令和5年 9月 定例会 第 2 号 (9月20日) 令和5年 熊本県議会9月
定例会会議録 第2号令和5年9月20日(水曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第2号 令和5年9月20日(水曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(49人) 星 野 愛 斗 君 髙 井 千 歳 さん 住 永 栄一郎 君 亀 田 英 雄 君 幸 村 香代子 君 杉 嶌 ミ カ さん 立 山 大二朗 君 斎 藤 陽 子 さん 堤 泰 之 君 南 部 隼 平 君 本 田 雄 三 君 岩 田 智 子 君 前 田 敬 介 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 城 戸 淳 君 西 村 尚 武 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 前 田 憲 秀 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 岩 中 伸 司 君 城 下 広 作 君 西 聖 一 君 鎌 田 聡 君 渕 上 陽 一 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 前 川 收 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 木 村 敬 君 知事公室長 内 田 清 之 君 総務部長 平 井 宏 英 君
企画振興部長 富 永 隼 行 君 理 事 小金丸 健 君 企画振興部 球磨川流域 府 高 隆 君 復興局長
健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君
環境生活部長 小 原 雅 之 君
商工労働部長 三 輪 孝 之 君
観光戦略部長 原 山 明 博 君
農林水産部長 千 田 真 寿 君 土木部長 亀 崎 直 隆 君 会計管理者 野 尾 晴一朗 君 企業局長 竹 田 尚 史 君 病院事業 竹 内 信 義 君 管理者 教育長 白 石 伸 一 君 警察本部長 宮 内 彰 久 君 人事委員会 西 尾 浩 明 君 事務局長 監査委員 藤 井 一 恵 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 波 村 多 門 事務局次長 村 田 竜 二 兼総務課長 議事課長 富 田 博 英 審議員兼 濱 田 浩 史
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(渕上陽一君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 代表質問
○議長(渕上陽一君) 日程に従いまして、日程第1、代表質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人100分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。
自由民主党山口裕君。 〔山口裕君登壇〕(拍手)
◆(山口裕君) 皆様、おはようございます。自由民主党・
上天草市選出・山口裕でございます。 今回、
自由民主党熊本県議団を代表して、代表質問に携われることは、大変私にとっても光栄なことであり、身の引き締まる思いであります。どうぞ、100分間という長い時間ではありますが、県政の課題について、知事と一緒に様々な方向性を模索していきたい、このような思いでありますので、よろしくお願いいたします。 まず、我が党にとって喜ばしいことがございました。さきの組閣により、
木原防衛大臣、そして
松村国家公安委員長が選ばれました。その上では、我々も、その重責を......(発言するものあり)副大臣もいらっしゃいますが、その重責をしっかりと認識するとともに、今後ますます力を合わせてチーム熊本として頑張ってまいりたいと思うところであります。後でも、それぞれの大臣の活躍についてはおつなぎしたいというふうに思います。 まず最初に、
旅行助成事業「くまもと再発見の旅」についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きく落ち込んだ県内の観光産業の早期回復に向け、県と県観光連盟が実施してきた
旅行助成事業「くまもと再発見の旅」について、9月7日、報道機関12社に、
公益通報者保護法に基づくとして外部通報がなされたと報じられております。 報道によると、通報の内容は次のとおりであります。 ある旅行業者の
タクシー券つき日帰り旅行商品は、助成金の支給要件を満たしておらず、また、旅行業法に抵触するおそれがある、不適切な行為について、県幹部が担当課に見逃すよう指示したのではないか、第三者機関による調査と旅行業者から県への助成金の返還を求める、これらが主な報道内容であります。 この
旅行助成事業については、令和5年3月末から4月にも報道され、県が助成対象外の商品に係る調査結果を取りまとめ、助成金は返納されること、社名非公表の要求を受けた事実はないということが報じられています。 今回の報道は、こうしたこれまでの県が行ってきた調査等の結果を否定するものであり、今、県は、強い不信感を突きつけられていると言えます。 こうした中で、蒲島知事は、この件に関し、事実関係の究明を目指す第三者による調査機関を設置する考えを示したとされています。 そこで質問いたします。 まず、それぞれの旅行商品を助成対象とすることについて、県が公にしてきた判断についてどう考えているのか、また、事の詳細は今後の調査に委ねられると思いますが、今般、このような指摘を受けていることについて、蒲島知事に現在の所感と調査の方法についてお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君)
旅行助成事業「くまもと再発見の旅」、いわゆる県民割は、政府による全国一律での
GoToトラベル事業が批判を受けて停止された中、新型コロナの影響を受けた旅行業者等への迅速な支援を行うべく実施したものであります。 この県民割の支援内容など制度設計は、それぞれの都道府県において全て決定することと観光庁は表明しています。 事業を実施する中で、日帰り旅行の補助対象について、関係者間において疑義が生じたことから、本年3月、担当部局が確認、整理を行いました。その整理において、周遊切符を利用した商品については、補助対象外とするが、周遊切符の前後にタクシーを利用した商品については、補助対象として認めることとしました。 その上で、補助対象外とした商品を販売した14社の旅行業者名と助成金額を報道機関に提供し、その助成金については、全額返納されております。 コロナ禍で苦しむ事業者に対して、一日も早く助成金をお届けしたいとの強い思いの中で事業を進め、県や観光連盟、事務局を担ったJTB社、商品を販売した各旅行業者の間で連携不足や誤認等が重なったことで、一部返納が生じてしまったと報告を受けています。 このような中、今回、補助事業の適法性などについて
公益通報制度による指摘を受けた以上、その指摘に対し、誠実に対応する必要があると考えました。 そのため、県として早急に調査を進めるとともに、第三者に調査、審議を求めることにいたしました。 第三者の調査委員会は、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでおります。また、調査委員会には、関係者のヒアリングを行うなど、自ら調査していただくとともに、県における調査手法や結果についても、法的な妥当性、的確性の確認を求めることにしています。 今後、こうした手順を踏みながら、丁寧に、かつ迅速に調査を行ってまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 答弁いただきました。 私たちも、今後の調査結果、これを踏まえた上で事を進めていきたいと考えているところです。今は、知事が述べられております調査を待つということでやっていきたいと、対応していきたいというふうに思っております。 続きまして、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興の状況と残された課題についてお尋ねをします。 まず、第1点目に、復旧、復興の進捗状況についてお尋ねします。 ここで、令和2年7月豪雨をもう一度振り返ってみたいと思います。 災害関連死2名を含め、67名の方がお亡くなりになり、いまだ2名の方が行方不明となられております。住家被害では、全壊1,493棟、半壊3,117棟、床上浸水は286棟、床下浸水420棟であり、166集落が孤立集落となりました。交通インフラでは、17か所で橋梁が流失し、729路線に及ぶ1,467か所で道路の被害が出ました。 令和3年3月30日時点で、総じて5,222億円の被害額となり、これは、昭和以降に発生した災害のうち、熊本地震に次ぐ被害額となっております。 改めて、災害によって亡くなられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に対し、お見舞いを申し上げます。 知事は、発災から2か月が経過した令和2年9月定例会において、明日にも起こり得る想定以上の豪雨に対して、球磨川流域の安全、安心を守り抜くこと、さらに球磨川の恵みを享受しながら、歴史に残る復旧、復興を成し遂げることこそ、私に課せられた4期目の使命であると受け止め、全身全霊をささげる覚悟を示されました。 発災から3年目となる本年7月4日に開催された第12回令和2年7月豪雨復旧・復興会議において示された資料を参照しますと、被災地の復興は着実に進んでいるとも思われます。 先月、球磨川水系で初となる遊水地事業が相良村で、今月には、球磨村で引き堤事業に着手されました。また、球磨村神瀬地区をはじめ、芦北町、八代市坂本町でも宅地かさ上げ事業が順次着手されるなど、目に見える形で様々な対策が進んでいます。 一方で、残された課題も少なくはありません。 球磨村をはじめとする流域の自治体においては、人口減少に歯止めがかからず、存続の危機に直面している集落もあります。 知事の4期目の最終年度となる中、創造的復興のさらなる推進のためにも、現在の復旧、復興の進捗状況をしっかりと受け止め、その上で残された課題に向き合っていく必要があると考えます。 そこで、これまでの復旧、復興の進捗状況について、知事はどのように受け止められておられるのか、お尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 令和2年7月豪雨から3年が経過しました。これまで、ボランティアの皆様をはじめ、全国からの温かい御支援と、何よりも地元の懸命な御努力により、被災地の復興は着実に進んでいると思います。 球磨川流域の治水対策については、緑の流域治水の理念の下、国、県、
流域市町村等あらゆる関係者が連携し、様々な対策を進めています。 先月、相良村で、球磨川流域で初となる遊水地事業が着工されました。また、球磨村渡地区では引き堤事業が、芦北町、そして八代市坂本町では宅地かさ上げや輪中堤事業が順次着工されるなど、目に見える形で事業が進んでいます。 インフラの復旧については、本年5月に、国の
権限代行事業により、県が管理する9つの河川の復旧が完了いたしました。 また、国道219号については、治水対策後の水位を目標にかさ上げを実施する方針の下、力強く復旧が進められています。 流失した橋梁についても、本年2月に復旧した西瀬橋をはじめ、順次本復旧工事が開始されており、国の絶大なる御支援の下、流域の生活や産業を支えるインフラの創造的復興が進んでいます。 新たなまちづくりについては、人吉の紺屋町と青井地区において、
土地区画整理審議会が設置され、年度内の仮換地指定に向けた手続が進んでいます。 また、再建を目指す人吉温泉の旅館の9割以上が営業を再開されるなど、被災地のにぎわいも戻りつつあります。 甚大な被害を受けた
特別養護老人ホーム千寿園についても、来年2月からの球磨村での事業再開を目指し、整備が進められています。 最重要課題である住まいの再建については、既に約7割の方々が再建を果たされました。今年度中には
災害公営住宅の約8割が完成する予定であり、さらなる住まいの再建が見込まれます。 既に述べましたように、私の4期目の任期中に、全ての被災者の住まいの再建にめどがつけられるよう、しっかりと取り組んでまいります。 このように、豪雨災害からの復旧、復興は着実に進んでいます。 一方で、様々な課題も残されています。 議員御指摘のとおり、球磨村や八代市坂本町などの地域が直面する災害を契機とした人口減少の加速化は、特に大きな課題であると認識しています。 被災地の人口減少に歯止めをかけ、持続可能な地域として再生していくために、引き続き、復興の歩みを止めることなく、被災地の皆様と一緒に魅力的な創造的復興に向けた取組を進めてまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 今回、復旧、復興の進捗状況と併せて、全国の多くの自治体で課題となっている人口減少を取り上げました。 被災地においても、急速に人口減少が進んでいる地域があると認識しております。他方で、被災地においては、新たな課題や問題が存在するとも思います。県においては、今後、自治体とともに被災地における課題や問題を一つ一つ丁寧に対処することにより、住民の不安の解消や安心感をもたらすことにつながると思います。 どうぞ、住民の皆様に、復興後の新たな町の姿を思い描かせることこそが創造的復興の一つの形であると言えます。今後も、蒲島知事におかれましては、4期目の最終年度も折り返しを迎える中ではありますが、改めて、復興の歩みを止めず、被災された地域の再生に向けて、これまで以上にスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。 次に、2点目に、残された課題の一つであるJR肥薩線の復旧についてお尋ねします。 この件については、昨年12月定例会で、松田議員から、検討状況と復旧のめどについて質問がなされました。その際、知事からは「全国の
ローカル鉄道の
ロールモデルとして、沿線地域やくま川鉄道でつながる球磨郡全域に新たな人の流れをつくるため、地元市町村とともに、私の任期中に復旧の道筋をつける覚悟を持って、全力で取り組んでまいります。」との答弁がありました。 熊本県及び地元12市町村においては、
JR肥薩線再生協議会を設立され、国への要望活動や肥薩線の復旧を願う集会を開催されるなど、復旧に向けて力を尽くしておられます。そして、現在は、国、JR九州、地元市町村と連携し、JR肥薩線の利活用策と地域活性化の取組方針を取りまとめ中と聞いております。しかしながら、いまだ復旧方針の決定には至っておりません。 私は、球磨川流域が一体となって持続可能な地域として再生していくためには、鉄道での復旧が不可欠と考えますが、ここで、知事のJR肥薩線の復旧にかける決意をお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) JR肥薩線の復旧に向けた私の決意を述べさせていただきます。 私は、これまで、肥薩線がなくなってしまえば、球磨川流域の
地域そのものの存亡に関わるという強い危機感を持ち、この問題に向き合ってきました。 肥薩線の鉄道での復旧は不可欠であるとの強い信念の下、国の絶大な支援を受ける中で、県が主体となって、地元市町村とともに、復旧の道筋について精力的に協議を進めています。現在、肥薩線の持続可能性について、
調査検討事業を進めています。
観光客アンケートでは、被災前に人吉・球磨地域を訪れた観光客のうち、3割強が肥薩線を利用しての来訪でした。また、首都圏など遠方からの利用者の約半数が、観光列車の
乗車そのものを目的としていました。肥薩線は、地域の観光の牽引役としての役割を果たしてきたことが、これから明らかになっています。 また、沿線の住民や高校生のアンケートでは、費用負担等の前提を置かない聞き方ではありますが、住民の6割強、高校生の約8割が肥薩線の鉄道での復旧を希望すると回答しています。 私は、地域の将来を担う高校生の約8割が鉄道復旧を希望すると答えてくれたことに、非常に勇気づけられました。同時に、その期待に応えるのが知事としての責任であると改めて思いを強くしました。 今、全国では、復旧に要する費用負担の問題が
ローカル鉄道の再構築の議論と結びつけられ、JRと自治体の間で、存続か廃止か、採算性か地域の足かといった二者択一の議論が持ち上がっています。 私は、対立ではなくて、JR、国、県、市町村、そして県民の皆様とつくり上げていく新たな枠組みで、人口減少に苦しむ地域にとって必要不可欠な鉄道を再生させたいと考えています。それは、全国に誇る地方創生の
ロールモデルになり得ると確信しています。 その実現に向けて、私が先頭に立って、そして任期中に道筋をお見せできるように、全力で取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) アンケート結果で、将来を担う若者たちが8割、復旧してほしいという思いを伝えてくれたことは、本当にありがたいことです。力強い後押しになったと思っております。 JR肥薩線の復旧については、球磨川流域全体の再生の鍵となると思っております。全線復旧のためには、地元の熱意は最も重要でありますので、県のリーダーシップの下、球磨川流域の市町村が同じ方向を向いて、鉄道の復旧に向けて取り組んでいただきたいと思うところです。 続きまして、3点目に、新たな流水型ダムについてお尋ねします。 もう一つ残された課題が、流水型ダムの早期整備であります。 令和2年11月定例会で、溝口議員のほうから、球磨川流域の治水対策について質問がなされました。知事は、答弁の中で「私は、胸が張り裂けるような思いで、なぜこのような災害を防げなかったのか、なぜ多くの人命を守ることができなかったのか、自らに問い続けました。 そして、決して取り戻すことのできない命の重みを考え、私は、二度とこのような災害を、また、被害を起こしてはならないと固く決意し、一日も早い復旧、復興を果たすことを心に誓いました。」と述べられ、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水をやり遂げる覚悟を示されたところです。 気候変動に伴い、全国的に災害の激甚化が顕著であり、球磨川流域の安全、安心の確保に向け、流水型を含む緑の流域治水の実現は急務となっています。 新たな流水型ダムについては、蒲島知事の要請に基づき、現在、国において法と同等の
環境アセスメントの手続が進められていますが、私を含めた一般県民にとってはなじみが少なく、また、専門的な内容も多いため、本当に流水型ダムが環境に極限まで配慮され、流域を守るものとなっているのか、不安を抱く県民も多いのではないでしょうか。 そこで、現時点での新たな流水型ダムの進捗状況について、知事の認識をお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 新たな流水型ダムの進捗に対する認識をお答えします。 流水型ダムについては、法と同等の
環境アセスメントの手続が進められており、現在、国の委員会において、
準備レポートの作成に向け、検討が行われています。 その中で、洪水時の貯水頻度を減少させるため、
洪水調節操作のルールを工夫するなど、様々な角度から、丁寧かつ高度な議論が重ねられています。 また、県の審査会や市町村長、住民の意見等を踏まえて、本年4月に提出した
方法レポートへの知事意見の全ての項目に対しても、真摯に対応案を検討いただいています。 私も、流水型ダムの検討状況について、国の担当者から直接丁寧に説明を受けました。様々な改良案を基に、
水理模型実験を繰り返し、環境への影響を極限まで抑えた構造案を追求されるなど、流域の安全、安心と環境の両立に向けて、熱心に取り組んでいただいています。 そのときに担当者から言われた言葉を今でも思い出します。それは、法律に沿って環境への影響を抑えるというのは、このほうが楽だけど、知事が言うように、極限まで環境への影響を抑えた構造というのはとても難しいと。でも、それをやり遂げるとおっしゃったことに、とても感銘を受けました。 県としては、新たな流水型ダムが、安全、安心を最大化するものであるとともに、球磨川、川辺川の環境に極限まで配慮し、清流を守るものとなるよう、今後提出される
準備レポートの内容をしっかりと確認し、知事意見を取りまとめてまいります。 また、流水型ダムの事業の方向性、進捗を確認する仕組み等を通じて、流水型ダムの正確な情報を広く県民に周知してまいります。 さらに、流水型ダムの水源地域となる五木村と相良村に対して、両村に与える環境影響等について、国と連携してしっかりと説明を行ってまいります。 今年度は、蒲島県政4期目の集大成の年です。球磨川流域の創造的復興に向けて、残された課題に一定の道筋をつけることができるよう、これまで以上に時間的緊迫性を持って全力で取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 多くの皆さんの意見を聴いて取りまとめられた緑の流域治水という考え方、そのことが、知事の思いが国の思いに届き、今まさに球磨川を大切にしたい、そんな住民の意向が反映された答弁ではなかったかと思っております。 今後とも、流域の安全、安心を最大化するもの、それが流水型ダムでありますので、球磨川、川辺川の環境に極限まで配慮し、清流を守るものとなるよう、国と連携して取り組んでいただきたいと思います。 何より、被災自治体にとって、新たなまちづくりの前提条件でありますので、流水型ダムを含む緑の流域治水について、全力で取り組んでいただきたいと思います。 また、流域の方々にはもちろん、広く県民全体の理解を促すことも重要であります。今後とも、あらゆる機会を通じて、流水型ダムを含む緑の流域治水の積極的な情報発信に努めていただきたい。 最後に、ダム問題に翻弄されてきた五木村、
ダム建設予定地である相良村の振興についても、引き続き力強く進めていただきたい。我が党としましても、しっかりと後押しをしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 次に、「世界津波の日」高校生サミットについてお尋ねします。 まず最初に、私の津波経験について、その経験を語りたいと思います。 平成28年4月16日午前1時25分に発生した熊本地震本震によって、午前1時27分、有明海、八代海に津波注意報が発令されました。4月14日の前震の際は、自宅にて強い揺れにおののくばかりでありましたが、本震に続き発令された津波注意報と聞いたとき、揺れの続く中であっても、一刻も早く高いところへ避難しなければならないと、即座に行動したところです。 津波と聞いて私が一番に思い起こしたことは、東日本大震災で発生した津波が沿岸の町を飲み込んでいく映像でした。沿岸の住民の多くの皆さんが避難したように、このように我々は、これまでの被災の経験、そして目で見たもの、そういった経験則に基づいて行動したと言えるのではないでしょうか。 世界に目を向けますと、各地で自然災害が発生しています。トルコやモロッコは大地震に見舞われ、救出活動が困難を極める様子が連日テレビで放映されております。そのような映像を目の当たりにすると、熊本地震の揺れと大規模災害に見舞われた記憶がフラッシュバックします。同時に、当時世界各国から熊本に支援の心を寄せていただいた温かい記憶も思い出されます。 このような災害が起きるたびに、本県の被災の経験を、国や地域を超えて共有し、防災や減災につなげることも可能ではないかと思います。 早いもので、東日本大震災から12年半、熊本地震からも7年半の月日が経過しています。東日本大震災、熊本地震、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興が進めば、忘れられていく被災経験もあることでしょう。しかしながら、決して忘れてはならない、将来に引き継ぐべき経験も数多く存在します。 新しく整備された防災センターや先日開館した南阿蘇の熊本地震展示施設KIOKUも、継承の役割を果たす重要な施設であると思います。 先日の定例記者会見において、蒲島知事は、「世界津波の日」高校生サミットを来年秋に実施すると発表されました。次の時代を担う若者に、主体的に防災、減災について考察し、議論していただくことは、大いに意義あることです。 国内外から高校生が集う国際会議は珍しく、県内の多くの高校生に参加していただきたいと思います。そして、会議に参加する高校生だけにとどまらず、多くの若者に、自然災害の脅威から命を守る対策について、共感や共有、意識の向上につながる、そんな熊本開催としていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。 今回の高校生サミットの開催の意義、どのようなサミットを目指しておられるのか、また、熊本の高校生にどのような成果を期待するのかについて、蒲島知事にお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、高校生サミットの開催の意義と目指す姿についてお答えします。 熊本地震や令和2年7月豪雨災害という大災害を経験した本県には、大災害の記憶を風化させることなく、災害で得た経験や教訓を広く国内外に伝えていく責務があります。 このサミットは、世界各国の高校生が、地震や津波など自然災害の脅威から命を守る対策を学び、議論し、お互いの絆を深める絶好の機会です。 この機会を捉え、本県が防災、減災を担う国内外の人材育成に貢献することは、私が掲げる災害に対する安全保障を進める上でも、大きな意義を有しています。 そのため、熊本地震や令和2年7月豪雨で支援をいただいた国を含め、50を超える国や地域の高校生を招聘し、過去に他の道県で開催されたサミットと比較しても、最大規模となる想定で準備を進めてまいります。 次に、本県の高校生に期待する成果についてお答えします。 このサミットは、国内外から500人を超える高校生が参加する国際的な会議です。そのため、会議に直接参加する高校生のみならず、海外の高校生に県内各地の学校を訪問していただくことにより、県内の多くの高校生に参加と国際交流の場を設けます。 本県の高校生が、将来、それぞれの地域で防災、減災のリーダーとなり、さらにはグローバルに活躍できる人材に成長するよう、サミットの成功に向け、しっかりと準備を進めてまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 知事から、本県が国内外において防災、減災を担う人材の育成に貢献すると、力強く意義をお答えいただきました。また、過去最大の規模のサミットとなる想定で準備を進めるとのことで、熊本が目指す5つの安全保障にも通ずるものであると思います。 今回のサミットは、もちろん英語により行われるようです。過去、サミットに参画し、海外での医療活動に従事するため、英語でコミュニケーションが取れるよう学びを続けているという学生の話を耳にしました。熊本の若者が、国際的な社会に触れる貴重な機会です。県内の多くの生徒が国際交流に参加することに期待を寄せたいと思います。 あわせて、昨日、松村防災担当大臣のほうから、県内で防災国民大会を来年10月に九州初として開くということでありますので、このことも含めて、来年度は、防災に係る、そんな取組が熊本県から多く発信されることを願うものであります。 次に、JASM進出に伴う取組について、2点お尋ねします。 まずは、JASM進出に伴う社会資本整備に向けた取組についてお尋ねします。 過日、熊本インターナショナルスクールの移設開校を伝えるニュースに、新たな入学者を迎えたとの報道を目にしました。 熊本県においては、半導体産業集積強化推進本部並びにPTを設置し、JASM進出に伴う様々な課題に取り組まれています。さきに述べた子供たちの教育環境を、官民挙げて整えられたことは、成果の一つであります。 日本の経済安全保障を担う国家プロジェクトとして、世界的半導体企業TSMCの日本法人であるJASM新工場の建設が進行しており、年内には完成予定です。駐在員の入居も始まっており、本格稼働が予定されている来年12月まで、あと1年3か月となりました。また、7月には、ソニーが新たな工場用地の造成に着手するなど、今後もさらなる企業集積が見込まれております。 しかしながら、企業の受入れに対し、渋滞対策、排水対策など社会基盤の整備に関する課題があると認識しておりますが、具体的な成果は見えず、企業が安心して投資できる体制が確保できるのか、懸念されているところであります。 新工場の円滑な稼働のためには、これらの課題への対応は急務であり、待ったなしの取組を進める必要があります。 一方で、人流、物流や用排水に係る社会資本の整備には、今後10年間で約1,140億円を要するとの試算結果が示されています。 このように、短期、集中的な取組と多額の財源が必要とされている状況を踏まえ、先般、国に対し、知事自ら、県議会とともに財源確保に関する要望をされたところです。 これらの企業の受入れ環境の整備に向けた課題解決に向けて、どのように取組を進めておられるのか、蒲島知事にお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) JASMの進出により、本県は、我が国の経済安全保障の一翼を担う100年に1度のビッグチャンスを迎えており、
新生シリコンアイランド九州の実現を目指し、最大限の取組を進めています。 議員御指摘のとおり、今後もさらなる半導体関連産業の集積が見込まれ、渋滞対策、工業用水や工場排水への対応など、受入れ環境の整備は喫緊の課題です。企業が思い切った投資ができるよう、今後の道路、工業用水及び下水道の整備の見通しを示すことが重要であります。 まず、渋滞対策については、信号制御の見直しや時差出勤の取組の支援など、短期的なソフト対策と併せて、道路ネットワークの抜本的な対策に取り組んでいます。 具体的な取組として、企業集積地への主要な縦軸となる菊陽空港線は、令和8年度中の完成に向けて、本年7月から改良工事に着手しました。 また、主要な横軸である大津植木線の多車線化については、世界有数の半導体集積地の玄関口にふさわしいシンボルロードとして、将来の企業集積なども考慮し、6車線化も可能な幅員で計画を進めています。 6月に公表した中九州横断道路の新たなインターチェンジの設置や企業集積エリアを直接結ぶ道路整備等の計画も、できる限り早期にまとめ、5年後、10年後の将来像をお示ししながら、全力で取り組んでまいります。 次に、工業用水の確保に向けては、地下水保全の一環として、有明工業用水の未利用水の活用を検討しています。現在、関係者の御意見等を丁寧にお聞きしながら、浄水場等の新設を前提に、事業の採算性等を精査しています。 下水道の整備についても、菊陽町から県が受託し、本年8月末に必要な管渠の工事を終え、JASMの新工場稼働に向けた排水環境が整いました。また、企業のさらなる集積に伴い必要となる新たな下水処理施設の整備に向けて、合志市や菊陽町と連携協力しながら取り組んでまいります。 これらの社会資本整備は、短期かつ集中的に進める必要があり、多額の財政負担を要します。このため、先月21日に、私自ら、渕上議長とともに、岸田首相や関係省庁に対し、必要な財源の確保に関する緊急要望を行い、国もしっかりと支えたいとの力強いお言葉をいただきました。 今後も引き続き、私自らが先頭に立って、県議会をはじめ、国や地元市町村としっかりと連携し、時間的緊迫性を持って、受入れ環境の整備に向けて全力で取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 今朝の熊日新聞では「TSMCインパクト」として、JASMの堀田社長から、材料現地調達率を2030年までに60%を目指したいという発表があっております。これらの報じられ方、そしてまた企業の動きは、これまでの蒲島県政における取組について評価をいただいているものというふうに思っております。 今後、実際に事業を進めるに当たっては、大変困難なことも予想されますし、そして、様々な課題が噴出することも考えられます。そういった中でも、力強く今回の日本の安全保障を担う半導体産業の集積について、どうぞこれまで以上に汗をかいていただきたい、そのように思うところであります。 次に、2点目に、環境保全対策についてお尋ねします。 JASMの進出によって、シリコンアイランド九州の復活との声も上がるなど、本県だけでなく、九州全体の経済発展という期待がとても大きくなっています。 一方で、JASMは、製造工程で大量の地下水を使用する計画であることから、県民には、熊本の宝である地下水は大丈夫なのかという不安の声があるのも事実です。 先月末、JASMが熊本県に地下水採取の許可申請書を提出されました。JASMによる地下水の採取がスタートし、地下水保全の取組も、これから実施段階に進めなければなりません。 県民の不安解消のためには、地下水の保全に向けて県としてどのように取り組む方針であるのか、また、今後どのように具体的取組を進めていこうとしているのか、県民に対し、対策の全体像を示す必要があるのではありませんでしょうか。 また、半導体の製造工程では、シリコンの単体結晶の薄板であるウエハーを洗浄するために、酸、アルカリなどの薬品を多量に使用し、さらに、フォトレジストと呼ばれる感光性樹脂、そして、最近の県民の関心事が高い有機フッ素化合物PFASも使用されます。半導体の設計に応じて、様々なレアメタルも製造で必要となります。 もちろん、法令等に従って適切に排水、排ガスが処理されるでしょうが、法令で規制されていない物質も使用されています。 このように、半導体の製造には様々な化学物質などが使用されることから、これらの物質が排水や排ガスに含まれ、環境中に排出されるのではないかとの懸念の声も聞かれます。 こうした県民の声に対しても、県としてどのような対策を進めていくのかを示し、県民の安全、安心につなげる必要があるのではないでしょうか。 そこで、地下水の保全に向けて、全体としてどのような取組を進めていくのか、さらには、排水や排ガスに対し、環境保全という観点からどのような対策を進めていくのか、現時点での考えや取組状況について、知事にお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 地下水は、熊本都市圏100万人の生活と産業を支えるかけがえのない熊本の宝です。この地下水に支えられた経済発展と地下水保全を両立し、この恵みを未来に引き継いでいくことは、今を生きる私たちの使命であります。 地下水は、水が浸透しやすい熊本独自の地質と加藤清正公の時代に開墾された白川中流域の水田、そして農業の営みによって育まれ、琵琶湖をはるかに超える量が蓄えられています。 しかし、持続的に地下水を利用するためには、現状の取水量と涵養量のバランスを維持する3つの取組が重要であります。 第1は、地下水取水量の削減です。 水の循環利用や節水等により、取水量を削減する必要があります。 JASMは、地下水採取許可の申請時に、水の循環利用を促進し、地下水の取水量を当初計画の年間438万トンから310万トンへと、約3割削減することを明らかにされました。 第2は、他の水源利用の推進であります。 有明工業用水の未利用部分の水を地下水の代替水源として活用できるよう、可能性調査を実施しています。 第3が、地下水涵養のさらなる推進です。 どうしても採取する必要がある地下水については、取水量に見合う涵養を推進します。 このため、県地下水保全条例に基づく地下水涵養指針を改正し、新規に取水する井戸については、持続的な地下水利用が図られるよう、事業者に求める涵養目標を取水量の1割から原則10割に見直します。 あわせて、取水量を超える地下水涵養を自ら行う事業者に対しては、表彰や
環境アセスメントの要件を緩和するなど、さらなる地下水涵養を促します。 具体的な涵養に向けては、5月16日に、JASM、県、菊陽町、湛水に取り組む2団体で協定を締結しました。 この協定に基づき、JASMの取水量に見合う地下水涵養の実現に向け、涵養期間の拡大や白川中流域で新たに実施する取組である冬期湛水など、具体策の検討を進めています。 こうした取組を総合的に進めるとともに、地下水を取水した場合の影響等を揚水試験やシミュレーション等によって科学的に検証し、地下水保全に万全を期してまいります。 次に、排水や排ガスへの対策についてお答えします。 JASMからの工場排水は、直接河川等に放流されることはなく、県の指導の下、一定の基準を満たすように処理され、菊陽町で基準が守られているかどうかを確認し、下水道に受け入れられます。その上で、県が管理する下水処理場において、法令等で定める排水基準以下に適正に処理され、河川に放流されることになっています。さらに、排出先の坪井川や河口域では、熊本市が環境基準に適合するかを確認します。 県と関係市町が幾重にも基準適合を確認することとしており、今後も各市町と連携し、各段階でしっかりと監視を続けてまいります。 また、排ガスについては、JASMにおいて、高度な処理により大気汚染防止法の基準を大きく下回る状態で排出されることを確認しています。 県としても、セミコンテクノパーク周辺に新たな監視地点を追加するなど、監視体制の一層の強化に努めてまいります。 さらに、県民の皆様の不安解消を図るとともに、予防的な対策を講じる観点から、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、規制外の金属類や化学物質を対象とした環境モニタリングを本年8月から実施しています。 具体的には、18種の金属類や250種の有機フッ素化合物、そして、1万種を超えるその他の化学物質等について、稼働前後での変化がないか、一斉分析、解析を行います。これにより、客観的かつ科学的に環境の変化を把握してまいります。 モニタリングの結果等については、環境分野等の専門家で構成する委員会で検証し、結果を公表するとともに、県の適切な対応につなげてまいります。 私たちが暮らす熊本県は、豊かな地下水や雄大な阿蘇の草原、天草や有明、八代の資源豊かな海など、多様な自然環境に恵まれています。一方、私たちは、公害の原点と言われる水俣病を通して、環境破壊の恐ろしさとその復元の困難さを身にしみて実感しています。 かけがえのない自然を県民共有の宝として次の世代へ引き継いでいくことは、今を生きる私たちの重要な責務です。引き続き、環境保全に向けた取組を着実に進めてまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 環境保全に対する知事の思い、そして取組を御紹介いただきました。 私たちの宝である地下水を守りたい、多くの恩恵をもたらしてくれる有明海を守りたい、熊本の豊かな生活環境を守りたいというのは、県民の一致した思いであると思います。今回の取組によって、多くの県民の不安払拭につながることを願いますし、将来にわたって安全が継続するよう努めていただきたいと思います。 次に、新大空港構想についてお尋ねします。 蒲島知事は、就任以来、阿蘇くまもと空港とその周辺地域を一体のものとして捉え、地域の可能性を最大化する大空港構想を提唱し、その構想に沿った取組を推進されてきました。 3期目となる2016年には、熊本地震で被害を受けた空港を創造的復興のシンボルと位置づけ、大空港構想Next Stageを策定し、空港と周辺地域の創造的復興に向けた取組を加速化されました。この取組の推進により、空港と周辺地域の創造的復興は大きく前進したと思います。 さらに、TSMCの日本法人であるJASMが菊陽町に進出することが決定し、これまでの取組に新たな環境変化が加わり、空港周辺地域のさらなる発展に期待を寄せているところであります。 令和5年2月定例会において、これまでの取組の加速化と新たな環境変化に対応するために構想を改定し、改定に当たっては、空港機能の強化と企業集積とまちづくりの観点から御意見をいただくために、有識者会議を設置することを表明されました。 本年6月と8月の2回にわたり開催された有識者会議では、委員の皆さんからさらなる熊本の発展を予見させる意見が述べられ、委員の皆様の熊本に対する期待の大きさが分かりましたし、私自身、この空港周辺地域のさらなる活性化に大きな期待を寄せているところであります。 有識者会議から提出された阿蘇くまもと空港の機能強化と産業集積に伴うまちづくりに関する提言の中で、私が特に注目したのは、人財――人を宝と表現する書き方をしますが、「人財を惹きつけるクオリティタウンの創造」や「産業力の強化」であります。 特に、半導体を中心とした関連産業のさらなる集積や半導体産業と別の分野の産業との融合、研究開発等が実現すれば、経済への波及効果も高まることが予見されます。また、熊本を訪れる方の増加や移住者の増加など、人流の活性化や人口の増加も期待できると考えます。 そこで、蒲島知事の新大空港構想から描く熊本の将来像について、知事の所感をお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 現在の大空港構想Next Stageの策定から約7年が経過しました。その間に、コンセッション方式での空港運営や新旅客ターミナルビルの開業、総合防災航空センターの整備など、熊本地震からの創造的復興が大きく進み、空港の拠点性も高まっています。 今回の大空港構想の策定に当たっては、7名の委員による有識者会議を設置し、行政だけでは思い至らない大所高所からの御意見を伺い、英知を取り込むため、提言書を頂くこととしました。 委員からは、TSMC進出を契機とした
新生シリコンアイランド九州の実現や空港へのアクセスの早期改善に期待する意見とともに、高度人材の集積、拠点化などを求める意見がありました。 それらの意見が取りまとめられた提言書は、50年、100年先を見据えた空港機能のさらなる強化と企業集積に伴うまちづくりについて、5分野23項目にわたるものとなりました。 この提言を参考に、空港と周辺地域に期待される将来像の実現に向けて、今後の取組の方向性を示す大空港構想を策定しているところであります。 将来像については、空港と周辺地域を核とした地方創生の先進地域をしっかりと描くこととしています。 具体的には、提言の項目のうち、議員御紹介の「人財を惹きつけるクオリティタウンの創造」については、快適な生活空間の整備、にぎわいの創出による誰もが快適に過ごすことができるまちづくりを考えています。 また、「産業力の強化」については、半導体関連だけではない新産業の創出、研究拠点の整備、人材の育成に取り組むことを盛り込みたいと考えています。 この新たな構想で描く将来の実現に向けた取組により地方創生を実現することで、県全体、ひいては九州全体に波及効果をもたらすことができると信じています。 最終的には、熊本が持つ経済、感染症対策、食料、防災、地球環境という強みを生かして、日本の5つの安全保障に貢献し、さらなる地方創生を実現させていきたいと考えています。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 地方創生の実現を目指して新大空港構想を策定されるとのことであります。 実は、大空港構想から注目しているキーワードがありました。それは、知の集積であります。これまで、様々な取組により、新たな経済活動によい影響を与えてきたと思っております。これまで以上に、半導体関連産業はもとより、新産業の創出、研究機関の整備、人材の育成に、大胆に、力強く貢献できる環境の整備をうたっていただきたいと思うところです。 次に、こどもまんなか熊本の実現に向けた取組についてお尋ねします。 厚生労働省が6月に発表した人口動態統計によりますと、令和4年の日本の出生数は77万747人と、1899年の統計開始以来初めて80万人を割り込みました。 1949年に生まれた子供の数は約270万人であったことを考えると、子供の数はピーク時の3分の1以下になっています。本県での出生数は1万1,875人で、20年前と比較すると、約30%減少しています。 私は、令和4年12月定例会において、少子化問題について質問しました。このまま人口が減り続ければ、企業の経済活動や自治体の機能の維持ができなくなり、地域の産業の衰退や地域コミュニティーの衰退などを招くだけではなく、医療や年金といった社会保障制度も含め、将来の地域社会及び経済に多大な影響を与える最も重要な課題だと考えております。 政府は、少子化の現状を静かなる有事と表現し、2030年までに少子化のトレンドを反転できなければ、我が国は人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長の達成は困難との見解を示すとともに、次元の異なる少子化対策について、本年6月に策定したこども未来戦略方針に基づき、こども家庭庁の強力なリーダーシップの下、抜本的な施策の強化を図るとしています。 本県においても、本年5月に、知事が、こどもまんなか熊本の実現に向けて取り組んでいくことを発表されました。その取組として、庁内プロジェクトチームの設立や県民アンケートを実施していることは承知しております。 少子化トレンドを反転させ、若い世代誰もが、結婚し、子供を持ち、安心して子育てができる社会、将来に明るい希望を持てる社会を実現することが、ひいては熊本のさらなる発展や全ての県民が幸せに暮らしていける地域社会の実現につながるものと思います。 県の果たす役割は、国の動きに連動するだけではなく、熊本が結婚や子育てをしやすい社会となるような環境整備や機運醸成を図っていくことであり、こどもまんなか熊本の考え方を県民に分かりやすくお伝えし、また、多くの県民から共感を得られるよう進めていくことが重要であります。 こどもまんなか熊本の実現を図っていくためには、知事御自身の若いときの経験や夢の実現に向けて取り組むことの重要性など、知事の思いも反映されていると推察いたします。 そこで、若い世代が将来に希望を描ける社会を構築していくため、また、全ての県民がそれを支え、応援する社会を実現するため、こどもまんなか熊本に込められた知事の思いや今後何が必要と考えておられるのか、お尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 子供は、社会の希望であり、未来をつくる宝です。その子供たちが、安心して生まれ、健やかに育っていける環境をつくることは、今を生きる我々の使命であります。 議員御指摘のとおり、出生数の減少は予想を上回るスピードで進んでおり、少子化の進行は、地域産業の縮小や地域コミュニティーの衰退といった様々な影響を及ぼします。 国は、本年6月にこども未来戦略方針を、そして、9月にこども大綱の中間案を公表し、子供政策の加速化を図ることとしています。 本県においても、50年後、100年後のさらなる発展につなげていくためには、国の子供政策と連携を図りながら、少子化の進行を食い止め、出生数の増加に向けて取組を加速化させていくことが不可欠であります。 そのためには、若い世代の誰もが、将来に明るい夢を持ち、希望する全ての人が結婚し、子供を産み育てられるよう、社会全体で若い世代を応援する機運を盛り上げていくことが重要だと思います。 私は、これまで、子供たちに対して、人生の可能性は無限大であること、夢の実現のためには勇気ある一歩を踏み出すことというメッセージを発信してまいりました。 実際、昨日、私は、嘉島中学校で、知事の出前ゼミでこのようなことをメッセージとして発信してきました。その私のメッセージを聞いて、全ての子供たちがとても元気になったと感じました。これからも、このような発信を続けたいと思っています。 その思いから、全国に先駆け、独り親家庭等への学習支援や海外大学への進学応援など、子供たちの未来を開くための支援に積極的に取り組んできました。 今後も、子供たちが夢に向かってチャレンジしていく環境づくりを、引き続き進めていきたいと考えています。 一方で、少子化の背景には、非正規雇用の拡大や出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立の難しさ、教育に係る費用負担の増加など、個々人の希望を阻む様々な要因が複雑に絡み合っています。 この状況を変えていくためには、若者の所得向上や子育てしやすい職場環境、子供にとって安全、安心な環境の整備など、企業や県民全てが子供や若者の視点に立って考えることが大切です。 そのためには、まず、市町村とのさらなる連携が重要です。今年度から、県全体で子ども・子育て施策を底上げするため、子供医療費助成を拡充しました。その結果、保育料補助の拡充や学校給食費の負担軽減等の新たな取組が始まったところです。 また、トップの意識変容と行動もとても重要であります。そのため、市町村の首長や経済団体の長を対象としたキックオフトップセミナーを開催いたしました。 県では、私が先頭に立って、知事部局等の男性職員に育児休業の取得を呼びかけた結果、令和4年度の育休取得率は42.1%となり、前年度の15.6%から大幅に増加しました。取得した職員からは、家事、育児の大変さ以上に、子供の成長に関わる喜びや楽しさが得られたという声も聞こえています。 6月には、こども・子育てに関する県民アンケートを実施し、1万2,000件を超える回答をいただきました。この結果や、今後実施する子供や若者、企業に対する意見聴取の結果等を施策に反映させていく予定です。 少子化対策は待ったなしの課題です。こどもまんなか熊本は、熊本の未来に明るい希望を描ける社会づくりであり、県民総幸福量の最大化につながるものであります。 私は、これまでの県政において、不可能を可能にすることを政治理念として取り組んできました。 少子化の壁を乗り越え、県民一人一人が、熊本で生まれ、育つことに誇りを持ち、住み続けたいと感じる熊本を実現するため、国や市町村、企業、県民が一体となって、全力で取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 少子化の流れを変えたい、そんな思いが伝わってくる答弁でありました。 今回、アンケートに取り組まれたということでありますが、アンケート内容を精査された方はいらっしゃいますでしょうか。 実は、それぞれの価値観に踏み込んだアンケートでありまして、この集計が待たれるところでありますが、今後施策をつくり上げる上で大きな材料になることは間違いありません。 国の施策に連動することはもとより、自治体とも連携して、そして、県民全ての皆さんの共感を得て、こどもまんなか熊本、それをどう実践していくのか、そして、その先に知事が見据える熊本の未来に明るい希望を描く社会を実現するよう、不断の努力をこれからも続けていただきたいというふうに思うわけであります。 次に、食料安全保障の一翼を担う本県農業の課題について、2点お尋ねします。 まず1点目に、適正な価格形成に向けた県の対応等についてお尋ねします。 農業は、国民の生命と健康を守る基本的ななりわいです。我が国の自給率は、カロリーベースで38%と、先進国の中では最低水準であり、海外からの輸入に依存している状況です。 世界の食料事情は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、気象災害の激甚化などにより不確実性が高まっています。 このような中、我が国の農業においては、燃油、肥料及び家畜飼料などの多くの生産資材が高騰し、農業経営が厳しい状況となっております。この生産コスト上昇分を販売価格に転嫁できれば、農業所得の確保につながるのではないかと考えます。 国では、食料・農業・農村基本法の改正に向けて、食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会を設置し、2022年10月から2023年5月の8か月間、見直すべき基本理念や基本的な施策の方向性について、有識者による施策の検証、意見交換が行われております。 同年5月29日には中間取りまとめが公表され、その後、7月から8月にかけて、全国11ブロックで地方意見交換会などが実施されたところです。 地方意見交換会の中で、農業者からは、生産コストが上昇している中で、生産意欲の向上や新規就農者の増加にもつながる適正な価格形成に関する意見が多くあったようです。 これらの意見を踏まえ、国では、生産者、消費者、食品産業などの代表で構成した協議会を8月に開催し、具体的な検討に入りました。 適正な価格形成については、これまで県議会としても、昨年9月及び12月定例会において国への意見書を提出したところであり、大変意義があったと認識しているところです。 JAの皆さんからは、生産・流通コストの変動等を含め、再生産に配慮した適正な価格形成の実現に向け、取引の実態、課題等を踏まえた検証を進め、法制化を見据え、早急に具体化することや実効性のある仕組みの構築に向け、生産から消費までの関係者の理解醸成を図るなど、自民党に対して、政府への要望を受けております。 今後、国においては、適正な価格形成に向けた仕組みづくりの議論が活発化していくものと思われますが、適正な価格形成については、農業者だけではなく、消費者や事業者も含めた関係者の理解醸成も必要であると考えます。 そこで、適正な価格形成について、これまでの県の対応と今後の方針について、知事にお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 農業は、食料の供給だけでなく、国土の保全、水源の涵養、地域コミュニティーの維持など、国民の安全と豊かな生活を支える多面的な機能を有しています。 その大切な農業を維持していくためには、適正な価格形成は重要なテーマであり、国全体の課題であると認識しております。 そのため、県では、昨年度から、県議会とともに、国に対し、農業者の持続可能な経営のため、我が国の実情に合った適正な価格形成に係る施策や制度構築を要望してきました。 現在、国では、農政の基本理念を示す食料・農業・農村基本法の見直しを進めており、今月、国の審議会において、最終取りまとめが公表されました。 その中で、食料に関する基本的施策として、適正な価格形成に向けた仕組みの構築が法制化に向けて記述されたことは、これまでの要望活動の大きな成果であると考えています。 今後とも、県では、適正な価格形成の仕組みがどのような内容で法に盛り込まれるのか、国の動向を引き続き注視するとともに、必要に応じてさらに要望を行ってまいります。 また、来年度見直しを予定している熊本県食料・農業・農村基本計画の策定に当たっても、国の方針を踏まえ、適正な価格形成の推進に向けた県の対応をしっかりと検討してまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 機動的に対応する姿勢を表わしていただいたと思っておりますし、その気持ちに感謝いたしたいと思います。何より、これまでの農業施策が大きく転換することも予測されることから、今回質問をさせていただきました。 我が党も、県と一体となって、食料・農業・農村の基本計画に携わっていきたいと思っておりますし、しっかりと熊本における農業が発展するよう貢献してまいりたいと思うところであります。 2点目に、農産物輸送に係る2024年問題についてお尋ねします。 2024年4月から、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制が罰則つきで適用されることによる物流環境の変化、いわゆる2024年問題に対しては、物流に携わる輸送業者だけではなく、大消費地に向けて出荷していくために農産物を生産されている方々やJAも、大きな不安を感じておられます。 東京や大阪をはじめ都市圏に農産物を運ぶことで対価を得てきた本県農業の実態を見ると、県外への輸送の98%はトラック積みであり、これまでどおりの輸送ができなくなれば、生産者の収入減に直結するなど、まさに死活問題ともなりかねません。 時間外労働が適正な方向へ縮減されれば、トラックドライバーの働く環境は改善され、健康的に働ける環境がもたらされる一方で、労働時間が短くなることで収入は減少し、稼げる魅力が半減し、ドライバーの減少につながることが懸念されています。 トラックドライバーが減少すれば、おのずと輸送可能な量も減少し、これまでできていた長距離出荷ができなくなることから、農産物の全量を安定的に輸送することができなくなることも考えられます。加えて、トラックを確保する競争が激しくなることにより、運賃が上昇し、農家経営へ直接的なダメージを与えることにもなりかねません。 県内の農業者の中には、肥料、燃料や各種資材等の高騰が著しい中でのさらなるコスト増に耐えられなくなる者も出てくるのではないかと心配しているところです。 この物流に係る2024年問題に関して、国は、本年6月に、荷主、輸送事業者それぞれが、どのような役割と責任を担い、どのような対応が可能であるかについて、政策パッケージを提示し、これにより今後の対策が明確になったところです。 この問題に関して、県内でも、今後様々な問題が発生することが予想されますが、本県の農産物の県外輸送に及ぼす影響と農業者の不安払拭に向けてどのような対策を立てておられるのか、千田
農林水産部長にお尋ねします。 〔
農林水産部長千田真寿君登壇〕
◎
農林水産部長(千田真寿君) 本県では、トラックにより、県産トマトの44%、ナスの38%などを、約1,200キロメートル離れた首都圏で、出荷後3日目に販売することができています。 物流の2024年問題は、大消費地から遠い本県にとって、トラックの運賃の上昇や出荷から販売までに要する時間の増加による鮮度の問題など、大きな影響をもたらすものと認識しています。 県では、トラックに依存した輸送からの移行を図るため、平成30年度から、農業団体と県内のトラック業者で構成される熊本県農協青果物輸送改善協議会と連携し、トレーラーの荷台を運ぶRORO船やフェリー、鉄道を活用したモーダルシフト等について、輸送時間やコストに関する検証を進めてきました。 県産農産物をこれまでどおり大消費地に届けていくためには、これまでの取組に加えて、国が提示した物流革新に向けた政策パッケージにも示されているように、荷主である農業者やJAが相応の役割分担を担い、輸送業者と協力しながら対策を講じていくことが重要です。 このため、8月18日に、2024年問題に係る情報共有、普及啓発を図るため、県内の青果、畜産、水産業に携わる団体等の幹部による連携会議を開催いたしました。さらに、8月25日には、各関係機関の実務担当者約100名を参集してセミナーを開催し、現状や課題の共有、優良事例の紹介を行いました。 2024年問題の主な対策として、荷主側では、トラックの定時輸送を可能にするため、選果時間の削減やパレットの活用による積込み作業の効率化が挙げられます。物流事業者側では、トラックにフェリー等を組み合わせた輸送体制の確保、首都圏等の市場側では、荷待ち、荷下ろし時間の短縮等の取組が重要です。 これらを着実に進めていくため、緊急かつ暫定的なソフト対策予算及び円滑な出荷体制の構築とそれに要するハード整備に向けた検討予算を、9月補正予算で提案しているところです。 具体的には、まず、各産地での農業者、JA、物流事業者も含めた話合い活動やパレット輸送の試行等を進めます。加えて、各JAが出荷する際のモーダルシフトの実証実験やパレット輸送体系の構築及びストックポイントの整備等についても検討を進めてまいります。 さらに、首都圏等の市場における荷待ち、荷役時間の削減に加え、輸送コストの負担の在り方について、農産物の適正な価格形成の仕組みづくりとともに、国に対して要望を行ってまいります。 来る2024年4月以降、県産農産物の輸送に滞りが発生しないよう、目の前の課題に向き合い、本県が引き続き食料供給基地としての役割を果たすため、しっかりと取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 具体的な取組について答弁をいただきました。 何よりも、時間的には残された時間はあまり多くありませんので、部長のお言葉をお借りすれば、役割を果たしていただきたいというふうに思います。 最後に、赤潮被害対策についてお尋ねします。 本県の魚類養殖業の漁業生産額は、令和3年で約160億円と、県内の漁業生産額の47%を占めるとともに、全国6位の規模を誇っています。また、輸出においても、県産農林水産物の輸出額の28%を占めるなど、まさに本県水産業の大きな柱です。 今年は、6月中旬から9月上旬にかけて、八代海において、有害なシャットネラ、コクロディニウム、カレニア、3種類の赤潮が同時に発生し、6月下旬から上天草市、天草市、津奈木町で被害が発生、8月下旬まで被害が断続的に発生し、カンパチやシマアジなど、甚大な被害をもたらしました。 被害は、熊本県だけではなく、鹿児島県や長崎県にも及び、熊本県内では、魚類養殖業を中心に被害額約15億円という、昨年度に引き続き大きな被害となり、過去4番目の規模となっております。 過去2番目の規模となる昨年度の甚大な被害からの回復途中での被害ということで、養殖業者の方々は、さらに厳しい経営を強いられております。被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。 また、新型コロナウイルス感染症の影響も残る中、福島第一原発処理水放出に伴い、中国の日本産水産物の通関検査の厳格化や禁輸措置が行われ、7月中旬から県内の養殖業者でも中国への輸出停止の影響が発生しており、輸出先をほかの地域に振り分けるという、新たな商談が開始されるとも聞いております。 一方、政府による風評被害対策が打ち出されるとともに、中国への禁輸措置解除の働きかけもなされているところです。 さらに、米中の派遣争いやロシアによるウクライナ侵攻も続いており、世界経済への長期的な影響に加え、円安の進行により、燃料や餌、資材の高騰によるコスト増も経営に大きな影響を与えています。 今回の赤潮被害は、昨年よりは少ないとはいえ、過去4番目という規模であり、苦難に直面している養殖経営にさらに追い打ちをかけているとともに、養殖業者の体力低下のみならず、事業継続への意欲まで失わせてしまいかねない状況です。 9月4日には、天草市、上天草市、津奈木町及び海水養殖漁協から、それぞれ赤潮被害に対する支援について、要望書が県議会及び県知事に提出されております。 昨年のカレニア赤潮による被害に対しては、県では、国、関係市町と連携し、養殖業者グループによる赤潮調査体制の整備や迅速な赤潮駆除剤の散布への支援が行われました。 そこで、今回の赤潮被害に対し、本県で重要な産業である魚類養殖業が持続的に行われていくために、県はどう対応されてきたのか、また、被害を受けられた養殖業者への支援について、県としてどのように対応されるのか、
農林水産部長にお尋ねします。 〔
農林水産部長千田真寿君登壇〕
◎
農林水産部長(千田真寿君) 県では、昨年度の甚大な赤潮被害の発生により被害を受けた養殖業者に対し、市町と連携した中間魚等の導入やへい死魚処理への支援を行うとともに、国に対して赤潮対策の充実等の要望を行ってきました。 赤潮については、早期発見、早期対策が重要であるため、今年度から、国の予算を活用し、養殖業者15グループによる赤潮モニタリング調査に対する支援を行っています。その調査結果は、SNS等により関係者間で迅速に情報共有されているところです。 これにより、5月に発生した赤潮では、養殖業者の方々が速やかに駆除剤の散布を行い、拡散を食い止めることができました。 6月に入り、八代海において、シャットネラとコクロディニウムに加え、昨年、過去2番目の被害をもたらしたカレニアの3種類の有害赤潮が同時に発生する危険な状態になりました。 そのため、県では、直ちに水産関係危機管理対策本部を設置し、赤潮の動向や被害状況を把握し、情報の周知、共有に努めるとともに、漁業関係者に対して、餌止めや駆除剤の散布などの被害防止対策の徹底を呼びかけてきました。 このうち駆除剤については、今年度当初から備蓄していた約70トンが散布されたことから、県では、7月下旬に約60トンの追加備蓄について支援を行いました。 これらの対策を講じましたが、6月から9月まで長期間にわたって赤潮の発生が継続したことにより、被害額は過去4番目の15億円超の規模となりました。 へい死魚処理については、これまでへい死魚を堆肥にするまでの冷凍保管に必要な魚缶の整備を支援しており、この活用により速やかに処理が行われました。 また、9月4日には、関係3市町と漁業団体の長から、知事に対し、稚魚、中間魚、代替魚の導入支援などの要望が行われたところです。 これを踏まえ、養殖業者の早期事業再開に向け、県として速やかに支援できるよう、今定例会で追加提案を行います。 また、要望を受けた内容のうち、養殖共済制度の改善や国との連携が必要な赤潮の予察、防除技術の開発などについては、国に対し要望してまいります。 今後もと、魚類養殖業を営む皆様が、将来にわたって事業に意欲を持って取り組み、安全で安心な養殖魚を持続的に消費者へ提供できるよう、関係市町や漁業団体と連携して取り組んでまいります。 〔山口裕君登壇〕
◆(山口裕君) 千田部長のほうから御紹介いただきましたように、今定例会において追加提案を行うということであります。 私たちが願いますのは、養殖業者の事業継続が達せられることだと思っております。しっかりと我々も、地元に足をつけて頑張っていきたいと思っております。 環不知火海養殖推進協議会というのが設置されて、自助的な動き、そして共助的な動きがこれまで生まれてきたと思っております。今後は、その動きをさらに加速させて、地域の海域をどう守っていくのか、そういったことも重要になってくると思っております。これからも、しっかりと汗をかいて、地元の水産業に携わる皆さんと頑張っていきたいと思っております。 1つ申し上げますと、カレニア赤潮は、実は漁船漁業にも影響を及ぼしているようでありまして、昨年、そして今年とカレニアが発生した折には、漁獲が落ちたという話も聞きました。 様々に影響をもたらす赤潮のことでありますが、なかなか対応策が打てる状況ではありませんので、今できることをしっかりと行って、そして、中長期的な取組にもしっかりと取り組んでいきたいと思うところです。 さて、今回準備しました代表質問、しっかりとやらしていただいたと思っております。何よりも、県政に携わって5期が過ぎております。そういった中で、これまで多くの時間を蒲島知事と一緒に歩まさしていただきました。 私は、蒲島知事の言葉の力、そして思いの強さ、そういったことを感じ、それが県民を動かし、そして地域を動かしていく、県を動かしていく、そんな原動力になっているのではないかと思っております。 今後も、様々な課題が山積する中ではありますが、一つ一つ着実に、そしてスピード感を持って挑まれることを望みますし、私たちもしっかりと応援していきたいと思っているところです。 どうぞこれからも御健勝にて御活躍いただけることをお願いしまして、代表質問を終結させていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(渕上陽一君) 昼食のため、午後1時まで休憩いたします。 午前11時39分休憩 ――――――○―――――― 午後0時59分開議
○副議長(内野幸喜君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 立憲民主連合鎌田聡君。 〔鎌田聡君登壇〕(拍手)
◆(鎌田聡君) 皆様、こんにちは。立憲民主連合の鎌田聡です。今日は、会派を代表して代表質問をさせていただきたいと思います。 随兵寒合と昔からそう言いますけれども、なかなか、この前の日曜日、本祭が終わった後、若干涼しくなりましたが、まだ日中は非常に暑いような気候でもございまして、やっぱり各地で熱中症が非常に出ているような状況でもございますし、また、コロナも新しいやつが何か出てきている状況でございます。 そしてまた、7月の大雨で、上益城を中心に、県内におきましても大変な被害が出ているところでもございますし、そしてまた、国内においても、台風13号をはじめとしまして、いろんな関東、東北をはじめとして大変な災害が起こっています。 そしてまた、国外でも、モロッコの大地震、リビアの洪水と、様々な被害で大変多くの皆さんが亡くなられておりますし、多くの皆さんが被災をされておりまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。 やっぱり災害対策をはじめとしまして、私たちの取組が非常にまた重要になってきますけれども、今日は、災害対策以外の県政の重要な課題につきまして代表質問で取り上げさせていただきますので、どうか、100分間という長時間になりますし、また、午前中の質問と重なり合う部分も幾つかございますけれども、ぜひ御容赦いただきまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 それでは、早速質問に入りたいと思います。 TSMCに関する諸課題についてです。 TSMCの菊陽町進出に伴う半導体関連産業の集積による経済波及効果について、九州フィナンシャルグループが、今後10年間で約7兆円に上るという試算を出しました。このように、県経済発展に対する県民の期待も大きいのですが、一方で、労働環境、渋滞対策、環境への影響などへの不安も大きくなっています。 今回は、その不安な部分について、数点お尋ねをいたします。 まずは、県内地場中小企業への支援についてです。 TSMCの社屋工事が大変早い工期で進められて、設備等の納期も厳しい日程で進められておりまして、労働者の負担も大きくなっています。これまで労働事故が発生していないのか、懸念をいたします。 また、TSMCや関連企業への人材流出が顕著になっていて、既存の県内地場中小企業におきます人材確保が困難な状況になってきています。最低賃金も、10月8日には45円上がって898円と、熊本県なりますけれども、地場中小企業でも賃金引上げが必要となりますが、賃上げを実行するための基礎体力が十分ではないところも多くて、加えて、現下の物価高という状況下での対応となり、厳しさを増しています。そのため、県内中小企業からは、国、県の支援を求める声が多く聞かれます。 そこで、私が昨年12月の一般質問で申し上げまして、その際は、
商工労働部長の大変つれない答弁で、国の業務改善助成金への上乗せはないとの回答でしたが、改めて、この厳しい状況下で、労働環境の改善や賃上げを行う県内中小企業に対しての県としての支援策を講じる考えはないのか、お尋ねをいたします。 次に、水の問題についてお尋ねをいたします。 TSMCの操業に伴う地下水の枯渇と汚染への不安が広がっています。TSMCは、半導体製造過程で地下水を1日約8,500トン採取する計画になっており、その採取量を超える地下水を涵養する考えを表明されています。 阿蘇山の火山灰を土壌に含む白川中流域は、水の浸透量が他地域の5から10倍とも言われていて、地下水を蓄えて育む涵養を効率よく進めることができますが、TSMCをはじめ数社が進出をしてきている状況で、白川中流域の水田での涵養が可能なのでしょうか。 現在、進出してくる企業に対して、これまで地下水採取量に対する涵養が採取量の10%だったものを、採取量に見合う量の涵養を義務づける地下水の涵養の促進に関する指針の見直しをされようとしていますが、TSMCをはじめとして企業進出が多くなってきていて、実際に涵養する水田を確保するのは困難ではないでしょうか。 そこでお尋ねですが、地下水涵養の促進に関する指針の見直しは現実的に可能なのか、そして、実際TSMCは採取量の8,500トンを超える涵養を行う水田を確保できているのか、お尋ねをいたします。 次に、排水についてです。 TSMCが製品の洗浄に使用した工場排水は、工場で浄化された上で、菊陽町の下水道に流されて、下水管を通って熊本市北区にある県の施設の熊本北部浄化センターまで流されてくることになります。そこから坪井川に流されることになりますが、その排水による汚染の検査は完全にできるのでしょうか。そして、TSMCがどのような物質を流すのかも明らかにされていません。 北部浄化センターには1日平均約7万トンの下水が流入してきていて、センターで浄化処理を行っていますが、その際に汚染濃度の環境検査を実施すると聞いていますが、安全性や安心性を担保する意味でも、その検査の数値をぜひ公表していただきたいと思いますが、それはできないでしょうか。 そして、万が一センターで有害物質が発見された場合、その流入水を止めることは可能なのでしょうか。もちろんTSMCの工場から有害物質を排出させないことが重要ですが、流れてきた場合のチェックと対応が求められます。 あわせて、下水道法に基づく有害物質の検査は28品目となっていますが、知事は、議会開会日の議案説明の際に、県として、より多くの化学物質のモニタリング調査を行うと言われました。 そこで質問ですが、TSMCから排出される物質は明らかにできないのか、そして、北部浄化センターでの環境検査の数値の公表と、もしもの場合の対応はどうするのか、そして、下水道法では対象外の化学物質の検査についてどのように実施するのか、お尋ねをいたします。 最後に、県の環境影響評価条例施行規則の見直しについてお尋ねをいたします。 今回、県の環境アセス条例の規則を改正して、地下水保全地域のアセス対象の立地企業の面積を25ヘクタールから50ヘクタールに見直すことになっていますが、TSMC進出に伴い、立地企業が増えてきて、開発が進んでいく状況下での環境保全の取組は、これまで以上に重要になると考えますが、なぜ面積要件を緩和するのか疑問に思います。 そこで、アセス条例の面積要件を緩和する理由について、先ほどの3点の質問と併せて知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、県内地場中小企業への支援についてお答えします。 県では、社会保険労務士等の専門家の派遣や働く人が生き生きと働き続けられるブライト企業をPRすることなどにより、労働環境の改善や処遇の向上を図る企業への支援を行っています。 また、国や県の補助事業を活用して生産性向上に取り組み、賃上げを実施する中小企業者をさらに力強く後押しするため、補助事業の自己負担を軽減する予算を今定例会に提案しています。 県としては、国の施策の動向を注視しながら、商工会、商工会議所などの商工団体と連携して、物価高騰の影響で厳しい経営環境に置かれた中小企業者、小規模事業者の方々をしっかりと支えてまいります。 次に、地下水の涵養についてお答えします。 熊本の宝である地下水に支えられた経済発展と地下水保全を両立するためには、現状の取水量と涵養量のバランスを維持する必要があります。 具体的な涵養に向けて、5月16日に、JASM、県、菊陽町、水田湛水に取り組む2団体で協定を締結しました。 この協定に基づき、白川中流域における涵養期間の拡大や冬期湛水の実施、白川中流域以外での水田湛水の拡充など、農業者の方々と連携し、具体策の検討を進めています。これらの取組により、本年度については、JASMの取水量を上回る水田湛水が実現できる見込みであります。 さらに、農地以外においても、雨水浸透ます、雨庭、浸透性の調整池の設置など、地下水の涵養量を確保してまいります。 次に、TSMCの工場排水についてお答えします。 まず、工場排水に含まれる下水道法における対象物質については、関係法令にのっとって公表することは可能と考えています。 なお、これらの物質については、あらかじめ、公共下水道管理者である菊陽町が、下水道法に基づき、基準に適合していることを事前に確認しています。 次に、水質検査の数値の公表について、熊本北部浄化センターでは、これまでも、問合せに応じ検査結果を提供してきました。今後は、さらに積極的な公表の方法を検討してまいります。 また、有害物質が発見された場合については、各段階において県、菊陽町、企業が連携し、迅速かつ確実に対応します。 具体的に言うと、まず、工場からの排水の水質を菊陽町と企業がそれぞれ検査します。あわせて、その水が流入する熊本北部浄化センターにおいても、県が流入水の検査を行うことで、法令の基準が守られているかを監視します。 その上で、基準を超える有害物質が確認された場合は、菊陽町の命令により、企業は直ちに排水を停止し、原因となった施設を改善します。 さらに、下水道法の対象外の化学物質については、県では、熊本北部浄化センターの放流水も環境モニタリングの対象としています。 モニタリングでは、規制外の18種類の金属類や有機フッ素化合物250種、そして1万種を超えるその他の化学物質等について、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、客観的かつ科学的に環境の変化を把握していきます。 そして、その結果については、環境分野等の専門家で構成する委員会を設置し、委員の皆様に検証していただいた上で、県の適切な対応につなげてまいります。 このように、工場からの排水については、関係法令に基づく規制や確認、監視はもとより、あらゆる手法を用いながら、地域の環境保全と県民の皆様の不安解消に取り組んでまいります。 最後に、環境影響評価条例施行規則の見直しについてお答えします。 今回の施行規則の改正は、環境審議会の答申を踏まえ、地下水涵養指針の見直しに加えて、事業者による自主的な地下水涵養の取組を促進するために行うものです。 今回の規則改正により、県の指定する地下水保全地域において、取水量を上回るさらなる涵養に向けた取組が進むことを期待しています。 県としては、こうした仕組みを活用しながら、引き続き、事業者による積極的な地下水涵養の取組を促進してまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) それぞれの課題について答弁をいただきました。 1点目の中小企業支援につきましては、国の補助事業の自己負担分の軽減ということでございます。これだけではなくて、さらなるやっぱり中小企業支援に取組を進めていただきたいと思いますし、2点目の水田涵養の取組につきましても、様々な対策をこれからやられていくということでございますけれども、なかなか、この涵養に参加する農家が減少してきているという状況でもございます。白川中流域以外での水田湛水も拡充することも検討ということでございますので、あらゆる手段を使って、よろしくお願い申し上げたいと思います。 それと、排水への不安、これも非常に根強くございます。調査地を公表すること、いろんな調査を行って、その数値をきちんとやっぱり明らかにしていくことが極めて重要かと思いますので、浄化センターの公表の在り方も、今後手法検討ということでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 それと、4点目、アセス要件の緩和につきましては、やはり地下水涵養ができるかどうかだけでこれを判断していくのは、非常にその確実性が担保できるのか、私は時期尚早だと思っております。 環境アセスというのは、開発を禁止するのじゃなくて、環境への、事業への影響に問題があるかということを企業が調査をする、予測評価などを行うものでございまして、それは、地下水だけではなくて、大気や土壌環境や生物、廃棄物、温室効果ガス、放射線量、文化財などなど、多岐にわたるわけでございまして、そこの要件をこの機に緩めるということについては、私はやっぱりやるべきではないというふうに思いますので、改めてその点につきましては再考を求めまして、次の質問に移りたいと思います。 県民サービスを支える県職員の人員確保についてです。 先ほどの質問でもTSMCの課題につきまして申し上げましたけれども、こういった問題の対応などで、県庁内の多くの部署で業務が増加したり、あるいは今後増加することが必至です。 例えば、新工場建設に伴います課税評価、地下水保全や地中への影響調査、そして、これは、建設工事の影響から工場稼働後は継続的な調査が必要になります。また、農振地域の土地利用、地域の農業や酪農を支える取組、渋滞解消に向けた道路整備や公共交通の利活用の検討、さらにはTSMCに勤務する従業員の家族などが工場周辺にお住まいになると思いますが、そういった新たに地域にお住まいになる外国籍の方々はもとより、受け入れる地域の方々も安心して生活できるように支える取組、教育関係の環境整備など、県庁内の多くの部局にまたがる業務が想定されます。 県も、部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げて検討を進め、そこには担当する県職員を割り当てなければなりませんが、このTSMC関連業務に当たる職員の確保はできているのでしょうか。 年々熊本県庁の受験者数、あるいは受験倍率が下がってきており、県職員の全体数が増えない中にあって、このビッグプロジェクトにしっかり対応できるのか、心配しています。 県職員の受験者数の低下については、ここ数年議会でも取り上げられており、昨年9月議会において、西県議からも質問されたところであります。 例えば、大卒程度の採用試験について、事務系の受験倍率について、昨年は4.3倍でしたが、今年、令和5年は3.3倍となり、技術系は、昨年1.6倍だったものが、今年1.1倍まで低下しております。 特に心配していたのは総合土木職です。昨年の西県議の質問を受けて、具体的な対策として、今年度から試験実施時期を前倒しし、教養試験を民間企業で広く使われるSPIに変更した新たな試験枠、春季SPI枠を設けて、この試験の受験倍率は2.9倍となりました。一定の結果には結びついていると感じます。しかしながら、受験者数の低下、欠員が生じている職種がある状況は変わりません。 県民サービスの維持向上のためには、現場で実務を担う県職員は不可欠ですが、このような中で、TSMC関連をはじめとする県の重要な課題に余裕を持って当たれる人員体制が整っていると言えるのでしょうか。 また、今年度から公務員の定年年齢が2年に1歳ずつ引き上げられ、2031年度、令和13年度に定年年齢が65歳になります。2年に1回定年退職者が出ない年が生じるわけですが、定年退職者が出ない年にあっても、新規職員の採用については、採用数を平準化し、継続的に一定数の採用を行いたいと、議会の場でも総務部長が答弁されています。 今年度末は定年退職者が出ない年となっておりますが、今年度の採用試験における新規採用予定者数は昨年並みに確保してありましたので、採用予定者数が満たされれば、年度によっては一時的に増加するのではないかと思います。 先ほど紹介したように、受験者数が低下したり、あるいは欠員が生じている職種もある中で、この先の県職員の人員数の見通しについてどのような考えをお持ちなのでしょうか。 そこで質問ですが、TSMC関連業務などの新たな行政需要に適切に対応するため、今後の職員採用や職員数の在り方についてどのようにお考えか、総務部長にお尋ねをいたします。 〔総務部長平井宏英君登壇〕
◎総務部長(平井宏英君) TSMCの進出とそれを契機とする半導体関連産業の集積というビッグチャンスが到来していますが、これに伴う新たな行政需要に対応するためには、県職員の人員確保が必要と認識しております。 現在、熊本県職員の定員管理の基本方針に基づき、現行の定数を維持することとしておりまして、熊本地震や豪雨災害からの創造的復興を優先しつつ、災害関連業務の進捗状況等を踏まえ、TSMCの進出などに伴う新たな行政需要にも対応できる人員体制の確保に努めております。 具体的には、半導体関連産業の集積が急速に進む中で、周辺の道路ネットワークの整備や地下水の保全対策、立地企業との協議、土地利用調整などに対応するため、今年度から、新たに合計20人程度の職員を重点的に配置しております。 職員の採用につきましては、議員御指摘のとおり、受験年齢人口の減少や民間企業、国等との人材獲得競争の激化などを背景といたしまして、厳しい状況にございます。しかし、このような中でも、意欲ある人材を採用していくために、様々な取組を進めておるところでございます。 具体的には、対面による採用ガイダンスの実施やSNS等を活用した情報発信等の取組に加えまして、今年度からは、民間企業や大学院などを志望する方も受験しやすくするため、SPI試験の導入や採用候補者名簿の登載期間の延伸などを進めております。 こうした取組によりまして、近年、特に人員確保の難しい総合土木職につきましても、採用予定数の確保に手応えを感じているところでございます。 定年年齢の段階的引上げに関しましては、60歳超の方々には、様々な場面で、これまで培ってこられました多くの経験ですとか専門的な知識を発揮いただくことを期待しております。また、2年に1度の定年退職者が生じない年でございましても、計画的に新規採用を行ってまいります。 引き続き、関係各部や人事委員会事務局と連携し、職員の採用を着実に進めるとともに、熊本地震や豪雨災害からの創造的復興を成し遂げる、それから、半導体関連産業の集積などに伴う新たな行政需要にも適切に対応できるよう、今後も必要な人員体制の確保にしっかりと取り組んでまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 県職員は、熊本地震、また、豪雨災害、そしてまた、コロナ対応、極めて厳しい状況の中で頑張ってこられた上で、TSMCの対応ということでございます。今後、必要な人員体制の確保に取り組んでいくということでございますので、ぜひ、それぞれやっぱり頑張っている県職員が、これからもやっぱり健康で頑張れるように、そういったところで、しっかりと人員体制の確保に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 川辺川ダム事業に関連して、2点質問をいたします。 1点目は、環境影響評価、いわゆる
環境アセスメントについてです。 昨年の12月議会でもこの問題を取り上げましたが、引き続き申し上げます。 今回のダム計画に際して、知事が、環境アセス法に基づいたアセス、もしくはそれに準じたアセスの実施を要望されたことを受けて、国土交通大臣は、アセス法に基づいたものと同等の手続を行うと表明し、現在、その手続が進んでいます。 しかしながら、現在実施されている環境アセスは、法に基づくものと同等とは到底言えないものです。アセス手続は、これまで、アセス法で配慮書に当たる配慮レポート、方法書に当たる
方法レポートが終了し、今後、環境影響評価結果の素案が
準備レポートとして示され、それに国民や知事の意見を反映し修正した評価レポートが発表されると、ダム事業に着手されることになります。 アセス法では、手続の各段階において知事意見を聞くことが義務づけられています。川辺川ダムに関する今回のアセスでも、2022年6月、2023年4月に、それぞれ配慮レポート、
方法レポートに対する知事意見が提出されています。 前回も申し上げましたが、現在進められているアセスの大きな問題の一つは、住民の意見もこれら県知事意見も反映されることなく手続が進んでいる点です。 配慮レポートの中で、国がダムによる球磨川流域への環境影響が球磨村渡地点までとしていた点について、知事は、意見書で「渡地点より下流域への影響が考えられる場合は、調査・予測・評価の対象とすること。」と要望されていますが、国は、それを反映せず、次の
方法レポートの段階でも同様に、環境影響評価対象地域を渡までとし、下流域は必要であれば対象とするとの消極的表現にとどまっています。 また、160ページを超える配慮レポートのうち、事業計画に関する記載は僅か半ページで、具体的な構造物については一切示されていませんでした。これに対しても、知事は「放流設備等の構造や完成イメージ図、試験湛水に係る湛水期間及び維持流量の検討の状況等が記載されていないため、
方法レポート以降においては、ダムの実施設計の進捗に応じ、検討状況や結果等を可能な限り詳細に示すこと。」と意見を述べられています。 ところが、これらについても国は無視して、次の
方法レポートにおいても、極めて簡易な事業計画のみで、構造については何も示しませんでした。 これら2点は、アセスの住民説明会においても参加者から指摘をされた点です。構造が分からなければ、ダムが環境や生き物にどのような影響を与えるか知るために、どのような調査が必要なのかは分からないので、当然の指摘と言えます。 その他の点も含め、配慮レポートに関する知事意見の一部は、
方法レポートに反映されることなく国から同内容が示されたため、知事は、
方法レポートに対しても、再び同じ内容の意見を提出されています。重要な知事意見聴取に対しても、聞きおくのみで反映されない現在のアセスは、法に基づくものと同等と言えるものでは到底なく、国にアセスやり直しを求めるべきと考えます。 流水型ダムは、下部に穴があり、環境影響が比較的少ないと説明される場合がありますが、既に完成した各地の事例を見ても、ダム完成後は、上流、下流の河川環境や生態系、水質や地形に甚大な影響が起きていることが指摘されています。 ダムが完成して大きな環境影響が起きた際に、県民に対し、知事は、どのように説明され、どのような形で責任を取られるおつもりでしょうか。 川辺川ダムができれば、清流や生態系が失われるのではないかという懸念の声は、今なお根強く寄せられています。県としては、この県民の声に答えるべく、独自に流水型ダムの環境影響を検証し、県民に説明を行うべきです。これらの環境影響評価に関する件について、知事の考えをお尋ねいたします。 次に、住民への説明責任についてお尋ねをいたします。 球磨川豪雨災害とダムの必要性との関連については、これまでも、流域住民や市民グループ等から多くの疑問が寄せられています。 流水型ダムの環境影響だけではなく、気候変動の影響を受けた記録的豪雨や線状降水帯の発生に対して、治水能力に限界のあるダムが本当に役に立つのか、支流からの氾濫の原因を、国が本流の水位上昇によるバックウオーターが原因と早々に結論づけた不自然さ、人吉大橋に設置された水位計データの信憑性、緑の流域治水と声高にうたいながらも、実際には人吉・球磨地域の森林保全対策が加速度的に進む県の施策が一切ないことなど、国と県に丁寧な説明を求める要望が度々出されています。 これらの説明責任を果たす場の一つとして、県は、昨年、新たな流水型ダムの事業の方向性・進捗を確認する仕組みを設置しましたが、この会議メンバーは、12流域自治体首長と首長が選んだ住民代表各1名ずつと各団体、専門家によって構成されており、住民参加とは到底かけ離れたものです。 また、内容も、協議や質問に答えるものではなく、出された意見が国の計画に反映される保証もなく、また、第2回目以降の会合がいつ開催されるのかも不明です。 本県には、川辺川ダム住民討論集会という全国に誇るべき住民説明と対話の場を開催した経験があります。今回のダム計画に対しても、県が選ぶごく少数の住民や団体代表に対してではなく、県民に対し広く参加を呼びかけ、透明性と中立性を担保した公開の場で、一方的な説明ではなく、対話する手続なしには問題の早期解決と合意形成は実現しないと考えます。 そこで質問ですが、県は、選ばれた委員ではなく、広く県民に開かれた場において真の説明責任を果たして、住民参加による丁寧な合意形成を図るべきと考えますが、その考えはないのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、環境影響評価についてお答えします。 流水型ダムは、命のみならず、清流をも守るものとなるよう、球磨川、川辺川の環境に極限まで配慮したものにする必要があります。 私は、この点を流域の皆様に確認していただくため、客観的かつ科学的な環境への影響評価が必要であると判断し、法に基づく
環境アセスメント、あるいはそれと同等のものの実施を国に求めました。 そして、現在、法と同等の
環境アセスメントが適切に進められています。 御質問の大きな環境影響が出た場合の県民への説明と責任の取り方についてですが、知事の責任とは、流域の安全、安心を確保した上で、環境面への影響を極限まで最小化することと考えます。そして、その責任を果たすためには、議員御懸念のような大きな環境影響が生じないよう、私自身が国に求めて実現した
環境アセスメントの手続を通して、適切な知事意見を国にしっかりと述べることが何よりも重要だと思います。 私は、これまでも、国から示された各レポートにおいて、最新の知見、技術や既存の流水型ダムの調査データなどを用いて、調査、予測、評価及び環境保全措置の検討を行うことなどを国に求めてまいりました。 今後も、
環境アセスメントの手続を通じて、市町村長、住民の皆様及び専門家の方々の御意見を踏まえた適切な知事意見を述べることで、知事としての責任を果たしてまいります。 次に、県独自の環境影響の検証についてお答えします。 私は、事業主体である国が、事業内容の検討と環境保全措置の検討を一体として行うことが重要と考えています。 現在、国は、これまでの知事意見を踏まえ、生物の移動経路の確保など様々な着眼点から、環境への影響が最小となるようダムの模型実験を繰り返し行いながら、慎重にダムの設計や運用方法を検討するとともに、専門家による委員会で議論を重ねています。 こうしたことから、県独自の環境影響の検証を行うことは考えておりません。 続いて、住民への説明責任についてお答えします。 令和2年7月豪雨災害を受けて、球磨川流域の治水の方向性を決断するに当たり、私は、ダム建設をめぐる地域の対立を再び引き起こしてはならないと心に誓いました。 この気持ちを第一に、流域の皆様の御意見や復興への思いに耳を傾け、対話を重ねてまいりました。その中で、命と環境の両立こそが、全ての流域住民に共通する心からの願いであると受け止めました。 そして、令和2年11月、新たな流水型ダムを含む緑の流域治水を進めていくことを表明し、議員御質問の仕組みの構築をお約束いたしました。 第1回目となるこの仕組みの会議は、昨年12月、人吉市で開催いたしました。 この構成員は、国、県及び流域市町村、流域住民の方々、そして有識者としています。 中でも、流域住民の方々については、より多角的な見地から多様な意見をいただくため、市町村別と分野別に区分しました。 市町村別の構成員は、各市町村から推薦された、地域のために尽力されている方々です。第1回目の会議においても、地域の状況を踏まえた率直な御意見をいただき、その一つ一つに、国、県から回答を行いました。 分野別の構成員は、自然保護や漁業、観光など、流域の河川環境の整備と保全に関連する各分野において活動している団体の方々です。なお、球磨川、川辺川において清流保持活動に取り組む市民団体は、第1回目は参加いただけませんでしたが、第2回目の開催に向けて、お声がけをしてまいります。 さらに、有識者は、構成員の理解を深めるため、専門的知見を踏まえた解説を行う役割を担うことから、球磨川の治水及び環境に精通した方々に委嘱いたしました。 また、この仕組みは、流水型ダムに関する情報を県民へ周知することも目的の一つであります。 このため、会議は公開で開催し、同時ウェブ配信を行うとともに、熊本市、八代市及び人吉市の3か所に傍聴会場を設けました。 さらに、会議後は、議事録等を県のホームページで公開し、また、会議概要を新聞広告に掲載しました。 なお、現在、国において
準備レポートの作成に向けて検討が進められており、その進捗状況を踏まえ、できる限り早く次回の会議を開催したいと考えています。 今後も、この仕組みを通じて、流水型ダムについて、流域の市町村や住民の皆様と一体となって、事業の方向性や進捗をしっかりと確認してまいります。そして、広く県民の皆様に対して丁寧に周知し、説明責任を果たしてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今答弁をいただきました。 アセスにつきましては、法と同等のアセスが適切に進められているという答弁でしたが、アセスには、事業の位置や規模などに関する複数案を検討して代替案を示す必要がありますが、今回それがなされておりません。 また、住民をはじめ一般の方々、専門家、地方公共団体などの意見を取り入れるように努めるとされていますが、知事の意見をはじめ一般の方々の意見は取り入れられていません。 知事は、幾つかの意見を述べられていますが、県としてそれをどう担保するのか、具体的な調査や提案は何もされていません。それもやらないということでございましたが、このアセスは、ダム建設に伴う水質や生態系への影響を調べることの重要さはもちろん、このアセスの結果次第で、賛否を明言していない五木村が、やっぱり賛否を判断すると、この重要な材料にもなりますので、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。 あと、住民参加の関係についてお話いただきました。長々とこの仕組みの選任の方法を説明されましたけれども、それが問題だということを私は指摘をしているところでございます。一方的な説明を行う場ではなくて、透明性、中立性、公平性を持った対話の場が必要になりますので、現在のこの仕組みでは不十分ですから、これからもっと参加枠を拡大して住民参加を促進されることを強く求めまして、次の質問に移ります。 水俣病問題について、3点質問します。 6月27日に、水俣病の原点である百間排水口が撤去されようとしているので、現地の意見を聞いてほしいとの声を受けて、私たち立憲民主連合は現地を視察して、被害者団体の皆さんから、残してほしいとの声をいただきました。 水俣病の原因企業チッソが、1932年から68年まで有機水銀を含む工場排水を排出したのが百間排水口で、水俣病発生の象徴的な場所です。 チッソが建設し、現在水俣市が管理していますが、6月中旬、市は、突然、老朽化を理由に、百間排水口の樋門の扉と足場を撤去することを発表。これに対して、水俣の市民、患者、支援団体などから、百間排水口は水俣病の貴重な歴史的遺構であり、修繕して保存すべきとして、撤去工事の中止を求める声が次々と上がりました。 水俣病胎児性・小児性患者・家族・支援者の会では、6月28日に水俣市へ、30日には、西県議立会いの下、熊本県へ要望書を提出されました。 また、7月に発足した水俣の歴史的遺構を残す会では、オンライン署名を開始。署名は、9月5日現在、1,400筆を超えています。 こうした動きを受けて、知事は、撤去については市民の十分な理解を得られていないとして、現場保存の可能性を含めて、県と市が協議していく考えを示されました。この対応について高く評価するところです。 そして、その後の協議で、何らかの形で現場保存することを前提に、老朽化した樋門の扉を取り外すことについて、患者団体や市民が了解し、8月下旬、8月26日に、4枚の扉の取り外し作業が完了したとのことです。 取り外した樋門の扉をどうするのかなどについては、県と水俣市は、団体側と協議を行っていくと伺っていますが、引き続き、丁寧に関係者の皆さんの理解を得ながら進めていただきたいと思います。 そこで質問ですが、現在のところ、県としては、取り外した扉の扱いを含めた百間排水口の現場保存や活用についてどのように考えているのでしょうか。 また、今後は、水俣病の貴重な歴史的遺構である百間排水口について、適切に保存管理し、国内はもちろん、世界に向けた水俣病の情報発信に活用していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、補償協定についてお尋ねをいたします。 水俣病公式確認から67年、水俣病の認定患者が原因企業チッソと結ぶ補償協定は、今年7月9日で締結から50年となりました。 水俣病認定患者に対しては、医療費や毎月の手当が支給され、症状が悪化した場合は補償を拡充する仕組みとなっていますが、補償のランク変更に伴う審査基準が不明です。補償協定は、症状の重さによってAからCランクに分かれていて、1人当たり一時金1,600万円から1,800万円や医療費などを受け取ります。補償協定には、上位のランクに該当するような変化が生じたときはランク変更を申請できると明記してありますが、受け付ける委員会は、ランク変更の審査基準を公表していません。 ランク変更の判定は、国の公害等調整委員会か第三者機関の水俣病補償ランク付委員会が担います。認定患者の平均年齢は80.2歳、50年前は加齢による変化を考慮していませんでしたが、身体機能の明らかな衰えがあるならランクを引き上げるべきです。 また、補償協定は患者の医療費を負担することになっていますが、介護の分野では、一部重症患者への手当が支給されているものの、介護保険制度の各サービスについては、医療系のサービスを除き、支給されません。 補償協定には、「将来の健康と生活を保障することに」「最善の努力を払う。」と明記してあり、「範囲外の事態が生起した場合は、」「交渉する」という文言もあります。加害者のチッソが自発的に補償内容の拡充に取り組むのが本来の姿だと考えます。 そこで質問ですが、認定患者の補償ランク変更や内容の拡充について、チッソに対して強く働きかけていただきたいと考えますが、知事の考えをお尋ねします。 次に、2009年施行の水俣病特別措置法で、速やかな実施が規定されながら、14年経過した現在も実施されていない不知火海沿岸の住民健康調査についてお尋ねをいたします。 環境省は、6月30日に、不知火海沿岸の住民健康調査の実現に向けた専門研究班を発足させました。研究期間は、2025年度までの3年となっています。環境省は、磁気で脳の活動を捉える脳磁計と磁気共鳴画像装置、MRIを組み合わせた手法を健康調査に活用し、水俣病に特徴的な感覚障害の有無を調べる方針で、研究班は、その手法の精度向上のほか、調査の対象地域、対象者などを検討するとしています。メンバーは、公衆衛生や脳神経内科の専門家7人で、公募に申請された方々です。 法施行後14年間、速やかに住民健康調査を実施するよう国に求めるべきと、私は何度もこの議会で知事に求めてまいりましたが、調査手法の開発中という国の動きに沿った答弁に終始されています。これから開発された調査手法をどう活用するのかを研究班でこれから3年かけて研究することとされており、いつになったら健康調査が実施されるのか、環境省の対応はあまりにも遅過ぎます。 以前も申し上げましたが、そもそも、開発を進めてきたMEGやMRIを組み合わせた調査手法については、研究対象が認定患者となっており、被害がどれだけの地域や年代に広がっているのかを調べる住民健康調査には全くなじまないものだと考えます。 そこで質問ですが、県として、環境省が進める住民健康調査について、その手法やスケジュールについてどのように考えているのか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、百間排水口についてお答えします。 先日、私は、現地に赴き、患者の方々から百間排水口に対する思いを直接お伺いするとともに、水俣病原点の地とされるその場所をこの目で見てまいりました。これにより、水俣病の歴史と教訓を伝える取組の重要性と百間排水口の意義についても再確認することができました。 改めて、団体等の意向も踏まえ、樋門の扉と足場の現場保存という方針を示すことができたことは、本当によかったと思います。 現場保存の方法やその活用に関する今後の具体的な検討に当たっても、団体等の意向を丁寧に把握し、県が水俣市と連携しながら主体的に検討を進めてまいります。 また、水俣病を学ぶために来られた方々が最初に訪れるこの百間排水口を生かして、国内、そして、今もなお水銀拡散が続く世界に向け、さらなる情報発信に努めてまいります。 次に、補償協定の見直しについてお答えします。 議員御指摘のとおり、水俣病患者補償ランクづけについては、国の公害等調整委員会と、患者とチッソとの補償協定に基づき設置した水俣病患者補償ランク付委員会の2つの機関で決定されます。そのため、県は、補償のランク変更や内容の拡充について関与することができない仕組みになっています。 しかしながら、患者の方々の状況については、これまでも適宜県とチッソで情報交換を行ってきており、その中で、課題も含めた情報共有を図ってまいりたいと思います。 一方で、高齢化が進む胎児性・小児性患者の方々が将来にわたり安心して暮らしていただくため、入浴介助や通院の付添いなどの日常生活支援に県独自で取り組んでおります。 また、先日は、5年ぶりに、私自らが患者の方々のもとを訪問し、日々の生活の困り事などを直接伺ってまいりました。特に、日常生活等を支援する地域生活支援事業の自己負担については、今回患者の方々と直接お会いしたことで、御要望いただいていた見直しの必要性をより強く実感いたしました。今後は、来年度からの患者負担軽減の実現に向けて検討を進めてまいります。 これからも、患者の方々の安全、安心な暮らしの確保に向け、お一人お一人の気持ちに寄り添い、御希望を丁寧に酌み取りながら、取組の充実に努めてまいります。 最後に、不知火海沿岸の住民健康調査についてお答えします。 健康調査については、平成16年の最高裁判決以降、国への要望や幾つかの提案も行いました。結果として、特措法に、国が実施し、県はそれに協力する、国が調査研究のため手法の開発を図ると明記されました。 国は、今回開発した調査手法等を活用した健康調査の在り方について、現在、研究班を立ち上げ検討していますが、様々な意見を伺いながら進めていくと聞いています。また、環境大臣が、研究期間は3年上限だが、できるだけ早く検討を進めていきたいと国会で答弁されています。 県としても、引き続き、国に対して、様々な機会を捉えて、スピード感を持って対応していただくよう要望してまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 答弁いただきました。 1点目の排水口の樋門の扉については、団体の意向を丁寧に把握して進めていくということでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 補償協定につきましては、県が直接ということ、これはできませんけれども、ぜひ、状況を踏まえて、やはり強く働きかけを行っていただきたいと思います。 不知火海の住民健康調査の件については、この国のやり方は、全くやる気なしの先延ばしじゃないかと指摘せざるを得ません。早急に実施をして、被害の広がりを確認してもらいたいと思っております。 特別措置、水俣病被害者救済法も、天草市倉岳町は、これは対象外になっておりまして、ただ、海はつながっていて、魚を多く食べたと言われていますけれども、その証明を出せとか、そういった話が出ております。 公式確認から67年たっても、今なお被害で苦しんで水俣病と認められない方がたくさんいる現状を見た場合に、先般、福島第一原発の処理水を海洋に放出しましたけれども、そのとき、岸田総理が、数十年先まで国が責任を持つと言われた言葉が、今の水俣病のような状況を見た場合に、私は空虚にしかもう聞こえないんです。そういった状況を何とかやっぱり改善をしていただきたいというふうに思いますので、知事には、やっぱり患者の皆様方への支援と併せて、先ほど言いましたように、被害に苦しみながら患者と認められない被害者の皆さんにも寄り添った対応をお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 「くまもと再発見の旅」の不適切受給の件について質問いたします。 「くまもと再発見の旅」は、コロナによって失われた観光需要を喚起して、旅行・交通事業者や飲食店などを支援する国の観光支援事業、GoToトラベルの県事業として、2021年から実施したものです。 報道によりますと、この事業を活用してTKUヒューマンが販売した周遊券を含む日帰り旅行商品7,300件のうち4,341件が、公共交通機関の周遊券とタクシー券を組み合わせず、公共交通機関の周遊券のみだったため、県が不適切と判断しましたので、助成金約2,500万円については、TKUヒューマンは自主返納すると表明されています。 一方、公共交通機関の周遊券とタクシー券を組み合わせた日帰り旅行商品約3,000件は適切と判断して、助成金約2,000万円が受給されています。 しかし、この約3,000件については、担当課では、不適切と判断した4,341件に加えて、不適切受給の疑いがあるとして、さらに追跡調査をする方針でしたが、県幹部が、もうよかろ、ミリミリまで詰めるのかと、見逃すように指示したとされています。 さらには、見逃されたとされる約3,000件のうち1,500件以上で、利用されるべきタクシー券が未使用で、県の助成金が含まれている160万円が、支援すべきであったタクシー業界に渡らず、TKUヒューマンに残っていたとのことです。そして、その日帰り商品は、タクシー券が利用できない地域の方にも多数販売されていて、購入した利用者からは、TKUヒューマンの担当者から、タクシー券は使わなくていいとまで言われたとの内容です。 この問題は、関係者が代理人弁護士を通じて、
公益通報者保護法に基づく報道機関への外部通報によって明らかになりました。 この一連の内容が事実であるのならば、公金の不正利得を見逃してきた県に対する県民の信頼は失墜することになりますので、早急に事実関係を明らかにして、適正に対応することを求めます。 そこで質問ですが、知事は、この一連の出来事を御存じだったのでしょうか。9月8日の会見で、関係者に調査と事実確認を行うよう指示したと言われましたが、その日から既に10日以上が経過しております。約3,000件の不適切受給の追跡調査を、もうよかろと見逃すように指示した上司は誰か分かりましたか。知事ではありませんか。お答えいただきたいと思います。 2点目、TKUヒューマンの親会社のテレビ熊本の役員が、県が不適切と判断した事業の助成金の約2,500万円について、県が社名を公表しなければ自主返納すると言われていたようですが、県は社名を公表しました。約2,500万円は県に返納されたのでしょうか。 3点目、TKUヒューマンに残っているタクシー券未使用分の160万円について、公金が含まれていることから、県は返還を求めるべきだと考えますが、返還は求めないのでしょうか。 4点目、この「くまもと再発見の旅」については、参加事業者101社のうち14社が不適切受給をしたとされています。そもそも、この事業の事業開始時点での制度設計が分かりづらく、どうにでも解釈されるような曖昧な部分があったのではないでしょうか。このような事業を進めたことについて、知事はどのようにお考えでしょうか。 そして5点目、知事は、県の内部調査だけではなく、第三者による調査をすると明言されましたが、調査をする第三者については、当事者や利害関係者との関係を一切排除した弁護士や学識経験者らを選任して、公正と透明性が担保された調査を行うべきですが、第三者の選任と調査のスケジュールについてお尋ねをいたします。 以上の5点について、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) まず、「くまもと再発見の旅」については、午前中の山口議員への答弁でもお答えしたとおり、補助事業の実施に当たり、関係者間で疑義が生じたことから、本年3月に補助対象と補助対象外を確認、整理しました。 その上で、県が補助対象外と判断した旅行商品の助成金は全額返納されたと報告を受けています。 また、幹部が見逃しを指示したとの疑いについては、県として第三者委員会の設置も含めて調査いたしますが、私が見逃しを指示したということは一切ございません。 2点目の県が補助対象外と判断した旅行商品に係る助成金については、本年4月に返納が完了しています。 3点目のタクシー券未使用分については、不適切な取扱いはなかったと回答していますが、今回御指摘を受けましたので、その適法性を調査いたします。 4点目の「くまもと再発見の旅」の制度設計については、コロナ禍で苦しむ事業者に対して、一日も早く助成金をお届けしたいとの強い思いの中で、短期間で制度設計を行い、事業を実施したことから、関係者間の連携不足や誤認等が重なったものだと思っています。 最後に、第三者の調査委員会については、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでおります。また、調査委員会には、関係者のヒアリングを行うなど、自ら調査していただくとともに、県における調査手法や結果についても、法的な妥当性、的確性の確認を求めることにしています。 今後、こうした手順を踏みながら、丁寧かつ迅速に調査を行ってまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 知事が見逃しを指示したことは一切ないということでございました。政策審議監の上司から指示されたと言われておりますので、知事じゃなければ、副知事か部長しかいらっしゃらないわけでございますので、そこに聞けば分かる話でございますが、今後の調査に委ねるということでありますから、しっかりと第三者の調査をしていただきたいというふうに思います。 そもそも、先ほど言いましたように、やっぱり事業の制度設計、これが非常に問題であったろうと思っております。民間が請け負ってやられたというふうに伺っておりますので、やはり、そういったところをしっかりと県としても、これからそういった事業の組立て方について検証をしていただきたいと思いますし、タクシー券の扱いについては、違法性、適法性を調査するということでございますけれども、これは向こうの会社に残っているのは事実でありますから、これはもう公金でありますから、向こうの会社も県と協議して返納する考えはあるというような報道も聞いておりますので、もっとやっぱりシビアに公金の扱いについて考えていただいて、返還できるものは返還をしてもらうという強い覚悟で臨んでいただきたいと思っております。 いずれにいたしましても、この問題は、非常にやっぱり県民も注目していると思っておりますので、調査結果次第で、やっぱり関係者の処分も含めて、厳格な姿勢で知事には臨んでいただきたいということを申し上げまして、次の質問に移ります。 いじめ調査報告書についてお尋ねをいたします。 2013年4月に、高校3年生の女子生徒が自殺をしました。この生徒が体育大会に向けたダンスの練習でいじめを受けていたことが、県いじめ調査委員会の報告書で明らかになりました。 調査委員会がその報告書を答申しましたが、両親には、いじめを行っていた同級生らの氏名が黒塗りされたものが渡されました。その後、遺族が、2021年5月に、県及び同級生を被告として訴訟を提起されました。その訴訟の中で、事実関係を知りたい遺族が黒塗りを外した報告書の開示を求める文書提出命令を申し立てて、熊本地裁は、昨年5月、同級生らの氏名を開示した報告書の提出を県に命じました。 県は即時抗告しましたが、福岡高裁も昨年11月に氏名開示の報告書提出を命じ、さらには、県は最高裁に抗告しましたが、最高裁が3月末に棄却して、福岡高裁の文書開示命令が確定しました。 遺族が事実関係を知りたいのは当然の心情だろうと思います。2013年に施行されたいじめ防止対策推進法は「学校の設置者又はその設置する学校は、」被害者や遺族に対して、「事実関係等」「必要な情報を適切に提供する」と定めていますが、情報開示の在り方について課題があるのではないでしょうか。 また、8月には、調査報告書の全面公表された県立東稜高校いじめ調査委員会の調査報告書が問題になりました。 この調査報告書の黒塗り部分が、特定の操作をすれば見られるようになっていたわけですが、ここで問題にしますのは、この報告書は、昨年10月に公表されていますが、その段階では、全文公表されていなかったことです。いじめ防止対策推進法及びそのガイドラインでは、調査結果については原則公表すべきと指摘していますが、なぜ遵守して全文公表しなかったのでしょうか。 調査報告書は、昨年10月に、第三者委員会から学校に提出されています。この時点で県教委のホームページに掲載されたのは、被害男性の意向を確認しないまま、A4用紙で22ページあった調査報告書を、A4用紙たった2ページに抽象的に要約されたものの入手方法でした。 そのため、被害男性が、いじめの全容を明らかにした上で再発防止に活用すべきと、報告書の全文公表を求めました。被害男性からの要望を受けて、9か月たって、やっと今年7月に全文がホームページに掲載されました。やっと掲載された調査報告書の黒塗り部分が外せるような設定になっていたのは全くお粗末な話ですが、なぜはなから調査報告書全文の公開をしなかったのでしょうか。なぜ公表の仕方や内容を被害生徒、保護者と確認しないままに公開してしまったのでしょうか。 そこで質問ですが、調査報告書は、結果として全文公開になりましたが、当初の対応について、なぜそのような対応を行ったのか、教育長にお尋ねします。 次に、黒塗りについて質問します。 県教育委員会のホームページに掲載された県立高校生が自殺したいじめ調査報告書が3年以上黒塗りすべき箇所の黒塗りがないまま載っていたことが、先月8日に判明しました。 黒塗りされずに掲載されていたのは、2018年5月に、県北の県立高3年生が自殺した問題の再調査報告書の概要版です。県の第三者機関が2020年4月にまとめたもので、個人の特定につながるおそれがあるとして、校内の場所や親族に関する3か所について、黒塗りすべき箇所を黒塗りせずに公開していました。 また、黒塗りをめぐっては、先ほど述べた県立東稜高校のいじめ調査報告書が、特定の操作をすれば黒塗り部分を外せる状態でホームページに公開されていたことも判明しました。 これらの件については、いじめや自殺という極めてセンシティブな問題に対する県教委の対応があまりにもずさんで、お粗末としか言いようがありません。この黒塗りの扱いについての教育長の所見と再発防止策についてお尋ねをいたします。 〔教育長白石伸一君登壇〕
◎教育長(白石伸一君) まず、1点目の調査報告書に係る当初の対応についてお答えいたします。 いじめ重大事態の調査結果の公表について、国のガイドラインでは、調査報告書の公表の程度や方法までは具体的に示されていません。よって、県教育委員会では、これまで、報告書の全文を被害生徒及び保護者にお渡しした上で、プライバシー保護等の観点から、報告書の概要版資料を作成して、報道機関へ提供し、説明を行ってきたところでございます。 今回の元東稜高校生徒に関する報告書についても、同様の考え方で、概要版資料を用いて昨年10月に報道機関への説明を行いました。 その後、被害生徒、保護者の御要望を受けて、この報告書の全文をホームページに掲載したところでございます。 今後とも、報告書の公表の程度や方法について、被害生徒、保護者の意向をより丁寧に確認しながら対応を進めてまいりたいと考えております。 次に、2点目の黒塗りの扱いについての所見及び再発防止策についてお答えいたします。 個人情報等の保護は極めて重要であり、とりわけ、いじめ重大事態の調査報告書における個人情報等の取扱いについては、慎重かつ丁寧に行う必要があります。 しかし、議員御指摘のとおり、今回、調査報告書における個人情報の不適切な取扱いが複数確認されたところでございます。 これらの事案が発生したことにより、被害生徒、保護者をはじめ県民の皆様に御心配、御迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思っており、改めておわび申し上げます。 それぞれの事案を検証しますと、まず、県北の県立高校生徒の事案は、県教育委員会の定例会で、知事部局の再調査報告書の概要版資料を含む内容を報告する際、当該概要版資料の公表時になされていた黒塗りがない資料となっておりました。これは、当時、知事部局や被害生徒、保護者への丁寧な確認が不足していたことが原因と考えています。 また、元東稜高校生徒の事案は、電子情報上で黒塗りしたものをPDF化した場合、一定の操作により取り除くことができる可能性があることについて認識していなかったことが原因と考えております。 今後、同種の事案の再発防止のために、報告書やその概要版資料を公表する際には、作成に当たって、被害生徒、保護者等の意向をより丁寧に確認するとともに、複数人でのチェック及び黒塗りを取り除くことができない方法による資料作成を徹底してまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今後とも、報告書の公表の程度、方法は、被害生徒、保護者の意向をより丁寧に確認し、対応を進めると答弁されましたが、今後ともといいますか、いかにもこれまでやってきたかのようなお答えでしたが、できてなかったから私は質問をしたわけでございます。 当初のような要約版だけでの公表については、個人情報保護を理由に、県教委が学校や県教委の対応の問題点や提言の部分を隠蔽したとの不信感を抱かせる対応であったということを指摘せざるを得ません。 黒塗りのお粗末な対応も、結果として、やっぱり本当に守るべきものが守られていない対応であったと思いますので、そのことを猛省して、ぜひ再発防止に努めていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 2020年2月議会の代表質問で、私は、フリースクールとの連携と財政支援について質問し、その際の教育長の答弁では、2021年度から「国の事業を活用し、市町村に対する教育支援センターの設置促進や教育支援センター及びフリースクール等へ通う経済的支援が必要な子供たちに対する通学費等の援助に係る経費を新規予算として計上して」いるとの答弁でした。しかし、この通学費等の援助については、県内市町村で希望する市町村がなくて実施されていません。 私が求めたいのは、経済的支援が必要な子供たちへの支援ももちろん重要ですが、その子たちだけを対象とした支援ではなくて、学校に行けずにフリースクールに通う子供たちへの支援です。 前回の質問の際に申し上げた不登校児童生徒数は、2018年度で2,328人でしたが、その後、2021年度の不登校児童生徒数は4,151人と4,000人を超えています。前回も申し上げましたが、2017年施行の教育機会確保法は、学校以外の学びの場の重要性を認め、国や自治体に対して、子供の教育機会を確保するために必要な財政措置などを講じる努力を求めています。 熊本市を除く県内公立小中学校の不登校児童生徒が利用しているフリースクールは32あり、その利用者数は増えています。フリースクールは、不登校の子供たちの受皿となっていますが、県からフリースクールへの支援はありません。フリースクールの運営団体は、厳しい運営を強いられていますので、今年8月に、関連団体がまとまって、運営費や保護者が負担する利用料への公的支援を働きかける子どもの学びを支える熊本県民の会が発足しています。 今後、県とも公的支援を求める協議が行われると思いますので、ぜひ教育機会確保法に基づいて積極的に対応をしていただきたいと思います。 他県では、既に公的支援を進めています。群馬県では、フリースクールの運営費を最大400万円補助していますし、福岡県も、上限200万円の補助金を交付しています。また、ほかの市町村教育委員会でも、保護者負担の利用料の一部補助などの支援を行っているところもあります。 そこで、フリースクールとの連携と支援について、次の2点をお尋ねいたします。 まず1点目は、フリースクールやフリースクールに通う子供たちへの経済的支援について行う考えはないか、2点目として、県とフリースクールなどの民間団体とが定期的に協議を行う場を設置していただきたいと思いますが、その考えはないか、知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、熊本の未来を担う子供たちが自分たちの夢の実現に向かってチャレンジし、活躍できる力を身につけることが大切と考えております。 そのため、県では、不登校児童生徒支援のための教育支援センターの設置を促進するとともに、子供の居場所づくりや多様な学び、成長の場づくりに取り組んでまいりました。 一方で、現在、本県における小中学校の不登校児童生徒数は9年連続で増加しており、児童生徒に十分な学びを保障し、その社会的自立を支援することは、ますます重要になっていると認識しています。 まず、1点目のフリースクール等への経済的支援についてです。 現在、フリースクールなど民間施設においては、県内小中学生の令和4年度における利用者数は、全体で354名となっており、利用されている施設の規模も様々な状況にあります。 また、それぞれの施設が重視する活動内容にも違いがあり、個別の学習や体験活動、相談、カウンセリングなど多岐にわたります。 このように、個々に様態の異なるフリースクールなどに対して、不登校児童生徒の十分な学びの保障と社会的自立の支援のために、どのような連携が可能か、子供の居場所づくりの観点も含め、市町村等とともに研究を進めてまいります。 次に、2点目の県とフリースクールなどが定期的に協議を行う場の設定についてお答えします。 県教育委員会では、平成30年度から、子どもの居場所づくり推進連絡協議会を開催し、不登校児童生徒への支援等について、フリースクールと関係機関が一堂に会して意見交換を行っています。 今後とも、県教育委員会と知事部局の関係各課が連携して、フリースクール等の民間団体と適宜意見交換を行うことにより、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、居場所づくりに向けて、しっかりと取り組んでまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) フリースクールに何軒か私も訪問いたしましたけれども、いろんな事情があって学校に行けない子供がおりますけれども、本当に――でも、明るいんですよね。そんなやっぱり子供たちの居場所を、経済的に厳しくても確保できるように支援をしてもらいたいと思います。 これから市町村と連携の在り方について研究するとの答弁でありましたが、他県からすると、周回遅れだと言えます。ぜひ子供たちの声を直接聞いていただいて、こどもまんなか熊本とか言っていらっしゃいますので、フリースクールに通う子供たちも真ん中に置いて、ぜひ今後の連携と支援を少しでも前に進めていただくようにお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 ケアリーバーへの支援についてです。 虐待などを受け、親元で暮らせず、児童養護施設や里親の下で生活する社会的養護の子供は、全国で4万人以上いるとされており、約4,000人が毎年施設を離れていくと言われています。このような児童養護施設や里親などの社会的養護のケアから離れた人をケアリーバーといいます。現在は、原則18歳、最長22歳までに児童養護施設等を退所することになります。 厚生労働省が、2021年に、児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査を公表しました。調査対象は、中学卒業以降で措置解除となった人で、児童養護施設やファミリーホーム、里親家庭等を通じて、ケアリーバー自身に回答をしてもらっています。 この調査結果では、ケアリーバーの5人に1人が、収入より支出が多い、赤字の生活を送っていると答えています。また、過去1年間に病院を受診できなかったことがある人は2割に達し、そのうち7割が経済的な理由でした。 さらに、ケアリーバー自身は、生活費や学費、仕事、住まいのことなど経済的なことを心配しており、今後利用したいサポートやサービス内容の第1位は金銭面に関する支援、第2位は住居や食事、食料に関する支援で、いずれも経済的なことです。 そのほかに、児童養護施設等とのつながりについて、退所から時間がたつほど連絡回数が少なくなる傾向があり、孤立しているケアリーバーもある程度いる可能性もあります。 このように、ケアリーバーに対する継続的な自立支援が課題となっています。 2024年施行の改正児童福祉法では、施設などで暮らす年齢上限を撤廃し、都道府県等が必要と判断するまで支援が可能となりました。 そこで、県内のケアリーバーが施設等を退所した後に、頼れる人がいなくなり、孤立をしていないか、経済的に困窮していないか、ケアリーバーに対する必要な支援等を検討するための実態調査を行っていただきたいと思います。実態調査で就労や修学、住まいや家計の状況を調べた上で、必要な支援を講じていただきたいと考えます。 そこで質問ですが、ケアリーバーの実態調査の実施とその支援についての考えを
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 〔
健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎
健康福祉部長(沼川敦彦君) 児童養護施設等を退所したケアリーバーは、退所後も保護者等から必要な支援を受けられない場合が多く、経済的問題や対人関係など、様々な悩みを抱えています。また、相談する場所も限られていることから、ケアリーバーへの支援は、重要な課題と認識しております。 そこで、本県では、これまで、ケアリーバーへの経済的な支援として、県社会福祉協議会を通じた生活費及び家賃等の貸付けや就職や進学に伴う身元保証人の確保などに取り組んでまいりました。 加えて、子供たちの夢の実現や退所後のより安定した生活につなげるため、二十歳まで児童相談所が支援を継続する措置の延長を積極的に行っています。また、措置解除後に大学等への就学を継続する場合などに、居住費や生活費等を給付する制度を創設し、進学を後押ししております。 さらに、退所後のスムーズな自立を支援するため、令和2年度から、NPO団体に委託し、入所中から退所後まで継続したサポートを実施しております。 具体的には、ケアリーバーの居場所や相談、支援の拠点となる、かたるベースくまもとを設置し、配置された支援コーディネーター等が、生活面や就労面などに関する自立に向けた相談やジョブカフェ等の就労支援機関への付添い等を行っております。また、退所が目前に迫った高校3年生を対象に、金銭管理や健康管理などのプログラムを毎年6回開催するとともに、あらかじめ退所後の支援計画を策定するなど、自立に向けたきめ細かな支援に取り組んでおります。 今後も、より実効性のある支援を行うために、ケアリーバーの現状や支援ニーズ等を把握することが重要であると考えております。 そこで、既に有識者や当事者などを構成員とした協議会を立ち上げて、実態把握のスケジュールや手法等の検討に着手したところです。今年度中に、ケアリーバーへのアンケート調査やヒアリングなどを実施し、調査結果を取りまとめ、その後の支援につなげてまいります。 今後も引き続き、誰一人取り残さない社会の実現に向け、児童養護施設等から社会に巣立つ子供たちが安定した生活を安心して送れるよう、自立支援の取組をしっかり進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 先般、児童虐待の件数が発表されました。熊本市が前年比100件増で1,425件、熊本市を除く県内が312件増で1,339件と、いずれも増加をしています。今後、増えていってはいけませんけれども、増えていくことが十分予想されるわけでありまして、その子たちが施設や里親との生活を経て社会に出た後に、やっぱり生き生きと頑張れるような対応をぜひ取っていただきたいと思いますので、実態調査をやられるということでありますから、その後の支援というのが非常に重要になってまいりますので、ぜひ、支援の充実、よろしくお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。 ヘルメット着用率向上の取組についてです。 2017年に自転車活用推進法が施行され、車道への自転車専用レーンの整備も少しずつ進んできています。また、コロナ禍の対応でも、混雑する公共交通機関の回避と健康のために、自転車通勤を推奨する企業が増えました。 このように、自転車利用は推進されてきていますが、一方で、心配なのは事故の増加です。自転車運転中に横転する可能性は、年齢にかかわらず誰にでもありますし、自動車と自転車、そして歩行者との接触のほか、雨天時のスリップなども事故の原因になります。 そのような事故から命を守るために、本年4月の改正道路交通法の施行によって、これまでは13歳未満の児童へのヘルメット着用を保護者の努力義務とされていましたが、本年4月から、全年齢の自転車利用者へのヘルメット着用が努力義務となりました。 警察庁によりますと、昨年の全交通事故件数に占める自転車関連事故の割合が過去最高の23.3%となっています。そして、増えてきている自転車事故で、昨年までの過去5年間、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人の2.1倍に上るそうです。重大なけがが頭部に多いことがデータで裏づけられていますが、ヘルメット着用率は伸び悩んでいるようです。 実際、私も、朝の通勤通学時間帯に交通指導で旗を持って立っていますが、その際に、自転車通学の高校生や自転車通勤している人は、ほぼほぼヘルメットは未着用です。熊本県内の着用率は、7月の調査で8.3%と全国平均13.5%を下回り、10人に1人も着用していないのが現状です。 また、7月1日の改正道路交通法の改正で、これまでは、原付バイクに該当して、ヘルメット着用義務があった電動キックボードが自転車並みの扱いになりました。電動キックボードは、足で地面を蹴り出してからハンドルにあるアクセルレバーを手で引くと、搭載されたモーターが動いて走行する仕組みとなっています。 今回の改正で、最高速度が20キロを超えずに、大きさなどの要件を満たすキックボードは、特定小型原動機付自転車と規定されました。16歳未満の運転は禁止されているものの、16歳以上なら運転免許は不要です。車道の左側や自転車レーンを走行し、ヘルメットの着用は努力義務となりました。最高速度が6キロ以下に制御できるものは、歩道や路側帯を走ることができます。 電動キックボードがこれからどれだけ普及していくか分かりませんが、これも転倒や事故のリスクがあるわけで、ヘルメット着用については努力することが義務づけられています。 自転車の場合も電動キックボードの場合も、ヘルメット着用に難色を示す人が多いのも事実です。ヘルメット着用に難色を示す理由としてよく聞く声として、ヘルメットをかぶると髪形が乱れる、夏は暑い、また、職場や学校ならヘルメットの置場が確保できるかもしれませんが、買物や通院の場合、盗難対策を含めて、ヘルメット置場をどうするのかという問題もあります。 また、ヘルメットの価格はいろいろありますが、大体1万円を若干下回るものが安全性も考えると一般的です。このように、結構値段もするわけであり、購入するには経済的な負担が伴います。その購入を促進しようと、全国の複数の自治体では、購入補助金制度を設けているところが出てきています。2,000円とか半額補助とか額は様々ですが、経済的な負担軽減につながっています。 また、徳島県警では、ヘルメット着用の安全性を啓発するために、未着用者に対して指導票を交付して着用を促しています。 そこで質問ですが、ほかの自治体の取組も参考としながら、県として、ヘルメット着用を促す具体的取組を進めるべきだと考えますが、
環境生活部長にお尋ねをいたします。 〔
環境生活部長小原雅之君登壇〕
◎
環境生活部長(小原雅之君) ヘルメット着用率向上の取組についてお答えいたします。 本県では、平成26年度に、熊本県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を制定し、自転車による交通事故の防止や自転車の安全利用を広く呼びかけてまいりました。 とりわけ、議員御指摘のとおり、ヘルメットの着用は、自転車乗用中の死亡事故を減少させるために極めて有効な手段と考えております。 そのため、ヘルメット着用については、本年4月の努力義務化に先立ち、昨年度から、着用率の向上を重要課題と捉え、周知啓発に取り組んでまいりました。 今年度は、親しみやすいキャラクターを起用して、街頭ビジョンやSNSなどを活用した周知啓発を行い、学生などの若年層へのアピールを強化して、ヘルメット着用を呼びかけているところです。 議員御紹介のヘルメット購入の補助制度につきましては、今後、努力義務化による着用率の変化や既に当該制度を導入している他県等における効果等を見極めていく必要があると考えています。 そもそも、ヘルメットをかぶりたくないという声も聞かれることから、まずは、ヘルメット着用の有用性を県民に対してしっかりと周知啓発し、自分の命を守るために着用するという意識を醸成してまいりたいと考えています。 また、明日から始まります秋の全国交通安全運動の重点項目の一つは、自転車等のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底であります。各地域における交通安全教育はもとより、街頭での声かけやチラシ配布などの各種活動を行っていくこととしております。 今後とも、警察や教育委員会、市町村、関係団体等と連携し、ヘルメット着用を促す取組を着実に進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 今年7月末までの自転車乗車中の死亡事故が167、これは全国ですけれども、167人中9割の150人がヘルメット未着用でしたということでございます。 経済的負担を軽減する補助制度については、今後の効果を見極めていくということでございますけれども、そういった取組も含めまして、ヘルメット着用、それぞれ乗る方のこれは安全の問題ですけれども、しっかりと啓発を進めていただくようにお願いをいたしまして、最後の質問に移ります。 思春期、若年成人世代をAYAと、アドレッセント アンド ヤング アダルト、AYA世代といいまして、定義は様々ですが、広くは15歳から39歳までを指します。この世代は、がんの罹患率や死亡率が最も低い世代であり、これまでがん対策の対象となっていませんでした。 国立がん研究センターの統計によりますと、令和元年における熊本県内のがん患者数は約1万4,000人とされています。年代別に見ますと、40歳未満は360人、40歳から64歳が3,087人、65歳以上は1万542人です。高齢になると、がんの罹患率が圧倒的に高くなることが分かりますが、それでも40歳未満のAYA世代のがん患者が一定数いることにも配慮していく必要があります。 現在、40歳未満のがん患者は、医療保険の訪問看護のサービスは利用できますが、介護保険のサービスは利用できずに、日常生活で必要な経費でも自己負担となっています。 そのため、全国では、静岡など12県で、負担軽減のための補助制度を設けています。補助の内容は、例えば、患者が在宅介護サービスなどに月額6万円を払っている場合、1割の6,000円を本人負担として、5万4,000円を県と市町村が半分ずつ負担します。補助対象となる経費は、訪問介護や訪問入浴介護などの在宅サービス利用料、福祉用具の貸与や購入に係る費用などとなっています。 そこで質問ですが、本県でもAYA世代のがん患者の在宅療養支援の補助制度を設ける考えはないか、
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 〔
健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎
健康福祉部長(沼川敦彦君) AYA世代のがん患者の支援についてお答えします。 AYA世代のがん患者は、放射線治療等による妊娠、出産への影響、学業や就労の中断、遅れ、将来への不安など、この世代特有の様々な問題を抱えています。 そのため、県では、受精卵等の冷凍保存に係る費用の助成やがん相談支援センターでの就学、就労を含めた幅広い情報の提供等を行っております。 議員御指摘のとおり、在宅で療養中のがん患者が40歳未満の場合、介護保険サービスを利用できず、介護費用が全額自己負担になっていることは、AYA世代のがん患者が抱える問題の一つと認識しております。 そこで、現在、AYA世代のがん患者に向けた在宅療養費の補助制度を設けている自治体の制度内容や利用実態等について、調査を行っているところです。 ただ、県としては、このようなAYA世代のがん患者が抱える介護費用の負担という全国的な課題については、国において一律に支援体制を整備すべきと考えており、これまでも支援制度の創設について国へ要望してまいりました。 今後も、国に対して支援制度の創設等を様々な機会を捉えて粘り強く働きかけるとともに、今回の調査結果や次期がん対策推進計画の策定過程における議論等を踏まえ、AYA世代のがん患者が安心して療養生活を送れるよう、さらなる取組を進めてまいります。 〔鎌田聡君登壇〕
◆(鎌田聡君) 国に対して支援制度の創出を強く働きかけるということでした。国がやらないからほかの自治体がやっているわけでありまして、国がやらないから私はここで県に求めたわけでございます。 AYA世代のがん患者は、先ほど言いましたように、そう多くはありません。そして、在宅介護が必要な人はそう多くはございませんので、財政的にそこまでかかりませんので、ぜひ、県として、国に求めることと併せて、独自での検討もよろしくお願いしたいと思います。 以上の質問で全質問を終わりました。 TSMC関連で非常に大変な取組が進められておりますけれども、そのほかの課題でも、やっぱり県民生活、健康、安全に関する重要な課題がございますので、引き続きそういったところに対してもお取組を進めていただきますように、最後に、心からお願い申し上げまして、私の代表質問、終わりにさせていただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(内野幸喜君) 以上で本日の代表質問は終了いたしました。 明21日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第3号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時40分散会...