大分県議会 2019-09-25
09月25日-03号
令和 1年 第3回定例会(9月) 令和元年第3回
大分県議会定例会会議録(第3号)令和元年9月25日(水曜日
) -------------------------------議事日程第3号 令和元年9月25日 午前10時開議第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 43名 議長 麻生栄作 副議長 土居昌弘 志村 学 井上伸史 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 三浦正臣 古手川正治 嶋 幸一 濱田 洋 元吉俊博 御手洗吉生 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 高橋 肇 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 末宗秀雄
後藤慎太郎欠席議員 なし
-------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 安東 隆 副知事 尾野賢治 教育長 工藤利明 代表監査委員 首藤博文 総務部審議監 武藤康彦 企画振興部長 中島英司 企業局長 岡本天津男 病院局長 田代英哉 警察本部長 石川泰三 福祉保健部長 廣瀬高博 生活環境部長 宮迫敏郎
商工観光労働部長 高濱 航 農林水産部長 大友進一 土木建築部長 湯地三子弘 会計管理者兼会計管理局長 山本修司 防災局長 牧 敏弘
人事委員会事務局長 藤原隆司
労働委員会事務局長 後藤素子
選挙管理委員長職務代理者 大津留 源 財政課長 佐藤 章 知事室長 山田雅文
------------------------------- 午前10時 開議
○土居昌弘副議長 皆様、おはようございます。 これより本日の会議を開きます。
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○土居昌弘副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。
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△日程第1 一般質問及び質疑
○土居昌弘副議長 日程第1、第85号議案から第106議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。大友栄二君。 〔大友議員登壇〕(拍手)
◆大友栄二議員 おはようございます。9番、自由民主党、大友栄二です。 春の改選後、初となる一般質問です。2期目に入り、改めて気を引き締め、県民としっかりと向き合い、声を届けていく役割を全うしていきたいということを改めて強く決意をしています。今回も質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員の皆様方、そしてまた、中津市より傍聴に来ていただいた支援者の皆様方に心から感謝を申し上げ、早速質問に入りたいと思います。 県北地域の水産振興についてです。 本県の水産業全体で見ると、産出額は海面漁業と養殖業を合わせて361億円で、全国13位、単価では全国平均の約2倍の全国2位となるなど、全国有数の水産県であると言えます。 特に近年は、かぼすブリ、かぼすヒラメ、かぼすヒラマサのかぼす3魚種が好評で、第2の関あじ、関さばとしてブランドの確立が期待されています。 また、従来からクロマグロ養殖の企業参入が盛んで、知事もよくおっしゃっているように、新しい大分の顔となりつつあり、加えて、県内には生鮮でのEU輸出を全国で唯一認められているクロマグロの養殖業者もいらっしゃいます。これは、県と国、生産者が連携し、EUが求める寄生虫の検査体制を確立したことで可能となったものであり、この強みを生かして海外展開を加速していただきたいとお願いを申し上げます。 このように本県の水産業は大変元気がよいわけですが、いずれの動きも佐伯を中心とした県南地域のものであり、比べて、県北地域は少し見劣りしているのではないかという気がしています。 県北地域の水産振興に関しては以前にも質問させていただきましたが、水産業は、燃料や資材の高騰、漁獲量や漁業者の減少など、長年厳しい状況が続いています。例えば県北地域の漁獲量は、平成21年には2,072トンでしたが、29年には1,274トンと61%まで減少し、漁業の担い手である漁協の組合員数も、平成21年の757人から29年には466人にまで減っています。 また、県北地域は、アサリなどの貝類やカレイ類、エビ類の生産の場ですが、近年はハモなどの一部魚種を除き、資源が減少傾向にあります。当然養殖等には適地があるので、例えばマグロ養殖を県北地域で展開することは難しく、県南地域と同じような形での施策の推進はできないものと思いますが、中津魚市の破綻といった環境にある県北地域の水産業は今が踏ん張りどころです。 そこで、地域の関係者自らも収入の向上やコスト削減などに向けた取組を進めているところですが、県として、県北地域の水産業をどう位置付け、これからどのように振興していこうとしているのか、知事のお考えをお聞かせください。 以下は対面席より質問させていただきます。 〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○土居昌弘副議長 ただいまの大友栄二君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 大友栄二議員には、県北地域の水産振興について御質問をいただきました。 県北地域は全国でも有数の干潟域でして、稚魚などの保護、育成の場として、また、生産の場として大変重要な地域だと思っています。 近年、漁獲量の減少や担い手の高齢化など厳しい状況が続いていますけれども、大分県版地方創生を実現させるためにも、県北地域の水産振興に向けて、資源管理と生産、流通対策の両面から取組を進めてまいります。 まず、水産資源の回復に向けた資源管理の徹底です。県は、これまでも県北の重要魚種であるクルマエビやガザミの種苗放流を支援してまいりました。地元では、放流効果を高めるため、放流直後に囲い網やシェルターを設置するとともに、漁獲時には卵を持ったガザミや小型魚の再放流を実施しています。こうした取組によって、今年度のクルマエビは、7月までの県漁協販売量が昨年比1.5倍に増加しました。 また、水産研究部の
北部水産グループが高級魚であるキジハタを試験放流したところ、市場調査の結果では、漁獲物の2割が放流由来のものでした。新たな放流魚種として有望であり、今後、種苗生産技術の開発に取り組んでまいりたいと思っています。 こうした種苗放流の成果をさらに高めるためには、やはり漁業者自身による資源を守る取組が重要です。そのため、これまでの自主規制に加えて、漁獲サイズの制限強化や禁漁期の延長など、新たな取組の実施状況に応じた種苗放流の支援も検討したいと考えているところです。 次に、漁業者の所得向上に向けた生産、流通対策です。中津干潟での養殖カキひがた美人は、短期間で全国的なブランドとして定着し、生産を順調に伸ばしています。海外では香港などでの引き合いも強く、引き続き販売拡大を図ってまいります。 また、消費者の健康志向や国産志向から、近年、ヒジキの単価が上昇し、漁業者の貴重な収入源となっています。宇佐では、良質な養殖ヒジキが収穫されたことから、今後、本格的な生産を支援したいと思います。加えて、天然ヒジキでは、建材ブロックによる増殖試験の成果を活用し、専用の増殖ブロックを用いた漁場拡大に取り組みたいと考えています。 中津市では、豊前海お
さかな料理研究会の皆さんが、特産のハモを使った中津鱧膳を開発、販売しています。観光振興にも寄与する新たな食として期待しています。また、宇佐支店青年部が漁港での朝市を復活させており、こうした消費拡大や6次産業化の取組も県北地域の魅力向上につながるものと期待しているところです。 今後とも、このような海域特性を生かした前向きな取組を後押しするとともに、抱える課題の解決を支援して、県北地域の水産振興を図っていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。自主努力も含めた中で、資源管理等々、様々な前向きな振興策を聞かせていただきました。豊富な資源を有する豊前海です。行政の支援をさらにやっていただくようにお願いするとともに、中津市の漁業関係者の方にお話を聞くと、やはり担い手不足とか、海底にごみが堆積していることとか、話題の
海洋プラスチックの問題とか、様々なことで頭を抱えています。 それに加えて、やはり一番心配しているのは、第2回定例会で馬場県議の質問にもありましたけれども、さきほど述べた中津魚市の破綻の件です。続いて、その件について質問します。 中津市をはじめとした県北地域の水産物供給を担う地方卸売市場、中津魚市が本年3月29日に破産し、営業を停止しました。これにより、市場に出荷していた漁業者、小売を行っていた流通業者、そして、圏域内の消費者の間に一時不安が広がりましたが、早速4月5日から県漁協中津支店が中心となり、小祝漁港の荷さばき施設を活用した集荷や相対取引が開始され、地元水産物が中津市及び近隣地域に安定供給されるようになったことから、ひとまず胸をなでおろしたところです。心配された夏場の高温対策についても、遮光幕や冷却機の設置、関係者による氷等の確保により、漁獲物の鮮度を保持することができました。 他方、現状のように、初めから値決めされた相対取引では、適正な取引価格の形成や円滑な流通など、地域の台所を担う機能としては十分と言えません。そのため、県北地域の漁業者、流通関係者や消費者は一日も早い、完全な市場機能を持った水産物卸売の再開を期待しているところですが、破産管財人による土地等の売却など、現在の状況や今後の見通しについてお伺いします。
○土居昌弘副議長
大友農林水産部長。
◎
大友進一農林水産部長 中津魚市の今後について御質問いただきました。 中津魚市の跡地の取扱いについては、破産前後に数社が卸売業務の事業継承を検討していましたが、不調に終わっています。破産管財人は、年内に土地、建物を売却する方向で調整を進めることとし、7月10日に入札が行われました。現在、その入札に参加した1社と協議が進められていると伺っています。 今後の見通しですが、その協議が整った場合には、水産物卸売の再開に向けて必要となる地方卸売市場の開設と卸売業務の開始の許可手続について適正な指導を実施していきたいと考えています。 仮に協議が不調に終わった場合であっても、現在、集荷、取引が行われている小祝漁港の荷さばき施設の使用を継続できるよう、関係者と調整を進めていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 まずは、その売買の成立が決まらないと、話にならないというところだと思います。 今、1社と協議をしていると、その辺も伺っているんですが、今答弁にあったように、開設許可申請は結構時間がかかると聞いています。半年ぐらいかかるというような話もありますけれども、その短縮をしていただきたいと思っています。仮に売買が成立した場合、申請が出てきて、許可手続が完了するまでのスケジュール感も含めた見通しをお伺いします。
○土居昌弘副議長
大友農林水産部長。
◎
大友進一農林水産部長 現在、協議を行っている業者との協議が整った場合については、さきほど申し上げたように二つの許可が必要となります。卸売市場の開設と、卸売業務の開始です。許可に際しては、業務規定や事業計画の妥当性、あるいは資金力などの審査が必要になります。そういったことから、処理には一定の期間を要すると考えています。 標準処理期間は特に定められておりませんが、跡地の買取業者から許可申請があった場合には、申請書類の整備といったことについて、適宜技術的な指導を行いながら、速やかな審査を進め、地域の要望に応えられるように、早期再開につなげていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 魚市場の営業停止で、本当に多くの皆さんが心配され、苦労されているということです。民間同士の売買の問題等あるんですけれども、公的要素が非常に強い部分だと私も感じていますので、許可申請以外のところでも行政のサポートを、しっかりと引き続きやっていただきたいとお願い申し上げます。それで、申請が出た場合は、一日でも早く許可できるように準備をお願いしたいと要望しておきます。 次に進みます。
キャッシュレス化の推進についてです。
ラグビーワールドカップ2019が開会し、大分会場での試合がいよいよ1週間後から開催されます。本県では、この大会をはじめ、年々増加する
インバウンド需要を確実に取り込むとともに、
飲食店等サービス産業の生産性向上や県民の利便性向上を図るため、
キャッシュレス化の推進について全国に先駆けて取り組んでいただいています。 昨年12月には、県内商工団体や
地域金融機関等と
キャッシュレス決済の推進に関する連携協定を締結し、協働して
特別優遇プランの周知や加盟店開拓支援に取り組む体制を構築するとともに、同月には早速、低率で一律の決済手数料や端末機器の無償提供など、本県限定の
特別優遇プランを提供できる決済事業者を全国から募集し、8社が県の
キャッシュレス化推進パートナーとして認定されました。 その後、関係団体などと協力し、県下全域でセミナーやフェアを開催するなどの取組を行った結果、本年7月に県が公表した資料によると、本年1月から5月末までの間に
キャッシュレス化推進パートナーによる
特別優遇プランの契約店舗数は1,260店舗にも上っています。 また、大分商工会議所によると、大分市の小売、飲食、宿泊の3事業の調査済み会員697社のうち、6月末現在で約7割にあたる487社が
キャッシュレス決済導入済みとなっているということです。県内の
キャッシュレス化は着実に進んでいる状況にあると考えます。 昨年12月の一般質問の答弁において、知事は、「
ラグビーワールドカップが迫る中、来年10月を一つの目標として、できるだけ多くの事業者が
キャッシュレスを導入するよう取り組んでいく」と答弁されています。そして、10月からは、消費税率引上げに伴い、国においても消費者への
ポイント還元事業が開始され、
キャッシュレスに対する県民の関心もますます高まっていると思われます。 そこで、現在の県内における
キャッシュレス化の進捗状況と、今後県としてどのように
キャッシュレス化を推進していくのか、知事のお考えをお聞かせください。
○土居昌弘副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事
キャッシュレス化の推進について御質問をいただきました。 本県では、議員御指摘のとおり、
ラグビーワールドカップに向けた
キャッシュレス決済の導入促進を喫緊の課題と捉えて、昨年度から対策に力を入れているところです。 本年1月以降、各商工団体や
地域金融機関等において加盟店開拓支援に取り組んでいただくとともに、関係団体と連携した
事業者向けセミナーや端末機器の模擬体験フェアを県下全市町村で計24回開催して、1,266人の方々に御参加いただいています。その結果、
キャッシュレス化推進パートナーによる大分県
限定特別優遇プランの契約店舗数は、本年1月から8月までの間に2,495店舗に達しています。 こうした取組もあり、
大手グルメサイトの情報に基づくと、県内飲食店の
クレジットカード導入率については、昨年9月の15.0%から本年8月には23.2%まで上昇しています。これは全国でも最も高い伸び率であり、全国順位も23位から11位へと上がっています。中でも、試合会場となる大分市では33.8%と県内で最も導入率が高くなっており、
公式ファンゾーンや祝祭の広場でも
キャッシュレス決済が可能となるなど、受入体制も進んでいます。今後増加が見込まれている
インバウンド需要を確実に取り込むためにも、引き続き導入促進を図っていきたいと思います。 このように県内の導入店舗は着実に増加していますが、これからは県民の皆様に実際に利用していただくということも大事です。 国は、2025年までに
キャッシュレス決済比率を40%とすることを目指しており、利便性について理解を進め、安心して利用していただくことが大切です。10月から国の
ポイント還元事業も始まり、専用のホームページやアプリなどにより普及を図るとされています。県としても、
キャッシュレス決済への関心が高まるこの機会を捉えて、消費者向けの周知方法に一層力を入れていきたいと思います。 また、
キャッシュレス決済は、導入した飲食店等の生産性向上にも寄与すると考えています。例えば「つり銭準備のために金融機関に払う両替手数料が削減された」とか、「客単価がアップした」などの飲食店の声もあります。 したがって、これからは
キャッシュレス決済の導入促進を図りながら、ステージを一歩前へ進めていくことも大事だと思います。例えばレジ締め作業に多くの時間が費やされていますけれども、
キャッシュレス化によって、その短縮が可能となります。そのほかにも、レジの売上げデータとの連携による経営分析への活用なども図られることになります。県としても、このようなさらなる生産性の向上につながるような取組を進めていきたいと考えているところです。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 様々な取組が進んでいるのが、大変よく分かりました。契約店舗数も倍増しているということで、非常に進んでいると感じています。 ただ、よく耳にするのが、事業者は申請するのに信販会社ごとに契約が必要だったりとか、還元事業に対する申請が、また別に必要だったりとか、導入の業務が非常に煩雑化するということも伺っています。 そしてまた、利用者も、特に高齢者ですけれども、「複雑で難しい」とか、「使い方がよく分からない」というような声も耳に入ってまいります。そのあたりをサポートして、分かりやすい周知の工夫なども引き続き必要なのかということを感じています。 ちなみに、JCBの調査によると、
キャッシュレス決済を利用するようになると、年間に約3時間、自由な時間が増えるそうです。今、生産性向上につながるという話もありましたが、決済業務の簡略化によって、コンビニ等で例えたら、1日約4時間の労働時間の削減になるということであり、これは働き方改革にもつながる取組なのかというような気がしています。日本は現金主義ということを言われていますけれども、大分県がリードして、
キャッシュレス化をさらに推進していただきたいということをお願い申し上げます。 次に、スポーツ合宿の誘致についてお伺いします。
ラグビーワールドカップ2019日本大会に続き、来年には東京2020オリンピック・パラリンピックの開催も控え、スポーツに対する関心がこれまで以上に高まる中、政府は日本再興戦略2016において、スポーツの成長産業化を戦後最大の名目GDP600兆円の実現に向けた
官民戦略プロジェクト10の柱の一つに位置付け、スポーツ施設の魅力・収益性の向上、
スポーツ経営人材の育成・活用とプラットホームの構築、そして、スポーツとIT、健康、観光、ファッション、文化芸術の融合・拡大の三つを鍵となる施策としてあげています。そして、2012年に5.5兆円であったスポーツの市場規模を2025年までに約3倍の15兆円に拡大することを目指すとしています。 これまで我が国においては、スポーツ政策を主に教育政策の一環として位置付けることが多く、公的資金を中心とした負担によって支えられるコストセンターとして捉えられがちでした。それをビジネスの視点から改革し、稼ぐ力を高め、スポーツの持つ力を経済の活性化に結びつけようというのが、スポーツの成長産業化をめぐる動きであり、近年、急速に広がりつつあります。 スポーツは、する、見る、ささえるの三つの要素からなると言われており、それぞれの領域で多様な産業が広がりを見せています。するスポーツでは、フィットネスクラブといったスポーツ施設や、スポーツ用品の製造、販売があげられます。見るスポーツでは、プロ野球やJリーグ等が放送や新聞といったメディア産業や広告業と関わっているほか、試合会場への交通機関や、ホテル、旅館、飲食店なども関わってきます。ささえるスポーツでは、警備や清掃、メンテナンス、
イベントサービスなどの産業と深く関わりがあり、さらに近年の技術革新、特に大容量の情報通信が可能になったことなどに伴い、プレーヤーの運動量やフォームの解析、スポーツ中継の視聴に関わる通信サービスなどにも広がりを見せています。 そこで、私は、地域の活性化のためにスポーツを活用してはどうかと考えています。県はこれまで、
国際スポーツ大会に参加するチームの事前キャンプの誘致、受入れに取り組んでまいりました。第2回定例会の答弁にもありましたが、オリンピックではポルトガルの陸上競技と日本のフェンシング、パラリンピックではマレーシアのバドミントンとラオスのパワーリフティングの競技団体とキャンプ受入れの協定締結に至っており、その他協議を重ねている国もあるとのことです。また、これまでのスポーツ合宿の受入れにより、市町村の受入体制や施設、用具等の整備も進んでいると思いますので、地域の活性化の観点から、今後は社会人や学生チームのスポーツ合宿の誘致にも力を入れてはどうかと思いますが、県の考えをお聞かせください。
○土居昌弘副議長
中島企画振興部長。
◎
中島英司企画振興部長 スポーツ合宿の受入れは、経済波及効果や交流人口の拡大など、地域活性化が期待できることから、これまで市町村、競技団体等と連携し、
国際スポーツ大会の事前キャンプや、社会人、学生等のスポーツ合宿の受入れに取り組んでまいりました。 ここ数年の県内受入数は5.5万人から7万人ほどで推移しており、昨年度は延べ1,376チーム、6万386人となっています。日田市、
鯛生スポーツセンターが1万3千人と県内で最も利用が多くなっていますが、県内のたくさんの地域施設で受入れが進んでおり、広く地域活性化の効果が得られるといった特徴があるものと考えています。 また、大学駅伝で有名な青山学院大学が
大分スポーツ公園で、東海大学が佐伯市陸上競技場でそれぞれ合宿を行っており、地域の誇りや知名度の向上にもつながっています。 スポーツ合宿のさらなる受入れ拡大に向けては、施設整備の充実や受入体制の整備が必要だと考えています。 今後は、地域の特性や施設の状況に応じてターゲットを定め、市町村や競技団体、宿泊業者等との連携を一層強化し、社会人、学生のほか、プロスポーツも視野に入れ、国内外からの誘致に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。大変力を入れてやっていただいていると感じています。 以前、特別委員会で合宿の聖地と言われている長野県の菅平高原に行ってまいりました。高原特有の適地として、グラウンド数も確か100何面かあったと思うんですけれども、非常に整備が整って、かなりの誘致実績がありました。 本県も久住、九重など高原もありますし、県立武道スポーツセンターの完成や、県下各地でスポーツ施設の整備や宿泊施設の受入体制もできていると、今答弁にもあったとおりだと思います。 先日、世界バスケが行われましたけれども、実は世界バスケ、日本代表が中津市でキャンプを張るというような話もありましたが、残念ながら、合意には至りませんでした。しかし、私の友人は、もしキャンプに来るならば、県外からでも中津に泊まりに行きたい、泊まって見学に行きたいというようなことも言っていました。例えばプロ野球のキャンプでも、かなりの見学者が訪れます。合宿の相乗効果というのも、やり方次第でいろいろ広がっていくと感じています。これこそが、スポーツの成長産業化に結びつくものだと思います。引き続き、合宿誘致に力を入れていただきたいということをお願い申し上げます。しっかりと経済効果にも結びつけていただきたいと思っています。 ツーリズムということで関連付けて話をしましたので、次に、正にスポーツツーリズムという考え方の一つに、サイクルツーリズムがあります。そこについて質問します。 さきほども申し上げましたが、国際的スポーツイベントが続くことから、それらを視野に入れた観光誘客も重要であり、国内各地で取組が進んでいます。 その中で、最近注目を集めているのが自転車を使った観光、いわゆるサイクルツーリズムであり、国内での愛好家の拡大とともに、外国人観光客を呼び込むためのコンテンツとしての魅力も次第に認知されつつあります。 例えばしまなみ海道では、国際大会の実施や、サイクリングを体感してもらうために、来年3月末までの期間限定で自転車通行の無料化を企画するなど、積極的な誘客に取り組み、世界的なニュースチャンネルCNNの世界7大サイクリングルートにも認定され、多くの外国人サイクリストが訪れています。 本県でも、耶馬溪、国東などサイクリングロードの整備が進み、大分市で開催されたおおいたサイクルフェスやツール・ド・国東、ツール・ド・佐伯など自転車関係イベントも定着しており、サイクルツーリズムの伸びしろは十分にあると考えますが、県としてのこれまでの取組と今後の振興策について方針をお尋ねします。
○土居昌弘副議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 サイクルツーリズムについてお答え申し上げます。 サイクリングは、地域をめぐりながら、沿線の魅力を楽しめる体験、交流型の旅行素材であり、国の統計では、890万人ものサイクリストがいるとされています。また、国際的にも人気のスポーツであり、インバウンド誘客においても有効なコンテンツだと認識しています。 これまで県では、Webサイト、サイクリングおおいたを設け、サイクリングコースやサイクルハブの紹介のほか、大会開催情報等を随時提供してまいりました。昨年度は、著名な自転車専門誌「ニッポンのじてんしゃ旅」大分県版を発刊し、国内サイクリストに向けたPRを行ったところです。また、東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外サイクリスト向けの環境整備として、現在、Webサイトの多言語化を進めているところです。 また、九州地方知事会では、昨年からしまなみ海道も参考に、広域周遊する海外サイクリストも視野に入れた九州一周ルートの検討を開始しています。 県内でも、中津、佐伯、杵築など各市でサイクルツーリズムの機運が高まっており、近隣県や市町村等と連携を図ってまいります。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。私の地元、中津市でも、サイクリングロードの活用というのがよくテーマに上がってまいります。 私がいつも感じているのは、活用するためにイベントを行ったりとか、大会を開催したりとか、そういうことも重要ですが、それだけではないイメージづくりも必要かと考えています。例えば有名選手が住んで練習の地にしているとか、ここでしか買えないパーツを売っている店があるとか、自転車製造メーカーの工場を誘致するとか、愛好家から自転車の町、自転車のメッカとして認識してもらえるような仕掛けも必要だと思っています。 ONOMICHI U2というのを御存じでしょうか。行政所有の倉庫を自転車ごと泊まれるサイクリスト専用のホテルに改装して、民間が運営している施設です。ここは、サイクリストの心をくすぐる仕掛けが多いのもさることながら、すごくおしゃれな施設で、SNSで発信している方もすごく多くて、インパクトがあると感じています。観光、ファッション、文化芸術の融合であり、こういうものこそ
官民戦略プロジェクトに沿った内容であるような気がしています。 部長、部長はONOMICHI U2、もちろん御存じだと思いますけれども、このような仕掛けやイメージづくりについてどのように考えるか、御答弁をお願いします。
○土居昌弘副議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 まず、おっしゃるとおり、自転車の町とするためには、多分まちづくりからしっかりつくっていかないといけないとは認識しています。ただ、県がどこどこの町を自転車の町にするという形で指定するわけではありませんので、まずは、一義的には市町村が、またその地域といったところが取り組むことが大事だと思っています。 例えば大分市は、平成18年3月に大分市自転車利用計画を策定し、バイシクルフレンドリータウンの創造に向けて取り組んでいます。県はこの取組を様々な面で支援しており、昨年度からおおいたサイクルシェアの情報をサイクリングおおいたで紹介するとともに、サイクルポートとして県立美術館の駐車場の一部を提供したりしています。 現在、県は大分県自転車推進計画を策定中ですけれども、市町村も策定することができます。市町村が計画を策定し、自転車のまちづくりを進める際は、ぜひとも連携して取り組んでいきたいと思っています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。やっぱり何事も市町村が本気にならないと、というところがあると私も感じています。 実はこれは行政じゃないんですけれども、民間の方で、私の知人で、こういうONOMICHI U2のような施設を実際に造ってみたいと。自分の町にこういうものがあったらいいといって、造りたいという建築家もいらっしゃいます。風が吹けばおけ屋がもうかるじゃないですけれども、直接的じゃなくて、間接的にいろんな効果がある部分もあると思います。頭をひねって、いろんな施策に、また今後取り組んでいただきたいと思います。官民でしっかりと連携して、仕掛け、取組をしていただきたい。そしてまた、スポーツの成長産業化に力を入れていただきたいとお願い申し上げます。 続いて、職業系高校、学科における入学者の確保についてお伺いします。 本年度、久住高原農業高校が開校し、県内唯一の農業単科校として、ASIAGAPや有機JASを取得し、さらにGLOBALGAPの取得を目指すなど、特色ある農業教育の取組が進んでいると聞いています。加えて、これまでの県内農業系高校の再編により手薄になっていた、農地の測量や改良を担う農業土木の人材育成にも大きな期待が寄せられています。 また、来年度の高校入試から国東高校双国校が募集を停止することに伴い、令和3年度末までに双国校と一体化する国東高校本校には、実践的な教育の充実を図る目的で、来年度から農業土木と工業土木を総合的に学ぶことができる、九州初の学科である環境土木科を設置することが決定しており、これにより、国東市と周辺地域における土木系学科の空白地帯を解消することができます。 環境土木科では、無人重機の遠隔操作やドローンを使った測量技術など、新しい時代を担う最先端技術を習得することができるほか、世界農業遺産などの地域の農業文化を学ぶこともできるということですので、幅広い土木工事の技能を持つ人材を育成し、現在急務となっている土木系の職種における人材不足の解消や、県を担う有能な土木人材の確保を図り、県内の建設業界の振興に寄与することが大いに期待されています。 少子化により、様々な分野での人手不足が深刻化する中、本県の将来を担う産業人材の確保に向けたこうした新たなチャレンジは、本県の継続的な発展に大きく貢献するものだと感じています。 一方で、まだ多くの課題も残されています。その一つが、両校ともに学生寮を完備する中、地元からだけではなく、いかに広域から生徒を確保していくかという問題です。県内で唯一、全国から生徒を募集する久住高原農業高校では、今年度、定員40人に対して、県外からの入学者1人を含む34人が入学しました。熊本県では、2017年度から菊池農業高校の畜産科学科において定員40人の2割にあたる8人、八代農業高校泉分校のグリーンライフ科においても定員40人の1割にあたる4人をそれぞれ全国募集しており、今年度は菊池農業高校の畜産科学科が5人、八代農業高校のグリーンライフ科に1人の志願者を県外から集めていることから、今後は生徒の奪い合いになる可能性もあるのではないかと考えられています。 そこで、久住高原農業高校及び来年度から国東高校に新設される環境土木科では、今後どのように入学者の確保を図っていくのか、教育長のお考えをお伺いします。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 職業系高校の学科における入学者の確保についてお答えします。 久住高原農業高校では、魅力、特色を伝える動画配信などに加えて、東京ほか全国3会場で開催の地域みらい留学フェスタに初参加しました。雄大な高原の中で九州一高い所にある高校の魅力や、多様な農業経営が周辺で展開されているすばらしい教育環境等の説明に中学生や保護者が熱心に聞き入っていました。今年8月の体験入学には、県内外から昨年より3割多い98人の参加がありました。遠くは神奈川県、愛知県、大阪府など県外からも8人参加しており、今後も丁寧な情報提供を継続して行いたいと思っています。また、10月の東京での移住イベントに参加して、学校の特色を大いにPRしていきたいと考えています。 国東高校の体験入学では、環境土木科への関心も高く、今年は地域外からの参加も目立ったところです。「土木系に興味がなかったが、先端的な技術習得も面白そうだ」という声も聞かれました。今後は、中学校に出向いて体験授業を行い、測量やドローン操縦体験などを通して、環境土木科の魅力を伝える予定です。 ホームページやSNS、中学校での説明会を通して、引き続き職業系の魅力を中学生や保護者に訴えていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。県内唯一の農業単科校、そして、九州初の環境土木科として、幅広く、広範囲にニーズがあると感じてはいます。問題は、やっぱり市街地にあったら通いたいという生徒さんも結構多いのかなという気もしているんですが、立地場所が問題だということも感じています。 ただ、あえて農業に適した場所でのチャレンジ、そして、土木科が存在しない地域でのチャレンジ、共に寮を完備して、万全の受入体制で行っていただいているということです。せっかくすばらしい環境で学べるということで、いかに生徒たちに魅力を感じていただくかがやっぱり鍵になってくると思っています。 そういう意味では、この両校だけに限らず、どの高校にも同じような課題があると感じています。特に全県一区の入試制度の中で、地方における普通校の魅力のつくり方、これはどこも特に苦労されている部分ではないかと感じています。 続いて、そのあたりについて質問させていただきたいと思います。 少子化の波を受け、県立高校の入学定員も減少していく中、地域の高校では定員の確保が難しいという課題があります。そうした中、生徒に選ばれる学校づくりに向け、県教育委員会では地域の高校の魅力化、特色化の取組を進めています。中津南高耶馬溪校では、郷土芸能伝承活動を行う耶馬溪部の創設や、耶馬溪学におけるホタル授業の出前授業、地元食材を使った商品開発などの取組により、地域人材の活用や生徒の地域での体験活動を通じた学校の魅力向上を図り、欠員数の減少につなげています。 しかしながら、同様に様々な取組を行った学校においても、定員割れが全て解消されたわけではない状況を見ると、一定の成果はあるものの、県としてもう一歩踏み込んだ特色のある学校づくりに向けた対策が必要ではないかと考えていますが、教育長のお考えをお伺いします。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 特色のある学校づくりについてお答えします。 生徒に選ばれる魅力、特色ある学校づくりとして、平成28年度から地域の高校活性化支援事業に地域と連携して取り組んでまいりました。学校だけでなく、自治体や地元企業との協力関係を築き、事業を効果的に推進することで、受験者増にもつながってきています。 今年度は、地域の未来像を創り出す志を持つ生徒の育成を目指して、地域創生スキル向上プロジェクトに採択校全校が取り組んでいます。例えば宇佐高校では、市の観光協会と連携して、外国人観光客に対し、英語で観光案内をする活動によって、地域への理解を深め、愛着を喚起するとともに、地域の活性化に貢献する人づくりに結びつけようとしています。また、竹田高校では、近くの城下町に出向いて、商店街の抱える問題を直接聞いて、空き店舗の活用などについて、県外観光客増に向け、竹細工などの体験イベントを企画するといった高校生の立場で解決策を提言する活動を通して、まちづくりへの参画意識を醸成しているところです。 今後も地元との連携を深めて、魅力化、特色化に向けた取組がブラッシュアップされるように支援をしていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 ありがとうございます。いろんな特色づくり、魅力づくりの取組をされて、非常にすばらしい取組も多くありますし、必要な取組ばかりだと感じています。ただ、入学した後にそういう取組があったら、非常にありがたかったなって思う部分もあるんですけれども、入学するかという検討をするときに、選択する材料としては少し弱いのかという気がしているのが感想です。 より地域との連携というのも強化していただきたいのですが、一つ提案で、地域の特色や資源を最大限に活用して、高校から地域の魅力を発信することができる部活動というのも高校魅力化の一つとして考えてみてはどうでしょうか。例えば高田高校のカヌー部、竹田高校の山岳部、私の地元でいうと、今は休止になっていますが、耶馬溪校の水上スキー部のように、その地域の環境があるからこそ打ち込める、中学生にとっても魅力のある部活動、そういうものによる特色づくりも必要ではないかと思っています。 私は以前から、地元、耶馬溪の資源である耶馬溪ダムやアクアパークの活用が、地域活性化の起爆剤になるということを訴えています。アクアパークは全国指折りのゲレンデとして、全国から水上スポーツの選手が集まってきます。大学の水上スキー部の合宿も毎年、慶應、立教、早稲田、学習院、福大等々、10数校が順番に行います。ウエストジャパン西日本の大会や日中韓親善大会など、大きな大会も行われる会場です。 そのような環境下にある唯一の高校が中津南高耶馬溪校です。耶馬溪校にも数年前までは水上スキー同好会が存在しましたが、学校からダムまでの公共交通機関とかスクールバスの送迎がなく、原付バイクの許可等もおりませんでしたので、自転車で通うか、親の送り迎えがなくてはいけないということで、あと学生寮もありませんので、遠方からの通学者は難しいと、いろんな理由で休止の状態となっています。実際、いろんな環境が整って、さらにまた寮とか下宿という環境があれば、この環境下で耶馬溪校に通って、水上スキーと向き合いたいという県内の子も、他県から試合会場に来られたお子さんとか保護者の声も、実際にあります。 先日、マレーシアで行われた世界大会には、このアクアパークを拠点に活動している2人が参加して、活躍しました。私は、この地の資源に触れ、この地で育ち、この地から世界で活躍し、魅力を発信してくれる子どもたち、そういう子たちを輩出できたら、大変夢があると感じています。 このような県立高校における地域の特色を生かした部活動による魅力づくり、これについて教育長の見解をお伺いします。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 大変貴重な御提案をいただいたと思います。おっしゃるとおり、地域の特色や資源を活用して、学校の活性化、さらには地域の活性化につなげたいという思いは、いずれの学校も持っているところですが、これを解決していくためには、やはり顧問や技術指導者の確保、さらには競技の安全性という問題や、今おっしゃった練習会場への移動手段の確保等々の課題がたくさんあります。 耶馬溪校における水上スキー部、これまで同好会もあったということですけれども、そこら辺の問題を慎重に整理して、検討していくことが大事かと思います。 いろんな意味で活性化につながるものを共に考えながら、学校として一番いいところを何とか選び出そうと考えていますが、この水上スキー部については、特に動力を使うという問題もありますので、なかなか難しい面もあるのかと考えています。
○土居昌弘副議長 大友栄二君。
◆大友栄二議員 部活動指導員とか外部指導者とか、そういう問題も含めて、いろんな課題はある、動力を使う部分もあるので難しいという話もありました。 実は先日、中津市教委の協力を得て、耶馬溪校の生徒10人ほどに体験に来ていただきました。そこから本格的に始める生徒はまだいないんですが、大変興味を示していただきました。この環境を生かして、生徒たちに水上スポーツを始めたいと思ってもらうことがまず一番だということも理解しています。 一つ面白い話があって、中津の旧市内の小学校に通いながら、アクアパークで水上スキーを練習している児童がいました。その子たち2人がこの春から、よりよい環境を求めて耶馬溪中学校に入学しました。すると、その2人に感化されて、新たに4人の生徒が水上スキーを始めたということです。耶馬溪中学の今年の1年生は18人ですので、約3分の1の6人が水上スキーをやっているということであり、今では耶馬溪中学校水上スキー部と名乗って活動しているようです。 これは仲間という環境から生まれた、波及したものであると思っていますけれども、いろんな環境が整えば、こういうことが可能になると、面白い話になると思っています。 選ばれる学校になるポイントの一つは、その学校に通い、卒業後にどの道を目指せるかという部分も大きな要素であると思います。さきほど述べたように、全国の名だたる大学もここで練習しています。地元の子どもたちがそれを見て、共に練習して、その大学を目指すとか、地域から世界に挑戦する子どもたちが生まれる。地域資源に親しんで育った子どもたちは、きっと地域を愛して、地域の広告塔にもなってくれると思っています。これはまた、スポーツの成長産業化にもつながってくるのかなということも思っています。 引き続き私は、地域資源の活用、アクアパークの活用や、地域で育った子どもたちが世界に羽ばたく取組、そしてまた、その子どもたちを育てる学校という場のさらなる特色や魅力づくりについて、声を上げていきたいと思っています。 いろんな議論をしながら、前向きなサポートをよろしくお願いしたいと申し上げて、今回の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○土居昌弘副議長 以上で大友栄二君の質問及び答弁は終わりました。吉村哲彦君。 〔吉村議員登壇〕(拍手)
◆吉村哲彦議員 皆さん、おはようございます。 4月の統一地方選挙で初当選させていただき、初めての質問です。この機会をいただいた先輩議員、そして、様々な面で御協力いただいた職員の皆様に心から感謝します。さらに、本日は遠方より応援に駆けつけてくださった皆様、大変ありがとうございます。最後までしっかり頑張りますので、よろしくお願いいたします。 私は、皆様御存じかと思いますが、長年、陸上競技に取り組んでいます。100メートルを10秒という、そういった世界で勝負してまいりました。一般質問のこの30分という時間は、陸上に例えれば、1万メートルにあたります。この1万メートル、私にとっては非常に未知の世界ではありますし、先日来県したオールブラックス、彼らのような軽快なステップを踏むことはできませんが、青年議員らしくしっかりと、伸び伸びと爽やかに最後まで行っていきたいと思っています。ぜひ知事、また執行部の皆様におかれましても、前向きな答弁よろしくお願いいたします。 それでは、質問に入らせていただきます。 政府は、6月に閣議決定した骨太方針の中に、新たに就職氷河期世代支援プログラムを盛り込んでいます。就職氷河期世代とは、バブル崩壊後の厳しい雇用環境の中で、不本意ながら非正規雇用として働いている方や、未就職を余儀なくされた方が多い世代で、現在、30代半ばから40代半ばの方々のことを言います。不安定な就労環境、低収入、ひきこもりや長期無業など課題も様々です。そして、正に私がその世代です。 就職氷河期世代のうち、不本意に非正規として働く人は少なくとも50万人に上り、ひきこもりの人や長期無業者なども含めると、支援を必要とする人は100万人程度と見込まれています。 この支援プログラムでは、官民協働スキームとして、関係者で構成するプラットフォームを形成、活用し、相談、教育訓練から就職まで切れ目のない伴走型支援に力を入れ、今後3年間で正規雇用者を30万人増やすことを目指しています。 さらに、困っている方が行政に相談に来るのを待つのではなく、訪問などを通じ、潜在的な支援対象者に丁寧に働きかけるアウトリーチ機能を強化し、個々の人の状況に合わせた、より丁寧に寄り添った支援を目指しています。 また、この世代のひきこもりの方の割合も他の世代に比べ多いと言われていることから、8050問題や社会保障への影響を考えると、正に今取り組むべき課題です。このことを証明するかのように、兵庫県宝塚市が先月、就職氷河期世代を対象に募集した職員採用試験には、3人の募集に対して1,816人もの応募があり、先日の試験では1,600人以上の方が受験したと伺っています。大分においても、行政が先頭に立って、就職氷河期世代への支援を進めていく必要があると考えています。 県としても、昨年、ひきこもり等に関する実態調査を行っていますが、問題の重大さや支援プログラムの内容を鑑みるに、就職氷河期世代にスポットライトをあてた実態調査が必要不可欠であると考えます。 加えて、ひきこもりの方への支援については、個々に応じた支援方法があり、そのゴールも人数の分だけあるものと考えます。 そこで、県として、この就職氷河期世代支援プログラムを踏まえ、同世代に対して今後どのような手法で実態把握を行い、どのように非正規雇用者への支援、そして、ひきこもりの方への支援を行っていこうと考えているのか、知事のお考えをお聞かせください。 以下の質問は対面席より行わせていただきます。 〔吉村議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○土居昌弘副議長 ただいまの吉村哲彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 吉村哲彦議員から、就職氷河期世代への支援について御質問をいただきました。 平成29年の就業構造基本調査によると、県内では就職氷河期世代と呼ばれる35歳から44歳までの方約14万3,600人のうち、正規雇用を希望しながらも非正規で働いている方が4,500人、家事や通学している方を除いて、働いていない方が5,200人、合わせて9,700人の方が支援を必要とする方と見込まれています。 県は、これまでも県内5か所のジョブカフェおおいたなどにおいて、セミナーや就職相談の実施、求人情報の提供、就職後のフォローアップなど、就職氷河期世代を含めたあらゆる世代の就労を支援してきたところです。 その中で、就職氷河期世代の方々への課題として、専門分野の知識、経験といったキャリアを積む機会が乏しかったこと、就職活動に対して自信をなくしていることなどが分かってまいりました。 これらの課題に対する県の支援策について、就職氷河期世代支援プログラムを踏まえながら、3点検討していきたいと思っています。 一つは、効果的な職業訓練への支援です。県では、調理師や栄養士などの国家資格取得により、正社員を目指す職業訓練コースを民間に委託して実施しています。昨年度は70人が受講しましたが、そのうち23人が就職氷河期世代の方でした。来年度は、新たにIT分野の訓練を追加することを検討しています。 二つ目は、ハローワークに設置が予定されている専門窓口につなげるための取組です。ジョブカフェ等、就労支援機関において、就職氷河期世代への支援を強化する必要があります。そのため県では、ジョブカフェの対象年齢の上限を現行の30歳代から40歳代に引き上げることを検討します。あわせて、ひきこもりの方に対しては、県のひきこもり地域支援センターを相談窓口として、社会参加に向けた丁寧な支援を行いたいと思います。 三つ目は、労働局と連携して、経済団体等で構成するプラットフォームを設置し、対象者の資格やスキル、受け入れる企業側の希望等、実態を共有、把握するとともに、社会全体で取り組む機運の醸成、戦略的な広報を展開していきたいと思います。 このように、国、県、各支援機関等との連携を図りながら、対策を講じていきますけれども、正社員ということになると、企業としては給与や社会保険料などの負担が増加することになりますし、正社員となられる方も雇用保険料等の新たな負担が出てくるということも考えられます。そうした実態も注視しながら、必要に応じて国への提言も行うとともに、県としてきめ細かな対策を講じていきたいと思っているところです。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。ぜひ具体的かつスピード感を持ってその実態の把握が進み、的確な支援が今後行われていくことを強くお願い申し上げます。 その上で、ジョブカフェの対象年齢の40代への引上げ等、具体的な部分でも考えていらっしゃるということです。やはり就職氷河期世代、受けたくても、もう年齢的に受けられないという部分も非常に大きな壁かと思いますので、ぜひとも県が先頭に立って挑戦されることで、県内の企業においても、私たちも進めなきゃいけないんだという部分につながってくると思います。同世代を代表して、ぜひとも力を入れていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、次の質問に移ります。 広瀬知事におかれましては、現在、少子高齢化、人口減少の歯止めに向けた大分県版地方創生の加速前進に取り組んでいますが、中でも移住定住の促進には特に力を入れていただいています。 その結果、積極的に取組を開始した平成27年度には454人であった移住者数が、昨年度は約2.5倍の1,128人に増加したと伺っています。この流れをさらに加速させるために、さきの補正予算には主に若者向けの家賃補助制度の創設をはじめ、就職マッチングサイトの開設など、人口の社会増に向けた取組を力強く進めていただいています。 また、先日の定例記者会見の中で、補正予算のもう一つの目玉施策であった、福岡在住の若者を対象に、本県へのUIJターンに力を入れるための拠点施設の設置についての報告も伺っています。 加えて、部長答弁では、移住定住の裾野を大きく広げる関係人口の創出においても、第2回定例会において県内各地の取組を紹介され、非常に重要であるとの答弁も伺いました。 私は、移住定住を促進するための支援メニューは次第に整いつつあると感じています。しかしながら、一方で、今後ますます地域間競争は激しさを増していくはずです。 そこで、これらの新たな施策も含め、今後の本県の移住定住対策をどのように進めていくのか、知事のお考えをお聞かせください。 また、今後さらに人材を呼び込むためには、県の強力なリーダーシップの下、各市町村と連携、協力し、より積極的に大分の魅力発信を行い、大分県に興味を持ってくれる人、商品を購入してくれる人、応援してくれる人、そして、大分県に足を運んでくれる人、いわゆる関係人口の増加に向けた対策は急務であると考えます。 そこで、国が推進しているふるさとワーキングホリデーに取り組まれてはいかがでしょうか。この取組は、地元企業などが都市部から希望者を受け入れ、実際に大分で働くことを体験してもらいつつ、週末や仕事が終わった後の時間を活用し、地域の方と触れ合ったり、県内の観光地などを周遊し、大分の魅力を存分に味わってもらうといった内容です。 企業側からすれば、受入れの時期を調整することで、忙しい時期の人手不足解消に役立つ可能性があり、参加者側としては、今後、その地で働くことを容易にイメージすることができる上に、地域の方との関わり合いの中で地元の人を知ることができます。観光以上、移住定住未満、そういった位置付けであり、実際に参加した人の多くが、参加した地域との緩やかなつながりを長期にわたり持っていることも特徴としてあげられています。 また、ワーキングホリデーの期間も、企業、そして、参加者の打合せ等で柔軟に決めることができ、地方交付税を活用することで、希望者の旅費、滞在費など経済的な負担も解消され、労働による収入も得ることができるために、大学生等若い世代が利用しやすい制度となっています。 本県各地の魅力を多くの人に体験してもらい、地域との関わりを深めるためにも、ぜひとも取り組んでいただきたいと考えますが、県としての方向性をお示しください。
○土居昌弘副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 移住定住について御質問をいただきました。 本県では、平成27年度から東京に移住コンシェルジュを、そして、三つの県外事務所、東京と大阪と福岡にありますけれども、そこに移住サポーターを配置して、移住相談体制を充実したほか、毎月の移住相談会の開催や移住支援策の拡充など、市町村と一体となって、きめ細かな対応を行ってまいりました。SNS等での情報発信にも力を入れており、移住したい都道府県ランキングでトップテンの常連になっているなど、高い評価をいただいています。 こうした取組によって、県外からの移住者数は年々増加していますけれども、本県の転出超過には歯止めがかかっていません。UIJターン対策の中でも、特に若者、とりわけ福岡の女性への対策が重要と思っています。 他方、東京のふるさと回帰支援センターの相談実績は、20代から30代の子育て世代の割合が年々増えており、昨年度の本県への移住者も30代以下が約7割となっています。移住の関心は若い世代へと広がっており、地方にとってはチャンスとも言えますが、移住者誘致に向けた地域間の競争はむしろ激化しているところです。 そこで、移住定住をさらに拡大するために、若者、特に福岡の女性、首都圏の子育て世代への取組を強化していきたいと思います。 まず、福岡の女性への取組では、8月に開催した先輩移住者との交流イベントには73人の参加をいただき、その後の移住相談会への参加につなげています。来年度には福岡市中心部に開設予定の交流拠点を大いに活用して、本県出身女性のUターン促進イベントなどを拡充するほか、大分の仕事や生活の魅力を、就職セミナー、合同企業説明会などで情報を発信したいと思います。 首都圏の子育て世代への取組については、10月に東京でフェアを開催して、子育て満足度日本一を目指す大分県の子育て環境や、充実した支援制度などをしっかりとアピールします。 また、首都圏での新たな対策として、就職氷河期世代の方を含めて、転職を考えている方々を対象に、正規職員を求める県内企業への訪問等のマッチングに力を入れるとともに、大分の仕事と生活を体験するツアーを実施します。7月の参加者には、早速移住に向け準備を進めている方もいます。 さらに、関係人口の創出と、その定着にも力を入れたいと思います。地域おこし協力隊の皆さんに任期後も大分で活躍してもらえるように、本年度から相談体制も強化しました。また、県外出身の大学生の県内企業への就職の促進に取り組みます。議員御提案のふるさとワーキングホリデーも検討を進めたいと思います。 今後とも市町村と一体となって、移住受入体制をさらに強化し、社会増減の均衡に向けて、現状、1,128人の移住者数を倍増できるようにしっかりと取組を進めていきたいと思います。 ふるさとワーキングホリデーについては、担当部長からも答弁させていただきます。
○土居昌弘副議長
中島企画振興部長。
◎
中島英司企画振興部長 ふるさとワーキングホリデーについてお答えします。 ふるさとワーキングホリデーは、若者が地域を知り、地域との関わりを深めることで、将来の就職や居住につながることも期待できる取組だと考えています。この取組は、平成28年度に八つの道県でスタートし、昨年度は13道県7市町村が実施しています。この3年間で約2,600人が参加し、その約8割を学生などが占めています。体験後の調査では、参加者の91%が満足しており、81%がその地域に再度訪問したいとの意向を持っており、関係人口創出の取組として効果が高いものと考えています。 一方、実施している自治体からは、人気の職種、企業に希望が偏ることや、人手を求める時期と参加可能時期のミスマッチなどの課題があるとお聞きしています。若者に関心を持ってもらえるような大分らしい魅力的なプログラムを参加しやすい時期にうまく設定することが、成功の鍵だと考えています。 こういったことも含め、実施に向けてしっかりと検討を進め、関係人口の創出に取り組んでまいりたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。非常に前向きな答弁をいただけたと思っています。 また、移住定住に関しても、ここでも就職氷河期について、また支援を進めていただけるということで、非常にありがたく感じます。 ふるさとワーキングホリデーは、今部長からもあったように、現在3年目の取組になっていると思います。参加している自治体に私も直接お話を聞きに伺いましたが、自分たちでも気付けなかった我がまち、我がふるさとの魅力に若い参加者の皆さんから気付かされたと、こういったお話も伺うことができました。総務省としても、今までは合同説明会で人を待っていた状況があったが、今後は大学や専門学校、企業等にこちらから出向いて、積極的に参加者を募っていきたいというお話をされていました。この新しい流れに乗り遅れることがないように、ぜひともさらなる推進をよろしくお願いいたします。 それでは、次に、ICTインフラ整備について質問します。 私たち公明党は、若者の声を政治に届けるとの観点から、ボイス・アクションと銘打ち、全国各地において街頭やSNSを通じたアンケート調査に取り組んでいます。本県でも、昨年末から本年年頭にかけて大分駅周辺や、SNSを活用し、大分の若者の声に耳を傾けてまいりました。 その中で多くの声が上がったのが、公衆無線LANの環境整備についてです。公衆無線LANは、観光関連情報の収集をはじめ、インバウンド集客を図る上でも非常に重要視されています。また、小学校では令和2年度、中学校でも令和3年度から全面実施される新学習指導要領において、学校のICT環境整備について記され、普通教室のWi-Fi整備率を100%とする目標を掲げています。さらに、災害時においてもスマートフォン等により効果的に情報を受発信するために欠かせないものです。 平成28年の熊本地震の際、くまもとフリーWi-Fiへのアクセス数は、本震が発生した4月16日には1日で5千回を超えるなど、積極的に活用され、その後のアンケートにおいても、災害時の情報収集や通信手段として役立ったとの回答が9割を超えています。 県においては、現在、おんせんおおいたWi-Fiを構築し、Japan Connected-free Wi-Fiアプリを活用した、よりつながりやすい環境を整備していますが、観光、教育、防災の各分野において重要な役割を果たす公衆無線LANを含むICTインフラの整備について、県の方針をお示しください。
○土居昌弘副議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 ICTインフラの整備についてお答え申し上げます。 ICTインフラは、県民生活、企業活動の基盤となるものであり、さらには教育の高度化やまちの活性化という観点からも欠かすことができないものとなっています。公衆無線LANは、外国人観光客の重要な情報入手及び発信手段の一つであり、インバウンド獲得強化を掲げる大分県として、環境整備に努めてまいりました。具体的には、平成27年度当初、約600か所だった公衆無線LANアクセスポイントは、宿泊施設、観光、交通の拠点施設に対する設置費用の助成などにより、民間事業者による自主整備も含め、本年7月現在、約1,600か所まで拡大しています。 また、県全域をカバーする光ファイバー網である豊の国ハイパーネットワークは、公衆無線LANを含む県内のICTインフラを支えており、姫島など条件不利地域の情報通信格差の是正や、5Gなど新たな通信手段の基盤としても重要な役割を果たすものです。 今後も、常に時代を先読みし、市町村や民間事業者とともに本県のICTインフラの強化に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。私も調べてみて、600か所から1,600か所と非常に多くの地域でこの公衆無線LAN、Free Wi-Fiが使えるということを初めて知ったところですが、実際に街頭アンケートの回答から、正に大分の若者がこういった箇所で使えるということを知らないというところも大きいのかと思っています。 いくら整備が進んでいっても、実際にどこで使えるのか、どうやれば使えるのか、こういった周知がなされなければ、いざというときには使うことができません。そういう面からも、今後、公衆無線LANが使える場所や、こういったアプリというものを県民の皆様にどう周知をしていくのか。そこについてお伺いします。
○土居昌弘副議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 議員もさきほど言及された、例えば防災とか災害時に使えるということはやはり大事だと思っています。 災害時には、各公衆無線LANサービスが災害用統一のSSID、00000JAPANにより、1台のアクセスポイントで全キャリアのスマートフォンが無料接続可能となり、これは熊本地震でも大いに活用されました。 こうした具体的事例を含めた利用方法について、サービス提供事業者と連携し、若い世代をはじめ県民の皆さんに、議員も言及されたSNSなどを通じてしっかりと周知に努めてまいりたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。ぜひとも大分の若い人の声が届くように、また、ニーズをしっかりと把握しながら、大分においてもICTインフラの整備を進めていただけるようによろしくお願いします。 では、次の質問に移ります。 佐賀県を中心とした大雨、千葉県での台風被害、そして、先日の台風第17号の被害など、自然災害が毎年のように多発しています。これらの災害でも、尊い人命が失われました。心よりお悔やみを申し上げるとともに、一日も早い復旧、復興に向け、私も全力で努力していきたいと決意を新たにしているところです。 近年の自然災害が相次ぐ状況を見ると、私たちはもはや災害は忘れた頃にやってくるものではなく、いつでもどこでも起こり得るとの認識をせざるを得ません。 私自身も、平成24年と29年に日田市で発生した水害で被災した一人です。特に平成29年の九州北部豪雨においては、最も被害の大きかった朝倉市を、正に一番雨が激しかった時間帯に車で走行していました。その時点では、あのような甚大な被害が発生するとは思いもよりませんでしたが、言葉では言い表せないほどの急激な雨の中では、高速道路を時速20キロ程度で走行するのが精一杯で、命の危険を感じるほどでした。 また、その日の夜、15センチ程度でしたが、冠水した道路を車で走行した際も、どこに石が流れていっているのか分からない。マンホールの蓋が開いているかもしれないといった状況で、わずか15センチの冠水で、これほど危険を感じるとは思いもしませんでした。 実際に体験したからこそ分かることです。これまでも多くの議員が災害体験施設について提案していますが、災害時において自助が求められる現在、体験施設等で実際に経験することは、防災、減災対策を進める上で非常に有効であることは間違いありません。 そこで、県民の自助意識の向上を図るためにも、こうした取組を前に進める必要があると考えますが、県の見解をお示しください。 また、私たち公明党は、生活者の皆様の大切な命を守る防災、減災対策を国の政策の大きな柱とするべく、様々な提案を行っていますが、その中から、学校現場におけるマイタイムライン教育について質問します。 御存じのとおり、マイタイムラインは、災害が起きると予測される時刻に向けて、いつ、誰が、何をするのかをあらかじめ決めておく、いわば防災行動のスケジュール表のことです。時間が進むにつれて、危険が高まる豪雨災害や台風などで有効であるとされています。 県内の学校現場では、九州北部豪雨で大きな被害を受けた日田市の小野小学校で昨年、災害時の避難や休校の基準を定めたタイムラインを独自で作成したほか、今年は、いつま小学校においてもマイタイムラインを作成する授業を行ったと伺っています。 学校現場での実施にあたっては、例えば理科の天気の授業や社会科の地形の授業の後、また、総合的な学習の時間の活用、そして、可能であれば、登校班ごとに取り組むなど、様々な工夫も考えられます。児童生徒へのマイタイムライン教育は、将来に備えて非常に重要であると考えています。 また、国土交通省関東地方整備局下館河川事務所では、「マイタイムライン検討の手引き」とあわせて、小中学生がマイタイムラインについて学び、実際に作成する際の検討ツールである「逃げキッド」を作成するなど、全国的にも取組が進められています。 そこで、学校現場において子どもたちの防災意識の向上を促進するためにも、マイタイムライン教育の普及は重要であると考えていますが、今後の方針について県の見解をお聞かせください。
○土居昌弘副議長 牧防災局長。
◎牧敏弘防災局長 私からは、自助意識の向上についてお答えします。 自助意識の向上のため、毎年6月と11月の県民防災アクションデーでは、サイレン吹鳴確認や避難行動を実践するほか、9月の防災週間には防災気象講演会の開催や、防災フェアで備蓄の重要性の啓発などを実施しています。 さらに小中学校やイベント会場で、地震の恐ろしさや身を守る姿勢などが体験できる地震体験車を平成26年12月から運用しているところです。これまでに大分市以外で5万人を超える方々が体験し、自助意識の醸成につなげているところです。 疑似体験は避難行動を促すために有効であることから、地震体験車とも併用して活用できるVR技術、いわゆる仮想現実を用いた防災啓発ソフトを、今年度新たに制作する予定としています。このソフトは、幅広い年代層が利用できるよう、防災教育や映像分野の専門家による研究チームの意見も伺いながら、喫緊の課題である南海トラフ地震を想定した地震、津波編と、県内各地で発生している土砂災害編を制作します。年内に試作版を作り、利用者の意見を聞き、効果を検証した上で、年度末には完成したいと思っています。 まずは、こうした疑似体験ソフトによる啓発や防災教育等を通じ、自助意識の向上が図れるよう取組を推進してまいります。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 マイタイムライン教育についてお答えします。 地震など突発型災害の対応には、机の下に隠れるなど実際の避難行動をする防災訓練が学校現場では広く行われていますが、台風、水害など進行型災害への対応は、一般的な防災訓練ではカバーができません。そのため、段階を追った防災行動計画、いわゆるマイタイムラインの考え方の活用が学校現場でも検討され始めています。日田市に加えて、防災教育モデル実践校の緒方中学校でも、台風などを想定して情報収集の手段や事前準備、避難の時期などを時系列で整理するマイタイムラインを作成する学習が行われて、公開研究発表会で紹介もしたところです。 また、学校防災出前講座にもタイムラインの作成演習をメニューに加えて、大分東高校などで取り組んだほか、幼稚園を含む全ての公立学校の防災教育コーディネーター等を集めた学校安全研修会において、いつま小学校のマイタイムライン教育の実践事例の講義も行ったところです。 今後とも、児童生徒が自ら危険を予測して、回避できる能力を身につけられるよう、マイタイムラインも含めて、実践的な防災教育を推進していきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。1時間に100ミリの雨は、息苦しくなるような圧迫感がある、恐怖を感ずると言われます。30センチの津波でも水の流れが速く、大変危険だとも言われています。これらはよく耳にする言葉ではありますが、言葉ではなかなか伝わらない事柄も、実際の経験1回で痛感できることもあるのではないかと思っています。その経験が、いざというときに必ず役に立ちます。 ぜひとも災害体験施設等の設置を前向きに考えていただき、また、今、防災局長からもあったVRの作成も、スピード感を持って進めていただければと思っています。 また、マイタイムラインにおいては、東京都でも東京マイタイムラインとの名前で、これはホームページ上でも学年、年齢別に作成できるように工夫されたものがありました。学校での導入となると、やはり教員の皆様の研修等も必要になることから、非常に負担もあるかとは思いますが、こういったホームページ上でまず取っかかりとなるものをつくるということは、非常に有効ではないかと思っています。 ぜひこの点についても、教育長、お考えいただいて、前向きに検討いただければと思っています。 それでは、次の質問に移ります。 高齢化、過疎化が進む地域から、1票という有権者の声をどう届けていくのか。 この課題に対し、移動支援、移動投票所の取組が全国で進んでいます。2016年7月執行の参議院議員通常選挙では、215の団体で移動支援が実施され、4,182人が利用されました。県内でも他の自治体に先駆けて、中津市が往復無料送迎車を運行し、投票機会の確保に向けた取組を進めており、今年7月に執行された参議院議員通常選挙においても18人の方が移動支援車を利用したとのことです。 県内各地で高齢化が進み、移動手段がなく、投票所に行くことが困難である。また、投票施設に行っても、会場が2階など上層階に設置されており、階段を上ることが困難なため、投票に行けないといったような多くの声を頂戴しています。 選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられ、主権者教育の目的を果たしていくとともに、あらゆる方が1票という御自身の声を届けることができるように、その機会を確保することは非常に重要なことであると考えています。 法的根拠、整合性の課題や運行方法とその周知、天候や事故などの問題等、課題は多くあると思っていますが、それらを乗り越え、先進的に実施している中津市や島根県浜田市等の取組を踏まえ、県としての考え、方向性を示していただくことで、市町村における検討もより進んでいくと考えますが、この点について見解を伺います。
○土居昌弘副議長 大津留
選挙管理委員長職務代理者。
◎大津留源
選挙管理委員長職務代理者 本日は、選挙管理委員会の一木委員長が出席できませんので、委員長職務代理者の私から答弁させていただきます。 高齢化、過疎化が進む中、有権者が投票しやすい環境を実現するため、有権者一人一人に着目した利便性の向上や投票機会の確保に努めることが必要であると認識しています。 このため、県選挙管理委員会では、これまでも選挙の公平、公正性の確保に留意しながら、投票所数の維持や投票所に使用する施設のバリアフリー対応に努めるとともに、投票所までの交通手段を積極的に確保するよう、市町村選挙管理委員会に働きかけてまいりました。 その結果、御指摘にあった中津市のように、投票所へ無料送迎車を運行するなど、新しい取組も始まったところです。 今後も引き続き、市町村選挙管理委員会に対し、研修会など様々な機会を通じて、投票環境向上の重要性を伝えるとともに、他団体の優良事例の情報提供を行い、地域の実情に応じた投票環境の向上を積極的に検討するよう働きかけてまいります。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。大分市においても、佐賀関福水地域という場所がありますが、住まれている方の大半が高齢者であり、投票所までは車1台が通れる山道を一山越えていかなければなりません。私でも、歩くのは厳しいと感じるような場所です。 このような場所は、県内で見れば、数多くあるのではないでしょうか。市町村が取り組むべき内容だということは重々承知していますが、県としてもう少し何かしらのサポートを行うことはできないのでしょうか。県の考えがあれば、ぜひお聞かせください。
○土居昌弘副議長 大津留
選挙管理委員長職務代理者。
◎大津留源
選挙管理委員長職務代理者 投票環境の整備の問題について、県内の、移動がなかなか難しい地域における移動支援の問題についての御質問です。市町村においていろいろと事情がありますし、いろんな課題、例えば財政的な問題、それから、人員配置の問題等々もありますが、非常に有望な施策ですので、県としては、市町村の取組を一層積極的に行えるよう、優良事例等も含めた情報提供、あるいは研修会における周知徹底等を行ってまいりたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。ぜひとも高齢者の方を含めた大事な1票を、その機会を与えられるように、よろしくお願いいたします。 それでは、次に、障がい者雇用率日本一を目指す本県として、ぜひとも力を入れて取り組んでいただきたいアビリンピックについて伺います。 アビリンピックは、障がいのある方々が日頃職場などで培った技能を競う大会です。障がいのある方々の職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障がいがある方に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることを目的として開催されています。 技能競技種目は、電子機器組立て、機械や建設CAD、歯科技工、ネイル施術、洋裁など、障がいのある方が実際に働いている職種を主なターゲットに、現在、23種目と多岐にわたっています。 1972年に第1回全国大会が開催され、昨年は第38回大会が沖縄で開催されています。また、1981年からは、国際大会も開催されています。 しかし、県内で開催されているアビリンピックおおいた大会は、出場定員に対し、7割程度の出場者数にとどまっている状況です。 そこで、まず、アビリンピックおおいた大会では、現在どのような形で参加者を募っているのか伺います。さらに、アビリンピックおおいた大会における技能競技種目は、主催者、共催者の各団体の協議により決定されていると伺っていますが、県内において障がいのある方が働かれている職種を踏まえて、それとリンクさせることで、参加へのハードルも下がり、参加者の増加も見込めるのではないかと考えますが、県の考えをお示しください。
○土居昌弘副議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 アビリンピックについて御質問いただきました。 アビリンピックおおいた大会は、今年で19回目を数え、本年は11月30日に開催予定です。参加者の募集は、主催者である高齢・障害・求職者雇用支援機構と県、労働局等が連携し、事業所や団体へのポスター、チラシの配布、ホームページによる広報、各市町村の広報紙に掲載することによって行っています。 競技種目の拡大については、昨年度は特別支援学校の生徒も参加できるよう、ビルクリーニングチャレンジコースを新たな種目として取り入れたところ、14人の参加がありました。また、デモンストレーション競技として新たに洋裁競技を実施したところ、5人の参加がありました。その結果もあり、昨年度の参加者は29年度の33人から23人増加し、過去5年では最高となる56人となりました。 参加者数は、議員御指摘のとおり、出場定員の7割程度となっていますが、これは可能な限り多くの方に参加いただけるよう、ある程度余裕を持った定員設定をしているためです。 今後も競技種目の見直しや拡大を行うことで、参加者数の増加につなげ、障がい者雇用の理解促進を図ってまいります。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。県が主催する障がい者スポーツ大会は、意味合いが少々違うかもしれませんが、市町村が参加者の取りまとめを行い、1,200人以上の方が参加されています。しかし、アビリンピックおおいた大会は、共催という立場ではありますが、あまり認知されておらず、参加者も今部長からもあったように、2桁にとどまっています。 障がい者雇用率日本一を掲げる我が県として、障がいがある方が社会の中で活躍する場を少しでも増やし、さらに理解を広げるためにも、主催者である独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構大分支部とともに、さらに密に連携していただいて、このアビリンピックおおいた大会の周知徹底と大会のサポートを、ぜひ全力でお願いしたいと思っています。 それでは、次に、総合型地域スポーツクラブの在り方等について質問させていただきます。 本県では健康寿命日本一に向けた取組が進められていますが、その中で、スポーツの持つ力を十分に生かしていくことも大切です。 スポーツ基本法の前文においても、「スポーツは、心身の健康の保持増進に重要な役割を果たすものであり、健康で活力に満ちた長寿社会の実現に不可欠である」と規定され、スポーツを楽しみながら、適切に継続することで、生活習慣病の予防、改善や介護予防を図り、健康寿命の延伸や社会全体における医療費の抑制につなげていくことが求められています。 そうした中、スポーツ庁が実施した平成30年度スポーツの実施状況等に関する世論調査によると、週1日以上運動、スポーツをする成人の割合は、国の第2期スポーツ基本計画における目標65%程度に対し55.1%、週3日以上は、同じく目標30%程度に対し27.8%となっています。 一方、本県の現状は、週1日以上運動する成人の割合は50.9%と全国平均を大きく下回っており、中でも20代から50代の働く世代については41.3%と非常に低くなっています。また、中高生においても、令和元年6月現在、中学校での運動部入部率は60.2%であるのに対し、高校での運動部入部率は43%となっており、年齢が進むにつれ、運動離れも進んでいる現実があらわれています。 こうした本県の今後のスポーツ振興に向けた課題解決を図るため、私は、身近な地域でスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブを、県としても積極的に後押ししていく必要があるのではないかと考えています。 県内では現在、44団体が活動を行っており、その中にはスポーツを通じた健康増進、子育て支援、学校との連携、障がい者スポーツの推進など、地域の課題解決に大きな役割を果たしている団体も出ています。また、スポーツを通じ、世代を超えた地域コミュニティの核となり得る可能性も秘めています。 しかしながら、指導者確保の問題や運営に携わる方の高齢化、財務基盤の脆弱さ、活動拠点確保の困難さなど課題も多いことから、これらの課題を乗り越え、持続可能な社会的な仕組みとして定着させるためにも、総合型地域スポーツクラブの自立に向け、県として今後どのように取組を進めていくのか、教育長の考えをお聞かせください。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 総合型地域スポーツクラブについてお答えします。 現在、総合型クラブは県下18市町村に創設されましたが、安定的な活動に向けて各クラブが様々な課題を抱えており、県としては、まずは人材の育成が重要であると考えています。 そのため、運営の中心となる人材の確保に向けて、クラブの理念や経営法を学ぶ講習会を実施して、これまでに延べ1,113人のクラブマネジャーを養成しました。また、貯筋運動の効果や指導法を学ぶ講習会を年5回実施し、92人の貯筋運動サポーターを養成するとともに、新たにスクエアステップエクササイズの教室開催に向け、指導者養成を開始したところです。 さらに、会員数の増加に向けて、スポーツ実施率の低い働き盛り世代を対象とした教室の開催を支援するため、個々の身体能力や健康状態に応じた運動処方を指導できる健康運動指導士や、子育て女性に人気のあるヨガやピラティスなどの講師を招聘することとしています。 今後も、様々な支援を通じて、総合型地域スポーツクラブの活性化を図っていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。新潟県では、総合型スポーツクラブと地元企業がCSR、またCSV型の連携を行って、新たな総合型クラブのモデルを構築しつつあります。 例えば総合型クラブは、協賛金や企業内での運動教室受託費などによって増収を図り、企業は総合型クラブの行事や事業での企業名露出による宣伝効果、社員への健康増進を得ることができます。その地域としては、働く世代のスポーツ参加につながった、こういった事例や、ショッピングセンターのスペースを無償提供していただいて、高齢者を対象とした買物ウオーキング企画、来店者を対象としたスポーツ体験企画を開催することで、総合型クラブはスポーツに親しみがなかった新しい人へのアプローチができ、会員獲得につながる。企業としては、店内コンテンツの充実による集客、新たな顧客獲得につながる。そして、地域では高齢者の買物支援やスポーツ参加の促進が図られたと、こういった事例も伺っています。 しかし、このような取組をスポーツクラブと企業の双方だけでスタートさせるには、なかなか意識の違いもあることから、少しハードルが高いのではないかと感じています。 これについて総合型クラブと企業の橋渡し的な役割を県が担うといったようなことはできないでしょうか。 また、総合型クラブが活動に取り組む上では、やはりスポーツ指導者の様々な資格を取得することも非常に重要だと考えています。県として、資格取得に向けたサポートをさらに加速させてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
○土居昌弘副議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 大変意欲的な取組をしている事例を紹介いただきましたけれども、スポーツを教える資格の取得に向けた取組についてお答えしたいと思います。 日本スポーツ協会の公認指導者資格は大半が競技別の資格であるために、県体育協会と競技団体が連携して、養成講習会を県内で実施するなどして、取得の推進を図っているところです。 現在、県内にはバレーボールの250人、ソフトボールの227人をはじめ、47競技52種目で1,515人の資格保有者がいて活動しています。本年度は、競技団体から希望があったバレーボール、軟式野球、ソフトテニス、バドミントン、卓球の5競技について県内で養成講習会を実施する予定になっています。 関係団体と連携して、講習会の実施についてクラブへの周知を図るとともに、積極的な受講も呼びかけていきたいと考えています。 企業との関係については、積極的な御提案だと伺いました。いろんなこともまた勉強していきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。総合型地域スポーツクラブは、これから必ず自立が必要になってくると思っていますので、ぜひ県としても積極的な取組をお願いします。 それでは、最後の質問に移ります。 来月から幼児教育の無償化が開始されます。今回の無償化にあたっては、質の向上を伴わない、理由のない保育料引上げが行われないよう周知徹底するものとされていますが、県内の認可外保育施設において、このような事例は発生していないでしょうか。まず、これまでの状況をお聞かせください。 また、無償化の対象となる認可外保育施設は指導監督基準を満たすものとされていますが、待機児童問題等により、やむを得ずこの基準を満たさない施設を利用する場合もあることから、5年間の猶予期間が設けられています。今後、見直しが図られる可能性もありますが、まずは、この5年間で基準を満たすよう、しっかりと指導していく必要があると思います。 しかしながら、どうしても基準を満たすことができない認可外保育施設については、無償化の対象から外れることもあり得ることから、万一このような事態になった場合は、保護者の皆様に大きな混乱を引き起こすだけでなく、施設にとっても経営が厳しくなると、そういった可能性も出てまいります。 そこで、そうした事態にならないようにするためにも、この猶予期間内に指導監督基準を満たすことが非常に重要になってくると思いますが、認可外保育施設の質の確保、向上に向け、県として今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いします。
○土居昌弘副議長 廣瀬福祉保健部長。
◎廣瀬高博福祉保健部長 認可外保育施設の質の確保、向上についてお答えします。 質の向上を伴わない、理由のない保育料の引上げの状況については、現在、国において実態調査の手法等を検討中です。 県では、保育料を引き上げる場合は、変更内容及びその理由の掲示と保護者への説明を行うよう、施設への事前の説明会や通知等により周知徹底を図っているところです。 認可外保育施設の質の確保、向上に向けては、従事者を対象に、保育力のレベルアップを図る研修を平成27年度から実施しています。また、保育の質の向上のため、人員、設備、運営に関する基準を遵守するよう、立入調査により随時指導しているところです。さらに、今年度から保育経験豊かな巡回支援員を認可外保育施設に送り、保育内容や事故防止のための取組などに関する助言、指導を始めたところです。 今後とも、こうした取組を通じて、認可外保育施設のさらなる質の確保、向上を図っていきたいと考えています。
○土居昌弘副議長 吉村哲彦君。
◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。このような、国が中心となって進める施策は、行われること自体は皆さんに周知されていても、その深い内容まで理解するという機会はなかなかないように感じています。 そして、今回の無償化についても、よく読めば、今後検討するであったり、5年間は猶予期間であるといったような、多少アバウトな部分も含まれているように感じます。 巡回支援員のお話もありましたが、これが今後急に変わるようなことがあれば、一番困るのはやはり生活者の皆様だと感じます。保育料が無償化になるから、子どもに何か習い事をさせよう、そういったものも急に無償化が取りやめ等になってしまうと、生活自体、非常に困る部分もあるのではないかと感じています。ぜひそういったことがないように、巡回支援員の方と、また、国としっかりと連携をとりながら、この政策が円滑に県民、市民の皆様に利用されるように進めていただければと思っています。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○土居昌弘副議長 以上で吉村哲彦君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午前11時53分 休憩
------------------------------- 午後1時 再開
○麻生栄作議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。太田正美君。 〔太田議員登壇〕(拍手)
◆太田正美議員 皆さん、こんにちは。午後からもよろしくお願いいたします。 さきの統一地方選挙で、よわい70にして初当選ということで、残りの人生を県民の福祉のために全力で頑張りたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 また、傍聴の方は、遠いところからありがとうございます。 通告に従って、早速5点ほど質問させていただきます。 火山防災対策について。 県内には、全国に111ある活火山のうち、鶴見岳・伽藍岳、九重山、由布岳の三つの火山があります。このうち鶴見・伽藍岳及び九重山については、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性等の理由から、常時観測が必要な火山に選定されています。気象庁が、24時間体制で火山活動を観測、監視しています。 私の地元にある由布岳は、詳細な年代は分かっていませんが、鶴見岳と同時期に火山活動を開始したと推測されています。有史に残る噴火記録はありませんが、平成18年に県や関係市町により「由布岳・鶴見岳・伽藍岳火山防災マップ」が作成されるなど、本県の火山防災対策の動向にはこれまでも注視してきました。 県では、平成26年の58人の尊い命が犠牲となった御嶽山噴火を受けて改正された活動火山対策特別措置法に基づき、平成28年7月に鶴見岳・伽藍岳火山防災協議会を別府市、宇佐市、由布市及び日出町と、また、同9月には九重山火山防災協議会を竹田市、由布市、九重町とそれぞれ共同で設置しました。そして、これらの協議会では、これまで噴火シナリオや噴火警戒レベル等について検討され、本年1月には火山単位での統一的な避難計画として、鶴見岳・伽藍岳火山避難計画と九重山火山避難計画を決定しました。 ただ、このうち鶴見岳・伽藍岳火山避難計画は、登山者等向けの火口周辺地域のみの計画となっており、住民等向けの居住地域については継続して検討することとされています。九重山火山避難計画の目的にもあるように、住民、登山者、観光客等の安全の確保が何よりも大事だと思いますので、一日も早い計画の決定を望んでいます。 火山の噴火は、いつ起きるか分かりません。先月噴火した浅間山では、これまでの噴火では事前に明瞭な地殻変動や火山性地震の増加などの明確な予兆があったとのことですが、先月の噴火の場合はこうした予兆がなく、長野地方気象台も、新たな噴火の兆候として、火山活動の高まりが見えなくても警戒するよう呼びかけました。こうした状況では、住民の不安も募りますし、登山者や観光客への影響も懸念されます。 そこで、火山のこのような特徴も踏まえ、今回決定された火山避難計画に基づき、今後、県としてどのような火山防災対策を進めていくのか、知事のお考えをお伺いしたいと思います。 次に、火山情報の提供について。 由布市は、伽藍岳への登山口として有名な塚原温泉登山口やエコーライン登山口をはじめ、由布岳やくじゅう連山への登山口を有しており、年間を通じて多くの登山客でにぎわっています。 一方で、こうした登山客等の安心・安全の確保を図るための取組はなかなか進んでいないのが現状です。私は登山者等に対する火山情報の的確な提供が必要であると考えています。そして、登山客等に対して、山を楽しんでもらうことで、さらなる登山客や観光客の増加を図っていくことが中山間地の地域資源を観光資源として有効活用する観点からも重要であると思います。 そうした中で、県では今年度から令和3年度までの3年間、登山者に向けて、安全・安心メールやおおいた防災アプリ、県のホームページの火山サイト等へ誘導するQRコード掲示板の設置に対する助成事業を開始しました。この制度は、市町村の背中を後押しするすばらしい制度だと思います。また、この3年間という期間設定についても、迅速な掲示板設置を促すために必要な要件だと理解しています。 しかしながら、設置箇所の選定や環境省との事前協議、許可申請等にはかなりの時間を要することから、特に多くの要設置箇所を抱えている市町村においては、予算面の問題も含め、課題があるのではないかと懸念しています。 そこで、新しく取組が始まって約半年が経過しましたが、現在の進捗状況とあわせて、こうした課題も踏まえた今後の取組についてお示しください。 以下は対面席でお伺いします。 〔太田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○麻生栄作議長 ただいまの太田正美君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 太田正美議員から、火山防災対策について御質問をいただきました。 本県の防災対策における喫緊の課題は、南海トラフ地震ですが、火山災害に対しても、しっかりと備えておく必要があると思っています。 県では、これまでも火山防災マップの配布などを通じて、住民や登山者などの安全確保や活火山への理解促進を図ってまいりました。 また、平成30年1月、特段の変化が観測されない中で発生した草津白根山の噴火を受けて、直ちに火山や地質学の専門家を招聘し、最新の知見から現行の火山防災対策への影響や課題等について意見を伺い、本年1月には、その意見も反映して九重山や鶴見岳・伽藍岳の火山避難計画を策定したところです。 火山災害は広域にわたり影響を及ぼす災害であり、噴火時等には関係機関が連携、協力して対応を実施する必要があります。計画には、火山災害時における防災体制や避難対応に加え、突発的な噴火が発生した場合の防災関係機関や登山者等がとるべき対応についても定めています。 今後は、これらの計画に基づき、火山防災対策にしっかり取り組みたいと思います。 まずは、登山者等に対する火山への理解促進を図るための情報発信です。これまでも市町を通じて、観光案内所や主な登山口等に火山防災マップを配置し、火山情報を提供してきたところですが、予兆もなく突発的に噴火が発生する可能性があることから、県ホームページに火山防災に係るサイトを一覧にまとめ、最新の火山活動の状況などを確認できるようにしています。 なお、今年度から、この県ホームページに直接アクセスできるQRコードを掲示した看板を登山口に設置する市町に対して、支援を始めたところです。 次に、避難訓練の実施や火山避難計画の不断の見直しです。火山避難計画に基づき、防災対応能力の向上や登山者等の火山防災に対する意識高揚を図るための避難訓練を実施するとともに、より実効性のある計画となるように、PDCAサイクルの徹底を図ってまいります。 そんな中、議員御指摘のとおり、鶴見岳・伽藍岳の居住地域の避難計画については、まだ策定できていません。これは、居住地域が火口に近接し、緊急広域避難などに課題があることから、現在、急ぎその対策を検討しているところです。こういうところこそ、住民の命を守るため、地元市町等とも連携して、一日でも早い計画策定を進めていかなければならないと考えて、検討を急いでいるところです。 こうした取組を関係市町や防災関係機関と一体となって着実に推進して、県民の皆さんをはじめ、登山者、観光客の安全・安心の確保を図っていきたいと考えています。
○麻生栄作議長 牧防災局長。
◎牧敏弘防災局長 火山情報の提供についてお答えします。 九重山及び鶴見岳・伽藍岳は、5段階で区分する噴火警戒レベル対象火山です。現在、両火山とも最も低いレベル1の状態であり、避難計画においては、活火山であることに留意するとともに、登山者等は情報収集に努めるよう求めているところです。また、県や地元市町は、活火山であることの平時の情報伝達に加えて、緊急時には県民安全・安心メール等を活用して、噴火警報等の情報を周知することとしているところです。 このため、今年度から県と市町が連携して、登山者等に対して火山の状態やQRコードを活用した様々な火山防災情報を提供する看板設置に取り組んでいるところです。 なお、事業の実施にあたっては、環境省との協議に加え、設置場所の地権者との協議など、円滑に進める必要があると認識しているところです。 現時点では、四つの市町のうち、別府市からの申請を受理しており、さらに1市が今年度中に申請することで調整しているところです。残りの2市町については、来年度以降で看板設置を検討していると聞いています。 引き続き看板設置を支援することで、登山者等に正確な情報を迅速に周知できるよう、市町と連携し、環境整備を図ってまいります。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 大変ありがとうございます。ただ、期間が3年間と限られている中で、なかなか準備等に手間取って、補助率の関係で関係市町村が苦慮しているということも聞いていますので、補助率の固定化、2分の1の固定をできないかということは検討していただけないでしょうか。
○麻生栄作議長 牧防災局長。
◎牧敏弘防災局長 議員御承知のとおり、火山防災協議会は、県と地元市町、そして、防災関係機関、さらに環境省の方々も一緒に加えて協議会を設置しています。この協議会において、火山防災計画を今年の1月に策定したところです。この計画については、登山口における看板の設置については、市町が行うということとなっています。 また、さきほど課題でも申し上げたとおり、環境省等の申請に時間を要するということもありますので、これらを総合的に勘案して、来年度以降の補助率については検討していきたいと思っています。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 よろしくお願いします。 次に、治水対策について。 豪雨災害対策についてですが、先月26日から29日にかけて九州北部を中心に記録的な大雨をもたらした、前線に伴う大雨では、佐賀県武雄市で松浦川が氾濫し、人的被害も発生しました。 また、先々週、先週と、台風第15号、第17号でも全国各地で突風や雨による多大な被害が起きています。 大町町では、住宅地のそばで大規模な土砂災害や河川の増水に伴う広範囲な被害が発生し、病院や周辺民家が多数孤立する状況となり、孤立解消のため、国土交通省の排水ポンプ車16台による排水作業が24時間体制で行われました。また、同時に付近の鉄工所から流れた重油の影響もあり、解消までには4日間を要しました。また、昨日、付近の稲作農家では、この油が稲についたことによって全部刈り取り処分ということも報道されていました。 この大雨では、九州北部地方に大雨特別警報が発令されました。大雨特別警報は50年に1度と極めて危険な雨が降る場合に発令されるものですが、九州北部地方では、平成29年、平成30年、そして今年と、3年連続で発令されて、異常な状態が続いています。言うまでもなく、3年間に各地で発生した浸水被害は甚大なものであり、それぞれの地域に深刻なダメージを与えています。復旧、復興には大変な労力と費用を伴うものであり、今なお懸命な復旧作業は続いている状況です。 そうした中、本年6月には、国土交通省が設置した有識者会議である「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」において、地球温暖化によって将来の豪雨時の降水量が全国平均で1.1倍になるとの試算が示され、これを国管理の河川の治水計画に反映すべきとする提言がなされました。国は、この提言に基づき、河川整備計画の見直しを進める考えであると聞いています。 本県でも平成29年7月の九州北部豪雨では県内ほぼ全域に大雨特別警報が発令されました。この豪雨により、日田市の大肥川や鶴河内川などが氾濫し、多大な被害が発生しました。日田市の小野地区では小野川沿いで河川、道路と集落の一部をのみ込む大規模な地すべりが発生しました。さらに、今年8月の前線に伴う大雨でも日田市、中津市などで被害が発生したところです。 このように、最近の気候変動の現実を目の当たりにしたとき、本県でも50年に一度と言われるような豪雨災害が、今後また、いつ発生してもおかしくない状況ではないかと思います。こうした豪雨災害に対応するには、まず河川の整備をはじめとした治水対策を今一度見直す必要があると考えますが、知事の考えをお聞きします。 河川の維持管理について。 大分川は、その源を由布岳に発し、由布院盆地を貫流しており、由布市民にとっては飲み水から農業用水に至るまで非常に生活に密着した河川であるとともに、多くの観光客が訪れる由布市湯布院地域においては、観光資源としても多大に寄与しています。 しかしながら、現状では、たび重なる風水害等により多量の土砂が河川に堆積しており、この堆積した土砂を放置し続ければ、再び豪雨や台風等の被害を受けた際には大規模な冠水が発生するおそれがあるのではないかと懸念しています。 また、外来藻の大量繁茂による河川水位の上昇や河川景観の魅力低下も課題であり、防災上、景観上、双方から早期に対応する必要があると考えています。 また近年、高齢化が進み、これまで川の清掃や草刈り等の維持管理を行っていた地域においても、担い手不足があり、今年限りで川の管理を行う人がいなくなるという地域もあります。これも非常に大きな問題として地域を悩ませています。 現在、湯布院地域では、川西合流点から福万川合流点までの区間の河川改修が実施されていますが、今後、白滝川や大分川、宮川においても、計画的に堆積土砂の撤去や外来藻の除去、川の清掃や草刈り等の維持管理が必要であると考えられますが、県の見解を伺います。
○麻生栄作議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 豪雨災害対策について御質問をいただきました。 近年、数十年に一度と言われる大雨が毎年のように発生しています。議員御指摘のとおりです。全国的に見ても、ここ10年間で1時間に50ミリを超える非常に激しい雨を観測した回数が30年前に比べて実に1.4倍になっています。本県でも同様の傾向にあり、平成24年以降、県内約4割の地点で観測史上最大の時間雨量を記録しています。 特に九州で初めて大雨特別警報が発表された平成29年7月の九州北部豪雨は、日田市、中津市を中心に甚大な被害をもたらし、私自身も被災地の痛ましい状況や被害に遭われた方々の苦悩を目の当たりにしました。 災害から県民の命を守る治水対策や土砂災害対策の重要性を改めて痛感し、被災地の復旧、復興に全力を注いできたところです。 このような中、その翌年、平成30年7月には西日本豪雨があり、200人を超える人命が奪われる大災害になったことは、本当に衝撃的でした。 頻発、激甚化する豪雨災害に対して、必要な対策は追いついていない状況に危機感を感じ、全国知事会として昨年の夏と秋の2回、抜本的な治水対策など、国土強靱化の推進を国に強く訴えたところです。国もその観点から、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を創設し、本県もこれを積極的に活用するとともに、県単独事業も拡充して、強靱な県土づくりを推進しているところです。 議員御指摘の今後の治水対策の在り方に係る国の議論を注視しつつ、県でも近年の豪雨を踏まえた新たな総合治水対策プランを策定することにしています。既に各地域における降雨特性や地域特性の見直しに着手しており、これを基に河川の流量を算定し、洪水氾濫を防止するために必要な河川改修やダム、調整池の整備、流木対策等のハード対策を流域ごとに検証します。 さらに、こうしたハード対策を補うために、リアルタイムで情報発信が可能な水位計や河川監視カメラ、避難行動を促すハザードマップ等、ソフト対策にも一層力を入れてまいります。 また、プランの推進には、国、市町村との連携が重要ですから、策定段階から県内を網羅する7圏域に設置している大規模氾濫減災対策協議会を活用していきたいと思います。 今後も、ハード、ソフト両面からあらゆる施策を総動員して、治水対策を加速、前進することで、災害に強い強靱な県土づくりにしっかりと取り組んでいきたいと考えているところです。 もう一つ御質問のあった河川の維持管理については、担当の部長からお答えします。
○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。
◎湯地三子弘土木建築部長 私からは、河川の維持管理についてお答えします。 大分川は、湯布院地域にとって治水や景観、環境の面からも重要な河川と認識しています。このため、治水上支障となっている川西合流点付近のJR第2由布川橋梁や鮎川堰を改築し、現在は堰上流で川幅を広げる工事を進めているところです。 また、国の3か年緊急対策などを活用し、河床掘削にも重点的に取り組んでいます。昨年度は大分川と宮川の合流点で堆積していた土砂を除去し、今年度は湯の坪川などでも河床掘削を進めてまいります。 河川環境等の保全には、住民との協働も大事なことと考えます。担い手不足により草刈りなどの河川愛護活動が困難な地域については、企業や団体に協力を呼びかけているところです。 また、宮川では、平成27年度から、まちづくり団体や自治会などと一緒になって、外来藻の除去を行っています。この活動により水位の低下や景観改善などの効果が見られたことから、引き続き取り組んでいく予定です。 一方、水質改善も大切であることから、由布市と協力して、合併処理浄化槽への転換を促すなどの生活排水対策にも取り組んでいきます。 今後も地域の安全・安心確保のため、景観等にも配慮しながら河川の維持管理に努めます。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 よろしくお願いします。 次に、国道210号の渋滞について。 国道210号は、福岡県久留米市から筑後川に沿って東に向かい、日田市、玖珠郡を経て由布市の中心を通って大分市へと続く、由布市にとって背骨のような道路です。現在、南海トラフ巨大地震に代表される大規模な地震津波等の災害が懸念される中、災害発生後の迅速な対応が県民の生命や財産を守ることにつながります。災害時の避難、災害後の復旧、双方において、この国道210号は内陸部と沿岸部をつなぐ重要な道路になり得ると考えています。 また、由布市にとって、観光誘客や市外の病院への救急搬送、通勤、通学、買物等、市民生活にとっても非常に重要な道路となっています。 しかしながら、現在、挾間地域中心に渋滞が常態化している状態です。特に210号と県道が交差する地点において、その状態が顕著に見られます。 そこで、災害時の復旧と市民の生活向上の双方の観点から、早期にこの状況を改善する必要があると考えますが、県の見解をお伺いします。
○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。
◎湯地三子弘土木建築部長 国道210号の渋滞についてお答えします。 国道210号のうち大分市宮崎交差点から久留米市までの間は、国土交通省が管理しています。このうち議員御指摘の大分市横瀬から由布市挾間町向原間では、交通容量不足による渋滞が発生しており、順次対策が進められているところです。 挾間三差路では、平成28年度に国道210号から県道大分挾間線、通称医大バイパスですが、挾間線への左折車線の延長が約50メートルから約170メートルに延伸され、渋滞の軽減に一定の効果が得られています。また、富士見が丘団地入口交差点から緑が丘団地東入口交差点までの間は、平成28年度に横瀬拡幅として4車線化事業が始まり、昨年度から用地取得が進められています。 県としても渋滞対策の重要性は十分認識しており、引き続き横瀬拡幅の早期整備に加え、向原までの4車線化の早期着手を国に要望してまいります。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 ありがとうございます。 次に、荒廃農地の有効活用について。 本県にとって主要な産業である農業の振興、また農地の保全は、県内どの地域においても重要なことです。県は、長期にわたり総合的に農業振興を図る地域を農業振興地域として指定していますが、現在、この地域における農地の維持管理が懸案となっています。農業委員や農地利用最適化推進委員からは、荒廃農地と判断すべき農地が農業振興地域内に多く存在しているという意見が出されています。 特に、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地がたくさんある中で、この荒廃農地を農地以外の目的に有効活用してはどうでしょうか。例えば宅地にするとか、県外で暮らす子どもたちのUターンを迎え入れ、定住促進の一助にすると。倉庫とか駐車場の整備もいいのかと思っています。他の農地の利便性向上につなげることはできないでしょうか。 当然、農業振興地域を適正に保全していくためには、慎重かつ厳正な判断が必要であることは言うまでもありませんが、的確な時期に農地利用の方向性を位置付け、しっかりと現状に即した有効活用を図っていくことが非常に重要ではないかと思っていますが、県の見解を伺います。
○麻生栄作議長
大友農林水産部長。
◎
大友進一農林水産部長 荒廃農地の有効活用についてお答えします。 近年、議員御指摘のように、再生困難な荒廃農地の発展的利用を地域から求められるケースが増えてきています。これらに対応するためには、農振農用地区域の除外と農地転用許可が必要になりますが、その要件は、例えば農地転用許可では、3戸以上が連なる集落に隣接した農地を除けば不許可であるといったことなど、法令で定められた要件に沿って行われるものです。これを自治体の裁量で緩めるということはできないと考えています。 他方で、手続の迅速化に向けては、県の権限である農地転用の許可事務に関して、市町村への権限移譲を進めているところです。現在、由布市等を除く10市町村で権限を移譲しており、従前2か月程度を要していた手続が、市町村長が許可権者となることによって1か月程度に短縮されています。 こうしたことから、引き続き市町村の理解を得ながら権限移譲を進め、住民の利便性の向上等に努めてまいりたいと考えています。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 中山間地の多い由布市にとっては、特に山付きの荒廃農地は、有害鳥獣の餌場や隠れ場となり、鳥獣害被害の温床になっているというケースも見受けられます。にもかかわらず、なかなか手続が前に進まないということが、農家の大きな負担になっている現状もあるので、早急な対応をよろしくお願いいたします。 次に、国内観光客の誘致について。 日韓関係の悪化に伴い、韓国人観光客が急減して、観光地における景気後退が問題となっています。特にまた、10月から消費税も上がるということです。今、県では、ビッグイベントが次々に大きく取り上げられていますが、その後の来年以降、令和3年度ぐらいを目指した取組というのが、今、求められているのではないかと思っています。 以前は平日も観光客でにぎわっていた人通りが、最近はもう非常に少なくなっています。中国や台湾からの観光客は目立つようになりましたが、観光業や宿泊業の関係者からは、非常に憂慮すべき事態であり、このままでは経営が厳しいという声も聞きます。 ここ数年のインバウンド対策強化の反動で、国内観光客に対する誘致の取組が、今、少し足りないのではないかという声も聞きます。 多くの外国人観光客が訪れる由布市において、情報発信や案内業務を担う由布市まちづくり観光局によると、同市における外国人観光客の比率は全体の25%ほどであり、その6割から7割が韓国人であるとのことでした。この減少も痛いのですが、実際はむしろ熊本地震以降、国内観光客、特に福岡や熊本などの近県からの観光客の落ち込みが非常にひどい、戻っていないという現状です。より重要なことは、やっぱり国内観光客へのしっかりした取組ではないかと考えています。 このため、国内観光客の誘致をもう少し積極的にする必要があるのではないか。そこで、国家間の関係の影響を受け、今後の観光需要の予測が難しい中、外国人観光客の誘客だけではなく、国内に向けて、これまで以上におんせん県おおいたの魅力を発信し、国内観光客を誘致することによって、観光地における早期の景気回復と安定的な観光産業の振興につなげていくことが重要であると考えますが、県の見解をお伺いします。
○麻生栄作議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 国内観光客の誘致についてお答え申し上げます。 昨年、本県の国内宿泊客は、JR6社と大型キャンペーンを共同開催した平成27年に次ぐ633万人を記録しました。宿泊客の約8割が国内客であり、引き続き誘客の取組は重要だと認識しています。 しかし、今後、国内では人口減少が加速する中、長期的に見ると、国内客の大きな伸びは期待できず、その維持を図るためには新たな旅行需要の喚起が必要だと思っています。 これまで県は、都市圏ごとにターゲットを定めて情報発信や誘客対策を行っており、例えば九州など近隣県には、本県が誇る温泉や名所をはじめ、魅力的な周遊ルートや直近イベントなど、きめ細かな情報を発信し、リピーター獲得に努めているところです。 本年1月から8月の県観光統計調査では、昨年の同時期までに比べて、宿泊客が近畿で約14%、中部で約16%と大幅に伸びており、全体でも約2%上回っている状況です。また、先日発表されたじゃらんの宿泊旅行調査では、国内客の総合満足度で本県が初の全国1位となりましたが、これを励みとして高評価をいただいたおもてなしにさらに磨きをかけながら、観光関係者と一体となってしっかり取り組んでまいります。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 統計による昨年の実績は、私も重々承知しているのですが、現在、もうこの7月、8月の落ち込みようは特にひどいということです。 一方で、そのことも踏まえて、県では九州GO!GO!ドライブパスとか、いろんな取組をされているんです。その中にはいろんなプランを立てて、いろんな情報発信があるのですが、しかしながら、意外とそのことが知られていない。利用率がすごく低い。特にインバウンドで日本に訪れる外国人観光客の方の最近の傾向として、レンタカーを利用した九州一周めぐりみたいな形態がすごく多く見受けられます。その方たちはレンタカーとETCを使ったドライブパスを非常に利用している。日本人よりも外国人の方が、この辺の情報をしっかり捉えて利用しているというような状況です。国内旅行をされている日本人がこういう制度の情報をまだ取られていないという現状があります。そのことについて、もう少し積極的なPRが必要ではないかと思っています。 今、統計で盛んに人数のことばかり言われていますが、一方で、消費単価がここずっと上がっていない、伸び悩んでいます。特に、さきほどの統計調査で宿泊単価が一番高いのがやはり東京都で4万2千円。そしてその近隣の神奈川県とか群馬県が2万4,400円台。九州に来ると1万8千円台に極端に落ちるというような状況になっています。 持続的な観光地を、これから大分県が目指すときに、こういうところに具体的な対策をしながら、中・長期的な戦略を立てていく必要があるのではないかと思っています。別府にコンチネンタル・ジャパンができましたが、やはりそういう新規の投資をされて、観光のエリアに参入してくる企業もこれから続々とあるのですが、またそことの兼ね合いも、すみ分けもこれから県はどのようにとっていくのかというのをお尋ねします。
○麻生栄作議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 消費単価のことに言及されましたけれども、県としても、やはり消費単価はぜひとも上げていきたいと思っています。それで、今月18日に発表しましたが、大分県としてはぜひとも、インバウンド等の変化に強いとか、そしてまた稼げる産業である観光産業、そう転換するようにしっかり取り組んでいきたいと考えています。
○麻生栄作議長 太田正美君。
◆太田正美議員 今日は初めてだったので、緊張して時間配分がなかなか。はしょって質問しました。 由布院温泉は昭和50年の中部地震以降、町としての取組をこの40年間、こつこつとやってきました。その成果が今の由布院温泉にあるのではないか。 その当時、昭和35年頃は、湯平温泉が脚光を浴びていました。その後、高度経済成長とともに、別府温泉が団体客を主に、特に関西圏の船旅をするお客さんでにぎわっていました。 その当時、由布院温泉は奥別府と言われており、ひなびた温泉地ということでしたが、この40年、50年、先輩方も、また今の若い人たちも含めて、「花を咲かせるよりも根を肥やせ」という合言葉で、持続可能なまちづくりをするということが共通の認識の中にありました。 私が開業した当時は、由布院温泉、旅館が50件足らずでした。今はもう200件以上の宿泊施設があると聞いています。その中でパイを分け合いながら、非常に課題がいっぱいある中で、いかに優良な観光地をつくっていくのかということで、県の支援をいただきながら、また、個々の施設のブラッシュアップを図りながら、大分に誇る、全国、また世界に誇る観光地を目指していかなければならない。 特に
ラグビーワールドカップとかオリンピック・パラリンピックがある機会を大いに利用しながら、世界に向けた情報発信をすることが我々の使命かと思っています。どうぞ御支援のほどをよろしくお願いします。 少し時間が残りましたが、これで一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○麻生栄作議長 以上で太田正美君の質問及び答弁は終わりました。 羽野武男君。 〔羽野議員登壇〕(拍手)
◆羽野武男議員 県民クラブ、羽野武男です。時間がありませんので、早速質問に入らせていただきます。 まず、林業人材の確保・育成について質問します。 今年3月に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が可決成立しました。この法律に関連して、今回は2点質問したいと思います。 まず、森林環境譲与税についてですが、その使途は法の中で、市町村においては森林の整備に関する施策や森林の整備を担うべき人材の育成及び確保などに要する費用、また、都道府県においては、森林整備を実施する市町村の支援等に要する費用と定められています。 本県においては、現在、長期総合計画である安心・活力・発展プラン2015の中間見直しを行っていますが、その部門計画である大分県農林水産業振興計画についても、連動して見直しが進められています。林業分野の関連では、循環型林業の確立による林業・木材産業の成長産業化や、新規就業者の確保・育成がキーワードになるものと思います。 そこで、戦後植林したスギ、ヒノキの人工林の半数以上が主伐期を迎える中、新たに森林環境譲与税を活用する市町村への支援も含めて、県として、今後どのように林業人材の確保・育成に取り組まれていくのか、知事の見解をお伺いします。 〔羽野議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○麻生栄作議長 ただいまの羽野武男君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 羽野武男議員から、林業人材の育成・確保について御質問をいただきました。 これまでの構造改革により、昨年の素材生産量は過去最高の145万立方メートルに達し、主伐の生産性は1人1日あたり9.9立方メートルに上昇、また、新規就業者も105人に増加するなど、本県林業の成長産業化への動きが本格化しています。 この流れを加速するため、長期総合計画の見直しにあたっては、素材生産目標を上積みし、産出額を上方修正した上で、施策を拡充したいと考えています。 また、今年度から森林環境譲与税の配分が始まり、経営放棄された森林整備の本格化が求められています。そのためにも、経営力のある力強い担い手の確保・育成を急がなければなりません。 第1に、新規就業者のさらなる確保です。林業分野は、新規就業者のうち35歳以下の若者が約6割と多く、これからも若い就業者の拡大を視野に入れて、人材確保に力を入れていきます。林業の仕事を広く知ってもらうため、高校生への体験研修を実施するほか、就業ガイダンスやコマーシャル放送など、就業情報の発信を強化していきたいと思います。 また、おおいた林業アカデミーでは、中高年移住者への新たな給付金制度も活用し、幅広い世代の受講を促進します。 就業後は、国の緑の雇用制度による実地研修に加えて、高性能林業機械のVRシミュレータやアイカメラなど先端技術を用いた新たな研修によって、技術力の高い人材を早期に育成して定着を図っていきたいと思います。 第2は、人材の受皿となる事業体の育成です。89の林業事業体がありますが、その約6割が従業員5人以下と大変小規模です。従業員が安心して働ける経営基盤の強化が大変待たれるわけです。そこで、素材生産力の強化と主伐、再造林の一貫作業を目指す事業体に対して、高性能林業機械の導入などを集中支援し、地域の中核となる事業体へと育成していきたいと思います。また、安全で快適な就労環境への改善を図るため、シャワールームや休憩施設の整備、空調服の導入などに対して助成します。 こうした取組をきめ細かく実施するためには、森林環境譲与税を活用した市町村の積極的な働きが期待されるところです。他方、市町村には林業技術職員が少ないという問題があり、県の支援が不可欠だと思っています。そこで、引き続き関係団体と連携して市町村を巡回し、事業構築等の提案やアドバイスを行っていきたいと思います。また、林業の業務の軽減を図るため、精度の高い森林情報の提供や間伐等の設計支援システムの作成、配布、関係団体への事務委託のあっせんなども行ってまいります。 このような市町村への支援も含めて、林業の将来を担う人材の確保・育成をスピード感を持って進め、本県林業を魅力ある産業へと成長させていきます。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ありがとうございました。 民有林の再造林が進んでいない現状が報道されました。ぜひ植林、下刈り等の人材確保につながるような施策の展開をお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、森林環境税についてお伺いします。 私がこの質問で申し上げたいのは、森林環境税の課税方法を、国民一律の定額課税から応能負担による課税に改めるよう、国に要望していただきたいということです。 森林環境税の使い道は、森林経営管理法に基づく森林経営管理制度であり、この制度は今年4月からスタートしていますが、森林環境税の徴収は2024年度から始まることになっています。そしてその方法は、住民税非課税世帯を除き、納税者に一律で、年額1千円を個人住民税均等割額に上乗せして市町村が徴収し、都道府県を通じて国に納付するという仕組みです。 この税は、森林の公益的機能保全のための税財源を確保するため、全国森林環境税創設促進連盟と私ども議員連盟が長年にわたり要望し、待ち望んだ税ですが、国民への定額課税や人口割による都市部への譲与など、要望とは異なる制度となりました。 ここで一番問題なのは、所得に関係なく、納税者一律1千円という定額課税にしたことです。国はその理由を、森林は地球温暖化防止や災害防止等の公益的機能を有し、国民一人一人が恩恵を受けているため、国民に等しく負担を分任する仕組みとすることが望ましいとしています。ここには受益を根拠に国民一人一人が税を負担すべきという応益原則が適用されています。一見何の問題もないように見えますが、これは我が国で広く認められている税の公平性の原則から外れており、唯一の例外となっています。 なぜなら、応益原則が適用されるのは、受益と負担の関係が比較的明らかである地域の公共サービスに充てられる地方税に限られ、強制力を前面に国民に負担させ、また、所得の再分配機能を担う国税は、国民個々の経済力に応じて負担する応能負担が大原則であるからです。しかしながら、森林環境税は、国税であるにもかかわらず、地域の公共サービスに充てるための仕組みである個人住民税均等割の枠組みを活用しており、この原則に反していると言わざるを得ません。また、その結果として、国税でありながら、所得の低い人ほど相対的に負担が重くなる逆進性が強く、不公平な税となっています。 1人年間1千円と聞けば、それほど問題にすべきことではないと思われるかもしれませんが、我が国のこれまでの税の公平性に関する通説に反するものであり、今後、他の税に波及する可能性を考えると、看過できないものと考えています。また、税の徴収が開始されるまでに時間がありますので、私は、森林環境税の課税方法を定額課税から応能負担による課税に改めるよう国に要望すべきと考えますが、県の見解を求めます。
○麻生栄作議長 武藤総務部審議監。
◎武藤康彦総務部審議監 森林環境税について御質問いただきました。 森林環境税は、国民一人一人が等しく負担を分かち合い、国民皆で地球温暖化の防止や国土の保全、水源の涵養などの重要な役割を担う森林を支える仕組みとして創設されたものです。 形式的には国税という形となりますが、森林環境税の全額が譲与税配付金特別会計に直入され、地方団体に森林環境譲与税として再配分されることから、実質的には地方税源です。 また、その課税においては、国民に広く一定の負担を求めるという観点から、その考え方に最も合致する個人住民税均等割の枠組みを活用するものです。 このように、森林環境税は、税を負担する住民が所在する区域を越えて、森林整備等を行う市町村に税収を適切に帰属させるため、形式的には国税という形をとりますが、実質的には地方税源であることや、国民に広く一定の負担を求めるという観点から、現行の課税方式が適切であると考えているところです。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 その理論は、例えば都道府県の森林環境税創設のときの議論なわけです。等しく分かち合うというのは、あくまでその利益が明確にならないと駄目なんですよ。そこで許されるのは、地方税に限る。一定区域の中の一定の県民に対して行う公共サービスは応益負担でいいでしょうと。国税である以上はそういう徴収は僕はあり得ないと。租税法律主義というのがありますよね。国税である以上はそういうことはあり得ないと思います。 2017年4月にこの関係で総務省の地方財政審議会が設置され、森林吸収源対策税制に関する検討会が開催されて、第1回目に事務局が提出した資料を見ると、もう当初から租税原則の基本的な検討を行う余地がないような文書になっている。初めからそういった理論で片付けようという趣旨が見え見えの文書になる。ここはやっぱりきちっとした方策を講じる必要がある。 まずはこの1千円という課税方法が公平の原則に合致するのか。税の中で一番逆進性が強い税だと思いますが、いかがですか。
○麻生栄作議長 武藤総務部審議監。
◎武藤康彦総務部審議監 さきほども申し上げたように、国税という観点ではありますが、実際的に地方譲与税として地方に譲与されるもので、課税されていても、国の譲与税配付金特別会計に直入され、そしてそこから直接地方に譲与されるという観点で、課税方式は適切であると考えています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 交付金だっていいわけですから、何も譲与税に固執する必要はない。要は、どんなふうに徴収しようかといった、過去の議論の中でそれが見当たらなかった。否定されてきたんです。その中であったのが、今の復興地方税増税問題です。その後を継いでいけばいいじゃないかという理論にしかすぎないわけですから、恐らく。そういうのはよろしくない。やっぱり国税としてはきちっと、公平性が担保できなければ国税は駄目なんですよ、そもそも。担保できないじゃないですか。1億円もらう人も150万円所得のある人も1千円。おかしいでしょう。 だから1千円が一番不平等な税であるということはお分かりになりますね。もう一度お願いします。
○麻生栄作議長 武藤総務部審議監。
◎武藤康彦総務部審議監 税の観点から、国民に広く一定の負担を求めるという観点から、その考えで合致する個人住民税均等割の枠組みを活用するものと考えています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ですから国税にその理論は通用しないんですよ。それは地方税のときに言う話です。大分県が森林環境税を創設するときに、県民に等しく云々かんぬんということでできた地方税の論理ですから。 例えば地方税の均等割の非課税限度額がありますが、1級地と3級地で32万2千円違うんです、4人家族を想定したとき。それだけ税の基準額が違う人が同じ1千円を払う。人の基準、住んでいる場所で変わるような制度にもなっています。 それから、2017年の1人あたりの県民所得、九州は最下位にずらっと並んだ、福岡、大分、それからぞろっともう最後まで。要するに県民所得が一番少ない九州が最も不利益を被っているんじゃないですか。知事、九州知事会の中で協議項目として扱っていただけませんか。
○麻生栄作議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 私は、この税については、森林の多面的機能に着目して、森林を国民等しく、薄く広く負担をして守っていくんだということで税金がかかっていると、こう思っています。したがって、羽野議員のおっしゃるように、応能でなければ国税はおかしいという理屈はないのではないかと、こう思っています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 もう時間がないので次に行きます。また勉強していただきたいと思います。 それでは、次に、主要農産物種子法についてお尋ねします。 まず、種子法廃止後の現状についてです。 米、麦、大豆について、国が地域ごとに優良な品種の開発、生産、普及を義務付けていた主要農作物種子法、いわゆる種子法が昨年4月に廃止されました。このことに対する県の対応については、馬場議員が昨年6月の第2回定例会において質問したところですが、その後の状況について、改めて確認したいと思いますので、何点か質問させていただきます。 まず、さきの答弁では、国は、各県に引き続き必要な種子生産を求めるとともに、地方への財政措置も継続するとのことでしたが、それは今年度も継続されているのでしょうか。 また、同法廃止の狙いについて、農林水産部長は、多様なニーズに対応できるよう、民間事業者の参入に門戸を開くことで、種子開発や供給体制を活性化することとしつつ、県内では民間参入の動きは見られないと答弁されました。民間が参入することについては、一部の企業や多国籍企業の独占、遺伝子操作などのリスクも懸念されますが、現在の民間参入の状況はどのようになっているのでしょうか。 さらに、本県では、同法に代えて新しい規程を整備したとのことでしたが、どのように位置付け、どのような内容になっているのかについて、それぞれお伺いします。 次に、種子法廃止後の対応についてです。 同法の廃止後、都道府県独自の対応として、種子の開発、生産等を奨励する条例を制定した県及び道は11に上っています。また、3県が制定を予定しています。 ところで、先月8日、農林水産省は、我が国の2018年度の食糧自給率がカロリーベースで37%と、1993年度と並び過去最低になったと発表しました。また、同日には、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も特別報告書を公表し、地球温暖化によって世界各地で食糧確保への影響が顕在化しており、今後の対応が不十分のままだと2050年には穀物価格が最大で23%、中央値で7.6%上昇すると指摘しました。米についても気温の上昇やCO2濃度の増加により、品質など、深刻な影響を受けると予想されています。 こうした将来懸念される食糧事情を考慮しても、価格と安全性の信頼できる現行の種子生産体制は維持すべきであるというのが県内の生産者や多くの県民の感じているところではないでしょうか。さきの農林水産部長の答弁では、種子法廃止による生産者への影響はないものと考える。また、今後とも県内の農家が安心して生産を続けられるよう、しっかりと取り組んでいくとのことでした。 そこで、種子法廃止後の対応として、農家が安心して生産を続けるために、県の意思をはっきりと示す意味でも種子条例の制定が効果的であり、また、そのことによるデメリットも考えにくいと思いますが、県の考えをお伺いします。
○麻生栄作議長
大友農林水産部長。
◎
大友進一農林水産部長 2点質問いただきました。 まず、種子法廃止後の現状についてお答えします。 一つは、地方財政措置についてです。これまで主要農作物種子法に基づいて都道府県が実施することとしていた事務に対する地方交付税措置については、今年度も継続されています。 次に、民間参入の状況です。現在のところ、主要農作物の種子生産への民間参入の動きは県内では確認されていません。また、県への問合せなどもない状態です。 最後に、法に代わる規程の整備についてです。種子法廃止後も有用な種子を生産、供給できるよう、法の規定を踏襲した大分県主要農作物種子制度基本要綱及び関連要領を整備し、廃止前と同様の業務を県が継続して実施する体制を整えています。 現在、本要綱等に基づき、県においては優良な品種を決定するための試験、種子の元種となる原種等の生産、種子の生産圃場の指定や生産された種子の審査、さらには生産された種子を認定する審査証明書の交付を実施しています。加えて、栽培期間中においても種子生産者への栽培指導を徹底し、優良な種子の生産、普及に向けた取組を促進しています。 続いて、種子法廃止後の対応についてお答えします。主要農作物に関する優良な種子の安定生産と普及は、担い手が安心して農業経営を継続していくための基盤となるものです。そのため、本県では、種子法が廃止された後も法の規定を踏襲した要綱等を整備し、従来と変わらない体制で優良な種子を生産し、農家に供給しています。法の廃止から1年が経過しましたが、農業現場では混乱等は生じておらず、本県の実情として、現在のところ要綱等によってしっかりと対応できているものと考えています。 他方、いわゆる種子法を復活する法案が国で継続審議中であり、また、都道府県間の連携による広域的な種子の供給体制について、国において検討が進められています。 今後、こうした国の動向や本県における種子生産等の状況をしっかりと注視しながら、引き続き安定的な種子生産の体制維持に努めてまいりたいと考えています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 温暖化に関係して、海外を見ると、ベトナムは塩害、あるいはインドネシアは干ばつで、米なども含めて大きな被害が出ている。東南アジアを中心に影響が出ているような状況です。 そういった中で、さきほど申し上げたように、都道府県段階での条例化が進んでおります。 例えば温暖化に対応して、埼玉県では農業技術センターが開発して2014年に品種登録した、高温障害に強い米の品種が、暑い日が続いても安定して良質なので人気が広がっています。ここは自民党の県議団が議案提出して、全会一致で独自条例が可決されました。 それから、富山県はもみの出荷で有名な県ですが、ここは温暖化に対応した、コシヒカリを超える食味の品種を開発して作付面積を伸ばしている。ここは執行部主導で条例化されている。 そういった前向きにがんがん取り組んでいる、あるいは議会も含めて取り組んでいるところは、こういった条例化ができているんだろうと思うわけです。 これから暑くなって、県民の食に関して、さきほど言いましたけれども、IPCCの報告では値段も高騰してくるだろうという中で、やっぱり命の源である主要農産物は、国の法律がない以上、県が責任を持って確保するというのが行政の役割だろうと僕は思っています。 その点について、方針的にはいかがでしょうか。
○麻生栄作議長
大友農林水産部長。
◎
大友進一農林水産部長 さきほども答弁申し上げましたが、法律が廃止されて、種子をどういう形で生産するかということに対する制度については、要綱に基づいて、従来どおりのやり方で県としてしっかり取組をしています。今質問があったように、現在想定されていないような状況が出てくるとか、そういったことがあればまた別の話かもしれませんけれども、現状の中でしっかり生産ができているので、この体制で進めていきたいと思っています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 なかなか県民に声を聞いたことがない方も多いと思いますので、この件について、副知事、一言お願いします。感想を。
○麻生栄作議長 安東副知事。
◎安東隆副知事 種子法については、国でもいろんな議論の末に廃止ということで。これは大きな話は、民間の力をいかに農業でも入れていくかという点での議論だったと思います。 もちろん県は県で、行政としてしっかりやらなきゃならない。ただ、それが完全に民間の力を押さえつけるということではよくないと思うので、農業がいい方向に向かっていくように、両方の力をうまく使っていくということでこういう制度ができているので、当面その制度の中で、今までと違ってどういうことが起こっていくのかというのを見るべきではないのかと自分は思っています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 独占になったら悪いわけですので、安全性とやっぱり信頼できる価格、そこら辺の維持は継続していただきたいと思います。 次に、特別支援学級についてお尋ねします。 昨年2月に策定された第3次大分県特別支援教育推進計画では、特別支援教育について、障がいのある子もない子も可能な限りともに、つまり同じ教育の場で学ぶことができるようにすることを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子どもに対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であるとしています。 また、特別支援学級については、「在籍者、通級による指導の教室の利用者ともに増加の傾向にある。」「平成23年度から5か年計画で200学級増設してきた。」「自閉症、情緒障がいの特別支援学級の増加が顕著」とし、今後の特別支援学級、通級による指導の教室の在り方として、「地域のニーズに応じた特別支援学級、通級による指導の教室設置」「他校通級による指導を活用できる環境の整備」を課題として掲げています。 そのような中、日田市内の小学校の特別支援学級に通っていた6年生の児童が、今春、中学校に進学することになりました。進学予定の校区の中学校には特別支援学級がなかったため、同中学校に対して特別支援学級の設置を要望しましたが、かないませんでした。 設置要望を受けた日田市教育委員会は、必要な手続を行った後、特別支援学級の設置について、県教育委員会に申請しましたが、設置は認められませんでした。 当該児童は現在、市が独自に配置した支援員の援助を受け、先生方の配慮の下、同中学校に通学しています。 そこで、まず、昨年度、市町村の教育委員会から県教育委員会に申請された特別支援学級設置、増設に係る学級数とその中で設置が認められた学級数についてお伺いします。 また、どういう場合に認められないのか、その理由と、地域のニーズに応じた特別支援学級、通級による指導の教室の設置に向けた今後の取組方針について、あわせてお答えください。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 特別支援学級についてお答えします。 本年度の小中学校における特別支援学級の新増設の市町村教育委員会からの申請は126学級分ありましたが、新設9、増設35、計44学級について設置を認めたところです。 決定にあたっては、近年の教員不足の状況の中、一律に全てに対応することが難しいため、市町村教育委員会の意見も踏まえ、地域バランスなども考慮して対応したところです。大量退職、大量採用の厳しい状況の中ですが、今後の採用計画の策定にあたっては、この点も配慮していく必要があると考えています。 また、本年度、県内で通級による指導を受けているLD、ADHDの児童生徒は397人で、通級の対象となった平成19年度の約17倍となっています。全国的にも増加が著しいことから、国は必要な指導を地域全体として取り組めるよう、兼務発令を活用する等、専門性の高い人材の効果的、効率的な運用を検討することが適当としています。 これを受けて、本県では、専門的指導のできる教員が複数校を巡回して指導する方式を検討しており、今後、市町村教育委員会と協議を進めていきたいと考えています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 支援学級や通級指導の対象となる児童数の状況ですが、今から児童数、子どもの数は減っていく傾向にあるので、出現率が一定であれば減っていくことになるのでしょう。まだその把握自体が完璧でないとしたら増えてくるかもしれませんが、どのように今後の傾向を判断しているのでしょうか。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 この点は非常に予測の難しい話であると思います。 さきほど言ったように、19年時点から17倍という状況になっているということは、一つは、状況をはっきりいろんな見地によってつかめるようになってきたということもあろうかと思います。ですから、今のトレンドがこのままずっと続いていくという状況にはないとは思いますけれども、ここら辺がその上限になったというような認識ではありません。もっと進んでくれば、もっと明確にいろいろ分かってきて、対応が必要だという事態になるかもしれませんし、まだまだ動きのある段階ではないかと思っています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 ありがとうございます。 近隣に障がい児学級を設置する学校がない場合で、教育指導上、特に困難が生じると認められる場合というのが新設の許可条件の一つになっていると思いますが、この近隣とはどの程度の距離をいうのか、お分かりになったらお願いします。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 近隣といってもある程度、距離や、またいろんな体制の状況も考えながらになりますので、一概に言える状況ではありませんが、市町村を越えてという形にはならないものと思います。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 推進計画では、学ぶ権利を保障する教育環境の整備というのを2章でうたっています。私がさきに示した事例は、小学校で特別支援学級に通っていた児童が、その児童の障がいの程度が変わらないにもかかわらず、中学校では通えなくなるという不利益変更になったわけなんですが、法の趣旨に照らして、こういった取扱いはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 今申し上げたように、できるだけそういう事態に対応できるよう、今後も検討していきたいということです。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 可能な限り願いがかなうように取組を強化していただきたいと思います。 それでは、教員の人材確保についてお尋ねします。 教員は、本県、そして日本の将来を担う人材を育成する極めて重要な職業です。そのため、いかにして優秀な人材に、一人でも多く本県の教員になっていただくかが大切であると思いますが、新年度スタート時点で定数割れするなど、今日の本県の教員採用の状況は、正に危機的ではないかと考えています。 本年7月の第2回定例会における平岩議員及び高橋議員からの質問に対する答弁では、本県の教育現場の人手不足の原因は、大学の教育学部の定数が減少する中、大量退職が続くことによる需給ギャップが主な要因で、本県特有の現象ではない。また、若年期の広域人事異動は、多様な経験を通じた人材育成や、臨時講師比率の地域間格差縮小など、全県的な教育水準の維持向上に必要とのことでしたが、私は危機感を持って人材確保のために積極的な施策を講じているという印象は受けませんでした。 必要なことは、減少している受験者の中から、より優秀な人材に一人でも多く本県を選んでもらうにはどうすればいいのかということを考えることだと思います。福岡県の教員養成大学の学生は、九州各県の採用試験や勤務条件を比較して受験する県を選んでいるとのことです。そのとき本県は選ばれる要素を持っているのでしょうか。例えば本県の採用試験は第3次までありますが、他の県では2次までです。また、若年期の広域人事異動は敬遠される理由になっていないでしょうか。 そこで、教員の人材確保に向け、本県が教員採用試験受験者に選ばれる県になっているかどうか、また、選んでもらえる県になるためには何が必要かについて、教育長の見解をお聞かせください。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 教員の人材確保についてお答えします。 新規受験者の確保に向けて、これまでも県外及び地元の大学等での説明会を、会場や回数を増やしながらきめ細かく丁寧に行い、参加者は年々増加してきています。 このような取組により、今年度の新卒受験者数は429人で、この5年間で見ると47人増加しており、全受験者に占める新卒者の割合も上昇してきています。 このような状況を見る限り、本県独自の試験制度や若年期の広域異動によって受験者が敬遠しているという認識は持っておりません。 平成20年の事件以来、試験の位置付けを明確化し、専門性と人間性を重視した3段階の試験を実施するとともに、試験区分の新設、併願制度の導入、電子申請など、様々な制度改革に取り組み、優秀な人材を確保するための不断の見直しも重ねてきています。 今後とも国に対して、教員定数の充実、安定的配分など人材確保への要望を行うとともに、教員採用試験の公正、公平、透明性を確保した試験制度の改革と、教育水準の向上に向けた組織的な取組や学校における働き方改革を推進して、教育県大分を担う教員の確保に努めていきたいと思っています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 受験者数は伸びたということですが、質が向上したかというのがやっぱり重要な部分であると思うんですよね。優秀な人材が多く受けたかということだろうと思います。 広域人事異動がその理由にはなっていないと判断しているということでしたけれども、確認はしていないと思うんです。僕は確認したら、大分県の場合はその障害となっているのが、広域人事異動と試験が3次まであるという、この二つは間違いなく、そしてその学校の学生に共有されている、そのことが。なら大分県は受けませんよとなるわけです。そこら辺をきちっと情報を集約して、対応をやっていく必要があるだろうと思います。 さきの質問で、中、高の併願制度もありました。これは佐賀県がやっていますよね。1次試験免除者は佐賀県は次の年も1次試験免除になったりしています。佐賀、熊本では小学校の実技試験は今回から廃止とか、北九州市は採用前のサポート体制を充実したり、現職の教員であれば面接だけの選考採用をするというのがあります。例えば大分県でいえば、50歳までですかね、受験資格、50歳を超えても現に臨時講師の先生がいれば、そこで優秀な仕事をしているというのも分かるわけです。こういった人材を採用する方が効果的な人材確保につながるのではないか。そこをいかにして採用の道を開いていくかという制度を作る。こういったことも重要じゃないかと思います。そういったことを考えればいいんじゃないかと思います。 広域人事異動で異動した場所で鬱病になった人はいないんでしょうか。お願いします。
○麻生栄作議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 いわゆるメンタルダウンという方が、新規にも発生しているという状況は把握していますが、それがどういう状況か、どういう原因でというところまでは、細かくは整理していません。いろんな事情でメンタルになる方がいるということは事実ではあります。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 広域人事異動が人材育成につながっているかという視点で申し上げているわけですね。 若年期の居住地の長期不安定化、これは子育て満足度日本一にも反するのではないかと思っているわけです。 そこまで何が何でも広域人事異動に固執していると見えてしまうわけなんですが、それよりも平準化を狙うなら別の方法だってできるわけで、そこら辺を含めて、弊害になっている部分を一つ一つきちっと判断して、現場の課題に向き合っていく以外に、倍率の向上はないんじゃないかと私は思っていますので、ぜひそこら辺含めて検討していただければと思います。 それでは、最後に、選挙における警備についてお伺いします。 第25回参議院通常選挙中盤の本年7月15日、安倍首相が札幌市で行った街頭演説の最中にやじを飛ばした男女2人が警察官によって演説現場から排除されるという事件が起きました。新聞記事によると、安倍首相が選挙カーに登壇し、「安倍総理を支持します」と書かれたプラカードを掲げる支持者らを前に演説を始めると、数十メートル離れた場所から若い男性が「安倍やめろ」と連呼し、警備していた制服姿の警察官数人が男性を取り囲み、後方に引き離し、また、増税反対などと叫んだ女性も私服姿の警察官数人に囲まれてもみ合いとなり、排除されたということです。 一方、安倍首相が市内の別の場所で演説した際には、中高年の男性が「安倍帰れ」などと叫び、周囲の支持者らが「おまえこそ帰れ」と叫び返すなど、現場は一時騒然となったそうです。このとき安倍首相の支持者も叫んだためか、警察官は静観したそうです。 報道機関の取材によれば、道警警備部は、興奮した状態で繰り返し大声を出したために排除した、また、聴衆とのトラブルが懸念され、移動するよう声をかけたが応じなかったと説明し、通常の警察活動の一環だったとしています。そして、男性らの行動が公職選挙法違反、選挙の自由妨害にあたるかどうかについては確認中とした上で、「移動を促したのは、公選法違反を念頭に置いたものではない、やじを飛ばしただけで排除したわけではない」と述べています。 また、先月の埼玉県知事選挙では、応援演説をしていた文部科学相に対し、大学入学共通テストに反対するやじを飛ばした男性が県警に取り押さえられる事案も報道されています。 そこで質問ですが、選挙において、政党の要人などが選挙活動を行う場合、大分県警としてはどのような方針で警備にあたっているのか、また、仮に県内で今申し上げたような事案が発生した場合、どのように対応することになるのか、あわせてお聞かせください。
○麻生栄作議長 石川警察本部長。
◎石川泰三警察本部長 選挙における警護警備については、警察の職務執行の中立性に配慮しつつ、警護対象者の身辺の安全を確保するということを方針としています。 それで、具体的にどのような行為に対してどのような措置を講じるかということですけれども、これは正に個別具体の状況によるため、なかなか一概に申し上げることは困難ではあります。 ただ、警察としては、警護対象者の身辺の安全を確保するという目的のために、具体の状況を踏まえて、もし必要があれば所要の措置を講ずるということになると思いますし、もとよりその際には警察の職務執行の中立性に十分に配慮していくということかと考えています。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 実は滋賀県の大津市や福島県の福島市での安倍首相の応援演説などでも、警察による強制排除やプラカードの没収が行われています。ある情報誌は、参議院選挙での安倍首相をめぐる警備について、反安倍勢力を阻止する強い意志があったと言わざるを得ないとして、今年1月まで6年にわたって首相秘書官を務めていた警察庁警備局長が、今回の選挙警備について不測の事態を防ぐよう強い指示を出したと紹介しています。 今回の参議院選挙では、安倍首相が大分県にも応援に訪れましたが、その選挙警備について、警察庁からどのような指示があったのでしょうか。その内容をお聞かせください。
○麻生栄作議長 石川警察本部長。
◎石川泰三警察本部長 一般的に選挙時の警備については、政党要人が選挙活動を行うために、特に不特定多数の聴衆などに近づくといった状況が発生しますので、それを踏まえて対応しているということです。 警察庁からどういった指示があったかということですが、これは一般論として、通常、選挙においては、さきほど申し上げたように、警察の職務執行の中立性に配慮して、警護対象者の身辺の安全を確保するということで従来から行ってきており、今回の参議院選挙に際しても、同様の方針で対応したというところです。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 強制排除みたいなことは本来やっていないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○麻生栄作議長 石川警察本部長。
◎石川泰三警察本部長 議員お尋ねの強制排除とはどういったものを指されているかということにもよるかと思いますけれども、警察としては、やはり様々な状況を判断して、必要な措置を講じているというところです。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 公職選挙法は確かに演説の妨害に罰則規定を設けています。しかし、これは1948年の最高裁の判例で、演説の妨害について、聞き取ることを不可能又は困難ならしめるような所為とされており、そのような場合じゃないと罰則も適用できないということになっているわけです。しかし、これまでの報道を見る限りでは、当然そのようなことがない。マイクも使っていないし、向かっていってもない。ただ、一人で声を発していただけということです。 それから、警察法第2条2項では、「責務の遂行にあたっては、不偏不党かつ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたるなど、その権限を濫用することがあってはならない」と規定されており、このことは重々もう警察の皆さん方は頭に置いて、警備をやっているんだろうと認識していますけど、それでよろしいですか。
○麻生栄作議長 石川警察本部長。
◎石川泰三警察本部長 議員御指摘の警察法の条文もありますけれども、正に一般論として申し上げると、警察は犯罪や事故につながるようなトラブル、あるいはそういった混乱があった場合には、当然必要な措置を講じているということです。それはもとより、警察法の条文に基づいて、法令に従って適正な職務執行に努めているということです。
○麻生栄作議長 羽野武男君。
◆羽野武男議員 あいち何とかナーレとかいいますけれども、表現の自由が憲法でも保障されていて、いろいろと、そこに不当に干渉するような職権濫用につながらないように、くれぐれもお願いしておきたいと思います。これらのことを踏まえて、警察法にのっとった適切な対応で、今後とも警備に務めていただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。(拍手)
○麻生栄作議長 以上で羽野武男君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○麻生栄作議長 御異議なしと認めます。よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。
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○麻生栄作議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第、通知します。
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○麻生栄作議長 本日はこれをもって散会します。 午後2時39分 散会...