熊本県議会 > 2023-12-08 >
12月08日-04号

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  1. 熊本県議会 2023-12-08
    12月08日-04号


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    令和5年12月 定例会               第 4 号              (12月8日)  令和5年   熊本県議会12月定例会会議録     第4号令和5年12月8日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和5年12月8日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            星 野 愛 斗 君            髙 井 千 歳 さん            住 永 栄一郎 君            亀 田 英 雄 君            幸 村 香代子 君            杉 嶌 ミ カ さん            立 山 大二朗 君            斎 藤 陽 子 さん            堤   泰 之 君            南 部 隼 平 君            本 田 雄 三 君            岩 田 智 子 君            前 田 敬 介 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            城 戸   淳 君            西 村 尚 武 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            前 田 憲 秀 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            西   聖 一 君            鎌 田   聡 君            渕 上 陽 一 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君欠席議員氏名(1人)            前 川   收 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  内 田 清 之 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 富 永 隼 行 君     理    事 小金丸   健 君     企画振興部     球磨川流域  府 高   隆 君     復興局長     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 千 田 真 寿 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            竹 内 信 義 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  宮 内 彰 久 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   波 村 多 門     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 岩本浩治君。  〔岩本浩治君登壇〕(拍手) ◆(岩本浩治君) 皆さん、おはようございます。この演壇、今日で9回目でございます。この演壇に上がるたびに緊張しております。私の姿、顔、ずうずうしく見えると思いますが、本来は小心者であります。 私、9回数えますと、28年2月から令和2年まで、ずっと2月のあの寒い中でさせていただきました。ようやく、冬に入る前が、令和2年の11月から令和3年の11月まで、そしてまた、あの阿蘇の寒い令和2年でございました。そういう中で、今回、この12月の定例会で質問させていただきます。 ただ、6日、知事が5選不出馬をされました。非常に私は残念でありますが、知事が言われている逆境の中にこそ夢がある、不可能を可能にする。私は、この言葉は大変好きで、人生の重きと深さを感じる言葉だと思っております。 私は、従来、私の座右の銘とかありません。ただ、この知事の言葉を、私は、あと残り10年か20年生きているかどうか分かりませんが、その残りを私の座右にさせていただければと知事にお願いをしたいと思います。よろしいでしょうか。――知事がよろしいということでございましたので、私、生きている10年か20年、分かりませんが、座右の銘にさせていただきます。そして、知事の代わりに、演壇に立つたびに言わせてもらいます。逆境の中にこそ夢がある、不可能を可能にするということで、次回から言わせていただきます。 それでは、通告によりまして、質問をさせていただきたいと思います。 まず、阿蘇の世界文化遺産暫定一覧表入りに向けた取組についてでございます。 令和3年3月30日、国の文化審議会から文部科学大臣に対し、世界遺産暫定一覧表の見直しを含めて答申がされました。 そのため、令和3年度を重要局面と捉え、年度当初に、県と阿蘇郡市各市町村で構成する阿蘇世界文化遺産登録推進協議会は、文部科学省及び文化庁を訪れ、阿蘇の世界遺産暫定一覧表の記載に関する要望活動を行いました。 世界遺産として登録されるためには、まずは国が、将来世界遺産登録の推薦を予定する資産を世界遺産暫定一覧表に記載し、世界遺産委員会に提出する必要があります。その暫定一覧表に掲載された資産の中から、国は、世界遺産委員会へ世界遺産登録への推薦を行うこととなります。推薦後には、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスが調査及び評価を行い、その勧告を受け、世界遺産委員会において記載の決定が必要です。 そのため、阿蘇においても、これまでに様々な取組が続けられております。 まず、世界遺産登録のために必要な顕著な普遍的価値については、平成30年に、阿蘇世界文化遺産学術委員会を設置し、議論されており、令和2年に、阿蘇巨大カルデラを利用した文化的景観として、また、改定版を令和4年に、「阿蘇カルデラ-草地とともに生きてきたカルデラ農業景観」として、暫定一覧表追加資産に係る提案書を文化庁に提出しました。 また、平成30年には、様々な分野の関係機関、団体が連携しながら、阿蘇の世界遺産登録の実現に寄与することを目的として、阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議が設立されました。九州の経済界が連携し、阿蘇の世界文化遺産登録に向けて応援されております。 昨年10月には、阿蘇において、国際ワーキンググループ及びシンポジウムを開催し、阿蘇にお招きしたイクロム事務局長特別顧問のガミニ・ウジェスリヤ氏とイコモス総会2023科学シンポジウムオーストラリア共同議長のスティーブ・ブラウン氏からは、阿蘇は人と自然の共生に価値があり、世界文化遺産にふさわしいとの評価をいただきました。あわせて、お二人の海外有識者と阿蘇世界文化遺産学術委員会の委員から、阿蘇のカルデラ全体に価値がある、阿蘇カルデラ全域を資産範囲とするべきとの御意見があり、その評価は、極めて良好なものでした。 その評価を踏まえ、本年3月23日、阿蘇世界文化遺産登録推進協議会は、文部科学大臣と文化庁長官に対し、阿蘇の暫定一覧表への早期記載を求める要望書を提出しました。 さらに、本年8月20日には、阿蘇の価値の情報発信や登録の機運醸成を図る第3回阿蘇世界文化遺産登録推進東京シンポジウムが開催され、登壇された有識者の方々からは、世界文化遺産登録に向け、阿蘇の野焼きや放牧、採草などの長年にわたる人々の営みにより形成された文化的景観を、人類共通の資産(たから)として、適切に保全し、未来へ引き継いでいけるように国内外へ情報発信していくべきだとの提言がありました。 このほかにも、様々な取組が行われております。それにもかかわらず、平成20年に暫定一覧表候補としてカテゴリーⅠaに位置づけられて、今年で15年になります。 知事は、自分の任期中に阿蘇の暫定一覧表への記載を実現させたいとの念願を持っておられるとお聞きしております。 また、これまで開催されたシンポジウムで高い評価をいただいていると思いますが、阿蘇は、いまだ暫定一覧表入りが実現していない状況であります。暫定一覧表に記載されることで、今後の阿蘇の世界文化遺産登録推進に向けた取組も格段に加速すると思います。 そこで、カテゴリー入りから15年の節目として質問します。 阿蘇世界文化遺産登録のために、まずは暫定一覧表入り実現に向けて、最近の取組はどうなっているのか。また、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。そして、暫定一覧表入りの展望について、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長富永隼行君登壇〕 ◎企画振興部長(富永隼行君) 活火山を有する広大な火山カルデラにおいて、1,000年以上にわたる地域の方々の営みにより形成され、守られてきた阿蘇の景観は、人類全体にとって重要な世界的な価値を有しています。この阿蘇の価値を将来にわたり引き継いでいくため、阿蘇の世界文化遺産登録を目指し、現在様々な活動を行っています。 まず、最近の取組についてお答えします。 本年3月、知事が、阿蘇郡市の全市町村長の皆様とともに、文部科学大臣及び文化庁長官に対し、阿蘇の早期の暫定一覧表記載について要望活動を行いました。その際、文部科学大臣から、世界に向けて説明できる世界文化遺産としての価値の整理と資産候補地の法的保護を引き続き進めていただきたいとの御発言がありました。 現在、御発言を受けて、県と阿蘇郡市の市町村で、大学教授等で構成する阿蘇世界文化遺産学術委員会に諮りながら、将来世界遺産委員会へお示しする阿蘇の顕著な普遍的価値について、さらなる整理を行っています。また、資産候補地の法的保護についても、世界文化遺産に登録されるためには必要となるため、暫定一覧表記載後も見据え、文化財保護法に基づく選定手続を着実に進めています。 文化財保護法に基づく選定手続については、阿蘇の景観を維持してこられた地域の方々に対して、丁寧に説明を行い、御理解をいただく必要があります。 阿蘇の資産候補地は広大でありますが、議員御指摘のとおり、暫定一覧表への記載により、阿蘇地域の機運醸成や行政の体制強化につなげ、文化財保護法に基づく選定手続の期間短縮を図りたいと考えています。そのためには、阿蘇が早期に暫定一覧表に記載されることが必須です。 暫定一覧表入りの展望についてですが、一覧表の見直しは、国の文化審議会において、非公開で審議されるため、審議の状況や今後の見通しについては承知しておりません。 今後の取組についてお答えをいたします。 県としては、暫定一覧表入りの早期実現に向け、引き続き、文部科学省に対し、阿蘇郡市の市町村と連携し要望活動を行うとともに、暫定一覧表見直しの時期にかかわらず、価値のさらなる整理、資産候補地の法的保護、また、世界中の誰もが、阿蘇はまだ世界文化遺産ではないのかと感じていただくための国内外への発信など、今やるべきことに全力で取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 企画振興部長から答弁いただきました。 暫定一覧を目指して15年かかっておるわけです。あとどのくらいかかるんだろうというような感じがしておるわけでございます。 ただ、阿蘇の世界文化遺産登録に向けては、蒲島知事をはじめとして、県庁職員の皆さん一丸となって取り組んでいただいていることには深く感謝をいたす次第でございます。 質問で述べましたように、阿蘇でもシンポジウムがありました。そのときに、専門委員、有識者の皆さん方は、阿蘇のすばらしさを言われるんです。普通、すばらしさを言われたら、即決まると私は思っておったのですが、これがなかなかやおいかぬ。15年かかって、あと今から何年かかるんだろうという感じがしてなりません。 ただ、私が――今まで3回ほど阿蘇でありました。そして、東京でありました。それに出席させていただいておりますが、阿蘇郡市の首長さんは、皆さん参加されております。ただ、残念ながら、阿蘇郡市の市町村議員さんの姿があまり見受けられないわけです。やはり、阿蘇郡市の住民の方々が、世界文化遺産になることの大切な部分を、まだ深く御理解されていないのではないかと思っておるところでございます。 ぜひ、この市町村の首長さんだけでなく、あらゆるシンポジウム開催のときには、市町村議員も出席していただいて、阿蘇郡市民の方々に世界文化遺産のすばらしいことを説明していただかなければならないのではないかと思っておるわけでございます。 阿蘇で、また機会があれば、大いにシンポジウムを開いていただき、県は、どうぞ、文化庁、文部科学省に、答弁ありましたように、大いに働きかけていただきたい、そういうふうに感じる次第でございます。 次に、データを活用した住民サービスの向上について質問をさせていただきます。 先月の11月14日から16日にかけて、地域活力創生特別委員会の県外視察に私も参加し、デジタル、DXや移住、定住等に関する取組について、それぞれの現場を見て、お話をお伺いしました。 その中で、DXに関連し、千葉県柏市にある柏の葉スマートシティを訪問しました。この地域では、民間事業者が柏市と連携し、健康や環境などの社会課題にデジタルを活用して解決するという先進的な取組が進められておりました。 現場の担当者の方から詳しい説明を受けた後、実際にデジタル技術を体験しました。自分の手のひらをセンサーに乗せるだけで、野菜の摂取量の過不足を教えてくれるサービスや、カメラの前を歩くだけで、歩行姿勢の改善点を指摘してくれるサービスなどを私も実際に体験し、その場ですぐに自分の健康状態を把握できることに驚きを感じたところです。 また、柏の葉地域は、約2万人がお住まいですが、このうち約3,000人が登録され、日々の食事や運動などの健康データや健康診断で計測される血圧などの検診データを蓄積しているとのことでした。これらのデータは、自分のスマートフォンで確認できるだけではなく、データ分析のサービスを利用することで、将来病気になる可能性も分かるとのことでした。 データやデジタルというと、何か難しくて使いにくいものだと思っていました。実際に説明を受けながら使ってみると、意外に簡単で、便利で、役に立つものだと私も非常に感じたところでございます。 熊本県でも少子高齢化が進み、高齢者をはじめ住民の皆さんの健康づくり、生活習慣の改善は大きな課題です。 特に、住民に身近な市町村において、データの活用をさらに進めながら、住民の健康の維持、将来の疾病リスクの低減などに取り組む意義があるのではないかと感じました。 また、健康づくりだけではなく、もっといろいろな分野で生活を便利にする活用方法があると思います。 私が携わっております福祉や介護に関して考えてみますと、例えば、ある施設のショートステイを利用しようとしても、希望日に空きがないというときに、スマートフォンで他の施設の利用予定の情報が瞬時に確認できれば、空きのある他の施設の利用も容易になります。そういうことが、もっとダイナミックにいろんな福祉サービスの情報を連携させて利用できるとなると、その時々の事情、ニーズに最も適したサービスの選択や組合せがしやすくなりますし、サービスの提供側も調整がしやすくなるのではないでしょうか。 もちろん、福祉サービスや介護保険サービスの制度的な取扱いや施設ごとの契約締結の問題など、現在の仕組みをどうするかという課題もあると思いますが、相談支援専門員ケアマネジャーの仕事などもより円滑になると思いますし、ほかにも、子育て、教育など、多くの市町村が直面している共通の課題や私の地元阿蘇地域の主要な産業である観光など、様々な分野でもデータの活用が重要であり、有効ではないかと思います。 そのため、さらに柏市のような全国の先行事例も参考にしながら、住民に身近な市町村において、データやデジタル技術を活用した住民サービスの向上に取り組む必要があると思いますし、県として今後どのように取り組んでいくのか、デジタル戦略担当理事にお尋ねします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) 地域が抱える様々な課題を解決し、住民の利便性向上につなげるためには、官民データを活用したデジタル化、DXの推進が重要です。 県内の市町村においても、健康、観光、防災などの分野で、データを活用した住民サービス向上の動きが出てきており、県としても、こうした動きを支援し、加速化していく必要があると考えています。 このため、県では、データの活用促進に向けて、オープンデータの拡充やデータ連携基盤の構築など、環境整備に取り組んでいるところです。 データ連携基盤は、様々なデータを容易に連携、活用する機能や役割を持ち、新たなサービスの創出に不可欠なシステムとなります。 今年度中にデータ連携基盤の構築を完了し、来年度から、希望する13市町村と共同運用を開始する予定としております。 共同運用することで、市町村の負担を軽減することができ、広域的にデータを連携、活用することも可能となります。本県のような県と市町村による大規模な共同運用は、全国でも早い取組で、2例目となります。 また、現在、県では、住民の健康状態など、個人に関するデータを扱う基盤の構築に向けた検討も進めており、市町村におけるデータを活用したサービス向上の後押しをしたいと考えています。 健康分野に限らず、介護など住民の生活をより便利で快適なものとするために、デジタル技術とデータの活用は極めて有効です。 今後とも、全国の先行事例を市町村と共有しながら、市町村における住民サービス向上の観点から、県全体のDX推進にしっかりと取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) デジタル戦略担当理事より答弁をいただきました。 私が携わっております障害者・高齢者施設でデジタル、DXを導入、利用することは、様々な面で役立つ可能性があることを知りました。 考えてみた場合に、健康管理とモニタリングセンサーやモバイルアプリを利用して、入居者、利用者の健康状態をリアルタイムでモニタリングすることができ、これにより、早期の問題や緊急事態に素早く対応できるのではないかと、また、生活支援と自立支援においては、スマートフォン、テクノロジー、ID及びデバイスなど活用して、施設内外の生活環境を改善でき、入居者や利用者の自立をサポートできると思います。 DXは、ニーズの収集、分析等を行い、福祉サービスや住民サービスの提供を効果的かつ効率的にし、利用者及び住民の生活を向上させるものと思います。 ぜひ、県においても、様々な分野でDXに取り組まれることを要望します。よろしくお願いします。 次に、熊本地域の地下水形成と阿蘇地域の湧水群について質問をいたします。 阿蘇は、九州の水がめと言われ、筑後川など、九州4県の主要6河川の源流域となっていますが、本日は、大津町、菊陽町を通り、熊本市へ流れていく白川に関して質問をいたします。 10月16日の新聞に「地下水涵養、事業者に促す」の見出しで、県が地下水涵養指針を改正したと出ていました。TSMCなどの企業進出に伴う地下水採取の増加に対応した措置のことです。そこには、指針の改正対象の市町村と重点地域が掲載されていましたが、阿蘇地域は西原村のみで、白川の水源地域である阿蘇市、高森町、南阿蘇は含まれておりません。 熊本県地下水保全条例第25条では、「地下水の採取に伴う障害が生じ、」または「生ずるおそれのある地域並びにこれらの地域と地下水理において密接な関連を有すると認められる地域を指定地域として指定する。」とあります。さらに、25条の2では、「指定地域の中で、特に地下」「水位が低下している地域及びこの地域と地下水理において密接な関連を有すると認められる地域を重点地域として指定する。」とあります。 熊本地域としてくくられた熊本市及び周辺地域は、水道水のほぼ100%を地下水に依存していますが、地下水採取許可制を導入した当時、平野部でも台地部でも地下水位の長期的な低減傾向が観察されていたため、重点地域に指定されております。 この熊本地域は、水が浸透しやすい火砕流堆積物の地層が2層に分かれ、その間に水を通しにくい難透水層が存在するとされていますが、大津町や菊陽町の白川中流域は、この難透水層が存在しないため、この地域の水田はざる田と呼ばれます。 一般的な水田の水の浸透は、1日に1センチから2センチ程度ですが、この地域は、1日に5センチから20センチも浸透する特性があります。 この水をためにくいざる田で水稲作を可能にしているのが、白川から取水する井手と呼ばれる用水路で、この地域には、主要6つのかんがい用の堰があります。 このかんがいに用いる白川の水流の源は、阿蘇地域の湧水です。阿蘇谷では、外輪山や阿蘇五岳の湧水が黒川に流れ込みます。南郷谷では、毎分60トンの白川水源や南阿蘇湧水群が10か所で約150トン、高森湧水トンネル公園では32トンの湧水が白川に流れ込んでおり、黒川と白川は、下流域に莫大なかんがい用水を供給しております。 話は戻りますが、熊本市は、地下水低減傾向に危機感を抱き、2004年から、さきのざる田を逆手に取り、白川中流域の農業者等の協力を得て、転作田の作付前後に水を張る湛水により、地下水を涵養するという政策を実施しています。これは、行政域を越えた事業として注目されました。しかし、その水を供給している白川や黒川の水源がある阿蘇地域は、重点地域はおろか、指定地域にも入っておりません。 地下水涵養指針で地下水域を示した図を見ますと、阿蘇の地下水域と熊本周辺の地下水域は分かれていますが、水田涵養が大きな役割を持つ熊本地域の地下水保全には白川の豊富な水流が不可欠であり、白川を介して密接な関連を持つと思います。 水源保全には、草原、牧野の管理や森林間伐、刈り草管理が欠かせません。白川流域を主体にした土地改良区では、黒川・白川流域水土里ネット連絡協議会を組織し、様々な活動を行っております。 その一つに、根子岳山麓に地下水涵養を促すための山林原野を阿蘇市から借り受けて保全活動を行っています。熊本地域の地下水を守ることは、すなわち白川を守ることと表裏一体であると思います。 以上を踏まえ、阿蘇地域が指定地域や重点地域にならなかった理由をお尋ねします。 また、阿蘇地域の地下水、湧水の保全の重要性について、どのようにお考えでしょうか。環境生活部長にお尋ねします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、阿蘇地域が指定地域や重点地域にならなかった理由についてお答えいたします。 現在指定地域とされている熊本周辺地域、八代地域、玉名・有明地域及び天草地域は、過去に、地下水の水位低下や塩水化、地盤沈下など、地下水の採取に伴う障害が生じ、または生ずるおそれがあったため、指定を行ったものです。 一方で、阿蘇地域については、地下水や湧水等に恵まれ、指定地域の要件である地下水の採取に伴う障害が確認されていません。また、議員御指摘のとおり、白川を介して指定地域である熊本周辺地域と密接な関連を持ちますが、地下水の水脈において関連性が低いため、指定しておりません。 なお、重点地域は、指定地域の中で特に揚水規制が必要な地域であるため、指定地域に指定されていなければ、重点地域の指定の対象にもなりません。 次に、阿蘇地域の地下水、湧水の保全の重要性に関する見解についてお答えいたします。 白川水源や阿蘇神社周辺の水基などに代表される阿蘇地域の地下水、湧水については、地域の人々の生活、文化の礎として、また、阿蘇の観光資源としてかけがえのない地域の宝であり、次の世代に引き継ぐ必要があります。 また、阿蘇地域の湧水等を源とする白川の豊富な水量は、白川中流域での農業や水田湛水事業を支えており、熊本地域における地下水形成の重要な役割も果たしていることから、本県の大切な財産であると考えています。 このような認識の下、県では、阿蘇地域において、地下水の採取に伴う障害が生じていないか確認するため、現在、阿蘇地域の地下水や湧水の状況について、3か所の県の観測井戸で常時監視を行うとともに、8か所の民間井戸や自噴井戸で毎月観測を行っています。 直近の観測データでは、地下水位や湧水に大きな問題は確認されておりませんが、引き続き、長期的な傾向を注視しながら、関係市町村とも連携し、阿蘇地域の地下水の保全に向けて取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 阿蘇地域については、指定地域の要件である地下水の採取を伴う障害が確認されていないこと、また、熊本地域の地下水とは、地下水の水脈においては関連性が低いため、指定されていないとのことでした。しかし、阿蘇地域の地下水、湧水が、白川を介しては密接な関連を有しているという御認識はいただいていると理解しております。 質問でも述べましたが、阿蘇地域の地下水を育む水田涵養を支えているのは、紛れもなく、阿蘇地域の地下水、湧水を源とする白川の豊富な流量でございます。熊本地域の地下水形成に極めて重要な役割を果たしていると思いますので、阿蘇の地下水は、熊本県の宝として、未来永劫に守り継いでいく県民共有の財産と考えます。 十分にその御認識はお持ちであると思いますが、県としても、ぜひ、そのことを十二分に踏まえて、阿蘇地域の地下水、湧水の保全対策、監視や観測のみならずに、森林や草原、農地の維持の問題も含めて、しっかりと進めていただきたいと思います。熊本地域の関係の皆さんからも御支援、御協力を賜りますようお願いいたします。 次に、ヤングケアラー支援対策についてでございます。 ヤングケアラーについては、本県議会でも鎌田議員が2度質問されていますが、今回改めて質問をしたいと思います。 全国では、複数の自治体でケアラー支援条例を制定しています。また、国の2025年度からの第9期介護保険事業(支援)計画の基本指針案においても、充実する事項にヤングケアラーを含む家族介護者支援の取組が重要であると記載されるなど、ヤングケアラーに対する認識が高まっております。 日本ケアラー連盟の定義では、ヤングケアラーとは「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」とされております。 この問題は、令和2年に、埼玉県が全国初のケアラー支援条例を制定し、その後、国が厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームを立ち上げ、全国調査の結果を公表するなど、大きく取り上げられました。 本県でも、令和3年度と令和4年度の2か年にわたって、県内の学校及び子供本人を対象として、熊本県におけるヤングケアラーの実態に関する調査を実施いたしました。 令和3年度の調査対象は、学校については、小学校は抽出で22校、中学校172校、高校85校です。子供本人については、中学校2年生で1万6,562名、高校2年生で1万5,212名です。 令和4年度の調査対象は、学校については、小学校336校、子供本人については、小学6年生1万6,461人、大学3年生5,756人です。 具体的に、幾つかの事例を紹介します。 令和4年度に実施した小学生の調査結果では、世話をしている家族が「いる」と回答したのは6.3%、世話の対象は「きょうだい」が主体で79.3%でした。また、就学前から世話をしている子供は20.4%、低学年のうちからが35%でした。核家族化、共働き等、家族構成の変化などが要因となり、幼いうちからケアの担い手になりやすいと考えられます。 我が国は、昔から家族の面倒は家族で見るものとの倫理感が存在します。しかし、現代になって殊さら問題になってきたのは、地域のつながりが薄らぎ、各家庭の実態が見えにくくなってきたためと思われます。 ヤングケアラーの問題としては、学業や社会的つながり、心理面、健康面に与える影響は大きく、日々の生活に影響が出ているとうかがえました。 また、本県の実態調査の結果から、学校現場における家庭内問題への介入の難しさが浮き彫りになりました。学校によっては、教職員間での情報共有や他機関との連携対応も確認されました。 子供と日々接している教員が気づくことが支援につながる第一歩であり、家庭内の状況を把握するため、スクールソーシャルワーカーや行政の福祉、子育て部門との連携が重要であると認識されました。 さらに、令和3年度の調査結果では、県内の中高生の2.8%が世話をしている家族が「いる」と回答しており、その8割近くが誰にも相談したことが「ない」と回答しております。 県では、これらの調査結果を踏まえ、専門の相談員を配置し、相談対応を始めております。 私は、福祉、介護、医療、教育をはじめとする関係機関が、ヤングケアラーについて認識を深め、早期に存在に気づき、見守り、寄り添い、具体的な支援につなぐことが必要ではないかと思っております。 そこで質問ですが、現在のヤングケアラーの相談窓口の対応状況はどのようになっているのか、また、今後、県は、ヤングケアラーの支援にどのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) ヤングケアラーは、本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のことです。子供としての時間が奪われ、健やかな育ちや学業に大きな影響を受けるため、その支援は重要な課題です。 県が実施した実態調査において、県内にもヤングケアラーが一定数存在することが明らかになったため、昨年7月には、子供たちをはじめ誰もが気軽に相談できる専門の相談窓口を設置しました。 開設から先月末までの1年余りで、延べ211件の相談があり、障害のある母親の世話をしている子供や幼い兄弟の世話をしている子供など18人に対して、関係機関等と連携し、見守りや福祉サービスにつなぐといった対応を行っています。 しかしながら、これらの相談は、ヤングケアラー本人からではなく、全て学校や近隣、知人などからなされたものです。 これは、ヤングケアラーが家庭内の問題であるとともに、幼い頃から家族の世話などに当たっている環境を当たり前と認識していることが要因として考えられます。現に、実態調査においても、誰にも相談をしたことがない子供の割合が高いという結果も出ています。 そのため、相談窓口に配置したコーディネーターが自ら地域や学校を訪問するなど、ヤングケアラーを探し出し、直接相談につなげるアウトリーチ型の取組を今年度から始めたところです。 また、市町村や教育機関等と連携し、福祉や教育関係者への研修会等を充実することにより、関係者の理解促進や対応力の向上を図り、早期発見、支援を行う体制を構築してまいります。 さらに、当事者同士が悩みや経験を共有することができるよう、ピアサポーターを発掘、養成し、サロンを開催するなど、ヤングケアラーに寄り添った支援を行ってまいります。 今後も引き続き、誰一人取り残さない社会の実現に向け、関係機関と連携を図りながら、ヤングケアラーの支援にしっかりと取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 健康福祉部長から答弁いただきました。 私は、表面化しにくいヤングケアラーの孤独、孤立を防ぎ、継続した相談・支援体制を構築することが大事ではないかと思っております。そのためには、やはり全国規模のシンポジウムを開催し、地域ごとの当事者、支援者同士の相互交流を促すことにより、ヤングケアラーの相互ネットワークの形成を図ることができるのではないかと考えております。 子供の中には、家庭状況を知られたくないと学校や周囲に隠す子供もいたり、家族のケアをすることは当たり前と、問題と自覚していない可能性も子供にはあります。 また、福祉は申請主義で、なかなかヤングケアラーに支援が届きにくいという課題もあります。ぜひ、ヤングケアラーコーディネーターがしっかりと情報収集や実態把握し、適切な支援につなげるように取り組んでいただきたいと思います。 福祉、医療、介護、教育などの関係機関が連携を深め、社会福祉士や臨床心理士などの専門職の対応力を強化していただき、ヤングケアラーに寄り添って対応できるよう、研修を行うなどで人材育成を行い、ヤングケアラーの支援体制の強化を図っていただくことをお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。 施設に入所中の障害者の地域移行支援体制の整備についてでございます。 障害者の権利に関する条約は、御承知のとおり、障害者の人権、基本的自由の享有を確保し、権利を実現するための措置等を定めた国際条約で、我が国も、平成24年にこの条約を批准しました。 昨年、批准後初となる国連障害者権利委員会による審査が行われ、日本は障害者の自立した生活や地域社会への包容が不十分であるとして、障害者が施設を出て、地域社会で自立して生活するための支援の整備を強化すべきなどの勧告が出されました。これを受け、国においては、障害者の地域生活への移行を進めるための制度の改正が進められております。 地域移行の受皿として重要な役割を担うのは障害者グループホームですが、まだまだ供給が追いついていないのが現状です。 さらに、グループホームをめぐっては、今年10月、東京にあるグループホームの運営会社が、利用者から食材費を過大に徴収したり、虐待を行っている疑いがあるとして、国や自治体による監査を受けている問題で、国は、同会社による障害者福祉サービス報酬の不正請求はないか確認するよう、関係自治体に通知を行ったとの報道がありました。 県の担当課に確認したところ、本県には同会社の進出はなく、他のグループホームにおいても問題は発生していないと聞き、安心したところです。 ここで本県の状況を見てみますと、令和4年度末現在の障害者手帳所持者は12万人。身体障害者が8万1,000人、知的障害者が2万2,000人、精神障害者が2万1,000人で、県の人口の7.3%を占めております。 そのうち、令和4年度末時点で、障害者支援施設に入所されている方は2,760人で、前年度末と比較すると43人の減となっています。一方、令和4年度末時点で、グループホームの棟数は576棟で、3,024人が入居されており、前年度末との比較では、棟数は27棟の増、入居者数は163人の増となっております。 近年では、社会福祉法人以外の法人がグループホームの運営に新規参入するケースも増えており、徐々に整備が進んでおりますが、今後、量的確保に加え、専門性の高いサービスの提供、すなわち質の向上が必要になってくると考えます。 先般、施設に入所されている知的障害者の親の会の方々とお話しする機会がありました。 障害者の中には、意思決定に支援が必要な方や自立して日常生活、社会生活を送るのが困難な方もおられます。親や家族が高齢化していく中、入所施設からグループホームや地域への移行が一律に進められるのではないかと不安を感じる、親亡き後も安心して暮らせるよう、地域生活実現のための環境整備に力を入れてほしいといった声が多く聞かれました。 障害者が地域で安心して暮らしていくためには、いつでも相談できる相談支援体制を構築することが重要だと考えます。 県においては、障害者総合支援法や条例、障がい者プラン等に沿って、障害者の意思決定を尊重し、望む地域で安心して暮らせるよう、相談支援や必要な障害福祉サービスの安定供給に向けた体制整備や人材育成等に取り組んでおられると聞いております。 さきに述べた御家族の声にもありましたが、親亡き後も見据えて、障害のある方もない方も共に暮らせる地域社会の実現は、当事者やその家族を含め、県民全体の願いです。 そのためには、グループホーム等、地域における居住の場の量的・質的充実だけではなく、御本人の選択や意思決定を支える相談支援事業の充実や、障害者の重度化、高齢化にも対応できる支援拠点の整備など、地域における包括的な支援体制づくりを早急に進めていく必要があると考えます。 そこで、施設に入所中の障害者の地域移行支援体制の整備についてどのように進めていくのか、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 本年8月に、障害当事者、家族団体との意見交換を行っていますが、どの団体も地域移行の関心が高く、その支援が非常に重要であると考えております。 議員御指摘のとおり、グループホームは地域移行に不可欠なサービスです。 このため、まず、量的な充実に向けては、身近な地域でグループホームの利用ができるよう、熊本県障がい福祉計画に基づき、市町村と連携したサービス提供体制の確保に取り組んでいます。 具体的には、開設に当たっての補助事業を実施してきており、最近では、障害者の重度化や高齢化という状況に対応した日中、夜間も介護等を行うグループホームや短期入所を併設したグループホームも増加しているところです。 次に、質的な充実に向けては、グループホームを運営する事業者に対する実地指導等において、不適切な運営があった場合の是正指導や改善に向けた助言を行うほか、管理者や従業者を対象とした研修等を実施し、サービスの質の向上を図っております。 また、障害者総合支援法の改正により、来年度から新たに、グループホームを出て一人暮らしを希望する方への支援や退去した後の地域定着に関する相談支援等が開始されます。 さらに、障害者が地域で安心して生活するためには、住まいの確保だけでなく、意思決定支援や様々な困り事への相談支援、緊急時の対応など、地域での支援体制の充実を図ることも重要です。 そのため、地域における相談支援の中核を担う基幹相談支援センターの整備や緊急時の対応を行う地域生活支援拠点の機能強化について、市町村や障害福祉サービス事業者、関係団体と連携しながら進めていく必要があると考えております。 現在、くまもと障がい者プランの見直しやこれに基づく障がい福祉計画の策定を進めておりますが、各計画においても地域移行支援対策を着実に推進していくことを盛り込む予定です。 今後も、医療や保健、就労等の関係機関と連携しながら、県の取組の充実を図ることはもちろんのこと、市町村による基幹相談支援センターの整備など、重層的な支援体制の構築やさらなる機能拡充の取組を支援することにより、障害者が安心して暮らすことができる共生社会の実現に努めてまいります。 ○議長(渕上陽一君) 岩本浩治君。――残り時間が少なくなりました。発言を簡潔にお願いします。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 国連障害者権利委員会によりますと、障害者のグループホームも通過施設と位置づけようとしているという話を聞いております。 私は、障害者グループホームを平成5年に開設しました。当時、グループホームはありませんでした。そういう制度はですね。そして、私が障害者と接して、48年寝食を共にして、今現在、私が経営している障害者グループホームは7か所ありまして、55名の障害者が地域生活をしながら、そして自分で働きながら、日々の生活をしておるわけでございます。 グループホームの利用者が、あくまでもグループホームとして通過ということになりますと、福祉部長答弁がありましたように、やはりアパートを整備したり、そして何よりも障害者を理解できる全てのサポートがなければ駄目ではないかと思っております。 ぜひ、障害者が安心して生活できる地域在宅の住まいの位置づけを障害者グループホームは堅持していただきたいと思います。 ぜひ、障害者グループホームで生活している障害者のために、県のお力も十分に――この国連障害者権利委員会に対して、また、国に対して要望を述べていただきたいと思います。 以上、私の質問の時間を終わります。 最後まで清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩します。  午前11時1分休憩    ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前田敬介君。  〔前田敬介君登壇〕(拍手) ◆(前田敬介君) 皆様、おはようございます。荒尾市選出・前田敬介でございます。本日5回目の質問ですが、まだまだ緊張しております。しかしながら、一生懸命発言させていただきます。 質問に入る前に、宣伝みたいな形で、実は、荒尾市出身、バレーボール男子日本代表・宮浦健人選手という方が、荒尾市出身でいます。御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、荒尾市出身の荒尾市立八幡小学校、そして、鎮西高校を卒業後、バレーボールアジアユース選手権、アンダー19の日本代表のキャプテンとして選出され、その大会で初めて金メダルを取られた選手でございます。 その後、Vリーグ・ジェイテクトで結果を残してポーランドへ行き、現在では、フランス・リーグA、パリ・バレーに在籍されております。 6月に行われましたネーションズリーグでは、1977年以来46年ぶりに銅メダルを取られまして、海外のファンからは、スーパースターがまた1人日本に現れたという声もありました。 10月に開催されましたワールドカップでは、見事パリ・オリンピックの出場を勝ち取られております。またオリンピックで活躍されますことを願いまして、そして、皆さんで、バレーボール日本代表、荒尾市出身・宮浦健人選手の応援をよろしくお願いします。 また、熊本県出身の世界で活躍する選手が熊本県で見れるよう、一般質問初日から出ておりますアリーナ建設、蒲島知事......(発言する者あり) それでは、発言通告に従い、5項目について一般質問を行います。 初めに、障害者への医療費支援についてお尋ねいたします。 障害者への医療費支援は、自己負担額を軽減する公費負担医療制度として、自立支援医療、指定難病に係る医療、小児慢性特定疾病に係る医療などといった、法律に基づいて、医療費の自己負担額の一部を国、県、市町村が公費で負担するもののほか、全国で実施されている重度心身障がい者医療費助成事業というものがあります。 重度心身障がい者医療費助成事業は、実施主体が市町村で、市町村は、条例に基づき、重度心身障害者の福祉の増進を図るために、対象者の医療費助成を行います。県は、市町村が助成した経費の2分の1以内を補助するという県単独事業です。 受給対象者は、障害の程度が重度に区分される身体障害者手帳1、2級、療育手帳A1、A2、精神障害者保健福祉手帳1級の手帳所持者及び福祉手当受給相当者となっています。 この事業により、対象医療費の自己負担額としては、1医療機関等につき、入院の場合が月2,040円、入院以外の場合が月1,020円となり、医療保険給付後の自己負担額から自立支援医療等による給付や高額療養費を控除した額との差額が市町村から助成されることになります。 この受給対象者は、障害の程度が重度に区分される人であり、1人で生活するのが困難で、家族や施設の方に付き添われて通院する人や入院が長期にわたる人も少なくありません。 そこで、この重度心身障がい者医療費助成事業における市町村から受給対象者への医療費助成の支給方法について質問いたします。 まず、支給方法については、償還払い方式と現物給付方式があり、償還払い方式は、病院等で診察、治療、投薬など受けた後、一旦病院窓口で医療保険給付後の自己負担額の全額を支払って、さらに、役場の窓口へ領収書と併せて医療費助成の請求書を提出し、後日、支払った費用の全額または一部を払い戻してもらう方法です。 現物給付方式は、病院等で診察、治療、投薬などを受け、病院等での窓口支払いは、既定の軽減された自己負担のみを支払い、医療費の請求は病院等から役場に直接行い、病院等が支払いを受ける方法です。 償還払い方式について、県民の方から、現物給付方式にならないのか、病院に本人を連れていって、また、市役所へ行って申請しないといけない、お金は後から返ってくるけど、病院の窓口では一旦支払う必要があり、支払いが多いときは大変だといった声がありました。 市役所に現状を確認したところ、付添いの方が高齢化してきて、病院に行ったり重心医療費助成の請求に市役所に行ったりで大変という意見は市民から寄せられている、現物給付方式にできたら受給対象者のメリットは大きいと思う、しかし、システム改修や新たな予算措置等のハードルがあり、市単独の取組では、現物給付方式への早期移行はなかなか厳しいのが現状との反応がありました。 類似の県単独事業である乳幼児をはじめとした子供への医療費支援を行う子ども医療費助成事業では、県内のほとんどの市町村が現物給付方式を導入しています。 一方で、障害者への医療費支援である重度心身障がい者医療費助成事業は、熊本市と天草市のみが現物給付方式と償還払い方式の併用としており、ほかの43市町村は償還払い方式のみの現状です。 重度心身障がい者医療費助成事業での現物給付方式の導入は、受給対象者及びその御家族の負担軽減につながります。ぜひ、財政規模にかかわらず、県内全市町村が取り組めるよう、県が先頭に立って推し進めていただきたいと考えます。 そこで質問いたします。 県は、現物給付方式の導入についてどのように考えているのか、また、現物給付方式の導入市町村が広がらない理由は何か、さらに、今後の取組の方向性についてどのように考えているか、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 重度心身障がい者医療費助成事業は、市町村が実施主体となり、心身に重度の障害のある方の医療費負担の軽減を図ることを目的に実施しているもので、健康の保持や生活の安定を確保する上で、非常に重要な事業です。 現在、県内の多くの市町村で償還払い方式を導入しているところですが、議員御指摘のとおり、現物給付方式は、障害者御本人やその御家族にとって負担が少なく、利便性が高い方式です。 一方、市町村にとっては、現物給付方式を導入した場合、一般的に医療機関に受診する患者数が増え、医療費の増加につながるとして、その波及増分は、当該自治体が負担するものとされ、国において国民健康保険の国庫負担金の減額調整が行われること、また、医療システムの導入や更新に加え、国民健康保険団体連合会等へ審査や支払いの事務委託により財政負担が増すことなどから、導入が進んでおりません。 そこで、県では、現物給付方式の導入を市町村が少しでも進めやすくなるよう、これまでも、国に対し、国民健康保険の国庫負担金が減額される制度の撤廃を求めてきたところです。 今後も、他県とも連携し、引き続き国に対する制度撤廃の要望を行ってまいります。 また、各市町村の課題や実情を丁寧に把握しながら、国民健康保険団体連合会等の関係団体に対し、実情を把握するための調査を行い、システム導入や事務委任しやすい環境づくりを進めることで、障害者御本人やその御家族の負担軽減となる現物給付方式の導入に向けた支援に取り組んでまいります。  〔前田敬介君登壇〕
    ◆(前田敬介君) 健康福祉部長より御答弁いただきました。 県も、国に対し、国庫負担金減額解消等のため、取り組まれているということでした。そして、現物給付方式の導入に向けた支援に取り組んでまいると、前向きな御答弁と受け取らせていただきます。 市町村が負担なく取り組めるよう、県の最大のバックアップ、何より、支援を受けていらっしゃる皆様のためにも、少しでも早く実施できるよう、よろしくお願いいたします。 次に、ノリ養殖業の振興について質問いたします。 本県の海面養殖業生産量の約7割を占めるノリ養殖ですが、温暖化による海水温の上昇により、養殖に適した海水温の期間が短くなることで、養殖ができる期間も短くなっています。 また、イスラエルとハマスによる紛争やウクライナ侵攻の影響などもあり、燃油や資材価格の高騰に伴い生産経費が増加するなど、ノリ養殖業を取り巻く環境は毎年厳しくなっています。 そのような中、全国的に漁業就業者の減少が進んでおり、本県においても例外ではなく、平成30年時点での漁業就業者数は5,392人で、昭和63年の1万7,467人から、この30年間で31%まで減少しており、高齢化が進む地域の現状を鑑みると、今後さらに漁業就業者の減少が懸念されます。 ノリ養殖において、この漁業就業者の減少に少しでも歯止めをかけるためには、漁業を取り巻く環境の進化が求められてきているのではないかと考えます。 私の言う漁業を取り巻く環境の進化とは、養殖にかかる手間を減らし、生産にかかるコストを下げることで、継続的に漁業経営ができる環境を整備することです。 現状でも、後継者がおり、3世代、4世代、次の世代につなげる漁業者は、進化に向けて、自身で最新のノリ摘採船を導入したり、省エネ型の乾燥機等に更新したりできていますが、後継者がいない漁業者やノリ養殖への新規参入者は、自身で進化に必要なノリ摘採船や乾燥機などを導入、維持していくことは、設備投資としては相当高いハードルではないかと考えます。 そのため、これから先、後継者がいない漁業者が、可能な限り安心してノリ養殖を続けていく、または新たな就業者確保につなげていくためには、養殖や乾燥作業の分業によるシステム化が必要となってきます。 乾燥作業の分業化としては、ノリを共同で乾燥するための施設を整備し、複数の漁業者で利用することが挙げられます。 例えば、熊本北部漁協では、全11経営体のうち1経営体を除き、共同乾燥施設を利用されております。その効果として、漁業者は、海上での養殖作業に専念でき、将来の乾燥機の更新など、設備投資への不安がないことから、後継者等の就業にもつながっております。 特に、新規就業となれば、養殖に必要な漁船や資材の準備だけでよくなり、就業開始時の初期投資を大きく抑えることができることから、国の長期研修支援事業を活用しながら、独り立ちにつなげていくことができます。 そう考えると、養殖への新規漁業者を増やすためには、共同乾燥施設の整備が欠かせなくなっているのではないかと考えます。 そこで、今後、ノリ養殖の漁業就業者の減少に歯止めをかけ、発展させていくためには、どのように省力化やコスト削減といった進化に取り組み、ノリ養殖を振興していくのか、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) 本県のノリ養殖業は、全国第4位の生産額を誇り、平成26年度から9年連続で生産額が100億円を超えており、本県水産業において主要な漁業です。 ノリ養殖業の振興を図るため、県ではこれまで、担い手の育成、確保や安定した養殖生産に向けた様々な取組を進めてまいりました。 まず、担い手の育成、確保では、漁業団体や関係市町と連携した漁業研修開始前のマッチング研修や就業時の漁船や漁具のリース制度の導入など、就業希望者の掘り起こしから就業、定着まで、切れ目のない県独自の支援体制を整備するとともに、昨年度から就業希望者への事業承継の取組を支援しています。 また、温暖化に伴う高水温に耐性のある新たな品種の開発や適切な生産スケジュールの提案など、安定した養殖生産のための取組を進めています。 さらに、生産体制の整備として、漁業団体や市町と連携し、高性能の摘み取り船の導入や共同乾燥施設の整備など、生産コストの低減や作業の省力化による経営基盤の強化に向けた取組を推進しています。 中でも、共同乾燥施設の整備では、整備後の加工経費が4割削減されたほか、海上での養殖作業と陸上での乾燥作業の分業により、労働時間が6割削減されるなど、大幅な低コスト化や省力化の効果が確認されています。 初期投資が低減されるほか、乾燥作業からの解放による労働環境の大幅な改善が、親元からの独立就業や異業種からの新規参入などの新たな担い手確保にもつながっています。 県では、平成26年度から、11地区で共同乾燥施設の整備に係る経営シミュレーションを行い、各地区での検討を進め、協議が調った地区では、国の事業を活用した整備を推進してまいりました。 このような取組の結果、漁業協同組合や民間企業が整備した共同乾燥施設が3地区で計7棟に増えたほか、来年度は、民間企業が新たに1棟を整備、稼働させる予定です。 県としては、施設整備の効果を検証し、漁業者へ周知することにより、引き続き地域での検討を進め、共同乾燥施設のさらなる普及拡大を進めてまいります。 今後とも、本県のノリ養殖業が持続的な漁業として発展できるよう、漁業団体や関係市町と連携し、できる限りの振興策を積極的に進めてまいります。  〔前田敬介君登壇〕 ◆(前田敬介君) 農林水産部長より答弁いただきました。 県は、本当にいろいろな手段で取り組んでくださっていると思います。施設の効果をたくさん言われて、検証ということでしたが、答弁でもたくさん結果が出ておりますので、これからは、その結果をしっかり発信して、どれだけもうけるとか、どれだけ楽になるとか、それを発信するタイミングだと思っております。 国の施設整備も船舶の購入も、お話によると、1.5倍ぐらいの金額に跳ね上がって、なかなか取っかかりづらいというお話もあっております。国の補助事業に加えて、もしよろしければ、県のさらなるプラスアルファの支援をできればと思います。 昨年も、金額は100億を超えて、連続で超えているという話ですが、やはり枚数はちょっと減っているという状況がございますので、やはりそれを挽回できるようお力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 続いての質問に入らせていただきます。 3、4番の質問は、昨日の住永議員と質問がかぶっているところがありますが、同世代の声がそれだけたくさんあるということと思って聞いていただければと思います。 多子世帯をはじめとした子育て世帯への支援の在り方について質問いたします。 我が国の少子化は深刻さを増し、昨年の出生数は80万人を割り込む77万747人で、明治32年の調査開始以来、最少となったとのことです。合計特殊出生率も1.26で、前年の1.30より低下し、政府は、予測よりも8年早いペースで少子化が進んでいると発表しております。 少子化の主な原因としては、未婚化や晩婚化の進展や若者の結婚及び出産に関する意識が変化していること、依然として男女別賃金格差が存在し、育児や家事に対する女性の負担が大きいことが挙げられています。 今回は、その中で、多子世帯を取り上げさせていただきます。 令和5年6月に県が実施した「こどもまんなか熊本」の実現に向けた子供・子育てに関する県民アンケート調査では、社会人の方に、理想の子供の人数と現実的に持つ子供の人数を尋ねています。 理想の子供数を3人以上と回答した人は59.5%でしたが、現実的な子供数を3人と回答した人が29.8%であり、その差は29.7ポイントでした。理想としては子供を3人以上持ちたいと考えている人のうち、現実には3人以上持っていない、または持つことはないだろうと考える人が多いということが分かりました。 アンケートでは、理想を追い求めることができない理由についても尋ねています。 現実的に産み育てる予定の子供が理想よりも少ないと回答した方たちに対して、その理由を尋ねると、子育てや教育にお金がかかり過ぎると回答した人が55.3%と過半数を占めました。 年代別でその内訳を見てみると、20代の86.8%、30代の77%、40代の62%が子育てや教育にお金がかかり過ぎると回答しており、それぞれの年代で最も多い回答数でした。さらに、若い人ほど子育てにかかる金銭的な不安の強さも明らかになりました。 よって、3人以上の子供を産み育てたいと考えている若い子育て世代の金銭的な不安を和らげる施策を打つことが、少子化対策には有効であるとの結論が導かれるわけですが、実際に第3子以上を産み育てている多子世帯が熊本県にはたくさんおられます。 熊本県の子供が3人以上いる世帯数の割合は、令和4年で、全国平均17.5%より高く25.3%であり、全国第6位です。熊本県に住んでいるたくさんの現役多子世帯は、経済的な不安の中で子育てをしているのではないでしょうか。 私自身は、独身で子供がいませんが、周りには子育て真っ盛りの家庭ばかりで、3人、4人、5人と子供を持つ家庭がたくさんいます。しかし、話を聞くと、いろいろ値段が上がって大変、習い事もあるけん保険解約したばい等、生活の大変さを聞きます。 少子化対策は待ったなしです。3月の記者会見において、岸田総理は、2030年代に入ると、我が国の若年人口は、現在の倍速で急減し、少子化は歯止めの利かない状況になることが予想されており、2030年代に入るまでの6~7年間で、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと話されました。 一方、20代の人口が急激に少なくなる2025年が少子化対策のリミットであり、若者に届く即時策の必要性を訴える有識者もおられます。 そこで、2点お尋ねします。 1つは、多子世帯の経済的な負担の軽減策についてです。 県では、子供医療費助成の拡充や、国が小学校就学前までに限定している兄弟姉妹の範囲を18歳未満まで拡大してカウントした場合の第3子の保育料を無償化する事業、そして、兄弟姉妹が同時に放課後児童クラブを利用している世帯の第3子以降の子供への利用料の助成について取り組んでおられます。 熊本のさらなる少子化対策を推進するため、もう一歩多子世帯への経済支援の拡充をしてはいただけないでしょうか。 2つ目は、子育て支援についてです。 私の周りの多子世帯は共働きが多く、経済的な支援だけでなく、子育て環境整備による支援も重要ではないかと考えております。 子供を安心して産み育てられる社会づくりを推進するため、全ての子育て世帯に対し、今後どのような子育て支援に取り組まれるのでしょうか。 以上2点について、健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、1点目の多子世帯への経済的な負担軽減策の拡充についてお答えします。 本県の人口が減少局面を迎えている中にあって、3人以上の子供を産み育てる多子世帯数の割合は、他都道府県と比較して高い傾向にあり、その負担を軽減することは、本県の少子化対策を考える上で重要であると認識しております。 本県では、多子世帯への経済的支援として、満3歳未満の第3子以降の子供への保育料無償化や放課後児童クラブを利用する兄弟姉妹の第3子の利用料助成を市町村と連携しながら取り組んでおります。 国は、本年6月に、こども未来戦略方針を閣議決定しました。現在、この方針に盛り込まれている児童手当の第3子以降の加算等について議論が行われております。 このような国の動きを注視し、県と市町村との役割分担を踏まえながら、これまでの各事業の成果を検証した上で、効果的な多子世帯への支援について考えてまいります。 次に、2点目の子育て支援についてお答えします。 保育や放課後児童クラブなどを含めた子育て支援については、市町村が地域の実情に応じて、その充実強化を図っていくことが重要です。 県では、こうした取組について、安心こども基金等を活用しながら支援しているところです。 具体的には、来年4月に努力義務化される妊産婦、子育て世帯及び子供への支援を一体的に行うこども家庭センターの設置に向けた支援を行っております。これにより、きめ細かな相談支援を切れ目なく行う体制が整い、家庭の状況や個々の課題に応じた伴走型支援が可能になります。 また、乳幼児や小学生等の保護者を会員として、預かり等の援助を受けたい方と援助を行いたい方とのマッチングを行うファミリー・サポート・センターを設置し、地域内での相互援助による子育て支援体制の整備を行っています。 さらに、体調不良の子供を安心して預けることができる体制を整えるために、病児保育事業を推進しております。 今後も引き続き、市町村と連携しながら、全ての子育て世帯の生活全般に寄り添った支援が充実するよう、積極的に取り組んでまいります。  〔前田敬介君登壇〕 ◆(前田敬介君) 健康福祉部長より答弁いただきました。 先日、岸田総理より、3人以上子供がいる多子世帯について、2025年度から、子供の大学授業費等を無償化、教育費の負担軽減で、子供をもうけやすくする、こども未来戦略に盛り込み、月内に閣議決定するというニュースがありました。 国も、多子世帯に目を向けています。県も、予算の問題がありますが、例えば、保育園等の副食費についても、保育料と同様に、18歳未満までの兄弟姉妹の範囲において、カウントした第3子分を無償化するなど詰めていけば、大きく予算を使わずに実施できる施策もできると思います。ぜひしっかり検討していただければと思います。よろしくお願いします。 次に、不登校児童生徒への対応について質問いたします。 文部科学省による令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、全国の不登校児童生徒数は、平成25年度から令和4年度にかけて10年連続で増加しており、過去最多の29万9,048人となっております。 県内においても、令和4年度不登校児童生徒数、つまり、1年間30日以上連続、断続して欠席した児童生徒の数は5,353人に上り、喫緊の課題だと考えます。 本県でも、令和2年度に、教育大綱及び第3期くまもと「夢への架け橋」教育プランを策定し、夢を実現し、未来を創る熊本の人づくりを進めてきておられます。 その中でも、不登校児童生徒に対し、関係機関や専門家と連携し、児童生徒が自ら進路を主体的に捉え、社会的自立を目指していけるよう支援する施策を実施されています。 愛の1・2・3運動プラス1の徹底やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門家との連携した早期支援、教育支援センター等整備支援事業連絡協議会の開催、市町村の教育支援センターの設置促進及びその機能拡充の支援、フリースクール等民間施設との連携などにも積極的に取り組まれておられます。 ここで1つ御紹介したいのが、我が地元荒尾市の取組です。 これまで、荒尾市では、不登校ゼロ、いじめ見逃しゼロの学校づくりを目指し、小中学校における不登校の未然防止と早期対応及び不登校児童生徒の社会的自立に向けた様々な支援を行っています。 また、早い時期から、教育支援センターである小岱教室を設置して、不登校児童生徒への支援を進めています。 令和2年度には、新規に、県の教育支援センター等整備支援事業により、国、県から補助を受けて、荒尾第三中学校に校内教育支援センター、ハートフルルームを設置しています。 さらに、令和4年度には、市内中学校全てにハートフルルームの設置を行っています。 この校内教育支援センター、ハートフルルームは校内にあるため、通級している生徒を出席と扱うことができます。また、中学校区の小学生の受入れも行っており、小中学校で連携した不登校児童生徒支援の取組につながっております。 このハートフルルームでは、不登校状態にある児童生徒を対象に、常時2名の指導員、教員免許保有者が、午前8時20分から午後4時20分まで勤務しています。来室した児童生徒への対応ばかりでなく、自宅にいてなかなか登校できない児童生徒を迎えに行き、登校を支援したり、家庭での教育相談等の支援を行ったりするアウトリーチ型支援の取組も行っております。 このアウトリーチ型支援により、家から出ることが難しかったり、保護者の送迎等が困難な児童生徒も通級することができるようになっております。小学生の支援にもつながっております。 校内教育支援センターでの支援内容は、荒尾市の教育支援センターである小岱教室と同様に、学習支援や相談支援等でありますが、普通教室が近くにあるため、授業や学校行事の参加や見学についても、直接の参加だけでなく、1人1台端末を活用したオンラインでの参加や視聴も行われており、学級担任や教科担任とのスムーズな連携につながっています。 児童生徒一人一人の状況に応じて、学校の生活リズムや学習の雰囲気を感じながら、自分たちのペースで活動することができています。 また、小岱教室、校外適応指導教室に通級していた生徒が普通教室に戻るための準備教室としての機能も果たしています。 現在、3つの中学校のハートフルルームで合計31名が活用しています。 ハートフルルーム設置以降、中学校では、不登校が減少しています。また、これらの不登校対策を実施して以来、小岱教室や3つのハートフルルームに通級して中学校を卒業した生徒の多くが高校に進学しています。これらの生徒は、高校進学後、ほぼ無欠席で登校することができている生徒も多くいます。 11月に、地元の荒尾市にある岱志高校の文化祭に行きましたが、昨年まではハートフルルームに在籍していた生徒の高校での活動の様子を実際に見ることができました。学校行事の中で、友達と一緒に生き生きと活動していました。 また、県教育委員会からも、荒尾市に視察に行かれたというお話も聞いております。 このように、市の取組が徐々に結果として見え始めております。荒尾市の校内教育支援センター設置をはじめとする不登校対策の取組は、非常に効果があると考えます。 誰一人取り残されない学びの保障のために、このような県内の取組を広げていく考えはないか、教育長にお尋ねします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 校内教育支援センター設置をはじめとする不登校対策についてお答えいたします。 県教育委員会では、不登校児童生徒の学びの場を確保するため、これまで市町村教育委員会と連携し、教育支援センター等の新規設置や機能拡充の取組を進めてきたところでございます。 議員御指摘の校内教育支援センターにつきましては、令和5年3月に通知された文部科学省の誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、いわゆるCOCOLOプランにおいて、その設置を促進することとされています。 この校内教育支援センターは、学校内の空き教室などを活用し、学校には行くことはできるけれど、自分のクラスには入りづらい児童生徒が利用できる場所として運営されています。自分に合ったペースで学習、生活でき、早期に学校生活等への意欲を回復しやすいなどの効果が期待されています。 現在、県内20市町村に39教室が設置されており、県教育委員会としても、引き続き設置促進に向け、しっかり取り組んでまいります。 また、県教育委員会では、平成28年度から、各市町村教育委員会関係者等による教育支援センター等整備支援事業連絡協議会を開催し、校内教育支援センターの活動状況など、不登校対策について、情報共有や協議を行っています。 今年度の協議会では、荒尾市教育委員会から実践発表していただき、校内教育支援センターを設置後、2年間で荒尾市内の中学校における不登校児童生徒数が半減したという報告がありました。 また、保護者による送迎がないとセンターを利用できない児童生徒に対して公用車で送迎を行う、さらには、不登校に加え自宅外に出ていくことも難しい児童生徒の家庭に支援員が訪問するなどのアウトリーチ型の支援についても有効という報告があっております。 県教育委員会といたしましては、今後も各市町村教育委員会と連携を図りながら、荒尾市をはじめ、先進的な取組を県内の市町村に広め、不登校児童生徒の学びの場の確保に努めてまいります。  〔前田敬介君登壇〕 ◆(前田敬介君) 教育長に御答弁いただきました。 教育支援センター等整備支援事業連絡協議会で荒尾市の取組を共有されているとのことでした。いい結果が出ておりますので、今後、施策の一つとしても、一部でもいいですので、活用できればと思います。また、取組に少しでも県の支援をいただければ、市のほうも喜ばれると思います。よろしくお願いします。 続きまして、有明海沿岸道路の建設促進について質問いたします。 有明海沿岸道路は、佐賀県、福岡県、熊本県の3県を結び、有明圏域定住自立圏の確立など、有明沿岸地域から天草方面に点在する観光資源をつなぐ新たな観光ネットワークの形成など、様々な効果が期待されている高規格道路です。 令和5年度現在、佐賀─福岡間の約6割が開通し、沿線で開催されているイベント等の集客、三池港のコンテナ量、九州佐賀国際空港の利用者数などは着実に増加し、企業等の立地も進んでおり、開通路線の利用は1日2万台を超えています。 熊本側は、平成10年に、大牟田市から熊本市まで約30キロの整備方針が決定しました。 大牟田市の三池港インターチェンジから長洲町間の約9キロメートル区間が、平成27年に都市計画決定され、三池港インターチェンジから荒尾北インターチェンジまでの2.7キロメートルについて、有明海沿岸道路の連絡路として事業化。今年度、荒尾北インターチェンジから南側2.2キロメートルの荒尾道路が新規事業化され、長洲から玉名市区間の第1回計画段階評価が開催されました。 見た目でも、地元荒尾市の競馬場跡地において、大島高架橋の橋脚6基、工事中を含めて10基が姿を現し、三池港インター付近の用地買収も始まり、地元の期待も高まっております。 一方、期待が大きいがゆえに、進捗状況が気になる声がかなり多くなっております。 先月11月14日、東京のホテルグランドアーク半蔵門にて、初となる有明海沿岸道路建設促進大会が開催されました。蒲島知事はじめ、熊本県選出の国会議員の皆様、国土交通省出身の参議院議員の佐藤信秋先生、足立敏之先生、有明海インフラ整備促進議員連盟顧問の前川收議員、会長の内野幸喜議員や委員の県議、有明海沿岸道路建設促進期成会会長の大西熊本市長、副会長の浅田荒尾市長をはじめ、沿線自治体の委員、首長の皆さん、議長の皆さん、経済団体の皆さんが勢ぞろいで盛会に大会が開催されました。 国土交通省からも、道路局長や九州地方整備局の道路部長も参加していただきました。 道路局長からは、熊本県側におきましては、令和3年度から工事に着手しまして、今年度は荒尾道路を新たに事業化させていただいたところでございます、それに続く長洲町から玉名市間につきましては、計画段階評価の着手に向けて準備を進めている段階でございます、また、福岡県内につきましては、昨年の11月、大川佐賀道路の大野島インターチェンジから諸富インターチェンジ間1.7キロメートルが開通いたしましたので、この有明海沿岸道路で初めて福岡と佐賀県がつながったところであります、現在、残る事業中区間につきましては、早期の完成を目指して工事を進めているところでございます、国土交通省としましては、引き続き、この有明海沿岸道路のミッシングリンクの解消、また、災害に強い国土幹線道路ネットワークの構築に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておりますと、期待の持てる御発言がありました。 また、有明海インフラ整備促進議員連盟の委員からは、国に対し、三池港インターチェンジのフルインターチェンジ化の要望や長洲─玉名間の計画段階評価に向けた進捗状況の確認がなされました。 三池港インターチェンジについては、現在、福岡・佐賀方面への北向きのハーフインターチェンジとなっており、三池港インターチェンジからつながる連絡路が開通しても、荒尾方面への乗り降りができません。 このため、熊本方面への南向きのインターチェンジを追加整備し、三池港インターチェンジをフルインターチェンジ化することで、大牟田市や地元荒尾市の住民にとって、利便性を大きく向上させることになると考えています。 今後も、自治体が一致団結して、有明海沿岸道路の建設促進に向けて、引き続き取り組んでまいる所存でございますが、今申し上げました三池港インターチェンジのフルインターチェンジ化に向けてどう考えておられるか、また、有明海沿岸道路の現在の進捗状況と早期整備に向けてどのように取り組まれていくのか、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 有明海沿岸道路は、九州の循環型高速交通ネットワークの形成に不可欠な路線であり、荒尾・玉名地域をはじめとする有明海沿岸地域はもとより、県全体の発展のために大変重要な道路であると認識しております。 まず、議員御質問の三池港インターチェンジにつきましては、フルインターチェンジとして計画されておりますが、暫定的な整備により、福岡・佐賀方面へのハーフインターチェンジとして供用されております。 このインターチェンジが位置する大牟田市と隣り合う荒尾市は、歴史的に結びつきが強く、相互の交流も活発な地域であり、平成25年には、有明圏域定住自立圏を形成する協定が結ばれております。 加えて、現在、荒尾市では、令和8年度のあらお海陽スマートタウンのオープンに向けて整備が進められており、今後ますます交流が活発化することが期待されています。 このため、三池港インターチェンジから熊本方面への乗り降りが可能となるフルインターチェンジの早期整備が不可欠と考えており、県としても、国に対して強く働きかけてまいります。 次に、有明海沿岸道路の進捗状況と早期整備に向けた取組についてお答えいたします。 三池港インターチェンジ連絡路につきましては、大島高架橋の橋脚工事が着実に進捗し、加えて、先日成立しました国土強靱化予算等により、国の当初予算約15億円に約6億円が増額補正され、事業の加速化が期待されます。 また、今年度新規事業化されました荒尾道路につきましては、現在調査、設計が進められており、本事業においても、当初予算5,000万円に3億円が増額補正され、一層の進捗が見込まれます。 さらに、長洲─玉名間につきましては、今月4日に、国の社会資本整備審議会道路分科会の九州地方小委員会が開催され、事業化に向けた手続の一つである第1回計画段階評価が実施されました。 このように、有明海沿岸道路の整備推進に向けた取組は、今年度大きく前進しております。 県では、これらの取組をより一層加速させるため、先月、県議会、有明海沿岸インフラ整備議員連盟、地元期成会の皆様とともに、本路線では初めてとなる建設促進大会を東京都内で開催し、知事を先頭に、チーム熊本として一丸となって、整備推進に向けた要望活動を行ったところでございます。 今後も引き続き、県議会、県選出国会議員のお力添えをいただきながら、沿線自治体や地元期成会の皆様とともに、あらゆる機会を捉えて国への要望活動を行うことで、有明海沿岸道路全線の早期整備につなげてまいります。  〔前田敬介君登壇〕 ◆(前田敬介君) 土木部長より御答弁いただきました。さらに延伸すること、感謝いたします。 補正で、連絡路6億、荒尾道路3億、合計9億、当初と合わせて計24億5,000万と、予算も増えていっております。知事はじめ県議の先輩方、近隣期成会の皆様とともに、延伸に向けてさらに頑張っていくよう、御協力よろしくお願いします。知事、あと4か月ありますので、よろしくお願いします。 すみません。最後に、要望をさせていただきます。 梨における国内での花粉供給体制構築に向けた支援について要望いたします。 中国の火傷病発生に伴い、日本への侵入防止に万全を期すため、令和5年8月30日に、中国からの梨花粉の輸入が停止されました。 梨は、同一品種の花粉では結実しない性質があるため、他品種の花から採取した花粉で授粉を行う必要があります。 通常、同時期に開花する他品種があれば、その花粉を採取し、あるいは蜜蜂等の虫による受粉が可能ですが、梨「新高」は、開花が早く、同時期に開花する他品種がないため、授粉するための花粉をあらかじめ準備しておく必要があります。 今回、突然の輸入停止で、産地では、令和6年産の授粉用花粉が不足している状況です。花粉がなければ、結実が安定せず、生産量に影響を及ぼす可能性があります。 産地では、令和6年産の生産安定に向け、様々な検討を行っている段階ですが、今後は、輸入花粉に頼らない体制整備も必要であると考えます。 そこで、県に要望いたします。 まず、令和6年産に向け不足する授粉用花粉の確保についてです。 産地では、花粉が多く取れる品種を早く開花させて花粉を採取する方法を検討しているところです。しかし、これまで輸入花粉に頼ってきた産地では、このような花粉採取するための技術、労力、機器が不足しているため、取組に対し、二の足を踏んでいます。 先日、国の経済対策で、花粉採取の実証に係る機器等の支援が打ち出されたところですが、県においても、ソフト面の支援を引き続きよろしくお願いします。 2つ目ですが、これからも中国からの輸入花粉に頼ることは難しいと考えます。ほかの梨生産国に頼っても、将来同じようなケースが懸念されます。 そのため、今後は、輸入花粉に頼らない国内での花粉の確保に向けた体制構築が必要と考えています。 国内でそのような取組がないか調べてみると、主産地の鳥取県や千葉県では、JAが花粉確保体制を構築されていました。 そこで、先日、JAたまなの理事と梨部会の皆様と、千葉県のJAいちかわが行っている花粉銀行を視察してきました。 この花粉銀行は、梨生産者が持ち込んだ花やつぼみ等をJA職員が開葯して花粉を採取し、生産者に渡す仕組みです。職員が行う作業については手数料が発生しますが、部会員の約半数が利用しており、労力が不足する生産者にとってはありがたい取組だと感じたところです。 改めて、国内での花粉の確保に早くから取り組まれている千葉県のJAに感銘いたしました。 本県でも、このような花粉の確保体制を構築することが急務です。さらに、花粉採取専用園の設置や花粉の採取に適した省力的な樹形の導入等も検討材料の一つです。 国の経済対策でも、花粉の確保に向けた体制構築に対する支援が打ち出されたところですが、産地での話合いなどの下準備に対する支援であり、次年度以降の支援は不透明です。 次年度以降の手厚い支援について、国に対して働きかけていただくようお願いします。 加えて、国内での花粉の採取は、耕作放棄地を活用した専用園の整備や新たな雇用創出につながり、中山間地域の活性化にも寄与すると考えます。 県内梨生産者のため、生産地維持のため、どうぞよろしくお願いいたします。 これで私の質問、そして要望、終わりました。 実は、私、最初に5回質問したと言いましたが、実は、知事に対しての質問、一度もやっておりません。最初のこれが何か初めてのものかもしれません。新しい知事が誰になるかは分かりませんが、次は、絶対知事への質問、そして答弁をいただきたいと思います。 一生懸命頑張りましたが、聞きづらい点もあったと思いますが、本当にありがとうございます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(内野幸喜君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時8分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西村尚武君。  〔西村尚武君登壇〕(拍手) ◆(西村尚武君) こんにちは。天草市・郡選出・自由民主党の西村尚武でございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。 先日16日に、知事より、次の選挙には出馬しないとの発表がありました。私も知事の出馬を期待していました一人でございますが、知事の発表以降、私の周りでも、出馬されないとの発表を受け、残念だというような声が多く寄せられていますが、また、16年間頑張っていただいたと、感謝の言葉も多く寄せられています。あと任期まで4か月ほどあります。これから、特に御自愛いただきながら、御活躍いただきたいと思います。 また、知事には、水産振興では大変お世話になりました。本日も、水産振興に関しまして、質問と要望を1問ずつさせていただきます。よろしくお願いいたします。 また、私の地元の牛深では、昨年の暮れにハイヤ大橋の橋桁部分にトラブルがあり、ある期間通行禁止になっていましたが、即対応していただき、暮れのブリの出荷に間に合う形で通行止めを解除していただきました。現在、本修理の工事を着工していただいております。この県の財政厳しい中で、大きな予算をかけていただきました。御礼を申し上げます。 では、一番目の質問をさせていただきます。 中学校部活動の地域移行について質問いたします。 昨年12月定例会の一般質問におきましても同様の質問をしておりますが、本県公立中学校における部活動の地域移行に向けた取組について、改めて質問をさせていただきます。 前回の質問時点では、県の推進計画の策定前だったこともあり、市町村では、いかなる対応を取るべきか苦慮しているという状況があり、県と市町村の役割分担の明確化を図っていただきたいとの質問をいたしましたところ、白石教育長から、国が公表する予定のガイドラインの内容を踏まえ、速やかに県としての推進計画を作成し、市町村への説明を行っていく旨、回答いただいたところです。 この時点では、中体連へのクラブチームの参加については、日本中体連の動向に従って、県中体連も検討していくとのことでありましたが、本年の県中体連からクラブチームの参加が可能となるようお答えをいただきました。 将来の夢に向かい、日々練習に励む生徒は当然のことながら、生徒を支える親や関係者の皆様からも、大変ありがたいことと、感謝の声が私のところにも届いております。 また、熊本県公立中学校における休日の運動部活動の地域移行推進計画につきましても、本年4月に策定いただき、県教育委員会が市町村との連携を取りながら進めていただいておりますことにつきましても、重ねて感謝申し上げます。 私の地元天草市におきましても、この推進計画に沿って部活動地域移行コーディネーターを設置し、学校教育研究委員会における部会の設置や、市内校長会や教頭研修、市スポーツ協会研修会などの機会を捉えて、説明や意見交換を行っているようでございます。 一方で、このように協議、検討を進める中では、指導者の確保に向けて、生徒数など地域の実情も異なる中で、一律に決めることができない部分も多いという意見を伺っているところです。特に、天草市のように広域な地域や自治体では、どうしても協議に時間を要することになりますし、指導者の不足や移動に要する経費がかさむという実情もあるようです。 そこで、県推進計画策定後の県内の状況について、さらには、指導者の確保に向けた体制づくりや移動経費に対する支援の在り方等について、現在の検討状況や今後のスケジュールを含め、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、地域移行推進計画策定後の県内の取組状況についてお答えいたします。 県教育委員会では、本年4月に、公立中学校における休日の運動部活動の地域移行推進計画を策定し、令和7年度までを改革推進期間として、まずは休日の部活動の地域移行に向けて取り組んでいるところでございます。 5月には、各市町村に対して、地域移行への取組状況や課題等についてのアンケート調査を行うとともに、個別ヒアリングを実施するなどして、各市町村が抱える課題の把握や地域移行への助言等を行ってまいりました。 各市町村の取組状況についてですが、既に4市町で18の部活動が地域クラブに移行しています。また、21市町村が地域移行に向けた検討組織を設置し、そのうち12市町村においては、国の委託事業を活用して、コーディネーターの配置や指導者の確保、生徒の参加費用に対する支援等に関する実証事業を実施しているところでございます。 次に、指導者の確保に向けた体制づくりについてですが、県教育委員会では、市町村が求める指導者と指導を希望する人材を結びつけることを目的とした地域クラブサポーターバンクを今月開設する予定でございます。来年1月から、市町村の問合せに応じて、指導者等の紹介を行ってまいります。 なお、生徒の移動経費に対する支援についても、地域の公共サービスやスクールバスなどの送迎サービスを利用した取組について、市町村の実証事業における課題を共有し、有識者やスポーツ・文化関係団体等から成る推進協議会で在り方を検討していきたいと考えております。 最後に、今後のスケジュールについてです。 県教育委員会では、来年2月に地域スポーツサポーター研修会を開催し、指導者の資質の向上と新たな指導者の確保に取り組むこととしています。さらに、各市町村の担当者を集めた研修会を開催し、県内外における先進事例を紹介するなどして、各市町村の取組を後押ししていきたいと考えています。 引き続き、各市町村における課題を共有しながら、部活動の地域移行が円滑に進むよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁をいただきました。 昨年12月に引き続き、中学校部活動の地域移行について質問をさせていただいたわけですが、国が昨年12月に示した学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインの中では、部活動の地域移行に当たっては、「「地域の子供たちは、学校を含めた地域で育てる。」という意識の下で、生徒の望ましい成長を保障できるよう、地域の持続可能で多様な環境」を一体的に整備すると述べられています。 多様な地域の実情を酌み取り、生徒が希望を持ち、その実現に向けて地域が一体となって支える仕組みづくりについて、令和7年度までの改革推進期間の中で、国にも要望を上げていっていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 次に、教員の確保と業務負担の軽減について質問いたします。 現場の教員におかれましては、社会情勢の変化に伴い、多様化する教育現場への対応や長時間労働を余儀なくされる現状の中で、日々御尽力いただいておりますことに対しまして、この場をお借りして感謝を申し上げます。 先日、今年度の公立学校教員採用選考の志願倍率が、前年度から0.1ポイント減少し、2.7倍となったとの報道に接しました。教育現場の働き方改革も進められておられるとは思いますが、教員不足の状況は深刻な問題だと思われます。 熊本県教育大綱におきます基本方針に掲げる「子供たちの「夢」を育む(熊本の人づくり)」の実現のためにも、教員の確保がますます必要であると思いますが、教職の担い手確保に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 もう1つ気がかりなのは、教育現場にあっては、一人一人の子供の特性に応じた丁寧できめの細かい教育を実践する必要にも迫られているため、現在の教員数を維持しながら、業務負担の軽減を併せて模索しなければならないというジレンマを抱えている点です。 実際の教育現場では、児童への対応と保護者の要望対応の間でストレスを抱え、辞めていく教員も少なくないと聞いています。 県におきましては、全ての就学前の子供が、生きる力の基礎を身につけ、たくましく心豊かに育つことを願い、肥後っ子かがやきプランを策定し、推進されていると承知しています。 一方で、教員の成り手確保や教員の雇用維持につなげるためには、業務負担の軽減による働きやすさを実現していく必要もあります。 教員の確保に向けて、教職の魅力を発信していくために、県として今後どのように教員の働き方改革、特に業務負担の軽減に取り組んでいくのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 教員の確保と業務負担の軽減の取組についてお答えいたします。 まず、教員の確保についてですが、質の高い人材を一人でも多く確保するため、これまでも様々な取組を行ってまいりました。 具体的には、教員志望者を増やすため、高校や大学を訪問して教員のやりがいをアピールしたり、教員の魅力をPRする動画を作成し、教員の魅力発信を行っています。 また、採用選考考査の実施に当たり、年齢制限の撤廃や一次考査の免除対象者拡大などの見直しを行い、募集人員の確保に取り組んできたところでございます。 さらに、来年度に向けて、新たに大学推薦制度の導入や教員免許を所有していない方も受考可能とした社会人対象の特別選考の実施を予定しているところでございます。 これらの取組に加え、昨年度から、教員免許所有者の掘り起こしにも取り組んでおり、いわゆるペーパーティーチャーを対象とした講習会を開催しています。今年度は、10月に県庁で講習会を開催し、37人に参加いただいたところですが、明日12月9日には、天草市で開催することとしております。 今後も、本県の教員が選ばれる職業になるよう、あらゆる手段により人材の確保に努めてまいります。 次に、教員の業務負担の軽減についてお答えいたします。 これまで、働き方改革の一環として、業務のICT化や外部人材の活用、部活動の見直しなどに取り組んでおり、時間外在校等時間が月45時間を超える教職員の割合も年々減少しております。 特に、業務のICT化については、今年度から、県立学校において、学校徴収金を管理するシステムや学校と保護者間の連絡をデジタル化するソフトなども導入しています。引き続き、テストの採点を支援するソフトの導入を検討するなど、ICTのさらなる活用を図ってまいります。 また、外部人材の活用については、教員業務をサポートするスタッフとして、小中学校に約160人の教員業務支援員を配置するとともに、スクールソーシャルワーカーやスクールローヤー等の専門家による相談、助言等を行うことで、教員の負担軽減につなげています。 今後も、学校現場とも連携しながら、外部人材のさらなる活用を図ってまいります。 県教育委員会としましては、教員が子供たちとしっかり向き合うことができる魅力ある学校づくりに向けて、引き続き、教員の確保と業務負担の軽減に全力で取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁をいただきました。 私は、マスコミの影響か分かりませんが、もっとブラックなイメージを持っておりました。今の答弁を聞きまして、少しは安心いたしました。 熊本県教育大綱におきます基本方針に掲げる「子供たちの「夢」を育む(熊本の人づくり)」の実現のためにも、教職員の確保がまずは必要ですので、教職の担い手確保に向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。 さて、もう1つ気になりますのは、1校当たりに必要な教職員不足の要因の一つとして、特別支援学級の増加や常に目配りや手配を必要とする児童が増加しているということです。 実際の教育現場では、児童への対応と保護者の要望対応の間でストレスを抱え、辞めていく教職員も少なくないと聞いています。 そのような中、国におきましても、子供に関する政策や支援が複数の省庁にまたがる現状を見直し、虐待や少子化などの待ったなしの課題解決につなげるため、本年4月にこども家庭庁が発足して取り組まれることとなりました。 また、熊本県におきましても、全ての就学前の子供が、生きる力の基礎を身につけ、たくましく心豊かに育つことを願い、肥後っ子かがやきプランを策定し、推進されているところです。 県においても、子供に係る施策展開については、複数の部署がまたがり進められていることと思いますが、今回のこども家庭庁発足に伴い、どのような連携を取りながらスピード感を持って取り組まれているのか。 さらに、さきに述べました教職員の維持、確保につなげるために、就学前の子供への対応が喫緊の課題だと思われますが、今回のこども家庭庁発足に伴い、その辺りでどのように変わっていくのかという課題があると思います。このことに関しても、具体的に進めていただきたいと思います。 次に、県立高等学校入学者選抜制度改革について質問いたします。 高校入試は、子供たちや保護者にとって、将来の進路につながる重要な選択の機会です。社会の状況に応じて必要な制度の改善が求められるとともに、中学校3年間の取組の成果を十分はかることなど、いつの時代も変わらず重視すべきことがあるのではないかと思います。 本県で現在実施している高校入試は、現在の制度となって10年以上がたつと聞いています。現在の入試制度では、生徒や保護者が進路について考える時間が限られていることや入試の期間が長期化しているといった課題があると聞いています。現状を踏まえて制度を見直すことは大切なことだと考えます。 こうした中、本県では、本年3月、外部有識者による検討委員会から、今後の入学者選抜制度の方向性について、提言が出されました。 提言では、改善の方向性として、現行の前期(特色)選抜と後期(一般)選抜を一本化すること、受験生全員に学力検査を課すこと、受験生の多様な能力や個性等が評価される制度にすること、高校が自校のスクールミッションやスクールポリシーを反映して選抜できる制度にすることが示されました。 また、現在、県立高校の入試は、2月上旬に実施する前期(特色)選抜を皮切りに実施していますが、入試の実施時期を中学校の学習を確実に終えて受験に臨める3月上旬とすることも提言に示されています。学力だけでなく、多様な視点で子供たちの力をはかることは重要です。 また、本県が県立高校の魅力化を進める中で、高校の特色を生かした入試を行うことは、子供たちにとっても、多様な選択肢の中から自分の得意な面や伸ばしたい力を踏まえて進路を考える上で大変有意義なことであり、提言の趣旨は理解できます。 提言では、前期(特色)選抜と後期(一般)選抜を一本化するとされており、入試制度が大きく変わることについては、受験生や保護者も気にしているのではないかと思います。 10数年ぶりの大きな改革となることから、新制度の内容については、県民の十分な理解を図ることも必要ではないかと思います。 現在、教育委員会では、提言を踏まえて新制度を設計していると聞いていますが、具体的にはどのような入試制度になるのでしょうか。 新たな入試制度の方向性と実施に向けたスケジュールについて、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、新たな入学者選抜、いわゆる入試制度の方向性についてお答えいたします。 ポイントは3点あります。1点目は、入試の日程についてです。 現行2回に分けて実施している前期(特色)選抜と後期(一般)選抜を一本化して実施いたします。 2点目は、入試の内容についてでございます。 一本化した入試では、受験生全員に学力検査を課すとともに、受験生の多様な能力等を評価する検査を行います。 具体的には、5教科の学力検査と調査書によって中学校の学習の成果をはかる選抜を実施するとともに、それぞれの高校の学科、コースの特色を踏まえ、高校ごとに面接や実技等を行い、多様な能力をはかる選抜を併せて実施いたします。 3点目としては、入試の実施時期でございます。 中学校でしっかりと学ぶ時間や自身の進路を考える時間を確保するため、入試は3月上旬に実施いたします。 以上のことにより、子供たちの学びや進路選択を保障した上で、高校での学びにつなぐことを目指します。 また、現在12月頃から3月にかけて行われている入試事務を、可能な限り短縮化、省力化し、中高双方の教育活動をより一層充実させることにもつなげたいと考えております。 次に、今後の実施に向けたスケジュールについてお答えいたします。 今月から新制度の素案についてパブリックコメントを実施し、今年度中に新制度の概要を決定する予定でございます。 その後、3年程度の周知期間を設け、今年度の小学6年生が高校入試を受験する令和9年3月実施の入試から新制度を適用したいと考えています。それまでの間、高校ごとの詳細な選抜方法を定めるとともに、生徒及び保護者などに対して、新制度の趣旨や内容についてしっかりと周知してまいります。 最後に、外部有識者による検討委員会の提言でも示されたとおり、公私立を超えて子供たちの学力を保障するという観点から、入試の実施時期などについて、私立高校との調整が必要不可欠だと考えております。 今後も、中高の校長会や各市町村教育委員会などと連携を図りながら、よりよい制度の実現を目指してまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁をいただきました。 検討委員会の提言にありましたが、現行の入学者選抜制度になって約10年が経過し、生徒数や受験者数の減少が見られるとともに、この間、高等学校を取り巻く社会の環境は大きく変化しました。 令和2年、2020年には、少子化の進展による生徒数の減少等による定員割れの進行といった県立高校を取り巻く状況を踏まえ、県立高等学校あり方検討会が設置され、高校魅力化のための具体的な施策として、令和3年、2021年3月に、「県立高等学校のあり方と今後の方向性について~新しい時代に対応した魅力ある学校づくりへ~」という提言がまとめられたこともあります。 最近の一般質問でも、高校の魅力化というテーマでの質問がよく目につくようになりました。私も、以前に牛深高校の魅力化というテーマで質問をさせていただきました。 また、他県の高等学校入学者選抜制度改革の提言として、「「生きる力」の育成をめざし、「基礎的・基本的な知識及び技能の習得」とそれらを活用して問題解決を図っていくための「思考力、判断力、表現力その他の能力」の育成のバランスを重視するとともに、生涯にわたって学ぶ主体を育むため、「主体的に学習に取り組む態度」を高めることを求めている。」という文言がありました。私も大いに共鳴いたしております。 また、答弁を受けまして、中学校で学ぶ期間を十分確保するためには、私学の専願・特待生入試を2月上旬、一般入試を2月下旬、そして県立高校の入試を3月上旬に実施するのが理想ではないかと思います。 県全体で子供たちの学びを保障するという観点で、ぜひ、公私を超えて、県全体で考えていただければと思います。慎重に、丁寧に進めていただきたいと思います。 次に、地域医療体制の整備に向けた看護職員確保について質問をさせていただきます。 私は、これまでも、離島の医療体制を整備するためのドクターヘリの導入や地域の中で安心して子育てができる体制の充実策などについて質問をしてまいりました。執行部におかれましては、迅速かつ的確に施策に反映し、御対応いただいておりますことに対しまして、改めて御礼を申し上げます。 さて、今回は、看護職員の確保による地域医療体制の整備について質問をいたします。 言うまでもなく、少子高齢化や過疎化が進む中で、各種産業における担い手不足は深刻化しており、特に医療従事者である看護職員が不足している現状は、地域住民が地域の中で安心して生活する上で、早急に解決すべき喫緊の課題となっています。 そのような中、県においては、現在、第8次計画策定に向けた検討作業が進められている第7次熊本県保健医療計画の基本目標に、安全、安心な暮らしに向けた、一人一人の健康づくりと地域における保健医療の提供を実現するための施策として「地域の保健医療を支える人材の確保・育成」を大きな柱の一つに掲げ、取り組んでいただいているところです。 また、2016年の熊本地震発生による看護職員の辞職に伴う看護職不足を早急に改善し、医療供給体制の構築を目指すためのくまもと復興応援ナース制度を2017年度からスタートしたと記憶しておりますが、この取組により、地震により甚大な被害を受けた阿蘇地域においては、地震からの復興に向けて、看護職の確保にも一定の成果があったようです。具体的には、阿蘇地域には74人の方が看護職として就業され、7人の定着があったと伺っています。 病院病床100床当たりの看護職員数で県内各地域を比較しますと、地域ごとに格差があり、看護職の偏在は顕著な状況です。 私の出身地域である天草地域も、県平均を大きく下回る看護職員数であり、年々高齢化が加速する地域でもあるため、看護職不足は大変憂慮すべき大きな課題となっています。 この地域偏在を、平準化までとはできなくとも、保健医療計画の目的に沿って、着実に是正していくことが求められるのではないでしょうか。 そこで、看護職員数に地域格差がある現状の中で、先ほど申し上げたように、くまもと復興応援ナースのような看護職確保の充実策を、県全体の取組として広げていく必要があるのではないでしょうか。 看護職の地域偏在を是正し、県内各地域において看護職を確保できる取組を推進していくために、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、熊本県保健医療計画の検討状況等も含めて、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 保健所管轄区域ごとに病院で働く看護職員数を病床100床当たりで比較しますと、熊本市以外の全ての区域で県全体の平均を下回っており、議員御指摘のとおり、地域偏在は顕著な状況にあります。 そのため、県では、看護職を目指す学生に対する熊本県看護師等修学資金貸与制度において、熊本市以外の県内の医療機関等に勤務した看護職員には、5年の勤務で返還を免除する特例を設けています。加えて、僻地を有する地域で勤務した看護職員にあっては、3年で返還を免除することとし、地域偏在の是正に取り組んでおります。 また、熊本地震への対応として一定の成果を上げた、議員御紹介のくまもと復興応援ナース制度の仕組みを参考に、今年度から新たにくまもっと活躍ナース制度に取り組んでおります。 この制度は、熊本市以外の地域を対象に、1か月からの短期就労を県外等から受け入れ、これをきっかけに長期就労にもつながることを期待する制度です。 県看護協会に設置している看護職の就労あっせんを行う県ナースセンターにおいて、地域偏在が顕著な阿蘇や天草などの魅力を全国に発信しつつ看護職員を募集するとともに、その地域で受入れ可能病院を募集し、マッチング支援を行っております。 現在、第8次熊本県保健医療計画の策定を行っておりますが、先ほど申し上げました看護職員の地域偏在を是正する取組はもちろん、高校生の1日看護体験等による看護師等学校養成所への入学を促す施策についても掲載することとしております。 また、看護職のライセンスを持ちながら、現在業務に従事していない、いわゆる潜在看護職の復職支援など、看護職員の確保対策についても、本計画に位置づけていく予定です。 県としましても、地域医療を支える看護職員の確保及び偏在是正につきましては、大変重要な課題と認識しており、今後とも、関係機関と連携しながら、全力で取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁をいただきました。 今年度から開始されたくまもっと活躍ナースについては、大変期待するところであります。 コロナ禍を受けて、都市部から地方への移住熱が高まっているという現状の中で、活躍の場を地域に求める看護職者も一定数あるのではないかと思われます。地域医療の担い手を確保するとともに、移住、定住による人口増加にもつながる、一石二鳥の取組だと感じました。 しかしながら、現状では、天草地域での受入れ実績はないとのことですので、地元自治体と連携しながら、受入れ可能な病院施設の増加を図るとともに、看護職員の確保を図り、持続可能な地域医療体制の構築につなげていただくことを切に希望いたします。 何度も申し上げますが、人口減少により地域の様々な担い手が不足している中で、外部人材をどのように活用していくか、また、外部人材のスキルを地域の人々の暮らしにどのような形で落とし込んでいくかが、今後ますます重要と思われます。 どうか執行部におかれましては、今年度中に策定される第8次熊本県保健医療計画においても、地域医療の確保に係る幅広い視点での施策を反映していただき、今後迎える超高齢化社会に向けた取組について、引き続き検討を進めていただきたいと思います。 次に、魚類養殖業の振興について質問させていただきます。 本県におきまして、本年6月から9月までの長期にわたり、3年連続で赤潮被害が発生し、その緊急的な対応やその後の支援、また、国への陳情、要望など、迅速に取り組んでいただいており、心より御礼を申し上げます。 さて、令和2年7月には、水産庁は、水産施策の柱として、養殖業成長産業化総合戦略を策定し、今後の取組の方向性を示しています。 具体的には、2030年までにブリ類、マダイなどの増産を行い、輸出を強化することとしていますが、ブリ類の生産量は、平成30年、2018年の14万トンから24万トンにする目標であり、輸出額は、160億円から10倍の1,600億円とする目標としています。また、マダイにつきましては、平成30年、2018年の6万トンから11万トンにする目標であり、輸出額は、50億円から12倍の600億円とする目標としています。 本県の場合、ブリ類の生産量は、令和3年に5,300トンで全国7位、マダイの生産量は、令和3年に9,754トンで全国2位となっており、いずれも国の生産量に大きく寄与しています。 ブリ類、マダイの増産や輸出増額の目標設定など、国において具体的な数値を示したことは、魚類養殖業にとって、今までにないほど産業成長の絶好のチャンスとなっていることは間違いありませんが、現時点で国から増産に向けた具体的な方策などは示されていない状況です。 こういう中ではありますが、県では、持続的な魚類養殖業の振興に向け、養殖業者らとの意見交換等を行い、現場の実態を十分に把握し、施策に反映していただくとともに、様々な補助事業などが十分に活用できるよう、情報共有を行う必要があります。 一方、私が懸念していますのは、30年ぐらい前から続く県の水産関係職員の減少です。以前は80名以上いた技術系職員が、現在は60名程度になっております。そのため、以前より環境調査や赤潮調査のための現地回りをした際に、生産者との交流や情報交換、職員による環境指導、飼育指導、魚病対策指導などの時間が十分に確保できなくなることで、生産者との接点が少なくなり、国や県からの情報が一方通行となってしまっているのではないかと心配しています。 熊本県は、全国でも珍しく、養殖魚中心のフィレ加工場が天草地域、栖本から牛深地区に8社も存在しており、さらに、大手企業においても、魚類養殖や水産加工場への参入を希望しているような現状があると聞き及んでおります。 現在、JASMの第1工場建設を中心として進んでいる県北地域の半導体関連産業の集積化のように、県南地域においては、これまで以上に天草地域を中心とした養殖魚の輸出促進や赤潮対策も視野に入れた環境保全に配慮した持続的な魚類養殖業の生産振興を、関係者が一体となって進める必要があるのではないでしょうか。 そこで、本県の重要な産業である魚類養殖業の振興に向け、環境に配慮した持続的な養殖生産や輸出振興の取組に加えて、県の水産業普及指導員や水産研究センターの研究職員らによる赤潮情報や魚病診断などの普及・指導体制について、どのように進めていかれるのか、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) 魚類養殖業において持続的な生産を行うためには、適切な給餌や養殖漁場の底質の保全、改善等により、有害赤潮の発生抑制にもつながる良好な漁場環境を確保することが重要です。 これまで県では、各漁業協同組合が定めた漁場改善計画の実現に向け、漁場ごとの水質や底質等、漁場環境の保全、改善に必要な取組を推進しています。 具体的には、養殖業者等による環境負荷が少ない配合飼料への転換や養殖魚の飼育密度の適正化の取組に加え、漁場環境のモニタリング調査を支援してまいりました。その結果、多くの漁場において、設定した底質環境の基準を維持するなど、成果が見られています。 本年5月には、八代海の各養殖漁場において、養殖業者による海底耕うんの取組を支援するなど、漁場の底質改善に取り組みました。 また、より効率的かつ適切な給餌を行うために、ICTを活用し開発した自動給餌システムについて、今後はAIで養殖魚の状態や漁場環境に応じた給餌量の自動調整ができないか、検討しているところです。 また、国の研究機関や大学との連携を進め、新たに、赤潮の原因となる有害プランクトンの増殖の抑制ができる対策を検討してまいります。 次に、普及・指導体制については、養殖現場のニーズを踏まえ、飼育や赤潮、病気等に係る技術や情報を速やかに養殖業者の方々と共有し、確実に対策を実施していくことが必要です。 そのため、現地での検討会の開催やICTを活用した情報共有体制を整備することにより、効果的で効率的に普及、指導ができるよう取り組んでまいります。 最後に、輸出の振興については、熊本県海水養殖漁業協同組合などで構成する協議会による販路開拓の取組を支援しています。 その結果、本県水産物の輸出額は、北米や韓国を中心にブリやマダイが増加するなど、令和4年度は過去最高の27億7,000万円となっており、世界的な食料需要の増大もあることから、さらに拡大が期待できます。 今後、本県水産物の輸出をさらに増加させるために、北米やアジア圏のシェア拡大を図るとともに、EUなどの新たな国への販路開拓に向け、現地での展示会や商談の取組を支援してまいります。 今後とも、本県水産業の柱である魚類養殖業の振興に向けて、漁業団体や国、地元自治体とも連携し、積極的に取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁いただきました。 魚類養殖業の振興について答弁をいただいたわけですが、私が申し上げるべくもなく、日本は海に囲まれた国でございます。古来より農業もそうですが、海産物を基に今があると思っています。 牛深は、県の第3種漁港であり、熊本県の所管であります。昔は、まき網船の漁業基地として栄えた地域でありました。そのまき網船が、諸事情により1船団、1船団と減っていき、今では昔のまき網船もなくなりました。そのような中で、水産振興を図るために、養殖業、水産加工業に力を入れてまいりました。 その養殖業の中でも、今一番に課題であるのが赤潮対策であると思います。 赤潮に関しては、根本的な解決は難しいということは理解しております。沈降式のいかだが赤潮抑制に効果があるというような情報もありますが、はっきりとした検証もされていないと思いますし、費用対効果という面でもどうなのかという点もあります。また、赤潮の発生も、漁場環境で違ってくると思います。 地元でも、養殖関係者の皆さんとも、他地域の実例等参考にしながら、県のお力をお借りしながら協議していきたいと思います。 また、養殖魚の輸出に関しましても、福島第一原発の処理水の海洋放出による影響で、他国でも大国と言われる国の輸入禁止措置の影響が大きく出ています。輸出可能な他国への販路拡大につきましても、県の御支援をお願いいたします。 過去、コロナ禍の中での輸出の抑制、3年連続の赤潮被害、そして今回の他国の輸入禁止措置と、魚類養殖業におきましては、非常に厳しい状況であります。自助努力では克服できない局面に来ております。持続可能な魚類養殖業の生産振興を実現するためにも、県、そして国の助成が必要です。よろしくお願い申し上げます。 次に、天草エアラインの現状と今後の展望について質問させていただきます。 天草エアラインについては、熊本都市圏と天草地域を90分で結ぶ、いわゆる90分構想の一環として、県内で唯一の高速交通体系の空白地域という社会的ハンディを克服するために、平成12年から運航を開始しております。 熊本県が主体となり、地元自治体と連携した様々な支援により維持いただくことで、島というハンディキャップを背負う住民の移動の利便性向上につなげていただいておりまして、心から感謝を申し上げます。 天草出身であります私といたしましても、熊本地域、福岡地域までの移動の利便性の高さはもとより、天草地域に大きな災害が発生した場合には、救助、救援の拠点として重要な役割を担うことが予想され、今後もエアラインを維持していくことが何より重要だと感じているところです。 天草エアラインの運営につきましては、令和3年度に、県とエアラインの協議に基づき策定された中期計画に沿って進められていると伺っております。特に、中期経営計画の取組の柱の一つであります国交省や民間の航空会社などを構成員とした地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合、リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップを略してLLPと呼ばれる取組があります。2019年10月から活動が開始されており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、地域航空会社の垣根を越えた地域航空路線の維持発展に関する様々な取組が進められていると聞いております。 しかしながら、燃料費の高騰、機材整備における為替の影響などもあり、厳しい経営が続いている状況だと思います。 コロナ禍における厳しい情勢の中でも、何とか、県や地元自治体の支援により、昨年度も運航の継続と経営の安定化が図られたと聞いております。しかしながら、いつまでも県や地元自治体の支援が継続できるというわけでもないことは言うまでもありません。 そのようなことから、天草エアラインでも、10月から利用料の値上げが実施され、経営改善に向けて取り組んでおられることは評価できると感じております。 しかし、なお、収入増加による経営改善を図るためには、就航率を上げていくとともに、欠航に起因する利用低下を防ぐための信頼性の確保が何よりも必要です。 そこで、3点質問します。 1点目に、天草エアラインの経営状況や中期経営計画の進捗状況について、2点目に、LLPにおける協議の具体的内容について、3点目に、信頼性の確保や利用者の利便性向上などを踏まえた今後の展望について、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長富永隼行君登壇〕 ◎企画振興部長(富永隼行君) まず、1点目の天草エアラインの経営状況及び中期経営計画の進捗状況についてお答えします。 経営状況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた令和2年度の旅客数は2万4,000人で、コロナ前の平成30年度の7万4,000人と比較して約70%減少し、収入も大幅に減少しました。その後、令和4年度は5万2,000人まで回復したものの、依然として厳しい経営状況にあります。 このため、天草エアラインでは、需要の減少に対応した減便運航や経費の節減に取り組まれています。また、県及び地元市町では、運航維持確保応援金等により支援し、経営の安定化と安全運航の確保を図っています。 中期経営計画の進捗状況については、令和3年度の計画策定以降、天草エアラインでは、新たに旅行業の登録を行い、地元密着型の旅行商品の造成、販売を始めたほか、職員の採用・育成計画に基づく運航乗務員の確保に取り組むなど、着実に計画を実行されています。 現在、来年度からの残り2か年の計画期間について、顧客サービスと業務効率の向上を目的に、DXの導入等を柱とした計画の見直し作業が進められています。 県としましても、引き続き、筆頭株主として、経営安定化に向けた支援に取り組んでまいります。 次に、2点目の地域航空路線の維持に向けたLLPの取組についてお答えします。 これまで、日本航空や全日空といった航空会社の垣根を越えた新たなコードシェアの創設、地域航空他社との協働によるPRの実施など、他社との協業による取組が推進されてきました。 当初予定された4年の活動期間を迎え、本年10月から、新たな地域航空会社の加入も可能となる協議会に移行されました。 今後も、安全運航のための技術協力などに取り組まれる予定で、天草エアラインの経営面をはじめ、様々な効果が享受されることを期待しています。 最後に、今後の展望についてお答えします。 天草エアラインの課題の一つに、欠航を減らすこと、すなわち就航率の向上が挙げられます。 今後、予防整備の充実や衛星を活用した着陸方法の高度化による悪天候時の就航率改善などが図られる予定です。加えて、利便性の維持向上のため、運航ダイヤの見直しも検討されています。 県としましても、天草エアラインが命の翼としての天草地域の医療提供体制の確保や地域振興の一翼を担っていけるよう、しっかりと支援してまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 答弁をいただきました。 冒頭でも申し上げましたが、天草地域にとって、天草エアラインは、医療従事者等が利用する命の翼でありますし、地域振興、観光振興の一翼を担い、さらには、災害時の拠点という面からも、なくてはならない存在です。 また、答弁にもありましたように、内部業務のDX化やアプリ導入なども利用者の利便性向上につながることは間違いないので、ぜひ進めていただきたいところですが、現在の天草エアラインの限りある人員数では、いいシステムを導入しても、限られた利用となり、大器小用、これは大きい器を小さい用途で使うという意味ですが、その大器小用となる可能性も否めないところであります。 県と地元自治体でも、連携しながら、必要とする人員を確保し、企画力と戦略性を高めながら経営強化に取り組んでいただくよう、検討をいただきたいと思います。 最後に、要望を1つさせていただきます。 海業振興モデル地区の取組について要望いたします。 令和4年3月25日に閣議決定された水産庁の新たな漁港漁場整備長期計画の基本方針の中で、今後5年間に取り組むべき重点施策の一つとして、「「海業(うみぎょう)」振興と多様な人材の活躍による漁村の魅力と所得向上」が掲げられたところです。 その主な施策としましては、海業による漁村の活性化のため、海業等を漁港、漁村で展開し、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことや地域の水産業を支える多様な人材の活躍に向けて、年齢、性別や国籍等によらず、多様な人材が生き生きと活躍できる漁港、漁村の環境を整備することが目標として示されました。 そして、その成果目標として、今後5年間で、全国でおおむね200万人の都市漁村交流人口の増加を図ることや、漁港における新たな海業等の取組件数を、同じく今後5年間で、全国でおおむね500件とすることを定めています。 水産庁では、成果目標の達成に向けて、海業振興の先行事例を創出し、広く普及を図っていくため、海業に取り組む地域をモデル地区として昨年11月から公募され、全国12地区をモデル地区として選定して、その支援として、海業振興における課題の整理や関係者間協議、海業の計画策定などについて、コンサル等――天草市においては漁港漁場漁村総合研究所を派遣して協力、支援が行われているところであります。 天草市におきましては、県内唯一の...... ○副議長(内野幸喜君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(西村尚武君) (続) 第3種漁港である牛深漁港で申請を行い、令和5年3月8日に、海業振興モデル地区に選定されました。 海業振興モデル地区に選定された牛深漁港地域について、海業の振興やにぎわいの創出などに向けた振興計画の策定作業が、実のあるものとしてしっかり前に進むよう、県としても、様々な角度から今後有益となり得る支援や助言等をいただきますよう、ここに要望するものです。どうぞよろしくお願いいたします。 これで用意いたしました質問と要望は以上でございます。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(内野幸喜君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明9日及び10日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る11日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時8分散会...