最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時一分 開議
◯本山委員長=おはようございます。これより本日の委員会を開催いたします。
日程によりまして、
土木水産常任委員会関係の質疑を行います。
通告に従い、順次発言を許可いたします。
2 ◯伊藤 豊委員=おはようございます。通告に従いまして、幾つか質問させていただきたいと思っております。
まず最初に、土木部関係の質問からさせていただきたいと思っております。
一点目に、公共用地の円滑な取得についてお伺いをしたいと思っております。
厳しい財政状況のもとに限られた予算の中で、県民のニーズに的確にこたえ、おくれている
社会資本整備を着実に整備していくため、これまで以上に緊急性、優先度、投資効果等について考慮し、新規事業の厳選や継続事業の重点化を行うなど、選択と集中をキーワードに公共事業に取り組んでいるところでございますが、このような取り組みが効果的に実現されていくためには、繰越額の減少が求められていると思っております。これは、何度もいろんな形で土木部については質問をさせていただきました。
その繰り越しの理由の中では、地元との交渉のおくれに原因するもの、いわゆる用地交渉に関するものが一番多いということが要因であることから、繰越額縮減の対策の一つとして、十四年度から監理課内に
公共用地室が設置されております。この
公共用地室の役割、そして今後、公共事業を進めていく上での用地交渉について幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
まず一点として、
公共用地室設置後の取り組みについてお伺いをいたします。
円滑な用地取得を図るために、
公共用地室としてどのような取り組みがなされているのか、お伺いをしたいと思います。
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◯緒方公共用地室長=円滑な用地取得を図るための取り組みについてでございますが、事業の円滑な推進を図るためには、用地の確保が不可欠でございます。
そういった意味から、これまでも
土地開発基金の活用によります用地の先行取得、あるいは代替地、移転先のあっせんを促進するため、地元市町村との連携、事業量に応じました適正な用地職員の配置、あるいは用地交渉の早期着手、
土地開発公社の活用によります用地取得の促進、こういった取り組みを通じまして、繰越額の縮減に努めているところでございます。
4 ◯伊藤 豊委員=やはり
公共用地取得という部分の中で、いろんな理由があって、やはりおくれている部分がある。それに対して
公共用地室が、いろんな形でアドバイスをしたり、さまざまな制度の活用等を図りながら、この用地取得を円滑に進めていくためのキーマンとしての役割という意味で
公共用地室が設置されたんだと思うんですね。
今までの用地取得等々について、先ほど言ったとおりいろんな形での理由で、おくれがあったり円滑に進まなかった部分があったと思うんですが、その上に立って、じゃあ、この
公共用地室が、以前よりも力を入れて取り組んでいる部分、どういう形のものがあって用地取得に関するおくれが出てきたりしているかということを分析をした上で、以前よりもどういうことに力を入れて取り組んでいらっしゃるのか、お伺いをいたします。
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◯緒方公共用地室長=繰越額の縮減に対しまして、
公共用地室として取り組める部分を現在取り組んでいるわけでございます。
先ほど御指摘にありましたように、繰り越しの理由の中には、地元との交渉のおくれに原因するものが一番多いという分析がなされているわけですけれども、
公共用地室が十四年度に発足しまして以来、室としての指導体制が強化されたというふうに思っております。
これによりまして、従前に増して各
土木事務所との、例えば、用地補償の移転工法の協議、あるいは
用地課長会議での意見交換を実施することとしておりまして、これらを通じまして補償の考え方の統一、あるいは徹底、また問題解決のための情報の提供などが図られてきつつあるというふうに理解しておりまして、早期解決に向けて努力しているところでございます。
6 ◯伊藤 豊委員=用地交渉を今取り組まれている一つ一つの問題の中で、やはり一点の原因として、これは用地交渉していく行政側だけの問題だけではなくて、ある意味では用地を提供していただく方々の中にも、昔で言う言い方をすると悪いんですが、ごね得的な考え方がある。いわゆる用地の交渉についても、早く締結するよりも、ある一定の形ででき上がった中でやった方が得であるとかみたいな、そういう雰囲気がかなりまだ残っているのではないかというふうに僕は思っております。
その中で、いま一点お伺いをしたいのは、いわゆる
公共用地室が果たしていく役割の中に、用地取得に当たっての公平さ、どのような状況であろうと、用地取得に当たっては、そういう問題は起きてこないと。現実の問題として、開かれた形で、どなたに幾ら渡したというようなことを公表する必要はないんですが、いわゆる用地交渉に当たって差はない、特別にそういうような状況が出てこないということを明朗にしていくことも、僕は
公共用地室の大きな役割ではないかと思っております。
そういう意味で、用地買収の金額の決定のあり方、これは今どのようにされているのか。現実の問題として、用地を取得した場合の契約の結果について、いわゆるそういう状況は絶対起きてきていないという状況なのかどうなのか、改めてお伺いをいたします。
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◯緒方公共用地室長=昨今の情報公開の流れの中で、
用地補償費の算定業務につきましても例外ではございません。そういった意味では、
用地補償額を算定するに当たりまして、通常、
コンサルタント会社に積算を委託するという形をとる場合がほとんどでございます。
そういった中で、その成果をもとに交渉をする、説明をするということになるわけなんですけれども、現在取り組んでおりますのは、そういった資料を、いわゆる積算資料をお示ししながら、地権者の方々に補償内容を十分説明するということに取り組んでおります。そういったことの中で、補償額の適正さというものを確保していくということを取り組んでおります。
8 ◯伊藤 豊委員=これは従来というか、もうかなり昔の話だと思うんですが、いわゆるある面では低目に提示をしながら、最終的にある程度のところで落としていくという
公共用地取得のあり方も、かつてあったと思っておりますし、そういうことが現時点でも尾を引いているのではないかと思うんですね。
ですから、ある意味で、用地の取得価格の決定のあり方、そして、契約後の結果のあり方、結果を皆さんに知っていただくためにも、これはいわゆる用地取得の費用を決定していくのとあわせて、単価をきちっと確保された公平な立場の中で用地交渉がなされていたという結果も、これは個別にだれだれがどのぐらいの金額で、どのぐらいの平米でと、そういうことまでは必要ありませんが、単価として公表することは、これはできると思うんですが、こういう部分のところも含めて、ある意味では適正化を図っていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますが、どのようにお考えなのかお伺いいたします。
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◯緒方公共用地室長=
用地取得単価の公表についてでございますが、当然のことながら、現在、用地交渉をして買収の途中にある箇所について取得単価等を公表することは、いろいろ問題があると思いますけれども、用地取得が完了した時点では、そこの地区の買収単価の、例えば、最高、最低的なものを公表するとか、そういったことは今後検討していきたいと考えております。
10 ◯伊藤 豊委員=私は、こういう一つの要因の中に、先ほど言ったような、用地を提供していただく方々のさまざまな思いみたいなものが、やはりまだまだあると。そのことの方が、むしろこの
用地交渉等々については、おくれていく大きな原因であるんではないかというふうに思っているわけで、私は
公共用地室の最大の役割は、確かに用地交渉の契約を円滑に進めていくためのフォローをしていくことも当然のことだと思うんですけれども、こういういわゆる用地買収に当たっての公平さ、透明さをきちっと確保していくということも大きな役割ではないかと思うし、これをやっていくことが、将来にわたっても用地交渉を円滑に進めていくためには、非常に重要な役割ではないかと思っております。
改めて、これは土木部長にお伺いをしたいんですが、いわゆる個々の情報公開の中において、こういう一つ一つの問題を的確に公表していくということについての取り組みをぜひやってもらいたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
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◯大西土木部長=昨今の厳しい財政状況の中で、いろんな社会資本の整備を進めていく必要があるというふうに思っております。道路等につきましては、
用地交渉等で若干、最近の権利意識の問題とか、これまでのいろんな経済対策等で用地のストックがないというようなことで、用地の確保というものが非常に困難なことになってきております。
まさに十四年度につきましては
公共用地室を設けまして、
土木事務所と一体となって用地の確保に努めておるわけですけれども、そういった土木行政を進めていくには、先ほど委員の御指摘にありますように、公平に、それから透明に、そういった行政をやっていくことによって県民の理解を深めて進めていくことが大事だというふうに思っておりますので、あらゆる部分につきまして、そういう情報公開というものについては積極的に進めていきたい、このように思っております。
12 ◯伊藤 豊委員=改めて室長にお伺いをいたしますが、
公共用地室、これを発足して一年ですので、具体的な取り組みとしてどこまでかということについては、なかなか難しいものがあるのではないかと思っておりますが、十四年度、それから十五年度取り組んで、用地取得等々の推進に当たって、いわゆる繰越額の減額について、どういうふうな形で寄与をしたというふうにお考えなのか、その評価についてお伺いをします。
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◯緒方公共用地室長=先ほど来、
公共用地室の役割を説明させていただきました。その中で、具体的に例をとりますと、四千万円を超える補償物件につきましては、本庁の承認になりますので、その内容のチェック、あるいは各事務所間のばらつきがないように、そういった意味での
チェック体制をとりながら、県庁内部の決裁をとるという形で額を確定するということで、公平性、透明性、内部機関ではございますけれども、各部局の
チェック体制をとりながら、公平性を確保するようにしているということが一つでございます。
繰越額の縮減につきましては、我々のこのような取り組みがどの程度繰越額の縮減につながっているかというのは、なかなか数字では言いあらわせない部分があるかと思いますが、一つに予算額が十三年度と十四年度比べますと、約九〇・九%ということで約一割減している中で、繰越額の減が八八・七%減と、このように繰越額全体が若干減少しているという中にございまして、
用地補償費を見ますと、
用地補償費全体では十三億二千万円減少で三十九億五千万円、またこの中で契約をしないで翌年度に繰り越したものが十五億七千万円減の八億八千万円ということで、若干の減少をしているということでございます。
いずれにいたしましても、今後とも事業用地の早期取得に向けて、
土木事務所と一体となって頑張ってまいりたいというふうに考えております。
14 ◯伊藤 豊委員=やはり用地取得ということが、いわゆる経済効果を高めていくためにも、発現をさせていくためにも、非常に重要な
公共事業推進の大きな役割であろうと思っております。したがいまして、先ほど言いました二面性をしっかりとやっていくことが、将来にもわたって大事なことだと思っておりますので、ぜひお願いをしたいと思っております。
それから、こういう用地取得の努力をしながらでも、どうしてもやはりある程度の、一定の状況の中では、収用手続に移行しなければならない部分のところが出てくると思っておりますが、この際の考え方について幾つかお伺いをしたいんです。
一点目として、大切な個人の財産を提供してもらうわけでございますので、まず理解をしていただくように精力的な交渉をしていただくことが第一だと思っております。しかし、どうしても任意交渉では解決できない場合、収用手続に移行するわけですが、収用手続に移行する場合の考え方についてどのような考え方で行っているのか、お伺いをしたいと思います。
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◯緒方公共用地室長=県におきましては、可能な限り、地道な任意交渉によりまして建物の移転や用地の提供をお願いしているところでございます。
その中でも解決に至らない案件というのは見られるわけでございますが、収用手続に移行する際の考え方ということにつきましては、十五年三月に国の内部通達において、収用手続に移行する際のルールといたしまして、収用手続に入るためには、その前段として、土地収用法に規定します
事業認定手続という手続がまず第一にございます。これは、公共事業の公益性を大臣または知事が認定する手続でございます。事業認定をとりましたら、引き続きまして補償額の確定をする
収用委員会の裁決申請という手続に入りまして、この裁決手続のことが通常、収用手続というふうに呼ばれているものでございます。先ほど言いますように、収用手続の前段としてとらなければいけない
事業認定手続に入る時期を、原則として
用地取得率が人で八割、または
用地幅ぐい打設から三年を経たときのいずれか早い時期とすることとされておるところでございます。
ところが一方、実際事業を進める上では、この三年、八割という
ルールどおりにはなかなかまいりませんで、県におきましては、先ほど来申し上げますように、極力任意による交渉を通じて解決を目指すという基本姿勢がございます。そういった中で、残る地権者の方々、数にしまして数名となった時点、あるいは事業の完成時期を見込んだ適切な時期に、
事業認定申請や収用手続に移行すべきかどうかという点を慎重に各事業課と協議することとしております。
16 ◯伊藤 豊委員=先日も二〇七
号中村バイパスを見させていただきました。あそこも収用手続が行われた事例だと思うんですが、平成十四年度において収用手続に移行した事例はどのぐらいあるのかお伺いをたします。
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◯緒方公共用地室長=県におきまして事業認定を含めまして収用手続に移行した事例についての御質問でございます。
県の事業でございますので、事業認定の手続は
国土交通大臣に申請をするという形になるわけですが、十四年度におきまして
国土交通大臣に
事業認定申請をやりましたのは、道路事業で二件の
事業認定申請を行っております。また、十三年度にも一件、道路事業で申請した事業がございまして、合わせて三件が結果的に大臣から事業認定を受けている事例でございます。
18 ◯伊藤 豊委員=十四年度で二件、十三年度で一件、合わせて三件、十三年度、十四年度であるわけですが、この三件の事例について、その後の経過は具体的にどのような経過をたどったのか、お伺いをいたします。
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◯緒方公共用地室長=先ほどお答えしましたように、十四年度におきまして三件の事業認定を受けたということになります。これで事業の公益性は判断していただいたということになりますので、あとは一年以内に裁決手続に移行するということになります。
十四年度に事業認定を受けた三件のうち一件につきましては、その後、代替地の提供等の任意交渉がまとまりまして、御契約いただきました。それから、残る二件につきましては、残念ながら県の
収用委員会に裁決申請がなされまして、いずれも裁決が出ております。十五年度に裁決が出されまして、現在二カ所とも工事が進行中でございます。
20 ◯伊藤 豊委員=やはり私権にかかわる問題ですので、非常に難しいものはあると思うんですけれども、
公共用地取得という側面よりも、公共事業を要するに進めていく、いわゆる資本投下した部分のところについての経済効果を発現させていくという意味では、一つの方法であろうと思っております。
これは、先ほど申しました個人の私権の問題にもかかわることですので、運用については非常に慎重にならざるを得ないと思うんですが、先ほど言われた八割、三年という一つのめど等もあるわけですので、事業の効果発現のためにも、ある一定の自主的な、一〇〇%国の出した目安どおりというわけではないのかもしれませんが、県側としてもある程度自主的なルールを決めて、こういうことについても、こういうところまで来た場合については県としては対応するというようなルールを決めてやっていってもいいのではないかというふうに思っておりますが、どのようにお考えか、最後にお伺いいたします。
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◯緒方公共用地室長=先ほど御説明いたしました国の三年、八割ルールということにつきましては、先ほど来お話が出ていますように、事業の早期効果を発現させる意味で、国内部ではこういうふうに取り組みますよという指針といいますか、通達が出されているということになります。
当然、このルールというのは、同じように公共事業を取り組んでおります県、あるいは市町村におきましても尊重すべきだという基本姿勢ではございます。
実態としましては、なかなか事業に対する予算の確保というのも年々厳しくなる中で、果たして三年、八割ルールのとおりにすべきなのかという議論もあると思います。今現在、取り組んでおりますのは、事業の完成時期を見込んで、逆算しまして、一年もしくは二年前から
事業認定手続に入るべきじゃないかと、そういった議論を各事業課と一緒に行いながら、円滑な取得に努めていきたいというふうに考えております。
22 ◯伊藤 豊委員=大変難しい部分はあると思うんですが、やっぱり公共事業を、いわゆる円滑に進めていくためにもぜひ必要な取り組みだと思っておりますので、配慮しなければいけない部分はたくさんあると思いますが、配慮した上で、ぜひ円滑な推進をお願いしたいと思っております。
続きまして、
事業評価システムについてお伺いをしたいと思っております。
県では、
事業評価システムとして、事業採択後一定期間を経過した事業について、評価し、見直しを行う再
評価システムを平成十年度から導入をして、実施をされてきております。
さらに、今後新たに着手する公共事業についても、効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、事業の位置づけ、必要性・効果、実施環境等について、総合的に評価を行う
新規事業評価システムを外部の審議を経て、平成十四年度に策定をされました。そして、平成十六年度の新規事業から導入するというふうに伺っております。ということは、十四年度に
評価システムということをある程度きちっと形として、制度としてつくり上げ、十六年度の新規予算から評価を得た事業を採択していく、予算化をしていくということになれば、十五年度の現時点で評価の作業が行われているはずでございます。
対象事業についてなんですが、
新規事業評価の対象となる事業はどのようなもので、またこの事業の分類はどういう形になっているのか、お伺いをします。
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◯前田技術管理課長=対象事業等について説明させていただきます。
公共事業の
事業評価システムについては、限られた財源の中で真に必要な社会資本を整備していくために、事業実施の各段階で点検を行い、公共事業への理解を深めることが重要と考え、継続中の事業については平成十年度から再評価を実施し、新たに着手する事業については
新規評価システムを今年度から導入したところでございます。
新規評価の対象となる事業は、災害復旧等の緊急を要する事業を除き、全体事業費が一千万円以上の事業をすべて対象とし、できるだけ多くの事業の点検を実施することとしております。
また、事業の分類につきましては、事業の特性から、県の施策に基づき広域的な視点から実施する事業の広域事業、また地域住民の生活に密接し、安全性や利便性の向上に利する目的で行う事業の
生活関連事業、それと県内の基幹産業の振興に専ら利する事業の
産業活性化事業、それと
維持管理事業、この四つの事業に分類し、それぞれ評価することとしております。
24 ◯伊藤 豊委員=現在、対象件数はどの程度になりますか。
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◯前田技術管理課長=現在、この評価作業をしておりますけれども、おおむね二百カ所ぐらいを新規事業として評価をしております。
26 ◯伊藤 豊委員=その場合の評価の視点についてなんですけれども、公共事業を実施するかどうか、それをさまざまな形での評価があると思っております。ましてや、広域、生活関連、産業活性化であったり、維持管理についての分類であるとすれば、それぞれやはり評価の視点も違うし、評価それぞれのやり方も、角度も違ってきているのではないかと思いますが、そのための評価の視点、その評価の項目等、どんなふうに定めてそれぞれの分野でやっているのか、お伺いをします。
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◯前田技術管理課長=評価の視点等についてお答えいたします。
評価の視点等につきましては、御指摘のとおり、多くの要素から評価することが重要と考えておりまして、今回の
評価システムは、御指摘のとおり、評価の視点を三つに集約するものの、評価項目や評価指標については事業の特性に応じて設け、それぞれ階層的に評価を行うシステムを構築しております。
なお、三つの視点それぞれの評価項目については、例えば、生活関連の道路事業で例示いたしますと、まず事業の位置づけについては、整備計画等に位置づけられているか否かなど、県の施策や役割に対する評価を行い、事業の必要性・効果については、事業の費用対効果や交通の状況など、現状、課題、効果に対する評価を行うこととしております。
また、事業の実施環境につきましては、地元の合意状況など、実施するための条件に対する評価を行い、これらの評価を点数化し、最終的には視点の評価においてA、B、Cの三段階で評価することにより、評価の客観性の確保に努めているところでございます。
28 ◯伊藤 豊委員=確かに、それぞれの項目によっても評価の仕方、評価の項目、評価の角度、違うと思います。そうなると、二百カ所以上の事業については、評価に点数をつけて、優先順位をつけていくことになると思いますが、これは従来でも、今までもですよ、予算化していく事業の中で、その優先順位等々については、ある程度のランクづけがそれぞれの事業にあったと思うんですね。今回は、新しい
評価システムで評価された評価の方が優先した形で、十六年度予算にはいわゆる公共事業の採択、決定については優先するということになるのかどうか、お伺いをいたします。
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◯前田技術管理課長=今回、新規評価につきましては、土木部内でまず自己評価しようと。その前に、各事業課の中で一次的な評価していただきます。そして、今三段階評価しておりますけれども、内規の中で、例えば、Cランクがあれば、これは事業は控えようと。Bになる、もしくはAになるまで、事業の熟度を図っていこうというようなことも考えております。そして、ある程度、内部の審査、これは土木部の部長以下審査の中で十分審査し、そして予算の査定に持っていくと。そういうことでございますから、まず自己評価をし、それと従来の予算の査定で行って、そして予算がついた後、年度末ですけれども、これについてはしっかり評価について公表していこうということで、この
新規評価システムについては、まず部内の中での位置づけを今のところ考えております。
30 ◯伊藤 豊委員=それでは、ある意味で言うと、今までの事業認定のあり方とシステム的にはほとんど変わらないということになってしまうわけですね。ですから、このシステムが本当の意味で機能していくかどうかというのは、客観的な視点でもっての評価に耐え得るだけの評価になっているかどうかが一番問われているわけで、先ほどの課長の話によれば、今までも同じようなことをやってきたわけじゃないですか、全く変わらないことを。そしたら、じゃあ、この
新規事業評価システムというものが、システムとしてどんなふうに機能しているのかということについては、現実問題として、周りから見ても何らシステムとしては変わらないのではないかという話になると思うんですが、どのようにお考えなのか。
31
◯前田技術管理課長=確かに、今までも優先順位ということで各事業課の中でプライオリティーをつけてやっております。ただ、今回のシステムについては、先ほど御説明いたしましたように、ある程度、分類ごと評価をし、そしてこのことについては客観性を持たすということで三段階評価し、これについては公表するということで、内部評価と言いながらも、従来よりも一歩進んだものと理解しております。
32 ◯伊藤 豊委員=だから、それはね、公表するという部分のところについてはわかるんですが、いわゆる評価の基本的なあり方、その評価の結果については公表していただけるんでしょうが、評価をしていくシステムそのものが、部内で今までと同じやり方でやっていく。これは、今までの事業評価、予算査定の中でも、いろんな形であっていたわけですよね。
それで、本当に事業が必要なのかどうかということについては、第三者が見ても明らかな形で、それよりも、極端な話すれば、各課でそういう評価をするというのであれば、逆に言えば部全体で他の課の部分の評価も含めて評価し合うとかというみたいなものが、何らかの形のものがあるのかというふうに僕は思ったんですが、そうなれば今までの評価だってこういう形で評価をしていますということであれば、何らシステムとしては変わらないことになってしまうと私は思うんですが、実際上、形もシステムも今までの予算のつけ方、あり方、事業の評価の仕方と全く変わらないと思うんですけれども、どうですか。
33
◯前田技術管理課長=この
新規評価システム、確かに部内評価ということで、その面も多少あると思いますけれども、もう一つは
評価システムそのものについては、第三者委員会を経て、いわゆる
評価システムそのものを、従来は
評価システムそのものも部内で決定したんですけれども、今回、
評価システムそのものは第三者委員会の議を経て、物差しをつくったという形になっておりますから、その面は変わっているというふうに理解しております。
34 ◯伊藤 豊委員=システムそのものは外部でつくったかもしれないんですが、評価をする方は全く変わっていないし、システムそのものも変わっていないということになるじゃないですか。そしたら結果的に、どこがどう違うのかと。
私が今言っている、一番大事なことの一つは何なのかというと、先ほど用地交渉のときにも話をしたんですが、本当に事業が継続的に行われる、円滑に行われる、そして必要なものは必要な形で、できるだけ早く整備をされていく、予算が有効に使われていく、このことが一番大事だし、限られた予算が本当に県民の皆さんの生活や産業に役立つ形で使われているかどうかということを、今までと違った形で新規事業についても見直していこうということでこのシステムができ上がったのに、運営方法、運用方法については全く変わらないということであれば、システムは外部の皆さんのお知恵をいただいてつくらせていただきましたと。しかし、運営する側は全く変わっていませんということであれば──継続事業についてはあれなんですが、新規事業についてはある程度数が限定されているわけですから。だから、これは部内で評価したものを外部の評価委員会なりが改めて見て、これは確かにこのとおりの評価であるということぐらいの評価はしていただけるようなシステムにすることの方が大事なんじゃないかと思うんですけれども、改めてお伺いをいたします。
35
◯前田技術管理課長=この
新規評価システムは本年度から本格的な導入しておるわけですけれども、今議員言われますように、最終的には第三者に、再評価と同じような形で個別事業を御審議お願いするということが理想と思っております。
これについては今後の課題として、ことしから内部評価やっておりますけれども、将来的な課題として、この再評価と同じように個別評価をするということについて検討していきたいと思っております。
36 ◯伊藤 豊委員=これは最後、部長にお願いしたいんですが、いわゆるこれについては新規事業の評価であります。したがって、ほとんど新規事業等については二百カ所等々にも改めてあるわけですから、これはわかっているわけですね。そうすると、十二月ぐらいまで含めて、要するに新規事業の評価をしっかりやった上で、いわゆる来年度予算にするのであれば、いわゆる部内でやった部分を第三者委員会等なんかで改めて再評価をしていただけるようなシステムを来年度からぜひこれはつくってもらいたいと思っておりますけど、どうでしょうか。
37
◯大西土木部長=
新規事業評価システムについて、今質疑あっておりますけれども、今ちょうど十六年度予算に向けまして、まさに道路なら道路、河川なら河川、事業ごとにその新規の
評価システムに基づいて土木部内で議論をいたしております。
これにつきまして、これまでと違うのは、
新規評価システムということで、客観的に新規をやるに当たって地元の調整がどうなっておるのかとか、あるいは費用対効果について、具体的に当てはめて数値でどうなるのかとか、そういった必要性とか費用対効果、それを客観的な指標でもって、まずは土木部の担当の職員がそれに基づいて評価をして、
土木事務所でそのシステムに基づいて帳票で検討をして、それでまた土木部のそれぞれの担当課に上がってきて、同じ共通の土俵でといいますか、で議論ができることになって、私はもちろん初めて今新しいシステムで優先順位等をこれつけておりますけれども、なかなか客観的で、私自身としては非常にいいシステムができ上がったというふうに思っております。
ただ、今議論している中では、今初めてやっておりますので、いろんな問題点、課題というようなことも具体的に出てきております。そういった意味では、改めるべきことはまた改めまして、よりよいそういうシステムですね、新しい事業をどう県民の方に理解をもって事業を進めていくか、新規事業を採択をしていくのかということについて、今後またよくみんなで協議をして進めていきたいというふうに思っております。
38 ◯伊藤 豊委員=そこは、もう少しはっきりとですよ、やはり第三者的な対応ができるようにしてもらいたい。
改めて、もう一つ問題点があります。これは、先ほど言いましたように、課長が答弁したように、各部局ごとに必要な、先ほど言った関連の部分の中に分けて、いわゆる再評価をして積み上げていく方法をやっております。これでやっていけば、要するに従来言われている縦割りのシーリングについては全く変わらないということになってしまうわけですね。
ですから、本来言えば、土木部の中で、河川の事業であったり、道路事業であったり、その他の事業であったり、土木事業であったり、全体のトータルの部分のところの割合もどうしていけばいいのかということは、これは全体の中でも考えていかなければいけないことなんだろうと思うんですね。だけど、今回の、要するに先ほど言われました
評価システムの中では、そういう土木部内の全体の各課のシーリングとかというところまでは、これは検討する余地というよりも、そういうところのシーリングそのものをどうするかということについては、考えられるシステムになっていないんですね。
ですから、ある意味で言えば、河川は河川で、必要なものは全部事業の優先順位をつけて出してくる。必要なものについて予算をつけていく。このシステムは変わらないわけですね。ですから、もっともっと、ある意味で言えば、どういう土木事業、どういう道路に今回はもう少し重点を置いてやる、今回の場合はこういう事業の方に重点を置いてやる、そういう形での重点を置いてやる大きなシーリングそのものにも反映できるようなシステムには、基本的にはなっていなんですよね。ですから、私はもう少し、これは土木事業全体の中で、それぞれの課別、そして関連部門別の優先順位もつけられるようなシステムにもある程度していかなければ、要するに効率的な予算の配分はできないんではないかというふうに思います。
ここまで言うと、非常に難しい問題がたくさん出てくるんだと思っておりますが、改めて、来年度については、ある意味で第三者委員会的なものの再評価を受けるというようなシステムのところまで、ぜひこれはつくってもらいたいというふうに思っておりますが、それについてどうぞ。
39
◯大西土木部長=例えば、道路、河川、社会資本を含めまして、県のいわゆる長期計画で目標を定めまして、そういった施策をどういう施策をやっていくのかと、道路については生活道路を優先するのか、都市と都市を結ぶ基幹道路を整備していくのか、そういったことにつきましては、ことしから、従来からもやっておるんですけれども、特にことしから、第三者委員会を含めました、いわゆる政策評価ということで、今別途それについては進めております。なお、そのことにつきまして、適宜、十一月の末ぐらいですかね、そういった政策評価につきましてはまた第三者評価委員会の考えも含めまして公表をされることになっております。
我々が今やっておりますのは、要するに個々の事業の新規事業をどう優先させていくのかということを
新規評価システムでやっておるところですけれども、今議員御指摘の点も含めまして、先ほど来言いますように、我々自体としても幾らか課題等も具体的な中で出てきておりますので、よりよい新
評価システムになるように、今後また検討を加えていきたいというふうに思っております。
40 ◯伊藤 豊委員=いわゆる再評価と、それから
新規事業評価、そしてあわせて現時点でやっている事業の政策評価、この三つがきちっとやっぱりでき上がって一つの大きなサイクルになるんだと思うんですけれども、今やっている
新規事業評価については、いわゆる部内で評価したものが改めて第三者の皆さんの再評価にも耐え得るだけのきちっとした評価になっているかどうかということについての検証はぜひやるべきだと僕は思うんですね。ですから、改めて、いわゆる再評価、それから事業評価、そして新規事業の評価という大きな一つの流れの中である三つの
評価システムを有機的に結合させて、より効果の高い事業をぜひやっていただきたいと思います。これは要望して、次に行きたいと思います。
次に、佐賀城公園についてお伺いをしたいと思いますが、佐賀城公園は、佐賀市の中心部に位置をします。三方を堀に囲まれ、水面に映えるクスノキ等々は、いわゆる佐賀県の、佐賀市の代表的な景観になっております。
平成十四年に佐賀城公園の中にマンション建設の問題が起きました。改めて、この佐賀城内、いわゆるこの一帯全域のまちづくりそのものが問われた事件がございました。高さ規制、さまざまな形での取り組みが行われたわけですけれども、あわせて、今回、佐賀城公園の見直しが昨年度行われたというふうに聞いておりますが、この構想見直しの目的、そしてその概要はどんなふうになっていたのか、まずお伺いをしたいと思います。
41 ◯寺田まちづくり推進課長=佐賀城公園構想の見直しの概要と目的についてお答えいたします。
当初の整備構想は平成四年に策定されまして、それから十年余りが経過する中で、佐賀市の中心部の空洞化ですとか、城内地区での景観に対する住民の方々の意識の高まり、そういった公園を取り巻く状況が変化したということで整備構想の見直しを行っております。特に、今委員からお話ありましたように、マンション問題があった西城内地区と、それから公園の北側に位置します佐嘉神社周辺地区のあり方について検討を行っております。
検討の結果といたしましては、西城内地区につきましては、佐賀城の西の御門があったところということで、そのゲート性を生かした整備ですとか、クスの保護、活用を図りながら、休息とか遊びの場ができるような場所としての整備が提案されております。
それから、佐嘉神社周辺地区につきましては、佐賀城公園の利用の増進、あるいは佐賀市の観光の振興を図るために地区としてのあり方を検討してまいりましたけれども、中心市街地の活性化との関連もありまして、佐賀市のまちづくりの中でこの地区のあり方の議論を深めていこうというようなことが結論づけられております。
42 ◯伊藤 豊委員=特に、西の部分の中で、一番問題になりましたのは、佐賀城公園の中でも西堀一帯に植えられているクスノキの保護の問題なんですが、佐賀城公園のクスノキは天然記念物として守られてきておりますが、この西城内地区のクスノキは公園区域から東側に特にはみ出しております。
民家からの伐採等々も要望があったりして、逐次、県の文化課とも連絡をとりながら
土木事務所がやるということで、現実問題としては県側の方で、ある程度の伐採が行われてきた経過があるわけですけれども、今後のクスノキの保護についてはどのように計画の中では考えられているのか、お伺いをしたいと思います。
43 ◯寺田まちづくり推進課長=クスの成長に伴いまして、枝の一部が民家の方に越境してきているというようなことがございます。また、今先生お話がありましたように、天然記念物に指定されておりまして、現在では住民の方々の御理解をいただきながら、その保護に努めているというところでございます。
平成十四年に高度地区に指定されまして、十五メートル以上の高さを持つ構造物はつくれないという高さの規制が働くようになっております。また、景観条例も同年に策定されまして、マンション問題があったときのような大規模な伐採というのは、今の段階では出されなくなっております。
現在は、落ち葉の掃除とかそういうものについては、地元の方々の協力を得ながら保護をしておるわけですけれども、地元の住民の生活ということと、文化財の保護という調整というのがありますけれども、お互いに御相談しながら、クスの保護について努めてまいりたいというふうに思っております。
44 ◯伊藤 豊委員=このクスノキの保護という部分の中で、西城内地区につきましては高さ制限が行われたというものの、十五メートルまでの建物は建設がオーケーと。それと改めて、もう御存じだと思いますが、いわゆる今の公園区域の中では、かなり民家の側にクスノキの枝がそのまま越境している状況にある。
私も十三年に、この問題について質問させていただいたとき、将来にもわたって、クスノキそのものに対して、いわゆる具体的な伐採等々の手が行われないように、公園区域を必要に応じて二メートルか三メートル東側に拡大するべきではないかというふうに提案をさせていただきました。そして、その当時、部長も公園区域拡大については、それを含めて検討したいという話になっておりましたが、今回の西城内地区の見直しの中で、東側に公園区域、お堀のクスノキがかかっている部分の東側に対する拡大については触れられていないんですが、これについては討議がなされたんでしょうか。
45 ◯寺田まちづくり推進課長=今回の見直しの報告書の中では、マンション問題の跡地の利活用ということでの構想に限っておりますけれども、公園区域の拡大ということにつきましては、いろんな規制が働くということから、都市施設の計画決定そのものが整備を前提としたものでなければ規制をかけたままになってしまうおそれがあるということで、整備のめどが立つまでは公園の拡大は差し控えようというような議論はなされたと聞いております。
46 ◯伊藤 豊委員=この場合に一番問題なのは、要するにあの当時、いわゆるマンション問題が出てきたときに、県側として具体的な対応はできないと、じゃ、これについては住民の皆さん、それから佐賀市の皆さん、いろいろ協力していただいて、何とかあの地域についてはぜひ守らなければならないと。
じゃ、佐賀県としては将来にわたって何ができるのか。そのときに、クスノキを守るという方法からすれば、公園区域を拡大して──現在住んでいらっしゃる方々の生活権まで奪おうということの計画はできないにしても、いわゆる将来にわたってあの土地を売買したりだとか、新しい家を建てかえるとかというときに当たっては、要するに東側に公園区域の拡大区域をしっかり設けて、公園区域としてクスノキが将来にわたってその保護ができるような体制をとりたいと、そういう形での話になって、県としては、ぜひクスノキ保護のためには、そういう形でやってもらいたいと。そしたら、そういう形のものは検討しますという話になっていたわけです。
ですから、将来にもわたって、あそこのところをですよ、東側に公園区域を拡大して、これは今すぐあそこを全部公園区域と指定して買い上げてくれと言っている話ではなくて、将来にわたって、あの幅を二メートルないし三メートル、東側に、要するに必要があればこちら側として、県側として買い上げていくというやり方でもってクスノキをぜひ守ってもらいたい。そういう公園計画をしてもらいたいというふうに要望をしておりました。
この件については、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。
47 ◯寺田まちづくり推進課長=皆様方御承知のとおり、現在、佐賀城公園の整備は、歴史資料館が来年オープンするということから、その周辺である歴史の森地区を重点的に整備しているところでございます。
新たな区域の拡大につきましては、今言ったような住民に対する規制があるということから、今後、歴史の森地区の整備完了のめどが立った時点で、今御指摘の西城内地区も含めて、佐賀城公園全体の整備のあり方というものを議論していきたいというふうに考えております。
また、西側地区の周辺の空き地対策ですとか、クスの保護という観点から、公園区域の拡大そのものは現在まだ整備の方向とか、そういうものが定まっておりませんので、すぐには困難だと思いますけれども、例えば、今でも老朽化した家屋が何軒かあります。そういったことで、買い取りの請求ですとか、空き地が発生した場合には、買収することができるような、県として柔軟に対応できるような手段を今後研究していきたいと思っております。
48 ◯伊藤 豊委員=私は、今すぐ公園区域に決定して、それを全部買い取ってほしいと言っているわけではない。いわゆる計画として、あそこは東側なら東側を三メートルないし二メートル拡大するという、その基本的な計画だけでもしっかりとつくっておくと。将来にわたっても、ここら辺については時期が来れば、いわゆる全部そこら付近が終わってから──じゃ、新しくあそこにですね、いわゆるその間に十五メートルないしそこらの家が西側に隣接して建てられた。そしたら、その後どうするかという話では、どうしようもできないわけで、今だからこそできる計画もあるわけです。
だから、将来の計画としてでも構わないわけですが、計画として東側にはきちっとした形で拡大するという計画案でもいいし、計画上の、要するに将来にわたって、ここら付近には計画として入れる予定としてでも構わないんですが、そういうものをきちっと策定して公表するべきだというふうに僕は思っているわけです。そして、あそこの地域については、将来にわたってクスノキの保護のために西城内の東側については、公園区域として拡大する予定があるということを、ある程度意思として示しておく必要があると思うんですけれども、ここらについてはどうですか。
49 ◯寺田まちづくり推進課長=佐賀城公園の整備のあり方については、我々としても息の長い整備といいますか、百年の大計というか、今すぐに急いで整備するということではなくて、長いスパンで考えていきたいと考えております。ただ、住民の生活とも直接関係しますことから、そういった全体的な構想という必要性ももちろん感じております。
そういうことで、西城内地区をどうするかというような大きな構想を立てまして、その中で建築への対応ですとか、そういうことを考えていきたいと思っております。
50 ◯伊藤 豊委員=これは、具体的に一つずつ対応していかなければ、要するにどうしようもない。今、当面の問題がないからということで、同じことでマンション問題が起きたわけです。城内でそういう形のものは出てこないだろうという前提でやりました。しかし、県外業者だとか、いろんな今までの過去のいきさつ、いわゆる佐賀城内に対するさまざまなものが、しがらみのない業者がたくさん県内にも入ってきておる。そこら辺があって、あの問題が起きてきたということを忘れてはいけないと思うんですね。
ですから、ある程度きちっとした形で県の意思表示は僕はしておくべきだろうと思うし、そのことをきちっと計画の中で、将来構想としてでもいいですから、将来構想という形でもきちっと位置づけをしておくべきだと僕は思っているんですが、部長、ここら辺についてはどのようにお考えなのか、お伺いをします。
51
◯大西土木部長=西城内地区周辺の公園区域の拡大の御質問ですけれども、この佐賀城公園をどうしていくかということについては、議員御承知のとおり、当面、まず歴史の森地区の整備ですね。歴史資料館、来年度には開館をいたします。それに伴います歴史の森周辺の整備を予定どおり進捗をしていくというのが我々の一番のやるべきものであるというふうに考えております。
その西城内をどうするかということにつきましては、これはもちろん地元それから佐賀市民、市の意向等がもちろんあるわけですけれども、そういった歴史の森の整備の終わった段階で再度、佐賀城公園全体の整備のあり方の中で、区域をどうするのかということは、そのときまた考えていくということで私ども今考えているところであります。
52 ◯伊藤 豊委員=これについては、なぜ僕がこんなことを言っているかというと、十三年度のときに、今回の見直しの中で、それはちゃんと見直しますと言われているわけですよ。担当がかわりましたから、人がかわりましたから、それは違いますという話はおかしいと。ちゃんと約束しているじゃないですか。今回の見直しの中で拡大まで含めて検討しますと。でも論議はされましたけど、何らそこらについては具体的な対応はしておりませんという話であったらば、何でこういう形でのものが議会の中で論議されて、答弁があって、一つ一つのものをやっているのかわからなくなってしまうじゃないですか。
平成十四年度におきましてもその基本方針を策定しておりまして、具体的には漁場の網の張り込み枚数については、二割減柵にしようと。採苗から生産、ノリ網の撤去に至るまでの一連の養殖管理を統一して行います集団管理体制の徹底を図りましょうと。さらに漁業者みずからが漁場環境の保全に努めることなどというふうなことを決めておるものでございます。
一方、平成十五年度におきましては、十四年度と同じような漁期対策指針のもとで現在養殖を行っているところでございます。先ほど委員御指摘のとおり、現在ノリ養殖が行われているわけですが、赤腐れ病等が猛威を振るっておりまして、生産状況が非常に厳しいというような状況になっております。
このため、現在どういうふうな指導をしているかというふうなことでございますけれども、有明水産振興センターを中心といたしまして、現場での調査回数を増すなど、現場のノリの状況、あるいは海の状況というのを詳細に調査しております。これによりまして得られた情報というのは、直ちにノリ養殖情報等を通じまして、さらに携帯電話等でアクセスできるような形で速やかに漁業者に情報を伝達しているところでございます。
特に今年度というのは病気が非常に強いもんですから、赤腐れ病というふうな病気を殺すために、センターといたしましては、ノリ網の高づりを指導いたしまして、さらに短目で早く摘むことなども指導しているところでございます。
また、先般十一月十八日には有明漁連で組合長・主任者会議というのが開催されております。この中では十一月二十九日から三十日に秋芽網を撤去しようというふうなことが決定されているところでございます。
このように、秋芽網は現在非常に厳しい状況となっておりますが、私どもとしては、センターを中心といたしまして、残された期間で少しでも多く生産ができますように、現在指導を鋭意しているところでございます。
また、十二月上旬から冷凍網期が執行されるわけですけれども、今後よいノリが安定して生産できるよう、漁協とか漁連等と十分連携をとりながら、私どもとしても万全の体制で臨みたいというふうに考えております。
175 ◯木下委員=ノリ養殖の安定生産を図るという意味から、今ここに資料をいただいておりますが、ノリ業漁者の間でも、ノリ養殖をやっている区域が余りにも多過ぎやせんかと、広げ過ぎやせんかということも一つあるわけですが、この辺ちょっと限界を越したんじゃないかなと、このノリ養殖場の面積ですね、この辺はどういうふうに理解されていますか。
176 ◯馬場水産漁港課長=ノリ養殖の生産されている面積、場所の問題ですけれども、これは昭和四十二年にノリ養殖が大被害を受けまして、昭和四十三年からこういうふうな形で、きちっと船通しとか潮通し、いわゆる海の圃場整備というのが昭和四十三年から構築されまして、実施されているところでございます。
その間、現在ノリ網が四十万枚張れるような面積があるわけですが、先ほどもお話ししましたように、少しでも漁場環境、ノリの生育環境をよくするために、現在はノリ網を二割減らしまして、三十二万枚ぐらいのノリ網で現在養殖をしておりまして、佐賀県といたしましては、今後も、このノリ網が適性だというふうに私どもとしては考えております。
177 ◯木下委員=今、私が質問したのは、ノリ漁業者の間でも若干は、網の漁場が広過ぎるんじゃないか、もう少しという意見があったもんですから、しかし今適正という答弁ですから、それなりに生産性を上げるように頑張っていただきたいと、このように思います。
次に進みますが、海底耕うんについてお尋ねしたいと思います。
漁場環境の改善を図るために、海底耕うんが実施をされておりますが、どのような事業規模で、そしてまた、予算規模で実施をしているのか。また、どのような効果が期待されているのか、お尋ねをいたします。
178 ◯馬場水産漁港課長=海底耕うんについてでございますが、この事業につきましては、平成十三年度から県が事業主体となりまして、有明海の沖合域で実施しているところでございます。
十四年度におきましては、事業費五千万円で約十二平方キロメートルの漁場の海底耕うんを行ったところでございます。
また、十四年度から新たに川副町、諸富町といったような市町村が事業主体となりまして、沿岸域におきまして全体事業費約三千万円で、合計約六平方キロを実施したところでございます。
海底耕うんにつきましては、その海底の泥を攪拌することによりまして、泥に酸素を送り込んで、さらに底質の改善を図るものでございます。これによりまして、魚介類のえさとなるゴカイなどといった底生生物が増加いたしまして、ひいてはガザミとか、クチゾコとかいったような資源の回復、増大に効果があるものと考えております。
現実的に、私どもとしても昨年、平成十四年度にここの関係の漁業者の方々にアンケートをとっておりますけれども、大体九割以上の方から底質環境はよくなったというふうな話も聞いておりますし、八割ぐらいの漁業者の方から、ガザミとかイイダコとかいうのがふえたというふうな回答を得ているところでございます。
179 ◯木下委員=今、答弁がありましたように、海底耕うんというのは、やはり魚介類資源の回復ということが目的だと思います。そこで、貝類資源の回復についてですが、有明海を再生するためには貝類資源の回復が必要であるということから、海底耕うんがなされておると思いますが、貝類は水質の浄化機能も有しておるので、タイラギ、アゲマキ、アサリ等の貝類が生息できるよう漁場環境を整備し、貝類資源の増大を図っていくことが有明海の再生につながると考えます。そしてまた、貝類の回復が有明海そのものの回復のバロメーターとして考えてよいのではないかと思うわけです。
魚類は環境が悪化すれば移動して生き延びるということができますけれども、貝類は動くことができない。そういうことから、そこの場が、有明海がきれいでないと貝類というのは死滅していくと、こういうことですから、特に貝類の再生というものが有明海の再生そのもののバロメーターに私はつながっておるということだと思っております。
そこでお尋ねをいたしますが、貝類の増殖対策についてでございます。
まず、アゲマキそれからタイラギ等の──これは他の県ではタイラギ等は解禁をされておるように聞きますけれども、貝類の資源を回復させるためにはどのような事業を行ったか。また、その成果はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
180 ◯西村漁政課長=貝類の増殖対策につきましては、有明水産振興センターを中心として取り組んでいるところでございます。センターでは、まず貝類資源の実態を把握するために、タイラギ、クマサルボウ、ウミタケを対象として、漁場における資源量、生息域等の調査を実施しております。
また、アゲマキ、タイラギ資源の回復と漁場の再生を目的として、佐賀大学、民間企業等と一緒になって、底質の改善技術開発に取り組み、現在までに改善された漁場において移殖したアゲマキの生残率は高く、成熟・産卵が認められるなど、一定の成果が得られております。
さらに、これらの野外での調査研究とあわせまして、平成十四年三月に整備した貝類研究棟におきまして、タイラギ、アゲマキ、クマサルボウ等、現在資源が大幅に減少している種類を対象に、採卵技術の確立、あるいは採苗がうまくいくような付着材料の開発など、種苗生産のための基礎技術の開発、量産技術の開発を行っております。
現段階では平成十四年度にはアゲマキの稚貝については一・六センチ、六万四千個の種苗生産に成功し、現在、漁場に放流して生き残り率等の追跡調査中であります。また、クマサルボウにつきましては、稚貝生産にめどがついたところであります。
現在、これらの調査研究とあわせまして、覆砂や海底耕うんなどを行っているところであり、数年後には種苗生産技術を確立して、貝類の増殖を図っていきたいと考えております。
181 ◯木下委員=タイラギは佐賀県の場合はもう解禁されたんでしょうか。
182 ◯馬場水産漁港課長=タイラギについては、まだ解禁されてございません。今の予定では十二月十日から解禁というふうなことで聞いております。
183 ◯木下委員=ほかの県は解禁というんですが、佐賀県は何でおくれているんですか。その要因は何ですか。
184 ◯馬場水産漁港課長=有明海のタイラギにつきましては、先般十一月四日に福岡と佐賀で農林水産大臣区域を含む有明海で漁場調査をしております。そこで、かなり生息が確認されたということで、福岡と佐賀の浅水域漁業者会の話し合いの中で、十二月十日からにしようというふうなことで取り決めがなされておりまして、それをもちまして、両県の漁業調整委員会でそのように決まっております。
185 ◯木下委員=わかりました。
それでは、覆砂事業についてお尋ねしたいと思います。
アサリ等の養殖場造成事業として、平成十四年度に覆砂事業が実施されておりますが、その事業実施状況はどのようになっているのか。また、覆砂の効果はどのように考えておるのか、まずお尋ねをいたします。
186 ◯馬場水産漁港課長=覆砂事業についてでございますが、覆砂事業につきましては平成十三年度から実施しておりまして、十四年度には有明海の東部、中部の二カ所の漁場におきまして、それぞれ四ヘクタールずつ、合わせまして合計八ヘクタールを事業費一億円で実施したところでございます。
覆砂につきましては、底質が悪くなって、アサリがいなくなった漁場に砂をまくことによりまして、底質の改善を図るものでございます。
これによりまして、アサリの稚貝の着底を促進しまして、資源の回復、増大に効果があるものと考えております。
これまで覆砂した漁場の箇所につきまして、県、有明水産振興センターを初め、漁協の青年部との調査によりますと、アサリ稚貝の着底や、クチゾコなどの魚類の分布が確認されており、一応効果として十分出てきているというふうに考えております。
187 ◯木下委員=平成十三年度からこの覆砂事業はされておるようですが、十三年度は一億九千何ぼ、約二億円の覆砂事業が行われておりますが、十四年度は一億円と大幅に減っておるわけですが、減らしたというのは、ただ単純に面積が少なくなったからということだけの理由なのか、それとも、半分ぐらいに減らしてきたということはほかに理由があるのか。そしてまた、十五年、十六年、これからの覆砂事業をどのように考えておられるのか、お尋ねします。
188 ◯馬場水産漁港課長=平成十三年度におきましては、有明海漁場の東部、中部、西部、南部の四カ所におきまして、それぞれ四ヘクタールずつの十六ヘクタールを実施したところでございます。
なお、十三年度におきましては、平成十二年度のノリの不作等を受けまして、何とか有明海のノリ漁場の環境改善を図ろうというふうなことで、少しでもアサリをふやすことによって、プランクトンを減少させるというふうなことで始まった事業でございます。
それで、十四年度におきまして、事業箇所が二カ所の東部、中部というふうなことでなっておるわけですが、これにつきましては西部、南部の方での事業の適地の選定に非常に苦労したということで、事業箇所数は一応二カ所にしております。
それで、今後の覆砂事業につきましても、現在十五年度においても事業実施しておりますけれども、今後については、覆砂事業というのは有明海の再生の一つの大きな切り札だと考えておりますので、今後とも、事業実施について検討していきたいというふうに考えております。(副委員長、委員長と交代)
189 ◯木下委員=毎年二億円とか一億円とかと、くらくらくらくら変わるわけですから、私もその辺が、どういう根拠で、将来はどういう考え方でいくのかというのがちょっとわからなかったものですから今お尋ねしたわけですが、これはずうっと続けられるわけですか、覆砂事業というのは。
190 ◯馬場水産漁港課長=これまで行ってきた部分の事業の実施、成果と申しますか、そこら辺のアサリの立ちぐあい、あるいはそのほかの底生生物の状況等を見ながら、ただ単に砂をまくだけじゃなくて、例えば砂をまいて、海底と一緒にまぜてやるというふうな方法等につきましても、そういう部分での検討をしていきたいというふうに考えております。
191 ◯木下委員=わかりました。
いずれにしても、有明海再生の一環でしょうから頑張っていただきたいと思いますが、そこで、ナルトビエイの捕獲についてお尋ねします。
近年、ナルトビエイが大量に有明海に入り込んで、アサリ、タイラギ等の二枚貝を食い荒らしておりまして、せっかくの養殖もその効果が半減、または事業そのものに影響をもたらしていると。佐賀県でもその対策として、ナルトビエイの捕獲が実施されておりますが、平成十四年度の事業内容、そしてまた、捕獲実績はどのようになっているのか、お尋ねしたいと思います。
192 ◯西村漁政課長=県では有明海のタイラギ、アサリ等の二枚貝がナルトビエイの食害を受けているということから、平成十三年度には福岡県、長崎県と三県で、また、平成十四年度からは熊本県を加えた有明海沿岸四県が連携して分布域や食性を把握するために、ナルトビエイの捕獲調査を実施しております。
本県の平成十四年度事業は、事業費が八百五十万円で、有明海漁連に委託して、四月から八月にかけて、佐賀県有明海全域で百四十隻の漁船を用船して実施しました。
その結果、十四・五トン、約二千百尾のナルトビエイを捕獲し、その胃からはタイラギ、アサリ、サルボウ等の二枚貝が確認されたところでございます。
今後も有明海沿岸四県が連携して捕獲を行い、有明海の二枚貝資源の回復に努めたいと考えております。
193 ◯木下委員=ナルトビエイというのは今までも有明海の中に──急にあらわれたように聞いたんですが、これはどういうところから来るんですかね。
194 ◯馬場水産漁港課長=ナルトビエイにつきましては、もともと外海の方の東海・黄海とかいうふうなところにいた種類でございまして、近年の地球温暖化、あるいは黒潮異変とか、そういうふうな部分で多分有明海の方にも入ってきたのではないかというふうに、現在国の方の試験研究センターの方では考えられております。
195 ◯木下委員=先ほどの答弁では、百四十そうですか、二千百尾ですか、捕獲されておると、こういうことでございますが、このナルトビエイの利用というのは考えられないのかなと思うわけで、一つの例として食材などに利用できないのか、これも研究が必要だと思いますけれども、その点はいかがですか。
196 ◯西村漁政課長=ナルトビエイは尿素の含有量が多いというようなことから、アンモニアを発生しやすくて、そのままでは食用とならないため、これまでは漁獲の対象となってきておりません。
しかし、ナルトビエイを水産資源として有効利用することができれば、漁業者の積極的な漁獲により、大量な駆除が可能となるということで、県の玄海水産振興センターで加工品の開発試験を実施しております。
試験は現在までにナルトビエイの原料特性試験、あるいは加工特性試験を行いました。その結果、ナルトビエイは有明海で食用として捕獲されるアカエイに比べますと、尿素を分解してアンモニアを発生しやすい。それから、漁獲して陸に揚げた後、十度C以下で保存すれば、鮮度低下も少なくてアンモニアの発生が抑えられること。それから、水さらしにより尿素を除去して、アンモニアの発生を抑えることができること等がわかっております。
現在幾つかの加工品、つくだ煮とか、かす漬けとか薫製等を試作して、これまで漁協職員とか女性部等を対象とした試食会を開催しております。
今後もいろんな加工品の試作を行いまして、有望と考えられるものにつきましては、漁協女性部や企業等に加工技術の提供を行い、食材などへの利用を図ってまいりたいと考えております。
197 ◯木下委員=いずれにしても、ナルトビエイについては、せっかく覆砂をして、貝の種をまいて、それを食い荒らすと大変なことですから、しっかりと頑張ってほしいと思います。
そこで、今後の取り組みについてでございます。
先ほどから私が申し上げておりますように、有明海再生に向けた取り組みの中で、やっぱり自然環境の回復ということです。その一つのあらわれとして、先ほども言いましたが、貝類、それからノリの生産、これがまず敏感に自然環境に評価として出てくるわけです。
それで、魚類は環境が悪ければ、また外洋とかいい方に動きますけれども、貝とかノリはもう場所が決まっていますから動きません。そういう意味で、貝が繁殖したり、ノリがとれたりする、そのことが一つの有明海の再生になったと、それが成功して初めてなったと、このように私は評価するわけですが、今後どのように対応していくのか、これは川副局長にちょっと所見をお願いしたいと思います。
198 ◯川副水産林務局長=有明海再生についての今後の取り組みということでございますが、有明海再生につきましては、本年三月に「有明海再生のための佐賀県計画」というものをつくりまして、現在、庁内関係部局と連携をとりながら鋭意取り組んでいるところでございます。
この計画の内容は二つに分かれておりまして、一つは海域環境の保全と改善、それからもう一つが水産資源の回復等による漁業の振興と、こういった内容になっております。
具体的には、特に短期間で効果を得られる水産資源の回復等による漁業の振興については、種苗の放流の推進でありますとか、アサリの増殖場の造成、海底耕うん、こういったものを、とりあえず、現在いろいろ効果があると思われるものにつきまして、どんどんやっていこうということで積極的に取り組んでいるところでございます。
一方、中長期にわたる継続的な取り組みが必要な環境の改善、こういったものにつきましても、汚濁負荷量の把握でありますとか、森林の保全整備とか、公共下水道の整備、また、農業・漁業集落排水事業、こういったものを着実に推進することといたしております。
しかし、先ほど水産漁港課長が申し上げましたとおり、今漁期の秋芽ノリが大変厳しい状況にあると、こういったことと、依然ノリ養殖につきましては大変不安定な状況にあるのが現状でございます。これの安定生産につきましては、今後とも、重要な課題として我々いろんな角度から取り組む必要があると、こういうふうに認識をいたしております。
そういった中で、資源が激減していると言われている貝類のうちに、アゲマキにつきましては、昨年八月に東与賀町の干潟に稚貝が大量に発生しているのが確認されたり、また、先日実施したタイラギの生息調査では、かなりの生息が確認されるといったような、わずかではございますが、明るい兆しも一方では見えているような気もいたしております。
いずれにいたしましても、有明海の水産業の振興につきましては、ノリ養殖の安定生産、それからまた、貝類資源の回復、これは不可欠でございます。今後とも、国や関係県と連絡を密にしながら、現在、私どもが策定いたしております県計画を中心といたしまして、これを着実に推進することによりまして、有明海の再生に努めてまいりたいと、このように考えております。
199 ◯木下委員=それでは、二点目の林業行政のあり方について進めさせていただきたいと思います。
世界的にも、また、全国的にも自然環境を守るというためのいろんな施策が行われておりますが、その施策の一つとして、やはり自然の破壊につながるようなもの、これは避けていこうということから、脱ダム宣言をする県が数多く出てきております。
災害の防止、そしてまた、水資源の確保等を目的としたダムでございますが、これが何といっても、自然破壊の大きな要因をなすというようなことがあって、いろいろ論議がなされております。
そこで、森林の持つ機能を十分に発揮すればよいのであって、その意味からいえば、森林は、ある意味では緑のダムとも呼ばれており、私もそう思っておりますが、森林の持つ保水力、いわゆる水源の涵養機能は、自然のダムそのものであると思っております。
森林に降った雨は、葉や幹を伝わり、土壌の中に蓄えられて、徐々に吐き出しているのであります。このように、自然のダムとも言える森林がその機能を十分に発揮するためには、森林を適正に管理し、そしてまた、保全をしていく必要があると思うところでございます。
そのような観点から質問をしたいと思います。
まず、森林の保全対策についてであります。
一点目として、森林の所有形態についてでございます。
本県の森林面積及び国有林、県有林、私有林など、その所有形態はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
200 ◯高原林政課長=森林の所有形態についてお答えいたします。
本県の森林面積は約十一万ヘクタールとなっておりまして、このうち国有林が一万六千ヘクタールの一四%を占めております。また、県有林、市町村有林、あるいは緑資源機構造林などの公有林が一万五千ヘクタールとなっておりまして、これが一四%を占めております。残りが個人や会社等の私有林でございまして、七万九千ヘクタールで七二%を占めているところでございます。
201 ◯木下委員=それでは、私有林の森林整備についてでありますが、公有林については公費で予算の中で管理ができるということでございますが、問題は私有林でございます。これまでのように材価がいいときは林業という生産活動を通して保全をされてきておりましたけれども、材価が今のような状況では森林を守っていくのが大きな課題でございます。
そこで、私有林の保全についてどのような対策を講じているのか、お尋ねをいたします。
202 ◯山田森林整備課長=私有林の森林整備についてお答えいたします。
委員御指摘のとおり、木材価格の長期低迷によりまして、森林所有者の経営意欲が減退し、間伐等の手入れが不十分な森林が見受けられ、水源涵養機能を初めとしまして、公益的機能の発揮に支障を来すことが懸念されておるところでございます。
県におきましては、私有林において植林や下刈り、間伐などの森林整備に係る経費につきましては、造林事業によりまして国及び県で助成し、また、公益的機能の高度発揮が求められながらも機能が低下した保安林につきましては、治山事業により、県が直接森林の整備を実施しているところでございます。
203 ◯木下委員=先ほど所有林形態の答弁の中でもありましたが、私有林というのが、この資料では七七・六%となっているわけでございまして、後継者問題が大変でございます。特に林業は収穫まで三代と、こう言われておりますね。ちなみに商業は毎日、我々公務員は一カ月に一回、農業は一年に一回、そして林業は三代にわたってという、非常に長いスパンでやっておるわけですね。そういう人たちが、この資料によりますと、今七七・六%という大半を占めておるわけです、全体の中でですね。その中でも財産分与の問題で、法律でいろいろあろうかと思いますが、三代するとずうっと小さくなっていくんですね。
林業ではないですけど、農業にしろ商業にしろ、やっぱり合併して強くなっていこうとする中で、林業は三代にわたってずうっとこう、今の法律でいきますと、孫の段階では面積がだんだんだんだん小さくなっていく、そのことが経営がうまくいかない、そういうふうな問題があろうかと思います。その辺は後継者づくりの中でそういう話を私は聞いたことがありますが、その点いかがですか。
204 ◯高原林政課長=委員御指摘のとおり、林業につきましては、植栽してからお金になるまで非常に年数がかかるということで、また、相続の問題、これは林業におきまして一つの大きな問題であると認識しております。
佐賀県におきましても、森林の所有規模が比較的小さいという形で、なかなか独立した林業経営が成り立つという形の所有規模というのは非常に少なくなっているというふうに認識しております。
205 ◯木下委員=農業では二十ヘクタールあれば何とか農業だけで食えると、こう私はいつも言っておりますが、林業の場合は大体どのくらいで林業だけで食えるんですか、どういう基準をお持ちですか。
206 ◯高原林政課長=材価がここ数年でも非常に落ちてきておりまして、一概にこのヘクタールであれば、十分な林業経営ができますという状況にはなかなかないもんでございますけれども、通常、例えば百ヘクタールでありますとか、二百ヘクタールでありますとか、そのぐらいの規模がないと、いわゆる独立した林業経営としては困難であろうというふうに言われております。
207 ◯木下委員=確かにそういう問題があろうかと思います。そこで、私有林のことに関連してお尋ねいたしますが、現状では高齢化が進んでみたり、実際に山に入って間伐などの森林整備を森林所有者みずからが行うというのは非常に困難と考えるわけです。
そこで、私は森林組合等を主体とした管理組合というようなものからやっていかないと、なかなか個人は難しいんではないかと、このように思うわけですが、森林組合等を主体とした管理運営についてはどのようにお考えなのか、お尋ねします。
208 ◯高原林政課長=森林組合等を主体とした管理ということでございますが、御指摘のとおり、森林所有者が高齢化している、あるいは後継者の山離れといったようなことで、個人での間伐などの森林整備というのが困難になってきている状況と考えております。このため、間伐などの造林事業につきましては、森林組合が森林所有者の委託を受けるといったような形で補助金と負担金により実施している状況でございます。
また、森林組合が不在村森林所有者などから十年以上の長期の施業委託という形で受けまして、森林整備を行う場合に、委託金などについて助成、支援しているというような措置をとっているところでございます。
このような制度を活用いたしまして、森林組合が高齢化、あるいは山離れする森林所有者にかわりまして、手入れの不足した森林を積極的に管理するように働きかけてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、森林組合は今後、地域の森林整備の中心的な役割を果たすものとして期待しているところでございまして、合併等による経営基盤の強化を図るとともに、実際に施業に取り組む作業班などの担い手の育成と、こういったことにも引き続き努めてまいりたいと考えております。
209 ◯木下委員=次に、森林の公的管理についてお尋ねしたいと思いますが、実際に森林所有者や、そしてまた森林組合等が行っているところは別として、どうしても実施されないところなどについては、私は県などの公的機関による管理も必要になってくると、このように考えるわけですが、どのようにお考えか、お尋ねします。