平成57年 6月 定例会┌──────────────────┐│ 第 四 号(六月十四日) │└──────────────────┘ 昭 和 五十七年 熊本県議会六月定例会会議録 第四号――
―――――――――――――――――――――――――昭和五十七年六月十四日(月曜日
) ―――――――――――――――――――― 議事日程 第四号 昭和五十七年六月十四日(月曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――○―――――――出席議員(五十四名) 西 岡 勝 成 君 深 水 吉 彦 君 阿曽田 清 君 橋 本 太 郎 君 松 家 博 君 岩 下 榮 一 君 下 川 亨 君 林 田 幸 治 君 三 角 保 之 君 岩 永 米 人 君 児 玉 文 雄 君 山 本 秀 久 君 古 本 太 士 君 渡 辺 知 博 君 八 浪 知 行 君 杉 森 猛 夫 君 鏡 昭 二 君 高 田 昭二郎 君 柴 田 徳 義 君 広 瀬 博 美 君 浜 崎 三 鶴 君 古 閑 一 夫 君 魚 住 汎 英 君 馬 場 三 則 君 木 村 健 一 君 平 川 和 人 君 北 里 達之助 君 金 子 康 男 君 荒 木 斉 君 井 上 栄 次 君 竹 島 勇 君 今 井 洸 君 米 原 賢 士 君 古 閑 三 博 君 井ノ上 龍 生 君 永 田 悦 雄 君 宮 元 玄次郎 君 甲 斐 孝 行 君 八 木 繁 尚 君 幸 山 繁 信 君 池 田 定 行 君 小 材 学 君 岩 崎 六 郎 君 沼 川 洋 一 君 水 田 伸 三 君 杉 村 国 夫 君 今 村 来 君 浦 田 勝 君 小 谷 久爾夫 君 橋 本 盈 雄 君 増 田 英 夫 君 倉 重 末 喜 君 中 村 晋 君 酒 井 善 為 君欠席議員(なし
) ――――――――――――――――――――説明のため出席した者 知事 沢 田 一 精 君 副知事 藤 本 伸 哉 君 出納長 松 下 勝 君 総務部長 原 田 富 夫 君
企画開発部長 岡 田 康 彦 君
福祉生活部長 山 下 寅 男 君 衛生部長 清 田 幸 雄 君 公害部長 山 内 新 君
商工観光労働 部長 八 浪 道 雄 君 農政部長 坂 本 清 登 君 林務水産部長 大 塚 由 成 君 土木部長 梅 野 倫 之 君 有明地域開発 局長 伴 正 善 君
公営企業管理者 松 永 徹 君 教育委員会 委員長 本 田 不二郎 君 教育長 外 村 次 郎 君 警察本部長 廣 谷 干 城 君 人事委員会 事務局長 下 林 政 寅 君 監査委員 緒 方 隆 雄 君 ――
――――――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 川 上 和 彦 事務局次長 衛 藤 成一郎 議事課長 小 池 敏 之 議事課長補佐 辻 璋 主幹 山 下 勝 朗 参事 光 永 恭 子 ―――――――○――――――― 午前十時二十四分開議
○
議長(幸山繁信君) これより本日の会議を開きます。 ―――――――○―――――――
△日程第一 一般質問
○
議長(幸山繁信君) 日程に従いまして日程第一、一昨日に引き続き一般質問を行います。林田幸治君。 〔林田幸治君登壇〕(拍手)
◆(林田幸治君) 日本社会党の林田でございます。通告に従いまして、日本社会党を代表して一般質問を申し上げさせていただきます。 第一は、農政の諸問題ということにおきまして、
自給飼料対策、そして養豚対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。 アメリカを中心としたわが国に対する農産物の輸入自由化または輸入枠拡大の攻撃の本質と、これに対するわれわれの対応については、本議会の代表質問等を通してつぶさに論議されてきたところであります。その点では、私のこれからの質問は重複する点は避けられないというふうに思います。しかしながら、私の数少ない体験の中で、私なりに今日の農業問題を受けとめたその一つ二つに触れながら質問を申し上げてまいりたいと存ずるわけであります。 私
ども社会党県本部では、去る五月二十八日に熊本市で熊本県食糧会議を開催いたしました。それには来賓として
県農協中央会や県農政部からも御参加をいただきながら、農民組合、労働組合、そして消費者代表など八十名程度で
パネルディスカッションを行ったわけであります。 私どもは書物を通して、日本農業の実態というか現況というものに触れながら、頭の中では一定の整理がついたような顔をしているわけであります。しかし率直に言って、素人の私どもに、本当の農業の、そして農民の苦しみなどわかるはずはありません。やっぱり実際に働いている農民あるいは農協その他関係者のリーダーの話に触れて、話し合いの中から、わがことのような感じに打たれるものであります。つまり、私は、この食糧会議を通して、改めて日本農業の危機的現状をはだに触れて理解できたわけであります。 日本農業は、穀物の自給率が三三%と言われております。先進工業国の中で最低の水準であります。食用穀物の自給率は、米の一〇〇%に支えられて、西ドイツやイギリス並みの水準を維持しておりますものの、飼料穀物は二%の自給率しかない。このことを本当に国民すべてが理解できているんだろうか、理解してもらうための努力をもっともっとやっていかなければならないと、会議を通してしみじみと感じ取ったわけであります。飼料穀物の九八%を輸入に依存している。そこで、もし輸入飼料が入ってこないことになれば畜産は成り立たない、国民は肉が食えなくなる。いや、肉が食えなくなるというだけでなくて、わが国では全面的に輸入食糧がストップした場合三千万人の餓死者が出る、このような実態を理解することができたわけであります。 さらに、農畜産物の全面自由化を求めるアメリカの最終戦略が、いまはガットで対象になっていないわけですけれども、米麦の自由化を求めてくる展望にあることも知ったわけであります。
県農協中央会の
農政対策部長が、この会議で提言された「日本で必要な食糧は日本で生産しよう」という言葉が強く印象として刻まれておるわけであります。何としても日本農業を守ること、それは国民的課題であるということが明らかになったわけであります。まさに日本農業を守ることは、いま問題とされておるところの、国民の足である国鉄地方線を守ろうとすることと全く軌を一にするものだと私には理解されたわけであります。 さて私は、そういう中で、つい先日、専業農家の知人と話し合う機会を持ちました。その知人は、八反の水田と二百頭の養豚経営で複合農業に携わっているわけであります。「農家経営でいま一番の問題は、君の場合何だろう」というふうに聞きますと、「やっぱり減反問題だ」と言うのであります。彼の場合、市街化区域内に十六・九アール、調整区域内に六十四・一アールの耕作を行っているわけであります。ことしの減反割り当ては、市街化区域が三六・四六%、調整区域が二五・四六%になっておりまして、ことしは合わせて二三・二アールの減反を実施しなければならぬと、こういうことを話してくれたわけであります。そして十アール当たり六万円の転作奨励金をもらったとしても、米をつくった場合の三割にしか当たらない、米をつくったら農機具の代金も安心して払えるとこぼしているわけであります。そして米が余っているので減反はしようがないとすれば、えさ米をつくれるようにしてほしいとこもごも訴えるのであります。 そうして彼は、さきにも触れましたように、二百頭の繁殖肥育の養豚を経営しているわけでありますが、そのえさ米を自給飼料としたらずいぶんと楽になるのではないかと言うわけであります。いま使っている輸入飼料にしても、その中身は八割ぐらいがフスマで、トウモロコシや大豆かす等は二割ぐらいになっている。そしてこの飼料代金で、素畜費を除くと生産費の七割は食ってしまうと言うのであります。畜産の現状は、努力しても努力しても赤字というのが現状で、畜産の輸入規制もぜひ行ってほしいと切々と訴えるのであります。 さきにマスコミ等でも報道されておりましたが、県の農協中央会が畜産農家の経営内容を調査された、つまり「負債、
固定化負債実態調査」によりますと、畜産農家の九割以上が借入金を抱え、しかも一戸平均千二百八十九万円にも達している。その上、償還期間が来て一年以上経過した固定化負債を抱える農家が五九・二%、借入金農家の三分の二、一戸当たりの固定額も七百二万円に達しているというふうに言われておるわけであります。私の知人の場合も全くそのとおりで、これまで三世帯共同で行ってきた養豚も、赤字に次ぐ赤字で、一人去り、また一人、いまでは彼一人で営んでいるわけであります。共同の赤字は水田を売って償却してきたという実態も、それとなく話してくれました。これからは一人で五百頭ぐらいに伸ばしたい、そうすれば何とか展望が開けるのではないかというふうに語ってくれたわけです。 くどくどと申し上げましたが、このような実態の中で、私は、次の二点について質問を申し上げ、見解を承りたいわけであります。 まず第一点は、現在えさの輸入量は年間一千六百万トンにも達していると言われております。この中で国内の畜産農家は、高い輸入飼料に依存して苦しい経営を行わざるを得ない、このような状態は異常と言えないでしょうか。えさを輸入に頼らず、畜産とえさの生産を一貫させた農業を確立する道筋がとれないものであろうか。えさ米にしても、水田の高い生産力を利用するという観点から、国はもっともっと積極的に取り組むべきではないかと考えるわけであります。 さらに、これとあわせて安定した畜産経営を確立するためには、飼料の自給率の向上がきわめて重要であります。したがって、低利用の土地や水田裏作など
自給飼料生産の方途を確立するため積極的に取り組む必要があろうと考えるわけであります。 二つ目には、養豚農業の現状は、すでに申し上げたとおりであります。さきに触れた私の知人は、二年据え置き十年返済ぐらいの低利の貸し付けを受けられるような特別の手だてがとれないものか、こんなことを述懐しておりました。養豚農家の共通した心情としてあるものと私は思考します。このような厳しい養豚事情を踏まえて、県ではどのような対策を考えておられるのか、あわせて農政部長にお伺いをいたしたいと存じます。 〔
農政部長坂本清登君登壇〕
◎農政部長(坂本清登君) まず、
自給飼料対策についてお答えを申し上げたいと思います。 わが国の畜産は、御説のとおり、できるだけ輸入飼料の依存度を低めて飼料の自給率を向上させることが最大の課題であると考えております。県内の粗
飼料作付面積は、この十年間で年率三・九%の伸びを示しまして二万六千七百ヘクタールとなっております。しかし、今後の畜産振興は、需要に即した生産を行いながら、畜産物の質の向上と生産コストの低減を図ることがきわめて重要でありますので、特に大家畜経営では自給飼料の確保とその効果的利用の推進を図る必要があります。 このため、県といたしましては、五十七年度から新たに
畜産総合対策の中で、
主要畜産地域の市町村につきまして
畜産振興計画の策定を指導することにしておりますが、市町村ごとに、この計画に基づき家畜の生産に見合った自給飼料の生産体制の確立を図る所存でございます。具体的には、水田転換、未利用地、野草地等を利用した飼料作物の作付や機械施設の整備等を行うことによりまして、粗飼料自給率の向上を積極的に進めてまいりたいと考えております。 特に、水田転作における飼料作物の作付面積は五十六年度約七千ヘクタールとなっており、本県の畜産振興へ多大の寄与をしているところでございます。今後さらに、これら
転作飼料作物の有効利用を図るため、耕種農家と畜産農家との結合を深め、生産から流通までの組織づくりを推進し、県内に飼料自給率の向上を図っていきたいと考えております。 なお、飼料米の基本的考え方につきましては、十一日の中村議員の代表質問に知事がお答えしたところでございますが、国におきましては、超多収品種の開発や栽培技術の
確立等試験研究がなされているところでございます。県では、外国稲を含む品種の開発や家畜への飼養試験を行っております。 また、青刈り稲につきましては、
水田利用再編対策の中で、遅植えによる機械化の省力栽培体系の確立やホールクロップサイレージの利用等について、市町村、農業団体とともに、
農業改良普及所を中心に自給飼料化への方策を実験展示することといたしております。 今後、飼料米の諸問題につきましては、その早期解明につきまして国においても積極的に取り組むよう強く要望してまいりたいと考えております。 次に、養豚対策についてお答えいたします。 わが国における養豚は、海外からの輸入量の増大と、需要の伸びを上回る生産の増加から、需給の不均衡を生じましたので、五十五年以降生産調整が実施され、その結果、養豚経営は非常に厳しい情勢にあることは御指摘のとおりでございます。この間、豚価の低迷によりまして経営不振に陥った養豚農家に対しましては、従来から、経営安定のため、まず
飼養管理技術改善の指導とあわせまして資金対策を講じてまいったところでございますが、この厳しい情勢を踏まえまして、
農家経営安定資金制度を延長いたしまして引き続き実施してまいることといたしました。 また、国におきましても、五十七年度から新たに
肉畜経営改善資金が創設されることとなりましたので、今後この割り当て枠の確保に努めてまいる所存でございます。 最近、デンマークにおける口蹄疫の発生や、計画生産の成果等によりまして、需給動向が好転いたしてはおりますものの、今後養豚経営の安定推移を考えますと、やはり品質のすぐれた肉豚をより低いコストで生産していくことが最も必要と考えますので、県といたしましても、五十七年度から新たに
優良系統豚造成推進事業を実施いたしますほか、種豚の計画的交配及び
肉豚生産技術の改善についての指導を徹底し、同時に、
養豚関係団体で組織する
養豚経営安定推進会議と密接な連携をとりながら養豚経営の安定を図る所存でございます。 〔林田幸治君登壇〕
◆(林田幸治君) それぞれお答えをいただきました。冒頭にも申しましたように、日本農業のいまやまさに大きな危機的状況の中で、これからの経済運営と申しますか、そういう面では工業優先から農業と工業の調和のとれた国家として、経済力をいわゆる世界平和のために使っていく、そういう面で経済政策の転換の時期をいま迎えているのじゃないかというふうにしみじみ思います。工業製品の輸出偏重でなくて、もっともっと内需を拡大し、そうして経済政策の体質を変えていく。こういうことがない限り、これからの日本農業だけでなしに日本経済全体の問題として大きなデッドロックに乗り上げていくのではないかというふうに思います。そういう面で、もちろんこれは国の政策課題であるというふうに思いますけれども、それぞれの自治体の中で、直接働いている農民とのかかわりが最も強いわれわれの立場としてみれば、いま農政部長からこもごもお話がありましたけれども、自給飼料の今後の検討にいたしましても、さらには養豚農家の当面の課題として、品質向上の課題と同時に
農家経営安定資金等の貸し付け等についても継続して検討していこうという形などなど、本当に心に触れる行政をぜひひとつ進めてほしいというふうに思います。次に移ります。 第二番目は、免許運行の適正化と交通秩序の確立についてということで県警本部長にお伺いをいたすわけであります。 自動車台数、
運転免許所有者は年々急増している中で、昨年までは交通事故は減少してきました。当然のことながら、県警その他
交通安全対策に取り組む機関は、それぞれの施設の整備、安全意識の高揚、取り締まりの強化などの施策がとられてきた結果として評価されると、こういうふうに言っているわけであります。ところが、本年に入りまして、全国的な傾向としてではありますけれども交通事故が多発してまいっておるわけであります。 具体的に数字を挙げてまいりますと、六月十日現在、死亡事故が全国では三千六百八十九人、昨年に対しまして二百六人、五・九%の増加ということになっておるようであります。九州では四百九人、昨年よりも十八人ふえている。率にして四・五%。熊本は六十三名の死亡者であります。昨年が三十六名でありまして、つまり増加の二十七、パーセントにしまして七五%、異常な死亡事故の増加であります。 どうしてだろうか。何かの原因がもちろんあるはずであります。しかし、その原因は、絶対にこれだと言う人は恐らくいないだろうというふうに思います。やるべきことは、お互いにいままでやってきた対策を骨身を惜しまずやっていくこと、そして運転する個人も改めて事故防止を意識する、道を歩く人々にも事故防止を意識させる手だてを高ずることだと、あたりまえのことだけに私はそういうふうに思います。 と同時に、私は、世の中が不景気になって、特に運送業に携わる業界も、そこに働く労働者も、利益を上げるために過酷な労働の中で競争させられているからではないかというふうに思うわけであります。それは県下でも、修学旅行生のバスに大型トラックが正面衝突したとか、自衛隊の演習帰りのトラックが球磨川に転落するとか、それを引き揚げに行ったトレーラーに別のトレーラーが接触して球磨川に転落をする。本州方面では、熊本県の業者のトラックが居眠り運転で三重衝突したなど、交通事故の多発と大型化という異常な状態が続いているのであります。 そこで、私は、日ごろから熊本県の
交通関係労働者の組合が県警本部にも要請をしている事柄でありますが、白バス、白タク、白トラ、過積み、過労運転の取り締まりを強化するとともに、使用者に対しても厳重なる指導が必要ではないかというふうに思うわけであります。 運輸省の調査資料によりますと、
トラック運送の認可業者は、八〇年末で、路線免許三百五十六業者、区域免許三万四千二百七業者、そのほかに荷主契約の限定免許があるわけでありますが、区域免許は前年度より五百七十四業者増加しておるわけであります。そして区域免許全業者の八〇%が保有台数五両から二十両以下という零細業というのがその実態であります。熊本県の場合でも四百を上回る運送業者が過当競争に駆り立てられているわけであります。 ですから、五十五年十二月二十七日付基発第六百四十二号で通達されましたつまり二七通達でありますが、その基本は、
自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善を図り、あわせて交通事故の防止に資するため、
自動車運転者の労働条件の最低基準を定めた、つまり二七通達でありますが、これが守られていないという事態が明らかになっているのであります。最も違反率の高いのが、四時間以上の連続運転がなされているということであります。路線トラックの四五・一%、
区域トラックの三九・五%が四時間を超えて連続運転をさせられている、させている、企業利益のために追い立てられているのが目に見えるような気がするわけであります。ここに、過労運転が行われ過積みの行われる原因があると私は思います。 また、乗客輸送につきましても、厳しい審査と指導によってバス、タクシーの運行がなされているわけでありますが、最近の傾向として、冠婚葬祭をとり行う会館を初め、ホテル、クラブ等において、営業利益を目的とした白バス運行が幅をきかせておるわけであります。夜間ともなりますと、酔客の車両持ち帰りと称する営業運行が行われているわけであります。これは明らかに白タク行為というふうに私は思います。トラック、バス、タクシーがなぜ免許運行であるのか。それは交通秩序を守る必要があることと、国民の生命、財産を交通面から守る必要性から免許制として、公による厳しい監督下で運行管理を行わせているのであります。 このような見地に立って見るとき、今日のような無秩序の状態では、そのほとんどが中小零細な輸送業者としては企業防衛の手段として違法な行為をとらざるを得ないという形になってくるわけです。その結果が、
労働基準法違反となり、あるいは陸運各法の違反となってくるわけであります。 そこで、県警本部長にお伺いをするわけでありますが、まず第一点として、白トラ、白バス、白タク等に関する具体的な取り締まりの対策についてあれば伺いたいと思うわけです。 二つ目に、運輸業界における労務、安全対策なり運行管理について。これは本部長の所管ではないかと思いますけれども、やはり行政全般としてはかかわってまいることでもあろうというふうに思いますので、できればこれからの取り組みの方向性を含めましてお答えいただければ幸いだというふうに思います。 三つ目に、
交通安全対策の強化と過積み調査の徹底について、どのように対応なされてきているのか、これからまたどう対応されようとするのか、お伺いをしたいと思います。 〔警察本部長廣谷干城君登壇〕
◎警察本部長(廣谷干城君) 交通問題につきまして三点の御質問でございますので、順次お答えをいたします。 まず、白トラ、白バス、白タク等に関する取り締まりの問題でございますが、御承知のとおり、白トラ、白タクあるいは白バスと申しますのは、運輸大臣の免許を受けませんで貨物あるいは旅客の運送を業として行う行為でございます。これは輸送秩序を乱すということばかりでなく、交通事故防止の面からも看過できない問題でございまして、これらの行為につきましては常日ごろから強力な取り締まりを心がけておるものでございます。 白トラ行為につきましては、昨年中八件、本年に入りまして二件を検挙いたしておりまして、さらに、これにつきましては陸運事務所におきまして車両の使用禁止処分もあわせて行われておるような状況でございます。 白バス行為につきましては、旅館、飲食業者等が通常のサービス行為の範囲を超えまして有償で客の送迎を行うというようなことになりますと、これは当然のことながら違法でございますので、これらの行為につきましても強力な監視を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。 また最近、運転代行行為が全国的に普及をする傾向にございまして、本県におきましても、現在こういう行為を行います業者三業者を把握いたしております。これらの代行者の車両に酔客等を乗せまして有償で輸送するということになりますと、いわゆる白タクの行為になるわけでございまして、これらにつきましても陸運事務所等関係機関と連携を十分保ちながら十分な監視を行ってまいっておりますし、またこれからもそういうふうな方針でいきたいというふうに考えております。 御質問の第二点でございますが、トラック、タクシーなど営業用車両による交通事故も実は増加をいたしておりまして、本年四月末現在で調べてみますと、本年に入りましてから百九十件発生をいたしておりまして、昨年に比べますと約一八%の増加となっております。 事故全体から見ました構成率は八%ということではございますが、警察といたしましては、少なくとも営業用の車両はプロとして交通秩序の確立のための核となっていただかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、陸運事務所、労働基準局など行政関係機関と連携のもとに、安全運行に関する指導を徹底してまいりたいというふうに考えておりますし、御指摘のような過積載運転あるいは過労運転などの違反がございます場合には、運転者はもちろんのことでございますが、使用者の責任追及及び当該違反にかかわる自動車の使用制限などの措置を強化してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。 御質問の第三点でございますが、まず過積載の問題でございます。 過積載は、御承知のように、車両の安定性や制動効果を低下させるということで交通の危険を生じさせる可能性が非常に大きいわけでございますし、その上に路面の損傷の原因や荷崩れ、あるいはタイヤのバーストが生じるなど各種の交通障害の要因となるものでございまして、これらの行為につきましては取り締まりを強化いたしておるところでございます。ちなみに、昨年中におきます過積載違反の取り締まり件数は千六百八十九件検挙を見ております。また本年は五月末現在で七百九十三件の検挙を見ておるところでございます。 なお、この過積載の問題につきましては、ただ単に運転者だけの問題ではございませんで、使用者等によって助長されるおそれのあるいわゆる構造的な違反でございます。したがいまして、それらの背後責任につきましても強力にこれを追及することといたしておるわけでございまして、昨年使用者等の責任を追及いたしました事案は百三件に上っております。また、本年六月中を雇用者の背後責任追及強化月間に指定をして、現在取り締まりを強化いたしておるわけでございますが、六月十日現在、過積載の検挙が百六十四件ございまして、そのうちで雇用者等に対する両罰規定の適用をいたしましたものが百二十七件出てきております。なお、今後とも関係業界等における過積載の自主的抑制を図るために、関係機関とともに強力な指導を行っていきたいと、かように考えております。
交通安全対策の強化の問題についてでございますが、御指摘のとおり県内におきます交通事故は大変多発をいたしておりまして、増加率では全国一、二を争う記録となっておりまして、警察の組織を挙げて事故防止に取り組んでおるところでございますが、要は県民一人一人の安全意識をいかにして高めるかということでございまして、そのために、現在、市町村及び各種団体に対する積極的な働きかけ、広報活動の積極的な推進、シートベルトの着用、二輪車の昼間点灯、ヘルメットの着用等を通じました自己防衛意識の啓発活動を重点に、じみではございますが幅広い運動を展開しているところでございます。 なお、交通指導取り締まりにつきましては、交通事故に直結する交通違反を重点とした指導取り締まりを行うとともに、交通安全施設等の整備につきましても、交通事故の発生率が高い交差点及びカーブあるいは横断歩行者の安全対策を重点にその整備充実を図っている次第でございます。 お話にもございましたように、大変当県の交通情勢は厳しいものがございます。諸先生方の御指導を心からお願いを申し上げる次第でございます。 〔林田幸治君登壇〕
◆(林田幸治君) それぞれ御答弁をいただきました。異常に熊本県の場合は交通事故が多発をしているという点では、取り締まりなりさらには指導に直接当たられる県警関係各位の皆さんの御苦労は大変だろうというふうに思います。と同時に、もっともっと秩序ある交通あるいは運輸産業と申しますか、そういうものがなければならないにもかかわらずいろいろな隘路が山積をしているわけでありまして、白トラなり白タクなりその他の違法行為に対する摘発、指導というものも、好むと好まざるとにかかわらず続けていかなければならないことだろうと思います。そういうことが成功することによって初めて、いわゆる交通事故というものが減少していくのではないかと思います。大変でしょうが、精いっぱいひとつ、より御努力を賜りますようにお願いを申し上げて、次に移りたいと思います。 次は、県道六嘉秋津新町線及び秋津川の改修についてお伺いをしてまいりたいと思います。 本議会冒頭の代表質問の中で永田先輩から、秋津、若葉その他の湛水問題なども含めて基本的には加勢川の改修にある、もっと積極的に進めろという代表的な御意見がありました。それにもかかわることなんでありますけれども、私は五十五年七月の定例議会で質問した課題であります。 当時、私は、広木・若葉・秋津地区の浸水問題を中心に伺ってまいりました。これに対して、当時の藤村土木部長は、この地区の浸水対策については、いまも申し上げましたけれども、基本的には加勢川の大六橋下流の河川改修事業を促進することにあるとしながらも、秋津川の改修については、熊本市の東部及び益城町の宅地開発並びに圃場整備によって洪水流量が急激に増加して、従来の河道では対応できなくなったので、小規模河川改修事業として改修工事を行っている、最も障害となっている中無田ぜきについては、現在計画中の秋津地区圃場整備事業計画とあわせて、せき位置の変更、ポンプ取水など総合的に検討しており、なるべく早く着工できるよう努力したいとこういうふうに答えられておるわけであります。また、県道六嘉秋津新町線については、木山川の間島橋から秋津川の野間橋間約三百四十メートルについては、間島橋、野間橋の改築を含めて五十六年度から整備に着手する計画であると言われております。そこで、そういう経緯を踏まえて端的に質問を申し上げるわけであります。 確かに秋津地区圃場整備も進められております。秋津川の改修工事もそれなりに進められているようであります。しかしながら、私ども地元住民の目からすれば、さらにはこの県道を絶えず利用している県民の目からすれば、遅々として進んでいない感じに打たれることもまた理解してほしいと思うわけであります。 そういうことで、この県道六嘉秋津新町線と秋津川の改修について、予算措置等を含めまして計画の概要と現状、さらに完成見通しについて、この機会に明らかにしてほしいと存ずるわけであります。 〔土木部長梅野倫之君登壇〕
◎土木部長(梅野倫之君) お答えいたします。 県道六嘉秋津新町線は、上益城郡と熊本都市圏とを結ぶ生活幹線道路といたしまして重要な役割りを果たしていることは私が言うまでもございません。間島橋から野間橋間が未改良のため、年々増加する交通量に対処できず、交通の隘路となっていることは御指摘のとおりでございます。 本工区につきましては、河川改修事業及び圃場整備事業との関連があるため、その調整を図りながら昭和五十六年度から未改良区間の六百三十四メーターの事業に着手し、現在国庫補助事業により整備を進めているところでございます。 まず、特殊改良一種事業でございますが、全延長四百七十八メーター、昭和五十六年度は圃場整備の用地買収を行ったところでございます。本年度は、残りの用地補償と一部本工事を実施する計画でございます。 次に、橋梁整備事業でございますが、この区間には間島橋、野間橋、裏川橋の三橋がございます。間島橋については、本年度末には下部工を完了する予定にしております。また野間橋については、昭和五十八年度に着手できるように河川改修との調整を進めているところでございまして、裏川橋については本年度実施の予定であります。しかしながら、五十八年度以降も多額の経費を必要とするため、現在の厳しい財政環境の中では早期完成はなかなか困難と思われますが、今後とも本路線の重要性にかんがみ整備促進に努めてまいりたいと考えております。 次に、秋津川の改修でございますが、秋津川の改修は昭和四十四年度から小規模河川改修事業として進めております。その計画概要は、延長が、木山川合流点を起点といたしまして上流は、鉄砂川合流点付近まで四千七百メーターでございます。これまでに投資した金額は約十億円でございまして、その進捗率は全体の約六〇%程度でございます。 また、改修の現状についてでございますが、橋梁についてはさきに述べたとおりでございまして、築堤工については橋梁等の構造物と並行いたしまして実施しておりますが、地盤が非常に軟弱でございまして、急速な盛り土は地盤沈下等を起こすおそれがありまして、やむなく緩速盛り土で実施しております。 本河川の改修上の障害となっている中無田ぜきでございますが、現位置では仰せのとおり改築がなかなか困難なため、ポンプ取水に切りかえ、本年度にその補償工事に着手することにしております。しかしながら、旧ぜきの撤去につきましては、代替施設の完了する昭和五十九年度に予定しております。河道整備についても、これとあわせて実施してまいりたいと考えております。 最後に、完成の見通しでございますが、基本的には加勢川本川の改修状況とのかね合いがあり、これとの整合性を保ちながら効果的な改修の促進に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 〔林田幸治君登壇〕
◆(林田幸治君) 一言で言えば、積極的に進めていくつもりであるけれども、なかなか予算の関係などもあって早急にというわけにはいかない、しかし精いっぱい努力をしていくと、いわばこういう回答のようでありました。今後ともひとつ積極的な取り組みを期待申し上げながら、次に移らせていただきます。 次は、高齢者労働能力活用事業・シルバー人材センターについてお伺いをいたします。この問題につきましても、私は一昨年十二月議会で提起したわけであります。一年半経過いたしました今日なお実現を見ていないわけであります。したがって改めて伺ってまいりたいと思います。 シルバー人材センター設置につきましては、高齢者の就業機会の増大と福祉の増進を図るとともに、高齢者の能力を生かした活力ある地域社会づくりに寄与することを目的として、労働省の施策として全国的に設置、運営されることになったものであります。その概要は、二十万人以上の地域を単位として、その地域に居住するおおむね六十歳以上六十五歳未満の健康な高齢者で、常用雇用でなく何らかの補助的あるいは短期的な仕事につくことを希望する方々を会員とした公益団体を、会員みずからが自主的に設置し運営するものであります。そして留守番や文書の清書や簡易な修繕など、一般家庭や事業所や官公庁から有償で引き受けて、会員に仕事を行わせ、仕事の内容と就業の実績に応じて報酬を得るというものであります。 当時の私の質問に対して八浪商工観光労働部長は、熊本市が設置の対象となるということで再三打ち合わせを重ねているところであり、今後なるべく早く設置されるよう熊本市と折衝を続けてまいりたいと、このように答弁をされております。しかしながら、冒頭に申し上げましたように今日なお具体化されていないわけであります。 私どもの調査によりますと、鹿児島、宮崎、長崎の三市ではすでに発足しているようであります。これには、そこで組織されている高齢者退職者協議会の会員が、会員登録の指導から、センターの民主的な運営への発言力を高めるなど協力をする中で、その実績が評価されているというふうに聞いているわけであります。 熊本の現状はどうなっているのか、端的にここで明らかにしていただきたいと思うわけであります。 〔
商工観光労働部長八浪道雄君登壇〕
◎
商工観光労働部長(八浪道雄君) お答えいたします。 高齢化の進展します中で、シルバー人材センターは高齢者対策の一つとして有意義なものであると考えまして、熊本市におきましても設置がなされるよう折衝する旨、一昨年十二月県議会でもお答えをしたところでございます。その後も、県市事務連絡会議等機会あるごとにシルバー人材センターの設置につきまして熊本市に働きかけてきたところでございます。 熊本市におきましては、すでに設置を見ています他県の先進市の視察を行い、設置についての検討が慎重に進められているところでございます。しかしながら、運営基準にあります仕事量の三分の二以上を民間事業所や家庭から確保することの可能性、それから発注されました仕事に対します会員の遂行能力の存否など、なお調査検討すべき課題が残っている旨聞いておるところでございます。 ところで、九州各県の設置状況は、先ほどお話がございましたように、長崎市、宮崎市、鹿児島市、それに久留米市においてもすでに設置がなされておりまして、さらに二、三の市におきましても設置の準備が進められていると伺っておるところでございます。今後、熊本市における設置につきましては、市みずからが取り組むべき事柄ではございますが、県としましても設置が図られますよう今後とも折衝してまいりたいと、このように考えております。 〔林田幸治君登壇〕
◆(林田幸治君) 熊本市が主体で行っていくということであるわけですけれども、いまお答えいただきましたように、他県の実情等も十分調査をしながら一日も早くそれが実働に移っていくように今後ともお互いに協力をし合いながら進めていきたいと。ぜひひとつ、そういうことで一日も早く日の目を見ますように御努力をさらに要請したいというふうに思います。 ともかく日本の実情は、世界の中で最も早い勢いで――何ですか世界の平均の四倍を超える勢いで高齢化社会を迎えてきているというふうに言われているわけであります。そういう面では、これからいろいろな面で高齢者問題が問題になっていくことは否めないと思います。本議会の代表質問の中でも、わが党の中村議員が高齢者の雇用問題について真摯に問いただしていたわけですけれども、厳しい高齢者の就職問題等につきましては、このごろ新聞その他マスコミの中でも、つとに取り上げられておるわけでありまして、ぜひひとつ前向きの取り組みを要請したいと思います。 続いて、熊本県基幹交通体系基本計画策定について申し上げてまいりたいと思います。 私は、県が熊本県基幹交通体系基本計画の策定を計画され、いまその作業が進められていることを高く評価するものであります。計画によりますと、五十六年度に交通体系の問題点と課題の検討が行われ、五十七年度中に基本計画の策定が行われるというものであります。私は、昨年十二月議会で一定の要望を申し上げていたわけでありますが、この機会に若干の問題について質問してまいりたいと存ずるわけであります。 これまでの県の交通計画といえば、昨年制定された八〇年代熊本県総合計画の中で、豊かな生活を支える産業の振興のための基盤として、基幹的交通体系の整備がうたわれておりました。しかし、今回のこの計画は、いままでにない言うならば画期的なというか、県政始まって以来の総合的な交通体系、政策の確立として私は受けとめたいのであります。私は、この立案なり作業に当たられる関係者の精進に期待すると同時に、次の諸点についてただしてまいりたいと存じます。 まず第一点は、各部門ごとあるいは地域ごとの整備計画の策定につきましては、整備の方向、施策の内容について可能な限り目標年次等を明らかにしてほしい。そして策定に当たっては、学識経験者なり各界代表等の意見を聞く機会をつくり、その基本計画が県民に期待される実現性を持ったものとして策定されねばならないと、こういうふうに考えるわけであります。 第二点は、公共的大量輸送機関、つまりバスとか電車軌道などですけれども、その維持、整備図ることについてであります。このことは、さきの三月議会で、地域における公共交適確保に関する意見書を採択いたしましたことで、いまさら申し上げることもないとは思いますが、改めて申し上げておきたいわけであります。 それは、昨年七月、運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会が、公共交通の補完、代替として自家用車やレンタカーの活用を提言いたしました、つまり「長期展望にもとづく総合的な交通政策の基本方向」というものを答申したわけであります。その中身は、たとえば人口五万人以下の中小都市あるいは農山漁村では、鉄道や定期バスを廃止して、相互扶助の立場から、自家用車を使用する者と、その利用を希望する者を、地域的組織の力、たとえば町役場とか農協とかによって結びつける自家用利用の導入を検討するとしているのであります。農山村等の地方のバスや鉄道などの公共交通を、マイカー中心の交通体系に変更するという答申であります。交通を利便機能だけでとらえているわけであります。公共交通が持っております存在機能を全く無視したものです。いま私たち県民が問題にしている高森線等地方ローカル線の廃止と同様に、効率の悪いものは廃止をし、その犠牲は、すべて地方自治体とマイカーを利用することのできないお年寄りなど交通弱者に覆いかぶせるという答申であります。私は絶対にこれを容認できないと考えております。したがって、県計画策定に当たっては、あくまでも公共輸送機関を維持し発展させていくという視点を貫いてもらいたいと考えるわけであります。 第三点は、熊本市を初め県内主要な都市部における総合的な交通対策と、熊本空港や九州縦貫道インターチェンジ等の交通拠点を結ぶアクセス道路の整備をどのように進めるか大きな課題だと考えるわけであります。この点についても、目標年次などを含めて計画策定に当たってほしいと思うわけです。 すでに取り組まれてきている課題でもあります以上の三点について、その考え方と計画策定の現状について明らかにしてほしいと考えるわけであります。 続いて、六番目の関係もあわせて御質問申し上げたいと思います。それは熊本空港の国際線運航の現状と将来展望についてであります。 御案内のように、去る六月二日、熊本空港で国際線ターミナルビル建設の起工式が行われました。まことに喜ばしいことであります。国際線ビルの内容は、鉄筋コンクリート二階建て、延べ四千八百八十七平方メートル、税関、検疫、出入国管理のCIQ施設と日本航空が入居し、完成予定は来年三月二十五日の予定だというふうに聞いております。 そこで、今日までの熊本空港における国際線運航の経過を見ますときに、五十四年九月、日航と大韓航空による各週二便運航が国際線のスタートになるわけであります。その後、韓国の政情不安などもありまして利用客の増加が望めず、大韓航空は昨年十二月、二度目の運航休止となり、現在もなお運休の状態にあるわけであります。そして現状は、日航による週一便の往復で利用等も四四・一%、昨年同期の半分というふうに言われているわけであります。率直に申しまして、きわめて厳しい現状にあると言わなければなりません。 県は、唯一の国際線であるソウル線の振興のために大変な努力を払ってこられました。いまもなお、熊本空港国際線振興協議会等を通じて、ソウル線の振興はもちろん、新規路線の開拓、相手国の調査、要望を行うことなど検討が加えられているようであります。私は、それぞれの関係者の努力に敬意を表しながら、国際線ビル着工というこの機会に、全県民的な運動として国際線振興を図っていかなければならないと考えるわけであります。そのためには、熊本国際空港の宣伝、PRがもっともっと強められることに大きなポイントがあるように思われます。 そこで、熊本空港の国際線運航状況、そしてその振興策、さらに新しい路線開拓の展望について、あわせて明らかにしてほしいと思うわけであります。 〔
企画開発部長岡田康彦君登壇〕
◎
企画開発部長(岡田康彦君) お答えいたします。 まず、熊本県基幹交通体系基本計画の策定についてでございますが、今後ますます交通手段に対する県民の要求も高度化、多様化すると考えられますので、新しい時代に対応した基幹交通体系の整備を総合的かつ計画的に推進する必要があると考えております。また、産業の振興という観点から見ましても、その基盤となる交通体系の整備を積極的に進めることはきわめて重要なことであります。このような認識に立ちまして、現在熊本県基幹交通体系基本計画の策定に取り組んでおるところであります。 この基本計画の策定スケジュールとその内容でございますが、作業手順の関係もございまして若干時間的なスケジュールも変わっておりますが、具体的には、五十六年度につきましては、交通体系及びその利用の現況を総合的に把握し、これに基づきまして問題点及び課題の検討をいたしました。五十七年度は、五十六年度のこういう検討結果を踏まえまして、六十五年度を目標とする本県の総交通量の予測と、さらには各交通機関別の需要予測を行いまして、来年度五十八年度には、その予測に基づきまして基幹交通体系の整備の方向を定める、そして主要な施策を策定するという計画になっております。 お尋ねの第一点は、この基本計画の策定に当たりまして学識経験者や各界代表の意見を聴取する機会をつくり、県民に期待され実現性を持ったものを策定すべきだという御意見でございましたが、これにつきましては、学識経験者を初め、建設省あるいは運輸省等の国の出先機関、さらには交通業界、産業界、市町村の実務担当者に参加いただきまして、基幹交通体系基本計画策定協議会を設置しております。広く各界の意見を聴取しつつ作業を進めておるところでありまして、御意見に沿った運営がなされておると考えております。 お尋ねの第二点でありますが、公共交通の重要性につきましては、地域住民の足を確保する責務を担う地方公共団体といたしましては、これら公共的大量輸送機関の維持発展につきまして適切な施策を講ずべき立場にあることはお説のとおりでありまして、この観点から三月議会におきましても御指摘の意見書の採択が行われたものと承知しております。今回の計画策定に際しましても、これらの趣旨を生かしまして、関係方面の御意向を十分承りながら、将来の交通需要に適合した交通体系の確立を図るようにしたいと考えております。 ただ、この点に関連しまして若干付言させていただきますれば、御説には全く同感でありますが、他方、経済合理性も全く無視することはできないという問題がございます。したがいまして、公共輸送機関の維持発展のためには、県民が積極的にこれらの機関を利用していただくことが重要であると考えております。言いかえれば、鉄道やバス等を自分たちの足として積極的に利用していただきたいということであります。 さて、お尋ねの第三点は、県内都市部における総合的な交通対策や交通拠点間のアクセス道路の整備についてでございますが、空港とのアクセスあるいは高速インターとのアクセス等々の問題につきましては、これまでも検討を進めて整備も目下進めておるところでございます。御指摘のとおり重要な課題でありますので、さらに県庁内関係部局はもちろんのこと、建設省、運輸省などと十分協議を行い積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 お尋ねの二点目は、熊本空港の国際線運航の現状と将来展望についてであります。 御指摘のとおり熊本空港は、五十四年九月に韓国との間に国際定期航空路が開設されまして、本県における国際交流の拠点施設として重要な役割りを果たしておるところであります。また、五十六年度から始まりました国の第四次空港整備五カ年計画に基づきまして国際線ターミナルビルの建設が着工されるなど、国際空港としての施設の整備と機能の充実が図られているところであります。 お尋ねの第一点は、熊本空港における国際線運航状況についてでありますが、まず熊本―ソウル線の利用実績は、五十四年九月の開設から今年の五月までに約二万六千七百人に達しておりまして、五十六年度は五十五年度に比べ四〇%増の一万三千三百人でございました。 現在就航中の日本航空の利用率についてでありますが、御指摘の数字は冬期一月から四月までのものでございまして、その後五月は五六%と向上をしてきておりまして、六月は九二%の予約状況となっております。さらに九月までの予約の状況も好調である旨の報告を受けております。 一方、国際線チャーター便の実績を見てみますと、昨年までに便数は三百六十八便、旅客数は約四万七千人に達しております。本年も五月まで二十七便、月平均五便となっておりまして、九月まで四十九便の予定がありまして、これは昨年の二倍という数字になっております。 そこで、このような国際線の利用実績を踏まえまして、熊本空港における国際線の振興策でございますが、まず第一に、唯一の国際定期路線である熊本―ソウル線が衰退の一途をたどるというようなことでは新規路線の開拓もむずかしいと考えられます。ソウル線の振興につきましては、熊本空港国際線振興協議会等を中心に広く県民の方々の御理解と御協力を得まして、本県と韓国との幅広い国際交流を基本に、路線の振興と定着化を図ってまいりたいと考えます。 この路線の振興を図るためには、全県民的な運動と強力な宣伝、PRがポイントであるという御指摘でございますが、国際線振興協議会を中心に、本年度もすでに、新しい韓国旅行のポスターや産業視察のちらし等を作成いたしまして、関係機関に配布してPRに努めているのを初め、新聞、テレビによる宣伝も進めております。また、日本航空、県内一般旅行業者、大韓民国の国際観光公社等の参加を求めまして、共同で県内キャンペーンや九州各県等へのキャンペーンを行うことにしているところであります。特に、これからは韓国の渡航制限の緩和が見込まれておりますので、今後は、これまでのように本県からの交流にウエートを置いたものではなく、韓国からも本県へ多くの方々に来ていただくような相互交流が重要であると考えます。そのために、新たに韓国の旅行業者を対象にいたしまして本県の紹介とPRを行うように計画しておりますほか、さらに文化、教育、スポーツ等多岐にわたる相互交流の実施に努力してまいる所存であります。 第二点は、新規国際線の展望についてでありますが、特に熊本空港の持つ地理的優位性を踏まえまして、九州の他空港が持つすでにある路線と競合しない新規路線の開拓に努めていきたいと考えております。去る五月二十日の中国広西壮族自治区との友好提携の調印式後、
議長を代表とする代表団が中国民航等を訪問し、新規開設の要望書を提出するなど誘致対策を進めているところでありますが、今後とも新規国際線導入を図るため、当面、中国、グアム、東南アジアに的をしぼりまして、相手国に対して積極的に要望活動を展開するとともに、日本航空、運輸省航空局へも積極的に働きかけをしてまいりたいと、かように考えております。県議会の皆さん方の御支援をよろしくお願いいたします。 〔林田幸治君登壇〕
◆(林田幸治君) それぞれ御回答をいただきました。お話のように大変厳しい状況にそれぞれあるわけですけれども、熊本空港唯一の国際線ソウル線の振興を初め新しい路線の開拓等について、執行部だけでなしに議会の私どもも、もちろんもろ手を挙げてこれから努力をしていかなければならぬというふうに思いますが、より一層の精進を期待したいと思います。 次に、県のベンツピレン対策について、これは要望を申し上げたいと思います。 芦北郡田浦町の「田浦漁業を守る会」が、田浦湾内のアサリ、アナジャコを日本食品分析センターに依頼して分析した結果、高濃度の発がん性物質三・四ベンツピレンが検出されたと発表したことを受けて、県が本年四月二十二日、同湾内の魚介類十三検体、底質八検体を採取し、県衛生研究所において分析したところ、明らかに高濃度のベンツピレンが検出されました。県は、その結果を五月二十七日の公害対策特別委員会に報告すると同時に、当面の対策について了解を求め、その内容が翌二十八日の新聞に掲載され、地元住民を初め県民にショックを与えたことは御承知のとおりであります。 検査結果の詳細については、ここでは省きますが、当面の措置として、県が地元漁協に対し、採捕の自主規制を指導した地点のアナジャコのベンツピレンの含有率が七九〇ppb、カキ三七〇ppb、アサリ三五ppb、さらに、頻繁に食用に供しないよう指導している地点のオオノガイは九・八ppbないし二七ppb、カキ一一ppb、アナジャコ二・九ppb、アサリ一・八ppbとなっておるわけであります。 ベンツピレンの発がん性については、責任者の公害部長が初めて知ったということですから、私どもにわかるはずはありません。それに国の水質汚濁防止法の規制対象になっておらず、したがって規制の基準も全くないわけであります。しかし、県民の命と健康を守る立場から考えると、県がとった当面の措置は一応やむを得ないと考えます。 ところが、県のとった措置の中で不可解なことがあるわけであります。それは、この発表と同時に、参考資料として国立公衆衛生院の白石麗子、高畑英悟、東京家政大学の白鳥つや子三氏による分析の結果、検出された「国産食品中の三・四ベンツピレン含有率」の資料が添付されております。さらにまた、諸外国の各種実験例に基づき、世界保健機構の機関である国際がん研究所の作業部会が一九七二年にまとめた「各食品中における三・四ベンツピレン含有率」が添付されているわけであります。いずれも昭和五十年六月十日付で、文部省体育局学校給食課が発表したものであります。 この資料によりますと、私どもが日常食卓に親しんでいる食品の中に、高濃度のベンツピレンを含有しているものが多くあって驚いたわけであります。たとえば、食事の際だけでなく、一日何回となく飲んでいるせん茶が四・七ないし一六ppb、ノリ一・六ないし三一・三ppb、魚の薫製三七ppb。外国の例では、キャベツが一二・六ないし四八・一ppb、ステーキ五〇・四ppb、肉の薫製は二三ないし一〇七ppbとなっているわけであります。 ここで問題なのは、一・八ないし二七ppbのオオノガイ、アナジャコ等発がんのおそれがあるから頻繁に食用に供しないよう指導している県が、なぜそれより濃度の高い食品について何らの手を打たないかということであります。添付資料にある食品が問題ないというのなら、田浦湾の魚介類を頻繁に食用に供しないように指導しているのは誤りではないかという疑点が残るわけであります。田浦湾の魚介類は、漁民の皆さんから指摘されたから、あわてて調査をし規制の指導をした。ほかのものについては、だれも指摘しないから調査しなかったでは、県民の命と健康を預かる執行部の責任はどうなるのか。県の指導は、国立がん研究センターの河内副所長のコメントに基づいて行われたと聞きますけれども、その時点で、より濃度の高い食品については何らかの手を打つべきではなかったのか。田浦湾の魚介類と同様の調査をして、その結果を県民に公表すべきであるという意見があるわけであります。国立公衆衛生院なり国際がん研究所の調査による、いわゆる魚介類以外の日常われわれが食している身近な物質の中に多くのベンツピレンが含有されている事実が明らかであるだけに、そういう議論に発展することもまた否定できないと私は思うわけであります。 しかしながら、現状においては、国においてもベンツピレンの規制についての明確な基準も定められていない。そして学会においても、最近になって研究課題になっている問題だと聞きました。そういう問題ですから私はあえて答弁を求めようとは思いませんが、しかしながら言えることは、県民の健康を守り、県民の不安を除去し、県民が安心して生活が営まれるように日常的に配慮することは行政の責務であります。一方に偏ったと言われることのない、弱者と言われる県民の立場に立った公正な行政、それが県民の信頼をかち得ることだと私は考えます。 公害の原点とも言われる水俣病問題を抱える県行政として、環境、公害問題には何よりも神経が使われていることを承知いたしております。ベンツピレン対策については、魚介類の許容基準や底質除去基準などの設定について関係省庁に要請することなど幾つかの対策が立てられているようでありまして、一応理解をいたしております。ただ、前段で申し上げましたように疑点があるだけに、県行政が各般にわたり、きめ細かな配慮を払いながら対応してほしい、そのことを特に要望しておきたいと思うわけであります。 以上、私の質問並びに要望について終わりました。終始熱心におつき合いを賜りました議員各位にお礼を申し上げながら、執行部のこれからの御健闘に心から期待を申し上げながら終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○
議長(幸山繁信君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十九分休憩 ―――――――○――――――― 午後一時四分開議
○副
議長(井ノ上龍生君) 休憩前に引き続き会議を開きます。三角保之君。 〔三角保之君登壇〕(拍手)
◆(三角保之君) 自民党の熊本市から選出をいただいております三角保之でございます。過去三回にわたって質問の機会を与えていただきましたけれども、まだ未熟者でございまして、ローカル的な問題のみにとどまり県政の飛躍に貢献することのできなかった私に、四たび目の質問の機会をお与えいただきました各位に対して心から感謝申し上げる次第でございます。しかし、今回の質問も、過去のおさらいを中心にお尋ねをしてまいる所存でございますので、余り変化もなく、お退屈でございましょうけれども、しばし時間をお与えいただきたいと思います。特に、きょうは月曜日の午後ということでお疲れでございましょうけれども、七問質問をさせていただきます。県政順に執行部の皆さんに登壇をしていただきまして、ずっとこっちから順番に行きまして最後が教育長になっておりますので、その辺お含みおきをいただいておつき合いをお願いしたいと思うわけでございます。 まず第一問は、過去におきまして、熊本都市圏における諸整備、また産業構造のあり方等についてお伺いをしてきたところでありますが、社会情勢の変化も著しく地方自治の責務も大変厳しくなってまいりましたので、今回は、経済社会における熊本都市圏の整備、また九州全体から見ました位置づけ等について、今後の知事のお考えをお伺いしたいと思うわけでございます。 八〇年代の二年目を迎えて、地域社会を取り巻く条件、環境には大きな変化が出てきております。今後は、これらの変化を踏まえて新しい視野に立った県政の運用が求められてくると思います。 その変化の第一は、経済成長の鈍化であります。わが国は、高度成長を経て世界的にも経済大国となり、国民総生産は昭和五十五年度で二百四十兆円で、自由世界第二位、国民一人当たりの所得も第七位となりました。住はともかくといたしまして、衣、食は世界のトップ水準となってきたのであります。昭和四十八年の第一次石油危機もうまく乗り切り、その後、低成長経済へと移り、また第二次石油危機も昭和五十五年において結末を告げ、創造的活力を求められる発展段階に入ってまいりました。しかしながら、国際化が一段と進行し、わが国が経済大国となればなるほど国際貿易摩擦を生じ、欧米各国から厳しい指弾を浴びることになってきたわけでございます。ゆえに、これからのわが国経済は、特に国際間の協調を図っていく必要が出てきて、当然のことながら地方自治、地域経済にも大きな影響を及ぼすことになると思います。 第二の変化は、エネルギーと資源の制約が表面化してきたことであります。通産省の長期エネルギー需給見通しによりますと、昭和五十五年度のわが国における全エネルギーの石油依存率は六六・四%、石油の輸入率は九九・八%でございます。鉄鉱石、食糧など、その他の重立った資源についても、ほとんどが大きく輸入に依存をしております。特に、最近のように複雑な国際政治の中で、エネルギーや資源が不安定となり大きな制約条件となってきたと言えると思います。 次に第三の変化は、国民の価値観、生活意識の多様化が言えると思います。わが国は、いまや世界でも指折りの豊かな経済先進国となり、個人所得も大幅に向上して、国民の生活目標も個性化、多様化、創造性を求める風潮が強くなってまいりました。 第四の変化は、高齢化社会の到来だろうと思います。高齢者の人口は、五十五年国勢調査の一%抽出調査では九・一%に達しており、老齢化のスピードはヨーロッパ諸国の約四倍の速さであり、このままの推移ですと二十年後の二十一世紀には一四ないし一五%になると想定されており、急速な高齢化社会の到来が予想されております。このように人口の高齢化は全国的傾向ではありますが、本県においては昭和五十五年の国勢調査では、高齢者人口の割合が一一・七%と全国より早いテンポで高齢化社会を迎えようとしております。 以上申し上げましたほかにもいろいろと地域社会を取り巻く環境の変化があるかと思いますが、これらの大きな諸状況の変化によって、総合的な地域経営を進めるべき県の責務はますます重大なものとなってきていると思います。また、九州ブロックという広域的な視点から、このような経済社会環境の変化に対応するという態度も必要となってくると思います。 そのような中にありまして、九州における熊本都市圏あるいは南九州における熊本都市圏の位置づけは、本県の将来の発展を大きく左右する大変重要な意味を持つものと思います。特に九州においては、水資源などの制約から、北部九州における都市集積の拡大に限界が見え始めてまいりました。熊本都市圏は将来ますます中枢管理拠点都市としての役割りが期待されるものと思われます。現在でも熊本市は、広域的な機能を持つ国の出先機関が多く所在しているところでありますが、今後、熊本空港の整備、新港の整備、高速道路網の整備、新幹線の整備などが進んでまいりますと、地理的中心性のメリットは一段と高まり、物流面、情報面における結節点としての位置づけが強まってくるものと思われるわけであります。 そこで、県都である熊本市の位置づけについての基本的な考え方を知事にお尋ねいたします。特に、先ほども申し上げましたが、社会条件、環境の変化を踏まえた中で、熊本都市圏の広域拠点都市としての機能の発展拡充に対し、どのような位置づけをし、今後の具体的な施策についてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。 〔知事沢田一精君登壇〕
◎知事(沢田一精君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。 経済社会情勢が大きく変化しつつあるという前提のもとに、いろいろと所感を交えて御質問があったわけでありますが、私も、そういった状況の変化ということを前提にいたしまして、熊本都市圏の将来というものを考えてみます場合に、まず御質問の中でお述べになりましたように、従来、九州の産業経済あるいは文化――行政と言ってもいいかもしれませんが――中心が北に偏り過ぎて、福岡市あるいは北九州市に重点が置かれておったということは過去の否めない事実でございます。しかし、最近におきましては大きな条件の変化が起こりつつある。それは、いまお述べになりましたように、北九州、福岡地区におきましては、何としましても土地が狭隘である、あるいは過密の弊害がそろそろ出始めてきておる。また、決定的な要因は、水がいずれにしましても不足をいたしておるといった、人間の集積に必要な生活条件、快適な生活を保障するためのいろいろな前提条件にすでにいろいろ問題が出てきておることは、いまお述べになったとおりであります。飛行場の問題一つを考えましても、福岡空港がすでにああいった飽和状態に近づいておるという状況にもあるわけであります。 もう一つは、やはり立地的に福岡、北九州は北に偏り過ぎておると思います。これからは私は九州の時代が到来すると、こう思うわけでありますが、特にいままで開発がおくれております南九州がこれから大いにピッチを上げて開発を促進していかなければならぬ、そういう時代だと思います。これは国際的な条件からいたしましても、中国あるいはASEAN諸国に最も近いといったような九州の持つ優位性というものからいたしましても、今後、南九州を中心として九州全島がバランスのとれた開発を遂げていかなければならぬとこう思います。そういうことになりますとこのへそのところに当たりますのが熊本市でございましてちょうどど真ん中に位置しておるわけでございます。私は近い将来におきまして、いままで福岡、北九州に優位を譲っておりましたが、九州の拠点都市として、中枢管理都市として熊本都市圏が大きく浮かび上がる時代が必ず来るというふうに確信をいたしておるわけであります。 そのための前提条件としてどういうことを考えなければならぬか。これは、一つはやはり九州全域に対しまする交通ネットワークを早く整備をしなければならぬ、これはもう申し上げるまでもございません。陸海空にわたります高速交通体系をより一層整備をするという必要があろうと思います。特に高速自動車道を早く完成をさせなければならぬ。南北だけではなしに東西にわたっても、やがて結ばなければならぬという問題があるでございましょうし、また飛行場の問題になりますと、国際空港としての熊本空港の立場というものをより強固なものにしていく必要がある。単に旅客だけではなしに、やはり将来は航空貨物時代の到来が予測されるわけでございますので、貨物流通基地としての熊本空港の役割りというものも考えなければならないと思います。あるいは臨調等との絡みで大変むずかしいわけですけれども、新幹線を早く通さなければならぬという問題があります。また、熊本都市圏としてどうしても必要なことは、りっぱな港を早くつくるということだろうと思います。 こういう基盤整備を急ぐことによりまして、九州全域における熊本都市圏の中心性、優位性というものを確固たるものにしていく必要がある。人だけではなしに物流の面におきましても、やはり九州全体を対象にした流通の基地にしていかなければならぬとこう思います。 幸い、いま御質問の中にもありましたように、政府の出先官庁と申しますか、九州財務局を初め熊本にかなりの集積があります。ことに、私がこれからの時代を展望いたします場合に非常に大きな要素として考えておりますことは、やはり九州電気通信局を中心といたします電波行政と申しますか、その中心的なメリットでございます。何と申しましても情報ネットワークの中心として、熊本都市圏がこれから情報産業のセンター的な役割りを果たしていく必要があると、こう考えるからでございます。 第二番目には、熊本都市圏、特に熊本市が県の首都として、やはり必要最小限度の近代的な都市的機能を早く整備をする必要がある、こういうことで今日まで努力をしてまいったわけであります。現在鋭意建設中の県の施設といたしましても、たとえば伝統工芸館、県立劇場あるいは総合体育館等があります。すでに完成したものといたしましては、美術館や市の博物館があるわけでございます。また、続きまして県立図書館あるいは国際交流センターといったようなものを計画をしていきたいと、こう考えておるわけでございますが、そういったどこの都市にも負けないすぐれた文化的、教育的な施設が総合して熊本市に立地をするということが、市としての品格を一層高め、そこに人々の集積を呼ぶ一つの根源にしたいと、こう考えておるわけであります。 熊本都市圏を考えます場合に、私はやはり大事にしたいと思いますことは、土地の広さ、それから美しい水が豊富にあるということ、あるいは自然環境に恵まれた立地条件でございます。そういうものを今後とも人間の住む都市として快適な条件をいつまでも大事にしていきたい。と同時に、その周辺に広がります広大な土地に、テクノポリス構想を初めといたしまして活力ある先端産業を誘致育成し、地場産業とそれを密接に結びつけることによりまして付加価値を高めていくというふうな施策をとってまいりたいとこう考えるわけでございます。 熊本市の現状からしまして、いささか反省を交えて、おくれておるなとこう考えますことは、やはり必要な場所におきまする区画整理事業等をもっともっと大胆に積極的にやっていかなければならぬ。これは県も市も考えなければならぬことだと思いますけれども、熊本駅を中心とする一帯の都市再開発事業とか、あるいは市が計画しておられます熊本市南部の土地区画整理事業、これは私は大変ユニークな結構な計画だと思いますが、県も極力応援をいたしまして、そして早く完成させていく必要がある。そのほか、旧態依然とした市街地の状況――これは道路の整備にも関連がありますけれども、そういったいままでおくれております近代都市としての脱皮と申しますか、そういうことをひとつ今後は大いに県、市協力してやっていくべき時期になってきたなという気がいたします。 そういうことを着実にやりますと、私は、さっき冒頭にお答え申しておりますように、やがて九州における中枢都市として、熊本の時代が必ずくるというふうに確信をいたしておるわけでございます。そういうことを目指しまして努力をしていきたいと考えております。 〔三角保之君登壇〕
◆(三角保之君) 大変積極的な知事の取り組みの姿勢がうかがわれてほっとしたところでございます。いつもならば答弁書そのまま朗読というふうな形に終わるわけでございますが、きょうは本当に頭の中で考えられておった日ごろのことをいろいろ披瀝していただきました。今後、私も懸念をしておりまして――九州全体をながめてみますと、やはり福岡、北九州に劣って、その辺ではおくれをとるので、南九州の親分に甘んじようというふうな考え方ならばと少少心配をしておったわけです。熊本都市圏といたしましても百万の人口を抱えておりますし、熊本県全体百八十万の潤いにもつながってまいりますし、いまの知事の答弁にもありましたように、九州の中枢的な都市として都市づくりが行われますと、九州各県の中心地としての交通網の整備、そういった形になりますと熊本県全部が潤ってまいるわけでございますので、この辺大変期待をしていきたいと思うわけでございます。特に、ここにおいての皆さん方からも、市と県は仲が悪いんじゃないかというふうなお話をたびたび聞くわけでございますけれども、今後いろいろな取り組み方の中で、先ほど知事の答弁にもありましたように、連携をとりながらというふうなことを承りまして安心をいたした次第でございます。 知事の答弁の中にも出てまいりましたテクノポリスの問題でございますけれども、次に、そのまま引き続きテクノポリス関係について質問をさせていただきたいと思います。 テクノポリス、最近新聞紙上を大変にぎわしておるわけでございますけれども、一体何のことだと言われる方もたまにはおられるわけでございますが、テクノポリスは、日本語では高度技術集積型田園学園都市というふうな訳の仕方をされております。関東に筑波大学がございますけれども、あそこは学園研究都市という形で母都市から離れたところに都市をつくった、それに産業を結びつけた、母都市から近いところに五万人ぐらいの都市をつくろうというのが最初の通産省のテクノポリスの考え方でございますけれども、そういった都市づくりをやっていこうというのがテクノポリス構想だと思うわけでございます。 私は、昨年の六月県議会において、テクノポリス構想に取り組む県の基本的な姿勢についてお伺いをいたしました。その後の推移を見てみますと、県民のこの構想に寄せる期待は大変大きなものがあります。特に産業界の期待は大変なものがあります。なぜテクノポリス構想が県民のこれだけの関心を集めることになったのかということを考えてみますと、私がかねてから主張しておりますように、これまで一次産業を中心に据えてきた本県の産業構造のあり方を根本的に見直さなければならないような内外の経済情勢の変化が進行しているという時代的背景が第一にあるからだと思います。すなわち、いま本県県政に求められている最大の課題は、雇用の拡大と安定ということであると思いますが、そのためには時代の流れに即応した新しい成長産業に積極的に取り組む必要があるという認識が県民の間に定着してきたからであると思います。 さて、本県のテクノポリスは、昨年六月に、通産省から全国二十カ所の調査候補地域のうちで開発構想に取りかかってよいとされた八カ所の一つに選ばれました。これを受けて建設構想起草委員会が発足し、何回も討議が重ねられ、本年一月末、全国に先駆けて熊本テクノポリス建設基本構想が策定されたのであります。通産省ではテクノポリス委員会を設け、各地域の基本構想を審査するとともに、今後の進め方、特に国としての助成策、建設候補地点の選定基準を検討中と伺っております。六月中には、開発構想をつくる地域を選択する第二次試験の結果が発表されるとのことですが、いま県民は挙げて、本県のテクノポリス建設基本構想が国の高い評価を受けて、いわば合格点を取ることができるかどうか重大な関心を持って見守っているところであります。 昨年、私の質問に対しまして、当時の金野
企画開発部長は、調査地点に選ばれることは第一次試験に合格するということにすぎず、テクノポリスを実現するためにはすぐれた基本構想をつくり上げることが最大のポイントだ、県民のコンセンサスを得て全国で模範となるような創意にあふれた基本構想をつくると決意のほどを述べられました。この熊本構想は、ほかの候補地の案と違って、地元独得の機関である財団法人熊本開発研究センターを使って構想したという点と、県内企業研究機関に対する詳細な調査を行い、すばらしい構想をつくり出されたようです。これは全国で注目され、もっぱら熊本方式と呼ばれて大変有名になっているようです。 余談ですが、財団法人熊本開発研究センターは、知事が十一年前、知事になられてすぐ手がけられた仕事で、いまから思いますと、先見の明のあった大変すばらしい事業だったなと敬意を表するわけでございます。 さて、そこまで認められつつありますので、今後とも地元が主体性を持つという基本姿勢を貫いて開発構想の策定に取り組んでいただきたいと希望するものであります。こういう姿勢と開発構想の内容が相まって、本県のテクノポリスは実現への道を一歩一歩前進するものであると考えますし、また、そのことが本県の構想を国の計画の中に位置づけることにつながると思うのであります。 そのような地元からの取り組みの方向として、私は二つの点を
企画開発部長にお尋ねをしたいと思います。 第一は、先端企業の誘致と地域産業の活性化の問題であります。テクノポリス構想実現のために、先端技術産業の誘致に努める必要のあることはもちろんですが、ただ企業の誘致だけでは地域産業の幅広い発展には不十分ではないかと思うわけでございます。先端技術産業の立地によって地元産業の技術の向上が進展し、生産が拡大するというような体制、つまり進出企業と地元企業の連携が必要であり、それによって初めてテクノポリス建設構想の理念が実現できると思います。そこで、先端技術型企業の誘致の前提として、県内企業の技術水準の向上と活性化のためにどのような施策を進めておられるか。 第二は、研究開発機能の拡充策についてであります。テクノポリス構想では研究開発機能の集積を重要視しております。このためには優秀な頭脳が地元に定着できる体制を整えることと、次の時代を担う若い頭脳を育てる体制づくりが必要であると考えます。現在では、たとえば熊大工学部で育った優秀な若者の一割程度しか地元に残れない状況にあります。いまや企業の技術革新のテンポはきわめて早い速度で進んでおります。今後の地域開発のためには、技術革新に対応できる人材づくりと雇用の場の確保が最も緊要の課題であると考えるのでありますが、いかに考えておられるか、お伺いをいたします。 〔
企画開発部長岡田康彦君登壇〕