感染した場合の迅速な入院調整です。本県では、産婦人科医に専門コーディネーターをお願いし、妊婦の感染が確認された場合には、速やかにコーディネーターを通じて医療機関の調整を行い、入院先を決定しています。第5波においては、これまで20人を超える妊婦の入院調整を行い、うち2人は入院中に無事出産を終えられました。 また、軽症で分娩予定日まで期間のある方には、宿泊療養のほか、個別の事情により御本人が希望する場合には自宅療養とするケースもあります。その際には体調変化などの情報を保健所が逐次把握し、産科医療機関の協力も得ながら、安心して療養できる環境を整えています。 三つは、妊産婦の方々の不安の解消です。
コロナ禍において、妊娠から出産に至る長期間にわたり、妊産婦の皆さんは多くの不安を抱えていると思います。このため、保健所や県助産師会に委託したおおいた妊娠ヘルプセンターでは、健康面や出産後の育児など、あらゆる相談に応じています。また、妊産婦の皆さんは、御自身の健康のみならず、赤ちゃんへの感染なども心配されているので、県では分娩前に産科医療機関で無料のPCR検査を行えるようにしています。 デルタ株が猛威を振るう中、県内でも予断を許さない状況が今しばらく続きますが、妊産婦の方々の不安を和らげ、安心して元気なお子さんを産み育てていただけるよう、全力を挙げて支援をしていきます。 次に、治水対策について御質問をいただきました。 本県では、平成24年、平成29年の九州北部豪雨や令和2年7月豪雨により、未曽有の災害が発生しました。災害に強い県土づくりは喫緊の課題です。 こうした近年の気候変動による水災害リスクの増大に備え、市町村など、あらゆる関係者と連携して流域全体で水害を軽減させるため、流域治水プロジェクトを策定し、総合的に対策を進めることとしました。 平成29年に被害を受けた日田市の大肥川や鶴河内川などでは河川の拡幅や流木対策、橋梁の架け替えなど、改良復旧を行ったことにより、昨年の豪雨の際には治水効果が発揮され、浸水被害はありませんでした。 こうした経験を踏まえ、昨年被災した玖珠川や野上川でも再度災害防止の観点から改良復旧に着手し、プロジェクトに組み込み、着実に取り組んでいきます。 一方で、議員御指摘のとおり、小さな河川においても増水による被害が発生しており、その対策も必要です。 各市町村において、被災した河川の石積護岸をコンクリートブロック積みで復旧することなどにより、その機能の強化を図っています。また、過去に大きな被害を受けた津久見市や佐伯市等では、河川改修や河床掘削を計画的に進めています。さらに、森林整備や田んぼダム、ため池の活用等により、渓流や水路等への流出抑制を図っていきます。 次に、内水対策では、過去に内水氾濫で大きな被害を受けた杵築市など6市において、住民に危険性を周知し、適切な避難行動を促すため、ソフト対策として内水ハザードマップの策定を進めてきました。ハザードマップはホームページで公開するとともに、公民館での掲示や各戸への配付など、丁寧な情報提供に努めています。 また、ハード対策としては、現在、中津市など6市において雨水管の整備を進めており、今後はその他の市町村も近年の降雨実態を踏まえた対策の強化に取り組みます。 さらに、以前から床上浸水被害が発生していた大分市片島地区や光吉地区等では、排水ポンプ場を設置するなど、内水氾濫への備えを充実させているところです。 引き続き総合的かつ計画的に内水対策が講じられるよう、市町村への技術的支援を行います。 今後も激甚化する自然災害に対峙し、国や市町村と連携するとともに、県民の皆さんと力を合わせて、ハード、ソフト両面から流域全体で被害の最小化を図り、災害に強い大分県づくりに邁進していきます。 次に、女性の就労支援について御質問をいただきました。 社会の変化が早く、様々な社会課題が生まれてくる状況において、物事をいろいろな視点から見ることができる多様性の確保が企業や団体、地域にとって不可欠となっています。特に、女性の活躍は最大の潜在労働力ということもあり、人口減少社会における人材の確保という観点からも大変重要です。労使の代表や女性経営者等で構成する大分県働き方改革推進会議において取りまとめたおおいた働き方改革共同宣言では、目標の一つに女性の就業率を掲げて、女性の就業促進に取り組んできました。 平成29年の就業構造基本統計調査では、女性の就業率は全国的に上昇しており、県内の25歳から44歳の女性の就業率は78.6%と、国の定めた目標の77%を上回っています。しかしながら、昨年の全国の労働力調査では、新型コロナウイルスの影響により女性の就業者数は前年比で24万人の減となっており、9年ぶりに減少に転じています。 このような中、コロナ感染に不安を感じながらも仕事を求めている女性に対しては、オンラインを活用した企業説明会や個別相談を実施し、希望に合った働き方ができるよう求職活動をサポートしています。また、育児や介護等により外で働くことが困難な女性を対象に、Web制作やライティングなど、時間や場所の制約がなく、自宅にいながらでも柔軟に働くことができる自営型テレワーカーを養成しているところです。 一方で、女性の正規雇用率が20代後半をピークに低下を続けることが課題となっており、これを解決し、多様な分野での女性の活躍を実現するためには、女性の意識改革も必要です。例えば、女性経営者がママのままプロジェクトを立ち上げ、活動しています。そこでは、子どもがいることが働く上で負担になると考えるのではなくて、むしろ子どもがいるからこそできることという視点で女性のチャレンジにつながる情報を発信しています。また県では、女性の管理職登用を促進するため、次世代女性リーダー養成セミナーや女性部下育成支援セミナーなど、企業経営者の意識改革や環境整備に取り組んでいるところです。 さらに、女性起業家の創業支援にも力を入れています。県内では創業者の3分の1が女性でして、経営者全体に占める女性の割合と比較して非常に高い割合となっています。 今後も女性のライフステージに応じた多様な働き方の実現を目指し、結婚や出産後も引き続き就業できる環境の整備を進め、女性が自身の持つ意欲や能力を生かして存分に活躍できる社会の実現に取り組んでいきます。
○三浦正臣副議長 高濱
商工観光労働部長。 〔高濱
商工観光労働部長登壇〕
◎高濱航
商工観光労働部長 最低賃金引上げへの対応についてお答えします。 人口流出が大きな課題となっている本県にとって、優秀な人材確保の観点から、賃金底上げは望ましいと考えています。一方で、
コロナ禍により厳しい経営状況にある事業者は、雇用維持や事業継続にも大きく影響する懸念があります。言及いただいた県の相談窓口にも、雇調金なしでは事業継続が難しい、生産性向上のために設備投資をしたいという声が届いています。
コロナ禍で売上げが激減している事業者には、国の支援に加え、県では応援金や
事業継続支援金を支給しています。また、今定例会では、補正予算として国の業務改善助成金活用を促す奨励金を提案しています。生産性向上により持続的な賃金上昇につなげていきたいと考えています。さらに、事業再構築補助金の活用や賃金上昇分を価格転嫁しやすい環境づくりも促していきます。 雇調金の特例措置が続いていることから、逆に影響が遅れて出てくる可能性もあります。これからも県内中小企業の状況を把握し、有効な対策を講じていきたいと考えています。
○三浦正臣副議長 山田
福祉保健部長。 〔山田
福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文
福祉保健部長 私からは4点についてお答えします。 まず1点目は、後方支援医療機関の体制についてです。
新型コロナウイルス感染症の入院療養では、限られた病床の有効活用が極めて重要であり、後方支援医療機関の協力が欠かせません。これまで医療機関を訪問するなどして地道な要請を重ねた結果、現在、17病院にまで後方支援体制が広がっています。
ワクチン接種が進み、高齢者の感染が大きく減ったことで、コロナ回復後も引き続き入院を必要とする患者は減少しています。しかしながら、高齢者施設でのクラスターの発生や介護が必要な高齢者の感染は続いており、医療機関から自宅や施設へ直接戻ることが難しい事例は少なくありません。このような場合において、後方支援医療機関が早い段階から回復後の患者を受け入れていただいたことで、第5波のピーク時でも病床が回転し、有効活用を図ることができました。 今後とも、医療現場の逼迫を回復するため、引き続き後方支援医療機関のさらなる拡大に努めていきます。 二つ目は、感染症研究の人材育成についてです。
新型コロナウイルス感染症対策は、ワクチンや抗体カクテルなどの新たな治療薬が開発され、大きく前進しました。これらを可能にしたのは、遺伝子解析に代表される感染症研究の成果であり、特に、異例とも言える短期間で開発されたコロナワクチンは世界中に多大なる恩恵をもたらしています。このたび新たに設置される大分大学グローカル感染症研究センターは、全国の大学や研究機関と連携し、新たな治療薬の開発に加え、若手研究者の育成にも取り組むと伺っており、その成果を大いに期待しているところです。 県としても、従来から大分大学と連携して感染症に携わる人材育成に取り組んでおり、結核の治療や研究を行う若手医師の育成などに成果を上げています。 今後、新型コロナウイルスをはじめとする新興感染症対策を効果的に進めるため、グローカル感染症研究センターと緊密な連携を図るとともに、医師や保健所職員等の人材育成への協力も仰ぎたいと考えています。 三つ目は、ヤングケアラーについてです。 本年5月に公表された国の調査結果は、全国から無作為抽出された中学2年、高校2年の生徒のWeb回答によるものであり、都道府県別のデータがありません。そこで、県では7月から8月にかけて、一部の小中学校の教員や家庭の介護の事情に詳しいケアマネジャー等に対し、取り急ぎ独自に抽出調査を実施しました。その結果、県下全域でおおよそ300人程度のヤングケアラーが存在するとの推計値が得られたほか、調査に関わった方々のヤングケアラーに関する認識も高まったところです。 次の段階として、より詳細な実態把握のため、教育委員会等と連携し、県内全域の小学校5年から高校3年までの児童生徒に対し、本年中に調査を行い、年度内に結果を取りまとめることとしています。 この調査により多くの県民にヤングケアラーの実態や課題について知ってもらい、実効ある対策を講じる足がかりとしたいと考えています。 最後に、強度行動障害についてお答えします。 今回の報酬改定に伴う加算対象の拡大により、事業所からは人員配置の充実や施設の環境整備が進んだ等の声が寄せられています。また、強度行動障害のある方を受け入れるグループホーム等は、この1年で14か所増えるなど、この報酬改定には一定の効果があったものと認識しています。 一方で、議員御指摘のように、強度行動障害の支援実態を反映した加算を求める声もあることから、適切な見直しについて国への要望等も検討したいと考えています。 また、地域で継続して生活するためには、グループホームや家族のレスパイトのための短期入所施設が欠かせないことから、平成27年度以降、15か所の整備を助成しました。加えて、一人一人の障がい特性に応じた適切な支援ができるよう、これまでに1,550人の支援員を養成してきたところです。 これらの取組を継続し、強度行動障害のある方が地域で安心して幸せに暮らすことのできる支援体制づくりを進めていきます。
○三浦正臣副議長 梶原防災局長。 〔梶原防災局長登壇〕
◎梶原文男防災局長 私からは聴覚障がい者への防災情報発信についてお答えします。 障がいを持つ方々への防災情報の発信は、災害による人的被害ゼロを目指す上で、とても重要です。県ではこれまで大分県聴覚障害者協会と連携し、おおいた防災アプリの使用方法を直接指導するなど、その活用を促進してきています。10月からは防災メールをSNSでも配信することとしています。また、おおいた防災VRや防災啓発動画も字幕表示にすることで、情報を視覚で取得できる手段を増やしています。市町村も防災メールやSNSの配信に加え、文字表示型の防災ラジオ、ケーブルテレビの字幕表示、ファックス送信など、多様な手段による情報伝達を行っています。 最近ではテレビでの字幕放送や解説放送も増えてきています。県としても、聴覚障がい者のみならず、他の障がいを持つ方々や留学生など、全ての方々に防災情報が届くよう、市町村や放送局など関係機関と連携して情報発信を強化していきます。
○三浦正臣副議長 佐藤
農林水産部長。 〔佐藤
農林水産部長登壇〕
◎佐藤章
農林水産部長 私からは2点お答えします。 まず、ウッドショックの影響についてです。 スギの原木価格は本年4月から上昇し始め、8月の県内原木市場は平均で1立方メートル当たり1万4,400円と前年比140%になっています。また、旺盛な需要に応えるため、本年8月までの原木取扱量は約64万立方メートルと前年比114%で、
コロナ禍前の令和元年度並みとなっています。スギ乾燥材の7月の製品価格も外材高騰の影響もあり、1立方メートル当たり11万5千円、前年比240%と大幅に上昇しています。 このような中でも、木造在来軸組工法による7月までの県内住宅着工戸数は1,866戸と、前年比106%で順調に推移しています。 今後の動向を注視する必要はありますが、ある程度の価格上昇は伐採後の再造林意欲の向上など、森林資源の循環利用による林業の成長産業化にとって追い風となります。 今後とも、県産材の需要拡大のチャンスを生かすため、木材加工や乾燥施設等の導入を積極的に進め、需要に応じて安定的に県産材を供給する体制を構築していきます。 次に、県民の森での木製
ガードレールの使用についてお答えします。 木製
ガードレールは、木材の用途拡大、景観の質の向上が期待されることから、平成12年の全国植樹祭開催に合わせ、林道の一部に設置しました。しかしながら、設置後10年余りで腐食が進み、
ガードレールとしての安全性を確保することができなくなりました。 更新にあたっては、木製
ガードレールは金属製に比べ、経費が2倍程度かかり、長期的な耐久性についても現状では課題が残ることから、景観に配慮した色の金属製の
ガードレールに改修することとしています。
ガードレールについては、やはり安全性、耐久性が第一と考えており、木製
ガードレールについては、今後の技術開発の状況等を注視していきます。
○三浦正臣副議長 磯田
生活環境部長。 〔磯田
生活環境部長登壇〕
◎磯田健
生活環境部長 私からは2件お答えします。 まず初めに、飲酒運転根絶に向けた取組についてです。 昨年の飲酒運転事故は、大分県飲酒運転根絶に関する条例を制定した前年、平成18年の108件と比べ約4分の1、29件となり、県民挙げた取組による成果と認識しています。 県では、これまで飲酒運転根絶に向けた県民の意識醸成の取組を地道に続けてきました。毎月20日の飲酒運転根絶県民運動の日には、街頭啓発や県政ラジオ番組を通じ、飲酒運転防止を呼びかけるとともに、毎年11月には飲酒運転根絶キャンペーンを展開し、イベントの開催やチラシ、啓発品の配布等を実施してきました。 また、飲酒運転の防止に深く関わる飲食業者や運転代行業者等で構成する飲酒運転根絶総合対策部会を開催し、飲酒運転根絶に向けた取組の紹介やアルコールが健康に及ぼす影響などの研修をこれまで行ってきました。 今後はフォロワーが4万人を超える県公式ツイッター等を活用して、飲酒運転の危険性や厳しい罰則を周知するとともに、ラジオ番組には工夫を加えるなど、より県民に伝わりやすい情報発信に努め、飲酒運転の根絶を目指していきます。 次に、大分県飲酒運転根絶に関する条例についてお答えします。 福岡県が条例を制定した背景は、飲酒運転事故が後を絶たない状況にあること、あるいは飲酒運転による検挙者の中にはアルコール依存症が疑われる者も存在するということがあります。本県においても、飲酒運転の実態について、今後よく調査、分析が必要と認識しています。 本県の条例にはアルコール依存症対策の規定はありませんが、警察では飲酒運転による免許の取消処分者を対象に行う講習会で、受講者に保健所やこころとからだの相談支援センターを紹介しています。 一方、保健所では、相談の結果、治療が必要な場合は専門医療機関への受診を勧めるなど、相談者への支援を行っています。 条例の改正については、飲酒運転の実態や福岡県の条例施行の効果検証、さらには他県動向も踏まえ、改正の必要性も含めて今後研究していきます。
○三浦正臣副議長 以上で戸高賢史君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。
-------------------------------
○三浦正臣副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は決定次第通知します。
-------------------------------
○三浦正臣副議長 本日はこれをもって散会します。 午後2時7分 散会...