福岡県議会 2022-03-14
令和4年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2022-03-14
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 令和四年三月十四日(月曜日)
午 前 十 一 時 零 分 開 議
◯吉松源昭委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。
本日は、令和四年度福岡県一般会計予算の歳出第三
款保健費及び第四款環境費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。
それでは、第三
款保健費について説明を求めます。
白石保健医療介護部長。
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◯白石保健医療介護部長 おはようございます。
三
款保健費につきまして御説明を申し上げます。
お手元の令和四年度予算に関する説明書の百六十三ページをお開きください。
一項保健企画費でございます。この主なものは、百六十六ページでございますが、百六十六ページの三目病院費の説明欄に示しておりますが、
病院事業会計負担金五億九千五百万円余でございます。これは、企業債の償還等に係る負担金でございます。
一項保健企画費の総額は下の計欄に示しておりますが、七十四億五千九百万円余をお願いいたしております。
次にその下、二項健康対策費でございます。この主なものは、百六十九ページの三目難病等対策費四十九億七千五百万円余でございます。これは、難病患者に対する医療費の公費負担等でございます。
二項健康対策費の総額は、百七十二ページの計欄に示しておりますが、百四億八千四百万円余をお願いいたしております。
次に、下のページに参りまして、三項生活衛生費でございます。この主なものは、百七十七ページの
五目結核感染症対策費の説明欄の上から五番目、感染症予防費七百六十二億四百万円余でございます。これは、
新型コロナウイルス感染症対策のための経費等でございます。
三項生活衛生費の総額は、百七十九ページの計欄に示しておりますが、七百九十七億七千百万円余をお願いいたしております。
次にその下、四項医薬費でございます。この主なものは、百八十一ページの二目医務費の説明欄の一番下、
地域医療介護総合確保基金積立金四十九億三千六百万円余でございます。
四項医薬費の総額は、百八十四ページの計欄に示しておりますが、百五十億三千二百万円余をお願いいたしております。
次に、下のページに参りまして、五項医療介護費でございます。この主なものは、
一目医療介護総務費の説明欄の上から二番目、
後期高齢者医療対策費七百七十六億六千六百万円余でございます。これは、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく県の負担金等でございます。
五項医療介護費の総額は、百八十九ページの計欄に示しておりますが、一千九百億一千万円余をお願いいたしております。
次にその下、六項
高齢者支援費でございます。この主なものは、百九十ページの
二目高齢在宅費四十三億六千六百万円余でございます。これは、市町村が行う介護予防事業や
地域包括支援センター運営等の地域支援事業に対する交付金等でございます。
六項
高齢者支援費の総額は、下のページ、百九十一ページの計欄に示しておりますが、百十一億九千七百万円余をお願いいたしております。
説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
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◯吉松源昭委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。
井上順吾委員。
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◯井上順吾委員 おはようございます。
保健介護医療、予算委員会、久しぶりに立ちますけど、よろしくお願いしたいと思います。
今日の質問は、一月でありましたか、地元の
ケーブルテレビ、
ケーブルステーション福岡と言いますけど、その録画を見ておりましたら、とても興味を引いて、これこそ自分がこの県議会を目指したときの思いと一緒だと思いました。興味を持って見ました。そして早速、次の日にはその地元に行って、自分なりに調査をして、そして全て見てまいりました。そういうときに新聞を見ましたら、これを取り上げていただいておったと。これは大変ありがたいなと思って、質問するわけです。
平成十七年に議員になりまして最初の議会、十二月議会で一般質問したのは、急な坂道対策です。高齢者の人に対する、自分で思った、あの暑いときに、街路樹に買物袋を添え木にかけて、そして、自分はその街路樹に寄りかかって、そして休んである光景を見たときに、これは今から大変なことだなと思いまして、質問したことを思い出すわけであります。
そして、次の年の六月には早速、当時は麻生渡知事でありました。当時、土木部長、廣瀬さんでありました。そのときに、急な坂道、昭和四十年代、五十年代の初めに県内で恐らく民間が開発した住宅団地、そういうものがすごく多いんじゃないか。特に筑紫地区は人口急増で、住宅団地がどんどんできました。でも、旧の道路縦断構造でありましたから、やはり急な勾配にならざるを得ない。そういう団地は私どもの地域だけではなく、恐らく県内、特に北九州もそうなんですけど、そういう地域が多いということで、取り上げました。
早速、翌年の六月には回答をいただきました。三十二市町、五十メートル以上の八%の勾配率で坂道が造られているのが百五団地でありました。これはすごく当時、課題として取り上げていただいて、思いやりのミニベンチであり、思いやりのミニパークであり、そういうものはこれから必要になってくるんじゃないかということを問うたことがあります。
そこで、委員長にお願いであります。
百聞は一見にしかずと言います。その記事を取り上げていただいた西日本新聞が「高齢者のイス好評」という、これは新聞社の了解もいただいて、資料を出すことの了解を取っておりますので、そのお取り計らいをお願いいたします。
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◯吉松源昭委員長 ただいま
井上順吾委員申出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については、理事会において確認しております。
お諮りいたします。
井上順吾委員申出の資料を配付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
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◯吉松源昭委員長 それでは、ただいまより
井上順吾委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。
〔資料配付〕
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◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、
井上順吾委員、質疑を行ってください。
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◯井上順吾委員 読んでいただいたらもう一番分かりやすいと思いますけど、この大野城市の平野台地区というのは、先ほど申し上げました昭和四十年代にできた住宅団地であります。とても急勾配な坂がある団地です。住民は約三千人で、六十五歳以上の高齢化率は約三四%。ほとんどの道路が坂になっていて、住民は買物など外出のたびに上り下りする必要があると。
そのような中で、とても地域の区長さんをはじめ役員の皆さん方が思い立たれたその発想というのは、家々にはおしゃれな門があったり、自分の生け垣があったりします。ブロック塀があったりします。でも、そこに少しでも腰をかけることができるならば、これはいいじゃないかという発想だと思います。それで、その三千人が住む住宅団地に、高齢者のイスとして、一番から五十番まで協力をした家があるわけです。どうぞおかけになってくださいと。私たちはとても人の家の門先に腰をかけることはできません。でも、高齢者のイスという、どうぞお座りくださいという、こういうプレートがあれば、これはとてもお年寄りでも気持ちは変わってくると思います。とてもありがたいということで、好評だということです。
そこで質問に入りますけど、この記事を読まれ、そして
高齢者地域包括ケア推進課長として、この高齢者のイスについてどのように御承知しておられるかお伺いします。
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◯吉松源昭委員長 松永高齢者地域包括ケア推進課長。
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◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 本年一月に、委員から大野城市平野台区での取組を御紹介いただきました。翌日、早速、当課担当係長が平野台区を訪れ、区長さんにお話を聞かせていただきました。その際、標示プレートが設置している場所にも案内していただき、御説明を受けたところです。その内容については、担当係長から報告を受け、承知しております。
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◯井上順吾委員 今、早速、現地に足を運んでいただいたということであります。これは後から聞いたわけですけど、とてもうれしかったと。県がそれについて、すぐ来られたということは、やっぱりこの課題であり、このプレート板一枚を設置するのに、大体ベンチを置くと十万とか、そういうことになるんですけど、二千円以内でこれが出来上がるわけです。ボンドとプレートを作るだけ。一番から番号を振るだけ。そして何よりも、高齢者のイスを貼っていただいたその家々というのは、その人に対する思いやりがすごく生まれてくる。また、それを使っておられる方もとても気持ちがいいと思います。
それで、この高齢者のイスについて、係長から報告をされたということですけど、これに対してどのようにやはり県として取り組んでいこうかと思われるか、それをお尋ねいたします。
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◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 平野台区のように急勾配な坂道が多く、高齢者の方が徒歩で買物に行くにも御苦労されるような地区では、高齢者のイスの取組や高齢者の方の外出の不安要素の一つである休憩場所の確保ができており、高齢者の方が安心して外出できることにつながり、介護予防や健康づくりの一助になるものと考えており、これを広く周知していく必要があると考えております。
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◯井上順吾委員 今、お答えいただいて、実際に、じゃあ、こういうものが本当は、大野城もたくさん同じような団地があるんですけど、これはすごく広がりがあるかなと思っていたんです。でも、やはりなかなか、よそがやっていることを自分のところでというのは、なかなかいかないもんだから、そういうところを話をしておられました。
でも、やはり高齢者問題に、福祉問題にしっかり取り組む所管課として、県内に、今、言っていただいたように広がる。そういう坂道が多いところ、地域というのはとても助かるわけですね。恐らくどこの地域でも、恐らくここにおられる委員さんでも、私が質問のやり取りしておりましたら、自分のところやったらあそこやね、自分のとこやったらあそこが物すごくよう似とるねと思われるところがあると思うんですね。だから、そういう意味では、ぜひ多くの人に知ってもらう、これも大事です。
そして何よりも、そういう思いを起こさせる、共助のそういう思いをぜひ広げていただきたいと思います。そのことについて課長の答弁をお願いいたします。
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◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 この高齢者のイスの取組は、休息場所の確保による高齢者の外出の促進につながり、また設置費用に係る負担も少額なため、坂道が多い自治会にとっては非常に取り組みやすいのではないかと考えております。こうしたことから、県が実施します、市町村を対象とした
介護予防市町村支援研修会や高齢者等見守り活動研修会などで、市町村に高齢者のイスの取組を紹介し、市町村を通じて自治会に御紹介いただくようお願いしてまいります。また、庁内関係課との意見交換の場や県のホームページでも高齢者のイスの取組を紹介してまいります。
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◯井上順吾委員 大変、これは問題を共有しておりましたから、しっかり課長とはこのやり取りをさせていただいておりました。本当にありがたいと思います。これは高齢者にとって、やはり元気で心豊かで暮らすには、健康な状態をより長く維持することが私は大事だろうと思っております。そのためには高齢者のイスのようなユニークな取組についても、やはり幅広く、同じようなことがひょっとしたら他の地域でもあっているかも分かりません。だから、そういう情報の収集を行っていただいて、少しでも買物に行きやすい、そして家から出て散歩をする、そのような環境づくりをすることが私は大切だろうと思っております。
また、
高齢者地域包括ケア推進課が取り組んでおられる事業で、ケア・トランポリンという事業があります。この普及があります。これはスポーツ議連が、県内に福岡発祥の地として、そしてこのケア・
トランポリン事業を普及啓発して、元気な高齢者をつくっていく。それこそ豊かな暮らし、心のケアになるわけですから、ぜひこのトランポリンも普及をしていただきたいと思っておるわけであります。
こういう事業をしっかりやることこそ、増え続ける医療費を削減する、そのような一助になると私は信じておるわけでありますから、ケア・トランポリン、それから高齢者のイス、そしてもっともっと、
スロージョギングとかいろいろな事業があります。
グラウンドゴルフとか、今、高齢者のために編み出されたいろいろな
ニュースポーツも出てきております。そういう意味では、こういうことをぜひ広げていただきたいと思っております。
そういう意味で、これを推進していただくために、やはり部長の決意をお伺いして終わりたいと思います。よろしくお願いします。
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◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
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◯白石保健医療介護部長 この高齢者のイス、それからケア・トランポリンの取組につきましては、介護予防、それから健康づくりの一助につながります。また、地域の皆様が集まって語り合う場にもなります。新たな
地域コミュニティーの形成も期待されるものだと思います。平野台区の高齢者のイスのような、他の地区にとっても参考となる取組につきましては、市町村などから情報を伺って、関係者の方から話を聞いて、参考になる好事例につきましては、研修会等の機会に紹介をしてまいります。
ケア・トランポリンにつきましては、来年度は三十五市町村で教室が開催される予定でございます。市町村に対して、教室開催経費の助成を引き続き行うとともに、市町村の
スポーツ推進委員など地域に根づいた
インストラクターとして養成するために必要な予算も今議会に提案させていただいております。また、教室開催経費につきましては、参加者の安全性の確保、それから
新型コロナ対策の徹底、こういった観点から、来年度は
インストラクターをこれまでの一名から二名まで助成対象とする予定でございます。このような新たな取組により、来年度も市町村によるケア・
トランポリン教室の開催を支援してまいります。
今後も高齢者に寄り添って、介護予防、それから健康づくりの取組が地域に根づくよう、積極的に支援をしてまいります。
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◯井上順吾委員 ありがとうございます。
本当に今、答えていただいたように、今はコロナ禍であります。事業もなかなか推進していくことも難しいかと思っております。でも、予算を計上していただいて、提案をしていただいておりますから、そのためには粘り強く、そして何よりも目的を共有しながら、県内の
高齢者づくりに邁進していただきますことを心からお願いいたしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
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◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。
山本耕一委員。
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◯山本耕一委員 民主県政クラブ県議団の山本耕一です。
新型コロナウイルス感染症によりまして、医療機関ではない場所、自宅や高齢者施設等で亡くなられた方も多くいらっしゃいます。今回、私はそうした医療機関ではない場所で亡くなった方の御遺体の取扱い等について伺ってまいります。
質問に先立ちまして、まず、厚生労働省及び経済産業省の
新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等におけるガイドラインの中から、死後処理や遺体の搬送など、個別の場面ごとの感染管理上の留意点の一覧表を資料として要求したいと思います。委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。
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◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま山本委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
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◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま山本委員から要求がありました資料については提出できますか。
田中がん感染症疾病対策課長。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 直ちに提出できます。
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◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
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◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
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◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、山本委員、質疑を行ってください。
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◯山本耕一委員 では、配付資料についての説明をお願いいたします。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 この御指摘のガイドラインでございますけれども、
新型コロナウイルス感染症により、医療機関において亡くなられた方を想定いたしまして、医療機関、葬祭場、火葬場へと御遺体が移動していく中で、個別の場面ごとの感染管理上の基本的な留意点や対応策が示されています。
この表は、ガイドラインに示されているもので、左側にあります臨終後の対応、エンゼルケア、非透過性納体袋への収容・消毒などの個別の場面ごとに、遺族等の方、医療従事者の方、遺体等を取り扱う事業者の方、火葬場従事者の方に分けて、それぞれに関わる関係者に黒丸がつけられているところでございます。
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◯山本耕一委員 二〇二〇年九月議会の本会議におきまして、我が会派の渡辺美穂議員が御遺体の処置について一般質問を行っております。その際には、小川前知事が当時の国のガイドラインを基に、遺体からの感染リスクは極めて低いとしながら、納体袋を使用するなど適切な感染防止対策がなされておれば、御遺体との面会も可能といった答弁を行っていらっしゃいます。
この当時と現在においては、オミクロン株の蔓延など、
新型コロナウイルス感染症の病態も変わってきてはいるんですが、ガイドラインにおいて、そうした最新知見を反映した変更などは行われているのでしょうか、お答えください。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 令和二年七月に示された後、ガイドラインについては更新はされておりません。
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◯山本耕一委員 令和二年というのは二〇二〇年ですから、二〇二〇年七月にガイドラインが示されて、変更がないということは、渡辺議員の質問がその九月ですので、当時と今ではガイドライン自体には変更がないということですね。
さて、配付資料にあります一覧表は、基本的に医療機関において、つまり病院で亡くなった方についてのものと先ほど御説明がありました。では、自宅療養中に亡くなった方や医療施設でない高齢者施設で亡くなった方への対処は、それに応じた別のガイドラインが存在するのでしょうか、お答えください。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 医療機関以外で亡くなられた場合の対応につきまして、示されたガイドライン等は現在のところ存在しておりません。
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◯山本耕一委員 自宅療養中に亡くなった方とか、医療施設でない高齢者施設等で亡くなった方の処置については、国は明確なガイドラインを示していないということですね。
新型コロナウイルス感染症のいわゆる第六波では、高齢者の死亡が多く発生しました。その際、自宅や高齢者施設など医療機関ではない場所で亡くなるケースも多かったと思われます。さきのガイドラインでは、納体袋への収容は医療従事者がすることになっております。表の二─三の部分ですね。ですが、実際、私がとある方から直接伺った話では、自宅や高齢者施設で亡くなった方の御遺体について、死亡診断書を書いた医師から、どうぞ葬祭業者のほうで処置してくださいと言われまして、医療関係者、医療従事者でない方々が、納体袋に入れる行為も私たちが本当にやっていいのかと、大変不安な気持ちを抱えながら行っているということです。
そこで伺います。医療施設でないところで亡くなった方の御遺体の処置について、今、申し述べたような医療関係者、医療従事者でない葬祭業者が取り扱うという実態があることについては、現状を把握していらっしゃいますでしょうか。御遺体の処置のことなので、所管は生活衛生課になると思いますが、お答えください。
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◯吉松源昭委員長 田村生活衛生課長。
35 ◯田村生活衛生課長 そのような実態があることにつきましては、把握しておりません。
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◯山本耕一委員 把握されていないというお答えがありました。
医療施設でないところで亡くなった方の御遺体の処置について、先ほどの説明のように、明確なガイドラインは存在しない。現場の方からは、感染リスクなどの心配が拭えないという声が寄せられております。
県としては、ぜひともこうした意見をしっかりと酌み上げて、葬祭業者の皆さんをはじめとする、コロナ禍で亡くなった方の最期に立ち会われる全ての人々の命と安全、健康を守っていく取組をお願いします。
これに関連して伺います。国のガイドラインに示されていない、例えば自宅や高齢者施設等で亡くなった方の御遺体の取扱いなどについては、県としてはどのように行っていくのがよいとお考えでしょうか。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 令和二年七月に示されましたガイドラインにおきましては、
新型コロナウイルス感染症は、一般的には飛沫感染、接触感染で感染すると言われてございますが、御遺体におきましては、呼吸やせきといった飛沫感染のおそれはなく、接触感染に注意すること、また、WHOのガイダンスによりましても、遺体から感染する根拠はないとされており、感染リスクは低く、手指衛生を徹底し、ガイドラインを踏まえた取扱いをすることで、十分感染予防が可能とされております。変異株でございましても、
新型コロナウイルス感染症の感染対策については、同様の対応であるものと認識しております。
このため、自宅や高齢者施設で亡くなられた御遺体の対応に当たりましては、医療従事者がいない場合もございます。その場合には、必要に応じて死亡を確認された医師等の医療従事者の助言、指導を受けつつ、施設や御家族、葬儀者の方などの関係者の皆様で話し合いながら、ガイドラインに示されました感染対策を再確認していただきながら、御対応していただきたいと考えております。
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◯山本耕一委員 今、県として、医療従事者の指示、助言を受けつつ、施設や葬儀者の方などの関係者で話し合いながら御対応をという形、資料の表の黒丸がない部分に対しての見解を示していただきました。これに対しては、大変重たいものだと受け止めております。
国に対して、自宅死亡者への対処など、現在のガイドラインの不備などについて明確な指針を求めていくように働きかけていくことも大切だと思うんですが、そのことについてはどのような所見をお持ちですか。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 新型コロナウイルス感染症に関しましては、新たな変異株の病態や知見が判明した場合は、検査や診療の手引などにつきましては、随時更新が行われておりまして、必要に応じて改訂は行われているものと考えております。
本ガイドラインにつきましては、御遺体に対して直接的なケアを行う場面、そうでない場面、それぞれにおける感染管理上の基本的な対処方針が記載されております。
新型コロナウイルス感染症の感染対策としては変わらないものと思われますが、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
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◯山本耕一委員 ウイルスというものは刻一刻と遺伝子変異を起こして、その引き起こす病態、それから感染力などが猫の目のように変化していくことを、私たちは今回、このコロナ禍を通じて学ばせていただきました。そうした事実を踏まえて、その時々において、最新の医学的知見に基づいた
新型コロナウイルス感染症への対処が必要であることは言うまでもありません。そうした最新知見に基づいて、様々な対処について国が通知を発出していると思うんですが、そうした最新知見に基づいた通知というものは、どのような形で医療関係者や御遺体の処置に当たる方に伝えているのでしょうか。
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◯田中がん感染症疾病対策課長 新型コロナウイルス感染症に関しまして、様々な通知が国から発出されておりますが、その都度、速やかに周知することとしておりまして、その際は、県から医療関係者には、保健所、医師会をはじめとした医療関係団体を通じまして、また、御遺体の処置に当たる方々に対しましては、葬祭業組合や各市町村を通じまして、お知らせをしているところでございます。
なお、本ガイドラインにつきましては、令和二年八月に、保健所、市町村、医師会をはじめといたしました医療関係団体や葬祭業組合など、広く周知をしたところでございます。
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◯山本耕一委員 今、二〇二〇年八月にガイドラインを周知したというお答えをいただいたんですが、それから既にもう一年半なんですね。先ほどからお伝えしておりますとおり、現場の方々は、先ほど配付いただきました資料の中でも、ガイドラインに黒丸がついてないところ、この部分の解釈について、果たしてこれでいいのだろうかという不安を抱きつつ、御遺体の処置に従事しているという実態があります。
繰り返しになりますが、先ほどの御答弁では、自宅や高齢者施設で亡くなった方の御遺体の取扱いについて、必要に応じ、死亡を確認された医師等の医療従事者の助言、指導を受けつつ、施設や御家族、葬儀者の方などの関係者の皆様で話し合いながら、ガイドラインに示された感染対策を再確認していただきながら御対応していただきたいと、県としてこうしたほうがいいという見解をお答えいただきました。
葬祭業者等、御遺体に接する皆さんの不安を払拭するために、今回示していただきました県の見解を改めてしっかり周知する必要があるのではないでしょうか。そうした周知を行う考えはございますでしょうか、お答えください。
43
◯田中がん感染症疾病対策課長 県から医療機関に対しましては、先ほど申しましたように、保健所、医師会を通じまして、また、御遺体の処置に当たる方々に対しましては、葬祭業組合や市町村等を通じまして、改めてお願いをしてまいりたいと考えております。
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◯山本耕一委員 今、改めてお願いしてまいるということですので、早急な対策をお願いしたいと思います。
最新の研究に基づいた知見が反映された感染症への対処法を県民の隅々まで正確に伝えていくことが、県民の命を守り、健康の水準を上げていく、つまり公衆衛生の向上につながると思っております。
では、最後に、公衆衛生の向上に向けての部長の力強い決意をお示しください。
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◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
46
◯白石保健医療介護部長 公衆衛生の向上には、県民の多くの方々や関係機関、団体の御協力が必要でございます。そのためには、正しい知識や知見を踏まえ、施策を進めていく必要がございます。新型コロナにつきましては、幾度も変異株が出現し、その特徴によって感染の波も変化しております。今回の第六波においても、これまでと違い、感染力が強く、また初期の一月中旬は二十代の若い世代を中心に感染拡大しておりましたが、その後、十代未満や高齢者へ移り、現在、十代以下が約四割と、第五波とは違った感染状況となっております。
県では、その時々の感染状況の特徴に応じて、医療提供体制や感染予防に対する啓発など、県民の方々、また関係者の方々に速やかに周知することで、感染拡大予防に取り組んでまいりました。今後も、正しい情報や最新の知見を踏まえ、県民の皆様にお伝えする努力を惜しまずに、誰もが分かりやすい内容を速やかにお伝えすることで、多くの県民の皆様の御協力を得ながら、公衆衛生の向上に取り組んでまいります。
47
◯山本耕一委員 ありがとうございました。
長きにわたる
新型コロナウイルス感染症との闘いで、皆様、大変お疲れだと思います。現場や感染症、それから、それによります死と向き合っていらっしゃる方々もまた大変に疲れていますし、また不安を抱えながら闘っていらっしゃいます。県におきましては、県民の命と健康を守るために、引き続き安心・安全な福岡県づくりのために、しっかりお務めいただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
48
◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。松下正治委員。
49 ◯松下正治委員 皆様、こんにちは。公明党の松下正治でございます。
私からは、ジェネリック医薬品についてお聞きさせていただきたいと思います。
県民にとりまして、医療費は切実な問題であります。近年、高齢化の進展に伴いまして、社会全体の医療費負担の増加をいかに抑制するかが課題となっております。本県においても医療費適正化計画を策定し、県民の医療費の適正化に取り組んでいると承知しております。
その取組の中で、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効き目でありますが、先発医薬品と比べ、開発費や開発期間を大幅に抑えることができるため、薬価が安く設定されておりまして、ジェネリック医薬品を普及させることは、患者の経済的な負担軽減や医療保険財政の改善に資することになると言われております。
そこで、本県におけるジェネリック医薬品の普及の取組についてお尋ねします。
まず、あらかじめ執行部のほうに、国保被保険者一人当たり医療費推移、ジェネリック医薬品の普及率の推移、年代別ジェネリック医薬品の使用状況の資料を要求しておりますので、委員長、資料要求のお取り計らいをお願いいたします。
50
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま松下委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
51
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま松下委員から要求がありました資料については提出できますか。橋本医療保険課長。
52 ◯橋本医療保険課長 直ちに提出できます。
53
◯吉松源昭委員長 市村薬務課長。
54 ◯市村薬務課長 直ちに提出できます。
55
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
56
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
57
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、松下委員、質疑を行ってください。
58 ◯松下正治委員 まず、本県の国保の医療費について、資料、国保被保険者一人当たり医療費推移により説明をお願いします。
59 ◯橋本医療保険課長 資料に基づき、御説明いたします。
上のグラフについては、平成二十八年度から令和元年度におきます国保被保険者一人当たり医療費の推移について表したものであり、折れ線は、上から福岡県、全国、最も低い都道府県のそれぞれの推移を示しています。福岡県の国保被保険者一人当たり医療費については、全国平均より高く、全国と同様、年々増加しておりまして、令和元年度は三十九万百五十四円となっております。
なお、参考として、下の表ではそれぞれの伸び率を示しております。
60 ◯松下正治委員 御説明によりまして、国保の医療費は年々増加傾向にあり、本県は全国に比べ高い状況にあることが分かりました。
しかし、最近の国保の医療費の動向については、新型コロナの影響で減少しているとも聞いております。そこで、改めて本県の国保被保険者における高齢者が占める割合と本県の医療費の今後の見通しについてお尋ねします。
61 ◯橋本医療保険課長 令和二年度の被保険者一人当たり医療費の速報値ではございますが、前年度に対しまして、約二・六%減少し、三十七万九千八百三十二円となっております。これは、
新型コロナウイルス感染症による受診控え等の影響によるものと思われます。
福岡県の国保被保険者における六十五歳以上の高齢者の割合は、全体の四割を超えており、このように高齢者が高い割合を占めていることを踏まえますと、本県の被保険者一人当たり医療費は、今後も高い水準が続くものと考えられます。
62 ◯松下正治委員 今後も本県の医療費は高い水準で推移することが予測されるとのことでありますが、この医療費を抑制する効果がジェネリック医薬品にはあると聞いております。
そこで、本県におけるジェネリック医薬品の普及状況につきまして、先ほど配付されたジェネリック医薬品の普及率の推移の資料を見ますと、ジェネリック医薬品の本県の普及率が近年、頭打ちのようですが、全国と比較した本県のジェネリック医薬品の普及状況は現在どのようになっているのか、お伺いいたします。
63 ◯市村薬務課長 本県のジェネリック医薬品の普及率でございますが、提出資料の上のグラフにお示ししております。平成三十年度までは全国の普及率を上回っておりますが、翌年度以降は下回っております。普及率は徐々に上昇しているものの、その伸びが鈍化しておりまして、直近のデータでは、全国の令和三年九月単月の七九・〇%に対しまして、本県は令和三年度上半期で七七・三%となっております。
64 ◯松下正治委員 本県における全体的なこのジェネリック医薬品の普及状況というのは分かりました。さらなる普及をぜひ進めていきたいと思います。
ところで、県内において、各市町村等地域によってこのジェネリック医薬品の普及に差があるのではないかということが思われますが、どうでしょうか。もし地域間格差があるとすれば、それをなくすための取組というのはどのようになっているのかお尋ねいたします。
65 ◯市村薬務課長 厚生労働省の調剤医療費のデータによりますと、ジェネリック医薬品の使用割合には市町村によって差がございます。県におきましては、福岡県ジェネリック医薬品使用促進協議会におきまして、全県的な取組を実施するとともに、他の地域と比べ使用割合が低い傾向にある地域におきましては、別途協議会を設置しまして、関係者間での情報共有や地域の基幹病院で採用されているジェネリック医薬品リストの作成など、地域での使用促進の取組を行っております。
その結果としまして、ジェネリック医薬品の使用割合が最も高い市町村と最も低い市町村との差が、平成二十五年度は約二九%であったところ、令和二年度には約一五%となり、その地域差が縮小しております。
66 ◯松下正治委員 縮小してきているということなんですが、ちなみに使用割合が高い市町村、また低い市町村はそれぞれどういったところがあるのかお教え願いたいと思います。
67 ◯市村薬務課長 直近の令和二年度のデータで申し上げますと、最も高いのは田川郡の福智町で八九・七%、最も低いのは三潴郡大木町で七四・六%となっております。
68 ◯松下正治委員 状況は分かりました。
それでは、地域の状況は縮小しているということであるんですけども、世代間におけるこの格差というのはどうなっているんでしょうか。配付されました年代別ジェネリック医薬品の使用状況の資料によりますと、高齢者層におきまして薬剤料が高い一方、ジェネリック医薬品の使用割合が低くなっているようですが、高齢者に対するジェネリック医薬品に関する啓発等の取組、これは現在どのようになっているのかお尋ねいたします。
69 ◯市村薬務課長 高齢者の啓発についてでございますが、県後期高齢者医療広域連合におきまして、高齢者の方の理解を得るため、先発医薬品をジェネリック医薬品に切り替えた場合に自己負担額がどのくらい減少するかを知らせる差額通知という取組を行っておりまして、県ではその経費を助成しております。
また、県では、高齢者向けのリーフレットを作成いたしまして、ジェネリック医薬品の説明やその普及による医療費の節約効果などについて周知啓発を行っております。このリーフレットは、県後期高齢者医療広域連合に提供しておりまして、先ほど申し上げました差額通知に同封する形で活用されております。このリーフレットにつきましては、より高い啓発効果が得られるよう、現在、改訂作業を進めておりまして、来年度の差額通知事業においても活用していただくこととしております。
70 ◯松下正治委員 ぜひ今後とも高齢者の方への丁寧な周知啓発というのを進めていっていただきたいと思います。
ところで、最近の製薬業界の不祥事、この影響によりまして、ジェネリック医薬品の供給が不安定となり、ジェネリック医薬品の品質や安定供給に対する不安が高まっているとの声をよく聞きます。このことに対して、国や県として対応はどのようになっているのかお尋ねいたします。
71 ◯市村薬務課長 製薬メーカーの不祥事によりまして、ジェネリック医薬品への信頼が揺らぎかねない状況が生じております。品質につきましては、医薬品の製造管理、品質管理などが確実に担保された供給体制を構築していくことが重要でございますので、国においては、メーカーに対するガバナンスの強化や人員体制の確保に係る指導が行われるとともに、行政処分基準の明確化と厳格化が実施されております。
また、安定供給につきましては、国からメーカーに対しまして、供給量が十分にあると考えられる品目につきましては、出荷制限を解除するよう要請しております。また、供給量が不足していると考えられる品目につきましては、増産を行うよう要請をしております。また、医療機関や薬局に対しましては、必要最低限の発注としていただくよう要請しております。
このような国の対応を受けまして、県といたしましては、県ジェネリック医薬品使用促進協議会におきまして、製薬業界団体や医薬品卸業界団体に対しまして、安定供給に向けた対応を促すとともに、国の方針に基づきまして、工場へ無通告で立入検査を実施するなど、県内メーカーの品質確保を図るための監視指導に取り組んでおります。
72 ◯松下正治委員 ジェネリック医薬品に対して、しっかりと県民の皆さんから信頼を得られますように、本県においても毅然とした態度で臨んでいっていただきたいと思います。
それでは、最後になりますが、本県におけるジェネリック医薬品の普及促進について、部長の決意をお伺いします。
73
◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
74
◯白石保健医療介護部長 ジェネリック医薬品の普及促進は、医療費の患者負担を軽減するとともに、医療保険財政の改善にもつながります。こういったことから、県では全国に先駆けて、平成十九年度にジェネリック医薬品使用促進協議会を立ち上げまして、これまで普及促進に取り組んでまいりました。
一方で、ジェネリック医薬品に対しましては、有効性や品質が先発医薬品に劣るのではないかと、そういった意見も一部ございます。普及の妨げとなっている面もございます。そういった中で、一昨年から製薬メーカーによる不祥事が起き、品質や安定供給への不安が増している状況にございます。
このような不安に対しましては、現在、国、都道府県を挙げて取組を行っておりまして、本県におきましても、先ほど課長が申し上げましたように、メーカーへの指導などの取組を行っているところでございます。県といたしましては、県民の皆様がジェネリック医薬品を安心してお使いいただけますように、県協議会におきまして、関係の皆様の御意見を伺いながら、普及促進に取り組んでまいります。
75 ◯松下正治委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
76
◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。立川由美委員。
77 ◯立川由美委員 日本共産党の立川由美です。
介護問題について質問いたします。
コロナ禍における介護従事者のエッセンシャルワーカーとしての役割が極めて重要であることは、誰もが再認識したところです。感染症対応の十分な施設設備のない中で、入院できない陽性者を介護するなど、苛酷な仕事の一方、介護事業所ではコロナ禍の利用控えや介護従事者を確保できない問題など、経営的困難を強いられています。特に感染力が強いオミクロン株が猛威を振るった第六波において、介護施設はクラスターが多く発生し、経営的にも大きな影響を受けました。
介護施設でのクラスター数、利用者数、職員の陽性者数を明らかにしてください。また、県が行った介護事業所への支援策について御説明ください。
78
◯吉松源昭委員長 若藤介護保険課長。
79 ◯若藤介護保険課長 県内の高齢者施設等でのクラスターにつきましては、北九州市と福岡市を除いた数になりますけれども、本年一月から三月十日までに六十二件発生しております。これらのクラスターによりまして、千四十三人の方が陽性となっております。
県といたしましては、感染予防の観点から、高齢者施設等の職員を対象としたPCR検査を実施しております。また、感染者が発生した高齢者施設等に対しましては、事業の継続を支援するために要する費用や施設の清掃費用に対する助成、施設内の感染対策についての指導、療養者を支援するための医師や看護師の派遣を行っております。さらに、マスクやガウンなどの衛生用品が不足する施設に対しましては、県の備蓄から配布を行っているところでございます。
80 ◯立川由美委員 政令市を除いて六十二件、千四十三名の陽性者が発生しているとのことですが、政令市は集約が困難なほどにクラスターが発生したとのことです。しかも、政令市においては、高齢者施設等のPCR検査も、検査キット不足のため、第六波の途中でできなくなっていました。頻回検査を確実にしてほしいとの強い要望が出されていました。政令市の感染拡大は、周辺地域に影響を及ぼすことから、県としても連携した取組を要望するものです。
高齢者施設に対しては、今、御説明がありましたように、支援を行っているわけですが、十分とは言えません。感染拡大の下で生じた利用控えや、感染者が出た際の休業による多額の減収、感染対策に係る費用の増加、陽性者を施設内で介護する際に生じる負担増など、介護事業所の経営に深刻な困難が生じています。現場の状況をよく把握していただき、必要な支援の拡充を行っていただきますようお願いいたします。
次に、介護保険の保険料負担についてお尋ねをいたします。
本県の介護保険料の推移について、資料要求しておりますので、委員長、お計らいをお願いいたします。
81
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま立川委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
82
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま立川委員から要求がありました資料については提出できますか。
83 ◯若藤介護保険課長 直ちに提出できます。
84
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
85
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
86
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、立川委員、質疑を行ってください。
87 ◯立川由美委員 簡潔に説明をお願いいたします。
88 ◯若藤介護保険課長 資料につきまして、御説明いたします。
縦が保険者、横が計画期間として、各計画期間における各保険者の保険料を示したものになっております。
本県の保険料の推移につきましては、表の一番下、加重平均の欄を御覧いただきたいと思います。加重平均とは、第一号被保険者の数を計算に反映させ、第一号被保険者一人当たりの保険料の平均を示したものになっております。
制度開始時の第一期におきましては三千五十円でございましたが、それ以降、増加をしており、直近の第八期におきましては六千七十八円と、約二倍となっているところでございます。
89 ◯立川由美委員 当初の二倍となっている保険料負担について、どのような認識をお持ちですか。保険料について、国に対してはどのような要望をしておられますか。
90 ◯若藤介護保険課長 保険料が二倍となっていることにつきましては、高齢者の増加に加えまして、介護が必要な方に必要なサービスが提供される体制の整備が進むなど、制度が定着してきたことにより、介護給付費が増加、保険料が上がったものと考えております。県といたしましては、国に対し、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護保険財政における保険料と国、地方の負担の在り方を含めまして、必要な制度の改善について毎年要望をしているところでございます。
91 ◯立川由美委員 さらりとお答えになりましたが、保険料が当初の二倍になったということは、大変な負担です。厚労省は、二〇二五年には平均保険料が七千二百円に達する可能性がある、それは負担限度を超えるものとの認識を示していましたが、本県の広域連合Aグループは、第七期で八千円を超えており、第八期で下がっていますが、それでも七千円を超えています。
本県の高齢者の所得水準は、全国的に見ても高くありません。そのため、保険料の負担感はさらに大きいものがあります。介護保険をやめたいと言ってこられる方さえおられます。持続可能な制度とするためにも、必要な方がサービスを受けられるようにするためにも、保険料負担がこれ以上重くならないよう、国に強く働きかけていただきたいと思います。
保険料の負担に加え、介護保険では様々な負担増、サービス切捨てが行われました。介護報酬の連続削減、一割負担であった利用料の二割、三割への引上げ、介護施設の食費、居住費の負担増、要支援一、二の訪問通所介護の保険給付外しや、また要介護一、二の特養入所からの締め出しなど、介護現場の苦難に拍車をかけ、利用者、家族の負担を増やし、介護サービスを受けにくくする制度改悪が連打されてきました。
昨年八月の補足給付見直しは、大きな負担増になったと考えます。補足給付見直しについて、その影響を調査されていますか。また、利用料の負担増に対する県の認識を伺います。
92 ◯若藤介護保険課長 委員お尋ねがありました、見直しに伴う影響に関する調査につきましては、実施はしておりませんが、窓口であります保険者からは、一部の利用者から負担増になったことに対しての問合せがあっていると聞いております。
今回の改正では、非課税世帯の第二段階及び第三段階の方を対象に、在宅で介護を受けられる方と施設入所の方との公平性や、一定額以上の収入額、貯蓄金額をお持ちの方の負担能力に応じた負担を図るという観点から見直しが行われました。その結果、費用が増加する方も生じておりますが、保険料を可能な限り抑え、制度を持続可能なものとするために行われたものと認識しております。
93 ◯立川由美委員 昨年八月の補足給付の見直しは、年金収入百二十万円を境に、第三段階を二つに区分し、年収百二十万円を超える利用者は第三段階二となりますが、食費負担を日額六百五十円から千三百円に大幅に増やすことと、負担限度額認定の資産要件をより強化した内容となっています。あわせて、短期入所では、第二段階、第三段階の年収百二十万円以下の利用者、第三段階一の方ですが、どちらも食費負担が増加しています。第三段階二の場合は、食費負担は月額二万二千円ほどになり、年間二十六万円もの負担増です。資産要件に該当した場合は、ユニット型で居住費四万六千円もかかることから、合わせて月額六万八千円もの負担増になります。
こんなに高くなると思わなかったという声、改定の説明をすると、入所申込みを辞退される方、また、葬式代と思って、切り詰めて、暖房も使わず貯蓄をしてきた、僅かに限度額を超えただけで補足給付が受けられず、毎月の負担が大幅に増えた、悔しくてたまらないとの怒りと不安の声も上がっています。施設を退所された方もおられます。
そもそも補足給付は、低所得者のサービス利用が困難とならないよう、負担上限額を定め、介護保険制度として、一定の補足給付を行うとして始まったものです。昨年の見直しは、低所得者を介護保険から締め出すことにつながっているのではないでしょうか。
全日本民主医療機関連合会が、補足給付見直しによる影響調査を行っていますが、その結果は、入所者のうち一四%が資産要件で対象外となり、四割強が食費引上げの対象となっています。短期入所の場合も、一三・四%が補足給付から外され、食費の負担増は何と八割以上に上ります。制度を持続可能なものにするとの理由で、これほどの大きな影響のある改悪は許されないと思います。
県は、補足給付見直しの影響を把握し、国に対して、資産要件が導入される以前の二〇一四年水準に戻すよう求めるべきだということを申し上げておきます。
次に、介護人材の確保について伺います。
コロナ禍において、特に人材確保に多くの介護事業者が苦労されています。県としては、介護人材の確保に向けどのような取組をされていますか。
94
◯吉松源昭委員長 國武介護人材確保対策室長。
95 ◯國武介護人材確保対策室長 今後、高齢者の増加と現役世代の減少が見込まれ、介護サービス需要の増加が想定される中で、介護人材を安定的に確保していくことは重要な課題です。このため県では、介護分野への人材参入の促進、働きやすい職場環境の整備、介護職員の処遇改善などに取り組んでおります。
96 ◯立川由美委員 取り組まれているとはいえ、実態は大変厳しいものがあります。特に全産業と比べて十万円も低いと言われている介護職員の処遇の改善が最も効果的であり、急がれると考えます。処遇の改善に当たっては、保険料負担など跳ね返らないシステムが必要だと考えますが、県の見解を伺います。
97 ◯國武介護人材確保対策室長 介護職員の処遇改善に当たり、保険料負担などの財源の問題につきましては、介護保険制度全体の課題として、国において検討されるべきものと考えております。
先ほど介護保険課長がお答えしましたとおり、国に対しましては、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護保険財政における保険料と国、地方の在り方を含め、必要な制度の改善について毎年要望しているところです。
98 ◯立川由美委員 国の負担分を増やし、処遇の改善を急ぐよう求めていただきたいと思います。
人材が確保できない事業所では、民間の人材紹介会社からの人材確保が行われており、その手数料負担が莫大になっていると報じられています。ある事業者では、手数料七十万円も払って、紹介されたのは一人のみ、しかも続かなかったと嘆いておられました。
このような実態について、認識されていますか。手数料の負担が経営を圧迫するという事態は避けるべきであり、そのためにも、ハローワークをはじめとする公的機関が人材確保の機能を発揮しなければならないと考えます。県のお考えをお聞きします。
99 ◯國武介護人材確保対策室長 介護職員を採用するに当たって、民間の人材紹介会社を利用した場合に、その手数料が負担となっているとのことにつきましては、介護事業所の関係者の方と話をした際にお聞きしております。
県では、福祉人材センターに就職を支援する専門員を配置し、介護の仕事への就職を希望する方々に対し、介護事業所等とのマッチング、採用面談への同行など、きめ細やかな就職支援を行っております。また、ハローワークが実施する就職相談会において、求職者に対し、介護事業所等への就職を働きかけるなど、ハローワークとの連携を図っております。
この事業の実績としましては、令和元年度に百二十五人、令和二年度に九十人の方々を介護事業所等への就職に結びつけており、公的機関として、人材確保の機能を一定程度果たしているところです。今後もこうした取組により、介護人材の確保をしっかりと進めてまいります。
100 ◯立川由美委員 県としても取り組まれているということですが、人材確保は、介護事業所としては生命線であり、人材不足はその存亡に関わります。事業所の継続のためにも、必要なサービスの提供のためにも、さらに公的機関が連携していただくよう強く要望いたします。
介護保険を持続可能なものにしていくには、介護を社会で支えるという当初の理念を国が貫き、必要な予算を措置することが最も重要です。これ以上の保険料、利用料の負担増、サービスの切捨ては許されません。保険あって介護なしとならないよう、県としても、国に対し、実態を踏まえた提案と要求をしていただくことを重ねてお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
101
◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。岳康宏委員。
102 ◯岳 康宏委員 おはようございます。拓志会の岳康宏です。
ふくおか健康づくり県民運動について質問させていただきます。
まず、本県では、県民の健康寿命の延伸を目指し、平成三十年度からふくおか健康づくり県民運動に取り組んでいますが、その柱の一つが、運動習慣の定着であります。今回は、そのうち県民の運動習慣の定着に向けた地域における取組の促進、つまり市町村の運動教室の助成の事業についてお聞きをしたいと思います。
この事業は、市町村が開催する運動教室への助成事業だと伺っておりますが、対象となるのはどんな運動教室ですか。
103
◯吉松源昭委員長 坪根健康増進課長。
104 ◯坪根健康増進課長 助成の対象は、市町村が開催いたしますウオーキング教室、
スロージョギング教室、ケア・
トランポリン教室の三種類でございます。
105 ◯岳 康宏委員 助成の対象としてその三種類を選定した理由をお答えください。
106 ◯坪根健康増進課長 令和元年七月に開催いたしましたふくおか健康づくり県民会議の幹事会におきまして、対象とする種目について議論をいたしまして、科学的根拠に基づき、健康づくりに効果があると認められている運動であること、運動習慣のない人でも身体機能や体力に応じて楽しみながら取り組める運動であること、この二点を満たすものとして選定いたしました。また、
スロージョギングとケア・トランポリンにつきましては、本県発祥の運動でございます。このことから、本県の健康づくり県民運動として、県民の皆様に提案する運動としてふさわしいとされた点も選定した理由でございます。
107 ◯岳 康宏委員 それでは、この三種類のうち、予算額のほとんどはケア・トランポリンに係っているようですが、ケア・トランポリンの令和元年度から三年度までの開催実績並びに令和四年度の見込みをお答えください。
108
◯吉松源昭委員長 松永高齢者地域包括ケア推進課長。
109
◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 まず開催実績につきましては、令和元年度は十二市町、六十七教室、令和二年度は十七市町、八十六教室、令和三年度は三十市町、百六十三教室。令和三年度は、これは予定でございます。次に、令和四年度の見込みにつきましてですが、三十五市町村、二百四十九教室となっております。
110 ◯岳 康宏委員 コロナ禍にもかかわらず、開催実績が伸びているということは非常にいいことですし、興味深いと思っております。
スロージョギングの助成額の上限は約四万円と聞いておりますが、ケア・トランポリンについては、どのような経費に対して助成なさっていますか。また、助成額についてもお答えください。
111
◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 市町村がケア・
トランポリン教室の開催業務を事業者に委託し、県はその委託費などに対して助成しております。ケア・
トランポリン教室を開催するに当たっては、一人用の小型トランポリンに転倒防止用の手すりがついた特殊な器具を使うため、そのリース代が必要となるほか、参加者の方が様々なバリエーションで楽しみながら運動できるよう、指導を行う
インストラクターも必要となります。
このため、必要となる経費は、器具のリース代、
インストラクターの人件費、
インストラクター養成経費など事業者への委託料、それから市町村による消毒液の購入経費、教室開催のための広報経費などであります。助成額についてですが、年間五十回まで実施した場合の助成額は、一教室当たり百四十万九百円が上限となる予定です。
112 ◯岳 康宏委員 ケア・トランポリン以外のウオーキングや
スロージョギングの助成額の上限が約四万円に対して、ケア・トランポリンの助成額の上限が百四十万円余とはかなり差がありますが、主に高齢者が対象で、器具のリース代や、高齢者の転倒防止などのために専門の
インストラクターが必要なため、上限額に差があることは分かりました。
来年度への取組をお尋ねする予定でしたが、先ほど
井上順吾委員の御質問の中で、部長が丁寧にお答えになりましたので、省かせていただきます。
本県発祥のケア・トランポリンは、高齢者の健康づくりに効果があることから、県としても応援し、年々普及が進んでいるということが分かりました。
もともとこのトランポリン──ケア・トランポリンではなくてトランポリンのほうですけども、もともとトランポリンは一九三〇年代にジョージ・ニッセンというアメリカの体操選手が発明し、そのジョージ・ニッセン氏が、障がい者や高齢者にもトランポリンを楽しんでほしいという思いで、元体操選手で、熊本県御出身の池上正郷さんに依頼して開発した介護予防用のトランポリンがケア・トランポリンと伺っております。
五年ほど前、熊本県の方から、池上さんが多分、熊本県の出身だからでしょうけれども、ケア・トランポリンについてお問合せがあって、私も初めてケア・トランポリンの存在を知りまして、資料を取り寄せたことがございます。今回、予算が伸びていることを知りまして、改めて事業者をインターネットで検索いたしました。
日本ケア・トランポリン協会という団体のホームページに行き着きましたが、NPO法人と一般社団法人が頭につく二つの団体が出てきまして、このホームページを見た率直な感想は、もっと幅広く県民や市町村にアピールできるように、少し内容を軟らかくするような工夫や、本県の予算措置の割には、ふくおか健康づくり県民運動との連携が感じられず、もっと改善されてもよいのではないかと思いました。
今後、ケア・トランポリンや、やはり本県発祥の
スロージョギングをさらに九州全国に普及し、ふくおか健康づくり県民運動を全国に知らしめるためにも、もっと分かりやすく広報し、連携していく必要があると考えますが、どのように思われますか。
113
◯松永高齢者地域包括ケア推進課長 委員御指摘のとおり、ケア・トランポリンをさらに普及させていく上で、ケア・トランポリン運動の内容や効果について、県民に分かりやすく周知していくことが必要であると考えております。このためケア・トランポリン運動教室を実施している団体の方の意見も伺い、ホームページ等により県民に分かりやすく周知をしてまいりたいと考えております。また、健康づくり県民運動と連携し、ふくおか健康ポイントアプリや、他の運動教室の周知などにも取り組んでまいります。
114 ◯岳 康宏委員 これだけの予算をかけて、三つの運動教室を厳選して取り組んでいるわけですから、よろしくお願いします。
ケア・トランポリンを知った県民や市町村が連絡を取りやすくするためにも、事業者のホームページの分かりやすさと充実は大切だと思っております。県は、市町村を通じて事業者に県費をお渡ししているわけですから、事業者の把握にも努めるべきで、本来、事業者のホームページには役員一覧も掲載するべきです。
先日、私も友人の誘いで、
スロージョギング体験会に参加しました。そのとき配られた
スロージョギングの冊子は、分かりやすく参考になると思います。地下の職員食堂「けんちょうFood Marche」にも置いてあります。
スロージョギングは非常に楽しくて、友人と談笑しながらゆっくり走ることができましたので、運動不足の私にとっても始めやすいスポーツでありました。
県では、ふくおか健康ポイントアプリという健康アプリも配信なさっています。私も使っておりますが、歩数や消費カロリーの推移などが一目で分かりますので、意欲向上にもつながると思っております。例えば、今、言っていただきましたけども、例えば日本ケア・トランポリン協会のホームページにも、アプリのPRをしていただけるとありがたいなと思う次第です。
ケア・トランポリンは
高齢者地域包括ケア推進課、アプリは健康増進課で、所管の部署は違いますけれども、同じふくおか健康づくり県民運動の事業ですので、両課しっかり連携していただいて、アプリの普及にも取り組んでいただき、ふくおか健康づくり県民運動がますます広がることを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
115
◯吉松源昭委員長 この際しばらく休憩します。再開は午後一時二十分をめどに、放送をもってお知らせします。
午 後 零 時 十 九 分 休 憩
午 後 一 時 二 十 分 再 開
116
◯吉松源昭委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
第三
款保健費について、ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。
117 ◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
新型コロナウイルス感染症が発生してから三年目となりました。当初、えたいの知れない恐怖のウイルスだったものが、徐々にその特徴などが解明され、我々人類も、ワクチン、経口治療薬、抗体カクテル療法など、コロナと闘う武器を手に入れてきました。そんな中、本日は、
新型コロナ対策で何度となく発出された緊急事態宣言、蔓延防止措置などの行動抑制の効果について質問いたします。
まず、
新型コロナウイルス感染症の発生状況及び福岡県の自殺者数について、資料要求をいたします。委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
118
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
119
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。
田中がん感染症疾病対策課長。
120
◯田中がん感染症疾病対策課長 直ちに提出させていただきます。
121
◯吉松源昭委員長 野田こころの健康づくり推進室長。
122 ◯野田こころの健康づくり推進室長 直ちに提出いたします。
123
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
124
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
125
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
126 ◯板橋 聡委員 デルタ株による第五波とオミクロン株による第六波の比較について、特徴なども含めて資料の説明をお願いします。
127
◯田中がん感染症疾病対策課長 新型コロナウイルス感染症発生状況の一枚目でございます。
資料の一─一は、年代別の新規陽性者数、重症者数、死亡者数について、第五波と第六波を比較したものでございます。
特徴的なものといたしましては、新規陽性者数では、第六波は十歳未満の割合が一五・八%に急増し、十代を合わせますと全体の三一%を占めています。
重症者数では、第五波は比較的幅広い世代で重症化してまいりましたが、第六波では七十代と八十代で約六五%を占めており、計の欄にありますように総数も少なくなっています。
死亡者数では、第六波は、八十代と九十代以上で約七五%を占めるなど、高齢者に集中しています。これは、第五波までは高齢者による肺炎が重症化し、亡くなられる方が多い状況でございましたが、第六波では、高齢者施設や病院に入院している方が陽性となり、基礎疾患が悪化して亡くなるケースが多いためと思われます。
二枚目、資料の一─二は、年代別の重症化率、死亡率を第五波と第六波で比較したものでございます。
恐れ入ります。三枚目、資料一─三は、第四波から第六波までの本県と大阪府、奈良県の直近一週間、人口十万人当たりの新規陽性者数の推移を比較したものでございます。
128 ◯野田こころの健康づくり推進室長 四枚目、資料二は、福岡県の自殺者総数及び男女別、年代別を、平成二十一年からの状況を示したものでございます。
129 ◯板橋 聡委員 田中課長、先ほど第五波の死者の傾向について、高齢者による肺炎が重症化して亡くなると言いましたけれども、これはコロナによる肺炎が重症化して亡くなっている方が多くて、五十代の方とかでもそういう可能性があるということで理解してよろしいですか。
130
◯田中がん感染症疾病対策課長 そのとおりでございます。
131 ◯板橋 聡委員 服部知事のリーダーシップにより、福岡県が三月六日まででまん延防止等重点措置を解除したことは高く評価します。一方で、知事は三月七日の追加議案説明にて、まん延防止等重点措置が感染拡大期において急ブレーキとしての役割を果たしたと発言されていますが、具体的にはどのような効果があったのでしょうか。
132
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の起点となっていました飲食店の営業時間の短縮やテレワークの活用等による出勤者数の削減などの要請を行ってまいりました。県全体では、九七・五%の飲食店に時短要請に御協力いただき、飲食店でのクラスターの発生が抑えられたものと考えております。
また、人流は、まん延防止等重点措置期間中の最も減少した週、一月三十一日の週ですけれども、それでは、年明けの週に比べまして、博多駅で、昼間で二三ポイント減少、夜間で二八・一ポイント減少し、人と人との接触機会を減らすことに効果があったものと考えております。
133 ◯板橋 聡委員 人流抑制に対しての効果があったのは理解しますが、では、まん延防止等重点措置によりどの程度感染拡大を抑制したのか、具体的な数値やデータなど科学に基づいた根拠はあるのでしょうか。
134
◯田中がん感染症疾病対策課長 本県では、まん延防止等重点措置を実施しない場合の陽性者数の試算、シミュレーションは行っておりません。このため、どの程度の感染拡大を抑制できたか、具体的な数値は把握しておりません。
135 ◯板橋 聡委員 今回のまん延防止等重点措置でどれくらい感染を抑えたのか、データはないとのことですが、例えば奈良県は、第四波の際に、医療崩壊状態だったと言われる大阪府の隣県であるにもかかわらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を効果が見られないと評価し、一貫して適用をしていません。にもかかわらず、資料の一─三のグラフにあるように、大阪府とほぼ同じタイミングで感染は増加し、そしてほぼ同じタイミングでピークアウトして、減少し、波が収まっています。福岡県のグラフも載せていますが、ほぼ似たような傾向です。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を適用している大阪府、福岡県と、適用していない奈良県で、感染の増減の波が同じであるならば、まん延防止等重点措置は、人流は抑えるというデータはお持ちなんですけれども、結局、感染拡大防止の観点では意味をなしてないんじゃないかと感じますが、いかがでしょうか。
136
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の動向は、人口規模や密集状況、繁華街の有無や飲食店の数、県内の人の動きなどに影響を受けるものと考えられます。また、隣接する都道府県同士では、通勤や通学などの往来が互いに影響し合うこともあります。そのような観点から、奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったものではないかと考えております。
本県では、第六波の当初の感染拡大は、飲食店を起点としていたことから、まん延防止等重点措置を適用して、感染拡大の防止に努めてきたところでございます。
137 ◯板橋 聡委員 まん延防止等重点措置を実施していない奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったのではとの回答ですが、ならば、逆に言うと、大阪府の影響を受けるから、奈良県がまん延防止等重点措置を実施してもしなくても、感染動向には影響はないということになります。
それならば、そもそも日本全国、人の流れを県境で遮断することは不可能ですので、福岡県も、タイムラグこそあれ、東京、大阪の感染動向の影響を受けるでしょうし、九州で唯一、まん延防止等重点措置を延長した熊本県で陽性者数が再度増加に転じたり、ますますまん延防止等重点措置って一体何なのという思いに駆られてしまいます。
コロナ対策の真の目的は、本来であれば助かるはずの命が、適切な医療が受けられないことによって失われるのを避けるためではないでしょうか。
138
◯田中がん感染症疾病対策課長 御指摘のとおり、命を守る、救える命を救うことと考えております。
139 ◯板橋 聡委員 資料一─二に記載されている重症化率、死亡率、これは致死率のことですけれども、御覧のとおり、第六波における六十歳未満の重症化率は、第五波のときと比較して約四十分の一に減り、六十歳以上と比較すると、約三十分の一となりました。また、第六波における六十歳未満の致死率は、第五波と比較して約四分の一に減り、六十歳以上と比較すると、僅か百六十分の一になりました。
六十歳以上の高齢者と六十歳未満の現役世代の間には、重症化率、致死率に顕著な違いが見てとれます。年齢問わず一律の行動抑制は、重症化リスクが低い現役世代に対して、意味がないどころか、経済的に深刻なダメージを与えます。
資料二によると、県内自殺者数は、本県において減少傾向でしたが、コロナ発生後の令和二年度は、全国同様、増加に転じ、県こころの健康づくり推進室は、特に女性及び若年層の増加が顕著と評価しています。また、子供たちにとっては、休校や各種学校行事、部活動の中止により、学校生活で培われるはずの心や体を成長させる機会が損なわれています。婚姻数や出生数も、令和三年に入り激減しています。
救える命を救うことが感染拡大防止対策の要諦であるなら、めり張りのない一律の行動抑制で、社会経済活動に深刻なハレーションを起こすことを避け、真に対策が必要な方へピンポイントで感染防止措置や医療体制の確保を行うべきではないでしょうか。
140
◯田中がん感染症疾病対策課長 第六波は、年末年始、成人式を含む三連休などでの飲食の場を起点といたしました感染拡大から始まりました。一月二十四日から、飲食店への時短などの県独自措置やまん延防止等重点措置により取り組んできたところでございます。
その中で二月四日、国の専門家会議におきまして、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止対策について提言がなされました。これを受け、本県では、国の基本的対処方針の変更を待つことなく、二月七日に県対策本部会議を開催いたしまして、高齢者等施設、学校、保育所、事業所等に対しまして、国の専門家会議の提言を踏まえた感染防止対策の徹底を要請いたしました。
いずれにいたしましても、県が取るべき感染防止対策の措置は、国の基本的対処方針を基本として行うこととしておりまして、この方針に沿って対応しているところでございます。
141 ◯板橋 聡委員 御答弁ありましたとおり、いずれにしても、県が取るべき対策は国の対処方針によって決められており、従わざるを得ないというのは、分かることは分かるんですけれども、保健行政の最前線にいるのは、間違いなく保健所を所管している県です。霞が関の机の上で練られた対処方針のピントがずれていたら、福岡県は、新型コロナの実態を最前線で把握している立場でリーダーシップを執り、科学的データとともに、国に適時的確な対策を提言していく必要があるのではないでしょうか。
142
◯田中がん感染症疾病対策課長 国に対しましては、全国知事会を通じまして、現場の状況を伝えています。また、変異株の特性に応じた全般的な対応方針を明確に示すことや、感染の実態に即した実効的な対応が可能となるよう、基本的対処方針を見直すよう、国に対し繰り返し提言をしているところでございます。さらに、オミクロン株だけでなく、今後の変異株にも対応できるよう、社会経済活動と感染防止対策の両立に向けた出口戦略を早急に示すよう国に提言しています。
そういった中、措置内容ではございませんが、国から、地方からの提言を受け、濃厚接触者の待機期間の短縮などについて見直しが行われました。
委員御指摘のように、国に対し必要な提言を引き続き行ってまいります。
143 ◯板橋 聡委員 やはり国に提言をしていくしかないというのが県の実情なのかもしれませんけれども、福岡県はコロナ警報というのを定めており、指標が基準に達した場合には、時短要請等を行うことにしています。こちらは県独自の基準です。
今回のオミクロン株のように、感染傾向が大きく変化することが分かった以上、一律に指標だけを基準にするのではなく、変異株の特徴に応じて、高齢者や基礎疾患のある方など注意すべき方と重症化リスクが低い方々とで濃淡をつけるなど、具体的で効果的な注意喚起をできるよう、県としてもっと研究すべきではないでしょうか。
144
◯田中がん感染症疾病対策課長 福岡コロナ警報は、県民、事業者に対する協力要請を行う基準として策定し、感染状況に応じ、今後どのような措置を要請するのかを分かりやすく示すことで、県民、事業者の皆様にあらかじめの準備と注意喚起を行うものでございます。
委員御指摘のとおり、今回のオミクロン株はこれまでと特徴が大きく異なっておりまして、コロナ警報で定めた指標や措置とは異なる運用を行ってまいりました。コロナ警報につきましては、感染状況に応じ柔軟な対応ができるよう見直しが必要と考えており、今後検討してまいりたいと考えております。また、変異株の特徴を踏まえ、県民に分かりやすい注意点等を情報発信することが重要であると考えております。
委員からは、以前から情報発信に関しまして様々な御指摘、御指導をいただいておりまして、これまで改善してきたところでございますけれども、県といたしましては、今後とも、今、何に注意すべきかなど、ポイントを絞った、分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
145 ◯板橋 聡委員 人類史上、根絶できた感染症は、唯一、天然痘だけです。エドワード・ジェンナーが種痘を行ってから二百年もかかりました。我々は、新型コロナの早期根絶を夢見るのではなく、共生する道を探らなければなりません。発生から三年目に入り、人類はワクチン、治療薬、治療法など武器を手に入れ、ウイルスの特徴、重症化する方の傾向を徐々に解明してきました。これからは、新型コロナから身を守るグループと社会経済をしっかり回していくグループ、この双方が両立できる施策を速やかに行わなければ、社会も人々の心も崩壊しかねません。ウイズコロナの時代に向けて、部長の決意をお聞かせください。
146
◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
147
◯白石保健医療介護部長 委員のおっしゃるとおり、コロナ対策の要諦、これは県民の命を守る、こういったことのための対策でございます。このために、医療の逼迫を回避するための検査体制や医療提供体制の確保、それから県民、事業者の御協力を得ながら、経済的影響などに配慮した社会全体での感染拡大防止、こういった観点で対策に努めているところでございます。
オミクロン株による第六波は、陽性者が圧倒的に多く、若年層の重症化は少ないものの、陽性者が増えたことにより、高齢者や基礎疾患を有する方の入院が増え、病床使用率は一時八五%を超える状況になりました。また、肺炎よりも、基礎疾患を有する高齢者が新型コロナの罹患によって死亡されることが起きております。県では、高齢者施設での対応の強化や、市町村と連携した高齢者のワクチン接種の促進に取り組んでいるところでございます。
まん延防止等重点措置においては、三月七日の解除を国に要請し、同日から飲食店への営業時間の短縮を解除するとともに、四月七日までを感染再拡大防止対策期間として、感染が再拡大しないよう対策に取り組んでいるところでございます。県といたしましては、感染の特性に応じ対応ができるよう、引き続き国に対し現場の実情を伝え、基本的対処方針の見直しやウイズコロナに向けた今後の取組の提示を求めてまいります。
さらに、今後に備え、感染の特性を素早く捉え、その特性に応じた柔軟な対応ができるよう、福岡コロナ警報を見直すとともに、引き続き県民への分かりやすい情報発信に努めてまいります。
148 ◯板橋 聡委員 第六波における死者に関しましては、先ほど部長おっしゃられたとおり、基礎疾患をお持ちの高齢者、あるいはもう既に入院されている高齢者の方が、入院された後に陽性と判明して亡くなられている場合が非常に多うございます。そういった特性もちゃんと踏まえていただいて、何せとにかく飲食店を抑えれば感染が収まるんだという考え方が本当に正しいのかというのを改めて見直していただきたいと強く要望いたしますし、まん延防止等重点措置も緊急事態宣言も、要請するのは知事の腹一つでございます。服部知事に直接お考えをただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
149
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は、三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
150 ◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)
151
◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。新井富美子委員。
152 ◯新井富美子委員
民主県政クラブ県議団の新井富美子でございます。
本日は、医療機関における面会について質問をさせていただきます。
政府の
新型コロナウイルス感染症対策本部が決定する
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針は、今後講ずべき
新型コロナ対策の実施に当たって準拠すべき統一的指針とされており、地方公共団体は、この方針に基づき、自らその区域に係る対策を的確かつ迅速に実施し、及び当該区域において、関係機関が実施する対策を総合的に推進する責務を有するとされております。
二〇二一年十一月十九日に決定された方針では、医療機関における患者、利用者とその家族の面会について、その両者のQOLを考慮すること、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に十分留意して行うこととされており、面会の停止や厳しい制限を一律に促すものではないものとなっております。
最近では全国的にも、また福岡県においても新規の感染者数が減少しております。とはいえ、医療現場では引き続き感染対策防止に考慮した面会実施への対応が行われるものと認識し、質問をいたします。
まず、国が決定した基本的対処方針に基づき、医療機関での面会の実施について、県はどのような対応を行ったのか、お答えください。
153
◯吉松源昭委員長 牟田口医療指導課長。
154 ◯牟田口医療指導課長 政府の基本的対処方針を受け、厚生労働省は、各医療機関の参考となるよう、院内感染対策に留意した面会の事例について周知しております。県におきましては、本通知を県の医師会や病院関係団体等を通じまして各医療機関へ周知するとともに、県のホームページにて掲載して、周知を行っているところでございます。
155 ◯新井富美子委員 医療機関においては、対面やオンラインによる面会が適切になされるべきと考えております。それにもかかわらず、現実的には面会を停止しているところもあるようです。そこで、県内の病院における面会の実施状況等について、資料をあらかじめ執行部に要求しております。委員長の取り計らいをお願いいたします。
156
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま新井委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
157
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま新井委員から要求がありました資料については提出できますか。
158 ◯牟田口医療指導課長 直ちに提出できます。
159
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
160
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
161
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、新井委員、質疑を行ってください。
162 ◯新井富美子委員 それでは、資料の説明をお願いいたします。
163 ◯牟田口医療指導課長 県内の病院における面会の実施状況等につきまして、令和四年三月四日から三月九日にかけて、県内の全四百五十四病院に対し、ファクスまたは電子メールによる回答方法で調査を実施いたしました。回答数は三百三十二病院、回答率は七三・一%となっております。
まず、一番の面会の実施状況でございます。
対面により面会ができる病院は十七病院、全体の五%、対面、オンラインどちらでも面会ができる病院は三十一病院、九%、オンラインにより面会ができる病院は百九十四病院、五九%となっており、何らかの形で面会ができる病院は二百四十二病院、全体の七三%となっております。一方、面会を停止している病院は九十病院、二七%となっております。
次に、オンライン面会を実施した評価につきまして、記述内容を基に分類集計したところ、よかった点としましては、「患者や家族に喜んでいただけた」「患者や家族の安心につながった」が多く見られました。一方、問題や課題として、「人手が必要である」が最も多く見られ、次いで「安定した通信環境の整備が必要である」が続きました。
また、オンライン面会ができない理由としましては、「機材がない」「人員不足」「通信環境がない」が多く見られました。
164 ◯新井富美子委員 実際に家族に会えないことの悲しみ、また、面会ができないまま家族を亡くしたという非常に悲痛な声も多く耳にしているのは事実でございます。そんなお話の中には、入院中の家族が面会できないままに亡くなって、その本人がどんなに寂しく、そして不安な中、息を引き取ったかと思うと、もう胸が張り裂けそうで、数か月たった今でも立ち直れてないという、そういった声も聞こえてまいります。
また、このように面会を停止した場合、患者、そして家族の双方にとって精神的な負担が大変大きいことがうかがえます。また、面会を実施する場合、地元のお医者さん等に複数伺った中に、面会を実施すると患者さんの回復が有意に早い、あるいは今まで不安定だった状況が非常に安定してきたという、そういったことがあるという話を伺い、実際に調査結果というものも目にしたことがあります。
患者や家族にとって、面会はこういった意味でも大変大切だと考えておりますけれども、県の見解を伺います。
165 ◯牟田口医療指導課長 面会による家族とのつながりや交流が患者さんの心身に与える影響を考慮いたしますと、面会の機会は大切なものであると認識いたしております。面会禁止による感染防止効果は大きいと考えますが、患者や家族のQOL──クオリティー・オブ・ライフを考慮しますと、対面での面会も含めた対応が必要であると考えております。
166 ◯新井富美子委員 医療機関がオンラインを含めた面会の機会を提供するために、では、これまで県はどのような支援を実施したのかお答えください。
167 ◯牟田口医療指導課長 県では、令和二年度におきまして、全ての医療機関を対象に、感染拡大防止に要する経費について補助を行っており、オンラインを含めた面会に必要な備品の購入費やそのために新たに雇用した職員の人件費についても、補助の対象といたしました。この補助金は、入院患者を受け入れている七百九十二の病院と有床診療所において活用いただいたところでございます。
168 ◯新井富美子委員 ただいまの答弁で、医療機関に対し感染拡大防止に要する経費の補助を行い、オンラインを含めた面会に必要な備品の購入費等についても、その対象にしているとのことでございました。先ほどの資料では、オンラインを含めた面会が実施できない理由として、機材や人員の不足を挙げている医療機関が多いという結果が出ております。
そこで、医療機関において、当該補助は面会機会の提供のために有効に活用されたとお考えでしょうか、県の認識を問います。
169 ◯牟田口医療指導課長 先ほどの調査結果では、機材や人員の不足を理由にオンライン面会が実施できていない病院は、一部の医療機関にとどまっており、七割を超える病院では、オンライン面会を含めて面会を実施しておりますことから、当該補助金は医療機関における面会の機会の提供に活用されたものと認識いたしております。
170 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。
とはいえ、全体の約三割の医療機関で面会が停止されております。様々な困難な状況の中で、いかに人間の精神とか心の部分を大切にできる体制が整っているか、あるいは大切にしようと取り組むかというところに、その地域の広い意味での文化の豊かさが表れるものと考えます。また、憲法十三条の規定する幸福追求権を鑑みましても、患者と家族の面会は保障されるべきものではないかと思います。
それから、患者の権利に関するリスボン宣言というのがございます。日本医師会のホームページにも記載されております。法的効力はないものの、その中には、患者は人道的な末期医療を受ける権利、及びできる限り尊厳と安寧を保ちつつ死を迎えるために、あらゆる可能な支援を受ける権利を有するとあります。
現代は高齢化社会であり、人生の最期を医療機関で迎える人の割合が大変多いわけです。面会も、死を迎えるために受けるあらゆる可能な支援の一つとも言えるのではないでしょうか。あるいは、面会というものが、医療機関が患者とその家族に附属的に提供するサービスではなくて、むしろ患者への治療の一環として欠かせないものと認識を改めるべきなのかもしれない、そうも考えます。
いずれにしましても、これらの点も十分に考慮し、全ての医療機関において、オンラインを含めた面会の提供が図られることを目指し、医療機関に対し、県として働きかけていただきたいと思いますが、県の見解をお聞きいたします。
171 ◯牟田口医療指導課長 先ほど申し上げましたとおり、厚生労働省が示しました面会の事例の通知や県の補助金による支援によりまして、多くの医療機関で面会が行われておりますが、一方で、面会停止中の医療機関も、御指摘のとおり三割近く見られております。
大切な家族、友人との面会の時間は、患者さんにとっては安心感をもたらし、病気と闘う大きな支えとなりますことから、可能な限りその機会が提供されることが望ましいと考えております。このことから、県といたしましては、院内感染対策に留意した面会の実施に努めますよう、速やかに医療機関に呼びかけたいと思っております。その際は、厚生労働省が示した面会の事例につきましても、改めて周知してまいりたいと考えております。
172 ◯新井富美子委員 しっかりと周知をいただくということで、よろしくお願いいたします。
では、最後に要望をいたします。
県民の皆さんの中には、感染拡大予防の観点から、入院した家族との面会を希望することはできない、あるいはしてはいけないと思い込んでおられて、つらい気持ちを抑えて我慢したとおっしゃる方も多々おられるようです。政府から医療機関に対して、一律の面会停止が言い渡されているわけではなく、面会は基本的に実施されるべきものということをぜひ改めて県民の皆さんにも周知していただけることを要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
173
◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
174
◯吉松源昭委員長 ないようですので、以上で、板橋委員の知事保留質疑を残し、第三
款保健費の質疑を終わります。
この際、しばらく休憩します。再開は午後二時十分といたします。
午 後 一 時 五 十 四 分 休 憩
午 後 二 時 十 分 再 開
175 ◯渡辺美穂副委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
第四款環境費について説明を求めます。小磯環境部長。
176 ◯小磯環境部長 それでは、四款環境費につきまして御説明申し上げます。
お手元の令和四年度予算に関する説明書の百九十五ページをお願いいたします。
一款環境費でございます。その主なものについて御説明させていただきます。
まず、一目環境総務費のうち、右の説明欄の上から六番目、リサイクル推進費三億七千七百万円余でございます。これは、リサイクル総合研究事業化センターの事業推進等に要する経費でございます。
次に、一枚めくっていただきまして、下の百九十七ページをお願いいたします。
二目環境保全費のうち、説明欄の一番下、環境保全費一億六千六百万円余でございます。これは、中小企業の省エネ設備導入に対する助成等に要する経費でございます。
続いて、一枚めくっていただきまして、百九十八ページをお願いいたします。
三目廃棄物対策費のうち、説明欄の上から二番目、環境衛生改善費五億六千二百万円余でございます。これは、浄化槽の設置に対する助成等に要する経費でございます。同じくその下、産業廃棄物対策費三億三百万円余でございます。これは、産業廃棄物の不適正処理対策等に要する経費でございます。
続いて、百九十九ページをお願いいたします。
四目自然環境費のうち、説明欄の上から三番目、自然公園費三億円余でございます。これは、自然公園の施設整備等に要する経費でございます。
最後に、一枚めくっていただきまして、下の二百一ページをお願いいたします。
一項環境費の総額でございますが、計の欄の左に記載のとおり、三十四億五千九百万円余をお願いしております。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
177 ◯渡辺美穂副委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。高橋義彦委員。
178 ◯高橋義彦委員 自民党県議団の高橋でございます。
通告に従いまして、御質問させていただきます。本日は食品ロスの削減について御質問いたします。
我が国では、食料の多くを輸入しているにもかかわらず、年間約六百万トンの食品ロスが発生しており、食品ロスの削減は本県でも真摯に取り組むべき課題であると考えています。
国においては令和元年十月に、消費者、事業者、行政等の多様な主体が連携し、食品ロスの削減を推進することを目的に、食品ロス削減の推進に関する法律を施行し、都道府県では食品ロス削減の推進に関する計画の策定が努力義務とされています。本県では、今年度中に食品ロス削減推進計画を策定するとのことで、これまでにも実施してきた食品ロス削減の取組を一層推進する必要があると思います。
そこで、この取組について、まず本県の食品ロスの発生状況についてお伺いいたします。
179 ◯渡辺美穂副委員長 鐘ケ江循環型社会推進課長。
180 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 本県における食品ロスの発生量は年間約二十一・五万トンと推計しております。その内訳は、事業系食品ロスが約十・一万トン、家庭系食品ロスが約十一・四万トンとなっております。本県の特徴といたしましては、家庭系食品ロスの占める割合が、全国平均の四六%に対し、本県では五三%と大きくなっております。
181 ◯高橋義彦委員 全国と比較して家庭系の食品ロスの割合が大きくなっているとのことですけども、食品ロスに関して県民の意識はどのような状況でしょうか。
182 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 昨年度の県政モニターアンケートの結果によりますと、県民の九〇%以上に食品ロスが認知されております。一方で、実生活の中で食品ロスの削減に取り組んでいる人の割合は六二%にとどまっております。
183 ◯高橋義彦委員 食品ロス問題の認知度は高いものの、実生活の中で食品ロス削減に取り組んでいる人の割合は約六割にとどまっているということですが、県民に食品ロス削減を実践してもらうため、これまで県はどのような取組を行ってきたのでしょうか。
184 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 本県では、県民を対象とした取組といたしまして、啓発CMの放映、子供を対象としたポスターコンテストなどを実施しております。また、コロナ禍で懇親会等は少なくなっておりますが、食べ残しを減らす三〇一〇運動の普及にも取り組んできたところです。さらに、今年度からは食品ロス削減人材育成事業を実施しております。
185 ◯高橋義彦委員 今年度から食品ロス削減人材育成事業を行っているとのことですが、食品ロス削減人材育成事業とはどのような取組なのでしょうか。
186 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 この事業は、食品ロス削減に関する講義をはじめ、エコクッキングなどの実践的な内容も教えることができる講師役として、食品ロス削減マイスターを養成し、地域の学習会などに派遣し、食品ロス削減の行動を促すものです。今年度は食品ロス削減マイスター養成講座を開催し、十八名の食品ロス削減マイスターを認定したところでありまして、来年度から派遣を始めたいと考えております。
187 ◯高橋義彦委員 事業系の食品ロスも全体の半分近くを占めており、事業者に対する取組も進めていかなくてはなりません。県ではこれまで、食品ロス削減に取り組む飲食店などを食べもの余らせん隊として登録し、食品ロス削減の取組を推進していただいておりますが、食べもの余らせん隊の取組状況について御説明ください。
188 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 県では平成二十八年度から、小盛りメニューの提供やばら売りなどの食品ロス削減の取組を実施している飲食店や小売店を食べもの余らせん隊として募集、登録しており、現在約千三百店舗に登録をいただいております。登録いただいた店舗にはステッカーやコースターなどを配布するとともに、県民向けパンフレットや県のホームページ、民間のグルメ情報サイトにおいて紹介をしております。
189 ◯高橋義彦委員 食べもの余らせん隊の登録数が千三百店舗というのは、物足りないように感じます。例えばコロナ禍で感染拡大の防止に取り組み、認証を取得している飲食店はもっと多くありますので、そうした店舗にも、ポストコロナでは食品ロス削減に取り組んでいただけるよう、登録数を増やす努力をすべきではないでしょうか。また、登録数を増やすだけではなく、現在の登録対象としている飲食店や小売店以外にも、様々な事業者を巻き込んで、もっと工夫を凝らして、食品ロス削減の取組を広げていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
190 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 委員御指摘のとおり、事業者における食品ロス削減を推進するためには、食べもの余らせん隊の登録数をさらに増やしていくことが重要です。現在、約二万の店舗に新型コロナウイルスの感染防止認証を取得いただいておりますので、そうした店舗に食べもの余らせん隊としても登録していただけるよう働きかけてまいります。
また、来年度から、食べもの余らせん隊の登録対象を、飲食店や小売店に加え、食品メーカーなどにも拡大するとともに、これらの事業者のマッチングを進めることで、その連携した取組を後押しし、食品ロス削減の取組をさらに進めてまいりたいと考えております。
191 ◯高橋義彦委員 本日質問した食品ロスの削減については、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
食品の消費については最近、フードマイレージという視点が注目されています。フードマイレージとは、食品輸送に伴う環境負荷を定量的に把握するもので、輸送段階のCO2排出量を含め、環境への影響を考えるものです。
食品ロス削減も環境負荷の低減に資するものですが、目の前の食品ロスを減らすということだけではなく、フードマイレージのように、輸送段階も含めた環境への影響を考えるなど、広い視点を持って環境負荷低減に取り組んでいく必要があると思います。
最後に、食品ロス削減も含め、環境負荷低減に向けた取組への部長の決意をお聞きします。
192 ◯渡辺美穂副委員長 小磯環境部長。
193 ◯小磯環境部長 今、御質問いただきました食品ロスの削減につきましては、今月中に福岡県食品ロス削減推進計画を策定することといたしており、この計画に基づきまして各種の施策を着実に進めてまいります。
また、食品ロスの削減などの取組を進めるに当たりましては、今、委員から御指摘ございましたとおり、フードマイレージのように、輸送なども含めたトータルでの環境負荷を考えることが重要であると認識しております。例えば食品の消費につきましては、なるべく近くで取れた食材を使うといったことなどが考えられると思います。
このように、具体的な取組を進めるに当たりましては、生産、消費、廃棄などの各団体の関係者と連携いたしまして、トータルでの環境負荷にも留意し、できるだけ環境負荷が低減されますよう、しっかりと取組を進めてまいります。
194 ◯高橋義彦委員 終わります。(拍手)
195 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。
山本耕一委員。
196
◯山本耕一委員 民主県政クラブ県議団の山本耕一です。
皆様御存じのとおり、海洋プラスチックごみについては近年、世界的に大きな問題となっております。とある試算によりますと、このままの状況で推移しますと、二〇五〇年には海洋中のプラスチックごみの総重量が、地球の海にすむ魚類の重量を超えるとされております。
私も、プラスチックゴミ問題には以前から深い関心と危機感を持っておりまして、人類が解決に向けて即座に取り組むべき喫緊の課題であると認識しております。今月二日には、国連で海洋プラスチックごみの対策強化に向けた国際条約を制定することなどが決定されるなど、国内外を問わず、海洋プラスチックごみ削減の取組が求められているところです。
さて、一方で、
新型コロナウイルス感染症の影響によって、飲食物のテークアウト需要が拡大しており、テークアウト容器のほとんどがプラスチックであることから、プラごみの増加が顕著となっています。この問題の解決に向けて、まずはテークアウト容器など、私たちにとって身近なものに目を向け、プラごみを減らす必要があると考えます。
どうしても使わなければならないプラスチック製品は、その素材をバイオプラスチックなどの代替品に転換し、石油由来のプラスチックを削減していくべきではないかと思い、本日はバイオプラスチック等のプラスチック代替品の利用促進についてお伺いいたします。
では、まずバイオプラスチックとはどういうものなのか、そして、どのような点で環境負荷の低減に有用なのかお教えください。
197 ◯渡辺美穂副委員長 鐘ケ江循環型社会推進課長。
198 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 バイオプラスチックとは、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを総称したものです。
バイオマスプラスチックは、植物などの再生可能な資源を原料としたもので、代表的なものとしてはトウモロコシやサトウキビを原料としたものがあり、使用後に焼却しても二酸化炭素が増加しないという特性を持っています。また、生分解性プラスチックは、微生物などの働きによって分解される性質を持つもので、自然界に流出しても、一定の条件の下であれば分解される特性を持っています。このことから、いずれも環境負荷が低く、環境に優しいプラスチックとされています。
199
◯山本耕一委員 バイオプラスチックが環境負荷低減に有用な素材であることは分かりました。
国内の化学メーカーやその団体などでつくるプラスチック循環利用協会の資料によりますと、国内で使用されている石油由来のプラスチック量は約九百万トンということなんですが、バイオプラスチックに関しては、例えばレジ袋の一部にバイオプラスチックを使用していますなどといった表示のあるものを見かける程度で、どのくらい一般に普及しているかちょっと分からない、正直なところ、あまり普及してないんじゃないかなというのが私の実感です。
そこで、バイオプラスチックの出荷量の推移及びバイオプラスチック等代替品についての製造業者などの意見について、資料を要求したいと思います。委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。
200 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。
ただいま山本委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
201 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま山本委員から要求がありました資料については提出できますか。
202 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 直ちに提出いたします。
203 ◯渡辺美穂副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
204 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
205 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、山本委員、質疑を行ってください。
206
◯山本耕一委員 では、ただいま私が要求した資料のうち、まずバイオプラスチックの出荷量の推移について説明をお願いいたします。
207 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 バイオプラスチックの国内出荷量の推移につきましては、平成二十七年度以降、出荷量は徐々に増加しており、令和元年度は四万六千六百五十トンとなっております。これは、国内で使用されている石油由来のプラスチック量の約〇・五%に当たります。
208
◯山本耕一委員 バイオプラスチックの出荷量は、これを見る限り、じわじわ増えてはいるんですが、微増でありまして、しかもプラ全体の割合としては、石油由来のプラスチック製品の一%にも満たない量であり、かなり少ない状況であることが分かりました。今後、普及拡大に向けて早急に力を入れていく必要があると思います。
このバイオプラスチックをはじめとしたプラスチック代替品の利用促進について、これまで県ではどのような取組を行ってきたのかお答えください。
209 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 業界団体、消費者団体及び学識経験者等で構成するふくおかプラスチック資源循環ネットワークにおいて、バイオプラスチック等の代替品の適切な利用促進を取組の方向性の一つとして定め、各主体で取組を進めています。
加えて今年度、バイオプラスチックでできた食品容器やスプーン、ストローなどの利用を促進するため、飲食業界のバイヤーが来場する西日本最大級の商談展示会フードスタイル九州において、代替品を取り扱う企業の特設ブースを設置し、代替品のPRを行った結果、商談にもつなげることができたところです。
210
◯山本耕一委員 取り組んでおられますけど、まだこれからかなという感じはいたします。
先日、新聞に、福岡市の企業が開発、生産した米由来のストローの需要が急増して、この夏にも大野城市に工場を着工するという記事が掲載されておりました。このようにプラスチック代替品は、私たちの社会に確実に広がり始めてはいるんですが、まだまだ日常生活では普及があまり感じられません。
県では、食品容器とかスプーン、ストローなどを使用する事業者に対し、その導入を促すために、展示会に特設ブースを設置してPRを行っているという今、答弁がありましたが、代替品への切替えが一気に進まない。それに関してどのような課題があるのか、先ほど要求した資料のうち、御説明のなかった下のほう、バイオプラスチック等代替品に関する意見について説明してください。
211 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 資料の二のバイオプラスチック等代替品に関する意見について御説明します。
先ほど申しました商談展示会フードスタイル九州に出展した製造業者などへのアンケート結果によりますと、バイオプラスチック等代替品について、石油由来のプラスチックに比べてコストが高いという意見が多く、そのほかにはブランドイメージの向上につながるなどの意見がありました。
212
◯山本耕一委員 企業イメージの向上にはつながるだろうけれども、コストがかかって、なかなか商売として難しいというジレンマが感じられる回答という印象を持ちます。
コストが大きな要因のようですけれども、石油由来のプラスチックに比べて、現状どのくらい高いのでしょうか。
213 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 石油由来のプラスチックの価格に対して、バイオプラスチックの価格は、プラスチックの種類にもよりますが、約一・五倍から五倍となっております。
214
◯山本耕一委員 コストが一・五倍から五倍では、収益のことを考えますと、従来の安価なプラスチックから切り替えるのはなかなか難しいという企業も多そうですね。ただ、コストが高いという課題がはっきりしているのであれば、それが安価になってくれば、それに比例して需要も増えてくるというのは自明の利だと思います。
来年度の県予算において、飲食店のテークアウト容器等の代替品への切替支援の予算が計上されていますが、その補助事業の中身、概要はどのようなものか御説明ください。
215 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 テークアウトの容器などを新たにバイオプラスチックなどの環境に配慮したものに切り替える中小企業の飲食店を対象に、一店舗当たり十万円を上限に補助率二分の一として支援をするものです。
216
◯山本耕一委員 飲食店に対して新たに、環境に配慮した容器等に切り替える際の費用を補助するというお話ですけれども、予算は青天井じゃありませんので、補助する店舗も自然と数に限りがあると思います。代替品への切替えについて、県内の飲食店にどのように広げていくおつもりでしょうか。
217 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 補助を受ける飲食店には、代替品に切り替えたことをホームページやSNSで発信することを要件とするとともに、県においても、切り替えた店舗の経営者へのインタビューをSNSで発信し、飲食店をPRする予定です。
また、消費者に対しては、省エネ、省資源に取り組む家庭を支援するエコふぁみアプリにおいて、切替え店舗のマップ表示や店舗利用者に対するポイント付与を行い、代替品使用店舗の利用を促したいと考えております。
そのほか、大手デリバリー事業者と代替品への切替えに関して連携を検討するなど、他の飲食店への波及を図ってまいりたいと考えております。
218
◯山本耕一委員 こうした転換を進めていくためには、少々高い製品でも環境負荷の少ないものを使っていく、あるいはちょっと面倒でも環境負荷の少ない行動を取っていくなどといった消費者のマインドの醸成、エコロジー意識のさらなる向上が不可欠と思います。
他県の事例なんですけれども、私が聞いたところでは、お祭りの出店巡りの際に、あらかじめお客さんが幾らかのお金を払って、リユース型の食器、このときの場合は地元産の間伐材を使った木製の容器だったんですが、この環境配慮型の容器を借り出して、料理はそれに盛りつけてもらって、食べて、帰りに容器を返すと、最初に払ったお金が返ってくるなどといった、プラごみ低減の試みを行っているところもありました。
環境意識の高まりの中、石油由来のプラスチック製容器をどんどん使い捨てるということに抵抗を覚える消費者は増えているのではないでしょうか。そうした意味で、バイオプラスチックなど環境に配慮した製品を消費者が受け入れる機運はだんだんと高まっているように私には思えます。
本県としても、事あるごとに石油由来プラスチックの代替品の利用促進を図っていくべきと考えますが、具体的にはどのような取組を行っていくのか教えてください。
219 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 委員御指摘のとおり、代替品の利用を促進するためには、環境負荷の少ないものを使っていくという消費者の意識の醸成を図ることが重要です。
こうしたことから、先ほど御説明しました取組に加え、消費者である県民に対して、代替品に関する啓発動画の放映、エコふぁみアプリ、SNSや情報誌の活用など、あらゆる機会を捉えて啓発を行ってまいりたいと考えております。さらに、ふくおかプラスチック資源循環ネットワークを通じて、消費者団体や事業者団体と連携した啓発を行い、環境に配慮した商品を選ぶという意識を醸成し、プラスチック代替品の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
220
◯山本耕一委員 あらゆる機会を捉えての啓発をぜひお願いいたします。
最後に、環境に配慮した持続可能な福岡県の社会づくりに向けた環境部長の決意をお聞きいたします。
221 ◯渡辺美穂副委員長 小磯環境部長。
222 ◯小磯環境部長 グリーン社会の実現に向けまして、現在、環境と経済の好循環を実現する持続可能な社会を目指すべき将来像といたしました福岡県環境総合ビジョンの策定を進めておりまして、今議会に議案として上程をさせていただいているところでございます。本日、御質問ございましたプラスチック代替品の利用促進につきましても、このビジョンの柱の一つである循環型社会の推進におきまして、取組を進めていかなければならないものと認識しております。
循環型社会の基本であります、ごみを減らす──リデュース、繰り返し使う──リユース、そして再生利用する──リサイクル、この3Rを推進し、私たち自らの行動を環境に配慮したものに変えていくことが大切と考えております。
今後とも環境問題に対する認識が深まり、環境に配慮した行動を取っていただきますよう、様々な取組において創意工夫を重ねながら、持続可能な社会づくりに向けてしっかりと取り組んでまいります。
223
◯山本耕一委員 今、部長より、持続可能な社会づくりに向けてしっかり取り組むという決意を述べていただきました。
3Rを含めた具体的な取組に向けての一つのアイデアなんですけれども、例えばポストコロナの際に、県主催の様々なイベントが行われるようになった暁には、そこではバイオプラスチックなどの代替品やリユース型容器の利用を率先して行うなど、環境に配慮した取組を積極的に展開していくことを要望いたしまして、この質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
224 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。椛島徳博委員。
225 ◯椛島徳博委員 お疲れさまです。緑友会の椛島でございます。
通告に従いまして、海洋プラスチックごみの問題についてお尋ねをいたします。
昨年十一月、私の地元柳川の大和海岸でスポーツGOMI拾い大会が開催されました。環境部からの御案内がありまして、近所の方と五名でチームをつくって参加をいたしました。
このスポーツGOMI拾いは、我が会派の吉武議員が以前、一般質問で取り上げました。読んで字のごとく、スポーツとごみ拾いを合体したものです。とても楽しくごみ拾いができたところであります。ただ、そのごみの量を見てみると、物すごいプラスチックゴミでありました。そこで、このプラスチックごみの削減については喫緊の課題だと、そのように感じまして、今日はこの質問をさせていただくことにいたしました。
まず、海洋プラスチックごみに関しまして、基本的なことからお伺いをいたします。海洋プラスチックごみの発生の原因にはどのようなものがありますか、お答えください。また、発生原因のうち何が最も多いのか、その割合についてもお答えください。
226 ◯渡辺美穂副委員長 前原廃棄物対策課長。
227 ◯前原廃棄物対策課長 海洋プラスチックごみの発生原因といたしましては、内陸部から河川を経由して海に流出したもの、海外、特にアジアから流れ着いたもの、使用後にそのまま海に残された漁具などがあります。
また、最も多いのは、内陸部から河川を経由して海に流出したものであり、その割合は、環境省が作成した河川ごみに係る資料によれば、八割程度と言われております。
228 ◯椛島徳博委員 海洋プラスチックごみが発生する原因の最も多いのは、内陸部から河川を経由して海に流出したものが八割だと今、答弁がありました。
そこで、もう少し詳しく内容を伺いたいと思います。何がどのような形で流出をしているのかということについて教えてください。
229 ◯前原廃棄物対策課長 例えば内陸部でペットボトルなどのプラスチック製品がポイ捨てされたり、ごみ袋からごみが飛散したりして、風や雨で側溝や水路に流され、さらに河川を流れていって、海に流出する場合が多いと考えられております。
230 ◯椛島徳博委員 ごみ収集車が来るときに、時間がごみ出しの時間と合わなかったということで、ごみ袋を放置する、それとか、これくらいならポイ捨てしてもいいのじゃないかと、そういったことが、一人一人の行動が、海洋プラスチックごみの問題という大きな問題につながっていること、今の答弁でよく分かりました。
したがいまして、海洋プラスチックごみを増やさないためには、やはり広報、そして啓発活動、これに力を入れていく必要があると思います。県ではこれまでどのような活動をしてこられたのかお尋ねします。
231 ◯前原廃棄物対策課長 県では、環境美化の日を設定し、市町村と連携して、一斉清掃の実施、海洋ごみについての啓発冊子の作成などを行ってきております。また、平成二十七年度からは、スポーツGOMI拾いを県内各地で開催してきたところでございます。
232 ◯椛島徳博委員 先ほど冒頭で申し上げましたスポーツGOMI拾い、これは、一般的には、ごみ拾いというと何かやらされている感が非常に強いんですけど、このスポーツGOMI拾いというのは、積極的に関わって、ごみを拾えば拾うほど喜びというか、非常にうれしい、そういう気持ちになるという、とてもいい取組だと思っております。ぜひこういう取組を進めていただきたいと。
ただ、もう一歩踏み出して、これまでの取組に加えて、やはり新たな取組をしていく必要があろうと思うんですけども、県ではどのようにお考えでしょうか。
233 ◯前原廃棄物対策課長 海洋プラスチックごみの多くは、内陸部から発生しているということを踏まえまして、内陸部でも、ポイ捨てをしない、ごみは指定された時間や場所に出す、分別するなど、市町村のルールに従って出すといった行動を促すことに主眼を置いた動画を来年度作成したいと考えております。また、この動画は、ホームページなどの掲載に加え、より多くの県民の皆様に視聴いただけるよう、テレビCMで流すことも考えております。
234 ◯椛島徳博委員 今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、その一方で、海洋プラスチックごみの増加を抑制するには、先ほどもありましたように、内陸部からの流出がおよそ八割だと回答がございました。八割ということでしたらば、海に流出する前に、その八割のごみを何らかの形できちんと流れていかないように防御すると、回収すると、こういったことが重要だと考えますが、その対策の必要性について、県の考えをお尋ねします。
235 ◯前原廃棄物対策課長 プラスチックごみは、一旦海に流出いたしますと回収が難しいため、河川を流れている段階での回収について検討したいと考えております。具体的には、河川におけるプラスチックごみの実態把握を行った上で、どういう時期にどういう場所でどういう方法であれば、効率的にプラスチックごみを回収できるかといったことを検討してまいります。この取組を進めるに当たっては、市町村とも連携してまいりたいと考えております。
236 ◯椛島徳博委員 市町村との連携については、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、これまで啓発や海に流出する前の対策について質問をさせていただきましたが、ここで視点を少し変えて、質問をさせていただきたいと思います。
海洋プラスチックごみの発生を抑制するためには、プラスチックの絶対量を削減することも大事だと考えます。例えばプラスチックの使用自体を減らすこと、または新たなリサイクルのルートを構築すること、これら、しっかり取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
時、四月一日から、プラスチック資源循環促進法も施行されると伺っております。県では、プラスチックの使用削減やリサイクルを進めていくために、今後どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
237 ◯渡辺美穂副委員長 鐘ケ江循環型社会推進課長。
238 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 県では昨年度、プラスチックごみの削減に取り組む事業者をふくおかプラごみ削減協力店として登録する制度を創設し、協力店において、レジ袋やストローの削減、弁当容器やハンガーのリユースなどに取り組んでいます。
また、来年度からは、使用済みプラスチックの再資源化を推進するため、クリーニングの衣類用カバーや医薬品のボトルを対象に、排出やリサイクルに係る関係事業者のマッチングを行い、回収、再資源化する仕組みを構築する実証事業を実施していきたいと考えています。
このような取組を通じて、プラスチックの使用削減やリサイクルを進めてまいりたいと考えております。
239 ◯椛島徳博委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
先ほど山本委員の冒頭のお話にございましたように、二〇五〇年には、魚の量を海洋プラスチックごみが上回るという推測がなされております。これは本当に大変なことだ、危機的なことだと思っております。二〇五〇年というと、今からもう三十年切りました。恐らく私ももうその年にはいないだろうと思うんですけども、未来はやっぱり子供たちのものであります。
考えてみますと、私たちが戦後生まれて六十年余り、一気に高度経済成長期と併せてプラスチックが本当に世の中に出回りました。結果こういうことで、プラスチックごみがどうしようもないところまで増えてしまったという現実の中にあります。今を生きる私たちは、やっぱり大きな責任があると思ってやみません。よって、これからは現役世代の我々が未来に禍根を残さないように、しっかりと取り組んでいく必要があろうと思います。国、県、市町村、そして県民の皆さん方が一体となって、この問題をしっかり認識しながら取り組んでいく必要があろうと思います。
そこで最後に、海洋プラスチックごみの問題の解決に向けて、小磯部長の決意をお尋ねします。
240 ◯渡辺美穂副委員長 小磯環境部長。
241 ◯小磯環境部長 海洋プラスチックごみにつきましては、海洋生態系への影響などが懸念されておりまして、発生を抑制していくことは重要な課題と認識しております。
この海洋プラスチックごみは、内陸部から発生することが多く、委員の御指摘のとおり、県民の皆様に実態を御理解いただき、そして行動に結びつけていただけますよう、様々な啓発に取り組んでいく考えでございます。さらに、河川におけるプラスチックごみの効率的な回収方法を検討いたしますとともに、プラスチックの使用を減らすことやリサイクルに係る取組を進めてまいりたいと考えております。これらの取組などによりまして、海洋プラスチックごみの発生抑制にしっかり取り組んでまいります。
242 ◯椛島徳博委員 ありがとうございました。(拍手)
243 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋雅成委員。
244 ◯高橋雅成委員 公明党の高橋です。
プラスチックが続きますけど、プラスチック資源の循環について質問いたします。
先ほどから問題になっております国際的な海洋プラスチックごみの問題や気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化など、国内外におけるプラスチックの廃棄物をめぐる環境が近年大きく変化しております。このような変化に対応して、国内におけるプラスチック資源の循環を図るために、昨年六月にプラスチック資源循環促進法が成立しました。本年四月から施行されます。
この法律の施行を踏まえ、県は新年度、プラスチック資源循環の一層の促進を図るとしております。具体的にはワンウェイプラスチックの使用削減、使用済みプラスチックの回収、再資源化に関する実証事業の支援、バイオプラスチックなどの代替品の利用促進などを予定しているということでございます。
そこで、本日はプラスチック資源の循環について問います。まず、使用済みプラスチックの回収、再資源化に関する実証事業について、概要の説明をお願いします。
245 ◯渡辺美穂副委員長 鐘ケ江循環型社会推進課長。
246 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 この実証事業は、使用済みプラスチックの資源循環を図るため、クリーニングの衣類用カバーや医薬品のボトルを対象に、排出やリサイクルに係る関係事業者のマッチングや実証実験を行い、回収、再資源化する仕組みを構築するものでございます。
247 ◯高橋雅成委員 実証の対象品目、クリーニングの衣類用カバー、医薬品のボトル、この二つに選定した理由はどういったことでしょうか。
248 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 対象品目につきましては、プラスチックごみの削減を県全体で進めるために設立したふくおかプラスチック資源循環ネットワークに参画する業界団体にヒアリングを行いまして、特にニーズが高い品目を選定しています。
クリーニングの衣類用カバーは、プラスチック資源循環促進法で使用の合理化が求められる特定プラスチック使用製品の一つに指定されていますが、衣類の保護や汚れの防止のために必須であり、使用削減が困難なものです。また、医薬品のボトルは、調剤薬局や病院で、高齢者用の錠剤の一包化に伴い、使用量が増加しています。使用済みのボトルは汚れもなく、再資源化に適していますが、現状では焼却処理されています。いずれの品目も、再資源化している事例はほかになく、実証により新たな循環モデルを構築していきたいと考えております。
249 ◯高橋雅成委員 プラスチック資源循環促進法ですけども、プラスチックについて、単に捨てる量を減らそうということではなくて、捨てることを前提としない経済活動をしようとしているのが特徴でございます。また、プラスチックごみの分別やリサイクルに必要な措置を取ることを市町村の責務としております。
クリーニングの衣類用カバーは、おおむね家庭ごみとして捨てられているのが現状でございまして、一般廃棄物です。市町村の管轄でございます。県内市町村の一般ごみ回収事業において、プラスチックごみを分別回収しているのはどの程度あるのか、御説明をお願いします。
250 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 県内において、発泡スチロールのトレーなどのプラスチック製容器包装を分別収集しているのは四十五市町村です。また、容器包装以外のプラスチック使用製品を分別しているのは五市町です。
251 ◯高橋雅成委員 なかなか少ないわけですけども、プラスチック資源循環促進法によって、市町村はプラスチック使用製品の分別収集に努めるとなっております。しかし、分別収集を実施するに当たっては様々な課題があると聞いております。そのような市町村の課題について、県はどのように認識していますか。
252 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 市町村が新たにプラスチック使用製品を分別収集するには、家庭ごみの分別品目を追加することになります。そのため、あらかじめ住民の皆さんに十分に説明し、御理解をいただいた上で分別を実施してもらう必要があります。また、収集する品目数が増加しますので、収集運搬や処理に要するコストが大きな負担となるなどの課題があります。このほか、おもちゃなどのプラスチック製品では、リチウムイオン電池を含むものがあり、分別されずに出されると発火する危険性があるため、混入の防止や選別の徹底といった課題も考えられます。
253 ◯高橋雅成委員 プラスチック資源循環促進法の施行に当たって、市町村にもいろいろな対応というか、動きがございます。そのうちの福岡市ですけども、現在、燃えるごみ扱いとしているプラスチックごみを新年度から区役所など九か所で試験的に回収する、そういうモデル事業を始めるとしております。回収するのは、洗面器とかバケツ、ハンガー、ちり取りなどを想定しているということであります。
しかし、先ほど説明があったとおり、分別を一品目でも増やすのは様々な課題があり、市町村にとって簡単にできることではないということでございます。こうした市町村に対して、県はどう対応していくのかお伺いします。
254 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 分別収集する品目を新たに追加するには様々な課題が伴いますが、県内外において、既にプラスチック使用製品を分別収集している市町村もあり、そうした先進事例について情報収集しているところです。
プラスチック資源循環促進法の施行を受け、分別収集を検討しようとする市町村に対して、それぞれの実情や課題の把握に努めるとともに、先進事例についても紹介しながら、技術的助言を行ってまいります。
255 ◯高橋雅成委員 プラスチック資源の循環の方法ですけども、リデュース、リユース、アップサイクル、それからリサイクルなどがございます。しかし、プラスチック資源循環促進法では、これらにプラスして、製造に使用する資源を再生が容易なものに置き換えて、廃棄を前提としないものづくりであるリニューアブルを促進するとしております。
一方、現実は、プラスチック資源のリサイクルの方法の一つとして、リサイクルといいながら、プラスチックを実際は燃やして、それを熱源として回収するというサーマルリサイクルというものが広く行われているということです。六〇%ぐらいそういうことが行われているんじゃないかと聞いていますけども、これは地球温暖化を進めるものでありまして、非常に問題だと思っております。
回収したプラスチック資源を循環させる方法として、県はどのような方法が望ましいと考えていらっしゃるのか。また、プラスチックごみの再資源化については、県が積極的に取り組んでいく必要があると思いますけども、見解をお伺いします。
256 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 プラスチック資源循環促進法に基づく国の基本方針では、まずは使用の合理化や代替品の利用、マテリアルリサイクルなどの徹底した再資源化を行い、それが難しい場合には、熱回収によるエネルギー利用、いわゆるサーマルリサイクルを行うことを求めています。県といたしましても、この方針に沿って取り組むべきものと考えております。
また、プラスチックごみの再資源化については、昨年度から実施している使用済みプラスチックのリサイクル施設整備に対する補助に加え、先ほど申し上げました回収、再資源化に関する実証事業を行っていきたいと考えております。これらの取組によって、一層の再資源化を図ってまいります。
257 ◯高橋雅成委員 まず、マテリアルリサイクルを促進すると、その上で、どうしてもそれが難しい場合はサーマルリサイクルだと、そういうことでいいですね。
京都の亀岡市というところがありますけども、令和三年の一月から、有償、無償問わずに、プラスチック製のレジ袋の提供を禁止するという条例を施行しております。その結果ですけども、マイバックを持参して買物をする市民が九八%になったということです。
市内を流れる保津川という川がありますけども、この川にあるごみを二〇一九年と二〇二一年で比較すると、ごみ全体に占めるプラスチック製レジ袋の割合が六七%から一七%に減少したという、そういう成果を上げております。
レジ袋に限らず、プラスチックの使用量を削減することが、川や海に流れ出るプラスチックごみを減らすことにつながると考えられます。プラスチック削減に向けて、市町村と連携して県は取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。
258 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 県では、ふくおかプラスチック資源循環ネットワークにおいて、ワンウェイプラスチックの使用削減を取組の方向性の一つとして定め、その構成員である市町村をはじめ、業界団体や消費者団体とも連携を図りながら、プラスチックごみの削減に取り組んでいます。また、毎年十月をプラスチックごみ削減の強化月間として、ふくおかプラごみ削減キャンペーンを実施し、市町村と連携した県民への広報啓発を行っております。
今後も、プラスチックの削減につながる自治体の取組を紹介しながら、様々な機会を捉えて、市町村と連携し、県全体でプラスチックごみの削減を進めてまいります。
259 ◯高橋雅成委員 よろしくお願いします。
最後に、部長にプラスチック資源の循環を進めるに当たっての決意をお伺いします。
260 ◯渡辺美穂副委員長 小磯環境部長。
261 ◯小磯環境部長 プラスチックにつきましては、新たな法律が施行されることによりまして、使用の削減、再資源化といった資源循環の動きを加速していく必要がございます。また、委員御指摘のとおり、国でも、サーマルリサイクルより優先してマテリアルリサイクルに取り組むことが求められております。こうしたことから、これまでの取組に加えまして、県では、来年度から使用済みプラスチックの回収再資源化に関する実証事業に取り組み、新たな再資源化の仕組みを構築していきたいと考えております。
また、市町村によりますプラスチック使用製品の分別収集につきましては、市町村の課題やその意向を踏まえながら、連携をしてまいります。このような取組を通じまして、プラスチックの資源循環を促進してまいります。
262 ◯高橋雅成委員 終わります。(拍手)
263 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
264 ◯渡辺美穂副委員長 ないようですので、以上で第四款環境費に関する質疑を終わります。
以上で本日の議事を終了いたします。
なお、明日十五日火曜日の委員会は、午前十一時に開き、歳出第五款生活労働費及び第六款農林水産業費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 五 分 散 会
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