↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。花田尚彦君。(拍手)
*花田議員質問
2 ◯十三番(花田 尚彦君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団の花田尚彦でございます。このたび、会派を代表いたしまして質問に立つという大変光栄な機会をいただきましたことは、ひとえに日々御指導いただいております自民党県議団、藏内勇夫相談役、松本國寛会長をはじめとする諸先輩方の御配慮のおかげと、心から感謝を申し上げます。また、日頃から御支援いただいております地元の皆様にも改めて感謝を申し上げ、福岡県の発展のために、しっかりとただしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
令和四年の暮れも押し詰まってまいりました。本年も余すところあと僅かとなり、県議会と五百万県民にとっても、この一年を振り返る師走の時期を迎えています。本年、県民がその生活を営む上において大きな制約を受けたことの一つが
新型コロナウイルスであったことは間違いありません。感染の拡大と収束を繰り返し、言うまでもなく、いまだに県民の生活と安全を脅かし続けているところにそれがうかがえます。本年はこれに加え、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的なエネルギー価格や物価の上昇のほか、記録的な円安となっております。日米の金利差を背景に、円相場は一時、平成二年以来の水準となる一ドル百五十円台まで値下がりしました。円安により過去最高益を記録した企業がある一方で、資源価格の高止まりによる調達コストの大幅な上昇、輸入品目の値上げは、我々の県民生活に大きな影響を与えています。行き過ぎた円安は経済に悪影響を与えるということが改めて認識されることとなりました。また、足元の消費者物価指数は引き続き上昇しており、価格変動の大きい生鮮食品を除く十月の総合指数は前年同月比で三・六%上昇し、第二次石油危機後の一九八二年二月以来、何と四十年八か月ぶりの高い上昇率を記録しています。その中身を見ますと、物価の上昇を牽引しているのは食料とエネルギーでありまして、生鮮食品を除く食料は五・九%と四十一年ぶりの水準、エネルギーは一五・二%。このうち電気代が二〇・九%、都市ガスが二六・八%と、家計を直撃する生活必需品の価格上昇が目立っています。また、十月の値上げ品目数は六千七百品目に上り、家計への圧迫は一段と強まっているところです。海外に目を向けますと、欧米では各国・地域の中央銀行がインフレを抑制するために、相次いで金融の引締めの動きを強めております。中国では不動産市場の低迷とゼロコロナ政策による経済の下振れなど、今後、世界経済の後退が懸念されているところです。このように世界経済の見通しが不透明な中、エネルギー価格の上昇、物価高騰、円安の影響は、県民の家計や事業者の業績を直撃し、多くの人々が経済的負担を強いられた年になりました。
こうしたところから、行政に対する県民の経済対策への期待や渇望とでも言うべき切実な思いは膨らむばかりであり、私もそのことを実感する一人であります。これから年末及び年度末を迎えますが、県民や事業者の皆さんの中には無事に年を越せるだろうかと、不安な日々を送っている方もいらっしゃいます。今こそ、しっかりとした県の対策を示し、県民の皆さんに日々の生活に対する安心を届けるべきであります。こうした中、今議会において、県は緊急の地域経済への手当てとしての商品券や食事券の発行、さらに新型コロナと
季節性インフルエンザの同時流行に備えた医療提供体制の強化などの措置が盛り込まれた補正予算を提案されました。これはまさに、経済対策、コロナ対策を両輪とした、ウイズコロナにふさわしい予算であると考えております。
そこでまず、この補正予算案を知事はどのような考えで編成されたのかお尋ねします。
折しも政府は、これまでの累次の対応に加え、間を空けることなく、先々を見据えた力強い対策を講じるという考えの下、一般会計総額で二十九・一兆円、財政投融資や地方の歳出を含めた財政支出の規模で三十九兆円、民間支出などを含む事業規模七十一・六兆円となる追加経済対策を閣議決定し、その財源の裏づけとなる補正予算は今月二日に成立したところです。この中には、エネルギー及び物価高騰対策のみならず、経済活性化や
新型コロナウイルスへの対策も含まれており、その内容、規模については大いに評価しております。
そこで、我が県はどうするのか。知事は常日頃より、県民をど真ん中に置いた県政をうたわれていますので、県民や事業者の悲痛な声は届いているかと思います。きっと県民に寄り添った対策を鋭意検討されているのではないでしょうか。先ほど申しましたとおり、県民は待っています。特に長引く円安、物価高騰が多くの中小企業の経営を苦しめています。一刻も早く県民の目線に立って、構造改革を含む小手先の対策ではない未来への投資、県民生活に安心を届ける政策を行う必要があると考えます。
そこで伺います。知事は、国の経済対策を盛り込んだ本県の補正予算についてどう対応されるつもりかお示しください。
この項の最後に、
キャッシュレス決済の促進についてお伺いします。新型コロナの影響もあり、この数年で
キャッシュレス決済はより身近なものとなってきました。しかしながら、海外に目を向けると、海外の主要国では既に広く普及している一方、日本ではその足元にも及ばないほど遅れを取っているのが現状です。このままでは日本が世界の潮流から取り残されるのではないかと強く危機感を抱いているのは私だけでしょうか。国は、
デジタル田園都市国家構想の基本方針の中で、
キャッシュレス決済の拡大が、事業者にとっては決済関連業務のデジタル化による効率化、付加価値向上につながり、消費者にとっては利便性向上による消費活性化へとつながることを述べています。さらには、ポストコロナの
インバウンド回復等による地域活性化に資する取組だと位置づけております。また、今回の経済対策においても、
デジタル田園都市国家構想の具体化を推進することとされているところです。このような中、今回提案されています補正予算を見てみると、地域商品券の発行が盛り込まれていますが、発行規模百八十八億円のうちキャッシュレスは百十九億円。この差額がいまだにキャッシュレスに対応していないということになります。キャッシュレスは県民の利便性の向上はもとより、事業者にとっても現金管理の負担が軽減されるほか、顧客の購買データ等をマーケティングや経営管理に生かせるなど、両者にメリットがあると考えます。まだ県民や事業者の中には、キャッシュレスに二の足を踏む方もおられます。せっかく地域商品券の発行を行うのであれば、この機会を捉えて、事業者と県民の双方で、よりキャッシュレスが進む環境をつくっていくのが県の役割ではないでしょうか。私の地元でも、実際にキャッシュレスを導入した事業者や商工会から、煩雑な手続を省略できたと、大変好評を得ています。また、利用した住民からも、意外と簡単だったとの声を頂戴しました。
そこで知事にお伺いします。地域商品券の
キャッシュレス決済の促進に当たって、これまでどのような取組を行われたのでしょうか。また、今後どのように取り組むつもりなのかお答えください。
次に、新しい福岡県総合計画についてお聞きします。今年三月に策定された新たな福岡県総合計画は、服部知事が手がけた初の県政振興のための総合計画であり、言わば服部県政の指針とされるべき計画と言えるものであります。今年度から令和八年度までの五年間を計画期間とする本計画は、世界を視野に、未来を見据えて施策を展開し、九州のリーダー県としてさらに成長発展していく姿を描いているとされています。策定に当たっては、桐明和久議長をはじめ七名の県議会議員も参画する総合計画審議会での議論をベースに、市町村や県民、そして県議会からの幅広い意見を勘案しながら、知事の下、検討を重ねた、まさに服部カラーあふれる計画であると聞き及んでいます。しかしながら、もちろん計画は策定することがゴールではありません。計画の実現に向け、精力的に取り組むことが必要であることは言うまでもありません。服部知事が初めて編成した本格予算である令和四年度当初予算では、新しい県政へ一歩を踏み出す予算として、前年度よりも七十件以上多い二百二十二件の新規事業が盛り込まれました。一方、本県議会においても、三つのチャレンジの一つ、ワンヘルスの推進について、長期的、計画的にワンヘルス実践の取組をさらに促進するために、具体的な
法的仕組みづくりを目指し、我が会派から座長を出しております
福岡県議会議員提案政策条例検討会議で鋭意検討を重ねてきました。この結果、さきの九月議会において、議員提案による、環境と人と動物のより良い
関係づくり等福岡県におけるワンヘルスの実践促進に関する条例を可決、成立させたことは、本県議会史上でも特筆されることだと判断するところです。また、十一月には、我が会派、藏内勇夫相談役の特段の指導の下、第二十一回
アジア獣医師会連合(FAVA)大会が福岡市で盛大に開催されたことは記憶に新しいところであり、チャレンジに取り組むための土壌は整っているように見受けられます。
そこで知事にお伺いします。さきに挙げた三つのチャレンジ、次代を担う人財の育成、世界から選ばれる福岡県の実現、ワンヘルスの推進について、その成果はいかなるものでしょうか。五か年計画である総合計画の始動から八か月が経過した今、その現状をお聞かせください。
また、本計画が目指す、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向けては、三つのチャレンジだけでなく、数多くの県政課題を幅広くクリアしていかなければならないと思慮するところでもあります。中でも成長産業の創出をはじめ、デジタルやグリーンなど新たな動きを捉えた施策の展開について、どのような新しい一歩を踏み出されたのか、県民に大いなる夢を抱かせるためにも、分かりやすくお答えください。
最後に、これらを踏まえ、福岡県総合計画が目指す、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、極めて重要な服部県政二回目の本予算となる令和五年度当初予算の編成について、どのような方針で臨む予定か、基本的なお考えをお示しください。
さて、アジア・オセアニア地域二十三の国・地域の獣医師会の連合組織である
アジア獣医師会連合(FAVA)の第二十一回大会が、アジアからのワンへルスアプローチをテーマとして、先月十一日から十三日にかけて
ヒルトン福岡シーホークで開催されました。
新型コロナウイルス感染症の蔓延後としては、県内で開催された初めての大規模な国際会議で、獣医師をはじめ国内外から約二千人が参加されました。大会開催直前の先月九日には、日本獣医師会の藏内会長がFAVAの会長に就任され、FAVA大会の大会長として大会全体を統括されました。そして、十三日の閉会式では、調査研究体制の整備や人材育成、国際機関との連携などを通じて
人獣共通感染症対策、薬剤耐性対策、地球環境の保全などワンヘルスの課題解決と推進に取り組むアジアワンへルス福岡宣言二〇二二を取りまとめられ、これを世界に向けて発信して、大会は成功裏に幕を閉じました。同時開催した福岡県
ワンヘルス国際フォーラム二〇二二プラスFAVAの基調講演では、世界医師会会長のオサホン氏と
世界獣医師会会長のラファエル氏のお二人が、それぞれのワンヘルスの取組と今後の展望について世界に向け発信されました。
さらに、FAVA大会の大きな成果の一つがFAVAワンへ
ルス福岡オフィスの設立です。オフィスが入居する予定のアクロス福岡において、関係者の立会いの下、FAVA会長に就任された藏内会長と服部知事の間で設立の覚書が締結され、来年度中に開設されることが示されました。これまで我が会派は、服部知事に対し、期限付で設置されている
FAVA日本事務所を引き続き設置することが不可欠であり、県民が一体となって事務所の誘致を積極的に進めるべきであると提言してきました。ワンヘルスの先進地たる我が県と、アジア及び世界におけるワンへルスの実践活動をリードするFAVAワンへ
ルス福岡オフィスが手を携えることで、ワンへルスの取組が世界に広がっていくことを大いに期待するところです。
そこで知事にお尋ねします。ワンヘルスの世界的な先進地を目指している服部知事におかれましては、今回のFAVA大会と一連の事業をどのように総括しておられるのか、所見をお示しください。
また、FAVA大会の大きなレガシーであるアジアワンへルス福岡宣言二〇二二、そしてFAVAワンへ
ルス福岡オフィスの設立を踏まえ、福岡県として、ワンへルスを今後どのように展開していかれるのか、知事の意気込みをお聞かせください。
次に、北九州空港の滑走路延長実現に向けた知事の決意をお聞きします。北九州空港については、県議会での論議を踏まえて作成された福岡県の空港の将来構想において、二十四時間空港の特性を生かし、福岡空港では対応できない早朝、深夜便の誘致を進めるとともに、貨物専用機の誘致を進め、貨物拠点空港として整備していくとされているところです。この整備方針に伴い、我が会派は、北九州空港の貨物拠点化を進める上で、長距離の貨物専用機の就航が可能となるよう、現在の二千五百メートルの滑走路を三千メートルに一刻も早く延長する必要があると早くから指摘し、本会議や委員会の場などにおいて度々ただしてきたことは、皆様御承知のとおりであります。
最近のこの問題をめぐる我が会派の動きを若干説明いたしますと、さきの決算特別委員会における我が会派議員の知事への保留質疑に対し、知事から、県議会と共に国に直接働きかけを行い、滑走路延長を早期に実現し、貨物拠点空港としてさらに北九州空港を発展させていきたいとの答弁があっております。この方針に基づき、十一月二日、早速知事は桐明議長と共に、国土交通省の豊田副大臣に対し、滑走路延長の早期実現に向けて働きかけをされています。さらには、十一月二十八日の空港・
交通インフラ調査特別委員会において、我が会派の松尾統章議員から、今日までの我々の取組の成果により、貨物定期便の就航、増便、貨物取扱量の増加、さらなる需要拡大に対応する国際貨物上屋の整備など、県、市連携した取組の実績が上がり、環境アセスの手続も着実に進捗しています。こうしたことを踏まえると、滑走路延長の工事着手と、その前提となる新規事業採択がいよいよ間近であると期待でき、新規事業採択を確実にするため、地域を挙げてこれまで以上に国への働きかけを強化すべきであると提案、要望がなされたところでもあります。このように、現状は長年の地元の悲願の実現がかかる大事な局面に差しかかっていることは誰の目にも明らかであります。
そこで、これまで以上に強力に、地域を挙げて、国に対して、もう一押しすることが、新規事業採択を確実にする上で不可欠かつ効果的であると考えるところでありますが、知事の見解をお示し願います。
次に、北九州空港の国際旅客便の運航再開についてであります。北九州空港の貨物取扱量は、コロナ禍の中、昨年度二万一千トンを超えており、特に国際貨物は四年連続で過去最高を記録するなど順調に伸びているようで、誠に喜ばしいところです。また、国内貨物についても、令和六年四月にはヤマトグループ及びJALグループによる貨物便が新たに就航予定となっているなど、今後の伸びが期待できる状況にあると聞き及んでいます。
その一方、旅客については、現状、国内線の羽田便のみの運航となっているなど、
新型コロナウイルスの影響を受け、いまだその回復具合も十分とは言えない状況にあることは残念でなりません。
新型コロナウイルスの影響を受ける前は、北九州空港の国際線の旅客数は増加傾向でありました。平成三十年度には、韓国仁川、釜山、台湾台北、中国大連に四路線のネットワークを有し、国際線の旅客数は約三十五万人を記録していたようですが、
新型コロナウイルスの影響を受けた令和二年三月以降、国際線の運休が続いていると聞いています。去る十月十一日には国の水際措置が緩和され、福岡空港をはじめとした全国の主要空港の復便は徐々に進んでいるようですが、北九州空港においては、現在もなお全便運休のままであることは、誠に遺憾なことであります。航空会社の中には、ただいま述べましたような経営状況下においては、いきなり定期便の就航ではなく、チャーター便の運航から始めるなどの様々な選択肢を含め、検討しているところもあるのではないかと思慮するところです。
そこで、北九州空港の国際旅客便の早期運航再開に向けて、会社側はどのような方針を描いているのか、また、これに対し県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお示しください。
次に、関門海峡に新たに計画している北九州下関道路について質問します。関門地域を結ぶ関門トンネルと関門橋は、当該地域の一体的発展を支え、自動車産業をはじめとする成長産業分野の発展基盤となるなど、九州と本州の広域的な人流、物流及び経済活動の活性化を支える大動脈としての機能を担っています。しかしながら、関門トンネルは建設後六十四年、関門橋は四十九年が経過しており、それぞれ老朽化が進んでおります。このため、大規模災害等により、大動脈である関門トンネルや関門橋が通行止めとなった場合は、関門地域の交流が阻害されるのみならず、九州と本州間における交通や
サプライチェーンに支障を来すこととなり、福岡県にとっては重大な損失となります。このような道路の脆弱性に対しては、代替機能の確保が必要不可欠であります。県議会としても、平成二十八年に
北九州下関道路整備促進福岡県議会議員連盟を立ち上げ、中尾正幸会長を中心に山口県、北九州市、下関市の議員連盟や経済界と連携して整備促進大会を開催し、早期整備に向けた機運の醸成を図るとともに、国への要望活動を毎年実施するなど、積極的に活動を行っているところであります。
平成二十九年度からは、福岡県、山口県、北九州市、下関市の二県二市による概略ルートや海峡部の構造に関する検討が開始され、令和元年度には、国による海上部の概略構造に関する検討が行われました。令和二年度には有識者で構成される中国・
九州地方合同小委員会で三つのルート帯案について、経済性や整備効果、環境への影響などの観点から比較検討がなされました。この検討を踏まえ、令和三年三月に、北九州市の
北九州高速日明出入口付近と下関市の旧彦島有料道路を結ぶ、延長約八キロメートルのルート帯が国の対応方針として示されております。これに続いて、環境保全に配慮するための環境影響評価や本道路を都市計画に位置づけるための手続が進められており、環境影響評価については、項目や手法を取りまとめた方法書が、
都市計画決定権者である北九州市と山口県から今年四月に公表されています。
そこで知事にお尋ねします。環境影響評価や都市計画の手続について、現在の進捗状況をお聞かせください。また、今後の取組と早期整備に向けた知事の決意をお聞かせください。
次に、これまでにも多くの議員がただしてまいりました
西鉄天神大牟田線連続立体交差事業高架化後の沿線のまちづくりについてお聞きします。
西鉄天神大牟田線は、福岡市天神から大牟田市をつないでおり、一日平均四十万人の利用者がある、県民の生活や経済を支える重要な鉄道であることは、多くの県民が知るところであります。しかしながら、春日原駅から下大利駅の間には踏切が十二か所もあり、沿線では交通渋滞や踏切事故が発生し、また鉄道により地域が分断され、少なからず発展の妨げとなっていたことも事実であります。こういった支障の解消を求める地元からの要望を受け、県は平成十五年に
連続立体交差事業に着手し、約二十年の歳月をかけて、今年八月二十八日に
西鉄天神大牟田線の雑餉隈駅から下大利駅までの間を高架化し、踏切の除去を完了しました。このことに伴い、交通渋滞が緩和され、踏切事故がなくなり、安全かつ円滑な通行ができるようになったことは評価しているところです。地元では、高架化されたことによって、今後、西鉄の沿線において地元の春日市、大野城市、西鉄を中心として、高架下の活用を含めたさらなるにぎわいのあるまちづくりが進められることに期待が高まっていると聞いています。
そこでお聞きしますが、地域住民の間では県の積極的な取組、支援を期待する声が根強いだけに、後方支援にとどまらず、積極的関与が望ましいところですが、その関わり方についての知事の見解をお示しください。
次に、地球温暖化対策についてお尋ねします。本県においては、平成二十九年七月の九州北部豪雨から五年連続で気象災害が発生しており、地球温暖化対策は避けて通ることができない喫緊の課題であることは、県民がよく承知しているところです。我が国では菅前首相が、二〇二〇年十月二十六日の臨時国会における所信表明演説において、国内の温暖化ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロとする方針、いわゆる
カーボンニュートラル宣言を行ったことは記憶に新しく、この宣言により、我が国においても脱炭素社会の実現に向けて大きく動き始めています。二〇二一年十月に改定された国の
地球温暖化対策計画では、二〇三〇年度において、温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減すること、さらに五〇%の高みに向けて挑戦し続けることが表明され、この新たな削減目標の達成に向け、二酸化炭素以外も含む温室効果ガスの全てを網羅し、新たな二〇三〇年度目標の裏づけとなる対策、施策を記載して、新目標実現への道筋が描かれています。また、本年十月二十五日に、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動及び国、自治体、企業、団体、消費者等による官民連携協議会の発足式が開催されています。
そこで本県での取組ですが、二〇一七年三月に策定した福岡県
地球温暖化対策実行計画を本年三月に改定し、改定後の実行計画では、国と同様、長期目標として二〇五〇年度の
温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すことを掲げています。こうした取組の一環として、県は本年七月二十五日に、地球温暖化対策に関する連携協定を九州電力株式会社と締結したと聞き及んでいます。本県の二〇一九年度の
二酸化炭素排出量四千五百四十三万トンのうち、エネルギー起源の二酸化炭素が三千八百九十一万トンと八割以上を占める中で、省エネルギーや
エネルギーシフトに精通した九州電力と連携することは、極めて意義あることと思われます。
そこでお聞きしますが、まず今回締結した連携協定の内容について御説明ください。
次に、協定締結によりどのような効果が県民にもたらされるのか、さらには今後どのような取組を進めていく考えか、詳細に説明願います。
次に、子供食堂支援などの新たな課題への対応を含め、我が県の未来を担う子供たちの人材育成の推進体制についてお尋ねします。国は、子供に関する取組、政策を社会の真ん中に据え、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に、誰一人取り残さない健やかな成長を社会全体で後押しすべく、来年四月、内閣府、厚生労働、文部科学の各府省に分かれていた子供政策を統合し、こども家庭庁を発足させます。我が県では、子供に関する施策や人材育成を、各府省の縦割りや就学、未就学の別によって、
人づくり県民生活、福祉労働、教育庁の各部局が分担しているようですが、
こども家庭庁発足後も従来の部局による分担を維持するのでしょうか。昨今の子供を取り巻く課題は、子供食堂、子供の貧困、ヤングケアラー、幼児教育など、従来の縦割りに収まらないものが増えています。しかし、今の我が県では、各部局が従来の分担に終始し、踏み込んだ横断的な対応はできていないように見えます。
折しも知事は、九月議会の我が会派の代表質問において、県が子供たちの人材育成の柱としてきた青少年アンビシャス運動の見直しを検討している旨答弁しました。子供たちの健やかな成長と未来を担う人材の育成のためには、子供施策全体を俯瞰的、部局横断的に推進できるよう、組織の改編も検討すべきだと思いますが、どのような推進体制を考えているのかお尋ねします。
また、いずれにしても、新しい行政施策を推進していくためには、新たな財政的裏づけを必要とするのは言うまでもないところです。そこで私は、ふるさと納税制度によって、言わば国民からの寄附金の一部をこの子供施策の財源に充当することはできないだろうかとも思慮するところです。これについて知事の見解をお聞かせください。
続いて、農林水産問題についてただします。全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う全国和牛能力共進会が、今年十月六日から鹿児島県の霧島市と南九州市を会場に開催されました。五年に一度開催されるこの大会は、和牛のオリンピックとも呼ばれており、マスコミ関係者の注目度も高く、全国の和牛関係者にとっては最も重要な大会と聞いています。本県から初めて出場した五年前の宮城大会では、健闘を見せたものの、トップクラスの産地との実力差を痛感する大会でもあったようです。
二回目となる今回は、前回出品した肉牛の部に加え、種牛の部にも初めて出品したということのようですが、出品牛を決める県の選考会には、数多くの生産者から、手塩にかけて育てた自慢の牛が出品され大変白熱したものであったと聞いています。大会にかける生産者の思いと五年にわたる取組の結果、着実に博多和牛の裾野が広がっていることを感じさせます。さらに、大会会場の鹿児島県には、我が自由民主党福岡県議団の藏内相談役をはじめ桐明議長、農政懇話会の松尾会長のほか、多くの議員が応援に駆けつけ、出品者に直接激励の言葉をかけてこられたと聞いております。こうした皆さんの熱い応援と、生産者の方々の努力が実を結び、大会では、肉牛の部において最上位の優等賞に輝き、佐賀牛など他県の有名ブランド牛よりも上位の成績を収める快挙を成し遂げたと聞いています。さらに、種牛の部においても、初出品にもかかわらず一等賞に入賞するという好成績を上げられたとか。これらの結果は、博多和牛が全国の有名ブランド牛に肩を並べ、最高レベルの品質を持っていることを広く全国に示すとともに、博多和牛を生産する繁殖雌牛の能力と生産者の技術力の高さを証明したもので、私たちにとっても大変誇らしいことです。
ところで、大会でこれほどの品質の高さを示した博多和牛ですが、県内の飲食店やレストランには九州各県のブランド牛がひしめいており、残念なことに、博多和牛の存在感は、県内においてもまだまだ高いとは言えない状況と認めざるを得ません。それだけに、全国的に注目された今回の共進会での好成績をさらなるブランド力強化につなげ、博多和牛の振興を図っていくべきです。こうしたことが、飼料高騰など厳しい経営環境の中で頑張っている県内の和牛農家を勇気づけ、経営を安定させることにつながるのではないでしょうか。
そこで伺います。知事は、県として産地間競争に勝ち抜き、博多和牛の振興を図るため、今後どのような施策展開を考えているのかお示しください。
次に、水田農業における基幹作物である麦、大豆についてお伺いします。まず、麦の情勢についてです。国内消費量の八割以上を外国産が占め、小麦の自給率は二割弱となっております。外国産小麦は、主要生産国であるロシアとウクライナの戦争による世界的な供給懸念により、今年三月に急激に国際価格が高騰し、史上最高を記録した後、ウクライナ産穀物の輸出停滞等により、高止まりの状況が続いていました。その後、国連、トルコ、ウクライナ、ロシアによるウクライナ産小麦の輸出再開合意とその実施等により、落ち着きを取り戻しつつあると聞いておりますが、食料の安全保障を考えたときに、非常に危険な状態であることに変わりはないと考えています。また大豆については、日本が輸入している主産地のアメリカ産、ブラジル産が気候変動により生産量が安定せず、消費大国である中国の旺盛な消費を受け、需給逼迫となり価格が上昇するなど、麦と同様に供給が不安定な状況となっています。
そのような中、本県は、耕作面積に占める水田面積の割合が約八割と、全国に比べ非常に高いという特徴があり、県内の水田では、米に麦、大豆などを組み合わせた、水田をフル活用することで収益を上げる経営が実践されているところです。しかしながら、米、麦、大豆の生産に必要な肥料、農薬などの資材の高騰により、生産にかかるコストは上昇する一方です。米は構造的にコスト上昇分を価格に転嫁できず、加えて人口減少や高齢化が進む中、需要も減少しています。水田農業の経営は非常に厳しく、生産継続さえ不安視される状況です。一方、輸入依存度が高い麦、大豆では、国際価格の上昇に伴い、外国産から国産への転換による需要の増加が期待でき、生産拡大のチャンスです。このような中、水田農業の経営を安定させていくためには、米のみならず、米以外の作物の振興が重要であります。とりわけ、水稲に代わる表作の大豆と裏作の麦はその中心であり、基幹作物である麦、大豆の振興なくしては、水田経営の安定化は困難であります。
そこで伺います。福岡県の水田経営の安定のため、麦、大豆の抜本的振興策を図るべきと考えますが、知事としての見解と抱負をお示しください。
それでは次に、教育問題について二点お聞きします。昨年七月に本県中間市で発生した五歳の保育園児の送迎バス車内での死亡事故に続き、本年九月には静岡県牧之原市の認定こども園でも同様の死亡事故が発生し、三歳の女児の貴い命が奪われてしまいました。去る十月には、埼玉県で県立の特別支援学校の通学バスに生徒が三十分程度、また先月には、広島県でも市立特別支援学校の通学バスに児童が四十五分にわたって置き去りにされる事故が発生しています。幸いその生徒たちの体調に異常はなかったということで、最悪の事態は避けられました。特別支援学校には肢体不自由や知的障がいのある児童生徒が在籍しており、いざというときに、自力で通学バスを脱出することが困難な児童生徒も乗車しています。このような事故は、特に熱中症を発症する危険性が高い夏場を中心に命の危険性が高まることからも、子供たちの安全を守るために万全を期すべきであります。
そこで、知事並びに教育長にお伺いします。本県の幼稚園や保育園、県立特別支援学校では、児童生徒が通学バスに置き去りにされるという事故を防止するために、どのような対応がなされているのでしょうか。また、こうした痛ましい事故を防止するため、さらには子供を預けている保護者の不安を解消するためにも、さらなる安全対策の強化が必要であると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お答えください。
次に、視覚障がい者の就労支援についてであります。障がいのある人とない人とに分かれることなく、個々人の能力が発揮できる共生社会を実現できれば、地域社会の活性化、民間における生産性の向上などが期待されます。また、障がいのある人の社会活動や就労の場に参加しようとする意欲が高まり、地域社会、ひいては日本全体の発展へとつながることが大いに期待されます。現在、障がい者については、国が法律で定める障がい者雇用率の引上げへの対応などもあり、官公庁や企業からの雇用ニーズの高まりが見受けられますが、高齢者の雇用と比べますと、まだまだ伸び代が大きいのではないかと考えます。
さて近年、ヘルスキーパーという言葉を耳にするようになりました。このヘルスキーパーとは、企業等において社員の健康の保持、増進を図ることを目的に、職場に設けられたケアルームなどに常駐し、社員の心身の疲労、首や肩の痛み、腰痛などの改善を図るため、あんま、マッサージ、指圧、はりやきゅうの施術などを行う理療の国家資格を持つ専任の理療師のことを指します。この理療師が行う施術は、直接体に触れ、指先の感覚を頼りに行うという点で、我が国では古くから、視覚障がい者に最も適した職業とされてきました。現在県内では、把握ができているだけで約三十社において、視覚障がい者がヘルスキーパーとして雇用されており、社員の健康の保持、増進と業務効率の向上に寄与しているところです。同時に、企業等がヘルスキーパーを雇用することにより、県内における障がい者の雇用促進にもつながっております。
今後、さらに県内の企業等にヘルスキーパー制度の導入を広げていくため、県としてどのように取り組むのか、知事の見解をお聞かせください。
さて、県立視覚特別支援学校には、理療師を養成するための職業教育課程である高等部専攻科が設置されている学校が二校あり、卒業後は、理療師として、病院やリハビリテーションセンターなどで活躍されているようです。
そこで教育長にお伺いします。県立視覚特別支援学校の職業教育のさらなる充実や生徒の就労促進を目指す上でも、このヘルスキーパー制度の導入が県内の企業等に広がることで、その成果が期待できるものと考えますが、今後の視覚特別支援学校における取組も含め、見解をお聞かせください。
次に、静かな広がりを見せるコロナ第八波における行動制限等について質問して、私の代表質問を終えたいと思います。国は、十一月十八日の
新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、この秋以降の感染拡大がこの夏のオミクロン株と同程度の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら感染拡大防止を図る方針を決定しました。その上で、病床使用率が五〇%を超えるなど、医療への負荷が増大したレベル三、医療負荷増大期の段階になれば、都道府県は、医療逼迫防止対策強化宣言を出し、住民、事業者に対して、より慎重な行動を要請できることが定められました。
そこで知事にお聞きします。現在、コロナ禍に加え、物価高騰の影響により地域経済は疲弊していますが、今後本県において、第八波の感染が拡大してレベル三になった場合に、行動制限の要請についてはどうするのか、またコロナとインフルエンザが同時流行した場合に、発熱外来が逼迫しないように、どのような対応を行うのか、お答えください。
最後に、関連して、マスクの着用についてお尋ねします。現在、マスクの着用については、屋外では原則不要とされていますが、レベル三の段階になり、コロナとインフルエンザが同時流行したときに、どう対応していいか分からないとの声もあります。今後のマスクの着用指針について、知事は県民にどのように周知していくおつもりでしょうか。
また、学校では子供たちが、マスクを着用しているために互いの表情が分かりにくくなるなど、情操教育の面からも、その弊害が指摘されています。子供たちをどのように指導していくべきか、教育長の見解をお聞かせください。現在、文科省からも、つい先日も、着用が不要な場合はマスクを積極的に外すよう促す旨の連絡があっているとのことですが、県内の市町村教育委員会では、マスクの着脱に関する意思統一がなされていないと聞いております。地域によって差があることはゆゆしき状況であり、県として統一的な見解を持つべきであると考えるものですが、ぜひその点も踏まえた上でお答えください。
以上で私の代表質問を終わります。(拍手)
3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、十二月補正予算の編成方針についてでございます。今回の予算では、地域経済の活性化と成長発展、
新型コロナウイルス感染症対策を軸として、総額で約百五十四億円を計上いたしております。地域経済の活性化と成長発展のための経費として約四十五億円を計上し、事業継続の支援として、プレミアムつき地域商品券の追加発行を支援するとともに、新たに本県独自のプレミアムつき食事券を発行し、コロナや物価高騰等の影響を受けている事業者の事業活動が継続できるよう支援をしてまいります。また、危機に強い経済構造の実現といたしまして、今後も起こり得る社会経済情勢の変化に対し柔軟に対応できる経済構造をつくっていくため、燃料や農薬の使用量の低減、省力化につながるスマート農業機械の導入を支援し、農業分野におけるDXを推進してまいります。
新型コロナウイルス感染症対策のための経費といたしまして約七十六億円を計上し、第八波の拡大に備え、休日、夜間の発熱外来等の拡充や発熱外来の混雑状況をスマートフォン等で確認できるシステムの構築など診療、検査体制の強化を図ります。また、インフルエンザとの同時流行に備え、新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターやインフルエンザオンライン診療センターを設置するなど発熱外来の逼迫の回避を図ってまいります。こうした対策を通じまして、引き続き感染拡大防止と社会経済活動の両立を進めてまいります。
次に、国の経済対策を盛り込んだ補正予算についてお尋ねがございました。国は、事業規模約七十二兆円の物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を閣議決定し、十二月二日に、この対策の裏づけとなる第二次補正予算が成立いたしました。本県におきましては、九月補正予算におきまして、医療、福祉など県民生活に不可欠な施設や子供の学びを支える施設について、物価高騰、エネルギー価格の上昇に対する緊急的な支援を行いますとともに、十二月補正予算として、ただいま申しましたようなプレミアムつき地域商品券の発行支援など、消費の活性化を通じた経済対策を本議会に御提案しておるところでございます。現在、国のこの経済対策を最大限活用した次の補正予算を鋭意編成中でございまして、危機に強い経済構造への転換に重点を置いて政策を実施してまいりたいと考えております。
具体的に申しますと、中小企業のデジタル化、新製品開発の支援、農業分野における高性能機械、省エネ設備の導入支援、農業高校におけるDXの推進、輸出対象水産物の増産を目的とした人工魚礁の設置などを実施いたしますとともに、県民生活の安全、安心を確保いたしますため、妊娠から出産までの保健師等による相談支援及び経済的な支援、子供の送迎用バスへの安全装置等の導入支援、防災、減災、県土強靱化などに取り組むことといたしておりまして、これらの施策を盛り込んだ補正予算を来週中に提案させていただきたいと考えております。
次に、地域商品券の
キャッシュレス決済の促進に向けた取組についてでございます。キャッシュレス商品券は紙の商品券と比べますと、消費者にとっては、スマートフォン等で手軽に購入できます。そして、発行団体にとっては、発行や換金の事務を大幅に軽減できます。また、取扱店は、データ分析を活用して売上げ向上につなげることができます。このようなメリットがあるわけでございます。このため県では、一昨年度からキャッシュレス商品券の発行支援を開始いたしまして、システムの導入、運用費用に加え、消費動向のデータ分析費用も支援してまいりました。その結果、一昨年度の導入実績は十四団体、発行総額約十一億円でございましたが、今年度は四十七団体、発行総額約百五十億円と増加しております。一方で、高齢者の皆様などからは、利用方法が分からない、登録が面倒などのお声もありますことから、発行団体も、これによる客離れを警戒して、導入をちゅうちょするケースもございます。こうしたことが普及促進の課題となっております。このため、現在、キャッシュレス商品券の使い方を説明した動画の作成や専門の担当者によるサポートデスクの設置などを支援し、キャッシュレス商品券の普及に努めております。今後、今回の御指摘を契機といたしまして、まずは全ての発行団体において、一部分でもキャッシュレス商品券を導入していただきますよう、そのメリットやシステムの導入方法、他団体の導入事例など、丁寧に説明を行い、理解を求めてまいります。県といたしましては、キャッシュレス商品券を皮切りに、デジタル化の推進による地域経済の活性化を図り、デジタル先進県となることを目指してまいります。
次に、総合計画に挙げた三つのチャレンジの現状についてお尋ねがございました。まず、次代を担う人財の育成では、様々な分野で挑戦、活躍し、本県の発展を担っていく人材を育成してまいります。主なものを挙げますと、子供たちが県内どこでも充実した環境で学ぶことができるよう、県立高校や特別支援学校などにタブレット型パソコンを一人一台整備することといたしました。また、スタンフォード大学や在福岡米国領事館の協力をいただきまして、英語による異文化理解教育プログラム、スタンフォードe福岡を開講し、高校生を対象に、実践的な英語能力を身につけることができるハイレベルな学びの機会を提供いたしました。スポーツ分野では、東京オリンピックで三人のオリンピアンを生み出しましたタレント発掘事業をパラスポーツ分野に拡大し、フクオカ・パラスター・プロジェクトをスタートさせました。さらに産業分野では、九大、九経連などと九州DX推進コンソーシアムを立ち上げ、中小企業におけるDX推進の中核人材の育成を進めておりますほか、農業大学校のカリキュラムを全面的に見直し、スマート農業機械を導入して農業者の先端技術習得を支援するリカレント教育を実施しております。
次に、世界から選ばれる福岡県の実現では、国内外からの企業誘致や本県に立地しておられます企業の事業拡大支援などの取組を進めております。久留米・うきは工業団地には、資生堂や筑水キャニコムの新工場が竣工し、操業を開始いたしました。昭栄化学工業との立地協定の締結、さらに福岡市などと連携してシンガポールのフィンテック企業エムダックや台湾のイイサン銀行等の国際金融機関を誘致するなど企業立地が進んでおります。また、八女茶の輸出拡大のため、米国のバイヤー向けのセミナーや商談会を開催いたしますとともに、ニューヨークにおいて、茶専門店での販売フェアや高級レストランでの試食会を開催する準備を進めております。スポーツでは、先日、新しく生まれ変わった福岡国際マラソン二〇二二を新たな運営体制の下で開催をいたしました。来年二月には、北九州市において二〇二四年のパリ・オリンピック正式種目となりましたブレイキンの世界大会を開催いたします。さらに、福岡空港の国際線につきましては、航空会社への働きかけにより、現在、八か国・地域の十三路線が復便いたしました。北九州空港につきましては、先日発表された台湾からのチャーター便に続き、他の国際旅客便も早期に再開されるよう、北九州市をはじめとする関係機関と連携してまいります。これらにより、戦略的なインバウンド誘客に一層取り組んでまいります。
三つ目のワンヘルスの推進は、藏内勇夫日本獣医師会会長の御尽力を賜り、大いに進捗しております。具体的には、人、動物、環境の各分野に関する一体的な調査研究を推進するワンヘルスセンターの中核施設として、全国初となる動物保健衛生所、これは仮称でございますが、これを設置することといたしました。そして、アジア及び世界のワンヘルス実践活動をリードする
FAVAワンヘルス福岡オフィスを誘致することができました。また、事業者の取組を促進するワンヘルス宣言事業者登録制度やワンヘルスの理念に沿って生産される農林水産物等を認証するワンヘルス認証制度を創設いたしました。さらに、森林浴などを通じてワンヘルスを実感できるワンヘルスの森四王寺を整備するとともに、福岡市と連携をいたしまして、馬や犬との触れ合いによる健康づくりができるワンヘルスパークを舞鶴公園に開設いたしました。私は、県政を進めていく上で、多様な主体と連携することが重要であると考えております。今年四月には、地域にとって重要な知の資源である九州大学と初めてとなります包括連携協定を締結し、幅広い分野で総合知を生かした新たな取組を進めているところでございます。これをはじめ、大学や企業、市町村など様々な主体と連携した取組が進んでいるものと考えております。
次に、デジタルやグリーンなど新たな動きを捉えた施策の展開についてでございます。世界的にカーボンニュートラルに向けた動きが加速します中、本県が持続的に発展していくためには、脱炭素化への対応を成長の機会と捉え、経済と環境の好循環をつくっていくことが重要でございます。まず、本県の基幹産業である自動車産業では、脱炭素化に向けた電動化などの技術革新に対応するため、新たに北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定いたしました。この構想の下、サプライヤーの電動化分野への参入を支援するセンターを開設し、また物流事業者への燃料電池トラックの導入支援に取り組んでおります。カーボンニュートラルのキーテクノロジーでございます水素分野におきましては、巨大市場への参入支援やグリーン水素へのシフトを目指す新規戦略を策定し、産学官で連携をいたします福岡県水素グリーン成長戦略会議を立ち上げました。この会議の下、福岡県水素グリーンイノベーションサポート窓口を開設いたしますとともに、工場の脱炭素化を目指す水素ファクトリーパッケージの開発にも着手いたしました。
カーボンニュートラル時代の製造業を支えるパワー半導体などのグリーンデバイスの開発、生産拠点の形成を目指し、福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会を設立いたしました。半導体の微細化競争を勝ち抜くために、三次元半導体研究センターによる試作、評価等の一貫支援に取り組みますほか、システム開発技術カレッジにおきまして、中小企業の技術者育成に取り組んでおります。
再生可能エネルギー分野では、部品点数が多く、建設、運転、保守など長期にわたって地域経済への波及効果が見込めます風力発電産業につきまして、福岡県風力発電産業振興会議を立ち上げました。現在、会員数は百四十を超えておりまして、先月、国の政策動向や先行地域である秋田県の現状、地元企業の動向等を研究するセミナーを開催いたしました。今後、九州大学とも連携を図りまして、人材育成や県内企業の研究開発、ビジネスマッチング等への支援を通じ、風力発電産業の本県への集積及び県内企業の参入促進を図ってまいります。
さらに、バイオ産業につきましては、昨年六月、西日本で唯一、国の地域バイオコミュニティに認定されましたことを受け、産学官七百七の会員から成る福岡バイオコミュニティ推進会議を新たに設立いたしました。また、昨年四月に竣工いたしましたバイオイノベーションセンターは、既に満室となりました。また、同センター内にゲノム編集産業化実証ラボを九大と連携して新たに開設し、バイオベンチャーの創出支援に取り組んでおります。さらに、九大発ベンチャーのエディットフォースがゲノム編集技術で二百億円のライセンス契約を締結いたしましたほか、VLPセラピューティクス・ジャパンが久留米市内に国内初の治験用ワクチン製造拠点の設置を決定するなどの成果を上げているところでございます。
次に、令和五年度の当初予算の編成方針についてお尋ねがございました。私たちを取り巻く情勢は、世界的な物価高騰に加え、DX、脱炭素化の推進など目まぐるしく変化をしており、これらに的確に対応いたしますとともに、未来を見据えて成長発展の歩みを力強く進めていかなければなりません。令和五年度は、先ほど述べました本年度の取組を踏まえ、これをさらに一歩前進させてまいります。
まず重要であるのは、次代を担う人財の育成です。将来の福岡をつくり、担っていくのは人であります。学校教育の充実、とりわけICTを積極的に活用した教育を進めてまいります。青少年アンビシャス運動の課題を整理し、見直しを行いますとともに、世界に羽ばたく青少年のチャレンジを応援する取組を充実させてまいります。産業人材につきましては、中小企業の半導体・DX人材を育成しますとともに、農業では、経営感覚に優れ、スマート化など新たな技術に対応できる人材の育成に取り組みます。
二つ目は、世界から選ばれる福岡県の実現であります。産業団地の造成を進め、国内外からの戦略的な企業誘致に取り組みますとともに、産学官の連携の下に、引き続き国際金融機能の誘致を進めてまいります。農林水産物のブランド化や輸出など販売の拡大に力を入れますとともに、現在の円安を好機と捉え、戦略的なインバウンド誘客に取り組んでまいります。さらに、ツール・ド・九州二〇二三大会など国内外から観光客を見込める大規模イベントの実現に向け、着実に準備を進めてまいります。併せまして、将来の発展基盤を充実するため、福岡空港の滑走路増設を着実に進めますとともに、北九州空港の滑走路延長、北九州下関道路の早期実現を目指します。
三つ目は、ワンヘルスの推進でございます。農林水産物等のワンヘルス認証制度、ワンヘルスの森などを通じ、県民、事業者におけるワンヘルスの実践を促進いたします。また、全国初のワンヘルスの実践拠点となるワンヘルスセンターの整備や、本県に設置されます世界におけるワンヘルスの実践活動をリードする
FAVAワンヘルス福岡オフィスと連携した取組により、ワンヘルスの世界的な先進地となることを目指してまいります。
四つ目は、成長産業の育成でございます。コロナ禍でも、ピンチをチャンスに変え、将来への発展の種をまき、芽を育てることが重要でございます。先ほど御説明いたしましたように、発展的に改組あるいは新設した産学官の推進組織を生かし、それぞれの取組を前進させてまいります。グリーンデバイスの開発生産拠点の形成を目指しますとともに、バイオ、宇宙ビジネス、水素、自動車、再生可能エネルギーなどにつき、未来を切り開く産業への成長を図ります。また、大学発スタートアップなどを支援する新たな取組を進めてまいります。そして、県内の雇用を支える中小企業につきましては、AIを活用した検査工程の省力化など、生産性向上や事業展開、事業承継を支援してまいります。本県の基幹産業でございます農林水産業では、大規模化やスマート化など生産力の強化に引き続き取り組んでまいります。
引き続き感染症に取り組みますとともに、観光をはじめコロナ禍で影響を受けた地域経済を立て直してまいります。被災地の復旧、復興に全力を挙げますとともに、流域治水を推進し、防災、減災、県土強靱化に取り組んでまいります。全ての人の人権を守り、ジェンダー平等、女性の活躍、障がいのある方の自立と社会参加を進めますとともに、スポーツや文化芸術の振興、健康づくりに取り組んでまいります。
こうした取組を進めながら、地方創生の基本でございます、住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる、そういった地域社会づくりを一層進めてまいります。これまでお認めいただきました多くの施策、そして令和五年度の当初予算を通じまして、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、引き続き全身全霊で取り組んでまいります。
次に、FAVA大会と一連の事業の総括についてでございます。今回のFAVA大会には、国内外から獣医学、医学、環境分野の関係者をはじめ県内の大学生や高校生など約二千人が参加されました。また、同時開催した
ワンヘルス国際フォーラムには約八百人、農林水産まつりには約八万人の県民の皆様に御参加をいただきました。FAVA大会では、参加した海外の獣医師から、ワンヘルスの森やワンヘルス認証制度といった本県の取組は、世界に向けワンヘルスを発信するモデルとなるすばらしいものだといったお声や、大学生からは、ワンヘルスが身近な取組だと分かった、できることを考え、行動していきたいなどの声が聞かれました。また、特別シンポジウムで、ワンヘルスを学んで思うと題し全文英語で発表されました福岡県立八女農業高校、鞍手高校の生徒からは、このような大きな会場で多くの方に向け発表することができたことは、私たちの自信につながり、これからもワンヘルスを学んでいこうと思ったとの声も聞いております。国際フォーラムでは、ワンヘルスの今後の展望をテーマに御講演いただきました世界医師会、世界獣医師会の両会長から、政治、行政の取組の重要性が強調され、他に先駆けて条例を制定し、ワンヘルスを推進している県議会や県の取組を高く御評価いただきました。また県民講座においては、動物の保護活動に熱心に取り組んでおられます俳優の坂上忍さんから、この日オープンしたワンヘルスパークなど本県の人と動物の共生社会づくりに向けた取組について高く評価していただきました。農林水産まつりでは、来場者から、ワンヘルス認証農林水産物というものを初めて知った、お店で見かけたら買ってみようと思うといったお声を聞いたところでございます。これら一連の事業を通じまして、本県におけるワンヘルスの先進的な取組を広く発信できたものと考えております。FAVA大会の最終日には、
人獣共通感染症対策、薬剤耐性対策、動物と人の共生社会構築のための地球環境の保全の推進などが盛り込まれましたアジアワンヘルス福岡宣言二〇二二が採択をされました。福岡の名が盛り込まれた宣言が世界に向けて発信されましたことは、大変光栄であり、意義深いことでございます。このように、本大会は福岡県をワンヘルスの世界的な先進地としていく上で大きな弾みとなったと考えておりまして、大会長として成功に導いていただきました藏内勇夫FAVA会長の御尽力に対し、心から敬意を表する次第でございます。
ワンヘルスの今後の展開についてでございます。大会開催直前の先月九日、FAVAの会長に就任されました藏内会長と私で、
FAVAワンヘルス福岡オフィスの設立に関する覚書を締結いたしました。福岡オフィスは、来年度、アクロス福岡に設立され、アジアワンヘルス福岡宣言二〇二二に掲げられましたワンヘルスの実践活動をリードするため、アジア各国からワンヘルスに関する情報を集積するとともに、世界動物保健機関、国連食糧農業機関などの国際機関と連携し、
人獣共通感染症対策や薬剤耐性対策に取り組むこととされております。今後、県はこの福岡オフィスと連携いたしまして、ワンヘルスセンターの中核施設となる保健環境研究所を中心とした人、動物、環境の各分野に関する一体的な調査研究を推進いたしますとともに、九州地方知事会として国に要望しておりますアジア新興・人獣共通感染症センターの九州への誘致に一層取り組んでまいります。また、引き続き小中高等学校でワンヘルス教育を普及してまいります。今後は、さらに県立三大学にもワンヘルスアプローチの考え方を広げていきますため、本県と三大学の教職員で構成する検討チームを立ち上げ、ハワイ大学の先進事例を調査するなど、ワンヘルスの推進を担う人材を育成していくための具体的な方策の検討を進めていきたいと考えております。加えまして、県内市町村に対しましては、今年九月議会で議員提案により制定されましたワンヘルスの実践促進に関する条例に基づき、市町村の取組に対する具体的な助言などの支援を行いまして、ワンヘルス推進宣言市町村を増やしますとともに、九州各県に対しましては、水環境中の薬剤耐性菌実態調査や野生動物におけるSFTS感染状況調査など本県の先進的な取組の実施について提案をすることにより、ワンヘルスの取組の拡大を図ってまいります。このような取組を進めていくことによりまして、日本のみならず、アジア、そして世界のワンヘルスの推進に貢献してまいります。
北九州空港の滑走路延長の実現に向けた国への働きかけについてでございます。北九州空港の滑走路の三千メートル化の実現に向けましては、これまで県議会の皆様と一緒になって国に対し要望を重ねてまいりました。その結果、国は、一昨年度から滑走路延長に向けた調査に着手し、昨年度、地域住民等の理解の促進や円滑な合意形成を図るためのパブリックインボルブメントを終了したところでございまして、現在、環境アセスの手続を進めております。こうした中で、先月は、私自身、桐明議長と共に航空政策を担当されている国土交通省の豊田副大臣に直接早期実現を働きかけたところでございます。今後、国において、パブリックインボルブメント、環境アセスメントなど調査の結果や費用対効果分析などについて総合的に検討が進められ、学識経験者等による委員会の意見を聞いた上で、新規事業採択の可否が判断されることになります。県といたしましては、北九州市等と連携しながら、貨物定期便の誘致や集荷促進に引き続きしっかりと取り組み、その実績を情報提供するなど、国の総合的な検討が深まるよう協力してまいります。その上で、早期の新規事業採択を確実なものとするため、しかるべき時期に、県議会はもとより、北九州市等とも一体となって、地域を挙げて国に対して強力に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
国際旅客便の運航再開に向けた取組についてでございます。国は、十月十一日から水際対策を緩和し、空港の検疫等の体制が整えば、順次、国際線の受入れを再開するとしております。このため、北九州空港での受入れを早期に再開できるよう、県は率先いたしまして北九州市と共に、門司検疫支所と協議、調整を進めております。また県では、北九州市と連携し、早期運航再開や新規就航を目指して、今年度からの三か年をネットワーク再構築推進期間と位置づけまして、定期便就航に対する助成制度を拡充するとともに、航空会社への直接訪問や商談会での働きかけを行い、路線誘致を進めております。さらに、航空機を利用した旅行をイメージした動画の配信や旅行博覧会への出展などにより、航空需要の喚起を図っております。航空各社への聞き取りによりますと、コロナ禍の旅客低迷や燃油高騰により経営が厳しいということで、まずは保有する機材の有効利用が可能なチャーター便を運航することにより、今後、定期便として運航する路線の旅客需要を見極めていきたいとのことでございます。先月の北九州市長との意見交換会におきましても、国際旅客便の早期再開につながるチャーター便への支援等に係る提言、要望を受けました。また、北九州市議会から県議会に対して同様の要望があったことも承知しております。県といたしましては、北九州空港において、先ほど述べましたような取組をしっかり進めますとともに、先日発表された台湾からのチャーター便に続き、他の国際旅客便も早期に再開されるよう、北九州市をはじめ関係機関と連携し、チャーター便への支援なども含め、定期便につながる効果的な施策を検討してまいります。
北九州下関道路における現在の進捗状況でございます。環境影響評価に係る手続につきましては、今年四月に公表された方法書に基づき、現在、動植物や大気、水環境などの情報を収集するための調査を実施いたしております。また、都市計画に係る手続につきましては、国から対応方針として示されました北九州高速道路の日明出入口付近と下関の旧彦島有料道路を結ぶ幅約一キロメートルのルート帯の中で、具体的なルート案を策定するための設計を実施しております。これらの調査、設計につきましては、橋梁形式となる海峡部は国が、陸上部は福岡県と北九州市、山口県と下関市がそれぞれ協働して実施しております。
次に、北九州下関道路の今後の取組でございます。環境影響評価につきましては、まず調査の結果や環境変化の予測などを取りまとめた準備書を国と二県二市が協働して作成いたします。その後、地域の皆様や有識者等の意見を踏まえ、評価書を作成してまいります。都市計画につきましては、国と二県二市で策定したルート案に基づき、
都市計画決定権者であります北九州市、山口県におきまして都市計画の案が作成されます。これを基に、それぞれの都市計画審議会において審議が行われ、都市計画が決定されることとなります。県といたしましては、まずは環境影響評価や都市計画の手続について、国と二県二市で連携しながら、着実かつ迅速に進めてまいります。今後とも、議員連盟の皆様方のお力添えをいただきながら、北九州下関道路の早期整備に向け、全力で取り組んでまいります。
西鉄天神大牟田線連続立体交差事業高架化後の沿線のまちづくりについてお尋ねがございました。これまで福岡市、春日市及び大野城市は、
連続立体交差事業に合わせ、沿線の市道や駅前広場の整備を進めております。また大野城市は、下大利駅の東側で土地区画整理事業を行いまして、駅周辺の市道等の公共施設の整備改善と宅地の基盤整備を進めております。県といたしましては、春日市や大野城市がこれらの事業を円滑に実施することができるよう、それぞれの事業工程の確認と調整を行っております。また、道路等の構造物の規格を決定する際に、技術的な助言を行っております。さらに、
連続立体交差事業を行っている全国の自治体が参加する研究会へ共に参加をいたしまして、そこで得た情報を県、市ともに事業に生かしてまいりました。また、現在県が進めております筑紫中央高校の建て替え事業では、県教育委員会の理解をいただき、正門をセットバックし、オープンスペースを設ける計画といたしますことで、大野城市が高架下に整備いたします広場と一体で、地域のイベントや地域と学校をつなぐ出会いの場として利用できるようにしております。今後、両市は、市制五十周年の節目を迎え、新たなまちづくりを目指し、にぎわいや安らぎの創出を目的として、人が快適に歩ける空間づくりや人が集える広場などの整備を進めていくこととしております。県は両市に対し、今後新たに活用が可能な様々な国の補助制度を最大限かつ効果的に活用できるよう助言等の支援を行いますとともに、これらの事業が円滑に進みますよう、国との調整や必要な予算確保のための要望活動を積極的に行ってまいります。
次に、環境問題につきまして、九州電力株式会社との連携協定についてでございます。この協定は、地球温暖化対策を包括的かつ着実に推進いたしますため、県有施設のCO2排出削減に関することや、県民、事業者の環境に関する意識醸成やCO2削減支援策の推進に関することなどについて連携することとして、今年七月に締結いたしました。なお、温暖化対策に特化した都道府県と電力会社との協定は全国的に見ても先進的な取組であると認識をいたしております。県では、来年度以降、順次、県有施設に太陽光発電設備の設置や省エネ改修を行うことといたしております。この実施に当たりましては、この協定に基づき、太陽光発電設備の設置に伴う技術的助言や最新技術に関する情報提供などを九電からいただくことといたしております。また、県が実施する事業者、市町村向けセミナー等におきましても、省エネ、再エネに係る事例や最新の情報を提供いただいておりまして、引き続き、脱炭素化に向けた情報提供や助言をいただくことといたしております。さらに、来年度に向けて、次世代を担う小中学生向けの脱炭素に係る体験型教材の共同製作や家庭向け講座の共同実施などについて準備を進めております。これらの取組により、家庭における一層の節電やLEDなど省エネ効果の高い機器への買換えといった脱炭素型ライフスタイルへの転換や、事業者における省エネ設備の導入、既存設備の運用改善などエネルギーの効率的利用が図られ、さらなるCO2排出削減の効果が期待できるものと考えております。
次に、子供施策の推進体制についてでございます。来年四月施行のこども基本法では、子供施策について、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期を経て大人になるまで、心身発達の過程を通じて切れ目なく子供の健やかな成長に対する支援を行うことなどが定められております。このため、子供施策に関わっております保健医療介護部、福祉労働部、人づくり・県民生活部に教育委員会を含め、対応を検討してまいりました。その結果、子供施策を一元的に策定、実施いたしますこども家庭庁及びこども家庭センターを設置して住民の皆様に総合的、一体的に子供施策を提供する市町村、これらのカウンターパートとして新たな課を福祉労働部に新設し、県内どの地域にあっても子供の健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられ、子供の意見が尊重されることを推進することによりまして、子供真ん中社会を目指したいと考えております。同課におきまして、福祉労働部内をはじめ数多くの地域の社会資源とのつながりを生かし、医療、保健、福祉、教育、療育等の多分野にわたる県こども計画の策定の総合調整や子供の貧困問題、家庭、学校以外の子供の居場所づくりなど、近年の子供を取り巻く新たな部局横断的な課題にも機動的に対応してまいります。なお、青少年アンビシャス運動につきましては、先ほども申しましたが、課題を整理し、見直しを行った上で、これからの地域社会を支える人づくりなどに関連する施策を所管いたします人づくり・県民生活部において、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
次に、ふるさと納税制度を活用した子供施策についてでございます。本県では、防災や福祉などの分野を指定して寄附を募る、ふくおかふるさと寄附金と、より具体的な事業を示しまして、その事業に共感した方から寄附を募るクラウドファンディング型ふるさと納税の二つの方法で実施をいたしております。子供施策の中で、例えば子供食堂については、趣旨に賛同する方々からの寄附金や食材の提供など人々の善意によって運営しているところも多うございまして、寄附された方々のお気持ちを直接お届けできることや、集まったお金を県のこども食堂ネットワーク等を通じ、有効に活用していただくことも考えられます。このため、より目的を特化したクラウドファンディング型ふるさと納税による支援が子供食堂については適当と考えておりまして、来年度の開始に向けて準備を進めておるところでございます。そのほかの子供施策につきましても、ふるさと納税の活用や、活用する場合に、いずれの方法で実施することがいいのかということについて、今後検討をしてまいります。
次に、農林水産問題について、博多和牛の振興についてでございます。県では、初出品いたしました前回大会の結果を踏まえ、生産者や関係団体の皆様と一体となって、肉量、肉質あるいは脂肪の質の向上、繁殖雌牛の能力向上に取り組んでまいりました。その結果、今回の共進会、いわゆる全共では、肉牛の部で最上位となる優等賞を受賞し、また初めて出品いたしました種牛の部では一等賞を受賞するなど前回大会を上回る優秀な成績を収めることができ、私といたしましても大変誇らしく思っております。また、福岡県畜産協会の藏内会長をはじめ福岡県議会の皆様におかれましては、鹿児島県の会場で直接出品者の皆さんを激励していただき、ありがとうございました。関係者一同、大変な喜びようであったと伺っております。博多和牛の振興を図っていくためには、生産拡大と併せ、今回の全共での成果をブランド力の強化につなげていくことが重要でございます。県では、生産を拡大するため、優良子牛の導入や畜舎の増築を支援いたしますとともに、自給飼料の増産に必要な機械の導入を進めております。併せまして、超音波診断や血液検査に基づく飼料給与方法の改善などを指導し、さらなる品質向上も図っております。また、ブランド力強化のため、関係団体と連携をいたしまして、今月十六日から十八日に開催いたします博多駅構内での入賞記念フェアをはじめ国内外の有名レストランやホテルでフェアを開催し、博多和牛の品質の高さ、おいしさを広く発信してまいります。県といたしましては、こうした取組により生産者の所得を向上させ、経営の安定が図られるよう、関係団体と一体となって博多和牛の振興を進めてまいります。
次に、水田農業における麦、大豆の振興についてでございます。本県では、元気つくしなどの主食用米や需要の高まりを受けて生産拡大をしております米粉に麦、大豆を組み合わせました水田のフル活用を進めました結果、耕地利用率は全国二位となっております。今後、さらなる活用を進め、日本一を目指してまいります。県では、これまで農地中間管理事業を活用した農地の集積、集約化などによる規模拡大に加えまして、スマート農業機械の導入を支援いたしますとともに、排水対策の徹底や土壌診断に基づく施肥技術の導入を支援し、生産性と品質の向上を図ってまいりました。特に麦では、製粉業者のニーズが高い小麦の生産を拡大いたしますほか、取引価格の高いラー麦について、適切な栽培管理の指導を行い、品質向上を図っております。また大豆では、現行の品種より収量が一割程度多い本県育成の新品種ちくしB5号への切替えを進めておりまして、来年二月には、公募により決定したネーミングとロゴマークをマスコミを通じ発表するなど、広く消費者に認知されるよう取組を進めてまいります。さらに、こうした取組を進めるため、今議会において、スマート農業機械の導入支援に必要な予算を提案したところでございます。加えまして、今回の御指摘も踏まえながら、国の経済対策を活用し、特に収量、品質の向上に必要な土壌診断に基づく施肥技術の導入などを支援するための予算を追加提案させていただきたいと考えております。県といたしましては、今後とも、麦、大豆の生産力を強化し、その振興を図ってまいります。
次に、教育問題につきまして、送迎バスの置き去り事故防止に係る幼稚園及び保育園への対応についてお尋ねがございました。県では、昨年七月に中間市で起きました送迎バスでの死亡事故を受けまして、全国に先駆け、県独自の福岡県保育施設による児童の車両送迎に係る安全管理標準指針を策定いたしました。この指針に基づき、園児の乗降確認や降車後の保育への引継ぎのほか、必ずバス送迎直後に車内清掃や消毒、忘れ物確認を行うことのマニュアル化を求めるなど、作業手順の中に園児の安全確認が組み込まれるよう、全ての保育施設、幼稚園に対して安全管理の徹底を要請してまいりました。県に監査権限がある保育施設に対しましては、常に安全管理の確認を強く意識していただくよう、安全管理のためのチェックシートを新たに作成し、今年四月からは、これを用いて監査を行っておりまして、さらに十月からは、事前通告なしの監査も実施しております。また、今年九月の静岡県での事故を受けまして、同様の事故を経験した本県といたしましては、独自に、改めて全ての保育施設、幼稚園に対し、安全管理の徹底要請の通知を発出いたしますとともに、バス送迎を行っている園に対し安全管理の取組状況を確認するための現地調査を市町村と連携して実施しております。
幼稚園及び保育園に対する安全対策の強化のための取組についてお尋ねがございました。国は、こどものバス送迎・安全徹底プランを実現するため、今回の第二次補正予算におきまして、送迎用バスへの安全装置の導入支援、登園管理システムの導入支援、子供の見守りタグの導入支援、安全管理マニュアルの研修を実施することといたしております。送迎バスからの降車や登園などは、人の目で確認することを基本としながら、県といたしましては、積極的にこの予算を活用し、安全対策の強化を図ってまいります。また併せて、万が一児童が車内に取り残された場合に備え、窓を開けたり、非常用ボタンやクラクションを鳴らす訓練の実施など、子供の年齢と発達に応じた取組の実施を保育施設や幼稚園に促してまいります。
このような事故は二度と繰り返されてはなりません。子供を保護者からお預かりし、お返しするまで、その安全が確保され、かけがえのない命が守られるよう、引き続き、しっかり指導監督してまいります。
次に、ヘルスキーパー制度の導入についてお尋ねがございました。企業等が視覚障がいのある方をヘルスキーパーとして雇用いたしますことは、障がいのある方の活躍の場の拡大につながります。また企業等にとりましては、従業員の健康増進、作業能率向上の点でメリットがあります。このようにヘルスキーパー制度は、障がいのある方及び企業等の双方にとって有効であると考えております。県では、国との共催で、企業と求職者のマッチングを目的として、障がい者雇用サポート交流会を開催しておりまして、今年度は新たに、この交流会の場において、採用担当者の方にあんま、マッサージ、指圧を体験してもらいまして、ヘルスキーパーのよさというものを実感してもらう取組を始めました。それに加え、今後は、視覚特別支援学校におきまして技能見学会を開催することによりまして、ヘルスキーパー制度を企業に紹介してまいります。さらに、県庁内において、今年度、ヘルスキーパーを想定した視覚特別支援学校による臨床実習を開始したところでございます。この取組は、理療での就職や開業を目指します生徒の治療技術の向上に寄与いたしますとともに、生徒の実習機会の拡大につながりますことから、教育庁と連携し、来年度、回数を増やしていきたいと考えております。今後とも、ヘルスキーパー制度の周知、啓発の機会拡大に努めてまいります。
次に、新型コロナ関連で、レベル三になった場合の行動制限の要請についてお尋ねがございました。レベル三になった場合、国は、混雑した場所等への外出を控えること、大人数の会食は見合わせを含め慎重に検討、判断することなどを例示いたしております。県といたしましては、できる限り社会経済活動を維持しつつ感染の拡大を抑止していくという基本的な方針の下で、地域の感染状況や医療の逼迫状況、要請に伴います県民生活や事業活動への影響、専門家や市町村の意見等を総合的に判断し、慎重に要請内容を決定してまいります。
新型コロナとインフルエンザが同時流行した場合の対応についてでございます。同時流行に備え、発熱外来の逼迫を回避し、必要な方が適切に医療にアクセスできるよう体制を整える必要がございます。このため、発熱外来を増やしますとともに、新たに休日、夜間に開設する発熱外来やその処方箋を受け付ける調剤薬局に対し協力金を給付いたします。また、同時流行した場合に重症化リスクの高い方の受診機会を確保するため、重症化リスクの低い方を対象とする新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターやインフルエンザオンライン診療センターを今後の感染状況に応じ機動的に開設できるよう、現在準備を進めております。さらに、発熱外来における患者からの問合せ等に対する負担の軽減と患者の円滑な受診につなげるため、発熱外来の混雑状況等をスマートフォンで確認できるシステムを新たに構築いたします。こうした取組によりまして、新型コロナとインフルエンザの同時流行に対応してまいります。
今後のマスク着用の周知についてお尋ねがございました。県では、国の基本的対処方針に基づき、マスクの着用を推奨する場合と着用を必要としない場合に分けて、マスク着用の考え方を市町村や関係団体を通じ県民や事業者の皆様に周知いたしますとともに、私の記者会見や県の広報媒体でも呼びかけているところでございます。今般、国におきまして、オミクロン株対応の新レベル分類が定められましたが、マスク着用の考え方はこれまでと同様でございまして、レベル二、またレベル三となっても、変更されるものではないと承知いたしております。県といたしましては、改めて県のホームページや広報媒体、SNSやラジオCM等を活用し、福岡オミクロン警報発動中も、ただいま申し上げましたマスク着用の考え方について周知してまいります。さらに、今後、国がマスク着用の考え方を見直した場合には、県民や事業者の皆様に対し、具体的に周知をしてまいります。
5 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 公立幼稚園及び県立特別支援学校の通学バスにおける事故防止対策についてでございます。県立特別支援学校の通学バスについては、従来から、運転士に加え、添乗員を必ず配置することとしており、その添乗員が、児童生徒の乗り降りの際に名簿を基に氏名を確認し、学校職員や保護者に確実に児童生徒を引き渡すこととしております。なお、公立幼稚園については、昨年七月に中間市で起きた送迎バスでの死亡事故を受けて、幼稚園を設置する市町村教育委員会に対し、福祉労働部が策定しました安全管理標準指針を参考に、安全管理を徹底するよう要請したところでございます。さらに、今年九月の静岡県での事故を受け、改めて安全管理の徹底について通知を発出するとともに、市町村教育委員会に対し、安全管理の取組状況を確認するための実地調査の実施を要請をしているところでございます。今後は、子供の発達段階や障がいの状況に応じて、自らが危険回避できる力を身につけられるよう、安全を確保する取組の充実を図ってまいります。また、さらなる安全対策の強化のため、今回の国の第二次補正予算を活用し、県立特別支援学校及び公立幼稚園の通学バスへの安全装置等の整備を速やかに実施をしてまいります。
次に、ヘルスキーパー制度の導入についてでございます。県立視覚特別支援学校においては、この制度が民間企業等で採用されることにより、国家資格の取得を目指す生徒の就職先の拡大とともに、さらなる学習意欲の向上につながるものと考えております。また、実習の場としての活用も可能なことから、はりやマッサージに関する実践的な就業体験が期待できると考えております。視覚特別支援学校におきましては、これまで校内を中心に臨床実習を実施をしておりましたが、今年度からは、新たにヘルスキーパーを想定し、県庁のロビーや福岡リーセントホテルなどでの臨床実習を始めたところでございます。今後、さらに企業や官公庁での臨床実習を拡充し、様々な職種に対応した治療技術の向上を図ることで、職業教育の充実と就労促進に努めてまいります。
次に、学校における児童生徒のマスク着用についてでございます。マスク着用は、基本的感染対策として引き続き重要ではありますが、コミュニケーションが取りづらいなどの影響も考えられることから、より注意深く児童生徒の日常の様子を注視していくとともに、活動場所や活動場面に応じてマスクの着脱が行われる必要があると考えます。このため、授業や部活動、給食の時間、徒歩や自転車での通学時などにおいて、児童生徒がマスクを外すことができる場面を客観的な基準により明示をし、小中学校、高等学校、特別支援学校、そして市町村教育委員会等全ての教育関係者が共通認識を持って指導に当たることができるよう、校長会や教員の研修会、さらには会議などにおいて周知徹底を図ってまいります。県教育委員会としましては、このような指導を通じて、児童生徒の心身の成長や充実した学校生活の実現を図っていく所存でございます。
7 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時五十分といたします。
午 後 零 時 三十七分 休 憩
午 後 一 時 五十一分 再 開
8 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。冨永芳行君。(拍手)
*冨永議員質問
9 ◯八番(冨永 芳行君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。本日、代表質問に登壇する機会をいただきました。日頃より御指導いただいております岩元一儀県議団会長をはじめ、諸先輩方皆様に感謝を申し上げます。また、本日は、私の地元糟屋郡、そして日頃より応援をしていただいております皆様に傍聴席へとお越しいただきました。心から感謝を申し上げますとともに、残りの任期もしっかりと真っすぐに、ふるさと福岡県の発展のために尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
まず冒頭に、第二十一回
アジア獣医師会連合(FAVA)大会について述べさせていただきます。同大会は、先月十一日から十三日の三日間、アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに開催され、獣医師をはじめ国内外から約二千人が参加、我が会派からも岩元会長をはじめ所属の議員が参加いたしました。大会の開催に先立ち、日本獣医師会の藏内勇夫会長がFAVAの会長に就任されました。我が国だけでなく、アジア・オセアニア地域の二十三の国・地域の獣医師会のトップに立たれましたことを大変うれしく思っております。誠におめでとうございます。
十三日の閉会式には、FAVA大会の成果として、
人獣共通感染症対策、薬剤耐性対策、地球環境の保全などワンヘルスの課題解決と推進に取り組むため、六つの柱から成るアジアワンヘルス福岡宣言二〇二二を取りまとめられ、これを世界に向けて発信して、成功裏に幕を閉じました。
また、福岡県が同時開催した
ワンヘルス国際フォーラムを通じて、本県のワンヘルスの先進性を国内外に発信でき、服部知事が目指しておられるワンヘルスの世界的先進地に大きく前進することができたと考えます。新型コロナをはじめ人に感染する感染症の約六割が人獣共通感染症と言われており、パンデミックの備えとなるワンヘルスの推進は、福岡県のみならず、我が国そして世界にとっても極めて重要な課題であります。我が会派におきましても、引き続きワンヘルスの推進に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
それでは質問に入ります。まず初めに、来年度の予算編成に関する基本方針をお聞きします。来年度予算は、知事が陣頭指揮を執る予算としては二回目となります。来年度は、コロナ対策も大きく変化することも予想されますし、いよいよ知事の公約を実現していくための、その流れを確かなものにしていく年ではないかと思います。昨年十二月定例会において知事は、本年度の予算方針として、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県を目指したいと主張されました。知事は、この間、先ほど述べた目標に加え、ジェンダー平等、子供の貧困ゼロ、最低賃金千円などの姿勢も明らかにされました。非正規労働者や生活者に寄り添う我が会派は、知事のその姿勢を大いに評価しているところです。また、国の経済財政運営と改革の基本方針二〇二二、いわゆる骨太の方針でも、人への投資と分配を重点投資分野の一番に掲げて様々な方針が示されています。今こそ知事の掲げる公約を大きく前進させる好機と捉え、取組を加速していただきたいと思います。
そこで一点目に、本年度の予算執行も山場を越えた中、この誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県にどこまで近づいたのか。例えば福岡県総合計画に掲げた次代を担う人財の育成、高齢者、障がいのある人への支援、地域防災力と危機管理の強化がありますが、知事の評価をお聞かせください。
さて、コロナ禍も三年近く続いています。誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県づくりのためには、コロナ禍を乗り越えられるようなきめ細かい支援が必要だと思います。
そこで二点目に、次代を担う人財育成を中心に、来年度の予算編成をどのように取り組んでいかれるのかお聞きします。
次に、市町村振興のさらなる推進についてお聞きします。本県には六十の市町村があり、それぞれの地域が切磋琢磨して地域課題の解決と活性化に取り組んでいます。そういった中、知事は本年四月、企画・地域振興部内に市町村振興局を新たに設置されました。この局について知事は、さきの六月定例会において次のように具体的な決意を述べられています。局長自らが直接市町村長の皆さんの声を聞かせていただくことで課題を的確に把握する。把握した課題については、その内容に応じて、該当する専門知識や経験を有する職員を集めたチームを局内で編成し、適切な助言を行っていく。市町村が県に対して支援や協力を求める事案については、局が市町村の立場に立って庁内の各部各課と折衝する。平素から信頼され、相談しようと思ってもらえるような関係を築くと述べられ、それらを徹底させていると締めくくられました。市町村長にとって、これまでの県の市町村振興施策を劇的に変え、県と市町村との関係は大きく変化することが容易に想像できる答弁であり、県職員出身である服部知事らしい、並々ならぬ思いが表れていると思います。
そこで一点目に、今年度、市町村振興局において、市町村との連携強化のためにどのような取組を行ったのかお答えください。
二点目に、各種取組を通じて様々な課題も得られたと思いますが、その点について知事の認識をお聞きします。
さて、本県六十の市町村それぞれに課題も違います。本年度の取組を通じて市町村振興に資するよう、その取組を具体的かつ効果的に行っていくことが大切です。
17 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 部活動指導員の活用及び地域移行と働き方改革についてでございます。部活動指導員の活用及び休日の部活動の地域移行は、専門的な指導機会の確保や、子供たちにとって望ましいスポーツ環境の構築とともに、教職員の超過勤務縮減につながるものと認識をいたしております。
部活動指導員の配置状況及び取組についてでございます。県立学校につきましては、十一月現在、昨年同時期と同程度の百二校に二百六十五名が配置され、大学等と連携して学生を配置するなどの取組も進んでおります。また、市町村立中学校につきましては、十一月現在、二十三市町村に百三十四名が配置され、昨年同時期より増加をしておりますが、今後も人材確保方策の事例や配置による効果などについて情報提供を行ってまいります。
部活動指導員と教職員の役割分担についてでございます。平成二十九年の学校教育法施行規則の改正により、部活動指導員が部活動の顧問となることや単独で実技指導、大会、練習試合の引率などを行うことが可能となっております。このため、県立学校につきましては、競技の特性や部活動指導員の実績などを考慮し、できる限り業務を委ねるよう指導するとともに、市町村に対し、県立学校における実践例を周知をしてまいります。
県立学校における部活動指導員の増員及び市町村教育委員会への支援についてでございます。県立学校につきましては、部活動指導員の配置を始めた平成三十年度から段階的に人数を拡充し、国が目安とした一校当たり三名の配置が現在可能となっておりますが、学校規模や専門的指導者の不足などによりまして、部活動指導員の増員が必要な学校があることも認識をいたしております。このため、各学校のニーズを的確に把握し、望ましい配置の在り方を検討してまいります。市町村立中学校におきましては、未配置の市町村もありますことから、今後も引き続きスポーツリーダーバンクの充実や大学などとの連携によりまして、市町村における部活動指導員の活用を促進してまいります。
休日の部活動の段階的な地域移行に向けた県教育委員会の取組についてでございます。県教育委員会では、今年度、学識経験者や市町村教育委員会、スポーツ関係団体などの代表者によって構成する福岡県運動部活動改革協議会を設置し、県としての方向性を検討するとともに、年二回の部活動改革セミナーを開催し、関係者に対して情報提供に努めております。今後、国が改定をします部活動に関するガイドラインを踏まえ、市町村における円滑な地域移行を支援をしてまいります。
指導者の確保に向けた県教育委員会の支援についてでございます。県内の地域によりましては、競技経験や資格を有する専門的な指導者の確保が難しい状況があるというふうに聞いております。このため、指導者の確保が難しい市町村においては、その郡市の体育・スポーツ協会や各競技団体などと連携した指導者の発掘や、ICTを活用しました遠隔指導などの指導体制の整備が必要であると考えております。県教育委員会では、このような点を踏まえ、今後、知事部局や関係団体と連携し、まずは指導者確保や指導体制などについて助言できる人材を市町村へ派遣するなど、地域移行に向けた体制整備を支援してまいりたいというふうに考えております。
18 ◯副議長(井上 博隆君) 岡部警察本部長。
19 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 偽電話詐欺の近年の増加傾向についての原因と取組についてお答えを申し上げます。偽電話詐欺が増加している原因につきましては、様々な要素が複合的に影響しているものと考えておりますが、全国的に被害が増加している状況を踏まえますと、犯行グループが社会情勢等に応じて犯行手口を巧妙に変化させ、広域にわたって組織的に犯行を繰り返していることが増加の一因になっているものと認識しているところであります。こうしたことから、県警察におきましては、被害者の多くを占める高齢者と接する機会が多い自治体や民生委員などと連携して、被害に遭わないための各種予防対策を推進しているところであります。
次に、偽電話詐欺の検挙状況について、被害状況と比較してお答えを申し上げます。偽電話詐欺の被害状況については、平成二十九年以降減少傾向にありましたが、昨年より再び増加に転じ、本年は、十月末現在で昨年をさらに上回るペースで増加しています。一方、検挙に関しましては、被害の増減にかかわらず、毎年六十人前後の被疑者を検挙しており、本年十月末現在では、前年同期と比べ八人増え、暴力団構成員を含む五十三人の被疑者を検挙しているところであります。偽電話詐欺のさらなる抑止を図るためには、指示役などを検挙することが有効でありますことから、引き続き職務質問による現場検挙に加えて、犯行グループの中枢にいる被疑者の検挙に向けた突き上げ捜査を強力に推進してまいります。
最後に、偽電話詐欺対策の体制強化についてお答えを申し上げます。県警察における偽電話詐欺対策の体制につきましては、警察本部長を長とする特殊詐欺総合対策委員会を設置し、その実動部隊である特殊詐欺総合対策プロジェクトチームを中心として、組織全体で偽電話詐欺対策に当たっているところであります。県警察といたしましては、他府県の取組なども参考としながら、情勢に応じた組織体制の見直しなど必要な体制強化を検討してまいります。
20 ◯副議長(井上 博隆君) 冨永芳行君。
21 ◯八番(冨永 芳行君)登壇 それぞれ御答弁いただきありがとうございました。最後に、知事、教育長それぞれに要望させていただきます。
まず一点目に、下水汚泥の肥料化について。下水汚泥の肥料化については、その有効性と今後の肥料化に向けた取組について言及がありました。今後も世界情勢が変化する中、肥料価格の上昇は避けられないと思います。ぜひ肥料化の促進に向けて県のさらなる取組を要望いたします。
また、神戸市においては、下水汚泥からリンなどを回収する事業を始め、そのPRのため、肥料を市民に配布するイベントなども行っているとのことです。こういった下水汚泥の肥料化を本県が取り組んでいることについて、まだまだ県民への周知や理解は進んでいないと思われます。循環型社会の形成に向けた県民の理解促進のためにも、下水汚泥の肥料化に関するPRを行っていただくよう、併せて要望いたします。
次に、県立学校における部活動指導員の増員について要望いたします。教育長は、部活動指導員の増員が必要な学校があることは認識されているとのことでした。にもかかわらず、今後の各学校のニーズの把握や配置の在り方を検討するとの答弁にとどめ、増員そのものについて明言を避けてきたものと印象を受けました。我が会派は、教職員の働き方改革に資するためにも、部活動指導員の大幅な増員が極めて重要であると認識しています。望ましい配置の在り方を早急に検討し、県立学校の部活動指導員の増員を図るよう強く要望します。
併せて、市町村立中学校においては、県立高校に比べ、部活動を指導できる教員が少なく、部活動指導員の配置や休日の地域移行によって、教員の負担軽減により高い効果が出るものと思います。市町村立中学校の部活動指導員、休日の地域移行のそれぞれにおいて取組が大きく加速するよう、県が支援することを強く要望して、会派の代表質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
22 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 二十一分 散 会
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