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令和4年6月定例会(第3日) 名簿
令和4年6月定例会(第3日) 本文

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  1. 佐賀県議会 2022-06-03
    令和4年6月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(藤木卓一郎君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  昨日に引き続き、一般質問を行います。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 2 ◎中本正一君(拍手)登壇=おはようございます。公明党の中本正一でございます。  今回、県政が抱える課題につきまして、大きく五項目について質問させていただきます。執行部の皆様には、明快かつ前向きな答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。  それでは、大きな項目の一つ目として、原油価格・物価高騰による本県への影響と対策について質問いたします。  我が国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩やかに持ち直しつつあるものの、感染症の影響を大きく受けた業種やそこで働く方々など、国民生活や経済への影響は依然として続いています。こうした中、ロシアによるウクライナ侵略などの影響で、原油をはじめとするエネルギーや原材料、資材、食料、飼料価格等が高騰し、さらに円安の進行が追い打ちをかけ、家計や企業経営、生産活動を圧迫するなど、国民生活や社会経済活動に幅広く影響を及ぼしています。  ウクライナ情勢をめぐる先行きの不確実性は高く、今後、コロナ禍からの回復の足取りが大きく阻害されかねないことから、政府においては、総額十三兆二千億円規模の「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を策定し、物価高騰の影響を緩和するための対応を緊急かつ機動的に実施するとしています。さらに二兆七千九億円の二〇二二年度補正予算が去る五月三十一日に成立しており、総合緊急対策の財源の裏づけとなる地方創生臨時交付金が拡充され、総額一兆円の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設されており、各自治体の判断で必要な事業に活用できるとされています。  国の総合緊急対策の策定に当たって、公明党は、国民生活総点検運動を開始し、全国の地方議員が現場に足を運んで集めてきた原油・物価高の影響や不安の声を基に、政府に提言を行っています。  提言では、生活支援として学校給食などの負担軽減、住民税非課税世帯や低所得の子育て世帯に対する特別給付金の拡充、水道料金をはじめとする公共料金の負担軽減を求め、また、事業者支援では、バス、タクシーなど地域公共交通への経営支援や、トラックなど地域の物流維持に向けた経営支援などを求めており、その多くが国の総合緊急対策に盛り込まれたものと自負をいたしております。  また、ウクライナ情勢が長期化する影響に加え、参院選前後の政治空白時における新型コロナの感染再拡大や、梅雨どきの豪雨災害など不測の事態に備えて十分な予算を確保する必要があるとの考えから、今国会での補正予算の編成を強く求めてまいりました。  国の総合緊急対策を受けた県の補正予算の策定に当たっては、今般の原油価格・物価高騰が与える県民生活や県内経済への影響をしっかり把握するとともに、生活者や影響を受ける業種や事業者の実情に応じた、きめ細かな支援に機動的に取り組んでいくことが重要と考えます。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、六月補正予算と今後の対応についてであります。  本県においては、新たに国から配分された地方創生臨時交付金「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用し、原油価格・物価高騰対策として約三十一億円の補正予算が編成され、本定例議会に上程されています。  そこで、山口知事は、原油価格・物価高騰が県民生活や県内経済へ与える影響について、どのように認識をされ、補正予算の編成に当たったのかお伺いいたします。  また、本県に配分された地方創生臨時交付金「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」は約三十六億円となっていますが、今回、そのうち約二十八億円を活用することになっています。  そこで、残りの八億円の活用を含め、今後も機動的に取り組んでいくべきではないかと考えますが、山口知事の見解をお伺いいたします。  次に、原油価格等高騰対策本部についてお伺いいたします。
     県においては、県民環境部長を本部長に各部局の責任者で構成される原油価格等高騰対策本部を昨年十二月に設置され、県内の原油価格等の高騰による影響を抑制するとともに、安全・安心な県民生活を確保するための各種対策を総合的に推進してきたとされています。  そこで、これまでの対策本部の取組と国の総合緊急対策を受けた今後の対応について、県民環境部長にお伺いいたします。  次に、大きな項目の二つ目として、ウイズコロナにおけるインバウンドの促進について質問をいたします。  本県では、文化や歴史、伝統、食をはじめとする県産品など世界から高い評価を受けている佐賀の魅力を海外に効果的に発信するとともに、WiFiや多言語対応の整備を進め、さらには県民のおもてなし精神を醸成することで訪日外国人観光客は年々増加し、コロナ禍前の平成三十年には訪日外国人の延べ宿泊客数が年間四十万人に迫るなど、インバウンドの誘致は着実に成果を上げてきたところであります。  しかし、コロナ禍が人々の移動を抑制し、二年以上にわたり国際旅行需要は壊滅的な状態となり、本県においてもインバウンドは底を打った状態が続いてきました。コロナ禍で苦境にあえいでいる宿泊事業者や交通事業者など観光関連産業の皆様から切実な声が寄せられ、一日も早い外国人観光客の受入れ再開が期待されていたところであります。  そうした中、政府の新型コロナウイルス水際対策が六月一日から大幅に緩和、一日当たりの入国者数の上限も二万人に引き上げられ、入国時の検査や待機は、入国者ベースで八割程度の国と地域で不要となりました。そして、当面は添乗員つきのパッケージツアー客限定ではありますが、念願の訪日外国人観光客の受入れが六月十日から再開されました。事前に入国者健康確認システムへの入力やビザの取得が一律で必要となるため、実際の受入れまで最短でも数日かかり、本格的な入国は六月下旬以降になる見通しとなっています。さらに、七月には上限数を一日当たり三万人に引き上げる案に加え、上限撤廃という案も出ており、政府は感染状況を見ながら検討を進めるとしており、本県においても、地域の観光産業の回復に向け、外国人観光客の受入れ再開に対応したインバウンドのさらなる促進が求められるところであります。  そこで、次の四点についてお伺いいたします。  まず、受入れ再開に係る知事の受け止めについてであります。  外国人観光客の受入れ再開については、日本旅行業協会や航空各社などでは入国者数制限の早期撤廃を求める一方、感染再拡大への懸念も根強くあります。また、県内の観光関連産業の関係者の間でも受入れ再開への歓迎の声が上がり、期待が高まる一方、急ピッチで進む再開の動きに不安の声も聞こえてきます。人口減少社会において日本人観光客数は長期的に横ばい傾向となることから、地域経済の活力を確保するためには、本県においてもインバウンドの促進は重要な取組となってまいりますが、ウイズコロナにおいて国が示すガイドラインを守られるのか、不安は拭い切れません。  そこで、これまでの厳しい入国制限から段階的に制限を緩和し、外国人観光客の受入れを再開することについて、山口知事はどのように受け止めているかお伺いいたします。  次に、インバウンドの促進についてお伺いいたします。  コロナ禍の昨年十月、日本政策投資銀行が公益財団法人日本交通公社と共同で実施したアジア、欧米豪の訪日外国人旅行者を対象とした意向調査では、いずれの地域でも、コロナ収束後、次に旅行したい国は日本がトップとなっており、特にアジアの人々が日本を上げた割合は高く、二位の韓国を二〇ポイント以上上回っています。  また、調査結果について、次のような点を指摘しています。  まず、コロナ禍で特に関心が高まったものとして、施設にあらかじめキャンプ用品や食材等が用意されているグランピングなどのアウトドアアクティビティーを紹介、また、コロナ禍で進化したオンラインツアーについては、リアルな旅行の需要獲得などの手段として一層の活躍を期待するとしています。さらに、海外旅行の検討に際して全体の七割が省エネや環境への配慮、自然体験といったサステーナブルな取組を重視し、また、全体の約一割が旅行先で仕事するワーケーションの意向があることを示しています。  意向調査のこうした結果は、「OPEN-AIR佐賀」や温泉ワーケーション、「さがすたいる」、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」など県がコロナ禍で進めてきた取組と親和性があり、今後、オンラインツアーの企画やデジタルを生かしたプロモーション、旅行商品の造成など、インバウンドの促進に向け、大いに活用していくべきではないかと考えます。  そこで、ウイズコロナにおけるインバウンドの促進についてどのように取り組んでいく考えか、文化・観光局長にお伺いいたします。  次に、九州佐賀国際空港における受入れについてお伺いいたします。  県では、路線・便数の拡充や空港利用者数の増加に対応するため、コロナ禍においても空港施設の機能強化を計画的に進められてきたところであります。  六月の外国人観光客受入れ再開に伴う国際線の受入れは、当面、羽田、成田、中部、関西、福岡に加え、新千歳、那覇の各空港で再開されることになります。まずは先行する福岡空港など主要空港からの誘客を強化し、インバウンド需要の回復を図りながら、佐賀空港の国際線が運航再開となった際にはいち早く利用者の回復につなげていかなければなりません。そして、佐賀空港への国際路線の運航が再開される場合には、入国者の検疫体制の拡充や感染者発生時の対応といった課題が考えられます。  そこで、九州佐賀国際空港におけるインバウンドの受入れに向けた水際対策や空港施設の機能強化にどのように取り組んでいく考えか、地域交流部長にお伺いいたします。  このテーマの最後に、九州佐賀国際空港の滑走路延長についてお伺いいたします。  二〇一五年策定の「佐賀空港がめざす将来像」に示されたロードマップには、東南アジアや南アジアなど国際戦略における重要なターゲットエリアとの交流を拡大するため、現在の滑走路二千メートルを二千五百メートルに延長する検討の開始を掲げられ、延長実現に向けて取り組まれている中、去る六月七日には国への政策提案の最優先課題の一つとして、斉藤国土交通大臣に直接提案されたとも伺っています。アフターコロナにおける本県へのマルチインバウンドを実現し、九州におけるゲートウエー空港としての地位を確立していくためにも、滑走路の二千五百メートルへの延長はぜひとも実現していかなければならない課題です。  そこで、九州佐賀国際空港の滑走路延長に対する山口知事の考えについてお伺いいたします。  次に、大きな項目の三点目として、柔軟剤等による香害被害について質問をいたします。  さて、皆さんは香りの害と書いて香害という言葉を御存じでしょうか。自分にとってはいい香りと思っても、他人には不快に感じ、気分が悪くなることもあります。近年、人工的な香りを加えた洗剤や柔軟剤等が増えるに伴い、香りに含まれる合成香料や化学物質によって、頭痛や吐き気、めまいなどの症状を起こす人が少なくありません。ひどい場合には呼吸困難や全身のしびれが起こり、動けなくなり、仕事にも学校にも行けず、社会生活自体送れなくなる場合もあるようです。  私は昨年二月、同じ町内の女性から御相談をいただき、香害で苦しんでいる方がおられることを初めて知りました。女性は十八歳のとき、アルバイトを終えて帰宅すると、突然手足がしびれて動けなくなり、それ以降、度々同じ症状に悩まされました。脳のCTも含め、精密検査を受けたそうですが、結果は異状なし。しかし、十九歳のとき、アナフィラキシーショックで入院、原因不明と診断されましたが、衣類に付着した柔軟剤などの香りに反応することに気づき、それ以降、症状の進行を一時的に緩和してショックを防ぐ補助治療剤エピペンを常に持ち歩く日々が続いたそうです。香りを起因とする化学物質過敏症の専門医は、東京や大阪など県外にしかいない。コロナ禍に加え、様々な香りが充満する電車や飛行機を利用できないため、診察さえ受けられずにいましたが、本年、決死の覚悟で上京し、東京の専門医に診察してもらった結果、化学物質過敏症の診断を受けることができたとのことであります。  香害は、二〇〇〇年の消臭、除菌ブームや、二〇一〇年頃から始まった香りブームとともに、人工的に強い香りを添加した柔軟剤や合成洗剤、消臭剤、除菌剤などの生活用品が増え、その香りを長もちさせるため、マイクロカプセルが多用されるようになったことで、製品から揮発される香料や添加剤、カプセル素材の成分である化学物質が空気を汚染し、体調を崩す人、化学物質過敏症を発症する人が増加していると言われています。  二〇一四年以降、国民生活センターに寄せられた香害に関する相談は九百二十八件もあり、そのうち六四%に当たる五百九十四件が危害があったとされており、また、三十代から六十代の女性が全体の七八%を占めていたことが報告をされています。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、香害被害に関する県の認識についてであります。  柔軟剤等に使われる香り成分の化学物質は、化学物質過敏症の原因の一つともされ、さきに紹介した女性のように外出できなくなるほど深刻な症状を引き起こすことがあります。しかし、この香り成分の化学物質については表示が義務づけられていないことから、原因が何かを特定することができません。国も柔軟剤等の香料として使用される微量な化学物質により頭痛や吐き気等、様々な症状を訴える方がいることは把握しているものの、現時点で化学物質との具体的な因果関係や発症のメカニズムが解明されていないとの立場で、使用する化学物質についても規制されていないのが現状です。  そこで、改めて県民生活の安全・安心を確保するといった観点から、香害被害に関してどのような認識を持たれているかお伺いいたします。  次に、県民への周知啓発についてお伺いいたします。  昨年二月定例会の文教厚生常任委員会で初めてこの香害について質問をした際、くらしの安全安心課長より、健康被害に遭われている方への具体的な相談先の情報提供や、柔軟剤等の香料の使用に関する周知啓発に取り組み、さらに新たなポスターの作成など、まずは県民への周知啓発と適切な消費生活相談、必要な情報提供に努めていくとの答弁をいただいています。  大阪府では、香害に悩まれている方が医療的な対応が適切に行われるよう、病院や診療所への周知に努められていますが、本県でも参考になるのではないでしょうか。  また、本年二月二十八日の参議院予算委員会で岸田総理は、自分にとって快適な香りでも不快に感じる人がいることから、周囲への配慮が必要と考える。必要な研究を進め、その上で公的な場をはじめ、様々な場における香りへの配慮について周知を図ると答弁をされており、香害について時の総理大臣が国会で答弁されたのは初めてのことであり、香害への理解が深まるきっかけになればと期待をするところであります。  香りに敏感な人が安心して生活できる環境は、全ての人にとっても安心な環境であり、香害の被害者にも加害者にもならないためにも、さらなる周知啓発に取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、県は今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  以上二点、県民環境部長にお伺いいたします。  次に、大きな項目の四つ目として、障害者手帳の利便性の向上について質問をいたします。  本県では、障害のある人の思いに寄り添い、日常生活や社会生活の不便さや困難さに気づき、その解消に努めることは、障害のある人の社会参加のみならず、誰もが暮らしやすい地域社会づくりにつながっていくとの理念の下、平成三十年九月に「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」が制定されました。そして、高齢者や障害者、子育て中の方など、誰もが安心して暮らしていけるみんなに優しいまちづくりを進めるため、「さがすたいる」に取り組んでいるところであります。  私は、障害者手帳アプリを活用することで、障害のある人の移動や生活をもっと便利に、もっと自由にすることができ、誰もが暮らしやすい地域社会づくりにつながるものと考え、今回質問させていただくことにしました。  さて、障害者手帳アプリとは無料でダウンロードできるスマートフォンアプリのことで、障害等級や障害内容、有効期限等の障害者手帳の情報をアプリ内に登録することで手帳情報がスマートフォンの画面に表示できるようになり、その画面を公共施設等で提示することで障害者割引を受けることができるなど、障害のある人の生活を便利にし、精神的な負担感や不安を軽減する手段の一つとして、今、注目を浴びています。  代表的な障害者手帳アプリとして「ミライロID」がありますが、その主な特徴は大きく三点。一つは、所有する障害者手帳や使用する福祉機器等の情報をスマートフォンに登録でき、窓口での確認がスマートフォン一つで完結できること。二つ目に、障害者手帳提示の代替として、令和四年六月現在、九つの府県を含む百四十四の自治体やJR各社など、多くの公共交通機関、文化・レジャー施設等で導入をされていること。三つ目に、マイナポータルとの連携により、情報の信頼性が向上していることであります。  先般、「ミライロID」を導入している熊本県に会派で視察に伺ってまいりました。熊本県では昨年十一月に導入し、文化施設や体育施設など十五施設で運用されていますが、施設のアプリ登録も無料となっていることから、導入に当たっての熊本県の費用負担は発生していないということであります。  本県では、障害者手帳の従来の紙型に加え、カード型を選択できるようにしたところであり、カード型手帳の普及に取り組むことはもちろんでありますが、当面、障害者手帳アプリと共存することも必要ではないかと考えます。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、カード型障害者手帳の現状についてであります。  障害者手帳の利便性の向上に向けては、令和元年の厚生労働省の省令改正を受け、本県では、令和三年一月より運転免許証や健康保険証と同じ大きさで持ち運びしやすく、紙と違い耐久性に優れたカード型手帳も選択ができるようになりました。従来の紙型の障害者手帳の場合、手帳をかばんから取り出す手間や、人前で手帳を見せるという心理的負担が大きく、この点、カード型は財布やパスケースなどに入るため携帯性に優れ、心理的負担感を和らげるという効果があると伺います。  そこで、カード型障害者手帳の交付状況はどのようになっているかお伺いいたします。また、カード型障害者手帳の普及に向けた課題等についてどのように認識しているか、併せてお示しください。  次に、県有施設等における障害者手帳アプリの活用についてお伺いいたします。  国においても令和二年六月に、移動や施設利用の利便性を確保するため、障害者の本人確認等の簡素化の方針が示されており、所管施設の業界団体に対しても、本人確認の簡素化を要請するとともに、その中で民間会社におけるサービスの事例として「ミライロID」が紹介をされています。  さらに、公共交通機関については、令和二年十月に国土交通省から「ミライロID」を障害者手帳に代わるものとして運用する旨の通知が発出されており、県内の鉄道事業者ではJR九州や松浦鉄道、バス事業者では西鉄バスや昭和バス、西肥バス、また西日本高速道路や佐賀県道路公社においても既に導入が進んでいます。  今後、社会のデジタル化が進む中で、スムーズに各種サービスを受けることができ、移動等の利便性を向上させることは、障害のある人にとってより一層大切になってくるものと考えます。  そこで、県有施設における障害者手帳アプリの活用についてどのように考えるかお伺いいたします。  以上二点、健康福祉部長にお伺いいたします。  最後に大きな項目の五つ目として、男性用トイレへのサニタリーボックス設置について質問いたします。  今、日本では二人に一人ががんと診断される一方で、治療成績も格段に向上し、がんにかかっても社会復帰を果たすことが可能な社会となりました。  ちなみに、二〇一八年の国立がん研究センターのデータによると、男性特有の疾患である前立腺がんは九万二千二十一人、男性の膀胱がんは一万七千五百五十五人となっており、特に前立腺がんは増加傾向にあります。  そして、前立腺がんや男性の膀胱がんの治療後の社会復帰に必要なものの一つに尿漏れパッドがあります。前立腺がんの摘出手術を受けた人の中には、手術後、尿道を締める筋肉が傷ついた影響で排尿コントロールが難しく、頻尿や尿漏れに悩むようになり、尿漏れパッドを下着に貼って使われるようになる方が一定の割合でいらっしゃいます。そうした方々は多いときで二百五十ccもの水分を含み、臭いもする尿漏れパッドを一日数回交換することになります。使用済みのパッドは外出先に捨てるところがない場合、家まで持ち帰らなければならず、これは大変神経も使い、労力も要します。人に知られたくないという男性特有の心理もあって、この問題はあまり表立って語られてこなかったのではないでしょうか。  以前、友人から前立腺がんの治療後、尿漏れするようになり、尿漏れパッドをつけたものの、恥ずかしくて誰にも話せないと打ち明けられたことがありましたが、私も前立腺が肥大傾向にあり、他人事ではありません。議場の皆さんも、水分を含んだ尿漏れパッドを持ったままごみ箱を探す自分の姿を思い浮かべてください。女性用トイレの個室には生理用品を捨てるサニタリーボックス、汚物入れが常設をされていますが、男性用トイレにはほとんど設置されていない状況です。  先日、佐賀市内の文化施設やスポーツ施設など、十施設についてサニタリーボックスの設置状況を調べてみましたが、多目的トイレにはオストメイトへの対応もあり、設置をされているケースが多かったものの、男性用トイレの個室への設置は確認できませんでした。  この問題はがん患者だけではなく、加齢等による尿漏れや、心の性と体の性別が一致しないトランスジェンダーで生理がある方など、男性用トイレの個室にサニタリーボックスがなくて困っているという声も聞こえてきます。  そうした小さな声に応えていくためにも、県有施設の男性用個室トイレにサニタリーボックスの設置を進めるとともに、市町や不特定多数の県民が利用する施設にもぜひ働きかけていただきたいと考えますが、県としてどのように考えるか、健康福祉部長にお伺いいたします。  それぞれ明快かつ前向きな答弁をお願いし、一回目の質問を終わります。(拍手) 3 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。中本正一議員の御質問にお答えいたします。  まず、原油価格・物価高騰に係る六月補正予算と今後の対策についてお答え申し上げます。  ウクライナ情勢などによる原油価格、物価高騰により、世界規模で原油や穀物の国際価格が上昇しました。これに約二十年ぶりの円安水準が追い打ちをかけています。  県内においても、燃料、原材料、食料品など、様々な物の価格が上昇傾向にあり、県民生活や県内の経済活動に幅広く影響がございます。タイミングよく国の総合緊急対策が行われたものと感謝しています。  本県ではいち早く昨年十二月に私が指示し設置されました原油価格等高騰対策本部を中心に、現場の声や状況を踏まえて対策を検討してまいりました。  六月補正予算においては、喫緊の対策として、厳しい状況に置かれている方々への支援を中心に編成されております。コロナ禍による影響を受けている方が重ねて原油価格、物価高騰の影響を受けていることを考慮しました。  具体的に申し上げますと、原材料高で工賃への影響が懸念される就労継続支援事業所を支援、食材をはじめ生活必需品の値上がりの影響を受けやすい子育て世帯を支援、原材料高を価格転嫁できずに苦しむ中小事業者を幅広く支援、消費低迷に苦しむ商店街などの消費喚起の取組を支援、飼料価格の急騰で経営環境が厳しい畜産農家を支援などなど、現場のほうをよくつぶさに見ながら、緊急に必要なものに対して対策を行いました。  今後についてですけれども、原油価格、物価高騰の影響は現在進行形で広がっておりますので、機動的に対応していくことが重要だと思っています。現場の声、状況の把握に今後とも努め、必要な対策を順次、予算化、実施していきたいと思います。  例えて申し上げれば、今議会でも大変だという話もございますが、農業に使う肥料の価格が六月に改定されて高騰しております。こちらは、県としての支援は、九月補正で具体化、具現化したいということで準備しております。  今後とも、原油価格、物価高騰の県民生活や経済活動への影響をできるだけ抑えつつ、事業者や県民の皆さんが長いこのコロナ禍を乗り越え、少しでも前を向いて進むことができますように取り組んでいきたいと思います。  続きまして、ウイズコロナにおけるインバウンドの促進という中で、外国人観光客の受入れ再開に係る私の受け止めについてお尋ねがございました。  世界では、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことやオミクロン株が軽症傾向でありますことから、社会活動への規制緩和が進んでいる状況と認識しています。  一方、本県の状況を見ますと、感染者数は大きく見ると減少傾向ということであります。昨日BA・5が確認されて、ちょっとここのところ横ばい傾向であるんですけれども、仮に感染しても、軽症、無症状が多くて、病床使用率は抑えられている状況です。七%台であります。  感染対策を行いながらインバウンドを受け入れていく段階と認識しております。国の外国人観光客受入れ再開の方向性には賛同しております。  ただ、中本議員もお話しありましたように、懸念する声もあるわけであります。ですので、当面はアクセルとブレーキの両方を意識しながら進めていくということが必要だと思います。まずは、国の「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」を踏まえて感染対策を徹底したいと思います。  そして、オミクロン株であればこのままでいいと思いますけれども、それ以外の、例えば、重症化リスクが高い新たな変異株ということによって状況が急変した場合については、これは機動的に対応できるように、これは国にもしっかりと伝えて働きかけていきたいと思っています。  さて、コロナ前ですが、九州佐賀国際空港がアジアの中心という地理的優位性があったり、アニメや映画の聖地として、インバウンドで県内に訪れる外国人観光客の伸び率は、佐賀は全国一位でありました。しかしながら、コロナの感染拡大によって人流が止まったことで、インバウンドによる外国人観光客はまさにストップしてしまったわけです。もう一度コロナ前の勢いを取り戻して、県内観光業、ひいては佐賀県全体を盛り上げていきたいと思っています。  そして、このコロナの二年間の中で、以前から旅のスタイルは団体旅行から個人旅行へと転換していたんですけれども、それが加速化されたようであります。  県では、インバウンドの再開に向けまして、例えば、天茶台でお茶を飲める形だとか、二つの海を満喫できるサイクルツーリズムだとか、「OPEN-AIR佐賀」の磨き上げを行ったり、旅館やホテルの部屋のグレードアップを支援したり、今までであれば大部屋だったりしたんですが、それを小部屋に分けるとか、そういったことに対する支援なども行って、個人観光客向けのコンテンツの充実を行ってまいりました。  今後とも、コロナの動向を注視しつつ、世界の趨勢や新たなインバウンドニーズを的確に捉えまして、インバウンド誘致をさらなる佐賀県の強みにしていきたいと考えています。  続きまして、九州佐賀国際空港の滑走路延長、これは二千メートルを二千五百メートルにということですが、これについての私の考えについてお答え申し上げます。  まず、コロナ前の国際線利用実績について御紹介したいと思います。  先ほどインバウンドの伸び率が日本一だということと相まって考えていただいたらいいと思いますが、コロナ前、平成三十年度の九州佐賀国際空港の国際線利用者数は約二十三万人で、滑走路が二千メートル空港では断トツの全国一位であります。  同じく同じ年度の国際線利用者数、佐賀空港は二十三万人でしたが、近隣に、例えば、三千メートルの空港が、長崎、熊本、大分にあります。九州佐賀国際空港の二十三万人に対して、長崎空港は七万人、熊本二十万人、大分十三万人、宮崎空港は二千五百メートルを既に達成していますが、宮崎空港は約十四万人ということで、圧倒的に二千メートルの佐賀空港のほうが多い。この二千メートルという不利な条件の中にあっても、まさに佐賀らしい、官民一体となった取組のおかげで、不断の努力と先進的なチャレンジによって、このように、十分な実績を積み重ねてきたところです。実績を積み重ねなさいと大分言われましたので、しっかり積み重ねてまいりました。  九州佐賀国際空港に国際線を就航中の航空会社では、二千メートル空港は特殊空港扱いとされておりまして、安全面への配慮から、熟練度の高いパイロットによる運航を条件とするなどの制約が生じておりますために、何とか早く二千五百メートル化にしてほしいという強い要望がございます。  この二千五百メートル化が実現すれば、就航中の航空会社による路線・便数の拡充の可能性が大いに高まりますし、さらに、東南アジアなど、広範囲への直行便就航も可能となりまして、インバウンド拡大につながるわけであります。これはまさに、国土交通省の言っている二〇三〇年に訪日外国人旅行者数六千万人という観光ビジョンにも合致している政策だと思っています。  そのほかにも、九州佐賀国際空港には強みがあります。福岡空港の代替や補完する機能の強化、福岡空港が滑走路をもう一本造っていますけれども、限界があります。さらに、佐賀県は南海トラフ巨大地震の影響がほとんど想定されていません。ヘリ二十二機駐機可能な防災航空センターを併設しております。広域災害時の対応拠点としての機能の強化にも役立ちます。さらに、半導体関連産業が集積する北部九州エリアにおいて、国際航空貨物への対応もできるわけでございます。様々な効果を創出できると考えております。  さらに言わせていただければ、滑走路延長に必要な用地は既に確保済みであります  先日、六月七日に実施した国への政策提案活動では、斉藤鉄夫国土交通大臣と面会し、九州佐賀国際空港の実績や将来性、滑走路延長により創出される効果などをしっかりと説明させていただいた上で、二千五百メートル化を認めていただくよう強く提案させていただいたところであります。  中本議員におかれましては、これまで多くの御支援、御尽力をいただいており、大変心強く感じております。九州佐賀国際空港は、地理的にも九州全域へのアクセスにも優れており、九州全体が浮揚する拠点になり得るところでございます。アフターコロナを見据え、九州佐賀国際空港が持つ様々なポテンシャルを最大限発揮し、九州全体の浮揚につなげるためにも、滑走路延長の早期実現に向けて関係機関や地域とも連携し、官民一体となって全力で取り組んでいきたいと考えています。 4 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、ウイズコロナにおけるインバウンドの促進についての質問のうち、九州佐賀国際空港における受入れについて答弁申し上げます。  まず、水際対策についてでございます。  空港での入国においては、検疫、入国審査、通関の対応が必要となってまいります。  六月一日からは入国規制が緩和され、国・地域を、感染症の流入リスクの低い順に青、黄、赤の三つに分類され、それぞれ必要な対応が求められております。  九州佐賀国際空港の就航先であります中国、韓国、台湾は、いずれも最もリスクが低い青に分類されておりまして、帰国者、入国者については検疫所による入国時検査が不要ということになっております。
     先行します福岡空港の検疫状況を確認しましたところ、最もリスクが低い青分類の国・地域からの帰国者、入国者については、検疫所による入国時検査は不要となっているが、発熱等の症状がある入国者については、抗原定量検査を実施し、陽性の場合は症状に応じて医療機関や隔離施設に移送するといった水際対策が取られているということでございました。  入国規制の緩和が段階的に進む中、今後、九州佐賀国際空港を含みます地方空港での運航再開時における検疫内容や入国条件などは現時点では未定でございますけれども、国際線の運航に必須となります人及び動植物の検疫所、出入国在留管理庁、そして税関といった関係機関とは、随時情報交換、情報共有を行っておりまして、これらの機関と連携して九州佐賀国際空港での水際対策に万全を期してまいります。  また県としましても、例えば、現在実施しております空港内モニターや掲出物での感染拡大防止の注意喚起を多言語表記するなど、インバウンド向けの水際対策に取り組んでまいります。  続きまして、空港施設の機能強化についてでございます。  コロナ前の平成三十年度の九州佐賀国際空港の利用者数は、建設時の需要予測、これが七十三万七千人であったわけですけれども、これを大きく上回る約八十二万人が御利用いただきました。六年連続で過去最高を更新していたところでございます。  こうした空港利用者数の増加や路線・便数の拡充への対応、そしてさらなる発展を見据えまして、コロナ前の平成二十七年度から空港施設の機能強化を計画的に進めてきたところでございます。  国際線の関係では、航空機の駐機場を平成三十一年四月に四バースから五バースに拡張し、国際線に対応可能なゲートを二カ所から三カ所に増設しております。また、ターミナルビルの拡張改修によりまして国際線のチェックインカウンターを増設、また、搭乗待合室のほうも拡張、そして、国際線搭乗待合室内の免税店のスペースを一カ所から二カ所に増設しているところでございます。  また、昨年十月にはターミナルビル一階に外国語対応の観光案内所がオープンしております。この観光案内所は、日本政府観光局──JNTOのほうから外国人対応の観光案内所として最高ランクのカテゴリー3に認定されるなど、高い評価を受けているところでございます。  このように、国際線の運航再開に向けて、しっかり準備を整えているという状況でございます。  九州佐賀国際空港におけます国際線の運航再開やインバウンドの受入れ再開に当たりましては、検疫所など関係機関と連携し、水際対策に万全を期すとともに、空港施設の機能強化により、機能面はもとより、快適性や魅力も向上した九州佐賀国際空港を外国人観光客の皆様に快適かつ安心して御利用いただけるよう、これからも取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 5 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、大きく二項目についてお答えさせていただきます。  まず、原油価格等高騰対策本部のこれまでの取組と今後の対応についてお答えさせていただきます。  原油価格等の高騰を受けまして、県民生活や経済活動への影響をできるだけ抑えるための対策を総合的に推進するために、昨年十二月七日に全部局長及び教育長をメンバーとします原油価格等高騰対策本部を設置いたしました。現場の声や状況、物価の動向などを踏まえ、県としての対策を総合的に検討し、実施しているところでございます。  対策本部会議につきましては、これまで実務者レベルの幹事会を含めまして十二回開催しております。対策本部会議では、ガソリン等の価格の動向や関係団体、事業者、県民からの声や現場の状況についての情報共有を行うほか、各部局が検討、実施をします対策について情報共有と意見交換を行い、今後も引き続き現場の声、状況の把握に努めながら対策を検討していくことの確認などを行っているところでございます。  対策本部会議での検討などを踏まえまして、既存の様々なセーフティーネット事業に加えまして、県民環境部内に総合相談窓口を設置しましたほか、生活関連物資の価格調査でありますとか、県制度金融の弾力的運用などに取り組むこととしました。また、二月補正予算では、中小企業、農業者、漁業者が行います省エネ設備の導入や燃費向上対策への支援などを予算化したところでございます。  そして、先ほど知事が答弁しましたように、六月補正予算では、厳しい現場の声や状況を踏まえまして、中小企業への燃油補助・応援金、あるいは給食材料費への補助、子育て支援CSOの活動に対する補助、配合飼料価格安定制度におけます生産者積立金に対する補助などを提案させていただいているところでございます。  今後の対応についてでございますけれども、今後も引き続き対策本部会議を機動的に開催、運営をしまして、現場の声や状況の把握に努め、原油価格や物価の動向、国の対策などを注視しながら、必要な対策を検討、実施してまいります。  続きまして、香害の被害に関する県の認識についてお答えいたします。  洗濯の際に使用されます香料入りの柔軟剤や洗剤などによりまして、シンナーのような臭いがし気分が悪くなった、気分が悪くなり生活に支障があるといった体の不調を訴える相談が県や市町の消費生活センターに寄せられております。  相談件数につきましては、県全体ですけれども、令和二年度は二件、令和三年度は二件、ここ十年間では十一件の相談が寄せられております。また、国民生活センターによりますと、全国では毎年百件を超える相談があっているということでございます。香害に悩まれている方、苦しんでおられる方が一定程度いらっしゃるというふうに認識をしております。  先ほど議員が指摘をされましたように、現時点では香料入りの柔軟剤等による香害につきましては、香料に含まれます化学物質との因果関係や発症のメカニズムが解明されていないことなどから、特段の規制はなされていない状況でございますが、実際に香料入りの柔軟剤等に苦しんでおられる方がいらっしゃるということを踏まえまして、県民に対しまして広報、啓発活動をしっかり行っていく必要があるというふうに認識し、考えております。  そして、今後、県民への周知啓発についてでございますけれども、これまで県としましては、チラシやポスターを作成し、また、県のホームページ等に掲載するなどしまして、県民に対して自分にとって心地のよい香りでも不快に感じる人や体調不良を感じる人がいるということや、パッケージに表示された使用量の目安を参考に、周りの人に配慮した適正な使用を心がけることなどについて広報・啓発を行っているところでございます。  特に、ポスターにつきましては、実際に香害に苦しんでいる方の意見を参考に、香料入り柔軟剤などの使用に配慮を呼びかけるポスターを作成いたしました。ポスターは多くの県民の目に留まりますよう、博物館や図書館など、住民の方が集まる公共施設や学校、大学などにおいて掲示をお願いしたところでございます。  また、消費生活に関します情報を掲載します「くらしの安全安心だより」というのを県のほうで年四回発行しておりますけれども、その広報誌にも「その香りで苦しんでいる人がいます!」というタイトルで、自分にとって心地よい香りでも、不快に感じる人や体調不良を感じる人がいるということについて広報を行ったところでございます。  引き続き、県民に対しまして広報・啓発を行っていきますとともに、今後は実際香りで苦しんでいる方の存在が医療機関の現場においても広く知られますよう、医療機関への広報・啓発にも取り組んでいきたいというふうに考えております。  私からは以上でございます。 6 ◎久保山健康福祉部長 登壇=私からは、大きく二項目お答えさせていただきます。  まず、障害者手帳についてでございます。  カード型障害者手帳の交付状況、課題認識ということでございますが、県では、カード型障害者手帳の導入を求める県民からの声や県議会での議論を踏まえまして、昨年一月から申請者が従来の紙型手帳かカード型手帳を選択できるようにしたところでございます。  カード型は従来の紙型に比べまして携帯性や耐久性に優れ、利便性向上につながるとともに、本人確認等のために手帳を提示する際の心理的な負担を軽減し、社会参加の促進を後押しするものでございます。  令和三年三月末時点でのカード型手帳の所持者数は、身体障害者手帳が三千百三十二人、療育手帳が千十七人、精神保健福祉手帳が二千二百三十一人となっており、障害者手帳所持者全体の一一%となっております。中でも、新規手帳交付申請では半数以上がカード型を希望されている状況でございます。  導入から現在までのところ順調に進んでおり、選択制が一定程度定着したものと考えております。  今後は、障害者手帳が選択できることを知らなかったということがないよう、市町等とも協力しながら選択制の普及周知に努めていきたいと考えております。  次に、県有施設等における障害者手帳アプリの活用についてでございます。  障害者手帳アプリ「ミライロID」は、議員からも御紹介がありましたけれども、民間企業が開発したスマホアプリで、障害者手帳の情報を登録し、これを提示することによりまして、障害者手帳よりも手軽に情報を確認できるものでございます。  このアプリがマイナンバーと情報連携することによりまして、障害者手帳に代わるものとして、各種公共施設や公共交通機関などの割引サービスが受けられるようになります。県においても、年内をめどに障害者手帳とマイナンバーの情報連携を進めているところでございます。  また、希望される方がスムーズに利用できるよう、県有施設管理者であったり、関係団体等に周知を行い、導入に向けた環境づくりに取り組んでいるところでございます。  あわせまして、当事者の皆様にも、アプリが本人確認や各種割引を受ける際に障害者手帳の代わりに使えることをお知らせすることとしております。  今後、デジタル化の進展により、障害福祉分野においても、デジタルツールの活用や各種サービスとの連携が進み、利便性が向上してまいります。  県といたしましては、当事者がそれぞれのニーズに合ったツールやサービスを適切に利用できるよう、市町などとも一緒に積極的に情報収集、発信を行いながら、その環境づくりを進め、障害のある方を含め、誰もが暮らしやすい地域づくりにつなげていきたいと考えております。  次に、大きな二項目め、男性用トイレのサニタリーボックスの設置についてでございます。  この問題に関しましては、議員からの御指摘を受けまして、私も気づかされたところでございます。検討する必要があるというふうに感じたところでございます。  議員は御自身で施設を見て回ったということをおっしゃっておりましたけれども、私も県有施設について確認をしてみましたところ、確かに男性用トイレにサニタリーボックスはないというような状況でございました。がん患者の皆様や高齢者の方など、サニタリーボックスを必要とする方は困られているものと考えております。  県では、年齢や性別、障害のあるなしにかかわらず、みんなが自然と支え合って心地よく過ごせる、佐賀らしい、人に優しい町のスタイル「さがすたいる」を広める取組を行っております。  これまで設置されていなかった男性用トイレにサニタリーボックスを設置することは、県民が多様性を認め合い、お互いの思いに寄り添い、尊重し合うこの取組を広めることになるものと考えております。  設置する施設についてでございますけれども、まずは県有施設からと考えておりまして、関係部署との調整を始めたところでございます。今後、トイレの大きさ、施設の実情に応じて、指定管理者や清掃業者などの関係者とも設置に向けて調整を行ってまいります。あわせまして、市町や不特定多数の方が利用する民間施設に対しましても理解促進に向けて働きかけを行い、県全体が人の気持ちに寄り添う佐賀県をつくっていきたいと考えております。  私からは以上でございます。 7 ◎實松文化・観光局長 登壇=私からは、インバウンド促進の具体的取組について御答弁申し上げます。  インバウンド促進の取組の方向性として、大きく二つのことを考えております。  一つは、先ほど山口知事の答弁にもありましたが、コロナ禍を契機に、団体旅行から個人旅行へという動きがこの二年間で大きく加速したというふうに認識をしており、その変化への対応が必要であるというふうに考えております。  もう一つは、コロナ前に重点的に取り組んできた市場のうち、最初に往来が増えると見込まれる韓国、台湾、シンガポールなどの近隣の市場を中心に施策を展開するとともに、高付加価値ニーズが高い欧米豪の富裕層向けの観光コンテンツの充実に取り組み、誘客促進を図っていく必要があるというふうに考えております。  具体的には、先ほど議員からもありましたが、「OPEN-AIR佐賀」として磨き上げを行ってまいりました波戸岬キャンプ場、サイクルツーリズムなど、また佐賀の文化や観光が感じられる黄金の茶室や大茶会などの「はじまりの名護屋城。」プロジェクト、さらにはリニューアルした九州陶磁文化館常設展などは、佐賀の自然、地域に根差した伝統や文化に触れることができる個人観光客向けの体験型観光コンテンツであると思っております。こうしたものを国内外に向けてしっかりと情報発信していきたいと思っております。  また、往来が再開する市場を中心に、現地旅行代理店等に向けた観光商談会に積極的に参加するとともに、オンラインツアーも適宜実施し、本県への誘客に努めていきたいというふうに考えております。  加えまして、本年九月にはバンコクでタイ王国芸術局主催の有田焼展覧会が開催されると聞いております。そうした機会も捉え、本県の文化観光PRイベントを実施していきたいと考えております。  今回のインバウンド再開が、将来の佐賀県の観光業にとって飛躍的なステップとなるよう、引き続き市町や地域の人々と連携しながら地域の魅力づくりを推進し、持続的な観光誘客につなげてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 8 ◎中本正一君 登壇=それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございます。  まず、障害者手帳アプリの活用、そして男性用トイレへのサニタリーボックスの設置につきましては、大変前向きな答弁をいただいたものと受け止めております。ぜひスピード感を持って取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。  香害に関する周知啓発につきましては、昨年、ポスターを作成した際も御紹介がありましたように、当事者の声を本当に反映したものになったということで喜んでいただいております。これから医療関係者等を含めた周知啓発に取り組むということでありますので、ぜひ当事者との意見交換などを行って、より効果的なものになるよう、そうした取組を求めておきたいと思います。  ウイズコロナにおけるインバウンドの促進につきましては、当面、アクセルとブレーキを使い分けるということでありました。今、円安という、インバウンドについては大変追い風も吹いております。そうした意味では、ぜひ観光事業者と一体となった取組を期待しておきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  原油価格・物価高騰対策について一点再質問させていただきます。  今、知事のほうから、コロナ禍に加えて、今回の原油価格、物価高騰によって厳しい状況にある方々、そうした現場の声をしっかり受け止めた対策を今回編成したということで、私も大変評価するところであります。  一つ気がかりでありました肥料対策についても九月の補正で取り組むということでありますので、農家が安心できるような、そういう対策をぜひお願いしておきたいと思います。  今回の国の総合緊急対策におけます事業者支援につきましては、これはあくまで、いわゆる激変緩和措置としての、昨日の言葉で言うと、いわゆる止血剤としての支援でありまして、基本的には原油や原材料など、物価高騰による価格への転嫁を円滑に進めていくということが、これは前提となっているようであります。  確かに建設関連であれば、物価スライド条項の適切な設定、運用を進めていかなければなりませんし、またトラック運送であれば、標準的な運賃や燃料サーチャージ制といったものが制度としてはありますが、特に民民の取引の場合、いずれも施主であったり荷主の御理解、御協力がなければ価格を転嫁することはできなく、この点、業界団体の皆さん方も大変御苦労されている点であります。  国の総合緊急対策でも、中小企業対策として転嫁円滑化施策パッケージに基づき、価格転嫁の取組を着実に実施するとされています。  そこで、県においても建設関連やトラック運送をはじめ、様々な業態において、原料や原材料など、物価高騰による価格への転嫁がスムーズに進むよう、県としてもぜひ積極的に働きかけていただきたいと考えますが、知事に所見をお伺いし、再質問を終わります。 9 ◎山口知事 登壇=中本議員の再質問にお答えいたします。  一般的には、まさに中本議員がおっしゃるように、それぞれの企業が企業努力をしながらコストを価格に転嫁するというのが原則だろうと思っています。ただ、今回は個々の企業努力、企業間の調整ではなかなか対応できないという声を現場のほうからも聞いたので、緊急的な対策ということで今回の補正予算を止血剤的に編成させていただいた面が強うございます。  今後、価格転嫁がスムーズに進むかどうかというところを注視していかなければいけないと思いますし、そうした中で現場の状況をこれまでと同じように丁寧に伺いながら、商工団体とも連携しながら、県としてできることをしっかり考えていきたいと思います。 10 ◎原田寿雄君(拍手)登壇=おはようございます。自由民主党の原田寿雄でございます。登壇の許可をいただきましたので、通告している四問を順次質問していきたいと思います。  その前に一点、先ほども答弁の中でちょっとありましたけれども、有田町にある九州陶磁文化館、これが常設の部屋が改修されました。オープンのときには多くの県会議員の皆様にも参加いただきましたが、本当にすばらしい状況に変わったというふうに思っております。ある人の言葉では、展覧会のパビリオンのようだというふうな評価をいただきもしました。高い評価です。本当にこれから美術館観光ということが前面に出てくるというふうに思いますので、そういった形で大きな力になるというふうに思っております。本当にありがとうございました。  それに合わせて、今、九州陶磁文化館の中でこけら落としの展示会が開かれております。昨年もここでちょっと話をしましたけれども、古伊万里、江戸時代の古伊万里、そしてまた、明治初めのウィーン万博の焼き物、こういったものがウィーンのロースドルフ城というところにあったわけで、第二次世界大戦のときにそれを倉庫になおして避難した。そこにソ連が侵攻してきて、その焼き物を見つけて射撃の的にして、粉々になったと。一万点以上に及ぶ破片ができたと。ただ、それを廃棄しないで、平和を希求するものだ、戦争の悲惨さを伝えるものだといって、そのまま展示してあったピアッティ家、それを見つけた方がぜひ日本でこの展示会をやりたいということで、それが四カ所目になりますけれども、有田で、九州陶磁文化館で開催できたということを非常にうれしく思っています。  数年前からこのことに関わってきていましたので、本当にうれしく思いますし、多くの人に見ていただきたいと思います。ピアッティ家、その城主の方も来週にはお見えになって、佐賀の若い人たちと意見交換をしたいと。どういう気持ちでこの陶片を残してきたのかという平和に対する希求、そのことを伝えたいということであります。有田工業の生徒、それと佐賀大学の学生たちも参加するということで、一般の方たちにも公開をしております。  ぜひ一人でも多くの方々がこの展示会に来ていただくことをお願いして、質問に入りたいと思います。  まず、新型コロナの現状認識と今後の対応についてということでございます。  県内では令和二年三月十三日に新型コロナウイルス感染症が確認されて以来、昨年末までの感染者数は累計五千八百七十五人であったのに対し、一月に入り、現在のオミクロン株が出てきて以降、感染者数は急増し、これまでの累計は五万人を超える数となっております。オミクロン株の感染力の強さが見てとれるわけであります。  ただし、オミクロン株はこれまでのデルタ株と比べて軽症や無症状の方の比率が非常に高いため、自宅療養で済む人が多く、県が最も重要な指標の一つとしている病床使用率は低く抑えられており、いわば安定期に入ったと表現する専門家の声も聞きます。  また、県の新型コロナウイルス感染症対応は、「プロジェクトM」において、県内各機関や病院間との連携をうまく図り、先手先手で医療提供体制の確保に取り組み、状況に応じて柔軟に対応されてきたことや、その時々の状況で何を一番守らなければならないかを見定めてきたことによるものと評価をしているところでありますし、オミクロン株への対応も十分にできていると思っております。  しかし現在でも、報道では、まず都道府県ごとの新規感染者数と増減数が大きく報じられております。これは二類相当ということで致し方ない点もあるかとは思いますが、二年三カ月にわたり、感染者数とその増減数を強く意識してこられた方がほとんどであり、弱毒化しているオミクロン株に変わっても、県民の中にはその数だけにとらわれて怖がっておられる方が少なくないと思います。  ゴールデンウイーク前後、幾つかの保健福祉事務所に感染者への対応状況等の聞き取りにまいりました。まだ県内感染者が四百人前後の頃であります。デルタ株の頃はオミクロン株に比べて感染者数は多くはなかったが、自宅療養者の病状の急変、それが夜間に及ぶこともあり、救急車の手配など命に関わる事案ということで、かなり張り詰めた日々だったということであります。  しかし、オミクロン株に変わってからはほとんどなくなったとのことで、濃厚接触者の定義も緩和され、感染者一人当たりの聞き取り時間は随分短縮されたとはいえ、感染者が多く、聞き取りの資料作成業務に追われ、本庁からの人的支援で何とか乗り切っているということでありました。  昨年の十月にも聞き取りに伺ったことがありますが、そのときに比べると全く別物と対峙されているような印象も受けたところであります。  先日、佐賀大学の青木教授を参考人として招致して開催した新型コロナウイルス感染症対策等特別委員会では、委員の皆さん方からも感染症法上の分類の二類から五類への変更でありますとか、収束の考え方などについての質問もあったところですが、私も地元でそうした同様の話をお伺いしております。  青木先生もおっしゃるように、五類にしたときの医療費の公費負担の根拠を失うということが大きな問題であり、特に重要とされる高齢者へのワクチン接種に重大な影響が及ぶことが想像できます。そのため、例えば、全部または一部公費負担を継続しながら、インフルエンザ並みの対応へと見直しを集中的に検討する時期に来ているのではないかと考えます。  日本はゼロコロナを目指しているのではなく、コロナとの共生、ウイズコロナを目指しているはずであります。感染者の数だけにおびえるのではなく、社会・経済活動を元に戻していくために必要なことと考えます。これまでフェーズの変化ごとに幾度となく大きな判断をされてきた知事に対して、オミクロン株による感染状況をどのように認識され、今後どのように対応していかれるのかお尋ねいたします。  先般、公立病院経営強化のガイドラインが改定されました。これは新型コロナウイルス感染症対応で都市部を中心に医療が逼迫したことを念頭に改定されたものと考えております。  そこで次に、このガイドラインを踏まえて、公的病院の経営強化についてお尋ねをしたいと思います。  令和四年三月に、総務省は「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を策定いたしました。病院事業を行う地方公共団体において、このガイドラインを踏まえて、令和四年度または令和五年度に、令和九年度までの期間を対象とする経営強化プランを策定することとなっております。  従来のガイドラインには、経営主体の統合、つまり、公的病院統合の推進など再編ネットワーク化の事項が設けられておりましたが、新しいガイドラインでは「役割・機能の最適化と連携の強化」というふうに変わっております。  この背景として、医師の不足などにより持続可能な経営が厳しい公的病院があることや、新型コロナ感染症への対応において、公立病院が中核的な役割を果たし、その重要性が改めて認識されたことにあり、また、病院間の役割分担の明確化や医師の確保などの取組を、平時から進めておく必要性が明らかになったことにあるとされております。  持続可能な地域医療提供体制を確保するため、限られた医師などの医療資源を地域全体で最大限かつ効率的に活用する視点を重視するとともに、新たな感染症の感染拡大のときの対応の視点も持って、公立病院の経営を強化することが重要と示されております。  また、ガイドラインには、医師等の確保と働き方改革の事項も設けられました。令和六年には医師の時間外労働の上限規制が始まることから、医師の確保について、公立病院においてもさらに厳しい状況になるのではないかと危惧する声がある、そのことは承知しております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、経営強化プランについてであります。  公立病院が果たしている役割についての県の評価についてであります。  県は、新型コロナウイルス感染症への対応において、公立病院が果たしている役割をどのように評価しておられるのかお尋ねいたします。  次に、県の方針についてであります。  関係市町が経営強化プランを策定するに当たり、「役割・機能の最適化と連携の強化」の事項については、病院間の役割分担などに関する県全体の方針を踏まえて記載する必要があると考えますが、県の方針はどのようになっているのかお尋ねいたします。
     次に、策定に対する県の支援についてであります。  持続可能な地域医療提供体制を確保するために策定される経営強化プランは、民間を含む地域の医療関係者の合意を得て策定される必要があります。県は、関係市町における策定をどのように支援していかれるのかお尋ねいたします。  次に、医師確保についてお尋ねいたします。  まず、医師の働き方改革に対する県の支援についてであります。  公立病院において、医師の時間外労働の上限規制が始まることを受けた準備を行っていると思っておりますが、県はどのような支援を行っているのかお尋ねいたします。  次に、医師確保に対する県の支援についてであります。  公立病院の医師の確保については、基本的にはその病院が行うものであると思いますが、規模の小さな公立病院においては大学などからの派遣に頼らざるを得ないのが実情であり、県のサポートは不可欠と考えます。今後、経営強化プランが策定されることになると思いますが、県では、公立病院における医師確保をどのように支援していかれるのかお尋ねいたします。  次に三問目、既存施設を活用した治水対策についてお尋ねいたします。  佐賀県においては、平成三十年から四年連続で大雨特別警報が発表されており、特に令和三年八月には県内の多くの地域において、総雨量が千ミリ以上になるという記録的な降雨が発生し、県内各地で甚大な被害が発生いたしました。  私の住む有田町では、局部的な浸水は起きてはおりますが、近年、幸いにも豪雨による甚大な被害は発生しておりません。ただ、線状降水帯の発生に伴った豪雨災害による甚大な被害は、いつどこで起きてもおかしくない状況であると思います。実際に昨年八月、有田町でも総雨量は千ミリを超えていたというふうに承知しております。  こういった増大する災害リスクに備えるために、河川整備をはじめとするハード対策を着実に進めていく必要があると考えますが、そういったハード対策が完了するまでには長い時間を要しているのが実情であります。いつ起こるとも分からない豪雨災害のリスクに対して早急に対応するには、地域にあるダムやため池といった既存施設を有効に活用し、雨水をためて、河川や水路への流出を遅らせることで、少しでも浸水被害の軽減につながる取組を進めることが必要だと感じております。  昨年度、県議会の県外視察で行った長野県においては、一般の家庭や事務所など、そういったところに百リットル以上の雨水タンクを設置する場合に補助するという取組を行われておりました。これは雨水の流出を抑制する浸水対策と雨水を再利用するという環境対策という二つの面があるということで、市町の事業であります。その説明を受けたときに、百リットルとか五百リットルの雨水タンクぐらいではあまり効果が見込めないのではないかというふうに思ったところですが、長野県においては多くの市町がこの助成を活用し、数万基規模でタンクを設置することを目指しているということでありました。助成金には上限もあり、個人負担があることから事業への理解が必要であり、成果を上げるには長期間かかるというふうに思いますが、こうした地道な取組も必要ではないかと感じました。他県においても様々な努力をされていることを実感した次第であります。  ちなみに、佐賀県内では基山町が実施されており、本県でも有効であるかどうか、研究していってほしいというふうに思っております。  佐賀県では「プロジェクトIF」が進められており、その中の内水をためるという取組には、田んぼダムの推進やため池の活用、ダムの貯留機能強化など既存施設を活用した治水対策が挙げられており、私も積極的に進めていくべきと考えます。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  まず、田んぼダムの推進についてであります。  田んぼダムに関しては、先日、山口知事出席の下に田んぼダム堰板設置式が開催されたとの報道もあり、取組が進んでいる様子でありますが、これまでの取組状況がどのようになっているのか。また、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。  次に、ため池の活用についてであります。  ため池の活用も一定の治水効果があるとされておりますが、一方で、広域的な調整など課題もあると聞いております。ため池の活用について、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。  次に、ダムの貯留機能強化についてであります。  先ほども述べましたように、有田町でも昨年八月は総雨量千ミリを超えた記録的な降雨量であったということであります。ただ、幸いにも大きな被害はなかった。このことは、有田川流域の三つのダムの貯留効果が大きかったと思っております。県営ダムでは、二年前よりダムの事前放流による貯留機能強化に取り組まれておりますが、これまでの取組状況はどのようになっているのか。また、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。  最後の質問であります。「地域みらい留学」への県教育委員会の取組についてであります。  私が県議会議員となった平成十九年前後は、高校再編の真っただ中でありました。六月定例会で私にとっては初めての委員会であったと思いますが、文教厚生常任委員会で伊万里商業高校と伊万里農林高校の統合後の農業実習施設の用地取得費の議案に対して附帯決議を読み上げたことを覚えております。  その後の議論で統合は十年程度延期となり、そして、校舎制という新しい制度の中で統合され、伊万里実業高校が生まれました。  県内各地でそうした統合に関しての様々な議論がなされた後、高校再編は一定の決着を見ているというふうに思っております。しかし、その中にあっても、生徒が減少することは学校の活力低下にもつながるものであり、地域の発展に大きな影響を与えるものであると思っております。  学校の活力を維持し、地域を持続的に発展させていくためにも、各高校がそれぞれの魅力をしっかりと高め、県内外から多くの生徒が行きたいと思える特色ある学校づくりに力を入れていく段階に来ているのだと思っております。  県教育委員会では、「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」を進めており、その一環として、県外募集にも力を入れておられます。県立高校の魅力を高め、県外への流出を防止するとともに、県外から積極的に生徒を受け入れることにより高校の活性化や地域の発展が期待されるものであります。  有田工業高校では、昨年度から全国募集を行う高校のネットワークである「地域みらい留学」に参画し、本格的に全国から生徒を募集しております。今年度は県外から一名の生徒が一家転住という形で有田町に居住し、有田工業高等学校に通学していると聞いております。最初のきっかけは「地域みらい留学」であったわけですけれども、結果的には移住という形で、「地域みらい留学」のカウントにはなっておりませんが、そういう効果も出ております。  有田町はもちろん、地域の窯元や飲食店、その他の有志の方々の支援を受けた準備体制が整いつつあるということは非常にうれしく思っております。  一方、「地域みらい留学」という仕組みで有田工業高校が全国募集を行っていることについて、佐賀県内はもとより、有田町内でもその認知度は高くありません。また、昨年度から「地域みらい留学」の取組を進めてきた中で、生徒の生活環境の充実など、見えてきた課題もあるのではないかと思っております。  今後は、これらの課題を踏まえて、この取組をさらに充実させていくとともに、有田工業高校以外の高校にも拡大し、学校や地域の活性化を図っていくべきではないかと考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、その仕組みについてであります。  「地域みらい留学」の仕組みはどのようになっているのか。また、どのような目的で参画しているのかお尋ねいたします。  次に、佐賀県の現状と課題についてお尋ねします。  佐賀県の取組における現状はどのようになっているのか。また、取組を進めるに当たって、どのような課題が見えてきたのかお尋ねいたします。  今後の取組についてでございます。  「地域みらい留学」の取組をほかの高校に広げていくため、今後、県教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。  以上四問、明確な答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手) 11 ◎山口知事 登壇=原田寿雄議員の御質問にお答えいたします。  新型コロナの現状認識と今後の対応についてお答え申し上げます。  まず、昨日発表したBA・5確認について申し上げたいと思います。  この二年数カ月、日々刻々と変化する感染状況にチーム佐賀、オール佐賀で対応に当たってまいりました。県では、感染者が多数発生しているグループを中心に、県の衛生薬業センターで定期的にゲノム解析を実施しております。昨日、その検査でオミクロンの派生株であるBA・5を初めて確認しました。オミクロン株の一種なんですけれども、今年になってオミクロン株でBA・1というものがずっとありまして、増えてきて、落ちてきたんですが、またちょっと上がり、もう一回山が出始めたときに、この解析でBA・2というものに置き換わっていることが分かりました。今回、またこれが下がってきたんですけれども、どうもまた少し上昇気配というか、なかなか減らないなと思っていたら、今回、このBA・5というものの発見があったということで、恐らく今までの経験からすると、それなりにBA・5の固まりがあるんではないかと、これは私たちの推測ですけれども、思っています。  このBA・5が公表されたところでは、東京、島根に次いで全国三例目で、九州で初めてということになっています。どんなものなのかということですが、重症化するリスクは相変わらず低いようです。ですので、オミクロン株の一種でありますからということなんですが、ただ、BA・1、BA・2よりも感染スピードがやや速いということでありますので、ここに注意が必要かということです。一・〇、一・二、一・四みたいな、そのぐらいのレベルなんですけれども、やや強いということであります。  あくまでもオミクロン株の一種ということでありまして、引き続き感染拡大が病床使用率に直結する状況にはなく、これまでの対応の延長と捉えておりますけれども、さらにゲノム解析も行ったりして、今後の感染状況には細心の注意を払っていきたいというふうに思っています。  ここで改めて今年に入ってからのオミクロン株の感染状況について説明させていただきます。  今年一月に入りまして、県内で第六波として感染が急拡大して、四月十九日には佐賀県としては過去最高の一日六百八十人を記録しましたが、四月末からは緩やかに減少しています。オミクロン株はこれまでの新型コロナウイルスのアルファとかデルタとか、そういったものとは全く別物とおっしゃいましたが、私もそんな気がしております。感染力は非常に強いものの、弱毒化しておりまして、死亡率、重症化率は低いという特性があります。  本県でいいますと、若い世代を中心に感染確認が続きまして、二十代以下の感染者が全体の半分以上を占めていますけれども、そのほとんどが軽症か無症状であります。その半分以上を占める若い世代ですが、入院率は一%程度、一%切るくらいです。一方で、高齢者の感染は大変少ないものの、入院される率は三割程度と高いために、佐賀県では、高齢者の感染対策を強化しようということになりまして、重点的に取り組んで、例えば、高齢者施設とかに保健師を派遣して助言、指導するとか、そういったことをやっているわけであります。  こうした取組によりまして、病床使用率は現在七%程度です。一番高いときは六五%を超えていましたから、それに比べると、かなり抑えられているということで、私が最も大切にしている救急医療、それから、通常診療は維持されている状況であります。  デルタ株のときは、かかった方のうち入院率がどのくらいかということを計算しましたら、デルタ株では三五・八%の方が入院されていました。今のオミクロン株でありますと五・一%になります。ということで、確かに原田議員がおっしゃるように、別物というのは、データ的にもやはり違ったものではないかということで我々も考えているわけであります。  このオミクロン株については、佐賀県の専門家からも、ウイルスが人間との共生を始めている面があるとの意見も聞いています。オミクロン株に対してはほとんど軽症、無症状であります。しかも四月以降の重症者はゼロということも踏まえまして、今年のゴールデンウイークについては、お一人お一人に感染予防対策を徹底していただくことで、行動制限ですとか県境を越えた移動自粛というのは求めない判断をさせていただきました。  そして、オミクロン株は全く別の敵だと思っているんですけれども、国としては感染症法の二類相当に位置づけられているために、医療機関からの全数報告、そして、濃厚接触者への行動制限などは続いておりまして、私はいささか過剰な事務・制限となっているのではないのかなということで気になっています。  このような状況から、先日六月七日には厚生労働省の佐藤副大臣を訪問し、オミクロン株と共生した社会生活実現のために、感染症法の分類変更という形式にとらわれないで、オミクロン株の特性に応じて医療費の公費負担は維持しつつも、全数報告ですとか濃厚接触者への行動制限等は見直してはいかがでしょうかと提言をさせていただいたところです。引き続き現場の状況は国のほうには伝えていきたいと思っています。  今後についてですが、状況に合わせたスピード感のある対応がコロナ対策の肝であります。今後もしっかりと県内の毎日の感染状況の分析を続けるとともに、国内外の感染状況も注視しながら、仮に強毒化したものなど新たな変異株が出てくれば、その特性に合わせて迅速に対応を見直して、またしっかりガードを固めていくということになろうかと思います。  ただ、オミクロン株で続く流れであれば、引き続き適切な感染予防と高齢者への対策を継続しながら、めり張りのある対応を行って、ウイルスとの折り合いをつけながら、徐々に日常を取り戻していく対応をさせていただきたいと考えております。 12 ◎久保山健康福祉部長 登壇=私からは、公立病院の経営強化について五点お答えさせていただきます。  まず、公立病院が果たしている役割に対する県の評価についてでございます。  新型コロナウイルス感染症患者の入院への対応につきましては、設置主体にかかわらず、チーム佐賀、オール佐賀で取り組んでいただいておりまして、これについては本当に感謝しているところでございます。  その中で公立病院でございますけれども、新型コロナの受入れ病床では五百七十二床のうち百四十五床、全体で二五・三%と多くを占めていただいております。また、中等症以上の症状が重い患者の治療を担った病院もございました。  公立病院は、通常医療の中でも地域の中心的な役割をしていただいておりまして、救急医療や通常医療の環境を守りながら、コロナ陽性者の症状に応じた治療、療養を行っていくという、コロナ対策の重要な使命を果たすという大きな役割を果たしていただいておると評価しているところでございます。  次に、経営強化プランの策定における県の方針についてでございます。  経営強化プランは関係市町において策定するものでございますけれども、策定に当たっては、県が策定しております地域医療構想との整合性が求められているところでございます。  地域医療構想は、二次医療圏における令和七年の病床機能ごとの必要量を推計いたしまして、将来の医療需要に対する過不足を示したものでございます。各医療機関が、地域で過剰な病床機能から、今後不足が見込まれる病床機能へ自主的に転換することによりまして、医療需要の変化に対応した、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築を目指すものでございます。関係市町は地域医療構想を踏まえまして、公立病院が地域で果たすべき役割や機能などを経営強化プランに記載していただくことになります。  また、新興感染症等の感染拡大時の公立病院を含む各医療機関の連携、役割分担についてでございますけれども、令和六年度から開始となります次の医療計画、第八次医療計画でございますけれども、この中に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が記載事項として追加されたところでございます。これを踏まえまして、今後、県で医療計画を策定することになりますけれども、その中で整理をしていくことになります。  経営強化プランの策定が円滑に進みますように、医療計画の検討状況を適宜、関係市町と共有していきたいというふうに考えておるところでございます。  続きまして、プラン策定に対する県の支援についてでございます。  経営強化プランは、今後、公立病院が地域において果たすべき役割や機能などを地域の民間医療機関などと協議しながら、地域全体として必要な医療提供体制を最大限効率的に活用する視点で策定する必要がございます。  このため県は、経営強化プラン策定に関する研修会を開催することとしております。また、プランを地域の医療関係者等で協議する場、そういったものを開催していただくように調整しているところでございます。そういったことを通じて、助言などの支援を行っていくこととしております。  次に、医師の働き方改革に対する県の支援についてでございます。  令和六年度から医師の時間外労働上限規制が開始されることに伴いまして、各医療機関におきましては、医師の労働時間の把握や医療機関内における業務の見直しなどを求められております。  働き方改革に必要な取組は各医療機関によって異なっておりますことから、県では、公立病院をはじめ、県内の主な医療機関を一つ一つ訪問いたしまして、医師の働き方改革への取組状況を聞き取って、必要に応じて勤務管理のシステム化や医師業務の他医療職への移管の推進などについて助言をしているところでございます。  具体的な取組を加速させるために、令和四年度からは、特に時間外が多い急性期を担う医療機関につきまして、医療機関が取り組む医師の働き方改革を推進するための補助制度を創設しております。具体的には、業務を効率化するための診断システムの導入であったりとか、医師事務作業補助者の雇用など、そういったことの支援をする予定としておるところでございます。  次に、医師確保に対する県の支援についてでございます。  議員からもお話がありましたとおり、病院の医師確保についてはその病院が行うものでございますけれども、公立病院の場合の多くは、大学からの医師の派遣により成り立っているところでございます。そうしたことから、病院単独で医師確保を行うことは非常に難しい面もございます。このため県におきましては、公立病院が期待される役割を果たすことができるよう、公立病院の医師確保について支援を行っているところでございます。  例えばでございますけれども、大学などと連携をいたしまして、病院を医師の育成施設として位置づけられるよう調整し、大学などからの派遣を得られやすいような支援を行っています。  具体的に言いますと、卒後臨床研修の連携病院、そういったところに大学と公立病院を連携した形で入れていくことによって公立病院のほうに医師が派遣されるというようなことをやっております。  また、県が人事配置を行っております自治医科大学の卒業医師についてでございますが、医師個人のキャリア形成や病院の役割など、そういったものを総合的に勘案いたしまして、公立病院のほうに派遣をしているところでございます。  こういった形で病院や診療所の実情に応じて様々な支援を行っておりまして、今後もこうした支援を行い、公立病院をしっかりと支えていきたいというふうに考えております。  私からは以上でございます。 13 ◎山田農林水産部長 登壇=私からは、治水対策につきまして二点お答えいたします。  まず、田んぼダムの推進についてでございます。  令和元年、三年の豪雨により、二年間に二度の大規模な内水氾濫が発生し、甚大な被害をもたらしました。その被害を少しでも軽減するために、今年度から田んぼダムの取組を推進しております。  田んぼダムの取組につきましては、浸水被害が発生した箇所の上流域の農家の理解と協力が不可欠でございます。県では、今年度新たに田んぼダム推進事業を創設しまして、田んぼダムに取り組む農家に対しまして、排水を抑制する堰板の配布や協力金の交付、さらに田んぼダムに取り組んだことにより畦畔が崩れた場合の復旧費用の支援を行うこととしております。  この田んぼダム推進のための事業を市町とともに推進しました結果、農家の皆様方の御協力によりまして、佐賀市、武雄市、神埼市など九市町において、当初予定していた面積の一・五倍に当たります約千二百ヘクタールで田んぼダムに取り組むこととなり、現在、農作業の進捗に合わせて順次堰板を設置していただいているところでございます。  この千二百ヘクタールに約十センチのお水をためた場合、百二十万トンの貯水効果がございます。これは二十五メートルプールで四千杯分をためる効果が期待できるところでございます。  田んぼダムにつきましては、その取組面積が大きくなればなるほど浸水被害の軽減が見込まれますことから、今年の取組を検証しまして、今後とも市町と連携しながら、今年度取組がなかった地域に対しても説明会を開催するなどして、取組面積の拡大を図ってまいりたいと考えております。  続きまして、ため池の活用についてでございます。  大雨前のため池の事前放流につきましては、貯水ポケットを確保することによりまして下流域の浸水被害の軽減につながることから、治水対策を進めていく上で効果的な手法の一つでございます。しかしながら、ため池につきましては、本来、農業用水を確保するために造られたものでありまして、ため池を治水として活用するためには、ため池を利用、管理する農家と下流域で浸水被害を受ける方々との相互理解が必要でございます。特にその関係者が市町をまたがるような広域の場合は、利水と治水の調整が難航することも想定されることから、県としても積極的にその調整に関わることとしております。  例えば、令和元年、三年の豪雨により住宅等への浸水被害が大きかった武雄市北方町の上流部にあります焼米ため池を治水として活用することに当たりましては、県が調整役となりまして、管理者である白石土地改良区と治水の効果が見込める武雄市との協議を進めているところでございます。  さらに県では、今年度から浸水被害の軽減に効果が期待できるため池の治水利用に向けた調査を行うこととしております。その調査結果を基に、農家や地域住民の方々の理解と協力を得ながら、ため池の事前放流による低水位管理、さらには緊急放流に必要な施設の整備を行うこととしております。  このような取組を推進することによりまして、ため池の治水活用を増やし、「プロジェクトIF」の内水をためる対策をしっかりと前に進めていくことで、浸水被害の軽減を図ってまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 14 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、既存施設を活用した治水対策のうち、ダムの貯留機能強化についてお答えいたします。  県では、令和元年佐賀豪雨の被災後、大雨が降っても可能な限り被害を軽減させるために、効果発現が直ちに期待される既存ダムの貯留機能強化に取り組んでおります。  有田ダムなどの県営十三ダムにおきましては、大雨が予想される場合に、早ければ三日前から事前に放流するほか、佐賀県独自の取組といたしまして、六月から九月までの出水期間中、水位を本来の水位より低下させておき、大雨に備えるという取組を令和二年から実施しております。  令和三年八月豪雨では、最も水位が上昇いたしました武雄市の矢筈ダムにおきまして、ダムが貯留できる限界の水位に残り僅か九センチとなるまで水位が上昇いたしました。矢筈ダムは出水期間中、本来の水位より一メートル水位を下げて運用しておりましたが、この運用がなければダムの貯水容量を使い切っており、下流の被害が拡大していたおそれがございます。  このようなダムの運用によりまして、議員御指摘のように、令和三年八月豪雨においては一定の効果が見られております。一方で、矢筈ダムなどでは切迫した状況に至ったことから、地域住民の方々も危機感を持たれていたところでございます。このようなことも踏まえまして、「プロジェクトIF」の取組として、さらなる機能強化に取り組むことといたしました。  矢筈ダムを含む武雄市にある三ダムにつきましては、令和三年八月豪雨での浸水被害が大きかったこともあり、本来、利水のために水をためておきたいと思われている関係者ではございますが、その関係者の方々からも協力をいただきまして、今年からは水位をさらに一メートル下げる運用を開始したところでございます。  今後も、放流施設の改良といった既存ダムの施設強化や操作運用ルールの見直しなど、ハード、ソフト両面でのダムのさらなる機能強化について検討してまいります。  近年の気候変動による洪水災害の激甚化、頻発化への対応は喫緊の課題でございます。ダムなど既存施設を活用しつつ、「プロジェクトIF」の取組をしっかりと進め、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
     私からは以上でございます。 15 ◎落合教育長 登壇=私からは、「地域みらい留学」の取組についてお答えをいたします。  まず、「地域みらい留学」の仕組みと目的についてお答えいたします。  「地域みらい留学」は、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが主体となって、都道府県の枠を超えて、都市部から地方の高校に生徒が入学、交流することを支援、促進する取組であります。  この地域・教育魅力化プラットフォームは、島根県を拠点とされておりますけれども、昨年度、佐賀県と進出協定を締結いたしました。県内では佐賀市三瀬村に事務所を置かれております。  この取組は、平成十九年、少子化により学校の存続が危ぶまれていた島根県立隠岐島前高校の魅力化事業から始まったものです。  現在、「地域みらい留学」には、全国三十二県の約九十校の学校と中学生の親子約二千組が登録されておりまして、九州では佐賀県の有田工業高校を含め、十一校が参画しております。昨年度は約五百名の生徒が「地域みらい留学」を通じて特色ある高校に入学されております。  例えば、宮崎県立飯野高校では、地域との協働活動による探究学習を実施したり、年間百人を超える外部講師による指導を行っているなど非常に特色のある学校で、今年度は十名が入学されております。  北海道おといねっぷ美術工芸高校、これは音威子府村の村立高校だそうですけれども、美術・工芸に力を入れている学校で、作品は様々な展覧会で入賞しており、今年度は六名がこの取組で入学しております。  このように、様々な特色ある教育活動を実施している学校が参画をしております。  これに参画した目的ですけれども、県教育委員会では、県立高校の魅力と強みを徹底的に磨き上げて、県内外から県内高校への進学を促進する「唯一無二の誇り高き学校づくり」を推進しています。その中で、有田工業高校についてはセラミック科、デザイン科といった、全国的に見ても特色のある学科を有していることから、佐賀県における全国募集の先駆け、モデル的な取組として「地域みらい留学」に参画したものです。  次に、佐賀県の取組における現状と課題についてお答えいたします。  有田工業高校では、昨年度初めて「地域みらい留学」に参画いたしましたけれども、全国募集に係るオンラインでの学校説明会を七回、現地でのオープンスクールを一回開催して、合計三百四十六名の生徒に参加をしてもらいました。  全国募集に当たりましては、県教育委員会では昨年度、有田町と全国募集に係る連携協力協定を締結いたしました。この協定に基づき、有田町や地域住民の方々からの御協力をいただいて、現在、下宿先として五物件、九名分を確保しています。また、高校生を対象とした食事の提供については、有田町の料飲店組合に御協力をいただいて、十九店舗に御参加をいただいております。  さらに有田町においては、県外から入学し、親元を離れて町内で居住する生徒に対して、住宅費や食費等の生活費として月額三万円を支給する制度を創設していただいて、その一部を県が補助いたしております。  課題ですけれども、今年の四月時点では「地域みらい留学」を通じて県外から入学した生徒は一名にとどまっております。学校の魅力や、先ほど申し上げたような生活面でのサポート、そういったことに関する周知、また、このような全国募集をしているということの広報の取組がまだまだ不十分で、行き届いていないというふうに我々も感じております。  また、本質的な話としては、生徒や保護者から選ばれる学校となるためには、学校そのものの魅力をさらに徹底的に磨き上げていくことが必要だというふうに感じております。こういった課題の解決には、学校だけではなくて地域の御協力が不可欠だと感じております。学校、県、地域が力を合わせて、学校の魅力化や地域の活性化の取組を進めていく必要があると考えております。  最後に、今後の取組についてですが、県教育委員会では、全ての県立高校において高校の魅力や強みを徹底的に磨き上げ、積極的な情報発信により、県内外から志願者を増加させる「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」を進めております。  具体的には、今年度から学校の魅力づくりに関する専門的な助言を行う学校魅力化アドバイザーを県教育委員会に配置しました。県立高校九校を「SAGAコラボレーション・スクール」に指定して、そのうち、有田工業を含む四校を重点校に指定しております。重点校では、学校と地域をつなぐ学校魅力化コーディネーターを配置しております。  地域と協働して魅力化に取り組むため、地域住民や保護者、市町関係者、企業や大学などの方々から構成される学校魅力強化委員会を各学校に設置いたしております。また、令和四年度入試から県外受検の要件を緩和して、全ての県立高校で県外募集に取り組みやすくしております。  県教育委員会といたしましては、まず、有田工業高校の「地域みらい留学」を活用した全国募集や学校魅力化に関する取組を進めながら、その経験を生かして、全国募集の取組を他校にも展開して、県内外から多くの生徒が集まる魅力的な学校づくりを推進してまいります。  私からは以上です。 16 ◎議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩します。     午後零時六分 休憩 令和四年六月十六日(木) 午後一時十分 開議  出席議員    三十六名     一番  下 田   寛     一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏     二番  桃 崎 祐 介     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     三番  田 中 秀 和     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三七番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美 欠席議員    一名    三六番  藤 木 卓一郎 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   甲  斐  直  美          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       久保山   善  生          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       山  田  雄  一          県土整備部長       大  呑  智  正          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・観光局長      實  松  尊  徳          SAGA2024・          SSP推進局長      宮  原  耕  司          男女参画・こども局長   種  村  昌  也          会 計 管 理 者    元  村  直  実          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    古  賀  千加子 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          政務調査課長事務取扱   吉  田     泰          総  務  課  長   碇     一  浩          議  事  課  長   篠  田  博  幸          総務課副課長       田  中  信  二          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 17 ◎副議長(宮原真一君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。 18 ◎冨田幸樹君(拍手)登壇=自民党の冨田幸樹でございます。昼の昼食の後、眠いかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。  早速、質問に入らせていただきます。  九州新幹線西九州ルートについてでございます。  五月の連休明けだったかと思いますけれども、試験走行も始まり、いよいよ県民、県外の方々も期待の高さを実感してきているところです。  そういった中で、私にもいろんな方から意見、また質問などもありました。そういうときに、一つ私が気になったのがありまして、それは今度の長崎-武雄温泉間、開業という言葉と、そしてまたその後が続かないのかなと、暫定開業という言葉ですね。この二つを県民の方から問いかけられまして、どっちなのという問いかけに対して、私はどがんかふうな意味で聞かれたのかなという感じがしていまして、私の思いからすれば、当然、鳥栖-武雄温泉間がありますので、暫定開業だというふうなことで答えました。多分その方の意図としては、長崎-武雄温泉間だけで、後は方向性も決まっていないしということでの開業という言葉で使われたのかなという気もしましたけれども、私は私なりに、やはりこの西九州ルートは長崎から福岡までつなぐことが大事だということで、やはり暫定開業だというふうな気持ちを持っております。  そういったところで、本議会の知事の提案事項説明において、鉄道局との「幅広い協議」については、フル規格で整備する場合の三つのルートについて、将来の可能性について国土交通省としての考えを示すよう求めているとされ、鉄道局の準備にはもう少し時間がかかるという説明がありました。  私は、三月の特別委員会の参考人招致で鉄道局の川島課長に、協議を加速させるためにも、在来線協議はJR九州を含めた三者協議の場をぜひつくっていただきたい、そこに汗をかいていただきたいという要望をしてきました。そのことから、今どのような状況になっているのか、改めて鉄道局に確認したところ、佐賀県からは次回の「幅広い協議」において、三つのルートについての将来の可能性をまず協議すべきだと言われたと。しかし、鉄道局としては、在来線のことも一緒に説明したいということも言われていました。  新幹線整備において、在来線がどうなるかは沿線住民にとって一番の関心事であります。昨日の新聞にもそういった記事が出ていたかと思っています。  これまで執行部も、在来線の利便性の低下は課題だと言ってきてあります。令和三年六月の与党PTの九州新幹線検討委員会で示された検討状況では、在来線は経営分離を前提とせず、JR九州が運行を持続することが不可欠で、在来線の利便性の確保について佐賀県と密接な協議を行うことが必要とされています。  知事は、新鳥栖駅から武雄温泉間の在り方は、佐賀県の将来に大きく影響することであると言われていまして、ここで言われている新鳥栖-武雄温泉間の在り方とは在来線のことだと私は解しています。  私は、鉄道局が「幅広い協議」の中で、フル規格を議論する場合の在来線の取扱いについて説明をしたいと言われれば、どっちが先ということではなく、県民が一番知りたい在来線についても一緒になって協議をしていき、少しでも協議を前に進めていただきたい。県民に情報を提供するとともに、執行部が課題としている部分を県民に示すのも必要だと思っています。運行を担っているJR九州を含めた三者での協議をすることは私は必要だと再度申し上げておきます。  ついては質問でございます。「幅広い協議」においてフル規格を議論する場合の在来線協議について、執行部はどのように考えてあるのか、地域交流部長にお尋ねいたします。  次に、二点目の企業誘致についてであります。  我が国が人口減少時代を迎えている中、特に地方における人口減少は深刻な問題となっています。佐賀県が今後とも持続的に発展していくためには、若者を県内にとどめると同時に、UJIターンなど、県外から人を呼び込むことが重要です。「佐賀県まち・ひと・しごと創生総合戦略」第二期では、令和四年度末までの四年間で新規雇用創出目標を三千二百人とされています。そのための取組として、企業誘致は大事な施策の一つだと考えています。今後とも積極的に推進していただきたいものだと思います。  そこで、次の点について伺います。  県内の産業団地の整備状況についてですが、企業誘致を進めるためには、その受皿となる産業団地の確保が必要不可欠でありますが、ここ数年誘致が進み県内の産業団地が不足していると聞きます。新産業集積エリア鳥栖については、法の手続が済み、造成工事に着手するとのことです。県内の産業団地の整備は現在どのような状況になっているのか、まずは伺います。  次に、新産業集積エリア唐津については、まだ企業の進出には至っていません。同産業団地は地元の厳木にありまして、県北部でも特に人口減少が進んでいる地域でございます。地元では期待も大きく、早期の企業進出を望まれているところです。
     私自身、同産業団地については、交通アクセスがよく、光回線も利用可能で、BCPの観点からもポテンシャルの高い産業団地だと考えております。  しかし、企業誘致開始から十年が経過し、造成費用の金利がかさみ、払下げ単価の上昇や鳥栖団地との競合で新産業集積エリア唐津への企業誘致がさらに遠のくのではないかと心配をしています。一社でもいいから、一日も早く誘致をしていただきたいものです。  県においては、これまでも積極的に企業誘致活動を行ってこられたと思いますが、企業の進出に至っていない理由は何か。また、今後どのように誘致活動を進めていかれるのか、以上、二点を産業労働部長に伺います。  次に、三点目でございます。唐津プロジェクトについてであります。  唐津・玄海エリアでは、自然、歴史、文化が育んだ個性豊かな地域資源があふれており、県は令和二年度より、この魅力あふれる地域資源を掘り起こし、磨き上げていくため、唐津プロジェクトとして、様々な分野で各種施策に取り組んでいただいております。これは知事、本当にありがとうございます。  その取組の一つとして、名護屋城跡では「はじまりの名護屋城。」事業として、陣跡キャンプや大茶会の開催、また、県立名護屋城博物館での「黄金の茶室」の再現、公開など、歴史遺産を生かした文化、観光の推進に唐津市や地元の皆さんと一緒になって取り組まれており、私も機会をつくって名護屋城周辺に足を運びました。最近では大茶会を見学いたしましたが、大盛況であり、このような取組が唐津地域一帯の観光振興や交流人口の増加に大きく貢献しているものと高く評価しているところです。  名護屋城跡並びに陣跡は、豊臣秀吉が文禄・慶長の役に際し、その出兵の軍事拠点として築いたものであり、日本の歴史を語る上で重要な史跡として国の特別史跡に指定されています。名護屋城跡の周辺には、十六世紀末に全国の大名が参集し、約百五十もの陣跡があることが知られています。県立名護屋城博物館により発掘調査や保存整備が進められているところです。  しかし、範囲が広大なことに加え、草木が繁茂している箇所も多いことから、陣跡や石垣がどこにあるのか分からないという声を聞きます。重要な歴史の価値が見学者に十分に伝わっていないのではないかと危惧しております。地元の方からもそのような声がありましたので、私も現地に行き、堀秀治の陣跡にも行ってきました。陣跡周辺にも草木が生い茂り、名護屋城がどこにあるのか見にくい状況でした。城跡、陣跡の価値を正しく伝え、活用していくためにも、樹木の伐採や除草によって見通しをよくするなど、名護屋城跡一帯の環境整備が重要ではないかと考えています。  名護屋城跡という広大な城跡、陣跡の環境を今後どのように整備し、活用につなげていくのか、県と市町だけではなく、地元の意見も十分に反映させながら、そして、ローカル発注という、唐津地域にお金が落ちるようなシステムを考えていただきたいと思っています。  また、知事の提案事項説明でも紹介があった伝説のダイバー、ジャック・マイヨールは、幼少時代を唐津で過ごし、唐津の海で初めてイルカと出会ったことから、日本の思い出の地として唐津に頻繁に来日し、地元の方々と交流があったことで、この唐津の美しい海をこよなく愛されたと聞いています。今議会では、この唐津の美しい海、豊かな自然を生かして、唐津・玄海エリアのアウトドアアクティビティを推進し、地域の活性化につなげていくため、唐津ビーチパークを整備していくという提案がなされています。  この事業では、唐津・玄海エリアのアクティビティーを「KMAP」と称し、県内外の多くの人に体感してもらうため、「KMAP」のハブ拠点としてヨットハーバー周辺に唐津ビーチパークを整備し、にぎわいを創出するとのこと。宝の海を活用して、マリンアクティビティを推進し、地域の活性化を目指すことは、唐津出身の私としても大変喜ばしく思っているところです。  そこで、質問です。  特別史跡名護屋城跡並びに陣跡の環境整備について、県は今後どのように取り組んでいくのか、文化・観光局長に伺います。  次に、アウトドアアクティビティの推進についてです。  唐津・玄海エリアの海、山、川など、豊富な自然資源を生かしてアウトドアアクティビティを推進することは、唐津・玄海エリアの発展にもつながるものと考えていますが、取組の内容と目指すべき将来の姿はどのようなものか、SAGA2024・SSP推進局長に伺います。  アウトドアアクティビティを今後盛り上げていただきたいというのは私も同じでございまして、そういった中で少し気になる点がございます。水上バイクの事故などが全国的に問題となっておりますけれども、地元の方から昨年だったかと思いますけれども、水上バイクの爆音や危険な行為が目立つが、事故が起きてからでは遅いので、取締りの強化をとの要望を受けました。そうした中、あちこち相談して、最終的には、佐賀県では迷惑防止条例を制定していて、水上バイクのことについて定めがあるので対応できると。今回、私のほうでは県警のほうに聞きますけれども、県では水上バイクに対してどのような取締りを行っているのかお伺いします。  やはり私は事故が起きてからでは遅いんじゃないかな、その前にいろんな施策をすることがあるんじゃないかと。水上バイクを締め出すことは、あまり私はしたくないと思っています。要は、遊ぶ区域を、利用する区域を区切ったり、入り込まないように二重のブイを立てたり、いろんな施策があるかと思います。そういったことを県と市、それからまた海の家などとしっかり協議をしていただいて、今後やっていただきたいと思いますけれども、まずは県警の取締り状況について県警本部長にお伺いします。以上三点をお伺いし、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) 19 ◎山下地域交流部長 登壇=冨田幸樹議員の御質問にお答えいたします。  私からは、九州新幹線西九州ルートについてお答えをいたします。  鉄道局との「幅広い協議」における在来線協議についてのお尋ねでございました。  「幅広い協議」では、現在、鉄道局に対して、フル規格で整備する場合の三つのルートについて、長期的な視点、幅広い視点で見たとき、どういうメリットがあるのか、佐賀県はもとより、九州の将来展望にどのようにつながっていくのかなど、国土交通省としての考え方を示すよう求めているところでございます。  この三つのルートについては、議会でも御意見があったことも踏まえまして、昨年五月、四回目の協議で求めたものでございました。佐賀県の発展、九州の発展ということで、いろんなものが関係し合う中でどういう将来展望が描けるのか、そういう議論をしましょうよという話をしておりました。  そして、昨年十一月、五回目の協議で、国土交通省から三つのルートについての説明がありました。説明は、関西圏との旅客流動や駅周辺の開発がどうなりますと、そういう一般的に言われている話で、四回目の協議で話し合った大きな視点での説明はございませんでした。ということで、改めて考えを示していただくよう求めたところでございました。それがまだ出ていないというのが今の状況でございます。  整備新幹線は、多額の建設費負担や在来線の利便性低下など不利益を受け入れてでも、そこにそれをはるかに超える大きなメリットがあるからこそ、地元は手を上げて整備を求めるものだと思っています。今、フル規格について同意はしておりません。  国が在来線の議論と言われますけれども、例えば、ルートによって当然そこは変わってくるんだろうと思います。在来線に与える影響というのもそれぞれのルートで異なるのではないかというふうに思っていますけれども、国のほうが主張されているのは、在来線というのは佐賀駅を通るルート、いわゆるアセスルートということでございますので、出てくるというのはそうしたものなんだろうと思っていますけれども、在来線にどういうふうに影響していくのか、それはルート、ルートによって、やっぱりそこも変わってくるんだろうと思っております。  ですから、まずは三つのルートについて、それぞれどんなメリットがあるのか確認が必要だろうと思っています。知事のほうからも、ルートによって在来線への影響というのは異なるはずだという話も我々は言われております。そういうことを踏まえて、まずは三つのルート、それを出してくださいとお願いしているのが今の段階です。  その三つのルートについて、国土交通省としての考え方が示され、そこにフル規格について佐賀県としても考えられるものがあるのかどうか、それを並べて議論しましょうと。在来線の議論というのは、その先にあるんだろうと思っています。鉄道局に対しては、繰り返しになりますけれども、まずはどういうメリットがあるのか、どういう将来展望が描けるのか、大きな視点で議論をしましょうということを申し上げているところでございます。  私からは以上でございます。 20 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、企業誘致について二点お答えいたします。  まず、県内の産業団地の整備状況についてでございます。  現在、造成済みの産業団地は県全体で六カ所、約三十五ヘクタールとなっており、大規模な企業の進出が可能な有効面積十ヘクタールを超える区画が残っていないですとか、工業用水が供給可能な団地が少なくなっているなど、誘致活動を行うに当たり、企業が求める様々な条件に十分に対応できるとは言えない状況となってございます。  そのため、県と市町で連携して新たな産業団地の開発に向けた取組を進めております。県内各地域において、大規模から中小規模までいろいろな用地面積の選択肢をお示しできる状況にすることを念頭に、工業用水などのインフラの整った産業団地の整備を進めているところでございます。  現在、造成中、計画中の工業団地は、県が事業主体の産業団地が二カ所、佐賀市と吉野ヶ里町でございます。そして、市町が事業主体の産業団地が五カ所、こちらは唐津市、鳥栖市、武雄市、吉野ヶ里町、有田町でございます。  今後とも、企業誘致のチャンスを逃さず、本県への誘致に結びつけることができますよう、市町と一体となって、スピード感を持って、様々な企業のニーズに対応できる産業団地の整備を進めていきたいと考えております。  次に、新産業集積エリア唐津についてでございます。  企業が進出先を検討される場合、まずは必要とする面積が確保できるかどうかという点、その上で、交通アクセスですとか、水や電力などのインフラの整備状況、そして、今は人材確保といったのも非常に課題になってございますので人材確保、そういった様々な観点から、複数の候補地を比較検討して最適な候補地を選定されていらっしゃいます。  新産業集積エリア唐津につきましては、これまで複数の企業から、地震の発生リスクが少なく地盤も硬いですとか、高台にあるため、浸水のリスクも少ない、また、高速道路とつながる高規格道路のインターに近接しており、交通アクセスに優れているなどの点で高く評価され、最終候補地として選定されたこともございましたけれども、残念ながら成約には至っていないという状況でございます。  その理由は様々でございますけれども、工業用水がないことによる水道のランニングコストを課題として挙げられる企業もございました。  これまでの誘致活動の中で、このエリア唐津は、特にBCPを重視される企業に高く評価をいただいておりますことから、この優位性を強くアピールしながら、企業への訪問活動、そして、広報活動を積極的かつ重点的に展開しているところでございます。  県北部地域における雇用の場の創出、地域経済の活性化を図るため、新産業集積エリア唐津への早期の企業立地の実現に向け全力で取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 21 ◎實松文化・観光局長 登壇=私からは、唐津プロジェクトのうち名護屋城跡の環境整備についてお答えを申し上げます。  県では、令和二年度から「はじまりの名護屋城。」をコンセプトとして、日本文化発展の始まりの地となった名護屋城跡の魅力を全国に発信する名護屋城プロジェクトを始めております。議員からも御紹介がありましたけれども、本年三月二十七日に大茶会を開催するとともに、同日から黄金の茶室を公開し、多くの方々においでいただいております。  ただ、このような取組も、名護屋城跡並びに陣跡の環境整備が十分でなければ思うような成果は出ないというふうに思っております。  名護屋城跡並びに陣跡の環境整備につきましては、これまで昭和五十七年に策定されました「特別史跡名護屋城跡並びに陣跡保存管理計画」に基づき、史跡整備のための修景整備は県で、日常的な維持管理は市町でという役割分担の下、取り組んでまいりました。  しかし、これまでの計画には活用の視点がなかったことから、現在、県が主体となって、「名護屋城跡並びに陣跡保存活用計画」というものを策定中でございます。活用の視点を重視しながら、今後の環境整備の在り方についても検討しており、現在、課題や問題点に加え、地元の意見もしっかりと反映していきたいと考えております。  先ほど議員からローカル発注という話もありましたけれども、そういったことも併せて議論をしていきたいというふうに思っております。  県としましては、おいでいただいた方々に名護屋城跡及びその周辺は、歴史、文化、食、自然がすばらしい、また来たいと言っていただけるよう、唐津市や玄海町、地元の皆さんと協力しながら、観光資源を磨き上げ、城跡、陣跡の環境整備にも努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 22 ◎宮原SAGA2024・SSP推進局長 登壇=私からは、唐津プロジェクトのうち、アウトドアアクティビティの推進についてお答え申し上げます。  唐津・玄海地域には、議員からもお話がありましたように、素潜りの神様、ジャック・マイヨールが愛した美しい海をはじめ、虹の松原や七ツ釜など、豊富な自然資源がございます。  これらの豊かな地域資源を生かしまして、より多くの人に唐津、玄海に来ていただき、魅力を知っていただき、そして、アウトドアアクティビティを大いに楽しんでいただきたいと考えております。  現在、この地域ではボードに立って海面を進むSUPをはじめ、シーカヤックやフィッシングなど、様々なアクティビティーが提供されております。これらはいずれも魅力的なものでございますが、それぞれ点として存在しております。このため、御紹介ありましたように、唐津・玄海エリア全体を「KMAP」と呼ぶことにいたしまして、地域全体を面としてプロモーションを行い、エリアの魅力アップにつなげることといたしたものでございます。  今回の事業では、エリア全体の「KMAP」のハブとなる拠点をヨットハーバー周辺に唐津ビーチパークとして整備いたしまして、ヨットハーバー周辺で、これまでアクティビティーに触れたことのない初心者でも気軽に体験できるSUPやシーカヤック、ビーチヨガなどを手軽に提供し、幅広い層の人々にこれらに関心を持つ機会を創出いたしますと同時に、このハブ拠点がエリア全体のビジターセンターの機能を担い、点在する様々なアクティビティーを一元的に紹介し、多くの人に体験していただくということを考えております。  このように、ヨットハーバー周辺のにぎわいづくりを進めながら、同時にエリア全体のアクティビティーの利便性を高め、活性化を図っていくものでございます。  今年度は今議会におきまして、ハブ拠点となります唐津ビーチパークの測量、設計などを行う予算をお願いしておりまして、来年度、ヨットハーバーの改修などのハード整備を進めることとしております。  この拠点が「KMAP」エリアのにぎわいづくりの拠点となりますよう、引き続き地元の唐津・玄海エリアの関係団体、アクティビティーを実施する民間事業者など、地域の皆様と協力、連携を図りながら取組を進めていく所存でございます。  そして、将来的には、このハブ拠点を入り口にして、唐津・玄海エリアの魅力が高まり、県民はもとより県外の方々から、「KMAP」に行こうと言われる地域になって、交流人口の拡大と地域活性化につながるようしっかり取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 23 ◎松下警察本部長 登壇=私からは、水上バイクに関する取締りについてお答えをいたします。  水上バイクやモーターボートを含むプレジャーボートの危険な運航に対しては、「船舶職員及び小型船舶操縦者法」をはじめとした様々な海事関係法令で定められているところ、中でも遊泳その他の行楽のため、多数の人が集まっている海水浴場等における水上バイクやモーターボートなどの舟艇の危険行為は、佐賀県迷惑行為防止条例においても禁止されております。また、先ほどもございましたが、全国的にも同様の条例があると承知をしております。  近年、水上バイクなどによる危険行為について県警察による検挙はございませんが、唐津湾付近における水上バイクに関する一一〇番などの通報件数は、平成三十年から現在までの約五年間で八件ございました。  その内容としましては、水上バイクが素潜り漁やサーフィンをしている人の近くを通過して危険であった、水上バイクの音がうるさいといったような内容でございました。  県警察では、水上バイク等による危険な行為などに関しては、特に海水浴シーズンに海上保安庁などの関係機関と合同取締り、パトロールを行っているほか、個別の通報に際しても適切に対応をしておるところでございます。  そのほか同地域について申し上げれば、県警察では、唐津市、海上保安庁やNPO団体などで組織する唐津市海水浴場安全対策連絡調整会議と連携いたしまして、海水浴場での水上バイク等に対するマナー向上のアナウンスや海水浴場への警察官の立ち寄り警戒、海上から警察の船舶での周辺の警戒や注意喚起などを行い、水上バイク等による事故を含めた水難事故防止対策を行っているところでございます。  様々な施策について議員からもお話がありましたが、今後も海上保安庁、県や市町などの関係機関と連携を密にし、水上バイク等に対する安全対策を講じてまいりたいと存じます。  以上です。 24 ◎冨田幸樹君 登壇=再質問をさせていただきます。  まずは唐津プロジェクトについては、名護屋城跡また陣跡も、しっかり活性化協議会の中で進めていっていただければと思っております。  それから、マリンアクティビティーについてもやはり唐津の海は佐賀県の宝でもあります。有明海も宝でしょうけども、玄海のほうも宝だと私は感じておりますので、よろしくお願いいたします。  それで、水上バイクの取締りの件ですけども、やはりどういった方々が、どの浜辺から出て、どういったことをしているのかですね。これは市とそういった協議会と一緒になって調査をしていただいて、すみ分けができるように、今後執行部のほうもよろしくお願いしたいと思っております。坂本副知事の鶴の一声で担当部といいますか、少し決まったようなことも聞いておりますので、よろしくお願いしておきます。  工業団地の件ですね。先ほど言われましたように、厳木の工業団地、BCPの点から本当に地震も少ないところでありますし、工業用水の問題は今のところあるかもしれませんけども、それほど水を使わない企業だと最適な箇所だと思っています。一日も早く埋まるように、よろしくお願いしたいと思っています。  再質問は九州新幹線西九州ルートですけども、執行部は、県が投げかけている三つのルートについての回答が先だというふうに言われております。しかし、この新幹線問題、そのルートばかりが課題ではないと思っています。ルートは片づいても、先ほど言いました在来線の問題だったり、負担金の問題であったり、特に負担金の問題はルートによって変わってくるんじゃないかなと思っていますし、そういった違いがおのおの出てきます。  そういった中で、やはりこの議論を前に進めていく、一つずついろんな提案を聞いて県なりの回答を出して、そしてまた、そこのボールのやり取りが私は必要じゃないかなと。それをもって県民に今の状況をしっかりお知らせしていく。そのためにはこれが先ですよ、あれが先ですよと言わずに、できるものから私はやっていってもらいたい。それがこの議論を進めることになるんじゃないかなと私は思っていますけども、知事はそうじゃないような感じですけども。それが県民の知りたいという意欲に応えることになるんじゃないかなと私は思っていますので、再度、その考え方、私が言う、あれが先、これが先ということじゃなくて、できるものからやっていただくという考えはないのかについて再度お尋ねいたします。  以上です。 25 ◎山下地域交流部長 登壇=冨田議員の再質問にお答えいたします。  九州新幹線西九州ルート、国との「幅広い協議」、五つの方式について幅広く協議をするということで合意をしております。スーパー特急、フリーゲージトレイン、対面乗りかえ、これは合意している、いつでもオーケーですよと。ただ、フルとミニは今まで議論したこともない、ルートを含めてここはゼロベースからやっていきましょうということでこの議論はスタートしております。  在来線の懸念、建設費の負担の問題と、いろいろあります。ありますけども、やはりそこはフルを考えられるものがあるのかという立場に立ったときに初めて生まれるものだろうと思っています。ですから、まずはその三つのルートについて佐賀県として考えるものがあるのかどうか、どういうメリットがあるのか、まず、それを出していただくことが先になるんだろうと思います。そこで佐賀県が考えられるものがあるとなったときに、じゃ、在来線はこのルートで考えたときにどうなるんだろうかとか、建設費負担はどうなっていくんだろうかと、そういうことが生まれてくるんだろうと思いますので、メリットがもしないとするんであれば、そういう議論をする必要もないわけですから、まずは三つのルートにどういうふうな考え方、将来展望があるのか出していただくことが先だろうと思っております。  私からは以上です。 26 ◎古賀和浩君(拍手)登壇=皆様こんにちは。自由民主党の古賀和浩でございます。議長の登壇の許可をいただきましたので、いつものように県民の声をできるだけつなぐために今回も質問いたします。  今回も三つ質問を行いますが、今回初めての分野も質問をします。  一問目は、実は議員になったときからずっと考えていた質問でございます。今回はあくまでも県民目線を意識して質問をいたします。執行部の皆様方には真摯に向き合っていただき、県民の目線で誠実な答弁をお願いいたします。  それでは、問一です。皆さん、私の問一の項目の文字をまず読めますでしょうか。そう、きい(基肄)城でございます、基肄城跡でございます。しかし、県庁の中にもこの基肄城という言葉になじみがない方や、どこに存在し、どのようなものか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。基肄城跡は、基山町にある基山の山頂から一部福岡県との県境を越えるところまで囲むように存在しております。ちなみに基山とは、基山町と同じ漢字で「きざん」と呼ぶ基山町を象徴する山でございます。  今回、基肄城跡について質問をいたしますが、過去の一般質問では九年前の二〇一三年二月議会で取り上げられ、その前は委員会質問で二十年前の二〇〇〇年の十二月まで、私の尊敬する先輩である故堀田一治先生の質問まで遡らないと質問されていません。しかし、この基肄城跡は全国に六十三しかない国指定の特別史跡に昭和二十九年三月二十日に指定され、吉野ヶ里遺跡や名護屋城跡並びに陣跡と並ぶ佐賀県を代表する遺跡の一つであります。この二つは皆さんよく知っておられますね。今ずっと名護屋城は言われていましたので、この二つの特別史跡は現在様々な事業や発掘調査が継続されています。  しかし、この基肄城跡は、佐賀県の特別史跡の中で最初に指定されたにもかかわらず、管理団体は基山町が主体でありますと、過去の質問でも答弁されております。基山町が主体では十分な遺跡整備ができず、基肄城跡の文化財としての価値が伝わりにくいのが現状であります。  私も基山町に住んでいますが、実はその価値を十分に理解していませんでしたので、先週、反省をしまして、全部歩いて見て回ってきました。基山の山頂からぐるっと回って水門まで下りていき、再び基山の山頂へ戻りました。三時間半ほど山道を歩きましたが、かなりの城マニアか城好きの方しか歩かないような山道でした。  基肄城が認定されている特別史跡とは、史跡のうち学術上の価値が特に高く、我が国文化の象徴たるものとなっております。基山町と佐賀県と肥前史談会などの努力で国の指定を受けた基肄城は、今から千三百五十年前の西暦六六五年、天智天皇四年に、「白村江(はくすきのえ)の戦い」で唐・新羅連合軍に敗れた大和朝廷が、日本、当時の倭の国の防衛、すなわち大宰府政庁を守るために築いた古代朝鮮式山城です。大宰府政庁の南の守りとして築かれた城なのです。このことは日本書紀にも書かれております。  基肄城がある基山の山頂には、天智天皇欽仰之碑や霊霊石、通天洞、「いものがんぎ」などは比較的知られておりますが、しかし、実はほとんど整備はされていません。城の周囲は三・九キロもあり、土塁と呼ばれる盛土や石塁で囲まれた城の面積は、約六十ヘクタールと広大な城跡です。城には通常、水門と言われる南水門、東南門、北帝門、東北門という四つの城門や水門を設け、城内には大礎石群や丸尾礎石、米倉礎石群など約四十棟にも及ぶ建物、礎石が残っております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  特別史跡基肄城跡に対する県の認識についてです。  特別史跡である基肄城跡について、県はどのような認識を持っていらっしゃるのでしょうか。  基肄城跡は昭和二十九年に特別史跡として指定されましたが、その後、その価値を輝かせることができておりません。資料を調べていると、昭和九年の写真がありました。写真には東北門と大礎石群がありました。東北門は土塁に切れ目があり、ここに門があったとはっきり分かります。皆さんは大宰府政庁の跡は行かれたことがあると思いますが、基肄城の大礎石群は、実はその頃は広場のような平地に礎石が整然と並んでいる、まさに大宰府政庁と同じような礎石が並んでいる写真でした。標高四百四メートルの山の頂上付近にそれらがあるんです。現在の東北門は登山道の途中の山道、大礎石群は森の中にひっそりと、何とか礎石が見られる程度の存在でございます。  基山町としての基肄城跡の整備につきましては、長らく私有地になっておりまして、植林されておりましたので、まずは国有化を進め、現在、その国有化が九〇%程度超えたと聞きました。また今年度、平成三十年度に発生しました水害からの復旧工事がようやく完了し、次年度に基本設計を行い、計画的に発掘調査及び保存整備事業を実施していく予定と聞いております。  そこで、これまでの県の関わり方についてお伺いいたします。  特別史跡基肄城跡の保存整備については、県はどのように関わってきたのでしょうか。  基肄城跡のある基山は町民のシンボルとして親しまれ、県内外から多くの人が訪れるスポットとなっています。山頂からの眺望はすばらしいです。先週、私が歩いたときに、山頂から北は博多湾の奥の志賀島、南はこの有明海まで見えました。  基山は山頂付近に駐車場があり、草スキーも楽しめ、車では行きやすい場所ではあります。しかし、基山駅や、けやき台駅から徒歩での登山ルートが分かりにくく、何と現在、隣の福岡県の原田駅から登られる方が増えていると聞いております。佐賀県の駅の乗降客を何とか増やしたいと、それとか、関係人口を増やしたいとか、そういう状況なのに、県内の施設に行くのに福岡県の駅を利用されていると、これは問題だと思います。  平成三十年三月に、基山町は第二次特別史跡基肄城跡保存整備基本計画を策定しました。基本理念は「町のシンボルとして悠久の歴史ロマンを醸し出す基肄城跡、次世代へつなぐ歴史の架け橋に」です。基本方針は、「調査・研究」、「保存」、そして「活用」です。基山町はこれまで古代山城サミットの開催、草守基肄(くさすきい)世界大会の開催など、ここでは紹介できないくらいの事業を行っています。これからも様々な事業を計画されていると聞いておりますし、基山町の取組が佐賀県にとって必ずよい方向性につながると思います。  また、町民もボランティアガイドなどの協力をいただいている「基肄かたろう会」や「NPO法人基山の歴史と文化を語り継ぐ会」など、基肄城跡を守っていこうという市民団体も活動しています。  佐賀県東部の玄関口である基山町の基肄城跡に積極的に県が関与し、保存整備や遺跡の魅力をPRすることで、もっともっと県民に基肄城跡のことを知ってもらい、県内外の方々にもっと基肄城跡に訪れてほしいと考えています。
     先ほども紹介されていましたけど、県では「はじまりの名護屋城。」プロジェクトや吉野ヶ里遺跡の発掘調査再開など、文化財を活用して人々を呼び込み、県をPRしていく様々なすばらしい施策を打たれており、大いに賛同いたします。しかしながら、基肄城跡については、同じ特別史跡であるにもかかわらず、県としてほかの二件と同じ対応をしていただいているとは言えないのではないでしょうか。  そこで、今後の取組についてお伺いいたします。  今後、どのように取り組んでいくんでしょうか、全て文化・観光局長にお伺いいたします。  昨年から報道とかされているんですけど、話題になっております絶滅危惧種のオキナグサですが、これは基山の山頂付近にオキナグサが生息しておりまして、今、それを保存しようという「きざんオキナグサ保存会」という会が発足いたしまして、先ほどの「基肄かたろう会」と一緒になって基肄城を盛り上げようという活動を熱心にされております。  機は熟したと思います。佐賀県の宝である特別史跡基肄城跡の整備に向けて、県として基山町と連携しながら、大いに関わっていただきたいと願い、次の質問に移ります。  問二、防災力の維持向上についてです。  近年、全国的に災害が激甚化、頻発化する中、佐賀県においても令和元年、三年と大規模な水害により甚大な被害が発生しました。今年も佐賀県を含む九州北部に六月十一日に梅雨入り宣言がされ、雨が多い出水期に入りました。いざ災害が発生しようとするときに、最初に動いていただくのが地域に根差した消防団の皆さんだと思います。  消防団はこれまでの災害でも、住民の避難誘導や救助等の様々な活動に当たっていただいていらっしゃいます。消防団の特性である要員動員力や地域密着性、即時対応力は欠かせないものであります。  ただ、こうした地域防災に欠かせない消防団員の団員数は年々減少傾向にあります。全国では令和三年四月時点で約八十万五千人、その前の年から一万三千人も減少していますので、令和四年現在では八十万人割れをしているかと思います。佐賀県としましても、令和三年で一万八千六十一人、前年より四百八名減です。よって、令和四年は一万八千人を割っているのではないかと、ちょっと心配しております。  このまま減少が続けば、地域防災力を維持していくことが難しくなるのではないでしょうか。非常に危惧をしております。団員確保は喫緊の課題だと考えております。団員確保は市町が主体で行う事業かもしれませんが、佐賀県全体として考えなければいけないと思っております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  消防団員の確保対策のこれまでの取組についてです。  地域防災力の向上に向けて、県はこれまでどのように消防団員の確保に取り組まれてきたのでしょうか。  次に、今後の取組についてお伺いいたします。  去る五月三十日に佐賀県の防災会議にて、佐賀県消防協会の陣内会長から、団員のサラリーマン化により、出動要請の対応や団員確保について県内企業や団体に、県から協力をお願いしてくれと要請されたのに対し、山口知事が、早急に通知を出していただき、四つの商工団体にすぐにお願いに動いていただいております。ありがとうございます。今までと違う佐賀県の積極的な取組を感謝いたします。  また、私の地元の基山町では、基山町消防団員勧誘員を設置し、消防団を何とかしようと施策を打たれております。佐賀県におきましても、市町と連携して、なお一層の積極的な支援を実施してもらいたいと思っております。  そこで、消防団員の確保対策の今後の取組についてお伺いいたします。  引き続き消防団員確保の取組が必要だと考えますが、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。  一方で、消防防災ヘリコプター「かちどき」が運用開始したことは、県全体の防災力向上に大きく寄与していると感じております。昨年八月の豪雨災害では、その活動が被害状況の早期把握や迅速な初動対応につながり、さらには人命に関わる活動にも力を発揮したと聞いております。  そこで、「かちどき」の活動実績についてお伺いいたします。  「かちどき」の運航開始以降の活動実績はどうなっているのでしょうか。  この「かちどき」が県民に広く知れ渡り、様々な組織と連携することによって県民の防災意識が高まるのではないでしょうか。総合訓練などで各地の消防署や消防団、病院やインフラを支える企業などの関係機関と連携をし、その経験がいざというときに必ず役に立つと思います。  そこで、「かちどき」と関係機関との連携についてお伺いいたします。  「かちどき」と消防本部や消防団など関係機関との連携について、県はどのように取り組んでいるのでしょうか、全て危機管理・報道局長にお伺いいたします。  それでは問いの三、問いの三は同じ防災でも今度は防災対策について質問いたします。  ここ数年の大雨により、県東部の筑後川沿川では広範囲の内水氾濫に見舞われ、至るところで田畑や道路が冠水し、家屋の浸水被害も多く発生しました。また、山間部におきましては土砂災害が発生し、住民への避難指示が出される事態となりました。  このような被害に遭われた方々からは、同じような災害が再び起きないかと不安に思う声をよく耳にします。このため、近年頻発している豪雨災害は、異常気象に伴う想定外のものではなく、毎年発生するものと想定して対策を講じることが重要と考えております。  これから本格的な出水期を迎えるに当たり、まずは内水氾濫や土砂災害に対してできることから取り組むことも必要と考えますが、今まで進めてきている治山ダム、クリーク及び河川などのハード整備や様々な防災対策を確実に進めることも非常に重要であると考えております。  そこで、次のことについてお伺いいたします。  防災につながる山づくりについてです。  佐賀県東部では平成三十年に基山町丸林地区、令和三年に神埼市三谷地区において土石流による土砂災害が発生するなど、山間部における土砂災害が多数発生しています。  私は先月、梅雨前の防災パトロールでこの丸林地区を訪問いたしたところ、今年度中の工事でやっと完成のめどが立つとのことでした。災害が発生して四年間、安全に工事をしてもらい、同じ場所での災害は発生しておりません。しかし、工事した場所の治山ダムは、今後もそれが安全に機能していくかどうか、チェックしていくということが重要だと感じました。  そこで、佐賀県は今後、防災につながる山づくりにどのように取り組んでいくのでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。  次に、クリークの治水活用についてです。  先ほども言いましたが、佐賀県東部では、筑後川沿川の下流域の低平地において、小さなクリークが集落の近くに網の目のように張り巡らされており、クリーク自体が住民生活の一部となっているような状況で、そのクリークがあふれ、広域な内水被害が発生しました。今までは雨水を筑後川に流し込めない状況の場合でも、一度、一定程度クリークに流し込み、クリークが浸水を防ぐ役割をしていました。今年度は、「プロジェクトIF」で流域治水の観点から上流域で対策を講じることになっていますが、そこに生活されている住民の皆様は、やはり目の前にあるクリークそのものに対策を講じてもらいたいという思いがあります。私は、クリークを治水に活用することが必要であると考えております。  そこで、県では今後、クリークの治水活用にどのように取り組んでいくのでしょうか、これも農林水産部長にお伺いいたします。  最後に、河川の整備についてです。  大規模に内水氾濫が発生した六角川沿川では工事が行われております。ただ、佐賀県内には、近年の豪雨によって氾濫、越水などを起こした河川はかなりの数に上ります。それは、下流域の河川だけではなく、上流域や中流域においても発生をしております。私の地元の秋光川水系も工事をしていますので、雨が降るたびに現地を確認したり、佐賀県が運用しています「すい坊くん」で危機管理型水位計の水位をチェックしております。今後も河川整備について、安全作業を徹底した上で着実に進めることが住民の安心にもつながり、災害を未然に防ぐことや、災害を少しでも軽減できると思っております。  そこで、近年の気候変動による豪雨災害の激甚化、頻発化を踏まえて、県では今後、河川の整備にどのように取り組んでいくのでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。  以上三問、あくまでも県民の目線で、県民生活に密着した質問をいたしました。執行部の皆様の県民目線での答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 27 ◎山田農林水産部長 登壇=古賀和浩議員の御質問にお答えいたします。  私からは、防災対策につきまして二点お答えをいたします。  まず、防災につながる山づくりについてでございます。  森林は、土砂流出防止機能など様々な機能を有しており、山に暮らす人々だけでなく、下流域の住民の方々を含め、全ての県民に恩恵を与えているところでございます。  県では、近年多発する山地災害に対応するため、崩壊した山の斜面の復旧や、土石流の発生を抑制するための治山ダムなどを設置いたします治山事業に取り組んできたところでございます。  令和三年八月豪雨で被災した神埼市三谷地区、議員からも御紹介がございましたけれども、ここにつきましては、過去に治山事業により設置された治山ダムが土石流の一部を受け止めておりまして、国の研究機関でございます森林総合研究所の現地調査におきましても、この治山ダムによる被害の軽減効果というものが確認をされております。  このように、治山ダムや土留めのための擁壁などの施設につきましては、議員御指摘のとおり、工事完了後もその機能が低下していないかなどをチェックすることが極めて重要でございます。日頃から施設の点検を行い、安全性を確認するとともに、補修が必要な場合は速やかに対応することとしているところでございます。  また、森林が持つ土砂流出防止機能や洪水を緩和させる水源涵養機能などの多面的な機能を向上させるため、間伐や広葉樹の植栽など森林の整備にも取り組んでいるところでございます。さらに県では、「森・川・海はひとつ」という思いを人が未来へつなぐという理念の下、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」を展開しております。今後は、県民の皆様に森、川、海の役割やその管理の大切さなどを理解していただきながら、県民参加によります植樹活動、森、川、海の保全活動にも力を入れていきたいと考えております。  今後とも、引き続き山の斜面の崩壊や土石流等の山地災害を最小限に抑えるため、治山ダム等の整備と計画的な間伐などの森林整備を組み合わせながら、防災につながる山づくりにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、クリークの治水への活用についてお答えをいたします。  近年の異常気象に伴う浸水被害を軽減させるためには、流域全体で農業用施設が持つ洪水貯留機能を活用していくことが重要でございます。特に低平地を抱えます佐賀平野のクリークにつきましては、農業用水の確保や地域の環境用水としての利用だけでなく、最近では、大雨に備えた事前放流を行うことで一時的に雨水を貯留することによりまして、一定の治水効果を発揮しているところでございます。  昨年の八月豪雨時に佐賀市川副町のクリークで事前放流を行いました。限定した範囲でございましたけれども、その効果を確認するため、農林事務所におきまして、事前放流の実証実験を行ったところでございます。通常より水位を九十センチ下げまして、あわせて有明海の干満時の細かいゲート操作を行ったところ、周辺の家屋、農地等の浸水は見られず、その効果を確認したところでございます。  しかしながら、クリークの中には、のり面の崩壊ですとか土砂の堆積によりまして、事前放流による治水効果が十分発揮できない水路も見られるところでございます。  このように機能が低下したクリークにつきましては、本来の機能を回復させ、さらに治水効果を高めるため、国営の事業、また、県営の事業によりまして、護岸の整備や土砂のしゅんせつを順次進めているところでございます。  また、この国営や県営事業の整備対象路線以外の部分で土砂が堆積しているクリークにつきましては、市町や土地改良区が緊急浚渫推進事業債などを活用しまして、土砂をしゅんせつし、洪水貯留機能の回復に取り組まれているところでございます。  県としては、引き続き平たん部における内水被害を軽減させるため、クリーク整備の進捗を図るとともに、流域の関係市町、土地改良区と連携協力しながら、クリークをはじめ、水田、ため池などの既存施設が治水としても活用され、豪雨時においても浸水被害が少なくなったと実感できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 28 ◎大呑県土整備部長 登壇=私からは、防災対策のうち、河川の整備についてお答えします。  令和三年八月豪雨では、県内各地で令和元年佐賀豪雨を上回る降水量を観測し、多くの浸水被害が発生するなど、ここ数年、毎年のように豪雨災害が発生しております。僅か二年の間に同じ地域で大規模な浸水被害が発生したことから、県では内水対策プロジェクト「プロジェクトIF」を立ち上げ、気候変動により豪雨災害は毎年起こり得るとの想定の下、いつ災害が起きても可能な限り被害を軽減させたいとの強い思いで、できることから順次対策を進めているところでございます。  流水の阻害となっております河川内の堆積土砂のしゅんせつにつきましては、昨年度の一・五倍を超える県内全域の百十七カ所で実施し、河川の流下能力を確保することとしております。出水期までに既に五十二カ所でしゅんせつを終えているところでございます。  このほかにも、県で初めて排水ポンプ車を五台導入するなど、今年の出水期に備えてきたところでございます。  これまで長年かけて行ってきた河川の整備は、一定の治水効果を発揮しておりますが、近年の気候変動による豪雨災害の激甚化、頻発化に対応するためにも加速して進めていく必要があると考えております。河川の整備が必要な箇所は、いまだ多く残っております。引き続き河川のしゅんせつや河道の拡幅、堤防の補強などをしっかりと進めてまいります。  県としましては、災害から県民の生命、財産を守り、災害に強い県土の実現に向け、河川整備を着実に推進していくことで、再び災害が発生しても浸水被害が小さくなったと実感できるよう、防災対策に関係部局と一丸となって全力で取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 29 ◎野田危機管理・報道局長 登壇=私からは、防災力の維持向上につきまして四点お答えいたします。  まず、消防団員確保対策のこれまでの取組についてでございます。  消防団は、地域防災の要、地域の安全・安心を守るという高い志を持ち、日々、県民の生命、財産を守るという献身的な活動に従事されております。日頃の活動に感謝申し上げたいと思います。  特に御紹介にもありましたけれども、令和元年から三年連続で激甚災害に指定されるほどの豪雨が発生しております。地元消防団の方々は自らの危険を顧みず、現場の最前線で活動されてこられました。このように、地域防災の要である消防団員の減少は県としても大きな課題と考えております。  県ではこれまで、団員確保に向け、テレビや新聞を活用した消防団活動の紹介や入団の呼びかけなど、県全域に向けた広報活動を行うと同時に、地域の実情に応じた市町の取組に対しまして、例えば、基山町では消防団のOBの方による勧誘活動などを実施されていらっしゃいますが、そういった活動への支援など、取組の後押しというふうな形で行ってまいりました。  また、広報活動の一環としましては、平成二十六年度以降でございますけれども、サガン鳥栖とのコラボイベントを実施いたしまして、消防団への入団を呼びかけております。  昨年度の例を挙げますと、その場で三人の方から入団の申込みがあるなど、若手の掘り起こしの一助にはなっているのではないかなというふうには考えております。とは申しましても、これをやればいいという特効薬的なものがあるわけではございません。試行錯誤を重ねながら、見直しを加えながら取り組んできたところでございます。  次に、今後の取組についてでございます。  消防団員の維持確保については、地域とのつながり、地域の実情に応じたきめ細かな対策が何より大切と考えております。地域の実情を知るため、これまでも市町との意見交換を重ねてまいりました。  今回さらに掘り下げた検討を行うべく、各消防団へも出向きまして、団員の方々からも幅広く意見を伺ってまいりました。そうした過程を経まして、今年度新たにサガン消防団団結支援金を交付することといたしました。この支援金は、消防団の団員一人一人のモチベーションを高め、団員を維持確保し、また、消防団の団結を強める、そういった活動を行う、それぞれの消防団の実情に応じて活用できるというものでございます。現在、順次それぞれの消防団への交付を進めておりまして、現場での活用も始まろうとしているところでございます。  先ほど議員からも御紹介ありましたけれども、さらに御紹介申し上げますと、先月五月三十日ですけれども、佐賀県消防協会の陣内会長から、団員の多くが会社勤めなど、日中仕事を持っておられるため、昼間は災害現場に駆けつけることが難しいというふうなお声を聞きました。その翌日、五月三十一日に、県内の各経済団体に出向きまして、勤務時間中でも消防団活動に従事できるよう、事業主の方々に御理解と御配慮をお願いしたところでございます。  このように、これまでの広報活動に加えまして、消防団が活動しやすい環境整備にも取り組んでいくことで、消防団に入りたい、活動したいと思っていただける方が一人でも増えるよう、県も市町と一緒になって消防団を盛り立てていきたいと考えております。  続きまして、防災ヘリ「かちどき」の活動実績についてお答えいたします。  令和三年三月の消防防災ヘリコプター「かちどき」の運用開始以降、一年二カ月余りが経過いたしました。  この間、消防本部などからの要請による緊急出動や災害対応などで、六月十五日現在ですが、四十五件、その内訳としましては、水難救助十二件、山岳救助十件、疾病者等の救急搬送が三件、林野火災等の火災防御活動が八件、そして、八月の豪雨災害のときですけれども、孤立者の救助、ホイスト救助を行った件数が二件、同じく災害時の情報収集やDMATスタッフの搬送として四件、こういうふうな県内での活動に加えまして、県外からの要請による山岳救助ですとか、山林火災消火活動などにそれぞれ三件ずつ計六件、合計で四十五件となっております。  また、これらに加えまして、離島住民への新型コロナワクチン接種のため、医師や看護師などの医療スタッフを防災ヘリで離島へ移送するなどの活動にも当たってきたところでございます。  最後に、防災ヘリと関係機関との連携についてでございます。  災害時の対応におきましては、迅速な初動が何より大事です。それをより的確に効率的に行うためには、県防災ヘリと消防本部や消防団、県警、海保などの実動機関との密接な連携が不可欠となってまいります。  そのため、日々の防災ヘリの訓練におきましても、水害などの自然災害や山岳救助など、実際に起こり得る様々な場面を想定し、実動機関を交えた合同訓練を重ねているところでございます。  また、実際に、県警や海保など、他機関のヘリや船舶、地上で活動する消防などとともに対応に当たる事案も増えてまいりました。直近では、有明海で発生した小型機事故において、海上保安庁や海上自衛隊、消防などとともに、要救助者の捜索救助に当たったところでございます。  災害対応に当たりましては、上空から得られる情報も非常に有益です。  そこで、災害発生時に陣頭指揮を執られる市町の首長さんをはじめ、災害現場の最前線で対応に当たられる消防本部の消防長さん、そして、地元消防団の団長さんといった方々、それぞれの町の現状を上空から確認していただくため、防災ヘリでの視察なども進めているところでございます。防災ヘリの導入によりまして、いち早い情報収集とより迅速な初動対応が可能となってまいりました。  消防本部、消防団をはじめ、共に災害対応や救急救助活動に当たる県警、海保などの実動機関との連携をより強固なものとし、有事の際の迅速な初動につなげてまいります。  私からは以上でございます。 30 ◎實松文化・観光局長 登壇=私には、特別史跡基肄城跡について三点御質問をいただきました。  まず、特別史跡基肄城跡に対する県の認識についてお答えをいたします。  基肄城は、先ほど古賀和浩議員から御紹介がありましたように、大宰府を防衛する目的で六百六十五年に大野城とともに築かれたものであります。日本書紀にもその築造の時期や背景が出てくるなど、我が国最初の朝鮮式山城として昭和二十九年三月に国の特別史跡に指定され、歴史的、学術的に重要な遺跡であるというふうに認識をしております。  また、基肄城跡につきましては、地元の民間団体が自発的に史跡ガイドマップを作成し、来訪者へ配布したり、地元の小中学校が基肄城を題材とした創作劇を制作公演するなど、地域の方々にとってかけがえのない郷土のシンボル、誇りであるというふうにも認識をしております。  次に、これまでの県の関わり方についてお答えいたします。  史跡などの文化財の保護管理につきましては、基礎的な自治体である市町村の事務として位置づけられ、地元市町村が主体的に保存整備を図るものとされています。ただし、「規模又は性質において市町村が処理することが適当でないと認められるもの」などについては都道府県が担うものとされておりまして、さらに、文化庁の指導、助言なども踏まえ、県内では同じ特別史跡であります名護屋城跡並びに陣跡、及び吉野ヶ里遺跡については県が保存整備を行っております。  基肄城跡につきましては、基山町において平成四年に特別史跡基肄城跡保存整備基本計画を作成するとともに、当該計画に基づき、平成七年からは史跡公有化事業を、平成二十一年からは水門石垣修理事業等を実施されてきています。  県は、それらの取組について文化庁と調整を行うとともに、生活環境保全林整備事業、これは遊歩道の整備などに使うことができるんですが、事業主体が県となっておりまして、そういった他の分野の補助事業を遺跡の保存整備に活用してはどうかといった助言なども行うなど、町の取組に対して技術的、財政的な支援を行ってきたところであります。  最後に、特別史跡基肄城跡に関する今後の取組についてお答えします。  今後の取組につきましては、大きく二つの方向性があると考えております。  一つは保存整備の方向性です。  議員から紹介がありましたように、基山町では、平成二十九年度に策定した第二次特別史跡基肄城跡保存整備基本計画に基づき、令和五年度から保存整備事業に着手することとされています。
     このため県では、この事業において基山町が初めて実施される本格的な発掘調査に対しまして積極的に指導、助言を行うとともに、文化庁との調整や保存整備委員会への参加、必要な事業費に対する補助を行うなど、引き続き技術的、財政的な支援を行うこととしています。  もう一つは、歴史的価値を踏まえた観光資源としての活用の方向性です。  先ほど議員からも、草スキーですとか絶滅危惧種となっているオキナグサの話がありましたけれども、こうしたコンテンツを用いましてこれまで誘客等に努められたというふうに思っております。  加えまして、近年では基山町において基肄城築造千三百五十年に合わせて、平成二十七年に古代山城サミットを誘致、開催されるなどして、特別史跡を守り、伝え、住民に身近な史跡としてまちづくりに生かしていこうというふうにされていると認識しています。  また、令和二年度には大宰府跡を中心とした、「日本遺産 古代日本の『西の都』」というストーリーに基肄城跡などが追加認定され、大野城市などとともに基山町が構成自治体に加わったと承知をしています。そして、これを契機に構成自治体で協議の場が持たれ、新たな事業の検討を始められているというふうに聞いております。  基肄城跡の観光資源としての活用は、これからもっと進めていきたいとお考えだと思いますけれども、先ほど申し上げました史実に基づいた大宰府跡や大野城跡などとの広域連携による観光コンテンツづくりはすばらしい取組であり、国内外からの誘客に効果的であると思っております。県としてもこの取組を応援していきたいと思っておりまして、歴史、観光資源としての活用につきまして、県も応援してまいりたいと思っております。  私からは以上でございます。 31 ◎副議長(宮原真一君) 暫時休憩いたします。     午後二時四十二分 休憩 令和四年六月十六日(木) 午後三時十五分 開議  出席議員    三十七名     一番  下 田   寛     一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏     二番  桃 崎 祐 介     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     三番  田 中 秀 和     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三六番  藤 木 卓一郎     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三七番  石 倉 秀 郷     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美 欠席議員    なし 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   甲  斐  直  美          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       久保山   善  生          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       山  田  雄  一          県土整備部長       大  呑  智  正          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・観光局長      實  松  尊  徳          SAGA2024・          SSP推進局長      宮  原  耕  司          男女参画・こども局長   種  村  昌  也          会 計 管 理 者    元  村  直  実          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    古  賀  千加子 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          政務調査課長事務取扱   吉  田     泰          総  務  課  長   碇     一  浩          議  事  課  長   篠  田  博  幸          総務課副課長       田  中  信  二          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 32 ◎議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続きまして一般質問を行います。 33 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=藤崎輝樹でございます。思ったよりも早く順番を回していただきありがとうございます。しっかりと質問を行っていきたいというふうに考えております。  私は、佐賀空港の自衛隊使用要請について、とりわけ着陸料に関連して納得いかない疑問があるため質問をいたします。  佐賀空港への自衛隊機着陸料の全額を有明海漁業の振興等に使うことを県が国と合意したことに対して、それはおかしい、適当でないという非難の声があることを知事は御存じでありましょうか。もちろん漁業者のために漁業振興を行うことには誰もが理解を示しております。問題はなぜ着陸料百億円の全額を有明海の漁業振興に使うのかであります。そして、なぜ県議会の議論もなく、着陸料の目的を県が防衛省と合意したのかであります。知事には県民の納得がいく説明をしていただきたいと強く求めます。  平成三十年八月二十四日、佐賀空港への自衛隊配備に関する防衛省との合意文書の確認ができたとして、知事は配備計画を承認されました。確認された合意事項は三項目でありました。  「一、環境保全と補償に関する協議会の設置」、「二、防衛省の着陸料百億円の支払いと佐賀県の基金の創設」、「三、オスプレイの安全性に関する情報共有のルール化」であります。  このうち「環境保全と補償に関する協議会の設置」、「オスプレイの安全性に関する情報共有のルール化」の二つは分かりますが、「防衛省の着陸料百億円の支払いと佐賀県の基金の創設」については唐突過ぎて理解できませんでした。  この百億円に関する経緯について、防衛省と合意に至るまで水面下の交渉を続けていた当時の副知事は、「今回の交渉では、防衛省は直接漁業振興に関する施策事業を実施することはできない──所管は農水省でありますので──という制約の中でどうやって入り口と出口をつなぐのか、これが交渉の重要なポイントであった。」。また、「防衛省が直接水産事業に取り組むことはできないことから、別の整理が必要だという考えに至った」、このように合意後の県議会で答弁されました。  こうして重要なポイントを押さえて整理して導き出された交渉結果が、合意事項の二つ目、「防衛省の着陸料百億円の支払いと佐賀県の基金の創設」であります。  その具体的内容を見ますと、「防衛省は、佐賀県からの申し入れを踏まえ、民間空港として建設した佐賀空港を自衛隊機が使用する応分の負担として、予算の国会議決を前提とした上で、着陸料を合計百億円(年五億円を二十年間)支払う。佐賀県は、防衛省が支払う着陸料収入をもとに、有明海漁業の振興を行うため、『漁業振興基金』を創設する。併せて、環境への影響や事故等による補償等の対象となる事案が発生した場合に、国による補償等が行われるまでの間、必要な費用を無利子で貸し付けることなどができるようにするため、『補償基金』を創設する。なお、百億円の支払いが終了した後の自衛隊機の着陸料については、自衛隊機の佐賀空港使用状況を踏まえ、改めて防衛省と佐賀県で協議する。」、このように合意をしております。  つまり、直接漁業振興を実施できない防衛省の百億円の出口と佐賀県の漁業振興基金の入り口をつなげるポイントが着陸料であります。さらに、防衛省と佐賀県がポイントである着陸料について合意することが重要であったと考えます。  合意により、防衛省は、佐賀県からの申入れを踏まえた着陸料として百億円を支払うための予算を国会に提案する説明ができます。また、佐賀県も、漁業振興を目的にした基金を創設して、一般財源である着陸料を特定財源的に受け入れるための理屈ができます。  国防という最重要国策と漁業者の有明海漁業に対する思いに知事として相当苦悩された末の決着であったのかも分かりません。それでも、県民理解を得るには妥当性に欠けると指摘せざるを得ません。  そもそも防衛省からの要請を実現するためには、有明海漁協の漁業者の、国に対する不信感を払拭して、信頼関係を構築することが不可欠との認識を知事は示しておられました。そのため、有明海漁協の漁業者としっかり対話し、その思いを聞くこと、また、漁業者の思いなどを国に伝え、必要な対応を求めることが県の重要な役割でありました。漁業者の思いを聞くため、有明海漁協の西部地区、中部地区、東部地区、大浦支所及び南川副支所との意見交換会を開催されました。  その意見交換会において、国の対応に対する不満として上がったのは、諫早湾干拓問題を何とかしてほしい、宝の海だった頃の有明海を返してほしいといった切実な声であります。この問題が解決しなければ、漁業者の国に対する不信感は払拭されないことを改めて県も認識されたと思います。  先ほども申し上げましたが、そうして県は漁協の皆さんの有明海漁業に対する思いに応えられるよう、有明海再生や水産振興に資する目的を持って国と交渉されていますが、防衛省が直接水産事業に取り組むことはできないため、別の整理が必要だという考えに至り、考え出した方法が防衛省からの着陸料を財源として県が漁業振興基金を創設するというものでありました。  県と国との交渉の経過については詳細は明らかになっていませんが、国に対する不信感を払拭するためには、防衛省ではなく、有明海の再生を所管する農水省に努力してもらわなければならなかったはずであります。そこが防衛省と置き換わったがために、今もなお国に対する不信感は払拭されないままになっているのではないでしょうか。  有明海のため、本当は農水省に対する対応を漁業者の皆さんは求めていたはずであります。水産事業に直接取り組むことのできない防衛省ではなく、官邸に対して、農水省との信頼関係がなければ防衛省の要請に応えることは困難であると伝えるべきであったと考えます。  また、防衛省が支払う年間五億円の二十年間で百億円の着陸料に関することであります。本当なら、防衛省は新しい滑走路を自前で建設するべきであります。それが県営佐賀空港を常時使用するのであれば、着陸料として佐賀空港の建設費等に対する応分の負担を求めるのは当然と考えます。  佐賀県民の財産である県営佐賀空港には建設費約二百五十億円を要しています。空港の維持管理等には毎年約四億円前後必要としており、県営空港のため、一般財源で負担をしております。今後は滑走路延長なども計画されていることを思えば、財源の確保はとても重要であります。  国際情勢やコロナ禍により空港利用者が減じても、空港維持管理の安定財源を自衛隊機着陸料から確保できれば、民間空港として経営が安定するのみならず、一般財源からの空港支出が減る分を県民のために新たな施策へ使うこともできます。一石二鳥ともなるべき自衛隊機着陸料でありました。  県民の中には空港経営の収支改善へ期待をする意見も数多くあります。着陸料を基金に積むという判断の前に、着陸料は一般財源であるため、県民の理解が得られるのか検討をすべきでありました。  防衛省は、佐賀空港建設時に県が支出した約二百億円を折半することは応分の負担であり、不合理はないとの認識を示しています。県営名古屋空港のように、空港の収支改善のため、着陸料の交渉をすべきであったと考えます。  また、想定されるオスプレイの運用期間を前提として二十年分の着陸料としていますが、防衛省から支払われる着陸料は県の一般財源としての収入にもかかわらず、特定財源的なものとして知事はみなされています。  予算の原則は単年度会計であります。当然ながら、議会の議決を必要といたします。二十年間分の着陸料をどのように国は支払うのか分かりませんが、年間五億円ということであれば、毎年、五億円の予算を国会に提案されると思います。本県においても毎年度議会で審議されることになります。二十年となれば、議会構成も替われば、山口県政も替わっていないとは言い切れません。だとすれば、二十年間にわたって一般財源のうち五億円を基金に積む県と防衛省の合意は適切と言えるのでしょうか。議会での議論もなく、防衛省と県とで一般財源百億円に関する合意をしたことについては議会軽視と私は受け止めております。  ちなみに防衛省と県が交わした合意事項には、防衛省は「予算の国会議決を前提とした上で、着陸料を合計百億円支払う。」と記していますが、佐賀県側に県議会の文言はありません。  知事は、着陸料を一般財源として受け入れて基金を設置することになった場合に、県議会に提案し、審議いただくと言われます。しかし、公害防止協定見直しの前提として、有明海漁協に対して着陸料百億円を約束した形になっているのであれば、関係者間の合意をほごにするようなことを、後になって県議会は簡単にはできるものではないと考えます。  このことについては議会の議決を得ながら予算化していかなければならないことから、一般財源的に使う部分の余地がないわけではないとの見解も知事は示されたものの、防衛省との合意は県議会審議の手かせ足かせとなるようなものであります。  実際のところ、基金の創設については、漁業振興を目的としている以上は農水省とも話ができていなければいけないと考えます。防衛省との交渉過程においては、農水省とも話合いの場は持たれていたとは思いますが、そのことの説明も全くありません。  知事は、議会に対して根回しはしない、県民に見えるよう議場で議論すると公言されています。新幹線問題についても同様に国との議論を公開しておられます。それが防衛省の着陸料に関わる議論においては全くと言ってよいほど議論の過程が見えないまま合意事項が唐突に示されました。ぜひとも議会で協議内容を明らかにしていただきたいと考えます。  そこで、次の点について質問をいたします。  初めに、国と漁業者との信頼関係の構築についてであります。  知事は、一般質問の答弁において、「今回の防衛省の要請が実現するためには、有明海漁協の漁業者の国に対する不信感を払拭し、信頼関係を構築することが不可欠である」との認識を示されており、そのために国との交渉を行い、県と防衛省との間で合意事項が確認されたものと認識をしています。  しかしながら、漁業者の不信感の原因となっているのは、諫早湾干拓問題、また、有明海再生における国の対応であり、不信感を払拭する対応の相手先は防衛省ではなく、有明海再生を所管する農林水産省であります。そのため県は、農水省を交えて協議をすべきであったと考えます。それがなされていないために、漁業振興を含めた合意事項が確認された今でもなお、漁業者の国に対する不信感は払拭されないままになっているのではと思いますが、知事はどのように考えているのか伺います。
     次に、着陸料について四点伺います。  一点目に、着陸料百億円の根拠についてであります。  県と防衛省との合意事項では、防衛省が着陸料として合計百億円を支払い、県がその着陸料収入を基に、漁業振興基金等を創設することになっていますが、本来は空港の維持管理に充てるべき着陸料と、国に対する不信感を払拭するための交渉は分けて考えるべきであったと残念に思います。  防衛省としても、県から申し入れた着陸料百億円については、オスプレイ配備には民間航空機の利用だけを想定して建設された佐賀空港の関連施設を使用する必要があり、空港建設時に国庫補助事業で県が支出した約二百億円を折半することは応分の負担であり、不合理はないと判断されたと聞きます。これはルールに基づいて細かく積み上げた金額ではなく、佐賀県が負担した空港建設費を折半したものとしての百億円と理解してよいのか、知事の見解を伺います。  二点目、着陸料の取扱いについてであります。  着陸料は一般財源としての収入であるにもかかわらず、県と防衛省との合意事項では、県が着陸料収入を基に漁業振興基金等を創設し、漁業振興に活用することになっており、言わば特定財源的なものとされています。国も年間五億円を二十年間支払うことになっており、毎年五億円の予算を国会に提案されることになり、本県においても毎年度議会で審議されることになると認識します。  しかしながら、二十年ともなれば、議会構成はもちろんのこと、知事も替わっているかもしれない状況であり、二十年間にわたって一般財源である着陸料を基金に積み立てるという合意、約束は適当ではないと思いますが、知事の考えを伺います。  三点目、議会への対応についてであります。  知事は、着陸料を一般財源として受け入れて、基金を設置することになった場合に県議会に提案し、審議いただくと説明されていますが、議会に何の説明もなく、一般財源百億円もの支出を県議会に諮ることなく、防衛省と合意したことは議会軽視と指摘せざるを得ないと思いますが、知事の考えを伺います。  四点目、百億円の基金の活用についてでありますが、着陸料の全額を漁業振興基金等に積み立てることについて、県民の理解は得られると考えているのか伺います。  最後の質問であります。防衛省との交渉における知事の姿勢についてであります。  知事は、これまで県民に分かりやすいオープンな姿勢で県政を進めてこられたと認識をしていますが、防衛省との交渉に関してはそうではありませんでした。特に漁業振興策や補償の枠組みの内容は非公開で水面下の交渉をされています。国土交通省との新幹線問題での交渉が公開されていることと比べても対応が全く異なっていて、山口県政らしからぬ交渉であったと受け止めていますが、知事はどういう思いで交渉を進めてこられたのか伺いまして、以上、一般質問といたします。(拍手) 34 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の御質問にお答えいたします。  佐賀空港の自衛隊使用要請について、るるお尋ねがございました。様々な経緯もありましたので、思い出しながら丁寧にお答えさせていただきたいと思います。  まず、国と漁業者との信頼関係の構築についてお答えします。  まず、基本的な考え方ですが、施策を進めていく上でとても大切なことは関係者の信頼を得ていくことだと思います。このため、この問題、佐賀空港の自衛隊使用要請についても、関係者の信頼関係が構築されるように取り組んでまいりました。  そこで、特に有明海漁協の皆さんは、諫早湾干拓問題での国の対応をめぐって不信感をお持ちです。そうであったことから、より丁寧に漁業者に寄り添った気持ちが大切と思い、防衛省に対してもこの諫干問題も再三申し上げてまいりました。  結果的に、昨年十二月に西久保組合長から回答文書を頂いた一週間後に岸防衛大臣を訪問して、岸大臣のほうからは、漁協の皆様の声をよく聞きながらしっかり対応したい旨の話があったわけです。  ここで、まずは漁業者の皆さん方、私も七年半、いろんな局面でお話をすることがあるんですが、やはり昨日も答弁させていただきましたけれども、確定判決をこれは国が確定させたんです、自分で。なのに、その国がそれを履行しないという釈然としない気持ち。これは国なのにという気持ちです。農水省はではなくて、国ということです。政権が替わったりもしましたけれども、やはり国は国なんです。ですので、農林水産省とか、防衛省とか、省庁ごとに見られているわけではないということをまずこれは認識しなければいけないと思います。ですので、防衛省さんにも、これは国として見られているので、省庁は違うんだけれども、漁業者の皆さんはそういう思いだから、しっかり信頼を勝ち得ないと、この話はうまく前に進まないというのがありました。  それともう一点なんですけれども、我々も、そうは言っても同じ国なので、防衛省と農水省という意味でいろんな調整を試みたこともあったわけですけれども、国の組織というのは、私も昔いたことがありますけれども、簡単に言うと省庁というのは別の会社なんです。ここの県庁のように部ごとが連携しながら知事の下でああだこうだと調整ができたりなかなかしない。採用も別々ということで、これはなかなか難しいです。じゃ、例えば、防衛省の会議に農水省さんが来るかと、農水省の会議に防衛省さんが来るかと、これはなかなか、実は至難の業ということはまず皆さんに分かっていただきたいと思っています。  じゃ、佐賀県はどうしたかというと、漁業者の皆さん方からは一定の信頼は佐賀県は得ていると、積み上げてきたと自負しているわけですけれども、ということなので、県が漁協と防衛省の間に入って今調整をしているということです。なかなか言語が違ったりもしますので、漁業者の思いを防衛省に伝えたり、防衛省が役所言葉で言っているやつを漁業者の皆さんに伝えたり、そういうことを今実務者としてはやっているということなんです。  ですので、防衛省においては、そうやって国に対して翻弄されてきた、そういう思いをしっかりと分かった上で真摯に説明を尽くしていただきたいというのが、まず大きな私の申し上げたい答弁です。  次に、百億円の基金について、るるお話をいただきました。これは質問が一問なので、ちょっと丁寧にいきたいと思います。  まず、私が知事になった七年半前のさらに半年前に、武田防衛副大臣から当時の古川知事に対して要請があったのがスタートです。ですので、私が知事になったときには一旦受理された段階でした、その要請をですね。  どうするのかと私は思いました。もちろん国防というのは国家の大切なことではあるんだけれども、佐賀県としてどういうふうな影響があるのかを自分としてちゃんと確かめなければいけないなと思ったので、たしか当時、無色透明というような言葉を使って、(「白紙と言いました」と呼ぶ者あり)自分として確認をしたいという趣旨でそういうふうな話をしたと思います。  これに関しては、山口県政としてしっかり向き合いたいということで、二〇一五年の二月ですね、私が就任してから一カ月ぐらいたってから、左藤防衛副大臣が私のところを訪問して説明されました。虚心坦懐に聞いたわけですけれども、極めてアバウトな話で、みたいなとか、こんな感じでとか、そういうことだったので、私もちょっと釈然としなくて、佐賀県民の安全・安心をどう考えているのかということで、まず、要請内容を明確にすることと、将来像、全体像をちゃんとしっかりと語ってくださいということで、一回お帰りいただいたときがあったと思います。  そうしておりましたら、八カ月後の十月に、今度は中谷防衛大臣がお越しになって、るる説明をいただきました。そして、そのときに三つの要請のうちの一つ、米海兵隊の利用要請は取り下げるという話が入っておりました。私は、それは大分ほっとしたことを覚えています。やはり米軍が佐賀の土地をというのは、私も県民の皆さん方から、それはちょっとねという話は直接いろいろ聞いていたので、そこは一つ取り下げられてよかったなと、これで自衛隊になったんだなというふうに思いました。  その後、若宮副大臣から施設の場所とか配置案等が説明なされて、一応将来像、全体像のフレームみたいなものができてきたので、佐賀県としてみると、それぞれのいろんな論点について整理をしようということになりまして、論点整理が始まりました。  その論点整理については、二〇一七年の五月に公表されたわけですけれども、それまでの間、私はずっと考えていたことがあります。この問題は、事業主体である防衛省が有明海漁協さんの了解を取り付けなければ、地権者の了解を取り付けなければ、そもそも進まない話だなというふうに思っていました。というのは、最初から強制収用はしないという話を承っていたからです。ですので、言うなれば、私がどう言おうが、そこを防衛省さんが頑張らないと、このお話はここで止まる、防衛省にかかっているというようなことをここで答弁していたような気がいたします。  そうしたら、二〇一七年の七月三日に佐賀県議会で県議会決議がなされたんです。そのときには、「今回の計画に係る論点については『概ね不合理な点がない』と評価しつつも、有明海漁協の漁業者の理解が得られなければ、今回の要請が実現するのは困難と示している。」としつつも、「本県議会は、県に対して、防衛省の要請を受け入れる判断を行うことを要請する。」という決議がなされまして、「『反対』の背景には計画に対する不安や国への不信感があるものと考えている。」と、「国は勿論のこと、県及び県議会がその払拭に取り組み、信頼関係を構築していくことが不可欠である。」云々と県議会決議には書いてありまして、そのときに、あわせて当時の徳永組合長も、県として判断してくれないかということを言われていたような気がします。ということになったので、私は佐賀県議会で決議があったので、この点に関しては特にこの決議を重く見て、であれば、自分でこの判断をしなければいけないというふうに思うに至りました。  もともとは、私は国防というのは国家の大変大事なことであるからという、まず大きな気持ちの中で、チェックだけはさせていただこうということで、そういう思いの中で仕事をしていましたから。ただ、ここに来て難しい課題が頭の中をよぎりました。漁協は有明海を一番問題にしている、国に不信感がある、これを私が県知事として受入れの表明をした後に、防衛省は有明海にお金を使ってくれるだろうかと思ったわけです、先に了解をしてしまうと。と思ったので、何とか交渉で有明海振興対策を防衛省に了解していただくということが、有明海漁協の信頼をつなぐ一つの方策になるのではないかと思ったわけです。  ただ、もう一つの難題は、有明海漁協は反対者も多くて、当時、私が、皆さんもし了解されたときにはどんな振興策が欲しいですかなんて聞ける状況じゃなかった、要は相談ができない。防衛省と折衝するにも、信頼の当事者である有明海漁協と話ができない状況なので、これまでこの問題とは関係なく、有明海漁協とはいろんなタイミングでお会いしていたし、うちの農林水産部とのお付き合いもあったので、そこはもう想像力で、できる限り有明海漁協の将来、再生に役に立つようなものになるような交渉をしなければいけないなと思いました。そして、防衛省側とその協議をすることになったわけです。  ただ、協議をすることは、県議会の皆さん方にも信頼をつなぐ方策を今やっているとか、言い方は定かではありませんけれども、そういう言い方で、交渉をしていることについてはほのめかしていたというふうに思います。  ただ、藤崎議員がおっしゃるように、具体的な内容については非公開というふうにさせていただきました。これは、実は本当にこの交渉途中でAH64Dの話もあったりして、途中止まったりもしているんですけれども、いろんな項目が浮上したり、いろんなことをして、この百億円という数字についても行ったり来たりしているような交渉でありましたので、最終的に百億円にという、結果的にはとても切りのいい数字になっておりますけれども、そういうふうになったのには紆余曲折がありましたし、最終的に二〇一八年の八月に、私が小野寺大臣との交渉の中で最終的に受入れの話を午後三時頃したと思いますけれども、あの日そのものであっても、午前十一時ぐらいに小野寺大臣と会って、あれは最終的にはコハダの件で、私はコハダの漁師たちが何か困ったときには、制限区域とか飛行を止めるとか、そういったところにこだわっておられたので、それについて最後頑張って交渉していたんですけれども、そこの部分に対して、その日、大臣から私との最終調整で検討するというような話があったので、えっ、検討、ここに来てということで、そこでは受入れの判断はやめて、たしか、もう一回確認をしてもらったと思います。そしたら、大臣のほうから、いや、そこは実施だったということで、発言がちょっと違っていたということでいただいたので、それでぎりぎりになって全てそろって、この受入れということになりましたので、なかなか交渉というのは行ったり来たりの球ですから、本当は途中経過でもというふうに思うこともあるんですけれども、これはなかなかですね。そうすると、もし外に出てこうなるということになると大混乱になるので、なかなか外交交渉と同じで、そういったところについては、まさに御理解をいただきたいなというふうに思っています。  ただ、この交渉というのは、漁業者と防衛省との信頼関係を少しでもつくろうという県議会決議、そうしたものに基づいてやったものだということなのであります。ですので、私は厳しい交渉の中で、県議会の意思を尊重し、決議内容の具体化を図ったものと思っていますので、この点に関して言えば、むしろ議会を重視したものと考えています。こうした経緯、結果につきましては、しっかりお伝えすることができれば、県民の皆さん方も分かっていただけるのではないかと私は考えております。  そして、この百億円の使い方ですけれども、防衛省は、まさに藤崎議員のおっしゃるとおりで、水産事業を直接実施できない側面があります。どのような形で有明海対策になるような形ができるのかということで、これについては基金をつくるしかないんではないかということでありましたけれども、やはり国のほうは国のほうとして、防衛省としての歳出の制限というものもありますので、非常にここは一番難航したところでありました。結果的には、佐賀県はそれまで着陸料というものはもちろんないわけですけれども、ここについて活路があるのではないかということで、あの制度ができております。そうなりますと、年間五億円の二十年という整理になったわけで、一遍に百億円というわけにはいきませんから──というような選択肢ということで、これは漁業者のためにつくられたという趣旨なんです。  私が特定財源的と申し上げたのは、その言葉自体が正しい、よかったのかどうかというものはありますけれども、私としては漁業者のためにこしらえた基金だという趣旨です。  御案内のとおり、これは当然、国のほうも国会の予算議決を通して歳出されるわけです。当然のように県議会のほうも、毎年五億円──五億円も使用料として入ってきますから、これは一般財源です。ですから、色がついておりません。私は執行部ですから、提案者ですから、基金条例をつくらせてください、そして、予算のときは五億円ここに入れさせてくださいと恐らく言うことになると思います。それをどう考えるのかというのは、県議会として御判断いただくということでもありますし、もちろんその基金から歳出、例えば、漁協のために何に使うのかといったことについても、歳出として出てきますから、これも県議会の中で議論していただくということです。  ですので、これは先ほど議員のほうから国のほうは文言に入っているのにということでありましたけれども、我々からすると、当然、我々が提案して県議会で議決して、場合によっては修正されたり否決されたりというのは当たり前のことなので、わざわざ書いていないということですけれども、そういうことで分かっていただければと思いますし、それから、確かにこれから長い二十年という──もしこれが受け入れられて、この制度が動くということになると、これから先というのはまだ二十年ということになるんですけれども、もちろん知事も替わっているでしょうし、県議会も替わっていると思います。でも、そういうものだと思います、執行部も議会も。やはり誰かが一旦つくって合意したものを、そのときそのときで審議をして、執行部側は提案して、こう考えますと。議会側はいいじゃないか、修正するよ、もう時代に合っていないよ、駄目だよというのが、やはりこれはずっと繰り返してきた議会制民主主義の姿だと思いますので、私としては今の知事としてやってきたことについての説明責任を果たさせていただいて、その後、その時々に起きたことに関しては、そのときの執行部とそのときの議会のほうでお決めいただくということ。特にお決めいただくのは議会、提案するのは執行部という大原則の下だというふうに思ってございます。  次に、防衛省との交渉における私の政治姿勢についてお尋ねがございました。  私は、県政を進める上で強く意識しているのは、開かれた県政であります。情報はできる限りオープンにしてという姿勢をもって県政を遂行しておりますので、議員のほうからもそうやって御紹介いただけるのは大変光栄なことだと思います。これからも続けていきたいと思います。  もちろん、この佐賀空港の自衛隊使用要請についても同じ思いで取り組んでいるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、交渉というのはお互いがあって、日々、数字から何からいろんなものが変わっていく、内容も変わっていくことでありますので、これについてはなかなか具体的にオープンにできなかったと。なかなかそういう状況にはなかったということについては、分かっていただければありがたいと思います。私の政治姿勢と異なった対応を取ったとは思っておりません。  なお、着陸料百億円の根拠、着陸料の取扱いなど補足につきまして、政策部長からお答えさせたいと思います。 35 ◎進政策部長 登壇=私のほうからは、佐賀空港の自衛隊使用要請について、着陸料の百億円の根拠、それから、着陸料の取扱いについて御答弁申し上げます。  まず、着陸料百億円の根拠についてでございます。  今、知事のほうから答弁いたしましたけれども、佐賀空港の自衛隊使用要請に関しまして、防衛省との間で、民間空港として建設した佐賀空港を自衛隊が使用する応分の負担として着陸料を合計百億円、年五億円を二十年間支払うということを合意しております。  この百億円につきましては、何らかのルールに基づいて細かく積み上げたものではございません。また、議員から御指摘のような、県がつくった空港の二分の一程度だから百億円ということではございませんで、有明海漁協との話合いや漁業者の皆様の意見を伺う中で、有明海再生に対する強い要請を受けてのものでございます。  例えば、海底耕うんや二枚貝の放流、航路のしゅんせつ、作澪など様々な事業の要望がございました。それらを実現するためには相当規模の額が必要であると。そのためにはどうすればいいかという議論を行う中で、そうした防衛省との交渉の中で百億円という額になったというものでございます。  続きまして、着陸料の取扱いについてでございます。  防衛省との合意は、これは議員から御説明、御指摘もいただいていますけれども、防衛省が着陸料として年間五億円を二十年にわたって支払い、県は着陸料収入を基に有明海漁業の振興等のために漁業振興基金(仮称)などを創設するという内容となってございます。これは長期にわたる内容でもあることから、文書にして、平成三十年八月に当時の小野寺防衛大臣と山口知事の間で合意事項として確認したものでございます。  この後、これがどのように取り扱われるかということは、先ほど知事が答弁申し上げましたところでございますが、補足をいたしますと、このように県が関係者と後年度にわたって合意して、その後、合意内容に基づいて一般財源を活用した予算を議会のほうに提案させていただくということは、これは普通に県政運営上行われていることでありますので、本件が適当でないというふうには思ってございません。  以上でございます。 36 ◎藤崎輝樹君 登壇=時間もあることですから、しっかりと整理して質問したいと思いますけれども、言いたいことはたくさんあるんですが、ここに立ちますとなかなかうまく言い得ませんので、御了解いただきたいんですけれども、まず一点、合意事項であります。  先ほど進部長が言われました。そういったことは予算の運営上あるということでありますけれども、私が申し上げたいのは、防衛省と合意を結んだところ、例えば知事は、後年、議会そのときそのときで判断をすると言われますけれども、じゃ、後年、そのときの議会が、果たして国会で防衛省が提案をするときにどう提案するかといいますと、防衛計画課は県側から漁業振興基金の原資に充てるため、着陸料百億円を徴収したいとの申入れがあったと。その上で、オスプレイ配備には、民航機の利用だけを想定して建設された佐賀空港の関連施設を使用する必要があり、空港建設時に国庫補助事業で県が支出した約二百億円を折半することは応分の負担であり、不合理はないと判断したということをもって、恐らく大臣なり政務官なりが国会に説明されて、五億円を提案されるわけですね。そのときに、果たしてそのときの県議会が、いやいや、県側からそういったことは提案していませんよと言えるか。実際しているわけでありますから、言えませんし、国がそういった特定財源的な意味で支出したものを別の用途になかなか使えるものではないと私は思うんです。そういうふうにするための、そういう制約をつけるために私は今回合意を結んだんだなというふうに思っております。つまり、合意事項の中に、一番と三番は分かるんです。しかし、一般財源である百億円の支払いと基金の創設をなぜあえて合意事項で結んだのか。ここが私は肝だと考えております。  これは一般財源である着陸料を特定財源的に使うため。もっと言えば、県が承認する際に漁協に対して、要は信頼関係を築いていく。そのためにも、こういったことをしっかりと取り組んでいるという姿勢を見せることが必要だったんじゃないかなというふうに私は受け止めております。  百億円の根拠については、交渉の中で決まったと言いますけれども、じゃ、果たして空港法で定められておりますように、県が着陸料を制定する場合、着陸料等の空港の使用料を定めようとするときは、その適正を確認するため、空港法に基づき国土交通大臣への届出が必要とされております。つまり、適正かどうかを判断しなきゃならない。そのときに、いやいや、漁業振興をやってもらうために百億円お願いをしたんですといって、これは適正と言えるでしょうか。着陸料としての判断ができるでしょうか。私はできないと考えております。  防衛省が応分の負担と判断できた理由は、民間県営空港を造るときに二百億円かかったなら、その後、防衛省が常時使わせていただくから半分は負担しても皆さん納得できますよね。国会で大臣が説明したときに、議決を得るだけの説得ができますという判断をされたと。つまり、応分の負担とは何か、百億円の根拠は何かと聞かれれば、防衛省が答えられているように、二百億円を折半することは応分の負担であり、不合理はないと判断したと。つまり、百億円の根拠は、この建設費の半分ということが正解ではないでしょうか。  県の言っていることと国が言っていることの整合性が合わないと、これは大変なことだと思います。例えば、国会で、いや佐賀県は、建設費の半分を求めていませんと、漁業振興のために百億円と言ったんだといったときに、果たして着陸料──名古屋空港も着陸料を取っております。そういったところとの整合性からしても、果たして通用するのかなと私は思うんです。だからこそこの百億円とは何ぞやということは、再度、これは知事に答弁していただきたいというふうに考えております。  それともう一個、これは、言いたいこと二十個ぐらいあったんですけど──私は実は分かるんですよ。知事を見ていて、この間よく分かります。本当に物すごく、国防の重要性、そして一方で、有明海漁業に携わる漁業者の思い、本当にこのはざまで、当時の副知事が言われたように、相当悩まれたんだろうなと私も思います。でも、その中で判断しなきゃならない。このときに私が残念だったのは、まず、空港の着陸料は、これは一般財源で、今申し上げたように、あくまでも空港の着陸料は空港法に基づき届出が必要と、そして、適正かどうかを判断すると。あわせて、使用料として得た金銭の具体的な使途は管理者である県において判断するものである。つまり、防衛省が判断するんではなくて、これは県が判断をするのであります。であれば、何でこれを合意事項にわざわざ入れたんだろうか。だって、佐賀県が条例をつくって、そして、国交省がその金額を認めたものを防衛省に着陸料として求めた場合、適正であれば、防衛省は支払わなければならないんです。そして、そのお金の使い道は佐賀県が一般財源であるから自由に使えるわけであります。にもかかわらず、知事が判断する前に国と合意事項を結んだがために、百億円は固定された、なおかつ、国との合意で使途も限定をされたというところに私は非常に違和感を感じるわけであります。  本当であれば、堂々と着陸料を求めて、県民のためにしっかりと着陸料を取る、名古屋空港とかはそういう努力をしておられます。収支の改善のためにということで相当努力をされたということが議事録に残っております。だから、本来空港の着陸料は着陸料として求めて、そして、公害防止協定の見直しは、これは、知事は当時はそうであったけれども、今の状況を踏まえて、防衛省から、国から要請されたから見直しを求めていくんだという判断はされてあります。でありますから、何もそこで漁協の方々は国に対する不信感でありますから、佐賀県に漁業振興をやってくれなんて一言も言っておられないんです。であれば、知事が責任を持って漁協に対して、今回私は知事として決断をしてきましたということを伝えるべきであったと思うんです。そして、公害防止協定の見直しがなされた暁に、初めて基金を提案して、そして、知事はあのとき漁協に対するお願いをしたと、ゆえに私は全責任を持って、少なくとも私が現職の間は、この国からの空港着陸料は漁業の振興のために使うんだと、それを県民の皆さんに理解をしてほしいということを、私は矢面に立ってでもやるべきだったというふうにつくづく思っております。それが私は知事の覚悟ではないかと。  私は二月議会の代表質問で、知事の再出馬の件を聞きました。当然答弁されることはなかろうと分かりながら質問をいたしました。昨日、石倉議員の質問に対してしっかりと答弁なされました。四年前は木原議員さんでありました。私はある意味恥をかくなと思いながら知事に聞きました。なぜか、私は覚悟を聞きたかったんです。つまり、「実があるなら今月今宵、一夜明ければ誰も来る」、県知事として自分がこの佐賀を引っ張っていくんだ、そういう覚悟を見たいなと思って、あえて質問をさせていただきました。  そういう観点から言いますと、今回の着陸料については、私は知事らしからぬ、要は、山口知事らしからぬ情熱であったな、責任感であったな、そして、判断力であったなというふうに思うわけであります。  本当にこの着陸料について、まずは一般財源なんだから、ちゃんと当たり前に一般財源として入れて、その時々で知事が漁業振興に使うということを提案すればよかった。もっと言えば、じゃ、今のうちに、もう既に、例えば、今この時点で、防衛省なり、もしくは農林水産省と、実はそういう話ができている、佐賀県が基金をつくっていただければ、農水省としてはこういうことをしっかりやりますと、防衛省もこういったいろんな事業ができますということを確約ができていれば、私はある意味すごいなと、そこまでやったのかというふうに思いますけれども、私はそれはなかろうというふうに思うんです。つまり、今回は佐賀県だけが汗をかいてしまった、防衛省はつれなかったんではないかなと。防衛省に、不信感を払拭しなきゃ駄目だよと一生懸命言っても、実は農水省のことだから、それはできません。農水省は農水省で、いや、防衛は防衛だから、私たちは一緒にできないと思いますがというような、これは私の想像ですけれども、そういう国のつれない対応の中で、実は一定の形をつくるため、知事がこの合意を通じて漁業振興を図る、そういう手だてをしたのかなというのが私の疑問であります。  るる想像豊かに物申させていただきましたけれども、百億円の根拠は、これは交渉の中で決まった、けれども、例えば、国会で質問があったときにどういう答弁をされるかということを踏まえて、再度答弁いただきたいと思います。  そしてもう一点、今、私がるる申し上げたことに対して、知事は言いたい反論があろうかと思いますので、ぜひお聞きしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 37 ◎山口知事 登壇=藤崎議員の再質問にお答えします。  確かに藤崎議員のようなやり方というのも一つの在り方だと思います。  ただ、私がこのことに関して思っていたのは、諫干で翻弄された有明海の漁業者のみんなの思いなので、彼らのために何とかしてあげたいなと思ったんです。  なので、実は、自衛隊の空港使用料というのは、秋田空港とか山形空港は自衛隊さんに来ていただいていろんなことをやっていただくので、全額免除なんです。なので、免除が当たり前という雰囲気も、またこれもあるわけで、そうした中で、やはりこの漁業者の国に対する不信感をつなぐということ、何とか実のあることを──私は別途、有明海再生については、もう何でんかんでんやれることをやっていこうと一生懸命言っていますけれども、それをもっともっとやれる、その実を取りたいなということがあったので、今回何とかしてこの百億円、ちょうど開門の問題で和解をすると四県で百億円と、たしかいっときあったような気がするんですけれども、そうすると、うちの佐賀の部分というのはその一部になるわけですけれども、今回百億円ということで、それは全体の補助メニューの自己負担のところに見られるということをもう確認できたので、この百億円というのはもうちょっと大きく膨らんで、様々な有明海再生のために使えるのではないのかなとか、そういう思いで今回のことをやらせていただきました。  もう一点、両立するかというお話もいただきました。  国は使用料として説明すると思います。ですので、それはそれとして説明がつくと。県のほうはこれはあくまで一般財源です。ですので、ぜひこの中でどう使うのかというのは議論があっていいんだと思います。執行部側とすると、まずはそうやって話を持ってくる可能性が極めて高いわけですけれども、それは藤崎議員がおっしゃるように、時代とともにいろんなことが動いてくるでしょうし、もしかすると漁協さんのほうも何か考えが変わるかもしれません。いろんなことで、我々、あくまでこれは一般財源なので、そういったことをどう使っていくのかというのは、その時々においてしっかりと執行部側は考えて提案し、議会側は御審議いただくということで私はよかろう、両立するんではないかと考えております。  補足を政策部長からさせます。 38 ◎進政策部長 登壇=私のほうからは、藤崎議員の再質問に関しまして知事答弁の補足をさせていただきます。二点、根拠とその合意書についての御質問について補足で答弁させていただきます。  百億円の根拠ですけれども、百億円というものが決まった根拠としましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、有明海漁協、漁業者の皆様の御要請を踏まえました有明海再生に向けて様々な事業を行うために相当規模の額が必要という交渉の結果、百億円というふうになったものでございます。  議員がおっしゃるところで、防衛省の整理として、額が決まった後の整理として、県が造った空港を使うと、その二分の一程度である百億円を防衛省が負担するという考え方で整理できるかということは防衛省のほうでどういうふうな整理づけをするかというところでしていることは、我々もそういうことも考えているということは承知しておりますが、その決まった根拠となりますと、あくまでもその交渉の中で決まったというものでございます。  その合意書ですけど、合意書があることによって、これは国のほうもやはり予算要求ということをしていくわけですね、県と一緒でして、まず、政府内で予算を決めて、その後、国会に出して、そこで国会が議決、可決してもらいますと、初めて予算執行できるということでございまして、その予算を要求する際に、防衛省としてもやはりこうした合意書というものがあるということは非常に大きいことになります。ただ、その上で予算を国会のほうに提出しまして、その後、判断していくのは国会でありますし、我々でいきますと、我々が提案しまして、決めていくのは県議会の皆様方というふうになっていくわけでございます。  また、この合意書というものをちゃんと文書で結んでおかないと、漁協、漁業者の方々も今後どうなるか分からないということで、やはり安心できないということもありますので、この合意書というものがしっかりあるということが大切であったというふうに考えております。  以上でございます。 39 ◎藤崎輝樹君 登壇=すみません、再々質問させていただきます。  整理がなかなかできていないので、皆様には大変聞き苦しく申し訳なく思っておりますけども、まず一点、着陸料、根拠というのは逆に言うと思い、そういう思いでできたんだということは分かりました。  一方で、公に県が、例えば、国交省の承認、いわゆる適正かどうかの国交省のほうに申請をする場合、届出をする場合、要は国交省は適正を確認しなきゃならないということでありますけども、そのときはどういう説明をするのか伺っておきたいというふうに思います。  それともう一点、知事はそのとき、そのときで一般財源だから判断をすればいいと言われるけれども、何度も申し上げますが、であれば、ここの合意の二つ目、何度も申し上げますように、この二つ目が私は後世まで生きてくるというふうに思うんです。縛りになるということになるんですけども、この合意事項の二つ目の点、もう読み上げませんけども、この合意事項があることが後々の議会に対しての制約となるのではないかなと。何度も私申し上げますけども、その二点について、言いたい点はいっぱいまだありますけども、二点お尋ねしておきたいと思います。 40 ◎進政策部長 登壇=藤崎議員の再々質問にお答えいたします。  二点御質問をいただきました。まず一点目、着陸料についてでございます。  着陸料につきましては、議員御指摘のとおり、国交省に届出が必要となってまいります。今後、話が進みまして実際に佐賀空港自衛隊使用になるという段階になり、着陸料の設定をする際には届出が必要になってくるということでございます。  こちらについてですけども、防衛省においては、この合意文書ですね、先ほどから議員からも御指摘いただいています平成三十年八月二十四日の合意事項、こちらを結ぶ際に、その前提として事務的には国交省に確認し、そういった事情で着陸料のほうを設定するということが可能だろうかということで話し合った結果として、そうした特例の場合もあるでしょうということで確認したというふうに聞いております。ですので、着陸料の根拠ということで先ほど来申し上げている、百億円の根拠は申し上げているとおりということでございます。  それから、合意事項ですけれども、足かせになるという御懸念、御質問でございますけれども、やはり先ほども申し上げましたとおり、これは漁業者の信頼関係をどうつくっていくかというところから議論をスタートしたということを御答弁申し上げていますけれども、そうした趣旨。それから、防衛省としてもこうした合意文書がないと、今後、予算要求をするに際しても根拠となるものがないというふうになって、それは防衛省も困るということでございますので、あくまで防衛省、これは国といいますか、最終的に予算を議決します国会ではなくて、政府としての防衛省として、それから、我々としても防衛省が今後にわたって百億円、五億円を二十年間支払うということをしっかり約束して、県当局としましても国のほうは約束をしたんだということをしっかりと文書に残すということは大事だというふうに思ってございます。  その上で、先ほど来申し上げていますけれども、それを議決いただくのは国会であり、県議会ということになってまいります。  以上でございます。 41 ◎議長(藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。明日十七日は一般質問、請願上程、議案及び請願の委員会付託を行います。  本日はこれで散会いたします。お疲れさまでございました。     午後四時二十四分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...