大分県議会 2009-03-01
03月11日-08号
平成21年 第1回定例会(3月)平成二十一年三月十一日(水曜日
) ------------------------------- 議事日程第八号 平成二十一年三月十一日 午前十時開議第一 一般質問及び質疑、委員会付託第二 議員提出第一号議案から議員提出第三号議案まで (議題、提出者の説明、質疑、委員会付託)第三
特別委員会設置の
件 ------------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑、委員会付託日程第二 議員提出第一号議案から議員提出第三号議案まで (議題、提出者の説明、質疑、委員会付託)日程第三
特別委員会設置の件特別委員の
選任 ------------------------------- 出席議員 四十二名 議長 阿部英仁 副議長 近藤和義 古手川茂樹 牧野浩朗 嶋 幸一 毛利正徳 濱田 洋 三浦 公 元吉俊博 末宗秀雄 御手洗吉生 桜木 博 麻生栄作 田中利明 大友一夫 井上伸史 渕 健児 佐藤健太郎 志村 学 安部省祐 荒金信生 佐々木敏夫 玉田輝義 深津栄一 酒井喜親 首藤隆憲 平岩純子 吉冨幸吉 佐藤博章 吉田忠智 梶原九州男 賀来和紘 江藤清志 久原和弘 小野弘利 内田淳一 河野成司 伊藤敏幸 竹中万寿夫 衛藤明和 高村清志 堤 栄三 欠席議員 二名 佐々木哲也 首藤勝次
------------------------------- 出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 平野 昭 教育委員長 麻生益直 教育長 小矢文則 代表監査委員 阿南 馨 総務部長 二日市具正 企画振興部長 佐藤 健 企業局長 三浦秀一 病院事業管理者 斎藤貴生 警察本部長 田盛正幸 福祉保健部長 阿南 仁 生活環境部長 宇都宮鉄男 商工労働部長 米田健三 農林水産部長 高山精二 土木建築部長 山路茂樹 国民体育大会・障害 三浦洋一
者スポーツ大会局長 会計管理者兼 利光一義 会計管理局長 人事委員会 江藤敏博 事務局長 労働委員会 佐竹幹夫 事務局長 財政課長 工藤利明 知事室長
青木正年 ------------------------------- 午前十時十五分 開議
○近藤和義副議長 これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○近藤和義副議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 昨年第四回定例会において採択した請願の処理結果につきましては、お手元に配付の印刷物のとおりであります。 次に、第二二号議案職員の休日休暇及び勤務時間等に関する条例等の一部改正については、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を聴取した結果、適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 次に、監査委員から、地方自治法第百九十九条第九項の規定により平成二十年度の行政監査の結果について、
社会福祉法人こころの樹など五十カ所の
財政的援助団体等の監査の結果について、また、同法第二百三十五条の二第三項の規定により二月分の例月出納検査の結果について、それぞれ文書をもって報告がありました。 なお、調書は朗読を省略いたします。 以上、報告を終わります。
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○近藤和義副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第八号により行います。
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△日程第一 一般質問及び質疑、委員会付託
○近藤和義副議長 日程第一、第一号議案から第一七号議案まで、第二〇号議案から第二三号議案まで、第二五号議案から第二九号議案まで、第三一号議案、第三二号議案、第三五号議案、第三七号議案から第四一号議案まで及び第四四号議案から第五五号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。堤栄三君。 〔堤議員登壇〕(拍手)
◆堤栄三議員 皆さん、おはようございます。日本共産党の堤栄三でございます。 本日は、中小零細業者の方々、または派遣労働者で首を切られた方々、多くの県民の方々が傍聴に来ていただいております。あわせて、
インターネット中継、そして
ケーブルテレビ等で視聴されている皆様方には、県議会唯一の野党として、共産党を代表して質問をいたします。どうかよろしくお願いいたします。 それではまず、県政全般についてであります。 知事の政治姿勢について質問をいたします。 現在、日本の経済は、アメリカ発の金融危機によってますます貧困と格差が広がり、生活苦にあえぐ国民の悲痛な声が聞こえてきます。 これまで自民党・公明党政治は、大企業を優遇すれば、そのおこぼれで庶民生活も豊かになるとする景気策に固執をしてきました。 二〇〇七年経済財政白書では、二〇〇二年以降の史上最長の景気回復期を分析した結果として、「企業収益が回復する中にあっても、それに見合った賃金の増加は見られない」「家計部門に波及しにくい」と政府自身でさえ指摘をしています。 このような大
企業応援型経済政策から脱却して、本格的な内需主導、家計応援の政治に切りかえるべきであります。 我が党は、この点を正確に分析をし、緊急経済提言を発表し、さまざまな経済団体などとも懇談を行い、これまでにない広い層をとらえ、国民の中に共感を広げています。 さて、広瀬知事は、
中期行財政運営ビジョンで三つの目標を掲げています。その一つに、相変わらずの企業誘致を挙げています。地場産業の活性化や雇用機会の増加につながるとして、企業誘致をさらに推進する姿勢です。これは、大企業を中心とした成長、繁栄が回り回って県民をも潤すというもので、さきに述べたおこぼれ経済路線にほかなりません。しかし、現実は、これまで巨額の補助金を投入して大々的に誘致を進めてきたキヤノン関連やダイハツといった輸出大企業は、生産調整として、下請への発注減や非正規労働者などの大量解雇を行っています。やはり大分県でも大
企業応援型経済政策の破綻が見られます。 そもそも景気悪化をここまで深刻化させている根本には、極端な輸出頼みという日本経済が抱えている問題があります。輸出、外需頼みから内需主導への転換は、今では政府・与党も認めざるを得ないほど、いわば常識になりつつあります。 GDPの五五%を占め、輸出の三・四倍の力を持つ個人消費を暖めることは、内需を押し上げる上でも、外需の落ち込みをカバーする上でも効果が大きいと考えます。 大分県政においても、補助金を呼び水にした大企業応援県政から県民の暮らし福祉応援の県政に切りかえるよう求め、知事の見解を伺います。 また、景気後退の中で苦しむ下請中小企業のために、下請単価の買いたたきや代金の支払い遅延の防止、誘致大企業による下請への発注減に対する調査や指導、大分県内でも中津市や日田市、宇佐市、臼杵市が実施をしている
小規模工事等希望者登録制度の創設など、県内中小企業の仕事と営業を守り、拡大することが大切だと考えますが、答弁を求めます。 次に、
後期高齢者医療制度を含む社会保障・福祉制度についてであります。 生活保護世帯は、九九年度八千二百七世帯であったのが、ことし一月の時点で一万二千六百四十七世帯へと一・五倍にも増加をしています。国保税の滞納世帯も加入世帯比で一三%となっており、
資格証明書交付世帯も、〇一年に比べ、二十六・四倍にも拡大をしています。 高過ぎて払えなくなっている国保税の値下げのためにも、国に対し、補助率の引き上げと県独自の予算化を求めると同時に、うば捨て山制度と言われ、多くの高齢者が廃止を望んでいる
後期高齢者医療制度について廃止を求めるべきと思いますが、答弁を求めます。 乳幼児医療費の助成制度についてであります。 また、
子育て満足度日本一を目指す大分県として、
乳幼児医療費助成については、入院の場合の助成年齢の引き上げを計画しているようですが、安心してお金の心配なく子供を医者に診せられる完全無料化の復活こそ必要ではありませんか。答弁を求めます。 この質問の項の最後に、
中期行財政運営ビジョンでは、さらなる県職員の削減が計画をされています。三年間で六・四%の三百二十一人もの削減です。知事の標榜する夢と希望あふれる大分県を職員自身が持てなくなってしまうのではありませんか。雇用の拡大を言う県自身が削減を推進するのは本末転倒と考えますが、答弁を求めます。 以下、対面演壇にて行います。 〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○近藤和義副議長 ただいまの堤栄三君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいま堤栄三議員からご質問をいただきました。まず私からお答えを申し上げます。 政治姿勢についてのご質問でございました。 私は、知事就任以来、県民中心、県政運営の原点は県民生活にあるという信念のもとで、「安心」「活力」「発展」の大分県の実現を掲げまして、県民の皆さんの暮らしをいかに守るかということに腐心してまいりました。 就任直後から積極的に取り組んでまいりました企業誘致も、地域に活力を注入し、住民の福祉の向上を図るために最も有効な手段の一つとして考えて行ったものであります。 かつて本県は、戦後の貧しさから何とかはい上がろうと、いち早く新産業都市建設に取り組み、製鉄や石油化学の大型企業を誘致することで産業構造の転換を図り、大幅な県民所得の向上を果たしてまいりました。 また、その後も、IC関連や精密機械、自動車産業など、その時々の最先端のものづくり産業を誘致いたしまして、その結果、多種多様な世界レベルの企業がバランスよく立地する地域を形成してまいりました。 これらの取り組みが本県経済を活性化させ、福祉や教育など県民生活の支えになってきたことは紛れもない事実であります。 今回の経済危機が我が国経済を直撃いたしまして、世界経済と直結した先端産業が多く集積しております本県にも影響を及ぼしておりますけれども、これをもって本県が歩んできた道を否定するのはいかがかと考えます。 議員ご指摘の内需主導型の経済への転換につきましても、経済のグローバル化によりまして、一つの国や地域がみずからの経済の殻の中のみで存立するということはなかなか困難でありますし、加えて、少子・高齢化、人口減少社会を既に迎えた我が国の将来を考えるときに、高度成長期のような内需を中心とした成長は難しいのではないかと考えております。 そもそも内需といいますと、個人消費、あるいは住宅投資、あるいは設備投資ということでございますけれども、それをこの大分県にどう喚起するか、あるいは外から持ってくるかということになりますと、やはり、企業誘致や中小企業振興、あるいは農林水産業振興などで県経済の活力をつけていくということが必要ではないかというふうに思います。ほかに何かいい手があるかどうかということについて、私はなかなか今思い当たらない次第でございます。 現在のように世界規模で経済が動き、その好影響、悪影響のどちらもが本県にも及ぶという時代だからこそ、内からの力をつける、あるいは外からの力を取り込むという両面で県政を運営していくことが、県民の安心や安全を確保し、活力を維持していく道筋だと私は考えているところでございます。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当の部長から答弁させていただきます。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 下請中小企業についてお答えいたします。 支払い遅延の防止など下請取引の適正化につきましては、公正取引委員会や中小企業庁において
下請代金支払遅延等防止法の違反行為の未然防止、
下請中小企業振興法遵守の指導などを行っており、さらに、昨年四月、下請かけこみ寺事業を開始いたしまして、特に紛争の早期解決のための
裁判外紛争解決手続制度を新たに始めるなど取り組みを強化しているところでございます。 県といたしましては、下請取引のあっせんを行っている大分県産業創造機構におきまして、かけこみ寺事業の地方拠点の指定を受けまして、窓口相談や苦情、紛争の処理などに取り組むとともに、国等と連携して
草の根下請懇談会や
取引ガイドラインの講習会等を開催しているところであります。 本年度は二十五件の相談を受けまして、取引上の深刻なトラブルについては顧問弁護士による専門的なアドバイスを行っているところであります。 今後とも、下請企業の取引の適正化と振興を図るため、国や関係機関と連携しながら適切な対応に努めてまいります。 以上でございます。
○近藤和義副議長
阿南福祉保健部長。
◎
阿南仁福祉保健部長 後期高齢者医療制度等についてお答えをいたします。 まず、国民健康保険につきましては、市町村に対する国保税の負担軽減のための措置である
保険基盤安定制度などが二十一年度に見直される予定でありまして、県としましては、国に対し、その充実と必要な財源の確保を強く要望してまいります。 また、県は、二十一年度におきまして、法で定められた財政調整交付金など、総額九十億円余りを負担しなければなりません。今後とも国保財政が安定的に運営されるよう、法定の負担をしっかり果たしていきたいと考えております。 次に、
後期高齢者医療制度につきましては、二十一年度まで保険料の軽減の拡大などが特別措置としてとられております。 二十二年度以降につきましては、現在、政府・与党において抜本的な見直しが議論されており、今後の推移を注視していきたいと考えております。 それから、
乳幼児医療費助成についてでございますが、
乳幼児医療費助成制度は、
子育て満足度日本一を目指す取り組みの中で、経済的な支援策の重要な柱の一つでございます。 一部自己負担については、平成十八年十月から通院医療費の助成対象を未就学児まで拡大したのと同時に導入をいたしまして、安定的かつ持続可能な制度として運営していくため、今後とも必要であると考えております。 県としましては、子育て家庭における経済的負担がより大きな入院医療費について、県民ニーズや全国状況等を検証の上、助成対象年齢を拡大したいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 二日市総務部長。
◎二日市具正総務部長 職員数の削減についてお答えを申し上げます。
行財政改革プラン期間内における定数削減に当たりましては、総数を抑制する中でフラット化の導入や総務系事務の一元化など県民サービスに直接影響しない部門を積極的に見直しを行いました。その上で、選択と集中により新たな行政ニーズに対応した政策的な定数配分を行ってきたところでございます。 しかしながら、本県を取り巻く厳しい財政状況から、
中期行財政運営ビジョンの策定に当たりましては、
集中改革プラン期間中でもありますし、さらに引き続き、前プランと同程度の削減率で、定数の削減、職員定数の見直しを行うこととしたものでございます。 ビジョン期間中におきましても、これまでと同様の手法によりまして職員定数の見直しを行うこととしておりますけれども、今後ますます複雑多様化する行政ニーズを十分に見きわめながら、また、限られた職員定数の有効活用を図りながら、ビジョンの着実な実現に向けて組織体制の確保に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 先ほど、知事は、グローバル化の中でなかなか個人、個々では難しいというふうな認識を示されていますけれども、しかし、それは、すべて企業誘致が出発点になっていると思うんです。ですから、私たちが言っているのは、やっぱりそういう個人消費をいかに暖めていくのか。それはすべて、中小零細業者だろうが、農林水産業であろうが、そういうふうな、本当に今、庶民の方々、困っている方々に対する施策を重点的にすることによって個人消費も引き上がっていくというふうな考え方でありますので、ですから、そういうふうな点にぜひ立っていただきたいというふうに思いますし、個人消費というのは、非常にやっぱり、六割近く占めておるわけですから、知事として具体的にどういう形でそれを伸ばしていこうというふうに考えているのか、それについて再度答弁を求めます。 それと、土木部長にちょっとお伺いしますけれども、先ほどの下請との関係で、小規模工事の関係なんですけれども、二百五十万以下の簡易な工事の随意契約というのは、大分県で何件で、幾らあるのかというふうなことをお答えください。 それと、福祉保健部長、景気低迷の中、ますます国民健康保険税や
後期高齢者医療制度の保険料が払えなくなってしまう、また、それが資格証明書の発行へとつながってしまうわけです。あわせて、医療もまともに受けることができなくなってしまう。ですから、そういう点では、県として、やっぱり具体的に緊急に財政出動をすべきじゃないのかというふうに思います。それについて答弁を求めます。 あと、乳幼児医療費については、各市町村でも、今、財政が非常に厳しい中、それぞれ市町村によって独自の予算で無料化の拡大というのをやっているわけです。ですから、そういう点では、県としてこの方向性を支援するということが本来の役割ではないのかというふうに思いますので、これについてもあわせて答弁を求めます。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 堤議員おっしゃるように、内需の中で個人消費は六割を超えるウエートを占めておりますから、そこのところをいかに喚起するかということは、まことに内需拡大のために大事な手段だというふうに思います。 個人消費というのは、申すまでもありませんけれども、所得に連動して動いてくるものだというふうに考えておりますから、所得をいかに上げていくかということが大事なことだというふうに思います。 私ども大分県として、直接、個人の所得に応援するというような資金もございませんし、手段も持っていないわけでございますけれども、このほど、直接、所得に対する支援ということで、国の方で定額給付金というのが定められたわけでございまして、ああいうものの効果というのは、実は私どもも、内需拡大のために大いに期待をしているところでございます。 そのほかに、直接的にはなかなか難しいんだけれども、間接的にでも所得を上げていくということが大事でございまして、そのためにどういう手があるかということを考えますと、やっぱり産業を振興して、そして経済を活性化して、そしてそれぞれの皆さんが得る所得の可能性を高めていくということが経済政策として非常に大事なことなんではないか。私どもは、そちらの方には、限られた資源でございますけれども、力を入れていきたいというふうに考えております。 その方がよっぽど、限られた資源で所得を向上し、消費を拡大していく、内需を拡大していくというためには有効ではないかというふうに考えている次第でございます。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 お尋ねのありました県発注の二百五十万円以下の工事ということですけれども、平成十九年度に土木建築部が随意契約で発注しました二百五十万円以下の工事は五百三十二件となっております。金額にいたしますと、総額でおよそ五億三千万円ほどになりますので、平均百万程度ということになっております。 以上でございます。
○近藤和義副議長
阿南福祉保健部長。
◎
阿南仁福祉保健部長 お尋ねのあった二点についてお答えをいたします。 まず、一部自己負担、これはもう廃止すべきだというお尋ねでございましたが、一部の市町村でこの一部負担金を廃止している市町村はございますが、これにつきましては、各市町村がそれぞれの財政状況に照らして独自の判断でそういう措置をとっていると県は認識しておりますが、県としましては、先ほどもお答えしましたように、この制度を安定的かつ持続的な制度として運営していくためには、今後とも一部自己負担というのは続けていかざるを得ないというぐあいに考えております。 それから、二点目の資格証明書の問題でございますが、国民健康保険法の改正によりまして、四月から中学生以下の子供については六カ月の短期保険証が交付されるということになりました。 県といたしましては、医療費の一時払いが困難である旨の申し出があった場合には緊急的な措置として短期保険証の交付を行うこと、要するに、高校生以上の大人に対してもこういった措置がとられるよう、低所得者への適切な配慮と支援を市町村に助言をしているところでございます。 それから、
後期高齢者医療制度の中でも資格証明書の問題がございますが、これにつきましては、確かに高齢者の方々は病気を持っておられる方も多いということがございます。したがいまして、国の
与党プロジェクトチームの六月の見直しの中で、資格証明書の交付対象となる方を、相当な収入があるのに滞納しているような悪質な場合に限って適用する、こういうことがなされておりまして、具体的な基準につきましては、現在、国と広域連合等で協議をされているという状況でございます。 県としましては、高齢者の方の事情をよく聞いて、慎重な上にも慎重に、丁寧に対応していただくように広域連合にもお願いしているところでございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 土木部長にお伺いします。 先ほど五億三千万円の簡易な工事があるということですけれども、やはり百万円以下という本当に小さな工事が積もり積もれば大きな金額になる、これが
小規模工事等希望者登録制度、これ、全国的にも市町村でかなりの部分で今実施をしているんですけれども、県段階でしているところはないんです。こういうふうな制度をやはり大分県が全国に先駆けてやるべきではないかというふうに思うんですけれども、それについてお尋ねをしますし、地場企業、非常にこれ、地元の小さな本当に零細業者を浮揚させるという大きな手段になるというふうに思うんですけれども、これについての考え方を聞きます。 後期高齢者問題については指導するというふうなお話ですけれども、国民健康保険証の資格証明書の発行も特殊な場合というふうに規定がされているんですけれども、今、ほとんどがそういう特殊な事例を考えないで発行されているんです。ですから、後期高齢者の場合には、もう高齢者の方ですから、資格証明書ということは、本当に死に直結してしまう。それで非常に重要な中身になるわけですから、その指導は徹底的にやっていただきたい。これは要望です。 土木部長、その分だけ答えてください。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 二点についてお尋ねがありました。 一点目の小規模工事登録制度についてでございますけれども、県においても、備品等の修繕とか、小さな、簡易な修繕工事で緊急を要するものについては入札参加資格のない業者の方にもやっていただいております。しかしながら、小さいとはいえ、工事で対応するものが多いもんですから、安全性や適正な施工確保をする観点から、やっぱり原則として、あらかじめ審査を受けて入札参加資格をいただいた業者にやっていただいているというふうに考えております。 それから、中小地場企業の育成という点でございますけれども、県内許可業者数四千八百のうち、六百二十七の方が個人事業者になっております。 また、入札参加資格におきましても、二千五百社あるうちに、大体百五十六社が入札参加資格を受けておられます。こういう技術者要件なりを備えていただきまして、工事の参加に入っていただきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 部長、実際に工事するのは入札参加資格を持ってない、公共事業の中でも一番末端で工事をされている方々は参加資格を持ってない、本当に中小企業の方が多いんです。こういう方々の安全性を疑うということは非常におかしいというふうに私は思いますし、そういう小さな業者の方々が、やはり技術も持っている、安全性も持っている、そういうふうな方々が今やっているわけですから、そういう方々に光を当てた土木行政をぜひやっていただきたい、これはもう要望です。 次に、雇用問題に移ります。 続いて、大量解雇問題について県の姿勢をただしてまいります。 本日は、傍聴者の中に、キヤノン等を解雇された労働者の方々も来られております。県として雇用を守るという姿勢をぜひ示していただきたいというふうに思います。 厚労省の調査では、昨年十月からことし三月まで三千三百八十一人もの解雇者が出ると発表されていますけれども、解雇、雇いどめを受ける方々の心情は並大抵のものではありません。 私は、先日の衆議院予算委員会地方公聴会を傍聴いたしました。解雇された非正規雇用者の生々しい声が紹介をされていました。「大分キヤノンで派遣切りに遭った労働者が大分駅構内でホームレス状態となり、十二月、余りにも寒いので、便座に座り、暖をとり、休んだ」、こういう方。また、こういうメールも届いています。「相談相手もおらず悩んでいます。悪いことをして、自首して、警察に逮捕してもらいたい。逮捕してくれれば、正月も越せると思います。出た後でも、自立支援センターへ行かせてもらえると思います。せっぱ詰まれば国も社会も変わらざるを得ないと思います。キヤノンを恨みます」と切々たる訴えです。 このような派遣切りに遭って、行く当てのない労働者の心情をどう受けとめているのでしょうか。 次に、企業誘致に伴う補助金についてであります。 我が党はこれまでも大企業呼び込みのための補助金については反対をしてまいりましたけれども、大分県は企業立地のためのさまざまな優遇制度があり、中でも大規模投資促進補助金等、キヤノンに対しては約五十八億円もの補助金を交付しています。 この大企業向けである補助金の要綱では、条件として新規雇用者が八十人以上となっており、新規雇用者とは常用雇用者となっています。これは、期間の定めのない、いわゆる正社員だけではなく、期間社員も含まれるという内容です。 八十人以上というラインの根拠は何でしょうか、お示しをください。 また、期間社員は、有期契約のもと、不安定労働者であり、このような不安定雇用までカウントに含めるのではなく、安定した正社員の採用だけに限定するべきではないでしょうか、答弁を求めます。 また、来年度以降、この大規模投資促進補助金を一回当たり上限十億円から三十億円に増額する計画ですが、なぜ財政の厳しい折、増額までしなければならないのでしょうか。この理由と目的をお答えください。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 初めに、私の方からお答え申し上げます。 まず、誘致企業に対する補助金についていろいろご質問がございました。 大規模投資促進補助金は、他県の状況等を勘案いたしまして、設備投資額八十億円以上、新規雇用者数百人以上を基準としているところでございます。ただし、百人未満となる場合の激変緩和措置として、八十人に至るまでは人数割で補助金を減額していくという仕組みにしているところでございます。 あくまでも地域間競争で企業誘致を進めているわけでございますので、他県の状況等を勘案しながらこういう形にしているところでございます。 次に、補助金は正社員だけに限定すべきではないかというご指摘でございましたけれども、この制度は、地域の安定雇用を図るという観点から、補助金交付後も、算定基礎となった雇用人数は五年以上確保するように条件をつけております。地域としては、当初の雇用者数が維持できるようにしているというふうに考えております。 次に、補助金の増額についてでございますけれども、世界的な景気後退によりまして消費が落ち込んでおります。企業の減産や設備投資の凍結、縮小が進む中にありまして、新規投資という限られたパイを奪い合うことになりまして、企業誘致をめぐる地域間競争は一段と熾烈になっているというふうに認識しております。 このような厳しい情勢下であればこそ、雇用の創出、あるいは地域の中小企業や商店街の活性化に大きな波及効果のある企業誘致の取り組みを強化していくことが必要だと考えたところでございます。 しかしながら、企業誘致競争が激化した結果、本県の補助金限度額は、九州では今や最低レベル、全国でも下位に属するまでに至ってしまいました。 そこで、今回、特に地域経済への波及効果の大きい大規模投資につきまして、新規雇用者数が二百人以上の場合には限度額を二十億円、三百人以上の場合には三十億円に引き上げまして、新たな産業基盤の核となる企業の誘致に全力で取り組んでいきたいと考えているところでございます。 なお、県財政は、ご承知のとおり、大変厳しい状況にありますので、単年度三億円を限度とする分割交付制度を新たに導入して、県財政への負担軽減も図っていきたいというふうに考えているところでございます。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、部長からお答えいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 解雇、雇いどめについてどう受けとめるかということでございますけれども、世界経済の急速な減速の影響を受けまして、仕事を失われた一人一人の方々にとっては大変深刻な問題だと受けとめております。 県では、ネットカフェや大分駅等に随時問い合わせをするなどして、いわゆるネットカフェ難民が生じていたり、あるいはホームレスが急増したりしていないか、そういった情報収集に随時努めているところでございます。 今のところ、急にふえたとか、ネットカフェ難民が生じているという報告は入っておりません。 また、一昨日、厚生労働省が発表いたしました全国ホームレスの実態調査におきましても、大分県は一月現在で三十八名、対前年で三名の増ということでございました。大分よりも非正規の雇いどめが少なかったことになっておりますお隣の福岡県でも、この調査では百五十五名もホームレスの方がふえているということと比べますと、この大分の数字というのは、私は、これまでやってきました県や市、民間も含めたいろんな住居確保への支援、仕事の提供、そういった支援が全体としては功を奏しているのではないか。そういう大分の人の温かさ、それから懐の深さ、そういったものを示した数字ではないかと思っております。 ただし、すべての離職者の方を把握することは困難でございますので、住居に限らず、お困りの方がいれば、ぜひ、県を初めとする公的機関にご相談をいただければと思っております。 ご案内のとおり、福祉・介護分野、また、農林分野、いろんなところで人を求めております。そういったところで働いていただいて、再び額に汗して仕事をする喜びを勝ち取っていただければと考えております。 いずれにしましても、離職された非正規労働者の方々は、出身地や職務経歴、年齢、再就職への逼迫感などさまざまな方がいらっしゃいますので、県としてはできるだけ幅広い支援メニューを用意することが大事だと考えております。 今後とも、離職者についての情報収集に努めるとともに、各種支援策の充実を図っていきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 補助金については、ちょっと後で伺います。 まず、商工労働部長に再度お伺いしますけれども、県としての基本的なスタンスです。 派遣切り等については、今の経済情勢の中にあって、やむを得ないこと、ルールにのっとってやっているものと答弁がこれまでもあっております。つまり、基本的には、そういうふうな考え方の中で、今回の派遣切り問題についても、先ほどの答弁はまさにその言葉がこれにあらわれた結果だというふうに思います。しかし、派遣切りに遭った方々は、先ほど紹介したとおり、実際に非常に悲惨な状況になっているわけです。 改めて、大分キヤノン等に対して、こういう誘致大企業に対しての解雇撤回の指導をやっぱりすべきだと私は思うんですけれども、それについて再度答弁を求めます。 あわせて、再質問の二つ目です。これも部長です。 代表質問の答弁の中で商労部長は、「県で把握をしたところでは、年度末に向けた非正規労働者の離職はそれほど多くはないというふうに見込まれる。また、労働局と連携して実態把握を行うとともに、職員の企業訪問を通じて情報収集に努める」というふうに答弁をしていますけれども、離職者が少ないという数字の根拠と、これまでの実態把握、情報収集の状況について、どうなのかという答弁を求めます。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 お答えいたします。 今、堤議員に引用していただいたとおりでございまして、私どもは、食料自給率が四割弱というこの日本という国において、どうやって国際競争の中を日本という国が生き残っていくか、そういったことでいろいろと国会で議論なさって、今のようなルールができ上がっていると思っております。 そのような中で、だれも予想できなかったような急激な景気の後退によりまして、残念ながらいろんな職を失う方が生じた、そういったことについては、やはり社会全体で、特に政治、行政が中心になって救済していくべきだと考えてございます。 先ほども申しましたように、大分県内には、まだまだ人を求めている、働いていただく方を求めている仕事はたくさんございます。どうか、これまで働いておられた一つの職種、一つの企業に固執して足をとどめることなく、新しい第一歩を踏み出していただく、そういったお手伝いを県としてもできればと考えてございます。 二つ目につきましてでございますけれども、非正規の方々の雇いどめ等の数字については、これまでも厚生労働省の発表の数値ということを堤議員もご引用されておりますけれども、そのことで労働局として具体的な調査をされているというふうに認識しております。 私ども、労働局との連携の中で、具体的に何月ごろ、その数字の中で一番多く離職が出たのか、そういったことをお聞きしまして、今発表されております数字の中では、これから年度末にかけてというのは相対的には少ない、ピークは十二月、一月であったということを承知している次第でございます。 その他、私ども、常日ごろとして職員をあちこち派遣いたしまして、実態把握に努めております。そういったところとも非常に合致しているものでございますので、そのようなお答えを申し上げた次第でございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 労働者に対して第一歩を踏み出してほしい。彼らは、キヤノンならキヤノン、そういう製造業で働きたいんだというふうな強い思いもある方がたくさんおられるわけです。そこで解雇をされているわけですから、それについての認識の問題として、これまでの県としての考え方の中で再度ただしてまいりますけれども、雇いどめの労働者は派遣元が雇用しているのは事実です。派遣先の生産調整で仕事を失うことになるわけですから、派遣先としての社会的責任があるというふうに私は思います。ここで県が指導できないということは、大量解雇を放置することと一緒だというふうに私は思います。 県として、キヤノンなど派遣先の社会的責任があると考えているのかどうか、これを、再度、答弁を求めます。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 社会的責任というのは、それぞれの責任を持つ主体がご自身で判断することだと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 そこが、社会的責任を明確に県として言えないところが、本当にもうだめです。そこら辺、もっと、自分たちが誘致をしているわけですから、それについて、キヤノンに対してもきちっと言うということは大切だというふうに私は思います。 今、大量解雇の問題について、先ほどの県の態度というのは、雇用を創出する、そういう手を差し伸べておいて、それを、雇用創出という形で引き上げる途中で手を離すようなもの、つまり、セーフティーネットの充実に力を入れるというふうに言いますけれども、失業者への支援とあわせて、雇用破壊をやめさせること、これが一体で取り組まれなければ意味がないというふうに思います。この立場に立つべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 経済実態を超えて、それを無理に押しとどめるということはなかなか難しいのではないか。みんなで決めたルールに従って、違法なことのない中で苦渋の決断をそれぞれの経済主体がなさっているということかと思っております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 苦渋な決断によってそういう派遣労働者が本当に路頭に迷うということ、これについては、やっぱり県はもっと責任を持って対処すべきだというふうに思います。 続いて、補助金の問題について知事にお伺いします。 まず、増額された補助金が最初に使われる可能性のある企業はどこでしょうか。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 制度改正になった後のあれにつきましては、具体的に、四月以降、その新しい制度をご紹介いたしまして、それに従って投資活動をする企業でございます。 今のところ、具体的な予定は定まっておりません。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 日田キヤノンとの関係で言いますけれども、日田キヤノンとの立地協定は昨年の六月の二十六日に締結をされています。工場等は来年の三月末に完成予定と聞いておりますけれども、まさにその日田キヤノンのために補助金増額を計画したのではないかというふうに思われますけれども、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 今回の補助金の増額につきましては、先ほど知事からもご答弁がありましたように、地域間競争が激化する中、気がついてみると、大分県の補助金の限度額というのは非常に他県からして見劣りする、九州の中でも最下位という状況がございました。 東京、大阪のそれぞれの事務所で、私どもの職員が日夜、大分県の発展のために、足を棒にして、いろんな企業を回っておりますけれども、そういった現場の声といたしまして、さすがにこの補助金限度額では企業に提案したときに見劣りがする、検討の俎上にものせてもらえない、そういった声が高まってまいりましたので、今回このように上げることにしたものであります。特定の企業を念頭に置いたものではございません。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 特定な企業じゃないと言っても、やはり実際には補助金として出されるのは日田キヤノンです。 新聞報道の中でも、一期工事でも四百億円、五百人の雇用、そうすると二十億円、今回の補助金であれば出せることになるわけです。まさに二十億円を出すがためにこういう要綱をつくったんではないかというふうに私は思います。 あわせて、この日田キヤノンについては、すべての労働者を正規雇用にするように、つまり正社員にするように求めることが大事だと思うんですけれども、それについていかがでしょうか。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 現時点で、日田キヤノンにつきましては、職員の募集をして、その中の一部の方が既にグループの中で各地で働いておられるというふうに承知しておりますけれども、現段階ではすべて正社員で雇用していたと認識しております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 企業というのは補助金があるから来るんでしょうか、大分県に。私はそうじゃないと思います。補助金よりか、前から説明されている、インフラ整備だとか、または労働環境だとか、住環境だとか、そういうことが一番大きなウエートを占めておるというふうに私は思うんですけれども、そういう中で、補助金を十億とか三十億とか、そういう莫大な金額を一社のために使うことについてはおかしいんではないかというふうに思いますし、大企業は今、雇用というのをどんどんどんどん減らしております。その反面、中小企業というのは、雇用の受け皿、雇用創出の役割を担っているわけです。中小企業の社長さんたちは従業員をやめさせないための本当に苦労をされております。こういう努力をやっぱり最大限、キヤノンも見習ってほしいというふうな立場に立っていただきたいし、県としても、その十億とか三十億のお金は、こういう中小企業だとか、そういう首を切られた労働者のために使うということを私は求めたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 これまで大分県の企業誘致が成功してきた理由につきましては、堤議員と私は意見変わらないんじゃないかと思います。 補助金は、どちらかというと相対的に低かったわけでございます、先ほどからご紹介しておりますとおり。 私、いろいろな企業の方とお話しする中で、大分の魅力についていろいろ語らせていただいてますし、実際に立地した方からもいろいろお聞きしておりますけれども、やはり大分は人材がすばらしいと。非常に一生懸命働くし、いろんなアイデアが現場から出てくる、そういった人たちがたくさんいる県だ。そういった大分の人の魅力というのがこれまでの大分の企業誘致を成功させてきたと思っております。 かつて、一たんは撤退した自動車の一次下請の大きなメーカーも、やっぱりこの人材に引かれまして、再び景気が回復したときには同じ場所に拡充して再立地したという事例もございました。 そういった魅力がこれまで大分を支えてきたわけでございますけれども、しかしながら、一方で、この現状において、各県ともに誘致に血眼になっているというわけでございます。そのような中で、補助金という制度をそれぞれ各県とも設けてやっている中で、残念ながら余りに限度額が低いと検討の俎上にものせていただけない、そういったことで、今回、補助金の限度額を上げる次第でございます。 ご案内のとおり、すべての大規模立地について補助金がどっと上がるというわけではございませんで、先ほど知事からもご紹介のあったように、二百人以上の雇用を生み出す場合には二十億円、三百人以上の雇用を生み出す場合には三十億円ということでございますので、むやみやたらと広げているわけでもないというふうに認識してございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 先ほど、冒頭言いましたとおり、ぜひトリクルダウン経済理論から脱却をしていただきたいというふうに思います。 次に、キヤノンの立地についての質問に移ります。 裏金、脱税事件及び補助金の返還についてであります。 昨年の第一回定例会で、キヤノン工場建設にかかわる裏金疑惑について県議会でも質問しましたけれども、あれから一年たち、コンサルタント会社大光社長、元県議会議長、大分県警OBなどが逮捕されるという前代未聞の事件が起きました。県として徹底的に事実解明をする役割があると思うが、いかがでしょうか。 また、県が誘致のために補助金を出していますが、その補助金が所得隠し、裏金として還流した疑念があります。所得隠しに使われた分に対し、県としては返還をキヤノン等に求めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 一点目の脱税事件についてお答えいたします。 県土地開発公社が鹿島建設に発注しました大分キヤノン、大分キヤノンマテリアルの用地造成工事につきましては、各種報道がなされておりますが、公社では、これらの造成工事につきましては、県の土木工事標準歩掛などに基づき算定しました設計額をもとに発注し、品質の確保を図るため必要な施工管理を行いまして、所定の検査をした上で立地企業に引き渡したものでございます。設計、契約から検査、引き渡しまで所定の手続は適正に処理されているものと考えております。 脱税事件の事実解明につきましては、検察当局が捜査中でもございます。その推移を注視していきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 補助金の返還についてお答えいたします。 まず、キヤノンに交付した大規模投資促進事業費補助金は、大規模投資を行う企業立地に対して、投資額と新規雇用者数を要件として、投資額の実績に応じて、その五%相当額を交付するものであります。 県は、キヤノンから提出された補助金交付申請書及び実績報告書により確認をいたしまして補助金を交付しているものであり、キヤノンに補助金の返還を求める考えはございません。 一方、県土地開発公社に交付した工場用地等特別対策事業費補助金につきましては、工場用地の取得、造成に要した費用と立地企業への売却価格との差額を対象としたものであります。 公社は、造成工事について、みずから行った適正な設計に基づいて額を決定した上、発注し、成果物の検査、受領まで適正な手続にのっとって実施しております。 県は、補助金の交付に当たり、こうした手続が適正に行われていることを確認しておりますので、返還を求める考えはございません。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 いやしくも県民の税金が還流した可能性がある、それを、捜査を見て、その推移を見守るという、こういう立場ではだめだというふうに私は思います。 県として、元県議会議長、また、県警のOBすら、この事件にかかわっていたということになるわけです。そういうふうな大きな問題なのに、県として何らの方策をとらない。公社からの聞き取りだけで終わる。県として、実際には調べてもいない。これは、やはり県民に対して余りにも無責任なことではないかというふうに思います。 やはり、税金がきちんと、まともに使われているということであれば、県として証明する責任もありますし、県民にその結果を公表する責任もあると思いますけれども、今のご答弁であれば、これすら投げ捨ててしまうんではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 工事につきましては、先ほども申し上げましたように、契約から積算、工事、キヤノンへの引き渡しまで適正に行われたと判断しております。その中で私どものとる範囲も限られておりますので、当面、捜査の推移を見守りたいというふうに考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 捜査を見守るというのは、昨年の教職員の問題でも同じような答弁を執行部としてやっているわけです。捜査を見守るんじゃなくて、県としてどうするのか、その事実解明を県としてやっていくという立場は私は必要だと。 最高責任者である知事にも、今の問題について、事実解明を県としてやって公表する、こういう立場に立っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 大分県が力を入れてやってまいりました企業誘致に関連いたしましてこういう脱税事件が起こっているということでございまして、私も大変残念に思っております。 今、司直の捜査が進んでおりますので、それはそれでよく見ておかなきゃならぬというふうに思いますけれども、そういういろんな捜査の結果等を見ながら、必要であれば、もちろん適切な対応をしていくということではないかというふうに思っております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 私は今が必要な時期だというふうに思いますので、ぜひ、真相解明のため、県として力を出していただきたいというふうに思います。 続きまして、知事の政治資金の問題について質問をします。 昨年、我が党は知事に対して、「大光もしくは大賀社長からパーティー券を購入してもらった事実があるのか」との問いに、「政治資金規正法に基づいた収支報告書には記載がない」と回答されました。これは全く答えにはなっておりません。 二十万円を超えるものについての記載は義務ですけれども、それ以下の場合は、購入しているが記載していない場合と、購入していないから記載していない、この二つの場合があります。一体、このうちのどれでしょうか。パーティー券購入の有無をお答えください。 そして、最近、西松建設のダミー政治団体が政治家への違法政治献金やパーティー券購入をしたと報じられておりますけれども、知事はこのダミーの二団体から〇五年十月にパーティー券をおのおの五十万ずつ、百万円を購入してもらっていると報道されています。 このパーティー券購入の時期と金額及びこれ以外の政治献金は受け取っていないのかもあわせてお答えください。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 政治資金についてのご質問でございました。 まず、大光もしくは大賀社長からのパーティー券購入の有無についてでございました。 パーティー券につきましては、法令におきまして、二十万円を超えるものにつきましては収支報告書に記載し、報告するように義務づけられております。 私の関係する政治団体におきましては、毎年、政治資金収支報告書を提出しておりますけれども、その中には大光もしくは大賀社長に関連する記載はありません。 次に、西松建設の関係でのパーティー券の購入についてでございますけれども、私を支援する東京都の政治団体が平成十七年十月に東京都でパーティーを開催いたしました。その際に、報道されている新政治問題研究会、未来産業研究会という二つの政治団体から、それぞれ五十万円ずつパーティー券を購入いただき、このことはパーティーを開催しました政治団体の政治資金収支報告書で報告されているところでございます。 私に関係のあるその他の政治団体の政治資金収支報告書には、西松建設や二つの政治団体に関係する記載は一切ありません。 以上、政治資金規正法に定めるところによりまして適正に報告しているものを申し上げた次第でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 大光の大賀社長の関係で再質問します。 政治資金規正法、適正に処理をされている。先ほど私が質問の中で求めたのは、パーティー券を買ってもらっているのかもらってないのか、そういう事実を出してほしいということをお願いしているわけです。 ですから、知事は事実の有無を言わない、その上に、資金パーティーの収支の会計帳簿を廃棄されたというふうなことであります。県民の疑念や県政不信は大きくなるばかりではありませんか。会計帳簿の破棄はいかなる理由からされたものかということをまずお答えください。 また、政治資金規正法が、政治活動が国民の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治活動の公明と公平を確保し、政治資金の収受について国民の疑惑を招くことのないようにとする目的、理念がございます。 これに沿えば、大光問題というのは、今これだけ脱税の事件で逮捕されるという大きな事件になっております。 県民の疑念が噴出をしている中で、購入していなければ事実はない、あれば、記載する必要はないが、購入したとはっきりとさせるのが政治家としての当然の責任ではありませんか。それを明確にした上で、金額と時期をお答えください。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 議員ご指摘のように、政治資金規正法では、政治活動が公明、公正に行われるように、できるだけ透明にしていくということが大事だと思います。私もそのことについてはそのとおりだと思います。 ただ、一方で、政治資金の拠出につきまして、国民の自発的な意思を抑制するというようなことがあってはいけないということもまた、政治資金規正法の理念として書かれているところでございます。 そういうことで、この両方を勘案しながら書かれたのが政治資金規正法の建前だろうというふうに思いますので、私は、政治資金規正法にのっとって、今、ご報告を申し上げたところでございます。どうぞ、ご理解を賜りたいと思います。 次に、東京における私を支援する政治団体の代表者、政治団体がパーティーに関連します帳簿類を処分したということにつきましては、私もそのことを聞きまして、大変にびっくりしたところでございます。大変に残念だというふうに思っております。 経緯について詳しく聞いているわけではございませんけれども、十九年にこの政治団体を解散した、そのときに、もういいんではないかということで処分したんではないかというようなことを聞いております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 会計帳簿は三年間保存が義務だというふうに思いますけれども、その期限内に廃棄されたということです。それについてはどういうふうに考えているのかというのが一つ。 それと、やっぱり政治資金規正法の問題です。この法律の目的は、そういう公明正大なことをきちっと法律で担保する。 先ほど知事が言われたことと今回の場合はちょっと違うわけです。つまり、大光の脱税事件が起きている、大分県を舞台にした用地造成の問題について起きているわけです。ですから、そういう点では、知事として、そういう社会的、道義的責任をやはりきちっとそこで果たす。だから、それで大光パーティー券を買ってもらったかどうか、この事実をやはり県民の前に明らかにすべきだというふうに思う。これが政治家としての、私は当たり前の立場だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 初めに、資料の廃棄につきましては、私もその話を聞いてびっくりしたわけでございます。大変に残念だというふうに思っております。 次に、パーティー券の購入につきましては、堤議員のおっしゃるように、透明性の議論、それから政治活動の自由の議論という二つを勘案してああいう形で政治資金規正法が定められているわけでございます。そこのところをよくご理解を賜りたいというふうに思っているところでございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 大光と西松建設の問題で二とおり質問いたします。 今のお話でも、適切に処理をされ、正式に報告書に報告しているというふうな状況です。しかし、大光はキヤノンの誘致、西松建設は公共事業の受注、それぞれ企業としての思惑を持って、いろんな形で政治献金を出したり、またはパーティー券を購入しているわけです。報告書に記載があるからよしというふうな問題でもありませんし、何らかの見返りを求めて献金というのはされるというふうに私は思います。 知事は、このような法律違反をし、逮捕されるような団体からのパーティー券購入についてどう認識をされているんでしょうか。まず、それについて答弁を求めます。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 せっかくのご質問でございますから、お答えをさせていただきます。 西松建設の関係でございますけれども、この二つの団体と西松建設の関係につきましては、私は事実関係を全く承知していなかったわけでございます。当時、そのような関係にあるとは全く知りませんで、したがいまして、公共工事とのつながりが出てくるというようなことは全くあり得ないことだというふうに思いますので、ぜひ誤解のないようにお願い申し上げます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 ダミー団体からパーティー券を購入してもらっている。国会でもいろんな問題が今論議されております。知事として、このパーティー券を購入している問題について、どうされるつもりでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 そういう次第で、全く、二つの関係、この二つの団体と西松建設の関係というのは承知していなかったわけでございますけれども、捜査が進み、関係がだんだん明らかになってくるということでございますので、その動向を見ながら適切に対処しなきゃいかぬというふうに思っているところでございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 先ほど、公共事業との関係を知らなかったというふうなお話がございました。 土木部長に伺いますけれども、西松建設は、〇五年から現在まで、県内で国発注及び県発注にかかわらず、公共事業の実績はありませんか。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 私どもに残っているデータで、平成十年四月からでは、県で発注した工事が一件ございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 それはどこでしょうか。
○近藤和義副議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答えします。 農林水産部関係の発注実績で、演習場周辺障害防止対策事業久木野尾ダム建設工事一件でございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 そうです、久木野尾ダムです。 西松建設のダミー団体からパーティー券を購入されているのは、静岡県の石川知事と大分県の広瀬知事、そして大阪府の吹田市長、神戸市長、この四つの首長さんのパーティー券をそれぞれ購入しているわけです。 その結果、静岡県でも、パーティー券を購入した前後、静岡県発注の公共事業を受注しております。大分県でも、今の久木野尾ダム、防衛省発注等も含めて、四十七億円のジョイントベンチャーで、〇六年、これも受けております。吹田市でも〇四年、神戸でも〇五年、公共事業をそれぞれ受けているわけです。 ですから、こういう点では、やはり政治と金の問題、つまり、公共事業を受けるために彼らはそういう政治献金、パーティー券を買っている。これはやっぱり県民にとってみれば非常に大きな疑念になるわけです。これについて知事の考え方はどうでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 せっかくのご質問でございます。はっきり申し上げたいと思いますけれども、一つは、先ほど申し上げました、この二つの団体と西松建設の関係については、当時、全く気がつきませんで、今度の新聞報道、その後の捜査の進展によって知ったような次第でございます。したがって、このことと、久木野尾ダムでございますか、そこのつながりというのは全くありません。 それから、久木野尾ダムの建設につきましては入札によって決められたというふうに聞いております。このことにつきましても、全く、私、何の関係もないものだというふうに思っております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 だからこそ、今、国の問題でも、これだけ大きな問題になってきているわけです。つまり、公共事業をめぐるそういう政治資金の問題ということをやっぱり深く知事としても認識をすべきだというふうに思いますし、あわせて、この二つのダミー団体は西松建設が丸抱えをしていた団体であります。結局、原資は西松建設が出しておりまして、このお金で知事のパーティー券を購入しているわけです。 まず、西松建設のダミー団体であるという認識はあるのか、また、違法性について知事としての考えはどうでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 このパーティー券購入のときに、そういう関係について認識があるかと言われれば、全くありません。 先ほどお答えをしたとおりでございます。新聞報道によって初めて、そういう関係があるということを知ったということでございまして、大変びっくりし、また、私の応援をしてくれる政治団体のことでございますから、大変残念に思うというふうに申し上げたところでございます。 なお、今、司直の捜査が進んでおりますから、もっと関係がはっきりしてくるだろうと思います。状況を見ながら、私もやはり適切な処置をしなきゃいかぬ、こう思っているところでございます。それはよく様子を見ながらやっていきたい、こう思っております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 適切な処置の中には、購入代金を返すということも含まれているんでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 適切な処置をとりたい、こう思っております。 〔傍聴席で発言する者あり〕
○近藤和義副議長 堤栄三君。 傍聴人に申し上げます。ご静粛に願います。
◆堤栄三議員 金権腐敗政治の温床となる企業団体献金の禁止及び、我が党は受け取っていません政党助成金の廃止です。これを我が党は求めておりますけれども、それこそが、本来、政治家と金をめぐる問題の中で、本当に根本的に解決する手段だというふうに私は思います。それが民主的な近代的な党として、また、政治家としてのあり方というふうに思いますけれども、知事としての考えはいかがでしょうか。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 政治活動、透明性を確保して、そして公明正大にやっていくということは非常に大事だと思います。あわせてまた、国民の政治参加ということも、また大事なことだというふうに思っております。そういう中で、これまでも議論されてまいりましたし、これからも議論されていくんだろうというふうに思っているところでございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 知事としての社会的、道義的責任をきちっと果たさせること、これを求めて、次に移ります。 最後に、昨年の第一回定例会でも問題にしましたけれども、改めて鹿島一社に随意契約した経緯をお尋ねいたします。 昨年当時から、非常に不透明で特異なケースだと指摘をしてきましたけれども、巨額の造成工事が、実績とキヤノンのマスタープラン、操業スケジュールに合わせるというためだけに、なぜ随意契約となったのか、多くの県民が疑念を抱く点だと思います。再度、答弁をください。 現に、造成を請け負った鹿島が裏金をつくり、支払っていることは確かです。上屋の工場建設を受注するのに造成工事も請け負っている方が当然に有利なわけで、企業としても総投資額を低く抑えられるし、メリットはあるわけです。よって、鹿島としては、造成工事を確実に受注できる随意契約がとても重要だったのではないかとも思われます。 また、今回逮捕された大光社長及び元議長が造成工事等に深くかかわっていたのではないかと推測されるし、おまけに土地開発公社の理事に元県議会議長が就任をしておりました。 キヤノン立地についての協議や鹿島の随意契約選定でこの社長や元理事からの働きかけはなかったのか、答弁を求めます。 そして、県として、今回の問題で再度調査をし、県民に事実を公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 お答えいたします。 県土地開発公社では、大分キヤノン、大分キヤノンマテリアルの造成工事を行うに当たりまして、地方自治法施行令や公社の財務規定に従いまして随意契約とし、業者選定に当たりましては、この工事を工期内に確実に施工できる者として、杵築市の大分キヤノンマテリアルや県流通業務団地などでの実績があり、施工能力の高い鹿島建設を選定したものであり、契約は適正に処理されていると考えています。 その後の工事におきましても、施工管理、検査、引き渡しに至るまで所定の手続は適正に処理されていると考えております。 脱税事件の事件解明につきましては、検察当局が捜査中であり、その推移を見守っていく必要がございますが、造成工事の過程におきまして大光社長や元理事からの不正な働きかけを受けたことはないと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 私も公社から聞き取りをいたしましたけれども、鹿島選定の際の経過報告書や協議メモなどさえも保存されていないというのがわかりました。こういうことが判明しましたけれども、なぜそのような文書が保存されてなかったのか。協議メモ、鹿島を選定するための協議メモ、保存されてないのはなぜかということをお答えください。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 協議メモと言われるのは指名委員会での協議メモと言われるものじゃないかと思っていますけれども、公社の内規に従いまして、指名委員会については、建設工事の入札見積もり参加者の指定などについて開催しておるものでございます。その際、協議録をつくるようにはなっておりません。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 経過のわかる書類がないにもかかわらず、結果として工期が大変短かった、または
流通業務団地等の実績があったためということだけは明確に言われているわけです。それに至る経過は全く抜け落ちております。これは不自然だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。 もう一つ、公社文書公印規定の中でも、第三条の中できちっと、「原則として文書により処理するものとする。ただし、軽微な事業についてはこの限りでない」というふうな第三条もございます。また、永年保存、十年、五年、三年、一年保存というふうな規定もあるわけです。この規定に沿えば、本来、そういう内部協議だとか、そういうメモだとかいうことは保存してしかるべきだというふうに思いますけれども、なぜこの規定どおりにされてなかったのかということを再度、二点答弁を求めます。 〔傍聴席で発言する者あり〕
○近藤和義副議長 ご静粛に願います。
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 二点についてお尋ねがございましたけれども、あわせて一点としてお答えいたしたいと思います。 指名委員会で決定した事項については、委託契約書の中で随意契約理由として記入されております。その結果で随契という作業に至ったというふうに考えておりますので、協議録を残すように規定でもなっておりませんので、そこは。結果として、契約書に添付しておるということでご了承いただきたいと思います。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 文書規定に基づいて保存すべきではありませんかというふうな質問をいたしましたので、それについてどうお考えなんでしょうか。 〔傍聴席で発言する者あり〕 〔「騒々しい。退場させい」と呼ぶ者あり〕
○近藤和義副議長 傍聴人に申し上げます。 これ以上の発言は控えてください。退場させます。 〔傍聴席で発言する者あり〕 〔「退場、退場」と呼ぶ者あり〕
○近藤和義副議長 退場させてください。 〔傍聴者一名、みずから退場〕 〔傍聴席で発言する者あり〕
○近藤和義副議長 もう一人、その人、退場させてください。退場させてください。 〔傍聴者一名を職員が退場させる〕
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 すべての協議を残すというのはなかなか、不可能でございますし、この指名委員会の結果につきましては、先ほど契約書と申しましたけれども、設計図書に添付しておりますので、そこの中で随契の理由としてどの理由に該当するかというのを記載しておりますので、それが指名委員会の結果としてとらえているということになっております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 結果は、もう当然わかっているわけです。鹿島に選定した結果、理由というのは。それをなぜそこまでするかというふうな、協議された中身が全く不明であるということ、これは非常に大きな問題点だというふうに思います。 ですから、そういうかかわりがあったのかということを質問しましたら、かかわりはなかったというご答弁ありましたけれども、そういう重要な、一番キーポイントになる、そういう内部協議の問題についての文書はこれからきちっと保存しておかなきゃならないというふうに私は思いますし、さらに、公社が鹿島を選定したのに、なぜキヤノンからの要請文を、ひな型までつくって要請書を出させたんでしょうか。キヤノンからの強い要請があったと見せかけるための手段ではなかったのでしょうか、答弁を求めます。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 お答えいたします。 公社では、指名会議の前に、当然、どこがいいかというようなことで検討して、その結果、将来、キヤノンに譲渡する予定ですので、その意向を伺ったというふうに聞いております。 その結果で、鹿島建設が最適だということを結果としていただいたということを、また、指名委員会でその要請も考慮したということを聞いております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 つまり、県として、鹿島に選定が決まった、それについて、ひな型をつくり、県がキヤノンに要請をし、その要請文、これは、昨年、私が文書を出したやつです。そういうふうな文書が県が主導して書かれたわけです。それを、県自身が調べたんでしょうか、それとも公社からの聞き取りでやったんでしょうか、お答えください。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 それは、公社の方から意向を伺ったというふうに聞いております。その結果、指名委員会で鹿島建設が最適だというふうに判断したと聞いております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 少し角度を変えて再質問いたします。 業者選定において、大光とか元議長や鹿島からの働きかけやアプローチはなかったというふうに公社から聞いているということなんですけれども、業者選定までの過程の中で、鹿島に対して造成工事についての打診、これは行った事実はございますでしょうか。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 そのような働きかけはないということを聞いておりますけれども。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 私が聞いているんです、それを。県として、つまり、公社から聞いていることで、今、ご答弁がそれぞれあったんです。この鹿島の昨年の問題、今回の大光の問題、これを県が率先して調べないからこそ、そういうふうなあやふやな答弁になってしまうわけです。ですから、そういう点では、県としてやっぱり事実関係をきちっとするということ、これが必要だと。 もう一遍確認しますけれども、造成工事で鹿島に対して打診はしてないんですね。再度、答弁ください。
○近藤和義副議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 打診と言われるのが、造成工事につきましては打診はなかったというふうに聞いております。
○近藤和義副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 以上で一般質問を終わりますけれども、さまざまな問題点がございます。ですから、知事として、最高責任者として、ぜひ、みずからの政治資金の問題、あわせて今回の大光の脱税事件の問題、これを県として積極的に事実解明を求める、このことを厳しく私求めまして、一般質問を終わらせていただきます。
○近藤和義副議長 以上で堤栄三君の質問及び答弁は終わりました。高村清志君。 〔高村議員登壇〕(拍手)
◆高村清志議員 四十三番、無所属の会の高村清志でございます。議場の方もやっと正常化となりました。早速、質問に入らせていただきます。 今、日本はもとより、県内経済は大変な不況にあえいでおります。これは、紛れもなく米国の金融危機に端を発した世界同時不況の影響をまともに受けてのことであります。きょうは、このような現状を踏まえまして、今後の日本はもとより、県経済の持続的発展に向け、産業構造のあるべき方向や、そのもとにおけます取り組み課題などにつきまして順次質問をしていくことといたします。 まず最初に、今回の経済危機の受けとめ等についてでございます。 ご承知のように世界経済は、平成十四年以降、五年間、年率五%と、人類史上かつてない成長を続けてきました。ちなみに、十四年以前の三十年間の世界の経済成長率は年三%程度で推移してきたことを考えますと驚くべき数値でございます。この五年間にわたる高い成長は、日本を初め、世界各国に需要増という光の部分をもたらしてきましたが、その反面で、地球温暖化や資源、エネルギーを初め、食料価格の異常な高騰といった影の部分ももたらしてきました。さらに、その影の部分によって生じた余剰資金が世界を駆けめぐり、結局のところ、金融危機を発生させてしまったのであります。この金融危機によって、世界はたちまち同時不況、大不況へと陥ることとなり、日本も、そして大分県も今、その大きな荒波にのみ込まれ、未曾有の経済危機に直面しているのであります。 私は、今回の金融危機とそれに伴う経済危機は、ただいま述べた影の部分である負のエネルギーがこの五年間の全世界に及ぶ繁栄の中で地球のどこかに蓄積され、それが一瞬にして爆発した、いわば地球から発せられた警戒信号だと受けとめるものであります。 そこでまず、知事に質問いたしますけれども、多くの有識者は、今回の経済危機解消に向けた構造調整の期間をおおむね三年間と見ているようであります。そのことからすれば、今後三年間、私たちは数々の痛みを伴う深刻な不況の苦しみを経験することになりますが、その苦しい構造調整は、地球全体として早過ぎた成長軌道をよりマイルドで持続可能な成長軌道に乗りかえるための、いわば正常化のプロセスと前向きにとらえることもできます。知事は、今回の経済危機をどのように見られ、どのように受けとめられているのでしょうか。まずは、この点をお聞かせください。 以後の質問は対面で行います。 〔高村議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○近藤和義副議長 ただいまの高村清志君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 高村清志議員には、経済危機についてのご高見を交えながらのご質問でございました。まず私の方からお答えをさせていただきます。 世界経済は、確かにここ数年にわたりまして未曾有の高成長を遂げてまいりました。これは、グローバリゼーションが進展し、BRICsなどの振興国が世界経済の表舞台に上がってきたことによるものとして、当然のことと思われていました。しかし、こうして一転、急激な地球規模の経済収縮に直面してみますと、金融工学や高度情報化社会が生み出したバブルという面も少なからずあったものと思われます。投機資金の流入による原油等資源価格や穀物価格の異常な高騰、それにあおられた開発の過熱などがその象徴であったと考えます。 私たちは、今、百年に一度とも言われる急激な世界的景気後退にひとしく直面しております。そこで、バブルを生み出した原因を洗い出して、改善すべき点は改善することにより、世界経済が健全で持続的発展を遂げるための新しい仕組みづくりに国際協調のもとで取り組んでいるところであります。G7やダボス会議などの国際会議の場で、行き過ぎた市場万能主義の是正、地球環境問題と世界的経済発展の調和など新しい経済秩序の構築に向けた話し合いが始められているところでございます。 このような歴史の転換点に臨みまして、私たちは、振り返っていろんなことを学び、大事なことに気づき始めたところでございます。 その一つは、我々の経済活動におけるリスクということであります。よきにつけあしきにつけ、いろんな経済事象がグローバリゼーションの中で広範囲に、情報化の中で大変スピーディーに駆けめぐりまして、我々を巻き込んでしまいます。我々は、常にアンテナを高く、目を凝らして時代の潮流を見きわめながら、悪い方向でこの足の速い経済事象に巻き込まれないようにしなければならないというふうに思っております。 もう一つは、バブルが崩壊した後に残ったものは、真に求められるものをまじめにつくり出すということのとうとさ、確かさということではないかと思います。私たちは、もう一度、この厚みのあるものづくり産業の集積を初めとする、大分がこれまで営々と築き上げてきたものに誇りを持ち、自信を深めてよいのではないかと考えます。 そして、もう一つは、やはり、これまでの経済、異常な発展を遂げてきたその背景にあったいろいろな制約要因、環境の問題、エネルギーの問題、食料の問題、そういった制約要因をやはり我々は思い浮かべながらこれからの経済活動を考えていかなきゃならぬというふうに思っているところでございます。 こうしたことを一つ一つ糧にしながら、激動の時代に対応していきたいと考えているところでございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 それでは、引き続き知事に質問いたします。 ある企業家は、日本経済の今後の展望につきまして以下のように話されております。「日本は、かつて三つの過剰、すなわち、設備、雇用、そして債務を解消し、国際競争力を回復してきていること、また、平成十六年度以降、年率一〇%の経済成長を続ける大市場の中国の存在など、日本は相対的に成長力の高いアジアの中に位置していること、これらのことを考えると、日本は今後において持続可能な二ないし三%の成長が期待できる」としております。 また、同企業家は、「今後の構造調整のための三年間を活用して、企業も日本もみずからの転換とさらなる技術力の向上など筋力アップに積極的に取り組むとともに、個人においては、将来に対し明るい希望を持ってこの難局を乗り越えるという、いわば希望を持ちながら苦しむという態度が必要である」と言っております。 知事は、県政を預かる者といたしまして、この不況を乗り切っていくための自身のスタンスをどのように持ち、そして企業や県民に対してはどのような姿勢や行動を期待しておられるのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 未曾有の経済危機の中で今最も大事なことは、厳しい時代の波にのみ込まれることなく、わきをしっかり固めて現状を耐え抜くとともに、時代が発するサインを見逃すことなく、新しい発展の端緒をつかんで、反転攻勢に必要なエネルギーを蓄えながら乗り切っていくことではないかというふうに考えます。 このため、当初予算では、当面の景気・雇用対策として、中小企業向け制度資金を拡充するほか、学校耐震化、道路整備事業を前倒しして景気を下支えするとともに、雇用の創出や就労支援に思い切った対策を講ずるなど、県民、企業の皆さんがこの急場をしのいでいけるよう施策を盛り込んでいるところであります。 また、将来を見据えた構造改革への取り組みとして、次世代有望分野の企業誘致や電磁力等の研究開発の推進、ITや省エネ設備の導入などを通じた地場企業の体質強化など、新しい時代に即応できる仕組みづくりに挑戦する施策も講じています。 ことしもベンチャー企業を育成する観点から大分県ビジネスプラングランプリを開催しましたけれども、三十九件の応募がありまして、このうち最優秀賞を獲得したのは、工事費を二割削減しながら橋脚の耐震補強が確保できる工法という、今の時代を乗り切るにふさわしいビジネスモデルの提案でありました。 私は、企業や県民の皆さんがこの局面を乗り切り、将来に備える覚悟と底力を持っていると実感しております。「やればできる」の精神で全力を尽くしてこの難局をともに克服していきたいと考えております。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございます。 先ほど来から、知事より示唆に富んだ、そしてまた県民等への力強いメッセージもいただいたところでございます。ありがとうございました。 ところで、日本が将来の持続可能な二ないし三%の成長に確実に移行していくためには、顕在化する世界の構造的な潮流変化に伴う課題に国、県、そして企業や個人がいかに対応するかが大変重要であり、その対応に当たって考えなければならないのが、前提条件としての国のあり方であります。 国のあり方を大胆に分類すれば、金融立国か、資源立国か、そしてものづくり立国かのいずれしかないわけであります。もちろん、日本の生きる道は、どう考えてもものづくり立国でしかないと、このように思います。したがって、このものづくり立国の前提に立って、また、同時に、今回の世界同時不況による大打撃の影響緩和、すなわち産業構造の多様化によるリスク分散といった点からも、日本は、そして大分県は、先進国の経済が停滞するこの三年間を活用して、世界的な食料の高騰と食料難に備えた農林水産業の振興や、政府も提唱している観光の振興、さらには、需要増が期待できる、ただいま知事の方から申されました新エネルギー産業の創出など、将来の持続可能な発展に向け、これらのさらなる振興を組み入れた基盤づくり、基盤強化に一層しっかりと取り組む必要があると考えるものです。 そこで、今後において、そしてまた今後とも重要な位置づけとなりますものづくり産業、農林水産業、観光産業、新エネルギー産業のそれぞれにおける課題や振興策につきまして、以下、順次質問を行うことといたします。 まず、持続的発展の前提でありますものづくり産業の振興についてであります。 県内ものづくり産業をさらに振興させるには、一層の企業誘致の促進が重要となるところであります。本県におきましては、既に平成二十五年三月までを期間とする基本計画を立て、推進体制を強化して取り組んでおりますが、今日の急激な環境変化やここに来ての過去の誘致企業にかかわる問題の発生など、これらを踏まえると企業誘致の先行きに不安を抱くところであります。しかしながら、そうした不安に埋没するようであれば、これまた、大分県の将来展望は開けない、このように思うものであります。 そこで、商工労働部長、現状における誘致状況等も含めまして、今後どのような決意で日々の誘致活動に臨んでいくのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 世界的な景気後退によりまして新規設備投資の凍結、縮小が進んでおりますけれども、本県の企業誘致実績は、昨年度二十七件であったところ、今年度は、今現在十六件でございまして、厳しい環境の中では健闘している方ではないかというふうに思っております。このようなときこそ、いたずらに悲観主義に陥ることなく、企業誘致を進めてまいりたいと思っております。 そのためには、まず第一に、時代の流れに対応した産業分野の誘致が必要と思っております。 新エネルギー、環境、高度技術の研究開発部門など今後成長が見込まれる有望な分野は、経済全体が冷え込む中にあっても投資拡大の動きもあるので、それを決して見逃すことなく、誘致に果敢に取り組んでいきたいと思っております。 第二に、進出済みの企業に対するフォローアップも含めた地道な企業誘致活動であります。 県内の工場や本社を訪問いたしまして、相談に乗ったり、情報交換をすることで信頼関係をより深めていくことが重要だと考えております。このような取り組みが、将来、景気が回復した際に真っ先に大分県のことを検討してくれることにつながっていくと思っております。 きのうも全国紙で報道されましたように、自動車の有名な一次下請企業も、国内の他の拠点を整理しても大分に新しく投資して集約させる、そういった動きも出ております。そういったことを私ども励みに、地道な活動を続けていきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 厳しいときこそ、踏ん張りどころでございます。今後とも他県に負けないようぜひ頑張っていただきたい、このように思います。 ところで、ご承知のとおり、県下の大手ものづくり企業は、こぞって金融危機と景気後退、円高の三重苦に見舞われ、大幅な減産を強いられており、一刻も早い再起に向けた国家レベルの対策が必要となるところであります。しかし、そうはいいながらも、多くの大手ものづくり企業が生産拠点を置く本県としては、県みずからの景気対策はもとより、それぞれの企業と密接に連絡をとりながら必要な支援等も考えなければならないと思います。この点の体制や支援等はどうなっているのか、商工労働部長にお聞きいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 大手ものづくり企業の生産状況は、関係する地場中小企業も多く、本県経済や雇用にとって大変重要でございますので、日ごろの企業訪問等を通じまして状況の把握に努めているところでございます。 また、県と大手ものづくり企業との間の連携を密にするため、臨海工業地帯の企業は大分コンビナート立地企業連絡協議会において、また、半導体関連企業は大分県LSIクラスター形成推進会議において、自動車関連企業は大分県自動車関連企業会において、それぞれの活動の中で景気動向等に関する情報収集や意見交換を行っているところでございます。 昨年秋以降の生産調整は、医療・医薬品関係など一部の企業を除き、県内の多くの大手ものづくり企業にも及び、あわせて出張などの経費削減の徹底にまで及んでいるというふうに伺っております。 こうした状況の把握に引き続き努めるとともに、景気対策による需要の回復にも注視しながら、新年度に設置いたします産業集積推進室を初め、関係課が大手ものづくり企業と緊密に連絡をとり合い、県としてできることがあれば積極的に支援していきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 いずれにいたしましても、大変厳しい環境にいまだ変わりはないわけでございます。いろんな事態等々も今後なきにしもあらずということでございますので、引き続き十分綿密な連絡等をとりながらお願いしたい、このように思います。 ところで、大手はもちろんでありますが、とりわけ体力の脆弱な中小企業におきましては、今回の不況の影響で死活問題となっているところも多く、その支援強化が引き続き強く求められています。また、これら企業が今後とも持続、発展していくためには、技術力のさらなる向上や国際競争力に打ち勝つ革新的経営の推進などが求められます。 そこで、商工労働部長、これら県内のものづくり産業に携わります中小企業の支援策について、どのような問題意識を持ち、対策をとられようとしているのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 厳しい経済情勢の中、地場企業が進出企業と共生発展し、持続的に成長していくためには、経営面や技術面において景気変動に負けない体質強化を図ることが重要だと考えております。 まず、経営面の取り組みといたしましては、市場変化に即応し、競争力を高めるため、経営革新計画の策定支援や新しい商品開発、販路開拓等への助成、県制度融資による金融支援を行っているところであります。 特に、生産工程を初め、業務プロセスのIT化は、導入がおくれている中小企業にとっては大きな効果が期待されますので、新たに設置されます情報政策課におきまして、経営者への啓発やIT経営診断、IT導入に至るまでの一貫したきめ細かな支援を行っていきます。 次に、技術面の取り組みといたしましては、製造現場の効率化や品質向上を図るため、「ものづくりカイゼン塾」や品質管理研修を開催いたしますとともに、さまざまな技術研修や企業ニーズに応じた共同研究を通じまして技術力の向上を図っていきたいと考えております。 さらに、次世代電磁力応用機器や自動車関連産業について産、学、官による技術開発を行うこととしており、今後はビジネスに直結した技術や研究開発に力を入れていきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。ぜひ今後とも必要な対策をお願いしておきたいと思います。 ところで、ご承知のように厚生労働省の調査によりますと、昨年十月からことし三月までの大分県内の失業及び失業見込みの非正規労働者は九州で最多の三千三百八十一人に上るとされており、その方々への生活支援はもとより、再就職等の支援には万全を図らなければなりません。 これらの点について、昨年末以降、県並びに県下各市町村はいろいろと手を差し伸べてきておりますが、これまで取り組んでこられた支援策や再就職等の実績について、また、県は今後どのような支援を行おうとしているのか、その内容と規模などについて商工労働部長にお伺いいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 生活支援といたしましては、離職者居住緊急支援事業に二百五十一人分の申請がございまして、また、公営住宅等は、県、市九団体で百二十八戸が確保され、二月末現在で五十一戸、八十一人の方が入居されておられます。 次に、再就職支援につきましては、職業訓練やジョブカフェでの支援などを通じまして相当数の方が再就職をされております。例えば、福祉・介護分野では、就業説明会や実習を経ました三十一人の方のうち、十四人の方が就職を果たしておられます。さらに、二月から三月にかけて、県立学校の学習環境整備や温泉台帳データの入力などを業務内容とする七十四人の雇用を創出することにしており、既に二月末現在で四十一人の方を雇用しているところでございます。 今後もできる限りの生活支援を行いながら、市町村とともに国の基金事業を活用して約千九百人の雇用創出を図ってまいります。加えて、ジョブカフェでの親身なカウンセリングや訓練科目と規模を拡充した約七百人の職業訓練を行うなど就業支援に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 ただいま、失業に遭った方々の再就職等いろんな手だてによってかなりの人数の方々がその恩恵を受けておる、こういう状況でございます。引き続き全力を挙げて取り組んでいただきたい、このように思っております。 それで、商工労働部長に再質問をしたいと思いますけれども、こうした雇いどめ等となる派遣労働者に対する見解ということでお聞きいたしたいと思いますけれども、私は、この派遣労働というのは、やはり、問題というのは、雇用が安定しない、いつ首を切られるかわからない、これが一番の弱点だろう、このように思っております。企業にとってはその点はメリットだろうと、このように思いますけれども、しかし、企業とて、長い目で見れば、企業に対する忠誠心等々も欠如するわけでございますから、メリットというよりもデメリットの方になるのではないか、このように私は推測をするものでございます。 そういう中で、今現在、この労働者派遣法については、政、労、使がいろんな問題意識を持って必要な法改正をやろう、こういう動きにもありますし、また、別途、救済策、セーフティーネット等も築こうとされておるわけでございます。これはこれでぜひ私は進めなければならない、このように思います。 いずれにいたしましても、正規社員よりも、派遣とか、請負とか、嘱託とか、こういった非正規労働者の方々の方が雇用構造的には多いわけです。この雇用構造というところに私は今後やっぱりメスを入れていく必要があるのではないか、このように思っておりますけれども、商工労働部長はこの点どのような見解を持っておられるのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 雇用構造につきましては、働きたい方々のいろんなニーズがございます。ずっと終身雇用の中で縛られるよりも、働きたいときに働いて、それでいろんなことを、生活をいろんなふうに楽しみながら適時適切に働きたい、そういったニーズも確かにあるわけでございます。そういった方も出てきている中、また、企業の側から見れば、これはもう、私ども、世界的には日本の何分の一、あるいは何十分の一という賃金で働かれる方を抱えている国と国際競争をしているわけでございまして、そういった中、日本が生きていくためには、場合によってはいろんな生産調整というのを柔軟に受けとめなきゃいけない、そういったニーズとそういったことが絡み合って現在の制度ができ上がっているものと思っております。 私は、これが常に完璧だということは決してないと思っておりまして、こういった問題が起きた機会に、また、どの辺のバランス、あるいはセーフティーネットのあり方、そういったことがきちんと議論されて正しい方向に向かっていくのが我々政策担当者のやっていくことではないかと考えております。 一概に、感情的になって、ものづくりに対する派遣は禁止とか、そういったことをやっていきますと、それはそれで日本経済をだめにしてしまうことがあるのではないか、そういった点にも懸念しながら議論を見守っていきたいと考えております。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 いずれにいたしましても、私もやはり、最終的といいますか、バランスというのがやはりそのもとでは大切だろう、このように思っておりますので、そういったバランス感覚を持って県の商工労働行政、よろしくお願いを申し上げたい、このように思っておるところでございます。 ところで、日本の国際的な競争力を支えるものづくりの基盤は、何といいましても人材であり、その育成はものづくり産業の振興にとって極めて重要であります。ましてや、こういう厳しい時期にこそ、将来への投資として人材育成は手を抜くことのできないものであります。 そのような中、私は、昨年の第二回定例県議会一般質問におきまして、県内のものづくり産業、企業への人材育成と人材確保につきまして、学校、行政、企業が一体となって、さらに充実した取り組みを行うよう求めてまいりました。その結果、新年度予算を見ますと、厳しい財政状況にかかわらず、数多くの事業が組み込まれており、高く評価するものであります。 そこで、商工労働部長に、新年度における人材育成事業の特筆すべき点につきまして、考え方を含めてお伺いいたします。 また、あわせて、厳しい企業環境の中ではありますが、それらによって育った人材を可能な限り県内企業へ就職させるための取り組みについてもお聞かせください。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 人材育成におきましては、議員ご指摘のように、小、中、高校生の発達段階に合わせた取り組みを行うことが大切だと考えております。このため、小学校では技能士の方にご協力いただきましたものづくり体験教室、高校では高等学校溶接競技大会を行うなど、学校、行政、企業が連携を深めながら各種施策を進めているところでございます。 新年度は、こうした施策に新たな取り組みを加えながら、一層の充実を図っていくことにしております。例えば、小学生に対しましては、早い段階からものづくりに興味を持てるよう、県内のすぐれたものづくり企業と技術、製品を紹介しました、議員の皆様にもお配りしておりますこの副読本を授業等で活用することとしておるわけでございます。また、科学技術への関心を高めるため、企業、大学、民間団体等から成る連絡会議を設置いたしまして、科学教育に関する指導者研修会や科学実験教室など科学体験イベントの充実を図っていきたいと考えております。 次に、県内就職の促進につきましては、何よりも生徒や先生の方々、そういった方々に県内企業をよく知っていただくということが重要だと考えております。このため、県内就職大作戦推進事業において、高校生や大学生を対象とした合同企業説明会によるマッチング機会の増大、企業と高校との情報交換会等を通じた相互の接点づくりなどに積極的に取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 ありがとうございました。 それでは、教育長、ただいま商工労働部長と同様の質問でありますが、新年度におけますこれら事業の特筆すべき点についてお伺いいたします。
○近藤和義副議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 お答えします。 本県ものづくり産業の振興のためには、小学校から高校までの発達段階に応じたキャリア教育を通じて人材を育成することが重要であると考えております。 このため、来年度は、小中学校産学連携キャリア推進事業によりまして、小学校では、先ほど商工労働部長がお話ししました「おおいたものづくり発見ブック」というものをもとにいたしまして企業等の職場見学を行います。また、中学校では、地域の公共施設や企業での職場体験などを新たに実施をいたします。また、高校では、インターンシップを実施する学校数の拡大、そして、ものづくり技術者等による講演会などを通じまして職業理解やコミュニケーション能力の向上を図ります。 さらに、専門高校におきましては、新たに専門知識の習得に必要な基礎学力の定着を図る共通到達度テストを導入します。また、十九年度から始めております鶴崎工業高校と中津工業高校における地域産業との連携事業を引き続き実施いたします。そして、ものづくりスペシャリストの育成に努めてまいります。 また、県内企業への就職促進を図るために、高校生就職支援事業によりまして、新たにキャリアサポーターを県内の六地区に配置しまして、就職指導の支援や求人開拓等に取り組むこととしております。 以上であります。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 ただいま、商工労働部長、そして教育長の方から答弁をいただきましたけれども、このお二方の答弁を代表して、商工労働部長に再質問したいと思います。それは、高卒就職者の職場定着率の向上に向けた取り組みでございます。 この点につきましても、私、昨年の一般質問でるるお聞きをいたしたところであります。そういう中で、この定着率の向上に向けた有力な取り組みとして、高校生のインターンシップ事業、これをその答弁の中では言われておるわけでございます。そういう中で、今日の企業を取り巻く環境というのは非常に厳しいわけであります。答弁の中では、受け入れ企業の拡大といいますか、拡充に取り組むとかしておりましたけれども、厳しい企業環境の中でこのインターンシップ事業、新年度はどのような展開をしていくのか、縮小するのか、もっと拡大するのか、現状のも含めて、ご答弁いただきたいと思います。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 現在、雇用全体の状況はこのような状況でございますけれども、その結果といたしまして、地場のものづくり企業の中では、こういう苦しいときこそ人材を確保するチャンスではないか、そのように積極的にとらえる企業もたくさんあろうかと思っております。実際に私もいろんな経営者の方とお話しして、そういう話を聞いております。これまでは、ちょっとしたブランドイメージで県外に就職してしまう、そういった人たちが、そちらの方の就職口が厳しゅうございますので、むしろ県内のしっかりした中小企業に目を向けよう、こういった動きも確かにございますので、そういったものをしっかり地場の中小企業もとらえていこう、そういった動きが見られております。そういった動きに合わせまして、私ども、インターンシップもしっかりやっていきたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございます。大変厳しい状況でございますが、よろしくお願いしたい、このように思います。 それでは、ものづくり産業の振興につきましてはこの辺にいたしまして、次は農林水産業の振興についてお伺いしたいと思います。 世界的な人口爆発の到来が予測される中で、将来の食料危機への対応などからいたしまして農林水産業の振興はますます重要となります。私も農家の出身でありますが、農業のイロハにつきましては全くの素人であり、大層なことは言えません。しかし、私たちは、食料危機は、即、人類の生命にかかわる問題であること、石油には代替品があっても食料には代替品はないという当たり前のことを再度認識し、将来への対応を図っていかなければなりません。 そのような中、県議会におきましても、本県農林水産業の振興は極めて大きな重要課題ととらえております。私も所属しております県議会の政策・活性化協議会では、近藤副議長さんを会長に、全会派九名の議員が、この一年、本県の農林水産業の振興策について議論を重ね、その結果、本日の一般質問終了後の本会議におきまして、議員提案によります「おおいたの食と農林水産業振興条例」を上程することといたしております。 条例の概要は、県のみならず、市町村、農林水産事業者及び関係団体、県民が負う責務や役割を定め、県全体で農林水産業を振興しようというものであります。 そこで、農林水産部長、この原案お読みでしょうけれども、今回制定しようとしておりますこの条例をどのように受けとめられているのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答えいたします。 県では、農林水産業が食料の供給にとどまらず、地域経済を支える重要な産業であるとの認識のもと、「農山漁村活性化戦略二〇〇五」に基づき、元気で魅力ある農山漁村、知恵を出し汗をかいてもうかる農林水産業の実現を目指して、その再生、振興に取り組んでいるところです。 今議会に上程される予定の条例案については、県民の安全で安心できる豊かな暮らしの実現に寄与することを目的として、本県の農林水産業及び農山漁村の振興を県民総参加のもと、総合的かつ計画的に推進していくための基本的な理念とその施策の方向性などが示されており、本条例の趣旨は、県の農林水産行政の基本指針と軌を一にするものと考えております。 今後とも、議会のご理解とご協力をいただきながら、農林水産業及び農山漁村の振興を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございます。 認識は全く一緒でございます。ともに農林水産業振興のために頑張っていきたい、このように思います。 ところで、本県農業の現状を見ますと、直近の平成十九年の農業産出額は千三百二十六億円と沖縄を除く九州各県で六位となっておりますが、今年度に県が策定しました農林水産部行動計画「アクションプラン二〇〇八」では、これを平成二十二年には一千四百億円にするとの目標を掲げ、目下の厳しい環境条件のもとで企業等の農業への参入事業など懸命に頑張っておられますことに敬意を表し、その目標実現を大いに期待するものであります。 しかしながら、その反面で、基幹的農業従事者が年々大幅に減っていく中、若者の新規就農者が年間百名前後しかふえていかないのは、農業の活性化、農業の将来にとって大きな問題であります。これは、素人である私に言わせれば、農業に魅力がないから、やりがいがないから、収入が少ないからなどがその理由に挙げられると思います。これらは総じて、「農業はもうからない」の一言に集約されると言えます。その対応策の決め手は担い手の確保であり、若者が夢を持って進んで就農するもうかる農業の推進であろう、このように思います。 そこで、大分県農業の将来がかかっている若者の就農促進について、県としての認識と今後どのような取り組みを行おうとしているのか、農林水産部長にお聞きいたします。
○近藤和義副議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答えいたします。 本県農業の振興のためには担い手の確保育成が重要であることから、持続的かつ安定的な農業経営体として、中核的な役割を担う認定農業者を平成二十二年度までに五千人を目標に育成することとしております。 このため、県では、食の安全、安心に対する消費者の関心の高まりや食料自給率の向上の観点から農業が注目される中、他産業並みの所得が得られるもうかる農業の実現に向け、生産規模の拡大や経営の安定化を支援しているところでございます。 また、青年農業者の資質向上に向けまして、経営者養成研修である「大地を拓く農業講座」の開催や自主研究会などの活動を支援するとともに、若い就農希望者などに対しては就農相談やレベルに応じた各種の技術習得研修を行うなど、年間百二十五人以上の新規就農者の確保を目指してまいります。 さらに、県外からの参入企業である豊後大野市の有限会社「お花屋さんぶんご清川」では、五名の研修生がのれん分けにより本年四月からリース団地での経営を開始することとなっており、また、竹田市に参入した有限会社ワールドファームでは、就農希望者を自社農場で育成後、地域での独立を支援する計画を持っているなど、新たな就農の取り組みも進んできております。 このような取り組みにより、将来の農業、農村を担う新たな担い手として農業後継者や新規就農者が確保できる、このように考えております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございます。 引き続き若者が夢を持って就農ができる事業の展開を強力に進めていただきますよう求めておきたいと思います。 ところで、宮崎県では、県内の大手酒造会社と宮崎大学、同県の養豚農家などが協力し、しょうちゅうかすを飼料とした高品質の豚肉づくりに取り組み、効果を上げているとのことでございます。 ちなみに、豚は、沖縄の在来種アグーとバークシャー種などをかけ合わせたもので、病気が少なく、肉の香りがよいという特徴を有し、それが「南の島豚ブランド」として販売され、大阪のデパートでは何と百グラム七百円を超える破格の値がついたということであります。 本県におきましても、宮崎などと同様に、既にしょうちゅうかすを飼料や肥料、セメント原料として再資源化しており、さらにしょうちゅうかすを発酵させたメタンガスを省エネ等に生かす取り組みが進められています。このことにつきましては、何も言うことはございませんが、ただ、本県に足りないと思うのが、宮崎県のようにその飼料を使った高品質の豚肉づくりなど、もう一歩踏み込んださらなる付加価値を生む取り組みであります。 そこで、このような企業、大学、農家等との連携強化による新製品、新商品の開発について、本県はどのように考えられ、取り組まれているのか、農林水産部長にお聞きいたします。
○近藤和義副議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答えいたします。 産、学、官連携による新商品の開発は、マーケット起点のものづくりを進める本県農林水産業の振興にとって重要な課題であると認識しております。 県としては、これまでに、県内の試験研究機関が酒造メーカーと連携し、県産麦を原料として開発したしょうちゅう「西の星」を初めとする酒類やみそ、しょうゆ、また、食品加工業者と連携して「おおいた冠地どり」の商品化などにも取り組んできたところです。 また、昨年一月には、「おおいた食料産業クラスター協議会」が成立され、大学教授や加工、流通の専門家をコーディネーターとして、新商品の開発に向けまして、企業と産地とのマッチング、市場調査と新技術による商品化推進、販路拡大のための流通関係者との調整などに、食品加工企業や生産者、大手流通業者、地元大学を含む研究機関などと一体となって取り組んでおります。 その結果、本年度は、県産水煮加工野菜やトマトアイスジェラートなど七商品が開発され、今月、幕張メッセで開催された「フーデックスジャパン二〇〇九」でバイヤーから高い評価を得たところです。 このうち、特に水煮加工野菜の原料となる里芋はことしじゅうに新たに十ヘクタール規模の産地ができる見込みでございまして、新商品の開発により県産農産物の産地拡大にもつながっているということでございます。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 期待しておりますので、今後ともたくさんの商品開発等々取り組んでいただきたい、このように思います。 今後重要となります農林水産業の振興につきましてはこの程度にとどめまして、次は観光振興の基本的な考え方等について質問をしてまいりたいと思います。 日銀の短観によりますと、業況判断指数が昨年九月、同十二月と二期続けて小幅ながら改善した地域がございます。それは沖縄県であり、その理由は、一つに、製造業や輸出企業が少ないことから、結果的に世界的な経済変調の影響を軽微にとどめていること、二つに、沖縄県経済の主力である観光が健闘していることにあるとされております。このことからも言えますが、経済不況の中にあって、とりわけ観光産業は、今後、地域経済の活性化策として期待される分野であります。 国におきましても、観光産業が二十一世紀のリーディング産業になり得るとの認識のもと、さらなる観光立国実現に向けた推進体制を強化するため、昨年十月に観光庁を設立し、観光交流人口拡大による日本の再生を目指しております。 本県におきましては、温泉を初め、観光資源に恵まれ、地域資源を磨くツーリズムにも先進的に取り組んでおりますが、現下の厳しい経済情勢の中で我が大分県が旅先として選ばれ、訪問してもらうためには、より戦略的な取り組みが必要、このように考えるものであります。 そのような中、国の観光立国基本計画では、日本人の国内観光旅行による一人当たりの宿泊日数、平成十九年度は二・四二泊でございますが、これを平成二十二年度までに年間四泊とする目標が示されております。それとの比較で本県における平成十八年度の平均宿泊日数を見ますと一・四六泊と九州低位にあり、いかにして連泊してもらうかが課題となっております。 そこで、企画振興部長、県内での連泊日数をふやすためには、ある程度、距離のある県北と県南、あるいは久大地域を組み合わせるといった観光形態も考えられるわけでありますが、こうした視点での観光推進の取り組みについてお伺いいたします。
○近藤和義副議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 国内の宿泊観光客が減少傾向にある中で、二泊以上の滞在型観光客をふやしていくことが大変重要だと考えております。そのためには、地域資源に磨きをかけ、魅力ある地域をつくり、広域での周遊を促進して、滞在時間を延ばす取り組みが求められるところであります。 昨年十月に国の認定を受けました新東九州観光圏と阿蘇くじゅう観光圏では、別府、湯布院、大分や長湯等に泊まった観光客の滞在時間を延ばす取り組みの一つといたしまして、例えば、歴史を残す町並みの新たな散策コースを観光ボランティアガイドとともに訪ね歩くツアー、あるいは、通常経験できない座禅や写経と精進料理を組み合わせた体験プログラム、さらには、雄大な自然を生かした健康やウオーキング、トレッキングといったものをテーマとしたプログラムなど、各地の関係者が一体となりまして、地域資源の魅力を生かした新しいメニューづくりに取り組んでいるところでございます。 今後は、さらに、国東半島から宇佐、中津に至るエリア、日田、玖珠、九重エリアにおきましても観光圏形成のための協議会を立ち上げて、それぞれ特色のある観光圏の連携を図って、広域滞在型の観光推進を目指してまいりたいと考えております。 以上です。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 ところで、この一月末に私は、熊本市内で開催されました九州横断長崎・熊本・大分観光振興議員連盟の設立総会に参加してまいりました。開催地の熊本県からは、宿泊・観光関係業者に加えまして、マーケティングや企画、広告代理店など幅広い分野から多数の関係者が参加するなど、九州新幹線の全線開通を控えていることもあろうかと思いますが、官民が一丸となって観光に取り組もうという熱気に圧倒されたところであります。 そこで、企画振興部長、本県ではツーリズムおおいたを核に民主導による観光振興を図る方向性を打ち出しておりますが、ツーリズムおおいたを支える民間分野の協力体制はどのようになっているのか、また、ツーリズムおおいたを今後どのようにサポートし、官民の協力体制を築こうとしているのか、お伺いいたします。
○近藤和義副議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 ツーリズムおおいたは、地域観光協会や観光関係者のみならず、幅広く地域づくり団体や商工業者などの参画を求めまして、現在、会員数二百五十五名を数えております。また、他県では専務理事や事務局長に県職員OBが就任している例が多い中で、ツーリズムおおいたの事務局長には大手旅行会社の職員に就任していただいているなど、民間主導の組織となっております。 そこでは、広域観光や国際観光、教育旅行など各分野ごとにそれぞれに精通した民間の方々による委員会が組織されまして、具体的な戦略、事業について常に熱心な議論が行われております。その結果、各地域を周遊するミニツアーの開発や丼街道など特色ある食のPR、JR九州とのタイアップや福岡での商談会といった効果的な事業が推進されているところであります。 また、昨年には、本県から地域観光協会や市町村など合わせて約二百名が福岡の天神に赴きまして観光物産PRや商談会を行ったほか、国体に向けましては、県内各地域の観光関係者やボランティアガイド等が一体となっておもてなし研修や大会を開催し、国体をおもてなしで盛り上げるといった取り組みもいたしております。 ツーリズムおおいたを中心とした官民の協力体制は年々充実してきているものと考えております。 以上です。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 ありがとうございました。 時間も限られております。 ところで、旅先に大分を選んでもらう、あるいは、県外において大分の産品を買ってもらうためには本県の知名度を上げることも大変重要であります。そのためには、知事のトップセールスはもちろん、情報・広報戦略も重要と考えます。 そこで、大分県をアピールします戦略につきまして、引き続き部長にお聞きいたします。
○近藤和義副議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 アンケート調査によりますと、旅行計画を立てる際の情報収集源といたしましては、まず第一に旅行雑誌の割合が最も高く、続いて口コミ、ホームページという順番になっております。 このため、県とツーリズムおおいたでは、旅行雑誌社とタイアップして観光の特集記事の掲載に取り組んでおりますけれども、これは、雑誌への記事掲載のみならず、その記事が旅行雑誌のホームページでも紹介されるということですから、効率的、効果的な情報発信になると考えております。 口コミ対策といたしましては、福岡の女性を集客のターゲットに、昨年、「旅くらぶおおいた」というのをスタートさせまして、旅情報の交換や交流会、メールマガジンの配信等を行っております。 また、ツーリズムおおいたのホームページへのアクセス件数は、今年度については年間百万件に迫る勢いとなっておりまして、この中では知事の観光PRを動画で掲載もしておりますが、来年度はさらに内容や更新頻度を充実させまして、しゅんの情報をタイムリーに発信できるようにしたいと考えております。 さらには、昨年十月から本年三月までのJR九州の大分キャンペーンやそれに連動したJR西日本の関西における大分PRのように、交通事業者や旅行会社等との一体的なPRも効果的と考えておりますので、このようなことも取り組んでみたいと考えています。 以上です。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございました。 ぜひ大々的な広報等の戦略によって大分県を売り出していただきたい、このように思います。 そこで再質問したいと思いますが、このように大分県を全国にアピールしていく上では、それらの取り組みに加えまして、例えば、観光キャッチフレーズ、観光キャッチコピー、こういったものも非常に大切ではないか、このように思うわけでございます。 一例を申し上げますと、熊本県の「どこさ 肥後さ 熊本さ」とか、鹿児島県の「いっきに南へ ぐるっと鹿児島」とか、和歌山県の「わっが山ほど 和歌山県」というように、一言でその県がわかるようなキャッチフレーズやキャッチコピー、これを大分県も考え、売り出していったらどうかな、このように思います。 そこで、急に広瀬知事に振りますが、宮崎県の東国原知事に負けない何かいい情報発信がありましたら、お伺いします。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 大分県は、本当に山、里、海、大変に自然にも恵まれ、また、おいしいものもたくさんありまして、大変多彩でございますので、一つのキャッチフレーズではなかなかあらわせないんじゃないか、こう思うんですが、それでは答弁になりませんので、大分の名前の由来、大変田んぼが多いという意味だと聞いておりますけれども、例えば、「大分 多いぞ温泉 大分 多いぞうまいもの」というようなのはどうかなと。お粗末でございました。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうもありがとうございます。 さすが、今、東国原知事に負けないユニークなキャッチコピー、キャッチフレーズをいただきました。ぜひいろんなところでそういったものを発信していただいて、みんなが共有して、これぞやはり大分と言えるような雰囲気づくりを我々議会も、そして執行部の皆さん方も一緒になってつくり上げていったらどうか、このように思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 それでは、次に、今後の産業分野といたしまして注目されています新エネルギー産業の創出についてお伺いしたいと思います。 地球温暖化の進行や資源、エネルギーの高騰などが懸念される中で、省エネルギーや新エネルギーの利用拡大は避けて通れませんし、自然の流れと言っても過言ではありません。このような中、ここに来まして、その流れを世界へと勢いづけているのがバラク・オバマアメリカ新大統領が提唱しますグリーン・ニューディール政策であり、また、同時に、我が国における「緑の経済と社会の変革」をキャッチフレーズとする日本版グリーン・ニューディール構想であります。 とりわけ、我が国の同構想では、太陽光発電などの新エネルギーの普及促進により、現在の環境ビジネスの市場規模約七十兆円、そして雇用者数約百四十万人を、近い将来、飛躍的に拡大し、世界の先頭を行く環境・省エネ国家として、世界で最初に今次不況から脱出するとしております。さらに、平成二十七年までにその規模を百兆円、二百二十万人へと拡大することを目指していくとしております。 このように、今後においては、省エネルギーの一層の推進や新エネルギーの開発とその利用拡大は、新たな環境ビジネスとして、世界的にも、そして我が国としても需要増が期待できる分野であります。本県としても、将来にわたる経済の持続的発展並びに安定した雇用の確保といった視点はもとより、地球温暖化防止、とりわけ低炭素社会づくりへの先進県を目指すという見地に立って、国の政策におくれることなく、直ちに大分県版グリーン・ニューディール構想の策定に取り組み、新エネルギー産業を創出すべきと考えますが、商工労働部長、どのような見解をお持ちでしょうか、お伺いします。
○近藤和義副議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 県内には、地熱、風力、バイオマスによる発電など新たなエネルギー産業の集積が着々と進んでおりますので、県といたしましては、これらをさらに促進するため、産、学、官で構成する新エネルギー産業化研究会において共通の課題解決に取り組んでいるところでございます。 これまで燃料電池の周辺機器やバイオエタノールの研究開発を支援しておりまして、新年度からは太陽光発電についてのワーキンググループを設け、関連企業を巻き込みながら本格的に取り組んでいきたいと考えております。 また、次世代電磁力応用プロジェクトでは、今や生活や産業などあらゆる場面で使われているモーターの高効率化の研究開発を行っておりまして、電気自動車などの省エネルギー化や風力発電機の飛躍的な発電能力の向上等、新エネルギー分野にも資するものであります。この研究成果の地場産業への技術移転などにより、新たな関連産業が創出されるものと期待しております。 今後ともこうした取り組みによりまして地球温暖化防止につながる新たなエネルギー産業の創出に努めるとともに、関係部局とも十分連携を図りながら低炭素社会づくりの実現に努めてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 ありがとうございます。 いずれにいたしましても、これからのテーマというのはやっぱり環境にもなります。ぜひ先進県大分として取り組みを一層進めていただきたい、このように思います。 最後になりますが、いずれにいたしましても私は、目下大変な苦境にあえいでおります大分県経済を将来にわたり持続、発展していくためには、これまでの質疑を通し、ものづくり産業を前提として、農林水産業、観光の振興、さらには需要増が期待できる新エネルギー産業の創出など、これらのさらなる振興策を組み入れた基盤強化が重要になってくると強く認識したところであります。 つきましては、広瀬知事におかれましては、この点をいかに考え、将来にわたる県経済の活性化に向けたかじ取りをなされようとしておられるのか、お伺いします。
○近藤和義副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 本日は、高村議員には、大変厳しい経済環境の中ではございますけれども、ものづくり産業、農林水産業、観光、そして新エネルギーと、我々がこれから取り組むべき経済活性化のための諸課題について、大変示唆に富むご質問をいただきました。私の方からお答えをさせていただきます。 今回の経済危機を通しまして改めて感じますことは、時代の潮流を見誤ることなく、先を見据えて対応することの重要性でございます。 グローバル化や高度に進んだ情報化、あるいは全世界的な環境志向、あるいはまた人口減少社会の到来など、時代のベクトルを踏まえて対応することが必要だというふうに思います。 ものづくり産業の方では、少子・高齢化、人口減少により内需拡大にも制約がある中、やはり世界を相手にできる産業集積の高度化、重層化が必要だと思います。そのためにも、オンリーワン技術の開発だとか、あるいはIT、省エネルギーによる経営の効率化を目指さなければならないというふうに思います。今後成長が見込まれる、議員ご指摘の新エネルギーや環境産業も大事だと思います。 農林水産業にあっては、安全、安心はもとより、国際的な食料需給の逼迫による自給率向上が求められ、さらには環境にも貢献できる産業という認識のもとに構造改革を進めて、もうかる農林水産業を実現していくことが大事だと思います。 観光にも力を入れて、すそ野の広い総合産業としての波及効果に期待したいと思います。有利な立地条件を活用して、グローバルな人の動きを取り込むということにも努力したいと思います。 ご指摘のありました省エネルギー、あるいは新エネルギー技術を産業化していくということでございますけれども、これも大変大事なことでございまして、エネルギーを供給するサイドの方から、バイオエネルギーの供給だとか、あるいは風力発電だとか、あるいは太陽光発電といったあらゆる新しいエネルギーの開発を進めていかなければならない。そしてまた、エネルギーを使う方の立場でも、次世代のコークス炉を開発したり、あるいはまた、ハイブリットカーをさらに効率化したりというようなことで、いろいろ省エネルギー、もう省エネルギーと言うより、新エネルギーと言ってもいいかもしれませんが、そういう工夫をしていかなければならないというふうに思います。 かつて我が国では、公害問題が吹き荒れた後に、世界に冠たる環境技術が生まれました。エネルギー危機に見舞われた後には、エネルギー効率の高い産業構造への脱皮に成功しました。 経済の制約要因は、逆に言いますと新しい発展要因をつくり出す、そんな気持ちで厳しい状況を前向きに乗り切っていきたいと考えているところでございます。
○近藤和義副議長 高村清志君。
◆高村清志議員 どうも大変ありがとうございました。 いずれにいたしましても、今回、百年に一回の危機ということであれば、我々は、この先、百年という展望に立って、日本、そして大分県の将来を築いていく必要がある、このように考えております。執行部の皆さん、ともに頑張りましょう。ありがとうございました。(拍手)
○近藤和義副議長 以上で高村清志君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後零時五十二分 休憩
------------------------------- 午後一時三十六分 再開
○阿部英仁議長 休憩前に引き続き会議を開きます。大友一夫君。 〔大友議員登壇〕(拍手)
◆大友一夫議員 十五番、自由民主党の大友一夫でございます。 平成二十一年第一回定例会におきまして一般質問の機会をいただきましたので、県政の諸課題について、分割質問方式で質問をさせていただきます。 私、今まで一般質問をした中で、ほとんど傍聴に来ていただいていたわけでございますけれども、十四日の日は党の大会もあるというようなことで、今回は傍聴を断ったわけでございまして、ギャラリーがいないとなかなか張り合いが出ないなと思ってたら、きょうは時間がずれまして、後ろに小野先生の傍聴者がたくさんおられます。地区は違いますが、成りかわりまして、きょうは本当にお疲れさまでございます。 それでは、早速、質問に入らせていただきます。 まず最初に、
中期行財政運営ビジョンについてお聞きをいたします。 この問題については、我が党の代表質問を初め、多くの議員から質問が行われました。今定例会冒頭の提案理由の説明やこれまでの答弁を通じ、ビジョンに対する知事の思いは十分に理解をしたつもりであります。このビジョンが真に県民の求める県政に近づくための礎となり、知事の目指す「安心」「活力」「発展」の大分県の実現につながればと願うものでありますが、私も気になる点が数点ございますので、お伺いをいたします。 まず、「プラン二〇〇五」のさらなる推進についてであります。 今回のビジョン成案では、
子育て満足度日本一を目指す上での具体的な施策として、子育て世代を社会全体で応援する仕組みや夫婦がともに育児の役割を果たせるような働き方の実現が掲げられました。 核家族化が進む中で子育てに不安を抱く若い夫婦は多く、また、経済的な負担も大変です。これまでの県によるさまざまな取り組みにより合計特殊出生率も二年連続で回復するなどの結果も出ており、今まさにこの流れを確実なものとするためにも、子育て世代を社会全体で応援する仕組みの構築が求められています。 知事は、この大分県にどういう仕組みを築こうとしているのか、具体像をお示し願い、また、それに向けた具体的な取り組みをお聞かせください。 また、子育て支援制度の一つであります
乳幼児医療費助成については「入院の助成対象年齢を拡大します」と明記をされましたが、いつから、どのような内容で実施するのか、また、前回の対象拡大時には自己負担が導入されましたが、今回は、その拡大や所得制限の導入などをどのように考えているのか、現時点でのお考えをお聞かせください。 次に、新たな施設の設置等についてであります。 今回の成案では、素案段階で検討するとされていた項目が、「県立美術館の基本構想の策定に着手」、また、「子供の自然科学や技術に対する興味、関心を高めるため、その拠点施設についても調査、検討」と具体性を持って表現をされています。 新たな施設の建設は、将来世代の負担の増加や維持管理コストの新たな負担を伴います。私は、施設の建設そのものを否定しているものではありません。真に必要な施設の整備は当然あってしかるべきと思っています。しかし、その判断は慎重であるべきで、その施設が真に必要かを県民がどのように考えているか、その意向を十分に、例えば、パブコメだけではなく、アンケート調査などで確認することも必要と考えます。 最後は、知事の決断であり、予算を通しての議会の決定ではありますが、県は、今後、これらの施設の検討に当たり、県民意見の把握も含め、どのように進めていくのか、考え方をお聞かせください。 続いて、行財政改革についてであります。 その一つ目は、歳入の確保に向けた新たな取り組みです。 今回示された歳入確保には、基金の活用など新たな方策も盛り込まれています。しかし、余り新鮮味が感じられません。私は、他県で行われている取り組みをもっと積極的に取り入れてもいいのではないかと考えます。 例えば、税源移譲に伴い住民税の徴収率が低下する中で、市町村と共同して徴収組織を立ち上げる県がふえてきています。また、特定の受益者のために行っていた許可等の事務に対する手数料を新たに設定する動きもあります。そのほかにもたくさんあると思いますが、このような取り組みの導入の是非を検討することについて、ビジョンの項目の一つに盛り込むべきと考えますが、見解をお聞かせください。 二つ目は、今回のビジョンとは直接関係ありませんが、ふるさと納税についてであります。 昨年から導入されたふるさと納税について、私は昨年の第二回定例会でも質問をいたしましたが、現状を踏まえて再度お聞きいたします。 まず、今年度の収入見込みです。 予算で見ると、今回の補正で追加された額を加え、二百二十万円ほどとなっています。前回の質問で私が「目標を立てて取り組んだらどうか」と伺ったのに対し、企画振興部長は、「目標額を定めて、その金額を集めることを目指すという方法については、今回の取り組みの趣旨に必ずしもそぐわない」と答弁されましたが、二百二十万円は余りにも少なく、制度の効果があらわれていないとしか言いようがありません。県出身者等への積極的な応援の呼びかけが功を奏さなかったのでしょうか。他県と比べ、また、県内市町村と比べ、どのような状況にあるのか。 また、昨年から導入された制度であり、今後のさらなる取り組みが期待されますが、大事なことは、寄せられた寄附をどのように使うかです。二十一年度の予算ではどのような事業に充てているのか、今後の活用方針とあわせてお聞かせください。 次に、港湾施設の使用料についてお聞きいたします。 まず、中津港の附属地使用料につきましては、減免の割合は見直されましたが、今後三年間継続するという条例の改正案が今定例会に提案されたところであります。地元中津市を初め、多くの関係者から、地域の発展のために引き続き頑張れると喜ばれているところであり、知事初め、執行部の誠意ある対応に対しまして厚くお礼を申し上げます。 他方で、今回のビジョン成案において、港湾施設の使用料に関して、特別会計等の見直しの一環として、「特別会計の早期の収支均衡を図るため、港湾施設使用料の段階的な見直しを行う」と記載されています。私は、この表現にちょっと違和感を感じています。収支が合わないから値上げをするということですが、そもそもの単価の設定は何だったのか、利用者の置かれている状況などを考えてのことなのかという疑問が浮かぶのであります。 この問題について我が党では港湾対策部会を設けて検討を行っていますが、県内の景気状況を考えるとき、産業の活性化は喫緊の課題であり、むしろ値下げが必要なのではないか、県が取り組むべき施策とやろうとしていることの方向が違っているのではないかと思えるのであります。 県下全体の港湾競争力の強化、利用促進という課題と港湾施設の使用料の見直しの関係をどのように考えているのか、お伺いいたします。 〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○阿部英仁議長 ただいまの大友一夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 ただいまは大友議員におかれましては、手なれた分割方式でご質問を賜りました。私の方からまずお答えを申し上げます。 初めに、子育て支援についてのご質問でございました。 核家族化などによりまして子育て家庭の孤立化が進行する中、若い世代が安心して子供を産み育てていくためには、行政による多様できめ細かな支援サービスの提供に加えまして、NPOや企業、地域住民など多様な主体が支援に加わり、子育て家庭と地域とのつながりを築き、深めることが大切であると考えております。 県ではこれまで、働き方の多様化に応じた保育サービスの提供や子育て親子が気軽に交流や相談ができる「つどいの広場」などさまざまな子育て支援サービスの充実に努めてきたところでございます。 また、NPOやボランティアによる親子のきずなを深める催しやワークショップの実施、企業による子育て家庭への料金割引や外出しやすい環境づくりなど、多様な主体との協働により地域における子育て支援の充実を図ってきたところでございます。 さらに、来年度は新たに、商業スペースでの託児体験や育児相談にNPOや企業と協働して取り組む「子育て親子のサポート広場」を各地域で実施し、母親の育児不安や孤立感の軽減に取り組むこととしております。 ところで、せっかくさまざまな子育て支援のメニューがありながら、これを必要とする子育て世代に知られていない、あるいは利用されていないのではないかという心配も耳にいたします。 したがいまして、地域子育て支援拠点におきまして相談、情報提供に取り組むのみならず、必要に応じて子育て家庭に出向いて相談を受けたり、支援サービスをPRすることも大切なことだと考えます。 このような取り組みを進めていきますと、子育て家庭に県や地域が応援しているということを実感していただけるのではないかと考えます。それがひいては
子育て満足度日本一につながる道だと思います。 次に、
乳幼児医療費助成につきましては、逐次、制度の拡充を行ってまいりました。 今回さらに、
子育て満足度日本一の一環といたしまして、入院医療費の助成対象年齢を拡大することといたしまして、
中期行財政運営ビジョンに盛り込んだところでございます。 一部自己負担につきましては、平成十八年からの対象年齢の拡大に当たりまして、安定的で持続可能な制度として運営していくために導入したものでございますが、今後とも必要であると考えております。 また、これまで全国トップレベルの制度として続けてまいりました現物給付、所得制限なしという現行の枠組みは今後とも堅持したいと考えております。 いずれにしましても、入院医療費の助成対象年齢の拡大に当たりましては、県や実施主体である市町村の財政状況を十分に考慮する必要があります。このため、拡大の範囲や実施時期につきましては、今後、県民ニーズ、全国状況等を検証の上、市町村とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。 次に、新たな施設の設置についても大変ご示唆に富むご指摘をいただきました。 私たちが目指すのは、県民中心の県政であります。施設整備に限らず、政策を決定する際には、まず、県民が望むものは何であろうか、県民の視点からその政策の優先度は高いだろうかといった点を十分に吟味した上で、コストに見合う効果はあるのかといった点についても慎重な検討をしなければならないと思います。 特に大規模施設につきましては、十五年度に行財政改革プランを策定せざるを得なくなった要素の一つでございます。プランでは、苦渋の決断の末、施設そのものの廃止を初め、維持管理費の大幅削減、新規整備の凍結を掲げまして、実行してきたところでございます。 こうした経緯もあることから、新たな施設の設置につきましては、ご指摘のとおり、よくよく検討の上、慎重に進めていきたいと考えております。 まずは、県民の皆さんに的確にご判断いただくために、施設の必要性や整備手法、投資規模と維持管理費など基本となるさまざまな課題を整理した上で、関係者を初め、県民の皆さんの意向を幅広くお聞きして、議論を尽くしてまいりたいと考えております。 今後とも厳しい財政状況が予想される中でございますが、まずは、しっかり行財政改革の取り組みを進めて、今定例会に条例改正をお願いしております文化・スポーツ施設等整備基金に財源を蓄えつつ、未来の子供たちの笑顔を楽しみにしながら取り組んでまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。
○阿部英仁議長 二日市総務部長。
◎二日市具正総務部長 お尋ねの歳入の確保についてお答え申し上げます。 まず、県税収入の確保につきましては、本県では、個人県民税の徴収強化対策として、徴収組織の設置よりも効果的な取り組みである職員の派遣による市町村との連携を進めており、現在、四市において行っている職員派遣を、二十一年度は九市町に拡大をいたしたいと思っています。 また、使用料及び手数料につきましては、貴重な自主財源でもございまして、受益者負担の観点、あるいは国の動向、九州各県との均衡も考慮しながら、引き続き適正な見直しを進めてまいります。 このほか、歳入の確保につきましては、未利用県有地の売却、貸し付け、あるいはネーミングライツの導入拡大、さらには空きスペースへの広告掲載、県所蔵美術品の貸し出し等、県有財産の一層の有効利活用を図ることとあわせまして、市町村振興資金の新規貸し付け規模の見直しなど、できる限りの手だて、工夫を重ねているところでございます。 このように歳入確保に向けましては、ビジョンで具体的に掲げた項目以外につきましても、状況の変化を見きわめながら、絶えず取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 ふるさと納税についてお答えいたします。 ふるさとおおいた応援寄附金の一月末時点での件数、金額は、四十八件、二百二十万五千円となっており、他県との比較では、件数で二十八番目、金額で三十五番目となっております。また、同じ時点での県内市町村の状況は、合計で二百三十一件、二千七百四十六万七千円、県、市町村合わせますと全体で寄附額は約三千万円となっております。これは、決して少ない金額ではないと考えております。 また、平成二十一年度予算では、寄附金の目的を踏まえまして、小規模集落対策や自然公園内の施設補修などに充てることとしております。 今後の活用につきましては、寄附金の使われ先がはっきりした方が寄附しやすいという声があることを踏まえまして、県側で具体的なメニューをお示しして、寄附される方に選択していただけるようにしたいというふうに考えております。 また、その中では
中期行財政運営ビジョンに掲げられた夢の部分をうまく盛り込んで、ビジョンの実現を県外の皆さんにも応援してもらうという形にしたいと考えております。 以上です。
○阿部英仁議長
山路土木建築部長。
◎
山路茂樹土木建築部長 私からは、港湾施設使用料についてお答えいたします。 港湾施設整備事業特別会計は、本来、施設の使用料収入をもって支出を賄うべきとされておりまして、二十一年度当初予算では一般会計から約三億四千万円の繰出金を計上していることからも、早期の収支均衡を図る必要があると考えております。 他方、競争力強化や施設の利用促進を図るという観点からは、九州他港との均衡を加味しながら使用料の単価設定を行っております。 さらに、使用料の一部につきましては場所や期間を限って減免措置を行っておりますが、収支均衡の観点から、これまでも定期的に見直しを行ってきております。 今回、
中期行財政運営ビジョンにおきましても、この減免措置を行っているものを対象に、必要性や減免効果などを再検証し、現下の景気動向、荷動きなどにも十分配慮しながら、段階的に見直しを行っていくものでございます。 以上でございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 新たな施設の設置についてでございますけれども、先ほど知事のご答弁の中に文化・スポーツ施設等整備基金に財源を蓄えつつ取り組んでいきたいというふうに答弁がございましたが、大変、財政も厳しい中でございまして、どのように蓄えていくんでしょうか、また、どの程度の蓄えを考えているんでしょうか、具体的な考えがあればお聞かせください。
○阿部英仁議長 二日市総務部長。
◎二日市具正総務部長 まず、基金への蓄え方、それと、さらには目標はどうかというふうなお尋ねだったと思います。 基金につきましては、これまでも、国体につきまして、非常に経費が、当該年度、二十年度は七十億かかるというようなこともございまして、その半分程度はためたいということで、実際、前倒し、前倒しで、収支の状況を見ながら、あるいはまた、やりくりをして、節減を図りながら蓄えてきたところでございます。 それで、実際に、当該年度、運営経費七十億かかるところを、その半分程度の基金をためたところでございます。 そのように、今回はなかなか厳しい財政状況ではございますけれども、実際出た収支を、それの一定割合を、例えば減債、財調に積むようにいたしておりますけれども、その残りの分について、一定程度を収支幅の中でできる限り積んでいきたい。 ただ、目標をどれぐらいにするかにつきましては、なかなかこういう財政状況のもとですので、できる限り積んでいきたいというふうに思っております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 私ども、たまたまきのう議員の中で五十六分勉強会がございまして、芸術短大の学長に講演をしていただきまして、その中でいろいろ美術館についての話も出たわけでございますけれども、その中で、常にリピートがふえていかないとなかなか運営が難しいとか、次にリニューアルするまでにはすべてがペイでいかんとだめなんだとか、いろんな話を聞いたわけでございまして、この美術館建設は、もう当分、ここの県の方でも箱物はやってないわけでございまして、ぜひとも私どもは実現させていただきたいと思うわけでございますけれども、そういういろんな意見を聞いた上で、ぜひとも取り組んでいただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。 それから、港湾施設の使用料でございますけれども、県では、大変、企業誘致、頑張ってこられたわけでございまして、なかなか厳しい中で、企業誘致が今までのようにうまくいくというふうには思えないわけでございますけれども、先ほど高村議員の質問の中で、今後も一層の誘致に取り組んでいくというふうに言われましたが、今現在、進出をしている企業、あるいはまた、これから進出しようとしている企業等がこういう港湾とか港をどしどし使っていただくこと、要するに利用の促進というのが何よりも先ではないかというふうに思います。利用促進が進んで初めて収入がふえ、今度はむしろ単価が下げられるんじゃないかというふうにも思うわけでございますけれども、この点につきましては、私どもも港湾対策協議会というのもつくっておりまして、今後、あわせて議論をしていきたいというふうに思っています。 次に、活力ある商店街づくりについて伺います。 県下の商店街は大小合わせると八十ほどあるそうでございますが、かつて県下の商店街は地域住民の買い物の場としてだけではなく、憩いの場として、また、にぎわいの場としてさまざまな地域文化を育ててきました。 その後、高度経済成長期において大型店、郊外店等の店舗進出が進み、消費者ニーズの変化とも相まって客足は遠のきました。県下の商店街では駐車場やカラー歩道の整備など買い物環境の改善に努めてまいりましたが、状況は改善せず、近年では、高齢化、過疎化の進行により地域購買力は低下し、多くの商店街が本来の機能を失い、疲弊しつつあります。 確かに、我々が買い物をする場合でも、地域の商店に行くよりは、多くの場合、郊外のショッピングセンターや総合雑貨店に行きます。これは、駐車場などの便利さに加え、品物も多く、一カ所ですべての用事を済ませられるといった利点があるためです。このような行動が商店街の疲弊を招いている一因であることはご案内のとおりでございます。 商店街の振興は大変重要な課題であり、これまでも議会において随分議論をされてきました。若い世代を初め、多くの人たちは、商店街の疲弊を冷めた目で見る向きもあります。抜本的な解決策を見出すことは困難な状況ではありますが、私は、これからの高齢化社会の中で我々がそれぞれの地域で安心して暮らしていくためにも、商店街の持つ商業機能をしっかり守っていくことが大変重要だと考えています。 国においては、現在、中心市街地活性化にあわせ、商店街の振興を図るため、基本計画の策定を推進しており、県下でも豊後高田市、大分市、また、別府市が認定され、それぞれの商店街ではさまざまな新たな活動が始まっています。少しずつではありますが、再生の息吹が感じられるところであります。 県といたしましても円滑な事業推進を支援していると伺っており、さらなる活動促進を図っていただきたいと思います。 県下の商店街を取り巻く状況がますます厳しさを増していく中で、歯を食いしばって頑張っている商店主も数多くいます。私は、彼らの熱意を生かした活力ある商店街づくりがこれからの商店街対策として大変重要と考えますが、県はどのような商店街対策を講じようとしているのか、お聞きいたします。 また、シャッター通りとなってしまった商店街の空き店舗の活用に何か工夫はできないかと考えています。例えば、農産物の販売など地域の婦人グループの活動と連携した出店などができれば、より効果的な空き店舗対策になると考えますが、あわせて見解をお聞かせください。
○阿部英仁議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 今後の高齢化社会の中で商店街は地域コミュニティーの主要な担い手として期待されておりまして、元気な商店街づくりはますます重要な課題となっております。 このような中で、昨年度、県下の商店街を対象に実施したアンケートでは、約三割の商店街が「何かに取り組みたい」と意欲を見せているところでございました。 そこで、本年度から地域の特徴を生かした新たな活動を起こし、元気な商店街をつくっていくため、県下の商店街にうちの職員が赴きまして、専門家も交えて関係者と協議を重ねてきたところでございます。 これまで、玖珠町森駅通り商店街や大分市鶴崎商店街など七地域で新たな取り組みが検討されております。引き続きこのような活動を支援するとともに、地域の意欲的な商業者と協働して、一つでも多くの元気で活力ある商店街づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えております。 また、空き店舗対策につきましては、来年度から商店街へのチャレンジショップの出店を支援することとしております。地域の婦人グループの出店等につきましても、商店街の魅力づくりには大変有意義であると考えておりますので、実現に努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 商店街は、何かしたいけれども、実際、何をしていいかわからないというのが現状ではなかろうかというふうに思っております。 先ほどの答弁の中で、商店街に職員を出向いていただき、そしてまた、専門家を交えて協議しているというような答弁をされておりましたけれども、専門家というのはどういう方が行かれてるんでしょうか。 そしてまた、こうして職員が出向いて、地域の商店街の方と話して、その中で本当に多くの課題があると思いますけれども、どのような課題が多いのか、わかりましたら、教えていただきたいというふうに思います。
○阿部英仁議長
米田商工労働部長。
◎
米田健三商工労働部長 これまで当部でもいろんな取り組みしてございますけれども、外部の専門家といたしまして、これまで、県外のいろんなところで商店街おこし、そういったことに実績のある方、そういった方をまちづくり仕掛け人と称しまして、県の方で雇いまして、いろんな地域に差し向けたりしておったわけでございます。 いろいろ課題はそれぞれ発見されておりましたけれども、やはりそういった議論を重ねる中で、やっぱりシンボルマークをつくったらいいんじゃないかとか、あるいは定期的に町の中で市場を開催して、周辺のいろんな物産を置いてみるとか、そんないろんな取り組みが生まれてきているということでございます。 新年度につきましても、新しくまた、県外でいろんな実績、中心市街地の活性化とかで実績のある方をアドバイザーとして招聘しまして、いろんな研修とか、そういったことに取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 婦人グループとかたくさんおられるわけですけれども、結構、その方々の話を聞いてみますと、ノウハウをたくさん持っているんです。かえって、今既存の商店街にいる人よりも、外から見た立場の人の方がいろんなことを知っているんです。こうした方がいい、ああした方がいいとかいうのはたくさんございますから、ぜひ、先ほど言われたような婦人グループ、その方にもいろんな形で参入していただいて、市場的なものをつくって、少しでも多くの人が集まるような形態のまちづくりに取り組んでいただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。 それでは、次の質問に入りたいと思いますけれども、小規模集落対策についてお伺いをしたいと思います。 小規模集落対策元年と位置づけられました今年度、県は、早々に対策本部を立ち上げるとともに、各地域では地域対策会議が設置され、市町村などとも密接に連携する中で二十三の集落をモデル地域に選定し、課題の整理や対策の検討が進められてきました。 中津市でも耶馬渓の小柿山地区と山国の槻木地区がモデル地域に選定され、小柿山地区では、光円寺のしだれ桜を活用した地域活性化や血縁、地縁など出身者による応援団の結成に向けた取り組みが行われ、また、槻木地区では、自治区の合併等による自治機能の強化や共同作業の担い手の確保、さらにはNPO法人と連携した特産品の開発などが検討されています。 このような地域ごとに進められている取り組みなどを踏まえ、二月九日に開かれた第三回の対策本部会議で知事は、本部長として、「この一年間で議論した論点に沿って対策を講じたい。この会議で取り組みを報告、発表することで小規模集落対策をより前進させたい」と述べられました。 この一年間で見えてきた集落機能維持のための課題は何か、また、それに今後どのように対応していくのか、来年度の取り組みを含めて、お伺いをいたします。
○阿部英仁議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 集落の立地条件などで違いはございますけれども、小規模集落の課題といたしましては、なりわいとしての農林業の問題、買い物や通院等のための交通問題、飲料水の安定確保、孤立集落の災害時への対応、鳥獣被害対策、集落道路の草刈りや祭り等で人手不足が起こっている、そういったことなどが挙げられます。 今後の対応については、まず、買い物を含む交通問題に関しましては、商工会等による宅配サービスの拡充に努めますとともに、乗り合いタクシー等への新たな助成制度を創設することで対策を強化いたします。 また、新たに、小規模集落を対象とした飲料水の確保対策事業や災害時の孤立が懸念される集落の衛星携帯電話の整備に関する助成など、暮らしの安心確保に努めます。 さらに、鳥獣被害対策では、捕獲報償金の拡充を初め、さまざまな対策を総合的に進め、農林業を中心としたなりわいを守っていきます。 加えて、新たに企業やNPO、ボランティア団体等の協力を仰ぎ、集落応援隊を募集し、共同作業等を支援するセーフティーネットづくりに取り組むなど、市町村と連携し、小規模集落の課題解決を着実に進めてまいります。 以上です。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 地方、とりわけ農村や漁村というのは、衰退は何を施してもとまらないというのが現状ではないかというふうに思うわけですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が公表している日本の将来の人口推計というものを見てみますと、日本人が東京から名古屋、そして大阪、そしてまた、瀬戸内を経て福岡に至る、要するに太平洋ベルト地帯に居住を求める傾向は今後も変わらないと。それはなぜか。少なくとも、東北とか、ああいう寒いところにおきましては、大変厳しい冬を知っている人、あるいはまた、九州の山間部に住む人は、比較的温暖で利便性も享受できる都市へ移住したいという気持ちを持っている、これは政策ではとめられないというようなことを言っているわけでございます。 この傾向は戦後一貫して続いているわけでございますけれども、それでは、このまま地方は衰退をしていくのかということですけれども、この高齢化も、ある程度、一定の時期には一段落をするというふうに思いますし、特に長男が家を継ぐという伝統は意外に地方には残っております。これが農村や漁村の人口維持をする要因として働くので、半減した後は、ふえもしないし、また、減りもしないような状況が続いていくのではないかというふうにも思います。 こういうような将来が先に予測をされるならば、先ほどの答弁の中で言われるような支援に加えまして、そこに住む人がなお不安を覚える医療や介護の問題を解決する政策が一番必要であろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○阿部英仁議長 佐藤企画振興部長。
◎佐藤健企画振興部長 県といたしまして、医師確保の問題等にかねて取り組んでいることは議員もご承知のとおりかと思います。あわせまして、その医師を、特に地方に配置すること、来ていただくことの難しさについても、またご案内のことかと思います。 そういった中で、医師の配置を隅々までするというのが難しければ、その医師がいるところまでどのようにアクセスを確保するかということ、特に救急の場合にどう確保するかといったようなことが私どもとして次にできる対策ではないかというふうに考えております。 そういった意味で、日々の通院、あるいは救急のときにどうやってアクセスできるかといったところについて今回いろいろ考えているところでございまして、先ほども答弁いたしましたけれども、そういった足の確保の問題として新たな乗り合いタクシー等への助成制度というのも考えておりますし、また、救急医療の問題については、いろいろな形で、道路整備も含めてアクセスを確保するという形で対策を講じているところでございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 こういう小規模集落というのは、これから先、要するに対応というのが本当に難しくなってくると思うんですけれども、時代によっていろんな形で変わってきますから、その時代に合わせながら、ぜひともいろんな対策を講じていただきたいというふうに思います。 それから、一つ、この小規模対策につきましての中で鳥獣被害対策についてお聞きしたいと思います。 野生鳥獣による農作物の被害額というのが、近年、三億円から四億円で推移をしているというふうに言われています。そのうち最も深刻なイノシシ、シカの被害は全体の四分の三を占め、これまでもさまざまな取り組みが行われてきましたが、なかなか減少する気配はありません。中津市も含め、田舎では特に厳しく、皆が困っております。県は実態がわかっているのかと思うことが時々あります。 耶馬渓に鎌城というところがあるんですけれども、そこに行ってきましたが、シカの数が物すごく、農業対策の前にシカ対策をしないとどうしようもないという状況があります。 県は、今年度、小規模集落対策の一環として、シカの捕獲を進めるため、シカ肉の需要を拡大しようとジビエ料理の開発に取り組まれましたが、今後の成果が大いに期待をされるところであります。 さて、今定例会の冒頭、知事は、「今後五年間で農林作物被害の半減を目指す」と力強く宣言をされました。これを裏づけるかのように、二十一年度予算では、対策の内容を拡充するとともに、事業費を大幅にふやしています。しかし、大事なことは、それぞれの地域の被害の状況に応じた効果的な取り組みであります。 県は、五年後の被害半減に向け、どのような対策を講じていくのか、中津市を含めた県北地域の取り組みをお聞かせください。
○阿部英仁議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答えいたします。 県では、野生鳥獣被害の半減に向け、来年度から市町村などと連携いたしまして、各般の対策を総合的に実施することといたしております。 まず、捕獲対策では、シカはこれまでの一・五倍の一万五千頭を、イノシシ、一・二倍の二万二千頭を、三年間、集中的に捕獲することとし、あわせて、シカはイノシシと比べまして肉の利用価値が低く、捕獲が敬遠されることから、一定頭数以上の捕獲に対し、報償金単価を八千円から一万円に増額することといたしております。 次に、予防対策では、公共事業などを積極的に活用し、事業費べースで前年度の約一・六倍、六百七十四キロメートルの金網さくや電気さく等の防護さくを設置することといたしております。 さらに、野菜くずの撤去など集落をえさ場としない環境対策も重要でありますので、専門指導員を配置し、集落全体での取り組みの強化を図るなど、それぞれの地域の実情に応じた被害対策を総合的に推進してまいります。 なお、ご指摘の中津市の耶馬渓鎌城地区では、来年度、集落全体を取り囲む約十五キロメートルの防護さくの設置が予定されておりまして、これを含め、県北地域における鳥獣被害対策につきまして、国の事業も活用しながら支援してまいります。 以上でございます。
○阿部英仁議長 大友一夫君。
◆大友一夫議員 大変ありがたい答弁、ありがとうございました。 耶馬渓町の鎌城というところがあるんですけれども、この地域は昭和二十七年に開拓団として入り込んできたわけでございますけれども、現在三十一戸の戸数がございまして、それぞれの形で、畜産肥育、あるいはまた、養豚、養鶏ということで、ほとんど第一次産業に従事しているわけでございますけれども、私たまたまこの年の初めに地区の人に呼ばれまして、焼き肉をやるから出てこいということで行ったわけですけれども、それこそシカとイノシシの焼き肉を食べたわけですけれども、夜も暗くなりまして、帰りに、あなたは、すぐ横の畑をライトで照らしてみなさい、何匹おるか数えてみなさいということで、私もこれ、えらい大げさに言うなと、これ、知事にも一回お話ししたことあるんですけれども、そして、私も行って、ライトで照らしてみたら、五匹いるんです。畑に五匹。これはすごいな、まさに動物園だなと。もう本当に、きのうの話じゃないけれども、「なしか」というぐらいの、本当にすごいシカでございました。 そういう中で、今回は十五キロにわたる、ほとんど鎌城地区を全部取り囲んでいただけるということで、本当、地区の人は喜んでくれるんじゃないかというふうに思っていますし、逆に今度、人間の方が囲まれて、囲いの中で頑張っていただかなきゃならぬというふうに思っているわけでございますけれども、本当にありがとうございました。 私、もう一つ質問があったわけでございますけれども、これを言うと時間がオーバーをするようになってしまいますので、この辺で一応、私の一般質問をやめまして、残りの時間で一言発言をさせていただきたいというふうに思います。 一般質問の最終日を迎えまして、自由民主党として最後の質問となりました。この三月末をもって退職をされます県職員の皆様方の長い間の県政推進に向けたご努力、また、ご労苦に対し、心からねぎらいの言葉を送らせていただきます。皆様、本当にご苦労さまでございました。 今後とも健康には十分にご留意をされまして、それぞれの地域におきまして、県勢発展のため、これまでの経験を生かし、県民活動のよき指導者としてご活躍をされますことをご期待申し上げ、自由民主党を代表しての言葉とし、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○阿部英仁議長 以上で大友一夫君の質問及び答弁は終わりました。小野弘利君。 〔小野議員登壇〕(拍手)
◆小野弘利議員 三十七番、県民クラブの小野弘利でございます。 きょうは、地元から後援会の皆さん、たくさんお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。先ほどの大友議員の分まであわせての傍聴ということで、大変時間的に長くなりますが、よろしくお願い申し上げます。 さて、中央政治における混迷、迷走、さらにまた、県内においても、昨年は教職員の任用、採用をめぐる汚職の問題、そして、ことしに入ってからは、先ほど、午前中、堤議員からもありましたが、元県議会議長や県警幹部OBの逮捕、また、企業誘致のあり方が問われるキヤノン工場建設に絡む脱税、献金事件が発覚をし、大変心を痛めております。 私は、広瀬県政になって八回目の質問になるわけでありますが、通告に従って、当面する県政の諸課題について、一問一答方式で知事及び部局長に質問をさせていただきます。よろしくお願いします。 新自由主義のパラダイムは全面的に否定をされ、日本が直面している状況も、本格的政権交代、あるいはまた、新自由主義からポスト新自由主義、つまり、新しい主義の時代へ移行しなければならなくなっていることは、六日の久原議員の質問で確認をされたとおりであります。 さて、覚悟、あるいは時代認識についての質問がありましたが、私は、元旦の朝、去年に続いて、ことしも雪が降り積もっていましたが、縁側で雪を眺めながら、県政の課題について、また、自分自身のこの一年間の歩みについてじっくり考える時間を持ちました。そして、去年の夏、あの暑い最中に読んだ姜尚中の「悩む力」、そして、これは麻生議員も触れましたが、秋も深まるころに読んだ五木寛之の「人間の覚悟」をもう一度読み返してみました。 その内容について、ここで詳しく述べる時間はありませんが、今、この変化の時代を生き抜くためには悩むことが必要だ、そしてまた、生きるためには、それも右肩下がりの衰退の時代を生きるためには覚悟を持つ必要がある、このことを考えさせられました。 そこで、県民中心の県政を標榜する広瀬知事に、県民の暮らしをめぐる時代の潮流と知事の歴史の転換期認識について、また、変化の時代を生き抜き、新しい時代をつくるための覚悟、ここでは大分県民としての覚悟について知事のお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。 〔小野議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○阿部英仁議長 ただいまの小野弘利君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 小野弘利議員には、いつも大変難しいご質問で悩まされます。今回も一生懸命お答えを申し上げまして、何とか合格点をとりたいと思います。 初めに、時代の潮流と覚悟ということでございました。 本県の人口、今月の統計速報値で、三十三年ぶりに百二十万人を割り込む、いよいよ本格的に人口減少社会への対応が求められるという状況になっていると思います。 また、これまで順調に成長を続けてきた県経済は、世界的な景気の悪化を受けて、急激に減速しております。 アメリカ一極の感のあった世界の情勢は、多極的なグローバリズムに移行しつつあると思います。時代は大きく変化し、まさに潮目にあると思います。 行き過ぎた自由主義経済が、実体を伴わないマネーゲームに傾いて、世界的な金融混乱を招いた結果、これに対応するための修正や補完が行われようとしていることにも注目していかなければならないと思います。奔放な市場万能主義に歯どめをかけ、あるいは消費者保護、環境の維持のための制約も必要になるというような時代でございます。これを主義のシフトと言うか、あるいは主義の補完、修正と言うか、これはいろいろ議論があろうかと思いますけれども、いずれにしましても大きな節目にあると思います。 このような時代、我々は、アンテナを高くして、目を凝らして、世界の方向を見定めていかなければなりません。そういう状況把握をしながら、そんな中でも、しかし我々は、この大分県で暮らしを立て、仕事をし、子供たちを育てていかなければならないわけであります。 厳しい時代ではありますけれども、「安心」「活力」「発展」の大分県を目指して、夢と希望あふれる大分県をつくらなければならないと思います。それが我々の覚悟ではないか、こう思います。 私は、時代のサインをしっかりと見きわめながら、県民の皆さんと力を合わせて、県政の諸課題に対して積極果敢に挑戦していきたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 知事も、二十四日の提案理由の説明の中で、県としての覚悟、これは語られました。先ほど言いましたように、県としての覚悟と同時に、県民としてもやっぱり覚悟を決めなきゃならぬ、そういうことで質問をさせていただきました。 大分県の人口も三十三年ぶりに百二十万を切ったという厳しい過疎、少子・高齢化という状況の中で、ますます私たちは、覚悟を決めた上でこれからの県政にかかわっていかなきゃならないということを強く認識をし合いたいというふうに思うところであります。 そこで、次は、同じく知事に、教育改革の進め方についてお伺いをします。 六日の代表質問で、内田議員の県教委汚職事件を初めとする教育改革問題について知事及び教育長からの答弁がありましたが、この間の、知事の意向が強く働いたと感じられる信頼回復のための教育改革が、大分の教育発展のために果たして実効性があるのかどうかということについて、私は疑問を持つ一人であります。 そこで、一昨日、「なしか」という話がありましたが、汚職事件が起きたのはなしか、県教委汚職事件が起きたこの背景について、また、県教委が今進めている改革について知事の立場からどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○阿部英仁議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 今回の事件は、教育行政に対する県民の信頼を根底から失墜させるものでありまして、本県の長い輝かしい教育行政の歴史の中で、これまでにない汚点を残したものと、返す返すも残念でなりません。 今回の教育委員会における一連の事件の原因、背景につきましては、報告書におきまして、第一に、選考の不適切な運用、第二に、色濃い仲間意識、身内意識、そして第三に、県教委のチェック機能の欠如とされております。 報告書の指摘を踏まえて、まずは、責任と権限が明確な透明性の高い教育行政システムを確立することが急務ではないかと思います。 教育委員会におきましても、二度とこのような事件が起こらないようにするために不可欠な、試験の見直し、教職員人事管理の見直し、組織の見直しから成る改革改善策が迅速かつ着実に進められていると思います。 その上で大変大事なことは、教育につきまして、子供たちにとって何が必要なのか、保護者が何を望んでいるのか、県民は何を期待しているのかということをしっかりとつかんで、こうした願いや期待にこたえるために現場の教職員も一体となって改革を進めて、教育の再生を図っていくことだというふうに思います。 改革改善策に加えまして、知、徳、体の調和のとれた心豊かな子供たちを育成して有為な人材を社会に送り出すという教育の原点に立ち返って、児童生徒の学力、体力を向上させるなど、教育の現場で成果を上げるということが保護者や県民の願いや期待にこたえることであるというふうに確信しております。 どうか、教育委員会、現場の教職員の皆様、歯を食いしばって、この県民や保護者の期待にこたえる努力をしていただきたいというふうに思うところでございます。 そういうことを実現するために、現在、教育委員会ではさまざまな改革に取り組んでいるものと考えております。こうした取り組みにつきましては、私どもも一丸となって支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 事件が起きた真の背景については、若干違うところがあるんですが、尾木直樹が指摘したように、教育委員会の密室性、それからヒエラルキー、つまり、上意下達の階級支配体制、さらにまた、今話題になっております新自由主義に基づく競争による選別淘汰主義、こういったことが私は本当の意味で背景にあるんではないか、私はそういう認識でこの間の様子をずっと見てきました。 もともと日本の学校には、教育を行うという機能的集団としての要素、それから生活力を養うという共同体としての要素、この二つがあると思います。教職員と生徒、それから教職員と保護者、そして教職員同士の間に人格的な信頼関係に基づく共同体的な基盤がないと学校教育は遂行できないというふうに私は理解をしています。 しかし、今、県教委が進めようとしている改革は、上意下達の関係をなお助長するのではないか、そしてまた、教育現場の管理体制を強化する、さらに教育関係者を排除したところで進められるこの教育改革が本当の意味の中長期的展望に立った改革と言えるのかどうか。また、密室的、閉鎖的と言われ、制度疲労との指摘もされている教育委員会の仕組みや運営そのものについての見直し、さらに教育委員の任用のあり方についての新しい提起もあってよかったのではないか、このように私は思っていますが、知事、いかがでしょうか。
○阿部英仁議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 今、大変、教育の意義について、あるいはまた、学校の意味について伺わせていただいたところでございます。 特に教育、学校においては、学力の向上という機能的な部分、それから生活力をつけていくという共同体的な機能、そういう両面があるんだということについてはよく拝聴させていただいたと思いますけれども、私ども、今どちらかというと、そこのところが、これまた小野議員ご指摘のありましたように、密室性とか、ヒエラルキーとか、そういったものが透明な形で出てきてないというのがやっぱり問題があるので、そういう二つの機能を果たすためにも、もっともっと透明性を持って、教育委員会、学校の現場が評価され、そして成果がみんなの目で見られるというような形にしていくことが大事なんじゃないかというふうに思っています。 したがって、今、私どもが、きっと教育委員会が目指している改革というのも、そんな方向でやっているんではないか。別にヒエラルキーや成果主義、そっちにぐっと傾いていっているというふうにはとらないんですけれども。私の感じはそういうことでございますが、いかがでございましょうか。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 知事ももう十分ご案内と思いますけれども、私が心配するのは、今、東京都の学校現場に見られる寒々とした風景、さらにまた、橋下知事の大阪府における、萎縮と閉塞感に陥り、窒息しそうな教育現場の状況、こういったことが大分の教育現場に押し寄せてくるんじゃないかという、そういう心配を私は強くしているわけであります。 感性豊かな子供ほど落ち込んでしまうような、そういう状況を目の当たりにするときに、あえて申し上げますが、百五十年前、広瀬淡窓が咸宜園教育で実践をした平等主義、個性尊重主義、それから実力主義、実学主義、そして最も淡窓が大事にされた情操教育、こういったことと照らし合わせてみても、私は、今、県が進めている教育が本当に教育本来の改革につながっていくのかどうかということを非常に心配をする一人であります。 さらに、教育委員会が、みずから教育の再生というような言葉を使っています。そして、ぼそぼそと語るような教育改革。戦後六十年間、教育委員会みずからがこの厳しい環境の中で積み上げてきた大分の教育を全面的に否定をする、これこそまさに自虐的発想に基づく改革ではないか、こんな思いさえします。 現場の頑張りを全く認めようとしない、さらに現場に激励をする、そういう言葉が聞こえてこない、こういったところを私はしっかり見ながらいかなければならない。 そこでよく聞くのは、今の大分の教育改革は、この事件のどさくさに便乗した、しかも外からの力によって進められている。子供不在、教育論抜き、そして教育委員会の主体性そのものも放棄された上での産物というようなきつい言葉も聞きます。こういったことを私たちはきちっと今胸にしながら、これからしばらくの、本当に辛抱しながらでもありますけれども、大分の教育の前進のために努力をしなければと、このように思っています。もうあえて聞きませんが、あれば。 魚の鯛と組織や団体は頭から腐るという、そういう言葉があります。歴史的に見ましても、教育現場のせいで教育がおかしくなったということはなく、その現場を指導するところにおかしさがあったというのが歴史的な評価でもあろうかというふうに私は思いますから、そういったことをあえて申し上げながら、これからも引き続いて積極的にこの教育論議には参加をさせていただきたい、このように思っていますし、また、知事のお考えがあればお願いします。
○阿部英仁議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 大変長い間、教育のことに携わり、また、そのことを考えていただいておられる小野議員からのご発言、重く受けとめさせていただきました。 二点だけ申し上げさせていただきたいんですけれども、一つは、教育の再生と言っている、それは、これまでの大分県の教育の全否定ではないかということでございましたけれども、それは決してそういうことではなくて、むしろ、大分県は本当に最近まで大変立派な教育の歴史を持っていた、いい成果も、パフォーマンスもよかった、だからこそそういう教育を再生するということでございまして、かつて輝かしい歴史があったということを我々はしっかり誇りに思いながら、そういう歴史をもう一度取り返そうじゃないか、輝きを取り返そうじゃないかという思いでやっているということをまず一言。 それから、もう一つは、これも小野議員からご注意がありましたけれども、やはり今回の改革で大事なことは、教育委員会と現場の先生方が一体感を持って進めていくということではないか。そして、おっしゃるように、その教育の再生のために頑張っていただいている先生には、やはりそれなりの頑張りをしっかり見ながら応援をしていくということも大事ではないか。そういう意味で、今、教育委員会は、かなり現場の先生との対話を進めながら一体感の醸成に努めているんじゃないかと思います。 まだまだ十分ではないかもしれませんけれども、ご注意のありました二点につきましては、そんなことで、一言申し上げさせていただいた次第でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 思いを一つにして取り組まなければと思いますけれども、教育の資質向上とかいう言葉はよく聞くんですけれども、よう頑張ったなとか、頑張ろうや、そういう言葉がなかなか聞けないところに寂しさを感じるわけです。 そういうことも含めまして、教育長にお尋ねしますが、学力向上対策についてであります。 今、大分県教育委員会が教育の信頼回復のためと称して子供たちの学力向上のための新規事業として提案されています市町村学力向上戦略支援事業、これ、本来の教育活動をゆがめるものになりはしないか、また、子供たちの豊かな学びを妨げることにもつながる大きな問題を含んでいるんではないかというようなことについても私は気をもんでいる一人であります。 支援教員の配置を通じて、学力テストの公表を促すねらいが見え見えであります。本来なら、成績の振るわなかった地域に教員を増員するなどして学力の地域間格差を解消するべきであるのに、ますます地域間格差が拡大するような、そういう流れになりはしないか。馬の鼻の先にニンジンをぶら下げているような、そういうやり方というのは、いやしくも教育行政、やってはならないというふうに私は思いますし、そのことが県教育委員会の品格を下げたりすることにならねばいいがという心配もしているところであります。 学力テストの平均点を上げること、これが目的化してしまう。既に地域や学校現場には、テスト結果に一喜一憂する姿が見受けられます。地道な教育活動が既に阻害をされているんではないか、このように思います。 そういったことを考えながら、この学力向上対策についての県としての基本的な考え方、また、この戦略支援事業の進め方について教育長にお伺いします。
○阿部英仁議長 小矢教育長。
◎小矢文則教育長 学力向上対策についてお答えします。 学力向上対策の基本として、教員一人一人の資質、能力を高め、授業力の向上を図り、それが学校全体、組織の力となることが大事であります。加えて、学校、家庭、地域が一体となって学力向上に取り組むことが重要であります。 来年度、市町村学力向上戦略支援事業を進めるに当たりましては、全国学力テストの結果等で得られた児童生徒の学力の実情や課題を保護者や地域住民に公表することで地域全体の教育に対する関心を高めることを要件の一つとしております。あわせて、どうすれば学力向上が図られるか、その具体的な戦略を明らかにして、地域総ぐるみで積極的に取り組む市町村に対しまして支援教員を加配するものであります。 既に学力に課題のある市町村に対しましては、大学教授等から成る学校改善支援チームを派遣しまして、授業研究や研修体制について指導、助言をすることで教員の授業力を高める事業も今年度から実施をしております。 県教育委員会としましては、こうした事業を通して学びと支えのシステムを確立して、大分県の子供たちが夢に挑戦して自己実現できるよう、学力向上対策を推進してまいります。 以上であります。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 先ほど知事が知、徳、体というような話しましたけれども、今、この知、徳、体というようなことを唱えながら学力を論じるというときではもうないんじゃないかと私は思っています。本当の私たちが求める学力とは何なのかというところ、そこのところの論議が不足をしているような気がいたします。 時間がありませんから、もう詳しい話は除きますが、新自由主義が行き詰まったと先ほど冒頭に申しました。そういった中でもまだ競争に強い子供を育てなければというような議論がこの議場でもなされているということについて、これからやっぱり、今の世界の中で学力、どういう学力が求められているのか、企業ではどういう学力が求められているのか、こういったところをしっかり私は議論をしていく必要があるということを申し上げ、今進めている学力向上対策は、その目的、方法という点において「わかった」と言えるものになり得てないということを申し上げて、次の質問に移ります。 次は行財政改革の進め方でありますが、県が進めようとしている方向については、内田議員の代表質問、あるいは一般質問に対する知事や総務部長の答弁で一定の理解ができました。 ところで、私の地元、国東市でも、過疎、少子・高齢化の進む中で、市民病院などの課題を抱えて、財政的には四苦八苦しているのが実態であります。 このように県以上に厳しい財政状況にある市町村の行財政改革に対して、二〇〇八年度から適用の財政健全化法との関係も含めて、県としてどのような対応や応援、支援ができるかについて、これまでの発想にとらわれずに、行財政改革に敏腕を振るわれる総務部長の率直な見解をお伺いします。
○阿部英仁議長 二日市総務部長。
◎二日市具正総務部長 お尋ねの市町村の行財政改革についてお答えを申し上げます。 ご案内のように、市町村財政を取り巻く環境につきましては、地方交付税の大幅な削減など三位一体改革の負の影響、あるいは急速な景気後退による税収の大幅な落ち込みなどによりまして、県でもそうですけれども、一層厳しさを増しております。 このような状況の中で市町村は、定数削減など集中改革プラン、これについても着実に進んできております。また、合併後の一体感の醸成を含めた行財政基盤の強化を図ることにも努めておりまして、これを引き続きやっていくということが何よりも大切だというふうに思っております。 幸い、平成十九年度決算に基づく財政健全化判断比率におきましては、実質赤字比率等の四つの早期健全化基準を超過する団体については一切ございません。 しかしながら、今後は、地方分権改革の進展によりまして、国から県、それから、さらには市町村への大幅な権限移譲が進みまして、また、住民ニーズにより、基礎自治体である市町村には新たな行政課題も生まれてまいってこようかとも思います。 こうした時代だからこそ、市町村みずからが時代の変化に正面から向き合って、地域というのは自分たちが考え、自分たちが築いていく、地方分権ではなくて、地方主権の時代だという気概を持って、創意工夫して政策を実行していく、それとあわせまして、これを支えるための行財政基盤を強化するための行財政改革になお一層取り組むということが非常に大事であるというふうに思っております。 県といたしましては、これまでも合併後の財政支援、あるいは市町村職員の資質向上に向けた研修体制の充実に向けて力を入れてまいりました。今後とも連携、協力して、市町村が地方分権の時代の担い手にふさわしい、そういった足腰の強い行財政基盤を構築できるように、引き続き支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 では、次の質問に移ります。 前回に続いて、もうかる農業を提唱される知事に農政の大転換についてお伺いします。 ご案内のように、石破農林水産相は、「食料・農業・農村基本計画」の見直しに着手をし、日本農政の大転換を目指すと、今、こぶしを振り上げております。 政府が重い腰を上げるということについては非常に歓迎するところでありますけれども、早速、農水族とか、あるいは省内からの反対の声が上がって、始まったばかりの論議が迷走ぎみになっているというのは、これから先、先細りになるんかなという心配もしておりますが、大分県としても、本定例会で振興条例が用意をされている、そういう状況の中で、中央における農業政策の大転換の動きを知事としてはどうとらえておるか、そして、それを受けて大分県としての県政の進め方をどうやっていくかということについての基本的な考え方についてお伺いします。
○阿部英仁議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 農業政策の動向、それと県の農政についてのご質問だと思いますけれども、就業者の高齢化だとか、あるいは生産性が低いことだとか、あるいはまた、流通システムがまだまだ近代化されてないといったようなことで、日本の農業は多くの課題を抱えております。本県も同様であります。 国では、新しい「食料・農業・農村基本計画」の二十二年の策定に当たりまして、元気な担い手の確保育成を通じた食料自給力の向上などを主要論点に、米の生産調整のあり方や所得補償についての議論も始まったところでございます。 しかしながら、方向も具体的な内容もまだ明らかになっておりませんので、私どもは、このままではなかなか大変だという思いを持って国の動向を見守っていきたい、こう思っているところでございます。 いずれにしましても、県としましては、本県農業を再生、振興するためには思い切った構造改革は避けられない状況にあると考え、平成十七年に「おおいた農山漁村活性化戦略二〇〇五」を策定し、また、昨年には、具体的な数値目標を掲げた「アクションプラン二〇〇八」を公表しまして、マーケット起点のものづくりと力強い経営体の確保育成を柱に、農業産出額千四百億円の達成を目標に取り組んでいるところでございます。 平成十九年度からマーケターを配置しまして、県域での生産流通体制の整備に取り組んでおります。「大分味一ねぎ」は、関東圏での取り扱い店舗数を二十六店舗拡大するとともに、シロネギは、「高原白ねぎ」の出荷量の増加によりまして、福岡市場のシェアを七七%まで拡大しております。また、他産業からの農業参入も本年度二十四社が決定いたしまして、新たな力強い産地が形成され始めております。あわせて、雇用の確保や耕作放棄地の活用などの具体的な成果があらわれていると思います。 農業政策につきましては、昨年十一月に農林水産省で直接、大臣に意見を申し上げる機会がありましたので、「農業振興のためには、販売力を強化するための施策を実施して、生産体制を整えて、農家所得を向上させるということが重要だ。つまり、後継者が育つような持続性のある農業を実現しなければいけない」というふうなことを申し上げたところでございます。農地流動化を促進したり、企業の参入をより円滑化するための法律や税制面の検討の必要性についても申し上げたところでございます。 なお、本県は耕地面積の七〇%以上が中山間地域に位置しております。機会あるごとに国に対して、中山間地域等直接支払い制度の存続と拡充についても強く主張してまいりました。 今後とも、国に対しまして主張すべきは主張しながら、新たな国の施策を活用して、農業の再生、振興に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 企業の農業参入も大事な選択肢の一つではあろうと思います。ただ、農業は残ったけれども、農家はなくなってしまったというような状況になったときに地域がどうなるのかというようなこと等もあわせて、これからの農政を考えていかなければならないと思いますし、国に先んじて農政改革を進めていると自負される知事であります。思い切った県独自の農政改革というか、農政をぜひ進めてほしいというふうに思います。 そういう流れの中で、これからの農業をどうするかということについて農林水産部長にお伺いをします。 農林水産官僚OBの山下一仁という人は、日本の農業の衰退の要因として、戦後の農地改革、それから高米価政策、減反による生産調整、あるいは工業製品中心の輸出依存の産業構造、さらにこの人は「戦後農政の最大の失敗は農協にある」というところまで言っていますが、そこで、農政部長に、何が日本の農業を衰退させたことになるのか、そしてまた、大分県農業不振という、この要因は何なのか、そして、大分県農業を再生するにはどうしたらいいのか、こういうことについて、これまで、低迷する本県農林水産業の再生、振興に努力をされた部長の認識をぜひ伺いたい。
○阿部英仁議長 高山農林水産部長。
◎高山精二農林水産部長 お答え申し上げます。 日本農業の低迷の要因につきましては、さまざまな議論があろうかと思います。あえて申し上げれば、諸外国との価格差を是正する国境措置や品目ごとの価格政策など従来からの保護政策を長く続ける一方、個々の農家の経営合理化を促すような措置がとられてこなかった結果、構造改革がおくれたことにあるというふうに考えております。 次に、本県農業の現状につきましては、残念ながら九州で農業従事者の高齢化率が最も高く、販売額一千万円以上の経営体数が九州最下位であるなど脆弱な構造となっています。また、米からの脱却がおくれ、園芸品目などの産地規模も小さく、大量周年供給というマーケットニーズに十分こたえ切れておりません。 しかしながら、県北地域のコネギや大分市の施設園芸など、近年、後継者が残る企業的な農業経営に取り組んでいる事例も出てきております。このような取り組みを拡大していくため、県域の生産流通販売体制を構築し、マーケット起点のものづくりを進めるとともに、小規模農家を取り込んだ集落営農の推進や意欲ある経営体の規模拡大とあわせ、農業への企業参入により、力強い経営体の確保育成を図ることで、農業の構造改革を進め、もうかる農業の実現に向けて取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 農民作家の山下惣一氏は、日本の農業がこのように衰退したのは農民の無意識的なストライキの効果があらわれたんだというようなうがった見方をしていますが、まだまだ県が進める進め方と、今度、受ける県民の受けとめ方との間にミスマッチがあると私は思います。きょう細かく話す時間がもうありませんけれども、そのミスマッチをどうなくしていくのか、本当に受け入れられる施策をどうつくっていくのかということで、そういう面では、前、副知事とお話ししたこともありますけれども、運動を点から線に、線から面にという、こういった地道な、しかも地域の実態に合った運動として農業再生に取り組んでいかなきゃならぬのやないかというようなことを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。 次は、安全、安心な大分づくりについてでありますが、まず一つは、昨日、賀来議員から多重債務と自殺の問題についての質問がありましたけれども、今後、景気悪化に歯どめがかからずに、雇用情勢がますます厳しさを増し、自殺者急増の危機が今叫ばれています。警察庁の方も、これから、全国の自殺者数を、毎月、都道府県別に、男女別に公表するということでありますし、そういった資料をもとにして、県としてもこれまで以上に迅速な自殺防止対策を打つことができるというふうに思います。 そこで、大分県における自殺の実態が今どうなっているのか。これまでにない新しい取り組みも含めて、自殺防止対策の進め方について、この間もきめ細かな福祉施策に力を出してこられましたけれども、福祉保健部長のこれまでの体験を踏まえて、また、これからの新しい方向を見た上での見解をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○阿部英仁議長
阿南福祉保健部長。
◎
阿南仁福祉保健部長 自殺防止対策についてお答えをいたします。 県内の自殺者数は、厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成十九年では三百二人となっており、十年以降、年間三百人前後で推移しております。また、二十年一月から十月までの速報値では二百四十一人と、前年同月比で六人減少しているものの、依然として高い水準になっております。 県では、昨年度から、自殺防止に向け、自殺対策連絡協議会を設置し、自殺対策の基本方針を検討、協議するとともに、これに基づき、正しい知識の普及啓発やさまざまな分野の相談機関の連携強化、自殺率の高い地域をモデル地区としたうつ病対策の実施などに取り組んでまいりました。 今年度からは、新しい取り組みとして、医療・保健分野以外の専門機関との連携を深めることを目的に、法テラス大分と多重債務問題と心の健康問題の合同相談会を実施したところです。また、自殺のハイリスク者対策として、ギャンブル依存症に関する講演会も開催をいたしました。 さらに、来年度からは、より地域に密着した自殺防止対策づくりのため、県内全市町村に自殺対策担当窓口の設置を働きかけるとともに、市町村職員への研修を充実いたしまして、相談、対処能力の向上に努めていきたいと考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 自殺防止対策につきましては、今、部長から話がありましたように、やっぱり総合的な取り組みをしていかないとなかなか効果が上がらないんじゃないかというふうに思いますから、よろしくお願いします。 次に、生活環境部長に原子力発電対策についてお伺いをします。 本定例会でも、減災社会づくりのための基本条例の制定ということもまた準備がなされています。こういうことから、大分県が「活力」「発展」の基盤である安全、安心にかける意気込みというのは強く感じられるところであります。 ところで、新しい課題というふうにとらえてほしいんですけれども、私が住む国東、すぐ対岸に存在をする、しかも老朽化が心配をされる伊方原子力発電所の存在、そしてまた、もっと身近になりました、新しい建設が予定されている、地質調査の許可もおりました山口県の上関原子力発電所、この動きが非常に気になるところであります。 本県には原子力発電所はありませんけれども、そしてまた、原子力安全委員会が防災指針として示している原子力発電所から半径十キロメートル以内というような圏域もありません。しかし、海上四十キロメートルの対岸にある、「おーい」と声をかけたら届きそうなところにあるわけです。こういった発電所が地震等によって被害を受けたときにどうなるのかという、そういう心配をする声が国東には今非常に強くなっているところであります。 そこで、この大分県の安全安心戦略の中に、原子力発電所災害を想定した、そういった研究も今後必要ではないかというふうに私は思います。 この間、安全、安心な大分づくりに力を出してこられた生活環境部長の見解を伺いたいわけでありますので、よろしくお願いします。
○阿部英仁議長 宇都宮生活環境部長。
◎宇都宮鉄男生活環境部長 お答えを申し上げます。 原子力に係る災害でございますが、放射能が目に見えない、こういった特殊性もございまして、県民の方々の間に潜在的な不安があることも事実でございます。 現在、県では、地域防災計画の事故等災害対策編の中に放射性物質事故対策計画、こういうものを持っております。これは、放射性物質を想定いたしました避難訓練、また、災害対策本部の設置、救助・救急、医療救護、県民への情報伝達など各種の対策、また、関係機関の役割等を定めて、発生時に備えているものでございます。 しかしながら、本県では、当然ながら未経験の災害でございますし、データ等も不十分でございますので、今後、積極的な情報収集、また、どのような事故が考えられるのか類型の想定の研究などを行いまして、より実践的な計画へと熟度を高めていきたいと考えております。 現在、県の衛生環境研究センターで放射能の常時監視を行っておりますけれども、事故時の情報が迅速に伝わるよう、国とも相談しながら、愛媛県、また、四国電力などとも情報提供について協議を行ってみたいと考えております。 上関につきましても、今後、早期の情報収集に努めていきたいと考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 この十月には玄海原発でのプルサーマル発電の試運転も開始をされますし、長崎県が、県内にはありませんけれども、玄海原発との関係で、そういった長崎県の例等も学びながら、大分県としても対処していかなければというふうに思っています。 では、次に行きます。 次は、知事に、海兵隊の日出生台実弾演習、あるいは地位協定の問題についてお聞きをします。 日出生台での在沖縄米海兵隊の実弾射撃訓練が二年ぶりに再開をされるということになってきております。もう一つの課題は、一九六〇年に締結をされたまま一回の見直しもされていない日米間の地位協定、この見直し。 日出生台の訓練に対する対応と、それから日米地位協定の見直しについての知事のお考えをいただきたいと思います。
○阿部英仁議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 平成十一年に開始されました米軍による実弾射撃訓練は、沖縄県民の負担軽減を図るために、沖縄に関する特別行動委員会、SACOの最終報告に基づいて、全国五カ所の演習場で実施されているということでございますけれども、大分県といたしましては、唯一、他の演習場にはない演習場の米軍使用に関する協定を結びまして、地域住民の安全、安心の確保を図っているところでございます。 今後とも、協定や確認書の遵守、的確な情報開示を国に要請するとともに、現地連絡事務所の設置、兵員や物資輸送時の安全確認など、県民の安全確保に向けた万全の備えを行っていかなければならないと思います。 もとより、米軍訓練の将来にわたる縮小、廃止という基本姿勢にはいささかも変わりがありませんので、引き続き国に対しまして粘り強く、この点についても働きかけていきたいと思います。 次に、日米地位協定についてでございますけれども、締結から約五十年が経過をいたしまして、世界情勢の変化はもちろんのこと、国内的にも人権や環境問題に対する意識の高まりなど、当時とは取り巻く情勢が大きく変わってきております。こうした中で、米軍基地に起因する環境問題や米軍人等による事件、事故等から国民の生活と人権を守るために抜本的な見直しを行うことが必要ではないかと考えております。 このため、これまで既に、九州地方知事会、あるいは全国知事会等を通じまして、国に対して日米地位協定の見直しについて要望をしてまいりましたけれども、今後ともこの点につきましても粘り強く訴えていきたいと考えております。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 この日米地位協定をめぐる問題は、これは何も、基地を擁する沖縄とか、基地のある地域固有の問題ではありません。国家主権にかかわる日本全体の問題であるということを私たちはきちんと認識をしなければならないと思います。 かつて明治政府が外国との不平等条約の改定に大変難儀をした、このことを思うときに、まさにこの不平等条約である地位協定の見直しというのは、そう簡単にはできないというふうに思いますけれども、地道な取り組みというか、県民の中にそういった議論をできるだけしていくような、そういったムードづくりというか、これが非常に大きいと思いますし、既に沖縄県議会では方向も決めておりますし、また、知事が渉外知事会という、基地を擁する十四の知事で構成している、そこでもう方向決まってますし、そういったことを受けて九州や全国知事会の中で力を出していただきたい、このことをお願いしたいと思います。 そして、最後の質問になりますが、地域医療の課題です。 これについては、もうこれまでも随分議論をされています。私の地元の国東市民病院でも、産婦人科の閉鎖、さらに今は小児科や整形外科医の引き揚げによる閉鎖が心配をされている。こういう状況の中で、医師不足の解消をどうするかということも含めまして、これからの地域医療の充実のために県としても力を出してほしいし、私たちもそういう方向で頑張らなきゃならないというふうに思っています。 そういった意味から、大分県における地域医療の課題、それから医師確保など今後の地域医療充実確保について
阿南福祉保健部長にお伺いをします。
○阿部英仁議長
阿南福祉保健部長。
◎
阿南仁福祉保健部長 地域医療の確保についてお答えをいたします。 全国的に医師不足が顕在化する中、本県でも地域の中核病院や小児科、産婦人科などで深刻な医師不足が生じており、地域医療を守る上で医師確保が大きな課題であります。 こうした中、医学部の入学定員の増や都市部への研修医集中を是正するため本県が強く要望しておりました臨床研修制度の見直しなど、長期的には改善の兆しも見えてきましたが、直面する医師不足に対しましては、中核病院勤務医師や小児科、産婦人科後期研修医に対する研修支援を初め、医師にとって魅力ある病院づくりへの支援などに引き続き全力で取り組んでまいります。 また、県民が緊急時に適切な医療を受けられるよう、救急医療や災害医療体制の充実も課題でございます。 このため、大分市医師会立アルメイダ病院に加え、今年度新たに、県内を方面別にカバーする形で、大分県立病院など三病院を救命救急センターに指定したところであります。今後、ドクターカーの配備を進めるとともに、災害派遣医療チーム、いわゆる大分DMATでございますが、この出動体制の強化を図ってまいります。 今後とも、地域医療の確保のため、大学、市町村、医師会等と連携し、地域の実情に応じた取り組みを進めるとともに、国に対し、大学病院の医師派遣機能の再構築に向けた仕組みづくりなどを要望していきたいと考えております。 以上でございます。
○阿部英仁議長 小野弘利君。
◆小野弘利議員 時間の制約もありまして、細かい議論ができないのが残念でありますけれども、今、皆さんから答弁をいただいたことを大事に胸に受けとめながら、これからのまた議員活動にも生かしていきたい。ありがとうございました。 ところで、近ごろ、ジャケ買い、ジャケット買いと言うんですか、つまり、中身よりも表紙やカバーで本を選ぶという、そういう傾向が強いというふうに聞いておりますし、先日、二月二十七日でしたか、「天声人語」には、一〇%の支持率で漢字の読み方の本をベストセラーにした麻生総理、それから七〇%の支持率で演説集をベストセラーに押し上げたアメリカの新しいジャケット、オバマ大統領の違い、まさに冬場の太陽と夏場の太陽を並べて眺める思いがするというような記事を読みまして、残念だなと悲しくなりましたし、私たちは、表紙ももちろん大事だけれども、中身をどうつくっていくかということがこれからの課題であろうというふうなことも思ったところです。 先ほど大友議員の方からもありましたけれども、私は県民クラブを代表して、ことし三月末をもってご勇退をされる部局長を初め、多くの職員の皆さんに、敬意と感謝のまことを捧げ、ねぎらいの言葉を送り、大分県職員としての貴重なご経験を生かして、今後とも元気で県勢発展のためにいろいろなところでご活躍されますように心からお祈りを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○阿部英仁議長 以上で小野弘利君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっております各案のうち、第二〇号議案から第二三号議案まで、第二五号議案から第二九号議案まで、第三一号議案、第三二号議案、第三五号議案、第三七号議案から第四一号議案まで及び第四四号議案から第五五号議案までは、お手元に配付の付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。 なお、他の委員会にも関連のある案件につきましては合い議をお願いいたします。
-------------------------------付託表件名付託委員会第二〇号議案包括外部監査契約の締結について総務企画第二一号議案大分県個人情報保護条例の一部改正について〃第二二号議案職員の休日休暇及び勤務時間等に関する条例等の一部改正について〃第二三号議案大分県使用料及び手数料条例の一部改正について〃第二五号議案全国自治宝くじ事務協議会を設ける普通地方公共団体の数の増加及び同協議会の規約の変更について〃第二六号議案西日本宝くじ事務協議会を設ける普通地方公共団体の数の増加及び同協議会の規約の変更について〃第二七号議案大分県統計調査条例の全部改正について〃第二八号議案大分県立文化・スポーツ施設等整備基金条例の一部改正について〃第二九号議案第六十三回国民体育大会及び第八回全国障害者スポーツ大会運営基金条例の廃止について〃第三一号議案大分県感染症診査協議会条例の一部改正について福祉保健
生活環境第三二号議案大分県介護保険財政安定化基金条例の一部改正について〃第三五号議案大分県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について〃第三七号議案大分県男女共同参画推進条例の一部改正について〃第三八号議案大分県中小企業者等向け融資に係る損失補償に関する条例の制定について商工労働企業第三九号議案権利の放棄について〃第四〇号議案権利の放棄について〃第四一号議案大分県企業立地促進資金貸付基金条例の一部改正について〃第四四号議案平成二十一年度における農林水産関係事業に要する経費の市町村負担について農林水産第四五号議案大分県営土地改良事業分担金徴収条例の一部改正について〃第四六号議案大分県央飛行場の設置及び管理に関する条例の一部改正について〃第四七号議案平成二十一年度における土木事業に要する経費の市町村負担について土木建築第四八号議案大分県道路占用料徴収条例の一部改正について〃第四九号議案工事請負契約の締結について〃第五〇号議案工事請負契約の締結について〃第五一号議案大分県港湾施設管理条例の一部改正について〃第五二号議案工事請負契約の締結について〃第五三号議案訴えの提起について〃第五四号議案大分県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励金貸与条例の一部改正について文教警察第五五号議案大分県地方警察職員定数条例の一部改正について〃
-------------------------------
△日程第二 議員提出第一号議案から議員提出第三号議案まで(議題、提出者の説明、質疑、委員会付託)
○阿部英仁議長 日程第二、議員提出第一号議案から第三号議案までを一括議題といたします。
------------------------------- 議案提出書 議員提出第一号議案 おおいたの食と農林水産業振興条例の制定について 右の議案を別紙のとおり会議規則第十五条第一項の規定により提出します。 平成二十一年三月十一日提出者 大分県議会議員 近藤和義 〃 〃 志村 学賛成者 大分県議会議員 大友一夫 〃 〃 桜木 博 〃 〃 賀来和紘 〃 〃 首藤隆憲 〃 〃 河野成司 〃 〃 高村清志 〃 〃 堤 栄三大分県議会議長 阿部英仁殿
-------------------------------(別紙) 議員提出第一号議案 おおいたの食と農林水産業振興条例の制定について おおいたの食と農林水産業振興条例を次のように定める。 平成二十一年三月十一日提出 大分県議会議員 近藤和義 おおいたの食と農林水産業振興条例 大分県の農林水産業は、温暖な気候と変化に富んだ地形、美しい山、川、海、肥沃な土地などの豊かな自然条件を生かしながら、食生活の基本となる安全で安心な農林水産物を生産してきた。また、生産活動を通じて、県土の保全や水源のかん養、自然災害の防止、安らぎと癒しを醸し出す景観や文化の創造など、多面的な機能を有しており、健やかで潤いにあふれた豊かな県民生活をはぐくみ、私たちの暮らしに恩恵をもたらしてきた。 しかしながら、近年、農林水産業従事者の減少と高齢化の進行に伴う担い手の不足により、小規模集落や耕作放棄地が増加している。また、木材価格の長期にわたる下落、魚価の低迷及び燃油価格の高騰等が大きな課題となっている。さらに、農林水産物の輸入自由化による競争の激化などがみられる一方で、産地偽装等により食への信頼が揺らぎ、食の安全や健全な食生活に対する意識が高まるなど、食と農林水産業及び農山漁村を取り巻く環境は大きく変化してきている。 このため、農林水産業を魅力のある産業とし、活力のある農山漁村を築き上げるには、新しい時代を切り拓くという生産者自らの意欲はもとより、中核的な担い手を育成し、農林水産業に必要な資源を適切に利用、管理しつつ、安全かつ良質な食料の供給に努めていくとともに、食と農林水産業及び農山漁村の果たす役割に対する県民の理解を深めていかなければならない。 ここに、県や市町村、農林水産業者及び関係団体、県民が自ら負う責務や役割を定め、広く県民に食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する基本的な理念及び施策の方向性を示し、その取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。 (目的)第一条 この条例は、食と農林水産業及び農山漁村の振興についての基本理念及びこれに基づく施策の基本となる事項を定め、それらの施策を県民総参加のもと総合的かつ計画的に推進することにより、地域産業である農林水産業の持続的な発展を図り、活力に満ちた農山漁村を構築し、もって県民の安全で安心できる豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする。 (定義)第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 多面的機能 水源のかん養、自然環境の保全、良好な農山漁村の景観の形成、地域文化の伝承等、農林水産業及び農山漁村が有する農林水産物の供給以外の様々な機能をいう。 二 農林水産業関連産業 食品産業その他の農林水産業に関連する産業をいう。 三 農林水産業者等 農林水産業者、農林水産業に関する団体、農林水産業関連産業の事業者及び農林水産業関連産業に関する団体をいう。 (基本理念)第三条 県は、次に掲げる基本理念に基づき、食と農林水産業及び農山漁村の振興を図るものとする。 一 県民が求める安全で安心できる農林水産物の生産・供給が安定的に行われるとともに、食の重要性について県民の理解が深められること。 二 地域の特性に応じて、収益性の高い、安定的な農林水産業経営が確立され、将来にわたって農林水産業が持続的に営まれること。 三 農山漁村については、農林水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮されるよう、それぞれの農山漁村のおかれた地域の特性を生かしながら、その振興が図られること。 (県民の役割)第四条 県民は、食の重要性を認識し、健全で豊かな食生活を心がけるとともに、地産地消(県産農林水産物を県内で消費し、又は利用することをいう。以下同じ。)に積極的に努めるものとする。2 県民は、農林水産業及び農山漁村に支えられた自らの暮らしを通じて、安全で安心な食料を安定的に供給する機能及び多面的機能を有する農林水産業及び農山漁村の重要性に対する理解を深めるとともに、これらの振興に協力するよう努めるものとする。3 県民は、農林水産業及び農山漁村の持つ多面的機能を促進するため、農林水産業への体験その他の主体的な参画及び協働による農山漁村の保全活動に努めるものとする。 (農林水産業者等の努力等)第五条 農林水産業者及び農林水産業に関する団体は、自らが安全で良質な農林水産物の供給及び活力ある農山漁村づくりの主体であることを深く認識し、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。2 農林水産業関連産業の事業者及び農林水産業関連産業に関する団体は、その事業活動及びこれに関連する活動を行うに当たっては、県産の農林水産物の利用を促進すること等により、基本理念の実現に積極的に協力するよう努めるものとする。 (県の責務)第六条 県は、第三条に定める基本理念にのっとり、国、市町村、農林水産業者及び農林水産業に関する団体並びに県民と連携し、総合的に施策を推進するものとする。2 県は、国に対して、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策の提言を積極的に行うよう努めるものとする。 (市町村への要請及び支援)第七条 県は、市町村に対し、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策を実施すること並びに県が実施する施策に協力することを求めるものとする。2 県は、市町村が実施する食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策について、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。 (基本的施策)第八条 県は、基本理念にのっとり、次の施策を講ずるものとする。 一 農林水産物の安全性の確保に必要な施策 二 地産地消、都市と農山漁村との交流活動等の推進に必要な施策 三 学校、地域社会等と連携した食育の推進に必要な施策 四 農林水産業の競争力の強化、販路拡大等に必要な施策 五 効率的かつ安定的な農林水産業経営の確立等に必要な施策 六 農林水産業の担い手の育成と確保に必要な施策 七 農林水産業の生産基盤の整備等に必要な施策 八 環境と調和のとれた農林水産業の推進に必要な施策 九 農林水産物の品質の向上及び付加価値等の向上に必要な施策 十 農林水産業の振興に資する新品種及び新技術の開発並びにその普及に必要な施策 十一 農林水産業者等が相互に連携を図るために必要な施策 十二 農林水産業と商工観光業等との連携による産品づくりや新ビジネスの育成支援等を図るために必要な施策 十三 農山漁村の振興を図るために必要な施策 十四 農林水産業及び農山漁村に関する広報活動その他県民の理解促進に必要な施策 (基本計画の策定)第九条 県は、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する基本的な計画を定めるものとする。 (推進体制の整備)第十条 県は、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策を県民とともに推進するための効率的な体制の整備に努めるものとする。 (財政上の措置)第十一条 県は、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策を実施するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 附則 この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。 理由 大分県の食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する基本的な理念や方向性を示し、それらの施策を県民総参加のもと総合的かつ計画的に推進することを図るため、この条例案を提出する。
------------------------------- 議案提出書 議員提出第二号議案 大分県減災社会づくりのための県民条例の制定について 右の議案を別紙のとおり会議規則第十五条第一項の規定により提出します。 平成二十一年三月十一日提出者 大分県議会議員 近藤和義 〃 〃 志村 学賛成者 大分県議会議員 大友一夫 〃 〃 桜木 博 〃 〃 賀来和紘 〃 〃 首藤隆憲 〃 〃 河野成司 〃 〃 高村清志 〃 〃 堤 栄三大分県議会議長 阿部英仁殿
-------------------------------(別紙) 議員提出第二号議案 大分県減災社会づくりのための県民条例の制定について 大分県減災社会づくりのための県民条例を次のように定める。 平成二十一年三月十一日提出 大分県議会議員 近藤和義 大分県減災社会づくりのための県民条例目次 前文 第一章 総則(第一条-第三条) 第二章 自助(第四条-第七条) 第三章 共助(第八条・第九条) 第四章 公助(第十条・第十一条) 第五章 県民減災社会づくりの日(第十二条) 附則 大分県は、毎年のように梅雨前線や台風等に伴う集中豪雨、暴風などの風水害に見舞われている。また、県内には多数の活断層が存在し、東南海・南海地震が高い確率で発生すると予測され、本県に甚大な被害をもたらすことが予想されている。 これら自然災害の発生を防ぐことはできないが、その被害は、県民一人一人の日ごろの努力によって減らすことが可能である。特に、本県の複雑な地形や少子・高齢化の進展等により、多くの小規模集落が存在し、地域コミュニティの衰退が懸念される中にあっては、地域の中でのつながりや地域間の連携が大きな力となる。 私たちは、行政による「公助」はもとより、自分の命は自分で守る「自助」、自分たちの地域は自分たちで守る「共助」を実践し、地域社会における防災力を向上させることによって、被害を最小限におさえる減災社会を実現しなければならない。 ここに、大分県の減災社会づくりに向け、「自助」、「共助」、「公助」を基本理念とする県民運動を展開するため、この条例を制定する。 第一章 総則 (目的)第一条 この条例は、災害(暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。以下同じ。)から県民の生命、身体及び財産を守るため、防災対策に関する基本理念を定め、防災対策の基本となる役割を明らかにすることにより、県民、事業者及び自主防災組織(以下「県民等」という。)の自発的な防災活動の促進を図り、もって災害における被害を軽減する減災社会の実現に寄与することを目的とする。 (基本理念)第二条 防災対策は、被害が最小限になるよう、県民が自らの身は自らで守る自助、地域住民が互いに助け合って自分たちの地域を守る共助、並びに県及び市町村が県民の生命、身体及び財産を守るために行う公助を基本とし、相互に連携して実施されなければならない。 (県民等の責務)第三条 県民等は、日ごろから災害に対する備えを心掛け、自らの防災対策を講じるとともに、地域における防災活動並びに県及び市町村が実施する防災対策に協力するよう努めなければならない。 第二章 自助 (防災知識の習得等)第四条 県民は、防災に関する研修会、防災訓練、防災ボランティア活動その他の防災に関する活動に積極的に参加し、防災に関する知識及び技能の習得に努めるものとする。2 県民は、自らが生活する地域において、市町村、県その他の関係機関が提供する防災に関する情報を活用して、災害が発生するおそれのある危険箇所、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合(以下「災害時」という。)の避難場所、避難経路、避難方法その他の安全の確保に必要な事項について確認するとともに、安否確認の連絡方法等をあらかじめ確認しておくよう努めるものとする。 (地震への備え)第五条 建築物の所有者は、当該建築物について必要な耐震診断を行うとともに、その結果を踏まえ、耐震改修その他の適切な措置を行うよう努めるものとする。2 県民は、家具、家電製品、窓ガラス等について、転倒、落下、飛散等による被害の発生を防ぐための対策を行うよう努めるものとする。 (生活物資の備蓄等)第六条 県民は、災害の発生に備え、少なくとも三日分の食料、飲料水、医薬品等の生活物資を備蓄し、及び防災に関する情報を収集する手段を確保するとともに、避難の際に必要な物資を持ち出すことができるように準備しておくよう努めるものとする。 (自主避難等) 第七条 県民は、災害時において、自ら防災に関する情報の収集に努め、避難すべきと判断したときは、自主防災組織等と連携して、自主的に避難するほか、避難勧告その他の避難のための措置の発令等があったときは、速やかにこれに応じて行動するよう努めるものとする。 第三章 共助 (自主防災組織及び事業者の役割)第八条 県民は、互いに助け合って自分たちの地域を守る共助の中核をなす組織として、自主防災組織を結成し、その活動に積極的に参加するよう努めるものとする。2 自主防災組識は、市町村、事業者、関係機関等と連携しながら、防災知識の普及、地域の安全点検、防災訓練その他の災害予防対策を地域の実情にあわせて日常的に行うとともに、災害時には情報の収集及び伝達、避難誘導、初期消火、救助その他の災害応急対策を実施するよう努めるものとする。3 事業者は、災害時において事業を継続し、又は早期に復旧するための計画を作成するとともに、地域社会の一員として、地域における防災活動に積極的に協力するよう努めるものとする。 (災害時要援護者の支援体制の整備)第九条 自主防災組織は、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、外国人等であって災害時に支援を要する災害時要援護者の避難等の支援を円滑に行うため、市町村、関係機関等と連携しながら、あらかじめ地域における災害時要援護者に関する情報を把握するとともに、支援体制の整備に努めるものとする。 第四章 公助 (県の責務)第十条 県は、国、他の都道府県、市町村その他の関係機関と連携し、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第十号に規定する地域防災計画に定める防災対策を着実に実施するとともに、自助、共助に基づく防災対策の重要性の啓発を行い、県民等の自発的な防災活動の促進を図るものとする。 (市町村の役割)第十一条 市町村は、当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から守るため、県、自主防災組織その他の関係機関と連携し、防災対策に関する施策の推進に努めるものとする。 第五章 県民減災社会づくりの日 (県民減災社会づくりの日)第十二条 減災社会づくりに向けた県民運動を展開するため、県民減災社会づくりの日を設ける。2 県民減災社会づくりの日は、毎月一日とし、県民等は自らの防災対策の点検及び一層の充実に努め、県は市町村等と連携して県民等の防災意識の高揚を図るための啓発活動を実施するものとする。 附則 この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。 理由 大分県の防災対策について、基本理念を定め、防災対策の基本となる役割を明らかにすることにより、災害における被害を軽減する減災社会の実現を図るため、この条例案を提出する。
------------------------------- 議案提出書 議員提出第三号議案 大分県議会基本条例の制定について 右の議案を別紙のとおり会議規則第十五条第一項の規定により提出します。 平成二十一年三月十一日提出者 大分県議会議員 牧野浩朗 〃 〃 古手川茂樹賛成者 大分県議会議員 濱田 洋 〃 〃 末宗秀雄 〃 〃 田中利明 〃 〃 志村 学 〃 〃 安部省祐 〃 〃 荒金信生 〃 〃 深津栄一 〃 〃 酒井喜親 〃 〃 吉田忠智 〃 〃 梶原九州男 〃 〃 内田淳一 〃 〃 竹中万寿夫 〃 〃 高村清志 〃 〃 堤 栄三大分県議会議長 阿部英仁殿
-------------------------------(別紙) 議員提出第三号議案 大分県議会基本条例の制定について 大分県議会基本条例を次のように定める。 平成二十一年三月十一日提出 大分県議会議員 牧野浩朗 大分県議会基本条例目次 前文 第一章 総則(第一条・第二条) 第二章 議会の役割と機能(第三条-第七条) 第三章 議会運営の原則(第八条-第十条) 第四章 議員活動の原則(第十一条-第十三条) 第五章 県民との関係(第十四条-第十六条) 第六章 議員の倫理(第十七条・第十八条) 第七章 最高規範性(第十九条) 第八章 補則(第二十条・第二十一条) 附則 平成十二年四月のいわゆる地方分権一括法の施行により、本格的な地方分権を目指した取組がスタートした。これにより、国と地方公共団体とは対等・協力の関係へと変化した。平成十六年度からの三位一体改革により、国から地方への税源移譲が行われたものの、地方公共団体が自主自立で行財政運営を実施できる体制にはほど遠く、地方分権の実現は未だ道半ばにある。 地方公共団体の自主性や自立性を高め、住民自治及び団体自治の原則に基づく真の地方自治を構築するため、地方議会が果たすべき役割と責務はますます増大している。 大分県議会は、これまで県民に分かりやすい、県民に開かれた地方分権時代にふさわしい県議会のあり方を追求し、議会の改革と活性化に努めてきた。県議会はこれまでの取組をさらに進め、県民の声を反映する県議会及び県議会議員のあり方を改めて明確にし、ともに県民に選ばれた議員の合議体である県議会と知事とがより良い県政の実現に向けて切磋琢磨していく真の二元代表制の確立に努めていくことが重要である。県議会は、今後とも知事等の事務執行の監視及び評価機能の強化と県政に対する積極的な政策立案・政策提言に取り組んでいく。 ここに、本県議会は、県民全体の奉仕者であることの誇りと果たすべき役割及び責務の重さを深く自覚し、主権者である県民の視点に立って、県民生活の向上及び県勢の伸展のために全力を尽くすことを決意し、この条例を制定する。 第一章 総則 (目的)第一条 この条例は、議会の基本理念を定め、その実現を図るための基本となる議会の役割と機能、議会運営の原則、議員活動の原則等を明らかにすることにより、議会が地方自治の本旨に基づく県民の負託に的確にこたえ、もって県民生活の向上、県勢の伸展及び民主政治の健全な発展に資することを目的とする。 (基本理念)第二条 議会は、県民を代表する県政における最高議決機関として県民意思を県政に反映させるため、公平かつ公正な議論を尽くし、真の地方自治の実現を目指すものとする。 第二章 議会の役割と機能 (議決)第三条 議会は、議決により、県の意思を確定するものとする。 (政策立案及び政策提言)第四条 議会は、議員提案による条例の制定、決議等を通じて、独自の政策立案及び政策提言を積極的に行うものとする。 (監視及び評価)第五条 議会は、知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)の事務執行が適正かつ公平性及び効率性をもって行われているか監視し、必要と認める場合には、適切な措置を講ずるよう促すものとする。2 議会は、知事等の事務執行の効果及び成果について評価し、必要と認める場合には、適切な対応を講ずるよう促すものとする。 (調査及び公表)第六条 議会は、議案又は県の事務に関する調査を行うほか、県政及び議会運営に関する具体的課題の解決に資するため、必要な調査を行うものとする。2 前項の調査を行った場合には、その内容を公表するものとする。 (知事等との関係)第七条 議会は、二元代表制の一翼として、議決権を有し、知事等が執行権を有するという互いの役割分担の関係を尊重しつつ、共通の目標である県民生活の向上及び県勢の伸展に向け、自らの機能を遂行しなければならない。 第三章 議会運営の原則 (運営の原則)第八条 議会は、県民に開かれた運営を行うものとする。2 議会は、合議制機関として、円滑で効率的な運営に努めなければならない。3 議会は、言論の府として議員の発言を保障し、かつ、議員相互間の討議等の方法により、活発な議論が行えるように努めなければならない。4 議会は、政策を提言する機能を十分に発揮するため、議会組織の柔軟な活用に努めるものとする。5 議会は、地方分権の進展に対応し、自らの改革に継続的に取り組むものとする。 (委員会)第九条 常任委員会は、県政の課題に対応して機動的に開催し、その機能を十分に発揮するよう運営しなければならない。2 特別委員会は、県政の課題に対応して特に必要がある場合に柔軟に設置し、その機能を十分に発揮するよう運営しなければならない。 (検討組織の設置)第十条 議会は、本会議及び委員会の審議等によるほか、県政の課題及び議会運営に関して必要がある場合には、議員で構成する検討組織を柔軟に設置し、審査、調査、協議等を行うものとする。 第四章 議員活動の原則 (議員の職責)第十一条 議員は、県民の代表として県民全体の利益を考え、県民の負託にこたえる職責を有する。2 議員は、議会の構成員として議会の機能を遂行する活動(以下「議会活動」という。)を担う職責を有する。 (議員活動と役割)第十二条 議員は、それぞれが県民の直接選挙により選出されているという高い独立性の下、自らの職責を果たすため、次に掲げる議員活動を自律的かつ日常的に行うものとする。 一 県政に関する県民意思の把握に努めること。 二 県政の課題及び政策に関する広範な情報収集及び調査研究に努めること。 三 議会活動に必要な見識を高めるため、研修への参加その他の自己研さんに努めること。 (会派)第十三条 議員は、前条に定める議員活動又は議会活動を行うため、会派を結成することができる。ただし、議員が政務調査費の交付を受けようとするときは、会派を結成しなければならない。2 会派は、公正かつ活発な議会運営に資するため、会派間での積極的な討議及び調整に努めるものとする。3 会派は、県政に関する県民意思の把握、県政の課題及び政策に関する広範な情報収集及び調査研究並びに所属議員の議会活動に必要な研修等を行うものとする。 第五章 県民との関係 (県民意思の反映)第十四条 議会は、県民意思を把握し、県政に反映させなければならない。2 議会は、委員会における公聴会の開催、参考人の招致等県民意思を反映する制度の積極的な活用に努めるものとする。 (県民への説明責務)第十五条 議会は、その諸活動を県民に対し説明する責務を負うものとする。 (広報広聴)第十六条 議会は、県民に開かれた議会を実現するため、その諸活動に関して積極的な広報広聴に努めるものとする。2 会派及び議員は、それぞれの議会活動に関して積極的な広報広聴に努めるものとする。 第六章 議員の倫理 (議員の倫理)第十七条 議員は、県民の厳粛な負託により、県政に携わる権能及び職責を有することを自覚し、県民全体の奉仕者、県民から選挙により選出される代表者として品位と政治倫理の向上に努め、公正性及び高潔性を保持しなければならない。 (政治倫理基準の遵守)第十八条 議員は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)等の政治活動に関する諸規定を遵守するとともに、次に掲げる政治倫理基準を遵守して行動しなければならない。 一 議員は、議会及び議員の品位、名誉を損なう行為を慎み、不正の疑惑を持たれるおそれのある金品の授受その他の行為をしないこと。 二 議員は、本県職員の公正な職務執行を妨げるような働きかけをしないこと。 三 議員は、本県職員の採用、昇任又は人事異動に関し、不正な働きかけをしないこと。 四 議員は、政務調査費に関する諸規定を遵守し、より厳正な行動に努めること。 第七章 最高規範性 (最高規範性)第十九条 この条例は、議会の最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を解釈し、又は制定し、若しくは改廃するに当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。 第八章 補則 (別に条例で定める事項)第二十条 議員定数、定例会、委員会、政務調査費、議会図書室、議員報酬、費用弁償、議会の議決に付すべき事件等については、別に条例で定める。 (検討)第二十一条 議会は、常に県民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 附則 この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。 理由 議会の基本理念を具体化するための原則的な考え方を総合的に規定し、議会が県民の負託にこたえ、もって県民生活の向上、県勢の伸展に資するため、この条例案を提出する。
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○阿部英仁議長 順次、提出者の説明を求めます。近藤和義君。 〔近藤議員登壇〕
◆近藤和義議員 ただいま議題となりました議員提出第一号議案おおいたの食と農林水産業振興条例についてであります。 今日、豊かな県民生活をはぐくみ、私たちの暮らしに恩恵をもたらしてきた農林水産業や農山漁村を取り巻く環境は大きく変化しています。農林水産業に携わる人々の減少や高齢化の進行に伴う担い手の不足により小規模集落や耕作放棄地が増加し、また一方で食をめぐる偽装事件が相次ぎ、県民の食に対する意識が高まっています。 そこで、農林水産業を魅力のある産業として、活力のある農山漁村を築き上げるために、広く県民に食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する基本的な理念や方向性を示し、県や市町村、農林水産業者及び関係団体、県民が負う責務や役割を定め、その取り組みを総合的かつ計画的に推進するため、食と農林水産業及び農山漁村の果たす役割について県民の理解をより一層深めることを目的として、この条例を制定するものであります。 次に、議員提出第二号議案大分県減災社会づくりのための県民条例についてであります。 近年、国内外において大規模な災害が相次いで発生しています。本県においても、毎年のように集中豪雨や台風などの風水害に見舞われ、また、直下型地震や東南海・南海地震の発生も懸念されています。 このような自然災害の発生を防ぐことはできませんが、災害による被害は県民一人一人の日ごろの努力によって減らすことができます。 そこで、本県の防災対策について、自分の命は自分で守る自助、自分たちの地域は自分たちで守る共助、行政による公助を基本理念とし、地域社会の防災力を向上させることによって被害を最小限に抑える減災社会の実現に向け、日ごろから備えるべき心がけを県民運動として実践していくことを目的とし、この条例を制定するものであります。 案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。 何とぞ、慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようお願いをいたします。
○阿部英仁議長 牧野浩朗君。 〔牧野議員登壇〕
◆牧野浩朗議員 ただいま議題となりました議員提出第三号議案大分県議会基本条例の制定についてであります。 地方分権一括法の施行により地方分権を目指した取り組みがスタートしたものの、地方公共団体が自主自立で行財政運営を実施できる体制にはほど遠く、地方分権の実現はいまだ道半ばにあります。地方公共団体の自主性や自立性を高め、真の地方自治を構築するため、地方議会が果たすべき役割と責務はますますふえてきております。 これまで大分県議会は、県民にわかりやすい、県民に開かれた、地方分権時代にふさわしい県議会のあり方を追求し、議会の改革と活性化に努めてまいりました。 本県議会は、これまでの取り組みをさらに進め、県民の声を反映する県議会並びに県議会議員のあり方を改めて明確にし、ともに県民に選ばれた議員の合議体である県議会と知事とがよりよい県政の実現に向けて切磋琢磨していく真の二元代表制の確立に努めていくことが重要であります。 ここに本県議会は、県民全体の奉仕者であることの誇りと果たすべき役割及び責務の重さを深く自覚し、主権者である県民の視点に立って、県民生活の向上及び県勢の伸展のために全力を尽くすことを決意し、この条例を制定するものであります。 案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただきます。 何とぞ、慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようにお願いをいたします。
○阿部英仁議長 以上で提出者の説明は終わりました。 これより質疑に入ります。--別にご質疑もないようでありますので、質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております各案は、お手元に配付の付託表のとおり所管の委員会に付託いたします。
-------------------------------付託表件名付託委員会議員提出第一号議案おおいたの食と農林水産業振興条例の制定について農林水産議員提出第二号議案大分県減災社会づくりのための県民条例の制定について福祉保健
生活環境議員提出第三号議案大分県議会基本条例の制定について議会運営
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△日程第三
特別委員会設置の件
○阿部英仁議長 日程第三、
特別委員会設置の件を議題といたします。
------------------------------- 特別委員会設置要求書 次のとおり特別委員会を設置されるよう会議規則第六十六条の規定により要求します。 記一、名称 予算特別委員会二、目的 平成二十一年度予算審査のため三、期間 平成二十一年三月十一日から平成二十一年三月二十六日まで四、付託する事件 第一号議案から第一七号議案まで五、委員の数 四十三人 平成二十一年三月十一日発議者 大分県議会議員 牧野浩朗 〃 〃 古手川茂樹 〃 〃 濱田 洋 〃 〃 末宗秀雄 〃 〃 田中利明 〃 〃 志村 学 〃 〃 安部省祐 〃 〃 荒金信生 〃 〃 酒井喜親 〃 〃 吉田忠智 〃 〃 梶原九州男 〃 〃 内田淳一 〃 〃 竹中万寿夫大分県議会議長 阿部英仁殿
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○阿部英仁議長 牧野浩朗君ほか十二名の諸君から、お手元に配付のとおり
特別委員会設置要求書が提出されました。 お諮りいたします。要求書のとおり予算特別委員会を設置し、第一号議案から第一七号議案までを付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿部英仁議長 ご異議なしと認めます。 よって、要求書のとおり予算特別委員会を設置し、第一号議案から第一七号議案までを付託することに決定いたしました。
-------------------------------(参照) 予算特別委員会に付託した議案第一号議案 平成二十一年度大分県一般会計予算第二号議案 平成二十一年度大分県公債管理特別会計予算第三号議案 平成二十一年度大分県母子寡婦福祉資金特別会計予算第四号議案 平成二十一年度大分県心身障害者扶養共済制度特別会計予算第五号議案 平成二十一年度大分県中小企業設備導入資金特別会計予算第六号議案 平成二十一年度大分県流通業務団地造成事業特別会計予算第七号議案 平成二十一年度大分県農業改良資金特別会計予算第八号議案 平成二十一年度大分県林業・木材産業改善資金特別会計予算第九号議案 平成二十一年度大分県沿岸漁業改善資金特別会計予算第一〇号議案 平成二十一年度大分県県営林事業特別会計予算第一一号議案 平成二十一年度大分県公共用地先行取得事業特別会計予算第一二号議案 平成二十一年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計予算第一三号議案 平成二十一年度大分県港湾施設整備事業特別会計予算第一四号議案 平成二十一年度大分県用品調達特別会計予算第一五号議案 平成二十一年度大分県病院事業会計予算第一六号議案 平成二十一年度大分県電気事業会計予算第一七号議案 平成二十一年度大分県工業用水道事業会計予算
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△特別委員の選任
○阿部英仁議長 お諮りいたします。ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第五条第一項の規定により、議長を除く四十三名の諸君を指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿部英仁議長 ご異議なしと認めます。 よって、ただいま指名いたしました議長を除く四十三名の諸君を予算特別委員に選任することに決定いたしました。 なお、予算特別委員会は、委員長及び副委員長互選のため、本日の本会議終了後、本会議場において委員会を開催願います。
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△議事手続の不備及び会議録からの削除に関する発言
○阿部英仁議長 この際、申し上げます。 去る六日の代表質問において、一部、議事手続に不備がありましたので、以後、注意いたさせます。 なお、この件に係る発言は会議録から削除いたしますので、ご了承願います。
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○阿部英仁議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りいたします。明十二日、十三日、十六日から十八日まで及び二十四日は予算特別委員会開催のため、十九日、二十三日は予算特別委員会分科会及び常任委員会開催のため、二十五日は議事整理のため、それぞれ休会といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿部英仁議長 ご異議なしと認めます。 よって、明十二日、十三日、十六日から十九日まで及び二十三日から二十五日までは休会と決定いたしました。 なお、十四日、十五日及び二十日から二十二日までは県の休日のため休会といたします。 次会は、二十六日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
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○阿部英仁議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時三十七分 散会...