令和5年 2月 定例会 第 4 号 (3月6日) 令和5年
熊本県議会2月
定例会会議録 第4号令和5年3月6日(月曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第4号 令和5年3月6日(月曜日)午前10時開議 第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について
) ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) ――――――○――――――
出席議員氏名(47人) 堤 泰 之 君 前 田 敬 介 君 城 戸 淳 君 本 田 雄 三 君 南 部 隼 平 君 坂 梨 剛 昭 君 荒 川 知 章 君 西 村 尚 武 君 山 本 伸 裕 君 岩 田 智 子 君 島 田 稔 君 池 永 幸 生 君 竹 﨑 和 虎 君 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 大 平 雄 一 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 西 山 宗 孝 君 濱 田 大 造 君 前 田 憲 秀 君 磯 田 毅 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 山 口 裕 君 渕 上 陽 一 君 田 代 国 広 君 城 下 広 作 君 西 聖 一 君 鎌 田 聡 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 前 川 收 君
欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 木 村 敬 君
知事公室長 小 牧 裕 明 君 総務部長 平 井 宏 英 君
企画振興部長 高 橋 太 朗 君 理 事 水 谷 孝 司 君 理 事 小金丸 健 君
健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君
環境生活部長 小 原 雅 之 君
商工労働部長 三 輪 孝 之 君
観光戦略部長 原 山 明 博 君
農林水産部長 竹 内 信 義 君 土木部長 亀 崎 直 隆 君
会計管理者 野 尾 晴一朗 君 企業局長 竹 田 尚 史 君 病院事業 渡 辺 克 淑 君 管理者 教育長 白 石 伸 一 君
警察本部長 山 口 寛 峰 君
人事委員会 西 尾 浩 明 君 事務局長 監査委員 藤 井 一 恵 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 手 島 伸 介
事務局次長 村 田 竜 二 兼総務課長 議事課長 富 田 博 英 審議員兼 濱 田 浩 史
議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○議長(溝口幸治君) 皆さん、おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 代表質問
○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、3日に引き続き代表質問を行います。
公明党前田憲秀君。 〔前田憲秀君登壇〕(拍手)
◆(前田憲秀君) 皆さん、おはようございます。熊本市第二選挙区・公明党の前田憲秀でございます。今回で16回目の質問となります。公明党を代表して質問をさせていただきます。 4年間の集大成として、これまで議論してきたことを中心に質問をさせていただきたいと思っております。 蒲島知事におかれましては、復帰初日となられますが、御無理のないように、気持ちよく御答弁をいただければと願っております。また、執行部におかれましても、明快な御答弁をお願いし、早速通告に従い質問をさせていただきたいと思っております。 初めに、SDGsの認識についてと題して質問をさせていただきます。 持続可能な開発目標、サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ、いわゆるSDGsは、2015年9月の
国連サミットで採択された、2030年を期限とする先進国を含む国際社会全体の開発目標であります。 このSDGsの誰も置き去りにしないという理念は、公明党が掲げる生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義や人類益を重んじる姿勢に合致するものであります。 私がSDGsについて最初に質問した平成30年2月当時は、SDGsの言葉自体が浸透していませんでしたが、5年たった現在、熊本県内における認知度は相当上がってきたと思われます。 内閣府の
自治体SDGs推進評価・
調査検討会が調査した令和4年度SDGsに関する
全国自治体を対象とした
アンケートによりますと、SDGsが持続可能な開発を目指す上で、経済、社会、環境の統合が重要であることを知っていると答えた割合が65.4%、17のゴール、169のターゲットから構成されるということを知っていると答えた割合が26.8%、さらにSDGsについて非常に関心がある、関心があると答えた割合の合計は9割を超えています。 さらに、
日経BP総合研究所が、全国の20代以上のビジネスパーソン2万3,239人を対象として、SDGsの認知度について
アンケート調査を行った結果によりますと、
SDGs認知度と
施策認知度を合わせた
都道府県別の
SDGs総合認知度ランキングでは、熊本県が1位、東京都が2位、岡山県が3位、神奈川県が4位でした。また、
SDGs認知度ランキングでも、熊本県が1位で、2位の東京都、3位の神奈川県を上回りました。 一方、
地方創生SDGsの達成に向けた取組を推進しております
都道府県別の自治体の割合では、熊本県は、令和4年度で45.6%と年々上昇しているものの、全国平均57.77%を下回っている状況です。 このように、熊本県におけるSDGsの認知度は高いものの、市町村を含む熊本県全体の自治体の達成に向けた取組は、いまだ道半ばと思われます。 そこで、熊本県として持続可能な社会を目指していく中で、SDGs全体の認識について、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 答弁に先立ちまして、一言申し上げます。
新型コロナウイルスに感染し、2月28日と3月3日の本会議は、やむを得ず欠席させていただきました。体調は完全に回復しましたので、また本日からしっかりと公務に取り組んでまいります。よろしくお願いします。 それでは、答弁に移ります。 本県は、熊本地震、
新型コロナウイルス感染症、令和2年7月豪雨災害という3つの困難に立ち向かっています。私は、創造的復興を果たし、将来にわたって県民が幸せを実感できるためには、SDGsの理念に沿った、誰一人取り残さない
くまもとづくりを推進していくことが大変重要だと考えます。 令和3年3月に策定した新しい
くまもと創造に向けた基本方針においては、SDGsを本県が実施する全ての施策の指針として位置づけました。 現在、ゼロ
カーボン社会の実現、仕事と子育ての両立、
再生可能エネルギーの普及など、SDGsの理念に沿った様々な取組を推進しております。 持続可能な社会の実現のためには、県民一人一人の行動が重要であり、官民一体となって取り組む必要があります。 県では、SDGsの輪をさらに広げ、その取組を加速するため、熊本県
SDGs登録制度を創設しました。令和3年4月の募集開始以降、既に全国の登録制度の中では最多となる1,900を超える事業者が登録を行っており、本県における急速な意識の高まりを実感しています。 また、優れた取組を表彰する
くまもとSDGsアワードを創設し、昨年12月に第1回目の表彰を行いました。今後、
県内事業者の優れた取組を深く県民に周知することで、本県のSDGsの達成に向けた取組の質の向上につなげていきます。 議員から、
県内市町村の取組の推進が他県と比べて不十分との御指摘をいただきましたが、県内では、全国最多の8市町が内閣府の
SDGs未来都市に選定されています。 県としては、このような先進的な市町村の取組を広く情報を共有しながら、
本県自治体におけるSDGsの取組、ひいては県民一人一人の取組を牽引してまいります。 引き続き、官民一体となったオールくまもとでの取組を推進し、蒲島県政の最大目標である県民の総幸福量の最大化を実現してまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 蒲島県政の最大の目標である県民の総幸福量の最大化の実現は、SDGsの理念にある誰一人取り残さない
くまもとづくりを推進していくことであると思っております。 質問で紹介しましたように、熊本県におけるSDGsの認知度は、大都市を抜いて高いデータがあります。これは、熊本県
SDGs登録制度が1,900を超える事業者が登録を行っていることに合致するのではないかと思います。次は、一人一人にとってのSDGsの取組を県民がどれだけ意識できていくのかではないでしょうか。オールくまもとでの取組の推進をよろしくお願いをいたします。 続きまして、
健康長寿社会の実現に向けてと題して、認知症の理解促進、
次期ヘルスプランの策定、
健康増進施設の活用、
がん対策推進、
HPVワクチンの接種機会の周知及び
コロナワクチンの接種後の副反応と
コロナ罹患後の
後遺症対応について、6点質問をいたします。 初めに、認知症の正しい理解の促進について質問をいたします。 高齢化の進展に伴って認知症が急増、
厚生労働省の
認知症施策推進総合戦略、新
オレンジプランによりますと、我が国の
認知症高齢者の数は、令和7年には約700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると見込まれています。 今や認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気で、認知症への対応は、
我が国喫緊の課題でもあります。これまでも、
認知症疾患医療体制整備をはじめ、
認知症サポーターの養成や活動促進などの施策について議論をさせていただいたところであります。 この
認知症施策の推進に当たって、認知症と診断されても尊厳を持って生きることができる社会の実現、当事者の意思を大切にし、家族も寄り添っていく姿勢が重要であります。 こうした観点から、公明党は、認知症の早期診断、早期治療をはじめとする総合的な支援体制の整備や地域ケアの充実を訴えてきたところであります。 そのような中、本県は、
認知症サポーター養成13年連続日本一を達成しており、先日は、認知症の啓発活動に
当事者本人が取り組む
くまもとオレンジ大使に県内で初めて3人を任命するなど、様々な
認知症対策を行っていますが、今後の認知症の
普及啓発活動にどのように取り組んでいかれるのか、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、就任当初から、
認知症対策を蒲島県政における最重要課題の一つと位置づけ、知事としては、全国で初めて
認知症サポーターになりました。その後、
認知症サポーター全国1位を実現するなど、自ら先頭に立って
認知症対策を強力に進めてまいりました。 いわゆる団塊の世代が
後期高齢者の仲間入りをし、加速度的に高齢化が進む我が国においては、認知症はますます身近なものとなっています。 その中にあって、全国有数の長寿県である本県では、認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる長寿で輝くくまもとの実現を目指しています。 そのため、県民一人一人が認知症のことを正しく理解し、行動できるよう、新たな取組として、認知症の当事者であられる方を
くまもとオレンジ大使として任命しました。 大使の皆様には、講演会で御自身の思いを伝えたり、趣味の活動を発表していただくことなどをお願いする予定です。 認知症の方が、生き生きと輝いている姿を発信することは、認知症に対する社会の見方を変えるきっかけとなるとともに、多くの認知症の方々の希望につながると考えています。 今後は、従来の普及啓発に加え、大使の皆様の御協力の下、認知症の方やその御家族の視点を重視した取組を広げることで、認知症に対する理解促進に努めてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君)
認知症対策については、これまで、
サポーターのさらなる意識変革と
ステップアップを訴えてまいりました。
認知症当事者を
くまもとオレンジ大使として任命し、生き生きと輝く姿を発信し、社会の見方を変える
きっかけづくりを目指すとのこと。無理のない範囲で普及していくことはよいことだと思います。 また、
サポーターの
地域活性化を目指す
アクティブサポーターの養成も、2018年度から始まっています。
アクティブサポーターには、オリジナルの
くまモンピンバッジを作成して取り組んでいるものの、養成状況を見ますと、天草市では1,000名の登録者がいるのに対し、熊本市は72名にとどまっており、県下の市町村での意識格差が目立ちます。 さらに、家族の思いや大変さを共有できる場の提供を含め、引き続き、認知症に対する理解促進にしっかりと取り組んでいただくことを要望させていただきます。 2点目の
次期ヘルスプラン策定について質問いたします。 65歳以上人口は、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる令和7年には3,677万人に達すると見込まれており、超高齢社会を迎えます。 また、高齢化の進展に伴い、医療と介護の需要も増大し、平成30年度の人口1人当たりの
国民医療費は34万3,200円と、前年度の33万9,900円に比べ、3,300円、1.0%の増加となっています。 一方、
年間介護費も、令和3年4月審査分の利用者1人当たりの平均費用は、
介護サービスが前年同月比3,300円増の20万1,700円、
介護予防サービスが同300円増の2万8,400円と、費用総額は、この20年で2倍以上に膨れ上がっています。 このように、支出は増加する一方で、財源問題に加えて、昨今は人材不足も深刻化しているところです。 そのような中、県は、第4次くまもと21
ヘルスプランとして、平成30年度から令和5年度まで6年間の計画を策定していますが、この計画も、来年度で一つの区切りを迎え、次のステージへ移行する段階と認識しています。 そこで、第4次
ヘルスプランの目標として「県民が生涯を通じて健康で、安心して暮らし続けることができる熊本」と掲げていますが、
次期ヘルスプラン策定において特に重視する内容は何か、お尋ねをします。 3点目の
健康増進施設の活用について質問いたします。 人生100年時代を見据えた対応策として、健康寿命の延伸について注目されている中、疾病を予防するための運動の大切さが重要となっています。 昨年6月議会で議論させていただきました医療法42条施設とは、疾病予防のため、
生活習慣病患者とその予備群の方々に対して適切な保健指導及び運動指導を行う施設です。この施設では、医師の診察や
健康運動指導士の指導を受けながら、有酸素運動を行うことができることから、
健康寿命延伸や生活の質の向上の一助となり得ると思われます。 その後の県の対応として、
健康福祉部長からホームページで42条施設の概要を周知するとともに、同施設が少ない理由として、収支面での課題が考えられることから、同施設の運営状況を把握するため、実地調査を行うとの答弁がありました。 その後の調査結果によりますと、この医療法42条施設は、
医療法人側からアプローチをする形式のため、ハードルも高く、収益面でも課題があるようです。 そのような中、昨年4月に、
厚生労働省による
健康増進施設の普及に向けた要件の改正がなされました。このことにより、
運動型健康増進施設等が、小規模でも
健康増進施設の認定が可能となり、国のお墨つき、メディカルフィットネスという概念が広がる環境になりました。 今後、正しい知識と正しい運動を提供する施設や環境を整備し、
医学的エビデンスに基づいた知識と運動が行われることは、医療機関と
フィットネス事業のマッチングを強化することにより、地域に密着した健康増進の機会の拡大について、大きな可能性を秘めていると考えます。 そこで、県民の健康増進に向けた
健康増進施設のさらなる活用と
次期ヘルスプランへの反映の方向性についてお尋ねをいたします。 4点目のがん対策について質問します。 令和2年の本県の主な
死因別死亡について見ると、がん、悪性新生物の死亡者が5,359人で、死亡総数の25.3%を占め、死因順位2位の心疾患、3位の老衰を上回り、1位となっています。 そのような中、昨年12月、国の第4期
がん対策推進基本計画案が出され、今年度末までに基本計画が閣議決定されることとなっています。 がん対策に関しては、これまでも、発症の予防、早期発見、検診の推進等を行ってきたところだと思います。 そこで、特に予防の視点から、がん対策の現状と今後の対策についてお尋ねをいたします。 5点目の
HPVワクチン接種機会の周知について質問いたします。 日本では、毎年、約1.1万人の女性が
子宮頸がんにかかり、約2,900人の女性が
子宮頸がんで亡くなっています。 また、
子宮頸がんは、若い年齢層で発症する割合が比較的高いがんで、日本では、40歳までの女性のがんによる死亡の第2位は
子宮頸がんによるものだそうです。 近年、増加傾向にあるものの、
子宮頸がんは、
ワクチン接種により予防できるがんであり、定期接種化され、
日本産婦人科学会も接種を推奨しているところであります。これまでも、県民への周知と平等な情報提供をと議論してまいりました。そのような中、今年の4月から、9価の
HPVワクチンが公費で接種できるようになり、接種率の向上が期待されています。 そこで、これまでの取組と昨今の動きを踏まえて、県として
HPVワクチン接種機会の周知についてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。 最後に、
ワクチン接種後の副反応と
コロナ罹患後の
後遺症対応について質問いたします。
ワクチン接種後、注射した部分の痛み、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み等の症状については、大部分が数日以内に回復すると言われていますが、中には、症状が続き、副反応に苦しまれる方も多いと聞きます。 一方、コロナに罹患した方は、時間経過とともに症状が改善しますが、一部の方で、いわゆる後遺症があると分かっております。快方に向かうことなく、日常生活に支障を来す方も多い状況とのことです。今後も
ウィズコロナが続いていく中で、当事者の不安や悩みをしっかりと受け止める相談体制の充実が望まれるところです。 県は、接種後の副反応については、ワクチンに関する
専門的相談窓口、
コロナ罹患後の後遺症については、コロナに関する
一般相談窓口で24時間体制の対応をしているものの、まずは
かかりつけ医へ相談となっています。
かかりつけ医も、内科、耳鼻科等様々で、医療機関の対応も共通とは言えないようです。 隣の福岡県では、
後遺症相談窓口を設置し、その診察が可能な医療機関のリストまで紹介しています。副反応や後遺症なのかも分からない県民の不安解消へ、代表的な症状から対応可能な医療機関の紹介が必要と思いますが、いかがでしょうか。 そこで、
ワクチン接種後の副反応と
コロナ罹患後の
後遺症対応に向けた取組について、以上、
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 〔
健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕
◎
健康福祉部長(沼川敦彦君) 2点目の
次期ヘルスプランの策定についてお答えします。 現行の
ヘルスプランに基づいて行ってきた医療費や健診結果等の分析から、本県は、40代、50代における空腹時血糖の基準値を超える
糖尿病予備群の割合が、全国よりも高いことなどが分かっています。そのため、健康無関心層と言われる若い世代に向けた情報発信や従業員の
健康づくりに企業全体で取り組む健康経営の普及などを推進してまいりました。 今般、国は、令和6年度からの次期
国民健康づくり運動プランの策定に向けた検討を進める中で、個人が意識しなくても自然と健康になれるような環境をつくることにより、個人の行動変容や健康状態の改善を図るなどの方向性を示しました。 このため、県の
次期ヘルスプランにおいては、これまでの取組に加え、適切な運動や食事をサポートするアプリなどのICTを活用することで、一人一人の
健康状態等に応じた
オーダーメイドの支援などに力を入れていきたいと考えております。 今後、医療や保健などの関係機関で構成される委員会をはじめ、広く県民からも御意見をいただきながら、本県の健康課題の解決に向けた実効性のあるプランの策定に努めてまいります。 3点目の
健康増進施設の活用についてお答えします。
健康増進施設は、医療機関と連携し、運動が安全に行える設備と
健康運動指導士などの有資格者を配置するなど、国が定めた認定基準を満たした施設です。施設の普及を目的として、昨年4月に施設面積の要件等が緩和されたことから、今後新たに参入する事業者の増加が期待されています。 運動は、
生活習慣病などの予防や改善のために欠かせないものであり、基礎疾患のある方でも安全に運動を行うことができる施設が普及することは、本県の
健康づくりに寄与するものと考えています。
次期ヘルスプランの策定過程において、専門家の御意見もいただきながら、
健康増進施設の活用も含めた県民の
健康づくりについて、しっかり議論してまいります。 4点目の
がん対策推進についてお答えします。 本県では、
がん対策推進計画を策定し、予防の観点から、食生活や運動、喫煙といった生活習慣の改善やがん検診の
受診率向上などの取組を進めています。 特に、がん検診は、早期発見、早期治療につながる有効な取組の一つです。 しかし、残念ながら、
新型コロナの影響により、令和2年の全国の
がん検診受診者数は、対前年比で約27%減少し、令和3年においても以前の水準には戻っていません。発見が遅れることで、進行したがん患者が増加するおそれがあることから、県では、ラジオやSNS等を通じて、がん検診の受診を強く訴えているところです。 このような中、今月策定される国の第4期
がん対策推進基本計画では、検診の受診率を50%から60%に引き上げるという高い目標が掲げられる見込みです。 県としても、来年度に策定する次期計画において、企業と連携したがん検診の啓発によるさらなる受診率の向上に向けた施策等に取り組みたいと考えております。 5点目の
HPVワクチン接種機会の周知についてお答えします。 今年度から積極的勧奨が再開されましたが、既に県内全ての市町村が、積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方を含む全ての接種対象者等に対して、必要な情報を確実に伝えるための個別通知を実施しています。県としても、広報媒体を活用し、周知の強化を図っております。 議員御紹介の9価ワクチンについては、現在定期接種の対象となっている2価、4価ワクチン以上に、
子宮頸がんの罹患率を減少させることが期待されています。 こういった情報についても、接種対象者等に確実に届くよう、引き続き、市町村などと連携し、周知等の取組を積極的に進めてまいります。 最後に、
コロナワクチン接種の副反応と
コロナ罹患後の
後遺症対応についてお答えします。 まず、
ワクチン接種後の副反応については、専門的な相談窓口を設置するとともに、
かかりつけ医や身近な医療機関での対応が困難な場合には、専門の医療機関で診療できる体制を整備しています。 ワクチンについては、国から、来年度も無料接種を継続する方針が示されており、引き続き、県民の皆様に安心して接種していただけるよう取り組んでまいります。 次に、
コロナ罹患後の後遺症については、
新型コロナの
一般相談窓口で相談を受けており、必要に応じて専門的な医療機関への受診を促すなど、寄り添った対応に努めています。 そのような中、
新型コロナの対応は、感染症法上の5類への分類変更などにより大きく変化しますが、後遺症に悩まれる方は引き続き一定数いらっしゃることが想定されます。 そのため、県医師会などの関係機関とも協議を進めており、4月中には、後遺症の診療を行っている医療機関を症状別や地域別にリスト化し、県ホームページで公表することとしております。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 熊本県では、40代、50代の空腹時血糖値の割合が高いとのこと。まさしく私がその代表例でございますが、だからこそ、やっぱり健康には留意しないといけないと、自ら思っているところでございます。
次期ヘルスプランではICTを活用した支援も検討するとのことで、医療法42条施設も含めた
健康増進施設が普及することは、
健康づくりに寄与するとの御答弁でありました。ぜひ、
次期ヘルスプラン策定に活用をお願いしたいと思っております。 がん対策については、
新型コロナの影響で検診受診者が減少しているとのこと、国の次期
がん対策推進計画では、検診の受診率を60%にする見込みということで、さらなる受診率の向上へ今後もしっかり議論してまいりますので、規定に捉われず、思い切った施策に取り組んでいただきますよう要望いたします。
HPVワクチンの接種機会の周知については、ある専門の先生のお話を聞く機会がございました。富山県の接種率が高い傾向にあるとのことで調べてみますと、富山県議会議員で産婦人科の女性医師の報告で、分かりやすく怖くないリーフレットを作成しているとの報道を聞きました。 富山県では、医師会、小児科医会、産婦人科医会が一枚岩となってリーフレットを作成し、11歳にある日本脳炎のワクチンの定期接種のときに、あともう一つ残っているからねと、「大人になる前のあなたに・・・大切なワクチンがあります」と題したリーフレットを渡すそうです。 私は専門家ではないので、周知の事実を対象の子供さんがおられるときに必ずお伝えするものの、やはりSNSの情報が先入観としてあられる方が多くおられます。引き続き、情報の周知等、積極的に進めていただきますよう強く要望をいたします。
コロナワクチン接種後の副反応対応については、
かかりつけ医で対応が困難な場合は専門の医療機関への体制を整備しているとのこと。
かかりつけ医に気軽に相談できる環境づくりもお願いいたします。
コロナ罹患後の
後遺症対応については、後遺症なのかも含め、当事者ではなかなか判断できないのではないでしょうか。紹介した福岡県では、ホームページ上に、各地域ごとに、後遺症の診察が可能な医療機関を紹介しています。熊本県も、4月中に、症状別、地域別に医療機関リストをホームページで公表するとの御答弁でありました。医師会との連携も含め、丁寧な相談体制の構築をお願いいたします。 次の質問に移ります。 読書離れの一助になるのか、熊本の子供たちの創造力を育むであろうこども図書館について議論をいたします。 まず、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、文部科学省のホームページから、子どもの読書活動推進の取組についての記載を一部抜粋したものであります。平成16年度の読書活動推進に関する施策の説明に当たり、当時の現状等を述べたものですが、既に20年近く前から子供の読書離れが指摘されていました。 昨今のスマートフォンなど、インターネットを介した情報機器の発達、普及は目覚ましいものがあり、その影響により、私は、以前よりさらに子供たちの読書離れが進んでいるのではないかと危機感を持っております。 次のスライドを御覧ください。(資料を示す) これは、令和4年度に本県社会教育課で実施した熊本県子供の読書活動推進計画に係る
アンケート調査です。この調査は、小中高各10校程度の学校抽出調査により、小学校、中学校、高校に在籍している児童生徒に
アンケートを実施したものです。 令和2年度から令和4年度における1か月に1冊も本を読まない児童生徒の推移として、小学生は、令和2年度が1.8%、令和3年度が2.3%、令和4年度が2.1%とほぼ横ばいですが、中学生は、令和2年度の8.5%に対して令和4年度が13%、また、高校生は、令和2年度の15.8%に対して令和4年度が20.7%と、1か月に1冊も本を読まない生徒の増加が見られております。 次のスライドをお願いいたします。(資料を示す) これは、文部科学省の令和4年度全国学力・学習状況調査の結果であります。「あなたの家には、およそどれくらいの本がありますか」という質問に対して、冊数ごとの分布を示しています。26冊から100冊と答えた割合が、小学校で34%、中学校で32.1%と、それぞれ最も多くなっていますが、下の表は教科ごとの正答率の割合で、家にある本の冊数が多いほど、各教科の平均正答率が高い傾向が見られるとの調査結果が出ています。このことから、読書環境と子供の学力には一定の相関関係があり、影響を与えていることが分かります。 このように、子供の読書離れ、そしてそれに伴う学力への影響が懸念される中、世界的な建築家である安藤忠雄氏から、大阪市、岩手県遠野市、神戸市に続いて、こども図書館を本県に整備したいとの提案があったと伺い、大変ありがたい話だと思っています。 私も、大阪市や神戸市などのこども図書館の先行事例を調べてみました。先行館のこども図書館は、その名称が、こども本の森となっているように、図書館自体の建物を本の森と見立てた世界感のある空間デザインになっています。 子供たちは、まさに安藤忠雄氏の設計によるわくわくするような建物の中で、読みたい本を探し、どこでも好きな場所で、好きな格好で自由に読む、そのような多くの子供たちが本に出会い、親しむ場となっているようです。 また、子供たちに本を読む喜びを知ってほしいと、本のテーマにも工夫がなされています。 例えば、大阪市にあるこども本の森中之島では、子供たちの素直なまなざしと感受性を大切にする物語の聖地をつくるとのコンセプトで、12のテーマを設定してあります。「自然とあそぼう」「食べる」「大阪→日本→世界」「未来はどうなる?」「生きること/死ぬこと」など、すばらしいテーマが設定されており、感銘を受けました。これらの本に出会った子供たちは、きっと自分自身で考える力を身につけることができるのだろうと思います。 今思えば、本を読んで育った我々の時代は、読書で創造力を養うことができていたと思います。現代は、ネットで何でも分かる便利な社会になってしまっていますが、一方で、本に触れる機会が減るというマイナス面もあるのかもしれません。 熊本のこども図書館は、ぜひ読書に親しむきっかけとなるこども図書館にしていただきたいと願っております。 そこで、こども図書館の整備に向けてどのような思いを持っておられるのか、その思いを実現するためにどのような取組を行っていくのか、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 昨年2月、安藤忠雄氏から、未来を担う子供たちの豊かな感性や創造力を育むため、さらには熊本地震からの復興を応援したいとの思いから、こども図書館をぜひ熊本に寄贈したいという御提案をいただきました。 8月には、県と安藤忠雄建築研究所で、こども図書館の整備に係る協定を締結いたしました。 12月に県立劇場で開催したこども図書館キックオフフェスティバルには、800名もの方々に御参加いただき、こども図書館への関心や期待の高さを感じています。 現在、来年春のオープンを目指し、熊本市など関係機関とも連携して準備を進めております。 私は、幼い頃から本が大好きで、たくさんの本を読んできました。読書によって、自分の世界が広がり、人生の夢を持つことができました。政治学者、政治家としての原点は、子供の頃からの読書の中にあると言っても過言ではありません。 読書は、成長過程にある子供たちの人格形成に寄与し、創造力など生きる力を育みます。また、図書館は、子供たちに読書の楽しみや大切さを伝える重要な役割を担っています。 私は、安藤氏から寄贈いただくこども図書館が、新たな熊本の宝として、県民に末永く愛されるようにしたいと考えています。 このため、こども図書館は、県民参加型での運営を目指しています。 具体的には、県民や企業の皆様から寄附金を募り、こども図書館の運営に活用していくこととしており、そのための基金条例を今定例会に提案しております。既に多くの企業から、県に対し、ぜひ応援したいとの思いも届けられております。 また、今後、本の寄贈やこども図書館の運営、読み聞かせなどに御協力いただくボランティアの方々を募りたいと考えています。 こども図書館は、初夏には蛍が飛び交う水前寺江津湖公園の豊かな自然環境の中に整備されます。この特色を生かし、建物の中だけでなく、屋外でも子供たちが自由に読書を楽しめるようにしたいと考えています。 さらに、こども図書館における本との出会いや本に親しむ体験を、隣接する県立図書館でのさらなる学びや探求につなげてまいります。県立図書館との連携や一体的な運営という本県ならではの特徴を十二分に生かしていきたいと思っております。 また、議員御紹介のとおり、大阪市、岩手県遠野市、神戸市のこども図書館では、子供たちの素直なまなざしと感受性に語りかけ、子供の気持ちに寄り添うように多種多様な本が並べられています。 本県においても、先行3館の取組を参考にするとともに、有識者の御意見を伺いながら、子供たちの豊かな感性や創造力を育むテーマの検討や図書の選定を進めてまいります。 安藤氏の思いに県民みんなで感謝しながら、こども図書館が未来を担う子供たちの夢実現に向けたかけ橋となるよう取り組んでまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 知事は、読書によって自分の世界が広がり、人生の夢を持つことができた、政治学者、政治家としての原点は、子供の頃からの読書の中にあるという御答弁でありました。 私も、微力でございますけれども、小中学校での読書が少しの創造力をかき立てたと感じてはおります。 今の子供たちは、朝から晩まで活字の雨に溺れ、自らの創造力を育めない状況ではないかと危惧しております。こども本の森中之島の指定管理者、クリエイティブ・ディレクターは、こども本の森のコンセプトとして「こどもたちの素直な眼差しと感受性を大切にする「物語」の聖地をつくる。」と紹介しています。さらに「自発的に本を読む習慣や、書き手の想いを1人の読み手として受け取る喜びを知ってもらいたい。」とまでおっしゃっております。 多くの企業から、寄附の声が上がっているということでございました。熊本のこども図書館の運営は、既存の県立図書館と連携をして一体的にとのこと。先行の大阪市や神戸市では、図書館専門の指定管理の下、運営に関しては、安藤忠雄氏とのやり取りも相当あったと聞いております。 知事は、未来を担う子供たちの夢のかけ橋となるように全力で取り組むとの御答弁でありました。全国に発信でき得る熊本県のこども図書館になるよう、強く要望をさせていただきます。 次に、各種スポーツ大会のレガシーと今後の活用について質問いたします。 令和2年2月議会において、熊本を世界に発信したラグビーと女子ハンドボールの2つの国際スポーツ大会で得られたものについて質問させていただきました。 当時の知事の答弁は、大会の開催で得たレガシーを、大規模イベント等の誘致、交流人口の拡大など、地方創生につなげてまいるとのことでした。 しかしながら、
新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、イベント等の誘致が困難となり、交流人口も縮小する事態となりました。 一方で、
新型コロナウイルスは、5月8日から、今の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に移行することとなり、今後は、インバウンドの拡大をはじめ、我々の日常生活がコロナ禍前に戻っていくことが期待されています。 そのような中、昨年6月に、国際バドミントン大会、熊本マスターズジャパンが決定し、10月には、ツール・ド・九州2023が、UCI、国際自転車競技連合から国際サイクルロードレースの認定を受けるなど、相次いで熊本における国際大会の開催が決定しました。 これまでの国際大会の運営経験は、世界水準の掌握や視野拡大につながり、外国からのお客様が何に興味を示したかなどの観点も含め、かけがえのない県民の宝になったと確信しております。 そこで、これまでに得られたレガシーを、これから開催する国際スポーツ大会にどのように生かしていくのか、また、スポーツに限らず、様々な国際イベント等の誘致やインバウンド対策等への取組について、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 各種スポーツ大会のレガシーと今後の活用についてお答えします。 本県では、2019年に2つの国際スポーツ大会が同時期に開催されました。延べ約37万人という多くの観客が訪れ、大いに盛り上がり、204億円の経済効果が生まれました。 これらの大会を通じ、県内の体育施設においては、ドーピングルームや照明のLED化など、施設の整備が進み、国際基準の施設となりました。加えて、世界各地から選手、役員などの関係者や観客の方々を受け入れ、交流するためのノウハウなども蓄積されました。 このような国際大会の成功は、多くの県民の経験と自信につながるとともに、世界中に本県の魅力を十分にアピールすることができました。 これらをレガシーとして次世代に引き継ぐため、県では、昨年1月に、官民一体でスポーツによる誘客を推進する組織、くまもっと旅スポコミッションを設立いたしました。 本コミッションでは、スポーツが持つ多様な力を県の活性化につなげるため、国際スポーツ大会の招致を図っています。 このような中、県内初となる国際バドミントン大会、熊本マスターズジャパンが11月に熊本県立総合体育館で開催されることが決定しました。 また、国際サイクルロードレース、ツール・ド・九州2023、これが10月に阿蘇で開催されるほか、ラグビー日本代表国際試合が7月にえがお健康スタジアムで開催されます。さらに、世界マスターズ水泳も8月にアクアドーム熊本で開催されます。 これらの4つの大会が本県で開催されることになったのは、2019年の国際スポーツ大会の経験がレガシーとして評価された結果であると考えています。 県としては、今回の大会開催を成功させ、定期開催化や次なる国際スポーツ大会の招致につなげることで、スポーツを核とした県経済の好循環を図ってまいります。 また、国際スポーツ大会の開催を通じたインバウンドの受入れ実績は、国際イベントの招致にもつながっており、来年度は、半導体や人工知能などの国際会議も熊本市で開催されることが決定しています。 県においても、その効果を県内各地に波及させるため、観光PRや会議後のエクスカーションツアーの実施等に対し、支援を行ってまいります。 さらに、このたびのTSMCの本県への進出を台湾との交流拡大の好機と捉え、台湾で人気の高いバドミントンやサイクリングなど、ターゲットを絞ったスポーツツーリズムを推進することで、熊本への誘客を図ってまいります。 具体的には、両大会を通じた熊本のPR、サイクリング周遊型旅行商品、ディスカバー九州といった県内を周遊する旅行商品の造成、販売支援のほか、教育旅行の受入れ体制の構築を進めます。 このように、スポーツ大会のレガシーを継承し、スポーツはもとより、国際イベントの招致を通じて、より多くのインバウンドを獲得するなど、交流人口の拡大と経済効果の最大化に取り組んでまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 各種スポーツ大会のレガシーと今後の利活用についてということで、今年4つの国際大会が熊本で開催されるのは、熊本にとっても大きな財産であると思います。 昨年設立された、知事も御紹介あったくまもっと旅スポコミッション、これは、中長期的な目標を明確にして、その目標を県民と共有できる仕組みはどうでしょうか。 今月末には、天草走郎ロゲイニングというイベントが企画されています。紙の地図とGPSアプリを使って、チェックポイントで写真を撮ってポイントをゲットする仕組みで、ランで、ウオークで、自転車で天草を満喫するものです。現代版オリエンテーリング的なものでしょうか。観光地や飲食店を巡って探検する企画です。 このように、熊本で観光しながらスポーツを楽しむ、スポーツ合宿で熊本の食を楽しんでもらう等、熊本を発信してもらう流れはまさしくレガシーと言えると思います。引き続き、インバウンドの獲得で、交流人口の拡大と経済効果の最大化に取り組むことを望ませていただきます。 次に、熊本都市圏3連絡道路の早期実現について質問いたします。 先日、県と熊本市が、市の中心部と九州自動車道、阿蘇くまもと空港を結ぶ都市高速道路の整備に向けて、調査費を予算化する方向であることが報道されました。 熊本市は、全国20の政令市の中でも交通渋滞が深刻で、朝夕の渋滞が慢性化しており、県民及び市民の1人当たりの損失額は相当額に上っていると言われます。 折しも、熊本市に隣接する菊陽町にはTSMCが工場を新設することから、さらに交通量が増えると予測されており、TSMC関連工場の進出効果を最大限に生かし、新たな企業を呼び込み、熊本のさらなる発展につなげるためには、熊本都市圏の交通渋滞を解消することが不可欠です。 これまでも、東バイパスの6車線化をはじめとする渋滞対策を国と県及び熊本市で行っていますが、抜本的な解決には至っていません。 そのような中、今回の工場進出を契機とし、熊本都市圏内を往来する車両はますます増加し、渋滞は悪化すると考えます。 熊本の発展のためには、大胆な渋滞対策をスピード感を持って実施することが必要であり、そのためには、県と熊本市が打ち出した熊本都市圏の新たな高規格道路を整備し、10分・20分構想をいかに早期に実現するかが鍵ではないかと考えます。 新聞報道等で話題となっている有料の都市高速道路方式は、自治体からの出資や民間からの資金を調達して、運営する公社が通行料金を返済する仕組みです。 この方式は、通常の事業よりも道路の完成までの期間を短縮して整備できると聞いており、先進事例として、お隣の福岡や広島の状況を調べた結果、福岡県では、昭和46年に事業に着手し、福岡高速道路は48年間で約57キロ、広島県では、17年間で約18キロを整備しています。 福岡県と広島県の事例を見ると、都市の状況や事業を開始した時期は異なるものの、1年当たり1キロ程度のスピードでの整備進捗がうかがえます。 このことから、都市高速道路方式で整備を進めることで、通常の道路事業よりも事業進捗が早いと感じられます。 熊本では、中心市街地から九州縦貫道につながる区間が約10キロと想定されていることから、早期に事業に着手すれば、着手後10年程度で連絡道路のうち1本を完成することも可能と思われ、一日も早い事業着手が望まれます。 今定例会冒頭の議案説明では、知事は、新たな高規格道路3路線の実現に向け、住民参加型の道路計画の検討に着手すると述べられました。 早期の事業着手に向けては、それらの手続を速やかに進めることはもとより、今後どのような手順で進めるのか、県民に丁寧に説明していく必要があると考えます。 そこで、住民参加型の道路計画とは具体的にどのようなものか、また、熊本都市圏の新たな高規格道路の事業着手に向けて、今後はどのような手順で進めるのか、土木部長にお尋ねをいたします。 〔土木部長亀崎直隆君登壇〕
◎土木部長(亀崎直隆君) 熊本都市圏の3連絡道路につきましては、現在、国の協力をいただきながら、県と熊本市が連携して、ルートや構造、有料道路制度の活用を含めた事業手法など、様々な観点から検討を深めております。 今後、計画の具体化に向けた取組をさらに加速させるため、住民参加型の道路計画の検討に着手してまいります。 住民参加型の道路計画は、計画の具体化の段階で、
アンケート調査や説明会などを行い、住民の皆様の御意見を把握しながら、地域の課題を明確にするとともに、複数のルート案の比較や評価を行うものです。また、有識者など客観的な立場の方々から助言などをいただくことも必要だと考えております。 これらの取組をしっかりと進め、早期事業化に向けて最も効果的で効率的なルート案や事業手法を選定し、環境影響評価や都市計画の手続につなげてまいります。 県としましては、引き続き、国や熊本市等と連携を図りながら、熊本都市圏の3連絡道路の早期実現に向け、スピード感を持って取り組んでまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 熊本都市圏3連絡道路の早期実現について質問をさせていただきました。 今後、計画の具体化に向けた取組を加速させるため、住民参加型の道路計画検討に着手するとの御答弁であります。 この計画は、具体化の段階で、
アンケート調査や説明会で意見を聴き、地域の課題を明確にして、ルート案の評価を行うものと聞きました。 では、早期実現に向け、スピード感を持って取り組むとは、例えば、今年中に何をするのか、いつまでに何ができそうなのか等、できれば、わくわく感を示していただけないでしょうかと思っております。 質問で取り上げましたように、福岡、広島の例を挙げましたけれども、10キロ、10年で姿が見えてくるのか。様々な段階を踏むのは承知しておりますが、ぜひとも早く前進すべきと要望をさせていただきます。 次に、動物愛護センターの整備状況と今後の活用について質問をさせていただきます。 蒲島知事は、犬猫の殺処分ゼロを目指すことを3期目のマニフェストや熊本復旧・復興4カ年戦略に掲げ、動物愛護の強化に取り組んできましたが、私も、これまで動物愛護に関する質問を繰り返してきました。 近年、犬や猫などの動物を単なるペットとしてではなく、大切な家族の一員であるとの認識が広まっており、動物に関する県民の意識は変化しています。 一方で、熊本地震を通じて、ペットとの同行避難やペットの避難所での受入れ等が社会的課題となるなど、災害時におけるペットの救護についても、関心が高まっているところです。 このように、県民の動物愛護に対する機運が高まっている中で、愛護に対する施策を拡充するという県の姿勢が示されるとともに、従来の動物管理から動物愛護へと基本方針が大きく変更され、第3次熊本県動物愛護推進計画の下、動物愛護及び管理に係る施策を推進していることは、大変意義深いものと考えています。 そのような中、現在、宇城市松橋町の松橋不知火浄水管理センター北側において、令和5年度末の完成に向けて、新熊本県動物愛護センター(仮称)の整備が進められています。 この新センターにおいては、譲渡を推進するための適切な飼養管理とともに、県内の動物愛護の拠点としての役割が大いに期待をされています。 しかしながら、動物愛護をめぐる課題として、犬や猫に対するマイクロチップの普及啓発や避妊去勢手術の推進、飼い主のいない猫の餌やり、ふん尿被害の対応など、地域全体における動物の飼養管理の在り方が議論になっているところであります。 さらに、新センターにおいて、動物の飼養管理に関わる組織や人員の配置、職員のスキルアップ等、管理運営体制の仕組みのほか、動物愛護啓発や教育の拠点として、県民が何度も訪れたくなるような場所となるための新たな仕掛けや人と動物が共生する地域づくりに向けた情報発信も必要と思われます。 そこで、新センターの現在の整備状況と竣工後の動物愛護推進体制及び活用に向けた取組について、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、ネブラスカ大学農学部で繁殖生理学を学んでいた頃から、人と動物との共生の大切さとその実現の難しさを感じております。その思いから、殺処分ゼロを目指し、動物愛護の取組に力を入れてきました。 取組を加速化するきっかけの一つとなったのが、熊本地震です。発災後に、当時の動物管理センターに多くの被災した動物が保護されました。混乱の中にもかかわらず、動物愛護団体等の協力を得ながら、多くの動物を返還または譲渡することができました。 そして、この流れを止めないために、動物愛護の拠点として、新たな動物愛護センターを整備することといたしました。 新センターでは、保護した動物を個別に管理できるようにするとともに、空調設備や運動スペースなども整備いたします。これにより、健康や安全に配慮した飼育を行うことが可能となります。 開所後は、動物愛護団体やボランティア、市町村等と連携した県全域での動物愛護推進体制を整備し、特に教育や啓発に力を入れたいと考えています。 展示ブースや運動スペースを活用し、子供をはじめとする県民の皆様が動物を身近に感じながら学べる工夫を取り入れるなど、動物愛護教育を充実してまいります。 殺処分ゼロは、行政だけで実現できるものではなく、県民の皆様や関係団体等の協力が不可欠であります。 「命を大切にし、やさしさあふれる人と動物が共生するくまもと」の実現に向け、新センターを拠点として、動物愛護の取組をより一層進めてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕
◆(前田憲秀君) 新しい動物愛護センターは、動物愛護の拠点として、動物愛護団体やボランティア、市町村等と連携をした県全域での動物愛護体制を整備し、教育や啓発に力を入れるとの御答弁でありました。 修学旅行や研修会の拠点等、全国に発信できる特徴ある愛護センターになることを要望させていただきたいと思っております。 次の質問に移ります。 阿蘇くまもと空港の活性化について質問いたします。 熊本地震からの創造的復興のシンボルである阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが、いよいよ3月23日に開業します。 新たなターミナルビルは、搭乗直前までショッピングやグルメを楽しむことができる滞在型ゲートラウンジが整備され、阿蘇の人気グルメや天草の海の幸など、熊本の魅力が詰まったフードエリアを中心に計29店舗が出店し、県産材がふんだんに使われたデザイン性の高い空間で快適な時間が過ごせるようであります。 また、館内には、混雑状況をリアルタイムに把握し、モニターで表示することで、利用者を混雑させないエリアに誘導する旅客動線管理システムの導入や、保安検査場では、一度に複数人が検査レーンを利用でき、待ち時間を短縮できるスマートレーンの設置など、最先端機器が導入され、利便性が大きく向上すると言われております。 さらに、飛行機をより近くで眺めることができるように、滑走路側へせり出した花道型の展望デッキがあるなど、魅力が満載だそうです。 建物については、熊本地震の教訓を生かし、大地震にも耐える強靱な構造となっており、電源は、複数の変電所から受電するほか、72時間対応可能な非常用発電機を設置するなど、災害時でもライフラインの確保のできる機能等を有しています。 また、空港敷地内には太陽光発電設備が整備され、SDGsにも配慮した施設となっています。 とてもすばらしい空港へと生まれ変わった熊本の空の玄関口を多くの方に知っていただき、利用者を増やしていくことが最も重要です。 熊本国際空港株式会社が目標とする2051年度の622万人の達成に向けても、開業後、広く周知を行い、利用者を増やしていく必要があります。 さらに、国際線も再開し、開業日には、熊本と台北を結ぶチャーター便も就航しますが、国際線のさらなる拡大と、国内線においては地方間を結ぶ熊本―静岡線の維持や拡大が重要と考えます。 そこで、阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルの開業を県内外にどのように情報発信していくのか、そして国際線、国内線の路線拡大と利用者増にどのようにつなげていくのか、
企画振興部長にお尋ねをいたします。 〔
企画振興部長高橋太朗君登壇〕
◎
企画振興部長(高橋太朗君) まず、新ターミナルビルの情報発信についてお答えをいたします。 新しく生まれ変わる空港をより多くの方に知っていただくため、現在、様々な媒体を活用して、空港のリニューアルと熊本地震からの創造的復興が進む熊本の姿をPRする取組を進めています。 具体的には、ウェブ上の特設サイトの開設やテレビCM、新聞、エアライン機内誌での広告など、県内外に向けたプロモーションを熊本国際空港株式会社と連携して実施しています。引き続き、新年度においても、プロモーションを継続するための予算を今定例会に提案しています。 次に、国際線、国内線の路線拡大についてお答えをいたします。 まず、国際線については、令和2年3月以降全便が運休していましたが、本年1月5日、2年10か月ぶりにソウル線が週3便で復便し、全国の地方空港の中でも、早期に定期便の再開を果たしました。 ソウル線の1月の利用率は、平均で74.3%と好調であり、今月から週7便のデーリーの運航となりました。 今後は、インバウンド、アウトバウンド双方の需要創出に取り組み、既存路線の復便や熊本―台北線などの新規路線の誘致につなげてまいります。 次に、国内線ですが、議員御指摘の静岡線について、今年度の1月までの利用率は45.2%であり、さらなる利用促進が必要と考えています。 このため、県としましては、熊本国際空港株式会社はもとより、航空会社であるFDA、静岡県、富士山静岡空港株式会社も合わせた5者一体で、路線の認知度向上や旅行商品の造成支援などに取り組んでまいります。 今後も、新しく生まれ変わった空港を広く情報発信するとともに、航空ネットワークの拡大に積極的に取り組み、阿蘇くまもと空港の活性化につなげてまいります。 〔前田憲秀君登壇〕