県庁に到着し、調査を始めました。熊本県の担当の方に話を伺った際、自衛隊や消防を初め福岡県、福岡県警察の支援に対し大変感謝されていたことをまず、知事、警察本部長に御報告申し上げておきます。
担当の方は、十四日の前震のときは防災マニュアルどおり順調に対応できると思っていたが、十六日午前一時二十五分、再び震度七の本震が襲い、県庁十階の対策本部は停電し、エレベーターもとまり、対策本部にいて、頭が真っ白になり、心までが折れ、この世の終わりかと思いましたとの心情を語ってくれました。議会棟も被災し本会議場が使えなくなっていました。熊本県は、今日まで千六百回以上の余震を経験し、活断層の林の中に暮らしているとの認識に変わったといいます。福岡県も熊本と同じく活断層が幾筋もあります。今後は、日本全国どこも安全地帯はないと認識した上で、対策を講じなければなりません。
二カ月たった昨日も震度五弱の地震がありました。今回の熊本地震の被害は甚大であり、瓦れき処理だけでも最低二年かかると言われています。息の長い支援が必要となります。まずは、熊本復興に向けての知事の決意をお聞かせください。
次に、本県の防災計画について大きく二点お聞きします。私は、先月の特別委員会で福岡県
地域強靭化計画を三年以内には見直すと確認させていただきました。私は、強靭化計画だけでなく、防災関係の計画の見直しは当然やるべきと思います。
まず、災害の基準について伺います。防災計画は、福岡県
地域強靭化計画の冒頭にありますように、起きてはならない最悪の事態を想定してつくる計画でなければなりません。そのためには、災害の基準も最悪を採用すべきと提案をいたします。例えば、津波の被害想定の潮位の基準は
朔望平均満潮位であります。これは満潮位の平均であり、最大満潮位でもなければ、最悪も想定しておりません。
まず、基準の
朔望平均満潮位を改め、最大満潮位に台風による過去最悪の潮位をあわせて基準とし、津波高をプラスして被害想定をつくり直すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、要支援者の
個別避難支援計画について伺います。今回の熊本地震でも、認知症のお年寄りや難病の方が、同じ体育館の中で避難生活をされている姿を見ました。まずは、その基本中の基本である
個別避難支援計画について伺います。
個別避難支援計画は、常日ごろから、要支援者を誰がどこに避難させていくのかを明確にしておく計画であります。
まず、本県の要支援者の人数と
個別避難支援計画の進捗についてお示しください。
次に、計画が進まない理由を明確にお示しください。
次に、
個別避難支援計画は、要支援者本人に通知することは当然でありますが、地域でも日ごろから情報を共有しておくことが必要であります。情報の共有についてどのように取り組んでおられるのか現状と対策をお示しください。
次に、福祉避難所の公表について、現状と今後の方向性をお示しください。
次に、広域支援のあり方について大きく四点伺います。平成七年十一月八日、沖縄県を入れた九州・山口九県災害時相互応援協定が結ばれています。広域支援は、この協定に沿って行われることになっております。二十一年前に結ばれた条項は、現在の防災技術の進展や考え方からすると、いかにも時代おくれの感が否めません。今回の福岡県の支援行動は、協定のとおり行われました。熊本県では混乱をきわめた状態であり、かじ取りを行う幹事県の大分県も被災。熊本県が人的要請を幹事県の大分に行ったのは十八日午前一時過ぎ、福岡県が第一陣二十八人を出動させたのは二十日午前八時半。発災から五日間がたっている。この協定の第四条の六項には、災害の実態に照らし特に緊急を要し、被災県、幹事県が必要な要請ができない状況にあるときは、要請を待たないで支援ができるものとするとありますが、今回福岡県は、独自の判断で支援をすることはなかった。私たちは、福岡県は何をしているんだと、遅過ぎると憤りました。熊本県は、私たちの要請をお待ちいただいていた、感謝でいっぱいですとおっしゃっていました。しかし、直ちに動いた自治体はあります。それは、大規模災害を経験した関西連合、東北、新潟は、翌日から少人数の幹部職員を派遣し、熊本県の手を煩わすことなく情報収集し、どんな支援ができるのかを調査したといいます。自衛隊では、その役割を
リエゾンオフィサーと呼びます。昨今の災害は、被害が大きく広域に及び、被災地の行政は混乱をきわめ、現状把握もままならない状況に陥ってしまう。
まず、今回の熊本地震を契機に、小川知事が九州知事会に対し、九州独自の
リエゾンオフィサーの設置を含め、災害時相互応援協定を大きく見直すよう提案をすべきと考えます。知事の見解を求めます。
あわせて、政令市とは、防災上どのように取り組むべきと考えますか、お答えください。
次に、避難所の支援について問います。今回の避難所運営について、初動段階で地元の役場の職員が運営に携わったために、支援が偏り、避難所の自治をつくるのに時間がかかった、また国の支援物資が必要な場所に届かなかったという反省もありました。そんな中、支援物資の確保と分配について、福岡市方式が大変役に立ったそうであります。福岡市は、避難所を運営する福岡市の職員の
スマートフォンを使って支援物資の過不足を物資集積所で一元管理できるシステムを開発し、必要なものを必要な避難所に届けることができたといいます。このようなシステムは、
避難所運営システムの一つとして、九州一円で活用できるようにしてはどうでしょうか。
次に、罹災証明についても伺います。熊本県は、罹災証明の調査と発行について、全国から応援に来ていただいた職員に大変感謝しておられました。被災を経験した応援職員から、申請を待っていたらいつまでたっても終わらない、軒並み調査をしましょうと提案があり、五月末現在では、調査件数は申請数を超えていたとのこと。罹災証明は、被害が大きくなればなるほどその正確性とスピードが求められます。調査は、人海戦術で行う必要があります。調査員のレベル合わせをする研修をすべきですが、全国から経験者を派遣していただき短時間で実施できたとのこと。次に行うことは、罹災証明の発行であります。熊本県では、京都大学や新潟大学の研究グループがシステムを開発した
被災者台帳システムを導入しました。このシステムが威力を発揮したといいます。同様のシステムで阪神・淡路大震災後に西宮市が開発した
被災者支援システムは、その都度バージョンアップし、地方自治体に無償で公開提供されております。
まず、罹災証明に関するシステムを導入している自治体は本県に幾つありますか、お答えください。
次に、九州一円で相互に支援するのであれば、このシステムを九州・山口で導入し、いざとなったときに使用に戸惑うことのないよう、毎年の防災訓練の際に、罹災証明についての訓練も取り入れるようにしてはどうでしょうか、お考えをお聞かせください。
広域支援の最後に、熊本県には、透析をしている病院が九十施設あり、今回の地震で、一部病院が断水し、停電し、透析ができなくなってしまいました。熊本では一時、千人の透析患者の移動が必要との判断があり、福岡県庁、透析医会、患者会の連携で、福岡県の久留米医大等で受け入れを行いました。また、透析は通常四時間から五時間かかりますが、熊本県内では、残った透析の病院で、二時間に短縮して、より多くの患者の透析を実施したとお聞きしました。透析患者にとって透析ができなくなったら命にかかわります。本県では、西方沖地震の際、ある透析施設が使えなくなりました。その教訓から防災メール・まもるくんの中に透析メールが登載されました。その機能は、災害で透析ができなくなった病院が出ると、その病院の透析患者に対して、透析ができる病院をメールで指示できるようになっております。このシステムを九州一円でも使えるようにしてはいかがでしょうか。
次に、本県の具体的な備えについて七点伺います。
まずは、避難所の点検について伺います。初めに、熊本地震の本震の後、アクシオンの天井の一部が落下し使用禁止になっている。教育長に今後の対策をお聞きします。熊本でも、指定された避難所は耐震化されていたが、窓や天井など非構造部材が耐震化されていなかったため、使えなかった避難所が多くあったと伺っています。本県の避難所の非構造部材の耐震化を急ぐ必要があります。次に、避難所は、お年寄りが多く避難してまいります。そこで困るのがトイレであります。避難所のトイレについて和式トイレを洋式トイレに変えることも急ぐ必要があります。知事、教育長に、避難所の非構造部材の耐震化の現状と今後の計画、あわせて避難所のトイレの洋式化の現状と計画をお示しください。
次に、
木造戸建て住宅の耐震化について伺います。今回の熊本地震では、木造家屋の倒壊による死者は、圧死者二十人、窒息死者十人、全体の死者の七三%でありました。震源地の益城町では、役場も被災しておりましたが、木造家屋に至っては、もとの形が想像できないくらい破壊されていました。一本路地に入ると道路に崩れた家が覆いかぶさり通行することもできませんでした。地震の恐ろしさを見せつけられました。福岡県でも、警固断層を震源とするマグニチュード七・二程度の地震が起きた場合、木造住宅を中心に最大三万三千戸が倒壊し、死者は千人を超すとされています。そんな想定をしていながら、その対策は進んでいません。本県の木造家屋は九十二万四千戸。そのうち耐震化されていないのは三十一万三千戸であります。耐震費用は百万から二百万円程度かかると言われています。福岡県は、
木造戸建て住宅耐震改修促進事業補助金を設置し工事費用に三十万円を補助しております。市町村の補助金を合わせても、老人世帯だけですと大きな出費となります。まず、この補助金の利用実績はどうなっていますか。利用されていない理由は何ですか。そして、今後の対策はどのように考えていますか、お答えください。
次に、ブロック塀の耐震化についても伺います。熊本地震では、七十カ所のブロック塀が現行の耐震基準を満たしておらず倒壊し、二十九歳の男性が下敷きになって亡くなっています。福岡県でも西方沖地震の際、女性が一人亡くなっております。宮城県では、ブロック塀の補強や撤去に補助金を設置し、通学路などのブロック塀を点検し改善した結果、東日本大震災では、人的被害がなかったと聞きます。本県でも減災の観点から、まずは通学路や人通りの多いところなどを点検し、対策を打つようにしてはどうでしょうか。知事の見解をお聞きします。
次に、今回の地震で、マンホールが浮き上がり車の通行の妨げとなっていました。もちろん下水道も破壊されていました。まず、本県の
下水道マンホールの浮き上がり防止対策の進捗と、同様に市町村の対策はどのように取り組むのかお示しください。
次に、日常生活を取り戻すためには、上下水道、電気、ガスといったライフラインの早期復旧が必要不可欠であります。熊本では、電気の復旧が六日後、都市ガスは十六日後、水道は五月末で九八%の復旧でした。下水道は、本県を初め全国から支援に駆けつけた職員の皆さんの強力なバックアップで四月二十七日には復旧しています。横浜市では、マンホールや下水道などを地図データに落とし込み、GPSと連動させ、タブレットで調査票にデータを入力できるようにし、日ごろの調査活動にも活用することで、調査の時間を半分にするシステムの開発が進められています。いざ災害復旧となったときでも、土地カンのない他県の自治体の職員でも、調査に時間をかけることなく威力を発揮できると期待されています。本県においてもデータの地図落としは進んでいるとお聞きしています。ぜひ、GPSを使い日ごろから調査に利用できるようにしてはいかがでしょうか。知事の所見をお聞きします。
次に、要援護者の救助活動について提案をいたします。本県の幾つかの自治体が、緊急時、災害時に駆けつけた消防や地域の方が、対象者を迅速に救助できるように工夫を凝らしています。
ひとり暮らし高齢者等の方に対して、冷蔵庫に
安心情報キットなどと呼ぶペットボトルを入れておくことを推進しています。これには、かかりつけ医、薬や緊急連絡先の情報を記入して中に入れておくというものであります。いざというときには、救急隊や助けに来た人は、冷蔵庫をあけ、これを探せば、大変的確な対応ができるものと期待をされています。このような取り組みを県内の市町村に普及してはどうか、知事の見解を求めます。
次に、東京都が都民の事前の備えとしてつくった
東京防災ハンドブックは、分厚いものの高齢者や子供でも読みやすく、理解しやすく、役に立つと評判の本であります。本全体が派手な黄色であることも本棚のどこにあってもすぐに見つかるというつくり方をしています。余りの高評価に、昨年の十一月から百四十円で販売をすることになりました。ぜひ本県でも、県民の防災意識の向上のためにもつくってはいかがでしょうか。知事のお考えをお聞きします。
この項の最後に、みなし仮設住宅について伺います。仮設住宅の建設は、土地の確保から住宅建設まで時間がかかります。一日でも早く被災者に安全な住宅を提供するためには、
民間空き家住宅の利用は重要であります。熊本県では、
民間空き家住宅をみなし仮設住宅として提供を開始後、すぐに利用が始まり、今では
ワンルーム住宅しか残っていないとお聞きをしました。今回の震災で福岡県宅建業協会では、
熊本地震被災者に対して、敷金、礼金ゼロ、仲介手数料なし、即入居可などの福岡県内の物件情報を不動産情報ネットふれんずにて情報提供されていました。まず、民間の空き家住宅のみなし仮設住宅利用について知事の認識をお聞かせください。
次に、不測の事態に備えるため
不動産関係団体と地方公共団体、社会福祉法人やNPOなどと
居住支援協議会を立ち上げ、日ごろから意見交換をすることが必要であります。本県の取り組みをお聞かせください。
次に、中小企業の下請取引の改善について質問をいたします。この数年間にわたる経済政策の着実な実行により、日本経済は大きく改善しました。とりわけ大企業を中心に業績改善が進み、その収益も過去最高水準を記録するなど、経済政策の成果は着実にあらわれています。しかしながら、そうした恩恵が中小企業、小規模事業者の収益アップや賃上げに還元されているとは言いがたいのが現状であります。その大きな要因の一つに、中小企業の多くは大企業の下請の立場にあり、受注、発注にかかわる取引条件の改善が進んでいないことにあると考えます。
そのような問題意識のもと、政府は中小企業、小規模事業者の価格転嫁等の取り組み状況、取引条件の改善について、平成二十七年十二月から翌年三月にかけて調査を実施しました。中小企業対象の調査では、原材料や
エネルギーコストが必要な状況と回答した三六・五%のうち、三〇・二%は売価に転嫁できなかったとしています。また、紙・紙加工品産業、自動車産業、建設業では、発注者から指し値提示があったが一〇%、鉄鋼、自動車、産業機械・航空機等産業では、一年前と比較をして、単価が引き下げられたが二五%以上となっています。また、
取引単価引き下げの主な要因は、発注側からの定期的な原価低減要請が四三・四%、一方で、取引単価の引き上げにより収益が改善した場合、従業員の賃金を引き上げると回答した中小企業は七一・六%に上っています。中小企業に対するヒアリングでは、一律何%など合理的な説明のない原価低減要請や、大量発注を前提とした見積もり単価を用いて、実際には少量の取引しかしないなどの実態が明らかとなりました。中小企業庁の調査で下請企業の置かれた現状が浮き彫りとなった形であります。平成二十六年十二月、政府、労働界、経済界の各代表が話し合う政労使会議は、取引企業の仕入れ価格の上昇などを踏まえた価格転嫁や支援、協力について総合的に取り組むことを合意しました。この合意を知っている大企業は四割程度にすぎませんでしたが、そのうちの七割弱が取引価格を引き上げたと回答。合意を周知徹底することが、下請の取引条件を改善する重要な一歩と言えそうであります。ただし、取引価格を引き上げた企業のうち、下請企業の賃金を引き上げるためであったという企業は、半数も満たなかったのが現実であります。中小企業研究の専門家である
嘉悦大学大学院教授の黒瀬直宏氏は、下請企業の人件費は大企業のそれより低くて当然といった大企業の根強い差別意識がかいま見える、下請、元請を問わず同じ仕事には同じ賃金を支払う同一労働同一賃金が実現できる価格こそ適正価格と言えると論じております。同時に、中小企業にも、下請の立場になれ切って、本来の営業活動ができない企業もあると、中小企業が価格交渉力を身につけていくことの重要性を指摘をしています。そして、高い仕入れ価格と低い販売価格を押しつけられており、低い賃金しか支払えない。中小企業の収益を向上させる鍵こそ取引条件の改善にあると結論づけております。中小企業向けの調査で、取引価格の交渉力を強めるための課題として、技術力の向上支援が必要、新たな販路、取引先開拓の支援が必要と回答した企業が約半数に上っております。つまり、下請取引改善のためには、中小企業も
下請取引ガイドラインの実効力アップと同時に、企業の自己変革の必要性の両面からのアプローチが必要となってきます。以上の点を踏まえて、以下知事に五点伺います。
一点目、政府の政労使会議での合意内容を周知徹底することが、改善に向けた第一歩であります。知事みずから、あらゆる場面での周知徹底が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
二点目、本県では福岡「働き方
改革等推進会議」が開催されておりますが、同会議の主要議題としても下請取引改善を取り上げるべきと考えますが、どうでしょうか。
三点目、経済産業省では、これまで十六業種にわたり
下請適正取引等の推進のためのガイドラインを策定し、下請代金法や独占禁止法で問題となる行為の具体的な事例を紹介し、普及を図っております。また、
価格交渉サポート事業が平成二十七年度補正予算で、価格交渉に必要なノウハウを個別指導やセミナー、講習会、
ハンドブック等により普及、定着を図る支援が拡充されることになりました。本県においても、商工会、商工会議所、
中小企業振興センターなどの
中小企業支援機関を通して、ガイドラインの周知や講習会の開催など、価格交渉力の向上に向けた支援を加速すべきと考えますがどうでしょうか。
四点目、
価格交渉力強化と技術力向上、販路拡大は同時進行で進めていかなければなりません。県内四つの
地域支援協議会を活用して、待ちの姿勢ではなく積極的な支援体制を強化すべきと考えますがどうでしょうか。
五点目、本県が発注する公共工事においては、入札参加者へは契約心得、落札業者へは下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等についてという文書を配付しております。しかし、県の公共工事から下請取引の改善を明確に打ち出す意味でも、建設業法令遵守ガイドラインを下請業者に周知すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、中小企業支援について伺います。公明党県議団は、四月、静岡県富士市の富士市産業支援センターf─Bizに視察に参りました。この施設は、全国の都道府県に開設されている、よろず支援拠点のモデルとなったものであります。ここでは、バイタリティーにあふれる地方銀行出身の小出宗昭センター長を中心に、選ばれたスタッフの皆さんが日夜、中小企業の具体的な支援のために活動されておられます。小出センター長は、我々は富士市から雇用されているのではない、中小企業支援のために富士市と契約をしている、結果が出なければ解雇されるんです、との不退転の決意で取り組んでおられました。
f─Bizでは、地方創生のテーマの一つである産業、中小企業の活性化を基本に、企業誘致よりも創業支援に重心を置いて施策を進めており、また経営にとっての根本である、企業の売り上げアップに一番のポイントを置いておられました。センターには、ビジネスコンサルタントができる人材をそろえておられました。その人材の選定には、転職サイトや日経ビジネスなどでお金をかけて公募をし、百人ほどの応募の中から優秀な人たちを選んでいるとのことでした。そして、その選ばれた担当者は、相談に来られた経営者のヒアリングに時間をかけ、知恵を出し合い、売り上げ増という目標に向かって課題を解決しておられました。さらに、成功した会社のサクセスストーリーをf─Bizが新聞記者に提供し、取材された記事が壁いっぱいに掲示をされていました。結果として、成功した企業はリピーターになり、新聞紙面やテレビのニュースに触れた方々からもf─Bizに相談があり、行列ができる相談所となっていました。本県では、中小企業の経済活動活性化のために、中小企業振興条例に基づいて基本計画が策定されました。しかし、平成三十年度までの目標数値には、売り上げまたは経常利益が向上した重点支援企業のうち小規模企業数は六十二社と記載されております。
そこで知事に伺います。この六十二社という数値は余りにも少ない。国の地方創生の方向と経済活性化を視野に入れれば、もっと目標数値を上げるべきではなかったかと考えますがいかがでしょうか。
次に、f─Bizの中小企業の最大の課題は売り上げ増だという考え方は確かに正しい方向だと思います。本県の中小企業支援の方向性は何だとお考えかお答えください。
また、県内の某市が、f─Bizを訪問し調査を行い、f─Bizのようなチームの結成に向けての研究を進めているとの話もお聞きしました。本県としても、そのようなチームをつくり研究を進めるべきではないかと考えますが、知事の所感をお聞かせください。
次に、本県の子育て支援について質問をいたします。
公明党福岡県議団は四月、岡山県奈義町を訪れ、同町の子育て支援策などについて視察をしました。奈義町は、平成二十六年の合計特殊出生率二・八一を達成、全国の市町村で日本一となった町であります。その秘訣はどこにあったのか。NHKでも紹介された町独自の子育て支援策、若者定住策、就労対策を学んできました。岡山県北東部に位置する奈義町は、昭和三十年の三村合併で誕生。国、県を挙げて推し進められた平成の合併では、平成十四年十二月、住民投票を行い、合併しないとの結論を選択し、今日に至っています。
町の最大の課題は少子、高齢化と人口減少。昭和三十年の三村合併の当時、約八千九百人だった人口は、平成二十八年には六千百人と約七割に減少。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇六〇年には人口三千人を割って二千八百五十七人と、まさに消滅可能性都市となっています。合併を否定したことに伴い直面した人口減少への危機感から、町は現在の人口を将来にわたって維持するため、住宅施策、子育て支援施策、就労の場の確保施策を推進。中でも平成二十四年四月には、奈義町子育て応援宣言を行い、子育て支援策に力を入れています。
町単独の支援策は、妊娠、出産期の事業として、不妊治療費の自己負担の二分の一を助成、不育治療費を年三十万円を限度に助成、出産時記念品と出産祝い金の交付、結婚記念証、出生記念証の交付などがあります。乳幼児期には、高校卒業時まで医療費を無料化、保育料を国基準の五五%に軽減するとともに、二十七年度から第一子を高校生までカウントした保育料の多子軽減を実施、予防接種法に定められていない、おたふく風邪、B型肝炎、ロタウイルスのワクチン接種費用を全額補助、インフルエンザのワクチンも接種費用を一部助成しております。就学期には、中学三年生までの子供を養育しているひとり親家庭に年額五万四千円を交付し、第二子以降年額二万七千円を加算。また、町内に高等学校がなく隣接の津山市の高校に通う子供がほとんどのため、高校に通う生徒の保護者に年額六万円を就学支援金として支給。経済的な理由で就学困難な大学、専門学校などの学生に月額三万円の奨学金を貸与し、卒業後、奈義町に帰郷し定住した方は最大半額を返還免除しております。
子育てアドバイザーが配置され、子育て中の親子が集う、交流と相談の場である、つどいの広場ちゅくしんぼも無料で開放され、大勢の親子でにぎわっています。国や県の制度にプラスして、これら町単独事業で、安心して子育てができる、もう一人子供がいても大丈夫かなと思えるといった声が広がっています。実際、子供が小中学校に通っている世帯について町が調べたところ、子供が三人という世帯が最も多く三八・八%、次に二人が多く三五・八%で合わせて七五%に上ったほか、三子以上の世帯が半分を占めているということであります。加えて、定住化に向けて分譲地の整備、若者向けの賃貸住宅や定住促進住宅の整備に取り組んだ結果、平成二十六年には町外への転出者を町外からの転入者が上回るという社会増も実現し、平成二十七年には人口増も達成をしています。予算四十億円の奈義町は、その約三%に当たる一億二千六百万円を町単独の子育て支援事業に充てているとのことでした。出生率二・八一の達成は、行政、議会双方が現状認識と危機感、将来ビジョン、やる気を共有した結果だと感じました。
子供がふえ、流入人口がふえれば、町に活気が生まれ、希望が育ちます。私たちは、やればできる、意欲を持つことが大事との認識を持ちました。
知事は、この奈義町の取り組みについて、どのように感じますでしょうか。率直な感想をお聞きします。
また、奈義町のような集中的な子育て支援策を総動員して展開している自治体は本県には見受けられないように思いますが、このような取り組みを県内の市町村でモデル的に実施してもらってはどうでしょうか、お伺いします。
子育て支援の中で、待機児童の解消が課題となっております。保育園などの施設の増加も必要でありますが、保育士不足も深刻であります。そこで、本県では保育士がどれくらい不足しており、今後どれくらい不足する見込みなのか、お聞きをします。
また、保育士不足の解消へ潜在的保育士の発掘が課題となっています。ところが、保育士として一旦登録された後は、名簿の更新がされていないようで、潜在的保育士の実態が把握されていない状況であります。潜在的保育士の実態の精査と再び保育士として働く意向があるかどうかの調査をすることを提案します。知事の御所見を伺います。
次に、情報通信技術(ICT)を活用した教育について質問をします。本県のICT教育の実態は、義務教育の段階でインフラ整備も職員の研修も全国の下位に甘んじています。私たちは、ICT教育は、子供の勉強への意欲をかき立てるツールとして、ぜひとも取り入れるべきと思っておりますし、教育長も同じ思いであると認識をしています。那珂川町は、文部科学省の教育推進自治体応援事業ICT活用実践コースに選ばれ、既に町内の三つの中学校に四十台ずつタブレットが配付をされました。しかし、那珂川北中学校以外の二校は、光回線工事がおくれているため、ICT授業が進められていないとのことでした。先日、那珂川北中学校で行われていた英語のICT教育を参観してきました。この中学校は、大変礼儀正しく落ちついた、すばらしい学校でありました。そして、タブレットを使った英語の授業は、ICTに詳しい担当教諭のもと、一人一人の能力に応じて進められ、英語の聞き取りも発音も楽しそうに進められておりました。子供たちに感想を聞くと、楽しいし、英語が好きになったと答えてくれました。今回は、那珂川北中学校の取り組みを通して質問をいたします。
北中学校でICT授業を実施するに当たって、まず問題になったのはネット回線がADSLであるということでありました。授業でタブレットを使うためには、光ファイバーを用いた超高速インターネット接続の無線LAN環境にしなければならない。しかし、学校全体を光回線にして無線LANの環境にすると、教職員室にある子供の個人情報が漏れる懸念があるという課題がありました。そこで、教室だけ光回線にして、教職員室は、今までどおりADSLのままにして教室と分離することで子供たちの個人情報が漏れないようにしました。
まず、ICT教育を進めるに当たって、私立学校、公立学校の教育現場の通信回線は光回線にかえ、無線LANにすべきと思いますが、知事、教育長の見解を求めます。
次に、本県の学校現場の通信回線は、私立学校、公立学校おのおのについてどうなっていますか。光回線を導入している学校の実態を小学校、中学校、高校別にお示しください。
次に、教室が無線LAN環境になっている学校も同様にお示しください。
第二の課題は、学校にあるパソコンやソフト以外は使用してはならないという課題であります。教員は、あくまで学校のパソコンを使用しなくてはなりません。使いなれた自分のパソコンでテレビ電話ができるソフトを使いたいとしても、学校のパソコンにソフトが入ってなければ使えません。ITの世界は日進月歩ではありません、秒単位で進んでいます。教員のICT研修が進まないのも、このような使い勝手の悪さも一つの原因ではないでしょうか。この課題解決に国や団体、企業などが取り組みを始めました。国は、一般職員が日常生活を送る上で、パソコン等の情報システムを利活用することは極めて当たり前のことになってきている、さらには、ここ数年の
スマートフォンの普及に伴い、携帯端末を日常的に利用するシーンも見なれた風景となってきているとして、自分のパソコンを業務に使うことができるようにガイドラインの作成に取り組んでいます。このことをBYODガイドラインと呼びます。ぜひ、福岡県がICT先進県となるために、そして子供たちに学ぶ意欲をかき立てる授業を実現するためにも教員が闊達な授業ができるよう、福岡県版のBYODガイドラインを作成してはどうか、教育長の答弁を求めます。
三点目に、ICT教育を進める上で、現場は、知識不足のために混乱をしています。インフラ整備の問題、授業の進め方の問題に的確に回答できるセクションを置くべきであります。教育長の答弁を求めます。
次に、今年度の福岡県警察の三大重点目標の一つである性犯罪抑止に対する取り組みと、ふっけい安心アプリについて質問をいたします。
まず初めに、昨年中と本年五月末現在における性犯罪の発生と検挙状況について、警察本部長の答弁を求めます。また、性犯罪の抑止のためにどのような対策がとられているのか、警察本部長の答弁を求めます。
今年度の
警察予算の中で、ふっけい安心アプリを開発することになりました。今までのふっけい安心メールに加えて犯罪情報を地図上で示すことができるというものであります。このアプリの効果は、自分が犯罪に遭わないようにするための自己防衛に大変役に立つと思います。このアプリが完成すれば、女性はもちろん、学校関係者や保護者そして地域で防犯活動をしている方々がこのアプリをダウンロードするでありましょう。そして犯罪抑止につながるよう大いに期待をしております。
警察本部長に提案でありますが、せっかく多くの方々に登録をしていただくアプリでありますので、登録された方々から犯罪捜査に協力を求めてはどうでしょうか。変質者の情報は配信されても、なかなか捕まらないのが現状であります。一人でも多くの目撃情報や犯人にまつわる情報を県民から寄せていただき、犯人逮捕へ手がかりができるようにソフトの開発をするよう提案いたしますが、警察本部長の答弁を求めます。
さらに、地域の防犯活動は年々活発になっております。ふっけい安心メールで提供した情報をアプリだけでなく、地図として提供していただければ、地域の防犯に大変役に立ちます。ぜひ全ての警察署が地域の防犯活動に協力できるようにすべきと考えますが、警察本部長の答弁を求めます。
以上で質問を終わります。答弁を求めます。(拍手)
6 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。
*知事答弁
7 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、被災地の復興に向けての決意でございます。本県では、今回の地震の発災直後から人的支援、物的支援、そして被災者の受け入れ等について全庁を挙げて、全庁を挙げて取り組んでまいりました。今後、復旧、復興に向けた取り組みが本格化をしてまいります。本県におきましては、これからも現地からの要請あるいは現地の支援ニーズに的確に対応し、被災地の皆さんが一日も早くもとの平穏な生活にお戻りいただけるよう、できる限りの支援を息長く行っていきたいと、このように考えております。
次に、津波による被害想定における初期潮位の設定についてでございます。県におきましては、津波防災地域づくりに関する法律に基づきまして、平成二十八年二月、ことしの二月でございますが、津波浸水想定を設定、公表し、これを踏まえて県の地域防災計画の見直しを行ったところでございます。津波浸水想定における初期潮位の設定に当たりましては、国の基本方針において、悪条件下であります新月と満月の期間の満潮の中から選んだ最高潮位の平均値、いわゆる
朔望平均満潮位、これを採用いたしております。津波浸水想定を既に設定済みの二十七の府県全てにおきましても、我が県と同様の対応を行っているところでございます。県では、関係十九市町に対しまして、この新たな津波浸水想定を踏まえたハザードマップの作成やマップを活用した避難訓練、これを実施するよう指導しているところでございます。
次に、福岡県の避難行動要支援者数と
個別避難支援計画の進捗状況でございます。災害対策基本法の改正によりまして、平成二十六年四月から、避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務づけられ、県といたしましても、この名簿の作成を市町村に強く要請をしてまいりました。その結果、県内全ての市町村で名簿が完成をし、本県における避難行動要支援者につきましては、昨年四月、そのとき確定しておりました数字五万六千人から、本年四月現在で約十八万三千人となっております。このうち、お尋ねの
個別避難支援計画を策定した人数が三万三千人でございまして、その割合は一八%となってございます。
個別避難支援計画の作成が進まない主な理由といたしましては、まず地域コミュニティーの希薄化、支援者としての責任の大きさによりまして、避難支援者の確保というものがなかなか進まないこと、また要支援者の個人情報の開示について、要支援者御本人の理解が得られない、そういったことが挙げられます。
個別避難支援計画の情報共有の現状と対策でございますけれども、市町村が作成をいたします
個別避難支援計画は、避難行動要支援者お一人お一人について、誰が支援し、どこに避難させるかを明確にした計画でございまして、この計画を民生委員、自主防災組織等に提供し、地域での情報共有を図ることが重要でございます。ことしの四月現在、県内で
個別避難支援計画が策定しております、さっき申し上げました約三万三千人の要支援者の方々の個人情報については、既に開示することに関して了解が得られておりまして、市町村では、
個別避難支援計画を民生委員、自主防災組織等に提供し、地域での情報共有を図るよう努めているところでございます。また、情報提供に同意されない要支援者の方々につきましては、各市町村の個人情報保護審議会で承認が得られれば、地域での情報共有が可能となります。このため県では、これまでも地域における
個別避難支援計画の情報共有というものを促進していくために、まず要支援者の方の個人情報の開示に関して御本人の同意を得るよう努めること、また同意が得られない場合には審議会に諮ることを検討する、それらによりまして、地域における計画の情報共有が図られるよう研修等を通じまして市町村に要請をしてきたところでございます。今後はさらに、要支援者の方々につきましても、情報開示に御同意されない場合には、万々が一のときに支援がおくれる場合、そういったこともある、それらも説明をいたしまして、御本人の同意を得るよう市町村に要請をしてまいります。
次に、福祉避難所の公表の現状と今後の方向でございます。福祉避難所は、高齢者や障害者など、一般的な避難所での生活に支障を来す要配慮者のための二次避難所でございまして、市町村がこれを指定することとなってございます。本県におきましては、全市町村がこれを指定しておりまして、平成二十七年九月末現在で四百八十六カ所、そのうち老人福祉施設が二百六十カ所、障害者支援施設が九十二カ所などとなってございます。福祉避難所につきまして、ホームページや広報紙で公表いたしておりますのが三十三市町、要配慮者本人や親族、民生委員や消防団など、その対象を限定して周知を図っているのは三市となってございます。周知をしていない市町村の中には、災害時に福祉避難所に避難者が集中し、真に支援が必要な方への対応ができなくなることを懸念され、まずは一般避難所で受け入れ、必要に応じて搬送することとしているところもあるわけでございます。県といたしましては、こうした市町村の実情を踏まえた上で、要配慮者やその御家族などが災害時に確実に福祉避難所に避難できるよう、その周知のあり方も含めて市町村と協議をしてまいります。
九州・山口九県災害時応援協定の見直しと政令市との防災上の取り組みについてお尋ねがございました。九州・山口九県災害時応援協定におきましては、事務局であります大分県が被災地域の情報を集約し、各県は、その情報をもとに被災地域の支援を行うことといたしております。本県では、救助、救急活動に当たるため、地震発災直後、四月十四日から緊急消防援助隊を、翌十五日から災害派遣医療チーム、いわゆるDMATを派遣をいたしました。また、十七日から保健師等を派遣し、避難所における健康管理支援に当たらせるとともに、被災建築物の危険度判定に従事する建築職員を派遣したわけでございます。さらに、十八日、議員、私の聞き間違いかもしれませんけれども、二十日とおっしゃったと思いますが、十八日でございます、熊本県災害対策本部に当県の職員を三人派遣をいたしまして被害状況等の把握に当たらせるとともに、応援協定によって、支援先となりました益城、菊陽町を初めとする被災自治体に随時職員を派遣し、六月十日現在、延べ二千八百九十九人となってございます。一方で、大規模災害時に広域的な支援を行うに当たりまして、発災直後の混乱した被災地域の状況をいち早く収集をするためには、情報ルートを一元化し、的確な初動対応に生かしていくことが重要でございます。今回の経験から、発災直後、まず事務局であります大分県だけではなく、我々応援県の職員も被災県に速やかに入り、被災県と一体となったチームを構成して、より迅速かつ円滑な情報収集と支援が行えるよう、初動態勢の強化につきまして、関係各県と協議をしてまいります。
福岡県内の政令市において大規模な災害が発生した場合でございますけれども、直ちに本県から被災政令市に職員を派遣し情報収集を行い、必要な人的、物的支援を行うことといたしております。また、さらなる支援が必要な場合には、九州・山口九県災害時応援協定の枠組みを活用いたしまして他県からの応援を要請するなど、被災状況に応じた必要な支援を行うことといたしております。なお、政令市につきましては、二十一大都市災害時相互応援協定、九州九都市災害時相互応援に関する協定など、それぞれ枠組みをお持ちでございます。そういった枠組みにおきましても支援が行われることになっております。
次に、避難所の運営についてでございます。市町村が避難所を円滑に運営し、必要な物資を的確に避難所に届けることができるようにしていくためには、各避難所で必要な物資とその個数を初め避難者数あるいは要支援者数、世帯構成、年齢構成などさまざまな情報というのが必要になります。今回の熊本の地震におきましては、国、熊本県、市町村が日本アイ・ビー・エムのシステムを活用することによりまして、各避難所の必要物資の量とそれぞれの入出庫の状況、それから人数、ライフラインの状況等の情報を関係機関間で共有するという成果を上げておられます。また、議員がお触れになりましたが、福岡市がNTTに開発を依頼した簡便なシステムによりまして、福岡市からの派遣職員間で、職員同士の間で、各避難所での必要物資とその個数情報、それについて共有できたというふうに伺っております。県といたしましては、こういったシステムを初めといたしまして、市町村が避難所を円滑に運営していくための手法につきまして、今回の地震における課題と対策を検討するために設置をいたしております平成二十八年熊本地震検討プロジェクトチームにおきまして、今後検討を進めてまいります。
次に、罹災証明に関するシステムの導入状況と訓練の実施についてお尋ねがございました。このシステムは、被災された方々の生活再建に必要な市町村の支援業務を円滑に行うためのものでございまして、今回の熊本地震におきましても、私ども福岡県が重点的に支援をしております益城町あるいは菊陽町初め熊本県内の十五の市町村でこのシステムを導入し、罹災証明の発行の迅速化が図られたというふうに聞いております。平成二十七年四月一日現在の調査によりますと、私ども福岡県内の市町村のうち二十二の団体がこのシステムを導入済みでございます。また、今整備中、あるいは今後導入の予定だというものを含めますと三十二団体となってございます。県としましては、引き続き、このシステムを導入していない市町村に対しまして、その有用性について周知を図り、その導入を働きかけてまいります。また、既にこのシステムを導入されております市町村に対しましては、防災訓練の種目に、このシステムに対する習熟、これを目的としました操作訓練というものを取り入れるよう働きかけをしてまいります。
次に、透析メールシステムの九州各県への拡大についてでございます。福岡県におきましては、災害時における透析患者さんの不安軽減を図るために、平成十八年十二月から、登録をいただいた患者さんやその御家族の方に、透析医療機関の診療可否情報というものを私どもの防災メール・まもるくんで提供する仕組みを全国に先駆けて整備をいたしております。このシステムは、災害時に、福岡県透析医会が被災医療機関の状況や近隣の受け入れ医療機関を取りまとめて透析患者の方々にメールによりこれを配信するものでございます。九州各県のうち、この透析メールシステムを導入されているのは宮崎県のみと承知いたしております。システムがない他の県におきましては、被災した医療機関から透析患者の方々へ電話による連絡が行われることになってございます。このお尋ねの医療透析メールシステムの九州各県への拡大でございますけれども、まずは各県の透析医会が災害時に透析患者の方々に受け入れ医療機関をどのような手段で伝えていくのか、しっかりまず検討していただくことが必要であると考えております。その際、検討の材料といたしまして、私どもがやっております防災メール・まもるくんを活用した透析メールシステムというものを九州各県に紹介をしていきたいと思っております。その上で、本県のシステムを活用したいという御要望がありましたら、システム改修などについて検討を進めたいと、このように考えております。
次に、指定避難所の非構造部材の耐震化とトイレの洋式化についてでございます。災害時に安全な指定避難所として機能するためには、天井等の非構造部材の耐震化を図り、高齢者や障害者の方々が利用しやすいトイレの洋式化を進めていくことは非常に大事なことであると考えております。県内の指定機関のうち、公立学校ではない施設の窓、天井などの非構造部材の耐震化、またトイレの洋式化の現状把握をいたしておりますのは五市町、計画を策定しているのは一市にとどまっているところでございます。このため県といたしましては、まず指定避難所の非構造部材の耐震化やトイレの洋式化の現状について早急に把握をし、非構造部材の耐震化に早急に取り組むとともに、改築、改修の機会を利用してトイレの洋式化の取り組みを進めるよう市町村に働きかけをしてまいります。
次に、
木造戸建て住宅の耐震化についてお尋ねがございました。本県におきましては、平成二十三年度から、市町村を通じて耐震化、耐震改修補助、これを実施をいたしておりまして、平成二十七年度までの五年間の利用実績は三百六十五戸でございました。一千百四十八戸の見込みに対して、三割強にとどまっております。また、三年間の県の補助が終了した市町村におきましては、単独で補助を継続されておられまして、それらを含めたこれまでの利用実績というのは四百八十二戸になってございます。利用実績が見込みを下回った理由でございますけれども、耐震改修の費用がなかなかわかりにくいこと、安心して依頼できる施工業者の情報が十分ではなかったこと、補助金を利用しても工事費の負担が大きい、そういったことが考えられます。また、県民の皆様の耐震化に関する認識というものがいまだ十分でないということも要因の一つではないかと思います。今後の対策といたしましては、今年度から、耐震診断アドバイザー派遣制度につきまして、従来の目視による簡易診断に加えまして、詳細診断や補強計画を作成し、概算工事見積もりまでをワンストップで支援するメニューというものを追加をし、その充実を図ることといたしております。あわせて、一般財団法人福岡県建築住宅センターの住宅相談窓口におきまして、改修工事を依頼できる建設業団体を紹介をしております。また、防災ベッドや寝室など住宅の一部を補強する耐震シェルターといった比較的低負担で行える命を守る対策についても、広くこの情報を提供してまいります。これらの取り組みとともに、住まいの耐震化教室、耐震改修セミナーの開催、またパンフレットの配布を引き続き行うことなどによりまして、県民の耐震化へのさらなる意識啓発というものを進めてまいります。
ブロック塀についてお尋ねがございました。ブロック塀の適正な管理というのは所有者の責務でございます。耐震化などの安全対策はみずから講じていただく必要がございます。このため県では、ブロック塀の安全性に関する自己点検用のリーフレットの配布、耐震改修セミナー等の場を活用いたしまして、ブロック塀の適切な維持管理について、その啓発を行ってきております。また、県の窓口や民間の関係団体におきまして、補強方法など個別の相談にも応じているところでございます。こうした取り組みに加えまして、今後、県の技術職員が定期的に実施をしております防災パトロールにおきまして、通学路や人通りの多いところにありますブロック塀を重点的に点検をし、所有者の方にブロック塀の安全性の確保を促してまいります。
次に、本県の
下水道マンホールの浮き上がり防止対策についてでございます。県の流域下水道のマンホール浮き上がり防止対策につきましては、平成二十五年度から取り組みを開始いたしております。全千三百五基のうち、千二百七十六基がこれまでのところ完了いたしております。残りのうち、今年度に十四基、来年度にその残り十五基を実施をいたしまして、来年度までに全て完了することとなります。
次に、市町に対する取り組みにつきましては、マンホールの浮き上がり防止対策など下水道施設の耐震化を進めるため、市町職員を対象とした勉強会などを実施するとともに、市町からの個別の相談に応じて技術的な助言を行っているところであります。また、災害時のマンホール浮き上がりによる下水道機能の低下、道路の通行障害などに備えていくため、市町に対しまして、下水道業務継続計画を今年度中に策定するよう要請をしているところでございます。
本県の下水道施設調査におけるGPS機能の利用についてお尋ねがございました。県の流域下水道では、日常的な調査や維持管理の効率化を図るため、下水道台帳システムの構築を今進めているところでございます。このシステムへのGPS機能の導入、それにつきましては横浜市の事例など他の自治体における取り組み状況を参考に、その活用方法や効果について研究をしていきたいと思います。
安心情報キットなどの普及についてでございます。
安心情報キットなどの取り組みは、福岡県では、平成十八年度から始まっておりまして、現在、四十八の市町村で実施されております。この取り組みは、迅速、適正な治療を受けられ、家族にも連絡できるなど、緊急時の対応に有効であることから、県といたしまして、平成二十三年度から二十六年度までの間、集中的にその取り組みを推進することといたしまして、十九の市町に対し
安心情報キットなどの導入に係る費用の助成を行い、その普及に努めてまいりました。今後、未実施の十二市町村ございますが、これらに対しまして、
安心情報キットなどを導入している他の市町村の取り組みを紹介し、その導入について働きかけをしてまいります。また、既に実施をしております市町村につきましても、職員を対象とした研修会の場を活用し、
安心情報キットなどの利用状況、またその課題について意見交換を行い、この取り組みを充実させていきたいと思っております。
次に、防災ハンドブックについてお尋ねがございました。災害に対する備えを日ごろから行っておきますことは、災害時の人的、物的被害を最小限に抑えるために重要であると思っております。防災ハンドブックでございますけれども、災害に対する事前の備えや発災時の対処方法などをわかりやすくまとめたものでございまして、県民の皆様の防災意識を高める方法の一つとして効果的でございます。その作成を進めてまいります。
みなし仮設住宅についてでございます。被災者への住宅支援につきましては、災害発生時に緊急に建設して提供する応急仮設住宅と、民間賃貸住宅などを借り上げて提供する、みなし仮設住宅とがございます。みなし仮設住宅は、既存の住宅を活用することから、まとまった確保が難しい場合がある、また従来からのコミュニティーの維持、そういった課題もございますけれども、直ちに提供が可能であり、住宅の居住性も比較的高いことから、被災者の住宅支援として利点も多いと、このように考えております。このため、民間賃貸住宅をみなし仮設住宅として円滑に提供できるよう、公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会と協定を締結いたしておりまして、県内において大規模な災害が生じた場合に備えているところであります。
居住支援協議会の取り組みについてでございます。本県では、平成二十五年三月、被災者などの住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するために、
不動産関係団体、建設業団体、社会福祉協議会などで構成する福岡県
居住支援協議会を立ち上げているところであります。同協議会設置前の平成二十三年三月の東日本大震災の際には、今、協議会の構成員となっております
不動産関係団体が入居費用を軽減した被災者向けの民間賃貸住宅のあっせんを行いましたほか、我が福岡県も同団体と連携して民間賃貸住宅を借り上げ、みなし仮設住宅としてこれを提供いたしました。また、今回の熊本地震におきましても、
不動産関係団体が被災者向けの民間賃貸住宅のあっせんを行っているところでございます。今後、このような協議会の構成員が行った支援内容というものを踏まえまして、被災者の方の円滑な受け入れについて、協議会として、どのような効果的な活動ができるのか、意見交換を進めてまいります。また、こうした経験を生かし、本県において大規模な災害が発生した際の協議会としての役割と、その活動についても意見交換を行ってまいります。
次に、政府の政労使会議での合意内容の周知徹底についてでございます。労働者の賃金引き上げや県内中小企業の取引条件の改善のためには、経済界が平成二十六年十二月十六日に政府、経済界、労働界の代表者により取りまとめた政労使合意、これを遵守し、仕入れ価格の転嫁などにしっかり取り組んでいただくことが重要であります。本県におきましては、国、これは福岡労働局でございますけれども、その呼びかけによりまして、使用者団体、労働者団体及び関係行政機関で構成されます福岡「働き方
改革等推進会議」、この場におきまして、仕事と生活の調和、女性の活躍推進、非正規雇用労働者の正社員への転換促進などをテーマといたしまして意見交換、情報交換が行われているところであります。御提案の下請取引改善につきましても、労働環境の整備に資すると、このように考えております。そのため、この会議におきましても、これを取り上げるよう提案をしてまいります。
次に、下請取引における価格交渉力向上に向けた支援についてでございます。中小企業にとって、大企業との価格交渉というのは大きな課題でございます。中小企業が収益を向上していくためには、その取引条件を改善するための交渉力を強化していくことが重要であります。国におきましては、今年度から、中小企業の価格交渉力を向上させるために、価格交渉のノウハウに関するセミナーを全国各地で開催するとともに、下請取引の改善方策に関する個別訪問指導というものを行うことといたしております。県といたしましては、こうした取り組みにつきまして、地域中小企業支援協議会の構成機関を通じて県内の中小企業に周知を図っていくとともに、
中小企業振興センターや商工会議所、商工会等の機関紙への情報掲載やメルマガによる配信、また県主催のイベントによるチラシの配布など、これらを通じまして、広くその周知を図ってまいります。
次に、下請取引改善のための支援体制の強化でございます。中小企業が価格交渉力を向上させるためには、技術力、販売力など経営基盤を強化していくことが重要であります。そのため、企業にとって最も身近な存在でございます商工会議所、商工会、そこにいます経営指導員が日常的に企業に出向き、企業に寄り添った支援を行っているところであります。経営指導員単独ではなかなか対応が困難な専門性の高い課題につきましては、県の中小企業振興事務所を初め支援機関、金融機関、専門家団体から構成する地域中小企業支援協議会がその受け皿となりまして、関係機関が持っております専門的知識、ノウハウを生かした支援を行っているところであります。物づくり企業の技術相談につきましては、協議会が県の工業技術センターと連携して、試作品の開発の支援を行っているところであります。また、二十七年度、昨年度からは、協議会が選定をいたしました重点支援企業の抱える技術的な課題に対しまして、工業技術センターの職員が企業訪問を行い、その技術指導に当たっているところであります。さらに、新たな販路の開拓を支援するため、四地域合同で商談会を開催をしておりますほか、今年度から新たに、各協議会に配置をいたしました経営改善専門相談員が重点支援企業を訪問して販路拡大に向けたアドバイスを行う取り組みというものを始めたところであります。今後とも、地域中小企業支援協議会挙げて県内中小企業を力強く支援をしてまいります。
建設業法令遵守ガイドラインの下請業者に対する周知についてでございます。建設業の健全な発展のためには、元請業者と下請業者が対等な関係のもと、公正な取引を行うことが重要であります。このため本県では、元請業者に対しまして、そのガイドラインの内容を盛り込んだ文書を配付し、下請契約及び下請代金支払いの適正化など重要な事項の説明を行ってきております。また、下請業者からの御相談に対しましては、元請業者に対する指導、建設工事紛争審査会の制度、これを御紹介するなどの対応を行っているところであります。今後は、こうした取り組みに加えまして、ガイドラインの内容を工事現場に掲示をするとともに、下請業者へ周知するよう元請業者を指導してまいります。また、あわせて元請業者、下請業者ともに加盟をいたしております建設業団体にもこれを周知を図ってまいります。
次に、中小企業基本計画の目標数値についてお尋ねがございました。地域中小企業支援協議会におきましては、構成機関の推薦に基づきまして、経営改善、新たな事業展開に意欲的な中小企業というものを重点支援企業として選定をいたしているところであります。昨年度選定した重点支援企業のうち、小規模企業が百八十七社となってございます。中小企業庁がことし一月、小規模事業者に対して実施をしました調査によりますと、今後三年間の売上高の見通しについて、増加をすると回答した企業は四分の一、二四・八%となってございます。そこで、私どもの今回の基本計画におきましては、重点支援企業については、この国の数字を三年間で、まずはそれより高い三分の一まで引き上げる、それを目標にいたしまして、百八十七社の三分の一であります六十二社について、売り上げまたは経常利益を向上させるという目標を設定したところでございます。さらに、売り上げが向上した重点支援企業につきましては、これを成功のモデルといたしまして県のホームページでその取り組みや成果というものを紹介をするとともに、各地域で開催する事業計画作成セミナーで、その成果発表などをやっていただきまして、これらを通じて、ほかの中小企業による自主的な取り組み、それにつないでいきたいと考えております。
次に、中小企業支援についての考え方でございます。中小企業にとって、売り上げを伸ばすことは大切なことでございます。本県におきましても、販路開拓、新たな商品やサービスの開発、新分野への進出というものを支援をしているところであります。しかし、中小企業の皆さんが抱える課題というのは売り上げの問題だけではございません。運転資金の調達、人材確保あるいは育成、円滑な事業承継といったさまざまな課題がございます。このため県におきましては、個々の中小企業の方が抱えるさまざまな課題に的確に対応し、きめ細かく、総合的に支援をしていくことが中小企業の支援に当たって重要なことであると考えております。
売り上げ増など中小企業の課題解決のための支援チームについてお尋ねがございました。県におきましては、県内四地域で、中小企業振興事務所を核にいたしまして、地域の中小企業支援協議会、これを立ち上げているところであります。この協議会におきましては、中小企業診断士、弁護士、税理士、銀行の融資担当、クリエーター、ITコンサルタントなど各分野の専門家の皆さんが中小企業のさまざまな課題に応じてチームを編成をし、総合的にその支援を行っております。今後とも、中小企業の売り上げ増加を初めとするそれぞれの企業が抱えておられます課題に応じて専門家を随時追加をし、チームを組むことによりまして、中小企業の支援を進めてまいります。
次に、奈義町の子育て支援策についてお尋ねがございました。少子化、人口減少というものは全国的な課題でございます。各自治体において、さまざまな取り組みが行われているところであります。こうした中、奈義町が危機感をお持ちになり、集中的に子育て支援策を展開され、合計特殊出生率日本一、これを達成されましたことは、今後の子育て支援策を検討していく上で参考になるものと考えております。市町村の取り巻く状況はそれぞれ異なります。奈義町の取り組みをそのまま県内の市町村で実施することは難しいと考えますけれども、奈義町を初め全国のさまざまな取り組みというものを紹介をし、各市町村において、それぞれの地域の実情に応じた子育て支援策というものを企画、立案していくことは非常に重要なことでございまして、その際、そういった情報提供は有益な参考になるというふうに考えております。こういったものを参考にしていただき、地域の実態に合わせた子育て支援策を企画、立案していただきたいと考えております。
次に、保育士不足の現状と今後の見込みについてお尋ねがございました。今年度、計画をされております保育所等施設整備による定員の増加に必要な保育士さんの数から算出をいたしますと、約三百二十人が不足するものと推計されます。今後の不足見込み数、今後の見込み数、これにつきましては来年度以降の具体的な施設整備計画が定まっておりませんことから困難でございます。しかしながら、保育ニーズというのは今後も高まり、さらなる保育の担い手確保というものが必要不可欠になると思っております。このため県といたしましては、これまでの保育士就職支援センターでの取り組み、新たに実施をいたします保育士就職支援貸付制度による再就職支援、これらに加えまして、制度改正による保育補助者など保育の現場での担い手の裾野を広げることによりまして、保育士の不足の解消を図ってまいります。
次に、潜在保育士についてお尋ねがございました。保育士の確保を進めていくためには、保育士資格を有しながら保育士として今、就業されていない、いわゆる潜在保育士の方々の再就職を促進していくことが重要であります。そのためには、潜在保育士の離職理由、また再就職の御意向、そういったものの有無など、その実態を把握することが必要でございます。そのため県では、県の保育協会、県の保育士会とも協議をしながら、潜在保育士の実態について効果的に把握できる方法というものを検討してまいります。
次に、私立学校におけるICT教育のためのインフラ整備についてでございます。現在、光ファイバー回線を導入しております私立学校の割合は、小学校が九校中七校、七七・八%、中学校が二十七校中二十六校で九六・三%、高等学校、中等教育学校合わせて六十一校中五十七校、九三・四%でございます。また、無線LAN環境を整備しております私立学校につきましては、小学校が九校中六校で六六・七%、中学校、二十七校中十四校で五一・九%、高等学校、中等教育学校合わせて六十一校中三十四校、五五・七%とそれぞれなってございます。県といたしましては、ICT教育を進めていく上で必要なインフラでございます光ファイバー、また無線LANを導入していくことは大変重要であると考えておりまして、国の補助制度も活用しながら、私立学校におけるICT教育環境の向上を促してまいります。
8 ◯議長(中尾 正幸君) 城戸教育長。
*教育長答弁
9 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 アクシオン福岡の利用停止にかかわる今後の対策についてでございます。現在、利用を停止しているメーンアリーナの改修方法等について検討をいたしております。改修には、かなりの期間を要する見込みでございますが、関係課と連携し、できる限り早期に施設利用が再開できるよう努めてまいります。
避難所の非構造部材の耐震化とトイレの洋式化についてでございます。まず、県内の公立学校において、非構造部材の耐震化は八割程度となっておりまして、早急に一〇〇%となるように取り組みを進めてまいりたいと考えております。次に、現在、県内公立学校のほとんどには、一部に洋式トイレが設置されておりますが、避難所として指定されている体育館においては六割程度の設置にとどまっております。今後、改築や改修の機会を利用して洋式トイレの設置を進めてまいりたいと考えております。
公立学校におけるICT教育のためのインフラ整備についてでございます。平成二十七年三月現在、県内の政令市を除く公立学校において光ファイバー回線を導入している学校の割合は、小学校四百七十校中三百七十三校で七九・四%、中学校二百十校中百六十八校で八〇%、県立高等学校及び中等教育学校九十五校中九十五校で一〇〇%、無線LAN環境を整備している学校の割合は、小学校四百七十校中百四十六校で三一・一%、中学校二百十校中五十八校で二七・六%、県立高等学校及び中等教育学校九十五校中七校で七・四%となっております。公立学校については、国の教育のIT化に向けた環境整備四か年計画において、超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率を一〇〇%とすることが目標とされておりますが、特に、無線LANについては整備が進んでいない状況にございます。このため、市町村教育委員会に対しまして、地方交付税措置の状況について、さらなる周知を図り、目標実現に向けて取り組むよう引き続き指導をしてまいりたいと考えております。
福岡県版のBYODガイドラインの作成についてでございます。BYODには、使いなれたパソコンやソフトを使うことで業務の効率が上がる、パソコンなどを常時携帯していることから、いつでも仕事ができるなどのメリットがある一方で、プライベートデータと業務データが混在してしまう可能性がある、セキュリティーレベルが十分であるか確認ができないなどのデメリットも挙げられております。県立学校では、BYODに類する取り組みとして、校務用パソコンを使用することを原則としながらも、教員の個人所有のパソコンやタブレットについても、校長が必要と認める場合は県教育委員会が用意したセキュリティーソフトをインストールするなどの対策を施すことを条件に授業等での利用を認めております。また、校務で利用する電子メールについても、学校外のパソコン等から利用できるような環境を整えているところです。小学校や中学校においては、市町村教育委員会で状況が異なりますために、県教育委員会で汎用的なガイドラインを作成することは困難な面がありますが、当面、県立学校における取り組みの周知に努めてまいりたいと考えております。
ICT教育を進める上で、問題に的確に回答できるセクションについてでございます。市町村教育委員会から専門的な助言を求められた場合には、県教育委員会の担当課を窓口として、知事部局担当部署との連携を図りながら指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
10 ◯議長(中尾 正幸君) 吉田警察本部長。
*警察本部長答弁
11 ◯警察本部長(吉田 尚正君)登壇 初めに、性犯罪の発生と検挙の状況についてお答えをいたします。性犯罪につきましては、平成二十七年中、認知件数が五百七十六件、検挙件数が三百九十四件となっておりまして、いずれも前年と比べて増加しております。また、本年五月末現在では、認知件数は百三十七件で前年同期より五十六件減少、検挙件数は百三十二件で前年同期より十八件減少していますが、認知件数も減少していますので、検挙率は一八・七ポイント増加をし九六・四%となっております。
次に、性犯罪抑止のための対策についてお答えをいたします。県警察では、性犯罪対策の三本柱として、予防、検挙、被害者支援を推進しております。まず、予防につきましては、高校生、専門学校生及び大学生を対象に、セルフ・ディフェンス・エデュケーションと名づけた啓発活動を行い、みずから身を守る意識を持っていただくようにしていますが、新たに作成をいたしましたDVD教材も活用し、さらなる意識の高揚を図っております。また、本年一月からは、夜間、スマートフォンを操作しながら一人で歩くなどしている女性に対しまして、警察官の声かけによる防犯指導を実施しておりますほか、四月からは、ツイッターによる子供と女性の安全情報の発信も行っているところであります。次に、検挙につきましては、防犯カメラ映像の収集、解析やDNA型鑑定、似顔絵の活用など徹底した捜査を行い、犯人の早期検挙に努めております。最後に、被害者支援につきましては、被害に遭われた方に対する病院への女性警察官の付き添い、医療費の公費支出、犯罪の被害に遭われた方への心のケアのための電話相談を行っておりますほか、福岡犯罪被害者支援センターなどと連携した活動にも取り組んでおります。
次に、県民の皆様から情報提供を受けられるようなソフトの開発についてお答えをいたします。県警察では、女性や子供に対するつきまといなどの情報を発信する
スマートフォン用防犯アプリといたしまして、仮称でありますが、ふっけい安心アプリを開発中であります。このアプリでは、特に、若い女性のニーズを踏まえて、ふっけい安心メールで配信をしている事案の発生場所を示した地図情報や防犯漫画などを提供いたしまして、性犯罪などからの被害防止に役立てていただきたいと考えております。県民の皆様から提供される情報をふっけい安心アプリで受け付ける機能につきましても今後検討を進めてまいります。
最後に、ふっけい安心メールの情報を地図として提供することについてお答えをいたします。安全で安心なまちづくりを推進するためには、このメールの情報を防犯ボランティア団体など多くの方々に活用していただくことが重要であると考えております。今後、地域の皆様によるパトロール活動などに一層役立つよう、ふっけい安心メールの情報をふっけい安心アプリの画面上で示すだけでなく、要望に応じて地図として提供していきたいというふうに考えております。
12 ◯議長(中尾 正幸君) 新開昌彦君。
13 ◯六十四番(新開 昌彦君)登壇 御答弁いただきました。一点指摘と、それから再質問は二点さしあげたいと思います。
先ほど知事が、職員の派遣を十八日とおっしゃいましたが、十八日は、いわゆる情報収集のための
リエゾンオフィサー数人を出したということであります。これは要請を受けたということではなくて、もしそれを第一陣とされるのであれば、何で十九日の日に行けなかったのか。それは要請を待っていたからだというふうに思います。ですから、まずは、この
リエゾンオフィサーも、十八日に派遣をするのは遅過ぎませんか。もっと早く、発災と同時に、派遣するなら
リエゾンオフィサーをもっと早くやるべきです。それを十八日というふうにおっしゃって、私の言った言葉と、言った二十日の日に第一陣を派遣をしたということで疑問を呈されたということであれば、その辺は私のほうで説明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
再質問をさせていただきます。被害想定の基礎になる初期潮位についてでありますけれども、知事は、計画をつくっている二十七府県も
朔望平均満潮位を使っているからという答弁でありました。知事は、津波は、たった三十センチ、これで人は倒されます、そういうことは御存じだと思います。福岡県で最大満潮位のときに、もし災害が起きたら、想定外でしたと説明するのでしょうか。二〇一二年の決算特別委員会では、このときも最大満潮位を採用すべきということで議論を、我が会派の高橋雅成議員が知事と議論を行いました。そのとき知事は、議会では
朔望平均満潮位を譲られませんでした。しかしながら、結局、市町村に最大満潮位のデータを提供してハザードマップを策定する参考にさせているわけであります。そう指導しているわけじゃないですか。今回の見直しをするのであれば、県の防災計画の中にはっきりと最悪の潮位を明示すべきではないでしょうか。そうしなければ市町村が混乱をするのではないでしょうか。お答えください。
次に、要支援者数が昨年の五万六千人から一気に十八万三千人にふえていること、私はこの答弁を聞いていて大変驚きました。さらに、個別支援計画というのは、五年かけてやっと三万三千人なんです。今後どんなふうにしてこの個別支援計画を進めていかれるのか大変不安になりました。あわせて、福祉避難所も足らないんじゃないかなということも頭をよぎったわけであります。
まず、要支援者の増大の理由をお示しください。また、知事はこのことを想定していたのかも伺います。
次に、三倍に膨らんだ要支援者の個別支援計画、この推進については、どのように推進するのか、いつまでにどうするという計画があれば、お示しをいただきたいと思います。
以上、御答弁をよろしくお願いします。
14 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。
15 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、被害想定における初期潮位の設定についてでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、津波の浸水想定における初期潮位、この設定に当たりましては、国の基本指針、それから当時の専門家の意見というのをもとにしまして、
朔望平均満潮位を採用しているところであります。また、繰り返しになりますけれども、既に津波浸水想定というものを設定をしております二十七の府県全てが我が県と同様の国の基本指針に沿った
朔望平均満潮位を採用しているところでございます。それから、先ほどの答弁の中で、私、市町村に対してハザードマップや避難訓練を実施するよう指導していると申し上げたわけですが、これは私どもが決めた新しい、先ほど言いました
朔望平均満潮位、これを採用した新しい初期潮位、これをもとにした想定、あるいは防災計画、そういったものに沿ってハザードマップの作成やマップを活用した避難訓練を実施するように指導をしていると、そう申し上げたつもりでございます。
それから次に、
個別避難支援計画についてでございます。昨年度、この支援計画が二十三の市町村でしか名簿が作成をされておりませんでした。そこで把握をされた要支援者数は五万六千人といって回答したわけでございます。今年度は、六十市町村全てでその名簿が作成をされております。要支援者数が、その結果、十八万三千人となったわけでございます。当時、二十三市町村で把握をされた、その人数をお答えしましたので、名簿の作成が進んでいけば、昨年度把握をしておりました五万六千人よりも要支援者の数というものは増大していくものと想定をしておりました。
個別避難支援計画の策定を促進するための取り組みについてでございます。本人の同意の取得についての取り組みは先ほどお答えしたところでございますけれども、これに加えまして、県としては今後、これからも市町村に対しまして、まず我々、モデル地区でいろいろ事業をやらせてもらっています。モデル地区で培った
個別避難支援計画策定のノウハウ、これを他の地域にも波及させる事業、それから二番目に、制度の内容、あるいは先進的な取り組み事例について研修を行います。三番目は、定期的なヒアリングや市町村訪問によりまして、計画策定の進捗状況管理、これを徹底したいと思っております。それから四番目は、住民の方が協力しやすい具体的な避難支援の例というものを記載した住民向けのリーフレットというものをつくり、提供していきたい。そういったことを通じまして、できる限り早期に
個別避難支援計画策定が図られるよう、その促進を図ってまいります。
16 ◯議長(中尾 正幸君) 新開昌彦君。
17 ◯六十四番(新開 昌彦君)登壇 これ以上申し上げません。知事は現場主義を標榜されております。知事の中に、県民をど真ん中に据えて、政策の判断をしていただきたい、このことを強く要望して、公明党の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
18 ◯議長(中尾 正幸君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時といたします。
午 後 零 時 五十九分 休 憩
午 後 二 時 一 分 再 開
19 ◯副議長(佐々木 徹君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。神崎聡君。(拍手)
*神崎議員質問
20 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の神崎聡でございます。
去る四月に発生しました平成二十八年熊本地震は、九州では初めて最大震度七を観測し、かつ、今までの経験則から外れた連続した地震でありました。犠牲になられた方々の御冥福と、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
地震発生後からこれまで、さまざまな機関、あらゆる支援団体など、災害対策に懸命に対応された皆様に敬意と感謝を申し上げます。震災の爪跡は深く、同じ九州人として、私たちは被災地の復旧、復興に最大の努力をしなければなりません。我が国は、自然から恩恵を受け、自然と共生していく国であります。だからこそ、自然の恐ろしさ、脅威にも常に向き合っていかなければなりません。私たちは、互いに寄り添い、支え合い、助け合っていかなければなりません。そして、きずなの大切さをいつまでも守っていこうと思います。
最初に知事に、この平成二十八年熊本地震についてお尋ねいたします。甚大な被害があった被災地に対し、本県は、発生直後から救助、救急活動や県備蓄物資の提供などの応急対策、被災者の皆さんの生活支援といったさまざまな取り組みを行っています。こうしたこれまでのさまざまな支援のうち、県職員の被災地への派遣や支援物資の提供、そして被災者の受け入れについて、どのような支援を行ってきたのか、また、今後、被災地に対してどのような対応を行うのかお尋ねいたします。
福岡市や北九州市などは、四月十七日から被災地への支援物資の受け入れを始めておりました。県では、十九日より始め、二十日の午後に被災者を長期にわたって支援する特命チームを立ち上げました。一部の報道では、県民からの支援物資の受け入れが遅かったのではないかと指摘されています。この点に対して、知事はどのように認識されているのか、また、今後の初動対応についてお尋ねいたします。
また知事は、県地域防災計画を今後見直すことがあり得ると記者会見されました。どのような見直しを図ろうとお考えなのかお尋ねいたします。あわせて、見直す考えを示している県内市町村数をお尋ねいたします。
さらに、福岡県備蓄基本計画において、県と市町村の現在の進捗状況はどのようになっているのか、また、いつまでに計画を達成しようとしているのかお尋ねいたします。
防災計画はあらゆることを想定したものであり、原則は計画に沿った行動が基本だと思います。しかしながら、想定外、経験則を超えた事案が発生した場合、トップの一瞬の判断力、決断力が生死を分けることも私たちは歴史から学んでおります。自助、共助の取り組みはもちろん大切でありますが、有事において、トップリーダーは的確でスピーディーな情報収集と、メディアを通して県民の皆さんに直接、情報発信し、応急対応していかなければなりません。そのトップリーダーの姿が県民の皆さんに安心感を与え、一緒に難局を乗り越えていく希望になっていくんじゃないかと思います。有事における知事の体を張った気構えをお聞かせください。
次に、人口問題、分権社会、地方創生についてお尋ねいたします。平成二十七年国勢調査速報値が二月二十六日に発表されました。九州・山口では、福岡県だけが、福岡市と周辺の人口増を背景に、前回平成二十二年から約三万一千人ふえております。日本全体で人口が減少する中で、人口増加した八都県の一つとなっております。県内では、福岡市の人口が七万四千七百六十七人ふえ、計百五十三万八千五百十人。人口増加率は五・一%で、政令市の中でトップです。また、福岡都市圏の新宮町の人口増加率は二二・九%と、これは全国の市町村で最も高い数値となっています。
そこで知事にお尋ねいたします。知事は、この速報値を受け、率直にどのような感想をお持ちになられたでしょうか。
地方創生の重要なテーマは、人口減少と東京一極集中の問題を解決することにあります。知事は、九州各県と連携することで、東京一極集中を是正し、九州全体の発展に貢献していきたいとの考えだと思います。しかしながら、現実的には九州各県、県内各地域から福岡都市圏へ人が集まってきているのが現状で、東京一極集中のミニチュア版となっております。知事は福岡都市圏一極集中に対して、どのような認識を持ち、もし是正していこうというお考えならば、具体的にどのような対策と施策をお持ちになっているのかお聞かせください。
次に、道州制論議についてお尋ねします。我が国が直面している現状を打破するためには、今の中央集権システム、国と地方の役割分担を根本的に見直す必要があります。国政レベルでの道州制論議が停滞している現状の中で、道州制をテーマに毎年開催されています九州地方知事会や九州経済連合会などでつくる九州地域戦略会議が、ことし初めて、テーマからもタイトルからも道州制が外れていました。知事はこれまで、道州制は地方分権を進めたその先にある究極の国の姿であるとの認識を示されています。
そこで知事にお尋ねいたします。国と地方、地方同士の新しい関係と役割について知事はどう発信し、停滞している道州制論議を打破していこうとお考えなのか。また、真の地方分権型社会の実現に向けた道州制のあり方について知事の御所見をお聞かせください。
全国町村会は、道州制に懸念を示されています。それは、道州制によって地域間格差は是正されるのか、また、税財政はどのようになるのか、そして道州制は、自治を衰退させるのではないかといった懸念であります。知事はこのような懸念に対して、どう説明されるのでしょうかお尋ねいたします。
次に、福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略についてお尋ねいたします。本県は、人口ビジョンを踏まえ、昨年から五カ年の総合戦略を策定されました。私は、平成二十七年度の予算特別委員会で、本県と市町村が策定する地方版総合戦略との整合性をどう図り、特に市町村は、従来の取り組みの延長線上にない、次元の異なる大胆な政策を策定することが必要という観点から質問いたしました。県は統計データに基づいて、県内十五の広域地域振興圏ごとに、地域のポテンシャルと施策の方向性を市町村に提示し、あるいは県が基本フレームを提供することで、市町村みずからが地方版総合戦略を策定し、施策ごとに検証のための重要業績評価指標(KPI)を設定することとしています。
そこで知事にお尋ねいたします。県が策定した広域地域振興圏の現状と施策の方向性、この広域的なフレームワークの中で、市町村はどのくらい斬新的な独自性を発揮し、実効性のある大胆な政策を策定されたのでしょうか。市町村の地方版総合戦略における知事の評価をお聞かせください。
次に、本県の少子化問題、そして少子化対策についてお尋ねいたします。少子化問題は、御承知のとおり、日本の活力に直接かかわる最重要かつ最優先の国家的課題であります。国立社会保障・人口問題研究所が発表したデータによれば、約二十五年後の二〇四〇年、日本の人口は一億七百万人で、現状よりも約一六%減の二千一百万人減少するといいます。就業人口は、今後大きく減少し、二〇四〇年には六十五歳以上の高齢者と子供を合わせた負担される側の人口が、就業人口よりも多くなります。そのため、政府は一億総活躍社会を実現するため、国内総生産(GDP)六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロの実現を掲げています。本県でも、生涯現役社会を推進するため、七十歳現役社会の取り組みを全国に広げていこうとしていますし、女性の活躍推進については、県全体でより一層推進していくとしています。
しかしながら、このまま高齢者や女性が社会進出を続けても、現在よりも、二〇三〇年には三百万人、二〇六〇年には一千八百万人の労働者が減少すると言われています。国防、警察、消防、そして体力やマンパワーが必要な仕事など、現状のレベルで維持していくことが難しいのではないかと容易に想像できます。
そこで知事にお尋ねいたします。本県の労働者減少をどのように予測されているのでしょうか。
人口動態は、日本の十年後、二十年後の未来図が映し出されているわけですが、十年後、二十年後の働き手不足を解決するためには、本県として、どのようにして解決していけばよいとお考えなのか、知事の御見解をお尋ねいたします。
本県では、ふくおか子ども・子育て応援総合プランにおいて少子化対策や子育て支援の取り組みを七つの施策体系として掲げています。この七つの施策体系を整理しますと、少子化対策というよりも、むしろ少子化社会対策にウエートが置かれてきたのではないかと感じられます。つまり、少子化対策が少子化社会対策に変じ、少子化社会を踏まえた社会環境の整備が、いつの間にか目指すべき施策の方向性になっているのではないかと思うのです。したがいまして、少子化対策において、まず第一に見直さなければならないのは、教育において出産、育児の前提となるべき、家庭を持ち、子を持つことのすばらしさを教えるという本来の教育を実践することにあります。そして、これまで主に子育て支援に重点を置いてきた枠組みを超えて、結婚や子育てしやすい環境を実現する仕組みになっているかという観点から見直すことが必要であると考えます。
そこで知事にお尋ねいたします。少子化問題は待ったなしの政策課題であり、時間が過ぎるほど取り返しのつかない事態になってきます。知事は、結婚、出産適齢期を迎えた世代の結婚観、子育て観について、どのような見解をお持ちで、意識を変えるために何が必要なのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
そして、未婚、晩婚、晩産化の解消には、出会い・結婚応援事業をさらに充実させる必要があると思います。県では、出会いの場の提供など結婚応援の取り組みをされていますが、結婚数をふやすため、今後どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。また、若者が安心して家庭を持てるような生活基盤、すなわち雇用問題の取り組みも一層力を入れていただきますよう要望いたします。
教育長にお尋ねいたします。子供を産み育てるのは、未来の国と地域のために、今を生きる私たちが果たさなければならない使命であり責任であると認識しています。人は何のために生まれて、次世代に何を残し、どう伝えていくのか。とうとい命について、子供たちに深く考える機会をつくるため、教科や道徳の授業などを通してどのようなことを学習し、県教委はその充実に向けて、どう取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、田川地域の貧困問題についてお尋ねいたします。知事は、大きな社会問題となっている子供の貧困対策について、あらゆる施策を総動員し、全庁挙げて貧困の連鎖を断ち切ってまいると決意されています。貧困社会が慢性的、固定化され、根深い貧困問題を抱えている田川地域にとって、貧困問題の解決に取り組む知事の姿勢に、地元議員として大変心強く、本気で取り組んでいただきたいと心から願っています。昨年度末に策定した福岡県子どもの貧困対策推進計画の中に、生活保護世帯の状況があります。平成二十六年度地区別生活保護の状況を見ますと、保護率は福岡地区二・三%、北九州地区二・六%、筑後地区一・八%、筑豊地区六・三%と、筑豊地区の突出が顕著にあらわれ、筑豊地区の中でも市町村別に分析すると、どこに重点的、集中的に取り組まねばならないのかが一目瞭然にわかります。
そこで知事にお尋ねいたします。筑豊地区の生活保護率は六・三%ということですが、田川地域の保護率、受給期間、世代間継続はどのような状況になっているのか、また、生活保護費の実態はどうなっているのかお示ししていただき、これらを踏まえて、田川地域における自立助長の阻害要因をどのように認識されているのかお聞かせください。
県田川保健福祉事務所についてお尋ねいたします。田川地域における生活保護の取り組みが、これまでの施策で改善されなかったわけでありますから、施策の転換が求められてきます。まずは、社会から必要とされる本人の意識改革から取り組まねばならないと思いますが、生活保護受給者の社会生活への参加への取り組みについてお尋ねいたします。
このように大変難しい業務を担っている県田川保健福祉事務所の職員配置について、社会福祉法では、郡部は、生活保護世帯六十五世帯につき一名の職員配置が標準数とされています。現在、県田川保健福祉事務所では、約七十世帯に一名の配置となっているとお聞きしています。このような配置の状況の中で、生活保護行政を充実するためには、生活保護を担当する職員がきちんとその仕事を評価され、誇りと使命感を持って業務に当たることが重要であります。
そこで知事にお尋ねいたします。田川地域という厳しい環境にある県田川保健福祉事務所においては、職員の士気、モチベーションを高めるという意味においても、経験豊富で指導力のある職員を多数配置してはいかがでしょうか。知事の御見解をお尋ねいたします。
知事、本県の貧困問題は、田川地域の改革なくして福岡県の貧困解決なしであります。貧困の連鎖を断ち切る本気度が問われているのが、田川地域の生活保護の改善であります。田川地域の保護率改善に向けた知事の決意をお聞かせください。
次に、TPP協定を踏まえた知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。私は、二十八年度予算特別委員会でTPP協定を踏まえた影響試算について知事質疑をいたしました。知事は、国の影響試算は、その前提として農家の所得を確保するため国内対策をしっかり講じていくという国の決意を示したものであり、国の試算と同じ方法で算出した本県農林水産物への影響試算は妥当なものであると考えていると、答弁されています。私は、影響があって対策を検討すべきところを、対策があるから影響なし、つまり、過去最大の市場開放で安い農産物が輸入されても、対策によって生産者所得が確保され、県内生産量が維持されるというのは本末転倒していると反論し、県の独自の対策前のTPP影響試算を出すべきではないかと要望いたしました。TPP協定は非常に大きな問題ですので、再度、知事にお尋ねいたします。
五月二十三日に開催された福岡県農政連、農政協議会定期総会には知事も御出席されていましたが、そのときの総会資料の中にJAグループ福岡が試算したTPP協定による福岡県農林水産業への影響が掲載されています。県の試算は、協定発効から約二十年後の影響額の試算で、それまでの間に国内対策を講じるということで生産量は維持され、影響額は十二億円から二十億円にとどまるというものです。一方、JAグループ福岡の試算は県の試算と異なり、二百五十九億円から三百十一億円生産額が減少するもので、実に県の試算との差異は十七倍となっています。
そこで知事にお尋ねいたします。知事は農業関係者にしっかり説明していくと言明されました。JAグループ福岡の影響試算との差異について説明していただきたいと思います。あわせて、対策を講じる前の本県の影響額をどうして示さないのか、知事の真意をお聞かせください。
本年度予算でTPP対策費として四十一億円計上されました。今後、二十年という長期間に、どのような対策をされ、そのための予算総額は幾らになるのか、この点が明確にならないのにどうしてこの試算が妥当であると言えるのでしょうか。
県が試算方法を準用した国においても、この点については、毎年度、予算編成過程でしっかりと検討していくとの国会答弁でした。したがいまして、この点を県にお尋ねしても国と同様に明確な回答はできないと思います。しかしながら知事、本県の生産を維持し農家所得を確保していくことは、本県として必ず取り組まねばならない重要な使命です。TPPの影響を最小限に抑えるための知事の決意をお尋ねいたします。
知事は、本県の大事な農林水産業をしっかり守っていくと同時に、攻めの農林水産業を目指していく必要があると考えていると申されております。
そこで知事にお尋ねいたします。本県の農林水産業をしっかり守るとは、どこの国から、どの品目を、どのような対策で守るのか、県の試算で最も影響が懸念されている牛肉を例にお聞かせください。
次に、攻めの農林水産業についてです。国内消費が飽和状態にある中で、アジアを初めとする海外への輸出拡大に販路を見出そうとしています。昨年度の輸出額は、過去最大の十六億円となり、今後も、さらに市場開拓調査や競争力強化、収益力向上に向けて取り組まねばなりません。知事は、攻めの農林水産業と言われておりますが、本県の農産物の輸出額は、産出額二千六百五十四億円のわずか〇・六%にしかすぎません。TPPが実現すると総人口の約八億人、世界の国内総生産(GDP)の約四割を占める巨大な経済圏です。攻めの農林水産業と言われるのであれば、もっと大胆な戦略と市場開拓を目指すべきではないでしょうか。知事の御所見を伺いたいと思います。
次に、地域振興についてお尋ねいたします。
初めに、ふるさと納税についてです。ふるさと納税は、地方で生まれ育った人や都市部に住む人が、都市部にいながらふるさとに納税をすることで地方を応援することになるという税制優遇策であります。ふるさと納税では原則として自己負担額の二千円を除いた全額が所得税、住民税の控除の対象となります。
私の地元田川地域一市七カ町村の昨年度の寄附総額ですが、報道によりますと十二億七千七百二十一万円に上り、特に福智町は、十一億六千六百八十九万円と田川地域全体の九割を超えています。県では、昨年度分の状況はまだ集計されていないと思いますので、平成二十六年度の県内市町村及び本県のふるさと納税の受入額と控除による減収額との差し引き収支は、どのような状況だったのかお尋ねいたします。また、ふるさと納税の受入額の少ない自治体に対して、どのような指導をされるのかお聞かせください。
福智町では、政策上、比較的自由に使うことができる収入が五億円もふえることで財政面での貢献は大きく、特産品を返礼品とすることで地元産業への経済効果も大きいとのコメントです。一方で、四月一日、総務省は、ふるさと納税の見直しについて、全国の自治体に通知を出しています。これは、商品券や電子マネーなどお金と同じ使い方のもの、電子機器や自転車など資産価値の高いもの、寄附額に対して豪華過ぎるものをお礼として余り送らないようにとの内容です。実際、ふるさと納税ポータルサイトを見てみますと、さながらネットショッピングの高級品ページを見ているかのような錯覚に陥ります。本来の趣旨から逸脱した特産品目当ての寄附というのが実態であり、今後さらに特産品競争が過熱すれば、いずれ、ふるさと納税のあり方について見直すことも想定されます。納税金額の半額などで地元産品が返礼品として都市部に送られている現状、税制を活用して、地方産品を配っている商品が、正規価格のリピート客としてつながるものなのかどうなのか。もしかすると、新規顧客のみならず既存顧客にも影響が生じかねません。さらに、地元産業がますます自治体依存になります。県はタッチする立場にないかもしれませんが、地元産業の真の競争力が落ちないように、市町村に対してふるさと納税のマイナス面もしっかり伝えていただきたいと思います。知事のふるさと納税のあり方についての御所見をお尋ねいたします。
次に、プレミアムつき地域商品券についてお尋ねします。プレミアムつき地域商品券は、地方創生、緊急経済対策で導入され、総額一千六百億円分にも上ります。本県でも、地域内での消費喚起を促すとの面から一定の成果につながっています。しかしながら、発行額に限度があるため購入希望者全員に行き届かない、買い占めや転売などの不正利用、また委託販売先での優先販売など、全国各地でトラブルやクレームが続出しています。基本的に、国は運用のガイドラインだけをつくって地方に丸投げしています。各自治体は売り切ることが目的ですので、破格の金額に設定した結果、本来の目的から、むしろ不公平感を生む結果となっている自治体もあるようです。
そこで知事にお尋ねします。残念なことに私の地元添田町でも、先日、報道でプレミアムつき地域商品券の大量購入、不正利用の問題が取り上げられておりました。本県におけるトラブルやクレームはどうだったのでしょうか。また、今後の対応についてお聞かせください。
ある商工会では、プレミアムつき地域商品券を最後に手元に持つ事業者が換金時に一%の自己負担をすることから、他店で使用する率が高まり、域内消費に効果を上げているとの報告を聞きました。商品券の経済効果を高めるためには、各発行主体が創意工夫することにより、新規顧客を囲い込み、どれくらいリピーターにつながるかにかかっています。本県として、商品券の経済効果を高めるために、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
プレミアムつき地域商品券の本来の目的は、ふだんは買わないような支出やお店などに使われて、初めて経済効果が生まれてきます。節約目的で日用品を買うために使われたのでは、プレミアムつき地域商品券の経済効果は生まれません。本県では、これまでプレミアムつき地域商品券の発行がきっかけで、どのようなものが購入され、どのくらいの消費が生まれたのでしょうか。また、県内経済への波及効果がどれくらいあったのかお聞かせください。
次に、市町村の都市公園についてお尋ねいたします。本来は多くの人が利用し、地域の憩いの場、地域のコミュニティーの空間のためにつくられたはずの公園や広場が、人口減少と財政難によりむしろ荒廃して、周辺エリアの価値を奪う空間にさえなってきています。箱物行政の弊害が指摘されて久しいですが、公園は、箱物のように売却や賃貸、管理経費削減といった改善策を進める余地に乏しい点で、箱物以上に扱いにくい問題を抱えているのかもしれません。一方で、地域の歴史的、自然的資源を活用した観光振興の拠点として、商業地域などにおける町のにぎわいや、人々の往来の拠点としての公園や広場は、快適で個性豊かな地域づくりに不可欠であります。
公園は禁止だらけ、何もできない空間となってしまいました。公共資産は税金でつくり、税金で維持するということが前提ですから、一部の人たちの反対があれば、その反対を聞き入れ、禁止に禁止を重ねていった先に、最終的に誰からも文句を言われない運用になってしまいました。このままで本当にいいのでしょうか。私は、公園には潜在力があると思います。知事、ここはひとつ、今までの公共空間の運用方法に終止符を打ち、新たな公共資産の活用方法に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
富山市の富山環水公園は、世界一美しいスターバックスがある公園で有名です。また、札幌の大通公園では、日本のビール会社や外国産ビールなど各社が競う巨大なビアガーデンができ、多くの利用客でにぎわっています。各事業者が支払う利用料は、福祉財源として活用されています。公園は禁止だらけと思っていたのですが、都市公園法で禁止されているのは、植物や動物の採取や公園そのものの損傷のようなことだけで、法令上、致命的なことはそれほどないようです。調査しますと、県内で政令市と中核市の久留米市を除く市町村が管理する都市公園は二千百五十八あり、このうち指定管理者制度を導入している公園は、その規模にもよりますけれども、わずか七十一であります。例えば、指定管理により、民間企業がNPOをうまく利用することで公園利用が活性化し、公園の周辺環境も改善させていく。公園活用による費用削減と、新たな収益機会が創出されるインパクトは、小さくないと思います。
そこで知事にお尋ねいたします。市町村には、公園の専門家、技術者が圧倒的に少ないという課題があります。数年で異動もあり、創造的な公園管理を進める専門家がおりません。そのため、市町村の都市公園の中には、利用者も少なく適切な維持管理がなされていないものも多く見受けられます。このように公園管理に苦労している自治体に対し、市町村に対する県の支援について、知事の御見解をお尋ねいたします。
次に、商工問題についてお尋ねいたします。今後期待されておりますIoT(インターネット・オブ・シングス)の取り組みについてお尋ねいたします。IoTとは、あらゆる物にインターネットがつながることであります。このIoTによって、たくみの技術や物づくり、あるいは地場産業や中小企業にもビジネスチャンスがぐっと広がります。昨年、安倍首相がアメリカ・シリコンバレーを訪問した際、シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクトを発表されました。これは、シリコンバレーと日本の起業家、企業をつなぐことで、グローバルに通用するイノベーションを持続的に創造する仕組みを形成し、成長企業の創出と地方創生に貢献することを目的としています。IoT、ビッグデータ、人工知能などによる、新たなビジネスモデル競争時代に突入している中、このようなプロジェクトの実施は、我が国経済の成長戦略を描く上で、極めて重要であると思います。本県はこれまで、福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センターやフクオカベンチャーマーケット協会、AIP(旧高度IT人材アカデミー)、福岡県先端システムLSI推進など、数々の最先端政策を実施してきました。
そこで知事にお尋ねいたします。今後、成長が見込まれるIoTを、これまで本県で取り組んできたさまざまなプロジェクトと融合することによって、新たな事業や新産業へとつながることが期待できます。世界に向けてIoT福岡を発信し、本県の成長戦略に位置づけることを検討すべきと思いますが、知事の御見解をお聞かせください。
また、本県は、シリコンバレーの動向をいち早く収集し、それを本県IT産業の振興に寄与することを一つの目的にサンフランシスコ事務所が構えられていますが、これまでの成果と今後のIoTに対してのミッションと取り組みについて知事の御所見をお尋ねいたします。
次に、労働問題についてお尋ねいたします。県内の有効求人倍率は、このところ最高水準で推移していますが、その内容を見ますと、地域ごと、業種ごと、あるいは正社員、非正社員の問題など、まだ多くの課題を抱えております。
そこで知事にお尋ねいたします。現下の雇用情勢について知事の御所見と今後の取り組むべき課題について御見解をお尋ねいたします。
県では、これまでの求職者への支援だけでなく、企業に対して正規雇用への転換を促していくため、昨年十月に、企業に対して、正規雇用化の働きかけと、その実現に向けた採用ノウハウの助言や各種支援策の紹介などを行う福岡県正規雇用促進企業支援センターを開設しました。
そこで知事にお尋ねいたします。この支援センターにより、県内の雇用情勢をどのようにしたいとお考えなのか。また、昨年度の利用状況はどうだったのか。さらに、今年度は事業をどのように改善させるのかお尋ねいたします。
若年者の地元定着、UIJターンの就職等の促進についてお尋ねいたします。県外に就職、就学している優秀な人たちのUIJターンの促進を図るためには、何といっても、関東圏、関西圏の学生や社会人の人たちに地元企業の情報を発信していくことが重要であります。今、企業がこういったUIJターン向けに募集しようとしますと、広告宣伝費に多額の費用をかけなければなりません。また、UIJターンの希望者も東京、大阪にいますと地元の情報もわからず、帰省して就職活動するにも相当な費用がかかってしまい、負担増から諦めている人も少なからずいると思います。
そこで知事にお尋ねいたします。UIJターンを促進するため、企業の求人活動と希望者の就職活動の負担をどう軽減させ、マッチング支援を円滑に効率的、効果的に図ろうとお考えなのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
県内のUIJターンを考えた場合、福岡都市圏と雇用機会が少ない地域では、抱えている課題や取り組む方向性も大きく異なると思います。UIJターンを促進するためには、地域の人口構成、人口変動の視点を踏まえた、地域に人を呼び込む政策に取り組まねばならないと思います。雇用機会の少ない地域のUIJターンの取り組みは、首都圏企業などへのアプローチだと思います。地方には十分に利用されていない立派な公共施設があります。通信インフラを整備しテレワークを推進することで、東京、大阪の複数企業にサテライトオフィスとして活用してもらう。社員の福利厚生としての都会と田舎の二地域居住空間(マルチハビテーション)を企業に推進してもらうなど、地域の資源を最大限活用した地方創生の取り組みが、先進的な成熟社会にふさわしい多様なライフスタイルや新たな産業、業態を生み出していくものだと思います。
そこで知事にお尋ねいたします。今申しましたような取り組みを、本県にゆかりのある首都圏の企業などに提案されてはいかがでしょうか。知事の御見解をお尋ねいたします。
次に、教育長に不登校問題についてお尋ねいたします。子どもの貧困対策推進計画や学力低下問題にも関係しています不登校問題でありますが、平成二十六年度の本県における不登校児童生徒数は、小学校が九百九十八人で、中学校が四千七十四人、合計五千七十二人となっています。不登校は心の問題のみならず、学力向上及び進路の問題でもあります。全ての子供たちが夢と希望を持って成長している社会の実現を目指す福岡県としては、目的は一つであります。不登校児童生徒を元気に登校させることであります。
そこで教育長にお尋ねいたします。不登校の基準は、年間三十日以上欠席としています。平均しますと、週に一日休めば不登校ということになり、つまり週四日登校していても不登校と定義されていることになります。不登校以外でも、病気で長期欠席の子供もおりますし、年間三十日の児童生徒、あるいは年間百五十日以上の児童生徒では対応も変わってくるのではないでしょうか。学習指導や進路指導も含め、不登校児童生徒の状況に応じて、どのようにきめ細かな指導を行っているのかお尋ねいたします。
今年度、重点事業としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の活用など、いじめ・不登校総合対策事業を挙げております。
そこで教育長にお尋ねいたします。なかなか改善が進まない不登校対策ですが、学校と市町村教育委員会、そして教育事務所との間で、不登校における認識の情報共有は図れているのでしょうか。
また、県教委はこれまで、県内全ての中学校へスクールカウンセラーを配置し、不登校児童生徒へのマンツーマン対応による個別支援などを行っているところです。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが機能しているかどうかのチェック体制について教育長の御所見をお尋ねいたします。
教育長には、学校現場の負担の軽減を含めて、どのように不登校問題に取り組んでいくのかお聞かせください。あわせて、中学校のときに不登校だった生徒の県立高校への受け入れ態勢についてお尋ねいたします。
最後に、義務教育学校の設置についてお尋ねいたします。小中一貫教育を行う義務教育学校が、国会で改正学校教育法が成立し、今年度四月から、市町村教育委員会などの判断で設置ができるようになりました。まず、県内におけるこれまでの小中一貫教育の狙い、成果と課題について教育長の御所見をお尋ねいたします。課題については、どのような解決策をお考えなのか、あわせてお聞かせください。