○
麻生栄作議長 起立多数であります。 よって、本案は、委員長の報告のとおり可決されました。
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△日程第2 議員提出第1号議案(議題、提出者の説明、質疑、討論、採決)
○
麻生栄作議長 日程第2、議員提出第1号議案を議題とします。
-------------------------------議員提出第1号議案
新型コロナウイルス感染症対策等に関する
意見書 -------------------------------
○
麻生栄作議長 提出者の説明を求めます。古手川正治君。 〔
古手川議員登壇〕
◆
古手川正治議員 ただいま議題となった議員提出第1
号議案新型コロナウイルスによる感染症対策等に関する意見書について提案理由を説明します。
新型コロナウイルスによる感染症は、急速な勢いで世界中に拡散し、多くの死者、感染者が発生しており、世界保健機構が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言するなど、国際的な脅威となっています。
新型コロナウイルス感染症対策本部が、感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定するなど、国をあげて懸命な対策が取られていますが、いまだ事態の終息が見えず、湖北省に滞在歴のない感染者の発生や、人から人への感染、無
症状病原体保有者が認められるなど、国民の不安は増大する一方です。今後も国と地方公共団体が一体となった適切な対応が強く求められます。 本県においても、大分県
新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、県民の安全・安心を確保するため、万全の体制で取り組んでいますが、去る3月3日、県内初の感染者の発生が認められ、事態は新たな局面を迎えています。 このため、国等に対して何よりも国民の命と健康を守ることを最優先とし、感染拡大の防止対策などを総合的かつ強力に推進するため、診察や検査体制の確保への支援をはじめ、御覧の6項目について強く要望するものです。 県内での感染者の発生により、県民の間にはこれまで以上に大きな不安が生じています。また、県経済に与えるダメージもはかり知れません。このような状況にあって、県議会が一丸となって、国に断固たる対応を求める強い意思を示すことが、まず求められることであると考えます。 案文はお手元に配付していますので、朗読は省略します。 以上で説明を終わります。御賛同いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
○
麻生栄作議長 以上で提出者の説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 別に御質疑もないようですので、質疑を終結します。 お諮りいたします。本案は、委員会付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○
麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は、委員会付託を省略することに決定しました。 これより討論に入りますが、ただいまのところ通告がありませんので、討論なしと認めます。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 議員提出第1号議案について採決します。 本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○
麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は、原案のとおり可決されました。
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△日程第3 代表質問
○
麻生栄作議長 日程第3、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。嶋幸一君。 〔嶋議員登壇〕
◆嶋幸一議員 自民党の嶋幸一でございます。会派を代表しての質問の機会を与えていただきました。大変ありがたく光栄に思っているところです。早速質問に入ります。 まずは、世界を席巻している
新型コロナウイルスについてです。 本県でも、一昨日、
新型コロナウイルス感染症患者の発生事例が報告されました。広瀬知事におかれては、我々県民の命と健康を守るため、感染予防対策をはじめ、保健所、医療機関における相談窓口や、帰国者・接触者外来の設置など、迅速に対応していただいているところですが、何としても感染拡大を防ぐ必要があります。そこで、今後の対策について知事に伺います。 一方で、経済活動についても、中国での生産停止に伴う
サプライチェーンへの打撃や観光客の減少など、その影響が懸念されています。 そこで、現時点で県内経済においてどのような影響が出ているのか、また、今後長期化した場合にどのような対策を講じられるのか、あわせてお聞かせください。 次に、県政の基本指針について質問します。 新時代令和も2年目を迎え、我が国を取り巻く情勢は、海外に目を向けると、米中貿易摩擦や中東地域をめぐる問題、また国内では
消費税率引上げ後の消費マインドの動向等に加え、感染拡大が続く新型肺炎など、先行き不透明な部分が多く、引き続き注視していくことが必要な状況です。 昨年5期目の県政のかじ取りをスタートした広瀬知事におかれては、安心・活力・発展の大分県づくりを進め、将来とも発展可能性豊かな夢と希望あふれる大分県を引き続き目指しておられるところです。 そうした中で、待機児童数の減少や県内移住者数、企業誘致件数の増加、
交通ネットワークの充実、小中学生の学力、体力が
九州トップクラスになるなど、大きな成果が出てきています。さらに昨年は、
ラグビーワールドカップが大分でも開催され、本県で行われた5試合には、国の内外から延べ17万3千人もの観戦客が訪れ、また約1,350人の
大会公式ボランティアや県民がおもてなしするなど、多くの方々が感動を分かち合い、ラグビーを通じて世界とつながることができました。 このように、様々な分野で成果を上げてきた一方で、本県においても少子高齢化、人口減少が急速に進んでおり、この流れに歯止めをかけて地域が持続的に発展できるよう、各種取組を進めていく必要があります。また、自然災害等に備えた県土の強靱化や、農林水産業、中小企業・
小規模事業者の振興など、まだまだ取り組んでいかなければならない課題もあります。 今定例会に上程されている長期総合計画、安心・活力・発展プラン2015の改定案は、これらの課題に果敢に挑み、大分の未来を切り開いていくために見直しを行ったものと思います。今回のプランの見直しを踏まえたこれからの県政運営の方針について、知事の考えをお聞かせください。 続いて、財政見通しについて伺います。 令和2年度の一般会計当初予算は、大分県版地方創生の加速前進、先端技術への挑戦、強靱な県土づくりの3点を基本方針として編成され、7年連続プラスの積極予算となっています。 この財源を見ると、地方消費税の増収により県税が増加し、地方交付税も地方法人課税の新たな偏在是正措置である
地域社会再生事業の創設に伴い、大幅な増となっています。 一方で、財源不足を補う
財政調整用基金は、令和元年度より17億円下回っているものの、77億円が取り崩されることとなっており、令和2年度末の基金残高は、自然体で約265億円とされています。また、県土強靱化に向け積極的に国の
国土強靱化対策事業などを引き続き活用した結果、令和2年度末の県債残高は総額で約1兆557億円となる見込みです。 近年、数十年に一度と言われるような大規模な災害が頻発する中、強靱な県土づくりを強力に推し進めていただくことに対しては感謝を申し上げますが、財政健全性の確保は大変大事なことであり、両者のバランスをどのように取っていくかをしっかりと考えて、財政運営を行っていくことが必要だと思います。 景気動向や国の財政健全化に向けた動きなど、不透明な面もあると思いますが、今後の財政見通しをどのように考えているのか、お尋ねします。 次に、地方創生について5点伺います。 まず、移住・定住についてです。 県外からの移住・定住の促進については、本格的な取組を始める前の平成26年度の292人から毎年移住者数を増やし、昨年度は約4倍の1,128人と、過去最高の移住者数を記録しています。 また、先日発表された移住専門誌の「住みたい田舎」
ベストランキングの人口10万人以下の小さなまち部門では、全4部門の第1位を豊後高田市と臼杵市で分け合ったほか、県内10の市がランクインしました。これも知事を先頭に各市町村が一丸となって移住・定住対策に取り組んできた成果と、改めて敬意を表するところです。 しかし、本県の人口推計によると、平成30年10月から令和元年9月までの社会増減は、1,801人の転出超過であり、昨年度の2,693人よりやや改善したとはいえ、この5年間の平均で約2千人の転出超過が続いており、さらなる対策強化が必要であると考えます。 第二期まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略の目標に掲げる令和7年の社会増減均衡を達成するためには、これまでにない新たな取組へのチャレンジが必要と考えます。第一期の成果や課題を踏まえ、本県の移住・定住対策を今後どのように前進させていくのか、知事の見解を伺います。 次に、若者の県内就職についてです。 本年1月の県内の有効求人倍率は、1.45倍と高い水準を維持しており、引き続き厳しい人手不足の状況が続いています。日銀大分支店が2月に公表した本県の景気動向においても、労働需給は引き締まった状況が続いているとしています。 ところで、昨年3月の県内高校の卒業者数は9,973人で、前年比110人の減少となっていますが、福岡県内の大学、短大に進学した県出身者は1,215人で、95人増加しており、県外の進学先では最多となっています。これに
専門学校進学者や高卒就職者を加えると、さらに多くの若者が福岡県に流出しているものと思われます。 一方、県が実施した
アンケート調査結果によると、昨年3月に福岡県内の大学等を卒業した県出身者916人のうち、
大分県内企業へ就職したのは304人と、約3分の1というのが現状です。 こうした状況の下、県が来年度福岡の若者を対象にUIJターンを支援する拠点施設、「dot.(ドット)」を福岡市に開設するということで、大いに期待をしているところです。まずは県出身者を含め、より多くの福岡在住の若者を施設に集客することが大事だと考えます。そして、より多くの若者を県内就職につなげていくことが必要だと思います。 そこで伺います。拠点施設への若者の集客に向けた具体的な取組や県内の就職につなげるための取組、またそれに伴い期待される効果について、県の見解をお聞かせください。 それから、留学生の支援も大切です。本県における人口10万人あたりの留学生数は317人と、京都に次いで全国第2位となっています。その原動力として大きな役割を果たしている
立命館アジア太平洋大学が開学して、今年で20年を迎えようとしています。留学生は語学力や学力が高く、
チャレンジ精神にもあふれていることから、県内就職や起業を推進することは、地域経済の活性化にとって非常に重要であると思います。 県では、平成28年度から、おおいた
留学生ビジネスセンターを設置し、留学生に対し、就職や起業に関する様々な支援を行っており、こうした取組を通じ、留学生の県内定着が進めば、人口減少の抑制にもつながると考えます。これまでの成果を踏まえ、今後どのように留学生の県内就職、起業を支援していくのか、考えを伺います。 続いて、子育て環境についてお尋ねします。 令和元年の日本の出生数は、86万人程度の見込みで過去最少となり、自然減も過去最大の減少幅となるなど、少子高齢化の進行は深刻さを増しています。 少子化の要因としては、従来から、若い女性人口の減少のほか、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると言われていますが、抜本的な改善策が見いだせない状況です。 このような中で、国は、若い世代が将来にわたって展望を描き、結婚、妊娠・出産、子育てに希望を持ち、主体的な選択により、希望する時期に結婚でき、希望するタイミングで希望する数の子どもを持てる社会をつくることを基本的な考え方とした、第4次少子化社会対策大綱を本年度中に策定することとしています。 少子化は、今この瞬間も進行し続けており、効果が現れるまでに長い時間を要することから、対応が遅くなればなるほど将来への影響が大きくなります。少子化の進行に歯止めをかけるためには、長期的な展望に立って、総合的な少子化対策を大胆かつ早急に進める必要があります。 本県においても、国と同様、少子化に歯止めがかからず、一昨年の出生数は8,200人にまで減少している中、本定例会には、大分県次世代育成支援行動計画が上程されています。この計画に基づき、子育て満足度日本一の実現に向けて今後どのように取り組むのか、知事の考えをお尋ねします。 ところで、昨年の国内の婚姻件数は、前年比約3千組減の58万3千組で、戦後最少となりました。県内の婚姻件数についても、昭和55年の7,510件から、平成30年には4,804件まで減少しています。また、非婚化を表す50歳時未婚率は、男性が1.9%から21.9%へ、女性は3.8%から14.2%へと大きく上昇しています。加えて、平均初婚年齢も、男性が27.2歳から30.4歳へ、女性は25歳から29歳へと同様の状況です。 結婚は個人の自由な選択であることは当然ですが、一方で、結婚を希望するものの、適当な相手と出会う機会がなく結婚できないという声も様々な調査で報告されています。 そのような声に応えるべく、本県では若者の結婚支援として、平成30年6月に開設した出会いサポートセンターにおいて、一対一のお見合いを行い、徐々に成果も上がっていると聞いていますが、現在の状況や今後の取組について伺います。 次に、女性の活躍についてです。 現在約1億2千万人である我が国の総人口は、2053年に9,924万人と1億人を切り、その約10年後の2065年には9千万人も割り込むと見込まれており、生産年齢人口に至っては、ピークであった1995年の約半分である4,500万人になるとされています。本県においては、生産年齢人口が、2045年には2015年に比べ3分の2程度になるという推計もあります。 こうした正に国の危機と言える状況下で、本県の活力を維持し発展させていくためには、これまで以上にあらゆる工夫や知恵を絞って様々な対策に取り組んでいかなければなりません。中でも女性の活躍の推進は、その切り札になるのではないかと考えます。 しかしながら、男女の役割分担意識はまだまだ社会に根強く存在し、男性の育児、家事への参加は、諸外国に比べ格段に少ないと報告されています。また、女性の就業率は70.9%と男性の84.2%に比べ非常に少なく、第1子出産を機に女性の約半数が退職する現状もあります。一方で、企業が人手不足で頭を悩ませているにも関わらず、県内の25歳から44歳までの未就業の女性のうち、就業希望者は約1万7千人いるとのデータもあります。 これらの要因としては、社会意識や税制などの各種制度、企業の労働環境など様々あると考えられます。そのため、社会全体での意識改革や子育て環境の整備など、女性が活躍できるよう早急に取組を進めていかなければなりませんし、特に実際に女性が働く現場での各企業の具体的な取組が、その要になると思います。99.9%が中小企業である本県においては、いかに官民連携して取り組むかが、本県の女性活躍の成否を分けるといっても過言ではありません。 そこで、地方創生の加速前進に向けた女性の活躍についての知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に、社会資本の整備について伺います。 国、地方にとって大きな課題である地方創生の推進は、地域間競争の側面を持つことから、その前提となる競争基盤を整えることが重要です。 本県には、九州と本州、四国を結ぶフェリーの約8割が発着しており、東九州自動車道や中九州横断道路を通じて、人の流れ、物の流れが活性化しています。九州の東の玄関口としてのポテンシャルをさらに高めるためには、地域を活性化する基盤となる広域
交通ネットワーク等の社会資本整備を迅速かつ着実に進めていかなければなりません。 あわせて、県民の命と暮らしを守り、県の社会経済活動を維持、発展させるためには、強靱な県土づくりも重要です。ここ30年ほどで時間50ミリを超える激しい雨が約1.4倍に増えるなど、気候変動の影響で豪雨災害が頻発しています。県内では平成24年の梅雨前線豪雨、平成29年の九州北部豪雨や台風第18号など、河川氾濫や土砂災害により尊い人命が奪われ、地域の暮らしや経済活動に甚大な被害をもたらしました。 また、今後30年以内に70%から80%の高い確率で発生することが予測されている南海トラフ地震にも備えておかなければなりません。 これら自然災害への防災・減災対策はもとより、住民生活や地域経済の基盤である社会資本が機能的に維持されるよう、公共インフラの長寿命化や老朽化対策も急ぐ必要があると思います。本県の地方創生や県土の強靱化に大きな役割を担う社会資本整備に対する知事の考えを伺います。 続いて、企業局の施設についてです。 企業局は県が経営する地方公営企業として、本県の豊かな水を生かして電気事業と工業用水道事業を実施しています。電気事業では、二つの多目的ダムと12の水力発電所、一つの太陽光発電所による発電を、工業用水道事業では、大分臨海工業地帯を中心とする企業に低廉で豊富な工業用水を供給し、県経済の発展に貢献してきました。 さらに、企業局は地域住民の暮らしにも大きく貢献していると認識しています。例えば別府市朝見別府発電所は、企業局の中では中規模な発電所ですが、この発電所が利用している水は、由布市庄内にある大分側取水口から総延長約20キロに及ぶ導水路を経由して供給されています。この導水路は、由布市元治水井路土地改良区のかんがい施設を兼ねるとともに、別府市朝見浄水場の原水供給施設としての役割も担っており、企業局から供給される原水は別府市全体の上水の約7割を占めています。このように別府発電所の施設は、単に発電するだけでなく、別府市民の生命線とも言うべき重要な施設です。 そんな中、別府発電所は運転開始から50年以上が経過し、施設の老朽化が進むとともに、発電所の直下には人家があり、大規模地震発生時には被害が及ぶ可能性があります。また、近年、地震や台風、豪雨などの自然災害のほか、水道管の老朽化による漏水事故も日本各地で発生しています。 こうした問題に対応していくために、今後の企業局のあるべき姿を展望し、それらを実現するための指針として、平成30年3月に大分県企業局経営戦略を策定したわけですが、策定から2年が経過し、改めて企業局の施設の老朽化・耐震化対策について、今後どのように進めていくのか伺います。 次に、災害対策です。 新年から穏やかな日々が続き、今年は災害のない一年を願ったところですが、1月末には佐伯市で1月としては国内観測史上最大の1時間雨量117.5ミリを記録し、海上での行方不明者や住宅、道路等に多くの被害がありました。被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。 このように甚大な被害は全国各地で発生しています。昨年8月の九州北部地方を襲った豪雨は、佐賀、福岡、長崎県で死者4人、住家被害約6,700棟の被害をもたらしました。また、10月の台風第19号及び前線による大雨では、関東甲信地方や東北地方などにおいて、災害関連死を含め死者99人、住家被害約9万9千棟の未曽有の大災害となりました。 国では、令和元年台風第15号や第19号をはじめとした一連の災害について、検証チームによる取りまとめが今年度末を目途に行われることとなっています。なお、台風第19号については、避難行動につながる情報収集、情報提供、発信に関して、別途ワーキンググループにおいて論点整理を行っていると聞いています。 今後、検証結果なども公表されることとなりますが、私なりにこれらの災害を振り返ると、避難の途中で亡くなられた方が多く、災害時における避難行動の在り方を考えさせられる災害でもあったと感じています。 県では、強靱な県土づくりに向けた様々な対策を講じているところですが、台風や豪雨等による風水害対策としてのハード対策に加え、命を守る避難行動につなげていくソフト対策の取組が、より一層重要になると考えています。 そこで、過去の災害からの教訓を踏まえ、実際の災害時において県民が適切に避難行動をとれるよう、どのような取組を行っていくのか伺います。 農林水産業についても質問します。 これまで県では、農林水産業を魅力のあるもうかる産業として成長させるため、その産出額に、加工等による付加価値額や日本型直接支払制度交付金等を加えた創出額を独自に設定し、令和5年度の目標2,500億円を目指した構造改革を進めてきた結果、新規就業者の確保や参入企業の拡大、輸出額の増大など、成果は着実に上がってきています。 他方、国内消費の縮小などにより産地間競争が激しさを増す中、TPP11や日米貿易協定などの発効、労働力不足の深刻化など、近年農林水産業を取り巻く情勢は大きく変化しています。こうした状況においても、地域の隅々まで仕事をつくり出す農林水産業は、本県の地方創生に欠かせない産業であり、これからも大いに発展させていく必要があります。 そこで、今後5年間を見通した大分県農林水産業振興計画の改定案が上程されていますが、今後どのように本県農林水産業のかじ取りを進めていくのか、新たな計画に込めた知事の思いや考えをお聞かせください。 大野川上流地域は、県内最大の高原野菜の生産地ですが、これまで雨水に依存した営農であったために計画的な作付ができず、生産が不安定な農業を強いられてきました。このため、水を安定的に確保し、収益性の高い新たな農業の展開を図ることを目的に、国営かんがい排水事業が昭和54年に着手されましたが、大蘇ダム周辺は阿蘇の火砕流堆積物からなる特徴的な地層であることから、これまでに3回の計画変更と720億円もの巨額投資、40年という長い年月を経て、ようやく今年度事業完了を迎えます。いよいよ来月には大蘇ダムからの通水がスタートしますが、ダム完成までの40年間で生産者の高齢化が進んでいることから、畑地かんがい用水を使うための新たな投資に二の足を踏んでいるのも事実です。当地域は本県の露地野菜生産面積の約3割を占める重要な地域であり、大蘇ダムからのかんがい用水を有効活用すれば、一層の産地拡大が期待されます。 そこで、県の農業振興、特に高原野菜の振興を図るため、大野川上流地域をどう位置付け、そしてこれからどのように取り組んでいくのか伺います。 次に、産業振興についてです。 本県では、広瀬知事自らが先頭に立って企業誘致に取り組まれており、昨年は過去最多を更新する55件もの企業を誘致しました。このような長年の企業誘致の努力により、日本の製造業を代表する企業が県内各地に立地しています。また、鉄鋼、石油、化学、半導体、電気、自動車、精密機械など、幅広い分野で産業集積も進み、バランスのとれた九州第2位の工業県として、集積が集積を呼ぶ好循環が拡大してきました。 一方で、本県経済を牽引している自動車関連産業は、100年に1度と言われる大変革の時代を迎える中、令和元年の国内新車販売台数は、3年ぶりに前年を下回り、世界市場でも最大の中国と2番目の米国で新車販売は減速するなど、これまでのように自動車生産台数が右肩上がりに増加する時代は終わり、市場で優位性を保てるような自動車をいかに開発、販売していけるかが鍵とも言われています。 一方で、半導体関連産業については、九州のIC生産数量は2年連続で減少する中、県内では株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパンの杵築工場の業務が県外工場へ移転、統合され、来春にも閉鎖されることが見込まれています。 国際通貨基金によると、昨年の世界経済成長率は2.9%と、リーマンショック以降では最低水準だったと推計されています。また、地政学的な緊張の高まりや情勢不安の悪化、国家間における経済摩擦の深刻化等による海外経済の不安定化、国内の少子高齢化といった要因によっても経済成長は下振れリスクが現実化するおそれがあります。今後の動向次第では、雇用面などへの影響も懸念されます。 このような経済見通しの中にあっても、私は、産業集積の進んだ自動車関連産業と半導体関連産業は、引き続き本県の基幹産業の中心として、維持、発展させていく必要があると考えます。 そこで、この両産業を中心とした本県の産業振興を進めていくにあたり、こうした状況をどのように認識し、今後どのような取組を展開していかれるのか、見解を伺います。 続いて、観光産業です。 平成24年に31万人であった外国人宿泊者数は、平成30年には約4.6倍の144万人に増加しています。これにより、国内も含めた全体の宿泊者数も、612万人から777万人へと約3割増加しています。また、昨年の
ラグビーワールドカップ開催期間中にあたる10月には、欧米・大洋州から訪れた約3万7千人の方が県内に宿泊するなど、新たな観光客層の広がりも今後期待されるところです。 他方、このような状況を産業面から見ると、人口減少により地域経済の内需が縮小する中で、観光客という外需により、観光関係の市場は依然広がっている状況と言えます。また、ITの進展を背景に、インターネットを通して観光情報を収集し、宿泊施設等を予約する旅行者が増加するなど、企業活動を取り巻く環境も変化しています。韓国との外交問題、中国の新型肺炎など、外的な要因の影響を受けやすく、短期的にはまずこうした問題を乗り越えていかなければなりませんが、中長期的にはインバウンドが伸びていくトレンドは継続していくものと考えています。 そうした中で、県は昨年、商工労働部に観光局を加え、商工観光労働部に再編しました。これは、インバウンドの増加という好機を逃さないよう、これまでの誘客はもちろん、産業面からも観光を強化していく狙いだと考えていますが、観光産業の振興に向けた今後の具体的な戦略をお聞かせください。 次に、大分空港の活性化についてです。 大分空港の平成30年度の利用者数は16年ぶりに200万人を超え、特に国際線では、平成26年度の3万6千人から平成30年度には13万7千人と4年間で約4倍へと急激に増加しました。そして、昨年6月には国際線ターミナルがリニューアルオープンし、さらなる増加が期待されたところです。 しかしながら、その後の日韓関係の悪化などを背景に、プサン線、ムアン線、ソウル線が相次いで運休し、昨年の8月以降、国際線の運航はない状況が続いていました。ようやく来月からソウル線の運航が再開されるとのことですが、
ラグビーワールドカップを契機としてインバウンドの多角化に取り組む本県としては、こうした状況を避けるためにも、早急に新たな国、地域との間を結ぶ定期路線の誘致を実現させる必要があるのではないでしょうか。 また、国内線の充実に向けた取組も重要ではないかと思います。現在、国内線については、羽田、伊丹、中部、成田への計24便が毎日運航していますが、国内有数の観光地である沖縄便については、平成19年6月末に廃止され、その後運航は再開されていません。九州内の状況を見ても、沖縄便を運航していない空港は、大分空港と佐賀空港のみという状況です。 そこで伺います。国際線の新規就航や沖縄便等の誘致など、大分空港への定期路線誘致に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 もう1点は、海上アクセスについてです。 平成21年にホーバークラフトの運航が休止されて以降、大分空港へのアクセスは道路のみという状況が続いています。そうした中、県では空港利用者等からの利便性向上を求める声を受け、高速船やホーバークラフトによる海上アクセス実現の可能性について調査を行っていましたが、昨日知事から、ホーバークラフトでの運航を目指すとのメッセージが届いたところです。 私は、今後の大分空港の活性化を図る意味でも、ぜひこの海上アクセスの取組を推進していってもらいたいと考えていますが、今後の進め方について知事の見解を伺います。 次に、行政におけるキャッシュレス化についてです。 国は、キャッシュレス決済比率を、2017年の21%から、2027年6月までに4割程度とすることを目指しています。また、本県においても、年々増加する訪日外国人の消費を確実に取り込むことや、中小・
小規模事業者の生産性向上を図るため、キャッシュレス決済比率の向上に取り組んでいます。1店舗あたりのキャッシュレス決済件数は、昨年10月時点で前年比約1.6倍に増加しており、今後さらにそのニーズは高まってくることが予想されます。 このように民間においてはキャッシュレス決済が拡大しつつありますが、行政分野における手数料等の支払では、キャッシュレス化が進んでいないのではないかと思います。 そうした中、昨年12月に閣議決定したデジタル・ガバメント実行計画では、デジタル手続法に基づき、行政手続のオンライン化を推進するため、パスポート申請等の電子化にあたっては、手数料についてもクレジットカード決済など電子による納付を可能とするよう取り組むとの方針を示したところです。 そこで伺います。県民の利便性向上の観点から、県の手数料事務などの行政分野においても、電子マネーやクレジットカード等での支払を可能にするキャッシュレス化を推進すべきと考えますが、会計管理者の見解を伺います。 最後に、教育についてです。 国家百年の計は教育にありと、古来より言われています。人材育成こそ国家経営の要であり、長期的な視点でその重要性を示した言葉です。100年先も本県が全国に誇る郷土であり続けるためには、将来の大分を支える人づくり、中でも教育の振興は大変重要だと考えます。 郷土の先人に思いをはせると、広瀬淡窓をはじめ、三浦梅園、帆足万里の豊後三賢人と言われる優れた教育者が多くの人材を育成してきました。近代では、福沢諭吉翁が私学の雄である慶應義塾を創設しています。このように本県には脈々と人材を育成する伝統が息付いています。この伝統は、現代に生きる我々の責務として引き継いでいかなければなりません。 さて、現在に目を向けると、子どもたちが実社会に出るにあたり重要となる中学、高校教育では、言うまでもなく公立学校と私立学校とがその役割を担っています。特に私立学校では、各学校が切磋琢磨し、特色のある教育を実践し、県内企業の担い手としても多くの人材を輩出してきています。 先般、県私立中学高等学校協会では、社会情勢の変化を踏まえて、個性豊かで学び続ける力のある人材を育成するため、私立学校一丸となり、これまでの教育にさらに磨きをかけ、人材育成を図っていく私学振興プラン2020を策定したところですが、地方創生の岐路に立っている今、人づくりにあたり公教育の一翼を担う私立学校は、これまで以上にその責任が求められていると思います。 そこで、県は、私立学校に何を期待し、その実現に向け、どのように支援していくのか、今後の私学振興の取組について、知事の考えを伺います。 令和2年度に小学校から順次開始する新学習指導要領においては、情報活用能力が、学習の基盤となる資質、能力と位置付けられ、小学校においてはプログラミング教育が必修化されるなど、今後の学習活動において積極的にICTを活用することが想定されています。 そのような中、国は今回の総合経済対策の中で、Society5.0時代を担う人材投資として、GIGAスクール構想を打ち出し、学校における高速大容量のネットワーク環境と義務教育段階における1人1台端末の整備について、令和5年までの実現を目指しています。また、文科省は全国学力・学習状況調査について、出題と解答にパソコンを活用するCBT化の早期実現を目指す方針であり、各自治体にとって学校におけるICT環境の整備は喫緊の課題となっています。 そこで、学校におけるICT環境の整備については、地域間の格差も指摘されていますが、県内市町村立学校の現状と県教育委員会の今後の方針を伺います。 さきほど申し上げた新学習指導要領では、これからの時代を生きる子どもたちが、学校での学びを通じて実社会で生きるための「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱からなる資質・能力をバランスよく育成していくことを目指しています。この目標を確実に実現していくために、県教育委員会にはしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、そのためには指導体制をどうしていくかが重要です。 昨年4月に文科省は、新しい時代の初等中等教育の在り方について、中央教育審議会に諮問しましたが、その中には義務教育9年間を見通した子どもの発達段階に応じた学級担任制と教科担任制の在り方についても検討事項とされています。 本県では、今年度、宇佐市、豊後大野市、国東市の3市に9校の小学校教科担任制推進校を設け、教科担任制を導入しています。導入して1年が経過しようとしていますが、今年度の導入による成果と課題をどのように分析しているのか、また、今後の方向性についてもお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○
麻生栄作議長 ただいまの嶋幸一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま嶋幸一議員から、自由民主党を代表して、県政諸般の御質問を賜りました。まず私からお答えします。 初めは、何といっても当面最大の課題である
新型コロナウイルス感染症対策についての御質問です。 県は、今回の
新型コロナウイルス感染症を、県民の安全を脅かす危機管理事案として受け止め、相談体制、PCR検査体制、感染者を受け入れる医療体制を速やかに整備するなど、感染の予防、あるいは発生した場合の対応について万全を期してきたところです。 こうした中、3月3日に県内で最初の感染者が確認されました。県では、直ちに対策本部会議を開き、組織をあげて感染拡大防止に向けた対策等を決定しました。具体的には、感染者の行動歴などをつぶさに調査し、濃厚接触者には14日間の自宅待機を要請するほか、必要な方にはPCR検査を実施しています。また、県民や事業所に対して、改めて手洗いやせきエチケットなどの感染予防策の徹底をお願いしているところです。今後も積極的な情報提供により、県民の不安解消を図りながら、感染の拡大防止に全力を尽くしていきたいと考えています。 次に、県内経済への影響についても御心配をいただきました。工業関係では、延べ1,450社に
アンケート調査を行って、回答のあった198社のうち、現時点で影響ありの企業は27%になっており、自動車関連に限ると、37%を占めています。非常にこの分野が影響が大きかったと思います。また、影響のありそうな企業312社に商工団体が行った調査では、売上げが前年同期比20%以上減少したとの回答は、宿泊業、製造業を中心に72社ありました。加えて、中国人観光客を積極的に受け入れる宿泊施設など、18の施設、団体に聞き取りした結果、中国に加えて他国の観光客や国内客の宿泊キャンセル、イベント中止も出始めて、長期化による観光産業全体への広がりが懸念されています。 このため、県では、金融相談窓口を設置したほか、資金繰り対策の実施を国に要請し、今月2日には国の支援対象地域に指定されたところです。 県では、資金繰り支援として、県制度資金の融資対象者を拡大していますが、先日の県内感染者の発生を踏まえて、新たに低利の県制度資金を創設して、今日から適用を開始しています。 また、雇用調整助成金や学校の臨時休業に伴い休職した保護者に係る国の新たな支援を受けながら、影響への対応に備えて、引き続き県内経済や国の追加経済対策の動向を注視しながら、対応策や国への支援要請などをしっかりやっていきたいと思っています。 次に、県政運営についての御質問でした。内外の社会情勢などが目まぐるしく変化する中、時代の流れをしっかりと読み取って、大分県の未来を切り開いていくことが大事だと思います。 今回、長期総合計画、安心・活力・発展プラン2015を改定して、最大の課題である少子高齢化、人口減少に歯止めをかけるため、次の3点を柱として重要な政策課題を着実に前に進めていきたいと思っています。 第1は、大分県版地方創生の加速、前進です。人の分野で、引き続き子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率、三つの日本一への挑戦を行っていきます。特に子育てについては、出会いサポートセンターの取組や不妊治療費助成の充実、待機児童ゼロを実現する環境整備など、出会いから子育てまで切れ目のない支援をしっかりと進めていきたいと思います。また、県民総ぐるみの健康づくり運動を展開するほか、障がい者の雇用促進と職場定着に力を入れて、日本一奪還を目指していきます。 仕事の分野では、農林水産業のさらなる構造改革を進め、もうかる農林水産業を実現します。商工業では、中小企業、
小規模事業者の経営革新を促進するとともに、円滑な事業承継を支援します。創業、起業、企業誘致を一層努力して推進し、県内各地に魅力ある仕事の場をつくっていきます。さらには、昨年の
ラグビーワールドカップの成果を生かして、インバウンドの多角化も進めていきたいと思います。 地域の分野では、広域
交通ネットワークなどの社会基盤の整備を図るとともに、魅力的な地域をつくり、UIJターンを促進します。特に福岡への若い女性の転出超過が顕著となっていることから、新たな拠点施設「dot.(ドット)」を開設して、県内企業の情報発信や就職相談などを積極的に展開したいと思っています。 女性の活躍に向けた取組も非常に大事です。多様な価値観や活力を生み出し、懐の深い社会を実現するため、女性が生き生きと働き活躍できる社会づくりを推進します。 第2の政策課題は、先端技術への挑戦です。IoTやビッグデータ、AIなどの先端技術を地域課題の解決に活用するとともに、これらと本県のものづくり技術との融合を図りながら、新たな産業の創出を加速させて、仕事のフロンティアを築いていきたいと思います。 第3の政策課題は、強靱な県土づくりです。近年の台風や豪雨、緊迫度が増している南海トラフ地震等について、革新的な視点を持って対策を進めていきます。玉来ダムの整備をはじめ、河川、ため池の改修、土砂災害対策など、抜本的な防災・減災対策を急ぎます。 こんな中、思いがけない
新型コロナウイルス感染症ですけれども、こうした突発的な危機管理にも万全を期していかなければならないと、引き続き、県民の思いをしっかりと受け止めながら、若者が魅力を感じる、夢と希望あふれる大分県をつくっていきたいと思っています。 次に、今後の財政収支の見通しについて御心配をいただきました。 県政の推進にあたっては、時代の変化に対応した政策を積極的に展開するとともに、その土台となる持続可能な行財政基盤の確保ということもあわせて念頭に置かなければなりません。令和2年度の当初予算案では、地方創生の加速前進や先端技術への挑戦、大規模災害に備えた強靱な県土づくりを基本方針に掲げ、安心・活力・発展の各分野に意欲的に施策を盛り込んだところです。その結果、7年連続プラスの積極予算となりましたけれども、
財政調整用基金の取崩しについては、できる限り抑制を図ったところです。 しかしながら、今後も社会保障関係費の増加等が見込まれる中で、中期的な視野に立って財政運営を行っていかなければなりません。 お手元の財政収支見通しを御覧いただきたいのですが、上程中の2年度当初予算案と、本日御承認をいただいた2月補正予算をベースに、国が示す経済成長率などを反映して試算したものです。 なお、昨日発表した大分空港への海上アクセスについては、ホーバーを県で購入して上下分離をして行うとした場合の経費についても、この中に見込んでいるところです。 詳細は後ほど担当部長から説明をしますが、まずは左側の中段の表の
財政調整用基金の取崩額を御覧ください。左から2列目ですが、2年度は77億円を取り崩します。3年度以降は
消費税率引上げの影響が平年度化することにより、税収増などから、取崩額は70億円程度で推移し、基金残高は、新しい行財政改革推進計画で目標とする標準財政規模の10%程度の330億円を上回って確保できると考えています。 一番下の表の県債残高ですけれども、こちらは国の
国土強靱化対策事業が3年度以降も一定程度継続すると仮定して試算していますが、総額は5年度にかけて1兆500億円台で推移する見込みとしています。県債残高は一時的に増加しますが、それでも災害に強い安心な大分県を今築くということは、次の世代に向けた私たちの責任だと考えており、やらなければならないことだと思います。 その一方で、議員御指摘のとおり、財政の健全性確保も重要な課題であり、このため臨時財政対策債等を除く実質的な県債残高については、本県と財政規模が同程度の他県の状況も参考としながら、標準財政規模の約2倍の6,500億円以下とすることを当面の目安として、財政運営を進めていきたいと思います。 こうした県債残高の適正管理とともに、交付税措置率の高い有利な起債の活用によって、実質的な公債費負担の抑制にも引き続き取り組んでいきたいと思います。 現時点の試算では、財政の健全性は確保されるという見通しですけれども、今後の経済動向によっては、税収確保が予断を許さないということはもちろんでして、また国がプライマリーバランスの黒字化を目指す中で、地方財政への圧力を高めるということも考えられます。今後とも行財政改革推進計画の下で、持続可能な行財政基盤の確立に向けて、常在行革の精神で不断の取組に努めていきたいと思います。今のところ、県としては健全財政は保たれると思っていますけれども、油断は禁物という思いでしっかりと取り組んでいきたいと思います。 次に、移住・定住について御質問をいただきました。 本県では、まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略に基づき、毎月の移住相談会の開催や移住支援策の拡充など、きめ細かな対応で毎年移住者数を増やしてきました。民間の移住したい都道府県ランキングでは、過去最高の8位となるなど、移住先として本県は高い評価をいただいています。 しかしながら、人口の社会増減では、依然として転出超過が続いています。直近の人口推計では、1,801人の転出超過のうち、年代別で20から24歳が1,722人、うち女性が1,193人、地域別では福岡県が1,025人、うち女性が795人となっています。また、本県への移住者は30代以下が6割を超えており、福岡の、特に若者、女性への対策や子育て世代への取組が急務です。それらを踏まえ、第2期総合戦略に掲げる令和7年の社会増減均衡に向けて、5年後の移住者数を昨年度の1,128人から倍増させることにしています。 そこで期待されるのが福岡対策でして、4月に開設する「dot.(ドット)」をフルに活用していきたいと思います。この「dot.(ドット)」は、小さな点のような一つ一つの出会いや経験が、やがてつながり人生の大きな転機となる。そういう思いを込めた拠点施設であり、学生やUIJターン就職希望者に対して、企業説明会の開催や医療・福祉系職種、農林水産業などのセミナーも開催して、多様な職種への就職につなげます。特に女性向けにライフスタイルの転換を指向する30歳前後の方へ、結婚や起業など、具体的なテーマ別のイベントを開催するなど、細かなニーズを捉えた取組も実施したいと思います。 子育て世代に向けては、昨年首都圏で開催した親子で楽しめる移住イベントが好評だったことから、これを充実していきます。また、大分で子育て中の移住者を紹介する動画や冊子を活用し、イベント等で本県の恵まれた子育て環境や充実した支援策をアピールしていきたいと思います。 就職氷河期世代を含む非正規雇用の若者向けには、大分での仕事と暮らしを体験し、移住者と交流するツアーを、これまでの首都圏に加えて、関西や福岡からも募集して実施したいと思います。さらに行政主体の取組に加え、先輩移住者や移住を応援する企業、団体等と連携して、大分の魅力の発信や交流促進など、県民総ぐるみで移住・定住の取組を加速させていきたいと思っています。 次に、子育て満足度日本一について御質問をいただきました。 県では、これまで子育て満足度日本一を目指して、保育料や医療費助成など子育ての経済的負担の軽減や、待機児童解消に向けた保育所整備、放課後児童クラブの量と質の拡充など、子育て環境の充実に努めてきました。こうした取組もあり、子育て世帯の理想の子ども数は近年上昇を続けて、今年度は2.88人へと増加しています。また、先月、民間調査機関が発表した育児ストレスが少ない都道府県ランキングで、本県は、女性が全国1位、男性が2位と、うれしい評価をいただいたところです。 今回策定する大分子ども・子育て応援プラン第4期計画では、次の三つの基本姿勢を掲げて、さらなる取組を進めていきます。 一つは、子どもの育ちへの支援です。一人一人の子どもがかけがえのない個性ある存在として認められ、自己肯定感を持って育っていくことができる環境をつくるということが誠に大切です。幼児教育センターを拠点に、人格形成の基礎を培う幼児期における教育の質の向上を図るほか、増加を続ける児童虐待に確実に対応するため、児童相談所職員の増員など、体制を強化していきたいと思います。 二つは、結婚、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援のさらなる推進です。本県は既に全国トップクラスの不妊治療費助成を行っていますけれども、来年度から助成回数を、これまでの通算6回から、1出産あたり6回に拡充するとともに、新たに不妊検査費用の助成を始めるなど、子どもを持ちたいという希望をお持ちの方を後押ししていきたいと思います。 三つ目は、家庭だけではなくて、地域、企業、学校、行政など、様々な主体がつながった子育て支援です。企業とともに、子育てと仕事が両立できる環境づくりを進め、男性の育児休業の取得や子育て参画を促進します。また、子どもから高齢者まで多世代が交流できる場づくりを子ども食堂などで進めるとともに、子どもの通園時の付添いなどを行う住民相互の支え合い活動を広げていきたいと思います。こうした取組によって、子育て満足度日本一の大分県づくりを全力で進めていきます。 次に、女性の活躍について御質問をいただきました。 地方創生の道筋を確かなものにするには、男女が共に責任を分かち合い、個性と能力を十分に発揮することによって、多様性や活力を生み出していくことが大変大事です。 私たちは、まだ根強く残る性別役割分担意識など、女性の感じる生きづらさを解消していくとともに、出産後も引き続き就業できる柔軟な働き方の導入や職場環境の整備を進めて、全ての女性が存分に活躍できる社会を実現していかなければなりません。 こうした課題意識の下、業界業種ごとに現状やニーズを具体的に分析した上で、次のような視点から施策をまとめ、アクションプランとして広く示すことにより、官民連携して取組を進めることにしました。 一つは、働きたい女性への支援です。業界別のトップセミナーを開催して、意識を改革し、思い込みなどによる採用におけるミスマッチ、それがまた働きたい女性にとっては働く機会の喪失につながるわけですが、そういうミスマッチの解消を図っていきたいと思います。 また、スキルアップのための託児付き職業訓練や、農業や建設業などへの就業を促進するための環境整備を支援するとともに、女性の創業や起業を積極的に後押しします。 二つは、働いている女性の支援です。女性の就業継続に向けて、勤務時間の多様化やテレワーク、あるいは職場環境の改善など、働き方改革に取り組む企業にコンサルタントなど専門家を派遣します。また、女性の登用に向け、キャリア形成のためのセミナーを開催するなど、スキルアップを支援します。 三つ目は、男性の家事への参画です。県民向け、企業向けに性別役割分担意識の解消を図るセミナーを開催して、男性の子育て等への参画を進めていきたいと思います。また、保育料を減免して経済的負担の軽減を図るなど、保育サービスの充実に努めて、ワーク・ライフ・バランスの拡充にも努めます。 なお、施策の展開にあたっては、経済5団体と行政からなる女性が輝くおおいた推進会議で、検証や分析を行うPDCAサイクルを構築し、効果的な施策の推進を図っていきたいと思います。こうした取組を丁寧かつ大胆に進めて、女性にとっても生き生きと働ける大分県でありたいと思っています。 次に、社会資本の整備について御質問をいただきました。 社会資本は、県民生活や経済活動を支え、地方創生の基盤となることから、主に二つの視点を持ってしっかり取り組んでいきたいと思います。 一つは、九州の東の玄関口の拠点化戦略として、道路や港湾などを総合的に整備していくということです。東九州自動車道が開通したことで、企業進出や観光客が増えており、地域のポテンシャルは高まっています。その流れを加速させ、活発化につなげるために、4車線化の早期完成を国等に引き続き強く要望していきたいと思います。 また、中九州横断道路竹田-阿蘇間の整備促進や、中津日田道路においても、耶馬溪道路の令和2年度開通、日田山国道路の早期着手を目指すなど、地域高規格道路の整備も加速して、広域
交通ネットワークの一層の充実を図っていきます。 加えて、大分港では、物流のニーズ拡大に対応した埠頭整備を進めるとともに、別府港ではフェリーの大型化にあわせた港湾施設の改修やにぎわい空間の創出など、機能強化にも取り組みます。 二つ目は、県民の命と暮らしを守る県土の強靱化です。気候変動の影響による自然災害の頻発、激甚化や、切迫する南海トラフ地震への備えをしっかりと講じなければなりません。ハード面では、まず玉来ダムについて令和2年度に治水効果発現を目指します。さらに、河川改修など抜本的な治水対策に加えて、地震、津波等に備えた橋梁や建築物の耐震化、大分臨海部コンビナート護岸の強化等を進めていきたいと思います。 ソフト面では、土砂災害警戒区域の指定を来年度中に完成させるとともに、さらなる住民の安全性向上のため、警戒区域周辺において、今後も3年かけて基礎調査を進め、避難体制の整備につなげていきたいと思います。 あわせて、社会資本の老朽化対策についても、生活基盤として次世代に継承できるよう、長寿命化の取組に加え、ドローン等の先端技術を積極的に活用して、効率的な維持管理を図っていきます。 今後とも県民の命と暮らしを守り、大分県版地方創生を支えるものとして、社会資本の整備をしっかりと進めていきたいと思います。 次に、農林水産業の振興について御質問をいただきました。 農林水産業は、県内各地に人と仕事の好循環を生み出す大変重要な産業です。これまでの取組により、新規就業者数は、平成16年度の194人から、30年度には過去最高の424人となったほか、ねぎ類やトマトなどの園芸品目の生産量は着実に増加しています。一方、水稲の作付割合は依然として九州で最も高く、米依存の生産構造からの転換は遅れています。 私は、本県農林水産業の勢いを増して、直面する課題も克服しながら、構造改革をさらに加速させていかなければならないと思っています。改定後のプランでは、令和5年度の創出額目標を2,650億円へ上方修正します。情勢変化を踏まえて、品目ごとの生産目標を再点検する中で、県、市町村、関係者が共に目線を高くして、一丸となって農林水産業を維持、発展させるにふさわしい目標値としたところです。この目標達成に向けて、各分野で取組を強化します。 農業では、水田の畑地化をさらに加速して、収益性の高い園芸品目の生産拡大を急ぎます。水稲からの転換を後押しするため、次期作付費用の補償制度を県独自に新設するなど、支援策を拡充し、県内各地に大規模園芸団地をつくります。 また、畜産では、繁殖、肥育の技術指導体制を強化するほか、新規就農者の繁殖牛の導入や畜舎整備等を支援するなど、大分和牛の振興を図っていきたいと思います。 林業では、多くの人工林が伐採期を迎える中、循環型林業を確立したいと思います。主伐と再造林を一体的に担う中核林業経営体を育成して、令和6年度には素材生産量160万立方メートルを達成します。 水産業では、漁獲規制の徹底を前提とした種苗放流の支援などにより、漁獲量の安定化を図るとともに、カキの水質浄化能力を活用した赤潮抑制効果の検証に着手するなど、成長産業化を後押ししたいと思います。 さらに、スマート農林水産業の実現に向けて、園芸施設のモニタリングシステムや、苗木運搬用のドローンの活用などを進めます。加えて、産地を牽引する担い手の確保、育成や、海外展開を含めた戦略的な流通対策に引き続き取り組んでいきたいと思います。 今後とも生産者が夢と希望を持って挑戦できるように、魅力ある、もうかる農林水産業の構築に向けて努力をしていきます。 次に、大分空港への海上アクセスについて御質問をいただきました。 本県が九州の東の玄関口として競争力を持って発展していくためには、人の流れの拠点である大分空港の利便性を向上させ、その活性化を図るということは重要です。大分空港の平成30年度の利用者数は、平成14年度以来16年ぶりに200万人を突破して、今後もインバウンド需要の高まりやLCCのシェア拡大等によって、さらなる増加が見込まれています。人口減少や少子高齢化が進む中で、高まる航空需要を着実に取り込み、交流人口の拡大を図ることにより、本県の地方創生をさらに加速させていきたいと思っています。 そのためには、現在県中心部まで約60分かかり、他の地方空港と比較して著しく時間を要する状況となっている大分空港のアクセス改善を図ることが必要です。 そこで、県では、陸路に加え、時間短縮効果が高く、災害時のリダンダンシーも確保できる海上アクセスの実現可能性について、高速船とホーバークラフトを対象に調査、検討を行って、昨日その結果を公表したところです。調査では、高速船は整備に時間と費用がかかる上、時間短縮効果が約20分にとどまるなど、利便性の面で課題があることが明らかになりました。一方、ホーバークラフトは既にあるわけですから、整備の時間と費用が抑えられるということに加えて、運航速度が速くて時間短縮効果が最大約35分となることなど、利便性がより高まることが分かりました。また、運航スキームについては、船舶の調達や発着地整備は県が行って、運航は民間事業者が行う、いわゆる上下分離方式であれば、利用者の収支バランスが保てるとともに、民間のノウハウや創意工夫を生かしたサービスの提供も期待できるという結論が得られたところです。 今後は、この調査結果を踏まえて、来年度のなるべく早い時期に外部有識者等による選定委員会を立ち上げ、運航事業者の募集に着手します。民間の柔軟な発想による企業提案をしていただいて、その中から県民にとってよりよいものを採用したいと考えています。運航事業者決定後は、船舶の調達や発着地整備を進めて、早ければ令和5年中に運航開始を目指していきたいと思っています。 次に、私学の振興について御質問をいただきました。 郷土が誇る偉人で、昭和恐慌に命を賭して立ち向かわれた大蔵大臣の井上準之助は、遠図という文字を好んで書いておられます。遠いという字に、図ははかりごとの図ですね。遠図という字をよく書いておられます。100年、200年先を見据えた理想や事業のことを意味していますが、教育というのは、正にその、本県にとっては、遠図であると思っています。 私立学校は、建学の精神の下、伝統ある人間関係とともに、将来を見据え、時代に即応した特色ある教育を実施しています。1人1台のタブレットを授業で活用したり、大学と連携した授業の実施により、グローバル人材の育成に取り組む学校があります。また、地域の基幹産業である造船業界と連携した造船コースの設置など、学校を核とした地域産業の活性化に取り組む学校もあります。それぞれ独自の教育を行う私立学校には、本県の将来を担う人材の育成にさらに貢献していただくことを期待しているところです。 折しも私立学校においては、自ら私学振興プラン2020を策定され、生徒の視点や時代に即した教育、開かれた学校づくりに取り組んでおられます。心強く感じているところです。 県では、このような私学、私立学校の取組を次の三つの視点から支援していきたいと思います。 一つは、個性豊かで特色のある教育の充実です。進学や就職支援の強化、文化、スポーツの振興など、各学校の特徴を生かした取組に対して支援したいと思います。また、経営の基盤となる運営費助成についても、前年度を上回る額を計上しています。 二つ目は、教育の資質向上に向けた環境の整備です。新学習指導要領の全面実施を前に、電子黒板やタブレット等のICT機器の整備などを支援します。今後は、教員の指導や効果的な活用について、提案、助言を行うICT支援員の配置も進めていきます。 三つ目は、保護者の経済的負担の軽減です。来年度から始まる国の授業料無償化の対象とならない、年収590万円以上910万円未満の世帯に対して、県単独で授業料の減免支援制度を設け、生徒の希望する進路選択を応援します。私立学校が、一人一人の個性に合わせた柔軟な教育により、生徒の生き抜く力を涵養し、ふるさと大分の担い手育成に積極的に取り組めるように、私どももしっかり応援をしていきたいと思います。 私からの答弁は以上ですが、その他の御質問については、担当の部長等から答弁させていただきます。
○
麻生栄作議長 和田総務部長。
◎和田雅晴総務部長 今後の財政収支の見通しについてお答えします。 お配りしている資料、今後の財政収支見通し試算を再度御覧ください。右側に前提条件を記載していますが、まず歳入です。 県税については、国が1月に公表した中長期の経済財政に関する試算における成長実現係数の名目成長率を反映するとともに、
消費税率引上げなど、税制改正の影響を織り込んで試算しています。交付税、臨財債については、一般財源総額を令和3年度までは確保するという国の方針が示されていますが、それ以後においても一般財源総額が確保されるという前提の下で試算しています。その結果、県税は6年度に1,414億円となり、2年度と比較して約130億円の増加が見込まれています。一方で、交付税、臨財債は2年度と比較して約100億円減の1,820億円になるものと試算しています。このほか、(2)国庫支出金や(3)県債については、投資的経費に連動させて試算しており、6年度には2年度からそれぞれ約70億円、約110億円の減となる見込みです。 次に、歳出です。(1)の義務的経費のうち、①人件費については、職員の若返りによる新陳代謝等に伴う減が見込まれることから、6年度には全体で1,481億円と、2年度と比較して約80億円の減を見込んでいます。②社会保障関係費については、高齢化の進行や子育て支援策の充実などに伴い増加して、6年度には2年度と比較して約60億円増の915億円になるものと見込んでいます。また、③公債費については、800億円程度で推移するものと試算しています。その結果、義務的経費全体ではほぼ横ばいで推移し、6年度には3,203億円となる見込みです。 その下の(2)投資的経費については、①補助直轄、②単独、ともに公共事業等について2年度と同額を基本としつつ、漁業公社の種苗生産施設や高等特別支援学校の整備に伴う増、県立芸術文化短期大学や国東警察署の整備完了に伴う減など個別施設の影響、この中に大分空港海上アクセス整備も含まれますが、こういったものを反映させて試算しています。 なお、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策については、令和2年度の終了が予定されていますが、本県を含め各団体が国に対して継続を強く要望していることも踏まえ、3年度以降も一定程度、具体的には現在の規模の2分の1程度は継続するものとして試算しています。 二つ目の表の一番上には、各年度の歳入から歳出を差し引いた
財政調整用基金取崩額を、一番下には
財政調整用基金残高を記載しています。今後取崩額は70億円程度で推移しますけれども、執行段階における歳入確保や節約の取組を加味すると、基金残高は、標準財政規模の10%相当である330億円以上を安定的に確保できる見込みです。 また、一番下の表の県債残高については、臨財債等除きの実質的残高については、適正管理の目標である6,500億円以下で推移するとともに、総額でも4年度から抑制基調となる見込みです。国においては、令和7年度の国、地方を通じたプライマリーバランスの黒字化達成に向け、新経済財政再生計画に基づき改革を進めることが想定され、地方財政に対する圧力も厳しくなることが懸念されます。このため、行財政改革の取組を引き続き徹底し、行財政基盤の強化に努めていきます。
○
麻生栄作議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 若者の県内就職の促進に関して、福岡の拠点「dot.(ドット)」への集客や県内就職につなげるための取組等について御質問いただきました。 今年4月の開設に向け、昨年8月に、福岡の学生や広報の専門家で若者の集客方法やイベント企画を検討するチームを設置しました。ターゲットとなる若者に共感し、課題解決につなげていくデザインシンキングの手法を取り入れつつ、精力的に検討しているところです。 集客では、若者の就職への関心度合いにより階層を分け、階層ごとにイベントを企画していきます。例えば関心が余り高くない層には、同郷、同年代の若者に会えるイベント、関心が高い層には、先輩社会人との交流会等を開催、これらの情報をSNSや口コミにより発信し、若者の集客に努めていきます。 さらに、学生が勉強会やサークル活動などにも「dot.(ドット)」の交流スペースを無料で利用できる会員制度を導入します。加えて、県内企業が企画するイベントも積極的に開催し、会員と県内企業との出会いの場を提供します。こうした取組を通じて、より多くの福岡在住の若者を県内就職へとつなげていきたいと考えています。 続いて、産業振興について、特に自動車産業と半導体産業について御質問いただきました。 本県経済に大きなウエートを占めるものづくり産業の振興は、県政の重要な課題の一つです。 自動車業界は、つながる、自動化、電動化など、いわゆるCASEの潮流により、産業構造が大きく変革を始めています。自動車関連企業会では、この大変革をさらなる発展のチャンスと捉え、例えばダイハツ工業のデザイナーが利用者の困り事を実体験するユーザー目線のプロダクトデザインの手法を会員企業に紹介し、対応を促しています。 また、半導体産業は、ビッグデータをあらゆるものに活用するIoT革命がさらに加速され、従来を大きく上回る発展が見込まれています。 LSIクラスターでは、地場企業の会員が、この好機を逃さぬよう、顧客の真の欲求を的確に捉えるデザインシンキングの手法を取り入れた新たなサービス開発に係る研究を開始しています。 今後も、先端技術とものづくりの融合等、県内企業の新たな取組をしっかりと応援していきます。 最後に、観光産業の振興についてお答えします。 日韓関係の悪化、
新型コロナウイルスの感染拡大により、観光業界は厳しい局面にありますが、長いスパンで見れば、インバウンドにはまだまだ潜在的な需要があると考えています。誘客地域の多角化や個人旅行者へのアプローチを推進するとともに、中長期的な視点から観光産業の振興を図ることが重要だと思っています。 そのため、今年度は、観光産業の中核である宿泊業者約100社を訪問し、実態把握を行っています。これから見えてきた新規の顧客開拓や人材の確保、育成といった課題の解決に向け、経営革新計画の策定やそれを具体化する取組を支援していきます。 また、個々の取組に加え、地域の宿泊業者で課題を共有した上で、地域単位で研修や実証事業を行っていきます。 このような取組により、宿泊業者など観光事業者の経営体質を強化し、観光産業を稼げる産業、変化に強い産業へと転換させていきます。
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麻生栄作議長 中島企画振興部長。
◎中島英司企画振興部長 まず、留学生の県内就職、起業支援についてお答えします。 県では、
留学生ビジネスセンターを中心に、県内への就職、起業を積極的に支援しているところです。県内への就職者数は、センターを設置した前年、平成27年度の29人から、昨年度は45人に増加しました。起業では、旅行、貿易業、映像メディア、飲食業など、累計で13社を数えるまでになりました。 これまでの成果を踏まえ、県内就職に向けては、合同企業説明会やインターンシップの充実を図るとともに、県外へ就職した留学生OBに対しても、移住セミナー等により大分県に戻ってくるよう積極的に働きかけていきます。加えて、留学生を採用しようとする企業の拡大に向けては、在留資格等の説明会を開催します。 起業では、外国人企業要件緩和適用の全国第1号のベンチャー企業、これは大分県が働きかけて制度改正が実現したものですが、こうした企業や、ニッポンものづくりフィルムアワードでグランプリを受賞した企業も誕生しています。これら先輩起業家との交流による後進育成の仕組みづくりや、起業実績のまだまだ少ない大学への出張セミナー等により、起業へのチャレンジ層を拡大していきたいと考えています。 留学生の県内定着は、地方創生を進める上で重要な課題であり、関係機関とも連携しながら、引き続き取組を充実させてまいります。 次に、大分空港への定期路線誘致についてお答えします。 国際線については、当面、
新型コロナウイルスの状況もしっかりと注視していく必要があると思います。その上で、運航再開が予定されているソウル線を、運休前の週7便に戻せるよう、航空会社と連携し、利用促進に取り組みます。また、中国、台湾、その他のアジア地域をターゲットに、海外の航空会社や旅行会社に対して、県内観光地の魅力や国際線ビル拡張による受入体制の充実をしっかりとPRし、新規路線の誘致を進めていきます。 国内線については、沖縄線が利用者の低迷により、平成19年から運休となっていますが、沖縄は人気の観光地であり、再開を希望する声も多く、実現させたい路線の一つです。引き続き、沖縄線をはじめ、観光やビジネス需要が見込める関西圏や首都圏等からの就航を目指し、近年路線が拡大しているLCCも含め、積極的に誘致を行っていきます。県民の利便性向上や交流人口の拡大を図るため、今後とも定期路線の充実に努めていきます。
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麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。
◎廣瀬高博福祉保健部長 若者の結婚支援についてお答えします。 出会いサポートセンターの会員数は、現在1,300人を超え、成婚数は18組となっています。会員の約6割を占める大分市在住者に加え、昨年7月からは県内5地域でも出張えんむす部として定期的な巡回相談を始めており、大分市以外の会員も増えてきています。他方、会員へのアンケートなどで利用者ニーズの把握にも努めており、昨年度は、各人のスマートフォンからでもお相手を検索できたり、お見合い相手とシステム上でコミュニケーションが取れるようチャット機能を追加し、会員の利便性の向上を図ります。加えて、テレビやWEBでの広報を拡充し、センターのさらなる周知にも力を入れていきます。 こうした取組により、会員拡大やカップル成立の増加につなげていきます。
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麻生栄作議長 岡本企業局長。
◎岡本天津男企業局長 企業局の施設の老朽化、耐震化対策についてお答えします。 議員がおっしゃった別府市への7割の上水供給に限らず、工業用水道事業でも企業向けに加え、判田浄水場から大分市へ約3割に上る上水を供給しています。このため、何があっても水は止められないという覚悟で臨んでいるところです。 老朽化対策は、経営戦略に基づき、計画的に実施しています。電気事業では、企業局として初めて施設の全面改修に取り組んでいる大野川発電所に続き、別府発電所について令和3年度から全面改修に着手したいと考えています。 他方、工業用水道事業では、老朽化が認められた県道大在大分港線、通称40メーター道路に沿って埋設している水道管を、来年度から順次補修したいと考えています。 耐震化についても、発電所では大野川と、令和6年度から更新予定の芹川発電所を除き、耐震工事が完了しています。 工業用水道事業では、ポンプ場、水管橋などの主要な施設は耐震工事が全て完了している状況です。 住民の安全・安心や企業活動の継続を第一に、今後も経営戦略に沿って、施設の老朽化、耐震化対策を推進していきたいと考えています。
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麻生栄作議長 牧防災局長。
◎牧敏弘防災局長 私からは、災害時の避難行動についてお答えします。 一人一人の防災意識の向上や地域内の連携、いわゆる自助と共助が重要であると認識しています。 まず、自助では、サイレン吹鳴の確認や、避難行動の実践を促す県民防災アクションデーを年2回実施しています。また、体験型の防災教育として地震体験車を活用するなど、地震、津波等の疑似体験ができるVR動画を今後展開する予定です。さらに、災害時に自分自身が取るべき行動を事前にまとめるマイ・タイムラインの作成を促し、適切な避難行動につなげていきたいと考えています。 次に、共助では、防災士の養成を図るとともに、防災士と自主防災組織等が連携して避難訓練等を実施することで、防災力の強化を図ります。なお、単独で訓練の実施が困難な地域には、計画から実施までを直接支援する、訓練押しかけ支援隊を引き続き派遣していきます。 今後も市町村等と連携しながら、県民の誰もが迅速かつ適切な避難行動がとれるよう、粘り強く取り組んでいきます。
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麻生栄作議長 大友農林水産部長。
◎大友進一農林水産部長 私からは、大野川上流地域の農業振興についてお答えします。 当地域は、冷涼な気候を生かしたキャベツなどの野菜の一大産地であり、土地利用率の向上による産地拡大が期待できる地域です。大蘇ダムからの本格給水を契機に、畑地かんがい用水をフル活用した農業振興を図るため、竹田市など関係機関とともに、中期的な営農振興計画を今月作成します。この計画では、ニンジンやキャベツ、スイートコーンなどの作付の拡大等により、10年後の農業産出額を現状から20億円増加させ、50億円とすることを目標としています。そのため、露地栽培農家に対し、新たに給水栓の設置を助成するとともに、かん水資材の導入経費についても、市と連携し、初期投資の軽減を図りたいと考えています。また、機械化一貫体系の導入や、集出荷施設の増設などにより、加工、業務用の取引拡大も図ります。 こうした取組を含めて、当地域が西日本有数の高原野菜産地となるよう、関係機関と連携して支援していきます。
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麻生栄作議長 山本会計管理者兼会計管理局長。
◎山本修司会計管理者兼会計管理局長 行政分野におけるキャッシュレス化についてお答えします。 県民の利便性向上の観点から、行政分野におけるキャッシュレス化の推進は、時代の要請であると認識しています。 県では現在、自動車税についてクレジットカードやスマートフォンアプリを使って納付できるようにしていますが、今後これを行政手続に伴う手数料などの納付に拡大していくことが必要と考えています。行政手続について、新たな行財政改革推進計画では、電子申請導入率100%を目指すことにしています。この電子申請を利便性が高いものとするためには、申請手続の中で手数料を電子納付できる仕組みをつくることが必要です。 そこで、県の歳入の仕組みをキャッシュレス決済に対応させるとともに、会計事務の効率化を図るため、歳入歳出の基本システムである財務会計システムについて、来年度から再構築に向けて検討することにしています。
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麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 私から教育に関して2点お答えします。 まず、学校におけるICT環境の整備についてです。 本年2月末現在における教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数は、昨年の4.3人から3.1人へと整備は進んでいるものの、市町村の中には1台あたり7人にとどまっているところもあります。また、普通教室の無線LAN等の整備率は、11市町村で整備が終了したことから、昨年の63.6%から95.6%へと大きく向上しました。 今後は、国のGIGAスクール構想に沿って、校内通信ネットワークの充実や児童生徒1人1台パソコンの整備を令和5年度までに完了させるべく市町村と連携をしていきます。 あわせて児童生徒一人一人の習熟の程度等に応じた学習や情報収集、資料作品の制作など、多様な活用方法も研究するとともに、教員の指導力向上のための研修も進めてまいります。 このように、ハード、ソフトの両面から取組を進めて、ICTを活用して、子どもたちの生涯にわたる力と意欲を高める教育を進めていきたいと考えています。 次に、小学校における教科担任制についてお答えします。 導入当初は、一人の学級担任が全ての教科を教えることに比べて、子どもとの関わりが減るという不安が学校にありましたが、取組が進むにつれてその不安も解消されています。
アンケート調査によると、例えば国語が好きな児童が、4月の64.9%から、11月には70.7%に、進んで学習に取り組む児童は75.4%から84.8%に増えています。2月の調査結果も踏まえて、しっかり効果分析をしていきたいと考えています。 また、生徒指導においても、子どもたちを学級担任に加えて複数の教科担任の目で見ることで、早期に問題を発見して組織的な対応にもつながっています。 中央教育審議会で小学校教科担任制の本格的な導入に向けた論点整理が行われ、議論が進んでいることを踏まえて、国の加配教員の枠の中ではありますが、推進教員を9人から30人に拡大して、教科担任制の取組を強化していきたいと考えています。
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麻生栄作議長 以上で嶋幸一君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の代表質問はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の代表質問を終わります。
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麻生栄作議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は決定次第通知します。
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麻生栄作議長 本日はこれをもって散会します。 午後0時17分 散会...