平成30年 6月 定例会 第 5 号 (6月19日) 平成30年 熊本県議会6月定例会会議録 第5号平成30年6月19日(火曜日
) ――――――――――――――――― 議事日程 第5号 平成30年6月19日(火曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第2 議案等に対する質疑(第1号から第29号まで) 第3
知事提出議案の委員会付託(第1号から第29号まで) 第4 請願の委員会付託 第5 休会の
件 ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第29号まで)
知事提出議案の上程(第30号) 知事の提案理由説明 日程第3
知事提出議案の委員会付託(第1号 から第30号まで) 日程第4 請願の委員会付託
知事提出議案の上程(第31号及び第32号) 日程第5 休会の件 ――――――○――――――出席議員氏名(45人) 松 野 明 美 さん 山 本 伸 裕 君 岩 田 智 子 さん 吉 田 孝 平 君 中 村 亮 彦 君 大 平 雄 一 君 髙 島 和 男 君 末 松 直 洋 君 松 村 秀 逸 君 岩 本 浩 治 君 前 田 憲 秀 君 濱 田 大 造 君 磯 田 毅 君 西 山 宗 孝 君 河 津 修 司 君 楠 本 千 秋 君 橋 口 海 平 君 緒 方 勇 二 君 増 永 慎一郎 君 髙 木 健 次 君 髙 野 洋 介 君 内 野 幸 喜 君 西 聖 一 君 浦 田 祐三子 さん 山 口 裕 君 早 田 順 一 君 渕 上 陽 一 君 田 代 国 広 君 森 浩 二 君 坂 田 孝 志 君 溝 口 幸 治 君 小早川 宗 弘 君 池 田 和 貴 君 吉 永 和 世 君 岩 中 伸 司 君 城 下 広 作 君 氷 室 雄一郎 君 鎌 田 聡 君 松 田 三 郎 君 藤 川 隆 夫 君 岩 下 栄 一 君 小 杉 直 君 前 川 收 君 西 岡 勝 成 君 山 本 秀 久 君欠席議員氏名(なし
) ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名 知事 蒲 島 郁 夫 君 副知事 田 嶋 徹 君 副知事 小 野 泰 輔 君 知事公室長 坂 本 浩 君 総務部長 池 田 敬 之 君 企画振興部長 山 川 清 徳 君 健康福祉部長 古 閑 陽 一 君
環境生活部長 田 中 義 人 君
商工観光労働 磯 田 淳 君 部長
農林水産部長 福 島 誠 治 君 土木部長 宮 部 静 夫 君 国際スポーツ 小 原 雅 晶 君 大会推進部長 会計管理者 能 登 哲 也 君 企業局長 原 悟 君 病院事業 三 角 浩 一 君 管理者 教育長 宮 尾 千加子 さん 警察本部長 小 山 巌 君 人事委員会 田 中 信 行 君 事務局長 監査委員 濱 田 義 之 君 ――
―――――――――――――――事務局職員出席者 事務局長 吉 田 勝 也 事務局次長 横 井 淳 一 兼総務課長 議事課長 中 村 誠 希 審議員兼 村 田 竜 二 議事課長補佐 ――――――○―――――― 午前10時開議
○副議長(森浩二君) これより本日の会議を開きます。 ――――――○――――――
△日程第1 一般質問
○副議長(森浩二君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 渕上陽一君。 〔渕上陽一君登壇〕(拍手)
◆(渕上陽一君) 皆さん、おはようございます。山鹿市選出・自由民主党の渕上陽一です。 村上先生には、初当選以来、大変お世話になりました。急なことで大変残念なことでありますが、今日まで御指導いただきましたことに対し、心から感謝を申し上げ、御冥福をお祈り申し上げます。 本日は、蒲島県政3期目の折り返しに当たり、改めて人口減少問題をテーマに質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。 初めに、
人口減少社会への対応に関する基本的な考えについてお尋ねいたします。 私は、平成25年2月定例会の一般質問において2030年問題を取り上げ、その中で、国立社会保障・
人口問題研究所が平成24年1月に発表した日本の将来推計人口と平成25年1月に発表した日本の地域別将来推計人口、いわゆる
増田レポートを紹介しました。 この
増田レポートの発表以来、我が国の少子化、高齢化、人口減少、限界自治体等をめぐる論説や議論が沸き起こり、今や我が国の現在と将来を考えるとき、少子化・高齢化・人口減少問題は、あらゆる分野において最も大きく、最も複雑で、最も困難な課題として、国と国民全体に重くのしかかっております。 ことし4月、熊日新聞が、
蒲島知事就任10年に当たっての県民意識調査を行いました。その中で、蒲島県政を評価するとした人が全体の67%に上ったことはまことに喜ばしいことでありますが、その一方で、蒲島県政を評価しない理由の中で、高齢化・少子化対策が、景気・雇用対策に次いで2位、今後の県行政で重視してほしい施策でも、熊本地震の復旧、復興に次いで僅差の2位という結果となっており、この問題に対する県民の関心の高さが見てとれます。 本県で、
熊本地震発生からの復旧、復興が最優先になっていることは当然のことであり、地震直後から現在に至るまでの知事の決断と方針に、全面的に賛同するものであります。 ただ、その中にあっても、人口減少はひたひたと進んでおり、復旧、復興をなし遂げた後に、本県が改めて人口減少問題の深刻さに直面し、対応が後手に回りはしないかと危惧するところであります。 さて、今月1日、厚生労働省が平成29年
人口動態統計を発表しましたが、そのポイントは次のとおりです。 1、昨年1年間に誕生した赤ちゃんの数は、これまでで最も少ない。2、同じく、死亡した人の数は、戦後で最も多い。3、出生数から死亡数を引いた自然増減は、これまでで最大の減少幅。4、結婚の件数は、戦後で最も少ない。5、
合計特殊出生率は、前年より0.01ポイント低下し1.43。 私は、この厳しい数字を見たとき、大きなショックを覚えました。出生数は、下げどまるどころか減り続け、出生率は、人口の自然増と自然減との境目とされる2.07を大きく下回ったままであります。 結婚も、就職氷河期に社会に出て、今30代半ばから40代後半の世代の中には、非正規の仕事のため職、が不安定で、家庭を支えるだけの収入が得られないとして、結婚、そして出産に消極的な人たちが数多く存在します。 一方、高齢化は、今や高齢者の高齢化という言葉や元気な高齢者による高齢者介護が提案されるほど進行し、今後、医療、介護、福祉に必要とされる予算や人員は、それを支えていく若い世代にとっては、絶望的なほどにふえ続けています。 人口は、国のよって立つ最も重要な基盤であり、福祉、教育、産業など、あらゆる政策に最も大きく影響する、全ての
行政サービスの基礎であります。 しかし、これまで5年間、国を挙げてこの最重要問題に取り組んできたにもかかわらず、人口減少を食いとめる糸口さえつかむことができず、むしろ、残念ながらもはや食いとめることはできないんだろうという思いが、熊本県民の皆さんはもちろん、多くの国民の心に宿っているのではないかと推測するところです。 であるならば、私は、県が、
行政サービスの最前線で人口減少と高齢化に直面し、苦労されている市町村の皆さんと問題意識を十分に共有化しながら、人口減少を前提とした
社会経済システムの再構築を議論し、検討し、つくり上げていくことが必要ではないかと考える次第です。 そこで、蒲島知事におかれては、今この人口減少問題について、いかなるお考えをお持ちか、また、どのように対応していこうと考えておられるか、お尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 人口減少は、我が国にとって深刻な問題です。
増田レポートでは、このまま事態が推移すれば、多くの市町村が消滅しかねないことが警告されました。 地方にこのような危機が訪れているのは、2つの原因があります。それは自然減と社会減です。 1つ目の自然減は、高齢化と少子化による自然減です。我が国は、経験したことのない高齢化社会に突入し、多死時代を迎えています。 2つ目は、地方から都会へ若者が流出する社会減です。大学進学や就職で多くの若者がふるさとを離れ、東京などの大都市に出ていきます。 ここで問題なのは、九州・山口地域のように、出生率が高い地方から出生率が非常に低い東京などの大都会に若者が流出し、人口減少が加速度的に進んでしまうことです。負のスパイラルから抜け出すのは簡単ではありませんが、この流れを少しでも食いとめなければなりません。 国も、この構造的な課題の解決に踏み出しています。例えば、東京23区の大学の定員増を、原則10年間認めないこととしました。 国に対しては、引き続き、企業、大学、研究機関の地方移転や移住・定住促進策の加速など、地方への新しい人の流れをつくる取り組みを、強力に推進していただきたいと思います。 県としては、
人口減少社会への対応として、次の3つのことに取り組んでいきます。 1つ目は、熊本でより多くの子供が生まれるように、出産、育児をしやすい環境をつくっていくことです。 具体的には、多子世帯の保育料の軽減など、結婚、妊娠、出産、子育てのそれぞれのステージに応じた切れ目のない支援を行っています。また、よかボス宣言により、出産や子育てを応援する職場をつくっていく機運醸成を図ります。 2つ目は、できる限り多くの若者が、熊本で就職して定住することを進めていくことです。 具体的には、
地域未来投資促進法を活用した地域経済を牽引する産業の育成や県下全域での企業誘致など、雇用の創出を加速してまいります。また、ブライト企業の認定による魅力ある県内企業の認知度向上や
奨学金返還支援制度の創設などにより、若者の県内定着を推進します。 3つ目は、熊本で暮らすほうが都会で生活するよりも豊かな人生を送れることを、若者に伝えていくことです。 本県には、美しい自然や景観、豊かな地下水や豊富な農林水産物があります。そして、住居費用など生活コストも都会に比べて低く、いわゆる可処分所得が高い、豊かな暮らしを営める環境があります。 人口減少に歯どめをかけることは容易ではありません。しかし、熊本には、危機を克服する十分なポテンシャルがあると考えています。過度に悲観的になることなく、私が先頭に立って、
人口減少社会に、また、人口減少問題に果敢に取り組んでまいります。 〔渕上陽一君登壇〕
◆(渕上陽一君) 人口減少問題は、質問で申し上げましたように、大変難しい問題であります。今知事より、過度に悲観することなく、先頭に立って人口減少問題に果敢に取り組むと、力強い答弁をいただきました。
行政サービスの最前線で、人口減少や高齢化に直面し、大変苦労されております市町村の皆さんの意見を聞きながら、知事、先頭に立ってこれからも頑張っていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。 次に、
人口減少社会における
スマート農業の推進と労働力確保についてお尋ねいたします。 本県は、トマト、ナス、スイカ、イチゴ及びメロンの主要5品目の出荷量が全て全国上位の
施設園芸産地であり、加えて、キュウリやアスパラガスなどの多くの品目で施設栽培が展開されています。 私の地元山鹿・鹿本地域は、スイカ、メロンの主産地として長年県内の施設園芸をリードしてきましたが、今や他の
トマト産地等にその座を奪われた感は否めません。 本県の
施設園芸農家の戸数が、平成2年の1万4,000戸から、平成27年には約9,000戸へと減少する中、トマト産地では、雇用労働力の活用による規模拡大や、新技術や新品種の導入による反収の増大等により、どうにか生産力が維持されております。 一方、スイカなどは、収穫作業が一時期に集中し、短期雇用が多いため、労働力を親戚や近隣の人たちに頼ってきたことから、農村地域での高齢化が進む中で、労働力の確保に苦慮しているのが現状です。 産地における生産力低下に歯どめがかからない背景として、こうした生産現場等での労働力不足が、最近、特に大きな問題になっています。さらに、JAの選果場においても、他業種に雇い負けし、人手不足となってきています。 もちろん、JAでも、農家の求人と求職者をマッチングする
無料職業紹介事業を実施するなど、労働力の確保に努めておられますが、全国的に人手不足が深刻化する中で、十分な手当てができていないのが現状です。 また、米、麦、大豆などの
土地利用型農業においては、地域営農組織への農地集積、大規模化が進んでいますが、規模拡大になればなるほど管理する農地の枚数は膨大な数に及ぶため、労働力が限られている中で、将来にわたって地域の担い手としての役割を果たせるのかが心配されます。 農水省が、49歳以下の農業経営者や法人役員等、若い農業経営者を対象に実施した調査では、将来に対して不安を感じることは、労働力の確保が最も多いという結果であり、若い農業者でさえ、将来に向けての投資ができにくい状況に置かれていることを示しております。 一方で、今大きな関心を集めておりますのが、ロボット技術や情報通信技術、いわゆるICTを活用して省力化や精密化などを進める次世代農業、すなわち
スマート農業であります。 私は、先日、植木町にある
JA熊本経済連のモデル農場、
ネクストくまもとを視察しましたが、ITを活用し、光、温度、湿度、養水分、風、CO2など、作物の生育環境を自動制御することによって、最適な環境をつくり出し、高収量と高品質を実現するとともに、農業では難しい日曜日の完全休日を可能にする生産体制を実現されていました。 人口減少と高齢化が進み、担い手、労働力の不足が続いてきますと、農業生産の規模、質ともに従来のレベルを維持することは難しく、選果場においては、農業者の所得確保の肝となる消費地に向けた戦略的出荷が困難となるおそれがあり、
有力施設園芸地としての本県の生産力、競争力の低下をもたらしかねません。 さらに、こうした問題に加え、これまで農家が連綿と培ってきた細やかな温度・湿度管理や、植物の姿を見ながらのかん水、肥培管理等、生産技術の継承も危うくなってきているのではないかと心配しています。 とりわけ、山鹿はもちろん、県内各地におられる○○名人と呼ばれる農業の達人たちが、年々高齢になっていかれる中、その貴重なわざをどうにかして受け継いでいかなければならないと、焦りさえ覚えるこのごろです。 私は、国内外の産地との競争が一層激しさを増す中、本県が勝ち抜いていくための一助として、従来の経験と勘による栽培に加えて、IT等の活用によるデータ重視の効率的栽培や労働力軽減などを可能にする
スマート農業への転換を進め、次世代型の生産モデルと経営モデルを確立する必要があると考えます。 あわせて、ITに強い若い世代が、実際に
スマート農業を体感し、みずから工夫を重ねる中で、新しい農業の姿を夢に描くことができれば、担い手の確保にもつながっていくものと期待するところであります。 今後、本県の農業が継続的に維持、発展していくための鍵の一つが
スマート農業であり、強力に推し進める必要があると思いますが、その基本方針について、知事にお尋ねいたします。 あわせて、特に施設園芸において喫緊の課題となっている
労働力確保対策について、県としてどのように取り組まれるのか、
農林水産部長にお尋ねいたします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 私は、知事就任直後から、全国に先駆けた農地集積や広域農場の設立、輸出の促進などにより、P、価格、Q、生産量、C、コストの最適化を進め、稼げる農業の実現に向けて取り組んでまいりました。
人口減少社会が進展する中、さらに力強くこの取り組みを加速させるには、議員御指摘のとおり、
スマート農業の活用が重要と考えています。そのため、現在、県では、3つの視点で実証事業や試験研究を展開しています。 1つ目は、少ない労働力による農作業の効率化の視点です。
土地利用型農業において、
ネットワーク大津などの広域農場では、
ICTシステムを導入して農業機械の効率的な稼働を進めています。このシステムを活用し、
オペレーター同士が携帯端末で進捗状況を共有しながら作業を補完し合うことで、人手不足への対応やコスト低減につなげています。 2つ目は、栽培管理の自動化による収量、品質の向上の視点です。 本県が誇るトマトなどの施設園芸において、ハウス内の温度や湿度、
二酸化炭素濃度などを自動で最適に管理する環境制御機器の導入を進めています。作物の生育に応じて施設を効率的かつきめ細やかに管理することで、さらなる収量、品質の向上につなげていきます。 3つ目は、たくみのわざの見える化による、誰もが実践可能な農業技術の視点です。 経験と勘に頼らない栽培管理を目指し、ドローンで撮影したデジタル画像の解析により、作物の生育を診断する技術開発を、今年度から
アグリシステム総合研究所で始めています。この技術の確立により、生産性の向上だけでなく、次代を担う
新規就農者等へ、継承可能な形で伝えていきます。 県としては、
人口減少社会が進展する中にあっても、これらの3つの視点により、
スマート農業に積極的に取り組むことで、新たな可能性を引き出し、世界と戦える農業を目指してまいります。 〔
農林水産部長福島誠治君登壇〕
◎
農林水産部長(福島誠治君) 施設園芸における労働力の確保についてお答えします。 人口減少と高齢化が進む中、施設園芸においても、労働力の確保は、熊本地震後、一段と厳しさを増しています。 また、栽培している品目によって、トマトのように1年近く人手を要するものがある一方で、スイカ、メロンのように収穫期だけに短期の人手を要するものも多くあるなど、施設園芸においては、単独の品目だけで常時の雇用を行うことは難しい状況にあります。 このため、県では、国内人材の効率的な活用と外国人材の受け入れによって、必要な労働力が確保できるよう、取り組みを進めております。 まず、国内人材につきましては、隣接する熊本、鹿本、菊池の3地域で広域的に人材を融通し合うことで、品目により異なる労働ピークを平準化する取り組みを行っています。また、集出荷場の人手が不足している阿蘇地域では、アスパラガスを八代の集出荷場に移送したり、さらに、農家がパック詰めの作業に多くの時間を割いているイチゴやミニトマトについては、JA等の
パックセンターの整備を支援することなどで、労働力の集約を進めております。 次に、外国人材につきましては、現在、
国家戦略特区を提案している中、新たな動きとして、先日、国において骨太の方針が閣議決定され、就労を目的とした新たな在留資格を創設する方針が示されました。
国家戦略特区制度と両にらみで情報収集を行い、制度の具体的な内容を比較検討しながら、特区提案の趣旨に沿った外国人材の受け入れと育成が可能となるよう、準備を進めてまいります。 なお、
外国人技能実習制度において、新たにJA等が受け入れ主体となって、農作業はもとより、
集出荷施設等での実習受け入れを行うことが可能となりました。 先月末に、
JA熊本中央会と県との間で、技能実習の適正な実施を確認、指導する協議会を設置し、JA等への支援に着手したところです。 今後とも、日本一の
施設園芸産地である熊本農業のさらなる発展に向け、多様な人材確保の取り組みを、総合的に、かつ、スピード感を持って進めてまいります。 〔渕上陽一君登壇〕
◆(渕上陽一君) 知事に、新たな可能性を引き出し、世界と戦える農業を目指すと御答弁いただきました。 TPPを初め、国内外の産地との競争が、一層激しさを増していくと思います。これから、
スマート農業を積極的に推進し、これは部局を乗り越えて、ぜひとも取り組んでいただきたいというふうに思います。 また、労働力の確保でありますけれども、先ほど質問の中で言いました。今農業にとりまして喫緊の課題であります。スピード感を持って取り組んでいただきますよう、お願いを申し上げます。 次に、次世代に向けた森林整備の進め方についてお尋ねいたします。 我が国の林業は、今林政の大転換と呼ばれる大きな変化に直面しようとしています。 まず、先月25日、政府が、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るためとして、国会に提出した
森林経営管理法案が可決、成立しました。 次に、林野庁は、新たな
森林管理システム構築に向けた取り組みを本格化するため、2018年度予算に235億円の
林業成長産業化総合対策を盛り込みました。 さらに、政府は、新たに森林環境税を創設し、2024年度から、住民税に1人当たり1,000円上乗せして徴収することを決定しました。 今般、このような林政大転換に至った背景には、もちろん我が国の森林、林業の現状があります。 我が国は、世界有数の森林国であり、国土の3分の2を森林が占めていますが、そのうちの4割が戦後すぐに植林された杉やヒノキなど人工林であり、両方合わせると森林面積の全体の28%に相当します。 こうした人工林のうち、杉は、植林開始以来半世紀がたち、その6割が主伐期、すなわち伐採適齢期を迎えていますが、伐採しても輸入材に勝てないことから、全国の私有人工林670万ヘクタールのうち7割は、適切な管理がされずに放置されていると見られています。 その結果、国土の大半を占める森林が利益を生まないばかりか、昨年7月、福岡県朝倉市で発生した九州北部豪雨による大水害の際には、植林した山の深い層からの大規模斜面崩壊によって大量の土砂崩れや杉流木が発生し、未曽有の河川氾濫を引き起こしたことが判明しております。同様の災害は、全国に広く存在する杉山のどこで起きても不思議ではないと指摘されております。 こうしたリスクに対応していくためにも、今般の林政大転換が実施されようとしているわけであり、その概要は次のとおりであります。 1、森林所有者に適切な経営管理、すなわち適時伐採、造林、保育の実施を促すための責務を明確化する。2、森林所有者みずから経営管理を実施できない場合は、市町村が所有者から経営管理の委託を受け、意欲と能力ある林業経営者に委託する、いわゆる森林バンク制度を創設する。3、採算に乗らない等の理由で再委託できない森林は、市町村が経営管理を行い、広葉樹等を交えた複層林に誘導する。4、所有者不明の森林は、一定の手続により市町村が経営管理権を設定することができるものとする。5、現在、間伐等の森林整備に毎年支出している約1,200億円の補助金は、間伐材を売った利益と補助金を合わせて間伐等の経費を賄うことのできる森林の整備に充てる。約600億円と見込まれる森林環境税は、これに当てはまらない森林の整備に充てる。 こうした政策転換に対し、林業家や専門家からは、以下のようなさまざまな不安や疑問の声が上がっております。 1、今般の政策転換の最も大きな役割を担う市町村に、林業を専門とする職員がほとんどいない状況の中で、一体誰がどうやって実務を担っていくのか。2、造林を含む長期的な経営管理をきちんと担える林業経営者を十分に確保できるのか。3、伐採が大規模な業者だけに集約され、過剰な伐採が進み、余計に荒れる山がふえるのではないか。 こうした声にしっかりと応え、納得を得て初めて利害関係者の政策転換への理解が進むことになるわけでありますので、今後の行政の努力が待たれます。 さて、近年、私の地元も含めた全国各地で、山主が伐採適齢期に育った立ち木を一斉に切り倒す主伐、いわゆる皆伐がふえておりますが、その結果、裸になった山を植林しないままに放置している造林未済地がふえております。 森林経営に適した森林においても、伐採後の山で行われる植栽、下刈り等の森林の造成、保育作業は、林業をなりわいとする人々の生活基盤確保、地域の雇用促進、資源の乏しい我が国の自前の資源確保、自然災害の防止など、大きな多面的役割を担っておりますことから、切って、使って、植えて、育てるというサイクルを回し続け、次の世代に引き継いでいかなければなりません。 こうした状況の中で、県が、林業大学校を開設し、即戦力となる人材を育成していくことは、林業の発展に欠かせないものであり、大変期待しているところであります。 特に、新たに林業への就職を希望する人を対象とした1年間の研修課程においては、森林、林業、木材産業に関する基礎知識の習得に加え、森林調査に必要な測量技術、さらにはチェーンソーによる木材の伐採技術の習得など、幅広い分野の講義や実習が行われると伺っております。 一方で、林業大学校は、林業を志す仲間との出会いの場でもあり、県内各地に仲間ができることにより、情報交換や悩みの相談などができるなどの副次的な効果も期待でき、これによって若い世代の林業への就労がふえることを切に願っております。 以上、これから始まる林政の大転換と次世代に向けた森づくり並びに熊本県林業大学校について述べてまいりましたが、県としては、今から始まる大変革に、どのような基本方針で対処していかれる御所存か。 また、今後、森林所有者や地域林業の主要な担い手が、意欲的に次世代の森づくりに取り組めるよう、皆伐後の植栽、保育といった森林の再造成をどのように進めていこうとされているのか。 以上2点について、
農林水産部長にお尋ねいたします。 〔
農林水産部長福島誠治君登壇〕
◎
農林水産部長(福島誠治君) 先人の努力により造成された森林が主伐期を迎える中、この森林資源を循環利用していくことで、林業の成長産業化と森林管理の適正化を両立させることが大変重要です。 このような中、来年4月から、森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムと森林環境譲与税の導入が予定されており、議員御指摘のとおり、我が国の林業は大きな転換期に直面しています。 このため、県としましては、新たな森林管理システムの運営主体となる市町村の実行体制づくりとともに、林業生産性の向上を目指す林業事業体を適切に選定し、高性能林業機械の導入などにより、重点的に支援することとします。 さらには、高度な技術と能力を有する新たな林業担い手を育成するため、時代のニーズに対応した研修やカリキュラムの導入を図り、林業大学校として、来年4月の開校に向けた準備を進めてまいります。 林業の大きな転換期をチャンスと捉え、未来ある熊本林業の実現に向けて、関係者と一丸となって取り組んでまいります。 次に、森林の再造成についてお答えします。 森林資源が成熟期を迎える中、木造住宅の着工戸数は好調を維持し、木質バイオマス発電や木材輸出などの需要も増加していることから、今後、主伐面積が急速にふえていくものと見込まれます。 このため、林業が持続的に発展していけるよう、森林所有者の負担軽減や林業の担い手の作業効率に配慮しながら、再造成を進めていくことが重要と考えております。 そこで、県では、今年度から、水とみどりの森づくり税を活用し、苗木代や鹿ネット設置の支援強化により森林所有者の負担軽減を図ることで、再造林を推進することとしております。 また、本県では、主伐時に使用する大型機械を、そのまま枝葉の整理や苗木の運搬等に活用することで、再造林の効率化やコスト削減を図る主伐・植栽一貫作業システムにいち早く取り組んできました。 今年度からは、新たに国も補助事業を創設したところであり、両事業に一体的に取り組むことで、県下に広く普及させたいと考えております。 さらに、新たな森林管理システムの運用を早期に軌道に乗せることで、造林未済地の発生を抑制し、再造成を適切に実施してまいります。 今後とも、市町村や地域林業を支える林業事業体と十分に連携をとりながら、森林資源が適切に管理され、林業の担い手が誇りを持って取り組むことができる、次世代に向けた森林整備をしっかりと進めてまいります。 〔渕上陽一君登壇〕
◆(渕上陽一君) 私は、林業は日本人の心だと思っております。自分のときよりも子供や孫のためにと、そんな思いで私は木を植えていかれたんだろうなというふうに思っているわけでありまして、これからも、切って、使って、植えて、育てるというサイクルをしっかりと回し続けていくことが私たちの責任だというふうに思っておりますので、しっかりと準備をしていただきながら、これからも頑張っていただければというふうに思います。 次に、外国人観光客の誘致に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 我が国は、少子高齢化と人口減少の進行に伴って、今後、長期にわたって経済規模の縮小が続いていくことが懸念されております。 その一方で、内需喚起に効果的な手段の一つとして注目を集めておりますのが、インバウンド、すなわち日本を訪れる外国人旅行者の増加に向けた取り組みであります。 我が国への外国人の旅行者数は、長らく500万人から850万人の間で推移しておりましたが、2013年に初めて1,000万人を達成して以来、2016年には2,000万人を突破し、ことしは4月までの4カ月間で既に1,000万人を超え、年間合計では3,000万人に達しようかという勢いを示しております。 観光産業は、旅行業、宿泊業を初め、飲食や物販、交通事業など関連する分野が多いため、裾野の広い総合産業と言われており、外国人旅行者の支出は、昨年実績で1人平均15万4,000円、総額では年間4兆4,000億円に上っています。 政府は、一昨年に「「明日の日本を支える観光ビジョン」-世界が訪れたくなる日本へ-」を策定し、訪日外国人旅行者を、2020年には4,000万人に、2030年には6,000万人に、外国人旅行消費額を、2020年には8兆円に、2030年には15兆円とする目標を掲げました。 加えて、その効果を地方にも及ぼすべく、外国人リピーター数と地方での外国人宿泊者数を大幅にふやす目標を掲げています。 一方、本県においては、
蒲島知事就任以来、熊本空港への国際線就航やアジア各国における観光プロモーションの実施等を積極的に取り組み続けられており、海外でのくまモン人気の広がりもあって、熊本地震の影響による低迷も乗り越えながら、その効果があらわれていることは喜ばしい限りでございます。 加えて、来年は、本県で世界ハンドボール大会並びにラグビーワールドカップが開催されますので、世界中から訪れる数多くの選手、役員、応援団の方々を通じて、世界の人々に熊本のよさを大いにアピールする絶好のチャンスとしなければなりません。 また、今後の大きな取り組みとして、八代港における国際クルーズ拠点整備事業と熊本空港の民営化手続が進行中であります。 八代港には、近年、多くの外国クルーズ船が訪れており、昨年は65隻が寄港しました。今年度は、中国の市場情勢や船会社の配船事情等により減少も予測されるとのことですが、中長期的には増加見込みであると伺っています。 平成32年に八代港の整備が完了しますと、運用開始年度は100回を、その後、10年以内に年200回を目指すとされており、実現の暁には、地元経済への波及効果が期待されます。 また、熊本空港の民営化は、平成32年4月開始を目標に、現在、運営権者の選定作業が進められておりますが、民営化の実現によって、民間の知恵を活用しながら、稼げる空港へと変貌することが期待されています。 その一方で、私は、本県の国際観光発展に関して危惧していることがあります。本日は、その中で3点についてお尋ねいたします。 1点目は、5つ星高級ホテル等、高品質な宿泊施設の誘致についてであります。 先般、自民党県議団の視察でフィリピンを訪問した際、観光誘致に精通し、東京オリンピック・パラリンピックの招致にも貢献された日本航空マニラ支店長と懇談する機会を持ちました。 その中で、熊本への外国人旅行者の誘客に一番必要なものは何ですかと尋ねたところ、支店長の答えは、熊本には一つもない5つ星高級ホテルの誘致をすることと答えられ、その理由は、世界中に富裕層の顧客ネットワークを持つ5つ星高級ホテルが進出するということは、その土地の魅力や価値が世界レベルにあるという何よりの評価であり、外国人観光客誘客促進につながるとのことでありました。 それほどまでに世界が認める高級ホテルの影響が大きいことを知るにつけ、私は、熊本にも何とか誘致できないものかと願っていますが、県としての考えをお聞かせください。 2点目は、外国人観光客、とりわけ全体の9割近くを占めるアジアからの観光客の旅行スタイルの変化への対応についてであります。 今から30~40年前の日本人の海外旅行がそうであったように、アジア諸国からの観光客も、当初の団体旅行から、家族、友人での小グループ、個人旅行へと、徐々に移り変わりつつあります。 したがって、今後の外国人誘客に際しては、個人旅行者を対象とする観光プロモーションにしっかりと取り組む必要があると考えますが、県の今後の方針についてお尋ねいたします。 3点目は、いかにして外国人旅行者のリピーターをふやしていくかという課題についてであります。 2018年版観光白書は、3大都市圏以外の地方に宿泊した訪日外国人の延べ人数が、昨年、初めて宿泊者全体の4割を超え、経済効果が各地に波及しており、訪日回数が多い外国人ほど地方に足を運ぶ傾向があると指摘しています。 確かに、最近、外国人が、大都市だけでなく、地方都市や農山漁村にまで興味を向け始めているというニュースをよく目にするようになりましたが、これは外国人リピーターが日本のさまざまな地方のよさに気づき始めたあらわれではないかと思います。 日本遺産認定制度、本県でも、人吉・球磨と菊池川流域が認定を得ておりますが、その目的にも、外国に対する効果的な情報発信によって外国人旅行者を誘致することがうたわれており、積極的な活用が期待されます。 本県の観光にとって、こうした外国人ファンがふえていくことが非常に大切と考えますが、熊本ファンのリピーターをいかにしてふやしていくか、お考えをお聞かせください。 以上3点、
商工観光労働部長にお尋ねいたします。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) まず、1点目の5つ星高級ホテル等の高品質な宿泊施設の誘致についてお答えします。 国際スポーツ大会を契機に、欧米やオーストラリアなどの新たな海外市場の開拓を目指す本県においても、市場への影響力の大きい富裕層対策が重要です。特に、世界が認める高級ホテル等、高品質な宿泊施設の存在は、外国人観光客、中でも富裕層の誘客促進につながり、地域経済にとって大きな波及効果があると考えています。 県では、現在、阿蘇くじゅう国立公園において、世界水準のナショナルパークとしてのブランド化を目指し、高品質な宿泊施設の誘致を進めております。 今後も引き続き、地元自治体と連携を図りながら、積極的に誘致活動に取り組んでまいります。 次に、2点目の個人旅行者への対応です。 国の調査では、訪日外国人の7割以上が個人旅行者であり、本県の外国人観光客の多くを占めるアジア圏でも、近年個人旅行化が進んでいます。 個人旅行者の多くは、パソコンやスマートフォンで情報収集や手配を行うことから、ネットを活用した情報発信が何より重要です。 このため、県では、県観光サイトの全面改訂とあわせ、日本語のほか5カ国語に多言語化するとともに、SNSの積極的な活用を図ります。また、宿泊施設や飲食店等に対し、海外の観光情報サイト等への情報の掲載を呼びかけてまいります。 最後に、3点目のリピーターづくりについてでございます。 観光庁によると、外国人観光客の約6割が2回以上来日しています。回数の増加とともに旅行支出額が高くなる傾向があるため、リピーターの獲得は重要です。そのためには、旅の満足度を高め、熊本のファンとなっていただくことが大切です。 そこで、本県では、まずは旅をストレスなく楽しんでもらえるよう、Wi-Fiや看板等の多言語表示、トイレの洋式化など、受け入れ環境整備を推進します。また、都会では体験できない熊本のふだんの暮らしや歴史、文化など、本物を体感するプログラムの造成、心のこもったおもてなしや地域との触れ合いなどを通じ、満足度を高められるよう努めてまいります。 空港や港湾など、熊本の玄関口の整備も進む中、このような取り組みを通じて海外からの誘客をさらに推進し、復旧・復興4カ年戦略に掲げる、世界とつながる新たな熊本の創造の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。 〔渕上陽一君登壇〕
◆(渕上陽一君) 人口減少の中で、やはり観光というのは大変重要なことになっていくというふうに思いますので、しっかりと取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。 最後に、県立高校の現状と今後のあり方についてお尋ねいたします。 少子化の影響が最も端的にあらわれるのは教育機関であり、我が国の学校教育は、今、小中高校、大学、全てのレベルにおいて、少子化に伴う深刻な影響を受けつつあります。 本県の状況を、平成の大合併の前年である平成14年と直近の平成29年の比較で御説明します。 小学校は、児童数が11万4,000人から9万8,000人に、1万6,000人減少し、学校数は、519校から361校に統廃合されました。中学校も、生徒数が6万3,000人から4万9,000人に、1万4,000人減少し、学校数も、203校から175校に統廃合されております。 一方、県立、公立、私立を合わせた全日制高等学校は、生徒数が6万3,000人から4万7,000人へと、1万6,000人、25%減ったのに対し、学校数は、85校から76校へと、11%の減少にとどまっています。 その高等学校についてですが、私は、この春、県立高校入試の状況を見て、大変衝撃を受けました。その理由を、全日制県立高校を例にとって御説明します。 全日制県立高校の募集定員合計1万1,840名に対し、合格者は1万7名と、15%を超える定員割れとなりました。そのうち、熊本市内の県立高校は、単位制の湧心館を除いて、普通科、商業、工業、農業の実業系高校全てで定員を満たしました。 一方、熊本市外の県立高校は、全39校のうち35校が2次募集を行いました。このうち、出願があったのは半数の18校で、合計募集人員1,937名に対し、出願者はわずか58名にとどまりました。 この結果、前期選抜、後期選抜、2次募集合わせて、出願者全員が合格となった高校が数多く出ております。 また、熊本市外の高校の中で、特に農業高校の定員充足率は50%にすぎません。 私は、ことしの高校入試の後、地元の高校や中学校を訪ね、先生方からお話を聞かせていただきました。 その中で一番感じたことは、入試という試練を受けずに入学してくる生徒がふえたことで、生徒間の学力や物の考え方の差が余りにも大きくなり過ぎ、先生方は、一体どのように生徒たちと向き合い、学校をどのように運営していけばよいのか、非常に苦労されているという現実であります。 こうした話を伺いますと、公立高校における入試の募集定員とは何なのか、受験者数が定員以下の場合、不合格者を出してはならないのかといった基本的な疑問を抱かざるを得ません。 我が国の学校教育を取り巻く環境が、少子化の後追い、先取り両方の意味で、小中学校においては統廃合による学校数の大幅な削減が断行される一方、大学が、少子化イコール学生数の減少イコール来るべき大学経営の危機という危機感から、同一地域内の大学が法人を統合する動きが始まっており、まずは国立大学同士に始まり、最終的には国立、公立、私立の枠を超えた法人統合へと進む方向にあります。 こうした動きと比べますと、本県の県立高校の状況は、残念ながら、甚だ立ちおくれていると指摘せざるを得ません。 教育は国家百年の大計という言葉がありますとおり、私は、今こそ、近未来、そして未来の熊本県の姿をいま一度想定し直した上で、早急に新たな教育ビジョンを打ち立てなければ、本県の将来に大きな禍根を残すことになるのではないかと危惧しています。 熊本市外の大半の県立高校における過剰なまでの定員割れによる、実質的競争のない、形だけの入試が、入学する生徒間の学力の過剰なばらつきを生じさせ、その影響が学校全体、ひいては本県の高校教育全体の質の担保に、大きなアンバランスを生んでいるのではないかと懸念します。 県立高校の多くが、2次募集を行っても定員を満たせないという状況は、県教委のホームページで確認できる限りでも、平成24年度から一貫して続いており、今後、少子化の進行につれて、ますます拡大していくことが懸念されますが、県教委としては、いかに対処していかれるのか。この問題に対する基本的な認識ととり得る対応策について、教育長にお尋ねいたします。 〔教育長宮尾千加子さん登壇〕
◎教育長(宮尾千加子さん) まず、県立高校の入学者選抜につきましては、出願者数が定員を下回っている場合であっても、調査書や学校独自検査、学力検査の結果等をもとに、受験した高校や学科等で学ぶために必要な能力、適性等の有無を判断しており、定員内であっても不合格者があり得ます。 しかし、議員御指摘のとおり、定員割れが続いていることや入学する生徒間の学力の差につきましては、課題と考えております。 まず、定員割れへの対応としては、学校の魅力を高めることが何より重要です。そのため、県立高校では、これまで、生徒の進学動向や地域のニーズを踏まえた学科改編等を行うとともに、地元自治体と連携したまちづくりへの参加、地域の特産物を生かした商品開発など、地域と密着した活動を積極的に実施してまいりました。 その上で、なお大幅な定員割れが複数年続いている場合には、地域の中学卒業予定者の推移等を考慮しつつ、最少の範囲で学級減を行うこととしております。 次に、入学する生徒間の学力の差についてですが、現在、県立高校では、学力や進路目標の異なる生徒が、同じ教室で学習するといったケースも生じています。 こうした多様な生徒の学びに対応するため、習熟度別のクラスの編制や少人数指導、中学校段階の学習内容を再確認する学び直しの取り組み、授業とは別に行う個別指導など、各生徒の学習到達度や進路目標の違いを踏まえた、きめ細かな指導を行っております。 さらに、ICTを活用した新たな取り組みとして、タブレットやスマートフォンを用いたオンライン学習支援システムの活用を進めております。これは、個々の生徒が学習上の課題をみずから発見し、生徒と教員がその克服に向けて授業や家庭学習に取り組み、その結果を次の学びに生かす学習活動であり、到達度をはかるテストを組み合わせることで、学力向上や目標達成に向け、主体的に学ぶ姿勢を育むものです。 県教育委員会といたしましては、今後も県立高校の魅力アップを進めるとともに、学習指導をより充実させることなどにより、なお一層教育の質の向上を図り、地域に選ばれる学校となるよう、全力で取り組んでまいります。 〔渕上陽一君登壇〕
◆(渕上陽一君) 私は、決して統廃合を急げという気持ちは全くありません。現場を回るたびに、本当に先生たちが頑張っておられるということはよくわかるわけであります。しっかりと現場の先生方の御意見を耳にしながら、頑張っていただければというふうに思うわけでありますけれども、しかしながら、何かをやろうというときにはお金が要るわけでありまして、今回、いろいろレクをしながら、お金がないという話も聞いております。 ぜひとも、教育委員会のほうには、国家百年の計ということであります。しっかりと教育に対する予算をつけていただきますよう心から要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 最後まで御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(森浩二君) この際、5分間休憩いたします。 午前10時58分休憩 ――――――○―――――― 午前11時11分開議
○副議長(森浩二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 増永慎一郎君。 〔増永慎一郎君登壇〕(拍手)
◆(増永慎一郎君) おはようございます。上益城郡区選出・自由民主党の増永慎一郎でございます。 まず冒頭に、4日に急逝されました村上寅美先生に対しまして、本当に哀悼のまことをささげたいというふうに思っております。 先生は、長い間、県政発展のために、一生懸命に頑張ってこられました。私も、それを見習いながら、一生懸命に頑張っていきたいなというふうに思っております。心から御冥福をお祈りする次第でございます。 きょうは、6月議会、一般質問最終日でございます。きょうは、たまたま自民党3期3人がそろい踏みをしました。きょう、一番最後に武道の振興ということで要望を入れておりますけれども、武道に例えるなら、先鋒が、きょうは渕上先生、私が中堅でございまして、大将が田代先生でございます。 普通、試合のときは、先鋒が勝てば、3人制の場合、中堅はゆっくりと自分のペースで試合をすることができます。多分、渕上先生は勝ったというふうに思っておりますので、私は、ゆっくりと大将につなげるような質問をしていきたいというふうに思っております。引き分けでも構いませんので、執行部におかれましては、それぐらいの答弁をよろしくお願いしたいというふうに思っております。 それでは、早速ですけれども、質問に入らせていただきます。 蒲島知事が初当選されてから、早いもので10年が過ぎました。知事は、最初の選挙において、懐かしい言葉になりますが、かばマニというマニフェストを掲げられ、当選をされました。そのマニフェストが、蒲島県政の1期目の指標であるくまもとの夢4カ年戦略となり、2期目の幸せ実感4カ年戦略となりました。本日は、その中の目標の一つである稼げる県、そして、その柱であり、重要政策である企業誘致についてお伺いしたいと思います。 まずは、パネルをごらんいただきたいと思います。(パネルを示す)これは、知事が就任される前とされた後の企業誘致の件数でございます。 就任前10年間は、件数170件、雇用予定者数1万342人になっております。1期目、2期目と合計しますと、228件、そして9,376人の雇用予定を生み出していただいております。 投資金額も、リーマン・ショック等ありましたけれども、一生懸命健闘しているのではないかというふうに思っておりますし、熊本にとっては非常にありがたかったなというふうに思っている次第でございます。 これは、知事みずからがトップセールスをされて、行動されてきた結果だと思っていますし、この姿勢は、県の海外戦略に対しても同様で、そちらのほうでもすばらしい成果を上げられています。 さて、熊本地震では、県内に大きな被害が発生し、多くの経済的損失が出てしまいました。それは、県内進出企業にとっても同様の状況でありました。 そういう状況の中、被災企業においては、復旧のための多額な投資を地震のあった土地でするというのはリスクが多く、本来であれば、県外への撤退なども考えられたことと思いますが、一社もそういう企業はなかったということで、安心した次第であります。 大きな被害を出した地震でしたが、これからの企業誘致にも大きな影響を与えたのではないかと思っています。例えば、熊本県では、県内への進出の魅力として、熊本では大きな地震は発生しないということを入れられたということですが、それが結果的には違ったということになり、もうこのフレーズは使えませんし、やはり企業の気持ちとしては、大きな被害があった熊本を新たな進出先に選ぶという選択肢は、かなり減ってくるのではないかと思っています。 しかし、熊本が稼げる県となるためには、企業誘致は、その重要政策であることに変わりはないと思います。 そこで質問ですが、1点目に、県内における地震後の企業誘致はどのような状況なのか、2点目に、地震を経験して他県よりも不利になったと思われる我が県において、今後どのように企業誘致に取り組んでいかれるのか、蒲島知事にお尋ねします。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 熊本地震後の企業誘致についてお尋ねをいただきました。 まさに、昨日、大阪府北部で震度6弱の地震が発生しました。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。 そのような中で、本県に進出している誘致企業については、大きな被害はなかったと伺っており、まずは安堵しております。 私は、この地震の報に接し、2年前の熊本地震の記憶が鮮明によみがえりました。熊本地震では、誘致企業にも甚大な被害が発生し、私は、多くの企業が県外へ撤退されるのではないかと心配をいたしました。 このような中、いち早く熊本に残るという決意表明をいただいた誘致企業もありました。従業員の皆様はもちろん、県民も我々も、大きな勇気をいただきました。 私も、みずから被災された企業の本社を訪問し、熊本での操業再開をお願いするとともに、地震によるマイナスイメージの払拭に努めました。 また、国に強力に働きかけ、誘致企業の実態に対応し、グループ補助金の対象にみなし大企業を追加することができました。これは、東日本大震災時にはなかった、熊本独自の復興支援となります。 このような取り組みの結果、県外へ撤退した企業は一社もありませんでした。また、震災直後にもかかわらず、大型投資を決断し、実現していただいた企業もありました。 さらに、昨年度の誘致件数は、半導体、自動車関連産業の好調な業績にも支えられ、過去最高の46件に達しました。このV字回復は、復興を力強く後押しするもので、企業の皆様の御決断を大変ありがたく感じています。 次に、今後の企業誘致についてですが、今回の震災により、私は、熊本の新たな強みを見出すことができました。その1つが、真面目でひたむきな県民性です。 被災企業の従業員の多くが、みずから被災しながらも、事業再開に向けて献身的に取り組む姿がありました。この姿に感銘を受けた企業のトップが、必ずこの熊本の地で事業を再開しようと従業員全員に訴え、その言葉で会社全体が一致団結し、なお一層復旧に邁進されるという好循環が働いたと聞いています。 もう一つが、発災後もサプライチェーンを堅持された協力企業群の存在です。 被災された企業の中には、国内の多くの工場に主要部品を供給されているところもあり、その影響が懸念されました。しかし、協力企業が部品供給に全力で取り組まれたことで、供給先への影響を最小限に抑えることができました。 今後の企業誘致に当たっては、こうした点を機会あるごとにPRすることにより、震災というマイナスをプラスに変える取り組みを進めてまいります。 そして、本県の強みである、アジアに近いという地理的優位性や、半導体、自動車関連産業の集積も生かしながら、引き続き誘致活動を積極的に展開してまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 地震のときには、知事みずからが自分の足で会社を訪問されて、マイナスイメージの払拭に動かれたということで、本当にありがたいなというふうに思っております。 また、その成果が、一社も離れるところはなかった、また、昨年度の企業誘致が過去最高になったということで、いい意味で、非常に私は驚いています。やはり、蒲島知事が目標とされる稼げる県、これを自分できちんと実践をされているなというふうに思った次第でございます。 今後、マイナスをプラスに変える取り組みを進められるということでございます。今後とも、熊本が多くの企業に選ばれるように、知事の手腕に期待をしたいというふうに思っております。 今の企業誘致の件で関連をしますけれども、県南地域等におけるIT企業の誘致について質問をさせていただきます。 なお、ここで県南地域というふうに言っておりますけれども、阿蘇とか私の地元の上益城地域振興局管内もその中に入っているということで御認識いただきたいと思います。 先ほどの知事の答弁のとおり、県内の企業誘致は、地震後も順調に推移いたしております。しかし、一方で、県内の地域別の誘致状況を見てみますと、昨年度の企業誘致件数46件のうち33件、実に7割以上が熊本市や県北地域に集中しています。 これまでの企業誘致に関しては、県北に進出している大企業の関連企業がその近郊に進出するケースや、コールセンターのように多くの採用が必要で、どうしても熊本市都市圏でないと進出ができない企業等も多く、それに有利な熊本市や県北地域に偏ってくるのは、ある程度仕方のないことだと思っています。 また、企業が、生産コスト等を重視し、製造拠点を海外に展開している現在では、厳しい競争の中での企業進出となり、条件的に不利な県南地域等への大規模な企業の誘致は、受け皿の整備や人材確保における企業のニーズ等への対応の面で、特に簡単ではないとも思っています。 しかし、県土の均衡ある発展のためには、また、次代を担う若者が地域の担い手として地元に残れるようにするためには、働く場の確保が不可欠であり、県南地域等への企業誘致の推進が絶対に必要なのではないでしょうか。 ところで、現在、全国的にIT企業のサテライトオフィスが注目を浴びています。サテライトオフィスとは、企業が本社から離れたところに設置したオフィスのことを意味します。近年、IT分野の発展や国を挙げての働き方改革により、急速に働き方が多様化したことで、地方サテライトオフィスを設置する企業がふえています。 サテライトオフィスの設置環境としては、本拠点と同じように業務ができること、また、同じように通信機能が備わっていることが条件にあります。つまり、光回線などの通信インフラやある程度の規模のオフィスが準備できれば、サテライトオフィス誘致は可能だと考えますし、新しい企業誘致の形として、全く企業誘致が進まなかった市町村においては、積極的に取り組んでいくべきことだと思います。現に、IT企業のサテライトオフィス誘致に対して、実績を残している市町村もあると聞いております。 このような県南地域等へのIT企業のサテライトオフィス誘致とその定着に対しては、地元市町村の取り組みが必要なのはもちろんですが、県としても積極的に支援していく必要があると考えます。 そこで質問ですが、新しい企業誘致の形であるIT企業のサテライトオフィス誘致に対して、どのように取り組んでいかれるのか、
商工観光労働部長にお尋ねいたします。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) 県土の均衡ある発展のためには、県南地域等への積極的な企業誘致が必要であると認識しております。 しかしながら、用地や人材の確保を初めとした受け入れ環境などの面で、企業のニーズに合わないことが多く、県北地域に比べると、企業の立地件数は少ない状況です。 このような状況を打開する手段の一つとして、比較的受け入れ環境が整いやすく、少人数でのスタートが可能なIT企業のサテライトオフィスの誘致に力を入れています。 今年度は、その誘致活動において、他県との競争に勝ち抜くために、上益城を含む県南地域等を対象に、県と市町村とが協調し、全国トップレベルの手厚い補助内容に拡充しました。 また、受け入れ施設が少ない市町村において、廃校や旧役場庁舎等をオフィスとして活用できるよう整備するための補助制度を創設しました。 さらに、市町村職員の
誘致ノウハウを向上させる研修を実施し、企業のニーズにしっかりと対応できるサポート体制の充実を図っております。 また、市町村の取り組みをバックアップするため、東京、大阪両事務所と市町村との人的ネットワークを強化してまいります。 今後とも、IT企業等を初め、多くの優良な企業を市町村とともに誘致し、県土の均衡ある発展と地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 御答弁をいただきました。 先ほど、県南地域等の中に含めるという話をしましたけれども、くくりがわからないんですね。要は、熊本市と県北地域に集中していて、あとのくくりを何て言うかがわからなかったので、県南地域等ということで上益城郡とか天草とか、それから阿蘇を含めさせていただきました。 いわゆる、それ以外の土地は、過疎とか山つきで条件が悪いということで、なかなか企業誘致が進まなかったというふうな背景がございます。 その中で、私の地元の山都町には、昨年、合併後初めてIT関連企業のMARUKUさんというところが企業誘致で来られました。雇用の人数というのはそんなに多くはないんですけれども、やっぱりそういった形で来ていただいて、また、そのMARUKUさんあたりは、町のアドバイザー的な存在になって、情報発信等の方法とか、いろんなことを地元のほうに教えていただくような形でございます。来て、雇用をしていただいて、そういったノウハウあたりも教えていただくということで、非常にありがたいなというふうに思っております。 また、町として、廃校跡を整備してサテライトオフィスを今整備されておられます。ただ、そこにまた次の企業が来るかというと、なかなか難しい部分があります。そういったノウハウは市町村にはございません。ですから、県が、今までの企業誘致の実績等がいっぱいありますので、その辺をうまいぐあいに使っていただいて、市町村にアドバイスをよろしくお願いしたいというふうに思っております。 田舎のほうの企業誘致というのは、これから先のやっぱり田舎のあり方の中に非常に大きな影響を与えますので、県も一生懸命にサポートをしてほしいというふうに思っております。 次に、グループ補助金の状況と利用企業に対する支援についてお尋ねをいたします。 このグループ補助金は、東日本大震災のときに創設された制度でありますが、熊本地震の復旧においては、以前より対象企業が広がったとか、手続が簡素化されたなど、利用しやすくなり、多くの企業が利用されています。 その結果、県内の中小企業等の復旧、復興においては、重要な役割を担い、ただ単に企業の施設、設備の復旧にとどまらず、地域の経済や雇用の早期回復に大きな貢献を果たしてきました。 さて、昨年9月議会において、我が自民党の前川会長の代表質問で、当時のグループ補助金の執行状況、交付決定を受けているが期限までに工事が終わらない場合の対応、復旧のための工事業者確保の3点について質問をされました。代表質問から9カ月がたっていますが、現在のグループ補助金の状況はどうなっているのでしょうか。 いまだに、補助金の交付決定がありながら、完成ができていないとか、何らかの事情があり、着工のめども立っていないという話を聞いております。今の状況を
商工観光労働部長にお伺いいたします。 ところで、グループ補助金利用企業において、復旧ではなく、全壊により全て新しくしなければならない、また、原形復旧に加えて、施設または設備の効率化や近代化を追求し、売り上げ回復を目指すといった企業も多くあると聞きました。 グループ補助金は4分の3の補助ですが、そもそも原形復旧以外の分は補助対象ではなく、備品や基本設計料など、一部経費や消費税なども対象ではないので、全体事業費に占める補助金の割合は4分の3を下回ることになります。 さらに、施設または設備の効率化や近代化など、新たな需要開拓を見据えた取り組みを行った結果、事業内容にもよりますが、自己負担が4分の1から大きく増加している場合もあり、その分を新たな融資で補ったと聞いております。 事業計画や資金計画は十分に練られているとは思いますが、これから先の融資の返済などを考えた際には、かなりの負担がかかってくるのではと心配をしています。 また、熊本地震においてのグループ補助金利用企業については、商工会議所や商工会の会員である小規模事業者がかなりの割合で含まれています。彼らの大多数は、経営基盤が脆弱で、特に地震において新たな負担を抱えた企業については、再建の道のりは大変厳しいものになると考えられます。 東日本大震災では、グループ補助金を利用して復旧した企業が、以前の売り上げに戻らず、売り上げ不振や借り入れ等による経営負担の増大で、倒産に至ったという話も聞いております。 知事は、昨年、グループ補助金による被災企業の再建は、「今後とも、回復基調にある県内経済の足取りを確かなものとしていくため、県の総力を挙げて取り組んで」いくと答弁をされておられますが、本県において、グループ補助金で施設、設備の復旧を支援するだけではなく、利用企業が発災以前の営業状態に復活し、地域経済を支えていけるように、これから先も継続的に支援していく必要があるのではないでしょうか。 支援に対する取り組みについて、先ほどの質問とあわせて、
商工観光労働部長にお伺いいたします。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) まず、グループ補助金の状況についてお答えします。 平成28年度補正予算を活用し、平成29年度末までに、補助金申請予定者の約97%となる4,702件、1,305億円の交付決定を行っております。このうち、2,755件、473億円が支払い済みで、1,906件、826億円について、平成30年度に事故繰越させていただいております。 また、今年度においては、平成29年度補正予算を活用し、これまで5件、7億円の交付決定を行っており、今後も、インフラ復旧のおくれなどにより昨年度までに申請できなかった事業者に対応していくこととしております。 議員から御指摘がありましたが、被災事業者の方の中には、いまだ着工のめどが立っていない、工事完了がおくれているという声も聞こえております。 そのため、現在、進捗がおくれている事業者を訪問し、現況などを丁寧に伺っており、その結果を踏まえながら、今後、建築業者とのマッチング会を開催するなど、必要な支援を講じてまいります。 次に、グループ補助金による再建後の被災事業者に対する支援についてお答えします。
熊本地震発生後、被災事業者の皆様に対して、グループ補助金による支援のほか、制度融資を初めとした金融支援、商工会、商工会議所、よろず支援拠点等による経営支援など、関係機関一丸となって取り組んでまいりました。 また、その後の復興需要も相まって、県内経済は順調に回復し、現在も緩やかに拡大している状況にあります。加えて、心配された県内企業の倒産も、低い水準で推移している状況です。 一方、議員御指摘のとおり、いまだ地震前の売り上げに回復していない事業者がおられるとともに、今後融資の返済が課題となる事業者の増加が見込まれます。 このため、引き続き、関係機関が緊密に連携して、きめ細かな経営支援を行うとともに、経営課題を抱える被災事業者に対しては、中小企業診断士などの専門家を派遣することにより、その解決を支援してまいります。 また、今年度、グループ補助金の活用事業者に対して、経営等の実態調査を実施することとしております。この調査により、経営状況をしっかりと把握し、今後の被災事業者に対する支援に生かしていきたいと考えております。 今後も、熊本地震の影響を最小化できるよう、県内の経済情勢を注視しながら、被災事業者に寄り添った支援を行ってまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 今度のグループ補助金の制度というのは、チーム熊本としてかち取った、非常にいい制度でございます。ですから、やっぱりいろんな人にきちんと使っていただいて、よかったというふうに思われなければ、やっぱりだめなんじゃないかというふうに思っております。後を動かしていかれるのは県執行部のあれにかかっておりますので、ぜひとも最後までよろしくお願いをしたいというふうに思っております。 また、経営がうまくいかなくなったとかいうのも多分出てくるんではないかというふうに思っております。その辺も、いろんな相談があると思います。相談の窓口で一番近いのは、やっぱり商工会議所とか商工会だというふうに思っております。その辺の経営指導とかにもきちんとやっぱり手を入れて、お互いに頑張って支援をしていただきたいなというふうに思っております。 次の質問に移らせていただきます。 被災者の生活再建支援についてお伺いいたします。 熊本地震発災後、いろいろと課題も出ておりますが、公共インフラを中心に、復旧、復興が着々と進んでいます。一方、仮設住宅入居者は、ピーク時よりも約1万5,000人減ったものの、5月末現在で、仮設住宅には約1万4,000世帯、3万3,000人が入居をされています。 6月5日付の熊日新聞に「仮設団地 自立に差」という見出しで、甲佐町の白旗仮設団地等の様子が出ておりました。自治会長さんの「自立できる人と、できない人の差が広がっている」という言葉があらわしているとおり、このような生活再建の過渡期には、住宅ローンが組みやすい比較的若い世代の生活再建が進む一方で、年金生活で家計が厳しい高齢者や障害者など、仮設住宅に残って先が見えない人にとっては、取り残されたように感じる時期だと言われています。 特に、ひとり暮らしの高齢者や障害者の方など、日常生活においてさまざまな支援が必要な方にとっては、仮設住宅から恒久的な住まいへ移るという身の振り方を考えるということは、とても難しいことではないかと、私自身も心配をしております。 今県内の18市町村においては、被災者の方々の生活再建に向け、安心した日常生活を支えるために、見守りや生活支援、地域交流の促進等の総合的な支援体制を構築する目的で、地域支え合いセンターが開設をされております。 そこでは、被災者からの相談支援や孤立防止のための生活状況確認や見守りなどが、個人個人に寄り添う形で行われており、これまで個別支援計画を作成し、この計画に基づき、被災者のニーズや健康状態の把握など、きめ細やかな支援が個別訪問等を通じて行われています。 なお、熊本県では、センター活動を支援する機関として、地域支え合いセンター支援事務所を平成28年10月に設置し、各センターからの相談対応やセンタースタッフのための各種研修、専門知識を有するアドバイザー派遣等を実施しています。 また、同じく平成28年10月には、地震により大きなダメージを受けた被災者一人一人に寄り添い、中長期の継続的な支援を行う精神保健活動の拠点として、こころのケアセンターが開設されました。 ここでは、電話相談、来所相談、訪問相談等を行い、震災のショックや生活環境の変化によるストレスなどに丁寧に寄り添う、心のケアが実施されています。 さて、生活再建の過程において、例えば仮設住宅に残って先が見えない状況などでは、それが長期化すればするほど、そのときそのときの個人の状況や、その心の変化に応じた支援が必要になってくるのではないかと思っています。 生活再建が進む人となかなか進まない人の差が顕在化してきた中、県では、被災者の生活再建に向け、今議会においても補正予算を計上されているところでありますが、住まいの再建を含めた生活再建について、今後、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕
◎健康福祉部長(古閑陽一君) 昨年末に実施しました住まいの再建状況調査の結果では、今年度中に再建を完了される見込みの方が5割、来年度中までの方が8割となっております。残り2割のめどが立っていない方が、将来への不安や取り残された思いを特に感じているのではないかと考えております。 県としましては、これらの方々の再建に向けた隘路を把握し、必要な支援等を重点的に行っていくことが、一日も早い住まいの再建の実現に向けて、大変重要であると考えます。 このため、仮設住宅の供与期間を延長された方について、8つの延長理由ごとに、現状や課題の把握に努めております。 現時点で延長された4,831世帯のうち、自宅や公営住宅の工期を理由とする方々が、全体の8割を占めております。現在、この解消に向けて、特に自宅につきましては、住まいの再建相談員等による早期契約に向けた支援など、その進捗の促進を図っております。 残り2割の1,081世帯につきましては、その多くが高齢者や障害者等の世帯で、かつ、収入が低く、みずからの努力だけでは再建が見通せない方々であります。また、保証人がいないために、民間賃貸住宅への入居が困難な世帯があることも判明いたしました。 これらの課題に直ちに対応するため、今定例会に2つの補正予算案を提案しております。 1つは、障害や生活困窮など、複合的な課題を抱える世帯に対し、より専門的な支援を行うため、ケースワーカー経験者などから成る生活再建支援専門員を3人から13人に増員するというものです。 また、2つ目は、保証人不在の被災者に対する支援制度の創設です。 貸し主や管理会社、損害保険会社、見守りサポート実施機関などが連携し、保証人がいなくても民間賃貸住宅への入居を可能とする環境整備を図るとともに、その見守りサポート費用の一部を助成するというものであります。 今後、既に実施している4つの支援策とともに、今回の事業を効果的に組み合わせ、支援の幅を広げてまいります。 さらに、高齢者、障害者、生活困窮や心のケア対策などの複合的な課題解決に向けましては、関係機関による総合的な支援が必要となってきます。 このため、今年度から、市町村が開催している個別のケース検討会議に、県の担当者や今回増員予定の生活再建支援専門員なども参加し、関係者が一体となり、被災者お一人お一人の実情に応じた支援を行うこととしております。 今後とも、関係市町村や関係機関と連携して、被災者の状況に応じた、一日も早い生活再建に向けて、全力で取り組んでまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 非常に丁寧な答弁をありがとうございました。被災者に対する生活再建支援が、大変手厚くなっているのがよくわかった次第でございます。 被災者の心に寄り添った支援というのは、なかなか難しゅうございます。私自身、阪神・淡路大震災や東日本大震災の被災地を何回も視察させていただきました。いろんな話を聞きました。いろんな制度等で生活再建を支援されておりますけれども、結局、最後は気持ちの問題でございます。被災者の心にどれだけ寄り添えるかというのが、やっぱり支援につながっていくというように思っております。 生活再建支援の主体は、それぞれの市町村が担っているというふうに思っていますけれども、県としては、サポート役に回るだけではなくて、主体的に何か参加をしていただいて、一日も早く被災者がもとの生活に戻れるように頑張っていただきたいというふうに思っております。 次に、県立高校入試前期選抜試験についてお伺いをいたします。 本県の高校入試制度は、大枠として前期選抜試験、連携型中高一貫教育に係る入学者選抜、後期選抜試験、2次募集に分けられます。 後期選抜試験が、中学校教育における学習成果を総合的に評価するのに対して、前期選抜試験は、受験者の多様な能力、適性や意欲、関心、また、努力の成果等について、すぐれた面を積極的に評価する入試です。 実施学科等については、普通科の第1学年から定員を定めて募集するコース、例えば第一高校の普通科英語コースや熊本西高校の普通科体育コースなどですけれども、そういったコースと、専門学科及び総合学科のうち希望する学科・コース、熊本工業の機械科とか熊商の情報処理学科、矢部高校の緑科学科林業コース、そういったコースが対象になります。 募集人員は、定員の50%以内の範囲で学校長が定めることになっています。選抜方法は、選抜に当たって重視する観点を定め、その観点に沿って、面接や小論文、実技検査等の学校独自検査の中から選抜方法を定めます。前期においては、合格した場合は、必ず入学することが条件になります。 さて、今特に熊本市以外の県立高校においては、先ほど渕上先生も質問されましたけれども、多くの学校で定員割れが起こっています。ことし3月に行われた入試では、37校、94学科・コースで2次募集が実施されています。 この2次募集が実施された学校の中には、最初から受験者が前期の募集人員に満たない場合もありましたが、前期選抜の募集人員を満たしているのに、結果的には総数で定員割れになった学科・コースを持つ学校もかなり含まれています。前期選抜で不合格になった生徒が、後期試験で合格しているにもかかわらず、結局は募集定員を満たすことができなかったわけであります。 ただ単に学力検査重視ではなく、いろんな能力を持った生徒をとるための前期選抜ですが、それは定員を満たすような人気のある学科・コースにおいて有効な選抜方法であり、私は、定員割れをしている学科やコースでの実施については、その本来の目的から外れていると考えていますし、制度、方法について、もう一度きちんと見直す必要があるのではないかと考えています。 そこで、高校入試前期選抜試験についての必要性について、また、実施対象学科・コース、募集定員などに対しての見直しについて、どのように考えていらっしゃるのか、教育長にお伺いいたします。 〔教育長宮尾千加子さん登壇〕
◎教育長(宮尾千加子さん) 県立高校入試前期選抜試験についてお答えします。 議員から御紹介がありましたように、後期(一般)選抜は、中学校の学習成果を総合的に評価する一方、前期(特色)選抜は、学校の特色を出すため、多様な能力、適性や意欲、関心、中学校3年間の活動の成果等を評価し、それぞれの高校において、入学意欲を強く持った生徒が選抜されていると考えております。 前期選抜で合格した生徒の状況を見てみますと、インターハイ出場など、部活動で顕著な成績をおさめたり、ボランティア活動など、学校内外の諸活動で貢献したりする生徒も多数います。 前期選抜の制度によって、さまざまな能力や適性を持った生徒が入学し、ともに学び、互いを高める環境が生まれ、各校の特色化につながっております。 しかし、少子化が進む中、熊本市以外の高校を中心に、定員に満たない学科・コースが多く見られるなど、課題もあります。 今後、地域の実情を勘案しながら、中学校、高校などの学校現場や関係機関と意見交換を重ね、募集のあり方等を検討してまいりたいと思います。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 答弁をいただきました。 私は、別に前期選抜試験が悪いということで言っているわけではなくて、何か本来の目的から外れているんじゃないかなというふうに感じたわけでございます。何か前期選抜試験をしなければいけないのでやっているというような感じがします。ですから、それは、いろいろ学校、学校によってやっぱり変えていいのではないかというように思っております。 平成17年に始まった前期選抜ですけれども、24年に一遍大きな見直しがありました。それからもう時間がたって、大分状況も変わってきておりますので、ぜひ見直しをしていただきたいというふうに思っております。 続けて、やはり県立高校についての問題でございます。 県立高校におけるALTの増員について質問をいたします。 ALTとは、AssistantLanguageTeacherの略で、外国語指導助手のことであります。 現在、グローバル化が加速する中、英語等の語学力やコミュニケーション能力、異文化理解の精神等を有する人材が求められています。 本県においても、蒲島知事は、4カ年戦略の中で「震災を乗り越え国際的に活躍する人材を中長期的な観点から育成するため、英語教員のスキルアップや本県独自の教材の活用等により、"英語教育日本一"を目指」すことを目標に掲げていらっしゃいます。 ところで、皆さん方は、大学入試制度が大きく変わることを御存じでしょうか。現在の大学入試センター試験が廃止され、2020年度から大学入学共通テストがスタートします。 大きな変更点としては、現行のセンター試験は、全てマークシート方式で実施されていますが、共通テストでは、一部で記述式問題が導入されます。特に、英語は、実施形態を含めて大きく変わります。民間の資格・検定試験を活用して、読む、聞く、話す、書くの4技能を評価するものになります。 現行のセンター試験は、読む、聞くの2技能の評価であり、グローバル化が急速に進んでいく中、英語コミュニケーション能力を重視する観点から、4技能を評価する必要性が叫ばれ、民間の資格・検定試験を活用することとなりました。 また、平成34年度から年次進行で施行される新学習指導要領においては、英語に新しい科目が設定されており、これらの新科目では、ディベートやディスカッションなどの取り組みを通じて、生徒の英語による発信力を強化することとなっています。 今まさに日本のグローバル化の流れの中で、英語教育は、入試制度も含めて大きく変わろうとしているのです。 ここで、学校英語教育の現場において重要になってくるのが、英語のネーティブスピーカーであるALTの存在です。現在、熊本県においては、県立高校50校に対して23名のALTが配置されています。 ここで、ちょっとパネルをごらんいただきたいと思います。 (パネルを示す)ここに、30年度の九州各県ALT配置状況という表がありますけれども、これはまだ実は熊本県は23になっていますけれども、もうしばらくしたら23人になります。一応、22人ですよね。 この配置率を見てみますと、熊本県がいかに低いかというのがよくわかります。佐賀県が41%ということになっていますけれども、やはり宮崎が92%、長崎に至っては94%ということで、まだまだ足りないということがわかります。 私立高校におきましても、21校中14校が配置をされていますけれども、私立高校においては、外国人の職員さんですね。ALTではございません。いわゆる、ネーティブスピーカーがいらっしゃるということでございますけれども、これは14校に対して21人。21校中21人ということであれば、100%と言ってもおかしくないというふうに思っております。 今のパネルを見ましても、大変少ないということが御認識いただけたのではないかというふうに思っております。 ALTの充足は、4技能の向上や大学入試における英語得点力のアップに伴う生徒の進路希望の実現、海外留学者数や海外進学者数の増加に寄与することはもちろんですが、現職の英語教員のスキルアップにも大きく効果を発揮するものと思います。 急がれる大学入試共通テスト等への対応や、そもそも蒲島知事が目標とされる英語教育日本一の実現のためにも、早急なALTの増員は絶対条件であると考えますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いいたします。 〔教育長宮尾千加子さん登壇〕
◎教育長(宮尾千加子さん) 議員御指摘のとおり、グローバル化が進む中、異文化を理解する力や英語によるコミュニケーション能力を育むことは大変重要です。また、現在の高校1年生が受験する2年後の大学入試から、英語民間試験が導入されるなど、入試制度が大きく変わろうとしています。 これらに対応するためには、聞く、読む、話す、書くの4つの技能をバランスよく育成する必要がありますが、文部科学省が高校生を対象に実施した英語力調査によりますと、話す力と書く力に課題があることが明らかになっています。特に、話す力の強化には、授業等において生徒が実際に英語を話す場面をふやすことが大切であり、そのためにはALTとのコミュニケーション活動は極めて有効です。 また、大学入試センター試験においても、リスニングテストの難易度が上がってきており、生徒がネーティブスピーカーの英語に触れる機会をふやす必要がございます。 これらのことから、ALT活用の必要性はさらに高まると考えられます。 議員御紹介のとおり、九州各県と比較しても、本県のALTの数は少ない状況にあります。現在、県のALTは、県立の高校50校と中学校3校、特別支援学校17校で授業などに携わっています。そのため、1人のALTが5つの学校で教えているような場合もあります。 本県の県立高校においては、国が求める英検準1級以上等の英語資格を持つ英語教員の割合は約87%と、全国第4位であり、教員の英語力は年々高まっています。しかしながら、英語教育日本一を掲げる本県としては、生徒の英語力のさらなる向上と英語教員のスキルアップの支援のために、ALTの増員が必要だと考えています。 今後、ALTの増員に向けた検討を早急に進めるとともに、各学校の特色等を考慮しながら、効果的な配置についても進めてまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 答弁をいただきました。 この質問は、もともと大学入試制度が変更するので、県立高校としてはどのように対応しているかということで質問をしようと思っておりました。そういう中、子供が通学している高校の育友会総会にうちの家内が出席したときに、ALT教員を雇いたいと、育友会の会費を使わせてくれということが、育友会総会で承認を求められたそうです。そのときに、何で育友会からそんなお金を出さなきゃいけないのかと、そのALTが足りないのかということでちょっと調べてみました。 非常に少ないということですし、おかしいなというふうに思いました。また、育友会から出せるところはいいんですけれども、出せない高校とかはどうするんだろうかなというふうにも思いました。学校現場では、そういったPTAのその育友会の会費からそういうお金を捻出するというのは、非常に危機感のあらわれだというふうに思った次第で、今回、ALTの増員に対して特化した質問をした次第でございます。 今、ALT増員に向けて検討を早急に進める、また、学校の特色等を考慮しながら、効果的な配置についても検討していくということでもありました。 先ほどパネルで説明しましたように、今年度、1人増員があっております。しかしながら、ある先生に聞いたら、最低でも10人ぐらいはすぐふやさないと、やっぱり追いつかないという話でございました。ことし1人で、10人というと、もうとんでもない違いだというふうに思っております。 やっぱり費用の面で非常にお金がかかるので、大変だろうということもわかりますけれども、ここは特別枠でもつくっていただいて、対応していただきたいというふうに思っております。さっき、渕上先生もお話をされました。やっぱり最後にはお金かなというふうに思っております。 教育長も、事務方のほうに言っていただいて、お金をいっぱい出していただいて、蒲島知事の英語教育日本一に応えるように、財政のほうも頑張っていただきたいなというふうに思っております。10%上がったとしても、まだ66%でございます。宮崎とか長崎に追いつくように、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。 最後の質問に入らせていただきます。 主要地方道矢部阿蘇公園線の未開通区間の整備について御質問を差し上げます。 この件については、今回が6回目の質問になります。昨年の6月議会の質問においては、まずは「調査費により、これまでの検討内容の再整理に取り組む」と答弁をされております。 この道路は、山都町の国道218号を起点とし、南阿蘇村の国道325号を終点とする、総延長28.6キロメートルの道路です。97年前の大正9年に県道中松矢部線に認定され、昭和57年に主要地方道となりました。しかし、山都町の御所と南阿蘇村の久石の間、約9キロがいまだにつながっておりません。 熊本地震においては、南阿蘇に入るための国道57号や熊本高森線俵山ルートが寸断したことから、国道445号や国道218号などを通り、山都町の旧蘇陽地区を経由する迂回ルートで被災地救援が実施されました。もし矢部阿蘇公園線が整備されていれば、もっとスムーズに救援活動ができたのではないかと思っています。 また、南海トラフへの備えや近年の阿蘇中岳の火山活動活発化等も加わり、住民の避難、救援においては、この道路の重要性はさらに高まっていると言えます。 ところで、九州中央自動車道は、本年度中には、いよいよ小池高山インターチェンジから北中島インターチェンジまでの10.8キロが供用開始予定であります。宮崎県側でも、一部区間の供用開始が予定されており、近い将来、県の縦軸である九州縦貫自動車道から太平洋側の東九州自動車道へ直結し、本県が進める広域防災拠点構想において、近隣県相互の支援、救援を可能にする横軸が完成する予定です。 この九州中央自動車道と矢部阿蘇公園線をつなぐことにより、山都町周辺地域と南阿蘇村周辺地域が持つ資源が結びつき、両地域の活性化など、大きな役割を果たすことになると考えられます。 このような可能性を秘めた矢部阿蘇公園線については、昨年の御答弁の後で調査業務を発注されたと聞いております。 そこで質問ですが、主要地方道矢部阿蘇公園線の未開通部分の整備に対する現在の取り組み状況について、土木部長にお伺いいたします。 〔土木部長宮部静夫君登壇〕
◎土木部長(宮部静夫君) 矢部阿蘇公園線の未開通区間の整備は、自然環境への配慮が必要なことや多額の建設コストが想定されること及び九州中央自動車道の開通による交通量の増を見込んでも、そのコストに見合う道路利用が見込まれていないという大きな課題があるとの認識に、依然として変わりありません。 一方で、熊本地震を踏まえ、災害発生時の避難という視点が求められております。 これらの認識のもとに、昨年から、検討すべき内容の再整理に取り組むとともに、地元町村を交え、課題を共有するための勉強会を重ねております。そして、そうした場において、地域の皆様の整備に対する強い思いを受けとめさせていただきました。 現在は、改めて、上益城と阿蘇の両地域の地勢、歴史文化、まちづくりといった地域特性や、観光名所、農産物といった地域資源などの抽出を行っております。 今後、これら地域の実情や将来の方向性を踏まえ、道路を整備することにより、両地域の振興や防災など、さまざまな分野でどのような効果が期待できるのかを、客観的なデータに基づいて検証していくこととしております。 引き続き、地元と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。 〔増永慎一郎君登壇〕
◆(増永慎一郎君) 御答弁をいただきました。 いろいろ土木が整備する道路としては、やっぱり費用対効果が見込まれないということで、非常に執行部も苦労をされていらっしゃいます。やはり、つないでみないとわからないという部分もあります。しかしながら、お金がかかるのでそれはできないということで、今一生懸命に調査をされているところでございます。 昨年度、調査費が初めてつきました。地元の方々は、何か測量設計でもする予算じゃないかということで非常に喜ばれたんですけれども、そうではなくて、先ほど部長から答弁がありましたように、上益城と阿蘇の両地域の地域特性や地域資源などを抽出して、勉強会とかをしながら、どうやってつないでいくかという勉強会を今されている途中でございます。ことしも予算をつけていただきました。 ですから、土木だけじゃなくて、例えば、林業の道路とか、近くに自衛隊もございますので、自衛隊の道路ではできないかとか、そういった部分で、今一生懸命に町村、それから......
○副議長(森浩二君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。
◆(増永慎一郎君) (続) 県で頑張っていらっしゃるところでございます。 もう何年も運動をされておられます。希望の道でございます。ですから、やはり一生懸命に頑張って、何とかつながるようによろしくお願いをしたいというふうに思っております。 最後に、要望を1つ申し上げたいと思います。 武道の振興ということでございます。 この中には、県の柔道協会の会長である河津先生、また、熊本市の剣道連盟の会長である小杉先生がいらっしゃいます。 何を言いたいかというと、武道館ですね。武道館が非常に老朽化をしており、これは昭和46年にできた武道館でございます。いろんなところを見て回りましたけれども、武道のシンボル的な武道館としては、ちょっと何かいかがなものかというふうに思っております。 熊本は、柔道においては、オリンピックのメダリスト等も輩出しておりますし、今全柔連の会長は、我が郷土の誇りであります山下泰裕先生でございます。また、剣道におきましては、今全日本のディフェンディングチャンピオンは県警の西村さんでございます。ほかの武道も非常に盛んでございます。そういった人たちがいるのに、武道館を見てみれば、非常に何か、ちょっとですねというふうな感じでございます。 ぜひ、何か平成8年には議会で請願も採択されているということでございます。もう22年前の話ですよね。ですから、きょう、要望として皆さん方に御提示を差し上げておきますけれども、皆さん方の機運が高まるように、次、ぜひ質問をさせていただきたいと思います。 ただ、質問するためには、また関門がありますので、その関門をクリアしながら、来年でもきちんと質問をやりたいというふうに思っております。 これをもちまして、私が用意しました質問、要望は全て終わりました。 本当に、毎回思いますけれども、もうちょっとやっぱり勉強しなければいけないなというふうに思った次第でございます。 最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(森浩二君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。 午後0時11分休憩 ――――――○―――――― 午後1時11分開議
○議長(坂田孝志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 田代国広君。 〔田代国広君登壇〕(拍手)
◆(田代国広君) 菊池郡選出の田代国広です。 きょうの一般質問で、いつの間にか大将に祭り上げられまして、ただ、非常に楽な気持ちでおります。というのも、先鋒の渕上県議が見事な面を決めまして、また、中堅の増永県議が小手、胴で一本勝ち、これでもう勝敗は決しまして、私は非常に楽な形で戦うことができます。こういった環境をつくってくれた両県議に、心から感謝を申し上げます。 さて、14日から始まった一般質問、きょうが最終日です。そしてまた、最後の質問者となりました。私にとりまして、最後という言葉が2つ、3つありますが、特にこの一般質問が私の人生にとって最後の一般質問になりはしないかと、いささか危惧をいたしております。なぜならば、来年は改選です。過去3回、極めて厳しい戦いの中で、薄氷を踏む思いで勝ってまいりましたが、今回の選挙もまた厳しい戦いを強いられるわけであります。 それともう一つの最後は、恐らく来年の選挙が私にとりまして最後の選挙になるというふうに思っております。私自身もそう思っておりますし、きょう来ておられます同士の皆さん方も、恐らくそのようにお思いだと思います。特に、間違いなく最後の選挙だろうと思っておりますし、なおまた、もう一つの最後は、悲しい最後であります。村上先生との悲しい最後の別れであります。 また、村上先生といいますと、実は、きょうの一般質問で、村上先生とは極めてじっこんであった日本の代表的な建築家・安藤忠雄さんを、私は、きょう、紹介するところがあるんですよ。私は、この原稿を書くとき、当時まだ村上先生は健在であったわけでございますから、恐らく村上先生が、それに触れると、どんな顔をされるかな、怖い顔をされるのかな、にこにこ笑った優しい顔をされるのかな、そういったことを想像しながら原稿を書いたんですけれども、6月5日だったですかね、電話が入りまして、村上先生の訃報を知ったわけでございます。まさに愕然といたしました。本当に残念であります。 なおまた、村上先生といいますと、私にとりましては耳を疑う事象がありました。私は、去年の6月からことし3月まで、議運の副委員長として、ドアの外で皆さん方が入場するのをチェックしておったわけでございますが、村上先生が参られまして、おい、田代、顔もええばってん、質問もええぞと、一瞬耳を疑ったわけでございますけれども、これはうそかまことかは、もう本人はいらっしゃいませんから、どうすることもできませんけれども、村上先生の安らかな旅立ちと、私の一般質問が人生最後の一般質問にならないことをここに願って、質問をしてみたいと思います。 まず最初に、菊池テクノパークの現状と課題について質問を行います。 タイトルはすばらしいんですけれども、中身はいまいちです。 菊池テクノパークは、平成20年から25年にかけて、本県のリーディング産業である半導体関連企業や自動車関連企業等の誘致の受け皿として、菊池市旭志の川辺地区に整備されました。 開発規模は22万9841.15平方メートル、総事業費は20億1,000万円、このうち分譲対象用地が15万5335.14平方メートルであり、分譲単価は1平方メートル当たり1万3,000円の設定で整備され、今日に至っております。 全国の自治体が、工業団地を造成して企業誘致に心血を注いでいますが、中には、誘致が進まず、俗に言う塩漬けの状態になり、特別会計で運用される工業団地事業は、財政を悪化させる要因となっています。 このような事態を避けるためにも、速やかな企業進出が望ましいわけですから、どの自治体もさまざまな優遇制度を設けております。 本県においても、最高50億円の補助金制度や税の減免、ふるさと融資制度を活用した無利子貸付制度など、手厚い優遇措置があり、さらには菊池市の優遇措置も活用可能で、条件として他の自治体に劣るとは思えません。 また、企業が立地を決断するとき、最も重視する点の一つに交通アクセスがあると思われます。菊池テクノパークは、阿蘇くまもと空港や益城インターあるいは熊本インターまで車で30分前後の距離にあることを考えると、この交通アクセスも決して悪くはないと考えます。 このような条件下にもかかわらず、完成後5年目を迎え、いまだに企業の立地に結びつかないことを、どのように受けとめておられるのか。 私は、県の方針が大規模な企業を1社誘致することとしており、その目標設定が高いため誘致に至らないのではないかと考えるのでありますが、今後においては、1社ではなく複数の企業誘致へと方針転換を図ることは考えないのか、
商工観光労働部長に伺います。 〔
商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
◎
商工観光労働部長(磯田淳君) 菊池テクノパークは、半導体や自動車関連などの大規模な企業の立地の受け皿として県が整備を行い、平成26年度に分譲を開始しました。面積が広く、豊かな地下水や交通アクセスにすぐれていることが、大きなセールスポイントであります。 大規模な企業の立地は、雇用を初めとした経済効果を生み出すことはもちろん、関連産業の集積にもつながるため、地域経済にとって大きなインパクトを与えます。 一方で、企業は、投資のタイミングを非常に重視され、決断すればすぐにでも立地に向けて動き出されることから、企業のニーズに即応できるような工業団地を用意しておくことも重要であります。 菊池テクノパークは、このような大規模案件に即応できる県内唯一の工業団地であり、貴重な受け皿としての活用を重視し、当面は一体的な売却を考えています。 その上で、知事によるトップセールスや東京、大阪両事務所と連携した企業訪問などで、支援制度とあわせて立地環境をPRし、戦略的に企業誘致を行っています。 そのような取り組みにより、多くの企業から問い合わせをいただき、その中には、実際に現地に赴いて見学されるなど、高い関心を寄せられるところもあります。 今後とも、企業の旺盛な設備投資のタイミングを捉えた積極的な企業誘致に取り組んでまいります。 〔田代国広君登壇〕
◆(田代国広君) 今部長から答弁いただきましたが、実は、当初からこの質問を取り上げる動機の一つとして、大津町で町議時代、苦い経験をいたしました。空港の東側に大津南部工業団地というのがあります。あそこは、まさか大津町かと、誰もが西原村と思うようなところに10ヘクタールの南部工業団地があるわけでございますが、今から約20年ぐらい前に、県の主導でそちらにつくらせていただきました。 当時、県の話では、安藤電気が半分の5ヘクタールには来ると言いますものですから、場所も県が指定しましてそこにつくったんですけれども、残念ながら安藤電気は来ずに、今安藤電気はどこかと吸収合併してありませんけれども、ただ、5ヘクタールは買ってもらったんですけれども、残りの5ヘクタールはずっと塩漬けになりまして、当時は非常に金利が高かったんですね。年間3,000万円前後の金利負担が生じまして、2年、3年と一般会計から繰り出していたんですけれども、これはもう一気に一般会計のほうで特別会計を処理したほうが町の財政にとっていいんじゃないかと、そういうような結論に至りまして、3~4年後、特別会計を一般会計で処理いたしました。 そういった苦い経験がありまして、今は、その後、イズミ車体さんにおいでいただきました。イズミ車体さんは、社長さんが大津町出身でございまして、恐らくそういった関係で大津町のほうに来てくれたんじゃないかなと思っておりますが、おかげをもちまして、その後、その他の企業の方々も、それが呼び水となったんでしょう、来て、今、いっぱい入っているようでございます。 したがって、今回のこの菊池の工業団地も、そういった金利負担を心配したんですが、実は今はもうゼロ金利だということがわかったんです。私は、少なくとも1%ぐらいあるかなと思ったんですけれども、驚くなかれ、10年間の借金が0.5%、5年間であると0.09%ということを知りまして、あいたたた、ちょっとこれは的を射なかったなと思っております。 したがって、この菊池の工業団地においては、そういった金利負担のほうは余り心配しなくていいんですけれども、管理費は一応かかりますが、いずれにいたしましても、工業団地をつくったなら、見せ物じゃありませんから、速やかに企業立地をしていただいて、そしてまた新たなステップへと踏み出すのが理想であるわけであります。 したがって、県におかれましては、いささか大変かと思いますが、ただ、今の部長の答弁では、9割、かなり、極めて何か有効な、可能性の高いような発言もありまして、期待しておきますが、ただ、当面はという言葉をいただきました。当面とは何をあらわすかよくわかりませんが、時期的なもの、その辺がどういったことかわかりませんけれども、当面ということを一応理解しながら、願わくば、一日も早い企業の立地に向けてさらなる努力をされんことを期待して、次の質問に入ります。 少子化対策について。 2014年、増田寛也さんが座長を務める日本創成会議が、25年後の2040年における日本の市区町村別人口推計を公表し、人口減少により自治体が消滅する危険性があるという、将来の姿に警鐘を鳴らしました。 それから4年が過ぎましたが、抜本的な少子化対策はとられておらず、この間、広く、深く、静かに人口減少は進み、日本の体力の弱体化を心配しております。 人間が存在して初めて、文化や教育、経済など、さまざまな事象が展開されるわけですが、人口が減少していくことは、さまざまな分野での事象が縮小することでもあり、国力の減退につながって、極めて好まざる事態となってしまいます。 このような事態を避けるため、生まれてくる子供たちの出生率の向上を図ることが喫緊の課題であることは御承知のとおりであります。 出生率の向上には、若者の理解と行動が重要ですが、国民的課題と位置づけて、私たち、子育てを卒業した多くの国民も課題を共有し、みずからができる範囲での協力が必要ではないでしょうか。 私は、少子化対策として、みずからができることは何かと自問自答する中で、財政的な支援しかないとの結論に至りました。そして、広く県民の皆様に理解と協力を求め、熊本型子育て支援もしくは応援基金を設置し、子育て環境の一助になればと考えたものの、いささかとっぴな感もいたしましてちゅうちょしておりましたが、ある人の言葉との出会いが今回の一般質問で取り上げることを決断する動機となりました。 ある人の言葉とは、慶應義塾を創設した福沢諭吉による「国を支えて国を頼らず」というものです。国を支えて国を頼らず、福沢諭吉はこう説きましたが、今の国民の意識は、国を頼って国を支えずとなっていないか、大変心配です。国を支えて国を頼らずの心構えがあれば、国家は盤石でありましょう。福沢諭吉の説いたこの言葉に、少しでも近づけたらとの思いで、この提言をするものであります。 また、このような考えで行動されている人物と地域を紹介させていただきます。 1つは、桃・柿育英会という東日本大震災遺児育英資金で、日本を代表する建築家の安藤忠雄さんを中心に、ノーベル賞受賞者の小柴昌俊さんや指揮者の小澤征爾さんらが発起人となって寄附を募り、「桃栗三年、柿八年」にちなんで名づけられ、運営されています。 この育英資金のユニークな点は、自動引き落としによる10年間の継続寄附にあります。遺児たちの成長や学びを見守るためには、10年の月日が必要と考えたのです。 毎年1口1万円で、寄せられた寄附は2万5,400口、ほとんどが個人によるもので、これに企業、団体からの一括寄附を合わせて合計43億1,181万円に達し、岩手、宮城、福島各県の育英基金を通じて、1,849人の小中高校生に支給されています。 また、地域の行動として、静岡県浜松市の事例を紹介します。 天竜川から浜名湖に至る太平洋沿岸17.5キロに、高さ13メートルの巨大な遠州灘防潮堤を築く工事が、昨年末、半分の工区で完成しました。費用約350億円のほぼ全額を地元企業の寄附で賄い、住民参加による事業を進める市民の防波堤がつくられています。3.11を目にして、初めて津波に危機感を持った、町を守る思いが市民を動かしたと、商工会議所の理事さんが話しておられます。 以上、2件の例を紹介しましたが、このような行動は、福沢諭吉が説いた国を支えて国を頼らずという考えと多少なりとも共通すると思い、紹介したところであります。 こうした行動が少しでも広がることを期待しながら、同じような精神で子育て世代を金銭面から応援することについて、健康福祉部長の考えを伺うものであります。 〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕
◎健康福祉部長(古閑陽一君) 本県の人口は既に減少に転じるなど、少子化対策は待ったなしの状況であり、議員御指摘のとおり、出生率の向上は大きな課題となっております。 県では、復旧・復興4カ年戦略において、5年間の出生数を7万7,350人にするという数値目標を掲げ、これまで、結婚、妊娠、出産、子育てなど、それぞれのステージに応じた切れ目のない支援に取り組んできました。 今月発表されました平成29年の本県の
合計特殊出生率は1.67と、前年より0.01ポイント上昇したものの、出生数は1万4,657人で過去最少であり、このままでは目標達成は大変厳しい状況となっております。 このため、今年度から、国に先駆けて多子世帯の保育料無償化の拡充に取り組み、子育て世帯から最も要望が多い経済的負担感の一層の軽減を図ることといたしました。 加えまして、新たに、企業に対する家事や育児のスキルアップのための研修機会の提供や、結婚、子育てなどの自主的な活動等への助成に取り組むことといたしております。 少子化問題は、地域経済の縮小や地域コミュニティーの維持、存続を困難にするおそれがあるなど、県民全体にかかわる問題であります。行政だけでなく、県民や企業、地域など社会全体で、それぞれの立場から将来に向けた取り組みを進めていくことが必要であります。 このため、企業の取り組みを一層推進する一環としまして、社員の仕事と子育てなどを応援するよかボスの取り組みを昨年度から始めました。既に110を超える企業のトップの方々に賛同いただいております。 さらに、市町村やよかボス企業などによる協議会を今年度新たに立ち上げ、社会全体で結婚支援や子育て支援を一層推進していく考えであります。 議員から御提案がありました子育て世代への経済的支援につきましては、国を頼らず、県民全体で子育てを応援する仕組みの一つとして、この協議会における取り組みを推進していく中で、議論をしてまいりたいと考えております。 〔田代国広君登壇〕
◆(田代国広君) 今部長のほうから、ある程度前向きな答弁いただきました。 協議会の中で議論していくということでございますので、ぜひ協議会の中で議論をしていただいて、ある一定の方向性を示していただければ大変ありがたく思っております 本当に、出生率、驚くことなかれ、ことしも、2017年度が前年度より0.01%低いんですよね。全然上がることはなくて下がりよる、これは本当に大変な事態だというように思います。 もう経済が停滞しますね、人口が少なくなれば。税収は減ります。社会保障ができなくなりますし、橋や道路の維持、補修も難しくなってくるでありましょうし、何としても一日も早い少子化対策ができるように対策を打たねばなりませんが、そのためにやはりどうしても財源が要るんです、政策するためには。財源なくして政策はありません。 そこで、もう1つ提案したいのが、村上先生が喜ばれると思ったんですけれども、安藤忠雄さんが、この方、個人的に大阪市で子供図書館をつくって、1,000平米ぐらいの図書館ですけれども、それを自分で設計して、つくって、そして大阪に寄附するとおっしゃっています。来年できるそうです。 ただ、図書館をつくっても、中に本を置かなきゃなりませんし、運営もしなきゃなりませんが、これからが安藤流ですよ。安藤さんは、大阪市の会社に、1社30万円、5年間の寄附を求められまして、驚くなかれ、350社の企業が既にそれに賛同しております。 そして、なぜ安藤さんがそういったことができるかというと、あの方は、お金持っては死ねないと、霊柩車に金持っては乗らないと、これが口癖だそうです。したがって、自分が稼いだ金は、還元すると申しましょうか、そういった方ゆえに多くの企業なり人々が共鳴して、文句も言わずに協力するんじゃないかというふうに思っております。 特に、日本では、なかなか寄附文化が根づかないと言われております。こういった安藤さんの取り組みに共鳴して、少しでも日本に寄附の文化が根づけば、その寄附によって、その浄財によって子育て応援をすれば、ある程度また出生率の低下を防ぐことができはしないかというようなことを考えますときに、きょうのこの安藤さんとの出会いによって、日本に少しでも寄附の文化が根づくことを期待して、次の質問に入ります。 阿蘇くまもと空港へのアクセス道路の強靭化について。 阿蘇くまもと空港では、平成28年10月に累計旅客数が1億人を突破しましたが、開港以来今日まで安定的に運用がなされてきており、県民の一人として、大変うれしく思っております。 空港が果たしている役割として、さまざまな企業の利便性向上や観光客の誘致があります。特に、アジアを中心とした観光客の誘致には大きな役割を果たしており、観光産業の振興に多大に貢献していることは、皆様御承知のとおりであります。 これからも、この空港が、産業の振興はもとより、あらゆる分野において必要不可欠な存在であることを考えるとき、空港の安定運用には、さらなる強靭な体制の構築が必要と考えます。 現在、空港へのアクセス道路として、県道36号熊本益城大津線、通称第二空港線がありますが、空港の北側から来られる方は、地下道を通ってこなければなりません。 この路線は、空港へのアクセスであると同時に、通勤はもとより、さまざまな産業にかかわる車が朝から夕方まで1日2万台近くも往来し、経済面での役割も大きい、貴重な道路でありますが、この路線の最大の弱点、つまりリスクは、地下道を通らなければならないということであります。 リスク管理について言えば、天災もテロも、他国による攻撃も、予期しない形で襲ってくることが考えられます。地震は科学では予知し切れないし、サイバー攻撃のような新しい形態のテロも出現しています。 東日本大震災によって発生した福島第一原発事故に関する政府の調査・検証委員会の最終報告において、畑村洋太郎委員長は、委員長所感という異例の形で「あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。」という前提で備えなければならないと述べておられます。あらゆる脅威に対する心構えの真髄として広まっている言葉です。 この報告書に関する新聞記事を目にしたとき、空港の地下道が何らかの原因で通行どめになったらという思いが浮かび、空港へのアクセスであるとともに、産業道路でもあることを考えると、一大事に陥る危険性を感じるとき、新たな道路建設の必要性を強く感じたところであります。 国においては、東日本大震災の発生等を踏まえ、平成25年12月に、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法が施行され、同法に基づき、平成26年に国土強靭化基本計画を策定、大規模自然災害等に備えるためのさまざまな取り組みが進められております。 本県においても、熊本地震の対応に係る検証を踏まえ、平成29年10月に熊本県国土強靭化地域計画が策定されています。 この地域計画では、強靭化に向けた取り組み姿勢として5つの項目を挙げていますが、その一つに「九州を支える広域防災拠点として、県境を越える広域的な災害に対応できるような体制を整備すること。」とあります。強靭とは何か。強靭とは、しなやかな強さのことであります。 阿蘇くまもと空港は、本県の交通ネットワークの主要拠点であると同時に、大規模災害時には、物資や応援部隊の受け入れや広域医療搬送を行う重要な拠点であります。加えて、九州の防災拠点としての役割も担っていることを考えると、空港へのアクセスを多元的、安定的に確保することが大変重要であり、新たな道路の建設こそが強靭化と言えるのではないでしょうか。 また、空港周辺では、
熊本地震発生後、夕方には空港大橋上り口信号の交差点から大渋滞となり、大津南部の区長さん6人から、周辺集落の道路に車が入って事故が心配であるとの声がありました。 新しい道路ができれば、渋滞緩和にもなり、大津はもとより、小国や阿蘇方面からの空港利用者にとっても、利便性の向上が期待されます。 新しい道路を建設するとすれば、路線としては、県道岩坂陣内線の岩坂交差点から南進し、県道堂園小森線に接続し、県が新たに設けた空港南口を利用するというルートがベストではないかと思います。 大地震発生により、本県の財政が厳しさを増していることは認識しておりますが、県土の強靭化を図るため、阿蘇くまもと空港へのアクセス道路建設を求めるものであります。 土木部長の考えを伺います。 〔土木部長宮部静夫君登壇〕
◎土木部長(宮部静夫君) 県道熊本益城大津線は、空港への主要なアクセス道路です。その一部となる空港地下道は、熊本地震により被害が生じましたが、その後の調査結果において、被害は限定的であり、熊本地震と同規模の地震に見舞われても、速やかな機能の回復が可能であることを確認しております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、この路線は交通量が多く、空港周辺では交通渋滞が日常化しております。また、地下道内での事故や火災などが発生した場合、空港周辺の道路交通が混乱するおそれもあることから、それらの解消に向けたアクセス向上が必要であると認識しております。 空港への新たなアクセス道路として御提案のあった県道岩坂陣内線を延伸する地域は、大津側と空港側で約100メートルの高低差がある急峻な地形で、土砂災害警戒区域にも指定されております。そのため、新たな道路の建設には、多大な事業費を要することが想定されるばかりではなく、防災面に十分に配慮した慎重な検討が必要です。 このように、県道岩坂陣内線を延伸する新たなルートの整備には多くの課題があり、現時点での事業化は難しいと考えております。 県では、空港周辺の交通アクセスの強化を目指し、現在国道443号の4車線化を進めており、その早期完成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 〔田代国広君登壇〕
◆(田代国広君) 現時点では厳しいというふうな答えが返ってきました。現時点ということは、将来にわたってはまだ可能性が少しは残っているかなというふうに受けとめておきたいと思います。 国土強靭化計画の強靭というのは、私は頑強なものと思っておったんです。ところが、携帯で辞書を繰ったら、しなやかな強さと出てきまして、よし、これならばやってやろうと思ってこの質問に入ったんです。 実は、この質問、地元の区長さんから受けたときは、地震で向こうに上がる農道や町道がやられて、鳥子団地に回ると大型機械だから離合は難しいから、何とかしてくれんかみたいな――渋滞もあったんですけれども、話だったんです。 うちもそれを聞いたときに、ちょっとこれは厳しいんじゃないかなと。農道、町道は、本来は町がするべきことですから、町が原形復旧するのが当然と思ったんですけれども、ところが強靭という言葉に出会いまして、そして、畑村先生がおっしゃった、あり得ないことも起こることを前提に備えろという言葉とも出会いまして、そのとき、これはもう地元区長からいうと南に、空港の東側に道路を1本設けることは、まさに強靭、しなやかな強さだなというように確信をしたわけです。 だから、今回もいろいろと打ち合わせる中でも、私が言っていることは全く唐突とは思っていなかったようでございまして、ある程度一定の理解はしていただきましたけれども、さっきおっしゃったように、非常に極めて難工事であります。と同時に、それだけに予算も必要だということで、現時点ではある程度はやむを得ないかなというように思っておりますけれども、熊本県は、熊本空港の構想も持っております。(資料を示す)これが強靭化計画の本ですけれども、と同時に、空港の大空港構想も持っておりまして、その中にも空港の位置づけの中で、創造的復興のシンボル、起爆剤として、空港周辺の災害復旧、そして人口の増大等々も復興の中には含まれておるわけでございまして、今後は、そういった強靭化と同時に、大空港構想の一環としても、私は議論をしていただくならば大変ありがたいと思いますし、また、議論する価値がある提案じゃないかというふうに私は思っておりますので、そちらのほうでの議論をぜひお願いをしておきたいというふうに思います。 それでは、憲法改正について質問を行います。 この憲法改正の原稿を書くに当たりまして、一番ちゅうちょというか、心配したのが、6月12日に予定されました米朝会談でした。米朝会談で、私たちが求める不可逆的な核廃棄に同意すれば、北朝鮮に対する文言はここから消却してよかったんですけれども、残念ながら、米朝会談は、私たちの予想どおりというか、必ずしも多くの方々が期待した成果を見ておりません。むしろ、朝鮮半島の非核化だけで終われば、逆に日本にとっては大変な問題が起きることが懸念されます。したがって、米朝会談はなかったことにして、今から質問を行いますので、よろしくお願いを申し上げます。 私は、昨年6月議会で憲法改正について一般質問を行い、今回もまた憲法改正の質問をいたしますが、今回は、憲法9条の2項1点に絞って持論を展開し、知事の考えを求めるものであります。 何が私を憲法改正に向けて突き動かすのか。それは、平和で安全な国家日本を、これから生まれてくるであろう子供たちに残したい、引き継ぎたいとの強い思いがあるからです。 戦後70数年を迎えましたが、その間、日本は、他国の侵略や紛争に巻き込まれず、奇跡的な経済発展を遂げ、国際社会において、先進的な国家として、その地位を築いてきました。 その大きな要因の一つがアメリカとの友好関係であり、特に安全保障面においては、日米安全保障条約の締結であったと思います。 1960年、岸内閣によって条約案が国会に提出されましたが、革新系の野党を中心に、時には10万を超え、ピーク時には30万にも及ぶ数の群衆が国会を包囲し、反対闘争を展開しました。岸内閣は、これに屈することなく強行採決を行い、この条約を成立させました。 当時は、岸首相の強引なやり方が多くの批判を浴びましたが、歳月の流れとともに、今日では、岸首相の決断を評価する声がふえています。私もその一人です。 なぜ評価が高くなったのでしょうか。私が思いますには、日米安全保障条約による抑止力によって日本の安全が保たれていると、国民の皆様が認識されたからだと思います。 日本を取り巻く安全保障の状況は、現在、戦後最悪と言われています。中国は、虎視たんたんと尖閣諸島を狙い、次は沖縄に照準を合わせてくることは明白であります。また、北朝鮮は、日本列島を海に沈めると恫喝しているではありませんか。隣国の韓国では、慰安婦像を設置したりして反日感情をあおっております。親日派は野党に下野し、現在の大統領は反日派が支持しており、日韓関係もまた戦後最悪と言われております。 このような現状を考えると、岸信介首相が、10万あるいは30万もの群衆の反対にもひるまず条約を締結された決断が評価されるのは、自然の流れではないでしょうか。私たちは、今後も、日米間の信頼を高め、我が国の安全保障がより強固なものになる努力をしていかなければならないと思います。 憲法に話を戻しますと、憲法9条は、条文は確かに平和憲法にふさわしいと思いますが、日本の平和が憲法9条によって担保されているとは全く思いません。憲法9条で日本の平和が担保されるならば、自衛隊は必要ないのです。 国民の9割が、自衛隊に対してよい印象を抱き、その活動を評価しているという世論調査の結果があります。なぜ国民の9割が自衛隊を評価するのか。それは、安全、安心な国家日本を守るために、自衛隊が必要と思うからではないでしょうか。 その大切な自衛隊について、憲法学者の6割強が憲法違反であると言っているという論もあります。世界には百数十の国と地域がありますが、軍隊が憲法違反という国がこの地球上に存在するでしょうか。唯一日本だけが、自衛隊が憲法違反であると言っており、それが学者だけでなく、国民の代表者たる国会議員の中にも一定の人数がいることは御承知のとおりであります。 私も、憲法9条の2項を見る限り、自衛隊は違憲だと思います。2項には、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあります。いわゆる戦力の不保持です。 この条文からすると、どうしても憲法違反ではないかという疑問は払拭できません。憲法違反と言う人が悪いのではなく、憲法違反と言われるような状況を改善しない立法府が悪いと、私には思えてなりません。 憲法施行後70年が過ぎましたが、憲法9条に関して、複数の国会議員が、議論するにはまだ機が熟していないと発言されたのには愕然としました。70年も過ぎて機が熟していないということは、熟させる努力を立法府が怠ったと言わざるを得ません。まさに、立法府の怠慢であります。立法府の怠慢にしびれを切らして、地方から憲法改正の動きを加速化する一助になればという思いで、今声を発しているのです。 怠慢から脱して、現実的に対応していくのが我が自民党であります。憲法記念日の3日に、自民党は党声明を出しておりますので、これを紹介してみたいと思います。 憲法記念日にあたって 本日、憲法記念日を迎えました。 わが党は結党以来、現行憲法の自主的改正を目指し、党内外で自由闊達な議論を行い、数々の試案を世に問い続けてまいりした。 これらの知見や議論をもとに、国民の皆様に問うにふさわしいと判断された4つの項目、すなわち、①安全保障に関わる自衛隊、②統治機構のあり方に関する緊急事態、③一票の較差と地域の民意反映が問われる合区解消・地方公共団体、④国家百年の計たる教育充実について、精力的に議論を重ね、本年3月末に、各項目の条文イメージ(たたき台素案)について、一定の方向性を得ることができました。 今後わが党は、この案をもとに衆参両院の憲法審査会で議論を深めるとともに、各党や有識者のご意見も踏まえながら、憲法改正原案を策定し、憲法改正の発議を目指して参ります。 何よりも大切なことは、国民の皆様のご理解を得て、慎重に進めて行くことであります。わが党が先頭に立って活発な国民運動を展開し、自らの未来を自らの手で切り拓いていくという気概で、憲法改正の議論をリードしていく決意です。と、党声明が述べております。怠慢から脱して、現実的に対応していくのが我が自民党であります。 さっきも申しましたように、憲法改正案のテーマは、自衛隊の根拠規定の明記、緊急事態対応、参院選の合区解消、教育の充実の4項目です。他の政党においても、速やかに条文案を示され、建設的な論戦を経て、国会発議され、国民に投票の機会を与えようではありませんか。 今回の憲法改正の議論において、私は、1丁目1番地は9条の2項であると思っております。 読売新聞の特別編集委員である橋本五郎さんという方が、一昨年7月、参議院選挙の際の日本記者クラブでの党首討論会で、共産党の志位委員長に対し、共産党は自衛隊違憲論をとっています、違憲とは、この世に存在してはいけないということです、ならば、自衛隊が、災害時救援に向かうとき、この世に存在してはいけないのだから、なぜ行ってはいけませんととめないのですかと聞きました。志位委員長は、憲法違反の自衛隊が存在するのは一つの矛盾ですと述べられ、矛盾を認めておられます。 共産党に限らず、他の革新的な政党も、矛盾することはわかっていて護憲論を展開しているのではありませんか。この矛盾を正すのが国会議員たる者の努めではないでしょうか。 共産党や立憲民主党の枝野幸男代表は、憲法を改正すれば、自衛隊は地球の裏側まで戦争に行くことになると述べておられます。地球の裏側とは、どこの国を想定しているのでしょうか。私にはわかりません。 このような荒唐無稽なことを述べ、国民の不安をあおり、みずからの政党が平和を守る政党であるとの印象を、国民にアピールしているとしか思えません。このような行動が、憲法9条を、みずからの政党のために利用しているとしか私には思えないのであります。 立憲を名乗るならば、自衛隊は憲法違反ですから、自衛隊は解消すべきとなぜ堂々と言わないのでしょうか。国の根幹にかかわる重大な問題に対して、特に革新系の野党の皆さんには、この大きな矛盾の解消に向け、速やかに取り組まれることを切望するものであります。 立法府が、速やかに国会発議をして、国民に投票の機会を与えれば、良識ある国民は、常識的な判断をすることでしょう。 私は、国民の9割が自衛隊の存在を認めているわけですから、速やかに憲法を改正して、憲法において自衛隊の根拠規定を明確にすることで、大きな矛盾が解消され、隊員の皆さんも誇りを持って任務に精励され、よって国家の安全、安心が担保されると信じております。 憲法9条2項と自衛隊の存在について、知事はどのように認識されておられるのか、知事の考えを伺うものであります。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) ここ数年、本県では、熊本地震を初め、熊本広域大水害など、大規模な災害に見舞われてきました。そのたびに自衛隊に対して災害派遣要請を行い、自衛隊の迅速かつ的確な対応により、災害を、また、被害を最小限にとどめることができました。心から感謝しております。 また、自衛隊には、県の国民保護計画においても、住民の避難誘導、救援、応急復旧の支援等の重要な役割を担っていただいております。 私は、高い士気のもと、組織的に任務を遂行され、人的・物的資源や活動のノウハウを保有する自衛隊の存在とその活動に、大きな期待と信頼を寄せております。 本県には、幸いにも西部方面総監部と第8師団司令部が配置されております。自衛隊が身近にあることは、県民の安全、安心にもつながっており、大変心強く思っております。この思いは、県民共有のものと考えています。 お尋ねの憲法9条2項と自衛隊の存在については、国民の間でも賛否両論があります。 これまでも申し上げておりますが、このような国家レベルの政策判断が必要な問題で、県民世論が分裂している争点については、知事としての発言は控えるべきだと考えております。 今後、国会はもとより、国政選挙の場などを通じて、国民的な議論を十分に深めていただきたいと思います。 〔田代国広君登壇〕
◆(田代国広君) 知事の答弁をいただきましたが、私の予想を超える発言は、残念ながらもらえませんでした。 知事の中で、秋田県知事の佐竹知事さんですかね、あの方は、この憲法改正について、自分の持論を述べておられますね。災害のときに自衛隊に応援を要請しなければならないと、県知事として、その自衛隊がやっぱり憲法違反ではおかしいだろうと、だから、やっぱり自衛隊の憲法改正はすべきであると、佐竹知事さんは記者会見で述べておられるのを私も見ました。 ですから、さっきも言ったように、立法府がなかなか――70年間機が熟されないわけなんですから、やっぱり地方6団体も、国民の一人として、国民投票権が私たちにはあるわけですから、速やかに国民投票に委ねればいいんですけれども、なかなか立法府が、3分の2条項という、高過ぎることによって一つは憲法改正ができなかったと思いますし、ドイツは60回やっているわけですけれども、ドイツの場合は、2分の1で、国民投票はないんですね。ですから、非常に憲法改正はしやすい環境なんです。日本は、3分の2というと、ある意味ではもう憲法改正するなと言っている気さえするんですよ。ですから、日本も、2分の1にして、国民投票があるわけですから、国民の皆さんの良識的な判断に委ねれば、こういった問題はもう生じないと思っております。 と同時に、昨年も言いましたが、吉田茂首相が極めて大きな失敗をしているんです、この憲法9条について。前回も言いましたが、共産党の野坂参三、彼が、1946年の帝国議会で反対討論しているんです。立派な討論なんです。憲法案には戦争の放棄が書かれているが、戦争一般の放棄ではなく、戦争には侵略戦争という不正の戦争と自衛のための正しい戦争がある、戦争一般の放棄ではなく、侵略戦争の放棄とすべきであると、さらに、戦争の放棄は、我が国の自衛権を放棄して、民族の独立を危うくする危険があると。反対討論しているんです。立派な討論です。これを吉田茂が採用すればよかったんです。 ところが、何と言ったか。あらゆる戦争を否定すると言ったんです、吉田総理大臣が。これが、戦後70年間、侵略論争をやらねばならない大きな原因。で、吉田さんも、後で後悔したらしいんですけれども、後の祭り。 したがって、この野坂参三が言った反対討論、すばらしい討論です。これを、私たちは、やっぱり政党がやらねばならないと思っております。山本議員にはちょっと厳しいかもしれぬが。これは事実なんですよ。本当です。 と同時に、憲法には、芦田修正論もありますね。芦田修正論、憲法9条には。「前項の目的を達するため」というのは、やっぱり芦田修正論のことですから。第1項に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という文言を挿入したんですね、芦田修正論で。これを入れることによって、第1項の戦争の放棄は、国際紛争を解決する手段としての武力は使わないというふうに受け取られるんです。これも、政府は採用せずに今日に至っているわけでございまして、速やかに憲法改正して、自衛隊の方々が安心して、あるいは誇りを持って、いろんな面で活躍できるような状態を、素地を私たちがやっぱりつくってやらなければ、日本の将来が危ない気がしてなりません。 確かに、米朝会談で、今後どういった展開になるか知りませんが、極めてまだ不透明であることは間違いない。特に、先ほど申しましたが、朝鮮半島の非核化と同時に、大陸間弾道弾、アメリカへですね。これをアメリカと協議したならば、日本に落ちるノドンが残るわけですから、大変な、最悪の状態になると言われております。 そういったことを避けるためにも、速やかに、早く憲法改正して、日本の安全、安心を担保しなければなりませんし、確かに、おっしゃるように、対話による平和外交、大事です。と同時に、抑止力を必要とする現実的な平和主義が今言われております。高村正彦さんが言っているのがそれなんです。現実的な平和主義、それは抑止力なんです。したがって、抑止力を持つためには、やっぱり日米同盟をしっかりしなければなりませんし、と同時に、基本的には、我が国は、自分の国は自分で守るという心構え、これが大事ではないかというふうに思います。 できれば、早く国民投票して、国会発議して、もう来年の今ごろ、私が憲法改正を言わなくていいような状況ができることを期待して、次の質問に入ります。 街路樹倒木の危険性について。 県道や国道には、両サイドに街路樹が植えられている道路があります。高木、中木、低木と種類があり、特に、背が高く、大きな高木が植えられているところでは、さまざまな弊害が発生しています。 例えば、根が歩道に張り出しているため、歩行者が転倒する事故や日照不足による農作物の収量減少があり、大木になると、台風等により倒木の危険性があります。 私が、今回、その危険性が高いと心配する場所は、第二空港線の空港地下道を通って空港大橋を渡り、国道443号の大津町下町の信号から国道57号の跨線橋に至る間の箇所です。 その道路の両サイドに、ケヤキの街路樹が勢いよく成長して、大木に近い状態になっています。農家にとっては、日照が不足したり、ケヤキに養分が吸収されたりして、作物の成長が阻害されているという状況です。 また、高木であるがゆえに、台風等による倒木の危険性を強く感じるものであります。443号の延長線上にある国道325号にも、街路樹としてケヤキが植えてありますが、ここでは過去に倒木が発生しております。このときは、幸い交通事故になりませんでしたが、443号は片側1車線であるため、倒木が発生したら、重大な事故につながることが懸念されます。 この危険性を鑑みて、国道443号及び国道325号の街路樹について、思い切って中木程度の高さまで剪定を行う考えはないか、また、今後の道路行政において、街路樹については基本的にどう考えるか、土木部長に伺います。 〔土木部長宮部静夫君登壇〕
◎土木部長(宮部静夫君) 県では、通行する方々の安全確保を第一に、熊本の豊かな自然環境や景観とも調和した道路の整備、維持管理に取り組んでおります。 街路樹は、沿道の騒音低減や大気の浄化、良好な景観を形成する目的で整備を行っております。その管理に当たっては、議員御指摘のとおり、倒木や枝の落下、周辺への日照の影響、交差点の見通しの阻害などに対処する必要があります。 このことから、道路利用者の安全性を確保し、かつ管理の効率化を図るため、交差点の見通しを確保する伐採や過剰な大型化への対策など、街路樹の改善策を示した熊本県道路植栽維持管理計画を昨年3月に策定いたしました。 お尋ねの国道443号や国道325号のケヤキを初めとする街路樹につきましては、この計画に基づき、適切な剪定や植えかえなどを行ってまいります。また、台風などに備え、倒木の危険性にも注意した点検も引き続き行ってまいります。 今後とも、道路利用の安全性を確保し、良好な道路環境を維持するため、街路樹を適切に管理してまいります。
○議長(坂田孝志君) 田代国広君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 〔田代国広君登壇〕
◆(田代国広君) この街路樹の倒木の危険性については、よくその道路を通るんですけれども、空港大橋の――大津から行きますと、橋の上り口なんですけれども、あれから443号が始まって、57号の跨線橋を渡って325号に行くわけですけれども、325号のケヤキも、もう両側には電線がいっぱい張ってありますから、極めて危険な状況に見えるんです。 この443号のケヤキは、極めて大きくなっております。もちろん、畑に対する障害もありますけれども、もっと心配なのは、やはり倒木ですね。あそこは2車線で車の通行量も多いし、もしもあれが台風のとき倒れたならば、大きな事故につながるということを危惧して、私はあり得ると思って言ったんです。ところが、畑村洋太郎先生は、あり得ないことも起きることを前提に備えろとおっしゃっているんです。この言葉を贈って、土木部長、あり得ることは起こる、あり得ないことも起こるということを前提に、今後備えをしていただきたいと思います。 これで私の質問を終わります。(拍手)
○議長(坂田孝志君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。 ――――――○――――――
△日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第29号まで)
○議長(坂田孝志君) 次に、日程第2、目下議題となっております議案第1号から第29号まで等に対する質疑を行いますが、ただいままで通告はありません。よって、質疑なしと認めます。 ――――――○――――――
知事提出議案第30号 平成30年度熊本県一般会 計補正予算(第3号)
○議長(坂田孝志君) 次に、お諮りいたします。
知事提出議案第30号が提出されましたので、この際、これを日程に追加し、議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、
知事提出議案第30号を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。
知事提出議案第30号を議題といたします。 ――――――――――――――――― 第30号 平成30年度熊本県一般会計補正予算(第3号) ――――――○―――――― 知事の提案理由説明
○議長(坂田孝志君) 次に、ただいま議題といたしました議案に対する知事の説明を求めます。
知事蒲島郁夫君。 〔
知事蒲島郁夫君登壇〕
◎知事(蒲島郁夫君) 本日追加提案しました議案について御説明申し上げます。 一般会計補正予算は、県議会議員補欠選挙の実施に要する経費として、9,200万円を計上しております。 これにより、一般会計は、冒頭提案分と合わせ111億円の増額補正となり、補正後の一般会計予算額は8,449億円となります。 このほか、本日は、人事案件についてもあわせて提案しております。 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
○議長(坂田孝志君) 次に、ただいま議題といたしました議案第30号に対する質疑を行いますが、ただいままで通告はありません。よって、質疑なしと認めます。 ――――――○――――――
△日程第3
知事提出議案の委員会付託(第1号から第29号まで)
○議長(坂田孝志君) 次に、日程第3、目下議題となっております議案第1号から第29号までにつきましては、さきに配付の平成30年6月熊本県議会定例会議案各委員会別一覧表のとおり、議案第30号につきましては、さきに配付の同一覧表(追号)のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。 〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕 ――――――○――――――
△日程第4 請願の委員会付託
○議長(坂田孝志君) 次に、日程第4、今期定例会において受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。 これをそれぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。 〔請願文書表は付録に掲載〕 ――――――○――――――
知事提出議案第31号及び第32号
○議長(坂田孝志君) 次に、お諮りいたします。
知事提出議案第31号及び第32号が提出されましたので、この際、これを日程に追加し、一括して議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、
知事提出議案第31号及び第32号を日程に追加し、一括して議題とすることに決定いたしました。
知事提出議案第31号及び第32号を一括して議題といたします。 ――――――――――――――――― 第31号 人事委員会委員の選任について 第32号 公安委員会委員の任命について ―――――――――――――――――
○議長(坂田孝志君) お諮りいたします。 ただいま議題といたしました議案第31号及び第32号に対する提出者の説明は省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、そのように取り計らうことに決定いたしました。 ――――――○――――――
△日程第5 休会の件
○議長(坂田孝志君) 次に、日程第5、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明20日は、議案調査のため、21日は、各特別委員会開会のため、22日、25日及び26日は、各常任委員会開会のため、27日は、議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、明20日から22日まで及び25日から27日までは休会することに決定いたしました。 なお、23日及び24日は、県の休日のため、休会であります。 ――――――○――――――
○議長(坂田孝志君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 次の会議は、来る28日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後2時15分散会...