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令和5年6月定例会(第10日) 本文
令和5年6月定例会(第10日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2023-06-10
    令和5年6月定例会(第10日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(佐々木 允君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。吉田健一朗君。(拍手) *吉田(健)議員質問 2 ◯四十四番(吉田 健一朗君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団吉田健一朗でございます。通告に従い、里山における鳥獣被害対策について質問いたします。  全国の野生鳥獣による農作物の被害額は約百六十億円前後で推移しており、その多くがイノシシや鹿によるものとなっています。また、鳥獣被害は、生産者の営農意欲の減退や森林の下草や地面が荒らされることによる土壌の流出、希少動物の食害など、金額として表れる以上に農山村地域に深刻な影響を及ぼすものであります。このため福岡県は、鳥獣被害の軽減に向け、侵入防止柵の設置や有害鳥獣の捕獲、さらには獣肉の利用促進といった対策に一体的に取り組み、令和三年度の被害額は約七億四千万円と、ピークであった平成二十二年度の半分まで減少していると聞いております。  しかしながら、いまだ被害に悩まれている方が多くおられるのも事実であり、対策が十分であるとは考えられません。私の地元古賀市においても、電気柵などの設置や猟友会による捕獲の推進など、関係者が連携して対策に御尽力されておりますが、依然として特産のミカンや米などが収穫直前にイノシシによる食害に遭い、悔しい思いをされたという農家の皆様の声が私のところにも多く届き、非常に心を痛めております。  また、近年では、人が多く住む住宅地の近くでもイノシシの目撃情報が増えてきております。つい先週も、北九州市の市街地にイノシシが出没したというニュースが報道され、こんな町なかまで出てくるのかと驚くと同時に、過去に地元の古賀市の市街地にも出没したことを思い出し、改めて身近な危険であると認識したところです。本来、イノシシなどの野生動物はとても警戒心が強く、人がいると恐れて出てくることはないため、かつてはその姿を目にする機会はほとんどありませんでした。それが住宅地にまで出没するようになってきた要因の一つは、私たちの身近にあった里山の持つ人と野生動物の生息域を緩やかに分けていた機能が失われてきていることにあるのではないかと感じているところです。  里山とは、一般的に、集落や人里の周りにある山林や農地などで構成される地域のことであり、山林が国土の七割を占める私たちの周り、至るところに存在し、まさに日本の原風景を形づくっていました。この里山では、かつては燃料となるまきや炭の材料となる雑木の採取に加え、キノコやタケノコ、山菜などの生産、さらには田畑を維持するための水路の整備や管理が行われるなど、常に人の手が入ることで山林に光が差し込み、豊かな生態系が維持されていました。その結果、警戒心の強いイノシシなどの野生動物は人に姿を見られるのを嫌って集落に近づきにくくなり、図らずも生息域を隔てている境界となっていたわけであります。  しかし、近年では過疎化や高齢化などで人の手が入らなくなった山林や田畑などが増加し、生息域を分ける境界としての機能を失った里山が増えてきています。このような元里山では、放置された柿やかんきつなどの果樹、山芋などの野菜が自生し、餌を求める野生動物を呼び寄せてしまうことに加え、草刈りがされず、やぶとなってしまう場所が増えることで、警戒心の強いイノシシなどが潜みやすい環境が整ってしまいます。その結果、生息域の境界が曖昧となって、人の住む住宅地のすぐそばまでイノシシなどが近づき、今度は人の捨てた食品などの味まで覚え、出没を繰り返すようになったと考えられております。  野生動物が増えるということは、それだけ豊かな自然環境が多いという証拠でもありますが、その反面、人との接触機会が増えることで様々なあつれきを生んでしまうこともあります。こうした中、福岡県では、里山が持っていた野生動物と人の生息域を分ける境界としての機能を取り戻すため、市町村の取組に対して支援を行っており、昨年度は岡垣町で実施したと聞いております。  そこで、知事にお尋ねいたします。この岡垣町での取組内容と成果についてお聞きするとともに、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。(拍手) 3 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  野生動物との生息域を分ける取組についてお尋ねがございました。  県では、市町村と連携をしまして里山に野生動物が身を隠すことができない緩衝地帯を整備いたしますことで、人と野生動物のすみ分けを図るモデル事業を実施いたしております。具体的に申しますと、昨年度、遠賀郡の岡垣町の全域をセンサーカメラで調査をいたしまして、イノシシの生息密度が高い地区を特定した上で、町が行います雑草木の伐採による緩衝地帯の整備を支援いたしました。この整備後に調査を行いました結果、緩衝地帯内にイノシシが現れた頻度は整備前の百分の一まで減少しておりました。これは一つの事例ではございますけれども、取組の効果が確認できたものと考えております。  県といたしましては、この成果を踏まえまして、本年度から五つの市町に取組を拡大いたしますとともに、緩衝地帯の整備に合わせた侵入防止柵の設置や捕獲対策にも取り組んでまいります。また、こういった対策の効果を持続させるためには、この緩衝地帯の草刈りや見回りなど地域ぐるみの継続的な取組が必要でございますため、地域住民の皆様に理解を深めていただくよう研修を実施してまいります。今後も市町村と連携を図りながら、こうした取組を一体的に進め、農作物の被害軽減に努めてまいります。 5 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田健一朗君。 6 ◯四十四番(吉田 健一朗君)登壇 岡垣町の取組を御紹介いただきましたが、この取組は、一昨年のワンヘルス・地方分権調査特別委員会において、我が会派の松本議員が、野生動物の生息域と人の生息域の間に緩衝的な空間をつくることが互いにとって健全な自然環境となり、ワンヘルスの実践になるとの提案を受け、事業内容の検討が始まったものと理解しております。私の住む古賀市をはじめ、県内の農家の方々、そして自治体にとってこのイノシシ被害は生活に関わる重要な喫緊の課題であります。ぜひ今後、このワンヘルスの実践にもつながる非常に効果の高い取組をより多くの市町村で実施できるよう、しっかりとした予算措置を講じていただくことを要望いたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
    7 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。(拍手) *嘉村議員質問 8 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団、嘉村薫でございます。四月に糸島市から初当選をさせていただきました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。  質問の前に、私の地元糸島市を少し紹介させていただきます。  糸島市は、豊かな自然と糸島ブランドと呼ばれる新鮮で安全な農畜産物があります。また、観光資源に恵まれ、市外から多くの方々に憩いを求めて訪れていただいております。世界的な情報誌「モノクル」では、そのような糸島市を生活の質が優れていると評価され、二〇二一年には、世界で最も魅力的な小都市として世界三位にランクインするなど、注目される町として知られています。一方では、玄海原子力発電所から三十キロ圏内におよそ一万五千人が暮らしておられ、先日、原子力発電所の運転期間を最長六十年までとすることが可能となったGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法の成立によって、より一層の不安を抱えていらっしゃることも注目していかなければなりません。地元課題として、このような点について大きな懸念を持っています。  それでは、通告に従いまして、子供の居場所づくり及び地域公共交通の維持、確保について質問をいたします。  国では、本年四月から、子供の最善の利益を第一とし、子供の視点に立った当事者目線の政策を強力に進めていくことを目指して、こども家庭庁を発足させました。こども家庭庁は、子供真ん中社会の実現を最重要コンセプトとして掲げ、子育て政策の司令塔と位置づけられています。このこども家庭庁を発足させた背景には、深刻な少子化、コロナ禍で加速した児童虐待やいじめ問題、貧困問題、子供の幸福度の低さ、親の子育て負担の増加などがあると考えられます。  本県においても、こども家庭庁の発足に合わせ、本年四月に福祉労働部にこども未来課が新設されました。こども未来課は、こども家庭庁との窓口で、子供政策を総合的に担当する部署として、複数の部局にまたがる課題に機動的に対応する役割を担うこととされています。また、子供の貧困問題や学校や家庭以外の居場所づくりなど部局横断的な課題に対応し、四月から施行されたこども基本法で取りまとめが求められているこども計画の策定も担うこととなっています。  こども基本法は、子供の権利の保障を明記し、子供政策を推し進めていくための根幹となる考え方や姿勢を表したものとなっており、こども家庭庁の創設と同じタイミングで新しく施行されました。このこども基本法の基本理念には、基本的人権が保障され、差別的扱いがされないこと、教育の機会がひとしく与えられること、自分の意見を表明できる機会が確保されることなどが盛り込まれています。こども基本法が成立し施行されたことで、全ての子供の権利が法律によって守られることになり、例えば不登校の児童生徒やいじめや虐待などの困難な状況に置かれている子供も、国や自治体が支援する必要性が改めて示されました。本県も、この状況に応じた施策を策定し、実施する責務を負うことになり、子供施策が円滑に行われるよう、医療、保健、福祉、教育、療育など、これらに関する業務を行う関係機関、民間団体との相互の有機的な連携の確保に努めなければならないこととなっております。  服部知事は、昨年十二月議会において、子供の健やかな成長に対して切れ目のない支援が受けられ、子供の意見が尊重されることを推進することにより、子供真ん中社会を目指すと決意を述べられています。  そこで、子供を取り巻く実情を踏まえた支援の充実を求めて質問いたします。昨今、子供たちが置かれている環境は多様化、複雑化しており、何らかの要因や背景によって学校に行かない、行けない状況にある不登校の子供も年々増加しています。令和三年度の県内公立小中学校における不登校の子供は一万二千六十九人となっています。また、虐待対応件数は、政令市を含めて一万一千二百三十二件となっています。こうした家庭や学校に居場所がない困難な状況に置かれている子供が増加する中、子供がのんびり安心できる場や様々な体験活動ができる場、学習支援の場など多様な居場所が必要と考えます。ふくおかフリースクールフレンドシップ協議会の調査によると、フリースクールの数は県内で四十一か所となっています。県では、このうち一定の基準を満たしたフリースクール十一か所へ運営費を補助しているようですが、ほとんどは補助金をもらわず、民間機関の力だけで運営している状況です。私は、こうしたフリースクールだけでなく、もっと多様な居場所が増えてほしいと思っているところであり、行政が主体的に学校や家庭以外の第三の場所を整備していくことが必要ではないかと考えています。  そこで、困難な状況にある子供のための居場所づくりを県としてどのように進めていく考えか知事にお尋ねいたします。  次に、地域公共交通の維持、確保について質問します。  本県は、交通を取り巻く状況の変化を踏まえ、国、県、市町村といった行政機関のみならず、県民、交通事業者などあらゆる関係者が協働し、交通に関する諸政策を推進するために、令和四年三月に交通ビジョン二〇二二を策定しています。福岡県総合計画の部門計画として、四つの基本方針を基に取り組むべき交通施策の方向性を示すもので、令和四年度から令和八年度までの五年間を取組期間とし、住み慣れたところで働く、暮らす、育てることができる持続可能な交通の実現を目指して取り組んでいます。  本県の高齢化率は年々増加しており、国立社会保障人口問題研究所によると、令和二十七年には約三五%に達すると予測されています。七十五歳以上の運転者については、改正道路交通法により、従来から実施している運転免許証更新時の認知機能検査に加えて、一部の運転者を対象とした臨時認知機能検査が導入されています。さらに、一定の違反歴がある七十五歳以上の運転免許証の更新を受けようとする運転者を対象とした運転技能検査も導入されています。このことから、運転免許の取消しや自主返納が増加傾向にあります。このような状況では、鉄道やバスなどの地域公共交通を利用することの困難なエリア、いわゆる公共交通空白地域に住む県民の買物や通院などの生活交通を確保しなければなりません。  そこで一点目に、県民の移動の権利を保障するためには、コミュニティーバスAIオンデマンドバスなどのさらなる普及を進め、支援していく必要があると考えますが、そのためにどのように取り組むおつもりかお答えください。  次に、人口減少などを背景として地域公共交通の利用者が減少し、乗合バスの地方部の収支は約一五%の赤字となっており、厳しい赤字構造下にあります。また、バスやタクシーなどの運転手不足が年々深刻化しており、赤字や運転手不足による路線バスの廃止や減便の事例が発生しています。そのような状況下では、高齢化や免許返納により公共交通を求めている地域に公共交通網を巡らすことができないことにもなっています。地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保を目的とした地域公共交通の活性化及び再生に関する法律は、交通事業者をはじめとする地域の関係者と協議しながら、公共交通の改善や移動手段の確保に取り組むことを促しています。また、同法に基づく基本方針には、地域の輸送資源を総動員した住民や来訪者の移動手段の確保、新たな技術やサービスを活用した利便性向上の促進などが必要であると示されています。  そこで二点目に、この法律の趣旨を踏まえ、持続可能な地域公共交通の維持、確保のために福岡県としてどのように考え、どう進めていくのかお示しください。  以上で私の質問を終わります。知事の御答弁をよろしくお願いをいたします。(拍手) 9 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 10 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  行政が主体的に行う子供の居場所づくりについてお尋ねがございました。県では、不登校の子供へ学習支援を行いますフリースクールに助成を行っておりますほか、昨年度からは、不登校の子供を含め、学校や家庭に居場所がない子供に安全・安心な居場所を提供し、その子供の抱える課題に対して学習、食事の支援などを行います市町村に対し、施設整備や運営費を補助する子供の居場所支援事業を開始いたしました。昨年度から行橋、宗像の二市が取組を始めまして、今年度新たに二つの市町が居場所を開設することとなっております。  この市町村が運営する居場所事業につきましては、昨年六月の児童福祉法改正によりまして、来年四月からは児童育成支援拠点事業として法定化されまして、財源が措置されますことから、昨年八月と十一月に開催いたしました市町村に対する子供施策に係る説明会におきまして、積極的な実施を要請したところでございます。引き続き、子供施策に関する市町村説明会支援メニューコーディネート機能を持つこども家庭センターの設置協議の場などにおきまして、市町村に対し、積極的な実施を働きかけてまいります。  次に、コミュニティーバスAIオンデマンドバスのさらなる普及支援についてでございます。  県では、公共交通が空白となっている地域やバス路線が廃止となった地域における移動手段となりますコミュニティーバスを導入した市町村に対し、運行経費や車両購入費を助成しております。さらに、市町村がコミュニティーバスを導入する際、最適な運行ルートの設定、持続可能な運行形態の選択を行いますための実証運行経費に対する助成も行っております。また、人工知能を活用いたしましたAIオンデマンドバスは、予約の受付、配車、ルート設定の自動化による運行の効率化と車両の小型化による運転手不足の解消につながりますため、都市部のみならず、過疎地域における移動手段としても期待されます。県では、こうした新たな移動手段を導入いたします市町村を支援するため、導入費や運行経費の助成、優良事例の紹介等を行っているところでございます。今後も、通勤、通学、通院、買物といった日常生活に欠かすことのできない移動手段を確保するため、市町村に対し、コミュニティーバスAIオンデマンドバスの導入を支援してまいります。  持続可能な地域公共交通の維持、確保のため、県では、先ほど申し上げましたコミュニティーバスAIオンデマンドバスの運行に対する助成に加えまして、複数の市町村にまたがります広域バス路線や糸島市、宗像市、新宮町などの離島航路に対して助成を行っております。また、平成筑豊鉄道をはじめとする地域鉄道事業者に対しましては、信号や線路など安全輸送設備への助成を行っております。さらに今年度からは、久留米地域、有明地域、日田彦山線BRT沿線の三地域におきまして、市町村、交通事業者観光事業者等と連携し、デジタル技術を活用したMaaS導入の実証実験を行います。この実証実験を通じ、買物や通院をはじめとする日常生活でのMaaSの活用について検討を進めますとともに、複数の異なる交通事業者間でのダイヤの調整や乗り継ぎの利便性向上を図りまして、地域公共交通の利用を拡大させたいと考えております。  このような様々な取組によりまして、人口減少や高齢化などに伴い厳しい状況となっております地域公共交通の維持、確保を図ってまいります。 11 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。 12 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 三点にわたる質問に対し御答弁をいただきありがとうございました。私は、いずれも非常に重要な課題と認識しております。そこで最後に要望をいたします。  今回、子供の居場所を確保していくことと併せて、様々な環境に置かれている子供に対する支援施策を、組織を再編し集中して進めていただくことを評価していますし、子供支援の充実につながることを大いに期待しています。しかし、子供施策を具体的に進める上では、多くの関係する他部局などと連携をする必要があり、その連携を十分に図っていただかなければ前に進みません。これから策定されるこども計画の議論をはじめ、こども基本法に基づく総合的な支援をしっかり牽引いただき、本県に暮らす子供誰一人取り残すことがないように、部局横断的な実効性のある連携を強く要望し、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(佐々木 允君) 永島弘通君。(拍手) *永島議員質問 14 ◯十番(永島 弘通君)登壇 皆様、おはようございます。公明党の福岡市南区選出の新人、永島弘通でございます。新人らしく元気いっぱいやらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。  女性警察官の増員についてお聞きいたします。  全国の都道府県警察女性警察官の採用、登用拡大が本格的に始まってから十年以上が経過をいたしました。警察庁によると、二〇二一年四月時点で、全国の警察で女性警察官が占める割合の平均は一〇・六%と過去最高を記録いたしました。福岡県警とされましても、女性警察官が仕事と家庭のバランスを取れるような業務分担ができるポストの運用や、イクメン男性職員の拡充に力を入れるなど取組を進められたと聞いております。福岡県警の女性警察官の数は、二〇二一年時点で約九百九十人、全体の八・八%であり、二〇一一年の約五百五十人、五・一%に比べますと徐々に増えてはいますが、この割合は全国で最低だったとお聞きをしております。  私のほうに寄せられた県民の方々の声によると、交番に女性警察官が少ないというお声をよく耳にいたしました。特に若い女性から、女性特有の相談をしたい場合、相手の警察官が男性だとどうしても全てを話しづらいとのことです。やはり緊急事態が起きてとっさに交番に駆け込んだとき、そこに女性警察官がいれば、常駐をしていれば、県民、なかんずく女性にとっては大きな安心感につながると思われます。  そこで、県警本部長に四点御質問をいたします。  一点目は、福岡県警察における女性警察官の採用、登用の目標と現在の警察官に占める女性警察官の割合及び女性警察官の数をお聞かせください。  二点目です。現在の人口減社会の日本にあって、特に若手の人口減少が進む中、人材確保の問題は今や官民、そして全業界を超えて最大の課題と言っても過言ではございません。その点も踏まえ、女性警察官の増員についてどうお考えかお聞かせをください。  三点目は、先ほども申し上げたとおり、県民の声として、女性警察官の交番配置の拡大が望まれており、私としましても、今後の女性警察官の交番配置の拡大や女性警察官用の施設の整備は必須と考えます。現在の県警における女性警察官が配置されている交番の数や女性警察官用の施設を整備をされている交番数など、女性警察官の交番配置に関する具体的な数値をお聞かせください。また、今後の女性警察官の交番への配置について、どのようにお考えかお聞かせください。  最後の四点目です。女性の相談窓口の体制についてお聞きいたします。県警の調査によると直近三年間の県警への全相談件数は、令和二年が七万八千七十六件、令和三年が八万四千三百二十六件、令和四年が九万百六十七件と年々増加の一途をたどっております。一方、女性警察官の増員には時間がかかることも事実でありまして、当面は女性の相談の体制も拡充することが必要と考えます。現在、県警とされまして、女性が二十四時間相談ができる体制にどのようなものがあるのか、また、そのさらなる周知に向けてどのように取り組まれるのかお聞かせください。  以上で私の一般質問を終わります。大変にありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(佐々木 允君) 岡部警察本部長。 *警察本部長答弁 16 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 まず初めに、女性警察官の採用、登用拡大の計画と、本年四月一日現在における全警察官の定員に占める女性警察官の割合及びその人数についてお答えを申し上げます。  県警察では、令和五年度までに全警察官の定員に占める女性警察官の割合を一〇%とする目標を掲げておりましたところ、本年四月一日現在、全警察官の定員に占める女性警察官の割合は一〇・〇%となり、その人数は約千百三十人となったところであります。  次に、今後の女性警察官の採用、登用拡大についてお答えをいたします。  県警察として掲げておりました一〇%という数値目標に到達したところでありますが、国の第五次男女共同参画基本計画において、地方警察官に占める女性警察官割合を令和八年度当初までに一二%程度とする数値目標が掲げられておりますので、引き続き女性警察官の採用、登用拡大を進めていくこととしております。  次に、女性警察官の交番配置に関する具体的な数値及び今後の女性警察官の交番への配置についてお答えを申し上げます。  本年四月一日現在、県内二百二十二交番のうち四十三交番に、仮眠室、トイレ、シャワー室などの女性用施設を整備しており、四十二交番に約百四十人の女性警察官を配置しております。県警察といたしましては、引き続き交番の女性用施設の拡充と併せて、管内の治安情勢に応じた配置拡大を検討してまいります。  最後に、女性が二十四時間相談できる体制についてお答えを申し上げます。  県警察では、全警察署において執務時間外に女性から各種相談を受けた場合には、女性警察官等が対応できるようにしております。また、警察本部においては、性犯罪被害相談電話シャープ八一〇三、通称ハートさんを設置し、性犯罪被害者やその家族等からの相談に対し、原則、女性の臨床心理士または女性警察官が二十四時間対応できる体制を整備しております。県警察といたしましては、引き続きこれら相談窓口について、ホームページ、ポスター等の各種広報媒体を活用して県民の皆様への周知を図ってまいります。 17 ◯副議長(佐々木 允君) 大塚絹子君。(拍手) *大塚(絹)議員質問 18 ◯七番(大塚 絹子君)登壇 皆さん、おはようございます。新政会福岡県議団、北九州市八幡東区選出の大塚絹子でございます。まずは、初めて一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。新人議員で若輩者でございますが、先輩議員の方々、そして執行部の皆様方の御指導の下、福岡県の皆様のお役に立てるように精いっぱい努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回は、空き家問題についてお尋ねいたします。  さきの県議選で八幡東区内の活動中、空き家になってしまったお宅の急増したこと、また放置空き家の多さに愕然とし、地域が寂しくなる印象を強く抱きました。平成三十年に総務省が実施した住宅・土地統計調査で、八幡東区の住宅総数が三万七千五百軒のうち、賃貸や売買等を除いた利活用されていない空き家が四千四十軒とのことで、住宅総数における割合が一〇・八%、つまり十軒に一軒以上は利活用されていない空き家という状況でした。ちなみに、福岡県の住宅総数は二百五十八万一千九百軒で、利活用されていない空き家は十二万五千軒となっています。  国立社会保障人口問題研究所の推計によると、県の人口や世帯数は近い将来減少局面に入っていくものと見込まれており、それに伴い、空き家の増加も予想されています。中でも、適切な管理が行われず老朽化した危険な空き家の増加も懸念されており、野生動物のすみかになるなど、衛生上の問題や火災や不法投棄など、防災、防犯上の課題も抱えています。  空き家問題、とりわけ適正な管理が行われていない老朽化した空き家の対策として、本県がどのようなお取組をされてきたのか御説明願います。  次に、空き家の利活用についてお伺いいたします。  前述の老朽化した空き家を抑制するためには、適正に管理された空き家を利活用していくことが重要となります。人口の多い団塊の世代が二〇二五年頃に七十五歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会が訪れることで生じる様々な社会的影響について、二〇二五年問題と称されています。この団塊の世代の多くが持家を持っていることから、今後その所有する不動産の相続ラッシュが予想されます。ただ、団塊ジュニアの世代も既に持家を所有していたり、遠方に勤務しているケースも多いことから、相続後、代替わりで居住しづらく、そのまま空き家になる可能性が高いと言えます。団塊世代の人口の多さを考えると、その発生数は今の比ではないと考えられます。  相続を機に空き家となっていかないよう、活用や処分の具体的な方法を事前に検討していただくよう、公的機関からも働きかけを強くする必要があります。既に本県では、福岡県空き家活用サポートセンター、愛称イエカツを福岡天神のアクロスの中に設置をされています。イエカツは、専門知識を有する相談員さんが、空き家の所有者、その予備軍等に対して、相続の相談対応から活用、処分の具体的な提案、さらには専門業者とのマッチングまでをワンストップで対応されています。私の友人が相続をした御実家の活用をイエカツさんのほうに相談をしたことがあり、経緯を聞いたところ、不動産会社を二社公募で御紹介いただき、その提案の一つに、シングルマザーや低所得の高齢者の方向けの賃貸事業のため不動産会社が当該物件を購入するというものがあり、そちらにお願いをすることにしたと教えてもらいました。イエカツが公的機関で安心感があり、業者の方も丁寧な印象だったという意見も聞いております。このほかにも、イエカツには様々な活用事例が生まれていることと思います。  二〇二五年問題と言われる年を一年半後に控え、空き家の発生を根本から抑制していくためにも、住宅の相続を円滑に進め、利活用される中古住宅を増やしていくことが望まれます。本県の取組として、イエカツでの対応実績等を生かしつつ、高齢の持家所有者御本人やその御家族への啓発や情報提供を強化していくべきと考えますが、知事の御見解をお願いいたします。また、本県における取組状況をお聞かせ願います。  質問は以上でございます。ありがとうございます。(拍手) 19 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  老朽空き家に対する県のこれまでの取組についてでございます。  空家等対策の推進に関する特別措置法では、市町村は、空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めることとされております。また、県は、市町村に対する情報の提供や市町村相互間の連絡調整など、必要な援助を行うよう努めることとされております。  県では、空き家に関する様々な課題を把握し、対策の検討を行いますため、県庁の関係課、全ての市町村、宅建業団体、司法書士会など関係十団体で構成いたします福岡県空家対策連絡協議会を設置しておるところでございます。この協議会では、市町村にとって大きな課題となっております老朽空き家のうち、周辺に悪影響を与えます、いわゆる特定空家等につきまして、その判断基準や所有者に対する勧告、命令、さらには代執行等の措置を行う際の手順などを示した手引を作成いたしております。併せて、市町村職員向け説明会を開催いたしますなど、市町村の取組を支援しておるところでございます。  持家を所有する、住宅を所有する高齢者やその御家族に対する啓発、情報提供についてでございます。  空き家の発生を抑制するためには、住宅を所有していらっしゃる高齢者やその御家族が、空き家になる前からその利活用、あるいは処分のことを考えていただくことが重要であると考えております。このため県が宅建業団体、司法書士会などの関係団体と連携して運営をいたしております福岡県空き家活用サポートセンター、議員もおっしゃっておりました通称イエカツでは、住宅を所有いたします高齢者やその御家族から住まいの将来について御相談があった場合には、これまでの利活用につながった事例も踏まえながら活用方法に関する具体的な提案を行うほか、住宅や土地に関する権利関係の整理が必要な場合には、司法書士などの専門家とのマッチングまでワンストップで対応いたしております。  また、このイエカツでは、空き家や将来空き家になる可能性の高い住宅の所有者等に対しまして、県内各地におきまして年間十回程度セミナーを開催をいたしておりまして、家の相続に関するテーマを取り上げまして啓発や情報提供を行っておるところでございます。  今後とも、このイエカツ等を活用し、県といたしましても、この空き家対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 21 ◯副議長(佐々木 允君) この際、しばらく休憩をいたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 五十一分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 22 ◯議長(香原 勝司君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。永川俊彦君。(拍手) *永川議員質問 23 ◯二十四番(永川 俊彦君)登壇 皆様、こんにちは。今回より自民党県議団として登壇させていただきます永川俊彦でございます。自民党県議団、藏内勇夫相談役、松尾統章会長、松本國寛前会長、自民党県連原口剣生会長をはじめ、諸先輩の皆様方の深い御配慮に心より感謝を申し上げます。また、初当選以降、本日この場に至るまでお導きをいただきました井上忠敏緑友会前会長に重ねて感謝を申し上げます。  それでは、通告に従いまして、重要港湾三池港の利用促進について質問をさせていただきます。  本県は多数の港湾を有し、それぞれが物流の場、生産の場、憩いの場といった多様な機能を担っております。その中でも県管理の重要港湾に指定されている港湾は苅田港、三池港の二つであり、国内外の貿易活動において重要な役割を果たし、国民生活と産業活動を支える物流及び生産基盤であり、経済の発展に大きく寄与をしております。  苅田港は瀬戸内海に面し、東九州自動車道、北九州空港に近接した陸海空の結節点であり、臨海部に電力やセメント、自動車企業の進出とともに発展し、外国貿易と国内貿易の品目を取り扱う北部九州の物流拠点として重要な役割を担っております。  もう一つの重要港湾は、福岡県の最南端、私の地元大牟田市にある三池港でございます。今回着目した三池港は、有明海に面し、アジアに開かれた物流拠点です。三池炭鉱から産出された石炭を有明海特有の激しい干満差の影響を受けることなく直接船積みし、安定的な積出しを可能とする港として着工され、明治四十一年に開港、現在、百十五年の歴史があります。平成二十七年には、明治日本の産業革命遺産の構成資産として世界文化遺産に登録され、その価値を保全していくこととなっております。  築港に当たっては、当時、中心人物でありました現経団連の初代会長として大正から昭和初期の我が国財界をリードした團琢磨氏の、石炭山の永久はあり得ない。築港をしておけば産業を興し、これから百年の地域の基盤になるであろうという思いが込められております。時代の流れに即し、石油へのエネルギー転換や輸入石炭への転換、産業構造の変化などにより三池炭鉱が閉山になった平成九年以降は、県、国が埠頭や航路など公共港湾施設の整備を進めており、平成十八年には、三池港-釜山港間の国際コンテナ定期航路が週一便で開設され、国際物流拠点としての発展を遂げました。平成二十二年からは週二便となり、利用荷主企業は福岡県南部をはじめ、隣接する荒尾市、玉名市などの熊本県北部や佐賀県まで利用地域を拡大、有明海沿岸道路の延伸もあり、港湾と道路の連携が格段に向上し、特に家具の産地でもある大川市では、家具や家具材の取扱いが増えたことで、三池港のコンテナ貨物取扱量も数年前までは右肩上がりに伸びている状況であったと報告を受けております。  ところが近年、貨物の海上輸送に関しては、世界的な新型コロナの感染拡大の長期化から国際物流市場が混乱し、海上輸送運賃が高騰したと言われております。特にコンテナ貨物においては、世界各国の主要な港において荷役作業員やドライバー不足等により通常の港湾荷役作業が遅れ、コンテナが港で滞留し、結果、空のコンテナが不足するといった事態が発生しております。三池港においても、週二便になっていた国際便は現在週一便に減便され、利便性の低下に比例し、利用者も減少しているとのことでした。  そこで、まず初めに、近年の三池港全体の取扱貨物量の推移について服部知事にお伺いいたします。  それらを踏まえ、港の整備に関してお尋ねをいたします。  これまでも三池港は、明治四十一年の開港以降、激動の時代の流れに即し、様々な整備が行われてまいりました。三池港の開発に伴い、三池港周辺においては化学工業を中心とする製造業や再生可能エネルギー産業が発展してきました。港を整備することにより物流の効率化が進み、地域経済の発展と背後企業の国際競争力の強化が考えられます。今後、三池港が県南の物流拠点として船社や荷主など港湾利用者から選ばれる港となり、本県経済の活性化に寄与していくためには、港湾利用者のニーズに合わせた施設整備が重要であると考えます。  そこで、これまで県として三池港の施設整備をどのように進めてきたのかをお伺いいたします。  三池港の発展は、地元大牟田市をはじめ、県南地域の経済や産業の振興そのものに直結するものであります。現状を踏まえ、三池港を利用する荷主企業貨物の動向や今後のコンテナ定期航路の見通しについては大いに注目されるところであり、新たなコンテナ定期航路の誘致やコンテナ貨物の増加促進が重要であると考えております。  そこで最後に、三池港の利用促進や施設整備に対する本県の今後の取組についてお伺いし、一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 25 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
     本県の重要港湾でございます三池港の取扱貨物量の推移についてお尋ねがございました。  三池港では、主に原材料を取り扱います一般貨物とそれ以外のコンテナ貨物がございます。一般貨物の傾向といたしましては、近年、港湾区域内にバイオマス発電所が開設、さらに増設されましたことに伴いまして、発電燃料でありますヤシ殻チップの取扱いが増加しておりまして、貨物量全体としては微増ということになっております。  一方でコンテナ貨物におきましては、新型コロナのパンデミックによる世界的な物流の停滞に伴い、海上輸送運賃が高騰いたしましたことからコンテナ定期航路が減便され、昨年の取扱貨物量はピーク時の約五割にまで大きく減少しているところでございます。  この三池港の施設整備についてでございます。  県では、地域の物流拠点としての港湾機能の強化のために、これまで埠頭用地の拡張、有明海沿岸道路につながる臨港道路の整備などを行ってまいりました。また、船舶の安全な航行の確保のため、航路のしゅんせつや防砂堤の改良工事を実施してきたところでございます。さらに利便性を向上させますため、大型コンテナ船の夜間の出港が可能となりますよう入出港基準の見直しや、航行を支援いたします航路標識等の整備を進めているところでございます。  三池港の利用促進や施設整備に対する今後の取組についてでございます。  県では、これまで国、大牟田市、地元経済団体等と構成いたしますマイポートみいけ利用促進協議会を通じまして、荷主企業や船会社の輸送経費に対する助成を行ってまいりました。これに加えまして今年度からは、コンテナ貨物の増加を図りますために新たな助成制度を創設いたしました。具体的には荷主から貨物を預かり、海上や陸上輸送を総合的に調整いたします貨物運送事業者への取扱貨物量に応じた助成、新規航路を開設いたしました船会社への入出港経費に対する助成を行うものでございます。県といたしましては、これらの助成制度につきまして、貨物運送事業者、船会社等へ直接出向いて説明いたしますとともに、業界誌等の広報媒体も活用してポートセールスを行ってまいります。また、港湾施設につきましても、引き続き船舶の安全な航行の確保や利便性の向上につながる必要な整備を進めてまいります。今後とも積極的なポートセールスや着実な港湾施設の整備によりまして、三池港のさらなる利用促進に取り組んでまいります。 26 ◯議長(香原 勝司君) 豊福るみ子君。(拍手) *豊福議員質問 27 ◯二十七番(豊福 るみ子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団、豊福るみ子と申します。私は、長い歴史のある遠賀郡から、女性初めての県議会議員として県政に送っていただきました。女性の方をはじめとする多くの方々の期待と希望と思いを託され、この場に立たせていただいていると思っています。女性の視点を大切にしながら、未来への責任を持つ県政にしっかりと取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。  私からは、地域で支え合う認知症高齢者支援のさらなる推進について御質問いたします。  私は、今選挙戦を通して、多くの方々のいわゆる声なき声を聞いてまいりました。特に高齢者の方々からは、超高齢化社会を迎え、生活への不安感や先の見えない恐怖感、社会への諦め感など、非常に重たい、そして高齢者に対してこんなにも希望が持てない社会なのかと衝撃を受けてしまいました。まだまだ一人一人の高齢者の方々に孤独感や不安を感じさせない地域コミュニティーが十分ではないと感じてまいりました。内閣府の調査によると、日本の現状は、六十五歳以上の人口が全人口に対して二一%を超えており、超高齢化社会へと突入し、今後も高齢化率は高くなると予想されています。二〇二五年には約三〇%、二〇六〇年には約四〇%に達するという社会状況にあります。高齢人口の急速な増加の中で、社会保障費の増大、介護離職、また介護難民と言われるであろう問題への対応が喫緊の課題となっています。  それら様々な諸課題の一つに認知症への対応があります。これから百歳まで生きることが珍しくない時代へと向かう中で、認知症の人の将来推計は、厚生労働省によると、高齢者の四人から五人に一人が認知症またはその予備軍とされ、二〇二五年には約三十万人に増加することが見込まれています。今後、認知症の方への尊厳を守り、適切に対応するための施策や認知症と共に生きる共生と認知症になることを遅らせることを意味した予防を車の両輪として施策を推し進めていくためには、そのためのマンパワーとして、地域や職域において手助けを担う体制づくりや支援協力者は欠かせません。そこで今回は、それぞれの施策を実行していくための体制づくりの強化の観点から質問してまいります。  福岡県では、二〇二一年に第九次高齢者保健福祉計画を策定し、取組のさらなる加速化を図っており、医療、介護、予防、生活支援といったサービスを切れ目なく一体的に提供できる地域包括ケアシステムづくりを二〇二五年をめどに進めています。まず初めに、その地域包括ケアシステムの中の一翼を担っていく認知症サポーターについてお伺いをいたします。  私たちの多くは、大切な家族が行方不明になるなどとは思わずに生活をしています。しかし、認知症の方と共に生活を送る家族は、それがいつ現実になるとも限らない不安の中で暮らしていらっしゃいます。こういった不安解消のために、地域で支え合う支援体制の構築が求められています。そこで必要となる人材が認知症サポーターであり、その役割とは、認知症の方に対するよき理解者となり、近所に気になる方がいればさりげなく見守る、認知症の方と暮らす家族の話し相手になる、周りに認知症で悩んでいる方がいればできる範囲でサポートするなど、認知症の基本を学んだサポーターだからこそできる活動を担っていらっしゃいます。  そこで一つ目の質問です。本県は、第九次計画において認知症サポーター養成講座を開き、二〇二三年までに五十七万一千人サポーターを目標に掲げていますが、現在の認知症サポーター養成者数をお聞きするとともに、目標を達成し、さらなるサポーター数の拡大を図るためには、あらゆる公共機関や中小問わず民間企業などの広範囲で養成講座を開催することも効果的ではないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。  次に、認知症カフェについてお聞きします。  認知症は予防できる可能性があることや、早期発見が大切で、進行を遅らせることが可能であることから、早い気づきが最も大切な病気の一つです。認知症カフェでは、認知症の方や介護者同士の意見交換や医療、介護の専門職の方に相談ができるなどの情報交換と交流の場となっています。その観点からも、認知症カフェの取組については、認知症介護者の負担軽減はもとより、認知症の早期発見にも大変重要な役割を果たしています。しかし、その運営は、認知症サポーターをはじめ介護サービス事業者やNPO、ボランティアの方の協力の下の開催となっています。特にボランティアの方においては、自宅の開放や送迎など個人の努力と意欲によって支えられており、自身も高齢化していることから、持続可能な支援体制となっていないという大きな課題を抱えています。  そこで二点目に、県内における認知症カフェの設置状況とその必要性から、未設置市町村に対し、設置に向けてどのような支援を行っていくのか。また、地域でボランティアで運営されている認知症カフェの高齢化が課題と捉えていますが、持続可能な支援体制を構築していくための今後の取組をどのように進めていかれるのかお示しください。  次に、チームオレンジについてお伺いをいたします。  本県が推進する第九次計画では、認知症の方や認知症介護者のニーズに合った具体な支援につながる仕組みづくりのためのチームオレンジを、二〇二五年を目標に県内全ての市町村での設置を目指すとしています。そのチームオレンジは、本人や家族からの相談による早期のサポートに取り組み、認知症サポーターや認知症カフェなどの支援のつながりをつくっていくためには、早急に県内全ての市町村での設置を完了させるべきと考えます。  そこで三点目に、県が設置した第九次計画の最終年度を迎えている中で、市町村のチームオレンジの設置状況と、県の目標を達成するため未設置市町村へどのような支援に取り組んでいかれるのかをお答えください。  最後に、教育長にお伺いをいたします。  認知症への理解を深めるためには、地域全体で認知症の方々を支える意識を広げていくことが必要だと考えます。子供から大人まで認知症に関する正しい理解を深め、認知症の方々に対する温かい見守りの心を身につけることが大切ではないでしょうか。昨年一年間に県内で認知症が原因で行方不明になったとして家族などから警察に届けられたとする件数は暫定値で五百四十九件、さらには所在が確認できていない方が六人いらっしゃいます。高齢者の認知症や徘回の早期発見に地域での見守りや支援は不可欠です。そのためには、県民の認知症に対する理解促進や地域全体での支援体制の強化が必要である一方、未成年の段階から認知症に関する学習も必要だと考えます。また、高齢者との関わりについて早期から学ぶことは、高齢者への尊厳への理解や人材不足にある介護従事者としての興味につながっていくことも期待できると思います。  そこでお尋ねいたします。現在、学校教育の現場では、高齢者との関わり方や認知症への理解について、どのように取り組まれているのか、また、今後どのように取組を進めていかれるのかお聞かせください。  以上、知事、教育長の真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 28 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 29 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  認知症高齢者支援につきまして、まず認知症サポーターについてお尋ねがございました。  昨年度末の時点での県内の認知症サポーターの養成者数は、累計では約五十二万人となっておりまして、今年度末までに認知症サポーターの養成者数を約五十七万人とする目標を達成いたしますためには、なお約五万人のサポーターを養成する必要がございます。県では、これまで包括連携協定を締結いたしております民間企業に対し、従業員を対象とした認知症サポーター養成研修の実施を依頼いたしますとともに、県と市町村におきましても養成研修を実施してまいったところでございます。今後は、先ほど申し上げました目標を達成し、さらなる養成者数の拡大を図りますため、認知症の方の見守り活動を行っております福岡県行方不明認知症高齢者等SOSネットワーク推進会議の構成員でございます四十五の団体、企業に対しましても養成研修の実施を依頼いたしますとともに、研修の講師ができる方の紹介も行ってまいります。  次に、認知症カフェについてでございます。  認知症カフェとは、認知症の方とその御家族、地域住民の皆様、介護や福祉の専門家などが気軽に集い、情報交換や相談を通じて互いに理解し合う場所でございまして、一昨年度、令和三年度末時点では、五十六の市町村において二百四十七か所設置されております。県では昨年度から福岡県認知症カフェ相談窓口を設置いたしまして、未設置であります四つの市町村に対し個別に働きかけを行い、先行事例の紹介を行いますとともに、相談窓口の相談員がカフェの設置に当たっての課題解決に向けまして、市町村の職員の方と検討を行っているところでございます。また、後継者がおらず、カフェの継続が難しくなったという御相談に対しましては、他のカフェと連携してスタッフを派遣していただきますことや、レクリエーションなどを行う市町村運営の健康サロンを週一回カフェとすることなど、相談内容に応じたアドバイスを行っているところでございます。引き続き認知症カフェの運営支援に取り組んでまいります。  次に、チームオレンジについてでございます。  チームオレンジとは、認知症が疑われる初期段階から心理面、生活面を支援いたしますため、地域において把握した認知症の方の悩みや御家族の身近な生活支援ニーズと認知症サポーターを中心とする支援者をつなぐ仕組みのことでございまして、令和三年度末時点で、四つの市町においてチームオレンジは設置されております。  この設置数が増えない理由といたしましては、既に認知症カフェや介護予防教室が中心となりまして認知症当事者を地域で支える仕組みがつくられておりますことから、改めてチームオレンジを設置せずとも既存の仕組みで代替できますため、市町村が設置の必要性を感じていないということによるものと考えております。県では、計画に基づきまして市町村に対しチームオレンジの設置を促しますため、その立ち上げや運営支援を担いますコーディネーターを養成する研修会を開催し、これまで四十七の市町村で二百三十一人の方を養成してまいりました。今後は、この養成したコーディネーターを活用いたしましてチームオレンジを設置していただきますよう、県が行う認知症施策の市町村担当者会議におきまして先進事例を紹介するとともに、設置の必要性も説明いたしますことで、未設置の市町村に対し働きかけを行ってまいります。 30 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。 *教育長答弁 31 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 高齢者との関わり方や認知症への理解に関する取組についてでございます。児童生徒の発達段階に応じ、小中学校では、道徳科や家庭科において現在の生活を築いてくれた高齢者に尊敬と感謝を持って接することを学ぶとともに、介護の基礎となる体験的な活動を行っております。また、高校段階では、家庭科の新学習指導要領において新たに認知症が明記をされておりまして、高齢者の心身の特徴や認知症への対応方法を含めた高齢者の自立生活の支援や介護等について学習をしております。県教育委員会としましては、これらの教科を中心に認知症への理解を含め、高齢者との関わり方などについて学習を進めてまいります。 32 ◯議長(香原 勝司君) 豊福るみ子君。 33 ◯二十七番(豊福 るみ子君)登壇 知事、教育長から御答弁をいただきました。一点要望させていただきます。  チームオレンジについては、一昨年度末時点で四市町村しか設置されていないことが明らかとなりました。チームオレンジは、認知症の方やその家族のニーズに合った支援につなげる仕組みづくりを担う一方で、認知症の方自身も役割を持って参加をすることができる、いわゆる高齢者の居場所づくりの役割も担っています。  私は、各市町村による地域で見守り、支え合う環境づくりは急務であると認識しています。地域で支え合うことで、高齢者ができる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることが、誰一人取り残さない福岡県の実現につながるものだと思っています。ぜひとも知事から御答弁をいただいたとおり、未設置の市町村に働きかけていただき、最終年度を迎えた第九次高齢者保健福祉計画の着実な実行のために、知事の力強いリーダーシップをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 34 ◯議長(香原 勝司君) 川上多恵君。(拍手) *川上議員質問 35 ◯十一番(川上 多恵君)登壇 このたびの統一地方選で博多区より初当選させていただきました、公明党の川上多恵でございます。初めての一般質問で大変緊張いたしておりますが、生活者の目線で感じたこと、また、県民の皆様から伺った御意見、御要望の中から、身近な問題を取り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、一人親が病気などにより一時的に子供の養育が困難になった場合の支援について質問をいたします。  先日、子育てをしながらがん治療をしている母親を支援する団体から、子供の養育や生活支援についての相談を受けました。一人親は、仕事、家事、子育てにと日々奮闘する中で、保護者自身が突然がんと診断されたら、治療や育児、経済面や将来への不安が一気に襲いかかってまいります。そのような場合の支援について質問を進めてまいります。  本県では、保護者が入院治療をする際、保護者のほかに子供を預けられる親類がいない場合など、子供の養育に係る困り事について児童相談所に相談することができるようですが、私が相談を受けた方は、児童相談所は虐待等を受けた子供が一時保護される場所という認識があり、相談をする選択肢にはなかったと言われておりました。保護者の中には、児童相談所は虐待やネグレクトに対応しているものといったイメージが先行し、保護者の病気等による子供の養育についての相談もできるということを御存じない方も多いのではないかと思いました。  そこで知事にお伺いいたします。保護者の病気等による子供の養育の相談先として児童相談所も利用できるということを県民に広く知ってもらうため、今後どのように取り組まれるのかお伺いいたします。  次に、相談をした結果、一時的に子供を預けることになった場合に保護者が心配されるのは、子供の生活環境の変化です。保護者としては、できるだけ家庭と同様の環境で預かってほしいというお気持ちがあると思います。自宅の近隣に子供の預かり先があれば、安心して子供を預けられるのではないかと思います。このような場合に活用が期待されるのが里親です。一般的に、里親と聞くと養子縁組里親と混同されがちですが、里親とは、児童を一時的または継続的に自己の家庭内に預かり養育する方々であり、一時保護の委託先としても活用されております。子供自身がより日常に近い環境の中で生活するためには、養育里親の存在が不可欠です。本県では、二〇一二年度から各児童相談所に里親専任職員を配置し、二〇二〇年からはNPO法人や民間機関と連携して里親の開拓から研修、委託後のサポートまでを包括的に行うフォスタリング機能を整備するなど、支援の拡充に向けて着実に取り組んでこられました。  そこで知事にお伺いいたします。保護者の病気等による短期間の子供の預かりにおいて、子供ができるだけ不安やストレスを抱えることなく安心して地域で生活できるよう、子育てに関心のあるボランティア団体やファミリーサポート会員等に養育里親の登録をしてもらうことが効果的とは思いますが、これまでどのような周知、啓発に取り組んでこられたのか、また今後どのように推進していかれるのか具体的にお示しください。  次に、退院後の生活支援については、家事支援や子育て支援を行うひとり親家庭等日常生活支援事業があります。現在、県内でこの事業を実施しているのは二十四市町で、多くの自治体では未実施となっております。令和三年度、福岡県ひとり親世帯等実態調査報告書によると、生活上の不安や悩みとの問いに、家事や身の回りのことと答えた割合が、特に父子家庭では二〇・五%と割合が高いことが分かります。また、がんの治療は、退院後も放射線治療や抗がん剤治療による副作用で身体的にも精神的にも大変な状況が続く方もいます。このような場合、特に身近な方からのサポートが受けられない一人親にとって日常生活支援事業の推進は重要かつ急務であると考えます。  そこで知事にお尋ねいたします。一人親が利用できる家事や子育て等の日常生活支援を推進するために、どのように取り組まれるのかお伺いいたします。  先日、東京にある認定NPO法人マギーズ東京というところに視察に伺いました。そこは、がんに影響を受けた人が、戸惑い、不安なときに無料で利用することができる施設です。そこには自然を感じられる空間の中で、看護師や心理士等の専門家が治療についての不安や家族のことなど、病院や自宅では話しにくいことや気持ちをじっくりと聞いてくれ、一緒に考えてくれるヒューマンサポートがあります。また、自分と同じような悩みを持つ人との出会いもあり、心のよりどころとなっているすばらしい施設でした。厚生労働省が令和二年三月に公表した民間団体によるがん患者等の相談支援に関する実態調査報告書によると、気持ち面のサポートや同じ病気を体験した人の話を求めて、病院から離れた場所にある相談窓口を利用した方が多かったことが報告をされております。その具体的な取組事例として、宮城県や山形県では、がんに関する様々な心配事の相談に応じるため、県が公益財団法人等に委託をして病院外の相談窓口を設置していることが紹介をされています。  本県では、二十四か所の全てのがん拠点病院においてがん相談支援センターが設置されており、これは他県と比較しても十分なほど相談体制の整備が進んでいることは承知いたしております。しかし、当事者の方からは、病院内にある相談窓口は治療についての相談が主で、院内というハード面でも気持ちの面でも敷居が高いと感じるといった声や、一人親にとっては子育ての不安など自分と同じような悩みを持つ人との情報共有ができる場所があればうれしいとの声を伺いました。  そこで知事にお伺いします。本県のがん相談支援センターにはメディカルソーシャルワーカーによる生活面での相談もできるとのことですが、県民により身近な相談窓口として利用していただくため、広く周知していただきたいと思いますが、周知についての今後の取組についてお示しください。  また、冒頭に申し上げたとおり、がんになった一人親は、治療のほか、育児、経済面や将来への不安などに対する支援に加え、自分と同じような悩みを持つがん患者同士で情報共有ができる場の設置を求めています。そこで、来年度からの第四期福岡県がん対策推進計画を策定するに当たっては、こういった支援ニーズも取り入れていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、一人親ががんを患っても安心して相談ができる情報の発信、十分な生活支援や子育て支援が受けられる環境整備の推進を強く求めて、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 37 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  子供の養育の相談先についてでございます。  児童相談所では、虐待に関することだけではなく、保護者が病気等によりまして子供を家庭で育てることが難しい場合につきましても県民の皆様からの御相談を受けておりまして、家族や親戚からの養育相談も毎年八百件程度をお受けしているところでございます。県では、こうした児童相談所の役割を掲載いたしました一人親家庭向けハンドブックを市町村を通じて保護者にお配りしておりますほか、県のホームページやひとり親サポートセンターの公式LINEでも周知をしております。また、センターや福祉事務所に子供の療育に関する御相談をいただいた場合には、児童相談所を御案内しているところでございます。引き続きこれらの取組を通しまして、児童相談所の役割を周知してまいります。  次に、養育里親の登録の推進についてでございます。  県では、各児童相談所に里親を担当いたします専任職員を二名ずつ配置いたしまして、児童養護施設等の里親支援専門相談員と協力しながら里親委託の推進に取り組んでおります。これに加えまして、令和二年度からは里親支援に関する専門性と経験を有するNPO法人等に、里親の募集から研修、子供とのマッチング、その後の養育支援までを包括的に委託をし、県、施設、委託事業者の三者が連携して里親委託の一層の推進を図っているところでございます。  これまで里親登録の拡大に向けましては、大型商業施設等でのパネル展やシンポジウムなどを通して広く県民の皆様に里親制度を周知してまいりました。さらに、ファミリーサポート会員の皆様など、子育てに関心の高い方々に対しましては、制度の説明会や出前講座を実施し、里親登録の働きかけを行ってまいりました。こうした取組によりまして、今年三月末現在の養育里親の登録数は三百十二世帯となりまして、この三年間で百十世帯増加をいたしております。引き続きこれらの取組を着実に進め、養育里親の登録の一層の推進を図ってまいります。  次に、一人親が利用できる日常生活支援の推進についてでございます。  一人親の方が就学や病気などによりまして生活援助、保育等のサービスが必要となった際に支援員を派遣するひとり親家庭等日常生活支援事業につきましては、二十四の市町で実施をされております。県では、県内全ての市町村で実施されますよう、一人親福祉担当者研修会において働きかけを行いますとともに、福岡県ひとり親サポートセンターの公式LINEやAIチャットボットでの情報発信、事業内容を記載した一人親家庭向けハンドブックの市町村を通じた配布によりまして利用の拡大を図っております。  また、昨年度からは、家事や育児に不安を抱える家庭を対象に、訪問による家事支援等を行います市町村への補助を実施いたしております。この事業は、昨年六月の児童福祉法の改正によりまして来年四月から子育て世帯訪問支援事業として法定化され、財源が措置されますことから、昨年八月、十一月に開催いたしました市町村への説明会において事業の実施を要請したところでございます。引き続き、子供施策に関する市町村説明会支援メニューコーディネート機能を持つこども家庭センターの設置協議の場などにおきまして、市町村へ積極的な実施を働きかけてまいります。  次に、がん相談支援センターの周知についてお尋ねがございました。  がん相談支援センターは、県内二十四か所のがん診療連携拠点病院等に設置をされております。センターには、がん相談に関する専門の研修を修了した看護師や社会福祉士が配置されておりまして、県では、がん患者の皆様が、治療や療養生活、心の悩みなどについて誰でも無料で相談できることなどをホームページに掲載して周知を図っております。拠点病院におきましても、がん患者の様々な悩みに対応いたしますため、ホームページやパンフレットの中で、不安な気持ちを誰かに聞いてほしいといった心の悩みなど様々な相談ができること、相談内容に応じ、拠点病院の薬剤師や栄養士等のスタッフのほか、関係機関、患者団体と連携して対応していることを御案内しております。  また、センターが病院の中のどこにあるのか分からんといった声がありますことから、センターの場所を分かりやすく案内いたしますなど、利用者が相談しやすいよう周知に努めているところでございます。今後も、がん患者やその御家族の方に身近な相談窓口として御利用いただきますよう、拠点病院と協力しながらセンターの周知に取り組んでまいります。  がんになった一人親への支援についてでございます。  がん患者には様々な事情をお持ちの方がいらっしゃいますため、それぞれが抱える身体的、心理的、社会的苦痛に応じてがん患者に寄り添った支援を行い、悩みを共有できる場を設置することが必要でございます。中でも一人親の方は生活・経済面でのサポートを必要としていらっしゃいます。このため拠点病院では、社会福祉士や心理士など様々なスタッフが連携して支援を行うことができる体制を整えております。例えば、育児面での不安には子供の預け先の紹介、家事等の不安には先ほどの日常生活支援事業の紹介を、治療費の不安には医療費助成制度の紹介などの支援を行いまして、必要に応じ、市町村やひとり親サポートセンター等の関係機関につなぐこともできます。  また、がん患者及びその御家族の皆様が様々な悩みや体験などを語り合うための患者サロンを設けておりまして、同じ悩みを持つ方との情報共有ができる場も提供しているところでございます。新たながん対策推進計画の策定に当たりましても、引き続き、一人親の方をはじめ、様々な事情をお持ちのがん患者の支援の充実に向けまして検討を進めてまいります。 38 ◯議長(香原 勝司君) 宮原伸一君。(拍手) *宮原議員質問 39 ◯二十一番(宮原 伸一君)登壇 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、宮原伸一でございます。私は、太宰府市選挙区より初当選させていただきました。このたびは、自民党県議団、藏内勇夫相談役、松尾統章会長をはじめとする自民党県議団の諸先輩方の深い御配慮により、早速登壇の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。自民党県議団一員として、地元太宰府をはじめ、福岡県の諸問題、課題解決に全力で取り組んでまいります。伝統を誇る自民党県議団として、融和と結束を心に刻み、全力で努めてまいります。どうかよろしくお願いいたします。  そこで、通告に従い、高齢者支援について御質問させていただきます。  老人クラブに対する県の対応について。  地域の行政区、校区では、敬老会や長寿会などの名称で、老人クラブの方々が健康づくり活動や見守り活動に取り組んでおられます。県内の老人クラブについては、平成二十八年度末には会員数が県内で約二十四万四千人であったものが令和三年度末では十八万八千人となるなど、減少傾向にあります。老人クラブは、地域の担い手として重要であり、会員数の減少に対し、何らかの対応が必要であると考えます。県としてどのような対応を取られるのか、知事のお考えをお尋ねいたします。  次に、一人暮らし高齢者等に対する見守りについて。  全国的に高齢化率は上昇しており、それに伴い、一人暮らし高齢者、高齢者夫婦のみの世帯が増加していると聞いております。県内で、平成三十年度は、高齢者一人暮らし世帯が約三十四万世帯、夫婦のみ世帯が約二十六万世帯であったものが、本年度には、一人暮らし世帯が約三十七万世帯、夫婦のみ世帯が約二十八万世帯と増加しております。これらの方が地域で安全に暮らすためには、地域による見守りが重要であると考えます。  一方で、老人クラブの減少のように、地域の見守り活動の担い手の減少も見られているところでございます。見守り活動の担い手不足に対し、県はどのような対策を取られているのか、知事のお考えをお尋ねいたします。  最後に、県境付近の市町村における見守り活動についてです。県内には大牟田市、糸島市、上毛町など生活圏域が県境を越えている市町村がございます。これらの市町村においては、見守りは県内のみにとどまらず、県を越えて対応を図る必要があると考えます。生活圏域が他県に及んでいる地域における見守り活動について、他県と連携して行うべきであると考えますが、知事のお考えをお伺いします。  以上、御回答をよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 41 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  老人クラブの会員数の減少に対する県の対応についてお尋ねがございました。  老人クラブは、おおむね六十歳以上の高齢者を会員といたします自主的な組織でございまして、見守り活動や健康づくり活動など様々な取組を通じ、県の高齢者福祉の増進に御尽力を、また御貢献をいただいているところでございます。県では、このような老人クラブの活動に対しまして県知事表彰を実施し、地域活動に対する会員や県民の意識の高揚を図っております。  しかしながら、議員御指摘のように、老人クラブの会員数は減少傾向にございますため、県では県老人クラブ連合会が実施をされております魅力発信のための広報力の強化、女性会員の活動推進のための女性リーダーの育成、会員による勧誘活動の強化といったことを内容とした会員増強運動に対し助成を行い、支援をしているところでございます。  見守りの担い手の減少に対する県の対策についてでございます。全ての市町村が民生委員や老人クラブ、自治会などの関係団体で構成される見守りネットワーク協議会を設置いたしまして、町内会や小学校区などの地域単位のチームによる住民主体の見守り活動を推進しております。県は、その活動の要となる人材を養成いたしますため、市町村や社会福祉協議会の職員に対し、研修を実施しているところでございます。しかしながら、老人クラブの会員の減少等によりまして見守りの担い手は減少傾向にございます。このため県では、新聞販売店など各家庭を訪問する機会の多い十九の民間事業者と協定を締結いたしまして、事業者が地域の見守りの担い手として参画いたします見守りネットふくおかの取組を全ての市町村で実施しているところでございます。今後は協定締結事業者をさらに増やし、見守りネットふくおかの取組を強化してまいります。  次に、県境付近の市町村における見守り活動についてお尋ねがございました。  一人暮らしの高齢者や認知症の方など見守りを必要とする方が増加する一方で、今申しましたような見守り活動の担い手の減少、これは住み慣れた地域で安心して暮らしていく上で、各県における共通した課題であると考えます。このため、九州各県と山口県、経済界が参画いたします九州地域戦略会議におきまして、平成二十七年十月に九州・山口高齢者等見守り共同宣言を行いまして、九州・山口が一体となって見守り、支え合う地域づくり、多重的な見守りネットワークの構築、生涯を通じての見守り意識の醸成の取組を進めているところでございます。この宣言を受けまして、九州各県及び山口県が参画いたします見守り活動の検討会議におきまして、この見守り活動に関する問題意識や先進事例の共有を図ってきたところでございます。御指摘の県境を越えた見守り活動につきましても、今申しましたこの検討会議で隣接県と協議を行い、方針を確認した上で、他県の隣接市町村と連携した取組が進みますよう、個別に該当する市町村に働きかけを行ってまいります。 42 ◯議長(香原 勝司君) 大田京子君。(拍手) *大田(京)議員質問
    43 ◯三十九番(大田 京子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団の大田京子です。地元の皆様をはじめ関係者の皆様のおかげで三期目の議席をいただくことができました。本当にありがとうございます。今後も県民の皆様の声なき声を議会に届けるべく精進いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、通告に従い、グリーフケア、とりわけペリネイタル・ロスについて質問をいたします。  聞き慣れない言葉かと思いますが、グリーフというのは大切な人との死別による深い悲しみのことです。グリーフケアとは、その悲しみから立ち直るために支援をすることです。また、ペリネイタルとは、産前産後の意味であり、ペリネイタル・ロスとは、流産、死産、人工妊娠中絶など、お産にまつわる赤ちゃんの喪失のことです。ペリネイタル・ロスを経験したお母さんのことを天使ママと呼ぶことがありますが、今回はその呼び方を使わせていただきます。           〔香原議長退席 佐々木副議長着席〕  日本生殖医学会によると、一回の妊娠における流産の頻度は平均的には一五%で、厚生労働省の調査では、年間一万五千人を超える方が死産を経験しています。本県の死産数は、令和三年の人口動態統計によると七百九十九件であり、人工妊娠中絶は、令和三年度の衛生行政報告例によると六千八百八十三件となっています。これらは時に公認されない死と呼ばれ、天使ママの心身の痛みは周囲から理解されにくいといいます。三人の赤ちゃんを亡くされた天使ママによると、命の誕生の喜びとそれを失った悲しみ、生と死を同時に体験することになり、なかなか現実を受け入れられなかったといいます。  こうした天使ママに対する支援の必要性が指摘されるようになり、令和三年五月、厚生労働省は、流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等についてという通知を出しています。この通知では、妊娠中または出産後一年以内のお母さんを指す言葉である妊産婦の定義に、流産や死産の場合も含まれることが確認され、産後ケア事業、子育て世代包括支援センター事業などにおいて天使ママも対象になることが明記されています。また、都道府県は、県内の市町村へこれらを通知するようになっています。  ところが、先日、私の事務所に来られたペリネイタル・ロスの支援に取り組まれている方によると、必要な支援や情報が天使ママに行き届いていない現状があると指摘されています。そこで、本庁にペリネイタル・ロスに関する相談窓口はどこか尋ねたところ、不妊専門相談センター・女性の健康支援センターを紹介されました。また、取組状況については、不育症の治療と心のケアと題された研修が医療関係者向けに実施されているとのことでした。相談窓口の名称や研修会のタイトルからも分かるように、ペリネイタル・ロスそのものについて取組がされているわけではなく、不妊や不育症の中に包含されていることが分かりました。これでは御指摘のとおり、天使ママへの支援や必要な情報が行き届いていないであろうことは容易に想像ができます。  ちなみに、厚生労働省のホームページでは、流産・死産などを経験された方へと太字で分かりやすくタイトルが書かれており、一覧表で二百二十八か所もの相談窓口が紹介されてあります。本県では、古賀市が今年度の施政方針にペリネイタル・ロスを盛り込み、支援強化に乗り出していますが、残念ながら現時点では本県の相談窓口は一件も掲載されておりませんでした。県内在住の天使ママの中には、赤ちゃんを亡くしたこと自体の悲しみが大きいのはもちろんのこと、その後の対応やフォロー体制のなさに余計に苦しみを感じたと言われる方もいらっしゃいます。  そこで一点目に、グリーフケア、とりわけペリネイタル・ロスに対する支援の必要性について、知事の認識をお答えください。  二点目に、さきに紹介した厚生労働省の通知に基づき各市町村へ周知を行い、県として取組を強化すべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、支援に当たっている方や天使ママやその御家族に対するサポートグループにより作成された冊子の中から、亡くなった赤ちゃんに関する内容を御紹介させていただきます。例えば亡くなった赤ちゃんと過ごしたい場合、自宅に一緒に帰ることができることや、思い出を残したい場合は、家族写真を撮る、手形、足形を取る、へその緒を残す、髪の毛を保存するなどの方法があること。火葬は急ぐ必要はなく、いつまでにしなければならないという決まりがないこと。週数の早い小さな赤ちゃんでも、骨が残せるように努力してくれる葬儀社があることなど、教えてもらわなければ知らないことが数多くあります。天使ママやその御家族が望む形で赤ちゃんとお別れをすることはとても大切なことであり、立ち直りに必要な期間が短くなったり、気持ちの浮き沈みが少なくなる場合が多いとのことです。  そこで三点目に、県内の天使ママやその御家族への支援をされている自助グループを必要に応じて市町村窓口や産婦人科などで紹介をし、支援や情報が行き渡るようにするべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、働く天使ママの支援の観点から質問をいたします。  労働基準法では、妊娠十二週以降であれば、死産でも流産でも出産と同様、八週間の産後休業の対象となります。しかし、そのことが社会全体で十分に認知されておらず、働く天使ママの自助グループイキヅクが実施したアンケートによると、天使ママの一六%が産後休業を取得していないことが分かりました。死産の場合、薬で陣痛を起こして、まだ閉じている子宮口を無理に広げて亡くなった赤ちゃんを産むため、母体は出産と同様、大きなダメージを受けます。産声を上げない我が子と対面することは心への負担も相当にあります。そのため十分な休暇が必要であるにもかかわらず、外見からは流産や死産を経験したことは分かりづらく、職場からの理解が得られにくいといいます。また、そもそも産休は出産予定日以降に取得することを前提とし、職場と事前に調整することがほとんどであり、思いがけず前倒しになった場合に、職場に迷惑をかけてしまうからと産休を取ることをなかなか言い出せない方もいるそうです。  そこで四点目に、天使ママが産後休業を活用し、少しでもスムーズな職場復帰ができるよう周知を徹底するべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、マイ助産師制度の活用など、妊娠から産後までの切れ目のない支援についてお伺いいたします。  医師不足などを背景に、中核病院の産婦人科が分娩を休止した兵庫県丹波篠山市では、一人の助産師が継続して妊産婦に寄り添い続けるマイ助産師制度を二〇二〇年八月からスタートさせています。同市ではマイ助産師ステーションを立ち上げ、市内全ての妊産婦を対象に取組をしているとのことです。マイ助産師は分娩には関わらないものの、信頼関係を構築しながら、産前産後の体調管理やメンタル面のケアなど、時間をかけてあらゆる相談に乗ることで切れ目ない支援を提供することができます。そのため、思いがけず我が子の死に直面したときにも、よき理解者であると同時に、必要な情報を提供し、伴走型での支援ができるものと考えます。  そこで五点目に、マイ助産師制度を創設するなど、一人の専門職が妊娠から産後まで切れ目ない支援を行うべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  以上、知事の前向きな答弁をお願いいたします。(拍手) 44 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  グリーフケア、とりわけペリネイタル・ロスへの支援についてお尋ねがございました。  議員からお話がございましたが、ペリネイタル・ロスは、流産、死産、人工中絶及び新生児を亡くすことでございまして、このペリネイタル・ロスでは、その事実を周囲の方に話すこと自体をためらう妊産婦の方もいらっしゃいまして、悲しみが周囲から理解されず孤独感を募らせてしまうという現状がございます。また、その死が自分の体内で起きたことでありますことから、強い自責の念を抱き、自分のことを責め、心や体に様々な変化が表れることがございます。こうした心身の不調は、心のバランスを取り戻す過程におきまして、鬱状態など日常生活に支障が出る方もおられますことから、その方の気持ちに寄り添いながら、悲しみから立ち直れるよう支援をいたしますペリネイタル・ロスに対するグリーフケアは必要であると考えております。  流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等についてでございます。  厚生労働省の通知では、各種母子保健事業の実施に当たりましては、流産や死産を経験した方も含め、きめ細かな支援を行う体制整備に努めることが求められておりまして、県では市町村に対し、体制の整備に努めるよう周知を行っております。県におきましては、県内三か所の保健所に設置をいたしております不妊専門相談センターにおいて、流産や死産等でお子様を亡くされた方の相談にも対応しておりますが、一般の方にとりまして、このセンターにおいてこのような相談ができるということが分かりづらいため、相談件数も低調となっている状況でございます。このため、今後、流産、死産等でお子様を亡くされた御家族に向け、相談窓口の一覧や利用できる各種制度を分かりやすく整理したホームページを作成いたしまして情報発信に努めてまいる考えでございます。  自助グループの周知についてでございます。  自助グループは、自らの感情や体験などを分かち合うことで悩みを軽減し、仲間の存在に勇気をもらうことができます。このため県では、これまで大切な方々を亡くした方の自助グループの情報を記載いたしましたリーフレットを市町村等に配付して周知を行ってまいりました。今後、子供を亡くした方を対象としております自助グループの方々の御意見をお伺いした上で、市町村や産婦人科医療機関を対象とした研修会におきまして、これらの自助グループの情報を提供いたしますほか、流産、死産を経験した方に向けたリーフレットを作成をいたしまして配付するなど、効果的な紹介の方法について検討を行ってまいります。  流産等による産後休業制度の周知についてでございます。  流産や死産を経験された方は心や体に大きなダメージを受けており、十分な休みを取得して、御自身の体調に合わせて職場復帰することが重要だと考えております。県では、働く女性の休暇制度や相談窓口を紹介いたします働く女性のハンドブックに、流産、死産をした場合も産後休業の対象となるということを掲載し、子育て応援宣言企業のホームページやメルマガ等を活用して広く周知を行っているところでございます。今後は、企業の代表者の方や人事・労務担当者を対象に、今、福岡労働局と共催で開催をいたしております研修会におきまして、流産や死産の場合にも産後休業を取得できることを従業員の皆さんにしっかりと周知するよう働きかけを行ってまいります。  次に、妊娠から産後までの切れ目のない支援についてでございます。  本県におきましては、一人の専門職員が妊娠初期から継続的に関わることで相談しやすい関係が構築でき、妊産婦にとって安心感につながるということから、丹波篠山市で行われておりますマイ助産師制度のように、多くの市町村においては、妊娠期から低年齢期までの子育て家庭に同じ保健師が定期的に面談をし、切れ目ない支援に取り組んでおるところでございます。妊産婦が妊娠出産に関することを何でも安心して相談できますよう、自分が今後あなたの担当保健師となること、いつでも遠慮なく相談をしてほしいこと、これを最初にきちんと伝えることが重要でございます。このため、市町村の保健師や助産師などの母子保健担当者を対象にした研修会におきまして、妊産婦の方との関係構築の重要性の理解を深めますことに加え、当事者の方からの体験談をお聞きするなどによりまして、さらなるペリネイタル・ロスへの対応力の向上を図ってまいります。 46 ◯副議長(佐々木 允君) 大田京子君。 47 ◯三十九番(大田 京子君)登壇 知事から答弁をいただきましたが、一点要望をさせていただきます。  妊娠から産後までの切れ目ない支援について、知事の答弁では、マイ助産師制度のように同じ保健師が定期的に面談をし、切れ目ない支援に取り組んでいることを前提とし、妊産婦が何でも安心して相談できるよう、自分が今後あなたの担当保健師となることを最初に伝えることが重要であるとの認識を示されました。確かに保健師の方が妊産婦の相談に乗ることは十分にできると承知しておりますが、助産師と並列で語られることに違和感を覚えます。そもそも保健師と助産師は別の資格であり、保健師が保健指導を行う対象は、赤ちゃんから御高齢者まで特に制限がなく幅広い方が対象であるのに対し、助産師がお世話する対象は、妊婦、産後間もない方、新生児となっています。つまり助産師は妊産婦ケアの専門家です。今回、マイ助産師制度を紹介させていただいたのは、ペリネイタル・ロスの支援は助産師の方が適任であると考えたからです。ぜひ知事におかれましては、マイ助産師制度の創設を検討していただきますよう要望いたしまして、私からの一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 48 ◯副議長(佐々木 允君) 林泰輔君。(拍手) *林議員質問 49 ◯二十番(林 泰輔君)登壇 皆さん、こんにちは。このたびの選挙におきまして朝倉市・朝倉郡選挙区より選出いただきました自民党県議団の林泰輔でございます。もとより浅学の私が、こうして伝統と格式を誇る福岡県議会の議場において登壇させていただきますことに、格別の緊張とともに、藏内勇夫相談役、松尾統章会長をはじめとする自民党県議団の諸先輩方への感謝を胸に、初志貫徹、五百万県民のわらじとなって精進してまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  それでは、通告に従い、県内の人口偏在に伴う学びの選択肢の格差について質問いたします。  さて、COVID─19の感染症法上の位置づけが五月八日をもって五類に変更され、三年以上の長きにわたった、いわゆるコロナ対策から市民生活も開放されようとしています。それに伴い、我が県においても、知事のリーダーシップの下、ようやく経済活動を活発化させる体制づくりが進められていることと承知しております。また、時を同じくして、私の地元朝倉においても、平成二十九年九州北部豪雨災害の復旧事業にも一定の区切りがつく中で、未来を見据えた事業展開に進もうという地域の機運の高まりを感じるところでもあります。  しかしながら、足元の現実を見るに、そうした社会の流れに乗るための原動力である担い手が不足しているという問題が地方都市の不安要素であることは疑いようのない事実であると思います。我が朝倉における人口の推移を見ましても、合併前の二〇〇〇年と二〇二〇年との国勢調査の比較において、朝倉市では約六万一千七百人から五万二百人のマイナス一万一千五百人、東峰村では約二千九百人から一千九百人のマイナス千人、福岡都市圏に近い筑前町では約二万八千九百人から二万九千六百人と増加傾向にありますが、朝倉地域の合計では一万をはるかに超える人口が失われたことになり、これはたった二十年の期間で町が一つ消えるほどのインパクトとなります。さらに世代別の人口推移では、生産年齢人口と呼ばれる、いわゆる現役世代やその子供の世代である年少人口の合計減少幅が総人口の減少幅を上回っており、このことは、いわゆる子育て世代の流出にほかならず、しかもこれは朝倉地域において九州北部豪雨のはるか以前からの恒常的傾向なのです。  県内を見ても、近年、政令市である北九州市や中核市である久留米市などの大きな市までもが人口減少傾向にある中で、福岡市並びに福岡都市圏への人口の集中が顕著となっており、これは県内人口の偏在が進んでいると言わざるを得ず、このことは我が県の持続的な発展に影を落としかねない重大な懸念であると考えます。これまで戦後の高度成長期において、いわゆる人、物、金が東京に集中する流れの中で、地方の疲弊を予見し国土の均衡ある発展を唱えた池田内閣、この日本から田舎をなくすとの理念の下、日本列島改造論を掲げ誕生した田中内閣、ここに共通する思いを察するに、地域の均衡ある発展の理念なく都市への一極集中を放任すれば、いずれ地方は疲弊し、源泉を断たれた都市は立ち行かなくなるという極めて明瞭な道理に基づいた主張であり、僣越ながら、不肖私も強く賛意を表する次第であります。  我が県においても、県土の均衡ある発展に関する議論は長年にわたり交わされてきたと承知しておりますが、その上で、改めて知事にお尋ねいたします。過去五年間の福岡都市圏と他の地域の人口の増減をお示しください。併せて、福岡都市圏の人口増加と他の地域の人口減少についての認識と現在の人口減少対策について御教示ください。  次に、私は二人の大学生の息子を持つ親ですが、子育ての多くの期間を都市部で過ごしました。子供が希望する習い事や塾など、親としてできる限りの環境を与えようと妻と努力してまいりました。地元に戻り、友人や地域の方々と接する中で、都市部との子育て環境の違いを改めて認識いたしました。市場原理が働く民間の習い事や学習塾はおろか、公教育の現場においても、クラブ活動をはじめ、人口流出による少子化の波が地方都市における子供たちの学びの選択肢を奪い、その状況がこれから子育てを考える家庭のさらなる流出につながるという負のスパイラルを生み出していると考えます。  そこで教育長にお尋ねいたします。本年三月、本県における地域クラブ活動の構築に向けたガイドラインを示されましたが、その主な目的と、ここに至るまでの取組について御教示ください。  また、このガイドラインには、公立中学校の子供たちがスポーツ、文化、芸術に継続して親しむことができる機会の確保に向けてとの副題が添えられており、私は、このガイドラインは県内全ての子供たちの学びの選択肢を守る重要な取組になると大きく期待しております。しかし、これはあくまでも実施主体である各市町村の取組を促すものであり、財政や人材などの面で不安を抱える自治体がその推進にちゅうちょすることも予想されます。今後、県として市町村の取組をどのように支援していくおつもりか、教育長のお考えを伺います。  いずれにしましても、加速する少子化に国を挙げての対策が求められる中、我が県の積極的な取組に期待し、その効果を引き続き注視してまいります。  結びになりますが、間もなく九州北部豪雨災害の発災から六年が経過する中で、日田彦山線BRTひこぼしラインの開業が八月に決定をいたしました。極めて難航した交渉の中で、何度も現地に足を運び御尽力いただいた藏内勇夫九州の自立を考える会会長、松本國寛日田彦山線復旧問題対策協議会座長をはじめとする県議会諸先輩方、また当時の澁谷村長、総務課長であった真田村長、伊藤議長をはじめ東峰村の皆様、寺西町長をはじめ添田町の皆様、JR九州の皆様、そして地元県議として私の前任である栗原渉先生には中心で汗をかいていただいてまいりました。全ての皆様のお力添えに最大の敬意を表するとともに、東峰の子供たちの大切な通学の足が復活することに心より厚く感謝申し上げ、私の質問を閉じさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 50 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 51 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  福岡都市圏の人口増加と他の地域の人口減少についてお尋ねがございました。  過去五年間を見てみますと、福岡都市圏の人口は約八万一千人の増加となりましたが、一方で、福岡都市圏以外の地域の人口は約七万九千人の減少となりまして、これは過去十年間を見ましても同様の傾向にございます。福岡都市圏以外の地域では人口減少に歯止めがかかっておらず、福岡都市圏との地域間格差の拡大は大きな課題であると認識をいたしております。  こうした中、人口減少を食い止めるためには、出会い、結婚、出産、育児など、それぞれのライフステージに合わせた少子化対策のみならず、若者の流出といった社会的な現象にも対処しなければなりません。このため、各地域の経済と雇用を支えている中小企業への支援、地域の基幹産業でございます農林水産業の振興、国内外からの企業誘致などによります県内各地での魅力ある雇用の場の創出、移住定住の促進、医療、福祉サービスの充実、地域公共交通の維持、都市と地域を結ぶ道路網の整備、ICTの積極的な活用による教育の充実など、安心・安全で活力ある地域社会づくりに取り組んでいるところでございます。こうした取組によりまして、誰もが住み慣れたところで働き、長く元気に暮らし、子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりをしっかりと進めてまいります。 52 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。 *教育長答弁 53 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 地域クラブ活動の構築に向けたこれまでの取組と県ガイドライン策定の目的についてでございます。  生徒数の減少や教職員の負担などの課題に対応するため、部活動の地域移行を進める方向性が国から示され、これに沿って本県では、生徒や保護者への意識調査や市町村へのヒアリング、部活動改革協議会の開催及びモデル地域による実践研究などを実施してまいりました。こうした取組を通して得られた成果や課題を踏まえ、教員の働き方改革を推進しつつ、今後とも子供たちのスポーツに親しむ機会を確保するため、本県の実態に即した新たなスポーツ環境の構築を目指すガイドラインを策定したものでございます。  部活動の地域移行に係る市町村の取組に対する支援についてでございます。  現在の部活動を取り巻く厳しい状況を踏まえ、今後とも子供のスポーツ環境を維持するため、県教育委員会では、今年度からの三年間を市町村における部活動の地域移行改革推進期間と位置づけております。このため、地域移行の在り方を検討する市町村の協議会への助成を行うとともに、関係部局と連携し、地域のスポーツ協会及び競技団体を統括する県スポーツ協会の体制強化や各教育事務所における相談支援体制の整備を進めております。また、現在、モデル地域において地域移行の実証事業を行っておりまして、その成果を市町村へ周知していくことといたしております。こうした地域移行に当たりましては、各市町村において、運営団体や指導者の確保、費用負担などの課題がありますことから、県教育委員会としましては、必要な財政措置について引き続き国へ強く要望いたしてまいります。 54 ◯副議長(佐々木 允君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 三十二分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...