ツイート シェア
  1. 熊本県議会 2001-02-01
    03月12日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成13年 2月 定例会┌──────────────────┐│   第 五 号(三月十二日)   │└──────────────────┘ 平 成 十三年  熊本県議会二月定例会会議録    第五号───────────────────────────平成十三年三月十二日(月曜日)      ─────────────────────   議事日程 第五号  平成十三年三月十二日(月曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ─────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)            ───────○────────出席議員(五十一名)                松 田 三 郎 君                井 手 順 雄 君                藤 川 隆 夫 君                小 谷 邦 治 君                鎌 田   聡 君                城 下 広 作 君                氷 室 雄一郎 君                馬 場 成 志 君                幸 山 政 史 君                坂 田 孝 志 君                船 田 直 大 君                築 森   守 君                平 野 みどり さん                荒 木 義 行 君                中 原 隆 博 君                荒 木 章 博 君                岩 中 伸 司 君                田 方 初 美 君                小 杉   直 君                前 川   收 君                江 口 隆 一 君                坂 本 哲 志 君                田 上 泰 寛 君                渡 辺 利 男 君                鬼 海 洋 一 君                竹 口 博 己 君                篠 﨑 鐵 男 君                土 屋 歳 明 君                林 田 博 達 君                園 村 敬 二 君                河 端 俊 夫 君                草 村   照 君                高 野 誠 一 君                吉 本 賢 児 君                村 上 寅 美 君                松 村   昭 君                児 玉 文 雄 君                小早川 宗一郎 君                前 畑 淳 治 君                中 島 隆 利 君                荒 木 詔 之 君                島 田 幸 弘 君                倉 重   剛 君                山 本   靖 君                杉 森 猛 夫 君                西 岡 勝 成 君                山 本 秀 久 君                八 浪 知 行 君                古 閑 三 博 君                米 原 賢 士 君                池 田 定 行 君欠席議員(四名)                大 西 一 史 君                長 瀬 恭 祐 君                早 川 英 明 君                島 津 勇 典 君      ────────────────────説明のため出席した者         知事     潮 谷 義 子 さん         副知事    黒 田 武一郎 君         出納長    河 野 延 夫 君         総務部長   宮 本 慶 二 君         企画開発部長 中 江 元 哉 君         健康福祉部長 田 中   明 君         環境生活部長 安 田 宏 正 君         商工観光労働         部長     前 田 浩 文 君         農政部長   中 原 盛 敏 君         林務水産部長 西 山 敬 直 君         土木部長   岡 部 安 水 君         公営企業         管理者         職務代理者         企業局次長  上 村 英 寛 君         教育委員会         委員長    今 村 潤 子 さん         教育長    田 中 力 男 君         警察本部長  宮 本 和 夫 君         人事委員会         事務局長   佐 藤 博 治 君         監査委員   牛 島   浩 君      ────────────────────事務局職員出席者         事務局長   吉 本 健 一         事務局次長  松 本 和 彦         議事課長   宮 﨑 博 次         議事課長補佐 船 越 宏 樹         主任主事   小 池 二 郎      ───────○────────  午前十時三分開議 ○副議長(村上寅美君) これより本日の会議を開きます。            ───────○──────── △日程第一 一般質問 ○副議長(村上寅美君) 日程に従いまして、日程第一、一般質問を行います。 発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は一人六十分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 荒木義行君。  〔荒木義行君登壇〕(拍手) ◆(荒木義行君) おはようございます。菊池郡選出の無所属の会の荒木義行でございます。一般質問のトップの機会を与えていただきました諸先輩に心から感謝を申し上げて、とりわけ多く通告をしておりますので、まず一つ目から入らせていただきます。 今日、日本の経済が世界の経済と切り離して論ずることのできない中、アメリカ経済に陰りが見えてきていることは、日本にとって非常に憂慮すべき事態となっております。 現在の日本景気の状況を概観してみますと、一時期底を脱したと言われたところですが、ここに来て近年にない円高基調になっており、さらに、年末から続く株価の低迷は、一向に回復の兆しが見えないどころか、バブル崩壊後の最安値を更新し続けており、平成十二年度の経済成長率も、当初プラス一%を目標としていたものが、このようなさまざまな景気低迷の動きを踏まえ、下方修正されているように、経済の見通しは出口が見えない非常に混沌とした状況になってきております。 このような長引く景気低迷の動向は、国家財政のみならず、地方財政全体に対してもさまざまな影響を与えることが懸念されます。 国及び地方の債務残高は、平成十二年度末で六百四十二兆円程度と見込まれている中で、特に地方財政に影響を与えると懸念されますのが地方交付税特別会計借入金残高の動向です。この地方交付税特別会計借入金残高の見込みは、平成十三年度末で四十二・五兆円にも達する見込みであることから、国はついに地方交付税制度の制度改正に踏み込むこととしました。 その内容は、これまで国が借入金等により地方交付税の総額を確保してきた方式を改め、今後は、個々の地方団体臨時財政対策債という借金を行い、地方財政の収支不足を補おうというものであります。 これまでは、地方財政が豊かだろうが苦しかろうが、あるいは市町村合併が進もうが進みまいが、地方交付税については満額確保されてきたところでありますが、そのような神話が崩壊に向けて第一歩を踏み出したということではないでしょうか。 国は、この臨時財政対策債元利償還金は、後年度において全額地方交付税で措置されることとなるため、地方に対するしわ寄せにはならないと言っております。しかしながら、今後臨時財政対策債の発行が増大していけば、国は一応三年間の臨時的措置とは言っておりますけれども、地方に配分される地方交付税の総額が、結果として抑制されることは避けられないことは自明の理ではないでしょうか。 昨今の経済状況を踏まえると、税収の大幅な伸びはとても期待できず、現行の地方交付税制度を維持したまま、これまでと同様に地方の財政需要を満たしていこうとすれば、おのずと借金に頼るしかなく、国及び地方の財政は破綻に向かって進むしか道がありません。つまり、国、地方双方が、徹底的な財政構造改革、行政改革に取り組むことにより、歳入の増を図り、歳出の抜本的な削減を図るしか、この危機的構造の抜本的な解決はあり得ないと考えております。 その中で、現在県におかれては、市町村合併問題を県政の最重要課題と位置づけ、市町村等への説明会やシンポジウムの開催等、周知啓発に積極的に取り組んでおられます。まだ現状では、一部の地域を除いて合併に向けた機運の盛り上がりが見えてはおらず、具体的な見通しが立っていないというのが実情であると思います。 こうした中で、来月には平成十三年度を迎えますが、行財政面優遇措置を定めた合併特例法の期限まで残すところいよいよ四年となってまいりました。市町村では、具体的な検討の枠組みを固めて、合併後の将来ビジョンや調整事項の検討に着手することが求められているところであります。私は、市町村長や議員の間には、まだそうした差し迫った雰囲気が感じられないという印象を持っております。特に、過疎化が進む中山間地域の町村よりも、熊本市近郊を中心とした、財政的にも比較的余裕のある市町村ほど合併問題への関心が低いのではないかと考えております。 しかし、一見、人口もそこそこに増加し、財政的にもまだ余裕のあるように思える都市周辺の市町村でも、国、地方を通じる厳しい財政状況の中で、今後予想される地方交付税の見直し等が本格化した場合は、軒並みに行財政の危機に直面すると思います。 市町村を取り巻く環境変化が、現在の市町村に対して、新時代に向けた地域の将来ビジョンと行政体制の抜本的な再構築を促していることは明らかであり、地域住民の負託を受けて市町村行政のかじ取りを任された市町村長や議員の方々は、みずからの市町村の行財政の現状や将来見通し、特に財政面のシミュレーションを行い、その結果を住民に提供することが強く求められていると思います。県もせっかく合併パターンを示されたわけでありますから、そのパターンに沿って、可能な範囲での財政面のメリット、デメリットを数字で県民に提供されてはいかがでしょうか。 市町村合併問題は、最終的には地域住民の意向を踏まえて意思決定を行うべき問題ではありますが、現状では地域住民には圧倒的に情報が不足しており、一般的に合併の持つイメージも余りよくないこともあり、住民には合併に対する不安が募っております。このままでは、合併機運が住民の間から自然に盛り上がってくることを期待するのは難しいと思います。 新時代に向けて、地域の振興を図り、生活環境整備住民サービスの維持向上を図るためには合併が避けられないのであれば、合併特例法優遇措置を受けて合併を進めることが有利であることは明らかであり、合併への取り組みの山場を迎える中で、県としても、主体的な立場から、不退転の決意で強力なリーダーシップを発揮していただくことが何よりも重要であると考えます。 そこで、知事に二点お尋ねをいたします。 まず、合併の検討主体でありますが、市町村長市町村議会地域住民、そして県も含めて、それぞれの関係者がおられますが、県としては、市町村合併問題は、だれが中心となって、どのように取り組んでいくべき問題であると認識しておられるのか。 次に、平成十七年三月の合併特例法期限をにらめば、来年度が合併検討の山場となります。市町村の行財政の現状や将来見通し等、住民にはまだまだ的確な情報が不足していることから、県としては、今後どのような周知啓発を図っていかれるのかについてお尋ねをいたします。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 市町村合併検討主体についてですが、合併問題についての具体的な検討の進め方としては、御指摘のとおり、住民の直接選挙を通じて選ばれた長や議会が中心的な役割を果たすことが求められます。 市町村長並びに市町村議会において、行財政面からの現状や課題を把握しますとともに、将来の姿をシミュレーションするなどそのあり方に関する検討を行い、最終的な合併の可否の判断に至るそれぞれの過程で、地域住民に対して、市町村を取り巻く環境変化や合併問題に関する情報を的確に伝えるなど、説明責任を十分に果たしていきますとともに、合併問題の検討に住民も積極的に参画することを求めていくことが重要になってくると思います。 次に、住民等に対する周知啓発についてですが、これまでも積極的な情報提供に努めてきましたが、市町村合併特例法の期限が、ただいまの御指摘のとおり平成十七年三月であることを考えますと、平成十三年度は合併を考えていく上での山場であります。周知啓発をこれまで以上に市町村議会地域住民に対して重点的に行っていくことが必要であると考えています。 具体的には、県下各地域におきまして地域座談会市町村議員研修会を開催するほか、県下各地で、地域ごとに連続してシンポジウム等を開催することとしています。また、市町村の将来の行財政の見通しなども含めて、住民が自分の住む地域あるいは地方自治を取り巻く現状を理解できるように、わかりやすい形での情報の提供を行ってまいりたいと考えています。 さらに、県民を対象にいたしまして、合併後の新たなまちづくりに関する県民懸賞論文や地域の将来像や夢を描く絵画コンクールなどを計画するなどして、あらゆる機会を通じて全県的な周知啓発を展開し、合併機運の盛り上げを図っていくこととしています。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) お答えをいただきましたけれども、やはりまだ町村の間で、それぞれ合併がいいのか悪いのかという議論、それすらいってなくて、中には、違う考え方でありますけれども、農協の合併が悪かった、そう言って、町村の合併もそういったことになるのではないかというような、逆の意味もお話をされる方が大変多いわけでありますので、その辺をひとつ、本当の情報というのを正しく伝えていただければなと思っております。 次に、ペイオフ解禁に備えた県の取り組みについてお尋ねをいたします。 ぺイオフ解禁に備え、県としてどのような取り組みをされているか、お尋ねをいたします。 このたび、県財政の健全化実現のため県財政健全化計画が発表され、各種対策が打ち出されました。計画では、県財政中期見通しにおける財源不足を向こう五年間でほぼ解消するとなっておりますが、県民生活の安定と県経済の着実な前進を図るためには、健全化計画がより確かなものとなるよう全力で取り組まなければならないと思っています。 健全化計画の実現とともに、おろそかにできないのが県で保有している資金の管理であります。資金の管理は、県では出納局で一手に引き受けられていますが、一時借入限度額が八百億円と認められている中で、平成十二年度においては全く借入が発生していないというふうにお聞きいたしております。多いときでは、一日の支払いが五百億円に上るときもあるということであります。こういうときでも、支出に備え万全の準備がとられていたということになります。これは、県における資金の管理がいかにうまくいっていたかという証明ではないかと思っております。 今日の超低金利下においても、常に最新の金融情報の収集と分析に努めるとともに、年間四百回を超える小まめな預金による運用を行い、有利な預金利息を引き出すため、大部分の金額を金融機関同士の競争入札を実施するなどして、九州ではトップの運用成績を維持しているともお聞きしました。私としては、これまで県資金につきましては適正に運用されてきたと考えております。しかし、先日、鳥取県で、ペイオフ解禁に備え、資金管理研究会発足という記事を目にいたしました。 ペイオフという制度は、金融機関が倒産したときに取りつけ騒ぎなどを防止するため、預金保険機構に積み立てている保険金で預金者に一定額の払い戻しを行うというものであります。そのペイオフが平成十四年四月に解禁され、来年の四月からは、払い戻し保証額が預金元本一千万円とその利息となるわけですが、記事を見るまでは、あくまで個人や企業等の預金が対象になると私自身は考えておりました。ところが、記事をきっかけにどういうことか調べてみますと、金融機関へ預金している県の公金についても対象となるということであります。 ペイオフが解禁されますと、単純な例では、金融機関が破綻した場合、十億円、百億円のお金を預けていても、一千万円預けている人も、皆同じに一千万円の保証しか受けられなくなるということであります。つまり、膨大な県の公金についても一千万円しか保証されないということであります。一方、県債残高は、十一年度末で約一兆二千七百億円であり、うち金融機関への債務が四千百億円あります。ペイオフ解禁後は、金融機関が破綻した場合、預金はなくなり、借入金だけが残ることも考えられます。したがって、県資金の管理は、財政健全化を進めていく上で今まで以上に大切な問題であり、ますます重要度を増してくると考えております。 ペイオフ解禁まで、定期性預金はあと一年、決済性預金についてはあと二年ありますが、対応策を検討する上では長いとは言えません。むしろ差し迫った状況にあると思います。 県としては、ペイオフ解禁に備え、これまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか。また、今後の対応策はどのようにされるのでしょうか。国の考え方などを含め、出納長にお尋ねをいたします。  〔出納長河野延夫君登壇〕 ◎出納長(河野延夫君) ペイオフ対策についてのお尋ねでありますが、お話をいただきましたように、県資金につきましては、これまで、確実かつ有利な方法により運用し、積極的に自主財源である運用益の確保に努めてまいったところでございます。 北海道拓殖銀行が破綻をしたことをきっかけに金融不安が生じた平成九年以降は、金融機関経営状況等を検討しながら、より一層安全確実な運用に努めてきたところでございます。 全国の出納長会では、ペイオフ解禁後、公金を預けている金融機関が破綻すれば県民生活に極めて大きな影響を与えることから、金融機関経営状況を判断するための情報のあり方や金融機関が破綻した場合に何らかの保護策がとれないかなどについて検討を重ねてきたところでございます。また、国に対しては、それらの検討結果を踏まえて、公金の保護策を講じるよう要望をいたしてきました。 国では、それを受けまして、学識経験者地方公共団体金融機関等関係者で構成する地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応方策研究会を設置しまして、本年度末をめどに結論を出すべく検討がなされているところでございます。 これまでの検討過程においては、地方公共団体の預金についても、民間と同様、自己責任のもと金融機関を選択し、公金の安全を図ることが求められているために、金融機関経営状況を十分に把握できるような環境整備が必要であるなどの意見が出されております。 また、金融機関が破綻した場合の保護策については、県が預けている定期預金等と借入金である県債とを相殺することなどが検討されております。この相殺方式は、有効な保護策の一つと考えられますけれども、県債を引き受けている金融機関に限られるなどの問題点も指摘されておりまして、その検討を見守っているところであります。 県としても、この検討結果を踏まえて、全国出納長会との連携のもとに、適正な対応に努めてまいりたいと考えております。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) ありがとうございました。 公金預金の保護策案の一つとして相殺の活用がということでありましたけれども、まだ実現までにはいろんな問題があるようでありますし、現時点での具体的な対応策としては、国に金融機関の評価基準の作成を求めていくことであります。地方公共団体も、みずからの預金の管理については自己責任を相当問われるものとありますが、確かに、金融機関経営状況等を把握することが大切であります。仮によくない情報を入手して地方公共団体が真っ先に対応すれば、地方公共団体金融機関の破綻の引き金を引くことになりかねず、動くに動けない場合が想定されます。 ただ、県を含め、特に市町村は、銀行からのディスクロージャーラッシュを受けた場合、その後でどう判断し、どうそれを生かしていくのかというノウハウ、または人材の面でも大きな問題がございます。 今回は県の資金の管理の面でのお尋ねをいたしましたけれども、本来は、運用面または基金の預け入れ等の問題というのも今後多くの問題が予想されることもありますので、県としては、ペイオフ解禁に備えてのさらなる検討をお願い申し上げておきます。 次に、映画づくりによる観光振興についてをお尋ねいたします。 最近の全国的な観光振興のトレンドを見てみますと、観光大使制度の導入やテレビ、映画の舞台となることで、観光客の入り込み客数を増加させる方策がとられているところであります。 まず、観光大使についてでございますが、全国で、行政、民間合わせて九十七カ所の団体が制度を設けていると聞いております。しかしながら、その活動はそれぞれ取り組み方が異なっており、観光大使の活動状況が把握できず、効果もわかりづらいなど、いろいろな課題も多いと伺っております。 一方、テレビでは、御承知のように、この三月まで、NHKの朝ドラ「オードリー」で、山鹿・鹿本地域を中心として県内の観光地が全国のお茶の間に放映されているところであり、山鹿市にも多くのお客様がおいでになっております。また、九八年の日本映画で高倉健が主演した「鉄道員」のロケ地となった北海道の南富良野では、観光客が一・六倍に増加したとのことであります。 このように、テレビや映画などのメディアによる宣伝効果には絶大なるものがあります。土曜、日曜のテレビを見ておりますと、旅番組やグルメ番組メジロ押しであります。それを見るにつけ、若い人、特に女性が熊本へ来たくなるようなコマーシャル、映画、グルメ番組づくりが必要ではないかと考えるところであります。 熊本というと、馬刺、からしレンコンしか出てこない。しかし本県には、果物や海産物を初めとして、他県に負けないような食材が数多くあるにもかかわらず、グルメ番組を見ていると、熊本の素材がいかにも貧弱に見えたりいたします。また、温泉に関して言えば、黒川温泉だけではなく、県内各地にたくさんの良質の温泉があり、PRの必要性が大きいと思われます。観光振興のためには、ただ単に一過性の宣伝ではなく、定期的にアピールできるものが必要であると私は考えております。 皆様御存じのように、日本じゅうに笑いと涙を醸し出した、あの「寅さん」や「釣りバカ日誌」などのシリーズものの映画の舞台となったことで有名になった地域が、全国に数多くあるやに聞いております。特に「寅さん」の故郷となった東京・葛飾柴又には、多くの観光客が訪れるだけではなく、記念館まで建設されているような状況であります。 ところで、本県出身者であり、松田県議の人吉高校の同級生でもある、今若者の人気を呼んでいる俳優で、うっちゃん、なんちゃんの内村さんがおられます。内村さんは最近映画やテレビの監督をしておられ、若い人がこの内村さんの作品をよく見ているとのことであります。そこで、例えばこの内村監督に熊本の観光PRに一役担ってもらってはどうだろうかと考えております。そして、熊本を中心とした映画番組を、市町村とタイアップしてつくることなどは考えられないものかと思っているところであります。熊本を舞台の中心としたシリーズものをつくり、第一話が天草で、天草エアラインを使ったものとし、第二話を阿蘇といったことなどができればと思っているところであります。 映画をつくるには莫大な費用がかかると聞いており、県財政が厳しい中、県の負担を求めるつもりはありませんが、だれにでも愛される好感度ナンバーワンの潮谷知事が、そのキャラクターを生かして音頭をとられ、内村監督や熊本の経済界等に働きかけていただき、また、市町村、旅館等とも連携して、その実現のための取り組みができないものか、知事にお伺いしたいと思います。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 映画やテレビなどのメディアを使った情報発信には、その土地の知名度と集客力の向上、さらにはロケなどによるビジネス機会の創出など、経済的な波及効果が大きいと聞いています。 これまで、熊本を題材とした映画は残念ながら少ないのですが、最近では、テレビでNHKの連続テレビドラマ「オードリー」それから昨年末に八時間にわたってBS放送されました「おーい、ニッポン」など、熊本が題材に取り上げられ、熊本の情報発信や県内への観光客誘致にも一定の効果があったものと考えています。 先日、NHKの海老沢会長と直接お会いする機会が与えられました。この折、それらの放映のお礼を申し上げました際に、大河ドラマなどの中で、さらに熊本の紹介もしていただけないだろうかという大変厚かましいようなお願いもしたところでございます。例えば、「蒙古襲来絵詞」を残しました竹崎季長のゆかりの地・海東、それから菊池一族、また北条時定書状写しを有する満願寺など、今の大河ドラマに関係するようなところが熊本の中にもたくさんございますことを御紹介しながらお願いをしたところです。 映画の制作につきましては、脚本家の選定、それからスポンサーの確保、いろいろと課題も多くございます。特に、制作会社のスタッフの方や脚本家といった制作にかかわるキーパーソンに、熊本の人や歴史の素材に興味を持ってもらうことが大変大切でありまして、これから地元関係者団体と連携して熊本の情報発信が必要であると、そのような認識をしているところではございます。 なお、国では、地域の経済、観光振興の観点から、映画やCMなどのロケーション撮影の誘致を円滑に進めるための支援組織の研究を行うこととしておりまして、県でもこのような動きについて情報収集を行い、メディアを使った観光振興にも努めてまいりたいと考えています。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) 御答弁ありがとうございました。 継続して熊本をPRしてもらう、そういうために莫大な費用がかかります。それを、金を使えとは言いませんので、汗と知恵を使い、即効性のある観光振興の一役にぜひ御努力をいただきたいと思っております。 観光振興について、あと二点お尋ねをいたします。 現在東京では、観光スポットではないが、府中の競馬場が多くの若い女性を集めていると聞いております。この競馬場では、トイレなどの大改造を行い、特に女性用のトイレを広くて豪華なつくりに整備したとのことであります。このトイレがすばらしいとの風評が女性に広がり、結果として多くの若い女性がここを訪れ、馬券を購入し、競馬を楽しんでいるとのことであります。そして、若い女性に連れられ男性も多く訪れることになり、現在大勢の来場者で大いににぎわい、収益増につながっているとの話を聞いております。このことは、集客に当たって女性の誘客を図ることの重要性を物語っているのではないかと思います。 昨年七月、リクルートが発表した第三回九州・山口人気観光地調査によると、阿蘇の黒川温泉が、行ってみてよかった観光地、もう一度行ってみたい観光地として、三年連続で一位との観光客の評価を得たところであります。この評価を行ったアンケートの回答者に占める男女比率は、男性が約二〇%であるのに対し、女性は約八〇%を占めているとのことです。このような観光客の評価により、現在黒川温泉は、休日前日であれば、五月の連休まで予約で満杯とのにぎわいを呈していると伺っています。まさに女性が観光地評価の主導権を持っていると言っても過言ではないと思っているところであります。 平成九年に行われた熊本県観光動態調査によると、本県に宿泊した観光客の男女別構成を見ると、男性が約八〇%、女性が約二〇%となっており、本県を訪れ宿泊した観光客の大部分を男性が占めている状況であります。このようなことから、私は、本県の観光地が誘客に成功する秘訣は、多くの女性客を呼ぶことができるか否かにあると考えており、女性が好む温泉、グルメなどを生かした観光ルートの設定や旅行商品づくりなど、女性をターゲットにした観光戦略を立てることが重要ではないでしょうか。 本県では、昨年十二月から、冬の旅キャンペーンと銘打って、大型観光キャンペーンが実施されておりますが、どのような戦略で臨まれているのか、また、今後どのように取り組まれていくのか、商工観光労働部長に見解を伺いたいと思います。 次に、二〇〇二年ワールドカップを契機とした国際観光振興への取り組みについてお伺いをします。 オリンピックをしのぐとも言われるスポーツの祭典であるワールドカップサッカーが、来年五月三十一日から六月末日までの一カ月間にわたり開催されます。前回のフランス大会は、開催国のフランスが優勝するというドラマチックな結末で幕を閉じました。今回は、大会史上初めて日本、韓国による二カ国共同開催ということで、熱狂的なサッカーファンのみならず、世界じゅうの注目を集めているところであります。 日本国内で試合を観戦する観客は最大百六十万人にも及ぶものと予想され、入場チケットの半数は外国人向けに販売されるとのことであります。 試合は、日本で十カ所、韓国で十カ所の合計二十都市で開催されます。日本国内で開催される試合のうち、九州では大分県が試合会場となり、来年の六月中旬に三試合が実施される予定と聞き及んでおります。 また、先月の二十一日には、ベルギー代表チームが本大会への出場権を得た場合熊本市をキャンプ地とするとの基本的合意が、ベルギーサッカー協会と二〇〇二年ワールドカップサッカーキャンプ地熊本招致委員会の間で成立したとの発表があり、私は大変喜んでいるところであります。このことにより、大分での試合を観戦する観客やベルギー代表チームのキャンプを見に訪れるサポーターなど、多くの外国人観光客が本県を訪れることになるであろうと思います。 我が国でのワールドカップの開催は、観光地としての熊本を海外にアピールする絶好の機会であります。この機会をとらえて、韓国を初めとする近隣のアジア諸国やベルギーの人たちに熊本の魅力を十分PRし、来熊を促したり、外国人観光客の関心に対応した具体的な観光ルートを示すなどして、海外からの誘客に積極的に取り組むべきと考えております。 そして、このような国際観光振興取り組みを行うことにより海外からの観光客も増加し、ひいては現在韓国との定期航空路が休止している熊本空港国際線の振興の一助にもなるのではないかと思っております。 本来、今回の質問は、この観光という面だけではなくて、熊本空港の国際線を利用して熊本空港におり立っていただく、そういったことができないものかということを検討していただくつもりで質問をするつもりでありましたけれども、大変困難である、実現にはほど遠いというようなこともありましたので、今回は、国際観光振興取り組みについてのみ商工観光労働部長にお伺いをいたします。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 女性をターゲットにした観光振興についてというお尋ねでありますが、大手の旅行エージェントなどの旅行業界では、旅の主役は圧倒的に女性であると言われております。 女性が観光旅行の主導権を握る傾向が強まっていく中、本県には、女性が好む温泉、グルメといった観光素材も豊富でございまして、これらを生かした取り組みが必要と考え、本年度のくまもと冬の旅キャンペーンの中でも、女性をターゲットにした企画を組み込んだところであります。 その幾つかの事例を申し上げますと、クリスマスに合わせてライトアップしました大江天主堂などの天草下島を周遊するバスツアー、あるいは人吉・球磨のひな祭りをルートに組み込んだ旅行商品化等に取り組んだところであります。この結果、女性客を中心に多くの観光客を集め、特に天草のバスツアーでは、乗客の約七割が女性客となるなど、手ごたえを感じたところであります。 阿蘇火口や熊本城などに象徴されます男性的イメージの強い熊本観光に、このような女性にターゲットを絞った企画が定着し積み重ねられることによりまして、熊本の観光が厚みを増していくことを期待いたしているところであります。 今後とも、女性への対応に重きを置いた観光振興を進めますとともに、観光関連業界と連携を図りながら、おもてなしの心の醸成や素材、ルートの開発、PR等に努めてまいりたいと思います。 次に、ワールドカップを契機とした国際観光振興への取り組みについてのお尋ねでありますが、本県では、一昨年から、国際観光振興の観点から、来年開催されますワールドカップサッカーキャンプ地招致に取り組んでまいったところであります。 本県の海外からの観光客は、東南アジアの経済的発展を背景に年々増加をし、平成九年には、香港、台湾、韓国等から六十四万人の入り込み客があってございます。ここ数年は東南アジア地域の経済停滞により低迷状態でありましたが、経済回復とともに、海外からの観光客が戻ってきている状況にございます。 県では、これまで、宿泊施設やバス会社などと組織をいたします外国人誘致連絡協議会と連携しまして、香港、台湾、韓国、中国及びシンガポールにおいて、現地での観光展の開催や旅行エージェントとの商談会を実施し、海外からの誘客に取り組んでまいりました。 しかしながら、県単独の取り組みでは、九州域内における周遊ルートの企画や使用空港の調整等に限界がございまして、九州各県で組織します九州地方観光協議会において、来年度のワールドカップ開催を控え、九州各県の連携につきまして具体的な協議を始めることといたしております。 また、ことしの二月に、宮崎、鹿児島、熊本三県合同で開催をいたしました南九州広域連携観光振興会議におきましても、三県が共同して国内外の誘客に取り組むとの合意がなされておりまして、まず中国からの訪日団体観光のための観光ビザの発給地の拡大や誘客について、共同して取り組むことといたしております。 外国人観光客の受け入れにつきましては、宿泊施設など観光施設の充実、外国語標記の観光案内標識の整備のほか、従業員の接遇などソフト面での課題も多いわけですが、ワールドカップサッカーキャンプ国へのPR効果は絶大なものがあり、これを契機として、関係団体とも連携し、受け入れ体制の整備に努めてまいりたいと思います。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) 次に、産業廃棄物処理業者の破綻等に伴う諸問題についてお尋ねをいたします。 廃棄物については、一般廃棄物、産業廃棄物を問わず、排出量は増加の一途をたどっており、これを処理するための施設が必要であるということは住民の皆さんも理解しておられるものの、特に産業廃棄物に関しては、一部の悪質な処理業者による産業廃棄物放置や不適正な処理等による不快なイメージのみが強く、いざ立地となれば、住民には歓迎されない施設として反対が起こる状況にあります。 しかし、地域の環境を保全し産業経済の健全な発展を図る上では、廃棄物の排出抑制やリサイクル推進はもちろんのこと、産業廃棄物処理する上での問題点を払拭して、必要な施設は住民の皆さんの理解を得ながら設置を認めていくことも必要であります。 ただ、これらの理解が得られるためには課題もたくさんあると思います。県内を見ましても、大津町におけるドラム缶入りの大量な廃棄物や焼却施設の放置、八代市における大量廃棄物の放置など、過去に経営破綻した処理業者の後処理とも言うべき問題を抱えているのは御承知のとおりであります。 大津町の例では、施設を除く放置廃棄物については、県及び町の御尽力により処理が完了いたしました。ただ、施設については放置され、土地を貸していた地主さんにとっては、その撤去を求めようとしても既に事業者は破綻してどこにもおらず、土地の原形復帰もままならず、困窮しておられましたが、先月地主さんが多額の費用を投じて撤去されたと聞いております。 これらのことは事業者による経営上の問題であり、他の分野における経営破綻の救済をだれがなすべきかということを含めて、国の方でもいろんな論議がなされていることを承知しておりますが、地方自治としての役割として、県ができる限りの手を尽くすということも必要ではないかと考えております。 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。 産業廃棄物処理施設が廃止されるときには、生活環境の保全に支障を来すことのないよう適正な状況にあることが第一と考えますが、現実的には、廃止後の管理面で問題のあるケースが多いのではないかと思います。ただ、平成十年六月十七日以降に設置、供用された最終処分場については、埋め立て終了後の維持管理積立金制度が法的に規定されておりますが、県内で適用されるものはないと理解しています。どうなっているのでしょうか。 また、廃棄物処理事業者が破綻したときに廃棄物や施設が放置されないようにするためには、不良な業者には許可を行わないように、許可時点での十分なチェックも重要なものと思います。 現状では、土地の所有者が事業者でなくても所有者の承諾があれば許可がなされるのだと思いますが、土地については事業者みずからの所有でなければならないとか、事業に破綻を来すことのないような資金を確保している事業者及び残された廃棄物や施設を処分するための供託金を拠出している事業者でなければ許可しないということなども考えるべきではないでしょうか。現状での許可申請時の審査においてはどうなっているのか、お尋ねをいたします。  〔環境生活部長安田宏正君登壇〕 ◎環境生活部長(安田宏正君) 最終処分場の維持管理積立金制度についてでございますが、平成十年六月十七日以降に新しく設置されました最終処分場が適用対象とされております。本県では、そのような最終処分場がなく、現在のところ適用事例はございません。 なお、最終処分場につきましては、埋め立て終了後も一定の維持管理が必要であり、この積立金制度の適用を受けない既存の最終処分場につきましても、適用の拡大や新たな基金制度等の確立について国に要望しているところでございますが、さらに要望を重ねてまいりたいと考えております。 次に、処理業者の許可審査についてでございますが、まず、事業者が産業廃棄物処理業の許可を受ける前の処理施設設置に関して、県の指導要綱及び廃棄物処理法に基づいて、設置場所の使用権限について審査を行い、処理施設が設置された後に行われる産業廃棄物処理業の申請に際しましても、再度、事業計画や土地、施設全体の使用権限の有無について、当事者間の契約内容に虚偽がないよう審査確認を行っております。 また、事業者の経営能力につきましても、事業開始に要する資金及びその調達方法等を記載した書類のほか、経理関係書類等の内容を審査し、事業を的確にかつ継続して行うに足りる経理的基礎を有するか、あるいは技術的な能力が十分であるかなどの判断をしており、同様の審査を五年ごとの処理業の許可更新時においても行っております。 今後とも、適切な許可審査に努めるとともに、許可業者の育成、指導につきましても、さらに熊本県産業廃棄物協会等と連携をいたしまして取り組んでまいります。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) 法の許可要件及び県要綱等に基づいて審査、許可されていることはわかりましたが、現在の情勢を考えたときに、廃棄物処理業者が経営能力を喪失し、廃棄物や施設をそのまま放置する可能性は高いと考えられます。 特に、維持管理積立金制度が適用されないまま今後廃止される最終処分場のあり方を含め、さらには焼却炉等の中間処理施設の廃止においても、終了後の措置が適正になされることが、産業廃棄物施設に対する県民の理解を深めることになると考えます。 県の指導のみでは十分でないことも想定できますので、現在最終処分場だけの要望にとどめておられる維持管理基金制度についても中間処理施設まで適用を拡大し、また、処理業者の経理的許可要件等についても継続的に審査ができるよう、法の整備について、国に強く要望されるようお願いを申し上げます。 次に、河川における遊水地の利用についてお尋ねをいたします。 県におかれましては、坪井川や堀川などに、洪水を調整する施設として遊水地を建設されているところですが、坪井川の両岸に広がる五十六ヘクタールの坪井川遊水地や沖野遊水地の計画を見たとき、私はこんなに広い敷地が果たして必要だろうかと疑問に思ったところであります。 ところが、平成九年七月六日から十四日にかけて千二百ミリの大雨が降り、堀川の堤防が一部決壊し、濁流が流れ出し、下流の団地が浸水の危機に見舞われました。幸い、あふれた水は沖野遊水地に流れ込み事なきを得て、下流域の約三千世帯が浸水被害を免れたところであり、また、平成十一年熊本夏季国体初日でしたが、九月十一日には、一時間に六十五ミリの集中豪雨により坪井川遊水地が満杯となり、下流、熊本市街部の被害が最小限に済んだところであります。特に沖野遊水地は、当時完成前であるにもかかわらず、その効果の大きさに感心し、また感謝したところであります。改めてこの場をおかりしてお礼を申し上げます。 さて、このようにすばらしい治水効果をもたらす遊水地でありますが、洪水時以外はといいますと、雑草が繁茂する荒れ地と化していることも事実であります。坪井川遊水地では一部が公園として整備されておりますが、沖野遊水地は未整備の状態であります。 このため、沖野遊水地では、夏場には雑草が生い茂り、景観上も悪く、周辺道路が通学道路でもあり、子供を持つ親としては防犯上も大変心配しているところであります。また、害虫の住居となり、周りの農家も大変迷惑しているとの声も聞いております。これに対し、県では、年一回程度の草刈りをやっておりますが、追いつかないのが現状です。 県では、このような広い遊水地を今後とも建設していくと聞いておりますが、雑草広場とすることなく、何とか有効に利用する必要はないものでしょうか。そこで、これから遊水地をどのように利用し管理していかれるつもりなのか、土木部長にお尋ねします。 次に、都市計画道路麻生田三里木線の整備について質問します。 武蔵ヶ丘東ニュータウンも、平成十二年度には一部分譲が開始されるなど、その整備もかなり輪郭が見えてきております。しかしながら、この武蔵ヶ丘東ニュータウンが完成しますと、周辺地域へのさまざまな影響が予想されるところであり、中でも道路の渋滞問題については大変懸念されるところであります。 現在でも、菊池方面からの中心市街地への交通と相まって、朝夕の通勤時間帯には交通渋滞が至るところで発生している状況であり、これに加えて約七千人規模の武蔵ヶ丘東ニュータウンから発生する新たな交通を考えると、この混雑はさらに激しさを増すことは明らかであり、自動車利用者への影響はもちろんのこと、沿線住民の生活環境にも多大な影響を及ぼすことは必至であります。 このような状況を招かないためには交通の分散が必要であり、このことはこれまでも幾度となく申し上げてきたところでありますが、武蔵ヶ丘東ニュータウンからの新たな発生交通の分散の一助として事業が進められている国体関連道路南北線へつながる都市計画道路麻生田三里木線の整備を早急に進めていくことが必要であります。 現在、県におかれては、この事業の完成に向け鋭意努力されていることは承知しておりますが、一方では、先月二十二日に財政健全化計画の一環として公共事業の大幅な圧縮が打ち出されたところであり、現在用地取得中と聞いておりますけれども、この事業の完成がおくれますと、先ほど申し上げたように大変な状況を招くことになりかねず、私を初め地域住民の方々も、当事業の進捗状況を注意深く見守っている次第であります。 つきましては、一昨年の六月議会でも質問しましたが、再度、都市計画道路麻生田三里木線の現在の進捗状況並びに完成時期について、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長岡部安水君登壇〕 ◎土木部長(岡部安水君) まず、遊水地の問題でございます。 遊水地は、降雨時に流量の一部を一時ためることによりまして、下流地域の洪水を防止することを目的とした施設でございます。降雨時以外の利用につきましては、これまでも、一部の遊水地について、広大な敷地を生かし、遊水地としての機能を損なわない範囲で、運動広場や自然公園などに利用し管理してきたところでございます。 遊水地の整備に当たりましては、敷地の有効活用や効率的な管理の観点から、今後それぞれの地域と積極的に連携を図ってまいりたいと思っております。 このため、地域の声を反映させた利活用や住民と行政が協力して行う日常的な管理などにつきまして、それぞれの地域で検討する場を設けることとしております。 合志町の沖野遊水地につきましても、利用方法並びに管理につきまして、地域の代表や有識者などで構成をいたします委員会の設立を準備中でございまして、その御意見などを踏まえまして有効利用を図ってまいりたいというふうに考えております。 次に、都市計画道路の問題でございます。 この麻生田三里木線の整備でございますけれども、熊本都市圏北東部と都心部とを結ぶ道路の渋滞緩和並びに武蔵ヶ丘東ニュータウン建設に伴う新たな発生交通へ対応する上で大変重要であるというふうに考えております。 現在、豊肥線の跨線橋にかかりますJR九州との協議など関係機関との事業調整を進めるとともに、用地取得に努めているところでございます。ちなみに、ことし二月末の用地取得状況でございますが、面積ベースで約四〇%というところでございます。 平成十三年度には跨線橋下部工の工事に着手することとしておりまして、今後、事業関係者の御理解を得ながら、残る用地の早期取得並びに関係機関との協議成立に努めまして、平成十五年度完成を目途に努力をしてまいりたいと思っております。 ○副議長(村上寅美君)  荒木義行君。──残り時間が少なくなりましたので、簡潔にお願いします。  〔荒木義行君登壇〕 ◆(荒木義行君) ありがとうございました。 最後に、要望を二点お願いします。 現在の農業は、景気低迷や海外からの農産物輸入の増加などから多くの農産物価格が低迷し、また、大幅な米の生産調整が実施される中で、収益が上がる作物もなかなかなく、県が強力に推進している認定農業者でさえ後継者がいないところがあるといった状況であります。 一方、最近、民間企業では、バイオ技術などの研究が進んでおり、農業に応用できるような技術を持った企業もあると思います。その技術を活用して農産物の生産に取り組もうとする企業もあるのではないかと考えております。 こうした企業は、農地法などで農地の所有が制約されており、また、投資効率の面からも、みずから農業生産に乗り出すまでには至っていないところも多いと思います。 そこで、農業生産に応用できる先端技術などを持つ企業を探し出し、農協などへ企業の情報をつなぎ、その技術を活用して新たな作物の栽培や新たな産地づくりができたら、地域の活性化や後継者の確保にもつながるのではないかと考えております。 県は、農業研究センターで新品種の育成などに取り組んでおられますが、これは重要なことで、しっかりと取り組んでもらわなければなりませんが、いかんせん時間がかかり過ぎます。こういった時代でありますので、短期間に小規模の限定的な産地であっても新たな産地づくりを進めることが重要だと考えます。 私も、具体的にどこにどういった企業があるか把握しているわけではありませんが、これからの農業振興にはぜひ必要なことだと思っておりますので、農業に関する技術やノウハウを持った企業を探し出し、産地と結びつける活動に農政部として取り組まれるよう要望いたします。 最後に、技能者育成の重要性については、さきの議会でも知事の方から技能五輪に関連して答弁があっているところであり、県でも理念については十分認識されていることは承知しております。 しかし、現実は厳しいものがあります。例えば大工の賃金についてでありますけれども、高齢化が進み、現在平均年齢が五十歳を超えております。月収が三十万にも満たない、年収では三百万円程度という実情にあるそうであります。若年者や老齢者であれば我慢もできる金額でありますけれども、三十歳代から四十歳代の子育てをしている者には生活できない金額であります。 この原因はいろいろあると考えられますが、例えば公共工事の単価の切り下げも原因の一つであります。特に労務費については二割のカットになっており、大工さんや型枠工の賃金に直接影響が出ていると聞いております。 このような低賃金では後継者を育てる気にもならず、また後継者になろうとする者もおらず、その結果後継者が育たないのではないかと思っております。県の施策をとっても、片方で技能者の育成は重要であると言いながら、他方では労務費の切り下げをするというちぐはぐな施策は、私には理解できないものがあります。また、技能者の社会的な評価が低いことも後継者が育たない原因であると考えます。 このような状況にありますので、理念はともかくとして、具体的な技能者の育成策を考えていかなければなりません。その場合、行政が直接やる部分もあるだろうし、音頭をとってやる部分もあると思います。県においても、そうした現状を十分に踏まえていただき、技能者の育成に本気で取り組んでもらうことを要望しておきます。 これをもって私の通告はすべて終わりました。一時間御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手) ○副議長(村上寅美君) この際、五分間休憩いたします。  午前十一時二分休憩            ───────○────────  午前十一時十二分開議 ○副議長(村上寅美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前川收君。  〔前川收君登壇〕(拍手)
    ◆(前川收君) おはようございます。菊池市選出の自由民主党・前川でございます。 きょうは、朝から何かやり残しておるなという気持ちになりました。多分皆さんも言われるとわかると思いますけれども、新聞の休刊日でありました。朝から新聞を読んでないんですね。何か情報社会と言われている中で、一日朝から新聞を読まないという日もたまにはあっていいなということを、実はきょうは率直に感じました。執行部の皆さん方も、毎日紙面を見ながら何と書かれているのかと非常に気になさっていらっしゃるというふうに思いますけれども、きょうは朝新聞を読んでいらっしゃらないと思いますから、答弁の方にしっかり集中をしていただければと思います。 それではまず、市町村合併の推進についてお尋ねをいたしますけれども、先ほど知事の御答弁にもありましたように、平成十七年度で合併特例法が切れるわけでありますから、まさに今年度が山場という表現でございました。私もそう思っておりますから、今議会、代表質問を初めたくさんの皆さんがこの市町村合併についての質問をなさっていらっしゃいますけれども、私なりの切り口でやらせていただきたいと思います。 昨年四月、地方分権推進一括法が施行され、地方自治体の自主・自立性の強化を目指した地方分権の第一歩が具体化したところであり、その実施主体とされる市町村に対する国民の期待は極めて大きなものがあります。 しかしながら、市町村の区域や規模は、いまだに五十年前の姿のままになっていますが、現在の市町村の区域が確定した昭和の合併当時と比較しますと、交通、通信の手段は飛躍的に発達し、住民の日常生活圏は市町村の区域を大きく越えております。 県内の小規模な市町村の中には、すばらしい行政を展開され、地域の活性化に成功されている団体もありますけれども、そうした市町村の行政運営についても実態を詳細に分析いたしますと、その活動原資である財政面は、地方交付税を初めとする国や県からの財源に依存している、いわゆる三割自治かそれ以下というのが実情であります。 国、地方を合わせて六百六十数兆円の借金があると言われているように、我が国の財政がいよいよ厳しさを増す中で、財政構造改革は焦眉の急となっており、依存財源の蛇口をわずかでも絞られれば、果たしてこれまで同様に、地域の活性化やまちづくりを推進し、住民に期待される質の高い住民サービスを提供していけるのか。自己決定、自己責任の厳しい原則のもとで、個性的で総合的な行政の展開ができるのか。私は極めて困難ではないかと考えております。 市町村合併の推進が求められている理由は、真にそうした大局観、大きな目で見たものからであり、市町村の対応力を強化しようとするものであるというふうに思っております。 国、地方の財政危機等、自分たちには関係ないと言われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの問題は、好む好まざるということにかかわらず、またお一人お一人の認識いかんにかかわらず、市町村を取り巻く環境の変化に対応した行政体制の確立が問われているのであり、合併の成否は、いわば地方分権の試金石であるというふうに思っております。 しかし、そうした厳しい現実の中で、相変わらず市町村は同じような集客施設の整備がそれぞれで行われており、結果的に建設費や維持費に追われ、運営に四苦八苦するのは目に見えており、そうした行政コストの負担は、最終的に地域住民に大きくのしかかってきます。 加えて、少子高齢化の進行に伴う社会保障費用の増大、後で質問をいたしますけれども、廃棄物対策等の身近な生活環境への対応、農林漁業、商工業等地域経済振興への対応など、分権時代を迎えて市町村の役割はますます拡大しており、地域の多様化するニーズは山積しているのが実態であり、こうした現実を踏まえれば、財政面からの必要性だけではなく、あらゆる面から見ても、今日市町村の行政体制を思い切って見直すことが必要であると私は考えております。 県においては、これまで積極的に合併を推進してこられましたが、私は、合併が実際に進むかどうかは、ひとえに市町村長や議員、そして住民の皆さんが、市町村が置かれている環境変化を踏まえ、市町村合併の必要性や具体的なメリットや合併しない場合の予測されるデメリットをいかに理解し、自主的、主体的に取り組むことができるかということにかかっているというふうに思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。 まず、市町村合併の具体的なメリットについて、県はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。 次に、これはなかなか答弁が難しいかもしれませんが、仮に市町村が今回合併をしなかった場合には、行財政面において今後どのような影響が生じてくると予測されておられるのか、いわゆるデメリットについてお尋ねいたします。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 市町村合併の具体的なメリットについてですが、本県の市町村は、比較的小規模の団体が多く、地方交付税や補助金等に大きく依存しながら、増大する行政需要に何とか対応している状態にあります。国、地方を通じての厳しい財政の現状にかんがみれば、財源確保の先行きは予断を許さないものであると考えます。 特に、地方分権が具体化し、自己決定、自己責任の原則のもと、地域住民の多様化した行政ニーズを的確にとらえ、質の高い行政サービスを提供することが必要となります。そのためには、市町村におきます人材の確保、組織体制の整備及び財源の確保など、行政体制を確立することが急務となっていきます。 このことを踏まえますと、合併の具体的なメリットとしては、まず、市町村の行財政運営の簡素効率化が図られ、重複する管理経費の節減等により、最少経費で、より質の高い行政サービスの展開が可能となることが挙げられます。 また、より専門的な人材の確保が可能となるため、例えば、緊急な課題とされている介護保険対策等複雑専門化する住民のニーズに的確に対応することで、より高度な行政サービスの提供が可能となるなどの効果がございます。 さらに、新町の将来ビジョンに基づき、広域的視点に立った均衡ある公共施設の整備等、社会資本整備を合併に伴う財政支援措置を活用して推進することが可能となるなど、さまざまな効果が期待できると思います。 次に、合併をしない場合の問題ですが、合併をしない場合の行財政面への影響についてですが、これまで述べてきました合併のメリットが期待できないばかりではなくて、現時点で抱えている課題、例えば、環境問題への対応や総合的な地域福祉対策、あるいは住民に身近な社会資本の整備など、今後増大することが予想される行政需要に的確にこたえていくことが難しい状況になり、事態はますます深刻化することが懸念されます。 県といたしましては、市町村が、将来に向けて、これまでの行政サービスの水準や活力を維持向上させ、地域住民の福祉の増進を図るためには、合併問題の検討は避けては通れない課題であると考えておりまして、引き続き積極的な推進を図ってまいるつもりでございます。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 知事、御答弁ありがとうございました。 合併についてはさまざまな皆さん方で議論がされておりますけれども、やっぱり合併しなかった場合にどうなってくるのかということを県としてきちっと予測を立てておかなければならないということ、そのことが大事だというふうに思っております。 やることのデメリットがあることもよく存じております。例えば、それぞれ地域でこれまで培っておみえになったアイデンティティー、地域性というものがやっぱり合併によって崩れていくという部分の心配の向きがあること、これも十分理解できる話でありますけれども、今それよりももっと大きな問題として、将来市町村が自主的運営ができていけるのかどうなのかという部分、そのことがこの合併の問題で問われていくのだろうというふうに私は思っております。 ちなみに、熊本県、現在九十四の市町村がございますけれども、この市町村の数でいけば、全国で七番目に市町村が多い県であります。それから、人口の類似規模、同じような人口、熊本県は百八十七万人でありますけれども、三重県が百八十六万人で六十九市町村だそうであります。岡山県は、熊本より多くて百九十六万人の人口規模で七十八市町村であります。やっぱり今でも熊本県は多いということでありますし、また、面積の類似規模、宮城県、これは、熊本県は七千四百平方キロメートルということでありますけれども、宮城県が七千三百平方キロメートル、ほとんど一緒でありますけれども、七十一市町村であります。大体ずっと見てみますと、隣の宮崎県、これは極端に少ないんですけれども、七千七百平方キロメートルで四十四市町村でありますから、熊本の約半分ということになっております。 行政効率のことだけを言うと、やっぱりさっき言いました地域のアイデンティティーという問題とどうしても引っかかりが出てくるわけでありますけれども、現状でも、他の全国の都道府県に比べれば、熊本県は市町村数が多いんだというその現状認識というものをやっぱりしっかりしていかなければならないというふうに思います。 それから、知事も所見を示されたとおり、今後の国の財政状況がどう変わっていくかということを考えれば、これはもう早晩やっぱり財政構造改革の中に入っていかざるを得ないということ、これももう国民周知の事実であろうというふうに思います。 現に、ことしの予算から、臨時財政対策債ということで、これまで交付税として出されていたものが、いわゆる起債の対象に変えられたということは、将来国が、交付税という名の、水道でいけば蛇口をあければじゃっと出ていたその財源をこれから絞りますよということをきっちり国の方からサインを送っているんだというふうな感覚を持っておかなければならない。 それから、十七年度までの合併特例法でありますけれども、私も最初は、これは五年間の時限立法でありますけれども、恐らく五年たったら、もう一回やりましょうということで、繰り返し繰り返し延びていくのではないかなという予測を立てておりましたけれども、そういう憶測が国民や自治体の中に広まっていることを多分国も察知したんだと思いますけれども、これは一応十七年度までですということで、特例法の延長は国の方では強く否定しているという状況であります。つまり、今やらないと、合併特例債や普通交付税の特例といったような、いわゆる合併のメリットというものをしっかり生かすことができないということでございますから、知事の立場で言えば、国の立場じゃないわけでありますから、こうなりますということを断定的にまだ言えない、国の方からの方針もはっきりしていない状況でありますけれども、恐らく今おっしゃったことというのは、既に県民も、それぞれのつかさつかさで、いわゆる行政運営に当たっていらっしゃる皆さん方も、大きく的が外れた話じゃないということを認識していただいているというふうに思いますので、そういった、やらないとこうなっていきますよということも県民に広く知らしめていかなければならないのではないかというふうに思っております。 次に、廃棄物処理の問題について質問をいたします。 私は、登壇のたびごとに、廃棄物処理の問題、とりわけ菊池市の問題について質問をし、問題提起をしてまいりました。私が登壇すると言うと、同僚の議員から「産廃頑張れ」という声がかかるようになってしまって、私としては不本意でありますけれども、地元にとっても、また熊本県、もしくは日本全国にとっても、やっぱりこの廃棄物の問題というのは、今後我々が避けて通れる問題ではないというふうに思っておりますから、真っ正面からぶつかっていきたいというふうに思っております。 県議会におきましても、平成八年十二月定例会において、菊池市民一万八千余名の署名を添えて提出された大型焼却施設の新設反対と拡張の反対の請願が全会一致で採択承認され、さらに、知事に対し、産廃処理施設の地域偏在を避けた適正配置、許可権者としての県の責任の明確化、公共関与施設の設置を内容とする意見書を、これもまた県議会全会一致で採択、提出をしております。 しかし、議会の意思、私はあえて民意と言わせていただきたいと思いますけれども、民意と法律の間で揺れ動いたこの問題は、結果として大型焼却施設は設置許可がおろされ、営業運転が始まり、さらに、請願内容にもあった大規模な拡張についても、既に農振除外の申請が出され、動きが始まっている状況であります。 市民は、法律の壁に立ち向かうために、市民約一万六千五百名の原告団をもって、県の許可手続に瑕疵があり、ダイオキシン抑制対策も不十分という理由で、県の設置許可取り消しを求める行政訴訟を、平成九年十月、熊本地裁に提訴いたしました。驚くべきことに菊池市民の有権者の約七六%を占める数であり、この問題が菊池市民にとって大変大きな問題であり、また、市民の不満の大きさというものをまさに象徴する裁判であったというふうに思います。 約三年間にわたったこの裁判の結果は、既に御承知のとおり、ダイオキシンの危険性について的確な主張、立証をしていないと指摘し、一万六千五百九十一名の原告全員に原告適格なしという結論になりました。しかし、市民は決してあきらめてはいません。今後は、業者に対して焼却炉の操業差しとめを求める訴訟を起こす準備に入っております。 潮谷知事、知事は、御自身で菊池市の産廃処理施設の現地視察を行い、すばらしい高原地帯にそびえ立つ焼却炉や、広大な水源涵養地帯を掘り起こし埋め立てられた、目を覆いたくなるような産業廃棄物の実態をつぶさにごらんになったと思います。 既に約二十年にわたって、かの地に埋め立て処理が続き、二十四時間、日量百トンという大型焼却炉に対して、県内はもちろんでありますけれども、九州各県からごみが持ち込まれ続ける菊池市の市民は、現状において、あっては困るがなくてはならない施設であることは十分に理解した上で、既にその責任は十分に果たしたと考えております。知事、市民の考えは間違っているのでしょうか。 さらに、十八町歩に及ぶ施設の拡張を前提とした農振除外申請がなされ、菊池市がそれを却下し、市の農振計画に対する不服申請が先週末県に提出されている現状とこれまでの経緯を踏まえた知事の所見をお尋ねいたします。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 人が生活し、産業活動が営まれる以上は、どうしても廃棄物の処理は避けて通れないものでございます。処理施設は最終的にどこかに必要なものですが、安全、安心で環境を汚染しないというきちんとしたものが見えてこないと新たな設置は難しくなっているのが現状です。 県としては、施設の許可や事業者等の監視指導を行う立場にあり、設置に際しましては、施設の安全性の確保や地元との合意形成を重視して、設置者に強く指導していくことはもちろんのことです。廃棄物処理の実態や処理施設の運営についてもできるだけ情報を開示して透明性を確保し、県民の理解と信頼が得られるような努力をしていかなければならないと考えています。 菊池市の産廃問題につきましては、市民の不安を和らげる観点から、さまざまな経緯のもとに県が立ち会い、事業者と市の間で環境保全協定が締結されましたが、地元の反対運動が続いている中で、協定が市民に受け入れられ、十分に機能しているとは言えない状況も感じております。 このため、県としましては、協定当事者であります市や事業者とも、協定を尊重する立場でその機能が十分発揮できるよう必要な協議を行いますとともに、稼働中の焼却炉についても、さらに適切な施設の管理運営がなされるよう監視指導を行い、地域の生活環境の保全に努めてまいります。 また、農業振興地域整備計画にかかわる問題を含めて、最終処分場の拡張問題につきましては重要な問題と認識しています。現在協定に基づいて協議が行われているところですので、その状況を踏まえながら、市の意向や地元情勢にも十分配慮して、適切に対応してまいりたいと考えています。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 今、知事の御答弁の中で、本来この菊池市の産廃問題を和らげていくための環境保全協定が十分に機能しているとは思えないというお話でございました。幾つかその原因が私はあるというふうに思っておりますけれども、もともと環境保全協定をつくったのはなぜなのかという部分、その部分について、やっぱりもう一回しっかり認識をしなければならないというふうに思います。 住民が不安を持っている、そして不信感を持っているということが大前提でありました。そのために監視委員会というものがつくられているわけでありますけれども、その監視委員会の委員になる皆さん方に、この協定を認めない人は委員にならないでくれというような形での業者からの言い分というものが出ております。  協定を認めることは、結果として──使用期限が今最終処分場が二十年というふうに規定されており、業者の方では、後から質問しますけれども、そのことを根拠に拡張問題というものを今やろうとしているわけでありますから、認めるわけにはいかないという前提にあるにもかかわらず、認めないから監視委員会に入れないということになっておりますから、そうじゃなくて、もともと不信感があり、やっぱり不安を持っている皆さん方が監視をしていただくという姿をつくることが、この問題を解決していく一番の近道であるという認識を、県の方は持っていただいていると思いますけれども、さらに確認をさせていただき、監視委員の皆さん方を広く集めて、たくさんの皆さん方がいつでも──透明性を確保するというふうに知事もおっしゃいましたから、やっぱりいつでもこの施設の中に入っていって、どのように処理されているのかということを見ることができるような、そういうシステムを早くつくっていかなければならないというふうに思います。 知事は、昨年の選挙の際に、菊池市で遊説をなさいました。その遊説の中で、この産廃問題について、私が知事になったら県も変わってきたなというように感じていただけるように頑張っていきますというお話をなさいました。確かに、昨年でありましたけれども、反対同盟の皆さん方と知事と面談をしていただきました。これまでになかったことでありますけれども、率直に反対同盟の皆さん方の声を聞いていただく姿勢を持っていただきました。さらには、実際に現地へ足を運び、そして視察をしていただき、その状況についての確認もしていただいたということで、変わってきたなということを少しずつ私も感じております。 そして、ただいまの答弁の中に、この農振の問題について、本来であれば、農振は農振という形で非常に事務的に処理されていく問題であるにもかかわらず、地元の状況にも十分配慮する、そして協定に基づく協議の状況も踏まえるというお話でありましたから、事務的な、いわゆる農振の問題だけととらえないという御答弁をいただいたことは、市民にとっても大変ありがたい話であったというふうに思います。 ただ、菊池市ももっとやっぱり頑張らなければならないところがあります。平成八年にこの農振除外申請を却下しました。それからもう既に五年たっていますが、あの土地の農振上の利用方法、利用計画をまだ菊池市は示しておりません。それから、耕作勧告というものもまだ菊池市はやってないという現状であります。農振地として守っていくためには、農振地として、農業用地としていかに利用していくかということを示さなければならないのが菊池市の責任でありますけれども、残念ながらまだそれが果たされていないという状況でありますから、それについては、今後市民の一人として私もさらに働きかけをしていきたいというふうに思います。 先ほど知事がおっしゃいました協定、十分機能していないと言われたその協定について質問をいたします。 県が立会人となり、市と業者の間で締結された環境保全協定について、業者側は、拡張を前提として織り込んである協定であると主張をしております。協定を締結したのだから拡張を認めるべきだというふうに市に迫っております。市側は、拡張は協定の前提ではないと、両者の意見がかみ合わない状況になっており、結果として、市が処理場に常駐させていた監視員、これは市の職員でありますけれども、その市の職員を業者が追い出してしまいました。 私は、この協定を何度も読み返して、拡張を認める内容になっているのかどうかの確認をずっといたしましたけれども、私が読む限りにおいては、拡張を認めるという内容を読み取ることはできません。確かに、拡張問題については、県と市と業者で構成する協議会で今後協議すると書いてありますけれども、認めるとは書いていないと思います。 この協定をつくることに主導的な役割で深く関与され、立会人という立場の県として、この環境保全協定が拡張を認める内容であるのか否か、環境生活部長の御答弁をお願いします。 次に、ダイオキシンの問題でありますが、環境保全協定には、ダイオキシンが常時〇・一ナノグラムになるように運転するとうたってあります。もともとこの施設は、業者がダイオキシンを〇・一ナノグラム以下に抑えることができる非常に安全性の高い施設であると主張し、設置許可を求めた施設であります。当然のこととして、協定値は〇・一ナノグラムに業者も自信満々で設定されたものと思います。 しかし、昨年十一月二十四日実施された市の検査で四・三ナノグラムが検出されました。これまで業者の検査では、延べ二十六回検査が行われて、そのうち二回が〇・一ナノグラムをオーバーしておりました。県の検査では、六回やった中で四回が〇・一ナノグラムをオーバーすると。菊池市の検査では、二回やって一回が〇・一ナノグラムをオーバーしております。 昨年十一月二十四日の市の検査値は四・三ナノグラムであったにもかかわらず、業者が、その翌日、つまり十一月二十五日に実施した検査結果が〇・〇三ナノグラムであったことを根拠に、市の検査結果に対して不信感を持っており、その疑問解消のために、県は、本年二月九日、業者に事前通知をせずに抜き打ちで検体の採取を行い、同じ検体での県、市、業者が委託しているそれぞれの検査機関による調査が実施されております。 もともと業者の検査数値は低く出て、県や市の検査数値は、さっき言いましたように、六回中四回が県です。二回中一回が市です。高く出るという結果が出ているわけでありますから、同じ検体による検査は大変意義深いというふうに私は思っております。ただし、心配なのは、この検査結果がほとんど同じであればいいわけですが、大きく差が出て、〇・一ナノグラムを上回ったときの対応であります。つまり、どの数値をもって協定の対象とするのか検査結果が出る前に決めておくべきだと思いますし、三つの検査結果の中で、一つでも〇・一ナノグラムを上回った場合は協定違反であるというふうに私は考えておりますけれども、県の考え方を環境生活部長にお尋ねいたします。 さらに、これは菊池の産廃問題に限らず、全体の廃棄物処理の問題でありますけれども、公的施設の建設について質問をいたします。 県は、平成五年、産業廃棄物公共関与基本構想にも、平成十年の産廃処理計画にも公共関与処理に言及されておりますが、現実には全く進んでいないのが現状であります。 私は、昨年八月、自民党県連政務調査会環境部会の一員として、産廃の島と呼ばれている香川県の豊島へ行ってまいりました。瀬戸内海に浮かぶ小島に不法投棄された約五十万トンの産廃は、結果的に県が主体になり、約四百億もの巨費を投じて除去されることになったそうでありますが、四百億もかかるのであれば最初から公的施設をつくるべきであり、現在の民間任せの産廃行政の矛盾というものをそのとき切実に感じました。菊池市の産廃に埋め立てられた量は、既に豊島の倍の百万トンを超えております。大津町瀬田裏の不法投棄もまだ全体量の把握ができていないという状況であります。 県内の産廃の管理型埋立処分場の残余容量はあと五年分でありますし、一般廃棄物についても近い将来行き詰まるというふうに私は考えております。新しい処分場をつくるには環境アセスメントも必要でありますので、五年ぐらいは簡単にかかってしまいますし、これまでずっと検討されてきたわけでありますので、五年後の状況を前提とすれば、そろそろ結論を出すべきであるというふうに思います。 平成十三年度中に新しい廃棄物処理計画をつくる予定と聞いており、予算も計上してありますが、公的廃棄物処理場の建設について、環境生活部長の所見をお尋ねいたします。  〔環境生活部長安田宏正君登壇〕 ◎環境生活部長(安田宏正君) まず、環境保全協定が産廃施設の拡張を認める内容であるか否かについてでございますが、協定はさまざまな議論を経て締結されたもので、最終処分場の増設または拡張については合意が得られず、その条文では、協定締結後の最終処分場の埋立期間が二十年となっていることを考慮して、最終処分場を増設または拡張する場合は、環境保全協議会で別途協議するとの内容になっており、拡張を認めるとまで言及したものではないと理解しております。 今後の最終処分場のあり方については、環境保全協議会において、協定の精神に沿った話し合いが必要と考えております。 次に、ダイオキシンの数値の検査結果の取り扱いについてでございますが、菊池市が行った検査結果が協定値を大きく上回ったことを踏まえ、県としては、検査日をあらかじめ通知せずに立入検査を行うとともに、県が採取した検体については、現在、県のほか、事業者及び菊池市が委託したそれぞれの検査機関でも分析を行っているところでございます。 なお、検査結果につきましては三つ出ることになり、いろんなケースが想定されますが、県としては、他の検査結果も精査した上で、県が行った検査結果を必要な行政措置の根拠とするということにいたしております。 また、三つの検査結果のうち一つでも協定値を超えたときは、検査結果を検証した上で、協定を遵守する立場で対応することになると理解いたしております。 廃棄物処理施設への公共関与についてでございますが、近年民間処分場の新規の立地が難しくなってきており、安全で安心できる施設の確保が課題であると認識いたしております。 国では、廃棄物処理法に基づく廃棄物処理センター制度の利用促進のため、指定要件の緩和や支援の拡充を図るほか、複数圏域にわたる広域的な処理施設の設置検討も行っていると聞いております。 これらの動きや近年の産業廃棄物の減量化、リサイクルの動向等も見きわめながら、平成十三年度に策定を予定しております廃棄物処理計画の中で、県内産業廃棄物の実態調査を踏まえた上で、産業廃棄物処理施設の確保のための方策等について、公共関与のあり方も含めて検討を行ってまいる所存でございます。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) ただいま、拡張問題については、協定書の中には認めるという言及はしていないということをはっきり言っていただきましたから、業者がおっしゃっている主張がこれで崩れたということになるというふうに私は思っております。 それから、ダイオキシンの検査については、三つの検体で、それぞれのケースが出てくる可能性があると。県としては、県の検査を行政措置の根拠とするというお話でありましたけれども、そのうちの三つのうちの一つでも〇・一ナノグラムを上回った場合には、協定を遵守する立場で対応するというお話でありました。協定の中には、〇・一ナノグラム以下で運転するという形での数値設定がなされておるわけでありますから、どの数値、例えば、もう県の数値が上回ったらもちろんでありますけれども、市の数値が上回ったにしても、市には、環境保全協定の中で、業者に対して違反事項の改善等の必要な指示を行うことができるというような形になっておりますから、これを使えば当然とめるということができるわけであります。業者自身も、もちろんみずから〇・一を超えたということになればそのことを認めざるを得ないということであります。 実は、この施設は、我々が県議会で設置許可の議論をしていたときから〇・一ナノグラム以下ですということが業者のPRでありました。この施設は安全な施設なんですというPRをしてまいりました。しかしその後に、ダイオキシンの検査をする中で、〇・一ナノグラムをクリアできない施設であったということがわかったんです。その証拠に、触媒反応棟、最初の設置許可時の設計にはなかった触媒反応棟というのを後で増設をなさっていらっしゃいます。つまり、設置許可時は〇・一以下だと言っていたにもかかわらず、それはクリアできなかった。なおかつその後に触媒反応棟というのをつくった。それによって、より安全性は私は高まったというふうに思いますけれども、この触媒反応棟をつけてもなおかつ〇・一ナノグラムがクリアできないということであるのであれば、もう残された道は撤去していただくしかないんです。もうその時期に私は来たというふうに思っております。 検査結果を待たなければなりませんけれども、〇・一ナノグラムを、どれか三つの、県、事業者、それから市の検査の中で、一つでも上回った場合には、県としても最終的な、今言いました撤去というような、とめることはもうもちろんでありますけれども、撤去というような御判断が必要になってくるだろうというふうに思いますので、その折には毅然とした態度で取り組んでいただきたいというふうに思います。 それから、公共関与に関する取り組みでありますけれども、また検討というお話でありました。どうも私が感じているのは、結果として、菊池市の産廃が増設が認められれば、県内の廃棄物処分場、産廃処分場の最終処分場の残余容量の五年というのがぼんと延びるわけでありますから、それを盾にされては困るということが前提であります。これを公共関与でつくるというのは本当に至難のわざだと私も思います。じゃあ県内どこにつくればいいのかという議論をするのは非常に厳しい議論だと思います。私自身もどこならいいですよということは言い切れません。 しかし、今部長の答弁の中で、まだ明確にはなってませんけれども、国が進めている広域的廃棄物処理センター構想というものを御紹介なさいました。たしか環境対策特別委員会でも視察に行かれたというふうに聞いておりますけれども、北九州・響灘に国がつくる広域の廃棄物処理センターであります。これは一般廃棄物も産廃も受け入れが可能な検討をしているということでありまして、具体的になっているのは、去年かおととしか八代で問題になりましたPCBの処理というものをやる施設、これをまずはやるということであります。ぜひ熊本県もこの構想の中に参加をしていただきたいというふうに思います。当然、北九州でありますから、これは大変な輸送のコストがかかると思いますけれども、私は、この廃棄物の問題というのは、一般廃棄物、産業廃棄物に限らず、もう住民にコスト意識をしっかり持っていただかなければならないというふうな時代になると思っています。 一般廃棄物は、行政サービスの中で全部処理されるという時代ではもうなくなるだろうと思います。ある程度のコストというものを住民の皆さん方に覚悟をしていただかないと、今我々が究極的に目指しておりますごみをなくす社会、循環型社会というものを構築していく上においては非常に難しいだろうというふうに思いますので、コスト意識をしっかりと持っていただくためにも、私はあえて、この北九州で計画が進められております広域的廃棄物処理センターというものを、県の公的関与処分場という形に位置づけをダブらせていただければ、問題解決の一助になるんじゃないかというふうに思います。 それでは、次の質問に移ります。 財政健全化における公共事業の発注のあり方等について質問をいたします。 さきに発表されました財政健全化計画に沿い、この四月から具体的な対策が行われることになりますが、御承知のとおり、公共事業においては、平成十三年度は、今年度に対して、補助事業でおおむね一〇%の削減、単県事業でおおむね二〇%削減されます。さらに、単県事業は、平成十四年度以降も順次削減されることとされており、単県事業についてみますと、平成十五年度には対十一年度比で約四割の削減率と、大変厳しい状況を迎えることになります。 また、このような状況は熊本県だけに限ったことではなく、国の建設投資の見通しでも、公共、民間の建設投資全体について、今後の伸びが期待できないと言われており、建設業界にとっては極めて厳しい環境に直面しております。 本県においては、社会資本の整備がまだまだ必要であり、公共事業の積極的な推進を願いたいところでありますが、現下の厳しい財政状況からは、公共事業費の削減は、残念ながらやむを得ないということと考えざるを得ません。 ただ、公共事業は、社会資本を整備し、豊かで快適な県土を創設するという役割とともに、地域の産業経済面や雇用の面で果たす役割が極めて大きいものであると、改めて言うまでもないと思いますけれども、大きな役割を担っているというふうに思います。 統計資料によりますと、平成十年度の県内総生産は約五兆七千五百八十億でありますけれども、その中に占める建設業の総生産額は四千五百五十八億円となっており、その割合は七・九%であります。また、平成八年のデータではありますが、県内の建設業従事者は八万三千人強で、全産業従事者の一〇・五%を占めております。この数字は建設業だけの数字であり、関連産業というものを含めると、もちろんこれ以上になるわけでありますから、建設業はまさに本県の基幹産業と言っていいというふうに思いますし、さらに、自然災害が起きたときには、昼夜を問わず災害を未然に防ぐ応急復旧活動などに努めるなど、社会的な役割も果たしてきたというふうに思います。 これまで、国、県等は、経済対策として公共事業への積極的な投資を行ってまいりましたけれども、これは、公共事業を通して地域経済が活性化されるとともに、雇用の増大にもつながるという波及効果を期待してのことでありましたし、景気回復への下支えの効果も大きなものがあっているというふうに思います。 今、県内の建設業界は、厳しい財政状況の中で、公共事業費が削減されることに大きな不安を抱いているところでありますが、このことが、県内景気の動向にも大きな影響を与えるのではないかということを最も危惧しているところであります。 このように、公共投資を初め建設投資全体の伸びが期待できないという厳しい状況の中で、この難局に対処するためには、業界における建設業者みずからの責任と努力のもとに、経営基盤の強化や技術力、施工能力のさらなる向上への不断の研さんが何よりも大切であるということは十分承知しておりますけれども、自助努力だけではなくして、行政においても、公共事業費の削減による県内経済への影響が少しでも緩和されるような取り組みが必要であるというふうに考えております。 そこで、県工事の発注に当たっては、これまでも県内建設業者の受注確保等にいろいろと努力されていることは承知しておりますけれども、このような状況を踏まえて、県内業者がより多く受注できるような発注のあり方についてなお一層の工夫が必要だと思いますけれども、どのように考えていらっしゃるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 建設産業は、本県における基幹産業であり、地域経済や雇用などを支える重要な産業であると認識をしています。 社会資本もいまだ十分な水準になく、引き続き着実な整備が必要でありますが、極めて厳しい県の財政状況を踏まえ、財政健全化計画に沿い、公共事業費を抑制せざるを得ないところです。 このような状況の中で、事業の執行に当たっては、地域経済への波及効果にも十分配慮しながら、一層の効率的、効果的な事業展開を図っていくことが必要であると考えています。 その際、県内建設業者は、公共事業への依存度が高く、中小企業も多いことから、工事の発注に当たりましては、県内企業でできるものは県内企業へ発注するという姿勢で、地域の実情なども踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えています。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 知事におかれましては、もうちょっと具体的な答弁を期待したわけでありますけれども、多分庁内で一生懸命今議論をなさっていらっしゃるところだろうというふうに期待をしております。 四月一日から新年度が始まるとともに、新しい厳しい予算の執行も始まるわけでありますから、さっき質問の中でお話ししましたように、私はもっともっと実は公共投資が必要だと思ってます。私の地元は中山間地帯でありますけれども、私がいろいろなところにお訪ねしながらお話をして、何か質問ございませんか、要望ございませんかという質問をすると、必ず返ってくるのは、うちの家の裏のがけがとにかく危ないんだ、雨が降ったらいつ崩れるかわからぬ、どぎゃんかはよがけを直してくれと。もう雨が降るたび、とにかく川がはんらんして怖い、どぎゃんかしてくれと。そのニーズの中から生まれてきているのが公共事業でありますから、昨今、マスコミの中の論調には非常に公共工事悪玉論というものがあるように思いますけれども、私は、もっと生活に根差した中にその公共工事というものがあるんだという認識を持っていかなければ、誤った方向に行くのではないかと思います。 県内企業の受注の機会を増大するために、どうぞ今後もしっかり協議を重ねていただきながら、新しい予算に伴うその執行のあり方についても、県民から評価ができるような執行体制に取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、県立菊池高校の移転問題についてお尋ねいたします。 平成十年二月、菊池市長を会長とする菊池高等学校移転新築促進期成会から、古い歴史と伝統を誇る菊池高校の施設が、県内の公立高校の中でも老朽化が進んでおり、その整備充実が望まれている状況にあるということと、同校の移転に伴う跡地を、菊池市の活性化を図るための、具体的には菊池市総合センターの設置用地として利用するという計画を背景に、菊池高校の移転新築を求める陳情が、県の教育長に対して提出をされております。三年前でありました。 しかし、さきの三月市議会の中で、市長の方から、菊池高校と市の総合センターというものは分けて考えるという答弁がなされたやに聞いております。 大変厳しい県の財政状況から考えれば、移転新設ということは新しい学校をつくることと一緒でありますし、また、菊池市内の中でも大変大きな反対の声が残っている状況のままであります。白紙の状況というのが現状だと思いますけれども、既に三年間経過したこの問題について、現在の厳しい財政状況の中でどうお取り組みになるのか、教育長の所見をお尋ねしたいと思います。  〔教育長田中力男君登壇〕 ◎教育長(田中力男君) 菊池高校の移転につきましては、菊池市における教育の発展と地域の振興、活性化を図るため、高校の移転とその跡地への菊池市総合センター設置計画を目的として陳情されたものでありまして、県教育委員会といたしましては、これまで白紙の立場で、菊池市の事業展開や地元の動向等を見守ってきたところでございます。 菊池高校に対しましては、これまで必要な改修を行ってまいりましたが、施設の老朽化が進んでおります。改築や抜本的な改修などを行う時期に参っております。 陳情から三年が経過し、この間地元では、計画に対する賛否両論があって進展が見られておりません。菊池市議会において、菊池高校の移転と市総合センターの設置計画は切り離して進めたいという市の方針の変更が示されたというふうに伺っております。 県教育委員会といたしましては、県財政の厳しい状況も踏まえながら、地域の拠点校として、現在地での施設改築等の計画的な実施によりまして、良好な教育環境の維持を図ってまいりたいというふうに考えております。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) ただいま教育長の方から、現在地での改修ということで、三年間にわたりましたこの移転問題についてピリオドを打っていただいたというふうに思います。 現状の市街地を見ますと、本当に寂れている状況の中から菊池高校がまたそこからなくなってしまうということは、教育環境だけではなく、地域社会にとっても大変大きな影響があるというふうに私は懸念をいたしておりました。高校の環境整備はぜひ十分に進めていただきたいというふうに思いますけれども、その現在地ということを聞いて安心をしたところであります。 次に、肥後学園の問題と菓子博について、続けて質問をさせていただきます。 まず、肥後学園からですが、昨年八月に県立施設のあり方検討委員会から知事に提言がありました県立知的障害児の施設、肥後学園についてお尋ねをいたします。 肥後学園については、平成六年十二月にも肥後学園のあり方検討委員会から知事に対して提言がありました。その内容は、少子化や在宅志向による入所児童の減少により、県内の知的障害児施設のほとんどが定員を下回る入所状況であることを踏まえ、肥後学園を改組し、新たに知的障害者の就労支援の問題に取り組む自立促進エリア構想でした。 構想の具体的内容は、知的障害者の自立更生に必要な生活訓練、職業訓練等を行う自立促進センターを核とし、基本的な労働習慣の習得、訓練を行う施設等を総合的に整備するというものでした。 当時私は、県議会を代表し、検討委員会の委員として参加しておりましたが、同年十二月議会では、この件について、知的障害者の就労自立促進の観点から質問をいたしております。それに対して、前福島知事は、知的障害を持った方々の就労自立になお努力しなければならない、また、提言については、趣旨を十分踏まえ検討してまいりたいと答弁されました。 その後、平成八年一月、第二次行革大綱でも、肥後学園の廃止とあわせた知的障害者の自立支援体制の整備の検討がうたわれ、さらに、昨年八月の提言では、平成六年当時の提言と同様、肥後学園が知的障害児入所療育の先導的な役割を果たしてきたことに異論はないものの、民間施設が充実している今日、肥後学園の役割は薄れてきている、今後は民間施設の能力を最大限に活用すべきであると述べられています。私も、設置の目的がおおむね達成されたものについては、再編、統合、廃止などを行わなければならないと考えております。 ことし四月には、肥後学園に隣接し、ひのくに高等養護学校が開校するなど、肥後学園を取り巻く環境変化もある中で、平成六年の提言、平成八年の行革大綱で示された方針、そして昨年の提言を受け、自立促進エリア構想の取り組みや肥後学園の今後についてどうお考えなのか、お尋ねをいたします。 次に、第二十四回全国菓子大博覧会についてでありますけれども、いよいよ来年実施ということで、これまでいろいろな議論が重ねられてきたというふうに思っておりますが、現時点においての取り組み状況、検討状況を商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長田中明君登壇〕 ◎健康福祉部長(田中明君) まず、自立促進エリア構想の取り組みについてでございますが、平成六年の提言以降、関係機関の協力を得ながら、整備を進めてまいりました。 構想の中核施設でございます自立促進センターにつきましては、本年四月に開校するひのくに高等養護学校が職業自立を目指した取り組みを行うことから、提言につきましてはおおむね達成できたと考えているところでございます。 次に、肥後学園の今後についてでございます。 県内の知的障害児施設の入所定員は、肥後学園を除きましても、入所を必要とする児童総数に十分対応できる定員が確保されております。それらの施設は、開設後長期を経て高い療育技術を有していますことから、県が引き続き入所による療育を直接行う必要性は乏しい状況にございます。 また、平成八年一月の熊本県第二次行政改革大綱において、設置の目的がおおむね達成されたものについての積極的な廃止、統合を進めるとした考え方に基づき、肥後学園の廃止の方針を明らかにされているところでございます。 これらを踏まえまして、肥後学園の今後については、現在入所している児童の措置がえが円滑に行われる期間をとるべきことを考慮いたしまして、二年後の平成十四年度末をめどに閉園することといたしたいと考えております。 なお、閉園に当たりましては、保護者の方々や関係者とも十分協議しながら進めてまいります。 ○副議長(村上寅美君)  商工観光労働部長前田浩文君。───残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 菓子博についてのお尋ねでありますが、九月に実行委員会を設立いたしました後、幹事会を二回ほど開催をいたしまして、現在実施計画を策定中であります。 実施計画の根幹になります会場計画あるいは収支計画について若干の見直しを行っております。会場につきましては、当初グランメッセ熊本と熊本城の二会場、同じウエートで開催することといたしておりましたが、会場設営費用等が大幅に縮減できますグランメッセ熊本会場に展示関係のウエートを移しまして開催するということで検討中であります。 それから、収支計画につきましては、有料の入場者数を現在のところおおむね二十五万人前後で算定をいたしております。二会場で、来場者については四十五万人を目標といたしております。 これらの計画を詰めました後、交通計画、広報計画、そから集客計画等について、詳細な詰めを進めることといたしております。 推進体制につきましては、菓子工業組合が主体でございますが、熊本市とも連携して、県としても人的支援等を含めまして、遺漏のないよう進めてまいりたいと考えております。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 大変時間がなくなりまして申しわけございませんでした。 肥後学園については、平成十四年度末をめどに廃止するということでありますけれども、長い伝統の中で、肥後学園の中で青春時代を過ごした皆さんがたくさんいらっしゃいます。それから、今でもその園に在籍していらっしゃる方がいらっしゃいますから、完璧なフォローアップをぜひしていただきたいということを要望としてさせていただきます。 また、菓子博につきましては、グランメッセで開催し、熊本城をサテライト的な会場にするということでありました。四十五万人と聞いておりましたから、目標数は。これで収支を計算すれば大丈夫なのかなと思ってましたところ、二十五万人というものを収支のめどとして計算するということでありました。来年度あります大規模な、本県であります大規模なイベントでありますから、県の御協力をぜひよろしくお願いします。 熊本空港の国際航空貨物機能の強化について質問を用意しておりましたけれども、要望にかえさせていただきます。 先ほどの質問にもありましたように、熊本空港は、国際空港ではありますけれども、定期便が飛んでいない国際空港であります。定期便をとりたいという気持ちが県民の中にたくさんあることもよく存じておりますけれども、私は、貨物便というものもひとつ視野に入れた方がいいんじゃないかということを提言し、その検討を始めていただきたく、御要望にかえさせていただきたいというふうに思います。 大変最後の方はばたばたという質問になりましたけれども、最後まで御清聴いただきました。産廃問題が大変大きなテーマであることをぜひ皆さんにも御理解をいただきながら、さまざまな角度からの御助言もお願いを申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(拍手) ○副議長(村上寅美君) 昼食のため、午後一時まで休憩いたします。  午後零時十二分休憩            ───────○────────  午後一時三分開議 ○議長(倉重剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 鬼海洋一君。  〔鬼海洋一君登壇〕(拍手) ◆(鬼海洋一君) 下益城郡選出・県民クラブの鬼海洋一でございます。いよいよ午後の時間でありますけれども、一時間だけ一般質問をさせていただきます。御清聴いただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。 いよいよ二十世紀から二十一世紀へ時代の幕があきました。時代の変わり目のときは世の中が動くと言われておりますけれども、政治、経済、自然界まで含めて、最近激動の様相を呈しておりまして驚いております。しかし私は、こういうときこそ過去を十分に振り返り、その検証のもとに政策のかじを切る絶好のチャンスではないか、そう思います。 きょう私に与えられた時間はわずか一時間でありますけれども、多くを議論する余裕はありませんが、一つの部分から問題提起をしたいと思います。その内容に共感をいただければ、ぜひ真摯に政策に生かしてほしい、そうお願いをいたしまして、通告に従い、質問に移らせていただきます。 まず、国勢調査速報からの県政の課題認識についてであります。 先般、平成十二年十月一日実施の国勢調査速報が発表されました。熊本県のこれまでの人口趨勢は、昭和三十年の百八十九万五千六百六十三人をピークに、当時の急激な都市への労働力人口の流出による減少期を経ながら、昭和四十五年の百七十万二百二十九人を底として、再び熊本都市圏を中心に漸増を始め、前回、平成七年国勢調査では百八十五万九千七百九十三人にまで復活をいたしました。 今回の調査結果で注目すべきは、総人口が百八十五万九千四百五十一人となり、三百四十二人と、わずかながらではありますが、県人口が減少基調に転じたことであります。 私は、今回の調査結果を前回国勢調査結果と読み比べながら、今後の県政の方向を見出す上で、極めて重大な内容を含んでいると思いました。 市町村別では、熊本市の伸び率がやや鈍化したものの、西原村の一一・三三%や菊陽町の七・九四%など、菊池郡を中心として、いわゆるテクノゾーンでの増加が目立ちました。しかし、増加した市町村は、前回の二十三市町村から二十市町村に減りました。人口が減少したのは、逆に前回七十一市町村から七十四市町村にふえました。そして、その中身はまさに深刻であります。久木野村、一五・三八%、四百六十三人、村民人口は、ついに二千五百四十七人となりました。市町村で人口が最も多く減少したのは牛深市であります。九・〇三%、千八百十四人もの減少で、総人口は一万八千二百八十三人となりました。菊池郡、上益城郡、下益城郡を除いた各郡、熊本市、宇土市、玉名市を除いた各市で人口減少が続いており、二千人未満の村も五村にふえました。産山村、波野村、須恵村、深田村、五木村がそうであります。 さらに、九州各県がそろって人口減少を来している中で、福岡県、沖縄県の二県のみが増加しているわけであります。 また、県の平成十一年版推計人口調査の結果によりますと、平成十年十月から平成十一年九月までの年齢別人口の動態は、自然動態、これは出生と死亡の関係でありますが、では増加しているにもかかわらず、社会動態、転入と転出では社会減を来し、中でも、十五歳から二十四歳までの、つまり労働力人口の減少が顕著であるわけであります。 新産業の集積によって元気を倍加している地域、一方で、果てしなく進む人口減少の中で、今を維持するために苦しみあえいでいる地域の姿があり、県土の二極化が急速に進行しているのであります。 これが二十世紀から二十一世紀へ新たな歩みを始めようとする熊本県の実像であり、すべての政策展開の基本認識とすべきではないか、そう思います。 知事は、平成十三年度予算を提案するに当たり、財政健全化策を基本に「新世紀を拓く産業が息づくくまもと」など、二十一世紀への第一歩を踏み締める所信の一端を述べられましたが、経済の地殻変動の中で過疎化に一層拍車がかかりつつある地域の現実をどのように読まれ、政策の中にどのように生かされようとされているのか、まずお答えをいただきたいと思います。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) 国勢調査速報からの県政の課題認識についてですが、人口の減少につきましては、昨年六月に策定しました県総合計画、パートナーシップ二十一くまもとでも、我が国の時代の潮流の一つととらえ、それへの対応は今後の県政推進に当たっての大きな課題と認識をしています。 速報によりますと、本県の総人口の減少につきましては、少子化の影響とともに、十五歳から二十四歳までの年齢層を中心に、就学、就業等のために県外へ転出した人の数が県内への転入者数を上回ったことが主な要因と考えられます。 そこで、今後の県政推進に当たりましては、若者を中心とした県外流出を抑え、定住を促進するため、まず県内経済の活性化に向けた施策の展開が必要であります。半導体を中心とした先端技術産業の誘致や地場企業支援体制の強化、魅力ある商店街づくりによる商業の振興、売れる農林水産物づくりを中心とした農林水産業の振興を図っていく必要があります。また、新たな産業を創出し就業の場を確保するという視点から、例えば福祉と産業の連携についても取り組みを考えていくことが大事ではなかろうかと思います。 さらに、県内外との時間と距離の制約を克服するため、道路を初めとしました交通基盤や情報通信基盤の整備、少子化対応としての家庭や地域における子育てへの支援、だれもが暮らしやすい魅力にあふれた熊本という観点からは、ユニバーサルデザインの普及なども大変重要になっていくと思います。 また、熊本市を中心とした熊本広域都市圏への人口の集中につきましては、当圏域が県全体の経済発展の牽引力として重要な役割を果たしてきております一方で、県内全市町村の約半数に当たります四十九市町村で過疎地域に指定されるなど、非常に後継者不足、地域活力の低下、こういった問題が生じている地域が出てきていることは否定できないと思います。 このために、やはり大きな私は力になっていくのが、実は県総合計画の地域計画で十一の圏域別に定めた方針、過疎地域自立促進方針に基づく基盤整備のほか、起業の促進、地域間交流等の方策を着実に進めていくことが大事な部分になっていくと思います。そういった意味合いの中では、地域振興局の役割、これは大きなものが出てくると、そのように思っております。 今回の国勢調査速報の中から、人口動態や産業構造等に応じて、それぞれの地域が置かれている現状や課題に私どもが取り組んでいく必要性、それを非常に認識させられたところでございます。 以上でございます。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 冒頭に、この人口動態をどう読むかということで、知事に御質問申し上げたわけでありますが、いよいよこれから熊本県の二十一世紀が始まるわけでありますが、二十世紀を終えて、今熊本の実像、熊本の姿というものが那辺にあるかということを認識する、そしてその分析の上に新しい時代を出発する政策展開ができるのではないか、そういうふうに思いましたので、まず、この人口動態等を通して見る熊本の県土の状況について御質問させていただきました。 その中をもう少し見てみますと、熊本県の高齢化率であります。当然に、これは過疎が進めば進むほど少子高齢化という現象が出てくるわけでありますが、坂本村が三三・九%、これは平成十年十月一日の状況であります。トップであります。天草町が三二・七%、有明町が三二・二%、栖本が三二・〇%、倉岳が三〇・四%、天草、それから、あとの方が、球磨の方が出てくるわけでありますが、ここに今日の極めて深刻な地域問題があるというふうに思います。 実は私も、県議に出していただきまして十数年、一期目のころは、特に県土の均衡ある発展ということで南北問題が議論をされておりました。毎回毎回の質問の中では、必ず南北問題に関する議員のそれぞれの主張が行われていたわけでありますが、今日は、南北問題というより、むしろテクノゾーンの中における集中の状況と、さらにまた、それ以外のところの過疎、この現状があるわけでありまして、よほどこのことを──地域経済の問題であり、あるいはまたそこから派生をする高齢化の問題であり、さまざまな施策展開の問題についてこれから十分考えていってほしい、そういうふうに思います。 そこで、そういう観点から、順次これから質問申し上げるわけでありますが、これまでの本県経済対策の結果評価についてお尋ねしたいと思います。 昨年十二月議会において、我が会派の中島議員は、国の景気対策に忠実に応じて実施してきた熊本県の財政投資による経済対策結果について、熊本県の名目経済成長率は、平成二年度には七・四%あったのが年々低下し、平成九年度にはついに〇・九%のマイナスとなり、平成十年度はさらにマイナス二・七%と大幅に低下した、実質成長率も、平成九年マイナス〇・九%から平成十年度にはマイナス三・四%に急落したことを指摘し、さらに、法人事業税の前年比伸び率が、九月末で前年比八七・六%に落ち込み、何と全国四十七都道府県中ワースト三位の四十五位に転落したことなど、今後の財政と県内景気の動向に懸念を表明いたしました。 この間、国体施設整備を含め各種の公共事業投資や緊急経済対策としての中小商工業者に対する金融支援、消費促進のための商品券発行など、時期的に九八年の秋季国体と重なったこともあって、まさに県財政を今回の危機的状況に追い込むほどの大量の財政支出が行われました。 にもかかわらず、法人事業税の趨勢は景気の指標となると言われておりますが、本県の法人事業税は、平成八年の四百六十四億四千七百万円をピークに、平成十一年度には三百五十八億三千九百万円と約百億円もの大幅な落ち込みを示し、しかもその中で、県内法人に至っては、平成五年の百八十七億千九百万円からずるずると後退をして、平成十一年度には百三十七億千百万円にまで落ち込みました。 さらに気になることは、県内法人に占める欠損法人の割合であります。欠損法人ということは、つまり税を免除されるわけでありまして、平成十一年度までに六三%に拡大していることであります。 一人当たりの県民所得も、平成十年度にはマイナス三・四%、二百五十五万二千円と落ち込み、全国三十八位と順位を落としました。 この結果を見るときに、緊急経済対策と称して支出された財政は、地域経済にどういう役割を果たしたのだろうか、それぞれの事業は県の立場からタイムリーだったのだろうか、投下された財政がこれほどまでに効果が薄いとすれば、熊本の経済メカニズムはいかなる形になっているのだろうか、疑問を感じるのは私一人ではないと思います。 進められてきたそれぞれの対策が、その結果として財政危機という新たな局面を迎えた今、結果分析に基づくその評価こそが、財政再建と熊本の体力をつけるための次なる政策展開に極めて重要だと思います。 そこで、これまでの本県の経済対策の結果評価について、知事に御答弁をお願いいたします。  〔知事潮谷義子さん登壇〕 ◎知事(潮谷義子さん) これまでの本県経済対策の結果評価についてですが、経済状況の見通しが不透明な中で、県内経済を一刻も早く回復軌道に乗せるために、景気の動向や国の対策の内容等を総合的に勘案し、そのときそのときの判断で経済対策を講じてきたところです。 全国的に景気が低迷する中で、公共事業あるいは中小企業の経営安定化対策等、これまでに講じてきた累次の対策によって県内経済が下支えされ、景気のさらなる悪化を食いとめてきたものと考えています。 公共事業は、一般的には、景気刺激効果とともに、中長期的には将来にわたる県民の社会資本整備を図るという二つの役割を担うものであり、県としましては、独自に取り得る経済対策の柱であると考えています。 特に熊本県では、県内総支出に占める公的資本形成の割合、すなわち県内経済が公的な投資に依存する割合が、平成十年度の県民経済計算ベースで一二・二%と、国の八・三%に比べてかなり高くなっています。また、公共事業が景気全体に波及する効果も、利用可能な最新の平成七年度の産業連関表によれば一・六九倍と、民間消費の一・二七倍に比べて高くなっております。 過去の経済対策の効果があらわれていないとの指摘ですが、例えば、平成十年度には、国の大規模な経済対策に呼応して、県といたしましても所要の対策を講じました。その結果、公共土木一般の出来高ベースの工事額は前年度を二・三%上回り、経済成長率を実質で〇・三%引き上げる直接的な効果があっております。さらに、その効果は建設需要ということだけにとどまらないで、多くの産業の生産活動や所得の面にも波及したものと私は考えています。 ただ、戦後最悪と言われる深刻な景気低迷の中で、国においても大幅なマイナス成長となっており、即効的に本県の経済が上向く形にはあらわれておりませんけれども、仮に経済対策を実施していなければ、成長率のマイナス幅はより大きなものとなっていたと考えられるのではないでしょうか。やはり公共事業の景気下支え効果という役割はあったものと考えます。 また、公共事業以外の経済対策におきましても、中小企業に対する特別保証制度などによりまして、平成十一年度の倒産件数は五年ぶりに減少に転じ、負債総額も過去五年間で最低になるなど、中小企業の倒産防止等に大きく貢献したと考えています。 さらに、平成十一年度から実施している緊急雇用地域特別基金事業による雇用対策事業では、平成十三年度までに、総計延べ四千名の方々に新たな就業機会を提供できる見込みでございます。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 県経済の公共工事への依存度というのは非常に高い、これは全く認識を同じくするものであります。もしこの経済対策を進めていなかったならば県経済はもっと深刻であっただろう、それは当然の話でありまして、ところが、この県民経済計算、平成十年度の県民経済計算というのが出されておりまして、これを見ておりますと、九州各県で経済成長率、先ほど申し上げましたけれども、経済成長率がマイナス二・七%、各県比較をいたしましても、熊本は際立って経済成長率が、マイナスの幅が大きいわけでありまして、それでは、先ほど申し上げましたように、集中的にこの間、国体関連の大規模な予算投下もあって、なぜ九州各県と比較いたしましてもそれほど大きなプラス効果があらわれていないのか、これはまさに問題ではないかというふうに思っているわけであります。そこに私は、またこの後の質問の中でも申し上げますけれども、十分そのことが可能になるような財政の投資のあり方であったんだろうか、熊本県の経済構造というのが、そういうものが波及できるような経済構造になっているんだろうか、今もう一度そのことを真剣に分析をして議論をする必要があるんではないかということもこの際申し上げておきたいと思います。 そこで、その中の一つの問題であります。今申し上げられました公共工事の依存度が非常に高いということでありますが、そこで、県工事の地元発注の問題についてお尋ねをしたいと思います。 昨年三月に、平成七年度、今申し上げられました熊本県の経済構造をあらわす産業連関表が作成されました。今回の調査結果の特徴は、生産波及の大きさが多くの部門で実は低下しておるわけであります。このことは、県内における産業間の投入を通じての結びつきが弱まったことを裏づけています。 昭和五十五年の表と比較してみますと、建設業は一・九三倍あった県内の生産誘発倍率が一・六九倍に低下をいたしました。金融や原材料などの中間投入が少なくなったことが要因と思われます。緊急経済対策に使用された予算のうち、その大半が、今お話がありましたように建設事業に投入されている本県で、この経済の変化は極めて重要であると思います。 今、県内工事の発注をめぐってさまざまの議論が行われ、この議会でもそれぞれの会派から出されておりますが、この数年来、大型公共物のそのほとんどが県外業者へ発注されたというこの結果もあるわけでありまして、県経済に期待したほどに経済波及効果があらわれていない、そう断言せざるを得ないわけであります。 例えば、大型公共物、パークドームからグランメッセから、さまざまの大型公共物がありますが、それを、一般の市町村が建設する大型箱物まで、そのほとんどが県外の大手に受注されているわけでありまして、そこで、この投下された県の財政需要というのが県内にストックされたのか、どれほどストックされたのだろうか、もうその段階で県外へフローするという経済構造にあるということをぜひ御承知おきをいただきたいと思います。 そこで、県工事の県内企業への発注機会をふやすためのシステムができないものか、これはもうずっと今議会の中でも主張されたものでありますが、また、大型工事が県内企業へ発注されない理由として、企業規模や技術力、施工能力などの問題点が指摘をされているわけでありますが、それらを克服するための誘導策、例えば共同受注や企業合併など、これまでどのように取り組んできたのか、土木部長にお尋ねしたいと思います。  〔土木部長岡部安水君登壇〕 ◎土木部長(岡部安水君) 県工事の地元発注についてのお尋ねでございます。 公共事業は、社会基盤の整備の結果としてのいわゆるストック効果と言われるものとともに、建設部門のみならず、幅広い産業分野における生産効果を誘発する、いわゆるフロー効果というものを持っております。 公共投資の経済効果としての乗数効果は、いまだその効果の大きさ、波及の広さ、即効性などすぐれた経済効果を有すると言われているところでございます。 熊本県におきましては、この効果を最大限に引き出すためにも、工事の発注に当たりましては、これまでもできるだけ県内企業に発注してきているところでございます。 例えば、一般土木工事におきましては、そのほとんどを県内企業や県内企業を含めたジョイントベンチャー、共同企業体でございますが、これに発注をしているところでございます。 今後も、県内企業でできるものは県内企業へ発注するという姿勢で、地域の実情なども踏まえまして、きめ細かな対応を図ってまいりたいと考えております。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 県内企業に発注する機会をふやすための努力を行うというお話でありますが、これまでも、これはもう再三議会からも主張されてきたわけであります。なかなかそういうぐあいにいかないということについて、じゃあ、具体的にそうなるためのシステム整備を行う、どう行うかということが、なかなか見える手だてとしてこれまでやられてこなかったということも一つあるような気がするわけであります。 波及効果が県内経済に及ぼす影響は、これは言うまでもありませんで、ところが、今回の、先ほどこれまたお話がありました産業連関表、この中の建設業の投入額、つまり二次効果が非常に薄くなっている、この中で特徴的に見られますのは、窯業土石やあるいは鉄鉱、こういうものの県内からの受注、建設工事に対する利用というのが、この産業連関表で見る限りにおいては極めて薄くなっている、こういうぐあいに、建設資材を含めて、どういうぐあいに、受注されたそれぞれの工事が県内から確保されるのかどうかということももう少し綿密に調べることが大事じゃないか。この公共工事というのが県経済に及ぼす影響が大きければ大きいほど、そういう意味で、このシステム整備、メカニズムをもう一回分析することが大事だろうというふうに思いますので、そのこともお願いしておきたいと思います。 それから、建設業関係につきましては、県内で八千三百二十七社、これが平成十一年で八千三百二十七社あるわけでありまして、これから非常に厳しくなる、特に公共土木工事の支出に対する減額措置等も含めまして、どれくらいサバイバルの中で確保できていくんだろうか、非常に懸念されるわけであります。 実は、長野県の田中知事の評判については、すこぶるこの議会の中では悪いわけでありますが、実は田中知事の、これは、二月県議会の提案説明の中で、それらの問題にも触れておられます。「全国的規模の建設業団体の会長が公言する」ように「近い将来日本の建設市場は半減する」であろう。しかし長野県では、座して手をこまねいていていいはずがない。「事態を回避し、土木・建設業に現場で従事する県民の生活を手立てする選択こそは、サーヴァントリーダーたる県知事の責務です。」と。今後は「取り分け中山間地域で公共事業に携わってこられた方々が、部分的、段階的にせよ森林整備で労働の対価を得られる方策を、平成十三年度から押し進めてまいります。」と、こういうことも実は言われているわけでありまして、今申し上げましたように八千数百社、これは非常に厳しいサバイバルが続く時代に入ってきたというふうに思いますが、その中でもできるだけ存続できるような状態を今から準備するということについても、ぜひ御努力いただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。 そこで次に、商工問題について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。 ソニー誘致の経済波及効果の見通しについてであります。 厳しい課題が多い中で、やや閉塞感にさいなまれてきた熊本県民に、久々の青空を提供してくれたのがソニー誘致の朗報でありました。激しい誘致競争の中で大変な努力を重ね、熊本の未来をつくるであろう大きな力を導くことに成功した関係者の皆さんに、まずは心からその努力に感謝し、労をねぎらいたいと思います。 全体として停滞した熊本県経済に大きな経済波及効果をもたらすと考えられますが、今後の見通しについて、まずお聞かせをいただきたいと思います。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) ソニーの誘致についてでありますが、ソニー熊本工場は、くまもと第二テクノパークにおいて、最新鋭設備を備えた世界で最も効率の高い工場を目指し、ことしの十月の操業開始に向けて順調に工事が進められております。 県経済への波及効果につきましては、既にこれまで県内に立地をいたしております半導体関連企業等の投資に加えまして、今後進出する関連企業五社程度の立地が見込まれておりますが、現時点でそういった不確定な要素を除きまして、ソニー単独の工場建設費を約百四十億円、平成十七年度時点での製造品出荷額を約七百億円、そういう前提で産業連関表を用いて試算しますと、今後五年間に約二千八百億円程度の生産誘発効果が予想されるところであります。 また、今後投資規模が拡大すれば、それに伴いましてさらに波及効果も増大するものと期待をいたしております。さらに、ソニー株式会社から技術移転によります県内地場企業への技術力の向上等、幅広い波及効果も見込まれておるところでございます。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 今申し上げましたように、非常に暗い話題ばかり多いわけでありますが、大変な御努力の中で、とりあえずこのソニーの誘致をしていただきました。 せんだって地域対策特別委員会で国分工場も視察したわけでありますが、すばらしい集積がなされている工場でありまして、今後の県経済への影響を非常に期待をいたしているわけであります。ただ、後でまた申し上げますが、このソニー効果が、製造出荷額が非常に大きくなる、それだけでは問題でありまして、できるだけ地域経済に多くの波及効果をもたらせるような、その努力をぜひお願いを申し上げておきたいと思います。 続きまして、非テクノゾーンへの経済政策の展開と構造不況業種を中心とする中小零細企業への支援策についてお尋ねしたいと思います。 今回の人口動態結果で見る、先ほど申し上げたとおりでありますが、テクノゾーン以外の地域の深刻な過疎問題があるわけでありまして、県経済の二極化現象でもあり、ソニー誘致の成果に対する県民の多くの期待感が高まる一方で、さらに厳しさを増す一方の地域経済に、県として政策の光をどう当てるかが問われることとなりました。 まず、県として、非テクノゾーン地域への、これはまことに漠然とした言い回しでありますが、こういう地域への経済政策の展開をどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。 今、地域と地域の産業があえいでいる実態を御存じでありましょうか。昭和四十年代、国の政策にも後押しされ、各農村地帯には、ゴム履物産業や縫製業、弱電組み立て、食品加工など数多くの企業が張りつきました。新たな雇用の場の広がりは、徐々に衰退を見せつつあった農村地帯にあって歓迎され、極めて大きな経済効果を与え、生活そのものも一変することになりました。 ところが、誘致されたそのほとんどの企業は、低賃金によって初めて成り立つ単純労働集約型産業でありました。経済の国際化に伴い、生産の拠点をアジア地域を中心にシフトしましたが、生産物が逆輸入されると同時に、コスト競争に勝つことができず、業績を悪化させたこれらの企業は、先を争うように工場閉鎖や縮小を余儀なくされているわけであります。 例えば、私のところにありました、園村県議の地元でありますけれども、九州ゴム等は、かつて千人程度の企業規模を誇っておりましたが、豊野町やあるいは小川、あるいは球磨、泉、こういうところから全部撤退をして、今や残ったのは工場の廃屋であります。 先日、日本タオル工業組合連合会では、輸入タオルによって揺るがされる産業基盤を守るため、中国に対してセーフガードの発動を求めるよう政府への働きかけを行いました。その展開については予断を許しませんが、このことは地域産業の実態を如実にあらわしており、見逃すことのできない事態であります。 輸入された外国商品との闘いに、もうこれ以上絞っても何も出るものはないと思われるほど、ぎりぎりのコスト低減を行い、受注競争に必死に心を砕いている経営者と、それらの企業に生活の糧を預けている人々と地域があることを知っていただきたいと思います。 これら零細中小企業に、受注と販路拡大や、生産技術の改善や運転資金の援助や、何よりも働いている人たちに福祉の支援ができないものかどうか、県として、構造不況業種を中心に、中小零細企業への支援をどのように考えておられるのか、まずお尋ねいたします。 続きまして、地域プラットフォーム構想と工業技術センターについてであります。 昨年の暮れに、田上県議とともに、石川県の金沢市と長野県の上田市を訪ねました。上田市では広域連合を研修させてもらいましたが、石川県の商工政策や金沢経済同友会の活動、石川県工業技術試験場の視察が主たる目的でありました。 この地には、産業と産業の連関を高め、メード・イン石川という本社機能を持つ地場企業を育成しながら、これは極めて大事なことだと思いますが、地域経済の内発的開発を進めるという明確な意思のもとに、金沢経済同友会、金沢大学を核としての研究機関、行政支援を行う石川県、先端基地としての工業技術試験場が有機的に連携して結び合い、さらに、経済同友会には事務局長を派遣して、地場企業育成のための政策的な金融支援を行う北国銀行の存在など、学ぶべき多くのシステムが稼働しておりました。 石川県の平成十二年度の商工労働部の年間予算額は、六千六百五十九億円余の県予算総額の中で約七百十四億円でありました。ちなみに、熊本は八千百三十一億円の中で三百九億円であります。その活動拠点としての石川県工業試験場の役割は傑出をいたしておりました。新分野創造開発センターや地場産業振興センター、ソフト研修開発センター、伝統的産業である繊維会館、鉄工会館、食品加工実験棟などと接するエリアの中で、中小企業の技術開発、製品開発、試験研究の場所として、目をみはる事業が展開されており、最も関心を持ったものは、高いレベルでの技術アドバイザーによって、地域企業の技術相談や研究成果の技術移転が行われていたことであります。地場企業と十分に結びついているその存在に感動をいたしました。 熊本県は、一昨年、地域プラットフォーム構想を策定され、テクノポリス財団及び中小企業振興公社などを統合し、県内の産業基盤や新事業創出の役割を担う中核的支援機関としての機能を平成十三年度から一層充実することとされています。実施時期は目前に迫っておりますが、取り組む内容とその計画は可能なのかどうか。また、この構想においては、工業技術センター及び電応研は、技術開発支援機能や技術移転機能を果たすこととなっていますが、地場企業や起業家の期待は、ビジネスチャンスに起業化支援センターへの金融に対する支援等を中心としての要求と新商品開発や技術支援などであります。 今日まで、電応研と工業技術センターは、それぞれの役割分担をしながら成果を挙げてこられましたが、むしろ今日的には、統合され、その中でさまざまな要求に対応できる機能強化をされることが必要な時代に入ったと思います。この際、電応研と工業技術センターが組織統合し、名実ともに地場産業への技術支援と新産業創出への役割を果たすことが今日的な課題だと思いますが、いかがでありましょうか。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) まず、中小零細企業への支援策につきまして申し上げます。 これまで、商工会や商工会議所等が行います経営改善普及事業や中小企業振興公社が行います販路開拓事業等へ助成を通じて支援を行ってきております。 また、経営安定のための金融支援策といたしまして、平成十三年度から金融円滑化特別資金を創設し、資金調達のさらなる円滑化に努めてまいります。 さらに、中小企業の福祉の向上につきましては、中小企業が共同で行います従業員の福利厚生事業や勤労者向け生活資金融資等、大企業との労働者福祉の格差是正に取り組んでまいりたいと思います。 テクノポリス圏域以外の振興策についてでありますが、テクノポリス圏域に蓄積されました産業資源を新事業創出に活用するとともに、圏域と圏域外の企業との生産連携等がさらに促進されるよう努めてまいるつもりでございます。 また、平成七年度から、地域産業集積活性化法に基づきまして、新しい分野へ進出します研究開発に係る補助や低利融資等を行い、特定不況業種を抱えております荒尾地域及び八代、芦北、水俣地域への支援策を講じているところでございます。 今後とも、新しい産業の創出等に積極的に挑戦する中小企業の育成を通して、活力ある地域づくりが行えるよう支援してまいりたいと思います。 次に、本県の地域プラットフォームの中核的支援機関として四月に発足します熊本テクノ産業財団では、構想段階から事業化段階までの各段階に応じた企業の事業活動をワンストップで総合的、効率的に支援することといたしており、他の産業支援機関とともに連携を図りつつ、順調に準備が進められております。 それから、工業技術センターと電応研は、このプラットフォーム構想の中で、それぞれの特徴を発揮しつつ、企業の研究開発や技術指導等技術全般にわたる支援機能を担ってまいります。 工業技術センターは、公設試験研究機関として、広範な分野で、地域企業に密着した研究開発や技術指導を行う支援機関でございます。一方、電応研は、メカトロ技術等に特化をいたしまして、大学等との共同研究や国からの受託研究等に取り組んでいる民間機関でございます。 そういったことで、工業技術センターと電応研のあり方につきましては、平成十三年度に公設試験研究機関としての役割や機能のあり方につきまして、民間有識者を加えました懇話会を設置し、検討作業を進めることといたしておりまして、この作業の中で議論を十分してまいりたいと思います。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 電応研と工業技術センターというのは、もう今日的には二つ併存する理由といいますか、必要性というのは非常に薄らいでいるわけでありまして、これは恐らく前田部長も御存じの、内心そういうふうに思われているのではないかというふうに思います。どうぞ、新しい審議会をつくって議論されるということのようでありますけれども、もうむしろ一緒にして、さらに機能が充実をして、県内の中小企業の皆さん方に、あるいは新しい起業化するための役割を担える形にすることをこの際お願いしておきたいと思います。 せんだって、三月二日でありました。「くまもと経済」の出版三十周年記念レセプションがありまして、それにも私出席したわけでありますが、地元主義、主体性確立、自己革新という言葉を久しぶりに目の当たりにいたしまして、松岡社長の熱っぽいあいさつを聞く機会をいただきました。潮谷知事も出席されておられましたので、よくその中身は御承知だと思いますけれども、私は、今ずっと申し上げてまいりましたように、県経済の量的拡大、これはもちろん必要でありますが、と同時に、量的に拡大をされてもなお、その拡大されたものが、県民の生活の中によくなったという実感を得ることができないものであれば、それは何にもならないわけでありまして、むしろこれからは、むしろというよりも、それは並行して、経済の質、つまり熊本県経済のメカニズムをどういうぐあいにするかという立場での検討をぜひいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。そういう意味では、先ほど言いました地元主義、主体性確立、自己革新ということは、強い熊本県経済をつくる上で戦略的スローガンとしてかみしめたいものだと思います。 続きまして、県農業の現状と政策変更の必要性について質問いたしますが、ちょっとその前に、皆さん方にちょっとごらんいただきたいと思います。これはコットンのスプリングセーターであります。(資料を示す)幾らすると思いますか。ユニクロ、一九八、平野県議がユニクロって一九八だろうというふうに言いましたけれども、一万九千八百円ではありません。千九百八十円であります。すばらしいこういうものが、実は既に外国から入ってまいります。下関では、今ある商店の形成をするための計画あたりもなされているそうですけれども、このユニクロの商店を中心にして商店街を形成するという計画を立てるという、そんな話も実は聞きました。これほどまでに──これは農業問題だけではありませんで、これからも県内中小企業をどういうぐあいに育成するか、あるいは中小企業をどういうぐあいに政策の手だて、支援をするかということは、現実の熊本の経済の流れ、実情を見きわめながら研究していく必要があるのではないか、そのために実はちょっと持参をいたしました。 千九百八十円でこれが買えます。今、二極化で、皆すばらしいブランドを着ておられると思いますけれども、それと安い物との両極化現象が起きているということもありますから、ぜひ参考にしていただければと思います。 最後に、熊本農政の当面する課題について、県農業の現状と政策変更の必要性について質問いたしたいと思います。 三月四日付熊日朝刊に「「漁港」あって「漁場」なし」の記事が掲載されました。農業もまた同じことが言えるのではないでしょうか。「圃場あって実るものなし」思わずそんな言葉が出てまいります。 農業基本法から食料・農業・農村基本法に法律は変わっても、県下における農業環境はその厳しさを一段と増すばかりであります。熊本の農業政策はどうだったのだろうか、ここもまた過去の検証の中から新たな基本方向を見出さなければなりません。 平成に入って以降の農業予算を振り返りますと、決算額で、平成元年約五百九十三億円から漸増を続け、平成十一年度にはついに八百七十一億円に達しました。この構成を見てみますと、農業費、畜産業費、農地費等に分類されており、特に農地費は三百二十二億円から五百五十九億円にふえ、中でも、平成四年度から急膨脹し始めた土地改良費は、平成十一年には四百五十八億円となり、農業予算全体の中でも五二%もの率を占めるほどになりました。熊本県の農業政策が著しく土地改良事業に偏っていたことが一目瞭然であります。 この間、農業粗生産額は、平成二年の四千十六億円をピークに、平成十一年には、台風災害と重なったとはいえ、三千二百二十二億円まで大幅に落ち込む結果になりました。県下の土地改良済み面積は、平成十一年までで三万八千ヘクタールを数えますが、転作面積も二万八千ヘクタールに上ります。平成二年の基幹的農業従事者は十一万六千人でしたが、平成十一年には八万六千八百人に激減してしまいました。例年、全体予算の中でも、常に約九%台の農政部関係予算が支出されてきた中で、実態は余りにも厳しいと言わざるを得ません。 膨大な予算を投じて改良された土地や施設が十分に活用できず、効果が発揮されていないのが現状であります。政策のミスマッチと言われても仕方がありません。農政予算の中で突出し過ぎたとの批判の多い土地改良事業をこのまま進めてよいのだろうか。それらの疑問の中で、土地利用のあり方を含めた営農確立や品種改良や流通や耕地を生かす政策に、ハードからソフトへの転換が求められています。農業費を充実し、農業政策の多面的な展開を図るべきではないか、そう思います。 政策基調の軌道修正を図られたらいかがかと思いますが、熊本県農業の現状認識にあわせ、農政部長の考えをお聞かせいただきたいと思います。 続きまして、川下からの農政展開と組織の連携についてお尋ねをいたします。 二〇〇〇年の貿易統計を見ると、野菜輸入量が二百六十万トンに達したことがわかります。中国や韓国などアジア諸国からの輸入が急増し、野菜輸入の三百万トン時代は目前であります。しかも、この輸入量は平成十二年で国内生産の約一八%を占め、周年供給体制が整ったと見なければなりません。 先日、報道特集NHKスペシャルの取材で明らかなように、韓国大統領やマレーシア首相は、日本市場での外貨獲得のための戦略産業に位置づけ、国策としての農業支援を打ち出しました。九州を舞台に、当面は価格競争を中心に、サバイバル競争が始まることを覚悟しなければなりません。 私は、さきの質問で、熊本農業の基本方向の軌道修正を求めました。ハードからソフトへ、今こそ多面的な農政展開が必要だと考えているからであります。 EU各国は、日本と同じく農業分野がWTOに組み入れられながらも、それでもそれぞれの国は、地形や歴史に裏打ちされた個性的な農業政策を持っております。ヨーロッパの山岳地帯に象徴される価格補償を中心としたハンディキャップ農政や、近年のドイツでは、消費者の要求の高まりの中で、有機農業のウエートが拡大いたしております。 国内においても、宮崎県の綾町のように、早くから自然循環型社会を目指し、町を挙げて有機農業の展開を図り、農畜産物に新たな価値をつけることによって、地産地消などの消費と流通チャンネルの拡大に成果をおさめているところもあります。 昨年七月には、三重県において、北川知事を推進本部長とする地産地消ネットワークみえが立ち上がり、三重県の食の再認識運動が市民とともに始まりました。 つまり、川下からの農業改革であります。県下の平成十年の食料品製造業では、約三千百億円の出荷額を占めています。肉類や牛乳などの原料供給が行われていますが、パンなどの原料は外国産小麦であります。国産小麦の質がそれに向いていないからと教えてもらいました。ところが、カナダだって、消費者が好むパン製造を可能にする小麦の品種改良を重ねながら日本への輸出を行っているのでありまして、熊本小麦の品種改良が望まれます。 今後は、永六輔さんも言われておりますように「おいしい熊本はどこに」というタイトルで、熊本でしか食えない肥後料理を食いに熊本まで行きたいとする熊本の食文化の創造を訴えておられますが、川下からの農業を考え、消費者から食べ物の質としての選択に耐え得る農産物の生産をしなければならないと思います。 消費者のニーズの把握、品種改良、営農と経営指導、販売と流通の確保、工技センターなどと連携により、食品加工の技術開拓と起業化支援、そういうものを市民と連携しコーディネートし、垣根を払った各部門の協力が必要だと思いますが、今後の農政展開とコーディネートを行う場所と組織の連携、このことについても農政部長に質問したいと思います。 ○議長(倉重剛君)  農政部長中原盛敏君。──残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。  〔農政部長中原盛敏君登壇〕 ◎農政部長(中原盛敏君) 県農業の現状と政策変更の必要性についてでありますが、県農業の現状につきましては、担い手や粗生産額等において全国の上位にありますものの、輸入農産物の急増、急激な物流の変化等大きな環境変化の中、主要農産物の価格が低迷するなど大変厳しい状況にあります。 このような中、本県農業の活性化を図るためには、環境変化に対応した生産、流通の変革に取り組む必要があると考えております。 このため、これまでの施策の成果を検証し、施策の見直しや重点化を図りますとともに、新たな施策にも積極的に取り組みます方向で農政の展開を図りたいと考えております。 それから次に、川下からの農政展開と組織の連携についてでありますが、消費者ニーズに対応した売れる農産物づくりがこれまで以上に求められるようになっておりまして、このため、県では、量販店や食品産業等との連携を図りつつ、消費動向の把握に努め、生産対策に活用いたしております。 また、研究開発では、工業技術センターとの連携による食品加工技術の開発、民間企業等と提携した農業用水の塩分除去技術や畜産ふん尿処理技術の開発等にも取り組んでおります。 特に、麦、大豆につきましては、加工に適した品種選定等を進めまして、地元食品産業への供給拡大に努めてまいりますとともに、健康福祉部、教育庁と連携し、食生活指針の推進会議を新たに設置し、家庭や学校給食での地場農産物の活用を促進することといたしております。 このような取り組みをより円滑に推進するため、関係団体、関係業界との連絡調整の場として、知事を本部長にくまもと二十一農業振興運動推進本部を設置しております。 今後とも、このような連携、調整の場を通じまして、消費者との共生関係を促進し、横断的な取り組みを進め、本県農業の一層の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) どうもありがとうございました。 「からしれんこんの野望」というCDをきょうお持ちいたしました。「おーい、ニッポン」と、先ほど知事からも紹介されましたが、あのときに阿蘇の消防団の人たちが歌った歌が「からしれんこんの野望」であります。こういうのもあるんですね。ぜひ農政部でも生かしていただきながら、先ほど言いましたように、川下から農業を考える、そして、こういうものを利用して、からしレンコンは松橋が産地でありますので、ぜひ消費拡大を行っていただきますようにお願い申し上げたいと思います。 これで本日の一般質問を終わるわけでありますが、時務という言葉があります。時という──失礼しました。終わりました。この時務という言葉を大事にしながらまた頑張っていきたい。知事もどうぞよろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(倉重剛君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十三日は午前十時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第六号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時四分散会...