熊本県議会 > 2024-02-16 >
02月16日-03号

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  1. 熊本県議会 2024-02-16
    02月16日-03号


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    最終取得日: 2024-09-10
    令和6年 2月 定例会               第 3 号              (2月16日)  令和6年   熊本県議会2月定例会会議録     第3号令和6年2月16日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  令和6年2月16日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            星 野 愛 斗 君            髙 井 千 歳 さん            住 永 栄一郎 君            亀 田 英 雄 君            幸 村 香代子 君            杉 嶌 ミ カ さん            立 山 大二朗 君            斎 藤 陽 子 さん            堤   泰 之 君            南 部 隼 平 君            本 田 雄 三 君            岩 田 智 子 君            前 田 敬 介 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            城 戸   淳 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            前 田 憲 秀 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            西   聖 一 君            鎌 田   聡 君            渕 上 陽 一 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            西 村 尚 武 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     知事公室長  内 田 清 之 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 富 永 隼 行 君     理    事 小金丸   健 君     企画振興部     球磨川流域  府 高   隆 君     復興局長     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 千 田 真 寿 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            竹 内 信 義 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  宮 内 彰 久 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   波 村 多 門     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 荒川知章君。  〔荒川知章君登壇〕(拍手) ◆(荒川知章君) 皆様、おはようございます。自由民主党・葦北郡選出・荒川知章です。今回で5回目の一般質問となります。質問の機会を与えてくださいました議員の皆様に感謝を申し上げます。 また、この2月定例会、蒲島知事は、4期16年務められましたけれども、最後の県議会となります。これまで御尽力をいただきましたことに心から感謝を申し上げ、御慰労を申し上げます。 本日は、地域の課題を中心に質問をさせていただきますが、知事にも2問お尋ねすることになっておりますので、県政の課題が次の新しいリーダーにしっかりと引き継がれ、現在のよき流れがさらに大きな流れとなって発展していくように、明快、明瞭、明確な御答弁をお願いいたします。 時間がいっぱいになりそうですので、早速質問に入りたいと思います。 まず初めに、水俣・芦北地域振興計画の推進についてお尋ねいたします。 県では、昭和53年の国の閣議了解に基づき、昭和54年から水俣・芦北地域振興計画を策定し、水俣病の発生により疲弊した当地域の再生と振興を図ってこられました。 閣議了解に基づく振興計画は、全国でも大変珍しく、この計画があったからこそ、これまで第一次から第七次にわたる計画において数々の成果を上げ、水俣・芦北地域の振興が図られてきたことは言うまでもありません。 中でも、私が特に当地域の振興に寄与していると思う取組は、第五次計画からスタートした水俣・芦北地域雇用創造協議会による雇用創出の取組です。 当時は、当地域の有効求人倍率県内最低水準で推移しており、雇用状況は極めて深刻な状況にありました。そのため、県と地元市町、地域経済団体等から成る雇用創造協議会を設置し、人材育成や地域企業の業務拡大支援などに取り組まれました。 その結果、平成23年から平成25年までの3年間で、目標の200名を上回る269名の新たな雇用を生み出し、県内最低水準であった有効求人倍率を県平均近くまで改善するなど、非常に大きな成果をもたらしました。 平成26年度以降、現在に至るまで、雇用創造協議会における取組を継続しており、当地域の産業振興と雇用創出に欠かすことのできない存在となっております。 令和3年度から令和7年度までを計画期間とする現在の第七次計画も、残すところあと2年余りとなりました。 第七次計画においても、芦北町においては、御立岬公園に第2キャンプ場ほしのもりが令和4年10月にオープンし、津奈木町においても、旧平国小学校サテライトオフィスや地場企業で第2創業のインキュベーション施設子育て世代が交流できる木育広場など、産業の振興と交流拡大を図る複合施設の整備が進められており、来年度から一部供用開始が予定されております。 一方で、現在、県では、既に第七次計画の成果や課題の検証作業に着手されていると聞いております。 水俣・芦北地域は、県平均を上回るスピードで人口減少が進んでいるほか、地球温暖化の影響なのか、魚が取れなくなり、漁業者が大変厳しい状況に置かれているなど、まだまだ課題が山積しております。 これらの課題に対応していくために、現行の第七次計画の残された計画期間内に、引き続き計画に基づく取組をより一層進めていただくことはもちろんのこと、その上でもなお残る課題に対しては、その次の計画となる第八次振興計画を策定し、計画に基づく地域振興策の継続的な実施に向けて、計画的に取り組むことが極めて重要と考えております。 私の恩師である故山本秀久先生は、水俣病の解決には水俣・芦北地域の振興が不可欠との覚悟から、地域振興策の実現に情熱を持って取り組んでこられました。 蒲島知事におかれましても、平成20年、1期目の知事選挙のときから、水俣病問題は私にとって政治そのものとの認識で、被害者の早期救済はもとより、水俣病発生の影響を被った地域を再生していくために何をすべきか、日々問い続けてこられました。 今回、蒲島知事は、次期知事選には出馬されず御勇退されますが、ここで、これまで16年の蒲島県政において取り組んでこられた水俣・芦北地域の振興について、振興計画が果たしてきた役割、振興計画の意義と今なお残された課題についてどのように考えておられるのか。また、残された課題を解決し、今後の水俣・芦北地域の再生と振興をさらに進めるに当たっては、次期計画の策定を含め、どのように進めていくべきと考えておられるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 水俣病問題は、熊本県政にとって最重要課題であり、私にとっては政治の原点でもあります。 そこで、私は、知事就任以来、被害を受けた方々の早期救済や胎児性患者をはじめとした患者、被害者の方々の安心できる暮らしの確保に全力で取り組んできました。 また、公健法に基づく認定審査に関しても、申請者の個々の事情に丁寧に対応しながら、着実に進めてまいりました。 水俣・芦北地域の振興に関しては、昭和53年に、国において、熊本県の具体的提案を待って対処するとの閣議了解が行われています。 これを受け、県では、責任を持って地元の声を国に届ける必要があるとの考えの下、水俣・芦北地域振興計画を策定し、国、そして地元の市や町とともに、地域の活力向上に取り組んでまいりました。 令和3年度からの第七次計画においては、芦北マリンパーク構想事業つなぎ温泉四季彩周辺魅力アップ事業など、市や町の重点施策が第七次計画期間内に完了するよう支援しています。 また、タレントのさかなクンとタイアップした海の魅力発信やカキ、和紅茶をはじめとする地域産品のブランド化などにも、県を挙げて取り組んでいます。 計画期間が残すところ2年余りとなる中、庁内のワーキンググループ会議や市や町との会議を通じ、第七次計画の成果と残された課題がないか、検証を行っているところです。 次期計画の策定を含む今後の取組の方向性については、この検証の結果等を踏まえながら、新たなリーダーが判断するものと考えています。 水俣病の発生が、自然環境の汚染や甚大な健康被害、社会経済基盤の脆弱化などをもたらした歴史的事実や昭和53年の閣議了解の重みを踏まえ、適切な判断が行われるものと期待しています。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 水俣・芦北地域振興計画の次期計画を含む今後の取組の方向性については、水俣病の発生がもたらした自然環境の汚染や甚大な健康被害などの歴史的事実や閣議了解の重みを踏まえ、適切な判断が行われるものと期待しているとの大変ありがたい答弁をいただきました。 私も、地元に住んでいて、まだまだ課題が山積しており、県の支援が必要な地域でありますので、しっかり地元の声を聞いて取り組んでいただきたいと思います。 知事は、ある場所でピンクのバトンを渡されましたが、県政の課題で最もこの問題は重要だと考えておりますので、新たなリーダーにしっかりと引き継いでいただきますようお願い申し上げまして、次の質問に入ります。 令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興についてお尋ねいたします。 県南地域に甚大な被害をもたらした豪雨災害から3年7か月が経過いたしました。芦北町、津奈木町では、多くの地域で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、多くの方の貴い命と財産が奪われました。そして、家屋の浸水や倒壊、道路や河川、砂防施設など公共土木施設、水道や下水道、鉄道などのライフラインに甚大な被害をもたらしました。 改めて、お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの方々にお見舞いを申し上げます。 私は、昨年2月の定例会において、芦北町、津奈木町の復旧、復興の進捗についてお尋ねし、担当部長から、関係機関と十分に連携して、早期の復旧、復興に全力で取り組む旨の答弁をいただきました。 その後、1年近くが経過しましたが、私も地元で生活する中で、被災地の復旧、復興は、一日一日目に見える形で進んでいると感じています。 一方で、残念ながら、依然復旧工事が完了してない箇所も見受けられます。住民の皆様がより安心して暮らしていただくためには、一日も早く復旧、復興を完了していただくことが一番重要なわけですが、一方で、もうしばらく時間を必要とする部分については、住民の皆様に対して、先の見通しを示していただくこと、正しい情報をしっかりとお伝えしていくことが重要だと考えています。 住民の方々は、今後の見通し、予定を知ることによって、復旧までの道筋をイメージすることができ、復旧までの期待と安心感が地域に生まれてくるのではないかと思っています。 そこで質問です。 芦北町、津奈木町における農林関係の復旧・復興状況と今後の見通しについて、農林水産部長に、土木関係の復旧・復興状況と今後の見通しについて、土木部長にお尋ねします。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) 芦北町及び津奈木町における農林関係の復旧・復興状況と今後の見通しについてお答えします。 まず、農地、農業用施設関係では、町が行う189か所について、これまでに174か所の工事に着手し、今年度末までに164か所が完了する予定です。残りの25か所については、河川工事等と工程の調整を要するため、全ての復旧工事が完了するのは令和8年度となる予定です。 県が行う19か所については、これまでに全ての工事に着手し、18か所が完了しました。残りの1か所は、約200メートルにわたりのり面が崩壊した芦北地区広域農道の鶴木山工区で、災害の再発を防ぐため、より地盤が安定している山側にルートを変更した上で、令和5年3月に工事に着手しました。 現在、道路部の掘削や斜面の工事を実施しており、令和6年1月末時点の進捗率は38%で、令和6年度末までに全ての工事を完了させ、令和7年4月から全線開通する予定です。 また、芦北東部の吉尾、大尼田、白木地区の被災地域では、豪雨災害からの創造的復興として、被災した農地に周辺の農地を加えた32ヘクタールを対象に、圃場整備を実施する事業計画を策定しました。将来の営農を見据え、農地の区画拡大を行い、担い手農家へ8割を集積するとともに、バレイショ等の新たな作物を導入する計画です。 現在、土地改良法に基づく手続を進めており、令和6年度に事業に着手し、令和12年度の完了を目標に取り組んでまいります。 次に、林業関係では、山地災害箇所の復旧について、人家などの保全対象に近接する35か所の緊急治山事業等が国により進められ、全箇所が昨年9月に完了しました。 また、県による復旧事業については、これまでに43か所中19か所の工事に着手し、今年度末には15か所が完了の予定です。 佐敷トンネル付近の治山工事が完了したことをもって、肥薩おれんじ鉄道の徐行運転が2月1日に解除されるといった成果も見られており、引き続き、令和7年度の完了に向けて取り組んでまいります。 なお、林道災害については、町が行う18路線、42か所の復旧が、本年1月までに全て完了しています。 引き続き、被災された農家や林業者に寄り添いつつ、早期の復旧、復興に向けて全力で取り組んでまいります。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 芦北町及び津奈木町における土木関係の復旧・復興状況と今後の見通しについてお答えいたします。 まず、復旧の状況については、県と2つの町が管理する河川や道路など818か所の被害のうち、本年1月末までに796か所の工事に着手し、そのうち604か所が完了しております。さらに、今年の出水期までに200か所が完了予定であり、残りの14か所についても、令和6年度末までに完了する見込みでございます。 次に、復興に向けた取組の状況でございますが、県では、浸水対策や土砂災害対策といった防災力の強化を進めております。 浸水対策につきましては、佐敷川や球磨川支川の吉尾川において、堰の改修や河道の拡幅、堤防整備、宅地かさ上げなどに取り組んでおります。 また、湯の浦川では、護岸補強の工事に着手したほか、宮の浦川、田浦川では、芦北町と協議を重ねながら設計を行うなど、流下能力の向上に向けた取組を進めております。 このほか、河川に堆積した土砂については、毎年、各河川の堆積状況を調査し、流れを阻害する堆積土砂を翌年の出水期までに撤去しており、今後も堆積状況に応じて撤去してまいります。 土砂災害対策については、土石流等が発生し、緊急的な対策が必要となった津奈木町の大坪川など10か所において、砂防堰堤の整備や斜面対策といった砂防工事を進めてまいりました。これまでに9か所が完了し、残る1か所も今年の出水期までには完了する見込みです。 これらの砂防工事が完了し、安全性が向上したことから、土砂災害により長期避難されていた芦北町の女島地区など4地区では、避難が解除されました。 また、今後の出水で土石流等のおそれがあるなど、災害リスクの高い芦北町の園口川など5か所におきましては、砂防堰堤の整備を進めております。 今年度内に2か所が完成する見込みであり、残る3か所につきましても、令和7年の出水期までの完了を目指して取り組んでまいります。 これらのハード対策に併せ、洪水浸水想定区域土砂災害警戒区域の指定公表など、住民の円滑な避難を支援するソフト対策にも引き続き取り組んでまいります。 県としましては、緑の流域治水の考えの下、引き続き、町と連携しながら、被災した公共土木施設の一日も早い復旧と浸水対策や土砂災害対策による地域の安全、安心の確保に向けて、全力で取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) ただいま両部長から、これまでにできている部分とこれから進めていく部分について、スケジュールを含めて具体的に答弁いただきました。 この答弁によって、住民の方々も、復旧までの道筋をイメージすることができ、安心感につながっていくものと思います。 できますならば、今後も、定期的にタイミングを見ながら、今回のように地域住民に対して進捗に関する情報発信を続けていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 次に、熊本県における地震対策についてお尋ねいたします。 令和6年1月1日、穏やかな1年の始まりが夕方に一転しました。能登半島を震源とする最大震度7の大地震が発生し、日本列島の正月気分が一瞬にして吹き飛んでしまいました。 石川県を中心に甚大な被害が発生し、特に輪島市や珠洲市など奥能登の自治体では、救助・救出活動をはじめ、電気や水道などのライフラインが断絶した中、被災者の支援に大変苦労されています。 電気や通信の復旧は進んできたようですが、交通や水道の復旧にはなお相当の時間を要すると報道されています。平成28年4月の熊本地震と異なり、大雪に見舞われた真冬の避難生活は、本当に大変なことだと想像をしております。 地震でお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。そして、被災された地域の一刻も早い復旧、復興を、ひたすらお祈り申し上げるばかりであります。 本定例会冒頭の議案説明の中で、蒲島知事は、本県は、熊本地震や令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興に当たって、全国の自治体から多大な支援をいただいた、大災害を経験した本県の責任として、災害対応の経験、ノウハウを生かし、現地のニーズを踏まえた支援をしていくと述べられました。 まさにそのとおりだと私も思います。石川県などの被災自治体に対して、本県のこれまでの経験、ノウハウ、教訓などをしっかりと伝え、復旧、復興の一助としていただくことが非常に重要だと考えています。 そこで質問です。 このたびの能登半島地震により被災した自治体に対し、現在、県ではどのような支援を行っているのか、また、今後も引き続きどのような支援をしていく考えなのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 本県では、発災直後から被害状況などの情報収集に当たりました。1月4日には、私から職員に対して、全庁を挙げて全力で被災地支援を行うよう指示し、直ちに知事公室長を本部長とする熊本県応援本部を設置いたしました。 そして、同日、本県の熊本地震や令和2年7月豪雨災害の経験やノウハウが石川県の初動対応に役立つと考え、情報連絡員として本県職員を石川県庁に派遣いたしました。 この連絡員を通じて、被災地の支援ニーズの把握や本県からの情報提供を行うとともに、九州地方知事会の会長県として、九州各県と連携し、全国知事会などと応援職員派遣支援物資提供の調整を行いました。 また、被害が最も大きかった輪島市に対しては、いち早く医師や保健師などで構成する災害時健康危機管理支援チームを派遣しました。チームは、宿舎なども確保できない環境の中、災害関連死の防止や被災者の健康管理支援業務を担いました。 さらに、1月23日から、県・市町村職員によるチームくまもとを派遣しています。 現地では、本県の経験やノウハウを生かし、住家被害認定調査を円滑に進めるとともに、全国からの支援チームに対し技術講習を行うなど、早期の調査完了を後押ししています。 加えて、石川県庁に対しては、仮設住宅の建設や災害廃棄物の処理、学校の再開など、被災地が抱える様々な課題の解決に向けて、関係職員を派遣しています。 現在28人の県職員が現地で活動しており、これまでに延べ1,096人を派遣するなど、全庁を挙げて被災地支援に取り組んでおります。 熊本地震や令和2年7月豪雨災害などを経験した本県は、国内外からの多くの支援により、大災害からの創造的復興に向けて歩みを進めています。その経験やノウハウを生かし、日本の災害に対する安全保障に貢献することは、我々の責務であります。 もう1つ、議場で申し上げたいのは、熊本城に対する馳知事の文科大臣のときの多大な支援であります。今の熊本城がこれほど急いで復旧できているのは、文科大臣だった馳大臣がとても熊本に思いを持って支援してくださったことを、皆さんと共有したいと思います。 熊本県民全ての思いを被災地に届け、被災された方の痛みの最小化や一日も早い復旧、復興の実現に向け、引き続き全力で支援してまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 本県のこれまでの経験を生かし、関係職員を派遣していただいていることに感謝申し上げます。 熊本地震豪雨災害のことを考えれば、能登半島地震においても、まだまだこれからの道のりは長いと思われます。被災地の一日も早い復旧、復興に向け、大災害を経験している本県だからこそできる支援を、引き続きよろしくお願いいたします。 また、能登に対する本県の支援について、発災当初、県民の方から、県はこれまで熊本地震豪雨災害で全国から支援を受けたにもかかわらず、今回、能登に対する支援が薄いのではないかという声も聞かれました。せっかく支援をしているわけですから、やっていることが県民などに見える形にしたほうがよいと思います。 現在、県のホームページに熊本県の支援状況を掲載されていますが、なかなか目につきにくい状況だと思いますので、何らかの形で、アピールとは言いませんが、やっていることが伝わるような情報発信も併せてお願いいたします。 次に、日奈久断層帯を起因とする地震及び津波への本県の対策についてお尋ねいたします。 昨年5月にオープンした熊本県防災センターにもパネルが展示してありますが、本県には、熊本地震の要因となった布田川断層帯や益城町付近から芦北町、津奈木町、水俣市付近を経て八代海南部に至る日奈久断層帯、また、水俣には水俣断層帯があります。 熊本地震は、布田川断層帯と日奈久断層帯がずれ動いたため引き起こされたものですが、日奈久断層帯のうち熊本地震で動かなかった部分に、今後、将来的に大地震を引き起こす可能性のあるゆがみが蓄積されているとの専門家の指摘もあります。 国の地震調査研究推進本部が示している日奈久断層帯の八代海区間における地震の発生確率は、今後30年以内に16%と九州では最も高く、いつ大きな地震が起きてもおかしくない状況だと考えられます。 平成23年度から24年度にかけて県が調査した地震・津波被害想定調査によると、これは各市町村ごとではなく広域的な被害予想のようですが、布田川・日奈久断層帯のうち、最も地震規模の大きい中部と南西部の連動型地震が発生した場合、県内で最大960名の死者、2万7,400名の重軽傷者が発生し、全壊2万8,000棟、半壊8万2,300棟という甚大な被害が発生することが推計されています。 また、八代海沿岸では、最大津波高が3メートルと想定され、八代地域、芦北、津奈木、水俣地域では、津波により2,520名の死傷者が発生すると推計されており、大規模地震が発生した際は、県南地域で甚大な被害が想定されます。 このような大規模な自然災害に対しては、事前の備えが大事であります。そして、万が一大規模地震が発生した場合に、住民の生命、財産を守り、被害を最小化するため、県や市町村、消防、警察、自衛隊などの関係機関が連携して、発災後の対応ができるよう準備をしていくことが重要であると考えています。 また、熊本地震での経験や今回の能登半島地震の状況を見ると、最前線で対応に当たる被災市町村の対応がとても難しく、大変であり、だからこそその役割が重要となり、今まさに市町村の防災力強化が求められていると感じています。 そこで質問です。 今後、万が一日奈久断層帯に起因する大規模地震が発生した際の県の対応や被害を最小化するための取組、さらには、市町村の防災力強化や被害が想定される市町村への支援について、知事公室長にお尋ねいたします。 さらに、避難者支援についてお尋ねします。 今回の能登半島地震でも明らかになりましたが、大規模地震が発生した際は、避難された方々への支援が非常に重要となります。 半島特有の地理的状況で交通が遮断された中での水や食料の確保、トイレの確保、ボランティアの受入れなど、避難所生活での大変な様子が連日報道されていました。 避難所において、良好な生活環境や衛生環境が維持できないと、二次的な健康被害により災害関連死が発生するおそれがあります。 平成28年の熊本地震の際にも、多くの方が避難所へ避難されましたが、地震による直接死50人のほか、長引く避難生活での体調悪化などにより218人もの災害関連死が発生しています。 そこで質問です。 日奈久断層帯に起因する大規模地震が発生した場合、多くの被災者が避難所に避難されることが予想されますが、避難所の良好な生活環境の確保など、避難者のストレスを軽減し、災害関連の犠牲者を防ぐためにどのような対策を講じるのか、災害発生後の避難者支援の取組について、健康福祉部長にお尋ねします。 最後に、住宅耐震化への支援についてお尋ねします。 今回の能登半島地震では、倒壊した家屋の様子が連日報道されており、家屋の被害は2月8日時点で約5万8,800棟に上り、亡くなった方の死因の多くは建物の倒壊による圧死と見られ、特に古い住宅の被害が大きいようです。 こうした中、今住んでいる家屋の地震対策に関心が高まっています。 これまで、住宅の耐震基準は、大規模な地震が起こるたびに改正があっており、古い建物を地震に強くするためには、耐震診断を行って、最新の基準に適合するように補強工事を行う必要があります。 また、住宅の耐震基準には、宮城沖地震を受けて、1981年に地震に抵抗する壁の量を強化するなど大幅に改正された新耐震基準と、その後発生した阪神・淡路大震災を受けて、壁の配置のバランスや柱とはりの接続部分に金物を使用するなどの改正がなされた2000年基準、この2つの基準があるようです。 今回の地震で住宅被害が甚大な石川県では、古くて大きい住宅が多く、高齢のために費用の捻出が難しいなどの理由から耐震改修工事を行うことをためらい、結果、耐震化が進まず、甚大な被害を招いたとのことですが、同様の状況は県内にもあるのではないかと心配しています。 本県では、熊本地震発生後、熊本地震復興基金を財源として、耐震性能の低い、古い住宅の耐震診断や耐震改修工事に、市町村と連携して補助金を出すことで耐震化の取組を支援してきましたが、なかなか耐震化に取り組んでいただけないのが実態のようです。 住宅の倒壊を防ぎ、県民の命を守るためには、最新の耐震基準に合わない住宅についても補助の対象とするなど支援を拡充し、県民の負担を軽減することにより、できるだけ多くの住宅で耐震化に取り組んでいただくことにつなげ、ひいては大規模地震による被害を最小限とすることが必要ではないかと考えます。 そこで質問です。 今後の住宅耐震化への支援について、本県としてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔知事公室長内田清之君登壇〕 ◎知事公室長(内田清之君) まず、大規模災害発生時に被害を最小限に抑えるための県の取組についてお答えします。 平成28年熊本地震や令和2年7月豪雨など、大規模災害発生時には、県では、災害対策本部を即時に設置し、被害情報の収集をはじめ、救助部隊の調整や救援物資の手配などを行います。県民の生命や財産を守るためには、この一連の災害対応業務を迅速かつ円滑に実施することが何より重要です。 このため、県では、市町村や消防、警察、自衛隊、海上保安庁などの関係機関と連携し、実戦的な訓練を繰り返し実施しております。 日奈久断層帯に起因する大規模地震対策については、芦北町など大きな被害が想定される市町と連携し、令和3年度に、地震や津波被害を想定した県総合防災訓練を実施いたしました。 この訓練の結果、今回の能登半島地震でも課題となっておりますが、島嶼部である天草地域への交通網が遮断された場合に、救助や物資輸送手段の確保が大きな課題となることが確認されました。 このため、救助部隊や救援物資の輸送手段として大型船舶を活用できるよう、天草地域で最大水深を有する九州電力苓北発電所の港湾施設等を災害時に使用する協定を、令和4年6月に締結しております。 来年度には、県総合防災訓練において、改めて日奈久断層帯に起因する大規模地震や津波を想定した訓練を、八代海沿岸地域を中心に実施することにしております。 この訓練では、海上からの救助部隊及び救援物資等の輸送など、能登半島地震で浮き彫りとなった課題等も踏まえ、実施したいと考えております。 次に、市町村の防災力強化に向けた県の取組についてお答えいたします。 市町村には、情報収集や住民の避難誘導、避難所の開設、運営など、最前線で対応していただく必要がございます。 地震や津波をはじめとするあらゆる災害を想定し、大規模な災害から県民の命を守るためには、市町村の対応力を高めることが非常に重要です。 県では、災害時に最前線で指揮を執る市町村長に対して、毎年防災・危機管理トップセミナーを実施しており、専門家による講義等を通して、リーダーとして必要となる指揮能力の向上に努めていただいております。 市町村職員に対しては、被害情報の伝達や初動対応を適切に行うための災害対応訓練を、出水期までに全市町村を対象に毎年実施し、担当者の人材育成等を進めているところです。 また、被害を最小限に抑えるためには、自助、共助の取組が不可欠です。地域や学校におけるマイタイムラインの作成支援など、一人一人が災害から自分や家族の命を守る逃げ遅れゼロを実現する取組を進めています。 さらに、マイタイムラインを活用した住民避難訓練の実施や地域防災リーダーの養成等、地域防災力の強化に向けた取組を、市町村と一体となって進めています。 加えて、大規模災害時においては、特に職員数が少ない市町村では、災害対応に必要な人員数が不足することが懸念されます。 このため、実際に大規模災害が発生した場合は、熊本地震や7月豪雨と同様、県から市町村長をサポートする幹部職員や県本部と市町村本部をつなぐ情報連絡員をプッシュ型で派遣するなど、人命救助に最も重要な初動対応や行政機能の維持に向けた支援を行います。 県では、今後も、県民の安全、安心のため、被害を最小限に抑えられるよう、市町村や関係機関と連携を密にし、防災力の強化にしっかりと取り組んでまいります。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 災害発生後の避難者支援の取組についてお答えいたします。 平成28年熊本地震では、多くの災害関連死が発生したことから、県では、平時から災害発生後を想定した取組に力を入れております。 まず、多くの避難者が生活する避難所の安全、安心な生活環境の確保は極めて重要であることから、平成29年8月に、熊本地震の教訓を踏まえた避難所運営マニュアルを、令和2年5月に、避難所における新型コロナウイルス感染症への対応指針を作成しています。 これらのマニュアルでは、要配慮者の把握、感染症対策など、避難所開設時からすぐに必要となる事項をチェックリストの形で掲載しており、令和2年7月豪雨災害時にも活用しております。 また、市町村職員や地域住民を対象に、避難スペースのレイアウトや避難者対応などを実際に避難所として活用する会場で学ぶ研修を実施し、災害時における避難所生活が安全、安心なものとなるよう、平時から対応力の強化に努めています。 このほか、災害関連死を防ぐためには、特に要配慮者のケアが重要であることから、こうした方々が安心して避難生活を送れるよう、市町村に対し、福祉避難所や一時避難所における要配慮者スペースの確保を働きかけるとともに、旅館やホテルと協定を締結し、二次避難所として利用できるようにしており、熊本地震の際には、要配慮者を中心に2,278人に利用していただきました。 また、避難所に避難している方々のみならず、在宅等で避難生活を送られる方々も含め、保健、医療、福祉の様々な専門職が、体調や生活環境の確認、福祉ニーズの把握、心のケアなどの支援を行う体制整備にも努めています。 災害対応に詳しい民間ボランティアも大変重要であり、熊本地震をきっかけに、県社会福祉協議会や民間支援団体等との連携体制を構築し、現在も定期的に会議を開催するなど、災害時、速やかに避難者を支援できるよう備えています。 さらには、一日でも早く避難者が避難状態を解消できるよう、令和2年7月豪雨災害においては、恒久的な住まいとしても活用できる、いわゆるくまもとモデルとして、そのほとんどを木造の仮設住宅で整備したところです。 引き続き、避難者の安全、安心な生活環境の確保や災害関連死の防止につながる平時からの取組をしっかり進めてまいります。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 県では、熊本地震の住宅被害を踏まえ、1981年の新耐震基準に満たない木造住宅を対象に、2000年基準に相当する耐震性能が確保できるよう、耐震対策の助成制度に取り組む市町村に対して、熊本地震復興基金を活用し、支援してまいりました。 具体的には、耐震診断、耐震改修設計及び耐震改修工事等に対して助成するもので、平成28年度から令和4年度までに延べ約6,800件が活用され、県内の耐震化率も、令和3年度末時点で89.1%となりました。 今回の能登半島地震では、多くの方が家屋の下敷きになり亡くなられており、住宅の耐震性能の不足がその要因と考えられております。新耐震基準で建てられた住宅についても被害が生じていることなどが報じられており、さらなる耐震化が望まれるところです。 これらの状況を踏まえますと、地震による被害の最小化を図るためには、引き続き住宅の耐震性能の向上に取り組むことが重要で、それは新耐震基準以降の住宅についても同様と考えます。 そのため、まずは、国により行われる現地調査と技術的な検討状況を注視するとともに、2000年基準に満たない住宅の耐震対策に多くの皆様が取り組むことができるよう、効果的な耐震工事の手法と費用などについて、情報収集を行ってまいります。 今後、県内市町村にヒアリングをした上で、住宅の建築年代や高齢者世帯の状況など地域の実情を考慮し、きめ細かな支援となるよう、市町村と連携して住宅の耐震性能の向上に取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 日奈久断層を起因とする地震及び津波対策についてですが、被害が予想される市町村は複数にわたり、1つの町や市のみで調査することは困難と思われますので、県が率先して市町村ごとの被害予想の調査をしっかりとしていただき、できれば県主導で被害が予想される複数の市町村と協議会をつくり、危機意識を共有する場、対策を話し合う場として取り組んでいただきたいと考えます。 地震はいつ起こるか分かりません。明日起こるかもしれませんので、危機感を持って、また、芦北、津奈木だけの問題ではなく、広域にわたりますので、町だけで対応できないことを、ぜひ県が率先して取り組んでいただきたいと思います。 次に、避難所支援についてですが、能登半島地震の避難所では、簡単に設置でき、プライバシーや感染予防に活用されているダンボール製のインスタントハウスが取り入れられています。費用も、屋内用が1万円、屋外用が15万円ということで、多くの被災者が利用しています。二次的な健康被害を防ぎ、災害関連死を防ぐためには、ストレスの軽減や持病がある人への対応など必要ですので、引き続きしっかりとした対応をお願いいたします。 最後に、住宅耐震化への支援についてですが、耐震化するのに十分な予算がなくて、耐震化をちゅうちょされている方もいらっしゃると思いますが、耐震シェルター工事は50~60万円ほどでできて、最大20万円の補助も受けられますので、周知にもぜひ積極的に取り組んでいただくことと、事業内容をさらに拡充し、一人でも多くの方々が耐震対策を行い、県民の命を守ることができるよう強く要望して、次の質問に入ります。 県土の均衡ある発展という観点から、TSMC社の熊本進出に伴う県南地域、とりわけ芦北、津奈木、水俣地域への効果の普及についてお尋ねいたします。 現在、県内、特に県北地域では、半導体バブルとも言われるにぎわいを呈して活気づいている状況にありまして、菊陽町では、TSMC社が新工場建設を発表して以降、過去に例を見ないスピードで工事が進み、来週24日には開所式を迎えます。また、今月6日には、TSMC社から、第2工場の建設を熊本県で行うことが発表されました。 TSMCの熊本進出は、本県の経済浮揚と県勢のさらなる発展につながる100年に1度のビッグチャンスです。 これまでも、多くの方から、このチャンスを生かさない手はない、このチャンスを熊本の今後の発展の礎にすべきなどの意見が出されています。執行部も、あらゆる場面でこの点を意識した取組を進めておられることは、私も承知しております。 一方で、県南地域には、依然として次のような懸念があることも事実です。TSMC進出の効果が本当に県南地域にまで波及するのだろうか、県内の南北格差、地域格差が広がるのではないかという懸念です。 蒲島知事は、これまでも、TSMCの進出効果を県内全域、そして九州全域に広げ、新生シリコンアイランド九州の実現を目指すと宣言されています。私もその考えに共感しており、まさに今こそTSMCの進出効果を県内全域に広げ、県土の均衡ある発展を実現することが極めて重要であると思っています。 県南地域は、八代港や高速道路のインターチェンジ、九州新幹線の駅など交通インフラに優れ、そのポテンシャルは無限大であると思っています。これらの地域資源を生かし、一つには、半導体関連企業の誘致を進めること、さらには、半導体関連企業で必要となる人材の育成やDX社会を牽引する人材の育成などが考えられ、それぞれあらゆる可能性に向けて、ともに進めることが今後の県土の均衡ある発展に必要なことではないかと考えています。 昨年12月の定例会で、我が党の前川会長の質問に対し、蒲島知事は、八代地域における県営工業団地の整備の検討に着手すると表明され、八代地域に明るいニュースが流れました。 一方で、半導体産業では、エンジニアやオペレーターなどの技術者のニーズが高まり、関連人材が不足すると言われています。 そのような中、本年4月から、熊本大学で情報融合学環が新設され、半導体コースと人工知能、ビッグデータ分析などを学ぶ総合コースが設置されます。また、県立技術短大でも、半導体技術科の新設が予定されています。 水俣地域でも、地元企業アスカインデックスと水俣高校が連携し、昨年4月から半導体関連教育が導入され、半導体関連人材の育成拠点としての取組が始まっています。 令和3年3月26日に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画では、Society5.0の実現が示されています。 これは、現実空間と仮想空間を融合させたシステムによって、社会的な課題の解決と経済発展を両立させる新たな社会のことで、半導体は、その実現を支える重要な技術でもあります。 私が住む芦北地域を考えたとき、計石地区と田浦地区にあるサテライトオフィスにIT関連企業12社がこれまで進出しており、このような企業と連携し、Society5.0の実現を支える人材、DX社会を支える人材を育成することはできないか、地域内で地域のDX社会を支える人材を育てることができれば、若者の地域外への流出という課題解決にもつながるのではないかと考えます。 芦北、津奈木、水俣地域の基幹産業の一つである農業について考えると、生産、流通、消費までをトータルで考えるデジタル技術で効率化し、生産性を高めることができるDX人材が必要とされ、貴重な存在となるのだと考えます。これは、林業、漁業、福祉など、いろんな分野で同じことが言えると思います。 また、芦北地域には、既に進出したIT企業に講師の派遣をお願いできるなど、DX人材を育成する環境も整っています。この点を踏まえても、芦北地域において、地域産業にマッチするDX人材の育成に力を入れていくことが重要なことと私は思っています。 一方で、私は、令和3年9月定例会において、県立芦北高校の魅力化の取組として、IT学科の創設を提案させていただきました。 県立高校では、2027年度から入試制度が見直され、前期日程と後期日程を一本化し、試験が私立高校入試の後に実施されることとなるため、県立高校それぞれの魅力向上がより一層求められます。 本県は、現在、半導体産業の集積を進め、新生シリコンアイランド九州を目指すど真ん中にあります。半導体の製造に関連する技術者の育成は急務ですが、DXの視点を持った人材も半導体に関連する重要な人材であり、ここ熊本でこそ積極的にその育成を進めるべきではないでしょうか。 このように考えると、県立高校において、地域を支える産業と連携して地域課題を解決するなど実践的な学びを行うことができれば、DX人材の育成はもちろん、高校生が地域を知るきっかけにもなり、将来の地域社会を支える人材の育成にもつながるのではないかと考えます。さらには、県立高校の魅力化にもつながるのではないでしょうか。 そこで質問です。 TSMCの熊本進出が決定して以降、県内では関連する様々な取組が加速度的に進められていますが、TSMCの進出効果を県南地域、とりわけ芦北、津奈木、水俣地域へどのように波及させ、県土の均衡ある発展に向けた取組を進める考えなのでしょうか。企業誘致も含め、商工労働部長にお尋ねいたします。 次に、DX人材の育成の取組として、また、高校の魅力向上の取組として、県立芦北高校における地域と連携した将来の地域社会を支えるDX人材の育成に向け、今後どのように取り組んでいかれるか、教育長にお尋ねいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) TSMC進出効果の県南地域への波及についてお答えします。 TSMCの進出効果を全県に波及させることは、本県にとって重要な課題であると認識しています。 芦北・水俣地域は、重要港湾の八代港にも近く、4つのインターチェンジや九州新幹線新水俣駅も所在し、交通インフラに優れた地域であるため、半導体関連企業等の進出の可能性は十分にあると考えています。 既に、株式会社テラプローブなど、芦北・水俣地域の半導体関連企業の増設の事例も見られます。津奈木町の工業団地に関心を示している企業もあり、現在、町が県と協力して、誘致に向けた働きかけを行っています。 また、八代地域に県営工業団地が整備されれば、そこに企業が集積し、地理的に近い芦北・水俣地域にさらに関連企業が進出してくることが期待されます。 企業誘致や産業の集積には、人材の育成と確保が重要です。株式会社アスカインデックスは、水俣市に高度技術センターを開所され、事業拡大を進めるだけでなく、半導体実技総合大学校を同センター内に開設し、半導体関連企業に就職を希望する方へ実践的な研修の機会を提供されています。 昨年11月には、株式会社アスカインデックスと水俣市、水俣高校が、半導体関連の人材育成を目的とした連携協定を締結し、議員御紹介のとおり、産官学が連携した人材育成の取組が行われています。 このように、芦北・水俣地域は、産業人材を育てる拠点性が高いことを、熊本高等専門学校や八代工業高校が所在する八代地域と合わせてPRしてまいります。 また、風光明媚な八代海などの地域資源の魅力を発信し、既に成果が出ているIT企業の誘致にも引き続き努めます。 さらに、地元市町と連携し、半導体関連企業にとどまらず、食品関連企業など、地域の特性が生かせる企業を呼び込み、TSMC進出効果を着実に芦北・水俣地域にも波及させるよう取り組んでまいります。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 県立芦北高校におけるDX人材育成の取組や魅力向上の取組についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、県教育委員会としましても、Society5.0の実現に向けたDX人材の育成は、今後の本県の産業を支える上でも大変重要と考えております。 そのため、GIGAスクール構想の推進をはじめ、県立学校の生徒1人1台タブレット端末の整備、さらには、産業DXに対応できる生徒の育成に積極的に取り組んできたところでございます。 例えば、芦北高校では、芦北町や地域の産業界と強力に連携した学びの実践と各学科におけるICTの積極的な活用を進めています。 具体的には、農業科では、タブレット端末による生産管理やガラス温室の自動制御などを授業で行っております。また、林業科では、鳥獣被害対策のため、箱わなの遠隔監視やドローンを使ったアマモ場の撮影、福祉科では、VR技術を活用した認知症の疑似体験などを授業に取り入れています。 今後は、議員御提案の地元IT企業からの出前授業や課題研究への講師招聘などの検討を進め、各学科の専門的な知識や技術とICTを効果的に組み合わせることにより、地域課題の解決に向けた探求的な学びや企業との共同研究などにも取り組んでまいります。 引き続き、芦北町や地元IT企業とのさらなる連携強化に努め、将来の地域社会を支えるDX人材の育成を図るとともに、魅力的な学びの実践と積極的な情報発信による芦北高校の魅力向上にしっかりと取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 芦北、津奈木、水俣地域への波及については、交通インフラに優れ、半導体企業等の進出の可能性は十分にあり、現在、津奈木町の工業団地への誘致に向けた働きかけもしていただいているとのことで、ぜひ引き続き力強く進めていただくようお願いいたします。 芦北高校におけるDX人材の育成については、これからの時代に対応するDX人材を育てるためには、DXを使いこなすことはもちろんのこと、それを開発する人材育成も急務です。開発する人材を地域で育てることで、若者の地域外への流出という課題解決にも確実につながると考えます。 また、入試制度の変更により、特に郡部の県立高校の突出した魅力化が必要となりますので、ぜひ重要な課題であるとの認識の下、よろしくお願いいたします。 最後に、地域課題の解決に向けたデジタル技術の活用についてお尋ねいたします。 昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所から2050年の将来推計人口が公表され、熊本県の人口は、現在の約172万人から約135万人となる結果が示されました。また、65歳以上の高齢化率は、県全体でも4割近くになり、産業の担い手となる生産年齢人口の大幅な減少によって、地域活力が大きく低下することを私自身懸念しています。 特に、本県の基幹産業である農林水産業では、現在、既に、基幹的農業従事者が、平成27年の約6万5,000人から5年間で約2割減少しており、今後、担い手不足に拍車がかかることを大変心配しています。 また、県民一人一人の実態に応じた医療・福祉サービスや災害時の被災者支援をどのように行っていくかといった課題も地域にはございます。 担い手の作業効率を高めることも大事ですが、将来を担う若者の確保の観点から、デジタル技術を活用した効率的でスマートに仕事ができ、稼げる環境をつくっていく必要もあると思っています。 こうした課題の解決には、様々なデジタル技術を活用し、DX、デジタルトランスフォーメーションを進めることが重要であると思います。 県では、昨年4月にデジタル戦略局を設置し、取り組まれていますが、地域課題の解決に向けたデジタル活用の可能性についてどのように認識しているのか、また、デジタル技術を活用した地域課題の解決に向けて、県として今後どのように取り組んでいくのか、デジタル戦略担当理事にお尋ねします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) 人口減少などを背景とする地域課題を解決するためには、DXの推進が重要です。 県では、地域課題を解決する様々な優良事例の横展開やDX機運の醸成を図るため、公募型のDX実証事業に取り組んでいます。 例えば、農業分野では、鳥獣被害対策や自治体が行う営農状況調査にドローンやAIを活用し、大幅な省力化につながる成果を得られています。 その他、僻地におけるオンライン会議システムを活用した遠隔診断やAIを活用した乗合タクシーの運行などの事例も創出されています。 いずれも、人口減少に伴う担い手やサービスの不足を補うものであり、地域の活力を高める有効な取組と認識しています。 一方で、こうした取組の裾野を広げるためには、これまで以上に市町村や民間企業の役割が重要です。 まずは、市町村の取組を強化するため、市町村長を対象としたトップセミナーの実施や専門人材の派遣など、支援の拡充を図ってまいります。 また、民間企業の地域活動への参画を後押しするため、市町村と企業の連携を促進するなど、くまもとDX推進コンソーシアムの活動を強化してまいります。 引き続き、デジタル技術を活用した地域課題の解決が進むよう、DXの推進にしっかりと取り組んでまいります。
    ○議長(渕上陽一君) 荒川知章君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔にお願いします。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 現在、どの業種においても、労働者不足に深刻に悩んでおられます。今後、さらに生産年齢人口が大幅に減少する中、地域が持続的に発展していく環境をつくっていくためには、DXの推進が急務であります。 そのためには、答弁にありましたように、市町村や民間企業の協力が必要不可欠となりますので、ぜひ支援の拡充をお願いいたします。 以上をもちまして、私の質問は全て終了いたしました。 蒲島知事の最後の議会で一般質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。これで私の質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議 ○議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 亀田英雄君。  〔亀田英雄君登壇〕(拍手) ◆(亀田英雄君) 皆さん、こんにちは。八代市・郡区選出・無所属の亀田です。 質問に先立ち、元日から、能登地震、羽田の飛行機事故、北九州の商店街の火事、山手線殺傷事件と、信じられないような災害、事件が続けて発生しました。痛ましい限りです。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われました全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。 特に、能登地震の報道を見るたびに、私たちも、熊本地震、令和2年球磨川の豪雨災害を経験しましたので、あの喪失感、絶望感、それでも地元への愛着感があり、それらがない交ぜになった感覚はよく理解できます。 素早い応援対応を寄せられた熊本県には敬意を表したいと思いますし、私たちも、同じ未曽有の災害に襲われた被災地として、少しでも心を寄せたいと思います。 これから長い道のりになるかと思いますが、一日も早く復旧、復興ができることを祈るばかりです。 今回の質問で、はや2回目の質問となります。前回の質問から間もない中で、またすっとかというような皆さんから心配するお声もかけていただきましたし、少しゆとりも持ちたかったなという思いもありますけれども、今回も、八代弁を駆使して、時間いっぱい八代ネタで取り組みたいと思いますので、どうぞよろしくお付き合いください。 まず最初に、くまもと県南フードバレー構想について伺います。 先々週の土曜日と日曜日、花畑公園において、くまもと県南フードバレーフェスタが開催されましたので、日曜日の昼の時間を狙って、様子見がてら出かけてきました。 前日からの雨も上がり、多くの人でにぎわい、大盛況で、たくさんのうまかもんをいただいてきました。出店者の皆さんの話を聞いたり、いろんな方と出会えたりしましたし、県南の食材の紹介、フードバレーの取組を紹介するとてもよい機会、イベントであったと思いました。 昨年の9月には、新型コロナウイルス感染症の影響により休止され、4年ぶりに開催されたくまもと県南フードバレーネットワーク促進交流会に参加させていただきました。県南地域の食関連事業者をはじめとする協議会会員の皆様が、年に一度集う異業種交流の場として華やかな会で、楽しい時間を過ごしました。 そもそも、くまもと県南フードバレー構想とは、八代地域、水俣・芦北地域、人吉・球磨地域で構成する県南地域の豊富な農林水産物を生かし、食関連の研究開発機能や企業などを集積させることにより、県南地域の活性化を目指すものとありました。 思えば、八代市議会議員時代、鏡町に、試験研究、試作、商品開発や販路開拓の支援などを実施するアグリビジネスセンターという県の施設が開設され、県の肝煎りの事業が始まるということで、見学に行った記憶があります。私も、嫁のほうが、地域の食材を作るなど、食品関係の活動をやっていますので、活動の手伝いに連行された記憶があります。似合わぬ頭巾、エプロンをかけて、はまってやってみました。 八代地域は、農業が盛んで、特産品では、東陽のショウガや氷川の梨なども含めて、様々な野菜や果実の一大産地であり、八代のトマトは日本一という自負があるところです。 県南地域ということで広げますと、思いつくだけでも、山江の栗、相良のお茶、球磨焼酎、芦北のデコポン、田浦のタチウオ、水俣のサラダタマネギなどなど、豊かな食材の産地の宝庫であり、このくまもと県南フードバレー構想という取組が県南の振興につながってほしいと、大きな期待を寄せたものでした。 くまもと県南フードバレー構想は、策定から昨年で10年が経過したということですが、この構想が十分に上がっているかといえば、失礼ではありますが、そのような実感はあまりありませんし、強いて言えば、新商品開発などでセンター前ヒットは打っているようでありますが、全国的に知名度が上がり、販路も拡大するようなホームランは、まだ打てていないのではないかとの感じがいたします。 小野元副知事が八代に入り、鳴り物入りで始まった事業でしたので、期待も高かったのですが、近年は、コロナ禍もあり、フードバレーの活動が私の中ではあまり見えなくなっていた中でしたので、昨年の交流会で、フードバレーの取組、八代の酒工場、メルシャンも含めた食に関する皆様の頑張りを再認識したことでした。 そこで質問です。 まず、1点目として、取組から10年が経過したということで、フードバレー関連事業の成果と実績、取組の検証など、これまでの総括について、農林水産部長に伺います。 この事業は「くまもと」という文言を冠する事業でありますし、これからもっと伸び代がある構想であり、県南を浮揚し、象徴する事業になるものと期待を寄せています。 そこで、2点目として、これまでの10年間の事業に取り組んだ成果を、今後どのように結びつけ、地域の活性化に寄与していかれるのか。そのための戦略について、併せて農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) まず、1点目の取組の成果と検証、総括についてお答えします。 くまもと県南フードバレー構想は、県南地域に食品関連産業を集積させるフードバレーを形成することで、地域活性化を目指すものであり、平成25年3月の構想策定から10周年を迎えました。県南地域を核とした全県的なプロジェクトとして、市町村や食関連事業者等と連携して、様々な取組を進めてきました。 これまでの成果として、六次産業化では、県南地域の知名度向上等に向け、独自ブランドRENGAを創設し、これまでに67商品を認定しました。そのうち、29商品が市町村のふるさと納税返礼品に採用されています。 また、フードバレー構想の拠点として、県が平成27年度に整備したフードバレーアグリビジネスセンターでは、これまで、4,627件の相談、利用があり、215件の商品化につながっています。 次に、食関連企業等の集積では、推進母体となる県南フードバレー推進協議会の会員数は974会員となり、また、食関連企業の立地件数は19件、企業の農業への参入件数は58件と着実に伸びています。 販路拡大では、大丸福岡天神店での県南フェアが毎年開催されるようになりました。加えて、本年2月には、4年ぶりの開催となった議員御紹介のくまもと県南フードバレーフェスタや今月末のくまもと産業復興エキスポへの出展等、県内外へのPRに努めています。 さらに、人材育成では、若手の農家や企業経営者を対象としたフードバレー経営塾、県南の高校と連携した商品開発等に注力しています。特に経営塾では、塾生間の異業種交流が進んでおり、新たな事業の創出等が期待されています。 以上のような成果が上がる一方で、課題も明らかになりました。 例えば、会員アンケートにおいては、売上げ増や販路拡大にはつながっていないとの回答が多いのが現状であり、また、構想策定後も、県南地域における一次産業の総生産額は伸び悩んでいます。 これらを総括しますと、一定の成果は出ているものの、県南地域の活性化が果たされたとまでは言えず、さらなる施策推進が必要と認識しています。 次に、2点目の今後の展開と戦略についてお答えします。 これまでの総括を踏まえ、今後は、伸ばす、広げる、掛けるの3つの視点で取り組んでまいります。 具体的には、八代港の活用や経営塾生による新事業創出など、一定の成果が出ている分野は、伸ばすの視点で取り組みます。また、企業誘致や農業参入など、優遇措置で対応する分野は、広げるの視点で取り組みます。さらに、UXプロジェクト等の新しい動きや隣接する他地域とのコラボする分野は、掛けるの視点により取り組んでまいります。 県内第2の都市である八代市を中心とした県南地域の活性化は、均衡ある県土の発展という意味で県政の重要課題であることから、これまでの取組の成果を踏まえながら、引き続き、県南地域の豊かな農林水産物を生かした取組を進めてまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) 農林水産部長から丁寧に御答弁をいただきました。 これまでの取組の成果として、RENGAブランドを創設し、商品の認定、多くのアグリビジネスセンターでの商品化、協議会の会員数、食関連企業の立地件数、企業の農業参入の数などを報告いただきました。 販路拡大、人材育成も着実に行われているようです。地道な努力がこの数字につながっているものと評価し、関係する皆様の頑張りをたたえたいと思います。 一方、会員事業者のアンケートでは、事業拡大につながっていないとの回答が多く、構想の地域への浸透度はまだ十分ではないようです。一定の成果は出ているものの、目指す姿は実現できていない、さらなる施策の推進が必要とされ、これまでの成果を踏まえながら、引き続き、県南の豊かな農林水産物を生かした取組を進めていくとされました。 質問の中でも申し上げましたが、この事業は「くまもと」を冠する事業です。県南を盛り上げるための一大事業であると思っています。引き続き取り組む決意を述べられたのですから、明らかになった課題を克服し、必ずや目指す姿を実現してほしいと、エールを送りたいと思います。 そのためには、やはりそれなりの予算、金をかければよいというものではないかもしれませんが、事業の成功は、担当の頑張りとやはり予算のかけ方にあるものと思います。 構想策定から10年を契機として、所期の目的である地域の活性化が必ず達成できますよう、しっかりとした取組をお願いいたします。 この事業を進めていく仕事のやり方として、新たなビジネスへの挑戦をしている事業者を関係者と一緒に支援していくこと、事業者間のマッチングをサポートし、事業者の主体性を促すことが、行政側としては理想的なのかもしれませんが、特産品となる商品の開発を行政も一緒になって開発するという取組はできないものかと要望いたします。 簡単に言えば、そろそろホームランを打っていただけないかということです。ヒットの延長がホームランかもしれませんが、今話題の大谷翔平君みたいに、すかっと一発ホームランを狙って打っていただきたいというふうに要望いたします。 また、食材生産者のことをしっかり思い、取り組んでいただきたいと思っています。生きる上で、食料は必ず必要なものですが、それを生産している者は経営に苦しむ、生活が大変ということでは本末転倒です。口に入るものですし、安全でおいしいものは、それなりの経費がかかります。一次生産者のためにという視点をいつも頭に入れていただきたいと思います。 例を挙げれば、八代のトマトは、形が悪い、色づきが悪い、割れが入ったと、ちょっとの理由で年間何千トンものトマトが廃棄されています。何とももったいないものがたくさんありますので、フードロスの問題に真剣に取り組んでいる若手トマト農家がいます。そんな取組もぜひ応援してあげてください。 食関係で地域を盛り上げようとしている人たちの切なる思いが届きますようにお願いして、この項を終わります。 次に、JR肥薩線の復旧、復興について伺います。 令和2年7月の豪雨災害により、JR肥薩線は、球磨川に架かる2つの鉄橋が流され、線路はあめのように曲がり、線路敷きはえぐられ、見るも無残な姿に成り果てました。大きな被害を受け、現在不通になっており、工事の作業のために一部埋め立てて、県道の中津道八代線の代替として利用されている状況です。 その存廃をめぐり検討が続けられ、議会では、令和4年の12月議会で、松田議員より、JR肥薩線の復旧について、検討状況と復旧のめどについて質問がなされ、知事からは、全国のローカル鉄道のロールモデルとして、地元市町村とともに、私の任期中に復旧の道筋をつける覚悟を持って、全力で取り組む旨の答弁がなされ、JR肥薩線再生協議会を設立され、国への要望活動を含め、検討を重ねてこられました。 昨年の9月議会では、山口議員から、いまだ復旧方針の決定に至っていないと指摘され、自らの考えは、球磨川流域が持続可能な地域として再生していくためには、鉄道の復旧が不可欠とされ、知事のJR肥薩線の復旧にかける決意を質問されました。知事からは、県民の皆様とつくり上げていく新たな枠組みによる鉄道の再生は、全国に誇る地方創生のロールモデルになり得る、私が先頭に立って、任期中に道筋をお見せできるように全力で取り組む旨の答弁をなされています。 11月24日の第5回JR肥薩線再生協議会においては、JR肥薩線復興方針案について協議を行い、この案を次回の国とJRとの検討会議に報告することを確認。また、県と地元12市町村が費用負担の枠組みで合意し、11月28日の定例記者会見で、知事は、県と地元が同じ方向を向けたと総括されたと報道にありました。 国、JR九州との検討会議は12月13日に行われ、復興方針案が提示され、それを受けて、JR九州の古宮社長は、昨年12月20日の定例記者会見で「次回の検討会議でJR九州としての答えを返したい」とされ、まさに議会答弁のごとく、知事が先頭に立たれ、県政の課題として怒濤の取組をされていると感謝申し上げます。 先日の2月13日の火曜日には、第6回JR肥薩線検討会議が開催されました。現在まさに結論を得る最終段階の局面です。 そこで質問です。 2月13日の会議を受けて「肥薩線県復興案「不十分」」と報道がなされましたが、改めて、今回、昨年12月に策定され、JR九州と国に提示されましたJR肥薩線復興方針について、その概要とビジョン、また、ポイントを企画振興部長に伺います。  〔企画振興部長富永隼行君登壇〕 ◎企画振興部長(富永隼行君) JR肥薩線復興方針についてお答えします。 復興方針は、熊本県と地元12市町村で構成するワーキンググループにおいて議論を重ね、地元市町村とともに肥薩線を支えていくという覚悟を持って策定したものです。 地域の目指す姿として「「清流球磨川」と「百年レイル肥薩線」という2つの「線」を活かし、観光を軸とした日本一の地方創生モデルを実現する」ことを掲げています。 これは、これまで地域づくりと肥薩線の連携が不十分で、肥薩線のポテンシャルを生かし切れていなかったという反省の下、地域の魅力向上と成長投資による肥薩線の復興と地域の活性化を図ることを目的としています。 その実現のため、4つの重点プロジェクトの下、29の施策を盛り込んでいます。 具体的には、地域が持つ魅力的な観光資源の磨き上げ、この春引退する「SL人吉」に代わる観光列車の導入、駅からの二次交通の整備による周遊観光地づくり、新八代駅やくま川鉄道への直通運転、復興に向けた機運醸成の取組など、肥薩線と球磨川を軸に、面での観光を地域一丸で進めていくこととしています。 総額235億円が見込まれる八代─人吉間の鉄道復旧に加え、官民一体となった地域づくりへの投資105億円により、人吉・球磨地域の観光消費による経済波及効果を2040年に年間119億円増加させるといった数値目標も掲げております。 鉄道復旧に向けたロードマップとしては、JR九州と、今年度中に鉄道復旧に向けた基本合意、来年度中に最終合意を行い、10年後の2033年度の復旧を目指すとしています。 検討会議に先立ち、昨年11月に開催した地元の再生協議会においては、この復興方針に沿って、鉄道の利用促進、観光促進、さらには未来に向けたまちづくりをセットで実施し、日本一の地方創生モデルを目指すことを県と地元市町村の共通目標としました。 県としては、関係市町村や地元住民、経済団体の皆様と密に連携の上、球磨川流域の地方創生を実現するため、まずは、JR九州との鉄道復旧の合意に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) JR肥薩線復興方針については、議会での直接の説明、議論がまだなかったものですから、一般質問として通告したものでしたが、国と県、JR九州との検討会議が、一般質問の3日前という微妙なタイミングで開催され、先日の会議の模様が大々的に報道されましたので、あらかたについては皆さん御承知のことかと思いましたが、改めて企画振興部長から説明をいただきました。 復興方針は、ただいま説明いただきましたように、肥薩線と球磨川を軸に、観光資源の磨き上げと観光資源の連携で地域一丸となって観光を進めていくというもので、4つのプロジェクトに29の具体的な施策、具体案も示され、10年後の復旧を目指すとうたわれました。 プロの目は厳しいものがありましたが、地域づくりの視点も交え、どうすれば肥薩線を維持し、地域が維持できるのか、その道筋を示されたすばらしい計画だと私的には思いました。 そこで、今回策定された復興方針について、2月13日の検討会議で示されたJR九州の考えを踏まえて、知事自らの評価を伺いたいと思います。 また、肥薩線なくして地域の存続はないとの確たる方針を持って取り組まれてきましたが、12月議会では、自身の進退を今期限りという表明をなされ、任期も間近に迫るこの局面で、4期目の任期中に道筋をつけると言われていた肥薩線の再建、復興を目指す思いについてお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川流域に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨から3年半の月日が経過しました。被災者の住まいの再建をはじめ、道路、河川といった公共インフラの復旧や観光業などのなりわいの再建も着実に進んでいます。 一方で、いまだ不通が続くJR肥薩線の復旧は、残された大きな課題の一つです。私は、肥薩線なくして被災地域の存続はないとの危機感を持ち、この問題に取り組んでいます。 被災地では、人口減少が進み、肥薩線がなくなってしまえば、地域の衰退にさらなる拍車がかかることは明らかであります。また、避難を余儀なくされた方々がふるさとに安心して帰るためにも、肥薩線の復旧と生活再建の明るい展望を一日も早く示すことが必要です。 このような強い信念の下、私は、任期中に鉄道復旧に向けた道筋をつけることを目指し、国、JR九州、地元市町村と鉄道復旧に向けた協議を懸命に重ねてまいりました。 そして、今月13日の第6回JR肥薩線検討会議において、JR九州から、これまでの議論を踏まえ、県と地元市町村がJR肥薩線復興方針を策定したことに対しての感謝が示されました。 また、JR九州としての鉄道復旧に向けては、観光による振興と日常利用の創出のこの2つを2本の柱として考える必要があるとの見解が示されました。 クリアすべき課題はあるものの、これまでの鉄道復旧に対する慎重な姿勢から、一歩前に進んだ方向性が示されたと考えています。 私は、昨年9月の定例会において、JR、国、県、市町村、そして県民の皆様とともにつくり上げていく新たな枠組みで、人口減少に苦しむ地域にとって必要不可欠な鉄道を再生させたいと述べました。 今まさに、国、県、地元市町村に加えて、JR九州も同じ方向性を共有するための正念場を迎えています。 私の任期は、残り2か月となります。任期中に鉄道復旧に向けた基本合意ができるよう、そして、肥薩線の復活が全国に誇る地方創生のロールモデルとなるよう、全力を尽くしてまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) 知事に丁寧に御答弁いただきました。 知事は、これまで数々の県政の難題に取り組んでこられ、今会期の冒頭でも、力強く肥薩線について全力で取り組む旨を述べていただきましたし、さらに、熱い気持ち、思いを聞かせていただきました。 復興方針は、肥薩線の復興を目指すためにしっかり練られて考えられた皆さんの気持ちが伝わってくるような案になっていると思いますし、肥薩線は、知事の思いである人口減少に悩み苦しむ我々の地域にとって不可欠なものとして再生できればと願います。 肥薩線復旧については、JR九州は民間の株式会社でありますし、全国のローカル線関係者にとって大きな影響があると言われていることもあり、慎重な姿勢を崩していませんが、復興方針の課題を指摘され、自らの知見の提供などで協力されるということは、決して後ろ向きではなく、県の提案が真の復興へのプランとなるように、そして、肥薩線が被災後の地域の復興にとって大事なもので、鉄道とともに沿線地域をも持続可能なものにしたいとの思いがあるからだと思います。 日常利用については、沿線住民とのコンセンサスが必要でしょうし、それなりの時間が必要かと思いますが、関係する全ての皆様が同じ方向性を共有できますように願い、蒲島県政の集大成となりますよう、最後までどうぞよろしくお願いをいたします。 あと、肥薩線の復興方針には様々盛り込まれていますが、私見を1つ申し上げますと、あと少しの仕掛け、前回の議会でも申し上げましたが、八代で計画しているコンベンションホールにつきましても県の支援をいただけますと、もっとよりよいものができ、肥薩線の利用も多くなり、八代・天草シーライン構想とも相まって、もっとよい循環ができるのではないかと、私なりに期待をしております。よろしく御検討ください。 この項を終わります。 次に、台湾有事に備えての先行避難計画について質問いたします。 12月10日、熊日新聞一面に「先行避難計画八代で」と大きく見出しが躍り、「政府は、台湾有事に備えて2024年度に策定を目指す沖縄県・先島諸島住民の九州各県への避難計画を巡り、一部を23年度中に先行して策定する方針を固めた。八代市で受け入れるとの内容。」との記事でした。 あまりにも突然で驚くべき内容で、八代市、県は、具体的な話はないとの記事もありましたが、多くの問合せをいただき、対応に苦慮いたしました。 そんな報道の後、しばらくは静かでしたが、マスコミ報道は忘れた頃に時々出てきます。 先月末には、政府が策定を急ぐ背景には、台湾有事になれば、先島諸島が最前線になりかねないとの危機感があるとの記事があり、鹿児島県屋久島町の受入れ計画を策定済みの熊本県には、八代市での1,000人の避難者の受入れ計画を今年度中に策定してもらい、モデルケースにする考えだとありました。 マスコミ報道だけが先行し、何が起きようとしているのか、何かしら分からない不安だけが残ります。 そこで質問です。 この台湾有事に備えての先行避難計画に対する県としての正式な見解、この件についての捉え方、考え方、私たちはどのように考え、対応するべきものなのか、知事公室長にお尋ねをいたします。  〔知事公室長内田清之君登壇〕 ◎知事公室長(内田清之君) 国が定めた国民の保護に関する基本指針では、国は、沖縄県の住民の避難について、九州各県との広域的な連携体制を整え、避難住民の受入れ体制を整えておくことが必要とされています。 このため、昨年10月に、当時の松野官房長官から、九州地方知事会長である蒲島知事に対し、沖縄県先島諸島からの避難住民受入れについて、九州各県で検討するよう要請がありました。この要請については、同月に開催された九州地方知事会議において、蒲島知事から九州各県知事へ共有を図っております。 その後、本県においては、本年1月に、国主導の下、鹿児島県や八代市と共同で、武力攻撃予測事態認定を想定した鹿児島県屋久島町から八代市へ住民を避難させる国民保護訓練を実施いたしました。 この訓練後、国から本県と八代市に対し、国では、今回の訓練を基に、九州各県が沖縄県先島諸島からの避難住民受入れの準備を進めるためのモデル計画を作成する、熊本県と八代市にも検討に協力してほしいとの依頼がありました。国からの説明によれば、このモデル計画によって、八代市で実際に受け入れることが決まるものではありません。 本県としては、今回の国の依頼に対し、1月の国民保護訓練の成果を生かしつつ、八代市と連携して協力してまいります。 具体的には、モデル計画の作成に当たって、避難先となる八代市内のホテル等の宿泊施設の確保や県内での避難先までの移動手段、避難生活に必要な物資の提供などについて、受入れ自治体としての意見を述べることになります。 1月の訓練では、避難住民の受入れまでの流れを図上で行いましたが、このような有事においては長期避難が想定されることから、住宅等の住まいの確保等に加え、就労や子供の教育、医療、福祉など、幅広い支援が必要となります。 このような課題も整理した上で、県としても、本県での受入れについて検討を進める必要があると考えております。 本県としては、今後も、国の外交的な取組により、御質問にあるような有事が起こらないことを望みますが、国民、県民を守るためにあらゆる有事を想定して備えることは、災害対策と同様、我々行政の責務であると考えております。 また、広域避難においては、ふるさとを離れ避難される住民の皆様にいかに寄り添うことができるかということが大変重要になります。行政だけではなく、受け入れていただく地域の住民の皆様と協力して対応していく必要があると考えております。 国民保護に関する取組においては、国において、引き続き、国民の理解を深めるために、丁寧に説明責任を果たしていただきたいと考えております。 本県としては、国の方針の下、九州各県や市町村等と連携を密にして、受入れについて検討してまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) 知事公室長より答弁をいただきました。 不安に思っている点について、きちんと答えていただいたものと思います。議会という場ですので、これ以上の正確性が担保されることはほかにはありません。 この問題については、正確な情報が分からないと、有事という単語がそのたびに使われることもあり、楽観的に捉えるような内容ではありませんので、どのように捉えてよいのか判断に迷います。有事がないように願うばかりですが、最近の世界の情勢は何があるか分かりませんし、油断できないのも確かです。このような報道に接しますと、不安が先に立ちます。 先日の報道でも、仮想敵国を中国と明示して、自衛隊と米軍が最高レベルの演習を行った、数年以内に中国が台湾に武力侵攻するのではないかとの懸念は高まっているとありました。 先日開催されました防衛セミナー、防衛議員連盟総会での講話でも、米中関係、台中関係について話をされ、緊張感が高まっていることを実感しました。 県民を守るために、あらゆる有事を想定し備えることは、災害対応と同様、行政の責務との答弁でした。 どこでどのような災害が発生するのか、誰にも予測はつきませんし、災害の形は同じではありません。様々な想定の下に訓練を重ねなければ対応はできませんので、このような備えも必要なことだと思います。抜かりがないようにお願いしたいものです。 訓練に関して、報道では、関係者の話として、計画づくりはとても現実的とは思えない、実効性を担保できる内容ではないと思う、道半ばだとのコメントもありますように、この図上訓練は課題山積です。訓練を重ねられて、現実的で実効性のあるものに近づけてほしいと思います。 国民保護の訓練は、戦争をするためであってはなりません。国民の命や社会をどう守るのかということであると思います。くれぐれも、有事という場面で、このような備えが役に立つことがないように願って、この項を終わります。 次に、八代地域における工業団地整備について伺います。 昨年12月の定例会で、蒲島知事は、県南八代地域に県営の工業団地建設を明言されました。大変ありがたく、その報はすぐさま八代に伝わり、八代市役所は対応に追われたようです。TSMC進出の効果を全県に広げるという意気込みが目に見える形になると実感します。 企業誘致は、新たな需要が生まれ、地域経済が活性化する、新たな雇用が生まれ、自治体の税収の増加が見込まれるなどメリットがあり、八代市も取組を進めていたところへ知事の英断ということで、多方面から大きな期待が寄せられているところです。 八代地域における県営工業団地建設における目的、今後の進め方について、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) 議員御紹介のとおり、昨年12月の定例会において、八代地域における県営工業団地整備の検討に着手することを知事が表明いたしました。 その中で言及しているとおり、八代地域の強みは、八代港や高速道路などの交通インフラや産業人材を育成する教育機関が充実していることなどであると認識しています。 先週、県内でのTSMC第2工場建設といううれしいニュースが飛び込んでまいりました。TSMCの進出効果を県南地域の皆様にも実感いただくという目的を果たすため、企業進出の受皿となる県営工業団地の整備に向け、改めて意を強くしたところでございます。 八代地域に半導体や物流に関連する大規模な企業が進出することは、人吉・球磨地域、水俣・芦北地域、また、県央地域における新たな企業の進出や投資につながるものと期待され、県全域の均衡ある発展に寄与するものと確信しております。 現在、八代市が市営工業団地の整備を目指して適地調査を実施していますが、県は既に、市からその調査内容を共有させていただくとともに、市との意見交換も始めており、県営工業団地を整備するために必要な情報収集に努めております。 今後、整備エリアを絞り込んだ上で、基本計画、基本設計、環境調査などを経て、具体的な整備箇所を速やかに決定することとしております。 12月定例会で知事が述べましたとおり、一日でも早く分譲開始できるよう、八代市など関係者とも連携しながら、スピード感を持って取り組んでまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) 商工労働部長から答弁をいただきました。 八代地域の強みを認識され、TSMCの進出効果で県全域の均衡ある発展につなげたいとのことでした。ありがたい限りです。八代市の適地調査を共有し、意見交換を始めておられるということで、スピーディーな対応はすばらしいと言うしかありません。 先日は、議案等説明会において、骨格予算の中にあっても、当初予算において調査費を1,000万円計上しているとの答えをいただき、八代地域における工業団地建設の県の方針、意気込みを再確認いたしました。 TSMCの第2工場も熊本にということが確実になり、大変喜ばしいことですが、と同時に、熊本の宝である地下水を心配する声が大きくなってきました。旧知の識者からの心配の声もお聞きしました。 今の工場周辺は、地下水の量と質についてどうしても心配されることになりますが、そこへ行きますと、八代のよいところは、熊本県内最大の球磨川がありますので、水は豊富にあり、利水についての協議は必要になるかと思いますが、一番のセールスポイントになるものと思うところです。広大な面積の水を集めてきますので、地下水のように枯渇を心配するようなことはありません。 現在の半導体産業は、多くの水を必要とするということですので、八代は適地であると思います。ぜひ、工業団地の整備を急いで、半導体製造を中心とする多くの企業に進出していただきたいと願っています。 答弁で、八代の強みは交通インフラの充実を挙げられましたが、港から高速道路をつなぐ現在の臨港線は、最近の状況は、物流の役割よりも一般道路化していて、スムーズな物流を担うには魅力に乏しい気がいたします。 道路整備なども一計を案じるところではないでしょうか。高架での整備も、以前聞いたときは夢のような話と思って聞いていたのですが、真剣に取り上げるべき案件だと思います。 今の状況を補い、企業が進出してきたくなるような魅力ある施策をぜひ検討いただきますよう要望いたします。 人材の確保、育成にも待ったなしの状況です。私は、熊本高専八代キャンパスの卒業で、現在、学校の運営状況を聞く会議にも出席させてもらっていますので、その中で出た話ですが、八代キャンパスの本年度新卒者の求人倍率は、前年度の21倍を大きく上回る38倍、県内就職率も3倍になっているということです。 その背景には、TSMC熊本進出に象徴される理系の人材に対するニーズの高まりがあることは言うまでもありません。とはいいましても、小中学生の理系離れもあり、高専では、科学の面白さを伝えようと、市内各地で多くの実験講座や出前授業を開催しているのですが、そのことに対しての予算があまりにも少なく、休日返上で取り組む教官や学生の手当はほとんどなく、無報酬ということでした。これでは続きません。現在の働き方改革にも全く逆行している状況です。 県の担当者も会議には御出席でしたので、内容は御存じだと思いますが、ここは、せっかくの企業集積のチャンスということで、人材確保、育成の観点から、熊本の子供の人材育成として、課題解決のためにぜひ取り組んでいただきたいところです。 先日も学校に出かける機会があり、学生から、留学などについて、県立の学校はいろんな支援金があるみたいですけれども、うちには使ってもらえないみたいです、どうかなりませんかと要望を聞きました。学生に学びの要求があるのにかなえてやれないのはとても残念です。ぜひ応援をお願いいたします。 工業団地整備の話からいろいろ派生しましたが、企業が進出したくなるような仕掛け、魅力づくりはぜひ必要です。 どの案件につきましても、大事な要素であると思いますし、他地域と差別化ができる鍵となるところではないかと思います。慎重に検討いただき、時間的緊迫性を持って進めていただくことをお願いして、この項を終わります。 最後に、住宅の耐震化について伺います。 先ほど登壇されました荒川議員の質問と重複し、表現が重なる部分があるかと思いますが、御理解願います。 元日の夕方に発生した能登地震は、1年に1度の家族団らんの時間を襲ったあまりにも不幸で悲惨で残酷なものでした。1か月がたっても何も変わらない様子が報道されるのを見ますと、同じ境遇を味わったことがある者からすれば、胸が締めつけられるような気持ちでいっぱいです。 能登地方は、それに寒さが加わり、雪をのけながらの作業は映像でしか見ることがないのですが、私たちの想像をはるかに超える厳しさがあるものと思われます。 今になって新たな事実も分かるというような報道は、アクセスが限られる半島に災害が起きたらあんなことになると、新たな教訓を残しました。 先ほど紹介がありましたが、建物の耐震基準は1981年に改正され、阪神大震災を契機にさらに強化され、熊本地震の被害調査で、現行の耐震基準は有効であると結論づけられているようです。 それでも耐震基準を満たしている住宅の割合となると、地域によって大きく異なり、石川県では、1980年以前に建てられた住宅が多く、耐震化率は、全国の平均87%を大きく下回り、50%前後であったようです。被害の大きかった地域は、高齢化率が高く、古い木造家屋が多く、また、資金難もあり、耐震工事が進まなかったという背景があるようです。 先日、石川県が氏名を公表したお亡くなりになった人のうち、9割近くの人が家屋倒壊でお亡くなりになったと報道でありました。 今回の地震で家屋倒壊による圧死や窒息死の割合が高く、耐震化率の低さから被害拡大につながったという観測は、何とも痛ましい限りです。 翻って、熊本の状況はといえば、熊本地震で多大な被害が発生し、多くの家屋が倒壊し、多大な被害を受けました。痛ましい事例もあったと思います。 それでもどうにか復旧、復興ということでここまで来て、耐震化率も向上したものと思われますが、最近、日奈久断層の危険性について多く指摘されてもいますので、被害の大きかった益城町に比べ、比較的被害の少なかった地域の住宅の耐震化は、これからの課題にすべき問題ではないか、人命を守り、被害を最小限にとどめるためには、欠かせない取組ではないかと感じた次第です。 そこで質問です。 県内の耐震化の現状と課題、そして、これからの取組について、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) まず、県内の住宅耐震化の現状と課題についてお答えいたします。 本県の住宅の耐震化率は、平成20年には72%と全国より7ポイント低い状況でしたが、熊本地震の発生により被災した住宅の解体や建て替えが進んだことや、国の交付金事業や県の熊本地震復興基金を活用した市町村の取組が進んだ結果、令和3年度末には89.1%に上昇しております。 一方、住宅の耐震化率につきましては、県内においても地域的に違いがございます。また、断層帯がある地域など、地震の発生リスクを考慮する必要があります。 県がこれまでに実施した県民アンケートの結果では、住宅耐震化を行わない理由として、誰に相談してよいか分からない、耐震工事を行う費用がないなどの意見のほか、耐震化に関心がない方も多く、耐震化についての県民の理解を深めていくことも必要と考えております。 このため、県としては、県民意識のさらなる向上を図る取組といたしまして、耐震化率の低い地域や地震の発生リスクの高い地域で重点的に耐震対策講演会を開催するほか、市町村の広報誌を活用して、耐震対策の必要性を周知してまいります。あわせて、耐震診断等の技術者を育成することで相談体制を充実させるとともに、相談窓口の利用促進を図ります。 また、住宅の耐震化費用の軽減に向けては、コストを低減する耐震改修方法やリフォーム融資などの周知を行います。 このような様々な対策を総合的に行うことにより、住宅耐震化の取組の充実を図ってまいります。  〔亀田英雄君登壇〕 ◆(亀田英雄君) 熊本全体とすれば、熊本地震を経験したこと、そして、そのこともあり、市町村の取組が進んだことによって、住宅耐震化率は上がっているとのことです。 それでも、先般報道でありましたように、山都町は、現行の耐震基準が導入される以前の1980年以前に建てられた住宅の割合が59%と全国でも3番目に高く、高齢化率も50%ということもありました。 山都町以外にも、周辺地域では高齢化率が高く、昔ながらの家屋も多くあります。アクセスが悪いような地域で耐震化工事が進んでいないという能登半島と同じ背景が想像されます。 私も、自宅の耐震化工事をやろうと話を進めたことがあったのですが、耐震診断からリフォームするということは、費用の面も含めてなかなかハードルが高く、簡単には取り組めなかった記憶があります。今回の件で再度耐震化工事に挑戦したいと思います。 また、海の再生及び環境対策特別委員会で説明がありましたが、ゼロカーボンの取組の中でも、家のリフォームについての補助金を考えられているようです。もし可能であれば、負担が少しでも軽くなるように、補助金のマッチング等も検討し、提案していただきたいと思います。そうすることにより、少しでも両方の施策が進むように取り組んでいただきたいものです。 また、土砂崩れのリスクが高い斜面地から町なかに移転する住民に対し、住宅の解体や移転にかかる費用を補助する北九州市の取組の紹介がありました。神奈川県厚木市に続き全国2例目、人口減少地域の災害対策としても注目されそうだとありました。市という単位の取組で、制度設計は難しい面もあるかと思いますが、国の補助メニューもあるようです。 災害対策は、熊本地震を経験した熊本県がぜひとも取り組むべき課題ですし、総合的な取組の充実を明言されました。 それでも最終的には、そこに住む人の判断ということが出てきます。総合戦略にうたう、誰一人取り残さないくまもとづくりを目指して、家屋の耐震化の向上、様々な災害リスクを減らすことに真摯に向き合っていただき、そして、命を守るということが最大の目的であることを第一に、住民の理解を得られますように、支援の拡充を行いながら、その機運を高めていただきますように要望して、この項を終わり、今回の一般質問を終わりたいと思います。 最後に、勇退される蒲島知事、本当に御苦労さまでした。 知事には、荒瀬ダム撤去問題で大変お世話になりました。あの撤去に至るまでのやり取りは、忘れることのできない私の一生の思い出です。 豪雨災害で、あの周辺も大変な被害を受けたのですが、荒瀬ダムがあったなら、このような被害では済まなかったとの多くの声を聞きました。周辺住民は皆感謝であります。 瀬戸石ダムを越流した水の影響を受けたであろう、跡形もなくなった...... ○議長(渕上陽一君) 残り時間が少なくなりました。発言を簡潔にお願いします。 ◆(亀田英雄君) (続) はい。瀬戸石駅の惨状を見れば、そのような見解になると思います。 最近ではあまり耳にすることがなくなった荒瀬ダムの話ですが、後世の歴史では必ず評価されることになると確信しています。知事の退任後は、坂本へもぜひお出かけください。お待ちしております。 これをもって、今回の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時15分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時15分開議 ○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 楠本千秋君。  〔楠本千秋君登壇〕(拍手) ◆(楠本千秋君) 皆さん、こんにちは。天草市・郡選出・自由民主党・楠本千秋、議長のお許しをいただきましたので、9回目の一般質問を行わせていただきます。 まず最初に、能登半島の地震で大変な被害がありました。災害に遭われた方、お亡くなりになられた方にお見舞いとお悔やみを申し上げます。 それから、蒲島知事、16年間しっかり熊本を引っ張っていただき、ありがとうございます。天草も大変お世話になりました。その一端について、少しお話をさせていただきたいと思います。 昨年2月25日、天草の長年の夢であり、願いでありました熊本天草幹線道路の天草未来大橋が開通しました。 平成21年のルート検討から始まり、平成25年の事業着手、平成29年の工事着工、そして、令和元年の天草島民集会において、蒲島知事から、令和4年度までに開通させることを皆様にお約束しますと御発言いただきました。その約束どおり、令和4年開通いたしました。全長1,300メートル、総工費203億円という巨額の経費を投入していただきました。 おかげをもちまして、開通後は、これまでの日常であった朝夕の渋滞が見事に解消され、例年、特に渋滞が激しかった年末年始やお盆の時期にも大きな混乱はありませんでした。今まで渋滞に悩まされた地元の皆様から喜びの声が寄せられております。蒲島知事及び執行部の皆様には、お礼と感謝を申し上げます。 ただ、1つ残念なことは、開通式典、開通パレードに蒲島知事の姿がなかったことであります。知事も、これだけ努力された開通式に参加できなかったことは、多分残念だったと思いますけれども、引き続き、熊本天草幹線道路の早期完成のため、本渡道路Ⅱ期、瀬戸─志垣区間につきましても、一日も早い工事着工を改めてお願いいたします。 さて、知事が建設促進協議会の会長を務められている八代・天草シーライン構想についてお尋ねをいたします。 この構想は、昭和60年代から、熊本都市圏と県内主要都市を90分で結ぶ、いわゆる90分構想や八代─松島間の自動車専用道路建設構想が発表されたことを契機として打ち出されたものであります。 この構想の実現に向けて、令和元年には、行政において関係の市町村により構成される八代・天草シーライン建設促進期成会、さらに、令和3年2月には、八代・天草シーライン建設促進協議会が結成されました。 この活動の一環として、昨年12月に上天草市で開催された八代・天草シーライン構想推進大会に知事も御出席され、激励の御挨拶をいただきました。記憶に新しいところであります。 八代・天草シーラインの早期実現は、熊本地震能登半島地震といった大規模な自然災害の頻発化を踏まえると、発災により県南─天草間の既存の道路が不通となった場合の代替ルートの確保といった国土強靱化にもつながるものであります。また、県南・天草地域の連携を深め、新たな経済圏や観光ルートの創出、交流人口の拡大といった県南地域の振興につながるものであります。 知事は、先週の2月7日、建設促進協議会会長として、構想の実現に向け、八代・天草シーラインの早期実現や事業化に必要な調査検討に早急に着手されるよう、国土交通省に要望活動を行われたと聞きます。 そこで、知事にお尋ねをします。 国土交通省に直接要望活動をされた際の感触や感想について、そして、今後具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。よろしくお願いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 八代・天草シーライン構想は、交通や物流の要衝である八代と観光に大きなポテンシャルを持つ天草をつなぐ構想です。県南・天草地域全体で新たな経済圏や観光ルートを創出するものとして、大きな可能性を有しています。 また、本年1月の能登半島地震では、半島地域における代替路の確保の重要性がクローズアップされました。八代・天草シーラインは、災害時には、命の道として、重要な役割を果たし得るものであります。 この構想が実現すれば、県南・天草地域の地方創生の実現や災害に備えた強靱な県土づくりに高い効果を発揮するものと認識しています。 私は、これまで、建設促進協議会の会長として、推進大会の開催や国への要望活動など、この構想の実現に向けた取組を進めてきました。 その一環として、議員御紹介のとおり、2月7日に、構想の早期実現に向け、渕上議長をはじめ、地元選出の金子衆議院議員、議員連盟の皆様、地元市長とオール熊本で、国土交通省に対し要望してまいりました。 能登半島地震への対応中にもかかわらず、和田事務次官をはじめ、吉岡技監、丹羽道路局長には、とてもとても丁寧にお話を聞いていただき、シーラインの必要性や地元の熱い思いをしっかりと受け止めていただきました。 私も、何度も国土交通省に要望に行きましたけれども、この忙しさの中で、よく事務次官、技監、道路局長が対応してくださったなという気持ちになりましたので、感想はとてもよかったということです。 今回の要望活動を通じて、本構想を実現するためには、地元の機運をさらに高め、しっかりと国にシーラインの必要性や効果を訴えていくことが重要であると改めて感じました。 今後も、地元の民間期成会の皆様と一緒に、さらに推進大会を盛り上げ、活動を活発化することで、本構想の早期実現に向け、着実に歩みを進めてまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 知事に御答弁いただきました。 国土交通省への要望活動に知事自ら対応いただき、感謝を申し上げます。ありがとうございました。感想もよかったという回答でしたので、喜んでおります。 国交省には、丁寧に話を聞いていただいた、シーラインの必要性や地元の思いをしっかり受け止めていただいたとお話しいただきました。そして、地元の機運を高め、活動を活発化させること、シーラインの必要性や効果を訴えることが早期実現につながるんだというお話をいただきました。私自身も、八代・天草シーライン構想に賛同し、その実現を願うものであります。 八代・天草シーラインは、県南地域に大きな効果をもたらすもので、一刻も早く推し進めていただくようお願い申し上げ、次の天草の観光、クルーズ船についてお尋ねをいたします。 天草の﨑津集落を構成資産に含む長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が、世界遺産に登録されてから6年が経過いたしました。 しかし、これからというときに新型コロナ感染症が蔓延し、国内外を含め、旅行やインバウンドどころではなくなったため、世界遺産登録による天草の観光振興にとっては大きなブレーキがかかった格好となりました。 昨年の一般質問におきまして、知事から、フランスに本社があるクルーズ船のポナン日本支社長から、本クルーズ船が本年春に天草に初寄港するといううれしいお話をお聞きしました。 世界遺産に登録された﨑津集落をはじめ、異国情緒にあふれたリゾート地天草において、乗船客の方々が潜伏キリシタンの歴史を学ばれること、海の恵みに育まれた地元の豊かな食や地域のにぎわいに触れていただけるよう、クルーズ船受入れに向けて、これから様々な取組が必要であると思います。 そこで、間近に迫ったクルーズ船の天草への寄港情報や受入れ体制の進捗状況について、さらには、世界遺産である潜伏キリシタン関連遺産を中心とした天草の観光振興を、クルーズ船の寄港を活用して、県としてどのように取り組まれるのか、観光戦略部長にお尋ねをいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) 議員御紹介のポナン社は、フランスをはじめ欧米の富裕層をターゲットに、世界各地で最高クラスのクルーズを実施しており、多くは飛行機で世界各地へ飛び、その地域でクルーズを楽しむフライ・アンド・クルーズのツアーです。 今回、その日本ツアーの一環として、天草の景観と歴史的背景が高く評価され、4月23日、5月1日、5月6日の3回、最新のクルーズ船「ルジャックカルティエ」が寄港します。乗客定員は184名、乗組員数は118名で、クルーズの料金は、7泊から8泊で1人120万円から400万円となっています。 まず、午前に、天草市の河浦沖に停泊したクルーズ船から備付けの小型ボートで乗客が﨑津漁港の桟橋に順次上陸し、﨑津集落を散策します。﨑津資料館みなと屋では、世界遺産となった潜伏キリシタンの歴史を、﨑津教会では、禁教令後の信仰の様子などを、地元の通訳案内士がガイドします。特に﨑津教会は、禁教令後にフランスのハルブ神父が住民とともに建てた教会で、フランスからの乗客に関心を持っていただけるものと期待しております。 午後は、クルーズ船で上天草市の松島沖に移動後、ボートで観光施設mio caminoの桟橋に上陸し、女将の会のウエルカムドリンクやショッピングなどを楽しんでいただくとともに、イルカウオッチングやシーカヤックなどを、天草の島々の織りなす景観の中で体験いただきます。 現在、天草市、上天草市、観光協会、漁協等と連携し、受入れ環境の充実を図るとともに、天草の食を堪能してもらうため、杉ようかんや晩柑などによるおもてなし、船内での新鮮な魚料理の提供等について最終調整を行っています。 乗客の皆様には、天草の魅力を存分に満喫していただき、そのすばらしさをSNSなどを通じて海外の多くの方々と共有していただくことを期待しております。 そして、今回の寄港を契機に、ツアー内容の磨き上げを図り、ポナン社クルーズの継続的な寄港につながるよう取り組んでまいります。 なお、現時点では、今年に続き、来年春の寄港が決定しているところです。 また、ポナン社クルーズのツアー内容や寄港先を参考にしている他のラグジュアリー船社に対しても積極的にセールスを行い、天草へのさらなる寄港を目指します。 さらには、くまモンポート八代に寄港するクルーズに対しても、天草の魅力を体験する寄港地ツアーの実施を働きかけるなど、相乗効果を高めながら、引き続き天草地域の観光振興に取り組んでまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 観光戦略部長に御答弁いただきました。 ポナン社のクルーズ船、富裕層と聞いていましたが、1週間で120万から400万ですか。すごい。そして、来春も寄港が決定しているという大変うれしい情報でした。 これから県が中心となり、市や観光協会、漁協と連携され、ツアー内容の充実に取り組んでいただきたいと思います。 フランスからのお客様、天草の潜伏キリシタンの歴史や天草の魅力を世界に向け情報発信いただけるようなおもてなしをぜひお願いしたいと思います。 次に、福祉政策、難聴児への支援についてお尋ねをいたします。 先天性難聴児は、出生数1,000人当たり1人から2人で、耳の聞こえる両親の下に生まれるケースが90%と言われています。 聴覚障害が判明したきっかけのうち、7割以上が新生児スクリーニング検査によるものであり、家族が気づいたり、乳幼児健診等で判明するケースは2割弱と少ないです。 子供に聴覚障害の可能性があることを関係機関から告げられた保護者の中には、出産直後のタイミングで告げられたため、保護者が子供の障害を受け入れられず、精神的なショックや混乱を来したり、子供の障害そのものを強く否定しようとする場合など、様々な反応があるようです。 生まれてきた子供が、発達に応じた各種検査の段階で、難聴児であると告知されたとき、保護者にとっての心的動揺は大変大きなものがあります。 子供の聴覚障害が判明したとき、人工内耳手術で聞こえるようになるとの助言を受けたり、聴力のレベルに関係なく手話の取得が必要であるとの説明を受けたり、就学の段階においては、聾学校で専門的な教育を受けることや地域の学校の難聴学級で学ぶ方法もあるとの説明を受けたりと、関係機関によってそれぞれアドバイスが違うため、保護者が不安を抱えたまま、子供のために適切な選択を取れなかったとの声も保護者からはあるようです。 このことは、それぞれの関係機関が、高い専門性を持って対応しているからこそ生じるものである一方で、聴覚障害児の保護者にとっては、何がベストな選択なのか分からないままに決断を迫られるという課題も意味しているのではないでしょうか。 以上のことを踏まえ、難聴児やその保護者の思いや希望に寄り添った支援を行うためには、それぞれの機関が高い専門性を持って対応するだけでなく、関係機関同士が手を取り合い、新生児スクリーニング検査から、診断、治療、療育、教育に至るまで、情報交換を行いながら、十分な連携の下に、将来の見通しを持てるようにサポートしていくことが必要だと考えます。 そこで、難聴児への支援について、県はどのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 本県において、令和4年度に新生児聴覚スクリーニング検査等で難聴が疑われ、精密検査のため、県福祉総合相談所に来所された方は124人で、このうち34人が難聴と診断されました。 議員御指摘のとおり、難聴の疑いを告げられた御家族の心情に寄り添いながら、様々な相談に応じ、適切な時期に的確な支援につなげることは重要だと考えています。 そのためには、難聴児が発達段階に応じて補聴器等を用いた音声や手話、筆記などの意思疎通能力を習得し、療育や教育を受けながら、本来持つ力を最大限生かして心身ともに健やかに成長できるよう、保健、医療、福祉及び教育の多職種が連携し、難聴児の将来を見据えた切れ目ない支援を行っていくことが必要です。 このため、県では、現在、聴覚障害の専門療育機関である熊本県ひばり園や熊本聾学校のうさぎルームで実施している乳幼児教育相談において、難聴疑いが判明した段階から、いち早く必要な医療や就学先などについて相談できる体制を構築しています。 また、乳幼児健診を担当する市町村保健師等を対象とした対応力向上のための研修会を実施するとともに、医師や保健師、療育機関職員等が参画する新生児聴覚検査協議会において、適切な検査方法等について協議し、難聴疑い児の早期発見と早期診断に取り組んでいます。 さらに、今年度から関係機関の連携体制強化についても検討を始め、検査から診断、治療、療育、教育に至る一連の流れや支援に関する課題等を共有することで、支援体制の充実を図っているところです。 また、熊本聾学校においては、地域の学校の難聴学級に教員を派遣することにより、難聴学級で学ぶ難聴児が安心して学ぶことができる体制を整備しています。 現在見直しを進めているくまもと障がい者プランや障がい児福祉計画においても、難聴児の支援対策を着実に推進することを盛り込む予定です。 今後も引き続き、関係機関と連携しながら、難聴児とその御家族が地域で安心して暮らすことができる共生社会の実現に努めてまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 福祉部長に御答弁いただきました。 今回、質問に当たり、難聴児の保護者の皆様にお話を聞く機会をいただき、今回質問を行いました。いろいろお話を聞きましたが、全てお母さんたちの思いを伝えることはなかなか難しかったです。どうか保護者の思いをしっかり受け止めていただき、関係機関の連携、検査から診断、治療、療育、教育に至るまで、一連の流れや支援に関する課題を共有され、支援体制の充実をお願いしたいと思います。 そして、今回見直し中のくまもと障がい者プラン、障がい児福祉計画に難聴児の支援対策を盛り込んでいただき、難聴児とその御家族が地域で安心して暮らす共生社会の実現に努めていただきますよう要望いたします。 ここに、1月31日の新聞の切り抜きがあります。(資料を示す) これは「第65回熊日文学賞を受賞した 齋藤陽道さん」という見出しです。この方は、手話のある暮らしというのをテーマにされております。 この人も御夫婦で手話で生活をされていると。元気なお子様が2人おいでになります。小さいときは、その4人の家族全部手話で会話をしていたが、子供たちが元気になり、活発化し地域社会に出るようになってからは、言葉が我が家に入ってきたとおっしゃっております。手話の大切さを、つながりをしっかり書かれた本だったと思います。 続いて、福祉政策、不適切な保育についてお尋ねをいたします。 昨今、保育現場における子供への不適切な保育や虐待が社会問題化しております。 昨年5月、こども家庭庁は、令和4年4月から12月までの9か月間で、園児の心身に悪影響を及ぼす不適切な保育が全国で914件確認されたとありました。そのうち、県内保育所において不適切な保育の事実が7件確認されたと聞いております。 子供が一日の多くの時間を過ごす保育の現場において、不適切な保育はもちろん、虐待などあってはならないことであります。子育て世帯が安心して子供を預けられる保育環境の整備を図ることは、大変重要な課題であります。 国は、この調査を契機に、不適切な保育や虐待等の考え方を明確化し、保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドラインを令和5年5月に示しております。 このガイドラインでは、園における組織的な対応の必要性や市町村との連携の重要性が示されています。加えて、国は、保育所、保育士の皆さんが、日々の保育実践において、安心して保育を担っていただくことも重要と捉えているようです。 しかしながら、保育の現場においては、時間に追われ、余裕のない中での保育を強いられている保育士が多いのではないでしょうか。 国は、昨年末に決定したこども未来戦略において、4歳、5歳児の職員配置について、30人の子供に対して1人の保育士だった基準を、25人の子供に対して1人とする改善策を明記しました。これは、制度発足以来75年ぶりの改革だそうです。 このような取組により、保育士の皆さんが安心して保育を行うための環境整備や園の組織体制の強化、さらに、保育現場における負担軽減策の充実等が大きく期待されるところです。 そこで、今後、県として、不適切な保育に対し、どのように取り組んでいかれるのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 保育所等は、子供や保護者が不安を抱えることなく、安心して通う、預けられる場所であることが重要です。そのため、子供に対する体罰や言葉の暴力などの虐待等やそれが疑われる、いわゆる不適切な保育も決してあってはならないことです。 しかし、議員御紹介のとおり、昨年国が初めて実施した全国調査の結果によると、このような不適切な保育が県内の保育所等においても確認されています。また、市町村や保護者等から県に寄せられる相談等も増加している状況です。 このため、県では、保育所等への定期的な指導監査の中で不適切な保育の有無を確認し、必要に応じて助言、指導を行うとともに、現場の保育士や保護者等から相談があった場合は、市町村と連携し、事実確認や改善指導等に取り組んでいます。 このような中、国では、不適切な保育の考え方を明確化するとともに、保育所等や自治体に求められる役割を整理したガイドラインを策定しました。さらに、保育の現場の負担軽減を図り、子供と丁寧に向き合う質の高い保育を実践できるよう、ICT機器の導入や各種事務作業の効率化等を推進しています。 本県においては、国の動きを踏まえながら、現場の職員が不適切な保育について理解を深め、保育現場の働き方改革について学ぶ研修等を実施したいと考えています。 また、市町村と連携し、ICT機器の導入支援を行うとともに、今後は、保育事業者やICT関連事業者との連携も強化し、施設の実情に応じた導入効果の発現等を図ってまいります。 さらに、子供一人一人と向き合う余裕のある保育環境を実現するためには、必要な人員確保も重要な課題です。 そこで、県では、保育士資格がありながらも、現在保育現場を離れている方々の再就職支援や保育の魅力を伝えるイベント等を充実するなど、保育人材のさらなる確保に取り組んでまいります。 今後も引き続き、市町村をはじめ関係機関と連携しながら、不適切な保育を未然に防止し、子供が安全に過ごし、保護者が安心して預けられる保育環境の充実に努めてまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 健康福祉部長に御答弁いただきました。 保育園の子供たちに限らず、今日の子供たちの環境は、29万人以上の不登校、68万件のいじめと、大変な状況であります。そんな中、保育士や先生たちの対応、置かれた状況も大変厳しく、全国の公立学校で、精神疾患で休職の先生が6,539人と報告されております。熊本では65人です。 働き方も重要でありますが、全て先生たちが対応するのではなく、負担軽減のため、先生方をサポートやアドバイスする専門的人材の配置が必要だと考えます。ぜひ検討いただきますようお願いしまして、次のAEDについてお尋ねをいたします。 AEDによる救命の質問は、これまで多くの回数を重ねてまいりました。 平成27年9月の県議会での初めての質問の場では、AEDの設置状況や傷病者への対応状況について総務部長に、学校現場における研修会等の実施状況や子供たちへの対応について教育長に、それぞれお尋ねをいたしました。 AEDの歴史をひもときますと、平成5年に、救急救命士が医師の指示を受けて使用することが許可されております。その後、平成13年に、アメリカ連邦航空局が航空旅客機へのAEDの搭載を義務化したことを受け、機内に医師が不在の場合には、客室乗務員がAEDを使用できるように改められています。 そして、平成14年に、高円宮殿下が、スポーツをされている中で心室細動、そして急死されております。そこにはAEDはあったということですが、医師との確認が取れなかったという悲しい報告があります。 これに伴い、AED検討委員会が、AEDの使用について、その規制の緩和に関する提言を厚生労働大臣に行っております。 それで、平成15年には、救急救命士が医師の指示がなくAEDを使用できるよう改められ、その翌年には、一般市民によるAEDの使用が可能となりました。20年になります。 突然心肺停止に陥った方を高い確率で救うためには、できるだけ早く胸骨圧迫による心肺蘇生を行い、AEDで電気ショックを行うことが、傷病者の救命とその後における機能回復の面からも大変重要であるとされております。 その救急救命、心肺蘇生に必要な機材が、自動体外式除細動器、AEDです。 現在では、多くの公的機関をはじめ、学校や病院、ホテルのほか、観光バス等の交通機関にも設置されております。 引き続き、県内全域でAEDの設置を着実に増やしていくことが必要であると私は考えております。 そこで、県内におけるAEDの設置状況や医療機関以外での県民による現場での使用状況等はどのようになっているのか。また、一人でも多くの県民が講習受講を通じてAEDを活用できるようにするため、県としてどのように取り組んでいくのか、総務部長にお尋ねをいたします。 AEDの中には、定期的に点検して、消耗したものを新品に入れ替えるべきパーツもあることから、適切に管理を行い、必要なときに、その機能を十分発揮できるように備えておくことが最も重要であります。 AEDの適切な管理については、所管の厚生労働省から、これまで幾度も関係省庁や自治体、各製造販売事業者に関係通知が出されております。 昨年、国の出先機関に設置されているAEDの周知、管理状況を九州管区行政評価局が初めて調査したところ、多くの機関で2ないし3年間点検が実施されていなかったとの新聞報道があります。 これでは、いざAEDが必要というときに使うことができない状況が想定されるため、AEDがあるにもかかわらず、活用されなかった過去の不幸な事例を、現場の教訓として十分生かしていないことになります。 特に、多くの児童生徒が学ぶ学校現場において、AEDを定期的に点検しておくことは、子供たちの安全、安心な教育環境に絶対必要であります。 そして、そのような環境の中で、教職員が適切にAEDを使い、救急救命ができるようなことも必要であります。 そこで、学校現場におけるAEDの点検状況と教職員の研修会等の状況について、教育長にお尋ねをいたします。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長(平井宏英君) 県内のAEDの設置や使用の状況、そして県の取組について申し上げます。 まず、AEDの設置状況については、一般財団法人日本救急医療財団によると、県内に、本年2月現在で6,294台が登録されております。これは、平成27年9月時点から約24%、1,200台以上の増となっております。 次に、県内におけるAEDの使用状況につきましては、国の統計によると、令和3年は10人でした。このうち1か月後の生存者は50%の5人、その全員が社会復帰をされております。 全国的に見ましても、AEDが使用された1,096人のうち、1か月後の生存率は49%、社会復帰率は40%であり、AEDが使われなかった場合の生存率11%、社会復帰率7%と比べると、大きく上回っておる状況でございます。 このように、AEDによる応急手当ては、救命とその後の社会復帰に極めて有効であり、AEDを迅速かつ的確に使用するためには、一人でも多くの方々に、その使い方を習熟していただく必要があります。 そのため、消防学校や消防本部、市町村では、AEDの使用方法を内容に含む応急手当ての講習を実施しています。 受講者数は、新型コロナの影響により、令和2年には1万2,000人まで落ち込みましたが、その後増加傾向に転じ、令和4年には3万6,000人以上の方々が救命講習を受講されております。 さらに、県では、市町村等を通じて公共施設管理者に応急手当ての研修実施を要請するとともに、県内消防本部での救命講習の開催日程を、AEDの効果等と併せて県民に発信し、受講を呼びかけております。 引き続き、消防本部や市町村等と連携して、各種セミナーなどあらゆる機会を捉え、一人でも多くの方々にAEDの活用について理解を深めていただき、救命の担い手の裾野拡大に努めてまいります。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、県内公立学校のAEDの点検状況についてお答えします。 AEDの電極パッドやバッテリーには使用期限があることから、県立学校においては、定期的な作動確認等適切な管理、点検を行っており、市町村教育委員会に対しても同様に、適切な管理、点検等を行うよう依頼しています。 令和4年度に実施された国の調査では、本県におけるAEDを日常的に点検している学校の割合は99.8%となっておりまして、特に、公立の小中高等学校等については100%を達成するなど、適正な点検が実施されています。 次に、AEDの使用を含めた教職員の研修会等の実施状況についてお答えします。 県教育委員会では、令和3年度に県内全ての公立小中高等学校等の学校安全担当者等を対象に、AEDに関する講習会を実施いたしました。また、今年度から、防災主任研修会においても、AEDを用いた心肺蘇生法の講義を追加し、研修の充実を図ったところでございます。 さらに、小学校教職員を対象に、毎年、水泳実技・水難事故防止セミナーを開催し、専門家を招いてAEDの使用法を含めた心肺蘇生法等の研修も行っています。 これらの取組に加え、県内の9割を超える公立の小中高等学校等において、校内研修でAEDを含む心肺蘇生法の実習が行われています。 今後とも、県内全ての公立の小中高等学校等において、AEDの適切な管理を行うとともに、教職員が適切にAEDを使用した救急救命ができるよう研修を徹底し、安全、安心な学校づくりに努めてまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 総務部長と教育長に御答弁いただきました。 部長からは、一般市民の心肺蘇生を受けた人が、全国で57.6%に対し、熊本では67.2%と、10ポイントの高い評価をいただいております。そして、令和4年の講習受講生が3万6,000人以上だという報告をいただきました。 教育長からは、AEDの点検は100%に近い報告をいただきました。学校内でも、先生たちへの十分な研修対応をされておいでです。ありがとうございます。 AEDは、救命と社会復帰に極めて重要であります。しかし、AEDの使用が、全国で1,096名、熊本では10名です。1,096名、その中で、一月の生存が540名、49.3%、そして社会復帰された方が440名で40.1%。すごい数字であります。 この前、テレビで、今後は、心肺停止から生存率を高める水素吸引療法が必要だというテレビ放送があってました。これは、心肺停止で、脳をはじめ重要な臓器の細胞がどんどん死んでいくんです、心臓が止まるとですね。しかし、心肺蘇生やAEDにより、脳や臓器に血流が戻った後も、実は脳や臓器のダメージが進行するという報告でした。 全国の患者73名を対象に、心拍再開から2%の水素を18時間吸引していただくことをされております。90日間の生存率は、しなかった人が61%、水素吸引をした人が85%。そして、後遺症がない方が、しなかった場合は21%、水素吸引をされた方は46%と、すごい社会復帰率であります。 それは、血流が戻っても細胞は酸化的に損傷していくという放送でした。それを水素が止めるんだと。酸化ストレスを止めていくんだという報告でした。しかし、保険診療はまだ認められていないということでしたので、できたら早く認められて、社会復帰が多くなるように望みたいと思います。 18日は、熊本城マラソンです。あさってです。昨年、ゴール寸前の坂道で、やはり心肺停止で倒れられております。近場にAEDがあったために、何事もなく救命をされております。 今年の熊本城マラソンは、定位置に18台のAED、そして、自転車、バイクによる移動隊が8班、そして、救護所が13か所、総勢430名の体制で、3分以内のAED対応を行うというような新聞報道があっております。命の大切さ、大変ありがたいことです。 続きまして、健康寿命日本一に向けた取組についてお尋ねをいたします。 健康づくりの推進は、私が議員として取り組む大変重要なテーマであり、県民の健康づくりに関する質問は、今回で7回目になります。 令和2年における本県の平均寿命は、男性が81.91歳、全国9位です。女性が88.22歳で全国5位であります。全国有数の長寿県と言われております。 一方、令和元年における本県の健康寿命、これは、人に頼らず、自分でまともに生活する、頼らないで生活できることを健康寿命と言います。男性、72.24歳で全国37位、女性、75.59歳で全国24位となっており、日常生活に制限のある不健康な期間を意味する健康寿命と平均寿命の差は、男性で10年、女性は13年あります。 本県は、全国に先行する形で高齢化が進んでおり、県民の約3割が65歳以上の高齢者という状況です。 高齢になっても介護を必要とせず、自立して生活できる健康寿命を延ばすことが、超高齢社会における喫緊の課題であると思います。 健康寿命の延伸は、大変重要なテーマであり、私も、地元天草において、ダンスや体操を通して、健康づくりの実践活動に携わっております。 県民が生涯を通じて心豊かで健康な生活を送るには、県民一人一人が自分の健康は自分で守るという意識を持ち、定期的な健康診断と運動や食事など、健康づくりのための実践が不可欠であります。 それに加えて、社会全体としても、個人の取組をサポートするような環境づくりも必要と考えます。 こうして若い時期から心豊かで健康な生活を送れば、健康寿命が延び、ひいては医療、介護費の抑制にもつながるものと思います。 県では、現在、県民の健康づくりに関する施策の基本となる次期の第5次くまもと21ヘルスプランを策定中で、本議会にも議案として提案されております。 元気で生き生きと暮らす高齢者がこれからますます増えていくよう、健康寿命日本一を目指して、次期ヘルスプランにおいて、どのような取組を進めていかれるのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 次期ヘルスプランにおける健康づくりの取組についてお答えします。 今回の計画では、県民が生涯を通じて心豊かで健康に暮らし続ける熊本の実現を図るため、大きく4項目を柱に掲げ、取組を進めていくこととしております。 まず、1つ目の柱は、生活習慣病の発症・重症化予防です。 家庭や地域での望ましい食行動の手引である熊本県民食生活指針を活用した啓発やくまもとスマートライフアプリを活用したウオーキングイベントの実施などにより、栄養、食生活や身体活動、運動などに関するよりよい生活習慣の形成に取り組みます。 また、SNS等、様々な広報媒体を活用した特定健康診査やがん検診の重要性の啓発にも取り組んでまいります。 とりわけ、本県は、糖尿病の疑いまたは発症リスクのある人の割合が全国平均を大きく上回っていることから、前計画に引き続き、糖尿病対策を最重要施策として取り組むこととしています。 具体的には、県民運動の推進や、かかりつけ医と専門医との連携を図る熊本型糖尿病保健医療連携体制の強化などに取り組んでまいります。 2つ目は、生活機能の維持向上です。 健康寿命を延ばすためには、高齢期になってからの筋力低下などのフレイル予防が重要となります。そのため、住民主体の通いの場の普及拡大や骨折の要因となる骨粗鬆症に関する普及啓発などにより、介護予防の取組の充実を図ります。 3つ目は、ライフステージ特有の課題に応じた施策の推進です。 特に女性に関しては、妊娠から高齢期までのそれぞれのステージに応じた健康づくりの支援を行うこととしています。 4つ目の柱は、これらの取組を横断的に支えていく社会環境の質の向上を掲げました。 これは、本人が無理なく自然に健康な行動を取ることができる環境を整えることで、健康無関心層を含む幅広い人へのアプローチにつなげるという新たな視点に基づく取組となります。 例えば、現在、多くの県民が外食や持ち帰りの弁当を利用しているため、健康的なメニューなどを提供するくま食健康マイスター店を増やし、野菜の販売方法の工夫などを行う野菜くまモリ運動を広めることで、自然に健康になれる食環境づくりを推進します。 これら次期ヘルスプランに掲げた全ての目標を、行政や関係機関、団体をはじめ、県民総ぐるみで推進できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 健康福祉部長に御答弁いただきました。 私たちが生涯を通して心豊かで健康に暮らし続けるためのヘルスプラン4項目、しっかり推し進めていただきたいと思います。 特に、社会環境の質の向上にあるくま食健康マイスター店、野菜くまモリ運動は、自然に健康になる食環境づくり、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 福祉部長も本年で退職と伺っております。健康で、これまで以上に熊本のために頑張っていただくためにも、この食を大切に、健康に注意いただきますようお願いいたします。部長、ありがとうございました。 最後の項目になります。 夜間中学についてお尋ねをいたします。 いよいよ本年4月に、県内初の夜間中学が県立湧心館高校の敷地内に開校します。 全国の設置状況としては、令和5年4月現在、17都道府県で計44校となっていますが、この4月には、全国で新たに9校が開校し、その一つが、本県の夜間中学、県立ゆうあい中学校です。 ゆうあいの名前には、熊本の熊、友達の友、夕方の夕や、人を愛する愛、出会いの会、合わせるの合など、様々な意味が込められております。 開校まで残り1か月となりましたが、私自身もとても楽しみにしております。 この1月末には、平成28年熊本地震の際に建てられた南阿蘇村応急仮設住宅の資材を再利用した校舎が完成しました。 この校舎で、国籍にかかわらず、様々な理由により小学校や中学校を卒業していない方や様々な理由により十分な教育を受けないまま中学校を卒業した方などが学び直されることになります。 熊本地震からの創造的復興への思いが詰まった校舎は、本県ならではのものであり、新たな学びに向かう生徒さんの夢を力強く後押しするものと思います。県産材の利活用の観点やSDGsの観点からも、すばらしいと思います。 これまで、開校に向けて、入学希望者説明会、生徒募集、体験学習会など、様々な準備を進めてこられたと思います。 先月1月に実施された体験授業会には、10代から70代までの様々な国籍の方が参加されたと聞いています。 夢の実現に向けて入学を楽しみにされているのはもちろんのこと、県民全てが開校を待ち望んでおられると思います。熊本ならではの特色ある夜間中学校をつくっていただきたいと願うところです。 そこで、開校に向けた意気込みを含め、気になる点もありますので、お尋ねします。 私は、天草に住んでおります。天草に住み、天草で仕事をしている人々が、仕事が終わって、その後、熊本市まで通学し、授業を受けて天草に帰るということは、現実的に不可能です。 天草に限らず、ゆうあい中学校のある熊本市から遠方に住んでおる方々には、学びたくても通えない方がいらっしゃるのではないでしょうか。 県民は、夜間中学校に大きな期待を寄せております。果たすべき役割は大きいものがあると思います。熊本に唯一の夜間中学となりますので、様々なニーズに対応した、そして熊本ならではの特色ある夜間中学校であるべきだと考えます。 そこで、熊本ならではのその特色ある取組について、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 夜間中学の開校まで残り1か月余りとなりました。 先月末に開催いたしました体験授業会の参加者の方からは、中学校は病気で行けなかったので、ぜひ学び直ししたい、学べなかったことが心残りになっていた、チャレンジして、その心残りを少しでも克服したいなど、再挑戦への熱い思いを聞くことができました。 夜間中学に希望を抱く多くの方々の声に応えていくために、4月の開校に向けて、しっかり準備をしていかなければならないと、改めて決意したところでございます。 議員御質問の本県ならではの特色ある取組についてですが、県が設置主体となり、指定都市と連携して設置する全国で初めてのケースであることや、熊本地震の際に使用した南阿蘇村の応急仮設住宅の資材を再利用した校舎を建設していることが挙げられますが、そのほか、次のような特色ある取組を行うこととしております。 まず、全国初の取組として、オンライン生を、通常の入学生とは別に、県下全域から募集いたします。このことにより、議員御指摘のような遠隔地にお住まいの方のみならず、様々な事情により通いたくても通えない方々の学びを保障するために、県民全てのライフスタイルに応じた多様な学びに対応したいと考えております。 オンライン生は、夜間中学の卒業資格は取得できませんが、オンラインでの授業の受講だけでなく、オープンスクールや学校行事等への参加を可能とするなど、全国に先駆けた本県ならではの学びの環境を提供し、全国のモデルケースとなるよう取り組んでまいります。 また、年齢、国籍、学習状況などが様々な入学希望者に対応するため、県内の教員志望の大学生等を対象として、生徒の学習支援を行うボランティアを学生学びのサポーターとして募集し、教育内容の充実や多様な教育ニーズに対応できるような体制を整備してまいります。 さらに、熊本にゆかりのある方々にも御協力いただき、校歌については、タイトル「手紙~親愛なる子供たちへ~」で、2009年日本レコード大賞優秀作品賞を受賞された本県出身のシンガーソングライター、樋口了一氏に、ゆうあい中学校という校名の揮毫については、2009年NHK大河ドラマ「天地人」の題字を書かれた本県出身の書道家、武田双雲氏に依頼したところでございます。 県教育委員会といたしましても、誰一人取り残さないという理念の下、様々な事情を抱えながらも、勇気を持って一歩踏み出して入学される方々が、学ぶことの喜びを実感し、一人一人の夢や生きがいにつなげることができるよう、開校に向けて全力で取り組んでまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 教育長に御答弁いただきまして、ありがとうございました。 ICTを活用した全国初のオンライン生を、通常の入学生とは別に、県下全域から募集されると聞きました。また、教員志望の大学生を対象に、学習支援のボランティアの募集も取り組まれるということ。これは、本当に熊本ならではの取組だと思います。全国のモデルケースとして、開校に向けて取り組んでいただきたいと思います。 それから、1つ御提案といいますか、お願い。 年齢や国籍も違う入学生。早くクラスをまとめ、結びつけるのは、やはり僕らも体験した世界各地の易しいフォークダンスだと思います。ぜひぜひ早い段階で授業に取り入れていただきますことをお願いしたいと思います。 これで質問の8項目、大勢の皆様に御協力いただき、無事終えることができました。 今回退職される執行部の皆様、そして蒲島知事、大変お世話になりました。ありがとうございました。 これで一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(内野幸喜君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明17日及び18日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る19日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時15分散会...