熊本県議会 > 2023-03-07 >
03月07日-05号

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  1. 熊本県議会 2023-03-07
    03月07日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和5年 2月 定例会               第 5 号               (3月7日)  令和5年   熊本県議会2月定例会会議録     第5号令和5年3月7日(火曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和5年3月7日(火曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            西   聖 一 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) 皆さん、おはようございます。 これより本日の会議を開きます。    ――――――○――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は1人60分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 岩下栄一君。  〔岩下栄一君登壇〕(拍手) ◆(岩下栄一君) 皆さん、おはようございます。熊本市一区・自由民主党の岩下栄一です。 質問に入ります前に、一言、私の世界情勢についての所感を申し述べます。 トルコの地震は、5万人あるいは6万人という死者を出しまして、150万世帯が被災しました。全く悲惨な大地震だったと思いますが、7年前の熊本大地震の悲惨な状態を改めて思い出したわけであります。 この地震で国際人道支援について感じるところがありました。トルコと日本の関係です。 1890年に、トルコの軍艦エルトゥ-ルル号が、表敬のために我が国を訪れました。ところが、不幸なことに、和歌山県樫野崎沖で座礁し、多くの乗組員が海に投げ出され、500人以上の犠牲者が出ましたけれども、この情報を聞いた対岸の和歌山県大島の漁民が大挙して押しかけて救援活動、多くの人命が救われました。明治天皇は、直ちに医師や看護師を現地に派遣し、手厚い対応をしまして、しかも生存者をトルコに帝国海軍の軍艦を提供して送りました。これを知ったトルコの人たちは、東洋の日本という国を再認識して、強い親日感を持ちました。イラン・イラク戦争のときに、邦人が現地に取り残されましたけれども、トルコ政府は、直ちに飛行機をチャーターして、日本人を保護したわけでございます。 そのようなことで、国際人道支援というものは、常にお返しがある、あるいは人間としてなすべきことだなということを改めて思いますし、親日国のトルコを考えますときに、国の究極の安全保障というのは、そうした国際関係の築き方にも大きな要因があるのかなというのを感じた次第です。 余計なことを申し上げましたけれども、一般質問に入らせていただきますが、お聞きのとおり、私、病気の後遺症で滑舌が大変悪くて、お聞き苦しい点も多くあると思いますけれども、しばらく我慢ください。 まず、国の経済対策への対応と今後の財政運営について質問いたします。 ウィズコロナの下に社会経済が徐々に正常化する中、ウクライナ情勢等の影響で、原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー、食料品等の価格上昇が、国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。 そうした中で、昨年12月に、国の第2次補正予算が成立し、物価高騰、賃上げへの取組、円安を生かした地域の稼ぐ力の回復、強化、防災・減災や国土強靱化の推進など、国民の安心、安全の確保などについて推進されることになりました。 本県においても、経済対策のうち国土強靱化の推進については、国の動きにいち早く呼応して、去る12月定例会において予算案が提案され、可決されましたが、それ以外の分野についても、国の動きを捉えて、県内の生活者、事業者への支援や安全、安心確保のために、しっかりと対応していくことが求められています。 一方、本県では、令和5年度当初予算まで含めた累計予算額で、熊本地震への対応で約1兆円、豪雨災害への対応で約2,700億円と、莫大な予算を編成してきています。 また、これらへの対応に加え、新型コロナウイルスへの対応のため、累計で約6,640億円の巨大な予算を編成しています。災害やコロナへの対応に関する国の財政支援の手厚いものがあったとはいえ、本県の将来の財政運営を大変心配しています。 令和3年10月に公表した中期的な財政収支の試算では、令和4年度以降の5年間で、累計186億円の財源不足が生じるとされ、昨年10月時点の大まかな収支見込みでも、令和5年度の当初予算における財政不足額が38億円と見込まれており、令和5年度当初予算は、非常に厳しい予算編成になったのではないかと考えています。 このような中で、県として、県民や事業者への支援や安全、安心確保のために、国の第2次補正予算等にどのように対応していかれるのか。さらに、今後の財政の見通しについてどのように認識しているのか。財政調整用4基金の確保など、将来に向けた県の財政運営についてどのように考えておられるのか。 以上の2点について、蒲島知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の国の第2次補正予算等を踏まえた本県の対応についてお答えします。 本県では、昨年10月に国が打ち出した経済対策にいち早く対応するため、12月補正予算で、防災・減災、国土強靱化への対応や観光需要の喚起、妊婦、子育て家庭に対する支援などを予算化しています。 また、先月28日に議決いただきました2月補正予算においては、経済対策に係る国施策を最大限活用して、物価高などに苦しむ生活困窮者や事業者の支援に必要な予算を計上しています。そのほか、国の臨時交付金を活用した本県独自の地域活性化対策などを盛り込んでいます。 今般の経済対策によって追加された普通交付税の活用や通常の起債よりも地方財政措置が手厚い補正予算債などの活用によって、県の負担の最小化が図られています。 また、当初は令和5年度事業として予定していた益城町の土地区画整理事業、熊本高森線の4車線化、セミコンテクノパーク周辺渋滞緩和対策、台湾からの誘客強化など、蒲島県政の重要施策について、経済対策や国の交付金を活用した事業として、12月と2月の補正予算に前倒して計上しています。 次に、2点目の将来に向けた県の財政運営についてお答えします。 令和3年10月に公表した中期的な財政収支の試算で、熊本地震、豪雨災害関連の県債償還の本格化、社会保障経費の増加等により、5年間で累計186億円の財源不足を見込んでいます。 また、今後の景気動向や新たな政策課題への対応など、現段階では見通せない課題が生じることも想定され、中長期的な財政運営については、予断を許さない状況にあると認識しています。 そのため、令和5年度当初予算編成においては、真に必要な事業の選択と集中を徹底するとともに、将来負担も考慮し、歳入歳出の両面から見直し、精査した結果、財政調整用4基金については、令和5年度当初予算編成後において83億円を確保できています。 また、知事就任前の平成19年度末に約1兆700億円あった通常県債残高は、令和4年度末には約8,800億円と、1,900億円程度縮減できる見込みです。 2度の大きな災害や新型コロナウイルスに対して、ちゅうちょなく取り組むことができたのは、これまでの財政健全化の取組の成果であり、また、県議会及び県選出国会議員の皆様の後押しをいただき、国の支援を最大限活用できたことによって、県負担の最小化を図ることができた結果と考えています。 引き続き、国の制度等を最大限に活用し、財政の健全性を確保してまいります。 現在、本県は、TSMCの進出に伴い、100年に1度のビッグチャンスが訪れています。将来の発展を見据えて県として取り組むべき施策については、ちゅうちょなく実行し、将来にわたって発展的な熊本の実現を目指してまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 蒲島知事がおっしゃる創造的復興もいよいよ大詰めを迎えました。国の支援や県の積極的な財政運営の成果であろうと思っております。今後なお財政の健全化をさらに進めて、熊本県の大いなる発展に寄与していただきますよう期待しまして、我々もそのつもりで頑張りたいと思います。 次に、再生可能エネルギーの推進について伺いたいと思います。 急速な地球温暖化に対し、脱炭素、カーボンニュートラルは世界の潮流であります。蒲島県政は、2050年CO2排出実質ゼロをうたっており、その達成には、再生可能エネルギーの導入の拡大は不可欠であると思います。 本県の地域特性を生かした再生可能エネルギーである地熱発電と本県で最も導入ポテンシャルが大きいとされる陸上風力発電についてお尋ねしたいと思います。 地熱発電は、マグマで熱せられた高温、高圧の蒸気と熱水の高いエネルギーを電力に変えるものです。 1966年、日本初の地熱発電所である岩手県の松川地熱発電所が、翌年には、大分県の大岳地熱発電所が運転を開始しております。 現在、全国で80以上の地熱発電所があり、発電出力の合計は、2020年度時点で約60万キロワットと言われています。 環太平洋火山帯に属する日本の地下には、マグマが大量にたまっており、世界第3位の地熱資源量を保有すると言われています。その一方で、地熱発電量は、世界10位であり、豊富な資源を生かし切っているとは言えません。見方を変えると、世界7%に当たる100以上の活火山を持つ火山国である日本は、地熱発電を持つ大きな可能性を持っていると言えます。 本県における取組を振り返ると、昭和50年代に、電源開発と本県の企業局が、当時通商産業省のサンシャイン計画に応じ、小国町岳の湯地区などで地熱発電を計画したことがあり、私は、この議場でも取り上げたことが何回かありました。ところが、地域住民が賛成派と反対派に分かれて、計画中止に至った経緯があります。 その後、小国町では、住民主導の発電事業が開始され、地域の内外から開発に関する事業計画が寄せられていると聞いています。再生可能エネルギーの導入を推進する上で、県として、より積極的にこの地熱開発の可能性を研究し、取り組んでほしいと念願します。 陸上風力発電について、またお尋ねします。 風力発電は、風の力を利用して風車を回し、風車の回転運動を発電機に伝えて電気を起こすものです。 現在、全国で約2,600基の風車が回っており、発電出力の合計は、2020年度時点で約450万キロワットと言われています。 熊本県の第2次総合エネルギー計画の中では、2017年度時点での県内における導入実績は、導入ポテンシャルの0.5%にとどまっていると言われており、地熱と同様、こちらも豊富な資源を生かし切っているとは言えません。 このような現状と課題、今後の取組について、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、地熱発電についてお答えします。 県内の地熱発電所は、現在、小国町に7か所あるほか、今月3日に、南阿蘇村で新たな発電所が稼働しました。また、小国町で6件、南阿蘇村で1件の導入計画があります。 地熱発電は、24時間安定的に発電を行うことができるという利点があり、阿蘇の恵みを生かした再エネとして、さらなる活用が期待されます。一方で、開発に当たっては、阿蘇の豊かな自然環境や景観との調和を図ること、また、周辺の温泉や既存の地熱発電所への影響に配慮することが求められます。 このため、小国町と南阿蘇村では、地熱資源の適正な活用を目的とした条例に基づき、資源調査、掘削、発電所建設の各段階において、町村長が事業計画に同意した場合のみ、次の段階に進むことができる仕組みが構築されています。 県としては、引き続き、両町村における事業計画の審議に参画し、地元住民の方々と地熱開発を希望する事業者との協議や調整を行うことなどにより、適切かつ持続的な地熱開発を推進してまいります。 次に、陸上風力発電についてお答えします。 県内には、現在、阿蘇地域や天草地域などに7つの発電所があります。また、本県を事業区域とする新たな発電所の導入計画が8件あり、本県における再エネの導入の拡大が期待されます。一方で、開発に当たっては、条件に合う風の強い場所が山間部に多いことから、土砂災害等の防災面や自然環境と景観の保全への配慮が必要です。 再エネ施設の立地に対する県民の懸念を解消し、地域に受け入れられる地域共生型の再エネ施設導入を目指す必要があることから、県では、昨年度から、市町村や地域住民と連携して、自然環境などを保全すべきエリアや風力発電の導入を進めるエリアを区分するゾーニングを進めています。今月中に、適地における法的規制等の基礎調査を終えるほか、球磨地域、天草地域ではゾーニングマップを完成させるなど、陸上風力発電の適地誘導を進めてまいります。 なお、苓北風力発電事業については、事業者が地元区長や漁業関係者に向けた説明会を開催しているほか、防災対策や環境保全に関する事業者、町、県との3者協定の締結に向けた調整を進めているところです。 また、九州電力グループが再エネ事業の統合を発表されました。太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力の5つの再エネ関連事業を子会社の九電みらいエナジーに集約するもので、再エネ発電設備量は、国内2位となる予定です。 グローバル化で企業などにカーボンゼロの取組が強く求められる中、このような九州を起点とした再エネ導入促進が今後ますます加速化してまいります。 県としても、電力事業者や市町村と連携して、再エネ導入の促進と自然環境、景観の保全の両立を追求しながら、2030年度の再エネ発電量の割合を50%とする熊本県総合エネルギー計画の目標達成に向けて、しっかりと取組を進めてまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 再生エネルギーは、やっぱり新時代の大きな魅力になっていくと思います。バイオマス発電というのがあります。バイオマスもいろんな可能性を持っておりますけれども、地熱にしても、風力にしても、バイオマスにしても、地元の住民の皆さん、地元の事業者の皆さんとの十分な協議、協調の上で進めていただきたいと思います。水素発電の可能性あたりも、今後の大きな課題ではないかと考えている次第です。 企業局に、以前、地熱に非常に熱心な専門家がおられまして、その人とよく話し合ったことがありました。地熱も、無尽蔵とは言いませんけれども、地球の地熱ですから、相当の埋蔵というか、可能性を持っていると思いますし、風力も、風が吹けば発電につながるということで、期待が持てると思います。 そういう中で、岸田総理は、原発の再稼働を主張しています。私は、チェルノブイリ、今のウクライナですね、チェルノブイリの原発事故のときに、科学技術庁におりましたので、現地に訪問したりして、やはり原子力というのは、本当に大きなエネルギー源ではあるけれども、人類にとっては必ずしも安全なものじゃないなということを改めて思った経験があります。それで、原発は、私は反対です。 それはそれとして、次の問題に入っていきますが、健康福祉部長に発達障害についてお尋ねをいたします。 令和4年12月に、文部科学省の調査結果が公表され、全国の公立の小中学校の通常学級に在籍する児童のうち、知的な発達の遅れはないものの、特別な教育的支援が必要とされる児童生徒の割合は、8.8%になったとのことです。これは、10年前に行われた前回の調査から2.3ポイント増加しており、これを本県の児童生徒の数に換算すると、約1万2,000人となるということです。 また、近年、発達障害に対する認識が広がり、特別支援教育が充実したことを背景に、発達障害に関する療育相談や障害福祉サービスの利用件数も増大していると聞いています。 このような中で、障害児の通所支援サービスである児童発達支援や放課後等にデイサービス事業所を利用する本県の児童生徒数は、約1万人まで増加し、これは、5年前の約2倍になっていると言われています。 我が国においては、発達障害者の自立や社会参加の支援等について定めた発達障害者支援法が平成17年に施行されましたが、本県においては、法律ができる3年前の平成14年に北部発達障がい者支援センターを全国に先駆けて立ち上げ、その後、平成25年には、南部発達障がい者支援センター・わるつを設置して、当事者とその家族に寄り添った取組を続けてきたと聞いています。 ニーズが増加し続ける現状を鑑みますと、当事者とその家族が支援につながらず孤立している状況があるのではないかと心配します。発達障害やその疑いのある児童生徒の育児は大変だと聞いております。孤立した場合には虐待につながることも危惧されます。 そのような中で、早期に発見するための体制づくりや当事者とその家族が孤立しない体制づくりが重要だと考えています。 文科省の調査結果を踏まえれば、学校現場においては、小中学校の特別支援学級のみならず、通常の学級や高等学校においても、特別な教育的支援が必要な児童生徒が一定程度在籍していることから、全ての教員の専門性を向上していくことが不可欠だと考えます。そして、家庭と教育と福祉がしっかりと連携する支援体制をつくっていく必要があるのではないかと思います。 そこで、今後の発達障害への対応について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 発達障害については、市町村が実施する乳幼児健診の機会等を捉え、早期に発見し、適切な支援を行うことが大切であると考えています。 このため、県では、市町村からの求めに応じ、発達障がい者支援センターの専門心理士が健診に同席し、市町村保健師と連携して、発達障害の早期発見に取り組んでいます。 また、家族に対する支援としては、同センターにおいて、育児に不安を抱える保護者に寄り添い助言などを行うペアレントメンターを計画的に養成するとともに、子供の特性に悩む保護者を対象に、その特性を理解した上で、子供と関わる方法を学ぶための研修を実施しています。さらに、市町村保健師障害児通所支援事業所の職員等にノウハウを提供し、保護者が身近な地域で研修を受けられる体制づくりも進めています。 次に、学校における対応としては、小中学校や高等学校の通常学級を担当する全ての教員を対象に、発達障害を含めた特別支援教育に関する研修を計画的に実施し、専門性の向上に取り組んでいます。 また、特別支援学校から専門性の高い教員を小中学校等に派遣し、指導助言を行うなど、発達障害のある児童生徒への支援の充実を図っています。 さらに、保護者の理解が得られにくく、学校だけでは解決が難しい事案などには、発達障がい者支援センターや各圏域の地域療育センターが、福祉や医療の専門的な視点から技術的助言を行い、発達障害のある児童生徒やその家族に対して連携した支援を行っております。 今後も引き続き、就学前から学齢期、さらに社会参加まで切れ目なく支援を行うため、家庭と教育と福祉の3者連携による取組を充実することで、発達障害のある方が身近な地域で安心して暮らせるよう取り組んでまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 発達障害者というのは、以前はあんまり聞かなかったですけれども、やっぱり情報化社会でいろんな情報が見られる中で、社会的な大きな問題だとしてクローズアップされています。そうした立場にある人々のアシストができるように、我々は、教育も福祉も協働して取り組んでいくべきだと思います。 次の質問に入りますが、教育、文化の振興について、出たり入ったりが大変なものですから、まとめて質問したいと思います。 現代は、先行きが非常に不透明で、将来の予想が困難な時代だと言われています。であるからこそ、未来を担う子供たちの教育環境を整えていくことは大変重要なことであると思います。教育は、社会をつくる基礎であり、我が国の未来を切り開くものです。 また、このように社会の急激な変化が進む中で、我々が心豊かに生きる社会を築いていくためには、文化を大切にすることが重要だと。 そこで、教育長に、教育、文化について、3点お尋ねをいたします。 まず、教員不足の解消に向けた働き方改革について。 熊本県は、熊本地震、令和2年7月豪雨、新型コロナ感染症という三重苦に直面する中で、現在、世界的な半導体企業である台湾のTSMC社が進出準備を進めるなど、大きな発展のチャンスを迎えています。 この機会を捉えつつ、本県が今後さらなる発展を目指す上で、私は、次世代を担う子供たちの教育が、これまで以上に重要になってくると考えています。 学校現場では、子供たちの安全、安心の確保、豊かな心や健やかな体の育成、学力の向上など、日々子供たちの成長に向けた様々な教育活動が行われていることは言うまでもありません。 これらの教育活動は、直接児童生徒の指導に当たる教員の懸命な努力によって支えられており、教員の確保なくしては、十分な効果を出し得ないことは当然です。 ところが、全国的に教員不足が問題となっており、本議会でも度々取り上げられておりますけれども、本県においても、昨年5月時点で、小学校で29人、中学校で30人、県立学校で38人など、97人の教員不足が生じています。 このような状態が続けば、本県の教育や子供たちの将来がどうなってしまうのだろうと強く危機感を感じています。 新聞報道などでは、学校現場の忙しさや長時間労働など厳しい勤務環境が原因で、教員の成り手不足が発生していると言われています。 教員不足を早急に解消し、本県の将来を担う子供たちにしっかりとした教育を提供するためには、学校の働き方改革を進めるとともに、教員の業務環境を改善し、志願者を増やすことが必要なのではないでしょうか。 そこで、教員不足の解消に向けた働き方改革の取組についてお尋ねをいたします。 次に、日本語指導が必要な子供たちの受入れ体制づくりについて伺います。 我が国では、外国にルーツを持つなど、日本語指導を必要とする子供が、令和3年度に約6万人と言われており、母国語の多様化が進行しています。このような子供たちが、将来にわたり、グローバルな社会の一員として我が国を形成する存在であることを思えば、学校等において日本語指導を含めたきめ細かな指導を行うなど、適切な教育の機会を提供することがますます重要となっていると思います。 本県内でも、日本語指導が必要な子供は増加傾向にあり、熊本市以外の公立小中学校でも、令和2年度に72人、令和3年度に78人となっています。また、令和5年度には、台湾積体電路製造、TSMCが菊陽町に進出するに伴い、さらなる増加が見込まれます。 そこで、今後、日本語指導が必要な子供たちの増加を見越して、県教育委員会としてどのような取組を進めていかれるのかお尋ねいたします。 また、来熊が見込まれるTSMCの従業員の子供約150人の大半が、現時点では、熊本インターナショナルスクール、KISでの受入れを希望していると言われており、九州ルーテル学院は、令和6年春に、インターナショナル小学部の設置を目指し、受入れに積極的に取り組んでおり、熊本市では、日本語指導拠点校を、これまでの黒髪小学校に加えて、楠小学校、城南小学校の3校に増やして、TSMCの従業員の子供を含む日本語指導が必要な子供を受け入れることが先日報じられました。 TSMCの従業員の中には、公立小中学校への受入れを希望している人も一定数いると聞いています。 熊本県として、公立小中学校での受入れ体制づくりをどのように行っていくのか伺います。 最後に、昨日、公明党の前田先生から、こども図書館の設置に伴うお話がありました県立図書館との連携についてお尋ねいたします。 建築家の安藤忠雄氏が本県に対して寄贈される予定のこども図書館は、未来の子供たちの夢を育むものであり、大変喜ばしいことだと思っています。 私は、かつて東大阪の近畿大学で教鞭を執っておりましたが、そのときに、安藤氏が設計された司馬遼太郎記念館が大学のすぐそばにありまして、何回も訪れたことがあります。 記念館は、東大阪市の住宅街の一画にあり、建物の中では、天井の高いところまで蔵書に囲われた世界が広がり、司馬遼太郎の精神を感じることができる空間となっていました。また、周辺の環境とも調和するように設計されており、大変感銘を受けました。今回の安藤氏からのこども図書館の建物寄贈の話を聞いて、まずは、そのときのことを思い出した次第です。 司馬遼太郎記念館は、司馬さんが所蔵する4万冊の図書を蔵して、すばらしい記念館でした。図書館でした。 本県では、水前寺江津湖公園の豊かな自然環境にある県立図書館に隣接して、こども図書館が設置されると聞いています。きっと周辺の景観にもマッチするとともに、私が司馬遼太郎記念館を訪問したときに感銘を受けたように、県民の皆様方にも感激を与えるような建物を造っていただけるものだろうと大いに期待しています。 このこども図書館の設置を好機と捉え、我が国及び熊本の文化をもっと振興していただきたいと思います。 こども図書館の読書空間で本に親しみ、読書に目覚めた人々は、県立図書館でさらに読書を深めるとともに、隣接するくまもと文学・歴史館で熊本の文学や歴史に親しむことができます。このような循環をつくることは、熊本の文化振興に大きな波及効果をもたらすと考えます。 そのためには、県立図書館や併設するくまもと文学・歴史館との連携強化や取組の充実が必要だと考えます。 そこで、こども図書館の設置に伴い、今後どのような取組を検討されているのか。 以上、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、1点目の教員不足の解消に向けた働き方改革についてお答えいたします。 県教育委員会では、令和2年度に策定しました働き方改革推進プランに基づき、業務の削減、効率化をはじめ、外部人材の活用など、様々な取組を進めています。 特に、業務削減、効率化につきましては、県立学校の児童生徒の成績などを管理するシステムの整備、運用を行っているほか、来月から学校徴収金システムを導入するなど、目に見える形で着実に業務負担の軽減を図っています。 さらに、今年度、行政文書の処理に係る定型業務の一部自動化や学校と保護者間の連絡のデジタル化も試行しており、来年度の本格実施に向けた予算を今定例会に提案しております。 また、外部人材の活用につきましては、教員業務をサポートするスタッフとして、今年度は、小中学校に約150人の教員業務支援員を、特別支援学校に約90人の特別支援学校サポーターを配置しました。来年度は、これに加えて、県立学校においても、管理職等の業務をサポートするスタッフを配置することとしており、それらに係る予算についても今定例会に提案しております。 今後とも、教員不足の解消に向け、学校が魅力ある職場となるよう、働き方改革に全力で取り組んでまいります。 次に、2点目の日本語指導が必要な子供たちの受入れ体制づくりについてお答えいたします。 県教育委員会では、日本語指導を行うことができる教員の育成などに取り組んでいます。 また、市町村教育委員会においては、NPO法人等と連携して、子供たちの国籍や日本語のレベル等に応じて、在籍している学校への日本語指導員の派遣などにより対応されています。しかしながら、その人材は不足しており、地域によっては指導や対応に差が見られるのが現状でございます。 そのため、県教育委員会では、日本語指導を必要とする子供たちが、県内どの地域に住んでいても適切に指導が受けられるよう、NPO法人等の民間団体と協力して、日本語指導員の養成や派遣業務のコーディネートなど、支援体制の充実強化を図っていきたいと考えています。 次に、TSMCの従業員の子供たちの受入れ体制についてお答えします。 県教育委員会では、日本語指導の実績がある菊陽町立武蔵ヶ丘小学校及び武蔵ヶ丘中学校を拠点校と位置づけ、教職員の増員などの体制の充実強化を行う予定でございます。 また、生活支援員、日本語指導員及び通訳の配置などを行う菊陽町に対し支援を行うことで、TSMCの従業員の子供たちが安心して通学できるよう、受入れ環境を整備することも検討しています。 引き続き、関係市町村や民間団体等と協力し、日本語指導が必要な子供たちが十分な教育が受けられるよう、支援体制の充実強化に取り組んでまいります。 最後に、3点目のこども図書館の設置に伴う県立図書館との連携についてお答えいたします。 県教育委員会としましては、安藤忠雄氏の思いをしっかりと受け止め、こども図書館の設置に向けて準備を進めているところでございます。 本県に寄贈されるこども図書館は、県立図書館、くまもと文学・歴史館と一体的な運営をすることとしています。こども図書館で読書の楽しみを知った子供たちや家族が、読書への親しみや熊本の文学、歴史への理解を深めることができるなど、子供から大人までの知的好奇心を高める文化的なエリアを目指します。 そのため、こども図書館と県立図書館との行き来をしやすいよう、県立図書館の改修等に係る予算を今定例会に提案しております。 さらに、こども図書館のオープンの時期に合わせ、県立図書館に併設するくまもと文学・歴史館では、日本古代史研究の第一人者である佐藤信館長の監修の下、奈良の平城宮出土の国宝を含む熊本ゆかりの木簡資料等を初めて一堂に集めた特別展を計画しております。 あわせて、子供たち向けの木簡作りの体験会や熊本の古代史に関する講演会も開催する予定でございます。 県立図書館、くまもと文学・歴史館と新たに設置されるこども図書館との連携により、過去と現在と未来をつなぐ相乗効果を生み出し、熊本の知の拠点となることを目指します。 今後も、未来を担う子供たちの教育環境を整えるとともに、県民が心豊かに生活できるよう、熊本の教育、文化の振興に積極的に取り組んでまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 外国人の日本語教育も大事ですけれども、私は、それより前に、我が日本人の子供たちの正しい日本語教育が大事だろうというふうに思います。そして、こども図書館の話もありましたが、もう今は活字離れで、子供も大人も本を読まない。やはりこれは日本文化の停滞につながるんじゃないかなといつも思っております。だから、安藤さんのあの志は、我々は真摯に受け止めていかなきゃならないと。安藤さんは、蒲島知事との個人的な友人関係でこのような話になりましたけれども、本会議場に先年までおられた村上寅美先生の思いもこの中にはございまして、とってもありがたいことだと思っているわけです。 そこで、安藤忠雄氏の言葉をちょっと皆さんに御紹介したいと思います。 「本を読み、人と出会い、志を持つ。志を持った者同士なら、すぐつながり、良い関係や仕事が生み出せる」こう言ってますね。 安藤さんは、プロボクサーを17歳で志したんですけれども、自分ちのアパートに工事に入っていた若い大工さんが、とっても楽しそうに大工仕事をしているのを見て、建築家を目指したと言われています。その建築家が、建築で社会問題は解決できない、人の魂を救えるわけでもない、それでも、文化をよりどころに、明日を担う子供たちが、それぞれの夢を見つけるきっかけをつくるぐらいはできると考えたと。 「想像力と好奇心を養い、よく考え、挑戦する勇気と自由な発想を持ち、忍耐力のある子どもたちを育む一助になる環境を、責任ある大人としてできる限り提供する。」それが、よき──安藤さんは大阪の人です。大阪人の魂ですよというふうに述べています。ただ図書館をあげますよという話じゃなくて、そういう思想が背景にあるということを皆様方も御承知おきいただきたいと考えます。 最後に、県立劇場にパイプオルガンを設置することについてお尋ねいたします。 これは、昭和57年、こけら落としの年に沢田知事に私が質問しました。以来、引き継ぐ細川知事、そして福島知事にも質問したんですけれども、まだ実現しておりません。画竜点睛を欠くという感じですね。 県立劇場は、西日本有数の芸術の殿堂です。しかし、まだ完成したとは言えないんですね、パイプオルガンがないから。 昭和57年開館の県立劇場は、著名な建築家である故前川國男氏の設計によるものであり、コンサートホールと演劇ホールを併設する全国でも有数の文化施設となっています。 本県における芸術文化の中核的な拠点としての役割を担っており、音楽、舞踊、演劇といった舞台芸術のための文化振興事業等を実施しています。 利用者ニーズを踏まえた設備等も充実しており、コンサートホールにメジャーブランドのピアノを取りそろえる等、多様な演奏会の開催に対応できるようになっていますが、パイプオルガンについては、いまだに設置されていません。バッハとかヘンデルとか、宗教音楽にパイプオルガンは不可欠です。ただのオルガンじゃないんですね。 設置には多額の費用がかかることが理由、いろいろ、演奏者がいないとかいろんなことを言われましたけれども、演奏者は熊本にいます。お金は何とかなります。 ぜひ、パイプオルガンの設置を実現していただきたいと思います。企画振興部長の考えをお尋ねいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 県立劇場のパイプオルガンの設置についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、県立劇場のコンサートホールにパイプオルガンが設置されれば、演目が広がるとともに、荘厳な見た目などから、ホールの質や格が高まることも期待できます。 一方、その設置やメンテナンスには多額の費用が必要なこと、設置に要する数か月間、ホールの貸出しができなくなることなど、課題も多くあります。 築40年を経過しました県立劇場では、現在、令和9年度までの保全計画に基づき、緊急性の高いものから施設設備の改修に取り組んでいるところです。まずは、これらの改修に優先して取り組みたいと考えております。 引き続き、熊本県立劇場が本県の芸術文化振興の中心拠点としての役割を果たせるよう、その機能の維持に取り組んでまいります。  〔岩下栄一君登壇〕 ◆(岩下栄一君) ありがとうございました。 ドイツとかデンマークに注文して、約3億円のお金がかかると言われています。金目は心配するなと言いましたけれども、実はそれが第一なんですね。 去年でしたけれども、私の旧知の国会議員、大阪・伊丹市の選出の国会議員から連絡があって、伊丹市立文化会館が改築をすると、その際に小さなパイプオルガンが邪魔になるから引き取ってくれないかというお話でした。これはやったと思ったんですよ、正直なところ。そして、いろいろ調べてみますと、規模が熊本の県立劇場と合わないと。向こうのはちっちゃくてですね。市民センターにあったんですけれども。熊本県立劇場は、前川國男氏がパイプオルガンを想定して設計していますから、それに合わないということで沙汰やみになりましたけれども、物はただでもらえるわけじゃないですね、世の中は。 そういうようなことで、その話は不発に終わりましたけれども、耐久年数が300年と言われていますから、よほどお金をかけても取り戻すんですね、その分は。子供たちの情操教育あるいは観光の呼び水にもなりますし、パイプオルガンの持つ副次的な効果というものはたくさんあると思うんです。それで、ぜひこれが実現できればいいなというふうに考えています。 芸術は長し、されど人生は短しという言葉があります。芸術家は場を選ぶという言葉もあって、県立劇場に世界の名指揮者あるいは楽団がどんどんやってきて、さらに熊本の音楽文化が、ひいては熊本の文化がさらに花開いていけば、すばらしいことだというふうに思っています。 そういうようなことで、これで私の質問は終わりますけれども、滑舌が悪くて、大変お聞き苦しかったと思いますし、また、やっとこさ演壇に上がりますので、みんなはらはらして御覧になったかと思いますけれども、先般、野田先生のお祝いの会で元同僚の先生にお会いしたら、岩下君な頑張るねて、ようと歩きもせんでから、歩きもきらぬで、よう頑張るねて、何なて言われて、それはですね、根性ですよ、根性。命の続く限り、県政発展のために頑張りたいと考えております。 今日は御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時9分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 荒川知章君。  〔荒川知章君登壇〕(拍手) ◆(荒川知章君) 皆様、おはようございます。自由民主党・葦北郡選出・荒川知章です。2月定例会での質問は初めてとなります。 時節柄、毎年この2月議会の会期中には、県立高校の卒業式が行われるわけでございますが、この2年間は、コロナ禍の行事ということで、マスク着用で粛々と行われてまいりました。 今年は、先週水曜日、3月1日に行われましたが、私も地元の芦北高校の卒業式に出席いたしました。卒業生の皆さん方が、新型コロナウイルス流行後初めて、入場時マスクを外しての式に臨まれました。本当に晴れやかな笑顔で旅立たれる門出を目にして、長いトンネルから抜け出して、やっと明るいときがやってくるとの爽やかな気持ち、希望に満ちたときを過ごすことができました。 今日は、地域の課題を中心に質問をいたします。どうか、執行部の方々にも前向きで希望の湧くような答弁をお願いして、早速、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まずは、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興の進捗状況についてお尋ねいたします。 甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨災害から2年8か月が経過いたしました。 令和3年9月議会の一般質問においても、芦北町及び津奈木町の豪雨災害からの復旧、復興の進捗状況についてお尋ねし、知事から、創造的復興、特に住まいの再建についての力強い御答弁をいただくとともに、農林水産部、土木部それぞれの担当部長から、関係機関と十分に連携して、早期の復旧、復興に全力で取り組む旨の答弁をいただきました。 また、この際、住民の皆様の不安解消を図るために、私から県に対してお願いした芦北町や津奈木町における取組の情報発信については、現在、県の公式ホームページやソーシャルネットワークサービスを活用することで積極的に取り組んでいただいており、引き続き丁寧に対応していただきたいと思います。 芦北町及び津奈木町でも、復旧、復興が目に見える形で進んでいると感じています。 農林関係において、被災した園芸ハウスやトラクターなどの営農用機械、施設については、強い農業・担い手づくり交付金を活用し、1,500件を超える全ての機械、施設が令和3年度中に完成しています。 農地、農業用施設の復旧については、200件を超える箇所の査定を受け、町だけでの対応は困難な状況であったため、被害規模が大きく、復旧に高度な技術力を要するものは県営事業として実施するなど、県にも支援をしていただいております。また、町が行う災害復旧事業にもサポートしていただき、円滑な復旧を後押ししていただいております。 芦北町の宮浦地区では、復旧に当たって、山腹崩壊の土砂を有効に活用するなど、コスト縮減を図りつつ、迅速に対応していただいたおかげで、昨年度から地区の8割の農地で作付ができるようになり、農家の皆さんは非常に喜んでおられました。 芦北地区の広域農道では、小田浦工区が昨年の10月に完了し、女島工区は今年の5月には完了すると伺っております。最も被害が甚大だった鶴木山工区では、地元の方々から、元のルートのままに復旧することに対して不安の声が聞かれ、復旧ルートの見直しをされたと伺っております。早期の復旧が望まれますが、工事はいつ頃完了する見込みでしょうか。 さらに、芦北町東部の吉尾、大尼田、白木地区では、被災直後から、県がリーダーシップを発揮し、地域農業の将来について話合いを進めていただいておりますが、地元では、将来の地域農業を考えて、この際圃場整備をしようということに決まりました。 創造的復興のためには、基盤整備に加え、水田裏作の新規品目の導入の検討も必要と考えています。 山地災害からの復旧については、芦北地域において、163か所の災害が発生しました。芦北町の山地被害箇所数は、県内市町村で最も多く、全体の16%を占めております。 これまでにない災害の箇所数であったため、県のみでの対応が非常に厳しく、発災当初から、林野庁九州森林管理局の支援をいただきながら、災害調査を実施されたと伺っています。 さらに、芦北地域の災害復旧については、国に直轄代行事業による復旧を要請され、令和3年9月議会では、35か所が計画され、6割で着工していると伺いました。 津奈木町で最も規模の大きかった平国地区においては、この事業に取り組んでいただき、昨年の8月に完了したと伺っております。 また、県が実施する復旧事業としては、令和3年度より治山激甚災害対策特別緊急事業等に取り組んでおられますが、足場が悪い傾斜地での工事ということもあり、平地の工事と比べ時間がかかるのではないかという声も聞かれます。 林道施設の復旧については、町が行う災害復旧事業に対して、設計変更等に係るサポートをしていただき、早期完成を後押ししていただいております。 次に、土木関係ですが、発災後から、豪雨により県管理河川に堆積した土砂の撤去を進めていただき、その後の出水時には効果を発揮していると感じています。今後も継続的に撤去を行っていただければと思います。 道路や河川等の被災箇所については、復旧工事が本格化しており、次第に安全度が高まっていることを実感しています。ただ、応急対策が行われただけの箇所や未着手の箇所も見受けられますので、一日も早く工事に着工していただくことと併せて、住民の皆様に先の見通しを示していただくことも重要だと思います。 また、甚大な被害を受けた佐敷川や球磨川支川である吉尾川の改良復旧や土砂災害に備えた斜面対策や砂防堰堤等の工事についてもしっかり取り組んでいただいています。 このように、芦北町及び津奈木町の復旧、復興は着実に進んでいますが、住民の皆様が安心して暮らしていただくためには、住民が自らリスクを察知し、主体的に避難できるよう、住民目線のソフト対策を充実していくとともに、ハード対策としての各事業の一層の進展が望まれます。 そこで、芦北町及び津奈木町における農林関係の復旧・復興状況と今後の見通しについて、農林水産部長に、土木関係の復旧・復興状況と今後の見通しについて、土木部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 芦北町及び津奈木町における農林関係の復旧・復興状況と今後の見通しについてお答えいたします。 まず、農地、農業用施設の復旧のうち、町が行う194か所につきましては、これまでに157か所の工事に着手し、今年度末までに112か所が完了する予定です。津奈木町では、令和5年度中に全ての工事が完了する見込みですが、芦北町では、22か所が河川工事等との工程調整を要するため、令和7年度までかかる見込みです。 県が行う19か所につきましては、これまでに全ての工事に着手し、11か所が完了しております。未完了の工事のうち、芦北町の宮浦地区の農地復旧は今月中に完了し、全ての農地で営農が再開できる見込みです。 また、芦北地区広域農道の復旧のうち、最大の被害となった鶴木山工区につきましては、再度災害防止を図るため、ルートを山側に変更して復旧することで、町や地元集落、国との協議が調い、今月から工事に着手し、令和6年9月の完了を予定しております。 さらに、芦北町東部の吉尾、大尼田、白木地区では、創造的復興として、被災していない農地も含めて圃場整備に取り組みたいという地元の意向を受けまして、町と連携し、相続調査や農地の集積計画、将来の営農計画について話合いを重ねてまいりました。 今後、事業計画の策定などを行い、令和6年度の事業着手を目指してまいります。 加えて、JAなどの関係機関と連携し、特産であるサラダタマネギや加工用バレイショの新規導入の実証を行っており、基盤整備後の営農支援にもしっかりと取り組んでまいります。 次に、林業関係につきましては、35か所の山地災害復旧のうち、32か所が国の直轄代行により今年度末までに完了見込みで、残り3か所につきましても、令和5年9月の完了を目指し、取り組まれています。県が行う災害復旧といたしましては、治山激甚災害対策特別緊急事業等により41か所を計画しており、現在17か所で着手し、令和7年度までに全てが完了する見込みです。 さらに、町が行う林道災害復旧では、18路線、42か所の計画に対し、これまでに34か所が完了し、残り8か所につきましては、現在施工中であり、令和5年12月までに完了する予定となっております。 今後とも、被災された農家や林業者の方々に寄り添いつつ、早期の復旧、復興に全力で取り組んでまいります。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 芦北町及び津奈木町における土木関係の復旧・復興状況と今後の見通しについてお答えいたします。 まず、復旧の状況についてですが、県と2つの町が管理する河川や道路などの公共土木施設におきまして、約800か所の被害があり、人家に近接する河川護岸や交通量の多い道路から順に工事を進めてきております。本年2月末までに約81%の工事を契約し、約51%の工事が完了いたしました。残る工事につきましても、引き続き、町と連携しながら、年度内に発注を進め、早期の復旧に向けて取り組んでまいります。 次に、復興に向けた取組の状況でございますが、県では、浸水対策や土砂災害対策といった防災力の強化を進めております。 具体的には、広範囲で浸水被害が発生しました佐敷川や球磨川支川の吉尾川におきまして、令和6年度末までの完了を目標に、堤防の整備や河川の拡幅といった改良復旧に取り組んでおります。そして、同じく浸水被害のありました湯の浦川、宮の浦川及び田浦川では、芦北町と協議を重ねながら対策の検討を進めており、流下能力の向上に努めてまいります。 このほか、今後の豪雨により河川内に土砂が堆積した場合は、堆積状況に応じて撤去してまいります。 また、土砂災害対策につきましては、土石流により人的被害が発生しました大坪川など10か所で砂防堰堤や斜面対策といった緊急的な砂防工事に着手しました。今年度内に9か所が完成する見込みであり、残る1か所につきましても、早期に完成するよう進めてまいります。加えて、土砂災害の発生リスクが高い園口川など5か所におきましても、砂防堰堤を整備するための用地取得を進めてきており、令和5年度末までの完成を目指し、速やかに工事に着手してまいります。 さらに、これらのハード対策に併せ、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域の指定、公表、河川監視カメラの増設といった、住民の皆様の円滑な避難を支援するソフト対策にも取り組んでおります。 県としましては、引き続き、国や町と連携しながら、一日も早い公共土木施設の復旧と安全、安心の確保に向けて、全力で取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕
    ◆(荒川知章君) 農林関係におきまして、農林水産部長より、宮浦地区の農地復旧は、今月中に完了、鶴木山工区については、来年の9月には工事を完了する予定ということで、しっかりと対応していただいておりますことに感謝いたします。また、吉尾、大尼田、白木地区において、被災していない農地も含めて、創造的復興として、圃場整備に向けた計画の策定、JAなどの関係機関と連携し、基盤整備後の営農支援にもしっかり取り組んでいただけるということに感謝いたします。 土木関係におきましては、土木部長より、河川や道路などの公共土木施設において、人家に近接する河川護岸や交通量の多い道路から順に工事をしていただいているということで、引き続きよろしくお願いいたします。 また、定期的に河川の土砂を撤去していただく必要があると思っておりましたが、今後、豪雨により河川内に土砂が堆積した場合は、堆積状況に応じ撤去していただけるということで安心いたしました。その際、堆積土砂の撤去基準や堆積土量を可視化していただく仕組みなどをつくっていただければ、住民の不安解消につながると思います。 農林関係、土木関係、それぞれにおいて、今後も一日も早い復旧、復興をよろしくお願いいたします。 次に、豪雨災害後の芦北地域における地域活性化の取組についてお尋ねいたします。 当地域で発生した水俣病は、住民の方々の甚大な健康被害を引き起こすとともに、地域の活力を著しく低下させました。 そこで、県では、昭和53年の閣議了解に基づき、水俣・芦北地域振興計画を策定し、地元市町と連携して、当地域の活性化に取り組んでこられました。 具体的には、美しい海を守り、育て、活用することをテーマに、地域の自然的、歴史的、文化的資源や施設、事業を結びつけ、一つの帯状の公園的環境の形成を図る芦北七浦パークコースト構想を推進し、御立岬公園や芦北海浜総合公園、つなぎ温泉四季彩をはじめ、交流拠点施設の整備が進められてきました。 また、当地域全体を環境をテーマにしたミュージアムと位置づけ、地域資源の磨き上げや水俣病の歴史と教訓の発信などを一体的に実施する水俣・芦北地域環境フィールドミュージアム事業に取り組み、環境学習旅行等の誘致による交流人口の拡大や環境先進地としての地域イメージの発信に取り組んでこられました。 さらに、中山間地域等における新たな営農モデルを構築するとともに、地域農業の担い手確保や雇用創出等に向けて、自ら農業経営に取り組む農業協同組合等を支援する中山間地域等JA参入営農モデル事業により、JAあしきたによる県内で初めての農業経営への参入を支援するなど、地域活性化に向けた取組が着実に進められてきたところです。 しかし、令和2年7月豪雨災害により、当地域においても、道路や河川、砂防等のインフラ、住まい、なりわいなどに甚大な被害を及ぼしました。 先ほど答弁いただいたとおり、被災したインフラ等の復旧、復興は目に見える形で進んでいますが、地域住民からは、将来この地域がどうなっていくのかと心配する声も多く耳にしており、さらなる地域活性化の取組が必要であると認識しております。 芦北町では、令和4年4月に、芦北サテライトオフィス計石に入居している企業等と町の魅力創造、発信についての連携協定を締結し、地場産業の商品発掘や商品開発を行い、インターネットで発信する事業に取り組んでいます。また、5月には、旧田浦町役場に2か所目のサテライトオフィスを開所するなど、IT企業誘致による新たな雇用の創出、進出企業と連携した地域活性化などに取り組んでいます。 一方、津奈木町では、社会問題に独自の視点で切り込む作品で知られる現代アーティストの柳幸典氏を招聘し、令和3年9月には、津奈木町役場近くのみんなの森に石霊の森を、また、令和4年5月には、赤崎小学校跡地に入魂の宿を屋外アート作品として完成させるなど、昭和59年から続くつなぎ美術館を核とした住民参加型の芸術文化によるまちづくりのさらなる推進に取り組んでいます。 このように、それぞれの町において、その特徴を生かした地域の活性化に取り組んでいるところですが、県として、豪雨災害後の当地域の活性化に向けて、どのように考え、取り組んでいるのか、企画振興部長にお尋ねいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 令和2年7月豪雨災害後の芦北地域における地域活性化の取組についてお答えをいたします。 県では「地域の資源を活用し、環境と共生する持続可能な地域づくり」を基本理念とする第七次水俣・芦北地域振興計画を令和2年8月に策定し、その中で、重点施策として「不知火海を活かした地域の活力と魅力の向上」を推進することとしております。 そこで、県では、豪雨災害による影響を踏まえながら、豊かな海を生かした交流人口のさらなる拡大を目指し、不知火海を臨むエリアにおける町や関係機関による施設整備などの取組を、国などと連携し財政支援しているところです。 具体的には、芦北町において、御立岬公園に車の乗り入れが可能なキャンプサイトやイベント広場などが新たに整備され、昨年10月にオープンいたしました。 さらに、御立岬公園では、今年度からオリーブの実証栽培に取り組まれており、アマナツミカンやデコポンに続く町の新たな特産品として期待されています。 津奈木町では、今年度から、旧平国小学校を改修し、サテライトオフィスや地場企業の第2創業のインキュベーション施設、子育て世代が交流できる木育広場など、産業の振興と交流拡大を図る複合施設の整備に取り組まれています。 また、昨年7月に、豊かな海をはじめとする水俣・芦北地域の魅力を国内外に広く情報発信するため、地域にゆかりのあるさかなクンに大使に就任していただきました。 さかなクンの公式ユーチューブチャンネルで、さかなクン目線での不知火海の魅力を伝える動画を公開したところ、16万回以上の再生数を記録しています。 今後も、第七次水俣・芦北地域振興計画に基づき、芦北地域の魅力を最大限生かしながら、将来を見据えた地域活性化に、県と町、関係機関が一体となって取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 企画振興部長より、芦北地域の魅力を最大限生かしながら、将来を見据えた地域活性化に、県と町、関係機関が一体となって取り組んでまいるという答弁をいただきました。 芦北町、津奈木町、それぞれにおいて、各種施設の充実に対しての財政支援をしていただいていることに対し、感謝申し上げます。 豪雨災害後、芦北地域から離れる方もいらっしゃり、人口減少が進んでいます。より多くの人に来ていただき、芦北、津奈木のよさを知って、定住までしていただきたいと考えております。引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。 続きまして、県南地域における観光振興についてお尋ねいたします。 芦北町を含む水俣・芦北地域、八代地域、そして人吉・球磨地域の県南地域は、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、令和2年7月豪雨災害の影響で、様々な産業に大きなダメージを受けました。 特に、観光産業への影響は、甚大で、今なお再開できていない宿泊施設もあります。しかし、復興は確実に進んでおり、豪雨で大きな被害を受けた私の地元の老舗温泉旅館は、場所を移転し、犬と泊まれる温泉宿へと新たな業態に生まれ変わり、1月下旬に再スタートを切り、報道でも取り上げられました。また、特に被害の大きかった人吉市でも、被災した旅館が徐々に再開しています。 ウィズコロナの中、豪雨からの復興を後押しするには、裾野の広い産業である観光産業の振興による交流人口の拡大が重要と考えます。 現在、県内の宿泊需要は、回復傾向にあり、観光庁宿泊旅行統計調査によると、延べ宿泊客数の昨年12月速報値は、感染拡大前の令和元年と比べ、プラス3.5%、前年同月と比べても、プラス2.9%となっています。これは、県が実施した旅行支援事業、くまもと再発見の旅の切れ目ない実施等によるものと考えられます。 そのような中、今月3月23日には「世界と地域にひらかれた九州セントラルゲートウェイ」として、九州の中央に位置する阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが開業を迎えます。国際線はじめ航空ネットワークの充実や搭乗客に限らず来場いただける施設を目指すなど、交流人口の増加を通じた地域活性化が大いに期待されます。 知事も、1月中旬、自ら台湾を訪問し、航空会社等へトップセールスを行い、その直後に台北線チャーター便の運航が決定するなど、大きな成果を上げられ、将来的な定期便運航の大きな一手になりました。 今後、TSMC進出に伴う半導体関連企業の集積等もさらに進み、台湾を中心に海外からの多くのビジネス客やその家族などが本県を訪れると想定されます。その需要をいかに観光に結びつけるかが課題であり、そのような人の流れをぜひ県南地域にも呼んでほしいと思います。 水俣・芦北地域には、リアス式海岸が織りなす風光明媚な海岸線や御立岬公園、芦北海浜総合公園のほか、海水浴場やキャンプ場、真っ白い帆に風をはらませ、不知火海を進む海の貴婦人、うたせ船での漁体験など、日本の原風景とも言える自然を満喫できるスポットが数多くあります。 さらに、豊穣の海、不知火海で育まれたアシアカエビやタチウオ、マガキなどの海産物、デコポンやサラダタマネギなどの農産物もあります。 そのような特産物を生かし、県及び水俣・芦北雇用創造協議会では、1月下旬、水俣・芦北地域を一つの観光農園に見立て、農産物の収穫体験や食の体験をくまモンと掛け合わせた体験型コンテンツとして提供するくまモンファームも開園いたしました。新たな観光素材となるコンテンツの創出とともに、農産品の販路拡大、交流人口の増加が期待されるところであります。 八代地域には、ユネスコ無形文化遺産に登録された八代妙見祭や石工の里の文化、歴史などのストーリーが日本遺産に登録されるなど、歴史に裏づけされた文化が集積しています。開湯600年以上の日奈久温泉もあります。 人吉・球磨地域には、球磨川に沿って点在する温泉、球磨川でのラフティングや球磨川下りなどのアクティビティー、国宝青井阿蘇神社や人吉城跡、相良三十三観音などの歴史、文化、そして何より、地名を冠する不動のブランドで世界に誇る球磨焼酎があります。 このように、県南地域には、海があって、山があって、川もある、そしてそこで育まれた豊富な食、温泉もあり、お酒もあります。しかし、その一つ一つは、観光客にとって大変魅力的ですが、それぞれが点でしかありません。これからは、それぞれの点を線で結び、さらに面にしていく広域的な視点とストーリー性が必要と考えます。 新型コロナで旅行形態が変化、旅行者のニーズは多様化しています。そのような状況に対応できるよう、それぞれの観光コンテンツを磨き、つなげ、そしてターゲットを明確化し、効果的に発信していくことで、県南地域へ観光客を呼び込み、交流人口の増大を図る必要があります。 このほか、県南地域には、新八代駅、新水俣駅と、新幹線駅が2駅、高速道路の整備も進んでおり、広域的な周遊も十分可能です。さらに、八代には、クルーズ船を受け入れるくまモンポートもあります。 そこで、県南地域の今後の観光振興について、海外からのインバウンド客も含め、どのように進めていくのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 令和2年7月豪雨や新型コロナにより、県南地域の観光産業は大きな影響を受けました。県内全体では、観光客は徐々に戻り始めていますが、引き続き、旅行助成事業等により被災地域の観光の下支えを行い、県南地域の観光復興を応援してまいります。 そのような中で、インバウンドの受入れが急速に増えており、その効果を、観光産業を中心に、県経済に波及させることが大変重要です。 特に、TSMCの熊本進出は、観光業界にも大きなインパクトを与えると期待しています。台湾からの誘客強化をはじめ、様々な取組を行うための予算を今定例会に提案しています。 先日、台湾の高校が県南地域を視察に訪れ、水俣での環境学習や球磨村での防災教育等が大変高い評価を受けました。このことも踏まえ、台湾からの教育旅行の調整、相談対応を行うワンストップ窓口の設置など、教育旅行の誘致に力を入れてまいります。 また、台湾において本県観光の営業活動を行う代理人を配置するほか、台湾の旅行会社が行う本県への旅行商品造成に対して支援を行います。さらに、TSMCをはじめとする台湾からの駐在員とその御家族を対象とした観光モニターツアーを実施します。 これらの取組を通じて、県南地域を含めた県内各地の魅力的な観光資源を台湾の方々に強力にPRし、誘客につなげてまいります。 県南地域には、くまモンポート八代があります。クルーズ船の寄港は、県南地域の観光振興にも大変有意義です。コロナ禍の中、県としても継続して粘り強くセールス活動を行った結果、県南地域を訪れるツアーが数多く検討されています。くまモンポート八代の開港後初となる外国クルーズ船も、来月の寄港が決定しました。これを弾みに、より多くのクルーズ船寄港が実現するよう、国内外の関係者に積極的に働きかけを行ってまいります。 また、県南地域には、人吉、日奈久、湯の児など、各地に優れた温泉があります。現在私が会長を務める「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会で、温泉文化を世界に広めていくことを国に提案しています。不知火海沿いを走るサイクリングや球磨川ラフティングの後の温泉は格別です。そのような楽しみ方も提案していきたいと思っています。 このほか、海外にも多くのファンがいるくまモンや県南地域を舞台とするアニメ「夏目友人帳」「放課後ていぼう日誌」などのコンテンツを活用した取組も進めています。 このような地域資源と新たなコンテンツを組み合わせた商品づくりを進め、その多様な魅力を国内外に発信することで周遊を促し、その効果が地域全体に広がるよう、県南地域の観光振興にしっかりと取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 知事より、地域資源と新たなコンテンツを組み合わせた商品づくりを進め、効果が地域全体に広がるよう、県南地域の観光振興にしっかりと取り組んでまいるとの力強い答弁をいただきました。 それぞれの点を線で結び、さらに面にしていく広域的な視点とストーリー性が必要です。 インバウンドも含め、ぜひ多くの方々に県南地域に訪れていただき、その方々に口コミ等で周知していただくようなシステムを構築し、交流人口増加のループができるような取組もお願いいたします。 次に、芦北管内の鳥獣被害防止対策についてお尋ねいたします。 昨年12月に公表された令和3年度の野生鳥獣による農作物の被害状況によりますと、県内全体の被害額は、約5億4,000万円で、前年度より約1,000万円減少しております。 内訳といたしまして、イノシシによる被害が全体の38%、カモによる被害が33%、鹿による被害が9%となっており、平成28年度以降、イノシシ、鹿による被害は減少しているものの、カモによる被害が増加しており、依然高い水準です。 一方、芦北管内での被害額は、約3,000万円で、前年度から1,000万円増加しております。カモによる被害はほとんどないものの、イノシシによる被害が全体の46%、次いで鹿の被害が39%となっており、いずれも前年度より増加しています。 特に、鹿によるかんきつ類への被害は、令和2年の7月豪雨以降増えているように感じております。豪雨により園地への道が通れなくなり、人の気配がなくなったことが影響しているのか、鹿のすむ山の状況が変わり、生息域が芦北・水俣地域のほうになったのか分かりませんが、実際に被害額は、令和元年度の30万円から令和2年度は約900万円に急増し、令和3年度も約800万円と高い水準で推移しています。 芦北管内においては、アマナツや不知火のかんきつ類は、農業生産額全体の約6割を占めている重要な基幹作物となっております。鹿は、樹皮や葉をかじり取るため、苗木は枯れ、成木は1年ないし2年は実がならなくなります。最悪植え替えが必要となった場合は、4年間は収穫ができなくなるなど、農家にとっては大きな痛手となります。 鳥獣被害は、農作物の被害だけでなく、農家の営農意欲の減退を招き、被害額に現れる以上に深刻な影響を及ぼす大きな問題となっています。 県においても、地域ぐるみで自らの集落、農地を守るための「えづけSTOP!」対策の取組を基本として、鳥獣がすみつきにくい環境づくりに取り組んでいただいているところです。 鹿については、県が令和元年に推定生息頭数を調査しており、全県で約8万9,000頭となっており、平成26年に実施した前回調査の約5万8,000頭から3万頭以上増加しています。 地元の芦北管内でも、鹿の捕獲頭数は、平成28年度は300頭でありましたが、令和3年度には、狩猟と有害捕獲を合わせて1,700頭を超える状況にあります。 私は、鳥獣害による農作物被害を減らすためには、「えづけSTOP!」対策を基本として、しっかりと捕獲を進める必要があると思っています。 鹿は、1年に1回、1頭を出産するそうですので、多数出産するイノシシよりも、捕獲により生息頭数を減らすことができやすいのではないかと考えており、被害を少なくするためには、さらなる捕獲による生息頭数の減少も必要と考えます。 一方で、芦北管内では、狩猟者の年齢は60歳以上が全体の6割を超えて高齢化しており、いつまで今のような捕獲活動が継続してもらえるのか心配しております。 地元狩猟者の方々からは、わなを仕掛けた場所を見回るには、車が通る道路からさらに山奥に入っていかなければならないため、捕獲できたかどうか確認をするだけでも時間と労力がかかる、鹿は、イノシシに比べ自家消費しづらいため、処分に困ることや、捕獲後のイノシシや鹿は埋設する必要があるため、運搬や掘削、埋め戻しなどの作業が高齢者にとって負担になっている、特に、鹿はイノシシに比べ大型であるため、掘削作業が大変である、さらに埋設する場所を探すのが大変だと聞いています。また、捕獲に取り組む人材を確保するためにも、捕獲報奨金の増額をしてもらえないかとのお話を聞いております。 このような状況を踏まえ、捕獲者の育成、確保に取り組むとともに、わなの見回りや捕獲後の処分についての負担の軽減、芦北・水俣地域での処理場の設置、さらに捕獲に係る補助金等の増額が必要と考えます。 そこで、芦北管内における鹿による果樹被害への対策強化と、新たな狩猟者の確保と育成、捕獲や捕獲後の処理の省力化及び処理場の設置、捕獲補助金の増額に関する4点について、どのように取り組んでいくのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 4点につきまして、順次お答えいたします。 まず、1点目の鹿による果樹被害への対策強化についてお答えいたします。 芦北管内では、これまで、イノシシによる被害が大きかったことから、侵入防止の電気柵や高さ1.2メートル程度の防護柵の設置により対応されてきました。しかし、議員御指摘のとおり、近年は、鹿によるかんきつ類の被害が急増しており、その多くが山林近くの園地で発生しております。鹿は、高さ1.2メートル程度の柵を飛び越え、柵の下に潜り込むことができるため、その習性に応じた対策が必要となっております。 そこで、県と関係市町、農業者が現場において検討を重ね、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して、鹿が飛び越えたり、潜り込んだりできないよう、高さ1.8メートル以上の侵入防止柵を導入する方向で、関係機関で準備を進めております。これと併せまして、県では、農家が鹿の習性を学んだ上で、地域ぐるみで園地や集落周辺の環境整備に取り組む「えづけSTOP!」対策や農作物被害ゼロを達成した集落の取組事例の導入など、効果的な対策が実施できるよう、ハード、ソフト両面で被害防止対策の抜本的強化を支援してまいります。 2点目の新たな狩猟者の確保と育成につきましては、令和2年度から狩猟免許の試験回数や会場を増やすとともに、若手狩猟者の増加を図るため、芦北高校で狩猟免許取得の支援や捕獲研修などに取り組んでおります。 その結果、芦北管内の新規の狩猟免許取得者は、令和元年度の24人から令和4年度は38人に増加しております。さらに、今年度からは、経験の浅い銃猟従事者などを対象に、射撃技術向上の訓練費用を助成しております。 3点目の捕獲や捕獲後の処理の省力化及び処理場の設置につきましては、ICTを活用してわなの作動確認ができるシステムを導入することで、狩猟者の負担が大きいわなの見回り作業を大幅に軽減できると考えております。また、捕獲後の処理方法につきましては、埋設処理に代わる方法として、国の鳥獣被害総合防止対策交付金を活用した捕獲後の害獣を分解、圧縮する減容化施設やジビエ利活用施設の設置など、芦北管内の実態に即した方法を関係市町とともに検討してまいります。 4点目の捕獲補助金につきましては、国に対して、捕獲経費の実態や物価高騰による影響を考慮した見直しを行うよう、引き続き要望を行ってまいります。 今後とも、農家の方々が安心して農業生産を続けることができるよう、地域ぐるみの被害防止対策や狩猟者の確保、育成などにしっかりと取り組んでまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 農家の方々が安心して農業生産を続けることができるよう、地域ぐるみの被害防止対策や狩猟者の確保、育成などにしっかりと取り組んでいくとの答弁を農林水産部長よりいただきました。 芦北管内の新規の狩猟免許取得者は増加しているということで、さらに取り組んでいただくことと、その方々が実際に継続して狩猟に取り組んでいただくよう支援をお願いいたします。 また、狩猟免許の試験回数や会場を増やしていただいているとのことですが、芦北会場でも行ってほしいとの要望もありますので、よろしくお願いいたします。 捕獲後の処理については、水俣・芦北広域での処理場の設置も視野に入れ、関係市町との検討をよろしくお願いいたします。 いずれにしましても、現在、芦北管内での農業者の一番の困り事が鳥獣被害でありますので、引き続きしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。 次に、水俣・芦北地域における医療体制についてお尋ねいたします。 県では、団塊の世代が75歳となる2025年を見据え、2017年3月に地域医療構想を策定しています。 本構想では、高齢化が進展し、ますます医療需要が高まる一方、人口減少により医療人材が限られる中でも、必要なときに必要な医療、介護サービスを受けられるよう、圏域ごとに効率的で質の高い医療提供体制を目指し、施策の方向性を示しています。 水俣・芦北地域の高齢者人口は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、65歳以上人口のピークは、2020年の1万8,496人ですが、75歳以上人口のピークは、2030年の1万975人であり、引き続き、医療需要が増加していくことが見込まれております。 持続可能な医療提供体制を確保していくため、地域医療構想では、医療、福祉の関係者間で協議し、各医療機関の特性を生かした病床機能の分化、連携の推進、在宅医療等の充実、医療従事者等の養成、確保の取組の促進を掲げ、実現に向け推進しておられると伺っています。 中でも、水俣・芦北地域の唯一の中核病院である国保水俣市立総合医療センターは、地域医療支援病院として、地域の病院、診療所をバックアップするとともに、二次救急も担い、多くの患者を受け入れていただいております。 救急搬送されないよう、日頃から病気予防に努めることを、行政が啓発、推進していくことも重要と考えますので、身近な市町村と連携した取組を要望いたします。 ただ、健康に留意していても、同医療センターに救急搬送されるケースはございます。急患の症状によっては、残念ながら、熊本市内等の高度医療機関へ転院、搬送されるケースもございます。 救急隊は、急患の症状に応じ適切な搬送先のトリアージを行っておりますが、搬送先の病院でCTやMRIによる検査の結果、転院するケースも生じてしまうことは理解できるものの、特に水俣・芦北地域でも熊本市寄りにお住まいの急患患者においては、一度水俣へ搬送されることは時間的なロスが大きい状況です。この点は課題として認識しております。 そこで、時間的なロスを小さくする試行的な取組として、阿蘇医療圏では、救急隊が脳卒中の疑いがある急患の症状について、専用アプリに必要事項を入力することにより、予測病型を判定し、適切な病院選定を行う実証実験を行っていると伺っています。一日も早くこのシステムが確立し、ほかの医療圏へ広がっていくことを強く願うものです。 ここまでが、地域の現況を踏まえて、引き続き執行部に検討を進めていただきたい課題についてです。 全国どの地域もそうなのでしょうが、コロナ禍で少子高齢化は加速しており、水俣・芦北地域における医療体制についても、多くの課題が山積しています。 そのような中、今回お尋ねするのは、4年前にも一度一般質問させていただいた医療従事者の確保、特に医師の確保です。 県が令和2年3月に策定した熊本県医師確保計画では、全国335の医療圏の医師数の偏在状況をデータ化し、医師偏在指標として、その値の上位3分の1を医師多数区域、下位3分の1を医師少数区域と設定しておりますが、水俣・芦北地域は、数値上、医師多数区域とされております。 ただし、病院、診療所の数は、平成30年と令和4年を比較した場合、病院1減、診療所は2減となっています。医師も高齢化が進んでおり、後継者の確保が困難になる上、芦北町には、無医地区や準無医地区が6地区存在することなど、医師多数区域だからといって、決して安心できる状態ではございません。 こうした状況にある水俣・芦北地域における医師確保を含めた医療体制をどう進めていかれるのか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 水俣・芦北地域における医療体制についてお答えいたします。 令和2年12月末現在、水俣・芦北地域の医療施設に従事する医師数は、134名です。前回調査が行われた平成30年の131名から大きな増減はなく、厚生労働省が算出する直近の医師偏在指標でも医師多数区域となります。 ただ、この指標は、必ずしも地域の実情を十分に反映したものとは言えず、当地域において、医師確保は重要な課題の一つです。このため、第七次水俣・芦北地域振興計画でも基本施策に位置づけています。 そのような中、地域の拠点病院である国保水俣市立総合医療センターでは、地域内での高度医療提供が可能となるよう、令和元年6月に、重症度の高い患者の治療を行う高度治療室を開設されています。また、令和3年8月から、僻地医療を支えるため、ICT技術を活用し、僻地診療所である久木野診療所でのオンライン診療等にも取り組まれています。 これらの取組に対し、県では、施設及び機器の整備への助成や県が熊本大学に設置する寄附講座の医師2名及び自治医科大学卒業医師1名の派遣による医師の確保を図ってまいりました。 引き続き、必要な医師の確保等に努め、安定的な医療提供体制を構築することで、振興計画に掲げる「環境と共生し、誰もが安心して暮らせる地域づくり」を進めてまいります。  〔荒川知章君登壇〕 ◆(荒川知章君) 健康福祉部長より、水俣・芦北地域における医療体制の現況や支援策について答弁いただきました。 地域医療体制の整備は、地域の方々が安心して暮らしていけるための最重要課題であると認識しております。 脳卒中など一刻を争う様々な病気において、時間的ロスが生じ、人命を失うこと、また、後遺症を伴うことなど、決してあってはならないことです。 医師確保とともに、しっかりと対策し、取り組んでいただきますようお願いいたします。 また、先日、吉永県議、髙野副議長と国保水俣市立総合医療センターへICT技術を活用したオンライン診療の視察に行ってまいりました。これから必要になる重要な取組だと思いますので、引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。 最後に、不知火海における水産資源の回復について要望いたします。 水俣・芦北地域には、再生した美しい不知火海が広がっており、今や地域を活性化させる貴重な資源として、あらゆる角度から期待されています。第七次水俣・芦北地域振興計画においても「不知火海を活かした地域の活力と魅力の向上」を重点施策に掲げ、県、市町、関係団体など、関係者一体となって取組を進めておられます。 不知火海の豊かさ、魅力を積極的に活用し、また、多くの方々にその情報を発信していくことが地域活性化には重要で、そのような取組を進める上でも、重要な一つの要素として、水産資源の活用が挙げられます。豊かな海の象徴として、新鮮でおいしい海産物は、なくてはならない資源であります。 しかし、一方で、近年の高水温等による漁場環境の変化や度重なる豪雨災害の影響等により、不知火海の魚やエビの漁獲が徐々に減ってきており、そのような中、令和2年7月豪雨により、多くの土砂や流木等が佐敷川などから漁場に流れ込み、一時漁ができない状況に追い込まれました。 その後、海底に沈んでいる大型のごみや流木の除去を行っていただき、漁は再開できましたが、思うように漁獲が戻っていないと地元からの声があり、漁場環境の変化などの影響が大変懸念されるところです。 これまでも、不知火海では、有明海・八代海等の再生に向けた熊本県計画に基づき、漁場の耕うんや藻場の造成などの漁場環境の保全や改善、種苗放流、資源管理の強化による水産資源の回復等に取り組んでこられてきたと認識しています。 しかし、依然として、なりわいとして漁業を営んでいくには厳しい状況が続いており、資源の回復は道半ばの状況だと感じています。 他方、不知火海の豊かさをアピールし、地域の活性化に期待しているのが、マガキやクマモト・オイスターなどの二枚貝の養殖であります。 マガキについては、私の地元芦北町でも約10年前から養殖に取り組んでおり、徐々に生産が拡大されてきました。その結果、芦北真牡蠣カキ小屋、つなぎオイスターバル、恋路カキ小屋など、漁協による特色あるカキ小屋もオープンし、地域の特産物として定着しつつあります。 しかし、年によっては、へい死が発生し、生産量が減少したり、身入りが遅くなるなど、品質が不安定なこともあり、こうした課題解決に向けた取組が求められているところです。 また、現在は、宮城県などの県外産種苗に依存していますが、さらなるブランド化を図る上でも、不知火海における天然採苗した種苗の活用なども進めていく必要があると思います。 一方、クマモト・オイスターについては、これまで長年研究が進められ、安定生産に向け大きな課題であった夏場の大量へい死対策として、温湯処理などの技術導入により夏場の生残率の向上を図るなど、養殖技術の課題を一つずつ解決してきています。 しかし、いまだ生産が安定していない地域があることや、温湯処理作業や出荷時の洗浄作業の効率化など、さらなる増産に向けて課題があることから、今後の安定生産や省力化に向けた取組に期待しているところであります。 また、販売面においては、県内外での認知度向上についても積極的に取り組み、本県を代表するブランド水産物として確立し、販路を拡大していく必要があります。 水俣・芦北地域においては、多くの漁業者が、不知火海において、打たせ網漁や流し網漁など、多種多様な漁業を営まれておられます。その方々の経営、生活をしっかりと支え、担い手や後継者が残る環境を整えることは、地域の活性化のためにはなくてはならないものと考えます。 改めて、不知火海の水産資源を回復させ、魚介類があふれる豊かな海として再生するため、漁場の環境の変化をしっかりと把握していただき、課題に応じた対応策を、これまでの取組と併せて進めていただくようお願いいたします。 加えて、私も、漁協や関係市町も頑張りますので、マガキやクマモト・オイスターなど二枚貝の養殖に対し、生産技術の確立と現場へ技術普及をしっかりと行っていただくとともに、生産された二枚貝の販売力、ブランド力の強化に継続的に取り組んでいただきますよう併せて要望します。 以上で予定しておりました質問及び要望は全て終了いたしました。 芦北地域にとって、令和2年7月豪雨からの復旧、復興及びその後の地域振興は、喫緊の課題であります。引き続き、知事を先頭に全力で取り組んでいただきますようお願いいたします。 本日は、御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時8分休憩    ――――――○――――――  午後1時10分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩本浩治君。  〔岩本浩治君登壇〕(拍手) ◆(岩本浩治君) 阿蘇市選出・自由民主党の岩本でございます。 ここの壇上に来ますと、8回目ですが、緊張して足が震えるようでございます。各先生方から頑張れという声をいただきましたが、後は開き直りで質問をさせていただこうと思います。 発言通告書によりまして、早々ですが、質問をさせていただきます。 阿蘇の世界文化遺産登録に係る法的規制等についてお尋ねします。 阿蘇を世界遺産にすることは、蒲島知事の就任当初からの目標であり、また、私が生まれ育ったこの雄大な阿蘇が世界文化遺産として世界の宝になることは、私を含めて、地元阿蘇の住民はもちろん、熊本県民の喜びであり、誇りであります。 今となってはほぼ失われた、本来草地とともに生きてきた日本の循環型農業の伝統が、カルデラという特異な地形に働きかけた姿をとどめる、世界でもここにしか見られない壮大なカルデラ農業の景観であります。 昨年10月、阿蘇市で国際シンポジウムが開催され、海外の専門家から、阿蘇は世界文化遺産としての価値が十分備わっている旨の発表がありました。それを聞いて、世界遺産としてのお墨つきをいただいたようなとてもうれしい思いとともに、さらなる取組の推進に意を強くしたところであります。 世界文化遺産となるためには、世界的な価値が不可欠であり、さらにその価値を法的に守っていくことも必要になります。 昨年末、阿蘇市や産山村の草原の文化財保護法の重要文化的景観の追加選定について、国の文化審議会から文部科学大臣へ答申され、今後の官報告示後、選定される見込みとなりました。法的に保護されることになり、世界文化遺産の登録へ向け、弾みになったと受け止めております。 今後は、集落についても、重要文化的景観の選定を進めていくと伺っております。重要文化的景観として認められるのはうれしいことですが、その一方、そこに暮らしている住民にとって、心配事があります。 重要文化的景観となることによる法的規制、公共事業や新エネルギー施設等の開発行為のコントロール、来訪者による環境負荷等、日常生活を制限されるのではないか、あるいは開発を制限されるのではないか等の支障を来すような制限について、心配されている方もいらっしゃいます。 世界文化遺産になることはとても喜ばしいことですが、集落が重要文化的景観に選定された場合、例えば、家屋の建て替えなどが制限されるのか、家屋の屋根に太陽光パネルは設置できなくなるのかなど、具体的に住民生活にどのような制限が加わるのか、住民生活に影響がないのか、企画振興部長にお尋ねします。 また、私としては、世界文化遺産の登録に向け、地元の盛り上がりを推進していきたいと考えております。重要文化的景観の選定を進めるに当たっては、そこに暮らしている住民への丁寧な説明も必要であります。住民の不安を払拭するべく、その点についても、併せて答弁いただきますようお願いいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 阿蘇の世界文化遺産登録に係る法的規制等についてお答えいたします。 阿蘇の市町村においては、景観条例を制定しており、一定規模の建築物や再生可能エネルギー施設等については、条例に基づき、市町村が開発行為の把握及び指導ができることとなっています。 あわせて、世界文化遺産の登録に当たっては、文化財保護法により保護する必要があり、これまで、県では、市町村と連携を図りながら、草原を中心に重要文化的景観の選定による保護を進めてまいりました。 市町村が重要文化的景観の選定申出を行う際には、文化的景観としての価値があるものを重要な構成要素と位置づける必要があり、この現状変更等を行う場合、文化庁長官にその旨を届け出る義務が生じます。 今後、集落等において選定申出を進めてまいりますが、これまで地域住民の方々により守られてきた歴史的な価値がある神社や石造物、水路や古道などの地域の宝を重要な構成要素として位置づけていく予定です。 そのため、この重要な構成要素以外の一般の住宅等については、文化財保護法に基づく直接の規制はありません。 また、市町村では、重要文化的景観の選定申出に併せて、重要な構成要素以外の範囲についても、土地利用の方針を整理する必要があります。その際には、一般の住宅の建て替え等について、悪影響を及ぼさないような方針となるよう、市町村と協議してまいります。 今後、集落等において、重要文化的景観の選定に向けた調査を実施する予定です。重要な構成要素となり得る地域の宝を特定していくために、市町村とともに、地域住民の方々への聞き取りなどの調査を行います。 その過程で、双方向のコミュニケーションを積み重ね、住民生活への影響などの懸念に対して丁寧に説明し、重要文化的景観の選定、ひいては阿蘇の世界文化遺産登録への理解を深めていきます。 引き続き、県と阿蘇郡市7市町村が一体となって、阿蘇の世界文化遺産登録の推進に全力で取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 企画振興部長より答弁いただきました。 阿蘇の市町村においては、景観条例を制定してあり、一定規模の建築物や再生可能エネルギー施設等については、届出義務に基づき、開発行為の把握及び指導ができることとなっているとのことであります。 重要文化的景観の範囲を世界文化遺産の資産範囲として、重要な構成要素を選定し、それにのみ文化財保護法により規制、届けをかけるとのことであり、重要な構成要素以外は、景観法による景観形成地域の基準等により景観コントロールを図るとのことであります。 重要な構成要素には、届出義務で同意取得を必要とし、草原、水路、古道、石造物、祭祀施設等、地域住民が保護、保存を望むものであり、また、名水や滝や巨石が考えられるとのことであります。 水田、農場用倉庫など生業に必要な施設等については構成要素としない予定で、水田の形状変更等について、文化財保護法上は届出義務は必要としないとのことです。 また、今後、集落等において、重要な構成要素となり得る地域の宝を特定していくために、市町村とともに地域住民への聞き取り調査を行い、双方向のコミュニケーションを積み重ね、住民生活への影響などの懸念に対して丁寧に説明し、重要文化的景観の選定、ひいては世界文化遺産登録への理解を深め、県と阿蘇郡市7市町村一体となり、推進に全力で取り組むとの答弁をいただきました。大変うれしいことで、早く世界文化遺産批准に上がっていただければと思うところでございます。 それでは、次の質問に移らせてもらいます。 阿蘇山火口カメラの設置支援についてでございます。 阿蘇は、日本を代表する観光地であり、見どころは多くありますが、その中でも、特に活火山の火口を間近に見ることができることは、観光資源として世界でもまれであり、阿蘇の大きな売りの一つと思います。 しかし、その裏返しとして、火口の状況により、安全の確保のため入山規制が行われることがあります。その際に、せっかく世界中からおいでいただいた方々に対して、火山活動を感じていただくため、火口カメラは大変重要と思います。 阿蘇火山博物館が所有します阿蘇山火口カメラシステムは、世界でも阿蘇山だけにしかない特殊な技術で構築された最先端システムであります。 火山博物館は、そのカメラの使命や重要性を認識し、度重なる噴火による損傷や損壊に遭遇しながらも、今日まで単独で管理運営をしてきております。 しかし、平成28年4月の熊本地震とその後の10月の噴火により、AとBのカメラ2台ともに被災し、運用できなくなりました。幸い、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業による補助金を活用し、総事業費の9,720万のうち、4分の1の2,430万を自己負担とし、Aカメラのみ復旧できましたが、Bカメラのほうは復旧ができない状態のままです。 現在の火口カメラの特徴は、火口カメラとしては世界唯一の映像配信システムであり、超高感度でもあり、夜間でも月明かり程度で映像配信ができ、高画質の220万画素、2K、フルハイビジョンであります。カメラは、遠隔操作可能で、ズーム25倍、火口内の噴火に伴う音声も同時配信可能になっております。 ただ、Aカメラで捉えることのできるのは火口の65%ほどで、Bカメラと併せて初めて火口の全体像の把握ができ、Bカメラの復旧が待たれるところですが、現在のところ、めどは立っていません。 活火山としての阿蘇山は、世界的観光資源だけでなく、噴火により様々な被害をもたらすことを考えると、カメラの設置は、阿蘇山の活動を知る上で重要であると考えます。 また、福岡管区気象台は、独自の火山監視設備は持たず、阿蘇火山防災連絡事務所を通じて、年額67万8,000円の受信料を支払い、博物館のカメラの活用をしており、常時映像を受信し、他の火山とともに監視しております。 京都大学火山研究所は、独自のカメラを設置しておりますが、度重なる噴火による損壊のため、修理不能な損壊時に備え、取替え方式の簡易型のカメラが設置してあり、簡易型カメラであるため、映像やその解析度が悪く、夜間は映像確認ができないこともあり、必要時に博物館の映像を利用しております。 この極めて公共性の高いカメラの維持管理を、一公益財団法人である阿蘇火山博物館が行っていることに驚きました。 そこで、それに先立ち、現在の運用状況を申し上げますと、2台のカメラは、40年前の昭和57年、火山博物館設立時に九州産業交通株式会社により設置され、2004年、阿蘇製薬株式会社運営の財団法人管理となり、その後、博物館という施設の公益性から、現在の公益財団へ移行したものであります。 運用の一環として、館内では、火口のライブ中継を実施しております。入館者の観光客、特に修学旅行生の教育に重点を置いた映像を流し、火口の立入り規制時でも、映像により火口内の噴火状況を見ることができるようになっており、火口の噴火や特異現象が確認されたときは、関係機関への映像配信を行っております。 防災関連では、気象庁や京大火山博物館への配信や提供や報道関係にも映像配信を行っております。私たちがテレビで見る噴火状況を映しているのが、この山上火口カメラであります。 次に、管理状況ですが、カメラは、火口内に設置されており、カメラレンズの火山灰汚れの除去と付着防止が鮮明な映像確保のために重要となりますが、火山灰除去、火山ガスや有毒ガスからの設置環境の厳しい中で、作業員の安全確保をした上での作業を強いられております。また、カメラ以外にも、硫黄ガス等による機材の腐食対策等々の問題があります。 このような維持管理を一公益財団法人だけに任せているわけです。阿蘇市として、また、熊本県として、このままでよいのか、強く思う次第です。 この公共的重要性に鑑み、阿蘇山火口カメラ運用協議会――仮称ですが、立ち上げる構想があります。協議会メンバーとして、阿蘇くまもと空港、JR九州、阿蘇田園空間協議会、阿蘇周辺の道の駅、国、県、周辺市町村、九州電力、放送メディア等を想定しておられるようであります。 協議会は、会員への映像配信料を主体財源として、地球環境や地球科学についての次世代への教育普及、火山活動に関する研究、阿蘇火山火口活動の資料保存、火山防災と安全観光、BCPの取り込みと連動、また、SDGsをテーマにした観光、教育、防災のためのXRコンテンツの造成等を行うことを目的としているようです。 観光面で考えると、震災ミュージアムをはじめ、くまモンポート八代、熊本駅、阿蘇くまもと空港等での阿蘇火口ライブ中継は、今後の観光客誘致に向け、さらなる活用が期待できると思います。 私は、この協議会が設立され、火口カメラが安定的に運用されることになれば、熊本県の観光をはじめ、あらゆる分野において多大なる有益性を持つものと思います。火口カメラの設置及び維持管理に対する県の支援について、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) 阿蘇山火口カメラの設置支援についてお答えします。 火口カメラを設置している阿蘇火山博物館は、阿蘇火山の成り立ちや火山活動、草原と人々の関わりなどを展示紹介する阿蘇観光の中心的な施設であり、昭和57年の開館以来、多くの観光客を受け入れてきました。 館内には、火口の映像と音がリアルタイムで観察できるワイドスクリーンがあり、火口の立入り規制時にも、臨場感のある火口見学ができる貴重な手段となっています。 議員御指摘のとおり、火口カメラの維持管理には多額の費用を要することなどを踏まえ、現在、阿蘇火山博物館において、協議会の設立に向けた検討が進められていると聞いております。 今後、直接具体的なお話を伺った上で、観光面を含めたカメラの活用策や県としての関わり方などについて、検討を行ってまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 今回は、代表して観光戦略部長にお尋ねしましたが、質問で申し上げましたように、公共的重要性に鑑み、観光だけではなく、防災面や教育面において、活用の余地があるのではないかと思われます。 活火山の火口を間近に見ることができることは、観光資源としましても世界でもまれであり、せっかく遠方より来た方が規制等で見れないときでも、カメラにより見ることができ、関係課と知恵を出し合って、火口カメラ設置支援に結びつくようお願いをしたいと思います。 次の質問に移らせてもらいます。 外国人就労者の自動車運転免許の切替えについてでございます。 ある建設業者の会合で、うちでは技能実習生を中心に13名のベトナム人を雇っている、その中にはベトナムの自動車運転免許を持っている人もいるので、現場への送迎ができるように日本の免許への切替えを支援してきたが、近頃、切替えにかかる期間が長くかかるようになったとの声がありました。 その人の話では、2年前までは2か月ほどで免許の切替えができていたが、現在は3か月半待たなければ切替えができなくなったとのことでした。その原因は、申請者の増加だとのことです。 厚生労働省から、2022年10月末時点での外国人就労者について発表がありました。前年から9万5,504人増え、過去最多の182万2,725人となりました。熊本県の場合、1万4,522名です。 厚労省は、コロナ感染拡大以降、増加の伸びは鈍化していると報告していますが、人手不足を背景に、外国人を雇う事業所は、前年比4.8%増加しております。 熊本労働局によると、コロナ禍以前の平成29年の外国人就労者は7,743名でしたが、令和4年は1万4,522名と、およそ2倍の増加となっております。 私の選挙区である阿蘇市でも、農業や建設業を中心に技能実習生や特定技能での在留者が増えております。阿蘇職安管内の在留資格、特定技能で調べてみますと、令和元年に5名、2年に38名、3年に59名、4年には113名と、急激な増加を示しております。 外国の方が日本で車を運転する方法は、3つあると聞いております。1つ目は、外国の運転免許証を日本の免許証に切り替えて運転する方法、その中でも、書類審査のみで切替えが可能である国と知識や技能の確認が必要な国があるとのことです。2つ目は、ジュネーブ条約加入国の方が、その国で国際運転免許証を取得して、その国際運転免許証で運転する方法。3つ目は、日本国内で運転免許試験を受験する方法であり、外国語で記載された試験問題や外国人対応の自動車学校もあると聞いております。 その中で、外国の運転免許を日本の運転免許へ切り替える場合には、まず、有効期限内の外国の運転免許を所持していること、自国で取得していた免許と同じ免許種別への切替えであること、免許を取得した国に3か月以上滞在していたことが確認できなければならない等の条件があるそうです。 3か月以上滞在していたことの確認は、パスポートでなされると思われますが、御存じのように、出入国のスタンプは、国々により無秩序に押してありますし、偽造パスポートや偽造免許証の判別確認も必要となりますので、その確認には相当の手間がかかり、当局の労苦もいかばかりかと察するところであります。 技能実習生は、東南アジア諸国の人々が多く、日本での滞在が3年とか5年とか限られていますので、免許切替えに長期間要するというのは、技能実習生の技能の習得にも支障が出るものと思われますし、日本における貴重な体験の機会を失いかねません。 熊本県では、現在、半導体関連工場の誘致が盛んであり、最大規模の工場の建設も進められております。そこでは多数の台湾からの移住者が来ることも考えられるところであり、加えて、新型コロナウイルスによる入国制限の緩和により、技能実習生等の外国人就労者の増加も予想されますので、ますます運転免許の切替え申請が増加するものと思われます。 このような現状において、外国人就労者の運転免許切替えなどについて、今後どのように取り組み、対応していくのか、警察本部長にお尋ねいたします。  〔警察本部長山口寛峰君登壇〕 ◎警察本部長(山口寛峰君) 外国人就労者に係る自動車運転免許の切替えへの県警察の取組についてお答えします。 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症対策の入国規制緩和により、県内に在留する外国人技能実習生や留学生が増え、同時に、免許切替えを申請する外国人も急激に増加しております。 令和4年の切替え申請者数は、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年と比較すると約16%、令和3年からは約35%増加しています。 また、免許試験を外国語で受験する外国人については、令和4年と令和3年を比べると約65%増えていますので、外国人の免許切替えや免許試験を担当する部署において、人員を拡充するなど、体制強化を図って対応しております。 本県では、今後、TSMCをはじめとする企業の進出により、外国人就労者やその家族が多数居住する見込みです。そのため、生活や仕事に必要とされる運転免許の切替えや取得に関する申請も、さらに増加することが予想されます。 こうした状況を踏まえ、県警察では、引き続き、外国の方が日本で安全に運転できるよう、交通ルールを説明するなど、安全運転に資する対策を講じるとともに、免許の取得や切替えについては、迅速で適切な手続ができるように、さらなる業務の見直しや申請増加に対応できる人員配置を検討するなど、体制の強化に努めてまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 警察本部長から御答弁をいただきました。 外国人就労者の自動車運転免許の切替え申請件数の増加に対応するため、担当部署において人員を拡充するなど、体制強化を図っていくとの答弁をいただきました。 今後、TSMCをはじめとする企業の進出により、さらに申請数が増加することが予想されるため、引き続き、交通ルールの説明等、安全運転対策を講じるとともに、迅速で適切な手続ができるよう、さらなる業務の見直しや申請増加に対応できる人員配置を検討するなど、体制の強化に努めるとのことでした。 今や外国人就労者の力は県経済の発展に必要不可欠であり、自動車免許を早期に取得できれば、それだけ県内で活躍していただける時間が増えます。 一方、手続処理を最優先とするあまり、交通安全対策がおろそかになり、交通事故が増えることになるのは、誰にとっても不幸なことです。限られた予算、人員の中、難しい課題も多いと思いますが、外国の方に就労先として熊本を選んでいただけるよう、県警察におかれては、状況に応じた適切な対応をいただきますようお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。 次の質問でございますが、判断能力が不十分な方の日常生活の自立支援についてでございます。 昨今は少子化対策が声高に叫ばれていますが、高齢化の進行も続いており、それに伴う様々な課題も顕在化しています。 今後、2025年に向けて、団塊の世代全員が後期高齢者となり、認知症高齢者の方が多くなると考えられます。また、知的、精神の障害のある方で、判断能力が不十分な方々も増加傾向にあります。 近年は、できるだけ施設に入ることなく、住み慣れた地域で暮らすことを希望される方も増えておりますが、単身でお住まいの方が増えるにつれ、何かあったときに相談する相手がおらず、困っておられる方も多くなっております。 特に、懸念されますのは、これらの方々の中には、第三者の援助がなければ困窮し、福祉サービスも利用できず、孤独死といった重大な事故に至る危険性を内包した方も多くおられ、周囲の方々が見守りながら、自分の意思で地域生活ができるよう、伴走型の支援体制を充実させる必要があるのではないかと思います。 こうした認知症の高齢者や知的や精神に障害のある方など判断能力が不十分な方々が、住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう支援する事業として、日常生活自立支援事業があります。 この事業は、福祉サービスの利用の調整や契約のお手伝いや日常的な金銭管理や行政などの書類作成をお手伝いする事業です。当事者の意思決定を尊重し、権利擁護を進めるために、介護保険制度の創設に合わせて導入され、20年以上経過している必要不可欠な事業となっております。 ところが、この事業については、開始当初から利用者も増加していったことから、事業費に対して県の予算が追いつかず、近年は、事業主体の県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会は自主財源をつぎ込まざるを得ず、利用者を増やしづらい状況になっておりました。 そのため、私は、令和3年11月定例会でこの事業の予算増を要望いたしました。そのかいもあって、令和4年度は、一定の改善を図っていただきました。 平成11年の事業開始から20年以上が経過しましたが、熊本県の所管地域では、直近の令和4年12月末日現在、この事業の利用者が前年の787名から804名に増加するなど、早くも令和4年度予算増額の効果が現れております。 ただ、依然として他の都道府県に比べると不十分であったことから、昨年9月定例会では、同僚の松村県議が、この事業の充実強化について、一般質問を行われました。 その答弁において、健康福祉部長は、令和4年度に予算の増額を行ったばかりであるので、その効果を見極めてから今後の対応をしていきたいといった趣旨の発言をされ、私は、事業の推移を調査、把握しながら検討されているところと思ったところでございます。 一方、昨年の10月20日には、熊本県社会福祉協議会の良永会長と熊本県市町村社協連合会長の元松宇土市長の両名が知事宛てに要望書を提出され、国庫補助基準額を満額適用して補助金を算定してほしいことを強く要望されるなど、議会だけでなく、当事者からも切実な声が上がっております。 県社協から委託を受けてこの事業を担っている市町村社協の中には、採算の厳しさから受託を返上したいとの悲痛な声もあるようです。 しかし、この事業に対して、おかげで消費者被害に遭わなくて済んだ、親族等からの経済的搾取がなくなった、必要なときに病院や福祉サービスの利用ができるようになった、年金や預金を計画的に使えるようになった、税金や国民健康保険料を滞納しなくなったなど、本人はもとより、親族、近隣の方、そして市町村役場からも大変喜ばれており、利用者、家族、地域からの評価の高い、三方よし事業となっております。 しかしながら、事業を安定して行える十分な公的な財政支援なくしては、現場のスタッフの確保もままなりませんし、市町村社協の意欲も向上しません。今後増えてくると思われる新たなニーズに対応することが難しくなると思ったところです。 昨年の9月定例会では、健康福祉部長から、令和4年度の「補助金増額に伴う各市町村社協の活動状況の変化や潜在的なニーズの有無などを丁寧に把握し、その効果や地域ごとの実態を踏まえた上で、事業を利用される方々が地域で自立した生活を安心して続けられるよう、必要な支援に取り組んで」まいるとの答弁がありました。 今定例会に提案されております令和5年度予算案では、先ほどの現場の声に応えてのことと思いますが、本事業への支援を拡充する方向で考えていただいているようです。私も、予算増額を要望した立場として、県の姿勢を大いに評価したいと思います。 本事業は、認知症高齢者や障害のある方の日常生活を継続的に支える大切な事業で、誰しもがこのようなサポートが必要になる可能性があると考えれば、他人事では済まされません。 そこで質問です。 本事業の利用者からは、金銭管理等のサービス以外にも、日常的な困り事にも対応してほしいとの声もあるほどで、今後も支援を必要とする方々が安心できる環境を維持していくことが重要と考えますが、県として今後どのように取り組むか、健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 認知機能の低下や障害が原因で判断能力に不安がある方を支援する日常生活自立支援事業については、昨年の9月定例会において、県社会福祉協議会に対する今年度の補助金増額の効果等を踏まえた上で、必要な支援に取り組むと答弁したところです。 その後、10月には、県社協及び市町村社協連合会から、補助金増額に対する感謝の気持ちが伝えられるとともに、補助金のさらなる充実を求める強い要望がなされました。その際、利用者のニーズに十分応えるマンパワーの不足などにより、幾つかの市町村社協では、事業の継続が困難な状況にあることを強く訴えられました。 このため、県では、事態は急迫していると受け止め、今年度上半期を対象期間として、補助金増額後の県社協及び市町村社協の事業実施状況等について、緊急調査を行いました。 そこで見えてきたのは、利用者増の効果が出ている一方で、経費の増加に伴い、事業継続が厳しくなっているところがあることや利用者が負担する額が他県に比べて低い水準にあるといった事業運用上の課題です。 そのため、県では、県社協に対し、課題への早急な対応を求めるとともに、補助金を実態に応じて引き上げるための予算を今定例会に提案したところです。 また、議員御指摘の日常的な困り事への対応については、例えば買物やごみ出しなど、高齢者等が抱える生活上のちょっとした困り事を地域住民等が支援する取組が拡大するよう、体制構築の中心となる市町村社協やNPO法人等を支援しています。あわせて、市町村の包括的な支援体制整備を後押しし、互いに支え合い、誰一人取り残さないくまもとづくりを進めているところです。 今後、いわゆる団塊の世代の方が後期高齢者になり、障害のある方も施設での生活から地域での生活へ移行していく中で、判断能力に不安があり、日常生活の自立支援を必要とする方々も増えていくことが十分考えられます。 県としては、これらの事業の効果や地域ごとの実態をしっかりと注視していくとともに、関係団体とも連携しながら、こうした方々が安全、安心な地域生活を送ることができるように取り組んでまいります。  〔岩本浩治君登壇〕 ◆(岩本浩治君) 健康福祉部長より答弁をいただきました。 1点目は、日常生活自立支援事業について、9月定例会の答弁後、補助金のさらなる増額要請を受け、県・市町村社協に対する緊急調査を実施し、その結果を受け、県社協に対して課題の早急な対応を求め、補助金を実態に応じて引き上げるための予算を今定例会に提案したとのことでした。 まずは、補助金予算の増額に対してお礼を申し上げます。ありがとうございます。また、今後とも本事業をよりよいものにするため、利用者の増加、物価高騰による費用の増加などの状況の変化に迅速に対応できるよう、引き続き、県・市町村社協との連携を図っていただくよう、よろしくお願いいたします。 2点目の日常的な困り事につきまして、各地域での体制構築の中心となる市町村社協やNPO法人を支援し、併せて市町村の包括的な支援体制整備を後押ししていくとのことでした。 答弁にもございましたが、今後日常生活支援を必要とする人が増えると予想される中、私は、この取組の課題として、地域により実施状況に温度差があるように感じます。 県におかれては、従来の支援に加え、県内外の優良な事例について情報提供を行うなど、活動が活発でない地域に対して事業実施を促すなどの働きかけを行い、地域間での取組の差を縮小するよう、併せてお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、次の要望に移らせてもらいます。 民生委員の活動に対する支援についての要望でございます。 民生委員の方々は、私たちの住む地域において、広く地域福祉の推進役として活躍されております。 戦前の済世顧問制度や方面委員制度をその制度の始まりとして、平成29年に創設100周年を迎えた長い歴史を持っている制度です。 現在の民生委員制度は、民生委員法、昭和23年により制度化され、全国各地域で活躍されております。 昨年12月には、3年に1度の一斉改選が行われましたが、定数2,805人――これは熊本市は省くわけですが、充足率は、最新の情報によりますと、令和5年1月で現員数2,699名の96.2%となっております。 民生委員の欠員は、申すまでもなく住民福祉の低下につながるものであり、充足率への対応は、全国的にも喫緊の課題となっております。 こうした中、県におかれましては、令和4年度において、コロナ禍や原油価格高騰による生活困窮者の増加が見込まれたことを背景として、民生委員児童委員協議会、いわゆる民児協への活動費について、例年の倍額支給となる補助金を交付されました。さらに、令和5年度においても、民児協活動費の増額を計画されております。このことに関しては、住民の一人として、お礼を申し上げたいと思います。 毎年交付されている民生委員個人への活動費、年間6万200円についても、ぜひ増額を行っていただきますよう御検討をお願いします。 民生委員は、民生委員法第10条により、給与を支給しないこととなっていますが、一方では、地方公務員法第3条3項により、特別職の非常勤地方公務員の位置づけにもなっており、高い公益性を持っています。 近年、市町村や地域社会の役割が高まっている中で、民生委員の活動も広域にわたっており、この点について、ぜひ御検討いただきますようお願いします。 また、民生委員は、民生委員法第17条に「民生委員は、その職務に関して、都道府県知事の指揮監督を受ける。」の条文が明記されております。よって、知事が先導役となられ、民生委員の充足率の改善について、積極的な御指導をいただきますようお願いします。 他方、令和5年度からは、国は、こども家庭庁を設置し、社会全体で子供の健やかな成長に関する施策を一体的に行う方向を打ち出しております。 民生委員は、民生委員法によって民生委員を拝命し、児童福祉法16条によって児童委員を兼ねることとなっています。また「厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名する」ことと明記されています。 県におかれましても、民生委員に関わる所管部署と子供関係に関わる所管部署との連携を強化していただくとともに、お互いにそごが生じないよう、知事の御指導をお願い申し上げます。 さらに、民生委員は、民生委員法第15条に「民生委員は、その職務を遂行するに当つては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によつて、差別的又は優先的な取扱をすることなく、且つ、その処理は、実情に即して合理的に」「行わなければならない。」と明記されております。 申すまでもなく、民生委員は、個人情報の保護に関する法律第16条に規定する個人情報取扱事業者には該当しませんが、上記のとおり、民生委員法で厳格なプライバシー保護の規定がされております。 こうした中、住民の個人情報について、市町村によっては、行政との共有状況に差が生じている現状があります。 民生委員は、民生委員法第14条で「住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと。」と明記されており、個人情報の共有と管理が適切に行われるよう、ぜひ御指導をお願いして、私の質問と要望を終わらせていただきます。 この壇上、私、8回目立つんですが、やはり足が震えて緊張をいたします。また、声もかれてきました。 最後まで御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明8日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...