佐世保市議会 > 2024-06-21 >
06月21日-03号

  • "コレクション"(/)
ツイート シェア
  1. 佐世保市議会 2024-06-21
    06月21日-03号


    取得元: 佐世保市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-14
    令和 6年  6月 定例会           6月定例会議事日程            第3号                 令和6年6月21日(金曜)午前10時開議第1 一般質問-----------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程に同じ-----------------------------------出席議員(32名) 1番 柴田英樹君    2番 本田博之君 3番 新川英之君    4番 諸國麻椰君 5番 古賀豪紀君    6番 宮田京子君 7番 黒川英朗君    8番 甲斐義博君 9番 田山藤丸君    10番 鶴 大地君 11番 宮島武雄君    12番 松尾俊哉君 13番 小田徳顕君    14番 久保葉人君 15番 角田隆一郎君   16番 山下廣大君 17番 永安健次君    18番 山口裕二君 19番 崎山信幸君 21番 久野秀敏君    22番 永田秀人君 23番 柴山賢一君    24番 大村哲史君 25番 林 健二君    26番 田中 稔君 27番 松尾裕幸君    28番 長野孝道君 29番 市岡博道君    30番 大塚克史君 31番 小野原 茂君   32番 古家 勉君 33番 山下隆良君欠席議員(1名) 20番 佐藤文子君-----------------------------------説明のため出席した者 市長        宮島大典君   副市長       西本眞也君 副市長       田中英隆君   基地政策局長    北村敬男君 防災危機管理局長  山元義崇君   企画部長      杉本和孝君 地域未来共創部長  中尾健一君   総務部長      田所和行君 行政経営改革部長  坂口篤史君   財務部長      東 隆一郎君 経済部長      長嶋大樹君   農林水産部長    高増 剛君 都市整備部長    溝口勝利君   土木部長      森山良一君 港湾部長      大塚 健君   市民生活部長    中西あけみ君 文化スポーツ部長  吉田裕一郎君  保健福祉部長    辻 英樹君 子ども未来部長   岡 雄一君   環境部長      吉田敏之君 会計管理者     中嶋康子君   水道局長      中島勝利君 消防局長      合志直喜君   教育委員会教育長  陣内康昭君 農業委員会副会長  阿波茂敏君   代表監査委員    宮崎祐輔君 選挙管理委員会委員 大平愼一君-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長      池田真二君   事務局次長兼議会運営課長                             細井章子君 課長補佐兼議事調査係長           岳本雅也君     10時00分 開議 ○議長(林健二君)  出席議員は定足数に達しております。 これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △日程第1 一般質問 ○議長(林健二君)  日程第1一般質問を行います。 順次質問を許します。5番古賀豪紀議員。 ◆5番(古賀豪紀君) (登壇) おはようございます。 市政会の古賀豪紀です。九州北部地方も本格的な梅雨に入り、今日は晴れていますが、じめじめした季節になりました。本日の先頭打者として私の気持ちや思いをバットに乗せて、じめじめ感を吹き飛ばすよう元気に質問していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 今月の8日から14日まで、令和6年度の佐世保市中学校体育大会が開催されました。私も大会顧問の一員として開会式に出席させていただきました。佐世保市や佐々町の中学生の堂々とした行進や大会を運営する先生方の苦労など、私もスポーツを愛する一人として感動と感謝をしています。 私自身も今はなき花園中学校時代バレーボール競技で佐世保市の中学校体育大会に出場しました。6月の中体連前までは、大会はほとんどベストフォー止まりでしたが、最後の中体連は下馬評を覆して準決勝で優勝候補筆頭の山澄中学校に勝ち、決勝でフルセットの末、宮中学校に敗れました。準優勝で県大会に出場することができました。そのようにスポーツとは勝っても負けても、何歳になっても一生涯人生のよい思い出になる一つです。 その中学校体育大会には、生徒や保護者や親戚などの応援に混ざって、佐世保市内はもちろん、長崎県内、全国から優秀な選手や有望な選手を求めて高等学校の顧問や監督またはスカウトが集まってきます。主な理由としては皆さん御存じかと思いますが、優秀な選手や有望な選手を自分たちの高等学校に招き、高等学校で活躍してもらい、当該高等学校の名前を全国に宣伝してもらうことが一つです。今回はその優秀な中学生アスリートの獲得をめぐる争いである高等学校の特待生、いわゆる特別待遇生徒についてのことや、関連して中学校の部活動地域移行についてもお伺いさせていただきたいと思います。 私自身も高等学校には中学校時代やっていたバレーボール競技ではなく、なぜかよく分かりませんが、野球のスポーツ特待生で入学しました。本当によく分からないまま入学したので、入学して数か月間は日が昇っている間は野球の練習、日が沈めば体育館でバレーボールの練習をさせられ、大変だった記憶があります。そのようにいろいろある特待生制度、その中でも今回は学業特待生ではなく、私立高校のスポーツ特待生、公立高校の文化・スポーツ特別選抜についてお伺いしたいと思います。 教員時代も授業の合間や休日などを利用して、全国各地を回ってスポーツ特待生を数多くスカウトして入学させてきました。その数は全国各地で数百校、面談した数だけでも数千人は超えると思います。その私立高等学校スポーツ特待生制度公立高等学校の文化・スポーツ特別選抜制度を簡単に説明すると、中学校在学中に中学校の部活動や地域のクラブチームなどで、個人で優秀な成績や結果を収め、当該高等学校に必要と認められた生徒に、高等学校側から中学校側にその該当生徒を特待生として当該高等学校に来ていただけないか打診し、保護者、本人及び中学校側が了承すれば成立する仕組みです。公立高等学校の場合もほぼ同じかと思います。 しかし、この特待生制度にはメリットも多い反面、デメリットも存在します。メリットとしては、小さいときから頑張ってきたスポーツで自分に合った高等学校の環境で好きなスポーツや勉強に打ち込むことができる。強豪校に行けば自分の夢である全国大会に出場する機会が増え、希望の大学や社会人の実業団またはプロスポーツの世界に行ける、自分の将来の夢にも大きく近づけるなど、いろいろなメリットがあります。 また、家族は高校3年間の授業料無償、入学金の免除など家計の経済的負担が減るなどして大変助かると思います。そのほかに私立高等学校によっては、いろいろな免除や優遇などがあり、生徒や保護者にとっても夢のような制度であります。 一方で、デメリットも存在します。私は今回、このデメリットを少しでも改善できないか、佐世保はもちろん、全国の子どもたちのためにすばらしい特待生制度にならないかと、長年、特待生を全国各地で勧誘、面談、入学させてきて常々もっといい制度にならないか疑問に思っていました。 私は、教員になる前、佐世保市内で中学生の硬式野球クラブの監督を約10年ほどしていました。そのとき選手をスカウトに来た高校野球の強豪校、甲子園にも何度も出場している監督の言葉が今でも頭から離れません。その監督は私に「どうしたら甲子園に行けると思いますか」と質問してきました。私はチームづくりにはいろいろな考えがあるため、即答で「分かりません」と答えました。するとその監督は、「良い選手をいっぱい採ってきて競わせ、チーム力をアップさせる」と答えました。ここまでは何とか理解できます。ただその後に言った言葉は理解しないし、納得もいきませんでした。その言葉とは、「良い選手をいっぱい採ればほかの高校に良い選手が行かない。自然と勝てるし、優勝でき、甲子園に行ける」と言いました。今でもその監督の言葉は忘れません。 こういった甲子園症候群の、指導者とは言えない、優秀な生徒を採ってきてただ使うだけの使用者の監督がいることは確かです。生徒は強豪校に特待生として入ったときに、レギュラーになって県大会で優勝し、全国大会に行くことを夢見て高校に入学します。しかし、チームの実力や監督の方針、学校の勉強や雰囲気についていけず挫折してしまい、退部や転学、最悪の場合、高校中退のケースも数多く見てきました。この特待生制度自体、私個人としては大賛成でありますが、制度の見直しを高等学校側や高体連、高野連と教育委員会が密に連携して改善していかなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。 世の中の流れでは、中学校の部活動が地域に移行されてきています。現状の制度でも問題が山積している特待生制度、部活動が地域移行されると歯止めが利かないぐらい問題が噴出すると私は思っています。 私の専門である野球で説明していきます。高校野球連盟、いわゆる高野連は、私立高校に対して野球特待生5名以下が望ましいとしていますが、実際5名以上特待生を採っている学校はたくさんあります。私立高校の経営にも関わってくることなので、ペナルティーが大々的に行われることはありません。このことを改善するのは私は不可能だと思います。その前の段階で生徒の将来に対して中学校側が統一しておかなくてはいけないルールがあると私は思います。教育委員会は統一していると思われているか分かりませんが、全国各地で数千人単位、面談、勧誘してきた私が感じてきたのは、中学校によってばらばらだし、まして特待生のルールを分からない中学校や教職員もいます。 長崎県の私立高校の特待生勧誘の流れとしては、練習の様子や大会などを観戦し、優秀な生徒や有望と判断した生徒をスポーツ特待生として来ていただくため、該当する生徒の中学校に対し、9月に生徒の様子などを文書で打診します。中学校側から文書で返信が来て再度検討し、10月に当該生徒の面談を文書で申し込みます。当該生徒の保護者または本人から面談希望があれば、11月1日より保護者と中学校関係者、高校側関係者の面談となっていきます。 現在では、県外にも合わせて10月下旬から面談を開始していると聞きました。野球の場合はその面談に本人が同席できません。野球以外の部活は本人は同席できます。野球に関して本人が同席できないルールがあるという意味が分かりませんし、もっと詳しく説明すると、該当生徒や保護者と11月1日まで接触も禁止です。このことを知らない中学校関係者や保護者、本人も多くおられます。基本入学するまでは生徒との接触が禁止されています。実際このルールを守っている学校は少ないと思います。せめて中学校の面談のときだけでも生徒と面談できるように、佐世保市の教育委員会からでも高野連と協議していただけませんでしょうか。生徒自身も高校の顧問や監督と話をしてみたいと思っていると思います。子どもたちは自分の将来の夢がかかっているので、ぜひ佐世保市の中学校からでも変えてみてはいかがでしょうか。 なぜ私がそのように思うかというと、現在日本中で言われている教師の部活動による長時間勤務などがあります。平日はもちろん、土日も練習や練習試合、大会など部活動の顧問の役割は多岐にわたっています。そのほかにも教材研究や授業、テスト作成や採点、生徒指導や進路指導など挙げると切りがありません。 その中に先ほどから話している特待生と高校側との面談があります。10月下旬から12月末まで、長引くと年をまたいで1月まで行くケースもありました。担任や部活動顧問は、1人の特待生候補生徒と高校側との面談に同席しなければいけません。面談時間は放課後の忙しい時間を割いて行われます。私の経験上、1人の生徒に1校から数十校、20校、30校と面談希望の打診があります。担任や顧問は保護者と連絡を取り、日時を決め、高校側に打診します。中学校側と高校側の日時が合えばスムーズに決まりますが、なかなか決まりづらいです。理由として保護者、中学校側、高校側の時間を合わせるのはなかなか難しいし、中学校側は数人から数十人の特待生候補者の時間調整を数十校の高校側としなくてはいけないからです。それだけではありません。その後、10月下旬から約2か月間、高校側との面談が始まります。短くても30分、長ければ2時間もありました。本来の仕事ができません。それは高校側の教師にも言えることです。 私としては生徒の将来のために必要なことだと思いますが、中学校や高校の先生の負担をなくすため、面談可能時間を長く取るなど、地域移行に向かっている現在、制度も含めて対策が必要な時期に来ているのではないでしょうか。そもそもこの特待生制度は何のためにあるのでしょうか。 先ほど話したように生徒、保護者にとっては夢のような制度だと思います。授業料3年間無償、入学金免除など数々の無償提供という援助があります。その一方で、提供を受けた生徒は、学校のため、自分を犠牲にしても3年間チームの方針や監督の考え方を中心にスポーツに打ち込みます。特待生だから無償で高校に行っているので言いたいこともあまり言えず、ただ黙々と3年間部活動中心の高校生活を送っている生徒もいることも確かです。そのほかにも退部して授業料を払う生徒や転部、転学、最悪退学する生徒もいることも確かです。 そこで、教育長に一つ目のお伺いをいたします。 私立高等学校スポーツ特待生制度公立高等学校の文化・スポーツ特別選抜制度の現状と課題について、教育長のお考えをお聞かせください。 続きまして、中学校の部活動地域移行についてお伺いいたします。 国は教員の過重労働問題や少子化を受け、主に公立中学校の部活動を学校から切り離し、民間団体に委ねて新たな運営形態の構築を目指す取組をしようとしています。2023年度から2025年度までの3年間を改革推進期間とし、まず、休日の部活動から地域移行を本格化、将来的には平日を含め全ての部活動の移行を目指すとうたっています。部活動の地域移行は本当に大丈夫なのでしょうか。 私は、先ほども言いましたように、約10年間、地域の中学生硬式野球クラブの監督をやってきました。その後、高校の教員、部活動の監督もやってきました。その私には疑問だらけです。私自身両方を経験しているので、私の経験上で話させていただきます。 まず、地域のクラブチームはほとんどが監督は無償のボランティアで子どもたちに指導されている方が多いと思います。中にはクラブ運営方式で、有償でされている方もいます。本当に申し訳ありませんが、専門である野球を例に話させていただきます。野球の場合、中学校の部活動のほかに軟式のクラブチームや硬式のクラブチームがあります。クラブチームの選手は中学校の野球部には属していませんが、中には野球と関係ない部活動に所属している生徒もいます。クラブチームには月謝を払い、毎日あるいは週末だけといった形で練習に参加します。それは各クラブチームによって様々です。理由としては指導者がボランティアのため毎日練習できない。生徒も遠方から来る子もいるので保護者の送迎も難しい。そのほかに佐世保で言えば練習グラウンドがない、また取れない。佐世保市も国の方針に沿って部活動の地域移行を進めるのであれば、野球で言えば指導者はもちろん、グラウンドの確保が第一の課題だと私は思います。 野球と競輪が大好きな私としては、少子化で野球人口が減ってきているし、スポーツが昭和時代より多様化してきて自分に合ったスポーツができるようになってきて生徒が分散しています。また、中学校の先生の部活動の長時間労働も十分理解しています。ただ問題は本当に複雑で、地域移行になった場合、相当なトラブルが出てくると思います。簡単に例を挙げていきたいと思います。 一つ目、指導者の問題。プロの経験のある指導者が教えれば子どもたちはうまくなるとは限りません--私がそうですから。素人の方でも熱心に子どもたち優先で指導していただく人が重要です。スポーツで「勝つ」ことは当然のことです。上手な生徒が試合に出ることは当然で当たり前なんですが、しかし、せめて中学、高校のスポーツでは学校生活や私生活なども加味してレギュラーを決めてほしいと私は願っています。スポーツだけしていればいいという考え方になってほしくないからです。 二つ目、報酬の問題。外部指導者の報酬はどうするのか。高額請求してくる指導者もいます。保護者の経済的負担も大きくなり、そうなるとそのスポーツが好きでやりたいのにやれない生徒が出てきます。 三つ目、グラウンドや練習時間の問題。佐世保市はとにかくスポーツをするグラウンドが少ない、中学校のグラウンドはほかのクラブとの利用問題があります。中学校の部活動では、平日など約2時間の練習でありますが、地域に移行された場合、練習時間など守られるのか疑問であります。 四つ目、外部指導者勝利至上主義問題。日本では勝たなければ指導者として優秀だとみなされない現実があるため、生徒を犠牲にしても勝利至上主義指導になります。また、試合で優秀な成績を収めないと指導者を続けられないなど考えられるので、スポーツは楽しいものだという考えよりも、勝利第一の勝つための指導になると思います。なぜそれが駄目なのかという方もおられると思います。私としては、学生時代までは自分が好きで選んで始めたスポーツを大好きであってほしい。朝起きて今日も練習頑張るぞという考えになってほしいと思っています。私は、監督時代、生徒にグラウンドはディズニーランドだよと言っていました。朝起きてディズニーランドに行く気持ちで私もずっと野球をやってきました。 五つ目、特待生問題。先ほどから話している特待生問題、これまでの高校側と中学校側との取組が完全に崩壊します。外部指導者と高校側が中学校を通さず進路を決めたり、クラブチームと高校側の癒着など、いろいろな問題が起きてきます。 六つ目、生徒の故障やけがの問題。けがや故障がスポーツには必ず起こるものです。そこで熱心になることで過激な指導になり、生徒のけがや故障が多くなります。生徒も外部指導者もお互い精神的・肉体的負担が大きくなると思います。 そこで、教育長に二つ目のお伺いをいたします。 現在の佐世保市の部活動地域移行の進捗状況と今後の計画について、教育長のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 1項目め、中学校のスポーツ特待生部活動地域移行について、まず、本市の高等学校進学時のスポーツ特待生の状況や課題について答弁をさせていただきます。 私立高等学校スポーツ特待生制度公立高等学校の特別選抜制度につきましては、佐世保市の子どもたちがこれまで地道に培ってきた学びや経験を強みとして進路決定に生かすことができるとともに、入学後は自分の特性をさらに伸ばし、自らの夢を実現できる可能性を広げることができるものではないかと認識をしております。 また、高等学校の指導者から競技についてより専門的な指導を受けることができたり、整った環境で練習をすることにより技能の向上が図られたりするなど、それぞれの競技の資質・能力を高めることができるものとも捉えております。 加えて、いわゆる強豪校に進学した生徒は、全国大会などのより大きな舞台で活躍することができる可能性も広がり、中には世界を舞台に活躍する生徒やプロのアスリートになる生徒が生まれてくる可能性もございます。この制度で入学した生徒たちを含め、たくさんの生徒たちが高等学校で活躍していることを大変喜ばしいことだと受け止めております。 私立高等学校スポーツ特待生制度の現状についてでございますが、それぞれの高等学校の教育方針など、各学校の特色に応じて実施されているものでありまして、この制度によって入学希望者が増えたり、学校の活性化が図られたりしているということも推察しているところでございます。生徒にとりましても、このスポーツ特待生制度はこれまで取り組んできたスポーツを引き続き高等学校でもできることに加え、この制度によりまして入学金などが免除になるなどの優遇制度があり、生徒、保護者にとって将来の進路を決める上で一つの選択肢になっていると認識しております。 また、公立高等学校におきましては、長崎県公立高等学校入学者選抜実施要領に基づきまして、昨年度までは文化・スポーツ特別選抜という名称で入試が行われてきておりました。この志願資格につきましては、文化・スポーツの各種大会などで優れた実績を有する者、また、部活動などで優れた資質や能力を有し、学校の特色や求める生徒像に合致する者で入学後も継続的に活動を希望する者と示されておりまして、私立高等学校スポーツ特待生と同様に特定の部活動での活躍が期待されております。 議員御指摘の中学校で行われる高等学校の顧問や監督などと中学校の担任、部活動顧問、保護者、生徒との面談につきましては、中学校と高等学校の校長間の申合せによりまして、1回の面談時間や面談の終了時刻などを配慮するなど、工夫されていると承知しております。さらに面談の時期につきましては、10月下旬から11月下旬頃までと設定されておりまして、学校においてこの期間に面談を実施し、進路決定がなされているところでございます。 なお、野球につきましては、高等学校野球連盟が監督などと入学前の生徒との接触を禁止すると規則を定めておられるということでございまして、それぞれの組織で様々な実態に応じて課題解決のために定められたものでございますので、私ども教育委員会としましては、その申合せや規則を尊重したいと考えているところでございます。 また、複数の高等学校からの面談の申出によりまして中学校の負担が増えているとの御指摘もいただきました。負担軽減を図るために、中学校においては複数の職員が交代で対応するなど、工夫をしながら面談に臨んでいる現状がございます。 なお、公立高等学校の入試制度についてでございますが、本年度の中学校3年生が受験をいたします令和7年度の長崎県公立高等学校入学者選抜から選抜方法が一部変更されることになってございます。 具体的に申し上げますと、これまでの前期・後期制度が廃止され、特別選抜、一般選抜、チャレンジ選抜の3種類が実施される予定となっております。 なお、昨年度まで実施されておりました文化・スポーツ特別選抜は、この三つの中の特別選抜に含まれて運用されることとなっております。 昨年度までの文化・スポーツ特別選抜は、各高等学校の定員全体の5%以内で設定されておりましたが、次年度の特別選抜では、定員全体の15%以内に設定されることとなっております。これにより多くの生徒がこれまで取り組んできた文化・スポーツを継続するとともに、自分の強みを生かすことができる高等学校を選択することが可能になるものと考えております。今後も定められた実施要領や規則にのっとり、適切に入学者選抜が行われるべきであると考えております。 次に、スポーツ特待生制度の課題についてでございますが、議員御指摘の勝利至上主義の監督、コーチが存在をしたり、また、在学中にけがなどで競技を続けられなくなったりしたことで挫折をし、高等学校を中退する生徒が実際にいるということは非常に残念でなりません。どのスポーツにおいても、学校教育の一環として生徒の成長を一番に願って部活動が実施されていくことが肝要であると考えております。 いずれにいたしましても、生徒が生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するためにも、私立高等学校スポーツ特待生制度公立高等学校の特別選抜制度が公平公正に運用されることを願っております。 次に、本市の中学校部活動地域移行の進捗状況と今後の計画についての御質問にお答えいたします。 まず、中学校部活動の改革における国の動きについてお示しをさせていただきたいと思います。 スポーツ庁が進めております運動部活動改革を参考にこれまでの国の進捗を御説明いたしますと、平成30年3月に運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインが示され、平成31年1月には、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策についての中で、将来的には部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきであるとされております。 直近では、令和4年12月に学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインにおいて、速やかに部活動改革に取り組む必要があること、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応について国の考え方を提示すること、地域の実情に応じて体験格差を解消することなどが示されております。 このガイドラインの発表までには、国におかれましても有識者やスポーツ関係者などからなる運動部活動の地域移行に関する検討会議が設けられまして、提言が出されております。その提言におきまして、まずは休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことを基本とする、令和5年度の開始から令和7年度までの3年間を改革集中期間として取り組み、合意形成や条件整備等のため、さらに時間を要する場合にも、地域の実情等に応じ可能な限り早期の実現を目指したいと示されているところでございます。 また、この国のガイドラインを受けまして長崎県では、令和5年3月に長崎県中学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針が示されたところであります。 なお、国のガイドライン及び県の方針を受けまして、本市といたしましても、学校部活動の地域移行及び連携に向けたモデル事業を令和6年度から取り組んでいるところでございます。この新事業では、主に休日の部活動の地域移行に取り組むモデル案といたしまして、四つのパターンを試行することといたしております。 詳しく御説明申し上げますと、一つ目は、拠点校型として近隣の学校で集約可能な競技や担当校を決め、そこで合同練習やチーム編成を行うものでございます。具体的に申しますと、軟式野球を行いたいが、その地域に専門的な野球の指導者がいない、また、生徒が少なく9人でのチームプレーや練習ができない場合などに、同様の課題を抱える学校が集まり、拠点となる学校にて休日の合同部活動を実施し、そこに専門的な部活動指導員を配置するといったものでございます。 二つ目は、施設集合型としまして、例えば、佐世保市総合グラウンド陸上競技場に各学校の生徒が集合し、陸上競技の合同練習や専門指導者からの指導を受けるといったものです。各学校からバスで生徒を移動させ、佐世保市総合グラウンド陸上競技場に集合いたします。そこで陸上競技の種目である短距離走や長距離走、また、跳躍種目や投てき種目など、分野ごとに専門指導者から指導を受ける機会を与えるというものでございます。 あわせて、総合グラウンドに集合することが難しい宇久や黒島などの離島部の生徒たちに対しましては、専門指導者を離島に派遣できるようにしております。 この事業において必要となる休日の指導員の派遣費用や合同練習に移動する輸送費など、上限はございますが、今年度予算化したところでございます。 三つ目は、既存クラブチーム型としまして、既にクラブ化して運営している水泳や武道競技などを学校から地域へ移行していくといったものでございます。武道場やスイミングクラブで活動している生徒たちを学校代表としてではなく、武道場やスイミングクラブでチームを編成し、市中体や各種大会に出場ができるように規定等を見直すといったものでございます。 四つ目は、新たな地域クラブ活動型としまして、その活動を検討していくものでございます。具体的には、新たな地域クラブが発足し運営をしやすいよう、また、学校とスムーズに連携ができますよう、新たなガイドラインの整備を進めてまいりたいと考えております。 これらの事業に取り組み、今後、本市の中学校部活動の地域移行や地域連携を検討してまいりますが、大きな課題として指導者の確保の問題がございます。議員からも御指摘がありましたとおり、指導者の中には、勝利至上主義を含め様々な考えを持つ方がいらっしゃいます。中学校部活動指導者として部活動ガイドラインの遵守など、適切な指導をいただける指導者の確保は大きな課題の一つであろうと認識しております。 また、指導者への謝金や報酬につきましても、保護者の経済状況が生徒の部活動に大きな影響を及ぼすことがないよう、国・県の支援策に注視しながら検討してまいりたいと考えております。 また、本市におきましては、中学校部活動を地域移行する際に既存のスポーツクラブを部活動生徒の受皿にした場合、部活動生徒数に対しましてスポーツクラブの数が充足しているとは言えない状況がございます。さらに、競技ごとに1か所に集合して活動する場合にも、離島部などを含め広範囲に及ぶために、移動手段や時間的な制約など、各学校の状況に応じた対応が求められます。 特にチームスポーツなど、ある程度の人数が必要な競技におきましては、チーム編成の方針や活動場所、練習時間などを部活動ガイドラインに従ってマネジメントする必要があり、それを担う人材についても発掘・育成の必要があろうかと思っております。 これらの課題の解決のため、今後どのような施策を講じる必要があるのかを先ほど申し述べましたモデル事業を通して実証してまいりたいと存じます。 なお、この新規事業全体の検討・検証期間といたしましては、本年度と来年度の2か年間を予定しております。この2か年間で効果と課題等をまとめ、令和8年度以降の段階的な地域移行及び連携に向けた佐世保市の方針を決定してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、子どもたちが将来にわたってスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することが重要と考えております。佐世保市におきましては、子どもたち一人一人のWell-Beingが家庭や地域、社会に広がっていき、その広がりが多様な個人を支え、将来にわたって世代を超えて循環していくという姿の実現が求められております。 私といたしましても、スポーツや文化芸術活動を通して佐世保市の全ての子どもたちがこれから幸福な人生のつくり手として成長していくことを願っているところでございます。 以上でございます。 ◆5番(古賀豪紀君) (登壇) 教育長、御答弁ありがとうございました。教育長の子どもたちを愛する気持ちがいつも以上に感じ取られました。ありがとうございます。 子どもたちの可能性はどこで花開くか分かりません。私自身も小学校のときは陸上、中学校でバレーボール、高校で野球、そこで自分に合ったスポーツと出会いました。先週行われた私の大好きな競輪ですけれども、岸和田競輪場でGⅠレース高松宮記念杯が行われ、神奈川の北井佑季選手が見事デビューから3年、34歳で優勝されました。その北井選手は元サッカー選手、Jリーガーです。J1でのプレーはほとんどなく、J2、J3でプレーされていました。競輪が選手採用の年齢制限を撤廃したことにより30歳で一念発起し、競輪選手を目指し、たったの3年余りで競輪選手2,300人の頂点に立たれました。 このように何が自分に合ったスポーツなのか誰にも分かりません。昨日、鶴議員もおっしゃっておられましたが、挑戦したから成功したのです。これからのスポーツは日本特有の一つのものを努力して極めなさいという考えではなく、諸外国のように夏場は夏場のスポーツ、冬場は冬場のスポーツなどを行っていい時期に来ているのではないでしょうか。 私は、教育とは可能性を見つけてあげることだと思っています。地域移行が進む現在、問題は山積していますが、これを機会に日本の子どもたちもいろいろなスポーツができる環境になり、一つしか登録できないとかではなく、二つでも三つでも本人が希望すればできる環境づくりも必要ではないかと思っています。 数年前、高校野球の監督をしていたとき、正式な大会ではありませんが、試合で国見高校と対戦しました。当時から国見高校はサッカーの強豪校で、部員は50名以上いたかと思います。一方、野球部は五、六名しかおらず、サッカー部から四、五名助っ人が来ていました。試合では外野手は全員サッカー部で、外野に飛んだらほぼヒットになり、試合になりませんでした。しかし、ライトのサッカー部員が一つフライを捕ってアウトにしたとき、本人はもちろん、チーム全員のガッツポーズは今でも忘れません。試合終了後、その選手に私が声をかけると、めちゃくちゃ楽しかったと笑顔で答えてくれました。そのことが本当に印象的でした。本来、学校スポーツはこうあるべきではないでしょうか。そう私は思っております。 部活動は、指導者や学校または家族などがサポートしていかなければなりません。部活動も教育の一環と捉えるなら、教員の働き方改革も十分理解できます。しかし、部活動をやりたくて教員になった方もいると思います。私の考えとしては、地域移行はデメリットが大きいと思っております。 私は、数年間、隣の韓国に野球教室に行ったことがあります。そのときほとんどの韓国の関係者や韓国の保護者が日本の学校教育の部活動をすばらしい、うらやましいと言われていました。韓国は指導者はほぼ外部指導で負ければ辞めなければいけません。このように外国からも高く評価されているすばらしい日本の制度、これまでやってきた学校の部活動を継続で考え、部活動を持った顧問は授業コマ数を減らすとか、校務分掌を減らすとか、午後から学校に出てくるとか、休日は外部コーチと密に連携して練習するとか、方法はいろいろあると思います。 実際、私立高等学校はそのようなことをやっている高校が多数あります。スポーツを愛する一人として子どもたちが主人公になり、可能性を見つけられる環境づくりを佐世保市から発信してほしいと思い、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(林健二君)  33番山下隆良議員。 ◆33番(山下隆良君) (登壇) 市民クラブの山下です。通告に従い順次質問いたします。 初めに、佐世保市の財政状況についてお尋ねをいたします。 失われた30年と言われた日本の経済も、近年やっと変化の兆しが見えてきたような気がします。今年の春には企業の賃上げが相次ぎ、3月には日銀のマイナス金利が解除されることとなりました。長かったデフレ経済をできるだけ早く脱却し、日本経済の好循環が生まれてほしいと願っているところでございます。 一方で、佐世保市の経済はどうでしょうか。新型コロナウイルス感染症の危機が去り、まちのにぎわいは少し戻ってきたように思います。円安の影響もあるのでしょうか、国内においては、相次ぐ旅客船の寄港で海外の方と思われる団体が買物する姿をよく見かけます。佐世保市の経済においても活気が生まれ、市民の皆さんの生活も向上することを強く望んでいるところであります。 しかし、たとえ景気がよくなって経済の活気が戻ったとしても、佐世保市の潜在的な経済の力というものを考えてみると、他都市と比べ決して強いとは言えない、そういった本市の状況が変わることはなかなか難しいのではないかと思います。 さらに令和5年度の給与収入に関わる市民税課税の資料があります。こちらの資料では、佐世保市の所得税の納税義務者は8万4,010人で、給与収入金額によって100万円以下から2,000万円を超える金額の15段階が設定されており、それぞれの段階ごとの納税義務者が記載されています。 その内訳の一部を申しますと、150万円を超え200万円以下が7,452人、200万円を超え300万円以下が1万8,507人、300万円を超え500万円以下が2万8,230人、500万円を超え700万円以下が1万1,930人、700万円を超え1,000万円以下が7,282人、1,000万円を超え2,000万円以下は1,706人、そして2,000万円以上は319人となっています。 また、納税義務者1人当たりの所得を見てみますと287万円となっています。これは全国平均の345万円に比べ、2割弱も低い数字となっています。給与収入額ごとの階層で見ても、中央値は300万円から500万円の間で、納税義務者数で3万754人、全体の3割を占めています。1,000万円を超える方は2,098人で全体の2%ほどしかなく、2割に当たる1万8,516人の方が200万円以下の階層にいらっしゃいます。これはそれほど大きな産業がない佐世保市の状況を反映したものと思われます。 佐世保市は中核市であり、県北では中心的な都市としての位置づけではありますが、殊、経済の力という面ではそれほど強靱さを持っているわけではないことは知っておく必要があります。特にIRの認定がなされなかった今となっては、将来の佐世保の経済を憂える気持ちが強くなっているところであります。 そういった佐世保市の経済状況を踏まえ、市の財政を見てみると、佐世保市の令和5年度の税収は296億8,000万円で、中核市平均の590億2,000万円を大きく下回っています。財政力指数も0.53であり、これも中核市平均の0.776を下回っており、交付税などの依存財源の割合が大きいという佐世保市の特徴を表しています。佐世保市の経済力を反映して財政もこのように潜在的な弱さを持っている状況ですので、これからどのような政策を進めるにも財政状況を意識しなければならないことは至極当然のことと言えます。 私は、前の朝長市長が初当選から1年を経過した平成20年に佐世保市の財政状況について、市税の収入状況や市債残高の見通しなどについて質問をいたしました。これから新しい市長が政策を進められるに当たっては、財政の状況を問うことが重要だとの私の思いからであります。 そのときの答弁としては、市税収入が逓増していることや起債残高を徐々に低減していく方針であること、当時は合併がありましたので、合併特例債の扱いなどが答弁の中で示されました。それから16年が経過し、日本を取り巻く状況も、佐世保を取り巻く状況も大きく変わっています。 最も大きな懸念である人口減少は一段と進み、産業や生活に大きな影響を与えようとしています。近年、国も異次元の少子化対策といって特に力を入れていますが、どこまで効果が出るのか分かりません。基礎的自治体としての役割を担う佐世保市において、高齢者の人口が増え、社会保障費の伸びが大きくなっていることと思います。市債残高が低減といってもまだまだ借金が残っています。 国の借金は約1,200兆円となり、年間のGDPの2倍を超える金額となっています。先進国の中でも飛び抜けて多額の金額となっており、国民1人当たりの借金も1,000万円を超えています。佐世保市は市民1人当たりの借金は40万円を超えているといった状況です。国も佐世保市も非常に厳しい財政状況であることは論をまたないところです。今の佐世保市の財政状況はどういう状況にあるのか、当局がどのように分析・評価し、現状をどう認識されているのかお尋ねをいたします。 次に、2024年から始まった物流問題について質問をいたします。 物流の2024年問題とは、日本の産業界を大きく揺るがす危機的状況として警鐘が鳴らされている問題です。具体的には、2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働時間は月80時間、上限が年960時間に制限されることにより発生する諸問題です。2018年(平成30年)に働き方改革関連法案が成立し、時間外労働の上限規制については、2019年(平成31年)4月から段階的に施行された一方で、トラックドライバーなど自動車運転業務を含む一部業種では、業務内容の特性上、長時間労働になりやすい業種であり、長時間労働の調整に時間がかかるとの判断から、しばらくの間適用が猶予されておりましたが、いよいよ本年4月から適用開始になっております。 働き方改革関連法は、一見、物流業界が労働基準法など法令を遵守し、クリーンな企業となるよいきっかけで労働環境の改善が期待されておりますが、これにより問題も生じると言われています。まずは、働き方改革関連法案が物流業界に与えるメリットとデメリットについてお示ししたいと思います。 働き方改革関連法案は、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を実現することを目的としており、2024年の法施行では、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を設定することで、ドライバーの労働環境をよくしようという狙いがあります。そもそもトラック運送業務の労働時間は、全業種平均と比べ約2割長く、年間賃金は5%から10%低い状況にあると言われています。 加えて、人手不足も深刻で、有効求人倍率の推移を見ると全業種平均より約2倍高く、年齢構成を見ても中年層の割合が高く、ドライバーの高齢化の問題も抱えています。 その一方で、当法案の施行によって2024年問題と呼ばれる負の側面も懸念されています。一つは物が運べなくなる可能性です。トラックドライバーの労働時間が制限されることで運送能力が低下し、物の運搬や生産に影響を及ぼす懸念があります。 2023年2月に公表された持続可能な物流の実現に向けた検討会中間取りまとめによると、具体的な国の試算では、2024年問題に対して対応を行わなかった場合、2024年には輸送能力が約14%、4億トン相当不足、その後も対応を行わなかった場合、2030年度には約34%、9億トン相当不足する可能性があると言われています。また、荷主別の影響としては、農産・水産品出荷団体で、地域別では中国地方や九州地方、関東地方において輸送能力が特に不足することが見込まれるとされています。 次に、物流業者の売上げや利益の減少です。規制により1日に運べる荷物の量が減るため、収入が減少することが懸念されています。これはトラックドライバーの給料減少にもつながる課題と言えます。これにより物流業界の労働力不足が一層深刻な状況になることが懸念されています。 さらに、物流業界においては、原油価格の高騰や排ガス規制など外的要因によるコスト増が起こっています。こうしたコスト増に対しては価格転嫁が必要となりますが、中小零細の運送事業者は立場が弱いため、荷主との運賃交渉が難しいと考えます。現に公正取引委員会の調査の結果、買いたたきや代金の減額など、運送事業者のいじめが指摘される荷主573事業者が注意を受けた事案があります。著しい低価格やコストが上昇しているのにもかかわらず取引価格を据え置くなど、優越的地位の濫用に当たり得る内容で、独占禁止法上の問題にもつながる可能性があるとして公正取引委員会も注視しているとのことです。 こうした2024年問題が及ぼす影響の事例について、ニュースなどで取り上げられることも増えておりますので、幾つか事例を申し上げます。 まず、福岡県の名産で知られるイチゴ「あまおう」です。全生産の約7割を関西や首都圏にトラックで届けているため、4月からの運転手の残業規制強化に伴い、これまでの集荷してから3日以内の販売が困難になると報じられていました。 また、愛媛県の鮮魚運送を取り上げた番組では、トラックドライバーに義務づけられた休憩(4時間走って30分休憩)のため、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにおいてトラック用の駐車スペースが慢性的な不足状態にあり、必要な休憩を取ることができないという問題が生じているとのことでした。 また、最近はドライバーの負担を軽くするためにフェリーを利用するトラックも多くなっていて、船によっては乗船用のパスポートを持っていても乗船できない状況もしばしば発生しているといった意見もあります。 さらに市内運送業者においては、佐世保から東京まで翌日配送が可能だったものが、今回の規制により翌日配送が不可能になったと聞きます。物流業界では日本郵便と西濃運輸が共同輸送の業務提携を行い、ほかにも大手の運送会社が中継輸送や共同輸送に乗り出すなど、新たな取組が進められています。しかし、中小零細運送業者ではこうした取組は難しく、採算性から、廃業も考えなければならないといった声が聞こえてきます。 さらに中小の運送会社では、目的地へ荷物の配送が終了しても、荷主側から商品の仕分やシール貼り、量販店では古い商品を上に、新しいものを下に置く並び替えなどのサービス労働を求められるといったことがあるそうです。断ると仕事が来なくなるのではないかとの不安からサービス業務を引き受けざるを得ないと聞きます。 運送業界では、賃金や契約による無理な労働を行う状況があったため、今回の働き方改革関連法案で、その改善を図ることは重要ですが、労働時間の制限により給料が下がることから、転職やアルバイト等副業を行うなど、今後はドライバーの人材不足が危惧されています。 一方で、荷主である水産業者に話を聞いてみますと、長引く燃油や資材高騰に加え、トラックドライバーの労働時間上限規制が不安要素と捉えられています。現在、水産業は、アジ、サバ、イワシなどの魚種を中心に近年まれに見る豊漁と言われており、漁獲量においてはまさに活況に転じているのではないかと思います。本市の水産物が市内や県内をはじめ、九州の大消費地のみならず、関西・関東にも相当の数が流通しているとお聞きしております。このうち大消費地である東京都の豊洲市場には、これまで活魚車や保冷車などのトラック便が主流であり、従来と比較すると輸送時間が増加しているのではないかと思われます。鮮度が取引価格を左右する水産物にとっては、輸送時間が大きな影響を及ぼすのではないかと心配されております。 このように地元を含め全国各地で様々な影響が起きています。物流は生活や経済を支える重要な社会インフラです。特に日本の西の端に位置する佐世保市にとっては、さらにその重要性は高まります。佐世保で水揚げされた鮮魚や農水産品、また、ものづくり企業による製造・加工品など、佐世保の産品を地域外に販売していくには物流は欠かせません。 そこで、市内物流事業全般における2024年問題による影響について、その現状をお尋ねいたします。 また、同様に本市水産業への影響についても、現状をお尋ねいたします。 以上で1回目の質問を終わります。 ◎財務部長(東隆一郎君) (登壇) 御質問の1項目め、佐世保市の財政状況につきましては、私から答弁をさせていただきます。 なお、人口や金額については概数で答弁させていただきたいと思います。 まず、本市の現状でございますけれども、前回質問されたときの平成20年度と令和5年度の決算見込みとの比較をいたしますと、これは江迎町、鹿町町との合併前ではございますが、人口は25万4,000人であったのに対し、令和5年度末は23万1,000人となっており、2万3,000人、率にして9.3%減少している一方で、同じく市税収入におきましては、平成20年度が293億3,000万円だったのに対しまして、令和5年度では298億4,000万円となっており、5億1,000万円、率にして1.7%増加をいたしております。 これは平成26年度と令和元年度に法人市民税の税率が見直されたことなどもあり、市民税が3億円減少している一方で、税率の見直し等により、軽自動車税が3億8,000万円、市たばこ税が4億6,000万円増加しているほか、固定資産税や入湯税も増加していることによるものでございます。このようにこの15年間で人口が減少する中でも税収は微増し、一定の水準を保っているところでございます。 なお、令和6年度当初予算では税収を293億円としておりますが、これは個人住民税における定額減税の影響を受けており、この減税分については、国からの地方特例交付金として補填されることとなっておりますので、それを含めますと税収は302億円となり、令和5年度との比較において、個人市民税における所得割などの増加により実質的な増額を見込んでいるものであります。 次に、市債の現在高についてでございますが、こちらも江迎町、鹿町町との合併前ではございますが、一般会計における平成20年度末の残高1,125億5,000万円に対し、令和5年度末は915億8,000万円となっており、210億円、率にして18.6%減少しており、市民1人当たり市債残高は44万円から40万円と4万円減少いたしております。 これは、近年、公債費負担の低減を図るため、予算編成の際、原則として市債発行額を償還元金の範囲内とする、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を図ることにより、平成20年度以降では、小中学校の空調設備の設置や新西部クリーンセンターの建て替えなどの大型事業が同一年度に重なった令和元年度を除き、市債残高を逓減させてきたことによるものでございます。 次に、地方公共団体の財政状況を表す指標のうち、法律で公表が義務づけられている健全化判断比率に関する四つの指標の状況について、令和4年度の数値を用いて御説明申し上げます。 まず一つ目に、実質公債費比率ですが、この指標は公債費や公債費に準ずる経費の標準財政規模に対する割合を示すもので、18%以上となると市債の発行に許可が必要となり、さらに25%を超えると起債発行の一部が制限されることになりますが、本市においては4.7%と基準を大きく下回る数値となっております。 そのほかの3項目、一つ目が地方公共団体の一般会計等の借入金や将来支払う負担等の残高を指標化し、将来の財政の圧迫度合いを示す将来負担比率、二つ目が一般会計等の赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化度合いを示す実質赤字比率、三つ目が企業会計も含めた全会計の赤字・黒字を合算して悪化度合いを示す連結実質赤字比率につきましては、いずれも数値なしとなっており、国の基準をクリアしております。 また、その他の主要な指標として、財政の弾力性に関する経常収支比率がございますが、平成20年度87.8%だったものが令和4年度は93.0%と、5.2ポイント増加いたしております。これは高齢化の進行に伴う社会保障関係費など経常的な歳出と、市税、普通交付税など経常的・安定的に見込まれる歳入との関係性の中で近年上昇傾向にあり、平成27年度以降、90%台前半で推移しているところでございます。 これらのことから、本市はこれまで財政の健全性を一定確保しながら堅調な財政運営を行っているものと考えておりますが、今後、当面は人口減少・高齢化の進行による社会保障関係費の増加や新たな政策課題の顕在化等により、半ば義務的に対応しなければならない、いわゆる対策的な経費の増加が懸念されることから、健全財政を堅持するためには、より一層の収支改善策に取り組む必要があるものと認識をいたしております。 以上でございます。 ◎経済部長(長嶋大樹君) (登壇) 山下議員の物流の2024年問題についての御質問のうち、市内物流事業への影響についてお答えをいたします。 市内物流事業への影響につきましては、本年5月に実施いたしました長崎県トラック協会佐世保支部及び市内運送会社数社に対するヒアリングによりますと、法改正から適用開始までの5年間の猶予期間の間に各社において対応などが図られており、現時点で大きな混乱等には至っていないものの、個別具体の対応等による影響は少なからず生じている状況とのことでございます。 各社の取組といたしまして、ある事業者においては、時間外労働の上限規制に対応するため、週7日行っていた配送業務を週6日に減らすなどの対応が図られておりまして、総労働時間が減ることによる輸送能力の低下が生じております。さらに人材確保に向けて従業員が一定の収入を維持できるよう、賃上げ等の取組も併せて実施されておりまして、こうした取組の結果、配送回数の減やコスト増により売上げ・利益の減少といった影響が出ております。 また、ある長距離運送事業者においては、自動車運転者の拘束時間の上限、休息期間についての基準等を規定する改善基準告示の改正に基づき、適正な休息時間の確保等の対応を図った結果、輸送時間が大幅に増加し、市内から東京まで24時間以内の輸送が不可能になっておりまして、物流事業者のみならず、都心部への限られた時間内での輸送を必要とする荷主にまで影響が生じております。 この制度は今年4月に始まったばかりでございまして、対応が遅れている事業者なども含め、今後、時間の経過とともに様々な影響が顕在化してくることも懸念されております。 また、2024年問題の背景にある慢性的なトラックドライバー不足の状況に関しましては、ハローワーク佐世保の令和6年4月の職業別有効求人倍率によりますと、全体の有効求人倍率1.38に対しまして、トラックドライバーを含む自動車運転の区分では2.38と高い数値となっており、とりわけ人手不足が深刻な状況にございます。 ハローワーク佐世保に求職状況の聞き取りを行いましたところ、大型免許所有の求職者のうち、約半数が60歳以上とドライバーの高齢化が進んでおります。加えて、最近では、運送業の求職者にも求職条件の変化が見られ、毎日帰宅できないことを理由に長距離運送業を敬遠する傾向が出てきているとのことでございます。 今般の時間外労働の上限規制によってドライバーの収入が減少し、また、運送業に対する求職者の意識の変化が見られることから、ますます人手不足が深刻化することが懸念されているところでございます。 このような状況の中、物流事業者におきましては、適正な価格転嫁への対応や効率的な輸送ルートの確立、複数事業者との連携などの取組が求められているものと考えております。 以上でございます。 ◎農林水産部長(高増剛君) (登壇) 物流の2024年問題の本市水産業への影響について、私からお答えいたします。 議員御案内のとおり、近年はアジ、サバ、イワシといった魚種の資源量が増加しており、本市における漁獲量、漁獲高につきましても、漁獲量が9万トン、漁獲高は168億円で、過去10年間の平均と比較いたしますと、漁獲量は17%の増加、漁獲高は7%の増加となっております。それら漁獲物につきましては、主に佐世保市や松浦市に開設している水産市場へ水揚げされ、競りなどを通じて仲卸業者が買い受け、活魚や鮮魚に仕分し、市内、市外、県外へと幅広く流通いたしております。 本市水産市場の出荷先の内訳でございますが、仲卸関係者の聞き取りによりますと、約5割が市内を含めた九州各県に、次に、関西方面、関東方面にそれぞれ2割ずつ、そのほかの地域が約1割の出荷となっております。その輸送方法についてですが、近年は航空便などの活用が一部あるものの、そのほとんどが保冷車や活魚車などのトラックによる輸送でございます。 議員御指摘の規制後の本市水産物への影響についてでございますが、九州内と関西方面の出荷分を合わせた7割につきましては、輸送時間がほぼドライバーの労働時間の上限内に収まっているということもあり、現在のところ大きな影響は生じていないということでございます。しかしながら、約2割を占める関東方面、主に豊洲市場となりますが、この出荷分につきましては、輸送時間が増加したことによって取引価格への影響が生じており、ほとんどの品が今までより安くなったとお聞きしております。 従来は、その日の朝に買い受けた水産物はすぐにトラックに積み込まれ、朝9時に佐世保を出発し、16時間後、翌日の午前1時頃に豊洲に到着することができており、その日の早朝の豊洲の競りにかけることができました。2024年4月以降は輸送中にトラックドライバーの休息時間が必要なことや1日の拘束時間が短くなったこと、また、これらのことによって1人の運転手だけでは豊洲まで運ぶことができないといった問題も生じており、到着が今までより6時間ほど遅れ、翌日の競りには間に合わないことになりました。 本市から豊洲市場へ出荷さされる水産物は、高値で取引されるアカムツ(ノドグロ)、クエ、ヒラメの取扱いが多く、従来は競合する中国・四国地方とほぼ同じ条件で出荷してきました。今回の規制以降、中国・四国地方からは豊洲市場までの輸送日数が変わらず輸送できている一方で、本市においては最西端という地理的なハンデもあることから、ほぼ確実に競合する産地に1日プラスして輸送日数がかかるため、品質の面で一歩後退している状況にあるということが、価格が安くなっている主たる要因でございます。 水産市場関係者によりますと、この対策として、一旦福岡の水産市場まで輸送し、ほかのトラックに積み替えを行った後、再度福岡から豊洲市場への輸送を行う中継リレー方式を採用することで1日の拘束時間をクリアし、また休息時間も減ることから、これまでと変わらない日数で豊洲市場まで輸送できる手段はあるとのことでございます。 しかしながら、その導入のためには、本市を出荷する段階で1台当たりの積み込みロット数が200箱以上など、輸送業者が提示するクリアすべき条件がございます。本市においては出荷物が天然の漁獲物を主としており、しけなどの影響もあることから出荷数量が安定せず、毎回ロットの確保は難しく、なかなか導入が難しい状況にございます。 このような状況ではございますが、少しでも生産者の利益が維持できるよう、漁業者、仲卸業者、運送業者が一体となって中長期的に本市水産物の流通の課題に取り組んでいく必要があると考えております。 ◆33番(山下隆良君) (登壇) それぞれに御答弁をいただき、ありがとうございました。 まず、財政状況についてでありますが、今の佐世保市の財政状況に関する市当局の認識、考えを答弁いただきました。大変厳しい財政を取り巻く環境の中でも、一定の安定した財政運営をなされていると思いました。財政を健全に保てるよう引き続き取り組まれることと思います。 ただし、これからの財政を考えると果たして課題はないのでしょうか。第7次総合計画後期基本計画では、人口減少対策を重要な政策課題と捉えており、これから佐世保市では様々な施策を進められていることと思います。しかし、人口減少を緩和することはできても、減少そのものを食い止めることはかなり難しいと思います。 私が懸念することは公共インフラの維持に関することです。日本経済の高度成長期も含め、道路や橋梁、住宅、学校など、多くの公共施設を整備してきました。今後、こういったインフラの維持がきちんとできるのか、そのための財源が確保できるのか、佐世保市だけの問題ではなく日本としても大きな課題だと考えます。将来の人口が減っていきますので、もしかすると現在のインフラの規模は過大かもしれません。人口減少を見据え、規模の最適化を図ることも必要でしょう。 一方で、安全については最も意を用いていただきたいことです。施設を安全に保つために最適なタイミングでの施設の更新を図らなければなりませんし、そのための財源も必要となります。こういったインフラの維持管理に係る市の方針などについて、お考えをお聞きしたいと思います。 次に、物流問題についてでありますが、本市物流業界の現状と影響について御答弁をいただきました。影響はまだ限定的ではありますが、今後、運送業界のみならず、物流が必要な関連する業種全てにおいて影響が出てくるものと想像します。 政府は、運送事業者が人件費などの増加分を取引価格に転嫁しやすくするために、来年の通常国会で下請法の改正を目指す方針だということが新聞に掲載されていました。価格転嫁を推進することで、運転手の賃上げや担い手確保を後押しする考えからです。下請法改正は、ドライバーの賃上げや人材確保の面では改善されるかもしれませんが、価格転嫁の行き先は市民です。物価高騰で多くの生活関連商品の価格が高騰している中、運送費も例外なく価格が上がり、市民の生活を圧迫することが想定されます。 また、国においては、燃油価格高騰への対応として激変緩和措置を本年4月まで延長していましたが、ガソリン税や軽油取引税の上乗せ課税を一時的に引き下げるトリガー条項について、凍結解除も含めた検討が進められています。 この2024年問題は物流業界全体に影響を及ぼす重要な課題であり、業界だけではなく、行政なども含めた対策が必要と考えております。 そこで、2024年問題の課題に対して、本市として今後どのように取り組まれるのかお尋ねをいたします。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 山下隆良議員からの御質問、2024年問題の課題に対する市の対応についてお答えをいたします。 市内物流事業者への本市の支援としましては、これまで燃油価格高騰対策として、事業者が所有するトラックの台数に応じた支援金の給付を昨年度及び一昨年度の2回にわたり実施してきたところです。その一方で、今般の物流の2024年問題と言われる諸問題につきましては、我が国の物流システムの在り方そのものに起因をするところが大きく、課題解決に向けては物流システムの仕組み自体を改革していくことが不可欠であることから、国や物流業界を中心に影響緩和や環境改善に向けた様々な取組が検討・実施されてきております。 国においては、令和5年6月に物流革新に向けた政策パッケージを策定し、価格転嫁の円滑化や多重下請構造の是正といった商慣行の見直し、DX推進やパレット・コンテナ等の規格統一化などによる物流の効率化、再配達削減などの荷主・消費者の行動変容の三つを柱とする抜本的・総合的な対策が示されており、令和5年10月には物流革新緊急パッケージを策定するなど、施策の前倒しを図るべく、物流制度の革新に向けた取組が進められております。 本市におきましても、ゼロカーボンシティの実現に向けた取組として、宅配便の再配達を軽減するための置き配の普及を目的に、市内1,500世帯に対して市オリジナル置き配バッグを無料配布する置き配普及啓発事業を実施しており、5,000件を超える応募があるなど大変な反響をいただいております。今回の取組により多くの市民の皆様に再配達軽減の必要性について周知する機会となったことは、トラックドライバーの環境改善につながる取組の一つだと考えております。 また、トラックドライバーをはじめ様々な業種で人手不足が深刻化していることから、現在、人手不足の緩和に向けてデジタル化や設備導入などによる効率化・省力化を図る生産性向上と長崎労働局等と連携した雇用対策の両面での支援に取り組んでいるところです。 今年3月には、人手不足の分野で外国人労働者を受け入れる在留資格である特定技能の対象に自動車運送業の追加が決定をされましたことから、外国人材の活用促進も図ってまいりたいと考えております。 本市としましては、国、物流業界の動向や市内物流への影響等について引き続き注視していくとともに、関係機関と連携して人手不足の緩和に向けた取組を進め、2024年問題への課題対応を図ってまいりたいと考えております。 ◎財務部長(東隆一郎君) (登壇) 御質問の1項目め、公共インフラの維持・更新に係る財源についての再質問にお答えをいたします。 本市は市域面積が広く、合併前の旧町がそれぞれ保有していた公共施設を引き継いだこともあり、平成26年度の推計時点において、類似した人口規模を持つ自治体と比較して、人口1人当たりの延べ床面積は約17%上回っている状況にございます。 そのような中で、全国的な状況ではございますが、本市におきましても多くの公共施設やインフラの老朽化が進行しており、今後次々と更新の時期を迎えますが、更新には莫大な費用が必要であり、全ての施設を現状のまま維持・更新していくことは困難になることが想定されております。 そのため、次世代に過大な負担を残さず、継続して必要な行政サービスを提供するという考え方の下、施設の更新・統廃合に加え、維持管理・修繕等を予防的に行うことにより、長寿命化対策等を総合的かつ計画的に行う佐世保市公共施設等総合管理計画を平成29年3月に策定をいたしました。その後、本年3月にインフラ・公共施設等の保全に必要な経費を試算したところ、一般会計における今後40年間の年平均は、単純更新費用228億1,000万円の見込みに対し、長寿命化対策を行うことにより137億1,000万円となり、91億円、率として39.9%の削減を見込んでいるところでございます。 また、この総合管理計画の考え方に基づく下位計画として、建物やインフラの類型ごとに個別施設計画を策定しており、このうち学校、コミュニティセンターなどを対象とした佐世保市公共施設適正配置・保全基本計画においては、施設の統廃合や民営化などを進めることで令和18年度までに延べ床面積15%削減による規模の適正化を行うとともに、耐用年数の目安とされてきた築50年での建て替えではなく、諸条件をクリアすれば、既存の構造体を引き続き利用しつつ、全面的に更新をする長寿命化改修等を行うことで、築80年まで使用することを目標に掲げております。 さらに同計画関連事業費につきましては、現在の中期財政計画の中で整備手法や実施時期の見直しによる事業費の縮減、平準化に加え、統廃合により生じた遊休地の売却益の充当や起債の柔軟な活用なども見据えた財源の見直しを行うことで、令和6年度から10年度までの5年間で64億円の改革改善効果を見込んでいるところでございます。 このように財政状況が厳しい中でも規模の適正化を図りながら、単純更新ではなく長寿命化対策を基本として計画的に保全・更新を行うことにより、財政負担の軽減・平準化を図り、施設の安全性の確保と必要な施設機能を維持できるよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆33番(山下隆良君) (登壇) 最後に、財政についてでありますが、市長が就任されてほぼ1年がたちました。その間、第7次総合計画後期基本計画を策定されるなど、市長が目指している政策の実現に向けて取り組まれていることと思います。市長の思い描いている政策を実現するためにも、財政の健全化が非常に重要になりますし、十分に意を用いてほしいと思っているところであります。 過去に佐世保市は失敗ではないかと思われる政策もありました。例えば、平成5年にオープンしたえぼしスポーツの里の人工芝スキー場は、13年が経過した平成17年度末に廃止されました。ここに投じられたお金は10億円と大変大きな金額となっています。今そのスキー場はありません。 また、市立小中学校の学校学習においても、平成18年度に導入された2学期制が16年後の令和4年度には3学期制に戻されることになりました。私も試行期間であった平成16年12月定例会で幾つかの懸念を質問したところでありましたが、結果うまくいかなかったものであります。 さらに努力はされていますが、令和元年度に120億円をかけて相浦に造成した工業団地もまだ企業が入っていない状況があったり、クルーズ船の寄港をもくろんで松浦公園に整備した駐車場にはバスが停車することがなかったりと疑問を持たざるを得ない施策が見受けられます。 市民の税金を効率よく確実に成果に結びつけるようにしなければならないことは当然です。予算を組む才覚が市長に求められています。佐世保市の財政を破綻させない、再生段階に行かないことはもちろんですが、市長が、そして何より市民が望む政策を実現することができる財政を構築することも重要と考えます。健全財政を死守するとの強い使命感を持って市政運営に当たっていただきたいと強く思っているところです。 これからの佐世保市の財政をどう運営していくのか、方策と市長の決意をお聞かせください。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 1項目めの佐世保市の財政運営についてに関し、今後の財政運営の在り方についての再々質問についてお答えをいたします。 昨年10月に策定いたしました佐世保市中期財政計画において、策定時点における次年度の地方財政対策など、国からの情報を基礎として見積もった歳入一般財源と、各部局が事業に要する経費として見込んだ所要一般財源を積み上げることで財政見通しを推計しています。 そこで、令和10年度までの5年間で343億6,000万円の収支不足が生じておりますが、これに第6次行財政改革推進計画に掲げておりました歳入面での基金の活用や歳出面での政策推進枠の縮減などの取組を継続しつつ、第7次の同計画における業務マネジメント改革などを断行することで、5年間の収支不足を7億円まで圧縮できる計画となっております。 今後の地方財政を考えますと、先日発表されました骨太の方針の原案では、今年度で期限切れを迎える地方の一般財源に関する同水準確保のルールを今後3年間継続させる方針が打ち出されたものの、歳出改革の継続とともに国と地方のプライマリーバランスを2025年度に黒字化する目標を維持すると明記されております。 また、議員御案内のように、日本銀行が3月にマイナス金利政策を解除するなど、金融政策においても大きな転換点を迎えている中、本市の財政運営においては、令和2年度から続いてきたコロナ禍・物価高騰対策として機動的に活用してきた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の次年度以降の活用が見込めないことや、賃金、物価、金利の上昇による支出増など、取り巻く社会経済状況は新たな局面を迎え、財政運営への厳しい影響が予想されているところであります。 議員から御指摘がございましたが、限りある貴重な財源を有効に活用するためにも、根拠や裏づけに基づく政策立案、成果に着目した実施事業の厳選は極めて重要であると考えており、市政の発展を図りながら将来にわたって安定的に行政サービスを提供していくためにも、引き続き市政をつかさどるに当たっての必要条件である財政の健全性を堅持してまいりたいと存じております。 ○議長(林健二君)  暫時休憩いたします。     11時37分 休憩     13時30分 再開 ○副議長(久野秀敏君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を続行いたします。31番小野原茂議員。 ◆31番(小野原茂君) (登壇) 市民クラブの小野原茂です。しっかり昼からの一番バッターとして頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。 それでは、通告に従い順次質問いたします。 大項目の島瀬美術センターの収蔵品の活用についてと日野相浦地区における子どもたちの通学路についてそれぞれお尋ねします。 では、初めに、島瀬美術センターの収蔵品についてから質問いたします。 昭和58年、島瀬美術センターが完成し、貸館を中心とした社中展の開催ができる程度の小さな美術館ではありましたが、当時は収蔵庫の作品を活用して書道の山下惠圃先生と安永龍峰先生をはじめ、ほかにも小さな絵画展が行われるようになりました。 また、市民展や県北展、県展、書道展等がそれぞれ一堂に会して行われることで市民の入館者数も増え、平成25年の民間登用の館長就任以降では、近代絵画展としてシャガール展やロートレック展等の絵画展の開催、指定管理者制度導入後は、学芸員の活躍もあり、各種企画展が順調に推移し、つい最近では伊藤若冲や葛飾北斎、そして平山郁夫等の企画展が市民に大変喜ばれており、一定の成果が発揮され、今でも市民の目を楽しませてくれていることはこの上ない幸せだと思っております。 しかし、一方で、昔からの佐世保の伝統ある文化の歴史が置き去りになっており、このままでは幕末・明治から続く佐世保の将来が途絶えてしまうのではないかと感じています。 そうならないためにも、私は平成19年に議員となってから佐世保の文化振興の改善に向けた取組を行ってきましたが、まずは学芸員の導入に向けた取組や島瀬美術センター施設の改善、公募展作品運搬車の導入、市民展の開催期間延長や市長賞を含む三賞候補のみの特別展示、ほかにも市庁舎1階など、収蔵庫の著名な作品を展示することの要望や玉屋前のアーケードから図書館へ通り抜けのできる美術館として、そこにも収蔵庫の作品が展示できないかなどの提案も行ってきました。 このようなことがきっかけとなり、私は当時文化活動に熱心だった市民の皆さんに少しでも海軍のまちだけではなく、佐世保独自の平戸の文化が収蔵庫に数多く眠っていることを知ってもらうために、鎮守府や幕末・明治の歴史と佐世保にちなんだ書家の系統図をひもといたりして、それに関連する書物も大切な資料として東京神田の古本屋を中心に収集し、収蔵品に関する参考図書探しに向けて独自に動いてきました。 収蔵庫の中には、まだ表に出ることなく、ほんの一例ではありますが、長崎に歴史が残る画家の竹久夢二や小説家の芥川龍之介、また、横山大観と肩を並べる日本画の巨匠、竹内栖鳳や大観の弟子で明治の佐世保鎮守開庁の図の模写をした丹阿弥岩吉の作品が保管されています。佐世保海軍鎮守府司令長官の東郷平八郎や日露戦争による水師営の会見で有名な乃木希典大将、高知出身の島村速雄や山本権兵衛海軍大将の娘を妻に持つ宮崎出身の海軍大将、財部彪ほか数多くの佐世保海軍鎮守府司令長官らが揮毫した作品が眠っており、令和2年3月に企画された佐世保鎮守府開庁・佐世保港開港130年記念展には後に佐世保市長となった内田政彦の作品も数点展示がなされました。 このように島瀬美術センターの収蔵庫にはすばらしい作品が眠ったままになっています。収蔵庫には様々なジャンルの収蔵品が約4,000件、点数では8,000点もの作品等が保管されており、これらが市民に知られていないことは大きな課題であると懸念しております。 私は、この課題を解消するために二つの方法があると思っていますが、一つは、デジタルアーカイブを充実させて市民がネット上でも収蔵庫の作品を見て楽しめる環境を整えること、二つ目は、収蔵庫の作品を島瀬美術センターだけでなく、いろいろな場所で展覧会を行い、できるだけ多くの市民の目に触れさせることだと思っております。 まず、一つ目のデジタルアーカイブの現状につきましては、令和5年3月定例会でも質問しましたが、その際の答弁では、指定管理者が新たに学芸員を採用し、体制の充実を図りながらホームページリニューアルに合わせて収蔵品検索システムを導入しており、キーワードや資料名、作家名など収蔵品の閲覧を可能としていると答弁なされました。また、あわせて、4,000件にも及ぶ作品の一つ一つについてその作品の持つ時代背景、技法、特徴などをひもといていく作業は、学芸員の知識をもってしても相応の期間を要するものであるとの答弁でありました。 私も収蔵品検索システムを見てみましたが、確かに作品の名称や作者名などは閲覧できますが、その作品の時代背景といった解説が記載されていないものも多くあり、まだ不完全燃焼といった感があります。もっとテーマごとの表示や見せ方の工夫、企画展との関連づけなど、市民が見て楽しめるような工夫が必要と感じております。 そこで、一つ目のお尋ねですが、デジタルアーカイブ化を進めるために、要は今の収蔵品検索システムに登録されている収蔵品の内容を充実させるために、少し予算をかけてでも人海戦術が行えるよう専門学芸員を補充することは考えられないのでしょうか。また、市民が見て楽しめるようにテーマごとの表示ができるなど、システムを改善することは考えていないのかお尋ねいたします。 二つ目の収蔵庫の作品を島瀬美術センターだけでなく、いろいろな場所で展覧会を行うことについてですが、現在、島瀬美術センター以外では、収蔵品が見られる場所としては三川内焼美術館があります。 皆さん御承知のとおり、三川内焼の歴史は400年前に遡り、当時、松浦鎮信公は平戸中野窯から佐世保の三川内の皿山に窯を移して唐子の絵柄を中心に生まれた各種工芸品を幕府への献上品として奉納されていました。現在、肥前窯業圏の中の日本遺産の一つとして三川内焼が名を連ね、三川内焼美術館には数多く陳列されており、全国各地に点在する有名窯元の陶磁器と比較しても見劣りするどころか、中里三猿、今村如猿のような他に類を見ないようなほれぼれするようなすばらしい伝統工芸品が展示されております。島瀬美術センターにも高価な三川内焼の美術品が保管されていることから、三川内焼美術館と連携して展示の入替えを行っているとお聞きしております。 しかし、日本遺産の一つである三川内焼が今後さらに脚光を浴びるためには、展示施設の一刻も早い改修を急ぐとともに、島瀬美術センターにたくさんの三川内焼があるのですから、島瀬美術センターの収蔵庫内の軽減を図るためにも三川内焼の展示場所の確保は急ぐべきだと思います。 また、焼き物だけにとどまらず、江戸中期以降、平戸は江戸や長崎との交流が盛んで鎮守府にもつながる勝海舟ほか幕末の幕臣、山岡鉄舟や西郷隆盛の作品が至るところで見られ、公家の三条実美や頭山満の作品は私の家にも眠っております。 そして平戸松浦氏と戦った、相神浦氏当主松浦親公の墓や日本全国を測量した伊能忠敬の肥前の地図の中には佐世保の地図もあり、今後さらに松浦史料博物館との広域連携による島瀬美術センターでの平戸松浦藩の企画展ができることを楽しみにしております。 このように現在でも佐世保の地を歩くだけで平戸との歴史に出会いがあり、これは島瀬美術センターに保管されている江戸中期から幕末・明治にかけての先人からの寄贈作品を見ると、この時代にいかに多くの文人墨客、書の貫名海屋、儒学者の佐藤一斎や伊藤東涯、水戸藩の徳川斉昭の御意見番の藤田東湖や長崎の砲術家の高島秋帆らがいかに長崎街道から平戸街道にかけて足を運んだと思われるような作品もあり、島瀬美術センター収蔵庫の扉を開けると佐世保の歴史イコール平戸松浦藩の歴史なのだということがよく分かります。 ほかにも平戸松浦藩にちなんだ書の歴史が古く、江戸時代、高松の貫名海屋が平戸松浦藩に逗留し、書の指導を行ったことから、明治時代には、佐世保にも広がり明治の書道の第一人者の山下惠圃先生により全国でも書の盛んな地域となり、東宮御所御進講の桑原翠邦や千葉の田代秋鶴や長野の比田井天来などとの交流により佐世保は書道のメッカと言われるほどでした。その山下惠圃先生の数多くの作品を筆頭に日本を代表する書家の作品が数多くあり、それぞれに系統立てた企画を行い、いつでも企画展が開催できる体制を取ることこそ市民への還元と言えるのではないでしょうか。 そこで、二つ目の質問になりますが、島瀬美術センターにはたくさんの鎮守府にちなんだ作品や三川内焼があり、展覧会を開催する以外は市民の目に触れることはありませんので、例えば、建物自体が文化財である市民文化ホールなど、島瀬美術センターや三川内焼美術館のほかに展示場所を確保することはできないのでしょうか、お尋ねいたします。 私が島瀬美術センター以外の展示場所にこだわるのは、島瀬美術センターの収蔵庫がもう満杯で、そのため寄贈品の話があっても受入れを断っているということを聞いているからです。満杯だからといって受入れを拒否すれば、これまでせっかくの佐世保の歴史が、また将来に向けての文化振興が失われていくことになりかねないと思うからです。寄贈品がいつでも受けられるよう、島瀬美術センターの収蔵庫はスペースを確保しておくべきだと考えます。 そこで、島瀬美術センター収蔵庫の整理状況について、令和5年3月定例会でも質問しましたが、その際の答弁で、別途保管することで収蔵スペースの確保ができないか検討すると言われましたが、その後の収蔵庫の整理について、その進捗状況はどうなっているのかお尋ねいたします。 次に、2項目めの日野相浦地区における子どもたちの通学路については、昨日、本田議員が道路安全施設のところで重なる部分があるかと思いますが、視点を変えて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。 近年、通学途中に児童生徒が巻き込まれる事件や事故が多く発生しており、日頃の子どもたちの通学、下校時の通学路における安全対策が喫緊の課題となっております。特に2021年6月に千葉県八街市において下校中の児童にトラックが突っ込み、5名死傷する事故が発生してからもう既に3年が経過いたしました。 それを受けて、佐世保市でも市内小学校の通学路について、教育委員会を中心に学校、PTA、道路管理者、警察等による合同点検が実施され、危険箇所対策が速やかに行われてきましたが、現在もまだまだ不十分であり、通学路の整備については、八街市の教訓が生かされていないのではないかと厳しい声が上がっております。 この場所は母ケ浦町にあり、総合グラウンド体育館前から新田町にかけて登下校時にスピードを出した車が通り抜ける危険な市道で、現在、住宅も増え続けており、この母ケ浦町の約400世帯の膨れ上がる新興地域から登下校する数多くの子どもたちの通学路の安全確保がまだまだ不足しているのではないかと思われ、今なお懸念が残るところです。 今年4月から新年度が始まり、はや3か月が過ぎようとしていますが、やっと新入生の児童生徒が学校に慣れてきた頃ではないかと、通学する子どもたちの明るい笑顔を見て、横断歩道に立つ私も内心ほっとしているところです。 しかし、通学路における災害や事故はほかにもたくさんあり、いつ起こるか分かりません。これは市道母ケ浦中里線の日野地区の共立自動車学校付近の出来事でありますが、通学時の市道には通勤する車がスピードを出し過ぎて通学路に飛び込んできたり、下校時には狭隘の市道をスクールバスが10台以上連なって通過するため、路側帯ぎりぎりの幅寄せとなったり、大型バス間の横断歩道を渡らなければならない、危険がいっぱいの通学路であります。 そのため、これまでも幾度となく信号機、スクランブル交差点、二度にわたる横断歩道の設置要望等に取り組んでまいりましたが、一向に改善されずに最近も通学路に車が飛び込んできたり、横断歩道の安全標識が折れ曲がり、二度の取替えや路側帯への注意喚起のポールの設置など、安全対策を行っても長年の懸案が解決しそうにもありません。 市道母ケ浦中里線のどこかで事故が起こっており、飛ばし過ぎて離合ができず、大型トラックがカーブミラーとコンクリート塀に直撃の上、壊れ、車は大破し、レッカー車で運ばれるという出来事もありました。あるときは自転車の子どもをはねたまま放置していったりしました。この路線は狭隘なために大型バスが離合できず、ガードレールをこすっていくために市道拡幅も行ってきたところであり、椎木保育園の横断歩道前では、正面衝突寸前の報告もあっております。 ほかにも飛び込み事故により人がはねられる寸前の事故も数えたら切りがありません。まちが開けてきたことから公共交通バスの増加となり、朝のラッシュ時、マイカーとの離合問題が喫緊の課題であり、朝夕にそこの横断歩道を渡る子どもたちの安全確保に交通指導員は頭を痛めているところです。 そこで、まず、通学路の安全確保については、令和3年度に千葉県八街市で発生した事故を受け、通学路の合同点検が実施されていますが、対策が必要な箇所のうち、市道における対策状況をお伺いいたします。 次に、日野小学校の通学路となっている市道母ケ浦中里線では、狭隘な市道上で車両事故を目の当たりにしましたが、事故発生場所が通学路で、ハード面の鋼製手すりやハンプなどの安全施設がないと子どもが巻き込まれてしまう心配があるため、市道母ケ浦中里線のような狭隘な市道における通学路の安全確保の取組についてお伺いいたします。 次に、水害時における通学路の安全確保についてお尋ねいたします。 今年も6月に入り梅雨シーズンとなりますが、佐世保市においても大雨による土砂災害や洪水災害を注意しなければならない時期になります。最近は温暖化による線状降水帯が至るところで発生し、この日野地区も昔からの水害常襲地帯でありますが、ここ最近は長年の河川改修工事と内水対策により、佐世保市でも水害のないまちとして大きく前進しているところです。 しかし、災害は忘れた頃にやってくると言われているように、この地域に新たに住まれた方々にとっては水害の経験がない状況もあり、一度通学時間帯に浸水被害が起これば水の勢いに親もパニックとなり、子どもたちを朝送るどころか、我が子は小学校付近の浸水した通学路に降ろし、保護者は会社の通勤へと向かわざるを得ないという光景をしばしば見かけることもありました。 このように子どもたちが豪雨に伴う浸水地帯における体験はないほうがよいと思っているところでありますが、このような災害に対し、教育委員会として各学校に対して水害時における通学路の安全確保についてどのように考えて対応しているのかお伺いいたします。 また、日野小学校である年の4月に起こった水害では、新入学の子どもたちを含め、着任早々の先生方にとっては降って湧いた災難に右往左往するしかすべはなく、その教訓を生かし、当時の校長先生は学校一斉における取組として地域を含めた合同の防災訓練を予定されていました。 しかし、その訓練実施よりも前に突然の線状降水帯による豪雨が発生し、水害に対しての本番の避難行動となりましたが、訓練予定など事前の用意周到な準備のおかげで計画どおりの対応がなされ、これこそ安全・安心の防災対策ではなかったかと当時の学校長の率先垂範による水害教育に感心したところです。この対応から既に数年が経過しており、その後の日野小学校の取組はどのように生かされているのかお尋ねいたします。 次に、通学路における子どもたちの見守りについてですが、自治会の方々や民生委員・児童委員やボランティアや交通指導員に積極的に取り組んでおられることに心からの敬意とおねぎらいを申し上げます。そのような中でも、一年中、車と向き合い、子どもたちのために安全・安心の通学路を守っていただいている交通指導員の高齢化が進み、80歳を超える方々の御協力で成り立っており、もう限界だと言いながらも老骨にむち打ち立哨していただいていることに感謝の言葉しかありません。 しかし、交通指導員は80名まで委嘱可能な中で現在は50名以下にとどまっており、不足が生じると思われる状況が続いているため、そこには何らかの原因があると思われます。子どもたちの安全を守るために、これ以上の不足を招かないよう広報・周知をしっかり行うなど、何らかの対策を講じる時期に来ているのではないかと思います。市民生活部として原因をどのように考えておられるのか、またその課題解決にどう取り組まれているのでしょうか。子どもたちを見守る交通指導員の在り方を含めてお伺いいたします。 次に、安全・安心の取組として、ながら見守りについてお尋ねいたします。 令和元年6月定例会で取り上げた、ながら見守りについては、登下校時の子どもたちに対する声かけ事案や不審者情報が多発していることから、地域の方々が日常生活を送る中で防犯の視点を持って子どもたちを見守ることができないかと提案し、翌、令和2年度に実現となりましたが、地域のボランティアなどによる見守りの実態が把握できません。せっかく始めたながら見守りですので、買物、ウォーキング、ジョギング、犬の散歩、通勤、農作業などふだんの生活を送りながら子どもたちを地域の目で見守ることで、不審者情報などが警察や学校、家庭にいち早く届けられるようにながら見守りの取組をさらに進めることができないかお伺いいたします。 以上で1回目の質問を終わります。
    文化スポーツ部長(吉田裕一郎君) (登壇) 御質問の1項目め、島瀬美術センターの収蔵品の活用に関しまして、まず初めに、デジタルアーカイブの現状についてお答えいたします。 インターネットを介した情報の共有や収集が飛躍的に増加した現在、博物館の資料をデジタル化して保存し、インターネット等を通じて公開する、いわゆるデジタルアーカイブ化の重要性は非常に高まってきており、また、新型コロナウイルス感染症の影響で博物館の利用に制限が生じた際、自宅でも博物館の情報が得られるデジタル的な対応の必要性や有効性が改めて認識されました。 指定管理者におかれましては、島瀬美術センターのホームページリニューアルに合わせて、この収蔵品管理システムの機能を活用し、ホームページ上で誰もが自由に収蔵品を閲覧できる収蔵品検索システムを公開され、キーワードや資料名、作家名などで島瀬美術センターの収蔵品を閲覧することができる環境を整えております。 なお、全国的な状況といたしましては、令和2年の文化庁調査によりますと、デジタルアーカイブ化に着手済みの博物館は、全国1,530館のうち24.4%で、そのうち全ての資料を公開できている博物館は9.1%にすぎないとの報告もあっておりますので、島瀬美術センターにおきましては、デジタルアーカイブ化の取組が着実に進められているところでございます。 しかしながら、議員御指摘のとおり、収蔵品検索システムで閲覧できる収蔵品の中には、調査研究が進んでおらず解説が記載されていないものも多いなど、島瀬美術センターのデジタルアーカイブ化はまだ十分ではないと認識をしております。 収蔵品の調査研究は学芸員が行いますが、学芸員の業務も多岐にわたっており、貸館の対応、企画展の準備、絵画教室などの業務を行いながら約4,000件にも及ぶ作品の一つ一つについて時代背景や技法、特徴などをひもといていく作業は大変時間を要する作業となっております。 そのような中、収蔵品検索システムで公開している収蔵品約4,000件のうち、現在約920件、全体の23%程度の調査研究が進んでおります。指定管理者制度の導入前は収蔵庫の調査研究がほとんど進んでおりませんでしたが、指定管理者制度導入後、学芸員を3名から4名に増員し、歴史に詳しい人材を整えるなど、体制を強化された結果、一定の調査研究が進捗いたしました。 具体的に申しますと、島瀬美術センターにおいてはデジタルアーカイブ化の重要性を認識しており、貸館業務専任の職員を配置するなど、学芸員に調査研究の時間が確保できるよう配慮していることから、これまで実績がなかった収蔵品の調査研究は23%まで一定進んできております。 このようなことから、御質問にありました専門の学芸員の補充につきましては、既存の学芸員で着実に進めていくようにしたいと考えております。 次に、デジタルアーカイブの見せ方について、市民が見て楽しめるようにテーマごとの表示ができないのかという御質問がございました。 先ほど申し上げました収蔵品検索システムは、主に学芸員が使う管理システムとして、書や絵画といったジャンルでの検索は容易にできますが、市民が自分の好みに応じて、例えば、幕末時代の作品が見たい、日本遺産に関する作品が見たいといったテーマによる検索が難しく、市民が見て楽しめるという部分については、議員御指摘のとおり工夫が必要と考えております。 そこで、様々なテーマを設け、そのテーマに沿った作品の一覧をホームページ上で見て楽しんでもらう、いわゆるデジタルの展覧会という方法も考えられますので、市民が関心を得やすい見せ方について指定管理者と研究を進めてまいります。 次に、島瀬美術センター以外に展示場所を確保できないかという御質問についてお答えいたします。 島瀬美術センターの収蔵品において、三川内焼につきましては、議員御案内のとおり、三川内焼美術館で現在113点の展示を行っており、年に1度作品の入替えを行うことでより多くの作品を市民の皆様に御紹介しているところでございますが、三川内焼以外の絵画や書などの収蔵品につきましては、島瀬美術センターで実施する展覧会が市民に紹介する主な機会となっております。 島瀬美術センター以外での展示については、収蔵品を周知するためにアルカスSASEBOの大ホールロビーで絵画数点を常設展示しており、また、昨年は同じくアルカスSASEBOの交流スクエアで出張展覧会も開催し、今年も実施するようにしています。 このような出張展覧会という方法であれば議員御提案の佐世保市民文化ホールの1階ホールも候補の一つになり得るものと考えられます。 なお、常設展示となりますと、佐世保市民文化ホール2階の展示スペースが想定されますが、現在は国の登録有形文化財に関する写真パネルなどを展示していることや、収蔵品の盗難や破損といったセキュリティーの対策が必要となりますので、常設展示はこれらの課題を解決する必要があるものと考えております。 一方、現在、教育委員会で針尾地区の楠本端山旧宅や立神地区のさせぼ立神近代化歴史公園が整備中でございますが、それぞれが持つ歴史的な背景と関連した書や写真、歴史的資料などを展示することができないか、教育委員会と協議を行っていきたいと考えております。 次に、収蔵庫の整理について、その進捗状況についてのお尋ねがありました。 収蔵庫のスペースの問題につきましては、全国的な博物館を取り巻く課題として広く認識されております。日本博物館協会が令和元年度に全国の博物館に対して行った調査によりますと、回答のあった2,314施設のうち、収蔵庫がほぼ満杯の状態または収蔵庫に入り切らない資料があるとしている施設は57.2%と、約6割の施設の収蔵庫は満杯状態であります。この事態は新たに資料を収集することができない、収集するために収蔵資料を処分しなければならないなど、博物館の根幹に関わる問題となっております。 これを解消するために全体の27.2%の博物館は、外部に収蔵庫を設けて資料を保管していますが、外部収蔵庫を設けていない1,587施設のうち、今後必要と考えている施設は31.9%あり、全国の博物館のうち約500施設は、外部に収蔵庫を探している状態であると言えます。 島瀬美術センターにおきましても、これまで佐世保市の文化振興に資する数多くの資料を受け入れてきておりますので、収蔵庫はほぼ満杯の状態となっております。通常、博物館における資料の保存環境としては、温度22度プラスマイナス1度、相対湿度55%プラスマイナス5%とされており、島瀬美術センターの収蔵庫も同様の取扱いをしております。絵画や書などは温湿度管理が必要で島瀬美術センターでの保管が必須でありますが、考古資料の中でそれほど温湿度管理が必要なく、歴史的価値もそれほど高くない遺物は島瀬美術センターに保管する必然性が高くありませんので、現在、教育委員会と具体的な選別方法を協議しているところでございます。 また、収蔵庫内の無駄な空間を生み出さないように、収蔵庫の大きさによる収納方法や配置も併せて協議しているところでございます。 なお、先ほどのデジタルアーカイブの状況と収蔵品の整理の部分につきまして補足をいたします。 島瀬美術センターにおきましては、令和2年度にこれまで紙の台帳で管理してきた約4,000件に上る収蔵品のリストと現品を突き合わせ、収蔵品に毀損や汚れがないかコンディションチェックを行いました。その上で新たに導入した収蔵管理システムに作品名、作者名、画像名などの入力を行い、令和3年度から指定管理者がその運用を行っているところでございます。 以上でございます。 ◎土木部長(森山良一君) (登壇) 2項目めの日野相浦地区における子どもたちの通学路のうち、一つ目の市道における通学路の安全確保についてお答えいたします。 まず、市道としての歩行者への安全対策といたしましては、国が定める道路構造令などの基準により、歩道整備や防護柵設置、各種対策などにつきまして道路状況を勘案しながら実施いたしております。 基本的には歩車道分離の対策を講じることといたしておりますが、市内の道路沿線には家屋が建ち並んでいるところも多く、用地や幅員が確保できない場合など、道路の取り巻く環境から抜本的な対策が困難な状況もございます。 さらに、通学路として指定された市道につきましては、平成27年度に教育委員会が策定しました佐世保市通学路交通安全プログラム及び各小学校から教育委員会に提出された要望書等に基づき、教育委員会の呼びかけによって学校関係者の方々と合同点検し、地域の実情に応じた安全対策に取り組んでございます。 議員お尋ねの令和3年度に発生しました八街市での事故を受け、実施いたしました通学路合同点検後の対策状況でございますが、関係者との間で合意形成を図り、市道において対策が必要な箇所のうち、23校区103か所において防護柵設置などの安全対策を実施したところでございます。 次に、狭隘な市道における通学路の安全確保の取組につきましてお答えいたします。 市内には狭隘な市道を通学路として利用されるケースも見受けられておりますが、安全対策につきましては、学校からの整備要望をお受けして速やかに対応を図るよう心がけております。 そこで、ドライバーへ運転マナーの徹底を意識していただけるよう通学路であることを明確に伝える手段として、例えば、路肩において歩行者空間を確保するためのカラー塗装、通称グリーンベルトの整備やポストコーンの設置、そのほかにも路面標示による注意喚起の対策などを実施しているところでございます。 また、議員お尋ねの市道母ケ浦中里線の速度を低減させるための安全対策につきましては、現在、相浦警察署と協議中でございまして、昨日も本田議員の御質問の折に御紹介させていただきました高砂町・天満町地区において実施したゾーン30プラスの事例も参考にしながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。 議員の御紹介にありました日野相浦地区は、近年の宅地開発による周辺の土地利用の変化に伴い、今後も車両の往来も変化していくことが十分に予想されますことから、実情を把握しながら関係者の方々としっかり連携を図り、登下校時の生徒の安全確保はもとより、歩行者の安全確保に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 2項目め、日野相浦地区における子どもたちの通学路についての二つ目、水害時における通学路の安全確保についてお答えをいたします。 まず、各学校におきます取組でございますが、平成21年に施行されました学校保健安全法では、各学校において学校安全計画及び危険等発生時対処要領、いわゆる危険管理マニュアルの策定を義務づけるとともに、地域の関係機関との連携に努めることとされており、本市の市立全小中学校におきましても、学校の実態に応じた危機管理マニュアルを作成しております。議員からお尋ねがございました水害時の対応につきましても、このマニュアルに位置づけているところでございます。 作成しましたマニュアルにつきましては、文部科学省が令和3年6月に発行しました学校の危機管理マニュアル等の評価・見直しガイドラインに基づきまして、見直し・改善を行うこととなっております。 教育委員会では、学校で実施した訓練の検証結果や学校を取り巻く様々な状況の変化等に応じてマニュアルを更新し、児童生徒の安全確保に努めるよう指導しているところでございます。 学校における大雨に関する対応につきましては、まず、校長を含めた教職員が通学路を巡回して安全を確保するとともに、メールなどを活用した保護者との連携、警察などの関係機関や地域の方々の協力を得ながら集団下校を実施するなど、安全対策を取っているところでございます。 続きまして、過去の日野小学校の取組が現在どのように生かされているのかという質問にお答えいたします。 日野小学校では、過去に冠水を経験されている地域や保護者の方々の御助言、御協力をもちまして児童が安全に下校することができたという好事例がございました。具体的には、冠水時の下校方法を確認するための訓練の際に地域の方々にも参加、御協力をいただき、早く冠水する場所、危険箇所、また、注意点などを具体的に指導していただいたというものでございます。 さらに当校では、冠水時の児童の見守り場所や誘導方法につきましても、フロー図で示した対応マニュアルも作成しているところです。町内会長や民生委員・児童委員、交通指導員の方にも地域の状況確認や見守り支援の要請を行う連絡体制が整えられておりまして、児童の安全に配慮した登下校ができております。 また、この取組に関しましては、危機管理マニュアルのみならず、学校要覧の中にも冠水時の対応としてのマニュアルが示されておりまして、学校での取組の組織的な継承がなされているところでございます。 このように地域と学校が一体となって児童生徒の安全を確保する取組は、他の学校にも大いに参考となるものでございますので、校長会などで周知するとともに、より一層防災意識を高め、災害時の児童生徒の安全確保に万全を期すよう活用してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 2項目めの日野相浦地区における子どもたちの通学路のうち、三つ目の御質問として、子どもを見守る交通指導員の在り方と安全・安心の取組についてお答えします。 まず、本市の交通指導員は、佐世保市交通安全の保持に関する条例に基づき非常勤の特別職地方公務員として委嘱されており、任期は1年ですが、再任は可能で80人以内となっています。子どもの登校時における街頭指導を中心に、児童生徒を交通事故から守るための指導などを任務としてお願いしております。 議員御案内のとおり、本年6月現在の指導員数は45名と、新規の委嘱者もおられますが、近年、それを上回る退任が続いており、10年以上前までは58名いらっしゃいましたが、その数は減少している状況です。また、平均年齢は77.4歳で毎年徐々に高齢化が進んでいることから、成り手不足が減少の原因と考えております。 指導員を増やすための取組としては、令和2年度に報酬を引き上げたほか、広報させぼや市ホームページへの掲載により広く募集を行ってきたところですが、新しい取組として、興味を持っていただけそうなターゲット層である防犯ボランティア55団体に対して、本年3月に募集のチラシを配布したことで、まだ1人と少ない状況ですが、新たな委嘱にもつながったところです。 今後も指導員の活動に関心を持っていただけるように、あらゆる機会を捉えて広報活動を行ってまいります。さらに本市の指導員の活動は、他市町と比較して立哨活動日数が多く、熱心に活動しておられますが、各地区の指導員会と意見交換を行いながら新しい方が参加しやすい活動の在り方についても検討してまいります。 また、このことは御負担をおかけしている活動中の皆様がそれぞれの事情の中で可能な限り活動を継続されることにもつながることとなりますので、活動の在り方だけでなく、これまで以上に研修やお互いの情報交換の場を設けるなど、指導員同士のつながりが深まり、活動が充実したものとなるような視点でも取り組みたいと考えております。 次に、安全・安心の取組として、ながら見守りの推進についてお答えします。 地域の皆様が日常生活を送る中で、防犯の視点を持って子どもの見守りを行うながら見守りにつきましては、議員の御提案を受け、令和2年度に地域見守り実施中と題したストラップ付の名札を各町内会等へ配布し、取組をお願いしております。 現状を御説明しますと、令和5年度にその活用状況を調査した結果、御回答いただいた363町内会のうち約46%に当たる165町内会が防犯活動をされていたものの、名札の活用はそのうち約20%に当たる33町内会にとどまっておりました。ながら見守りは日常生活を通じた負担の少ない活動ですが、具体的な活動方法をうまくお伝えできていないのではないかと考えています。 そこで、落書きや不審な荷物、見慣れない車のナンバーに注意するなどのながら見守り活動時の具体的な視点が列記された公益財団法人全国防犯協会連合会作成のマニュアルが令和6年5月に公表されておりますので、その紹介を市ホームページや町内会等への配布物に掲載したところです。 今後も地域の皆様のさらなる御協力を得られるように、例えば、学校を通じて保護者にもながら見守りの御協力をお願いするなど、幅広く広報・啓発に努めてまいります。 以上でございます。 ◆31番(小野原茂君) (登壇) それぞれに御答弁ありがとうございました。 それでは、再質問に入ります。 島瀬美術センターの収蔵庫の整理状況については、少しずつでありますが、進めておられることは理解できましたが、私はもっと急ぐべきだと考えていますので、そこで提案ですが、収蔵庫の整理を一気に進めるため、収蔵庫の蔵出し展を開催してはどうかと思います。収蔵庫の整理が進まないのは収蔵品を学芸員が一つずつ調査研究を行っているため、手間と時間がかかっているからだと思います。 収蔵品のうち調査研究が済んだものは、セレクション・コレクション展として実施されていることは知っておりますが、まだ調査研究が済んでいない収蔵品は数多くあると思われます。それを一堂に展示するのは難しいと思いますが、幾つかのテーマやジャンルごとに分けて展示を行い、それぞれの来場者に収蔵品の評価をしていただき、その分野に詳しい方々をお招きして収蔵品の鑑定をしていただくなどできれば一気に調査研究も進み、結果として博物館として収蔵しておくべき点数も絞られてくるのではないでしょうか。 例えば、美術振興会は昭和35年から美術界を引っ張ってきており、長年の経験をお持ちで豊富な知識を持つ審査員の先生方がおられ、今でも市教育センターでは、市教職員の夏の書道・書写研修会では、平成26年から美術振興会「書の部」の審査員資格を持つベテラン諸先生による指導が行われており、今年の夏も行われる予定となっております。 また、幼稚園や保育園の園児たちは、絵画部門の先生方による指導が行われてきました。ぜひこのような外部の専門家を活用した収蔵品の蔵出し展を実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お尋ねいたします。 次に、2項目めの通学路についてですが、ただいまそれぞれ所管ごとの通学路に対する取組をお示ししていただき、ありがとうございました。それぞれの取組の中で、まず、教育委員会においては、水害対策について意識を持って各学校が対応している状況、また、日野小学校での経験も継続して生かされていることも理解しました。日野小学校のような取組の事例については、ほかの学校で必要があればもっと情報を広げてもらいたいと思っております。 また、道路管理者においては、安全施設の拡充を図られていることで地域の安全・安心がさらに広がっていくことを願ってやみません。 そして、高齢化した交通指導員会については、適正配置を目指した交通指導員の確保と活動しやすい環境づくりを進め、通学路の子どもたちを守るためにも会員増加に努めていただければと思います。 それでは、市道における通学路の安全確保についての再質問をいたします。 八街市で起きた事故後、佐世保市においても通学路交通安全プログラムより警察、教育委員会、学校、道路管理者による合同点検が実施され、安全・安心の通学路に向けての取組が行われていることはよく分かりました。 しかし、一方では、せっかくのこのような合同点検を実施しても、危険な通学路が安全・安心につながらず、解決できないような合同点検では意味がないと感じる出来事がありました。 以前、ある民間開発における造成工事現場から通学路である市道に頻繁に出入りする大型トラックを誘導する際、子どもたちよりも大型トラックを優先するような交通誘導が行われていたことから、通学路が危険な状態ではないかということで、合同点検がなされたにもかかわらず、町内会や地元の地権者は何も問題がないということで、この合同点検では何の指摘もなされずに簡単に終わってしまいました。 このような民間開発の工事については、市は許可をする中で付近住民の安全確保を図ることに加え、学校周辺の工事においては、例えば、工事の開始時間を登校完了後の8時30分からとするなど、通学路の安全確保のため、工事車両等の通行時間の配慮やガードマンの配置を行うよう指導を行い、民間業者はその指導に基づき安全対策に一定の配慮をしていただいているということを私は理解しているつもりです。しかしながら、実際現場を見てみると、先ほど述べました大型トラックの事例のような危険と思われるような場面を目にするということも事実です。 また、通学路であるこの市道は以前から下水道工事の跡の道路舗装や狭隘な歩道の白線の引き直しが行われる予定になっていましたが、いつまでも放置された状態が続いており、地元の苦情があっていたにもかかわらず、数年たった今でも泥水がたまる凸凹した市道のままであり、さらに白線がないことで路側帯が分からないことから、たくさんの子どもたちが車道にはみ出して登下校しています。このことも先ほどと同様、通学路が危険な状態ではないかとのことで合同点検という形で立会いをしましたが、残念ながら解決には至りませんでした。 私が体験した二つの事例は、合同点検がなされたにもかかわらず解決していないものです。子どもたちには何の罪もありません。このような問題を解決するためには学校や地域が主体となり、子どもたちの視点や行政の協力も仰ぎながら、その危険な状態を把握・共有しながら対策を講じていくことが重要であると承知しております。 しかし、今のままでは何も変わらないと強く感じます。もっと関係者同士が連携あるいは合同点検の在り方を見直すなど、解決に向けた第一歩を踏み出すためにはどうしても行政の力をお借りするしかないと思いますが、教育長のお考えをお尋ねいたします。 これで2回目の質問を終わります。 ◎文化スポーツ部長(吉田裕一郎君) (登壇) 島瀬美術センターの収蔵品の活用に関する再質問についてお答えいたします。 議員御提案の蔵出し展につきましては、これまでなかなか見る機会がなかった作品を市民に実際に見ていただく機会として有効な企画と思われます。現在、島瀬美術センターでは、収蔵品の中でも価値の高い作品を展示するセレクション・コレクション展を実施してきましたが、これでは収蔵品の一部しか市民の目に触れることがないため、より多くの収蔵品の展示を見ていただくためには蔵出し展のような展示も必要と思われます。 なお、蔵出し展開催時に収蔵品の評価を外部の専門家に行わせることについてですが、基本的には収蔵品の評価は島瀬美術センター学芸員が本来の役割として収蔵品を緻密に研究し、評価していくものと考えております。ただし、学芸員の専門以外で特殊な収蔵品があった場合などについては、市内も含め豊富な知識を持つ専門家等を活用して評価することはあろうかと思います。 議員におかれましては、これまでも「セレクション・コレクション幕末明治の佐世保展」において貴重なアドバイスをいただいており、今後、蔵出し展の検討に当たりましては、有識者の御紹介など書作品を中心に情報提供を賜れば幸いに存じます。 以上でございます。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 市道における通学路の安全確保についての再質問にお答えいたします。 まずもって、交通指導員として日野相浦地区で立哨され、子どもたちを見守っていただきつつ地域の道路状況の変化などに気づき、通学路の危険な箇所について御披瀝をいただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。 先ほど土木部長も触れましたが、平成27年から取り組んでおります佐世保市通学路交通安全プログラムは、継続的な通学路の安全を確保するために市内の小学校を五つのグループに分けまして、5年を周期として通学路の中で対策が必要な箇所について、学校、保護者、自治会、道路管理者、警察などで組織をいたします通学路安全対策推進協議会において合同点検を実施するというものでございます。 合同点検を経まして整備が必要と認められた箇所につきましては、校長から申請が教育委員会のほうになされ、その後、教育委員会から各道路管理者や警察へ整備の依頼を行っているものでございます。 なお、土木部長から答弁がございましたように、八街市の事故を受けて日野や相浦地区で実施しました合同点検の結果、学校から申請がありました箇所につきましては、現在対応が完了しているところでございます。 しかしながら、横断歩道や信号機の設置など要望はあるものの、既設に設置がある状況との整理など、合同点検時において対応する協議に時間を要することもございますし、通学路の危険な箇所につきましては、開発工事や改良工事などで道路事情が日々変化することもございますので、そのような場合はこの5年に一度のプログラムにかかわらず、随時校長からの申出等を含めて点検等をしているところでございます。 先ほど議員のほうから指摘をいただきました通学路の危険な箇所につきましては、まずは関係機関が連携を図りながら情報共有を行い、必要に応じてできるだけ迅速に点検等を実施していきたいと考えておりますので、その折には議員からも情報をいただきながら、必要に応じて点検を実施してまいりたいと考えております。 また、通学路の安全確保につきましては、本プログラムでの対応はもちろんですが、子どもたち自らの視点も重要ではないかと考えております。例えば、毎日通っている通学路について、どこに危険と思われる箇所があるのか自ら認識し、そして対応策を自ら考えていく通学路の危険箇所のマップづくりなど、主体的な学びへの取組も重要ではないかと考えております。 このような視点における交通安全に対する取組につきましては、それぞれの交通事情に詳しい地域の方々の御協力をいただきながら進めるなど、研究してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、議員から御指摘をいただきました内容も注視しつつ、この佐世保市通学路交通安全プログラムに基づきまして、関係機関が連携して児童が安全に通学できるよう安全確保に意を用いてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆31番(小野原茂君) (登壇) それぞれに御答弁いただき、ありがとうございました。 それでは、少し時間がありますので、私の思いを述べさせていただきたいと思います。 まず初めに、通学路についてですが、私の住む日野から母ケ浦にかけてのまちは、昔からの水害常襲地帯であったまちが水害のないまちになっていく中で、唯一取り残されたのが急速に発展を遂げたことを背景とする道路づくりのまずさから来る危険極まりない通学路ではないかと思います。今、交通指導員がしっかり見守ってくれている間に、先ほども御答弁がありましたようにハード面による飛び込み事故防止や鋼製の手すり、スピード緩和のためのゾーン30プラスやハンプなど、行政でぜひとも検討していただくと同時に、ソフト面では、小学校児童とともに通学路子ども危険マップづくりの取組を学校と地域に私もしっかり働きかけてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。 次に、島瀬美術センター収蔵庫についてですが、私は議員となり、収蔵庫内の寄贈作品を中心とした島瀬美術センターの改善に向けた取組を行ってまいりました。現在の収蔵庫の問題が解決したわけではありませんが、今やっと蔵出し展にこぎ着けたということは、市民を巻き込んで行う企画展への第一歩だと思っております。 近代絵画展が華々しく行われ、企画展が太陽の陽とするなら、収蔵庫の中で陰として眠っていた歴史ある寄贈作品にもやっと光が当たると思えばこの上ない幸せです。佐世保市の文化発展にと思って寄贈された作品について、美術的価値云々よりも、歴史をつないでくれた先人の先見の明に心より感謝を申し上げる次第です。 私たちは、温故知新、いわゆる古きをたずねて新しきを知るという言葉のごとく(終了ブザー)鎮守府、幕末・明治の歴史ゆかりのある、そして海軍工廠で培われたものづくりの歴史あるまち佐世保を考えるとき、佐世保の市民憲章にある悠久の歴史そのものではないかと思います。私たちは先人が培ってきたものを大切に受け取り、これを将来の子どもたちの文化につなげていかねばならないと思います。子どもたちが佐世保の歴史を誇れるようなまちにしていきたいとの思いでこれまで取り組んできましたが、これからも迷惑千万かもしれませんが、佐世保市の文化振興に陰ながらでも関わらせていただければ幸いです。 以上で一般質問を終わります。 ○副議長(久野秀敏君)  暫時休憩いたします。     14時32分 休憩     14時55分 再開 ○議長(林健二君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を続行いたします。8番甲斐義博議員。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) 皆さん、こんにちは。自民党市民会議の甲斐義博であります。通告に従い、2項目質問させていただきます。 まだ6月というのに、7月下旬並みの30度を超える真夏日を記録したところもあり、また、九州北部地方は今週月曜日に梅雨入りしたようですが、平年より13日遅れでした。梅雨入りが遅れると、大雨等にも十分に注意が必要とのことです。 昨夜も大雨になりましたが、災害警戒に当たられた市職員の方々、本当に御苦労さまでした。ありがとうございました。今後も、台風や線状降水帯等により災害が多い時期になりますが、市民の安全・安心のために引き続きよろしくお願いいたします。 さて、梅雨入りが遅れると、真夏並みの危険な暑さや高い湿度、紫外線、急な雨や雷雨に注意が必要とされています。この真夏並みの危険な暑さと高い湿度に対しては、熱中症や食中毒に十分に気をつけなければなりません。 昨年に引き続き、今年も暑い夏が予想される中、1項目めが、佐世保市民を熱中症から守るため、熱中症予防に関する質問です。 熱中症患者の現状を総務省のデータから見てみると、令和5年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は約9万1,000人であり、長崎県でも925名の方が救急搬送されました。この全国の救急搬送人員は、平成20年の調査開始以降、2番目に多い搬送人員で、令和4年度同期間の救急搬送人員約7万1,000人と比べると、約2万人の増となっています。 全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別、初診時における傷病程度別等の内訳は、年齢区分別では高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。初診時における傷病程度別に見ると、軽傷が最も多く、次いで中等症、重症の順となっており、亡くなられた方も107名、約0.1%いたそうです。 発生場所別の救急搬送人員を見ると、住居、家の中が最も多いそうです。次いで道路等の屋外、工事現場、工場、作業所等の仕事場の順となっています。 さて、本年4月24日から熱中症特別警戒アラートの運用が始まり、これまで危険な暑さが予想されるときに発表されていた熱中症警戒アラートに加え、一段と危険な暑さが広範囲に及び、より深刻な健康被害が発生するおそれがある場合に熱中症特別警戒アラートが発表されることになりました。これは、昨年5月30日に熱中症対策のさらなる強化のため、気候変動適応法の一部を改正することが閣議決定されたもので、これまでの熱中症警戒アラートを熱中症警戒情報として法律に位置づけるとともに、一段と危険な暑さが広範囲に及び、より深刻な健康被害が発生し得る場合に1段上の熱中症特別警戒情報を発表することが追加されました。 法律上の名称は、熱中症特別警戒情報ですが、一般名称としては熱中症特別警戒アラートが使われるということです。 この熱中症警戒アラートの発表基準となっている指標は、気温だけでなく、気温と湿度、日射量などを加味した暑さ指数(WBGT)と呼ばれるものです。暑さ指数(WBGT)とはWet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度の略称で、黒球温度、湿球温度及び乾球温度を基に算出されます。 暑さ指数の目安は、31以上で危険、参考となる気温は35度以上とされ、運動は原則中止、高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きく、外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 暑さ指数28以上31未満で厳重警戒、参考となる気温は31度から35度、激しい運動は中止し、外出時は炎天下を避け、室内での気温の上昇に注意する。 暑さ指数25以上28未満で警戒、参考となる気温は28度から31度、運動時には積極的に休憩を取り、激しい運動では30分置きぐらいに休憩を取る。 暑さ指数21以上25未満で注意、参考となる気温は24度から28度、運動の合間に積極的に水分、塩分を補給するとされています。 天気予報で熱中症情報として、注意とか警戒、厳重警戒、危険と表示されるのもこの暑さ指数を基にされていますが、この表示に併せ、先ほど述べた運動等に関する注意事項等のアナウンスを聞くことはあまりありません。 先週は、佐世保市でも13日木曜日に、暑さ指数は28.8、15日土曜日に28.7となり、厳重警戒を記録し、本日も28.2の厳重警戒の実況値が出ています。 昨年は、6月下旬に30の厳重警戒の数値を記録し、また、7月、8月はそれぞれ約半分の15日間が危険の31を上回っていました。9月も23日間が厳重警戒である28以上でした。 暑さ指数の歴史は、1954年(昭和29年)にアメリカの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されたものです。海兵隊の訓練は厳しく、訓練中は服装や装備にも厳しい制約があったために、熱中症になりやすかったことが暑さ指数の提案につながったようで、今でも暑さ指数が高いと、訓練場に赤や黒の旗が上がり、屋外の訓練場には、人っ子一人いなくなるそうです。 1982年には、ISOにより国際基準として位置づけられ、日本では1994年(平成6年)に日本体育協会が熱中症予防の原則及びガイドラインを発表し、スポーツ活動中の熱中症事故予防に関する呼びかけを始め、2008年(平成20年)、日本気象学会が日常生活における熱中症予防指針を公表、2021年(令和3年)に、環境省と気象庁が全国を対象に、暑さ指数の予測に基づいた熱中症警戒アラートの運用を開始したものです。 この暑さ指数が28以上で厳重警戒、31以上で危険と先ほど述べましたが、中でも33以上に達する予想が出ると、熱中症警戒アラートが発表されます。今般始まる熱中症特別警戒アラートは、この暑さ指数がさらに高い35以上と予想される場合に発表されることになり、まさに命に危険が生じかねない危険な暑さのときに発表されることになります。 統計史上、全国で最も暑かった昨年、暑さ指数33以上の予想が出て、熱中症警戒アラートが発表された回数は、全国で延べ1,232回にも上り、熱中症警戒アラートが全国的に発表されるようになったこの3年間で、最も多くなっています。 長崎県は、新潟県と並んでその回数は一番多く、42回も熱中症警戒アラートが発令され、昨年の夏は、毎日のように長崎県に熱中症警戒アラートが発令されたというニュースが流れていました。 一方、熱中症特別警戒アラートの発表基準となる暑さ指数35以上の予想が出た場合に限定したところ、その発表回数は1割以下となり、全国で延べ106回という結果だそうですが、どこの県も熱中症特別警戒アラートの発令基準には至らなかったそうです。なぜなら、熱中症警戒アラートが、予報区内の暑さ指数発表地点の一つの地点でも33以上の予想が出れば発表されるのに対し、熱中症特別警戒アラートは、都道府県内の全ての暑さ指数発表地点が35以上とならなければ発表されないからです。 昨年、全国で2番目に多い10回も暑さ指数35以上の予想が出た長崎県では、1日に最大3地点で35以上の予想が出ましたが、長崎県内の暑さ指数の発表地点が14地点あるため、この全地点で35以上の予想はほぼあり得ない状況でした。1日に3地点以上の35以上の予想が出た都道府県は、長崎県と新潟県、石川県の3県のみだそうです。これらのことから、長崎県は熱中症の危険度が高い県であり、より注意をする必要があると言えるでしょう。 そこで、1項目めの質問です。 暑さ指数に関する内容や注意点等を市民の方々や学生は理解しているのでしょうか。また、理解促進のために佐世保市や教育現場として、どのような対策をしているのでしょうか。暑さ指数(WBGT)を活用した熱中症予防の現状と問題点についてお伺いしたいと思います。 あわせて、熱中症特別警戒アラートが発表された場合の本市における対応についてもお伺いします。 次に、2項目めは、手話言語の普及を図る、誰でも挨拶程度の簡単な手話ができるようにとの思いで、手話言語についての質問です。 昨日、市長が全国手話言語市区長会のときのお話をされましたが、まさしくそのとおりだと思いました。条例はつくって終わりではなく、実効性のあるものにしなければならないと。といいましても、私自身、まだ、手話を勉強して実践できるわけではありません。まだ勉強中であることを御容赦ください。 さて、佐世保市は県内で3番目、全国でも早いほうの平成30年に手話言語条例を制定し、6年となりました。佐世保市手話言語条例の目的として、「手話が言語であるとの認識の下、手話の理解及び普及に関する基本理念並びに市の責務、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定め、もって全ての人が安心して暮らすことができる又は訪れることができるまちづくりを推進する」とされ、基本理念には、「手話は、ろう者等が文化的かつ心豊かな社会生活を営むために大切に育んできた言語であることを理解しなければならない」「ろう者等は、手話による円滑な意思疎通を図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない」「手話の普及は、市、市民、事業者及び関係機関が相互に連携して推進されなければならない」とされ、施策は、「市民の手話の理解及び普及を図る施策」「手話による円滑な意思疎通ができる地域社会を構築するための施策」「手話通訳者の派遣等によるろう者等の社会参加の機会の拡大を図るための施策」の三つの施策が策定されています。 このような中、長崎県においても手話言語条例が本年4月1日に施行されました。来年度は、第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭、いわゆるながさきピース文化祭2025が長崎県で開催され、開会式はアルカスSASEBOで計画されています。天皇皇后両陛下が御臨席される全国植樹祭、国民スポーツ大会、全国豊かな海づくり大会と並び四大行幸啓の一つに位置づけられている国民文化祭、障害者芸術・文化祭です。 令和5年8月に行われた第40回全国高校生の手話によるスピーチコンテストでは、秋篠宮御夫妻の次女、佳子様が新たな試みとして、これまでのように自分の声を出しながらの手話ではなく、手話のみでスピーチされました。また、佳子様は、先月のギリシャ訪問時には現地の手話を学ばれ、また、挨拶はギリシャ語で実施されていました。 私も海上自衛官時代に約30か国を訪問しましたが、訪問国の母国語、例えば、スペイン語やフランス語、ギリシャ語等での挨拶は覚えて、母国語で挨拶するようにしていました。皆さんも海外に行く際には、挨拶程度の言葉は当然覚えるでしょうし、これは最低限の礼儀だと思います。訪日外国人の方々も、こんにちは等の挨拶の言葉を覚えている方もいます。手話も言語ですから、全ての市民の方々が手話でも挨拶できるようになるべきと考えます。 そこで、佐世保市及び教育現場における手話の現状と問題点、手話の普及状況についてお伺いします。 以上、1回目の質問を終わります。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 御質問の1項目め、熱中症予防についてまずお答えいたします。 まず、1点目の暑さ指数を活用した熱中症予防の現状と問題点についてでございますが、近年の急激な気候変動に伴い、熱中症による全国での死亡者数は急増しており、令和4年では1,477名の方が亡くなっておられる中、国においては、熱中症が予防可能な疾患であり、また、幅広い分野で対策が必要であることを踏まえ、各関係省庁が連携し、対策を推進されております。 議員御案内の暑さ指数に関しましては、人体と外気との熱のやり取りに着目をし、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の三つの要素を取り入れた指標であり、国際的にもISO等で規格化されているものでございます。 国におきましては、日本生気象学会による日常生活における熱中症予防指針を基に、指数レベルに応じ、28以上31未満を厳重警戒、31以上を危険と区分した上で、具体的には、外出はなるべく避け、涼しい室内に移動することや、高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きいこと等が示されており、令和3年度からは、暑さ指数33に達すると予想される場合に熱中症警戒アラートが発表されるなど、実質的な運用が行われているところでございます。 そこで、本市の熱中症に関する現状でございますが、消防局において取りまとめた令和5年度の熱中症での救急搬送状況調べによりますと、本市で亡くなられた方はいらっしゃらないものの、搬送件数は年間220件と近年増加傾向が見られているようでございます。 このような中、熱中症予防に対する市民への理解促進のための取組につきましては、まずは、市民の方々が自分自身の体調等を鑑みながら、それぞれの状況に応じ自分に合った予防をしていただくことが肝要と考えておりますことから、日頃から熱中症について認知し、その予防に努めていただくため、市のホームページ等において熱中症の症状や予防法に関する情報提供を行っているところでございます。 具体的には、無理な外出を控えること、室内では適切にエアコンを使用すること、小まめに水分を補給することなど、自らの取組のほか、周りに対する見守りや声かけへの配慮についても呼びかけをしておりまして、あわせて、国が全国的に発信しています熱中症予防情報サイトの活用等も促しているところでございます。 また、特に配慮が必要な高齢者やお子様に対しては、出前講座の開催や、地域子育て支援センターの利用などの際にリーフレットやうちわを用いた啓発活動のほか、保健師等が高齢者や子育て家庭への訪問を行う際にも、熱中症予防に関する呼びかけを行っているところでございます。 今後とも、気候変動による熱中症のリスクが懸念されますことから、これまで行ってまいりました熱中症予防に係る取組を継続しつつ、議員御指摘の暑さ指数も取り入れながら、市民の方々により分かりやすくお伝えするなど、熱中症に対する危機管理の意識を高めていただけるような周知広報に努めてまいりたいと存じます。 次に、熱中症(特別)警戒アラート等発令時等の対応についてでございます。 議員御案内のとおり、今年4月の改正気候変動適応法の施行に伴い、従来の熱中症警戒アラートが熱中症警戒情報として法的に位置づけられるとともに、より深刻な健康被害が発生し得る場合に備え、1段階上のレベルである熱中症特別警戒情報、通称、熱中症特別警戒アラートが創設されました。 これにより、現行の熱中症警戒アラートに加えまして、気温が特に著しく高くなり、人の健康に重大な被害が生じるおそれがある場合には、熱中症特別警戒アラートが発表されることとなり、既にその運用も開始されているところでございます。 アラートの対象範囲は、都道府県単位とされており、都道府県内の暑さ指数情報提供地点の全てにおいて、翌日の日最高暑さ指数が35以上と予測された場合、その前日の午後2時を目途に国から発表され、係る通知が国から県、県から市町村に順次伝達され、市町村はその情報を住民等へ伝達しなけなければならないとされております。 このように、アラートが発表された地域では、自発的な熱中症予防行動の実施、家族や周囲の方々においては見守りや声かけなどへの配慮のほか、広く住民等への情報伝達といった自治体の取組も求められることとなっており、本市といたしましても、広く市民へお知らせするため、防災行政無線を活用するとともに、市のホームページ等を通じた周知広報を行うこととしております。 また、このほか熱中症による人の健康被害の発生を防止することを目的に、一時的に暑さをしのげる場所として指定暑熱避難施設、通称クーリングシェルターの指定が新たに示されておりまして、市の区域内にある公共施設や民間施設等で適当な冷房施設を有するなど、基準に適合する施設を指定することができるとされています。 実際の運用に関しましては、国からも具体的な内容等は示されておりませんで、各自治体の裁量に任せられているところでございますが、本市におきましては、まずは市民の方々が自身の体調等を鑑みながら、無理な外出を控えることなど、先ほど申し上げましたような自分に合った予防をしていただくこと、そして、それが困難な方への対応といたしまして、市内28地区の各コミュニティセンターをクーリングシェルターとして指定をし、熱中症特別警戒アラート発表時に開放するように考えており、さらに、利便性等を考慮する中で、現在、包括連携協定を締結しておりますイオン九州株式会社様ほか、民間の商業施設に対しましてもクーリングシェルターの指定を受けていただけるよう、打診を行っているところでございます。 引き続きまして、2項目め、手話言語についてお答えをいたします。 議員お尋ねの佐世保市手話言語条例における本市の各種事業の実施状況につきまして、大きく三つの施策に分けてお答えをいたします。 まず、一つ目でございます。市民の手話の理解及び普及を図る施策に関する取組としましては、手話に対する理解を広げるため、令和2年度に市民向け、令和3年度には事業所向けにパンフレットを作成し、配布をいたしますとともに、市ホームページ等を活用した広報周知を行っております。 なお、今年度はパンフレットを増刷いたしまして、新たに学校等への配布を行うことといたしております。 また、令和元年度から年2回、広報させぼの特集号として障がい福祉だよりを折り込んでおりまして、障がい福祉に関する情報を掲載しておりますほか、日常の場面での手話表現について、身ぶりの写真を交えながら紹介をしており、さらに、その中で2次元コードを読み取ることで掲載している写真が、手の動作や顔の表現など動画として直感的に視聴できるようにするなど、工夫を重ねているところでございます。 二つ目の手話による円滑な意思疎通ができる地域社会を構築するための施策に関する取組といたしましては、聴覚障がい者と手話による円滑なコミュニケーションができる方を育成するため、入門編から段階を経ながら開催しております通訳者や要約筆記者の養成講座のほか、学校、町内会、企業等からの要請に応じ、職員が講師となって行う出前講座も開催しており、様々な方々に御参加をいただいているところでございます。 また、聴覚障がい者が緊急を要する際に、周囲の方々からの手助けや手話通訳者を呼びやすくするためのSOSカードの作成・配付のほか、夜間・休日等に手話通訳者の派遣を緊急要請される場合におきましても、できる限り迅速に対応するための必要な支援体制を整えているところでございます。 このほか、事故や事件等に際し、音声通報が困難な方が、スマートフォン等を使い円滑な通報を行えるよう、消防局におけるNet119緊急通報システムや、警察における110番アプリの運用も行われております。 なお、災害等に当たりましては、特に支援が必要と思われる独居等の聴覚障がい者の方に対しまして、避難の呼びかけを通じ、安否等も含めた状況の確認を行うことといたしております。 三つ目の聾者等の社会参加の機会の拡大を図るための施策の取組としましては、医療機関の受診など、日常生活及び社会生活を営む上で必要な場面において円滑なコミュニケーションが図れるよう、手話通訳者及び話し手の言葉をその場で要約して、文字で伝える要約筆記者の派遣事業を実施いたしております。 また、盲聾者の方に対しては、円滑なコミュニケーションや移動手段の確保を図るため、通訳者や介助員の派遣を行っております。 加えて、聴覚障がい者と健常者のやり取りを遠隔で同時通訳するため、聴覚障がい者御本人のスマートフォン等と障がい福祉課のタブレット端末をオンラインでつなぎ、ビデオ通話による遠隔手話通訳サービスを行っておりますが、その登録者数、利用件数ともにここ2年で1.2倍に増加しておりまして、好評を得ているところでございます。 このように、各種取組を推進いたしまして、聴覚障がい者への支援をはじめ、市民の方々の手話に対する理解促進において一定の効果は現れているものと考えておりますが、議員が御指摘されますように、市民の誰もが挨拶などの基本的な手話を行えるようになるには、手話に対するさらなる理解と市民生活における浸透が必要であると考えております。 議員から御案内ありましたながさきピース文化祭2025の開催におきましては、聴覚障がい者の方々をはじめ、各地から関係者の皆様が集まられる機会であり、コミュニケーションを通し、おもてなしを行う上でも手話での簡単な挨拶を交わすことは大変有用なことであると考えております。 いずれにいたしましても、今後、手話言語条例に基づく各種取組について、引き続き推進をし、また、必要な支援を行いながら、あらゆる機会を捉え、手話のより一層の浸透を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 1項目めのうち、学校における熱中症予防の現状と問題点についてお答えいたします。 学校は、文部科学省の学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを基にしまして、自校の危機管理マニュアル等に予防対策を明示しておりますが、この熱中症予防対策については、大きく三つの柱がございます。 一つ目は、暑さ指数の活用による各種活動の判断でございます。 現在、全ての学校に暑さ指数計測器を配置し、場所や時間にかかわらず、必要に応じて暑さ指数を計測、確認できるようにしておりまして、教育活動を行う前や活動中において暑さ指数を計測し、活動の継続、中止、制限、変更等の判断をしております。 二つ目は、児童生徒への熱中症防止に関する指導でございます。 学校では、体育、保健体育、特別活動などにおいて、児童生徒が自身の健康や安全について自ら判断し、行動できる力を身につけることができるよう指導しております。 熱中症対策におきましても、帽子の着用や小まめな水分補給、休憩などについて、ふだんから細やかに指導をすると同時に、どのようなことに注意したり、行動したりすれば熱中症を防ぐことができるかなど、自己管理の方法について発達段階に応じて考えさせるよう指導しているところでございます。 加えて、保護者に対しましても、学校医による指導を計画したり、学校だよりなどで体調管理について啓発することにより、家庭との連携も図っております。 また、熱中症の危険が高い運動部活動につきましては、長崎県運動部活動時における熱中症対策ガイドラインに基づきまして、熱中症防止に取り組んでおります。暑さ指数の確認や水分補給はもちろんのこと、体調チェック表を活用し、活動前から活動後までの体調管理に十分気を配るようにしております。 先週実施できました佐世保市中学校体育大会においても、各競技会場における暑さ指数の計測、小まめな水分補給、休息などを大会要項にも盛り込むことで生徒の体調管理を図り、熱中症予防に努めたところでございます。 三つ目は、熱中症事故を防止するための環境整備でございます。 児童生徒が安全・安心に生活するための空調設備として、普通教室と図書室には、令和元年度までに設置が完了しており、理科室と音楽室等には、令和7年度までに設置が完了する予定となっております。 また、先月5月にウォータースタンド社と連携協定を結びまして、6月末までに離島部以外の学校にウォーターサーバーを設置完了する予定となっております。なお、離島部の学校につきましては、代替としまして浄水器を設置したところでございます。全ての児童生徒に給水する選択肢を広げることで、熱中症予防のための水分補給を促進してまいります。 これらの対策の積み重ねによりまして、熱中症予防への意識は高まっておりますが、熱中症対策のさらなる周知徹底が課題の一つでございます。熱中症特別警戒アラート発令時における対応や、危機管理マニュアルの再整備など、今回の気候変動適応法の一部改正を新たな熱中症対策を講じたり見直したりするよい機会であると捉えておりますので、関係部局と連携を図りながら、学校への指導を徹底し、今後も熱中症対策に万全を期してまいりたいと考えております。 続きまして、2項目め、手話言語について、学校における現状と問題点、普及状況等についてお答えをいたします。 手話言語につきましては、これまでも合唱の際に手話を交えるなど、学校教育の様々な場面におきまして積極的に活用されておりましたが、佐世保市手話言語条例制定を機に、さらに手話言語の充実に努めております。 今年度から新たに全ての本市市立小学校で実施しておりますカリキュラムにおきましては、1、2年生の生活科の「まちの工夫を見つけよう」の学習、また、6年生の道徳科の「家族と心を通わせて」の学習に手話を題材として活用し、児童の発達や教科の特性などを踏まえた上で、積極的に手話言語を用いて教育活動を実践しております。 加えて、各学校が独自のカリキュラムを作成して実施いたします総合的な学習の時間におきましても、聴覚障がい者の方をゲストティーチャーとして招聘し、福祉教育に取り組んでいる学校もございます。 なお、このような活動につきましては、本委員会が独自で進めております特色ある学校づくり対策事業を活用し、財政面からも支援を進めているところでございます。 また、聴覚に障がいのある保護者との円滑な意思疎通が課題となっておりましたが、法施行後の平成29年から手話通訳者の派遣を実施しておりまして、昨年度は7校に16回、延べ26名の手話通訳者を入学式や卒業式、授業参観などの学校行事に派遣することができました。 早い段階から子どもたちの手話への理解につながる機会の充実を図ることは、佐世保市手話言語条例の目的にございます、全ての人が安心して暮らすことができるまちづくりを目指すためにも重要であると認識しております。 教育委員会といたしましては、今後も障がいのある方々との共生を含む、障がい理解やインクルーシブ教育の重要性について改めて周知し、共生社会の担い手としての資質の育成に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) それぞれ、御答弁ありがとうございました。 熱中症予防については、特に教育現場においては、全ての学校に暑さ指数計測器を配置し、いつでも現地の暑さ指数を計測・確認できる体制を取られ、暑さ指数に応じた運動を実施し、また、ウォーターサーバーやクーラーの活用等、学校の教室自体がクーリングシェルターと言ってもよいと思われるほど環境が整えられています。 熱中症予防はどんなに万全と思えても、個人の体調が関係するため、100%防ぐことは難しいと思いますが、引き続き子どもたちの熱中症予防をお願いします。 さて、現行制度で、長崎県に熱中症特別警戒アラートはまず発令されないと思われると先ほど述べました。なぜなら、県単位で発令されるものであり、県内の一観測所である雲仙岳と佐世保市の差が3~5度もあるためです。佐世保市の暑さ指数予測が35であっても、雲仙岳は30前後であり、長崎県に熱中症特別警戒アラートが発令されることはまずないと言えます。仮に長崎県に熱中症特別警戒アラートが発令されるときには、佐世保市の暑さ指数は40前後、気温が45度近くといった災害級の猛暑になるのではないかと思われます。 佐世保市民の安全・安心を守るためには、長崎県に熱中症特別警戒アラートが発令されるのを待つのではなく、佐世保市の暑さ指数予測値を参考にして、防災無線等を用いた市民への注意喚起、クーリングシェルターの開設等を行うべきではないでしょうか。 また、熱中症予防情報メール等で予測値・実況値の情報は個人で入手できます。熱中症弱者である私も、佐世保市の実況値等を自動でメールで入手できるよう設定しています。ほかにも情報入手手段はありますので、これらの活用について、市のホームページ、SNS等で市民に促してはいかがでしょうか、お伺いします。 手話言語に関しては、パンフレットや広報させぼ、ホームページ等、様々な工夫を凝らしていますが、まだまだ広く市民の方々に普及、浸透しているとは言い難いと感じています。 先ほども申し上げましたが、本年4月1日に長崎県が手話言語条例を施行し、また、来年度、ながさきピース文化祭2025が長崎県で開催され、開会式はアルカスSASEBOで行われます。この機会を有効活用し、市役所や各事業所等で、挨拶程度の基本的な手話を誰でもできるよう広めていければよいと考えています。この件について、市長の御所見をお願いしたいと思います。 以上で2回目の質問を終わります。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 甲斐義博議員からの御質問2項目めの手話言語について、広く市民の方々に対し手話を浸透させるということに関しまして、私の所見をということでございますのでお答えをいたします。 先ほど、保健福祉部長も申し上げましたように、条例施行後6年が経過をする中で、関連する各種取組を計画的に実施してきており、市民の方々の手話への理解及び普及や、手話による円滑な意思疎通が行える環境づくり等に努めているところでございます。 議員から御提案をいただきました日常における挨拶程度の基本的な手話を広めていくことにつきましては賛同するところでありまして、定例記者会見にて手話通訳を行っており、また、私自身も関係する会合等での挨拶など、機会を捉え、拙い手話ではございますけれども、実践をいたしております。まずは、私も含め市職員が率先して取り組みながら、広く市民の方々や関係各所に対し、改めて普及啓発のための働きかけを行っていきたいと考えております。 今後とも、地域共生社会の実現を目指す上でも、手話が言語であるとの認識に基づき、関係団体等との密な連携を図りつつ、引き続き聴覚障がい者に対する支援及び市民の方々が手話をより身近に感じられるよう、各種取組の効果的な推進に努めてまいる所存でございます。どうか皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 1項目めの熱中症予防についての再質問にお答えをいたします。 本市で観測された暑さ指数を活用し、市独自で熱中症対策を行ってはどうかとのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたとおり、熱中症の予防に当たりましては、まずは市民の方々が、自身で体調管理をしていただくことが肝要と考えており、日頃から熱中症について認知をし、その予防対策につなげていただくための周知広報を強化していく必要があるものと認識いたしております。 その上で、本市の暑さ指数につきましては、環境省が提供するメール配信や、LINE等のサービスにより個別に把握することができますことから、改めて市民の方々にも広く御案内をし、熱中症予防対策のため利用していただけるよう働きかけてまいりたいと存じます。 また、こうした取組が困難な方への対応として、先ほど申し上げました各コミュニティセンターをクーリングシェルターとして指定するということにつきまして、議員のほうから、佐世保市の暑さ指数に応じて独自に開設などできないのかというお尋ねもございました。市の各公共施設等につきましては、こうした暑さ指数によらず、一時的に暑さをしのげる場所として気軽に立ち寄り、休憩をしていただけるよう、日頃から配慮してまいりたいと存じますので、市民の皆様にも、こうしたことも併せて周知を図ってまいりたいと考えております。 今後とも、気候変動の影響による熱中症リスクが懸念される中で、市民の方々の命を守り、健康を維持することを念頭に、引き続き、国の動向等も注視しながら、鋭意効果的な予防対策を講じてまいる所存でございます。 以上でございます。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) 再質問に対する御答弁、ありがとうございました。それぞれに意見として述べさせていただきます。 熱中症対策については、国としても検討の途上でありますが、他自治体の状況を見ると、数は少ないながらもクーリングシェルターの運用を行っている自治体もあります。県内ですと、長崎市、松浦市、長与町が運用を開始したということです。6月からの電気代高騰に伴い、クーラーをつけるのを我慢する御家庭もあるかもしれません。救急搬送の発生場所は、住居、家庭が一番多いのですから、佐世保市民の安全・安心のためにも、先ほど部長が言われましたとおり試験的でもいいと思いますので、市民の皆様が、ふだんから使用されている市役所13階や島瀬美術センター等を試験的に運用していくことが肝要であると考えます。 手話言語に関しては、できれば「手話で挨拶してくれてありがとう」等のポスターに簡単な挨拶等の手話を掲載したもの、なければ、市のホームページにもあるパンフレットを印刷したものでもいいと思いますので、これらを市役所や事業所、公民館や学校等の掲示板に掲示することで、多くの市民がいつでも見ることができ、自然に覚えることができます。この方法ですと、簡単な手話を追加することも容易になります。 また、市長御答弁にもありましたとおり、関係する会合などでの挨拶、市長自らが実践することで、ほかの市役所内での朝礼、終礼時の挨拶も手話でも実施され、各事業所や学校等でも挨拶に手話が併用され、部長答弁にもありましたとおり、来年度行われるながさきピース文化祭2025時には、市外から訪れる多くの方に手話でも挨拶する佐世保市、そんなまちづくりができればいいなと考えております。 以上で終わります。ありがとうございました。 ○議長(林健二君)  9番田山藤丸議員。 ◆9番(田山藤丸君) (登壇) 自民党市民会議の田山藤丸です。今回も一般質問の機会をいただきました会派の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございます。 本日のラストバッターとなりました。通告に従い、大きく2項目について順次質問を行います。 まず、1項目め、地域未来共創の具体的な施策とまちづくりについて、当局の御見解を伺います。 本市を取り巻く閉塞感を打破し、選ばれるまちを実現していくためには、官民で共につくり上げる大胆な施策が求められていることは言うまでもありません。この点は、前回の質問でも取り上げさせていただきました。 県内を見渡すと、長崎市では出島メッセ長崎やホテル開業、アミュプラザのリニューアルなど、長崎駅周辺の再開発や民間事業者による長崎スタジアムシティをはじめとした都市開発が進み、諫早市でも相次ぐ企業立地と産業集積による人口対策として、九州最大級のゆめタウンを核とした諫早市長野町区画整理事業の起工式が大石知事や大久保市長ら出席の下行われました。また、大村市においても、新大村駅前の市有地を活用した大規模開発や大学誘致など、新幹線の開業効果を最大化するまちづくりを推進されています。 そのような中で、佐世保市がIRの不認定を受け、どのような地域振興策を描き、まちづくりの新たな戦略を国や県とも連携して練り上げていくのか、大いに注目されているのではないでしょうか。 一方で、足元を見詰め直すと、本市を取り巻く社会環境は、人口減少や少子高齢化をはじめ、世界情勢の不安定化、新型コロナなど感染症の流行、地球温暖化、エネルギーや食料、そして金融不安といった様々なリスクを抱えています。 市民生活に直結する物価高、光熱水費の上昇、社会保障全体を含めた将来への不安など、先行きが見通せない空気が市民の日常生活にも広がっており、これからの本市の都市デザインを構築する際には、従来どおりの発想や上から規制するような手法では、選ばれるまちにならないのではないかとも思っております。 行政が予期しない、ある意味では自然発生的で偶発的にも見える、それぞれの地域やまちで志を持った方々が起こすチャレンジこそ、非常に重要であり、育てていくべきだと思います。 地域課題が多様化する中、様々な主体が共につくり上げる課題解決型のオープンイノベーションが求められており、それらの空間形成も含め、担い手を育てる取組は、特に本市の将来にとって重要ではないでしょうか。 折しも本市では、Well-Being、地域幸福度の指標に関するアンケート調査が本日まで行われていることからも、住む、働く、学ぶ、遊ぶ、育てる、誰かのために役に立つなど、生きていく上での基本的な幸福追求の観点から、市民が真に求め、希望を感じられるライフスタイルを後押しできるような仕組みづくり、また、その実現を図ろうとする内発的なエネルギーにスポットを当てていくべきだと考えます。 本市では、令和6年度、新たに地域未来共創部が新設され、この新部には、企画部の所管事項から公共交通や条件不利地域の振興などが移行し、新たに若者活躍・未来づくり課が設けられました。これまで企画部が担ってきた政策分野での取組が注目されています。 そこで、本市が思い描く共創とは何か、地域未来共創部の役割と今後のミッションとは何か、当局の御見解をお尋ねいたします。 私の地元の相浦地区では、地域全体のエリアマネジメントを行い、まちづくりに関する活動の共有やその実現に向けてのプロセスをより多くの方々と一緒に考え、人を育てていく組織として、相浦未来まちパートナーズが立ち上がっています。 また、同じく相浦港からフェリーで20分の距離にある小規模離島、高島においては、産業、観光、インフラ、教育環境といった五つのコンセプトで事業展開を図り、高島を活性化するための高島活性化コンベンション協会、通称ESPOが設立され、本年度から本格始動しました。 両組織はまさに兄弟関係にあり、特徴として、10年後の未来を描くため、地元の内外を問わず、地域の魅力や課題解決の必要性に共感する幅広い仲間が集まっている点にあります。特に、高島のESPOについては、地域未来共創部の地域政策課--昨年度までは企画部が所管されておりましたけれども、行政や地元だけでは展開できない組織化や産学官金の連携、地域運営機能など多分野にわたる離島振興事業を推進する中間団体として、ESPOに対する活動支援に踏み出していただきました。 人口約170名の離島の活性化は、島民だけの力で解決することは難しく、様々なステークホルダーとの連携による地域資源のブラッシュアップや新たな価値創出などの実証・実装が今後進められる予定です。 そこで、ESPO活動支援の意義、スキーム、その成果を踏まえつつ、この支援スキームについて、他地域を含め拡張させていくことにより、行政、地縁団体の力だけでは解決できない地域課題の解決に向けた取組や、住みよいまちづくりに向けた内発的なチャレンジを柔軟にサポートしていくべきと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。 次に、2項目め、地域の絆や魅力を次代につなげる取組について。 本市は、平成の合併から約20年が経過し、市制施行125周年に向けた市史の編さん事業にも取り組んでいますが、地域の歴史、文化、魅力などを次代につなげていく取組について、今後の展望を伺います。 人口減少社会を迎え、地域では過疎化が進行し、経済の衰退や行事の担い手不足、共同体意識の希薄化など、様々な課題が生じています。実際に、コロナ禍前まで開催されていた地域行事が復活しないケースもあり、後継者不足で閉店する昔からの商店も後を絶たない状況であります。 昨日は黒川議員が黒髪の木場浮立について、そして、角田議員が中心市街地の思い出についてお話されたことも印象的でした。また先ほどは、小野原議員が島瀬美術センターについて質問されていました。これから10年後、20年後には、多くの地域の歴史や文化が失われてしまうのではないかという危機感すら感じています。 私たちが今こそ取り組むべきこと、今しかできないこと、それは、本市の何気ない景色や魅力、歴史や文化を市民自らが丁寧に掘り起こし、記録にとどめていくアーカイブ化とアウトプットを通じた次代への継承ではないでしょうか。 先日、企業経済委員会のメンバーで、愛媛県今治市にある今治里山スタジアムを視察してきました。その際、様々な場所に今治市合併20周年事業ののぼりやポスターを目にしました。今治市は、平成17年1月に12市町村が新設合併して誕生したことから、合併20年の節目を、これまで先人が積み重ねてきた功績をたたえる機会とするとともに、合併した12の地域が一体となり、魅力あるふるさと今治を市内外に発信し、新たな今治の歴史を刻む出発点として、今治みらい発掘プロジェクト12を実施しています。幸いなことに、その関係者の方から記念事業の理念をお聞きすることができました。 この事業は、地域のための伴走型の学習プログラムと銘打ち、地域における重要な要素となる「ヒト」を最大化することで、地域活性化を促すことを目的としており、発見、共有、創造の三つのフェーズに分類されています。 毎週各地域でワークショップを行い、それぞれが持つ様々な地域資源を活用することで、市民がこれまで気づかなかった今治市の魅力を認識することにより、市民の一体感を高め、記念事業を通じた地域活性化への機運を醸成する、さらに、市民自らが参画し、共に今治市の将来を描く仕組みをつくることが、事業の目的とされています。 本市は、平成17年4月に吉井町・世知原町、平成18年3月に宇久町・小佐々町、平成22年3月に江迎町・鹿町町が合併し、市域が広がりました。平成の最初の合併から約20年、折しも市制施行125周年に向けて市史編さんに取り組まれている節目において、本市の歴史、文化、魅力などを市民参加の下にアーカイブ化していく作業は非常に重要と言えるでしょう。 そして、その市史編さんは、単に立派な冊子を作ることのみならず、その過程での発見や学び、デジタルも駆使して画像や映像などを通じ、誰もがいつでもどこでも見ることができる工夫も必要と考えます。また、それらのストーリーを市内外に発信するアウトプットも重要ではないでしょうか。 そこで、本市の市史編さん事業について、これまでの経過と今後の展望についてお尋ねいたします。 さらに、今回の市史編さんにおいて、住民参加の機会をより多く設け、合併地域を含む各地域の文化や歴史の掘り起こしなどを図るための市史づくりについて、どのように考えておられるのか、当局の御見解をお聞かせください。 以上で1回目の質問を終わります。 ◎地域未来共創部長(中尾健一君) (登壇) 1項目め、地域未来共創の具体的な施策とまちづくりについてお答えいたします。 まず、本市が思い描く共創と地域未来共創部の役割についてということでございました。 本年3月定例会において、市長が施政方針において申し上げましたとおり、第7次総合計画後期基本計画の策定に当たって、キャッチフレーズとして掲げました「つながる想い ともに創る SASEBO(ミライ)」には、「市民一人ひとりが、「まちのあるべき姿」を共に語り、「まちの未来」を共に描くことで、夢と希望があふれる、SASEBOの新時代を創っていきたい。みんなの力でSASEBOの未来を変えていきたい」という思いが込められております。 御質問にありました本市が思い描く共創ということにつきましては、このような総合計画全体に関わる大きな理念として、市民と共に創る未来、すなわち共創を掲げているものでございまして、行政資源に限りがあるという現実に対応するだけでなく、より豊かな地域社会、夢と希望を共につくり上げるというまちづくりのコンセプトをイメージしているものでございます。 一方、地域未来共創部の創設に当たっては、このような理念を象徴的に具現化するものとして、若者活躍・未来づくり課の新設をはじめ、宇久を含めた条件不利地域の振興など、市民の参画なくしては成立し得ない政策を担っていくこととしており、このような課題に対して、将来にわたって持続可能な基盤をつくることを目標とし、また、市民の皆様の参画をいただきながら、所管する事務について取り組んでいくことがその役割と認識しているところでございます。 次に、ESPO活動支援の成果を踏まえた他地域への拡張について御質問がございました。 まず、地域支援の在り方について整理をさせていただきたいと思います。現在本市においては、各部局において様々な地域支援を行い、また、各地域においては、様々な団体に活動していただいておりますが、地域における住民の活動やこれに対する支援につきましては、大きく二つに分類することができると考えております。 一つが、地縁関係をベースに置いて、主に地域課題の解決や地域の合意形成を主たる役割とする、いわゆる地域自治に主眼を置くものでございまして、その代表が地区自治協議会であり、その支援につきましては、市民生活部が担っているところでございます。 もう一つが、意欲のある人材によって、主に資源の有効活用や地域活性化など、いわゆる地域振興に主眼を置いて活動するもので、現段階では条件不利地域においては、地域未来共創部が当該組織の運営に係る部分を支援し、当該団体の活動コンテンツ、例えば、観光や農水産業などに対しては、条件不利地域に限らず、それぞれの性質に応じて対応する部局が支援を行っている状況にあります。 議員御案内の高島活性化コンベンション協会ESPOにつきましては、二つ目に申し上げました地域振興に主眼を置く団体の一つということになろうかと思いますが、国におきましては、このような特定のエリアを単位に民間が主体となって、まちづくりや地域経営を積極的に行う取組をエリアマネジメントと呼んでおり、住民や事業主、地権者などが地縁にはとらわれず、地域環境や価値の向上を目指し、地域活性化、ブランド向上、町並み・資産の保持増進などを図っていくものとしております。 本市としても、このような市民の内発的なエネルギーによって、自らの地域を自らの力でよりよいものにしていく取組について、まさに共創という発想の中で支援していく必要があると考えており、特に条件不利地域においては、人口減少のスピードが速いことも踏まえ、地域未来共創部において、その組織運営について当面の間、財政的支援を行っていくこととしております。 このような中、高島ESPOにおかれましては、小規模離島の高島を数十年後も元気な有人離島とすることを目指し、現在は公益財団等の補助金などを活用し、県立大学などの関係機関と連携した調査や実証実験を展開していくこととされておりますが、将来は、補助金に頼らない自走できる組織を目指しておられます。 国においても、エリアマネジメントの一つのポイントとして、持続可能性を高める稼ぐ力をつけた上で、地域振興に取り組むことを推奨しており、高島ESPOはまさにこのモデルとして、新たなスキームの構築を模索する段階にございます。この稼ぐ力につきましては、活動の持続性を財源的に担保するための必須要件であることに加え、収益の性質によっては、地域資源の有効活用・ブランド化、雇用の創出、交流人口の増加等、様々な効果が期待できるものであり、条件不利地域に限らず、大変重要な取組であると認識しているところでございます。 したがって、本市といたしましては、これが成功するよう支援を行い、新たなエリアマネジメントとしての実績が獲得できた場合は、その経験とノウハウを他の地域にも横展開していきたいと考えており、最大3年間の財政支援期間の中で、本市における自発的エリアマネジメントの先進事例として確立されることを期待すると同時に、また、その可能性についても十分あると考えているところでございます。 以上でございます。 ◎企画部長(杉本和孝君) (登壇) 2項目めの地域の絆や魅力を次代につなげる取組について、まず、1点目の市史編さん事業におけるこれまでの経過と、各地域の歴史、文化等のアーカイブ化の考え方につきましてお答えいたします。 本市では、市制施行125周年を迎える令和9年の発行を目標とした、新たな佐世保市史の編さん事業に昨年度から取り組んでおります。 議員御指摘のとおり、各地域で大切に受け継がれてきた歴史ある伝統行事や祭りをはじめとした地域の文化が、高齢化や地域への帰属意識の変化などに伴い担い手が不足し、コロナ禍を経ても復活を果たせないなど、将来の存続が危ぶまれるケースも生じており、いつ失われるか分からない厳しい状況にあるものと認識をしております。 そのようなことから、本市の歩みを市史としてしっかり記録に残し、ふるさとへの愛着やシビックプライドの醸成、市政の理解を深めてもらうとともに、郷土の歴史や市政に関する資料を後世に継承し、将来のまちづくりに役立てていただくことが重要だと考えております。 これまで市史編さんの周期を決めておりませんでしたが、今回25年を基本周期として、佐世保市政としてのまちづくりなどの行政活動史を25年ごと、学術的に幅広い分野を総合した通史を50年ごととする方針を定めました。 今回の市史編さんにつきましては、市制100周年で発行した佐世保市史以降の約25年間の行政活動を中心とした社会経済情勢の記録であるまちづくり編と、各地域の歴史・文化、市民の生活などを記録し、伝える生活文化編の2部構成で進めることとしており、議員がおっしゃる歴史・文化に関する内容は、この生活文化編の中で触れていくことになります。 生活文化編の内容といたしましては、鎮守府をはじめとした近代化遺産や、陶磁器、洞窟遺跡など、本市の代表的な歴史や文化財に関するこれまでの調査研究の成果について触れるだけに終わらず、合併地域を含めて各地域に伝わる浮立や収穫儀礼などの伝統行事や祭事についても、地域の担い手の皆さんに御協力をいただきながら、市史の紙面に残すことで伝統文化の保存、継承を図るとともに、市民の皆さんに改めて知っていただき、興味を持っていただくきっかけにしたいと考えております。 また、伝統行事などの無形民俗文化財については、立ち居振る舞いや音楽など、文章や写真だけでは伝えられない要素もあるため、動画撮影による記録を併せて実施しているところです。今後は、動画発信プラットフォームなどの活用を検討しながら、公開により幅広い層の方に視聴していただくことで、身近なものとして捉えていただくとともに、記録化することで、仮に行事が途絶えたとしても、伝承者が現れるまで復活の道を残しておきたいと考えます。 このように、まずは市史編さん事業における成果品や収集した資料につきまして、しっかり保存、記録、継承していくためにデジタルの形で保存し、公開できるデジタルアーカイブの構築に向け、意を用いて取り組んでまいりたいと思います。 議員からお話がありました地域の歴史・文化の魅力などを、誰もがいつでもどこでも見ることができるデジタルアーカイブ化の構築につきましては、デジタル化によりネットを通じて、利用者は施設に行くことなく歴史・文化に気軽に触れることができ、また、行政としても本市の魅力発信につながるとともに、大切な歴史や文化を次世代に継承していくための有効なツールであると考えております。 今回の市史編さん事業を契機として、近代化遺産や洞窟遺跡、各地域で伝わる伝統行事をはじめとする様々な歴史・文化を次世代へ確実に継承していくための仕組みづくりにつきまして、議員の御提案の手法も踏まえながら、先進自治体の先進事例の調査や関係課との勉強会等を通じて、研究してまいりたいと考えております。 2点目の市民参加による市史づくりについてですが、今回の市史は、市民参加の市史づくりの視点を持って取り組む方針としており、一例として、記事編集の過程において、住民の方への取材やエピソードの募集、地域での聞き取りといった方法で、市民の皆さんに参加していただくことを検討しております。 また、コンテンツの方向性としましては、伝統的なものだけでなく、市民の日常の暮らしやまちの移り変わりなど、生活文化にも着目することといたしております。その中で、例えば、住民の皆さんにインタビューを行い、地域の文化や住民しか知り得ないような歴史、当時の暮らしの様子など、かつてそこに暮らした人々の記憶を掘り起こす記事を企画するなど、様々な手法を検討しながら、各地域の魅力にフォーカスした市史づくりを心がけてまいりたいと思います。 ◆9番(田山藤丸君) (登壇) それぞれに御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 まず、2項目めの市史編さん事業についてでありますが、今、様々な検討を行っていただいているということ、よく理解ができました。 四半世紀に一度の市史編さんでありますので、市制施行125周年の次は150周年になります。今回の市史編さん事業でしか取り組むことができない要素や、今回だからこそ収集できる写真やエピソードなども必ずあると思います。2部構成の中の生活文化編で、各地域の魅力、文化、歴史なども取り上げていただけるとのことでしたので、期待をしております。 それでは、1項目めの地域未来共創の具体的な施策とまちづくりについて再質問を行います。 高島ESPOに対する支援スキームについて、新たなエリアマネジメントの実績などに係る成果状況を勘案しつつ、他の地域へ横展開していきたいとの答弁をいただきました。離島をはじめ条件不利地域は、まさに人口減少など課題先進地であることからも、地域活性化の実証・実装エリアとして最適であると思います。 ただ、地域未来共創部との名称にもある共創は、地域課題や地域の将来への共感や協力者を集め、連携することで新たな地域の価値を創造し、稼ぐ力やまちのにぎわいを実現していくプロセスを意味しているはずですので、それは条件不利地域に限らず、広げていくべきだと思います。 地域や世代、また形態を問わず、新たなチャレンジを伴走支援していく意義は大きいと感じておりますので、財源の課題はあると思いますが、既存の枠にとらわれることなく、地域未来共創の意味する理念が、幅広く市民や事業者に広がっていくことを期待したいと思います。 それでは、最後に、今後どのように地域の稼ぐ力を創造していくのかお尋ねいたします。 2014年に、まち・ひと・しごと創生法が施行され、地方創生の取組が本格的に始まってから、本年で10年の節目となりました。依然として、東京への一極集中や地方の衰退に歯止めがかかっているとは言い難い状況です。 そこで、改めて地域経済の分析を進め、本市にとって最適な政策立案や地域未来共創の取組を進めていくためにも、内閣府が推進している、例えば、地域経済分析システムRESASや、本年から提供が開始されたデジタル田園都市国家構想データ分析評価プラットフォームであるRAIDAなどを活用し、本市経済の見える化を進め、そのオープンデータを広く市民に還元すべきだと思います。 また、地域の稼ぐ力を考えるに当たっては、現在のみならず、将来世代が受け取る豊かさについても、国連がGDPに代わる指標として、SDGsやWell-Beingとともに推奨している、新国富指標を活用したまちづくりについても検討していただきたいと考えますが、最後に市長の御見解をお聞きし、今回の一般質問を終わらせていただきます。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 今後どのように地域の稼ぐ力を創造していくのかということでございました。私が第7次総合計画後期基本計画において掲げました「つながる想い ともに創る SASEBO(ミライ)」は、市民と思いを一つにし、佐世保の新時代をつくっていきたいという私の思いであり、行政はもちろん、市民一人一人がまちづくりに参画し、その成果を共に分かち合うことを願っているものでございます。 議員御案内のとおり、地域における自発的活動が活発になることは、まさにこれらを象徴するものとして大いに期待をし、また、その活動を共に育てていく必要があると考えておりますが、特に、稼ぐ力をつけることについては、御案内いただいたRESASや、国連が推奨する新国富指標の活用も含め、持続可能な活動を担保する意味で大変重要であると認識をしております。 全国には、いわゆるコミュニティビジネスで成功している団体も多くあり、これらを参考にしながら、持続可能な地域と経済の循環を実現していかなければならず、この点、特に意を用いて取り組んでいくよう指示をいたしているところでございます。 新しい時代における地域経営の在り方については、しっかりと研究・検討を重ね、実のあるものとしていきたいと考えておりますので、御紹介いただいたESPOをはじめ、地域で活動する皆様におかれましては、共に未来をつくっていく主体として取組を進めていただき、新しい地域の在り方を共に見つけていければと考えております。 ○議長(林健二君)  以上で本日の日程は終了いたしました。 次の本会議は6月24日10時から開きます。 本日はこれをもって散会いたします。     16時15分 散会...