少子化を食い止めるためには、子供を安心して産み育てやすい社会の構築が急がれなければなりません。また、子育てをしている世代は
共働き家庭が多く、仕事と子育ての両立が不可欠です。
保育施設もニーズに合わせた需要と供給のバランスが取れていないと
待機児童の発生につながります。そんな若い世代の
生活形態に対応する
社会整備について、以下四点質問いたします。
まず一点目の質問です。一つ、県域の公立、私立の
認可保育所の数と推移、二つ、
認可保育所のうち
利用定員が百二十一人以上の比較的大規模な
保育所の数、三つ、
利用児童が定員を満たしていない
保育所の数、四つ、そのうち、
保育士不足により定員を満たしていない
保育所の数についてお答えください。
併せて、
保育士不足により定員を満たしていない
保育所について、県としてどう対応していくのかお尋ねをいたします。
次に、
保育士不足について伺います。冒頭にも述べましたが、日本では平成二十九年には七万四千人もの
保育士が不足すると推計されてきました。実際に近年、
保育士の
求人倍率は高く、
保育士になりたがらない人も多いと聞きます。例えば、県内の
保育士養成施設において、平成二十六年度においては、卒業生のうち、八六・〇三%の方が
保育士資格を取得していました。ところが、令和三年度に資格取得した方は七三・三六%にまで大きく減少しています。これは
保育所の
保育士が、選ばれない職業であると言えるのではないかと思います。なぜ
保育士になりたがらないのかについては、令和二年に
厚生労働省が調査を行っており、一、保育をすることに自信が持てない、二、給与、
福利厚生の課題がある、三つ、休暇の保障や労働時間の課題などが挙げられております。また、
保育士の離職率についても、平成二十七年は全国で一〇・七%のところ、本県は一二・七%、令和二年では、全国九・〇%であるのに対し、福岡県は一〇・二%と
全国平均よりも離職率も高くなっております。
保育士不足は深刻です。
先日、
朝倉市内の
私立保育所でお話を伺ったところ、二百六十人規模の施設にもかかわらず、現在定数の園児を入れていないとのことでした。
入園希望者は多いそうですが、
保育士不足のため、市から期待される人数を受け入れられないという理由です。ゼロ歳児に至っては、三十名定数のところ、現在十七名預かっている。しかし、
保育士一人でゼロ歳児三人を見るのは限界がある。一人で二人見るのが精いっぱいである。
正規職員の加配が必要だが、賃金が出せない。そのため、パートや時間帯での補助員で対応しているのが現状だそうです。
市町村で支度金や
住宅手当など
独自補助のある、そういった市に就職をしていかれてしまい、
保育士の取り合いである。
保育士になってよかったと言える処遇を県で統一して考えてほしいと訴えられました。
以上のことから、二点目の質問です。本県でも深刻な
保育士不足だと思いますが、
保育士の資格を取得しても
保育士にならないことに対し、知事はどのような見解を持っておられるのか、そして県はどのような政策で
保育士不足を解消していくのかお聞きします。
併せて、本県では今年度、
待機児童が大きく減少し、成果を出しているところですが、
保育士不足の影響により
待機児童が増加することがないよう、どのような対策を取っていくのかお伺いします。
次に、
保育士の
配置基準についてお尋ねします。
保育士の
配置基準とは、最低限必要な
保育士の人数のことであり、子供の安全を確保し、保育の質を維持するための基準のことだそうです。国が定めているのは、
保育士一人につき、ゼロ歳児は三人、一、二歳児は六人、三歳児は二十人、四、五歳児は三十人となっています。国では、七年前の二〇一五年、子ども・
子育て支援新制度が始まる際に、〇・七兆円を使い、
保育所の増設など保育の量の確保が図られました。しかし、
配置基準見直し等の保育の質については、他の財源から捻出する〇・三兆円で、
保育士一人につき、一歳児六人を五人にし、四、五歳児を三十人を二十五人に改善するとしていたのですが、
財源不足を理由に現在まで手つかずのままになっています。特に四、五歳児については、一九四八年以来七十五年間見直されておらず、いまだに三十人です。片時も目が離せない乳幼児を安全に預かるには一人の
保育士の負担が大きく、重労働であります。
保育現場からは長年、
配置基準の
見直しを求める声が上がっています。ちなみに、四、五歳児の
配置基準は、イギリスでは十三人、ニュージーランドでは十人だということです。日本の三十人とは大違いです。
先月二十日の
衆議院予算委員会で
堤かなめ衆議院議員がこの
配置基準の
見直しについて質問に立たれていましたが、
加藤厚生労働大臣は、令和五年度予算案では、園児二十五人に対し
保育士一人の実現が可能となるよう、
チーム保育加算として、定員百二十一人以上の
保育所で加算を二人とする拡充を盛り込んでいる。二十五対一の配置の実現の一歩と考えていると答弁されました。しかし、〇・三兆円超の保育の質の向上については、一歳児も含め、四、五歳児の
配置改善は未実施となっていると答弁されました。つまり、財源が確保できないとして、見直さないということです。我が国では、
自治体単独で
見直しの施策を行っているところもあり、例えば東京二十三区の多くが、一歳児六人に
保育士一人のところを、国の基準に反して、五人に
保育士一人で運用、また横浜市では、一歳児六人に
保育士一人となっているところを四人に
保育士一人に、二歳児は六人に一人のところを五人に一人に、三歳児は二十人に
保育士一人のところを十五人に一人ということで運用し、その分の
保育士の
人件費を補助しています。
そこで三点目の質問です。県は、毎年国に対して
配置基準の
見直しを要望してこられていることは承知しておりますが、保育の質を向上させるため、他の自治体がやっているように本県独自で
配置基準の
見直しを行うとともに、それに伴う
保育士の
人件費の補助を行うべきと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
最後に、
私立保育所が抱える課題についてお聞きします。先ほどの朝倉市の大
規模保育所の
所長先生は、三十人の子供を一人で受け持つ四、五歳児のクラスで、特に手をかける必要のある子供や行動に注意を払うべきなど、近年は気になる子供が増えており、加配の
保育士を臨時やパートで雇用していると言われていました。雇用したくても、なかなか
保育士が見つからないといった
保育士不足の課題もありますが、こういった
公定価格に含まれない
人件費の負担などで
私立保育所が経営面で抱える課題について、どう対応していかれるのか。また、来年度予算において、出産・
子育て安心基金を新たに造成するものと聞いていますが、県独自に
保育所における
人件費の補助といった形で活用することはできないのかお伺いして、私の
一般質問を終わります。
知事の真摯な答弁を期待いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
7
◯議長(桐明 和久君)
服部知事。
*
知事答弁
8
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、県が所管をいたしております地域、いわゆる県域の
保育所の現状と県の対応についてお尋ねがございました。県域の
保育所につきましては、この五年間で、
公立保育所が十八施設減少し七十八施設、それから私立の
保育所が四
施設増加をし、三百九十施設となっております。また、昨年四月一日現在で
利用定員数が百二十一人以上でございます施設につきましては百十二、定員を満たしていない施設につきましては二百七十七あったところでございます。この中で、
保育士不足により定員まで受け入れることができなかった施設は二十六となっております。県では、三つの観点から対策に取り組んでおります。まず、
新規保育士の確保でございます。この対策といたしまして、
保育士修学資金貸付事業や
保育士資格取得支援事業を実施いたしております。それから次に、
潜在保育士の
復帰促進でございます。この対策といたしまして、福岡県
保育人材総合支援サイトほいく福岡での
保育士資格保有者届出制度による
登録依頼や各
保育所の
求人情報を発信をいたしております。三番目に、
現役保育士の方の
離職防止でございます。この対策といたしまして、
保育所におけるICTの
導入支援などの
保育現場の
負担軽減に取り組んでおります。今後、これらの
保育士確保の取組を引き続き進めますとともに、
保育士不足が深刻な
保育所の
人材確保を急ぎますため、
保育士・
保育所支援センターにおきまして就職を希望する
潜在保育士と
保育所との間の
マッチングを強化し、
保育士の
職場復帰を促してまいります。
次に、
保育士の有
資格者が
保育所に就職しないことに対する見解及び
保育士不足の対策についてお尋ねがございました。昨年度の県内の
保育士養成校卒業者で
保育士資格を取得した方は二千四百四十人いらっしゃいます。このうち、
保育所等へ就職した方は千四百一人となっております。これは平成三十年度の
就職者数と比較いたしますと、四百十七人の減少となっております。
保育所等への
就職者数の約八割を占めます
養成校からの
就職者数の減少は、今後さらなる
保育士不足につながる大きな問題でございまして、若い世代に
保育士を仕事に選んでもらうための効果的な取組が必要と考えております。このため県では、保育の魅力が
養成校の学生等に伝わりますよう、本年度から、
合同保育所説明会における
若手保育士による施設のPRや、施設の魅力を発信するためのSNSの活用に対します支援を行っているところでございます。また、ほいく福岡での
情報発信では、ICTを導入して
業務負担の軽減を図るなど働きやすい
職場づくりに取り組んでおります施設の紹介を行ってまいりました。今後は、
養成校との定期的な会議を持ちまして、学生のニーズなどを把握し、就職者の増加策を検討してまいります。
待機児童が発生しております
市町村における
保育士確保を支援し、児童の受入れを進めますため、
保育士・
保育所支援センターに
人材確保コーディネーターを一名追加配置し、短時間雇用を希望する有
資格者の掘り起こしを行い、
求職登録者の確保に努めてまいります。さらに、
待機児童発生市町村を訪問いたしまして、
保育所等の実態に応じた
人員確保策の検討、提案及び施設との
マッチングを実施いたしますとともに、定員まで児童を受け入れるために必要な
保育士を短時間雇用者を活用することによって確保する場合の助成を行うための予算を今議会でお願いをしているところでございます。なお、これらの事業の推進に当たりましては、
求職登録を行っていただいております有
資格者約四百四十人に加えまして、新たに掘り起こす
潜在保育士を活用してまいる考えでございます。
次に、
保育士の
配置基準の
見直しについてでございます。一人一人の児童に寄り添った質の高い保育が求められます中、
保育所においては、人材の確保と
保育士の
業務負担の軽減、これが大きな課題となっております。政府におきましては、今月二月二十八日に開催をされました
衆議院予算委員会の中で、
岸田首相が
保育士の
配置基準につきまして、これから政府としてもしっかりと考えていくと発言をされております。県といたしましては、保育の質に関わる
配置基準と
保育士の処遇の改善は国で責任を持って進めるべきものと考えております。このことから、昨年、二度にわたり県議会と共に国に要望を行ってまいりました。引き続き、
人件費の措置を含め、早期の
基準改善の実現に向けて要望を行ってまいります。
私立保育所が経営面で抱える課題への対応と基金の活用についてでございます。
私立保育所の運営費は、国が定めます
公定価格に基づき収入が決定され、施設の規模に応じた児童一人当たりの単価に利用する児童の数を乗じて算定をされております。このため
公定価格に含まれていない
人件費等が発生した場合には
保育所の負担が増加することで、経営面に影響を与えることが課題であると考えられます。この
公定価格に含まれない
人件費のうち、障がいのある児童を受け入れた場合の
加配保育士、児童との遊びや活動など
保育士と一緒に
保育業務を行う
保育補助者、
園外活動時の見守りなどの
周辺業務を行う
保育支援者、これらの雇い上げの費用につきましては国の補助等を活用することができますが、園に対するこれらの
補助制度を導入していない
市町村も多くございます。県といたしましては、
市町村に対し
補助制度の導入を働きかけますとともに、その活用を促してまいります。
出産・
子育て安心基金につきましては、国が打ち出す
少子化政策を踏まえまして、より本県の
県民ニーズに即し、効果的と判断されるきめ細かな県独自の出産・
子育て施策を機動的に実施する財源として活用することといたしております。
保育所における
人件費の補助につきましては、既存のこの国の制度の活用を図ってまいりたいと考えております。
9
◯議長(桐明 和久君)
中嶋玲子君。
10 ◯十二番(中嶋 玲子君)登壇 知事、御答弁ありがとうございました。
実は、知事の答弁の中で、一人一人の児童に寄り添った質の高い保育が求められる中で、
保育所においては人材の確保と
保育士の
業務負担の軽減が大きな課題となっていると、そういうふうに認識をしているということでございました。それにつきましては、いろんな方策を新たに進めていかれるということで、しっかりとやっていただけるものと期待をしているところでございます。と申しますのも、知事は日頃から、
人づくり、
人材育成を施策の中心に据えておられます。国の制度や補助金の活用のみならず、県独自でいろんな方策を考えていただき、とても心豊かな
子供たちが育つように、
幼児保育の充実で幼少期からの子供の育成に格段の注力をしていただきますよう強く求めております。
また、二月二十日では、
加藤厚生労働大臣は実施しないと答えてありましたことを、三日前、
岸田総理大臣が、進めていくという方針を示されました。せっかく国がこういう方針を出されました。今がチャンスだと思います。
全国知事会等でも強く要望していただき、一日も早い
配置基準の改正が行われますことを知事の口からしっかりと主張していただきますよう御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
11
◯議長(桐明 和久君) 栗原悠次君。(拍手)
*栗原
議員質問
12 ◯三番(栗原 悠次君)登壇 「春風や背中押さるるランドセル」
「春風や背中押さるるランドセル」
皆様、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の栗原悠次でございます。通告に従いまして
一般質問を行います。
服部知事は、県政の大きな柱の一つに次代を担う人財の育成を掲げられており、新年度予算案でも、一千億円の
人づくりと題し、約百二十億円の出産・
子育て安心基金を設置されるなど、子供真ん中社会を標榜しておられます。今回の
一般質問では、宝と言うべき
子供たち、とりわけ本県における不登校児童生徒のサポートについてお伺いいたします。
昨年十月に文部科学省が発表した調査結果によると、全国の令和三年度の小学校の不登校児童数は八万一千四百九十八人であり、また中学校における不登校生徒数は十六万三千四百四十二人でありました。小中学校ともに過去最多であったと報告されております。本県の公立小学校においては、不登校児童数は四千三百五十九人、公立中学校では七千七百十人で、過去最多となっており、令和二年度と比べると、小学校で千四十一人増加、中学校で千四百六十三人増加しております。
近年、不登校児童生徒が増加傾向だったことを踏まえ、福岡県教育委員会では、令和三年十二月に福岡県不登校児童生徒支援グランドデザインを策定しております。これに基づき、学校、家庭、地域はもちろん、教育支援
センターや民間施設等が連携して学習機会の提供などの取組を進めているところであります。このように義務教育段階では、個々の児童生徒に応じた多様で適切な学びができるような支援が行われていると伺っております。このような取組を進めることで、児童生徒の社会的な自立を目指すとともに、将来的な進路実現が可能になるように、取組のさらなる充実を願うものであります。また、高校の不登校生徒数については、令和三年度は全国で五万九百八十五人であり、過去五年間で二番目に高い数値となっており、その推移は横ばいの状況が続いております。本県の県立高校においても、令和三年度の不登校生徒数は千二百十七人と、令和元年度の千四百二十三人よりは減少しているものの、令和二年度の千七十人からは増加しており、依然高止まりの状況であります。
こうした中で、昨今の生徒の実態に目を向けると、家庭の経済的困窮や複雑な家庭事情、社会問題化している虐待やヤングケアラーなど、家庭環境等に課題を抱える生徒も多いと報告がなされております。本県では、県内四地域に一校ずつ整備されている定時制単位制高校が、やむを得ず中途退学や不登校に至った生徒の受皿となり、また大学進学などの明確な進路目標を持つ生徒に対する教育も提供するなど、多様な背景を持つ生徒の学習の場となっております。私の地元の八女を含む県南の筑後地域には大牟田北高校が昨年四月に開校いたしましたが、同じ筑後地区の中でも、中山間地域など定時制単位制高校への通学が不便な地域においても支援ニーズが高まっていると考えます。様々な背景を持つ生徒が多く在籍する定時制単位制高校はもとより、全日制の高校も含め、これまで以上に生徒一人一人の状況を踏まえた支援が求められております。
特に、家庭環境等に課題を抱える生徒に関しては、学校が福祉の
関係機関と連携しながら、生徒に寄り添った支援をしていくことが重要と考えます。現在、学校には福祉機関との連携を担うスクールソーシャルワーカーが配置されておりますが、複雑な事情を抱えて支援を必要とする生徒が増えている中で、生徒一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援が必要でありますが、学校も教員不足等の課題を抱えているため、教員の負担増加に直結しないようにするためには、スクールソーシャルワーカー等の専門人材の配置を拡充していくことが必要不可欠ではないかと考えます。
生徒が安心して学び、自らの意思と進路希望を実現させていくため、家庭環境等に課題を抱え、不登校に悩む生徒への支援について、どのように取り組んでいかれるのか教育長にお伺いをいたします。
御答弁、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
13
◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
14 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 家庭環境に課題を抱え、不登校に悩む生徒への支援についてでございます。学校においては、生徒がその置かれた環境にかかわらず安心して学び、希望する進路を実現できるよう、家庭環境等の課題を抱える生徒を早期に発見し、個別の状況に応じて
関係機関と連携、協働した支援に結びつけることが重要であると考えております。まずは、教員がこうした生徒をいち早く発見できるよう、研修などを通じた教員のスキルアップに取り組むとともに、福祉
関係機関との連携において中心的な役割を担うスクールソーシャルワーカーを県立高校に配置をいたしております。また小中学校においては、不登校率が高いなど特に支援が必要な九つの市町に県教育委員会がスクールソーシャルワーカーを直接配置するほか、スクールソーシャルワーカーを配置をいたします
市町村に対して財政的支援を行っているところでございます。併せて、県立高校に進路支援コーディネーターを配置をし、生徒の個別の状況を踏まえて、
関係機関と連携しながら、奨学金などの情報提供や就職支援を行っております。今後も、各学校における生徒の実態や学校の対応状況を踏まえて、スクールソーシャルワーカーなどの効果的な配置を図るなど、学校と
関係機関との連携を一層推進し、多様な生徒が安心して通える学校づくりに取り組んでまいります。
15
◯議長(桐明 和久君) 栗原悠次君。
16 ◯三番(栗原 悠次君)登壇 教育長から御答弁賜りました。
最後に一点、御要望を申し上げます。先日、地元で不登校児童生徒を抱える保護者の集まりに参加をし、意見交換をする機会に恵まれました。近年、全国的に不登校児童生徒が増加しており、本県においても同様の傾向が見られます。このことが文部科学省から発表されますと、世間では数字のみが大きく取り上げられ、併せて、不登校に対する取組が強く求められます。しかし、不登校児童生徒を抱える家庭では、こうした風潮を受けて、中には子供が学校に行かないことに罪悪感を感じ、日々悩みを抱えていらっしゃる保護者がいらっしゃいます。また、不登校の未然防止や予防という文言には、不登校に悩む
子供たちが、自分の置かれている状況が悪いカテゴリーに含まれているのではないかと傷ついているという意見も伺いました。国においては、平成二十八年十二月に、休養の必要性を明示した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が公布され、学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、社会的に自立することを目指す必要があることが言われております。これを踏まえ、保護者や不登校のお子さんの不安を少しでも和らげることができるよう、不登校の時期が休養や自分を見詰め直す等の積極的な意味を持つ場合があるという皆さんのお気持ちを伝えたいと思います。また、不登校児童生徒を抱える家庭に対して多様で適切な教育の機会を確保するため、学校をはじめ様々な
関係機関が連携して支援することを強く要望いたしまして、私の
一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
17
◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。
午 前 十一時 四十七分 休 憩
午 後 一 時 一 分 再 開
18 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。
休憩前に引き続き
一般質問を行います。順次発言を許可いたします。高橋雅成君。(拍手)
*高橋(雅)
議員質問
19 ◯六十八番(高橋 雅成君)登壇 こんにちは。公明党の高橋雅成です。通告に従いまして、児童虐待とマルトリートメントの防止策について質問いたします。
初めに、法医学と連携した児童虐待防止策について質問します。令和元年六月に改正された児童福祉法では、児童相談所への医師、保健師の配置が義務化され、昨年四月に施行されました。これに先立ち、平成三十一年三月に開かれた児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議では、小児科医、精神科医、法医学者など事実に即した専門性を有する医療関係者との連携体制の強化を図るとされています。このうち法医学については、日本法医病理学会と日本法医学会から法医学と児童相談所との連携で、死に至る児童虐待を防止するため、児童福祉法を改正するよう
厚生労働省に対する要望が寄せられていました。昨年の同法改正時に第三十三条の三の二が新設され、双方の連携に法的な根拠が与えられました。
法医学者は、一般的には死体を解剖して死因の究明や外傷の所見から受傷機転、つまり外傷を負った経緯を調べ、必要に応じて裁判に必要な書類(鑑定書)を作成する医師です。その技術、知識を生きている人に応用していくのが臨床法医学であり、被虐待児の創傷や客観的情報から受傷機転を判断していきます。臨床医が治療の専門家であることに対して、法医学者は、どのようなことで起きた傷なのか、受傷機転を検証し、鑑定書、証明書などを作成する専門家です。児童相談所と法医学が連携することにより多くのことが可能になります。公益社団法人母子保健推進会議が令和元年に実施したアンケート調査で、法医学と連携している児童相談所に連携により可能になったことを尋ねたところ、虐待が疑われる養育者に客観的に説明し、認めた、虐待か否か判断ができ一時保護につながった、裁判で判決に反映されたなどの複数の回答がありました。また、職員の資質向上に寄与した、職員の精神的支え、勇気になるとの回答もありました。同じアンケートで、法医学者に虐待に関与することについての意見を聞いたところ、法医学が虐待の発見や防止に関与する必要がある、児相や自治体は症例を抱え込みがちであり、法医から警察や他科へ連携を広げることで負担が減る、損傷の専門家として積極的に関わるべきなどの声が相次いでいます。
福岡県の児童相談所は、虐待が疑われる児童を児童虐待対応病院などで受診させ、そこでも創傷の受傷機転が不明である場合などにおいて、大学病院法医学教室などに依頼し、セカンドオピニオンを実施しているということです。県のセカンドオピニオンの実施状況は、令和二年で九例、令和三年で十六例などとなっており、平成二十九年から令和三年までの五年間で四十七例にとどまっています。この数字を見たとき、受傷機転が不明の場合、全てがセカンドオピニオンに結びついているのか、私は疑問を感じました。事実、平成三十年、本県で当時ゼロ歳十一か月の児童が頭部に何らかの強い衝撃を受け、急性硬膜下血腫とびまん性脳腫脹で死亡したケースでは、同年四月に児童が頭部外傷を負った際、医師から受傷機転は不明であると説明を受けていたにもかかわらず、受傷機転を特定するためのセカンドオピニオンを行っていなかったと児童重大事例検証報告書で報告されています。
そこで伺います。福岡県とセカンドオピニオンに応じている大学、病院などとの契約内容と運用方法はどうなっているのか、また法医学所見の活用方法や連携の効果についてはどうかお答えください。
法医学との連携について、福岡市のこども総合相談
センターは、虐待ケースで受傷機転が不明なものはほぼ全件、九州大学医学部法医学教室に相談、一時保護をした場合には、その日かその翌日には診察をしてもらっているということです。また長崎県では、長崎大学医学部法医学教室と実施マニュアルに基づいて連携し、児童相談所は子供の損傷確認後または一時保護後二日以内に依頼。同法医学教室は、直接児童を診察しているということです。福岡県においても法医学の活用をもっと積極的に行い、児童虐待の防止や児相などの職員の対応能力の向上につなげてはいかがかと考えます。知事の御所見を伺います。
次に、マルトリートメントの防止について質問します。マルトリートメントとは、虐待とは言い切れない、大人から子供に対する避けたい関わりのことです。子供時代にマルトリートメントを受けていると、大人になってから心のトラブルに悩む可能性が高くなるということです。また、体罰などが子供の成長、発達に悪影響を与えることは科学的にも明らかになっています。
厚生労働省が令和二年に発行した「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」によると、マルトリートメントは児童虐待を広く捉えた概念で、子供の命や安全を確保するため子供の保護を要するレベルをレッドゾーン、軽度な虐待で問題を重症化させないため支援が必要なレベルをイエローゾーン、虐待まではいかないが保護者の子供への不適切な育児について啓発や教育を行い支援が必要なレベルをグレーゾーンと呼んでいます。このうちのグレーゾーンには、例えば自転車の補助椅子に子供のみを乗せておき、買物をする、高層マンションのベランダに踏み台となるような物が置いてある、親のたばこ、ライターを無造作に子供の手の届くところに置くなどの行為も含まれるとしています。令和二年四月の改正児童福祉法の施行で、子供への体罰は禁止されました。初めは軽くたたく程度でも、子供が痛みに順応していく過程で暴力がエスカレートしていき、気づいたときには虐待に発展することも考えられます。虐待事案で、加害者が、しつけのためだったと言う事例も散見されるゆえんです。
児童虐待を未然に防ぎ、子供が心身ともに健康に成長するためには、マルトリートメントの防止という観点から子育て中の家庭を支援するとともに、広く啓発や教育をすることが必要と感じるものです。マルトリートメントに対する県の取組とともに、知事の見解を伺います。
また、児童虐待の問題を重症化させないためにも、マルトリートメントの概念に基づき、軽度な虐待で支援が必要とされるイエローゾーンにいる子供の早期発見、早期対応の取組が重要になります。子供が多くの時間を過ごす学校、中でも自分の力で虐待に抵抗することが難しい小学生段階においては、教師の気づく力や学校の組織的な対応力が問われます。小学校において児童虐待にどのように取り組んでいるのか、教育長にお尋ねします。
以上で質問を終わります。答弁をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
20 ◯副議長(井上 博隆君)
服部知事。
*
知事答弁
21
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
法医学と連携した児童虐待防止策についてお尋ねがございました。県の児童相談所では、複数の傷やあざ、やけどや骨折、頭部の外傷、体重の著しい減少など子供に虐待が疑われる場合は、子供を一時保護した後、まず県が指定しております県内四か所の児童虐待対応拠点病院や県内六か所の虐待対応の専門チームを有する総合病院に診察を依頼しまして、受傷した原因や経緯の特定を行っております。このうち、保護者が虐待を否定し、子供の傷と保護者の説明との間に矛盾がある場合や受傷機転が特定できなかった場合は、九州大学をはじめ四つの大学の法医学教室に鑑定を依頼しております。昨年度実施いたしました鑑定件数は十六件となっております。法医学鑑定の実施に当たりましては、各児童相談所におきまして、法医学教室の教授とあらかじめ合意の上、案件が発生するたびに依頼をいたしておりまして、報酬につきましては、その都度協議の上、単価を決定し、お支払いをしているところでございます。法医学鑑定の所見は、特に保護者が虐待をしており、子供の処遇について家庭裁判所の審判を必要とする場合などに有効でございまして、児童相談所では、複雑な案件に対する虐待の有無の判断、保護者への指導、適切な子供の保護のエビデンスとして役立てているところでございます。
法医学の積極的な活用についてお尋ねがございました。先ほど申し上げましたとおり、県では児童虐待対応拠点病院や虐待対応の専門チームを有する病院の診断と、この法医学鑑定を組み合わせまして、子供の受傷機転の速やかな特定と、より高度な所見の活用の両立を図っているところでございます。拠点病院等におきましては、子供の受傷機転の特定と虐待可能性の検証の精度を高めますため、小児科医、救急外来看護師、医療ソーシャルワーカー、子供の状況に応じた診療科の医師など、病院の組織を横断した虐待対応専門チームを結成し、日本子ども虐待医学会が開発いたしました
医療機関向け虐待対応プログラムを活用しているところでございます。法医学の所見は、虐待を否定する保護者に対する職員の説得力ある説明や指導に効果的でございます。鑑定を迅速かつ円滑に実施できますよう、各大学の法医学教室と報酬単価をあらかじめ定めた契約締結に向けて準備を進めたいと考えております。
次に、マルトリートメントに対する取組についてお尋ねがございました。マルトリートメントの概念において示されております、親の意見を押しつける、他の子と比べたり責めたりするなどの不適切な養育を防止しますためには、子供の発育や発達に応じた子育てのポイントについて広く啓発することが必要でございます。このため県では、子供の発達段階に応じた接し方や、家庭におけるしつけなどを記載いたしました冊子「子育て応援団」を作成し、
市町村で実施をいたしております一歳六か月児、三歳児、就学時の各健診の機会に配付をいたしております。また、子育て中の家庭に向けて、子供の気持ちや考えに耳を傾ける、肯定的な声かけをする、失敗しても寛容な心で接する、子育てに悩んだら周囲に助けを借りるなど、アドバイスを記載したチラシを配付いたしております。さらに今年度は、県内の小中学生の保護者に対し、体罰によらない子育てのポイントをまとめましたリーフレットを配付し、啓発を行ってきたところでございます。このような啓発は、子供の年齢等にかかわらず行っていくことが必要でございます。このため来年度以降、このリーフレットを母子手帳の交付時や乳幼児健診受診時に配付いたしますほか、今後
市町村に設置されるこども家庭
センターともこれらの啓発コンテンツを共有したいと考えております。
22 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
23 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 小学校における児童虐待への取組についてでございます。小学生は自ら虐待の事実を訴えることが難しいことから、学校が虐待を早期に発見できるよう、児童の日常の様子をよく観察し、異変や違和感を見逃さないよう努めるとともに、児童や保護者が悩みの早い段階から相談できる機会の提供と、その周知が重要でございます。このため、生徒指導担当者研修会における朝の健康観察での虐待発見ポイントなどについての講義やスクールカウンセラー等による教育相談、多様な相談窓口を掲載したパンフレットの配布などを実施しているところです。虐待は、学校での早期発見の取組とともに、児童相談所等の
関係機関へ早急につなぐことが重症化を避けるために非常に重要となります。今後とも、マルトリートメントの視点を踏まえ、虐待の予兆となり得る小さな変化も見逃さず、疑いの段階から、
関係機関と連携し、早期対応に努めてまいります。
24 ◯副議長(井上 博隆君) 高橋雅成君。
25 ◯六十八番(高橋 雅成君)登壇 前向きな御答弁、ありがとうございました。
法医学との連携ですけれども、歯科法医学教室というのもあります。ちょっと福岡にあるかどうか調べていませんけれども、歯磨きが全然適切にされていなかったりとか、あるいは顔に暴力を受けたときに歯が欠けたりとかいうような状態を見て虐待を特定していくという、そういう教室ですけれども、そうしたところとの連携もぜひ今後検討していただけないかなというふうに思います。
それから、昨年の児童福祉法の改正のこれは施行後ですけれども、被虐待児童を一時保護するときは、親の同意がないときは、裁判所の一時保護状というのが必要になります。このために法医学による受傷機転の判定がますます今後重要になると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
再質問ですけれども、「子育て応援団」、今、知事から御答弁いただいた冊子ですけれども、これに今、リーフレット、このリーフレットも大変すばらしいものができておりますけれども、このリーフレットに書かれた内容を「子育て応援団」のほうに掲載していくようなことも今後考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか、質問いたします。
私も、今回が最後の質問になります。二十年間、県民の負託に応えるべく、県民の声を議場におきまして伝え続けてきたことが私の誇りでございます。私を今日まで育てていただきました皆様方に、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
麻生元知事、故小川前知事、そして
服部知事はじめ執行部の皆様には、私のしつこい質問にお付き合いをいただきまして、ありがとうございました。本会議場での質問を終わりますけれども、予算特別委員会でまたちょっと質問を行います。
それでは、再質問の御答弁、よろしくお願いします。(拍手)
26 ◯副議長(井上 博隆君)
服部知事。
27
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 ただいま議員から御質問がございました「子育て応援団」というこの冊子でございますが、これは就学前のお子さんを持つ保護者へ
市町村を通じて配付をしておるものでございます。楽しくゆとりのある子育て、子供の健やかな成長のため乳幼児期の子供の発育や発達段階に応じた子育てのポイントというものを載せております。具体的には、一歳六か月から二歳までの冊子では、我慢が苦手な時期でありますので、そのわがままをそのまま受け入れずに、我慢する力が育つようにだっこしてしっかり褒めてやるとか、あるいは三歳から四歳頃の冊子につきましては、子供も自立と依存の間で揺れ動くという時期であるということから、大人の都合で一方的に叱らず、何で悪いのかと、なぜいけないのかということを子供にゆっくり話をしましょうとか、あるいは五歳から六歳になりますと、子供の自立心が芽生える時期でございます。社会のルールを子供が学ぶことができますように親がフォローをしようと、こういった子供への接し方を記載しているところでございます。このように、現在の親御さんが体罰によらない子育てを行うように、その仕方を記載をする、盛り込んでいるところでございますが、冊子の内容につきましては、子育てを取り巻く情勢の変化に応じて、関係課において協議をしながら毎年
見直しを行っておりますので、議員から御提案のありましたマルトリートメントという観点からも理解が進みますように、引き続き、表現を工夫しながら内容の検討をしてまいりたいと考えております。
28 ◯副議長(井上 博隆君) 古川忠君。(拍手)
*古川
議員質問
29 ◯七十番(古川 忠君)登壇 真政会の古川忠です。通告に従い、早速質問に入ります。
服部知事就任後初めて服部カラー、そして知事の思いが籠もった来年度予算案が提案されました。県職員として県政の課題に長年、そしてまた身近に携わってこられただけに、様々な分野に細かく気を配ったすばらしい予算案だと私は評価しております。日本全体が人材の枯渇が叫ばれている今、県の発展を担うのは人ですと、今予算の目玉の第一に
人材育成を挙げられたのは、全く同感であります。一千億円の
人づくりという一千億円が、何を積み上げられた額かは分かりませんが、
人材育成を必要とする分野は幅広く、近年特に注目を浴びているテクノロジー人材など、IT、またあらゆる産業、農林水産業、またスポーツ分野に至るまで、多くの
人材育成のプログラムが予算化されております。
知事はこれに対して、それぞれの夢に向かってチャレンジする若者を応援すると議案説明で述べられましたが、私はそもそも、チャレンジする子供、若者がどれだけ育っているかに目を向けたいと思います。夢を持つという言葉があります。何となく心地よい響きもあります。しかし、少し意地悪な言い方かもしれませんが、私は常々、夢なら寝ても見れると言っております。夢が破れたから自暴自棄になったり、自殺まで至る例は少なくありません。それぞれ夢を持つことはいいことですが、それに向かう志を立てることを私は重要と考えています。幾ら多くの
人材育成プログラムを用意しても、志を高く持ち、これらにチャレンジする子供や若者が減っていっては元も子もありません。一千億円
人づくりも大いに結構ですが、その土台あるいは前提となる志ある人を育てることの重要性に目を向ける必要があると私は考えます。志について、また志教育についてどう考えるか、知事のお考えをお尋ねいたします。
日本の経済、産業の衰退の原因の一つは、志ある人材の減少と私は思います。特に財界人の多くは、このことを深刻に憂えておられます。例えば、二〇一五年に長野県松本市で設立された一般社団法人志教育推進機構では、当時、アサヒビール名誉顧問で、日本戦略研究フォーラム会長だった故中條高徳氏が指導されました。また、志教育を実践するために、当地に小中一貫の才教学園も設立されました。当時から義務教育の立て直しと志教育を取り入れた学校をつくりたいと思っていた私は、実際にその学校を視察させていただきました。そこには、志を芽吹かせるために全力で立ち向かう教員たちの姿がありました。また、学習プログラムも、志を立てることを目標に綿密に研究されたものでありました。
そこで教育長にお伺いいたします。現在の小中高の教育の中で、志を芽吹かせる、あるいは志を立てる教育はどう位置づけられておるのか、教育長の思いも含めてお尋ねいたしたいと思います。
今予算では、新たに未来子どもチャレンジプロジェクトとして一億六千万余りもの予算が計上されました。少年よ大志を抱けから命名されたアンビシャス運動を終了し、今後は県内の
市町村に広げるとの説明がありました。アンビシャスの名前が消えるのは寂しい限りですが、これまでの運動の成果なり、欠点を十分検討した上で、次のチャレンジプロジェクトへつなげていく必要があると思います。知事の考え、意欲をお尋ねいたします。
また、この新規事業を成功させるためには、知事部局、教育長、さらに企業、民間団体等が結集して立ち向かう必要があると思いますが、知事並びに教育長のお考えをお尋ねいたします。(拍手)
30 ◯副議長(井上 博隆君)
服部知事。
*
知事答弁
31
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
志のある人材、人を育成することについてお尋ねがございました。これからの日本の
子供たちが生きる社会、これは生産年齢人口が減少していく中で、グローバル化あるいは情報化の進展がより一層加速をいたしまして、変化を予測することがますます難しいと、困難になっていくものと見込まれます。また、新型コロナウイルス感染症対策のように、様々な主体の経験や知識を持ち寄って解決を図る必要のある複雑な課題も増えてくるというふうに考えられます。こういったこれからの社会を見据えたときに、既存の秩序や他人の評価にとらわれず、自ら課題を見つけて学び、考え、そして判断して解決に向けて行動する能力や、幅広い視野を持って、文化や価値観の違いを超えて多様な他者と協働して新たな価値を創造する能力、こういった能力を備えた人材を育成することが必要であると考えております。こういった人材を育成し、日本の社会の担い手として、議員御指摘の志のある人材として成長してもらうためには、学校での教育はもちろんでございますが、これとともに実社会における多様な経験の積み重ねというものが重要であると思います。子供は、経験を通じて様々な価値観の存在を認識いたします。これとともに、それぞれの目標を見つけて、それに向かってチャレンジをしてまいります。その過程で、成功もある、失敗もあると、こういう成功、失敗を繰り返して他者や社会に役立つ経験を蓄積いたしますことで、自己肯定感を高め、失敗を恐れずに挑戦する姿勢が育まれてくるものだと考えております。
県では、これまで青少年アンビシャス運動を展開してまいりました。この運動は、県が直接県民の皆様に呼びかけて事業を実施し、青少年育成の中心的な役割を担っていただいております
市町村の参画を求めなかったという点もございまして、こういったことから今現在、その勢いが減速しているのが実情でございます。このため、今議会で関連予算をお願いしておりますが、未来子どもチャレンジ応援プロジェクト、このプロジェクトでは、これまでのアンビシャス運動の成果、効果といったものをしっかりと検証いたしました上で、
市町村や企業等とも連携をし、これまで以上に多くの
子供たちに、多くの人と関わる、そういう体験や、あるいは子供同士が切磋琢磨する体験、こういう機会を多く提供していきたいと考えております。この取組によりまして、
子供たちの将来の可能性、これを引き出していきたいというふうに考えているところでございます。この事業をはじめとしまして、先ほど申し上げました考え方を県教育委員会、また
市町村の皆さん、あるいは企業の皆さんと共有をして、子供の育成施策というものをしっかりと進めていきたいと考えておるところでございます。
32 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
33 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 志を立てる教育の位置づけ及び知事部局等との連携についての御質問でございますが、まとめてお答えをさせていただきます。県教育委員会では、教育の基本目標として、志と自律心を持ち、創造性や個性に富み、生涯にわたって学ぶ県民を育成することを掲げております。そして、この目標の実現に向けましては、子供の発達段階に応じた教育、これを適切に行うことが最も大切であるというふうに考えております。まず幼児期にあっては、遊ぶことを通じて社会性を身につけるなど様々な体験をしたり、たっぷりと愛情を注がれることによって、自己肯定感や他者への信頼感など、いわゆる豊かな心の素地となるものを育む環境を充実させる必要があるというふうに思います。次に小中学校段階では、仲間との学び合い、豊かな自然や文化に触れる体験、読書活動などを通して基礎、基本の学力や体力、豊かな心といった知徳体のバランスの取れた育成を図るとともに、自らの在り方や生き方を考える機会、これを教育活動の様々な場面において提供することを重視すべきというふうに考えております。そして高校段階でありますが、この段階は、社会のつくり手として、どのように生きていくのかという課題に対して真剣に向き合う重要な時期でございます。この時期に、志を立て、将来に挑戦しようとする力を育むため、社会的自立に向けて直面する
子供たちの疑問とか悩みに対して、教師がこれを親身になって受け止め、指導する中で、一人一人の生徒の心に火をつけるような教育、言うなればそっ啄同機の精神で分厚い全人教育を行うべきであるというふうに考えております。また、教育は、大人たちが共通の認識に立って、同じ方向を向いて働きかけるからこそ、その効果が高まるものでございます。志の育成をはじめ福岡県の教育目標の実現に向けて、家庭や地域、
市町村や知事部局等と連携、協働して対応してまいりたいと考えております。
今後とも、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性などを涵養し、自ら目標を立て、その実現に向けたくましく挑戦する気概を
子供たちに育んでまいります。
34 ◯副議長(井上 博隆君) 古川忠君。
35 ◯七十番(古川 忠君)登壇 知事、教育長の意欲ある答弁に、ありがとうございます。
ただ一言、子ども未来プロジェクトについて付け加えます。これまでやってきたアンビシャス広場等の活動を全く否定するものではもちろんありません。関わってこられた多くのボランティアの方々に心から敬意を表するものであります。ただ、志は、集団活動や読書、また優れた人に出会って、感動から生まれるものであります。新規事業では、これらを踏まえた上で、意義ある事業にするよう強く要望しておきたいと思います。
さて、私は当時、混乱していた教育現場を立て直し、目がきらきらと輝く
子供たち、少年たちを育てることで元気で品格ある日本をつくりたいと、そういう志を持って三十数年前、新聞記者を辞め、初めて県議会議員に挑戦いたしました。文教委員長などもさせていただきましたが、現在の日本の状況を見てじくじたる思いもあります。ただ、同じ思いを持つ友人らと、志を掲げた学校を自分たちの手でつくろうと十五年前に思い立ち、紆余曲折を経ながらも、やはり教育を憂うる地元財界人らの強い後押しもあって、志明館、志を明らかにするという名の学校、小中一貫校を来年四月、北九州市に開校することにこぎ着けました。これは私にとって一つの節目でもあります。単にIT技術に優れるとか、スキルを身につけるとかは、個人がただ裕福になる、幸福になるだけのことにすぎません。本当の志とは、自分がいかに世のため人のため、どう生きるかということに思い至ることではないかと私は思います。その志が今の日本に決定的に欠けていると私は思っております。行政の仕事を選ばれた県職員の皆さん、またここにおられる議員諸兄、まさにその志を持っておられる方々ばかりだと私は信じております。
三十数年前、初めてこの演壇に立って以来何度立ったか数え切れませんが、私自身は、一貫して正義と志を通してきたつもりであります。正義の使命は、一つには、何と言っても弱者のためにあります。もう一つは、次の世代を育て、よりよい社会を残すことであります。後輩の議員の皆様には、常に高い志を持ち続け、健全で元気な少年少女を育てることに全力を尽くしてくれることを切に願いまして、最後の演壇を降りたいと思っております。
皆様には本当に長い間お世話になりました。心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。終わります。(拍手)
36 ◯副議長(井上 博隆君) 岳康宏君。(拍手)
*岳
議員質問
37 ◯一番(岳 康宏君)登壇 拓志会の岳康宏です。通告に従って
一般質問させていただきます。
まず初めに、本県における人手不足の現状についてお尋ねします。最近、私の地元福岡市中央区天神や大名を歩いておりますと、韓国からのお客様が多くなりました。九州運輸局によると、一月の九州への外国人入国者数の速報値は二十万五千四百七十六人で、二〇二〇年一月以来、三年ぶりに二十万人を超えたそうです。また、そのうち韓国人入国者数は全体の七割に当たる八万六千六百四十二人であったとのことです。しかし、福岡県内の飲食店は、コロナ禍で一旦店を閉めたり、休業したりしたため、福岡県内でも人手不足は深刻のようです。福岡空港では、コロナ禍によって空港閉鎖のため、保安要員が辞めてしまい、人員の確保がいまだにできず、韓国釜山から帰ってきても、一時間以上空港内でお客様がぐるぐる回って待たされていると聞いています。これからコロナ禍が落ち着き、経済を回すため、外国からの入国緩和を徐々に進めていっても、受入れ側の福岡の体制が整わず、観光客に悪いイメージを与えることがあってはなりません。何らかの対策を講じていくべきと考えます。今、多くの業界でDX化への対応が迫られています。DX人材の確保は様々な業態で喫緊の課題のようです。企業間で、在籍型出向を活用した越境学習プログラムも盛んになっているのも、DX人材の確保、発掘のためのようです。
以前、保育園でお話をしていましたら、ある
保育士さんから、子供ができましたが、園長先生にどう伝えていいか悩んでいますとおっしゃっていました。
保育士さんは、子供が好きで、望んで職を選び、誇りと生きがいを持ってお仕事なさってきたんじゃないですか。園長先生もきっと喜んでくださるんじゃないんですかと答えました。しかし、
保育士の先生は、私が辞めたら、ほかの
保育士さんに迷惑がかかるので、園長先生に言いにくいんですと、職場環境に変化を及ぼす責任を気になさっていました。実際、園長先生に伝わった後、お話を伺うと、子供を長年お預かりしてきた立場でありながら、率直に言って、うちの
保育士に子供ができたことを素直に喜べないもう一人の自分がいます。優秀な彼女がいなくなってしまったら、一方で、どうしても経営のことを考えて、園が回らなくなるのではないか、代わりの
保育士は確保できるのかと思ってしまうんですと。そう言われたとき、私は頭をがつんと殴られたような衝撃を受け、それほどまでに人材不足が深刻なのかと思いました。
一方で、働く意欲のある、福岡県内外から警固公園に集まる、ちょいグレと呼ばれるさまよえる十代がいるかと思えば、任用期間が長いという理由で今年三月までに辞めないといけない、いわゆる派遣切りの人たちも本県内にいます。つまり、福岡県内において、働く現場で人手が足りていないのに、日本人の中にいる、まだまだ働く意欲がある人や潜在的に埋もれている働き手を掘り起こせていないのではないかと感じてしまいます。
そこで知事に質問いたします。県民一人一人が働くことを通じて生きがいや幸せを感じ、誇りを持って仕事に従事することができるために、県民の皆様をしっかりと支援していく、これこそが知事がおっしゃる人材の育成への積極的な投資にほかならないと考えますが、本県としてどのような問題意識を持って県民の就業支援や企業などの人手不足の解決に向けた対策に取り組まれているのかお答えください。
次に、院内学級について質問いたします。この三年間、私たちの生活や社会は常に新型コロナウイルス感染症への対応に迫られました。あしたも当たり前に学ぶことができるのか、それさえも分からない毎日の中で、様々な気づきを得ながら、今できることを模索し、新たなものや考えを創造してきました。コロナ禍における日本はマスクをするのが当たり前の社会となっておりました。幼稚園の園長会に呼んでいただき、お話をすると、職員の皆さんやPTAの方々は、マスクによって表情が見えないため、相手の顔色をうかがい、表情で心を読むような情操教育ができていません、満面の笑顔いっぱいの表情で無邪気に
子供たちがじゃれ合うコロナ禍前の日常を取り戻したいものですとおっしゃっています。この三年間、世界中においてあらゆる日常の変化があったと思いますが、このような厳しい時代だからこそ、人と人との触れ合いや温かな心の交流が大切だと思います。
がん
センターには、小児がんで入院している
子供たちが多く、投薬を受けると、一週間ほど体に影響があり、授業が遅れがちになります。また、私立学校に通う生徒さんが入院した場合、原籍校を一度退学しないと院内学級を受けられないため、自習を選択している生徒さんもいるようです。そして、四月の年度替わりの際にどの場所にいるかによって、つまり、例えば福岡都市圏の自治体から福岡市内の病院に入院しているとすると、原籍校の教科書ではなく、福岡市の教科書が支給される国の制度になっています。
私は、一人一台のタブレット型パソコンを活用し、復籍制度の充実徹底を図り、原籍校への復帰をスムーズにするためにも、院内学級への持ち出しを柔軟に対応し、入院していても、あたかも原籍校で授業を受けているかのような環境になることを望みます。そうすることが、子供さんの早く元の学校に戻りたいという気持ちを内発し、原籍校の生徒さんも院内学級にいる同級生を認識して、交流が進むのではないか、患者さんが、勉強したいという意欲につながるのではないかと考えます。
ある筑紫地区の学校がタブレットの持ち出しを可能にし、実際に、福岡市にある病院でリモートを通じて授業を受けることができました。画面の端にいる、この子は誰だと話題になり、もっとこの子と話がしたいと原籍校の
子供たちが担任の先生に要望しました。コロナ禍ではありましたが、運動場に車で乗りつけ、コーンを立て、距離を保って原籍校の生徒さんと院内学級のお子さんとの交流が実現しました。患者さんは笑顔いっぱいで、御家族も涙して喜んだそうです。また、一、二年で一緒だった生徒から、誰々君は三年になって何組になったとと聞かれ、当初、その原籍校の担任の先生は、名簿に登載することもせず、院内学級の子供は原籍校に存在しないかのごとく扱おうとしたそうですが、生徒さんたちの要求に、担任の先生の考えも変わり、名簿に登載、院内学級の生徒さんに組が割り当てられたそうです。このようなよい実例を、福岡都市圏の自治体や福岡市の教育委員会が中心になって先生同士の研修会などが企画できれば、院内学級を担任する先生はどんなに心強くお感じになるかと思います。
今、出産するときに家族が立ち会えず、出産したばかりのお母さんが電話で家族に、今生まれたよと報告しなければならない状況にあると聞きました。また、お見舞いに行きたくても、面会を許さない病院の環境に、私は違和感を覚えます。病院内の心の疲弊を感じずにはいられません。患者は家族の顔を見て勇気づけられ、早く病気を治そうと思うのです。また、患者の家族にとって、お見舞いに行くことで家族の絆を確認でき、安心するのだと思います。何とか工夫して病院における面会の機会の確保をお願いできないかと思いますし、福岡県としても何かできないのか模索していきたいと思います。
そこで教育長に質問いたします。コロナ禍に、お見舞いも許さない病院がほとんどのようですが、院内学級の
子供たちも恐らく家族と十分に会えていないのだと思います。ならば、タブレットをうまく使って原籍校の同級生と自然に交流ができるようにし、人と人との触れ合いや温かい心の交流ができるような工夫を図るべきと考えます。本県における院内学級の現状をどのように認識し、
子供たちが病院内でも学校でも平等に教育を受けることができる環境をつくっていただきたいと思いますが、教育長の御所見をお示しください。(拍手)
38 ◯副議長(井上 博隆君)
服部知事。
*
知事答弁
39
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
人手不足分野での就職支援及び
人材確保支援についてお尋ねがございました。本県の一月現在の職業別の有効
求人倍率を見てみますと、求人数の多い職種では、警備員、建築・土木の技術者、介護、福祉分野の倍率が高く、三倍を超えている状況でございます。タクシー等の運転手や飲食
サービスの従業員の倍率も二倍を超えておりまして、これらの職種は依然として人手不足の状況にございます。企業からは、従業員が足りなくてシフトに困っている、求人募集をしても最近は応募者がいないといった声も聞いております。人手不足により企業の持続的な経済活動が妨げられることは深刻な問題でございまして、潜在的な働き手を含め、求職者が人手不足分野で活躍できるようにしていくことが重要であると考えております。
このため、県の年代別・対象別就職支援
センターでは、人手不足分野の企業の魅力発信や、仕事への理解を深めるためのセミナーを実施をいたしております。また今年度からは、紹介予定派遣の仕組みを活用いたしました
マッチング支援、あるいは合同就職面接会を実施をいたしまして、人手不足分野への就職支援を強化いたしております。これらの支援によりまして、一月末現在で約七百五十人の方が人手不足分野に就職したところでございます。さらに高等技術専門校では、人手不足分野で活躍できますよう、建築士、介護福祉士等の資格取得に向けた訓練を行いまして、今年度は約六百五十人の人材を育成しております。加えまして、若者サポートステーションでは、高校を中退した若者等を支援いたします若者自立相談窓口や、非行少年の立ち直りを支援いたしております県警の少年サポート
センター等と連携し、若者に対し、就職活動に必要な初歩的な準備を含め、丁寧に就労支援を行っているところでございます。企業に対しましては、正規雇用促進企業支援
センターにおきまして、採用力を向上させるための助言や正社員への転換を通じた定着支援を実施をいたしております。今年度は十二月補正予算におきまして、人手不足の飲食店を支援するため、店長等を対象としたシフト管理や労働環境改善等の講習会、求職者との
マッチングなどに取り組んでおります。建設業につきましては、新たに業界団体と連携をいたしまして、処遇改善の取組や魅力を発信することによりまして就職につなげる取組を来年度予算で提案をさせていただいているところでございます。今後もこうした取組を通じ、人手不足分野での就職の実現と企業における人材の確保を支援してまいります。
40 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
41 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 院内学級の現状と教育環境についてでございます。本県では、福岡市と久留米市が院内学級を設置をしておりまして、令和四年五月一日現在、五十四名の児童生徒が在籍をいたしております。この院内学級に入るには、元の学校を離れ転校する必要があるため、学習内容や友人関係の継続に課題があると認識をいたしております。また、コロナ禍により病院内への立入りが制限され、元の学校の教員や友人との交流の機会も制限されたことで、不安を感じた
子供たちも多くいるものと考えております。このため、院内学級を設置する市では、オンラインでの授業や学級活動、オンラインメッセージや手紙の交換など、元の学校の
子供たちとの交流の推進を院内学級に求めております。県教育委員会としましては、元の学校からも院内学級にいる
子供たちに積極的な支援が行われるよう、小中学校管理職や
特別支援学級担当者の研修会等におきまして、タブレット型パソコンを用いた学習参加など好事例の紹介や、その共有を図ってまいりたいと考えております。
42 ◯副議長(井上 博隆君) 笠和彦君。(拍手)
*笠
議員質問
43 ◯十六番(笠 和彦君)登壇
自民党県議団、笠和彦です。通告に従い、出会い、結婚の応援におけるAIの活用について質問させていただきます。
〔井上副議長退席 桐明議長着席〕
全国の二〇二二年の出生数は前年比五・一%減の七十九万九千七百二十八人で、統計開始以降初めて八十万人を割り込みました。出生数は七年連続過去最少を更新しており、国が二〇一七年に公表した推計は、八十万人割れを二〇三三年と見込んでおり、少子化は予想を十年以上上回るペースで進んでおり、極めて危機的な状況にあります。
厚生労働省の人口動態統計の速報値によりますと、福岡県の令和四年の婚姻件数は二万二千五百五十二組で前年と比較し〇・五%減少し、出生数も三万六千九百九十九人で四・一%の減となっております。また、五十歳時の未婚率は、令和二年の男性は二六・七%、女性は一九・七%であり、十年前と比較すると五割近く上昇しています。国立社会保障・人口問題研究所の二〇二一年結婚と出産に関する全国調査によりますと、二十五歳から三十四歳の結婚意思のある未婚者に現在独身でいる理由を尋ねた結果、適当な相手にまだ巡り会わないからの選択率が最も高く、男性の四三・三%、女性の四八・一%と半数近くが答えております。同全国調査によりますと、夫婦一組当たりの平均子供出生数は二〇〇二年の調査までは二・二人前後で安定的に推移しておりましたが、今回の調査では一・九人と低下傾向ではありますが、結婚に結びつく取組が非常に重要な役割を担うことが感じられます。国は異次元の
少子化対策を表明しており、福岡県においても、
少子化対策の取組の一層の充実が求められております。そのような中、様々なデータの蓄積、分析により、より相性のよい相手と効率的に出会い、結婚まで至る可能性を高めるため、全国の自治体においてAIを活用した結婚支援が進展しております。また近年、独身者の
マッチングアプリなどの利用が増加し、世間では伴侶を見つける手段も変わってきているようであります。
福岡県においても、令和五年度当初予算において、コミュニティーサイトを利用し、AIが相性診断したグループ間による出会いイベントを開催することについて提案されておりますが、その背景とAIを活用した取組の内容についてお伺いいたします。
近年では昔の病気と思われがちな梅毒の感染者が急増しており、その原因は交流サイトや
マッチングアプリの普及で不特定多数との出会いが原因と報道されております。また、
マッチングアプリなどの出会いを提供する
サービスは、一部ではありますが、悪質な業者による詐欺や利用者間同士のトラブルによる問題が発生している事例もあります。一般の方々の中には、福岡県での取組が出会い系やパパ活アプリみたいになるのではないかと誤解される方もいらっしゃると思いますが、福岡県の出会い・結婚応援事業は全く別の大変すばらしい取組です。福岡県が結婚支援を行う場合は、何よりも安心感があると考える利用者も多いのではないかと思われますが、今回の
サービスを提供する上で、安全面を確保するため、どのような対策を取るつもりなのかお伺いいたします。
また、今回導入するAIの効果と、独身者への結婚支援を今後どのように進めていくのか伺います。
結婚意思のある未婚者の現在独身である理由の半数近くが適当な相手にまだ巡り会わないからでは非常にもったいなく、福岡県の出会い、結婚の応援におけるAIでの取組をぜひ活用していただきたいと思います。
最後に、
服部知事が出演されている福岡県産米のCMが大変好評と伺っており、私も何度も拝見しておりますが、
服部知事自身が福岡県の広報ツールなどを通じ積極的にPRすることで他のサイトやアプリと差別化が図られ、福岡県全体で結婚を応援する機運を盛り上げていく必要があると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。(拍手)
44
◯議長(桐明 和久君)
服部知事。
*
知事答弁
45
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
AIを活用した出会い、結婚応援の取組についてでございます。県では、平成十七年度から、独身者の出会い、結婚を応援いたします企業を出会い応援団体として登録しまして、団体が実施をいたします出会いイベントの情報をメールマガジンあかい糸めーるで周知したり、企業・団体間
マッチング支援
センターによる異業種団体間での出会いイベントの開催などによりまして、独身者の皆さんに出会いの機会を提供してまいりました。しかしながら、成婚報告件数が伸び悩んでおりますことなどから、昨年七月、独身の方約七十名が参加した婚活イベントにおきまして、今後、より効果的に結婚に結びつけるためのAIを活用した対策を行うことにつきまして個別のヒアリングを実施をいたしました。これに対し、AIを活用した婚活支援は選択肢が広がってよいと、それからAIに推薦してもらったら行動しやすい、結婚意識の高い人と出会える場が欲しいなどの御意見がございました。こういったことを踏まえまして、新たに出会い応援団体の独身者の皆さんに会員となっていただきまして、この会員制のコミュニティーサイトを立ち上げます。そして、このサイト内での投稿内容でありますとか、各会員の情報等からAIによる診断を行い、各会員をグループ分けし、相性のよいグループ同士による出会いイベントを開催いたします。こうして効率的かつ効果的に、カップルの成立から結婚に結びつけていきたいと考えております。
次に、AIを活用した出会い、結婚の応援における安全対策についてでございます。この出会い、結婚を応援していく上で、独身者の皆さんが安心して利用し、参加できるよう、安全性を確保することは非常に重要でございます。そのため、今回新たに創設いたしますコミュニティーサイトの会員登録に当たりましては、まずは対象を出会い応援団体の従業員とその御家族に限定し、身分証明書等により対面で身元をしっかりと確認いたしますとともに、サイト内で個人情報や連絡先を投稿しないなどのルールを設けて運用を行ってまいります。万が一トラブルが生じた場合も、速やかに個人を特定し対処できるよう、既存のSNSサイトを利用せず、独自のサイトを開設いたしまして運営を行うことといたしております。また、イベントを実施する際は、県が委託いたしております、出会い・結婚応援事務局が立ち会いまして、参加者の安全や円滑な進行等に気を配りながら運営を行ってまいります。このような対策を通じ、独身者の皆さんが安心して参加できるよう出会い、結婚応援の取組を進めていきたいと考えております。
AIによる効果と今後の結婚応援の取組についてお尋ねがございました。今回、AIの導入によりまして相性のよいグループ同士の出会いイベントを開催いたしますため、カップルになり、結婚につながる可能性が高まるということが期待されます。また、他県の例でも、相性がよいとAIが診断している人と出会えるという期待が独身者のイベントへの参加を後押ししますとともに、参加時の積極的な行動につながるなど、カップルや結婚に至る方が増えていると聞いております。今後、出会い・結婚応援事務局に配置いたします専任の担当者によりまして、会員制という特徴を生かし、カップル成立後も積極的に会員に働きかけ、上手な付き合い方、相手の家族への会い方、結婚資金の準備に関するアドバイスなど、結婚を後押しする継続的なお世話を行っていきたいと考えております。これらのことによりまして、一人でも多くの独身者の結婚の希望がかなえられますよう、出会い、結婚応援の取組の充実を図ってまいります。
AIを活用した出会い、結婚応援の取組の積極的なPRについてでございます。独身者の皆さんが出会いイベントに安心して参加していただきますためにも、先ほど申し上げましたような安全対策やAIの導入による効果などにつきまして、しっかりと説明をし、信頼感を得ることが重要でございまして、また出会い応援団体をはじめとした企業、団体の理解というものも深めていく必要がございます。そのため、出会い応援団体を対象とした研修会や交流会、またメーリングリスト、本事業のホームページを通じまして多くの独身者が参加いただきますよう、積極的にPRをしてまいります。また、出会い応援団体以外の企業等に対しましても県の広報媒体を活用してPRをいたしまして、出会い応援団体への登録を呼びかけてまいります。この取組を含めまして、
少子化対策の取組を積極的にPRしていくことは、地域全体で結婚を応援する機運の醸成や、子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりにもつながっていくものと考えており、私も率先してPRを行ってまいる考えでございます。
46
◯議長(桐明 和久君) 樋口明君。(拍手)
*樋口
議員質問
47 ◯五十六番(樋口 明君)登壇 皆さん、こんにちは。今期最後の
一般質問となりました。最後は元気よく締めくくらせていただきたいと思います。知事におかれましても、元気よく、歯切れのよい答弁をお願いいたします。
自民党県議団の樋口明でございます。外国人の適正な労働環境の整備について質問いたします。
福岡労働局が発表したところによりますと、昨年十月末現在において、県内では五万七千三百九十三人の外国人労働者が働いています。これは、一昨年の同時期と比べて六・四%増加し、過去最高を更新しています。また、同じく昨年十月末現在において、外国人を雇用する県内の
事業所は一万七百七か所に上ります。これは、一昨年の同時期と比べて二・八%増加し、同じく過去最高を更新しています。全国的に見ましても、外国人労働者数と外国人労働者を雇用する
事業所数はともに過去最高を更新しています。多くの県民の皆様にとって、日常生活において働く外国人の方々と接しない日はないと申し上げても過言ではないほど、外国人労働者は県民の暮らしの中に溶け込んでいます。
外国人労働者と言っても、国際協力を趣旨とする技能実習制度を通じて日本の技能、技術、知識を体得しようと来県した技能実習生もいれば、県内の大学等に留学し、学業の傍らでアルバイトをする方もいます。そうした方々の共通点を一つ挙げれば、県内で働く外国人の多くは、夢と希望を持って、自ら福岡県を選んで来県されたということです。本県で共に社会生活を送る外国人労働者の方々が安心して働き、活躍していただけるように労働環境の適正化を図ることは、本県の経済社会の発展に向けて重要であると考えています。
しかしながら、残念なことに、外国人労働者に支払われるべき賃金に不足があったり、労働時間が適正に管理されていなかったりすることに起因するトラブルが近年報じられることが多くなりました。こうした場合には、国の行政機関等により指導や処分が行われるものと承知していますが、一度こうしたトラブルに遭って困難な状況に置かれた外国人労働者にとっては、たとえ法令違反の状態が是正されたとしても、来日当初の夢と希望が打ち砕かれたつらい記憶として残ってしまいます。そうした外国人の方々がいつか母国へ帰り、日本での苦い経験を周囲に語るうちに本県の悪いイメージが広まってしまうという悪循環を招いてしまうことは決してあってはなりません。また、来日に際しては、多額の経済的負担をしているとも聞いていますが、そうした事情を持つ外国人の方々の気持ちを考えると、職場で不当な扱いを受けることがあってよいはずはありません。そのためには、まずはこうした労働関係のトラブルの発生を未然に防ぐことが重要であり、この点について県が果たすべき役割があるものと考えます。
また、冒頭で県内の外国人労働者数を紹介しましたが、このうち技能実習生は一万三千五十七人に上ります。これは、在留資格別では留学に次ぐ人数となっています。技能実習制度については、その適正な運用のために監理団体が介在するなど、やや複雑とも言える仕組みとなっています。また、県内企業に技能実習生を受け入れる意欲があったとしても、技能実習制度に関して遵守すべき法令についての理解不足などから、結果として技能実習生に対し不当な扱いをしてしまうということにもなってしまいます。このような知識不足によるトラブルは、技能実習以外の在留資格についても同様に起こり得るものと考えます。
そこで、知事に二点お尋ねします。知事は、本県における外国人の労働環境にはどのような課題があると認識していますか、お答えください。
次に、本県における外国人の労働環境の適正化を図るためには、企業が外国人雇用に関する法令や制度を正しく理解することが不可欠であると考えますが、県として現在どのような取組を行っているのか、今後の取組の方向性と併せてお答えください。
以上、御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
48
◯議長(桐明 和久君)
服部知事。
*
知事答弁
49
◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
本県における外国人の労働環境の課題についてお尋ねがございました。令和二年八月に県が実施をいたしました福岡県在住外国人アンケート調査の結果によりますと、あなたは福岡で働くことを自分の国の人に勧めたいと思うかという問いに対しまして、九割以上の方から勧めたいと思うと回答をいただいておりまして、高い評価を受けております。一方で、少数ではありますが、勧めたいと思わないと答えた方もいらっしゃいまして、その理由について伺いますと、このうち六割の方が給料が低い、三割の方が身近にスキルアップできる環境がないと、労働環境に起因する理由を挙げる方がいらっしゃいます。受入れ企業から福岡県外国人材受入企業相談窓口に寄せられました相談では、在留資格や技能実習、特定技能の制度に関するものが五割を占めております。また、外国人材の労働
環境整備に関する情報共有等を行う協議会では、経済団体から、言語や文化等の違いにどう配慮して対応したらよいか分からず受入れをためらっている企業が多いとの意見が出されております。こうした当事者の皆さんの声を丁寧にお伺いいたしますと、外国人を雇用する企業に、入管法令や労働関係法令など企業が正しく理解し遵守すべき法令や制度が複雑で分かりにくい、身近な企業の成功事例など外国人の雇用管理に関する工夫や取組を知る機会が少ないといった課題がございまして、その改善を図ることが急務であると認識をいたしております。
次に、本県における外国人の労働環境の適正化を図るための取組についてでございます。県では、県内企業が外国人雇用に係る制度を正しく理解し、働く外国人がその能力を十分に発揮できる職場環境を整えられますよう、令和元年度から、外国人材受入れ企業を支援するための講習会や個別相談等を行っております。受入れの際に遵守すべき法令や適切な雇用管理等を学べる講習会をオンライン及び県内四地域で実施をいたしまして、これまでに延べ九十八回、千四百五十人の方が参加をされております。個別相談では延べ六百四十七件の支援を行いまして、適切かつ円滑な人材の受入れにつなげているところでございます。また昨年度は、外国人材の活躍につながる適正な労働環境につきまして、県内企業に具体的なイメージを持っていただくため、多言語による就業場面や、コミュニケーション上の工夫などの参考となります事例集を作成いたしました。企業への配付、県ホームページへの掲載、ユーチューブでの動画配信を行っております。さらに、技能実習の監理団体に対しまして、管理業務を行う上での課題の解消や効果的な取組についてセミナーを開催いたしております。今後とも、出入国在留管理局、福岡労働局、外国人技能実習機構等の
関係機関と連携をいたしまして、県内企業が適切かつ円滑に外国人材を受け入れられますよう取組を進めてまいります。
50
◯議長(桐明 和久君) 以上で
一般質問を終わります。
*予算特別委員会設置
日程に従い、予算特別委員会の設置についてお諮りいたします。
さきに上程いたしました予算議案を審査するため、三十一名の委員をもって構成する予算特別委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
51
◯議長(桐明 和久君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。
*同委員選任
それでは、ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任を行います。
お諮りいたします。同委員の選任については、この際議長の指名に御一任願うこととし、お手元配付の委員一覧表のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
52
◯議長(桐明 和久君) 御異議がありませんので、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
*議案審査付託
53
◯議長(桐明 和久君) 次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一号議案から第五五号議案まで及び第五八号議案から第八一号議案までの七十九件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり予算特別委員会並びに所管の常任委員会に付託いたします。
──────────────────────────────────────────
*議案の委員会付託省略
54
◯議長(桐明 和久君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。
さきに上程いたしました第五六号議案及び第五七号議案の二件については、委員会への付託を省略したいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
55
◯議長(桐明 和久君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 二 時 二十二分 散 会
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