佐世保市議会 > 2024-03-05 >
03月05日-04号

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  1. 佐世保市議会 2024-03-05
    03月05日-04号


    取得元: 佐世保市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-14
    令和 6年  3月 定例会           3月定例会議事日程            第4号                 令和6年3月5日(火曜)午前10時開議第1 一般質問(個人質問)-----------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程に同じ-----------------------------------出席議員(33名) 1番 柴田英樹君    2番 本田博之君 3番 新川英之君    4番 諸國麻椰君 5番 古賀豪紀君    6番 宮田京子君 7番 黒川英朗君    8番 甲斐義博君 9番 田山藤丸君    10番 鶴 大地君 11番 宮島武雄君    12番 松尾俊哉君 13番 小田徳顕君    14番 久保葉人君 15番 角田隆一郎君   16番 山下廣大君 17番 永安健次君    18番 山口裕二君 19番 崎山信幸君    20番 佐藤文子君 21番 久野秀敏君    22番 永田秀人君 23番 柴山賢一君    24番 大村哲史君 25番 林 健二君    26番 田中 稔君 27番 松尾裕幸君    28番 長野孝道君 29番 市岡博道君    30番 大塚克史君 31番 小野原 茂君   32番 古家 勉君 33番 山下隆良君-----------------------------------説明のため出席した者 市長        宮島大典君   副市長       西本眞也君 副市長       田中英隆君   基地政策局長    北村敬男君 行財政改革推進局長 吉田裕一郎君  企業立地推進局長  川口康博君 防災危機管理局長  山元義崇君   契約監理室長    森田知之君 企画部長      杉本和孝君   総務部長      田所和行君 財務部長      東 隆一郎君  観光商工部長    長嶋大樹君 農林水産部長    高増 剛君   都市整備部長    溝口勝利君 土木部長      田島克巳君   港湾部長      大塚 健君 市民生活部長    中西あけみ君  保健福祉部長    辻 英樹君 子ども未来部長   岡 雄一君   環境部長      吉田敏之君 水道局長      中島勝利君   消防局長      坊上 選君 教育委員会教育長  陣内康昭君   農業委員会副会長  阿波茂敏君 代表監査委員    宮崎祐輔君   選挙管理委員会委員 江口茂広君-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長      池田真二君   事務局次長兼議会運営課長                             細井章子君 課長補佐兼議事調査係長           岳本雅也君     10時00分 開議 ○議長(林健二君)  出席議員は定足数に達しております。 これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △日程第1 一般質問・個人質問 ○議長(林健二君)  日程第1一般質問を行います。 これより個人質問を行います。 順次質問を許します。2番本田博之議員。 ◆2番(本田博之君) (登壇) 皆様、おはようございます。自民党市民会議の本田博之です。 冒頭、まずは、宮島市長、そして各部局長の皆様及び佐世保市職員の皆様お一人お一人に、いま一度、公務員としての倫理感を再認識していただきたく、以下、幾つかの指摘をさせていただきます。 今年に入りまして、令和6年度当初予算案に関する市長定例記者会見前のマスコミによる予算額の報道、市職員によるセクハラ類推事案、通勤手当の不正受給、議決前事案の広報紙掲載などをはじめ、ほか多数、非常に残念な事案が報告されております。二元代表制における議会の存在意義並びに公務員としての在り方が問われる重大な事態であると懸念しております。行政はもちろん、我々議員も、いま一度緊張感を持って市政に向き合うことを確認させていただき、一般質問に入らせていただきます。 さて、2024年、年始の能登半島地震、政治とお金の問題、我が佐世保市においてはIR不認定、転出超過ワースト5位と、いいニュースには恵まれないスタートとなっております。その一方で、本市の周辺自治体に目を向ければ、長崎市の長崎駅周辺の再整備事業、諫早市の企業誘致、大村市の人口増加など、各自治体独自のポテンシャルを生かしたまちづくりが着々と進行しており、憧憬の念を抱かざるを得ません。 そこで、閉塞感漂う佐世保市の現状を打破するためにも、行政、議会はもちろん、佐世保市民の皆様が今まで以上に力を結集しなければなりません。私も議員の一人として、初めて関わる年度予算がこの1年間、実り多きものとなりますように、本定例会に全力で注力してまいる所存です。 本日は啓蟄、一般質問の一番手として、本市に内在する諸課題を広く皆様と共有し、佐世保市政の春を、花を添える一助となりますように、心を込め、通告に従いまして順次質問いたします。 まず1項目め、ごみ処理行政の現状と課題についてお伺いいたします。 初めに、皆様とゼロ・ウェイストという言葉を共有させていただきます。ウェイストとは、英語で浪費する、無駄遣いするという意味を持っています。ゼロ・ウェイスト、すなわち浪費をゼロにするという意味です。 このゼロ・ウェイストという言葉、ごみ行政では、主に資源の浪費をなくしてごみを出さないことを目的とした活動や行動を指して使われます。世界では、オーストラリアの首都キャンベラが世界初のゼロ・ウェイスト宣言をして以来、アメリカ・サンフランシスコの4R、スウェーデンのストックホルム内の指定地区における下水汚泥バイオガスの再利用、ドイツのデポジット制度など、既に当たり前のように取り組まれております。近年、日本でも精力的に取り組まれております。 2003年、徳島県上勝町が国内の自治体では初めてゼロ・ウェイスト宣言をしました。上勝町では、町全体でごみを出さない社会づくりに取り組み、2020年時点で、町のごみリサイクル率は80%を超えたということです。もちろん、人口規模などの違いがあり、本市において上勝町のようなごみ行政を推進することは難しい部分もありますが、私たちでも日常的に個人でできるゼロ・ウェイストの取組は幾つかあります。例えば、パッケージレス商品を選ぶ、リサイクルできる商品を選ぶ、量り売りを利用するなど、物を買う前に少し考えて行動することで、ごみ削減に協力することができます。その上で、私たち市民に一番身近なごみ行政と言えば、家庭から排出する燃やせるごみに係る事業であろうかと思います。 現在、本市が導入している家庭ごみを指定袋で出す制度は、ごみの減量化を目的として、一定量までは費用負担はないが、それを超えた場合は、相応の費用を御負担いただく2段階有料化制度です。本制度は広く市民に浸透し、おおむね制度に関しては歓迎している声が大きいようです。 また、行政として適宜市民の様々な要望に応え、指定ごみ袋を破れにくくするなど、これまで細やかな変更がなされたと記憶しております。そのような対策の結果、今日に至るまで、家庭ごみの排出量削減の目的は達成されてきたと推察しますが、改めて、2段階有料化制度導入開始時から現在に至るまで、家庭ごみの排出量はどのように推移しているのかお聞かせください。 その一方で、現時点では、指定ごみ袋を取り扱うスーパーなど販売店の事務作業の煩雑さや、一定量を超えてごみを排出する市民から、指定ごみ袋代が高過ぎるという声を聞きます。この現状を踏まえ、受益者負担の観点からすると、無料で出せる範囲を撤廃し、現制度よりも低めのごみ処理手数料を一律に賦課する単純従量制など、周辺自治体が採用する制度の導入も検討する必要があると考えますが、本市のお考えをお聞かせください。 続きまして、2項目め、本市における国際交流事業について、特に海外の姉妹都市との交流の現状と今後の取組の在り方についてお伺いいたします。 本市は、米海軍佐世保基地が所在することで、様々な文化的背景や国籍を持つ人々が集まる都市となっております。さらに、観光都市として、クルーズ船の受入れなどにより、佐世保市民は日常的に様々に異なる文化を持つ観光客と接する機会が多くあります。このような多様性に富んだコミュニティ下で生活することは、幼少期から学校生活や日常生活において異なる文化や価値観に触れる機会が多く、子どもたちの国際感覚を養うよい機会となっております。本市施策においても、英語が話せる街佐世保プロジェクトがあります。市民の皆様と行政がチームを組み、佐世保市民と外国の方々が共に参加し、スポーツを介して交流を深める体験型イベント、国際交流大運動会などが実施されております。 このように、本市の地域的な優位性を十分に生かしながらも、行政はさらに積極的にその機会を市民に提供していくことで、加速度的に変化する国際化の波に乗り遅れないように努力する必要があるかと思います。 その一つのきっかけが、今回の質問項目である姉妹都市との関係性であると私は認識をしております。 現在、本市では、アメリカのアルバカーキ市、オーストラリアのコフスハーバー市、中国の厦門市と瀋陽市、韓国の坡州市と釜山広域市西区の6都市と姉妹都市関係にあります。その目的は、異なる地域や国の都市間で友好関係を築くことで、文化、経済、教育、観光などの様々な分野で交流を促進することです。 そこで、本市において、これらの姉妹都市と交流を結んだ後、主にどのような交流を行ってきたのか。また、その成果をどのように捉えているのかお聞かせください。 続きまして、3項目め、本市の多様性社会に対する考え方について、現在の向き合い方と今後のビジョンについてお伺いいたします。 多様性社会とは、どんな属性、特性の人も、誰もが自分らしく生きられる社会です。現在、女性の活躍促進、LGBTQ+などの性的マイノリティー、障がいのある人や高齢者の雇用など、多様性に対する取組が世界中で推進されております。 日本では、電通が実施した、LGBTQ+調査2023において、LGBTQ+の方々の割合はおよそ9.7%で、左利きの人やAB型の人と同じぐらいいるとされております。また、内閣府の資料によれば、日本の障がい者の方の数は、国民のおよそ7.6%で、約900万人以上、さらに、出入国在留管理庁によると、日本に住む外国人は約340万人いらっしゃいます。このように、国内でも様々な人々が生活をしている社会構造が形成され、多様なマイノリティーの認知、共生社会への意識が高まっています。 では、多様性社会を目指す自治体が抱える課題とは、具体的にどのようなものがあるのか、三つほど皆様と共有させていただきます。 まずはコミュニケーションの課題です。異なる文化や言語を持つ住民が共存する場合、コミュニケーションの壁が生じることがあります。言語の理解や文化的な背景の違いから、意思疎通の円滑な実現に課題が生じることがあります。 二つ目は、差別や偏見の克服です。多様な文化や人種、性別、宗教など背景を持つ人々が共存する場合には、差別や偏見が発生しやすくなります。これらの問題に対処し、包括的に、公正な社会を構築するための取組が必要です。 三つ目は、サービスの提供とアクセシビリティの課題です。異なる文化や背景を持つ住民にとって、サービスの提供やアクセス面での課題が生じることがあります。特定のコミュニティや文化に焦点を当てた、サービスや支援の提供が必要です。 今挙げた以外にも、多様性社会を構築するに当たり、多くの課題が存在し、その幅は広いものがあります。ゆえに、自治体はこのような時代の潮流を的確に捉え、早急に対応する必要があると考えます。 今回は、その中でも、性的マイノリティーを一つの例として取り上げます。 昨年、新たに制定された、いわゆるLGBT理解増進法ですが、その背景には、性的指向及びジェンダーアイデンティティーの多様性に関する国民の理解が、必ずしも十分ではない現状に危惧があります。そこで、まずは性的マイノリティーに対する本市の取組状況をお聞かせください。 以上、それぞれに御答弁を求めまして、1回目の質問を終わります。 ◎環境部長(吉田敏之君) (登壇) 1項目め、ごみ処理行政の現状と課題について、私から答弁させていただきます。 まず、一つ目の御質問、2段階有料化制度の開始当初から現在に至るまでの家庭から出るごみの排出量の推移についてでございました。 本市の家庭ごみの排出量は、最も多かった平成12年度は7万6,181トン、1人1日に換算しますと873グラム。ごみ処理を有料化いたしました平成17年度には5万5,683トン、1人1日当たりに換算して613グラムとなります。令和元年度には4万8,019トン、1人1日当たり532グラム、令和4年度には4万5,724トン、1人1日当たり527グラムと年々減少しております。平成12年度の6割程度まで推移をしている状況でございます。 有料化制度導入の目的であるごみの減量化が進んでおりますことから、成果が一定上がっているものと考えているところです。これは、市民の皆様の制度に対する御理解と、日々のごみの減量化の取組により実現したものでございますので、大変感謝をしているところでございます。 次に、二つ目の質問、周辺自治体が採用する制度の導入について検討しないのかについてでございます。 現在の制度につきましては、ごみの減量化を図ることを目的としており、これまで成果が上がっていること、また、大多数の市民の皆様が無料の範囲でごみを排出いただいていることなどから、令和8年度までは現行制度を継続することとしているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、まだまだ課題があることも認識をしているところです。 課題の一つとしまして、無料の範囲を超えてごみを排出する場合は、手数料が高額であるとの声が一定存在すること、議員御案内の指定ごみ袋の販売という立場で御協力いただいている販売店の事務負担が大きいこと、過去に改定はいたしましたものの、指定ごみ袋の厚みに対する御意見などがあるということです。 これらの課題を踏まえ、令和9年度以降、現制度を維持するのか、無料の範囲を撤廃して一律のごみ処理手数料を賦課する制度などに変更を行うかなど、検討を始めたところでございます。 以上でございます。 ◎企画部長(杉本和孝君) (登壇) 2項目めの、本市における国際交流事業についてお答えいたします。 本市における姉妹都市との交流実績とその成果についてのお尋ねでございました。本市におきましては、市民レベルでの国際交流が推進されることを目的として、姉妹都市との交流を行っております。その交流内容については、大きく、行政間の交流、市民団体の交流、青少年の交流の三つに分類できるのではないかと思います。 その中で、まず一つ目の行政間の交流ですが、これは市民レベルの国際交流を推進していく上で、市民や市民団体の方々が安心して安定的に国際交流を続けていくためには、行政間の信頼関係が最も大切でありますので、相手方の地方政府と交流を行っているものでございます。 本市では、各姉妹都市における5年ごとの周年記念の年には、市長をトップとする訪問団として、各姉妹都市を訪問し、首長同士がお互いの友好関係を継続していくことを確認しています。 今年度におきましては、オーストラリアのコフスハーバー市が姉妹都市提携35周年、中国の厦門市が40周年、韓国の坡州市が15周年、釜山広域市西区が10周年という記念の年でありましたので、市長のほか議長にも同行していただくとともに、民間の関係団体も一緒に、それぞれの姉妹都市を訪問いたしました。 また、アメリカのアルバカーキ市からは、市長をはじめとする訪問団が佐世保を訪問され、民間の関係団体との交流も行われています。 このように、双方の首長同士が顔を合わせ、信頼関係を築くことは、姉妹都市としてのパイプをより太くし、市民や市民団体の交流を推進する上での基礎を強固にすることができたと考えております。 また、行政間の交流の一つとして、双方の職員の長期派遣も行ってまいりました。これまで本市職員を中国の厦門市、瀋陽市、韓国の坡州市に8名を派遣するとともに、厦門市から6名、瀋陽市から4名、坡州市からは3名を受け入れてきました。これにより、行政間の人的なネットワークを強固にし、交流の継続的発展をサポートすることができております。 二つ目の市民団体の交流ですが、本市におきましては、姉妹都市提携後、姉妹都市との間で多くの市民交流団体が発足し、積極的な活動をされております。特に、佐世保・厦門市青少年交流協会、佐世保・アルバカーキ姉妹都市協会、佐世保日豪協会、佐世保・サンディエゴ協会などにおかれましては、長年にわたる活動を続けられており、姉妹都市間の青少年の交流促進をサポートするなど、本市の国際交流活動の一翼を担っていただいております。 今年度の訪問団派遣や受入れに際しましても、各協会の皆様には、訪問団の一員として、また、相手市民訪問団の受入れホストとして交流事業に参加され、市民同士の友好関係をより一層深められました。これらの交流は、教育や文化・スポーツ団体とも協働されており、コーラスや絵画展などの文化交流、サッカーや卓球などのスポーツ交流において、多くの市民に参加いただいております。 また、この市民交流では、経済交流につながっているものもあり、今後とも多方面での波及効果を見据え、支援してまいります。 三つ目は、青少年交流ですが、海外姉妹都市との様々な交流事業において、青少年交流事業は、特にその中核をなす重要な取組の一つと考えております。この交流事業は、市内の中学生が短期間の相互ホームステイを体験するもので、相手の国や地域の文化、生活様式、価値観などを直接体験し、理解を深め、このような体験を通して、自国の文化や価値観を再認識する機会ともなり、多様性を尊重する心を育てることができます。 グローバル化が進む現代社会において、若い世代から国際感覚を持つことは非常に重要であり、国際的な視野を持つことの重要性を実感させ、将来的に国際社会で活躍する人材の育成にも寄与するものと考えております。 これまでの18年間で141名の生徒に参加していただき、体験後のアンケート調査を見ますと、この事業に参加した生徒たちの多くは、異文化理解の促進、そして国際感覚の醸成に大変有効だったと感じており、生徒の中には、外国文化や外国語を学ぶ学校への進学や、海外で勤務する方も出てきております。 コロナ禍で中断していた本事業ですが、昨年の坡州市への派遣から再開し、今年はコフスハーバー市、厦門市、釜山広域市西区への派遣を行う予定としており、今後もこの交流を通じて子どもたちのより一層の相互理解の促進と国際感覚の醸成に努めてまいります。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 3項目めの、本市の多様性に対する考え方についてお答えいたします。 多様性社会を目指す課題のうち、性的マイノリティーに対する取組についての御質問でした。性的マイノリティーについては、人権問題の一つであり、性の多様性への理解を進めるべく啓発事業に取り組んでおります。市民に対しましては、人権関連団体とも協力し、令和元年に、トランスジェンダー女性ドキュメンタリー映画の上映会を開催したほか、研修など学びの場の御案内や、本市ホームページ等での広報を行っております。 また、市民と接する行政においても、意識啓発と理解促進が必要と考え、平成28年度から、採用10年目職員及び新任課長補佐職を対象に、性的マイノリティー当事者を講師としてお迎えし、多様な性に対する理解増進のための職員研修を実施しております。 研修開始後から3年がたった令和元年に、全部局を対象に、LGBT(性的少数者)に関する調査を実施しました。この調査において、「今後、業務上、LGBTの人たちに配慮した取組を行う必要があると考えているか」との設問で、「ある」と回答した課が2割を下回っておりました。この調査結果から、人権課題としての性的少数者に対する認識等が依然として不足していると考えられましたことから、その年に研修対象者を拡大し、全ての管理職も含めて実施しております。 また、今年度は、対面での新人研修時に、性的マイノリティーの人権課題を取り上げ、「セクシュアル・マイノリティと人権」という啓発用の小冊子を配布したところです。これらの状況から、本市職員における性的マイノリティーへの理解は徐々に進んでいると考えており、今後も引き続き、研修などの啓発事業に取り組んでまいります。 ◆2番(本田博之君) (登壇) それぞれに御答弁いただきありがとうございます。 それでは、各項目に関しまして再質問をさせていただきます。 まず、1項目めについて。 日本国内において、1日に出すごみの量が1人当たり約900グラムというデータがあります。そのことと比べると、本市では、2段階有料化制度の実施の効果もあり、ごみの減量化に一定の成果を示すことができていると理解いたしました。 しかしながら、冒頭申し上げましたように、これからのごみ処理行政は、ごみの減量化だけにとどまらず、資源化やゼロカーボンの推進などをはじめ、国が示した施策に取り組んでいかなければなりません。2022年4月1日、プラスチックごみのゼロ・ウェイストを目指す施策であるプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律、いわゆるプラ新法が施行されました。これにより、本市においては、これまで、ペットボトルなどの容器包装類の資源化に取り組んできましたが、その上で、今後は、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装はもちろん、プラスチック製品の資源化にも積極的に取り組まなければなりません。 製造者には、設計・製造はもちろん販売に至るまで環境や再資源化などの配慮が、自治体には、分別収集や再商品化などが求められることになりました。具体的に申し上げますと、現在、燃やせるごみとして収集し焼却処理をしているプラスチック製容器包装やプラスチック製品を資源として分別収集し、リサイクルする必要性があるということです。 市民の皆様には、異物の除去や洗浄、分別排出していただくなど、御負担をおかけすることになると思いますが、プラスチックの資源循環の目的と、焼却によるCO2排出の抑制という観点から、御理解、御協力をいただかなければなりません。 そこで、本市として、プラスチック類の分別収集と資源化について、今後どのように市民理解を深め、事業展開していく考えであるかお聞かせください。 さらには、食品ロス削減推進法も施行され、食品ロスへの社会的関心も高まりがあります。食べ残しや調理くずなど、厨芥類が燃やせるごみの3割程度を占めているというデータもあり、将来的に、ごみの減量化を図るためには、食品ロス削減を目指すことが大切です。 本市でも、食品ロス削減の取組の先駆けとして、飲食店などでの取組、食品ロス削減協力店舗登録事業を実施されております。そして、その取り組みやすさ、親しみやすさなどを目指すために、九十九島とらふぐ、長崎和牛、九十九島かき、世知原茶など、地場産業をキャラクター設定した食品ロス戦隊「もったいないンジャー」を作成されました。幾つか紹介しますと、優しくて強いリーダーで食品ロスを見つけるとすぐ飛んでいく佐世保バーガーのレッド・ストロング、忘・新年会によく現れる3010運動に力を入れている九十九島かき、ホワイト・プルン王子など、設定やビジュアルが秀逸なものばかりです。皆様は、こういうもったいないンジャーを御覧になったことがあるでしょうか。(資料掲示)なかなか知名度がまだまだでございまして、このように、市民にもあまり知られていない状況であります。 そこで、今後、食品ロス削減の推進を広く周知するためにも、このもったいないンジャーを広域展開し、食品を有効活用する取組であるフードドライブやサセボタベスケ、子ども食堂やエコアクションなどと、コラボレーションすることができないものでしょうか。さらに関連して、LINEスタンプをはじめ、著作権フリーで多くの市民にキャラクターを活用していただく案、させぼeコインとエコ活動をひもづける案も提案いたしたいと思っております。 あわせて、このような環境部事業の啓発やPR活動において、もう少し踏み込んでいただきたいものの一つに、リチウムイオン電池があります。現在のライフスタイルでは、電化、機械化が進み、かつコンパクト化が図られてきました。それらの電化製品の多くがリチウムイオン電池を使用する製品となります。これらの製品が不要となった際は処分するわけですが、リチウムイオン電池に関しては、ごみとして排出することができません。その処分先として、ごみカレンダーに「家電販売店やホームセンターなどの回収ボックスを御利用ください」と記載されているだけで、具体的にどこに持っていけば引き取ってもらえるのかはっきりしておりません。ぜひ、引取り先の一覧を案内するなど明示ができないものでしょうか。周知の方法についての見解をお示しいただきたいと思います。 続きまして、2項目めについて、再質問をさせていただきます。 話は前後しますが、ここで、姉妹都市の提携経緯を振り返ってみたいと思います。 そもそも、姉妹都市提携に至る経緯は、各都市で違いがありますが、古くは昭和41年のアルバカーキ市に遡ります。当時の辻一三佐世保市長と米海軍のマクファーソン少将との懇談会内でのやり取りがきっかけであるということです。その後、市議会の承認を経て、提携を結ぶわけですが、御存じのとおり、佐世保公園入口のアルバカーキ橋の名称の由来となって今日に至っております。そのほかの都市においても、本市との様々な御縁から姉妹都市の関係構築につながっております。 先ほど姉妹都市の交流の内容について、実施されている三つの事業を御紹介いただきました。過去の訪問団交流事業の資料を拝見しますと、機会を捉えて、行政と一部の民間団体においては、積極的かつ有効的に、姉妹都市との間で成果のある交流が続いていることが分かりました。私も昨年、コフスハーバー市の35周年記念事業に御一緒させていただきました。すばらしい歓迎レセプションに始まり、感動と驚きの連続であった訪問交流はまさに姉妹都市ならではの濃厚な内容でありました。また、青少年交流事業をきっかけに、コフスハーバー市に移住なさった方、あるいは、親子2代で佐世保市との交流事業に参加されている方など、これまでの積み重ねてきた交流が根づいている実情に触れることもできました。私自身は、交流事業に近い議員という立場であったため、このような機会をいただきましたが、佐世保市民の皆様はどうでしょうか。姉妹都市の認知度並びに交流の機会を市民の皆様が認識し、広く浸透しているのか、あるいは享受されているかという点では満足にその周知がなされていないのではないでしょうか。 そこで、コフスハーバー市のみならず、多くの姉妹都市を市民の皆さんに知っていただくためにも、これまでの交流実績を踏まえて、どのような課題があり、それに対してどのような対策を講じているのかお聞かせください。 続きまして、3項目めの質問に移ります。 市職員に対して、性的マイノリティーに対する意識アンケートを実施し、その認識を明確にした点、そしてその結果を受け、研修対象者を広げ、多様な性に対する対応や改善の必要性を市職員が意識するようになった点に関しては大いに理解をするところです。しかしながら、認識を深めても、実際に体現できるかは、別の問題として整理する必要があります。 例えば、性的マイノリティーの当事者として、アンケートの性別欄の項目に答えにくいという声を聞きます。これまで性別欄は、男女二択であることが一般的に多く、様々な場面で回答を求められることがあり、そのことが一部の性的マイノリティーの方々にとっては大きな心理的ストレスとなっています。 さて、現在においては、性は四つの要素で構成されていると言われます。生まれたときに医師によって定められた性、「身体の性」。自分が自認する「性自認」。好きになる性、「性的指向」。そして自分の性をどのように表現するのかといった社会・文化的な性、「性表現」の四つです。この四つの要素で構成される性は非常にプライバシーの高い情報であり、アンケート等で性の情報を取得する際には、どのような性の情報が必要なのか、慎重にその根拠を精査しつつ、使用目的等もはっきりさせる必要があるものと考えます。 本人確認のためである、統計上必要であるなど、性別情報を取得するその必要性は一定理解をいたします。しかし、調査する内容によっては、戸籍上の性ではなく、社会・文化的な性、いわゆるジェンダーの属性で分析したほうがよいものなど、どのような性の情報が必要なのか、あまり精査がなされずに、回答を求めている場合もあるのではないでしょうか。 そこで、佐世保市で行われる各種調査やアンケートなどにおいて性別欄が設定されるものがあると思いますが、その選択肢や性別欄の設定についての取組についてお聞かせください。 以上で2回目の質問を終わります。 ◎環境部長(吉田敏之君) (登壇) 再質問の1項目め、ごみ処理行政の現状と課題について、私から答弁させていただきます。 まず、一つ目のプラスチック類の分別収集と資源化についてお答えいたします。 本市では、プラスチックごみを燃やせるごみとして処理しておりますが、令和4年4月1日施行されたプラスチック資源循環促進法の趣旨にのっとり、容器包装プラスチック及び製品プラスチックの両方を資源物に含める方向で検討を行っております。 実施に当たりましては、市民の皆様に分かりやすく、負担の少ない制度設計が必要と考えており、排出頻度や排出場所など様々な検討課題がございます。プラスチックの分別実現に向けてさらなる検討や、理解を得るための市民向け説明会の実施に関することなどの検討を深めた上で進めてまいりたいと考えております。 次に、もったいないンジャーの啓発などへの活用につきましては、議員御案内のとおり、食品ロス削減協力店舗登録事業の取組の際に、市民向けの食品ロスに対する広報の一環として、食品ロス戦隊もったいないンジャーのキャラクターを作成したところです。このキャラクターは、協力店舗へのポスター及びステッカーでの活用のみならず、市ホームページへの掲載や、そのほか食品ロス関連の啓発物品として、のぼり旗、レシピ集などにおいて活用しており、主に食品ロス関連の啓発に役立てています。 市民のもったいないンジャーの認知度が低いことは、残念ながら議員に御指摘いただいたとおりと理解をしております。 今後は、食品ロス関連に限らず、環境関連の行事、イベントでの場面やエコドライブ活動等、幅広く活用するよう取り組んでまいりたいと考えております。 3点目に、リチウムイオン電池に関する周知の方法の見解をとのお尋ねでございました。 リチウムイオン電池の排出先、引取り先につきましては、リチウムイオン電池の回収・再資源事業者である一般社団法人JBRCの協力店として登録されている販売店となっております。JBRCのホームページに、市内の引取り先一覧が掲載されておりますので、市ホームページやごみカレンダーに掲載が可能かを含め、JBRC及び販売店に確認をいたしましたところ、現時点で前向きな回答を得られない状況となっております。 したがいまして、現行の市ホームページと各世帯に配布しておりますごみカレンダーに、個別の排出先を加えることは、現時点において控えざるを得ない状況と判断しておりますが、引き続き、排出先等への御協力をいただけるよう、働きかけを継続してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ◎企画部長(杉本和孝君) (登壇) 2項目めの質問のうち、これまでの姉妹都市との交流を踏まえた課題についての再質問にお答えいたします。 今後、本市においても外国人市民が増加していく中で、外国人市民との共生、いわゆる多文化共生社会を実現していかなければならず、そのためには、多くの市民が異文化への理解を深める必要があると思っております。 そのような中で、姉妹都市との国際交流は、異文化理解のきっかけになると思います。その後押しとして、本市では、市民に姉妹都市とのつながりをより身近に感じていただくために、議員御案内のとおり、佐世保公園入口のアルバカーキ橋や、佐世保駅みなと口の厦門園、佐世保中央公園の姉妹都市記念公園といった姉妹都市の名前を冠した施設を整備し、また、五番街におかれましては、建物内の吹き抜け広場に各姉妹都市の現地時間を表わす時計を設置されるなどの取組も行われております。 そうした中で、本市の姉妹都市交流につきましては、市民レベルでの国際交流が推進されることを目的としておりますが、議員御指摘のとおり、市民交流団体間の交流は進んでいるものの、一般の方々まで広く浸透しているとまでは言えず、特にこの数年間は、近年の国際情勢の変化や新型コロナウイルス感染症の流行により、交流の機会は特に少なかったのではないかと考えております。 これらの対応といたしまして、市民との直接的な交流機会をつくるため、これまで記念訪問や姉妹都市の現地イベントにおいて、市民訪問団への参加募集や、文化及びスポーツ団体の交流派遣を実施してまいりました。また、広く姉妹都市を紹介する事業として、現在、島瀬美術センターにおいて「世界とつながる佐世保展~姉妹都市を知ろう!~」と題し、姉妹都市を紹介する展覧会も開催しているところでございます。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 3項目めの再質問として、性別欄に対する本市の取組についての御質問にお答えします。 性別欄の記載につきましては、先ほどの答弁の中でお示ししましたLGBT(性的少数者)に関する調査で、申請書等に性別記載欄があると回答した40課のうち、性別記載欄を削除する検討が可能と回答した課が18課ありました。 性別記載欄の取扱いや見直しにつきましては、国や県からの指針のお示しなどもない中で、市としての統一した見解を作成することは困難でしたので、職員研修を通して、性の多様性の理解を深め、その視点を持って各課の業務の見直しなどが行われることを期待しているところです。 そのような状況の中でも、実際に見直しが行われたものの例を挙げますと、令和3年10月の衆議院議員選挙から、投票所整理券の性別欄が廃止されております。また、事業担当課から、性別欄の記載方法について、個別にお尋ねがあった際には、性別情報を取得する必要性や、男女以外の選択肢の設置などについて、参考事例の紹介を行うなどの対応を行っております。 なお、性別欄の取扱いについての指針等がなかった令和元年当時から3年後となる令和4年9月に、総務省の内閣府男女共同参画局から、ジェンダー統計の観点からの性別欄の基本的な考え方について取りまとめた意見が公表されております。 それによりますと、男女間格差が依然として大きい日本の現状を踏まえると、その解消に向けた施策推進のためには、男女別のデータを確実に取得することが重要であることが確認され、性別欄の有無に関する拙速な対応は慎むべきとの考えが示されております。 その一方で、性別欄の選択肢がこれまでどおり、男性か女性の二択だけで十分であるかについては議論すべき余地があるとされましたが、性別情報を取得する目的が調査によって異なることから、それに応じた個別の対応が求められるため、男女以外のデータを取得する場合の適切な質問項目や選択肢を示すまでには至られておりません。 性的マイノリティーに関しましては、令和5年6月に施行された性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律を受け、現在国において基本計画等の策定が進められているところです。 性別欄の取扱いを含め、人権課題の一つである性的マイノリティーの理解増進への啓発につきましては、今後の国の動きも注視しながら取り組んでまいります。 ◆2番(本田博之君) (登壇) それぞれに御答弁いただきありがとうございます。 今回の一般質問は、将来にわたり、佐世保市がまちの形を維持していくため、市民と行政が協働する必要性を含んだ質問項目で構成をしました。市民の理解促進のためには、行政による丁寧な事業説明、広報活動が欠かせないものとなります。たとえその働きかけは結果的に市民に御負担をお願いすることであったとしても、社会的背景と将来設計を丁寧に説明することで、必ず佐世保市民の皆様は、理解と協力をしていただけると確信をしております。ぜひ変化を恐れず、行政と議会が協力して、他自治体にない多様性に富んだ佐世保市独自のまちづくりを展開していきたいと思いを強くしたところです。 それでは、再々質問をいたします。 1項目め、ごみ処理行政については、すぐには解決できない課題もあることを改めて認識いたしました。使い捨て社会から循環型社会へと国が主導し、ごみ削減に向けた取組を実施することは大前提としながらも、本市の地域性を酌んだ独自のごみ行政を確立する必要があります。例えば、高齢のためごみ置場までごみを持っていくことができない、いわゆるごみ出し困難者。過疎化などに起因する御近所との交流の断絶によってごみ出しを支援する方がいらっしゃらない状況に陥っている孤立世帯。これらの存在が増加している実情を見聞きすることがあります。 私としては、各地域で地区自治協議会が発足していることから、自助、共助の考え方の下、地域で支援することが大切であると考えます。実際、南地区自治協議会や、もみじが丘など、ごみ出し支援が行われております。 このように、地域コミュニティを活用した取組を行うことで、高齢者や孤立世帯のごみ出しに関しては、一定解決する一助になるかと考えております。 また、ごみ出し支援は、部局横断的な事業であることから、関連部局の緊密な連携や関係事業者の皆様との定期的な意思疎通を図ることも申し添えておきます。 これらを踏まえて、現在のごみ出し支援はどのように進められているのか、本市の現状をお聞かせください。 2項目め、国際交流について再々質問をさせていただきます。 先ほど企画部長の御案内にありました島瀬美術センターにおける「世界とつながる佐世保展~姉妹都市を知ろう!~」に、私もお伺いをいたしました。一言で申し上げますと、非常に寂しい展示内容であると感じてしまいました。せっかくの姉妹都市のPRの機会でもあるにもかかわらず、展示物、内容とも、佐世保市と島瀬美術センターの持つ企画力や、すばらしいポテンシャルを出し切っていないという感想です。もっと戦略的かつ大々的に、広く市民に姉妹都市の魅力をPRしていくべきではないでしょうか。 例えば、市民向けの姉妹都市交流イベントや文化や料理などを紹介する姉妹都市フェスティバルを開催したりすることを提案いたします。 それらの企画を通じて、姉妹都市と身近に触れ合い、その存在を認識することができ、市民は自身の視野を広げ、新たな価値観や考え方を学ぶことができます。さらに、姉妹都市間でのビジネス交流や観光促進が期待され、経済的な利益をもたらす可能性があります。学生や若者は国際的な視野を持ち、広く学びの機会を求めることができると考えます。場所は、ふだんあまり利用されていない市役所1階のイベントホール、あるいは新たに活用を模索されている13階ラウンジを有効に利活用ができるのではないかと考えております。 そこで、本市が考え得る姉妹都市の新たな広報活動の可能性をお聞かせください。 3項目め、ここまで多様性社会を構築していく上で生じる様々な課題の一つとして、性的マイノリティーに関する本市の取組をお伺いしてきました。人権課題の一つのことでありますが、お伺いした点について、本市においては課題として認識し、既に取り組まれているということに安心をいたしました。 1回目の質問の冒頭で申しましたように、多様性社会とはどんな属性、特性の人も、誰もが自分らしく生きられる社会です。高齢者も障がい者も、外国にルーツがある人も、子ども大人も、誰でも生きづらさを感じず、安心して日常生活が過ごせるかどうか。当たり前の日常を見直すことから、多様性社会は始まります。 例えば、男子トイレの小便器と小便器の間の間仕切り、男性のプライバシー保護や、視覚に障がいをお持ちの方の動線ガイドとして設置が必要ではないか。例えば、各公共施設における案内や手続に係る表示言語、日本語以外を公用語にされている方や障がいをお持ちの方に分かりやすく表記がなされているか。一つ一つは小さなことかもしれませんが、ほんのささいなことでも気づきを拾い、誰一人取り残さない社会をつくるにはどうすればよいのか。行政はもちろん市民も一緒に知恵を絞って、真剣に考えていく必要があります。全ての市民が健康で幸せを実感しながら暮らすことができる社会を構築し、これを持続していくためにどのようにあるべきか。本市の第7次総合計画を見てみますと、共生社会を前提とし、多様性という強みを生かして創造、挑戦する考え方が必要であるとされ、基本理念において「様々な文化、価値観を互いに尊重し認め合う多様性のあるまちをつくります」とうたってあります。では、考え方にある多様性という強みを生かしてとはどのようなことであるのか。佐世保市の歴史を読み解いて考えてみたいと思います。 本市は、明治期に旧海軍の鎮守府として軍港が設置され、発展の過程で人々が流入し、約4,000人の村から、10倍以上となる約4万6,000人の市となりました。さらに終戦後は、米海軍佐世保基地が創設され、基地との共存共生を市政運営の基本姿勢とされてきました。このような時代の変遷を背景として、多様な人々を受け入れてきた事実がまさに本市の強みではないでしょうか。 今回、性的マイノリティーを質問内容として扱うに当たり、数人の当事者の方とお会いさせていただきました。お話しして分かったことは、住んでいる場所も年齢も職業も様々であり、共通の価値観は存在しないということでした。すなわち、LGBTQ+という言葉だけでは包含できない部分があり、先入観を捨て、個々人それぞれの個性を尊重していかなければならないという事実でした。 まさに多様性社会とは、多岐にわたり細分化して存在する内容であることから、本市の強みを生かし、様々な文化・価値観を互いに尊重し、認め合うには、市民の意識醸成を求めることはもちろんです。その先頭を走るのは佐世保市であり、市役所全部局で、その実現に向けた認識を持って、課題解決に向き合い、取り組んでいただきたいとお願いいたします。 最後に、佐世保市はどのようなまちを目指し、多様性社会にどのように向き合うのかお聞かせください。 以上をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 本田博之議員の再々質問にお答えをいたします。 本市の姉妹都市についての市民への周知の重要性につきましては、大変重要な御指摘と認識をしております。姉妹都市に関する情報を市民に対してより広く、かつ効果的に周知していくことは、市民が少しでも国際交流に興味を持つきっかけになり、市民レベルの国際交流を促進する上で極めて重要です。 市役所1階イベントホールや、13階ラウンジにおいて、姉妹都市の紹介の御提案がございましたが、効果的な周知という観点で、非常に有効的な手段であるというふうに考えます。 ほかにも、市役所に限らず、アルカスSASEBOの交流スクエア、島瀬美術センターなど、多くの市民が日常的に足を運ぶ場所もございますので、そこで姉妹都市に関する情報を気軽に得られる環境を提供できるよう、本市だけではなく、関係団体にも協力を呼びかけるなどして、PRに努めていきたいと思います。 また、市のホームページや、ユーチューブチャンネル「NEWS M SASEBO」などを活用した情報発信も並行して行い、より多様な層に情報を届けることも推進してまいります。 市役所のみならず、市内の公共施設や図書館などでも紹介を行うことで、より幅広い市民に姉妹都市について知ってもらう機会を増やしていきたいと考えております。 3項目め、多様性のあるまちづくりについて、私の考えについてお答えをいたします。 総合計画の四つの理念のうちの一つに、多様性のあるまちを掲げておりますが、これは、一人一人の個性を尊重し、様々な価値観を認め合い、共有するまちのことであり、性別や年齢、国籍、障がいの有無、性的指向、宗教、信条、価値観などが異なる人々の属性を尊重するまちでございます。 そのまちづくりについて、現在、子どもから高齢者までの幅広い年代の方が、障がいの有無や性別、性的指向、国籍等にかかわらず、生きづらさを感じず、活躍していただける社会を実現するため、多様な市民ニーズに応えるべく、様々な施策を市横断的に取り組んでいるところです。 また、それぞれの多様なニーズに応えるのみでなく、お互いの多様性を理解し、尊重し合うことは、多様性のあるまちづくりには肝要なことであると考えており、本市では、佐世保市人権教育・啓発基本計画に基づき、あらゆる機会を通して、人権教育及び啓発を推進をしております。 多様性の中でも、今回、議員が取り上げられました性的マイノリティーにつきましては、私の99の政策にも、「多様な性に配慮した行政の構築」を掲げているところであり、職員一人一人の意識を高めながら、総合計画の基本理念である共生社会を前提とした市政運営に取り組む所存でございます。 議員御案内の本市のこれまでの成り立ちを振り返ってみましても、多様性を受け入れるポテンシャルが本市は非常に高いと私も思っておりますので、その強みを生かして、本市の魅力をさらに向上させ、さらなる多様性のあるまちづくりを目指してまいります。 ◎環境部長(吉田敏之君) (登壇) 高齢者等のごみ出しに関する課題についてお答えをいたします。 ごみ出し支援についてですが、特に高齢者の単身世帯や高齢者のみの世帯においては、町内会など地域の方々や、地域包括支援センターなどに、ごみ出しに関する相談があっていると認識しています。 その対応といたしましては、民間福祉サービスの活用による自助、介護保険サービスによる共助のほか、本市では、地区自治協議会での支援や生活支援体制整備事業により、地域で支え合う互助の仕組みづくりを進めている状況でございます。 環境部といたしましても、ごみ出し支援について、関連団体や関連部局と連携をこれまで以上に深め、対応してまいりたいと考えております。 以上です。 ○議長(林健二君)  22番永田秀人議員。 ◆22番(永田秀人君) (登壇) 22番、市民クラブ会派の永田でございます。 早速、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 まず一つ目の質問が、カスタマーハラスメント対策としました。 2月21日付の長崎新聞で、東京都がカスタマーハラスメント防止条例を制定すると伝えられておりまして、顧客もしくは取引先、こういった方々の暴言、理不尽な要求といった迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントに特化した防止条例を東京都がつくると。これは全国初の動きでございますが、東京新聞の記事では、サービス業の労働組合の調査で組合員の56.7%が悪質なクレームを受けたことがあると、また、自治体職員に関しても46%が迷惑行為を受けたというデータがあると掲載されていまして、業種・業態に関わらず、広く発生しているということだと思います。 こういったカスタマーハラスメントが注目されていることを受けまして質問に取り上げたわけでありますが、今回、特に行政の現場、職員の現場のカスタマーハラスメントの部分に絞ってお聞きしたいと思っております。 まずは前提としまして、カスタマーハラスメントはどういうもので、なぜ対策が必要かということを整理したいと思います。 厚生労働省が令和4年に作成しましたカスタマーハラスメント対策企業マニュアルというのがございます。ネットでダウンロードできるのですけれども、こちらによりますと、カスタマーハラスメントについては、明確に定義づけられませんがと前置きしてあるのですね。その上で、顧客等からのクレーム・言動のうち、「当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が、社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と、長々と書いていますが、さらにこのハラスメントの主体である顧客等には、「実際に商品、サービスを利用した者だけでなく、今後、利用する可能性がある潜在的な顧客も含む」と、このように説明してあります。いろいろな可能性があるということですね。 そして、具体的にハラスメントの内容としては暴行、脅迫、中傷、名誉毀損、ひどい暴言、居座り、監禁、金銭補償要求、こういったものが例示されております。 こういったカスタマーハラスメントがどういう影響を与えるかということで、この厚生労働省マニュアルでは、「労働者の就業環境が害される」と書かれております。つまり、この労働環境が悪いと、ストレスになって、それが労働者を疲弊させるということでありまして、こういった部分は、いろいろなハラスメントに共通する部分であります。セクハラ、パワハラもそうですが、ハラスメントがひどくなると、最悪の場合、自死、自殺、こういったことがあることは、皆さんも御承知と思いますが、カスタマーハラスメントもそういったものであるところであります。 そして、先ほど業種別の調査がありましたけれども、このマニュアルでは、労働者でカスタマーハラスメントを受けたことがある人の割合は15%、この割合が、パワハラよりは少ないけれども、セクハラよりやや多いと書かれています。つまりセクハラより多いということは、セクハラが問題になるのであれば、それ以上にこれは無視できない頻度で発生しているという点でも、カスハラ対策の必要性は明確かと思っております。 そういったカスハラに対する国の動きをおさらいしたいのですけれども、令和元年6月に労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律--縮めて、労働施策総合推進法--などが改正される際に、職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じることが事業主の義務とされたわけですが、パワハラについて議論する中で、顧客からの著しい迷惑行為、カスハラについての対策も必要だと、注目されてきたわけであります。 そして、翌年、令和2年1月、厚生労働省は、事業主が、カスタマーの側の優越的な関係を背景とした言動--カスハラ--に起因する問題に対して、雇用管理上講ずべき措置についての指針を出しています。その中で、カスタマーハラスメントに対して、労働者が職場環境を害されることのないように、事業主が行うことが望ましい取組という例を挙げていまして、つまり、こういうことをしなさいよという事例を挙げています。その中から、先ほどのマニュアルがつくられたわけでありますが、こういったカスハラ対策、まず公務員に関してどういうのがあるかというと、人事院が令和2年4月に通知を出しています。人事院規則10-16の運用についてという通知でありまして、この中で、「対応を打ち切りづらい中で行われる」「業務の範囲や程度を明らかに超える要求をするもの」と、このように行政に対するカスハラについて定義をしており、それに関する苦情相談があった場合、「組織として対応し、その内容に応じて、迅速かつ適切に職員の救済を図る」、職員を守れと。そして、それを各省各庁の長の責務と、国家公務員ですからそういった表現になっているわけです。 地方公務員に関しては、昨年末、総務省が地方公共団体における各種ハラスメント対策への対応についてという通知を出しました。セクハラ、パワハラとかがまず最初にあったわけですが、その中にカスタマーハラスメントに関する組織的対応、職員の救済、こういったものを盛り込んできたわけであります。 こういった公務員に対するカスタマーハラスメントへの対策を進める潮流が来ているわけでありますが、では、具体的な対策、どういうことをするのかということでありますが、まず、相談に応じて適切に対応するために体制を整備する--相談者、また担当者を決め、ここが相談窓口ですよと周知するということであります。二つ目が、被害者への配慮のための取組として、事実関係を確認する、被害者のメンタル不調の相談を受ける、1人で対応させないといったいろいろなものがございます。そして、被害を防止するための対応マニュアルの作成であるとか、研修をやると、大まかに分けて三つの対策を示しています。こういった国の指針などが出ている中で、佐世保市として、行政へのカスタマーハラスメントに対してどういった対応をされているのかお聞きしたい。具体的にはマニュアル整備状況、相談窓口、こういったものの整備状況と、それから取組が強化され始めたのがここ数年の話でありますので、カスハラ対応ですと明示されていなくても、もしかしたら、来客の行き過ぎた要求、問題行動、迷惑行為に関するマニュアルがありましたら、カスタマーハラスメントの対策に準用できると思いますので、そういったものを含めてお答えいただきたいと思います。 二つ目の質問項目に移りますが、市職員の健康状況把握と対応についてとしました。 これは9月定例会で、角田議員が、職員のメンタル、こういったものを質問されまして、12月定例会では本田議員が職員の病気休職者、そして中途退職者、こういったもののデータを取り上げた質問をされました。この中で、角田議員のほうでは、メンタル理由の休職者の割合が全国平均よりも多いと、これを心配されまして、特に中途退職に若い人が目立つ、転職が理由に多いので、仕事に誇りややりがいを感じられない方が目立つと、このように考えていらっしゃいましたし、本田議員のほうは、休職者の中のメンタル要因の多さ、若手職員の退職理由の半数が転職と、こういうことから、市が行っている調査では課題を把握し切れていないと、このような指摘があっておりました。それぞれの御指摘、うなずけるところもございます。 ただ、私としましては、この休職者、中途退職者について、いろいろなデータがある中で、もう少し掘り下げたデータが欲しいと思っておりました。例えば、具体的には、病気休職者の推移、これを、先の二つの質問では5年間という期間でありましたけれども、5年などの短期ではなくて、10年、20年といった長期のスパンではどうなっているのか、また、若年層の中途退職、この中でメンタル要因の方はどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。こういったデータが欲しいと思うところであります。 病気理由の休職者に関しては、総務委員会に出されていました過去の資料が--私が平成23年に初当選してますので、それ以降のデータが手元にありました。令和4年度までの10年間のデータを見てみたのですけれども、病気理由の特別休暇取得者、休職者は平成27年度以降は減少傾向ですけれども、平成30年度に底を打って、上昇傾向に転じて、令和4年度は、もう平成27年度の水準を上回っていると、こういったグラフが書けました。 また、中途退職の数については、平成30年度までのデータしか手元にありませんでしたけれども、やはりこれも、令和元年度以降、上昇傾向が続いておりました。こういった区切りが、ちょうど私たちの改選期の選挙のタイミングに合っているものですから、乱暴な見方をしますと、前の市長の4期目に入った頃から、病気の職員、中途退職者が増えたと言えてしまうわけであります。それを打ち消すためにも、多様なデータを詳細に見る、こういう必要があると思うのです。そして、集められたデータを長期スパンで傾向を見る、複数の属性で見る、いわゆるクロス集計、こういったもので、現状や課題が把握できたり、明確になってくる可能性があると思うのです。その点では、この佐世保市の対応は十分ではないのではないかと思ったところで、2月17日付、質問通告をする1週間前に、共同通信のニュースで、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会という団体があるのですが、こちらが、地方公務員健康状況等の現況についてを定期的に、毎年調査を行っていまして、この調査結果が報道されていました。 この調査は、47都道府県と20の指定都市、23特別区--つまり東京です--そして中核市、県庁所在市及び人口30万人以上の73市、そして、都道府県ごとに任意に2団体抽出した人口5万人から10万人の94市、人口1万人から2万人の94町村、合計351団体に対して調査を行っていまして、それによりますと、令和4年度の長期病休者は、令和3年度よりも7.85%増加、そして、さらに精神及び行動障がい、つまりメンタルでの長期病休者数は、前年度に比べて12.57%増え、10年前よりも1.8倍、15年前の2.1倍と、このようにされています。 先ほど言いました本市の10年前のデータを見ますと、令和4年度の長期病休者数、佐世保市では98人、令和3年度の87人からすると11人増えて、12.64%の増となっています。全国のデータと比べても、ちょっと増加率が高うございます。一方で、メンタル、精神に関する疾病を理由とする病休、休職の数は、令和3年度、4年度、いずれも66人と変わりません。ただ、3か月以上の休職者として見ますと、29人から40人と、この1年で11人、37.9%増えている。さらに10年前、平成24年度と比較しますと、2倍以上の2.13倍--協会の行った集計と本市の集計では、対象が若干違い、年齢構成とか休みの期間とか設定が違いますので単純比較できませんけれども、ちょっと佐世保市が増えているのではないかと気になっております。 そこでお聞きしたいのは、こういった全国調査のデータは、中核市を対象にされており、佐世保市も回答しているわけであります。そうであれば、佐世保市の出したデータと、全国調査のデータを比較して施策に生かされているのかが気になるところでありまして、調査への回答データを基に、全国平均と本市の状況を比較できるようになっているのかお答えください。よろしくお願いします。 1回目の質問は以上です。答弁をお待ちします。 ◎総務部長(田所和行君) (登壇) 1項目めのカスタマーハラスメント対策についてお答えをいたします。 カスタマーハラスメントについては、議員からるる御紹介をいただきましたけれども、改めて私のほうからも説明をさせていただきますと、まず国の動きといたしましては、令和元年6月に、労働施策総合推進法が改正され、令和2年1月に「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」が作成され、顧客等からの著し迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)に対して、雇用管理上、事業主が講ずべき措置が定められたところでございます。 また、人事院においても、令和2年4月に人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)の運用に係る通知の中で、各省庁の長の責務として、行政サービスの利用者からの言動で、業務の範囲や程度を明らかに超える要求があった場合は、組織として対応等することと定められたところでございます。 カスタマーハラスメントについては、厚生労働省が令和4年2月に策定したカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義づけがなされたことは、先ほど議員からも御紹介があったところでございます。 このカスタマーハラスメントに関して、地方自治体でよく見られる事例としましては、暴言や説教、長時間のクレームや居座り、複数回に及ぶクレーム、暴力行為といったものが挙げられます。そして、カスタマーハラスメントは一たび起きると、被害を受けた職員は大きなストレスを抱え、業務の遂行に大きな影響を与えるほか、深刻な場合には、職員が心身に不調を来し、長期休暇や休職に至る可能性もあるものと認識をいたしております。 また、カスタマーハラスメントに対する他自治体の対策事例を見てみますと、札幌市において、本年1月、対策マニュアルを策定するとともに、窓口への啓発ポスターの掲示や、電話の通話内容を録音する等の対策に乗り出し、これにより一定の効果が出ている状況とのことでございます。 本市のカスタマーハラスメント対策の状況といたしましては、現状では、これに特化したマニュアルや相談窓口といったものは整備をいたしておりませんが、カスタマーハラスメントと類似したものに、不当要求行為があり、本市ではこの不当要求行為を市の事務事業に対する不当な要求行為や暴力的な要求行為と定義し、その対応については、平成22年7月に策定した佐世保市不当要求行為等対策要綱や、不当要求行為等対応マニュアルの中で、基本的な対応方法のほか、様々な場面や具体的な事例を想定した対応マニュアルを定めているところでございます。 この不当要求行為とカスタマーハラスメントについては、いずれもひどい暴言、長時間または執拗なクレーム、不当・違法な要求によるものなど、同様の事象も多いことから、本市におけるカスタマーハラスメント対策といたしましては、不当要求行為の対応に準じて行っているというのが実情でございます。 次に、御質問の2項目め、市職員の健康状況把握と対応についてのうち、まず、地方公務員健康状況等の現況の調査結果と、本市の現状の対比についてお答えをいたします。 議員御案内の地方公務員健康状況等の現況調査につきましては、都道府県、政令指定都市、特別区などを対象として、平成5年度から実施されてきております。そのうち、調査対象となる市につきましては、平成30年度実績を調査対象とした令和元年度までは、政令指定都市を除く県庁所在地及び人口30万人以上の市が対象となっておりましたが、令和元年度の実績を調査対象とした令和2年度の調査から、本市を含む中核市も調査対象となったところでございます。 そのため、本市が調査対象となりました令和2年度以降について、全国平均と本市の状況を比較することが可能となっております。 また、議員の御指摘にありました詳細なデータの一つとして、中期病休者の年齢区分別、男女別の調査につきましても、令和5年度から新たに調査項目として追加をされております。 なお、本市職員の病気療養制度は、90日間の特別休暇の後、引き続き療養が必要な場合は、地方公務員法の分限処分であります休職となりますけれども、本調査につきましては、各調査年度において1か月以上病気療養のための特別休暇または休職となった職員が、長期病休者としての調査対象となっております。 この調査結果に基づきまして、ここ4年間における精神疾患による長期病休者の全国平均と本市の状況を比較いたしますと、全国の長期病休者は、令和2年度調査の2万1,084人から、令和5年度調査では2万5,222人に増加し、その増加率が19.6%であることに対しまして、本市では令和2年度調査の29人に対し、令和5年度調査では33人となり、その増加率は13.7%と、本市の長期病休者の増加率は全国平均を下回っているという状況でございます。 他都市や全国との比較において、これが全国よりも多ければ問題で、少なければ問題ないと一概に言えるものではございませんけれども、議員から御紹介がありましたように、全国的な傾向同様、本市におきましても、職員の精神的な疾病に伴う特別休暇・休職が増えているところでございますので、本課題については、不断の取組が必要と認識をいたしております。 市役所の行政サービスは、住民生活に必要不可欠かつ基礎的なものでございまして、対外的に評価されにくい反面、住民の多様化するニーズや多様な価値観から批判にさらされることが多い側面もあることから、職員に過度なストレスがかかることも多い状況にあると考えられます。 メンタルヘルス不調の発生原因は、仕事以外にも、様々な要因が複雑に関係していることから、それぞれのケースに寄り添った個別の対応が必要であると考えております。 本市における、職員のメンタルヘルス対策といたしましては、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行うことが雇用主に義務づけられているストレスチェックの実施や、職員研修によるセルフケアやラインケアなど、メンタルヘルスへの理解を深め、ストレスの少ない職場環境づくりを意識できるよう促すことや、総務部職員課の医務室と産業医が連携してメンタルヘルス相談を実施することで、メンタルヘルス不調の未然防止や、病休者の復職支援などの取組を行っているところでございます。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 1項目めのカスタマーハラスメントの対策について、教育委員会の状況についてお答えいたします。 多くの市民の皆さんが利用されます佐世保市立図書館や総合教育センター少年科学館、各スポーツ施設などにおいて、市長部局と同様に、基本的には、佐世保市不当要求行為等対策要綱や不当要求行為等対応マニュアルを参考にしながら、各所属の管理職を中心に対応を行っているところでございます。 なお、静寂の中で読書ができる環境が求められます市立図書館におきましては、その特殊性から、現在、不当要求行為等対応マニュアルに基づいた基準づくりに取りかかるなど、さらなる対策を進めているところでございます。 一方、学校におきましては、子どもを中心に据え、学校が保護者や地域と信頼関係を構築した上で、教育活動を実践することが必要不可欠となります。そこで、異なる価値観に対しましても、丁寧に会話を重ねることが基本となると考えますが、そのような中でも、理解が得られないような場合には、管理職を中心として学校が組織的に対応することで、教職員個人の負担を軽減するよう指導しているところでございます。 また、学校だけで解決することが難しい場合には、教育委員会事務局が個別に指導・支援を行うとともに、学校への過剰な要求など法務を必要とする事案については、スクールロイヤーの助言をもって解決を図る場合もございます。 いずれにいたしましても、教育の特性上、学校と保護者や地域との関係性を重視しながらも、教職員の心身の安全を保障できる環境づくりに努めているところでございます。 以上でございます。 ◆22番(永田秀人君) (登壇) 御答弁ありがとうございました。 再質問いたしますが、まず、カスタマーハラスメント対策についてでありますが、カスハラ専門のマニュアルというのは今のところないということでありますが、現行の不当要求に関連するマニュアルと相談窓口で一定対応が可能であるということで理解はしました。また、図書館のほうでは、何か新しい基準を策定中という話がありまして、そういった個別の状況に合わせて対応を検討する中で、カスハラ対策も向上していくことを期待しております。 ただ、実際の行政の対応を聞きますところでは、いろいろな問題対応に手順が定められているけれども、市民への対応、説明が不十分だったため、謝罪をしたけれどもなかなか納得いただけなかったといった例があるようであります。その結果、カスタマーハラスメントまでいかないと思うけれども、市民にお話しするのに時間が大変かかったというケースがあって、現場の職員の時間外対応がかなり遅い時間まで及んだという話をお聞きしております。 こういった行政側の対応のまずさが、もしかしたら市民の感情を無用に刺激してしまって、当初、正当な相談、苦情の申出があったものが、カスタマーハラスメントという状況に近づいてしまうと、こういったことがあり得るのではないかと思うわけでありまして、マニュアルがあるだけでは安心とはならないと思うわけです。 答弁では、カスハラに対応できる不当要求関係の手順書があるということでありましたが、カスタマーハラスメントに限らず、こういう各種対応マニュアル、これの運用がうまくいっていない状況があるのではないかと思うのですが、市としてこういったことを把握されているのか、お答えいただきたいと思います。 また、市民の対応が長時間になりますと、職員のメンタルに与える影響もやはり気になります。それを和らげるにはやはり個々の職員に任せきりしない組織の対応であると。今もちらっとお話があっていましたけれども、この組織対応について十分目配りされているのかも、併せてお答えいただきたいと思います。 2項目め、市職員の健康状況把握と対応についてでありますが、私、このメンタルの人が増えている部分については、この間の行財政改革による定数管理の結果、人が減らされる、そういった人減らしで必要な人数を割り込んでしまって、その結果、労働強化が生じて、一部の方に負担が大きくかかって、メンタル理由の休職、退職につながっているのではないのかと、こういった思いがございます。しかしこれは仮説で、現状の手持ちデータでは、それを肯定も否定もできない状態であり、それを精査しないと、今後の人材確保策に向けて、適切な対応を取れなくなるのではないかと、このように思っております。 新年度に向けて、今定例会に提案されています様々な事業の中には、根拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMを推進すると、こういった話もあっておりましたけれども、人事管理、職員のメンタル、こういった対応でも、手持ちのデータをしっかり分析し、対策を練るべきだと思うわけであります。少なくとも、若年層の中途退職、退職理由の年代別の分布についてクロス集計するぐらい、やっておくべきではないかと思うわけであります。 ただ、集計したから、退職理由がはっきり出るのかという部分もあり得ます。統計とはそういう部分もございます。データの集計や分析結果がうまくいくかどうか分からない。それだけリソースを割けるのかという部分も考慮しなくてはならないと思うわけであります。そこで考えましたのは、各種計画行政で見られます数年おきの計画策定の際に、様々なデータを収集して、ニーズや情勢、動向を把握するというやり方--新させぼっ子未来プランの策定時にもやっていらっしゃいます手法ですが、こういったニーズ調査を定期的に行うという話、そしてもう一つが、行政が持つデータをオープンにして、公開して、議会も含む市民がアクセスできる状態にする。そうすると、行政が細かく分析しなくても、我々議員も含めて、誰かが分析することができるということであります。今ちょうど国会で話題になっていますパーティー券の問題だって、オープンなデータを一市民が調査して出てきた話であります。そういうオープンデータにする手法もあるのではないかと思うのです。こういった行政データのオープンデータ化は、民主主義の進化のためにも有用だと思っているわけでありますが、市としてこういったデータ分析、またオープンデータ化についてどのようにお考えなのかもお答えいただきたいと思います。 よろしくお願いします。
    ◎総務部長(田所和行君) (登壇) 1項目めのカスタマーハラスメント対策についてに関する再質問についてお答えをいたします。 本市のカスタマーハラスメントへの対応といたしましては、佐世保市不当要求行為等対策要綱や、不当要求行為等対応マニュアルに準じて対応を行っているということは、先ほど答弁したとおりでございますけれども、この中で、不当要求行為に対しては、職員個人ではなく、組織的に対応するため、所属長の責務等について定めるとともに、各部局の政策調整担当課長を不当要求行為等対策員として配置をしているところでございます。 この不当要求行為等対策員は、不当要求行為を受けた場合や受けるおそれがある場合に、該当する所属や職員に対して必要な助言等を行うとともに、必要に応じて当該所属や職員と一緒になって不当要求行為に対処するものとしているところでございます。 また、本市では、不当要求行為に対する統一的な対応方針等を定め、組織的に取り組むため、各部局長で構成される不当要求行為等対策委員会を設置し、不当要求行為の実態把握や不当要求行為が起きている所属に対して必要な助言等を行うことで、職員が孤立して対応することがないような制度としているところでございます。 このように、本市での対応といたしましては、まずは各所属単位で、所属長を中心に対応し、次に部局単位、最終的には市として組織的に対応するような枠組みとしているところでございます。 さらに、職員個人に対しましては、まずは対応マニュアルを職員に周知するという基本的なことを徹底するとともに、現在行っているクレーム対応に関する研修を今後も継続して実施するなど、職員のクレーム対応力の向上に向けた取組も行っているところでございます。 以上のとおり、本市におけるカスタマーハラスメント対策は一定行えているものと認識をしておりますが、一方で、対応が長期化したり、対処が難しいケースも実際には発生しておりますことから、現状の不当要求行為等対応マニュアルや、さきに述べました各種の取組も含め、十分な対応ができているか、あるいは職員が過度に精神的な負担を抱えることになっていないかなどを常に検証しつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。 続きまして、2項目めの、市職員の健康状況把握と対応についての再質問、人事管理におけるデータの分析、活用についての視点からの御質問にお答えをいたします。 本市の人事管理におけるデータ活用の一例として、ストレスチェックの職場ごとの集団分析結果の活用を行っております。 本データは、個人が特定される可能性もあることから、外部等へは非公表としておりますが、集計結果については、部局長や所属長に情報提供をし、仕事の質や量に対しての負担感はどうか、上司や同僚の支援が得られているかどうかという集団分析により明らかにされた職場の傾向を踏まえて、業務改善や組織体制の見直しにつなげているところでございます。 議員御指摘の人事管理に関するデータのいわゆるオープンデータ化につきましては、職員のメンタルヘルスの状況や病歴などのプライバシーに関する情報が多いこと、人事異動歴や担当業務などの職務に関する情報、学歴、家族情報など、データ化されていない周辺情報も関連づける必要があることなど、その実現は多くの課題があるのではないかと認識をいたしております。 議員御指摘のデータ活用分析の趣旨は、メンタルヘルス不調者の発生を未然に防ぐための対策に、過去のデータを活用すべきということであると認識をいたしております。先ほど答弁いたしましたとおり、令和元年度実績から、病気休職者等の状況について全国との比較が一定可能となりましたので、当該調査結果については、調査を重ねることにより、全国と本市の傾向の違いがあるのかないのかという、より深い分析ができるものと考えておりますし、単年度の比較におきましても、本市が全国よりも不調者が多ければ、取組として不足しているものがないか、あるいは他都市が何か効果的な取組を行っているのではないかなどの検討のきっかけとなり得ると思いますことから、そういった視点を踏まえつつ、他都市比較など、統計データの活用については、今後も意を用いて取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆22番(永田秀人君) (登壇) それぞれ御答弁ありがとうございました。 先に2項目めのほうから感想を述べますと、オープンデータ化するにはちょっといろいろと差し障りがあるというのは分かりますので、そうであれば、行政もしっかりこのデータを活用いただきたいと思いますし、全国調査と比較がしやすくなったということがありますので、ぜひ、そういったものを活用していただきたいと思います。 ただ、このカスハラの話もそうですけれども、マニュアル、データがあればいいという話ではないし、市職員が病んでいくという状況をどう食い止めるかというのは、働き手を確保するという視点でもやはり大事でありますが、一人一人の尊厳を守るというのも重要だと思っておりますので、そこについてはぜひ視点を持っていただきたいと思っております。 特にこのハラスメントについては、マニュアルをつくれば万事うまくいくというものではないことは確認できたと思います。しかしその一方で、カスハラについては、対応のまずさからエスカレートしていく部分があるので、そういう予防的な対応、カスハラにならないようにすることがやはり大事だという部分があると思います。一方で、不当要求とかについては、当然、毅然とした対応をしっかりやっていくことも大事であります。こういった部分、例えば、マニュアルと研修でやってきていないと思うのですけれども、このカスハラに特化したマニュアルがないことが果たしていいのかどうかというのは引っかかる。今回、質問について取材する中で、例えば学校などは、保護者から不当な要求があったとしても、保護者はカスタマーではないと、お客さんではないのです。確かにサービスをじかに受けるのはお子さん、児童生徒でありますので、だからカスハラと言えないということもありますとお聞きしたのです。これはあくまでカスタマーという言葉の表現に振り回された、拘泥した考え方だと思いまして、カスハラという言葉にぴったり合うかどうかは別としても、職員個人が負担を感じるのがどうかというのが問題であります。職員個人個人の負担に目を向けて、これはやっていただきたい。そうでないと、カスタマーハラスメントではないということで切り捨ててしまって、対応しない、そんな管理職が出てくる可能性もあると思ってしまうのですね。だからこそ、カスハラという言葉であるけれども、行政の特殊性を踏まえたマニュアルの整備をやはり考えていただきたいと思いますし、今、ちょうど部署によっては新たな基準をつくっていらっしゃるという話がありましたので、そういう個別の取組の中で、対策を磨いていっていただきたいと思います。また、マニュアルをつくって終わりではなくて、きちんと運用できるような意識醸成、研修の定期的実施、こういったものを進めていただきたいと思います。 こういったハラスメントの問題、先ほど東京都の記事が載った長崎新聞には、併せて県議会議員のハラスメント防止条例の話が載っておりまして、そういう意味では、私たち議員の側も、職員に対し変なハラスメントにならないように気をつけなければいけないという自戒を込めまして、この質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。 ○議長(林健二君)  1番柴田英樹議員。 ◆1番(柴田英樹君) (登壇) 市政会の柴田英樹です。通告に従いまして、順次質問を行います。 質問は大きく二つの項目について進めていきたいと思います。 まずは、学校問題解決のためのサポートについて質問を行います。 現在の教育現場は、いじめ、不登校、校内暴力の増加、それに加えて、児童虐待や学校に対する保護者からの過剰な要求など、様々な課題に直面しています。この問題は、情報化が進み、多様化する社会背景の中で複雑化しており、解決が困難になっています。多様性を尊重し、包容することは、社会全体の活力や創造性を高める上で不可欠ですが、異なる価値観の共存は誤解や対立、意思決定の遅延、無意識の偏見、マジョリティーとマイノリティーの格差といった問題を引き起こす可能性があります。学校は、これらの課題を受け入れながら運営を行っており、難しいかじ取りが求められております。 さて、学校で起こる問題の性質は、表面的には単純に見えることがありますが、実際には、その背景には多層的な要因がからみ合っています。教育現場で遭遇する課題はしばしば、児童生徒、教員、保護者、地域社会など多岐にわたる利害関係者の間で異なる視点と期待が交錯することにより、その複雑さが増します。このような状況では、問題解決に向けた糸口が利害関係者によって異なるため、一つの答えを見つけ出すことは容易ではありません。例えば、学校内でのいじめの問題を考えてみます。児童生徒にとっては、友達関係の問題かもしれませんが、教員にとっては、クラスの管理や指導方法の問題、保護者にとっては、子どもの安全と心の健康の問題、学校経営者にとっては、学校の評判や法的責任の問題になり得ます。 このように、同じ問題でも関わる人々の立場によって捉え方が異なり、それぞれが持つ解決策のアイデアも異なります。さらに、教育現場での課題解決は、単に表面的な問題を取り除くことではなく、根本的な原因に対処することが求められます。これは、多くの場合、教育システム、社会経済的背景、文化的価値観など、より広範な要因を考慮する必要があることを意味します。したがって、問題解決には利害関係者間の協力と対話、柔軟性と創造性を持ったアプローチが不可欠です。問題解決の過程で特に重要なのは、利害関係者全員が参加するオープンな対話の場を設けることです。この対話を通じて、各関係者の懸念や期待を共有し、理解を深めることができます。また、異なる視点からのアイデアを統合することで、より包括的で実効性のある解決策を見つけ出すことが可能になります。このプロセスは時間がかかるかもしれませんが、持続可能な解決策には、このような根気強い取組が不可欠です。つまり、教育現場での問題解決においては、答えは一つではないという認識が重要です。多様な価値観と期待が存在する中で、全ての関係者を完全に満足させる単一の解決策を見つけることは難しいかもしれません。しかし、対話と協力を通じて、最も受け入れられる形の妥協点を見つけ、一歩ずつでも前へ進んでいくことが重要ではないでしょうか。 こうした社会背景が複雑化する現代の教育現場における重要な課題を取り上げるとすれば、学校だけで問題が解決できない事象が生じること、また、そうした場合、外部機関との連携が望まれることではないでしょうか。学校内で発生する問題は、前述のとおり多岐にわたります。これらの複雑な問題を効果的に解決するためには、学校単独では対応が難しく、外部の専門機関との連携が不可欠だと考えています。外部機関との連携には、児童相談所、医療機関、社会福祉機関など様々な形態があります。これらの機関は、それぞれ専門的な知識や技術を持ち、学校が抱える問題に対して、より具体的かつ専門的なサポートを提供することができます。例えば、児童相談所では、家庭環境の問題や虐待の疑いがある場合に介入し、子どもの安全を守るための支援を行います。医療機関では、発達障がいや精神疾患が疑われる場合に、診断や治療を行うことが可能です。社会福祉機関では、経済的な困窮や生活支援が必要な家庭に対して、様々な福祉サービスを提供します。外部機関と学校との連携は、単に問題を解決するだけでなく、子どもたちが健全な発達を遂げるための支援体制を整えることにもつながります。また、外部機関との連携を成功させるためには、学校と外部機関が互いに情報を共有し、緊密に協力する体制を構築することが重要だと考えています。これにはコーディネーターの存在や、定期的なミーティングの開催、共同プロジェクトの実施、相互の連絡体制の整備などが含まれます。また、保護者や地域社会とも連携を取り、子どもたちを取り巻く全ての環境が一丸となって支援することがよりよい成果を生み出すのではないでしょうか。 つまり、学校だけでなく、外部機関、保護者、地域社会が連携して子どもたちを支えることで、教育現場の問題を解決し、子どもたちが安心して学び、成長できる環境を提供することができると考えています。 そこでお尋ねいたします。 学校だけでは解決が困難と判断できるような事象が生じた場合、それを解決するための外部機関連携の支援体制は存在するのでしょうか。あるのであれば、その役割と期待される効果を教えてください。 次に、スクールロイヤー制度について質問を続けさせていただきます。 これまで述べてきたとおり、教育現場は複雑化する中で、様々な問題に直面しています。いじめや不登校、校内暴力、さらには、保護者による過剰な要求など、学校内でのトラブルがエスカレートした場合、教員と児童生徒や保護者との間で、法的な問題に発展するケースが生じることがあります。これらの問題は、時に学校運営を著しく困難にしています。 そこで、注目されているのがスクールロイヤーという制度です。スクールロイヤーとは、学校専門の法律家のことで、教育現場で発生する法的な問題に対処するために導入される制度です。この制度により、学校は教育に専念できる環境を取り戻すことが期待されています。佐世保市では、令和元年9月から導入され、運用が行われております。 スクールロイヤー制度が期待される背景には、学校内での問題が複雑化、法的化している現状があります。例えば、いじめ問題においては、被害者やその保護者が学校を相手取って訴訟を起こすケースが出てきています。また、教員による不適切な指導が社会問題化し、これらの問題に対応するためには、専門的な法的知識が必要とされております。スクールロイヤーは、これらの問題に対して、学校側の立場から、法的アドバイスを提供し適切な解決策を模索します。 スクールロイヤー制度を活用することで、教育現場での問題解決に向けた包括的なアプローチが期待できます。特に、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携が模索できると、学校内の様々な問題に対して、より幅広い視点からアプローチすることを可能にします。この3者は、それぞれが持つ専門性を生かしながら、学校で発生する問題に対して、多角的に対応することができます。スクールロイヤーは、学校や教育関係者が直面する法的な課題や紛争に専門的な知識とアドバイスを提供し、学校運営を法的側面でサポートします。 一方で、スクールカウンセラーは、児童生徒一人一人の心理的な問題や学校生活での悩みに寄り添い、カウンセリングを通じて解決策を探ります。また、スクールソーシャルワーカーは、児童生徒やその家族が伝える社会的、経済的な問題に対応し、必要なサポートや資源を提供することで、児童生徒の学校生活や家庭環境の改善に努めます。 このように、それぞれが異なる専門領域を持ちながら、共通の目的である学校内の問題解決に取り組むことができます。このような連携は、問題解決を円滑にし、迅速な解決に貢献するでしょう。また、学校は、問題解決のために奔走し、疲弊する運営から解放され、本来あるべき安全で学びやすい環境を取り戻すことが期待できます。 そこで、本市におけるスクールロイヤー制度について、導入の経緯や活用状況についてお尋ねをいたします。 あわせて、制度導入から5年を迎えているとのことですので、これまでの実績等についてもお伺いをいたします。 また、紛争解決を業とする弁護士、スクールロイヤーには大いに期待したいところでありますが、この制度は、さきに述べた3者連携のような包括的な問題解決に向けた取組を可能にするのでしょうか。例えば、スクールカウンセラーが子どもたちの動きを読み取り、スクールソーシャルワーカーが全体的な問題を洗い出す。そして、スクールロイヤーが連携・協議の上、問題の本質を見極め、解決のための助言を行い、共に解決に取り組むといった活動内容を想像していますが、実際の活動内容、事例があれば教えてください。 以上、1回目の質問を終わります。 ◎子ども未来部長(岡雄一君) (登壇) 1項目めの学校問題解決のためのサポートについて、外部機関連携の支援体制は存在するのかといった質問に対しまして、外部機関の一つであります子ども未来部からお答えいたします。 子ども未来部では、子ども子育て応援センターにおいて、おおむね18歳までの子どもや保護者、関係機関を対象に、子どもに関する総合相談窓口として、福祉、教育、心理などの専門職が様々な悩みを持つ保護者の相談に応じ、児童の健やかな成長の支援に努めております。 議員の御質問にありました、学校だけでは解決が困難と判断できる場合の外部機関連携の支援体制の存在についてですが、本市では子どもをめぐる諸問題に対しましては、同センターが調整機関となり、佐世保市子ども安心ネットワーク協議会を設置しております。この協議会は、児童福祉法第25条の2に基づく要保護児童対策地域協議会の役割を担っており、要保護児童の早期発見や適切な保護を図るため、関係機関がその子ども等に関する情報や支援の在り方などについて共有し、適切な連携の下で対応していくことを目的としております。 その構成メンバーといたしましては、関係機関、関係団体及び児童の福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者と定められており、本市におきましては、小中学校、高等学校、教育委員会も含めた教育、保育会、私立幼稚園協会、医師会、歯科医師会、児童相談所、弁護士会、警察、民生委員・児童委員、学識経験者など、子どもを取り巻く様々な専門機関で構成しております。 本協議会は、要保護児童を早期に発見でき、迅速に支援を開始できること、また、情報の共有化を図り、それぞれの役割分担について共通の理解を得ることなどを目的に、三つの会議で構成する3層構造となっております。 土台となる3層目につきましては、個別ケース会議として、直接関わりのある関係機関の担当者同士が具体的な援助につなげる会議となっています。 2層目につきましては、実務者会議として、事例を通して関係機関の相互意識を高め、対応技術の向上を図る検討会と、警察、児童相談所、市の3者で要保護児童の全件共有を行うといった進行管理会議となっております。 1層目につきましては、代表者会議として、子どもの諸問題について情報交換を行い、実務者会議からの報告を基に、関係機関が協力しやすい体制など、システム全体の検討を行っています。 このネットワークにおける個別ケース会議を活用して、各学校からの要請に応じて、課題を抱えた個々の児童生徒の支援についての会議を開催しているところでございます。 この個別ケース会議の支援対象の具体的な例としましては、「保護者が虐待をしているなど、保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」、あるいは「食事、衣服、生活環境等について、不適切な養育状態にある家庭など、虐待のおそれやリスクを抱え、特に支援が必要と認められる保護者とその児童」、あるいは「出産後の養育について、出産前から特に支援が必要と認められる妊婦」となっております。 このように、当協議会において、個別ケース会議は、課題を抱える子どもの個別の支援を行うためのものでありまして、議員御案内の利害関係者全員が参加するオープンな対話の場といった役割は担っておりません。 最後に、議員御質問の外部連携機関の支援体制に期待される効果についてお答えいたします。 本協議会は、一つ目といたしまして、育児不安、虐待、いじめ、不登校など子どもに関する諸問題についての専門知識の充実・対応技術の向上など、各関係者のスキルアップ、二つ目といたしまして、各関係機関相互の連携強化、より緊密なネットワークの確立、三つ目といたしまして、子どもに関する諸問題の市民の理解・対応を促す意識啓発といった三つを柱に、子どもや子どものいる家庭を地域全体でサポートする風土をつくることをスローガンとしており、学齢期にとどまらず、妊娠期から切れ目のない支援をモットーとしております。子どもをめぐる諸問題は、議員御指摘のとおり、複雑化、深刻化しているところであり、子どもと身近に接する学校現場、保育現場は、その現実を一番感じておられているところであると認識しています。 実際に、個別ケース会議の開催要請の約4割が学校現場からでありまして、本協議会への期待の大きさを痛感しているところでございます。 子ども未来部といたしましては、個々の児童生徒の健やかな成長への支援を念頭に、改めて、子どもを取り巻く外部機関の一つとして、こどもまんなか社会の充実に意を尽くしてまいりたいと考えております。 以上です。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 2項目め、スクールロイヤー制度についての質問の中の、スクールロイヤーの役割、また制度の活用についてお答えいたします。 スクールロイヤー制度は、いじめ、児童虐待、保護者対応など、学校だけでは解決することが困難な事案が発生した場合の学校を支える法務相談体制として、これまでにも文部科学省におきまして、調査研究が進められてきたところでございます。 本市におきましては、学校現場からも、スクールロイヤー制度に一定のニーズと期待の声をいただいている状況にございます。 スクールロイヤー制度の令和4年時点での全国的な整備状況としましては、中核市を含む市町村におきまして、全体の11.3%ということでございますが、本市におきましては、制度の有効性を評価し、他市町に先駆けて、令和元年に制度を導入し、5年目を迎えているところでございます。 本市における事業は、スクールロイヤーに委託し、学校や教育委員会からの要請に対し随時対応していただくもので、業務内容といたしましては大きく二つの業務を依頼してございます。一つ目は、相談業務でございます。いじめ、児童虐待、不当な要求への対応など、種々の相談に対し、法務の観点から助言をいただくことで、問題の長期化・深刻化を回避し、学校の適切な対応を支援するものです。 相談に至る手順といたしましては、学校の相談事に対しまして、教育委員会事務局が情報共有を行った上で、スクールロイヤーとの相談日程等を調整し、学校の管理職や教職員が直接弁護士に相談できる体制を整えております。スクールロイヤーが直接現場の声を聞くことで、事案を素早く把握することができ、迅速な対応につながっております。 相談業務における活動実績でございますが、年度によって相談件数の差異はあるものの、平均いたしますと年間おおよそ20件の相談対応が行われております。スクールロイヤーに問題の早期の段階から関わっていただき、その助言を基に学校が対応を検討し、大きな問題となる前に解消することができたケースがこれまでにも多数ございました。相談を実施した学校からは、「助言により、新たな視点で事案を捉えることができた」「法的根拠を基に助言していただき、その後の保護者対応で話が進めやすくなった」など、相談による成果が報告されております。 スクールロイヤーに委託しております二つ目の業務は、研修に係る業務でございます。学校からの要請を受け、スクールロイヤーが学校等に出向き、講師として研修を行うものでございますが、教職員を対象に、綱紀の粛正や服務規律の確保に関するテーマや、教育に関する法律の適切な解釈に関する内容、また、個人情報保護条例(144ページで訂正)に関する日常的な課題など、学校からのニーズに応じて開催をしております。専門家から得られます法的根拠に基づく多くの示唆は、受講した教職員にとっても貴重な学びとなり、教壇に立つ者としての在り方を改めて見詰め直す機会ともなっております。 受講した教職員からは、「法的な側面から学校の対応を検証することができ、安心感につながった」、「過去の事案や判例を基に学ぶことができ、当事者意識が高まった」などの声が聞かれており、受講後のアンケートにおきましても、高い評価が得られております。 なお、御質問にありましたスクールロイヤー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの3者の連携につきましては、現在、協議を含め、3者が直接的に連携を図る体制はございませんが、スクールロイヤーからの助言を基にいたしまして、教育委員会や学校が必要な機関と連絡を取り合い、連携を図っている状況でございます。 以上でございます。 ◆1番(柴田英樹君) (登壇) それぞれに御答弁をいただきありがとうございました。 一つ目の質問である学校問題解決のためのサポートについて、外部連携機関は存在するとした一方で、いじめや校内暴力など、被害者や加害者といった複数の利害関係者が関わるケースでは、その役割を担わないといったことも、一定理解をいたしました。つまり、複雑化したケースでは、そのネットワークを活用することは難しいということを重ねて認識をいたしております。 それでは、再度質問を続けさせていただきます。 二つ目のスクールロイヤーの質問に関することですが、スクールロイヤー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの3者連携は、問題解決を促進させる重要な要素と考えられますが、今後の制度設計で検討はされますでしょうか。御見解をお聞きします。 以上、2回目の質問を終わります。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 再質問のスクールロイヤーを中心とした3者連携と、今後のスクールロイヤー制度の在り方についてお尋ねがございました。御提案いただきました、スクールロイヤー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの3者連携につきましては、専門性を生かした問題の解決において、他の自治体の実践例もあると伺っているところでございます。現在、学校の支援のために、スクールロイヤーなどの専門家が一堂に会する体制が整っている状況にはありませんが、これまでも、複数の関係機関の対応を必要とする事案におきましては、学校が実情に即して判断し、心理の専門家を養成したり、福祉の立場からの対応にお力添えをいただいたり、また、法の専門家から助言をいただきながら、問題の解決に努めてきたところでございます。 まずもって大切なことは、問題の背景や経緯を一番に把握している学校が、外部関係機関のそれぞれの専門性や役割を適切に判断し、それらの協力を得ながら有効に活用するためのスキルを高めることであろうかと認識しております。 教育委員会といたしましては、スクールロイヤー制度のさらなる充実とともに、そうした学校現場の対応力の向上に寄与するために、丁寧な情報共有はもちろん、制度についての周知徹底、管理職研修の充実など、学校への指導や支援に取り組んでいくことが重要だと考えております。 現在、国の事業といたしまして、議員御提案の体制整備と趣旨を同じくした学校問題を解決することを目的としております「行政による学校問題解決のための支援体制の構築に向けたモデル事業」の審議が進められていると聞き及んでいるところです。今後、その詳細が明らかになってくるものと思われますので、国の動向を注視するとともに、その効果や課題につきましても丁寧に精査し、導入の可能性を含めた研究を進めてまいりたいと思っております。 また、学校がちゅうちょなく相談・依頼することができる体制づくりを目指し、関係機関との連携を強化してまいりたいと考えております。 先ほど、スクールロイヤーに委託しております二つ目の業務の研修の中で、研修のテーマを個人情報保護条例に関する日常的な課題と答弁いたしましたが、正確には個人情報保護法でございました。おわびして訂正させていただきます。 以上でございます。 ◆1番(柴田英樹君) (登壇) 御答弁ありがとうございました。 これまで述べてきましたとおり、多様化が進む現代社会において、社会を取り巻く環境も複雑化しています。だからこそ、多様な知恵が求められるのではないでしょうか。包括的という言葉が示すように、多面的な視点から本質を捉えた活動が必要となってくると思います。表面上だけの協議や対応では問題の本質を捉えることは難しく、解決には至らないことは容易に想像ができます。求められる素養は、同じ問題意識を共有し、真摯に取り組む姿勢です。これが子どもたちを安定した教育環境へ導く道となるのではないでしょうか。私も、解決に向けての協力は惜しみませんので、共に解決に向けて取り組んでまいりたいと思います。 以上、意見を述べさせていただき、私の質問を終わります。 ○議長(林健二君)  暫時休憩いたします。     12時06分 休憩     13時30分 再開 ○副議長(久野秀敏君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 個人質問を続行いたします。8番甲斐義博議員。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) 自民党市民会議の甲斐義博であります。本年度4回目の質問をさせていただきます。 毎年この季節になると花粉症に悩まされて、この個人質問を考えている最中も頭がぼうっとする中で質問内容を検討してきました。 さて、私の大学同期で1年生の頃、同じ部屋であった元陸上自衛官の友人は、現在、石川県のとある町の危機管理監として勤務しており、また、私が総監部勤務時の元部下の女性は、現在、石川県内の市議会議員として、自宅は被災しながらも、それぞれ市民、町民のために寸暇を惜しんで復旧・復興に向けて頑張っています。 そこで、1項目めは、能登半島地震等の教訓に関する質問です。 まずは、本年1月1日に発生しました能登半島地震でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々が一刻も早く元の生活に戻ることができるよう願っております。 さて、能登半島地震に関連する報道を見ていますと、高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、その他の特に配慮を要する方、いわゆる要配慮者の避難所での避難の困難さに関する報道が目につきます。東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、犠牲者のうち障がい者の占める割合についても、被災住民全体のそれと比較して2倍程度に上ったと言われています。また、近年の災害においても、高齢者や障がい者が犠牲となっております。 災害における全体の死者のうち、65歳以上の高齢者の割合は、令和元年台風第19号では約65%、令和2年7月豪雨では約79%でありました。また、障がい者の避難が適切になされなかった事例もあったそうです。高齢者や障がいを持った方など特別な配慮が求められる方々にとっては、直接の被害だけでなく、必ずしも生活環境が十分に整備されたとは言えない避難所で、長く生活することを余儀なくされた結果として健康を害し、復旧・復興に向けての生活再建フェーズへの移行に困難を生じているケースも見られるそうです。 こうしたことを踏まえ、福祉避難所の確保・運営ガイドラインが平成25年8月に制定され、以後、改定、修正が加えられました。今般、令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ最終取りまとめにおいて、福祉避難所の受入れ対象者をあらかじめ特定して公示すること等について指摘を受け、指定福祉避難所の受入れ対象者等の公示制度に関わる災害対策基本法施行規則の改正を踏まえ、福祉避難所の確保・運営ガイドラインが令和3年5月に改正され、災害時に要配慮者へのよりよい対応を実現することが期待されています。 阪神・淡路大震災を経験している神戸市では、大規模災害が起こったときに特別養護老人ホームなどの施設運営者が、自主的に基幹福祉避難所を設けており、これは神戸市全区に整備されているそうです。 そこで、佐世保市における障がい者を含む要配慮者及びその家族等の避難の現状等についてお伺いします。 次に、佐世保市にも後援をいただきました「ごちゃまぜ防災」クロスロードゲームが、先月、長崎国際大学で行われ、私も一スタッフとして参加しました。これは、年齢や職業、立場や性別などを制約せず、多様な人で防災・減災について考える機会を提供することを目指し、防災士の方々が中心となり、長崎国際大学の先生や学生、社会福祉協議会等、多くの方の協力により行われました。 当初、99名程度の参加者数を目標としましたが、議員を含む多くの市民の方に参加をしていただき、百三十数名もの方が参加され、防災グッズや非常持ち出し袋の展示等もあり、盛況裏に終わりました。主催者の方は、今後もいろいろな場所で計画していきたいと申していますので、佐世保市のほうも引き続き協力をよろしくお願いします。 さて、クロスロードゲームとは、阪神・淡路大震災で災害対応に当たった神戸市職員へのインタビューを基に作成されたカードゲーム形式の防災教材であり、あなたはこんなときどうしますかという質問に対し、イエスかノーで答えなければならず、どちらを選んでもいずれかの犠牲を払わなければならないようなジレンマが多数あり、自分なりの理由を考え、イエスかノーどちらか1枚のカードを選択します。グループ内でカードを選んだ理由をそれぞれ発表し、十人十色の多様な価値観に出会うことができ、自分では思いもつかないような様々な意見や考えを知ることができます。 その中の質問の一つに、「あなたには家族同然にかわいがっているペットの犬、大型犬がいます。ある日、線状降水帯の発生により豪雨災害が予想され、災害警戒区域に住んでいるあなたは避難所に避難しなければなりません。あなたはペットを連れて避難しますか」という問いがありました。私のグループは、1名を除きイエス、「ペットを連れて避難する」との回答でした。 ノーと答えた方の理由は、犬アレルギーがある方の迷惑になるからといった答えで、若い方でしたが、他人への迷惑も考えるしっかりした方だなと思いました。 イエスと答えた方の理由としては、家族同然のペットだから当然連れていくとか、置いていった場合、首輪が離れたりして野生化し、最近も事件が起きましたが、人にかみついたりする可能性もあり、人の迷惑にならないよう連れていく。車の中ででも避難させるといった意見が出されました。確かに東日本大震災では、特に福島においてペットや家畜が野生化した問題が生起しました。 イエスと答えた私は、ペットを連れて避難できる避難所があるので、そこに連れて避難すると回答し、そういった避難所があることを知っているかグループ内に尋ねたところ、知っている方は10人中3人のみでした。このペット同行可能な避難所は、災害発生時、犬や猫などのペットの飼い主が、ペットがいるからという理由で避難をためらったことによる被災を防ぐため、市内4か所の地区コミュニティセンターで、一般の避難者に加えて、ペットとの同行避難も受け入れているそうです。このペット同行避難の現状及び問題点等についてお尋ねします。 次に、東日本大震災や能登半島地震等の大規模災害時には、災害対応の要となるべき佐世保市の各施設や、災害対応に従事すべき職員が被災し、さらに、職員が出勤できないといった状況となる可能性は到底否定できないものと推察します。去る1月1日に発生した能登半島地震においても、行政職員や福祉施設等の職員の多くの方が被災され、それぞれの機能低下が顕著なものであったと報道されています。このような事態は、特に大規模地震の発生時に多く認められますが、大雨による河川の氾濫、洪水にあっても同様に想定しておく必要があります。 能登半島にあっては、令和5年奥能登地震がゴールデンウイーク真っ只中の5月5日、また、令和6年能登半島地震が正月・元日に発生するなど、行政機能が停止している期間を狙ったかのように発生しました。この立て続けの事態について、着眼しないわけにはいきません。教訓にして、いざというときに備えなければなりませんが、佐世保市として職員の被災に伴う災害対応の初動への影響、特に情報収集体制についてどのように考えているか、その対策も踏まえてお尋ねします。 次に、災害対応の要となる消防については、災害対応を行う組織であり、災害が発生すると現場に出動し活動することになります。この現場で活動していただくことになる消防団員の方々も被災する可能性があります。消防団員の人員確保の方策についても大きな問題と考えておりますが、この問題は、明日、田中議員から個人質問がなされると聞いておりますので、私のほうからは質問いたしません。 さて、現場の状況が市民からの通報では判然としない場合でも、消防隊や消防団が現場に出向ければ、消防無線や携帯電話を使用して状況の報告や情報の伝達が正確に行われるものと思います。能登半島地震のように大規模な災害が発生すると、携帯電話がつながりにくくなることは報道等でも伝えられているとおりです。携帯電話が使えないような状況でも確実に使用できる情報伝達手段は、消防無線であると思っています。しかし、中継局等が地震で倒壊して機能が失われた場合や、停電が発生し、それが長時間に及ぶ場合なども想定されます。 そこで、現在の消防隊及び消防団の情報収集体制と大規模災害が発生した場合の通信機能が維持できる対策ができているのかをお尋ねします。また、能登半島地震等の大規模震災で、消防のシステムが使えなくなった事例があったのかも併せてお伺いします。 次に、2項目めは太陽光発電システムについての質問です。 太陽光発電システムに関しては、私個人としては、賛成でも反対でもありません。防災上は避難所や個人宅等にあれば、停電時に有用ですが、逆に台風、豪雨災害や地震による被害等の問題も生起しており、能登半島地震でも多くの太陽光パネルの被害が確認されています。やはり、太陽光発電システムは避難所等の適当な場所に適当な数だけ造るのが肝要であり、太陽光パネルによって景観が損なわれたり、災害が引き起こされることは問題であると考えます。 そこで、太陽光発電システムの火災発生時どのように対処するのか、製品寿命や被災等により使えなくなった際の廃棄処分はどうするのか、今回はこの2点について質問しようと思います。 我が国においては、平成23年に発生した東日本大震災における原子力発電所の事故を契機に、再生可能エネルギーの普及について改めて注目されているところです。人々の生活に欠かすことができない電力ですが、従来の化石燃料による発電から風力、火力、地熱、潮流など様々な形態での発電に取り組まれています。その中でも、特に太陽光発電は、環境に対する特性と関連技術の向上が図られ、公共的な施設はもとより、一般住宅においても急速に普及が進んでいることは御承知のとおりです。 この状況は全国的な動向と同じく、佐世保市においても顕著に見られるところであり、多くの建物に太陽光発電システムが設置されるほか、メガソーラーシステムの設置なども検討が進められています。さらには、東京都、京都府、川崎市などにおいては、一定規模以上の建物に対しては、太陽光発電システムの設置が義務化されるとの報道もなされており、その動向に深く注視しているところです。 このような社会的状況の中、2019年9月には千葉県のため池、山倉ダムの水面にある千葉・山倉水上メガソーラー発電所が、台風第15号の強風の影響でフロート架台が折り重なるように損壊し、その複数箇所から発火しました。 また、本年1月13日には和歌山県において、山林に設置されたメガソーラーが焼損する事故が発生したとの報道がなされております。この火災に対しては、出動した消防隊員が感電による危険に相対しながら、消火活動に当たったと聞き及んでおります。 太陽光パネルは、破損しても光が当たることにより発電を継続するという特性があると認識しておりますが、システムを設置した建物の火災や、発電システムそのものの火災に対しては、一般的な火災にも増して注意を払いながら、消火活動を実施する必要があると考えているところです。 太陽光発電システムが関係する火災は、燃焼の性状や適した消火方法、さらには、消防活動上の危険性など特異性があり、その事故事例や情報がいまだに少ない状況にあると思われます。技術の進展とともに普及が進んでいる太陽光発電システムですが、この普及の足取りに対して、有事の際における安全かつ効果的な対応策が確立されているかについて改めて確認する必要があると考えます。 また、火災が発生した際の太陽光発電システムの危険性について、一般市民が十分に理解しているとは言い難いのが現状ではないでしょうか。その普及啓発についても検討を進める必要があると考えています。 このような状況を踏まえて、次の三つの点についてお伺いしたいと思います。 まず、1点目として、太陽光発電システムが関係する火災の発生状況はどのようになっているのでしょうか。また、具体的な火災の状況など、その原因についてお示しいただきたいと思います。 次に、2点目として、太陽光発電システムが関係する火災が発生した場合、消防局が現時点で認識している消防活動上の留意事項や課題、さらには、それらを踏まえた対策について伺います。 最後に、3点目として、太陽光発電システムが関係する火災における一般市民に対する注意喚起や啓発、その他の安全確保について、消防局の取組やお考えを伺います。 次に、太陽光発電システムの製品寿命は、メーカーや設置状況、使用状況により違いはあるものの、おおむね20~30年だとされています。 そのため、2012年の固定価格買取制度(FIT)開始後に始まった太陽光発電事業は2040年頃には終了し、その際、太陽光発電設備から太陽光パネルを含む廃棄物が大量に出ることが予想されています。今後、太陽光発電システムが壊れて放置されたりするのではないか、太陽光パネルに含まれる有害物質が流出、拡散されるのではないか、そして、太陽光パネルの最終処分場が逼迫するのではないかといった懸念もあります。 そこで、太陽光発電システムの廃棄処分の現状と今後についてお伺いします。 以上で、1回目の質問を終わります。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 1項目めの能登半島地震等の教訓についてのうち、1点目の障がい者及びその家族等の避難について及び2点目のペット同行避難についてお答えいたします。 まず、1点目で議員から御案内ございました福祉避難所についてでございますが、高齢者や障がい者、その他の特別な配慮を必要とする要配慮者を受け入れるための設備、器材、人材を備えた避難施設のことで、本市におきましては、これまで高齢者施設36か所及び障がい者施設6か所の計42の事業所と協定を締結しており、災害時において、身体的な理由などから一般避難所での生活が困難な方の二次避難施設として、スペースや介護の提供について御協力をいただくものとなっております。 運用といたしましては、まず、災害警戒レベル3に当たる高齢者等避難が発令された際に、一般避難所の開設と併せ、福祉避難所についても協定を締結した事業所に対し速やかに連絡をし、開設の依頼を行っております。その後、一般の避難所では生活が困難な方について、福祉避難所の利用に関し、相談、問合せ等をいただき、保健師によるスクリーニングを通じて施設とのマッチングを行い、受入れ可能な施設を御案内しているところでございます。議員御指摘の事案のような避難が必要とされる方の心身の状況により、他の避難者との共同生活が難しい場合におきましても御相談に応じ、福祉避難所との調整、マッチングは可能でございます。 なお、これまでの福祉避難所の利用実績といたしましては、令和元年度は3名、令和2年度は2名、令和3年度は1名、令和4年度以降は問合せ自体はあっておりますものの、実際の利用までには至っていない状況であります。これは、平常時から利用されているショートステイの施設等において受入れが可能であったり、御親族の支援を受けられた等の理由によるものと考えております。 また、議員御案内のとおり、令和3年5月に改定されました国の福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、福祉避難所となる施設の人的・物的体制の整備によって、福祉避難所への直接避難の促進を図ることが示されております。しかしながら、本市が協定を締結しております施設等におきまして、現時点で福祉避難所への直接避難を可能にした場合、想定を超える数の要配慮者が避難された場合や、感染症の対策の面など施設側の受入れ体制についても十分に留意しながら対応する必要があるものと捉えております。 このような中、直接避難の実現に資する一つの取組といたしましては、福祉避難所となっている施設に対し、より一層の協力・連携をお願いしつつ、今後実施予定の災害時の個別避難計画の作成を進めるに当たって、福祉避難所への避難が必要な要支援者と受入れ可能な施設との事前のマッチングを行い、その旨を同計画に明記をし、支援関係者間で情報を共有していくなど、福祉避難所への直接避難が可能となるような有効策について検討を重ねる必要があると考えております。 また、要支援者の受入れに早期に対応できる避難所として、全国に先駆け神戸市が独自に取り組んでおられます基幹福祉避難所について議員から御紹介いただきました。こうした取組につきましても、主な担い手となる民間の福祉施設などの御理解、御協力が不可欠となりますことから、本市におきましても福祉避難所の体制強化に向け、関係する機関や団体との連携・協働をより深めながら、先ほど申し上げました具体的な方策の検討など、鋭意対応してまいりたいと存じます。 次に、2点目のペット同行避難についてお答えいたします。 議員御案内のペットの同行避難につきましては、過去の震災で一旦避難した飼い主の方が、ペットを避難させるために自宅に戻られた際に災害に巻き込まれた等の事例を踏まえ、飼い主の方が家族同然と思われているペットと共にちゅうちょなく避難していただくことで、飼い主の方々はじめ市民の安全確保につなげることを趣旨としてございます。 本市におきましては、地元住民の皆様並びに関係団体の御理解と御協力の下、令和3年度からペット同行避難所を計画的に確保してきておりまして、佐世保市地域防災計画に位置づけられる避難所において、施設的な要件や地域バランスを考慮した上で、現在、世知原地区、清水地区、三川内地区、山澄地区の各コミュニティセンターの4か所で開設をすることとしております。 このペット同行避難所におきましては、飼い主の方が準備したケージに入れた状態で管理をされているものであれば、犬や猫のほかウサギやハムスターなどの小動物についても受入れ対応することとしておりまして、ペットの鳴き声や臭い、他の避難者の動物アレルギー等に対する配慮として、施設内において一般の避難者とは一定離れた場所に必要なスペースを確保するとともに、ケージに入れられない場合は屋外に係留していただくことにしております。 また、避難所内にはペット用の備蓄品等がございませんので、飼い主の方には、餌、薬、ペットシーツなどの準備や排せつ物等の処理、発生したごみの持ち帰りについてお願いをしているところでございます。 これまでのペット同行避難所における受入れ実績としましては、令和3年度は避難所を4回開設する中、三川内地区コミュニティセンターで猫1頭、清水地区コミュニティセンターで犬1頭、令和4年度は避難所を3回開設する中、三川内地区コミュニティセンターで猫3頭、清水地区コミュニティセンターで犬2頭と猫1頭、山澄地区コミュニティセンターで犬2頭と猫4頭、小鳥1羽、令和5年度においては避難所を1回開設する中、山澄地区コミュニティセンターで犬1頭となってございます。 今後もペット同行避難をめぐる状況変化等を注視していく中で、他の避難所も対象とした現地調査や地元関係者との調整等を通じまして、施設的な要件や地域バランスも考慮しながら、必要に応じて受入れ施設を増やすなど計画的な確保を図ってまいりたいと考えております。 また、ペット同行避難所を必要なときに安心して利用していただくためには、日頃からのペットの基本的なしつけや体調管理、ケージに慣らしていただくなど、飼い主の方々の平時からの準備も肝要となりますことから、災害時の備えとしてのペットへの対応も含め、開設に関する情報や利用に係る案内についてさらに周知広報を行い、災害発生時において飼い主の方々のちゅうちょない避難につなげられますよう、引き続き努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◎防災危機管理局長(山元義崇君) (登壇) 1項目めの能登半島地震等の教訓についてのうち、行政職員の被災による機能低下時の現状と問題点及び対策、また、初動の情報収集体制等の警戒・対策本部に関する部分について私からお答えいたします。 議員御提示の大規模災害発生時における被災に関しては、行政も例外ではなく、これに伴います庁舎の被害や職員の被災などによる行政機能の低下、また、災害対応に従事する職員の体制整備についての問題点は、これまでの被災自治体の状況を見ても大変憂慮される事態であると捉えております。また、特に発災直後が混乱と人員不足のピークとなる時間帯であるものと、特段の受け止めをいたしているところでもございます。 このようなことから、大規模災害の発生により行政機能が低下する中にあっても、できる限り市民の生命、身体及び財産を保護し、かつ迅速な災害応急対応の開始も図ることができるよう、他市の事例などを踏まえた佐世保市業務継続計画・受援計画を令和4年3月に策定し、業務継続能力の向上を全庁的に図っているところでございます。 どのような状況においても、情報収集や避難所開設など初動対応の迅速な開始が求められることを受け、本市が昨年6月に導入した災害情報共有システムには、震度4以上の地震発生時における参集対象職員に対するメールの自動発信機能、さらに、震度5弱以上の場合には、この機能に加えて対象職員の被害状況と参集の可否、参集に要する時間についての回答項目を追加しており、行政機能の維持を図るために重要となる職員それぞれの災害対応の可否について、状況把握が可能となっております。 さらに、迅速に参集ができた職員により、少ない人数でも災害対応を開始し、行政としての機能を働かせていく必要があることから、それぞれの対策部ごとに本計画を補完・具体化していくといったところで、各種マニュアルの整備も適宜行っております。 例えば、防災危機管理局においては、避難施設ごとの開設手順を示した避難所運営マニュアルというものを作成しておりますが、この内容は、資機材の配置場所や貸出要領、対策本部と避難所相互間における情報伝達要領など、初めて対応する職員であっても一目で理解、実行できるような書き込みとなっております。 このように各部局が必要となるマニュアルの策定と都度の更新を行い、業務継続へ備えるとともに、災害発生時の道路破損等によって本来の勤務地への参集が不可能な場合には、アクセス可能な各支所等において災害対応業務に従事することなどの臨機応変な対応をもって、総合的に各対策のバックアップを図っていく考えでございます。 しかしながら、議員から御心配いただいておりますとおり、年末年始やゴールデンウイーク等の期間などは、市内に残留している職員が通常よりも少ないといった状況も想定されることから、各部局の連携も念頭に、今後さらに計画・マニュアルの深化と、その実行に向けた人材の育成に努めてまいりたいと考えるところでございます。 次に、被災状況に関する初期の情報収集についての御質問ですが、テレビやラジオなどメディアからの情報収集のほか、消防・救急等の応急救護活動を担う実動部隊からの積極的な情報提供なども発災初期の有力な情報元となり、このほか要配慮者等の状況に関しましては、人海戦術によるプッシュ型の情報収集を行っていく必要もあると考えております。 また、令和5年3月から運用されております長崎県の防災情報システムや、国などが自治体等の災害対応を支援する「ISUTサイト」といった災害情報収集機能では、市民等がソーシャルメディア上に投稿した災害や事故の状況、道路・河川カメラの情報などを地図上に示すことが可能となっております。これによって、リアルタイムでの被害状況の可視化が図られ、現地へのアプローチが困難な被災が顕著な区域に関する情報収集対策に大変有効なものであると捉えており、積極的な活用を行っていきたいと考えております。 以上でございます。 ◎消防局長(坊上選君) (登壇) 1項目めの能登半島地震等の教訓についてのうち、行政職員の被災を想定した対策の中の、議員御質問の消防隊及び消防団隊による情報収集並びに通信維持の体制についてお答えいたします。 現場状況の収集は、消防隊に配備している携帯電話で写した映像や画像を消防局で確認し、通話と併せて詳細に情報を収集しております。しかしながら、大規模地震が発生しますと、通信のふくそうにより、携帯電話での情報収集が困難となることが予想されますことから、消防局では消防救急デジタル無線の運用として、消防隊及び消防団隊に無線機を配備し、消防局指令課と中継局を介して交信する無線体制を整えております。 地震の規模によりましては、無線中継局等が倒壊することも危惧されますが、建設時の仕様では、国土交通省が示します通信鉄塔設計要領に従って設計されておりますことから耐震基準を満たしており、一定の安全性が確保されている状況でございます。仮に、中継局の無線機が破損し、通信機能が断たれた場合においても、移動式の無線機を電波の到達が良好な場所に配置し、無線局同士の直接通信により交信ができる対策を取っているところでございます。 無線の基地局及び中継局の電源につきましては、通常時は商用電源を使用しておりますが、停電が発生した際には、基地局及び中継局に備付けの非常用発電機により電源を確保いたします。この発電機は、燃料を補給することで継続的な使用が可能ですので、停電による影響はございません。 また、今回の能登半島地震により消防のシステムが使えなくなった事例があったのかというお尋ねにつきましては、消防のシステムダウンはなく、運用されたという状況でございます。 次に、2項目めの太陽光発電システムについてのうち、太陽光発電システム火災時の消火要領等についてお答えいたします。 まず、1点目の太陽光発電システムに関する火災の発生状況でございますが、本市では幸いにして、同システムから出火した火災は発生しておりませんが、全国における近年の状況を見ますと、総務省消防庁の情報では、令和3年は火災の実績はなく、令和4年に6件、令和5年に9件の火災が発生している状況でございます。 出火原因としましては、太陽電池モジュール、いわゆる太陽光パネルの製造過程における不良箇所によるもの、また、何らかの原因で太陽光パネルのガラス等が損傷したことにより内部が異常に高温となり発火したもの、その他、配線を小動物がかじり、むき出しとなった銅線からのスパークにより発火したものなどが挙げられております。 製品の不良による事例もある中で、太陽光発電システムが盛んに設置されるようになり約10年が経過していますことから、経年劣化による機器の不具合等により出火している事例が増加傾向にあることが懸念されるところです。 次に、2点目の太陽光発電システムに関係する火災における消防活動上の留意点と課題及びそれらを踏まえた対策でございますが、このシステムが設置されている建物火災に対しましては、発電システム特有の危険性を十分に理解した上で、特段の注意を払いながら消火活動を実施する必要がございます。 この件に関しましては、平成25年3月に総務省消防庁から全国の消防機関に対し、太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について情報提供がなされております。 その具体的な内容としましては、まず、火災時における太陽光発電システムの特徴として、一定以上の光が存在すれば発電し続けるため、外部から発電を停止することが困難となり、夜間であっても火災によって生じる炎の光で発電する可能性があることが示されております。 また、消火活動時の危険性として、放水する際は水を伝って感電するおそれがあることや、配線が切断されて建物に触れている場合、金属の柱などを伝って電気が流れており、屋根の上など高い場所での活動中に感電し、致命的な症状に至らなくともその衝撃で転落し、事故等につながりかねないこと、さらには、火災の影響により建物の屋根などがもろくなると、太陽光パネル自体の重さで落下する危険があることなどが示されているところです。 このように、消火活動に感電や転落事故のリスクがある中で、電気的な活動障害がどの程度存在するのか迅速に判断できないことが、安全管理上の課題となっております。 これらを踏まえて、消火活動の際には消防隊と電気事業者との連携により、安全な活動が実施できる体制を構築するとともに、感電を防止するための適切な放水方法の選択、絶縁性の高い手袋などの装着、危険を回避するための活動区域の制限並びに建物の倒壊等に対する監視体制をより一層強め、安全管理を徹底した活動を行うこととしております。 最後に、3点目の市民に対する注意喚起や啓発につきましては、太陽光発電システムが設置されている建物が火災になった場合には、感電や太陽光パネル等の落下の危険性があることから、火災通報を受けた段階で消火器など適切な手段による初期消火を促しますとともに、消火が困難な場合にはちゅうちょなく直ちに避難することなど、有事における適切な行動を取っていただくよう努めてまいります。 また、全国の火災事例などの情報を踏まえ、機会を捉えて太陽光発電システムに関する火災の危険性についても御紹介し、市民の皆様へ防火意識の普及啓発を図ってまいります。 ◎環境部長(吉田敏之君) (登壇) 2項目めの二つ目の質問、太陽光発電システムの廃棄処分等については、私から答弁させていただきます。 太陽光発電システムの普及は、再生可能エネルギーの利用拡大という観点から非常に有意義ですが、議員御案内のとおり、太陽光パネルの廃棄に関する課題も浮き彫りになってきています。太陽光パネルを廃棄する際には、家庭用も含め電気工事の専門家によって撤去、解体されるため、基本的には産業廃棄物として処理していただく必要がございます。 なお、太陽光パネルの製品素材には、鉛やカドミウムなどの重金属が含まれている場合があり、これらの有害物質が適切に処理されなければ、環境や人の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため、最終的には埋立処理が必要となります。 そして、廃棄されるパネルの総量は、ピーク時には産業廃棄物の全体の約6%を占めると推計されており、最終処分場の逼迫や将来的な不足が懸念されているところです。 そこで環境省は、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインや、再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題についてなどの指針を策定、周知し、太陽光パネルのリサイクルや適正な廃棄物処理を促すことで、循環型社会の形成につながるよう取り組まれています。 その上で、将来の太陽光パネルの大量廃棄に備え、リユースやリサイクルの促進、実効性のある適切な処理方法の確立に向け、新たに認定制度が創設される見通しとなっております。この制度では、太陽光パネルはアルミフレームやガラスのほかに、バックシートに金属やプラスチックが含まれており、これらは精錬業者によりレアメタルの抽出やプラスチック、シリコンの熱回収が可能なため、これに取り組む事業者を国が一括認定することで広域的に処理を可能とし、リサイクルした後の素材は、製造メーカーに販売、循環することで、二酸化炭素削減への貢献も期待されているところです。 一方、経済産業省は、太陽光発電事業者が事業終了後に設備を放置したり、不法に投棄することを防ぐため、10キロワット以上の設備を有する事業者に対し、将来廃棄する際の費用を積み立てさせ、適正に処理される制度を創設され、この制度では、事業者は解体費相当分を外部機関に積み立て、設備の解体完了を経済産業省が確認した後、この積立金が事業者に戻されるというものです。 このように、太陽光パネルの設置から廃棄に至るまでのプロセスについて、環境省や経済産業省は、環境への影響を最小限に抑え、再生可能エネルギーの持続可能な利用を促進することに重点を置き、事業者や家庭用における太陽光パネルの利用に関して適切な管理と処理を推進されているところです。 今後、環境省や経済産業省では、将来出てくると想定される廃棄物の量や、リサイクルや廃棄処理の費用、リサイクルされた材料の需要動向などを把握し、リサイクル制度の必要性について検討が進められているところです。 基本的には産業廃棄物でありますので、事業者が適切に取り組まれるものですが、国の動向にも留意をしながら、産業廃棄物の適正な処理につきましては、従来どおり監視、指導に引き続き取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) それぞれについて、御答弁ありがとうございました。 2項目めの太陽光発電システム関連については、意見として申し上げますと、太陽光発電システムの火災に関する件については承知しましたが、先ほども申し上げたとおり、本年1月に和歌山県で起きた山林火災でメガソーラーが焼けた際、消防士が感電の危険に遭いながらも消火活動に当たっていることが分かっています。教育・訓練を受け、装備も万全である消防士でも感電の危険性があります。護衛艦でも火災が発生した場合には、その区画の電路を管制して、消火活動を行う隊員が感電しないように留意しています。太陽光発電システムにおいては、発電を続けている限り電路の遮断はできないと思いますので、消防士の安全を第一に考えるようにお願いいたします。 次に、太陽光発電システムの廃棄処分についてですが、問題は廃棄されずに放置された太陽光パネルです。そこで子どもたちが遊んで感電することがあってはならないということです。 能登半島地震では、太陽光パネルの被害を受け、経済産業省は1月2日にSNSで被災地に向け、太陽光パネルは破損した場合でも日の光が当たると発電をする可能性があるため、むやみに近づかないようになどと感電のおそれを注意喚起しています。 また、空き家に関する問題--今はまだ太陽光発電システムを設置した空き家は少ないと思いますが、少子高齢化が進むと、太陽光発電システムを取り付けたままの空き家が増えてくるかもしれません。 答弁にありましたとおり、経済産業省が取り組んでいる事業用太陽光発電には、利用者による廃棄処分の規定まであるようですが、それと同じように、太陽光パネルを設置する個人に対する廃棄処分の規定も国として早期に規定してほしいものです。 1項目めの行政職員の被災を想定した対策については、過去の大震災を顧みても、どのような被災状況になるのか全く想像ができません。大変難しい問題です。特に初期段階での人命救助においては、共助によるものも重要ではありますが、公助にしかできない情報収集、人命救助も当然あります。一定の行政の体制が整うまでに、特に消防等による情報収集、人命救助は重要であると考えますので、消防隊員自身の被災の可能性もあり、人が少なくなる中で大変だとは思いますが、よろしくお願いします。 以上で意見を終わり、1項目めに関して障がい者及びその家族の避難に関しては、再質問をさせていただきます。 福岡市では、一般の指定避難所に福祉避難室を設ける取組を行っています。この福祉避難室とは、専門性の高いサービスは必要とせず、避難所での生活に困難が生じる高齢者や障がい者などに特別に配慮した部屋を学校などの指定避難所内に必要に応じて開設するもので、福岡市の地域防災計画の修正案に盛り込まれたものです。 内閣府の福祉避難所の確保・運営ガイドラインでも、一般の指定避難所における要配慮者スペースの確保等について追記されましたが、佐世保市での対応状況についてお伺いします。 以上で、2回目の質問を終わります。 ◎防災危機管理局長(山元義崇君) (登壇) 避難所における要配慮者スペース確保に関する再質問でございますが、議員から御提示いただきました、福岡市における一般の指定避難所の福祉避難室といった区画について、本市における対応状況をお答えいたします。 本市においては、現在145か所を災害対策基本法に基づく指定避難所として指定をしておりますが、いずれも福祉避難室として明確に位置づけている区画はございません。 御案内いただきましたとおり、令和3年5月に内閣府が改定した福祉避難所の確保・運営ガイドラインにおいて、一般避難所における要配慮者スペースの確保等、必要な支援について追記されており、本市においても御本人や同伴者のお申出を受け、避難所従事職員の状況判断等により、適宜可能な範囲で別区画提供の対応を図っておりますことから、福岡市における福祉避難室の取扱いに一定準じる運用と考えておりますが、施設の種類によっては、パーティションでの仕切りによるスペースの確保にとどまる避難所もございます。 このようなことから、配慮を要する方への対応には、この福祉避難所の確保・運営ガイドラインを踏まえ、できる限り負担を軽減できるよう検討を重ね、柔軟かつ親切な避難所運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆8番(甲斐義博君) (登壇) 再質問に対する御答弁ありがとうございました。 1項目めについて意見として述べますと、被災者の心身の負担が原因で亡くなる災害関連死のうち、発災時に障害者手帳を持っていた人の割合が、東日本大震災で21%、熊本地震で28%でした。障がい者は人口の9%ほどとされていますので、そのリスクは際立っています。 一方、ペットの同行避難についてもケージに入れない大型犬等は、豪雨の中でも屋外につながれます。佐世保市で指定されている4か所のペット同行可能な避難所のうち、風雨をしのげる場所があるのは1か所のみだと思います。アレルギーのある方のことを考慮しなければなりません。 市長の99の政策、48項目めには、「廃校校舎など遊休化した行政資源の効果的な活用」とありますが、小中学校の再編等に関わる空き校舎の利活用に際し一案を述べますと、通常は福祉関係の団体等に入って活用してもらい、災害時には自閉症やパニック障がい、その他の障がいを抱える子どもさんとその御家族専用の避難所に、また、妊産婦の方や乳幼児等とその御家族専用の避難所、そして、完全バリアフリー化した障がい者専用の避難所と、それぞれ専用の避難所にすることや、ペットアレルギーのある方を考慮し、一般の避難者とペット同行避難者を完全に分けることを目的として、通常は動物愛護団体等が入り、屋内ドッグランや猫の遊び場等が整備されたペットと同行避難する者専用の避難所が造れるとよいかと考えます。関係者で御検討いただければと考えます。 以上、意見とさせていただきます。 最後に、市長にお伺いします。市長の99の政策、58項目めに、「災害時要支援者の把握と誰一人取り残さない防災体制の構築」を掲げていますが、要配慮者への支援に関して、市長としての総括的な所見をお願いします。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 甲斐義博議員の再々質問、能登半島地震等の教訓について、要配慮者への取組に対する私からの所見ということでございますので、お答えをさせていただきます。 御案内のとおり、私は市民目線の行政を実現するための99の政策の中で、「災害時の要支援者の把握と誰一人取り残さない防災体制の構築」を掲げ、要配慮者も含め誰もがいつでも安心して暮らせるまちづくりの推進を図っていくこととしており、この強い思いは議員と同じくするところでもございます。 改めて、要配慮者の立場に立ち、寄り添う観点から、今後は真に支援が必要な方と支援関係者を可視化し、実質的につなぎ合わせるという意味で有効な取組でございます避難行動要支援者のための災害時個別避難計画の段階的・計画的な作成を進めていくとともに、議員御紹介の先進他都市の事例等も参考にしながら、本市における防災対策のさらなる強化を図ってまいりたいと考えております。 ○副議長(久野秀敏君)  13番小田徳顕議員。 ◆13番(小田徳顕君) (登壇) 日本共産党の小田徳顕です。 通告に従いまして、質問を行います。 1項目めの包括的性教育について伺います。 包括的性教育とは、従来の性や生殖などにとどまらず、ジェンダー平等や性の多様性、自己決定能力などを含む人権尊重を基本とした性教育のことで、2009年にユネスコなどによって作成、編集された国際セクシュアリティ教育ガイダンスの内容に基づいています。 国際セクシュアリティ教育ガイダンスには、八つのキーコンセプトがあります。 「1、人間関係、2、価値観、人権、文化、セクシュアリティ、3、ジェンダーの理解、4、暴力と安全確保、5、健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル、6、人間のからだと発達、7、セクシュアリティと性的行動、8、性と生殖に関する健康」です。この8個のコンセプトの中にトピックというものがあり、全部合わせると27になります。 基本的にこの8個のキーコンセプトとその中のトピックを年齢グループごとに繰り返し学び続けていくというものが、ユネスコが定義している包括的性教育です。私たちの多くが性教育という言葉から思い浮かべる性と生殖のことや思春期のこと、妊娠、避妊のこと、HIV感染を含む性感染症予防のこともトピックの中には含まれています。 ただ、それだけではなく、取り扱う内容が非常に幅広いです。認知的、感情的、身体的、社会的側面という幅広い見方で、その全範囲をカバーしていこうという包括性がありますし、教育をする場面においても、学校教育だけではなく、社会教育、家庭教育も含めて進めていくという包括性もあります。 日本の性教育では、戦後から現在に至るまで、政府の方針により抑制的、時には禁欲的な性教育が行われてきました。それは、戦後の混乱による性感染症の蔓延や風紀の乱れを防ぐためでしたが、やがて大人が子どもを管理しようという教育方針と結びつきます。 昨今、SNSを通した10代の性被害などをはじめとして、性の問題が多くのメディアで取り上げられています。また、インターネットが普及し、特に子どもや若者は、ゆがんだ性の情報、あからさまな性的情報に過剰にさらされています。科学的な知識や人権意識を身につけられないまま、ゆがんだ情報に触れれば、予期せぬ妊娠に直面したり、性暴力・性犯罪の被害者・加害者になってしまったりする危険が高まります。現在の子どもや若者が直面している多くの困難や、複雑化している社会の変化に対応していくには、包括的性教育の役割がより重要になっていくと考えます。 このような中、2023年4月から文部科学省の「生命の安全教育」が本格始動したことは、十分とは言えませんが、性教育が一歩前進したと言えます。そこで、本市の性教育について、年代別にどのように実践されているのか、その現状を伺います。 2項目めのハラスメント対策について伺います。 近年、パワハラやセクハラなど、職場でのハラスメントが引き起こす深刻な影響が明らかになっています。それと同時に、取り組むべきハラスメント防止措置の重要性が増しています。厚生労働省の文書では、ハラスメントは個人としての尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為とし、職場の秩序の乱れ、業務への支障とともに、貴重な人材の損失につながる大きな問題としています。 実際、ハラスメントによる働く人への精神的影響は大きく、2021年版自殺対策白書によると、勤労問題が原因の自殺は1割近くを占め、そのうち自殺者の約半数が過重労働、または各ハラスメントを一因として自殺に至っています。 また、職場のハラスメントについては、2021年に厚生労働省が実施した職場のハラスメントに関する実態調査によると、過去3年以内にハラスメントを受けたことがあると回答した者は、パワーハラスメントで31.4%、セクシュアルハラスメントで10.2%もあり、対策は喫緊の課題になっています。 2019年5月に改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法が成立し、2020年6月に施行され、大企業はパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が義務づけられました。また、男女雇用機会均等法などのほかの法律も併せて改正され、セクハラやマタハラなどを含めたハラスメントへの対応が強化されています。 そこで、法改正以降、本市におけるハラスメント対策の現状を伺います。 以上、1回目の質問を終わります。 ◎子ども未来部長(岡雄一君) (登壇) 質問の1項目め、包括的性教育について、年代別に3部局からお答えいたします。 まず、子ども未来部の取組をお答えいたします。 子ども未来部におきましては、幼児向けの性の健康教育として「いのちのお話会」を実施しております。この事業の背景として、本市の人工妊娠中絶率が全国と比較して高く、子どもと保護者に性に関する問題意識を高めていただく必要があったことから、平成18年度から事業に取り組みました。さらに、平成26年度には、性教育庁内連絡会を設置いたしております。 いのちのお話会は、性に関する質問が多くなる幼児期に正しい性の知識を伝え、命の大切さや自分を大切な存在として認めてほしいという思いを込めまして、希望する幼稚園、保育所、認定こども園を対象に園に出向いて実施しています。 実績といたしましては、令和4年度は、保育所等17園に対し24回実施し、幼児393名、保護者177名、令和5年度は、2月末現在で28園に対し31回実施し、幼児663名、保護者301名が受講されました。 主な内容ですが、幼児向けには、男の子と女の子の体の違い、プライベートゾーンは誰かに見られたり触れたりしたら、「嫌だ」、「やめて」と言ってよいなど、自身の体は大切に扱われる存在であること、あるいは、命の誕生と大切さについて、胎児の人形の抱っこ体験や、お母さんのおなかの中で赤ちゃんがどのように育つかなど、パネルを使って幼児にも分かりやすく体験しながら学べる内容になっております。 また、保護者向けには、子どもと一緒に話を聞いてもらった後に講話を実施しておりまして、本市の人工妊娠中絶率や性感染症の率といった性の現状やプライベートゾーンの理解、また、子どもから性に関する質問があったときにどのように答えたらいいかなどをお伝えしています。 このように、性に関する質問が多くなる幼児期から、御家庭で性について語り合う関係づくりが大切であり、あなたの体はあなたの大切なもの、自分は大切にされている存在で、お友達も自分と同じように大切にする存在であるなど、命の大切さについて子どもと保護者に伝えることは重要だと考えています。 以上でございます。 ◎教育長(陣内康昭君) (登壇) 1項目めの包括的性教育について、学校教育での取組をお答えいたします。 議員御案内の包括的性教育は、性に関する事象をあらゆる面から見詰め、健康で安全かつ幸福な生活を送れるようにするための教育であると認識しております。学校教育におきましても、性に関する教育は、学習指導要領にのっとり学校教育全体で取り組むべきものであり、心も体も健やかに成長していくための命の教育であると捉えております。 そこで、まず小学校では、体育科の保健領域、中学校では、保健体育科保健分野において、体の成長、性的な成熟や成長に伴う心の変化、不安や悩みへの対応、性感染症の予防などを学習します。 また、特別活動や特別の教科の道徳では、心身ともに健康で安全に生きる大切さや、体を清潔に保つこと、また、SNSなどでの性被害防止を含めた情報リテラシーなどについても学習をいたします。 さらに、全ての教育活動を通して、目標や希望を持って生きることの大切さ、望ましい人間関係づくりについて学習し、多様性の理解や生命の貴さなど、豊かな人間関係づくりについて包括的に学んでまいります。このように、命の教育はまさに学校教育全体で取り組むべきものであると認識しております。 なお、昨今、未成年者を含む性被害が社会問題となっておりまして、性犯罪、性被害に対して適切な行動が取れる力を身につけることを目的とした生命の安全教育が一層重要視されております。そこで、今年度、生命の安全教育につきまして、これまで述べてきたことと同様、教育活動全体の中で取り組むよう、全小中学校に対しまして改めて通知をしたところでございました。 このほか教育委員会では、子どもたちの教育に携わる教職員、保護者を対象に、毎年、性教育研修会を開催しておりまして、令和4年度は133名、令和5年度は156名に御参加をいただきました。今後も研修会を通して、子どもたちを取り巻く様々な性の問題につきまして、学びを深める機会を提供してまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 包括的性教育のうち、保健福祉部での取組についてお答えいたします。 保健福祉部では、感染症対策課におきまして、性感染症の予防啓発の観点から、主にエイズや梅毒等の性感染症の予防・蔓延防止のため、匿名での相談や無料検査を行っているほか、図書館や映画館など各所への啓発ポスターの掲示や、12月1日の世界エイズデーに合わせた市内各大学での啓発イベントなどを実施いたしております。 さらに、高校生や大学生を主な対象とした講話についても、希望する学校に出向いて開催をしておりまして、令和4年度からは、一部中学校でも実施しているところでございます。 この参加状況でございますが、保護者も含めますと、令和4年度は6校で1,172名、令和5年度も6校で1,143名の方々に御参加をいただいており、講話の中では、性感染症の予防の観点から、発生状況や感染経路、予防方法のほか、性感染症の種類によってはワクチン接種による予防法があることなどについてお伝えをしております。 また、このような性感染症の実態や予防等をお伝えする中で、妊娠のプロセスや望まない妊娠の予防のための避妊方法、性的同意の重要性などについても加えて説明をさせていただいているところでございます。 以上でございます。 ◎総務部長(田所和行君) (登壇) 2項目めのハラスメント対策について、本市におけるハラスメントの現状や対応の状況についてお答えをいたします。 まず、ハラスメントの現状につきましては、本市では3年に1回、職員を対象とした職場でのハラスメントに関するアンケートを行っており、把握に努めているところでございます。直近では令和4年3月に実施をし、このときの調査では729人から回答があり、その結果といたしましては、ハラスメントを受けたことはないという回答が621件であった一方で、ハラスメントを受けたことがあるという回答が延べ134件あり、そのうちの約半数がパワーハラスメントを受けたことがあるという回答であった状況でございます。 また、具体的な相談件数といたしましては、令和4年度で7件ございまして、その内訳といたしましては、セクシュアルハラスメントが1件、パワーハラスメントが6件となっているところでございます。 パワーハラスメントの対策につきましては、議員御案内のとおり、令和2年1月に厚生労働省が指針を策定しており、その中で事業主が講ずべき措置として、パワーハラスメントを行ってはならない旨の事業主の方針等の明確化と周知、相談対応体制の整備、パワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応等が規定をされております。 本市の各種ハラスメントへの対応状況といたしましては、まず、平成13年度にセクシュアルハラスメント防止に関する要綱を制定し、ハラスメントの禁止等を明記し、具体的な対応策として、相談窓口の設置等に関する内容のほか、相談があった場合のその後の対応方法等について定め、さらに、平成28年度からは同要綱においてパワーハラスメントへの対策を追加したところであり、厚生労働省の指針に適合したものとなっております。 また、本市では、「ハラスメントの防止に向けて」というパンフレットを作成しており、その中で、パワーハラスメントの行為類型やパワーハラスメントに対する考え方等について具体的に記載をいたしております。このパンフレットについては、職員がいつでも閲覧可能な庁内ネットワークに掲載するとともに、少なくとも年1回、綱紀粛正として、全職員向けに各種ハラスメントの防止について通達を発出しているところでございます。 このように本市では、パンフレットの作成やその周知徹底、また、具体的な相談等に対しては、ハラスメントの防止に関する要綱により運用することで、厚生労働省の指針に関して適切に対応しているものと考えております。 以上でございます。 ◆13番(小田徳顕君) (登壇) 包括的性教育について御答弁をいただきました。現状については、おおむね理解をしました。 日本の学習指導要領には、妊娠の経過を扱わないという性教育の歯止めがあり、これがあるために踏み込んで教えることができないと言われています。欧米では、避妊法や性感染症について立ち入って教えており、実用的な内容になっています。日本の性教育はそうしたことがなく、国連が、思春期の性と生殖に関する教育を必修カリキュラムとして確保することについて勧告しているほどです。 日本思春期学会の茂木輝順氏は、学習指導要領は大綱基準にすぎない、特別活動や総合的な学習の時間を核として、充実した性教育のカリキュラムを構築することができるとしています。 また、学習指導要領そのものにも、学習内容について指導要領の範囲を超えて教えることができるとあり、教える範囲を広げることはできると思います。むしろ、しっかりと子どもたちに性教育を行わないことによって、女性一人一人を人格と権利を持った個人と見る認識を持つことが十分にできず、物のように扱ったり、暴力を振るったりすることにつながっているのではと思います。 教育長より答弁いただいた、全教育活動を通して性教育を進めていくことについては、包括的性教育と重なるところであり、十分理解をしているところですが、一歩進めた性教育の推進についてもお願いするところです。 それでは、再質問を行います。 学校教育だけでなく、全市を挙げて性教育を推進していくことは重要です。そのためには、幼少期から成人まで継続的な指導を行う縦の連携、庁内での情報共有や計画を推進する横の連携が必要だと考えます。このような環境を整えた上で、人権やジェンダー観、多様性などを学ぶ包括的性教育をさらに推進していくべきだと思いますが、宮島市長の御見解を伺います。 続きまして、ハラスメント対策についてですが、御答弁をいただきました相談窓口についてですが、本当に苦しんでいる方の相談につながり、心の傷を最小限にとどめられるような、迅速かつ的確な対応ができる体制づくりに励んでほしいなと思っております。 そこで、再質問を行います。 大変残念なことに、3月2日付のある地方紙で、本市におけるセクハラに関する事案が報道されました。この事案に関する説明を求めます。 また、この記事の中で、気になる記述がありました。「被害女性は取材に、「トラウマになり人間不信にもなった」と訴えている。相談後の市当局の対応も不誠実だったとして、不満を募らせている」とありました。セクハラは許されないことであるという認識は、社会にしっかり定着していると思います。しかし、残念ながら、万全の対策を取ったと思っても、完全に防ぎ切るのは大変難しいと思います。 そこで、防止策と同様に重要なのが事後の対応です。被害者に寄り添い、迅速かつ丁寧な対応が求められます。この点に関しても、併せて本市の見解を伺います。 以上、2回目の質問を終わります。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 小田徳顕議員の再質問、今後の本市における包括的性教育についての考えをお答えいたします。 先ほど、子ども未来部長、教育長、保健福祉部長それぞれから、現在本市で実施している各事業についてお答えをいたしましたが、このほかにも、市民を対象にまちづくり出前講座にて、性や人権に関する講座を実施するなど広く周知しているところでございます。 性教育については、子どもの年齢や発達段階に応じ、身体の理解や自分と他者の安心・安全を守り、自分を大切にしてよりよく生きること等を包括的に伝えるため、継続的に取り組むことが非常に重要なことであると認識しております。 現在、性教育庁内連絡会において、幼児期から大学生等を対象に、それぞれの専門分野から実施しております性教育について、各課の事業や健康課題等の情報共有や連携を図っております。 なお、今年度から、当連絡会に市民生活部人権男女共同参画課も加わり、ジェンダー平等や性の多様化など、人権尊重も含めた視点を踏まえ、より効果的な事業実施に努めていきたいと考えております。 今後も正しい性の知識をはじめ、人間関係やジェンダー平等、人権、幸福など、幅広いテーマに対して関係各課の連携を密にし、取り組んでまいります。 ◎総務部長(田所和行君) (登壇) 2項目めのハラスメント対策についての再質問についてお答えをいたします。 議員からございました報道内容につきましては、掲載された個々の言動等について双方の主張が異なっているものもあり、ここでの発言は控えさせていただきたいと存じますけれども、基本的にはハラスメント対策として、相談者に寄り添った対応を基本としており、「相談後の市当局の対応も不誠実だったとして不満を募らせている」との記事につきましては、まず、人事担当部署において当該職員から相談を受けた後、事実関係の調査として当該課長から事情を聴取し、その後速やかに当該職員が不快に思っている行為について行わないよう注意をいたしました。 また、所属部署においても、当該職員からの相談を受けて、相談者と当該課長及びその上司、3者での話合いの場を設け、相互理解を図るなどの対応を行ってきたところでございます。 今回の件に限らず、ハラスメントに関する相談があった場合の対応といたしましては、先ほども申しました相談者に寄り添った対応を基本とする観点から、まずは、相談者の話に真摯に耳を傾け、相談者の意向に応じて事実確認等を行っているところでございます。 一方で、実際の対応におきましては、相談の内容には様々な事情や背景があることも多々ありますことから、一つの事象のみを切り取って判断できるものではなく、相談者とその対象者双方及び周囲の職員等からの事実確認を適切に行いつつ、それまでの経緯、状況、背景等に至るところまで詳細にかつ総合的に勘案して対処をいたしているところでございます。 いずれにいたしましても、今後もハラスメントが起きない、起こさない職場環境づくりに努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◆13番(小田徳顕君) (登壇) 先にハラスメント対策についてですが、答弁に関しては一定理解をいたしました。繰り返しになりますが、今後は相談しやすい窓口づくりと的確な実態把握、そして、事後の迅速かつ丁寧な対応をすべきということを指摘し、この件に関する質問を終わります。 続いて、包括的性教育について市長から御答弁いただきました。 昨年実施された内閣府の子ども・若者の性被害調査によると、16歳から24歳の4人に1人以上が、何らかの性暴力被害を受けています。子どもへの性暴力は、被害を受けてもそれが被害だと分からないことが多いのが特徴です。相談や告発がしにくいため、苦しみをより長く、深くしています。 一般社団法人Springのアンケートでは、被害を認識できるまでに平均で7年という長い時間がかかっています。若年層の望まない妊娠・出産につながるケースもあります。 このような実態を踏まえ、刑法が昨年改正されました。暴行・脅迫要件を撤廃した不同意性交等罪の創設、性交同意年齢の13歳から16歳の引上げ、被害者が未成年者の場合、18歳に達するまでの公訴時効の事実上の停止などです。 改正案を審議した参議院法務委員会の参考人質疑では、専門家から、性犯罪、性差別的暴力の根絶は、刑法改正だけでは決して実現しない。包括的性教育が最重要課題だとする意見が出されました。子どもたちを性暴力の被害者にも加害者にもさせないために、人権、ジェンダー教育としての性教育の推進は待ったなしの状況です。 性教育は、命につながる大事な知識、自分や大切な人を知るため、守るために欠かせない知識です。性教育を学ぶことで解決できる問題、変えられる社会の仕組みや環境はたくさんあると思います。子どもから大人まで、正しい性の知識を携えていくためには、どのように学び、どう浸透させていけばいいのか模索していかなければなりません。時間はかかるかもしれませんが、様々な性教育を伝える、広げる取組を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(久野秀敏君)  暫時休憩いたします。     14時58分 休憩     15時20分 再開 ○議長(林健二君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 個人質問を続行いたします。32番古家勉議員。 ◆32番(古家勉君) (登壇) 市民クラブの古家勉でございます。通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、IR不認定に伴う地元への影響と今後の振興策についてであります。 私は、これまで令和2年3月定例会、令和3年9月定例会でIR誘致に伴う地元江上地区の地元対策について、基地問題や小田地区冠水問題と一緒にお尋ねをしてきました。これらの課題がIR実現を契機に解決へ進むことを期待しておりました。佐世保市の人口減少問題の改善に向け、流出人口抑制と流入人口の促進への期待や、それらに伴う税収増加などの財源の確保にも期待をしておりましたが、昨年末、IR不認定の決定は大変残念に思うとともに非常に悔しい結果となりました。 不認定の理由となった資金調達が不十分であったとの国の審査、委員会の見解について、これまでIRに関する地元説明会などで、県は資金調達は蓋然性があり大丈夫だという説明でした。そして出資・融資企業名については、当該企業の機微に関するところでもありますので企業名の公表は難しいと理解しておりましたが、審査に対応していた長崎県や不認定の決定を下した国に対して、じくじたる思いは残ったままであります。 今回の不認定の結果は、要求基準に適合しない言わば門前払いなのです。令和4年4月に長崎県、KYUSHUリゾーツジャパンが国へ区域整備計画認定申請を行い、この結果が出るまで1年8か月も期間がかかっています。長崎県やIR事業者は、申請者として適切に審査委員会への対応をしていたのか、今後の検証を進める中で示していただきたいと強く思っております。 IR誘致に対して、IR地域に隣接する地元としては、これまで賛成、反対それぞれの立場もありましたが、江上地区自治協議会内にIR対策室を設置し、議論を重ねてきました。 この会合は、IRが整備されても江上地区は世界一安全・安心なまちづくりをするという目標に取り組みたいという思いから、令和元年11月に勉強会を開き、当時11名からスタートしたものです。その後、毎月第3木曜日の夜に定例会を開き、最終的には総勢21名が委員として参加をしてきました。 この会合は、IR不認定を受けて、先日、2月15日に開催をされ、市からはIR推進室にも参加をしていただき、現状報告をいただいたところであります。不認定の結果を受けて、対策室としてはその役目を終え解散することになりましたが、地域を思う姿勢が、地元住民の真摯なIRへの対応に表れていたと思います。この場をお借りしまして、私からも江上地区IR対策室に関わった方々に感謝の意を伝えたいと思います。 また、東部地区としても、自治協議会連絡協議会を中心に県や市と協議を重ねるなど、IR誘致に向けて真摯に対応されてきました。私は地域振興策としてIR誘致に大いに期待して、地域の活性化だけではなく、様々な雇用創出にも期待をしておりました。もちろん、地元からも地域の振興に向けてIRに期待する声もたくさんいただいておりました。 その一方で、IR誘致にはギャンブル等の依存症の増加や治安の悪化など負の側面も存在いたします。IRというこれまで日本になかった施設が整備されようとしているため、地元と行政が一緒になってこれらの懸念事項をどのように対処し最小化できるのか、試行錯誤、様々な事例研究も行いながら検討を重ねてきました。このような行政と地域と一緒になった取組は九州・長崎IRの強みであったと思います。 令和4年4月に開かれました佐世保市議会臨時会での区域整備計画の認定申請に係る同意の件でも圧倒的多数で可決したところです。残念ながらIRは実現しませんでしたが、これらの取組は無駄にはならないと思います。また、無駄にしてはいけないものだと私は思っています。 今後、ハウステンボスが大きな投資を行い、年間300万人の来訪者を目指すと発表され、地元としては今後の発展に期待をしているところでございます。 さらに、浦頭国際ターミナルの供用が間もなく開始されるだろうと思います。針尾島には今後も来訪者が増加することが予想されます。観光都市佐世保としてIR誘致に向けてこれまで努力をし、検討を積み重ねた取組を生かすべきではないかと思っております。そのためには、これから東部地区をはじめとした佐世保市の振興策について、議会、行政、市民が一体となって進めていかなければならないと思っております。 そこでお尋ねいたします。 IR誘致に当たっては、佐世保市は地元に足しげく通い、真摯な姿勢で協議を行ってこられたと思います。これまで東部地区、特に地元江上地区からIR誘致に対してどのような意見が出されていたのか、またどのようなところに懸念を抱かれていたのか、改めて教えてください。 また、今回の不認定という結果を地元へ伝えた際、地元がどのように受け止めたかについてもお尋ねをしたいと思います。 二つ目の宇久地域における現状と課題について質問させていただきます。 まず、宇久地区における救急患者の搬送についてでございます。 昨年末に宇久を訪れたときに住民の方から相談を受けました。内容は宇久診療所からの夜間における救急患者の搬送の件でした。これまで瀬渡しの方に夜間の救急搬送をお願いしていたが、現在は1人でされているということです。生業である宿泊業、飲食業にも影響が出ているようです。また、不規則な救急搬送であるため常に意識しておく必要があり、精神面への負担も大きく、加えて年齢から来る体力面にも不安を感じられています。 そういう中、瀬渡しの方が宇久診療所からの救急搬送に関して永続的に維持できる体制や仕組みづくりを早急に検討していただいただきたい旨を市長宛てに手紙を出されたということでした。 救急搬送をなされている瀬渡しの方を、私も知っていて、その方は瀬渡しのほか宿泊業もされております。また、最近では飲食業も始められたという中で、御自身の生業も顧みず、地域住民の命が最優先という強い責任感と使命感によりまして、以前は4名でされていた夜間の救急搬送を現在は1人で頑張られています。 そこでお尋ねいたします。 瀬渡しの方は救急搬送の対応ができなくなるようですが、瀬渡しによる救急搬送の実績はどのような状況なのか。そして、隣の小値賀町も同じような課題を抱えているのではないかと思います。どのように救急搬送を行われているのでしょうか。 そして、瀬渡しの方が対応できなくなった後、どのような搬送手段となるのか。長崎県所管になると思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。 また、長崎県離島振興計画では、港湾部の防災船つくもによりまして、消防局と連携をして離島の救急搬送に有効活用し、離島住民に対する救急サービス向上を図るとありますが、どういった搬送の手順やルールの下に取り組まれているのか、現状と実績、そして課題があれば併せて御答弁ください。 次に、質問も踏まえまして、救急搬送にしても何にしても、今後、宇久地域で何かを取り組もうとしたときに、地域に担っていただける方がいらっしゃるのか非常に気になりますし、不安も感じております。というのも、昨年末に公表されました国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口の結果は、前回、平成30年の推計を超えた人口減少社会が進むことが明らかになりました。 本市では、2020年(令和2年)、2050年(令和32年)を比べたときに、人口は3割を超えて減少し、16万6,000人程度になるとされています。そうしたとき、特に離島である宇久地域については、本土地域よりもさらに厳しい状況になることが予想されます。 そこで、今回の人口推計から、宇久地域における生産年齢人口や高齢者人口の割合などがどう推移し、その状況からどのような課題や懸念が考えられるか。そして、その課題や懸念に対して、既に手だてが講じられているのか、また講じようとされているのか、現状の取組に関しまして御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 1回目の質問を終わります。 ◎企画部長(杉本和孝君) (登壇) 1項目めのIR不認定に伴う地元への影響等についてお答えいたします。 まずもって、IR候補地の隣接地域であります江上地区及び針尾地区をはじめとする東部地域の皆様におかれましては、これまでIR誘致に向けた地域との協議や説明会への出席など真摯に御対応いただいたことに対し、心からお礼申し上げます。 これまで地元の皆様との協議については、IRの誘致に向けて、まずは江上地区自治協議会をはじめとする東部地域の各自治協議会を訪問し、説明する機会をいただき、IR誘致への理解促進に努めてまいりました。その後、各地域におけるIRに対する住民意見の取りまとめや懸念事項、期待する声などが集約され、共通課題として対応すべく、東部7地区で構成された東部地区自治協議会連絡協議会、略して東部自治連を窓口に協議を進めるようになりました。 東部自治連とは、ハウステンボス周辺が国際観光拠点であり、IRの誘致に伴いさらに拠点性が増していくことを踏まえ、予想される懸案事項の解消及び地域の活性化と振興を目的に、県と市及び東部自治連の3者で基本合意書を締結し、協議を重ねてまいりました。 また、東部自治連の皆様には、ギャンブル等依存症対策や青少年の健全育成、治安維持対策など、官民の団体が協働し、懸念事項を最小化させることを目的とし、地域の安全・安心の確保、さらには向上に向けて設置した九州・長崎IR安全安心ネットワーク協議会準備会にも参画いただいております。 その中でも江上地区自治協議会の皆様とは、自治協議会内にいち早く設置されたIR研究室--後のIR対策室--を中心に、IR誘致に伴う地域の課題などについて意見交換を行い、そのほかにも関連する漁業関係者や周辺住民の皆様への説明会の開催や意見交換を実施するなど、地元の皆様と課題を共有しながら進めてまいりました。 また、地元からはそれぞれの立場から様々な意見がありましたが、特に懸念された事項としては2点ございました。 まず1点目は、交通渋滞対策でございます。 以前よりハウステンボスの大規模イベントのときは大塔インターチェンジから針尾バイパス、また針尾橋から国道205号といったハウステンボス周辺において交通渋滞が発生していることに加えて、九州・長崎IR区域整備計画ではIRへの来訪者が年間約673万人と見込まれていたことから、IR周辺地域では平日でも慢性的な渋滞が発生するのではないかと地元の皆様が強く懸念されておりました。 2点目は、地域の安全・安心対策でございます。 東部地域内の居住地域や早岐地区の市街地などでは、来訪者が増加することによる治安の悪化や通学路周辺の交通事情の悪化を懸念する声、また、IRが24時間の施設であることから青少年への悪影響などの懸念の声もございました。このほかにも指方地区における道路を含む冠水対策や、海外からの観光客増加に伴う江上地区内での国際交流会館等の整備などについて御意見、御要望をいただいております。 次に、今回のIR不認定という結果に対する地元の方々の受け止めについてお答えいたします。 昨年12月27日に国土交通大臣から県及び事業者に対して認定を行わないという通知がなされた後、翌28日に宮島市長自ら東部自治連役員の皆様のところへ報告に伺いました。皆様の受け止めといたしましては、IR誘致に伴うまちづくりに対する期待が大きかっただけに、不認定の結果に対し大変残念に思っていらっしゃいましたし、大きな憤りを感じていらっしゃいました。 また、先日は江上地区自治協議会に設置されたIR対策室へ企画部理事がお伺いし、改めてこれまでの検討、協議に対するお礼と不認定の結果報告を行ってまいりました。皆様からも同様に、IRを契機とした地域の課題解決が進むことに対して期待があったこと、そして、IRは不認定となったが、佐世保市はもとより地域の活性化について長崎県へ引き続き検討のお願いがありました。また、市に対しては、地域の課題に対する真摯な対応について感謝したいというお言葉もいただいたところでございます。 続きまして、2項目めの宇久地域における現状と課題についての2点目、人口推計に見る課題と取組につきましてお答えいたします。 議員御案内のとおり、国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に公表した地域別将来推計人口において、本市は非常に厳しい結果となっておりますが、この将来推計人口は自治体別の分析結果となっており、宇久地域単体での数値は示されておりません。 そこで、宇久地域の人口推移につきまして、平成12年と令和2年の国勢調査の人口で比較してみますと、この20年間で人口減少率は52.9%と市内で最も高く、年少人口は83.7%、生産年齢人口は66.8%とそれぞれ大幅に減少しています。一方、老齢人口の割合は33.8%だったものが58.3%と倍増し、産業の担い手・後継者不足、高校の存続問題などの課題や懸念が顕著となってきています。 このような中、県立宇久高校の全校生徒数は、10年前までは約50人いましたが現在は12人となっており、県が第三期県立高等学校改革基本方針の中で適正規模として示す第1学年10人以上には満たない状況でございます。 このようなことから、宇久高校の存在は極めて重要であるとの認識の下、県教育委員会が中心となって、令和3年度に学校、県、市、地元で構成する活性化協議会が設置され、高校存続に向けた魅力度向上と離島留学制度の受入れ体制の整備について協議を行っております。 本市としましても、人口減少対策は行政単独での取組には限界があり、地域との連携が必要不可欠であると考えております。令和5年度から令和6年度にかけまして、地域の皆様と地域課題や特性について情報を共有するとともに、地域と行政が共通認識の下、いつ、誰が、何を、どうしていくのかを議論し、宇久地域の未来のまちづくりに向けたアクションプランを策定してまいりたいと考えております。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 2項目めの宇久地域における現状と課題についてのうち、1点目の救急患者搬送についてお答えいたします。 まず、離島における救急患者搬送につきましては、所管する長崎県におきまして、長崎県医療計画にヘリコプターの有効かつ効果的な運航を行うこと、さらには海上自衛隊や海上保安本部とも連携し、体制の充実に努めることが明記されており、運用に当たっては長崎県ドクターヘリ運航要領、長崎県防災ヘリコプター運航管理要綱、急患搬送マニュアルに基づき実施されているところでございます。 その中で、これらのヘリコプターによる対応に当たっては、まずは現地医療機関や消防等において民間船舶などを追求した上で、それでも搬送手段が確保できない場合とされておりますことから、総合医療センター宇久診療所においては地元の瀬渡し船にお願いをされている状況であり、令和5年度の実績といたしましては4件、直近の過去5年間の平均は3件とのことでございました。 また、港湾部が所管します防災船つくもの活用についてでございますが、災害の状況や現場までの到着時間などを考慮する中で、関係機関からの出動要請に応じ、安全運航が担保されることを前提に対応しておりまして、これまでの出動実績としましては、平成23年度に救急隊員の同乗の下、黒島町からの患者搬送が1回、平成27年度に高島町で発生した車両転落事故対応のため消防隊員搬送が1回あるほか、特例として保健所からの要請に基づきまして令和2年度と令和4年度に新型コロナ患者の搬送を行っております。 なお、このつくもによる宇久地区への出動につきましては、出動準備から佐世保港に戻ってくるまで長時間を要することもあり、これまでに搬送等の実績はございません。 あわせまして、小値賀町の状況についてもお尋ねがございましたが、小値賀町国民健康保険診療所に確認いたしましたところ、現在、漁師の方が起業されている2か所の海上タクシーに患者搬送を担っていただいているという状況で、現時点では取り立てて問題はないものの、将来的には後継者不足が懸念されているとのことでございました。 次に、宇久地区において瀬渡しの方が夜間における救急搬送の対応ができなくなった後の搬送手段についてでございますが、ドクターヘリと県防災ヘリは昼間の有視界飛行に限られておりますため、先ほど申し上げましたように民間船舶等の確保が困難な状況として、県のほうから海上保安本部、もしくは自衛隊のヘリコプターによる対応を依頼されることとなります。 宇久診療所におかれましても、これまでにヘリコプターによる夜間の救急搬送実績もあるようですが、要請から現場到着までに長時間を要したなどの課題がございまして、近年においては瀬渡し船に頼ってきた状況と伺ってございます。 これまでも離島における救急搬送につきましては、県と関係機関との調整により各機関のヘリコプターによる運航体制を構築しつつ、できる限り搬送時間の短縮を図ってこられたものと伺っておりますが、このたびの宇久地区の状況を受け、まずは私のほうから県の担当部署にも一報を入れ、改めて課題の共有を行ったところでございます。 今後におきましては、より一層の時間短縮が図られるなど効果的かつ効率的な体制が確立されますよう、庁内関係部局をはじめ、県及び関係機関との連携、協議を深めてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ◆32番(古家勉君) (登壇) 御答弁ありがとうございました。 まず、宇久地域における現状と課題について意見といいますか、宇久地域における救急搬送については住民の命に直結するという極めて重大な課題ですので、現状の共有や課題の解決に向けて、長崎県はじめ関係機関、部署ともしっかり連携しながら取組を進めていただきますよう、よろしくお願いします。 そして、人口減少社会が急激に進む中で、宇久地域における各種課題を喫緊の課題と捉え、取り巻く環境の変化にも注視しつつ、引き続きしっかりその対応に取り組んでいただきますようお願いしまして、宇久の質問は終わらせていただきます。 次に、IRが不認定となったとはいえ、大規模イベント時の渋滞対策がありました。ソフト対策だけでも効果があったということで、佐世保市に有意義なものであると思っております。防犯カメラ一式助成の研究、東部地区だけでなく佐世保市全体の利益となると思います。 加えて、いろいろな意見を佐世保市が解決をしていただきました。江上小学校前の旋回に伴う安全対策、これは田中副市長を中心にプロジェクトを進めていただきまして、本当に感謝申し上げたいと思っております。 今後も進化を続けるハウステンボスですが、近いうちに、先ほども申しましたように浦頭国際ターミナルも供用されるだろうと思います。この東部地区が、佐世保市にとっても重要な地区に変わりありません。 先日の長野議員の代表質問と重複するところもあるかもしれませんが、IRが実現できなくなりましたが、東部地区の今後の振興策について、新幹線開通や大規模商業施設など活性化対策が進む県南地域に比べまして、IRがなくなった県北地域の浮揚策、地域の活性化等について長崎県はどのように考えているのでしょうか。IRへの期待が大きかった分、県と一体となった地域振興策について早急に進める必要があると思いますが、市長もそういう思いになっていらっしゃるだろうと思っております。 そういう状況の中、ハウステンボスの花火大会の渋滞対策も佐世保市に担っていただきました。ありがとうございました。今日も地区自治協議会から何名か傍聴に来ていただいております。やっぱり江上地区を大事にしたいという思いで来られておりますので、ひとつ見解をよろしくお願いしたいと思います。 再質問については以上です。よろしくお願いします。 ◎副市長(田中英隆君) (登壇) 古家勉議員の1項目めの再質問につきましては、複数の部局に関わる案件でございますので、私からお答えをいたします。 議員御案内のとおり、令和3年度に開催をされましたハウステンボス九州一花火大会において大渋滞が発生をしまして、周辺住民の皆様の日常生活にも多大な影響がございました。この件に関し、地元であります東部自治連から市長へ緊急重点要望がなされたことから、庁内の関係部局で組織しました、私がチームリーダーとなります交通渋滞対策プロジェクトチームを速やかに設置いたしました。 本市としましては、IRが実現した場合はピーク時にこれ以上の交通渋滞が発生することが予測をされましたので、ハウステンボスの大規模イベントにおける交通渋滞対策が必要不可欠であると判断をし、国、県、県警、市、ハウステンボスとも連携し、一丸となって様々な対策を講じてまいりました。 対策の内容についてでございますが、ホームページ、SNS、道路掲示板を活用したイベント等の事前及び当日告知など、市民や来訪者への注意喚起による車両抑制や、公共交通機関等を連動したパーク・アンド・ライドの実施によるハウステンボス周辺への車両の乗り入れ抑制策などソフト対策を実施したところでございます。 ハウステンボスにおかれましても、周辺地域の迷惑駐車対策や交通誘導員の増員、周辺地域へのダイレクトメールの送付などを実施されたところでございます。このような対策の結果としまして、議員御認識のとおり大きな渋滞緩和が図られたものと考えております。 今後、ハウステンボスも、さらなる投資により来訪者年間300万人を目指すとされておりますし、これらの取組はクルーズ船入港時や市内の各種大規模イベント等でも応用できるものとして、今後の交通渋滞対策に生かしてまいりたいと考えております。 また、治安対策につきましても、九州・長崎IR安全安心ネットワーク協議会準備会の活動などを通じまして、地元の皆様と一緒に先進地視察を行い、防犯カメラをはじめとする最先端技術を活用した防犯対策の研究や、地域の防犯意識醸成の取組など実施をしてまいりました。引き続き、防犯カメラの設置補助制度の調査研究に併せて、本市の情勢を踏まえながら効果が発揮されるよう検討を進めてまいりたいと考えております。 加えまして、先ほど議員からも御紹介ありました安全・安心対策についての事例を申し上げますと、江上地区内の中学校に近接します市道におきまして、周辺環境の変化による交通量の増加が想定をされ、交通事故の危険性が高いと地元より意見が出された箇所がございました。IR隣接地域であり、区域認定後はIR来訪車両等の通行も予測されますので、現地確認を行い、現状の危険度を勘案し、昨年、ガードパイプを整備するなど既に対策を実施したところでございます。 このほか、これまでいただいた地域の皆様からの御意見や検討を進めてきた対策は、IRがなくても対応していく必要があると認識をいたしておりますので、引き続き関係機関と連携し、市政へ生かしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆32番(古家勉君) (登壇) ありがとうございました。いろいろ御答弁いただきました。そしてまた、先ほども申しましたように安全対策、それから防犯カメラのいろいろな問題、本当に感謝を申し上げたいと思います。 私は、IRが来なかったということを本当に残念に思います。私、先ほど言いかけたんですが、新幹線とか大規模商業施設など活性化対策が進むのは県南です。そして夕方のニュースでは、佐世保市以外はほとんど元気のあるまちに見えます。そういった中で、もう少し県に対してそこら辺をどのように考えているのか、私たち佐世保市はIRの、税収の増加とか人口を増やすという部分を本当に期待しておりましたが、実現しませんでした。けれども、これから先、県と一体となって地域振興策について真摯に考えていただきたいと思うわけです。 市長も一生懸命頑張っていらっしゃると思いますけれども、もっともっと頑張って佐世保市を元気のあるまちにしていただきたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 古家勉議員の再々質問にお答えをいたします。 冒頭に、これまでIR誘致に向けて、地元が懸念する事項や地域振興策を行政と一体となって検討を進めていただいた江上地区自治協議会の皆様、東部自治連の皆様をはじめ関係者の皆様、そして古家議員をはじめとする地元市議会議員の皆様の並々ならぬ御協力に対し、この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。 さて、古家議員よりIR不認定を受けての東部地域をはじめとする本市の地域振興策についてのお尋ねでございますが、施政方針や先日の自民党市民会議の長野議員からの代表質問でも答弁しましたとおり、本市としましてもこれから新たなビジョンを示さなければならないと考えております。現在は、まずは県と共に不認定結果の検証を行うこと、そして、先ほどの答弁にあったようなIR誘致に向けた検討で培ったレガシーを、いかにこれからの本市の施策に有効につなげていけるかが問われてくるかと思います。 今回、IR区域認定申請を行った自治体は、全国で長崎県と大阪府・市のみでございます。その中で立地自治体は佐世保市と大阪市の2か所だけであり、このIR遺産、いわゆるレガシーは、全国でも唯一の貴重なレガシーと言っても過言ではありません。24万人都市の佐世保市がIRにチャレンジしたことは、不認定という結果ではありましたが、私は、多様性を受け入れる気質のある佐世保市だからこそできたことであり、誇りであると思っております。 今後も、私自らが先頭に立ち、皆で知恵を出し合いながら新たなビジョンを示していけるよう、県市一体となって、本市及び県北地域、さらには西九州広域都市圏の活性化に取り組んでいきたいと決意を新たにいたしております。 県との連携につきましても、昨年末、不認定の結果が出された翌日、12月28日に知事が市役所にお見えになり、IRの審査結果に対する対応方針について報告をいただくとともに、県北地域の振興策を検討していくことについて確認をいたしました。また、知事とはIR不認定となる前から県と本市との政策ミーティングをはじめ機会があるたびに意思の疎通を図っており、今後もさらに関係性を密にしながら、県北地域の振興策についてさらに協議を重ねてまいりたいと考えております。 本市東部地域の皆様をはじめ、市民の皆様、議員各位には、引き続き本市市政の発展に御協力と御支援を賜りますよう、心よりよろしくお願いを申し上げます。 ○議長(林健二君)  12番松尾俊哉議員。 ◆12番(松尾俊哉君) (登壇) 12番、市民クラブ、松尾俊哉でございます。それでは、早速ではございますが、通告に従いまして二つの項目について質問をさせていただきます。 まず、一つ目の項目、介護認定についてお尋ねをいたします。 平成12年--西暦2000年ですけれども、この年に介護保険制度の運用が開始され、今年で25年を迎えようとしているところです。佐世保市においては、制度開始直後の平成12年、65歳以上の第1号被保険者は約5万人だったものが現在では約7万7,000人、要介護認定者数は平成12年が4,400人だったのに対して現在では約1万5,000人と、介護保険を利用する高齢者は制度開始時からすると3倍以上に増えている状況であります。 介護保険を利用する場合には介護認定を受ける必要があり、介護認定に際しましては、看護師など専門的な知識を持つ調査員が、国の基準に基づいて判定をするといった仕組みだと聞いております。 そこで、その認定についてですが、申請から認定までの一連の業務に、以前、当市では32日ほどを要していたと記憶をしております。介護保険法では30日以内に認定とうたってあるようですが、そこには若干至らなかったという状態だったようであります。 しかし、最近、その期限がさらに長くなっていると聞いております。認定を待つ方々にとっては1日でも早くとの思いがあることと思いますが、現在、認定にかかる時間はどのような状況であるのかお尋ねをいたします。 また、先日、知り合いの方の話ですけれども、「以前は家の中では手すりにつかまりながら歩いていた母がとうとう車椅子を使うようになった。次の介護認定の更新時には介護度が上がるのだろうと思っていたけれども、認定において逆に介護度が下がる結果となり、何か納得できない」といったような話を伺いました。 先ほども触れましたが、介護認定には専門的知識を持った方々が国の基準に基づいて判定をする仕組みであるにもかかわらず、なぜこのようなことが起こるのか、お尋ねをいたします。 以上2点、お尋ねをいたします。 続いて、二つ目の項目、江迎地区文化会館インフィニタスについてお尋ねをいたします。 江迎地区文化会館インフィニタスは、ホール施設というものでありながら江迎地区コミュニティセンターの附帯施設とされており、その利用料金については、コミュニティセンターの各施設と同様に受益者負担の適正化指針を基として設定されていると認識をしているところです。当然、ホール施設であるインフィニタスの利用料金は、ほかのコミュニティセンター所管の施設と比べると高めの設定にされている状況だと思います。また、コミュニティセンターに移行後は営利目的の利用も可能となっておりますが、そのような利用の場合、通常よりもかなり割高な料金となっております。 そこで、令和4年12月定例会において、営利目的の利用と判断された方のことを例に挙げまして、その利用料金がアルカスSASEBOの中ホール利用時よりも大幅に高額になってしまうため、これについて見直すべきではないのかとの質問をいたしました。その際に市民生活部長より、アルカスSASEBOの利用料金との均衡を踏まえて今後検討を行う旨の御答弁がございました。 そこで、当市の受益者負担の見直しはおおむね3年置きとなっており、その時期は本来であれば令和5年度の改定となるべきだったものが、新型コロナ感染症の影響を受け、令和5年度は据置きとされ引き延ばしとなっていたため、この春の改定となるわけですけれども、その後、インフィニタスの利用料金についてどのように検討されたのか、お尋ねをいたします。 以上で1回目の質問を終わります。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 1項目めの介護認定に係る諸問題と今後の課題についてお答えいたします。 まず、要介護認定の仕組みについてでございますが、高齢者の方が介護保険サービスを利用するために必要となる要介護認定は、対象者の方にどれくらいの介護サービスが必要であるかについて客観的で公平な判定を行うため、2段階で実施しております。 1次判定においては、看護師や介護福祉士などの専門知識を有する認定調査員が対象者の自宅等を訪問し、74項目に及ぶ心身の状況などに関する調査を行い、その結果に基づきコンピューターによる判定を行います。その後、2次判定として、医師や介護支援専門員などで構成する介護認定審査会において、1次判定の結果はもとより、主治医の意見書、認定調査における特記事項等に基づき総合的な判断を行います。そして、最終的にこれら一連のプロセスを経た上で、市としての要介護認定を行うという流れになってございます。 なお、要介護区分等の判定に関する認定調査や、主治医意見書の項目、認定審査会における判定基準等につきましては、国が示した基準に準拠しているものでございます。 介護認定に要する期間につきましては、議員御案内のとおり、介護保険法の規定により、原則として申請から30日以内に行うこととなっておりますが、令和3年上半期の全国平均の実績は36.2日となっており、本市におきましては令和3年度が30.3日、令和4年度が32日、令和5年度は、本年1月末時点になりますが34.5日となっております。 このように日数が本市におきまして徐々に増加している傾向に関しましては、令和2年度から令和4年度まではコロナ感染症拡大防止のため、例えば対象者御本人や御家族等が感染されたケースなどにおいては自宅等への訪問調査を行わずに、前回の介護度を引き継ぐことで有効期間を1年間延長するという特例措置が設けられておりました。しかしながら、令和5年度はこの特例措置が終了し、通常の申請に加えて措置対象であった方々の申請が重なっておりますことから件数が一時的に増加し、認定までの日数に影響が出ておりますが、今後は平準化が図られていくものと見込んでおります。 本市の現状としましては、全国平均よりも短い日数とはなっておりますが、原則30日以内とすることを基本に、引き続き適正かつ効率的な要介護認定を心がけながら、今後とも認定期間の短縮に努めていきたいと考えております。 次に、身体等の状態が悪化したにもかかわらず、前回の要介護度と比較して認定結果が軽くなるとの事例に関してでございます。 要介護認定につきましては、対象者の心身の状況等で判定されるものではなく、対象者の方がどれぐらい介護サービスを必要とされるのか、また、その介護にどれくらいの時間を要するのかによって判定されることとなっております。 例えば、議員からも御案内ありましたが、施設に入所されていて、食事のため居室から食堂へ移動する際などに、職員に見守られながら手すりなどを利用して自力歩行されていた方が、筋力低下等に伴い車椅子での移動となられるケースがございます。この場合、身体の状態は低下しており、要介護度が上がるように思われますが、介護に要する時間という面においては、対象者の自力歩行による移動の見守りに費やす時間と車椅子の移動にかかる時間とを比較しますと車椅子のほうが短くなりますことから、結果として要介護度が下がるということがございます。 なお、介護認定審査会による2次判定におきましては、1次判定の結果と主治医意見書や認定調査における特記事項等の比較をした際に、実情に即していないと判断されるような場合は要介護度の引上げ等の見直しも行っているところでございます。 議員からもありましたように、このような要介護度が軽くなるという事案に対しましては、申請者及びその御家族の方からのお問合せも多くいただいており、先ほど申し上げました認定の仕組みなどについてその都度説明を行い、御理解をお願いしているところでございます。 しかしながら、認定結果に御納得いただけず、結果を受け取った後に再度区分見直しの変更申請手続をされる場合も多く、今年度における1月末現在の当該件数は、介護認定申請の総件数1万500件のうち0.9%の90件という状況になっております。 市といたしましては、適正な要介護認定により、対象者の方々に適時必要なサービスを利用していただき、御本人や御家族の心身の負担の軽減につながりますよう努めているところであり、今後とも市民の皆様に対しましては、引き続き分かりやすく丁寧な説明に配慮してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 2項目めの江迎地区文化会館インフィニタスについての御質問にお答えします。 議員御案内のとおり、江迎地区文化会館インフィニタスを含む本市のコミュニティセンターの使用料については、各施設に共通の受益者負担の適正化指針に基づいて金額を算定の上、設定しております。 今年4月からの料金の見直しについては、この指針に基づいてコミュニティセンターの維持管理に係る経費や他都市における同様の施設の料金との比較等も踏まえた検討を行った上で、利用者の皆様には御負担をおかけすることになりますが、一部料金の引上げを行うことを昨年の12月定例会において御承認いただいたものです。 また、市内のコミュニティセンターにおいては、多少の制約はありますが営利を目的とする利用も可能となっており、その場合の利用については通常の使用料の20倍の料金を徴収することとしております。この20倍という料金設定については、令和3年度の公立公民館のコミュニティセンター化に合わせて新たに営利目的での利用を可能とした際に、コミュニティセンターの中規模の会議室の使用料とホテルなどの民間施設の同規模の会議室の料金相場が同等になるよう、調査を踏まえて設定したものです。 しかしながら、この料金設定について、令和4年12月定例会における議員の御質問の中で、興行収入を目的としたイベント等でインフィニタスを利用すると、アルカスSASEBOの中ホールを同じ時間利用する場合の料金を超えると具体的な御指摘をいただいたことから、料金引下げについて現在調整を行っている状況です。 また、コミュニティセンターに移行後3年が経過しようとしている現時点において、営利目的での利用はほとんどないという実態のため、インフィニタスを含めた市内28か所のコミュニティセンターの全体について営利目的での使用料の引下げを行うことで、さらなる利用の拡大を図りたいと考えているところでございます。 その実施時期につきましては、先ほど申し上げた今年4月の受益者負担の適正化指針に基づく見直しによる使用料の引上げと、この営利目的での使用料の引下げを同じタイミングで行うとなると、利用者の皆様に混乱を招くおそれもあることから、切り分けて実施することが妥当と判断しました。 そこで、次の6月定例会において、今年10月からの供用開始を予定しております新たな江迎地区コミュニティセンターの利用料金設定に伴う条例改正を提案させていただくことを考えておりますので、それに合わせてこの営利目的での料金改定の提案ができるよう鋭意検討を進めているところでございます。 ◆12番(松尾俊哉君) (登壇) それぞれに御答弁をいただきました。ありがとうございます。 まず、介護認定についてでございますけれども、その認定に係る時間について、全国平均に比べその期間は短くはあるものの以前より長くかかっている理由について、また、御家族の思いとは裏腹に要介護度が下がる場合の理由、これについて御答弁をいただき、これに関しては一定理解するところであります。 申請をされる方々からすると、やはり少しでも早く判定の結果が欲しいと思われることであると思いますし、家庭内において以前よりも重度化されたと御家族が感じられる状況で、更新申請における結果通知の内容次第では、すぐに区分変更申請を希望されるということもあると思います。この区分変更申請が増えれば、当然ながら調査の件数は増えることとなり、認定に要する時間は増えることになるのではないかと思います。 そこで、再質問いたします。 まずは、介護認定について、それにかかる日数を短縮するには認定調査が速やかに行われることが必要ではないかと考えるところですが、その調査というのは、認定調査員が直接高齢者のお住まいや入所されている施設であるとか病院などへ出向いて実施されているとのことで、時には御家族などから御要望があり、土曜日や日曜日であったり、夕方以降に行われることもあると聞いております。調査を受け持つ方々の仕事量が多いために時間がかかるであるとか、しっかりとした聞き取りができないなど、そういったことはないのでしょうか。 また、調査員としての適格者が少ないとか、見つかってもやめる方がいるなどという話も耳にするところですが、調査員に対しての拘束時間といいますか、そういった問題は何も起きてはいないものでしょうか。それ以前に、そもそも調査員の数というのは十分な人数が確保されているのか、お尋ねをいたします。 また、自治体の業務ではDXによる効率化が求められており、介護保険の認定業務においても調査員の負担を軽減するために導入を検討することも必要ではないかと思います。 先日、群馬県前橋市や埼玉県鶴ヶ島市において、AIやタブレットの導入により介護認定調査の効率化が図られ、認定までの日数が減少した例が雑誌に掲載をされておりました。 そこで、当市の介護認定調査におけるデジタル化による業務の効率化について、現状をお尋ねいたします。 次に、江迎地区文化会館インフィニタスについてですけれども、インフィニタスの利用料金の見直しについては、新たに整備中の江迎支所の複合施設の供用開始に合わせて行えるよう検討しているとのことでした。ぜひ、利用者の側に立った改定となることを期待しております。 さて、インフィニタスについては、以前にも申し上げましたが、元来はホール施設であり、かつては文化ホールとして多くの利用をされておりました。もちろん現在もそのような用途で利用されることもしばしばあるのではないかと思うところですが、現在の状態を見てみますと、内外装は傷み、舞台装置や照明などにも不具合が出てきており、また空調設備においては老朽化が著しく、しばしば利用できない状況が起きているようです。実際にインフィニタスにおいて窓口での業務に携わっておられる方に尋ねると、壊れては直し、直しては壊れといったようにいたちごっこを続けているとのことで、「いざ使用するとなると実際どれだけの時間稼働できるか分からないよ」と言ったり、「1時間で止まることもあるんです」というような話も聞きます。 空調がこのような状態では、利用する側からすると、寒かったり暑かったりする中でどうなるのか分からないような空調は利用したくない、ホール自体の利用に関しても考えざるを得ない、使いたいとは思うが二の足を踏む状況で不便を感じるなどの意見が出ており、現に利用している方々や利用したい方々は非常に困っておられるのが実情です。 このような状況のインフィニタスについて、今後どのように維持していくのか、いつどのように改修する予定があるのか、また、そのような予定はないのか、お尋ねします。 以上で2回目の質問を終わります。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 1項目めの介護認定に係る諸問題と今後の課題についての再質問にお答えいたします。 まず、認定調査員の確保状況に関してでございますが、認定調査員につきましては、現在、市の調査員が13名、佐世保市社会福祉協議会への委託による調査員が22名の合わせて35名の調査員を確保しており、現人員における調査可能件数としましては年間約1万4,600件と見込んでおります。 これに対しまして、平成30年度以降の年間最多の申請件数は約1万4,200件となっておりまして、この状況などを踏まえますと、現時点においては認定調査に必要な人員は一定確保できているものと考えてございます。 また、認定調査員の勤務状況等についてでありますけれども、現在、認定調査のほとんどは平日の日中に実施できている状況にありまして、議員御指摘のとおり、御家族の希望などにより夕方や土日の勤務となる場合もありますものの、件数としましては非常に少ない状況でございます。 また、調査員の辞職により欠員等が生じた際におきましても、速やかな補充に努めるなど、過度な業務負担にならないよう留意しながら対応しているところでございます。 次に、介護認定業務の効率化についてでございます。 本市といたしましては、DX推進の取組を見据え、介護認定業務のデジタル化の一環として、コロナ感染症の流行を契機に、令和4年度から介護認定審査会について、テレビ会議システムを導入したオンライン形式での開催を行っております。 介護認定審査会でございますが、60名の委員で分担し、年間約360回開催をしておりますが、導入前は各委員の方に勤務先の病院などから市役所にお集まりをいただいておりましたため移動に時間を要すとともに、コロナ感染症の流行時におきましては、感染リスクの面から審査会の開催が難しい状況に至った経緯もございました。 こういった中、オンライン形式での開催に変更した結果、感染症予防の面はもとより、委員の方々や審査会に立ち会う職員の負担が軽減されるとともに、台風や大雨の場合など従来は審査会の中止や延期をせざるを得なかった場合におきましても開催が可能となるなど、業務の効率化につながっているところでございます。 また、議員から前橋市や鶴ヶ島市におけるAIを活用した認定調査業務等の効率化に係る事例を御紹介いただきました。認定調査にAI等を導入した場合、定型文を用いた特記事項の作成となるため、対面調査時に得られる細やかな情報を基にした対象者個々の事情をうまく反映させ、適正な要介護認定につなげられるかなどに留意する必要がある一方で、直接現場で調査項目が入力できることも含め、作業の省力化やペーパーレスが進むなどのメリットも見込まれるところでございます。 本市といたしましても、要介護認定の申請件数が当初の3倍を超えている現状等を踏まえますと、業務のさらなる効率化は避けては通れない問題であると認識してございますので、今後とも先進事例に関する情報収集等を行いながら、デジタル化の推進など有効な方策について検討を続けてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 2項目めの江迎地区文化会館インフィニタスについての再質問にお答えします。 インフィニタスは平成7年に旧江迎町において整備された施設であり、平成22年の合併後は当時の公立公民館の附帯施設と位置づけられ、現在に至っています。築28年が経過し、施設の内外装の損傷や設備面の著しい老朽化が課題となっており、過去には設備の故障のため利用できない事態が発生するなど、利用者の皆様には御迷惑をおかけしていると認識しております。 現状としては再三にわたり工事や修繕を繰り返しながら施設が利用できる状態を維持しておりますが、様々な設備が寿命に近づいているため、抜本的な解決のためには全面的な改修工事が必要となっております。その費用としては、この施設がデザイン性を重視した建築物であることに加え、文化施設として十分な設備を整えていることや特殊な空調設備であることなどから高額になるものと想定しております。 しかしながら、市民生活部が所管している市内28か所のコミュニティセンターについては、附帯施設である体育室なども含めて維持管理に例年相当の経費を要しているほか、佐世保市公共施設適正配置・保全実施計画に基づき大規模な長寿命化改修や建て替えも計画しているため、そうした費用を含めた中で、緊急性を加味しながら必要な予算を確保しなければならない状況となっております。 こうした中、インフィニタスの全面的な改修工事に高額な費用を投入するには、その年度における他のセンターの改修費用の縮減が必要となり、場合によっては緊急性を伴う対応もできないなどの影響を与えかねないことから、大変難しい判断が必要になるものと考えております。 また、このインフィニタスの利用状況を見てみますと、その設備があるからこそ利用するという活動ばかりではなく、通常のコミュニティセンターの貸室利用でもできる活動もあると思われます。先ほど申し上げた江迎支所と複合化する新たなコミュニティセンターは、従来の江迎支所を長寿命化し、内外装を改修するとともに、これまでなかったエレベーターを備え、空調等の機器を一新するなど設備面や、新たに広さ約150平方メートルの講堂を備えるなど機能の充実も図られた施設になるものと考えております。 利用者の皆様が、今後の活動の場として、より快適性を求められるのであれば、新たなセンターの利用をお勧めしていく場合も出てくると考えておりますので、今後は利用しやすい料金設定の見直しを行った上で、インフィニタスでしかできない、ここの設備だからこそできる音楽活動などの利用がどのくらいあるのかという利用頻度などを見ていく必要が出てまいります。その状況によっては、今後、全面的な改修工事の必要性や施設の管理方法が課題になってくるものと考えております。 以上でございます。 ◆12番(松尾俊哉君) (登壇) 再質問に対してそれぞれに御答弁いただきました。ありがとうございました。 介護認定についてですけれども、当市においては、介護認定業務のデジタル化の一環として認定審査会においてオンラインによる会議が採用されて、業務の効率化につながっているとのことでした。そこは大きく評価に値するところであると思います。しかし、テレビ会議に限らず成功事例があるわけですから、御答弁のとおり調査研究を進めていただきたいと思います。 ちなみに、先ほど申し上げた2市の例ですけれども、前橋市においては年間18万5,000件の調査実績を持つ介護認定調査員システムというのを導入されているそうで、調査員にタブレットを貸与し、データをクラウド上に保存するため、文書やデータのやり取りに要する時間が短縮でき、調査の際にアラートが表示されるため設問の入力漏れや入力内容の矛盾点がチェックできる。そのため資料作成後の点検の時間が削減できた。また、審査会においてもこのクラウド上のデータを利用しているそうで、年間約1,800時間短縮されています。そしてペーパーレス約47万枚、金額にして総額約500万円の削減につながったとのことです。これを1年間でということなので、物すごい数、物すごい額だなと思っております。 一方、鶴ヶ島市のほうですけれども、DX導入の経費を抑えて効率化を目指したいということで、パッケージソフトではなく、プログラミング知識がなくても業務システムが開発できるというソフトを用いて職員がシステムを作られたそうで、導入コスト、これを試算すると5年間で市販のソフトの10分の1に抑えられたということであります。 折しも、先月23日の新聞紙面に、「政府は子育てや教育といった分野でのデジタル活用に向けモデル自治体を公募し、先導的プロジェクトを指定する」という記事があり、その中に「要介護認定に関するデジタル化」という項目も含まれておりました。 このように国によってもDX化を進める動きというのは強まっているものと感じます。ぜひ、前述の先導的プロジェクトにエントリーするというくらいの気持ちを持って、介護認定の効率化を推し進めていただきたいと思います。これは意見として申し上げておきます。 江迎地区文化会館インフィニタスについてですけれども、インフィニタスの改修については、その必要性は認識されているものの、財源の確保などの問題もあり計画はないということを理解いたしました。 御答弁の中で、このインフィニタスという建物がデザイン性を重視した建築物であるということに言及されましたけれども、それについては以前にも私、少しお話をいたしましたが、改めてちょっと紹介をさせていただきたいと思います。 まず、この建物のデザインですけれども、国内では代表作として表参道のけやきビルであったり、京都アクアリーナ、海外では台湾桃園国際空港の第1ターミナル、こういったものを手がけられた世界的建築家である團紀彦氏の設計であり、インフィニタスにおいては、その玄関前のバス停と国道を挟んだMRの駅舎とトイレ、これを一体の風景として同時に設計をされたという経緯がございます。 そして、團氏の御尊父は、日本の子どもたち、誰でも口ずさむことができるであろう童謡の「ぞうさん」であるとか、「おつかいありさん」といったもの、また、佐世保市民ならほとんどの人が知っているであろう「西海讃歌」などを作曲された團伊玖磨氏であります。お昼には隔週で市内全域に流れる「西海讃歌」ですけれども、インフィニタス落成の折には團先生もお越しになり、自らの指揮で「西海讃歌」を演奏されました。このような背景を持っており、芸術的価値は高く、このまま朽ち果てさせるのにはもったいない作品だと言えます。 新たな江迎地区の複合施設完成後には、先ほどの御答弁にもあったように、現在利用されている皆さんのうち、ホール施設としての利用を必要としない方々は、新たな複合施設を利用されるようになることも考えられます。そうなると、いよいよホール施設として利用されることが主たる利用ということになります。 こういったことも踏まえ、早期の改修が必要と思われてなりません。舞台発表する場を必要とする市民の方々は、発表するために使える小規模の芝居小屋がなくて困っているというのが現状です。以前あった市民会館や、現在のパールシーリゾートにあったパールシーセンター内のマリナホールがなくなった今、アルカスSASEBOの中ホールだけが適当なキャパシティを持つホールであり、利用したい方の利用したい日が週末に集中することが多く、希望者複数の場合には抽せんとなり、外れた場合には市外のホールを利用するなどの方法を取るしかなく、新たな小規模のホール施設が欲しいという意見も多く耳にします。 ホール施設において、集客ができる条件として、中心街に近いというのが第1条件ではありますが、次いで廉価の大駐車場があることと言われています。インフィニタスはこの条件に合致するため、利用することができれば、発表する場に困っている方々にとってその解消にもつながるものと思います。 ちなみに、長崎市のホール型施設の数は8館、当市は施設白書によると3館となっています。また、インフィニタスのように平成の合併以前に旧町が所有していたホール型施設は、合併後にどのように位置づけられているのかということをちょっと調べてみました。そうすると、旧琴海町、香焼町、三和町、近くですと生月町、このまちが所有していたホール施設、これは新市において新たに条例がつくられてホール施設としての利用がなされております。 令和4年12月定例会において質問した際に、当局からは5年をめどにインフィニタスの在り方について結論を出したいとの答弁があっておりますが、これまでに何らかの議論はされてきたのでしょうか。何らかの進捗、現在の状況はどうなのでしょうか。 宮島市長におかれては、99の政策にあっても、このたびの施政方針においても文化芸術について触れられておりますが、当市の文化芸術を育てるためにも、ぜひ、これまで私が申し上げたことも加味していただいた上で、今後の江迎地区文化会館インフィニタスについてどのようにお考えを持っていらっしゃるのか、市長の御答弁を求めまして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 松尾俊哉議員の江迎地区文化会館インフィニタスについての再々質問にお答えをいたします。 現状のコロナ禍以降のインフィニタスの利用状況としては、他のコミュニティセンターと同様に回復傾向にあると認識しております。そうした中で、市民生活部長の答弁にもあったとおり、今後、新たな江迎地区コミュニティセンターは、今年10月からの供用開始を予定しており、これに合わせて営利目的での利用料金の見直しも検討したいと考えております。 インフィニタスは現在も様々な団体に御利用いただいておりますので、これらの新たなコミュニティセンターの供用開始や料金の見直しが、このインフィニタスの利用にどれくらい影響し、利用状況がどのように推移するのか、特にこの施設の特性を生かしたホール利用の状況を中心に、まずはその動向を注視する必要があると考えております。 また、議員御提案のとおり、アルカスSASEBOが利用できない場合には、インフィニタスを利用できればいいのではないかという御提案もありましたが、それはこのインフィニタスにホールの機能として舞台、照明、音響等の設備を備えているからこその話でありますので、その御提案に応えていくためには、当然その機能を維持し、場合によっては改修していくということが前提になるものと考えております。 さらに、このインフィニタスは、議員御案内のとおり建築物としての芸術的な価値などの要素もあることから、市全体におけるホール利用に関するニーズや、この施設の改修に要する費用などを加味しながら関係部局による協議を行い、今後の利用価値を総合的に見極めた上で、施設としての位置づけや改修の方向性について判断していく必要があると考えております。 なお、議員おっしゃいましたとおりに、令和4年12月定例会で御質問をいただいた際には、5年を目途に結論を出すと答弁をしておりますが、インフィニタスの劣化状況もあることから、こうした判断を踏まえ、できるだけ早く結論を見いだしたいと考えております。 ○議長(林健二君)  6番宮田京子議員。 ◆6番(宮田京子君) (登壇) 市政会、宮田京子でございます。本日、最後の質問となります。よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。 まず、地区自治協議会の地域予算制度についてというテーマでお尋ねをいたします。 この地区自治協議会については、平成30年4月に27全ての地区に設立が完了いたしまして、おおよそ6年が経過をしました。 宮島市長は、昨年5月に就任されたばかりではありますが、そのマニフェストである99の政策の52番目に「地区自治協議会への支援強化、地域予算制度の検討」という項目を挙げておられます。 その地域予算関連ですが、令和2年12月に地区自治協議会5ブロックの会長連名で3項目の要望書が出されておりまして、その中に補助金の一括交付金化という項目があります。市長の言われる地域予算制度とは文言は異なりますが、いわゆる地域の主体性を重視した予算の在り方という点では方向性は同じではないかと思う次第でございます。 当局とされては、この要望書以降、佐世保市地域運営研究会などで協議を重ねられて、令和3年度から事業費への補助率を85%から100%へ引き上げられ、併せて補助対象経費を法律の範囲内で最大限緩和されたということで、使い勝手のよい補助金制度へ一定の努力をしてこられました。 そのことを踏まえて、現在、佐世保市は財政支援の種類としては補助金としての位置づけですが、実質、一括交付金と変わらないというお考えをお持ちです。しかし、現に一括交付金化を望む声を複数の地区自治協議会関係者からいただいておりまして、要するに一括交付金として双方の描く姿が異なるのではないかと思います。 そこでまず、現制度の中から1点目の質問です。 今の本市の補助金は、事業費補助と人件費補助に分かれています。別立てになっているので、例えば人件費が不足した場合、その不足額は自主財源で補わなければなりません。実際、自主財源で補填している団体の数は、令和4年度の実績で27のうち15団体あります。ほとんど半数以上の地区自治協議会で人件費は言わば赤字というのが実態です。 さきの要望書が出された時点で、人件費の上限は事務局長と事務職員の2名分として年間110万円でありましたが、令和3年度からは20万円増額されて130万円になっております。よって、一定の進展が見られたことは評価できます。しかし、地区自治協議会の要望書には2人で350万円程度に引き上げていただきたいと書かれていますので、その要望には到底届いていません。この1点をしても行政側と現場サイドの地区自治協議会との考え方には大きな開きがあると言わざるを得ません。 事務局長という仕事は、地区自治協議会の要であり、重要な役割を担います。にもかかわらず、現状の人件費では事務局長の勤務は週に二、三日程度です。本当に地区自治協議会の活性化を目指すなら、事務局長がもう少し頻繁に勤務できる体制を整えることが必要で、そのためにも人件費の増額は必須だと思います。検討する考えはありませんか。 次に、2点目の質問ですが、人件費が不足した場合、現に先ほど申し上げたとおり、今でも半数を超す地区自治協議会が人件費は赤字なのですが、その補填のために事業費から人件費に資金を回すことは今の制度ではできません。それを柔軟に使える制度にしてほしいという意見があります。事業費から人件費の不足部分に回せるような融通を利かせた取扱いに改めるという考えはありませんか。 3点目に、事務局長の選任についてです。 第3期佐世保市地域コミュニティ推進計画の中では、地域選任を基本とするとなっています。しかし、現在の人件費の枠ではなかなか人選が難しく、コミュニティセンターのセンター長が兼務している状態のところもあって、現状で27地区自治協議会のうち九つが兼務の状態にあります。 地区自治協議会の役割は、地域課題の解決、または地域の活性化に取り組むこと。そのため豊富な人材を活用することは極めて大切なことです。コミュニティセンターは行政機関であり、そのセンター長は公務員です。一方、地区自治協議会の事務局長は、あくまで地区自治協議会という団体の雇用になります。それらはもともと役割も位置づけも異なるもので、それが兼務の状態では地区自治協議会の自由な活動を促進するために十分とは言えません。事務局長の地域選任に対する今後の在り方について、当局の考え方をお伺いいたします。 4点目、余剰金の取扱いについてです。 今は補助金制度なので、目的のために使用し、余れば精算し、佐世保市へ返還する必要があります。しかし、例えば数年に一度のイベントなどのために補助金の一部を積み立てておきたいという御意見があります。もちろん金額の上限、その他一定のルールは必要となりますが、数年にわたって事業費の補助金を積み立てられる制度に改めることはできませんか。 このように課題を抽出すると、現在の状態では地区自治協議会側がこれだけ制約があると思っておられますので、自由に活用できる予算、いわゆる一括交付金とは言い難いと思います。 以上4点についてお尋ねをいたします。 続いて、二つ目の項目、交通不便地区における移動診療車の導入についてお尋ねをいたします。 鹿町地区では、町の診療所が閉鎖となり、個人病院が廃業、もう一つの個人病院も長期休業、また隣接する小佐々町楠泊の病院も閉鎖ということで、鹿町から小佐々町楠泊に至る海岸線の地域には、身体的な慢性疾患を抱える高齢者が定期的に通える身近な病院が一つもなくなってしまいました。 そこで、遠くの病院へ通院せざるを得ないのですが、そこにバスの減便という問題が重なります。もちろん、減便なので完全に廃線となったわけではありませんが、乗り継ぎの不便さなど高齢者にとってそれまでの生活スタイルが変化することへの対応というのは若い人のようにはいきません。 交通不便地区における高齢者の病院の受診の困難さ、これは一つの地域に限ったことではなく、本市全体としてほかにも見られる問題ではないかと思うわけですが、市としてはその実態をどのように把握されているのか、まずはお伺いいたします。 そして、その対応策として、地域の方から巡回診療所のようなものがあればというお声をいただきました。 実際に五島市においては、昨年1月から医療機器を搭載した専用の巡回車両「モバイルクリニック」が導入されました。五島市と長崎大学、市内の医療機関、県などが連携しています。これは、主に慢性疾患を抱える人を対象に、診察用のモニターや心電図検査、エコー検査などの機器を載せた車両を市の委託を受けた事業者が運行して患者宅などに向かうもので、医師は同乗せず、看護師が同乗してオンライン診療をサポートします。また薬剤師もオンラインで結び、服薬指導も行えるようになっています。 医師不足が大きな課題である中、リモート診療は一つの有効な手段であるわけですが、高齢者本人にタブレットの操作を任せるのは無理があります。これはそばでサポートをしてくださる看護師が現場に出向かれることがポイントです。その分、医師は、その移動時間を緊急性の高い患者の対応に充てることができ、地域にとってより効率的な医療を提供できるようになります。 もちろん、五島市は離島という特殊性はありますが、本市も過疎地域や半島を抱えており、医師不足や公共交通機関の不足など状況は似通っており、慢性疾患の患者への対応という点では大いに参考になる事例だと思います。五島市に確認をいたしましたところ、その運用実績は、当初、市が予定していた数より若干多い結果となっていて、一定の効果が上がっているということでございました。 この事業は、国のデジタル田園都市国家構想の交付金などを活用して実現されました。同じくこの交付金を活用して移動診療車を導入した自治体としては、熊本県八代市もあります。ここは、2020年7月の豪雨災害で二つあった診療所が被災して医療機関がなくなってしまったことがきっかけとなって導入がなされました。 また、この事業を全国で初めて導入したのは長野県伊那市で、2020年6月のことです。この数年で少しずつ全国各地に広がりつつあります。この事業は専門的な車両の整備等多額の費用を要するものであり、一気に進むものではないと思いますが、効果的な手段として検討の余地があるのではないかと思います。 交通不便地区の高齢者の医療機関受診を今後どのような方法で確保していくのか、移動診療車の導入も含め、お考えをお伺いいたします。 以上、1回目の質問といたします。 ○議長(林健二君)  会議時間を延長いたします。 ◎市民生活部長(中西あけみ君) (登壇) 1項目め、地区自治協議会の地域予算制度の御質問について、私からお答えします。 地区自治協議会の補助金において、一括交付金を望む声があることを踏まえ、お尋ねがありました。 この一括交付金化に関しましては、先進自治体で様々な形で制度設計をされている中で、一括交付金の定まった定義はございませんが、自由度の大きい制度として強く認識されていることから、ぜひ実施してほしいという地区自治協議会からの要望があっているのは、議員御案内のとおりでございます。 まず、一つ目のお尋ねですが、人件費の増額について検討する考えがないかとのことでございました。 事務局の人件費に関しましては、その業務量について、平成30年度に事務局に対して業務量調査を行っており、地区全体の年間平均業務量1,420時間との結果を補助金算定の根拠とし、人件費130万円を上限に補助しています。したがいまして実態に即したものと考えているところですが、昨今の物価上昇に伴う賃金の上昇傾向もあることから、社会情勢を踏まえた増額部分については検討してまいりたいと考えております。 二つ目に、活動費と人件費を一体に考え、活動費から人件費の不足分に回せるような融通を利かせた取扱いができないかとのお尋ねがありました。 活動費と人件費は、それぞれ積算の根拠をもって補助しています。活動費に関しましては、これまでにも地域に交付されていた生涯学習に資する取組に対する補助金に加え、設立時に七つの部会設置を推奨し、一部会につき10万円の計70万円などの算定根拠を基に、活動費補助基礎額130万円と、これに加えて人口割で加算した額を基本額として活動に応じた助成を行っています。人件費に関しましては、先ほどお答えしたとおりの算定基礎でございます。 これら積算根拠を基本としていることから、活動費と人件費の区分をなくすといったことは現在行っておりませんが、そのような御意見について地域から強い声がありますので、これまでも一定の条件を加えた上で融通することができないかといったことについて内部では検討してきたところです。しかしながら、積算根拠を崩すことについて様々な意見があり、実現には至っておりませんので、いましばらく検討のお時間をいただきたいと考えております。 三つ目に、事務局長の地域選任の今後の在り方についてのお尋ねがありました。 議員御案内のとおり、地区自治協議会は地域から事務局長を選任することを基本として、第3期地域コミュニティ推進計画にも位置づけており、事務局長は地域で担っていただくことが肝要と考えます。その一方で、地域の事情で選任できない場合において、地域からの要請に応じて市が支援している状況でございます。 地区自治協議会におかれても、イベントや行事などの地域活性化の活動の中で、継続して人材を発掘し、事務局業務を担っていただける方を育成するなどの取組を行われておりますが、市としても地域選任が進むよう、該当地区に居住している市職員OBを地域へ御紹介させていただくなどを含め、環境整備に努めてまいりたいと考えております。 四つ目に、数年にわたり事業費を積み立てられる制度に改められないかとのお尋ねがありました。 地域活性化のために大きなイベントを開催したいとの意向をお持ちの地区や、毎年開催するイベントを数年に一度開催することで負担軽減につながる場合もあるかと思います。そのため、事業費の積立てについて市内部でも検討してきた経緯がございますが、意見調整がつかず、先ほどの活動費と人件費の融通と同様に実現には至っておりません。 しかしながら、地区自治協議会の役割である地域コミュニティの維持、活性化等を推進するため、より使いやすい制度構築の必要性は認識しておりますので、地域の御意見を踏まえながら市内部で継続して議論を進めてまいりたいと考えております。 ◎保健福祉部長(辻英樹君) (登壇) 2項目めの交通不便地区における移動診療車の導入についてお答えいたします。 まず、交通不便地区における高齢者の受診に関する実態把握についてお尋ねがございましたが、地域における受診の困難さをはかる指標や明確な基準等がないこともあり、これまでそのような視点での調査・分析を行った経緯はございませんが、医療機関の設置状況につきましては、本市の都市計画マスタープランにおける市内六つのエリアごとに把握をいたしております。 こうした状況の中で、本市の医療体制に関する将来見通しを申し上げますと、後期高齢者の増加に伴い、今後も医療需要の増加が見込まれる一方、医療機関へのアンケート調査によりますと、医師の高齢化や承継者不足から、今後10年から20年の間に市内の医療機関が最大で半数近く喪失する可能性も見込まれており、医療における需給ギャップのさらなる拡大が懸念されるところでございます。 医療機関への受診に関しましては、本来、個人が自由に選択できるいわゆるフリーアクセスとなっており、お住まいの地域内に医療機関がないことが必ずしも受診困難につながるものとは言えないところもございますが、地域の医療機関がなくなるということは、高齢者など御自身での移動が難しい方や、公共交通機関の利便性が乏しい地域の方にあっては、安心した暮らしを阻害する要因の一つであると捉えられるところでございます。 このようなことから、市内各地域における医療機関の現状把握に加えて、今後、議員御懸念の鹿町地区のように身近にある医療機関が喪失する地域が存在しないかなど、将来予測も含めた調査に着手してまいりたいと考えているところでございます。 次に、移動診療車の導入についてでございますが、議員御案内の五島市におきましては、移動手段がなく通院が困難な高齢者が、自ら受診を控えられたことで重症化に至ったというケースを踏まえ、オンライン診療の機能や医療機器を搭載した診療のための専用車両を昨年1月から県内で初めて導入されておられます。 先ほど申し上げましたように、医療における需給ギャップ拡大の懸念を抱える本市にとりましても、解決に向けた有効な手段の一つになり得るものとは認識いたしておりますものの、まずは市内の各地域における身近な医療機関の維持、確保を最優先に、今年度から実施しております診療所新規開設・承継支援事業等の展開と定着化を図るなど、医師確保の取組を推進し、かかりつけ医療機関の減少への歯止めに努めているところでございます。 また一方で、今後、在宅医療を必要とされる高齢者のさらなる増加が予想されますことから、自宅などの生活の場で診療や治療などを行う在宅医の確保も必要となりますが、医療人材や資源が限られる状況下においては、負担の軽減と効率的な医療提供の手段として情報通信機器を活用したオンライン診療の普及が求められているところでございます。 議員から御提案がございました移動診療車の導入につきましても、地域ニーズの調査・把握や、市医師会をはじめとする関係機関との調整、導入費用に係る財源確保のほか、特に運用という面におきましては、オンライン診療を実施できる医師や医療機関の拡充が不可欠となってまいります。 したがいまして、その実現に当たりましては、市医師会をはじめとする関係機関の取組への御理解はもとより、医療機関のデジタル化や人材育成といったハード・ソフト両面による体制の確保が必要となるなど対応すべき課題も多くございますことから、まずは先行自治体の状況や関係機関からの御意見等を賜りつつ、今後の地域医療における必要性や有効性について必要な整理、研究を行ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◆6番(宮田京子君) (登壇) それぞれに御答弁ありがとうございました。 二つ目の移動診療車については課題も多いということで、しかし一定の検討をしていただけるということですので、その推移を見守りたいと思います。ただ、大切な命です。高齢者の受診控えによる重症化という事態にだけはならないようにということを強く申し上げたいと思います。 それでは、1項目め、地区自治協議会の地域予算制度について再質問させていただきます。 4点の質問項目の中で、人件費についての増額は一定検討するとのことですが、その理由は社会情勢の変化を踏まえてということ。こちらの意図する制度設計そのものを考えるべきという質問に対する抜本的な回答とは言えません。また、不足する人件費について事業費から回すことができないかという点については、いましばらく検討の時間をいただきたいと、また、積立金や繰越金についても継続して議論を進めたいとのことです。つまり、要望書の提出から既に3年が経過しているわけで、また現場にそういう声があることも一定承知されている中で、この段階に至って検討するという答弁になるのは議論が遅れていると言わざるを得ません。 ここで他都市の事例を見てみます。既に一括交付金を実施している自治体は多数あります。名称は一括交付金や自由枠交付金などと呼ばれます。例えば、船橋市や一宮市は、繰越しも積立ても可能で、執行残の返還も不要です。兵庫県西脇市は、市民税の1%を上限として、地区自治協議会が自由裁量で使用できる交付金を一括して出しています。 本市は人口減少が著しく、人口流出が全国の1,700を超す自治体の中でワースト5位というショッキングな発表があったわけですが、これは自治体の規模を問わず転出超過の数だけで見たものであって、それも人口に対する割合で算出しますと、本市は全国でワースト2位というさらに深刻な事態となります。 子育てに対する支援はとても大切です。これは市長が一丁目一番地と言われることも理解します。しかし、政策は短期的、中期的、長期的に計画されるべきものです。地区自治協議会についての活性化、これは中期的なもの、つまり一定の期間をかけて少しずつ効果が表れるものではないかと思います。 魅力ある佐世保市をつくるために、若い人の力は大いに期待されるところですけれども、やはり様々な年代、様々な属性の方々の力を総動員すべきです。熟年層、高齢者の中にも地域でまちづくりに熱い思いを抱いている方々がいます。その要望に応え、特色ある地域づくりを目指して、3年後、5年後に成果が表れるような事業についても今やらなければならないと思います。 この地区自治協議会に対する対応は、本市のまちづくり、にぎわいの創出という点で、その本気度が問われる問題です。市長の描く地域予算の姿とはいかなるものか、また、今後どのようなスケジュールで進めていかれるのか、市長のお考えを伺いたいと思います。 ◎市長(宮島大典君) (登壇) 宮田京子議員から、1項目め、地区自治協議会の地域予算制度についてどのような姿を描いているのか、また、今後どのようなスケジュールで進めるのかとの再質問にお答えをいたします。 全国と同様に本市におきましても人口減少、少子高齢化が進んでおり、このような社会情勢を踏まえますと行政の力だけでは対応が難しく、それぞれの地域が特色を十分に生かしながら、どのようにすれば地域がより生活しやすくなるのか、地区自治協議会を中心に様々な団体と連携、協力しながら地域づくりを実践していただきたいと考えております。 そこで、その地域づくりの実践の一つの手段として、地域予算制度導入を私の政策に掲げているところでございます。先ほど御紹介もいただきましたが、さきに導入をされた自治体の事例で申しますと、地域でまちづくりの計画を策定した上で、地区自治協議会の財源として町内会と地区自治協議会への幾つかの補助金を統合し、その使途について地区自治協議会の裁量で予算を配分し、様々な地域課題を解決していくといった制度として運用されております。 このような事例に限ったことではございませんが、様々な自治体の手法を参考に制度構築ができないか、検討を指示しているところです。制度構築のスケジュールでございますが、私の現任期中に一定の考え方を示せるよう、また、可能であれば本市の地域の実情に適した方法によりモデル地区での実施ができるように進めてまいりたいと考えております。 ◆6番(宮田京子君) (登壇) 御答弁ありがとうございました。市長より現任期中には一定の方向性をという、また、可能ならばモデル地区での実施をという大変力強い御答弁をいただきました。 市長の御就任から1年が過ぎようとしています。昔、大分県の平松知事が提唱した一村一品運動というのがありました。つまり地域の魅力は地域がつくっていく。ここでしっかりと議論を進め、地域予算という考えも踏まえた本市の地区自治協議会への支援の在り方、これを固めることが活力ある地域づくり、ひいては魅力ある佐世保市への試金石になるに違いないと申し上げたいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(林健二君)  以上で本日の日程は終了いたしました。 次の本会議は明日10時から開きます。 本日はこれをもって散会いたします。     17時12分 散会...