7 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。(拍手)
*
嘉村議員質問
8 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 皆さん、おはようございます。
民主県政クラブ県議団、嘉村薫でございます。四月に糸島市から初当選をさせていただきました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
質問の前に、私の地元糸島市を少し紹介させていただきます。
糸島市は、豊かな自然と
糸島ブランドと呼ばれる新鮮で安全な農畜産物があります。また、観光資源に恵まれ、市外から多くの方々に憩いを求めて訪れていただいております。世界的な情報誌「モノクル」では、そのような糸島市を生活の質が優れていると評価され、二〇二一年には、世界で最も魅力的な小都市として世界三位にランクインするなど、注目される町として知られています。一方では、
玄海原子力発電所から三十キロ圏内におよそ一万五千人が暮らしておられ、先日、
原子力発電所の運転期間を最長六十年までとすることが可能となったGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法の成立によって、より一層の不安を抱えていらっしゃることも注目していかなければなりません。地元課題として、このような点について大きな懸念を持っています。
それでは、通告に従いまして、子供の
居場所づくり及び
地域公共交通の維持、確保について質問をいたします。
国では、本年四月から、子供の最善の利益を第一とし、子供の視点に立った当事者目線の政策を強力に進めていくことを目指して、
こども家庭庁を発足させました。
こども家庭庁は、
子供真ん中社会の実現を最
重要コンセプトとして掲げ、子育て政策の司令塔と位置づけられています。この
こども家庭庁を発足させた背景には、深刻な少子化、コロナ禍で加速した児童虐待やいじめ問題、貧困問題、子供の幸福度の低さ、親の子育て負担の増加などがあると考えられます。
本県においても、
こども家庭庁の発足に合わせ、本年四月に福祉労働部に
こども未来課が新設されました。
こども未来課は、
こども家庭庁との窓口で、子供政策を総合的に担当する部署として、複数の部局にまたがる課題に機動的に対応する役割を担うこととされています。また、子供の貧困問題や学校や家庭以外の
居場所づくりなど部局横断的な課題に対応し、四月から施行された
こども基本法で取りまとめが求められている
こども計画の策定も担うこととなっています。
こども基本法は、子供の権利の保障を明記し、子供政策を推し進めていくための根幹となる考え方や姿勢を表したものとなっており、
こども家庭庁の創設と同じタイミングで新しく施行されました。この
こども基本法の基本理念には、基本的人権が保障され、差別的扱いがされないこと、教育の機会がひとしく与えられること、自分の意見を表明できる機会が確保されることなどが盛り込まれています。
こども基本法が成立し施行されたことで、全ての子供の権利が法律によって守られることになり、例えば不登校の児童生徒やいじめや虐待などの困難な状況に置かれている子供も、国や自治体が支援する必要性が改めて示されました。本県も、この状況に応じた施策を策定し、実施する責務を負うことになり、子供施策が円滑に行われるよう、医療、保健、福祉、教育、療育など、これらに関する業務を行う関係機関、民間団体との相互の有機的な連携の確保に努めなければならないこととなっております。
服部知事は、昨年十二月議会において、子供の健やかな成長に対して切れ目のない支援が受けられ、子供の意見が尊重されることを推進することにより、
子供真ん中社会を目指すと決意を述べられています。
そこで、子供を取り巻く実情を踏まえた支援の充実を求めて質問いたします。昨今、子供たちが置かれている環境は多様化、複雑化しており、何らかの要因や背景によって学校に行かない、行けない状況にある不登校の子供も年々増加しています。令和三年度の
県内公立小中学校における不登校の子供は一万二千六十九人となっています。また、
虐待対応件数は、政令市を含めて一万一千二百三十二件となっています。こうした家庭や学校に居場所がない困難な状況に置かれている子供が増加する中、子供がのんびり安心できる場や様々な体験活動ができる場、学習支援の場など多様な居場所が必要と考えます。
ふくおかフリースクールフレンドシップ協議会の調査によると、
フリースクールの数は県内で四十一か所となっています。県では、このうち一定の基準を満たした
フリースクール十一か所へ運営費を補助しているようですが、ほとんどは補助金をもらわず、民間機関の力だけで運営している状況です。私は、こうした
フリースクールだけでなく、もっと多様な居場所が増えてほしいと思っているところであり、行政が主体的に学校や家庭以外の第三の場所を整備していくことが必要ではないかと考えています。
そこで、困難な状況にある子供のための
居場所づくりを県としてどのように進めていく考えか知事にお尋ねいたします。
次に、
地域公共交通の維持、確保について質問します。
本県は、交通を取り巻く状況の変化を踏まえ、国、県、市町村といった行政機関のみならず、県民、
交通事業者などあらゆる関係者が協働し、交通に関する諸政策を推進するために、令和四年三月に
交通ビジョン二〇二二を策定しています。福岡県総合計画の部門計画として、四つの基本方針を基に取り組むべき交通施策の方向性を示すもので、令和四年度から令和八年度までの五年間を取組期間とし、住み慣れたところで働く、暮らす、育てることができる持続可能な交通の実現を目指して取り組んでいます。
本県の高齢化率は年々増加しており、
国立社会保障・
人口問題研究所によると、令和二十七年には約三五%に達すると予測されています。七十五歳以上の運転者については、
改正道路交通法により、従来から実施している
運転免許証更新時の
認知機能検査に加えて、一部の運転者を対象とした
臨時認知機能検査が導入されています。さらに、一定の違反歴がある七十五歳以上の運転免許証の更新を受けようとする運転者を対象とした
運転技能検査も導入されています。このことから、運転免許の取消しや自主返納が増加傾向にあります。このような状況では、鉄道やバスなどの
地域公共交通を利用することの困難なエリア、いわゆる
公共交通空白地域に住む県民の買物や通院などの生活交通を確保しなければなりません。
そこで一点目に、県民の移動の権利を保障するためには、
コミュニティーバスや
AIオンデマンドバスなどのさらなる普及を進め、支援していく必要があると考えますが、そのためにどのように取り組むおつもりかお答えください。
次に、人口減少などを背景として
地域公共交通の利用者が減少し、乗合バスの地方部の収支は約一五%の赤字となっており、厳しい赤字構造下にあります。また、バスやタクシーなどの運転手不足が年々深刻化しており、赤字や運転手不足による路線バスの廃止や減便の事例が発生しています。そのような状況下では、高齢化や免許返納により公共交通を求めている地域に
公共交通網を巡らすことができないことにもなっています。
地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保を目的とした
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律は、
交通事業者をはじめとする地域の関係者と協議しながら、公共交通の改善や移動手段の確保に取り組むことを促しています。また、同法に基づく基本方針には、地域の輸送資源を総動員した住民や来訪者の移動手段の確保、新たな技術やサービスを活用した利便性向上の促進などが必要であると示されています。
そこで二点目に、この法律の趣旨を踏まえ、持続可能な
地域公共交通の維持、確保のために福岡県としてどのように考え、どう進めていくのかお示しください。
以上で私の質問を終わります。知事の御答弁をよろしくお願いをいたします。(拍手)
9 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
10 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
行政が主体的に行う子供の
居場所づくりについてお尋ねがございました。県では、不登校の子供へ学習支援を行います
フリースクールに助成を行っておりますほか、昨年度からは、不登校の子供を含め、学校や家庭に居場所がない子供に安全・安心な居場所を提供し、その子供の抱える課題に対して学習、食事の支援などを行います市町村に対し、施設整備や運営費を補助する子供の
居場所支援事業を開始いたしました。昨年度から行橋、宗像の二市が取組を始めまして、今年度新たに二つの市町が居場所を開設することとなっております。
この市町村が運営する居場所事業につきましては、昨年六月の
児童福祉法改正によりまして、来年四月からは
児童育成支援拠点事業として法定化されまして、財源が措置されますことから、昨年八月と十一月に開催いたしました市町村に対する子供施策に係る説明会におきまして、積極的な実施を要請したところでございます。引き続き、子供施策に関する
市町村説明会や
支援メニューの
コーディネート機能を持つ
こども家庭センターの設置協議の場などにおきまして、市町村に対し、積極的な実施を働きかけてまいります。
次に、
コミュニティーバスや
AIオンデマンドバスのさらなる普及支援についてでございます。
県では、公共交通が空白となっている地域やバス路線が廃止となった地域における移動手段となります
コミュニティーバスを導入した市町村に対し、運行経費や車両購入費を助成しております。さらに、市町村が
コミュニティーバスを導入する際、最適な運行ルートの設定、持続可能な運行形態の選択を行いますための
実証運行経費に対する助成も行っております。また、人工知能を活用いたしました
AIオンデマンドバスは、予約の受付、配車、ルート設定の自動化による運行の効率化と車両の小型化による運転手不足の解消につながりますため、都市部のみならず、過疎地域における移動手段としても期待されます。県では、こうした新たな移動手段を導入いたします市町村を支援するため、導入費や運行経費の助成、優良事例の紹介等を行っているところでございます。今後も、通勤、通学、通院、買物といった日常生活に欠かすことのできない移動手段を確保するため、市町村に対し、
コミュニティーバスや
AIオンデマンドバスの導入を支援してまいります。
持続可能な
地域公共交通の維持、確保のため、県では、先ほど申し上げました
コミュニティーバスや
AIオンデマンドバスの運行に対する助成に加えまして、複数の市町村にまたがります
広域バス路線や糸島市、宗像市、新宮町などの離島航路に対して助成を行っております。また、
平成筑豊鉄道をはじめとする
地域鉄道事業者に対しましては、信号や線路など
安全輸送設備への助成を行っております。さらに今年度からは、久留米地域、有明地域、
日田彦山線BRT沿線の三地域におきまして、市町村、
交通事業者、
観光事業者等と連携し、デジタル技術を活用した
MaaS導入の実証実験を行います。この実証実験を通じ、買物や通院をはじめとする日常生活でのMaaSの活用について検討を進めますとともに、複数の異なる
交通事業者間でのダイヤの調整や乗り継ぎの利便性向上を図りまして、
地域公共交通の利用を拡大させたいと考えております。
このような様々な取組によりまして、人口減少や高齢化などに伴い厳しい状況となっております
地域公共交通の維持、確保を図ってまいります。
11 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。
12 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 三点にわたる質問に対し御答弁をいただきありがとうございました。私は、いずれも非常に重要な課題と認識しております。そこで最後に要望をいたします。
今回、子供の居場所を確保していくことと併せて、様々な環境に置かれている子供に対する支援施策を、組織を再編し集中して進めていただくことを評価していますし、子供支援の充実につながることを大いに期待しています。しかし、子供施策を具体的に進める上では、多くの関係する他部局などと連携をする必要があり、その連携を十分に図っていただかなければ前に進みません。これから策定される
こども計画の議論をはじめ、
こども基本法に基づく総合的な支援をしっかり牽引いただき、本県に暮らす子供誰一人取り残すことがないように、部局横断的な実効性のある連携を強く要望し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
13 ◯副議長(佐々木 允君) 永島弘通君。(拍手)
*
永島議員質問
14 ◯十番(永島 弘通君)登壇 皆様、おはようございます。公明党の福岡市南区選出の新人、永島弘通でございます。新人らしく元気いっぱいやらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
女性警察官の増員についてお聞きいたします。
全国の
都道府県警察で
女性警察官の採用、登用拡大が本格的に始まってから十年以上が経過をいたしました。警察庁によると、二〇二一年四月時点で、全国の警察で
女性警察官が占める割合の平均は一〇・六%と過去最高を記録いたしました。福岡県警とされましても、
女性警察官が仕事と家庭のバランスを取れるような業務分担ができるポストの運用や、
イクメン男性職員の拡充に力を入れるなど取組を進められたと聞いております。福岡県警の
女性警察官の数は、二〇二一年時点で約九百九十人、全体の八・八%であり、二〇一一年の約五百五十人、五・一%に比べますと徐々に増えてはいますが、この割合は全国で最低だったとお聞きをしております。
私のほうに寄せられた県民の方々の声によると、交番に
女性警察官が少ないというお声をよく耳にいたしました。特に若い女性から、女性特有の相談をしたい場合、相手の警察官が男性だとどうしても全てを話しづらいとのことです。やはり緊急事態が起きてとっさに交番に駆け込んだとき、そこに
女性警察官がいれば、常駐をしていれば、県民、なかんずく女性にとっては大きな安心感につながると思われます。
そこで、県警本部長に四点御質問をいたします。
一点目は、福岡県警察における
女性警察官の採用、登用の目標と現在の警察官に占める
女性警察官の割合及び
女性警察官の数をお聞かせください。
二点目です。現在の人口減社会の日本にあって、特に若手の人口減少が進む中、人材確保の問題は今や官民、そして全業界を超えて最大の課題と言っても過言ではございません。その点も踏まえ、
女性警察官の増員についてどうお考えかお聞かせをください。
三点目は、先ほども申し上げたとおり、県民の声として、
女性警察官の交番配置の拡大が望まれており、私としましても、今後の
女性警察官の交番配置の拡大や
女性警察官用の施設の整備は必須と考えます。現在の県警における
女性警察官が配置されている交番の数や
女性警察官用の施設を整備をされている交番数など、
女性警察官の交番配置に関する具体的な数値をお聞かせください。また、今後の
女性警察官の交番への配置について、どのようにお考えかお聞かせください。
最後の四点目です。女性の相談窓口の体制についてお聞きいたします。県警の調査によると直近三年間の県警への全相談件数は、令和二年が七万八千七十六件、令和三年が八万四千三百二十六件、令和四年が九万百六十七件と年々増加の一途をたどっております。一方、
女性警察官の増員には時間がかかることも事実でありまして、当面は女性の相談の体制も拡充することが必要と考えます。現在、県警とされまして、女性が二十四時間相談ができる体制にどのようなものがあるのか、また、そのさらなる周知に向けてどのように取り組まれるのかお聞かせください。
以上で私の一般質問を終わります。大変にありがとうございました。(拍手)
15 ◯副議長(佐々木 允君) 岡部警察本部長。
*警察本部長答弁
16 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 まず初めに、
女性警察官の採用、登用拡大の計画と、本年四月一日現在における全警察官の定員に占める
女性警察官の割合及びその人数についてお答えを申し上げます。
県警察では、令和五年度までに全警察官の定員に占める
女性警察官の割合を一〇%とする目標を掲げておりましたところ、本年四月一日現在、全警察官の定員に占める
女性警察官の割合は一〇・〇%となり、その人数は約千百三十人となったところであります。
次に、今後の
女性警察官の採用、登用拡大についてお答えをいたします。
県警察として掲げておりました一〇%という数値目標に到達したところでありますが、国の第五次男女共同参画基本計画において、地方警察官に占める
女性警察官割合を令和八年度当初までに一二%程度とする数値目標が掲げられておりますので、引き続き
女性警察官の採用、登用拡大を進めていくこととしております。
次に、
女性警察官の交番配置に関する具体的な数値及び今後の
女性警察官の交番への配置についてお答えを申し上げます。
本年四月一日現在、県内二百二十二交番のうち四十三交番に、仮眠室、トイレ、シャワー室などの女性用施設を整備しており、四十二交番に約百四十人の
女性警察官を配置しております。県警察といたしましては、引き続き交番の女性用施設の拡充と併せて、管内の治安情勢に応じた配置拡大を検討してまいります。
最後に、女性が二十四時間相談できる体制についてお答えを申し上げます。
県警察では、全警察署において執務時間外に女性から各種相談を受けた場合には、
女性警察官等が対応できるようにしております。また、警察本部においては、性犯罪被害相談電話シャープ八一〇三、通称ハートさんを設置し、性犯罪被害者やその家族等からの相談に対し、原則、女性の臨床心理士または
女性警察官が二十四時間対応できる体制を整備しております。県警察といたしましては、引き続きこれら相談窓口について、ホームページ、ポスター等の各種広報媒体を活用して県民の皆様への周知を図ってまいります。
17 ◯副議長(佐々木 允君) 大塚絹子君。(拍手)
*大塚(絹)議員質問
18 ◯七番(大塚 絹子君)登壇 皆さん、おはようございます。新政会福岡県議団、北九州市八幡東区選出の大塚絹子でございます。まずは、初めて一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。新人議員で若輩者でございますが、先輩議員の方々、そして執行部の皆様方の御指導の下、福岡県の皆様のお役に立てるように精いっぱい努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、空き家問題についてお尋ねいたします。
さきの県議選で八幡東区内の活動中、空き家になってしまったお宅の急増したこと、また放置空き家の多さに愕然とし、地域が寂しくなる印象を強く抱きました。平成三十年に総務省が実施した住宅・土地統計調査で、八幡東区の住宅総数が三万七千五百軒のうち、賃貸や売買等を除いた利活用されていない空き家が四千四十軒とのことで、住宅総数における割合が一〇・八%、つまり十軒に一軒以上は利活用されていない空き家という状況でした。ちなみに、福岡県の住宅総数は二百五十八万一千九百軒で、利活用されていない空き家は十二万五千軒となっています。
国立社会保障・
人口問題研究所の推計によると、県の人口や世帯数は近い将来減少局面に入っていくものと見込まれており、それに伴い、空き家の増加も予想されています。中でも、適切な管理が行われず老朽化した危険な空き家の増加も懸念されており、野生動物のすみかになるなど、衛生上の問題や火災や不法投棄など、防災、防犯上の課題も抱えています。
空き家問題、とりわけ適正な管理が行われていない老朽化した空き家の対策として、本県がどのようなお取組をされてきたのか御説明願います。
次に、空き家の利活用についてお伺いいたします。
前述の老朽化した空き家を抑制するためには、適正に管理された空き家を利活用していくことが重要となります。人口の多い団塊の世代が二〇二五年頃に七十五歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会が訪れることで生じる様々な社会的影響について、二〇二五年問題と称されています。この団塊の世代の多くが持家を持っていることから、今後その所有する不動産の相続ラッシュが予想されます。ただ、団塊ジュニアの世代も既に持家を所有していたり、遠方に勤務しているケースも多いことから、相続後、代替わりで居住しづらく、そのまま空き家になる可能性が高いと言えます。団塊世代の人口の多さを考えると、その発生数は今の比ではないと考えられます。
相続を機に空き家となっていかないよう、活用や処分の具体的な方法を事前に検討していただくよう、公的機関からも働きかけを強くする必要があります。既に本県では、福岡県空き家活用サポートセンター、愛称イエカツを福岡天神のアクロスの中に設置をされています。イエカツは、専門知識を有する相談員さんが、空き家の所有者、その予備軍等に対して、相続の相談対応から活用、処分の具体的な提案、さらには専門業者とのマッチングまでをワンストップで対応されています。私の友人が相続をした御実家の活用をイエカツさんのほうに相談をしたことがあり、経緯を聞いたところ、不動産会社を二社公募で御紹介いただき、その提案の一つに、シングルマザーや低所得の高齢者の方向けの賃貸事業のため不動産会社が当該物件を購入するというものがあり、そちらにお願いをすることにしたと教えてもらいました。イエカツが公的機関で安心感があり、業者の方も丁寧な印象だったという意見も聞いております。このほかにも、イエカツには様々な活用事例が生まれていることと思います。
二〇二五年問題と言われる年を一年半後に控え、空き家の発生を根本から抑制していくためにも、住宅の相続を円滑に進め、利活用される中古住宅を増やしていくことが望まれます。本県の取組として、イエカツでの対応実績等を生かしつつ、高齢の持家所有者御本人やその御家族への啓発や情報提供を強化していくべきと考えますが、知事の御見解をお願いいたします。また、本県における取組状況をお聞かせ願います。
質問は以上でございます。ありがとうございます。(拍手)
19 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
老朽空き家に対する県のこれまでの取組についてでございます。
空家等対策の推進に関する特別措置法では、市町村は、空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めることとされております。また、県は、市町村に対する情報の提供や市町村相互間の連絡調整など、必要な援助を行うよう努めることとされております。
県では、空き家に関する様々な課題を把握し、対策の検討を行いますため、県庁の関係課、全ての市町村、宅建業団体、司法書士会など関係十団体で構成いたします福岡県空家対策連絡協議会を設置しておるところでございます。この協議会では、市町村にとって大きな課題となっております老朽空き家のうち、周辺に悪影響を与えます、いわゆる特定空家等につきまして、その判断基準や所有者に対する勧告、命令、さらには代執行等の措置を行う際の手順などを示した手引を作成いたしております。併せて、市町村職員向け説明会を開催いたしますなど、市町村の取組を支援しておるところでございます。
持家を所有する、住宅を所有する高齢者やその御家族に対する啓発、情報提供についてでございます。
空き家の発生を抑制するためには、住宅を所有していらっしゃる高齢者やその御家族が、空き家になる前からその利活用、あるいは処分のことを考えていただくことが重要であると考えております。このため県が宅建業団体、司法書士会などの関係団体と連携して運営をいたしております福岡県空き家活用サポートセンター、議員もおっしゃっておりました通称イエカツでは、住宅を所有いたします高齢者やその御家族から住まいの将来について御相談があった場合には、これまでの利活用につながった事例も踏まえながら活用方法に関する具体的な提案を行うほか、住宅や土地に関する権利関係の整理が必要な場合には、司法書士などの専門家とのマッチングまでワンストップで対応いたしております。
また、このイエカツでは、空き家や将来空き家になる可能性の高い住宅の所有者等に対しまして、県内各地におきまして年間十回程度セミナーを開催をいたしておりまして、家の相続に関するテーマを取り上げまして啓発や情報提供を行っておるところでございます。
今後とも、このイエカツ等を活用し、県といたしましても、この空き家対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
21 ◯副議長(佐々木 允君) この際、しばらく休憩をいたします。再開は午後一時といたします。
午 前 十一時 五十一分 休 憩
午 後 一 時 一 分 再 開
22 ◯議長(香原 勝司君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。永川俊彦君。(拍手)
*永川議員質問
23 ◯二十四番(永川 俊彦君)登壇 皆様、こんにちは。今回より
自民党県議団として登壇させていただきます永川俊彦でございます。
自民党県議団、藏内勇夫相談役、松尾統章会長、松本國寛前会長、自民党県連原口剣生会長をはじめ、諸先輩の皆様方の深い御配慮に心より感謝を申し上げます。また、初当選以降、本日この場に至るまでお導きをいただきました井上忠敏緑友会前会長に重ねて感謝を申し上げます。
それでは、通告に従いまして、重要港湾三池港の利用促進について質問をさせていただきます。
本県は多数の港湾を有し、それぞれが物流の場、生産の場、憩いの場といった多様な機能を担っております。その中でも県管理の重要港湾に指定されている港湾は苅田港、三池港の二つであり、国内外の貿易活動において重要な役割を果たし、国民生活と産業活動を支える物流及び生産基盤であり、経済の発展に大きく寄与をしております。
苅田港は瀬戸内海に面し、東九州自動車道、北九州空港に近接した陸海空の結節点であり、臨海部に電力やセメント、自動車企業の進出とともに発展し、外国貿易と国内貿易の品目を取り扱う北部九州の物流拠点として重要な役割を担っております。
もう一つの重要港湾は、福岡県の最南端、私の地元大牟田市にある三池港でございます。今回着目した三池港は、有明海に面し、アジアに開かれた物流拠点です。三池炭鉱から産出された石炭を有明海特有の激しい干満差の影響を受けることなく直接船積みし、安定的な積出しを可能とする港として着工され、明治四十一年に開港、現在、百十五年の歴史があります。平成二十七年には、明治日本の産業革命遺産の構成資産として世界文化遺産に登録され、その価値を保全していくこととなっております。
築港に当たっては、当時、中心人物でありました現経団連の初代会長として大正から昭和初期の我が国財界をリードした團琢磨氏の、石炭山の永久はあり得ない。築港をしておけば産業を興し、これから百年の地域の基盤になるであろうという思いが込められております。時代の流れに即し、石油へのエネルギー転換や輸入石炭への転換、産業構造の変化などにより三池炭鉱が閉山になった平成九年以降は、県、国が埠頭や航路など公共港湾施設の整備を進めており、平成十八年には、三池港-釜山港間の国際コンテナ定期航路が週一便で開設され、国際物流拠点としての発展を遂げました。平成二十二年からは週二便となり、利用荷主企業は福岡県南部をはじめ、隣接する荒尾市、玉名市などの熊本県北部や佐賀県まで利用地域を拡大、有明海沿岸道路の延伸もあり、港湾と道路の連携が格段に向上し、特に家具の産地でもある大川市では、家具や家具材の取扱いが増えたことで、三池港のコンテナ貨物取扱量も数年前までは右肩上がりに伸びている状況であったと報告を受けております。
ところが近年、貨物の海上輸送に関しては、世界的な新型コロナの感染拡大の長期化から国際物流市場が混乱し、海上輸送運賃が高騰したと言われております。特にコンテナ貨物においては、世界各国の主要な港において荷役作業員やドライバー不足等により通常の港湾荷役作業が遅れ、コンテナが港で滞留し、結果、空のコンテナが不足するといった事態が発生しております。三池港においても、週二便になっていた国際便は現在週一便に減便され、利便性の低下に比例し、利用者も減少しているとのことでした。
そこで、まず初めに、近年の三池港全体の取扱貨物量の推移について服部知事にお伺いいたします。
それらを踏まえ、港の整備に関してお尋ねをいたします。
これまでも三池港は、明治四十一年の開港以降、激動の時代の流れに即し、様々な整備が行われてまいりました。三池港の開発に伴い、三池港周辺においては化学工業を中心とする製造業や再生可能エネルギー産業が発展してきました。港を整備することにより物流の効率化が進み、地域経済の発展と背後企業の国際競争力の強化が考えられます。今後、三池港が県南の物流拠点として船社や荷主など港湾利用者から選ばれる港となり、本県経済の活性化に寄与していくためには、港湾利用者のニーズに合わせた施設整備が重要であると考えます。
そこで、これまで県として三池港の施設整備をどのように進めてきたのかをお伺いいたします。
三池港の発展は、地元大牟田市をはじめ、県南地域の経済や産業の振興そのものに直結するものであります。現状を踏まえ、三池港を利用する荷主企業貨物の動向や今後のコンテナ定期航路の見通しについては大いに注目されるところであり、新たなコンテナ定期航路の誘致やコンテナ貨物の増加促進が重要であると考えております。
そこで最後に、三池港の利用促進や施設整備に対する本県の今後の取組についてお伺いし、一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
24 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
25 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。