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09月22日-04号

  • "国際サイクルロードレース"(/)
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  1. 熊本県議会 2023-09-22
    09月22日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和5年 9月 定例会               第 4 号              (9月22日)  令和5年   熊本県議会9月定例会会議録     第4号令和5年9月22日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和5年9月22日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(49人)            星 野 愛 斗 君            髙 井 千 歳 さん            住 永 栄一郎 君            亀 田 英 雄 君            幸 村 香代子 君            杉 嶌 ミ カ さん            立 山 大二朗 君            斎 藤 陽 子 さん            堤   泰 之 君            南 部 隼 平 君            本 田 雄 三 君            岩 田 智 子 君            前 田 敬 介 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            城 戸   淳 君            西 村 尚 武 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            前 田 憲 秀 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            西   聖 一 君            鎌 田   聡 君            渕 上 陽 一 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  内 田 清 之 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 富 永 隼 行 君     理    事 小金丸   健 君     企画振興部     球磨川流域  府 高   隆 君     復興局長     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 千 田 真 寿 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            竹 内 信 義 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  宮 内 彰 久 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   波 村 多 門     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 吉田孝平君。  〔吉田孝平君登壇〕(拍手) ◆(吉田孝平君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・宇城市・下益城郡選出の吉田孝平でございます。 今期1回目の質問をさせていただきます。そして、通算9回目ということでございまして、今回は、一般質問のトップバッターをさせていただくことになりました。 私、今回、質問の中で国際スポーツのことを質問させていただきますけれども、国内のスポーツも大変な盛り上がりを見せております。私、野球をしておりますので、先日、オリックスがパ・リーグを3連覇しまして、我らの阪神タイガース、18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしました。私、阪神ファンではございませんが、トップバッターの近本選手、近本選手は、空振り三振をなかなかしなくて、チャンスを広げるバッターでございます。近本選手のような、チャンスを広げる、そして後につなぐような質問をさせていただきたいというふうに思いますので、最後までの御清聴をお願い申し上げたいと思います。 それでは、質問に移りたいと思います。 今年行われた、また、この秋に行われる国際スポーツ大会の開催についてお尋ねいたします。 今年度は、既に行われたラグビー日本代表国際テストマッチ世界マスターズ水泳選手権に加え、10月、11月には、サイクルロードレース、マイナビ ツール・ド・九州2023、バドミントン熊本マスターズジャパンという4つの国際スポーツ大会が本県で開催されます。 折しも、1年前の9月議会において、私は、ラグビーワールドカップのレガシーとして、ラグビー日本代表国際テストマッチの誘致について質問したところ、招致の実現に向けて全力を尽くしますとの答弁をいただきましたが、正直、開催に向けての条件が厳しく、開催できないのではないのかなと思っていました。 そのような中、去る7月15日に、日本代表とオールブラックス・フィフティーンとの国際試合が開催されました。 この試合は、県内外から多くの観客が来られるなど、非常に盛り上がり、熊本県ラグビー協会をはじめ、県や熊本市など関係者の皆様の御尽力に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。 本県では、日本代表戦が開催されたのは、2017年に熊本地震からの復興を応援する目的でルーマニア代表を迎えて開催されて以来で、ラグビーワールドカップでは日本戦が組まれませんでしたので、6年ぶりとなり、国際試合開催は、ラグビーファンはもとより、多くの県民の方が待ち望んでいたと思います。 2019年に本県で開催されたラグビーワールドカップ女子ハンドボール世界選手権大会でも、それぞれ約100億円の経済波及効果があったことを見ても、国際スポーツ大会の開催は、宿泊、飲食など、大きな効果を本県にもたらしてくれています。特に、コロナ禍で大変な思いをされました宿泊・飲食業にとっては、国際大会などの開催を通じて、少しでも波及効果を受けることが大変重要なことだと思われます。 そこで、今回のラグビー日本代表国際試合において、どのような成果があったのか、また、今後の国際スポーツ大会開催の成功に向け、どのような課題があったのか、お尋ねいたします。 いよいよ来月には、国際サイクルロードレース、マイナビ ツール・ド・九州2023、11月には、国際バドミントン大会熊本マスターズジャパンが開催されます。 このような中、マイナビ ツール・ド・九州2023については、国内チームを含め、8か国から18チーム、108名の選手が参加し、10月6日から10月9日までの4日間、福岡、熊本、大分で、世界トップレベル自転車ロードレースが繰り広げられます。 日本政策投資銀行が試算したところ、3県での想定観戦者数は12万4,000人、経済波及効果は約30億円、このうち熊本阿蘇ステージでは、観戦者数2万6,000人、経済波及効果6億8,000万円を見込んでいると聞いています。 このサイクルロードレースは、競技内容を知らない方もいるかもしれませんが、簡単に説明しますと、自転車版のマラソン競技で、一般公道などで100キロメートルを超える長距離を走る競技となっております。 見どころは、個人競技ではありますが、各チームで出場していますので、チーム戦となり、エース級の選手を空気抵抗の負担を軽減させ、ゴール前に温存していた力を発揮し、優勝に導くチーム戦となっています。その駆け引きが見どころではないかと思われます。 また、国際バドミントン大会熊本マスターズジャパンは、2023年から2026年までの4年間熊本で開催、世界のトップ選手たちが集い、11月14日から19日まで、国内外から約500人の選手、関係者が本県を訪れ、6日間の開催で1万7,000人の観戦者数を目標とされています。 バドミントンは、皆さんも御存じだと思いますが、出場選手には熊本県出身の選手もいますし、本県の企業所属の選手も出場します。来年のパリ・オリンピックの出場に関わる重要な大会であり、大いに盛り上がるのではないかと思われます。 そこで、間近に迫った2つの国際スポーツ大会開催に向けての機運を高め、大会を成功させるためにどのように取り組まれるのか、観光戦略部長にお尋ねします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) まず、ラグビー日本代表国際試合における成果と今後に向けた課題についてお答えします。 この試合は、現在開催中のラグビーワールドカップフランス大会に向けた日本代表強化試合であり、当日は、目標の2万人に迫る1万9,586人の方々に観戦いただきました。選手たちの気迫あふれるプレーは、多くの県民の方々に感動と元気を与えたと思います。また、福岡や東京をはじめ県外からの観戦者が約6割を占め、経済波及効果は約5億8,000万円と試算しており、一定の成果を上げることができたと考えています。 一方、今後に向けた課題としては、駐車場の事前予約制やパーク・アンド・バスライドなどを導入した結果、目立った渋滞は発生しませんでした。しかしながら、試合終了後、バス乗り場への観客誘導に一部混乱が見られたほか、パーク・アンド・バスライド用の駐車場出口付近で一部渋滞が発生しました。 今回の経験を生かし、今後の国際スポーツ大会等では、より円滑な運営ができるよう、しっかりと対策を検討してまいります。 次に、間近に迫った2つの国際スポーツ大会の成功に向けた機運醸成についてお答えします。 まず、ツール・ド・九州については、九州初となる大規模な自転車ロードレースであり、多くの方々の興味、関心を高める取組を進めています。 SNSの活用はもとより、火の国まつりや博多どんたくのオープニングパレードでの宣伝、JR九州車両内での広告、熊本市中心市街地でのつり看板設置など様々な方法を駆使し、県内外への周知に努めています。さらに、レース会場となる阿蘇地域においても、サイクルイベントの実施や商店街でのタペストリー装飾など、地域での機運醸成に努めています。 次に、国際バドミントン大会熊本マスターズジャパンについては、特にバドミントンファンへのPRに力を入れており、7月に東京で開催されたジャパンオープンや全国のスポーツ店でのPR、バドミントン部のある県内小中高校への観戦呼びかけ等を実施しています。また、再春館製薬所バドミントン部を応援団に任命し、県内各地で大会の面白さをアピールしています。さらに、テレビCMや新聞広告、熊本市中心市街地のビジョン放映等を活用し、県民の機運醸成を図っています。 今後も、スポーツ大会の成功に向け、全力で取り組み、交流人口を拡大するとともに、国内外へ地震や豪雨災害から復興する本県の姿を発信してまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) ラグビーの国際試合に関しましては、県外から6割の観戦者が来られたということで、宿泊や飲食業など一定の経済効果があったということで、大変うれしく思います。 ただ、しかし、課題がございまして、やはり交通アクセスに関しては、パーク・アンド・バスライド、これが、メインの場所であるグランメッセがコンサートで使用ができなかったということもございまして、少し混雑があったのではないかと思われます。また、タクシーが、最後尾は1時間待ちだったという話も聞いております。これらの課題解消に向けて、また御検討していただければと思っております。 それから、ツール・ド・九州、あとバドミントン国際大会が続きますけれども、バドミントンは、皆さんなじみが多少あると思いますけれども、ツール・ド・九州に関しては、ほとんど見たことない方が多いと思います。特に、もう来月に迫っていますので、機運醸成に努めていただくようにお願いしたいと思います。 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。 県内中小企業者に対する支援についてお尋ねいたします。 令和2年2月下旬に新型コロナウイルス感染者が本県で初めて確認されて以降、令和5年5月の感染症の位置づけが5類に変更されるまでの間、何と8回の感染拡大の波が訪れました。 本県では、中小企業、小規模事業者への影響が大きく、中でも深刻な影響が出たのは、生活関連サービス業、娯楽業及び宿泊業、飲食サービス業であります。私も、特に飲食サービス業の方から相談されることが多くあったのを記憶しております。 国においては、ワクチン確保や医療体制の整備等を行うとともに、事業者の事業継続を目的に、持続化補助金や月次、一時金などに代表される直接的な給付金制度等による支援をはじめ、地方公共団体が地域の実情に応じきめ細やかな支援が行えるよう、極めて自由度の高い新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を創設し、これまで本県に対して11回、総額約113億円が交付されています。 本県では、この財源をフル活用し、影響の長期化等による感染拡大や経済状況のフェーズを適切に捉え、中小事業者の支援を担う商工団体の相談・支援体制を強化した上で、国に先んじて実施した実質無利子無担保で融資する仕組みのゼロゼロ融資に代表される資金繰り支援をはじめ、事業復活おうえん給付金や一時金等の様々な支援事業をちゅうちょなく実施し、県内事業者の事業継続、さらには発展を強力に支援してきたところであります。 その結果、コロナ禍の間となる令和2年度から令和4年度の倒産件数は、株式会社東京商工リサーチの調べによると、合計167件と、例年と比較しても低く抑えられており、国や県の支援策は、その効果を発揮しているものと評価されます。 一方で、コロナ融資の返済が本格化する中で、物価高に伴う原材料や人件費などのコスト高騰により、厳しい経営にならざるを得ない事業者もおられます。 信用調査会社の帝国データバンク熊本支店によると、今年1月から6月までの上半期で、県内での倒産件数が44件となり、前の年の同じ時期より29件、率にして51%増え、この10年で最多となっています。 人件費が上昇傾向にあり、燃料費などの高騰も重なって、事業経営が困難になる企業が増加しており、こうした倒産は、今後も増えるおそれがあります。仕事はあるのに、人材不足により仕事がこなせないといったお声もよく聞くようになりました。 さらに、8月14日、熊本地方最低賃金審議会は、今年度の県最低賃金について、過去最大となる45円引き上げ、時給898円とするよう答申されております。 最低賃金の上昇が、労働者側にとって、また、人材確保の面からも歓迎すべきことであるものの、経営者側からは、売上げ回復や価格転嫁が十分に進んでいない事業者において、非常に厳しく、国や県には支援を求める声も届いている状況にあります。 それに加え、本県は、平成28年4月の熊本地震、さらには令和2年7月の県南豪雨災害と、二重苦、三重苦と続いている中で、事業者は大変な経営を強いられている現状であります。 本来、ウィン・ウィンであるものであり、給料が安いために人材が集まらなく、もうけが出ない、もうけがないために給料を高くすることができない、人材が集まらないといった、いわゆる鶏が先か卵が先かという議論であるものの、自助努力を重ねながらも、県内にはお困りの事業者もおられます。 そこで、県として、こうした声にどのように応えていくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) 本県では、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響により厳しい経営を強いられている事業者の事業継続を強力に後押しするため、様々な県独自の支援策を実施してきました。 幅広い業種を対象とする事業復活おうえん給付金については、3万件を超える事業者の方々に、約80億円の支援を行いました。 このほか、コロナ融資の返済の本格化による借換えニーズに対応するため、国のサポート保証を活用した経営改善資金の創設、商店街などの町なかのにぎわい回復に向けた支援などを実施してまいりました。 コロナ5類変更後、人流、物流は回復傾向にありますが、物価高や人材不足などの影響により、事業者を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあると認識しています。 さらに、先月には、熊本地方最低賃金審議会から、過去最高の最低賃金引上げの答申があり、これを受け、事業者の方々からは、物価高騰等の影響で利益が上がらない中、人件費が上昇することに負担を感じ、国と県に支援してほしいとの声が上がっています。 こうした状況を踏まえ、本県としては、生産性向上に資する国や県の事業を積極的に活用し、経営基盤の強化に取り組む意欲ある中小企業者を後押しすることにより、持続的な賃上げを実現するとともに、人材不足の解消にもつなげていく必要があると考えており、そのために必要な予算を今定例会に提案しています。 引き続き、商工団体と連携を密にし、中小企業者の方々に寄り添い、必要な施策をちゅうちょなく実施することで、県経済の維持発展に努めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) これからまた、TSMCの進出によりまして、人材確保、さらには賃上げによる資金確保等、さらに厳しくなると予想されます。 既に商工団体等からも御要望が上がってきていると思いますが、倒産件数も増えている状況でございます。引き続きの御支援をお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。 TSMCからの出向者等への対応についてお尋ねいたします。 2021年10月に台湾のTSMCが熊本県に新工場を建設すると発表されて以降、2022年の4月に着工した工場建設も大詰めを迎えており、先日、一部で供用を開始し、2024年末には本格的に供用開始になると聞いております。 このことにより、TSMCから本県への出向が8月から本格化しており、TSMCの社員が約400名、最終的に、家族を含め、約750人の方が来熊される予定であります。 主に住まれる地域は、熊本市が6割で、菊陽町が3割、合志市、大津町で1割の方が居住されるということであります。 それに合わせるかのように、今月から、チャイナエアライン及びスターラックス航空による熊本と台北を結ぶ定期便が就航するようになりました。 スターラックス航空は、計画段階では週3往復でしたが、観光やビジネス需要へのさらなる期待から、定期便就航前に週5往復と異例の増便で運航することになり、さらに、10月29日からは、毎日運航すると発表されました。直行便でありますので、熊本から台北まで約2時間30分で行けるようになりました。 また、法務省の在留外国人統計によると、2022年12月現在の4市町に居住する台湾の方は265人ですが、今回の来熊で、当該市町に居住する台湾の方が約4倍まで急増するとのことです。 そのような中、出向者等が熊本で生活を始めるに当たっては、住民票の届出などの諸手続に始まり、様々な困難やお困り事が出てくることが想定されます。また、出向者等の大部分は、日常会話レベルの日本語能力に不安を抱えている方々であるため、地域とのコミュニケーションがうまく取れず、地域の中で孤立してしまうことも想定されます。 そのような中、先日、熊本市東区に新築された熊本インターナショナルスクールの校舎において、TSMC従業員の家族向けのオリエンテーションが開催され、通学や学校での注意点などの説明がありました。この新校舎に約130名の子供たちが学ぶ予定で、教育現場の準備も着々と進んでいます。 また、各地域や民間団体なども、台湾の魅力を伝えようと、台湾関連の商品を販売したり、台湾の文化などを知っていただくためのセミナーを開いたりと、歓迎ムードはさらに高まってきていると思われます。 台湾から熊本県に居住される方々のほとんどが初めての方ばかりと思われます。楽しみで来られる方もいるかもしれませんが、子育て世代の方では、不安を抱え来熊される方もいるのではないかと思います。 約750名の方ですが、県としては、受入れ体制をさらに強化し、日常生活における不安を取り除くことが必要ではないでしょうか。 その上で、来熊される方から、台湾に居住されている方々に対して、口コミやSNSなどを利用し、本県のすばらしい文化や観光施設、おいしい食事などを伝えていただくことで、知人、友人などが観光に訪れ、さらなる経済波及効果にもつながるのではないかと考えます。 そこで、台湾の方々が、地域住民との間で相互理解を深めながら、本県での生活に早くなじんでいただくため、県としてどのような取組を実施しているのか、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) 県では、日本人と言葉や生活習慣の異なる台湾の方々が円滑に生活できるよう、まずは、TSMCから出向者を受け入れるJASM側のニーズを聞き取り、対策を検討する体制を整えました。 具体的には、JASMと県、関係市町との定例会を本年4月から週1回開催しており、ここで出された要望や課題について、県庁内や関係市町内で共有し、連携を図りながら対応策の検討を行うこととしています。 これまでも、TSMC出向者等の来熊時期や人数等の情報を速やかに把握し、必要となる住民登録や運転免許切替え等の諸手続を円滑に行うための支援等を行いました。 また、8月からの受入れ本格化に合わせ、出向者等への直接的な支援策として、外国人のための生活ガイドブック(繁体字版)の改訂や県外国人サポートセンターへの台湾相談ホットラインの設置を行い、JASMを通して周知を図っています。 このホットラインには、これまで15件の相談があり、例えば、未就学児の預け先の相談に対し、近所の認定こども園を複数紹介したり、日本語を勉強したいとの相談に対し、市町村などが運営する日本語教室や県が来月から開設する初級日本語オンライン教室を紹介したりするなど、きめ細かに対応しています。このオンライン教室には、台湾の方々から多数の応募があっており、ニーズの高さを感じています。 また、台湾の方々に、熊本での生活に早くなじんでいただけるよう、官民一体となった様々なイベントが行われます。既に開催された今月初めの熊本市上通での歓迎イベントを皮切りに、29日から10月1日までKUMAMOTO台湾祭が、10月14日には台湾・熊本友好歓迎ウエルカムイベントが、熊本市中心市街地で開催される予定です。 さらに、県内各地のイベントや観光情報等について、JASMや県公式LINEなどを通して情報を伝えるとともに、県南や天草地域を含め、広く県内各地を巡る県内周遊観光モニターツアーを実施します。参加者の皆さんに熊本の魅力を体感していただくとともに、参加者自らSNSや口コミでその感想などを台湾などへ伝えていただくことで、さらなる誘客につなげてまいります。 今後とも、TSMCの本県進出を契機に、台湾をはじめ様々な国、地域の方との交流を促進し、共に生きていく多文化共生社会に向けた取組をさらに進めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 第2工場の建設も予定されておりまして、数年後には、さらに来熊される方が増えてくると予想されます。 先日、私の地元宇城市三角町戸馳に、台湾の地方創生担当大臣、あと青年団の方々約30名の方が、農家ハンターのほうに視察研修に来ていただきました。お互いの活動報告、あと意見交換をさせていただきまして、その後、夜は一緒に食事させていただきました。 農家ハンターということで、ジビエ料理とか結構出したんですけれども、本当皆さん、おいしいと言っていただいて、楽しく過ごしていただきましたけれども、やはりちょっと大人数でありましたので、通訳の方が1人しかいないということもあって、なかなか私たちもコミュニケーションが取れないということもございました。 少人数でコミュニケーションを取るというのも大事だと思いますし、やはり一番は、言葉が不安に思っていらっしゃる方が多いと思いますので、できるだけ早く日本の文化になじんでいただくように、御支援をお願いしたいと思います。 それでは、続きまして、ゼロカーボン社会の実現に向けた取組ということで、まずは、バイオディーゼル燃料の推進についてお尋ねいたします。 本県は、平成24年九州北部豪雨災害や熊本地震、そして球磨川流域を中心に甚大な被害をもたらした県南豪雨災害と、想定をはるかに超える災害が発生しており、全国でも毎年のように豪雨災害等が頻発している状況です。 その背景には地球温暖化の影響があると言われ、本県は、2050年CO2排出実質ゼロというゼロカーボン社会の実現に向けて、様々な分野において、持続可能な削減対策に取り組まなければなりません。 ゼロカーボン社会の実現に向けた熊本県の戦略の一つに、化石燃料からの転換を推進するエネルギーシフトがあります。中でもバイオディーゼル燃料は、植物由来の廃食油を原料として作られる燃料であり、軽油の代替燃料として、重機やトラクター、トラックなどのディーゼルエンジンで使用可能な燃料となります。 ガソリンや軽油などの化石燃料を使用すると、地球温暖化の原因の一つである大気中のCO2が増加しますが、軽油の代わりにバイオディーゼル燃料を100%使用すると、植物が吸収したCO2が排出されるため、実質CO2の排出はゼロになるということであります。 また、軽油にバイオディーゼル燃料を5%、30%、50%混合したものもあり、利用促進に取り組まれていると思われます。 そのような中、航空会社では、バイオディーゼル燃料の利用が進んでいるという話も聞きますが、別の業界関係者からは、安全性はどうなのかといった声も聞かれます。 そこで、県内での利活用は進んでいるのか、また、県は、今後どのように推進していくのか、環境生活部長にお尋ねいたします。 次に、ゼロカーボン社会の実現のためには、天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る循環型社会への転換を進める必要があることから、プラスチックごみの削減等も重要であると考えられます。 そのためには、化石燃料由来のプラスチックの使用削減により、温室効果ガスの排出を抑え、地球温暖化対策につなげることが求められます。 なお、海洋プラスチックごみによる環境汚染を防止するためにも、プラスチックごみの削減は重要な取組だと考えられます。 令和4年4月には、プラスチックごみの排出削減等に向けて、設計・製造、販売・提供、排出・回収・リサイクルの各段階でプラスチックの資源循環を図ることを目的としたプラスチック資源循環促進法が施行されました。飲食店や小売店などの使い捨てプラスチックを提供する事業者に対し、プラスチック製品の使用削減やプラスチック代替製品への切替えなどが求められています。 私たちの生活の中でも、買物の際は、レジ袋の有料化に伴い、エコバッグを持参する方が多くなり、また、よく使用しているストローなども、紙製やバイオマスプラスチック製などをよく見かけるようになりました。 しかしながら、日本の人口1人当たりのプラスチックごみの排出量は世界でも上位であり、やはり一人一人が意識を持ち、その削減に取り組まなければいけないと思います。 そこで、プラスチック製品の使用削減や代替製品への切替えといったプラスチックごみの削減について、県ではどのように取り組んでいくのか、同じく環境生活部長にお尋ねいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、バイオディーゼル燃料の推進についてお答えいたします。 本県では、県内で回収された使用済み天ぷら油などの廃食油を原料とした高純度バイオディーゼル燃料について、地産地消のエネルギーとして、利用促進に取り組んでいます。 現在、金融機関の移動店舗車、製造工場内で使用する運送トラック、建設会社の油圧ショベルなど、民間企業で高純度バイオディーゼル燃料の利活用が始まっています。 また、県でも、農業研究センターなどの農業用機械に利用しています。 これらの取組において、軽油との使用感の違いや機械の故障といった問題は確認されていませんが、県民の認知度が高まっていないこともあり、高純度バイオディーゼル燃料の利活用は、まだ限定的なものとなっています。 そこで、県では、パンフレットや地元経済誌を活用し、高純度バイオディーゼル燃料の基礎的な情報や利活用事例等に関する情報発信を行っています。 今後は、重機を取り扱うリース業界を対象に、直接出向いて安全性などの説明を行うなど、さらなる認知度向上に努め、利活用の推進を図ってまいります。 次に、プラスチックごみの削減についてお答えいたします。 プラスチック製品の使用を削減するためには、消費者だけでなく、プラスチック製品を提供する事業者側の理解が深まることも重要です。 既に県内では、竹などを主原料としたストローやお米由来のバイオマスプラスチックが製造されるなど、民間企業の動きが始まっています。 現在、県では、これらのプラスチック代替商品を紹介するパンフレットを作成するなど、飲食店や小売店等における代替製品の導入促進に取り組んでいます。 また、本年2月から、プラスチックごみの削減に取り組まれているお店を募集し、くまもとプラスチックスマート登録店として県のホームページ等でPRを行っております。 今後も、商工関係団体等と連携し、登録店の拡大を図るとともに、消費者である県民に対しても、紙製のストローや木製の食器を提供しているお店の利用を呼びかけるなど、身近なところでできる取組を促してまいります。 ゼロカーボン社会の実現には、一人一人の行動の積み重ねが重要です。今後も、バイオディーゼル燃料等への転換やプラスチックごみの削減が進むよう、県民の皆さんの御理解と御協力をいただきながら取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) バイオディーゼル燃料に関しましては、故障などの問題は聞こえていないということでございますが、地元の建設業の方に聞くと、やはり高額な重機等でございますので、いわば補償がないということで、まだ今のところ扱うのは難しいという話も聞いております。また、バイオ燃料のほうが普通の軽油よりも高いということも一つあると思います。まあ、時間はかかると思いますが、利用促進に御尽力いただくようにお願いしたいと思います。 それと、プラスチックごみの削減に関しましては、やはり一人一人が意識を持つことが重要だと思います。意識を持っていただくように、県からもしっかり発信をしていただくようにお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。 県動物愛護センターの整備状況と今後の活用についてお尋ねいたします。 近年、犬や猫などの動物を、単なるペットとしてではなく、大切な家族の一員であるとの認識が広まっており、動物に関する県民の意識は変化していると思われます。 私が子供の頃は、中型犬や大型犬を庭や玄関先で番犬として飼育されている家庭が多く見られました。また、野良犬や野良猫もたくさん見かけることが多く、野良猫は今でも見かけますが、野良犬はほとんど見かけなくなり、中には、子供の頃、野良犬に追いかけられて犬が嫌いになったという人もいました。 今では、マンションなどでも飼育が可能な猫や小型犬が多く飼われるようになる中、犬や猫から得られる恩恵が精神的な関係性になり、少子高齢化社会を背景に、子供のような存在として家族の一員の役割を担うようになりました。 一方で、近年、動物虐待や多頭飼育崩壊などの事件が増加しています。報道でもありましたが、不衛生な環境で飼育されていた62匹の小型犬が保健所に保護された多頭飼育崩壊の事例も、ある意味動物虐待であると思われます。 蒲島知事は、犬猫の殺処分ゼロを目指すことを3期目のマニフェストや熊本復旧・復興4カ年戦略に掲げ、さらに、第3次熊本県動物愛護推進計画で「命を大切にし、やさしさあふれる人と動物が共生するくまもと」の実現に向けて、動物愛護及び管理に係る施策の強化に取り組んでこられました。 そのような中、動物愛護の中核拠点となる新熊本県動物愛護センターの整備が、現在、私の地元でもあります宇城市松橋町の松橋不知火浄水管理センター北側において、令和5年度末の完成に向けて建設中であります。 今でこそ地元区の御理解、御協力をいただいて順調に建設が進められていますが、最初にこの地区に建設予定の話が出たとき、やはり臭いや騒音の問題があるため、宇城市、また、地元の区長をはじめ役員の皆様が、地域住民の方々の御理解を得るために大変な努力をされたことを聞いております。時には、宮崎県にある動物愛護センターまで視察に行かれたとの話も聞いております。 この宮崎県の動物愛護センターは、2017年に新しく建設され、命の教育を推進するとともに、教育施設としての活用を図っています。さらに、県下の小学校の中高学年を対象に「第一次「人と動物のつながりといのち」」「第二次「いのちを育て・つなぐ」」という教育プログラムが2時間構成で実践されています。 子供にとって、勉強、スポーツも大事でありますが、豊かな人間性や社会性、規範意識を身につける命の教育は、最も大事な教育だと私は思います。 これまでの動物愛護センターは、処分を念頭に置いた施設で、犬猫を個体管理する施設ではなく、長期収容もできず、さらに、駐車場も不足していたため、譲渡の推進、施設を利用した活動などをすることができませんでした。 また、動物への心ないいたずらが、暴力や犯罪などの反社会的行動に関連してくる等の話も聞くことがあり、無差別殺人などの重い罪を犯した容疑者に犯行の理由を聞くと、動物虐待からエスカレートしたという話も聞かれます。 新しく完成する新動物愛護センターは、譲渡を推進するための適正な飼育管理とともに、県内の動物愛護の拠点として、大きな役割を期待されています。多くの方々に新動物愛護センターを存分に活用していただき、命の大切さについて、子供の頃から学べるような取組もしてほしいと思います。 そこで、新センターの現在の整備状況と竣工後の活用に向けた取組について、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 新たな動物愛護センターは、議員御紹介のとおり、地元の皆様の御理解と御協力の下、宇城市松橋町で整備を進めております。 新センターは、県産木材をふんだんに使ったぬくもりを感じる施設で、保護した動物の個体管理ができ、空調設備や治療室等も有するため、健康や安全に配慮した飼育が可能となります。 また、100人収容可能な多目的スペースや人と保護犬との交流の場ともなる屋根つきドッグラン、大型バスの駐車場等も整備するため、小学校の見学旅行など、多くの方々においでいただけるようになります。 既にドッグランは完成し、現在、本館の内装工事や外構工事を行っているところです。今年度末には開所式を行い、新年度に入って、県民の方々の受入れ準備が整い次第、オープニングイベントを開催する予定です。 また、多くの皆様に親しんでいただける施設となるよう、愛称の募集を行った結果、県内外から400件を超える応募があり、現在選定を進めているところです。 開所後は、新センターの機能を生かし、県民の皆様を対象にした動物愛護の啓発、保護動物の譲渡会、飼い主の皆様を対象にした適正飼養講習会やしつけ方教室など、積極的に実施してまいります。 特に「命を大切にし、人と動物が共生するくまもと」を実現するためには、子供の頃から命の大切さを学び、動物愛護の精神を養うことが重要です。 これまでも、小学校等に出向いて出前講座を行ってきましたが、新センターにおいては、見学旅行や研修会等を受け入れ、命の貴さや動物との共生への理解など、年齢に応じた学びの提供を計画しております。 教育委員会や市町村等とも連携し、新センターが命の教育の拠点となるよう取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 先日、議会棟の駐車場で、ここにおられる斎藤議員と星野議員が、2人でしゃがんで何かをされていましたので、見に行くと、足を骨折した野良猫、人に全く懐いていない猫を2人で一生懸命餌でつりながら、籠に保護されているのを見かけまして、その後どうなったかというと、動物愛護センターのほうでは引き取れないと、もういっぱいで引き取れないということで、ボランティア団体のほうが引き取っていただいたということで、本当お二人の行動には感心させられたところでございます。 一方で、現在の愛護センターのほうでは保護できないという状況でございまして、新センターは大変重要であり、待ち遠しい施設になると思われます。答弁でもありましたように、命の教育の拠点として活用されることをお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。 多様な学びの場の整備についてお尋ねいたします。 私の地元の松橋町では、県立松橋高校とともに、松橋支援学校、松橋西支援学校、松橋東支援学校と3つの支援学校が設置され、従前から特別支援教育の充実が図られてきました。さらに、今年の4月からは、松橋西支援学校の高等部が松橋高校の一角に移転され、先日、教育警察常任委員会でも両校の視察に来ていただき、私も、地元議員として御案内いただき、参加してまいりました。 校舎は一緒ですが、それぞれにお話を伺うことができ、支援学校の校舎に松橋高校の生徒が遊びに来られるという話も聞かれたところです。 今後は、この2校の生徒が、各種行事などで共に行動しながら、相互理解をさらに進め、共生社会の実現に向けたモデル校となることを期待しております。 その一方で、特別支援教育を受けている児童生徒数は、国の法改正等により特別支援教育が明確に位置づけられた平成19年度と令和5年度を比較すると、約3.4倍となっています。 特別支援学校の児童生徒数の増加とともに、小中学校の特別支援学級の児童生徒数も増加の一途をたどっており、特別支援教育のさらなる充実が必要であるとの声を聞いています。 日本社会が少子化傾向にある中、唯一過去最高の在籍者数を更新しているのが特別支援学校であります。 また、特別支援学級は、その者の障害の状態、その者の教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況、その他の事情を勘案して、特別支援学級において教育を受けることが適当であると認める者を対象とされています。 そのような中、文部科学省が令和4年12月に公表した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果についてでは、学級担任の判断でありますが、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は、小中学校で推定値8.8%であったとのことです。 学校では、様々な指導や支援をしていただいているのは承知していますが、教育的支援を必要とする児童生徒に対し、さらに充実した特別支援教育が必要ではないかと感じています。 そこで質問です。 これらに対応するため、教育委員会では、今年度から多様な学びの場整備事業の取組を始めたとのことですが、本事業の取組はどのようなものか、また、その進捗状況はいかがか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 議員御指摘のとおり、特別支援教育を受ける児童生徒数は、法改正以降、大幅に増加しています。 特別支援教育を行うに当たっては、児童生徒一人一人の発達段階や障害特性等を踏まえた教育的ニーズの把握や分析等がなされた上で、学びの場の選択が行われることが重要でございます。 そのため、県教育委員会では、今年度から、個々の児童生徒の状況に応じた学びの場を判断するための基準の検討、学びの場の整備、教職員の指導力の向上の3本の柱で取り組む多様な学びの場整備事業を実施しています。 1つ目は、学びの場の適正選択事業です。 これは、市町村教育委員会が、障害のある児童生徒の能力や可能性を最大限に伸ばせる最適な学びの場について検討する際、その教育的ニーズを的確に見極め、総合的に学びの場を判断する基準となる考え方を示すものでございます。 2つ目は、学びの場整備事業です。 これは、通級による指導が必要な児童生徒が、県内のどの地域においてもその指導を受けられるようにするため、教員が複数の学校を巡回して対象の児童生徒を指導する巡回型の通級指導教室を段階的に整備するものでございます。 3つ目は、特別支援教育研修充実事業です。 これは、通常の学級担任を含む全ての教職員の特別支援教育に関する専門性を向上させるため、研修の仕組みづくりを行うものです。 次に、現在の進捗状況でございますが、学びの場の適正選択事業と学びの場整備事業では、市町村に対して公募を行い、八代市、南関町、錦町をモデル地域として指定をしました。 今後、モデル地域内の児童生徒や学校の状況などを調査しながら、課題の整理及び改善策を検討してまいります。 特別支援教育研修充実事業においては、今年度は、特別支援学校の全教職員を対象に、自立活動を中心とする実践的研修を年間5回程度実施することとしており、専門性の向上に取り組んでいます。 今後、小中高等学校等の教員に向け、研修の充実を図ってまいります。 引き続き、誰一人取り残さない教育を実現するため、個々の児童生徒が最も適した学びの場で学ぶことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 障害のある子供、障害のない子供ができるだけ同じ場で学んでもらうことも重要でありますし、教員が不足しております。子供たちの選択を増やすことも大事だと思われますので、また、市町村の教育委員会ともしっかり連携していただいて、環境整備に努めていただくようにお願いいたします。 それでは、次の質問に移りたいと思います。 子供と家族が一緒に休める環境整備についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、イベント等が再開されています。体験活動等に家族で参加することは、子供の心身の発達に有意義であると思われます。しかし、土日祝日に勤務する保護者は、平日に休みでも、子供は学校があるため、このような活動に子供と一緒に参加できないのが実情であります。 政府は、経済財政運営と改革の基本方針2017において、地域ごとにキッズウイークを設定し、学校休業日の分散化、有給休暇取得促進等に官民一体で推進することとしました。 また、本年6月の全国知事会の休み方改革PTにおいて、従業員が子供の休みに休暇を取りやすくする環境づくりや家族の休暇に合わせて子供が学校を平日に休むことができる環境整備に取り組むことなどの提言が出されました。 鳥取県では、昨年度から、ゴールデンウイークの合間などを学校休業日とし、連休を長期化させる取組を進められています。 愛知県では、平日に学校外での体験や学びの活動を子供が保護者等と一緒に行うとき、年に3日まで登校しなくても欠席とならない制度を創設し、今月からスタートされました。 また、本県においても、人吉市では、家族の時間づくりプロジェクトとして、おくんち祭りが開催される10月9日前後に、市内全ての小中学校において、学校休業日を設定されています。 多様な働き方に合わせ、休み方を選択し、充実した余暇を過ごすことは、労働生産性の向上につながりますし、休みの分散化により、平日においても観光産業などを中心とした経済効果も期待されると思われます。 子供たちにとっても、家族との時間が増え、ふだんできない体験活動などに参加することで、視野を広げることも可能になります。 そのことを踏まえ、本県でも、学校において、子供と家族が平日一緒に休め、体験的な活動等ができる環境づくりについてどのように考えるのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 子供と家族が一緒に休める環境整備についてお答えいたします。 学校の休みの分散化などにより、子供が保護者等とともに校外で体験的な学習活動等を実施できるようにすることは、議員御指摘のとおり、子供たちがふだんは参加できない行事等へ参加し、視野を広げることにつながるとともに、家庭教育力の向上、地域経済の活性化にも資するものと考えます。 このようなことから、県教育委員会では、本年4月、全ての県立学校に対し、休業日の取扱いを弾力化し、学校長の判断により、夏季休業日等の分散化を可能とする制度を導入しました。 これを受け、探求的な学びに積極的に取り組んでいる宇土高校、宇土中学校では、生徒が自ら考え、行動できる能力を高める契機となる体験的な学習活動等に取り組めるよう、本年度から、夏休みの一部を分散し、10月下旬から11月上旬にかけて、祝日等を含め9連休とする取組を行う予定でございます。 引き続き、本制度の周知を図り、各学校における活用を促進してまいります。 また、親が祝日や休日に仕事をしている場合などに、子供と家族が平日に一緒に休み、体験的な学習活動等ができるよう環境整備を図るためには、職場においても休暇を取得しやすい環境をつくるなど、学校と地域が一体となった休み方改革への取組も必要でございます。 今後、県教育委員会としましては、先行事例の状況も参考に、学校をはじめ関係団体などの意向も踏まえながら、具体的な検討を進めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 他県ではもう既に進められておりますが、様々な御意見があるというふうなことも聞いております。 私は、夏休みの分散化は進めていってもいいんじゃないかというふうに思っております。特に、幼少期というのは、親と一緒に過ごすことは本当大事なことだと思います。このことに対しましては、やはり市町村の教育委員会もございますので、しっかりと連携をして環境整備に努めていただければと思っております。 今回、トップバッターということでございまして、先頭バッターホームランとはいきませんでしたが、自分の中でチャンスを広げることができたのかなというふうに思っております。次回は、満塁ホームランとまではいきませんが、ホームランを打てるように、また頑張って質問させていただきたいと思います。 それでは、これをもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(渕上陽一君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時57分休憩    ――――――○――――――  午前11時7分開議
    ○議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 幸村香代子君。  〔幸村香代子君登壇〕(拍手) ◆(幸村香代子君) 皆様、おはようございます。立憲民主連合会派の幸村香代子でございます。 県議になりまして初めての一般質問となります。少々と言いたいところですが、大変緊張いたしておりまして、不手際があるかもしれませんが、寛大なお気持ちで、最後までのお付き合いをよろしくお願いいたします。 本当に、異常に暑かった夏も、時が回れば、厳しい暑さの中にも朝夕の涼しさは肌に感じますし、味覚の秋を堪能するのも楽しみな季節に、ほっとする感覚がございます。 先日、第2次岸田第2次改造内閣が発足いたしました。閣僚に5人の女性が登用され、過去最多に並ぶ人数となり、期待をしております。しかし、残念なことに、副大臣26人と政務官28人には女性登用はゼロという、失望する数字でした。政治分野におけるジェンダー平等指数が極めて低い日本において、トップの意識がこれではと残念な思いがしております。今、再考を促す動きがあります。ぜひとも、女性活躍を旗印にしておられる岸田総理の本気度を、世界に向けて示していただくことを期待しているところです。 それでは、本日、5項目通告をいたしておりますので、順次質問をしてまいります。 まず1点目、性暴力から子供たちを守る取組について、2点お尋ねをいたします。 1点目、性犯罪・性暴力対策のさらなる強化方針を受けてについてお尋ねをいたします。 連日、ジャニーズ事務所の性加害問題がテレビなどで取り上げられています。被害者は数百人に及び、前代未聞の犯罪となっています。被害者の男性が、何があったのかを顔を出してテレビカメラの前で赤裸々に訴えられている姿は、胸が締めつけられる思いがいたします。 これまで性被害者は、どちらかといえば女性と思われがちでしたが、男の子が被害者となることや、幼少期に受けた被害が何だったのかを大人になってから理解し、PTSDに苦しむことが、これまで以上に認識されることとなっています。幼少期に受けた性暴力は、何十年という長い年月、苦しみを与え続けることになるのです。 また、絶対的な権力を持ち、支配的な立場にある大人が、嫌と言えない子供たちを支配し虐待する、許されないことです。メディアは、この事件が芸能界という特殊な環境の中での問題と捉え、人権問題という意識が欠け、正面から取り上げてこなかったことが厳しく問われています。 また、この実態調査のため、国連の人権理事会ビジネスと人権作業部会が来日しました。最終報告は今後のようですが、今回の事件が、日本には女性や子供、障害者、性的少数者、技能実習生などの人権問題が根強くあると、厳しく指摘をされています。 今、子供たちを性暴力から守ろうという動きが社会全体で広まっています。それだけ、子供たちが被害者となる性犯罪、性暴力が深刻な状況にあるからです。 ネット社会の中でも、性の情報が氾濫しています。子供たちも簡単に閲覧できますし、その中には、過激なもの、間違ったものが多くあります。何が正しい情報なのか、自分の体を守ること、自分の心を守ること、大切な人とどう関係するのか、大人も子供も学んでいくことが必要です。 被害者の年齢も低年齢化していますが、加害者となる年齢も同様です。そして、私たちが思う以上に性被害は多様化しています。被害者、加害者が自分の子供か孫、そう想像してみると、対策や対応が急務であると強く思われるはずです。 政府も、性暴力は被害者の尊厳を踏みにじる卑劣な行為であり、決して許されないとして、子供や若者の性被害防止に向け、緊急対策を取りまとめ、令和5年度から令和7年度の3年間を性犯罪・性暴力対策の「更なる集中強化期間」と位置づけました。 刑事法改正に係る対応、再発防止施策の充実、被害申告、相談しやすい環境整備、切れ目ない手厚い被害者支援の確立、教育啓発活動の取組、新たな課題等への対応を取組の柱としています。 そこで質問です。 この中でも、相談しやすい窓口と体制づくりについて、また、その相談窓口を広く知らせるためにどのような方策を取られているのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 本県における性暴力から子供たちを守るための相談体制等についてお答えいたします。 議員御紹介のとおり、政府において、令和5年度から7年度までの3年間が性犯罪・性暴力対策の「更なる集中強化期間」と定められました。子供の性暴力被害防止や被害者支援についても、多くの項目が盛り込まれ、関係省庁や地方自治体など、行政機関が取り組むべき方針が示されました。 本県では、平成27年6月に、性暴力被害者のためのサポートセンターゆあさいどくまもとを開設し、専門家を擁する民間団体に運営を委託して、24時間体制の電話相談や医療機関への付添い支援など、性暴力被害者への支援を、警察への被害届提出の有無にかかわらず行っております。 また、子供への性的虐待事案に対しては、児童相談所と関係機関が連携し、二次被害防止に配慮しながら子供の被害状況を踏まえた対応を行い、さらに、精神保健福祉センターにおいても、電話相談や精神科医師の診察、臨床心理士等による面談を実施するなど、関係部局が連携し、性暴力被害者に対する支援を行っています。 性暴力の対象やその被害内容は多様であり、個々の被害者に寄り添った対応を行うことができるよう、継続的な相談員の研修やSNSの活用などにより、相談しやすい環境の整備に努めています。 今後とも、子供や若者あるいは男性からの相談にも柔軟に対応できるような体制づくりを進めていきたいと考えています。 また、子供の性暴力被害やその対応についての理解促進を図るため、中高生、保護者向けリーフレットの作成や学校での出前講座を行うとともに、相談窓口等が掲載されたカードの配布による相談窓口の周知啓発に取り組んでいます。 被害の潜在化を防止し、適切な支援が受けられるよう、引き続き、県の関係機関、市町村、関係団体等と連携し、被害者が相談しやすい体制づくりを行うとともに、窓口の周知啓発に一層取り組んでまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 今御答弁で紹介がありました配布をされているカードを見せていただきました。これが、学校だけの配布ということではなくて、やっぱり公共施設であるとか人が集まる商業施設なんかのトイレとかに、男性、女性関係なく置いていただきたいなというふうに思います。以前、DV被害者の窓口対応のものがずっと置かれていたんですが、最近ちょっと見ないなとは思っています。ああいうところに置いていただくと、非常に目につくこともありますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。 それと、SNSの活用なんですが、もう今は当たり前のような状況です。ですから、やっぱり有効に活用していただいて、相談者が本当に窓口にアクセスしやすい、ワンクリックぐらいでつながるような環境を、見つけやすいということも含めて、対応いただきたいというふうに思います。 御紹介があった性暴力被害者のためのサポートセンターゆあさいどくまもとさんなんですが、ここに、相談件数としては、令和4年で1,379件、令和2年から、毎年1,000件を超す相談があっております。24時間対応で、30人ほどの人員で相談に応じておられます。相談件数の多さと、被害者へ大変細やかな対応を必要とする現場でございます。切れ目ない人材を確保することが必要だというふうに思います。県としても、人材育成には力を入れていただきたいというふうに思います。 先ほど、相談件数が1,000件を超えるというふうにお話をいたしましたが、表に出てくるのは本当に氷山の一角です。被害が発覚するのは、全体の10%前後だというふうに言われています。どれだけの被害が多いことかと驚くばかりです。 相談に結びつかないような被害が相当数あるということです。ぜひ、庁内での連携も強化していただきたいと思いますし、そんなふうにせっかく窓口につながった被害者を、確実に救済する、救済につなげていくというふうなことからしても、児童相談所などへつなぐこと、また、その他の関係機関につなぐことも確実に行っていただきたいというふうに思います。 これについては、本当に県全体、行政だけではなく、民間の力もお借りして取り組んでいただきたいということを要望して、この項を終わります。 次、2点目、教育委員会における生命(いのち)の安全教育及び性に関する指導の取組についてお尋ねをいたします。 生命(いのち)の安全教育は、性犯罪、性暴力の根絶を求める社会的機運の高まりなどを受け、2020年6月に決定された性犯罪・性暴力対策の強化の方針を踏まえて、文部科学省が推進する取組です。その内容としては、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないための教育及び啓発になります。 今年7月、朝日新聞にも掲載されましたが、内閣府が2022年に行った16歳から24歳の若年層へのオンラインアンケートによりますと、有効回答6,224人のうち、4人に1人に当たる1,644人、26.4%に、性暴力――望まない性的な行動ですね。の被害を受けた経験があったと答えています。 また、追加のアンケートでは、被害を受けた人を対象にした調査で、約半数は相談先につながっていなかったという結果も出ています。 加えて、加害者との関係では、学校、大学の教職員、先輩、同級生、クラブ活動の指導員などが36%で最多です。被害を受けた場所としては、学校との回答が22.5%で最多という結果になっています。 このことから、性犯罪、性暴力への対策、それも子供たちが長い時間を過ごす学校での対策が急務であると思います。 そこで質問ですが、生命(いのち)の安全教育について、県教育委員会はどのような取組をされているのか、また、被害を受けた場合の相談窓口の周知と関係機関との連携について、どのようなことを実施されているのか、教育長にお尋ねをします。 次に、性に関する指導についてですが、熊本県は、若年層の妊娠中絶率が高いという集計結果があります。熊本県の母子保健集計結果2021年度では、総数でワースト7位、20歳未満ではワースト6位という、憂慮すべき現状です。この順位は、長年改善されることなく、今に至っています。 私は、このような中で、学校で行う性に関する指導の役割は、極めて大きいと考えています。そのため、望まない妊娠を避けることや命の大切さなどを、成長過程に応じて、支援学校などを含む学校現場で教えていく必要があると思っております。 そこで、県教育委員会として、命を大切にする性に関する指導の充実について、先生方の研修をはじめ、どのように取り組まれているのか、教育長に併せてお尋ねをいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、生命(いのち)の安全教育の取組についてお答えいたします。 スマートフォン等が普及する中で、SNSに起因する性犯罪や自画撮り被害に遭った児童生徒に関する教育委員会への報告数は年々増加傾向にあり、中には小学生が被害に遭うケースもあります。また、全国的には、盗撮による児童ポルノ製造事犯が高水準で推移しており、児童生徒が加害者となる児童ポルノ事犯も増加傾向で推移しています。 このような状況を踏まえ、県教育委員会では、各学校での研修等に活用してもらうため、学校の管理職を対象とした研修会等において、文部科学省が作成した教材や啓発資料等の周知を図るとともに、中高生向け授業づくりの手引を本県独自に作成し、それを活用した授業を行うことで、性犯罪の防止に努めています。 あわせて、児童ポルノ事案の具体例について、県独自の啓発資料も作成し、児童生徒、保護者に周知を図っているところであります。 また、性暴力の被害者が相談機関に速やかに相談できるよう、県教育委員会では、ワンストップ支援センターゆあさいどくまもとなど関係機関の相談窓口一覧を作成し、各学校の教室等に掲示するとともに、児童生徒や保護者にも配付しております。 次に、性に関する指導の充実に向けた取組についてお答えします。 県教育委員会では、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう、発達段階に応じて、思春期の体の変化、妊娠、出産と健康などに関する集団指導と個別指導を組み合わせて行うよう、各学校の健康教育担当者に研修会等を通して周知を行っています。 あわせて、外部の専門家を活用した児童生徒向けの性教育講演会を開催するよう、指導の充実を図っています。 また、SNSに起因する被害等を防止するため、新たに性に関する指導リーフレットを作成し、教職員が児童生徒の抱えている問題に適切に対応できるよう支援しています。 今後とも、関係機関と連携を図りながら、生命(いのち)の安全教育及び性に関する指導の一層の充実を図ってまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 各学校で、その学校の実情に応じた取組を進めていくには、まず管理職がどういう意識を持って取り組まれていくかというふうに思いますので、大変管理職を対象にした研修というのは重要であるというふうに思います。 また、その中身については、やっぱり実効性のあるものが望まれますし、何より性教育の必要性がきちんと共有できるものをお願いしたいというふうに思います。 性に関する指導については、本当に、各学年において、その成長段階に応じた継続的な取組が望まれます。警察や産婦人科医、相談窓口の担当者、また、児童相談所など、実際に子供の命や性に関わっておられる外部の専門機関の話を聞くことも、大変有効だというふうに思っています。現在もそういったことに取り組まれているという御答弁もありましたけれども、ぜひそういった機会をさらに充実させていただきたいというふうに思います。 また、定例の教育委員会でどのような議論がなされているのかなと思いまして、議事録を遡って点検をいたしましたが、議題として取り扱われてはいないようです。ぜひ、教育委員会としても、議論のテーブルにのせていただいて、そのような実態のことであるとか、どんな取組を進めていくということを、きちんと検討いただきたいというふうに思います。 そのことをお願いして、この項を終わります。 次に、大項目2、加齢性難聴者の認知症予防についてお尋ねをいたします。 日本は、高齢化に伴い認知症を抱える人が、2025年には65歳以上の5人に1人、2040年には4人に1人の約900万人に達すると推計されています。大きな社会問題となっています。 この認知症と難聴の因果関係について、様々な研究がなされてきました。難聴が脳の萎縮や神経細胞の働きの弱まりに影響することが明らかになってきており、2015年、厚労省は、認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランを関係省庁と共同で策定して、この中で難聴が認知症の危険因子の一つであると明記されています。 また、2017年7月には、ロンドンで開かれた第29回国際アルツハイマー病学会議では、ランセット国際委員会は、予防できる要因の中で、難聴が認知症の最も大きな危険因子であると発表しています。 確かに、聞き取りが難しくなると、会話によるコミュニケーションが難しくなりますし、外出がおっくうになります。社会的な刺激が少なくなり、意欲の低下や孤立化にもつながります。このことが認知症の要因であると指摘されているのだと思います。 では、難聴者の数はというと、補聴器工業会の調査によると、日本における難聴者数は1,430万人と推定されています。人口に対する比率は11.3%、世界で3番目に多いと報告されています。 その理由として、難聴治療に対しての啓発が非常に不十分であると、で、適切な検査に結びついていない。例えば、眼鏡を使用しようと思えば、ちゃんと病院に行って視力検査をして、どんなものが適正なものかということをまずは病院とか専門機関の診察を受けるんですが、なかなか難聴の場合はそれがされていないということもあって、早い段階での医療機関への診察を促すことも必要であるというふうに言われております。 さきの国会においても、認知症基本法が成立し、認知症対策を新たな国家プロジェクトと位置づけました。今後、基本計画が策定され、自治体にも地域の実情に応じた計画をつくる努力義務が課されています。当然、当事者や家族の声を反映させることが重要であるとの指摘があります。 本県においても、計画策定の折には、当事者の意見が反映される取組をお願いしたいと思います。 働く高齢者も増えています。敬老の日の調査によれば、65歳から69歳で約50.5%の方、70歳から74歳で33.5%の方が働いておられます。難聴を早期に対処していけば、社会参加や労働意欲も減退することなく暮らしていけるのではないでしょうか。さらには、健康寿命の延伸、医療費の抑制につながると考えています。 そこで、難聴と認知症の関係について、県の認識を健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 先日総務省が公表した人口推計によると、国民の10人に1人は80歳以上です。また、厚生労働省の調査研究では、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になると見込まれ、その後も当面は増加が予想されます。 こうした中、国は、認知症施策推進総合戦略において、難聴も高血圧や糖尿病などと並ぶ認知症の危険因子の一つに挙げており、国立長寿医療研究センターでは、平成30年度から、難聴と認知機能との関係を解明する研究が始められました。 この研究によると、難聴と認知機能低下の関係性については、一定の相関関係は確認されていますが、因果関係については研究結果を得るに至っておらず、引き続き同センターにおいて研究が続けられている状況です。 本年6月には、認知症基本法が成立し、認知症の人も含めた国民一人一人が、支え合いながら共生する活力ある社会の実現に向けて、国を挙げて施策を進めていくことになっております。 県としても、そのような認識の下、難聴と認知症の関係については、国において現在も継続中の研究の進捗状況等を注視しつつ、必要な取組を進めてまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 今回、補聴器の助成制度にまでは踏み込みませんでした。先ほどの御答弁を聞かれて分かると思いますが、県の対応としては、難聴と認知症の因果関係に関して、非常に慎重な姿勢が強くありましたものですから、今回、その助成制度にまでは踏み込みませんでした。 しかし、国会においても、今、継続的に議論をされておりますし、冒頭紹介しましたように、難聴が認知症の危険因子であるとの明確な指摘がございます。危険因子は、やはり取り除いていく必要があると思います。病気をすれば、その病気を予防するために危険因子を取り除くということがなされているのと同じように、認知症に対する危険因子が難聴であれば、やはりその対策というのは必要なことだというふうに思います。 今回は取り上げませんでしたが、今後、必要な取組を積極的に進めていくというふうな御答弁も最後にございましたので、補聴器購入への助成制度の検討も、今後求めていきたいというふうに思っています。 次、3項目め、産科医、小児科医の確保についてお尋ねをいたします。 日本の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられており、危機的な状況にあると厚生労働省が指摘したのは、2019年の医師の働き方改革についてまとめた報告書です。 2019年4月から施行された働き方改革関連法案では、人手の確保が難しい医師など、一部適用が猶予され、2024年4月から、勤務医に対して適用されることとなります。 猶予されたこの5年の間に対策を講じる必要があったわけですが、新型コロナウイルス感染症などもあり、厳しい状況ではないかと推測をいたします。特に、地方においては、大学病院からの派遣により医師を確保していた現状もあり、働き方改革による影響を懸念しているところです。 特に、産科医や小児科医の不足については、全国的な問題でもあり、この点も踏まえ、以下3点について、健康福祉部長に質問をいたします。 1点目、周産期医療における第7次熊本県保健医療計画のまとめについてです。 熊本県においては、本年度、第7次計画の最終年度となります。周産期医療の現段階のまとめと課題、8次計画の主眼についてお尋ねをいたします。 2点目、熊本労災病院産科の来年3月末の休止についてです。 7月28日、29日、各新聞の朝刊に、熊本労災病院が出産を取り扱う産科を2024年3月末で休止するという記事が掲載され、八代市民はもとより、周辺自治体からも不安の声が出されています。 熊本労災病院は、緊急手術や処置が必要なハイリスク妊婦に対応する地域周産期中核病院であり、八代と人吉・球磨地域の妊婦を受け入れています。 妊娠や出産は、何があるか分からないという不安を妊婦は抱えています。熊本労災病院の産科が休止となれば、熊本市内まで搬送されることになります。不安は一段と増します。また、産科、婦人科、小児科を有している熊本労災病院であればこそ、安心してお産ができます。 9月7日には、八代市と人吉市の4クリニックが、県と熊大病院、県産婦人科医、八代市医師会の4か所に嘆願書を提出されています。なぜこのような状況になったのか、休止を回避する対策はないのか、県の対応をお尋ねいたします。 3項目め、TSMCの進出による従業員、家族等の病院、診療所受診の対応についてです。 台湾から多くの従業員やその御家族が随時来熊されています。生活の中で、けがや病気、お産や妊婦健診、緊急的な事態などが想定されます。医療機関を受診されることも当然あると思います。その場合の通訳や対応など、御本人や病院関係者が安心して対応できる環境は整っているのか、お尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、周産期医療における第7次熊本県保健医療計画のまとめについてお答えします。 県では、ハイリスク妊産婦や新生児に対し、高度な医療を提供する熊本大学病院と熊本市民病院から成る総合周産期母子医療センターとそれを支える地域周産期母子医療センター及び地域の周産期医療を担う中核病院が、それぞれ役割分担を行い、周産期医療の連携体制を構築してきました。また、その連携体制を維持するため、熊本大学が行う産科医師のリクルート活動等に対して支援を行ってきました。 本年2月に実施した第7次保健医療計画の総合評価では、評価指標である妊産婦死亡数や新生児死亡率が改善傾向にあることから、おおむね予定どおり推進と評価しました。 一方で、令和2年の県内医療機関に従事する産科医師数は、平成30年に比べ、12人減少の135人となり、球磨圏域では産科の中核病院が分娩休止となるなど、体制維持についての課題が出てきています。 こうした状況を踏まえ、県では、県民が安心して出産できる周産期医療の提供体制確保が必要と認識しています。 現在、周産期医療協議会等において、現状や課題の整理、必要となる施策の方向性や評価指標など、第8次保健医療計画策定に向けた協議を進めているところです。 次に、熊本労災病院産科の来年3月末の休止についてお答えします。 熊本労災病院では、熊本大学からの産科医師の派遣休止の影響で医師確保が困難となることから、分娩を休止せざるを得ない状況になると聞いています。 県としましては、これまで、八代圏域のみならず、球磨圏域の周産期医療も支えてきた熊本労災病院の産科休止に対して、地元の住民や産科診療所が不安に思われていることは十分理解しており、県南地域の安全、安心な分娩環境を確保することは、大変重要な課題と認識しております。 しかしながら、医師派遣を行う熊本大学からは、周産期医療の現場を支える技術的に円熟した中堅医師が非常に少なく、派遣できる医師の確保が難しいとの話を伺っております。 こうした状況の中、県南地域で安心して分娩できる環境を維持していくためには、八代圏域の産科医療機関など、関係者がさらに連携を深め、対応していくことが必要です。 県では、引き続き、これまで医師派遣を行ってきた熊本大学と連携し、関係者間で協議を行う場を設定するなど、新たな連携体制の構築に向けた協議を進めてまいります。 最後に、TSMCの進出による従業員、家族等の病院・診療所受診の対応についてお答えします。 現在、県では、総合医療情報システム、くまもと医療ナビにおいて、TSMCの従業員に限らず、来熊した外国人に対し、医療施設名、診療可能な疾患・治療内容、外国語対応の可否など、県内医療機関が有する医療機能情報を、中国語、英語、韓国語で提供しております。 また、令和6年4月からは、全国の医療機関を網羅し、より充実した検索機能を有する国のシステムが稼働する予定となっており、TSMCの関係者のみならず、外国人の方の利便性がさらに向上するものと考えています。 加えて、外国人の生活上の幅広い問題に一元的に対応する外国人サポートセンターでは、多言語により医療や出産を含む生活相談を受け付けています。医療機関との通訳について相談があった際は、くまもと医療ナビや同行して医療通訳を行っている民間団体の紹介などを行っています。 今後も引き続き、関係市町村等と情報を共有しながら、これらの取組を継続するとともに、様々な要望に対して丁寧に耳を傾け、必要な施策を実施してまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 周産期医療について、第7次の取りまとめとしては、おおむね予定どおりに推進というふうな評価があったけれども、今後については、非常に体制――産科医が減っているということも含めて、体制の維持に課題があるというふうに答えられております。 引き続き、体制の確保ということもやっていただきたいんですが、どうしてもやっぱり都市部に集中していけば、産科から距離のある妊婦さん、これに関しては、やっぱり遠隔診療であるとか、必要に応じては宿泊所、これを提供する、また、交通手段の確保なども検討していかなければならないのではないかというふうに思います。 ぜひ、安心、安全なお産ができる、そういった環境を多角的に検討いただき、環境を整えていただきたいというふうに思います。 2番目の八代の熊本労災病院の産科医の確保については、今協議を進められているということでございました。 今、様々なお話が出ております。今朝の熊日新聞には、熊本総合病院に熊大からの医師派遣を受けて産科が開設されるというふうな記事もございました。八代において産科医が増えていくということは、大変喜ばしいことだというふうに思います。 最も優先されなければならないのは、答弁でもございましたが、県南地域で安心して分娩できる環境を維持していくことです。球磨地域で産科の中核病院が分娩休止となっている現状の中で、八代で地域周産期中核病院を存続させるということは、やっぱり大切なことだというふうに考えます。しかし、選択肢としては、地域内連携を通して同等の環境整備をしていくということもあるかというふうには思います。 いずれにしても、熊本大学の御協力と御理解、また、関係者協議を丁寧に進めていただきたいというふうに思います。 3番目、TSMCの進出に伴う医療関係の受診についてお答えをいただきました。 これまで蓄積されているノウハウ、また、プラスアルファで対応できるとのことで、一旦は安心をいたしましたが、やはり生活をしていく中で、どのような課題が出てくるかということがございます。今後も、ぜひ医療機関サイドの状況も把握いただき、適切な対応をお願いしたいというふうに思います。 4項目め、食料危機への対応についてお尋ねをいたします。 日本の農業政策の方向を定め、農業の憲法とも呼ばれてきた法律、食料・農業・農村基本法の改正に向けた議論が25年ぶりに進められており、来年の通常国会には改正案が提出される予定です。 この見直しの契機は、ロシアのウクライナへの軍事侵略です。ウクライナが小麦などの農産物が輸出できなくなったということ、ロシアの農産物も侵攻によって輸出が制限されるという事態が起きました。 戦争の影響は全世界に広がり、穀物の価格は急速に高騰し、幅広い食料品の値上がりにつながりました。このことは、お金を出せばいつでも好きなだけ食料が買える時代は終わったことを認識させました。このままでは、食料の奪い合いが起こり、食料危機が起きることが想定されます。 一方で、国内農業は、食料自給率は、カロリーベースで1965年70%だったものが、2022年度には38%に落ち込んでいます。2010年に205万人だった基幹的農業従事者は、この12年間で4割に当たる82.5万人が離農し、高齢化が進んでいます。農地は、4割に当たる26.8万ヘクタールが失われました。年々熱帯化する気象、これまでの経験値が通用しない線状降水帯や台風の進路などによる災害など、大変厳しい状況が続いています。 しかし、今回、国が食料・農業・農村基本法の検証、見直しで取りまとめた資料では、これまでの大きな目標だった食料の自給率向上の数値が達成しないままに、目標の一つという曖昧な位置づけになりました。現時点では、数値目標が設定されていません。これは、明らかな後退と言えるのではないかというふうに思っています。 そういった状況もある中で、これから県としては、食料安全保障に関する国の動きを注視しつつ、県民の食と農を守る取組を率先して推進していく必要があると考えます。 その際の考え方の基本とすべきは、自分たちの食は地域で生産し、生産した農産物は自分たちで消費するという、いわゆる地産地消であると私は考えます。 そこで、2点についてお尋ねをいたします。 1点目、世界的な食料危機について、どのような認識をお持ちでしょうか、蒲島知事にお尋ねをいたします。 2点目、地産地消の推進について、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の世界的な食料危機への認識についてお答えします。 本県は、農業産出額が全国第5位を誇る全国有数の食料供給県です。 本県の農業は、畜産、野菜、果樹、穀物等がバランスよく生産されている特徴があり、令和3年の食料自給率は、カロリーベースで58%、生産額ベースでは159%となっています。 私は、熊本が持つ強みを最大限に生かし、日本の5つの安全保障に貢献する姿を描いています。その一つが食料の安全保障であります。 県では、これまで、農業の生産力向上に向けた農地集積などの取組に加え、農業の後継者育成、グリーン農業の推進など、食料の安定供給体制の確立に資する取組をいち早く実践してきました。 そのような中、昨年のロシアによるウクライナ侵略に端を発し、全国で輸入穀物価格の高騰をはじめ、食料価格の上昇が続くなど、食料危機が身近に起こり得ることを実感させられました。 これを受け、国においては、食料危機や生産資材等の調達に対応できるよう、食料・農業・農村基本法の改正に着手しています。 今月11日には、国の審議会による最終答申がなされ、その中では、現行基本法の基本理念について、平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立等という論点から見直しを行うべきとされています。 この基本理念が、各種施策に反映されていくものと考えられます。 今後、国の施策とこれまで進めてきた県の施策を組み合わせながら、生産者だけでなく、県民の皆様とともに、本県の食料自給率のさらなる向上をはじめとする食料の安全保障につなげてまいります。 付け加えますと、この5つの安全保障の食料安全保障については、もう3年前から熊本県では主張しておりますので、いち早く我々は、これに関心とそれから取組を進めているところであります。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) 地産地消は、地域で生産された農林水産物が地域で消費される取組のことで、経済の循環や地域活性化を促進するとともに、食料の安全保障に寄与するものであります。 加えて、食料の輸送距離の短縮や地域の食文化の継承、郷土愛の醸成など、SDGsの理念にも沿った取組でもあり、県民生活に豊かさをもたらすものと認識しています。 本県では、平成21年にくまもと地産地消推進県民条例を制定し、施策を進めてきた結果、県民アンケートでは、地産地消への関心は、ここ数年9割前後の高い割合を維持しています。 しかしながら、高齢層に比べ若年層の関心が相対的に低くなっていることから、昨年10月に、SNSを活用した情報発信を強化しました。その結果、SNSのフォロワーは着実に増加しており、現在は4,000人を超えています。 今後も引き続き、作物の旬や生産者の思いなどに関する情報をお届けし、産地と消費者の距離を縮めてまいります。 また、県産食材の利用を促進する観点から、学校給食及び企業の社員食堂での利用を進めています。 学校給食における県産食材の利用率は、令和4年度で64.2%と、全国平均の56.5%を上回っています。 今年度は、これをさらに高めていくため、県教育委員会と連携し、県内4市町の学校給食において県産食材の利用を進めるとともに、農業体験を通じた食育にも取り組んでいます。 こうした取組によって地産地消への理解の促進を図り、熊本の食と農に愛着を持つ若者の育成につなげていきたいと考えています。 次に、企業の社員食堂での活用については、県内事業所で働く従業員のみならず、その家族の消費にもつながることが期待されます。このため、今年度予算化したくまもと食と農の発見事業を活用して、企業で県産食材の利用が進むよう、積極的に働きかけているところです。 本県の食と農を守るとともに、県内で地産地消が浸透していくよう、これらの取組を着実に積み重ねてまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 知事からは、熊本県の食料自給率の向上と食料の安全保障を目指していくとの御答弁を頂戴いたしました。 今後、熊本県食料・農業・農村基本計画、また、熊本県食の安全安心推進計画、これに反映されていくものというふうに思います。この計画には広く県民の意見が反映されますので、生産者だけではなく、消費者も熊本の安心、安全な食料生産を支えていく責務を負うということが必要だというふうに思います。 知事は、非常に農業政策に精通しておられる知事でございます。熊本県のトップが、この農業政策に精通した知事であるということは、誇らしく思います。ぜひ、日本の農業の、また、地産地消を牽引していただくような取組を今後もお願いしたいというふうに思います。 次に、インボイス制度についてお尋ねをいたします。 10月1日に始まる予定のインボイス制度ですが、導入までの最終局面で様々な不安や反対の声が噴出しております。 このような状況を踏まえ、インボイス導入に伴う本県の中小企業者への影響及び今後の県の対応について、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、インボイス導入に伴う本県の中小企業者への影響についてお答えします。 本年8月の東京商工リサーチ社の調査によると、免税事業者とは取引しないと回答した事業者は約8%となっています。一方で、3割を超える方が検討中であると回答されており、免税事業者と取引しない事業者が増加するおそれもあります。そのため、免税事業者が課税事業者に移行しないことで、取引を失うケースが発生するということが懸念されています。 また、課税事業者に移行すれば、費用が税額相当分増加することになり、これが価格転嫁されれば、消費者の負担が増加してしまうとの意見もあります。 本制度は、国が所管するものであり、全国共通の課題であることから、これまで全国知事会等を通じ、制度の円滑な導入に向けた必要な支援策を求める要望を行っています。 その結果、国においては、課税事業者に移行した事業者の負担軽減のため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置などが講じられています。 東京商工リサーチ社の調査によると、本年3月末時点で、県内法人のインボイスを発行できる事業者への登録率は既に約9割となっており、県内事業者への制度の周知は進んでいるものと考えています。 また、商工団体を通じ、適宜状況把握に努めていますが、現在のところ、制度に関する相談は寄せられているものの、大きな混乱は生じていないとお聞きしているところです。 次に、今後の県の対応についてお答えします。 本県においては、これまで、商工団体と連携し、セミナー等を通じて制度の周知を行うほか、商工団体の経営指導員による相談対応や専門家派遣を行うなど、伴走型で事業者の取組を支援してまいりました。 さらに、インボイス制度に向けて、国のIT導入補助金や持続化補助金などの支援策が講じられていますが、こうした支援策の内容が事業者の方々に迅速かつ適切に伝わるよう努めています。 引き続き、商工団体等を通じ、現場の声を伺いながら状況把握に努めるとともに、伴走型の支援や支援策の周知を図ってまいります。また、必要に応じ、国に対し、制度の改正や支援策を追加要望するなど、事業者の方々に寄り添った取組を行ってまいります。  〔幸村香代子君登壇〕 ◆(幸村香代子君) 御答弁いただきました。 申し訳ありません。非常に時間が限られてしまって、早口で御協力ありがとうございます。 今の御答弁では、特段の混乱は生じていないということでしたけれども、直面しておられる事業者からは、1つは、やっぱりインボイス制度が複雑過ぎてなかなか分からないという声も聞かれております。もう10月1日から始まるということは回避できないとは思いますけれども、どのような影響があるかということについて、県としては注視をいただきたいというふうに思います。 答弁にもございましたが、国においては、様々な特例、緩和策、支援策が準備をされております。また、今月4日には、インボイスの円滑導入のためのインボイス制度円滑実施推進会議、閣僚級会議が設置をされました。このことは、やはり制度の導入に課題があるというふうに国も認識をされていることの裏返しではないかというふうに思っています。マイナンバーカードの導入と同じような風景になりはしないかと危惧をしているところです。 今後、経過措置はあるとはいえ、暮らしの負担が増えることは間違いなさそうです。私は、インボイス制度には反対ですが...... ○議長(渕上陽一君) 時間が少なくなりました。発言を簡潔にお願いします。 ◆(幸村香代子君) (続) 県におかれましては、今後の動向を各団体から聞き取り、適切な支援策などの情報提供に努めていただきたいというふうに思います。 熊本県民の幸福量の最大化より、不幸量の最小化が政治の責任ではないかと、改めてこのインボイス制度の導入に当たって思ったところです。そのために、これからも議会人として努力をしていきたいというふうに思います。 非常に早口になってしまいましたが、これをもちまして私の一般質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時6分休憩    ――――――○――――――  午後1時8分開議 ○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩中伸司君。  〔岩中伸司君登壇〕(拍手) ◆(岩中伸司君) 皆さん、こんにちは。新社会党の岩中伸司でございます。 久しぶりの一般質問になりまして、非常に緊張しております。代表質問、一般質問、それぞれすばらしい質問が続いていますので、あんなにはやれないなと、議席からそういう思いで皆さん方の質問を聞かせていただいていました。 そして、蒲島知事も、野球選手の村上選手が、この熊本にも野球場を造ってくれ、こういうお願いを蒲島知事にされて、それがまだ実現できないので非常に心苦しく思っていると、そういうお話をされていましたし、今ここでスピーチをしているときにという発言がありました。スピーチをしていると、答弁されているときにスピーチっていいのかなと思いながら、そのことで私はちょっとほっとしました。蒲島知事、すばらしい知事、4期続けられている知事がそういうことを言われたので、私も、それは少しぐらい気持ちを楽にしていいな、そんな思いでいるところです。 新社会党の所属ですけれども、皆さん、初めて新社会党というのは聞かれる人も結構あるかと思います。ちっちゃなちっちゃな党ですけれども、細々くやっています。 私自身は、この政治信念は、護憲、平和が一番の柱です。憲法9条をきちっと守ろうということで、そして、平和な日本をやっぱりそのまま守っていこうというふうな思いが一番の政治信念です。 あと、いろいろ民主的な運動はたくさんありますけれども、そういう運動を続けながら、議会でこの議席をいただきました。貴重な議席をいただきましたので、また4年間、皆さん方には大変お世話になりますけれども、執行部の皆さんも、私が来たことで嫌だなという方が多いと思いますけれども、そうじゃなくて、もっと柔らかな気持ちで接していただきたい。 人間というのがまず大原則にあります。人が人として生きていけるような、そういう楽しい社会にしていかなければならないというふうに思いますので、それぞれ思想、信条は違うかもしれませんが、人間がやっぱり人間として生きていける、そんな社会を目指して頑張っていきたいと、このように思いますので、優しくよろしくお願いしときます。 まずは、川辺川ダム建設について。 この川辺川ダム建設について、今日の質問を見て、大先輩から、岩中さんらしかなというふうなことを言われたんですが、ぜひ私の主張も聞いていただきながら、この県政をもっともっとよくしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしときます。 まず、蒲島知事は、2008年4月、知事に就任され、その年の9月には、川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきと表明されています。 その背景にあったのは、潮谷前知事が始めた川辺川ダム住民討論集会で、賛成、反対双方の主張が出し尽くされ、検証された結果として、県民がダムは不要と判断した民意があり、人吉市長や相良村長等の反対声明も続いた、そういうことでダム計画の白紙撤回表明に至ったものではないかと推測をされます。 しかし、2020年7月4日の球磨川洪水による甚大な被害を受け、球磨川流域を中心に、災害関連死2名を含む67人の命が奪われたことなどから、蒲島知事は、川辺川ダム建設容認へと大きな方針転換を図られたようです。 ダム放流口に開閉式のゲートを備えた流水型ダムとして、豪雨時だけ水をためる構造であり、命と環境の両立を掲げられました。 知事は、川辺川ダム計画を白紙撤回して以降、ダムによらない治水を極限まで追求すると言い続けられてきましたが、2008年9月から、2020年7月の球磨川豪雨災害発生までの約12年間、ダムによらない治水としての堤防かさ上げや河床掘削、遊水地等の整備などをどのように具体化されたのか、国や県の責任は重いと思いますが、説明をお願いいたします。 2020年7月4日の県南部を襲った線状降水帯による豪雨被害は、球磨川流域に限っても、浸水面積約1,150ヘクタール、浸水戸数約6,280棟、犠牲者は、災害関連死を含め52人、行方不明者2人となっています。 甚大な被害をもたらした2020年7月4日の洪水では、川辺川ダム建設予定地の上流と下流にある2つのつり橋は、壊れることなく残っているのが不思議ですが、この日の洪水の水位は、この2つのつり橋の高さよりも下であったことを示しているのではないかとの説があります。 岐部明廣氏の著書「奇跡の二つの吊り橋」によりますと、川辺川、球磨川の合流部にあるくま川鉄道湯前線の第4橋梁が、多量の材木などでダム化され、そこに多量の水がたまり、第4橋梁が破壊されたと指摘しています。 これと同時に、そこにたまっていた多量の水が、鉄砲水のように一気に下流の人吉地点に流れ、人吉地点のピーク流量を毎秒約2,700トンも押し上げ、併せて同地点の水位を2.3メーター押し上げたことにより、人吉市の被害が大きく助長されたと述べられています。 もし第4橋梁のダム化がなければ、人吉地点の水位は約2.3メーター低くなっていたと推測され、球磨川本流からの越流はほとんど起こらなかったと考えられるのです。 蒲島知事にお尋ねいたします。 第1に、2008年9月に、川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきと表明されていますが、その理由について。 第2に、ダムによらない治水対策の具体的な取組について。 第3に、2020年11月に流水型ダム建設容認を表明された理由について。 以上3点について、蒲島知事の答弁をお願いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、平成20年に川辺川ダム計画を白紙撤回した理由についてお答えします。 私が知事に就任した平成20年には、川辺川ダム問題は、ダムと非ダムをめぐる地域の対立が激化し、前にも後ろにも動きが取れない状況になっていました。 私は、知事として、球磨川流域の安全、安心の確保と地域の発展のためには、この対立に終止符を打たなければならないと考えました。 そこで、直ちに有識者会議を設置し、国内外を代表する方々に多様な意見をいただきました。また、私自身、幾度となく現地に赴き、多くの皆様の御意見を直接お聴きし、熟慮に熟慮を重ねました。 その上で、私は、球磨川そのものが地域の守るべき宝であるとの思いに至り、当時の民意はダムによらない治水を望んでいると判断いたしました。 そして、この議場で川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水を極限まで追求すべきとの考えを表明しました。 熊日新聞の調査によると、当時、この決断を85%の県民が支持しておりました。 次に、ダムによらない治水対策の具体的な取組についてお答えします。 この白紙撤回表明後、直ちにダムによらない治水を検討する場を設置し、国、県、流域市町村で、様々な治水対策案の検討を進めてまいりました。 同時に、地域の理解が得られた治水対策については、河道掘削や宅地かさ上げをはじめ、人吉市での築堤や八代市萩原地区での堤防強化、市房ダムの予備放流による洪水調節容量の拡大など、着実に事業を進めてまいりました。 また、県の基金を活用して、ヘリポートや備蓄倉庫の整備など、防災・減災対策も進めてまいりました。 これらの対策は、河川の水位低減や住民の避難体制の整備などに一定の効果があったと考えています。しかし、今回の洪水では、全ての被害を防ぐことはできませんでした。 また、平成27年に設置した球磨川治水対策協議会では、戦後最大の被害をもたらした昭和40年7月洪水に対応できる治水安全度を目標として、治水対策の手法を比較検討しました。 その結果、令和元年には、国から、引き堤、河道掘削、堤防のかさ上げ、遊水地、市房ダムの再開発、放水路などを組み合わせた10案から成る治水対策案が示されました。 この10案は、ダムの新設を除き、考え得る限りの対策を網羅的に検討したものであり、言わばダムによらない治水を極限まで追求したものであったと考えています。 しかしながら、コスト、工期、社会的影響などから、流域の市町村や住民の皆様と共通の認識を得るまでには至りませんでした。 最後に、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水を決断した理由についてお答えします。 令和2年7月豪雨は、昭和40年7月洪水をはるかに超える、誰も想像できなかったすさまじい豪雨となり、一気に球磨川流域をのみ込みました。 私は、自然の脅威と甚大な被害の状況を目の当たりにして、二度とこのような被害を起こしてはならないと、固く決意をいたしました。 そして、知事として、地域の対立を再び引き起こすことなく、改めて球磨川流域の治水の問題に正面から向き合わなければならないと考えました。 そのため、まず、国や流域市町村と一緒に、今回の豪雨を科学的、客観的に検証いたしました。 なお、議員御指摘の球磨川第4橋梁の点については、河川管理者である国土交通省によると、橋梁よりも下流に設置されている水位計のデータにおいて、急激な水位変化は確認されていません。 令和2年7月豪雨は、球磨川本川及び支川川辺川の観測所において、観測開始以来の最大雨量と最高水位を観測しました。その結果、河川の流下能力を超え、大きな被害につながったものと考えています。 私は、この災害を経験し、地域の皆様の民意を改めて確認する必要があると考え、全ての流域市町村の住民や様々な団体の方々の思いを30回にわたり直接お聴きしました。さらに、知事への直行便や新聞への投書なども漏らさず目を通し、あらゆる民意に向き合ってまいりました。 私は、直接皆様のお気持ちに触れ、皆様に共通する心からの願いは、命と環境をともに守る、つまり、命と環境の両立だというふうに受け止めました。 この願いを実現するためには、自然環境との共生を図りながら、流域全体で安全、安心を実現する緑の流域治水を推進すべきだと確信しました。 この緑の流域治水は、坂東眞理子さんが最初に英語で言ったのは、グリーンニューディールであります。グリーンという環境と緑を守りながら、ニューディールというのは、治水対策をしながらその地域の発展に貢献する、その2つの意味があるんです。そういう意味では、緑の流域治水、これが必要だと確信しました。 また、私は、学識経験者からも御意見をいただきました。その御意見を踏まえ、ダムの効果を過信することはできないが、被害防止の確実性が担保されるダムを選択肢から外すことはできないというふうに判断しました。さらに、ダムを流水型にすることで、環境に極限まで配慮することができると考えました。 そして、令和2年11月、命と清流をともに守る新たな流水型ダムを含む緑の流域治水、この緑の流域治水のグリーンニューディールは、この地域の発展にとても重要な役割をもたらすと考えました。 私は、令和2年7月豪雨という経験をし、世界的規模で頻発する想定外の豪雨に対応するためには、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水、グリーンニューディールの取組は不可欠であると確信しています。 引き続き、国や流域市町村、そして地域住民の皆様と一緒に、緑の流域治水、グリーンニューディールを推進してまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 知事から御答弁いただきました。 気合が入った答弁で、圧倒されそうな気がしますが、ダムによらない治水を検討する場を設置し、様々な治水対策案の検討を進め、同時に、河道掘削や宅地かさ上げなどの事業を進めるとともに、ヘリポートや備蓄倉庫の整備などの防災・減災対策も進めた、平成27年、2015年に設置した球磨川治水対策協議会では、10案から成る治水対策が示されたとありますが、川辺川ダム計画を白紙撤回して7年もたってから球磨川治水対策協議会が設置されるなど、全く球磨川治水をやる気など感じられません。 「7.4球磨川豪雨災害はなぜ起こったのか」編集委員会、発行者平田勝の2021年6月10日の初版の本によれば、2008年、蒲島知事の川辺川ダム反対表明後に始まった国交省と県、地元市町村によるダムによらない治水対策の議論は、当時、過去最大の1965年洪水を目標にしていました。 国交省は、人吉地区で河道掘削はできないとして、人吉市街地570戸の家屋移転を伴う100メートルの球磨川の引き堤案などの非現実的な治水対策案ばかりを提示してきました。 結局、国交省は、最大で1兆2,000億円の事業費や最長工期200年の10案を示し、議論が行き詰っていた2020年7月、球磨川流域は空前の豪雨に襲われたのです。 2021年1月16日に第3回球磨川流域治水協議会が開かれ、国交省が今後10年程度で実施する緊急治水対策プロジェクト案を提案し、人吉地区での70万立方メートルの河道掘削などを盛り込んでいます。ダムによらない治水対策を強く望むものです。 球磨川水害検証、この球磨川の水害がひどかったことで、蒲島知事はダムの再興を考えられたというふうに思いますので、このとき、本当に川辺川ダムが必要なのかどうなのかということをやっぱり検証していかなければならないと思うんです。 人吉市の九日町の商店街は、球磨川と並行しており、7月4日7時前、押し寄せてきた濁流は、球磨川の流れとは反対方向の山田川のほうから流れ込んできたそうです。その後、8時頃流れが変わり、球磨川の流れと同方向の流れになり、9時50分頃、床上2~3メーターのピークとなっています。 九日町の西側、山田川の近くは、6時半から浸水が始まり、9時30分から50分に2メーター30センチのピークを迎えており、明らかに山田川からの氾濫が始まったことが分かります。 人吉市内の浸水は、市内に降った雨水がはけ切らず、道路の浸水が始まり、そこに支流からの越水が加わって、この時点で大きな被害を引き起こし、犠牲者も出してしまったと考えられます。第4橋梁の決壊も被害を大きくしています。 川辺川ダム建設予定地より上流に降った雨水は、犠牲者の方々が命を落とされた時間には人吉市、球磨村には届いていないこと、それに加えて、川辺川ダム建設予定地より上流には、球磨川中流域から下流域にかけて降った雨量よりはるかに少ない雨しか降っていないことを考えれば、ダム建設は中止すべきであります。ぜひ知事も考え直していただきたいと思います。 続いて、2番目の質問に入ります。 TSMC進出に対応した地下水保全と水質確保について。 台湾半導体メーカーのTSMC熊本進出に関し、安全な地下水保全について伺います。 半導体の製造には、シリコンウエハーの洗浄などに大量の水が使われています。菊陽町で新工場が建設されますが、新工場だけでも1日に8,500トン、年間約310万トンの地下水を採取する計画であり、熊本市と周辺11市町村の採取量の約2%に当たります。 JASMは、使う水の75%以上をリサイクルし、地下水涵養の取組を進める構えのようです。しかし、近年、都市化の進展や政府の減反政策、第一次産業の低迷等により、地下水を蓄える機能を持った涵養域が減少しています。 そこに追い打ちをかけるように、膨大な水資源を必要とする半導体工場が来るという状況において、県には、地下水に頼る熊本地域の住民が、将来にわたって心配なく暮らせる対策を確立する責務があります。地下水涵養による保全も、ますます厳しくなっていくのではないかと思います。 熊本県の地下水保全条例は、基本理念で「地下水は公共水」とうたっていて、県内では生活用水の8割を地下水で賄っている現状です。 県は、その地下水保全条例を2012年に改正し、一定規模以上の取水は知事の許可制としたほか、事業者には涵養を義務づけました。 しかし、TSMCの進出で、地下水の収支バランスを保てないおそれがあるとして、県は、目標涵養量の見直しに着手し、今年4月、地下水涵養指針を見直す有識者会議を設置しています。 有識者会議の会長を務める熊本大学の嶋田純名誉教授は、地下水は誰もが幾らでも使ってよいというものではなく、みんなで現状維持に努めることが必要だと配慮を求められています。有識者会議では、現行の採取量の1割とされる涵養量の目標値を、採取量に見合う量と改定する方針を固めています。 地下水保全の問題と同時に、半導体製造は膨大な種類の化学物質を使用するという現状にありますが、県民の中には、水質汚染など環境変化について不安を覚えられる面があります。県民の不安を解消するためには、十分な調査と県民への丁寧な説明が必要だと思います。 以上、熊本における地下水の保全に向けた涵養の取組と水質汚染に対する県民の不安を解消するための今後の対応について、環境生活部長にお尋ねいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 地下水は、熊本都市圏100万人の生活と産業を支えるかけがえのない熊本の宝であり、その恵みを未来に引き継ぐ必要があります。 現在の地下水保全条例に基づく地下水涵養指針では、地下水取水量の1割の涵養を求めています。今後、JASMをはじめとした半導体産業のさらなる集積によって地下水の取水量が増加した場合、現在の取水量と涵養量のバランスに影響が出る可能性があります。 このため、持続的な地下水利用が図られるよう、新規に取水する井戸について、事業者に求める涵養目標を、取水量の1割から原則10割に見直します。 また、具体的な涵養に向けて、農業者の方々と、涵養期間の拡大や白川中流域での冬期湛水の実施などについて検討を進めています。さらに、工業用地や宅地等への雨庭、雨水浸透ます、浸透性の調整池の設置など、様々な涵養を推進してまいります。 次に、水質確保についてお答えいたします。 JASMからの工場排水は、一定の基準を満たすように処理され、下水道に受け入れられます。その上で、下水処理場において、法令等で定める排水基準以下に適正に処理され、坪井川に放流されることになっています。 県としては、関係市町と連携し、各段階でしっかりと監視を続けてまいります。 一方、法令等に基づく監視の対象となっていない金属類や化学物質等については、今年8月から、坪井川や河口域等の水質等を対象とした環境モニタリングを実施しています。 具体的には、18種の金属類や有機フッ素化合物250種、そして、1万種を超えるその他の化学物質等について、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、客観的かつ科学的に環境の変化を把握していきます。 そして、その結果については、環境分野等の専門家で構成する委員会で検証し、結果を公表するとともに、県の適切な対応につなげてまいります。 TSMC進出による本県の経済発展と地下水をはじめとした環境保全の両立に向け、着実に取組を進めてまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 答弁をいただきました。 TSMC進出、半導体産業が熊本へ集中をしているということは、経済的には、これから働く場が増えたり、経済が好転していくという大きなプラス面もあるかと思いますけれども、私が心配するのは、そういう水を使う、地下水を使うというのが熊本へ来た大きな理由の一つではないかというふうに思うところから考えれば、私たち自身も、この熊本県民も、圧倒的な人々が地下水を頼っているわけですので、ここに悪影響が及ばないような、そういう運営をしていっていただきたい、そのためには、県の監視もぜひ強めていただきたいというふうに思うところです。 続いて、阿蘇くまもと空港へのアクセス鉄道についてお尋ねをいたします。 このアクセス鉄道については、もう質問も代表質問でされていますけれども、そのときにもなかなか私が思うような答弁にはなっていないし、熊本空港の質問をされたときには、熊本空港をより活発にこの熊本県民が多く利用できるようなことを目指していたんですけれども、その中には、一言もこのアクセス鉄道の話は、質問者も答弁者もなかったんですね。あれ、これは、熊本空港を本当に大きく、新しくしていくという気持ちがこのアクセス鉄道とは結びついていないなという感想を、ちょっと今回の議会の質問で受けたところです。 肥後大津―熊本空港間に鉄道を建設することを進めようとする県の動きに驚きを感じます。 空港アクセスについて、2008年6月に、空港アクセス整備は、多額の費用が必要であり、一方で、需要量は採算性の確保に十分とは言えず、当面、具体的に事業を推進していくことは困難と判断されていましたが、10年後の2018年に、空港周辺を取り巻く環境の変化を踏まえ、改めて調査検討に着手しています。 昨年9月議会で、蒲島知事の答弁は、解決すべき課題も残っている、1点目は、運行形態や費用負担についてのJR九州との協議、2点目は、国の財政支援の実現、3点目は、県民総合運動公園へのアクセス改善、これらの課題について、対応の方向性を整理し、県議会及び県民の皆様へ説明を尽くしてまいると、鉄道建設へ前向きな答弁をされています。 昨年、肥後大津ルートを決定し、今年からは、準備期間として、具体的に、鉄道概略設計等調査、測量・地質調査等、環境アセスメント、都市計画決定手続、鉄道事業許可、工事施工認可等を進め、2027年には、用地取得、土木・設備工事など、約410億円かけて鉄道建設に着手していく予定のようです。 昨年12月定例県議会では、空港アクセス鉄道整備の早期実現に関する決議が可決をされています。 県は、事業費の3分の1の国庫補助を頼りにしているようですが、国の支援制度の上限は、現行18%までとなっており、空港アクセス鉄道整備で33%までかさ上げされたケースは、首都圏の空の玄関口である成田空港だけと報じられています。 熊本県内を見れば、空港までの交通手段として、JR肥後大津駅から空港アクセス鉄道を利用するのは、同駅周辺に住んでいて、かつ自家用車のない人が中心で、ほかには海外からの渡航者くらいではないかと思われます。私が知る限り、自家用車が圧倒的です。利用者の見込みが甘いと、県民であれば誰でも思うはずです。 熊本空港アクセス鉄道の建設については、中止することを強く求めますが、蒲島知事の答弁をお願いいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任以来、阿蘇くまもと空港とその周辺地域を一体のものとして捉え、空港周辺地域の活性化とさらなる発展を目指す大空港構想を推進してきました。 本年3月には、この構想の核となる阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが開業し、今後、世界と地域に開かれた九州のセントラル空港の役割を期待されています。 そして、空港へのアクセス改善は、この構想を実現するための大きな取組の一つです。 空港アクセス鉄道は、長年の課題である熊本市中心部とのアクセス改善にとどまらず、空港周辺地域の可能性を最大化し、その効果を県内全域に波及させるために重要なインフラです。 先月開催された新大空港構想有識者会議においても、早期実現を強く求める提言をいただいており、期待の高まりを感じています。 現在、コロナ禍の落ち着きに合わせて、航空需要が急速に回復しています。また、ソウル線の再開や台北線の新規就航など、航空ネットワークが拡大しており、今後さらなる路線就航も期待されています。 このよき流れを止めることなく、空港を核とした熊本の発展を確実なものにしていくためには、空港アクセス鉄道の整備は不可欠です。 こうした考えの下、私は、昨年、肥後大津ルートでの整備推進を表明いたしました。表明に至るまでの検討では、鉄道整備に関し、多数の実績と豊富な経験を有する独立行政法人鉄道・運輸機構とともに、専門的な知見を踏まえながら、丁寧に調査を進めてきました。 将来にわたって持続可能な事業であることを判断するための利用者の見込みについても、客観的に妥当なものであると考えています。 また、半導体関連産業の集積を図る上で、人流と物流を支える交通インフラとして、道路整備に加え、公共交通への転換を進めるために、公共交通網の充実強化が求められています。そのためにも、空港アクセス鉄道は必要と考えています。 先月21日には、関連道路の整備などとともに、財政支援の緊急要望を行い、岸田総理からも、しっかりと支えたいとの発言をいただいています。 空港アクセス鉄道なくして熊本の発展はなしという意気込みを持って、国やJR九州との協議などをしっかりと進め、熊本の輝ける未来の礎となるよう、早期実現に向け、全力で取り組んでまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 答弁をいただきました。 阿蘇くまもと空港へのアクセス鉄道は、先ほど私の主張はしたんですけれども、先ほど言ったように、代表質問、19日にあったんですが、この中で、新大空港構想についてという質問だったんですが、このときに、質問者も答弁者もともにアクセス鉄道は一言もなかったということは、今でもちょっと不思議でたまりませんけれども、さらに、肥後大津から空港までというのは、これは以前私も質問したような感じがするんですけれども、空港ライナーということで、自動車で運ぶ、それも試験運行ということで始まって、無料なんですね。ところが、ずっと最後まで、これは今まで無料できたということで、こういうこの空港ライナーの現状を、今度は鉄道のレールを引いてお客さんを運ぶなんてとんでもないことだなということを、つくづくまた改めて感じているところです。 知事のこの決意は今伺いました。まあ、それはそれで頑張ってもらうんですが、それは、私は、ブレーキをちょっとかけとかないかぬなというのをしっかり思います。ぜひレールというのがどういうものなのか考えて、私も、昔国鉄にいましたので分かります。410億円も使うというのは無駄な事業というふうに思いますから、改めてそのことを伝えておきます。 4番目に、有明海の現状と再生について伺います。 有明海での魚介類やノリ養殖等の漁獲量は、減少傾向にあります。これは、諫早湾干拓事業により有明海の生態系に悪影響が及んだことが大きな要因ではないかと考えています。 1997年4月14日に堤防が閉め切られて以降、有明海の潮流が遅くなり、ノリ養殖も、赤潮の異常発生による色落ち被害によって大きな不作になりました。アサリやタイラギ等も激減し、タイラギ漁は現在でも休業が続いています。 諫早湾干拓事業の全長7キロメートルにも及ぶ堤防閉め切りが与えた影響は、有明海にとって重大な問題であり、現在も課題を抱えたままです。 2002年11月、漁業者が開門を求めて佐賀地裁に提訴してからやがて21年を経過しますが、当時の開門を求めた裁判は、2008年6月に佐賀地裁が国に開門を命じる初めての判決を出し、福岡高裁も、2010年12月の判決でこの判断を支持しました。 当時の民主党政権の菅直人首相は、高裁の判断は大変重いと上告断念を表明し、判決は確定して、開門は実現されるかに見えました。しかし、開門反対の営農者も、同様に司法救済を求め、長崎地裁は、2013年11月の仮処分決定で開門を認めない正反対の判断を示し、開門、閉門で司法の判断がねじれる結果となりました。 司法判断がねじれる中、自民党に政権交代した国は、福岡高裁確定判決の開門開始の期限と設定した2013年12月を過ぎても開門せず、国が確定判決に違反する憲政史上初の異常事態となりました。 その後、国と漁業者の和解協議は不調に終わり、福岡高裁は、2022年3月に開門を命じた確定判決を無効化する判決を言い渡しました。同時に、地域のさらなる再生、発展に向けて、国と漁業者の双方が施策の検討を加速させる必要があると付言しています。 しかし、国と漁業者の話合いは進まず、今年3月1日、最高裁が漁業者の上告を棄却する決定を出し、開門を命じた確定判決の無効化が確定しました。 有明海の再生は厳しくなる一方で、熊本県の漁業に与える影響は、さらに悪化することが予想されます。 熊本県としての今後の有明海におけるアサリを中心とした水産資源の回復に向けた取組について、農林水産部長に伺います。  〔農林水産部長千田真寿君登壇〕 ◎農林水産部長(千田真寿君) 有明海の水産資源の回復について、本県では、有明海沿岸の福岡、佐賀、長崎の3県及び国と協調し、沖合での海底耕うんによる漁場環境の改善に取り組んでいます。 また、4県協調による有明海特産のアサリ、タイラギの幼生の調査をはじめ、ガザミやクルマエビ等の稚魚の放流、アサリ、ハマグリの保護、タイラギの育成による増殖など、様々な取組を進めています。 その中でも、アサリは、海水からプランクトンを摂取するため、水質浄化につながること、アサリの採貝は、高齢者や漁業経験が少ない方でも従事しやすい漁業であることから、本県では、アサリの資源回復に向けた生息環境の改善と増殖を重点的に進めています。 まず、生息環境の改善については、干潟域での覆砂や耕うんを継続的に実施しています。その結果、覆砂を行った漁場では、未実施の漁場に比べ、平均で約8倍の稚貝が確認されています。 また、増殖については、幼生は有明海を浮遊して広域に移動していることから、有明海全域で産卵に適した漁場を母貝団地として設定し、管理することが重要です。 このため、荒尾市から宇土市までの漁場において、漁業者の方々による稚貝を効率的に集める網袋やナルトビエイ等の食害から保護する被覆網の設置を支援し、母貝団地の造成に取り組んでいます。 これまでの取組により、令和4年の浮遊幼生量は、過去5年平均の約2倍となり、また、多くの稚貝が発生する漁場が増えるなど、着実に資源の増加につながっています。この成果を漁業者の方々も実感され、稚貝を保護育成し、安定した漁獲につながるよう取り組まれています。 今後とも、漁業団体や関係市町と連携し、アサリをはじめとした有明海の水産資源の回復に向けて、3県及び国と協調し、積極的に取り組んでまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 有明海の現状については、今漁獲量の問題も答弁いただきましたけれども、この諫早湾干拓が終わってから、ずっとこの有明海全体にいろんな症状が出てきています。 今年2023年3月28日、福岡高裁は、注目すべき判決を出しました。判決では、漁民の排水門開門請求を認めなかった一方、大きな前進面も見られたのです。 それは、干拓事業と高級貝類タイラギ漁業などの漁業被害との間に因果関係があることを認めたのです。すなわち、諫早湾干拓事業による広大な干潟の水質浄化機能の喪失、加えて潮受け堤防の閉め切りによる潮流速度の低下、成層化、貧酸素化の進行、赤潮発生件数の増加、底質環境の悪化などの要因が複合して、諫早湾漁業環境の悪化を招来した高度の蓋然性があると認めるのが相当ですと明言したのです。諫早湾干拓事業と海洋環境の悪化、漁業被害との間に複合的な因果関係の存在を認めたのです。 さらに、漁獲量の減少が将来にわたり継続することが具体的に予想されるとしています。諫早湾の現象は、有明海全体に広がっていくことでもあります。 さらに、裁判所は、司法の判断だけでは不十分であって、漁民や農民を含む地域住民の利害や意見の対立と相違を超えた幅広い話合いの場を、国や地域自治体を含めて設けること以外に真の解決の方法はないと指摘をしています。 有明海の再生を目指すためには、この干拓をどうにかしなければ、有明海全体は時計の反回りの潮の流れですので、必ずこの熊本も影響が及んでくるものと考えられます。ぜひ、有明海の再生を目指して、県も、もう一度やっぱり漁業者、それから県民との関わり合いを強めながら、この問題について解決をして、漁業従事者が安心してやっぱり仕事ができるようにしていただきたいと思います。 タイラギ漁は、この熊本県でも、今全く行われていないように聞いています。もっともっとやっぱり以前のような有明海に再興するように、ぜひ県の努力をお願いしたいというふうに思います。 次に、県庁舎の冷房について質問をいたします。 今年の夏も、連日30度を超える猛暑が続き、国民生活における熱中症予防の取組等が重視され、広く周知されました。 環境省の熱中症予防リーフレットでも「エアコンをしっかり使いましょう」「熱中症は室内でも夜でも発生し、命に関わる問題です」「無理な節電をせず、夜もしっかり使用しましょう」「日中はすだれなどで日差しを和らげるなど上手に使いましょう」などと、熱中症予防が呼びかけられています。 県庁舎内も、厳しい暑さが続く中、働きやすい職場環境にしなければなりません。 県としては、原則として、冷房運転を7月3日から9月15日までとしながら、空調運用方法については、時間や各部屋の状況などによって個別に温度調整を行うとしているようです。 冷房期では、室内温度を28度以下にするとのことですが、各部屋でほとんどの机の上に卓上扇風機が置かれていて、部屋の暑さを強く感じます。 もちろん、私も、この庁舎内を回っていますけれども、暑さを肌で感じることが多くあります。特に、本館と新館の渡り廊下、それから新館と防災センターの渡り廊下――防災センターの渡り廊下は、8月に入ってから、6つ空調の吹き出し口がありますけれども、その6つのうちに3個だけ、空調の冷たい風が落ちてきているようですね。これは、15日で終わりだから、もう終わったのかなと思ったら、この前行ってみたら、やっぱり3か所だけ冷房が届いていました。それと、新館のほうは、これは不思議と、エレベーターが設置されているフロア、ここの吹き出し口は、4階と5階しか吹き出しがないようになっているんですね。ほかの階では吹き出しがなくて暑いまま、4階と5階は涼しいということではやっぱりいけないと思うんです。 確かに、地球温暖化、自然環境を守るという意味で、先ほど執行部のほうからも言われました。ぜひ、CO2の削減を含めて、環境に手をつけていかなければならない、努力しなければならないということですけれども、それもやっぱり無視をするわけにはいきませんけれども、やっぱり庁舎内で働いている人たちを見れば――私も県議になってすぐだったと思うんですが、ここは暑いなということで質問しました。 そうしたら、当時の知事が、福島知事だったんですけれども、夏の冷房は、あんまり冷やしたら女性には悪いんだと、女性の人は、半袖で気楽に動けるようにしておかなければならないということで、私の質問には全く手をつけなかったんですね。 ただ、当時は、全部机の上にはうちわが置いてあって、県庁の職員の人には喜んでいただきました。仕事がやっぱりやりやすくなったということでですね。 そういう意味では、この庁舎内の冷房については――もちろん、きちんとした期限、何月何日から何日まで、何度以下というふうな設定がされていますけれども、柔軟にやっぱりそれはしなければならないというふうに思います。 部屋の暑さをずっと感じている皆さんに、働きやすい環境をつくっていくのが大事ではないか。働く環境をよくすると同時に、多くの来庁者――以前は、今は少なくなったんですが、スーツにネクタイという人が圧倒的にお客さんは多かったんですね。それで、庁舎の温度も下げておかないと、熊本県庁には行きたくないというようなことを言われたら大変なことですので、そういう意味では、職員の働く場所と来客者のためにも、この空調設備は手を入れていかなければならないというふうに思います。 私たちは、このエアコンの吹き出し口を28度に設定するということが言われていますが、吹き出し口じゃなくて、今は部屋を28度にしてありますね。ずっと回ってみれば、一番暑いのは本館の地下が一番暑いように感じますけれども、ほかのところはまあまあ夏場は仕事がやりやすいようになっているのかな、こんな思いでいるところです。 快適な環境の県庁舎をつくっていっていただきたいということを心からお願いをしたいということです。快適な環境の県庁舎にするための配慮を、ぜひ、総務部長、そういう努力をされていくと思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長(平井宏英君) 県庁舎の冷房につきましては、温室効果ガスの削減目標に向けて県が率先して取り組んでいる省エネ対策を考慮しつつ、良好な勤務環境が確保できるよう、対策を取りながら運転しております。 設定温度は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、通称ビル管法と申しますが、これに基づきまして、快適な環境の基準値であります冷房温度28度以下となるようにしております。 実際の運用におきましては、各執務室内の温度や湿度をモニタリングし、不快指数や執務環境を把握しながら、吹き出し温度を変えるなどして室内温度が28度以下となるように調整しております。 また、熱中症対策としまして、御質問の中にもありましたけれども、空調運転期間外でありましても、状況に応じて、柔軟に空調機を稼働することにしております。 空調運転時間につきましても、朝夕の時差出勤の利用拡大に合わせまして、7時15分から18時15分まで拡大しているほか、災害対応などのときには運転時間を延長して行っております。 さらに、職員から暑いなどの声があったときには、その都度、職場の環境を調べ、対応しているところでございます。 こうした取組を重ねながら、業務の効率性や職員の健康管理、就業意欲に配慮いたしながら、より柔軟な運用に努めているところでございます。 御質問にございました新館と防災センターをつなぐ長い渡り廊下でございますけれども、ここも同様の考え方で空調機を稼働しておるところでございます。 これらの対策に取り組む一方で、よりエネルギー消費が少なくなるよう、温度を下げずに風量設定を大きくするなど、省エネ対策もしっかりと意識して取り組んでいるところでございます。 今後も、省エネ性能が高く、発熱量が少ないLED照明などの機器の導入を進めるとともに、空調運転の柔軟な運用を行うことで、省エネ対策と良好な執務環境の両立を図っていきたいと考えております。 ○副議長(内野幸喜君) 岩中伸司君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) どうもありがとうございました。ぜひその努力を続けていただきたいと思います。 県庁舎の冷房については、ちょっと振り返ってみたら、1998年9月、2015年9月、2018年9月、2023年9月、4回の議会でお願いをしてきた経緯があります。8月に入ってからも、今でも、9月も暑さが残っていますので、ぜひ職員の皆さんに働きやすい環境をつくっていただくことをよろしくお願いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手) ○副議長(内野幸喜君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明23日及び24日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る25日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時8分散会...