令和5年12月 定例会 第 4 号 (12月8日) 令和5年 熊本県議会12
月定例会会議録 第4号令和5年12月8日(金曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第4号 令和5年12月8日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――出席議員氏名(48人) 星 野 愛 斗 君 髙 井 千 歳 さん 住 永 栄一郎 君 亀 田 英 雄 君 幸 村 香代子 君 杉 嶌 ミ カ さん 立 山 大二朗 君 斎 藤 陽 子 さん 堤 泰 之 君 南 部 隼 平 君 本 田 雄 三 君 岩 田 智 子 君 前 田 敬 介 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 城 戸 淳 君 西 村 尚 武 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 前 田 憲 秀 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 岩 中 伸 司 君 城 下 広 作 君 西 聖 一 君 鎌 田 聡 君 渕 上 陽 一 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君欠席議員氏名(1人) 前 川 收 君 ――
―――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 木 村 敬 君 知事公室長 内 田 清 之 君 総務部長 平 井 宏 英 君 企画振興部長 富 永 隼 行 君 理 事 小金丸 健 君 企画振興部 球磨川流域 府 高 隆 君 復興局長 健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君 環境生活部長 小 原 雅 之 君 商工労働部長 三 輪 孝 之 君 観光戦略部長 原 山 明 博 君 農林水産部長 千 田 真 寿 君 土木部長 亀 崎 直 隆 君 会計管理者 野 尾 晴一朗 君 企業局長 竹 田 尚 史 君 病院事業 竹 内 信 義 君 管理者 教育長 白 石 伸 一 君 警察本部長 宮 内 彰 久 君 人事委員会 西 尾 浩 明 君 事務局長 監査委員 藤 井 一 恵 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 波 村 多 門 事務局次長 村 田 竜 二 兼総務課長 議事課長 富 田 博 英 審議員兼 濱 田 浩 史 議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 一般質問
○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 岩本浩治君。 〔岩本浩治君登壇〕(拍手)
◆(岩本浩治君) 皆さん、おはようございます。この演壇、今日で9回目でございます。この演壇に上がるたびに緊張しております。私の姿、顔、ずうずうしく見えると思いますが、本来は小心者であります。 私、9回数えますと、28年2月から令和2年まで、ずっと2月のあの寒い中でさせていただきました。ようやく、冬に入る前が、令和2年の11月から令和3年の11月まで、そしてまた、あの阿蘇の寒い令和2年でございました。そういう中で、今回、この12月の定例会で質問させていただきます。 ただ、6日、知事が5選不出馬をされました。非常に私は残念でありますが、知事が言われている逆境の中にこそ夢がある、不可能を可能にする。私は、この言葉は大変好きで、人生の重きと深さを感じる言葉だと思っております。 私は、従来、私の座右の銘とかありません。ただ、この知事の言葉を、私は、あと残り10年か20年生きているかどうか分かりませんが、その残りを私の座右にさせていただければと知事にお願いをしたいと思います。よろしいでしょうか。――知事がよろしいということでございましたので、私、生きている10年か20年、分かりませんが、座右の銘にさせていただきます。そして、知事の代わりに、演壇に立つたびに言わせてもらいます。逆境の中にこそ夢がある、不可能を可能にするということで、次回から言わせていただきます。 それでは、通告によりまして、質問をさせていただきたいと思います。 まず、阿蘇の
世界文化遺産暫定一覧表入りに向けた取組についてでございます。 令和3年3月30日、国の文化審議会から文部科学大臣に対し、
世界遺産暫定一覧表の見直しを含めて答申がされました。 そのため、令和3年度を重要局面と捉え、年度当初に、県と阿蘇郡市各市町村で構成する
阿蘇世界文化遺産登録推進協議会は、文部科学省及び文化庁を訪れ、阿蘇の
世界遺産暫定一覧表の記載に関する要望活動を行いました。 世界遺産として登録されるためには、まずは国が、将来世界遺産登録の推薦を予定する資産を
世界遺産暫定一覧表に記載し、
世界遺産委員会に提出する必要があります。その暫定一覧表に掲載された資産の中から、国は、
世界遺産委員会へ世界遺産登録への推薦を行うこととなります。推薦後には、
世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスが調査及び評価を行い、その勧告を受け、
世界遺産委員会において記載の決定が必要です。 そのため、阿蘇においても、これまでに様々な取組が続けられております。 まず、世界遺産登録のために必要な顕著な普遍的価値については、平成30年に、
阿蘇世界文化遺産学術委員会を設置し、議論されており、令和2年に、
阿蘇巨大カルデラを利用した文化的景観として、また、改定版を令和4年に、
「阿蘇カルデラ-草地とともに生きてきた
カルデラ農業景観」として、
暫定一覧表追加資産に係る提案書を文化庁に提出しました。 また、平成30年には、様々な分野の関係機関、団体が連携しながら、阿蘇の世界遺産登録の実現に寄与することを目的として、
阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議が設立されました。九州の経済界が連携し、阿蘇の
世界文化遺産登録に向けて応援されております。 昨年10月には、阿蘇において、
国際ワーキンググループ及びシンポジウムを開催し、阿蘇にお招きした
イクロム事務局長特別顧問のガミニ・ウジェスリヤ氏とイコモス総会2023
科学シンポジウムオーストラリア共同議長のスティーブ・ブラウン氏からは、阿蘇は人と自然の共生に価値があり、
世界文化遺産にふさわしいとの評価をいただきました。あわせて、お二人の海外有識者と
阿蘇世界文化遺産学術委員会の委員から、阿蘇のカルデラ全体に価値がある、
阿蘇カルデラ全域を資産範囲とするべきとの御意見があり、その評価は、極めて良好なものでした。 その評価を踏まえ、本年3月23日、
阿蘇世界文化遺産登録推進協議会は、文部科学大臣と文化庁長官に対し、阿蘇の暫定一覧表への早期記載を求める要望書を提出しました。 さらに、本年8月20日には、阿蘇の価値の情報発信や登録の機運醸成を図る第3回
阿蘇世界文化遺産登録推進東京シンポジウムが開催され、登壇された有識者の方々からは、
世界文化遺産登録に向け、阿蘇の野焼きや放牧、採草などの長年にわたる人々の営みにより形成された文化的景観を、人類共通の資産(たから)として、適切に保全し、未来へ引き継いでいけるように国内外へ情報発信していくべきだとの提言がありました。 このほかにも、様々な取組が行われております。それにもかかわらず、平成20年に
暫定一覧表候補としてカテゴリーⅠaに位置づけられて、今年で15年になります。 知事は、自分の任期中に阿蘇の暫定一覧表への記載を実現させたいとの念願を持っておられるとお聞きしております。 また、これまで開催されたシンポジウムで高い評価をいただいていると思いますが、阿蘇は、いまだ
暫定一覧表入りが実現していない状況であります。暫定一覧表に記載されることで、今後の阿蘇の
世界文化遺産登録推進に向けた取組も格段に加速すると思います。 そこで、
カテゴリー入りから15年の節目として質問します。
阿蘇世界文化遺産登録のために、まずは
暫定一覧表入り実現に向けて、最近の取組はどうなっているのか。また、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。そして、
暫定一覧表入りの展望について、企画振興部長にお尋ねします。 〔
企画振興部長富永隼行君登壇〕
◎企画振興部長(富永隼行君) 活火山を有する広大な火山カルデラにおいて、1,000年以上にわたる地域の方々の営みにより形成され、守られてきた阿蘇の景観は、人類全体にとって重要な世界的な価値を有しています。この阿蘇の価値を将来にわたり引き継いでいくため、阿蘇の
世界文化遺産登録を目指し、現在様々な活動を行っています。 まず、最近の取組についてお答えします。 本年3月、知事が、阿蘇郡市の全市町村長の皆様とともに、文部科学大臣及び文化庁長官に対し、阿蘇の早期の
暫定一覧表記載について要望活動を行いました。その際、文部科学大臣から、世界に向けて説明できる
世界文化遺産としての価値の整理と資産候補地の法的保護を引き続き進めていただきたいとの御発言がありました。 現在、御発言を受けて、県と阿蘇郡市の市町村で、大学教授等で構成する
阿蘇世界文化遺産学術委員会に諮りながら、将来
世界遺産委員会へお示しする阿蘇の顕著な普遍的価値について、さらなる整理を行っています。また、資産候補地の法的保護についても、
世界文化遺産に登録されるためには必要となるため、
暫定一覧表記載後も見据え、文化財保護法に基づく選定手続を着実に進めています。 文化財保護法に基づく選定手続については、阿蘇の景観を維持してこられた地域の方々に対して、丁寧に説明を行い、御理解をいただく必要があります。 阿蘇の資産候補地は広大でありますが、議員御指摘のとおり、暫定一覧表への記載により、阿蘇地域の機運醸成や行政の体制強化につなげ、文化財保護法に基づく選定手続の期間短縮を図りたいと考えています。そのためには、阿蘇が早期に暫定一覧表に記載されることが必須です。
暫定一覧表入りの展望についてですが、一覧表の見直しは、国の文化審議会において、非公開で審議されるため、審議の状況や今後の見通しについては承知しておりません。 今後の取組についてお答えをいたします。 県としては、
暫定一覧表入りの早期実現に向け、引き続き、文部科学省に対し、阿蘇郡市の市町村と連携し要望活動を行うとともに、
暫定一覧表見直しの時期にかかわらず、価値のさらなる整理、資産候補地の法的保護、また、世界中の誰もが、阿蘇はまだ
世界文化遺産ではないのかと感じていただくための国内外への発信など、今やるべきことに全力で取り組んでまいります。 〔岩本浩治君登壇〕
◆(岩本浩治君) 企画振興部長から答弁いただきました。 暫定一覧を目指して15年かかっておるわけです。あとどのくらいかかるんだろうというような感じがしておるわけでございます。 ただ、阿蘇の
世界文化遺産登録に向けては、蒲島知事をはじめとして、県庁職員の皆さん一丸となって取り組んでいただいていることには深く感謝をいたす次第でございます。 質問で述べましたように、阿蘇でもシンポジウムがありました。そのときに、専門委員、有識者の皆さん方は、阿蘇のすばらしさを言われるんです。普通、すばらしさを言われたら、即決まると私は思っておったのですが、これがなかなかやおいかぬ。15年かかって、あと今から何年かかるんだろうという感じがしてなりません。 ただ、私が――今まで3回ほど阿蘇でありました。そして、東京でありました。それに出席させていただいておりますが、阿蘇郡市の首長さんは、皆さん参加されております。ただ、残念ながら、阿蘇郡市の市町村議員さんの姿があまり見受けられないわけです。やはり、阿蘇郡市の住民の方々が、
世界文化遺産になることの大切な部分を、まだ深く御理解されていないのではないかと思っておるところでございます。 ぜひ、この市町村の首長さんだけでなく、あらゆる
シンポジウム開催のときには、市町村議員も出席していただいて、阿蘇郡市民の方々に
世界文化遺産のすばらしいことを説明していただかなければならないのではないかと思っておるわけでございます。 阿蘇で、また機会があれば、大いにシンポジウムを開いていただき、県は、どうぞ、文化庁、文部科学省に、答弁ありましたように、大いに働きかけていただきたい、そういうふうに感じる次第でございます。 次に、データを活用した住民サービスの向上について質問をさせていただきます。 先月の11月14日から16日にかけて、
地域活力創生特別委員会の県外視察に私も参加し、デジタル、DXや移住、定住等に関する取組について、それぞれの現場を見て、お話をお伺いしました。 その中で、DXに関連し、千葉県柏市にある
柏の葉スマートシティを訪問しました。この地域では、民間事業者が柏市と連携し、健康や環境などの社会課題にデジタルを活用して解決するという先進的な取組が進められておりました。 現場の担当者の方から詳しい説明を受けた後、実際にデジタル技術を体験しました。自分の手のひらをセンサーに乗せるだけで、野菜の摂取量の過不足を教えてくれるサービスや、カメラの前を歩くだけで、歩行姿勢の改善点を指摘してくれるサービスなどを私も実際に体験し、その場ですぐに自分の健康状態を把握できることに驚きを感じたところです。 また、柏の葉地域は、約2万人がお住まいですが、このうち約3,000人が登録され、日々の食事や運動などの健康データや健康診断で計測される血圧などの検診データを蓄積しているとのことでした。これらのデータは、自分の
スマートフォンで確認できるだけではなく、データ分析のサービスを利用することで、将来病気になる可能性も分かるとのことでした。 データやデジタルというと、何か難しくて使いにくいものだと思っていました。実際に説明を受けながら使ってみると、意外に簡単で、便利で、役に立つものだと私も非常に感じたところでございます。 熊本県でも少子高齢化が進み、高齢者をはじめ住民の皆さんの健康づくり、生活習慣の改善は大きな課題です。 特に、住民に身近な市町村において、データの活用をさらに進めながら、住民の健康の維持、将来の疾病リスクの低減などに取り組む意義があるのではないかと感じました。 また、健康づくりだけではなく、もっといろいろな分野で生活を便利にする活用方法があると思います。 私が携わっております福祉や介護に関して考えてみますと、例えば、ある施設のショートステイを利用しようとしても、希望日に空きがないというときに、
スマートフォンで他の施設の利用予定の情報が瞬時に確認できれば、空きのある他の施設の利用も容易になります。そういうことが、もっとダイナミックにいろんな福祉サービスの情報を連携させて利用できるとなると、その時々の事情、ニーズに最も適したサービスの選択や組合せがしやすくなりますし、サービスの提供側も調整がしやすくなるのではないでしょうか。 もちろん、福祉サービスや
介護保険サービスの制度的な取扱いや施設ごとの契約締結の問題など、現在の仕組みをどうするかという課題もあると思いますが、
相談支援専門員や
ケアマネジャーの仕事などもより円滑になると思いますし、ほかにも、子育て、教育など、多くの市町村が直面している共通の課題や私の地元阿蘇地域の主要な産業である観光など、様々な分野でもデータの活用が重要であり、有効ではないかと思います。 そのため、さらに柏市のような全国の先行事例も参考にしながら、住民に身近な市町村において、データやデジタル技術を活用した住民サービスの向上に取り組む必要があると思いますし、県として今後どのように取り組んでいくのか、
デジタル戦略担当理事にお尋ねします。 〔理事小金丸健君登壇〕
◎理事(小金丸健君) 地域が抱える様々な課題を解決し、住民の利便性向上につなげるためには、官民データを活用したデジタル化、DXの推進が重要です。 県内の市町村においても、健康、観光、防災などの分野で、データを活用した
住民サービス向上の動きが出てきており、県としても、こうした動きを支援し、加速化していく必要があると考えています。 このため、県では、データの活用促進に向けて、
オープンデータの拡充や
データ連携基盤の構築など、環境整備に取り組んでいるところです。
データ連携基盤は、様々なデータを容易に連携、活用する機能や役割を持ち、新たなサービスの創出に不可欠なシステムとなります。 今年度中に
データ連携基盤の構築を完了し、来年度から、希望する13市町村と共同運用を開始する予定としております。 共同運用することで、市町村の負担を軽減することができ、広域的にデータを連携、活用することも可能となります。本県のような県と市町村による大規模な共同運用は、全国でも早い取組で、2例目となります。 また、現在、県では、住民の健康状態など、個人に関するデータを扱う基盤の構築に向けた検討も進めており、市町村におけるデータを活用したサービス向上の後押しをしたいと考えています。 健康分野に限らず、介護など住民の生活をより便利で快適なものとするために、デジタル技術とデータの活用は極めて有効です。 今後とも、全国の先行事例を市町村と共有しながら、市町村における
住民サービス向上の観点から、県全体のDX推進にしっかりと取り組んでまいります。 〔岩本浩治君登壇〕
◆(岩本浩治君)
デジタル戦略担当理事より答弁をいただきました。 私が携わっております障害者・高齢者施設でデジタル、DXを導入、利用することは、様々な面で役立つ可能性があることを知りました。 考えてみた場合に、健康管理と
モニタリングセンサーやモバイルアプリを利用して、入居者、利用者の健康状態をリアルタイムでモニタリングすることができ、これにより、早期の問題や緊急事態に素早く対応できるのではないかと、また、生活支援と自立支援においては、
スマートフォン、テクノロジー、ID及びデバイスなど活用して、施設内外の生活環境を改善でき、入居者や利用者の自立をサポートできると思います。 DXは、ニーズの収集、分析等を行い、福祉サービスや住民サービスの提供を効果的かつ効率的にし、利用者及び住民の生活を向上させるものと思います。 ぜひ、県においても、様々な分野でDXに取り組まれることを要望します。よろしくお願いします。 次に、熊本地域の地下水形成と阿蘇地域の湧水群について質問をいたします。 阿蘇は、九州の水がめと言われ、筑後川など、九州4県の主要6河川の源流域となっていますが、本日は、大津町、菊陽町を通り、熊本市へ流れていく白川に関して質問をいたします。 10月16日の新聞に「地下水涵養、事業者に促す」の見出しで、県が
地下水涵養指針を改正したと出ていました。TSMCなどの企業進出に伴う地下水採取の増加に対応した措置のことです。そこには、指針の改正対象の市町村と重点地域が掲載されていましたが、阿蘇地域は西原村のみで、白川の水源地域である阿蘇市、高森町、南阿蘇は含まれておりません。 熊本県
地下水保全条例第25条では、「地下水の採取に伴う障害が生じ、」または「生ずるおそれのある地域並びにこれらの地域と地下水理において密接な関連を有すると認められる地域を指定地域として指定する。」とあります。さらに、25条の2では、「指定地域の中で、特に地下」「水位が低下している地域及びこの地域と地下水理において密接な関連を有すると認められる地域を重点地域として指定する。」とあります。 熊本地域としてくくられた熊本市及び周辺地域は、水道水のほぼ100%を地下水に依存していますが、
地下水採取許可制を導入した当時、平野部でも台地部でも地下水位の長期的な低減傾向が観察されていたため、重点地域に指定されております。 この熊本地域は、水が浸透しやすい火砕流堆積物の地層が2層に分かれ、その間に水を通しにくい難透水層が存在するとされていますが、大津町や菊陽町の白川中流域は、この難透水層が存在しないため、この地域の水田はざる田と呼ばれます。 一般的な水田の水の浸透は、1日に1センチから2センチ程度ですが、この地域は、1日に5センチから20センチも浸透する特性があります。 この水をためにくいざる田で水稲作を可能にしているのが、白川から取水する井手と呼ばれる用水路で、この地域には、主要6つのかんがい用の堰があります。 このかんがいに用いる白川の水流の源は、阿蘇地域の湧水です。阿蘇谷では、外輪山や阿蘇五岳の湧水が黒川に流れ込みます。南郷谷では、毎分60トンの白川水源や南阿蘇湧水群が10か所で約150トン、
高森湧水トンネル公園では32トンの湧水が白川に流れ込んでおり、黒川と白川は、下流域に莫大なかんがい用水を供給しております。 話は戻りますが、熊本市は、
地下水低減傾向に危機感を抱き、2004年から、さきのざる田を逆手に取り、白川中流域の農業者等の協力を得て、転作田の作付前後に水を張る湛水により、地下水を涵養するという政策を実施しています。これは、行政域を越えた事業として注目されました。しかし、その水を供給している白川や黒川の水源がある阿蘇地域は、重点地域はおろか、指定地域にも入っておりません。
地下水涵養指針で地下水域を示した図を見ますと、阿蘇の地下水域と熊本周辺の地下水域は分かれていますが、水田涵養が大きな役割を持つ熊本地域の地下水保全には白川の豊富な水流が不可欠であり、白川を介して密接な関連を持つと思います。 水源保全には、草原、牧野の管理や森林間伐、刈り草管理が欠かせません。白川流域を主体にした土地改良区では、黒川・
白川流域水土里ネット連絡協議会を組織し、様々な活動を行っております。 その一つに、根子岳山麓に地下水涵養を促すための山林原野を阿蘇市から借り受けて保全活動を行っています。熊本地域の地下水を守ることは、すなわち白川を守ることと表裏一体であると思います。 以上を踏まえ、阿蘇地域が指定地域や重点地域にならなかった理由をお尋ねします。 また、阿蘇地域の地下水、湧水の保全の重要性について、どのようにお考えでしょうか。環境生活部長にお尋ねします。 〔環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎環境生活部長(小原雅之君) まず、阿蘇地域が指定地域や重点地域にならなかった理由についてお答えいたします。 現在指定地域とされている熊本周辺地域、八代地域、玉名・有明地域及び天草地域は、過去に、地下水の水位低下や塩水化、地盤沈下など、地下水の採取に伴う障害が生じ、または生ずるおそれがあったため、指定を行ったものです。 一方で、阿蘇地域については、地下水や湧水等に恵まれ、指定地域の要件である地下水の採取に伴う障害が確認されていません。また、議員御指摘のとおり、白川を介して指定地域である熊本周辺地域と密接な関連を持ちますが、地下水の水脈において関連性が低いため、指定しておりません。 なお、重点地域は、指定地域の中で特に揚水規制が必要な地域であるため、指定地域に指定されていなければ、重点地域の指定の対象にもなりません。 次に、阿蘇地域の地下水、湧水の保全の重要性に関する見解についてお答えいたします。 白川水源や阿蘇神社周辺の水基などに代表される阿蘇地域の地下水、湧水については、地域の人々の生活、文化の礎として、また、阿蘇の観光資源としてかけがえのない地域の宝であり、次の世代に引き継ぐ必要があります。 また、阿蘇地域の湧水等を源とする白川の豊富な水量は、白川中流域での農業や水田湛水事業を支えており、熊本地域における地下水形成の重要な役割も果たしていることから、本県の大切な財産であると考えています。 このような認識の下、県では、阿蘇地域において、地下水の採取に伴う障害が生じていないか確認するため、現在、阿蘇地域の地下水や湧水の状況について、3か所の県の観測井戸で常時監視を行うとともに、8か所の民間井戸や自噴井戸で毎月観測を行っています。 直近の観測データでは、地下水位や湧水に大きな問題は確認されておりませんが、引き続き、長期的な傾向を注視しながら、関係市町村とも連携し、阿蘇地域の地下水の保全に向けて取り組んでまいります。 〔岩本浩治君登壇〕
◆(岩本浩治君) 阿蘇地域については、指定地域の要件である地下水の採取を伴う障害が確認されていないこと、また、熊本地域の地下水とは、地下水の水脈においては関連性が低いため、指定されていないとのことでした。しかし、阿蘇地域の地下水、湧水が、白川を介しては密接な関連を有しているという御認識はいただいていると理解しております。 質問でも述べましたが、阿蘇地域の地下水を育む水田涵養を支えているのは、紛れもなく、阿蘇地域の地下水、湧水を源とする白川の豊富な流量でございます。熊本地域の地下水形成に極めて重要な役割を果たしていると思いますので、阿蘇の地下水は、熊本県の宝として、未来永劫に守り継いでいく県民共有の財産と考えます。 十分にその御認識はお持ちであると思いますが、県としても、ぜひ、そのことを十二分に踏まえて、阿蘇地域の地下水、湧水の保全対策、監視や観測のみならずに、森林や草原、農地の維持の問題も含めて、しっかりと進めていただきたいと思います。熊本地域の関係の皆さんからも御支援、御協力を賜りますようお願いいたします。 次に、ヤングケアラー支援対策についてでございます。 ヤングケアラーについては、本県議会でも鎌田議員が2度質問されていますが、今回改めて質問をしたいと思います。 全国では、複数の自治体でケアラー支援条例を制定しています。また、国の2025年度からの第9期介護保険事業(支援)計画の基本指針案においても、充実する事項にヤングケアラーを含む家族介護者支援の取組が重要であると記載されるなど、ヤングケアラーに対する認識が高まっております。 日本ケアラー連盟の定義では、ヤングケアラーとは「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」とされております。 この問題は、令和2年に、埼玉県が全国初のケアラー支援条例を制定し、その後、国が厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームを立ち上げ、全国調査の結果を公表するなど、大きく取り上げられました。 本県でも、令和3年度と令和4年度の2か年にわたって、県内の学校及び子供本人を対象として、熊本県におけるヤングケアラーの実態に関する調査を実施いたしました。 令和3年度の調査対象は、学校については、小学校は抽出で22校、中学校172校、高校85校です。子供本人については、中学校2年生で1万6,562名、高校2年生で1万5,212名です。 令和4年度の調査対象は、学校については、小学校336校、子供本人については、小学6年生1万6,461人、大学3年生5,756人です。 具体的に、幾つかの事例を紹介します。 令和4年度に実施した小学生の調査結果では、世話をしている家族が「いる」と回答したのは6.3%、世話の対象は「きょうだい」が主体で79.3%でした。また、就学前から世話をしている子供は20.4%、低学年のうちからが35%でした。核家族化、共働き等、家族構成の変化などが要因となり、幼いうちからケアの担い手になりやすいと考えられます。 我が国は、昔から家族の面倒は家族で見るものとの倫理感が存在します。しかし、現代になって殊さら問題になってきたのは、地域のつながりが薄らぎ、各家庭の実態が見えにくくなってきたためと思われます。 ヤングケアラーの問題としては、学業や社会的つながり、心理面、健康面に与える影響は大きく、日々の生活に影響が出ているとうかがえました。 また、本県の実態調査の結果から、学校現場における家庭内問題への介入の難しさが浮き彫りになりました。学校によっては、教職員間での情報共有や他機関との連携対応も確認されました。 子供と日々接している教員が気づくことが支援につながる第一歩であり、家庭内の状況を把握するため、スクールソーシャルワーカーや行政の福祉、子育て部門との連携が重要であると認識されました。 さらに、令和3年度の調査結果では、県内の中高生の2.8%が世話をしている家族が「いる」と回答しており、その8割近くが誰にも相談したことが「ない」と回答しております。 県では、これらの調査結果を踏まえ、専門の相談員を配置し、相談対応を始めております。 私は、福祉、介護、医療、教育をはじめとする関係機関が、ヤングケアラーについて認識を深め、早期に存在に気づき、見守り、寄り添い、具体的な支援につなぐことが必要ではないかと思っております。 そこで質問ですが、現在のヤングケアラーの相談窓口の対応状況はどのようになっているのか、また、今後、県は、ヤングケアラーの支援にどのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。 〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎健康福祉部長(沼川敦彦君) ヤングケアラーは、本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のことです。子供としての時間が奪われ、健やかな育ちや学業に大きな影響を受けるため、その支援は重要な課題です。 県が実施した実態調査において、県内にもヤングケアラーが一定数存在することが明らかになったため、昨年7月には、子供たちをはじめ誰もが気軽に相談できる専門の相談窓口を設置しました。 開設から先月末までの1年余りで、延べ211件の相談があり、障害のある母親の世話をしている子供や幼い兄弟の世話をしている子供など18人に対して、関係機関等と連携し、見守りや福祉サービスにつなぐといった対応を行っています。 しかしながら、これらの相談は、ヤングケアラー本人からではなく、全て学校や近隣、知人などからなされたものです。 これは、ヤングケアラーが家庭内の問題であるとともに、幼い頃から家族の世話などに当たっている環境を当たり前と認識していることが要因として考えられます。現に、実態調査においても、誰にも相談をしたことがない子供の割合が高いという結果も出ています。 そのため、相談窓口に配置したコーディネーターが自ら地域や学校を訪問するなど、ヤングケアラーを探し出し、直接相談につなげるアウトリーチ型の取組を今年度から始めたところです。 また、市町村や教育機関等と連携し、福祉や教育関係者への研修会等を充実することにより、関係者の理解促進や対応力の向上を図り、早期発見、支援を行う体制を構築してまいります。 さらに、当事者同士が悩みや経験を共有することができるよう、ピアサポーターを発掘、養成し、サロンを開催するなど、ヤングケアラーに寄り添った支援を行ってまいります。 今後も引き続き、誰一人取り残さない社会の実現に向け、関係機関と連携を図りながら、ヤングケアラーの支援にしっかりと取り組んでまいります。 〔岩本浩治君登壇〕
◆(岩本浩治君) 健康福祉部長から答弁いただきました。 私は、表面化しにくいヤングケアラーの孤独、孤立を防ぎ、継続した相談・支援体制を構築することが大事ではないかと思っております。そのためには、やはり全国規模のシンポジウムを開催し、地域ごとの当事者、支援者同士の相互交流を促すことにより、ヤングケアラーの相互ネットワークの形成を図ることができるのではないかと考えております。 子供の中には、家庭状況を知られたくないと学校や周囲に隠す子供もいたり、家族のケアをすることは当たり前と、問題と自覚していない可能性も子供にはあります。 また、福祉は申請主義で、なかなかヤングケアラーに支援が届きにくいという課題もあります。ぜひ、ヤングケアラーコーディネーターがしっかりと情報収集や実態把握し、適切な支援につなげるように取り組んでいただきたいと思います。 福祉、医療、介護、教育などの関係機関が連携を深め、社会福祉士や臨床心理士などの専門職の対応力を強化していただき、ヤングケアラーに寄り添って対応できるよう、研修を行うなどで人材育成を行い、ヤングケアラーの支援体制の強化を図っていただくことをお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。 施設に入所中の障害者の地域移行支援体制の整備についてでございます。 障害者の権利に関する条約は、御承知のとおり、障害者の人権、基本的自由の享有を確保し、権利を実現するための措置等を定めた国際条約で、我が国も、平成24年にこの条約を批准しました。 昨年、批准後初となる国連障害者権利委員会による審査が行われ、日本は障害者の自立した生活や地域社会への包容が不十分であるとして、障害者が施設を出て、地域社会で自立して生活するための支援の整備を強化すべきなどの勧告が出されました。これを受け、国においては、障害者の地域生活への移行を進めるための制度の改正が進められております。 地域移行の受皿として重要な役割を担うのは障害者グループホームですが、まだまだ供給が追いついていないのが現状です。 さらに、グループホームをめぐっては、今年10月、東京にあるグループホームの運営会社が、利用者から食材費を過大に徴収したり、虐待を行っている疑いがあるとして、国や自治体による監査を受けている問題で、国は、同会社による障害者福祉サービス報酬の不正請求はないか確認するよう、関係自治体に通知を行ったとの報道がありました。 県の担当課に確認したところ、本県には同会社の進出はなく、他のグループホームにおいても問題は発生していないと聞き、安心したところです。 ここで本県の状況を見てみますと、令和4年度末現在の障害者手帳所持者は12万人。身体障害者が8万1,000人、知的障害者が2万2,000人、精神障害者が2万1,000人で、県の人口の7.3%を占めております。 そのうち、令和4年度末時点で、障害者支援施設に入所されている方は2,760人で、前年度末と比較すると43人の減となっています。一方、令和4年度末時点で、グループホームの棟数は576棟で、3,024人が入居されており、前年度末との比較では、棟数は27棟の増、入居者数は163人の増となっております。 近年では、社会福祉法人以外の法人がグループホームの運営に新規参入するケースも増えており、徐々に整備が進んでおりますが、今後、量的確保に加え、専門性の高いサービスの提供、すなわち質の向上が必要になってくると考えます。 先般、施設に入所されている知的障害者の親の会の方々とお話しする機会がありました。 障害者の中には、意思決定に支援が必要な方や自立して日常生活、社会生活を送るのが困難な方もおられます。親や家族が高齢化していく中、入所施設からグループホームや地域への移行が一律に進められるのではないかと不安を感じる、親亡き後も安心して暮らせるよう、地域生活実現のための環境整備に力を入れてほしいといった声が多く聞かれました。 障害者が地域で安心して暮らしていくためには、いつでも相談できる相談支援体制を構築することが重要だと考えます。 県においては、障害者総合支援法や条例、障がい者プラン等に沿って、障害者の意思決定を尊重し、望む地域で安心して暮らせるよう、相談支援や必要な障害福祉サービスの安定供給に向けた体制整備や人材育成等に取り組んでおられると聞いております。 さきに述べた御家族の声にもありましたが、親亡き後も見据えて、障害のある方もない方も共に暮らせる地域社会の実現は、当事者やその家族を含め、県民全体の願いです。 そのためには、グループホーム等、地域における居住の場の量的・質的充実だけではなく、御本人の選択や意思決定を支える相談支援事業の充実や、障害者の重度化、高齢化にも対応できる支援拠点の整備など、地域における包括的な支援体制づくりを早急に進めていく必要があると考えます。 そこで、施設に入所中の障害者の地域移行支援体制の整備についてどのように進めていくのか、健康福祉部長にお尋ねします。 〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 本年8月に、障害当事者、家族団体との意見交換を行っていますが、どの団体も地域移行の関心が高く、その支援が非常に重要であると考えております。 議員御指摘のとおり、グループホームは地域移行に不可欠なサービスです。 このため、まず、量的な充実に向けては、身近な地域でグループホームの利用ができるよう、熊本県障がい福祉計画に基づき、市町村と連携したサービス提供体制の確保に取り組んでいます。 具体的には、開設に当たっての補助事業を実施してきており、最近では、障害者の重度化や高齢化という状況に対応した日中、夜間も介護等を行うグループホームや短期入所を併設したグループホームも増加しているところです。 次に、質的な充実に向けては、グループホームを運営する事業者に対する実地指導等において、不適切な運営があった場合の是正指導や改善に向けた助言を行うほか、管理者や従業者を対象とした研修等を実施し、サービスの質の向上を図っております。 また、障害者総合支援法の改正により、来年度から新たに、グループホームを出て一人暮らしを希望する方への支援や退去した後の地域定着に関する相談支援等が開始されます。 さらに、障害者が地域で安心して生活するためには、住まいの確保だけでなく、意思決定支援や様々な困り事への相談支援、緊急時の対応など、地域での支援体制の充実を図ることも重要です。 そのため、地域における相談支援の中核を担う基幹相談支援センターの整備や緊急時の対応を行う地域生活支援拠点の機能強化について、市町村や障害福祉サービス事業者、関係団体と連携しながら進めていく必要があると考えております。 現在、くまもと障がい者プランの見直しやこれに基づく障がい福祉計画の策定を進めておりますが、各計画においても地域移行支援対策を着実に推進していくことを盛り込む予定です。 今後も、医療や保健、就労等の関係機関と連携しながら、県の取組の充実を図ることはもちろんのこと、市町村による基幹相談支援センターの整備など、重層的な支援体制の構築やさらなる機能拡充の取組を支援することにより、障害者が安心して暮らすことができる共生社会の実現に努めてまいります。
○議長(渕上陽一君) 岩本浩治君。――残り時間が少なくなりました。発言を簡潔にお願いします。 〔岩本浩治君登壇〕
◆(岩本浩治君) 国連障害者権利委員会によりますと、障害者のグループホームも通過施設と位置づけようとしているという話を聞いております。 私は、障害者グループホームを平成5年に開設しました。当時、グループホームはありませんでした。そういう制度はですね。そして、私が障害者と接して、48年寝食を共にして、今現在、私が経営している障害者グループホームは7か所ありまして、55名の障害者が地域生活をしながら、そして自分で働きながら、日々の生活をしておるわけでございます。 グループホームの利用者が、あくまでもグループホームとして通過ということになりますと、福祉部長答弁がありましたように、やはりアパートを整備したり、そして何よりも障害者を理解できる全てのサポートがなければ駄目ではないかと思っております。 ぜひ、障害者が安心して生活できる地域在宅の住まいの位置づけを障害者グループホームは堅持していただきたいと思います。 ぜひ、障害者グループホームで生活している障害者のために、県のお力も十分に――この国連障害者権利委員会に対して、また、国に対して要望を述べていただきたいと思います。 以上、私の質問の時間を終わります。 最後まで清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩します。 午前11時1分休憩 ――――――○―――――― 午前11時11分開議
○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前田敬介君。 〔前田敬介君登壇〕(拍手)
◆(前田敬介君) 皆様、おはようございます。荒尾市選出・前田敬介でございます。本日5回目の質問ですが、まだまだ緊張しております。しかしながら、一生懸命発言させていただきます。 質問に入る前に、宣伝みたいな形で、実は、荒尾市出身、バレーボール男子日本代表・宮浦健人選手という方が、荒尾市出身でいます。御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、荒尾市出身の荒尾市立八幡小学校、そして、鎮西高校を卒業後、バレーボールアジアユース選手権、アンダー19の日本代表のキャプテンとして選出され、その大会で初めて金メダルを取られた選手でございます。 その後、Vリーグ・ジェイテクトで結果を残してポーランドへ行き、現在では、フランス・リーグA、パリ・バレーに在籍されております。 6月に行われましたネーションズリーグでは、1977年以来46年ぶりに銅メダルを取られまして、海外のファンからは、スーパースターがまた1人日本に現れたという声もありました。 10月に開催されましたワールドカップでは、見事パリ・オリンピックの出場を勝ち取られております。またオリンピックで活躍されますことを願いまして、そして、皆さんで、バレーボール日本代表、荒尾市出身・宮浦健人選手の応援をよろしくお願いします。 また、熊本県出身の世界で活躍する選手が熊本県で見れるよう、一般質問初日から出ておりますアリーナ建設、蒲島知事......(発言する者あり) それでは、発言通告に従い、5項目について一般質問を行います。 初めに、障害者への医療費支援についてお尋ねいたします。 障害者への医療費支援は、自己負担額を軽減する公費負担医療制度として、自立支援医療、指定難病に係る医療、小児慢性特定疾病に係る医療などといった、法律に基づいて、医療費の自己負担額の一部を国、県、市町村が公費で負担するもののほか、全国で実施されている重度心身障がい者医療費助成事業というものがあります。 重度心身障がい者医療費助成事業は、実施主体が市町村で、市町村は、条例に基づき、重度心身障害者の福祉の増進を図るために、対象者の医療費助成を行います。県は、市町村が助成した経費の2分の1以内を補助するという県単独事業です。 受給対象者は、障害の程度が重度に区分される身体障害者手帳1、2級、療育手帳A1、A2、精神障害者保健福祉手帳1級の手帳所持者及び福祉手当受給相当者となっています。 この事業により、対象医療費の自己負担額としては、1医療機関等につき、入院の場合が月2,040円、入院以外の場合が月1,020円となり、医療保険給付後の自己負担額から自立支援医療等による給付や高額療養費を控除した額との差額が市町村から助成されることになります。 この受給対象者は、障害の程度が重度に区分される人であり、1人で生活するのが困難で、家族や施設の方に付き添われて通院する人や入院が長期にわたる人も少なくありません。 そこで、この重度心身障がい者医療費助成事業における市町村から受給対象者への医療費助成の支給方法について質問いたします。 まず、支給方法については、償還払い方式と現物給付方式があり、償還払い方式は、病院等で診察、治療、投薬など受けた後、一旦病院窓口で医療保険給付後の自己負担額の全額を支払って、さらに、役場の窓口へ領収書と併せて医療費助成の請求書を提出し、後日、支払った費用の全額または一部を払い戻してもらう方法です。 現物給付方式は、病院等で診察、治療、投薬などを受け、病院等での窓口支払いは、既定の軽減された自己負担のみを支払い、医療費の請求は病院等から役場に直接行い、病院等が支払いを受ける方法です。 償還払い方式について、県民の方から、現物給付方式にならないのか、病院に本人を連れていって、また、市役所へ行って申請しないといけない、お金は後から返ってくるけど、病院の窓口では一旦支払う必要があり、支払いが多いときは大変だといった声がありました。 市役所に現状を確認したところ、付添いの方が高齢化してきて、病院に行ったり重心医療費助成の請求に市役所に行ったりで大変という意見は市民から寄せられている、現物給付方式にできたら受給対象者のメリットは大きいと思う、しかし、システム改修や新たな予算措置等のハードルがあり、市単独の取組では、現物給付方式への早期移行はなかなか厳しいのが現状との反応がありました。 類似の県単独事業である乳幼児をはじめとした子供への医療費支援を行う子ども医療費助成事業では、県内のほとんどの市町村が現物給付方式を導入しています。 一方で、障害者への医療費支援である重度心身障がい者医療費助成事業は、熊本市と天草市のみが現物給付方式と償還払い方式の併用としており、ほかの43市町村は償還払い方式のみの現状です。 重度心身障がい者医療費助成事業での現物給付方式の導入は、受給対象者及びその御家族の負担軽減につながります。ぜひ、財政規模にかかわらず、県内全市町村が取り組めるよう、県が先頭に立って推し進めていただきたいと考えます。 そこで質問いたします。 県は、現物給付方式の導入についてどのように考えているのか、また、現物給付方式の導入市町村が広がらない理由は何か、さらに、今後の取組の方向性についてどのように考えているか、健康福祉部長にお尋ねします。 〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 重度心身障がい者医療費助成事業は、市町村が実施主体となり、心身に重度の障害のある方の医療費負担の軽減を図ることを目的に実施しているもので、健康の保持や生活の安定を確保する上で、非常に重要な事業です。 現在、県内の多くの市町村で償還払い方式を導入しているところですが、議員御指摘のとおり、現物給付方式は、障害者御本人やその御家族にとって負担が少なく、利便性が高い方式です。 一方、市町村にとっては、現物給付方式を導入した場合、一般的に医療機関に受診する患者数が増え、医療費の増加につながるとして、その波及増分は、当該自治体が負担するものとされ、国において国民健康保険の国庫負担金の減額調整が行われること、また、医療システムの導入や更新に加え、国民健康保険団体連合会等へ審査や支払いの事務委託により財政負担が増すことなどから、導入が進んでおりません。 そこで、県では、現物給付方式の導入を市町村が少しでも進めやすくなるよう、これまでも、国に対し、国民健康保険の国庫負担金が減額される制度の撤廃を求めてきたところです。 今後も、他県とも連携し、引き続き国に対する制度撤廃の要望を行ってまいります。 また、各市町村の課題や実情を丁寧に把握しながら、国民健康保険団体連合会等の関係団体に対し、実情を把握するための調査を行い、システム導入や事務委任しやすい環境づくりを進めることで、障害者御本人やその御家族の負担軽減となる現物給付方式の導入に向けた支援に取り組んでまいります。 〔前田敬介君登壇〕