福岡県議会 2018-03-20
平成30年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2018-03-20
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成三十年三月二十日(火曜日)
午 前 十 一 時 零 分 開 議
◯中尾正幸委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。
本日は、平成三十年度福岡県
一般会計予算の歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。
それでは、第七款商工費について説明を求めます。
小島商工部長。
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◯小島商工部長 おはようございます。第一号議案平成三十年度福岡県
一般会計予算のうち、商工部所管分について御説明申し上げます。お手元の平成三十年度予算に関する説明書の二百七十三ページをお願い申し上げます。
七款商工費について御説明いたします。一項商業費でございます。その主なものは、
一目商業総務費のうち、右の説明欄の中ほどの
中小企業振興資金融資費で、これは制度融資の預託金でございます。
二百七十七ページをお願いいたします。一項商業費の総額は、合計欄に記載しておりますように、千百四十四億六千七百万円余をお願いしております。
次に、二項工鉱業費でございます。二百八十三ページをお願いいたします。その主なものは、七目
企業立地対策費のうち、右の説明欄の一番上、
企業立地対策費で、これは
企業立地交付金などでございます。続きまして、二百八十四ページをお願いいたします。二項工鉱業費の総額は、五十四億七千二百万円余をお願いしております。
その下、次に三項観光費でございます。その主なものは、一目観光費のうち、右の説明欄の上から三番目の観光宣伝費で、国内外における
観光プロモーションに要する経費などでございます。三項観光費の総額は六億一千二百万円余をお願いしております。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
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◯中尾正幸委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。西元健委員。
4 ◯西元 健委員 自民党の西元でございます。
本日は、中小企業の人手不足とAIの導入についてを質問させていただきます。
知事は、今議会の提案理由説明において、有効求人倍率は県全体で過去最高の一・六二倍を記録し、三カ月連続で全国値を超えていますと発言されました。本県は着実に元気になっていますと、同様に胸を張られたところであります。
しかし、地元に帰りまして、私の友人とか、また中小企業の経営者の方と話をしますと、企業として成長していくためには、人材の確保が不可欠であるが、大手とかのほうに目が向いて、中小企業にはなかなか目を向けてもらえない、もしくは人手不足で困っているといった声をよく耳にします。
求職者側にとっては、有効求人倍率が上がるということは明るさが見えてきた状況ではあるんですけれども、雇用を提供する側である
県内中小企業の状況は深刻であろうと、皆さん方もわかっていると思いますけれども、そういう状況であります。
求職者に対する雇用対策については、労働局を中心に各種施策に取り組んでいるところでありますが、雇用を提供する側である中小企業に対する支援策も重要であろうかと考えております。
そこで、まず最初に、
県内中小企業の人手不足の現状についてどのように把握しているのか、お聞かせください。
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◯中尾正幸委員長 恒吉商工政策課長。
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◯恒吉商工政策課長 県内中小企業の人手不足の現状についてでございます。
商工部では、昨年七月に
県内中小企業約千社を対象に実態調査を実施いたしました。その中で、人材確保についてもお尋ねをしたところでございます。
これによりますと、約五割の企業が正社員について不足、やや不足と回答しており、本県においても多くの中小企業が人手不足の現状で、中でも専門技術職の不足が顕著になっているという状況でございます。
7 ◯西元 健委員 それでは、人材不足の原因についてどう分析しているのか、お答えください。
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◯恒吉商工政策課長 この調査によりますと、人手不足の原因について、賃金水準が原因と捉えている企業が最も多く、次いで人材獲得競争の激化、業界のイメージ、賃金以外の労働条件の順となっております。
なお、調査では、人材不足解消のための取り組みについてもお聞きしましたけれども、これによりますと、賃金の引き上げを初めとする労働条件の改善や正社員枠の拡大等の取り組みを行う企業がある一方、何ら手だてを講じていないという企業も多く見られたところでございます。
9 ◯西元 健委員 アンケートの結果から、今お答えいただいたんですけれども、何ら手だてを講じていないという企業も多く見られたというお答えがありましたけれども、このことが何よりも問題かなと思うんですけれども、このことについて県としてどのように考えているか、お答えください。
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◯恒吉商工政策課長 人手不足と申しますのは、従業員の勤務環境の悪化を招くと同時に、受注機会の喪失あるいは新規事業等への取り組みのおくれなどをもたらし、これによりまして企業収益の悪化でありますとか、ひいては景気拡大の制約になるということが懸念されるのではないかと考えているところでございます。
11 ◯西元 健委員 それでは、人手不足に悩む中小企業に対して、商工部としてどのような支援を行っているのか、お答えください。
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◯中尾正幸委員長 赤尾中小企業技術振興課長。
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◯赤尾中小企業技術振興課長 人手不足に悩む中小企業に対してですが、不足しております専門人材を育成するため、三次元設計等のデジタル技術や金型、メッキ、プラスチックの製造基盤技術に関する講座を実施しまして、
ものづくり中核人材の育成に取り組んでおります。また、
県内ものづくり企業への若者の関心を高めるため、「福岡県
ものづくりモノ語り一〇〇」を制作しまして、県内の大学、工専、高校などに配付するとともに、
県内理工系大学で学生向けにパネル展示を行うなど、
ものづくり企業の魅力発信に取り組んでいるところです。
14 ◯西元 健委員 ところで、野村総研が二〇一五年十二月に、十年後もしくは二十年後ぐらいに日本の労働人口の四九%が技術的には人工知能やロボットなどにより代がえできるようになる可能性が高いというレポートを発表しました。額面通りに受け取るには、ちょっと無理があるのではないかなとは思うんですけれども、その一方で、AI社会の到来は労働力不足への対応として非常に有効であるとか、役立つのではないかと私も期待しているところであります。
そこで、中小企業におけるAIの導入状況について、把握している範囲で説明いただけますか。
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◯中尾正幸委員長 初田新
産業振興課長。
16 ◯初田新
産業振興課長 AIの導入状況でございますが、
独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成二十九年七月に発表しましたイノベーションへの対応調査によりますと、AIを職場に導入している企業は、従業員一千人以上の企業で一・七%、これに対しまして従業員九十九人以下の企業では〇・八%にとどまっております。
17 ◯西元 健委員 今の説明を受けますと、やはり大企業であれば導入をしているところもあると。実際は、それでもまだまだ少ない状況。AIの導入は、実際、まだこれからという状況であろうと思いますが、非常に大きなお金がかかるため、やはり大企業に比べ中小企業の導入率というのは、今後もなかなか難しいのではないかなと感じております。
県では現在、AI関連についてどのような取り組みをしているのか、お答えください。
18 ◯初田新
産業振興課長 AIの取り組みでございます。本県では、
ロボットシステム産業振興会議やRuby・
コンテンツビジネス振興会議といった産学官連携の強みによりまして、平成二十八年度に経済産業省から
地方版IoT推進ラボとして選定されまして、これを中心にIoTの取り組みを行っているところでございます。
この取り組みの中で、ベテラン農家の勘や経験をデータ化し、AIを活用して高品質生産や作業の省力化を目指す、あまおう等の
農産物栽培支援システムの構築など、AIを生かした
IoTプロジェクトを実施しております。また、
ふくおかアイストの
システム開発カレッジにおきましても、AI等の講座を実施しているところでございます。
19 ◯西元 健委員 今、AI関連の取り組みについて説明がありましたけれども、まだまだ中小企業を対象とした取り組みがおくれていると私自身、感じておりますし、もっともっとやっていただきたいなと思っております。
現状、中小企業のほとんどは、AIというものをどう活用していくのかというのがわからない、もしくは今模索中という形だと思います。本格的なAI社会の到来に向けて、しっかりと本腰を入れて中小企業がAIを導入しやすいように県として取り組むことが重要であろうと思いますし、福岡県として個性というか、そういったものを出せるのではないかと思っておりますけれども、商工部長の御意見を伺いたいと思います。
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◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
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◯小島商工部長 いわゆるAIでございますけれども、これはものづくり、あるいは医療、介護、交通など、さまざまな分野での活用が見込まれておりまして、経済成長あるいは生活の質の向上につながるものだと認識をしております。一方で、その導入につきましては、先ほど課長のほうからお答えさせていただきましたように、まだまだ進んでいないというのが実態でございます。
そこで、県では来年度から、私どもの福岡県
IoT推進ラボの中にAIに関する研究会を設置いたしまして、AIをめぐる最新動向でありますとか、AIを活用した先進事例について、
県内中小企業の皆さんに紹介を行うこととしております。この研究会を通じまして、
県内中小企業の皆さんのAI導入を促進してまいります。
22 ◯西元 健委員 部長の答弁、しっかりとやっていくという意思を感じさせていただきました。私が住んでいるところは豊前というところなんですけれども、非常に若い方が少ないとか、働ける年代の方が実際少ないんですよ。このAIというものを導入することによって、中小企業、また人手不足の企業というのが新しい仕事をもらえるとか、新しい仕事に手を出すことができるチャンスというのにつながってくると思うんですね。まだまだAIというものは非常に、導入するか、しないかという問題もありますし、難しい問題だとは思いますが、ぜひ、しっかりと商工部挙げて取り組んでいただくことが福岡県の幸福度につながると思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
知事保留したいですけど、我慢して、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
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◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。
佐々木允委員。
24 ◯佐々木 允委員 民進党・
県政クラブ県議団の佐々木允です。
ただいまより、
インバウンドにおける個人旅行客の誘客について質問させていただきます。
福岡市を歩いていますと、外国語を話す方が、もうひっきりなしに見かけるようになってまいりました。もう、それも久しくなったところであります。また、本県にとっても観光に関する分野は本当に大きな産業にもなっていますし、また、その際においては、この
インバウンドに取り組む際、やはり目的を明確にしていくことが大切であります。
今回は、とりわけ個人旅行客に対する取り組みの質問をただしてまいるとともに、また、その中でも、ぜひ私の地元、田川地域を含めた地方にも流れを持っていっていただきたい、そういう思いを込めて質問をしていきたいと思っています。
まず、本県における
インバウンドの状況について、二〇一七年、
外国人入国者はどれぐらいいたのか、お示しをいただきたいと思います。
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◯中尾正幸委員長 神代観光振興課長。
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◯神代観光振興課長 本県の平成二十九年度の
外国人入国者数でございますけれども、前年比二三%増の三百十九万人でございます。
国別では、韓国が百六十五万人、台湾が二十九万人、中国十八万人、香港十六万人、クルーズ船客が六十九万人となっております。本県の
外国人入国者のうち、東アジアが占める割合は九割を超えている状況でございます。
27 ◯佐々木 允委員 次に、
インバウンドに占める個人旅行客の傾向についてお聞かせください。
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◯神代観光振興課長 日本政府観光局の調査によりますと、個人旅行客のこの五年間の推移を見ますと、韓国は約七割から九割へと増加、台湾が五割から六割へ、中国が三割から五割に、香港は七割から九割となっております。このように、東アジアからの個人旅行客は増加傾向にありまして、今後もこの傾向は続くものと考えております。
また、欧米豪の旅行者でございますが、航空会社やホテルの予約サイト、また
オンライントラベルエージェントなどを利用した旅行手配が主流となっておりまして、約九割の方が個人旅行客となっております。
29 ◯佐々木 允委員 今お示しいただきましたように、本県に訪れる
インバウンドの旅行者、その多くが個人旅行客であるということがよくわかりました。
では、増加する
個人旅行客インバウンドに対して、これまでどのような
プロモーションを行ってきたのか、お聞きしたいと思います。
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◯神代観光振興課長 個人旅行者の方へ直接情報を届けるために、海外で開催されますBtoC向けの旅行博への出展、また雑誌やウエブなどメディアの招請、また先ほど申し上げました
オンライントラベルエージェントの予約サイトへの県観光情報の掲載などを実施してまいりました。今後も、個人旅行者への情報発信について取り組んでまいりたいと考えております。
31 ◯佐々木 允委員 ぜひ、その情報発信の際には、都市部のみならず県内いろんな場所の情報が載っていただければなと思うところであります。
私の地元、田川市には、地方創生の資金を活用して、廃坑を利活用して宿泊施設などを建てた、いいかね
Paletteという施設がございます。今年度は商工部の取り組みであった
デザインアワード、そして
デジタルコンテンツ賞、いずれも知事の大賞をダブル受賞しまして、非常に市内でも注目されている施設で、私もよく顔を出しているんですけれども、たまたま私も顔を出したときには、そのときにフランスのお客様がわざわざ来ていらっしゃいました。福岡から、フィンエアーに乗って、そして福岡に来て、それから、いろいろルートを使って来られたということでありましたけれども、宿泊では民間の予約サイトを使って、いいかね
Paletteというところに泊まったということでしたが、やはり福岡から田川に来るまでのルートの多言語化が非常に大変だったと、また、その情報が乏しかったということについて、そういったお話もいただいたところです。
いずれにせよ、このような個人旅行客が福岡都市圏のみならず田川地域を含めた地方にも来ていただくというのは、とてもありがたいことですし、ぜひ、よりふやしていただきたいと思っています。
県として、こういった個人旅行客を県内各地に周遊してもらう取り組みについて、これまでどのように取り組んできたのか、教えてください。
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◯神代観光振興課長 まず、外国の方々に県内各地の観光情報を知ってもらうことが大事だと考えております。そのため、メディアやブロガーなど、例えば、炭鉱ゆかりの旧蔵内邸でありますとか、あるいは筑前の小京都、秋月、また焼き物の里、小石原など、地域の観光地に招請することによりまして、テレビ番組での放映、雑誌への記事掲載、ウエブでの情報発信につなげているところでございます。また、観光地の情報を県観光連盟のウエブサイト、
フェイスブックやインスタグラムなどSNSを活用しまして発信しているところでございます。
33 ◯佐々木 允委員 ぜひ、そういった取り組みと同時に、これがどういう効果につながったのかというのも今後は注目をしていただきたいと思っています。
同時に、このいいかね
Paletteの運営されている方とかともお話をする機会がありましたけれども、やはり駅から歩いて一時間以上かかるような場所なんですが、今、交通の手段は
コミュニティーバスが一本走っているのみであります。しかし、
コミュニティーバスというのは、いわゆるヤフーの検索サイトとかグーグルの経路検索っていうのは当然掲載をされず、結局、その情報を
インバウンド客とか普通の訪れるお客さんは共有できないという点が今、課題となっているということでした。
要は、せっかくバスを税金かけて取り組んでいるのにもかかわらず、実際はやっていないのと同じような状況になっている。要するに、やはり情報を載せることの大切さを感じたところであります。その点については、以前、私も一般質問等で取り上げ、
企画地域振興部の中でもその取り組みについて言及があったところでありますけれども、観光振興や
インバウンド客の地方誘客にも大きな意味があると思います。
こういったことも含めて、県内の交通手段をインターネット上にしっかり見える形にしていくことについて、担当課としてどのように認識をしているのか、お聞かせください。
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◯神代観光振興課長 委員御指摘のとおり、観光地へ実際に足を運んでもらうためには、そこにどうやったら行けるのかという移動手段、その情報も大変重要だと考えております。
私ども、そのため、先ほど申し上げました県観光連盟のウエブサイトには、県内各地の観光スポットとあわせまして、最寄りの駅があるところにつきましては、最寄りの交通機関であるとか、あるいは駅などの情報を掲載しているところでございます。
35 ◯佐々木 允委員 二〇一七年の十二月に発行した
日本政府観光局の訪日外国人旅行者の消費動向とニーズについてという資料があるんですが、その中にも、消費活性化のためには受け入れ環境の整備も大切であり、特に地図の作成による店舗までの誘導などについても大事であるよということを言及されているところであります。また、この分野は、情報部門、また交通など、ほかの部と連携が欠かせないと思いますので、ぜひ重要だという認識があるのであれば、その連携を深めて、よりよい方向について、今後、商工部としても考えていただきたいと思います。
また、SNSやウエブサイトを活用し、ネットで情報発信していることについても、先ほど言及ありましたけれども、ただ、情報がしっかり影響力のあるサイトにつながっていないと、外国人旅行客には届かないのではないかと感じます。
何か実際に取り組みを行っているのか、今後の取り組みも含めてお尋ねをしたいと思います。
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◯神代観光振興課長 今までの取り組みでございますけれども、
オンライントラベルエージェントの予約サイト、エクスペディアや、また日本好きの外国人が閲覧する観光サイトであります、ファンジャパンというのがあるんですが、そういったものでありますとか、
日本政府観光局の情報サイトのほうに観光情報を掲載しているところでございます。
今後、個人旅行客がふえる傾向がございますので、来年度は外国人が多くアクセスしている旅行情報サイトを通じた情報発信をより一層強化してまいりたいと考えております。
37 ◯佐々木 允委員 強化をしていくという言葉が述べられました。ぜひ、要は点と点が、観光地、観光地があって、それをやっぱり線でつないでいかないと、周遊というのは結びつかないわけでありますから、ぜひお願いしたいと思います。
また、観光情報が日本語だけで発信しているところも多い状況で、先ほど申し上げたみたいに、田舎に行けば行くほど、地方に行けば行くほど、その傾向が強いと思います。観光情報の多言語化を進める必要があると感じますけれども、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
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◯神代観光振興課長 委員御指摘のとおり、情報の多言語化というのは大変重要だと考えております。新年度予算のほうで今審議をお願いしているところでございますけれども、市町村や観光協会が開設いたします観光情報サイトの多言語化に対する助成を行いたいと考えているところでございます。
39 ◯佐々木 允委員 またあわせて、個人旅行客が安心、安全、かつ快適に、また満足して周遊してもらうためには、施設でのコミュニケーションや多言語での案内表示など、受け入れ環境の整備も必要だと感じます。そのために、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
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◯神代観光振興課長 今年度、ホテル、観光案内所、また飲食店のスタッフなどが外国人の観光客とコミュニケーションを図るときに、それを支援するために、多言語での電話通訳サービス、ふくおかよかとこコールセンターというものを開設させていただいております。
来年度は、これを引き続きやらせていただきますとともに、地域の観光案内所の無料公衆無線LANの整備や、先ほど申し上げましたホームページ等の多言語化に対して助成を行い、外国人観光客に対する受け入れ環境の整備の強化を図る予定でございます。
41 ◯佐々木 允委員 今述べられた中では、新規の取り組みというのがあったと思います。特にそういった整備が必要な市町村に対しては丁寧に御説明いただいて、その整備が促進されるように、ぜひお願いをしたいと思います。
最後に、部長にお聞きをしたいと思います。
部長、先日、九州オルレの筑豊・香春コースに、わざわざ課長とともに、また商工部の皆さんを引き連れて来ていただきました。十一・八キロの中級のコースを完歩されたということで、大変お疲れさまでございました。ありがとうございました。その際、私も参加を、私は三キロぐらいしか歩いていないですが、済みません。その際も、やはりオルレは済州島の発祥だということで、その済州島のオルレの責任者の方がわざわざ来られたりとか、百人ぐらい韓国の方が来られて、ああ、こういったのも
インバウンドの取り組みなんだなというのを、とても私も感じたところであります。
改めて、この地方の
インバウンド誘客、とりわけ個人旅行客がふえている中で、その取り組みについて部長としてどのように考えているのか、その決意も込めてお尋ねをしたいと思います。
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◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
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◯小島商工部長 今年度、私ども策定をいたしました福岡県の観光振興指針、これでは外国人の観光客の誘客につきまして、入国者数を平成二十八年度の一・六倍、四百十四万人とするなど、意欲的な数値を掲げているところでございます。
この目標を達成するためには、今、福岡県に数多く訪れております東アジアの観光客に加えまして、個人の外国人観光客、中でも東京、京都、大阪といった、いわゆるゴールデンルートと呼ばれている地域に集中しております欧米豪の観光客をもっと、この西側の福岡県にまで誘客していくことが必要だと考えております。
そのため、個人旅行客に向けた情報発信を強化してまいりたいと考えておりまして、具体的には、先ほど課長が答弁させていただきましたけれども、検索エンジン、ウエブサイト、SNSなど、ターゲットとなる国、地域で影響力のある媒体を活用いたしまして、個人旅行客に直接情報が届く情報発信を強化いたしまして、しっかり誘客を図ってまいりたいと考えております。
44 ◯佐々木 允委員 部長は今回で退職だとお聞きをしております。ぜひ、その思いを部全体で共有していただくように、今後もお願い申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
45
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。大島道人委員。
46 ◯大島道人委員 おはようございます。自民党県議団の大島でございます。
通告に従い、筑豊地域、特に田川市郡の観光振興について質問いたします。
田川郡には、英彦山や香春岳などの自然、川崎町にある名勝、藤江氏の魚楽園、私が住む福智町には四百年の歴史のある上野焼、文芸関係では山頭火と木村緑平の句碑など、魅力的な観光資源が多くあります。また、食に関しては、田川のソウルフードであるホルモン鍋などもあります。そのほかに、福智町の平成二十七年十月に国の史跡に指定された史跡城山横穴群や内田三連橋梁、石坂トンネル、鉄道遺産群、日田英彦山線のJR採銅所駅、欅坂橋梁などの田川郡内に歴史遺産が数多くあります。また、田川市郡において特記すべきは、炭鉱や産業革命関連の遺跡で世界の記憶遺産に登録された山本作兵衛コレクションが収納されている田川市石炭歴史資料館や、国の登録有形文化財の九州日立マクセル赤煉瓦記念館があります。田川市郡の地域振興には、これらの観光資源、特に炭鉱や産業革命関連の歴史遺産を活用した観光振興が不可欠と考えます。
ところが、本年度の県の
観光プロモーション推進費に、炭鉱・産業革命遺産を活用した
観光プロモーションに要する経費三百万円が計上されていたものの、来年度の
観光プロモーション推進費には炭鉱・産業革命遺産を活用したという文言が入っていません。これでは、田川市郡で展開される県の観光施策が十分に実施されないのではないかと非常に心配しているところであります。
そこで、質問いたします。
これまで炭鉱・産業革命遺産を活用した
観光プロモーションに要する経費を使って、具体的にどのような事業を実施し、どのような効果があったのか、お尋ねします。
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◯中尾正幸委員長 神代観光振興課長。
48
◯神代観光振興課長 世界遺産、明治日本の産業革命遺産の構成資産だけではなく、県内各地の産業遺産や周辺の観光スポットに誘客を促すために、予算を使いまして平成二十七年度から特設サイトを新たに開設したところでございます。このサイトの上で、資産の魅力と価値、周辺の見どころ、食、文化、観光ルートなどを動画、ブログ、またSNSで人気の高い写真投稿アプリでありますインスタグラムや
フェイスブックを活用しまして、県内外に情報発信しているところでございます。
その効果でございますが、世界遺産の構成資産であります官営八幡製鐵所旧本事務所や遠賀川水源地ポンプ室など、それまでほとんど来訪者がなかったところにも観光客が訪れるようになったほか、サイトで紹介しております直方市の石炭記念館につきましては、平成二十八年の年間来場者が二十五年と比較して五割以上ふえ、一万人を超えているという状況でございます。また、サイトに投稿されております二万四千件以上の写真の中には、旧伊藤伝右衛門邸、嘉穂劇場、藤江氏魚楽園のほか、先ほど委員からもお話がありました香春岳、JR採銅所駅など産業遺産の関連の写真もございます。
こうしたことから、この
プロモーションを通じまして、多くの方が産業遺産の魅力を知り、実際に現地に足を運んでいただいているものと考えております。
49 ◯大島道人委員 次に、来年度は筑豊地域、特に田川市郡の観光のためにどのような事業を実施するのか、また、その効果をどのように見込んでいるのか、お尋ねします。
50
◯神代観光振興課長 炭鉱・産業革命遺産を活用した
観光プロモーションの経費をいただきまして、平成二十七年度から特設サイトを構築してまいりました。来年度、この経費について見直しをしておりますけれども、既存の
観光プロモーションの予算を活用しまして、この特設ウエブサイト、これは来年度も維持しながら、引き続き産業遺産や周辺の観光スポットの情報を発信してまいりたいと考えております。
また、これに加えまして、関係部局とも連携いたしまして、明治日本の産業革命遺産の構成資産や関連する炭鉱施設をめぐるスタンプラリー、また食、自然、名所などの田川地区の魅力を体験するツアー、こうしたものをウエブやイベント会場で紹介してまいりたいと考えております。
また、平成筑豊鉄道が運行を計画しております観光列車、これができ上がりましたら、これを組み込みました旅行商品造成に向けた働きかけも実施してまいりたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、産業遺産や列車好きはもとより、まだ筑豊を訪れていない方に実際に現地に訪れていただけるものと考えております。
51 ◯大島道人委員 先ほど佐々木委員のほうからありましたけど、今月の十一日に香春町は福岡県、九州観光推進機構と連携して、九州オルレの新しいコース、本県五つ目の筑豊・香春コースを開設しました。これには部長を初め、おそろいの課長、多くの皆さんが参加していただきました。本当にありがとうございます。熱意を感じているところでございます。
香春町は、町名の由来が豊前国風土記に記載されているように、韓国と歴史的に深いつながりがある町で、このたび開設された筑豊・香春オルレコースは、今後、田川の観光振興に十分活用できるのではないかと期待しております。そして、これを機に、田川市郡に韓国からの観光客が間違いなくふえるのではないのかと思っております。
そこで、質問いたします。昨年度、九州オルレを訪れた観光客は何万人いて、そのうち韓国の方は何万人いましたか、お尋ねいたします。
52
◯神代観光振興課長 九州観光推進機構の調査によりますと、昨年度、九州オルレを訪れた観光客は全体で約七万四千人、そのうち韓国人の方が約二万八千人と推計されております。
53 ◯大島道人委員 この貴重な資源である筑豊・香春コースを活用するためにも、国内外の多くの人に知ってもらう必要があると思いますが、情報発信に関する県のお考えをお伺いします。
54
◯神代観光振興課長 この新しいコースを国内外の方に広く知っていただくため、三月十一日のオープニングイベントに韓国のメディアや旅行会社の方を招請したところでございます。また、今月末にも同様に韓国のメディア、旅行会社の方々を招請いたしまして、情報発信してもらうとともに、旅行商品の造成につなげてまいりたいと考えております。
また、九州には二十一のオルレコースがある、これは強みだと考えております。今後、開催予定の済州のオルレフェスティバルや九州オルレフェア、こういったところでオルレコースを一体的にPRし、国内外のオルレファンはもとより、まだオルレを体験したことがない方々にも筑豊・香春コースへの参加を促し、誘客につなげてまいりたいと考えております。
55 ◯大島道人委員 実際に、この筑豊・香春コースを田川の観光振興にどのように活用していくか、お尋ねします。
56
◯神代観光振興課長 筑豊・香春コース、これは大変魅力的なコースでありまして、筑豊地域の新しい貴重な観光資源にもなり得ると考えております。
また、田川地域には英彦山、福智山といった自然、また委員もおっしゃいました四百年の歴史を誇ります上野焼、また世界の記憶に登録された山本作兵衛のコレクションや、それを収蔵しております田川市石炭歴史博物館、また田川ホルモン鍋、こういった多様な観光資源がございます。
香春町、田川郡の市町村の方々とも連携しまして、オルレコース、そしてこれらの周辺の観光資源をつなぎ、観光ルートとしてメディアに紹介する、あるいは国内外の旅行会社との商談会においてPRすることによりまして、より一層の誘客につなげてまいりたいと考えております。
57 ◯大島道人委員 炭鉱・産業革命遺産と筑豊・香春オルレコースを活用した田川観光振興についてお尋ねしましたが、最後に、田川市郡全般の観光振興について、商工部長の力強い決意をお聞かせ願います。
58
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
59
◯小島商工部長 筑豊・香春コースでございますけれども、私もオープニング当日、歩かせていただきました。実際歩いてみると、自然の中の変化に富んだ道でありますとか、韓国との交流の歴史が残る香春神社、あるいは採銅所の鉱山跡、また森林をずっと登っていくわけですけれども、その森林を抜けると一面に眺望が開ける矢山の丘、あるいはさまざまな休憩所での地元の皆さんのおもてなしなど、日本の原風景を感じる非常に魅力的なコースであると実感したところでございます。
先ほど、観光振興課長が申し上げましたとおり、この田川地域には炭鉱や産業革命関連の歴史遺産、オルレコースを初めといたしまして、自然、歴史、食など魅力ある観光資源が数多くあります。より多くの観光客の皆さんに訪れてもらうためには、これらの観光資源を生かした広域的な取り組みが重要であると考えております。
現在、田川地域では、DMO候補法人、田川広域観光協会が設立をされておりまして、広域的な観光づくりに取り組んでおられます。先日のオープニングにも、この田川市郡の首長の皆さん、あるいは県議会議員の皆さんもそろって出席をされておりまして、この田川地域全体が盛り上がっていると今感じているところでございます。
今後とも、この田川地域の各市町村、田川広域観光協会などの関係者の皆さんと連携いたしまして、田川地域の魅力をより多くの人に知ってもらい、一人でも多くの観光客に訪れていただけるよう、県も一緒になって取り組んでまいります。
60 ◯大島道人委員 終わります。(拍手)
61
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。井上博隆委員。
62 ◯井上博隆委員 おはようございます。民進党・
県政クラブ県議団の井上博隆です。
通告に基づき、家族経営の株式会社等における事業承継についてをお伺いいたします。
本県には約十四万三千社の企業があります。うち大企業は、わずかに三百五十社であり、割合としては〇・三%にもなりません。残りの九九・八%が中小企業ということになり、雇用面においても、この中小企業が全体の約八割を担っております。
今回の質問では、家族経営の中小企業が円滑に事業承継するための諸課題と県の役割についてお伺いしたいと思っております。
まず、本県には、先ほど十四万三千社の中小企業があるという話をしましたが、その形態は株式会社などの法人や個人事業主などがあると思いますが、それらの割合がどうなっているのか、お聞かせください。
63
◯中尾正幸委員長 古川中小企業振興課長。
64 ◯古川中小企業振興課長 こちらの県独自の数はないんですけど、国の調査によりますと、国全体でいきますと、株式会社や合同会社、合名会社、合資会社などの形態によって経営を行っている企業は全体の四割となっておりまして、このうち九割強を株式会社が占めております。また、一般財団、一般社団法人など会社以外の法人を組織して経営を行っている企業が一割弱となっております。残りの五割は個人事業主であります。
65 ◯井上博隆委員 五割が個人事業主で、残りの四割、そのほとんどが株式会社ということだと思いますけれども、これらの中小企業の大部分というのは家族で経営をしている、いわゆるファミリー支配の企業であると考えております。
改めて、私も身の回りを眺めてみますと、このファミリー支配の企業というのは地域に深く根差しており、ただ単に雇用確保するというだけではなくて、さまざまな地域活動を通して、陰にも陽にも地域経済の安定と発展、さらにはまちづくりにおいても大きく貢献していると認識しております。
そこで、家族や親族で経営する、特に株式会社に対して、県はどのような認識を持っていらっしゃるのか、お聞かせください。
66 ◯古川中小企業振興課長 ファミリー企業を含みます中小企業ですけれども、委員、先ほど御指摘ありますとおり、県内企業の九九・八%を占めておりまして、雇用の八割を担っておるところであり、県経済の発展と活力の原動力となっております。
株式会社は、役員の任期ですとか内部の機関設計あるいは決算の公告等、運営に当たって法律上、さまざまな制約を受けますけれども、その一方、出資者の責任が有限であって、経営者個人が負うリスクが低いこと、経営者がかわった際も許可を受けている事業の承継がスムーズであること、また株の譲渡や株主数の増加が比較的自由にできますので、事業の拡大を図りたい場合に外部から資金を調達しやすいこと、また社会的認知度も高いという利点がございます。
このようなことから、株式会社は家族や親族が安定的に中小企業を経営するための有効な手段の一つになると考えております。
67 ◯井上博隆委員 家族経営が安定的に経営を続けるために非常に有効な手段という話でありますけれども、昨今、話題になっておりますのが、黒字経営なのに仕事を廃業してしまうとか、いわゆる経営者不足という話であります。
国の調査によりますと、経営者が六十歳以上の中小企業のうち半数が後継者が決まっていない状況にあり、事業承継の準備が進んでいないということを明らかにしております。
本県における状況はどのようになっているのでしょうか。
68 ◯古川中小企業振興課長 県では昨年七月、
県内中小企業約千社に対してアンケート調査を実施いたしました。これによりますと、経営者が六十歳以上の中小企業のうち後継者が決まっていない企業は四九%に上っております。また、後継者が決まっているにもかかわらず事業承継への準備に着手をしていない企業は二六%ございます。
69 ◯井上博隆委員 今のお話ですと、国同様に県も、ほとんど進んでいないということがわかるのではないかなと思います。
そこで、今般、平成三十年度の国の税制改正において事業承継税制が拡充されております。この制度は、まさしく家族等で経営する株式会社などの法人をターゲットにした事業承継の推進を狙ったものだと感じますけれども、この制度改正について県はどのように評価をし、どのように対応していかれるのでしょうか。
70 ◯古川中小企業振興課長 国では、非上場株会社の株式等を取得しました後継者の相続税、贈与税の負担を軽減します事業承継税制につきまして、十年間の時限措置として抜本的拡充を図ることにしております。
具体的には、納税猶予の対象となります発行済議決権株式数の上限が撤廃されるとともに、相続税の納税猶予割合が八〇%から一〇〇%に拡大されるものでございます。
また、現行制度では、旧代表者一人から新代表者一人への相続、贈与のみが対象ですけれども、今後は複数の株主から複数の後継者への相続、贈与も対象となります。
こうした制度改正によりまして、特に法人化している家族経営の企業が事業承継を行う際に、後継者の税負担が大幅に軽減されまして、十年の間に事業承継を進める大きなインセンティブになると考えております。
今後、この税制改正を契機としまして、中小企業の事業承継の取り組みを促していくため、今議会において予算をお願いしておりますとおり、支援機関、金融機関、専門団体等で構成する新たなネットワークを構築し、関係機関一体となって新たな税制の情報などをしっかり伝え、
県内中小企業の事業承継を支援してまいります。
71 ◯井上博隆委員 相続等による税負担が大幅に軽減されることで、事業承継の大きなインセンティブになるという話でありましたけれども、これ実は、メリットがあればデメリットもあるということで、五年続けなくてはならないとか、あるいは雇用の八割を維持しなくてはならないとか、株はその後もずっと持ち続けなければならないとか、結構、制約もたくさんありまして、対応できる税理士などの専門家が少ないのではないかということも指摘されておりますので、県としても、しっかりと支援を行っていただきたいと思っております。
ただ、私はこの平成三十年度税制改正とあわせて、やっぱり考えておかなくてはならないことが、これがやっぱり十年という時限立法だということではないかなと思います。十年間の間に、ただ単に事業を承継させるだけではなくて、その後の事業展開が円滑になるための移行期間にしなくてはならないと考えております。
そこで、県は、中小企業の資金調達についてどのような支援を行っているのか、お聞かせください。
72 ◯古川中小企業振興課長 まず、県制度融資におきまして、事業承継を行った中小企業やその代表者向けの低利融資を来年度から新たに設けまして、事業承継に伴い費用が必要となる場合の資金繰りを支援してまいります。
また、新分野への進出や新商品の開発に取り組む企業に対しましては、経営革新支援資金による低利融資に加え、フクオカベンチャーマーケットを開催し、資金を必要とする中小企業と投資家などビジネスパートナーとのマッチングにより資金調達を支援しております。
さらに、インターネットを通じて不特定多数の人から広く資金を募るクラウドファンディングも中小企業の資金調達に有効な手段の一つであることから、こうした仕組みを紹介するセミナーを開催しまして、情報提供を行っているところであります。
73 ◯井上博隆委員 今、さまざま資金調達の方法といいますか、県の支援策というのが御紹介いただきましたけれども、これはほとんどの、実は中小企業が抱えている大きな命題ではないかと思いますけれども、今現在、中小企業は市場からの資金調達ができないという状況にあります。
例えば、中小企業の中でも規模の大きい中堅企業などは、ファミリー支配を継続するために、複数議決権株式などの種類株式を発行しているケースもあります。しかしながら、東京証券取引所などの厳しい上場基準により、実質的には上場できないというのが現状でもあります。
この複数議決権つき株式の発行は、会社法上は認められているのに、先ほど来、話しましたように、家族経営を守るという意味でも非常に有効であるにもかかわらず、どういった要件があって上場できないのか、その認識をお聞かせください。
74 ◯古川中小企業振興課長 東京証券取引所におきましては、一単元当たりの議決権数について差を設けております複数の種類株式を発行する場合、新規上場に限って、議決件数の少ないほうの株式のみの上場が認められております。その場合でも、例えば、議決権の多い株式について、その譲渡が行われるときに、議決権の少ない株式に転換される旨が定款に示されていることなどの複数の要件を充足する必要がございます。
これは、会社の支配権を創業者などに残しつつ、市場から資金を調達したい発行会社側の利益にも配慮しつつ、議決権の少ない株式を保有する株主の権利内容及びその行使が不当に制限されることがないようにする趣旨であると認識をしております。
75 ◯井上博隆委員 複数議決権株式を発行できる会社というのは、多分、中小企業の中でも中規模程度だと思います。県内でも、中規模企業というのは、企業数は一六・三%しかありませんけれども、雇用面では五三・六%ということで、やっぱり、この中規模企業に対しての支援というのが必要になってくると思いますし、これからも家族経営を守りたいという企業にとっては、この複数権株式の発行を希望する中小企業というのはあらわれると思いますけれども、その場合はどのような支援を行っていかれるのでしょうか。
76 ◯古川中小企業振興課長 複数議決権株式を発行するためには、株主総会の開催、定款の変更登記など会社法に基づく手続が必要となります。
このため、このような株式の発行を希望する中小企業に対しましては、県内四カ所に設置しております地域中小企業支援協議会におきまして相談に対応した上で、弁護士、司法書士、公認会計士など会社法に詳しい専門家を派遣して支援をしてまいります。また、必要に応じて、事業承継の専門機関でもあります事業引継ぎ支援センターとも連携をしながら支援をしてまいります。
77 ◯井上博隆委員 この複数議決権株式に関しては、是非は当然あると思うんですが、一つ提案させていただきたいんですけれども、実はアメリカでは、この複数議決権株式の上場が認められております。上場企業の約一割がその会社であって、そのほとんどがファミリー企業となっているようです。
さらに、これはきのうの日経新聞の朝刊に載っていたんですけれども、香港取引所は二月に、創業者などが議決権を多く持つ特殊な株、種類株を発行する企業に上場を認める新ルールを決定した。一月には、アジアの成長企業を呼び込みたいシンガポール取引所も種類株容認の方針を決めた。ロンドン証券取引所は、ルールが緩い国有企業向けの特別な上場区分を設けるということで、こういった流れが世界的なものになってきているのではないかなと思っております。
現行制度では、先ほど申しましたように、中小企業が資金調達をしようとした場合は融資という方法しかありませんので、これが仮に市場から資金調達をすることが可能となると、家族経営を維持しながらも資金調達を行って事業拡大することができる。しかも、その結果が、先ほど来、言っておりますように、家族経営というのは、結果として、地域の振興に物すごく寄与しておりますので、地域も盛り上がっていく。こんなにすばらしいことはないと思っております。
そこで、ファミリー企業の資金調達と円滑な事業継承のためには、将来的には、この複数議決権株式の上場基準の緩和を県として国や証券取引所に対しても働きかけるようなことをやってもよいのではないかと考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。
78 ◯古川中小企業振興課長 委員御指摘がありました複数議決権方式による株式の上場につきましては、先ほど申しましたとおり、株主側の利益と、あと会社側の利益の調整の観点も発生してまいります。
そこで、まずは上場を検討しております本県中小企業の意見をしっかりと聞いた上で、そのメリットや課題等の把握に努めてまいりたいと考えております。
79 ◯井上博隆委員 さすがに、いきなり、はい、そうですねと言えないと思いますので、ぜひとも企業の声を聞いて、企業がどうすれば自分の会社が成長できるという思いを持っていらっしゃるのかというのをぜひとも声を聞いていただきたいなと思っております。
最後に、ファミリー企業の事業承継に対してどのような支援を行っていかれるのか、部長の決意をお聞かせください。
80
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
81
◯小島商工部長 課長が先ほど来、答弁させていただいていますように、
県内中小企業の事業承継の取り組みは、まだまだ進んでいないというのが実態でございます。国の税制が大幅に改正されましたこの機を捉えまして、私ども県といたしましても、今後、積極的に中小企業の事業承継促進に取り組んでいく必要があると考えております。
ファミリー企業の事業承継でございますけれども、これにつきましては、県が新たに構築いたしますネットワークにおいて、関係機関が一体となって、新たな事業承継税制のメリット等をまずはしっかりと伝えながら支援をしてまいります。
複数議決権方式の株式発行を希望する企業に対しましては、地域中小企業支援協議会が相談に応じるとともに、公認会計士や弁護士などの専門家を派遣し、支援してまいります。
さらに、事業承継後の資金調達につきましては、制度融資やビジネスパートナーとのマッチングなど、さまざまな支援を行うことによりまして、承継後の事業展開が円滑に進むように努めてまいります。
このような取り組みによりまして、県内の中小企業の皆さんの事業承継をしっかり支援してまいります。
82 ◯井上博隆委員 ぜひとも、中小企業がこれからもっともっと元気が出るように、執行部の奮闘を期待しながら、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
83
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。川端耕一委員。
84 ◯川端耕一委員 自民党県議団の川端耕一でございます。
人間国宝を活かした観光、物産のPRについて質問させていただきます。
昨年十月、小石原焼の福島善三氏が国の重要無形文化財、いわゆる人間国宝に認定されました。工芸技術分野では、献上博多織の故、小川善三郎氏、御子息の小川規三郎氏に次いで、福岡県の歴史の中で三人目の人間国宝であります。現在、御存命の人間国宝は、工芸技術分野ではわずか全国に五十六人、そのうち二人が福岡県であり、これは大変すばらしいことであります。
一方、伝統工芸品産業は、昨今の生活様式の変化や安価な海外製品の流入等により、生産額や従業者数が減少し、大変厳しい状況であります。また、いずれの産地も後継者不足や需要の拡大などの課題を抱えていると聞きます。
本年一月の住・ひと・しごと創生調査特別委員会で私は、福島善三氏の人間国宝認定は、伝統工芸品産地にとって、後継者育成や販路開拓の大きなチャンスとなり、被災地朝倉、東峰村の復興にも生かせるとして、人間国宝をPRする必要性について指摘したところであります。
そこで、質問いたします。本県での新たな人間国宝の誕生を県としてどのように捉えているのか、お尋ねいたします。
85
◯中尾正幸委員長 中島観光政策課長。
86 ◯中島観光政策課長 本県の伝統的工芸品の一つであります東峰村に古くから伝わります小石原焼の技術が今回、国の重要無形文化財として、そして福島善三氏がその保持者、いわゆる人間国宝に認定されましたことは、県としても大変意義深いことと考えております。
また、さきの九州北部豪雨で大きな被害を受けられました中での人間国宝の誕生は、小石原焼産地、東峰村の皆さんにとりましても大きな励みになると考えております。
87 ◯川端耕一委員 それだけすばらしい人間国宝を県は観光の観点からどのように活用してきたのか、教えてください。
88 ◯中島観光政策課長 福島様の人間国宝認定につきましては、二〇一七年の県政十大ニュースとして取り上げさせていただき、広くお知らせいたしました。また、本年一月、全戸配付の県広報紙、福岡県だよりでは、小川氏と福島氏のお二人の人間国宝を御紹介いたします記事を掲載させていただきました。
委員お尋ねの、観光面で活かすという点につきましては、これまで情報発信によるPRが中心でございまして、人間国宝御自身によります直接的な取り組みというところには、まだ至っていないというところでございます。
89 ◯川端耕一委員 国においては、明日の日本を支える観光ビジョンや文化経済戦略等で、各地で守り伝えられてきた有形、無形文化財を観光振興に欠かせない貴重な資源と位置づけ、観光資源として活用していく方針を打ち出しております。
県としても、もっと人間国宝を観光資源として活用していくべきではないか、意見を聞きます。
90 ◯中島観光政策課長 献上博多織の小川様と小石原焼の福島様、お二方は福岡県のすばらしい宝であると認識しております。小川様、そして福島様がお持ちでいらっしゃいます技術のすばらしさはもとより、人間国宝を生んだ地域の風土や歴史、文化を一緒に発信して、本県工芸品の認知度、ひいてはブランド力を高めていくと、そうすることで、産地への誘客促進、本県工芸品の販売拡大にもつながっていくものと思います。
本県といたしましては、人間国宝が生まれた産地であるということを広く発信してまいりたいと考えております。
91 ◯川端耕一委員 博多織の小川氏は、博多織の技術養成学校の学長に就任されております。同校では、小川氏本人から直接講義を受けるカリキュラムもあり、生徒にとって人間国宝から直接、博多織について学ぶことができる貴重な機会となっているそうです。
例えば、一般の人を対象に、人間国宝による講演や人間国宝の作品展、工房での体験などを実施すれば、もっと伝統工芸についての理解や認識が深まり、観光にもつながり、さらには伝統工芸の道を志す人もあらわれるかもしれません。そうした取り組みも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
92 ◯中島観光政策課長 人間国宝の皆さんは、非常に長い時間をかけて努力と研さんを積み重ねてこられました。人間国宝御本人のお話や創作活動につきまして見たり、聞いたり、触れたりすることは、工芸品に対する県民や観光客の皆さんの理解促進につながるものと思います。
一方で、人間国宝の方々は現役の職人でございまして、作品づくりに加えまして、さまざまな団体の役職なども担われておりまして、大変多忙だと伺っております。小川氏、福島氏、御本人の御意向も伺いながら、今後どのような取り組みができるか、検討してまいりたいと考えております。
93 ◯川端耕一委員 十一月には、本県で伝統的工芸品の全国大会が開催される予定です。大会には、全国から産地の工芸士の皆さんが集まり、注目度も高まると思います。
全国大会でも人間国宝を活用されてはいかがでしょうか。
94 ◯中島観光政策課長 県といたしましても、ぜひ人間国宝を全国大会の中で御紹介させていただきたいと考えております。
大会の内容につきましては、現在、伝統的工芸品の産地組合、それから関係する市町村と一緒に検討を進めているところでございます。
博多織の人間国宝、小川氏は、伝統工芸士の全国組織であります日本伝統工芸士会の副会長でもありまして、全国大会の、このたびの中心人物でもあります。小川氏にも、この検討の場に参画いただいているところでございます。
具体的な取り組みにつきましては、両氏の御意見もお伺いしながら、こうした検討の場で協議してまいりたいと考えております。
95 ◯川端耕一委員 全国大会を機に、伝統工芸品産業の振興につなげていく必要があると思います。どのようにしていくのか、お尋ねいたします。
96 ◯中島観光政策課長 県といたしましては、伝統的工芸品の魅力を広く発信し、その認知度を高める大会として、また伝統工芸品の販売拡大、販路拡大につながる大会にしたいと考えております。
大会の内容につきましては、先ほど御説明申し上げました産地組合、関係市町村と一緒に検討を進めておりまして、例えば、一つには海外のバイヤー、メディアを招請した商談会、そして産地訪問、外国人目線での商品開発、県内の大学生や大川のインテリアと伝統工芸産地の共同企画、これによります新しいデザイン、商品の開発、食と工芸の連携などを行う方向で検討しております。
小石原焼からもたくさんの窯元の皆さんに参加をいただきまして、小石原の、東峰村の復興ぶりを広くお示しする大会としたいと考えております。
97 ◯川端耕一委員 最後に、人間国宝を生かした観光、物産のPRに向けた
小島商工部長の決意をお伺いします。
98
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
99
◯小島商工部長 伝統工芸品産業でございますけれども、これはそれぞれの地域に密着した生活用品を提供し、私たちの生活に潤いや豊かさを与える産業といたしまして、長い歴史の中で地域で育まれてきたものでございます。また、本県の重要な観光資源でもございます。
これまで本県では、国の重要無形文化財に久留米絣が団体認定をされております。また、献上博多織の小川氏がさらに人間国宝に認定をされていたところでございます。これに加えまして、今回、小石原焼の福島氏が加わったことは、本県の伝統的工芸品産地全体に厚みが増したということで、大変喜んでいるところでございます。
人間国宝を生んだ産地であるということを広く発信していくことは、本県の伝統工芸品の認知度やブランド力の向上にもつながります。観光面では産地への誘客促進に、また産業振興の面では伝統工芸品の販売拡大、後継者育成につながるものと考えております。
県といたしましては、十一月の伝統的工芸品全国大会を初めといたしまして、さまざまな機会を活用して、この伝統工芸品、そして人間国宝のすばらしさを発信いたしまして、本県の観光、物産の振興につなげてまいります。
100 ◯川端耕一委員 以上です。終わります。(拍手)
101
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。原竹岩海委員。
102 ◯原竹岩海委員 民進党・県政クラブの原竹でございます。
本県に係る自動車産業の振興について、確認を含めまして幾つか質問させていただきたいと存じます。
我が国の自動車産業は、少子高齢化に伴う人口減少などにより、国内需要の伸び悩み、さらにはアメリカにおけるバイアメリカン、いわゆる米国の自国製品優先購入政策の活発化など、国内における自動車産業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあると言われております。また、電動化や常時インターネットにつながるコネクテッドカーの普及、カーシェアリングの拡大など、自動車産業は現在、大きな変革期を迎えようとしておるとの内容の報道がなされております。
このような中、昨年の予算特別委員会におきまして、我が会派の今井議員が北部九州の自動車産業についてただしたことを踏まえまして、改めまして県の基幹産業でございます自動車産業の振興の取り組みについてお伺いをしたいと存じます。
その前に、委員長、執行部に、北部九州の自動車メーカーの生産台数及び生産される車の輸出割合、そのうちの北米の輸出割合、自動車関連企業数の状況がわかる資料の提出をお願い申し上げます。
103
◯中尾正幸委員長 お諮りいたします。
ただいま原竹委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
104
◯中尾正幸委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま原竹委員から要求がありました資料については提出できますか。道岡自動車産業振興室長。
105 ◯道岡自動車産業振興室長 直ちに提出いたします。
106
◯中尾正幸委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
107
◯中尾正幸委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
108
◯中尾正幸委員長 資料が配付されましたので、質疑を行ってください。
109 ◯原竹岩海委員 それでは、まず、資料の説明のほうをお願い申し上げます。
110 ◯道岡自動車産業振興室長 資料の御説明をいたします。
まず、自動車生産台数及び対全国シェアでございます。棒グラフが生産台数でございまして、北部九州の年間生産台数は堅調に推移しておりまして、平成二十六年度以降、ここ三年間増加しており、直近の平成二十八年度は百三十六万六千台と過去三番目に高い水準でございます。折れ線グラフで示しておりますのが対全国シェアで、一七%となっております。
次に、平成二十八年度の北部九州の生産車両の輸出割合でございます。生産台数全体に占める輸出の割合は約五六%、このうち北米向けは全体の約二一%となっております。
県内の自動車関連企業数につきましては、平成二十九年度調査では五百四十一社となっております。
説明は以上でございます。
111 ◯原竹岩海委員 今の説明で、生産台数や関連企業数が堅調に推移しているということは、一定理解をしたところであります。
一方、北部九州の自動車メーカーでは、輸出割合が高い状況にございます。国内自動車メーカーの現地生産が進む中、北部九州で生産する車種が海外へ生産を移管し、生産が縮小をしていくことも十分考えられるわけであります。
そのような状況にならないように、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
112 ◯道岡自動車産業振興室長 北部九州の自動車メーカーの工場は、最新鋭の設備を備えておりまして、高い競争力を有しております。近年ではダイハツグループやトヨタ九州の開発センターなど、開発設計機能の集積も進みつつあります。
北部九州の自動車産業が今後、引き続き発展していくためには、さらなる関連企業の集積を図るとともに、地元企業の開発力の強化をしまして、生産拠点としての競争力を高めることが重要と考えております。
そのため、企業の誘致を促進するとともに、自動車産業アドバイザーなどマッチング支援、あと各種の商談会の開催により地元企業の参入を促進してまいります。また、高機能部品や軽量化部品、こういった研究会の開催、あと産学官による部品開発の促進、開発人材の育成確保の支援、これらに取り組みまして、地元企業の開発力強化を図ってまいります。
113 ◯原竹岩海委員 関連企業の集積や開発力を向上させることによりまして、生産拠点としての競争力の強化を図っていくことは大変重要なことであると考えております。
そのような中、今後、安全支援機能の拡充、電動化やコネクテッドカーの普及により車の電子化はますます進みまして、電子、電装部品の割合がさらに高まっていくと予想されるところであります。
よって、この分野での関連企業の集積は大変重要になってくるわけでありますが、県としてどのような戦略を持って電子、電装分野の関連企業の集積を図っていかれるのか、具体的にお伺いします。
114 ◯道岡自動車産業振興室長 電子、電装関連企業の集積につきましては、企業の誘致、これを促進しますとともに、本県に数多く立地しております家電、あと半導体などの関連企業の参入の促進に取り組むことが重要と考えております。
このため、県では、大手電子、電装関連企業のOBをカーエレプロモーターとして、中京地区と、あと県内に各一名配置しまして、情報の収集や地元企業の掘り起こしを行いまして、取引に向けたマッチングを支援しております。また、業界の情報を提供しますセミナーの開催や国内最大のカーエレクトロニクス技術展への地元企業の出展を支援しております。
さらに、大手電子、電装部品メーカーが集積します中京地区におきまして、地元企業が出展します展示商談会を来年度開催することとしておりまして、今回、そのための予算措置をお願いしているところです。
115 ◯原竹岩海委員 電子、電装分野は、今後、大きく成長が見込まれる分野でございまして、しっかり取り組んでいただきますよう、強く要請するものであります。
次に、開発力の強化についてですが、自動車メーカーの開発拠点の集積が進みつつあるというのは理解できますが、開発力の強化のためには開発を担う人材の育成と確保が重要であると考えますが、この点についての具体的な対策についてもお伺いします。
116 ◯道岡自動車産業振興室長 今年度から、先ほど言いましたカーメーカーの開発センターと連携しまして、理工系大学生などを対象に、自動車開発の取り組みの紹介、あと開発現場の視察、あと開発者との意見交換を行うとともに、あわせて地元部品企業の魅力を紹介します開発現場視察交流会、これを開催し、開発を担う人材確保の取り組みを実施しております。また、地元企業の開発人材を育成するため、県工業技術センターなどにおいて、三次元設計などのデジタル技術活用講座を開設しております。これらの取り組みにより、開発人材の育成、確保に努めてまいります。
117 ◯原竹岩海委員 今後、大きな変革としましては、パワートレイン、内容をちょっと調べましたら、現在までのエンジンを中心に回転力をクラッチや変速機などにずっとつなげていく、こういった装置のことでございますが、当面の間は、この内燃機関、エンジンを動力源とする自動車が主流であることは間違いないと思います。
しかし、今後、EV、PHV、FCVなど電動車が予想よりも早く大きく普及していくと言われております。このため、地元の多くの自動車関連部品企業におかれましても、今後の自動車の電動化に備えました対応が今から求められておるわけであります。
その点、県としてどのような対策を考えておられるのか、お伺いします。
118 ◯道岡自動車産業振興室長 自動車の電動化が今後進展することによりまして、モーター、インバーター、電池など共通部品の需要が高まることが見込まれております。
本県では、電動化に関連する製品や技術としまして、先ほど言いましたが、電子、電装分野における地元企業の参入促進に取り組んでいるところであります。
また、今回新たに、世界各国や自動車メーカーにおける電動化の現状、あと動向について、地元企業に把握していただくとともに、電動車の共通部品の構造や材料などについて理解を深め、今後の部品の供給に備えていただくための自動車電動化部品研究会を開催するよう、今回、予算措置をお願いしているところでございます。
119 ◯原竹岩海委員 電動化に対応する取り組みについては、一定理解をしたところであります。EVへのシフトに伴い、従来のガソリン車のエンジンなど、EV化に伴い不要になる可能性がある部品を生産されておられます地元の多くの企業へ大きな影響を及ぼすことが憂慮されるところであります。
そこで、県として、これから、裾野が広いと言われております下請の部品関連企業等への影響について、調査、研究をすることが喫緊の課題だと考えますが、県の見解を求めます。
また、できる限り地元企業が電動化への部品対応へ移行できるよう、助言や指導、支援が必要と考えますが、それらの対応について具体的にお伺いします。
120 ◯道岡自動車産業振興室長 県としましては、まず、先ほど申し上げました自動車電動化部品研究会、これを開催しまして、地元部品企業の皆様にEV、PHVを初め、今後の電動化によりまして自社の部品がどうなるのか、また自社の技術で新たに参入できる分野はないのか、こういったことについて理解を深めていただきたいと考えております。この研究会の中で、参加された地元企業に対しましてヒアリングなどを行いまして、電動化による影響について把握に努めてまいりたいと思っております。
また、参加企業を初めまして、地元企業から電動化部品への参入等につきまして相談があった場合には、まずはカーエレプロモーターや自動車産業アドバイザーによる助言、県工業技術センターによる技術支援などを通じまして、しっかり対応してまいりたいと考えております。
121 ◯原竹岩海委員 現状は、世界のトヨタの社長さんがメッセージを残されておりますけれども、百年に一度の変革に自分たちは対応できるのかということでございまして、非常に危機感というものをしっかり持っておられますので、調査、研究をしっかりされるという認識で私は質問を続けたいと思います。
この変革期に備えまして、県としての新たな考えと対策については一定の理解をしたところであります。
さて、冒頭でも触れましたが、自動車産業は今後、大きな変革期を迎えるわけであります。北部九州の自動車産業が引き続き成長発展をしていくためには、その変化に備え、生産拠点としての競争力を高めて、強くしてまいる必要があると本委員会において確認をしたところであります。
それでは最後に、北部九州の自動車産業の振興につきまして、部長の決意をお伺いします。
122
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
123
◯小島商工部長 私ども、北部九州の自動車産業でございますけれども、これまでの取り組みもございまして、世界有数の生産能力を有します開発、設計から生産までを一貫して担える、そういった拠点に成長しているところでございます。
県内自動車産業の製造品の出荷額でございますけれども、約二兆九千億円、製造業全体の約三割、また従業員数で言いますと約三万人と全体の約一割を占めるなど、まさに本県の基幹産業でございます。
今後、委員も御指摘がございましたように、コネクテッドカーの普及あるいは自動運転技術、こういったものの導入あるいは電動化の進展など、自動車産業を取り巻く環境は大きく変化をしてきておりまして、この変化に対応して、さらに成長、発展していくことが、やはり私どもに課せられた重要な課題であると認識をしております。
県といたしましては、産学官連携によります部品開発、それらを担う人材の育成、確保にしっかり取り組みまして、地元企業の開発力の一層の強化を図ってまいります。
さらに、県内企業の電子、電装分野への参入促進のために電動化部品研究会、あるいは中京地区におけますカーエレクトロニクス商談会の開催などにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
124 ◯原竹岩海委員 本県に係る自動車産業の振興につきましては、これまで県と議会が一丸となって取り組んできたことは周知のところであります。本県におきまして、百五十万台を生産することを当面の目標としておりました。その結果、現在では百五十万台を大きく超えて、現在では最大の産業に成長していると言っても過言ではないと思うところであります。
しかし、現在の車社会におきまして、百年に一度の大変革と言われており、本県にも大きな影響があると予想されますので、本県のリーダーでございます知事に、そのお考えをお伺いしたいと思いますので、知事保留のお取り扱いをよろしくお願い申し上げます。
125
◯中尾正幸委員長 ただいま原竹委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。(拍手)
ほかに質疑はありませんか。平井一三委員。
126 ◯平井一三委員 自民党県議団の平井一三です。
通告に従いまして、ILC、国際リニアコライダーへの取り組みについて質問をいたします。
ILCにつきましては、これまで私も平成二十五年十一月の決算特別委員会での質問を含めて延べ四回質問に立たせていただきました。最後の質問から四年以上が経過しまして、福岡県内でも、また全国的にも話題に上ることも少なくなってきたように思っております。県庁にも、議会にも、のぼり旗がいまだに飾られておりますけれども、皆さんの記憶からはかなり薄らいできたのではないかなと思っているところであります。
久しぶりの質問なので、ILCの概要について少し述べさせていただき、質問に入りたいと思います。
ILCの研究施設は、地下の非常に強固な岩盤に掘られた全長三十一キロメートルから五十キロメートルの地下トンネルの中に設置された直線加速器で、電子と陽電子とをほぼ光の速さまで加速し、衝突させることで、宇宙誕生直後の状態を再現し、未知の粒子の発見や宇宙誕生の謎を解明することを目的としております。
全世界五カ所の建設候補地のうち、日本の脊振地域と北上地域が大変有望な候補地となっております。
スーパーコンピューター技術、医療や創薬などの生命科学、エネルギー、環境分野などで新たな産業を生み出す無限の可能性を秘めており、産官学の連携により我が国の成長の礎を築くことが可能となります。
福岡に誘致ができれば、アジアで初めての大型国際研究所となり、世界中から多くの最先端の優秀な科学者が集まり、次世代の基礎科学、技術の発展基地として、この福岡が世界の国際科学イノベーション拠点となることが期待できるものであります。
平成二十五年十一月の決算特別委員会で、当時の今村商工部長は、国へ働きかけを行っていくとともに、関係者とも連携して、全力で取り組んでいくという答弁をされました。また、小川知事からも、平成二十五年二月議会一般質問、平成二十四年十一月の決算特別委員会で、関係者一体となって、その実現にしっかりと取り組んでいくという答弁がございました。
現在、国においては、ILC有識者会議で、ILC計画実施の可否を判断するために諸課題の検討を行っているということでございますが、国の議論の進捗が見られない中、県の取り組みもどのようになっているのか、見えない状況であります。
このような中で、科学雑誌ニュートンのことしの二月号に、ILCの建設候補地が東北地方の北上山地だけであるかのような論文が東京大学の横山広美教授、カリフォルニア大学の村山斉教授の共著で掲載をされました。
私は、国は候補地はまだ決めていないと聞いておりました。このままではILCは、なし崩し的に北上になってしまうのではないかと危惧しているところであります。
そこで、ILCの現状と今後の県の取り組みについて確認をするために、今回の質問を行いたいと思うところであります。
それでは、まず初めに、確認をしておきたいと思います。ニュートン掲載の記事では、あたかも建設候補地が北上山地だけであるような論調でありましたけれども、北上山地で確定しているのでしょうか。
127
◯中尾正幸委員長 恒吉商工政策課長。
128
◯恒吉商工政策課長 ILCの国内候補地の問題でございます。
ILCの国内候補地につきましては、平成二十六年六月の参議院決算委員会におきまして、当時の下村文部科学大臣が、九州の脊振山地も手を挙げており、北上山地に確定しているわけではないと明確に答弁をなされております。一部の研究者は、北上が最適であると言っておられますけれども、国としてはまだ候補地を決めているわけではないというのが現状でございます。
129 ◯平井一三委員 まずは、建設予定地が決まっていないということで安心をいたしました。
ところで、五年前にILCの研究者で組織されましたILC立地評価会議が発表した評価結果、これがどのようなものであったか、改めて簡潔に説明をお願いしたいと思います。
130
◯恒吉商工政策課長 平成二十五年八月に発表された評価結果についてでございますけれども、これはILC計画を推進する素粒子物理の研究者で組織されているILC立地評価会議が出したものでございます。
これによりますと、脊振、北上、両候補地は、立地のための必須条件を満たす極めて良質な地質を有し、技術的な観点、社会環境基盤の観点での必須要件も基本的に充足をしていると評価をしています。しかしながら、その上で、脊振地域が強みといたします住居や交通アクセス、教育、医療機関などの社会環境基盤ではなく、技術評価に圧倒的に重きを置いた結果、ILCの国内候補地としては北上地域が最適であると評価をしているものでございます。
一方で、文部科学省からILC計画を我が国で実現することの意義等について審議依頼を受けた日本学術会議は、ILC計画の我が国における本格実施を現時点において認めることは時期尚早、ILC計画の日本での実施の可否判断に向けて解決すべき課題の検討を行う必要があるという提言を同年九月に行ったところでございます。
131 ◯平井一三委員 今、説明をいただきましたような、いろんな経過を経てきた中で、今回このような論文が掲載されたということは、素粒子物理学の学者がとにかく一日も早くILCの施設をつくりたいという、そのような思いで取り組み始めた活動の一つではないかなと思っているところであります。
最近は、福岡県におきましてもILCを話題にすることがほとんどなくなりまして、国の動向を見守るといった、そのような状況であったと思います。
この論文を見まして、私も福岡県の取り組みが気になったところでありますけれども、平成二十五年十一月の決算特別委員会の後、ILC誘致に向けて県はどのような取り組みを行ってきたかをお聞きしたいと思います。
132
◯恒吉商工政策課長 日本学術会議の提言を踏まえまして、本県といたしましては、文部科学省に対しましてILC計画についての世界のより多くの研究者がより長く研究を継続できる研究、生活環境、あるいは大学や研究機関、産業の集積による社会経済への波及効果など、国民の英知を結集した幅広い観点から総合的な調査、検討を行うよう要望活動を行ってまいりました。
加えまして、学術会議の提言を受けまして設置をされました国のILC有識者会議の議論の状況につきまして情報収集を行うとともに、文部科学省とも適宜、意見交換、情報交換等を行ってきているところでございます。
133 ◯平井一三委員 国におきましては、科学的で、かつ幅広い観点から、総合的に検討していただきたいと思っているところであります。
それでは、現在、有識者会議でどのような議論がなされているか、お聞きしたいと思います。
134
◯恒吉商工政策課長 国におきましては、先ほども申し上げましたけれども、学術会議の提言を受けまして、平成二十六年五月に有識者会議を設置いたしまして、ILCが担う科学的意義や建設コスト、それから研究者、技術者の確保、国際研究機関の体制及びマネジメントのあり方等について、さまざまな議論がなされてきております。
このような中、昨年十一月、素粒子物理の国際研究者コミュニティーが、コスト縮減のため初期建設規模を見直し、段階的に拡張していく見直し案を提案いたしました。それによりますと、トンネルの長さを三十一キロから二十キロに短縮をいたしまして、それにより建設コストは当初見込みの約一兆円から約六千億円となる見込みとなっております。この提案内容は、これまでの議論の前提が異なるということになりますため、有識者会議においては本年一月から、また改めて科学的意義あるいは建設コストの検証を開始したところでございます。
135 ◯平井一三委員 今、御説明されたように、これまでいろんな積み上げてこられた比較検討の前提条件が大きく変わるという状況になっているということであります。
改めて、この検証が行われるなど、国の結論が出るまでにはかなり長い期間をこれからも要すると思っておりますけれども、ILCの脊振の誘致に向けて、今後、県としてどのように取り組んでいくかをお聞きしたいと思います。
136
◯恒吉商工政策課長 国の有識者会議では、見直し案を受けまして、また改めて検証が行われているところでございます。そういった意味では、結論が出るまで時間を要する見込みだろうと思っております。
県といたしましては、引き続き、国の有識者会議の検討状況について情報収集等を行いますとともに、国民の英知を結集した幅広い観点からの総合的な調査、検討を行うよう、国に対し求めてまいります。
137 ◯平井一三委員 国に対して、これからもしっかりと働きかけを行っていただきたいと思います。
小島部長は、十五年の長きにわたりましてILCに携わり、誘致推進に努めてこられました。私も部長と同じ思いで、このILCの誘致を願ってきたところでありますけれども、このたび部長は晴れて退職と聞いております。大変お疲れさまでございました。これまで長きにわたりまして携わってこられた方が退職されるということは、大変残念に思っておりますけれども、最後に、ILCの脊振地域での実現に向けて、部長の思いを聞かせていただきたいと思います。
138
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
139
◯小島商工部長 ILCでございますけれども、委員御指摘のように、たまたまですけれども、継続して十五年間担当をさせていただきました。スイス、ジュネーブにあります同じような施設であります欧州原子核研究機構が、いわゆるCERNの例でございますけれども、世界の研究者やその家族数千名が居住するほか、年間約一万人の研究者や技術者が研究のために実験施設を訪れているところでございます。
ILCを担当した、その期間中に、私は小柴先生あるいは小林先生を初め、ノーベル賞を受賞された多くの研究者の皆さんに直接お会いをして話をする機会を数多く得ることができました。
ILCが実現した場合は、このCERNと同様に、こうした世界トップクラスの多くの研究者、技術者が居住すると言われておりまして、これらの研究者と住民の交流等を通じまして、アジアにおける文化、学術交流機能を備えた国際研究都市というものが形成されることになると思います。
今回、研究者の計画変更によりまして、国の有識者会議の結論が先送りをされることになったことから、ILCの実現には、さらに時間を要することになりました。私の在任中は、プロジェクトは実現しませんでしたが、引き続き長期的な視点に立って、関係者の皆さんと連携して、しっかり取り組むよう、担当者に引き継いでまいりたいと思います。
140 ◯平井一三委員 部長の思いを述べていただきました。
ILCの脊振地域への誘致は、これは福岡県民の夢でもあり、思いでもあろうと思っております。この夢は、ヒッグス粒子の解明をするのと同じぐらい難しいことかもしれないと思っていますけれども、私は可能性はあるかなと思っているところであります。
引き続き、県といたしましても、しっかりとこの誘致に向けて取り組んでいただきますことを、そして小島部長につきましては、また違った立場で応援をしていただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。以上です。(拍手)
141
◯中尾正幸委員長 この際しばらく休憩します。
再開は午後一時四十分をめどに、放送をもってお知らせします。
午 後 零 時 四 十 分 休 憩
午 後 一 時 四 十 分 再 開
142
◯中尾正幸委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
第七款商工費について、ほかに質疑はありませんか。井上博行委員。
143 ◯井上博行委員 自民党県議団の井上博行です。
昨年十二月十五日から十八日までの四日間、福岡モーターショー二〇一七が開催されましたが、全く残念なことに、会場は三施設に分かれて行われました。本県には、一堂に会して行う大規模なコンベンション施設がないからであります。三施設合計でも一万七千平米であり、開催四日間で十三万三千人の来場者でありました。ちなみに、昨年、東京ビッグサイトで開催された東京モーターショー二〇一七の規模は九万七千平米で、十日間の来場者七十七万千二百人でありました。
そこで、コンベンション、MICEについて質問をさせていただきます。
まず、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、国内外のビジネスの状況を俯瞰してみたいと思います。
現在、国内外の大きな商談は東京ビッグサイトや幕張メッセを初めとするコンベンション施設で数多く行われています。例えば、東京ビッグサイトでは、毎年三百件以上の展示会が行われ、年間で十三万社を超える出展、一千四百六十九万人のバイヤーが国内外から集まってきており、これによる契約誘発効果は年間数兆円とも言われています。
ところが、東京ビッグサイトは、東京オリンピック・パラリンピック開催の際にメディアセンターとして使用されるため、二十カ月間使用ができなくなります。使用期間の短縮や仮設展示場の設置など、一応の対策は検討されていますが、全てをカバーできる案はありません。一般社団法人日本展示会協会の試算によりますと、これにより二百三十二本の展示会の中止、売上額にして二兆円の損失とされています。
このような状況にある中で、現在の日本には代替できる施設がないというのが現状であります。また、日本最大の東京ビッグサイトでさえ、その施設規模は九万七千平米でありますが、中国には上海の四十万平米を初め、大規模なコンベンション施設が幾つもあり、大きなモーターショーを初め、世界の商談がアジアの他の国に流出している状況にあります。
福岡県は、グリーンアジア国際戦略総合特区を初め、アジアのリーダーになるべく、さまざまな施策を推進していますが、コンベンションに関してはビジネス面でおくれをとっているのではないかと考えます。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
まず、ここ五年間の福岡県と全国の国際会議の開催件数につきまして、あらかじめ執行部に資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどお願い申し上げます。
144
◯中尾正幸委員長 お諮りいたします。
ただいま井上博行委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
145
◯中尾正幸委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま井上博行委員から要求がありました資料については提出できますか。
恒吉商工政策課長。
146
◯恒吉商工政策課長 直ちに提出いたします。
147
◯中尾正幸委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
148
◯中尾正幸委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
149
◯中尾正幸委員長 資料が配付されましたので、質疑を行ってください。
150 ◯井上博行委員 それでは、この資料につきまして簡単に御説明をお願いいたします。
151
◯恒吉商工政策課長 資料でございます。本県及び全国の国際会議の開催件数につきまして、
日本政府観光局、JNTOの国際会議統計から作成をいたしたものでございます。
平成二十四年から平成二十八年にかけまして、全国が二千三百三十七件から一・三倍の三千百二十一件となっているのに対しまして、本県は三百一件から一・六倍の四百八十八件となっているところでございます。
152 ◯井上博行委員 国際会議につきましては、この五年間で大きく増加しているということはわかりました。
あわせて、展示会の県内での開催状況がわかれば教えてください。
153
◯恒吉商工政策課長 展示会の開催件数につきましては、先ほどみたいな統計数値というのはございませんけれども、福岡市のウォーターフロント地区にありますマリンメッセ福岡、福岡国際センター、福岡国際会議場の三施設における展示会の開催件数は、平成二十四年度の百七十五件から平成二十八年度が百九十八件と増加をいたしているところです。
154 ◯井上博行委員 展示会についても、福岡市の施設ではふえているようですが、こうした国際会議や展示会の開催による経済効果について、県はどのように認識しておられるか、お尋ねいたします。
155
◯恒吉商工政策課長 国際会議や大規模な展示会は、多くの来場者の皆さんが集まるということから、会場や交通機関あるいは宿泊施設、このほかにも関連産業に及ぼす経済効果は幅広いものがあります。また、来場者のアフターコンベンションでの県内回遊も期待できることから、大きな経済波及効果をもたらすものと考えております。
156 ◯井上博行委員 現在、県内にはどのようなコンベンション施設があるのか、主なものについて教えてください。
157
◯恒吉商工政策課長 県内における主なコンベンション施設でございます。福岡市には、先ほど申し上げましたけれども、ウォーターフロント地区にマリンメッセ福岡、福岡国際センター、福岡国際会議場、福岡サンパレスホテル&ホールが、また北九州市には、小倉駅新幹線口に西日本総合展示場の本館あるいは新館、それに北九州国際会議場、
AIMビルの三階展示場などがございます。
158 ◯井上博行委員 主なコンベンション施設は、福岡、北九州の両政令市を中心に立地しているようですが、特に福岡市の場合は、国際会議の開催件数がここのところずっと全国第二位となっており、まだまだ増加をしています。
中には、お断りしているようなこともあるように聞いておりますが、こうした状況にある中、国際会議や展示会を福岡で開催したいとの要望に十分応えられているのでしょうか、お答えください。
159
◯恒吉商工政策課長 具体的に、どのぐらいお断りをされているかという、お断りされている状況等について詳細を把握しているわけではございませんけれども、福岡市のウォーターフロント地区では年間四十件から五十件程度お断りするケースがあると聞き及んでいるところでございます。
160 ◯井上博行委員 国際会議や展示会の開催申し出に対し、年間四十から五十件を断っているということであれば、その経済的な損失は大きな額に上るのではないかと思います。
こうした状況の中で、今後、福岡県がアジアを代表するグローバルなコンベンションの拠点として発展していくためには、そのインフラとなる施設を新たにつくることも有益だと考えますが、県内でコンベンション施設の新設や既存施設の拡張の予定はありますか、お尋ねいたします。
161
◯恒吉商工政策課長 現在、福岡市におきましてウォーターフロント地区に展示面積五千平米程度の展示場を新たに整備する計画が進められておりまして、二〇二一年、平成三十三年四月の開館予定となってございます。
162 ◯井上博行委員 福岡市では、新たな展示場の整備が進められているということですが、冒頭申し上げましたとおり、日本にはいまだ海外の大規模な展示施設に匹敵するような施設はありません。
全国的に見て、展示場の新設や既存施設の拡張等の動きはどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
163
◯恒吉商工政策課長 日本最大の大規模展示場であります東京ビッグサイトでありますけれども、今後、現在の展示面積九万七千平米を十一万六千平米に拡張するという計画がなされております。
また、展示場の新設でございますけれども、愛知県や沖縄県で整備計画が進められているという状況でございます。
164 ◯井上博行委員 東京ビッグサイトが拡張されれば、ようやく我が国に初めて十万平米を超える展示場が誕生することになりますが、世界的に見れば十万平米を超える施設が大勢を占める中、十分な規模とは言いがたいと考えます。
平成二十六年度決算特別委員会におきまして、知事も、大規模な国際会議や展示会等を開催できるコンベンション施設は、我が国が世界、アジアの経済交流あるいは情報発信の拠点として発展していく上で重要な社会資本であるとの認識を示されています。
今から新しく施設を建設しても二〇二〇年には間に合いませんが、こうした施設は国や県、地元自治体が連携して進めていくべき問題だと思います。
前回の知事答弁を踏まえてのコンベンション施設に関する商工部長のお考えを最後にお聞かせください。
165
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
166
◯小島商工部長 国内外から多くの企業、人を呼び込みます大規模な展示会、国際会議は、大きな経済波及効果をもたらすものであります。
前回の答弁で知事が申し上げましたとおり、こうした大規模な展示会等を開催できるコンベンション施設は、我が国が世界、アジアの経済交流あるいは情報発信の拠点として発展していく上でも重要な社会資本であり、国家的な視点で戦略的に整備することが必要であると認識をしております。
こうしたことから、これまで経済産業省、国土交通省、観光庁など関係省庁の状況把握を行ってきましたが、具体的な動きは出てきておりません。それは、やはり大規模コンベンション施設につきましては、建設費、運営費といったコスト面あるいは稼働率など、さまざまな問題があるからだと考えております。
県といたしましては、大規模展示施設の整備に関する国や他地域の動向等について情報収集を行いながら、引き続き検討してまいります。
167 ◯井上博行委員 終わります。(拍手)
168
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。野原隆士委員。
169 ◯野原隆士委員 自民党県議団の野原隆士です。
私のほうから、まずは、この福岡県の制度融資とはどのようなものか、教えていただきたいと思います。
170
◯中尾正幸委員長 古川中小企業振興課長。
171 ◯古川中小企業振興課長 県制度融資は、大企業と比べて信用力の小さい中小企業の資金繰り円滑化を支援するための制度でありまして、その内容といたしましては、まず中小企業の金利負担を軽減するため預託を実施し、また中小企業の保証料負担を軽減するため保証料補填を実施し、さらに中小企業の資金調達を容易にするため保証協会の保証を付すとともに損失補償を実施しているところでございます。
172 ◯野原隆士委員 県の、この制度融資については、主に小規模事業者が利用するものであり、銀行の通常の融資より、より借りやすい制度だと思いますが、この県の行う損失補償とはどういうものでしょうか。
173 ◯古川中小企業振興課長 保証協会が代位弁済を行ったものにつきましては、信用保険制度に基づきまして、一般的に日本政策金融公庫が代位弁済額の八割を負担しております。この保険で賄えない部分が保証協会の負担となるわけでございますけれども、県制度融資につきましては、この保証協会負担分の二分の一を県が補償します。これによりまして保証協会のリスクを低減させ、保証協会のより積極的な保証を促しているところでございます。
174 ◯野原隆士委員 この福岡県信用保証協会には、どのぐらいの中小企業が利用しているのか、また、保証協会の職員は実際、中小企業の現場を見ているのでしょうか。
175 ◯古川中小企業振興課長 平成二十八年度末現在、福岡県内の中小企業約十四万三千社のうち、約六万一千社、四二・七%の企業が福岡県信用保証協会を利用しており、この利用率は全国一となっております。
また、保証協会では、企業訪問を推進しておりまして、平成二十八年度におきましては約八千件の訪問を行っております。この訪問を通じまして、中小企業の現場に触れることで、職員の審査能力向上にもつながっていると聞いております。
176 ◯野原隆士委員 中小企業が金融機関に融資を申し込んだ後に、この保証協会の承諾を得て、融資が実行されるまでにどれぐらいの期間が必要になるのでしょうか。
177 ◯古川中小企業振興課長 案件により異なりますけれども、県制度融資の場合、一般的には金融機関において一週間程度、その後、保証協会で二週間程度かかりますので、おおむね三週間程度を要すると聞いております。
178 ◯野原隆士委員 この保証協会では、審査に長い期間かけ過ぎているのではないか、あるいは最もかかっているケースではどのぐらいありますでしょうか。
179 ◯古川中小企業振興課長 保証協会では、中小企業の円滑な資金繰り支援の観点から、できるだけ迅速な審査を心がけておりますけれども、初めて利用される方や創業者などにつきましては、借り入れ側が書類の整備に時間を要するため、申し込みから保証承諾まで期間がかかる場合もございます。
平成二十九年の二月末時点の実績では、申し込みから保証承諾までの期間は、三十日を超えるものが全申し込み件数の二%、このうち六十日を超えるものは〇・〇六%となっておりまして、最も長い場合、三カ月程度かかったものもありますけれども、これらのケースは、借り入れ側の書類提出のおくれに起因するものでございまして、適切に提出をいただければ、保証協会としましては通常の場合、二週間程度で保証承諾を行うことができると聞いております。
なお、県といたしましても、特に災害発生時や年末などには保証協会に対しまして、中小企業の視点に立ち、迅速、適切な審査に努めるよう要請をしております。
180 ◯野原隆士委員 保証協会は、承諾の可否を財務状況だけで判断しているのではないでしょうか。中小企業の中には、財務内容は悪くても、高い技術や製品、サービスを持っており、資金さえあれば大きく伸びるところもあります。特に、新製品や新サービスの販路開拓のため資金が必要な企業について、保証協会はどのような方法で判断をしているでしょうか。
181 ◯古川中小企業振興課長 保証協会は、申し込み時の財務内容だけではなくて、例えば、運転資金の場合は資金の使途や金額の妥当性、設備資金の場合は増産能力や合理化の程度、あるいは販路開拓や受注計画など、さまざまな要素を考慮して保証の判断を行っております。
また、事業の実現性の高さを重視しておりまして、その判断に当たりましては、事業計画など書面だけではなくて、直接、経営者の方からお話を聞いて、さらに店舗、工場などの現地も調査した上で保証の可否を判断していると聞いております。
182 ◯野原隆士委員 それでは、ちょっと課長にお伺いいたしますが、この保証協会が毎年七月に利用者に対して実施をしているお客様アンケートは御存じでしょうか。
183 ◯古川中小企業振興課長 済みません。ちょっと、そのアンケートの結果、内容については承知しておりません。
184 ◯野原隆士委員 やはり、確かに県の関係、保証協会との関係、そういう中で、これはやはり県としても、この保証協会がどういう形で利用者に使われているのか、あるいは、そういうニーズを知っておいていただかなければいけないんですよ。
例えば、今、私のところに、これは昨年の七月、お客様アンケートの取りまとめというのがあるんです。これは、信用保証協会が平成二十九年の七月十九日から八月四日まで、これをやっております。そして、この中で、当協会を御利用になる際、どのようなサービスを望みますか、あるいはどのようなサービスがあれば保証つき融資をより利用しやすいですか。これを見ていくと、必要なときに迅速に融資が受けられる商品あるいは金利の低い商品、そういったことがこのアンケートによって出ているんですよね。そういうことを何で県のほうで理解をしていないかなんですよ。
あるいは、これはもう毎年やっているんです。そして、これはおもしろいことに、信用保証協会のアンケートというのは全国どこでもやっているんですよね。これ、中身を見ていくと、ほとんど今言ったようなことと変わりがないようなことなんですけれども、より、この動向がよくわかるんですよ。こういったこともわかっていただかなければいけないと私は思っておるんですが、確かに、国が策定した指針では、県は協会の個別取引に関しての仲裁、こういったことに関してはできないとなっていますが、中小企業振興という立場から、高い技術あるいは製品、サービスを持つ企業について、県としても融資を受けられるよう、何らかの支援をすべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
185
◯中尾正幸委員長 永吉新事業支援課長。
186 ◯永吉新事業支援課長 本県では、企業の技術力、経営力を総合的に評価し、経営の強みを明確にする評価書、これは福岡県中小企業技術・経営力評価制度に基づく評価書でございますが、これを作成しております。
この評価書は、経営戦略の策定や経営改善の起点となるほか、融資のための補完資料としても活用が可能であることから、円滑な資金調達のための支援の手法の一つになるものと考えております。
このような制度を有する都道府県は、本県以外に兵庫県と広島県しかなく、先駆的な制度だと考えておるところでございます。
ただし、企業の現状を精緻に把握し、分析するために、相談を受けてから評価書の発行まで二、三カ月かかっており、緊急を要する資金需要には対応しにくいという性格がございます。
187 ◯野原隆士委員 それでは、この評価書発行の実績はどのようになっていますでしょうか。
188 ◯永吉新事業支援課長 県で行っている、この評価制度は、平成二十六年度から開始いたしまして、平成二十八年度までの三年間で六十四件の評価書を発行しております。
189 ◯野原隆士委員 それでは、この評価書の発行による融資実績はどのようになっていますでしょうか。
190 ◯永吉新事業支援課長 平成二十六年度から三年間での融資実績は合計で十六社、二十七件となっております。年度別には、二十六年度が七社、十三件、二十七年度が八社、十一件、二十八年度が一社、三件となっております。
191 ◯野原隆士委員 それでは、この平成二十八年度の融資実績が少ない理由は何でしょうか。
192 ◯永吉新事業支援課長 平成二十八年度から経営革新計画の実行支援として、経営戦略の強化等に活用していただくということに力を入れたことにより、資金需要の少ない企業の利用がふえたということ、また、手数料、これは二十八年度から手数料を取るようにしているんですけれども、この企業負担の発生と経営革新計画の実行支援策としての位置づけの厳格化が金融機関にとって、この制度を顧客企業に勧めにくくなった状況になったことも要因の一つではないかと考えているところでございます。
193 ◯野原隆士委員 そうしますと、平成二十八年度からの手数料の企業負担が必要となったわけですが、なぜでしょうか。また、その金額は幾らでしょうか。
194 ◯永吉新事業支援課長 先ほど申し上げました他県の事例、同様の制度を有している他県が先行して制度をやっていたわけでございますけれども、そちらのほうが企業のほうに手数料の負担を求めていたことから、これに合わせて見直しを行ったものでございます。
また、手数料の額は、一件当たり必要な評価費用、これは二十一万六千円かかります。その三分の一の七万二千円を企業に負担いただくこととしております。
195 ◯野原隆士委員 そうすると、企業に負担を求めることによって、この制度が利用しづらくなるとは思わなかったのでしょうか。
196 ◯永吉新事業支援課長 料金負担を検討する際に、他県の状況や金融機関、制度を利用していただいた企業の話を聞き、決定したものですが、結果的に資金需要の高い企業の利用が減ったことになっております。
197 ◯野原隆士委員 全体的な状況はそうかもしれませんが、高い技術力を持ちながら、融資を受けられない個別案件もあるのも事実です。中小企業が利用しやすいように、再度、制度を見直すべきではないでしょうか。
198 ◯永吉新事業支援課長 先ほども申し上げましたように、この評価書は融資のための補完資料として資金調達のための支援の一つになると考えておりますが、一方で、この制度は評価に時間を要することから、直ちに資金を必要とする場合にあっては不向きであるという欠点もございます。
このようなことから、今後、中小企業の皆様や金融機関、信用保証協会の意見も伺いながら、この評価制度の見直しを検討していきたいと考えております。
199 ◯野原隆士委員 だからこそ、先ほど言いましたように、このアンケート調査、こういうのをやっぱりしっかり見ていただきたいんですよ。やっぱり、何度も言いますけれども、必要なときに迅速な融資が受けられる。評価制度、確かに、ある意味いいのかもしれませんが、これは時間がかかるわけですよね。
そしてまた、お金がない業者にとってみては七万二千円という大金も払わなければいけない。それで、ついつい敬遠をしてしまうということも考えられるのだろうと私は思っております。
そういう中で、保証協会は法に基づき認可された団体であり、そして中小企業をサポートする重要な役割を担っているわけです。特に、平成二十八年の七月には、信用保証協会に求められる役割についてということで、中小企業庁が今後の信用保証協会、どういう形でやっていくんだ、こういうこともきちっと出しているわけですね。
そういう中で、先ほど言いましたように、やっぱり評価制度は県が実施するものですから、利用しやすいように制度を変えていく、あるいは本制度の見直しを含めて、中小企業の資金調達の円滑化のためについて部長のほうのお答えをいただきたいと思います。
200
◯中尾正幸委員長 小島商工部長。
201
◯小島商工部長 先ほど委員のほうからもお話がございましたけれども、国が保証協会を監督するに当たって策定しました指針によりますと、県は協会の個別取引に関し仲裁等は行うことはできないこととなってございます。
県といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、損失補償の実施等により、保証協会のより積極的な保証を促しております。また、保証協会に対しましては、引き続き、中小企業の視点に立ち、迅速、適切な審査に努めるよう要請をしてまいります。
さらに、福岡県中小企業技術・経営力評価制度につきましては、中小企業の皆様や金融機関、信用保証協会の意見も伺いながら、この評価制度の見直しを検討いたします。
202 ◯野原隆士委員 部長のほうから、そういう答弁をいただきましたので、あえて、これ以上追及はしていきませんが、池井戸潤さんという作家がいます。この方は、最近のヒット作では「陸王」、あるいは「下町ロケット」、いずれも中小企業をテーマにしているんですね。そして、その中で出てくる話は、銀行の貸し渋り、あるいは貸し剥がし、そういった問題。技術力はあるんだけれども、お金が入ってこない、借りられない。最終的には、探索をして、そしてヒット商品を出していくという作品なんですけれども、やはり、この中小企業というのは、まさにその状況だろうと思います。私の知っている方も、やはり起業したときにお金が非常になかった。そういう中で、融資をしてくれた銀行を今もメーンバンクにしているわけですけれども、そういう支えがあってこそ中小企業というのは大きく伸びてくるんだろうと思います。
先ほども言いましたように、このことについては、やはり商工部もきちっと中小企業の振興と言っている以上は、信用保証協会に全部を任せてるという、そういう部分もありますが、先ほど言ったように、どういうニーズのものが望まれているのか、そういったことも、やはり詳しく知っていただきたいと私は思います。
そういう意味では、この本制度の見直しを含め、中小企業の資金調達の円滑化について知事にお伺いをしたいと思っておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
203
◯中尾正幸委員長 ただいま野原委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
204 ◯野原隆士委員 ありがとうございました。(拍手)
205
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
206
◯中尾正幸委員長 ないようですので、以上で原竹委員、野原委員の知事保留質疑を残し、第七款商工費に関する質疑を終わります。
〔正副委員長交代〕
207 ◯原田博史副委員長 次に、第八款県土整備費について順次説明を求めます。山本県土整備部長。
208 ◯山本県土整備部長 それでは、八款県土整備費のうち県土整備部所管分について御説明をいたします。
平成三十年度予算に関する説明書の二百八十九ページをお願いいたします。
一項県土整備企画費でございます。県土整備部所管分の主なものは、一目県土整備総務費の右側説明欄の一番下、建設技術情報センター運営費でございます。これは建設技術情報センターの運営管理費に要する経費でございます。一目県土整備総務費二十四億四千三百万円余と二百九十ページの二目土木出張所費六百万円余、これらを合わせまして二十四億四千九百万円余をお願いしております。
ページが飛びまして、二百九十五ページをお願いいたします。
二項道路橋りょう費でございます。その主なものは、二百九十九ページの三目道路新設改良費の右側説明欄の上から三番目、道路改良費でございます。これは道路の改良等を行うものでございます。合計は、三百一ページになりますが、五百九十九億六千百万円余をお願いしております。
引き続きまして、三項河川海岸費でございます。その主なものは、三百三ページの二目河川改良費の右側説明欄、三百四ページになりますが、上から四番目、河川改修費でございます。これは河川の掘削や護岸整備等を行うものでございます。合計は、三百六ページになりますが、四百三十二億二千四百万円余をお願いしております。
引き続きまして、四項港湾費でございます。その主なものは、三百八ページの二目港湾建設費の右側説明欄の上から二番目、港湾局部改良事業費でございます。これは港湾の岸壁改良等の整備を行うものでございます。合計は三十三億三千六百万円余をお願いしております。
ページが飛びまして、三百十七ページをお願いいたします。
七項県営埠頭施設整備運営事業費でございます。これは県営埠頭施設の整備、運営などに要する経費について、特別会計へ繰り出すもので、十三億五千八百万円余をお願いしております。
三百十八ページをお願いいたします。
八項水資源対策費でございます。その主なものは、三百十九ページの二目水道整備費の右側説明欄の一番下、水道施設耐震化等促進費でございます。これは水道施設の耐震化等を行う水道事業者等に対し、事業費の一部を補助するものでございます。合計は五十八億五千六百万円余をお願いしております。
県土整備部所管分の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
209 ◯原田博史副委員長 中尾建築都市部長。
210 ◯中尾建築都市部長 それでは、八款県土整備費のうち建築都市部所管分について御説明をいたします。
お手元の平成三十年度予算に関する説明書の二百九十一ページをお願いいたします。
まず、一項県土整備企画費のうち建築都市部所管分は、三目建築総務費から二百九十五ページの五目建築指導費までの、合計で十六億四千四百万円余をお願いしております。その主なものにつきましては人件費などの管理費でございます。
三百九ページをお願いいたします。
五項都市計画費でございます。その主なものは、三百十一ページに飛びまして、三目街路事業費の説明欄の上から一つ目でございます街路事業費、次の三百十二ページの四目公園費の説明欄の上から一つ目でございます都市公園施設費でございます。総額は三百十四ページの計の欄に記載をしております。百九十六億五千六百万円余をお願いしております。
引き続き、三百十四ページの六項住宅費でございます。その主なものは、三百十五ページの二目住宅建設費の説明欄の上から二つ目、公営住宅建設費でございます。総額は三百十七ページになります。計の欄に記載をしておりますとおり、七十五億一千八百万円余をお願いしております。
建築都市部所管分につきましては、以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
211 ◯原田博史副委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんでしょうか。大島道人委員。
212 ◯大島道人委員 自民党県議団の大島でございます。
通告に従って、河川堤防の維持管理について質問いたします。
昨年の九州北部豪雨では、田川地域においても河川や道路が甚大な被害に遭いましたが、速やかに田川県土整備事務所、全所を挙げて被害箇所の災害査定を完了し、既に全ての災害工事の発注を終えたと聞いております。県土整備部を初め、県関係部局の迅速な対応に深く感謝を申し上げますとともに、一日でも早い復旧を目指して、引き続き努力していただきますようお願いをいたします。
昨年のような記録的な豪雨による河川の護岸等が被災するのは防ぎようのないことかと思いますが、適切に維持管理することにより、危険な状態をあらかじめ回避することができるのではないでしょうか。
平成二十八年に田川地区の舗装された河川堤防道路で、表面上は異常がなかったですけど、地下に空洞があったため、軽トラックが通行した際に道路が陥没し、軽トラックが落ち込むという事故が発生しております。
そこで、質問いたします。県が管理する河川の数、延長及び維持管理予算はどれくらいあるのでしょうか。
213 ◯原田博史副委員長 松原河川課長。
214 ◯松原河川課長 県が管理します河川数ですが、三百三十四河川、延長は千九百十四キロであります。維持管理予算のほうは、平成二十九年度当初予算で約十一億円となっております。
215 ◯大島道人委員 全長で約千九百キロという膨大な河川の維持管理で、先ほどの軽トラックの事故のように、表面上は異常がなかったと、しかし、地下に空洞があるというような異常を発見するために、日ごろどのような管理をしているのでしょうか。
216 ◯松原河川課長 日ごろの河川管理についてでございますが、県土整備事務所の職員が直接、堤防道路や護岸等の異常を目視で点検をしており、変状の発生原因が不明な場合、また、より詳細な調査が必要となる場合などは、必要に応じましてコンサルタントに調査を委託しております。また、定期的に写真撮影を行いまして、河川内の土砂の堆積、川底の洗掘状況の把握などを行っております。
217 ◯大島道人委員 職員の方が目視で点検したり、コンサルタントに調査委託されるということでございますけど、先ほどの平成二十八年の堤防道路陥没事故は何が原因で発生したと考えられるか、お願いします。
218 ◯松原河川課長 陥没事故の原因についてでございますが、調査をいたしました結果、梅雨時期の増水や経年劣化の影響で川底が洗掘をされ、その影響で護岸の基礎と川底にすき間ができまして、そこから堤防の土砂が川に流出し、堤防の内部に空洞ができたことによりまして堤防道路が陥没したものというものでありました。
219 ◯大島道人委員 事故を未然に防ぐためには、護岸の基礎と川底にすき間があるかどうか、河川の中に入り調査する必要があり、これを職員が全て行うということは困難かと思いますので、専門のコンサルタントに委託して点検を行う必要があると考えますが、どう思いますか。
220 ◯松原河川課長 護岸の基礎と川底のすき間というのは、水深が著しく深い箇所などは特に、職員による目視点検では難しい場合もございます。しかしながら、全ての河川の点検をコンサルタント等に委託するとなると、かなりの費用も必要となってまいりますので、まずは職員の目視点検で堤防の変状を確認いたしまして、変状の発生原因が不明な場合とか、先ほども申しましたが、より詳細な調査が必要となる場合などは調査を委託しておるところでございます。
221 ◯大島道人委員 河川堤防の点検状況はわかりました。
次に、道路の異常を発見するために日ごろどのような管理をされているのか、質問したいと思います。
昨年の予算特別委員会で質問いたしましたが、平成二十五年度から路面下における空洞調査をしていると聞いておりますが、空洞調査というのは実際どのようになされているのか、お聞きします。
222 ◯原田博史副委員長 松延道路維持課長。
223 ◯松延道路維持課長 お答えいたします。
まず、道路の管理でございますが、県では交通量に応じた頻度で道路パトロール車による定期的な巡視を行っております。
次に、路面下の空洞調査でございますが、緊急輸送道路などを中心に調査を実施しております。具体の調査方法は、路面空洞探査車と呼ばれる特殊な車が電磁波を照射しながら走りまして、路面から深さ約一・五メートル程度の範囲の探査データをとります。そうして得られたデータから、空洞発生の可能性がある箇所を抽出しております。その位置や大きさから陥没の危険度が高いと評価されたところについて、実際に現地で穴をあけまして、空洞があるのか、ないのかを特定しております。空洞があれば、速やかに補修を行っております。以上でございます。
224 ◯大島道人委員 道路における巡視及び空洞調査方法はわかりましたが、県道になっている河川堤防はどのような管理がなされているのか、お尋ねします。
225 ◯松原河川課長 県道になっている河川堤防につきましては、河川管理者の目視による点検に加えまして、舗装面は道路管理者も定期的に巡視をしております。
226 ◯大島道人委員 河川管理者、道路管理者が堤防点検をされているようですが、現に河川堤防内部に空洞化による事故が発生している状況において、何らかの調査及び対策が必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
227 ◯松原河川課長 河川堤防を良好な状態に保つ上で、適切な維持管理の必要性は認識をしているところであります。
そこで、堤防や護岸などの変状把握における職員の点検スキルの向上を図るため、災害の事例や経年劣化のメカニズムを学習する研修を今年度から実施しておるところでございます。それにあわせまして、破堤した場合に被害が広域となります、いわゆる築堤区間につきましては、事が起こってから対処いたします事後保全の維持管理から、損傷や劣化が進行する前に適切な対策を行う予防保全を強化するということのために、コンサルタント委託も視野に入れた点検方法についても検討してまいりたいと考えております。
228 ◯大島道人委員 平成三十年度の当初予算で災害復旧予算は約二百二十七億円計上され、また補正予算を加えますと約九百四十億円になります。被災地の皆様が一日でも早くもとの生活に戻られるよう、県全部局を挙げて全力で復旧、復興に取り組んでおられますことに深く感謝をいたします。
しかし、河川堤防内部の空洞化による事故が発生している状況において、早急に何らかの対策が必要ではないかと思います。河川堤防の維持管理に対する県土整備部長の決意をお聞かせ願います。
229 ◯原田博史副委員長 山本県土整備部長。
230 ◯山本県土整備部長 道路、河川などの社会資本につきましては、整備の後に長きにわたりまして利用者の方に安全、安心に御利用いただくためには、必要なタイミングで適時適切な維持管理を行っていくことが重要だと思っております。
委員御指摘の河川の堤防道路につきましては、河川の管理のために設けられたものが多いわけでございますけれども、実態としまして、地域の住民の方にも御利用いただく形態になっているものも多く存在をしているところでございます。
こうした箇所につきましては、先ほど委員が御指摘あった陥没事故が今後発生しないように、先ほど課長から答弁を申し上げましたけれども、日常的に実施をしております点検の強化、あるいはさらに効率的な点検の方法を行ってまいりたいと思っております。
県としましては、先ほど委員からも被災地の一日も早い復旧に向けて全力で取り組むようにというお話もありましたけれども、被災地の復旧、復興に向けて全力を挙げて取り組んでいく、これは当然のことでございますけれども、被災地以外のインフラの整備の進捗、あるいは先ほど御指摘がありました適切な維持管理に支障がないように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
231 ◯大島道人委員 終わります。(拍手)
232 ◯原田博史副委員長 ほかに質疑はありませんか。大田京子委員。
233 ◯大田京子委員 民進党・
県政クラブ県議団の大田京子です。
通告に従い、県営公園における受動喫煙について質問をいたします。愛煙家の皆様には、ちょっと聞き苦しい、居心地の悪い時間になるかとは思いますが、そんなに質問もございませんので、しばしおつき合いいただければと思います。
まず、二〇〇三年五月に健康増進法が施行され、受動喫煙の防止が初めて明記されました。また、二〇二〇年、オリンピック、パラリンピックを控えているわけですが、国際オリンピック委員会、IOCとWHOが一九八八年の冬季大会以降、たばこのない生活や社会を目指すたばこフリー宣言をしていることもあり、政府は今月九日、受動喫煙対策の強化を盛り込んだ健康増進法の改正案を閣議決定しております。
本県においても二〇一九年、ラグビーワールドカップを目前に控えており、受動喫煙対策は待ったなしの状況です。
今回の健康増進法改正案骨子では、子供や患者が主たる利用者となる施設や屋外について受動喫煙対策を一層徹底するとされております。
そこで、初めに、多くの子供が利用する県営公園において喫煙に対する規制がどうなっているのか、お聞きいたします。
234 ◯原田博史副委員長 堀之内公園街路課長。
235 ◯堀之内公園街路課長 県内に県営公園九つございますが、その九公園のうち、宿泊サービスを実施している筑後広域公園の公園の宿を除く体育館やプールなど、建物内は全て禁煙としております。
建物以外のオープンスペースにつきましては、健康増進法において受動喫煙防止の規制対象外ではありますが、たばこのポイ捨て防止や歩きたばこによる事故を防止するため、喫煙者に対しまして灰皿設置場所での喫煙をお願いしているところでございます。
236 ◯大田京子委員 本県の状況はわかりましたが、オープンスペース、いわゆる野外においては喫煙ができる場所があるということです。公園を利用する人にとっては受動喫煙のおそれがあるということになります。
他の都道府県営において公園全体を禁煙にしているところはないのか、把握されていればお答えください。
237 ◯堀之内公園街路課長 他県を調査しました結果、茨城県の弘道館公園が公園内に国の重要文化財があること、それから高知県ののいち動物公園が動物園であること、それから愛知県のあいち健康の森公園が保健医療をテーマとしているとのことから全面禁煙としておりまして、全部で三公園ございました。
なお、管理する公園を全て統一的に禁煙としている都道府県はございませんでした。本県同様、多くは喫煙場所を指定しまして、それ以外の場所では禁煙としているとのことでございました。
238 ◯大田京子委員 全面禁煙している公園が三個あるということがわかりました。ただ、管理する公園全てを禁煙にしている都道府県がないということでありました。
であるならば、本県が他県に先駆けて、受動喫煙による健康被害を防止するために県営公園を全て禁煙にする先駆的な取り組み、先進的な取り組みをすべきと考えますが、いかがでしょうか。
239 ◯堀之内公園街路課長 受動喫煙防止につきましては、現在、国において健康増進法の改正の中で、さまざまな議論がされていると聞いております。私ども公園管理者としましては、その動向を注視してまいりたいと考えております。
240 ◯大田京子委員 国の動向を注視するという大変消極的な答弁でございました。
冒頭に述べたように、今回、健康増進法改正案骨子では、子供や患者が主たる利用者となる施設において、野外についても受動喫煙対策を一層徹底するとされております。
公園には、小さな子供が多く集まり、歩きたばこによるけがややけど、危険性、そして捨てられた吸い殻の誤飲の事故なども危惧されます。
県営公園において、子供に対する対策が現在どうなっているのか、お答えください。
241 ◯堀之内公園街路課長 遊具が置かれているような子供の利用が多いエリア周辺においては、灰皿を設置しないなど配慮を行っております。また、指定管理者が灰皿設置場所以外での喫煙者を見かけた場合は注意をし、指導しております。
242 ◯大田京子委員 子供の利用が多いエリアでは灰皿を設置しないということでしたが、最近ではポケッタブルの灰皿を持ち歩く方も多くいらっしゃいます。灰皿を設置していないということが喫煙をしないということになるとは思えません。
また、指定管理者の方がマナー違反を見つけたら指導しているとおっしゃいましたが、県営公園のように広い公園では限界があると思われます。例えば、お花見でにぎわう西公園を例に挙げますと、園内全域を一名体制で一回以上巡回となっております。あれだけ広い領域の部分を一名で一回以上という規定だけでは、十分注意できるとは思えません。せめて、子供への配慮のために、児童公園エリア周辺では喫煙をしないことを明確に示したり、子供が中心となるようなイベントにおいて、主催者に対し禁煙を求めるなど、現時点でできることをすべきと考えますが、いかがでしょうか。
243 ◯堀之内公園街路課長 公園利用者の安全を確保するため、マナー違反者に対する指導は引き続き実施をしてまいります。
また、喫煙マナーを守っていただくために、一部の公園には既に注意喚起等の看板を設置しておりますが、児童公園周辺など特に必要性が高い箇所につきましては、新たに設置をしてまいります。また、子供が主体となるイベントにつきましては、子供に対する安全のため、主催者に対しイベントにおける禁煙を求めてまいります。
244 ◯大田京子委員 ありがとうございます。注意喚起の看板を新たに設置していただくということ、そして子供が主体となるイベントの主催者に対しては禁煙を求めていくとの答弁をいただきました。
しかしながら、当初申し上げましたとおり、もともとは県営公園自体を禁煙にすべきという私の考えもございます。
改めて、最後に、部長に問いたいと思います。県営公園における受動喫煙防止対策について、部長のお考え、そして決意をお聞かせください。
245 ◯原田博史副委員長 中尾建築都市部長。
246 ◯中尾建築都市部長 望まない受動喫煙の防止を図ること、これは大変重要だと思っております。また、御指摘のあったように、健康への影響が大きい子供の安全を守ること、これも大変重要でございます。
このため、課長も答弁いたしましたように、公園内におけますマナー違反者への指導を引き続き実施いたします。また、児童公園周辺の必要な場所への喫煙マナーに関する注意喚起看板等の設置、また子供が主体となるイベントにつきましては、主催者に対しましてイベント時の禁煙、これを求めていきたいと考えております。
公園は、全ての利用者の憩いの場でございますので、このような取り組みを通じまして、たばこを吸う方、吸わない方、共存できるような、そういった環境づくりに努めてまいりたいと思います。
247 ◯大田京子委員 終わります。(拍手)
248 ◯原田博史副委員長 ほかに質疑はありませんか。浜崎達也委員。
249 ◯浜崎達也委員 先ほど、大田委員が受動喫煙のことございましたが、私も今後、さらにルールを守って、たばこを吸っていこうと決意したところでございます。
では、早速質問に入りたいと思います。
福岡県の水道ビジョンについてお尋ねをしたいと思います。
先日、五ケ山ダムの竣工式に参加しました。主催者の日ごろの行いがいいのか、晴天ですばらしい気候のもと開催をされました。那珂川町、福岡市南区、博多区、中央区と流れる那珂川の上流にできた五ケ山ダムは、九年前の中国・九州北部豪雨の際の南畑ダムの危機を思い浮かべれば、完成が感慨もひとしおでございました。
さて、本県の福岡都市圏は、昭和五十三年、平成六年と大渇水に見舞われ、約三十日にも及ぶ制限給水を余儀なくされました。その原因は、本県の降水量の少なさと福岡都市圏の一級河川のない中での発展が最大の要因であります。
そこで、福岡県ウォータープランを作成し、渇水対策に取り組んでおられ、筑後川からの導水、これは本当に県南の皆様に大変お世話になっておりますが、海水淡水化など水源開発を行ってきたところでございます。おかげさまで、最近では渇水対策本部も設置する機会も激減しているところでございます。
そこで、まずお尋ねしますが、今年度完成した伊良原、五ケ山ダムで本県の水源開発は終了したのか、まずお聞きします。
250 ◯原田博史副委員長 江崎水資源対策課長。
251 ◯江崎水資源対策課長 現在、本県において計画されていますダムによる水資源開発は、水資源機構が整備しております平成三十一年度完成予定の小石原川ダムをもって終了することとなります。
252 ◯浜崎達也委員 残すところ、では、小石原川ダムで渇水対策といいましょうか、のプランは終了ということでいいですね。安心しました。
次に、本題に入りますが、社会経済活動を行っていく上で、一日といえども欠くことができないのが水道事業でございます。将来にわたり健全に存続させていくためには水道の広域化が有効な手段とも考えますが、まずは本県水道事業の広域化の検討状況について説明をいただきます。
253 ◯原田博史副委員長 田島水道整備室長。
254 ◯田島水道整備室長 県では、平成二十七年度に国が示した手順に沿って、第一ステップとして、広域化に関する今後の課題、他の先行事例及びその効果について情報を共有することを目的に、ブロックごとの検討会を延べ十二回開催し、水道施設の更新費用の確保など、その課題が明らかになったところであります。
この検討結果を踏まえて、第二ステップとして、平成二十八年度には三十一事業者に対し延べ二十一回、今年度は四十事業者に対して延べ十四回の協議を行い、事業者間の事業統合や業務連携のあり方などについて、より具体的に検討するよう促してきたところであります。
こうした中、田川地域においては、田川地区水道企業団とその構成団体である田川市、川崎町、糸田町及び福智町の一市三町は、平成三十一年度の統合を目指して具体的な検討が行われ、今後、覚書の締結、水道事業認可等、統合に向けて必要な手続を進めていく予定であります。
255 ◯浜崎達也委員 今、説明ございましたけれども、田川地域一市三町の広域化に向けた取り組み、これは非常に私も評価しているところでございます。
もう一つ、それでは、新規事業、水道事業基盤強化広域化支援費の概要についても説明をお願いします。
256 ◯田島水道整備室長 新規事業であります水道事業基盤強化広域化支援事業は、県が水道事業の基盤強化、広域化に取り組む水道事業者を支援することを目的とし、事業の内容は、水道の広域的整備や災害に強い水道など、福岡県水道の将来のあり方を示す福岡県水道ビジョンを平成三十年度に策定いたします。それから、水道の広域化に向けての協議会を開催し、水道事業者に広域化への取り組みを促していきます。そして、水道の広域化に取り組む水道事業者が行う水道施設台帳整備事業について、その事業費の三分の一を百万円を限度として補助いたします。こういった取り組みを行いたいと思います。
257 ◯浜崎達也委員 今、答弁ございました。この水道ビジョン、平成三十年度中に策定するという説明でございましたけれども、それでは、この中身ですね、水道ビジョンがどういうものか、もう一回説明をお願いします。
258 ◯田島水道整備室長 水道ビジョンは、本県水道の現状と課題を明らかにし、水道の将来の理想像を明示するとともに、取り組みの目指すべき方向性やその実現方策、関係者の役割分担を提示するものであり、県内の水道事業者を初めとする水道関係者が一丸となって広域化に連携しつつ、さまざまな取り組みに挑戦できる体制を整備し、将来にわたって持続可能な水道の供給基盤を確立できるよう取り組むことを目的としております。
具体的な内容については、新年度に検討することとなりますが、策定の趣旨、地勢、人口などの概況、水道の施設数、普及状況等、水道の現況、地勢等の諸条件を考慮した圏域の区分、水道の課題とその分析、将来に向けた水道の理想像の設定とその実現に向けた取り組みの方向性などの項目について記載することとなると考えております。
259 ◯浜崎達也委員 懇切丁寧に今、説明いただきました。今、水道ビジョンの目的というところで、県内の水道事業者を初めとする水道関係者が一丸となって広域的に連携しつつ、さまざまな取り組みに挑戦できる体制を整備し、将来にわたって持続可能な水道の供給基盤を確立できるように取り組むということでございますが、ちょっと話題変わりますけれども、関連して、今、ちょうど、この福岡地域で二月十七日に重立った新聞が一斉に掲載した記事がございました。春日那珂川水道企業団の盗水問題の解決まで残すところあと二年だという記事でございました。非常に私もびっくりしたところでございますが、この件についての本県の姿勢をお聞きしたい。
260 ◯田島水道整備室長 春日那珂川水道企業団による違法取水問題については、平成三十二年三月までに企業団が恒久的な代替水源を確保することになっております。企業団は、みずからの責任において恒久水源の確保に向け、あらゆる方策を検討し、取り組んでいるところであります。
県としては、企業団の恒久水源確保策の進捗状況を随時確認し、期限内に確保できるよう、適切な助言、指導に努めてまいります。
261 ◯浜崎達也委員 今、答弁ございましたけれども、一つ、期限内に確保できるよう適切な助言、指導に努めていくということでございました。非常に、今までいろんな県の答弁聞いていまして、指導まで突っ込んだというのは、まれに見るような気がしております。
今回、水源確保が今非常に喫緊の課題なんですけれども、極めてナーバスで、またデリケートな問題であると私は思います。水利権者を説得するには大変に時間と粘りの強さが必要であると認識しています。あと二年で決着つけるためにも、スピード感を持って県が取り組んでいただきたい。これを指摘しておきます。
次に進みます。
委員長、ここで資料請求をさせていただきたいんですが、一つは水道の全体像、もう一つは都道府県別平均水道料金、この資料をお願いしたいと思います。
262 ◯原田博史副委員長 お諮りいたします。
ただいま浜崎委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
263 ◯原田博史副委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま浜崎委員から要求がありました資料につきましては提出できますでしょうか。
264 ◯田島水道整備室長 直ちに提出できます。
265 ◯原田博史副委員長 資料を正副委員長に確認をさせてください。
〔資料確認〕
266 ◯原田博史副委員長 事務局は資料を配付してください。お願いいたします。
〔資料配付〕
267 ◯原田博史副委員長 資料が配付されましたので、浜崎委員、質疑を行ってください。
268 ◯浜崎達也委員 今、資料を請求した分の水道の全体像、それから水道料金でございますが、私自身がお願いしたんですが、水道の全体像って、なかなか、水道というのは、水というのは難しい、なかなか一般的にわかりにくいので、こういう表をつくっていただきましたので、簡単にこの資料の説明を求めます。
269 ◯田島水道整備室長 資料一ページの水道の全体像についてでございます。
水道用水は、右上、赤点線枠内の河川、ダム、井戸などを水源としております。水源から取水された原水は、水道用水供給事業者により浄水場で不純物の除去や殺菌などの処理を行って、安全な水道水となります。水道水は、中ほどの緑枠の水道事業者に卸売され、下段に表示する各世帯に届けられます。また、水道事業者みずからが浄水場で浄水処理を行って各世帯に水道水を供給することもあります。
水道用水供給事業者の例としては、福岡地区水道企業団などがあります。水道事業者には、一番左側のように、全ての水の供給を用水供給事業者から受けている事業者、例としては県内でいえば筑前町などがあります。また、左から二番目、三番目のように、用水供給事業者から水の供給を受けるとともに、みずからも浄水処理を行っている事業者、例としては春日那珂川水道企業団、福岡市などがあります。そして、一番右側のように、みずからの浄水場で全て浄水処理を行っている事業者、例としては添田町や東京都水道局などがあります。
恐れ入りますが、次のページをお願いします。
都道府県別平均水道料金についてでございます。都道府県別平均水道料金は、都道府県ごとに算出した水道料金の平均を表にあらわしたものであります。左側の表は、府や県がみずから用水供給事業を行っている府県を料金が安い順に並べたもの、右側の表は、都道府県が用水供給事業を行っておらず、企業団方式を採用している都道府県を料金が安い順に並べたものであります。右側の表の下のほうに全国の平均を記載しております。また、参考として、用水供給事業は行っておりませんが、水道事業者として末端給水を行っている東京都の水道料金を記載しております。
説明は以上でございます。
270 ◯浜崎達也委員 今、御説明いただきました。私のほうから一つは、都道府県別の平均水道料金の中で、左側の今、説明がございましたけれども、これは全部、全県挙げてやっているところと、一部が企業団方式とまぜてやっているところの分も、この左側には入っているということでもございました。右側に関しては、福岡県と同じようなやり方でございます。
平均しますと、水道料金というのは余り、思ったほど変わらないんですが、極端な例で、私は東京都の水道料金二千三百四十円、福岡が右側の十九番目にございますが、三千六百五十三円、これが県の平均ですから、安いところも当然ございますけれども、四千円を超えるところもあると。そういうことで、福岡県が県営に踏み切らなくて今に至っておりますけれども、そのことも踏まえて、ちょっとこの表をつくっていただいたところでございます。
その上で、今度、用水事業と都営、県営の企業団方式とのこの二つの違い、大きな違いは何でしょうか。
271 ◯田島水道整備室長 県営方式につきましては、県がみずからダムなどの水源からつくった水道水を末端給水事業者である市町村等に卸売する事業を行うものであります。
これに対しまして企業団方式は、末端給水事業者である市町村等が構成員となって企業団を設立し、ダムなどの水源からつくった水道水を末端給水事業者である市町村等に卸売する事業を行うものであります。
272 ◯浜崎達也委員 今の答弁で、先ほど私も述べましたけれども、水道料金に関して、今後、この水道ビジョンの中で、人口減少、さまざまなことで水道管の布設の建てかえといいますか、建てかえとか、さまざま含んで水道料金にそれがはね返ってくる。そういう中で広域化するというのが今回の趣旨だと思いますけれども、今後のことを踏まえて、最後にちょっと部長にお聞きしたいんですけれども、県下の水道事業者が、いわゆる安定的に水道事業を行われるように、水道の広域化の推進と水道事業の基盤強化を進めていく必要があると私自身も考えます。一方で、国のほうでは、今国会で水道法改正案が提出され、まだ通っておりませんが、水道事業者の連携推進等に関する都道府県の責務が強化される内容となっていると聞いております。
今まで、なかなか、先ほど申し上げましたように、三十年ぐらい前にも県営にしたらどうかという議論も若干あったとも聞き及んでいますけれども、そういう中での、今、本県の立ち位置でございます。県としての今後の取り組み方針について、部長のお考えをお聞きしたいと思います。
273 ◯原田博史副委員長 山本県土整備部長。
274 ◯山本県土整備部長 水道の広域化についての県の取り組み方針についてでございますが、委員御指摘のように、今後、地域によりましては人口が減少いたしまして、水道料金の収入、これが増加が余り期待できないという中で、水道施設については高度成長期にかなりたくさんの施設を整備しております。それの更新費用、こういった老朽化対策、こういったものも的確に行っていかないといけないわけでございます。
将来にわたりまして持続的、安定的に水道を供給していくということをするためには、水道事業の経営基盤の強化が必要でございまして、広域化は有効な方法の一つであると認識をしております。
課長からも先ほど答弁をさせていただきましたが、広域的な調整を行う県といたしましては、これまでも水道事業者間の広域的な連携、そういった取り組みを促すために、検討会等を設置して、取り組みをしてきたわけでございます。田川の例もございますけれども、田川地区で具体的に田川地区水道企業団の構成団体であります一市三町、これが経営統合を目指すことになったところでもございます。
さらに、来年度からは県といたしまして、こういった水道事業の広域化に向けた取り組みを一層支援を強化をしていくということで、水道ビジョンの策定でありますとか、広域化に向けての協議会の開催、こういったものを行うこととしております。これに要する経費について今議会でその予算措置をお願いしているところでもございます。
また、国会で現在上程をされております水道法の改正、これについてもお触れになられましたけれども、この中で都道府県の責務が今回、明確化されております。都道府県は、水道事業者間の広域的な連携、これを推進するように努めなければならないとされているところでもございます。
県といたしましては、今後とも、先ほど述べましたような取り組みを通じまして、田川地区で具体の取り組みが始まりつつあるわけでございますけれども、これを契機といたしまして、広域化に向けた動きが他の地区にも広がっていくように、水道事業者への積極的な助言あるいは支援を通じまして、広域的連携を推進する県としての責務をしっかり果たしてまいりたいと考えております。
275 ◯浜崎達也委員 今、部長からも答弁いただきましたけれども、この水道ビジョンというのは、先々五十年を見据えたとかも聞いております。それにまた短期、中期、長期と、その中でのビジョンになろうかと思います。これはぜひ小川県知事にお尋ねしたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。
276 ◯原田博史副委員長 ただいま浜崎委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
277 ◯浜崎達也委員 ありがとうございました。(拍手)
278 ◯原田博史副委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。
279 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
引き続いて、水資源問題についてお尋ねをいたします。
水資源開発と市町村への影響について伺います。
我が党はこれまで、過大な需要予測に基づくダム建設について厳しく批判をしてきました。先日、伊良原ダム、五ケ山ダムの竣工式が行われ、小石原川ダムについても来年完成の見込みであると聞いております。供用開始に当たって、今でも高い水道料金がさらに押し上げられ、県民負担が重くなることを危惧しております。
二〇一三年、平成二十五年策定の国の新水道ビジョンでは、平成二十五年現在、水道を取り巻く状況は、水道ビジョンを公表した九年前や改定した五年前とは大きく変化しましたとし、今後の人口の減少傾向は確定的であり、このことは水道にとって給水人口や給水量も減少し続けることを意味しますと指摘。二〇六〇年には水需要動向は現在よりも四割も減少すると予測をしています。
県も新年度中に水道ビジョンを策定するということですが、今後の給水人口や給水量についてはどのような見通しを持っておられますか。
280 ◯原田博史副委員長 田島水道整備室長。
281 ◯田島水道整備室長 県全体で見ますと、給水人口は年々増加しておりますが、年間給水量は増減を繰り返しながら一定の水準で推移しております。
これを水道広域圏ごとに比較してみますと、福岡地区及び筑後地区においては、給水人口の増加に伴い年間給水量も増加しているところであります。北九州地区及び筑豊地区については、給水人口が減少しており、年間給水量も減少しております。
今後につきましては、福岡地区では人口や観光入り込み客の増加、商業施設の立地等による経済活動の拡大が期待されていること、京築地域では今年度完成する伊良原ダムにより、筑豊地区では平成三十一年度完成予定の小石原川ダムにより給水区域の拡大が見込まれることなどから、これらの地域では給水人口、年間給水量ともに増加していくと考えております。
282 ◯高瀬菜穂子委員 地域によっては減少していると、ダムの建設によってふえるという見込みも言われていますが、今後、増加していくというのは国の予測とも異なると思います。
福岡県の第四次ウォータープランは、基準年が平成五年、目標年次は平成二十二年で、平成三十二年を見通してつくられました。この需要予測に基づく水資源計画でダム計画が進められ、さらに西方沖地震の後、ウォータープランとは別に、北九州と福岡を結ぶ北部福岡緊急連絡管、日量五万トンも開発され、福岡市では海水淡水化施設、日量五万トンも開発されました。
平成十五年と十八年の二回にわたって水需要予測は下方修正が行われましたが、ダム計画はわずかの見直しで、五ケ山、伊良原、小石原川の巨大三ダムについては全く見直されませんでした。国が人口減に備えよと言っている中で、本県では三つのダムで日量十万三千百六十万トンの新たな水供給が始まるわけです。
さて、伊良原ダムが完成をしまして、田川地区においては、この四月から供用開始となります。田川地区水道企業団からの配分水量は、日量一万四千七百トンであったものが二万五千七百トンとなります。トン当たりの供給単価はどう変わりましたか。また、構成団体の費用負担はどうなりますか。
283 ◯田島水道整備室長 田川地区水道企業団から構成団体への水の供給単価は現在、消費税抜きでトン当たり九十六円であり、伊良原ダムからの取水が始まる平成三十年度は税抜き六十五円になります。
供給単価は下がることになりますが、田川地区水道企業団からの配分水量が増加することに伴い、構成団体が支払う供給料金の額は、構成団体合計で約一億二百万円増加することになります。
しかしながら、一方で、各構成団体においては伊良原ダムからの良質な水の供給がふえることや、これに伴い不安定な自己水源を廃止することにより、水道水をつくるために必要な合理化、廃止施設に係る維持管理費用、浄水場運転のための電気代、浄水のために必要な薬品代、水道水源の検査費用などの経費が不要となり、メリットが生じると考えられます。
このようなことから、現時点では構成団体の費用負担が増大すると一概には言えないと考えております。
〔正副委員長交代〕
284
◯中尾正幸委員長 高瀬委員。
285 ◯高瀬菜穂子委員 長い御答弁、ありがとうございました。
単価は下がったけれども、結局、構成団体の合計で一億二百万円増加するということになるわけですよね。田川地区では、水質の問題もあったわけですが、伊良原ダムができれば水が安くなると、そういう宣伝がしきりに行われておりまして、私、何度も質問を受けたことがありますが、安くなるのは単価であって、構成団体の費用負担はふえるということだと思います。
その費用ですけれども、どのような形で負担するのでしょうか。
286 ◯田島水道整備室長 水道事業が独立採算制をとっていることから、費用負担については、その増減にかかわらず、経費として経営に伴う収入をもって充てるものと考えます。
287 ◯高瀬菜穂子委員 企業団への支払い増加に加え、老朽化した水道管のつけかえなど、費用負担は増大します。結局、独立採算ですから、水道料金にはね返るということになるのではないでしょうか。
京築地区水道企業団は、来年四月に伊良原ダムの水の供用開始とお聞きしました。行橋市の場合は、現在、日量千九百トンが倍の三千八百トンになります。行橋市の現在の受水費は約一億三千万円ですが、来年四月からはその倍の二億六千万円になると言っています。
京築地区水道企業団の単価は、現在、トン当たり税抜きで百七十八円です。来年度以降の単価は未定であると聞きました。田川と同じように下がるのではないかと、私、直接、企業団にお聞きしましたけれども、下がっても百円までは下がらないというお答えでした。同じ伊良原ダムの水なのに、田川地区水道企業団はトン当たり六十五円で、京築地区水道企業団はトン当たり百円以上というのは余りにも差があって、市町村間で不公平感は否めません。
国の新水道ビジョンにおいては、近隣水道事業者の料金格差の是正が課題とされています。県としても、今後の課題にしていただきたいと思います。
さらに、みやこ町は、現在の日量五百トンから三千七十トンに受水量がふえます。単価が、例えば、百三十円に下がったとしても、その費用負担は現在の約三千五百万円から一億五千万円、四倍以上にはね上がるということになります。みやこ町の人口は約二万人で、世帯数は七千五百世帯ですが、現在の給水人口八千五百七人ということから考えて、給水人口が倍になったとしても四倍の受水費用を水道料金で賄うというのは相当負担がかかるのではないかと思います。
こうした市町村の費用負担の増大について、県はどのように受けとめられるでしょうか。
288 ◯田島水道整備室長 京築地区水道企業団が伊良原ダムからの取水を開始した後の構成団体の負担については、構成団体は京築地区水道企業団からの配分水量がふえることになるものの、供給単価は今後、企業団において検討、決定されるものであり、現時点では未定であること、構成団体には水道普及率が低い団体があり、ダム完成後の安定的な水の供給が開始されることで普及率が向上し、料金収入の増大が見込まれること、自前で水道水を製造するために必要であった薬品代などの経費が今後不要となる効果が見込まれることなどから、現時点では構成団体の費用負担が増大すると一概には言えないと考えています。
289 ◯高瀬菜穂子委員 本当にそうなるでしょうか。今後も費用負担については注視していきたいと思います。
私が最も深刻だと思うのは、うきは市です。うきは市は、県南広域水道企業団にまだ参加していませんが、水資源機構のアロケによる建設負担金について、二〇〇二年、平成十四年に同意をしており、小石原川ダムから日量五千七百四十トンを受水することになっています。建設負担金二十四億円の支払いは再来年、二〇二〇年から始まるということです。
ところが、うきは市は現在、簡易水道が市全体の一割を占めているものの、上水道はなく、九割は井戸水に頼っています。今後、小石原川ダムから受水しようと思えば、水道管敷設事業を一から始めなければなりません。市民アンケートでは、上水道にすぐつなぐという世帯は六・九%にすぎず、併用しながらが二〇・六%、今の水が使用できなくなればという方が三一・九%、全く考えていないが三三・五%にも上ります。
私ども県議団は、うきは市から聞き取りを行いましたが、独自の浄水場の建設は、財政力もなく、できない。水道管の工事には、最短でも五、六年はかかる。しかも、上水道を希望する世帯が少ない。現在、地下水についての総合的な調査が行われていますが、再来年から供用開始になるのに、水道計画が立っていない状況です。
再来年、小石原川ダムが完成し、水の供用開始となると、県南広域水道企業団に参加して、日量五千七百四十トンの水を責任水量として費用負担することになるのでしょうか。
290
◯中尾正幸委員長 江崎水資源対策課長。
291 ◯江崎水資源対策課長 うきは市の費用負担についてですけれども、小石原川ダム建設時に、うきは市、そして県南広域水道企業団は、それぞれの必要水量に応じて水源開発に参画しておるため、ダムの建設費と完成後の施設管理費を建設アロケ、これは費用負担の割り当てのことでございますけれども、これに応じて負担することになります。これは、企業団への参加の有無、また水の利用の有無にかかわらず負担が生じるということになります。
292 ◯高瀬菜穂子委員 つまり、建設の負担も、水の負担も発生するということなんですよね。水道管自体がないんですよね。五千七百四十トンの水は、もらうこともできないし、どこにも持っていきようがないんですよ。それなのに莫大な建設費と受水費を払わなくてはならないというのは余りにも矛盾しているのではないでしょうか。うきは市の財政規模は、二〇一六年決算で約百六十二億円です。水道事業計画は二百八十三億円もかかるということです。
私は、これまで市町村の需要予測が過大ではないか、水の需要予測とともに、そう言ってきました。今後、費用負担に耐えられない自治体が出てくるのではないかと申し上げてきました。しかし、その私の想定を超える深刻な事態がうきは市で起こっているわけですよ。
このような深刻な事態になったことについては、県はどのような認識をお持ちでしょうか。水源開発と水道整備事業に責任を持つ県として、一緒になって問題解決のために動くべきだと思いますが、県の見解を伺います。
293 ◯江崎水資源対策課長 うきは市は、安全、安心かつ安定的な水道事業の導入に向けて、小石原川ダムにその水源を求め、ダム建設事業に参画し、平成十七年に建設費用の負担に同意しております。
うきは市としては、地下水の枯渇や汚染等のリスクに備え、水道事業の導入は必要と認識しておりまして、そのための検討を現在進めていると聞いております。
水道事業は、将来にわたり安定的に経営が成り立つか否かの判断が必要なことから、水道事業者みずからが地域の実情を踏まえて議会の議決を経て、事業計画を策定するものであります。安全、安心な水道水を地域に安定的に供給していくことが重要であると、こういう観点から、県としましては、うきは市が速やかに住民の理解を得た上で水道事業を早期に開始することを期待しております。
294 ◯高瀬菜穂子委員 うきは市の責任のように聞こえますが、県がウォータープランをつくり、水源開発を主導してきた経緯を考えたときに、市町村が水道事業で困難を抱えている場合には、県が真摯に解決のための手だてを考えるべきであると思います。
給水実績と配分水量に大きな乖離が生じた際には、配分水量の見直しなどを行えるようにすべきではないかと考えますが、県の見解をお聞きします。
295 ◯田島水道整備室長 ウォータープランは、県全体の水受給の見通しを示すとともに、水資源の開発、保全及び利用に関する基本的方向を明らかにするため策定されたものであります。
各水道事業者は、ウォータープランを参考としつつも、それぞれの地域の開発計画、人口動態等を踏まえ、独自に水道事業計画を策定しております。そして、水道企業団から構成団体である各水道事業者への配分水量は、各水道事業者の事業計画に基づいて構成団体の合意を得て企業団の条例で定められるものであります。この配分水量について、その後の社会経済動向の変化や市町村の給水量の需要動向により見直しが必要な場合は、まずは関係市町村で協議を行い、水道企業団の構成団体の合意を得て決定されるものと考えます。
296 ◯高瀬菜穂子委員 水道企業団の構成団体の合意で見直しの可能性があるということだと思います。
福岡地区水道企業団では、大山ダムが完成した後、筑後川水系の利水安全度を高めるためとして、構成団体の配分水量を見直しました。この配分水量の見直しというのは、容易ではないと思いますけれども、全く不可能ではないと思います。広域的な水利用を担う県がこうした観点を持って開発した水による市町村の負担を軽減する方向が今後、必要になるのではないかと思います。市町村の現状を聞くとともに、その解決について国とも協議をしていただきたいと思います。
最後に、部長に見解を伺います。
297
◯中尾正幸委員長 山本県土整備部長。
298 ◯山本県土整備部長 配分水量の見直しについてでございます。
先ほど、室長のほうから御答弁申し上げましたけれども、この配分水量につきまして、決まっているものをその後の社会経済状況の変化でありますとか市町村の給水の需要動向、こういったものを踏まえて見直しが必要な場合、これはまず、関係水道事業者間で協議を行っていただいて、水道企業団の構成団体の合意を得て決定されていくということになります。
県といたしましては、市町村あるいは水道企業団から要請があった場合には、広域的な調整を担う立場から、必要に応じて助言を、あるいは調整を行っていくという対応になると考えております。
299 ◯高瀬菜穂子委員 助言や調整を必要に応じて行うという御答弁ですね。ありがとうございます。
これは水受給計画が本当によかったのかということが問われていると思うんですね。我が党はこれまで、ダム開発に頼らず、工業用水の転用や広域的な水利用を行うべきだと主張してきました。例えば、北部福岡緊急連絡管事業については積極推進しました。これは北九州市の工業用水を浄水に転用し、福岡に送れるようにしたものです。日量五万トンの水を供給しています。その総事業費はわずかに百八十五億円。これに対して小石原川ダムの総工費は約十倍以上の千九百六十億円、開発する水量は日量五万六千百六十トンですから、緊急連絡管と変わりがないです。
水道法の第一条には、正常にして豊富、低廉な水の供給を図りとありますよね。ダム先にありきの水源開発で、市町村に大きな費用負担をかけ、低廉な水供給ができない事態になっていることを反省すべきと思います。広域的な水利用を本気で進めていたならば、全く使っていない工業用水などがほかにもありました。とても残念です。しかし、既にダムがつくられ、水の供給が始まるというところに来ていますから、市町村の状況をよくつかみ、御答弁にありましたように、助言や調整を行っていただきたいということ、強く申し上げまして、質問を終わります。
300
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。十中大雅委員。
301 ◯十中大雅委員 自民党県議団の十中であります。
通告に従いまして質問を行わせていただきます。
筑後広域公園についてお尋ねをいたします。
昨年十月の決算特別委員会において、我が会派の栗原渉議員の質問に対しまして建築都市部長より、筑後船小屋駅から一望できるエリアについて整備を進めているという答弁がありました。平成十七年七月に筑後広域公園スポーツゾーンが開園、また平成二十三年三月には公園に囲まれた場所に新幹線と在来線の駅が開業し、平成二十五年四月には待望の九州芸文館が開館をいたしました。さらに、平成二十八年三月には公園に隣接してホークスベースボールパーク筑後が開設されるなど、筑後船小屋駅を中心として県民の皆様の健康づくりの場、観光の拠点、文化の拠点、そしてスポーツを通した交流の拠点として、拠点化が進んでいくことが強く期待をされているエリアであります。
その駅前に新たなエリアが供給されると、さらに相乗効果が期待されるところでありますが、このエリアの整備状況はいかがになっておるのか、お伺いをいたします。
302
◯中尾正幸委員長 堀之内公園街路課長。
303 ◯堀之内公園街路課長 筑後船小屋駅前から一望できるエリアにつきましては、四季折々の花や木が楽しめる広場やカキツバタ・ショウブ園、それから筑後地域の景観の重要な要素ともなっております茶畑などの整備を進めております。おおむね整備は完了しておりまして、来月には供用開始できる見込みとなっております。
304 ◯十中大雅委員 美しい花々や筑後地域にふさわしい景観が多くの県民の皆様に親しまれ、また筑後に来たくなるようなエリアとなっていくことを大いに期待しているところでございます。
さて、駅前のエリアの完成が見えてきたところで気になりますのは、国道二〇九より上流の矢部川の河川敷に計画をされております環境学習エリアの整備であります。
決算特別委員会において、新たに環境学習エリアの整備方針を策定するための庁内組織として、筑後広域公園環境学習エリア整備方針検討会議を設置したということでありました。その設置された会議においてどのような検討がなされているのか、現状をお聞かせください。
305 ◯堀之内公園街路課長 地域振興、観光、法規制に関係する庁内の部署から成る検討会議におきまして、民間活力の導入を踏まえた地域振興や観光に資する公園施設について検討を進めております。具体に、河川敷に設置可能な施設を選別していくとともに、その施設ごとに民間活力の導入の可能性を整理しているところでございます。
このエリアは、矢部川の河川区域内にありまして、一部が天然記念物、船小屋ゲンジボタル発生地にも指定されておりまして、これらの法規制をクリアすることが公園の整備方針を決定するための大前提であることから、検討会議での議論と並行しまして、現在、国の関係機関と協議をしているところでございます。
306 ◯十中大雅委員 私も県土整備委員長を経験させていただいておりましたので、平地と河川区域内では扱ういろいろな条件等が制約があって難しいということは十分承知をいたしております。
矢部川の河川協議ということであれば、もちろん国土交通省の筑後川河川事務所との協議であろうと思っておりますが、具体的にはどのような協議がなされているのでしょうか。
307 ◯堀之内公園街路課長 委員が触れられましたとおり、矢部川につきましては国土交通省九州地方整備局筑後川河川事務所が管理をしておりまして、環境学習エリアは全域が矢部川の河川区域内にございまして、河川法によりまして、工作物の設置や土地の形状の変更、これらにつきましては河川管理者の許可が必要となっております。
現在、河川敷内の公園整備に際しまして、治水上の影響や占有につきまして協議を進めているところでございます。
308 ◯十中大雅委員 河川の協議については、今、御説明をいただきましたので、理解をいたしました。
それでは、もう一つの協議であります天然記念物、これもさまざまな手続があろうかと思います。これは、国のどの機関と協議を行い、そしてどのような協議が行われているのか、また、どこまで進んでいるのか、お答えいただきたいと思います。
309 ◯堀之内公園街路課長 天然記念物に指定されております土地において、工作物の設置、あるいは土地の形状の変更や記念物に影響のある行為、これらを行う場合は、文化財保護法によりまして、文化審議会への諮問を経て、文化庁の許可を受けることが必要となっております。
現在、検討会議のメンバーである文化財保護課の協力も得ながら、公園として整備できるよう文化庁と協議を進めているところでございます。
文化庁からは、計画地域内に蛍の保全に資するような施設を一部設けることなどの具体な助言をいただいておりまして、蛍の生息場所となるような水路の新設やその構造について協議を行っているところでございます。これにつきましては、筑後川河川事務所とも協議を行っております。
310 ◯十中大雅委員 協議や対応はわかりました。
しかし、これはやはり実現をどうしていくのかというのが私は最重要な点であろうと思います。環境学習エリアとして計画されているエリアのうち、矢部川の左岸にある部分については、おおむね大半の用地買収が終わっていると思いますが、右岸についてはいまだ事業認可すら取得はされていないと聞いております。
早期に整備の方針を定めて、事業の進捗を図るべきだと考えておりますが、この三十年度新予算の中でどのように取り組んでいくおつもりなのか、お知らせをいただきたいと思います。
311 ◯堀之内公園街路課長 引き続き、現在行っております関係機関との協議を進めるとともに、民間事業者への意向調査による導入の可能性を把握しまして、検討会議において導入する施設の絞り込みを進め、整備方針を策定してまいります。また、新年度はこれと並行しまして、用地買収に必要な事業認可に向けまして、地形測量や用地測量を行ってまいります。
312 ◯十中大雅委員 筑後広域公園は、筑後地域で唯一の県営公園であるということは十分承知してあると思いますが、ここは地域の皆さんのみならず、県民の皆様が何度も訪れていただく憩いの交流の場になる、そういう中で環境学習エリアを早期に立ち上げていただくことが私は重要だと今訴えておるつもりであります。
昨年の都市公園法の改正によりまして、民間の知見やノウハウを活用できる、いわゆるパークPFI制度が新たに設けられたこと、さきの決算特別委員会において、県として未整備の環境学習エリアの整備方針をまとめるに当たっては、民間活力の導入についても十分に検討してまいるという趣旨の部長答弁もあったやに聞いております。
このことを踏まえても、事業の進捗を図ることが急務であるということは、もう言わなくてもわかってあると思います。しかし、平成三十年から用地取得のために、先ほど課長が説明をされました、地形の測量や用地の測量、県として行うということでありますが、これは、では、いつまで、その測量を終えて、用地取得が完了できるのでしょうか。この未整備エリアの事業完了目標を含めて、今後、どのようにスケジュールを示していかれるのか、部長の見解をお聞きいたします。
313
◯中尾正幸委員長 中尾建築都市部長。
314 ◯中尾建築都市部長 事業のスケジュールについてでございます。課長が申し上げましたが、現在、検討会議の議論も踏まえまして、民間活力の導入手法、またさまざまな法規制への対応について整理を行い、関係機関との協議を進めているところでございます。
文化庁からは、具体的な助言もいただいており、新たな整備方針の策定に向け検討を進めてまいっております。
用地取得の完了時期につきましては、地権者との交渉が必要となります。現時点では、その時期につきまして明確にはできませんが、まずは事業着手に向けて、新年度、整備方針をしっかりと固めてまいりたいと思っております。また、翌年度には、スケジュールを含めました事業計画を策定させていただきまして、早期に事業認可を取得したいと考えております。
このエリアは、筑後広域公園が平成七年に工事を着手させていただいております。最後に整備をするエリアということになっておりまして、地元の期待も大変大きいということでございます。できるだけ早期に事業認可をとりまして、取り組みを加速してまいりたいと考えております。また、事業認可取得後には、速やかに用地の買収に着手できますよう、来年度、新年度ですね、用地測量の実施をすることとしております。
事業完了の目標でございますけれども、事業計画を策定いたします中で、その完了時期について検討してまいりたいと思います。
環境学習エリアの整備につきましては、委員の御指摘にもありましたけれども、多くの県民に親しまれ、何度も訪れていただける公園となりますように、今後も着実に事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。
315 ◯十中大雅委員 部長、言ってあることはわかりますし、言葉の上では加速をしていきたいという答弁もいただきました。しかし、全く昨年から、私は、県のやる気がきょうの答弁では見えてこない。もうちょっと明確なスケジュール等を示していただかなければ、私はここで質問を終わるわけにはまいりませんので、委員長にはお計らいをいただきたいと思いますが、ちょっと調整をしていただけませんか。今の答弁では、私、これ以上、質問を続けることもできませんし、これでは納得いきませんので、質問を終われません。よろしくお取り計らいをお願いいたします。
316
◯中尾正幸委員長 理事の方は委員長席のところまでお集まり願います。各委員は、このままお待ち願います。
〔理事集合〕
〔理事協議〕
317
◯中尾正幸委員長 議事の都合により、この際しばらく休憩します。
再開は放送をもってお知らせいたします。
午 後 三 時 三 十 四 分 休 憩
午 後 五 時 三 十 四 分 再 開
318
◯中尾正幸委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
執行部より発言の申し出があっておりますので、これを許可いたします。
319 ◯中尾建築都市部長 先ほどは十中委員の御質問に対しまして不十分な答弁をいたしまして、委員会の御審議に停滞を生じさせたことにつきまして深くおわびを申し上げます。
320
◯中尾正幸委員長 十中委員、質疑を続けてください。
321 ◯十中大雅委員 先ほどの中尾部長の答弁は、私は大変期待をいたしておりましたけれども、前向きな御答弁がいただけなかったということでありますけれども、今、陳謝をしていただきました。これから先は、より実効性の高い事業着手に向けて、しっかり取り組んでいただきたい。
そこで、改めて部長の決意をお聞かせください。お願いします。
322 ◯中尾建築都市部長 環境学習エリアは、未着手のまま長年残されたエリアとなっております。このため、新たな住民ニーズを酌み取って、今の時代にマッチをいたしました事業計画を策定し、早急に事業に着手できるように、事業認可の早期取得、用地買収の着手に向けて全力で取り組んでまいります。
323 ◯十中大雅委員 今、決意のように、しっかりと取り組んでいただきますように期待をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
324
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。野田稔子委員。
325 ◯野田稔子委員 お疲れさまでございます。民進党・
県政クラブ県議団の野田稔子です。本日の最後の質問者として、しっかりと問うてみたいと思っています。
通告に従い、河川における災害復旧工事について質問します。
昨年の六月末に地元から、二〇一二年九州北部豪雨災害から五年もたつが、いまだ河川の復旧工事が手つかずで終わっていないが、どうなっているのかとの御相談を受けました。私はすぐに現地調査を行うとともに、八女県土整備事務所にも確認したところ、やはり完成に至っていない箇所があるとのことでした。
そこで、私が御相談を受けた箇所以外でも、そのような箇所はあるのでしょうか。これまでの状況を含め、御説明ください。
326
◯中尾正幸委員長 松原河川課長。
327 ◯松原河川課長 二〇一二年の災害で、国により採択を受けました改良復旧事業は、今年度末、間もなくでございますが、全て完了する見込みでございます。
また、原形復旧箇所は県内で三百三十八カ所全てで既に工事が完成をしております。
また、災害復旧事業を国に申請する基準を満たさずに県単独費で取り組んでいる箇所におきまして、これまで百五十カ所について完成をいたしておりますが、完成に至っていない箇所もございます。
328 ◯野田稔子委員 災害復旧事業を国に申請する基準を満たさず、県単独費で取り組んでいる箇所において、完成に至っていない箇所があることはわかりました。
それでは、どれくらいあるのでしょうか、お答えください。
329 ◯松原河川課長 災害復旧事業の基準は百二十万円以上となっておりますけれども、それ未満の少額な箇所が主に残っております。今年度末時点で約三十カ所程度残る見込みでございます。
なお、これらの箇所につきましては、住戸や道路、農地の耕作等に直接影響のない箇所などであり、既に暫定的な対策によりまして安全性はある程度、確保されております。
330 ◯野田稔子委員 少額な箇所、いわゆる災害復旧事業を国に申請する際の基準で百二十万円以下が主に残っているということですが、今年度末時点で約三十カ所残る見込みとのことですが、少額ではない箇所、百二十万円以上ということになるでしょうが、あるのでしょうか、お答えください。
331 ◯松原河川課長 今申しましたように、少額な被災箇所が主な箇所ですけれども、そのほか、被災直後は少額であったものが被害が若干拡大をいたしまして金額が大きくなった箇所、または当初は原形復旧を考えておりましたが、地元要望等によりまして用地取得を行い、河川を拡幅して整備することとした箇所など、少額でない箇所として、広川で二カ所、星野川で二カ所など、計九カ所ほどございます。
332 ◯野田稔子委員 今、課長から御答弁いただき、少額ではない箇所が広川、星野川等で九カ所あるということがわかりました。
それでは、今後、それらを含めた約三十カ所についてどのようにされるのでしょうか、お答えください。
333 ◯松原河川課長 工事の必要な箇所につきましては、現在、定期的に点検し、状況は確認をしておるところでございます。今後は、優先順位を付しまして、できるだけ早期に復旧工事を進めてまいりたいと考えております。
334 ◯野田稔子委員 復旧の考え方はわかりました。早期の対応を要望いたします。
それでは、二〇一七年九州北部豪雨についても伺いたいと思います。
今回の九州北部豪雨の被害は、二〇一二年の九州北部豪雨の被害を大きく上回るものとなっています。さきの十二月議会の代表質問においても、一定災の活用との答弁がありましたが、一定災とはどういうものでしょうか、お答えください。
335 ◯松原河川課長 一定災と申しますのは、公共土木施設が広範囲かつ激甚な被害を受けた一連区間につきまして、被害を受けていない区間も含めて川幅を広げるなど一定の計画に基づいて行う災害復旧事業でありまして、河川で一定災というものの採択は、今回のように埋塞が著しい河川の災害としては初めての採択となりました。
336 ◯野田稔子委員 今回の九州北部豪雨の災害復旧については、多くの河川において、先ほど説明がありました一定災を含めた改良復旧事業が採択されていますが、今回、私が質問したような小規模な被災箇所の復旧が残るようなことが生じないか、心配です。
そこで、どのように考えていらっしゃるのか、お答えください。
337 ◯松原河川課長 今回、一定災が国により採択された河川におきましては、小規模な災害箇所も包括して復旧工事が行えるようになっております。また、今回の災害では、多くの河川におきまして国から改良復旧事業が採択をされ、小規模な災害箇所も含めて河川の拡幅などの改良工事として実施していくことになりまして、委員御指摘のような箇所の復旧が残るような可能性はかなり少なくなるものと考えております。
なお、改良復旧以外の箇所におきまして、県単独で取り組むこととなった箇所につきましては、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
338 ◯野田稔子委員 小規模な災害箇所の復旧が残ることがかなり少なくなるとの御答弁をいただきました。少し安心いたしました。また、しっかり対応してまいりますとの御答弁もいただきました。ありがとうございます。
いずれにしましても、被災箇所の復旧においては、工事の未対応箇所が残らないような復旧を願うものです。八女地域における二〇一二年災害で、いまだ残された復旧箇所の早期対応、そして何と申しましても、今回の朝倉市、東峰村を中心とした災害における一日も早い復旧を願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
339
◯中尾正幸委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
340
◯中尾正幸委員長 ないようですので、以上で浜崎委員の知事保留質疑を残し、第八款県土整備費に関する質疑を終わります。
以上で本日の議事を終了いたします。
なお、明後日二十二日の委員会は午前十一時に開き、歳出第九款警察費から第十四款予備費までの審査及び第二条債務負担行為から第五条歳出予算の流用までの審査、並びに第二号議案から第二〇号議案までの特別会計及び企業会計の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
お疲れさまでした。
午 後 五 時 四 十 三 分 散 会
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